↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(横田 進太君) ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。豊島正章君。(拍手)
*豊島議員質問
2 ◯六十七番(豊島 正章君)登壇 私は、日本社会党・県友県議団を代表いたしまして、当面をいたします県政の諸課題について質問いたします。麻生知事には、ひとつ誠意ある御答弁をお願いを申し上げる次第であります。
さて、いよいよ麻生県政が県民の期待を担って本格的に船出をいたしました。我が党は、このたびの知事選挙に際し、清潔で開かれた県民本位の県政を基本とする奥田県政の継承と福岡県のなお一層の発展を願う立場から、党を挙げて麻生県政の実現を目指してまいりました。もとより、今次知事選挙に示されました総与党化、野合等々の県民の方々の御批判、御意見を真摯に受けとめ、我が党県議団は挙げて県議会の場におきまして与えられた任務と職責を果たしてまいる決意であります。今、時代は二十一世紀に向けて極めて速い速度で進展をしています。地方とはいえ、政治の場に身を置く私どもは、いわゆる五五年体制の崩壊というものが政治、経済、文化、教育等、今日の体制を支えてきたすべてのシステムの行き詰まりであることを認識し、戦後五十年を迎えようとしている今日、これまでの半世紀を振り返り、新しい半世紀、否二十一世紀に向かって何をなすべきか、まさに変革と創造が急務の課題であることを認識しなければなりません。先行き不透明の状況が続く中で、国際化、高齢化、高度情報化という時代の流れや環境問題、都市問題、産業の空洞化や雇用不安の問題等々さまざまな行政課題が生じています。同時に、本県はその拠点性のゆえに、九州、西日本のリーダーとしての役割とあわせて、歴史的に見ても古代より中国大陸や朝鮮半島との交流の窓口であったことから、今後環黄海地域を初めとしたアジアに開かれた国際交流拠点としての一層の飛躍が求められています。麻生知事には、前奥田知事が推進してこられたアジア諸国との地域間交流の拡大や産業の高度化、高付加価値化、
交通ネットワークの整備、保健、福祉、医療、環境等の成果を引き継ぎ、そして我が県政に求められている役割と我が県が抱える諸課題に果敢に挑戦をし、県土の均衡ある発展と、人が人として大切にされる真に豊かな地域社会の創造と県民福祉の充実に全力を傾けていただきたいのであります。
そこで、質問に入らせていただきますが、女性副知事の問題であります。知事は、選挙の際、女性副知事の実現を公約されました。我が党は、かねてよりその実現に強い希望を持っておりましただけに、期待をいたしているところであります。もとより、活力ある社会の発展のためには、あらゆる分野での男女の共同参加が必要であります。したがって、雇用の場で男女の機会均等の確立は当然として、とりわけ政策決定への参画は極めて重要であります。そのためにも、女性副知事の実現とともに、審議会への女性の登用が図られなければなりません。本県の各種審議会における女性の登用率は、九四年六月一日現在で一六・二%、九五年度末の目標値三〇%に満たない状況にあります。したがって、なぜ目標達成ができないのかその原因を究明し、早急に対策を立てることが必要であります。とりわけ、従来の団体、役職指定の登用の仕方や一人で幾つもの委員を兼務する等の見直しを図り、登用に幅を持たせることによって適切な人材を積極的に登用し、女性の参画を促進していただきたいと思います。女性副知事の実現に向けての決意と女性の社会参加、とりわけ政策決定の場への参加などをどのように保障していくのか、知事にお尋ねをいたします。
次に、国際化の問題についてお尋ねをします。
知事は、国際化の推進に強い意欲をお持ちで、新年度予算に
オピニオンリーダーの招致事業や福岡県
国際交流推進大綱策定費等の
新規事業予算案を計上されています。また、ある講演会で今後の国際交流は
リージョナルステーツの発想が必要と述べられ、その具体的戦略として地理的、歴史的にアジアとの関係が深い福岡にアジアから人材、情報、資金を集め、同時にアジアについて分析研究し、その成果を世界に発信できるアジアのセンター機能を構築する構想を披露、国立博物館をその中核とすること、また北部九州四県知事会談においては、アジアから若者を受け入れる
九州アジア大学の提唱をされたところであります。私どもは、これまでにアジアに開かれた交流拠点県を目指す立場から、国際協力指針の策定を強く迫ってきた経緯もありまして、麻生知事に大いなる期待を寄せているところであります。
ところで、今後の交流の理念でありますが、それは共生という基本認識が重要だと考えるところであります。したがって、その立場に立つとき、さきの国会で論議されたいわゆる不戦決議問題に対するアジアの人々の厳しい批判を私たちは真摯に受けとめなければなりません。特に、我が県には旧炭鉱地域を中心に強制連行のつめ跡が残っているわけでありますから、いささかも福岡県版大
東亜共栄圏的発想は慎まなければなりません。歴史認識を共有し、新しい時代に向かっての
リージョナルステーツとしての国際交流をどのような基本的認識のもと推進されようとしているのか。また
九州アジア大学の構想について、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、地方分権推進についてお尋ねをいたします。
平成五年六月、衆参両院で
地方分権推進決議が行われてから約二年、ようやく去る五月十五日
地方分権推進法が成立しました。この間昨年九月には地方六団体が内閣と国会へ意見書を提出し、本議会も本年二月議会において推進法の早期制定を求める意見書を可決、提出をしてきたところであります。かねてから分権、自治を強く求めてきた我が党は、この法律を初めての分権手続法として大きな意義を持つものと評価し、憲法の保障する地方自治の本旨の実現に向けて強固な第一歩としたいと決意を新たにしているところであります。しかし、この推進法は成立を急ぐ余り総論的な宣言法となったため、分権の具体像を示すには至っていません。特に、地方六団体や
地方制度調査会が強く求めた機関委任事務の「廃止」が「整理、統合」に弱められたり、中央政府と
地方公共団体の役割についても、地方六団体が中央政府の事務を十六項目に限定列挙しているのに対し、具体化を避けています。このように、分権の骨格部分が、権限や財源の移譲項目の洗い出しとともに、
分権推進委員会の審議にゆだねられています。早くも、既得権益を守ろうとする族議員の暗躍や権限の縮小に反対する中央省庁の抵抗が懸念されていますが、知事はこの
分権推進委員会にどのようにアプローチしていかれるのか、まずその決意のほどをお願いいたします。
推進委員会は行政機関や
地方公共団体の長に対して、資料の提出、意見の開陳、説明等を求めることができることになっています。一方、
地方公共団体としても、約一万一千件とも言われている許認可、約三千三百件の関与を国の事務とするか地方に移譲するか、あるいは廃止するかなど洗い出し、推進委員会に働きかけていく必要があると思います。本県の推進体制をどうされるおつもりかお尋ねをいたします。
これまでの種々の論議の経緯を見ますと、都道府県と市町村の二層制を維持し、当面、都道府県により重点を置いた権限と財源の移譲が進められるものと予想されます。しかし、我が党は分権の主体は市町村優先が原則であり、仮に過渡的には県への移譲であっても、県から市町村への移譲を積極的に推進すべきであると考えます。この際、知事の御所見を承っておきたいと思います。
次に、防災対策についてお尋ねをいたします。
阪神大震災から六カ月がたちましたが、依然として二万人以上の方々が被災生活を送っていると言われています。「天災は忘れたころにやって来る」と言いますが、忘れる間もなくサハリン地震が大きな被害をもたらしています。そしてイタリアにおいても、地震が発生をいたしました。地震多発国である我が国にあって、福岡県は明治以来一人の犠牲者も出していないと言われていますが、決して安心できる状況ではありません。知事はこのたびの立候補に当たり、災害に強い福岡県を築くために、阪神大震災の教訓を都市づくりに生かし、防災対策の抜本的な見直しを早急に行うと約束されました。神戸市二百万の大都市が初めて経験した直下型地震、そして甚大な被害と犠牲は想像を絶するものでありました。この貴重な経験を教訓として、県民が安心して暮らせる防災対策を確立しなければなりません。知事は、新年度の予算編成に当たり、新地域防災計画の策定や防災無線の整備、
建築物地震被害予防推進事業など一定の地震対策が講じられたところであります。頻発している地震に対する県民の不安を解消するため、この問題に対する基本的な姿勢をまずお聞かせ願いたいのであります。
さらに阪神大震災を教訓にすると、次の点についても配慮が必要であります。
第一に、地震等の大災害における避難場所としての防災公園、都市における緑地の整備、密集地における道路の整備が必要であります。
第二に、住民による防災、救援活動は日常の近所づき合いのよいところほど成果を上げたと言われていますが、住民の防災意識の向上のための啓発と日常的な訓練が必要ではないでしょうか。
第三に、ボランティアの活動が非常に効果を上げたと報道されていますが、福岡県におけるボランティアに対する支援体制をどのようにお考えか、以上の点について知事の御所見をお伺いいたします。
次に、水資源問題についてお尋ねをいたします。
二百九十五日もの長きにわたった給水制限もようやく解除になり、福岡市民の皆さんもほっとされたことと思います。同時に、日夜にわたって対策に奮闘された水資源対策局の職員を初め、関係各位の皆さんの御苦労に感謝と敬意を表するところであります。知事は今回の渇水を教訓として、新年度予算案に広域利水構想の調査、協議の実施、
雨水利用導入計画調査、
地下水利用実態調査の実施、
農業用水転用可能調査、下水処理水の有効活用調査及び暫定水利権の取得協議、
海水淡水化導入の調査費等大幅な予算を計上されています。いずれも緊要な課題であるだけに、これらの事業の推進を期待するところであります。一方、今回の渇水は、私たちに水のありがたさと同時に、都市と水をどう考えるのかを問いかけました。我が党は、これまで数回にわたって福岡都市圏の集中化に対し、地域を閉じた環境として認識し、環境容量を定めた上で人の住み方、産業立地、交通体系など全般に及んだ計画を立てるべきで、水計画や環境計画が地域計画に先行的になされなければならないこと、したがって、都市機能の計画的分散を提言してまいりました。
先般ある新聞で、「身の丈にあった都市を視野に」という社説が出ておりましたが、まさに同じ思いであります。肥大化し、膨張し続ける福岡都市圏に対し、多極分散型、均衡ある県土の発展という立場からも、もうそろそろ土地利用のあり方と都市機能分散について政策的に対応する時期ではないかと思いますが、知事のお考えをお尋ねいたします。
また、水源の涵養について、百年先を見据えた水源地域の振興と育成をどう進めていくのかも重要であります。手入れのされた広葉樹林は、荒れた山林の十倍の保水能力があると言われています。水は有限の貴重な資源です。森林に養われた水は農村に保水され、米をつくり、文化を育て、都市に緑の恩恵を与え、そして海の魚介類を養うのです。福岡県の森林率は、全国平均の六七%に対して四五%の実態にあります。したがって、県内の水源涵養を今後も積極的に進めなければなりません。同時に、筑後川上流の大分県日田地域における水源涵養も私たちはこの際視野に入れるべきであります。もちろん、行政枠を超えての財政支援等が現状では困難であることは重々承知をいたしておりますが、水源地の森を守るのは困難な状況になっている、との現地の悲痛な声が聞かれるとき、この際県境を超え、行政の枠を超えて水源地への支援が必要と思われますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次は、豊かな福祉社会の実現に向けてお尋ねをいたします。
知事は、今般「安心と生きがいのある
福祉社会づくり」を重点施策の一つに掲げられ、補助事業を大幅に伸ばすことによって
高齢者保健福祉計画の速やかな実現に努められたほか、生きがい対策の推進に向けて知事みずから高齢者の皆さんと対話を行う等、本県の多様な福祉ニーズに対応されようとした点は敬意を表するものであります。しかしながら、知事も御承知のとおり本格的な高齢化社会へのソフトランディングを図るための政策課題は山積しており、その中でも最も大きな課題は高齢者の介護、自立支援のあり方です。現在、国の
老人保健福祉審議会では、
公的介護保険導入を盛り込んだ新
介護システムの創設に向けて検討が進められていると聞いておりますが、その内容は、高齢者介護は高齢者みずからの意思に基づき、自立した質の高い生活を送ることができるように支援することを基本理念に、高齢者自身による選択、介護サービスの一元化、ケア・マネジメントの確立、
社会保険方式の導入の四点を柱としており、ドイツの介護保険創設などに見られるように、欧米諸国の動向と同じ方向を目指そうとするものであります。もちろん、この新
介護システムは検討中の課題でもあり、また、
社会保険方式による矛盾点や問題点を含んでいることから、今後の
高齢者介護支援システムのすべてを規定するものではありませんが、もしこの公的介護保険が導入されれば、行政が税を財源として行う措置制度はなくなる反面、だれでも住みなれた地域で普通に暮らすノーマライゼーションを基本に、県、市町村が軸となって住民と当事者が主体となるシステムが、新たな公的責任のあり方として求められてきます。つまり、今日問われているのは、介護地獄とまで言われている現状を変える介護保障制度であり、多様化したニーズに対応できる新たな公的責任のあり方です。今さら申し上げるまでもなく、我が国の介護の実態は、相変わらず介護される高齢者や介護する家族一人一人に重くのしかかり、もはや個人や家族の単位では解決できないところまで来ています。だからこそ、個人の尊厳を保障した介護の社会化、システム化が強く求められており、本県においても高齢者福祉の最重点課題として位置づけられなければなりません。本来、個々の事情が違う在宅介護を利用者の意思を尊重しながら社会的に支えていくためには、地域の持つ社会資源を動員でき、支援のネットワークを有効に活用できる市町村が軸になることが効果的、効率的であるわけですが、市町村の
高齢者保健福祉計画の実態は、財政難や人材難などに苦慮しており、システム化には到底及ばない実情にあります。そこで、市町村の実態と求められている高齢者介護、自立支援策とのギャップを少しでも埋めるために、当然県の果たすべき役割が問題となってくるわけであります。今日まで、福祉事務所や保健所の果たしてきた役割、あるいはこれからの保健、福祉、医療が一体となったケア・
マネジメント確立の必要性を考えたとき、県の存在は極めて重要なものと言えます。本県としても、在宅福祉、介護支援の必要性と方向性については、行動計画等で示しているものの、その内容は国のゴールドプランに基づいたものであり、今年度予算を見ましても、地域の特性を生かし、市町村を動かして介護のシステム化を図っていこうとするエネルギーは感じられず、失望の感を禁じ得ません。そこで、県としてのイニシアチブを発揮することによって、週二回しか来てもらえない
ホームヘルプ事業ではなく、一人の高齢者を二十四時間トータルに抱え、必要なサポートが行えるような在宅介護の姿を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。また、今回提案されている
高齢化県民意識調査もそのためのニーズ調査であってほしいと思いますが、いかがでしょうか。県有施設を初めとした公的施設、市町村、社協等の人材、さらには民間の資源等々すべてを機能的につないでシステム化を図ることによって、本県の
地域介護システムの方向性と形が見出せると思いますが、知事の御所見をお尋ねをいたします。
また、高齢化社会と表裏一体をなす二十一
世紀少子化社会に対応するために、国は本年度から十カ年計画で
エンゼルプラン「今後の子育て支援のための施策の基本方向について」を策定し、とりわけ緊急な課題として
緊急保育対策等五カ年事業をスタートさせています。これを受けて本県でも、新年度予算には
子育て情報ハンドブックの作成や
児童育成計画策定事業、
特別保育事業費等の新規事業が多く見受けられます。もとより、子供を産む産まないは個人の自由な選択にゆだねられるべきでありますが、
社会システムの未整備により過度の負担や不安によって、産まない選択をせざるを得ないとすれば、その要因を解消することは当然必要であり、むしろ対応のおくれが指摘されると言えます。しかし、介護休業法の制定や男女が職業生活と家庭生活、職業上の責任と家族的な責任との両立を図れるようにすることを目的としたILO百五十六号条約の批准、あるいは母子保健法の改正により、妊娠、出産、育児についての保健指導の対象に配偶者も加えられるなど、家庭の中の役割分担の見直しも少しずつ進展をしている折から、本県がどのような
子育て支援社会をつくり上げるのか、大いに期待を寄せるところであります。
そこで、今後の少子化対策について、国の
エンゼルプランの焼き直しではなく、本県のニーズに適した主体的な計画策定を求めるものでありますが、知事の御決意のほどをお聞かせください。
次に、環境問題についてお尋ねをいたします。
緑豊かな
環境調和型社会の創造は、本県にとって重要な課題の一つであります。御承知のとおり今日の環境問題は多岐にわたり、しかも望ましい環境をいかにつくるかが課題となっているため、従来のような行政の後追い的発想では到底対応できなくなってきています。産業廃棄物やごみ問題、大規模開発による自然破壊、大気や水の汚染、オゾン層破壊、酸性雨等々、行政、企業、住民がそれぞれの責務と役割を自覚し、互いに協力し合って対処しなければならない問題が山積する中で、国際的な流れと合致した積極的な対応と施策の展開が求められています。幸い本県では昨年度、本県の望ましい環境を実現するための総合的な計画として、
環境総合基本計画並びに環境憲章を制定し、潤いのある調和のとれた環境の創造に向けて大きく一歩踏み出しました。さらに今年度は、持続可能な発展を目指す実践的な行動計画を市民、事業者、行政の参加と合意によって策定する
ローカルアジェンダ21に着手されたことは、総合的な環境施策の推進の上からも大いに期待するところであります。今後は、基本計画に基づく各施策の体系化と推進に向けて体制整備が急がれなければなりませんが、特にこのほど本県の
マスタープランである二十一世紀プランの見直しに向けて、各部の基本的な計画の見直しや新規策定の方向性が示されている中で、
環境総合基本計画が環境の
マスタープランであることを明確に位置づけることなど、本県全体の環境との整合性をベースに計画の見直し策定に当たっていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。また、総合的な環境施策の推進のために、庁内体制を強化し
環境総合基本計画推進部会の早期設置と積極的な運営を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか、知事の御決意のほどをお聞かせください。
