• 癩(/)
ツイート シェア
  1. 福岡県議会 2001-06-14
    平成13年6月定例会(第14日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯副議長(大石 正紀君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い、一般質問を行います。順次発言を許可いたします。入江種文君。(拍手) *入江議員質問 2 ◯四十番(入江 種文君)登壇 おはようございます。福岡県政クラブ入江種文でございます。議員並びに執行部の皆さん、連日、早朝から深夜まで大変御苦労様でございます。早速、通告に従い、質問いたします。  まず、福祉のまちづくりの現状と今後の取り組みについてであります。  私たちが描く福祉のまちづくりとは、ハンディキャップがあろうとなかろうと、住みなれた地域や自宅で安心して暮らしたい、住み続けたい、生きがいを持って生活したいという願いを実現することではないでしょうか。そのためにもハード面やソフト面からまちづくりの一つ一つを生活者の視点から点検し、福祉実現、自立支援、そういう観点から改善していかなくてはならないと思うのであります。建物や駅、公園などを利用する際、不自由な障害物、バリアを取り除き、だれもが自分の行きたいところに行ける、利用したい施設を利用できる、参加したい活動に参加できる、そんなまちづくり。このような、だれにとっても優しい町をみんなでつくり上げていくことが、私たちの課題ではないでしょうか。  ところで、昭和五十六年(一九八一年)の国際障害者年取り組みを契機として、完全参加と平等の実現を求める運動が高まってきました。平成五年(九三年)十二月にはそれまでの心身障害者対策基本法障害者基本法へと改正され、アジア・太平洋障害者の十年を経て地域福祉実現に向けた事業が推進されてきました。さらに九四年には、ノーマライゼーションの理念実現を目指しハートビル法が制定され、九五年には障害者プランが発表されました。  そして県においては、ノーマライゼーション七か年戦略として、障害者福祉長期計画の策定に基づく施策が推進されてまいりました。これらを通し、障害者と生活環境に対する理解は社会的にも大きく深まり、病院やデパート、スーパーなどの公共施設では段差を解消するスロープや障害者用トイレ障害者専用駐車場などの整備が進み、障害者を初め高齢者などの行動範囲が広がってきました。まことにうれしいことであります。  県では、九八年四月、障害のある人などを特別視することなく、だれでも普通の生活が送れる社会こそノーマルな社会である、この考えをもとにして、福岡県福祉のまちづくり条例を施行いたしました。この条例に基づき、高齢者や障害者、妊産婦、乳幼児を連れた人などを初めとして、あらゆる人々が日常生活をしていく上でバリアとなるものを取り除き、あらゆる分野にみずからの意思で参加できる、そんな生き生きとした地域社会を築くことを目指したまちづくりを進めてきました。この条例の制定によって、九九年四月からは建築物の新築などの際の事前の届け出制度も始まり、福祉のまちづくりが本格的に具体化してきました。  さらには二〇〇〇年十一月、国では時代の必然として移動制約者と言われる多くの障害者が切望してやまなかった、だれでも利用できる公共交通機関バリアフリー化について、国は高齢者、身体障害者等交通機関を利用した移動の円滑化促進に関する法律、いわゆる交通バリアフリー法を施行することになりました。これによって将来目標が定まり、今後ますます障害者の活動範囲が拡大するものと期待しています。蛇足でありますが、これら一連の法律はいずれも権利規定が欠けています。このことについて昨年二〇〇〇年十月、ワシントンで行われました差別禁止法国際会議で、差別を違法とする視点が欠落していること、さらには努力目標や政策誘導のお題目にしかなっていないことなどが諸外国から指摘を受けました。これらにこたえ、法や条例等を整備することが急務のこととなってきております。  ところで、国土交通省の調査によりますと、四百を超える市町村が交通バリアフリー法に基づく基本構想をつくるという意思を表示しており、交通バリアフリー化に向けた動きは確かなものとなり始めています。この間、バリアフリーユニバーサルデザインといった言葉や考え方はかなり定着してまいりました。しかし、その実態はまだまだ課題山積であります。障害者、とりわけ車いす使用者にとっては、依然として公共交通機関の利用は困難をきわめ、移動手段は専ら自動車に頼っているのが現状であります。むしろ駐車場や障害者用トイレなど、道路関連施設バリアフリー化が現実的な問題となっています。ここで大切なことは、福祉のまちづくりは地域単位で推進し、努力することが基本である、そういうことではないでしょうか。そうした観点から、県は広域的な責任ある自治体として、刻々と変わる情勢を把握しながら柔軟かつ的確に対応し、市町村において制度が円滑に実施されるよう必要な支援を行うとともに、事業者や施設の指定や調整を行うことが任務と考えます。  そうした点を踏まえ、私はこれまでこの議会で要望してきたJR春日駅、クローバープラザ周辺バリアフリーに配慮した施設整備が、昨年度県がリーダーシップを発揮し、関係機関との協定が締結されることに至りました。平成十四年度末の完成を目指して取り組まれ始めたことを大いに歓迎いたします。このことを見るまでもなく、障害者や高齢者などの利用が多い駅の橋上化やエレベーター設置を初めとした改造計画を拠点的に、計画的に着実に進めていくことが重要ではないでしょうか。  そこで、知事にお尋ねします。知事は二十一世紀を展望し、福祉のまちづくりに対する基本的考えと、その実行に向けた決意のほどを、まずお聞かせください。  次に、まちづくり条例整備基準を、時代を先取りした形で改定していくことについてであります。今議会において、知事は農業基本条例に二十一世紀を見通し、前文を入れられました。的確なことだと思います。福祉のまちづくり条例を検討する段階で、私は、基本的人権の尊重とバリアフリーノーマライゼーションなどの基本理念を盛り込むべきだと主張してまいりました。しかし、そのとき執行部の皆さんは、他の条例に及ぼす影響が大きいので御遠慮いただきたいということでした。前文を含め、条例全体を見直し、再検討してもよろしいのではないでしょうか。  また、整備基準では、条例対象建築物などに、福祉型便房──多目的トイレを男女一カ所設置することとありますが、最低でも建物の各階に設置することが重要ではないでしょうか。さらに、条例の趣旨にそぐわない建築物などの苦情を受け付ける機関の設置を行うことなどを検討すべきであります。このような現実を見詰め、条例や整備基準などを修正加筆することについて、知事のお考えと改定の手続きについてどのように考えてあるのか、お伺いします。  さらにまちづくりは県の政策誘導も大切なことであります。しかしながら、住民に最も身近な市町村が独自に条例を制定したり、基本計画を策定することがより重要なことであります。そこで、市町村における策定状況を見てみますと、福岡市が福祉のまちづくり条例を制定し、十市町村が基本計画を策定しているにすぎません。この実態を見ますと、基本計画未策定の市町村への支援を強化すべきと考えますが、知事の見解を求めます。  さらにまた、交通バリアフリー法に関連し、法に基づいて市町村基本構想を宗像郡福間町が全国に先駆けて策定いたしました。関係者の御努力に深く敬意を表するところであります。ところが、ほかのところはまだ策定していません。市町村の中にはスタッフ問題等で策定しにくいところもあるのではないでしょうか。そのような市町村に対する支援について、知事はどのように考えてあるのかお伺いいたします。  さらに高齢者、障害者などが公共交通機関を利用して移動を行うに当たり、駅などの旅客施設やその周辺の道路、信号機などを一体的にバリアフリー化する必要があると思います。このためには、関係機関、関係団体による総合的、一体的な取り組みが必要であると思います。しかし、協議会などの設置状況、こういったものについては、まだまだ不十分のところがございます。そうした意味で協議会などの設置状況と今後の拡充の方針についてお聞かせください。  あわせてこの際、担当部長に条例やバリアフリー法に関する現況や課題についてお伺いします。  まず、福岡県福祉のまちづくり条例が施行されて三年が経過したところでありますが、建築都市部長に条例の施行状況についてお尋ねします。条例に基づく建築物の届け出の件数と整備事業との適合状況はどのようになっているかお聞かせください。
