高知県議会 > 2022-06-10 >
06月10日-02号

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  1. 高知県議会 2022-06-10
    06月10日-02号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年  6月 定例会(第362回)-----------------------------------        令和4年6月10日(金曜日) 開議第2日-----------------------------------出席議員       1番  濱口涼子君       2番  槇尾絢子君       3番  桑鶴太朗君       4番  上治堂司君       5番  土森正一君       6番  上田貢太郎君       8番  金岡佳時君       9番  下村勝幸君       10番  田中 徹君       11番  土居 央君       12番  野町雅樹君       13番  横山文人君       14番  西内隆純君       15番  加藤 漠君       16番  西内 健君       17番  弘田兼一君       18番  明神健夫君       19番  桑名龍吾君       21番  三石文隆君       23番  西森雅和君       25番  依光美代子君       26番  大石 宗君       27番  武石利彦君       28番  田所裕介君       29番  石井 孝君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       7番  今城誠司君       20番  森田英二君       24番  黒岩正好君-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        井上浩之君  総務部長       徳重 覚君  危機管理部長     中岡誠二君  健康政策部長     家保英隆君  子ども・福祉政策部長 山地 和君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 中村 剛君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     山脇 深君  農業振興部長     杉村充孝君  林業振興・環境部長  豊永大五君  水産振興部長     松村晃充君  土木部長       荻野宏之君  会計管理者      池上 香君  公営企業局長     笹岡 浩君  教育長        長岡幹泰君  人事委員長      門田純一君  人事委員会事務局長  澤田博睦君  公安委員長      古谷純代君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     五百藏誠一君  監査委員事務局長   高橋慎一君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       山本和弘君  事務局次長      横田 聡君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     田渕史剛君  議事課長補佐     杉本健治君  主幹         春井真美君  主査         宮崎由妃君-----------------------------------議事日程(第2号)   令和4年6月10日午前10時開議第1 第1号 令和4年度高知県一般会計補正予算 第2号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例議案 第3号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例議案 第4号 高知県税条例等の一部を改正する条例議案 第5号 半島振興対策実施地域における県税の不均一課税に関する条例及び高知県過疎地域における県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例議案 第6号 高知県地方活力向上地域における県税の特例措置に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県議会の議員及び高知県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用並びにビラ及びポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県特定公共賃貸住宅の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県建築基準法施行条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第12号 権利の放棄に関する議案 第13号 国道441号防災・安全交付金(口屋内トンネル(Ⅰ))工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第14号 都市計画道路はりまや町一宮線防災・安全交付金工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第15号 高知県公立大学法人に係る中期目標の一部変更に関する議案 報第1号 令和3年度高知県一般会計補正予算専決処分報告 報第2号 高知県税条例等の一部を改正する条例の専決処分報告第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(明神健夫君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(明神健夫君) 御報告いたします。 議員今城誠司君から、所用のため本日の会議を欠席したい旨届出がありました。 次に、第2号議案及び第3号議案については、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき人事委員会に意見を求めてありましたところ、法律の改正の趣旨を考慮したものであり、適当であると判断する旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。   〔人事委員会回答書 巻末199ページに掲載〕----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(明神健夫君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和4年度高知県一般会計補正予算」から第15号「高知県公立大学法人に係る中期目標の一部変更に関する議案」まで並びに報第1号「令和3年度高知県一般会計補正予算専決処分報告」及び報第2号「高知県税条例等の一部を改正する条例の専決処分報告」、以上17件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 17番弘田兼一君。   (17番弘田兼一君登壇) ◆17番(弘田兼一君) 自由民主党の弘田です。議長のお許しをいただきましたので、党を代表して質問をさせていただきます。 2月24日、ロシアの一方的なウクライナ全土への軍事侵攻によって始まった戦争は、ウクライナの徹底抗戦により3か月が経過しました。ロシアという核を保有している国連の常任理事国が、力による一方的な現状の変更を実行に移しました。このことは、私たちに世界の現実を見せつけました。国連の常任理事国はその決議に対して拒否権があります。ロシアは常任理事国です。国連は機能しないということになります。また、ロシアは核の使用をちらつかせ、ウクライナを支援する国を脅迫しています。 高知県議会は、2月定例会でロシアに対する非難決議を全会一致で採択しています。マスコミでは、ロシアがヘルソン州地域を支配した、ウクライナがキーウ州を奪還したなど様々な情報を流しています。テレビでは、一部の人権派を装ったコメンテーターが、ウクライナは降伏すべきだとの的外れのことを言ったりしています。平和に暮らしているウクライナに攻め込んだのはロシアです。 ロシアがウクライナに対して行っている侵略行為は、決して許されるものでありません。このことについて知事の御所見をお伺いいたします。 また、これまでもウクライナの避難民に対して、県として可能な支援策を整備されてきたと思いますが、どのようなものであったか、また今後の支援についてどのような対応を考えておられるのか、文化生活スポーツ部長にお伺いをいたします。 かつてウクライナは、ソビエト連邦の一部として核を保有していました。1991年、ソビエト連邦の崩壊とともに独立を果たしました。そのときに、配備されていた核を全てロシアに渡しています。以来、ウクライナは、日本と同じように非核三原則を表明し、平和国家としての歩みを進めています。日本とウクライナの違いは、他国と同盟を結んでいるか否かだと思います。 4月6日、高知県議会は、高知工科大学で日本企業の労働政策などを研究しているウクライナの首都キーウ出身オヴシアンニコウさんを招き、勉強会を開きました。オヴシアンニコウさんは、私が生まれた当時ウクライナは平和で日本の日常と同じような生活を送っていた、だが平和は永遠ではない、平和なうちに国を守ることを考えないといけないと話をされました。 ロシアのウクライナ侵攻は対岸の火事では決してありません。日本は、覇権主義国家で核保有国であるロシアと中国、ならず者国家の北朝鮮に囲まれています。ロシアは日本の北方領土を不法に占領し続けています。中国は台湾への圧力を強めており、その状況はロシアとウクライナの関係に似ています。中国は、日本固有の領土である尖閣諸島の領有権を侵すような行動を取り続けています。台湾有事は日本の有事です。北朝鮮は、弾道ミサイルを発射し続けています。 このような状況の中で日本人は平和を享受していますが、ロシアのウクライナ侵攻は、日本とアメリカが日米同盟を結び、日本はアメリカの核の傘で守られている事実を浮き上がらせました。国は、国民の生命と財産を守るために機能します。政府が策定する経済財政運営の指針、骨太の方針では、防衛力を国家安全保障の最終的な担保として抜本的に強化する、将来にわたり我が国を守り抜く防衛力を構築すると明記しています。 日本を取り巻く状況を見れば、この方針を出さざるを得ないと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 骨太の方針で示された新型コロナウイルス感染症対策は、段階的に見直し一日も早い経済社会活動の正常化を目指すとあります。濱田知事が就任されて一番苦労したのは、新型コロナウイルス感染症対策ではないかと思います。コロナとの闘いは、幾度となく感染拡大と収束を繰り返しながら、2年が経過した今なお続いております。2月県議会定例会の提案説明で知事は、感染症の克服にはまだ時間を要するものと考えており、今後も感染拡大防止をしっかりと図りながら、できる限り社会経済活動との両立が維持できるよう全力で取り組みます、一方コロナ禍という逆風の中にあっても県勢浮揚へ向けた歩みを止めてはなりませんと述べられました。 マスコミでは、政府がマスク着用基準を緩和するなど、ウイズコロナの流れが強まる中、新型コロナウイルスの感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律上の位置づけを季節性インフルエンザ並みに引き下げるかどうかの議論が起きています。今年に入って従来株より感染力が強い反面、重症化率の低いオミクロン株が主流になり、2類相当のままでは社会経済活動が制限され、保健所業務の逼迫につながっているとの考え方から、季節性インフルエンザと同じ5類への引下げ検討を求める声が上がっていると報道されています。 濱田知事も5月12日の記者会見で、医療費の公費負担継続などを条件に、方向性としては5類にすべきだと述べ、緩和の必要性に言及されています。私も知事のお考えに賛同するものです。新型コロナ発生当初は、コロナウイルスがどのような症状を引き起こすのか、致死率はとか分からないことばかりで、ワクチンも薬もありませんでしたし、人々はただ不安の中で生活をしていました。しかし、この2年間で状況は随分改善されました。ワクチンも薬も開発されましたし、コロナウイルスも変異を繰り返し弱毒化が進んできています。経済活動を早く元に戻さないと、地域生活の維持に重大な支障を来すことになると思います。 そこで、社会経済活動の正常化に向けての知事の御所見をお伺いいたします。 第26回参議院議員選挙が6月22日公示、7月10日投開票の日程で行われることが想定されております。高知県は、今回も6年前と同様、徳島県との合区での選挙となります。我が自民党はもちろんですが、それぞれの政党からも候補者が立候補し、戦いの構図が固まりつつあるようです。マスコミでは、参議院選挙に係る各党の公約や出馬予定候補者などの報道が目立つようになってきています。我が党は参院選の公約で、憲法改正を引き続き重点項目に位置づけ、早期の改憲実現を目指す姿勢を打ち出しました。 自民党は、かねてより提案している改憲4項目のうち、9条への自衛隊明記や緊急事態条項の創設を中心に訴えるとしています。こうした我が党の動きについてマスコミは、新型コロナウイルスの感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻などで緊急事態対応や安全保障への関心が高まった世論を踏まえ、改憲の意義を強調する狙いがあると報じています。一方で、野党は、どさくさに紛れて憲法改正しようとしているなどと、批判のための批判を行っています。 読売新聞社が5月に郵送方式で行った全国世論調査では、憲法を改正するほうがよいは60%で、郵送方式となった平成27年以降で最も高くなりました。また、高知新聞社が行った高知県民世論調査でも、憲法改正が必要49%、合区解消を改憲で53%という結果となっています。 今回の参議院選挙では憲法改正が大きな焦点となることから、特に新型コロナウイルス対応や大規模災害などの危機管理に関する憲法改正について知事の御所見をお伺いいたします。 5月28日、室戸市立室戸診療所の完成記念式典が多くの関係者が集い開催されました。6月1日には診療が開始されています。診療科目は内科、リハビリテーション科、整形外科、眼科で、19床の一般病床を有しています。室戸市の医療の状況は、室戸病院が閉院されてから、急性期、回復期を担う医療機関がなく、救急搬送など全て市外の医療機関に頼っていました。例えば、救急車で県立あき総合病院に入院し、回復期は室戸に帰れず高知の病院に入院するといったことが度々発生をしていました。このようなことが解消されます。 室戸市立室戸診療所には、少し語弊がありますが、災害時のトリアージを行うような役割--患者の重症度をはかりどの病院に送るか否か--を担ってもらいたいと考えています。室戸診療所の笹岡院長は、診療時間内は全ての救急車を受け入れると力強く私の問いに答えてくれました。芸東地域では、救急医療体制室戸市立室戸診療所の開院で随分改善されました。 健康政策部長にお伺いをいたします。中山間地域の救急医療の現状について、また今後の救急医療体制をどのように維持していこうと考えているのか、お伺いをいたします。 室戸市と高知大学は、令和3年3月に医療体制の充実や地域包括ケアシステムの構築に資する覚書を交わしました。限られたリソースで効果的な医療システムを提供するために、室戸市立室戸診療所を拠点として、医療・健康データの電子化と遠隔での検査・診断・治療技術の開発を行うことで合意したものです。 知事は、2月県議会定例会で、情報通信技術の発達により、距離や移動時間など本県が抱える物理的な制約がハンディでなくなる時代が到来しつつあります、こうした時代の変化を捉え、生活、産業、行政という3つの切り口であらゆる分野のデジタル化を進めてまいります、具体的には都市部の企業が行うテレワークなどを積極的に呼び込むほか、遠隔医療や遠隔教育といった新しい技術を導入し、中山間地域の暮らしや医療、教育を大幅にレベルアップさせたいと考えておりますと述べられました。 室戸市は、これから中山間地域が直面する健康社会を維持する上での課題が既に集積しています。室戸市立室戸診療所で得られるデータを活用した高知大学と室戸市の取組は、これからの中山間地域の医療を構築する上で大変有効なものになると考えます。知事が提案説明された情報通信技術を使った中山間地域の暮らしや医療のレベルアップが、実現に向けスタートすることになります。 知事は、室戸市と高知大学のこの取組を中山間地域の医療にどのように生かしていくおつもりか、お伺いをいたします。 県議会の常任委員会の大切な業務として出先機関調査があります。コロナ禍ということもあり、この2年間は延期したり中止したり、今年は久しぶりの調査になりました。 土木部関係では、国道439号でICT施工、ICT建設機械を用いた施工現場を視察いたしました。ICT施工の工程は、ドローンで撮影した写真データやレーザスキャナなどで得た点群データを用いて、短時間で高密度な3次元計測を行います。次に、ICT3次元計測データ、現況と設計図面を比較し、その差分から切土や盛土などの量を自動で算出し、3次元設計データなどを使って建機に位置情報の指示を表示することにより、丁張りなどのプロセスを省略します。もしくは、建機を自動制御することによって、丁張りの省略だけでなく、難易度の高い施工を自動で行うなど、熟練技能の要件も緩和しますとのことでした。 施工している土木業者の社長は、作業の効率化だけではなく正確に工事を進めることができる、建設機器の操作はタブレットを確認しながらの作業になる、力仕事というより細やかさが必要になる、女性に向いているように思うと説明をされていました。実際、建設機器は冷暖房が完備し、作業は快適に行うことができるとのことでした。 現在、建設土木業は高齢化が進行し、人手不足が目立っています。ICTを活用した建設現場のデジタル化の取組は、生産性の向上とともに、建設現場における女性や若者など、経験が少ない方でも活躍できる環境づくりにつながるものと言えます。 建設現場のデジタル化の促進と女性や若者など幅広い人材確保についてどのように取り組むのか、土木部長にお伺いをいたします。 産業振興関係では、県内で初めての取組となった東洋町の特定地域づくり事業バツグン協同組合を視察し研修しました。この事業は、令和2年に施行された、地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律に基づいており、その目的は、地域人口の急減に直面している地域において、地域社会及び地域経済の重要な担い手である地域づくり人材が安心して活躍できる環境の整備を図ることが喫緊の課題であることに鑑み、特定地域づくり事業協同組合の認定、そのほか特定地域づくり事業を推進するための措置などを定めることにより、特定地域づくり事業を推進し、併せて地域づくり人材の確保及びその活躍の推進を図り、もって地域社会の維持及び地域経済の活性化に資することとなっております。 特定地域づくり事業とは、マルチワーカー、季節ごとの労働需要等に応じて複数の事業者の事業に従事する方ということですが、マルチワーカーに係る労働者派遣事業等を言います。東洋町では、長崎副町長、バツグン組合の山下代表理事からお話をお伺いいたしました。お二人からは、組合設立で町の活性化に対する思いがひしひしと伝わってまいりました。このお話を聞いて感じたことは、この事業は、過疎地域の労働者派遣事業にとどまらず移住者と地域をつなぐ事業を展開できること、また後継者・事業継承対策にもなるのではないかと感じました。 また、全国一律のものではなく、地域の特色を踏まえた組合をつくっていく必要があるのではないかと感じました。地域の特色を踏まえた組合をつくっていくためには、ある程度の資金が必要です。東洋町の特定地域づくり事業は、ぎりぎりの試算の上でスタートしました。長崎副町長は、この事業に対する財政的な支援は県にはない、町は赤字が出れば対応せざるを得ない、覚悟はしているとおっしゃっていました。この事業は、過疎地域の人手不足、人材不足や後継ぎの問題解決の決め手となり得る事業だと思います。成功させなければなりません。 県からの人的・金銭的支援が必要だと思いますが、中山間振興・交通部長の御所見をお伺いいたします。 選択的夫婦別姓の法制化を求める動きが目立ってきています。自分は同姓希望だけれど別姓希望の人がいるから認めてもいいですとか、同姓を希望しているから自分には関係ありませんと安易に考えている人が多いのではないかと思います。導入されれば、私たちの生活や子供たちにも様々な混乱が起こることが想定をされます。 平成29年、内閣府の行った、家族の法制に関する世論調査の結果によると、夫婦の名字が違うと夫婦の間の子供への影響が出てくると思いますかとの問いに対して、子供にとって好ましくない影響がある62.6%、子供に影響はない32.4%となっています。多くの国民は夫婦同姓を支持していると思います。 県は、「高知県は、ひとつの大家族やき。」ということで、高知家キャンペーンを続けています。県民にも他県でも比較的受けのよいキャンペーンだと思います。私たち日本人の心の奥底に◯◯家は私の一族とか、◯◯家出身といった家族制度が息づいているからだと私は思います。 我が会派では、今議会、旧姓の通称使用のさらなる拡充を求める意見書を出す準備を進めています。通称使用は、法的には夫婦同姓ですが、結婚後も戸籍に記載が残ることを根拠に、旧姓を使用し不便を解消しようとするもので、夫婦別姓とは異なります。 旧姓の通称使用は現在社会的に広く認められています。例えば、マイナンバーカードや住民票、印鑑証明書、パスポート、免許証などの公的証明書をはじめ、職業では国会議員や弁護士、税理士や会計士、医師や看護師などで旧姓の使用や併記が可能となっており、平成30年の労務行政研究所の調査では、67.5%の民間企業で旧姓の使用が認められています。選択的夫婦別姓を進めている人たちの言う不便、不利益はこの旧姓の通称使用で解決しますし、ファミリーネームの消滅や親子の姓が違うことなどで起きる子供の不利益をなくすことができます。 私は、旧姓の通称使用をさらに普及すべきだと考えますし、法整備が必要だと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 旧姓の通称使用は高知県庁でも認められていると思います。職員の皆様の中にも利用されている方がいらっしゃると思いますが、どのような場面で旧姓を使用できるのか、またどのくらいの職員が利用されているのか、総務部長にお伺いをいたします。 近頃、グローバル化する社会に通用する人材を育てる、国際感覚を身につけるとかいう言葉をよくお聞きいたします。私は、そのためには日本人としてのアイデンティティーを持たなければならないと思います。境野勝悟先生の、日本のこころの教育という本が、致知出版社から出されています。境野先生が私立花巻東高校で生徒たちにお話しされた講演を本にしたものです。全校生徒700人が声一つ立てず聞き入ったそうです。私は、この本を教員や生徒などにぜひ読んでもらいたいと思っています。この本を読めば、日本人がどのような民族か分かるし、日本のことが好きになると思います。 この境野先生の講演は、さようなら、こんにちはの意味は、日本人って何といった質問から始まります。英語のグッドバイはゴッドバイ、つまり神と共にあれということだそうです。正直なところ、さようなら、こんにちはの意味は私には分かりませんでした。日本人って何、こういった問いにも、私を含め明確に答えることのできる人はあまりいないと思います。習っていないからだと思います。 境野先生は日本人とは何の答えとして、「私たちの先祖は命のもとは太陽だ、生命の原因は太陽であるということを大切にしました。そこから日の本という言葉が生まれました。日の本とは日が本、私たちの命は太陽がもとだということで、日の本の「の」が抜けて日本という国名になりました。ですから、日本人とは何と聞かれたら、私たちの命の原因が太陽だと知って、その太陽に感謝して、太陽のように丸く、明るく、豊かに、元気に生きる、これが日本人ですとおっしゃってください」と述べられています。 境野先生は、こんにちは、さようならの意味も太陽に関係があると述べられています。「私たちは知人に出会ったとき、こんにちはのほかに、お元気ですかという表現を使います。この2つは、こんにちは、お元気ですかと続いていた挨拶で、こんにちはの「こんにち」は太陽の意味で、昔はどの地方でも太陽のことを今日様と呼んでいた」とのことです。「こんにちは、元気ですかとは、あなたは太陽のエネルギーが原因で生きている体だということをよく知って、太陽と一緒に明るく生きていますかという確認の挨拶で、それを受けて、はい、元気ですと答えます。つまり、太陽さんと一緒に元気に生きていますと応答するわけです。それから、さようなら、ごきげんようとなります。こんにちは、お元気ですか、はい、おかげさまで元気です、さようなら、ごきげんよう、これが我々の挨拶の基本でした。江戸時代までは、さようなら、ごきげんようと全部を言って別れていたのが、明治、昭和と時代が進むにつれ、さようならのつなぎの言葉だけを言って別れ、いつの間にかその意味も分からなくなってしまった」ということだそうです。 教育長にお伺いをいたします。こんにちは、さようならの意味を知るだけでも、日本人が何を大切にしてきたのか分かりますし、日本人としての自覚を芽生えさせる一助になると思いますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。 境野先生は、国歌君が代についても講演で述べられています。講演内容はおおむね次のようなものです。 君が代の歌が生まれたのは800年も前の鎌倉時代。1228年に書き写された和漢朗詠集という歌集に出ています。君が代の君とは、あなたとか君とかという意味です。代とは寿命とか命という意味ですから、君が代という言葉の意味は、あなたの命、あなたの寿命、千代に八千代にとは、いつまでも、いつまでも長く続きますようにという意味です。さざれ石のいわおとなりてこけのむすまで、これはいつまでも長く続くということの例えです。細かい小さな石が、長い年月の風化によって大きな岩のような塊になって、その岩にコケが生えるようになるまで、どうぞ、それくらい、いつまでも元気に長生きしてくださいと。 君が代の元の歌は古今和歌集に載っています。題知らず、詠み人知らず、「わがきみは 千世にやちよに さざれ石の いはほとなりて こけのむすまで」、古今和歌集の原歌では、君が代が我が君となっています。我が君とは、昔は女性が尊敬したり愛したりした男性に対して用いた言葉です。この歌は平安時代のある女性が、敬愛する自分の男性に送った恋の歌であったことが分かります。解釈すると、私の愛する人の命が、どうかいつまでも長く続きますように、例えば、小さな小石が寄り集まって、ぎっしりと固まって大きな岩となり、それにコケが生えるまで、どうかお健やかに生きていてくださいませということです。 私たちの国歌君が代の原歌は、平安時代の女性の愛する男性への恋の歌でした。すてきなことだと思いませんか。軍国主義の歌だなんて、どこでどう間違えてしまったのでしょうか。とても悲しくなります。 境野先生はこのように話されました。 国旗及び国歌に関する法律は平成11年8月13日に公布されました。比較的新しい法律と言えます。しかし、ギネスブックでは、世界最古の国歌は日本の君が代である、その歌詞は9世紀に始まるとなっています。