次に中小企業振興、雇用安定対策を中心にお尋ねをいたします。
最近の我が国経済は、住宅建設の伸びや個人消費の回復傾向により緩やかな回復基調をたどっていると言われていますが、県内経済の現状は急激な円高による影響や産業空洞化も加わって依然として厳しい状況が続いています。とりわけ県内全事業所の九九%、従業員数で八〇%を超える中小、零細企業の経営は深刻な状況に陥っていることがうかがえます。去る五月の
本県景気動向調査報告によりますと、中小、零細企業の景況判断が、県内の景気の現状を「悪い」と見ているのが八五%前後と大幅に高い率を示しており、また本格的な景気回復の時期を「本年十月以降」と見ているのが八三%で、その懸念材料として「円高の進行」をトップに「個人消費の低迷」を挙げているのが六割に達しているのであります。また、最近一カ月の円高の影響については、製造業を中心に三割以上が「悪影響を及ぼした」としており、昨年十二月の調査時から一割も増加し、地域別では北九州、筑豊で悪影響と受けとめられている企業が多いのであります。特に旧産炭地、筑豊を中心に多く見られる小規模の繊維産業、縫製業は、輸出のほか、納入先が関西方面であることから、さきの阪神大震災の影響もあって、生産量や売上高の減少、価格の低下を余儀なくされ、ほとんどの工場が経営に行き詰まっており、人員削減など合理化を進めてもなお閉鎖寸前の状態に追い込まれている深刻な実態であることが我が党議員の調査で明らかになっています。こうした状況にあって、県は昨年六月に策定された
産業振興ビジョンの具体化に取り組み、また本年度当初予算においては、技術立県を継承しつつ、活力ある新産業経済の構築を目指して、景気動向や円高進行の影響に配慮しながらも、多くの新規、重点施策が計上されています。産業の高度化、企業の新分野進出促進、地場産業振興、
創造的中小企業の振興対策、スーパー・テクノ・ゾーン形成をさらに進める技術、研究開発への支援、国際経済交流の推進、商業集積拠点の整備、企業誘致促進など新たな産業育成、新分野進出、事業開拓を支援するなどの施策を重点的に展開することになっています。このことは、商工費の予算の伸び率を見ても、奥田県政十二年間で三六一・九%という抜群の伸びであったのをさらに発展させ、本年度一般会計全体の伸び二・七%を大きく上回る一七・六%の伸びとなっており、中でも注目されるのは
中小企業振興資金融資費の増額で融資枠の大幅な拡大を図っているほか、新規、重点事業三十一件のうち県単事業が二十四件の三十一億五千四百万円余に及んでいることは、活力ある産業構造への転換を図り、県内経済の活性化を進める麻生知事の並み並みならぬ意欲と決意のあらわれでありまして、このことに対して私も評価をいたしたいと思います。
そこで前に述べましたように、円高、産業空洞化の影響をもろに受けて苦しむ中小、零細企業、中でもことしの夏も越せないような製造業等では、高度化や新分野の進出や
創造的技術開発、新事業の展開に取り組みたくても、人材や技術の面、また資金面でも企業の力だけでは到底困難な企業がかなりあります。コスト面では太刀打ちできない輸入品に押され、常に景気動向に左右されながら価格低下を迫られる不安定な経営基盤の中小、零細企業に対する、よりきめ細かな対策が緊急に求められているのであります。そこで、これら中小、零細企業が円高の影響や景気動向を克服して立ち直れるような、県としての当面の緊急対策について示して、またさらに景気の動向に左右されない安定した
経営基盤づくりを厳しい労働条件下にある従業員の雇用の安定対策とともに、総合的かつ長期的な対策として真剣に取り組まなければなりません。景気低迷が続く中で七割以上の企業がリストラに取り組んで、一割を超える企業が希望退職や解雇を行っているという産業労働情勢の中で、本年四月の有効求人倍率が全国〇・六五、本県では〇・四九という依然として厳しい状況にあります。これに輪をかけるように中小、零細企業の場合、経営難に追い込まれた新規採用の中止を初め人員削減、解雇を余儀なくされ、さらに企業倒産により新たな失業者が発生していますが、雇用安定対策の面からも緊急な取り組みが求められています。そこで、この中小、零細企業における厳しい状況に対応する緊急雇用安定対策について、どのように考えておられるのか、聞かせていただきたいのであります。
ここに来て、関係部局が一体となった全庁挙げての緊急な対応が必要であることは言うまでもありませんが、学識経験者等も含めた英知を集めるなどして景気変動に対応できる中小、零細企業の振興策、産業労働問題の長期的かつ総合的な施策を県が主体的に取り組んでほしいのでありますが、知事の御所見をお伺いしたいのであります。
さて、この際に本県の観光振興策について触れたいと思います。本県の持つ多くの史跡や文化財、地域文化など豊かな観光資源を有効に生かして、県民の生活文化の向上を図るとともに、新しい福岡県の魅力をつくり出し、アジアの交流拠点として開かれた国際観光の拠点づくりを推進することが二十一世紀へのプラン実施計画でも位置づけられていますが、この裏づけとなる本県の観光予算は余りにも少なく、実効を上げるには貧弱過ぎるのではないでしょうか。かつて、我が党は観光通過型県を解消し、これを挽回するためには観光予算を大幅に増額して観光県福岡づくりを提唱してきましたが、これまで決して十分とは言えず、反省すべき課題の一つであります。
さて、本年度九州各県の予算を見ますと、県によっては施設整備関係の組み方に多少の違いはあっても、商工費予算に占める観光予算の比率は沖縄県が二〇・六九%、宮崎一五・五九%、鹿児島七・二四%、熊本六・五%、長崎が三・九五%となっており、大分と佐賀は暫定予算であっても六%台と二%台です。本県の場合はわずか〇・四九%であります。予算額では、最高の沖縄で三十九億円余、続いて宮崎が三十六億円余、隣接の熊本が二十二億円余、佐賀でも八億円余となっており、本県は三億七千万円余で、論外です。これでは、誘致運動に大詰めを迎えている九州国立博物館建設を視野に入れた観光を核とする新しい福岡県のイメージアップが推進できるのでしょうか。活力ある産業振興の支えとしても、今後はぜひ前向きの措置で観光行政の充実を図ってほしいのでありますが、知事の御所見を聞かせてください。
さて次に、農業振興についてお尋ねをいたします。
本年四月からのガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施や十一月からの新食糧法の施行等に伴って、農業、農村は大きな変革期を迎えており、かつてない厳しい局面を迎えています。さて日本資源小国論という議論があります。日本は、国民生活や生産活動に不可欠な主要資源の大部分とエネルギーの九割近くを外国に依存する資源小国である。また、食糧の半分以上を海外に依存しており、これら物資の入手のために必要な外貨を輸出や海外投資収益で得なければならない国土条件の上に成り立っている。だから自由貿易体制を維持し、国際分業や国際間の産業協力を推進する必要がある。これは産業構造審議会答申「八〇年代の通商政策ビジョン」の中の議論であります。しかし、これは事実と違うことが含まれています。エネルギーにしても資源としての石炭はあるが、閉山を強行し地底に眠らせています。資源小国だから食糧の半分以上を海外に依存しているのではなく、逆に食糧の半分以上を海外に依存することになった結果が、貴重な土地資源である日本の総農地面積の約七%を遊ばせることにしてしまったのであります。一人一日当たり二千六百二十六キロカロリーの供給熱量の中で、日本の食糧自給率は四六%しかありません。ドイツ九四%、スイスでも六五%の自給率があり、国土資源の利用から大きく離れているという問題性があります。そして、この地球上には開発途上国人口の二〇%を超える約八億の人々が慢性的栄養不足の状態にあり、世界の人口増に食糧の生産増が追いつけないなど今日的な状態で推移すれば、飢餓が拡大するであろうことはだれの目にも明らかであります。農業は私たちの生命を直接的に支え、維持している生命産業であります。工業は再生不可能な資源を消費している産業ですが、農業は再生可能な資源を利用している産業です。これが決定的な違いであります。農業では土壌それ自体が基本的に大事な生産手段であり、土地の位置づけが工業とでは決定的に違います。そして農業労働には季節性が伴い、作物の違いがあり、ほとんどが野外で自然の中で、雨、風、気温の変化、病虫害の発生など適時適切に対応しなければならず、家族経営が支配的地位を占めています。さらに農業、農村は、水資源涵養機能とともに、洪水やがけ崩れ、土壌の浸食、流出の防止機能を有し、国土を保全をしています。さらに緑豊かで美しい自然環境、景観を維持、培養するとともに、これらを生かした都市住民の憩い、レクリエーションの場や青少年の教育の場としての機能等、公益的かつ多面的な役割を果たしています。したがって、農業は生命産業であり、環境保全型産業であるという基本を踏まえて政策を展開する必要があるのですが、そこでまず、知事の農業に対する基本認識と基本方針を明確にしていただきたいのであります。
さて本県は近畿以西の西日本で一、二を争う米の産地です。平成五年米穀年度の需給状況を見ますと、収穫量は二十五万六千トンで他用途利用米、農家保有米を差し引いた集荷量は十六万四千トンであります。主食用うるち米が十一万四千トンで政府米四六%、自主流通米五四%の割合となっています。主食用うるち米需要量は二十二万三千トンで、政府米二二%、自主流通米七八%の割合になっています。この自主流通米十七万三千トンの内訳は県内産三二%、県外産六八%となっており、差し引き過不足量は十万九千トンになっています。米産地でありながら大消費県である実態を数字が物語り、約三十道県より流入していると言われています。さて我が県が誇る夢つくしは十キログラム五千四百九十円であり、一食八十グラムとして一日三食ごはんを食べてわずかに百三十二円です。県産米と県産野菜と県産肉、そして筑前、豊前、有明海の魚を食べ、日本一の八女茶を飲めば元気が出ます。
そこで、新食糧法のもとにおける産地間競争に打ちかつ米の生産、流通戦略について、御答弁願います。
さて、我が県の農業生産物の全国順位を見ますと、小麦は全国二位、イチゴ一位、ナス、カキ、キウイフルーツ、イチジク、それぞれ二位、種苗、苗木一位、玉露一位、イグサ二位であります。昨年フルーツ&べジタブル一〇〇人の会にYAWARAちゃんも参加し、農産物東京応援団ができました。日本一の東京大田市場における青果取り扱いは千葉、茨城に次いで三位を占めています。福岡園芸連の京浜市場に占める共販額は野菜四〇%、果実三五%、合計三八%、八百億円にも上っていますが、県内消費拡大と競争力のある産地づくり振興対策についてお尋ねします。
次に、中山間地域問題です。山村では農業を営み同時に山仕事をし、水資源を守ってきました。特に、峡谷型集落では営農条件も居住条件も厳しく、しかも国土保全上はこういうところこそ人が定着し、農林業の営みを通じて生態的安定を保ってもらうことが重要であります。よって、日本型デカップリング──所得補償政策が必要なのです。そこで、中山間地の振興について、後継者対策も含め御答弁をお願いいたします。
次に、交通体系の整備、道路網の充実についてお尋ねをいたします。
知事は予算の提案説明に当たって、福岡空港の整備促進、新北九州空港の建設負担金及びアクセス道路の整備、東九州自動車道の建設促進、直轄国道、主要地方道の整備促進、生活道路の整備のための県単独公共事業費の大幅増額を提案されました。そして具体的には北九州空港関係で十一億三千万円、県内の総合交通体系づくり調査費千二百万円、下関福岡連絡道路計画調査費千二百万円、西鉄大牟田線の複線化調査費及び負担金四百万円の予算も計上されているようであります。申すまでもなく交通体系の整備は、産業、経済の発展のみならず人間生活を支える大動脈づくりであり、これなくしては文明の進展も人間生活の充実もあり得ないのであります。したがって、これまでも交通体系の整備のために多大の努力が払われ、一定の成果を上げていることに対し、関係各位に心から敬意を表するところであります。すなわち一時間交通圏の確立、九州新幹線の建設促進、日豊本線の高速化事業、第三セクターによる甘木鉄道、平成筑豊鉄道の運営健全化等、幾らかの課題は残しながらも、それなりに軌道に乗っていることは高く評価されてよいと思うのであります。一方道路網の整備についても、県内高速自動車道の改良率は一〇〇%、国道整備率は四五・七%と全国平均五六・七%を下回っているものの、県道については五〇・六%で全国平均四六・六%を上回っています。また、市町村道も全国平均四六・一%に対し五一・三%と上回る等、関係者の努力をうかがい知ることができるのであります。これらを道路事業費の過去十年間の推移から見ても、補助事業費の伸び率が一・五八倍であるのに対し、単独事業費は三・七七倍と高い伸び率を示していることからも見てとれると思うのであります。
以上、これまでの関係者の努力は多としながらも、今日の国際化、県民生活の広域化、多様化や交通戦争と言われる車社会への対応や強く求められる生活のゆとり等々考えてみれば、まだまだ克服すべき課題は多いようであります。
そこで、次の諸点について知事にお伺いいたします。
第一に、第十一次道路整備五箇年計画について、この計画では生活者の豊かさを支える道路、活力ある地域づくりのための道路、良好な環境創造のための道路整備を主要課題として進められ三年目を迎えていますが、その進捗状況と目標達成の見通しについてお尋ねをいたします。また、国道の多車線化問題について、五カ年後の目標を二一%とされていますが、達成の見通しについてお尋ねをいたします。
第二に、東九州自動車道、西九州自動車道の進捗状況について。
第三に、道路橋など交通施設の震災対策の見直しの必要性とその具体的な施策についてお伺いいたします。
次に、産炭地域振興策についてお尋ねをいたします。
さて、今日日本における稼行炭鉱は三池と北海道太平洋そして長崎池島の三つの炭鉱となり、その中で三池は最大の炭鉱で二百三十五万トンを産出し、大牟田における基幹産業として有明経済圏に大きなウエートを占めています。しかし新しい石炭政策のもと、依然として厳しい情勢が続いています。大牟田は三井資本の発生の地であり、また特に戦後経済復興の原動力となり大きく国策に貢献してきました。しかしながら、政府の石炭政策により合理化が続行され、人口減少は実に六万人にも及んでいるのであります。そこで、何といっても三池炭鉱の維持存続を国並びに社会的責任のある三井に対して強く求めなければなりませんが、知事として積極的な取り組みをどのようにとらえるのか。また、石炭産業科学館が近くオープンしますが、これは博物館ではなく二十一世紀を展望した石炭エネルギーの活用を含めた科学の殿堂であります。そしてこれに併設して、ぜひ建設を実現しなければならないのが、石炭関連技術の研究、研修の場とするワールドコールテクノセンターであります。この実現にどう取り組まれるのか、また大牟田地区活性化のため企業誘致、道路、港湾、市街地再開発、鉄道高架、複線化など基盤整備の促進という緊急な課題があり、これにどのように具体的に対処し実現されるのか、知事への期待は極めて大きいものがありますが、御答弁を願います。
次に、産炭地域振興の柱の一つとして、県が推進してきたJR筑豊本線・篠栗線電化、複線化計画についてお伺いいたします。
本事業は、産炭地域振興実施計画の中核プロジェクトとして位置づけられており、県、沿線自治体、JR及び民間が一体となって推進してまいりました。しかし、資金計画などの事情で一昨年十二月に至り、事業主体を第三セクターからJR九州に変更し、計画の基本的な見直しが行われ、以来一年八カ月にわたり国の財政支援策について、水面下で折衝が行われていると聞いています。筑豊の住民は、本事業の達成により発展する福岡大都市圏のエネルギーを筑豊に呼び込むことができるし、人口の一極集中是正、沿線自治体の都市機能の充実、地域経済への大きな波及効果など、大きな期待をかけております。
そこで、質問いたします。
第一は、事業推進の主体としてのJR九州は、近年、経営状況が悪化し、取り組みが極めて困難であるやに言われていますが、電化、複線化事業に必要な資金計画を思い切って圧縮し、JR九州が早期に事業主体として明確に意思表示ができるよう条件整備を行うために、吉塚-篠栗間一〇・三キロの部分複線化を優先し、電化については第二段階に譲るよう計画の見直しを行ってみてはいかがでしょうか。
第二点は、今のペースで事態が推移すれば、本年度に用地買収と建設工事に着手、九年度に部分複線化、十一年度末に電化完了という青写真は完全に夢幻となってしまうことが予想されますが、もし部分複線化優先に踏み切らないとした場合、知事は今後いかなる方針で、いつまでに資金計画にめどをつけようとされるのか。また、十一年度末事業完了という当初方針についてあくまで堅持されるのか、以上の諸点について知事の所信を明らかにしてもらいたいのであります。
産炭地振興に関する第三の質問は、JR西日本山陽新幹線小倉-博多間新駅の建設についてであります。この新駅は、国の産炭地域振興実施計画において、筑豊産炭地域の浮揚、発展に大きく寄与するプロジェクトとして位置づけられ、地域の経済、産業、文化の発展を図る上で、重要な交通施設として期待されています。
県は既に直方市と共同して、駅位置、施設、利用者数の予測、概算工事費など、新駅設置にかかわる基礎事項について調査を終了しております。県の振興実施計画第二期事業実施計画を見ますと、直方市、民間が実施主体となり、平成七年度から九年度にかけて、新駅設置に向けての検討、協議を行うとなっております。しかし、現地の状況は思惑がいろいろとあるようで、足並みがそろっているようには見えません。知事はどのようにして、検討、協議を行うおつもりか、当面の基本方針について御答弁をお願いいたします。
最後に、教育問題についてお尋ねいたしますが、通告をいたしておりました文化行政については時間の関係で別の機会にいたします。
さて、去る四月十六日に県内の某中学校二年生がたび重なるいじめを苦にして自殺に追い込まれました。実に痛ましい出来事です。無限の可能性を持ち、希望ある将来が約束され、夢多き人生を迎えるはずであった十四歳の少年がみずからの命を絶たざるを得ないまでに苦しみ、悩み続け、それを両親や友人にも心を開くことができず、また担任教員にも相談できないまま死の道を選んでしまった。中学生が残したいじめの様子や家族への優しい思いやりを秘めた遺書を知ったとき、やり場のない悔しさと胸の詰まる思いを隠し得ませんでした。苦しみ悩んだ故人の心情に思いを寄せ、ただ安らかに眠ってほしいと祈るばかりであります。
さて、県教育委員会は、昨年緊急にいじめ総点検の実態調査を行いました。調査によると、新たに発見されたいじめの件数は小学校で百四十四件、中学校で二百五十九件となっています。また文部省は昨年十二月に「いじめ問題解決のために当面とるべき方策について」を発表し、いじめられている子供の立場に立った親身の指導を行うこと等を柱に各関係者がそれぞれの役割を果たし、一体となって真剣に取り組むことが必要であると示しています。これを受けて県教委は、本年度いじめ問題の克服を目指し、一一〇番相談事業等新規事業を含め幾つかの施策を展開していじめの再発防止、早期発見及び解決に向けての支援を行い、総合的な対応に決意を示していることは評価いたしたいと思います。