     また企画振興部長に、市町村や公共交通事業者におけるノンステップバスなどのバリアフリー対応の車両の導入状況をお尋ねします。  三点目は土木部長に、県が管理する道路におけるバリアフリー化のこれまでの取り組みと今後の計画についてお尋ねいたします。  最後に、福祉のまちづくりはこうしたハード面の整備はもとよりのことでありますが、何よりも県民の協力と理解、意識啓発が重要ではないでしょうか。長期計画で指摘のとおり、広報活動を推進し、幼児期から保健、福祉教育や体験交流を深め、人権擁護の心をはぐくむことが大事なことであります。そのためにも障害者語り部の組織化など、知事部局、教育委員会相互の連携を今後とも強化され、県民の福祉のまちづくりに対する意識啓発を促進されるよう強く要望しておきます。  次に、ハンセン病対策の実態と普及啓発について質問いたします。  実は、この問題に対する質問を行うことについて悩み、ちゅうちょしていました。それは、ハンセン病への偏見と差別がまだ渦巻く中で、社会復帰した人もその多くが前歴を隠したまま生活してあることを思いますと、私が質問することによって偏見が拡大再生産しては大変申しわけないことだと決断しかねていました。ところが、元患者や家族の皆さん、また現在もパキスタン・ペシャワールの地でハンセン病患者と難民の診療に当たってある福岡出身の中村哲ドクターのもとで、ともに指導や治療に当たってこられた方々から、知ろうとしないことの罰を多くの県民が背負い続けてはならない、だから、目をつぶることにはならないのではないか、と逆に説得されました。また、ハンセン病が忘れられるのを待てばよいという歴史を封印する考えでは、現代社会におけるさまざまな差別をなくしていくことにはならないのではないかと励まされ、質問するに至っております。そこでお伺いします。知事がハンセン病患者に対する謝罪表明をされましたことは適切であったと思います。私も議員の一人として、国や私たちが長年にわたって患者さん方を追い込んだ責めを負う一人として反省しています。  ところで、県の責任を考える上で重要な書類が出されていたことが、今回の調査をきっかけに判明いたしました。すなわち、一九四五年(昭和二十年)、時の福岡県知事が交代する際の引き継ぎ事項の中に、次のように述べてありました。らい予防に関しては、従来特段の注意を払い、目下全国第二位の無らい県──無らい県とは隔離政策の典型でありますが、らい病患者がいないという運動を全国的に進めていたことを示しています──の面目を維持しおれるが、昭和十五年十二月より、翌十六年八月まで展開せられたる無らい県運動を契機として、従来毎月五、六名の新患者の発生を見るも、その都度、熊本県所在の国立らい療養所に収容し、自宅療養の患者は、県下七名という好成績を上げており、しかして、この種の患者の大半は朝鮮人をもって占め、内地人の罹患者は極めて僅少なる実情なり。私は、この資料を読み、愕然といたしました。この現実が、福岡県が謝罪し陳謝しなくてはならない真実であることを、私たち県民はしっかり見なくてはならないと思いました。国が謝罪したから県も同様に一蓮託生で謝罪した、そういうことではないのです。県が行ってきた責任は、この文書を見るまでもなく認識することができます。  長くおつき合いしている元患者と家族の方々に、国では首相から、県では知事から謝罪があったんですがと述べ、率直な感想を伺おうと思いました。それに対し、くしくも皆さんは遅かったと語られました。そしてひとときの沈黙の後、ほとばしるように声が続きました。それは、国家賠償のお金はもらわないよりもらうのがよいかもしれない、しかし、自分たちはお金が欲しくて裁判に訴えたのではありません。自分は一円の賠償金でもよいと思っています。欲しかったのは人間の尊厳です。もっと早かったら社会復帰もできたでしょう。年をとって身内もいない人間はここで野たれ死にと同じになるのです。今痛切に思うことは啓発ですよ。熊本地裁の判決は、国の控訴断念という形で決着しました。これは自分たちの闘いの成果であり、国民世論の勝利でもあると思うのです。しかし、顔や体をテレビで映してもらいたくなかった、という気持ちも今は残っています。熊本であった控訴集会のとき、最初は報道陣もカメラを自分たちには向けてこなかったんです。しかし、二年の闘いの中で患者が変わってきたんだと思います。しかしながら、病に侵された風貌に、世間の人々もびっくりしたのではないでしょうか、何ということかと。遺伝しない、うつらない、治るというけれど、改めてその思いを深めた人もいると思います。差別や偏見は論理と感性の問題でもあるんですよね。みんなの意識は、確かに医学的な理屈はわかったけれど、内心ではいろいろなことを思った人が多いのではないでしょうか。二十一世紀は人権の時代と言っていますが、当事者や身内から見ますと、まだまだいい空気は伝わってはきていません。国民的な特性なのでしょうが、熱しやすく冷めやすいということです。いっときはマスコミの強い影響で言葉に酔いしれてしまうんですが、時間がたつとまた忘れられてしまうのじゃないかと心配です。あなたは予防法撤廃をともに闘ってきてくれたから、こうしてしゃべっているけど、大方の元患者や家族は複雑ですよ。家族を捨て、いや切り捨てられ、出身地を捨て、自分を捨てざるを得なかった人生、その思いの複雑さをわかってください。  ところで、私がハンセン病を意識したのは小学生のころでした。多分に町内を物ごいに来ていた方々を追い回していたのでしょう、そのことを母から叱責されたときのことではなかったでしょうか。そのとき母は、レプラと部落とだけは一緒になったらいかんちゅう言い伝えがあるけどそんなことはおかしかとやけんね、薬やら科学の発達しとらん時世なら別として、今の世の中では治せん病気はなかとやけんね、耳やら鼻やら手の先の崩れたりとれたりした人が来んしゃったっちゃ、病気してあったということだけやけんね、ワイワイ言うて追いかけ回して嫌な思いをさせたらいかんよ、部落というのも、まだわからんと思うが根も葉もないことやからだまされんごと勉強せないかんよ、などと語ったことを思い出します。  ハンセン病についてわかっているはずの私が、二十年ほど前、伝染病、不治の病ゆえに隔離されてきた療養所を初めて訪問し、施設やそこでのしきたりを目の当たりにしたとき、患者さんの前に立ったとき、正直びっくり仰天してしまった自分がありました。論理と感性の分離をこれほど思い知らされたことはありません。そのとき私の胸を打った話の一つです。亡くなった人の遺骨をおさめに京都の本山に参ったときのことです。この写真では大谷光真門主と皆さんは千両役者のような笑顔で写っていますが、この裏では悔しい思いをしたんです。風呂場でやけどを負った人が出ました。本人は痛くもかゆくもない、しかし周囲はただれたやけどを見るに忍びない状況で、症状の軽い私が治療のための薬や包帯を買いに行きました。やけどが本当にひどくて、二度三度と同じ薬局に同じ品物を求めに行きました。店の人の対応は言葉優しいのですが、いかにも警察に通報されては困るという犯罪者扱いの冷たい視線を浴びせられました。治療可能な病院に連れていきたくても行けない理由が、らい予防法のもとで本来は自由に移動できなかったこと、単なる身体障害者という一時許可証を得て旅行していた身であること、事故に遭ったことがわかると多くの人に迷惑がかかること、たとえ病院に行けたとしても診断や治療を拒否されてきたこと、宿泊旅館から締め出しを過去幾度も食らったこと、療養所に収容されている私たちには保険証はないのです。そうしたことですから、病院には行けず、やけどの痛みを感じることもない患者を自分たちで治療せざるを得なかったわけです。さらに、やけど事件が発覚しますと一時許可証が発行されなくなり、皆さんへ迷惑をかけてしまいかねない、そんなこともあり、病院へは行けず、薬屋へ何度も走りこんだわけなんです、と語ってくれました。そして、私たちには療養所への入り口があったとしても療養所から出る出口がないのです。ただ死を黙って待つだけという身なのです、と当時の状況を笑いながら語ってくれました。もちろん私には返す言葉はありませんでした。  一九〇七年(明治四十年)に予防ニ関スル件が制定されて以来、九六年(平成八年)にらい予防法が廃止されるまで九十年続いた隔離政策は、ハンセン病患者を徹底的に隔離し、社会から抹殺するものでしかありませんでした。療養所とは名ばかりの隔離施設では、人間であることさえ否定される厳しいところだったと言われています。かの川端康成は、らい患者というものは、その生前に縁者なく、その死後にも遺族がないとしておくのが、血のつながる人々への恩愛なのだと述べています。これは隔離政策の実態を如実に物語るものとしてかみしめねばならない言葉ではないでしょうか。二十一世紀を生きる私たちは、社会の中にまだまだ根強く残っている偏見、差別を取り除き、帰りたいと思うときにはいつでも故郷に帰れるような、そういう社会づくりが目標ではないかと思います。人間回復だと思います。それだけに、啓発活動に対する研究を重ね、全力を挙げなくてはならないのではないでしょうか。  そこでお尋ねします。知事は、国の隔離政策にかかわってきたことについて、私が今述べたことを踏まえ、どのようにお考えでしょうか。知事自身の言葉でお答えください。  また、県がこれまで取り組んでこられたハンセン病への普及、啓発はどんなことでしょう。患者、元患者、家族、県民に対して行われてきたことをお示しいただきたいと思います。そして、これから具体的に県としてどんなことに取り組まれるのでしょうか、お答えください。  