日本の国歌君が代が世界最古の国歌であること、その原歌は平安時代の女性の愛する男性への恋の歌だったこと、このようなことは、私を含めほとんどの人が知らなかったと思います。これも教えられていないからだと思います。 私たちは、公共の場には日本の国旗日の丸を掲げましょう、公式な行事では国歌君が代を歌いましょうといつも言っています。しかしながら、少なくなってきたとはいえ、学校現場では嫌がる先生方もいらっしゃいます。自国の国旗や国歌を蔑むような人を育てることは、教育の在り方として間違っていると私は思います。 日本の国旗や国歌がどのような思いを持って作られ、どのような意味を持っているのか、境野先生の講演で述べられたような内容を、子供たちの段階に合わせて教えていくべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 境野先生は、お母さん、お父さんの言葉の意味についても述べられています。歌舞伎では、お母さんのことをカカ様と言います。カカ様のカは太陽のことだそうです。お父さんはトト様、お母さんを守る尊い人という意味だそうです。 境野先生は、最後に生徒の皆さんへ次のように述べられています。そのまま読んでみます。 女生徒の皆さん、きっとあと10年もたてば、愛する人を見つけてほとんどの方が結婚なさるだろうと思います。どうかそのときには、その愛した男性に対してお尊(とう)様、尊い人と言ってさしあげてください。そうすれば、男性諸君も一生懸命、自分の愛した女性の命の安全と、あなた方が産んでくださった子供の養育のために頑張ると思いますよ、汗かいて。そのように尊んでくれれば、男性は女性を太陽としてあがめて、我が家の太陽さん、お母さんと呼んで、あなた方の目が悲しみの涙で曇らないように頑張ってくれると思います。夫婦が尊敬し合って、いたわり合っていけば、健全な子供さんに育っていくと思うよ。だから、どうか女生徒の皆さん、明るく太陽さんのような日本人の母になってください。そして、男性諸君、君たちは太陽をバックボーンにした日本の男性になってください。女性から、子供から尊い人、お父さんと呼ばれて恥ずかしくないように、しっかりとした心のバックボーンを持って、元気に頑張ってください。酒に酔っ払ってくだを巻いたり、興奮して愛する女性に暴力を振るうなんてことは一切してはなりません。君は尊い人、お父さんなんだからね。 さて、皆さん。確かにアメリカ、イギリスなどの諸外国には、学ぶべきいいものがたくさんあります。それはもちろん学ばせていただきましょう。しかし、まず初めにやらなければいけないのは、自己を知ることですよ。自分の国の文化や伝統の価値を知ることですよ。人からもらうことばかりではない。自分の国にある自分の国の文化の価値を知ること。そこから出発しなかったなら、外国のまねばかりして、劣等感だけ持った腰抜けの人間になって、この世を終わることになりますよ。 他人から学ぶと同時に、人からは絶対まねられない自分、ほかからは誰もまねられない自分というものをしっかりと確立してください。それが皆さん自身の心棒なんです。そして、自分たちが大切にしているもののように、他国の人たちが大事にしている世界各国の文化とか伝統とか宗教とかを、真心を込めて大切にしていくことですよ。そのように思って、どうか日本人としての自分の人生に大きな太陽のエネルギーを感じながら、世界の隅々にまで視野を大きく広げて平和な人生を送ってくださるようにお願いします。 このように生徒たちに話をされました。 講演から10日ほどたって、花巻東高校から大きな段ボール箱が届いたそうです。全校生徒700名分の感想文です。先生自身の胸が熱くなったということであります。生徒の感想文を1名分だけ読んでみたいと思います。3年生女生徒の感想文です。 今までは、日本人とは何なのかということについて、一度も考えたことはありませんでした。今日、境野先生のお話を聞き、日本人とは何なのかが少し見えたような気がします。日本人とは太陽に生かされている、日が本で生きていることを自覚している民族なのだという先生のお話に、妙に納得という感じとともに、日が本で生きているなんていう考え方はすごくすてきだと思いました。日本は神の国だというのは、本当は日本人一人一人が日(か)身(み)だから神の国なんだというお話は、日本人の一人として私一人だけでも誇りを持てるような、そんな感じがしました。驚いたのは、お母さん、お父さんという言葉の由来です。何げなく使っている言葉にもこんな深い意味があるとは思いませんでした。今の日本人は私も含めて、日本人なら知っていなければならないことをあまりにも知らないと思いました。 知事は2月の県議会定例会で、教育の充実について次のように説明されました。急激に変化する時代においても、子供たちが知・徳・体の調和の取れた生きる力を身につけ、持続可能な社会の作り手となることができるよう、各施策を強化していく必要があると述べられました。 教育大綱の下、知事が述べられた、子供たちが知・徳・体の調和の取れた生きる力を身につけ、持続可能な社会の作り手となるためにも、境野先生が日本のこころの教育で述べられた、日本人とは何か、日本人としてのあるべき姿を考えるような教育を充実させる必要があると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 常任委員会の出先機関調査の一環で、リニューアルされた天狗荘を視察し、池田津野町長や役場の担当者からお話をお聞きいたしました。四国カルスト・天狗高原に対する観光ニーズに関する調査を地元、近県と関西の大都市圏で行い、事業構想を立てています。その事業の方向性は、星をテーマとした設備、体験、サービス等の高度な充実化、2点目として、自然をテーマにした体験、驚き、発見等による価値創出、3点目に、飲食や温泉、温浴に関するクオリティーや環境の向上とし、リニューアルを機に星を中核にした魅力づくりを進めながら整備したとのことです。施設の概要は、プラネタリウム棟を増築、星空客室の増築、テラスの増築などです。 説明を受けた後、施設を散策しました。家族をつれてプライベートで行ってみたいと私は思いました。また、別に行ったさめうら荘のロケーションもすばらしいと思いました。いずれの施設も、コロナ禍にもかかわらず多くの予約が入っているとのことでした。 来年春、本県出身の牧野富太郎博士をモデルとしたNHK連続テレビ小説らんまんが放映されることが決定しました。知事は、大変うれしいニュースであり、本県の魅力を全国に伝える絶好の機会であると同時に、観光活性化の起爆剤となることが期待されます、本県にお越しいただいた観光客の皆様に牧野博士ゆかりの地に訪れていただくことはもちろん、本県のすばらしい自然、食、歴史も存分に楽しんでいただけるよう官民が一体となって取り組み、このチャンスを最大限に生かしてまいりますと述べられました。 県内には、リニューアルされた天狗荘やさめうら荘、室戸ユネスコ世界ジオパークなどすてきなお宿や観光地がたくさんあります。らんまんを目当てに多くの観光客が来てくれると思います。 来てくれた観光客のおもてなしはもちろんですが、県内のほかの観光地にどのようにつなげていくのかが大切です。県はどのような対応をされるのか、観光振興部長にお伺いをいたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 弘田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、ロシアがウクライナに対して行っております侵略行為についてお尋ねがございました。 このたびのロシアのウクライナ侵攻は、国際社会、ひいては我が国の平和と秩序、安全を脅かし、明らかに国連憲章に違反する行為であり、断じて容認できるものではありません。2月下旬の侵攻以降、ウクライナでは子供を含む多数の民間人の死傷者が出ておりまして、私としても強い憤りを感じております。このウクライナ問題が早期に平和的に解決されるよう望んでおります。政府におかれましても、引き続き国際社会と結束の上で、最大限の外交努力を行っていただきたいと考えております。 次に、骨太の方針に防衛力を抜本的に強化することなどが明記をされたことに対しましてお尋ねがございました。 ロシアによりますウクライナ侵攻は、力による一方的な現状変更でありまして、欧州にとどまらず、アジアを含む国際社会の秩序の根幹を揺るがしかねない極めて深刻な事態だと考えております。また、アジアでは今年に入り北朝鮮が既に過去最多となります26発の弾道ミサイルを発射するなど、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しているというふうに認識をしております。 こうした情勢を踏まえまして、新たな骨太の方針におきましては、国際秩序の維持・発展のための外交を積極的に展開するとともに、軍縮などを含む地球規模の課題にも取り組むとされております。加えまして、安全保障につきましては、国家安全保障の最終的な担保となる防衛力を5年以内に抜本的に強化することが明記されています。 私といたしましても、最近のウクライナ侵攻あるいは北朝鮮のミサイル問題などを踏まえまして、我が国にとって必要となる防衛力を精査し、そのための予算を確保していくということが望ましいと考えております。緊迫をする安全保障環境の中におきまして、国民の命や暮らしを守るために必要な備えにつきましては、国会でしっかりと議論をして、国が責任を持って措置していただきたいというふうに考えております。 次に、新型コロナウイルス感染症対策に関連いたしまして、社会経済活動の正常化に向けた取組についてお尋ねがございました。 現在の感染状況を踏まえますと、医療提供体制の逼迫を防いでいくということを前提といたしまして、ある程度の新規感染者の発生は許容しながら、社会経済活動を動かしていくべき、そうした局面にあるというふうに考えております。 そのための取組といたしまして、観光分野におきましては、感染対策を講じながら、「高知観光トク割キャンペーン」や「高知観光リカバリーキャンペーン」を実施いたしております。また、外食などの消費喚起を図るために、「食べて!飲んで!高知家応援キャンペーン」に関連する予算を今回の6月補正予算案に計上させていただいております。 国におきましても、いわゆる水際対策を緩和いたしまして、今月1日から、海外からの入国者数を2万人に引き上げており、今後さらなる緩和によってインバウンド需要の回復も期待をされるというところであります。 今後も、感染状況や国の動向も踏まえながら、社会経済活動の正常化を目指して鋭意取り組んでまいります。 次に、危機管理に関します憲法改正についてのお尋ねがございました。 新型コロナウイルスへの対応のみならず、南海トラフ地震など、極めて重大な緊急事態を想定した場合に、私権の制限ですとか補償の規定などをあらかじめ法律に定めておく必要があるというふうに考えます。そのためには、国民全体の意思として、こうした種類の立法が必要であるという旨を憲法上明らかにしておくことが望ましいものと考えております。 言い換えますと、緊急事態に対する法制の根拠となるような規定を憲法上に設けるということによりまして、立法府であります国会に対してそうした法制の整備を促していくと、そうした形を取ることが望ましいと考えているところでございます。加えまして、緊急事態時におきましては、何よりも迅速な対応が求められます。したがいまして、行政府と立法府の間におきます緊急時の立法の在り方に関する規定も、憲法上に設けておく必要があるのではないかというふうに考えます。 今後、憲法改正につきましては、こうした論点や、お話もございました合区の解消問題なども含めて、国政の場におきまして活発な議論が行われることを期待いたしているところであります。 次に、室戸市と高知大学の取組を中山間地域の医療にどのように生かしていくのかというお尋ねがございました。 今月1日、19床の入院病床を有します室戸市立室戸診療所が開設をされました。先日、私もこの診療所を視察させていただきまして、関係者の皆さんのお話を伺ってまいったところであります。この診療所の開院によりまして、同市で課題となっておりました1次の救急対応あるいは回復期医療への対応、さらには地域包括ケアシステムの拠点としての機能、こういったものが大いに発揮されますことを期待いたしているところであります。 また、室戸市と高知大学が連携をされまして、医療機関などが不足をする地域におきましても、いつまでも健康に過ごせる新たな健康社会をつくるということを目的に、多様な取組が試行されることとなります。このプロジェクトを通じまして、情報通信技術を用いた健康・医療・介護データの電子化、そして遠隔での検査・診断・治療技術の開発などが行われますことは、中山間地域が抱える課題解決に向けました先進的な取組になるものというふうに注目をしております。 県といたしましても、この取組を先行事例といたしまして、県内の他市町村への実装支援でございますとか、国内外への室戸・高知発の健康社会モデルの普及に協力をしてまいりたいと考えております。 次に、旧姓の通称使用に関してのお尋ねがございました。 様々な分野で活躍をされる女性が増えていく中で、結婚後の改姓によるキャリアの分断などを避けるために、職場におきます旧姓の通称としての使用は広がりつつあるわけであります。私は、結婚により改姓をされた方が不便さや不利益を感じることがないようにするために、このような旧姓の通称使用の拡大は望ましいものというふうに考えております。 現在、国におきましては、身分証明書として使われますマイナンバーカードや住民票の公的証明書も旧姓の併記が可能となるといった形で、旧姓の通称使用の制度の整備が進められているというふうに承知をしております。ただ一方で、例えば自動車税の納税通知書などに記載される氏名に関しましては、戸籍の名前のみで表記をされまして、結婚前の姓は使用できないとした判決もございます。そうした意味で、旧姓の併記すら、まだ認められていない制度もあるということでございます。 私といたしましては、こうした課題の解決に向けまして、旧姓の併記ということはもちろんでありますけれども、御本人が希望される場合には、旧姓によります通称を本名と置き換えるような形で使用できるようにすると、こういうことも一つの制度改正の選択肢ではないかというふうに考えておりますし、ここまでの改正が実現しますれば、実質的にいわゆる選択的夫婦別姓が導入されたと同等の効果が得られるのではないかというふうにも考えております。 いずれにいたしましても、こうした旧姓の通称使用を、国や地方自治体だけではございませんで、民間の企業などに対しても、法的拘束力を持って求めていくというためには、法律改正によります制度の整備が必要不可欠であると考えます。 この夫婦の氏に関する制度につきましては、まずは国政の場で、具体的な制度設計も含めた議論がしっかり行われるということが必要だと考えておりますが、こうした議論が深まっていくことで、国民の皆さんの判断材料が出そろってくるということになるのではないかというふうに考えております。 最後に、日本人とは何か、日本人としてのあるべき姿を考えるような教育を充実していくということに関しましてお尋ねがございました。 本県では、教育大綱におきまして、目指すべき人間像であります基本理念の一つとして、郷土への愛着と誇りを持ち、高い志を掲げ、日本や高知の未来を切り拓く人材を掲げております。これは、日本の文化や歴史への愛着を深めまして、日本人として、土佐人としての誇りを育むことを意図し、現代の高知県はもとより、日本の子供たちにも求められる姿であるというふうに考えております。 また、学習指導要領におきましては、我が国の伝統や文化に関する教育を行うということが明示をされております。これを受けまして、各学校におきましては、子供たちが日本の伝統や文化を学び、その価値やよさ、美しさを感じ取り、郷土や我が国への愛情を深める学習をしっかりと行っていくことが必要であります。 さらに、これからのグローバル社会ということを考えました場合に、仮に英語が堪能でありましても、自分自身のこと、あるいは日本のことなど他の国の方々に伝える中身がなければ、相手の方との深いコミュニケーションを図ることはできないと考えております。私自身、外務省の在サンフランシスコ日本国総領事館で勤務をいたしました3年間、アメリカで生活を送った中で、日本の伝統文化ですとか歴史などをよく知っておくことの重要性を強く意識したところでございます。 私は、現代の若者には積極的に海外を経験し、自分の成長の糧としてほしい、そして高知県、日本、世界の発展に貢献をしてほしいと考えております。そのためにも、議員から御指摘がございましたように、教育大綱の下で子供たちが日本のことをよく学び、よく知り、日本人としての生き方や在り方を主体的に追求していくと、そういったことができますように、教育を充実させていくことが極めて重要であるというふうに考えております。 私からは以上でございます。   (文化生活スポーツ部長岡村昭一君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) ウクライナからの避難民の方々に対して、これまでに整備してきた県の支援策と今後の支援への対応についてお尋ねがございました。 県では、ウクライナで大変厳しい状況に遭われ、遠く離れた国での生活を余儀なくされる避難民の方々に対し、できる限りの支援をさせていただきたいとの思いで、相談窓口の設置、住居の提供、就労・就学の支援の3つを軸に支援策を設けてまいりました。 まず、相談窓口につきましては、公益財団法人高知県国際交流協会に設置しております外国人生活相談センターにおいて、生活に関する各種のサービスへのつなぎや、手続面での支援などを行う体制を整えております。 次に、住居につきましては、県職員住宅、県営住宅を合わせまして、現時点で28戸を無償で提供できる見通しがついております。就労・就学につきましても、国や市町村、民間企業の方々などと連携し、支援を行うこととしております。 また、先日発足されました高知ウクライナ友の会など、支援活動を行う民間の皆様との連携を深めるとともに、県のホームページなどを通じて、県民の皆様、企業の皆様に対しまして、避難民の方々を支援するボランティアや、避難民の方々への就労の場の提供などを募っているところです。 県といたしましては、今後も様々な方々と連携して、できる限りの支援策を整備するなど、ウクライナから本県に避難してこられる方々に安心して暮らしていただけるよう取り組んでまいります。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) 中山間地域の救急医療の現状と今後の維持に向けた取組についてお尋ねがございました。 中山間地域では、医療機関へのアクセスが不便であることや、人口の減少と医療従事者の確保の問題などにより、医療提供体制の維持が厳しくなっています。こうした中、本県ではICTを活用し、救急車での搬送中の患者さんの状況を搬送先の医療機関と共有し、救急車内において救命処置が行える体制を整備するとともに、ドクターヘリの配備などを行い、中山間地域の救急医療体制の充実強化を図ってきたところでございます。 今後も、少なくとも二次医療圏単位で、脳梗塞に対する血栓溶解療法が実施できるなどの二次救急医療体制を維持するため、中山間地域で頑張っていただいている医療機関や医師会などの協力を得ながら、地域医療の機能分化や連携を一層強化してまいります。   (土木部長荻野宏之君登壇) ◎土木部長(荻野宏之君) 建設現場のデジタル化の促進と幅広い人材の確保についてお尋ねがございました。 本県における建設業の従事者数は近年大きく減少し、高齢化が進行するとともに、次世代を担う若者などの入職者が少ない状況が続いております。こうしたことを踏まえ、本年2月、建設現場のデジタル化による生産性向上の推進と人材確保策の強化を大きな柱として、建設業活性化プランの改定を行いました。 生産性向上の推進については、これまで紙の図面に表示していた設計図を、完成後の構造物がイメージしやすくなるよう画像を用いて立体化するとともに、このデータを使って建設機械をコントロールするICT化を進め、経験の少ない若者や女性も活躍しやすい環境整備に努めております。加えて、令和3年度にICT関連機器の導入費用等を補助する制度を創設し、23者に補助を行いました。補助を受けた事業者には、現場見学会などを通じてICT関連機器の活用の様子や効果を近隣の事業者に発表していただいており、補助制度を活用したデジタル化の成功事例を県内全域に展開しているところです。 また、人材確保策の強化に向けては、次世代を担う人材に建設業が果たす社会的役割を理解し、関心を持ってもらうことが重要です。このため、高校生とその保護者を対象に、ドローンを使った測量やICT施工技術を紹介する現場見学会の実施、さらには小中学生への出前授業として、ドローンや建設機械の操縦体験、防災学習などを実施しています。 引き続き、建設業の持続的な発展のため、デジタル化による生産性向上を進め、産業としての重要性や魅力の発信を建設業界と共に行うことで、女性や若者などの入職につながっていくような取組を行ってまいります。   (中山間振興・交通部長中村剛君登壇) ◎中山間振興・交通部長(中村剛君) 特定地域づくり事業への支援についてお尋ねがございました。 議員御指摘のように、特定地域づくり事業は単なる労働力の確保にとどまらず、産業や地域活動の担い手を育成することで地域の活性化につなげていく取組であり、本県中山間地域にとって大変重要な事業、制度だと考えております。 この事業の推進に当たりましては、市町村長をはじめとした関係者への説明会の開催、事業構想や収支計画の作成などについて助言を行うアドバイザー制度の創設、また構想が具体化してきた地域のプロジェクトチームへの参画など、市町村と一体となった取組を進めてまいりました。 その結果、昨年12月に東洋町におきまして県内で最初の特定地域づくり協同組合が設立され、次いでこの3月には馬路村でも設立されたところでございます。この事業、制度をさらに県内各地に広げていくため、現在市町村や商工会等を個別に訪問し、先行する2つの組合の具体的な事業内容や計画の策定手順、運営方法に関するノウハウについて説明するなど、制度の導入に向けた働きかけを行っているところでございます。 一方で、先行した2つの組合からは、必要な職員が十分集まらず、事業計画どおりの収入が得られないため、安定的な運営に御苦労されているといった声もお聞きしております。こうした課題への対応としては、何より計画どおりの人員を確保し、収入増による経営の安定化を図ることが重要となりますことから、県ではまず人員確保の支援策として、現在行っておりますU・Iターン相談会あるいは移住ポータルサイトを通じた組合に関する情報発信をさらに強化してまいります。 例えば、特定地域づくり協同組合という制度あるいはその仕事の魅力を周知するため、ポータルサイトに新たに職員のインタビュー記事を掲載するなどの取組を行ってまいります。また、この制度は地域おこし協力隊の任期終了後の活躍の場ともなり得ることから、県内の協力隊に対しましても広く研修の場などを通じて、仕事内容あるいは求人など、情報を紹介してまいります。 あわせまして、経営面での支援策につきましては、県による個別組合への直接的な運営費支援はなかなか難しいのではないかと考えておりますが、高知県中小企業団体中央会と連携しながら、組合の経営状況をしっかり把握した上で、それぞれのニーズや課題に応じた財務や税務、労務管理に精通した専門家を派遣し、事業構想の見直しを行うなど、ソフト面での取組を強化してまいります。 先行の両組合がモデル事例、成功事例で育っていくことは、本事業の横展開を図る上で大変重要でございます。県としましても引き続きこうした取組を通じまして、安定的な事業運営につながるようしっかりとサポートしてまいります。   (総務部長徳重覚君登壇) ◎総務部長(徳重覚君) 県庁において職員が旧姓を使用できる場面や利用状況についてお尋ねがございました。 職員が働きやすく、能力を発揮しやすい職場環境づくりを進めることを目的として、職員が旧姓を使用できる制度を知事部局では平成14年11月から導入しております。具体的には、旧姓使用の届出により、在職証明といった職場の身分に関する文書で、対外的に法律関係が形成される場合など一部の例外を除き、幅広い場面で旧姓を使用することが可能でございます。 また、制度の利用状況につきましては、導入直後の平成15年4月1日時点の8名から、令和4年4月1日時点で118名の職員が利用しております。年々利用者数も増加しており、職員の旧姓使用は定着しているものと考えております。   (教育長長岡幹泰君登壇) ◎教育長(長岡幹泰君) まず、子供たちに日本人としての自覚を芽生えさせるために、今後どのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 こんにちは、さようなら、ありがとうなどの挨拶はコミュニケーションの基となるものであり、人間関係を築く上で重要なものでございます。子供たちは、挨拶の意義や必要性、またその方法、さらに他国の挨拶の方法や習慣などを学ぶ機会が段階的、継続的に用意されることが必要であると考えております。 現在、学校では道徳科の授業において、挨拶を含めた礼儀の大切さについて子供の発達段階に応じた学習を進めております。また、児童会・生徒会活動や学校行事など、あらゆる場面を捉えて挨拶の習慣化を図っております。さらに、地域の方々や民生・児童委員の方などによる登下校時の挨拶運動なども実施されております。ただ、こんにちは、さようならなどの挨拶の言葉の持つ意味やその由来については、学習指導要領にも規定がなく、これについての指導や学習を行っている事例は少ない状況でございます。 しかし、議員がおっしゃられるように、挨拶の言葉にはその国独特の文化や考えが内在されているものであり、その意味を学習することは、日本や他国の歴史、伝統文化を理解することにつながるものでございます。さらに、日本人としての自覚の芽生えにもなり、挨拶の言葉を考えることは価値ある学習になるものと考えます。 今後、県教育委員会としましては、道徳教育ハンドブック「家庭で取り組む 高知の道徳」の改訂等において、児童生徒が我が国の歴史や文化、伝統に関連させて、挨拶の由来やその言葉の持つ意味について学ぶことができるよう、そうした学習内容を盛り込んでいくことを検討してまいります。 次に、日本の国旗・国歌の成り立ちやその意味を子供たちの段階に合わせて教えていくことについてお尋ねがございました。 国旗及び国歌には、その国の建国の由来や歴史文化が表され、あるいは国民の理想や願いなどが込められているものであり、それらを尊重する態度を養うことは大変重要であると考えております。 学校における国旗・国歌の指導については、学習指導要領に段階的に位置づけられており、国旗と国歌の意義を理解し、これを尊重する態度を養うとともに、諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を養うよう配慮することとなっております。そして、実際社会科の教科書には、日本の国旗は白地に太陽が赤く輝いている様子を表していることや、日の丸が国旗として扱われるようになった歴史的背景などを記述しているものがございます。また、国歌君が代は、平安時代に作られた和歌を基にして、明治時代に今日のような旋律がつけられたとして示されているものもあります。 子供たちは、このような教材を使って国旗や国歌の意義について学んできております。こうした学びに加えて、入学式や卒業式などでは国旗を掲揚し、国歌を斉唱することにより、国旗・国歌を尊重する態度を育むことを学校教育の中では大切にしております。 