高知県議会 > 2022-06-14 >
06月14日-03号

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  1. 高知県議会 2022-06-14
    06月14日-03号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年  6月 定例会(第362回)-----------------------------------        令和4年6月14日(火曜日) 開議第3日-----------------------------------出席議員       1番  濱口涼子君       2番  槇尾絢子君       3番  桑鶴太朗君       4番  上治堂司君       10番  田中 徹君       12番  野町雅樹君       13番  横山文人君       15番  加藤 漠君       17番  弘田兼一君       19番  桑名龍吾君       23番  西森雅和君       25番  依光美代子君       26番  大石 宗君       27番  武石利彦君       28番  田所裕介君       29番  石井 孝君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       5番  土森正一君       6番  上田貢太郎君       7番  今城誠司君       8番  金岡佳時君       9番  下村勝幸君       11番  土居 央君       14番  西内隆純君       16番  西内 健君       18番  明神健夫君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       24番  黒岩正好君-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        井上浩之君  総務部長       徳重 覚君  危機管理部長     中岡誠二君  健康政策部長     家保英隆君  子ども・福祉政策部長 山地 和君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 中村 剛君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     山脇 深君  農業振興部長     杉村充孝君  林業振興・環境部長  豊永大五君  水産振興部長     松村晃充君  土木部長       荻野宏之君  会計管理者      池上 香君  公営企業局長     笹岡 浩君  教育長        長岡幹泰君  人事委員長      門田純一君  人事委員会事務局長  澤田博睦君  公安委員長職務代理者 小田切泰禎君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     五百藏誠一君  監査委員事務局長   高橋慎一君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       山本和弘君  事務局次長      横田 聡君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     田渕史剛君  議事課長補佐     杉本健治君  主幹         春井真美君  主査         宮崎由妃君-----------------------------------議事日程(第3号の1)   令和4年6月14日午前10時開議第1 仮議長の選挙-----------------------------------議事日程(第3号の2)第1 第1号 令和4年度高知県一般会計補正予算 第2号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例議案 第3号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例議案 第4号 高知県税条例等の一部を改正する条例議案 第5号 半島振興対策実施地域における県税の不均一課税に関する条例及び高知県過疎地域における県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例議案 第6号 高知県地方活力向上地域における県税の特例措置に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県議会の議員及び高知県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用並びにビラ及びポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県特定公共賃貸住宅の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県建築基準法施行条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第12号 権利の放棄に関する議案 第13号 国道441号防災・安全交付金(口屋内トンネル(Ⅰ))工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第14号 都市計画道路はりまや町一宮線防災・安全交付金工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第15号 高知県公立大学法人に係る中期目標の一部変更に関する議案 報第1号 令和3年度高知県一般会計補正予算専決処分報告 報第2号 高知県税条例等の一部を改正する条例の専決処分報告第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ◎事務局長(山本和弘君) 議長及び副議長が不在ですので、仮議長が選挙されるまでの間、地方自治法第107条の規定により、年長議員が臨時に議長の職務を行うことになります。 出席議員中、依光美代子議員が年長者でありますので、御紹介申し上げます。   (年長議員依光美代子君議長席に着席)----------------------------------- ○臨時議長(依光美代子君) ただいま紹介されました依光美代子であります。 地方自治法第107条の規定により、臨時に議長の職務を行います。何とぞ御協力のほどお願いいたします。 これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △仮議長の選挙 ○臨時議長(依光美代子君) 直ちに日程に入ります。 日程第1、仮議長の選挙を行います。 お諮りいたします。選挙の方法については、地方自治法第118条第2項の規定により、指名推選により行いたいと存じますが、御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○臨時議長(依光美代子君) 御異議ないものと認めます。よって、この選挙は指名推選によることに決しました。 お諮りいたします。指名の方法については、臨時議長の指名推選によりたいと存じますが、御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○臨時議長(依光美代子君) 御異議ないものと認めます。よって、臨時議長の指名推選によることに決しました。 弘田兼一君を指名いたします。 お諮りいたします。ただいま指名いたしました弘田兼一君を、今期定例会における仮議長の当選人とすることに御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○臨時議長(依光美代子君) 御異議ないものと認めます。よって、ただいま指名いたしました弘田兼一君が仮議長に当選されました。 ただいま当選されました弘田兼一君が議場におられますので、本席から、会議規則第32条第2項の規定による告知をいたします。 弘田兼一君の御挨拶があります。   (17番弘田兼一君登壇) ◆17番(弘田兼一君) ただいま仮議長に推挙いただきました弘田兼一です。 明神議長、西内隆純副議長が職務に復帰されるまで、仮議長としての職務を全うさせていただきたいと存じます。 議員の皆様方におかれましては、議事運営に御協力をいただきますようお願いを申し上げます。よろしくお願いをいたします。(拍手) ○臨時議長(依光美代子君) 以上をもちまして、臨時議長としての私の職務は終わりました。 御協力ありがとうございました。 仮議長と交代いたします。   (臨時議長の依光美代子君退席、仮議長弘田兼一君議長席に着席)----------------------------------- △諸般の報告 ○仮議長(弘田兼一君) 御報告いたします。 議長明神健夫君、副議長西内隆純君、議員土森正一君、同上田貢太郎君、同今城誠司君、同金岡佳時君、同下村勝幸君、同土居央君、同西内健君、同森田英二君、同三石文隆君から、病気のため本日及び明15日の会議を欠席したい旨届出がありました。 次に、公安委員長古谷純代さんから、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員小田切泰禎君を職務代理者として出席させたい旨の届出がありました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○仮議長(弘田兼一君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和4年度高知県一般会計補正予算」から第15号「高知県公立大学法人に係る中期目標の一部変更に関する議案」まで並びに報第1号「令和3年度高知県一般会計補正予算専決処分報告」及び報第2号「高知県税条例等の一部を改正する条例の専決処分報告」、以上17件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 27番武石利彦君。   (27番武石利彦君登壇) ◆27番(武石利彦君) 議長のお許しをいただきましたので、一燈立志の会を代表いたしまして、通告順序に従いまして質問させていただきます。 まず、農村RMOについてお聞きいたします。 県は、本年度より農村型地域運営組織、いわゆる農村RMOを県下で積極的に推進するとのことであります。農村RMOとは、例えば小学校の校区程度の範囲において、複数の集落における集落協定や農業法人のような農業者を母体とした組織が、自治会や町内会、社会福祉協議会などの多様な地域関係者と連携して協議会を設立し、農用地の保全、地域資源の活用、生活支援の3つの事業に取り組む組織とされております。しかしながら、本県におきましては既に集落活動センターが同様の活動をしており、ともすれば屋上屋を架すかのようなイメージを持たれる方も多いようです。 既に集落活動センターが展開されている本県において、農村RMOをどのように位置づけて展開されるお考えか、知事に御所見をお聞きいたします。 一方、こうした地域運営組織の取組については、農村RMO以外にも関係省庁において様々な施策が講じられるなど、国を挙げた支援が行われております。本県におきましては、先ほども述べましたように、先駆的な地域運営組織のモデルである集落活動センターの取組が始まっており、現在65か所で設立されております。この間、県は補助制度や地域支援企画員などの人的支援を通じて設立を後押ししてこられました。 今後、ますます集落活動センターの取組は重要なものとなりますが、今後の取組について中山間振興・交通部長の御所見をお聞きいたします。 次に、中山間地域の活性化に向け、国からは中山間地域等直接支払交付金や多面的機能支払交付金あるいは農山漁村振興交付金などによる支援が示されておりますし、また農山漁村の活性化に向けて農山漁村発イノベーション対策事業の推進も打ち出されております。これは、農林水産物や農林水産業に関わる多様な地域資源を活用することにより新しい事業や付加価値を創出し、農山漁村における所得と雇用機会の確保を図る取組を支援しようとするものでありますが、1次産業を核とした農山漁村の活性化につながるものと私も期待をしております。 農山漁村をさらに活性化させるための方策をどのように展開されるお考えか、農業振興部長、林業振興・環境部長、水産振興部長にそれぞれお聞きいたします。 次に、農業振興についてお聞きいたします。 現在、配合飼料や肥料、燃油など農業生産資材の価格高騰が本県の農業に暗い影を落としております。この問題につきましては、去る2月定例会でも質問させていただきました。農業用生産資材の高騰はさらに農業者に重くのしかかっており、農業者からは農業用肥料や飼料などの購入経費への支援を求める声が高まっております。 また、施設園芸農家からは、セーフティーネットでもある施設園芸等燃油価格高騰対策に既に加入しているものの、農家の積立分を大きく取り崩している状況であるとの困惑の声をお聞きいたします。また、畜産農家や酪農家からも燃油や飼料の高騰に対する不安の声をお聞きいたします。このような状況に対応すべく、本定例会に燃油や飼料の購入経費や省エネ機器の導入経費等への補助に充てる補正予算案が提案されておりますことは、高く評価いたします。 その上で、ここで改めて県内農業者が置かれている状況をどのように把握しておられますのか、農業振興部長に御所見をお聞きいたします。 また、畜産や酪農分野におきましては、飼料を輸入に頼るウエートを下げ、国産の飼料による自給率を高めるべきではないかと考えます。耕作放棄地などを利用して、飼料用米やWCS用稲のさらなる生産拡大に取り組むことに対する御所見を農業振興部長にお聞きいたします。 次に、水田活用の直接支払交付金についてお聞きいたします。国は、主食用米からの転作を促すための制度とも言える水田活用の直接支払交付金の交付内容を厳格化しようとしており、この動きにつきましては、私は去る2月定例会で飼料用米の生産に関する点を農業振興部長に質問させていただきました。部長からは、産地交付金の予算枠の中で県独自で助成内容を設定できるメニューの見直しにより何らかの対応ができないか、市町村等の意見を確認するアンケートを実施している、また生産者の方々には防除の徹底や多収品目への転換などにより収量を増やす取組をお願いしていきたいとの答弁がありました。 この水田活用の直接支払交付金の厳格化について、さらに今回質問させていただきますのは、2022年度から2026年度までの5年間で一度も水張りを行わない農地を交付対象から除外するとの方針が国から打ち出されましたことで、生産者に不安が広がっているからであります。これまで国は主食用米の需要の減少を受け、生産者に転作を奨励してきたのにもかかわらず、ここに来ていきなり、水を張らないのであれば交付金の対象から外すとは、従来の政策に逆行しかねない突然の制度変更であり、生産者に困惑と不満が広がっているのは当然であります。 国は、地域の水田の区画化を進めてきましたが、さらに転作する区画を毎年変えて地域で転作を循環させるブロックローテーションを想定しているようであります。しかしながら、そもそも水をためる水田と排水対策を講じている畑とでは土壌の構造が違いますので、中山間地域におきましてはブロックローテーションの考え方に対し生産者は懐疑的であります。 既に畑地化した農地について、国は水田利活用の目的を達したとの判断で交付対象から外そうとしているのか、新型コロナウイルスの影響で主食用米の需要減少に拍車がかかり、このまま転作が増え続けると交付金が膨らみ続けてしまうといった財政的な懸念があるためなのかは分かりませんが、交付対象とならない耕作地は作り手を失い、放棄地となってしまうことが懸念されます。 以上、述べてまいりました状況についての御所見を農業振興部長にお聞きいたします。 次に、集落営農についてお聞きします。集落営農に取り組んでおられる方々からは、行政には篤農家だけではなく小規模農家の経営の維持にもっと目を向けてもらいたいという声や、集落営農を維持するに当たり地域の合意形成が難しくなっているなどといった不安を抱く声が上がっております。 そこで、集落営農の現状と課題に対する御所見を農業振興部長にお聞きします。また、集落営農組織の法人化の進捗状況についても、併せてお聞きいたします。 県内の集落営農法人の代表者からお聞きいたしましたが、これまでは地域の農業者から法人に対して、農地を借りてほしいといった声が多く寄せられていたようでありますが、これからは後継者もいないため農地を買い取ってほしいとの声が主流になるのではないかとのことであります。 このような状況になりますと、集落営農法人をはじめ地域の担い手に農地が集まってくることになりますが、耕作放棄地の増加を防ぐためにどのように取り組まれるお考えでしょうか、農業振興部長にお聞きいたします。 また、担い手となる新規就農者の確保にも力を注がなくてはなりません。県下では、地域おこし協力隊に農業の任務を託すケースも増えており、それぞれ地域で御活躍をいただいております。 農業者が高齢化する中で、新規就農者の存在に大きな期待がかかりますが、新規就農の状況と新規就農者の確保に向けた取組について農業振興部長にお聞きいたします。 次に、林業振興についてお聞きいたします。 県は、第4期高知県産業振興計画に基づき、林業分野におきましては原木生産の拡大、木材産業のイノベーション、木材利用の拡大、担い手の育成・確保の4つを柱に施策を進められております。 まず、1つ目の柱、原木生産の拡大におきましては、スマート林業の推進により労働生産性を向上させながら、皆伐と再造林を一体として推進することにより、森林資源の循環利用に向け地域の事業体の連携強化を図ろうとされております。皆伐と再造林を一体的に進めるためには、再造林につながる仕組みづくりや施業コストの低減など様々な課題がございます。特に、再造林は山林所有者の造林に対する意欲が重要な鍵を握ります。 山林所有者の再造林に向けての意欲をどのように高めるのか、またスマート林業の活用などを含めた低コスト化など、皆伐と再造林を一体的に推進されるに当たり、課題をどのように克服されるお考えか、林業振興・環境部長にお聞きいたします。 次に、2つ目の柱、木材産業のイノベーションについてお聞きいたします。輸入材の不足により高まった国産材の需要に応えるため、県産材の供給能力の強化と併せ、地域におけるサプライチェーンマネジメントを構築し、需要情報の共有化と流通の最適化の実証に取り組もうとされておられます。 現時点における課題と想定する成果についての御所見を林業振興・環境部長にお聞きいたします。 次に、3つ目の柱、木材利用の拡大についてお聞きします。先日、私は県議会の商工農林水産委員会で、高知学園大学の学校施設を訪問させていただきました。同大学は、CLTパネル工法により施工されており、外観や機能性など非常に木のよさを感じる建築物だと感じました。木材利用の拡大を図る上で、非住宅木造建築物をさらに増やしていくためには、木造建築のメリットの周知や低コスト化に向けた取組が求められます。 木材利用の拡大をどのような点に留意して推進されるお考えか、林業振興・環境部長にお聞きいたします。 次に、4つ目の柱、担い手の育成・確保についてであります。担い手として林業に携わろうとされる方の中には、林業に魅力を感じる一方で、林業は低賃金の上、危険性が高いといったネガティブな意識を持たれる方も多いとお聞きします。このような中で、県は林業大学校で人材育成に取り組んでおられますし、県内の市町村におきましては地域おこし協力隊に林業現場の任務を担ってもらうなど、若手の育成・確保には様々な取組がなされております。 現状と課題を踏まえた上で本年度はどのように取り組まれるお考えか、林業振興・環境部長にお聞きします。 次に、林野庁から各市町村に対し、市町村森林整備計画の策定が求められております。しかしながら、市町村からは計画を策定するに当たり、推進役となる専門知識を持った人材がいなくて困っているという声をお聞きしております。 このような中、林野庁からは地域林政アドバイザー制度が示されております。市町村森林整備計画の策定に向けた専門知識を持つ人材として、この地域林政アドバイザーに期待する声を市町村からお聞きいたしますし、県は地域林政アドバイザーの育成にさらに注力していただきたい、こういった声もお聞きをいたします。 県立林業大学校におきましても人材育成がなされておりますが、計画策定における専門知識を持つ人材確保のためにも、地域林政アドバイザーの育成も視野に入れて、どのように取り組まれるお考えか、林業振興・環境部長にお聞きいたします。 次に、森林環境譲与税は喫緊の課題である森林整備に対応するため、森林経営管理制度の導入時期も踏まえ、2019年度から譲与が開始されました。森林環境譲与税は、市町村におきましては間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の費用に充てること、また都道府県におきましては森林整備を実施する市町村の支援等に充てることとされております。よって、この制度により、これまで手入れが十分に行われてこなかった地域の森林整備が進展しますとともに、都市部における木材の利用が促進され、また山村地域との交流を通じて、都市住民の森林、林業に対する理解の醸成が進み、ひいては山村の振興につながることが期待されているのであります。 そこで、県内市町村における森林環境譲与税の活用状況について、及び県として市町村の活用が進むようどのように取り組まれるのか、林業振興・環境部長に御所見をお聞きいたします。 次に、水産業の振興についてお聞きいたします。 本県では、伝統の遠洋・近海カツオ・マグロ漁業をはじめ、釣り、はえ縄、定置網、中型まき網、魚類養殖など多種多様な漁業が営まれております。県は、第4期産業振興計画ver.3におきまして、令和5年度に漁業生産額520億円、水産加工出荷額270億円との目標を立て、これらを達成するための戦略を推進されております。しかしながら、不漁や魚価の低迷、燃油や資材の高騰に加えて、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、漁業経営は総じて不安定となっております上、高齢化、後継者不足による漁業者の減少も大きな課題となっております。 本定例会には、操業に必要な燃油や養殖用の餌の高騰対策に向けた補正予算案が提案されております。燃油や餌の高騰が本県の水産業に与えている影響をどのように捉えておられるのか、水産振興部長にお聞きいたします。 次に、第4期産業振興計画ver.3の目標を達成するため、県は4つの柱を立てておられます。まず、1つ目の柱であります漁業生産の構造改革において、どのような課題を克服しようとされるのか、またどのような成果を求めるのか、あわせて高知マリンイノベーションの推進を構造改革の中でどのように位置づけておられるのか、水産振興部長にお聞きいたします。 次に、第2の柱であります市場対応力のある産地加工体制の構築におきましては、産地における加工体制の強化が挙げられております。水産業における傾向として私が気になっておりますのは、大量の水揚げがあったとしても、それにより魚価が下がってしまえば収益増に結びつかないといった点であります。それゆえに、県が掲げるように消費地ニーズに対応した産地における加工体制が強化されれば、魚価の低迷の影響をまともに受けることなく、収益を確保することが可能となりましょうし、また地域の雇用の促進にもつながるものと期待されます。 市場対応力のある産地加工体制の構築を推進されるに当たっての御所見を水産振興部長にお聞きいたします。あわせて、第3の柱、流通・販売の強化と第4の柱、担い手の育成・確保を推進することによってどのような成果が期待されるのか、水産振興部長にお聞きいたします。 次に、県は南海トラフ地震対策として、漁業用屋外燃油タンクの撤去や沈廃船の処理を継続して推進することとされております。漁業用屋外燃油タンク撤去の進捗状況は現在どのようになっているのか、水産振興部長にお聞きいたします。 また、沈廃船の撤去の進捗状況はどのようになっておりますでしょうか。漁港については水産振興部長、港湾につきましては土木部長に御所見をお聞きいたします。 また、現在は利用されておらず放置されたままとなっている漁業協同組合所有の老朽化した施設が、県下各地に点在をしております。この状況についての御認識を水産振興部長にお聞きいたします。 次に、ICT活用工事についてお聞きいたします。 建設現場における生産性の向上、品質確保、安全性の向上、熟練労働者不足への対応など諸課題への対応を視野に入れ、ICT活用工事の取組が本県でも進んでいると承知をしております。 ICTの活用により、正確さや省力化が図られますことはもとより、熟練した技術者でなくとも施工過程において的確に業務を遂行することが可能となります。あわせて、従来に比べ業務における時間や場所の拘束を減らすことができますことから、建設業に携わる人材を幅広く募ることが可能となり、よって女性や入社したばかりの若手が施工現場で活躍できることが期待されます。 このICT活用工事についての御所見と県内における導入状況を土木部長にお聞きいたします。 また、ICT活用工事を森林土木分野及び農業土木分野におきましても積極的に活用すべきではないかと思いますが、それぞれ林業振興・環境部長と農業振興部長に御所見をお聞きいたします。 次に、県内新卒者の就職支援と県立高等学校の魅力化づくりについてお聞きいたします。 コロナ禍及び原油や物価の高騰は、県内の事業活動に多大な影響を与え続けております。そのため県は、臨時給付金を支給するなどして経営支援を行ってまいりましたし、今定例会にもさらなる支援のための補正予算案が提案されております。これらの支援策は誠に重要であると私も認識をしております。 このような厳しい状況下におきましても、事業を継続していく上で人材確保は事業者にとりまして重要な課題であります。来春卒業予定の大学生らの採用選考が今月1日に解禁され、就職活動が本格化しております。全国的には企業の採用意欲は堅調で、学生優位の売手市場になりそうだとお聞きいたします。 県内での就職を希望する高等学校卒業予定者に対し、希望する職種などについての情報提供並びに事業者とのマッチングを図ることが重要ですし、最近ではデジタル化された手法の導入も進んでいるとお聞きいたします。