福岡県議会 > 2011-06-13 >
平成23年6月定例会(第13日) 本文
平成23年6月定例会(第13日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2011-06-13
    平成23年6月定例会(第13日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(原口 剣生君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。江口善明君。(拍手) *江口議員質問 2 ◯三番(江口 善明君)登壇 皆さん、おはようございます。食と緑を守る緑友会福岡県議団の江口善明でございます。初めて県政の壇上に立たせていただきます。緊張しておりますが、福岡県政と郷土久留米市の発展のため、全力で頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、通告に従い順次質問させていただきたいと思います。  一点目、人口減少する地域への福岡県政のあり方について。御存じのとおり、福岡県は福岡市と北九州市の二つの政令指定都市を抱える九州の雄県でございます。福岡県の役割とは、二つの政令指定都市はもちろんのこと、特にそれ以外の地域、筑後、筑豊地域を元気にすること、つまり県土の均衡ある発展を図ることにあるのではないでしょうか。  そこで、小川知事にお尋ねをいたしたいと思います。福岡県は、現在人口が増加をしています。その背景として、福岡都市圏の人口増加が、県内のそれ以外の地域の人口減少を上回っているにほかなりません。人口の増加、減少は、日本全体では東京一極集中とよく言われておりますが、この福岡県においては福岡市の一極集中であると思います。もちろん、人口は行政が直接制限できる性格のものではありません。しかし、こうした人口の増減は、町の活力の重要な尺度、物差しであることは間違いないと思います。人口面から見た県土の均衡ある発展は、福岡県政の重要な課題の一つであると思いますが、小川知事の見解をお伺いいたします。  次に、私の地元であります筑後地域の人口減少についてお伺いをいたします。御存じのとおり、久留米市は平成十七年、三潴、城島、田主丸、北野の周辺四町との広域合併により三十万都市となりました。平成二十年には政令指定都市に次ぐ都市の格付であります中核市となりました。古くから、久留米市は県南筑後地域の母都市と言われまして、また鳥栖市などの佐賀県東部地域をも含めた地域の中核の都市として栄えてまいりました。しかしながら、皮肉なことに一市四町の広域合併が行われました平成十七年から久留米市の人口は減少を続けております。平成十七年には約三十万六千人だった人口が、現在では三十万三千人、年間五百人、人口が減少しております。また筑後地域全体を見ても、ほとんどの市町村において人口が減少しております。  福岡県では、今議会で審議をされる本年度当初予算の中でも、従来からの筑後田園都市推進評議会の運営のほか、新規事業としてちくご定住促進プロジェクトを提案されています。このプロジェクトは、筑後地域に住みたいと考える、他地域から特に福岡都市圏などに住む家族を対象としたもので、筑後地域に住んでもらい、そこから職場に通勤をしてもらうというものです。具体的には、空き家に二週間居住をしてもらうということです。  私は、久留米市を中心とした筑後地域の人口の減少の現状は、地元で就職先がないから、福岡市で就職をして、その結果転出をしていくというものだと考えています。実際、久留米市の人口動態を見てみますと、平成十七年の国勢調査では、男性では大学に入学するぐらいの年ごろ、十五歳から十九歳までの五年間で六百八人ふえるのに対しまして、大学を卒業する年ごろであります二十歳から二十四歳までが五百四十人減少しています。また二十五歳から二十九歳までが千五百七十六人の減少となっております。若年者の人口の減少が顕著であります。また、女性に目を移しますと、十五歳から十九歳までが三百一人ふえています。二十歳から二十四歳までが八十七人ふえています。この若い女性の人口増は、医療の町である久留米市に看護師を目指しての進学、もしくは看護師としての就職であると言われております。  私は、筑後地域の人口減少に歯どめをかけるためには、福岡都市圏で働いても、筑後地域から通勤するというライフスタイルを筑後地域の若年層に持ってもらえる環境づくりが必要ではないかと考えます。先ほど御紹介しました、新規事業のちくご定住促進プロジェクトを否定するものではありませんが、筑後地域に他の地域から移り住んでもらうことよりも、筑後地域の人々がそこに住み続けたくなる政策ビジョンが必要ではないかと考えます。  そこで小川知事にお尋ねをいたします。筑後地域の人口の減少に歯どめをかけるためには、筑後地域を福岡都市圏の通勤圏にするということも含めた新たな政策のビジョンが必要と考えますが、知事の御見解をお伺いいたします。  二点目、九州新幹線全線開業を生かしたまちづくりについて。九州新幹線は、ことし三月十二日、博多-新八代間が開通をいたしまして、博多-鹿児島中央駅間全線が開業をいたしました。全線開業により、福岡県内の新幹線の駅は、従来の小倉駅、博多駅に続き、久留米駅、筑後船小屋駅、新大牟田駅と県南筑後地域の三駅が新たに誕生をいたしました。しかし、全線開業日前日の三月十一日に東日本大震災が発生をいたしまして、新幹線の全線開業を祝うイベントはすべて延期か中止されたことは、皆様の御記憶に新しいことと思います。こうした未曾有の大惨事の影響で、九州新幹線は粛々と運転をされまして、人知れず開業しております。  小川知事は、元気を西からと、今議会初日の提案理由説明東日本大震災復興にかける福岡県政の意気込みについて語られました。そこで知事にお尋ねをいたしたいと思います。震災の自粛ムードの中で延期、中止をされた開業イベントの再開と九州新幹線のPRが新たに必要と考えますが、知事のお考えをお伺いしたいと思います。  ところで、九州新幹線全線開業から三カ月余り、六月二十四日の西日本新聞では、一面に「九州新幹線新駅苦戦」との題字が躍っておりました。新鳥栖駅から新大牟田駅までは、乗降客数がJR九州、地元自治体の想定を下回りました。新幹線効果が発揮をされていない、いわゆる黄色信号ではないかと思います。さきの私の質問でも、開業イベント九州新幹線のPRに言及をさせていただいたのは、新幹線効果都市間競争の起爆剤になり得ていない現状に危機感を覚えるからであります。九州新幹線全線開業を前に、JR博多駅は駅ビルが全面改装し生まれ変わりました。福岡市の新たな玄関口として、観光客を初め天神に足を運ぶ人々をも取り込む状況だと思います。まさに都市間競争の勝ち組になっているのではないかと思います。九州新幹線では、福岡から鹿児島までが一時間十九分で結ばれました。その結果、福岡市の求心力に飲み込まれるならば、新幹線駅を抱える自治体は都市間競争に負けたということになりはしないかと危惧の念を持っております。  そこで、小川知事に二点お伺いをいたします。まず、九州新幹線では、筑後地域の三つの新駅のうち、久留米-博多駅間のみ二枚切符、四枚切符などの割引制度がございません。久留米-博多駅間、在来線では七百二十円で快速で四十分強、また西鉄電車の久留米-天神駅間では六百円、特急で三十分です。新幹線では、久留米-博多駅間、自由席で千五百五十円で約十六分ないし十九分です。指定席の料金では二千四百三十円と二千円を超えてしまいます。新幹線利用者を伸ばす意味からも、新幹線の割引制度導入をJR九州にぜひとも強く働きかけていただきたいと考えますが、小川知事の御見解をお伺いいたします。  続きまして、新幹線定期券補助金の導入です。平成十六年、先に部分開業いたしました新八代-鹿児島中央駅間では、薩摩川内市が新たな市内への居住者を対象に、新幹線通勤定期利用者に対し月五千円の補助金を支給し、定住促進策としては一定の成果を上げております。福岡県内でも、大牟田市が市外からの転入者の通勤通学定期代に月一万円の補助を実施しております。私は、新幹線利用を促進する意味からも、通勤通学定期補助事業をぜひとも県の補助事業として関係自治体に補助をしていただきたいと考えております。知事の御見解をお伺いいたします。  それでは一回目の質問を終わらせていただきます。(拍手) 3 ◯議長(原口 剣生君) 小川知事。 *知事答弁
    4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、県土の均衡ある発展についてのお尋ねでございます。私は、県内の各地域が、その有します地域資源や個性を生かして魅力ある地域として発展していくことが重要であると考えております。このため県といたしましては、筑後地域を初めとします各地域におきまして、市町村と連携をして広域的な観点から、経済振興に加え文化、教育、観光、食の安全、安心、そういった多様な内容の広域地域振興プロジェクトというものを推進しているところでございます。このような取り組みを通じまして、地域ごとの実情に応じた地域振興を進めることによりまして県土の均衡ある発展を図っていく考えでございます。  次に、筑後地域における人口の減少対策についてお尋ねがございました。まず、九州新幹線の全線開通を契機といたしまして、福岡都市圏への通勤圏としての魅力、これは高まっていると思いますが、そのPRをするというのが一つでございます。それから先生も御指摘がありましたように、筑後地域で、働きながら質の高い生活を送ることができるよう、その環境づくりも進めていきたいと、このように考えているところでございます。このため、企業誘致によります雇用創出、子育て支援などの少子化対策を進めていきますほか、筑後地域におきましては定住促進に向けた市町の受け入れ態勢定住促進策の整備、SOHOなど新たな就業形態の普及、定着、これを目指す取り組みを進めてまいります。また、地域資源を活用した商品開発のための人材育成、あるいは新たな雇用機会を創出する事業にも取り組んでいるところでございます。今後とも、このような取り組みを総合的に行うことによりまして、定住人口の拡大、人口の流出の抑制というものを図っていきたいと考えております。  九州新幹線のPRについてでございます。九州新幹線鹿児島ルートの全線開通を契機といたしました沿線地域の振興は、県といたしましても極めて重要な課題であると考えております。県では、昨年からJR九州そして沿線各都市と連携いたしまして、プレイベントやシンポジウムなどを開催するとともに、主に関西地域でございますが、関西地域をターゲットといたしまして、新駅のある県南部を中心としたキャンペーンを行ってまいりました。カンニング竹山さんをキャラクターにしたり、交通広告、駅構内あるいは車内広告をしてきたわけでございます。今後とも関西、中国地方での観光キャンペーン、そして県南地域の魅力を発信する筑後スローフードフェスタなどでPRをいたしますとともに、全線開通効果を最大限に活用していくために、これからいろんな節目をとらえまして、各種キャンペーンやイベントなど効果的な実施につきまして、JR九州や沿線各都市と連携して検討し、実施していきたいと考えております。  次に、JR九州の料金設定の要望についてでございます。九州新幹線鹿児島ルートの全線開通を地域振興に結びつけるためには、先ほど申し上げましたが、これを契機にして地域振興に結びつけていきたいと、そういう思いでございますが、その際、利用しやすい料金の設定は重要な要素であるというふうに考えております。これまでJR九州や国土交通省などに対しまして、さまざまな機会を通じまして、利便性の高い運行ダイヤ、そして運賃の設定、これらにつきまして要望してまいったところでございます。今後とも、利用しやすい料金の設定などについてJR九州に要望してまいりたいと思います。  県による新幹線通勤費の補助についてのお尋ねがございました。この問題は、他の交通機関利用者や他の交通事業者との関係、新幹線沿線住民と県内他の地域の住民の方々とのバランスの問題など、県として公平性あるいは中立性という観点から考えなければならない課題が多くあると思います。今年度実施をいたします「ちくご暮らし」体験事業では、筑後地域から福岡都市圏新幹線通勤者も含めて対象を予定しておりまして、このモニタリングの結果も参考に、各市町におきまして新幹線通勤費の助成策も含めそれぞれの創意工夫を凝らしていただいて、効果的な定住促進策を検討していただければと、このように考えております。また、それが他地域の県民の皆様との公平性、中立性の観点から基本ではないかというふうに考えております。 5 ◯議長(原口 剣生君) 江口善明君。 6 ◯三番(江口 善明君)登壇 三点、二回目の質問をさせていただきたいと思います。  先ほど小川知事のほうからも、県南の人口減少については企業誘致、そして定住促進という形でおっしゃってありましたけれども、私はどうしてもこの県の政策について一つ申し上げたいのは、筑後地域は田園都市として非常に恵まれているというようなPRをよくされていますが、実際の人口の減少では、どうしても福岡都市圏に流出をしているという現状があるという中で、新たに筑後地域に移り住んでもらうということよりも、やはり出ていく人がいるという現状をどういうふうに分析していくのか、そしてそこを政策の主軸に置いていただきたいと思います。もちろん自己完結型に筑後地域で、例えば田園風景、いろんな農業、そして六次産業化していただくのは非常にありがたいんですが、それだけでは雇用がやはり保たれない。八十万のこの県南の筑後地域が、人口がどんどんと減少しているという現状について、より現実的な方策をやっていただきたいと思いますし、そのためには、知事が言われた、片手に企業誘致そしてもう一方には定住促進というのを、ぜひとも強く打ち出していただきたいと思いますが、そういった現実的な定住促進を検討していただきたいと思いますが、再度質問をしたいと思います。  二点目です。新幹線のPRについて、先ほどいろんな形で、スローフード等々でございました。特にことしが、今からも久留米で開業イベントが七月に行われるということになりまして、徐々にではありますが、こういったPRがされてくると思いますが、新幹線の場合というのは、どこでも最初の開業した年はふえています。しかし、二年目から下がるというのが結構あるみたいで、ぜひとも来年度予算でも、積極的なPR活動あたりは、どうしても基礎自治体だけでは予算がない面もありますので、県としても継続的に考えていただきたいと思いますが、知事のお考えをお伺いしたいと思います。  三点目です。先ほどおっしゃいました、新幹線の定期券の補助金の件なんですが、県内のバランスというのは、おっしゃるとおりで、ここだけを突出しちゃいけないという考え方もあるかもしれませんが、しかし新幹線をこれだけ、やはり九州全線が開業するという中で、県としては積極的な姿勢としてこの新幹線を利用してもらうと打ち出す姿勢は、私は何らか必要だと思います。それはPRというよりも、より利用者に届く形で、一つは割引制度もそうでしょうし、補助金もそうだと思いますが、再度何か、私は積極的に新幹線利用、活用策について県としての姿勢を見せるべきだと思いますが、知事のお考えを再度お尋ねしたいと思います。  以上で二回目の質問を終わります。(拍手) 7 ◯議長(原口 剣生君) 小川知事。 8 ◯知事(小川 洋君)登壇 今、筑後地域に課題が二つあると、私は冒頭申し上げたわけです。一つは、筑後地域、この域内で働きながら質の高い生活を送る、つまり魅力ある職場というのがあって、そこで豊かな暮らしをするというのが一つ。それから新幹線が開業いたしましたので、通勤圏というのが広がってきているという、そのメリットをどうやって使って人口をふやしていくかと、この二つがあろうかと思います。  後者につきましては、先ほど言いましたように、魅力をいろいろ高めていく中で、それをPR、アピールをしていって、今回モニタリングもやっていただく、そしてその結果をまた施策に反映してPRあるいは実際の施策にはね返していくということが一つでございます。それから魅力ある地域にしていくための雇用機会をつくっていく、いわゆる職場をつくっていくということ、これはなかなか難しい問題でございますけれども、企業誘致、それから先ほど言いました、これまでの取り組みによっていろんな政策、効果が出てきていますから、それらを一緒に組み合わせることによって、働きやすい、住みやすい、トータルとしての地域の魅力を、地域の皆さんと一緒になって知恵を出して考えて施策を展開していきたいと、そのための広域的な関係者が皆さんお入りいただいて検討する場、この場を活用して、今後ともそういった施策について検討し、実施をしていきたいと考えております。  それから二番目、PRでございますけれども、全線開通効果をPRしていくためには、いわゆるみんなが注目をしている時間の間はいいかもしれない、それが長く続くと、だんだんそれが落ちていくんじゃないかと、限界効用が落ちていくんじゃないかと、そういう御議論だと思います。まさにそのとおりだと思いまして、この効果、今回の開通効果というものを最大限地域あるいは福岡県として生かすためにも、引き続きいろんなタイプの、またいろんな節目でのイベントとかそういう事業といったものを考えていきたいと思います。その際、地域の皆さん、沿線各都市、そしてJR九州、あるいは九州観光推進機構、関係者知恵を出し合って考えていくということが、より効果的なPRができることになると思います。  それから、料金設定と補助でございますけれども、基本的な考え方は、繰り返しで恐縮でございますが、それぞれの地域は御事情がありますけれども、やっぱり他の交通機関を利用されている方、他の交通事業者との関係とか、ほかの地域との、いわゆる生活の利便性、あるいはこういった県の支援のバランスといったものは、より慎重に考えなければならないというふうには思っております。いずれにしましても、今回モニタリングをやりますので、新幹線通勤者を含めて福岡に通ってもらいますので、その効果とか、その結果というものも踏まえながら、この問題について関係者との間で検討し、また先ほどのJR九州への要望につきましては、今後とも利用しやすい料金の設定などにつきましてJR九州に要望を続けていきたいと考えております。 9 ◯議長(原口 剣生君) 塩川秀敏君。(拍手) *塩川議員質問 10 ◯四十二番(塩川 秀敏君)登壇 皆様、おはようございます。自民党県議団の塩川秀敏でございます。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。  まず最初に、小川知事、このたびは御当選おめでとうございます。私自身も二回目、県政の壇上に立つことができました。本当に心から感謝を申し上げます。  早速ですが、小川知事から就任のごあいさつ状をいただきました。それを読ませていただきまして、感動いたしまして申し上げます。その一節でございますが、「何とぞ福岡県発展のために皆様の御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げます」という一節です。私が感動いたしましたのは、この御指導、御鞭撻の前に「福岡県発展のために」という一節が入っておったことでございます。普通で言えば、何とぞ皆様の御指導、御鞭撻を賜りますと、こういうふうに来るんじゃないかと思いますが、この一節は、やはり自分がない、去私、そして捨身、身を捨てる、こういう世界を持った方でないと出てこない一節ではないかと。責任感と謙虚さ、そして福岡県への愛情が満ちあふれていないと出てこない一節であると思います。僣越ですが、人間として、知事として、大いに好感と期待を寄せているところであります。海軍兵学校の五省で育てられた、まさにそのとおりのものであるかと思います。知事におかれましては、代表質問も終わり、一般質問も二日目となり、私たちの質問こそ知事への最大の激励や応援であると実感されていると思います。そこで、知事の言われる福岡県のために、福岡五百万県民のために、大きく三項目についてお尋ねいたします。  まず、知事の政治姿勢と政治信条についてであります。三・一一の東日本大震災により、今までの日本のあり方を大きく問い直す世論が出てまいりました。節約、自然の怖さ、人のための生き方、地域コミュニティーの再構築、戦後失われつつあった我が国の美徳がクローズアップされ、考え方の大きな転換期と言われます。  そこで知事に質問でございます。知事は、東日本大震災後の日本は大きく変わる、または変わらなければいけないという論調についてどのようにお考えですか、御所見をお願いいたします。  私、単身で東松島市に行ってまいりまして、県の職員の方とお会いをして、激励をしてまいりました。東松島市の阿部市長さんが、非常にこの福岡県の支援に対して感謝を述べられておりましたので、知事にもお伝えしたところでございます。職員の方々の献身的な働きに心から感謝と敬意を表するところでございます。  さて、麻生前知事からも退任のあいさつ状をいただきました。その中で「平成七年就任以来公正と奉仕を基本とし、県民生活と福祉の向上を目指して」という、この公正と奉仕を基本姿勢としという一節がございました。  そこで小川知事にお尋ねいたします。