教育委員会としましては、今後とも各学校においては学習指導要領に沿い、また子供たちの発達段階に合わせて国旗・国歌の意義についての指導を行うよう、そして国旗・国歌に対する正しい取扱いが確実になされるよう、市町村教育委員会と連携し、指導の徹底を図ってまいります。   (観光振興部長山脇深君登壇) ◎観光振興部長(山脇深君) NHK連続テレビ小説らんまんをきっかけに来県された方の周遊促進の取組についてお尋ねがございました。 らんまんの放送は、牧野博士ゆかりの地はもちろん、本県の強みである歴史や食、自然体験など本県の魅力を余すことなくPRし、県内各地を周遊していただく絶好の機会と考えています。このため、これまでの対策に加えまして、特に次の3つの点について周遊促進策を強化したいと考えています。 まず1点目は、多くの方が利用するこうち旅広場や桂浜公園などにおける観光案内機能の強化を図ってまいります。大画面モニターによる県内各地の情報発信の内容をより充実させますとともに、デジタルツールを活用いたしまして、各地域の旬の情報やライブカメラの映像配信、イベント情報などをリアルタイムに紹介してまいります。 2点目は、多くの集客が見込まれます地域の草花に関連するエリア、こちらから周辺の観光スポットへの周遊を促してまいります。草花を楽しめるエリアでは、今後必要となります草花ガイドの方を増やしていくこととしております。この方々には、周辺地域への周遊を促す役割も担っていただきたいと考えており、そのためのガイド研修の充実も図ってまいります。 3点目といたしましては、これまで整備を進めてまいりました各地域の拠点となる観光施設におきまして、その施設から圏域への周遊促進機能をさらに高めていきたいと考えています。 これら旅行中における周遊促進策の強化に加えまして、旅行の前から県内を広く周遊する旅行計画が立てられるよう、今後の県外でのセールスやプロモーションの際には、牧野博士関連施設と本県の観光資源をセットにした情報発信に努めてまいります。 らんまんの放送には、観光事業者の方々をはじめ、県内の多くの方々が大変大きな期待を寄せておられます。経済効果が県内全域により広く波及するよう周遊促進を図り、こうした期待にしっかりと応えていきたいと思っております。 ◆17番(弘田兼一君) 知事、そして部長、そして教育長、丁寧で前向きな御答弁をありがとうございました。第2問はいたしません。 今回、心の教育ということで、境野先生の本から質問をつくらさせていただきました。この本をもっともっと紹介したかったんですけれど、紹介すると質問が少なくなってしまいますんで、大分省かせていただいたんです。やはり私たちが日本で暮らしていく上では、日本人としてのアイデンティティーをいかに持つか、今教育長の御答弁の中にも一生懸命教えられておるということは私にも伝わってきました。 私は今65歳なんですけれど、私が小学校、中学校、義務教育の頃は道徳教育すらなかったということです。道徳という教科を習ったことなんかありませんでしたし、国歌も習ったことはありませんでした。ですから、当時国歌というのは相撲の歌だとか、そんなことが流れているような記憶があります。ただ、こういったことをきちんと子供たちに教えていくことは、日本がこれからまだまだ発展していかないといけないし、その子供たち自身の将来にとっても大切なことではないかというふうに思います。今グローバル化が叫ばれておりまして、外国へ行けば、日本人、あなたの国はどういった国ですかという問いは必ずあります。そういったことに明確に答えられるように、これからも教育を続けていっていただきたいというふうに思います。 それから、国歌君が代については、先ほど習ったことはないと言ったんですけれど、いろんな場面で歌うと、もう本当にいい歌だなというふうに思います。意味は、この日本のこころの教育を読むまで、実は知らなかったんですけれど、千代に八千代にさざれ石の、そういったところは、私も本当に長い長い年月を生きていく、そういったところで非常に共感するところでもあります。国歌が流れる場面がたくさんあります。昔は国歌を歌うと変に思われたんですけれど、今は例えばスポーツの試合であるとか、そういったところに必ず国歌と国旗は出てきます。ですから、自分たちの国歌と国旗が恥ずかしくない、世界に誇れるものであると、立派なものであると、そういったことを子供たちの心に植え付けていただきたいということをお願い申し上げまして、私からの一切の質問といたします。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(明神健夫君) 暫時休憩いたします。   午前11時25分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(西内隆純君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 33番岡田芳秀君。   (33番岡田芳秀君登壇) ◆33番(岡田芳秀君) 日本共産党の岡田芳秀でございます。会派を代表して、質問をいたします。 初めに、諸物価が高騰している問題です。 ここに来て、物価高騰が暮らしと経営を直撃しています。コロナ禍からの経済回復による供給不足、穀倉地域の天候不順による不作などにより既に上がり始めていた原料、食料などの物価高がウクライナ危機により一気に顕在化をしました。 3月の消費者物価指数、生鮮食品を除く総合は、前年同月比0.8%の上昇となっています。しかし、この数字は生活実態を反映していません。食品や電気、ガスなど生活に欠かせない品目に特化した基礎的支出は4.5%の上昇となっています。4月の消費者物価指数は2.1%上昇していますが、中身を見ると、食料品は4%値上がり、中でも小麦粉は15.2%、食用油は36.5%も値上がりしています。生鮮野菜も天候不良などの影響で12.2%高くなり、生鮮魚介も燃料費や輸送コストの上昇により12.1%値上がりをしています。また、日々の生活に欠かせない電気21%増、ガス17.5%増、ガソリン15.7%増の価格高騰は引き続き深刻です。 食品主要メーカー105社の価格改定計画に関する帝国データバンクの調査、5月21日発表によりますと、6月以降に食品3,615品目の値上がりが予定されています。今年の値上げ計画の約4割が6月以降に実施される見通しです。帝国データバンクは今年の夏は値上げの夏となりそうだと指摘をしています。 重大なことは、光熱費や食料品などの生活必需品で物価上昇率が高いため、低所得者ほど重い負担になっていることです。また、コロナ禍の下で踏ん張ってきた地域の事業者、1次産業を支えてきた事業者が、この物価高騰で一気に廃業、離農となれば、地域経済と地域社会の崩壊をもたらすことも懸念をされます。 まず、この物価高騰の本県への影響に対する認識と、対策に向けた決意を知事にお伺いいたします。 世界的な物価高騰となっていますが、日本にはさらに大きな要因があります。アベノミクスの第1の矢として進められた異次元の金融緩和です。事実上の日銀の国債引受けという禁じ手により円安を誘導、あふれ出した資金が株式に集中し株高を演出しており、一部の大企業、富裕層に巨額の富をもたらしました。経済の6割近くを占める家計は、円安による負担増、さらに2度にわたる消費税増税で消費は低迷を続け、先進国で唯一成長できない異常な経済をもたらしています。 その上、欧米の中央銀行がインフレ対策として金利引上げに踏み切る中で、日銀は政府の借金の半分、500兆円もの国債を引き受けていることから、金利引上げをすれば国債価格が下落し、日銀の債務超過、円の国際的信用の失墜という破局的事態となることへの懸念から身動きが取れずにいます。そのため、金利の高い金融商品を求める投資マネーが日本から逃げ出し、円安が進行しています。原材料の多くを輸入に頼る日本では、円安で物価高騰に拍車がかかっています。 日本銀行法は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することとなっています。日銀を政府の子会社扱いし、とめどない円安と物価高騰をもたらしたアベノミクスの罪は極めて重く、その是正に向かわなければ、県民の暮らしと営業は守れないと思いますが、知事に御所見をお聞きいたします。 問題を深刻にしているのは、雇用破壊、社会保障改悪、消費税増税の新自由主義政策によって国民の可処分所得が減らされ、日本が長期の消費不況に陥ったことです。一方、大企業は空前の利益を上げてきました。3月期の決算を見ると、軒並み過去最高の純利益や経常利益を記録しています。しかし、その果実は賃上げにも設備投資にも回らず、トリクルダウンは起きませんでした。新自由主義政策の破綻は明白だと考えます。 内閣府が2月7日に発表したミニ経済白書でも、日本経済の成長が弱まった要因として、企業の利益ばかりが増えて労働者の賃金が低下していること、非正規雇用の増加に伴って働く人の収入が二極分化し、若年層の貧困と格差拡大が進行したことなどを指摘しています。 日本共産党は、アベノミクスによる減税で積み上がった大企業の内部留保130兆円に5年間2%の課税をし、10兆円の財源で中小企業を支援しつつ最低賃金を大幅に引き上げること、世界86か国で実施をされている消費税率の減税に日本も踏み出し、国民の可処分所得を増やす政治に転換し、物価高騰の打撃を和らげながら日本経済を立て直すことを提案しています。 格差の是正、国民の暮らしを豊かにする分配を強化する政策こそが求められていると思いますが、知事に考えをお聞きいたします。 政府は4月26日に策定した「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」で、地方創生臨時交付金のコロナ禍における原油価格・物価高騰対応分1兆円を創設しました。この交付金は、自治体が給食費を時限的に引き下げることや無償にする等の取組、仕入価格や燃油の高騰で収入が減少した事業者への支援や、認可保育園等の建設、整備が建築資材高騰で行き詰まる事態への支援に使えることが国会質疑で明確になっています。地方創生臨時交付金の2021年度の繰越分も合わせて活用ができます。 県や市町村が物価高騰対策を進めるための情報収集と発信をしっかり進めていただきたいと思いますが、知事に決意をお聞きいたします。 次に、軍事費増額の動きなど平和をめぐる問題です。 ロシアのウクライナ侵略は、ひとえにロシアが悪い、このことは明らかです。武力によって現状を変更することは、国連憲章に違反をするものであり、決して許されません。厳しく批判をするとともに、一刻も早く兵を引くことを強く求めたいと考えます。 他方で、国内では、ウクライナ危機に乗じて敵基地攻撃の保有とか軍事費の2倍化など、憲法9条をないがしろにする主張がなされています。軍拡のオンパレードという事態にもなってきております。私たちは、武力対武力という危機を呼び込む悪循環や民主対専制という軍事ブロック的対応、排除の論理ではなくて、国連憲章の下で体制、政治的立場の違いを超えて、全ての関係国を包摂した対話の枠組みをつくることこそ希望ある道だと提案をしています。それはASEAN--東南アジア諸国連合が既に実施していることで、米、中、韓、ロなど関係各国を巻き込み、紛争を戦争にしない粘り強い真剣な努力をしていることから学ぶことが大切だと考えています。 軍事費をGDP比2%とするとなると11兆円を超します。世界で第3位の軍事大国になります。日本を軍事対軍事への危険な道に引き込むことにつながります。財源はどうするのか。5ないし6兆円の増額が必要となり、そのためには消費税率を2%上げるか、社会保障を削減するのか、例えば医療費の窓口負担は5兆円台なので、窓口負担を2倍化するのか。さきの財政制度等審議会財政制度分科会の分析も、他の経費の増減抜きに議論ができないとくぎを刺しています。その議論を避けるために、安倍元首相が言うように国債で賄うとなると、戦前のような歯止めのない戦費調達につながる危険があり、そもそもその戦前の教訓から、財政法は赤字国債を禁止しているわけです。 防衛費の大幅増は、国民生活、地域経済を押し潰すことになると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きをいたします。 新型コロナ感染による死亡者が3万人を超しました。その約4割が今年に入ってからのものです。重症化しないどころか、最も犠牲者を出しているのがこの第6波、オミクロン株による感染拡大です。そもそも重症化などの判定基準は、肺炎を特徴としたデルタ株対応のもので、上気道での感染から全身に影響を及ぼすオミクロン株には対応しておりません。 厚労省は、新型コロナウイルス患者のうち、この1月から3月に自宅で死亡した人が、少なくとも555人いたことを明らかにしました。このうち39%がワクチンを2回接種済みであり、死亡直前の診断時に軽症、無症状だった人も43.4%に上っています。さらに、患者の3割程度に後遺症が見られ、その中には日常生活を送るのは不可能なほどの深刻な状況も報告をされています。東京都の発表では、オミクロン株はデルタ株に比べ全身倦怠感の症状が出やすく、感染しない取組を呼びかけています。 死亡者の多さ、深刻な後遺症の問題など、オミクロン株は決して軽いものではないことをしっかり認識することが重要と思いますが、健康政策部長にお聞きをいたします。 これまで政府は、ワクチン接種した方などに対するGo To キャンペーンの再開を後押ししてきました。ワクチン接種したら9割感染を防ぐことができるという厚労省のデータが、海外の2割というデータとそごがあることに疑問を持った学者の指摘で、このデータはワクチン接種歴が未記入だった人を未接種扱いとしていたことが明らかになりました。 現在、厚労省のデータでは、オミクロン株ではワクチン未接種の人と2回接種の人で感染予防効果は変わらないとなっております。この点での行政の正確な情報提供が求められると思いますが、知事にお聞きをいたします。 厚労省の調査で示されているように、4割の方は症状が急変し死亡しています。これは、第82回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの4月27日付で公開されています。したがって、患者はコロナ対応の病床で対応するという基本を徹底すべきだと考えます。特に、オミクロン株での死亡の大半を占める高齢者の施設での感染では、この原則の徹底がとりわけ重要です。 感染者は原則感染症対応病床に入院という原則の重要さ、また実際の運用についての認識を健康政策部長にお聞きをいたします。 一方、新型コロナ感染症の厄介なところは、多くの人は無症状も含めて軽微な影響で済むことです。誰もが同じような症状になるなら、共通認識が容易に確立しますが、それができない本当に厄介なウイルスです。だからこそ、感染拡大を防止しながら、いかに社会的、経済的な打撃を避け日常を取り戻すのか、対応が問われています。 それにはPCR検査の徹底した活用です。検査はPCR検査でないと意味をなしません。国立感染症研究所のホームページにも抗原定量検査はCt値30が限界であるとなっています。Ct値40まで検査できるPCR検査の1000分の1の感度しかありません。抗原定性検査は、Ct値25ぐらいが限界と指摘をされています。Ct値とは増幅の回数です。Ct値三十幾らで陽性が確認できる検体を、抗原検査では見逃します。抗原検査は陽性の確認はできるが、陰性の証明にはなりません。 この3月、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会メンバーで、日本感染症学会の理事長も務めた舘田一博教授が、自らの体験談として、喉がむずむずするくらいで高熱もなく、抗原検査を2日続けて受けても、いずれも陰性だったが、せきがひどくなり熱も出たのでPCR検査を受けたら陽性だった、今、冷静に考えるとなぜもっと早めにPCR検査をやらなかったのかと思うと語っています。 学校のクラスで陽性者が出たら同じクラスの全員を検査して陰性なら出席ができる。また、濃厚接触者も検査で陰性を確認すれば仕事に復帰ができる、陽性者も陰性が確認できれば復帰できるというシステムの確立が必要ではないでしょうか。潜伏期間を考慮して2度検査するなどの対応も重要です。医療、高齢者施設、保育、学校などで働く人には、2日に1回など頻回、定期的なPCR検査で、社会活動を安定して実施できるシステムの確立が必要です。無料で気軽に検査できる会場の確保は引き続き重要です。また、安価で大量に検査ができる、短時間で結果が分かるなどの新型のPCR検査機器も次々と開発をされています。新型コロナ感染症は、次々と新たな変異株が生まれており、オミクロン株で終わるとは期待できません。 感染拡大を防止しながら社会活動を回していくには、徹底したPCR検査の活用しかないと思いますが、健康政策部長にお考えをお聞きいたします。 次に、物価高騰対策に関わり、いわゆる県版Go To Eat、「食べて!飲んで!高知家応援キャンペーン」についてお聞きをいたします。 報道によれば、知事は会見において、ランチよりもディナー、小規模よりも比較的規模の大きな宴席を後押しすると述べたと報道されています。昼間営業する喫茶店などの飲食業は、この間、営業時間短縮要請協力金の対象にならず、相対的に顧客単価も低いため、一層厳しい苦境にあると言えます。実際に、東京商工リサーチの調査によれば、2021年の喫茶店の休廃業及び解散が2000年の調査開始以降で初めて100件に達し、過去最多を記録しています。また、昨今の物価高騰を価格に転嫁することも、顧客単価が低い喫茶店などでは困難であるのが実態です。 知事の発言は、このような苦境にある昼間営業の小規模飲食事業者の実態を軽視しているのではないか。喫茶店などの小規模飲食事業者には支援が必要ないというお考えなのか、知事にお聞きをいたします。 今回の県版Go To Eatでは、従前500円の額面で発行されていたクーポンが5,000円券など額面の大きなものに変更されています。クーポン利用ではお釣りは出ないわけで、これでは知事がまさに言うようにランチ、つまり顧客単価が相対的に低い昼間営業の小規模飲食事業者等にとっては、メリットが薄いと言わざるを得ません。少なくとも、物価高騰対策として事業を展開するというならば、多様な飲食事業者がひとしくメリットを享受できるような施策にすべきではないか、また利用者が使いやすいように少額でも購入できるようにすべきではないかと考えます。 従前のように、額面は500円を基本としてクーポンを発行すべきではないかと考えますが、知事にお聞きをいたします。 次に、農政について伺います。 世界で気候変動や長期化するコロナ禍、ロシアのウクライナ侵略により食料価格が過去最高のペースで上昇しています。FAO--国連食糧農業機関は、2022年3月の食料価格指数、これは2014年から2016年の平均を100として、変化を指数化したものですが、159.3ポイントで、2月を17.9ポイント上回り、1990年の統計開始以来、過去最高値を更新する高騰だと発表しました。食料価格指数は穀物、肉、乳製品、食用油、砂糖の価格動向を示すものですが、これらが全て上昇しています。特に食用油は2月から3月にかけて46.9ポイント増の248.6、穀物は24.9ポイント増の170.1と、史上最高を更新しています。1か月の上昇幅も史上最高です。 とりわけ、ロシアのウクライナ侵略が食料の供給網に大打撃を与えています。ウクライナとロシアで世界の小麦輸出の30%、トウモロコシ輸出の20%を占め、ヒマワリ油はウクライナ1国で8割近くを占めています。ロシアは侵略軍の撤退を拒否しており、ウクライナでは穀物等の物流が滞り、冬小麦の収穫や輸送も危ぶまれております。加えて、気候変動や肥料危機によって、アメリカやブラジルなどの食料生産にも黄信号がともっています。 国連のグテーレス事務総長は、ウクライナ危機により人類の5分の1を超える17億人もの人たちが貧困や飢餓に追いやられる可能性がある、これは過去数十年見られなかった規模だ、国連は全ての国に対し、買いだめや不当な輸出規制をやめ備蓄分を飢餓のリスクが最も高い国に提供するよう求めると警告をしています。 EU--欧州連合は、ウクライナ危機に対応して3月23日に欧州食料安全保障危機対応メカニズムを発動し、農家や消費者に対する支援に乗り出しています。その内容は、1、休耕地での飼料・食料用の穀物の緊急増産、2、直接支払いの増額、肥料価格上昇などに対する追加の財政支援、3、食品の付加価値税、消費税の引下げ、4、貧しい人々への援助基金を活用した食料支援などです。 これに対して日本はどうか。1つには、米を作るなと言うだけでなく、転作で麦、大豆、飼料を作る支援の交付金をカットしようとし、水田潰しと食料減産・自給率低下に拍車をかけています。2つ目に、肥料、飼料、燃油高騰対策は適切に検討するということでお茶を濁していると言わなければなりません。3つ目に、消費税の引下げについては全然考えていないと拒絶をしています。困っている人への食料支援も申し訳程度です。 コロナ禍とウクライナ危機で、食料も肥料も飼料も外国頼みにしてきた農政の破綻が浮き彫りになっています。国連が戦後最悪の食料危機を警告している今、岸田政権には危機感も有効な対策もなく、国民や農民に自己責任を押しつけています。食料自給率向上の目標も達成されたことがなく、本腰を入れて取り組もうとする姿勢が見られません。 長期化するコロナ禍とロシアのウクライナ侵略などにより、世界の食料危機が警告されている下で、食料安全保障の観点からも国内のあらゆる条件を酌み尽くして食料増産、食料自給率の向上に真剣に取り組むこと、またEUのような農家や消費者への支援に踏み出すよう政府に強く求める必要があると考えますが、知事の御所見を伺います。 本県においても、燃油の高騰に加え飼料や肥料、農業資材の値上がりが続いており、農家の皆さんの経営を圧迫しています。JAは6月1日から肥料などの値上げに踏み切りました。肥料の値上げの背景には、日本が化学肥料の原料をロシア、ウクライナ、中国など海外からの輸入に大きく依存をしているという事情があります。窒素、リン酸、カリの3要素のうち、リン酸、カリは100%輸入原料です。 農業機械の燃油、飼料や肥料、農業資材の高騰は農家にとって死活問題です。生産者は独自の努力で物価高に対応していますが、それにも限界があります。物価高騰はさらに長期化、深刻化することが懸念されており、生産者は国や県の支援を求めています。物価高が続く一方で販売価格は上がらず、農業経営は苦しくなるばかりです。ありとあらゆる資材の価格が高くなっており、支援をしないと農業を諦めてしまう人が出てきます。 飼料や肥料、農業資材などの安定供給と農家負担の補填を具体化するよう、県として国に求める考えはないか、また相談窓口の設置や農家負担の補填を県独自に実施する考えはないか、知事にお伺いいたします。 次に、農業の経営安定対策について伺います。農業の経営安定対策としては、米、麦、大豆などの土地利用型の農業経営には畑作物や米の直接支払交付金、水田活用の直接支払交付金、収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策などがあります。また、野菜、果樹等には野菜価格安定対策事業等があります。さらに、2019年、平成31年1月から収入保険制度が導入をされ開始されました。 しかし、それぞれの制度にはメリット・デメリットがあります。例えば、収入保険は、農作物であればほとんどのものが対象となり、対象品目が多い、取引先の倒産や本人や従業員のけがや病気による減収も補償対象になるなど補償範囲が広い、さらに地域を限定しない、出荷先も自由などのメリットがある反面で、青色申告でないと加入ができないとか、あくまで収入--農家にとっては売上げということになります--が補填されるので、肥料代や燃料の高騰等による所得減に対して、つまり資材に対しては対応できないといった問題があります。 施設園芸が多い本県では、野菜価格安定事業も重要です。この事業は、指定野菜、特定野菜等を対象に、価格が著しく低落した場合に生産者に価格差補給金が補給されます。この制度の問題は、1、地域の主力作物が中心で、加入したくても生産品目が該当しない、2つ目に、加入したくても、販売価格が安くて元手となる原資がない、3、補給金を受け取ると今度の負担金が増えるので、再度の負担金の支出が困難になってくる、こういった課題があります。そのため、農業従事者全戸に行き渡る事業とはなっていません。さらに、最低基準額、価格補填の対象となる下限の価格を下回った場合は交付の対象にはなりません。 この収入保険制度や野菜価格安定制度に対して、食料自給率の向上や地域活性化の観点からも、生産者が安心して農業を続けられるよう制度の改善を求める声が上がっています。これらの課題をどう受け止め、どう改善に取り組むのか、知事に伺います。 次に、有機農業の振興についてお聞きをいたします。気候変動への対策や持続可能性が重要な課題となる下で、有機農業が改めて見直されてきています。有機農業を推進するため、有機農業の推進に関する法律、有機農業推進法が2006年、平成18年12月に成立し、翌年4月に施行されて以来、15年が経過をしました。この法律において有機農業とは、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと、並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいうとされております。 この法律は、有機農業の推進に関して、国及び地方公共団体の責務を明らかにしています。県が定めた高知県有機農業推進基本計画、令和3年度からおおむね10年間を対象としていますが、有機農業の生産に係る目標を有機JAS認定事業者における有機農業の取組面積及び環境保全型直接支援対象で支援の対象となる有機農業の取組面積について、2017年、平成29年の151ヘクタールから、2030年、令和12年に408ヘクタールとすることを目標とする、また有機農産物生産の中心となる有機JASの認証農業者数を2017年の82人から、2030年に221人にすることを目標とするとしています。 他方、今年4月22日には、みどりの食料システム戦略のための法案、通称みどりの食料システム法案が国会において全会一致で可決、成立をいたしました。みどりの食料システム戦略、以下みどり戦略は、2050年までに有機農業を25%に拡大し、化学農薬をリスク換算で50%削減、化学肥料を30%削減する目標を掲げた、これまでの農政にはない画期的なものです。 しかし、大きな問題があります。それは、有機農業拡大の方向性はいいのですけれども、では日本はどのような持続可能な農業を、どのような食、社会を目指すのかという具体的な姿が見えてこないし、また共有できていないということです。現在、農業の技術革新、イノベーションばかりが先行して、地域やコミュニティー、農家の姿が見えてこないということが言えると思います。 このみどり戦略は、パリ協定、地球温暖化対策の国際的な枠組みに復帰したバイデン政権の下で変化してきているアメリカ農業の動向やEUの新戦略を踏まえて、農水省が打ち出したものです。多くの課題を抱えていますが、環境に配慮した食料システムの改革が必要だという国連食料システムサミットが示す認識まで、ようやく日本政府の認識が至ったということを示しています。他方で、農産物の輸出拡大を目指す政府にとって、世界的に環境への配慮の基準が厳しくなり、世界で有機農業が広がれば、有機でないと輸出が伸びないというロジックも存在をしています。 こうした流れの中で、高知県有機農業推進基本計画を達成するために、とりわけ有機農業の取組面積及び有機JASの認証農業者数の2030年目標を達成するために具体的にどう取り組むのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 また、有機農業の推進を図るには、人材の育成、産地化などの取組が重要です。県のみならず市町村での有機農業の推進体制の整備、市町村整備50%以上にするなども必要と考えます。 