高知県議会 > 2022-03-09 >
03月09日-06号

  • "特例基金条例"(/)
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  1. 高知県議会 2022-03-09
    03月09日-06号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年  2月 定例会(第361回)-----------------------------------        令和4年3月9日(水曜日) 開議第6日-----------------------------------出席議員       1番  桑鶴太朗君       2番  上治堂司君       3番  土森正一君       4番  上田貢太郎君       5番  今城誠司君       6番  金岡佳時君       7番  下村勝幸君       8番  田中 徹君       9番  土居 央君       10番  野町雅樹君       12番  横山文人君       13番  西内隆純君       14番  加藤 漠君       15番  西内 健君       16番  弘田兼一君       17番  明神健夫君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  依光美代子君       26番  大石 宗君       27番  武石利彦君       28番  田所裕介君       29番  石井 孝君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        井上浩之君  総務部長       徳重 覚君  危機管理部長     浦田敏郎君  健康政策部長     家保英隆君  子ども・福祉政策部長 山地 和君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 尾下一次君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     山脇 深君  農業振興部長     杉村充孝君  林業振興・環境部長  中村 剛君  水産振興部長     松村晃充君  土木部長       森田徹雄君  会計管理者      井上達男君  公営企業局長     橋口欣二君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  澤田博睦君  公安委員長      西山彰一君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員職務代理者             奥村陽子君  監査委員事務局長   中村知佐君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       行宗昭一君  事務局次長      山本和弘君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     川村和敏君  議事課長補佐     杉本健治君  主幹         春井真美君  主査         久保淳一君-----------------------------------議事日程(第6号)   令和4年3月9日午前10時開議第1 第1号 令和4年度高知県一般会計予算 第2号 令和4年度高知県収入証紙等管理特別会計予算 第3号 令和4年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第4号 令和4年度高知県旅費集中管理特別会計予算 第5号 令和4年度高知県用品等調達特別会計予算 第6号 令和4年度高知県会計事務集中管理特別会計予算 第7号 令和4年度高知県県債管理特別会計予算 第8号 令和4年度高知県土地取得事業特別会計予算 第9号 令和4年度高知県国民健康保険事業特別会計予算 第10号 令和4年度高知県災害救助基金特別会計予算 第11号 令和4年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算 第12号 令和4年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第13号 令和4年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計予算 第14号 令和4年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第15号 令和4年度高知県県営林事業特別会計予算 第16号 令和4年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第17号 令和4年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第18号 令和4年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第19号 令和4年度高知県高等学校等奨学金特別会計予算 第20号 令和4年度高知県流域下水道事業会計予算 第21号 令和4年度高知県電気事業会計予算 第22号 令和4年度高知県工業用水道事業会計予算 第23号 令和4年度高知県病院事業会計予算 第24号 令和3年度高知県一般会計補正予算 第25号 令和3年度高知県収入証紙等管理特別会計補正予算 第26号 令和3年度高知県旅費集中管理特別会計補正予算 第27号 令和3年度高知県用品等調達特別会計補正予算 第28号 令和3年度高知県会計事務集中管理特別会計補正予算 第29号 令和3年度高知県県債管理特別会計補正予算 第30号 令和3年度高知県土地取得事業特別会計補正予算 第31号 令和3年度高知県国民健康保険事業特別会計補正予算 第32号 令和3年度高知県災害救助基金特別会計補正予算 第33号 令和3年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算 第34号 令和3年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第35号 令和3年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第36号 令和3年度高知県農業改良資金助成事業特別会計補正予算 第37号 令和3年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第38号 令和3年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計補正予算 第39号 令和3年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第40号 令和3年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算 第41号 令和3年度高知県流域下水道事業会計補正予算 第42号 令和3年度高知県電気事業会計補正予算 第43号 令和3年度高知県病院事業会計補正予算 第44号 高知県動物愛護基金条例議案 第45号 高知県行政書士法関係手数料徴収条例等の一部を改正する条例議案 第46号 高知県個人情報保護条例の一部を改正する条例議案 第47号 高知県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例及び知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第48号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第49号 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案 第50号 高知県部設置条例の一部を改正する条例議案 第51号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例議案 第52号 職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例議案 第53号 高知県職員等こころざし特例基金条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県統計調査条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県国民健康保険法施行条例の一部を改正する条例議案 第58号 高知県青少年保護育成条例の一部を改正する条例議案 第59号 高知県立紙産業技術センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第60号 高知県新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金基金条例の一部を改正する条例議案 第61号 高知県家畜保健衛生所条例の一部を改正する条例議案 第62号 高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案 第63号 高知県営病院事業料金徴収条例の一部を改正する条例議案 第64号 警察職員の服務の宣誓に関する条例及び公安委員会委員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例議案 第65号 高知県警察手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第66号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第67号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第68号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第69号 都市計画道路はりまや町一宮線防災・安全交付金工事請負契約の締結に関する議案 第70号 (新)安芸中学校・高等学校体育館新築主体工事請負契約の締結に関する議案 第71号 県道の路線の認定に関する議案 第72号 令和4年度高知県一般会計補正予算 報第1号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第2号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第3号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告第2 一般質問(一問一答形式による)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(森田英二君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(森田英二君) 直ちに日程に入ります。 日程第1、第1号「令和4年度高知県一般会計予算」から第72号「令和4年度高知県一般会計補正予算」まで及び報第1号「令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」から報第3号「令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」まで、以上75件を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 質疑並びに一般質問は一問一答形式によることとします。 上治堂司君の持ち時間は60分です。 2番上治堂司君。 ◆2番(上治堂司君) おはようございます。自由民主党会派の上治堂司です。議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らさせていただきます。 今議会の開会日に知事は提案説明の中で、令和4年度の県政運営の3つのポイントの一つに中山間対策の抜本強化を掲げ、中山間地域の振興は本県の発展に不可欠であり、全庁挙げて中山間対策をさらに充実強化し、活力ある中山間地域になるよう全力で取り組むと述べられました。県土の多くを占めます中山間地域にとりましては、本当に心強いことで、各市町村においては県と一体となって様々な施策を行い、それぞれの課題に取り組んでいくことと思います。 そこで、まず集落実態調査についてお伺いいたします。県は平成23年度に実施した集落調査後に、集落活動センターの開所を県域に広め、中山間地域の課題解決に取り組んできました。そして、中山間対策の抜本強化をさらに進めていくために、10年経過をした令和3年度に再び調査をしたところです。 今回の調査は、1,451集落を対象に訪問による集落代表者の聞き取り調査と、その集落のうち109集落への住民にアンケート調査となっております。調査の内容は、生活環境対策、安全・安心対策、農業、林業、漁業など中山間の産業づくり対策、集落代表者から見た課題、そして今後行政に力を入れてほしいことなど、集落活性化対策として幅広い分野で調査をしております。調査結果では、人口減少、高齢化の進行に伴い、10年前に比べて地域活動への参加者の減少や将来の集落維持に不安を抱える集落の増加を確認しております。 一方、多くの住民の方は集落に愛着を持ち、住み慣れた地域で暮らしていきたいと希望されております。県では、暮らし続けられる環境づくりとして1つ目に「くらし」を支える、地域を支える活力の創出として2つ目に「活力」を生む、所得向上と雇用創出として3つ目に「しごと」を生み出す、この3つを柱として、中山間対策を抜本強化して、集落の活動が持続可能な中山間地域として全庁挙げて市町村と連携して取り組んでいくこととしております。 今回の調査結果に基づいて、中山間地域の課題解決に向けて新たにどのように取り組んでいかれるのか、まず知事にお伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) 御紹介いただきました今回の調査におきましては、人口の流出や高齢化により集落の活力が奪われまして、集落機能の低下、産業の衰退を招いたこと、そしてそれによりまして中山間地域での暮らしがさらに厳しい状況に陥るといった、いわゆる負の連鎖が続いているということが確認をされたわけでございます。 こうした負の連鎖を食い止めるというために、第1に中山間地域で暮らし続けることができる生活環境づくりを進めるということが必要であります。あわせまして、地域に活力を生み出す取組でございますとか、地元で働き続けることができる産業を創出するということが必要になってまいります。 このため、新たな中山間対策といたしましては、ただいま御紹介いただきました3本柱でございますが、1に「くらし」を支える、2に「活力」を生む、3に「しごと」を生み出す、この3つの柱を掲げて、私が本部長を務めます中山間総合対策本部を中心といたしまして、県の全庁が一丸となって推進をしてまいる考えでございます。 このうち、特に急がれる対策といたしまして、令和4年度の当初予算には、小さな集落への支援、デジタル技術の活用、そして地域づくり人材の育成・確保などの取組についての予算を盛り込んでおります。 今後、これらの先行する取組に加えまして、調査結果をさらに分析、検証を進めます。それによりまして中山間地域に共通いたします課題であります、各産業分野におきます担い手確保などの施策の充実強化を図ってまいりたいと考えております。 また、市町村にもこの調査結果のフィードバックを行いまして、それぞれの市町村での集落対策あるいは移住促進などの施策づくりでございますとか、地域での活性化に向けた話合いにも活用していただきたいと考えております。 このように、今回の調査で明らかになりました課題につきまして、全庁一丸となって重点的に施策を展開してまいることによりまして、持続可能な中山間地域を実現してまいる考えでございます。 ◆2番(上治堂司君) ありがとうございます。 先ほど知事が答弁いたしましたけれども、その中で集落活動センターに加え、小さな集落への支援強化を行っていくということになっておりますけれども、じゃあどのような支援策を考えておるのか、中山間振興・交通部長にお伺いいたします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 小さな集落の維持・活性化につきましては、事業の実施主体となります市町村が配置するコーディネーターを中心に、住民が主体となったワークショップを開催し、集落実態調査の結果も活用しながら、集落が抱える課題を共有していただきます。その上で、集落の将来像を活動計画としてまとめ、具体的な活動をスタートさせるという手順で進めていきたいと考えております。 事業の実施に当たりましては、市町村に対してコーディネーターの配置や集落での活動に係る経費として、例えば交流人口づくりのための情報発信や、加工品作りのための機材の購入に要する経費などについて助成を行ってまいります。 また、今回の取組では、推進役でありますコーディネーターのスキルがポイントとなってまいります。このため、研修や情報交換によりお互いが学び合う場を設け、活動をサポートしてまいります。あわせて、中山間対策に精通した専門家にも参画をしていただき、活動内容をより深め、現地でのアドバイスを行うこととしております。 このような進め方は、集落活動センターの開設に向けた手法と共通するものでありますが、現状の集落の活力を踏まえ、推進役のコーディネーターを配置すること、また中山間対策の専門家が伴走支援を行うなど、より手厚い体制となっております。このことで、小さな集落の活性化に向けた実現性を高めていきたいと考えております。 ◆2番(上治堂司君) ありがとうございます。 次に、中山間地域のデジタル技術の有効活用ということでございますけれども、中山間地域は高齢者の比率も高く、また80歳以上の方も多くおられるわけでございます。聞き取り調査ではインターネット環境がないなど、技術の活用以前に環境整備が必要だという声も上位にある、また高齢者向けの講習の必要性などの意見もあったということになっておりますけれども、しかし現実は、高齢者にとってパソコン、スマートフォンを使用して生活の中に組み入れていくということは、大変難しい現状ではないかというふうに思います。 小さい町村では行政サービスを行っていく中で、住民に対しては地区内の放送や郵便、また役場職員や社会福祉協議会の職員などが出向いて直接お話をすることで、行政の情報などを提供することができており、そのデジタル技術を活用した生活に慣れていない方が多いというふうに思います。 小さな集落の住民が日常生活をしていく中で、デジタル技術をどのように活用しようと考えておるのか、中山間振興・交通部長にお伺いします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) デジタル技術の活用によりまして距離的なハンディや人役不足を補い、住民の方々が日頃不便に感じておられる生活面での課題解決や、災害時の不安の解消が図れるものと考えております。 例えば、離島での生活において定期船が寄港する港から荷物を自宅に輸送する際、急峻な地形の中現状は人力に頼っているものが、ドローンでの物資の運搬を行うことによって負担を軽減することが見込まれます。また、災害時に孤立することが想定される山間部の集落では、救援物資の運搬などをドローンで行うことによって、住民の不安の解消にも役立ちます。 さらに、集落が管理する農業用水について、日頃の維持管理を遠隔操作で行うことができるシステムを導入することで、集落の方々の負担を軽減できることが見込まれます。このように、今回の実証事業では、住民の方々の生活に身近なテーマを設定したいと考えております。 一方、こうしたデジタル技術を日常生活の場面で実用化するためには、一定の時間を要することが考えられますので、今回の実証事業では2年間の実証期間を設けまして、実装に向けた課題の整理、中でも一番の課題となります担い手の確保などを進めてまいります。 ◆2番(上治堂司君) 分かりました。 次に、中山間地域の消防団のことについてお伺いをいたしたいと思います。消防団は江戸時代から今日まで長い歴史の中で、火災や大規模災害発生時に自宅や職場から現場へ駆けつけ、消火活動、救助活動を行っております。また、地域における消防・防災のリーダーとして、平常時、非常時を問わず、その地域に密着し定期演習による訓練を重ね、消防技術を習得するとともに年末年始には火災予防を地域住民に呼びかけるなど、住民の安心と安全を守るという重要な役割を担っています。さらに、近年は女性の消防団の加入も増加しており、特に独り暮らし高齢者宅への防火訪問など幅広く活躍をしております。 消防団の全国的な団員の状況は、新たに団員として参加する若年層が年々減少しており、団員の年齢構成は近年30歳未満の団員の割合が減少しておるようです。また、団員の職業構成は、かつては自営業者などが中心を占めておりましたけれども、今は被雇用者の割合が増加しており、この令和2年には約74%に達しておるようであります。このように若い団員数の減少と団員構成の変化が消防団の運営に影響を及ぼしており、適正な規模の活力ある消防団の確保をいかに図っていくかが全国的な課題となっております。 県内の消防関係の状況は、常勤である消防本部が15か所、消防署、また分署で40か所、そして非常勤の消防団は34市町村全てに設置をされております。団員数で申しましたら、令和3年4月1日現在で34市町村の条例定数8,723人に対して88.6%の7,732人、男女別の内訳は男性が7,437人と女性が295人というふうになっております。また、消防本部、消防署の設置場所の多くは、それぞれ市町村の中心地にあります。いざ火災が発生した場合、直ちに現場に出動し初期消火作業が早くできる消防団の存在というものは、中山間地域にとりまして、安全・安心な社会を築いていく上で重要であり、特に市町村の中心部から離れた過疎地にある分団の役割は、より重要となっております。 そこで、まず知事にお伺いいたしますが、中山間地域における消防団に期待をするところは何かをお伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) お話がございましたように、県内におきましては34市町村全てにおいて消防団が設置をされておりまして、小学校区あるいはまとまりのある集落単位など、各地域に267の消防分団が配置をされております。 消防団は火災発生時に現場にいち早く駆けつけまして、迅速に初期消火を行うといったこと、あるいは豪雨・台風災害時などに河川の警戒を行うといった形で、中山間地域に暮らす方々の安全・安心のよりどころとなっております。引き続き、お話がございました啓発活動なども含めまして、地域の防災力の中核として地域に密着した活動を展開していただくということを期待いたしております。 加えまして、高齢化、過疎化で厳しい環境にあります中山間地域におけます、いわゆる見守り活動でございますとか、地域の各種の行事への参加といった形を通じまして、地域コミュニティーの維持・活性化を図るという役割は消防団に期待されているというふうに考えております。 ◆2番(上治堂司君) ありがとうございます。 次に、中山間地域における消防団の職業というものは、1次産業や、あるいはまた土木関係産業に勤務されている方が近年多くなっており、先ほど申し上げましたように自営業者が少なく、被雇用者の割合が高くなっております。 火災が発生した場合、初期消火は重要であり、地域住民から火災の報告があれば消防団は直ちに出動しなければなりませんが、平日日中に発生する火災に対して、自営業者が少なく対応することが難しい状況であるとも聞いております。 また、市町村等の職員の消防団への加入は、地域によって大きく差がありますけれども、少ない状況であります。市町村職員は、大きい災害や台風などによる災害が予想される場合は、災害対策本部の職員として、避難所の設置や被災状況の把握など災害対応をしなければなりません。しかし、平日日中に起こった火災に対して直ちに出動できるのも市町村職員であると思います。 三重県に度会町というのがあるんですが、そこは団員だけでは平日日中に発生する火災に対応し切れないため、自治体内で勤務していることで、通常の団員より即時対応が可能であるため、機能別分団として行政職員と消防団員という2つの役割を担って活動しているところがあります。 県内の自治体の中で、機能別分団を推進していくことについて危機管理部長にお伺いします。 ◎危機管理部長(浦田敏郎君) 馬路村や大川村など消防署などから遠く、かつ消防団員が減少している中山間地域において、平日日中の消防力を確保するために、役場の職員が機能別分団を組織するということは有効だと考えます。県内の市町村で機能別分団を設置している役場はありませんが、5つの町村では役場の職員が機能別団員となって、平日日中の消防力の確保について一定の役割を担っております。 県といたしましても、地域における消防署や消防団等の実情を踏まえながら、市町村と連携して機能別分団の結成や機能別団員の加入を推進してまいります。 ◆2番(上治堂司君) 次に、消防署職員、団員は専門的な研修、教育訓練が欠かせません。特に、消防署員の場合は長期にわたる研修などが必要となってまいります。県の消防学校はいの町にあり、本館、寮ともに平成5年3月に建築され約30年を経過するところであります。 設置当時は女性の署員、団員も少なく、女性用として使用する部屋やトイレあるいは浴室等は考慮されておらず、平成18年頃から順次施設の改修を行い、女性の署員、団員の研修の場として対応しておる状況です。 しかし、今後女性の署員や団員の増加が見込まれておる状況を考えますと、現状の施設では十分な対応ができないではないかと思いますが、これからの対応策としてどのように取り組んでいくのか、危機管理部長にお伺いいたします。 ◎危機管理部長(浦田敏郎君) 令和3年4月1日現在で、県内の女性消防吏員は15人、女性消防団員は295人となっております。県内全ての消防本部では、女性の活躍推進に向けて女性消防吏員の確保に数値目標を立てて取り組んでいるところでございます。また、女性消防団員の入団促進にも取り組んでおります。 今後、女性の消防吏員や団員が増加することが見込まれますため、消防学校の女性専用施設の充実に向けた検討が必要となっております。現在の消防学校の建物は耐用年数が残っておりますため、現時点での建て替えというのは困難でございますけれども、今後の女性消防吏員の採用や女性消防団員の加入状況などを踏まえまして、施設の改修やプレハブの宿泊施設、そんなことなんかを検討していきたいというふうに考えています。 ◆2番(上治堂司君) ぜひお願いいたします。 次に、道路交通法の改正によりまして、平成29年3月12日から新たな自動車の種類として、車両総重量が3.5トン以上7.5トン未満の範囲を準中型自動車として、同日以後に取得した普通自動車免許で運転できる自動車の車両総重量は3.5トン未満とされました。 消防自動車は装備等で車両総重量は3.5トン以上がほとんどであります。道路交通法の施行日以前に普通自動車免許を取得した団員は、消防自動車を運転することができますけれども、施行日以降に普通自動車免許を取得した団員は、準中型自動車の免許も取得しなければ消防自動車を運転することができません。将来、若い団員が加入してくると、準中型自動車免許を取得していない方が多くなり、消防自動車を運転する団員が少なくなることが想定をされます。 国においては、消防団員の準中型免許の取得に市町村の補助制度があれば、その経費に対して特別交付税措置で支援をしていくとなっております。 しかし、今まで申し上げましたように、消防団員はボランティア精神で地域住民の安全・安心を守り、中山間地域になくてはならない存在であることを考えると、準中型自動車免許の取得に関しても、県も何らかの支援をしていくべきではないかと考えますけれども、危機管理部長にお伺いいたします。 ◎危機管理部長(浦田敏郎君) 県内の消防団員の中で車両を運転する団員は約4,200人おりまして、96%の団員が3.5トン以上の車両を運転できる準中型以上の免許を取得しております。将来的に若い団員が増加した場合には、車両を運転することができる団員の確保ということが心配をされております。このため、県内9市町村では免許取得に関する助成制度を創設して、消防団を支援しているところでございます。 一方で、今後は普通免許で運転できる小型の車両やオートマチック車の導入も見込まれております。県としましてもこうした状況を注視するとともに、市町村の声もお聞きしながら、支援の必要性を検討してまいります。 ◆2番(上治堂司君) 次に、市町村の消防団の分団の所有する自動車は、消防車と小型動力ポンプ等を積載する積載車の2台が多く、火災が発生した場合、2台の自動車で出動して消火作業を行っておるようであります。 また、火災発生時に消防自動車等で火災現場に行けず、後から自家用車で応援に駆けつける団員も多くいるという状況と聞いております。しかし、火災現場への行き帰りの際、万一事故を起こした場合、個人の車ということで、個人が加入している保険を使用せざるを得ないようであります。 中山間地域の消防団員の火災現場への出動の現実を考えますと、消防団員として消火作業などを行ったことが証明できれば、個人の車であっても公的な補償の対象となるような対応がなされるべきと考えますけれども、危機管理部長の御所見をお伺いいたします。 ◎危機管理部長(浦田敏郎君) 消防団員が火災現場へ自家用車を使用して出動し、損害を受けた場合の補償制度といたしましては、消防団員等公務災害補償等共済基金による最大10万円の見舞金がございます。また、令和2年度からは消防団員マイカー共済が開始されるとともに、令和3年度からは民間の保険会社においても保険商品の販売が開始されております。 市町村がマイカー共済や保険に加入する経費の2分の1については、特別交付税措置がなされるということとなっております。消防団員が不利益を被ることがないように、保険の加入に前向きに検討を行っている市町村もございます。県としましても、地域の実情を踏まえて検討を行うよう市町村に働きかけてまいります。
    ◆2番(上治堂司君) ありがとうございます。中山間地域の消防団の必要性、重要性というものは、先ほど知事も述べられたとおりかと思います。地域住民の期待に応え、団員の皆様がしっかり活動できますように、県としても側面的に様々な面で御支援、応援をお願いいたしたいというように思います。 次に、高知県脱炭素社会の推進についてお伺いいたします。 現在、県においてアクションプランの策定が進められており、本年2月にはその案が示されました。プランでは高知県地球温暖化対策実行計画で掲げた2030年度の温室効果ガス排出削減目標を、対2013年度比29%以上削減から大きく47%以上削減へと引き上げ、脱炭素化に向けた取組を加速していくこととしております。また、CO2の削減に向けましては、豊富な自然資源を生かした再生可能エネルギーの導入促進に取り組むこととしております。 そこで、木質バイオマスについてお伺いをいたします。私たち自民党会派では、県勢の浮揚や、また県政のそれぞれ課題について常に勉強会を重ね、研さんをしておるところでございますが、昨年12月に高知工科大学地域連携機構との勉強会がありました。その中で、バイオマスから見る高知県のグリーン化戦略、そしてNext次世代型施設園芸農業の取組について、それぞれ先生方から発表があり、意見交換をしたところでございます。 木質バイオマスの研究内容は、原料は杉、ヒノキなどのチップで、水分率を10%にして年間700トンを使用しております。そして、ドイツ製のガス化発電熱電併給システムによって50キロワットの発電、110キロワットの熱により、冷暖房に利用して発生する二酸化炭素によって施肥を行うものであります。 特典としては、灯油代が0円になる、また出荷期間の最大化10か月と掲げ、AIやIoTなど最先端の技術と融合し、新たなNext次世代型施設園芸農業の実現に向けて現在実証実験を行っており、実用化に向けてはあと1年くらい研究が必要であるというふうにお聞きをしております。 この高知工科大学の研究開発に農業振興部はどのように関わっているのか、農業振興部長にお伺いいたします。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 高知工科大学が進めている研究開発については、本県の豊富な森林資源を活用し、施設園芸での化石燃料の削減につながる技術として期待されますことから、IoPプロジェクトの研究の一つとして位置づけて、国の交付金を活用して支援しております。 この研究も含め、IoPプロジェクトで推進している全ての研究について、農業振興部の職員も参加する研究推進部会において、年2回研究の進捗状況や成果を評価し、必要な改善や見直しを行っております。その上で、知事をトップとする本プロジェクトの最上位の意思決定機関であります高知県Next次世代型施設園芸農業に関する産学官連携協議会に、30の研究課題の一つとして報告しておるところでございます。 ◆2番(上治堂司君) 次に、この研究がだんだんと進み、実用化となれば、県内の施設園芸というものは大きく変わってくると思いますが、この施設園芸に取り組んでおられる関係者に今後どのようにこのことを広めていくのか、農業振興部長にお伺いします。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 現在はまだ研究段階でありますが、来年度からは県も協力して先行事例であります本山町での次世代園芸施設とバイオマス発電設備を併設している事業も参考に、ランニングコストも含めたトータルコストの試算をするなど、実用化に向けた具体の検討を進めていく予定であります。また、このシステムを広めていくためには、導入コストや木質バイオマス燃料の安定確保といった課題もありますことから、個々の農家への導入ではなく、一定まとまった形での地域を挙げた取組の検討も必要ではないかと考えております。 こうしたことを検討した上で、実用化が見えてきた段階で、JAや生産者など施設園芸に取り組む関係者に説明する場を設けてまいりたいと考えております。 ◆2番(上治堂司君) お願いします。 次に、燃料となるチップですが、実証実験では製材の端材のチップを使用しております。これは木材を多段階で利用する方法としては理にかなったものではありますが、国産材のチップ価格は、電力の固定価格買取制度の影響で平成26年以降右肩上がりで上昇しております。そのため、今後木質バイオマスを広く普及していくには、燃料となる木材等を安定的に供給していくことも重要となります。 そこで、用材として利用できない、いわゆるC材、D材に加えて、現在一部の製材所などでは処分に困っておる木の皮も利用してはどうかというふうに思います。木の皮を使う場合には、含水率が高いや、あるいは木材の部分に比べて灰が多くなるなど使いづらい点は出てくると思います。 しかし、こうした課題はあるものの、木を余すことなく利用し、今後の森づくりにつなげていくためにも、木の皮の有効利用を検討していくべきと考えますが、林業振興・環境部長にお伺いします。 ◎林業振興・環境部長(中村剛君) 御指摘のように、木の皮、樹皮は水分や灰分--灰の成分でございますが、こちらの含有率が高く、土や砂の付着もあるなど、小規模な発電施設の熱利用には課題もございますが、樹皮の有効活用という観点から、他の活用方法も含めまして検討を進めていくことは非常に重要だと考えております。 例えば、県では来年度から木質バイオマス等からグリーンLPガスを製造する技術開発に取り組むこととしておりますが、仮に樹皮をこのグリーンLPガスの原料として活用できれば木を余すことなく利用でき、またガス製造に係るコストも恐らく低減ができると考えておりまして、メリットは非常に大きいと考えております。 このため、このグリーンLPガス地産地消モデルの取組の中でも、樹皮につきましてこの活用を検討してまいりたいと考えております。 ◆2番(上治堂司君) 次に、脱炭素の先行地域についてお伺いいたします。国・地方脱炭素実現会議では、令和3年6月に地域脱炭素ロードマップを策定し、2030年度までに少なくとも全国で100か所の脱炭素先行地域を創出、あわせて全国で重点対策を実行し、こうしたモデルを全国に展開することで、2050年を待たずに脱炭素を達成するというふうにしております。国が示しております脱炭素先行地域の選定要件の一つに、地域と暮らしに密接に関わる分野の温室効果ガスの削減に取り組み、民生部門の電力消費に伴うCO2排出実質ゼロの実現を行うということが挙げられています。 今まさに高知工科大学で研究をされております小型熱電併給システムが実用化されますと、例えば馬路村の魚梁瀬地区というのがあるんですが、そこはまとまった集落であります。ここでこの集落全域を木質バイオマス発電により電気と冷暖房の供給ができ、温室効果ガス排出ゼロの地域になっていくのではと考えます。魚梁瀬地区には現在91世帯、約159人の方が生活をしており、仮に温室効果ガス排出ゼロとなれば、これは環境省の家庭部門のCO2排出実態統計調査を参考に単純な試算をしてみますと、年間約330トンCO2の削減の効果があるのではと考えます。 県としては、オール高知で取り組む中で、中山間地域の活性化モデル事業の一つとして、魚梁瀬地区のようにまとまった集落で脱炭素先行地域を目指した取組を進めてはどうかと思います。こうした考えについて林業振興・環境部長に御所見を伺います。 ◎林業振興・環境部長(中村剛君) 脱炭素先行地域は、地域の脱炭素化はもとより、それによる地域の活性化を目指していく取組でございまして、森林資源などの豊富な自然資源を有する本県の市町村にこれを目指していただくことは、特に中山間地域の振興といった観点から非常に意義があるものと考えております。 御提案のありました魚梁瀬地区のようなまとまった集落では、地域の森林資源由来の電気や熱を利用することによりまして、地域の脱炭素化が実現できる可能性が高いと考えておりますし、また地域の活性化という点でも、自然や文化、歴史的な資源に非常に恵まれたポテンシャル、潜在力、成長可能性の高い地域だと考えております。 役場からも村内での取組につきまして検討を始めているとお伺いをしており、県としましても脱炭素先行地域への応募、選定につながりますように、例えば提案書の作成でございますとか推進体制の組み方とか、そういったことを役場と共に、あるいは地域と共に考えていきながら、全力で支援させていただきたいと考えております。 ◆2番(上治堂司君) お願いします。木質バイオマスによる発電、熱利用ということで、県内の多くのまとまった集落であるとか地域が脱炭素社会に向けて取り組んでいくということは、日本一の森林率の高知県としては大いに意義のあることだというふうに思います。中山間地域の活性化、そしてカーボンニュートラル推進にもつながると考えますので、県挙げて取り組んでいただきますようにお願いをいたしたいと思います。 次に、林業大学校についてお伺いいたします。 県の産業振興計画では、原木の生産量を令和2年の63万7,000立方から、令和7年には85万立方を目指して様々な取組を行うことになっております。県内における森林整備を行っていく人材は、県が統計を取り始めた昭和56年度からの推移を見ても年々減少しており、その担い手対策の一つに県では、平成27年4月に高知県立林業学校を設立して、現在は高知県立林業大学校として森林整備に関わる後継者を育成しているところであります。 全国でも担い手の若返りを進めようと、各地のそれぞれの事業体が、きつい、汚い、危険、いわゆる3Kからの脱却に力を入れて、海外製の作業着を着用したり、生産性の向上と併せて労働強度の軽減や、けがのリスクを減らすための高性能林業機械の導入をしたり、また植栽用の苗木の運搬にはドローンを活用するなど、かっこいい林業を目指した取組が進み、また新規就業者の研修を支援する林野庁の緑の雇用事業や、全国各地で林業大学校の開設が相次いでいることもあり、35歳未満の若者の割合は近年増加しているようでございます。高知県の林業大学校が開設されて、令和2年度までに108名の方が卒業され、それぞれ県内の森林組合、林業事業体に就職され、活躍をされておることと思います。 地域や事業規模、待遇面など、どのような事業体に就職されているのか、その傾向を林業振興・環境部長にお伺いします。 ◎林業振興・環境部長(中村剛君) 卒業生、お話ありましたように108名延べでいらっしゃいますけれど、その中で森林組合を含む林業事業体には97名の方が就職しております。 そして、その就職先、地域でございますが、高知市などの中央部と須崎市などの高幡地域が多くなっている状況でございます。また、事業規模で見てみますと、素材生産量、規模の一つの目安になるかと思うんですが、素材生産量が平均を超える事業体に就職している方、これは38人、39%でございます。その差引きになりますが、それ以下、平均以下の事業体に就職されている方は59人、61%となっており、規模で見ますと大小様々といった状況でございます。 また、待遇面につきましては、林業大学校の就職説明会、林業大学校で行っている就職説明会でございますが、こちらで各事業体さんが目安として初年度の年収を示しております。各事業体さんが目安として示しました年収の平均を超える事業体に就職した方は42人、約43%にとどまっておりまして、必ずしも年収が決め手になっていないということがうかがえます。 一方、現場の生の声といたしまして、複数回インターンシップを行っているわけでございますが、そちらでの一緒にお仕事をした先輩あるいは同僚の指導力や人柄、あるいはその職場の雰囲気、こうしたものが重視されているというのを聞いておりまして、こうした実際の就業体験から受けた印象、これが就職先の選択に影響を及ぼしているのではないかと考えておるところでございます。 ◆2番(上治堂司君) 県内の森林整備を行う現場の多くは中山間地域にあります。場所によっては、それぞれの事業所から1時間以上通勤しなければならない現場もあると聞いております。一方で、林業大学校を卒業した若者にとって就職する場合、先ほど答弁もございましたけれども、コンビニやコインランドリーのある地域から通勤できる事業体を選んでいるとも聞いたことがございます。 就職された方々に就職先として選ぶ林業事業体の条件について、アンケートなどの調査をしたことがあるのか、林業振興・環境部長にお伺いいたします。 ◎林業振興・環境部長(中村剛君) 御指摘の就職後の卒業生に対するアンケート調査は行っておりませんが、就職前、研修生に対して、令和2年度から就業に関する意向調査を実施しております。この調査結果では、就職先を検討する場合に重視するポイントといたしまして、給与面や休日あるいは人間関係などの回答が多い傾向となっております。先ほどお話ししました数値的な就業実態と、やや乖離している部分もあるという状況でございます。 このため、来年度からは就職後におきましてもアンケート調査を実施して、実際に就職先として選んだ条件あるいは就職後の待遇等について、より正確に把握することで、効果的な就職支援につなげてまいりたいと考えております。 ◆2番(上治堂司君) 分かりました。 次に、逆に言えば林業事業体側でございますけれども、県内の事業体は担い手対策の一つであります林業大学校というものには大いに期待もしております。しかし、卒業された方は同じ事業体へ就職し、地域によってはなかなか来てくれないという話も聞いております。どうすれば若い方々に魅力を感じていただける職場になるのか、先ほどアンケート調査を行うということでございますけれども、この情報を林業事業体とも共有することによって、若者を受け入れるための働き方改革など改善していくきっかけになればと考えます。 アンケートなどの調査結果を各事業体に知らせるとともに、林業事業体との協議の場を設けるなど、作業員の待遇改善などについて県として積極的に進めていくべきではないかと考えますけれども、林業振興・環境部長にお伺いいたします。 ◎林業振興・環境部長(中村剛君) 先ほどお話ししました就職前のアンケート結果につきましては、先ほど申しました林業大学校で開催する就職説明会に参加していただいた事業体にはお示ししております。つまり共有しておりますが、それ以外の事業体との共有はできていないという状況にございます。ただ、御指摘ありましたように、事業体がお互いにその処遇の状況など一定の情報を共有していくことは、若者に選ばれる魅力ある職場づくりということで、大変効果がある取組だと考えられます。 来年度からは、議員御提案の意見交換の場の設置など、県や林業大学校が集まり、処遇に関する情報共有を行うとともに、魅力ある職場の在り方について議論していく場、これを設けていきたいと考えております。 ◆2番(上治堂司君) ぜひそのようにお願いいたしたいと思います。それぞれ事業体にとったら、仕事量が今は皆伐も踏まえて多くの方を必要とする仕事になってきております。どの職場も人が少ないということはよく言われておりますけれども、林業大学校でできたものを、せっかく高知県これをどんどん生かしていければ大変いいことだと思いますので、よろしくお願いをいたしたいというふうに思います。 次に、河川の工事についてお伺いいたしたいというふうに思います。 アユとかアマゴの漁でございますけれども、これは地域の資源を生かした観光にもなっておるところでございます。去る2月19日、高知新聞に大きく出ておりました、「「アユ王国高知」復活へ」という見出しで、あゆ王国高知振興ビジョンの記事が出ておったところでございます。 その内容は、アユの食材や川遊びの対象としての価値を高め、地域振興を生かすために、県がビジョンをまとめて、釣り、流通、資源回復など7項目でアユ漁の体験の商品化などを進めるとして、今回、情報発信費用などの予算が今議会に提案もされておるところでございます。 県内各河川において、アユ等の採捕期間というものは様々でありますけれども、私ども馬路村が関係しております安田川漁協の場合は、アユは1月から遡上の時期に入り、盛期は3月から4月、そしてまた10月から産卵の時期に入り、盛期は11月から12月となっておって、採捕禁止期間を原則1月から5月までと10月から翌年の1月までとしております。 県が管理します河川に関する災害復旧工事であるとか、あるいはまた堆積する土砂のしゅんせつ工事などは、それぞれ河川の漁協の採捕禁止期間に工事を発注しておるというふうにお聞きしております。また、この発注時期というものは、比較的雨も少なく、水量が少ないということで、工事により川が濁りやすく、濁ってまいりますと、すぐにまたきれいな水にはならず、魚の生態系に大きな影響も出ておるということでございます。 災害復旧工事、河川工事は地域住民の安心・安全のために必要で、これはもちろんでございますけれども、今回あゆ王国高知振興ビジョンを推進していくということにしますと、濁ったら駄目なんで、水替え等に多少の経費がかかっても、濁りの少ない工事工法を検討していくべきと、そのように考えますけれども、この対応策について土木部長にお伺いいたします。 ◎土木部長(森田徹雄君) 河川内における工事におきましては、魚類の生態や周辺の景観、これに配慮して行う必要がございます。このため、濁水対策として現場周辺へ汚濁防止フェンスを設置することや、濁水を川に直接排出しないように土砂を沈殿させる沈砂池を複数設置するなど、各現場で状況に応じた対策を実施することとしております。 しかしながら、こうした対策は徹底されずに、濁水を発生させる事例も散見されたことから、昨年11月に濁水対策の徹底と施工業者への指導を全土木事務所に再度周知したところでございます。今後も施工時の濁水の発生を極力抑えるように、対策をしっかり講じていきたいと考えております。 ◆2番(上治堂司君) 次に、河川関係工事でございますが、濁水等により川が濁ることが予想される工法とか、その工事現場様々あろうかと思いますけれども、工事の発注計画というものが決まれば、それぞれ河川の漁協組合と事前に協議することによって、漁協の協力あるいはまた理解が得られるのではと思います。 事前に漁協とどのような協議がなされておるのか、土木部長にお伺いいたします。 ◎土木部長(森田徹雄君) 県が河川内で工事を行う場合は、関係する漁協に対しまして、年度当初に当該河川で予定している工事件数や場所の説明を行うよう、土木事務所に周知をしております。加えて、工事着手前には施工業者と共に漁協に対して、その工事における濁水対策などの詳細な説明を行い、理解をいただいた後に着手するよう指導をしておるところでございます。今後もこのような取組を抜かりなく行い、漁協に御理解を得られるよう努めてまいります。 ◆2番(上治堂司君) 工事の現場におきましては、想定しておったこと、あるいは想定外のこともその掘削の場合には出てこようかと思います。そういうふうに想定外に濁りが長期に及ぶ、あるいは濁ってきた場合にそのままにはせずに、できればそういうときには素早く漁協関係者あるいはその組合員なりに報告、連絡をすることによって、双方が意思疎通をしてやってほしいというふうに思います。 アユ王国高知というものは、これはもう高知県にとって観光の中でも大変私たちも力を入れていきたいし、県民の皆さんも多く御期待もしておりますが、これを推進していくには、やはり水産振興部だけではなかなか難しいわけでありますので、今質問させていただきました土木部あるいは観光振興部等、それぞれ関係機関との連携を十分に取っていただいて、せっかく県がつくったビジョンでございますので、進んでいくようにお願いをいたしたいというふうに思います。 次に、県立高等学校再編振興計画に基づく県立安芸中・高等学校と安芸桜ケ丘高校との統合についてお伺いをいたしたいというふうに思います。時代の流れと少子化、そして南海トラフ地震による津波対策などによりまして統合をされます高知県立安芸中学校・高等学校は、未来創造安芸をキャッチフレーズに、新しい協学の形で個性を伸ばし、県東部の拠点校として令和5年4月開校に向けて、県教育委員会では準備を進めておりまして、今議会でも学校施設整備等の予算が計上されておるところであります。 県立学校の新しいスタイルとして、高等学校は多様な進学、就職に対応できる学力の定着を図るとともに、生涯にわたって学び続ける意欲を育む普通科、機械分野の学習を通して物づくりの役割を理解し企業や社会に貢献できる人材の育成、また土木分野の学習を通して建設業の役割を理解し社会に貢献できる職業人の育成をする機械土木科、ビジネスに関する基礎、基本を習得するとともに起業を意識した地域活動を通してチャレンジする意欲を育むビジネス科で構成をしており、また中学校では中高一貫教育校の強みである中高教員の交流授業を活用して、専門的な少人数指導や習熟度別の授業により、安芸高等学校に進学後も希望の進路を目指せる学力を身につけることとしております。 令和5年4月開校までにはまだ1年あるわけですが、新しいスタイルの中に、県がこれからの時代を見据えて取組を進めようとしておりますデジタル化、グリーン化、グローバル化、そして関西圏との経済連携、中山間対策といった課題に対する、そういうものに対する人材を育てていく授業も大事ではないかというふうに思います。 県内それぞれの高等学校では、学校教育の中で特色のある取組をされておると思いますが、県東部の拠点校として令和5年開校を目指しておる安芸中学校・高等学校において、こうしたデジタル化、グリーン化、グローバル化などの県の重点施策も踏まえつつ、学校の魅力化、特色化に取り組むことで、高知市をはじめ周辺の市町村の児童生徒も安芸中学校・高等学校を目指すようになるのではと思いますけれども、教育長に特色ある学校づくりについてお伺いいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 新たな安芸中学校・高等学校は、東部地域におけます進学拠点校であるとともに、高等学校に普通科と複数の産業系の学科を有します全国でも数少ない中高一貫校ということになります。 