そこでお尋ねいたしますが、第一点はいじめの背景とその原因をどのように受けとめておられるのか、ぜひ聞かせていただきたいのであります。
第二点は、さきに発効した子どもの権利条約の精神を具体化する教育実践が深められることが重要でありますが、子供が権利行使の主体者として尊重され、権利侵害の実態を改善していくには、まずすべての子供たちが十分に理解を深めなければなりません。子供たちが主体的に伸び伸びと活動できるための教育実践に実を挙げることと、その条件整備と支援策について、具体的かつ前向きの答弁を求めたいのであります。
さて、次に学校五日制が次第に理解され、定着されつつありますが、月二回までは学習指導要領を変更する必要はない、としてスタートはしたものの、学校現場の声や地教委など行政関係者によりますと学習指導要領の問題が、子供や学校を窮屈にしている、との切実な意見が多くあります。
そこで第一点のお尋ねは、今日なお続いている学校現場の管理主義的なあり方を改善し、子供の意見を教員が十分吸収して、一人一人の子供に行き届いた対応ができるようにするためにも、文部省に対して学習指導要領を見直すよう働きかけを行うべきと考えますが、見解と決意を伺いたいのであります。
次は、学校現場において、もっとゆとりを持った教育実践ができるような条件整備についてであります。教育に関する事件が報じられると、即刻県教委が一斉に実態把握のため現場に指示しますが、そのたびに現場では調査や報告に追われ、教員は授業を押して、多くは残業や持ち帰りの仕事として遅くまで取り組んでいます。さらに結果に基づく学校挙げての研修会の実施など大変過密な状態が続きます。また教育センターにおける各種教員研修の強化も現場の教育活動を狭めていますが、一九七〇年度の受講者が千四百十名であったものが、昨年九四年度は約四倍の五千三百七名に達しています。その他の研修や出張、そして多くの雑務などで子供たちと触れ合い、教育実践に実を挙げられる時間が大変窮屈になっているのが実情でありましょう。そこで、教職員が子供たちと質、量ともにより濃く、少しでも長く触れ合えるよう、研修のあり方や出張の中身、方法等を精選すべきであり、また教職員が子供の発するSOSの信号、メッセージを的確に受けとめられるような人権感覚を豊かに研ぎ澄ます研修内容で、現場サイドから見直したらいかがなものかと考えますが、教職員定数の改善見直しもあわせて検討していただきたいのであります。
以上の諸点について、教育長にお尋ねをいたします。
私どもはいじめ問題克服の難しさを痛感しつつも、子供の教育に責任を共有する者の一人として、今日提起されている塾通い、受験競争、偏差値、不登校、高校中退、体罰等の深刻な問題を一連のものとしてとらえ、真の教育改革を県民の皆さんとともに推進していく決意を表明いたしまして、私の代表質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
3 ◯議長(横田 進太君) 麻生知事。
*知事答弁
4 ◯知事(麻生 渡君)登壇 大変広範にわたります問題の御指摘でございましたが、逐次順番に従いましてお答えをさしていただきたいと思います。
第一は、女性副知事の問題でございます。現在の県政におきましては、高齢化社会の問題、あるいは総合的福祉の問題、少子化対策など大変新しい、難しい問題を多々抱えておるわけでございますけれども、この問題につきましては、特に女性の考えを十分に取り入れてやってまいらなければうまく解決できない課題が多いわけでございます。また、男女がともにひとしく個性と能力を発揮することができる男女共同参画社会づくり、これも重要な課題でございまして、女性の副知事の実現はその前進の一つの印として大きな意味を持つものと考えております。このようなことから、私はぜひ女性の副知事を実現をしたいと考え、選挙でも公約をいたし、現在もそのような考えを持っておるわけでございます。
次に、県政運営の基本的な姿勢でございます。女性の政策決定への参加問題につきましては、現在、御指摘のとおり県の行動計画では平成七年度末までに三〇%の登用を目標といたしておりましたけれども、平成六年六月一日の状況では一六・二%ということでございまして、六十一年度計画策定時に比べますと、一一・〇%と比較いたしますと、一定の伸長を見せておりますけれども、目標であります三〇%の達成は難しいという現状でございます。したがいまして、今後はこの目標を維持し、適切な人材の発掘に努めるとともに、選任の方法の再検討、見直し、そういうことを通じまして女性の政策決定への参画の推進を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
次に、
リージョナルステーツの問題でございます。近年、ボーダーレス化がどんどん進んでおります。国境の壁が低くなってまいったわけでございます。このような時代になってまいりますと、従来と異なりまして各地域、地方が活発に国際的な交流が行える条件が整ったわけでございまして、今後は地域が主体となりまして、国境を超えたレベルでの交流を進めていく、これが世界的な繁栄、あるいは地域的な国境を超えた繁栄、共生の非常に重要な基礎になると考えておるわけでございまして、最近このような考え方を
リージョナルステーツというようなことで提唱されておりますが、これは一つの重要な視点であると考えておる次第でございます。
また、次に
九州アジア大学の問題でございますけれども、これはさきに北部四県知事の座談会がございまして、その際九州が一体となってアジアから留学生を受け入れる、いわば九州版フルブライト制度が必要であるという提案がございました。私の方からは、その際に留学生が単に各地で勉強するだけでは不十分ではないか、日本の若者と一定期間、一緒に共同生活をするというようなことまで踏み込んだ考え方をとるべきではないかということで、一つの考え方といたしまして
九州アジア大学というようなことを提唱したような次第でございます。いずれにいたしましても、今後、アジアと日本の若者の交流ということは極めて重要な課題であるというふうに認識をいたしておりまして、九州が一体となってこのような交流を具体的に実施し、人材の養成をしていく、そのシステムを研究し、実現をしていくということが重要な課題であり、今後検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、地方
分権推進委員会の問題でございます。
地方分権推進法が成立をいたしまして、今後いよいよ推進委員会が地方分権推進のための指針をつくっていくという段取りになってまいるわけでございます。この指針の中に、地方の意見をしっかり反映させていくことが極めて重要であります。このため、今後は全国知事会あるいは九州知事会などを通じまして、委員の方々に必要な働きかけをしてまいる所存でございます。また、幸いに本県の桑原福岡市長が七人の推進委員の一人として選ばれておりますので、市長とも十分連絡をとってまいりたいと考えておる次第でございます。
また、この地方分権に対応いたしまして、本県の推進体制をどうするかということでございます。今後は、政府が策定をいたします地方分権推進計画、これに沿いまして、逐次権限や財源の移譲が行われるということが想定をされておるわけでございまして、本県といたしましてもそのような事態に対応した体制を準備をしていくということが必要でございます。具体的には、地域の実情、県の実情に即応いたしまして政策展開ができますように、職員の政策形成能力の向上あるいは組織の企画政策機能の強化などに努めまして、県としての自主的あるいは自立的な行政の確立ができますように体制の強化づくりを進めてまいる考えでございます。
次に、県と市町村との関係でございまして、権限移譲をどうするかということでございます。市町村は基礎的な自治体といたしまして、住民に身近な行政の中心的な担い手でございます。このような位置づけを有します市町村に対しまして、一定の県の事務権限を移譲することは、今後の住民の利便性の向上やあるいは市町村行政の総合性を確保していくという点から必要であります。同時に、市町村の自治の強化にも資するものであると考えておる次第でございます。このような考え方のもとに、これまでも市町村に対しまして住民と密接なかかわりを持っております環境関係の事務を初め百十六項目の事務あるいは権限を移譲を既にしておるところでございますが、今後とも地方分権の推進を図るという観点から、国の地方分権推進計画の進捗状況も十分見ながら、市町村と協議の上で積極的に事務や権限の移譲を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、震災対策でございます。
まず、震災対策の基本姿勢でございますけれども、御指摘のとおりでございまして、本県におきましては明治三十一年以降大きな地震がないということでございます。しかし、阪神・淡路大震災の例を見ましても、決して油断はできないわけでございます。地震災害につきましては、風水害と違った点は、特に予測が非常に難しくて、発生直後の的確な情報収集、それからその対応ということが非常に重要でございます。このため当面は災害発生時の初動体制の整備、自衛隊や九州各県との連携強化を図る、そのような考え方を中心といたしまして、本年度中に策定をいたします新しい地域防災計画におきまして、このような点から地震災害に対する即応体制の整備をまず集中的にやってまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、地震時におきます防災公園あるいは都市緑化の問題でございます。阪神・淡路大震災でも公園や緑地、避難場所、これが非常に重要な役割を果たしておるということが確認をされたところでございます。本県といたしましても、本年度より新たに広域緑の基本計画を策定をするということにいたしておりますけれども、この中におきまして従来の環境保全、レクリエーション、景観というような要素に加えまして、防災という観点も考慮いたしまして計画をつくってまいりたいと考えておる次第でございます。また、密集市街地におきます道路の整備につきましては、今後とも防災に配慮しながら土地区画整理事業、市街地再開発事業をも活用いたしましてその整備を進めてまいりたいと考えております。
それから、住民の防災意識の向上の問題でございます。今回の震災を通じましても、住民が防災意識を持っておるということは非常に重要であるということが確認をされております。このような点から、従来からもテレビあるいは新聞によりまして広報活動を実施しておりますほかに、市町村と連携をいたしまして防災知識の普及を目的といたしました小冊子も配布いたしておるところでございます。また、防災週間の中で特に防災セミナーを開催するというようなことで、地震災害に対する啓発活動を現在強化をいたしております。そういう中で日常的な訓練の実施ということが大変大切でございますが、地域住民の参加のもとに情報伝達訓練、避難誘導訓練を定期的に実施いたしておりまして、市町村とそれから自主的な防災組織に対しましてもそのような訓練の強化を指導いたしてきておるところでございます。さらに、本年五月には県の総合防災訓練を実施いたしましたが、その中心は特に震災を想定したものにいたしたわけでございます。このようなことを通じまして、今後とも市町村と連携をしつつ住民の皆さんの防災意識の向上を一層図ってまいる所存でございます。
また、災害時に備えましたボランティア活動の支援体制づくりの問題でございます。今回の大震災の例でも、各種のボランティア活動の役割というのは非常に大きなものがございました。ボランティア活動の範囲も社会福祉を初めといたしまして保健、医療、教育、地域活動など大変多岐にわたっておるわけでございます。これをうまく行いますためには、このような多岐な問題につきまして関係の機関、日本赤十字、その他ともよく連携を図り、専門的な知識も導入する必要がございます。また国及び他県の取り組み状況も十分研究をする必要があるわけでございまして、このようなことを参考にしながら、災害時のボランティア活動の支援体制づくり、この整備に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、水の問題でございます。
第一点は、都市と水の関係、特に福岡都市圏が肥大化しておるという中で、この環境をどう考えるかということでございます。福岡都市圏でございますけれども、これは本県のみならず九州の中核といたしまして、経済、行政、教育などの機能集積が進み、それに伴いまして人口の増加傾向が続いておるわけでございます。しかし、一方で都市というものは、土地や水資源の条件がございまして、その制約も受けるということも事実でございます。このような状況の中で、福岡都市圏につきましても、その有します中枢管理機能を県土の調和ある発展を図る上で適切に位置づける、また発揮をさせながら、一方で関係市町村との協議も行いながら、水資源などの条件も踏まえまして、都市機能のあり方や整備すべき条件の将来の方向につきまして検討を行ってまいりたいと考えておる次第でございます。
また、水源涵養の問題でございますが、これは県境を超えて協力をしなければいけないという御指摘でございます。森林の整備、これは水源涵養機能の向上を図る上で極めて重要であると認識をいたしておりまして、その恩恵を受けております下流域が、水源地に対しまして応分の支援を行うことは、大変意義があると考えておる次第でございます。県といたしましては、国を初め福岡県、熊本県、大分県、佐賀県などの出捐で設置されております財団法人筑後川水源地域対策基金、その一つの事業といたしまして、広域的な森林づくりができるよう、現在関係県と協議を重ねているところでございます。県といたしましては、このような方向で対策の事業が行えるように、今後とも一層努力をしてまいり、協議をしていきたいと考えておる次第でございます。
次に、総合的な福祉の問題でございます。本県におきます高齢者福祉、特に在宅介護のあり方あるいは地域の介護のシステム化の問題についてでございます。高齢者福祉の推進につきましては、平成五年度に福岡県
高齢者保健福祉計画を策定をいたしておりまして、その基本的な考え方は、いつでも、どこでも、だれでも必要とする保健、福祉サービスが受けられる体制の整備を進めようということでございます。この考え方のもとで体制整備を進めておるわけでございますけれども、御指摘の在宅高齢者の介護サービスの推進、これはこのような中で極めて重要な課題でございます。現在、県といたしましては、すべての市町村におきましてホームヘルプサービス、デイサービスなど毎日何らかの形で在宅福祉サービスが提供できますように引き続き整備を行い、また強く指導をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
さらに、地域におきます介護のシステム化の問題でございますが、これは非常に重要な課題であると認識をいたしておりまして、現在、国の方におきましても新しい介護のシステム化の検討がなされておりますが、そのような動向もよく見ながら関係機関と連携をいたしまして、系統的かつきめ細かいサービスができますようなシステム化の確立に向けて一段と努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
また、次に高齢化問題に関します県民の意識調査の問題でございますが、今後高齢化社会対策を進めてまいりますためには、介護福祉サービス、老後の生きがいあるいは地域での助け合いなど、高齢化についての県民の意識や県政に対する要望をさまざまな角度から把握するということが必要でございまして、このために高齢化に関する県民意識調査を実施しようとしておるところでございます。調査の内容につきましては、本日の御提案の趣旨も十分含めまして検討をいたしまして、よい調査にしてまいりたいと考えておりますし、またその成果を今後の高齢化対策に生かしてまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、少子化対策でございます。少子化の急速な進展とともに、子育てをめぐりますさまざまな問題が生じております。安心して子供を産み、育てられる環境づくり、これは今後の県政の重要な課題であります。御指摘の計画の策定でございますけれども、平成八年度の策定に向けまして現在検討を進めております。その中心は、児童環境づくり推進協議会でございまして、その提言、さらに本年度予算でお願いをいたしております子育てに関する意識、ニーズ調査、これも実施いたしましてその結果を踏まえまして県民ニーズの実態を十分に把握するということにまず力を注ぎ、その上で取り組みを進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、環境政策についてでございます。新しい長期計画と
環境総合基本計画との関係についてでございます。現在、御承知のとおり温暖化の問題やあるいはオゾン層の破壊の問題、酸性雨といった地球環境問題が大変深刻になっておりますし、さらに大量生産あるいは消費の転換、あるいは循環を基調といたしました経済
社会システムの構築というようなことを真剣に検討しなければならない時期に至っておるというふうに認識をいたしております。このような観点から、県といたしましても公害防止あるいは廃棄物処理、環境保全意識の普及啓発といった施策を実施をしてきております。このような中で、本年三月には県の環境問題に関します
マスタープランといたしまして、
環境総合基本計画を策定をいたしたところでございます。この計画と新しい長期計画との関係でございますが、新しい計画の策定に際しましては、環境問題ということも非常に重要な課題でございますから、当然この二つの計画は、長期計画をつくるに当たりまして整合性を持たなければいけないと考えておりまして、そのような方向で新しい長期計画を検討いたしてまいりたいと考えております。
それから、総合的な環境計画の推進体制の問題でございます。これまで、県といたしましては、県庁内で組織をいたしております環境対策協議会、これで関連部局を総動員をいたしまして、先ほどの
環境総合基本計画の策定に当たりましたし、またその実施体制をとっておるところでございますが、さらに一歩具体化を図っていきますためには、もう少し下のレベルでも体制整備が必要でございます。このため、協議会の下部組織といたしまして、とりあえずの名称といたしましては、
環境総合基本計画推進部会と言っておりますが、これを早期に設置をいたしましてその積極的な運営によりまして環境対策の推進を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、中小企業対策あるいは雇用対策の問題でございます。まず当面の円高対策、円高に伴います対策でございます。最近の急激な円高の進行は、県内の産業、特に中小企業の皆さんに深刻な影響を与えておるわけでございます。このため、当面の対策といたしましては緊急経営支援貸し付け及び経営安定緊急特別貸し付け、その融資比率の大幅な引き上げあるいは融資限度額の拡大あるいは適用期間の延長というような措置を講じまして、必要な資金の円滑な供給に努めておるところでございます。