どのように推進体制の拡充を図っていくのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 加えて、学校給食での有機食品の利用など有機農業を地域で支える取組や、有機農業への消費者の理解をどう進めていくのか、農業振興部長に伺います。 次に、国民健康保険の保険料水準の統一について伺います。 国民健康保険制度の改革については、国の国保基盤強化協議会において、国と地方が国保の安定的な運営が可能となるよう長期間の協議を行い、平成27年2月12日に国民健康保険の見直しについての議論の取りまとめが行われました。その内容は、平成30年度から都道府県は国保の財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等の国保運営について中心的な役割を担うこととし、市町村は地域住民との身近な関係の中、被保険者の実情を把握した上で、保険料の賦課徴収、個々の事情に応じた資格管理、保険給付の決定、保健事業など地域におけるきめ細かい事業を行うこととされました。 また、都道府県は、市町村ごとの分賦金の額を決定し、この決定に当たっては、市町村の医療費適正化機能が積極的に発揮されるよう、市町村ごとの医療費水準を反映させるとともに、保険料率については市町村ごとに設定することを基本とするともされております。 あわせて、国保運営に最終的な責任を負っている国は、毎年約3,400億円の財政支援の拡充等を実施することにより財政基盤をさらに強化することとされました。このような国保制度改革を一体的に行うことにより、国民皆保険制度の最後のとりでである国保の持続可能性を高め、国保の安定的な運営が可能となるとされました。 しかし、国では令和3年度からの第2期都道府県国民健康保険運営方針の策定に合わせ、令和2年5月に改定を行った都道府県国民健康保険運営方針策定要領で、保険料率については市町村ごとの医療費水準や医療提供体制に差があることに留意をしつつ、将来的には都道府県での保険料水準の統一を目指すとし、保険料率の統一へ向けて大きく変更いたしました。この保険料水準の統一は、国民健康保険の見直しについての議論の取りまとめの内容とは大きく相違するものと言わざるを得ません。 そこで、制度改革が行われて僅か3年にも満たない中で、被保険者の負担に大きく影響を与えるこのような重大な変更が行われたことについて、どのような状況の変化や理由があったと考えているのか、知事にお伺いいたします。 他方、財務省では、財政制度等審議会の議論において、国保の保険料水準を統一することは、国保財政における給付と負担の関係の見える化を図り、都道府県を給付と負担の相互牽制関係の下で両者の総合マネジメントを行う主体としていく上で、極めて重要とするとともに、達成時期を区切るなど保険料水準の統一を一段と加速させる方策を講ずべきものともしています。また、保険料水準の統一が行われた場合、国保の安定化のために国が約1,000億円を負担している高額医療費負担金や特別高額医療費共同事業が不要となるともしています。 このため、財務省にとって保険料水準の統一は、国保の被保険者のことを第一と考えてではなく、地域医療構想や医療費適正化計画などと併せて、都道府県に医療費の増加抑制の全責任を負わせ、国費を削減するためのガバナンス強化の手段として行おうとしているのではないかと考えます。 市町村の保険料水準を見直すことによって、被保険者を犠牲にし、国費をカットすることを考えていると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 さて、国が強引に進めようとしている保険料水準の統一は、平成27年の国民健康保険の見直しについての議論の取りまとめにおける、安定的な運営のための前提が大きく変わったと思います。議論の取りまとめは、運営方法の在り方の見直しと3,400億円の公費の拡充は一体のものと考えられます。 このため、保険料水準の統一を行わなければ国保の持続可能性が損なわれ、安定的な運営ができないのであれば、3,400億円の公費についても見直しを行い、安定的な運営が可能となるよう再拡充を求めるべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。また、このような重要な問題は、事務レベルの協議だけでなく、国保基盤強化協議会を開催し、議論を行うべきと考えますが、併せて知事のお考えを伺いたいと考えます。 さて、現在県内では、令和12年度に保険料水準の統一を行うべく、県は市町村と協議を進めています。県の説明では、全ての市町村長が将来的な統一は必要という意見で、将来どこに住んでいても、同じ所得、同じ世帯構成であれば同じ保険料を目指すことにも異論はなかったとしています。 しかし、保険料水準の統一を行う時期については、反対の意見や慎重な議論を求める意見も出されています。これは、医療費水準の低い市町村の保険料が統一によって上がることについて、被保険者の理解を得ることの難しさからだと考えます。また、統一の前提として高医療費市町村の医療費適正化への努力を求める声もあります。県では、今後の国保の安定的な運営のために様々な方法の検討を行い、その結果保険料水準の統一以外に方法はないとの結論に至ったのか疑問です。 例えば、現在の納付金の仕組みにおいて、高額医療費負担金や特別高額医療費共同事業の検討はなされたのか、今後の国保の安定的な運営のためには保険料水準の統一が必要と考えて議論を進めている理由を知事に伺います。 現在、県内の市町村の医療費水準は、令和2年度で約1.9倍の格差があります。このままの状態で保険料水準の統一を行った場合、1人当たり保険料の額が、県の行った試算で宿毛市が2万5,585円、四万十市は2万1,261円上がるように、県内国保の安定は、医療費水準の低い市町村の被保険者の犠牲の上に確保されることとなります。医療費水準の違いには、市町村の健康づくりの努力もありますが、医療資源の偏在という問題もあります。保険料負担の統一の前提にはこの問題の解決が必要だと思います。 知事は、統一が予定されている令和12年度までに、医療費水準が低い市町村の被保険者が納得できる水準まで、この格差をどう是正しようとしているのか、お伺いします。 保険料水準の統一に向けては、被保険者の理解を得ることが極めて重要なポイントとなります。市町村任せでなく、被保険者である県民に対しての説明についてどう考えているのか、知事にお伺いします。また、国保の安定化については、国の負担を削る方向を根本から見直し、思い切った国費の投入が重要と考えますが、併せて知事の御所見をお伺いいたします。 最後に、土佐市宇佐でのメガソーラー開発について伺います。 住民グループ宇佐の自然を守る会代表で、トンネル工事等の施工計画業務に長年従事をしてきている専門家の方がこの間、事業者が初めて本格的に実施した簡易動的コーン貫入試験による地質調査結果を入手し、これに基づいて地山の安定計算を行っています。 その結果、「伐採していない状態で計算しても安全率は低く安定していない。斜面は約2.5メートルの深さまで軟らかい砂質土で、想像以上に土質が悪く不安定。斜面傾斜が40度もある斜面の木を伐採し、線状降水帯に襲われれば確実に滑ります。また、大雨を想定して、地層に0.3メートルの地下水がたまると崩壊する。開発計画区域は平均斜面傾斜は34度、スキーのジャンプ台に相当する急勾配です、最大40度、海岸まで1キロ。熱海の土石流は傾斜が15ないし25度、海岸まで2キロ。土石流は1から2万立米で発生する可能性がある。熱海より危険だ」と警告をしています。また、線状降水帯の危険を直視して降雨量の見直しを含め土質を踏まえた再審査を強く求めています。この地質調査結果は、この2月に出されたものであり、県の審査や土佐市への条例に基づく協議には反映をされていません。 初めての地質調査結果と、専門的知識を有する代表者の意見をどう受け止めているのか、また事業者のこの報告書を県が受け取ったのはいつか、併せて林業振興・環境部長に伺います。 次に、2020年8月27日付、知事名による開発許可に付した許可条件、留意事項は極めて重要であり、この条件に従わない場合は、この許可を取り消すことがあるとの一文は極めて重いものがあると考えます。 その一つの洪水調整池等の防災施設の先行設置を遵守させることが強く求められています。つい先日、5月22日の工事説明会での工事スケジュール資料には、必要なボーリング調査の実施予定も示さずに調整池工事より先に作業道や伐採の工事を始める、造成工事も調整池が完了する前に始める等の予定になっています。県は、説明会に参加した住民からの訴えで初めて知ったわけですが、許可条件に反して開発をしようとする事業者の姿勢は決して許されません。住民の皆さんの災害発生への不安、開発行為への不信がますます強まっています。 明らかに信用を失う事業者の姿勢であり、許可を取り消すなど厳しく対処すべきと考えますが、知事に見解を伺います。 また、2020年8月の林地開発の許可決定に際しての森林審議会の意見や、それを参考にした知事の開発行為許可の当初計画の重要な変更が次々となされようとしています。審議したとき、作業道は現在の幅4メートル、長さ1.5キロメートルを活用が、新たに1.4キロメートルを設置する、当初の自然斜面の表層土除去方針を残したまま太陽光パネル設置を検討する、立木の伐採については土地の変更行為に該当しないため防災施設の設置に並行して行うことを認めてしまう等々です。 これらは審議会で審議をした、土砂の流失または崩壊その他の災害を発生させるおそれがないか、水害を発生させるおそれはないか、水の確保や環境の著しい支障や悪化をさせるおそれはないのか、これらの審査、判断に大きく影響するものばかりです。許可時点の計画を、事業所の一方的な考えで、なし崩し的に変更を容認する、追認するようなことは決して許されません。 許可条件に関わる重大な変更であり、再度森林審議会の意見を聞き、県はそれを参考にすべきです。同時に、山地災害や地質等の専門家を森林審議会委員に選ぶ、また意見を聞く場を持つべきではありませんか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 さきの専門家の方は、私は人命を預かって建設工事に従事し、人命の貴さを体感している、先日県と話をする中で、地質調査の結果を踏まえて審査を見直そうともしないなど、県民の命を守る意識が欠落していると思う、激しい怒りを感じると率直に語っています。 ぜひこうした県民の思いを真摯に受け止め、熱海の土石流災害を繰り返させないため、県民の命を守り抜く立場で、県が総力を挙げて対応することを強く求めるものであります。 以上をもって、私の第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 岡田議員からの御質問にお答えをいたします。 まず、物価高騰の本県への影響に対する認識、対策に向けた決意はどうかというお尋ねがございました。 原油価格や物価の高騰は、コロナ禍からの回復を目指します県内事業者の活動あるいは県民生活に新たな負担を生じさせるものだと捉えております。特に、1次産業分野を中心に原油や飼料などの高騰が生産コストを上昇させ、経営を圧迫しつつあります。また、本県は生活福祉資金の特例貸付を受けた世帯の割合が全国に比べて高い状況にあるといったことなど、経済的に厳しい方の割合が高く、食料品などの高騰による生活面への影響も懸念をされるところであります。 こうした状況を踏まえまして、物価高騰による影響を最小限にとどめます効果的な対策を迅速に講じますように、全国知事会とも連携をして、国に対して積極的に政策提言を行ってまいりました。その結果、本年4月には、1次産業におきますセーフティーネット対策の強化、生活困窮者への支援などを盛り込みました「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」が政府におきまして閣議決定をされておるわけであります。この中には本県の提言も数多く反映されておりまして、県としても国の対策を最大限活用し、事業者や生活困窮者などへの支援を強化すべく、今議会に補正予算をお諮りしているところであります。 こうした補正予算の対策を迅速に講じますことで、事業者や県民生活への影響の緩和に努めます。あわせまして、県内の状況を注視しながら、国の動向、そして市町村の取組も踏まえまして、必要に応じて県として機動的に対処してまいる考えであります。 次に、物価高騰から県民の暮らしと営業を守るための国の経済政策の在り方についてお尋ねがございました。 安倍元総理が推進をされてまいりましたアベノミクスにおきましては、政府の財政出動と日銀による金融緩和などによりまして、我が国の経済が好転をし、各種経済の指標の改善が進んだと、そういった結果をもたらしているというふうに認識をしております。 一方、現下の情勢に目を転じますと、欧米と日本の金融政策の違いなどを背景といたしまして、急速に円安が進んでおります。この円安やウクライナ情勢などを背景といたしました現在の急激な物価高騰は、国民生活に大きなマイナスの影響を及ぼすものだと考えます。このため、さきに政府が決定をいたしました総合緊急対策など、影響緩和策を迅速に講じていくということがまずは何よりも重要だと考えております。 また、日銀の黒田総裁は、先日、コロナ禍からの回復途上にあります日本経済の状況を踏まえまして、金融引締めを行う状況には全くないという認識を示されました。政府におきましても大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略、これらを一体的に進めます経済財政運営の枠組みを堅持するという方針を打ち出しているところでございます。 引き続き、政府におきましては、物価高や円安の動向、経済状況などを注視しまして、機動的に対策を講じていただきたいと考えます。その上で、日本銀行とも意思疎通を図られまして、中長期的な物価の安定、さらには経済の持続的な成長を目指して取り組んでいただくということを期待しているところであります。 次に、いわゆる分配を強化する政策についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込みました経済を回復させ、我が国を再び成長軌道に乗せていくというためには、デジタル化や脱炭素化などの世界の潮流を捉えた成長戦略が不可欠であります。これと併せまして、成長で得た果実を全国あるいは国民全体に広く分配し、持続的な成長につなげていくということが重要だと考えております。 昨年10月に就任をされました岸田総理は、主要政策といたしまして新しい資本主義を掲げられました。成長と分配の好循環の実現に向けて取り組む方針を示されたところでございます。この方針に基づきまして、今月の7日には新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画が決定をされております。 この計画におきましては、我が国において成長の果実が地方や取引先に適切に分配されていないということ、そして設備投資や従業員給料に十分回されていないということが課題だとして挙げられております。その上で、次なる成長を阻害しているこうした目詰まりを、積極的な政策関与によって解消していくということが必要だという考え方が示されております。 こうした考え方の下、重点投資の柱の一つとして人への投資と分配を掲げ、賃金の引上げの推進、企業の人的投資を早期に倍増させるといった方針などが示されました。さらには、分厚い中間層の形成によって、格差の拡大と固定化によります社会の分断を回避する、そしてサステーナブルな経済社会の実現を目指すという方向も明示をされております。 今後、この計画に掲げられました施策の着実な実行を通じまして、成長と分配の好循環が図られまして、国民生活がより豊かになること、そういった方向が実現されることを期待いたしているところであります。 次に、県や市町村が物価高騰対策を進めるための情報収集、また情報発信についてお尋ねがございました。 今回の県の補正予算におきましては、地方創生臨時交付金を活用いたしまして、新分野への事業展開といった構造転換に挑戦をいたします事業者の方々、あるいは物価高騰などの影響を受けました事業者の方々を支援したいというふうに考えております。また、給食費の値上げ分でございますとか、私立学校の授業料の支援などによりまして、生活者の負担を軽減するための予算も計上いたしております。 他方で、今後も物価高騰などの影響が一定期間継続をしていくということは覚悟しなければならないというふうに考えております。このため、国の制度、施策の動向をしっかりと把握していくということはもとよりでありますが、事業者の方々、そして県民の皆さんの声をしっかりとお聞きした上で、市町村とも連携して必要な対策を講じてまいる考えであります。あわせまして、県の様々な支援制度などの情報が広く県民の皆さんに行き渡りますように、引き続き積極的な情報の発信を行ってまいります。 次に、防衛費の増額についてのお尋ねがございました。 今月7日に政府が閣議決定をいたしました、いわゆる骨太の方針におきましては、防衛力を5年以内に抜本的に強化するということが示されました。ロシアのウクライナ侵攻など国際情勢が厳しさを増す中でありますので、国民の皆さんの生命、財産を守るためには、我が国の防衛力を強化すべきという意見、声が出てくるということは理解できるところであります。 他方で、我が国が直面する課題は安全保障に限りません。コロナ禍からの社会経済の回復、地方創生の推進、少子高齢化に伴う人口減少、国土強靱化など行政課題は様々でございます。また、持続可能な経済財政運営を行うためには、財政の健全化についてもしっかりと目配りをしていく必要があるということは言うまでもございません。 こうした様々な課題についてバランスを考えながら、今後の防衛費の増額あるいは財源手当ての在り方について、国政の場でしっかりと議論をしていただくということが重要ではないかと考えております。 次に、新型コロナワクチン接種に関します正確な情報提供についてのお尋ねがございました。 現在、新型コロナワクチンは12歳から59歳までの方は3回、60歳以上の方は4回の接種を受けるように努めるとする予防接種法上の努力義務が課せられております。ただ、接種を拒みましても罰則の適用があるというものではございません。その意味で、強制ではないということがございますので、あくまで御本人が有効性、副反応といった正しい情報を参考に、接種するかどうかの判断をしていただくということになっております。 このため、議員から御指摘がありましたように、行政からの正確な情報発信が必要であるということは当然のことと考えます。私も、全国知事会のワクチンチームリーダーといたしまして、国民に対します正確で分かりやすい情報発信を国に要請してきたところでありまして、引き続きその旨を訴えてまいります。 また、お話がございました厚生労働省のデータによりますと、感染防止という観点から見ると、2回の接種ではこの感染力が強いオミクロン株に対しては十分でないということが明らかになりました。一方で、3回目の接種を受けられた方では、感染率が有意に低下をしているというデータも示されたわけでございます。このため、特に接種が進んでおりません若い世代の方に、積極的に3回目の接種を検討いただきたいと考えておりまして、県といたしましてもこうした正確な情報提供を引き続き行ってまいりたいと考えております。 次に、キャンペーンにおきます小規模飲食事業者への支援の必要性、またクーポンの額面についてのお尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えいたします。 今回の「食べて!飲んで!高知家応援キャンペーン」を設計するに当たりましては、可能な限り飲食店や旅館・ホテル業の皆さん方に直近の状況をお聞きして検討してまいりました。 その結果、ランチ、それから少人数の会食は一定程度客足は戻っているとしたものの、特に大規模の宴会が依然として厳しい、戻っていないという声を多くいただいたわけでございます。実際に、旅館、ホテルの本年4月の宴会人数は、コロナ禍前と比べまして7割以上減少というようなデータもございました。こうした声も踏まえまして、今回のキャンペーンにおきましては、引き続き低調な宴会需要の喚起ということに主眼を置きまして、券種の内訳といたしましては、5,000円券1枚と1,000円券及び500円券5枚のセットで発行するということといたしました。 これによりまして、大小を問わず宴会を促すということはもちろんでありますけれども、個人やグループによるランチなど、様々な形態で利用がいただけるものと期待をいたしております。県民の皆様には、ぜひ御家族やお仲間を誘って複数人数で御利用いただくと、あるいはこれを機にディナーに足を運んでいただくというきっかけとなればというふうに考えております。記者会見におきましては、苦戦が続きます飲食店を県民挙げて応援していただきたいという思いを申し上げたところであります。 このセットの内容に関しましては、飲食店や金融機関の方々に御意見を伺いましたところ、過去のやり方に比べますと、枚数を数える手間が削減をされる、その上に、数え間違いのリスクも軽減できるということでございまして、こうした方々からは大変好評をいただいたということでもございます。 こうした取組によりまして、コロナ等の影響を受けております飲食店のみならず、食材を供給される生産者の方々あるいは卸売の事業者の方々、さらには交通事業者の方々などの支援にもつながっていくということを期待しているところでございます。 次に、食料増産や食料自給率の向上に真剣に取り組むことなどを政府に求めるべきだという点についてお尋ねがございました。 お話がございましたように、干ばつなどの気候変動に加えてロシアのウクライナへの軍事侵攻も重なりまして、食料自給率の低い小麦、大豆などの価格が急騰をしております。このため、こうしたリスクを見据えた国内の農業生産の拡大などの対策を講じることが、一層重要となっていると認識しております。 こうした中、この4月に原油価格・物価高騰等総合緊急対策を政府が取りまとめました。この中で、輸入に頼っている穀物、飼料の国内生産の増強でございますとか、肥料の調達国の多様化などに取り組むといったこと、さらには地域の実情に応じまして、原油価格・物価高騰対応が行えますように、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を拡充するといった対策などが打ち出されたところであります。 我が国の食料の安定供給を図ります上では、現状のような厳しい状況下におきましても、農業者が意欲を持って生産をし続けられることが重要だと考えております。国におきましては、お話にございましたEUなどの制度も参考にしながら、我が国の実情に合ったさらなる支援策を十分に議論していただきたいと考えております。県といたしましても、引き続き国の動向を注視いたしますとともに、全国知事会などとも連携をし、必要な政策提言を行ってまいる考えであります。 次に、飼料や肥料などの高騰対策に対しまして、国への要望、県独自の対策の実施についてお尋ねがございました。 まず、国への要望に関しましては、4月12日に原油等価格高騰に対する総合緊急対策に関する提言を行いました。このうち農業分野におきましては、第1に施設園芸等燃油価格高騰対策の継続、第2に肥料等農業用生産資材の高騰に対応した新たなセーフティーネット制度の創設、第3に配合飼料価格安定制度の予算の確保と制度の充実、第4に飼料や肥料などの輸入原材料の安定確保対策の実施、この4点につきまして要望、提言をいたしております。その結果、4月28日に政府の「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」が閣議決定をされておりますが、この中にも多く反映されたというふうに考えているところであります。 その上で、さらに農家の経営コストに占める割合が高い燃油あるいは飼料の費用などにつきましては、県独自で緊急的に支援をするということといたしまして、必要な予算案を今議会に提案させていただいております。今後とも必要な対策が講じられますように、十分に意を用いてまいりたいと考えております。 一方で、お尋ねのありました相談窓口といたしましては、農業者の身近な存在であります各地域の農業振興センターあるいは家畜保健衛生所におきまして相談を受けております。今後も引き続き、価格高騰への相談も含めて、丁寧に対応してまいりたいと考えております。 次に、収入保険制度や野菜価格安定制度の課題の受け止め、そして改善についてお尋ねがございました。 お話にありましたように、これらの制度に対して、農業者の皆さんから様々な声があるということは承知をいたしております。このため、県として運用の範囲内で対応が認められている部分は、速やかな対応を図ってまいっております。例えば、コロナ禍によりましてシシトウ価格の大幅な下落が見込まれましたことから、野菜価格安定制度におきまして、価格補償の対象となります最低基準額を令和3年11月、12月におきましては引き下げるという改善を行いました。また、国が特例として1年間に限って認めました野菜価格安定制度と収入保険の併用につきましては、地方からの要望も踏まえて、2年間に延長されるといった柔軟な運用の改善も図られているところでございます。 お話にありました制度に加入するための資金は、既存の農業者向けの融資制度を活用して対応するということも可能でありますので、そうした点も含めて制度のPRを行いまして、加入促進を図ってまいります。 今後も、農業者の皆さんの様々なお声をお聞きする中で、必要に応じまして県で可能な運用の改善を図るということと同時に、全国知事会などとも連携をいたしまして、国に制度の改善を提言してまいりたいと考えております。 次に、国民健康保険制度改革におきます保険料水準の統一化をめぐる状況の変化あるいは理由についてどうかというお尋ねがございました。 この点につきましては、国からは平成27年2月の時点におきまして、保険料の算定は市町村ごとに設定をするということを基本としつつ、地域の実情に応じて、都道府県ごとに保険料率を一本化することも可能な仕組みとすると、そうした考え方が既に示されておったところでございます。 その後、令和2年5月に改定をされました都道府県国民健康保険運営方針策定要領におきましては、国保制度改革については、おおむね順調に実施をされており、今後は国保の都道府県単位化の趣旨の深化として、保険料水準の統一に向けた議論が求められるというふうに述べられているところであります。 こうしたことを見ますと、国は制度改革に対して、今回特に重大な変更を行ったものとは考えておりませんで、国保改革の実施状況を踏まえまして、将来的に保険料水準の統一を目指すと、こういう大きな流れをより明確にしたものだというふうな捉え方をしているところであります。 次に、市町村の保険料水準を見直すことによります国費のカットにつきましてのお尋ねがございました。 御指摘がありました国の財政制度等審議会におきましては、都道府県によるガバナンスの発揮を通じて医療費適正化をより実効あるものとする、そして国保財政におきます給付と負担の関係の見える化を図り都道府県を両者の総合マネジメントを行う主体としていく、そのために都道府県内の国保の保険料水準の統一等の加速化を図るべきと、こういった流れでの議論が行われているというふうに承知をしております。 一方で、国保制度につきましては、国民皆保険のいわゆる最後のとりでといたしましてその安定的な運営が求められているわけでございますけれども、他の健康保険の制度と比べまして、年齢構成が高い、医療費水準が高いということから保険料負担が重くなりがちであるということ、また一方で加入者の所得水準は低いといった構造的な課題を抱えておりますため、制度的に国費等の公費による財政支援が行われるという仕組みになっております。 