私は、福岡県のぶれない最高指揮官であるためには、基本姿勢や信条が据わっていることが不可欠と考えます。考えがまとまっておられればお聞かせいただきたいと思います。  また、同状には「福岡県民は進取の精神に富み、おおらかで開放的で優しい、温かい心を持っています」と、麻生知事のメッセージがありました。  小川知事にお尋ねいたします。知事は福岡県御出身ですが、福岡県民の県民性をどのようにお感じになっておられるのか、これも考えがまとまっておればお聞かせ願いたいと思います。  次に、マニフェストについてお尋ねいたします。麻生知事は、三期目の平成十五年と四期目の平成十九年の選挙のそれぞれでマニフェストを作成されました。十五年のときは日本一住みやすい、日本一元気なふくおかへということで、はっきりと目標を明らかにし、達成度をはかるためにマニフェストを表明し実行すると、こういう力強い明言をされて、百五十九の実行項目を挙げておられます。十九年のときは、御存じのように、元気でやさしい希望の福岡県ということで、十四の基本項目と百十三の具体項目を挙げられて、中間報告がなされたところでございます。  そこで知事に御質問いたします。今回の知事選でマニフェストを作成されませんでした。政権公約(マニフェスト)は首長選挙では一般的となっていますが、今回マニフェストを作成されなかった理由を御説明お願いしたいと思います。  この項の最後に、知事の財政認識についてお尋ねいたします。福岡県は平成九年から十三年、そして平成十四年から十八年、そして今回十九年から二十三年と、それぞれ財政構造改革プランなるものをつくって財政の健全化を進めてきたことは御存じのとおりでございます。ことしは総合計画が出ますし、さらには新行政改革大綱もつくられると思いますし、それに伴って、また新しい財政構造改革プランが、恐らくつくられるだろうと思っております。  麻生前知事の四月十二日の定例記者会見で四期目の総括をなさっていますが、その中で財政健全化は全くうまくいかなかったというふうに、記者におっしゃったということが載っておりました。  そこで小川知事にお尋ねいたします。二十三年度の予算編成の中で、福岡県の財政状況の現状と課題についてどのような感想を持たれましたか、お聞かせを願いたいと思います。  最後に、部長にお伺いしたいと思います。麻生前知事は、平成二十二年九月の議会で、行政改革審議会により事業あるいは事務の外部評価を実施したいと、そのための具体的な方法を確立し、具体的な活動を進めたいと言われました。先の話になりますが、もう取りかからなきゃいけませんので、平成二十四年度予算編成に向かっての行政改革審議会の進捗状況を御説明願いたいと思います。  次の項目に移ります。県民幸福度日本一の福岡県についてであります。知事は、我が会派の代表質問に答えて、県民の幸福を達成する条件は、県民生活の安定、安全、安心を向上させることだと、経済的な豊かさだけでなく、心の豊かさも両立させる具体的施策を総合的に展開することにより、幸福を実感できる県民幸福度日本一の福岡県を目指すという趣旨の発言をされました。  知事に確認ですが、県民幸福度の検証について、具体的施策が出た時点で指標を設け、達成度をはかるというふうに理解してよろしいかどうか、御回答をお願いしたいと思います。  次に、県民幸福度に関する具体的な政策立案についてのお願いでございます。県下一律の施策や指標だけでなく、地域の特性や課題に、今までの経過を十分に踏まえた施策を立案していただきたいとお願いしたいのであります。特に、筑豊地区は人口の継続的減少、完全失業率が高い、年間所得が県平均よりも物すごく低い、少子、高齢化が典型的に進んでいる、学力も低い、生活保護率も高いというもろもろの問題、課題が多く、いわゆる他地区との格差問題を感じているところであります。  そこで知事に御質問申し上げます。県民幸福度達成のため、地域間格差の解消について、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。  もう一つは、今までのふくおか新世紀計画、──現在の総合プランでございますが──に言う筑豊の活性化方針は、福岡、北九州、筑豊という福北豊・トライアングル構想ということで前知事は進めてこられましたが、このトライアングル構想について小川知事はどんなお考えをお持ちなのか、もし考えがまとまっておればお答えを願いたいと思います。  最後に、教育力向上福岡県民運動について御質問させていただきます。福岡県の教育の三本柱として、学力向上新戦略等々、いわゆる全国学力テストの悉皆調査、これが福岡の学力アップ推進という部分でございます。もう一つは、体力アップ推進というのがございます。ちょっと長うございますけれども、全国体力・運動能力、運動習慣等の悉皆調査、そしてこの教育力向上福岡県民運動ということになっております。  そこで、教育力向上福岡県民運動について御質問をさせていただきたいと思います。この運動は、二十年の一月に教育ビジョンが出されまして、実際的には二十一年の十一月からスタートをしました。この教育力向上県民運動は、子供の課題である学ぶ意欲、自尊感情、そして規範意識、体力、こういうものを伸ばして、福岡県が目指す子供を育てる運動であります。  そこで知事は、この運動の目的や必要性について、どのようなお考えをお持ちですか、御説明願いたいと思います。教育力向上福岡県民運動について、この運動を進めていくことについて、その目的や必要性について、どのようなお考えをお持ちか、御説明いただきたい。  二番目に、この運動というのは、個性、自由、平等という教育の基本に係る理念について、今まではそれぞれが自分自身で解釈して、自分の考えで指導を行ってきた嫌いがあるので、共通認識を持って取り組む必要性がうたわれております。この個性、自由、平等について共通認識を持って取り組む必要性についての知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。  三つ目に、この運動は学校が中心となり、情報発信をして、家庭や地域や行政が学校を助ける運動というのが、運動の趣旨でございますが、これについても知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。学校が情報発信して、家庭や地域や行政が学校を助けるという運動についての知事のお考えでございます。  最後になりますが、知事は子供の教育の根幹はどのようなものとお考えですか、所見をお願いしたいと思います。  以上、大きな項目、三項目について知事の所見をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 11 ◯議長(原口 剣生君) 小川知事。 *知事答弁 12 ◯知事(小川 洋君)登壇 まず、三・一一以降日本は変わるべきという論調についてのお尋ねでございます。三月十一日、未曾有の大災害が起こったわけですが、その一連の中で、例えば地域コミュニティーがうまくまとまって避難者の方を安全なところに導き、大勢の方を救った、あるいは地域の避難所の、地域で被災された方々の避難所での生活ぶり、あるいはその気持ち、それから中国の研修生を助けてみずから命を失われた漁業関係者の方もいらっしゃいました。そういう情報、ニュースに接しまして、特にまた海外からそういうことが来て気がつくというのは非常に残念なことでありますが、我々日本人も改めて日本人の地域社会の重要性、あるいは日本人の心の優しさと強さというものを認識しているところではないかと思います。そういう意味で、今回大震災でございますけれども、新しい国をつくるという思いで復旧、復興、国を挙げて国民一丸となって取り組んでいくわけでございますが、その際、大きな正念場であり、転換点ではありますけれども、変えるべきところは変えていくと同時に、絶対変えちゃいかぬ、失ってはいけないもの、先ほど申し上げたようなことについては、これを今まで以上に大事にしていく、そういう姿勢が必要であると私は思っております。  次に、私の政治信条、政治姿勢についてお尋ねでございます。塩川先生には過分の言葉をいただき、非常に恐縮いたしておりますけれども、私は、県政に当たりましては自分の目で見て、自分の耳でいろんな方の御意見を伺って、自分の足でその地に立ってみて、その上で政策を、企画立案を展開していきたいと、現場主義というものをできるだけ心がけたいと思っております。それをもとに、県民の幸せ、県民の福祉の向上に全力を尽くしていきたいと思っております。  その際、私はみんなのため、公という言葉ですか、これを非常に頭に置きまして、私自身は努力を怠らず、粘り強く取り組むことを身上といたしておりますので、こういった私の思いで、知事の職務に誠心誠意全力で当たっていきたいと、このように考えております。  福岡県民の県民性についてでございますが、選挙中も私申し上げておりましたが、我が福岡県民というのは、明るく開放的で、進取の気性に富む県民性を有していると思います。そして何よりもやっぱり温かいといいますか、熱いといいますか、そういう気持ちが強い方が多いんではないかと思います。そのことが、ほかの地域から来られた方が、福岡で勤務されたりした後、福岡というのはよかったと、退職後また住んでみたいと思われる要素の一つになっているというのは、この県民の人柄、県民性ではないかと私は思っております。  それから、マニフェストについてのお尋ねでございました。今回、何をいつまでに、具体的に書いて、選挙戦に御提示をしておりませんでした。選挙のときも皆さんに申し上げたわけですけれども、マニフェストというのは、決めて公表された後、その後国民のニーズが変わったり、それを実現することができなくなるような大きな環境変化がある場合、場合によっては最初からニーズを読み損なっている場合もあります。そういうこともあり得るわけです。今みたいな状況の変化が早くて、また奥行きが深い、そういう状況の中で、そういったマニフェストを出していくことが、果たして県民の皆様の信頼を得ていく、あるいは政治に対して信頼をしていただく、そういうことにつながっていくかどうかということについて、私自身は非常に悩み、今回はそういうことをやらなかったわけです。とりわけ三月十一日の大震災が起こりました後は、この国が全体としてどういう方向で動いていくのか、国の基本的な政治の枠組みがどうなっていくのか、そういったこともありますし、今まで考えてきた前提と違うような社会、短期的には違う状況というのが予想される中で、マニフェストというものをつくっていくのが、県民の皆さんの政治に対する信頼を得ていくので果たしていいかどうかということを考えた上で、出さなかったというのが私の結論でございました。  財政健全化についての認識でございます。国は非常に厳しい予算を今組んでおります。地方に対する国からの財政的な支出の移転というのが厳しくなるということが予想されているわけでございます。そういう中で、景気を支え、雇用を守り、そして東日本の復旧、復興を御支援していくためには、まず福岡県が元気にならなければならないと、そういう意味で、国費が減る中、県単事業をふやす、そういった私なりに全力を尽くしたつもりでおります。  一方で、財政再建というのは重要な課題であるわけでございます。今回も県債の累積発行額はふえてしまっております。これを何とか経済をよくし、産業を強くして、担税力を強くして、後から財源として戻していただくと、これを期待しているわけでございますが、一方で、今やれることということで、必要な行政サービスを、必要なものはきちっと提供しながらも、いかにそれを効率的、効果的に提供するかと、そのことについて不断に見直しをしながら、財政の、いわゆるお金の支出の効率化を図りたいと考えております。  それから、行政改革については、行政改革大綱というものを決めるべく、今作業をしているところでございますので、秋口ぐらいから検討を本格化させていきたいと思っております。  それから、継続をしていく事業については、それはきちっと継続をしていくと。時代の変化、環境の変化に、また住民のニーズに合わなくなったものは見直しをして、修正をし、改善をしていくということは当然だろうと思っております。大事なものは守り育てていきたい、強化をしていきたいと、このように考えています。  それから、地域格差がある中での県民幸福度日本一の推進についてお尋ねがありました。県民幸福実感を高めていくためには、私は県民生活の安定、安全、安心、これを向上させることが大事だと思いますし、その際、地域がそれぞれの特性に合わせて、それを発揮しながら発展していくことが大事だと思っております。したがいまして、これを実現する具体的な施策につきましては、それぞれの地域の実態を十分踏まえて施策を企画立案し、展開をしていきたいと思います。そしてその際具体的な施策につきましては、その実効性を高めていくため、必要に応じ具体的な目標を定めて検証をしていきたい、そしてよりよい政策展開につなげていきたいと、このように考えております。  それから、トライアングル構想についてお尋ねがあったと思います。これは今、北九州市、福岡市、二大エンジンと、それから県南の第三のエンジンということで、県のバランスのとれた発展というものを目指してきているというふうに私は理解をしておりますけれども、福岡、北九州市、筑豊地域、このトライアングルについても、大事なことは、それぞれの地域が特性を生かして発展していくということは当然でございますが、その間それぞれの地域、ネットワークといいますか、相互に補完し合って、より全体が発展していくということが、県全体の発展のために非常に重要なことだと、私は考えております。そういう意味では、広域的な、ブロックごとの地域振興、地域発展の取り組みをしていくと同時に、それぞれの地域間の連携、連担というものに意を用いて、施策を展開したいと考えております。  教育力向上についてのお尋ねでございました。私は、教育力向上福岡県民運動につきましては、このように考えております。先ほども言いました、福岡県は多くの魅力を持っておりますけれども、その魅力の一つ、大きな要素は人材の豊かさであります。そして、その県民性でございます。その人材をどのように育てていくか、言いかえますと、この県におきます人づくり、教育の充実強化というものが、この県の発展にとって大変重要な課題でございます。福岡県を担う子供たちは、私はよく言っておりますが、次代の福岡県、そしてこの日本の国を担う大切な宝でございます。そういった子供たちには、私は、人のこと、相手のことを尊重し、多様性を認め、一方でいろんなことにチャレンジをする人になっていただきたい、なってもらいたいと、このように考えております。そのようにするためには、学校、家庭、地域、これが一体となりまして、この将来の福岡県、日本を担う子供たちを育てていくことが不可欠でございます。こうした私の教育に対する思いと、今行われております県民運動というのは、同じ方向を向いていると、私自身はそのように認識しております。私としましては、この県民運動を充実発展させ、県民の総意として幅広く展開していくことができますよう全力で取り組んでいきたいと考えております。  その際、この運動の趣旨というものを、県民の皆さんに早く、正しく、広く理解をしていただくことによりまして、地域あるいは家庭が、学校というものを支えていく、支援する、そして三者が一体となってあすの日本を担う、福岡県を担う子供たちを育てていくということが大事であると考えております。  そして、そのときに個性、自由、平等ということについての共通認識についてでございますが、どこまで共通認識をぎりぎり、みんなに共有させるかというのは別としまして、大きな方向としての個性、自由、平等というものをできるだけ共通認識を持つようにして、先ほど来申し上げたような取り組みを進めていくというのが基本的な考え方でございます。  それから、子供の教育についての考え方でございますけれども、子供は生まれたときには白いキャンバスだと言われてまして、どのように、いろんな絵がかかれるかということなんですが、それは子供自身がかく、それから周りの環境がその絵をつくっていくことになる。そういう意味では、先ほど申し上げましたように、これから大事なのは、私は多様性が多い社会であると思います。そのもとで選択肢が多い、みずから選んでみずからの道を決めていくというのが基本になろうかと思います。そういう力をお子さんたちには身につけていただきたいなと思っております。そのためには、人との違いをお互いに認め合うということが多様性を認めることにつながっていきますので、やはり相手のこと、人のことというものを尊重する、大事にすると、そういうところが一番大事だと思います。そのためにも、学校を中心に、また地域、学校、家庭、三者が連携、協力をしながら、そういった思いを持つ、そういった資質を持ったお子さんを一人でも多くこの福岡県から育てる、育成していきたい、育てたいと。その際、県としても、今申し上げました基本的な考え方のもとで環境整備に全力を挙げていきたいと、このように考えております。 13 ◯議長(原口 剣生君) 山野総務部長。 *総務部長答弁 14 ◯総務部長(山野 謙君)登壇 行政評価への外部評価の導入の進捗についてのお尋ねでございます。塩川議員から、この点についてこれまでも御質問いただいておりますが、行政改革審議会を活用した外部評価を実施する方向で検討を進めております。具体的には、昨年来審議会を開催しまして、具体的な事象について御審議をいただきましたが、その中で、現在の行政評価書をよりわかりやすくするものを考えるべきといった御意見等をいただきました。現在こうした御意見を踏まえまして、具体的に評価書の内容をどのようにするのか、あるいは年間のスケジュールをどのようにするのか、こうした点を詰めておりまして、今年度からの外部評価の実施に向けて準備を進めておるところでございます。 15 ◯議長(原口 剣生君) 塩川秀敏君。 16 ◯四十二番(塩川 秀敏君)登壇 まず、基本姿勢につきまして、私は、リーフレットには公正、明朗な県政と書いておったから、そういうのが出てくるのかなと思いましたら、現場主義ということでございましたので。  それから、マニフェストにつきましては、いろいろ御意見伺いましたけれども、麻生知事も平成十五年からでございますので、結局七年、十一年のときはそういう社会的な雰囲気はなかったし、なかなか、このマニフェストというのは状況が難しいかと思いますけれども、お考えいただいたがいいと思います。  それから、特に財政状況でございますけれども、もう御存じと思いますけれども、三基金は二百億ちょっと超しているぐらいしかないです。そうしたら、ことし百六億いってますので、もう結局二年分ぐらいしか三基金からは出せない状況がございますし、それから県債残高も三兆円を超えるという状況でございますし、これももう前の計画から大きく変わりました。それから、行政施策費というのを、御存じのように削っていって、ことしは六十四億ぐらい削って、三十億復活したということになるわけですけれども、これも恐らく三百六十ぐらいか四百億近くしかないので、もう十二年ぐらいすると削って削っても削れない状況になる。財政的に、それに比べて社会保障費がぐっと伸びてますので、生保とかいろんなことが伸びておりますので、抜本的に福岡県の財政をどうするのかということは、今回の行政改革大綱のときにしっかりと練って、今さっき申しましたけれども、五年計画をつくるんだということは、より実効性の高いものをつくるということであろうかと思います。けれども、遠く十年先ぐらいを見越してということもおっしゃっておりましたし、やはり県民にしっかりした希望を持って、十年先ぐらいにはこういう県政をしたいなと、そのためにはあと五年ぐらいの間にこういうことをやりたいという財政面も含めたしっかりした政策を立てていただきたい。  その中でぜひお願いしたいのは、御存じのように、もうどんどんどんどん行政施策がふえていくばかりでございます。私は、もう一回、知事がかわられましたので、地方自治の原点に返って、ここはもちろん基礎自治体じゃございませんけれども、県としてどういう事業を県民にサービスするのが県の役割なのかという原点からもう一度考えていただきたい。  いろんなニューディールも十七か十八項目、麻生知事はされました。そういうことを考えてくると、特に水素エネルギーの研究開発とかいうのは、もう一般の企業はどんどんどんどんやっておりますし、また十七年の十二月七日に爆発をしたという、そういうものについてのはっきりした原因究明も行われておりません。知事のおっしゃる安定、安心、安全ということからすれば不安が残っている状況でございますし、そういうことも含めて十分な議論をし、私は、この水素エネルギーの研究開発については、我が会派の代表質問もありましたように、反対をしっかりと述べたいと思いますが、全体的に、そういう事業等には県として何が必要なのかということを今度しっかり精査をして取り組んでいただきたいということを要望するところでございます。  それから、地域間格差のところで、トライアングル構想についてのお答えをいただきましたけれども、このトライアングル構想で大事なことは、北九州市と福岡市と県知事さんがいかに連携をして、密にやっていくと。