事業者側には、魅力ある職場環境の構築や人材育成に対する理解と意欲が求められます。 コロナ禍において、何かと活動に制約を受けざるを得ない来春の高等学校卒業予定者の県内における就職を円滑に進めるに当たり、どのように取り組まれるお考えか、教育長にお聞きいたします。 また、中山間地域の県立高等学校で学ぶ生徒が地域の魅力を学び、地域と連携しながら成長することは、地域の活性化にもつながるものと大きな期待が膨らみます。 中山間地域における人材育成を推進するためにも県立高等学校の魅力化、特色化に向けた取組をどのように進められるのか、教育長に御所見をお聞きいたします。 次に、動物愛護についてお聞きいたします。 先日、土佐市で行われました野良猫の繁殖を防ぐためのTNR活動を視察させていただきました。大規模なTNR活動を手際よく進めておられ、活動に携わるボランティアの皆様には本当に頭が下がります。心より敬意を表したいと思います。 高知県動物愛護基金の使途について、去る2月定例会における私の質問に対し健康政策部長からは、飼い主のいない猫の不妊・去勢手術への助成拡充、ボランティア活動への支援、県民への普及啓発に基金を活用することや、建設予定の動物愛護センターの整備関連事業に活用するお考えが示されました。 同定例会で私も指摘させていただきましたが、いまだ動物愛護センターが整備されていない本県におきましては、動物愛護活動はボランティアの方々が中心となって展開してくださっており、その活動にかかる多額の経費のほとんどはボランティアの方々の自己負担によるものであります。こうした状況に鑑みましても、ボランティア活動に対します支援の充実及び動物愛護センターの設置が急がれます。 さて、TNR活動の展開には獣医師の方々の協力が必要不可欠であります。しかしながら、ボランティア活動に協力してくださる獣医師の数がまだまだ足りていないとお聞きいたします。この点についてどのように取り組まれるお考えか、健康政策部長にお聞きいたします。 次に、保護された離乳前の子猫を自宅に引き取り育ててくださる、いわゆるミルクボランティアは、昼夜を問わず一、二時間置きに授乳をしないと子猫が衰弱してしまうことなど大きな負担がかかりますことから、成り手が不足しているとお聞きをいたします。 県内におけるミルクボランティアの現状について健康政策部長にお聞きします。 次に、今月から動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律が施行され、全国のペット販売業者やブリーダーには、販売する犬や猫にマイクロチップを装着することが義務化されました。マイクロチップの装着には、殺処分されるペットを減らす効果が期待されております。 神奈川県横浜市では、飼い主にマイクロチップの装着を促すため、1匹につき最大1,500円を支給する補助制度が行われており、年間300から500件の利用があるとお聞きいたします。また、東京都におきましては2020年度より、譲渡する犬や猫に対し、都の負担で全てマイクロチップを装着し、殺処分ゼロを目指しているとお聞きいたします。 犬や猫へのマイクロチップの装着について健康政策部長に御所見をお聞きいたします。 次に、動物について学びながら思いやりや命を大切にする心を育てようと、いわゆる命の授業を県は県下各地の小学校で行ってまいりました。数年前に、四万十町の仁井田小学校で行われました命の授業の様子が、当時高知新聞で報道されておりました。その記事から引用させていただきますが、この命の授業では、動物愛護推進員のお二人が1年生から3年生16名に、犬と人間のドクッ、ドクッという心臓の音を聞き比べてもらい、人も犬も同じ命、動物もお友達も大切にしようねと呼びかけたとあります。 動物愛護推進員の方々は、このように動物愛護の気持ちを子供たちに丁寧に説明され、さらに捨てられた子猫や犬の絵を見せながら、県内における殺処分の現状を子供たちにお話しされたとのことであります。このような取組を通じて子供たちが動物について学び、思いやりや命を大切にする心を育むことは大変意義深いと思います。 この命の授業の成果や課題についての御所見を健康政策部長にお聞きいたします。 次に、知事は本定例会の提案理由説明におきまして、連続テレビ小説らんまんの放送を本県観光回復に向けた起爆剤とするお考えを示され、観光の拠点となる牧野植物園や五台山公園では、多くの来園者の受入れに向けた渋滞対策や園路のバリアフリー化を進め、駐車場の拡張工事や新研究棟の整備と合わせて利便性と魅力の向上を図ることを表明されました。 私もこの連続テレビ小説を機に、牧野植物園や五台山に多くの観光客が訪れてくださるよう大きな期待をしております。一方で、去る2月定例会におきまして上田貢太郎議員が指摘されました牧野植物園や五台山周辺に多くの野犬が生息している問題が気になります。 多くの観光客を受け入れようとする中で、牧野植物園における野犬の生息状況及び来園者に及ぼす影響についての御認識を林業振興・環境部長にお聞きいたします。 野犬につきましては、五台山地区の住民の皆様に対する迷惑や被害を防止しなければなりませんし、同エリアを訪れてくださる観光客の皆様が被害に遭われることがないように、また不愉快な思いをされることがないように万全な対策を早急に講ずべきであります。この点について知事に御所見をお聞きいたします。 次に、コロナ禍における犯罪防止についてお聞きいたします。 コロナ禍で導入が進むテレワークでありますが、それと同時に、サイバー攻撃による被害が数多く報道されるなどリスクが高まっております。これは、セキュリティーを強化し切れないままテレワークの導入を行う企業もあり、それを狙うようにサイバー攻撃も増えている状況だとお聞きいたします。 企業側がオフィスにおける対策は施していても、テレワークの環境下では企業の管理が行き届かず、気づかぬうちに不正プログラムなどのウイルス、いわゆるマルウエアに感染してしまうおそれがあるというのは容易に想像できます。私たちが思う以上にサイバー攻撃は身近に迫っていると言わざるを得ません。 本県におけるサイバー犯罪と見られる事案の状況をまず警察本部長にお聞きいたします。 また、外出自粛により子供が一人で留守番するケースも増えているようでありますが、インターネットやSNSを利用する機会が増えることにより、子供が犯罪被害に遭うことが懸念されているとお聞きいたします。 子供が巻き込まれないようにするため、子供や保護者に対してどのような啓発をされておられますのか、警察本部長にお聞きいたします。 また、新型コロナウイルスの感染拡大に乗じたサイバー犯罪を防止するための注意喚起、またテレワークやオンライン授業等を利用する場合における注意喚起も重要だと思いますが、いかがでしょうか、警察本部長に御所見をお聞きいたします。 次に、このたび高知県警察本部及び各警察署は、高知県商工会連合会及び高知県商工会議所連合会と犯罪等の予防に係る連携協定を結ばれました。コロナ禍における新しい生活様式を実践する中で、インターネット利用の増加に伴いサイバー空間を利用した犯罪が深刻な脅威となっていること、また生活への不安やストレスを背景とした配偶者暴力や児童虐待なども懸念されておりますことから、警察組織が支援の手を差し伸べて、高知県の安全・安心を実現するためと承知をしております。 この連携協定が有効に機能することを私も願っておりますが、県下一円でどのように活動を展開されるお考えか、警察本部長にお聞きをいたします。 次に、犯罪被害者支援についてお聞きいたします。 昨年12月に大阪・北区のビルに入居するクリニックが放火され、20代から60代の男女26人が亡くなるといった事件が発生いたしました。また、昨年8月には小田急線急行列車内で男が突然刃物を持って暴れ、居合わせた乗客を無差別に切りつけて逃走した事件、さらに10月にはその小田急線の事件を参考にしたとされる京王線の特急列車内で男が乗客を切りつけ、液体をまいて火をつけるといった事件が発生いたしました。このような犯罪はいつどこで発生するか予想もできず、誰しもが突然犯罪被害者になるおそれがあります。 本県におきましては、令和2年に高知県犯罪被害者等支援条例が制定されました。その条例案に関する県議会における質疑の中で、知事は次のように発言されました。本県におきましては、これまで県や県警察、関係機関が犯罪被害に遭われた方々への相談対応や必要な支援に取り組んでまいりました。しかしながら、全国的に様々な犯罪が発生しておりまして、被害に遭われた方々が直接的な被害や二次被害に苦しめられ、早期の回復や軽減につながらないといった事例も少なくありません。こうした方々は多様な支援を必要としておられますため、本県におきましても県や県警察、市町村、民間支援団体などが必要な支援を連携して行うことができる体制をつくる必要があります。このように条例制定の必要性を語られ、その上で、県に専任の職員を配置して被害者支援の相談窓口の体制を強化し、迅速な支援ができるよう取り組むとの意思を知事は表明されております。 本県におきましても、NPO法人こうち被害者支援センターが相談窓口となり、支援活動を積極的に展開してくださっております。同センターによりますと、令和3年度における相談・支援活動件数は787件に上っており、その7割から8割は性被害によるものだそうであります。しかも、同センターによりますと、相談もできずにいる被害者も多数存在している可能性があるのではないかとのことであります。 本県における犯罪被害者に対する国の犯罪被害給付制度による支援の状況について、及び県警察による経済的支援の状況について警察本部長にお聞きいたします。 犯罪被害給付制度による給付金は、遺族給付金、重傷病給付金、障害給付金で構成されておりますが、給付要件に届かないケースや給付金の額、またその給付金そのものが一時金でありまして年金のような補償にはなっていない、こういったことから、困窮している犯罪被害者のセーフティーネットになり得ていないといった声を多数お聞きいたします。 もっと犯罪被害者の立場に寄り添った給付制度に改めるよう、国に対してしっかりと訴えるべきではないでしょうか、この点知事に御所見をお聞きいたします。 次に、予土線についてお聞きいたします。 さきにJR四国から公表されました同社直近の決算内容を見ましても、予土線の営業係数は依然として厳しいものがあります。予土線の存続につきましては、私も昨年6月定例会でも知事に質問させていただきました。知事からは、予土線は地域住民の生活路線として、また観光資源として地域の活性化にも大きな役割を果たしており、沿線の市や町と共に守るべき大変重要な路線であると考えている、愛媛県とも連携し、協議会により利用促進策に取り組み、路線の維持につなげていくとの答弁をいただきました。 知事は、先月中旬、愛媛県知事と交流会議を行う中で、予土線の存続に向けた協議をなさいましたし、また国に対して提言をされたとお聞きをしております。予土線につきましては運賃の値上げやさらなる減便もささやかれており、地域住民からは利活用に向けた不安の声が上がっております。 予土線の活性化について、愛媛県知事とどのような協議をなさいましたのか、具体的な内容を知事にお聞きいたします。あわせて、予土線などの四国内の路線維持について、国の役割はどうあるべきだとお考えなのか、国に提言された内容と併せて知事にお聞きをいたします。 次に、田んぼダムについてお聞きをいたします。 昨年9月に本県を襲った台風がもたらした集中豪雨により、四万十町や中土佐町では土砂崩れや浸水による甚大な被害が発生をいたしました。四万十町では、興津や志和などの沿岸部に至る県道が土砂崩れで一時通行止めになりましたし、家屋や園芸用ハウスの浸水被害が発生。中土佐町におきましても、同様の浸水被害が発生し、グループホームが孤立し高齢の入居者の方々が消防のボートで救助されるという緊迫した事態も発生をいたしました。 昨今、全国で発生する突然の豪雨に対しまして、気象庁が線状降水帯の発生を半日前に予測し情報提供する新たな取組が今月から始まりました。精度にはいまだ課題が残るようではありますが、迫りくる危険を事前に察知できる可能性が高まったことは画期的だと思います。また、国土交通省は、昨今の気象変動による降雨量の増加に対応するため、流域全体で総合的かつ多層的な対策に取り組む、いわゆる流域治水を推進するとのことであります。 本県の河川流域の状況に鑑みれば、浸水防止対策として水田に雨水を貯留する方法、いわゆる田んぼダムの手法に即効性があるのではないかと考えます。田んぼダムとは、水田の排水口に調整板などの工作物を設置することによって、水田からの排水を人為的に抑制するものであります。設置する工作物にかかる材料費も安いので、少ない費用で簡単に設置が可能であり、田んぼに降った雨水を貯留することで、排水路から河川に流入する水量を抑制し、流域の浸水を食い止めようとするものであります。 河川の氾濫による浸水被害に見舞われやすいエリアのうち、水田が広がるエリアにおきましては、早急に田んぼダムの取組を検討することについて農業振興部長に御所見をお聞きいたします。 次に、県土の緑化推進についてお聞きいたします。 濱田県政は、デジタル化、グリーン化、グローバル化、この3つを施策の柱として掲げられております。グリーン化は、持続可能な社会を実現するための重要な概念であります。グリーン化といえば脱炭素などのキーワードが連想されます。脱炭素への取組を推進し、地球温暖化を防止することが重要であることは論をまたないと言えましょう。私もこの意味でのグリーン化は大いに推進すべきであると思っております。 一方で、ここで私がお訴えいたしたいのは、グリーン化、文字どおり県土の緑化のさらなる推進であります。日本一の森林率を誇る本県でありますが、平地部における緑化は進んでいるのでしょうか。緑化を推進すれば、CO2の削減やヒートアイランド現象の緩和、騒音や振動の吸収、防風、防じん、大気の浄化といった効果が期待できるだけではなく、人の心身の健康を維持・増進する効果があるといったエビデンスも確立されているとお聞きをいたします。 本県におきましても、公園などの緑地の整備や幹線道路の電線の地中化に伴う街路樹の植樹、路面電車の軌道に芝生を張るといった取組もなされてまいりました。県民の安全・安心はもとより、観光誘客の増大を図る上でも、県土の緑化をさらに推進することは重要な課題だと考えます。県も各部局において緑化を推進してくださっていると承知をしておりますが、縦割りにならないよう、緑化を共通テーマとして部局横断型で取り組むことが必要だと考えます。 また、緑化の取組と併せて、本県の豊富な森林資源を活用して、建築物への木材利用を進めるためのワーキンググループのような推進母体を設置してはどうでしょうか。全国一の森林県である本県から、全国的に注目を集めるようなスケールの大きな緑化、グリーン化を実現する取組ができるのではないかと思っております。 本県において緑化活動をさらに推進することについての御所見を知事にお聞きいたしまして、私の第1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 武石議員の御質問にお答えをいたします。 まず、本県におきます農村型地域運営組織、いわゆる農村RMOの位置づけや展開についてお尋ねがございました。 多くの中山間地域におきましては、人口減少、高齢化が急速に進行しております。集落単体では農用地の保全や農業生産だけではなく、集落機能の維持も難しくなると、そういった状況にございます。このため国におきましては、本年度から新たに農村政策の重要な施策といたしまして、広域で支え合う組織であります農村RMOの形成の支援を始めているところであります。 中山間地域におきまして、人口減少、高齢化が著しく進行しております本県におきましても、この農村RMOの形成を急ぐ必要があると考えまして、県におきましては中山間総合対策本部内に関係部局で構成するチームを設置いたしまして、その形成を推進いたしているところであります。 この農村RMOは、農業者を母体とした組織と自治会などの多様な地域の関係者が連携をいたしまして、農用地の保全活動のほかに地域資源を活用した経済活動、あるいは生活支援活動に取り組むものであります。一方、本県におきましては、集落機能の維持、再生、活性化を図る組織といたしまして、集落活動センターがそれぞれの地域の課題に応じて、生活、福祉、産業、防災といった幅広い活動を行っているということは御指摘あったとおりでございます。 そのため、まずはこの集落活動センターと農用地保全活動を行う中山間地域等直接支払制度の集落協定組織、この2つの組織が連携をする形で、農村RMOを形成してまいりたいと考えております。これによりまして、集落活動センターの活動強化にもつながるものというふうに考えております。 こうした取組によりまして先進事例をつくり、他の集落活動センターへの横展開を図ってまいる考えであります。あわせまして、集落活動センターが置かれていない地域などにおきましては、地域の様々な組織が参画をする新たな組織を設立するといった形で、市町村と連携いたしまして、地域の実情に応じた農村RMOの形成を進めてまいりたいと考えております。 次に、五台山の野犬対策についてお尋ねがございました。 連続テレビ小説らんまん関連の博覧会の主会場となります牧野植物園や五台山公園の来園者、あるいは五台山地区の住民の方々の安全を守り、安心して観光あるいは生活をしていただくというために、この野犬対策につきましては迅速な対応が必要だと考えております。このため、高知市保健所におきまして牧野植物園あるいは地区の住民の協力を得て、保護おりを設置いたしまして野犬の捕獲に努めております。県のほうでも、大型の保護おりを県として購入し、市の保健所に貸与するといった形などによりまして、市の対策に協力をさせていただいております。 また、牧野植物園では監視カメラを活用いたしまして、園付近の野犬の行動を監視いたしておりましたけれども、今年に入ってからは野犬の姿は確認をされておりませんで、牧野植物園の職員からも目撃事例の報告はないというところであります。このため、監視カメラは撤去いたしたところでありますけれども、職員のパトロール活動に加えまして、小動物管理センターによります保護活動の強化も図っているところであります。 あわせまして、野犬の活動範囲を考えますと南国市内まで出没をしている可能性もあり得ます。このため、管轄の中央東福祉保健所にも対応を指示いたしているところでございます。 今後は、ただいま申し上げました保護おりの追加購入などの支援により、高知市と連携を強めまして、この対策の強化に鋭意取り組んでまいる考えであります。 次に、国の犯罪被害給付制度の改善に向けまして、国に対して訴えていくべきではないかというお尋ねがございました。 平穏な暮らしの中で突然起きる犯罪によりまして、誰もが被害者になる可能性がございます。そうした方々への経済的な支援につきましては、国の犯罪被害給付制度が大きな役割を果たしているところであります。ただ、申請から給付まで長期の期間を要するということでございますとか、被害の程度により給付の対象外となる場合があるといったことがございまして、犯罪被害者などの方々からは、この支援の充実を求める声が上がっているところでございます。 こうしたことを背景といたしまして、本県におきましては、昨年度及び本年5月には、国に対して政策提言の活動を行いまして、この給付金の迅速な支給、支援の拡充、さらには公費によります犯罪被害者支援弁護士制度の創設、こういった点を提案いたしたところでございます。 今後も、民間の支援団体などとも連携をいたしまして、被害者の方々の声をよくお聞きいたします。そして、その立場に寄り添うような給付制度となりますように、全国知事会あるいは四国知事会とも連携をし、国に対して必要な提言を行ってまいる考えであります。こうした提言を通じて、犯罪被害者の方々などへの経済的な支援制度の拡充をぜひ実現させまして、県民の皆さんが安心して暮らせる社会の構築につなげてまいりたいと考えております。 次に、愛媛県知事との交流会議におけます予土線の活性化についての協議内容、また予土線など四国の路線維持につきまして国の役割などについてどう考えるかといったお尋ねがございました。 5月に開催をされました愛媛県との交流会議でございますけれども、この場で、まず中村知事のほうから、予土線の活性化に向けまして、コロナ後のアウトドア志向を踏まえた観光振興などを両県で一緒に取り組んでいきたいといった御提案をいただきました。 また、これに対し私のほうからは、1つには、予土線の魅力を全国に発信するということで周遊型、滞在型の四国観光と鉄道ネットワークの活性化につなげていくことが重要だということ、またもう一つには、その際には昨今のアドベンチャーツーリズムあるいは今後見込まれますインバウンド観光の振興、こういった点を起爆剤といたしまして予土線の利用促進を図ることが効果的ではないかと、こういった御意見を申し上げて、結論といたしまして、引き続き県境を越えた連携を強化していこうということを確認いたしたところでございます。 他方、四国の鉄道を含みます全国の鉄道路線の維持に関連いたしまして、現在国の検討会において、鉄道事業者と沿線自治体の協働による地域の移動手段の刷新に向けた検討がなされております。この検討会では、大量高速輸送機関としての鉄道特性の発揮が難しい線区については、輸送モードの転換も視野に入れるといった立場での再構築が議論をされているところであります。 しかしながら、私自身は、そもそもの国鉄の分割民営化時の経緯を踏まえますと、全国の鉄道、特に都道府県境をまたがる鉄道網の維持に関しましては国が基本的に責任を負うべき行政領域だというふうに考えております。予土線を含みます四国の鉄道ネットワークの維持につきましても、国がしっかりとこの責任を果たしていただきまして、財源を含めた路線維持に対する支援策を講じるという中で、それと相まって、地域の側としては利用促進の努力を続けると、こういった施策の組合せを講じるということが重要だというふうに考えております。 こうした考え方から、この5月にはJR西日本管内の知事を中心といたしまして全国27道府県の知事と共に、鉄道ネットワークを維持するという観点から、1つには、国鉄改革の実施者であります国が鉄道ネットワーク維持の考え方を責務として示すこと、またもう一つには、地方鉄道への支援の充実強化を図りますとともに、JR各社に対して国の責任において適切な経営支援を講じることなどにつきまして、共同で緊急提言を行ったわけでございます。 今後も、先ほど申し上げました国の検討会での議論はしっかりと注視をいたしながら、路線維持の取組に対します財政支援の強化などにつきまして、国としてしっかり取り組んでいただく必要があると考えます。こういった観点に立ちまして、各県とも協力をしながら、国に対する働きかけを行ってまいりたいと考えております。 最後に、緑化活動をさらに推進するということについてお尋ねがございました。 県土の緑化につきましては、これまでも緑化関連の団体でございますとか市町村の方々と連携をいたしまして、地域の緑化に取り組んでまいりました。また、県の実施いたします公共事業におきましても、例えば道路のり面の緑化、高知新港の高台用地ののり面緑化といった形で緑化活動に取り組んでまいっております。このほかに、県のほうで緑の募金を行います団体として指定をいたしました高知県森と緑の会が中心となりまして、県民の皆さんの植樹活動への支援なども行っているところでございます。 こうしたこれまでの取組に加えまして、お話にもございましたように、観光誘客の増大を図るという上で良好な景観、そして快適な環境づくりに向けました県土の緑化をさらに進めていくという視点は、大変意義がある点だというふうに考えております。特に、来年からは、らんまんを契機といたしました博覧会を開催するということといたしております。県外から多くの観光客をお迎えするというタイミングにもなるわけでございます。 このため、まずは観光の玄関口となります空港でございますとか駅などの施設の関係者、あるいは周辺の市町村などと協議を行いまして、こうした施設などの緑化に向けた具体的な方向性を年内に取りまとめ、お示ししたいというふうに考えております。 また、議員から御指摘がありましたように、木材利用と緑化を一体的に進めていくということは、全国一の森林県でございます本県の長所を生かした効果的なグリーン化の実現を可能とするものというふうに考えます。そこで、現在既に部局横断で建築物などへの木材利用の推進を図ります体制として県産材利用推進本部をおいた取組を行っておりますが、この取組の中で、木材利用と一体的に行います植樹による緑化もこの活動として位置づけまして、取り組んでまいりたいと考えております。 こうした緑化の視点を効果的に取り入れるということで、観光客の方々にも全国一の森林県らしさを感じていただけるような、本県ならではのグリーン化を目指してまいりたいと考えております。 私からは以上であります。   (中山間振興・交通部長中村剛君登壇) ◎中山間振興・交通部長(中村剛君) 集落活動センターの今後の取組についてお尋ねがございました。 集落連携により集落機能の維持・再生や活性化を図る集落活動センターの取組は、お話にありましたように、地域運営組織の先駆けとなるものであり、またその取組は現在北川村、土佐市を除く県内32市町村、65か所にまで広がっております。個々のセンターの取組につきましても、昨年度実施した集落実態調査において、その満足度が約75%となるなど、地域の皆様から高い評価をいただいているところでございます。 一方、この10年で県内中山間地域の人口減少や高齢化はさらに進み、個々の集落の活力の低下が懸念される中、集落同士が連携することで補完し合う集落活動センターの取組はますます重要になるものと考えております。このため、既に開設したセンターの継続、発展への支援はもとより、新たなセンターの立ち上げをさらに加速していく必要があると考えております。 まず、既存のセンターにつきましては、地域支援企画員やアドバイザー派遣による人的支援を通じセンターの活動を下支えし、その上で国の制度の活用や県の補助金により事業のさらなる充実、拡充を支援してまいります。 また、新たなセンターの開設に向けては、既に話合いが行われている地域への地域本部による立ち上げ支援に加えまして、集落実態調査のデータを活用した新たな候補地の掘り起こしに取り組んでまいります。