この安芸高等学校の普通科と、それから安芸桜ケ丘高等学校の機械土木科、そしてビジネス科が統合することで、高校生は機械土木科の最先端の工作機器による物づくり、それからビジネス科の商品開発や商い甲子園などへの参加、また普通科の大学進学講座の受講など、学科の枠を超えた多様で特色ある活動を行うことができるようになります。 また、こうした高等学校の多様な活動につきましては、中学生も中学校段階から授業や部活動を通して体験することで、進路選択の幅を広げることが可能となります。これらこうした特徴を生かして、次世代の課題解決につながる人材育成に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆2番(上治堂司君) ありがとうございます。それぞれ高等学校、特に県東部においてはもう統合されて、今質問をいたしましたように、中核、一つのものとしてやっぱりこれからもずっとこの安芸高等学校を続けていくには、学業だけではなく、またクラブ活動の面においても、やはり一つの行ってみたい、行きたいという高校になれるように、教育委員会としてもぜひよろしくお願いをいたしたいというふうに思います。 それぞれに御答弁ありがとうございました。この3月で去られます県職員の皆様は、県勢の発展や振興に本当に全力で取り組み、長く県政に携わってこられました。本当にお疲れでございました。4月からそれぞれあるかと思いますが、新しい人生のスタートになられる方、またそれぞれの道を歩まれる方おられると思います。皆様方の御活躍を御祈念申し上げたいというふうに思います。 さて、令和4年度は間もなくスタートをいたしますけれども、知事は就任後始まった新型コロナウイルスの感染症対策に全力で取り組んでこられまして、国への提言も行って、その結果感染症対応の臨時交付金というものは全国でもトップクラスの配分を高知県及びそれぞれ県内の市町村ともにいただいたところでもございます。県民の感染拡大防止と社会活動の両立に日々努力をされておりますことに心から感謝とお礼を申し上げたいと思います。 さて、ここで知事の公約の一つであります関西圏との経済連携というものは、県経済にとって大きく飛躍していくものということで、県民の期待というものは本当に非常に大きいものがあると思います。大阪・関西万博は令和7年に開催予定となっております。また、IRの連携プロジェクトも始まります。関西圏ではそれに向けての準備も間もなく本格化していくというふうに聞いております。 県では4月から関西戦略室を新たに設置して、庁内の組織体制を大幅に強化し、関西戦略の取組を加速させることとしております。どうか知事は大阪府で副知事をされておられました、その携わってこられました経験、そしてまた人脈を大いに生かしていただいて、関西の経済連携が発展していきますようにお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 以上をもって、上治堂司君の質問は終わりました。 ここで11時5分まで休憩といたします。   午前11時休憩-----------------------------------   午前11時5分再開 ○議長(森田英二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 田所裕介君の持ち時間は45分です。 28番田所裕介君。 ◆28番(田所裕介君) 県民の会の田所裕介でございます。議長にお許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。 まず初めに、ビジネスと人権について伺います。 本県の産業振興、経済活性化においては、輸出を行う、インバウンドの観光客を呼び込む、そして労働力においては外国人労働者を呼び込むというグローバル化が鍵となります。その一方で、新型コロナウイルス感染症の終息が見込めない現在、これらの取組の中でも本県のユズや土佐酒などの特産品の輸出政策をより促進していく必要があります。 グローバル化、そして輸出政策の促進は、本県や本県の企業が国際社会の一員として活動するということでもあり、それに当たっては国際的なルールの遵守が求められます。近年、国際社会の一員としてビジネスを展開するに当たり、企業やビジネスでの人権遵守の重要性が高まっています。 国連人権理事会では、2011年にビジネスと人権に関する指導原則が支持され、企業の義務として特に重点的に言及されているのが、人権デューデリジェンスです。また、持続可能な開発目標、SDGsの達成に当たっては、人権の保護、促進が重要な要素と位置づけられています。 このような国際的な流れを受け、本国では令和2年10月、「「ビジネスと人権」に関する行動計画」が策定されました。同計画では、今後政府が取り組む各種施策や企業活動における人権デューデリジェンスの導入促進への期待が表明されています。また、大企業のみでなく、中小企業も人権遵守の対象となることも明記をされています。 また、取組を強化するため、萩生田経済産業相は先月15日の閣議後の記者会見で、サプライチェーンから人権侵害を排除する人権デューデリジェンスの指針を夏までに策定すると表明をしたところであります。 人権デューデリジェンスとは、企業活動が直接的、間接的に労働者を含むステークホルダーの人権に対して及ぶ負のインパクト、いわゆる人権リスクを評価し、そのリスクの高さに応じて対処、検証、情報開示を行うプロセスのことを指します。企業が配慮すべき人権リスクには、賃金の不足、未払いやハラスメント、強制労働など様々なものがあり、サプライチェーン上の活動など第三者を介して間接的に関与する人権侵害も含まれます。 企業の社会的責任、CSRへの重要性も高まっており、企業の意識改革が喫緊の課題となります。「「ビジネスと人権」に関する行動計画」の実施や周知を通じて、責任ある企業行動の促進を図ることで、日本企業の企業価値と国際競争力が向上するとともに、SDGsで掲げられた誰一人取り残さない社会の実現へとつながることが期待をされます。本県においてもグローバル化を掲げ、国際的なビジネスを展開するに当たり、人権デューデリジェンスの導入促進は当然求められることとなり、県を挙げての取組が求められています。 本県において、輸出政策や外国人材の受入れなど、グローバル化を促進していくに当たり、どのように企業の人権遵守を促進していくのか、人権にまつわる諸課題に対する姿勢を知事にお伺いをします。 ◎知事(濱田省司君) 御指摘がございましたように、近年欧米諸国を中心といたしまして、企業に人権尊重を求める動きが広がっております。こうした中で、国の関係府省庁の連絡会議におきまして、一昨年「「ビジネスと人権」に関する行動計画」が策定をされたというのは御指摘あったとおりでございます。 この国が定めました行動計画におきましては、SDGsの達成と人権の保護促進は表裏一体の関係にあると、そして行動計画の実施を通じまして、誰一人取り残さない持続可能で包摂的な社会の実現に寄与することを目的としているということが明記をされております。 さらに、基本的な考え方といたしまして、企業のビジネスと人権に関する理解促進と意識向上が必要であるということ、そして企業に対してより一層の対応を促すためには、社会全体としての人権に関する理解の促進、意識の向上が必要であるということ、さらに企業内部の取組だけではなく、国内外のサプライチェーンにおきます人権尊重の取組が求められると、こういったことが指摘をされているところでございます。 今後、県内の企業が貿易や外国人材確保など、グローバルに事業を展開していくに当たりまして、御指摘ありましたように、この点は重要な視点であるというふうに認識をいたしております。特に、海外との取引などグローバルに事業を展開する企業におきましては、これまで以上に国籍や人権による差別あるいはハラスメントなど様々な人権課題に率先した対応が必要になるという状況だと考えております。 国のほうでは夏に向けまして、企業向けの指針を取りまとめる予定との報道もございます。こうした国の動向も注視しながら、例えばジェトロ、貿易協会などといった関係団体と連携をいたしまして、県内の企業に対して関連の情報の周知を図ってまいりたいと考えております。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 人権デューデリジェンスにおいては、指導原則等の国際的な指針に基づき、企業は社内外の専門家などを通じて、事業による人権への負の影響を調査分析するとともに、特定された顕在的、潜在的な負の影響への対応として、教育、研修による啓発や社内環境、制度の整備、サプライチェーンの管理等を実施する必要があります。さらに、労働組合などステークホルダーとの意見交換を含むモニタリングによって、再発状況を監視しつつ対応を続け、その状況について報告書等を通じて外部に情報公開していくことが求められています。 このような人権デューデリジェンスの取組ですが、2021年経済産業省が上場企業など約2,700社を対象に、人権問題への対応状況を把握する初の調査を実施したところ、人権デューデリジェンスを実施しているのは回答企業の52%であったことが明らかになりました。これらの企業の中でも国内、海外の間接仕入先まで、つまりサプライチェーンまでを対象としていたのは僅か25%でありました。 実施していない理由としては、32%が実施方法が分からない、28%が十分な人員、予算を確保できない、16%が人権デューデリジェンスを知らない、12%が必要性を感じないと答えるなど、ビジネスと人権について、まだまだ企業の認識と対策が十分でない実態が明らかになりました。 中小企業が大半を占める本県においても、人権デューデリジェンスについての企業の認識の向上や対策へ向けて取組を進めなければなりません。 中小企業が大半を占める本県において、どのように人権デューデリジェンスの重要性や概念の周知を図っていくのか、子ども・福祉政策部長にお伺いします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 人権デューデリジェンスの周知に当たりましては、県や貿易協会が実施をいたします輸出セミナーや、中小企業団体中央会によります外国人材確保に向けたセミナーの中で、人権デューデリジェンスの重要性を周知してまいります。また、国やジェトロが主催するセミナーにつきましても、貿易協会などの県内経済団体等を通じ、情報提供を実施してまいります。さらに、高知県人権啓発センターが実施する企業に対する研修や企業への講師の派遣などの機会を捉えまして、情報を発信してまいります。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございます。これは要請にさせていただきますが、国が指針を作成を検討していることから分かるように、グローバル化を目指すに当たり、やっぱり人権デューデリジェンスの概念は、より一層重要になってくると考えているところでございます。本県も取組を始める際には、全庁挙げて関係部局しっかりと連携をしていただいて、周知及びまた企業の支援、充実に取組を進めてほしい、要請でございます。 次に、子供政策について伺います。 令和3年12月、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針が閣議決定をされました。令和2年度には児童虐待の相談対応件数や、いわゆるネットいじめの件数が過去最多となり、また約800人もの19歳以下の子供が自殺するなど、子供を取り巻く状況は深刻になっています。 さらに、コロナ禍が子供や家庭に負の影響を与えており、今こそ子供を取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押しする必要があります。また、施策を推進するため、国では2023年にこども家庭庁を創設する予定となっています。本県でもさらなる取組が求められます。 私自身、これまで議会において一時保護及び一時保護所の環境整備、児童虐待への取組、DVなど面前DVへの施策、医療的ケア児への支援など、これまで様々な視点で子供が安心して育つことができる環境整備に向けて、子供政策について質問を行ってきたところであります。 そして、昨年2月、9月議会では、子供に関する喫緊の課題として、ヤングケアラーについて質問させていただきました。昨年9月議会では濱田知事より、民間、行政、そして福祉、医療、教育など様々な分野が垣根を越えて取り組んでいくという力強い御答弁をいただき、またさらなる取組を進めるに当たり、本年インターネットを用いた実態調査を行うという御答弁もいただいたところであります。 そこで、伺いますが、本県におけるヤングケアラーの実態調査について、そのスケジュール等も含め、具体的に子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) ヤングケアラーに関する実態調査につきましては、令和4年6月から7月にかけて県内全ての中高生約3万5,000人を対象に、インターネットによる方法で実施を予定しております。調査を実施する際には、県内の中高生全員にヤングケアラーの概念も記載いたしました調査に関するチラシを配布し、ヤングケアラーに関する周知を図ってまいります。 調査では、ケアの有無や内容、相談者の状況、必要な支援などをアンケート調査し、ケアの実態を総合的に把握してまいります。調査結果は8月末をめどに集計し、昨年10月に設置をいたしました庁内の検討チームで分析を行い、早期発見の仕組みづくりや、教育と福祉部門との連携強化などの施策につなげてまいります。 ◆28番(田所裕介君) よろしくお願いいたします。 次ですが、9月議会以降、実態調査以外でヤングケアラーに対するどのような取組が進んでいるのか、子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 県庁内では昨年10月に福祉、教育、医療による庁内検討チームを立ち上げまして、これまでに3回のチーム会を開催し、各分野のヤングケアラー対策の確認、連携して取り組む事項や来年度の取組方針などの検討を行ってまいりました。 また、市町村に対する児童福祉と教育の連携体制づくりに向けた依頼、民生委員・児童委員に対する研修の実施、介護サービス事業者等に対する資料提供、各学校における教員の校内研修の実施、また県立大学ではヤングケアラーに関する講演会が開催されるなど、ヤングケアラーの周知・啓発や支援体制づくりに取り組んでまいりました。 来年度は、ヤングケアラー対策として新たに配置をいたしますコーディネーターを通じまして、個別の事例を収集することで、より効果的な支援につなげてまいります。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 虐待やネグレクトなどを受けている児童の増加とともに、児童相談所への相談が増加しており、社会的養護が必要となる場合もあります。社会的養護とは、子供の最善の利益のためにと、社会全体で子供を育むを理念とし、保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童を公的責任で社会的に養育し保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことを指します。 国は2017年に新しい社会的養育ビジョンを発表し、地方自治体は里親等委託率の数値目標の設定を進め、取組を進めています。近年、社会的養護を必要とする児童においては、全体的に障害などのある児童が増加しています。2020年の調査によると、里親においては24.9%、児童養護施設においては36.7%が障害がある児童となっています。平成25年には、里親においては20.6%、児童養護施設においては28.5%が障害のある児童であったことから、増加傾向が分かります。平成30年ではPTSDの児童が1.3%、反応性愛着障害が5.5%、ADHDが8.6%、広汎性発達障害、自閉症スペクトラムが9.3%など、様々な障害を抱えた児童に対する社会的養護が必要となっています。 そこで、伺いますが、このような障害を抱えた社会的養護を必要とする児童の増加の背景を踏まえ、里親及び児童養護施設においてどのように社会的養護の体制整備の取組を行っていくのか、現在の課題も踏まえて、子ども・福祉政策部長にお伺いします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 本県では国の新しい社会的養育ビジョンに基づき、家庭的な環境であります里親養育を推進しておりますが、本県の児童養護施設では、心身や医療面での専門的なケアを受けることが望ましい子供を約7割受け入れております。その中には、里親での養育が難しいケースもあり、それぞれの特性や背景を踏まえた上で適切なケアを行うことが必要だと考えております。 このため、里親養育に対しましては、里親を支援する里親家庭サポートセンターの体制を強化し、家庭訪問や助言などの支援を充実してまいります。また、施設に対しましては、より家庭的な環境で養育できるよう、定員6名以下の小規模でのグループケアを拡充していくとともに、心理職や看護師などの専門職員を配置するなど、ケアの充実を図っているところです。引き続き、ケアが必要な子供に対する支援体制の充実に取り組んでまいります。 ◆28番(田所裕介君) よろしくお願いをいたします。 社会的養護は、里親委託や児童養護施設での支援のみではなく、社会的養護から離れたケアリーバーのケアも非常に重要になってまいります。心の傷や障害があるケースなども多く、社会生活を送ることが難しい事例や、生活に困窮する事例も想定されます。昨年発表された厚生労働省の社会的養護から離れたケアリーバーに関する初の調査結果では、施設を離れた若者の2割が困窮していることが明らかになっています。その一方で、ケアリーバーへの支援は行き届いているとは言い難く、退所後に何もサポートを受けなかった人が19.4%、里親や施設と直近1年間で交流が一回もないが最多で31.1%であることも明らかとなり、自立支援の重要性が浮き彫りになりました。 そこで、伺いますが、社会的養護の下で育った児童に対しどのように自立を支援していくのか、現在の課題認識も踏まえ、子ども・福祉政策部長にお伺いします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 自立に当たりましては、退所する前から施設や児童家庭支援センターの職員が自立に向けた相談や就労に関する支援を行いますとともに、退所後も継続して支援を実施しております。 一方で、退所後に連絡がつかない子供が一定数いるなどの課題もございまして、継続した支援体制の充実が重要となってまいります。来年度からは退所後のサポートを充実するため、支援コーディネーターを新たに配置し、退所を予定しているお一人お一人の実情に沿った継続支援計画を作成してまいります。 退所後は、支援コーディネーターを中心に関係機関が連携して、継続支援計画に基づくサポートを実施し、また状況の変化に応じて計画を見直していくなど、継続的な支援を行いますとともに、支援関係者間のネットワークを構築し、退所者一人一人をサポートする体制の強化に取り組んでまいります。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 ヤングケアラーやケアリーバーの課題など、現在の子供にまつわる諸課題の解決において最も重要な課題が、子供の貧困であります。子供の貧困を解決し、居場所をつくり、孤立、孤独を防ぎ、安心・安全に暮らしていける地域づくりが重要となります。 昨年末、内閣府より子供の貧困に関する初の全国調査である令和3年子供の生活状況調査の分析報告書が発表されるなど、取組が進んでいます。本県ではこれまでも子供の貧困に積極的に取り組んでおり、平成28年には高知県子どもの生活実態調査も行っています。 平成28年と現在の最も異なる点は、新型コロナウイルスの感染拡大であります。実際、コロナ禍での貧困による相談が倍増している状況が本県でも見られ、コロナ禍が子供の貧困にどのような影響を与え、どのような属性の子供がどのような課題を抱えているのか、コロナ禍が様々な課題を生んでいるのかを捉える必要があります。 コロナ禍での子供の貧困と課題に関する調査を行う展望について、子ども・福祉政策部長にお伺いします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 県では、令和3年8月に高知県ひとり親家庭等実態調査を実施しております。その調査では、新型コロナウイルス感染症の影響で世帯収入が減ったと回答した世帯は、母子家庭の33%、父子家庭の40%となっております。また、収支が悪化したと回答した世帯では、生活の影響について、精神的に不安になることが増えたと41%が回答するなど、コロナ禍による影響が明らかになったところでございます。国や県の調査結果を基に、コロナ禍で厳しい環境にある子育て家庭の実態の把握や支援に取り組んでまいります。 なお、現在の第2期高知家の子どもの貧困対策推進計画は、令和5年度に計画の最終年度を迎えますことから、改定に当たりまして令和5年度に実態調査を行う予定としております。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございます。まず、やはり実態調査で現状をつかんで、そういった様々な背景、ケースがあってなかなか支援につなぐというのが難しいところ、ケースあるかと思います。しっかりつないで、やっぱり取り残さないように支援策を、また体制整備をよろしくお願いをいたします。 続きまして、子供の貧困においては、適切な支援を子供につなげていくことが課題となります。様々な支援体制が存在していたとしても、貧困状態の子供を支援につなげなければ、子供の貧困を要因とした諸課題の解決にはつながりません。コーディネーター事業や子ども食堂、学習支援などの居場所づくりなど、子供の未来応援地域ネットワーク形成支援事業への取組が期待されます。 子供の未来応援地域ネットワーク形成支援事業に本県としてどのように取り組んでいくのか、子ども・福祉政策部長に伺います。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 県では、子供の未来応援地域ネットワーク形成支援事業を活用いたしまして、子供や保護者の地域での居場所や見守り活動、見守りの場となります子ども食堂への支援を行っているところです。 具体的には、子ども食堂の新規開設や運営継続をサポートする子供の居場所づくりコーディネーターを高知県社会福祉協議会に配置し、子ども食堂同士や地域の支援者とのつながりをつくるネットワーク会議などへの支援を展開しております。 来年度はこれまでの取組に加え、子ども食堂に取り組む方や子ども食堂の支援者を増やすことを目的に、新たにシンポジウムを開催したいと考えております。また、市町村ではこの事業の活用の実績がないことから、市町村に対しまして事業の周知を行い、活用を働きかけてまいりたいと考えております。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございました。非常に前向きな御答弁だと受け止めております。どうぞよろしくお願いいたします。 続きまして、次に夜間中学について伺います。 平成30年策定の第3期教育振興基本計画において、政府は全ての都道府県に少なくとも1つは夜間中学が設置されるよう、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進することとしました。本県には、昨年4月に高知県立高知国際中学校夜間学級が開校されました。2021年4月時点、夜間中学が設置されているのは30自治体にとどまっており、取組が全国的に進まない中、本県は他の自治体に先駆けて先進的に取り組んでおります。 夜間中学においては、学び直しをしたい人にその存在をまず周知することが重要になります。学び直したいという志があっても、その機会があることを知らない人が多い可能性は否定をできず、県として県民への周知を行う広報活動が必要になると考えております。 夜間中学における学びを必要としている全ての県民に情報を提供し、希望者が誰一人取り残されることなく受入れができるように、どのように広報活動に努めていくのか、県の取組について教育長に伺います。 ◎教育長(伊藤博明君) 高知国際中学校夜間学級は、開設初年となる本年度の入学生が10人、来年度の入学予定者は3名となっております。これまで、市町村教育委員会や関係機関を通じたポスター掲示やチラシの配布、説明会の開催、テレビの特別番組放映による情報提供など、広く県民の方々に夜間学級のことを知っていただくための広報を中心に実施してまいりましたが、来年度の入学予定者の状況からも、さらなる周知が必要だというふうに考えております。 本年度より労働局や経済団体、老人クラブ連合会、そしてひきこもり支援団体などを個別に訪問させていただきまして、夜間学級の説明を行ったり、若者サポートステーションの関係者の方々を対象とした夜間学級の見学会を開催するなど、関係団体と連携した広報の強化に努めているところでございます。今後、これらの取組を一層強化するとともに、外国籍の方への広報も拡大して周知に努めていきたいと考えております。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございます。さらに取り組んでいただけるという御答弁だったかと思います。よろしくお願いをいたします。 そして、学校運営においては教育行政と地域の連携が必要と考えます。その点を鑑みると、各市町村教育委員会と県教委の連絡・連携を密にするため、常設の会議を設け、学校の基盤づくりを行うことが必要と考えますが、県の取組について教育長に伺います。 ◎教育長(伊藤博明君) これまでも夜間学級の広報や生徒募集に係る受付・相談対応業務のために夜間中学担当窓口を全ての市町村教育委員会に設置をしていただいております。 また、夜間学級の運営や今後の本県の夜間中学の在り方などを協議するため、生徒の在住する市町村の教育委員会と県教育委員会によります高知県立夜間中学連絡協議会を年間2回開催し、情報共有を行っております。本年度の協議会においては、生徒の就学援助に類する経済的支援についての協議や、夜間学級の運営状況や活動についての共有を行っておりまして、来年度はさらに広報を強化するために、より多くの市町村の教育委員会に参加いただけるように取り組んでいきたいと考えております。 また、このような機会を通じまして、市町村教育委員会において夜間中学校の理解を深めていただき、引き続きニーズ調査や各地域における市町村立の夜間中学の設置の検討が行われるよう促していきたいと考えております。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございます。ぜひよろしくお願いをいたします。 さきにも述べましたが、夜間中学は学び直しの場でもあり、様々な背景を持つ方が入学してまいります。そのため、学校運営においても生徒側から様々なニーズや意見があることなども想定されます。生徒会の設置などを通じて学生の声を聞き取り、学生が充実した学校生活を送れる環境整備、ひいては夜間中学という県の取組を発展させていくという点においても重要になってまいります。 生徒の声をどのように生徒に寄り添った教育環境の整備に生かしていくのか、教育長に伺います。 ◎教育長(伊藤博明君) 夜間学級には現在30歳代から70歳代までの様々な背景を持つ方が入学をされております。生徒の皆さんの声を取り入れるため、開設間もない現状におきましては、教員が生徒と個別に面談をしまして、一人一人の御意見を聞き取ることが効果的であるというふうに考えております。 生徒との面談などで得た意見や要望を踏まえまして、例えば始業までの個別補習の実施や、室内の冷暖房機器の整備など学習環境の改善を図ってきております。また、生徒への学習面、心理面の支援を行うために、教頭や教諭、養護教諭に加えまして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、そして学習支援員を配置しております。引き続き生徒に寄り添いながら、継続的に生徒の意見を聞き取るなどして、教育環境の充実に努めてまいります。 ◆28番(田所裕介君) 前段の中で生徒会の例を挙げさせていただいたところでございますけれど、今の人数であれば一人一人の声をしっかりと聞きながら、学校運営に生かしていきたい、そういった教育環境整備に生かしていきたいというお答えであったかと思います。 ただ、とある機会がありまして、夜間中学生のお話を直接お聞きする機会がありました。そのお話を聞くと、やっぱりなかなか多様な目標であったり目的であったりは様々あるなと、様々バックグラウンドを抱えた生徒さんがおられるなと感じたところでございます。やはり学校、今もしっかりとやられていることかと思いますが、さらに一歩踏み込んだ生徒に寄り添った教育環境の整備、これに尽力していただきたい、これは要請でございます。よろしくお願いいたします。 次に参ります。次に、新型コロナウイルス対策について伺います。 昨年のデルタ株の流行に続き、現在オミクロン株による感染拡大が課題となっています。社会経済活動を継続しながら、新型コロナウイルスに対峙していかなければなりません。 現在のオミクロン株の最大の特徴は、子供の感染が非常に多いということであります。保護者が濃厚接触者になった場合、仕事に来られない事態も生じ、医療や介護、教育現場などで欠勤が相次ぎ、継続が難しくなるという事態も全国的に散見をされています。また、保育園や学校が休校になった場合、保護者が仕事に行けないという事態が課題となっています。 保育所の休園や学校の休校に伴い仕事を休めない、そして子供の預け先がない保護者に対して、一時的に子供を預かる場を設けるといったような支援策も必要となってまいりますが、どのような支援を行っていくのか、教育長に伺います。 ◎教育長(伊藤博明君) 今回の第6波では、本県でも保育所等の休園、そして小学校の臨時休業が発生をしております。そうした中、例えば休園した保育所では、仕事を休めない保護者の子供のみを受け入れたり、小学校では感染状況に応じて休業の規模や期間を最小限にするといった対応が行われております。 この2月になりますが、国におきまして、保育所等の休園等の増加を受けて、代替施設を確保するための財政支援制度が創設されました。県内におきましても、2町村においてこの補助事業を活用し、休園となった際には、保健センターや子育て支援センターで保育を提供するための準備が現在進められております。 県教育委員会としましては、この事業が来年度以降もしっかりと継続されるよう、国に対して要望するとともに、今回制度を活用する2つの町村の実施状況を他の市町村へ情報提供するなど、休園となった際の保護者への支援が広がるよう活用を促してまいります。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 次に参ります。感染抑止をしながら経済活動を維持していくために、本県では高知家あんしん会食推進の店認証制度を設置し、取組を進めています。 そこで、伺いますが、県民に認証を受けた飲食店を利用することの安全性を周知することも知事の務めであるのではないかと思いますが、どのように情報発信を行っていくのか、知事に伺います。 ◎知事(濱田省司君) お話ございましたように、新型コロナウイルス感染症への対応におきましては、感染防止対策に万全を期すということと同時に、社会経済を維持して継続していくということが重要であると認識をしております。この両方の要請を顕著に併せ持つ、ないしはこの両方の要請が交差をする場面というのが、飲食の場面ということになるのではないかというふうに考えます。 その上で、私といたしましても感染拡大の傾向がある程度認められる状況におきましても、適切な換気などといった感染防止対策が整いました、あんしん会食推進の店を積極的に御利用いただきたいという思いを持っております。こうしたこともございまして、認証店を利用する場合には、大規模な多人数の会食が可能となります全員検査の枠組みの活用を促すための広報も、積極的に実施をいたしているところでございます。 これまでも記者会見の場などにおきまして、県民の皆さんに直接認証店の利用を呼びかけてまいったところであります。今後、さらにこういった機会を増やすよう努めますとともに、SNSをはじめといたします県の様々な広報媒体も活用いたしまして、さらなる認証店の制度の周知に努めてまいります。 ◆28番(田所裕介君) ぜひよろしくお願いいたします。 濱田知事は、今回のオミクロン株の感染拡大において、飲食店由来が感染拡大の主要因でないこと、重点措置は効果が限定的であるという判断があったということを定例会見や今議会の答弁において述べられています。今回の経験より、知事が地域の実態に合わせて効果的な制限のかけ方が選択できるようにする必要性に関して、全国知事会で議論をされているところであります。 そこで、伺いますが、まん延防止等重点措置など新型コロナウイルス対策において、知事がかける制限を選択できるようにすることに対する御所見を知事に伺います。 ◎知事(濱田省司君) まん延防止等重点措置の適用がされた区域におきましては、国の基本的対処方針に基づきまして、県民の皆さんあるいは事業者に対して行動制限などの要請を行うということが求められております。具体的に、現在の対処方針におきましては、1つには飲食店への営業時間の短縮、2つには大規模な集客施設への入場者の整理など、3つにはイベントの人数制限、4つには職場への出勤者数の削減、こういった要請を行うということが明記をされております。 このうち認証店に対します営業時間短縮要請をするかどうか、あるいは酒類の提供の可否といった要請をすることの内容、また大規模集客施設への要請をするかどうか、こういった点については知事の判断で選択が可能という枠組みになっております。逆に申しますと、それ以外の手段につきましては知事に裁量の余地がなく、全国一律のものというふうにされているところでございます。 しかしながら、全国的に第6波の事例では、飲食を契機とした感染が少ないということはございますので、この重点措置の中心が飲食店の時短という点に対しましては、全国の多くの知事からも違和感が表明されるということもございましたし、大都市部と本県などでは通勤の形態が違いがあるにもかかわらず、昨夏の重点措置では全国一律で7割の通勤者削減ということが求められた、こういった点についても、必ずしも本県の実態と合っていないという思いは私自身ございます。 そうしたこともございますので、基本的な対処方針におきましては、専門家の意見を踏まえた対策をメニュー化していくという方向が望ましいのではないかと。例えば、今回の第6波であれば、知事会の議論などでは学校の休校を知事が要請できるといったことも、メニューとして必要なときには選択できるような形で加えたらどうかという意見も出たことがございます。そうした形で、知事が地域の実情に合った選択ができるようにするといった形で、より柔軟な対応が可能となるほうが望ましいという思いを持っております。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございます。今回はオミクロン株、まん延防止等重点措置のタイミングにもついて、様々な意見があって、知事も本当に判断いろいろと苦慮されたと思います。 ここで再度確認も込めて再質問させていただきますが、新型コロナウイルスに対しては、地方自治体の長としての知事が判断しなければならないことは多いと考えています。その点において、今御答弁にありました点についてもやっぱり知事が判断をしていくことという想定を私はしておるところでございます。 そこで、伺いますが、制限を選択できるようにするということが高知県で必要であるという認識を濱田知事が持たれているということでよろしいでしょうか。 ◎知事(濱田省司君) ただいま申し上げましたように、まん延防止等重点措置あるいは緊急事態宣言が行われました場合には、基本的対処方針に基づいて措置を取っていくということが基本になるわけですが、そういった枠組みの下で、本県が対象に仮になりました場合も、知事が具体的な手段をより選択ができるという柔軟な仕組みにしていくべきだという意見を持っております。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 次に参ります。次に、産業振興について伺います。 県経済の活性化に向けたトータルプランである産業振興計画の取組は、平成21年度にスタートいたしました。令和2年度に新たに戦略の方向性として、付加価値や労働生産性の高い産業を育むを位置づけ、第4期高知県産業振興計画を策定し取組を進めています。 第4期計画ver.3の中で本県の新しい取組となるのが産業集積であり、アニメ産業とヘルスケア産業の集積を目指しています。ヘルスケア産業や産業集積に伴う移住促進や企業支援などは、公共性が高い一方で、成果が出るまでに時間を要するような特性もあります。そのため、ヘルスケア産業、移住促進、起業支援、それ以外にも若者支援、また子供の貧困支援などの公共性が高い一方で、成果創出に時間を要する領域においてソーシャル・インパクト・ボンドの活用の可能性が指摘をされています。 ソーシャル・インパクト・ボンド、いわゆるSIBとは、従来行政が担ってきた公共性の高い事業を民間組織に任せ、その運営資金を民間から募り、民間資金を活用して革新的な社会課題解決型の事業を実施し、その事業成果、社会的コストの効率化部分を支払いの原資とすることを目指すものであります。 SIBは官民連携の取組であり、また成果連動型の取組でもあり、事業成果の可視化や財源確保策の一つとしても期待をされています。日本では2017年に初めて導入され、これらSIBの活用が期待される産業の中でもヘルスケア領域での取組が進んでいます。経済産業省は既にモデル事業をスタートし、意欲ある自治体の案件組成を支援しており、広島県、キャンサースキャンが大腸がん検診受診勧奨事業を行うなど活用が進んでいます。 そこで、伺いますが、新しい官民連携の手法、そしてまた事業成果の可視化や財源確保策の一つとして、SIBの導入、普及に対する展望について総務部長に伺います。 ◎総務部長(徳重覚君) ソーシャル・インパクト・ボンドは、社会課題の解決のために、民間の資金やノウハウを活用した成果連動型の民間委託の契約方式とされております。この事業を実施した他県にお聞きすると、ソーシャル・インパクト・ボンドの活用に適した事業は何か、成果をはかる指標と客観的基準をどうするか、成果に対する支払い額の費用対効果の妥当性をどう図るかといった点について、慎重に検討する必要があるとのことでございました。 本県としてもソーシャル・インパクト・ボンドを導入する場合、どのような分野を選定し、適切な指標を設定するのか、またそこに意欲のある民間の実施主体、資金提供者の応募が見込まれるかなどを十分に見極める必要があると思っております。このため、引き続き先進事例の情報収集を行いながら、こういった手法の活用の仕方を研究してまいりたいと思っております。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございます。おっしゃるとおりで、課題もまだまだ検討も必要ということ、研究も必要だというところは承知しておるところで、ただ私個人としては非常に可能性を感じておるところでございますので、ぜひ研究を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 次に参ります。産業集積の核となるアニメ産業に関しては、2022年1月、高知県からアニメの文化と産業の活性化を目指す高知アニメクリエイター聖地プロジェクトがスタートしました。この動きに連動する形で、県ではアニメ産業集積プロジェクトをスタートさせ、アニメ制作を担うクリエーターやアニメ制作会社を本県に呼び込み、産業集積地を高知に創出することで産業活性化を目指すとしています。 そこで、伺いますが、現在85%以上が東京に集中しているアニメ制作会社を本県に呼び込むには、他地域と差別化される、他の地域と差別化された高知である理由またはメリットが必要だと考えています。 ほかの地方自治体との差別化をどのように図ることで、アニメ産業の集積を行っていくのか、知事にお伺いします。 ◎知事(濱田省司君) このアニメ産業によります地域振興を目指そうとする自治体は、例えば徳島県、新潟県など本県以外にも相当数あるというふうに承知しております。本県のプロジェクトは、地元の金融機関が主体となったプロジェクトを包含いたしまして、連導するという構造となっておりますので、豊富な民間資金の投入が予定されているというところがございます。この点、他県と比べて財源が確保されているという面が強みの一つじゃないかと考えます。 また、先日行いましたプロジェクトの発表イベントにおきましても、民間のネットワークを生かしまして、大手の出版会社の役員といったアニメ産業の関係者が数多く集まりましたことで、マスコミに大きく取り上げられまして、多数の問合せもございました。 こうした官民連携の下で業界を巻き込んだ情報発信を行いまして、大手出版社、映画関係者などの賛同を得ていることも本県の強みだと存じますし、30年以上のまんが甲子園の伝統といった、こういった漫画文化というのをバックグラウンドとして誇り得るものではないかというふうに考えます。こうした強みを生かしまして、他の自治体との差別化を図りながら、このプロジェクトに取り組みますことで、地方進出を目指しますアニメ制作会社を本県に呼び込んでまいりたいと考えております。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 次に、アニメ産業集積により長期的な視点に立って、雇用創出や地域の活性化にどのような効果を見込んでいるのか、産業振興推進部長にお伺いします。 ◎産業振興推進部長(沖本健二君) 男女を問わず、若者の関心が高いこのアニメ関連産業が本県に集積できれば、アニメ業界を志します本県の若者の就業の場となりますし、さらにはUターン、Iターン希望者の雇用の受皿にもなるというふうに期待をしております。 将来的には、本県に進出をいたしましたアニメ制作会社がテレビ番組や映画を制作できるようになれば、産業として外貨の獲得に貢献することにもなります。また、高知を舞台としたアニメ映画が制作されヒットをすれば、竜とそばかすの姫のように舞台の原風景を求めて多くのアニメファンが集まることになり、観光誘客も大いに期待をされるところでございます。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございます。私も大いに期待しておるところでございます。よろしくお願いいたします。 本県ではヘルスケア産業の集積化へも取り組んでいく意向です。厚労省によると、現状及び将来の市場規模を推計した結果、ヘルスケア産業は2025年には約33兆円になると推計されており、将来性がある付加価値の高い産業であることが分かります。 本県では、ヘルスケアイノベーションプロジェクトの推進により、ヘルスケアの集積を進めようとしています。単なる企業誘致でなく、産業集積として本プロジェクトを進めることの狙いについて、産業振興推進部長に伺います。 ◎産業振興推進部長(沖本健二君) このプロジェクトは、デジタル治療薬やICTを活用しました遠隔診断の開発など、新たなヘルスケア産業の創出を産学官連携で行おうとするものでございまして、非常にターゲットが大きいということが1つ大きな狙いとしてあると思います。 そのため、高等教育機関に加え、医療の知識を持った大学発ベンチャーやバーチャルリアリティーなどの高度なデジタル技術を有する企業、さらには精度の高い画像診断技術を有する企業など、こういった企業を集結させますことで、本県発の、本県ならではのヘルスケア産業の創出を目指すものでございます。 ◆28番(田所裕介君) ありがとうございます。 このような取組には、まず推進体制の構築が重要となってきますが、どのような体制を整備していくのか、産業振興推進部長に伺います。 ◎産業振興推進部長(沖本健二君) このプロジェクトの推進に当たりましては、県内の高等教育機関や産業団体、金融機関、有識者、行政など産学官金で構成をいたします協議会を立ち上げ、全体方針や誘致する企業などの検討を行う予定となっております。 ◆28番(田所裕介君) 非常に丁寧かつ前向きな答弁をいただけましたことに感謝を申し上げるとともに、今後の取組に大きな期待をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 以上をもって、田所裕介君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。   午前11時50分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(加藤漠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 中根佐知さんの持ち時間は45分です。 34番中根佐知さん。 ◆34番(中根佐知君) 日本共産党の中根佐知です。それでは、順次質問をさせていただきます。 2月25日に厚生労働省の人口動態統計の速報が出されました。令和3年の全国の出生数は6年連続の過去最少を更新し、死亡数は戦後最多、婚姻件数は戦後最少です。高知県も同様に出生数は4,275人、出生数から死亡数を引いた人口自然減に歯止めがかかりません。高齢化の波が全国より10年早く押し寄せ、女性の有業率が高い高知県は、他県に勝るとも劣らない公的施策が求められています。 昨年改定されましたこうち男女共同参画プランには、男女共同参画社会基本法に明記された国際的協調の下で、2015年の国連の持続可能な開発目標、SDGsや、誰一人取り残さないジェンダー平等社会を目指して一層の取組を進めることが重要ですと書き込まれています。ジェンダー問題の世界の動きや到達、課題を分析し、高知県に生かしていくことが重要であることは言うまでもありません。 男女共同参画計画、女性活躍推進計画を基に、こうち男女共同参画プラン推進についてお伺いいたします。 知事は、来年度少子化対策の充実強化と女性の活躍の場の拡大として、小規模のファミリー・サポート・センターの開設支援や、男性の育児休業取得率推進のための企業の取組の後押し、子育て支援サービスなどの広報を県民運動として展開するとしています。が、これでは行政の男女共同参画プラン推進策としては不十分の感を拭えません。予算化も含め、具体的に県民の暮らしを県が支えていると県民が実感できるジェンダー施策がもっと必要ではないでしょうか。 昨年、プランの推進役を担う県民生活・男女共同参画課を文化生活スポーツ部から子ども・福祉政策部に移管し、人権・男女共同参画課としました。子供関連施策の推進体制の強化として高知版ネウボラを推進し、妊娠期から子育て期までの子供関連施策を切れ目なく一体的に進めていく執行体制にしたと説明を受けました。だとしたら、少子高齢化、新型コロナウイルス感染症との対応が迫られている今の状況を反映させたプランの推進施策を求めたいと思います。 男女共同参画プラン改定から1年たった。本部長である知事は、施策づくりの際、県のプランをどのように意識して取り組んでこられたのか、お伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) 昨年3月に改定をいたしましたこうち男女共同参画プランに基づきます取組を進めていくに当たりまして、ただいま御指摘がありましたように、少子高齢化への対策でございますとか、喫緊の課題であります新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた対応を図っていくと、そういった点から重点的に取り組むという視点は大変重要だと考えております。 プランに掲げます男女共同参画の取組を進めていくに当たりまして、少子化への対応という観点から特に強化したポイントは、地域におけます子育て支援の充実、そしてワーク・ライフ・バランスの推進という点にございます。 この子育て支援といたしましては、具体的には、妊娠・出産・子育てに関します多様な支援サービスを一体的に提供する体制を整備していくというようなこと、そしてファミリー・サポート・センター事業に取り組む市町村への支援を強化していくといったような取組を進めてまいります。 また、ワーク・ライフ・バランスの推進に当たってということで申しますと、男性の育児への参画というのが非常に重要でございますので、県内企業での優良事例の横展開に取り組んでいくということによりまして、男性の育児休業取得を促進するというところに力を入れてまいりたいと考えております。 さらに、コロナ禍への対応という点に関して申しますと、感染拡大に伴いまして、女性の就労環境も厳しさを増しておりますので、これを支えていくために、まだ認知度に課題があります高知家の女性しごと応援室のPRを新年度は強化いたしまして、就労を希望する女性の支援をしたいというふうに考えております。 こうした取組を重点的に進めていくということによりまして、プランの目指す姿でございます「性別にかかわりなく、誰もが自分らしくいきいきと活躍できる高知県」の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 ◆34番(中根佐知君) ありがとうございました。施策は一生懸命考えていますということだと思うんですが、さらなる施策をやっぱり求めていきたいと私は願っています。 意識を変える、場を変える、環境を整える、こういう取組が一層求められています。まず、意識を変える取組の柱になる市町村計画の策定が、全国と比べましても大変遅れています。全国の策定比率は、市や区で98.3%、町村部では71.6%となっています。 高知県の市町村の計画策定の状況はどうなっていますか、子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 県内の市町村における男女共同参画計画の策定状況につきましては、現在11の市では全て計画が策定をされております。一方で、23の町村につきましては12の町村で策定されており、町村部の策定率を全国と比較しますと、全国の71.6%に対しまして、本県は52.2%となっております。 未策定の町村に策定していない理由をお伺いしたところ、担当者が複数の業務を行っており、マンパワー不足といった御意見をいただいております。 ◆34番(中根佐知君) 昨年よりは少し市では進んだようですけれども、意識改革、慣行、そして社会制度の見直しというのは、自然発生的に進むものではありません。自治体がいまだに作成していないことは、高知県のジェンダー平等の流れをとどめるものになっていないか危惧をするところです。自治体に、男女共同参画、ジェンダー平等の社会の到達から遅れてしまっているという自覚を持たせる必要があると考えます。 市町村の計画策定が全国的に見ても大変遅れている実態をどのように改善していくのか、子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 国におきましては、マンパワー不足に悩む小規模な自治体の実情に合わせまして、令和3年度から計画の策定方法を見直しております。男女共同参画計画を単独で策定するのではなく、市町村の総合計画等へ位置づけることでの策定が可能となったところです。 県としましては、各市町村に対して、総合計画等に位置づけることなどの助言や、市町村を対象とする研修会の開催など、全市町村での計画の策定に向けた支援を行ってまいります。 ◆34番(中根佐知君) 男女共同参画計画を進める根幹となるのがこの計画自体、これがいまだにつくられていないということは、やっぱりゆゆしき事態です。