同時に円高関連の緊急巡回総合指導あるいは相談会などを行っておりまして、経営指導あるいは受注の確保、経営安定というようなことの一助にしておる次第でございます。また、状況が今後とも変わることが予想されまして、経済実態に注視をいたしまして、今後とも中小企業の経営の安定のために機動的な対策を講じていく考えでございます。
また、中小企業におきます雇用安定緊急対策の問題でございます。現在、中小、零細企業を含めまして、雇用の動向の把握に努めておるところでございますが、経済状況の現状のような中で、雇用調整を行おうとしている企業に対しましては、雇用調整助成金の積極的な活用を図るように努めておりまして、そのような方向でできるだけ失業の予防を図るように関係の企業にお願いをし、また情報の提供を行っておるところでございます。しかし、そのような努力を行いましても、どうしても離職をせざるを得ないという方々も出るわけでございますが、そのような方々に対しましては、県下の公共職業安定所におきまして、きめ細かな職業相談やまた求人開拓を行っておるわけでございますが、新しい職業に必要な技能習得も大変大切でございますから、職業訓練を機動的に必要に応じて行うというようなことを通じまして、再就職の促進に努めておるところでございます。このような対策を講じ、また景気動向を注意深く見守りながら、今後とも積極的に雇用の安定と確保に努めてまいる所存でございます。
さらに、長期的な産業振興あるいは雇用対策でございます。長期的に考えますと、本県の産業を活性していきます一番大きな力は、何といいましても独自の技術開発力を持つと、それをもとに創造性のすぐれた中小企業を育成するということが基本であると考えております。このために、県の工業技術センターの研究開発力の強化あるいは産学官協同となりました研究開発の推進を図りまして技術開発を活発にし、またその成果を産業に移転をしていくという仕組みを強化をしていくことが特に重要であると考えます。そのようなことを通じまして、独自の技術力を持った中小企業の育成に全力を挙げてまいりたいと努めております。
さらに、企業の新分野への進出あるいは新商品の開発と、あるいは新しいサービス産業の育成というようなことも非常に重要でございます。このため、技術、情報、人材、資金の提供が不可欠でございまして、このような多方面にわたる支援対策を強化整備してまいりたいと考えておる次第でございます。このようなことを通じまして、生産性の高い知識集約型産業構造の実現を図り、そのようなことを通じまして新しい雇用の創出、確保、さらに雇用需給調整機能の強化に努めてまいる所存でございます。このような方向に向かいまして、庁内一体となりまして、新しい政策に取り組んでまいる所存でございます。
観光行政でございますが、本県は本来大変歴史的あるいは文化的な資源をたくさん持っておりますし、豊かな自然環境を持っております。これを活用しました観光行政の推進は、県政の中でも一つの大きな課題であると考えております。このため、従来観光資源のPRさらには新しい観光資源の発掘、ルートづくりに取り組んでまいり、また観光関係の施設の整備につきましてもその促進を図ったところでございます。今後は、さらにこの観光政策を強化するということが必要でございまして、多様な観光ニーズあるいはアジアの時代をも視野に入れまして二十一世紀を見据えた総合的な観光振興に取り組んでまいりたい、現在、そのような観点から総合的な議論も福岡県の観光懇話会で行っていただいておるところでございますが、そのような議論も踏まえながら振興対策に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、農業問題でございます。まず、農業につきましての基本的な認識でございますけれども、農業はもう申し上げるまでもなく、食糧を安定的に供給するということに加えまして、県土や環境の保全といった多面的な、公益的な機能を果たしているということでございまして、今後ともその維持発展に努めていかなければならないと考えておるわけでございます。このような観点から、農政の推進に当たりましては、国際化の進展や担い手の減少あるいは農業農村を取り巻きます諸条件の変化ということを的確にとらえまして、収益性の高い国際化に対応し得る農業の実現あるいは魅力のある農村の建設、これを行っていくことが基本であるというふうに考えておりまして、このために農業者はもちろんでございますけれども、広く県民の期待にこたえるよう政策の強化を図り、努めてまいる所存でございます。
また、産地間競争あるいは福岡県米の生産あるいは流通戦略の問題でございます。今後、ますます産地間競争が激化するというふうに予想されておりまして、その中で本県の稲作が残っていきますためには、消費者ニーズに対応した米づくりを行いますとともに、積極的に消費拡大対策を推進することが重要であると認識をいたしております。本県は、独自に大変おいしいと好評いただいております夢つくしを初め、食味のよい米の開発に成功いたしておりまして、その作付面積も拡大をいたしております。さらに、これに続きます新しい品種の拡大あるいは大区画の圃場整備や農地の流動化というようなことを推進をいたしまして、生産コストの低減やあるいは有機、減農薬米などの特色のある米づくりを進めていく考えでございます。一方、消費拡大対策でございますが、テレビの放映、そういうことに加えまして夢つくし、花つくしなどの一層のブランド化を関係団体と一体となって進めてまいるということにいたしておりまして、さらに県産米の県内消費の拡大に積極的に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
それから、さらに一般的に福岡県はいろんな種類の農産物をたくさんつくっておるわけでございますが、県内での消費の拡大、これも非常に重要な課題でございます。そのためには、何といたしましても県民の皆さんにそのよさを知ってもらうということが大切でございます。このため、農産物のフェアの開催あるいは農産物のブランド化推進対策事業をこれまでも積極的に実施をしてまいっております。さらに、本年度からはアクロス福岡にアンテナショップを設置をいたしました。加えましてテレビ放映などによりまして、県産農産物の一層の拡大に力を注いでまいるつもりでございます。また、産地づくりの方でございますが、これにつきましても、各種の生産施設の整備を支援をいたしまして、産地の育成と強化を図ってきております。本年度は、これに加えまして園芸農業の生産と流通面の問題点をさらに検討し、明らかにいたしまして、その解決を図ることによりまして他県に負けない競争力のある産地づくりを行ってまいりたい。その一つの重要な事業といたしまして、園芸農業ワンステップアップ運動を推進をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
中山間地の問題でございます。中山間地の活性化を図りますためには、地域の特性に合った営農条件の整備あるいは農産加工の振興とその担い手の確保、定住を推進いたしますための生活環境基盤の整備、これが重要な課題であると考えております。このような認識のもとに、中山間地域活性化特別対策事業を引き続き実施いたしますとともに、生産基盤あるいは生活環境の一体的な整備を行いますために、中山間地域農村活性化総合整備事業、これを大幅に拡充を予算では行っておるところでございます。
また、新規就農の促進や農業生産組織の育成といった担い手対策、これも強化をいたしますとともに、本年度から新たに新規作物の導入や特産物の開発を行いますための中山間地域活性化農業生産技術の開発事業、これも実施をするというようなことでございまして、今後とも総合的に取り組んでまいり中山間地域の活性化を図ってまいるという方針でございます。
次に、交通体系の問題でございます。第十一次道路整備五箇年計画、この進捗状況でございますが、この計画自体の進捗状況は平成七年度末の状況では、約六割を見込んでおります。また、国道の多車線化につきましては平成六年度までの目標に対しましては、三割強という進捗率でございますけれども、いずれも当初計画をつくりました段階の見込んでおりました進捗の線で大体進んでおるというような状況でございまして、一層事業の推進に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、東九州自動車道の問題でございますが、これにつきましては福岡県域内、基本計画の段階でございますものですから、地元市町村との連携を密にしまして整備計画への格上げ、このための必要な調査、手続を円滑に行いますように今取り組んでおるところでございます。今後とも、国幹審におきまして整備計画への格上げということを目指して働きかけを強化していきたいと考えております。
西九州自動車道につきましては、福岡前原道路が既に一部供用されておりますが、これに接続する部分につきましても現在工事を逐次推進をしておるという状況でございまして、今後とも建設省などと協議を進めながらその早期完成に向けて一段と努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
また、道路等の耐震対策の問題でございますが、道路橋を初めといたしまして、交通施設に阪神・淡路大震災では大きな被害を受けました。このため、耐震性が十分でない橋梁につきまして、早急な補強対策が求められているところでございます。本県といたしましても、国の方で技術的な検討をなされ、技術仕様が逐次できておりますから、それに基づきまして平成八年度までに橋梁につきましては、必要な補強を完了するということを目指して事業の推進をしてまいりたいと考えております。
次に、産炭地域の振興でございます。一つは、三井三池炭鉱の維持存続に向けた取り組みの問題でございます。この問題につきましては、非常に大きな課題でございます。県といたしましては、石炭産業が現在この地域の経済社会に果たしております非常に大きな重要性を十分認識をいたしておりまして、今後とも国、さらには事業主体でございます三井石炭鉱業、さらにこれに関連をいたします三井グループに対しまして、炭鉱の維持存続に一層努力するように強く要請をしてまいる所存でございます。
また、ワールドコールテクノセンターの構想の問題でございます。この構想は、稼行炭鉱の特性を生かしまして、石炭関連技術の研究あるいは研修施設を誘致しようという構想でございます。これは石炭を通じた国際貢献という観点からも意義のある構想だと考えております。この構想自体は、国の構想の一部というふうに認識をいたしておりまして、地元とも十分連携をとりながらその構想の実現を国に強く要請をしてまいっていきたいと考えております。
さらに、大牟田地域全体の活性化対策でございますけれども、これは大牟田地域として非常に大きな問題でございます。同時に、多くの取り組まなければいけない課題があるわけでございます。県といたしましては、これまでも国あるいは大牟田市を中心といたしまして、関係自治体、企業などといろんな連携をとって研究を進めてきておりますところでございますけれども、今後とも関係機関と連絡をとりながら必要な対策の実施に向けて努力をしてまいりたいと思います。特に、三井グループに対しましては、社有地をたくさん持っておりますが、それを活用いたしました新規分野の展開努力を要請しながら、大牟田地域の振興に一層貢献をしていただくよう強く要請をしてまいりたいと思うわけでございます。
次に、JR篠栗線・筑豊本線の複線化あるいは電化事業の問題でございます。JR九州篠栗線・筑豊本線の複線化、電化の事業の早期の実現を目指しまして、平成五年二月に第三セクターでございます福岡筑豊都市鉄道開発株式会社、これを設立いたしたところでございますけれども、その後いろんな経緯を経まして計画の見直しをせざるを得ないという状況に立ち至り、現在はJR九州を事業主体とする計画につきまして、JR九州と協議を進めておるところでございます。しかしながら、御指摘にもございましたように、JR九州の経営状況から見まして、その負担能力というところには限度がある、さらに
地方公共団体から支援をするといたしましても、制度的に制約があるというようなことがございまして、資金計画の策定に時間を要しておるところでございまして、国などに対しましてさらに支援の要請を行うなどいたしまして、事業の実現に引き続き努力をいたしておりますし、また今後もしてまいるつもりでございます。
御提案いただきました複線化をまず先行いたしまして、事業費を思い切って圧縮するというような方法、これは非常に貴重な今後の選択肢の一つであると受けとめております。今後、沿線市町村、関係者と十分協議を進めながら検討をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
いずれにいたしましても、この事業は筑豊振興のために非常に重要なプロジェクトであるというふうに認識をいたしておりますし、また同時に福岡都市圏の交通体系の確立にも重要な事業でございますから、その実現に向けまして全力を尽くしてまいりたいと考えておる次第でございます。
また、JR西日本山陽新幹線の新駅の設置の問題でございます。小倉と博多の間に新駅を設置するということは、筑豊地域の新しい玄関口の確立という意味で地域の振興に寄与することが期待をされておるところでございます。御質問の中にありましたように、県では平成四年度に直方市と共同でこの設置に関します基礎調査を実施したところでございますけれども、その結果によりますと事業費が駅本体工事で百六十から百八十億円、それから駅前広場の整備など関連工事を加えますと、全体の事業費は二百億円を超えるというような結果が出ておりまして、当初の予想を大きく上回る額になっておりまして、この課題が非常に大きなことになっておるわけでございます。そのような状況でございまして、本事業の実現に当たりましては、県はもちろんでございますけれども、地元の体制の整備が非常に重要な課題になっておりますものですから、関係団体と十分協議しながら今後の推進方向につきまして検討をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
5 ◯議長(横田 進太君) 光安教育長。
*教育長答弁
6 ◯教育長(光安 常喜君)登壇 いじめの背景、原因につきましては、学校におきます教育のあり方はもとより、家庭の教育機能や青少年を取り巻く社会環境などそれぞれの要因が複雑に絡み合っておりまして、この問題の解決のためには、学校、家庭、地域社会が一体となった取り組みが重要であると考えております。特に、学校教育におきましては、これまでの教育のあり方を見直し、児童生徒一人一人の個性を重視した教育や、命を尊重する心や他人を思いやる心を育成する心の教育を推進をいたしまして、教職員が一体となって家庭や地域社会との信頼関係の確立に努めていくことが肝要であると考えておりまして、そのための条件整備に県教委といたしましても鋭意努力をしてまいる所存でございます。
児童の権利に関する条約につきましてのお尋ねがございました。県教委といたしましては、これまで児童生徒の人権に十分配慮した教育指導や学校運営が行われますよう努めてまいったところでございます。
さらに、本条約の発効を契機にいたしまして、各学校が児童生徒の発達段階に応じ、それぞれの教育活動の特質を踏まえつつ、児童生徒の意見にも配慮した教育活動を展開するなど、条約の趣旨が十分生かせるよう指導をいたしておるところでございます。
なお、児童生徒につきましては、昨年、各学校に政府作成のポスターを配布いたしましたほか、本年には新たに県教委で作成をいたしました児童生徒向けのパンフレットを作成をいたしまして、本条約の趣旨の理解を図っておるところでございます。
次に、学校週五日制に関連をいたしまして、学習指導要領についてのお尋ねがございました。県教委といたしましては、本年四月からの月二回の学校週五日制の実施に当たりまして、学校行事やゆとりの時間の精選及び授業時数の運用、指導内容、指導方法の工夫改善等の方策を示しました指導資料を作成、配布をいたしたところでございます。現在、各学校におきまして、児童生徒がゆとりある充実した学校生活を送ることができるようにするためのさまざまな工夫改善が行われておるところでございます。
なお、学校週五日制の今後のあり方等につきましては、現在、国の第十五期中央教育審議会におきまして審議が行われているところでございまして、県教委といたしましても、こうした国の動向をも踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、教師と子どもとの触れ合いのための時間の確保について、御指摘がございました。いじめ、登校拒否などの課題に適切に対処していきますためには、御指摘がありましたように教師が児童生徒との日常的な触れ合いの機会をふやし、児童生徒の生活実態のきめ細かな把握と指導を行うことが重要であると考えております。このため、学校におきましては、校務分掌組織の適切な整備、教師の業務内容の合理化を図るなど、学校運営の改善に努める必要があると考えております。また、教員の資質向上を図るための研修の内容につきましては、学校現場での事例研究などを通した実践的な力量を高めますとともに、人権感覚やカウンセリングマインドを高めるための研修の充実を図ってまいりたいと考えております。
教職員の定数につきましては、現在、国の第六次定数改善計画に沿いましてティームティーチング等によります個に応じた教育の展開に対応した教職員の配置に努めているところでございます。今後とも、国の定数改善計画の進捗状況を見ながらきめ細かな生徒指導の充実等を図ってまいる所存でございます。
なお、これらの課題も含めまして、今後の中長期的な教育施策のあり方につきましては、さらに検討をしてまいりたいと考えております。
7 ◯議長(横田 進太君) この際、しばらく休憩いたします。再開は、午後一時五十分といたします。
午 後 零 時 五十 分 休 憩
午 後 一 時 五十一 分 再 開
8 ◯副議長(近藤 義隆君) 再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。発言を許可いたします。吉永允俊君。(拍手)
*吉永議員質問
9 ◯七十二番(吉永 允俊君)登壇 私は、公明県議団を代表して質問をいたします。
質問に入る前に、この場をおかりし、公明県議団を代表して、麻生新知事の御就任を心からお祝い申し上げ、あわせて県民四百九十万人の福祉増進のために全力を傾注されることを期待し、またお願いを申し上げる次第でございます。
さて、質問に入りますけれども、昨日来の代表質問で当面する県政の諸課題が出尽くした感がございますが、私は公明独自の立場で確認すべきこともございますので、質問の一部に重複することもあることを執行部並びに議員各位の御理解を求めておきたいと思います。
「活力と豊かさにあふれたアジアの拠点ふくおか」を基本として、「安全で快適な生活環境の整備」を初め六項目の主要政策を掲げて編成された平成七年度予算案など、今議会に提案された議案の提案理由説明は、極めて美しい言葉で飾られ、文章で見る限りこれほどすばらしい県政はないように思います。また、水不安のない県づくりの区分では、我が党がかねてから主張してまいりました雨水導入計画調査費を新規計上、海水淡水化対策調査費を増額されたほか、景気や円高対策のため