今までは年に三回ぐらいしか会議はあってないようでございますが、やはり情報交換を、今度北九州の北橋市長も積極的に参加の模様でございますので、それこそまさにタッグをしっかり組んで、そして、しっかりしたものをしていただかないと、その両方のエネルギーを筑豊に持ってこようというのがトライアングル構想でございますので、筑豊の発展はそこのことができませんので、連携を今後密にやっていただきたい、この辺のところの決意のほどを伺いたいと思います。  それから、最後に教育問題についてでございますけれども、知事のお考えをお聞きしましたけれども、前知事は十六年、十二年されたときにずっと本当に、やっぱり教育というのが大事なんだということを通産官僚としてお感じになって、十九年のときに教育力向上福岡県民会議をマニフェストに入れてされた。まさに、教育は教育委員会がやるんですけれども、知事部局が教育問題、学校問題に切り込んでいったという、非常に積極的な政策でございますので、これを単なる受け売りではなくて、いわゆる小川洋知事としてどういうふうにこれを進めていくのかということを、しっかり委員会と協議をなさって、腹を据えてもらいたい。今回私は、特に安心したのは、悉皆調査で九千万円ちょっとの予算をつけていただいております。これが消えますと、学力向上も消えていきますし、それから、これとスポーツと、それと教育力向上、教育力向上の質のほうの充実がちょっと心配をしておりますけれども、この辺のところはすべての基礎になることでございますし、知事も先ほど人材育成こそ県の発展の基礎ということまで言っていただきましたので、この辺のところを十分に検討していただきたい。その辺のところのお気持ちを、再度お聞かせ願いたいと思います。  それから、結びになりますけれども、麻生知事は、私が思うに、全体的に、例えば教育問題で言えば次世代のリーダー塾とか、サイエンスマンスとか、海外派遣とか、アンビシャスもそうなんでございますけれども、この出てくる子供たち、積極的にやる子供たちをどんどんどんどん成長させていただきました。実は、この積極的な子供たちの下に、──下とか言ったらおかしいですけれども、まだ見えない子供たちがたくさんいます。これが私は、やっぱりこれから小川知事のやっていただくところは、今まで麻生知事が光をどんどん当てられたところじゃなくて、そう光の当たってないところがあるんだということを十分御認識をいただきまして、いろんな産業においてもそうです。何か先端産業だけでどんどんしていった。そうじゃない中小企業とか、これもいろんなことを見ながら、今度は県民幸福度日本一の福岡県をつくっていくためには、先端とか、日の当たる子供たちだけではなくて、やっぱり今まで当たらなかった人たちにどう光を当てていくかということを真剣に考えていただくような知事になってほしいと、二点の御意見を伺うことと要望をいたしまして、私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。 17 ◯議長(原口 剣生君) 小川知事。 18 ◯知事(小川 洋君)登壇 トライアングル構想については、御指摘のとおりでございまして、北九州市長、それから福岡市長、それから私と、いま一層連携を強化したいと思います。就任直後あらゆる面で協力、連携を図っていこうということで、両政令市長には申し入れ、お願い、お話しに行ったところでございます。その具体的な中身の一つとして、このトライアングル構想について、両地域のエネルギーをうまく、この筑豊地域に取り込めるように努力をしていきたいと思っております。  それから、教育行政を進めていく上での決意でございます。先ほど来私の考え方を述べましたが、全力を尽くしていきたいと思いますが、その際、教育委員会の自主性、主体性というのがあるわけでございますが、尊重しつつも、県民の代表ということで県知事はおりますので、意見を必要に応じて述べていって、意思疎通を図りながら、子供たちの育成に全力を挙げていきたいと、このように考えております。 19 ◯議長(原口 剣生君) 大橋克己君。(拍手) *大橋議員質問 20 ◯二十番(大橋 克己君)登壇 民主党・県政クラブ所属の大橋克己でございます。今回の選挙で大牟田市選挙区から立候補し、初当選をさせていただきました。福岡県民の皆様の目線に立って、県政発展のために元気いっぱい頑張ってまいりたいと思います。先輩議員の皆さん方の御指導と、小川知事を初め執行部の皆さん方の御協力を、まず冒頭お願い申し上げたいと思います。  それでは、発言通告に従いまして質問をさせていただきます。  初めに、東日本大震災を契機とした今後のエネルギー政策についてお伺いいたします。三月十一日午後二時四十六分ごろ、予想だにしていなかった大きな地震と大津波が東日本地域に発生しました。家や愛する人、そして大切な宝物を失い途方に暮れる人、また東京電力福島第一原子力発電所事故による放射能におびえる日々を余儀なくされている多くの方々がいらっしゃいます。被災された方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い被災地の復興を心より御祈念申し上げたいと思います。  東日本大震災を契機に、日本人の価値観が変わってきたように思います。自然や原子力を含め、何でも人間がコントロールできると傲慢になっていた現代人。しかし、大震災の前では人間の無力さだけが露呈をしました。ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン、一人一人は微力だが無力ではない。そのような中、震災復興に向けた助け合いの機運が日に日に高まっています。私たちは忘れていた大事なものを取り戻しつつあります。特に、政治に携わる者として、弱肉強食社会を助長してきた市場原理主義を大いに反省し、福祉型社会をつくり上げていかなければならないと強く決意しています。  さて、今回の東京電力福島第一原子力発電所の事故は、原発の安全性を揺るがしただけではなく、我が国のエネルギー政策について大きな見直しを我々に突きつけています。原発事故の影響による電力供給不足を機に、多くの企業が自家発電の新増設に向かっていると聞きます。また一方では、国内の電力市場の自由化に伴って、五十社近い特定規模電気事業者が独自の発電設備を所有し、営業していると言われ、県庁舎で使用する電気も特定規模電気事業者から購入していると聞きます。これまでの日本の電力システムは原発を含め大規模集中型で、発電ロスや送電ロスによって、消費段階に至るまでにおよそ三割から四割が熱として捨てられていると聞きますが、今回の電力供給不足問題はこうしたことも加味し、これまでの大規模集中型の電力システムから分散型の電力システムに移行していくものと思われます。  我が会派は、先日玄海原発視察を行うとともに、北九州市で進められているスマートコミュニティ事業を視察しました。ここではコージェネレーション発電や水素燃料の活用、太陽光発電の積極的導入などによってエネルギーの地産地消を目指すとともに、それを交通や建築など幅広い分野につなげ、環境共生のまちづくりを進める実証が始まっていました。このような動きを考えると、エネルギー政策や電力安定供給は国や電力会社だけの役割であるとは言えず、自治体レベルでも再生可能エネルギーの導入や、発電時の熱を給湯や冷暖房に生かすコージェネレーションなど、効率的な分散型システムの構築に取り組んでいくことが必要だと考えます。特に、筑豊炭鉱や三池炭鉱など国のエネルギー政策に翻弄された歴史を持つ福岡県だけに、今後のエネルギー政策に積極的な姿勢を表明すべきです。  そこで県の政策という視点から、今後のエネルギーや電力供給のあり方について知事にお伺いします。一点目は、今後のエネルギーと新エネルギーについてです。千葉大学と環境エネルギー政策研究所の共同研究により、再生可能エネルギーによる発電だけで区域の民生用電力需要をすべて賄うことができる地域が、日本には七十六市町村あることが明らかになりました。また都道府県では、大分、秋田、富山、岩手の四県が、区域の民生用電力需要の二〇%以上を再生可能エネルギーで賄っているとのことでございます。一方、東京都などの人口密度の高い地域では電力自給率が極端に低くなっており、我が県を含む九都府県では一%以下であることも明らかになっています。先日の議案説明要旨において知事は、震災の影響で電力供給への不安が高まっている、電力は国民生活と産業活動にとって極めて重要な基盤と述べられました。九州電力は、定期検査で停止している玄海原発二、三号機と川内原発一号機のかわりとなる火力発電用の燃料調達が進んだ結果、必要な節電規模や期間が縮小できる見通しとなったため、電力需要が増加する夏場を前に、最大一五%としていた節電要請を当面は数値目標を設けない省エネの協力要請とする方針を明らかにしました。しかしながら、今回の九電の表明で、電力の安定供給への不安が解消されたわけではありません。エネルギー問題は、今後ベストミックスと呼ばれるエネルギー調達の多様化の方向に向かうと予想されますが、知事は県民生活と産業活動に直結する今後の新エネルギーのあり方についてどのようにお考えなのかお伺いします。  二点目に、本県は水素家庭用燃料電池、燃料電池自動車開発による低炭素社会の構築を目指して、水素エネルギー分野における我が国最大の産学官組織、福岡水素エネルギー戦略会議を設立し、世界に先駆けて水素エネルギー社会の実現に向け取り組みを進めています。しかしながら、この取り組みはもともと国家的プロジェクトとして取り組む規模であることに加え、現時点で既に水素家庭用燃料電池、燃料電池自動車の開発については民間企業を中心に開発が進み、一定の時点でその評価や課題についてしっかりした検証を行い、今後前へ進めるのか、一たん立ちどまるのか、行政としての一定の役割は終了したということでやめるのか、これをしっかりと判断すべきだと思いますが、知事の考えをお聞きいたします。  三点目は、水素電気自動車の県公用車リースについてです。水素電気自動車の普及促進支援のため、水素電気自動車二台が県公用車としてリースされています。ランニングコストは、メーカー側の負担で発生しないとのことです。だとすれば、一台につき毎月八十四万円、二台分のリース料が必要ないのではないかとも考えられます。現在実証実験の段階にある水素電気自動車を、リース料を負担してまで公用車にする必然性があると知事は考えておられるのかお聞きしたいと思います。  四点目は、ソフトバンクの孫正義社長は、太陽光など自然エネルギーの普及を進めるため、自然エネルギー協議会を設立し、六月二十四日現在、三十五の道府県が参加を表明しています。これはソフトバンクが連結売上高約三兆円の数%を拠出し、発電した電力はすべて電力会社に売る構想で、自治体側は用地の情報提供や固定資産税の減免などの役割を担うようです。九州では福岡県と鹿児島県だけが参加を表明していません。知事は、自然エネルギー協議会の設立に対してどのような所見をお持ちなのか、また協議会からの参加打診はあったのか、協議会へ参加するのか、しないのか、お考えをお聞かせください。  五点目は、住宅用太陽光発電助成制度についてです。アメリカのオバマ大統領がグリーンニューディール政策に掲げた太陽光発電関連産業は、環境に優しい新エネルギーとして各国が推進しています。太陽光発電所、電池メーカー、電池製造装置メーカー、電池素材メーカー、これらが集積する九州は、太陽電池の世界的生産地になる可能性を秘めているとの専門家の指摘もあります。そのような中、一般家庭にも自然エネルギー利用の機運が高まり、特に住宅用太陽光発電システムを導入する家庭がふえています。住宅用太陽光発電システム普及推進には、国による設備費補助や余剰電力買い取り制度に加え、各自治体が独自に助成する制度が大きく寄与しています。県独自の助成制度に加え、市町村でも助成制度が広がる佐賀県、熊本県、宮崎県では軒並み高い普及率となっています。一般家庭に自然エネルギーを拡大するためにも、福岡県独自の住宅用太陽光発電システムに対する助成制度を導入するお考えはないのかお伺いします。  六点目は、県庁舎や県所有地の建物への太陽光発電の設置です。徳島県は六月、県庁に太陽電池と蓄電用のリチウムイオン電池システムを設置したと発表しました。今回導入された太陽電池は、県庁内駐輪場の屋根に設置され、発電した電気は本庁舎のLED照明の電源として使用されるそうです。また一部の電気は、蓄電用リチウムイオン電池システムに蓄えられ、庁舎敷地内のLED街路灯や駐輪場内のLED照明に活用されるとのことです。また、リチウムイオン電池システムにはACコンセントが搭載されており、携帯電話の充電など災害時の非常用電源としても活用を想定しています。我が県の本庁舎など県所有の建物に太陽光発電システムを設置することで、自然エネルギーに対する県民の意識啓発が図られ、電気料金の節約という実益も期待できます。そこで平成十二年六月以降電源を落としている太陽熱貯湯塔が野ざらし状態になっている警察棟屋上や、有効活用されていない行政棟屋上への太陽光発電システムの導入についての見解をお聞かせください。  次に、小中学校の猛暑対策について教育長にお聞きします。七月のカレンダーをめくり、夏の到来を感じると同時に、昨年夏の猛暑の記憶がよみがえります。二〇一〇年をあらわす漢字は暑という字であることを、日本漢字能力検定協会が発表したことは記憶に新しいところだと思います。気象庁は、昨年夏の平均気温が、統計をとり始めた一八九八年以降で最も高かったと発表しました。最高気温が三十五度以上となる猛暑日や最低気温が二十五度以上の熱帯夜の日数も、各地で観測史上最多を更新しました。新学期が始まる九月になってもその暑さは衰えず、各地で猛暑日数が統計史上最多記録を更新しました。昨年夏の猛暑やスーパー残暑が一過性のものであってほしいものですが、世界的な異常気象の傾向を見ると、余り楽観できません。特に、猛暑の中、暑さを和らげる設備もない県内の小中学校で、生徒の健康維持や授業、学校行事への影響が懸念されます。  そこでお伺いします。一点目は、島根県出雲市では、昨年の猛暑を、いわば自然災害と位置づけ、市内全校に対し扇風機の購入や冷水器、冷蔵庫のリースなどの猛暑対策のため、学校管理経費を追加配分しました。全国の公立小中学校の普通教室における冷房設置率は、平成十九年の文部科学省全国データで一〇・二%と低い現状です。しかし、昨今の暑さは「心頭滅却すれば火もまた涼し」のような精神論で片づけるレベルではありません。学校現場での猛暑、残暑対策として、エアコンなどの設置を推進すべきと考えますが、見解をお聞かせください。  二点目は、県内には財政状況が極めて厳しい市町村が多く、学校関連予算に十分な配分ができていない現状が見受けられます。そのような中、福岡県市町村教育委員会連絡協議会において、県を通じ、国に対する空調設備補助率の引き上げが要望されていると聞いておりますが、この件について現在どのような現状で、また今後の見通しはどのようになっているのかお聞かせください。  三点目は、秋の風物詩として親しまれている運動会や体育行事であります。スーパー残暑下でのそれらの練習や開催は、熱中症など子供たちの健康への影響が危惧されます。事実、先週も東京都台東区内の中学、高校の運動会開催中に熱中症を訴える生徒が相次いだため運動会が中止となっています。運動会や体育行事を含めた学校現場での熱中症対策についてお伺いをしたいと思います。  四点目は、新学期がスタートする九月以降は、当然給食が始まります。厳しい残暑の中、給食食材の傷みに起因する食中毒が心配されますが、小中学校給食における食中毒対策をお聞かせください。  以上、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
    21 ◯議長(原口 剣生君) 小川知事。 *知事答弁 22 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  今後のエネルギーのあり方についてでございます。国では、これまでの原子力エネルギー、それから化石エネルギーに加えまして再生可能エネルギーと省エネルギーの四本柱で、エネルギー政策を見直す方向で検討が始まっているところでございます。私は今回の震災にかかわる事故によりまして、国民生活や経済活動の基盤でありますエネルギーを安定的に確保していくためには、今まで以上にエネルギーの多様化と分散化、そしてエネルギーの使用効率化、省エネルギーを促進することが必要であると考えております。今後のエネルギーの多様化、分散化を進めていく上で、地域の果たす役割は高くなっていくものと考えております。新エネルギーにつきましては、これまで以上に開発、導入を進めていかなければならないと考えております。  自然エネルギー協議会への参加についてお尋ねがありましたのでお答えします。この参加要請につきましては、孫さんから私のほうへ御連絡がありました。発表の前の日か何かだったと私記憶しておりますが、ありました。発表後、ソフトバンクの方にいろいろ話をしていただくようお願いしまして、話を聞いたわけでございますが、発電した電気を一キロワットアワー当たり四十円で、二十年間電力会社が全量買い取る制度が創設されるということが事業の前提となっているということ、それからその電気の買い取りコストはそのまま電気料金に上乗せされて電気を使う人が負担をすると、そういう仕組みだというふうに伺っております。さらに、地元のほうには発電所の用地を原則無償で提供するということ、あるいは固定資産税の減免措置を行うことなどがいろいろ要請されているところでございます。自然エネルギーの導入は確かに重要でございますけれども、しかしながら、一方で今申し上げましたような四十円、二十年間、そして電気代にそのまま転嫁されて電気を使っている人が電気料金で払っていくと、土地の無償提供、あるいは税金の減免と、そういった課題も考えますと、この協議会の参加につきましては、今一生懸命考えているところで、もう少し私は考えていきたいと、今考えている最中でございます。  それから、住宅用太陽光発電システムに対する助成でございます。現在国におきましては、自然エネルギー導入の大幅拡大を目指しまして、一つには住宅用太陽光発電システムの設置に対します補助制度、それから現在議論になっております余剰電力買い取り制度の取り組みというものを進めているところでございます。県といたしましては、自然エネルギーの普及啓発を図るとともに、こうした国による取り組みが効果的に活用されますように、県民への情報提供を積極的に行って、また県民の皆様からの御相談に応じてきているところでございます。  ちなみに、本県の住宅用太陽光発電システムのこれまでの導入実績について調べてみましたが、九四年から二〇一〇年、去年の十二月までの統計でございますが、件数で全国の第三位でございます。設備容量では、我が福岡県は全国第二位となっている、そういう状況でございます。これは、先ほど申し上げました国によるいろんな補助制度等の効果もありまして、太陽光発電システムのコスト、値段が下がってきているということが一つであります。それから自然エネルギーによる電気の全量買い取り制度の導入も検討されておりますところから、太陽光発電システムの普及は、今後さらに進むと期待されます。県としましては、今後多くの地域で自然エネルギーの導入の機運が高くなっていくと思われますので、適地での導入が円滑に進みますように、日照量の多寡でありますとか、風量の大小、バイオマスや小水力の賦存状況など、いろんな角度から情報を収集し、研究をいたしまして、太陽光に関する発電に関する情報、国の支援制度等につきましても県民や事業者の皆様に発信をしていきたいと、こう考えているところでございます。  それから、行政棟、警察棟、いわゆる我々の建物に対する太陽光発電の設置についてお尋ねがございました。本県では、これまで九州国立博物館、海峡ドラマシップ、それから県立高校など九施設に太陽光発電設備を設置してきております。これからも福岡県共同公文書館、福岡女子大学、それから筑後広域公園芸術文化交流施設本館に設置を予定しているところでございます。御指摘の行政棟の屋上につきましては、傾きのある屋根と、それから平たんな陸屋根で構成されている屋根でございまして、傾きのある部分は構造上荷重制限が極めて大きくて、また陸屋根の部分は窓清掃用のゴンドラの軌道施設が今あると。それから火災発生時の避難場所として想定されているといったところから、設備設置のスペースがないという状況でございます。構造上、設置が困難な状況でございます。また、警察棟につきましては、御指摘ありました既設の太陽熱温水器があるわけでございますが、この撤去費が二千万円程度かかるという見積もりになっておりまして、それに労務費や架設費、そういったものが追加される。また、新設時の設置に比べて相当程度費用が高くなるというふうに積算されておりまして、費用対効果という観点から、なかなか難しい問題があるというふうに考えてございます。  エネルギーの多様化と分散化、それからエネルギーの使用の効率化と省エネルギーを促進する観点から、自然エネルギーにつきましては、これまで以上に導入を進めていくことが重要でございます。