あわせまして、今年度からスタートする小さな集落活性化事業対象集落のセンター立ち上げに向けた取組、これも支援することによりまして、令和6年度までに80か所の開設を目指してまいります。 集落活動センターは、本県の中山間対策の要であり、地域の活性化の拠点となるものであります。市町村との連携の下、国の制度も含め、あらゆる施策を総動員し、その充実、拡大に取り組んでまいります。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) まず、農山漁村をさらに活性化させるための方策についてお尋ねがございました。 農山漁村の活性化を図るためには、地域に若者が住み続けられるよう、所得の向上や雇用の創出を図ることが何よりも重要であり、そのためには、地域の多様な資源を最大限に活用し、新たな事業や付加価値を創出する取組を進めていくことが重要であると考えております。 このため、県では、6次産業化によって地域の活性化を図ることを目指して、セミナーの実施による商品開発や商談会の開催などによる販路開拓、専門家の派遣による事業体の経営改善など、事業体個々の課題に寄り添った支援をしてまいりました。その結果、各地に6次産業化の取組が広がってきておりますが、事業体の多くは十分に資金や販路、ノウハウを持った人材を有していないことから、小さなビジネスにとどまり、地域の活性化という点では必ずしも十分なものになっていない状況にあります。 このため、これまでの取組に加え、地域の事業体と加工や販売のノウハウを持つ2次、3次の事業体とを組み合わせることにより、農村発のイノベーションを創出してまいりたいと考えております。 こうした取組を進めるに当たっては、安定的な販路を確保していることが特に重要となってまいります。これまでにも中山間地域の特産品を利用した加工品がメディアに取り上げられて大ヒットし、地域と連携して生産拡大が進められているという、よい事例もございますので、常にアンテナを張り巡らせ、こうした事例を創出するためのマッチングやサポートを行ってまいります。 次に、燃油や飼料などの価格高騰が県内農業者に及ぼす影響についてお尋ねがございました。 値上がり前の令和2年と現時点の単価を比較しますと、A重油は52%、肥料は製品により幅がありますが最大168%、配合飼料は32%まで高騰しております。 こうした影響を農業経営の視点からコストアップの金額で見てみますと、2月議会で答弁しました金額よりもさらに上がり、例えばピーマンは10アール当たり約6万円増加の46万円、キュウリは10アール当たり約7万円増加の41万円、養豚は100頭当たり約27万円増加の64万円となっております。農畜産物はコスト上昇分が販売価格に反映されにくいことから、農家の経営は一層厳しさを増していると認識しております。 次に、飼料用米やWCS用の稲のさらなる生産拡大についてお尋ねがございました。 先ほども申し上げましたが、輸入飼料等の高騰により、農家の経営は一層厳しさを増しております。そうした中、飼料用米やWCS用の稲といった国産飼料の生産拡大に積極的に取り組んでいくことは、大変重要なことと考えております。 中でもWCS用の稲につきましては、県内酪農家を中心にニーズが高まっている状況もございますので、各地域の農業再生協議会と連携し、一定の面積の圃場が集積し生産に適した地域を中心に、生産農家の掘り起こしを行うとともに、地元市町村と一緒になって、小規模な圃場整備も積極的に活用しながら、生産農家と畜産農家のマッチングを図ってまいります。 次に、水田活用の直接支払交付金の見直しについてお尋ねがございました。 お話にありましたように、国では、今後5年間に一度も水稲の水張りが行われない水田は交付金の対象としない方針を示したところでございます。この方針を受け、県では、県内の農業者から実情をお聞きするとともに、市町村やJA、農業委員会などで構成される地域農業再生協議会に対してアンケート調査を実施しました。 その中では、交付対象水田から除外された農地は地域の担い手が引き受けてくれず、耕作放棄地になる農地が増えるのではないかといった懸念や、交付金の対象となる水稲と転作作物の圃場を幾つかの区画に分けて複数年で転作する方式、いわゆるブロックローテーションの仕組みづくりについては、地域内での協議に時間を要することや、中山間地域では農地が少なく、仕組みの構築が難しいといった御意見などがありました。 国からは、こうした本県をはじめとする全国の現場の意見を踏まえて、本年秋に交付対象水田の具体的なルールを示す予定と聞いております。そのため、現場に即した制度の運用や、離農、耕作放棄地を発生させないために必要な対策が取られるよう、今回のアンケート結果も含め、引き続き現場の声を国に届けてまいります。 次に、集落営農の現状と課題及び法人化の進捗状況についてお尋ねがございました。 県内の集落営農組織数は、平成24年度に179であったものが、現在では221まで増えております。また、平成30年度以降は新たに組織が増える一方で、高齢化等により活動の継続を断念する組織もあり、組織数は横ばいの傾向となっております。多くの集落営農組織で課題となっておりますのは、地域の農業者の減少や高齢化により農地の草刈りや水管理などの日々の管理が難しくなっていることや、農作業の受託だけでは安定的な収益を確保できていないことなどが挙げられております。 一方、集落営農法人は、平成24年度に3法人であったものが、現在では38法人まで増えてきております。また、高収益作物や省力化機械の導入により収益の向上、また作業の効率化を図ることで経営を安定させ、通年雇用を実現している法人も現れてきております。今後も集落営農組織の経営の安定と継続性の確保のために、さらなる法人化を進めてまいります。 次に、耕作放棄地の増加を防ぐための取組についてお尋ねがございました。 地域の農業者の減少や高齢化等により引受手がいない農地などを、集落営農法人をはじめとする担い手に預かってもらいたいとの声が高まっていることは承知しております。こうしたことに対応するため、昨年度末を期限として、各市町村において、5年、10年後の将来に後継者がいない農地面積の見える化を話し合った、人・農地プランを活用していくこととしております。現時点で引受手がいないとしている農地をいかにして地域の中心経営体へ集約化を図っていくのか、または新規就農者を確保していくのかなどの担い手の確保について、市町村と一緒になって検討していくこととしております。 また、農地利用を最大化していくためには、農地条件の改善などの基盤整備も積極的に取り入れることが必要となってまいります。このような検討を市町村と一緒になって真摯に取り組むことで、耕作放棄地の増加の防止を図ってまいりたいと考えております。 次に、新規就農の状況と新規就農者の確保に向けた取組についてお尋ねがございました。 本県の新規就農者数は、平成25年度以降、270人前後で推移しておりましたが、令和2年度はコロナ禍の影響もあって217人にとどまっております。また、本県の直近5年間の新規就農者数を年齢別に分析してみると、20歳代で23%、30歳代で31%、40歳代で22%となっており、若い世代の割合が高くなっております。 このため、若い世代をターゲットに、SNSを活用し、本県農業の特徴や若い世代向けに就農をイメージできる動画などの情報発信を強化しております。また、就農相談の機会を増やしていくことも重要でありますことから、本年度から社会人でも相談しやすい金曜日の夜のオンライン相談や、県内外での休日の相談会を開始したところであります。あわせて、お話にございましたように、地域おこし協力隊員の方が就農される事例も増えてきており、農業はもとより地域の担い手になっていただくことも期待しているところであります。 今後も、若い世代へのPR強化を図るとともに、就農相談後のサポート体制を強化することで、本県農業の将来を担う新規就農者の確保に向けてしっかりと取り組んでまいります。 次に、農業土木分野におけるICT活用工事についてお尋ねがございました。 建設業を取り巻く環境は、技術者の高齢化や若手技術者不足など大変厳しい状況にありますことから、農業土木工事においても、建設現場の生産性の向上を目指すICT活用工事を積極的に推進することが重要であると認識しております。 一方、農業振興部におけるICT活用工事の実施件数は、平成29年度から4件と、その導入が進んでいない状況でございます。課題としましては、ICTに対応できる技術者がまだまだ少ないことに加え、圃場整備工事を例に挙げますと、工事着手後に地権者等の要望による設計変更が多く、3次元設計データの修正作業など負担が大きいことが挙げられます。 このため、まずは比較的導入しやすい、ため池工事において、本年度四万十町での工事をモデルに、農業土木職員や建設業協会などを対象としたICT活用の研修会を開催するなど、ICTの技術力の向上に取り組んでまいります。こうした取組により、農業土木分野においても、建設業の労働力不足の解消や生産性の向上を目指すICT活用工事を推進してまいります。 最後に、田んぼダムについてお尋ねがございました。 近年の気候変動による水害リスクの増大に備え、河川などによる治水に加えて、流域全体のあらゆる関係者で取り組む流域治水の推進は極めて重要であり、田んぼダムはその治水対策の一つとして有効であると認識しております。 本県では、まだ田んぼダムの取組事例はございませんが、推進する上では、農業者をはじめ地域住民の方々に、流域治水の取組の意義はもとより、雨水を一定時間、一定の地域に貯留することによる水稲以外の作物への影響といったリスクについても御理解いただき、地域全体の合意形成を図ることが最も重要となります。 このため、地域において農地や用排水路などの保全活動に取り組んでおり、田んぼダムの活用が可能と思われる地域を選定し、県や市町村、地域の関係者によるワーキンググループを早急に設置し、実現に向けて検討してまいります。   (林業振興・環境部長豊永大五君登壇) ◎林業振興・環境部長(豊永大五君) まず、本県の農山漁村をさらに活性化させるための方策をどのように展開するのかとのお尋ねがございました。 豊富な森林に恵まれている本県において、森林資源を有効に活用していくことは、農山漁村の活性化に直結する重要な方策と考えております。このため、成熟した森林資源を循環利用していく林業・木材産業の推進とともに、多様な森林資源を活用する特用林産の振興に取り組んでいるところでございます。 特用林産につきましては、県の中山間総合対策本部に推進チーム会を設置し、部局間の連携による取組の促進や新たな品目の導入等を進めております。これまでの土佐備長炭の生産拡大に加え、イタドリやアラゲキクラゲ、シキミなどの品目については横展開が進み、収益事業として取り組む集落活動センターなどが増加しております。 また、豊富に自然分布するものの、これまでほとんど利用されてこなかったアセビやヒノキなどの枝や花の観賞用としての活用や、葉っぱなどのつまもの、食用としての桜葉の生産などが新たに始まっています。こうした取組は、収益向上はもとより、地域コミュニティーや生きがいづくりなど、農山漁村の多面的な活性化につながりますことから、今後も積極的に支援をしてまいります。 次に、山林所有者の再造林に向けた意欲をどのように高めるのか、また皆伐と再造林の一体的な推進における低コスト化などの課題の克服についてお尋ねがございました。 議員御指摘のとおり、皆伐と再造林を一体的に推進するためには、再造林につながる仕組みづくりや施業コストの低減などを進め、森林所有者の意欲を高めていくことが重要です。 このため、再造林につなげる仕組みとして、各林業事務所単位で増産・再造林推進協議会を設置し、関係者間で伐採情報を共有、協議した上で、メンバーである再造林推進員が森林所有者へ働きかけを行う、地域ぐるみでの取組を今進めているところでございます。加えて、今年度は県外の基金造成などの先進事例を参考に、木材を必要とする関係者が支え合い、再造林を進める体制づくりに取り組むこととしております。 また、施業コストの低減につきましては、補助率のかさ上げや低密度植栽の推進に加え、ドローンを活用した苗木の運搬や下刈り機などの新たな林業機械の導入、森林資源情報等を活用したスマート林業などをさらに進めてまいります。 こうした取組により、将来に向けた林業経営における低コスト化を図り、森林所有者の投資意欲を高めることで、皆伐と再造林を一体的に進めてまいります。 次に、木材産業のイノベーションの現時点における課題と想定する成果についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症をはじめとする世界情勢の影響により、我が国への木材輸入量が減少し、国産材需要が高まっています。そのため県では、県産製材品の生産能力の強化とともに、需要に応じて県産材を安定的に供給していく、木材流通のサプライチェーンマネジメントの構築などに取り組んでいるところでございます。 生産能力の強化を進めていく上で、本県は小規模で零細な製材事業者が多く、多額の投資が必要となる生産拡大や高品質化への取組の課題となっておりました。そのため、共同化、協業化による取組を進めてきたところであり、その成果として本年4月には年間消費量4万立方メートルのしまんと製材工場が本格稼働いたしました。 また、サプライチェーンマネジメントの構築に向けましては、関係者間の合意形成や、関係者間で需給情報を共有し、マッチングしていく仕組みが必要となります。そのため、国のモデル事業に取り組み一定の素地のある仁淀川町におきまして、合意形成に向けたアドバイザーの設置や、原木の需給情報を共有するシステムの導入を支援し、地域サプライチェーンマネジメントを構築してまいります。加えて、川上から川下までの関係者が参加し、情報共有や意見交換を行う高知県SCM推進フォーラムの取組を支援してまいります。 こうした取組を着実に進め、かつ横展開していくことで、木材産業のイノベーションを推進してまいります。 次に、木材利用の拡大について、どのような点に留意して推進するのかとのお尋ねがございました。 近年、SDGsなどの観点から、都市部では先駆的な中高層木造ビルの建築が進められておるところでございます。また、昨年10月に施行された公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律では、全ての建築物が対象となるなど、木材利用への機運が高まっています。 一方で、非住宅建築物や4階建て以上の住宅の中高層建築物では、木造化が進んでいないことが課題となっています。これらについて木造化が進まない原因は、他の工法に比べコストがかかり増しになる場合があること、木のよさや木材を使うことのメリットが施主や建築士に広く知られていないことなどが挙げられます。 このため、かかり増し経費につきましては、非住宅建築物の設計や部材の試験費、建築に必要な木材購入費等の支援を行い、事例を増やすことで低コスト化につなげてまいります。また、木のメリット等につきましては、県が事務局を務めるCLT建築推進協議会において、フォーラムや技術研修会の開催のほか、施主や建築士向けの事例集によるPRなどを行ってまいります。引き続き、施主への理解や木造建築に精通した建築士等を増やしてまいります。さらに、環境面から見て価値の高い木造建築物を環境不動産として評価し、その評価に応じ優遇措置を講じるなどの検討に着手したところでございます。 こうした取組により施主等の理解の醸成を図りながら、非住宅建築物の木造化、木質化による木材利用の拡大を進めてまいります。 次に、担い手の育成・確保について、現状と課題を踏まえた上で、本年度はどのように取り組むかのお尋ねがございました。 県内の林業就業者数は、ここ数年1,600人前後で推移していますが、60代以上が約4割を占めているという状況から、今後大きく減少していくと予測されています。県では、これまで林業大学校による即戦力となる人材育成のほか、都市部などで林業の魅力を紹介するフォレストスクールの開催や、就業相談会への参加などにより、担い手の確保に取り組んでまいりました。 担い手の育成につきましては、就業時に林業の知識や技術を習得した人材が求められる中、林業大学校の卒業後の就職先が県中央部周辺など一部地域にやや偏っている傾向にあります。このため、市町村と連携し、それぞれの地域の事業体で1年間のOJT研修が受けられる制度を設け、各地域に技術等を習得した人材が就職できるよう支援してまいります。 次に、担い手の確保につきましては、フォレストスクールや相談会への参加者をしっかりとアフターフォローし、つなぎとめていくことが重要です。また、小規模林業や女性相談者の増加など、多様化するニーズへの対応も必要となってまいりました。このため、本年度から林業労働力確保支援センターに森のしごとコンシェルジュを配置し、相談者へのアフターフォローを強化するとともに、多様なニーズにきめ細かく対応してまいります。 次に、市町村森林整備計画の策定に向けた専門知識を持つ人材の確保についてどのように取り組むか、お尋ねがございました。 市町村森林整備計画は、市町村が目指す森林の状態へ誘導していくためのマスタープランですが、議員御指摘のとおり、市町村では専門知識を持った人材の確保が大きな課題となっています。このため、国では地域林政アドバイザー制度を創設し市町村の体制支援に取り組んでおり、県内では現在4町で5名の方が市町村の計画策定などの業務などに携わっています。 これまで、この制度を活用するには、原則として東京で国の研修を受ける必要があり、受講希望者からは県内での開催を望む声がありました。このため、県が研修計画を策定して国の認定を受けることとし、それが認められましたので、本年度から県内での実施が可能となり、13市町の職員を含む22名が受講する予定となっています。また、市町村職員に対して林業大学校の外部講師や県職員が講師となり、林業の基礎から現場における森林調査などの実務についても学べる研修会を実施しています。 今後は、森林経営管理制度の推進など、市町村の役割がますます重要となりますことから、地域林政アドバイザーや専門知識を持つ人材の育成・確保が着実に進むよう取り組んでまいります。 次に、県内市町村における森林環境譲与税の活用状況と、市町村の活用がさらに進むようにどのように取り組むのかについてお尋ねがございました。 市町村への森林環境譲与税につきましては、令和元年度から3年度までの累計で約29億8,000万円が譲与され、その約6割に当たる16億8,000万円余りが活用されています。各年度の譲与額に対する執行率は、令和元年度が42%、2年度が46%、3年度が75%と年々上昇しております。 この譲与税は毎年譲与されることから、地域の実情に応じて森林整備などの取組に適切に活用していくことが必要です。このため県では、市町村が行う森林所有者の意向調査や、その調査を速やかに森林整備につなげていくための取組などについて、各林業事務所単位に設置したワーキンググループにより支援をしてきたところです。 一方、現在市町村が基金に積み立てているものについて、その使途がまだ決まっていないものが一定あるとお聞きしております。こうした中、この6月に、市町村における活用の判断を後押しすることを目的に、譲与税の具体的な使途を明示したポジティブリストと呼ばれるものが国から示されました。今後、県ではこのリストも活用しながら、市町村ごとの課題に応じた具体的な使途の助言等を行い、森林環境譲与税の活用を加速化させてまいります。 次に、ICT活用工事を森林土木分野においても積極的に活用することについてお尋ねがございました。 森林土木工事においても、建設現場の生産性の向上等を図る観点から、ICT活用工事を積極的に導入していく必要があると考えています。これまで、主に周辺を山で囲まれた山間地域で行う森林土木工事は、人工衛星からの電波の受信が不安定でICT建設機械の使用が制限されることから、ICT技術の活用は困難であると考えられておりました。このため林業振興・環境部では、これまでICT活用工事の発注実績はございません。 こうした中、本年3月に国から、森林土木工事におけるICT活用工事の試行的な実施要領等が通知されました。この実施要領では、工事の一連の作業工程のうちICTを活用できる工程を選択できるなど、人工衛星の電波が受信できない場所においてもICT活用工事が実施できるような仕組みが示されています。本県としましては、この実施要領等を参考にICTを活用する工程や積算方法を検討するなど条件整備に取り組み、できるだけ早期にICT活用工事を実施してまいります。 あわせて、ICT技術に対応できる人材の育成も重要であることから、昨年度ICT機械を使用している工事現場において、職員を対象とした研修を行ったところです。今後はこうした研修に加え、他部局が行う研修等にも積極的に参加し、職員の技術力の向上に努めてまいります。 最後に、牧野植物園における野犬の生息状況と来園者に及ぼす影響についてお尋ねがございました。 園内では数年前から野犬を見かけるようになり、来園者に向かってほえるといったことがありました。また、野犬によるものかどうか確認はされておりませんが、植物の名前や特徴が記載されたラベルが破損していた事例などがございました。そのため、監視カメラや捕獲するおりを設置するとともに、植物園のパトロールを徹底して行ってまいりました。その結果、今年度に入ってから野犬をほとんど見かけることがなくなったと牧野植物園からお聞きしております。 今後、連続テレビ小説を生かした博覧会の拠点として、さらに来園者数の増加が見込まれております。来園された皆さんに安心して園内を周遊していただけますよう、引き続き警備などを徹底し、園内の安全確保に留意してまいります。   (水産振興部長松村晃充君登壇) ◎水産振興部長(松村晃充君) まず、農山漁村をさらに活性化させるための方策についてお尋ねがございました。 多様な地域資源を生かした地域活性化の取組は、1次産業の事業者の所得向上のみならず、農山漁村の活性化に大きく貢献するものと考えております。 これまで、水産業分野では、各地域で大量に水揚げされる魚や価格の安い魚などを活用した加工品の製造・販売の取組が行われており、事業の立ち上げの際に必要な施設整備や新たな商品の開発、既存商品のブラッシュアップなどへの支援を行ってまいりました。具体的には、これまで業務用が主体であった特産の宗田節を家庭でも味わえる商品として開発し、新たな需要を生み出しております。また、魚価の安いシイラを加工することで、付加価値をつけて販売する取組などが行われております。 今後も、地域資源を活用した加工品の製造・販売の取組などへの支援を引き続き行うとともに、市町村や関係部局と連携し、新たな取組の掘り起こしを行い、農山漁村のさらなる活性化につなげてまいります。 次に、燃油や餌の高騰が本県の水産業に与えている影響についてお尋ねがございました。 漁業において、燃油や養殖用の餌は操業や生産に不可欠なものであるとともに、生産コストに占める割合が大きく、価格の高騰が経営を圧迫している状況にあります。 こうした影響について漁業者から聞き取り調査を行いました。その中で、漁船漁業では、操業場所を漁獲量が多く見込まれる遠方の漁場から近くの漁場へ切り替える、あるいは操業時間は短くなるが低速での低燃費航行を行っているといった対応をしており、水揚げ量に影響があるとのお声をいただいております。また、養殖業では、品質の低い安い餌への切替えや餌の量を減らすことで対応しているが、この状況が長期化すると魚の成長に影響を及ぼす可能性があるのではないかといったお声もいただいております。 現在の世界情勢の不透明感や円安による影響などを踏まえますと、燃油や餌の価格は引き続き高値で推移することが予想され、漁業経営は今後も厳しい状況が続くことが懸念されます。燃油や餌の高騰対策につきましては、国において、価格が上昇した場合にその影響を緩和するための補填金を交付する漁業経営セーフティーネット構築事業がございます。県といたしましては、当事業により多くの漁業者に加入いただくよう普及を図ってまいります。 あわせまして、今議会にセーフティーネット構築事業における漁業者負担分などを支援する事業について、補正予算案を提案させていただいております。これらの取組を進めることで、燃油などの高騰の影響を緩和し、漁業経営の安定を図ってまいります。 次に、漁業生産の構造改革に向けた課題の克服や求める成果、また高知マリンイノベーションの位置づけについてお尋ねがございました。 漁業者の減少や高齢化が進む中で、漁業生産量を維持・拡大していくためには、効率的な漁業生産体制への転換による生産性の向上を図っていくことが必要です。このため、産業振興計画の水産業分野における第1の柱、漁業生産の構造改革において、高知マリンイノベーションの推進による操業の効率化、事業戦略の策定・実行による経営力の向上、企業参入による漁場の有効活用などに取り組むことで、生産性の向上や漁業経営の安定を図っていくこととしております。 さらなる漁業生産の効率化に向けては、デジタル技術を活用していくことが重要であることから、生産・流通・販売の各段階でのデジタル化を図る高知マリンイノベーションを重点施策として位置づけるとともに、それぞれの取組に波及する横断的な取組として位置づけて推進をしております。 こうした第1の柱、漁業生産の構造改革の取組を進めることで、効率的な生産体制に転換し、漁業生産量の維持・拡大を図ってまいります。 次に、市場対応力のある産地加工体制の構築の推進に当たっての所見と、流通・販売の強化、担い手の育成・確保の推進により期待される成果についてお尋ねがございました。 まず、第2の柱、市場対応力のある産地加工体制の構築では、市場ニーズに対応した産地加工体制を目指し、加工施設の立地促進や衛生管理の高度化に取り組んでおります。新型コロナウイルス感染症の影響により、水産物についても冷凍食品やレトルトなどの加工需要が高まっておりますことから、こうした需要に対応した商品の開発や加工が行える施設の整備を進めてまいります。 お話にございましたように、天然魚は豊漁時には価格が下がる傾向があるため、冷凍保管を行い、市場ニーズに対応した加工を行うことで魚の価格を安定させるとともに、付加価値の向上を図ることが重要であると考えております。このため、豊漁時に冷凍保管した魚を加工用の原料として活用できる仕組みの検討も行ってまいります。 次に、第3の柱の流通・販売の強化では、水産物の国内外への外商拡大により外貨を稼ぐ取組を行っております。