国保制度が構造的な課題を抱える中で投入されています国費は、国保財政を支え、国保を安定的に運営するための大変貴重な財源となっているというふうに考えます。こうした国費が一方的に削減されるというようなことは、決してあってはならないと考えておりますが、仮にそのような動きがある場合には、必要な国費の確保につきまして、全国知事会とも連携をしながら、しっかりと意見を述べてまいりたいと考えております。 次に、公費の再拡充を求めること、そして国保基盤強化協議会の開催についてのお尋ねがございました。 先ほどお答えいたしましたように、保険料水準の統一につきましては、これは言わば都道府県レベルでの自主的な取組というふうに考えておりまして、国において制度改革に重大な変更を行ったというような性格のものではないと考えております。このため、国に、さきの制度改革の際に拡充されました3,400億円の公費の再拡充ということを直ちに求めるべき状況にはないというふうに考えているところであります。 また、現時点では、国は地方に対しまして、保険料の統一に向けました議論を深めるということは求めておりますが、これをペナルティーなどを設けて強要しているというわけではございません。このため、国に対しまして、国保の運営に重大な影響を与える制度改正などにつきまして国と地方で協議を行うための国保基盤強化協議会の開催を求めると、そういった状況には現在のところはないというふうに考えているところでございます。 次に、高額医療費負担金や特別高額医療費共同事業の算定方法の検討と、保険料水準の統一の理由についてお尋ねがございました。 まず、本県におきます高額医療費負担金と特別高額医療費共同事業の国保事業費納付金の算定方法につきましては、制度導入時に県と市町村で検討し決定をいたしております。その結果、レセプト1件当たり80万円を超えます医療費を対象に共同負担する高額医療費負担金につきましては、市町村の財政運営の安定に与える効果が少ないということがありまして、全体での負担は行わないということといたしました。 一方で、レセプト1件当たり420万円を超えます医療費を対象に共同負担をいたします特別高額医療費共同事業につきましては、小規模な市町村の財政負担の緩和を図る必要があるという考え方で、これは県全体で負担をするというふうな判断をしたところでございます。 ただ、そのような中でも、小規模な町村で高い医療費がかかる患者が多く発生した場合には、この特別高額医療費共同事業におきましてカバーできるのは、この420万円超の部分でございますので、この420万円までの部分でも相当な負担になってくるということはございます。そういう意味で、特別高額医療費共同事業では賄い切れないということで、保険料の急激な引上げが必要になってくるというような関係にあるというふうに考えます。 こうしたリスクをさらに小さくするということを考えますと、市町村ごとに医療給付費と保険料収入を均衡させるということではなくて、県全体で均衡を図る仕組みとしていくことが望ましいというふうに考えております。特に、人口減少、少子高齢化が全国より先行しております本県では、今後も国保の加入者が減少いたしまして、小規模な市町村国保の増加が見込まれます。こうした中で、国保を安定的に運営していくためには、県内国保の持続可能性、そして加入者間の公平性を確保するという観点からの保険料水準の統一が不可欠であるというふうに考えまして、統一に向けた議論を全市町村の合意の下進めてまいっているところでございます。 次に、医療費水準の格差についてのお尋ねがございました。 保険料水準の統一に向けましては、現在医療費水準が低く、統一により保険料負担が増える可能性のある市町村から、医療費の高い団体は医療費適正化の一層の努力が必要なのではないかという御意見をいただいております。一方で、高齢化あるいは医療の高度化によりまして、1人当たりの医療費が増え続けている中であります。それを考えますと、現在医療費水準が低い市町村におきましても、将来的に医療費が上がらないで済むという保証は全くないわけでございまして、こうした市町村におきましても、将来的に医療費が上がらないように取り組むということも必要なことだと考えております。 このため、各市町村の医療費を分析いたしまして、健康づくりなどによります医療費の適正化に、県全体で一層効果が上がるように取り組んでいく必要があるというふうに考えています。具体的には、県全体でのデータ分析に基づきまして、県と市町村が共通の目標を持ち、市町村のデータヘルスの計画と密に連携をいたしまして保健事業を推進していきたいと、そのために県版のデータヘルス計画の策定に取り組んでまいりたいと考えております。 こうした県全体の健康づくりに向けました効果的な保健事業を実施していくということを通じまして、国保におきます医療費の適正化も進めて、医療費格差の是正と保険料負担の軽減にもつなげてまいりたいと考えております。 次に、被保険者の理解をいただくということ、そして思い切った国費を投入すべきではないかということについてお尋ねがございました。 保険料水準の統一によりまして保険料水準の引上げが見込まれる市町村もございますので、お話がございましたように、国保加入者の理解を得るということは極めて重要なポイントであると考えております。このため取組を進めるに当たりましては、県と市町村で丁寧に議論を行うということはもちろんでありますが、こうした議論の状況につきましては、その資料や議事概要を公表いたしているところであります。 一方で、現時点では、全ての市町村が、方向性として将来的に保険料水準の県内統一が必要という意見ではございますが、具体的に統一をいつ行うかといった各論部分については、いまだ合意に至っているものではございません。今後、市町村との合意が得られましたら、市町村と共に、国保加入者の皆さんの理解を得るための取組をより積極的に力を入れて行ってまいりたいと考えております。 また、国の負担についてでございますが、平成30年度から低所得者向けの保険料軽減措置の拡充などといった、毎年約3,400億円--これは全国規模でございますが--の公費が投入をされ、国保の財政基盤の強化が図られました。これとセットの形で、国保の財政運営が県に移管をされるという制度の大改正が行われるものでございまして、この3,400億円については国の負担を削る方向ではなく、今後も国の責任において確実に投入されるべきものと、言わば県に財政運営が移管されることとセットとしての措置だというふうに考えております。 一方で、さらなる思い切った国費の投入を求めるべきではないかという点につきましては、今後国保財政につきまして大きな影響がある制度改正が行われるという場合には、全国知事会とも連携をしながら、必要となる国費の確保について意見を述べてまいりたいというふうに考えております。 最後に、土佐市宇佐のメガソーラー開発計画につきまして、信用を失いますような事業者の姿勢に対して、厳しく対処すべきであるという点でのお尋ねがございました。 この土佐市宇佐の太陽光発電施設の設置を目的といたしました林地開発につきましては、令和2年8月に森林法に基づきます許可を県として行っております。その後、土佐市の条例に基づきます土佐市との協議が行われており、令和4年4月にこの市との協議が終了いたしまして、同月に林地開発の着手届が県に提出をされたというような経緯をたどっているところでございます。 許可の際に付した条件につきましては、許可された開発行為が林地開発許可制度の趣旨に沿って適切に行われることを担保するためのものでありますから、事業者においては当然遵守すべきものと考えております。今般、事業者が住民説明会におきまして、許可条件の内容と異なる工事手順を示すというような形で、地元住民の皆さんを不安にさせる説明を行ったということは、誠に遺憾なことであるというふうに考えております。 ただ、現時点で申しますと、許可条件の内容と異なるような開発行為そのものはまだ行われていないというふうに考えておりまして、住民説明会におきます説明がこの許可条件の内容と異なっていたということだけをもって、許可条件に違反しているとまではまだ判断できないというふうに考えております。 こうした状況を踏まえまして、県といたしましては、事業者に対して、地元住民などの理解を得ていくということも含めまして許可条件を遵守するよう指導いたしました。その結果、事業者もこの点については従う意向を示しているところでございます。したがいまして、この太陽光発電施設の設置を目的としました林地開発が、法令にのっとり適切に行われますように、県としても定期的に巡回を行うということも含めまして、適切に事業者等を指導してまいりたいと考えております。 私からは以上であります。   (健康政策部長家保英隆君登壇)
    健康政策部長(家保英隆君) まず、オミクロン株についての認識についてお尋ねがございました。 国立感染症研究所の報告によりますと、オミクロン株はこれまでの流行株に比べ、感染から発症までの期間がより短く、また感染力が強いことが感染者数の増加に影響している一方、総じて重症化リスクの低下が示唆されております。 本県においても、オミクロン株が主流となった第6波において感染者が急増するとともに、高齢者施設などで大規模なクラスターが発生しました。その結果、第6波の前半である1月から3月の間に、基礎疾患をお持ちの高齢者など68人の方が残念ながらお亡くなりになりました。感染者の中でお亡くなりになった方の割合、すなわち致死率は0.53%でした。この値は、第5波以前の致死率0.79%と比べますと低くなっており、さらに今年4月以降で見ますと、12人がお亡くなりになっておりますが、ワクチン接種や迅速な入院治療などにより致死率は0.11%とさらに低下しております。一方で、季節性インフルエンザなどと比較して、重症化率や致死率が高いとされており、現時点ではまだまだ安心できないと認識しております。 また、療養期間の終了後も症状が遷延する、いわゆる後遺症で苦しんでおられる方がいるのも事実でございます。このため、県としましては、かかりつけ医によるフォローアップに加え、必要に応じ高知大学医学部附属病院に設置している遷延性コロナケア外来、いわゆる後遺症専門外来に紹介いただくなど、重層的な診療体制を構築しております。 新型コロナウイルス感染症に引き続く死亡や後遺症を減らすためには、感染者の減少が重要ですので、引き続き気を緩めることなく、感染対策の徹底やワクチン接種を推進し、感染拡大や重症化予防に努めてまいります。 次に、入院の重要さ、実際の運用についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の患者に対しては、流行の当初は感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律上、全員に入院勧告を行うことになっておりましたが、病態の解明や治療戦略の進歩に伴い、令和3年2月には、宿泊施設や自宅での療養を感染症法上に位置づけ、入院を勧告すべき感染者も施行規則で明示されました。現状では、さらなる知見を踏まえ、国の通知により入院勧告の対象を年齢や基礎疾患の有無などにより絞り込む運用がなされております。 本県における運用につきましては、国の通知に基づき、年齢や基礎疾患の有無などにより重症化リスクの判断を行い、無症状者及び軽症者は自宅療養もしくは宿泊療養とし、重症化リスクのある患者または中等症以上の患者は医療機関に入院する調整を行っております。 本年1月以降の第6波の流行では、全患者数約2万4,000人に対し、中等症以上の方の割合は1.4%でございました。ただ、65歳以上の高齢者では9.3%と7倍ぐらい高くなっております。そのため、重症化リスクのある高齢者などの場合は、抗ウイルス薬の処方を早めに行うとともに、症状、基礎疾患の有無、病状などのリスク要因を正しく評価して、入院の必要性を判断しております。 最後に、徹底したPCR検査の活用についてお尋ねがございました。 現在、新型コロナウイルス感染症において、ウイルスの重症化リスクが低いことやワクチン接種の効果などにより、県内でも第5波までと比較して重症化が抑制されていると認識しております。しかしながら、医療機関や高齢者施設など、より重症化リスクが高い集団において患者が発生した場合は、施設内でのPCRなどの一斉検査を速やかに実施することにより、感染拡大の早期抑制に努めております。 一方で、学校や事業所などの一定重症化リスクが少ない集団に対しては、一律に検査を行わず、症状が発現した場合には、早期に検査協力医療機関を受診していただくようお願いしているところです。また、症状はないものの感染に不安を感じる方については、県の臨時PCR等検査センターや薬局などにおける無料検査を利用して、不安を軽減していただいております。 なお、現在この無料検査につきましては、地域の感染状況を踏まえ、実施について国と協議することになっております。現時点では6月末まで継続することとしておりますが、7月以降については今後国と協議を行いながら検討してまいります。 PCR検査等をはじめとする検査の実施については、検査の特性と対象となる方の特性、またその時点の感染状況などを勘案して、柔軟に方針を立てるべきものと考えております。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) まず、有機農業の推進における具体的な取組についてお尋ねがございました。 国はみどりの食料システム戦略において、有機農業の面積拡大を取組方針の一つとして掲げておりますことから、県においても国に準じ、2030年には有機農業の取組面積を408ヘクタールに拡大し、有機JAS認証の農業者数を221人に増加する目標を高知県有機農業推進基本計画に位置づけております。 その目標を達成するためには、生産量と品質の向上や販路の拡大、担い手の確保・育成などの取組の充実強化が必要となります。このためまず生産量と品質の向上では、新たに育成する有機農業指導員が中心となって、生産者への栽培技術の指導を行うとともに、基礎研修の開催、施設園芸で培った天敵や太陽熱消毒などのIPM技術の有機農業への応用など、栽培技術の指導を強化してまいります。 また、販路の拡大では、県内量販店とタイアップした有機コーナーの設置や、県内外での商談会への参加などを通じて、新たな販路拡大につながる取組を支援してまいります。 担い手の確保・育成では、有機農業を志向する新規就農希望者などを対象とした有機農業の魅力を伝えるセミナーや、就農相談会の開催、農業担い手育成センターでの研修、有機農業団体と連携した新規就農者へのフォローなどの取組を強化してまいります。 さらに、今後は、現在実施しております有機農業の実態調査を基に、有機農業の拡大につながる取組の強化を図ってまいりたいと考えております。 次に、有機農業の推進体制の拡充についてお尋ねがございました。 有機農業を推進するには、地域地域において関係機関などが一体となって取り組むことが重要となりますので、市町村や農業振興センター、JA、有機農業者などによる推進体制の整備が必要となります。 そのため、まずは有機農業の取組などを支援する環境保全型農業直接支払交付金を活用しております四万十市や馬路村などの13市町村において、有機農業を希望する方の就農相談から研修、就農、定着に至るまでを一貫して支援する体制を整備していきたいと考えております。また、その他の市町村においても、有機農業の実態調査を基に、有機農業が行われている市町村に対しては交付金の活用に加え、推進体制整備を呼びかけてまいりたいと思います。 最後に、有機農業への消費者の理解などをどう進めるのかとのお尋ねがございました。 有機農業を推進していく上では、有機農業が果たす環境への負荷の低減や自然循環機能などを消費者に御理解いただくことが極めて重要となります。 そのため、県では、生産者団体や県内量販店と連携し、有機農業者と消費者との交流の場である高知オーガニックフェスタや、有機農産物を積極的に販売している県内量販店を通じて、消費者の有機農業への理解の醸成を図ってまいりたいと考えております。また、消費者や生産者団体の方々を対象としたSDGsについての講演会なども活用しながら、有機農業の取組などをPRしてまいります。こうした取組により、消費者の方々に有機農業に対する理解を深めていただき、有機食品の消費拡大につながるよう努めてまいります。   (林業振興・環境部長豊永大五君登壇) ◎林業振興・環境部長(豊永大五君) まず、初めての地質調査の結果と、専門的知識を有する代表者の意見をどう受け止めているのか、また事業者の報告書を県が受け取ったのはいつかとのお尋ねがございました。 土佐市宇佐の林地開発につきましては、先ほど知事からもありましたように、事業者から4月に県へ着手届の提出があり、森林の伐採等に取りかかった段階でございます。 お話のありました簡易動的コーン貫入試験による地質調査は、事業者が林地開発許可申請時に想定した岩盤層の位置の確認をするために行ったものでございます。事業者からは、この調査結果に基づき、自然斜面の表層土の厚さにかかわらず、太陽光パネルを設置するための土台のくいの基礎は、岩盤層に到達するよう設計すると聞いております。 専門的知識を有する代表者の方の御意見につきましては、地域住民の切実な御意見として真摯に受け止め、事業者にはこうした地域の皆様の声に対して丁寧に対応するよう求めてまいります。県としましては、事業者の計画をしっかりと確認した上で、必要に応じた開発行為の変更手続等を適切に指導してまいります。 なお、地質調査の結果につきまして、県は5月19日に受け取っております。 次に、重大な変更は再度森林審議会の意見を聞き、県は参考にすると同時に、専門家の意見を聞く場を持つべきではないか等とのお尋ねがございました。 お話にありましたとおり、林地開発許可制度では、森林の持つ災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全という4つの機能が損なわれることのないよう、一定の基準を定めています。具体的な基準としましては、土質に応じた切土、盛土の勾配や、下流の流下能力を超える水量が排出される場合に洪水調整池を適正に設置することになっているかなどがございます。 議員が懸念されております行為のうち、立木の伐採につきましては、林業で言う皆伐に当たり開発行為に該当しないということから、防災施設の設置と並行して実施しても支障がないものと考えております。その他の行為等につきましては、事業者から具体的な計画が示された際にしっかりと確認をし、必要に応じた開発行為の変更の手続等を適切に指導してまいります。 森林審議会の開催につきましては、事業者からの具体的な計画を確認した上で、林地開発許可制度における県の基準に照らし合わせて判断をしてまいります。また、変更内容等で必要な場合には、専門家の御意見をお聞きしてまいりたいと考えております。 ◆33番(岡田芳秀君) それぞれに御丁寧に答弁いただきましてありがとうございました。 2問ですけれども、まず新型コロナウイルス感染症の関係でお聞きをしたいと思うんですけれども、私質問の中で言いましたように、死亡直前の症状が軽症、無症状が43.4%と4割ございます。急変をして亡くなるというケースがありますし、そして重症化の判断基準ですよね、これがオミクロン株に本当に対応しているのかというような指摘もあるところです。 そうした中で、やはり患者さんについては、感染症病床に入院をされるという原則をしっかり守った上で対応されるということが非常に大事じゃないかなと思うんです。 自宅待機ということも、療養ということもありますけれども、その入院の原則ということをしっかりと守って対応することが大事と思いますから、改めて健康政策部長にお聞きをしたいというふうに思います。 それから、国民健康保険の関係で知事からも御答弁をいただきました。国保料の統一については、国保法でもいつまでにしなければならないというような法の規定はないというふうに認識を私はしております。 ただ、令和12年度までに統一というようなお話もお聞きをしますけれども、しっかり議論をされて、医療費の低い市町村が納得をできるようなしっかりした議論が必要だと考えます。あわせて、知事も御答弁の中で、構造的な課題があると、高齢者が多くなっているし、収入も少ないというような構造的な問題を抱えているという御答弁もありましたけれども、やはりこの点は国に対してもしっかり、全国知事会も通じまして、国費を入れてもらうということをもっと強くぜひ主張していただいて、安定的な国保の制度が運営されますようにしていかなければならないと思います。 市町村については、しっかりとした合意形成ができるまで期限を切らずに、しっかり議論をするということが大切だと思いますけれども、改めてこの点知事に伺いたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。 ◎健康政策部長(家保英隆君) 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律につきましては、あくまでも入院勧告ということで、強制的に入院させるようなシステムではございません。また、この勧告につきましても、病状に応じて一定期間審査をするということで、あくまでも感染症法は人権を重視するような法制度に改正法のときになっております。ですので、本来入院が必要であるようなレベルの方には、必ず勧告をするということになりますけれども、高齢者であるから無症状であっても勧告するということは、法ができたときの趣旨とは少し反しますので、現在のような運用ということになっております。 そういうこともございまして、先ほど説明しましたように、令和3年2月に宿泊療養や自宅療養を法律上もきちっと位置づけたということですので、現時点では、コロナに対しては全員入院というところは、法上の趣旨とはちょっと合わないということは御理解いただきたいと思います。 ◎知事(濱田省司君) 国民健康保険の保険料統一に関する再質問についてお答えいたします。 お話がございましたように、この保険料の統一の取組に関しましては、あくまで各都道府県におきます自主的な取組として行われているものでありますから、国のほうからいつまでにやれといった期限が具体的に示されているわけではございません。 先行して実施されております、私自身も関わりましたが、大阪府ですとか奈良県の場合を見ましても、かなり長い年月をかけて、段階的に経過措置もしっかり取って、統一をしていくという形で行われているのが一般的でもございます。そうした例も参考にしながら、またただいま議員から御指摘がありました関係の市町村、特に保険料水準の引上げが想定をされるような市町村の十分な御理解をいただいて進めることも大事だと思っておりますから、この点は丁寧に、ただいつまでも議論しているというわけにはまいりませんので、一定の区切りをつけて議論を進めていくということは大事だと思いますが、その期限ありきで強引に押し切るというようなことではなくて、よく話合いをして理解を得ながら進めていくということで、合意形成を図りたいと思っております。 また、その前提といたしまして、国に対する財政措置の件についてでございますが、こうした取組はあくまで各都道府県のレベルで、国保の持続可能性、負担の公平性、こういう観点から行われるものでありまして、国費の削減を、こういった努力をしていることを理由に行われるということは全く不本意な、私ども全く意図しない方向でございますから、決してそういうことにならないように、仮にそういうような話がございましたら、それは知事会などとも相談をして、しっかりと国に対して物を申してまいりたいと思っております。 ◆33番(岡田芳秀君) どうもありがとうございました。 宇佐のメガソーラーの件なんですけれども、県が許可をして、説明会の中で、その許可した中身と違う説明もされたということで、ただその工事までは行っていないという御答弁であったと理解をします。ただ、現地の皆さんも非常に心配をされていまして、また防災の面からでも危険ではないかという意見も引き続き上がっております。専門家の意見も引き続き聴取するとともに、現場の状況もしっかりとチェックを入れて、住民の皆さんにしっかり御理解いただくということが大事だと思います。 また、加えて、今後20年で2割降雨量が増すというようなことも言われておりますので、そういう先を見た防災対策も考えながら、しっかりと対応する必要があるというふうに思います。またよろしくお願いいたします。 あと暮らしの問題では、軍事費の2倍化、これやると、結局はどこかにしわ寄せが来ると思います。社会保障の削減等しわ寄せが来るのではないかと心配もするところですし、やはり力に対しては力ということになりますと、果てしのない軍拡競争になります。そしてまた、財政も傷んできて、暮らしにも平和にも影響が出てくると思います。憲法9条を持つ日本が、やっぱりいろんな国とも話をしながら包括的に、包摂的に話合いの枠組み、紛争を戦争にしない枠組みをアジアでもつくっていくという立場で、そして核兵器廃絶を進めるという立場で、日本はしっかりと取り組んでいくべきだというふうに考えるところでございます。 また、秋に向けまして、帝国データバンクの指摘もありますけれども、さらに秋口以降も値上げが続くと、原油高の影響もじわりと広がるというような指摘もされております。暮らしにとっても営業にとっても大変厳しくなってきております。機敏に対応していただいて、県民の皆様の暮らし、営業をしっかり守っていただくことを強く要請しまして、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(西内隆純君) 暫時休憩いたします。   午後2時42分休憩-----------------------------------   午後3時5分再開 ○議長(明神健夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 31番上田周五君。   (31番上田周五君登壇) ◆31番(上田周五君) 議長のお許しをいただきました。県民の会を代表し、通告に従いまして順次質問をいたします。 太平洋独りぼっちの航海から60年目、世界最高齢の83歳でヨット単独無寄港での太平洋横断を達成されました堀江謙一さんの言葉を紹介します。出発前、兵庫県の斎藤知事との会談のときの言葉であります。単に頭で考えているだけでなく行動を起こすことが大切、行動を起こせば今まで見えなかった世界が見えてくるであります。150年の歴史を持つ我が高知県も、何事にも元気に向かっていく気持ちを忘れず、行動を起こしていかなければなりません。冒頭、このことを申し上げまして、以下質問に入ります。 経済の活性化についてであります。 産業振興計画がスタートして今年で14年目になります。この間、県では、地産外商の推進を柱とする経済の活性化に向けた取組を進め、その結果、各種生産額は明確に増加傾向をたどるようになり、県内総生産がプラス成長に転じるなど、県経済は人口減少下にあっても拡大する経済へと構造を転換しつつあると分析されています。 一方、産業振興計画の大きな目的の一つは、経済活動の勢いを示す製造品出荷額等の底上げにあったはずであります。第4期計画では令和11年に7,300億円以上を目標とされています。しかしながら、昨年7月に公表された令和元年の実績額は5,855億円余で全国46位、前年より90億円、1.5%の減となっています。そして、前年から事業所が41事業所、従業者が137人減少しています。また、スタート前の平成20年と比べても15億円、0.3%の減となっています。 そして、先月31日に総務省と経産省が公表した「令和3年経済センサス-活動調査」の速報値で、本県の事業所数は全国45番目の3万5,258か所で、5年前より981か所、2.7%減少しています。