そういう認識を私も持っておりまして、今後も県有施設の新設、それから大規模改築の際には太陽光発電設備の設置というものを検討していきたいと、このように考えております。  それから、水素エネルギーについてお尋ねがございました。家庭用燃料電池の実証試験の意義でございますけれども、平成二十一年五月に家庭用燃料電池というのは市販化されておりますけれども、現在低コスト化、高効率化に向けて製品開発が進められておるわけでございます。福岡水素タウンにおきまして、同じ場所、同一地域で大量の実証データを集めることによりまして、どういうことかというと、大量にある地域に置かれますと、その地域でいろんな方がそれを使用されるわけですが、生活パターンとか使用の形態によってどういう特性、効果が、違いが出てくるかという分析ができるわけです。まとまってやるがゆえのデータの厚み、それが出てくるわけでございます。そういうことで、今後魅力ある製品開発が加速されれば、本格的な家庭用燃料電池の普及が始まりますし、関連産業の発展も見込めるわけでございます。それから家庭用燃料電池に用いられますポンプや弁、そういった周辺の機器は中小企業の得意とする分野でもございますので、中小企業の参入が、また期待されるところでもあるわけです。こうしたことから、福岡水素エネルギー戦略会議によりまして、人材育成、あるいは産官学の共同研究、それから試験センターによります製品開発支援を通じまして、地元の中小企業の参入促進に力を入れているところでございます。こういう形で家庭用燃料電池の市場を拡大し、地元企業の参入も促進することによって、燃料電池関係企業の育成、集積を図っていきたいと考えております。  次に、自動車でございます。自動車は、自動車メーカーが発表いたしました二〇一五年の市場化を目指して、低コスト化に向けた開発が今進められているところでございます。県では、水素ステーションを整備いたしまして、実証走行を繰り返しているところでございます。その実証試験のデータというものを各メーカーが、より魅力のある製品開発にはね返すことによって燃料電池車の市場創出というものを目指しているところでございます。  あわせまして、先ほどの繰り返しになりますが、戦略会議によります人材育成とか共同研究、それから試験センターによる製品開発支援を通じまして、このすそ野の広い自動車産業の中小企業の参入、あるいは雇用の拡大というものが期待され、それに力を入れていきたいと思っております。御承知のとおり、福岡県は日本有数の自動車産業の拠点でございます。次世代の自動車でございます燃料電池自動車の開発を手がけることで、さらなる自動車産業の当県における発展というのを目指していきたいと考えております。  その上で、水素エネルギーについての取り組みについてのお尋ねでございます。今、水素エネルギーは環境あるいはエネルギーの両方の問題を解決するという意味では、世界的には非常に注目されている、いわば各国競争が非常に厳しくなっている、盛んになっている分野でございます。これまでの取り組みによりまして、この福岡県の取り組みはそういった世界での水素エネルギーの開発、導入の取り組みの中で一番進んでいるという評価も受けておりました。この手を緩めちゃいかぬと、このように考えているわけでございます。そのためにも、実証試験をきちっとやり遂げて、その集められた貴重なデータを、日本のメーカーがその製品開発、より市場で各国の製品と負けないで戦っていくためにも、そういったデータを活用していくこと、そのための実証試験を完成させることが大事でございます。そういうことを通じますと、県内の中小企業を含めた関連産業の振興、あるいはそういった企業におきます雇用の機会の創出につながっていくと、そして今回いろんな形で利用形態について実証試験をやっておりますけれども、その実証試験の結果が、いろんな水素エネルギーの利用形態についての国際的な標準、これが日本初でとれれば、──とるべく頑張っていくわけですが、国際標準に日本のこういった標準がなれば、日本産業のこういった分野の輸出というものにもつながっていくわけでございます。そういったことから、水素エネルギーについては、現状を確認しながら、また将来を見据えながら、今進めているところでございます。 23 ◯議長(原口 剣生君) 杉光教育長。 *教育長答弁 24 ◯教育長(杉光 誠君)登壇 まず、小中学校におきますエアコン等の設置についてでございます。小中学校における猛暑対策につきましては、設置者でございます市町村において個別の学校のさまざまな状況を勘案して、エアコンや扇風機の設置等の検討がなされるものと考えております。  次に、空調設備整備の際の国庫補助率の引き上げについてでございますが、県教育委員会といたしましては、これまでも市町村教育委員会連絡協議会からの要望を受けまして、全国都道府県教育委員長・教育長協議会を通しまして、補助率のかさ上げなど市町村に対する補助制度の充実、拡充について要望をしているところでございます。今後とも、さまざまな機会をとらえまして要望してまいりたいと考えております。  次に、運動会等の学校現場での熱中症対策についてでございます。学校におきましては、運動会等の体育的行事における熱中症事故を防止するために、児童生徒に対しまして熱中症の発生メカニズムや小まめな水分補給を行うなどの対処方法などについて、事前の指導を行っているところでございます。また、気象状況の把握や休憩時間の設定、さらには緊急時の体制整備など適切な措置を講じております。  最後に、小中学校給食における食中毒対策についてでございます。児童生徒に安全で安心な学校給食を提供するために、調理員や栄養教諭などが学校給食衛生管理基準に基づきまして、食材料の品質や鮮度等の確認、調理過程における適切な温度管理、調理器具等の洗浄、消毒の徹底などを行い、食中毒対策に万全を期しているところでございます。 25 ◯議長(原口 剣生君) 大橋克己君。 26 ◯二十番(大橋 克己君)登壇 それでは、幾つか答弁漏れもございますので指摘と、持論も述べさせていただきたいと思います。  エネルギー政策についてですが、知事は先ほどから多様化、分散化、そして省エネ等が進んで、今後新エネルギーの、いわゆる開発、それから導入が推進されなければならないということで、新エネルギー政策については積極的な姿勢をとられたにもかかわらず、その後、私のほうから質問させていただきました太陽光発電等については、具体的なところに踏み込みが全くなかったということで、非常にちょっと肩透かしを食らったような気がいたします。  そういった中で、まず一点目の、水素家庭用燃料電池並びに燃料電池自動車の開発について、今回の議会の中でも取り上げられておりましたが、果たして、これが今民間としても進められているわけでございますので、公の福岡県として、いつまでこの枠組みの中で主体性を持ってやっていくべきなのかということの検証が、やはりしっかりと進められなければならないというふうに考えております。そういった面で何かお考えがございましたらお話を聞きたいのと、それからその具体的なところで、水素電気自動車の県公用リースについては、多分答弁漏れだと思いますので、ぜひここについてはしっかりと御答弁をいただきたいというふうに思います。必然性があるのかということで、質問したはずでございます。  それから、自然エネルギー協議会については、さまざまな今知事が考えていらっしゃる障害があると。だから踏み込めないところがあるということでございます。しかしながら、先ほど指摘させていただいたように、三十五の道府県で参加をされているわけなので、じゃあ、そこの道府県は、その弊害を乗り越えて参加を表明されているのか、そういったしっかりとした考えもなくされているのか、そこら辺というのは、やはり三十五という重みというのは非常に大きいと思いますので、ここはしっかりと参加についても、協議といいますか検討をしていただきたいというふうに要望します。  それから、住宅用の太陽光発電事業については、国の制度の広報についてはしっかりと広報紙等を見て知っております。しかしながら、先ほど壇上で言いましたように、国の政策だけに頼って、そして実は福岡県内で非常に財政状況が厳しい市町村の中でも独自に市町村として支えている、この助成事業を創設している市町村もあるわけなんです。そういった中で、国、県、市町村が三位一体となってこの事業を進めることで、県民の皆さんに対して身近な新エネルギー対策についての啓発もできるだろうし、やはり厳しい中でも設置している市町村に対するバックアップということも言えると思いますので、ぜひともここについては県の助成事業を導入する用意があるかどうか、イエス・オア・ノーで結構でございますので、お話を聞かせていただきたいと思います。  それから、本庁舎の太陽光発電システムの導入についてでございますが、今物理的に、それから金銭的に非常に難しいと、費用対効果の面で難しいというふうな御答弁をいただきました。それであるならば、やはりこの福岡県のシンボルである庁舎内に、いずれかの形で目に見えるような形で太陽光発電を、この庁舎内でシンボル的なものといったものを検討する余地がないのか、お伺いをしたいというふうに思います。  それから、暑さ対策についてでございますけれども、実は私には中学校二年生と高校三年生の子供がいます。中学校は大牟田市立の中学校、それで県立高校の子供もおります。中学校の子供が帰ってきて、高校の子供が家に帰ってきて、その疲労度合いが全然違うんです。県立高校はある程度冷暖房が完備されて、快適な中で学習生活を送っている。中学校においては、やはり各市町村の厳しい財政状況の中で、なかなか空調設備まで回っていないという状況があります。そういった中で、やはり同じ県内の子供であるわけですので、その格差を解消してあげるべく、しっかりとした対応が必要じゃないかなというふうに思っています。そういった面では、先ほど申し上げました空調設備の補助率の引き上げを、ぜひ国のほうに求めていただいて、より一層の、また格段の、県としての対応をお願いしたいというふうに思います。  また、運動会については、今非常に暑い時期でございますので、できましたら、今後は春の開催、もしくは十月以降の開催を、県の教育委員会としてぜひとも指導をしていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  最後に、学校給食についての問題でございますが、学校給食については、今御指摘いただいたように学校給食衛生管理基準に基づき万全を期しているということは重々存じ上げております。ぜひとも徹底をお願いしたいということと、実は中学校給食については、まだまだ弁当持参の、いわゆる完全給食が実施されてない市町村が多くあります。そういった中で、弁当保管時のリスクというのも非常に懸念されるわけでございます。そういった面では、完全給食が実施されてない市町村における弁当の保管時の徹底というものも図っていただきたいし、やはり昨日ですか、同じ会派の井上博隆議員が訴えましたように、一日も早い全県下における完全給食実現をお願いしたいと思います。  それでは、よろしくお願いします。 27 ◯議長(原口 剣生君) 小川知事。 28 ◯知事(小川 洋君)登壇 水素エネルギーについての検証と、いつまでかという話でございますが、私どもは、先ほどお答えいたしましたように、今までの取り組みというものの足元を固めながら、次どうやっていくかと、展開をしていくかと、そういう思いでこれまでやってきたわけでございます。現在実証試験が続いております。その実証の結果を踏まえて、よりいい製品、それが市場に出ていく、それがまた産業として発展をしていくと、そういうことにつなげるために今実証試験をやっている、まさに真っただ中でございます。したがいまして、実証試験が、今後どういう形で成果を得て、またその実証試験の結果がどうなったかということでもって、またそこで足元を固めて、それから先を考えていきたいと、このように考えておりまして、今やっていることをきちっとやっていきたいというふうに思っております。  それから、自動車について、県が実証試験を行う理由というお尋ねだったと思いますが、先ほどお答えしたつもりでございます。ちょっと敷衍させて説明させていただきますと、今実証試験をやっているところでございます。いろんな走り方、市街地、あるいは高速といったところを走って、実証のデータを幅広く集めているわけでございます。そういたしますことによりまして、いろんな走り方、いろんな利用の仕方という中で、その当該自動車のより一層の性能のいい制御、あるいは機能といったもののあり方、それに連なるデータが集められるわけでございます。したがいまして、そういったデータを数多く集めることによって、安全で魅力ある、市場に評価されるような自動車が日本から出ていくということが期待されるわけでございます。そういう意味で、実証試験を今やっているわけでございます。  それから、ソフトバンクの孫さんの構想についての参加でございますが、三十五府県が表明されていることも承知しております。その際、どういうお考えで参加されているか、私はつまびらかにはできませんけれども、私自身としては、これは問題があって入らないとかということじゃなくて、今先ほど申し上げたような問題のはざまの中にあってどうするかというのを考えていると、そういう状況でございます。近々に結論を出したいと、出さなきゃいかぬというふうには思っております。  それから、太陽光発電システムの助成でございますけれども、先ほど言いましたように、当県は件数で全国三位、規模で全国二位というところまで来ております。そういうことで、これはいろんな制度を、我々が情報を提供したり、また相談に応じていることによって、すそ野が広がって入っていく、そのことによって当然ラーニングカーブが下がっていくわけですから、値段は下がっていくはずです。そうすると、ますます導入しやすくなるという環境が出てまいりますので、そういう、今マーケットの市場の中である種の動きが出てきているのではないかと思っております。そういう意味で、その動きも見ながら、先ほど御指摘のありました県としてどうするかというのは考えていかなきゃいかぬというふうに思いますけれども、今の段階での今後の見通し、そういうことからいきますと進んでいくものではないかというふうに考えているわけでございます。  それからシンボリックな、庁舎内での──先生は太陽光とおっしゃったわけですけれども──新しい新エネルギー、あるいはリニューアル自然エネルギーといったものについて、どういうものがあるかというやつは、ちょっと研究させていただきたいと思っております。(発言する者がある)  助成制度は、今のマーケットメカニズムのもとでいくと、コストは下がってきている、それから国の制度もある、そういう中で導入はふえていくものと期待をしておりますので、今の段階では、県として支援制度を直ちにつくるということではないと、その状況を見ながら考えていきたいと申し上げたところです。 29 ◯議長(原口 剣生君) 大橋克己君。 30 ◯二十番(大橋 克己君)登壇 先ほどの水素電気自動車の県公用リースについても、それから水素家庭用燃料電池、燃料電池自動車についても、私が問うているのは県、公としての役割というものがどこまで踏み込んでやるべきか、それから収束地点をどう考えていくかというところだと思います。確かにデータの蓄積でありますとか実証性というのは非常に重要なのかもしれませんが、どこまで公の関与というのが必要なのかということを、やっぱり一度立ちどまって検証すべきだということを述べているわけでございます。この問題については、予算特別委員会でも、ぜひ言及させていただきたいというふうに思います。  最後に、住宅用太陽光発電事業については、やらないというのは、いかにもちょっと県としては無責任じゃないかなと。国、市がやっているのに、県としても、やはり積極的な新エネルギー技術システムの導入について前向きな姿勢を貫いていただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。  ありがとうございました。(拍手) 31 ◯議長(原口 剣生君) この際、しばらく休憩をいたします。再開は午後二時三十分といたします。           午 後 一 時  三十分  休 憩           午 後 二 時 三十一分  再 開 32 ◯副議長(渡辺 英幸君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。新開昌彦君。(拍手) *新開議員質問 33 ◯六十三番(新開 昌彦君)登壇 公明党の新開昌彦でございます。  今回は、地域の要援護者支援と個人情報の取り扱い、これについて質問をさせていただきます。  東日本大震災は、未曾有の大地震、大津波という自然災害に加え、福島原子力発電所の事故、それに輪をかけて政府の対応のまずさが被災地の傷口を広げてしまいました。この震災は、千キロ以上離れた福岡の私たちにも大きな教訓を与えてくれました。まず、大切な人の安否の確認を迅速に行わなければならないこと、さらに地域で人と人が支え合うことができる仕組みをつくることを教えてくれたように思います。今、意識ある地域の皆さんは、支えを必要とする人を日常的にどうやって見守り、災害時に大切な命をどう守るのかを真剣に模索しています。  都市部で地域活動をしている皆さんが、一様に口にする問題点は、自分たちには要援護者、支えを必要とする人がどこに住んでいるのかわからないということであります。平成十七年、個人情報保護法が制定されるまでは、地域は役所との連携でだれがどこに住んでいるのかわかっていました。どのような状況なのかは、地域で家庭訪問をして確認ができていました。しかし、個人情報保護法が制定されて以来、役所は、守秘義務のある民生委員には対象者だけの情報を開示しておりますが、その他の団体には一切開示をしなくなりました。私は、今回の震災の被害の大きさを考えると、支えが必要な方々の見守りは、ふだんから地域にお願いするしかないと思います。しかし、そこには個人情報の取り扱いという課題が横たわっているのであります。  さて、今年度予算案の中に、福岡県介護基盤緊急整備基金に六億円を積み増しして、三つの部が同様の事業を立ち上げております。総務部は地域防災力強化費二億一千百万円余、福祉労働部はひとり暮らし高齢者見守り活動推進費七百九十万円余、保健医療介護部の高齢者等地域支え合い体制づくり事業費三億五千九百万円余の予算がついております。三つの事業に共通していることは、要援護者の見守りを地域などにお願いしていることであります。  しかし、地域が一番困っていることは、先ほども述べましたが、要援護者、支えが必要な方々がどこに住んでいるのかがわからないということであります。このことを解決しないと、三つの事業は達成できないと思います。まず、地域の皆さんがぶつかっている最大の課題である個人情報の取り扱いをどのようにすれば、地域の要援護者を守ることができるのか、総務部長、福祉労働部長、保健医療介護部長の見解を求めます。 34 ◯副議長(渡辺 英幸君) 山野総務部長。 *総務部長答弁 35 ◯総務部長(山野 謙君)登壇 災害時要援護者の避難支援の立場から、個人情報の取り扱いについてお答えをいたします。市町村では、災害時に要援護者の避難を支援するため、その全体計画でございます災害時の要援護者避難支援プランを作成するということにしております。同時に、このプランに沿って一人一人の避難ルートや避難先を記載しました個別支援計画を定めることといたしております。個別支援計画は、市町村が保有します個人情報を自主防災組織など支援団体に提供しまして、その協力を得ながら作成いたしておりますが、現在市町村におきましては、情報の目的外利用に必要な手続をとった上で、要援護者本人の同意が得られた個人情報のみを支援団体に提供するという、こういう運用がとられております。本人の同意を得ずに個人情報を支援団体に提供する場合には、これは国の災害時要援護者の避難支援ガイドラインというのがございまして、このガイドラインによりますと、第三者への提供を可能とする規定の整備や市町村に設置されております個人情報の保護審議会の了承手続を経ることが必要だというふうにされております。このため、市町村におきまして、不同意の要援護者の個人情報を支援団体に提供するような場合には、こうした条例上の手続を講じるとともに、所要の手続を経た上で支援団体の間で守秘義務の覚書を締結するなど、個人情報保護のための措置をとることが必要だというふうに考えております。 36 ◯副議長(渡辺 英幸君) 山下保健医療介護部長。 *保健医療介護部長答弁 37 ◯保健医療介護部長(山下 芳郎君)登壇 要援護者の個人情報の取り扱いについてでございますけれども、高齢者等が住みなれた地域で安心して暮らせるよう、市町村等による高齢者等への日常的な支え合い体制づくりに助成して、これを推進する事業を今年度実施することといたしております。市町村においてこの事業を活用し、災害時要援護者の個別支援計画を作成するに当たっては、個人情報を支援団体に提供して、その協力を得ながら作成することになるわけでございます。その際、個人情報につきましては、先ほど総務部長がお答えしたとおり適切に取り扱われる必要があるというふうに考えているところでございます。 