国内に向けては、少量多品種である県産水産物の特徴を生かした高知家の魚応援の店への販売拡大や、量販店をターゲットに関東、関西の卸売市場関係者と連携した販売促進により、県産水産物の認知度の向上や取引の拡大を図ってまいります。国外に向けては、食品海外ビジネスサポーターや商社と連携して、現地でのプロモーションや見本市への出展などによる新たな販路の開拓、拡大に取り組むことで、有望市場である米国や中国などへの輸出の拡大を目指してまいります。 次に、第4の柱、担い手の育成・確保では、将来にわたって漁業生産量を維持・拡大していくため、漁業就業支援センターを立ち上げ、就業希望者の掘り起こしから就業相談、技術研修、就業後のフォローアップまでの一貫した支援を行い、新規就業者の確保に取り組んでおります。さらに、本年度は関西で本県独自の漁業就業フェアを開催するなど、より多くの就業希望者を呼び込むことで、さらなる担い手の確保につなげてまいります。 産業振興計画の水産業分野の4つの柱の取組を着実に進め、漁業生産量をしっかり確保し、加工や外商の拡大により漁業所得の向上を図ることで、担い手を安定的に確保できる好循環を生み出し、若者が住んで稼げる元気な漁村の実現を図ってまいります。 次に、漁業用屋外燃油タンクの撤去の進捗状況についてお尋ねがございました。 県では、南海トラフ地震の発生時に、タンクの損壊に伴う燃油の流出や津波火災などの甚大な被害を防ぐため、平成26年度から屋外燃油タンク34基について、漁協や市町村と連携して撤去を進めてまいりました。また、撤去に当たっては、漁業活動に支障が出ないよう、地下タンクの整備やタンクローリー給油の導入などの代替手段の確保も併せて支援をしてまいりました。 昨年度までに33基を撤去し、残りの1基を本年度に撤去することとしており、34基全ての撤去が完了することとなります。 次に、漁港における沈廃船の撤去の進捗状況についてお尋ねがございました。 漁港などに放置される船舶は、漁業活動への支障や南海トラフ地震による津波発生時の被害拡大などの観点から、大きな課題があると認識しております。県管理漁港では平成24年度に288隻、市町村管理漁港では平成28年度に372隻の沈廃船を確認し、撤去を進めてまいりました。しかしながら、撤去の進捗を上回る新たな発生があり、令和3年度末までに県、市町村合わせて742隻を撤去してまいりましたものの、現在887隻の沈廃船が確認されております。 沈廃船は、所有者が責任を持って撤去することが基本でありますので、引き続き所有者に撤去していただくよう働きかけてまいります。また、所有者が不明の場合には、漁港の管理者である県や市町村が速やかに簡易代執行等により撤去を行ってまいります。 一方、新たな沈廃船の発生を未然に防ぐ必要があることから、令和2年度から漁船登録を抹消する際に、解体や譲渡などの処理が確実に行われたことを書面で確認することとしております。さらに、本年度、FRP漁船のリサイクルに係る法整備や、漁船購入時に処理費用をあらかじめ負担する預託・積立制度の構築といった総合的な対策について、国に政策提言を行いました。 引き続き、市町村や漁協と連携し、早期の撤去に努めてまいりますとともに、新たな沈廃船の発生防止を図る取組を進めますことで、漁港における沈廃船の解消に努めてまいります。 最後に、漁業協同組合が所有する、利用されていない老朽化施設の状況についてお尋ねがございました。 県では、南海トラフ地震が発生した際に倒壊するおそれや、近隣の住民が避難する際の妨げになる可能性が懸念されることから、令和3年度に県内の利用されていない漁業用施設の状況につきまして、市町村への調査を実施いたしました。 その結果、統合や移転などにより使われなくなった漁協事務所や荷さばき所、漁具倉庫など該当する施設が54あることが確認できました。また、そのうち耐震基準が見直された昭和56年以前に建設された施設が30ございました。これらの施設につきまして、所有者である漁協や地元自治体と設置場所や建物及び周辺の状況なども踏まえながら、今後の対応について協議を進めてまいりたいと考えております。   (土木部長荻野宏之君登壇)
    ◎土木部長(荻野宏之君) まず、港湾での沈廃船の撤去の進捗状況についてお尋ねがございました。 港湾内の沈廃船は、港湾利用への支障や環境への悪影響、また南海トラフ地震による津波発生時の被害拡大等の観点から大きな課題であると認識しております。沈廃船対策につきましては、平成26年度に確認された461隻について、令和3年度末までに所有者不明の65隻を撤去してまいりましたが、その後新たな発生もあり、現在439隻となっております。 沈廃船は、所有者が責任を持って撤去することが基本でございますので、引き続き自主的な撤去を働きかけていくとともに、所有者が不明の場合には県による撤去や処分ができる簡易代執行を行うなど、早期の解消に向けて取り組んでまいります。 次に、ICT活用工事についての所見と、県内における導入状況についてお尋ねがございました。 ICT活用工事の推進は、建設業の従事者が大きく減少している本県において、建設現場の生産性向上を図るとともに、休日の確保など働き方改革を実現する上で大変重要であると考えております。 土木部では、平成29年度に1,000立方メートル以上の土砂を取り扱う土工事を対象に、ICT活用工事を開始しており、平成30年度からは舗装や地盤改良などの工事にも拡大しております。また、土工事においては、本年7月からは土砂の量に関係なく、全ての工事を対象にする予定です。土木部におけるICT活用工事の実施件数は、平成29年度に3件だったものが、平成30年度は9件、令和元年度は16件、2年度は36件、3年度には77件となり、毎年約2倍のペースで増加しているところでございます。 今後も建設業界における働き方改革の実現に向けて、県内全域でICT活用工事を推進するとともに、地域に根差した小規模事業者への拡大にも取り組んでまいります。   (教育長長岡幹泰君登壇) ◎教育長(長岡幹泰君) まず、コロナ禍での高校生の就職を円滑に進めるに当たって、どのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 コロナ禍におきまして、昨年度までは高校生の企業見学やインターンシップなどの実施が制限され、企業を知る機会が減ることで、生徒の思いと企業の求める人材像との間にミスマッチが起こる可能性が生じるなど、就職への影響が心配されました。 そのため、県教育委員会では、応募前職場見学や就職試験をオンラインで実施できるように、各校にウェブ会議システムを整備し、求人事業所への協力要請も行いながら、生徒の就職活動を支援してまいりました。こうしたことによりまして、公立高等学校卒業者の令和3年度の就職内定率は99.4%となり、就職者に占める県内就職の割合も72.5%で、この10年間でいずれも最高値となっております。 本年度におきましては、現在のところ高校生に対するインターンシップや説明会などが、コロナ禍前の状態で実施できるように計画されております。しかし、今後の新型コロナウイルスの感染状況によっては、こうした活動が制限される可能性もあり、いろいろな場面を想定し、オンラインによる就職活動の支援準備も進めております。 さらに、新たにデジタル版県内企業情報誌を整備し、就職を希望する生徒が、タブレット端末やスマートフォンなどを利用して県内企業を知る機会を増やしてまいります。あわせて、就職希望者が多い学校を中心に、引き続き就職アドバイザーを配置し、地元企業への求人要請やハローワークとの連携を図るとともに、就職を目指す生徒の様々な相談にも丁寧に対応してまいります。こうした取組によりまして、生徒の希望の就職を実現できるよう全力で支援してまいります。 次に、県立高等学校の魅力化、特色化に向けた取組についてお尋ねがございました。 これまで中山間地域の高等学校では、地元市町村や地域住民、そして地元企業などと連携・協働し、地域の特色や課題などを題材とした学習に取り組んできております。例えば、大方高等学校では、黒潮町と連携・協働し、地域課題である防災・減災を題材とした探究学習を実施しております。また、四万十高等学校では、総合的な探究の時間や各教科の学習を基に、大正地域の商店街の活性化イベントに生徒が参画するなど、四万十町や地元企業などと連携・協働した取組を行っております。 そして、このような学校では生徒の学習や活動の場が広がり、意欲的な学習態度が養われ、また地域社会を学ぶことで地元に対する愛着を深めております。このことからも中山間地域の高等学校は、地域の活性化や地域の将来を担う人材育成の観点から、大変重要な役割を担っていることが述べられると考えております。 今後は、これまでの取組も生かしながら、学習活動の一環としての地域連携にとどまらず、学校が地域に貢献する存在として、その価値をさらに高めていく必要があると考えております。そのため、市町村や地域の住民の方々、地元の産業界の皆さんもプレーヤーとして学校と手を携えて取り組む、地域コンソーシアムの構築を進めてまいります。 既にコンソーシアムを活用した取組が進んでいる島根県では、行政、地域住民、学校が人材育成をそれぞれ自分のこととして捉え、主体的に関わることで、学校の取組が地域全体に広がり、また生徒の学びもさらに深化しており、それによって生徒数の確保や地域の活性化にもつながってきているとお聞きをしております。 県教育委員会といたしましては、このようなコンソーシアムの取組を積極的に推進し、地域の将来を担う人材の育成を図り、また高等学校の魅力化、特色化にもつなげてまいりたいと考えております。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、TNR活動にボランティア協力する獣医師の不足に対する取組についてお尋ねがございました。 TNR活動に取り組んでおられる愛護ボランティアの皆様からは、動物病院の不妊・去勢手術の予約が取りにくくなった、TNR活動を計画したいが頭数が多いので引き受けてもらえる動物病院がなかなか見つからないといった課題をお聞きしているところでございます。こうした声にお応えするためには、ボランティア活動に参画いただく獣医師の増加、もしくはTNR活動の効率化が必要であると考えます。 このため、県では、県獣医師会の協力の下、動物病院がTNR活動を引き受ける受入れ専用日の設定、休診日に開院してボランティア活動に参画していただくなど、TNR活動の推進体制の構築に取り組んでまいりました。その結果、20名近くの獣医師の方がTNR活動に参加いただいております。また、住民と市町村、ボランティアさん、獣医師が協働して、一定の期間に一定の頭数の不妊・去勢手術を行うなどの効率的な取組を促進してまいります。 引き続き、県獣医師会や獣医師の皆様方には、ボランティア活動や市町村の集中対策に協力いただけるよう要請するとともに、現在活動に参加いただいていない獣医師の皆様にも、TNR活動に対する理解を深めていただくための活動に取り組んでまいります。 次に、ミルクボランティアの現状についてお尋ねがございました。 令和4年4月以降、高知県・子猫ミルクボランティア試行要領に基づく新たな登録者はいらっしゃいませず、民間ボランティア活動が主体となっているのが現状でございます。県では、民間ボランティアの実態全てを把握できていないため、対応実数は把握できておりませんが、お話のありましたように、負担の大きい活動であることは理解しております。 これまでにもミルクボランティアをやってみたいとの申出はございましたが、昨年6月議会で答弁いたしましたとおり、具体的にボランティア活動について説明するうちに、体力的にも、また精神的にも大変労力を要することなどが課題になり、登録には至っておりません。しかし、子猫の保護に関心をお持ちの方は多くいらっしゃると思われますので、本年度ボランティアの皆様に支給する消耗品について、これまでのミルクなどに加えてペットシートなどを追加して支給するなど、県ミルクボランティア試行要領を改正し、負担軽減をしてまいります。 今後は、県民の皆様を対象としたミルクボランティア講習会の開催を検討するとともに、愛護ボランティアが実施する譲渡会、動物関連の講演会などでの広報や県のホームページ、SNSを活用しながら、ミルクボランティアの活動についての一層の周知や募集を図ってまいりたいと考えております。 次に、法改正を受けて義務化された犬や猫へのマイクロチップの装着についてお尋ねがございました。 犬や猫が迷子になったときや、地震や水害などの災害、盗難や事故などによって飼い主と離れ離れになった場合に、マイクロチップが装着されていますと、飼い主の下へ返還できる可能性が高まることが期待されます。 このため、県では、法律により努力義務とされています、既に飼育されている犬、猫についてもマイクロチップの装着を推進することとし、ホームページや新聞広告を通じ、県民の皆様に呼びかけているところでございます。また、毎月開催している飼い方講習会において、県民の皆さんに向けた啓発と広報活動を行っております。 最後に、命の授業の成果や課題についてお尋ねがございました。 動物愛護教室は、別名命の授業として、県下の小学校1年、2年生を主な対象に、20年以上前から取り組んでいる事業でございます。現在は、県の動物愛護推進員42名の方が中心となって、ボランティア活動として実施していただいております。 コロナ禍であっても、例年十数校、400人程度の参加があり、授業では、モデル犬を使って、犬に触れるときの注意点や命を扱うことの責任、かわいそうな子犬、子猫を増やさないために何が必要かなどについて、子供たちに分かりやすく伝えていただいております。 命の授業の成果といたしましては、授業後のアンケートを見ますと、飼っている犬を最後まで大事にしたい、不妊手術をすると病気になりにくい、心臓の音を聞いて生きていると感じたといった、命を大切に思う優しい感情にあふれた声が数多く聞かれることが挙げられます。また、授業で体験した感動や気づきを、お子さんが家に持ち帰って御家族と話し合うことにより、保護者の方も一緒になって動物愛護について考えていただくよいきっかけになったことも成果と言えます。事業実施に当たっての課題といたしましては、学校の学習カリキュラムや行事スケジュールの関係もございまして、新規に取り組む学校が増えていないこと、また高学年への再教育の場が設けられていないことなどが挙げられます。 県としましては、命の授業の成果を学校とも共有しながら、命の授業の開催促進とその他の動物愛護の取組も織り交ぜながら、命の大切さを学ぶ機会の創出に努めてまいります。   (警察本部長熊坂隆君登壇) ◎警察本部長(熊坂隆君) まず、サイバー犯罪と見られる事案の状況、子供や保護者に対する啓発、また新型コロナウイルスの感染拡大に乗じたサイバー犯罪を防止するための注意喚起、テレワーク等を利用する場合の注意喚起に対する所見についてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。 本県においては、これまでセキュリティーの脆弱性を悪用したサイバー攻撃により、重要インフラがストップするなど県民生活に重大な影響を与える被害は認知しておりません。しかしながら、持続化給付金の不正請求に係る電子計算機使用詐欺等、県民に身近なサイバー犯罪が年々増加傾向にあり、令和3年中は過去最多となる82件、39人を検挙しております。 全国的に児童がインターネットを通じて児童買春などの犯罪被害に遭うケースが後を絶たないことから、県警察では学校などと連携しながら、令和3年中、生徒を対象とした非行防止教室を236回、学校行事に併せた保護者説明会を57回実施しており、本年も引き続き子供や保護者に対して、インターネットの適切な利用やフィルタリングの活用について啓発を行っています。 コロナ禍でテレワークやオンライン授業が導入され、県民生活の様々な場面でインターネットが浸透する中、ネットワーク機器等の脆弱性が攻撃対象となる危険性について注意喚起することは、重要であると認識しております。県警察では、従来から関係機関と共に高知県ネットワークセキュリティ連絡協議会、高知県サイバーテロ対策協議会を設置し、サイバー空間の脅威に関する情報共有を図り、県民が被害に遭わないためのセキュリティー対策に取り組んでおります。 今後も県民や事業者の方々に対して、セキュリティー対策が組織レベルから個人レベルに至るまでますます重要となっていることを認識していただくため、関係機関や団体と共に連携した取組を推進するとともに、各種媒体を活用し、広く注意喚起を行ってまいります。 次に、商工会との連携協定に関する活動の展開についてお尋ねがございました。 県警察としましては本協定に基づき、警察官が事業者を直接訪問し、事業者の関心が高い融資保証金詐欺などの犯罪情報の提供により注意喚起を図りつつ、事業者とのやり取りの中で関心事項を伺いながら、犯罪の被害に遭わないための助言を行っていくこととしています。また、あわせて従業員やその家族に向けて、交通安全情報や特殊詐欺等のニーズに合わせた情報提供を行い、困り事などについて相談しやすい関係づくりに努めるなど、安全で安心な高知県の実現を目指すものであります。 あわせまして、サイバー犯罪に関する注意喚起のための資料を作成し、事業者の訪問の際に手渡すなどして、サイバー犯罪の防止にも本制度を活用してまいりたいと考えております。 最後に、本県における犯罪被害者に対する国の犯罪被害給付制度による支援の状況、及び県警察による経済的支援の状況についてお尋ねがございました。 犯罪被害給付制度は、殺人、傷害等の犯罪行為によって重大な被害を受けたにもかかわらず、加害者からの損害賠償を得られない犯罪被害者やその御遺族に対し、社会の連帯共助の精神に基づき国が給付金を支給し、その精神的・経済的打撃の緩和を図ろうとするもので、令和元年以降、本県において6件の給付事務を取り扱っております。 県警察による犯罪被害者に対する経済的支援としては、殺人未遂等の重要犯罪被害者や性犯罪被害者に対する医療費等の支援、深刻な精神的被害を受けた犯罪被害者やその家族に対するカウンセリング費用の支出などを実施しており、このうち医療費等の支出については、令和元年度以降39件の実績がございます。また、直接の経済的支援に加えて知事部局、こうち被害者支援センター等関係機関団体と協力し、犯罪被害者の経済的・精神的負担軽減のための各種相談を行っているところでございます。 今後も、犯罪被害者にいち早く接する立場にある警察として、被害者に寄り添ったきめ細やかな支援を実施してまいります。 ◆27番(武石利彦君) それぞれ御答弁ありがとうございました。2問目はいたしません。 私の今日の質問のほとんどは、コロナ禍をベースに、あるいは背景にするものでございます。コロナ禍は、県民の生活、県経済に大きな影響を与え続けておりますが、このたび提案されております県の積極的ないろんな予算措置、こういったものが高知県の将来に向けて明るいトンネルの出口になっていくんじゃないかなというふうに大きな期待をしております。 濱田県政を中心に県行政、市町村行政、そして県民が一体となってこの難局を乗り越えますように頑張ってまいりましょう。 本日はありがとうございました。(拍手) ○仮議長(弘田兼一君) 暫時休憩いたします。   午後0時18分休憩-----------------------------------   午後1時20分再開 ○仮議長(弘田兼一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 1番濱口涼子さん。   (1番濱口涼子君登壇) ◆1番(濱口涼子君) 自由民主党、濱口涼子でございます。議長にお許しをいただきまして、通告に従い、県議会で初めての質問をさせていただきます。諸先輩方のようにはいきませんが、どうぞよろしくお願いいたします。 アジサイが色鮮やかに咲き誇り、露地の山北みかんの木に小さな実がつき始めた香南市。私は、香南市の市議会議員として4年間、年4回の議会中はほぼ毎回の一般質問を行い、一番身近な市議会議員として香南市の各地をくまなく回り地域の課題を伺い、議場へと上げてまいりました。そんなとき、1人の聴覚障害者の方と出会い、手話がほとんどできない私の話を読話といって、私の口元を見て私の話を理解してくださり、いろいろな話をしてくださいました。 その方は、当時香南市の中でも大雨の際に水没をすることが多い地域に住んでおられ、ある大雨の日、昼過ぎに雨が強くなってきたので、雨戸を閉めていつもどおりゆっくりしておられました。夕方、夕食を済ませ、リビングに携帯を置いたまま寝室で就寝。夜中に、何件も心配する友人からの携帯の着信に気づいたときにはもう既に遅く、朝には自宅の前が川のようにあふれんばかりになっておりました。 その間、防災無線も何度となく流され、携帯電話にもエリアメールを中心に注意メールが来ており、その地域には早い段階で避難指示が出ておりました。しかし、その方は、耳が聞こえないため雨の音さえ聞こえず、自宅前が川のようになっていることにも察知できなかった。避難することができず、皆さんに心配をかけて本当に申し訳なかったと私におっしゃってくださいました。 私は、その話をきっかけに、香南市にある約90戸の聴覚障害者、難聴者の御自宅に、目で見える防災無線の設置を3年かかり取りつけにこぎ着けました。香南市には現在約1万3,000世帯あります。その中の僅か90世帯への支援でありましたが、私の議会人としての原点はそこにございます。大勢の民意を反映させることも我々の仕事ではありますが、私は常に小さな声にも耳を傾け、小さな声を聞く力を持って仕事に邁進したいと思います。 さて、国外の情勢は一層に厳しさを増し、ロシアのウクライナ侵攻が始まり約3か月半となりました。このような長い状況を誰が予想していたでしょうか。戦禍では罪のない民間人が巻き込まれ、その中には妊婦や子供たちも巻き込まれています。悲惨な状況に心が痛みます。また、それによる燃油料の高騰による物価や資材の高騰は、我が高知県でも1次産業に大きなダメージを与え、様々な業種に影響を与えるなど事態は深刻であると言えます。 香南市の農業者からも、重油の高騰が止まらず資材が高騰し、新しいビニールハウスの建設の見積金額が見積書を作成してもらったときとは異なる高級すし店の時価のような状況になり、行き先の見えない不安な状況に陥っているという話も伺っております。また、メロン農家では、A級品のメロンの玉が9割出来上がって初めて黒字が出る、8割しかできなければ赤字で、何のために働いているのか分からないという悲痛な声も聞こえております。高知県の基幹産業である1次産業を何としても守らなければならない、待ったなしの状況であると言えます。 何としてもこのコロナ禍からの経済の回復をせねばなりません。そして、現在のこの重油高騰の状況からも経済を回復する、その強い思いで、まず1つ目の質問は関西戦略についてお伺いをいたします。 知事は御就任以来、コロナ禍の対応が業務のほとんどとなられ、関西圏に強い知事本来の手腕をなかなか発揮できない中、関西戦略を打ち出し、経済の回復のために知事が推進しておられる産業振興計画がございます。 そこで、まず令和2年度から5年度まで計画されている第4期産業振興計画のこれまでの取組と成果について知事にお伺いをいたします。 関西圏においては、令和7年開催の大阪・関西万博など大規模プロジェクトを契機として、経済活力がますます高まることが見込まれております。こうした関西圏の経済活力を本県の経済の活性化につなげていくため、令和3年3月に関西・高知経済連携強化戦略、すなわち関西戦略を策定し、現在取組を進められております。 知事を筆頭に、県の重要施策と位置づけ取り組んでおられますが、その一方で、農家など地域の生産者や事業者の方からは、関西戦略という言葉はよく聞こえてくるが、具体的にどのような取組を行っているのか分かりづらいという声もお聞きいたします。また、関西圏への売り込みに当たっては、地域の生産者や事業者に最も近い市町村との連携が重要であると考えます。 そこで、関西戦略を推進するに当たって、これまで以上に、市町村や関西圏に販路を拡大しようと意欲のある事業者などを巻き込んだ取組が必要と考えますが、産業振興推進部長に御所見をお伺いいたします。 次に、関西戦略における観光推進プロジェクトについてお尋ねいたします。観光推進プロジェクトの一つに、大阪・関西万博に来られた訪日外国人旅行者に高知へ観光に来てくれるようにPRをすることが明記されております。 しかし、大阪のすぐ近くには、外国人にも今も変わらず根強い人気の京都や奈良が電車1本の距離にあるわけですが、その超人気観光地とどうさび分けをし誘客を図るのか、観光振興部長にお伺いいたします。 2つ目の質問に移ります。子供は国の宝、高知県の宝であります。コロナ禍で日本は、児童生徒の自殺は過去最多を迎え、女性の自殺も2年連続で増加、妊産婦、産後の死亡原因の1位が自殺となり、子供の虐待、いじめの件数は戦後最悪となり、子供やその周りを取り巻く環境も待ったなしの状況にあります。 来年度、国が設置を決めましたこども家庭庁ですが、こども家庭庁は子供の医療、教育、療育、福祉に横串を刺す省庁で、こどもまんなか社会の実現に向け大変期待をするところであります。そのこども家庭庁に関連しまして、2項目質問をいたします。 2019年11月29日、参議院本会議において、母子保健法の一部を改正する法律案、産後ケア法案が全会一致で可決、成立をいたしました。産後ケアとは、出産を終え、お母さんの心と体を回復させ、子育て環境を整えてもらうための包括的なケアのことをいいます。近年、核家族化や晩婚化、若年妊娠等によって産前産後の身体的、精神的に不安定な時期に家族等の身近な人の助けが十分に得られず、不安や孤立の中で育児を行うお母さんが少なくありません。産後の母子に対し心身のケアや育児のサポートを行い、安心して子育てができる支援体制を確保することが、かつてなく重要な政策課題となっています。 しかしながら、市町村が行う産後ケア事業については、国庫補助が行われていたものの、自治体ごとの取組状況に差が生まれておりました。これまで市町村の予算事業として行われてきた産後ケア事業を初めて法制化することにより、生後1年以内の母子を対象とする産後ケア事業の実施が2021年4月1日から市町村の努力義務となりました。産後ケア事業が全国に普及し、母子愛着形成、少子化対策、虐待防止などに資する機能を大いに発揮していくことに期待をいたします。 