減少率は全国8番目。全国の事業所数は5.1%増となっています。こうした厳しい数字の状況ではございますが、産業振興計画の目標の達成を目指して、知事と職員が一丸となられ、頑張っていただきたいと思っております。 そこで、こうした現状をどのように受け止めているのか、また今後製造品出荷額等の底上げについてどのように取り組んでいかれるのか、知事にお聞きをいたします。 脱炭素社会を目指す取組について、脱炭素社会の実現に向け私たちが日常生活でできることはどんなことだろう。国立環境研究所などのチームが、昨年住宅や自動車など暮らしに身近な分野で、温室効果ガス排出を減らすための57の選択肢を示しました。国内の52都市を対象に、各地の排出量や対策の削減効果を数値化しました。同じ対策を取っても都市によって効果に地域差があっています。同チームによると、日本で1人が1年に出す温室効果ガスの量は、2015年時点で7.1トンであります。昨年10月から11月にかけてのCOP26で、各国が目指すとした気温上昇を1.5度に抑えるとの目標達成には、世界全体で2030年の排出を3トン程度に抑える必要がございます。今後、4トン程度減らさなければいけない計算となります。 チームは今回、原材料調達から廃棄までの過程で生じる温室効果ガスを二酸化炭素換算で示す、カーボンフットプリントという手法を使っています。自宅に太陽光パネルを設置したり、省エネ性能を高めたりして、CO2排出を実質ゼロにすると、全国平均で1人当たり年1.8トン減が可能。また、再生可能エネルギー由来の電力に切り替えると1.2トン削減できる。そして、マイカーやタクシーの相乗りでは0.5トン減、食事を完全菜食にすると0.3トン、衣服を長もちさせると0.2トン減となっています。いずれにしても、気温上昇を1.5度に抑制するには、政府が脱炭素政策を強化することが大前提ではありますが、個人による温室効果ガスの排出削減策の積み重ねが大切になると思います。 そこで、一人一人ができることから始めるとともに、本県においても新築住宅などへの太陽光パネル設置の支援など、個人を対象とした脱炭素化を推進する施策が求められていると思いますが、知事の御所見をお聞きいたします。 関西圏との経済連携の充実強化でございます。知事の公約であります関西戦略ですが、コロナ禍によって苦戦をしていると受け止めております。もともと大阪・関西万博、大阪IRに頼りがちな戦略であるがゆえ、その効果は未知数であると考えております。私は、知事1期目も既に折り返しを過ぎ、半年が経過する中で、関西戦略については今年度ある一定の成果を出さなければならず、真価が問われる1年だと考えています。 県では、大阪・関西万博に向けて高まりを見せる関西圏の経済活力を本県に呼び込むため、今年3月には関西・高知経済連携強化戦略ver.2を策定し、観光推進、食品等外商拡大、万博・IR連携の各プロジェクトの取組の強化を図るとともに、4月からは関西戦略推進監及び関西戦略室を設けるなど人員を増やし、組織体制の強化を図られています。 一方で、大阪・関西万博については開催まで3年を切り、準備が本格化していますけれども、今年3月31日にドバイ万博から引き継いだ時点では、大阪や関西はそれなりに盛り上がっているが、東京や全国さらには世界には必ずしも行き渡っていないと、2025年日本国際博覧会協会の石毛事務総長が危機感を示しているように、機運を醸成していくことが課題となっています。 こうしたことから、大阪府の吉村知事は、大阪市の松井市長らとドバイ万博を訪問し、会場で計15か国の政府代表らに対しまして大阪・関西万博への参加を呼びかけるなど、トップセールスには相当な力の入れようであります。本県においても、知事が掲げる関西戦略をスピードアップさせるためには、リーダーである濱田知事の動向が重要なポイントになろうかと存じます。 知事は、大阪府副知事時代には政界、財界を問わず様々な方々と交流され、有為な人脈を相当お持ちのことと存じます。その人脈を最大限に生かし、自らの足で積極的にトップセールスを行うことが具体的な成果につながるのではないかと考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。 土佐酒輸出拡大プロジェクトについてでございます。県では、土佐酒の輸出拡大のため、原料生産、商品開発、販売の関係者が連携し取組を推進するとして、土佐酒輸出拡大プロジェクトを立ち上げています。 こうした中、2021年の農林水産物・食品の輸出額が前年比25.6%増の1兆2,385億円となり、年間1兆円を初めて突破しました。10年前の2012年は4,497億円だったので、金額で7,888億円、率で175%増となっています。そして、輸出品目のうち日本酒は402億円で、前年比プラス66.4%と12年連続で前年を上回り、金額、輸出量とも過去最大を記録しています。小売店向けやネット販売が好調なことに加え、中国やアメリカの日本食レストランの需要が回復したことが要因でございます。 そこで、まず本県の土佐酒の輸出状況はどうなっているのか、産業振興推進部長にお聞きをいたします。 次に、日本酒に関しては今後の伸びが相当期待できます。日本食ブームも追い風で、海外の日本食レストランの数も、2013年の約5.5万店が、2021年には約15.9万店まで増えています。また、日本政府は、2025年までに農林水産物・食品の輸出額を2兆円にすることを目標としております。 そんな中で、本県としても海外への売込みをさらに強化すべきと考えますが、土佐酒輸出拡大プロジェクトのポイントについて産業振興推進部長にお聞きをいたします。 この項最後に、日本酒を醸造する原料となります酒米についてでございます。国内での日本酒需要が低下し、生産量が減少する中において、ニーズが高まっている海外市場への輸出拡大を図ることで、土佐酒や県産酒米の生産量を維持・拡大することは、中山間地域の振興にもつながると思います。 そこで、県産酒米作りの現状と今後の生産拡大への取組について農業振興部長にお聞きをいたします。 次は、観光振興でございます。アユを有効に生かした観光の取組についてでございます。今年3月、あゆ王国高知振興ビジョンが策定されました。本ビジョンは、本県が有する河川環境やアユ資源の豊かさを確保しつつ、アユを観光・地域振興等に活用して、流域の持続的発展を図る構想であると位置づけています。第3章では、ビジョンの基本的な考え方と具体的な取組内容が示されています。 ビジョンには、アユ釣り人口の増加につなげるとともに、河川環境を守る大切さなどを知ってもらうために、子供たちがアユに親しむことができる環境づくり、そしてこれまでアユ漁にはあまり関心を示してこなかった世代や女性をターゲットとした広報やイベントの開催など、県内外遊漁者の増加に向けた仕組みづくりが方針に示されております。具体的には、子供向けの釣り教室等の開催や、若い世代、特に女性をターゲットとした簡易な服装や道具で友釣りができるライトスタイルの提案及び広報などが効果的な取組として挙げられております。 そこで、1つ提案をさせていただきます。本ビジョンを具現化するためにも、ぜひ高知県友釣連盟の協力を得ながら、日本一美しい川、仁淀川を舞台に、全国から腕自慢の釣り人が集まるアユの友釣り大会を開催することで、地元を盛り上げ、子供や女性にもアユ釣りの興味を持っていただくきっかけにしてはどうかと思いますが、知事の御所見をお聞きいたします。 連続テレビ小説の放送を契機とした観光振興についてでございます。牧野富太郎博士をモデルとした連続テレビ小説らんまんが来年春から放送されることが決まりました。県では、本県の魅力を全国に伝える絶好の機会であると同時に、観光活性化の起爆剤となることが期待されることから、官民で県観光を盛り上げようと、先月26日推進協議会を立ち上げられました。そして、これに関連する予算として、本議会に8億8,400万円余を計上されています。本予算には、博覧会の準備や、牧野植物園や五台山公園の施設整備に充てるための関連経費が盛り込まれています。 今回の観光活性化については、牧野植物園以外に全国的にも認知度が高まっており、現在も仁淀ブルーで多くの県外観光客が訪れてくれています仁淀川流域市町村へ、来年はより多くの人々が訪れてくれることが予想されますことから、現地の受入れ体制の充実強化が必要ではないでしょうか。県外から車で訪れてくれる方の駐車場の整備及び送迎バスの運行、あるいは案内板の設置や警備員の配置等々、多くの課題があろうかと存じます。 そこで、県として、らんまんの舞台となります佐川町をはじめとする仁淀川流域市町村への財政的な支援を含めたフォローアップが必要と考えるが、観光振興部長にお聞きをいたします。 次は、日本一の健康長寿県づくりでございます。 介護現場の環境づくりについてお伺いいたします。戦後のベビーブームで生まれた団塊の世代が今年から75歳を迎え始めます。これに伴い、医療や介護の現場を担う職員の人手不足が深刻になるとともに、費用も急増することにより、制度の持続可能性が大きく揺らぎかねません。この2022年危機を乗り切るためには、政府を挙げて痛みに向き合う必要があろうかと存じます。 私も団塊の世代の一人でございますが、団塊の世代は1947年から1949年の3年間で約800万人が誕生しています。1年当たりの出生数は約270万人で、現在の3倍以上でございます。高度成長期に就職し、あるときは企業戦士とも呼ばれ、豊かな日本を築くことに貢献しました。75歳以上の人口が今後3年間、毎年約4%ずつ増え、高齢者の高齢化が急速に進む見通しでございます。 団塊の世代が誕生したばかりの1950年、人口ピラミッドは安定した三角形でございました。ところが、2022年には団塊の世代と50歳前後の団塊ジュニア世代のところが大きく張り出した不安定なタワー型に変わっております。こうした中、75歳が注目されるのは、人間の身体状態がその頃から大きく変化しやすいからであります。健康上の問題で日常生活を制限されない、いわゆる健康寿命は、2019年の全国平均で男性72.68歳、女性75.38歳でございます。つまり、75歳前後から医療や介護の必要性が高まるのであります。 こうした中、社会保障に関して第一に心配なのは、医療や介護を担う人材が一段と足りなくなることでございます。厚労省が昨年、団塊の世代が全て75歳以上になる2025年度までに介護職員を32万人増やす必要があるとの推計を公表されています。介護の現場で働く人は、仕事がきつい割に賃金が低く、担い手不足が課題となっています。このままだと、都市部を中心に介護難民が急増しかねない状況にあります。しかも、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されています。家族の負担が重くなり、現在でも約10万人とされる介護離職がさらに増える懸念がございます。 そこで、本県における介護職員の離職の現状と、介護現場にとどまってもらうための環境づくりについて子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします。 訪問看護ステーションの充実強化でございます。医療分野では看護師不足が著しく、厚生労働省の推計によると、2025年には大都市部を中心に、看護師などの需給ギャップが6万から27万人に上ると言われています。国の方針としては、社会保障制度を持続可能にするためにも、施設は重度の高齢者を中心に受け入れ、基本的には在宅福祉を充実させる方向になってきています。 本県でも在宅療養体制の充実を大きな柱に掲げ、中山間地域では、往診にかかる医師の移動時間などの負担軽減を図るため、医療機器などを搭載した車両を活用してオンライン診療を行う医療機関を支援するとしています。一方で、高齢者のみの世帯は増え続け、令和2年の国勢調査での割合は県平均が31.4%となり、全国平均の23.8%を大きく上回っています。そうしたことで、今後は自宅で暮らす高齢者を支援する訪問看護ステーションなどの需要も増大すると思われます。 そこで、本県における訪問看護ステーションの設置状況とその充実強化に向けた取組について健康政策部長にお聞きをいたします。 高齢者の雇用を進める取組についてでございます。今後、力を入れるべき一つに、社会保障の支え手を増やすことがあろうかと存じます。このために、企業に定年制の廃止や延長を促すことなど、意欲のあるシニア層が働き続けやすい環境づくりを急ぐことが重要だと考えます。 そこで、本県においては高齢者の雇用を促進するために、どういった取組を進めておられるのか、商工労働部長にお聞きをいたします。 健康寿命の延伸についてでございます。自らもウオーキングで健康づくりを実践されています副知事にお聞きをいたします。介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間を示す健康寿命が、厚労省の発表で2019年が男性72.68歳、女性75.38歳でありました。前回の調査の2016年から、男性は0.54歳、女性は0.59歳延びております。本県は、男性が71.63歳で全国43位、女性が76.32歳で全国8位となっています。 県では、長寿県構想の中で、健康寿命の延伸に向けた意識醸成と行動変容の促進を大きな柱に据えております。健康寿命の延伸には日々のウオーキングを続けることが最も効果的だと私は考えております。最近では、人生100年時代を迎え、県民の健康志向への高まりはますます強くなっており、ウオーキングイコール介護予防といったことで、ウオーキングをする方も相当増えているように感じています。私もウオーキング歴30年になります。人それぞれに歩くコースを幾つか持たれ、移り変わる景色を楽しみ、ウオーキング仲間もでき、知らず知らずのうちに開放感やリラックス感が日常生活にゆとりやめり張りがつくのではないでしょうか。 また、最近では、日常生活にどうしても欠かせなくなったスマートフォンなどのデジタル機器からあえて距離を置く、デジタルデトックスに注目が集まっております。趣味のジョギングやウオーキング中にスマホを持たず、走りに歩きに集中すれば、開放感も得られるのではないでしょうか。新型コロナウイルス感染症で外出が減り、運動不足を感じている人も少なくないはずでございます。ウオーキングは有酸素運動です。心臓や肺を強くするだけでなく、スタミナや筋力、免疫機能の維持・向上、軽度認知症の改善など、よいことがたくさんございます。 そこで、コロナ禍を契機に、笑顔で楽しく元気に歩こう高知県といったことで、ウオーキングを県民運動として盛り上げてはどうかと思いますが、副知事にお考えをお聞きいたします。 この項最後に、子供たちを守り育てる環境づくりでございます。コロナ禍が続き、将来不安で妊娠を控える動きが広がるなど、少子化に拍車がかかっています。2021年生まれの赤ちゃんの数は81万1,604人で、統計開始以来最小となったことが、今月3日厚労省の人口動態統計で分かりました。前年から2万9,231人減っています。国は、少子化に少しでも歯止めをかけようと、幼児教育・保育の無償化をはじめ、今年10月からは父親が子供の出生後8週間以内に取れる産後パパ育休の新設、そして子供関連の政策を一元的に担うこども家庭庁を来年4月にも設置する方針など、子育てしやすい環境整備を中心に様々な対策を打ち出しています。 私は、子育てしやすい環境づくりには、保育園の充実が最も大切だと考えています。保育園に子供を通わせる保護者に安心感を持っていただくことではないでしょうか。今、日本の保育士の配置基準は諸外国と比べても低い上に、書類の記入や保護者対応など現場の負担が増えており、また離職率も高く、経験豊富な人材が集まりにくいことなど、多くの課題がございます。 現在、保育士1人で担当する園児は、ゼロ歳児が3人、1歳児から2歳児で6人、4歳児以上は30人が国の基準であります。大災害時のとき、1歳児6人の命を保育士1人で守り切れるでしょうか。外国では、保育士1人が5歳児10人を担当するという体制も珍しくないようでございます。全国で低年齢児の受入れや発達障害などで支援が必要な子供も増えています。 そこで、県においては、国に対し配置基準を見直すよう強く求めていくべきだと考えますが、知事のお考えをお聞きいたします。 教育の充実でございます。 デジタル社会に向けた教育の推進についてです。急速なデジタル化の波に押され、教育分野においてもAIやビッグデータ等の新しい技術の活用が進んできており、学校教育は今大きな変革を迫られているのではないでしょうか。ICT教育の遅れを解決すべく、全国の小・中・高等学校ではGIGAスクール構想が進展中であります。 こうした中、本県の教育においても、学びの変革が求められており、県教育委員会では、第3期高知県教育振興基本計画の基本方針にデジタル社会に向けた教育の推進を掲げ、具体的には、AIによる個別最適化学習の新たな教育手法の開発・普及を図ることや、AI等の高度なデジタル技術を活用し、新たな価値の創造などに力を発揮できる人材の育成を図ることが明記されています。 現在、我が国の学校教育の一番の問題は、PCリテラシー、コンピューター機器を正しく理解し使いこなす能力の低さだと言われています。教職員の多くはICT教育を受けていない世代であります。スキル不足もあるでしょうし、どう活用すべきか想像がつかない人も多いのではないでしょうか。 そこで、デジタル社会に向けた教育の推進について、本県児童生徒のAI時代に生きる力を育むために、今後どのようにGIGAスクール構想の実現に取り組んでいくのか、教育長にお聞きをいたします。 就学前教育の充実でございます。乳幼児期にしっかりとした心と体の基礎を育むことが大切だと考えます。そうしないと、様々な悩みや問題にぶつかったときに耐え切れなくなったり、問題行動につながる危険もございます。保護者としては、強くたくましい心を持った人に、思いやり、優しい気持ちのある人に、人間性豊かに育ってほしいと願うものではないでしょうか。 こうしたことから、県教育委員会では県内どこにいても質の高い教育を受けることができる環境の実現に向け、保育所保育指針及び幼稚園教育要領等に沿った指導方法の徹底や、保育者のキャリアステージに応じた資質・指導力の向上や、保・幼・小の円滑な接続の推進などに取り組まれております。 こうした取組により、各園における教育、保育の質は着実に向上してきているものとは存じますが、一方で特別な支援を要する子供への対応や、子育てに不安や悩みを抱える保護者への支援等の充実が求められていますし、さらには就学前と小学校との教育内容の違いに子供が十分適応できないことなどを原因として、授業が成り立たないといった状況も依然として見られています。 そこで、基本方針には、保護者の子育て力向上のための支援の充実策などが盛り込まれておりますけれども、課題解決に向け、今後どういった施策展開を図っていくのか、教育長にお聞きをいたします。 教育予算についてでございます。第3期高知県教育振興計画には、学ぶ意欲にあふれ、心豊かでたくましく夢にむかって羽ばたく子どもたち、そして郷土への愛着と誇りを持ち、高い志を掲げ、日本や高知の未来を切り拓く人材といった基本理念が掲げられています。こうした基本理念を具現化し、本県教育の振興を図っていくためには、教育人材の育成と併せて、しっかりとした予算の裏づけが必要だと考えます。 しかしながら、ここ10年ぐらいの一般会計当初予算ベースでの県予算と教育予算の推移を見てみますと、教育委員会の所管する教育予算は、平成27年度の982億円をピークに年々減少しており、令和4年度は842億円となっています。また、県予算に占める割合も、平成27年度に21.4%だった構成比が年々減少し、令和4年度には17.5%まで落ち込んでいます。 そこで、教育現場が学力向上及び不登校対策、そして学校における働き方改革などなど、多くの課題を抱える中で、これらを克服し、本県教育の充実を図っていくためには、毎年度の予算編成過程において、教育は未来への投資、人への投資、教育の安定こそが県政運営の安定につながるとの考え方の下、必要な教育予算を確保すべきと考えますが、この点について知事のお考えをお聞きいたします。 この項最後に、県教育行政への思いについて教育長にお伺いします。長岡教育長が新教育長になられて、早いもので1四半期が経過しようとしています。相当な覚悟で県教育長といった激務を引き受けられたことだと存じていますし、同時に県教育長は1956年以降行政職員が務めており、教育出身者が就くのは実に66年ぶりといったことで、県教育界の期待も大変大きなものがあろうかと感じています。 そこで、教育長として、現在の県教育行政において真っ先に解決しなければならないと思っている問題は何か、そしてその問題に対しどのような具体策を持って向き合っていこうとされているのか、教育長にお伺いをいたします。 南海トラフ地震対策の抜本強化・加速化でございます。 ちょうど1週間前の6月3日は、兵庫県を中心に6,434人が犠牲になった阪神・淡路大震災の発生から1万日目でございました。当日の神戸新聞には、大震災の経験と教訓、そして防災・減災の大切さを伝える記事が多く掲載されていました。改めて、この教訓を我が事とし、次の災害への備えを高めなければならないと強く感じました。 阪神・淡路大震災では死者数は6,434人に及び、犠牲者の8割以上が家屋の倒壊や家具などの転倒による圧迫死でした。自分の命、安全は自分で守るために一番行うべきことは、今は家具の転倒を防ぐことではないでしょうか。高知県第5期南海トラフ地震対策行動計画には、基本的な考え方として、家庭における室内の安全対策は、まさに命を守る対策として欠かせないものとの課題認識を示されております。 県民の家具、家電の固定など室内の安全対策については、テレビやラジオなど様々な媒体を通じて啓発を行っているが、実施率は38%と伸び悩んでおります。このため、第5期行動計画では、VRを活用した起震車体験や戸別訪問を含むあらゆる手段で啓発を行い、その必要性や補助制度の周知を徹底していくとされています。私は、県民の意識の中では、家具の固定化の重要性について理解されてはいるが、いざ作業を進める段階で、結構専門性が求められることなどから、ついつい後回しになっているのが現状ではないのかなと思っています。 そこで、家具類の固定を専門家に実施してもらい、県民に対し、安心して家具類の固定に取り組める支援の仕組みがあれば、家具の固定化がさらに前進するものと考えますが、土木部長にお聞きをいたします。 また、補助制度の周知につきましては、制度があることを知らない県民がまだまだ多くいるものと考えられます。そのため、市町村と連携し、自主防災組織などを通じて、繰り返し繰り返し徹底していくことが重要だと思いますが、併せて土木部長にお聞きをいたします。 乳幼児、妊婦の災害への備えでございます。乳幼児や妊婦は、緊急時に迅速な避難行動が取りにくく、避難生活が長引けば、心身両面で負担をより感じやすくなることが予想されます。そのため、津波来襲時など迅速な避難が必要な場合に備えて、事前に経路を確認しておくことや、避難生活が長引くことも予想し、身を寄せる場所も事前によく検討しておく必要があると考えます。乳幼児や妊婦は災害弱者として、高齢者や障害のある人と同様に配慮が必要ではないでしょうか。 そこで、乳幼児、妊婦の災害時の備えに対する取組について危機管理部長にお聞きをいたします。 女性消防士を増員するための取組についてでございます。私は、このことについて平成30年6月定例会で質問させていただきました。その時点での女性消防士は10名でございました。災害や救急の現場では避難者や傷病者らが女性の場合、同性の職員のほうが声をかけやすいといった意見が多く、支援を必要とする人たちに、女性ならではの視点によるきめ細かな対応も期待できるとの趣旨で、その必要性を申し上げました。 その後、県及び市町村、そして各消防本部が連携され、女性専用の仮眠室など、女性が働きやすい職場環境づくりなどに取り組まれた結果、今年4月1日現在の女性消防士は21名となり、その割合は1.8%と大きく上昇しています。また、女性消防士が増えたことにより、今年度の県消防学校での初任教育訓練には過去最大の6名が入校され、9月末まで座学のほか災害救助や放水訓練を通じて、基礎知識や体力を養うことになっています。さらに、県内初めての女性教官が誕生されています。このことに対し大きく評価をさせていただきます。 そして、今後は消防庁が令和8年4月までに女性消防士の割合を5%にする目標を立てておられますので、それに向け、さらなる努力をしていかなければなりません。今後の取組について危機管理部長にお聞きをいたします。 次は、インフラの充実と有効活用です。 濱田知事は、5つの基本政策に横断的に関わる政策の一つにスポーツの振興を掲げています。その一環として本年度は第2期スポーツ推進計画を改定し、具体策の一つにスポーツを通じた交流人口の拡大や、地域活性化に向け関西圏を中心にスポーツ合宿の誘致を強化する方針を示されています。 現在は、秋田や新潟などのプロサッカーチーム、及び関西圏からは女子のトップリーグに所属する滋賀のソフトボールチームや京都産業大学や佛教大学といった大学駅伝の強豪校が、春野総合運動公園を中心に2週間から3週間強化合宿を行ってくれています。私は、今年2月に京都産業大のコーチと滋賀の監督さんに直接お話を聞く機会がございました。お二人とも高知の印象を、大変暖かく体が動かしよいし、食べ物がおいしいと感想を述べられていました。 そこで、引き続き強化合宿に高知を選んでいただくには、確実に維持修繕を実施していくため長寿命化計画に基づきしっかりと予算を確保し、施設の機能を維持していくべきだと考えますが、土木部長にお聞きをいたします。 女性の活躍推進についてでございます。 本県における女性の活躍の場の拡大については、子育てしながら働く女性を社会全体で支援する仕組みづくりの一環として、現在13市町にあるファミリー・サポート・センターで地域の支え合いによる子育て支援の取組が展開されています。そして、今年度は県内全域への普及に向け、会員数20人未満の小規模センターの開設が可能となるよう支援を拡充する方針が示されています。 また、政府の男女共同参画会議は今年4月、女性の経済的な自立に向け社会人が学び直すリカレント教育を推進し、育児・介護中の女性がデジタルを活用して柔軟な働き方ができる環境を整備することを柱とした、女性デジタル人材育成プランを決定しています。 こうした中、令和2年の国勢調査で、県内女性の就業率は全国と比べると25歳以上の全ての階級で上回っております。しかしながら、コロナ禍で影響を受けている観光、宿泊業、飲食業、そしてアパレル業界は女性のパートやアルバイトの割合が多い業種であり、女性の働く場の確保や働きやすい環境づくりが急務となっています。女性が輝けば地域が変わると言われていますように、女性の活躍が活力あるまちづくりには不可欠であると考えます。 そこで、現状の課題認識と中長期的な視点に立った施策展開について知事にお聞きをいたします。 交通事故対策でございます。 高齢者のペダル踏み間違い事故について、全国で高齢ドライバーのブレーキとアクセルの踏み間違いによる車の事故が相次いでおります。全国では、昨年だけで3,180件発生し、59人が死亡しています。いずれの事故も操作で誤ってパニックになった可能性があるとの分析がされています。加齢に伴う瞬時の判断力低下が要因の一つだと見られています。 そこで、昨年の高知県内における高齢者のペダル踏み間違い事故の状況について警察本部長にお聞きいたします。 免許取消しの状況についてです。この間、全国的にも操作ミスの事故が相次ぎ、対策が進められてきました。現行の道路交通法は、75歳以上は免許更新時に判断力などを調べる認知機能検査を受け、認知症と診断されれば免許取消しや停止となります。 そこで、県内における改正法施行の2017年から現在までに、検査などを経て取消しになった高齢者の人数について警察本部長にお聞きをいたします。 