中小企業振興資金融資費を大幅に増額されるなど、高く評価する面も数多くあることは認めるものの、福祉、医療、教育の分野においては継続事業の充実であり、マルチメディア社会への高度情報化の推進の区分においては、その施策は極めて弱いと指摘せざるを得ないのであります。
今、福岡県が客観的にどう評価されているかを、経済企画庁が五月の一日に発表した都道府県別の生活水準を分析した平成七年版新国民生活指標で見てみますと、「住む」の項で全国四十六位、「費やす」で同四十二位、「働く」で同三十一位、「育てる」で同三十六位、「癒す」で同三十位、「遊ぶ」で二十二位、「学ぶ」で同四十位、「交わる」で同三十六位、総合指標は全国四十七都道府県の中で四十四位にとどまっております。もちろんこの指標のみが福岡県を評価するものではないし、統計上の豊かさと住民の実感とはずれがあることも承知いたしておりますが、まず知事にこの数値をどう評価されるかお尋ねしたいと思います。これまでの日本人は、先進諸国に追いつけ、追い越せと懸命に働き、より大きく、より高く、より早くと、物量の大きさを追い求め、気がついてみると虚像のバブルがはじけ、国際収支は大幅黒字となって世界の批判を受け、ODAはぬきんでて世界第一位でありながら世界の尊敬を受けず、国民は中流意識を持ちながらも豊かさの実感がなく、偏差値偏重の教育現場ではいじめの横行で中学生の自殺者が相次ぐなど、おかしな日本になってはおりませんか。私どもが県民の多くから聞く意見は、もう大きな開発や大きなイベントは要らない、自分たちの生活の場を安全で豊かにしてほしいというのが圧倒的でありますが、こうしたことに対する知事の御所見も求めます。
本県のトップリーダーとして、亀井知事は強力なリーダーシップを発揮され、また奥田知事はボトムアップから県政に対処されていたように一般的評価が定着しておりますが、麻生知事はいかなる姿勢で県政に臨もうとされるのか、お尋ねしておきたいのであります。
そして、「アジアの拠点ふくおか」というテーマで編成された予算案では、言葉のみが先行し、その特色が必ずしも出ていないように思えます。この点については来年度以降に大きな期待を抱くとともに、この後論じてまいりますが、ここでは先ほども出ましたけれども、知事が提唱されている
九州アジア大学とはいかなるものか、御説明いただきたいと思います。私どもは麻生知事誕生に全力を尽くしたものではございますが、だからといって知事の提案されるものすべてを無条件でよしとするのではなく、あくまでも県民サイドに立って是々非々の立場で判断し、積極的に政策提言を行い、知事とともに安全で豊かな福岡県づくりに邁進することを表明いたしておきます。
第二は、財政運営と行財政改革についてであります。麻生知事が編成された初めての今回の予算案を、十二年前の奥田県政スタートの昭和五十八年当初予算と比較した場合、歳出の構成比率において義務的経費が五九・三%から五一・三%へ減少、投資的経費は二二・七%が二二・六%と横ばい状態であり、過去十二年間での人件費、扶助費の比率の低下は評価できるにしても、公債費の比率の増高が懸念されるところであります。県債の発行額は平成六年度当初予算に比べて約百十億円増の一千八百一億円で、七年度末の県債発行見込み残高は当初予算額に迫る一兆二千六百三十九億円に達する見通しであり、これを十二年前と比較してみますと、金額で六千八百九億円増加し、発行残高と当初予算の比率は七〇・五二%から八七・一九%へ大きくなり、予算規模はこの間一・七五倍となったのに県債残高は二・一七倍とふえ、県民一人当たりで見てみますと十二万五千円から二十五万七千円へ借金が倍増した形となっております。歳入に占める県債の割合も六年度当初の一一・九%から〇・五ポイントアップし一二・四%となり、歳入の中で県債への依存度は過去最高で、こうした県債の増発は将来の公債費増額につながるものであり、財政の硬直化が懸念されるところであります。また、財政調整基金など三基金の六年度末における一千二百二十三億円の残高は、今年度五百四十七億五千万円に半減する結果となっております。
こうしてみますと、本県の台所は、貯金が減り借金がふえていく状態でありますが、知事はこれをいかに評価されているのか、まずお伺いいたします。
また、当然のことながら、県財政の健全運営の努力を続けるべきでありますが、財政運営の基本的考えをお示しいただきたいと思います。
歳入面で最大の比率を占める県税収入は、景気動向や県民生活運営の活力に左右されるだけに、就任早々の知事の責任は問えないところでありますが、今後県税収入をふやす手だてとして、知事にはいかなる構想があるのか、お伺いいたします。
民間企業では、円高不況対策として血の出るようなリストラに懸命に取り組んでいることを考えると、公機関も徹底したスクラップ・アンド・ビルド等による行財政改革に取り組むことが不可欠であり、この際これに取り組む知事の御決意と具体的対応をお尋ねいたします。
第三は、地方分権についてでございます。
我が福岡県や福岡県議会を初め、地方自治体に携わる多くの者が久しく待望しておりました
地方分権推進法が五月十五日に成立し、法律施行後五年以内に計画に基づき実施されることになっております。全国知事会、全国都道府県議会議長会など地方六団体や
地方制度調査会の提言のポイントであった国の役割を明確に限定することができず、また廃止を求めていた機関委任事務についても、整理、合理化、その他所要の措置を講じるとあいまいであり、税体系の抜本的な見直しや課税自主権の強化、補助金制度の改革なども明確でないことは残念であります。したがって、分権の理念や具体像が不明確であるなど問題を残しているとはいえ、行政システムを国中心から地方中心に大転換させようという意味においては、分権推進法は画期的な意義を持っていると評価するものであります。知事は、
地方分権推進法をいかに評価されているのか、今後分権が進むと思われるか、推進委員会にどんな注文をしたいか、国から地方へ移譲すべき最重要な権限を挙げるとすればどういうものがあると思われるか、そして分権推進のため今福岡県に求められていることは何かをお尋ねいたします。
地方の住民や議会に、そして地方政府もそうだと思いますが、政治の枠組みとして国民国家に住民の期待を実現する能力があるのか、国家は余りにも硬直化し過ぎてはいないかという意識が、現在の地方分権問題の根底にあるのではないでしょうか。
ここで改めて地方の意味を考えてみたいと思います。日本語での地方は、中央に対する消極的な意味しか持っておりませんが、地方は英語ではローカルと呼ばれ、ローカルという言葉の意味は、英語では必ずしも日本語のような消極的な意味を持っているわけではございません。例えば飛行機がロンドンに近づくと、ロンドンのローカルタイムは何時何分ですというアナウンスが入りますが、そのときのローカルタイムが意味するローカルは、地方時間ではなく現地時間なのであります。あるいは、日米経済摩擦でアメリカが主張するローカルコンテントとは、地方調達ではなくて現地調達を意味しており、ローカルはまさに現地であって地方ではないのです。当事者にとって意味ある生活空間を担う単位がローカルなのであって、中央に取り残された生活空間をローカルと呼ぶのではないのであります。まさにローカルは当事者主義の思想であり、そこに住む人々が描き出す生活空間であります。ローカルが主体となって新しい生活空間を創造しようという運動はローカルイニシアチブと呼ばれ、地方、ローカルが主体性、イニシアチブを持って新しい政治の枠組みをつくろうという運動こそ、二十一世紀への新しい枠組みを創造し、その枠組みを指導するものでなければならないのであり、私はその運動の先頭に麻生知事が立ち、先駆的思想を持って行動されることを期待するものでありますが、知事の御所見と御決意をお伺いいたします。
大分県は、平成七年度から三年かけて、県から市町村への権限移譲や規制緩和など、大規模な県内版地方分権を段階的に実施する計画であり、佐賀県においても県から市町村へ権限移譲を進めるため、佐賀県版地方分権特例制度──ミニパイロット自治体制度を平成八年度に創設することを六月十二日に決定いたしました。このような大分や佐賀県の方式を知事はどう評価されるか、また、本県としての県内地方分権に対する取り組みについてお尋ねいたします。
第四は、マルチメディア社会への対応についてでございます。現代は車社会であり、これから迎えるであろう社会はマルチメディア社会と呼ばれております。郵政省の資料によれば、マルチメディア関連産業の市場規模は光ファイバー通信網の整備により二〇一〇年には百二十三兆円にまで拡大し、関連の雇用人口は約二百四十万人になると予想され、雇用拡大の面でも大きな注目を浴びております。平成六年はマルチメディア元年とも言われ、郵政省がマルチメディア構想を打ち出したのに呼応するように、日本電信電話も昨年、マルチメディア時代に向けてのNTTの基本構想を発表、この中で情報通信産業がコンピューターの高度利用、デジタル化、光ファイバー化、無線アクセスの進展などの技術革新やそれに伴って新たに生まれてくるサービス、情報化ニーズの多様化によって大きく変化すると予測し、情報通信の産業構造自体が自由競争を基軸として新事業分野の創出やソフト産業の発展などによって、かつてないほどのダイナミックな変革を遂げると想定いたしております。またNTTは、平成二年三月に新高度情報通信サービスを発表しており、二〇一五年を目標に全国の家庭にまで光ファイバーを導入するファイバー・ツー・ザ・ホーム──FTTH構想を世界に先駆けて打ち出しております。政府においても、通産、建設、厚生、文部、郵政等の各省庁がマルチメディア時代を先取りする構想やモデル事業を展開しており、九州でも通産局や電気通信監理局が音頭をとり、マルチメディアに関する懇話会等が設立されているところでございます。地方自治体でも各省のモデル事業を導入するほか、自治体独自の取り組みを始めており、兵庫県が兵庫県高度情報化構想のもとにさまざまな取り組みを進め、香川県が昨年七月に県庁内に設置した香川県マルチメディア振興研究会の調査研究をもとに、昨年十二月香川県マルチメディア振興指針を策定いたしております。福井、三重、徳島を含む近畿二府七県三政令都市の産学官で構成する高度情報化推進協議会では、県境を越え、行政情報を相互交流する(仮称)関西公共インターネットの構築に乗り出しており、大分県では六月十四日、デジタル通信網によるテレビ会議を使った診療支援や医療データベースの構築など、マルチメディアを駆使した医療体制に乗り出すことを明らかにしております。二〇一〇年までにNTTが政令市や県庁所在市においては、各家庭にまで光ファイバーを敷設する計画があることから、横浜市ではこれを利用して家庭や行政機関、企業を映像を中心とした情報網で結ぶという、自治体が全市域レベルでマルチメディアを本格活用する最初の例となる壮大な計画策定に着手いたしました。同市ではこの計画を具体化するため、昨年度予算に調査費を計上、この六月二日に市民生活に身近な施策分野に携わる市民代表等から成る検討委員会と市民生活、保健・医療・福祉、教育・文化、インフラ整備の四部会を設置し、年度末には市民ニーズに即した具体的な施策やモデル事業などの報告を取りまとめる予定でございます。時代が大きく転換し、産業構造の変革が予測され、マルチメディア社会の到来が叫ばれる今日、本県としての対応はこれまでいささかおくれをとっている感がしないでもありません。そこで私は、通産省御出身の知事に期待を抱くのでありますが、まずマルチメディア社会と県民生活の変化や県内企業の活動、雇用への影響などどのように期待され、またどのように評価されているかをお尋ねいたします。
また、本県としての対応を研究する研究会を庁内に、県民代表による組織を諮問機関として設置し、先駆的にこの課題に取り組まれることを提言いたしますが、御所見をお伺いいたします。
さらに、建築都市部長に、今後県がかかわる建築物には、光ファイバー敷設のインフラをあらかじめ整備していく考えはないか、お尋ねいたします。
次に、マルチメディアや国際化時代における福岡県の役割と展開を考えとしてまとめ、提言したいと思います。九州とアジアは、地理的、歴史的、文化的に深い関係にあり、また、九州を取り巻く東アジア経済圏の動きを背景に、九州と東アジアとの経済関係は急速な深まりを見せつつあり、文化的、経済的交流もますます活発化の様相を呈してまいりました。ちなみに地場企業の海外進出は、昭和六十一年度から平成六年七月までに、三井ハイテック、東陶、九州松下電器、岡野バルブ製造、アポロ電子など福岡県や九州を代表する企業は東アジアでの生産拠点づくりを進めており、その数は四百八十一件に上る中、七割がアジア諸国で、二位のアメリカ、三位のヨーロッパに比べ圧倒的であります。さらに、九州から海外に渡航する日本人はアジアへの渡航が最も多く、海外から直接入国する外国人も大半をアジアの人が占めております。また、アジアからの留学生も増加しており、アジアとの関係強化は本県としても九州としても経済発展に必要不可欠であり、共生できる調和した関係を目指すことは大切なことと思います。このように九州とアジアとの交流が進むに従って、アジア各国のさまざまな情報がますます必要となり、中小企業や小さな自治体を初め多くの関係者が新しくて信頼性の高い正確、迅速な情報入手の困難さを訴えております。文化的、経済的な交流が活発になると必然的に情報通信が果たす役割も増大し、また二十世紀に残された産業の空洞化、人口急増、雇用問題、貧困、地球環境問題等の諸課題の解決に当たっても重要な役割を果たすことが改めて認識されるところであります。アジア諸国の情報通信基盤に当たっては、国ベースでの財政支援、また民間ベースの技術支援等が行われているところでありますが、地理的に近い本県としても早急にインフラを整備し、人材を育成強化し、人材交流等を通した協力を積極的に行っていくことが望まれていると思いますが、まず知事の御見解を求めるものであります。
そして私は、本県の発展のために次のことを提言したいのです。
一、アジア諸国の経済、産業、人材、観光、イべント等の情報ニーズが高い反面、得られる情報が古い、情報の入手方法がわからないといった現状を踏まえ、アジアの情報を中心としたデータベースを備えたセンターの必要性についてのニーズが高いことの認識が重要であります。そして、これらのニーズを実現することは、国際的には福岡県、九州のポテンシャルを高め、国内的には地場企業の活動や起業を支援し、個人の文化的ニーズにもこたえることとなります。そのため(仮称)アジア情報通信交流センターを設置し、アジア研究機関、経済団体、各種調査機関等の既存のデータベースや関係施設をネットワークし、順次合目的に再編、拡充しながら求められる機能を段階的に整備していくことが必要であります。
二、情報通信分野における人材交流の促進であります。現在国際協力事業団──JICAを中心として国も人材交流に取り組んでおり、九州においても北九州市にある財団法人北九州国際技術協力協会を初め各種の交流が行われております。その上で情報通信分野におけるアジアの人材交流が、福岡県、九州を拠点として活発化していくためにはJICAとの連携を図り、また国の施策である電気通信基盤充実事業人材研修との関連を整理しつつ、関係機関の既存の研修センター等を有効活用することが必要であります。そして、人材交流を拡大し、さらに人材育成を強化するために、研修員の相互交流及び技術協力等を積極的に行う第三セクターによる(仮称)アジア情報通信人材交流センターを設置することであります。アジアの諸国においても情報通信への取り組みは日本以上に熱心で、シンガポール、香港などはアジア・太平洋地域の情報を集約する情報ハブを目指し競争しており、情報通信の分野でも高度成長を続けるアジア市場に関心が高まっており、金融市場や国際空港がアジアにシフトしつつある今、日本はうかうかしておられない状況であると考えられます。国土審議会の九州地方開発特別委員会は、九州の戦略として東アジアとの地域ネットワークづくりを提唱しており、本県としてもアジアに近い地の利を生かす情報戦略が必要であり、それを具体化する行動が求められております。それを具現化することによって、本県がアジアの情報ハブとして成長し、ひいては福岡県、九州の経済活性化の弾みとなると考えるものであります。福岡市のテレポート構想が行き詰まっているかに見える折、福岡、北九州両政令市と県が話し合い協力して私の提言を実現し、本県が情報ハブを目指されるよう知事に要請し、その取り組みをお伺いいたします。
第五は、国際化の推進についてでございます。最高裁は二月十八日、日本で生まれ育った在日韓国人二世が自分の住む自治体における選挙権を求めた訴訟で、日本に長く住んでいる外国人に自治体の長、議会の議員に対する選挙権を付与することは憲法上禁止されているものではないと、地方選挙権獲得への道を開く画期的な判決を下したことは御承知のとおりでございます。定住外国人に対する地方選挙権を事実上認めた初の憲法判断であり、住民参加と住民意思の尊重をうたった地方自治の理念に沿ったものであり、私はこの判決を高く評価するものであります。この判決の背景には、在日外国人団体の中で最大規模の組織である在日本大韓民国民団が昭和六十二年に、第六次在日韓国人の権益に関する要望書をまとめ、外国人登録法の改正、出入国管理の是正などとともに、在日韓国人の地方自治体選挙への参加を要求、今日まで運動を続けてきた経過、本議会を初めとする多くの地方議会の意見書の採択や国際化の進展が挙げられると思います。納税という社会的義務を果たし、地域社会の重要な構成員である定住外国人が、住居を有する自治体の政治、行政に参加できないのは不合理であり、当該自治体の政治、行政によってその生活は影響を受けるわけでありますから、地方参政権は当然認められるべきであります。北欧諸国を初めヨーロッパ、オーストラリア等諸国においては、一定期間合法的に定住している外国人に対しては、地方選挙レベルの参政権が制度化され、既に二十年以上経過している国も珍しくはないのです。
さきにも述べましたように、我が福岡県議会はその意思を意見書として採択、関係諸機関に働きかけておりますが、知事御自身の定住外国人の地方参政権についての御見解をお聞きしたいのです。そして、県議会の意思は県民の意思でもあるところから、その制度化について知事みずから政府に要請される考えはお持ちでないか、お尋ねします。
また、県内に住む外国人の考え、意見、要望等、直接聞いて行政に反映させていくため、本県が知事の常設諮問機関として外国人県民代表者会議を設置されること、及び行政は多くの部課にわたるため、定住外国人の相談を受けたり施策を調整する機関として、国際交流課か県民生活局の中に定住外国人係を設けられることを提言し、知事の対応を求めるものであります。
定住外国人の地方参政権問題は、日本で暮らす彼らの基本的人権を保障するか否かの基本的問題であります。そうした視点に立てば、大半の自治体が在日外国人を一般行政職等に採用することを見送っているのには疑問があります。本県においても県庁職員の採用において逐次その職種を拡大され、県教育委員会が常勤講師としての採用の道をつけられたことは評価するにしても、戦後五十年の節目を迎え、地方でも戦後の未整理の問題を考えることが求められている今日、県のすべての職員の採用について国籍条項を完全撤廃する考えはないか、お伺いいたします。