二点目の質問です。らい予防法が廃止された年の六月県議会において私は、開館間近い人権啓発情報センターにかかわる質問を行いました。その中で、ハンセン病問題についても理解と認識を深め、真に差別を許さない社会を築いていかなくてはならないと強く訴えました。これに対し、前向きな答弁をいただき、頼もしくすばらしい人権感覚を持たれた知事であることを嬉しく思ったことを覚えています。そこで、人権啓発情報センターにおけるらい予防法廃止以降の啓発活動を含め、その取り組み実態についてお示しください。  さて、啓発で重要なことは何よりも正しい理解と行動ではないかと思います。今もパキスタンのペシャワールで治療に当たってこられた方々が、異口同音、次のように述べられました。一番初めに行ったときは、握手ができませんでした。看護婦として三十年近く勤めてきた私が手を出せなかったのです。ほおずりをしてこられたのですが、こわばっていた自分がありました。しかし、傷口を洗ったり、手袋なしで治療できるようになったとき、患者さんも私も本当にわかり合えるようになったように思います。しょせん、人間として信頼関係を深めることが第一ではないでしょうか。だから、繰り返し触れ合いを深めることが忘れられてはいけないように思います、こうおっしゃいました。  そこで、三点目のお尋ねです。現在、中村哲ドクターを初めとして県民がハンセン病治療のためパキスタンなど諸外国で取り組んでおられることについて、十分なる紹介がなされていないように思うのであります。彼らの献身的、人道的活動をもっと前面に取り上げ、啓発していくべきではないでしょうか。それらに立って、私は次のような取り組みを本県として行うことを提案したいと思いますが、知事の御所見をお伺いします。  一つは、元患者さんには高齢化の実態があります。それだけに皆さんが持ってある資料や記録、記憶の散逸のおそれもありますから、元患者や家族などの体験を聞き書きしたり、資料を収集することなどを急いではどうでしょうか。  もう一つは、講演会、シンポジウム、写真展など、正しく理解する催しを県内の各ブロックで行ってはどうでしょうか。  さらに、県民が皆さんの理解と協力を得て、療養所での福祉活動や看護体験の実践を行う中で、入所者との語り合いなどを深めてはどうでしょうか、知事の御見解を求めます。  ところで四点目でありますが、ハンセン病に対する正しい認識と実践力を培うには、学校教育との連携が最も大切にされなくてはならないことと思います。私の調査では、既に東京が小学校高学年の人権学習の一つとしてハンセン病を取り上げ、指導事例を作成しています。県においても県教委との連携を進めていかなくてはならないと思いますが、どのように考えられ、取り組まれるのでしょうか、お伺いします。  最後に、九州の一角から起こりましたハンセン病国家賠償法問題、人間の歴史の相は書く者や見る者の立っている視点によって異なってきますし、一様ではありません。ハンセン病の歴史は国家的に見てみますと、悲しいことですが民族浄化という道をたどりました。行政的に見ますと、公衆衛生の勝利であるとの見方もあります。しかし、患者や家族から見てみますと悲哀と屈辱の足跡でしかありません。それだけに、私は地域交流や訪問活動などを広め、深めていくことによって入所者も多くの県民もともに目を細め、ほほ笑むことができる新しい波のうねりができていくものと確信しています。小さな一歩を踏み出すことから、ハンセン病に対する正しい認識と実践力を身につけてまいりたいと願います。  以上、福祉のまちづくりハンセン病問題についての質問を終わります。知事並びに関係部長の適切な御回答をお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。  まことに御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯副議長(大石 正紀君) 麻生知事。 *知事答弁 4 ◯知事(麻生 渡君)登壇 まず、福祉のまちづくりの問題についてでございます。ノーマライゼーションバリアフリーの理念を踏まえまして高齢者の皆さん、障害者の皆さんを初め、すべての県民の方々が安全かつ快適な生活を送ることができる地域、社会を築くために、ハード、ソフト両面にわたりまして福祉のまちづくりを推進をしているわけでございます。極めて重要な政策であるというふうに考えております。今後さらに福祉のまちづくりについての普及、啓発によりまして、県民の皆さん、事業者の皆さんの意識の改革、高揚を図りますとともに、すべての県民の皆さんが利用しやすい施設の整備、改善を促進することによりまして人に優しい福祉のまちづくりを積極的に推進をしてまいる決意でございます。  福祉のまちづくりの条例などの問題についてでございます。福祉のまちづくりが本県で施行された後に交通バリアフリー法が新たに制定、施行されました。また、ハートビル法も見直しをするという動きにあるわけでございます。このようなことから、現在これらの国の方の法令と条例とのあり方について検討を進めているところでございます。その検討に当たりましては、今後の社会情勢の変化などを踏まえまして、福岡県の福祉のまちづくり協議会、高齢者、障害者などの団体の意見も聞きながら対応してまいりたいと考えております。  市町村段階におきます計画づくりの問題についてでございます。県におきましては、市町村におきまして福祉のまちづくり基本計画の策定が促進されますように、福祉のまちづくり支援事業に取り組んでおります。今後さらにこの事業を活用しながら、より多くの市町村におきまして計画の策定がなされますように、説明会の開催、ヒヤリングなどを行いまして、助言、指導に努めてまいりたいと考えております。  次に、交通バリアフリー法に基づきます市町村の基本構想策定についてでございます。市町村の基本構想の策定に当たりましては、県の方といたしましては先行事例などに関します情報の提供、さらに道路管理、都市計画などの観点から、公安委員会と連携をいたしまして、交通安全面からの助言などを行っておるわけでございます。今後も市町村の基本構想の策定が円滑に進みますように、支援をしてまいる考えでございます。  次に、交通バリアにつきましての協議会などの設置状況あるいは今後の方針についてでございます。県の方におきましては、有識者、交通事業者、障害者団体などで構成をいたしております福岡県の福祉のまちづくり協議会、さらに庁内組織として機能いたしております福祉のまちづくり推進会を設けまして、まちづくりの総合的、また一体的な推進に取り組んでいるわけでございます。交通バリアフリー法に基づきます関連施策の実施、推進につきましても、このような協議会などを活用してまいりまして、幅広く検討してまいりたいと考えている次第でございます。  ハンセン病患者の皆さんに対する知事としての考えでございますけれども、これは県といたしまして、御質問の中にもありましたように、国の隔離政策に深くかかわってきたわけでございます。この事実を重く受けとめております。そしてこの点につきまして、深く反省をいたしておるところでございます。これまで、どのような具体的な取り組みをしたかという御質問でございますが、これはポスターの掲示、パネル展示、ラジオ放送などによりまして県民の皆さんへの啓発、また、療養所に入所されております皆さんに対しましては、慰問あるいは里帰り事業などを実施をしてまいってきたわけでございます。今後についてでございますが、ハンセン病補償法の運用状況を見きわめながら、県といたしまして何ができるか考えてまいりたいと思っております。  人権啓発センターにおきますハンセン病につきましての啓発活動についてでございます。人権啓発情報センターにおきましては、開館以来ハンセン病をテーマといたしました人権啓発ラジオ番組の放送、特別の展示事業といたしましてハンセン病展を開催するなどいたしまして、ハンセン病に対します県民の皆さんの正しい理解の促進に取り組んでまいっております。本年度につきましても、人権啓発ラジオ番組の放送とともに、元患者の方を講師として招きまして、啓発研修会を開催をすることといたしております。さらに、今後とも差別、偏見のない人権尊重の社会づくりのために、人権啓発情報センターにおきまして、啓発活動の拡充に努めてまいりたいと考えております。  ハンセン病に関します資料などの収集についてでございます。ハンセン病の歴史を記録にきちんととどめ、また正しい知識の普及に努めますことなどは、ハンセン病の患者の皆さん、元患者の皆さんに対する差別と偏見をなくしていく上で重要なことであるというふうに認識をいたしております。このため県といたしましては、関係機関と連携をいたしまして効果的な普及啓発に一層努めていくことはもとよりでございますが、里帰り事業などの交流事業の実施などによりまして、ハンセン病に対する県民の理解がより深まりますように対応をしてまいる考えでございます。  また、この活動に当たりましての県教育委員会との連携、協力についてでございますが、ハンセン病の正しい知識を持ちますためには、子供のころからの教育が重要であるというふうに思っております。