この項最後、県警における運転免許の自主返納制度は平成10年4月に開始されています。本県では車なしの生活は考えられないことから、免許自主返納しにくい状況にある中、返納者は平成29年まで右肩上がりであったが、同年から昨年までの5年間では、増減を繰り返しながら年平均2,675人で推移しています。また、運転免許センターの安全運転支援室では、運転に不安のある高齢者などからの相談に応対する際、ドライブレコーダーの記録で危険な運転操作の有無を確認させていただいた上で、指導・助言されるケースもございます。それでも、県内の人身事故で高齢者が過失の重い第1当事者になる割合は令和3年が31.2%で、5年前の平成28年と比べ5.9%増えています。 こうした中、中山間地を中心に車を手放せない高齢者は少なくありません。その多くは高齢ドライバーの事故が起こるたび、運転への不安は感じるが、食料や日用品の買い出しは片道1時間近く、車なしの生活は考えられないといった理由からでございます。県内の65歳以上の免許保有者数は、令和4年5月末現在で14万4,278人で、10年前の平成24年12月現在より3万2,168人、8.3%増となっています。 そこで、今後における高齢者のペダル踏み間違い事故防止を含めた、高齢者の交通事故防止などに取り組むポイントについて警察本部長にお聞きをいたします。 最後に、猛毒のダイオキシン類を含む除草剤、2・4・5T系についてでございます。 先月5日付の読売新聞に、「46山林に猛毒除草剤」という見出しで大きく取り上げられました。半世紀前から猛毒のダイオキシン類を含む除草剤が埋められたままになっています。報道によりますと、高知県では四万十町、いの町、大豊町、土佐清水市の4市町で埋められたままになっています。 この除草剤は林野庁によると、1967年頃から国有林の下草を刈るために同庁が使用していたものですが、世界各地で健康被害のおそれが報告されたことから、同庁が1971年4月使用中止を決定し、同11月には埋設を指示する通達を出し、国が管理する全国の山林計54か所に、除草剤の粒剤約25トンと乳剤約1,836リットルが埋められました。その後、地元自治体などの要望を受けて8か所が撤去されています。 通達では、土やセメントと混ぜてコンクリート塊にすることや、1メートル以上の土をかぶせ、水源地や民家から一定の距離を取り、1か所に集める量は300キロ以内にすると決められていました。しかし、1984年に愛媛県で漏出が判明したことを受け、全国調査したところ、29か所で通達どおりに埋設していないことが分かりました。一部は撤去されたが、今も20か所で通達の基準とは異なる方法のまま埋められています。 そこで、高知県内ではこの除草剤がどこにどれぐらいの量が埋められたままになっているのか、また通達と異なる埋設方法の場所が何か所あるのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 この問題に関しては、我が会派の橋本敏男議員が平成27年6月定例会で取り上げています。橋本議員の、土佐清水市に埋設されている猛毒除草剤を掘削して再調査すべきでないのか、また高知県全ての埋設箇所の再調査を強力に訴えていくべきではないかとの質問に対し、当時の知事及び担当部長の答弁は、四国森林管理局に対し、土佐清水市については掘削も含めた周辺環境の調査の実施と地域住民への十分な説明を、また県内の埋設場所については周辺の水や土壌の調査を行うよう申し入れていくとのことでございました。 その後、県の要請を受け、四国森林管理局が除草剤が埋設されている場所の水質調査や土壌調査などを行ったと仄聞しますが、その詳しい調査状況と調査結果を関係する自治体に説明されたのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 この問題に関し、林野庁は、2020年7月の九州豪雨で熊本県芦北町の埋設地の約1キロ先で土砂崩れが発生したことや、熊本地震などの災害も相次いでいることから、撤去を念頭に最終処理する方法を検討していくとされています。そして、昨年11月には本県四万十町ほか3か所で、撤去する際に必要な機材や掘り起こした後の保管場所について調査をしています。いずれも安全に撤去はできるが、場所によっては1億円以上の費用がかかることも分かっています。 そこで、高知県として、この除草剤が通達と異なる方法で埋設されており、不安を抱えている各自治体と共に、林野庁に対し撤去を念頭に最終処理する方法を強く促していく行動を取るべきだと考えますが、知事の御所見をお聞きいたしまして、第1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 上田周五議員の御質問にお答えをいたします。 まず、製造品出荷額等の現状認識、今後の底上げに向けた取組についてお尋ねがございました。 議員からお話がありましたように、令和元年の製造品出荷額等の実績は、前年と比べましても、また産業振興計画スタート前の平成20年と比べましても減少しているところであります。これは、平成20年には813億円ございました電子部品の出荷額が、大企業の生産拠点の撤退によりまして、令和元年は僅か54億円まで大幅に減少したということが大きく影響しております。 この電子部品を除いた実績で見ますと、平成20年の5,057億円から令和元年は5,801億円へと744億円の増加ということとなっております。特に、平成23年以降は9年連続で増加をしているということでございまして、これまでの産業振興計画の取組の効果がこういった面で現れてきたものというふうに考えております。 また、事業所数、従業員数につきましても、御指摘のように減少しておりますけれども、この傾向につきましては人口減少、高齢化の流れの中で、当面続くものというふうに考えております。県人口全体ということの推移を見ましても、平成23年度から令和元年度にかけまして7.7%減少しているということでございますが、この間の県内総生産を見ますと、名目で9.8%、実質で4.4%逆に増加をしているところであります。 こうしたことから、本県の経済は、人口減少下におきましても拡大傾向に転じつつあるというふうに認識をいたしております。ただ、先々にわたりましてこうした県勢浮揚を確かなものとしていくためには、これまでの取組を土台に施策の強化を図っていくと。そして、さらなる経済の活性化に努めていくことが重要であるというふうに考えます。 このため、本年度も新たな時代の成長の原動力となりますデジタル化、グリーン化、グローバル化という3つの視点で施策の強化を図りました。あわせて、ウイズコロナ、アフターコロナを見据えました新分野への事業展開を支援するといったことなどによりまして、産業の構造転換も図ってまいります。加えて、移住施策の推進によります担い手の確保、事業承継の取組なども力強く進めてまいる考えであります。 今後もこうした取組を通じまして、共感と前進という基本姿勢の下、職員はもとよりでございますが、産学官で意識を一つにいたしまして、産業振興計画に掲げます製造品出荷額等の底上げなどについてしっかりと取り組んでまいります。 次に、個人を対象といたしました脱炭素化を推進するための施策につきましてお尋ねがございました。 県におきましては、カーボンニュートラルの実現、そして経済と環境の好循環の創出、これらを目指しまして、脱炭素社会推進アクションプランを3月に策定いたしました。今年度からその取組を進めております。 カーボンニュートラルの実現に向けましては、行政、事業者と共に県民の皆さん一人一人に主体的に取り組んでいただくということが極めて重要であります。そのために、まずはアクションプランの普及啓発などを通じまして、カーボンニュートラルの実現に向けました県民の皆さんの機運の醸成を図りまして、行動変容へとつなげてまいりたいと考えております。 具体的には、特別の広報番組などのほか、御家庭で実践できる分かりやすい取組を示したパンフレットも作成をし、できることから行動に移していただくよう啓発をしてまいります。加えて、いわゆるウェブ版環境パスポートを導入いたしまして、各家庭の環境負荷を見える化していくと、あるいはエコ活動のポイント化をしていくということを通じて楽しみながら取り組んでいただくということによりまして、行動変容へとつなげてまいりたいと考えております。 また、お話もございました、御家庭で使用するエネルギーの再生エネルギー化を促進するための住宅用の太陽光パネルにつきましては、本年度から新たに市町村と協力いたしまして、パネルと蓄電池の導入について費用を支援いたします。現在、13市町村におきまして補助制度を設けておりますが、担当者会あるいは市町村長への訪問などを通じまして、補助制度の創設、拡充をお願いしております。こうした住宅用太陽光パネルなどの個人を対象とした支援策につきましては、今後取組を進めていく中で、しっかりとPDCAを回しまして、さらなる充実を図ってまいります。 また、県民の皆さんの脱炭素化の取組を県内全体に広げていくためには、十分な財源を確保していくということが必要になってまいります。このため、地域の実情に合わせた取組を地方自治体が進めていくために、自由度の高い財源の確保を求めて、本年度国に対して政策提言をいたしたところでありまして、今後も引き続きこうした働きかけを続けてまいりたいと考えております。 次に、関西圏との経済連携の充実強化に向けました、人脈も生かした積極的な取組はどうかというお尋ねがございました。 関西圏との経済連携の強化につきましては、これまで新型コロナウイルス感染症によります行動制限もございまして、必ずしも十分な活動ができてこなかった側面もございます。その意味で、今後取組をさらに加速化していく必要があるというふうに認識をしております。このため、昨年度設置をいたしました関西圏外商強化対策協議会におきまして、さらなる外商強化策について検討を行いますとともに、その一つとして外商拠点の設置の有効性に関する調査なども実施をしているところであります。 こうした中でございますけれども、コロナに関する行動制限が緩和されたということもございますので、これを機に反転攻勢に打って出たいと考えておりまして、私自身が培った人脈も生かし、積極的なトップセールスを展開いたしたいと存じます。 先月には、早速でございますが、大阪府の田中副知事と面談をいたしまして、河川改修工事などで有効とされます本県独自の工法、そして県内で開発された防災関連製品の採用についての検討をお願いいたしました。田中副知事からは、淀川などの水害対策、南海トラフ地震に備えた防災関連製品の備蓄が喫緊の課題となっておるために、ぜひ今後の取組の参考にしたいという回答をいただきました。加えて、大阪府内の市町村へも情報提供できる機会をいただけるという話を頂戴いたしまして、一定の手応えを感じたところでございます。 今後も、関西にございます本県と取引のある企業などへの訪問でございますとか、連続テレビ小説らんまんを生かしました博覧会のセールスなどを積極的に実施したいと考えております。引き続き、私自身が先頭に立ち、汗をかいていくということによりまして、県民の皆さんに具体的な成果を実感していただけると、そういう姿を目指して取り組んでまいります。 次に、全国規模のアユの友釣り大会の開催によって地元を盛り上げるということについての御提案をいただきました。 本県におきますアユの価値を県民の皆さんと共有し、アユを観光や地域振興などに活用していくというための指針といたしまして、本年3月にあゆ王国高知振興ビジョンを策定いたしました。お話にありましたように、釣りはアユに親しむということと同時に、河川の生物、環境について考える重要な機会であるというふうに考えております。 アユの友釣り大会につきましては、本県ではこれまで釣り具メーカーが主催をします全国規模の大会が仁淀川で開催をされた実績がございます。また、仁淀川を含めました県内の河川におきましては、全国大会の地区予選でありますとか、県内の釣具店あるいは漁協が主催をするアユ釣りの大会が開催されているという状況でございます。 お話がありました全国規模の大会について申しますと、これは特に各地の予選を勝ち抜いた釣り人が一堂に会するということ、そして県内外からの観客でにぎわうということがございますので、観光、宿泊、飲食など地域経済への波及効果が高いものと期待をされます。あわせまして、大会に関連いたしますイベントを開催しますことで、これまでアユ釣りに親しむ機会のなかった方がアユ釣りへの興味を持っていただくきっかけにもなり得ると考えます。 本県には、仁淀川をはじめといたしまして、アユの釣り場として全国的に知名度の高い河川が数多くございます。御提案がございましたように、県内で全国規模の釣り大会が開催できますように、高知県友釣連盟や漁協、市町村などと連携もいたしまして、釣り具メーカーなどへの大会の誘致活動を行ってまいりたいと考えております。 次に、保育士の配置基準の改善についてのお尋ねがございました。 県民の皆さんが安心して結婚・妊娠・出産・子育てができる環境づくりを進めます上で、保育環境の充実を図っていくことは大変重要であると考えます。特に、保育士の配置を充実していくということは、その中でも大きな要素の一つと考えております。 この保育士の配置につきましては、国により子供の年齢に応じました配置基準が設けられているということは議員御指摘のとおりでございまして、これを基に保育所運営費におきます保育士の人件費が算定をされ、財源が交付をされると、そうした仕組みとなっております。 この保育士の配置基準に関してでございますが、国のほうではこれまでに一定の改善措置も講じておられます。例えば、特に配慮が必要な子供を支援するための保育士の加配に対する補助制度を設けるというような動きがございました。加えて、特に平成27年度には、子ども・子育て支援新制度がスタートいたしました。この際には、3歳児への配置を本来の基準の20人に1人から15人に1人とするための財政措置も講じるというような手当てもされております。 このように一定の改善は図られてきておりますけれども、私といたしましては、子供たちの保育環境をより一層充実させるために、配置基準そのものの見直し、充実が必要だと考えております。このため、これまでも全国知事会を通じまして改善を要望してまいりましたけれども、早期の実現に向けまして、引き続き提言を重ねてまいりたいと考えております。 次に、教育予算の確保についてのお尋ねがございました。 教育の振興を図っていくということは、本県、さらには日本の将来を担う子供たちを育んでいくために極めて重要であります。そのために必要な予算につきましては、これまでも本県の教育課題や、新型コロナウイルスの感染拡大などの社会状況の変化なども踏まえて、確保に努めてまいりました。 例えば、本県の大きな課題であります学力向上に向けた対策といたしまして、少人数学級編制の実現のための教員加配、そして児童生徒の多くを有する高知市への人的支援などに取り組んでまいりました。また、不登校対策といたしまして、心の教育センターの相談支援体制の強化、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の充実なども行ってまいっております。さらに、コロナ禍を契機に加速をいたしました教育分野のデジタル化に対応するという観点から、公費によります県立の高等学校における1人1台タブレットの導入につきましても、県独自で導入をするという判断もしてまいりました。 このように限られた財源の中でしっかりと教育効果を発揮できますように、課題や社会の動きを適切に捉えながら予算編成を行ってまいったと自負をいたしているところでございます。 今後は、未来を形づくる子供たちにとって必要となりますデジタル、グリーン、グローバルといった視点もしっかりと取り入れました教育の振興が重要だと考えております。加えまして、ヤングケアラーへの対応といった新たな教育課題への対応も的確に行っていく必要があります。このため、厳しい財政状況の中にありましても、引き続きそうした取組の効果あるいは成果を検証しながら、本県全ての子供たちの可能性を引き出すために必要な教育予算をしっかりと確保してまいります。 次に、女性の活躍の推進に関します現状の課題認識と中長期的な施策展開についてのお尋ねがございました。 本県におきましては、育児をしている女性の就業割合、あるいは管理職的な職業従事者に占める女性の割合は、ともに全国3位となっておりまして、女性が働き続けることに対して前向きな県民性がうかがえると考えます。一方で、男性の家事、育児の時間は全国平均より少ないということでありまして、女性が負担を感じていると考えられ、この意味で仕事と家庭生活の両立というのが大きな課題ではないかと考えます。 また、非正規雇用の割合を見ますと、女性が男性の2.3倍と高いといったこともございます。こういった面からは、女性の働く場の確保あるいは働きやすい職場づくりをさらに強化していくということが大きな課題であるというふうに考えます。 県におきましては、まず仕事と家庭生活の両立を進めるという観点から、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組みます企業を、延べで543社認証するという取組をしております。あわせまして、高知家の出会い・結婚・子育て応援団とも連携をいたしまして、官民協働で男性の育児休業取得率の向上などにも取り組んでおります。特に、県職員の男性の育児休業取得率は、令和2年度には全国で2番目となるなど、県としても率先して取組を進めてまいりました。 また、女性の働く場の確保という課題につきましては、高知家の女性しごと応援室を設けまして、これまでに1,000人を超える就職を支援してまいりました。これらの取組は、高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略の柱に位置づけまして、目標値を設定し、PDCAを回して取組を進めているところであります。 今後についてでございますが、さらなる女性の活躍の場の拡大に向けまして、県内企業の男性の育児休業取得率30%の達成を目指して、高知県ワークライフバランス推進認証企業などにアドバイザーを派遣するといったことなど、積極的に取組を後押ししてまいりたいと思います。加えまして、女性の多様な働き方を実現していくという観点から、就業支援講座、研修を実施するということなども含めまして、就職への希望をかなえ、女性が生き生きと活躍できる高知県の実現を目指しまして取り組んでまいります。 最後に、ダイオキシン類を含みます、いわゆる2・4・5T系除草剤につきまして、林野庁に対し、撤去を念頭に最終処理をする方法を強く促していくべきだという点についてのお尋ねがございました。 この2・4・5T系除草剤につきましては、議員から御指摘がありましたとおり、県内の4か所で埋設をされているという状況となっております。国のほうでは、土壌に埋設した除草剤につきまして、その場で安定した状態にあるということから、埋設場所への立入りあるいは土壌攪乱行為を禁止するという措置などを行う取扱いをしてこられております。そして、国におきまして埋設場所の管理をされ、定期的に、また大雨等の後に現地確認が行われているというふうに承知をしているところであります。 その一方で、御指摘ありましたように、近年の豪雨、地震などに伴います土砂災害の発生も考慮いたしまして、埋設した除草剤の撤去を念頭に、最終処理する方法の検討に国のほうでは着手をされております。 具体的に申しますと、昨年度本県の四万十町を含みます全国4か所で、撤去に必要な機材あるいは撤去後の保管場所はどうするかといった点についての調査が行われております。本年度は、このうち地上で保管されております四万十町を除く3か所においてボーリング調査などが実施されまして、安全な掘削撤去、そして無害化処理の手法についての十分な検討を行うこととされております。そして、計画では、来年度には四万十町を含みます全国4か所で先行撤去を行うとの方針が国からは示されているところでございます。さらに、全国のその他の埋設場所におきましても、令和6年度以降に順次掘削撤去される予定になっているといった説明を国から受けているところでございます。 県といたしましては、県内の全ての埋設場所で掘削撤去が確実に行われますように、地元の自治体とも連携・協力をいたしまして、林野庁に対して求めてまいる考えであります。 私からは以上であります。   (産業振興推進部長沖本健二君登壇) ◎産業振興推進部長(沖本健二君) まず、土佐酒の輸出状況についてお尋ねがございました。 土佐酒の輸出につきましては、ユズ、水産物とともに本県の強みを生かせる基幹品目として位置づけ、取組を強化してまいりました。その結果、現在中国、アメリカ、香港を中心に海外での販売が拡大をしております。ジェトロと共同で行った調査結果によりますと、直近値である令和2年の土佐酒の輸出額は2億7,600万円余りとなっております。これは、産業振興計画がスタートいたしました平成21年の4,700万円と比べ、およそ6倍に増えております。 土佐酒は、近年海外での商談会や品評会でも高い評価をいただいておりまして、大量発注もあるというふうに伺っております。国内の市場環境が厳しい中、輸出に関しては順調に推移しているとお聞きをしておりまして、今後さらに増加するものと期待をしております。 次に、土佐酒輸出拡大プロジェクトのポイントについてお尋ねがございました。 国内では、新型コロナウイルスの蔓延による飲食店の不振や、若者の日本酒離れによる需要の低下が続いております。一方、土佐酒は、ヨーロッパやアメリカなど海外の著名な品評会で最高の賞を獲得するなど、近年国内のみならず、海外においても高い評価を受けております。 こうした海外での評価や人気の高まりをチャンスと捉え、県、酒造組合、JAなどが参画した官民一体のプロジェクトを立ち上げ、土佐酒のさらなる輸出拡大を目指す取組を抜本強化したところでございます。このプロジェクトでは、原料生産から商品開発、販売に至るまで、それぞれの段階で関係者が協議して課題解決に取り組む仕組みを構築いたしました。 また、プロジェクトを成功裏に導くためには、現地のニーズを捉えたマーケットイン型の輸出に取り組んでいくことが極めて重要です。そのため、ターゲットとなる国ごとにニーズの把握を行い、それぞれの国の嗜好に合った商品開発の支援を行うこととしておりますし、衛生管理の確立や大量発注など、海外で求められる生産体制の充実に対して支援を進めているところでございます。 国内での消費が低迷する土佐酒の輸出拡大が実現すれば、地域で頑張っておられる酒蔵の経営の安定や雇用の拡大、さらには原料となります県産酒米の増産が期待できます。加えまして、県内の主な酒米の生産地や酒蔵の多くは中山間地域にありますことから、このプロジェクトは土佐酒の振興のみならず、中山間地域の活性化に寄与するものであり、今後一層取組を強化してまいります。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) 県産酒米作りの現状と今後の生産拡大への取組についてお尋ねがございました。 県では、これまで酒造組合やJA、学識経験者、県などで構成する土佐酒振興プラットフォームを中心に、栽培技術向上のための現地検討会や品質の高い生産への意識を高める酒米品評会を実施するなど、酒造会社のニーズに応じた酒米の安定生産に取り組んでまいりました。 その結果、例えば酒米の中で生産量が最も多い吟の夢の1等米比率は、平成27年に比べ昨年には6%向上しております。また、この品質向上に伴い、県産酒米の生産量は、平成27年の190トンから令和2年には348トンとなり、令和3年は新型コロナウイルス感染症の影響により若干減少となりましたけれども、近年増加傾向であります。 一方、県内酒造会社の使用量に占める県産米のシェア率は約34%と、平成27年に比べ約10%増加しているものの、依然としてまだ低い状況ですので、酒造会社の求めるさらなる品質の向上が必要となります。 そのため、これまで取り組んできた酒米の分析結果に基づく栽培管理の見直しを徹底するとともに、酒米品評会の上位入賞者の栽培管理方法を解析して栽培技術を学ぶ検討会を開催するなど、品質向上の取組を充実強化してまいります。加えて、生産者や市町村、JA、振興センターが一体となって、品質の高い酒米作りに取り組んでいる地域がありますので、その他の地域への横展開も図ってまいりたいと考えております。 今後も引き続き、土佐酒振興プラットフォームを中心に、さらなる品質向上を図るための栽培技術の確立と普及に取り組み、県産酒米の生産拡大に努めてまいります。   (観光振興部長山脇深君登壇) ◎観光振興部長(山脇深君) 連続テレビ小説らんまんの放送を契機とした市町村の受入れ体制強化に対する県の支援につきましてお尋ねがございました。 ドラマの放送が始まりますと、県内各地の牧野博士ゆかりの場所や草花スポットを目指して、多くの方の来訪が想定されますので、こうした場所の受入れ体制を事前にしっかり整えておかなければなりません。このため県としましては、全市町村を対象に候補地の照会を行うとともに、これまで市町村の方々と協議を重ねまして、受入れの際の課題や必要な整備などについて話し合ってまいりました。 そうした中、多くの市町村から、現地ガイドの養成をはじめ遊歩道やトイレの整備、関連施設の展示の拡充など、満足度を高める取組に関するお話をいただいております。また、観光客の方々がスムーズに周遊するための案内板や誘導サインの設置、さらには地域の方の迷惑とならないよう、マナー啓発の看板設置や駐車場の拡充整備など、様々な視点から整備を進めたいとの意向を伺っております。 そうした各地域での受入れ体制の強化を後押しするため、市町村の意向を踏まえた補助制度を創設し、今議会に必要な予算案として提出をさせていただきました。現時点で19の市町村、29の事業におきましてこの補助制度を活用した整備を見込んでおります。なお、議員からお話のありました佐川町をはじめとする仁淀川流域では、全ての市町村でこの補助制度の活用を希望されているといった状況でございます。 今後も引き続き、市町村と十分連携を図り、各地域で行う受入れ体制の充実強化に対しまして、あらゆる面から県としてしっかりと支援をしてまいりたいと思います。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 介護職員の離職の現状と離職防止のための環境づくりについてお尋ねがございました。 介護労働実態調査による本県の介護現場における離職率は、これまでの取組による効果もあり、平成28年度の16.3%から令和2年度には13.2%と改善しております。また、調査は異なりますが、令和2年雇用動向調査による本県の全産業の離職率15.3%と比較しましても、相対的には高くない状況となっております。 本県の介護に従事している方が介護分野で働き続けたいと望む割合は約8割と高い一方で、令和3年の介護分野での有効求人倍率は2.5倍と、介護人材の確保は大変厳しい状況となっております。このため、介護職場で働く方の就労意欲をさらに高めることによって職場定着を促進し、離職の防止にしっかりと取り組んでまいります。 まず、働きやすい職場環境づくりに向けまして、ICTや介護ロボットなどの導入への助成制度を拡充し、デジタル技術を活用した業務の効率化、省力化を推進してまいります。また、働きやすい職場環境の評価基準を満たした事業所を認証いたします福祉・介護事業所認証評価制度では、令和4年5月末現在で39法人、236事業所が認証を取得しており、さらなる拡大に向けて取り組んでまいります。 次に、本県の介護職場で働く方の約7割が女性であるため、女性が安心して活躍できる職場づくりに向けまして、リフトなどの活用で身体的負担が軽減できるノーリフティングケアをさらに推進してまいります。