高知県の橋本大二郎知事は、ことしの元旦の年頭所感でその旨の考えを明らかにし、今年じゅうに具体的作業に入るとのことであります。スポーツの世界でも高野連や高体連が朝鮮高級学校の加盟は認めないものの、公式試合に参加できるようにしたことに一応の評価をするものです。今県内の朝鮮初中級学校が県中体連加盟を要請しておりますが、県としてそれをバックアップするお考えはないか、知事及び教育長にお尋ねいたします。
冒頭にも述べましたように「アジアの拠点ふくおか」を予算編成の基本にされたと言われる割にはそのカラーが出ていないと言わざるを得ませんが、私は知事の今後の取り組みに期待いたします。しかし、その施策は本県のひとりよがりでなくアジア諸国の人々と仲よく共生でき、信頼されるものでなければなりません。
そこで、知事または知事の意思を受けて県職員の方々がアジア、特に韓国を初めとする東アジア諸国を歴訪し、その国や都市のリーダー、かつて県内で暮らした経験のある人や留学生、研修生OBの人々と会い、彼らが福岡県に何を期待し、何を求めているかを直接に聞き、その上で「アジアの拠点ふくおか」にふさわしい政策を立案されること、知事としての初の外国訪問は、戦後五十年、日韓国交正常化三十年という記念すべきことしであるだけに、この六月地方自治が発足した、本県に最も近いお隣の韓国や中国を選ばれ、知事が東アジア重視の姿勢を明確にされるとともに自治体交流を協議されること、この二点を知事に求め、御所見をお伺いいたします。
第六は、福祉と健康増進についてであります。昨年九月二十八日から、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律──ハートビル法が施行されたことは御承知のとおりであります。この法律は、来る高齢社会に備えるとともに、障害を持つ人も同じように活動できるノーマライゼーションの理念の実現を目指しております。そして、ホテル、劇場、病院、集会所、デパートなど不特定多数の人々が出入りする公共性の高い建築物の建築計画について、都道府県知事が身体的なハンディを持つ人に配慮していると認定した場合、補助金を交付したり、税制上の優遇措置を講じることとなっております。米国の全米障害者法やスウェーデンの計画・建築法には、すべての建築物は障害のある人でも利用できるようにしなければならないと規定しておりますが、我が国もようやく欧米先進国に近づく制度がスタートしたものと、私は一定の評価をするものであります。地方自治体においても大阪府が法律施行に先立ち、昨年四月に全国で初めて福祉のまちづくり条例を施行したのに続き、これまでに一都一府八県がこの法律と類似した福祉のまちづくり条例をスタートさせ、その動きは徐々に広がりつつあります。九州においては、大分県と熊本県がことしの三月議会で条例を制定いたしております。熊本県の熊本県高齢者及び障害者の自立と社会的活動への参加の促進に関する条例は、車いすやトイレや誘導ブロックなどの設計基準を独自に設けるほか、スーパーや美容室など生活に密着した建物も対象に含めた建物の建築の際に、県などが指導助言する事前協議制を導入し、罰則規定はないものの事前協議に応じない業者名は公表するという、ハンディある人への心配りが先行条例より細やかであります。そこで知事に、先行する各県の取り組みをいかに評価されるか、我が県としての条例づくりへの基本的、具体的考え方と取り組みについて、そして我が県でもゴールドプランに基づき高齢者・障害者にやさしいまちづくり事業を進められていることは評価するものとして、県のかかわる既存建築物や施設のかかる趣旨の面からの総点検を実施し、年次整備計画を策定される考えはないか、お尋ねいたします。
次に、保健、医療等におけるカードの利用についてお尋ねいたします。
厚生省は昭和六十二年度と平成三年度からそれぞれ二年間、二次にわたりモデル地域を指定し、システムを試験的に導入、研究開発を進め、自治省も自治体の情報化政策の一環として地域カードシステムのモデル地域を設定して、情報化支援を進めております。また、国の支援事業とは別に、さまざまな用途を持った独自のカードを発行して、市民や患者のニーズにこたえている市町村や医療機関も少なくなく、カード化は今後なお一層の進展を見ていくものと考えられます。厚生省はこれまでの研究開発の成果を踏まえて、昨年八月二十二日に保健医療カードシステムに関するガイドラインを発表いたしました。ガイドラインのポイントはカードシステムを導入する基本条件として、一、目的、利用方法が住民や保健、医療関係者に十分に理解されていること、二、保健、医療関係者の協力と参加、三、プライバシーの保護について、カード関連技術や運用体制、方法などの総合対策の確立、四、全国どこでも使用できる互換性の確保、五、地域において保健、医療サービスの充実に向けた取り組みが実施されていることなどを挙げております。本県においては、福岡県地方行政情報システム研究会から平成五年三月に、地域カードシステムに関する調査研究報告がなされております。また、田川郡方城町がことし八月から、高齢者の福祉、保健サービスに向けて情報ネットワークシステムを稼動させることとしております。福岡市でもカード導入を検討いたしておりますが、県内の市町村がばらばらに導入することにより、市町村の境界を越えて通用しなくなることを防ぎ、個人識別、福祉、健康等の情報に係るこういった共通事項については県内どこでも通用できるシステムづくりが望まれるところであります。そこで、福岡県が福岡市、北九州市の政令市などの全市町村を包含する(仮称)福岡県民カードシステム研究会を設置し、導入の開発、研究に入られることを提言するものでありますが、県当局の対応をお尋ねいたします。
第七は、雇用問題と起業の支援についてでございます。総務庁が五月三十日に発表した四月の労働力調査によると、完全失業率は三・二%と前月に比べ〇・二ポイント悪化し、前回の円高不況後の昭和六十二年五月の三・一%を上回り、統計比較が可能な同二十八年以降で最悪を記録したのです。完全失業者は前年同月より二十万人、率にして一〇・三%多い二百十四万人と、四月としては過去最多となっております。また、労働省が同時に発表した四月の有効求人倍率は〇・六五で、三月より〇・〇一ポイント悪化しております。特に若者の失業が目立ち十五歳から二十四歳の失業率は六・六%で、前年同月に比べ〇・三ポイント上がり、大学、高校などを卒業しながら就職できていない人が十六万人もおり、四月としては最悪の状況であります。福岡県内の有効求人倍率は〇・四九で全国平均に比べ〇・一六ポイント低く、中でも若年層は悪く、全国平均に比べて十九歳以下は約二分の一、二十歳から二十四歳で約三分の二という状況であります。総務庁が昨年四月に実施した調査をもとに、五月二十二日九州経済調査協会が発表したリポートによると、全国の事業所数は六百五十五万カ所で、前回調査の平成三年に比べて〇・二%減、従業者数五千四百三十六万六千人で一・二%の減と、いずれも昭和二十二年の調査開始後初めて減少しております。九州各県では従業者が増加する中、本県のみが事業所数二十四万八千カ所で〇・八%減、従業者数二百万三千人で一%の減となっております。このような県内雇用情勢を県当局はいかに分析されているか、また今後いかに推移していくと見通されているのか、お尋ねいたします。
さらに、社団法人福岡県雇用対策協会が五月二十一日に発表した来春の新卒者就職状況では、県内地場企業の二四%が採用を手控える計画を立てており、日銀福岡支店が五月三十一日にまとめた北九州市周辺を除く福岡県と佐賀県を対象とする管内主要企業の採用動向調査によると、来春の新卒者採用計画はリストラ効果や景気回復への期待感を背景に前年比四・四%減とやや縮小傾向にあるものの、五年連続で前年実績を下回る見込みであります。これから本格的な就職シーズンを迎える今、超氷河期と就職難が予想されておりますので、私は県当局の学生への本格的支援策を求めたいのであります。その取り組みをお伺いいたします。
円高を背景に東アジアを軸とする国際分業の本格化は避けられず、自動車、家電、食品産業を中心とした製造業が続々と生産拠点を海外に移転させることで産業の空洞化が進行する一方、安い輸入品の急増などで中小企業の基盤が揺らぎ始めております。九五年版中小企業白書はそのような経済構造の激変を踏まえ、我慢をしておればそのうちに景気が回復するという姿勢からの転換を説くとともに、新分野への進出や情報化への対応など、旺盛な企業家精神を取り戻すよう提言いたしております。その一方、中小企業の経営者が新しい分野に挑戦するという起業家精神が最近は影を潜めているのは気がかりな兆候です。第一次石油危機後の不況期には宅配便やコンビニエンスストアなどの新たな事業が相次いで誕生し、それが景気回復の一因となったのです。産業空洞化が指摘された米国経済は、起業家精神をてこによみがえり、パソコンメーカーのコンパック社やソフト開発のマイクロソフト社といったベンチャー企業が急成長し、経済を活性化させ、コンパック社は操業十年余で年間売り上げは五千億円を超しております。
政府が景気回復への突破口を見出せないこともあり、また地域間競争に打ちかつ策として、自治体が新たな産業の指導を支援する独創性に富む施策が出てきております。岡山県では全国の大学院生らを対象に、研究開発から会社設立まで一貫して支援するヤング・エジソン支援事業を創設し、研究には無料で施設を貸し、年に最高一千二百万円を補助するほか、会社設立には低利で資金を融資することにしております。平成五年に開学したマルチメディア専門の単科大学、福島県立会津大学では、就職のかわりに投資家をあっせんし、地元経済界と自治体がつくるインキュベーターが必要な設備を提供して、卒業生三人程度が一組となってベンチャービジネスを設立し、地元に定着させるという計画を進めております。雇用確保のためにも経済活性化のためにも、ひいては自治体の税収拡大のためにも、製造業の高付加価値化や高度情報通信基盤の整備によるソフトウエア開発など、情報サービス産業の育成など産業構造の転換が必要であり、先ほど述べましたマルチメディアへの県自体の取り組みとあわせて、べンチャービジネスを育てる県の施策の充実が不可欠であります。県もこのための新規事業を予算化してあることは評価いたしますが、やや独創性や刺激性に乏しい感は否めず、県民はこれまた通産省出身の知事に期待を寄せているところであり、知事の今後の具体的構想をお尋ねいたします。
また、これには金融面のバックアップも必要でありますが、県の融資制度において新規開業は対象外とされておりますので、新たに事業を開始するべンチャービジネスを支援するための融資制度の創設を提言するものでありますが、県当局の対応をお伺いいたします。
第八は、水の創造と活用についてでございます。昨年夏以来の異常少雨と猛暑による福岡市を中心とした本県のいわば平成の大渇水も、五月の降雨により一段落ついたようであります。福岡市の給水制限は二百九十五日に及び、過去最長であった昭和五十三年、四年のワースト記録を更新するという長さでありました。都市生活を直撃し、稲作を休耕させ、工場を操業停止寸前まで追い込んだ今回の異常渇水は、果たして何であり、なぜ起きたのでしょうか。言うまでもなく日本が少雨傾向にあり、加えて核家族化の進行や生活スタイルの変化による生活用水の需要増が原因の第一であります。しかし、今回の渇水で、それだけにとどまらない水不足の本来の病根が浮き彫りになったとも言えるような気がいたします。都市と水をどう考えるか、離農人口を吸い込んで急膨張した都市と農村との関係、あるいは農業と漁業、工業との関係はどうなるのか、加えて上流と下流、流域と都市、住民と行政などと、渇水はさまざまな複雑な対立の構造を浮かび上がらせました。取水制限の全面解除により日常生活が正常に戻った今、本県が取り組んできた都市や町づくりの上に、福岡大渇水が突きつけた問題は余りにも大きいと言わざるを得ません。こうした事態の根本的な問題の解決のためにも、大渇水がもたらした意味は何だったのか、改めて知事にお尋ねいたします。
このたびの当初予算では、新規水源確保のためあらゆる可能性を探るとして、広域利水の調査では、一、筑後川から取水している福岡導水だけでなく、県外も含めた他の大河川からの取水、二、年間平均六千万トンの放水量を持つ松原、下筌ダムの一時貯水などの可能性を探るとされております。本県の場合、近郊の水源開発は既に限界に達しており、渇水時に備えて河川と河川、ダムとダムを結んで水をいかに融通し合うかというような広域利水がこれからの大きな課題になると思われます。したがって、渇水に強い都市を築くには、確かにそうした可能性について徹底的に調査を進めるべきであろうと考えます。しかし、それと同時にもう一方では、率直に申し上げて都市の膨張の後追いをするようなこれまでの水対策に終始するのではなく、都市の膨張、肥大化を抑制する視点をも持ち合わせるべきであろうと考えるものでありますがいかがでありましょうか。あるべき都市の適正規模とはどのくらいか、あるべき都市像をどのようにデザインするかが問われなければならないと痛切に感じます。知事の都市と水についての基本的な御見解をお伺いいたします。
そして、水問題を論じる場合、その場しのぎの緊急導水や節水指導にとどまらない源流一帯の森林復活という原点から論ずるべきだとの森林生態学者の指摘を受けるまでもなく、森林の保水能力をいかに高めるかが肝要であろうと考えます。また、ダムの建設予定地は、過疎化や高齢化に悩む農山村が多く、水没関係者の方々は住居の移転や転職に対する不安、さらにはダム建設による治水、利水の受益はほとんどなく、下流に限られる場合が多いことから、犠牲感が多いわけです。このような状況の中で犠牲感を払拭し、都市と水源地との協力関係を確立するには、渇水のときだけ上流地域である水源地に愛想よくしてもだめであります。中国の言葉にもありますように、飲水思源、すなわち水を飲むときにその源を思うということが大事であり、私たちは常日ごろから水源地の人たちに思いをいたし、上下流交流を進めるべきだと考えますが、いかがでありましょうか。知事の御見解をお伺いいたします。
第九は、教育問題についてであります。英語を学んで先進国になるか、自国語に固執して取り残された存在になるかの選択を我が国は迫られている、これはマレー・ナショナリズムを掲げ、マレーシア語を憲法で唯一の国語と規定しているマレーシアのマハティール首相の昨年十二月における発言で、内外に話題を呼んだのであります。マレーシアは英領であったこともあり、英語の習熟度はアジア諸国の中では決して低くはないにもかかわらず、それまでの国策に反して英語重視発言をあえてせざるを得ないほど、英語習得が国の存亡を左右する出来事とマハティール首相はとらえたものと考えられます。彼の目には、急成長するアジア諸国を巻き込んでいる国際化と情報化の巨大な波が映ったに違いありません。これまで同国はマレー語を唯一の公用語とし、日本、韓国を見習うルック・イースト政策によって経済成長路線を走り、アメリカなどの大国にはしばしばきばをむいてまいりました。しかし、コンピューターと通信の発展は、従来の日本や韓国型の成長ではなく、全く新しい成長パターンをアジアが求めていることに彼は気づいたようであります。日本や韓国を物加工型成長とすれば、二十一世紀に展開されるのは情報加工型成長であります。世界じゅうの至るところで生まれる価値ある情報は、インターネットに象徴されるようにコンピューターと通信ネットワークで瞬時に駆けめぐり、さらに付加価値を生んでいくのです。そのとき流れる情報の大部分は、実質的な世界共通語となっている英語によっております。つまりコンピューターと通信分野では英語自体が最重要なインフラになってしまっているのです。そして、成長を遂げるアジア諸国の多くは、アジア英語圏を形成し、シンガポール、香港、台湾、フィリピンなども英語が公用語ないし準公用語の位置にあり、中国も習熟度は高くなっており、またインドは英領支配が長かったため英語が共通語で、最近のインドにおけるコンピューターソフトを軸とした急成長も、英語と数学が陰の主役との分析もなされているぐらいであります。機を見るに敏なマハティール首相が、このような流れに気づかないはずがありません。オーストラリア、ニュージーランドもASEANに急接近しているだけに、なおさらアジア英語圏の中の情報加工競争は激しさを加え、そこで生き抜くには今以上に国民の英語習熟度を高めなければならないと決意したものと考えられます。
翻って日本を見て、我が国の政府首脳にマハティール首相のような危機感はあるのでしょうか。また英語の習熟度は日本においては高いのでしょうか。読み書きはできても会話という面では残念だけれどもマレーシアよりも低く、アジアの中でも最低水準ではないのでしょうか。近年マルチメディア時代の到来が叫ばれ、パソコン需要が急増しておりますが、この面での米国との距離は縮まる気配がなく、今や他のアジア諸国にも追い抜かれるおそれさえ出てきておりますが、その原因の一つは英語による伝達、収集、加工の貧しさから来ているように思えるのであります。明治以来、また戦後を通して、日本ほど英語習得に力を入れ、しかも功を奏していない国は世界に類例を見ないと言われております。私がここまで述べてまいりましたことに、国際的な通商行政に携わってこられた知事並びに経済界出身であります教育委員長の御所見をお聞かせください。
そして、私は次の二点を提言いたします。
一、私学学事振興局及び教育委員会において、英語教育充実のため、英語指導助手を今年度市町村教育委員会配置も含めて百十一人、両政令市を加えると百四十五人が県内に配置されておりますが、この予算を思い切って増額し、高校、中学への配置人員をふやすとともに、小学校にも配置すること。
二、県下のすべての小中、高校に最低一学級の人員に該当するコンピューターを配置するとともに、その指導体制を強化すること。
このようなドラスチックな施策を導入することにより、さきに述べましたマルチメディア社会への対応の素地が生まれ、人材が育っていくものと考えます。福岡県として新知事誕生を機会に、英語立県、情報立県を宣言し、かつ目指すことを提唱するものでありますが、知事及び教育長の御所見を求めます。
第十は、交通安全対策についてでございます。
交通事故死者数は、昭和四十五年の全国一万六千七百六十五人をピークに減少、同五十四年には八千四百六十六人にまで落ち、交通戦争に歯どめがかかったかのように見えたのであります。しかし、以後増勢に転じ、同六十三年には一万人を十三年ぶりに突破、その後一度も一万人を割っておりません。しかもこの数は、警察庁がまとめた事故後二十四時間以内の死亡者数で、諸外国と同様に事故後三十日までの死亡者を含める厚生省統計とはかなりの開きがあります。平成五年は警察庁統計の死者数一万九百四十二人に対し、厚生省統計では一万四千百六十八人で、実に三千二百二十六人もの差が出ております。我が県の昨年の交通事故死者は四百三人で、全国的には減少する中、前年比四十七人、一三・二%増となり、主要都道府県の中では増加数、増加率ともワースト一位となっております。昭和四十年代のピーク時の対策は、それまで未整備状態であった道路や交通安全施設の整備といったハード面の充実が主体でありましたが、ハード面の整備が今でも進められているにもかかわらず事故死者が一向に減少しないのは、ハード面の整備だけでは歯どめがかからない状況であることを示していると考えられます。