歴史的な男性優位の思想や文化が日本の中にはまだ根強くあることは否定できません。だからこそ、政治の責任も含めて女性も男性も、そしてマイノリティーの人たちも一緒にジェンダー平等の社会にしていこうというのが今の到達です。ここに無関心や意識の低い自治体をつくらないことは、最低限のジェンダー平等計画を推進する土台となります。ぜひとも一日も早い計画策定自治体100%を目指して、高知県としてもしっかり働きかけてください。よろしくお願いいたします。 次に、男性の育児休業取得についてお伺いをいたします。 男女がともに働き、仕事と生活の調和を図ることができるよう、育児休業取得の促進に高知県も取り組んできました。知事部局の職員の取得状況はどうなっていますか、総務部長にお伺いいたします。 ◎総務部長(徳重覚君) 知事部局における昨年度の男性職員の育児休業取得率は、過去最高の61.2%でございました。教育委員会、警察部門を除く都道府県の首長部局等で比較いたしますと、全国2位の割合となっております。 今年度の状況は、2月1日現在で既に昨年度の41名を上回る47名の男性職員が育児休業を取得しております。また、その取得日数を見ましても、昨年度の4割を上回ります約半数の男性職員が、1か月以上の育児に関する休暇、休業を取得している状況にございます。 ◆34番(中根佐知君) その状況をどのように分析しているのか、総務部長にお伺いいたします。 ◎総務部長(徳重覚君) 知事部局におきましては、令和2年3月に策定いたしました高知県職員子育てサポートプランに基づきまして、仕事と子育てを両立する取組を強化してきてございます。具体的には、対象となる男性職員をしっかりと把握しまして、子育てに関する休業制度などを丁寧に説明しております。また、その上で取得を呼びかけ、業務をバックアップするという取組を進めてまいりました。また、知事がイクボス宣言を行いまして、男性職員の育児休業取得を、トップが積極的に後押しをするという姿勢を見せております。 こうした一連の取組が、この2年間育児休業の取得数を大きく伸ばしてきた結果につながったと考えております。 また、男性職員もごく当然に育児休業を取得するという意識が醸成されてきたと感じておりまして、実際に育児休業を取得しました男性職員からは、職場の後押しにより気兼ねなく取得できた、夫婦2人で子育てする意識がさらに強まったなど、取得してよかったという声をいただいております。 今後とも、職員が安心して育児休業を取得できる環境づくりをさらに進めていきたいと考えております。 ◆34番(中根佐知君) 随分進んだなという感はいたしますが、100%までまだかなという期待もいたします。 次に、教職員の取得状況はいかがでしょうか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 公立学校及び教育委員会事務局におけます昨年度の男性教職員の育児休業につきましては、8名が取得しまして、取得率としては7.8%となっております。本年度につきましては、2月1日現在で昨年度の8名を上回る15名が取得しておる状況です。なお、男性教職員の育児休業の平均取得日数につきましては、昨年度が66.9日、今年が163.9日と、こちらの取得日数についても伸びておるような状況でございます。 ◆34番(中根佐知君) 教職員ですから、教員、そして職員、そういう違いはあると思うんですけれども、状況をどのように分析されているのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 男性教職員の育児休業取得率は、この実績からも本当にまだまだ十分でないというふうに認識をしております。この取得率が低い要因としましては、まず育児休業を取得した場合に、代替の臨時教員の確保の問題、それから児童生徒への影響、これは部活動指導であったり進路指導であったり、そういったところに影響はするんだろうということで、教職員自身が心配していることがあるのではないかというふうに考えております。 一方、育児休業の取得をされた方からは、やはり子供の成長を感じることができたとか、育児のしんどさが共有できたといった声が、また教職員の配偶者の方で教職員の方からは、精神的・肉体的負担の軽減につながった、それから育児に主体的に関わってくれるようになったというような声が寄せられております。 今後とも県教育委員会としましては、この子育てサポートプランの目標達成に向けまして、管理職から育児休業制度の周知徹底をさらに行いますとともに、引き続き代替となる臨時教員の確保に努力するということで、男性教職員が育児休業を取得しやすい環境づくりに努力をしていきたいと考えております。 ◆34番(中根佐知君) 新しい命に向き合って、そして命を伸ばしていく、そういう教職員の皆さんのお仕事と絡めても、ますますその取得率が高まっていくように努力をしてもらいたいと思っています。 今年4月に、男性の育児休業に焦点を当てた改正育児・介護休業法が施行されます。また、10月からは男性版の産休と言われる子供の出生後8週間以内に4週間までの育休取得が可能になって、意思確認や育児休業の申出期間が1か月前から2週間前までに変更されるなど、積極的な変化が起こることになりました。来年度は、高知県も取得率推進のための企業の取組を後押しするとしています。 令和6年度の取得率30%を県は目指すとしていますけれども、育児休業を取得する機運を醸成するためにどのように取り組んでいくのか、商工労働部長にお伺いいたします。 ◎商工労働部長(松岡孝和君) 県では、これまで様々な機会を捉えまして、改正された育児・介護休業法の周知を行うとともに、男性が育児休業等を取得しやすい職場環境づくりに向けて、キャンペーンや経営者向けセミナーなどを実施してまいりました。こうした結果、令和2年の県内企業における男性の育児休業取得率は、その2年前の7.6%に比べ約2倍の15.8%となり、また全国の12.7%も上回っている状況にあります。 しかしながら、令和6年度の目標30%を達成するには、さらに機運の醸成に取り組む必要があると考えております。このため、来年度はこれまでの取組に加えまして、新たに社内で働き方改革を推進する担当者向けのセミナーや交流会を開催いたしますとともに、県内企業の育休取得の好事例の横展開を図ることで、さらなる育休取得に向けた機運の醸成に取り組んでまいります。 ◆34番(中根佐知君) 今、働き方は多様化して、その中で非正規労働に従事している若い人々も本当に多くなっています。まず、条件のある全ての人が育児休業を取って、社会の在り方として育児休業取得が全ての職種で当然のこととしていきたいものだと思います。 子育てに喜びを持って妊産婦の負担を分かち合い、協力していく社会の在り方に政治が乗り出す時代になりました。北欧諸国などの取組にはまだまだ及びませんけれども、制度を前向きに整えたことは大きな一歩です。ジェンダー平等を進める力の一つとして機能していくことを願っています。 次に、生理の貧困問題についてお伺いをいたします。 コロナ禍の中で生理用品を買えない声が大きく上がって、政治課題に浮上しました。この一年、世界各地で新たな取組が進んで、その中で以前からジェンダー平等の問題として取り組んできた国や自治体があることが私たちの目の前に現れました。 経済的困難から発した声が、生理についてオープンに話せる環境を一歩前進させたように感じています。ハッシュタグみんなの生理の調査によりますと、生理用品の生涯負担額は50万円以上、生理休暇取得率は女性労働者の0.9%、生涯の月経回数は初産の年齢が遅く、少子化の中で昔の女性に比べて大幅に増加していることもみんなが知ることになりました。 世界では、2020年11月にスコットランドで生理用品の無償化法案を全会一致で可決。世界初で無償化を実現し、必要な人全てが対象で、無料提供を徹底させる役割は各自治体や教育機関が担っています。イギリスでは、公立の小・中・高校で2020年1月に無償提供を開始しました。翌年2021年1月に生理用品に係る税金を廃止しました。フランスでは、2021年2月、全ての大学生を対象に、大学や学生寮などで生理用品を無償配布すると発表。ニュージーランドでは、2021年6月から国内全学校で無償配布を開始。アメリカでは、ニューヨーク州で2016年から生理用品は非課税、2018年に公立学校では無償提供、カリフォルニア州では2022年度から全ての公立学校で無償提供。メキシコでは、2022年1月から生理用品に対する付加価値税を撤廃などなど、単なる貧困問題としてではない取組が実現をしています。 性差による避けて通れない生理の問題は、女性問題、ジェンダー問題として取り組むべきです。日本でも多くの県、市町村で生理用品の配布が行われ、歓迎の声も聞こえてきています。 県では、社会福祉協議会に委託して生理用品の配布が行われていますが、これまでの事業の状況について子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 県では、高知県社会福祉協議会に委託をし、これまで生理用品約4,600パックを購入し、市町村役場や社会福祉協議会といった公的な施設に設けました112の配布窓口のほか、公立の全ての小中学校や高等学校などの教育機関、こども食堂などに配付をしております。1月末時点で、希望する方に約1,100パックを提供しております。 配布窓口の周知につきましては、県や県社会福祉協議会のホームページやラジオ、新聞、市町村や市町村社会福祉協議会などの広報媒体を活用した広報を実施しております。相談支援機関の一つであります社会福祉協議会では、この取組を通じまして、NPOなど民間支援団体との活動のネットワークが広がったとお伺いしております。 ◆34番(中根佐知君) まだまだ生理の問題は口にしづらいものです。どこかに取りに行くのではなくて、トイレットペーパーがトイレにあるように生理用品をトイレに設置してほしい、そうすればもっと安心して利用できるのに、こういう声や、他の人にチェックされるようで窓口や保健室には行きづらい、こういう声もあります。また、貧困問題ではなくてジェンダー平等の課題として見るべきだとの声も上がっています。 学校でもジェンダー教育に生かされていると思いますが、子供たちの受け止めはいかがでしょうか、教育長にお聞きをいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 各県立学校では、令和3年9月から女性の活躍支援事業によります生理用品の配付を実施しております。この事業の開始に当たり、留意事項としまして県教育委員会から各校に、男女を問わず全ての生徒が生理に関する正しい理解を深められるよう、日々の性に関する指導の充実を依頼しております。 各学校では、保健の授業におきまして生理に関する指導を行いますとともに、性教育推進校として指定しております県立学校4校では、外部講師による性教育講演会などを実施しまして、この中でも生理について取り上げております。講演会の後のアンケートでは、男子生徒からも生理に対する理解が深まったことや、思いやりの気持ちを持つことの重要性を認識できたといった感想が見られております。 性に関する正しい知識を身につけることは、ジェンダー問題への理解にもつながるものでありますので、今後も引き続き性に関する指導の充実に取り組んでいきたいと考えております。 ◆34番(中根佐知君) 世界でもこの生理への関心は高まって、そして学習も深められています。生理用品のトイレへの配置とか無償化、非課税にするなどの取組が始まっておりまして、ジェンダー問題と位置づけて、そして学校教育もしっかりとという方向で世界が流れています。 ジェンダー問題として捉え、ジェンダー平等の位置づけで公的支援が今後も必要だと考えますけれども、子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 昨年11月に、市町村に対しまして、公共施設や学校のトイレに生理用品を施設管理者の責任において設置する必要性についてのアンケート調査を実施いたしました。その結果、トイレへの設置の必要性につきましては、分からない、必要ないの回答は87.5%となっております。このアンケート結果からは、現時点では県内の市町村において、公的支援の取組には前向きではないという状況になっております。引き続き、市町村や他県の状況などを注視してまいります。 ◆34番(中根佐知君) そういうことを踏まえて、今後の取組についてどのように考えられているのか、子ども・福祉政策部長に伺います。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 来年度も、引き続き国の交付金を活用いたしまして事業を実施するため、本議会に関連の予算を提案させていただいております。 ◆34番(中根佐知君) コロナ禍の下で、勇気ある女性たちの声で貧困問題として最初に取り上げられたのが生理用品の問題です。女性にしかない性の問題で、その管理を女性の自助努力に委ねてきたことへの疑問や不平等意識も渦巻き、単なる貧困問題にしてはならない判断が世界各国で施策をつくり変えてきています。この間の、教育長がおっしゃった学校での性教育や生理用品の配付の中からも、男性も女性もお互いの性の違いを科学的に知ることによって、お互いを大切にする意識が生まれていることは大変意義のあることですし、これからもぜひ認め合う人間社会への教育現場の取組をと願っています。 同時に、生理用品の配布の仕方はもっと自然に、トイレには必ず置かれているだとか、申告しなくても自由に持ち帰ることができる場をつくるとか、社会的に応援するメッセージを広げていくことが大切になってくるのではないでしょうか。もらいに行きにくい、困っていることを言わないともらえないのではと、二の足を踏む女性の意識を変えないと、必要でも我慢してきた人の意識を簡単に変えることにはなりません。ぜひ、ジェンダー平等の考え方で生理の貧困問題に取り組んでいることや、世界の取組も紹介しながら、配布の仕方、広報の仕方の工夫をお願いしたいと思います。 次に、妊産婦の医療費助成制度の創設についてお伺いをいたします。 来年度から、不妊治療が保険適用になると喜ばれています。が、よく見ると3割負担の保険適用になる治療法は対象を拡大されるものの、全ての治療が対象ではありません。女性の年齢によっても治療の回数に制限があって、43歳以上は保険適用の対象外となっています。高知県は、これまでどおり女性の年齢制限を行わない補助金を継続するとの説明を受けましたが、厚生労働省どおりでいくと、保険が適用されない不妊治療を受けようとすると、これまであった一律30万円の補助金がなくなるために、個人負担が増す例も発生をいたします。妊娠・出産が当たり前の出来事ではなくて、大変な心労と経済負担を伴っていることを改めて感じます。 加えて、この2年間は新たなコロナウイルス感染症との対応にさらなる神経を使う日々が続いています。2018年12月に参議院本会議で、成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律、成育基本法といいますが、これが全会一致で成立をし、全ての妊婦と子供に妊娠期から成人期まで切れ目ない医療、教育、福祉を提供する重要性が明記をされ、国や地方公共団体、関係機関には必要な施策を実施する責務があるとされました。 高知県は県版ネウボラを掲げていますが、成育基本法の成立についてどのような認識を持っているのか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 成育基本法は、安心して子供を産み育てることができる母子保健や医療体制の充実、子育て支援環境の整備に向けまして、妊娠期から成人期までの切れ目のない医療、教育、福祉を提供することを目的としております。本県が取り組みます高知版ネウボラの趣旨とも合致し、成育基本法は高知版ネウボラの推進の後押しになるものと認識をしております。 高知版ネウボラでは、母子保健や児童福祉分野、教育に加え、地域との連携を強化し、成育基本法に基づき国が示した基本的な方針にも沿って、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援の充実を図っているところでございます。 ◆34番(中根佐知君) 先日の本会議で、県版ネウボラの取組に対する評価と今後の展開について聞くという質問に、子ども・福祉政策部長は、全市町村が子育て世代包括支援センターを来年度中につくるなど実例を挙げながら、安心して子育てできる状況が着実にできていると答えられました。しかし、これまで述べてきたように、女性の妊娠から出産までの道のりは簡単ではありません。妊娠の継続も心配は尽きないし、出産することができる病院も十分ではない。さらには、子育てをしながら働こうとすると預ける保育園や学童保育を探して、時には家から遠い保育園に兄弟を別々に預けるしかない実態もあります。県版のネウボラは、まだまだ加えるべき施策があると思えてなりません。 この間、県民の中から妊産婦医療費助成制度の創設を求める声が上がっています。高知県内の20市町村で県に対して制度の創設を求める請願が採択もされています。自治体数で言えば59%の自治体、人口で言えば85%の自治体です。この問題は、一昨々年の9月議会で塚地佐智県議が取り上げ、その後昨年の2月議会、9月議会で私が取り上げて質問をしてきました。その間、高知県社会保障推進協議会や医師の団体でもある高知保険医協会の皆さんが自治体要請にも足を運んでいます。 全国の実施状況について子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 令和元年10月に全国の実施状況を調査いたしましたところ、22の都道府県で助成制度が実施をされております。このうち、全ての疾病または妊娠期の様々な疾病を対象として、県と市町村が半額ずつを負担している制度は4県で、県の市町村に対する補助金予算額は一定の幅がありますものの、平均で2億円超となっております。また、3県では県内の一部の市町村が独自で助成制度を実施しております。 これ以外の15都道府県は県単独で実施をしておりますが、ほとんどが所得税額3万円以下の所得制限を設けておりまして、対象となる疾病も、妊娠高血圧、糖尿病、貧血、産科出血、心疾患に限定し、7日以上の入院治療のみを助成の対象とする制度が大半となっております。15都道府県のうち10道府県は、制度はあるものの前年度は実績がありませんでした。また、助成実績がある残りの5都県につきまして、4県の年間平均助成額は4万円程度と、限定的な活用となっております。 ◆34番(中根佐知君) 高知県で妊産婦医療費助成制度を実施しようとしたときの試算をされているでしょうか、子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 高知県におきまして、所得制限を設けずに、多くの県が対象とする妊娠高血圧や糖尿病等に加え、切迫流産など妊娠に伴い発症する疾病での入院及び通院治療を助成する制度とした場合、詳細な試算は難しい状況ですけれども、国の医療給付実態調査などから推計をいたしますと、約1.6億円程度が必要となる見込みとなっております。これに伴いまして、県と市町村とが半額を助成すると想定した場合、市町村の負担額は合計で約8,000万円となります。 ◆34番(中根佐知君) 昨年9月の私の質問に子ども・福祉政策部長は、全市町村が足並みをそろえて導入できる効果的な施策を検討したいと答弁をされました。今、市町村で言えば8,000万円の負担ということで試算もしてくださっていますが、その後の効果的な施策を検討したいという進捗状況はどのようになっているのか、子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 9月議会以降、各市町村と具体的な協議を進めていくために、先ほどお答えいたしました対象疾病を制度の前提として、市町村の財政的な負担についての試算を進めてまいりました。 その試算を基に、特に財政負担が大きい自治体との協議を行ってまいりましたが、限られた財源の中で優先順位をつけて施策を進めていきたいといった慎重な御意見であるため、現時点では協議に進展が見られず、厳しい状況にございます。 ◆34番(中根佐知君) 私は、今の状況を見ながら、足並みがそろわないと実施できないというところに納得ができません。乳幼児医療費助成制度の導入は、足並みがそろったところからスタートしているでしょうか。高知県の保育料の第3子無料制度も高知市との足並みはそろわないままです。この春からの不妊治療の保険適用についての対応も高知市との足並みはそろっていません。 産婦人科の数が限られて、安心して出産できる環境が十分整わない状況の中で、交通費をかけて遠くの病院まで通って、大変な思いをしながら出産に向かうのが郡部に住む女性たちです。妊娠だけでも大きな負担ですが、そこに妊娠時のみ現れる高血圧症や、また糖尿病での生活の制限、入院、多くの身体的負担と経済的負担で妊婦の不安は大きいものです。そのときの助成くらい、あって当然ではありませんか。人口の多い自治体が今の時点でやろうとしないからといって、妊産婦が必要とする援助制度をつくることが遅れるのは、返す返すも残念です。求める声にどう応えるのか、どうスピード感を持って対応するのか、県の姿勢が問われていると思います。 この2年の検討を制度として結実させるべきだと考えますが、いかがでしょうか、もう一度子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 県といたしましては、県内全ての妊産婦の方々が安心できる制度とすることで、子育て支援施策としての効果が発揮できるものと考えております。そのためにも、全市町村が足並みをそろえて実施することが必要だと考えております。 スピード感を持って具体的な制度案を提案してきたところですが、市町村には財政面での負担も含めまして制度に対する御理解を今以上に深めていただき、市町村内での優先順位を高めていただく必要がございますので、時間をかけた対応が求められております。 息の長い取組になりますが、限られた財源の中で、子育て施策として効果が期待できる妊産婦への支援という視点で、引き続き市町村の意見を踏まえながら検討をしてまいります。