したがいまして、ハンセン病などの学習を通じまして子供自身が差別、偏見の問題に気づき、人権の大切さを理解できますように県教育委員会とも十分連携を図りながら普及啓発に努めていきたいと考えております。 5 ◯副議長(大石 正紀君) 松本企画振興部長。 *企画振興部長答弁 6 ◯企画振興部長(松本 嶺男君)登壇 お答えいたします。  市町村の公共交通事業者へのバリアフリー対応の車両の導入状況でございますけれども、市町村については、現在県が把握しているものでも二十六市町あり、高齢者や身体障害者等に対する病院への送迎サービス等が行われております。また、バス事業者につきましては、西日本鉄道では二百四十三台、北九州市営バスで三十六台、甘木観光バス、それに昭和バスでもバリアフリー対応のバスが導入されております。 7 ◯副議長(大石 正紀君) 熊谷土木部長。 *土木部長答弁 8 ◯土木部長(熊谷 恒一郎君)登壇 福岡県が管理する道路のバリアフリー化についてお答えいたします。歩行者の安全かつ円滑な通行を確保するという観点から、従来から道路の整備に合わせまして歩道の段差解消や視覚障害者の誘導ブロックなどの設置を行ってまいりましたが、平成十年の福祉のまちづくり条例の施行を契機としまして、より積極的に歩道のバリアフリー化に取り組んでおります。特に本年度からは、人にやさしい歩行空間整備事業を創設しまして、駅周辺、福祉施設、また役場等の主要施設を中心に面的な整備を重点的に進めることとしております。今後、これらの事業を実施するに当たりましては、交通バリアフリー法やまたそれぞれの市町村の福祉のまちづくり計画などを考慮して、また高齢者や障害者の意見も聞きながら、市町村や各関係機関と一体となって整備を進めてまいります。 9 ◯副議長(大石 正紀君) 沼生建築都市部長。 *建築都市部長答弁 10 ◯建築都市部長(沼生 哲男君)登壇 福祉のまちづくり条例に基づく届け出件数と整備基準との適合状況についてお答えいたします。まちづくり施設のうち、建築物の新築等に係る届け出の件数は、平成十一年度四百十七件、平成十二年度四百三十件となっております。届けられた建築物の中には敷地が狭く基準に合ったスロープの設置ができないなど整備基準の一部を満たすことが困難な場合があります。このような場合におきましても、できる限り基準に近づけることや代替措置を講ずることの指導を行っているところであります。今後ともこの届け出制度を活用し、建築物のバリアフリー化が促進されるよう建築主や設計者に対して積極的に指導してまいりたいと考えております。 11 ◯副議長(大石 正紀君) 新開昌彦君。(拍手) *新開議員質問 12 ◯三番(新開 昌彦君)登壇 おはようございます。私は、公明党・新風の新開昌彦であります。通告に従いまして、一般質問を行います。  現代の子供社会は、個人の主張が優先され、人を思いやる心が薄らぎ、考えられないような事件を引き起こし、異星人などと呼ばれております。しかし、ある識者はそれは子供に対する責任転嫁であり、原因をつくったのは大人の責任であると喝破されております。子供は、社会を映し出す鏡、大人こそが変わらなければなりません。また、大人社会もこのままでいけない、何とかしなければならないと模索しているのだと思います。私は、青少年の育成は大人の責任として真剣に取り組まなければならないと強く感じております。その対策として、新しい取り組みであるブックスタート運動と読書運動の二点を今回の質問に取り上げました。  私は、ことしの初め、乳児を抱えるお母さんたちの集まりに参加をいたしました。お母さんたちは、子供たちの将来について大変不安を抱いております。いじめ、不登校、学級崩壊、少年犯罪の低年齢化、凶悪化、さらに児童虐待も昨年、全国で一万八千八百件、福岡県では千八十九件を超える相談があっております。我が子が小学校、中学校へ通うようになったとき学校はどうなっているんだろう、明るい希望が持てない、今から何とかしないと間に合わない、そのための活動なら時間も労力も惜しまない、と若いお母さんたちのまなざしは真剣でした。また、お母さんたちは二〇〇〇年から子ども読書年が開始され、全国で読み聞かせ運動や小中学校で読書運動が始められていることに大変興味を持たれていました。たった十分間の読書が、三年間続けると児童生徒にそして学校現場に革命的変化が見られるようになると言われているからであります。このことに一筋の希望を持っています、と言うのであります。このお母さんたちは本に着目し、自主的に我が子に絵本の読み聞かせをするようになりました。子供は敏感に反応します。本を読むときのお母さんは優しくなる、優しくなるから子供は本を読んでくれとせがむようになる、変わったのは子供だけではなく、親も変わりました、本を子供に読むことを続けていくと、子供の話を聞くときに子供の目線におりて話を聞くようになった、テレビを見ながら授乳していたが、授乳の際、赤ちゃんの目を見ながら語りかけるようになった、母親が変わると父親もまた変わります、たまには子供に本を読んでくれるようになった、と語ってくれました。これはまさに親の意識革命ではないでしょうか。そして、そのお母さんたちからブックスタート運動というのがあることをお聞きしました。  私は、早速調べてみました。ブックスタート運動は、一九九二年からイギリスのバーミンガムで始められた運動であります。その運動は、健診時に読み聞かせの説明とともに、絵本を直接手渡すことで赤ちゃんと保護者が楽しい時間を分かち合うことを応援する運動であります。現在では、イギリス全土の九二%の自治体で採用されるに至っており、その効果が研究機関によって発表されております。それによりますと、ブックスタートパックを受け取った家庭をブックスタートファミリーと呼びます。その家庭では、子供との楽しい時間の過ごし方として読書を選ぶ人が多く、図書館をよく利用する、また子供のプレゼントに本が贈られることや親が子供に語りかけ、子供が頻繁に質問するようになるなど、良好な家庭環境がはぐくまれていることが報告されております。日本では、母子環境の改善策の一つとして、ブックスタート事業を子どもの読書年推進会議が主体となり、杉並区を選定し、四カ月健診時に図書館の職員が保健所に出向き、保健婦とともに赤ちゃんと本のひとときを持つことの大切さを説明しております。その際に、ブックスタートパック──赤ちゃんの絵本、赤ちゃんと本のひとときを持つ際のアドバイス集、絵本のリスト、地域の図書館や公共サービスに関する情報──を手渡す事業が始められております。我が福岡県でもことし四月から遠賀郡水巻町、朝倉郡朝倉町でこのブックスタート事業が実施されております。大変な反響で、全国から問い合わせが相次いでおり、私も先日水巻町を訪問し図書館で説明を受け、苦労話もお聞きいたしました。──これが水巻町で配られているブックスタートパックでありまして、拝借をしてまいりました。一応御紹介したいと思いますが、四点あります。これは、布の絵本であります。それから、これが「いないいないばあ」というベストセラーの絵本であります。これがもう一つ、水巻町の図書館でどんな絵本が借りられるかという御紹介であります。もう一つ、ここにアンケート調査がありまして、これを書いていただくということになっております。こういったものが配られております。ブックスタート運動は、最近はテレビ報道でもその効用を取り上げました。新聞紙上でも特集を組むなどにわかに注目を浴びております。我が会派も二月議会において代表質問、予算特別委員会で取り上げましたところ、知事、教育長から大変前向きな答弁をいただきました。その後、福岡県内で大きな展開になろうとしているのであります。私がお話を聞いたお母さんたちは、母と子の笑顔輝くヤングママの会という会を立ち上げ、ブックスタート・読み聞かせに関するアンケートを実施いたしました。ところが、その反響はとどまるところを知らず、図書館、幼稚園、保育園、ボランティアの方たちが積極的にアンケートに協力してくださり、あっという間に七万四千五百七十四人の方たちの回答が寄せられました。アンケート実施期間に三十会場で読み聞かせの講演会を開くと、延べ千八百人の参加者があり、大変好評を博したようであります。それだけお母さんたちは読み聞かせに対する意識は高いのであります。裏返せば、子供の将来に対しては大変不安を感じているんだと思います。このアンケートは、福岡都市圏が半数を超えるものの、全県を網羅されております。彼女たちはそれを分析し、各市町村長に対してブックスタート実施の要望活動を行いました。その数は、県下のほとんどの自治体、七十三市町村に行われました。要望書を受けた市町村は、大変興味深く受け取ったようであります。そのあらわれとして、東京にあるブックスタート支援センター室に、福岡県の市町村から問い合わせが相次いでいるのであります。麻生知事には、五月二十一日に調査結果をもとに要望をいたしました。  そのアンケート結果の主なものを紹介いたしますと、読み聞かせが子供の豊かな心をはぐくむ、との回答が九三%、現代社会の子供を取り巻く問題に読み聞かせが何らかの役割を果たす、とした回答が八二%と、読み聞かせ活動への期待が大変高い数値を示しております。