また、育児をしている方などのライフプランに合った柔軟な働き方を提案していくため、幡多地域をモデル地区に、副業・兼業やワークシェアの普及に向けて具体的な検討を進めてまいります。 さらに、介護職員の処遇改善では、介護事業所へのアドバイザー費用の助成により、職員の賃金改善のための処遇改善加算の取得率を引き上げるとともに、職員の資格取得など事業所のキャリアアップの仕組みづくりを支援してまいります。 こうした取組によりまして、安心して働き続けられる環境づくりを推進し、介護職員の定着促進、離職防止を図ってまいります。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) 訪問看護ステーションの設置状況とその充実強化に向けた取組についてお尋ねがございました。 令和3年度末の県内の訪問看護ステーション数は82か所であり、この10年で2倍近くに増加しております。また、訪問看護ステーションの看護職員数は令和2年に364人となり、これも2倍を超えて増加しております。一方、訪問看護ステーションの設置の推移を見ますと、この10年に新設されたステーションについては、高知市と南国市に約7割が集中しており、中山間地域での設置が進まないことや、中小規模の事業者が8割強を占めていることから、地域によっては重症者の対応などが困難になっているのが現状でございます。 このようなことから、県では、中山間地域等でのサービスの提供が経営上不採算となる遠隔地への訪問看護に対する助成や派遣調整を継続して行ってまいりました。これまでの訪問実績としましては、本事業開始前の平成25年度の3,979回から令和3年度は8,756回と増加しており、中山間地域でのサービス確保に結びついております。また、24時間対応や専門性が高い分野への対応を可能とする機能強化型訪問看護ステーションの増加を目指し、訪問看護連絡協議会と連携の上、相談や教育支援を行っているところです。 さらには、こうした地域の訪問看護に関する様々な課題を総合的に解決し、訪問看護提供体制の推進を図る拠点となる訪問看護総合支援センターの設置に向けて現在準備を進めております。このセンターでは、訪問看護ステーションの経営支援や潜在看護師の就業促進などに取り組むことで、訪問看護サービスの充実強化を図ってまいりたいと考えております。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) 高齢者の雇用促進についてお尋ねがございました。 働く意欲のある高齢者に活躍していただきますことは、社会保障の支え手を増やすことのみならず、様々な分野で深刻化する担い手不足の緩和につながるなど、社会にとって大変有効であると認識しております。そして、何より高齢者の生きがいや健康の増進にもつながるものと考えております。 このため、県では、これまでにも高齢者の雇用促進に努めてきておりまして、特に平成30年度からは労働局など関係団体と連携した取組を進めているところであります。具体的には、まず企業に対しましては、昨年の改正高年齢者雇用安定法の施行も追い風に、定年の引上げや定年制の廃止などを働きかけることで、働き続けることのできる環境づくりに取り組んでおります。加えて、業務の切り出しを行い、就業の機会を創出することもお願いしているところであります。 また、高齢者に対しましては、どのような仕事が向いているのかを理解していただき、スキルアップを図っていただくためのセミナーの開催や、企業とのマッチングを行っているところです。令和2年に実施されました国勢調査における65歳以上の就業者数を見ますと、平成27年の5万6,912人から8,858人増の6万5,770人となっておりまして、これまでの取組が増加に一定寄与しているものと考えております。 今後も意欲のある高齢者の方々が生き生きと働くことで社会が支えられ、県民が安心して暮らすことのできる高知県を目指しまして、労働局をはじめ関係団体と連携しながら、高齢者の雇用促進に取り組んでまいります。   (副知事井上浩之君登壇) ◎副知事(井上浩之君) ウオーキングを県民運動として盛り上げることについてお尋ねがありました。 健康寿命を延ばすためには、生活習慣の改善や健康行動の定着化が重要となります。お話にありました日々のウオーキングを続けることは、まさに効果的であると考えております。一方で本県の状況を見てみますと、少し前のデータにはなりますけれども、平成28年の国民健康・栄養調査によりますと、県民の皆さんの日常生活における歩数の平均値は、男女ともに全国最下位の状況にございます。このため、日本一の健康長寿県構想におきまして、歩数の増加を目標に掲げて取組を進めているところでございます。 その取組の一環といたしまして、生活習慣病予防に向けました高知家健康チャレンジを県民運動として推進しております。具体的には、一日あと15分歩こうといった、いつもの暮らしの中に無理なく取り入れられるチャレンジを呼びかけまして、健康増進につなげていただくよう、テレビCMやチラシなどによりまして啓発を行っているところでございます。 また、現在3万1,000人を超えるユーザーに利用されております高知家健康パスポートでは、1日の指定歩数を達成するとポイントが付与されるといった特典を設けており、さらに今年度からは、これまで年2回開催をしておりました歩数ポイントを競うイベントを年6回に増やすとともに、より多くの方々に参加をしていただくため新規ユーザー紹介キャンペーンを展開いたしまして、ウオーキングなどの運動機会の拡大につなげているところでございます。 今後もこうした取組を一層充実させるとともに、ウオーキングの効用や正しい歩き方、注意点などの広報活動も強化をいたしまして、誰もが手軽に楽しめる健康づくりであるウオーキングを県民の皆さんにさらに広げ、盛り上げてまいりたいと考えております。   (教育長長岡幹泰君登壇) ◎教育長(長岡幹泰君) まず、GIGAスクール構想の実現に向けた取組についてお尋ねがございました。 あらゆる産業や社会生活にAIなどの高度な先端技術を取り入れられたSociety5.0社会が到来しつつある中、子供たちにICT活用力を身につけさせるGIGAスクール構想の実現は、喫緊の課題だというふうに認識をしております。 このため、昨年度までに、全公立学校において1人1台タブレット端末の整備を完了させ、またデジタル教材などを掲載した本県独自の学習支援プラットフォーム高知家まなびばこの運用を開始いたしました。GIGAスクール構想の実現に向けた基盤は一定整えられたところであり、現在は各学校においてそれらを効果的に活用する教育活動を実践、充実していく段階に入っていると考えております。 そして、ICTを効果的に活用し教育実践を高めていくためには、議員のお話にもありましたように、教員のICT活用指導力を向上させることが重要だと考えます。このため、教員の年次研修など様々な研修にICTの活用に関するプログラムを設け、継続的に実施していくことにしております。 また、教員のICT活用を支援するために、県や各市町村が配置するICT支援員への研修等を実施するほか、各学校や家庭からの問合せに対応するヘルプデスク機能を持ったGIGAスクール運営支援センターを、県と7つの市町村が共同で開設し、運営を開始しております。 さらに、ICT活用の加速化に向けまして、教育委員会事務局内の連携を強化するため、本年度に教育次長をトップとするデジタル教育推進プロジェクトチームを設置し、問題点や支援方法などについて協議していくこととしております。 こうした取組を通じまして、教員のICT活用指導力を高め、それによって子供たちのICT活用力をしっかり育んでいくことで、GIGAスクール構想の実現につなげてまいります。 次に、保護者の子育て力向上のための施策展開についてお尋ねがございました。 議員のお話にありましたように、生涯にわたる人格形成の基礎を培う乳幼児期に質の高い教育、保育を受けることは、子供の健全な成長にとって極めて重要なことと考えます。一方、核家族化や厳しい経済状況等を背景に、子育てに不安や悩みを抱えていたり、育児に十分に時間を費やすことが難しい保護者も少なからずおりまして、結果として心理的に不安定な子供や基本的生活習慣が身についていない子供も見られるところとなっております。 このため、県教育委員会では、保護者の子育て力を高める、いわゆる親育ち支援に取り組んでいるところでございます。具体的には、乳幼児がいる保護者を対象に、子供の健やかな成長のために大切にすべきポイントなどをテーマにした講話や、小学校入学までに身につけておくべき基本的生活習慣に関する研修などを行っております。昨年度は、52回開催したこれらの学習会に900名余りの参加があり、ほぼ全ての参加者から子育てに生かせる学びや気づきがあったと評価をいただくなど、一定の成果も見えているところでございます。 一方で、こうした研修に参加できない、あるいは参加していない保護者へのアプローチが課題としてあります。そこで、本年度は、知識や経験豊富な保育者がその保育技術を子育てに役立つコツとして解説する動画を作成し、乳幼児を育てている全ての保護者がいつでもどこでも学ぶことができるよう、SNSで配信することとしております。そして、この動画が、より多くの方に認知され、活用されるよう、各園の保育者を通じて周知を図るとともに、知事部局が行う高知版ネウボラのプロモーションとも連携してPRをすることとしております。 こうしたことを通じて、これまで支援の届かなかった子育て家庭にも育児や教育情報の提供を行い、子育て力を高めていただくよう働きかけていきたいと考えております。 最後に、本県の教育行政における解決すべき問題とその対応についてお尋ねがございました。 第2期教育大綱及び第3期教育振興基本計画に基づくこれまでの取組によりまして、本県の大きな課題である小中学生の学力や体力の状況は着実に改善が進むなど、成果も表れてきていると考えております。他方で、不登校の出現率は全国と比べて依然として高い状況にあり、高校生の学力未定着層の課題も残されています。また、デジタルを活用した教育の推進や、ヤングケアラーなど多様な子供たちへの支援の充実といった新たな課題への対応も求められていると考えております。 ただ、私は、本県の様々な教育課題は互いに関連し合い、影響し合っているものも多いと考えております。例えば、学力の課題が不登校につながり、厳しい家庭環境が学力や子供たちの心理行動面に影響している場合もございます。一人一人の子供の表面に現れている問題の背後に別の課題があることも考えておかなければならないと思っております。したがいまして、それぞれの課題に対応する施策については、総合的、重層的に取り組む必要があり、実行に当たっては取組自体が目的化していないか、その内容は真に子供の学習や成長に効果的なものになっているのかといったことを、しっかりと検証していくことが大切だと考えております。 そのため、学校現場、教育行政双方を経験した教員出身の教育長という私の特性を生かして、事務局はもとより市町村教育委員会や学校、教職員、保護者や地域の方々などと対話を重ね、議論を重ね、理解、協力をいただき、連携して取組を進めてまいりたいというふうに考えております。その上で、各施策が学校や子供たちにどのような変化をもたらしているのか、着実に成果につながっているのかといったことを不断に検証しながら、取組を進化させ、本県の教育課題の解決につながるよう全力を尽くしてまいります。   (土木部長荻野宏之君登壇) ◎土木部長(荻野宏之君) まず、県民が安心して家具類の固定に取り組める支援の仕組みと補助制度の周知についてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えします。 県では、家具の固定対策に取り組む市町村に対しまして、その費用の一部を支援する制度を設けており、現在29の市町村がこの制度を活用しています。そのうち19市町村では、窓口となる市町村が手配した専門事業者やシルバー人材センターなどが家具の固定を行う仕組みを取り入れております。県といたしましては、市町村訪問や説明会などを通じて、このような仕組みが、より多くの市町村で取り入れられるよう働きかけてまいります。 また、補助制度につきましては、これまでも県のホームページや、自主防災組織での出前講座などにより周知を図ってまいりました。引き続き、より多くの皆様に補助制度を知っていただけるよう、危機管理部や市町村と連携して周知を進めてまいります。 次に、長寿命化計画に基づいたスポーツ施設の機能の維持についてお尋ねがございました。 春野総合運動公園などのスポーツ施設を備えた県立都市公園は、県民の皆様をはじめ多くのプロスポーツチームのキャンプや実業団、大学等の運動部の強化合宿に利用いただいているところでございます。利用者の皆様が安心してトレーニングを行うためには、各施設が目的に応じた機能を発揮できるよう、良好な状態に保っていく必要がございます。 このため、県では、それぞれの施設において修繕や更新の方法、時期等を定めた長寿命化計画を策定し、国の交付金も活用しながら、野球場のスコアボードや体育館の床面などの維持修繕を進めてきたところでございます。 引き続き、関係部局等と連携しながら、強化合宿の誘致やリピート利用につながるよう必要な予算の確保に努め、計画的な維持修繕に取り組んでまいります。   (危機管理部長中岡誠二君登壇) ◎危機管理部長(中岡誠二君) まず、乳幼児、妊婦の災害時の備えに対する取組についてお尋ねがございました。 県では、県民の皆さんに適切な避難行動を取っていただくため、事前の避難経路の確認、親戚や知人宅に避難する分散避難などについて啓発冊子「南海トラフ地震に備えちょき」に記載し、全戸配布をしています。また、妊婦の方には、自宅や勤務先、里帰り先からの避難経路や家族の集合場所などを確認することなどを母子健康手帳に記載し、災害時の備えを促しています。 一方、避難所では乳幼児や妊婦などの要配慮者の方は、心身ともに負担が大きいことが想定されます。このため、令和元年度に要配慮者に対応した避難所運営の手引を作成し、市町村に配布するとともに、令和2年度には要配慮者の特性に応じた支援ガイドを作成し、各避難所へ配布しています。この支援ガイドには、乳幼児や妊婦の特性、避難生活を送る上での困り事などを例示した上で、例えば妊産婦の健康状態の把握は女性が対応することや、授乳用のパーティションを設置すること、つわりのある妊婦にはトイレ付近を避けたスペースを確保することなど、支援や対応方法を記載しております。 今年3月には、この手引と支援ガイドに基づいた避難所の運営訓練を撮影し、解説を加えたDVDを市町村に配付するとともに、県の公式ユーチューブで配信をしているところです。今後は、市町村に対してこのDVDも活用し、避難所の運営マニュアルのバージョンアップや訓練の実施を促していくとともに、引き続き避難所における必要な資機材整備を支援してまいります。 次に、女性消防士の増員に向けた今後の取組についてお尋ねがありました。 議員のお話にありましたとおり、国では、消防士に占める女性の比率を令和8年4月までに5%に引き上げる目標を示しており、県内の各消防本部では、職場体験の受入れや学校へ出向いた説明会の実施など、目標の達成に向けて取り組んでいるところです。 県においても、消防庁が作成しましたポスターやガイドブックなどを活用して広報啓発を行うなど、消防本部の取組を支援してまいりました。こうした取組もあり、令和4年4月1日現在県内の女性消防士は、昨年に比べ6名増の21名、比率は1.8%となっております。また、採用試験における女性の応募者数も増加傾向にあります。 しかしながら、応募者がゼロである消防本部も多数あり、女性の応募者はまだまだ少ない状況です。その背景には、消防士は体力を求められ、危険も伴う仕事だとの認識があり、女性が安心して働ける職場であることが伝わっていないことなどが考えられます。 他県では、県と消防本部の共催により、女性を対象とした仕事説明会を開催している事例もあります。この中で、仕事の紹介、勤務体制や育児支援制度などの説明に加えて、消防士の仕事の魅力を直接伝えるために、現役の女性消防士と座談会を行っています。参加した女性からは、女性でも関係なく働けることをよく知れた、とてもやりがいのある仕事だと感じたなどの声もあり、とても好評だったと聞いております。 今後も、これまでの取組に加えまして、こうした他県の先進事例を参考にするなど、消防本部と連携しながら、女性消防士の増員に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。   (警察本部長熊坂隆君登壇) ◎警察本部長(熊坂隆君) 高齢ドライバーによるペダル踏み間違いの事故の発生状況、県内で認知機能検査などを経て免許取消しとなった高齢者の人数、高齢ドライバーのペダル踏み間違い事故を含めた交通事故防止などに取り組むポイントについてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。 昨年中、県内では、アクセルとブレーキの踏み間違いによる人身事故は14件発生しております。このうち65歳以上の高齢ドライバーがペダルを踏み間違えた事故は10件、75歳以上に限ると5件となっております。事故の態様別では、前の車に追突したものが最多の6件、営業中の店舗に突入したものが2件で、道路から畑へ転落したもの、道路外から国道へ出て走行中の車に衝突したものがそれぞれ1件でございます。 認知機能検査については、平成21年6月、運転免許証の更新を受ける75歳以上の高齢者に対し導入され、この検査などを経て、医師に認知症と診断され、本県で免許取消処分を受けた方は、平成29年3月までで累計67名となっております。御質問の平成29年3月以降は、法改正により制度が改められ、認知症のおそれを判定するための認知機能検査や、一定の交通違反をしたときの臨時認知機能検査が行われております。この認知機能検査や運転に不安を感じる家族や関係者からの相談を契機とした臨時適性検査などを経て、医師に認知症と診断された結果、本県で免許の取消処分を受けた高齢者は、本年5月までの累計で120人となっております。 県警察では、このような状況の下、高齢ドライバーの交通事故防止対策として、事故を起こす可能性がある高齢者の把握、高齢者アドバイザーによる訪問指導、参加・体験・実践型の交通安全教室の開催、ペダル踏み間違いによる急加速防止装置などの先端技術を搭載した安全運転サポート車、いわゆるサポカーの普及促進、運転免許自主返納の促進などに取り組んでおります。 こうした中、先月13日から施行されました改正道路交通法により、高齢ドライバーの免許証更新時に運転技能検査が義務づけられました。また、運転に不安を感じるものの運転を継続したいという方には、新たな選択肢として、より安全な車のみで運転ができるサポートカー限定免許の申請が可能となっております。 県警察としましては、今回の改正により新たに設けられた制度も活用し、運転継続可能なドライバーに対しては加齢に応じた望ましい運転を促す一方、自らの運転に不安を感じている運転リスクの高いドライバー等に対しては自主返納を検討していただくなど、今後ともそれぞれの高齢ドライバーの特性に応じた、きめ細かな対策を推進してまいります。あわせて、本県は中山間地域をはじめ、生活の足として車を必要とされる方が多く、免許を返納した後の移動手段の確保等の課題解決に向け、関係機関・団体と緊密な連携をさらに図ってまいりたいと考えております。   (林業振興・環境部長豊永大五君登壇) ◎林業振興・環境部長(豊永大五君) まず、2・4・5T系除草剤に関する県内の埋設場所と埋設量、また林野庁の通達と異なる方法で埋設されている箇所数についてお尋ねがございました。 2・4・5T系除草剤は、県内6市町村の計6か所に昭和46年度に埋設されており、そのうち安芸市、四万十市の全量と大豊町の一部については、昭和59年度に現地から掘削撤去されております。現在も土の中に除草剤が埋設されている場所は、いの町、大豊町、土佐清水市の3か所となっています。それぞれの埋設量は、いの町については液体のものが72リットル、粒状のものが840キログラム、大豊町については液体のものが360リットルとなっており、土佐清水市につきましては粒状のものであることは分かっておりますけれども、埋設量が把握できていないと四国森林管理局から聞いております。 四万十町につきましては、土の中に液体のものが648リットル埋設されておりましたが、昭和59年度に掘削され、以降は地上に設置したコンクリート製の構造物に密閉保管されています。また、土の中に埋設されました状態にある3か所のうち、いの町、大豊町の2か所では、通達とは異なる方法で埋設されていると聞いております。 次に、県の要請を受け、四国森林管理局によって行われた調査の状況と、調査結果の関係自治体への説明についてお尋ねがありました。 県では、県議会での御指摘を踏まえ、平成27年度7月に四国森林管理局長に対し、既に掘削撤去された場所も含めた6か所全てを対象に、水及び土壌の環境調査の実施と埋設場所の保全対策、周辺住民に対する説明について要請をいたしました。 それと並行しまして、県では、学識経験者で構成する2・4・5T系除草剤の調査に関するアドバイザー会議を設置し、現地調査等を経て調査地点の選定を行いました。それに基づき、四国森林管理局では、平成28年1月にダイオキシン類に関する水質調査を実施しております。 さらに、県からの追加の要請に基づき、平成29年1月から3月にかけてダイオキシン類に関する川底の調査と、除草剤に関する水質及び川底の調査を実施しております。これらの調査の結果、全ての埋設場所において河川水、川底ともに除草剤は検出されず、また環境基準を上回るダイオキシン類も検出されませんでした。この結果を踏まえ、四国森林管理局では、その後は年2回と大雨等の後に埋設場所の目視での点検を実施しております。 これに加えまして、直近では令和3年3月と6月に土佐清水市の埋設場所付近の河川において、ダイオキシン類と除草剤に関する水質及び川底の調査が実施されています。その結果についても、ダイオキシン類の濃度は環境基準以下で、除草剤は検出されなかった旨の報告を受けています。 こうした一連の調査結果につきましては、その都度森林管理局から県に報告をいただいておりました。しかしながら、地元の自治体に対しましては、一部を除き今回の国の撤去方針が示されるまで、説明がなされていなかったということが明らかになりました。そのため県としましては、今後地元の自治体に対しても、県と同様の定期的な調査の結果の報告をされるよう、急ぎ口頭ではありますが、四国森林管理局に申入れを行ったところでございます。 ◆31番(上田周五君) それぞれ御答弁いただきました。誠にありがとうございます。 再質問、1点ですが、この除草剤のことについて質問させていただきます。先ほどるる説明があったんですが、この件に関して、本当にもう半世紀とか長い間、地元の自治体に報告とか説明がなかったのが一番の大きな問題だと考えています。いの町の分で言いますと、本川の総合支所の職員も誰一人知らなかったと、つい最近まで。これが大きな問題なんですよ。今御答弁ありましたけれど、これから説明すると。ここは、私は強く指摘をしておきたいと思います。 いの町ということでしたので、先日現地へ行ってきました。本当に、194号沿いの桑瀬川と中野川が合流する地点から中野川を上流へ1キロ行ったところの、なだらかな、歩いて二、三分のところなんですよ、その埋設されているところが。今もるる説明があったんですけれど、その通達どおりに埋設されていないということで、私の見る限りは、その長い年月が経過する中で、本当に現地は雑草が生い茂り、有刺鉄線が劣化し、そして当初の昭和46年の高知営林署長名の立て看板もなくなっているんですよ。その目と鼻の先にエメラルドグリーンと言われている中野川がありまして、本当に危険がいっぱいというか、そんな中で今月、6月1日に四国森林管理局の局長さん以下3名の方が、これいの町が要請して説明に来ているんですよ。で、そのやり取りをして、私これ聞いた話ですが、本当に危機感に差があって、先ほども言ったように、水質は大丈夫だ、土壌は安定しているといってもなかなか説明が曖昧で、結構地元のいの町としては厳しい感じを持たれているということを聞いています。 知事にここからお聞きしたいんですが、先ほど説明もしてくれましたけれど、本当にこれダイオキシンが、もしですよ、これから降雨量が多くて、その被覆した処理コンクリートなんかも長い年月で劣化して--私も現地を見ました。本当に大丈夫かなというのが、本当に率直な感想です。だから、先ほど知事が私の質問に、令和6年度以降、順次撤去というような、そんな悠長な話やないんですよ、これ。本当に。だから、地元としては、これまで全然知らされていなかった中で、本当に一刻を争うと、間髪を入れずに撤去に向けて環境調査をやられてという切実な願いです。 これは、平成27年の橋本議員の質問の中で、前知事も大きな問題として捉えて、林野庁にしっかりと説明してもらうぜよと、そういう本会議で答弁されているんですよ。だから、私は危機感を持って知事に--これ相手が国ですので、市町村はなかなか大変なんです。だから、県に本当に強く後押しをしていただかないと。本当に危機感を持ってやっていただきたいということですので、もう一度知事にそういった現地の状況もしっかり把握されて、情報を共有されて、一日でも早く撤去作業を行ってもらうように、間髪を入れずに、地元の自治体と共に林野庁へ訴えていただきたいと思いますが、再度の御答弁をよろしくお願いいたします。 ◎知事(濱田省司君) 上田周五議員の再質問にお答えいたします。 議員のほうから御指摘いただきましたように、議員のほうでも現地も確認をいただいたということでございますけれども、本来自然環境が豊かな中山間の地域にこうした形でダイオキシン系の除草剤が埋設をされていると。そのことが地元の自治体にも全く知らされていなかったと。大変遺憾なことであるというふうに思います。 今回、こうした経緯をたどりまして、国のほうにおきまして全面撤去をしていくと、無害処理をした上でですね。こういう方針になりましたことは、これは問題の抜本的な解決に向けて大きな前進だというふうに思います。 そうした方針の下に、できるだけ速やかに撤去の対応をしていただくということに関しまして、地元の市町村ともしっかり連絡、協力を取りながら、林野庁に対しまして、私どものほうからも改めてしっかりとした対応を取っていただくように申入れをし、また我々県も地元市町村と一緒になりまして、この件についてしっかりとフォローしていきたいというふうに考えております。 ◆31番(上田周五君) 知事、どうも御答弁ありがとうございました。 時間がありませんけれど、やっぱり中山間地域内へいつまでもこの負の遺産を残さないように、残し続けないように、よろしくお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(明神健夫君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(明神健夫君) 御報告いたします。 議員森田英二君から、所用のため本日の会議を欠席したい旨届出がありました。----------------------------------- ○議長(明神健夫君) お諮りいたします。 明11日から13日までの3日間は議案精査等のため本会議を休会し、6月14日から再開いたしたいと存じますが御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(明神健夫君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決しました。 6月14日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後5時5分散会...