    ◆34番(中根佐知君) 既に、全国では22県、約半数の都道府県で実施をされていて、待ち望まれている制度だと私は思っています。利用する数が少なければ少ないほどいいけれども、出産を安全なものにして、妊産婦の負担軽減と胎児と女性の命を守る応援の施策の一つとして、一日でも早く医療費助成制度を求めるものです。 国が成育基本法をつくって、高知版ネウボラというのなら、命を生み出す課題にもっと力を尽くして、予算措置も多くすべきだと思ってきました。その意味でも妊産婦医療費助成制度は推し進めていくべき制度だと思いますので、今後も要望を続けていきます。どうぞ御検討ください。 高知県の男女共同参画、そして女性活躍推進計画をジェンダー平等の推進の視点で今日は質問をさせていただきました。日本は、ジェンダーギャップ指数が世界156か国中で120位で、本当にたくさんの取組が必要となっています。 先日、3月1日に世界銀行が、地域の経済的な権利をめぐる男女格差調査を公表しました。ここでも職業や育児、年金など、8項目の評価の総合点で、日本は昨年の80位から103位に急降下しています。男性賃金の74%の女性賃金、これなども大変問題になっていまして、そしてこれは年金格差にもつながっていきます。世界銀行の担当者は共同通信の取材に応じて、日本は女性の法的平等を改善するための改革を検討する必要があると強調したと報道されています。 私は、高知県でもジェンダー平等を常に意識して施策に結びつける、そしてここに予算もかけて推進をする、このための提案を今後も続けていきたいと思っています。 台湾では、随分高知県とも交流がありますけれども、ジェンダー主流化プロセスと呼ぶ施策を通じて、様々なジェンダーや性的指向の人々に積極的な行政支援をしていると聞いています。基本的にジェンダー共同参画委員会を通して、全ての施策がジェンダーにとって有益か有益でないか、こういうチェックがされて、そして市民社会の専門家18人、閣僚が17人、閣僚よりも市民団体の席が多く用意をされたジェンダー共同参画委員会、こういうところが施策を全てチェックをしているそうなんです。 日本も遅れているとはいえ、こういう委員会などをつくっていないわけですから、大変心配なところですけれども、高知県としてもジェンダー問題というのは、こういう流れの中で世界が推し進めていること、無関心ではいないこと、このことを再認識しながら、私たちも提案をしていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(加藤漠君) 以上をもって、中根佐知さんの質問は終わりました。 ここで午後1時50分まで休憩といたします。   午後1時42分休憩-----------------------------------   午後1時50分再開 ○副議長(加藤漠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 武石利彦君の持ち時間は50分です。 27番武石利彦君。 ◆27番(武石利彦君) 議長のお許しをいただきましたので、質問を始めさせていただきます。 当初予算、これを拝見いたしますと、このたびの集落実態調査に基づきまして浮き彫りになった課題に対して迅速に取り組んで、課題解決を図っていこうという強い姿勢が読み取れます。大変力強い、心強い思いをいたしております。喫緊の課題ですので、どうかよろしくお願いしたいと思います。 そこで、まず中山間対策についてお聞きをしたいと思います。 中山間の課題解決にデジタル技術を活用するという予算が組まれております。この意図するところ、狙いについて知事にお聞きをいたします。 ◎知事(濱田省司君) 今回の集落実態調査におきまして、生活用品や移動手段、飲料水の確保といった日常生活の不便さ、あるいは担い手不足によります集落活動の維持への不安といった課題が広がっているということを確認いたしております。こうした課題は、人口減少、高齢化が進みます本県の中山間地域の多くの集落に共通するものでございまして、今回の実証事業を通じて、デジタル技術を活用いたしまして調査で顕在化をした住民の皆様の生活面での不便さあるいは不安を解消する、あるいは省力化や利便性が向上する仕組みを確立していくということを狙いとするものでございます。 この実証事業を通じて得られましたデータ、ノウハウを生かしまして、この実証事業を行った地域だけでなく、同様の課題を抱える県内の中山間地域にも横展開をしていきたいと、そういうことを視野に入れた事業でございます。具体例といたしまして二、三、御紹介いたしますと、1つには、低速で公道を走る電動車を使った実証事業を行いまして、この中で予約ですとか運行情報システムの導入も視野に入れるという取組でございます。これにより、離島や山間部におきまして高齢者の方々あるいは観光客の方々などの移動手段としての活用が図られるのではないかというふうに考えております。 また、第2の例として申し上げますと、ドローンによります物資の運搬の実証事業も考えておりまして、これにより災害時の生活物資の確保、日常生活への不便さの解消ができるといったドローンの汎用性についても検証が行えると考えております。3つ目の例といたしましては、集落で管理をいたします農業用水などの実証事業を考えております。これによりまして、自宅にいながら遠隔操作で給水、排水などの管理が可能なシステムの構築を目指してまいります。 こうした本県ならではの取組によりまして、この地域に住み続けたいという住民の皆様の希望にお応えをしていく、そして将来にわたり暮らし続けることができる中山間地域の実現を目指してまいりたいと考えております。 ◆27番(武石利彦君) ぜひよろしくお願いしたいと思います。今、知事の御答弁にもありました、ドローンを使ったり、あるいは農業にもデジタル技術を応用するといったことに大きな期待も膨らみますが、例えばせまちの狭い農地で給排水をやろうと思っても、なかなか広い面積でどんと大規模にやっているところと比べると、非常に採算性においても効率性においても条件が不利なというところもありますので、小規模な狭いせまちでもどうやったら採算性の取れる農業ができるのかというところにも御配慮いただきたいというふうに思います。 そこで、知事が2番目に上げられたドローンの活用でありますが、四万十町では本年度NEDOの実証実験を行ったところでございます。その中から幾つかの課題も見えてきたところでありまして、例えばコスト面、安全面、効率面、このあたりをどういうふうに克服するかという課題も上がっておりますが、この知事もおっしゃいましたドローンを活用する、つまりドローンの実装化に向けての御所見を中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 四万十町でのドローンの活用に向けた実証実験では、物流や防災、調査、測量といった年間を通じて活用の可能性の高い分野で実証を行い、所期の目的を達成されたとお聞きしております。 一方、今後の実装に向けては、議員からお話がございましたように、生活物資を運搬する際の人的体制を含むコストの負担、緊急時の対応など運航する際の安全性の確保、機体の保守管理や運営体制などをいかに効率的に実行できるかといった点が課題であるとお伺いしております。このような四万十町での先行事例についてしっかりと情報収集を行いまして、今後の実証事業への事業者の参画も含めて、四万十町での実証実験を活用したいというふうに考えております。 現在、ドローンは橋梁などの土木インフラの点検をはじめ、森林資源の測量や災害時の被害状況把握など、様々な用途で活用されております。今後、中山間地域での実用化を念頭に置いた場合、災害時における状況把握や救援物資の運搬の手段、さらには日常生活での物資の運搬などで活用が可能ではないかと考えております。 このため、今回の実証事業では、各方面での事例の情報収集も行い、様々な地形、条件下での運用方法や、既存の輸送方法とのコスト面での比較といった観点からも、実装の可能性について検証してまいります。また、実用化に向けては、運営する人材や場所の確保といった観点から、県内事業者の参画を求め、県内各地にある集落活動センターなどの拠点機能を活用することも併せて検討してまいります。 ◆27番(武石利彦君) 農薬散布にドローンを使おうと思っても、それを飛ばす資格を取るのに、県外に1泊とか2泊で行って研修を受けなくちゃならんというような実態もあるやに承知しておりますが、そういった意味で今部長から御答弁いただきましたような県内企業とのコラボレーション、あるいは人材育成にしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。 次に、午前中に上治議員も触れられましたが、小さな集落活性化事業、これについて積極的にお取り組みになるという方針が示されております。この事業の狙いについて知事にお聞きをいたします。 ◎知事(濱田省司君) 今回の集落実態調査によりまして、10年前と比べて集落の活力が一段と失われていると、こういった集落活動の今後の維持への不安の声が確認できたところでございます。一方で、約7割の住民の方は、やはりこれからも集落に住み続けたいという思いを持たれ、またこの間活動が始まってまいりました集落活動センターの取組については、総じて評価をいただいているということが調査の結果から読み取れるわけでございます。 こうしたことを踏まえまして、これからの10年というのを見据え、集落活動センターの仕組みづくりと併せまして、新たに小さな集落に焦点を当てた集落の維持・活性化の仕組みづくりをスタートさせたいというものでございます。 この取組は、現在集落活動センターがカバーをしていない小規模な集落につきまして、住民の皆さんの力、そしてそれらの地域が持つ資源といった潜在力を引き出していくということで、活性化を図ろうというものでございまして、また県内のより広い地域で活力のある集落を生み出していこうということを目指すものでございます。 具体的には、この仕組みづくりの中では3つのパターンを想定しておりまして、1つは、既存の集落活動センターとの連携により、この既存のセンターが例えば事業を拡大しましたり発展を図っていくという際に、周辺の小さな集落も一緒に取組をしていくと、それによって活性化を目指していくというパターンでございます。 それ以外の2つ目のパターンといたしまして、この小規模集落が独自に活性化を図っていくというパターン。そして3つ目は、そうした小規模集落の取組をさらに発展させまして、新たに集落活動センターを組織していくといった姿を目指していくと。こういった3つのパターンを想定して関連の予算をお願いしているところでございます。 こうした取組を通じまして、人口減少あるいは高齢化が進む中にありましても、集落ににぎわいや活力をもたらしていくと。そのことにより、それぞれの地域におきまして先人から受け継いだ暮らしを次の世代に引き継いでいくと。そういうことができるような中山間地域を目指してまいりたいと考えております。 ◆27番(武石利彦君) 集落活動センターも効果が上がってきていると思いますが、一方で課題もあるのかなと。課題の一つとしては維持、これからどうやって世代継承をしていくのかというような課題もあろうかと思いますので、その点も含めて御留意いただきますようによろしくお願いしたいと思います。 それから、過疎化について質問が相次いでおりますが、ある高知市在住の方からこういったお話がありました。過疎化とかというと山間地域の課題だと思われがちだが、私のように高知市内に住んでいても過疎化というのを我が身をもって感じるという御意見があります。買物にも行きづらい、独りぼっちで孤独感を感じるというような、そういった気持ちを持たれている方は、何も山間地域だけではなくて、高知市にもお住まいだというふうに感じておるところでございます。また、中山間地域対策、非常に大事なテーマでございますけれども、都市部にも同じような課題があるということについても、ぜひ光を当てていただきたいというふうにこれはお願いをしておきます。 次に、スマートフォンの拡大、普及を図る予算を計上しておられます。これは日高村が、村まるごとデジタル化事業という取組で、村民の皆さんにスマートフォンを持ってもらって、デジタルディバイドを解消していこうという取組をされておるわけでございますが、今月末以降、順次電話会社がいわゆるガラケーが使えなくなるようになる、つまり3Gを使えなくなるような、そういった状況を迎えようとしておりますので、今スマホの普及にかじを切るというのは非常にタイムリーな政策だというふうに思っております。 そういった点も踏まえて、中山間地域、特に高齢者にスマートフォンを持ってもらうというようなことに対して、どのようにお取り組みになられるのか、総務部長にお聞きしたいと思います。 ◎総務部長(徳重覚君) 議員御指摘のように、高度データ通信が可能な5Gや4Gが普及拡大したことに伴いまして、3Gの契約数が減少してきているということがございます。そのため携帯電話事業者ごとに3G電波によるサービスが今月末から順次終了することが発表をされております。県としては、スマートフォンへの乗換えが進むことによりまして、オンライン申請をはじめとした県のデジタル関連施策につながっていくことを期待しているところでございます。 一方、高齢化率の高い本県におきましては、行政サービスの利用拡大と日常生活の利便性向上の両面におきまして、デジタルディバイド対策として、デジタル技術に不慣れな高齢者の方への支援が不可欠でございます。このため、来年度の新規事業としてスマートフォン活用サポーター、愛称スマサポでございますけれども、サポーターの養成事業を開始したいと考えております。 県としては、スマートフォンのさらなる普及を見据えて、地域におけるデジタル化の支援をしていきたいと考えております。 ◆27番(武石利彦君) 分かりました。 知事は、提案理由説明におきまして、コロナ禍を契機としてテレワークの普及や地方暮らしへの関心が高まっておると、そういった背景で都会から地方へと人や企業の流れを高知県に呼び込むんだというような表明をされた、まさに時宜を得たお考えだというふうに思っております。 そうした意味で、都会からの人や企業を中山間地域で受け入れるには、住まいの環境だとか子育て環境に加えて、新しい働き方を実践するために必要なワークスポットの整備なども必要になろうかと思っております。 そうした意味で、都会から若者などを呼び込む上で、テレワークやワーケーションの拠点として、中山間地域に多く点在をします空き家を改修して有効に活用するということが、一つの重要な選択肢になるのではないかというふうに考えておりますが、土木部長にその辺の御所見をお聞きしたいと思います。 ◎土木部長(森田徹雄君) 空き家をシェアオフィスなどに活用することは、中山間地域での働くスペースの確保に有効な手段であると考えております。 このため、県では、空き家をシェアオフィスなどとして整備する市町村に対しまして、その費用の一部を支援する制度を令和2年度に創設いたしました。現在、この制度を活用しまして馬路村など4町村が事業を進めており、来年度は大月町、田野町でも新たな事業を実施する予定となっております。 引き続き、このような空き家の活用に取り組む市町村を支援しまして、地方への新しい人の流れを呼び込む受皿の確保につなげてまいります。 ◆27番(武石利彦君) そしてまた、都会から人や企業を中山間地域に呼び込むためには、ハード整備だけではなくてソフト面の対応も重要になるかと思いますが、この点についての御見解を商工労働部長にお聞きいたします。 ◎商工労働部長(松岡孝和君) 中山間地域に都会から人や企業を呼び込むためには、シェアオフィスなどのハード面の整備に加えまして、ソフト面の取組を実施することが大変重要と認識してございます。 これまで、県では、高知市中心部に拠点となるシェアオフィスを整備したほか、市町村が新たにシェアオフィスを整備する場合に、Wi-Fiなどの設備投資に対する助成も実施してきております。こうしたハード面の支援に加えまして、ソフト面では都会から人や企業の流れを中山間地域に広げていくためには、地元市町村と共に取り組んでいくことが大変重要となってまいりますので、平成29年度から市町村と共に企業誘致の勉強会を開催するなど、まずは意欲の喚起に努めてきております。 その上で、本年度からは県内各地のシェアオフィスの情報を検索できるポータルサイト、こちらのほうを開設しておりますし、また交通アクセス、宿泊など様々な相談に対応する相談窓口も本年度開設いたしました。また、都市部のビジネスパーソンを本県にテレワークで呼び込むための助成制度も本年度設けております。こういうふうにソフト面の取組も順次充実してきております。 今後とも、市町村としっかりと連携しまして、都会から人や企業の流れを中山間地域にも広げてまいります。 ◆27番(武石利彦君) それでは、空き家の利活用とはちょっと観点が違うんですけれど、放置された空き家の対策についてお聞きをしたいと思います。私もあちらこちら中山間地域で放置された空き家をよく目にするんですけれど、やはり地元の方からのお話によると、近所の方、地震で倒壊をするだろうと非常に心配しとるという声もたくさんお聞きをするわけなんですね。 これは本当にもう全国的にも喫緊な課題だと思いますけれど、この放置された空き家対策について土木部長に御所見をお聞きいたします。 ◎土木部長(森田徹雄君) 放置されて老朽化した空き家は、おっしゃられるように地震発生時に倒壊して避難路を塞ぐなど、防災面においても周辺へ悪影響を及ぼすおそれがございます。 このため、県では、避難路沿いなどの老朽化した空き家を除却する所有者にその費用を補助する市町村を財政的に支援しておりまして、現在32の市町村が補助制度を設け、除却に取り組んでおります。この制度を利用した場合、一般的な規模の木造住宅であれば、所有者の自己負担は除却費の約2割程度に抑えられますので、令和2年度としましても、500棟を超える実績をカウントしているという状況でございます。 今後も、老朽空き家の除却に取り組む市町村への支援を継続して、地域の安全性の向上につなげてまいりたいというふうに考えてございます。 ◆27番(武石利彦君) ぜひその方針で取り組んでいただきますようにお願いをいたします。 他県の事例を見ますと、日本経済新聞なんかにも掲載を最近されておりましたけれど、他県の市なんかでは、土地があってその上に建物がある、そうすると土地の固定資産税を減免するという措置をしていますけれど、放置された空き家も同様な状況になっているんで、放置された空き家を除去する対策として、空き家があろうが、もう土地の固定資産税の減免をなくすというような、放置された空き家を撤去するような方針に持っていっているところもあるんです。その課税率とか課税額が都会とこの高知県では違うんで、高知県でそれをまねてやったとしても、果たしてインセンティブが働くのかなという疑問はありますけれど、言いたいのは、全国的に放置された空き家というのが問題になっているということを言いたいので、ここで例として挙げさせていただきました。 それでは、中山間対策を終わりまして、次に健康寿命を延ばす取組についてお聞きをしたいと思います。 来年度当初予算を見ますと、医療機器を搭載した車両で看護師が地域に出向いて、そして病院の医師とオンラインで結んで行うというヘルスケアモビリティ事業、この予算が組まれておりまして、これにつきましては先日当会派の大石宗代表が代表質問で触れさせていただきました。私も、このように、病院に行きにくい方々がおられる、そういった中山間地域に医師や看護師をオンラインで結ぶというのは、非常にいい施策だと思います。それから、医師の働き方改革にもつながるんだろうということで期待もしております。 一方で、大石議員も指摘しましたように、課題ですね、例えば脆弱な通信環境の中山間地域でどのぐらいのオンラインの診療がスムーズにできるのかとか、医療機関にとりましては車両の購入費とか機器を搭載する、あるいはそれを運転して看護師が地域に出向くということで、なかなか負担が大きいんじゃないかなという気もするんです。 これを克服しないと、今回取り組むこの事業を、横展開で全県下に広げていくということにはなかなかならないおそれもあるんじゃないかというふうに危惧をしておりますが、この点についての御所見を健康政策部長にお聞きしたいと思います。 ◎健康政策部長(家保英隆君) この取組を推進する上では、お話のありました通信環境が脆弱であったり、そもそも医療機関が少ない中山間で負担をしてまでオンライン診療を行う医療機関が少ないなど、中山間地域ならではの課題がございます。 まず、通信環境の確保については、患者の自宅以外の地域の公民館やあったかふれあいセンターなど、既に通信環境が整っている通いの場でヘルスケアモビリティを活用して診察することを視野に、規制緩和に向けた提言も行ってまいります。 また、あったかふれあいセンターなどのある地域が無医地区に相当する場合は、ヘルスケアモビリティを活用した無医地区巡回診療とみなせる可能性もありますので、医療機関や当該市町村と協議しながら、関連経費の補助の適用の可能性についても検討してまいります。 令和4年度にモデル的に実施する事業の中で課題の洗い出しを行うとともに、その成果を医療機関や市町村などと共有しながら、県内への普及を目指してまいりたいと考えております。 ◆27番(武石利彦君) それでは、今よくフレイル予防という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。中山間地域の住民の皆さんは病院とかにも遠いし、なかなかそういうアドバイスが受けづらいという状況もあると思うんですけれど、特にその中山間地域の住民に向けたフレイル予防をどのように進めていくのか、これについての御所見を健康政策部長にお聞きいたします。 ◎健康政策部長(家保英隆君) フレイルとは高齢者が心身ともに虚弱になった状態を言い、その予防には運動、栄養、社会とのつながりが重要と言われております。そうした中で、住民同士が誘い合い、楽しみながら住民主体のフレイルチェック活動を行う事例が中山間地域で始まっており、仁淀川町をはじめ南国市、大豊町、四万十市などで広がっております。 特に、先進的に取り組んできた仁淀川町では、こうした住民活動がNPO法人の設立に発展し、活動活性化につながるなど、住民の社会参加が活発化しております。また、四万十町のしまんと健康ステーションでは、運動量の見える化、運動や食事の相談など薬剤師などの専門職が住民への健康づくりに係るアドバイスを行う取組が検討されており、多職種連携によるフレイル予防につながるものと期待いたしております。 県としましては、フレイル予防活動を進めるためには住民や関係者の自主的な取組が重要であるとの認識に立ち、フレイル予防に関する講演会の開催やフレイルサポーターの養成などを支援するとともに、ほかの市町村にも拡大してまいりたいと考えております。 ◆27番(武石利彦君) 今御答弁にもありました、仁淀川町で元気な高齢者の皆さん、地域のリーダーたる高齢者の皆さんと知事、そして横山文人県議がいろいろお話をされているのを報道で拝見しました。そういった事例を今部長も申されましたように、どんどんと県内に横展開をしていただきますようにお願いをしたいと思います。 それから、高齢者が生涯現役で活躍するということは、生きがいももたらしますし、ひいては健康寿命を延ばすことにつながるというデータがございまして、さきの日本経済新聞の記事によりますと、65歳以上で仕事を持っている方の割合を示す、これを有業率と言うらしいんですけれども、長野県や山梨県は30%を超えており、有業率が高いほど医療費は少ない傾向が読み取れると、こういうことであります。本県の有業率は全国中位に位置をしているというふうに記事にはございました。 この有業率を高めるためにどのように取り組んでいかれるのか、商工労働部長に御所見をお伺いいたします。 ◎商工労働部長(松岡孝和君) 県では、平成30年度から経営者団体や労働者団体などから構成されます、生涯現役促進地域連携協議会の皆様と共に、年齢に関わりなく働き続けられる仕組みづくりに取り組んでまいりました。 具体的には、企業側には業務の切り出しを行い就業の機会を創出することをお願いし、また高年齢者の方々にはどのような仕事が向いているのかを理解していただき、スキルアップを図っていただくセミナーを行ってきたところであります。こうした取組を行った上で、企業と高年齢者双方のニーズを踏まえたマッチングも行ってまいりました。その結果、昨年度は31名、今年度は1月末までに30名の高年齢者の方が就職するなど、徐々にではありますが、成果が現れてきているところであります。 また、昨年4月には改正高年齢者雇用安定法が施行され、これまでの65歳までの雇用確保義務に加えまして、70歳までの就業機会の確保が事業主の努力義務となったところであります。今年度は法改正の趣旨に沿いまして、セミナーなどによる周知を行っており、高年齢者の働きやすい環境づくりが浸透しつつあるものとも考えております。 今後とも、有業率を高める取組を関係団体の皆様と連携しながら、しっかりと進めていきたいと考えております。 ◆27番(武石利彦君) それでは、次の質問に移ります。農業振興についてお聞きをしたいと思います。 様々な背景がありまして、配合飼料や肥料、燃油など農業生産資材の価格が高騰しておるわけでございますが、これが本県の農業経営に及ぼす影響についての御所見を農業振興部長にお聞きいたします。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 近年、南米などの干ばつによる飼料作物の不作や、産出国の輸出規制強化など、国際情勢の変化により現在の生産資材価格は値上がりを続けております。値上がり前の令和2年の単価と比較しましたところ、令和4年1月時点で配合飼料で20%、肥料で42%、A重油で37%まで高騰しております。 こうした影響を農業経営の視点で見てみますと、養豚では100頭当たり約37万円、ピーマンでは10アール当たり約40万円、キュウリでは10アール当たり約34万円のコストアップとなっております。農畜産物はコスト上昇分を販売価格に反映しにくいことから、農家の経営への影響が懸念されております。 今後も農業生産資材の価格動向を注視してまいります。 ◆27番(武石利彦君) ぜひしっかりと取り組んでいただきますようにお願いをいたします。 次に、米作りについてお聞きをいたします。主食用米の需要が漸減し、全国的にも食用米の米余りが生じております。本県におきましても国から助成が受けられる飼料米の生産へとシフトチェンジする事例がよく見られるようになりました。 このような状況でありながら、このたび国のほうからは水田活用の直接支払交付金の見直しが示されたことによりまして、飼料米にシフトされた方の中に将来に対する不安が広がっているというふうにお話をお聞きいたしますが、この点について農業振興部長に御所見をお聞きいたします。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 国では、飼料用米のより安定的な生産、供給に向けまして、水田活用の直接支払交付金に3年以上の複数年契約の取組を支援する加算メニューを設け、令和2年度から実施しておりました。そうした中、国は、複数年契約の取組は一定浸透してきているとの判断で、新年度から加算メニューを廃止することを決定いたしました。ただし、複数年契約に対する経過措置としまして、令和2年、3年の交付対象者に対しましては、令和4年度は交付単価を半額にして交付するということでございます。 このため、県では、国から県に別途配布されております産地交付金の予算枠の中で、県独自で助成内容を設定できるメニューの見直しにより、何らかの対応ができないかなどについて、市町村等の意見を確認するアンケートを実施しているところでございます。 その一方で、水田活用の直接支払交付金には、飼料用米の収量に応じて交付単価が変動する戦略作物助成といった支援メニューもありますことから、生産者の方々には防除の徹底や多収品目への転換などによりまして収量を増やす取組をお願いしていきたいと考えております。 ◆27番(武石利彦君) しっかりと御指導いただきますようによろしくお願いいたします。 また、四万十町の事例を挙げさせていただきますが、四万十町では地域商社四万十ドラマが栗とか芋を使った6次化の商品を作っておりまして、それがなかなか好調でございます。その芋を取り上げますけれど、芋にはニンジンイモという芋を使うらしいんですけれど、これがもうその商品が売れて売れて原材料が足らないと、こういう状況になっておりまして、それで四万十町にはそのニンジンイモを作ろうという農家がどんどんと増えております。また、その生産農家に聞きますと、非常に単価もよく買ってくれるので、非常にやりがいがあると、こういうことであります。 こういった露地園芸品目を中山間地に広げるというのが農業振興につながるんだろう、高知県の農業振興には直結しているんじゃないかということを、私はこの事例を見て感じるところなんですけれど、露地園芸品目を中山間地域でどんどん広げるということについての御所見を農業振興部長にお聞きをいたします。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) お話にございました中山間地域の露地園芸品目を加工した特産品の外商拡大の成果が、さらなる生産拡大につながっている四万十町の事例は、産業振興計画における拡大再生産の好循環のモデルになるものと考えております。特に、安定的な販路を確保している点が成功の鍵につながっているんではないかと考えております。 このような中山間地域の活性化にも資する取組について、引き続き多様な担い手の確保や栽培指導など、生産面での支援を行うとともに、マーケットインでの視点で横展開を図っていくことで、さらなる露地園芸品目の振興につなげてまいりたいと考えております。 ◆27番(武石利彦君) ぜひ中山間地域に露地園芸品目の栽培が広がって、それが農業の振興、そしてそういう状況を見るとまた後継者もやってみようというような好循環につながるということも想定されますので、よろしくお願いしたいと思います。 次に、畜産業についてでありますが、畜産業もデジタル化が急がれる分野ではないのかなというふうに思っておりますが、この畜産業へのデジタル化の導入促進について、御所見を農業振興部長にお聞きいたします。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 畜産業におけるデジタル化では、一例を申し上げますと、牛の分娩の兆候をスマートフォンに通知する機器は、分娩時の事故防止による生産性の向上や夜間の見回りなどの負担軽減にもつながるため、肉用牛農家からのニーズは非常に高いのですが、コロナ禍が長引く中では新たな投資が難しく、なかなか導入が進まない状況でございました。 このため、昨年の9月補正事業において、一定規模以上の肉用牛農家を中心にデジタル機器の導入を支援いたしました。その後、小規模な農家からも要望が非常に多かったことから、頭数などの要件を緩和した追加支援の補正予算を今議会にお諮りしているところでございます。 引き続き、国の有利な事業も活用しながら、デジタル機器などの導入を支援することで、畜産農家の所得向上や働き方の改善につながるよう、さらなるデジタル化の取組を推進してまいります。 ◆27番(武石利彦君) 私も非常に畜産業が盛んな四万十町に住まいをしておりますので、今部長が御答弁されましたような成果が見えてくることを楽しみにしております。どうぞよろしくお願いをいたします。 この項を終わりまして、次に外国人の入国規制の影響についてお聞きをしたいと思います。 コロナの影響もあって入国規制を続けてこられました。この1月の時点で入国できない留学生が15万人、そこに技能実習生などを含めると40万人が入国できない状況になっていたというふうに承知をしておりますし、今月から受入れを1日3,500人を5,000人に引き上げると、そういう方針にかじが切られたわけでありますが、私もその状況をどうなっているのかなということで、ちょっといろんな分野でお聞きをしました。 例えば留学生がたくさん来られる明徳義塾高校、ここでもお聞きしたんですけれど、入国できないということで、本当にがらがら、教師も授業もすることがないとか、非常に学校運営に多大な影響を受けているということ。今回の緩和の様子を見ましても、今まで滞留していた学年、それに新たに来る学年ということで、2学年が一気に緩和によって来るんじゃないかと、それにどう対応するかということも不安だというお話もありました。 それから、介護分野におきましても外国人技能研修生が入ってこれないということで、現有の日本人のスタッフの残業なんかが増えておるというお話もお聞きをしました。また、地域の農業者、私は興津のミョウガ農家--ここにはベトナム人が3人働いておられるんですけれど、この秋ぐらいからそれぞれ任期満了に伴って帰国をしなくちゃならんと、じゃあ帰国した後、新しい人が入ってこれるのかということで、作付とかいろいろ農業経営に不安があると、こういうような状況もお聞きします。 それで、もうこれ時間の関係で農業とか林業、漁業とか聞いていくととても時間がないので、知事にまとめて高知県に与えている影響といいますか、これについて御答弁を求めます。 ◎知事(濱田省司君) 御質問ございました入国規制が本県に及ぼしている影響につきまして、私も様々なお話を伺っております。全庁的に状況を取りまとめますと、まず教育現場におきましては、お話にありました明徳義塾中・高等学校をはじめといたしまして、県内の私立学校、大学、専修学校において、入国できない留学生が約180名に上るという報告を受けております。ある学校では授業料収入が大幅に減少し、経営が非常に厳しい状況になっているという話もございました。 また、農業の分野では、例えばニラやシシトウなどの農家におきまして人手の確保ができないために、今お話しありました作付面積を縮小したり、省力化が可能な品目に転換を迫られたと、そのような事例もあるようでございます。また、漁業でも、例えばカツオ一本釣りの漁業などにおきまして、本来は帰国予定であった実習生にも残ってお手伝いいただいて何とか操業している、これ以上外国人が減りますと操業中止も余儀なくされるというような声をお聞きしました。 また、介護・福祉の分野では、職員の時間外勤務の増加、あるいは有給休暇が取りにくい状況という形でしわ寄せが来ているというお話、さらに建設業におきましては、現場の作業チーム編成に支障が出たために受注量の減少につながったようなケースも出ているという報告を受けております。 こうした形で入国規制が本県の各分野で様々な影響を及ぼしているというふうに考えております。 今回の水際対策の緩和につきましては、留学生、技能実習生などの社会活動に与える影響に配慮いたしまして、柔軟かつ適切に対応してもらいたいということで、これは全国知事会におきまして国に対して提言も行ってまいっております。国におきましては、徐々に水際対策の緩和を行うという方針が示されているところでありますけれども、私といたしましても、できるだけ早期に通常の往来が可能となる日が訪れますように、心から願っているところでございます。 ◆27番(武石利彦君) 分かりました。 それでは、今介護分野の状況についてもちょっと触れさせていただきましたので、関連してこの項でお聞きをさせていただきます。介護・福祉分野のマンパワー不足につきましては、県としては日本一の健康長寿県構想の中でお取組をいただいているというふうに承知をいたしておりますが、介護人材の確保に向けて、今後さらにどのようなお取組をなさるお考えか、子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 介護人材の確保に向けましては、高知県福祉人材センターのキャリア支援専門員によるマッチング支援や、福祉就職フェアなど求人、求職のマッチング機会の充実に取り組みますとともに、また高知県福祉人材センターに新たに介護助手等普及推進員を設置いたしまして、高齢者などが働きやすい介護助手の導入を促進いたします。また、ワークシェアなどの新たな働き方による多様な人材の参入促進にも取り組んでまいります。 さらに、本県が全国に先駆けて取り組んでまいりましたノーリフティングケアや、高知県福祉・介護事業所認証評価制度の推進などを通じまして、魅力ある職場づくりと人材確保、人材定着の好循環を目指して取り組んでまいります。 ◆27番(武石利彦君) よろしくお願いいたします。 それでは、質問最後の項目に移らせていただきます。動物愛護についてであります。 来年度から運用される予定の高知県動物愛護基金、これを本県の動物愛護の推進にどのように活用されるお考えか、健康政策部長にお聞きをいたします。 ◎健康政策部長(家保英隆君) 基金の活用につきましては、現在実施しておりますメス猫不妊手術推進事業費の頭数の増、一部雄猫の去勢手術への助成拡充やボランティア活動への支援、県民の皆様の動物愛護意識向上に向けた普及啓発などに活用してまいります。加えて、今後におきましては、県と高知市で共同して検討を進めております動物愛護センター整備に関する事業へ活用していくことも想定しております。 県内外からの貴重な浄財を有効に活用させていただき、犬や猫の意図せず不幸な一生を送らざるを得ない新たな命の誕生を極力なくす、可能な限りゼロにしたいと、こういう思いや、大切な命を新しい家族の下につなげるといった取組を進めてまいります。 ◆27番(武石利彦君) この議会でも上田貢太郎議員がこの問題について一括質問をなさいまして、私もその答弁はお聞かせいただきました。しっかりと動物愛護センターの設置なんかもさらに推進をしていただきますようにお願いをしたいというふうに思っております。 それと、去る6月定例会で私が土佐清水市のTNR活動の取組について部長にお聞きをいたしましたところ、部長からは県内の市町村には特別枠の活用を促して、土佐清水市のような取組が広がるように声かけを強化していくと、こういった答弁をいただいております。 来年度に向けたこの点についての御所見を健康政策部長にお聞きいたします。 ◎健康政策部長(家保英隆君) メス猫不妊手術推進事業では、集中的不妊手術枠を市町村の特別枠として設定し、市町村とボランティアの皆様方などが協働でTNR活動を実施する場合に費用の一部、1頭当たり1万円ですけれども、助成しております。土佐清水市では、この特別枠を活用し、3年間で578匹に不妊手術を実施し、繁殖抑制に大きな成果を上げております。 一方、これまでは雌猫の不妊手術のみを対象としており、捕獲するときは雄猫が一緒に入ってきますので、雄猫の去勢手術費用がボランティアの皆さん方などの大きな負担となっており、事業推進の課題となっておりました。このため、令和4年度からは特別枠に限り雄猫の去勢手術の費用も助成対象とすることで、ボランティアの皆さん方などの負担軽減を図ることといたしました。 こうした事業の拡大については、各福祉保健所で行われた市町村担当者会で周知するとともに、土佐清水市などの先進的に取り組んでいる市町村の事例を紹介するなどして、他の市町村での特別枠の利用につなげてまいります。実際幾つかの市町村からは御相談がボランティアの方からございます。 ◆27番(武石利彦君) ぜひ市町村の取組が拡大すること、そしてまたその市町村と活動ボランティアの皆さんとの連携といいますか、意思の疎通がしっかり図れるようにしっかりとお願いしたいというふうに要請をしておきます。 以上で質問は終えますが、動物愛護のボランティアの方からの声をちょっとここで披露させていただきたいと思います。TNR活動を広めるに当たっては、その活動に取り組んでくれる獣医師が足らないというような課題があるという声も寄せられております。つまり、TNRで捕獲してもすぐに手術できる病院がないと、こういう状況がありますので、なかなかそこがちょっとうまくかみ合っていないというところがあります。そこで、一斉TNRを実施するための場所の提供とか、獣医師やボランティアなどのマンパワーの確保に引き続き御尽力をいただきたいというふうに思っております。また、今部長の御答弁にもありました、避妊、去勢手術費用に対する補助、これ以外にも避妊、去勢手術に携わる獣医師の日当などに当たるような補助があればというような声もお聞きをいたしております。 また、ボランティアの方々によりますと、最近は人慣れしている保護猫が多いというふうに感じておられるようです。これはひょっとすると高齢者が飼っておられて入院をされた、あるいは死亡されたということで、行き場のない猫が増えているんじゃないかというような傾向が読み取れるらしいんですね。 こうした行き場がなくなった犬や猫の受皿として、このボランティアの方々にお骨折りをいただいておるわけであります。けれども、なかなかその保護犬、保護猫の数にボランティア活動が追いついていけないというような状況が生じているわけでありますので、先ほど部長のお話にもありました動物愛護センターの早急な設置とかということの対策を講じていただきたいというふうに思っております。障害者のグループホームで保護猫を飼い出したら、非常に障害者も精神的にすごくメンタル面がよくなったというような事例もありますし、そういったところにも広げていただけたらいいのかなというふうに思っております。 以上で質問を終えますが、濱田知事も1期目を折り返されたわけでありまして、いろんな濱田県政に対する評価もお聞きをしております。犬、猫の課題も上げました。人には犬派と猫派とこの2種類があるそうで、私は濱田知事は犬派なのかな猫派なのかなというようなことも拝見もさせていただいておりますが、非常に濱田知事の優しそうな笑顔にはこのコロナの中で気持ちが救われるというような女性の話もお聞きしますので、県庁一丸となって頑張っていただきたいと思います。 そして、最後になりますが、今年度をもって退職される県庁職員の皆様、本当にお世話になりました。ありがとうございました。今後ますますの御活躍、御多幸を心よりお祈りを申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(加藤漠君) 以上をもって、武石利彦君の質問は終わりました。 ここで午後3時まで休憩といたします。   午後2時40分休憩-----------------------------------   午後3時再開 ○議長(森田英二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 西森雅和君の持ち時間は35分です。 23番西森雅和君。 ◆23番(西森雅和君) 公明党の西森雅和でございます。お許しをいただきましたので、早速質問に入ります。 今日は管理型産業廃棄物最終処分場に関して、エコサイクル高知の代表理事である副知事にお聞きをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 現在、佐川町において県内2つ目となる管理型産業廃棄物最終処分場の建設が計画をされております。佐川町加茂の地元の皆様をはじめ関係者の皆様には、建設計画に御理解と御協力をいただき、改めて感謝申し上げるところであります。この佐川町の処分場の建設に関しましては、昨年12月の議会において予算が承認され、現在入札公告に向けて準備が進められているところであります。 一方、平成23年に操業開始となった日高村の処分場につきましては、当初の予定よりも早く満杯になることが予想されており、3年後の令和7年の夏に満杯になるということであります。そして、その後は閉鎖、廃止ということになります。 そこで、副知事に、日高村の処分場の廃止を今後どのように進めていくのか、基本的な考えについてお伺いをいたします。 ◎副知事(井上浩之君) 廃止に向けた手順といたしましては、まず埋立施設が満杯になった段階で廃棄物の搬入を停止する、すなわち施設を閉鎖するということになります。その後、埋め立てました廃棄物を洗浄するための散水を継続して行いまして、廃棄物を通過して出てくる水、これをすなわち浸出水と言いますけれども、この浸出水の水質が2年以上継続して国の基準を下回るといった--国が11の廃止基準を定めておりますけれども、これを全てクリアをして安定化を図る必要があります。これは、廃棄物がこれ以上変化することなく、周囲の環境に影響を与えない状態であることを確認するという作業になってまいります。 この廃棄物の安定化が確認されましたら、廃棄物の上に遮水のシートを敷きまして、さらにその上に土をかぶせて覆うということで、これらの一連のプロセスが完了したことをもって施設の廃止となります。 ◆23番(西森雅和君) 今後、日高村の処分場の廃止をスムーズに行っていくには様々な課題があると思われます。そこで、今後日高村の処分場の廃止を進めていく上での課題をどのように捉えているのか、副知事にお聞きをいたします。 ◎副知事(井上浩之君) 廃止に向けましては、周辺の環境に影響を与えないということが最も重要でございます。すなわち、先ほど申し上げました安定化を図るということが最も重要だと考えております。 エコサイクルセンターは、全国で整備された同種の最終処分場の中で最も早く埋立終了を迎えるということになっておりまして、つまり廃止に至った前例がない中で廃止を迎えるということになります。このため、先ほど申しました浸出水の水質の状況などをしっかりモニタリングしながら、散水の量をコントロールすることなどが必要だと考えております。 ◆23番(西森雅和君) 課題の一つとして上げられるのが、処分場へ持ち込まれた廃棄物の安定化の問題であります。先ほど副知事のほうからもお話がございました。持ち込まれた廃棄物の毒性を取り除き、廃棄物を安定化させるには、相当時間がかかると言われております。 そこで、日高村の処分場への廃棄物の持込みを停止した後、廃棄物を安定化させて処分場を廃止していくためにどの程度の年数を見込んでいるのか、副知事にお伺いをいたします。 ◎副知事(井上浩之君) エコサイクルセンターの埋立終了後の維持管理期間につきましては、当時開催いたしました高知県産業廃棄物処理施設技術専門委員会の学識経験者の皆様の意見などを踏まえまして、5年間というふうに設定をしております。 ただ、エコサイクルセンターにつきましては、令和元年度に廃棄物の安定化の状況などを確認するために、埋立廃棄物の一部を抜き取りまして試験を行っております。その結果、国の廃止基準、先ほど申し上げました11の基準になるわけでございますけれども、そのうちの1つの最も重要となる水質に関する基準。これ、内訳としては44項目ございますけれども、このうち43の項目を既にクリアしておるというふうな状況にございますので、こうしたことから、現時点ではこの計画期間である5年以内に施設の廃止は可能ではないかと考えているところでございます。 ◆23番(西森雅和君) 昨年の12月に、県外の廃棄物処分場に視察に行ってまいりました。そこで処分場の関係者の方に様々な話を伺ってきたところであります。廃棄物の安定化についても伺い、安定化にどれくらいの時間がかかるのかとお聞きしましたところ、その関係者の方は、受け入れた年数と同じぐらいの年数が必要ではないかということでありました。 また、今年の1月に、廃棄物処分に関する有識者、この方は大学の先生で、様々な廃棄物処分場のアドバイザーなどをされている先生でありますけれども、話をお聞きいたしました。その先生によりますと、処分場の規模にもよるが、一般的に受入れが15年であれば、その後の安定化に受け入れた年数と同じ15年はかかると言っておりました。こうしたことからすると、安定化の年数の先ほどの5年というのは少し甘いように感じるところもございます。 処分場の廃止に向けて、処分場の廃棄物を安定化させようとすると、廃棄物に水をまく、いわゆる散水をして安定化していくわけであります。現在、日高村の処分場では散水のための水は、まいた水を一旦水処理プラントに通して、きれいな水に変えて、その水を再び散水するという工程をたどっています。 そこで、この工程の中で避けて通れない問題があります。それは、まいた水を浸出水として高度処理する中で、残渣として副生塩、いわゆる塩が大量に発生するという問題であります。 処分場における副生塩、いわゆる塩の発生ということに関してどのような現状認識を持っているのか、副知事にお伺いをいたします。 ◎副知事(井上浩之君) お話にもありましたけれども、日高村の処分場につきましては、散水後に出た浸出水を水処理施設を通して再度散水に循環利用しておるところでございます。この再利用する工程で脱塩をしなければ、塩分の濃度の状況によりまして、その水処理施設の機器類が腐食するというおそれがありますので、施設を維持していくために塩分を除去する必要がございます。この過程で塩、すなわちお話のありました副生塩が現在発生しているという状況でございます。 ◆23番(西森雅和君) 現在、日高村の処分場ではどれくらいの量の副生塩が出ているのか、副知事にお伺いします。 ◎副知事(井上浩之君) 令和3年度の副生塩の発生量でございますけれども、1か月平均で大体3トン程度で現在推移しているところでございます。 ◆23番(西森雅和君) 今後、日高村の処分場ではどのくらいの副生塩が出ると見ているのか、副知事にお聞きをいたします。 ◎副知事(井上浩之君) 副生塩ですが、令和2年度の実績ですけれども、これが約13トン、令和3年度は約35トンになるというふうに見込んでおります。 先ほど申し上げましたように、現在水質のほとんどが国の廃止基準をクリアしているというふうな状況でございまして、今後も水をまく量については大きくは変わらないのではないかというふうにも想定しております。副生塩の発生量も現在と同様のペース、大体月平均2.9トンですので、年間35トン程度になるのではないかというふうに見込んでいるところでございます。 ◆23番(西森雅和君) 塩の量は散水する水の量によって変わってくると言われております。現在、日高村の処分場から排出された塩の量は、それほど多くないというふうに思うところでありますけれども、その理由は今までの散水の量が少なかったということが言えるのではないかと思います。 では、なぜ散水の量が少なかったのかというと、散水の量を減らすことによって水処理プラントの負荷を減らすことができますし、塩の発生も減らすことができるということになります。しかし、散水の量が少ないとどうなるかといいますと、当然のことながら最終的に廃棄物を安定化させなければなりませんので、廃棄物が安定化するためにはこれまで以上に多大な時間が必要ということになります。早く安定化させるために散水を多くすると、プラントに多くの負荷がかかりますので、プラントが故障しやすくもなりますし、故障すると修理費用がかかってまいります。また、塩も大量に発生してくるわけであります。 実は、この塩の問題は全国どこの廃棄物処分場においても抱える大きな問題であります。先ほど申し上げましたが、昨年12月県外の廃棄物処分場に視察に行ってきましたけれども、その処分場では廃棄物処分の過程で発生する塩の量は年間50トンということでありました。そして、この発生した塩はどのように処理されているのかというと、その自治体では塩を広く市民に配布して、市民の皆さんに除草剤として使っていただいているということでありました。 また、地域によっては廃棄物処分場から発生する塩を販売して、道路などにおける凍結防止剤や、皮のなめしなどに使うといった活用をしているところもあるようであります。また、愛媛県の松山市では、処分場から出た塩を消毒剤として下水処理に利用するシステムができており、年間数千万円の費用を削減しているともお聞きをいたします。しかしながら、このように活用できる副生塩は、ある程度の純度、いわゆる品質の良さが必要であると言われております。 そこで、伺いますけれども、日高村の処分場で発生する副生塩は再利用できるものなのか、副知事にお伺いいたします。 ◎副知事(井上浩之君) 日高村の処分場で発生する副生塩ですけれども、これは産業廃棄物を処理する過程で発生した塩でございまして、他の被覆型、いわゆる屋根つきの産業廃棄物最終処分場と同様に、そのままの状態での再利用はできないというふうに考えております。 ◆23番(西森雅和君) 日高村の処分場でフレコンバッグに入った副生塩を一度見せてもらったことがありました。塩の色ももう茶色がかっておりまして、相当不純物が混じっているのではないかというふうに感じたところでありました。 一方、12月に視察をした県外の廃棄物処分場から発生した塩はといいますと、純白の塩でありました。その塩をもらってきまして、今日はその塩をちょっと議場にお持ちをさせていただきました。(現物を示す)これがその真っ白い塩であります。しかし、この塩は漬物にはすることはできないというふうに言っておりました。ちなみに、日高村の処分場で塩をもらいたいと思いまして、言いましたけれども、もらうことはできなかったところであります。 日高村の処分場において発生した塩は最終的にどのように処理されているのか、副知事にお伺いいたします。 ◎副知事(井上浩之君) 日高で発生しました塩につきましては、先ほど申しましたけれども、産業廃棄物を処理する過程で発生した産業廃棄物でございますので、産業廃棄物として現在は県外の業者に処分を委託しております。その委託先では、カルシウムを抽出するなどの中間処理を行った後に、最終的に海洋での埋立てを行っているというふうに聞いております。 なお、その処理費用は運搬料も含め年間180万円程度でございまして、その全てを現在は料金収入で賄っているということになります。 ◆23番(西森雅和君) この副生塩が処分料を払って処分しなければならない廃棄物となるのか、あるいは再利用可能な有価物となるのか。廃棄物処分場から出てくる塩の品質が、大きな分かれ道ということであります。副生塩を有価物として買い取ってもらえれば、塩は処分場の収入になることも考えられるわけであります。残念ながら、日高村の処分場の塩は再利用できず、廃棄物として業者に処分料を払って処分をしているということであります。日高村の処分場は、産業廃棄物の最終処分場と言われておりますけれども、最終処分場から再利用できない塩という廃棄物を排出しているということになっています。 先ほども申し上げましたが、今後日高村の処分場の廃棄物を安定化させようとすればするほど、多くの塩が発生し、塩の処理費用はかさんできます。処分場の廃止に向けた課題として、収支の問題もあります。日高村の処分場は、廃棄物が持込みされることによって収入もあるわけでありますけれども、満杯になると廃棄物の持込み料金も入ってきません。今後何年にもわたって収入が入ってこない中で、廃止に向けてどのように運営を行っていくのかといった課題であります。今後、処分場の廃止に向けて、この費用をどこが負担することになるのか、大きな課題であります。 日高村の処分場の廃止に向けて、今後発生する運営費用の負担はどのようになっているのか、副知事にお伺いをいたします。 ◎副知事(井上浩之君) 埋立終了後から廃止までに必要となります維持管理費用につきましては、廃棄物処理法、それから国が示しました最終処分場維持管理積立金に係る維持管理費用算定ガイドラインというのがございまして、こちらのほうに細かい算定方法が定められております。それに基づきまして料金収入を原資とした上で、その必要額を埋立期間中に積み立てるというふうにしてございます。 具体的には、エコサイクルセンターでは埋立終了後5年間の維持管理費用としまして、総額で約3億1,000万円ほどを積み立てることとしております。現在では2億5,000万円弱既に積み立てております。この中には、先ほど申し上げました副生塩の処分料、実績は年間180万円と申し上げましたけれども、計画上は230万円というふうに少し多めに見込んで積立てをしております。この積立金を原資に、埋立終了後の維持管理費用を賄っていくということになります。 