しかし、毎日読み聞かせをしている親子は一二%で、読み聞かせの大切さを学ぶ場がないとした回答は四三%、良書の情報を知るチャンスがないとの回答は五三%にも上っております。最後に、八四%もの母親がこのブックスタート事業を取り組んでほしいと回答されております。  ここで、知事及び各市町村長へ出された要望の内容を紹介いたしますと、  一、市町村が実施する最初の月齢健診時を活用してブックスタートパックのプレゼント事業の普及を図ること──ブックスタートパックの内容は一、赤ちゃん向けの絵本、二、お勧め絵本リスト等の図書のアドバイス集、三、赤ちゃんの図書館貸し出し登録用紙  一、市町村が実施する最初の月齢健診時での読書ボランティアによる母親対象の読み聞かせ講座の実施を推進すること  一、出版会社などに呼びかけ、ブックスタート基金を設立すること  一、県内全域どこで借りても、どこでも返せる図書利用システムの実施をすること、であります。  知事は、このアンケート調査の結果とアンビシャスの一〇〇人委員会の答申がある部分で共通していたこともあり、心の教育は小さいときから始めなければならないとして、大変喜んでおられました。また、どのように具体的に実現できるか早速検討していきたい、とまで回答されました。私は、ブックスタート事業を開始するには、四つの要素が必要不可欠と考えております。それは第一に、資金面を含めた支援、第二にブックスタートの啓蒙、第三に読書ボランティアの育成、第四に図書館の図書の融通性が必要であると考えております。  そこで知事に伺います。ブックスタートを積極的に取り組むためには、まず第一のブックスタートの資金面を含めた支援について伺います。  県内の自治体では、ヤングママの会が行った要望活動以降、ブックスタートを取り組もうとする市町村はふえるようであります。県内の出生数は、昨年の統計で四万七千二百九十一人です。水巻町で七カ月健診時に配られるブックスタートパックは、二千四百円程度であります。また、福岡県がアンビシャス事業の一環として取り組む乳幼児育児支援事業の内容は、一歳半、三歳、就学前の健診時を利用しての福岡県版のブックスタートだと私は高く評価しております。その事業とは、どのように実施されるのか伺います。健診時における読書ボランティアによる読み聞かせの実施が必要不可欠なのでありますが、事業の推進とあわせてお答えください。  県は、水巻町や朝倉町のように、月齢健診で行われるブックスタート事業を行う自治体に対して、資金面を含めてどのような支援を行うことができるのでしょうか、お答えください。  次に、第二、第三、第四の要素について、教育長にお伺いいたします。  第二のブックスタートの意識啓蒙でありますが、今後、ブックスタートを始める自治体が事業を成功させるためには、きちんとした共通認識を持ってもらうことが必要だと思いますが、具体的に対策をお考えでしょうか。  次に、ブックスタートを実施するに当たっては、県立図書館を初め、県内の五十三市町村にある公立図書館が重要な役割を果たす必要があると思います。読み聞かせができるボランティアの活動拠点は、図書館を初めとしてさまざまであります。市町村がスムーズにこの事業に取り組むためには、読書ボランティアの把握とボランティアを活用する団体やグループの要望に即応できるコーディネーターが必要だと思います。そこで、第三の読書ボランティアの養成とコーディネーターの育成について、どのようにお考えかお伺いいたします。  次に、図書館の貸し出しの自由化についてであります。ある図書館は、周辺の自治体の住民からも閲覧利用されているのでありますが、図書館がある自治体の住民以外は本を借りることができないのが実情であります。ことしから福岡都市圏の二十の自治体では、図書を自由に借りることができるようになっております。私は、県内の図書館全体でこのような取り組みをするべきだと思います。絵本は高額なものも多く、ぜひ第四の要素の図書館の貸し出しの自由化を全県下で実施できるよう推進していただきたいと思います。教育長の答弁を求めます。  次に、二〇〇〇年から全国の小中学校で取り組まれている読書運動についてお伺いいたします。読書運動は、県下全域でも取り組まれていますが、私は十分間読書運動について質問いたします。この運動は、今までの教師が教えるという教育とは異なり、みずから学ぶということに主眼を置いた運動であります。児童生徒の動機性を重視し、四つのテーマを持っております。一、好きな本を、二、毎日十分間、三、みんなで、四、ただ読むだけ、であります。児童生徒が好きな本を選択する、これが動機性であります。毎日十分ですが、年間で四十時間になります。みんなで一斉に読むことで児童生徒に本の話題が生まれます。さらに、ただ読むだけですから、感想文などを書かせない、教える教育から学ぶ教育となる、というものであります。なぜ全国で実施することになったのか、理由は簡単です。三年間実施した学校が変わったからであります。どう変わったのか。いじめがなくなった、登校拒否がなくなった、心の教育になった、国語の点数がよくなった、読解力が上がった、等々であります。私が着目しているのは、たった十分の読書を継続することが、いじめや登校拒否、学級崩壊をなくすことができるという事実であります。福岡県内の小中学校の実施状況はどうでしょうか。二月議会では、八〇%が実施しているという報告になっておりますが、さきに述べました動機性を重視するという根本のところが抜け落ちた学校があります。または、継続性に欠けた学校もあります。再度点検をすべきではないでしょうか。この運動は、全くお金がかかりません。しかし、継続しなければ効果がありません。継続すれば、多大な効果が上がるはずであります。今日までいじめ、登校拒否、学級崩壊などの問題が起こるたびに対症療法を学校は行っていますが、このような対応では学校現場はなかなか変わらないではないでしょうか。この運動は難しい技術は必要としません。手間がかかるものでもありません。ただ続けることで大きな教育効果を上げることができるのであります。  そこで、県教委として四つのテーマを重視した読書運動を県内の全小中学校で実施するよう、再度徹底すべきだと思いますがいかがお考えでしょうか、お答えください。  以上で私の第一回目の質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) 13 ◯副議長(大石 正紀君) 麻生知事。 *知事答弁 14 ◯知事(麻生 渡君)登壇 乳幼児期の育児の支援の問題といわゆる読書の重要性についてでございます。乳幼児期の育児の支援事業につきましては、青少年アンビシャス運動の一環といたしまして、十三年度から子供の発展段階に応じました親としてのいろんなかかわり方はどうあるべきか、またブックスタートの意義などを盛り込みました冊子を作成をいたします。そして、市町村が実施をいたしております一歳半の健診、三歳児の健診、就学前の健診の際に保護者にこれを配布することによりましてこの重要性を訴えてまいりたいと考えております。また、健診時におきます読書ボランティアの活用につきましても、市町村に対しまして働きかけを行ってまいりたいと考えております。  ブックスタート事業を行います自治体に対する支援の問題についてでございます。市町村に対します支援につきましては、乳幼児育児支援事業におきまして市町村の保健婦の皆さんなどを対象といたします研修会の中で、親と子供の関係、かかわり方、ブックスタートについて助言、指導を行うことといたします。また、教育委員会と連携をしながら、読書ボランティアや他の市町村の実施状況などにつきましての情報提供を行ってまいりたいと考えております。 15 ◯副議長(大石 正紀君) 光安教育長。 *教育長答弁 16 ◯教育長(光安 常喜君)登壇 ブックスタート運動についてでございます。この運動は、親と子の心をつなぐ大変意義のある取り組みでございまして、教育委員会といたしましても各種の研修会等を通じましてこの運動の趣旨の徹底を図っておるところでございます。この七月には東京のブックスタート支援センターの職員を招きまして、市町村の職員や図書館司書等を対象にいたしました説明会を予定をいたしております。  読書ボランティアやコーディネーターの養成につきましては、現在県立図書館におきまして専門講座を実施をいたしておりまして、指導者の養成に努めておるところでございます。今後、市町村等と連携をいたしまして、この講座の受講者やボランティアのリーダーの方々がコーディネーターとして地域で活躍できますように、講座の内容の充実を図りますとともに、日常的な身近なところで活動ができます場の拡充に努めてまいる考えであります。  次に、図書館の資料の貸し出しの自由化についてでございます。現在、公共図書館相互で図書の貸し出しができますシステムの整備を図りまして、県民の方々への利用サービスの向上に取り組んでいるところでございます。