38 ◯副議長(渡辺 英幸君) 服部福祉労働部長。 *福祉労働部長答弁 39 ◯福祉労働部長(服部 誠太郎君)登壇 ひとり暮らし高齢者見守り活動における個人情報の取り扱いについてでございますが、県では、個人情報保護法や福岡県個人情報保護条例を踏まえまして、平成二十年五月にひとり暮らし高齢者見守り活動のための個人情報取り扱いガイドラインを作成いたしまして、市町村にお示ししたところでございます。市町村では、このガイドラインを参考に、まず福祉担当部局と住民基本台帳担当部局が連携しまして、ひとり暮らし高齢者や高齢者だけでお住まいの世帯を抽出した情報を、法律等によって職務上の守秘義務が課されている民生委員や行政区長に提供しております。民生委員等は、この情報に基づき高齢者の皆さんの見守り対象者名簿への登載の意思を確認いたしております。市町村におきましては、同意を得た方々を対象として名簿を作成し、個人情報を適切に保護する旨の覚書を交わした見守り活動団体に名簿を提供いたしております。ひとり暮らし高齢者見守り活動は、高齢者の皆さんが地域において孤立せず、安心して生活できるよう、日常的な声かけ等を行うものでございます。見守りを希望しない高齢者の個人情報を、見守り活動団体に提供いたしますことは、高齢者の皆さんの不信あるいは不安を生む可能性がございまして、かえって地域における見守り活動の円滑な推進に支障を来すおそれがあるということから、市町村におきましては、今申しましたような手続をとっているところでございます。  災害時要援護者の個人情報の取り扱いにつきましては、総務部長が先ほど答弁したとおりでございまして、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯に関する情報につきましても、災害時、地域の皆さんが安否確認や救援活動を行うためには有効なものであると考えております。したがいまして、高齢者の方々が一人でも多く見守り対象者名簿への登載に同意をしていただく、このことが重要でございます。県といたしましては、市町村と協力いたしまして、見守り活動の意義、あるいは公益性、仕組みなどにつきまして、高齢者の方々に正しく理解をしていただくための広報啓発にしっかりと取り組んでまいります。 40 ◯副議長(渡辺 英幸君) 新開昌彦君。 41 ◯六十三番(新開 昌彦君)登壇 三人の部長の答弁をいただきました。法律にのっとって、一人でも多く同意を求めるということであります。  福岡県においては、先ほど保健医療介護部長がおっしゃったとおり、ひとり暮らし高齢者等の見守り活動を推進するに当たっての個人情報の取り扱いについてガイドラインというのがつくられています。抜粋ですけれども、紹介したいと思います。  個人情報保護法が全面施行に伴い、同法に対する誤解等に起因して、必要とされる個人情報の提供までもが行われなかったり、各種名簿の作成が中止になるなど、過剰反応と言われる状況も見受けられる。プライバシー意識の高まり等により、地方公共団体において、福祉、防災の担当部局や民生委員や自主防災組織等との要援護者情報の共有が進まない、民生委員等の活動が円滑に行えないといった問題も発生しています、と地方公共団体の個人情報の取り扱いに対しての過剰反応というのを指摘しております。これは国が指摘しております。  次に、市町村を中心に見守り体制を築くために基本的な考え方を福岡県が示しています。一、見守り対象者リストの作成に当たって、二、見守りの対象者リストの共有に当たって、三、個人情報を保護するための措置、以上三点にわたって具体的な作業手順を示しております。その手順は省きますが、個人情報保護条例では、個人情報は一定の要件を満たす場合には関係機関の共有を認めています。例えば、民生委員や自主防災組織、社会福祉協議会、自治会などのネットワークを生かして地域の皆さんと要援護者リストを共有するためには二通りあるようでございます。一つは、支援を受ける本人に個人情報を共有することに同意を得る同意方式、手挙げ方式があります。しかし、この方式では、すべての要援護者の同意を得ることは大変困難であります。県のガイドラインにはもう一つ、関係機関共有方式も例示されております。そこには、市町村は住民の見守り事業に対する理解や信頼を深めるためにも、個人情報を保護するための措置が重要。そのため個人情報を共有する範囲の決定、情報の管理及び更新、情報をネットワークで共有する際の守秘義務の確保について措置を行うことが必要としております。つまり、関係機関共有方式では、見守りを行う関係団体に民生委員と同様の守秘義務を課すことによって要援護者リストを共有することができるというものであります。現実には、関係機関の共有方式をとった上で、さらに対象者に同意を求めている市町村が大変多いのではないでしょうか。先ほど部長も述べられたとおりでございます。  私は、最初に取り上げた三つ事業を達成するためには、防災組織や民生委員、自治会、社会福祉協議会など関係機関の間ですべての要援護者リストを共有するしかないと思います。福岡市の災害時要援護者は一万六千四百二十一人であります。地域に情報提供を同意した割合は七六・六%です。二三・四%、約三千八百人の要援護者は取り残されてしまう確率のほうが高いと思われます。また、日常的にもひとり暮らしの高齢者の孤立にもつながるのではないでしょうか。災害が発生したときにはすべての情報を開示するといいますが、そのときは手おくれではないでしょうか。県内のほとんどの自治体は、福岡市のように矛盾を抱えながら要援護者の命をどう守るのか必死で取り組んでおります。現場で見守りを行おうとする関係機関の方々も、現実の活動の中で個人情報の取り扱いに矛盾を感じながら、何とかならないのかと苦慮しております。  知事に伺います。支えを必要とする方々の命を守るために、個人情報の取り扱いをどうすればいいとお考えでしょうか、お答えください。 42 ◯副議長(渡辺 英幸君) 小川知事。 43 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答え申し上げます。  災害時要援護者の避難支援におきます個人情報の取り扱いでございます。今般の東日本大震災におきまして、多くの要援護者が避難のおくれによりましてお亡くなりになられたと、そういう実態がある。それを踏まえますと、地域においてできる限り多くの人が協力しながら効果的に避難を行っていくことが重要でございます。このため、市町村におきまして自主防災組織などの避難支援団体が、可能な限り多くの要援護者の状況を正確に把握し、ふだんから地域における要援護者の避難支援体制を確立していくことが必要でございます。そのためには、先ほど先生もいろいろ御指摘がありましたが、まず第三者に行政が持っております情報を提供する場合に、不同意の要援護者がいらっしゃる場合には、先ほど総務部長が答弁いたしましたように個人情報保護のための措置、あらかじめ条例で定めておくか、あるいは条例に基づく個人情報保護審議会の意見を聞いてあらかじめ定めておくか、そういった両方の方法があろうかと思いますが、そうした措置が必要でございます。そして、こうした点に細心の注意を払いながら、全体で災害時に避難誘導できる体制を確保していくということができますよう、市町村に対してこれからも求めていきたいと思っております。今、リストないしはどこにだれがいらっしゃるかというところの分野でございます。  続きまして、同時に、災害時におきまして避難を円滑に行っていくためには、要援護者御本人にも避難に協力をしていただくことが必要でございます。そのために、いろんな情報を教えていただくということが必要でございます。ふだんから不同意者のお一人お一人に対して避難への協力、それはみずからのためであるということも含めて、協力が得られますように地道に働きかけを行い、同意者をふやしていくと、地域社会全体でお互いに支え合い、助け合う、そういうこと、またそういった地域社会をみんなでつくっていくことについて機運を高めていくことが大事だと思います。地道な努力になろうかと思いますが、それが一番早道ではないかと思います。  要援護者避難支援プランの具体化に当たりましては、こうした点につきましても市町村に協力を求めて、地域における要援護者避難体制が着実に確立していきますよう、これからも全力を挙げたいと思っております。 44 ◯副議長(渡辺 英幸君) 新開昌彦君。 45 ◯六十三番(新開 昌彦君)登壇 知事の答弁を聞いておりますと、現場の皆さんの声がまだ届いてないのかなという気がいたします。もっと現場の声をしっかりと聞いていただいて、踏み込んでいただければなというふうに思うわけでございますが、どうしても不同意の方の同意を得るという、都市部においては大変数が多いわけであります。だれがその同意を得るのか、役人なのか、地方の区役所の人間なのか、役場の人間なのか。地域ではそのリストがないわけですから、同意の確認をとる作業ができないわけでありますので、その辺の矛盾もあるんじゃないかなというふうに思うわけであります。  今回の代表質問の知事の答弁で、防災計画の見直しというのは、避難、誘導が最も大事であると答弁をされました。私も、そのとおりだと思います。私は、群馬大学の大学院片田敏孝教授の防災講演を聞きに参りました。そのときにハザードマップに死者、行方不明者の居住地を落とし込んだ地図を見たときに大変なショックを覚えました。岩手県の大槌湾に面した鵜住居町は死者は四百十九人、ハザードマップの想定区域内で亡くなった方は六十六人、死者の八割以上が想定区域外だったそうであります。つまり、想定区域外の人々は逃げおくれたということであります。日ごろの防災訓練も参加率は低く、どこに逃げるかも確認できていなかったということだったそうであります。福岡県においても、その二割に当たる不同意の方々は、助けが必要な人の情報がわからないわけでありますので、ひょっとしたら助かるべき命が助からないということがあり得るわけであります。  知事、福岡の県民性は大変すばらしいです。代表質問でも取り上げましたけれども、私たち公明党の調査では、福岡の県民の約九割の方が、今回の震災に募金やボランティアなどに参加したと回答いたしました。福岡県民には、支え合うという共助の意識が大変高いということであります。知事の幸福度日本一の定義は、県民が安全で、安心、安定した暮らしができることと伺いました。私は、地域の幸福度を上げるには、同意をしない二割の方たちの命を守ることができるようにすることだと思います。  最後の質問でございます。知事は防災計画の見直しの中で、また高齢者の見守り事業の中で、すべての要援護者の日常的な見守りができるよう、その仕組みを明示すべきと考えますが、知事の答弁を求めます。  以上でございます。 46 ◯副議長(渡辺 英幸君) 小川知事。 47 ◯知事(小川 洋君)登壇 先ほどお答えをいたしましたが、少し敷衍をさせていただきたいと思います。先生も御指摘がありましたように、災害時の要援護者の避難を支援する場合にやり方が三つあると、国のほうは示しております。関係機関共有方式、それから御本人が手を挙げる、それから同意方式、個々の同意を得ていく、三つがあると言われておりますが、手を挙げてくる人は、挙げてこなければその人たちは対象にならない。それから同意を得るとしてもなかなか大変、不同意の場合がある。そこで、国のほうのガイドラインでは、関係機関の共有方式と同意方式との組み合わせが一つの考え方としてあるというのが提起されております。  先ほど私がお答え申し上げましたのは、第三者による情報の共有が不同意であった要援護者の方についてどう考えるかという、先生のお尋ねについてお答えしたつもりでおったんですが、総務部長がお答えしましたように、一つは、やり方としては、条例で本人の利益になるということをあらかじめ制定をしておくということが一つ。それからもう一つは、条例の中で個人情報保護審議会の意見を聞いて、特別の理由があると認められたときと、その条項がうまく使えないかということではないかと思います。そういう二つのやり方と、個々の同意を広げていくという組み合わせがあろうかと思いますが、そういうことを含めて市町村に対して体制が整えられるよう、いろいろお願いをし、協力をしていきたいと思っているのが第一点でございます。  そういうことを通じまして、地域のお一人お一人が支え合い、助け合い、地域社会で安心してお暮らしいただけるようにするために、こうした万が一の災害が起こったときの要援護者の方の避難を万全にしておく、備えておく、関係者の間でその情報を共有していくと。それから見守りのほうの話もそうでございますが、一つ一つの事業におきまして、個人情報保護法等の関係がございますけれども、今先ほど申し上げましたやり方というのも一つのやり方ではないかと思います。そういう意味で、関係者と知恵を出しながら、将来に備えて県民の皆様に安全と安心というものを実感していただけるように努力をしていきたいと思っております。 48 ◯副議長(渡辺 英幸君) 新開昌彦君。 49 ◯六十三番(新開 昌彦君)登壇 大変前向きな答弁だったと思います。  最後に、私が質問したやつが一つ抜けておったと思いますけれども、防災計画もしくは見守りの事業の中で、そういった仕組みを市町村、また現場の皆さんはどうしたらいいのかと、いまだに悩んでおるわけでありますので、最後の二割の同意を得られない方々にとっては、こうすればいいんだということを、しっかりと明示をしていただきたいということを質問したつもりでございますが、その点だけ答弁をいただきたいと思います。 50 ◯副議長(渡辺 英幸君) 小川知事。 51 ◯知事(小川 洋君)登壇 先ほどお答えしたやつをもう一度説明させていただきます。  まず、どこにどういう要援護者の方がいらっしゃるかということについてのリストをつくっていく上で、既存の行政機関が持っております情報について、関係者間、支援団体との間で共有することにつきましては、個人情報保護法との関係があります。しかしながら、先ほど言いましたように、そういったことを準備しておくことが御本人のためになるという、そういう規定、あるいはあらかじめそういうことを個人情報保護審議会において認めていただいておれば、そういう情報の共有ができるという法律の仕組みといいますか、条例の体系というのがあり得ますので、そういった仕組みがとれるか、とれないかも含めて、市町村と議論をしていきたいというのが第一点でございます。  それから、そこから先、具体的な避難を本当にうまくやっていくためには、御本人様のいろんな協力が必要でございます。その点については、御本人の利益にもなるということを御説明しながら、情報提供に協力をしていただく場合には、そういう中で個人情報保護法の条例等の整備ができない団体があれば、それはそれであわせて個別の同意という中で広げていくと。両方から市町村の職員とともに汗をかいていきたいというふうに思っております。 52 ◯副議長(渡辺 英幸君) 吉武邦彦君。(拍手) *吉武議員質問 53 ◯二十九番(吉武 邦彦君)登壇 皆さん、こんにちは。食と緑を守る緑友会福岡県議団の吉武邦彦でございます。私は、活力ある福岡県づくり、にぎわいのあるまちづくり、元気な県民づくりに貢献できるよう、精いっぱい県政に携わっていきたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。  さて、今、日本は東日本大震災と、それに伴う福島第一原発の事故により、戦後始まって以来の国難に瀕しています。この未曾有の国難を乗り切るためには、国民が心を一つにして復旧、復興に取り組まなければなりません。そして、その取り組みの中で、子供たちへつなぐ日本の新たな枠組みや仕組みを再構築していくことが求められます。とりわけ東アジアに隣接する九州、その玄関口である福岡県は、日本経済の牽引役として重要な役割を担い、その役割を果たしながら大躍進していく好機としていかなければなりません。  知事は、元気は西から、まずは福岡県を元気にしていきます、と表明されています。また、知事が目指す県民幸福度日本一のためには、県民の多様なニーズにこたえた、さまざまな施策実行がなされていかなければなりません。それらを形にしていく前提となるのは、まさしく活力と成長力に満ちた活発な経済活動と十分な雇用の確保であり、私も知事と全く同じ考えであります。ことし三月には九州新幹線も全線開通し、福岡県を取り巻く状況は大きく変化しています。九州内のアクセスは飛躍的に向上し、人、物、金が大きく循環し、それらが蓄えられていく確実な取り組みが、今こそ必要となります。経済産業省御出身の小川知事には、福岡県が勝ち残っていくための経済対策、地域経済を支える中小企業が活発に経済活動を行える、手厚い振興策に大きな期待を寄せるものであります。大きな雇用を伴う製造業や先端成長産業の集積のために、福岡県の潜在力や強みを最大限に発揮し、全国からたくさんの企業を呼び込んでください。国際競争力を高めるための社会資本の整備も、迅速に進めてください。今が、一気呵成の好機であることは間違いありません。厳しい財政状況の中での予算の重点配分にも大いに賛成をするものであります。一方で、行財政改革による職員定数の削減も進んでいますが、積極的に取り組まれるさまざまな経済対策を確実に実行し、成果を上げるためには、職員体制の充実は不可欠であります。手厚い予算と優秀で充実したスタッフ体制で、スピード感ある取り組みをお願いしておきます。  それともう一つ、私は、観光の推進に注目しています。観光の推進は交流人口の拡大、経済への波及効果、農業・漁業との連携、雇用の増大面などから、地域の活力やにぎわいづくりに大きな成果が期待されます。九州地方知事会や九州観光推進機構としっかりと連携し、福岡県と九州の魅力を広く紹介してください。そして、福岡県から九州に入ってくる観光客を通過型から滞在型へつなげ、県内の滞留人口を大幅に拡大させ、満足と引きかえにお金をしっかり使ってもらう仕組みを、ぜひ確立していただくこともお願いしておきます。  また、観光の推進は、九州各県との取り組みだけでは不十分であります。県内での振興策をどう展開し、魅力ある観光福岡をつくっていくかも、あわせて求められていきます。私は、観光は一つの自治体で成り立つものではなく、一定の広域エリアで互いにないものを補完しながら自分たちの地域の売りを磨いていくことで、魅力ある観光地づくりができていくと考えています。特に、福岡県の都市機能や交通アクセスから見ると、政令市である福岡市と北九州市とが、両都市間の自治体を巻き込んで同じエリアとして機能すると、互いにないものがある、魅力ある世界的な観光地となることができると確信しています。全国から、あるいはアジアから相当の集客が期待できる九州観光の中核となる新たな観光エリア──仮に福北観光エリアと呼んでおきます──が構築されることを強く望みます。  重要なポイントは、福岡都市圏と北九州都市圏を一つのエリアとしてとらえていくということであります。三百五十万都市圏を形成して、全国に、あるいはアジア、世界に打って出る、これは観光にとどまらない福岡県の潜在能力、成長能力そのものであると言っても過言ではありません。新エリア形成のためには、県の役割が極めて重要となります。県と両政令市との連携を連帯に変え、両政令市間の自治体を巻き込んだ新たな枠組みづくりや、新たな観光施設も含めたインフラ整備が必要となります。今後、知事の強いリーダーシップに大きな期待を寄せ、その実現に向けた取り組みを進めていかなければならないと考えています。