近年の核家族化や晩婚化、若年妊娠等によって産前産後の身体的、精神的に不安定な時期に家族等の身近な人の助けが十分に得られず、不安や孤独感を抱いたり、鬱状態の中で育児を行う母親が少なからず存在している状況であります。産前産後の母親の育児不安や鬱状態が子供の虐待の誘因になることも指摘されており、産後の育児を家庭のみに任せるのではなく、母親の孤立を防ぎ、生活をしている地域で様々な支援を行うことが重要な政策課題であります。 育児不安等を抱える産後1年以内の母親とその子供を対象に、助産師等の看護職が中心となり、母親の身体的回復や心理的な安定の促進をするとともに、母子の愛着形成を促し、母子とその家族が健やかに生活できるように支援する産後ケア事業の全国展開を図ることを目的とされている法です。 私が香南市総合子育て支援センター「にこなん」で見学した産後ケアのバランスボール運動では、理学療法士の先生によるバランスボール教室で、お母さんに抱かれて赤ちゃんも一緒にバランスボールの上で弾み、にこにこにこにこ親子ともに楽しそうに過ごされておりました。また、お母さんが楽しそうにしていることが赤ちゃんにも伝わり、教室が終わるまで、すやすやとずっと眠り続ける赤ちゃんもおりました。まさにこれこそが産後ケア、産後の母親の心と体を整えることでありました。 しかし、その現場で心配の声を聞くこともありました。御主人さんが、出張が多いお仕事で、県外から移住されてきており、ここの子育て支援センターにたどり着くまでは子供と2人、24時間子育てとして向き合いながら、母親もまた心身ともに疲労し、ある日真っ暗な部屋の中で子供と2人でいた、これではいけない、ママ友をつくりたい、誰かに話をしたい、私が子育てに疲れていることを分かってくれる人に話をしたいとたどり着いたのが、子育て支援センター「にこなん」でしたというお話を教えてくださいました。 国の少子化社会対策大綱においても、妊娠期から出産まで切れ目のない支援を実現するために、2024年度末までに全ての市町村で産後ケア事業の展開を目指すとされています。赤ちゃんを産んだお母さんが心身ともに健康を取り戻し、もう一人産みたくなる体づくりをすることが大切であると考えています。 知事の提案説明において、妊娠期から乳幼児期まで継続的にサポートをする子育て世代包括支援センターの設置が県下全域に整ったとお話があり、大変心強く感じておりますが、今後はこのようなケアを充実させ、多くのお母さんに利用していただくことも重要な課題であります。 産後ケア事業に関する県内の市町村の取組状況をお伺いいたします。また、あわせて市町村との連携も含めた県としての取組を子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。 さて、次に不妊治療助成金についてお伺いをいたします。開会日の挨拶でも申し上げましたが、私は長い不妊治療の末、子供を授かることができず、夫と話し合い、諦めたという経緯がございます。不妊治療は当時は保険の適用がなく、1度の診察でも1万円ほどの出費で、検査や妊娠への準備段階の診察ともなると、1回の診察が3万円を超える日もありました。 私が不妊治療をしていた当時は、タイミング治療という治療から段階を経て顕微授精、体外受精へとその段階を経るごとに、さらに高額の治療費がかかっておりました。私は、経済的なことから顕微授精までしか行っておりませんが、不妊治療とは、経験した御夫婦にしか分からない経済的負担以上の精神的負担のかかる治療です。 現在治療中の方のプライバシーの問題になりますから、詳しい治療法はここでは申し上げませんが、男性、女性ともに心身がとても疲労する治療です。それに加えて、不妊治療が終わるのは子供が授かったときか、私のように諦めたときです。ですから、あまり周りには治療をしていることを話しません。実際、私が治療をしているときは、不妊の夫婦の約8割が男性、女性ともに全く原因がないと言われておりました。 さらに、その原因がないということが諦め切れない原動力になり、長い不妊治療が続くケースが多くなります。原因がないため、これといった頑張りようもなく、かといって原因がないため諦め切れない。次は授かるかもしれない、この次は大丈夫かもしれない、やっと授かった、でも駄目だった。どんどんと夫婦ともに孤独になります。子供を授かるという結果が残せなかったらどうしようという不安がずっとあり、職場や友人にも、ましてや親でさえもなかなかオープンには話せません。私もその一人でありました。 6月4日の高知新聞にも掲載されておりましたが、厚生労働省の統計によりますと、女性1人が生涯に産む子供の推定人数、合計特殊出生率は1.30人で、前年比で0.03ポイント減少し、6年連続で減少しています。ただ、高知県の2021年合計特殊出生率は、前年より0.02ポイントと僅かではあるものの増加しており、1.45と発表され、47都道府県のうち14位でありました。 令和4年からは、念願の不妊治療が保険適用化されました。経済的な負担が相当軽くなると予想され、安堵したところでございます。所得の低い若いうちから不妊治療ができるようになるのではとうれしく思います。ただ、全ての治療に保険が適用されるわけではありませんし、選ぶ治療や選ぶ薬によっては保険が適用されないものもあります。つまりは、現在も経済的負担を強いられながらも治療を続けておられる方がいらっしゃるということです。 私は、少子化対策の要として、高知県は全国的にも先進的に子育て支援の1つ手前の段階の子供授かり支援に力を入れて取り組んでいただきたいと願っています。例えば、県庁の職員の方々で不妊治療をされておられる方がいるかもしれません。高知県は、子供を授かることを応援し、そしてまた子供を授かることを応援する企業を県内に増やすことにより、少子化へのブレーキとなっていただきたい。高知県だからこそ赤ちゃんを授かれた、高知で赤ちゃんを産んでよかった、そう若い世代に言ってもらえる、そんな世代を増やすよう努力をしていただきたいと思います。 北海道の旭岳の麓に東川町という小さな人口約8,000人の町があります。東川町は、10年以上前の平成23年から不妊治療に関する助成金の全額を町が負担しております。東川町は、1994年の3月約6,900人だった人口が約25年、2020年には8,380人と約22%も人口が増加をしています。その人口増加には、不妊治療が全額負担だから引っ越してきたという人ばかりではもちろんありませんが、その中には多くの方が隣町から、すぐ近くの市町村から、不妊治療に関する助成金が全額負担なので引っ越してきたという若い世代が多いと役場の方に伺いました。そして、平成23年から不妊治療の実施件数が41件ありまして、東川町で28名の新しい命が誕生しているという実績もございます。 そこでお伺いをいたします。現在の不妊治療に関する助成金の状況についてお伺いするのに併せて、子供を授かる支援の強化について県の御所見を子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。 3つ目の質問は、南海トラフ巨大地震に備えての避難方法、避難所運営についてお伺いをいたします。私の住む香南市でも国や県から補助を受け、避難タワーが順次建設をされ、香南市だけでも現在21基が完成し、残りの3件の計画がございます。ある一定のハード面は整備が進んでいると思われるところでございますが、ソフト面は市町村に任せて、なかなか進んでいないというイメージの中、県民の皆様から、その中でも特に女性の方から寄せられる質問がございます。女性の視点を生かした防災活動の推進、ペット同伴避難、要配慮者やジェンダーを意識した避難所運営、内閣府がガイドラインにも掲載している車中泊避難についてお伺いをいたします。 まず、女性の視点に立った避難所運営及び避難者の支援の推進について質問をいたします。私は、女性として避難所や防災対策の現場でしっかりと対応、発信ができるよう、防災士の資格を取得いたしました。防災士取得時の講習の中では、避難時の備蓄品の食品に乾パンがどこの市町村もあるかと思いますが、食物栄養の先生が災害備蓄品の中には甘いものを保管しましょうと教えてくださいました。 そこで、女性の声を避難所運営に生かされているか、危機管理部長にお伺いをいたします。 また、東日本大震災で出た課題の中に、自主防災組織は高齢男性が中心であるために、多様な視点が欠如したり、性の分業の固定化が懸念されました。例えば清掃や炊き出しは女性だけが担い、掃除が一部の人に集中するなど、日常から男女共同参画が重要と見られる事案がございました。そういった視点からも女性の視点を生かした防災活動を日頃から推奨することが必要です。 そこで、障害のある方や性的マイノリティーの方への避難所での対応について、県は市町村と連携をして取り組まれているのか、危機管理部長にお伺いをいたします。 次に、東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨災害など今まで多発した災害現場で浮き彫りになった課題について質問をいたします。現在も多くの自治体が、避難所へのペットの避難は同行避難、つまり避難所には連れては行けるが、ペットは屋外であったり、敷地の隅にケージに入れておかなければならないので、避難をためらったり、あるいは危険を承知で崩れそうな自宅に残してきたペットの世話に戻る、そういった行動が見られてきました。 岡山県の真備町では豪雨災害時、ペットと同行避難をしてきた高齢者が、飼い主と離れ離れの住居スペースであるため慣れない避難生活に犬が無駄ぼえをしたり、避難住民から苦情が出て、やむを得ずペットと一緒に屋外で寝泊まりをしなければならない状況になり、飼い主が熱中症で救急搬送され、二次災害や二次被害が起きるという現状があることを承知しておられますでしょうか。また、ペットを避難所に連れていけない現状から避難をためらい、倒壊するかもしれないおそれのある自宅にとどまるケースもございました。 岡山県総社市の片岡市長は、西日本豪雨災害時にペットを連れた市民が避難をする場所がないことから、市長室を自ら明け渡し、飼い主とペットを同伴させて共に過ごす空間として避難をさせています。 議長、ちょっと……。 ○仮議長(弘田兼一君) 暫時休憩いたします。   午後1時50分休憩-----------------------------------   午後2時再開 ○仮議長(弘田兼一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 濱口涼子議員の質問を再開いたします。   (1番濱口涼子君登壇) ◆1番(濱口涼子君) 皆様、大変失礼をいたしまして御心配おかけいたしました。ありがとうございました。それでは、引き続き質問をさせていただきたいと思います。 日常から男女共同参画が重要と見られる事案もあります。そういった観点で障害のある方や性的マイノリティーの方への避難所での対応について、県は市町村と連携して取り組まれておられるのかを危機管理部長にお伺いいたしたいと思います。 次に、東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨などで、今まで多発した災害の現場で浮き彫りになった課題でございます。現在も多くの自治体が、避難所へのペットの避難は同行避難、つまり避難所に連れては行けるが、ペットは屋外であったり、敷地の隅にケージに入れておかなければならないので、避難をためらったり、あるいは危険を承知で崩れそうな自宅に残してきたペットの世話に戻る、そういった行動が見られました。 そんな中、岡山県の総社市の片岡市長は、西日本豪雨災害時にペットを連れた市民が避難する場所がないことから、市長室を自ら明け渡し、飼い主とペットを同伴させて共に過ごす空間として避難をさせています。それ以来、全国初のペットと同伴避難できる避難所も開設をしております。昨年の豪雨による避難所開設時も、ペットと同伴できる避難所を開設し、現在は避難所運営マニュアルにもペット避難という項目がございます。様々なルール決めがされており、最も重要な盲導犬や介助犬はペットではない、障害者のパートナーですという説明もございます。 総社市だけではなく、全国的にも少しずつ自治体が取組を始めている事例でございますが、ペット同伴避難は、ただ犬や猫を避難所に連れてきて、どこでも避難生活ができるものではないということを正しく示し、犬や猫が大好きな人の対策ではなく、むしろ犬や猫が苦手で猫アレルギーがあるような方のためにも、きちんと避難場所を区切り、正しく取り組まなければならないと考えています。 都道府県全体で取り組んでおられる自治体はまだないようでございますが、現在検討しておられることがございましたら、健康政策部長に御所見をお伺いいたします。 次に、車中泊避難の推奨について現状をお伺いいたします。避難所といえば体育館で雑魚寝をするというイメージが主でありますが、体育館での共同生活はプライバシーがほとんどないと考えられ、赤ちゃんを連れた家族や障害がある方など、周りの方に気を遣いながら過ごされているということもございます。 車中泊避難はエコノミークラス症候群の死亡事例の報告もあることから、車中泊避難は控えるようにというのが一般的でありました。しかし、新型コロナウイルス感染予防の観点から、避難所で感染リスクを恐れ、車中泊避難はさらに増加することが確実視されております。 エコノミークラス症候群での死亡リスクがあるとはいえ、エコノミークラス症候群の予防は容易で、少し注意を払えば十分に予防が可能であります。車中泊避難であれば、知的障害やぜんそく、赤ちゃんの夜泣きなど、周りの避難者に気を遣わずに個室で過ごすことができます。先ほどの質問の、ペットと同伴の避難もすることが可能になるため、大変有効的な避難の方法であるというふうに考えます。 令和2年の10月に土森正一議員が新型コロナウイルス感染対策における避難生活の車中泊避難についての御所見をお伺いしておりますが、危機管理部長のお答えは、当時は避難所への車による避難は駐車スペースに限りがあるため原則として認めておらず、要配慮者の方々などやむを得ない事情がある場合に限定して認めるとお答えになられております。 そこでお伺いいたします。車中泊避難のニーズがあるのにもかかわらず、なかなか県内で広まらないことについて、県の御所見を危機管理部長にお伺いいたします。 続いての質問は、地域アクションプランの香南市のアクションプランについてお伺いをいたします。まず、物部川地域アクションプランの11、ヤ・シィパークのことについてお伺いをいたします。ヤ・シィパークは、2021年から海水浴場にユニバーサルビーチを定期的に設置し、どのような方でも海で遊べるような活動を始めています。昨年、ヤ・シィパークで開催されたユニバーサルビーチを見学に行ってきましたが、県内から車椅子のお客さんを招き、通常でしたら車椅子では砂浜を行くことができないのですが、専用のマットを砂浜に敷き、そのマットの上を車椅子の方が自ら走行し、波打ち際まで行く、参加された方は、何十年ぶりかに波打ち際まで来ましたと大変喜んでおられました。 県の観光振興部が運営する高知のバリアフリー観光というホームページにも掲載されており、本日の高知新聞にも掲載されておりましたが、ユニバーサル、バリアフリー観光もこのゴールデンウイークを含め多くの問合せがあってございます。日本初のユニバーサルビーチが兵庫県須磨海岸にありますが、それに続き日本2番目のユニバーサルビーチの常設化を願うところであります。 また、土日には大勢の子連れでにぎわうこども広場のほうでも、インクルーシブ公園の実現に向け取り組まれております。あらゆる人が排除されたりしないよう、どんな子供でも、どんな人でも誰でも遊べるように工夫されている公園のことをインクルーシブ公園といい、車椅子のままで遊具に乗れたり、また車椅子でも通りやすい迷路などの遊べる公園もある、東京ではそういった先進的な公園も進んでおります。ヤ・シィパークでもぜひ障害があってもなくても、子供でもお年寄りでも、誰でもが楽しめる公園になることを願っています。 そこでお尋ねいたします。令和4年度の地域アクションプランのナンバー11にもありますが、ヤ・シィパークを核とする地域の活性化の推進について、今後の展開等御所見を産業振興推進部長にお伺いいたします。 続いて、地域アクションプランの13、香南市野市町中心商店街の振興についても、今後香南市では商店街の振興のため協議会を立ち上げ、中心市街地活性化計画を策定し、空き店舗を利用した新事業などに取り組んでいくと伺っておりますが、こちらに関して県としてはどういった支援を行っていくのか、商工労働部長にお伺いをいたします。 最後の質問は、新型コロナウイルスの蔓延により、世界中が未曽有のダメージを受け、この日本、高知県でも随分と様々な価値観や事柄が変化しました。しかし、そのコロナ禍でも大変よかったと言えることは、自宅で仕事をしたり、大学生はオンライン授業が行われるなど、社会のデジタル化が急速に進んだことと言えると思います。デジタル社会が進むにつれ、若い世代はある一定の進化を続けておりますが、本日は中山間地域に暮らす高齢者のためのデジタル化について質問をいたします。 高齢者のためのデジタル化といいますと、一見大変ハードルが高く、難しいことのように聞こえますが、スマートフォンやパソコンがない人は一体どうするのかという二極化が懸念され、その人たちを不便なままで置き去りにしがちな社会から切り離すのかという一定の議論がなされるかと思いますが、私はそうでないと思っています。 5年先、10年先の高知県は、団塊の世代と言われる私の父の世代が80歳を過ぎます。私の父の世代はスマートフォンを使います。パソコンを使いこなす方もいらっしゃいます。パソコンやスマートフォンを持っておられる皆様が、10年先そのパソコンやスマートフォンを使いこなすことにより、超高齢化社会を迎えたときに、自治体も様々な職員の業務が軽減されるのではないでしょうか。現に社会福祉協議会の職員など現場におられる職員さんは、10年先の高齢者の数と今の職員の数、このままでは現場はパンクするのではないかと不安を抱えていらっしゃるのが現状です。 だからこそ、中山間地域で暮らす高齢者の皆さんが生き生きと住み続けられるために、様々な課題に対してデジタル技術の活用を進めなければなりません。それが私の申すところの高齢者を助ける優しいデジタル社会の実現ということであります。 現在、中山間地域の対策として、香美市は積極的にそのデジタル化に取り組んでおられます。ICTを活用し、店員の方が装着する眼鏡型のスマートグラス越しに、自宅にいる高齢者がスーパーの中を見ることができて、スマートグラスについたマイクで店員さんと話しながら買物をし、籠に入れてもらい配達をしてもらう、そういった取組も進められています。スマートグラス越しのデジタルショッピングは、長野県でも実証実験が始まっておりますし、今後香美市や全国の動きに注視して連携し、ぜひとも超高齢化社会が目の前に迫った高知県だからこそ、早い段階から積極的に取り組んでいただきたいと思っています。 その件に関しまして、中山間地域で高齢者の皆さんが生き生きと暮らすための、皆さんの10年後をどのように考え、高齢者の皆さんへの優しいデジタル化をどのように進めるのか、最後に知事の御所見をお伺いいたしまして、私の第1質問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 濱口議員の御質問にお答えをいたします。 まず、第4期産業振興計画のこれまでの取組と成果についてどうかというお尋ねがございました。 第4期の産業振興計画は、県経済の持続的な発展を成し遂げていくということを目的といたしまして、付加価値や労働生産性の高い産業を育むということを戦略の方向性として定めて、令和2年4月にスタートいたしました。しかしながら、その直前に始まりました新型コロナウイルスの感染拡大によりまして、例えば県産品の商談会でございますとか、観光のイベントなどが中止となるといった形で、各分野の取組が大きな影響を受けたところでございます。 この感染拡大が何度も波を繰り返し、また長期にわたるということがございましたので、この間テレワークの導入が進む、あるいは地方への新しい人の流れが起きるといった社会経済構造の変化が全国的に発生をしたというふうに考えております。そのために、こうした変化に対応すべく、令和3年度からはこの計画の新たな方向性として、ウイズコロナ・アフターコロナ時代への対応という項を加えることといたしたところでございます。 こうした2つの方向性の下で、これまで取組を進めてまいりましたけれども、コロナ禍の長期化によりまして、観光関連産業を中心に大きく落ち込みが見られ、大変厳しい状況となっていると言って過言ではないと存じます。 一方で、様々な工夫を重ねて取組を進めてまいりました結果、この成果が表れてきている分野もあると考えております。例えば、農業の分野におきましては、デジタル技術を活用しましたデータ駆動型農業に取り組む農家も拡大をするということになっておりまして、生産性向上に向けた取組が着実に進んでおります。 また、外商の分野におきましては、地産外商公社の活動を契機といたしました成約金額が、昨年度は過去最高を更新いたしました。さらに、防災関連産業の売上額も初めて100億円の大台を突破するというような成果が上がっております。さらに申しますと、昨年度の本県への県外からの移住者数は、過去最多となっているというような状況でございます。 こうした成果が上がっている分野もございます。今後は、ウイズコロナ、アフターコロナにおきまして、成長の原動力となりますデジタル化、グリーン化、グローバル化によりますイノベーションの創出といった新たな取組を展開いたしまして、県経済の早期の回復を目指してまいる考えであります。 次に、中山間地域に暮らします高齢者の方々のためのデジタル化がどうかということについてのお尋ねがございました。 私が目指しますデジタル社会の姿は、日常のあらゆるシーンにデジタル化の恩恵が及ぶと、そして暮らし方、働き方、そういったものが一変すると、そういう社会でございます。そして、このデジタル技術は、本県などの、都市部というよりはむしろ地方部においてこそ必要かつ有効なものだというふうに考えておりまして、社会課題の解決に活用すべき手段になるということをかねて申し上げてまいりました。 今月の7日に公表されました国のデジタル田園都市国家構想基本方針におきましても、デジタル技術は地方の社会課題を解決するための鍵であるといった考え方が示されております。中山間地域におきまして、地理的なハンディキャップを抱えます高齢者の方々が、デジタル化の技術によりまして都市部と遜色のない生活ができると、そんな未来をつくっていきたいというふうに考えております。 こうした中でございますが、昨年度実施をいたしました中山間地域の集落実態調査におきましては、日常生活の不便さあるいは集落機能の低下といった、高齢者の暮らしをはじめとする中山間地域の課題が再確認をされたところであります。また、医療や介護、防災といった分野におきましても、デジタル技術の活用を望む声が聞かれたところでございます。こうした実態調査の結果を踏まえまして、本年度から新たな中山間対策の一つの柱として、デジタル技術の活用という点を位置づけました。こうした観点に立って地域に暮らし続けられるための取組を進めているところであります。 具体的な取組を幾つか御紹介いたしますと、1つにはドローンを活用して生活物資を運搬していくというような取組、あるいは位置情報システムを搭載いたしました電動車を導入いたしまして新たな移動手段を確保すると、こういった観点からの実証事業に中山間地域で取り組むということを今年度から始めております。 また、医療の分野におきましては、医療機器を備えました車両で看護師さんが患者さんの御自宅などを巡回しながら、オンラインでの診療ですとか服薬の指導を提供すると、こういった取組をこれは本年度から支援することといたしております。今後、こうした取組につきまして、早期にいわゆる社会実装を進め、その上で県内の各地に広げていきたいというふうに考えております。 さらに、高齢者をはじめといたします中山間地域に暮らします県民の皆さんが、より便利で、より豊かな社会を実感していただけますように、ただいま申し上げましたような実証事業のほかにも、デジタル化の観点から、暮らしや産業に関わる様々な課題につきましてチャレンジをしてまいりたいと考えております。 私からは以上であります。   (産業振興推進部長沖本健二君登壇) ◎産業振興推進部長(沖本健二君) まず、関西戦略の推進における市町村や事業者などを巻き込んだ取組についてお尋ねがございました。 議員御指摘のとおり、関西戦略の推進に当たっては、県だけで行うのではなく、市町村や事業者など関係者が一丸となって取り組むことが大変重要であると考えております。 そのため、昨年度は市長会や町村会の会合でお時間を頂戴し、関西戦略の趣旨を御説明いたしますとともに、市町村長が個別にお持ちのネットワークを共有させていただきたいとお願いをいたしました。その結果、大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーを御紹介いただき、会場デザインのコンセプトなどを直接お伺いすることができました。また、市町村長からは、一緒に活動するのでいつでも声をかけてほしいというありがたいお言葉も頂戴をいたしました。 一方、日頃関西との取引を行う県内の事業者や有識者に参画いただきました関西圏外商強化対策協議会におきまして、外商活動の効果的な取組について現在協議を行っているところでございます。この協議結果などを踏まえ、8月下旬をめどに、より効果的な外商強化策を取りまとめ、市町村をはじめ事業者や県民の皆様に広く公表することとしております。 また、本年9月には関西圏との経済連携がもたらす高知県経済への期待というのをテーマにいたしまして、大規模開発や万博の準備で活気づく関西圏の現状などを紹介するシンポジウムを開催し、より多くの事業者の皆様に参画いただけるよう、機運の醸成を図ってまいります。 今後、関西における高知県産品の周知を図るイベントも計画しておりまして、そうした場面においては、市町村や意欲のある事業者の皆様にも御参加いただき、オール高知でワンチームとなって推進をしてまいります。 次に、ヤ・シィパークを核とする地域の活性化の推進についてお尋ねがございました。 