特に、住民の方々が居住地外の市町村の図書館で直接図書が借りられるような広域的な利用につきまして、現在福岡都市圏、久留米広域圏などで主体的な取り組みが行われておりますので、このような取り組みが県下に広がりますようにさらに啓発を続けてまいりたいと考えております。  学校におきます読書運動についてでございます。この運動につきましては、昨年度から読書活動推進構想というのを立てまして、読書活動を進めるための具体的な方法等を示しました手引書を作成、配布いたしますとともに、県下の公立図書館や読書ボランティア等の協力を得ながら各学校の取り組みを促進をいたしておるところでございます。本年度からは、青少年アンビシャス運動の中でもこの読書活動の推進が提唱をされておるところでございまして、研修会等でこの手引を活用しながら学校の取り組みの充実を図っておるところでございます。  本年五月に行いました調査によりますと、約九割の学校でこうした読書活動が実施されておりまして、全体の約六割が日常的、継続的な活動に取り組んでおります。御指摘もありましたように、児童生徒の読書意欲が高まり、情操面での効果や学校全体の落ち着きが出てきたといった調査結果を得ているところでございます。今後、このような調査の結果を分析をいたしまして、広く県下の学校の参考に供しまして、御指摘の四つのテーマを踏まえながら、各学校の実情に応じた日常的な、継続的な活動が行われますようにさらに働きかけを強めてまいる考えであります。 17 ◯副議長(大石 正紀君) 新開昌彦君。 18 ◯三番(新開 昌彦君)登壇 御答弁、大変ありがとうございました。再質問させていただきます。  図書貸し出しの自由化について、再質問させていただきます。教育長は、各市町村に啓発をするという大変前向きな回答をいただきました。大変感謝をいたします。しかし私は、都市圏だけでなく県下全域で自由化すべきだと思うのであります。ヤングママの会のお母さんから、こんな話をお聞きいたしました。この運動を始めてから、生まれて初めて図書館の利用カードをつくったそうであります。ところが、隣町の友だちのところに行き、読み聞かせは大事なのよと言って友人を誘い、その町の図書館で一緒に絵本を借りようとしたのであります。友だちは当然借りられたわけでありますが、そのお母さんは住民ではないため本を借りることができませんでした、というのであります。このお母さんのショックははかり知れないものがあります。  知事に伺います。公立の図書館は、県下で五十三の自治体にしかありません。図書館がある自治体の住民しか借りられないのであれば、それは住民サービスの公平さから言えば不公平ではありませんか。都市圏といえども垣根があり、不公平は生じます。これから、図書館がない自治体に図書館をつくるというのは大変難しいのではないのでしょうか。それよりも、県下全域で図書貸し出しの自由化を推進すべきだと思います。アンビシャス構想を発想した政治家麻生渡知事にお聞きしたいと思います。御答弁よろしくお願いいたします。 19 ◯副議長(大石 正紀君) 麻生知事。 20 ◯知事(麻生 渡君)登壇 県内の多くの市町村がそれぞれ図書館を持っているわけであります。そして、これらの図書館は基本的にはそれぞれの市町村の住民の皆さんに対する図書サービスをするということで活動をしているわけでございます。ただ御指摘がございましたように、そのような市町村の地域を超えてそれぞれ必要な図書を利用したいということは、県民の皆さんが図書館がさらに使いよいものになっていくという点、それからまたせっかく購入した図書ができるだけ使われるという点から見ましても大切な点であろうと思っております。ブックスタートの運動との関係ももちろんあるわけでございますが、さらに広く県民の皆さんがいろんな形で読書に親しんでいただくという意味でもこの自由化という問題は、一つの点であろうと思っております。これはどこまでも市町村の図書館の運営のあり方でございますものですから、市町村の方にこのような点につきましてどのように考えるか、研究をするように促していきたいと考えております。 21 ◯副議長(大石 正紀君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時二十分といたします。           午 後 零 時  十二分  休 憩           午 後 一 時 二十一分  再 開 22 ◯議長(藏内 勇夫君) 再開いたします。  休憩前に引き続き、一般質問を行います。順次発言を許可いたします。内田壮平君。(拍手) *内田議員質問 23 ◯五十三番(内田 壮平君)登壇 皆様、こんにちは。自民党の内田壮平であります。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  今回は、大阪府下における小学生児童殺傷事件につきましてお尋ねいたします。  事件当時の状況につきましては、皆様既に御承知のこととは存じますが、去る六月八日、午前十時十五分ごろ、大阪教育大学附属池田小学校に包丁を持った男性容疑者が、当時休み時間であった学校の校舎一階、二年南組教室のテラスのドアから侵入し、いすに座っていた児童に突然襲いかかり、次々と刺し、さらに逃げ出した児童を追いかけて背中等を刺しながら、同じ一階の二年西組、同東組、一年南組に次々と乱入したのであります。同容疑者は最後に侵入した一年南組で担任の教諭ら二人が取り押さえ、通報により駆けつけた池田警察署員に十時二十五分に殺人未遂及び銃刀法違反容疑の現行犯で逮捕されたのであります。  被害状況は、死亡児童八名、負傷児童十二名、負傷教諭三名という大惨事となってしまいました。死傷された児童の御家族の悲しみはいかばかりかと察せられ、また学校関係者の悲嘆、怒りを考えたとき、しばし言葉を失うばかりで、とうとい命を犠牲にした八名の小さなみたまの安らかならんことをただただ祈るばかりであります。  今回の池田小学校の痛ましい事件を今後の教訓とするためには、県、教育委員会、学校現場、父兄、地域、教育関係者が心を一つにして再発防止策を真剣に考え、実行に移すことが亡くなった児童たちのみたまに報いる唯一最大の償いではないかと考えます。確かに知事は、知事部局、教育委員会、県警の関係者でつくる連絡会議に安全確保対策を指示されました。県教委も各市町村教委に対しまして、幼児、児童生徒の安全確保に関する協議組織の設置についての依頼を六月二十二日付で出しております。その中で安全確保の具体的取り組みの例を提示しておりますが、あくまでも学校側の対応にゆだねているのが現状で、今回の事件の重大性からかんがみ、十分とは思えません。県として、教育委員会として、不退転の決意で県民運動としての取り組みをしなければ、今回のような事件の再発防止はできないのではないかと考え、提言並びに質問をさせていただく次第であります。  私は、文教委員会に長く在籍いたしましたし、議会活動の中でも教育は最大のテーマでもあり、教育者として子供たちに接する機会も多く、よく地元の小学校にも足を運びます。そして、ちょうど事件発生の一カ月前、地元の小学校にアメリカ人の家内とともに、三年生の四学級に福岡市教委からの依頼による英語のパイロット授業を実施するために訪れました。家内の方が、市教委と小学校の依頼により、一年間、三年生四クラスに週に一回、国際理解教育の一環として英語授業を実施することになっており、事前打ち合わせにも何回となく小学校を訪れました。まず一番感じたことは、外部からの訪問者に対して無防備過ぎるということでした。出入り口は必ず幾つかあり、教師、来客用の本部出入り口のほかに、生徒用の出入り口も数カ所あり、本部出入り口で訪問の趣旨を尋ねられたこともなく、こちらから用向きの教室を訪ねていくという状況でありました。事件発生後、家内は本部から遠い英語専用教室での授業を大変心配しており、もちろん担任教師はついておりますが、何らかの改善を訴えております。  そこで、私は家内を通じてアメリカの小学校での安全確保の状況を調べることによって、次のような取り組みがわかりました。アメリカでは、出入り口は一カ所に統一されており、他のドアは閉まっており、外からは侵入することができず、緊急脱出用のため、内側から押せば脱出できるようになっております。また、各教室ごとに赤電話が設置をされており、緊急時には、受話器をとれば本部につながるようになっております。まだほかにもありますが、今回の事件を教訓といたすならば、まず出入り口の安全確保を改善すべきという結論に達しました。例えば、本部出入り口の入ったところに机を設置し、受付を必ず一人つけ、来訪者には記帳をしていただき、万が一、緊急事態発生の場合には、アメリカのような消音非常ベルで本部に緊急連絡できるようなシステム等も必要ではないかと考えます。受付につきましては、学校、教諭、事務員、PTA、地域のボランティア等にお願いすべく、そのことについて学校とPTAと地域がよく話し合いをするべきだと考えます。それが真の具体的目的意識を持った地域協議になるのではないでしょうか。  さて、地域に開かれた学校づくりとはどういう意味でしょうか。ドアがすべて開いていれば開かれた学校と言えるのでしょうか。