     そのような中で、現在福岡県と宗像地域を中心に、宗像・沖ノ島と関連遺産群を世界遺産に登録する取り組みが進められています。私は、宗像・沖ノ島と関連遺産群が世界遺産に登録されることは、福岡市と北九州市を一つのエリアでつなぐ大きな橋頭堡になると確信しています。ここで少し、宗像・沖ノ島と関連遺産群の経過について紹介させていただき、今後の進捗等について御質問をいたします。  宗像市の沖合六十キロに位置する沖ノ島は、韓半島や中国との交流の中で、古墳時代前期の四世紀末から遣唐使が廃止される九世紀末まで、国家的な祭祀が行われていました。沖ノ島から出土した遺物の約八万点はすべて国宝であり、海の正倉院と言われるゆえんでもあります。この沖ノ島を世界遺産にしようという運動は、平成十五年に早稲田大学の吉村作治さんの提唱で始まりました。それに最初に呼応したのは、宗像市でまちづくりに取り組む複数の市民団体でした。市民団体は、沖ノ島物語実行委員会を組織し、宗像大社の協力を得て、沖ノ島大国宝展を開催いたしました。これを契機に、登録運動は地元行政を巻き込んで進んでいきました。平成十八年度から文化庁が自治体からの世界遺産登録の提案を受け入れるようになり、福岡県、宗像市、福津市が共同して取り組みを進め、宗像大社辺津宮や津屋崎古墳群等を構成資産として加え、平成二十一年一月五日にユネスコの世界遺産暫定リストに記載されました。それを受け、平成二十一年一月に、福岡県、宗像市、福津市の経済団体、市民代表、文化・教育団体、行政等で組織する「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産推進会議を設置して、普及啓発に関することや専門家会議を開催し、構成資産の専門的、学術的な検討が現在行われています。  そこで御質問をいたします。現在、専門家会議で構成資産の論議がなされています。私は、早い時期での世界遺産登録が望ましいのでしょうが、進め方に無理がないよう、じっくりと進めていただきたいと考えています。昨年、新たに大島で露天祭祀跡の大島御嶽山遺跡が発見されたり、津屋崎古墳群の範囲など構成資産については、まだ流動的であると受けとめています。そこで、最終的な構成資産はどのような形で、いつ決まり、ユネスコ世界遺産委員会への推薦書提出はいつごろと見込まれるのかお尋ねをいたします。  次に、保存管理について質問をいたします。構成資産を守るためにバッファーゾーン(緩衝地帯)は、どのような範囲で設定され、どのような具体的取り組みが必要となり、どのような制約が予想されるのかお尋ねをいたします。  特に、沖ノ島周辺は、玄界灘を代表する好漁場であり、今日まで代々沖ノ島を守ってきた漁業者にとって世界遺産登録がデメリットとならないような形で進めていくべきであると考えています。そこで、漁業への影響を与えない配慮は、どのようになされていくと見込まれるのかお尋ねをいたします。  次に、経済団体、市民代表、文化・教育団体、行政等で「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産推進会議を設置されています。しかし、多数の県民には、この推進会議の取り組みがよく見えないように感じています。九州・山口近代化産業遺産群はテレビや新聞でよく取り上げられているのに比べて、沖ノ島は県民周知が十分でないように感じています。今後どのように活発な世界遺産登録運動を展開していくのかお尋ねします。  以上三点、よろしくお願いします。(拍手) 54 ◯副議長(渡辺 英幸君) 小川知事。 *知事答弁 55 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答え申し上げます。  まず、先生御指摘のとおり、観光は非常に大事だと思っております。ひとり観光だけではなくて、当県が持っておりますいろんな農林水産業から製造業に至るまで、他産業との連携を図ることによって、より雇用の増加につながっていく、そういうこともあります。また、それぞれの地域がお互いに補完し合いながら、魅力の補完と言ったらいいかもしれませんが、補完をしながら、ともに発展をしていくと、こういうことも大事だと思います。そうすることを通じまして、通過型から滞在型、滞留型、いろんな形の知恵を、関係者の間で出していきたいと思っております。そしてまた、九州一体となって取り組んでいく、あるいは内外へ情報発信を効果的にやっていくということが大事だろうと思います。  その上で、宗像・沖ノ島と関連遺産群の世界遺産登録についてのお尋ねでございます。まず、構成資産の決定方法でございますけれども、世界遺産の登録につきましては、経済団体、市民団体、行政等で構成しております「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産推進会議というものを設置し、ここで議論し、取り組んでいるところでございます。世界遺産として登録をされるためには、まず第一に顕著な普遍的な価値を有すること、第二に完全性と真正性を満たすこと、三番目に適切な保護管理が行われること、そういったことが要件になっておりまして、これらの要件に適合する構成資産というものを選定する必要があります。この構成資産につきましては、専門家によります意見を踏まえまして、冒頭申し上げました推進会議で決定をすることといたしております。  今後のスケジュールについてのお尋ねでございました。今後早い時期での構成資産の選定を行いまして、早ければ平成二十六年度に推薦書を提出できるよう進めてまいりたいと思います。その際、当然のことながら、拙速を避けながら、じっくりした議論を踏まえながらということでございます。  それから、バッファーゾーン(緩衝地帯)について、その範囲についてのお尋ねがございました。バッファーゾーン(緩衝地帯)というのは、構成資産を保護するために、その周囲に設けられます利用制限区域のことでございます。この区域では、世界遺産としての価値を将来にわたって継承していくための法的措置、管理計画の立案など、それが必要となります。このため具体的には景観の確保でありますとか、建築物の意匠や高さの制限、規制といったことが考えられます。沖ノ島周辺の海上に関します緩衝地帯(バッファーゾーン)につきましては、今後検討してまいります。その中で、漁業に影響を与えないように、関係機関と連携をいたしまして、地域への情報提供と地域からの意見聴取を行いながら、必要な範囲の設定ととるべき措置の内容を検討していきたいと考えております。  最後に、世界遺産登録に向けての今後の運動活動でございます。世界遺産に登録を受けるためには、さまざまな条件整備をしていきながら、県民運動としての機運を醸成していく、高めていく取り組みが必要でございます。このため、シンポジウムの開催、ポスター等による広報啓発のほか、地域の市民の皆様による公開講座やパネル展、市民参加型のミュージカル「むなかた三女神記」の公演なども行われているところでございます。今後も、我々は森口博子さんや藤本隆宏さんといった芸能人に本県の応援大使ということをお願いしてございます。こういった応援大使の活用を初めとしまして、ホームページによる市民団体の熱心なお取り組みの紹介など、官民一体となった世界遺産登録運動というものを、これからも展開していきたいと考えております。 56 ◯副議長(渡辺 英幸君) 吉武邦彦君。 57 ◯二十九番(吉武 邦彦君)登壇 小川知事、答弁ありがとうございました。  御存じのとおり、先週六月二十九日、小笠原が自然遺産に、平泉が文化遺産として世界遺産に登録いたしました。現在国内の世界遺産暫定リストに記載されている候補地は、沖ノ島を含めて十二カ所であります。知事も来月沖ノ島視察を予定されているとのことでございます。裸になってみそぎを体験していただきながら、沖ノ島の霊験さやその資産価値をじかに感じていただき、知事在任中に世界遺産登録という大きな成果を導き出してほしいと考えております。よろしくお願いします。  最後に、民間企業では社長がかわれば会社が変わります。スポーツの世界でも、監督がかわればチームが変わります。福岡県も、知事がかわれば県庁が変わらなければならないと考えております。そして、元気は西から、福岡県の元気は小川からであります。オール福岡のチーム小川が新たな福岡県の歴史の一ページを開いていただくことを要望し、質問を終わります。  ありがとうございます。(拍手) 58 ◯副議長(渡辺 英幸君) 大島道人君。(拍手) *大島議員質問 59 ◯十八番(大島 道人君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団一期生の、また第一番バッターで入ります、大島道人です。よろしくお願いいたします。なお、私は生まれも育ちも田川でございます。質問の途中で田川弁等が出て、いろいろあるかと思いますが、議長の御指導よろしくお願いいたします。それでは質問に入ります。  県内全域の地震防災対策についてでございます。小川知事はいつも、地域の安全、安心の観点から、このたびの災害を受け、地震、津波、原子力発電所事故も想定した地域防災計画の見直しについて着手していると言っております。東日本大震災にかんがみ、福岡県もいつ想定外の地震が起こるかわかりません。特に、私の地元は他の地域とは違い、明治の時代より石炭の採掘が行われ、その後鉱害復旧工事が行われた地域で、日本でも珍しい地形となっております。知事は、鉱害復旧工事の施行者である旧通産省の出身ですので、鉱害復旧工事についての知識はお持ちと推測されますが、鉱害復旧について、少し述べさせていただきます。  筑豊地域は、石炭の採掘により地盤の沈下が起こりました。農地や家屋に被害が出ました。鉱害復旧工事とは、地盤沈下以前の状態に戻す工事です。例えば、三メートルの沈下であれば、三メートルの盛り土工事を行い、農地、家屋等の復旧を行います。当然、道路等もこの手法で復旧工事がされております。このような状況を踏まえますと、筑豊地域は、すべて盛り土の上に家屋等が存在していると言っても過言ではありません。  筑豊地域は主に、マグニチュード五前後と推測される福智山断層、またマグニチュード七以上と推測される西山断層との間に位置しております。その断層を本流として、多くの支流が存在しております。この本流と支流の間を縫って、石炭採掘の坑道がクモの巣を張ったように走っております。この地域に地震が起これば、今日まで類を見ない新しい災害が起こる可能性があると、十分考えられます。さらに、この地域は旧通産省施行の鉱害復旧工事により家屋の復旧がされております。原形復旧の家屋が多く存在しております。旧通産省の施行の場合は、旧建設省の建築基準法は適用しないと福岡県の建築行政は解釈し、これらの原形復旧建築物を建築基準法より除外してきました。よって、建築基準法から見れば、かなり違反建築物が存在しております。さらに、炭鉱の閉山後に坑道部分を埋め戻したり、空洞部をなくすために人的に水を充満させている不安定な地盤の上に違反建築物が建ち並んでおります。このように、産炭地域は不安定な地盤の、恐ろしい地域だと思わざるを得ません。その上、このことを地域住民がほとんど知らない、このことがさらに怖いのであります。防災計画に優先順位はないと思いますが、このような地域の防災について、どのような対応をお考えなのかを示していただきたいと思います。  それでは、こんな状況を踏まえまして質問いたします。なお、省庁名が変わっておりますので、旧省庁の名前で質問したいと思います。  まず、地盤の盛り土と地震についてであります。盛り土で鉱害復旧が施工されておりますので、地震が起きた場合、今回のような液化現象みたいな災害が起こる可能性があると思われます。それらの対策をどのように考えるか、知事の的確な考えをお聞かせください。  続きまして、鉱害復旧による原形復旧の家屋と建築基準法の関係でございます。日本国において、建設省以外の各省庁の施行する建築物は、本当に建築基準法の適用を受けないのでしょうか。建築基準法の適用の除外には、文化財保護目的のためにと書かれていると思います。省庁関係なく、建築物すべてに建築基準法が適用されるのであれば、福岡県の建築行政は鉱害復旧工事に関して目をつぶっていたということになります。また、昭和五十三年の宮城沖地震発生後に、昭和五十六年六月に新耐震基準が施行されたにもかかわらず、福岡県の建築行政は、原形復旧工事に何の手当てもしておりません。よって、鉱害復旧により生まれた原形復旧の建築物を、法に基づいて満足させる義務があると思われます。法を満足させる義務は、復旧工事の施行者である通産省、現経済産業省、また同時に法律を施行しなかった福岡県の責任は免れないと思います。この点について、知事の的確な回答を求めます。  次に、旧坑道に対する処置と地震との関係でございます。地震により旧坑道が破壊される危険性が十分考えられます。旧坑道は、人的に水を満たして地盤の安定を図っておる状態です。旧坑道が破壊されれば、今まで経験したことのない、例えば坑道内の水による大規模な液状化災害が発生することも考えられます。このような旧坑道の処置をどのように認識されておりますか、知事の的確な回答を求めます。  最後に、地域防災計画の見直しについてでございます。地域防災計画の必要な見直しの中に、専門委員会議の創設とあります。その委員の中に、こういった状況の旧産炭地の状況に詳しい人が入っておるのか。もし、入っていなければ、その分野に詳しい人を入れるつもりがあるのかを質問いたします。  知事には的確でわかりやすく、責任ある回答をお願いいたします。(拍手) 60 ◯副議長(渡辺 英幸君) 小川知事。 *知事答弁 61 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  鉱害復旧工事の盛り土と地震の関係についてお尋ねでございます。まず、地表から五十メートルよりも深い坑道跡に起因する、いわゆる累積鉱害は、平成十八年度まで石炭鉱害事業団等が復旧工事を行っておりました。盛り土工事につきましては、経済産業省や国土交通省などの指導のもと、各施工者が土質やその高さに応じ、勾配や擁壁等の設計基準に従って適切に工事を実施したものと考えております。また、五十メートルより浅い坑道跡に起因いたします特定鉱害の復旧工事につきましては、現在特定鉱害復旧事業センター等で行われておりますが、原則として局所的な陥没の埋め戻しを行う整地工事でございまして、盛り土工事は実施しておりません。  建築基準法が適用されずに鉱害復旧された家屋についてお尋ねがありました。家屋の鉱害復旧事業につきましては、かつて石炭鉱害事業団等が実施をし、現在は特定鉱害復旧事業センター等が行っているところでございます。家屋の鉱害復旧は、制度上本来の効用を回復する原形復旧というのが原則となっておりまして、古い家屋の効用を回復するためのかさ上げ工事、それは建築基準法の適用除外となっていると承知しておりまして、耐震性について検証されたものではございません。  地震によります坑道の崩落と鉱害の発生についてでございます。昭和二十九年以来のいろんな復旧現場での経験の結果、学識経験者によりまして確立された鉱害安定理論というのがあるようでございます。これによれば、地表から五十メートルより深い坑道跡は、土圧によりまして押しつぶされておりまして、安定をしていると。地震の際も鉱害は発生しないというふうに、学識経験者の間では定説が確立しているようでございます。一方で、地表から五十メートル以内の坑道跡に起因する特定鉱害につきましては、今般の東日本大震災被災地におきまして、被害の申し出件数が大幅に増加をしているという状況が起きているようでございます。特定鉱害につきましては、原因が地震であるか否かにかかわりませず、国と県が設立いたしました特定鉱害復旧事業センター等におきまして、現地調査等を踏まえて適切に対応することになっております。  地域防災計画の見直しに当たりましては、災害対策基本法に基づく防災会議におきまして作成することになっておりますが、災害対策基本法第十五条では、防災会議の構成員は防災関係機関の長というふうに定められております。鉱害につきましては、経済産業省が所掌しておりまして、本県においては九州経済産業局が担当しております。防災会議には九州経済産業局からも委員に就任をいただいておりまして、計画の見直しに当たっては、鉱害に関しても必要な御意見をいただくことといたしております。 62 ◯副議長(渡辺 英幸君) 大島道人君。 63 ◯十八番(大島 道人君)登壇 今、知事の答弁をいただきましたが、ちょっと私の質問を理解できてない分があるのかなと思います。私が言いよるのは、鉱害復旧云々じゃないんですね、最終的に。地震とのつながりを言いよるんです。だから、そういった、まず最初の盛り土の地盤、こういった状況を、地震のことを加味して、知事はどう考えますか。原形復旧も同じなんです。ただ、工事をするときに、先ほど言いましたけれども、新耐震とかいった制度があるときにやっておれば、幾らか経済産業省が、予算はふえるかもわからんけれども、その時点で予算をふやしてでも原形復旧の家に、そういった措置をやっておれば、今回みたいな私の質問はないというふうに思います。しかし、私どもの現状からしたら本当に、例えば百年前の家なんか、石を投げたら当たるぐらいあるわけです、私の地元には。けれども、そういったところは地震が起こればどうなるか。そこを私は知事に伺っておるわけでございます。  旧坑道についても同じでございますけれども、五十メーター以下は安定しておるというような、どういうあれが出ておるのか知らぬけれども、今、私は初めて聞いた話ですけれども、じゃあ、そういった保証書等が出て、住民に、我々の地元の方に、ここはもう下がらんから心配せぬでいいよというような保証書といいますか、そういったことをやってもらうか、それか知事が福智山断層と西山断層にようと言うて聞かせているから、おまえのところは地震が起こらんぞというような、そういったことを言ってもらわんと、私は家に帰られぬわけなんです。そういったことを踏まえて、我々産炭地として、この防災計画の中に経産省から入っておるということはわかります。しかし、その方がそういったところまで詳しいかどうか、またそういった委員会の別に、小委員会といいますか、部門部門があると思うんですよ。一遍で全部できるとは、私は思えぬのですね。例えば、原発に詳しい部会といいますか何といいますか、そういった分野、また津波に関した分野、福岡県全体を考えたら、一本だけの災害ならいいけれども、そこそこによっていろいろな災害というのが考えられると思うんです。そこに合った、たけた人を入れていただいて計画をやってもらわんと、到底安心した、知事の言う幸福度云々くんぬんというふうにはいかぬというふうに思います。そういった面を再度的確に理解していただいて、御返答をお願いします。 64 ◯副議長(渡辺 英幸君) 小川知事。 65 ◯知事(小川 洋君)登壇 幾つか御質問でございますので、お答えいたします。  五十メートルより深い坑道跡は、土圧により押しつぶされて安定をしているというのは、昭和二十九年以来、いろんな復旧をしてきた中で、大体二年半ぐらいで五十メートルより深い坑道跡というのは、土圧で押しつぶされていると、そういうことが確認されたということで、学識経験者の間では確立された概念だというふうに私は承知をしております。  それから、地域防災計画の見直しに当たって経済産業局の人が参加をしていただいていると、それに加えまして専門委員会会合というのを防災会議のもとに設けております。そこの中には地盤構造学の専門家も入っていただいております。そういう方の知見を使いたいと思いますが、先生御指摘のように、この問題に特化した情報が何か必要であれば、個別に必要に応じて専門有識者の方の意見を聞いていくということも考えていかなければならないと思います。  それから、盛り土との関係でございますけれども、従来の五十メートルより深い坑道の盛り土工事につきましては、施工者に対しまして、経済産業省や国土交通省などが指導して、土質、高さ、勾配、擁壁等設計基準をあらかじめ示して、それに沿って工事をしたところでございます。  そこで、今回のいろんな大震災教訓を踏まえますと、我々の地域防災計画の前提として、どういう災害を想定したらいいのかということがあろうかと思いますので、その想定の中で、この地域についてどういう影響があるか、影響があった場合にどういう問題があるかというのは専門家の間でいろいろ議論していただきたいと、このように考えております。 66 ◯副議長(渡辺 英幸君) 大島道人君。 67 ◯十八番(大島 道人君)登壇 一つだけ前向きにとれるような答弁をいただいたかなと。防災計画については、必要に応じてというふうに思います。  盛り土については、施工者等を指導してそういう対応をやっておるということで、心配がないということでしょうか。そうじゃなかったら、もし心配がなかったら、先ほど知事の口から出てましたように、本当にそういった地域は、知事が言うようなことで工事をやってきておると思います。それでは何で今の、きょうでも浅陥が起こっておるかわからぬけれども、浅陥が起こるのでしょうかね。安定しとったら起こらぬはずなんです。その答弁じゃ、浅陥なんか起こらぬと思います。しかし、実際今の時点でも、どこかで起こっている可能性があるわけですね。そういうことで、工事上的確にやっているけれども、実質はそうやった被害はまだ出よるわけです。地盤は安定してないというふうに思うんです。だから、そういった安定してない地域の、鉱害復旧を私は言いよるんじゃないのですよ、地震になったときにどう対応するのかというのを聞きよるのです。せんだって、だれかさんが言いよったけれども、この顔を見たくなかったら、というような発言をしよった方がおるけれども、私も何遍もここに上がって、これ以上時間の借金もするわけいかぬし、的確な対応をお願いしたいと思います。 68 ◯副議長(渡辺 英幸君) 小川知事。 69 ◯知事(小川 洋君)登壇 一つ追加してお答えをさせていただきたいと思います。家屋の鉱害復旧は制度上本来の効用を回復する原形復旧が原則であるということで、かさ上げ工事については建築基準法の適用除外となると申し上げました。多くの場合、御本人様が一体となって改築、要するに改築をこの際するということが多く見られておりまして、その場合には建築基準法が適用されているわけでございます。それ以外のかさ上げ工事だけやったものにつきましては、先ほど来申し上げましたように、災害想定をしたときにどういう影響が出るかということは、これから詰めていかなければなりませんが、そういう中にありまして耐震改修をどうしていったらいいかということの観点から、我々のいろんな作業の結果というものは、いろいろお知らせをし、知識についていろいろ情報提供をしていきたいと考えております。 70 ◯副議長(渡辺 英幸君) 大島道人君。 71 ◯十八番(大島 道人君)登壇 少し前向きな返事になってきよるかなというふうに思います。