この地域アクションプランは、ヤ・シィパークを核として道の駅やすでの地場産品の販売に加え、恵まれた環境を生かし県内外からの観光客誘致を図ることなどにより、地域の活性化につなげようとするものでございます。 県では、これまでも香南市や関係団体などと連携をしながら、海岸緑地公園としての様々な整備を行いますとともに、香南市が行います施設整備に対する支援を行ってまいりました。その結果、平成27年には東側エリアに加工所兼店舗が整備されましたほか、令和2年6月には香南市から安芸市までのサイクリングロードが全線開通をしております。加えまして、先月にはヤ・シィパーク内にレンタサイクル施設がオープンするなど、地域の拠点施設としての機能が充実してきております。 こうした中、新たな動きといたしまして、お話にもございましたように、お年寄りや障害がある方など、誰もが楽しめるユニバーサルデザインによるインクルーシブ公園を目指した検討も始まっております。ヤ・シィパークは、海水浴などのマリンレジャーやサイクリングなど多様なアクティビティーが体験できるほか、周辺には、のいち動物公園やワイナリーといった観光スポットが存在しますとともに、三宝山周辺の開発が進められておりますことから、観光拠点としてのポテンシャルは大変高いというふうに考えております。 このため、今後も引き続き香南市をはじめ関係団体の皆様と連携をいたしまして、インクルーシブ公園を目指した取組の推進や、東部地域への誘導を促す拠点施設としてのさらなる役割の検討など、地域の活性化に寄与するよう取り組んでまいります。   (観光振興部長山脇深君登壇) ◎観光振興部長(山脇深君) 万博を訪れる外国人旅行者の誘客戦略についてお尋ねがございました。 大阪・関西万博に来場する訪日外国人の数は約350万人と見込まれており、その中でも万博に行くことを主な目的で訪日される方々と、観光が目的で万博に立ち寄るといった方々とほぼ同じ割合で、大きくはこの2つの層に分かれると言われております。 今回の大阪万博のテーマなどを勘案しますと、まず万博に参加することが目的で来日される方を高知県に誘客するためには、万博事業の中身に高知県を関連づけていくことが重要だと考えています。現在、企業パビリオンやテーマ館など万博の中に少しでも多く高知県が関わっていけるよう、様々なルートを通じて万博の関係者へのアプローチや働きかけを行っているところです。 一方、観光を主な目的とする来場者につきましては、議員からも御指摘がございましたように、そもそも大阪周辺には外国人に人気のある有名な観光地が多くございますし、中国地方や九州、東海、北陸など他の地域との激しい競合も想定しなければなりません。これまでの戦略としましては、大阪観光局とのつながりを生かしまして、大阪の都市型観光と、大阪にはない本県の自然・体験型の観光を組み合わせ、両方の魅力を満喫できる旅行の発信といったことに重点を置きまして取り組んでまいりました。また、四国全体で誘客を図ることも重要でありますので、四国の他県との連携の下、四国ツーリズム創造機構などを通じた四国周遊促進策も併せて進めているところでございます。 しかしながら、今後、より多くの外国人に本県に来ていただくためには、本県が訪日旅行の目的地となるような相当強いコンテンツを打ち出していく必要があり、その点が本県観光の大きな課題であるというふうに認識をしております。現在、国内外の有識者をはじめ関西でのアドバイザー会議などでいただいた御意見なども参考に、また世界の潮流でもありますサステーナブルな視点も踏まえまして、新たな本県の国際観光の基軸づくりを今進めているところであります。 3年後に迫っている大阪万博に向けまして、外国人に強く訴求できる本県ならではの強いコンテンツについて検討を急ぎ、遅くとも年内には一定の方向性を打ち出したいというふうに思います。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) まず、産後ケア事業に関する市町村の取組状況と、市町村と連携した県の取組についてお尋ねがございました。 産後は、母親のホルモンバランスの急激な変化による心身の不調や、思いどおりにならない育児などにより孤立感が高まるなど、母子の健康に特に配慮を必要とする大切な時期となっております。産後ケアは、心身のケアや育児のサポートを受けることにより、育児不安を解消し、産後鬱の発症や子供の虐待の予防につなげるなど大変重要な取組でございます。 母子保健法の改正により、令和3年4月から産後ケア事業の実施が市町村の努力義務とされ、国は令和6年度末までに全国で展開することを目標に掲げておりますが、本県では既に令和2年10月から全ての市町村で実施をしております。一方、産後ケア事業はスタートして間もないため、本県における令和2年度の利用者は出産された方の7%にとどまっていることが課題となっております。市町村からは、面談や訪問など様々な機会を捉えて周知をしているものの、その効果が十分に浸透しておらず、利用につながっていないとの声もお聞きしております。 産後ケアは、母親が育児に自信を持ち、前向きに取り組むようになるための支援であり、特別な支援ではなく、全ての母親が受けるべきケアと考えております。このため県としましては、今年度産後ケアに関するPR動画を作成し、市町村の保健師等が妊産婦との面談や訪問、両親学級等において動画を活用いただき、直接その重要性を分かりやすく伝えることにより、産後ケアの利用を促すよう支援をしてまいります。 また、県の子育て支援サイトや広報紙を通じて、広く県民の皆さんへの周知と理解の促進に努めてまいります。あわせて、産後ケアの第一人者を講師とした研修会を実施し、市町村が行うケアの種類や内容の充実を支援してまいります。 今後も産後ケアの一層の充実を図り、市町村と連携して全ての家庭が子育てしやすい環境づくりを進めてまいります。 次に、不妊治療に関する助成金の状況と、子供を授かる支援の強化についてお尋ねがございました。 深刻な少子化が進む中、子供を持つことを切望する方々の希望を一人でも多くかなえることができるよう、県ではこれまでも体外受精など経済的な負担が大きい不妊治療に対しまして、独自の助成を行ってきたところです。本年4月からは不妊治療が保険適用となったため、経済面での過重な負担が軽減され、多くの方が治療に取り組みやすい状況となりました。 一方、保険の適用は全国一律の制度であるため、一人一人の実情に沿ったきめ細かな支援が大切ですので、引き続き本県独自の助成を行うこととしております。具体的には、保険の適用とならない43歳以上の方につきましては、全国で唯一助成の対象としております。また、保険が適用された治療の中で、従来より自己負担の増加が見込まれる一部の治療に対しましても、県独自の助成を行うなど、きめ細かく対応しております。 他方、試験段階にある先進医療は、現在は保険が適用されず、自己負担となっておりますが、保険診療との併用が認められる治療に限って一部助成を行っている県もございます。国においては、先進医療の将来的な保険適用に向けて、安全性、有効性等の審査評価を進めておりますので、県としましても国や他県等の動向も踏まえ、引き続き、治療を希望する方の御意見もお聞きしながら、より効果的な助成制度の在り方について検討を進めてまいります。 あわせて、不妊治療は経済的な負担に加え精神的な負担も大きく、平成29年度の国の調査では、不妊治療経験者の16%が仕事と両立ができずに離職している状況もございます。このため、職場における不妊治療への理解を深めていただくため、高知県ワークライフバランス推進認証企業や高知家の出会い・結婚・子育て応援団登録企業等に対しまして、不妊治療に関する周知・啓発や情報提供を行ってまいります。 子供を授かりたいと願う方々の希望を一人でも多くかなえるため、引き続きしっかりと取組を進めてまいります。   (危機管理部長中岡誠二君登壇) ◎危機管理部長(中岡誠二君) まず、女性の声が避難所運営に生かされているのか、お尋ねがございました。 県が平成26年度に作成した避難所の運営マニュアル作成の手引では、避難所運営に女性が積極的に参画することによって、女性ならではの視点により、乳幼児や子供のいる家庭への配慮など、よりきめ細かな対応が可能になるといった基本的な考え方を示しています。その上で、トイレや洗濯、入浴などについて、女性が安心して気兼ねなく利用できるようにすることなど、女性に配慮すべき事項も明記をしています。 令和元年度には、学識経験者や市町村職員を委員とした、一般の避難所における要配慮者の受入・支援に関する検討会を立ち上げ、要配慮者に対応するための避難所運営の手引と、要配慮者の特性に応じた支援ガイドを作成しました。この検討会では、5名の女性の委員から、妊産婦の対応は女性が担当することや、プライバシーの確保が重要であること、乳幼児が遊べる玩具の準備も想定しておくことなど、女性の視点での意見をいただき、手引やガイドに反映しております。 このように、これまでも避難所の運営に女性の視点を取り入れるように留意してまいりました。今後も、女性も参加した訓練を積み重ね、実効性を検証するなど、女性の視点を生かした防災の取組を進めてまいります。 次に、障害のある方や性的マイノリティーの方への避難所での対応について、市町村と連携して取り組んでいるのか、お尋ねがありました。 避難所における障害のある方や高齢者など要配慮者への対応につきましては、避難所運営の手引と支援ガイドを作成するなど、市町村とも連携して取組を進めております。具体的には、この手引などを活用し、避難所の運営マニュアルをバージョンアップしていただくため、各地域で市町村への説明会を開催するとともに、南海トラフ地震対策推進地域本部による市町村のサポートも行っております。 また、今年3月にはこの手引などを基に、市町村職員や住民の皆さんに参加していただき、要配慮者の特性に応じた対応方法を紹介するDVDを作成いたしました。今後、避難所の運営訓練などを通じて要配慮者の円滑な受入れが行えるよう、引き続き市町村と連携して取り組んでまいります。 一方、性的マイノリティーの方への対応につきましては、国の指針等が示されていないことや、他県の先進的な事例が見当たらないことから、県の支援ガイドには記載できておりません。今後は、国の動向を注視するとともに、他県とも情報交換を行いながら、避難所における性的マイノリティーの方に対する配慮の在り方について、市町村と共に検討してまいりたいと考えています。 最後に、車中泊避難についてお尋ねがございました。 地震の発生直後に車で避難することは、渋滞により避難路を塞いでしまうなど、確実な避難ができなくなることから、推奨はしておりません。また、風水害時においては、多くの避難所は駐車スペースに限りがあるため、避難所への車による避難は、要配慮者を抱える家族などやむを得ない理由がある場合としています。 一方、避難生活では、車中泊は密になりやすい避難所と比べてプライバシーが確保できること、新型コロナウイルス感染症への感染リスクが低いといったメリットがあります。このため、風水害時に加え、南海トラフ地震発生の可能性の高まりを知らせる臨時情報が発表された場合など、避難に時間的な余裕がある場合には車で移動して、車中泊をすることが想定されます。 既に一部の市町村では車中泊避難を想定した訓練を実施していますし、新型コロナウイルス感染症が落ち着いた後に実施を検討している市町村もあります。また、県でも、先月開催しました防災フェスティバルにおいて、多様な避難の一つの事例として、災害時における協定を締結している自動車販売業者に協力をいただき、車中泊避難ができる車の展示を行ったところです。 今後、大雨や台風時に車中泊避難を選択される方は増加することが想定されますので、その対応を検討しておく必要があります。例えば、避難所周辺で空き地などの駐車スペースを確保することや、エコノミークラス症候群の発症予防の啓発、避難所との連絡体制の在り方、さらには車を利用する場合のマナー、こういったものを検討していく必要がありますので、今後市町村と共に車中泊避難のルールづくりについて検討してまいりたいと思っております。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) ペットとの同伴避難に関して現在検討していることがあるかとのお尋ねがございました。 県では、平成28年に地域の皆様が協力して避難所を開設し、運営していただくためのノウハウ集を作成し、その中でペットの受入れについて記述しております。このノウハウ集は、10か所のモデル避難所における運営マニュアルから得られたノウハウを集めたものであり、各地域の実情に応じて、ペットの屋外受入れ、また屋外ですが屋根つき受入れなどの対応例を示しております。 このノウハウ集や、国の、人とペットの災害対策ガイドラインなどを参考に、これまでに作成された地域の避難所運営マニュアルでは、飼育場所や衛生管理などのルール、飼育者名簿の作成などを行うことが決められております。しかしながら、ペットを受け入れる多くの避難所は、国のガイドラインに沿った屋外での同行避難を前提としており、議員からお話のありました屋内でペットを受け入れる同伴避難が可能な避難所の整備にまでは至っておりません。 このため、県では、第5期南海トラフ地震対策行動計画において、各避難所での動物の飼育ルールの作成を掲げ、ペット同伴避難者への配慮、避難所内での動物飼育方法などについて獣医師会の協力を得ながら、同伴避難のルールづくりに取り組んでおります。 このほか、ペットを連れて安全に避難するためには、飼い主の皆様による事前の備えやペットの基本的なしつけ、健康管理を行うなどの準備が必要になります。このため、県のホームページに日頃の対策と備えとして、ペットの健康管理やしつけの留意点、ペットのための備蓄品の種類をお示しするとともに、避難に関する啓発イベントやペットのしつけ方教室を開催するなど、スムーズな避難に向けた支援に取り組んでおります。 今後も、他県の先進的な事例や飼い主の皆様の声をお聞きしながら、飼い主とペットの安全な避難体制の確立を図ってまいります。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) 商店街の振興に向けた支援についてお尋ねがございました。 商店街は、地域住民の日々の暮らしを支える基礎的なインフラであると同時に、様々な人が触れ合い交流するコミュニティーの場でもあり、それぞれの地域が維持・発展していく上で、なくてはならない存在だと考えております。このため県では、商店街等振興計画の策定に加え、策定後のにぎわいづくりや空き店舗対策などに、地元市町村とも連携して支援を行っているところです。 お尋ねのありました香南市では、7月1日に香南市中心市街地活性化協議会を立ち上げ、年度内に中心市街地活性化計画を策定する予定とお聞きしております。県といたしましても第1回の協議会から参画し、事業経営アドバイザーの派遣などを行い、計画策定に積極的に関わってまいります。また、策定後においても引き続き協議会に参画し、チャレンジショップの開設、運営への支援なども行ってまいります。 これまで課題となっておりました店舗兼住宅の活用につきましては、店舗部分と住居部分の分離工事に係る費用を市町村と共に助成するメニューを今年度新設しております。こうした事業が活用されまして、地元商店街のにぎわい創出に向けた取組などが着実かつ効果的に実行されますよう、香南市など関係機関と連携を密にし、しっかりと支援してまいります。 ◆1番(濱口涼子君) 2問目の質問は行いません。知事をはじめ大変丁寧な前向きな御回答をいただきまして、皆様本当にありがとうございました。中でも関西戦略に関しましては、オール高知、ワンチームで取り組んでいくというお答えをいただきまして、大変安心したところでございます。 私が今回質問させていただいた中には、市町村が取り組むべき内容もございました。しかしながら、あえて質問をさせていただいたのは、市町村は必ずと言っていいほど県の動きを見て検討いたしますという回答をするものでありまして、つまりは市町村と県がしっかりと連携をすることにより、高知県のために政策を進めていただきたいと思いまして質問をさせていただきました。 本日は、傍聴席のほうに市町村議会の先生方も来られておりますことから、私たちもしっかりと市町村と連携を取りながら、これからも高知県の発展のために仕事に邁進してまいりたいというふうに思っております。 今回は、体調不良が途中ありまして、中断させていただき申し訳ございませんでした。ありがとうございました。次回はしっかりと、血圧を下げずに質問の質を上げられるように頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 一切の質問を終了いたします。ありがとうございました。(拍手) ○仮議長(弘田兼一君) 暫時休憩いたします。   午後2時45分休憩-----------------------------------   午後3時15分再開 ○仮議長(弘田兼一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 15番加藤漠君。   (15番加藤漠君登壇) ◆15番(加藤漠君) 自由民主党会派の加藤漠です。議長のお許しをいただき、質問に入らせていただきます。 まず冒頭、新型コロナウイルス感染症に罹患され、現在も療養中の皆様には心からお見舞いを申し上げます。また、日々懸命に御尽力いただいている医療従事者の方々をはじめ多くの関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。また、長引くコロナ禍によって仕事や生活に不安やストレスを感じている方も少なくないことと思います。一日も早い感染症の収束を願い、質問に入らせていただきます。 まず、原油価格・物価高騰対策についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ロシアによるウクライナ侵攻などを受けて、食料やエネルギーなどの価格が高騰しており、需要の増加を伴わずにコストだけが増える、いわゆるコストプッシュインフレに直面しています。先日発表された4月の消費者物価指数では、生鮮食品とエネルギーを除いた場合には前年から0.8%の上昇にとどまっていますが、一方それらを含んだ総合指数は2.5%の上昇幅となりました。 4月26日には原油価格・物価高騰について国の緊急対策が決定され、財政的な裏づけとなる令和4年度の補正予算が先般可決、成立いたしました。そのうち、自治体の判断で柔軟に活用が可能な新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、1兆円の新たな予算枠が創設されており、今議会に提出されている県の補正予算案においても積極的な活用がされているものと承知しております。 知事はこれまで、県内の中小企業や事業者の方々がコロナ禍の影響に加え原油や原材料、資源価格の高騰によってさらに厳しい環境に置かれている状況などを踏まえ、国に対する政策提言を行われていますが、この間の政策提言の手応えをどのように捉えておられるのでしょうか。また、ウクライナ情勢はいまだ不透明感が強く、世界的な肥料や飼料、小麦価格の高騰など、今後も本県経済に大きな影響を与えるおそれもあり、状況に応じて継続的な提言活動を行っていく必要があると思いますが、知事のお考えをお聞きいたします。 また、県の補正予算案には、原油価格や物価の高騰により影響を受けた事業者や、生活に困窮されている方などへの支援策が盛り込まれています。円安や原油高など、まだまだ先行きが見通せないことも考えると、一時的に物価高騰へ対応する緩和策に加えて、社会全体が値上げのリスクに耐えられる体制に変わっていく取組が重要であり、中長期を見据えた対策にも一段と力を入れて取り組んでほしいと思います。 今後の体質強化につなげるためにも、原油価格高騰に対応した省エネ設備の導入や新しい分野への事業展開など、事業者の方々の取組を積極的に支援していただきたいと思いますが、原油価格・物価高騰対策の狙いをどのように考えているのか、知事にお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症についてお尋ねいたします。 濱田知事の就任後間もなく始まった新型コロナウイルス感染症との闘いは、幾度となく感染拡大と収束を繰り返しながら、2年以上が経過した今もなお続いております。これまでの間、感染拡大防止をしっかりと図りながら、その時々でできる限り社会経済活動との両立を図るべく、県政のかじ取りに努めてこられた知事の姿勢に対し、心から敬意を表したいと思います。 感染力の非常に強いオミクロン株は家庭内に加え、医療機関や高齢者施設、さらには学校、保育所など日常のあらゆる場面で感染の広がりが見られます。感染された方の中には、高い発熱などの事例もありますが、多くの方が軽症であり、発熱しても二、三日が経過すると、おおむね回復されています。 一方で、御高齢の方や基礎疾患がある方にとっては重症化リスクが高く、死亡が報告された感染者のおよそ9割は70代以上、感染に伴って基礎疾患が悪化するケースが多いとされています。そのため、オミクロン株の対策については、特に体力が衰え、持病を抱えている高齢者の感染をいかに防ぐのか、また感染した場合、迅速に診断し治療を行えるかということが課題となってきています。本県においても、第6波では高齢者施設などでクラスターが発生し、介護が必要な方々の感染が相次ぎました。 今後も起こり得る感染拡大に備え、高齢者を守る体制をいかに構築するのかという視点が大変重要になると思いますが、これまでの課題を検証し、どのように改善を図っていくのか、知事のお考えをお聞きいたします。 ワクチン接種については、知事から、今月5日時点で12歳以上の3回目接種率が65%に達したとの御説明がありました。また、同時に年齢が若くなるほど接種率が低い傾向にあることについても御報告がありました。 県内で3回接種した人を年代別に見ると、20代、30代の接種率はおよそ4割で、半数以上の方々が接種されていない状況となっています。もちろん、未接種者の中にはワクチン接種を望まない方々もいらっしゃいますが、一方で、もうワクチンを打たなくてもいいのではないかという御意見や、打ちたいとは思っているが忙しくてまだ打てていないといったお話も伺うところです。感染拡大を防止する観点や社会活動の再開に向けてもワクチンは重要な役割を担うことからも、まだまだ3回目接種を呼びかける意義は大きいものと感じています。 県内では、先月から60歳以上や基礎疾患のある方々を対象としてワクチンの4回目接種が始まりました。4回目についても円滑な接種に努めていただきたいと思いますが、引き続き3回目接種についても積極的な情報発信を行うことが重要と考えます。 今後のワクチン接種をどのように進めていくのか、知事にお聞きいたします。 次に、経済の活性化について伺います。 本県の経済は、コロナ禍や原材料価格の動向といった影響は受けているものの、全体としては緩やかに持ち直してきています。しかしながら、宴会や宿泊客数の減少など、観光や飲食の分野は依然として厳しい状況が続いています。また、直接的な影響だけではなく、関連する産業への間接的な影響がまだまだ大きいことも認識しなければなりません。 これまで濱田県政では、経済への影響を最小限に食い止めるとともに、事業活動の再開を目指して事業の継続や雇用の維持、さらには社会の構造変化へ対応すべく、協力金や給付金などの支給に加えて新たな融資や補助金を創設するなど、その時々に応じた支援を行ってまいりました。 感染症対策と社会経済活動の両立が図られるようになってきた中、飲食店や宿泊業を含む観光関連産業など、長引くコロナ禍により疲弊した業種の方々をしっかり下支えしていくことが重要と考えますが、地域経済の回復に向けた取組について知事の御所見をお伺いいたします。 コロナ禍の影響は林業の分野にも変化をもたらしています。昨年の春頃から話題となり始めた世界的なウッドショックによって木材価格が上昇し、日本銀行の統計によると、4月の木材・木製品の価格は2015年平均の約1.7倍に達したほか、丸太の価格も約1.4倍になるなど、現在も高止まり傾向が続いています。 他方、脱炭素化による持続可能な社会を目指した動きが世界の潮流となっていることからも、木材のさらなる利用拡大に向けて取り組むには今がチャンスとも言えます。木材価格の上昇を追い風に生産量を増やしている県内事業者の方々も多く、国道沿いの皆伐地や丸太を運ぶ車両を見かける機会が増えたことなど、目に見えて山に変化が出てきているように感じます。 一方で、森林組合などでは人手や設備に限りがあること、急速な変化を事業計画に適用させることが難しいといった御意見もお聞きいたします。また、ウッドショックの影響は、建設現場において、当初の見積りよりも着工時の木材価格が高騰してしまったために、建築のコストが上昇してしまう事態が多く発生しているほか、工務店など住宅業界にとっても価格の高騰に加え、資材や建材の納期遅延が発生している状況も伺うところです。 今回のウッドショックによる価格形成は一時的な現象との見方もありますが、今後の県産材の活用も含め、木材を安定的に供給できる体制づくりに向けて、官民一体となって取り組んでいくことが欠かせないものと考えております。 県では、輸入材の減少に伴う国産材の需要拡大などに機動的に対応できるよう、木材生産や流通の効率化、最適化を図る方針を示しておられますが、どのように取組を強化していくのか、林業振興・環境部長にお聞きいたします。 中小企業の後継者不足が深刻化し、休業や廃業となるケースが増えてきています。県内で休業や廃業、解散した企業の数は、一昨年に321件で過去最多となり、昨年についても237件と高止まり傾向にあります。一方で、県内企業の倒産件数は年々減少傾向が続いています。昨年は、コロナ対策の資金繰り支援が行き届いたことなどを背景に、倒産件数は17件となり、休廃業や解散の件数が倒産件数の約14倍に上る結果となりました。また、廃業された企業における代表者の年齢は70代が全体の約4割を占めるなど、60代以上の方々で約9割となっています。経営者が高齢化する一方、事業承継が進まず、休廃業を余儀なくされている状況がうかがえる結果となっております。 地域の中には、優れた技術を持つ工場や雇用の受皿として地域経済を支えているサービス業なども少なくありません。そうした健全な事業者が後継者がいないという理由で廃業に追い込まれるとすれば、地域経済への損失は大変大きいものとなります。