旧西ドイツでは一九七〇年、交通事故死者数一万九千人を記録、様相としては同時期の日本の第一次交通戦争と似た状態でありました。そこで対策として、交通事故による死者数をいかに減少させるかにねらいを絞り込み、国内に四十数カ所のヘリポートを設けて、どこでいつ事故が起きても八ないし十分以内に医師や救急隊員が現場に到着できるようにしたのであります。また、警察、交通、建設など、政府側の代表と自動車メーカー、保険会社、大学、研究機関など民間団体の代表らで構成するドイツ交通安全評議会が官民一体となった取り組みで、道路や交通環境の改善を図るとともに、ドライバーへの安全運転の啓蒙活動を強力に推進したのであります。意識啓発の重点も、運転が命を預かるといった責任感と人間生命の尊重をドライバーに徹底して植えつけることに置かれております。こうした国を挙げての交通事故死者減少への運動が、ドイツでは死者半減と交通事故そのものの減少という成果となってあらわれたのであります。
一方アメリカでは、自動車乗車中の死者の多さに着目し、シートベルトとともに自動車乗車中の事故防止に効果が大きいエアバッグ法制化の道を選んでおります。衝突時に乗員を守るエアバッグ法案が米議会に初めて提出されたのは一九六九年で、当初自動車メーカーは開発、実用化が困難として法制化に難色を示したのでありますが、次第に技術的問題もクリアされるようになった結果、実現に至ったのであります。同法では一九九七年九月までに運転席、助手席ともエアバッグ装着を義務づけておりますが、それを待たずにメーカーはエアバッグ装着を積極的に進めており、既に新車の八割に装備され、ユーザー側にもエアバッグの装備は常識との認識が定着しつつあります。
そこで、昨年の自動車乗車中の県内の死者は百四十九人ですが、エアバッグが装備されておれば助かっていたかもしれないと推測される人数を、警察本部長にお尋ねいたします。
また、私はドイツ交通安全評議会の福岡県版を設置すること、夜間、横断歩道の事故防止に効果のあると言われる発光式横断歩道を導入すること、及びエアバッグの法制化や欧米では既に長年にわたり実施され、自動車の安全性向上に成果を上げてきた自動車アセスメント──安全情報提供事業を県として政府に働きかけることを提案するものでありますが、知事及び警察本部長の御所見をお伺いいたします。
以上で私の第一回の質問を終わります。(拍手)
10 ◯副議長(近藤 義隆君) 麻生知事。
*知事答弁
11 ◯知事(麻生 渡君)登壇 大変広範な御質問でございますが、御質問の順番に従いましてお答えをさせていただきたいと思います。
まず、新国民生活指標の問題でございます。この結果でございますけれども、本県の場合持ち家比率あるいは交通事故発生数、生活保護世帯比率、博物館の数などの指標が低いというようなことが影響いたしまして、御指摘がございましたような結果になっておるものと考えておりまして、全体としては残念なことであると思います。本県でも本年度は新しい長期計画策定の基礎調査といたしまして、独自に社会指標の調査を予定をいたしております。健康、福祉、文化、余暇、消費など県民生活全般にわたります現状についてさまざまな角度から分析、検討をすることといたしておりまして、その結果につきましては、計画策定などに十分生かしていきたいと考えておる次第でございます。
それから、県民生活の真の豊かさというのは何かということでございます。戦後日本は経済的な豊かさ、これを追い求めてまいりまして、我が国は経済的には大変発展をいたしたわけでございますが、今日では心の豊かさや生活のゆとりを求めようという流れが非常に大きくなっておるわけでございます。真の豊かさ、これは一人一人考えが違う点もあろうかと思いますけれども、要は個人といたしまして、また家庭あるいは地域社会の中で、さらに広くは世界の一員といたしまして、それぞれの場面で心身ともに充実した日々を過ごしていく、こういうことではないかと考えておる次第でございます。県政の運営に当たりましても、県民の皆さんのそのような豊かな生活の実現を目指しまして、さまざまな政策努力を続けてまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、県政を実行いたします場合の姿勢の問題でございます。県政を県民の負託にこたえましてしっかり運営をいたしますためには、県庁全体、その組織が十分能力が発揮されるようにしていくことが不可欠であるわけでございます。その場合の組織の運営につきまして、ボトムアップ型とかあるいはトップダウン型、どちらで行くのかというような点でございますけれども、およそ組織といいますものはボトムアップ型だけではなかなか大きな変化に対応できない、その意味ではトップのリーダーシップが必要なわけでございますが、一方トップダウンだけではこれは現場の実態に合わないというような点も出てくるおそれもあるわけでございまして、要はこのようなトップダウンあるいはボトムアップというようなものの長所を生かした、いわばベストミックスの運営が必要であると考えておりまして、このような立場に立ちまして運営をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
それから、
九州アジア大学の問題でございます。アジアの拠点づくりというのは、福岡県の県政の課題上非常に重要なものであるというふうに位置づけておりまして、アジアとともに手を携えて発展をしなければならないと考えておる次第でございます。
九州アジア大学構想そのものは、先日北部九州の四県知事の座談会の席上で、アジアからの留学生を九州各県が一体となって受け入れる、いわば九州版フルブライト制度をつくったらどうかというような提唱がその場でなされたわけでございますが、その際に、単に留学生を受け入れるということではなくて、一歩進めて、一定期間日本の若者と共同で生活をしてより相互理解を深めていくというような機会がなければいけないのではないか、それを実現するような仕組みといたしましてこのような構想が考えられるのではないかというようなことで申したものでございます。いずれにいたしましても、アジアと日本の若者の交流というのは、今後極めて重要な課題であると認識をいたしております。九州が一体となりまして、このような人材養成、交流のシステムを研究し、その実現に努力をしていく必要があると考えている次第でございます。
次に、財政運営の問題でございます。今後の財政運営の基本をどうするか、あるいは現在の県債の増加動向をどうするかということでございますが、県債の残高は本年末で一兆二千六百億円余りでございまして、そのうち五割以上は将来の元利償還に地方交付税などの財源措置がなされているものでございます。しかし、御指摘のとおり近年の県債残高の累増、公債費の増大は今後の財政の硬直化を招くおそれがあるものと認識をいたしております。七年度の予算編成に当たりましても、事務事業の見直しを徹底したところでありますが、義務的経費や一定の行政水準を維持しますための経費などはその縮減が困難でございます。歳入の大幅な伸びが期待できない中で、なお行政需要にこたえますためには、今年度におきましても財政調整基金などの取り崩しが多額になったところでございます。このような厳しい財政状況にかんがみまして、今後の財政運用に当たりましては、歳入面におきましては国の財政措置がなされるような県債の有効な活用、地方税の充実、地方交付税総額の確保などを国に要請しますとともに、企業の誘致、産業の振興によりまして、税源の涵養を図る、さらに歳出面におきましては、一層徹底した事務事業の見直しによりまして、経費の節減合理化を図る、このようなことをもちまして、一層効率的、重点的な財政配分を図っていくこと、これを基本といたしまして財政運営をやってまいりたいと思っております。
県税収入をふやしますための財源涵養の問題でございますが、現在歳入の約三〇%は県税収入でございまして、いわば本県の重要な自主財源であります。その税収の増加を図りますためには、何よりも財源の涵養が必要でございます。産業の活性化あるいは県民所得の向上が不可欠でございます。したがいまして、そのための施策といたしまして、産業技術の高度化あるいは新たな産業の創出の促進、企業誘致などによりまして新企業の導入に努めまして、県内に創造力のあふれた力強い産業を育成し、新しい産業経済の構築を図ってまいる、それによって財源の涵養を行ってまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、行財政改革の問題でございます。先ほど申し上げましたように、現下の財政状況は極めて厳しいものがあるわけでございます。また一方で、高齢化社会の到来や地方分権の潮流などございまして、今後は二十一世紀を展望いたしまして、行政課題の的確な把握を行い、それに対応できる簡素で効率的な県の行政の確立を図る、これが必要不可欠でございますが、その際には当然行財政改革は重要な課題であると考えております。また、御指摘のスクラップ・アンド・ビルドなどの考え方もその場合には当然必要でありますし、組織、機構、事務の合理化のあり方、これにつきましても幅広い観点から検討が必要でございまして、現在行政改革審議会に審議をお願いし、精力的に論議をしていただいているところでございます。今後は審議会の御意見を尊重いたしまして、行財政の見直し、改革に真剣に取り組んでまいる所存でございます。
次に、地方分権の問題でございます。地方分権はまさに時代の要請であります。ぜひとも進めなければならないと考えておる次第でございます。その意味で、さきに成立をいたしました
地方分権推進法は、本格的な地方分権社会の実現に向けて大きく一歩踏み出したものと評価をいたしておる次第でございます。今後本県といたしましても、地方分権計画の作成などの面におきまして、
分権推進委員会にいろんな形で働きかけをいたし、分権が現実に進むように努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
その場合に、地方分権委員会にどんな形でその働きかけを行うかということでございますが、これは全国知事会あるいは九州知事会を通じて委員の皆様に働きかけるということが基本でございます。また幸いに、本県の桑原福岡市長さんが地方
分権推進委員会の七人の委員の一人として選ばれておりますものですから、市長さんとも連絡をとり合って進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
国から地方へ移譲すべき重要な権限はどんなものかということでございますが、これは基本の考え方は、住民に身近な行政は住民に身近な
地方公共団体において処理するということでございまして、これに必要な権限はまず移譲すべきであるということでございます。例えば土地利用基本計画の承認あるいは都市計画の決定といった町づくりに関する権限、あるいは農地転用の許可、保安林の指定及び解除、海岸線の管理などの権限は国から地方へ移すべきであると考えておる次第でございます。
分権を推進をします場合に、本県に何を求められているかということでございます。いよいよ分権が具体化の現段階に入りつつある現在でございます。今申し上げましたように分権推進計画に私どもの意見が反映されるように働きかけること、これはまず何よりも重要でございますが、並行いたしまして職員の政策マインドの養成や企画、政策機能の強化といった分権の受け皿づくり、これを早急に行っていくことが非常に重要な課題であると考えておりまして、その方向で努力をいたしたいと思っております。
次に、いわゆるローカルイニシアチブという形で提起されておる問題でございます。これも現在の政治状況あるいは経済の状況の中でむしろ各地域が積極的にイニシアチブをとりまして新しい生活様式、考え方を切り開いていくべきではないか、その先頭に立って行動すべしという御意見でございます。これまで日本がとっておりました中央集権型のシステム、これはいろんな意味で限界が多く見られるようになっておりまして、やはり御指摘のように地方分権型システムによりまして、いろんな新しい創造的な考え、行動、こういうものが多極の中で出てまいるということが必要でございまして、その一つの考え方がまさに御指摘のようなことでございます。新しい時代に対応して、私の方もそのような認識を持って行動し、新しい考え方を切り開いていきたいと思っておる次第でございます。
次に、いわゆる県内地方分権の取り組みの問題でございます。市町村は住民により身近な存在でございまして、また地域づくりの主体であるというふうに認識をいたしておるところであります。住民の利便性あるいは市町村行政の総合性の確保の面、さらには市町村自治の強化という観点から一定の県の事務や権限を市町村に移譲することは大変意義のあることであると考えているところでございます。このため、既に環境関係の事務を初め、本県では百十六項目に及びます事務や権限を市町村へ移譲してきたところでございます。さらに一層の移譲につきましては、行政改革審議会で御審議をいただくことになると考えておりますが、それと同時に国の地方分権推進計画や御指摘のございました大分県を初めとする他県の取り組みの状況も参考にしながら、さらに関係市町村との協議も非常に重要でございますものですから、これを進めながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、マルチメディア社会の対応の問題でございます。
まず、マルチメディア社会そのものに対する期待あるいは評価の問題でございます。県民生活の向上、また新しい産業社会を構築していくためにも、マルチメディア、これを積極的に活用していく、促進をしていくということが非常に重要であるというふうに認識をいたしております。このような認識のもとに、県といたしましても高度情報化ビジョン、これを策定をいたしまして情報通信の基盤整備の促進に努めるとともに、産学官で構成をされております九州メディア普及促進調査研究会、これを設けるなどいたしまして、高度情報化社会、マルチメディアの推進に向けて研究、啓発を行ってきたところでございます。今後ともこの問題は大変大切な問題でございまして、急激な技術革新の進展あるいは時代の認識の変化というようなことに対応いたしまして、ビジョンそのものを適宜見直しつつ、先駆的なプロジェクトも含めまして、官民一体となった高度情報化の推進に一層積極的に役割を果たし、推進をしてまいりたいと考えております。
その場合に、アジア諸国との協力の問題でございます。アジアの拠点福岡、これは福岡県の大きな目標でございます。その場合に、アジア諸国との情報交流を活発に行うことがぜひ必要でございます。こういう意味では、アクロス福岡の開設やあるいは今誘致をいたしております国立博物館、こういうものの研究蓄積を通じまして、情報交流の基礎を確立していくということが必要であると思っております。そして目指すところは、福岡県がアジアの中におきまして、情報あるいは技術あるいは文化あるいは資本というような面で一つのセンターになっていくということであろうと思っておる次第でございます。
また、御提案のございましたアジアの情報を蓄積するセンターあるいは人材交流機能の整備につきましてでございますが、それぞれ今後アジアの拠点といたしまして考えなければいけない課題でございます。今後アジアの中における情報交流基盤の大きな整備方針の中で一つの研究テーマということで十分検討させていただきたいと考えておる次第でございます。
次に、定住外国人に対する地方参政権の問題でございます。定住外国人の地方参政権に関連いたしまして、県議会におかれましては昨年九月議会において「定住外国人の地方政治への参画に関する意見書」を採択され、その後地方参政権に関する最高裁の判決も出され、現在各政党などで各般の議論がなされているところでございます。私といたしましては、県議会の意見書が国に提出されていることも踏まえまして、定住外国人の方々の基本的人権の擁護の重要性は十分認識しておりますが、基本的にはこの問題は国の立法政策に負う問題でありますので、国の動向を見きわめて対処してまいりたいと考えております。
それから、外国人の県民代表者会議あるいは定住外国人係を設けるというような御提案についてでございます。県内に住む外国人の意見などをいただき、また定住外国人にかかわる施策の調整機能を充実させることにつきましては、いわゆる内なる国際化に対応する上でも重要なことであると考えておりますので、今後ともさらに努力、検討してまいりたいと考えております。
それから次に、職員の採用と国籍の問題でございますが、外国人の地方公務員への任用につきましては、公務員に関する当然の法理といたしまして、公権力の行使または
地方公共団体の意思の形成への参画に携わる者につきましては、日本国籍を必要とするとされております。本県の職員の採用につきましては、これらの業務にかかわる蓋然性が高くない職種につきましては、必ずしも日本国籍を必要とするものではないということで、現在まで二十九職種につきまして順次国籍条項を撤廃してきたところであり、この考え方に基づき対処できる職種につきましては、今後とも国籍条項を撤廃してまいる所存でございます。なおまた同時に、国及び他県の動向につきましては、注意深く見守ってまいりたいと考えております。
次に、朝鮮初中級学校三校の県中体連加盟の問題でございますが、国際化が急速に進展している今日、定在住外国人との交流の促進ということも大切でございます。このため、平成四年度に外国人学校が行っている教育あるいは文化活動に対しまして補助制度を創設いたしまして、一層県民との交流の促進を図っているところでございます。今後はより一層の内なる国際化を進めるため、県中体連加盟等について、関係機関とも連携をとり努力してまいりたいと考えております。
次に、福岡県に対するアジア諸国の期待の把握の問題でございますが、当然アジアの拠点づくりを進めるに当たりましては、アジアの方々の本県に対する期待を的確に把握することは大変重要でございます。このため平成七年度に新しく
オピニオンリーダー招請事業、これを実施することといたしておりますが、さらに多面的な方法でアジア諸国のニーズを把握するという努力をしてまいりたいと考えております。また、韓国南岸地域との交流あるいは中国の江蘇省(P185吉永議員指摘、P186知事訂正:浙江省→江蘇省)との友好提携、これによる交流なども通じまして、関係のアジアの方々の期待の把握にも努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、福祉のまちづくりの問題でございます。高齢化が急速に進む中で、高齢者や障害者がノーマライゼーションの理念に即した快適な日常生活ができるような、人に優しいまちづくりがますます重要になっているものと認識をいたしております。このため、県といたしましては、庁内に人にやさしいまちづくり研究会を設置し、まちづくりのあり方について幅広く検討を進めているところであり、今後は御提案の条例制定を含めまして、なお一層の検討を深めてまいりたいと考えております。また、県の既存施設につきましては、計画的に高齢者・障害者にやさしいまちづくり事業を実施いたしております。バリアフリー化をそのような事業のもとで進めてまいりたいと思っております。今後とも関係機関と連携をとりながら、積極的に推進をする所存でございます。