先ほども言いましたように、いろいろ私も借金してますから、これから上、もう時間を借金するわけいかぬからこれで締めたいと思いますけれども、改築のことを言われてましたけれども、それはもう当然、そうやってきているわけです。新しく建てかえる分はそうできとるわけです。しかし、原形のまま上がった家はそうじゃないんです。建てかえるほど裕福なところは皆建てかえておるわけです。しかし、建てかえてない家がかなりあるというのを理解していただきたいと思います。だから、鉱害云々じゃなくて地震に関して私は言いよるのだから、そこのところを間違えぬごと解釈してもらいたいというふうに思います。  以上をもちまして私の質問は終わりとします。ありがとうございました。(拍手) 72 ◯副議長(渡辺 英幸君) 堤かなめ君。(拍手) *堤議員質問 73 ◯二十一番(堤 かなめ君)登壇 民主党・県政クラブの新人、堤かなめです。皆様のお力をかりながら、福岡県のため誠心誠意努力いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。           〔渡辺副議長退席 原口議長着席〕  初めに男女共同参画の推進、次に子育て支援、そして児童虐待対策、最後にスクールソーシャルワーカーにつきまして質問いたします。初めに、男女共同参画の推進について二点お尋ねします。一点目に、男女共同参画に対する小川知事の基本姿勢についてです。麻生前知事は、退任の記者会見において、振り返ってみて、こういうところが自分の取り組みに足りなかった、あるいはもっともっとやりたかった点は、という質問に、女性の社会進出です、女性がもっと社会に出て、多くの分野でいろいろな意思決定の主役になっていく、あるいはそれを実行する大きな推進力となっていくという社会になっていくことが不可欠だと思いますと、答えられています。女性が活躍できる社会は、男性が生きやすい社会でもあります。小川知事が目指す県民幸福度日本一を達成するためにも、女性の社会進出を含む男女共同参画社会の実現を県政の主要課題の一つとして位置づけ、実効性のある施策を実施いただけるものと大いに期待しております。男女共同参画社会の実現に向けた小川知事の御所見をお伺いいたします。  二点目に、防災、被災者支援、復興など、防災分野における男女共同参画の推進についてです。昨年十二月に閣議決定された国の第三次男女共同参画基本計画の第十四分野では、地域、防災、環境、その他の分野における男女共同参画の推進が記載されています。また、本年三月に本県が策定した第三次福岡県男女共同参画計画でも、女性のニーズに配慮した防災・災害復興対策の具体的施策として、防災計画や各種マニュアルの策定、その他防災等の企画立案において、女性のニーズに配慮するよう努めることが挙げられています。平成十六年に発生した新潟中越地震では、避難所に日中いるのはほとんどが女性、子供、高齢者なのに対し、支援する側の女性は一割程度で、女性用品が足りない、着がえる場所がないなど、男女のニーズの違いに応じた支援が行われていなかったことが指摘されています。また、災害時には立場や力の弱い女性や子供への暴力が発生しやすいとも言われています。本県では、東日本大震災を踏まえ、総合的な防災対策に約二百六十億円を計上する予算案を発表し、種々の防災や復興支援の新規事業が計画されています。これらの事業においては、その計画段階から、政策、方針決定過程への女性の参画を拡大するなど、防災分野における男女共同参画の推進が図られるものと期待しております。ついては、男女共同参画の視点及び子供、高齢者、障害者、外国籍住民など、社会的弱者の視点を、防災分野にどのように組み込んでいくかについてお聞きします。  次に、子育て支援の中で、特に保育事業について二点質問いたします。一点目に、保育需要に基づく待機児童解消計画についてです。東京大学公共政策大学院副院長伊藤隆敏氏は、待機児童のゼロ化は、出生率の向上、女性の社会進出や労働力化に寄与し、日本経済の活性化、成長率の向上など幅広く、末長い効果が期待できるとしています。また、子供たちは保育の場で友達や保育者とのさまざまなかかわりを経験することにより、社会生活の基礎となる情緒的、社会的な育ちが促されると言われています。核家族化、少子化、無縁社会化が進む中、子供の発達にとっても保育施設の役割は重要性を増しています。しかしながら、御承知のとおり、経済情勢の悪化等により女性の就労が増加するなど、保育施設は全国的にも、また本県においても、福岡都市圏を中心にその整備が追いついていません。本県における保育施設への入所待ちをしている、いわゆる待機児童数は、平成十九年以降四年連続して増加しています。ついては、本県の待機児童の状況、中でも福岡都市圏の現状はどうなっているのかお答えください。  待機児童を根本的に解消するには、現に生じている待機児童だけでなく、申し込んでもどうせ入れないと、初めから申し込みをあきらめているような人も含めた潜在的な保育需要を的確に把握し、それを踏まえて保育施設の整備などを図ることが重要であると考えます。本県では、平成二十六年度末までに保育施設における受け入れ数を四千五百五人純増させる福岡県次世代育成支援行動計画を、二年前倒しすることを予定しています。  そこでお尋ねします。本計画における保育所利用児童数に関する目標数値は、県内の各市町村の目標数値を集約したものと考えられますが、この目標数値は潜在的な保育需要を反映したものとなっていると理解してよろしいでしょうか。  二点目に、夏期電力需給対策に伴う保育需要への対応についてです。自動車業界を中心に、電力需給の比較的少ない休日に就業日を変更する土日操業が一昨日からスタートしました。本県では、自動車関連企業が集積する苅田町が、町内の五つの保育園と三つの学童保育所が七月から九月の間、日曜日も開園、開所して子供を受け入れると六月十日に発表しています。子供たちにとっても、保護者にとっても、なれない保育環境に適応しなければならないなど戸惑いもあると聞いておりますが、未曾有の災害に伴う対策という、あくまでも緊急的措置として対応が求められます。ついては、このような夏期電力需給対策に伴う保育需要について、県内の市町村の状況はどのようになっているのか、また市町村はどのような対策を講じているのかお尋ねします。  また、県も市町村の取り組みを積極的に支援すべきと考えますが、県としてどのような対応をされているのかお答えください。  続いて、児童虐待対策の充実につきまして四点質問します。一点目に、児童相談所の職員体制についてです。県所管の六カ所の児童相談所における児童虐待相談件数は、平成十一年度の二百九十四件から、平成二十二年度には八百五十五件と、この十年余りで約三倍に増加しています。ついては、増加する相談に対応するため、県ではこれまでにどのように児童相談所の職員体制の充実を図ってきたのかお尋ねします。  また、子供の安全確認、安全確保を確実に行い、子供の心のケアや、保護者への指導、援助を的確に行うために、職員の専門知識や援助技術を向上させることが不可欠だと思いますが、県では職員の質の向上にどのように取り組んでいるのかお聞かせください。  二点目に、家族再統合支援事業についてです。虐待等を理由に、一たん家族から分離したケースであったとしても、虐待が再発する可能性がなくなれば、子供がもとの家族とともに安全で安心して暮らせるよう支援することが必要だと考えます。県では、福岡児童相談所において、平成二十年度から二十二年度にかけて親子の再統合支援を目的とする事業、家族再統合支援事業をモデル的に実施し、効果があったと聞いています。ついては、この事業の具体的内容と成果について、また家族再統合支援の今後の方向性についてお聞かせください。  三点目に、児童養護施設の環境改善についてです。家族再統合が理想的であるのは確かですが、一方で、たとえ子供をもとの家庭に戻すためのあらゆる努力がなされたとしても、機能不全の状態にある家庭を子供の養育環境としてふさわしいものにすることが極めて困難であることも事実です。保護者が監護することが適当でない場合には、公的責任で社会的に子供を養育することが必要であり、本県でも関係者の方々の御努力により社会的養護の概念がある程度浸透してきたように思います。  社会的養護は、児童養護施設などにおける施設養護と、里親などによる家庭的養護の二つに大別されます。全国的には、社会的養護の児童数は、この十年間で一割増加しています。私は五月に、県内の二歳から十八歳までの子供たちが暮らす、ある児童養護施設を見学させていただきました。比較的新しい、鉄筋コンクリートづくりの立派な建物で、施設長初め職員の方々の配慮が行き届いた施設でした。しかし同時に、まだまだ改善の余地が多く残されていることも実感いたしました。例えば、一部屋に七、八人の子供たちが生活しているという現状です。二段ベッドが幾つも並べられた大部屋で子供たちが寝起きし、宿題をしています。プライバシーも家庭的なぬくもりも、決して十分とは言えない環境の中で、心に深い傷を負った子供たちが心をいやし、健やかに成長できるのか、正直なところ非常に案じられました。かつての施設では、戦災孤児など親のない子供が大半でした。ところが現在では、課題を抱えた家庭の子供たちが大半を占めています。親自身が虐待の被害者であることも少なくありません。そのような事情から、施設で暮らしている子供たちには、さまざまな情緒障害や発達障害を持つ子供がふえています。したがって、施設での養育は、かつてよりももっときめ細かな対応や専門知識を要するものとなってきています。  しかし、残念なことに施設の職員の配置基準は昭和五十四年以降三十年以上改善されていません。見学させていただいた施設でも、職員が長時間労働に疲弊して仕事をやめてしまうことが多く、御苦労されている様子がうかがえました。後ほど述べますが、子供たちの健やかな育ちのためには、施設養護から家庭的養護への移行が望ましいと考えますが、現実にはまだまだ施設養護に頼らざるを得ない状況にあり、施設養護の環境改善は急務の課題となっています。ついては、県として児童養護施設で暮らす子供たちの養育環境の改善にどのように取り組んでいるのかお尋ねします。  また、情緒、精神面等に課題を抱える子供にきめ細かな援助を行うためには、専門知識のある職員が適切に配置されるべきだと考えますが、職員が適切に配置されるよう県はどのような支援を行っているのかお尋ねします。  四点目は、里親制度の推進についてです。子供が健全に成長するためには、大人との愛着関係が形成されることが必要であり、そのためには、できる限り家庭的な環境の中で育つことが重要です。こうした点から、虐待等の理由で家族と暮らすことができない子供を、親にかわり里親の家庭で育てる里親制度は大変有意義な制度であると考えます。しかし、日本では里親が少ないため、他の先進国と比較すると施設で暮らしている子供の割合が非常に高くなっています。社会的養護のうち里親等家庭的養護の比率は、欧米主要国では三割から七割を占めると言われています。我が国における里親等委託率は、平成十六年度の八・四%から二十一年度の一〇・八%へと増加してはいますが、まだ一割にすぎません。子供たちを可能な限り家庭的な環境で、安定した人間関係のもとで育てることができるよう、里親制度の推進が望まれます。ついては、政令市を除く本県における里親委託率の推移について、また里親制度の推進のためにどのような施策が計画されているのかについてお聞かせください。  最後に、スクールソーシャルワーカーの増員についてお尋ねします。人間関係の希薄化、格差の拡大などにより、さきに述べました児童虐待だけでなく、不登校、ひきこもりなどの悩みを抱える家庭がふえています。また、一つの家庭の中で、不登校と児童虐待やドメスティック・バイオレンス、あるいは経済的困窮が同時に進行しているケースもふえています。このような一つの機関だけでの解決が難しく、複数の機関が連携することが必要なケース、専門家の意見を必要とするようなケースなど困難ケースの増加に伴い、スクールソーシャルワーカーの役割が注目されてきています。スクールソーシャルワーカーは、米国では百年を超える歴史を持つ専門職として確立されています。我が国でも、二〇〇〇年前後から徐々に、各地でスクールカウンセラーに加えてスクールソーシャルワーカーも導入されるようになってきました。スクールソーシャルワーカーは、教育と福祉を統合する機能を持っています。子供が抱える課題を解決するには、子供自身に働きかけるだけでなく、子供を取り巻く環境にも働きかけなければなりません。そのためにも、担任、養護教諭、担当教諭、生徒指導などの学校と、病院、児童相談所など地域の専門機関が連携し、チームで支援する体制をつくることが大切であり、それらをコーディネートするスクールソーシャルワーカーが不可欠と考えます。ついては、教育長にお尋ねします。スクールソーシャルワーカーの役割と意義について、どのようなお考えをお持ちでしょうか。  また、本来ならば、各学校に一名のスクールソーシャルワーカーの配置が必要と考えますが、県内におけるスクールソーシャルワーカーの配置状況及びその成果についてお聞かせください。  そして最後に、今後の活用計画について、具体的にお示しください。  以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 74 ◯議長(原口 剣生君) 小川知事。 *知事答弁 75 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  男女共同参画社会の実現に向けた基本姿勢についてのお尋ねです。女性が生き生きと活躍できる男女共同参画社会の実現というのは、それぞれの皆さんが幸福を実感できる社会、これを目指していく上で重要な要素だと考えております。生産年齢人口が減少し、県民のニーズが多様化していく中で、活力ある社会を築くためには、女性の活躍が欠かせません。本県の審議会等の女性委員の比率は、昨年、目標といたしておりました四〇%をクリア、達成いたしました。国におきましては、平成三十二年度までに四〇%以上を目指すとされておりますので、本県ではこれを一足先に実現した形となっております。しかしながら、いまだに固定的な性別役割分担意識は強く残っておりまして、女性の社会進出の状況は必ずしも十分でないと考えております。このため、男性や企業も含めた社会全体の意識を醸成することが重要でございます。そして地域や企業におきます先駆的な取り組み、あるいは社会進出の道をパイオニアとして切り開いてこられた女性を広く表彰いたしまして、皆さんに御紹介をしていくことは、後に続く企業や女性をふやしていく上で、極めて有用な手段ではないかと考えております。今後とも、県男女共同参画センターでありますあすばるを拠点といたしまして、県内の多くの女性支援団体やあるいは各市町村センターとも連携をしながら、女性の社会参画を積極的に進めてまいります。  次に、地域防災計画への弱者の方あるいは女性の方の意見の反映ということでございます。今般の東日本大震災の避難の実態を考えますと、地域防災計画の見直しに当たりましては、避難方法、避難所運営のあり方などについて、弱者の方や女性のニーズというものを的確に反映することは極めて重要であると考えております。都道府県地域防災計画は、都道府県の防災会議におきまして作成、修正をすることになってございますが、同会議の委員は、災害対策基本法十五条に規定されておりますとおり、防災関係機関の長等で構成されることになっております。現在本県の防災会議委員には女性は、今就任しておられません。そういった機関の長を、今女性がやっておられないと、そういう状況にございますが、近く設置をいたすことを計画しております専門委員会議におきましては、女性の委員の方の就任も予定をしておりまして、その方の御意見も伺いながら、地域防災計画の見直しを図ってまいります。  自動車関連企業の操業日振りかえなどに伴います、保育需要への県と市町村の取り組みについてお尋ねがありました。日本自動車工業会が操業日振りかえを決定したことに伴いまして、自動車関連企業が多く立地をいたしております本県では、新たに日曜日等に保育が必要とされる児童さんが出ておられますことが見込まれました。そのため県では、保護者が七月から安心して保育所を利用してお仕事についていただけるよう、直ちに市町村に対しまして、該当する児童の把握と的確な対応というものを要請いたしました。また、厚生労働省に対しましては、保護者の費用負担への配慮、県、市町村への財政支援等について、早急にその態度を明らかにするように要請してまいりました。  六月十七日でございますが、七月から九月までの間、新たな利用者負担を伴わない休日保育等を実施するという国の方針が示されました。県では、市町村が児童の受け入れ態勢を速やかに整えられますよう、具体的な対応をわかりやすく説明した資料や、質疑応答集をつくりまして、市町村に対して提供してきたところでございます。この結果、六月三十日現在でございますが、操業日の振りかえに伴い、日曜日に保育が必要とされます児童の方は十市町で七十九名になっております。これらの市町におきましては、児童の受け入れ態勢が整えられたところでございます。県といたしましては、今後市町村に対し、この特別な事業の実施に伴う経費の助成を行いますとともに、必要に応じ、単独市町村での対応が困難な場合の広域調整や保育士の確保に対する支援を行っていきたいと考えております。  次に、児童相談所の職員体制についてお尋ねがありました。児童虐待防止法の施行によりまして、通告が義務づけられました。その結果、児童虐待件数が急速に増加をいたしております。このため、県といたしましては、これに的確に対応するため、平成十二年度から昨年度までに児童福祉司、児童心理司を三十四名から六十六名へと、ほぼ倍増いたしました。相談体制のための専門職員の増強を図ったところでございます。このような中で、平成二十一年五月には、宗像、京築支所を本所に格上げをいたしまして、児童相談所は県内四カ所から全体で六カ所にふやすことにいたしました。そして、相談課の増設も行い、相談体制の強化を図ってきたところでございます。さらに、今年度は見守りが必要な家庭におきます児童の安全の確保と、そういった保護者に対する指導を強化するために、児童福祉司等を十名増員したところでございます。今後とも状況を見ながら、必要な体制整備に努めてまいります。  次に、職員の質の向上についての取り組みについてお尋ねがありました。虐待に対応していくためには、保護者への面接指導、虐待を受けたお子さんへの心のケアなど、高い専門性が求められます。そういった専門性が不可欠でございます。このため、これまで児童相談所では初任者に対しましては座学を中心に研修を実施してまいりましたが、今年度からは従来の講義に加えまして、実際の面接場面を想定した模擬面接など演習を多数取り入れました実践的な研修を実施しているところでございます。また、虐待を受けた子供から聞き取りを行う方法というのは、いろいろ工夫をする必要があるわけでございますが、そのための専門研修につきまして、これまで県外の研修機関に毎年数名の職員を派遣してこれを実施しておりましたけれども、今年度からは県内でそういった研修を実施する体制を整えたところでございます。こうしたことを通じまして、すべての児童福祉司、児童心理司が受講できるようにするとともに、今後とも職員の専門性の向上に努めてまいります。  家族再統合支援事業についてでございます。虐待により児童相談所がお子さんを保護し、その後施設に入所した子供とその家族を対象にいたしまして、親への育児指導や親子レクリエーションなどを行って、再び御家族が一緒に暮らせるように親子関係の改善に向けた支援を行う、これが家族再統合支援事業の内容でございます。県では、福岡児童相談所に児童福祉司、児童心理司、臨床心理士等による専任チームを設置いたしまして、平成二十年度からモデル事業として取り組んでまいりました。その成果について申し上げますと、三年で三十九家族に支援を実施いたしました。その九割に当たる三十御家族で親子関係が改善を見た、そうした効果が見られました。そのうち二十一家族では、お子さんが家庭復帰をされ、その後の虐待の再発は見られてないと、そういう報告を受けているところでございます。このような高い効果が見られたところから、今年度からは新たに久留米、田川の各児童相談所におきましても、これを拡大実施するということにしております。  次に、児童養護施設の子供たちの養育環境の改善についてでございます。県では、児童養護施設において、家庭的な養育環境をできるだけつくりたいと、そういうことで、一人または二人用の居室三、四部屋と、共用の居間、台所、浴室、トイレ、そういったものを備えたユニットの導入を進めているところでございますが、ユニット化に伴って必要となります専任職員の人件費相当額につきまして、運営費の増額を行っているところでございます。さらに、二十二年度からはユニットの整備を行う施設に対しまして、改修費の助成制度を設けているところでございます。  次に、情緒面、精神面で課題を抱えておられるお子さんたちへの支援でございます。虐待等で心に傷を抱えたお子さんや発達障害を抱えたお子さんには、情緒面での安定化あるいは基本的な生活習慣の確立など、他のお子さんたちと比べてよりきめ細かなケアが求められております。