昨年時点における県内の企業経営者の平均年齢は61.8歳となっており、そのうちおよそ6割の企業は後継者が決まっていない状況です。技術や雇用を支えている事業者を将来につなぐためには、官民挙げた支援の強化が喫緊の課題と言えます。 県では、これまでも事業承継・引継ぎ支援センターをはじめ、金融機関や商工団体等と連携し、円滑な事業承継に向けて取組を進めてきているものと承知しておりますが、これまでの取組の手応えはいかがでしょうか。また、事業承継によって、新たな投資や事業の拡大につながるなど、前向きな取組となることを期待しますが、今後の進め方について商工労働部長に併せてお聞きいたします。 次に、中山間地域の振興についてお伺いいたします。 昨年度、県が10年ぶりに実施した集落実態調査では、人口減少や高齢化が進む中、集落機能の低下や地域の基幹産業が低迷するなど、中山間地域全体の活力が衰退している状況が改めて明らかとなりました。しかし一方で、集落に愛着を持ち、住み慣れた地域で暮らしていきたいという住民の方々の変わらない思いも再確認できる結果となりました。 県では、中山間地域の振興を産業振興計画の重点ポイントの一つとして挙げ、コロナ禍で生まれたテレワークの普及や地方暮らしへの関心の高まりを追い風にしたいという強い意志で対策を進めておられます。また、中山間対策の核となる集落活動センターについては、現在32市町村、65か所が開所されており、県内各地で着実に広がりを見せています。それぞれのセンターでは、人気のバイキングや日用品の販売、配食サービスなど、今や住民の日常生活にとって欠かせない取組が行われています。 中山間地域の暮らしを支えるに当たっては、県や市町村など行政の後方支援が不可欠であり、多くの方々の住み慣れた地域で暮らしたいという思いに応えていくためにも、今回の調査を踏まえた上で対応を強化していくべきと考えております。 そうした中、県では直ちに取り組むべき対策として、集落活動センターの設立にまで至らない小さな集落の維持・活性化に向けた取組を開始しておりますが、今後どのように進めていくのか、中山間振興・交通部長にお聞きいたします。 中山間対策の一つとして、インターネットを使える人と使えない人との間に生じる情報格差の解消に向けたデジタルディバイド対策を積極的に行うことが大変有効ではないかと考えております。特に、スマートフォンは日常の生活に欠かすことのできないものとして定着していますが、ボタンではなく画面タッチという操作性、様々なアプリを使う際に必要なIDやパスワードの設定など、初めての人が誰にも教わらずに使うにはハードルが高いツールでもあります。 中山間地域に暮らす特に御高齢の方にとっては、メッセージのやり取りやビデオ通話で子供や孫との連絡を取る機会が増えることは、日常の中での励みや喜びとなることと思います。また、金融機関への振込や預金残高がアプリで確認でき、さらに生活用品をネットで注文ができるようになれば、日常生活の不便さが随分と解消できるのではないかと考えるところです。 近くに御家族がいる場合にはスマートフォンの使い方を教えてもらうことも容易にできますが、携帯ショップが近くにない中山間地域も多いため、お一人住まいの方々にとってはそうした機会が限られている状況もあるかと思います。 中山間地域の方々、特に高齢者を対象としたスマホ教室や相談会の開催など、デジタルの利便性を享受できる取組を強化すべきと考えますが、デジタルディバイド対策をどのように進めていくのか、総務部長に御所見をお聞きいたします。 中山間地域では、産業や地域の担い手確保対策として移住促進の取組に期待がかかります。本県への移住者は、平成24年度以降右肩上がりに増加を続けてきました。一昨年度はコロナ禍の影響を受けて前年比で減少となりましたが、昨年度は過去最多となる年間1,167組、1,638人が県内に移住されました。オンラインでの相談会を積極的に開催するなど、ウイズコロナの取組の工夫を続けてきたとお聞きしており、これまで移住促進・人材確保センターの設立や市町村における相談体制の充実などに努めてきたことが成果につながったものと高く評価をしております。 移住者の傾向を見ると、20代から40代の若い世代が8割以上を占め、地域別では関東からがおよそ4割、関西からが3割となっているほか、Uターン者の移住が3割となっています。また、移住先を市町村別で見ると、高知市が324組と最も多く、次いで四万十町が85組、安芸市が70組などとなっており、5年連続で全ての市町村において移住の実績がありました。県外の方が実際に移住を決断するに当たっては、年代のほか、IターンかUターンかなどによって、何を重視するのかといった考えも異なってくるものと思います。 移住される方々のニーズの分析を踏まえた上で、施策の充実を図っていくことが重要になるものと考えますが、いかに取組を強化していくのか、中山間振興・交通部長にお聞きいたします。 次に、教育についてお聞きいたします。 まずは、学校施設の老朽化対策についてお尋ねいたします。今年度、私が所属している総務委員会では、県の様々な出先機関調査を行う中で、中学校や高等学校、特別支援学校など県立学校施設を30か所程度訪問させていただきました。自分が卒業した母校などを訪れた際、校舎がそのまま残っているのを見ると感慨深い思いはありますが、一方できれいに改修された学校を訪問いたしますと、内装に木材を活用した温かみのある学習環境や多目的スペースの整備、照明の明るさなど、その差は歴然としている印象がありました。 学校の安全性や衛生面、学習環境の充実といったことはもとよりですが、学校施設は児童生徒が日々の学習や生活のために日常の多くの時間を過ごす場所であり、児童生徒が行きたいと思える、また生徒の指導に当たる教員の方々にとっても働きたいと思えるような、快適な教育環境を整えた施設であってほしいと願うところです。 県内の学校施設は、第2次ベビーブームとも言われる昭和40年代後半から昭和50年代にかけて建築された施設が多く、それらが築40年を経過することから、老朽化対策が喫緊の課題となっています。県では、施設の建て替えが短期的に集中することで財政に過大な負担が生じることがないよう、平成29年に高知県立学校施設長寿命化計画を策定し、施設機能を維持しながら長く使い続けるための取組を進めてきておられます。長寿命化計画は、作成から令和8年度までの10年間を計画期間としており、今年度は折り返しの年度となります。 これまでの計画の進捗状況を踏まえて、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか、またその際には、学校の木質化やバリアフリー化など、時代に対応した学習環境の改善に努めていただきたいと考えますが、教育長に御所見をお聞きいたします。 学校施設と同様に、教職員住宅や生徒の寄宿舎など居住施設についても築年数が経過した建物も多く、計画的な環境整備が必要と考えますがいかがでしょうか、併せて教育長の御所見をお聞きいたします。 少子化が進む中、学校によっては部活動の部員数を確保するのが難しく、大会への出場がかなわない、できる練習が限られるといった状況が見られるようになってきています。地域ごとに近隣の学校と合同で試合に出場するなどの工夫はされてきているものの、特に郡部の学校では部活動の選択肢も限られてきており、好きな競技を諦めざるを得ないケースも増えてきています。 また、教員の働き方改革も大きな課題であり、部活動は土日も含めた指導や大会への引率、運営への参画が求められる点など、学校現場では先生方の献身的な勤務によって支えられている実態もあります。教員が部活動を指導することで生徒をより理解するための非常に重要な時間となるほか、教員の中には進んで部活動の指導を行いたいと考える方々も多いこととは思いますが、少子化や学校の働き方改革が進む中で、学校単位で活動し、指導は教員が担うというこれまでの部活動は、維持が難しくなってきていると感じます。 こうした中、公立中学校の運動部活動の在り方を検討していたスポーツ庁の有識者会議が、休日の指導を民間人材などに委ねる運動部活動の地域移行を来年度から3年間で進める提言を取りまとめました。将来にわたって子供たちがスポーツに継続して親しむことができる機会を確保するためにも、まずは休日の運動部活動から段階的に地域移行していくことを基本とする提言内容となっております。 県では、休日の部活動の段階的な地域移行に向けての実践研究を行っていますが、拠点校における成果と課題についてお聞きいたします。また、規模の小さな自治体では指導者の確保が難しく、受皿となる団体も少ないなど、地域ごとの課題もあることと思いますが、今後どのように取組を進めていくのか、併せて教育長にお尋ねをいたします。 続いて、学校への新聞配備についてお聞きいたします。現在の学習指導要領では、新聞を教材として活用することが位置づけられており、平成24年度から全国の学校で新聞の配備が推進されてきました。文部科学省の調査によると、令和元年時点では図書館や教室に新聞を置いている公立小学校、公立中学校は、ともに半数を超えており、さらに公立高等学校では9割を超えるほとんどの学校で新聞が配備されています。 また、近年は選挙権年齢が引き下げられたことによる主権者教育の重要性などから、各学校に対して複数の新聞を配備することが求められており、今年度からは配備の目安を小学校は2紙、中学校は3紙、高校は5紙として配備費用に地方財政措置が講じられています。 全ての学校に複数の新聞が配備され、新聞を教材とするNIEの取組などがさらに充実することを期待いたしますが、他方新聞紙面の見出しや記事の内容などは、新聞社の方針や書き手の思いなどを反映している側面もあります。社説やコラム、取り扱う事柄はもとより、同じニュースであっても新聞社によって報じる視点が異なることもあるため、児童生徒が主張の違う新聞を複数読み比べることで自分の考えを持つことができるよう、教育上の配慮がしっかりと行われるべきものと考えるところです。 学校に配備する新聞の選定については、児童生徒の発達段階や学校の事情等に応じて適切に行うことが重要だと思いますが、教育委員会では学校の配備状況をどのように把握しているのでしょうか。また、新聞社に著しく偏りが見られる場合には追加配備を促すなど、対応の検討を行う必要があるのではないかと考えますが、併せて教育長にお聞きいたします。 次に、防災対策についてお聞きいたします。 近年、自然災害によって高齢者や障害者などが被災する事例が多発しています。東日本大震災では、亡くなった方の6割以上が60歳以上であり、また熊本地震では70代以上が8割以上を占めています。さらに、障害のある方の死亡率は住民全体の2倍になっており、高齢者や障害者が逃げ遅れてしまうほか、その後の避難生活で厳しい状況に陥る事例が相次いでいます。 南海トラフ巨大地震が発生した場合、本県の最大津波高は黒潮町の34.4メートルをはじめ、沿岸部では10メートル、20メートルを超える津波高が予想されています。当然、避難場所に指定されている高台や津波避難タワーなどは、想定される津波高よりも高く、手すりをつけるなどの配慮がされているものの、おのずと急な勾配や上る距離が長くなってしまいます。足が不自由な高齢者からすれば登る前から抵抗を感じているケースも少なくないため、避難することを諦めているといった声もお聞きいたします。 こうした中、昨年には災害対策基本法の改正が行われ、災害時に自分で逃げることが困難となる高齢者や障害者といった方々に対し、個別避難計画の作成が自治体の努力義務と位置づけられることになりました。この改正によって、お一人お一人の災害時における避難場所や自宅からの経路、支援者を事前に決めることなど、各地域でこれまで以上に誰一人取り残さない防災に向けた取組が加速していくことを心から願っております。 しかしながら、個別避難計画の作成に当たっては、市町村と地域の調整に時間を要すことや、要介護度の変化、病院への入退院といった情報の管理が難しい点など、自治体や地域にとっての課題も少なくありません。そのため、計画の作成をさらに進めていくためには、県内の先進事例や課題を共有するなど、県と市町村の連携が欠かせないものと考えております。 災害時に要支援者となる方々が逃げ遅れることのないよう、個別避難計画の作成の取組を推進すべきと思いますが、どのように進めていくのか、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。 災害時に高齢者や障害者などケアが必要な方々にとって、避難所の充実も課題となります。熊本地震では276人の犠牲者が出ていますが、避難生活に伴う体調悪化などが原因の災害関連死が8割を占め、その多くは70代以上で、約9割に心筋梗塞や脳卒中などの既往症があったことが報告されています。長引く避難生活で直面する様々なストレスや体調の悪化が原因で、一度は助かった命が再び危険にさらされることを極力減らしていくためにも、福祉避難所の確保を進め、必要となる物資や資機材を備蓄するなど、事前の備えを進めておくことが必要となります。 福祉避難所については、バリアフリー化された老人福祉施設や障害者施設を事前に指定して避難先を確保していますが、既に入居されている方々に加え、避難してきた要配慮者のケアにも対応する必要があり、施設によっては運営への支障を懸念する声もあるように伺います。 市町村とも連携し、積極的に福祉避難所の確保に取り組んでいただきたいと考えますが、現在の設置状況についてどのように捉えているのでしょうか、今後の取組と併せて子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。 次に、宿毛新港の活用と四国8の字ネットワークの早期整備について伺います。 四国8の字ネットワークの未整備区間でありました阿南安芸自動車道の安田から安芸区間、四国横断自動車道の宿毛新港から一本松区間が今年度より新規事業化となりました。四国8の字ネットワークは、産業振興や観光振興などの地域活性化はもとより、救急病院へのアクセスや災害時のルートとなるなど、南海トラフ地震が想定される本県にとって不可欠な道路基盤であります。宿毛新港から一本松区間の事業化決定によって、四国西南地域の物流拠点となる宿毛新港にインターチェンジが接続されることとなります。 これまで湾内の静穏度が十分に確保されていないため、安全な荷役を行えない状況や、うねりの強い日にはクルーズ船が着岸できないなどの課題もあったところですが、一昨年には防波堤整備も完成し、貨物船や大型クルーズ船がより安全に寄港できる状況となりました。先月にはクルーズ船が3度寄港したほか、木材の県外や海外への搬出に利用され始めるなど、新たな活用事例も出てきています。また、港には工業流通団地も隣接しており、今後は交通の便が飛躍的に向上することで、企業誘致において大きなインセンティブとなるため、さらなる企業の立地や企業活動の活性化に期待がかかるところです。 四国横断自動車道の新規事業化が宿毛新港のさらなる活用を進めていく契機になると考えますが、今後どのように取組を進めていくのか、土木部長にお尋ねいたします。 また、あわせて、四国8の字ネットワークについて、残る未事業化区間の早期事業化に向け、国や地元自治体など関係機関とも連携した取組を期待したいと思いますが、ミッシングリンクの早期解消に向けた知事の決意をお聞きいたします。 最後に、運転免許証の自主返納について伺います。 高齢ドライバーによる事故が相次いでいることを受け、新たな運転免許制度が先月から導入されました。信号無視やスピード違反など一定の違反歴がある75歳以上のドライバーが対象となり、免許を更新する際に運転技能検査が義務づけられ、対象者は年間およそ15万人と予想されています。これまでも75歳以上の方に対しては認知機能の対策が講じられ、一定の成果を上げてきています。違反歴のある方々にとっては更新のハードルが上がることとなりますが、ハンドルの操作ミスやブレーキとアクセルの踏み間違いといったことから不幸な事故が起こることのないよう、第三者からの客観的な視点で運転技能を見直すきっかけになることを期待するところです。 また、自動ブレーキなどの安全機能を備えたサポートカーに運転を限定する新たな免許も導入され、免許証の自主返納を考える場合には、もう一つ選択肢が増えることになりました。県内では、車が買物や通院などに欠かせない地域がほとんどであり、免許証を返納することは、御本人はもとより、その御家族にとっても大変勇気の要る決断となります。 運転免許証の自主返納に対しては、県内の各市町村においてバスやタクシーの運賃補助などの移動支援や、店舗での割引サービスといった支援に官民で協力した取組が進んできています。 免許証を返納された方々が車を手放しても、できるだけ交通手段を確保できるよう、環境整備に力を入れていただきたいと考えますが、免許証の自主返納の状況と返納後の支援策について警察本部長にお尋ねいたします。 以上で、私の第1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 加藤議員の御質問にお答えをいたします。 まず、物価高騰に関する政策提言の手応えと今後の対応、また県の対策の狙いについてお尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えをいたします。 原油や原材料、資材価格などの高騰は、コロナ禍で大きなダメージを受けております県経済にマイナスの影響を及ぼすことが懸念をされます。このため、各業界団体と緊密に連携を図りまして、事業者の状況把握に努めてまいりました。あわせて、各分野の状況も踏まえ、国に対して農林水産事業者、中小企業などへの効果的な影響緩和策の迅速な実施を求めまして、積極的に提言を行ったところであります。 その結果、本年4月末に国におきまして「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」が閣議決定をされました。この中には、1次産業のセーフティーネット対策の強化でございますとか、中小企業対策、地方創生臨時交付金の拡充など、本県や全国知事会が提言をしてまいった内容も数多く反映されておりまして、高く評価をするものであります。 県といたしましては、こうした国の対策を最大限に活用し、影響を受けている事業者の方々を重点的に支援するために、今議会に補正予算案を提案させていただいております。今回お諮りをする事業者支援の狙いといたしましては、端的に申し上げますと主に2点になります。まず1点目は、直面する価格高騰等への迅速な対応であります。具体的には、農林水産事業者におきます燃油や飼料の購入経費、そして経営状況が悪化をしております交通事業者の車両の維持修繕費などを支援するということによりまして、こうした事業者の方々の事業継続を後押しするという中身であります。 2つ目は、議員の御指摘もありました、中長期を見据えた構造転換への支援であります。現下の状況を鑑みますと、今後も原油価格、物価が高止まりをし、影響が継続するということも想定しなければなりません。そうした状況にありましても、県経済の持続的な成長を確かなものにするためには、こうした影響を受けにくい産業構造への転換を進めていく必要がございます。このため、中小企業などが行います新分野への事業展開、そして新製品、新サービスの開発、さらには省エネ設備の導入でございますとか生産性の向上、こういった取組を強力に支援いたしたいと考えているところであります。 今後とも県内の状況をしっかりと注視いたしまして、必要な対策を迅速かつ的確に講じますとともに、国に対しては追加の措置を求めて政策提言を行うということも含めまして、臨機応変に対応してまいります。こうした取組により、事業者あるいは県民生活への影響を最小限にとどめまして、今後の県経済の持続的な成長につなげることができますよう全力を尽くしてまいる考えであります。 次に、新型コロナウイルス感染症から、特に高齢者を守る体制についてお尋ねがございました。 今回の第6波の中心となっておりますオミクロン株は、感染力は非常に強い一方で重症化リスクは低いと言われております。特に、ワクチンの3回目接種が進みました4月以降は、高齢者を中心に重症者数あるいは死亡者数が大きく減少しているところであります。その一方で、6月に入りまして新規感染者数が減少基調となっている中にもかかわらず、高齢者施設などでは集団発生が続いております。そうしたことから、特に高齢者施設での感染対策が、御指摘ありましたように重要なポイントであると考えております。 クラスターが発生した高齢者施設におきましては、長期間にわたり感染者の発生が続きましたり、軽度であった方が中等症へと悪化をした例が見受けられますので、施設におきます初期対応が何よりも重要であります。このため、感染拡大を防止するための職員の健康管理など事前の備えを充実させるということでございますとか、速やかに重症化を予防するための薬物治療を行う体制を整備するといった形で、初期対応力の強化を医師会と連携して行ってまいります。 また、施設を対象にこうした対応の実効性を高めるための研修を行うといった形で、福祉保健所が中心となりまして、関係機関と連携をした取組を進めてまいります。あわせまして、今後本格化をいたします4回目のワクチン接種を早期に終えますように、高齢者施設あるいは市町村に呼びかけを行うということなど、高齢者の感染防止、重症化予防に力を尽くしてまいりたいと考えております。 次に、今後の新型コロナウイルス対応のワクチン接種の進め方につきましてお尋ねがございました。 御紹介もいただきましたが、今月の5日時点で県内の3回目のワクチン接種率は12歳以上人口の65%を超えました。おおむね全国平均並みの水準で進んでおります。 新型コロナワクチンにつきましては、2回目の接種から時間の経過とともに、発症予防の効果あるいは重症化予防効果が低下をすることが明らかになっております。このことは、議員からもお話にございました3回目の接種率が低い若い世代を中心に、感染者数が高止まりをしていることの背景の一つになっているというふうに考えられるところだと思います。 3回目の接種によりまして、発症予防効果などが回復をするということが認められておりますことから、県といたしましては、特に県内の大学に対して学生の方々への早期接種の呼びかけをお願いいたしております。あわせまして、民間の事業者に対しましては、いわゆるワクチン休暇を創設するということなどを含めまして、職員のワクチン接種に配慮がいただけますように、関係団体を通じてお願いをいたしております。引き続き、まだ3回目接種をされておられない、特に若い世代に向けまして、積極的に接種を呼びかけて発信を強めてまいります。 一方、先月から県内でも4回目のワクチン接種が開始をされたところであります。4回目の接種は、重症化予防を目的として実施をいたしますために、現時点では60歳以上の方、そして18歳以上で基礎疾患を有する方などが対象とされております。県といたしましては、特に重症化に加えましてクラスターの発生リスクの高い高齢者施設などの入所者には、早期の接種を行っていただきたいと考えておりまして、施設や市町村に対してお願いをいたしているところであります。4回目の接種は、7月から8月にかけて本格化することとなります。引き続き、市町村や関係機関と連携をいたしまして、円滑な接種に取り組んでまいります。 次に、地域経済の回復に向けた取組についてお尋ねがございました。 本県の経済は、全般として持ち直しの動きが見られまして、足踏み状態を脱しつつあるという状態であります。しかしながら、業種別に見ますと、飲食業や宿泊業におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準までには回復をしておりませんで、引き続き厳しい状況にあるということは、御指摘のあったとおりだと考えております。 このため、飲食の分野におきましては、今回の補正予算案に計上しております「食べて!飲んで!高知家応援キャンペーン」を展開いたしたいと考えております。このキャンペーンにおきましては、飲食店で利用できるプレミアム付クーポンを販売いたしまして、会食の需要喚起を図ってまいります。このことによりまして、飲食店への支援ということにとどまらず、食材を供給する生産者、交通事業者など、関連いたします事業者への幅広い支援にもつなげてまいりたいと考えております。 また、観光の分野におきましては、高知観光リカバリーキャンペーン、高知観光トク割キャンペーンを実施いたしまして、国内旅行の需要喚起を図っております。今後は、インバウンドの受入れ制限が緩和をされたことに加えて、県民割支援対象エリアの全国への拡大も検討されているといったような状況がございまして、観光分野の動きが活発化をすることも予想されます。本県といたしましても、こうした動きに即応いたしまして、さらなる需要喚起、そして誘客プロモーションを切れ目なく展開する必要があると考えております。また、連続テレビ小説らんまんの放送は、本県観光にとりまして絶好の機会となりますので、この追い風を最大限に生かせますよう、官民一体となって取り組んでまいります。 このように、裾野が広いと言われます飲食業あるいは宿泊業などの支援を強化いたしまして、関連の事業者を含めました業界全体の底上げを図りますことで、地域経済の回復につなげてまいる考えであります。 最後に、いわゆる四国8の字ネットワークのミッシングリンクの早期解消に向けた決意はどうかというお尋ねがございました。 四国8の字ネットワークは、地域の産業の活性化、観光振興を下支えします社会資本といたしまして、また南海トラフ地震発生時におきましては円滑な救援活動、物資輸送を可能といたしますいわゆる命の道といたしまして、大変重要な役割を期待されております。 このため、本県におきましては、四国8の字ネットワークの整備促進を最重要の政策課題の一つと位置づけまして、その早期完成を目指し、ミッシングリンクを抱える他県とも連携をしながら、国などに対して政策提言を重ねております。 その結果、本年度の国の当初予算におきましては、四国横断自動車道の宿毛新港から一本松間、そして阿南安芸自動車道の安田-安芸間の東西2区間が同時に新規事業化となりました。本県の8の字ネットワークで言いますと、これで4年連続で新規の事業化も行われ、着手率でいいますと96%まで達しました。これまでの活動の成果が着実に現れておると考えておりまして、この点は大変喜ばしく感じております。 