物理的に開かれた学校づくりから、精神的に開かれた心の地域交流のできる学校づくりが必要なときではないでしょうか。地域や外国の方々、ボランティアの方々を心から受け入れる学校のカリキュラムや体制づくりをすることによって、物理的だけではなく、心の開かれた学校が実現し、真に地域に開かれた安全な学校づくりができ得るものと考えます。  また、新聞報道によりますと、八人の児童の遺族に見舞金として二千五百万円がそれぞれ支払われ、負傷した十三人にも治療費の自己負担相当額等が支払われるそうであります。遺族にとりまして、見舞金が支払われたからといって我が子が戻ってくるわけではなく、やるせない気持ちではないでしょうか。なぜ事件が起こる前に必要な予算を投入して十分な安全対策が講じられなかったのか、こういう記事を目にするたびに、いつもいたたまれない気持ちになるのは私一人でありましょうか。  また、臨時休校の池田小学校では、心のケアとして遠足の実施をするそうですが、その記事の中で、保護者が事件のあった六月八日を子供を守る日にしてほしいと要望したそうですが、けだし当然、深く感銘をいたした次第であります。子供のとうとい命を奪った犯人はもちろん許すことはできない。しかし、子供の命はもう戻ってこない。子供たちの短い生涯に何か意義を見つけたいという親の必死な思いでの発言ではないかと考えます。国民が、国が、県が、教育委員会がその日を忘れないでほしいという切実な願いではないでしょうか。私は、国なり県なり教育委員会なりがこの事件を教訓として、何か新しい法なり制度なりやり方を採用して実行に移したときに、児童たちの短い生涯に意味を持つことができるのではないかと考えます。ぜひとも県として、教育委員会として、他人任せではなく、何かを始めようではありませんか。  私は、まずできることから始めるべきだと考え、アメリカの制度も取り入れた学校の出入り口の現状の改善策を提言として訴えました。また、参考のために、私立学校における安全管理の状況についても調べました。受付簿等で外来者の出入りを確認をしている、五四%、登下校時以外学校の門を閉めたり、部外者立入禁止表示がある、四〇%、警備員の配置、警備会社による警備等をしている、八六%、事件後、安全対策の見直しをした学校、一〇〇%、安全対策について新たなる対策を講じた学校、七〇%、以上のようでありました。ぜひぜひ全県下の小学校で、私の提言も含めて、私立学校も参考にしながら、何らかの手を打っていただきたい。そして、それができたときには、それを池田方式、または池田計画と名づけていただき、とうとい犠牲になった八名の児童の短い生涯の意味を永遠に心の中にとどめていただきたい。そして、それが全国に広がることを切に祈りながら、知事並びに教育長の御所見をお尋ねいたします。
     御清聴まことにありがとうございました。(拍手) 24 ◯議長(藏内 勇夫君) 麻生知事。 *知事答弁 25 ◯知事(麻生 渡君)登壇 子供の安全対策についての御質問でございます。子供たちの安全をしっかり確保、守ることは、何よりも大切な私どもの責任であり、課題であります。事件発生後速やかに、県の方では知事部局、教育委員会、警察本部などで組織をいたしております青少年健全育成対策推進本部の幹事会議を開催をしまして、安全対策について協議を行い、具体的に各課で取り組んでいるところでございます。しかし、るる御指摘がございましたように、事は大変深刻でございますし、重大でございます。さらに、安全対策を推進する組織といたしまして、推進本部の改組を含めて検討いたしますとともに、教育委員会など関係機関と協力いたしまして、子供の安全確保につきまして、県全体といたしまして取り組みが一層推進されるように努めてまいる考えでございます。 26 ◯議長(藏内 勇夫君) 光安教育長。 *教育長答弁 27 ◯教育長(光安 常喜君)登壇 このたびの大阪府の事件を契機といたします学校の安全対策につきましては、去る六月二十二日付で、県下のすべての校区ごとに、地域の住民の皆さんや警察等の機関、団体の関係者で構成をいたします学校安全のための恒常的な協議組織を設置をしていただくよう市町村に依頼をいたしておるところでございます。この指導通知に際しましては、各学校、各地域におきますさまざまな協議の参考としていただきますために、現在、各学校、地域において進められております具体的な取り組みの事例を提示をいたしまして、その中に、御指摘のございました、出入り口の限定、あるいは来訪者の受付等の方策についても取り組みの事例を示しておるところでございます。  県内の各学校では、施設設備の状況、あるいは学校を取り巻く地域の環境等が異なっておりますので、それぞれの実態に即した効果的な対策を策定をしていただくということを基本にし、これに対する市町村教育委員会の支援をお願いをいたしたところでございます。県教育委員会といたしましては、今後、適切な時期に、こうした各学校、地域におきます具体的な取り組みについて情報を収集、分析をしながら、フィードバックいたしますとともに、これを基本にいたしまして、県全体の統一的な取り組みにつきましても検討をしてまいりたいと考えております。 28 ◯議長(藏内 勇夫君) 内田壮平君。 29 ◯五十三番(内田 壮平君)登壇 ただいま知事並びに教育長の方から御答弁いただきまして、ありがとうございました。特に、最後の、県全体としての取り組みという点に触れられましたことに対しては感謝申し上げます。ぜひそのような気持ちでやっていただきたいと思います。  今回の質問をする前に、私も教育者の方、いろいろな方とお話をしました。いろいろな御意見があったんですが、例えば、ある方は、娘さんが中学校の先生で、教えているときに男が入ってきた、取っ組み合いになった。そして、その男はシンナーを吸っていたというようなこともあった。そして、その中学校の卒業生であったというようなこともわかった。しかし、それを学校に言っても取り上げてくれない、教育委員会に言っても事情聴取をしてくれない、こういう状況があったことも事実でございます。また同じことが二回も起きて、やっと教育委員会がそういう学校の事情を聞いたということもありました。ですから、学校現場の中でも、そういうことがあるということを踏まえながら、今回の事件は考えなければならないと、私はこのように感じました。また、ある校長先生とお話ししたときは、二つに一つですと。学校を開くか、閉じるか、どちらかですと。学校を開放すれば子供の安全は守れない、子供の命は守れないかもわからない、閉鎖をすれば、地域に開放されていないと。このジレンマの中に私どもはいるんですと、このようにおっしゃいました。子供の命と地域の言い分、どちらが本当に大切なのか。子供一人の命でも大切に思った行政をする中で本当に私どもは池田小学校の悲惨な事件を考えなければならないと、私はこのように思います。  私が知事の立場であり、教育長の立場であれば、私は七月一日からでも、二カ月間でも学校の校舎の出入り口を一つにしてやってみます。そして、その二カ月間の中で、学校現場、地域、みんなが真剣になって、この方法よりよいものがあれば、それを取り上げる、教育委員会に上げる。そして、県全体としてやればいいのではないかなと私は考えます。それができなければ、九月からでも学校校舎の出入り口、改善すると、その間にもっともっと学校現場、地域挙げて考えてくれということを言いたいと思います。今ならそれができる。しかし、半年、一年たてば、もう記憶から池田小学校、あの八名の方々の名前が消えるかもしれないと、私はこのような気持ちで今回、質問させていただきました。ぜひぜひ知事、教育長には挙げて県全体としての取り組みを早急にしていただく、強く要望いたしまして、今回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 30 ◯議長(藏内 勇夫君) 冨田徳二君。(拍手) *冨田議員質問 31 ◯三十九番(冨田 徳二君)登壇 福岡県政クラブの冨田徳二です。一般質問最後の登壇であります。終わりよければすべてよしと、こういうことになりますような御答弁を期待をして、通告に従い質問に入らせていただきます。  さて、私は今定例会に提案をされております福岡県の農業と農村の持続的発展を図り、かつ県民が健康で豊かな生活を営み、さらに向上させるための農業・農村振興条例に絞って質問をさせていただきます。この条例につきましては、我が会派の古賀議員が代表質問の場において知事に基本的な考え方を尋ねたところでありますが、非常に重要なことと考えますので意見提起をし、質問をいたします。  条例の目的や基本理念において、農業者のみならず県民を視点に今後の県農政の進むべき方向が示され、また県の役割、農業者及び農業団体の役割、さらには子供の食生活も視点に入れた県民の役割が明らかにされております。また、今後基本計画を策定をし、主要施策を着実に前進させようという条例案であり、大変すばらしいことと思います。北海道、宮城、青森、福島県に次いで東北地方より西では初めてでありますことから、評価されるのは当然だと思います。