このため、県では児童養護施設におきまして、個別の対応が必要なお子さんたちへの専任職員、心理療法を行う職員、そして家庭復帰のための相談支援を行う職員、こうした職員の皆さんの配置を進めてきておるところでございまして、このために必要な人件費相当額についても運営費の増額を図っているところでございます。  最後に、里親の取り組みについてお尋ねがありました。児童相談所におきましては、里親が孤立しないための専門相談員による訪問でありますとか、里親の親御さん同士、相互に情報交換を行うための交流会、そして子育てに関する研修を実施するなど、里親の皆さんへの支援を行ってきているところでございます。また、県民の皆様に対しまして、こうした里親制度についての周知、広報でありますとか、新たな里親を開拓することを目的といたしまして、里親の皆さんによる体験談を交えたシンポジウムの開催を行ったり、また十月の里親月間には県、市町村の広報紙等も活用した重点的な広報啓発活動を実施しているところでございます。このような取り組みの結果、里親登録数は平成十六年度の九十人から平成二十二年度は百十四人まで増加をしておりますが、今後ともこうした取り組みを通じまして里親委託の一層の推進、一人でも多く里親が出てきていただくことを努力していきたいと思っております。  なお、残余の質問につきましては福祉労働部長のほうから答弁をさせていただきます。 76 ◯議長(原口 剣生君) 服部福祉労働部長。 *福祉労働部長答弁 77 ◯福祉労働部長(服部 誠太郎君)登壇 まず、待機児童の現状についてでございますが、平成二十三年四月一日現在の県内の待機児童数は千六十三名でございまして、昨年より二百十一名増加をしております。このうち福岡市は七百二十七名で、全体の約六八%を占めておりまして、昨年に比べ二百三十八名の増加となっております。福岡市以外の福岡都市圏の待機児童数でございますが三百二名でございまして、昨年に比べ二十八名減少をいたしております。  次に、県の次世代育成支援行動計画の目標についてでありますが、議員の御質問の中にもございましたように、県の計画における平成二十六年度の保育所定員の目標数値は、各市町村の計画の目標数値を集約したものでございます。市町村では、平成二十六年度の目標数値を設定するに当たりまして、国のガイドラインに沿って、子育て家庭の保育サービスの利用状況だけではございませんで、今後就労する意向がある場合に、保育サービスを利用希望があるか、ないかといったことなどにつきましても調査を実施いたしております。これに人口推計等を用いて、保育所定員の必要数を算出しておるところでございまして、いわゆる潜在的な保育需要といったものにつきましても見込まれた計画となっていると考えておるところでございます。  最後に、里親等への委託率についてでございますが、政令市を除く本県の委託率は、平成十六年度から二十一年度までの五年間で四・一%でありましたものが一一・五%へと、約二・八倍に増加をいたしております。全国平均が八・四%から一〇・八%、一・三倍の伸びであるのに比べますと、高い伸びとなっております。平成二十二年度の委託率でございますけれども、さらに大きく伸びまして一四・三%となっている状況でございます。 78 ◯議長(原口 剣生君) 杉光教育長。 *教育長答弁
    79 ◯教育長(杉光 誠君)登壇 まず、スクールソーシャルワーカーの役割と意義についてでございます。児童生徒の問題行動などの背景には、生活環境の問題が複雑に絡み合っているケースが多く、学校だけでは解決が困難な事例もあるため、スクールソーシャルワーカーはそれぞれの事例に応じた関係機関が連携できる基盤をつくり、その子が置かれている生活環境を改善することを通しまして、問題解決を図ることを役割といたしております。  このスクールソーシャルワーカーを活用することは、児童生徒への相談活動だけではなく、学校内における組織づくりや、関係機関との情報交換、家庭、地域への直接的な働きかけを行うことによりまして、それまで学校が苦慮していた不登校や暴力行為などの解決を図ることができるなどの意義があると考えております。  次に、このスクールソーシャルワーカーの配置状況とその成果についてでございます。平成二十二年度から、これまでの学校への配置方式から市町村への配置方式に改めまして、現在県内六市町に配置をいたしまして、その市町内のすべての学校で活用できるようになっております。このことによりまして、スクールソーシャルワーカーの必要性に応じた重点的な活用ができるようになり、学校の実情に応じた活用が図られてきております。  また、今まで学校がかかわりにくかった家庭環境の改善や関係機関との緊密な連携による対応によって、不登校生徒が登校できるようになった事例などが報告をされております。  最後に、このスクールソーシャルワーカーの今後の活用計画についてでございますが、県教育委員会といたしましては、今後未配置の市町村や緊急性の高い学校を有する市町村を優先した配置を行い、スクールソーシャルワーカーの効果的な活用を推進していくことといたしております。  また、県域ではスクールソーシャルワーカーを独自に配置する市町村がふえておりますことから、これまでの成果を周知し、市町村に対して配置の必要性を啓発してまいります。 80 ◯議長(原口 剣生君) 堤かなめ君。 81 ◯二十一番(堤 かなめ君)登壇 知事、福祉労働部長、教育長の皆様から積極的な御答弁をいただきました。中でも、子供の福祉を向上し、子供を幸せにする県の施策は、ようやく大きく進展し始めたところではないかと感じています。その具体的な成果を強く期待するところです。  小川知事には、新事業である知事のふるさと訪問の際などに、各地の児童福祉施設を御視察いただきたく、お願い申し上げます。  また、今回は防災分野における男女共同参画についてお伺いしましたが、あらゆる県の施策に、男女共同参画の視点をしっかり据えていただきたいということも最後にお願い申し上げて、降壇させていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 82 ◯議長(原口 剣生君) 壹岐和郎君。(拍手) *壹岐議員質問 83 ◯二十七番(壹岐 和郎君)登壇 公明党の壹岐和郎でございます。通告に従い、質問をさせていただきます。  まず初めに、県発注工事の新規参入機会の確保策についてお尋ねします。このたび和歌山県では、ことし一年間の試行として、総合評価方式における新規参入特例を設けました。簡単に言えば、対象工事は県単独の予定価格三千から五千万未満の土木一式工事、そのうち約二割の件数で入札参加条件を過去一カ年度に県発注の土木一式工事に入札しているが、受注実績がない企業としています。つまり、県工事受注のない企業にも受注機会を確保することが目的です。  本県では三千から五千万工事は指名競争入札で行われておりますが、県工事実績がない企業は指名競争入札時に入札の対象すらなりづらいのが現状です。確かに、工事実績は業者選別する上での一つの大事な指標であることは間違いありませんが、このことが新規参入の障壁となっているのも事実です。また、業者の信頼性をはかる尺度はほかにも多岐にわたって存在しております。和歌山県の事例をそのまま持ってくるわけにはいきませんが、これまで県工事の実績のない業者が新規参入しやすい制度を、一定程度設けることは建設業者の底上げにもつながり、本県全体の建設業者にとってプラスになるものと考えます。本県独自の指名競争入札の新規参入特例枠の創設を検討するべきときと考えますが、知事の考えをお聞かせください。  二番目に、暴力団排除に関しての青少年に対する教育に関する取り組みについてお尋ねします。平成二十二年四月一日施行の福岡県暴力団排除条例の第一条「目的」後段に、「福岡県からの暴力団の排除に関し、基本理念を定め、並びに県及び県民等の役割を明らかにするとともに、暴力団の排除に関する基本的施策、青少年の健全な育成を図るための措置、暴力団員等に対する利益の供与の禁止等を定めることにより、暴力団の排除を推進し、もって県民の安全で平穏な生活を確保し、及び福岡県における社会経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする」とあります。つまり、県民を含めて県の総力を挙げて暴力団を排除していくことが掲げられた条例です。  また、この条例は、県内の指定暴力団が五団体と全国最多という実態や、発砲事件の多発という事態から一日でも早く抜け出さなければならないという断固とした決意の具現化でなければならないと思います。県警を主体とした資金面の遮断をてことした取り組みは、その中の一つの柱でございます。そして忘れてはならないことは、教育を通しての取り組みと考えます。暴力団排除と言えば、県警の取り組みだけがクローズアップされがちですが、むしろ将来にわたる根本的な解決は、教育によるしかないと考えます。  そして、同条例第十四条一項にはこのようにあります。「県は、学校において、その生徒又は学生が暴力団の排除の重要性を認識し、暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないようにするための教育が必要に応じて行われるように適切な措置を講ずるものとする。」また、二項には「青少年の育成に携わる者は、当該青少年が暴力団の排除の重要性を認識し、暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないよう、当該青少年に対し、指導し、助言し、その他適切な措置を講ずるよう努めるものとする。」そして三項には「県は、前項に規定する者に対し、職員の派遣、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。」とあります。次元は多少異なりますが、我が会派の代表質問でも取り上げた防災教育に関し、釜石市での防災教育を受けた中学生が、小学生ばかりでなく周りの大人まで巻き込んで避難し、教わった以上の行動をとり、結果的に多くの命を救いました。教育にははかり知れない力、影響力を持っていることを再認識させられました。子供たちの変化はやがて社会全体に波及することは間違いありません。県として、また県教育委員会として、我が県から暴力団の被害に遭う青少年を一人も出さない、また暴力団に加入する子供を一人もつくらないという決意で取り組んでいただきたいと考えます。  そこで、まず知事にお尋ねします。この条例の施行以降、青少年に対する教育等の措置について、県としてどのような措置、支援が具体的になされたのか、成果はどうだったのか、また今後どう取り組まれるのかお聞きします。  次に、教育長にお聞きします。同じくこの条例施行以降、教育委員会としてどのような取り組みがなされ、成果、また今後どう取り組まれるのかお尋ねします。  二番目に、効果を確認する上からも、子供たちや保護者に対するアンケート調査などにより、子供たちの暴力団に対する意識の変化等をつかむべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。  三番目に、この十四条を適切に運用するということは、究極的には、全人格にわたる学校教育を進めることに尽きると考えます。私自身は、特に未来ある子供たちを社会へ送り出していくという視点から、重要な点は社会的に排除される子供たちをつくらないことだと思います。具体的に言えば、学校からいじめをなくす、発達障害など何らかのハンディを持った子供たちを絶対に切り捨てないという、この二点であると考えております。教育長のお考えを、この二点についての福岡県の現状認識と今後の取り組み方針を含めてお示しください。  三番目に、学力向上策の取り組みについてお尋ねします。茨城県教育委員会では、ことし学力、体力ともに全国トップレベルの福井県に小中学校教員を派遣し、現地の小中学校における教育実践を研究させ、茨城県の学力向上にかかわるリーダーを育成する事業に取り組む。内容は、派遣人員については小中学校三十代教員を各一名、期間は一年、職務内容として、担任外教諭として、教科指導、部活動などの職務に従事する。福井県を選んだ理由は、学力、体力とも全国最上位であること、学習内容の定着を高める良質な宿題を出すとともに、児童生徒には家で宿題を行う習慣が定着しており、有効な家庭学習を行っている、茨城県内の市と福井県内の市が姉妹都市を複数締結している、また歴史的なつながりなどを挙げています。  本県でも取り組む価値は十分あると思います。福井県に限らず成果の上がっている他県の取り組みを学ぶために、制度としてぜひ取り組むべきと考えます。単に学力、体力向上策を上位県に学ぶだけではなく、教育全体の取り組みを体感することに大きな意義があると思います。もちろん福岡県のすぐれている取り組みも再認識でき、福岡県をアピールすることにもつながります。また、派遣を通して、将来にわたる情報交換のつながりもつくれ、お互いの切磋琢磨につながると考えます。まずは教員の意識改革、レベルアップが大切です。教員の資質向上を現場任せにせず、教員派遣を制度として取り入れるべきと考えます。多額の予算を計上する必要もありません。教育長のお考えをお伺いします。  以上です。(拍手) 84 ◯議長(原口 剣生君) 小川知事。 *知事答弁 85 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  指名競争におきます入札参加業者の選定についてのお尋ねでございます。公共工事は、目的物が使用されて初めてその品質が確認できますこと、またその品質が受注者の技術的能力に負うところが極めて大きいこと、それから個別の工事によりまして条件がいろいろ異なる、そういった公共工事は特性があるわけでございます。そういう特性を持っております公共事業について、その品質を確保するためには、指名競争入札におきまして施工実績などにより施工に必要な能力を考慮した上で、入札参加業者を選定しているところでございます。新規参入を希望する企業につきましては、県の今までの受注実績だけではなくて、国や市町村の工事実績も適切に評価をするということで、工事の規模や内容に応じまして入札に参加をしていただいているところでございます。  次に、暴力団排除に関して、青少年に対する教育というお尋ねでございます。暴力団排除につきまして、青少年の教育が極めて大事であります。ここでは知事部局として力を入れております有害図書の関係について御報告を申し上げます。  暴力団排除条例では、青少年を暴力団に加入させない措置を講ずることとされております。青少年が暴力団に対して誤った知識を持って、それに加入をしていくと、そういうことがないようにするために、誤った認識を持たないようにするために、暴力団を賛美する図書を青少年健全育成条例に基づく有害図書として指定いたしまして、青少年への販売制限、また一般図書との区別、陳列の規制を行っているところでございます。これまで三十二件の図書を有害指定しているところでございますが、これからも暴力団を賛美する図書につきましては有害図書として指定いたしまして、青少年を取り巻く有害環境をできるだけ浄化していく、そのように努めていきたいと思います。 86 ◯議長(原口 剣生君) 杉光教育長。 *教育長答弁 87 ◯教育長(杉光 誠君)登壇 まず、暴力団排除条例施行以降の取り組みと、その成果及び今後の取り組み予定についてでございます。現在、すべての中学校、高校を対象といたしまして、暴力団犯罪などに詳しい講師の派遣、県警作成のDVD、リーフレットなどの活用を図りながら暴力団排除に関する学習を行っており、従来に比べ生徒の暴力団の悪質性や危険性に対する認識が高まっております。今後とも、関係機関との連携を深めつつ、今年度から新たに県警から派遣される職員などの活用など各般の取り組みを進め、生徒が暴力団に加入したり、犯罪に巻き込まれたりすることがないよう、指導の強化を図ります。  次に、アンケート調査などの取り組みの効果を確認するための方策についてでございます。各学校におきましても、これまでも生徒に対して暴力団排除に関する講演などの後に感想文を提出させるなど、暴力団を排除する意識の定着状況を把握しているところでございます。今後、生徒を見守るすべての者の意識をさらに高める観点から、関係機関と連携して保護者等への啓発活動を充実させることによりまして、より効果的な暴力団排除に関する教育の実現に努めてまいります。  次に、いじめに関する現状認識と今後の取り組み方針についてでございます。いじめを認知して対応した件数は、ここ数年増減を繰り返しているところでありますが、全国との比較ではおおむね低いものの決して楽観できるものではないと認識をしております。このため、本県ではいじめ問題総合対策に基づき、いじめの未然防止、早期発見、早期対応の取り組みの徹底を進めてきております。今後とも、いじめはどの学校、どの子供にも起こり得るという基本認識のもと、意識の希薄化や取り組みの形骸化を防止する指導、子供の規範意識の育成等に取り組むとともに、本年度からは無記名方式によるアンケート調査の実施を取り入れるなど、早期発見の取り組みの充実に努めてまいります。  また、発達障害など障害のある子供の教育についてでございますが、小中高校では、通常の学級においても発達障害のある子供が在籍していると認識をしております。このため、発達障害を含む特別な支援を必要とする子供一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導及び必要な支援を行う教育を推進しております。具体的には、専門家による巡回相談を実施するとともに、校内委員会の設置、特別支援教育コーディネーターの指名など、学校全体で取り組むための体制整備を行っております。今後とも、発達障害など、障害のある子供の自立や社会参加に向けて、保育所や幼稚園など関係機関などとも連携をし、一貫した継続性のある支援を一層充実させてまいりたいと考えております。  最後に、学力向上のための教員の資質向上についてでございますが、児童生徒の学力向上のためには、教員が常に社会の変化や教育の動向をとらえるとともに、自己の資質、指導力の向上に努めることが何よりも重要であると考えております。このため、本県では国や県内の研修機関に経験や専門性に応じて教員を派遣し、教育に対する情熱、専門家としての確かな力量、人間的魅力を備えた教員の育成に努めておるところでございます。本県といたしましては、今後とも教員の資質及び指導力向上のための研修などを充実させ、児童生徒の学力向上に努めてまいる所存でございます。 88 ◯議長(原口 剣生君) 壹岐和郎君。 89 ◯二十七番(壹岐 和郎君)登壇 どうも御答弁ありがとうございました。  なぜ、私がきょう県警ではなくて、教育長と知事にお聞きしたかというと、条例にありますように、この条例は県民全体が取り組んでいくという決意を文字にしたものだと私は思っています。四月一日、もう一年と少したちます。私も北九州市小倉北区の選挙区ですけれども、住民の方々の反応は、この条例に対しては非常に冷ややかであります、現実は。その現実の中で、今、わざわざ私が問いかけたのは、青少年に対する、これから未来のある青少年に、本当に暴力に対して反対なんだ、暴力がこんなに人間性をゆがめるものなんだということを、しっかりと植えつけていただきたい。またそれは、やっぱり飲酒運転等にもつながるんですが、こういう環境、人間の意識、すべてを変えないと、これは達成できないことだと思います。  ぜひ、知事におかれては、これは物すごく難しいことなので、しかしながら、これを宣言したと、文字にして宣言したということの重さを再度確認していただいて、それを含めて、大変申しわけないんですが、これから本当に子供たちを絶対に暴力団に染まらせないんだ、被害に遭わせないんだという決意を再度求めて、私の一般質問を終わります。  以上です。(拍手) 90 ◯議長(原口 剣生君) 小川知事。 91 ◯知事(小川 洋君)登壇 昨年の四月に、全国に先駆けて暴力団排除条例が、この県で成立したわけでございます。そこでは警察、それから行政、企業、住民、一体となって暴力団の撲滅に向けて立ち上がると、それが基本的な考え方でございます。そのためには、それぞれの立場、それから一人一人の県民がそういう意識、暴力団は許さない、ないしは利用されない、それに入らない、そういう意識が一番大事でございます。そのためにも、青少年、小さい時分から地域社会の一員として、また社会の一員として、そういう意識を持ってもらう、そういう子供が一人でも多く育つように、学校と地域と家庭と相まって、そういった意識の高い子供たちを育てていくということが極めて大事だと思います。なかなか難しい話ですが、地域全体で取り組む、それぞれの意識を高めていくということを基本にしながら、努力をしていきたいと思います。 92 ◯議長(原口 剣生君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 四 時 四十一分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...