しかしながら、まだ未事業化の区間といたしまして、宿毛和田-宿毛新港間、そして奈半利-安田間が残っております。また、実際に開通に至りました整備率で見ますと県内ではまだ6割にとどまっているということなどを踏まえますと、ここで気を緩めるというわけにはまいらないと考えております。 高規格道路網の早期の整備は全国的な課題でもございます。したがいまして、先日は私自身、全国高速道路建設協議会の副会長という立場で、岸田総理、そして与党の幹部に対しまして、早期のミッシングリンク解消を直接訴えてまいったところでございます。 今後も、本県に残ります未事業化区間の早期の事業化並びに事業中区間の早期の完成に向けて、経済団体、沿線の自治体などとも連携をいたしまして、引き続き国などに対して必要性を示しながら強く働きかけを続けてまいります。 私からは以上であります。   (林業振興・環境部長豊永大五君登壇) ◎林業振興・環境部長(豊永大五君) 木材生産や流通の効率化、最適化を図るためにどのように取組を強化していくのか、お尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の影響を契機とするウッドショックや最近のウクライナ情勢を受けまして、輸入材の安定供給への不安が増す中、国産材への需要が高まりを見せております。こうした需要の拡大にしっかりと対応していくためにも、製材工場の生産能力の増強を図るとともに、市場が求める乾燥材など品質の確かな木材を効率的に供給していく必要があります。 これまでも生産能力につきましては着実に強化を図ってきており、本年4月には年間約4万立方メートルの原木を消費する、しまんと製材工場が本格稼働を始めました。また、既存の製材工場においても木材乾燥機の導入を進め、品質の確かな県産製材品の供給に取り組んできたところでございます。引き続き、共同化、協業化の促進にも取り組みながら、生産能力の向上を図ってまいります。 一方、昨年のウッドショックのような急激な需要の拡大に対して、原木の製材工場への供給が十分でなく、チャンスロスが発生してしまいました。このため、製材事業者と素材生産事業者等との間で短期の取引条件を固定した協定の締結を促進することにより、原木を安定的に調達し、木材が効率的に生産される取組を進めてまいります。 さらに、木材の円滑な需給に向けては、関係者間で情報を共有する連携した取組が重要となります。そのため、川上から川下までの関係者が参加し、連携に向けて情報共有や意見交換を行う高知県SCM推進フォーラムを支援することで、流通の効率化、最適化につなげてまいります。また、仁淀川地域でモデル的に進めておりますサプライチェーンマネジメントの取組を県内に広めてまいります。 こうした取組をしっかりと進め、さらに強化していくことで、今般のような国産材への需要の拡大などに対応できるようにしてまいります。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) 事業承継についてお尋ねがございました。 地域の経済と雇用を支える中小企業者の事業承継は大変重要なものと認識しており、産業振興計画の中で大きな柱の一つとして取り組んでいるところです。具体的には、まず後継者の有無など各事業者の実態把握に努めているところです。これまでに商工会議所等の経営指導員などが、経営者が60歳以上の事業者を対象に、事業承継に係る支援の必要性について把握に努めており、平成30年度からの累計で約5,000者の実情を把握しております。 また、事業承継に係る相談対応では、取組を開始した平成27年度の相談件数は107件でしたが、昨年度の高知県事業承継・引継ぎ支援センターへの相談件数は487件と大幅に増加してきております。そして、センターを通じたマッチングでは、成約件数も平成27年度の4件から昨年度の32件へと増加しております。また、事業承継に際しては、新たな事業展開などを織り込んだ事業承継計画の策定・実行支援も併せて行っております。例えば、事業を引き継いだ養鶏業者が食品の製造・販売を開始したり、民宿事業者が近隣の地域資源を活用したツアーを実施するなど、新たな展開も出てきております。 このように、関係機関と連携した取組により、一定の成果が現れつつありますが、近年のコロナ禍の影響もあり売手の相談が増加していることや、経営者の高齢化が進んでいることを踏まえますと、取組を一層強化していく必要があると考えております。このため、本年度も国の協力により事業承継・引継ぎ支援センターの体制を1名増員していただいたほか、県の制度融資に事業承継特別保証制度融資を創設するなど、施策を強化したところです。 今後も、関係機関と連携を密にし、施策の強化も図りながら、より多くの事業承継が実現するよう、しっかりと取り組んでまいります。   (中山間振興・交通部長中村剛君登壇) ◎中山間振興・交通部長(中村剛君) まず、小さな集落の維持・活性化に向けた取組についてお尋ねがございました。 この取組は、昨年度実施した集落実態調査の結果を踏まえ、直ちに取り組むべき対策として本年度新たに立ち上げたものであり、集落活動センターの取組が行われていない集落を対象に、住民の力や地域の資源などの潜在力を引き出し、地域の活性化につなげる取組であります。 その具体的な進め方としては、まず市町村による対象集落の選定、そして2年の実施期間の中での住民同士の話合いの場づくり、話合いを通じた集落の課題の共有、地域の将来像や活動計画の策定、集落活性化に向けた具体的な活動などに取り組んでいただくこととしております。 今年度実施予定の8つの市町村におきましては、現在対象集落の選定が進められており、調整が整った地域から順次専門家の御助言もいただきながら、それぞれの地域での話合いを行い、例えば地域の伝統行事の継承や資源を生かした特産品づくり、Uターン者向けイベントの開催などの取組につなげていくことが想定されております。 集落活動センターのさらなる拡大はもとよりですが、こうした個々の集落の活力を生み出す取組を併せて進めることで、あまねく県内中山間地域の活性化が図られますよう、引き続き取り組んでまいります。 次に、ニーズの分析を踏まえた移住促進の取組強化についてお尋ねがございました。 議員御指摘のとおり、移住を検討される方の様々なニーズを把握した上で移住政策を進めることは、コロナ禍で強まった地方への人の流れを確実に本県に呼び込むために大変重要でございます。昨年度の取組を通じた移住相談の傾向としましては、まず従来に比べ移住を検討し始めて日の浅い方の相談が増えていること、また移住先を特定せず、自分がやりたいことができるかどうかという観点から移住先を探す方の相談が増えていることが挙げられます。 このため、今年度は、こうした方々のニーズに合わせた、高知でできる仕事や暮らしに関するセミナーや交流会の開催、あるいは情報発信の充実などによりまして、より多くの方に移住検討の熟度や移住意欲を高めていただき、その上で大規模相談会、高知暮らしフェアに御来場いただく取組を新たに始めているところでございます。 その第1弾といたしまして、5月の21日と28日に本県での暮らしや働き方を紹介するオンラインイベントを開催いたしました。オンライン形式では過去最高、同種のイベントと比べましても2倍相当の222人の方に御参加をいただいたところでございます。その際のアンケートでも、9割の方から地方暮らしへの関心が高まった、移住を具体的に検討しようと思ったとの評価をいただきましたことから、多くの方に本県を実際の移住先として意識していただくことができたものと考えております。 次のステップとして、今月下旬に開催される高知暮らしフェア、こちらにはこのイベント参加者にも来場していただき、市町村などから対面で地域での暮らし方や仕事を説明、紹介いたしますことで、より多くの方に具体的な高知移住を検討いただけるよう取り組んでまいります。 引き続き、こうした移住希望者のニーズを適時、的確に捉えながら施策を強化し、産業振興計画に掲げる移住者数1,300組の達成に取り組んでまいります。   (総務部長徳重覚君登壇) ◎総務部長(徳重覚君) 中山間地域における高齢者のデジタルディバイド対策についてお尋ねがございました。 県民誰もがデジタルの利便性を享受していただくためには、デジタルディバイド対策が不可欠でございます。その中で最も身近なデジタル機器として普及しているスマートフォンを活用していただくことが、デジタルディバイド対策として効果的であると考えております。 国は、昨年度から令和7年度までの5年間の計画として、各地の携帯電話販売店において、無料でスマートフォン操作の教室を開催する事業をスタートしています。しかし、携帯電話販売店がない県内21町村では実施されておらず、中山間地域に十分な対策が行き届かないことが課題となっておりました。 そのため、携帯電話販売店がない町村においてもスマートフォン操作の教室を開催できるよう、国に政策提言を行うとともに、県独自で令和4年度当初予算事業として、スマートフォン活用サポーター養成事業を実施することといたしました。具体的には、集会所などの身近な場所で何度でも気軽に相談でき、スマートフォンの操作や活用方法を教えることのできる人材、通称スマサポを養成することとしております。既に県内5つの自治体で事業実施に向けた協議が進んでおります。四万十町では、地域おこし協力隊や青年団の皆さんに集落活動センターなどの地域の拠点で活動していただく予定です。 また、先日公表されたデジタル田園都市国家構想基本方針によりますと、国においても新たに、デジタル機器に不慣れな方をサポートするデジタル推進委員の取組を全国に展開することとされております。また、携帯電話販売店のない市町村を念頭に、スマートフォン講習会への講師派遣も開始するとお聞きしているところでございます。 県といたしましては、スマサポ養成事業を展開するとともに、国の事業を組み合わせることで、一人一人に寄り添い、よりきめ細やかなデジタルディバイド対策を実施してまいります。   (教育長長岡幹泰君登壇) ◎教育長(長岡幹泰君) まず、高知県立学校施設長寿命化計画の進捗状況を踏まえた今後の取組と、学校の木質化など学習環境の改善についてお尋ねがございました。 県教育委員会では、予防保全的な改修等を行うことにより学校施設を長く使用していくため、令和8年度までを計画期間とする高知県立学校施設長寿命化計画を平成29年に策定し、順次事業に着手していくこととしておりました。しかしながら、熊本地震を受け、県立学校体育館の天井材や照明器具などの非構造部材の耐震化を優先し、また長寿命化事業を効率的に進めるため、学校ごとに改修計画の方向づけを行う基本設計を実施することにしたことから、計画の進捗に大幅な遅れが生じているところでございます。 そのため、これまでに改修工事が完了しているのは、安芸桜ケ丘高校の既存校舎3棟のみとなっております。また、本年度は高知追手前高校など2校の実施設計と、日高特別支援学校など6校の基本設計を行うこととしておりますが、これらの工事の着手は来年度以降となります。このように長寿命化計画につきましては、当初の計画と現状との間に乖離が生じてきていることから、計画の見直しを検討しているところでございます。 また、長寿命化計画を進めるに当たりましては、議員のお話にもございました学校の木質化やバリアフリー化など、児童生徒にとってよりよい学習環境を整えることは大変重要なことであると考えます。このため、長寿命化改修の基本設計の段階で、教室の木質化などにつきましても十分な検討を加え対応していくとともに、また内外装の部分改修など比較的小規模なものは、毎年度の施設整備費の中で柔軟に対応してまいります。 今後とも、学校が児童生徒にとって安全・安心で快適な場となるよう、学校現場の意見もお聞きしながら機動的に対応し、学校施設の改善、充実に努めてまいります。 次に、教職員住宅や寄宿舎の環境整備についてお尋ねがございました。 まず、教職員住宅に関しましては、比較的大規模な改修等については令和元年度から5年度を期間とする整備実施計画を策定しており、これに基づいて老朽度に応じ計画的に改修や修繕等を行うことで、住宅の長期使用可能年数を確保しながら維持管理することとしております。また、小規模な修繕等につきましては、毎年住宅を管理している学校の要望を確認し、緊急性等を考慮して優先順位をつけながら対応しているところでございます。 次に、寄宿舎に関しましては、大規模な改修等については校舎等の長寿命化改修の際に合わせて、必要に応じ改修することとしております。また、比較的小規模な改修や修繕につきましては、教職員住宅と同様に、学校の要望を踏まえまして対応しておるところでございます。なお、本年度につきましては緊急性等を考慮いたしまして、中村高校西土佐分校寄宿舎の移転整備などを行う予定としております。 今後とも、計画性と緊急性の両面での検討を適宜行いながら、教職員住宅や寄宿舎の環境改善を進めてまいりたいと思います。 次に、休日の部活動の段階的な地域移行についての実践研究拠点校における成果と課題、及び今後の取組についてのお尋ねがございました。 本県では、スポーツ庁の地域運動部活動推進事業を活用して、令和3年度は土佐町で剣道部、令和4年度は土佐清水市でテニス部やバドミントン部の指導を地域のスポーツ団体に依頼し、部活動の地域移行に向けた実践研究を行っております。 それぞれの市町の研究拠点校からは、専門性の高い指導を受けることによって生徒の技能が向上した、顧問教員の負担軽減につながったといった声が寄せられております。その一方で、部活動などを移行する場合の指導者の確保、指導者謝金や保険料など新たに生じる保護者負担の問題、そして中学校体育連盟主催の大会への引率や監督を地域の指導者ができないことなど、課題も多くあるといった報告を受けております。 これらの課題につきましては、議員のお話にもございましたように、先頃取りまとめられましたスポーツ庁の運動部活動の地域移行に関する検討会議の提言の中でも、解決すべきものとして示されております。また、同提言におきましては、部活動の地域移行に向けた計画の策定など、都道府県や市町村の役割なども明記されているところでございます。 このような報告や提言を受けまして、県教育委員会では、まず地域スポーツを所管している知事部局と連携しまして各地域を回り、地域ごとの部活動やスポーツ少年団の活動の現状を把握し、地域による課題を明らかにしてまいります。そして、9月をめどに市町村や学校、スポーツ団体から成る検討組織を立ち上げます。この中で、特に小規模自治体で懸念される指導者の確保の問題や受皿の整備、費用負担の在り方といった課題の解決に向けた検討を行い、対応方針を示した推進計画を今年度末をめどに策定してまいります。さらに、来年度には市町村の推進計画の策定についても積極的に支援をしてまいります。こうした一連の取組を通じて、令和7年度末をめどとする部活動の地域移行が円滑に進むよう取組を推進してまいります。 最後に、学校における新聞の配備についてお尋ねがございました。 児童生徒が思考力、判断力、表現力等を身につけていく上で、新聞は有効な教材となることから、国においては学校図書館図書整備等5か年計画を策定し、学校図書館への新聞配備を進めております。そして、本年度より、議員から御指摘がございましたように、配備するべき新聞の目標数は、小学校で2紙、中学校3紙、高等学校5紙と設定されたところでございます。 県教育委員会におきましては、文部科学省が5年に1度実施する調査等を活用して、各学校の新聞の配備状況を把握しております。直近の令和2年度の調査では、県内の小中学校では平均1.1紙、県立高等学校は平均2.7紙となっており、国の配備目標には届いていない状況にあります。 この新聞配備の充実について、小中学校に対しては、市町村教育委員会に対しまして毎年6月に、学校図書館への新聞配備の促進等に関する国からの文書を基に、配備の充実に努めていただくよう依頼を行っております。 また、高等学校におきましては、殊に選挙権年齢や成年年齢の引下げに伴いまして、現代社会の諸問題を多面的に考察し、公正に判断する力などを育んでいくことが一層重要となっております。このためにも、生徒がより幅広い視点から物事を多角的に考えられるよう、見方、考え方の異なる新聞をバランスよく配備することが必要であると考えます。 こうしたことから、各県立学校におきましては、新聞配備の充実を進めるよう本年5月に通知を発出し、6月に実施した校長研修会でも教材としての新聞の効果や、複数紙を配備することの意味を説明し、配備目標に近づけられるよう再度の要請を行っているところでございます。 今後もそれぞれの学校の新聞の配備実態を把握しながら、課題が見られる学校には、その改善に向けまして、校長と具体的に協議を行ってまいりたいというふうに考えております。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) まず、個別避難計画の取組についてお尋ねがございました。 令和3年の災害対策基本法の改正により、避難行動要支援者の個別避難計画の作成が市町村の努力義務とされ、市町村が計画作成の優先度が高いと判断した方につきましては、おおむね令和7年度までに計画を作成することが国から示されたところです。 本年3月末時点での県の調査では、避難行動要支援者名簿への登録者数は約5万1,000人、このうち市町村が作成の優先度が高いと判断した方は約1万6,000人となっております。優先度の高い方のうち名簿提供に同意いただいた方は約1万1,000人、このうち計画が作成済みの方は約5,000人となっており、同意取得者に対する計画作成率は46%となっております。 県では、令和7年度末までの計画作成に向けて市町村の取組を加速化するため、高知県災害時における要配慮者の避難支援ガイドラインを改定し、計画の作成を促進しております。具体的には、避難行動要支援者は福祉サービスを利用している方が多く、日頃から接している介護支援専門員などの福祉専門職の計画作成への参画を促すことで、本人の心身の状況などを反映した実効性の高い計画の作成を支援してまいります。 福祉専門職は日々の業務が多忙なこともあり、福祉専門職の計画作成への参画が進んでいない市町村もあることから、県では高知県介護支援専門員連絡協議会と連携して、各事業所の理解の促進に取り組み、市町村と事業所との計画作成に関する委託契約や協定の締結を後押ししてまいります。 また、車椅子や担架等の資機材を新たに補助の対象とし、整備を促進することにより計画の実効性の向上を図ってまいります。あわせて、市町村を対象とした研修会を開催し、福祉専門職が参画し地域と連携して丁寧に計画作成を進めている黒潮町などの先進事例の横展開を図ってまいります。 こうした取組により、市町村との連携を密に、個別避難計画の作成を加速化してまいります。 次に、福祉避難所の指定状況と今後の取組についてお尋ねがございました。 福祉避難所は、高齢者や障害者、乳幼児など、避難生活において特別な配慮を必要とする方のための避難所であり、本年3月末時点での市町村の指定状況は、全市町村で234施設が指定され、約1万人の受入れが可能となっております。一方で、県内の福祉避難所の想定避難者数は約2万5,000人であり、現時点では約1万5,000人が不足しており、その多くは高知市で不足している状況となっております。 県ではこれまで、福祉避難所設置・運営に関するガイドラインを策定し、市町村と連携して福祉避難所の確保に取り組んでまいりました。さらに、昨年度は新型コロナウイルス感染症への対応を加えたガイドラインの改定を行うとともに、各福祉避難所の運営マニュアルの作成や実践的な訓練の実施を支援してきたところです。 福祉避難所の確保につきましては、これまで入所系の施設の指定が中心となっていたため、今年度は新たな施設の掘り起こしに向けまして、通所系の施設など約1,200か所に対して、県が指定意向調査を実施いたします。その調査結果を市町村と情報共有した上で、指定に前向きな施設に対しまして、市町村と連携して働きかけを行ってまいります。 また、福祉避難所運営に当たる人員の確保も重要ですので、災害発生時における県内外からの応援職員の受入れ体制などについて、各市町村の受援計画への位置づけも含めた人材確保に関する協議を市町村と進めてまいります。さらに、市町村説明会などの機会を通じ、人材確保対策の他県の優良事例の横展開を図るなど、さらなる人材確保に向け取り組んでまいります。加えて、市町村における福祉避難所の整備を促進するための資機材購入や訓練の実施について、引き続き支援してまいります。 こうした取組を通じ、福祉避難所の確保や機能強化、実効性の向上を市町村と連携して進めてまいります。   (土木部長荻野宏之君登壇) ◎土木部長(荻野宏之君) 宿毛新港のさらなる活用についてお尋ねがございました。 宿毛新港は、四国西南地域の広域物流拠点として平成12年に供用を開始しております。議員のお話にもございましたように、令和2年8月には池島地区の防波堤延伸工事が完了したことにより、港内の静穏度が向上し、船舶はより安全に利用できる環境が整いました。これを受けまして、本年4月からは木材の輸出が新たに始まり、コロナ禍で停滞していたクルーズ船の寄港数も増加しているところでございます。 このたびの四国横断自動車道、宿毛新港から一本松間の新規事業化により、宿毛新港周辺では、人、物の移動時間が短縮されることによる経済活動の効率化が期待されます。これまでも宿毛商工会議所、すくも湾漁業協同組合、宿毛市などの関係機関と地場産業の発展について協議を行ってまいりましたが、この機会を生かし、新たに新エネルギー産業などの分野の企業誘致に向けた議論も始めたところでございます。 県としましては、四国8の字ネットワークへのアクセスが飛躍的に向上する宿毛新港が、地域の経済発展に、より一層貢献できる物流拠点となるよう、地元と一体となって将来を見据えた取組を検討してまいります。   (警察本部長熊坂隆君登壇) ◎警察本部長(熊坂隆君) 運転免許証の自主返納の状況と返納後の支援策についてお尋ねがございました。 県内では本年5月末時点で運転免許を保有する高齢者数は14万4,278人で、免許保有者全体の30.9%を占めております。一方、高齢者の自主返納数は、令和3年中が2,635人、本年が5月末時点で1,120人となっております。なお、自主返納された方の9割以上の方が運転経歴証明書の申請をされているところでございます。 県警察では、運転に不安のある高齢者とその家族や関係者からの相談を受け付けており、運転免許センターの安全運転支援室には専用ダイヤルを設置し、相談者の実情に応じたきめ細かな対応を行っております。令和3年中には889件の相談を受理し、この中には高齢者の方で、脳卒中の後遺症により両手に麻痺があって、通常のハンドル操作が困難だった方を支援した結果、片手で操作できるハンドル補助装置を車に取り付けることで、運転の継続が可能になった例があるなど、運転を希望される方は可能な限り継続していただけるよう支援しております。 一方、自主返納される方には受理に併せて、各自治体の地域包括支援センターへの支援要請や、デマンド型バスなど地域公共交通の情報提供を行うとともに、自主返納後の支援策として、自治体、公共交通機関、商店などの事業者に対して、乗車券の無料交付、運賃や購入代金の割引、宅配サービスといった交通手段を含む生活支援の特典付与を働きかけております。 県警察では、今後とも中山間地域はもとより、県内全ての地域において幅広い業種に目を向けて、さらなる支援策を拡充していくことにより、運転免許がなくても高齢者が安心して暮らせる環境の整備に努めてまいります。 ◆15番(加藤漠君) それぞれ積極的に御答弁をいただきましてありがとうございました。また、思いの籠もった答弁で非常にうれしく拝聴させていただいておりました。 1点再質問をさせていただきます。教育長に新聞の選定状況がどうかというところを質問させていただきたいと思います。小中学校では平均で1.1紙取っておられると、で、高等学校においては平均で2.7紙取っておられるということでございました。また、6月に研修会でもこういう話題を取り上げていただいたと。非常に丁寧な答弁をいただいたというふうに承知しておりますけれども、質問の趣旨として、新聞社に著しく偏りが見られる場合の対応ということで質問させていただきました。どういう選定状況になっているのか、例えばどこの新聞社をどれぐらいの部数取っているのか、こういうところを再答弁いただきたいと思います。もし数字がなければ教育長の感覚というか、主観で、イメージでも結構でございますけれども、分かればお答えいただけますでしょうか。2問目です。 ◎教育長(長岡幹泰君) 県立高等学校においてですけれども、本年度につきましては高知新聞を取っている……(「政治介入になるぞ」、「……介入になるよ」と言う者あり) 配備紙数について申し上げますと、6紙を取っているのが2校、5紙を取っているのが5校、4紙を取っているのが11校、3紙以下というのが18校になります。こういうように、まだ目標に達していないところにつきましては、校長と話をしまして、5紙以上取るようにという話をしていこうというふうに考えております。 以上でございます。 ◆15番(加藤漠君) もう一度3問目をさせていただきます。どこの新聞社を、全体として何紙取っているのかということを把握しているのかどうかという質問をさせていただいたところでございます。どこの新聞社を取るべきとか、取らないべきとか、そういうことを言っているのではなくて、今どういう状況を把握しているのかということを聞いておりますので、もし分かればその数字を客観的にお答えいただきたい。もし分からなければ教育長の主観で結構でございますので、大体こんな状況じゃないかなと把握されている範囲でお答えいただければと思います。 以上で、私の質問の一切とさせていただきます。 ◎教育長(長岡幹泰君) 今、先ほどお話しさせていただきましたように、約半分の学校は4紙以上を取っておられる。また、半分の学校はまだ4紙まで至っていないというところでございまして、そういう意味で、まだ達成していないところについてお話をしていきたいというところでございます。 ○仮議長(弘田兼一君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明15日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時15分、本日はこれにて散会いたします。   午後4時48分散会...