次に、ICカードを使いまして、福祉あるいは健康増進の総合的な対応をしていこうという御提案でございます。いわゆるICカードシステムでございますが、国のガイドラインや標準的なシステムが提示されておりまして、御指摘のとおり自治体の取り組みも県内外で行われておりまして、県といたしましても市町村のこのような取り組みを前向きに支援をいたしておるところでございます。このシステムの各分野での統合的な活用の方策につきましては、県及び国においても検討が重ねられておりますけれども、種々の未解決の問題がございます現状で、なかなか困難な状況にある次第でございます。しかし、統合化されたシステムは県民福祉の向上のために有効であるというふうに考えておりまして、今後とも技術開発の動向あるいは国の動向を見きわめながら、あるいは市町村とも協議をしつつ検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、雇用情勢でございますが、本日取りまとめられました五月の本県の有効求人倍率は、引き続き悪化をいたしておりまして、〇・四八倍と三カ月連続いたしまして低下をするということでございまして、極めて厳しい状況にあるわけでございます。今後の問題でございますが、企業におきます雇用の過剰感もいまだ根強い中でございます。さらに円高の進展といった厳しい経済環境が雇用面にも影響が出てくる懸念があるわけでございまして、今後の情勢につきましては予断を許さないというふうに考えておるわけでございます。
こういう中で、新卒学生の皆さんの就職支援でございますが、来春の新規学卒者の就職につきましては、環境が今年にも増して厳しいものになると予想されます。このため、本県といたしましては、県内企業を対象に新規学校卒業者の採用予定などに関する調査を実施し、その結果を踏まえた求人の開拓に努めますとともに、これら求人企業と新規学校卒業者を一堂に集めまして、合同面談会の開催あるいは新しい求人情報の提供などを通じまして、新規学卒者の就業機会の確保とさらに円滑な就職促進を図るために積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
ベンチャービジネスの育成やさらに創業の支援態勢の問題でございます。本県の産業の活性化を図りますためには、独自の技術や高度な情報を持った新しい産業、企業、いわゆるベンチャー企業の育成が非常に重要であることは、もう申し上げるまでもないわけでございます。このために新産業創出フォーラムといったことで、このような創業意欲を高揚する、さらには実態調査を行いまして、創業のいろんな障害につきましてその把握を努めてまいりたいと考えておりますが、同時にそれらを踏まえまして、技術開発、企業化あるいは商品化などの各段階につきまして、資金あるいは人材あるいは情報というような支援の充実対策を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
また、御提案の創業支援のための融資制度につきましては、貴重な提案でございまして、今後検討をさしていただきたいと思っております。
次に、水の問題でございます。今般の大渇水がもたらした意味はどういうふうに考えるべきかということでございます。今回の大渇水は、もちろん水の有限性あるいは貴重さを教えられたということでありますし、同時に水資源の開発のあり方も問われておるものと考えております。本県では五十三年の渇水以来、水源の開発を非常に重要な課題と位置づけまして、ダム建設を基本としました水源開発を行ってまいったわけでございますが、福岡都市圏におきましては五十三年を超える断水を余儀なくされたということでございます。これは結局大変な異常少雨と猛暑が大きな原因でありますけれども、人口集中によりますこの地域の水の需要の増加、これに水資源の開発が追いつかなかったということであるかと思います。これを契機に地域的な水需給のあり方、特に渇水時の広域的な水融通のあり方が大きな課題になったと考えておりまして、このような観点から一層水対策に邁進をしたいと考えておる次第でございます。
それから、都市と水の問題についての基本的な見解はどうかということでございます。私どもの日常生活や都市活動に不可欠な水の需要、これは都市への人口増あるいは都市機能の高度化、集積化とともに必然的に増加をしていくことになります。一方有限でございます水資源の開発は、水没者の生活再建対策や地域振興対策と並行して行う必要がございますものですから、大変長期間を要することは避けられないという状況でございます。都市と水とをめぐる問題、種々の議論があるところで、大変難しい課題でございますが、何と言いましても豊かで活力のある都市づくりの前提は水の安定的な確保でございます。県といたしましてはそのようなことでございまして、海水の淡水化とかあるいは農業用水の転用あるいは雨水の利用といったような多様な水資源の開発に努めまして、また節水意識の高揚や節水機器の普及というようなことを通じまして水のリサイクルの促進、節水型の社会の形成を図っていくということが大切であると考えております。また、福岡県広域水資源政策協議会、これも設置をいたしまして、都市のあり方を含めまして、広域的な水利用の検討を関係市町村を含めまして協議をしてまいりたいと考えている次第でございます。
次に、水源涵養の問題でございます。森林は緑のダムとも言われますように、その水源涵養機能の維持向上はダム建設による水資源開発にも匹敵するものでございます。このため水源涵養保安林を指定しますとともに、造林事業や福岡県水源の森基金などを活用いたしまして、健全な森林の造成、整備に努めているところでございます。
また、水源地と都市の住民の人たちが水資源の重要性やダムの建設に伴う水源地域の問題の困難さについて相互に理解を深める、さらに水の恩恵を受けております都市が水源地域の環境保全や地域の振興につきまして支援を行うことは大変意義のあることと考えております。現在筑後川水源地域対策基金を通じまして、筑後川上流域で行われておりますフェスティバルの助成やあるいは植樹祭への参加を実施しているところでございますが、今後ともこのような活動は非常に大切でございまして、その推進に努めてまいる考えでございます。
次に、マルチメディア社会が到来しつつある中で、英語立県あるいは情報立県というものの考え方についての御質問でございます。御指摘にもございましたように、英語は今やイギリスやアメリカの言葉というよりもまさに世界語になったわけでございまして、一番基本的な世界の共通語としてますますその重要性を高めております。また、マルチメディア社会の中での情報システム、この運用に当たりましても英語がソフトの基本になっておりまして、その意味でも英語の重要性はますます高まっておるというふうに認識をいたしております。その意味で、当県におきましてもこれまでいろんな努力をしてまいりまして、外国人教師の採用など行ってまいりましたが、今後ともこのような時代の認識を深めまして、英語教育の充実に一層努力をしてまいらなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
以上でございます。──失礼しました。もう一問でございます。交通安全対策についてでございます。
ドイツの交通安全評議会の福岡県版の設置はどうであろうかという示唆でございます。御承知のとおり本県の交通事故は年々増加傾向にありまして、極めて深刻な状況にあります。このために官民が一体となりまして、交通環境の改善や意識啓発を進めていくことが重要でございます。こういう意図のもとに本県では国、県、市町村及び各種交通関係機関を構成メンバーといたしまして、交通事故をなくす福岡県民運動本部を設置をいたしておりまして、このもとに交通安全運動を総合的に展開をしているところでございます。今後御提案の趣旨を参考にしながら、県民運動本部の充実あるいは強化を図り、交通事故防止に向けて努力をしてまいる考えでございます。
また、自動車アセスメントを県として政府に働きかけることについてでございますが、これも運輸省では交通安全情報提供事業を含む自動車安全対策の推進につきまして行動計画を公表いたしております。平成三年度からはこの有効性を確保するための実験事業も行っておるという段階でございます。その結果、この調査結果に基づきまして個々の自動車の安全性能をユーザーにわかりやすい形で取りまとめまして、試行的に情報提供を行うことといたしておりまして、県といたしましてもこのような施策の推移を見きわめた上で対応をしてまいりたいと考えている次第でございます。
12 ◯副議長(近藤 義隆君) 社本建築都市部長。
*建築都市部長答弁
13 ◯建築都市部長(社本 孝夫君)登壇 マルチメディア社会の対応につきまして、県のかかわります建築物につきまして光ファイバーをあらかじめ敷設してはどうかとの御質問でございます。建築物の設備の設計に当たりましては、従来から建築後の各種の技術革新等にも対応できますようにあらかじめ配線スペースを確保するなどの対策を講じてきているところでございます。また、最近におきましては、LANを初めといたします情報設備を備えた研究施設等の整備も行ってきておるところでございますが、今後におきましても関係部局と協議を行いながら、来るべきマルチメディア社会への対応を考慮した建築設備の整備に努めてまいりたいと考えております。
14 ◯副議長(近藤 義隆君) 佐藤教育委員会委員長。
*教育委員会委員長答弁
15 ◯教育委員会委員長(佐藤 清君)登壇 情報化社会対応する英語教育の充実についてということでございますが、今日情報化の進展は非常に目覚ましく、コンピューター、高度情報通信網等の情報手段の発達に伴いまして、時間的、空間的制約を越えた世界的な情報ネットワークの構築が進められておるわけでございます。その中で情報の共通言語としての英語の重要性、先ほども知事さんがおっしゃいましたが、重要性が高まってきているということは、先生の御指摘のとおりでございます。そう考えております。県教育委員会といたしましては、これまでも英語教育の充実に努めてきたところではございますが、これも先生御指摘のとおり読み書きは達者なんですが、聞く、話すということが非常に苦手のようでございまして、今後は情報化社会に適切に対応することができる人材の育成ということも視野に入れつつ、英語教育の充実、なかんずく聞く力、話す力の向上に努めてまいりたいと考えております。
16 ◯副議長(近藤 義隆君) 光安教育長。
*教育長答弁
17 ◯教育長(光安 常喜君)登壇 朝鮮初中級学校の中体連加盟の問題でございます。現在日本中学校体育連盟におきまして、この問題について協議がなされているところでございます。また、本県の中体連では、日本中体連の動向に注目をしながら、大会参加について前向きに協議がなされておると聞き及んでいるところでございます。この問題は基本的には、まず中体連が自主的に判断されるということになりますけれども、県教育委員会といたしましては、青少年がスポーツを通じて交流を深めますことは、相互理解や信頼を培う上で大変意義のあることだと考えますので、高体連や高野連が全国大会への出場の道を開いたという経緯も参考にしながら、県中体連に対しまして引き続き必要な助言をしてまいりたいと考えております。
英語教育、情報教育についてでございますが、御指摘ありましたように情報化の国際的な広がりの中におきまして、このことは大変重要な課題であると考えております。本県におきましても生きた英語を直接に学ぶことができますように、昭和六十二年度から外国語指導助手──ALTと呼んでおりますが、この指導助手の配置を始めまして、公立の中学校におきましては、各教育事務所における計画的な配置を進め、また市町村が独自に設置をいたしましたALTとの連携を図りながら、各学校への訪問指導を行っておりますほか、一部の小学校におきましても特別活動等の中でこの外国語指導助手の活用を図っているところでございます。また、県立高校につきましては、英語科や国際関係学科あるいは英語コースなどを持つ高等学校には既に配置をいたしておるところでございます。現在さらにその他の普通高校、専門高校につきましても計画的な配置を進めているところでございます。
また、情報教育を行うためのコンピューター機器の整備につきましては、平成六年度に国におきまして新しい整備方針が定められたところでございます。その内容は、平成六年度からおおむね五カ年間で小学校一校につき二十二台──これは二人に一台ということでございますが──、中学校及び高等学校には四十二台──これは一人一台ということでございます──などを整備することといたしまして、その必要財源につきましては地方交付税により措置をすると、こういう内容の新しい整備方針が定められているところでございます。本県におきましても各市町村とともに、この方針に準じまして整備を図るよう努めているところでございます。
また、コンピューターの指導態勢につきましては、これまで教員のコンピューター活用能力の向上を図りますための研修の充実に努めてきたところでございますが、本年度からは新たに民間の情報処理技術者を各学校や教育センターに派遣をしまして、教員のコンピューター活用能力の一層の向上を図ることといたしておりまして、今後とも英語教育、情報教育の充実を図りまして、国際化、情報化に対応できる人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
18 ◯副議長(近藤 義隆君) 村井警察本部長。
*警察本部長答弁
19 ◯警察本部長(村井 温君)登壇 エアバッグにつきましては、県警ではその効果について本年から本格的な調査を開始したところでありまして、本年五月末現在の状況について申し上げますと、自動車乗車中の死者六十四人のうち交通事故の形態や人身の損傷部位等からしまして約二〇%に当たる十三人の方が、エアバッグが装備されていたら助かったであろうと推定されるところであります。
次に、エアバッグ装備の法制化についてでありますが、警察といたしましてはエアバッグの効果等の検証を行い、その結果によっては所管行政庁に対して法制化へ向けての働きかけ等をしていくことになるものと考えております。
なお、エアバッグは、本来シートベルトの補助的装置であり、シートベルトと併用しなければ所期の効果が十分発揮されませんので、今後ともシートベルトの着用が定着するよう努めてまいる所存であります。
最後に、発光式横断歩道についてでありますが、本県では近く北九州市の交差点を一カ所選んで、交通信号機と停止線発光びょうとを連動させたシステムを横断歩道に試験的に設置し、効果を測定することといたしておりますので、その効果と既に発光びょうを横断歩道に設置しております愛知県等の状況等を総合的に勘案して、本格的導入の是非について検討してまいりたいと考えております。
20 ◯副議長(近藤 義隆君) 吉永允俊君。
21 ◯七十二番(吉永 允俊君)登壇 再質問をさせていただきます。時間はもう少したっぷりあるようでございますけれども、知事もお疲れのようでございますので、短くさせていただきましょう。
全体的に知事さんの答弁を聞いておりまして、職員の方が書かれた答弁を一生懸命、麻生知事が自分なりに自分のカラーを出そうとそういう努力されている跡がよくわかるんです。ただしどうしてもやはり従来の線から出ないところがありますから、すべてについては今後の知事の施策に大きく期待をしていくことをまず申し上げておきます。
その中で強く要望しておきたいことは、マルチメディア社会への対応の件でございますけれども、やはりこれは早急に取り組まなければおくれをとる可能性が多分にございますので、そういった面で県としても強く推進してほしいということが一つです。
それから、御承知のようについせんだっても、九州経済界のトップリーダーのある方とお会いいたしましたら、マルチメディアについて郵政省と通産省が同じようなことをやっている、我々もつき合い上両方につき合わざるを得ない、こういった各省庁縄張り意識、もうやめてほしいとおっしゃってました。そういったことについても、知事として調整をしていっていただきたいこと、これも要望をいたしておきます。
それから、これも要望ですけれども、ドイツの交通安全評議会の福岡版について、知事、御承知のように四百三名という方は、昨年でございましたか、一昨年でございましたか、中華航空が名古屋空港に落ちたときに亡くなった方、あの一機半分の人数なんです、四百三名というのは、県内で亡くなっている方は。一どきに交通事故や地震で亡くなると、大変住民たち、県民はそれなりに大きな憂いを持つわけですけれども、四百三名の方が三百六十五日の間で亡くなられたときは、新聞でも一段見出しで出るか出ないかということですから、皆さん無関心というか、みんな何とも感じない、平然としている。しかし、四百三名の県民の方が一年間に亡くなっていることは大変なことですから、やはりこういったことについても、確かに今交通事故をなくす福岡県民運動本部があるんでしょうけれども、運動本部があってもなくなっていかない、運動本部があるからそれ以上ふえないということが言えるかもわかりませんけれども、なお真剣に取り組んでいただくことをこれも要望をさせてください。
それから、先ほど知事、私の質問に対して、アジアとの交流の中で中国とのことに関連して、「浙江省と」云々と言われたような気がいたしましたけれども、これ江蘇省の誤りじゃないでしょうか。後ほど御発言ください。
それから、一つだけ、知事に確認させてください。定住外国人の地方参政権のことに関して、知事も基本的人権の尊重云々というふうなことで答えられましたけれども、よくわからないんですけれども、麻生知事あなたは、一定の条件を備えた定住外国人の地方参政権については賛成なんですか、反対なんですか。この点だけ御答弁をいただきたいと思います。
以上で私の代表質問を終わります。(拍手)
22 ◯副議長(近藤 義隆君) 麻生知事。
23 ◯知事(麻生 渡君)登壇 マルチメディア社会に向けての本県としての強力な取り組みの推進、それからマルチメディア対策につきまして各省の縄張り、これの解消、さらに交通運動本部の問題につきましての御要望につきましては、十分承りました。
それから、四番目の点につきましては、江蘇省でございまして、誤りでございます。訂正をさせていただきます。
五番目に、地方参政権の問題でございますが、一定の条件、いろんなことがあろうと思いますが、これにつきましては、今ここで明確に御質問の点について答えるにつきましては、少し私自身の勉強も不足いたしておりますから、さらに時間を少しかしていただきまして、一層認識、実態を深めてまいりたいと考える次第でございます。
24 ◯副議長(近藤 義隆君) 以上で代表質問を終わります。
本日はこれをもって散会します。
午 後 三 時 四十分 散 会
Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...