ただ、高収益農業をあくまで追求し農業者に誇りを、という姿勢が確かにうたわれておりますが、そのことをより強く打ち出していただきたい、打ち出すべきだと考えます。と申しますのも、農業を考え、また語るとき、ほとんどの人が減反が問題だと、輸入農産物が日本農業を危機に陥れている、中山間地域が大変だ、自給率アップが課題だと口をそろえます。このように一つ一つがとても大きな問題であり、それが複雑に絡み合っている、これが農業の難しさであると思うのであります。  私は、農家に生まれ育った一人であります。子供のころから田をすき、苗代をつくり、田植え、草刈り、ヒエ取り、稲刈り、脱穀はもちろん麦づくりから野菜づくり、ブドウからミカン、桃の果物づくり、さらにお茶の生産、また竹林整備、タケノコの生産、杉、ヒノキの枝おろしに精を出してまいりました。その後学校を卒業して鉄鋼業の会社に就職しましたが、民間企業の場合、常に国内での競争、そして世界のマーケットでの戦いであります。韓国や中国あるいはブラジル企業などとの価格競争であります。そのたびに生産量がふえたり減少したり、そうなりますとさらに生産性の向上と品質向上、低価格が強く求められるわけでありますが、いずれにしても勝ち抜き、生き残ってきたところであります。これを本県農業に置きかえるならば、とにかく勝って勝って勝ちまくる、どこの県にも絶対負けない農産物、商品をつくり、高収益を誇る福岡県農業にしていくという基本的な理念が大事であるということであります。中山間地域は高齢化が進み、圃場整備も十分ではないなど厳しい条件下にあるわけですが、その条件を乗り越えるようさらなる収益アップを考えていかなければなりません。また、これから農業基盤整備を行うところについては、終了後すぐに収益が向上するよう施設化や組織化、これを進めていく必要があります。せっかく基盤整備を行っても、米だけをつくり裏作をしない地域もかなりありますが、大変もったいないことだと思います。さらに、県の農業を考えるとき、豊前、築上地区と朝倉、浮羽地区、糸島地区などそれぞれに特徴があります。もちろん私の住んでいます北九州にも特徴のある農業が展開されておりますが、要は地域の気候や土壌条件に合った作物の産地化を積極的に進めていくことが大切なのであります。そうした点から、今ある産地を核とし、茶園やブドウ園をふやし、ネギや菊栽培施設をふやしていくことが早道だと思うのであります。安全な農産物の生産も重要な視点であります。無農薬で消費者に信頼される農産物の生産も、産地間競争が厳しくなる中では大きな武器となるでしょう。産地が活気を帯び、農家自身が一千万円の農業所得を確保できるよう経営展望を持ち、それの実現に向け邁進することであります。農家がもうかれば、後継者の確保の心配はなくなります。そんな農業の実現を目指し、県を挙げての対応が求められるのであります。農業総合試験場が技術開発を進め、普及センターが技術普及に努め、農林事務所が市町村、農協と連携し産地づくりを進める、まさにそういう姿に立たなければ本県農業は生き残れないと思います。また、そういう姿こそこの条例でぜひとも目指していただきたい、強く感じております。  以上、私の意見をいろいろ申し上げましたが、以下、農業・農村振興条例について具体的に質問をさせていただきます。  まず一点目は、我が会派の代表質問で、本県における収益性の高い園芸農業推進のための目玉事業とも言える活力ある高収益型園芸産地育成事業について質問し、知事から、今後ともしっかり取り組む旨の回答を得たところであります。いいものを生産することは当然のことですが、農家の収益を上げるためには販売の面での努力が一層重要であると思います。考えをお伺いいたします。  二点目は、県民の命と健康を守るため、無農薬など安全な農産物の生産が大変重要と思いますが、どう推進されようとしているのかお伺いをいたします。  三点目は、農家に対する技術指導などにITを積極的に活用すべきと思いますが、どう推進をされるのかお伺いをいたします。  四点目は、本県の優位性を発揮するために、他にはない新品種の育成や環境に優しい農業技術の開発を積極的に進めるべきと考えますが、どのような取り組みをされようとしているのか。  以上四点について、知事のお考えをお聞かせください。  いずれにしましても、一千万円の所得確保だ、無農薬栽培だという案は確かに難しく、きついことだと思います。しかし、限りなく挑戦をする、何が何でも一番になるという強い決意を持って進まなければ、我が福岡の農業は生き残れないと強く思うところであります。知事の力強い回答を期待をしまして、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 32 ◯議長(藏内 勇夫君) 麻生知事。 *知事答弁 33 ◯知事(麻生 渡君)登壇 農家の収益を上げていくということが農業政策上最も重要な課題でありますけれども、そのための農産物の販売努力についてでございます。この点につきましては、これまで首都圏におきまして電車の広告、量販店での販売フェア、また県内におきましてテレビによりますPR、ファームステーションなどでの試食販売といったことに農業団体と一緒になりまして取り組み、本県の農産物の販路の拡大を推進をしてまいったわけでございます。  産地間競争、これは内外にわたりましてますます厳しくなっております。今後も地域の特色を生かした安心、安全な農産物をつくっていく、さらに流通関係者、消費者に対しまして福岡の産地情報を提供していく、また市場流通はもちろんでございますけれども、今後は直売所あるいはインターネット取引といった多様な流通形態に即応した販売努力を積極的に支援をしていきたいと考えております。  無農薬栽培などの推進についてでございます。天敵を使った害虫の防除、土壌診断に基づきました肥料の使用の改善などによりまして、できるだけ農薬、化学肥料の削減に取り組んでまいっております。そして、本年度からは農薬削減などの技術の普及のために、県下各地におきまして実証展示圃の設置、栽培の手引書の作成などを行いまして、消費者の皆さんから求められております農産物づくりを推進をしてまいる考えでございます。  また、ITなどの新しい技術を積極的に農業経営に活用するという点でございます。意欲のある農家の皆さんに栽培技術、市況などに関する情報を積極的に提供し、これを活用していただく、これが収益性の高い経営農家を実際に実現していきますために非常に重要であるわけでございます。このため、試験場などで開発をされました先進的な技術、病害虫などの農業情報をインターネットを通じまして農家へ積極的に提供いたしております。今後は、情報内容をさらに充実をいたしまして利用しやすくしますとともに、農協などと連携をしまして、農家の皆さんの研修も行ってまいる考えでございます。  また、新しい品種の開発、育成、環境に優しい技術開発の取り組みの状況でございますけれども、本県の農業総合試験場は、これまでにない色や形を持った花、種なしのカキ、湿害に強く品質のよい大麦といった新品質の育成に積極的に取り組み、また成果も上げているところであります。さらに、フェロモンを使って害虫を駆除します技術、お茶やナスの肥料の使用量を半分以下にするという技術開発も進めているわけでございます。今後もバイオテクノロジーといった新しい先端技術を活用いたしまして、新品種の育成、農薬、肥料を一層削減する新しい技術の開発に積極的に取り組んでまいる考えでございます。 *議案審査付託 34 ◯議長(藏内 勇夫君) 以上で一般質問を終わります。  次に、提出議案審査のため、さきに上程いたしました第九九号議案から第一二八号議案までの三十件をお手元に配付いたしております議案付託表のとおり所管の常任委員会に付託いたします。        ───────────────────────────────────── *請願取り下げ 35 ◯議長(藏内 勇夫君) 次に、関係常任委員会に付託いたしております請願中、「私立学校等に対する国庫補助制度の堅持と私学助成の拡充に関する請願」について、お手元に配付のとおり提出者から取り下げの申し出がありました。この際、本請願の取り下げを許可することに御異議ありませんか。           〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 36 ◯議長(藏内 勇夫君) 御異議がありませんので、さよう決定いたしました。        ───────────────────────────────────── *請願上程 37 ◯議長(藏内 勇夫君) 次に、請願三件がお手元に配付の請願文書表のとおり提出されましたので、これを一括報告上程いたします。        ───────────────────────────────────── 38 ◯議長(藏内 勇夫君) ただいま上程いたしました請願三件は、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 一 時 五十六分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...