なお、料金収入が当初の計画を大幅に上回っておりまして、令和2年度末時点で約3億7,000万円の余剰金を別途積み立ててございますので、万が一、法定の維持管理費用積立金で不足する場合には、この余剰金を追加の維持管理費用などに充てるつもりでございます。 ◆23番(西森雅和君) 積立てで対応をするということでありますけれども、安定化に予定以上の時間がかかった場合、積立てを超える費用が発生するという可能性もあるわけであります。そうなると、その費用をどこかが負担しなければならないということになってまいります。 処分場の廃止に向けては、佐川町の処分場においても同じことが言えると思います。12月議会で承認した99億9,000万円は建設費でありますので、廃止に向けた費用は見込んでおりません。 そこで、伺います。佐川町の処分場の安定化にどれくらいの年数を見込んでいるのか、副知事にお伺いいたします。 ◎副知事(井上浩之君) 佐川町の処分場につきましては、実施設計の中で10年というふうに設定をしております。この期間の設定に当たりましては、まずエコサイクルセンターに実際搬入されている廃棄物を使用して実験も行いまして、かつ学識経験者の意見も踏まえて、安定化のために必要となります散水量などを設定した上で、埋立終了後の維持管理期間、これを5年、10年、15年というふうにした場合の散水量に応じた全体のコストなどの比較を行った上で、そうした学識経験者で構成するような施設整備の専門委員会、こちらのほうにもお諮りをしまして、一定の余裕も見ながら10年間という期間を設定したところでございます。 ◆23番(西森雅和君) 廃止に向けた安定化に要する時間も含めた確かな見通しというのがやっぱり必要であると思います。佐川町の処分場の廃止に必要となる費用をどのように考えているのか、副知事にお伺いいたします。 ◎副知事(井上浩之君) 埋立終了後の維持管理にかかる費用でございますけれども、先ほど申し上げました日高の例と同じく、法律、廃棄物処理法などに基づきまして、施設の修繕費、光熱水費、それから副生塩の処分費など必要な経費を積み上げて、総額で約8億円を見込んでいるところでございます。 ◆23番(西森雅和君) 廃棄物処分場の廃止に向けて、費用面や環境面を考えたとき、塩の再利用を念頭に置くということも必要であると思います。 佐川町の処分場で発生する副生塩は再利用を念頭に置いたものになっているのか、副知事にお伺いいたします。 ◎副知事(井上浩之君) 副生塩の再利用を実現するためには、副生塩の中に含まれます不純物を取り除く機械設備の設置が必要でございまして、それを設置しますと、新たに2億円程度の費用が追加になることが見込まれております。もっとも公が関与する施設でございますので、資源の循環あるいはリサイクルの視点、こちらは重要だというふうには考えておりますけれども、こうした設備を導入する場合には、長期間安定的にこの副生塩を仕入れてもらえる引取り先を確保することが欠かせないというふうに思っております。 そうした意味では、現時点ではそうした引取り先が確保できていないということもありますし、また全国的に見ましても、この副生塩の再利用を前提としました水処理施設、こちらを受注した業者は一定限られているということはございますので、公が関与する施設として競争性を確保するという重要な観点からも、今回の水処理施設も含めた本体工事全体につきまして、再利用に限定した仕様とはしていないところでございます。 ただ一方で、昨年11月に開催をいたしました、第4回となります新たな管理型産業廃棄物最終処分場の、先ほども申しましたけれども、施設整備の専門委員会のほうにおきまして、複数の委員から再利用も含めた副生塩の処理方法の検討について御意見もいただいたところでございます。こうしたことを踏まえて、工事の発注後に行うこの浸出水処理施設の具体的な設計と並行いたしまして、塩の引取り先の情報収集も行ってまいりたいというふうには考えております。 ◆23番(西森雅和君) 先ほど副知事のほうからもありましたけれども、佐川町の処分場における塩の問題について、昨年11月の施設整備の専門委員会でも委員から指摘がされているということであります。 産業廃棄物の受入れが終わった後の処分場の長期的なケアをどのように行っていくのか、大変重要であります。廃棄物処分場は建設をする時点で、廃止に向けての費用も含めたストーリーというものをやはりきっちりとつくっておかなければならないというふうに思うところであります。 副生塩の問題に関しましては、地元佐川町の議会からも、塩が処分場に将来にわたってそのまま置かれてしまうことにならないかといった不安の声も上がっております。塩の問題、水の問題も含めて、処分場の安全対策には万全を期していただきたいということを強く要請させていただきたいと思います。 今回の佐川町の廃棄物処分場においては、冒頭申し上げましたように、現在入札公告の準備が進められています。今回の案件は、事業規模からして総合評価方式による一般競争入札になると思われます。総合評価方式には企業評価型、施工計画型と技術提案型とがあります。県として様々な工事があり、各部局の工事においても土木部の基準を基本とした運用がなされていると思います。 土木部長に、基本的ルールについて伺いたいと思いますけれども、企業評価型、施工計画型と技術提案型は何によって区分されるのか、部長にお伺いをいたします。 ◎土木部長(森田徹雄君) 総合評価方式の区分は、工事の規模や技術的な工夫の余地といったそれぞれの特性に応じて適用をしております。 企業評価型は、過去の施工実績などから企業の施工能力を評価するもので、予定価格5億円未満の工事を目安としています。 施工計画型は、受注者の技術的な工夫の余地の小さい工事で、企業評価型の施工能力の評価に加えまして、安全対策や騒音対策などの提案を評価するもので、予定価格5億円以上を目安としております。 技術提案型は、受注者の技術的な工夫の余地が大きい工事で、例えばダム工事におけるひび割れを生じさせないコンクリートの温度管理など、より高度な提案を求めるものでありまして、予定価格23億円以上を目安としております。 なお、金額はあくまで目安でございますんで、受注者による工夫の余地の大小など、それぞれの工事の特性を考慮して適切な入札方式を選定することとしております。 ◆23番(西森雅和君) 県の総合評価方式の区分の基準を伺いましたけれども、今回の佐川町の廃棄物処分場の入札も県の基準にのっとって行われるのか、副知事にお伺いをいたします。 ◎副知事(井上浩之君) まず、今回の工事でございますけれども、発注形態として土木、こちらは埋め立てる部分の造成工事になってまいります。土木と、それから建築、これは被覆部分ですね、屋根の部分になってまいります。その建築と、それから水処理施設、これを一括して発注する方式を採用しております。 その理由といたしましては2点ほどあります。1つには、処分場の幅が広いことから、その被覆施設、屋根ですけれども、その中の途中に柱が必要になるということもありまして、土木工事で行う埋立地内と、それから建築工事で行う被覆施設の基礎の取り合わせが必要になりまして、工期、コストの両面から分離分割発注が不向きな施工条件であるということが1点ございます。 2つ目には、土木と建築工事の仮設構造物、こちらを兼用することによりまして、工事費の縮減が期待できるんではないかという、この大きく2つがございまして、一括発注という方式を採用しております。この一括発注方式による本体工事費の総額は約80億円というふうに見込んでおりまして、先ほど土木部長から話がありましたが、1億円以上となりますので、入札方式といたしましては、県の基準に基づいて一般競争入札の総合評価方式で行いたいと考えております。 この総合評価方式では、先ほどの話ですけれども、工事費23億円以上を技術提案型の金額的な目安にしているところでございます。どの方式を採用するかは、工事の内容あるいは技術的な工夫の余地なども含めた工事の特性に応じて決めていくということになるわけでございます。 今回の新処分場建設に係るそれぞれの工事の内容につきましては、仕様書をはじめ発注者側において、実施設計の中で検討して作成しました仮設計画などによることとしておりまして、受注者の技術的な工夫の余地が小さい工事だというふうに判断をしております。このため、特に環境保全や施工管理、交通安全対策など施工上の配慮が求められる項目などに関しまして、工事中における工夫を記載した計画の提出を求め、価格と総合的に評価をいたします施工計画型を採用したいと考えております。 なお、水処理施設につきましては、水質基準などをクリアすることを条件に、具体的な設備などは指定しない性能発注方式を採用することとしておりまして、こうしたことから契約後に行う設計において、技術的な工夫、例えば先ほどからお話があっております副生塩の再利用などを取り入れることは可能だというふうに考えております。 ◆23番(西森雅和君) 御答弁ありがとうございます。 技術提案型による総合評価方式では、塩の問題に関しても再利用に向けての技術提案をしていただくということなんかもできるのではないかというふうに思っております。総合評価方式の区分に関してはいろんな時間的なこともあると思いますけれども、多少の違いであれば県の基準にのっとって、将来のためにしっかりとした技術提案を総合的に評価する方法で事業を進めていくべきではないかということを言わせていただきたいというふうに思います。 廃棄物処分場の安全性をはじめとする運営は、県行政と県民との信頼に関わってまいります。今後、約20年後に佐川町の処分場が満杯になったとき、次の廃棄物処分場が必要になってくるわけであります。そのとき、新たな処分場をどこが造るのかということに関して、まだ分からないわけでありますけれども、どこが造るにしろ、そのときに万が一、日高、佐川の産業廃棄物処分場の安全性などが疑問視され、県行政と県民との信頼関係が崩れていたならば、次の処分場建設場所の選定には県民の理解が得られず、佐川の次の処分場建設は非常に厳しい状況となると思われます。 また、日高、佐川の処分場が、施設の安全性やその後の活用などで県民の信頼が得られたならば、次の廃棄物処分場を建設するとき、県民の大きな理解につながると思われます。こう考えると、日高及び佐川の処分場の建設、運営の成功は、将来の高知県の産業廃棄物処理行政にとって試金石となる大事な事業であると思います。安全性、効率性、将来的なコスト等をしっかりと踏まえて建設、運営に当たっていただきたいということを重ねて要請させていただきまして、次の質問に移りたいと思います。 次に、とさでん交通についてお伺いいたします。 平成26年10月に、高知県と県内市町村とが株主となり、新たにとさでん交通株式会社が設立し、今年で8年目となります。この間、とさでん交通は県民の足としての大きな役割を担ってきているところでありますが、一昨年からの新型コロナウイルス感染症の影響により、売上げはコロナ前の約半分にまで落ち込み、経営は大変厳しい状況が続いております。 現在、とさでん交通としては、令和4年度から向こう5年間の中期経営計画を立て、経営改善に向けた取組を進めようとしておりますけれども、このままの状態では、来年度資金ショートや債務超過が現実のものとなってしまいます。 県は今議会において、とさでん交通への給付金として、今年度の補正予算として1億3,800万円余りを計上しているところであります。私は、このとさでん交通に関しては、とさでん交通自らのさらなる経営努力も願うところであります。 そこで、中山間振興・交通部長に、株主としてとさでん交通の経営努力をどのように見ているのか、お伺いをいたします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) とさでん交通では、平成26年の発足以降5年半の事業再生計画に沿って、人件費の削減や燃料調達方式の見直しなどの収支改善に努め、計画以上の実績を上げ、早期の黒字を達成しました。また、借入れの返済につきましても、計画以上に進んだことからも、この間のとさでん交通の取組を評価しているところです。 また、令和4年度から5年間の経営方針となります中期経営計画案では、これまでの取組に加え、設備投資費用の削減や効率的な人員配置、業務の見直しによる効率化など、さらなる収支改善策を実施するということにしております。 県としましては、このような社員一丸となった収支改善策の実行を前提としまして、関係市町村と連携して、これまでコロナ対策として実施してまいりました追加支援を継続し、中央地域の公共交通を維持したいと考えております。 今後、関係市町村と共に中期経営計画の進捗状況のモニタリングを行うこととなりますが、その際には収支改善策の効果や利用者へのサービスの向上、社会への貢献はもとより、運行の安全性の確保や社員の皆さんのモチベーションにも着目して、計画の進捗管理を実施してまいります。 また、今後の収支計画案では、売上げはコロナ前の水準には戻らないことが想定をされておりまして、収益部門の業績の回復と併せて、今後は削るという観点だけではなく、稼ぐという観点も重要であると思っております。県としましては、新たに収益を生む新事業の展開についても、モニタリングの中で会社側と協議をしてまいりたいと思っております。 ◆23番(西森雅和君) 実は、県内のバス部品を扱っております事業者の方からこんな声を聞きました。バスの部品の購入に際して、とさでん交通に営業に行っても入札にも参加させてもらえないといった、そういった声でありました。とさでん交通が会社として経営計画を立てて、経営改善に向けた取組をするといっても、その計画が経営陣や一部の社員だけのものとなっているのではないかと感じるところもあります。 とさでん交通は、県民が株主であり、県民のための会社であります。この意識を全社員にまで再度徹底していただきたいし、経営努力を社員一丸となって行っていただきますことを願いまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 以上をもって、西森雅和君の質問は終わりました。 ここで午後3時40分まで休憩といたします。   午後3時35分休憩-----------------------------------   午後3時40分再開 ○議長(森田英二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 土森正一君の持ち時間は50分です。 3番土森正一君。 ◆3番(土森正一君) 自由民主党の土森正一です。議長よりお許しをいただきましたので、質問させていただきます。 新型コロナウイルス感染症第6波、オミクロン株の急激な拡大により、1月28日には高知県議会新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会を開いて感染対応を協議し、さらに執行部と情報を共有するなど対策を急ぎました。 幡多福祉保健所では新型コロナ発生以来、感染拡大防止のため、医療機関や福祉施設などを足しげく訪問する中で連携の体制が構築されており、第6波の拡大のさなかでも、問題が発生した際には素早く対応できたと聞いております。あるコロナ感染症で療養中の人が、福祉保健所から昼に夜に体調確認の電話をかけていただいたと大変感謝をしておりましたし、その多忙さを心配されておりました。 2月上旬、高知新聞の記事でも県内保健所逼迫の記事が出ていましたが、保健所に限らず県内全域で多くの皆様がコロナ感染症から県民の命を守るために、使命感を持って仕事をされています。 濱田知事、改めてここでコロナ感染症と懸命に闘っている県民の皆様に激励の言葉を一言お願いできないかと思います。 ◎知事(濱田省司君) この2年間の新型コロナウイルス感染症の感染者は累計で1万3,000人余に上りました。県民の皆さんのおおむね50人に1人というような規模になっておりまして、ケアに当たられます医療・福祉の関係者の御尽力にまずもって感謝を申し上げたいと思います。 特に、いわゆる第6波におきましては、感染力の強いオミクロン株によりまして、医療機関、福祉現場で多くのクラスターが発生をいたしました。医療従事者の皆様方には本当に最初の時期から献身的に治療に当たっていただきましたけれども、福祉施設の方々にも慣れない感染管理を行いながら、感染者の療養を支援していただいたということで、感謝申し上げたいというふうに思います。 また、議員から言及いただきましたように、高知市を含みます県内の保健所におきましては、昼夜を問わず積極的疫学調査あるいは自宅療養者支援に取り組んでこられた職員の皆さんの努力も多としたいというふうに存じます。 さらに、感染された方々、濃厚接触者となった方々、またその御家族も御自宅で療養、待機などによりまして、感染拡大防止に御協力いただいたということでございます。また、飲食店をはじめといたしました事業者の方々にも、まん延防止等重点措置などに御協力をいただいております。これまでの取組に御礼を申し上げたいと思います。 今回の第6波も2月の前半の1日300人台の感染がございましたところから、毎日の感染者数では減少傾向になってまいったわけでございますが、ここのところ1週間程度見ますと、下げ止まりから再拡大の兆しも見られるという、言わば今正念場の状況にあるというふうに考えます。引き続き、高知家は一つの家族ということで、心を一つにして感染対策に取り組んでいただくように重ねてお願い申し上げたいと存じます。 ◆3番(土森正一君) 知事、心の籠もりました御挨拶、メッセージありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。 次に入りたいと思います。2月に入りましても連日200人を超える新規の感染者が確認されております。家庭内、保育園、学校、職場、福祉施設、高齢者施設などでクラスターが発生し、3月4日現在、県内でも112件確認されております。ある施設では新型コロナウイルス感染症の感染者が施設内で出たときのシミュレーションはしてきたが、いざ感染者が発生すると経過観察の療養となり、動線の確保などに非常に苦労されたと聞いております。 2月18日の新型コロナウイルス感染症対策本部会議の中で、クラスター発生時の医療従事者の派遣の仕組みが発表されました。そのスキームは、今現在どのように運営されているのか、健康政策部長にお聞きします。 ◎健康政策部長(家保英隆君) クラスター発生時には当該施設からの要請に基づき、県が状況を把握した上で、関係団体や医療機関などを通じた医療従事者の派遣を行っております。 しかしながら、医療体制が逼迫している状況下では、派遣する人材の確保に時間を要した事例もございました。2月中旬以降、2つの施設にまずは感染管理認定看護師によるゾーニング--イエローのゾーン、レッドのゾーンと仕分をした上で、延べ60人程度の人員の派遣を行いました。うち1施設は現在も継続して支援を行っております。 ◆3番(土森正一君) ありがとうございます。どうぞよろしくお願いをいたします。 次に、コロナ感染症対策でもう一つの課題は経済の回復です。第6波の急拡大で、観光、飲食店などにまたしても大きな影響が出ます。そこで、濱田知事は本県独自の3つの対策を緊急的に実施し、2月12日から3月6日までの期間まん延防止等重点措置を発令、まん延防止だけでは手の届かないところにも県独自の支援策を出したことを大変評価しております。 振り返れば、高知県独自の様々な支援策は、新型コロナのフェーズに合わせ、全国トップクラスの支援を講じていると思います。帝国データバンクが発表した2月26日時点の新型コロナ関連倒産の資料では、高知県は9件と他県に比べて非常に少なく、国や県、市町村の支援策が浸透している表れだと思います。しかし、知事の提案説明にもあるように、感染症の克服にはまだ時間を要するものと考えている、そして県民や事業者への影響をしっかりと注視し、必要な対策を迅速かつ的確に講じると言われており、私も同じ意見です。 日本政策金融公庫高知支店と四国銀行は、県の制度融資の元本返還期限が折り返し地点に来ている中、高知県内の事業者の体力に危機感を募らせ、取引先の事業再生と経営改善を進めるために業務提携をしております。 県のほうでも高知の企業の再生へ、コロナの影響が続いている事業者の皆様に対して中長期で関係機関と連携し、支援していただきたいと考えますが、知事の御所見をお願いいたします。 ◎知事(濱田省司君) これまで厳しい状況にあります県内の事業所の方々を何としてでも下支えしたい、また県としてできる限りの応援をしたいという思いで、これまでも商工会や商工会議所などと連携いたしまして、支援に努めてまいりました。 お話がありましたように、今後コロナ融資の償還が始まっていくということになります。その点を考えましても、中長期にわたってこれまでと同様に丁寧な支援を続けていくということが重要であると考えております。そうした中、先週国の中小企業活性化パッケージが示されまして、この中で2本柱の施策、1つにはコロナ資金繰り支援の継続、2つには中小企業の収益力改善、事業再生、再チャレンジの総合的支援、こうした施策が示されているところでございます。 その中では、新たに全部の都道府県に中小企業の収益力改善、事業再生、再チャレンジを一元的に支援いたします中小企業活性化協議会が設置をされると、そういう方針が示されております。この協議会ともしっかりと連携をいたしまして、国のパッケージも最大限活用しながら、今後も事業者の皆様に寄り添った支援を続けてまいりたいと考えております。 ◆3番(土森正一君) ありがとうございます。3月3日にも高知県小売酒販組合連合会様から、コロナ対策特別委員会の桑名委員長のところに要望が届いております。さらなる国、県、市の連携がこれからも必要であると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 それでは、次に介護についてお聞きをしていきます。 介護保険は、高齢者の介護を社会全体で支える介護の社会化を目指し2000年に創設されております。介護保険は高齢者の保険料を負担する代わりに、自分でサービスを選び事業者と契約する、保険料という新たな財源を得て広く門戸を開いたことで、サービス基盤の整備も一気に進みました。今では町のあちこちに介護事業所が開設され、高齢者を送迎するバスが行き交い、県民の間でなくてはならない制度として定着をしております。 しかし、22年を経て制度の持続可能性を揺るがす問題に直面をしております。それは人材と財源の不足でございます。厚労省は、介護人材は2023年度に22万人、2040年度に69万人が不足すると試算されております。財源不足という点では、高齢者に課せられる介護保険料の平均基準保険料は2021年度に全国平均で6,000円を超え、天引きされる基礎年金の平均支給額の1割近くに相当するため、大幅な引上げは困難な状況となっています。介護の事業者も制度上の問題で大変厳しい事業運営をされております。 高知県でも令和7年に550人が不足する見込みであり、十分にサービスが提供できない危険性が懸念されておりますが、濱田知事の所見をお伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) 高齢化が進行していきます中で、介護保険制度を将来にわたって安定して運営をしていくためには、お話がございましたように、サービスの提供に必要な人材と財源を確保されるということがポイントとなります。 人材に関しましては、求人、求職のマッチング機会を拡充していくこと、介護助手やワークシェアなどの新たな働き方によります多様な人材の参入を促進していくこと、こういった形で人材の確保策に一定取り組んでまいりたいと考えます。また、ノーリフティングケアや福祉・介護事業所認証評価制度の推進などによりまして魅力ある職場づくりを促していくこと、そして介護職員の処遇改善を進めていくと、この両面から人材確保対策の強化に取り組んでまいります。 一方、財源ということに関して申しますと、介護給付費の伸びのほうを抑制するという取組も必要でございます。県内におきましては健康体操などの介護予防活動により要介護認定率が低下をいたしまして、介護保険料を引き下げるというような事例も出てまいっております。 こうした取組を拡大していくということに加えまして、介護分野におきますデジタル化を加速して業務の効率化を推進していく、こういった努力も不可欠であるというふうに考えております。 また、国に対しましては、介護保険制度の安定的運営に資するように、全国知事会などとも連携をしながら、介護保険財政の安定に向けました提言活動に引き続き取り組んでまいります。 ◆3番(土森正一君) 知事、丁寧にありがとうございます。介護事業者のほうも大変苦しい思いをしておりますので、またそちらのほうもよろしくお願いしたいと思います。 それでは、次に入ります。国が来年度から介護助手普及支援員の配置を支援に追加しています。介護助手の仕事は具体的に清掃や洗濯、イベントや趣味活動の手伝い、ベッドメーキングや食事の配膳などを想定し、これにより介護職員への負担が軽減され、専門的業務に専念しやすくなるとの考えです。 県のほうでも来年度の福祉・介護人材の確保対策の推進で、ターゲットに応じた人材確保の中で導入の促進をすると言われておりますが、具体的にどう取り組んでいくのか、子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 県としましても、新たな介護人材として、介護現場の補助的な業務を担っていただく介護助手の参入を進めており、特に地域の元気な高齢者に介護助手として活躍していただきたいと考えております。 高齢者御自身に介護の担い手になっていただくことで、介護職員がより専門性が高い業務に専念でき、ケアの質の向上が期待できることや、高齢者御自身も就労を通じてやりがいや介護予防につながることなど、相乗効果を期待しているところです。 この介護助手の取組を県内に広げていくため、来年度は高知県福祉人材センターに介護助手等普及推進員を新たに配置し、介護事業所を個別に訪問し、介護助手の仕事の掘り起こしを行うとともに、働く意欲が高い高齢者への介護助手制度の普及啓発に取り組んでまいります。 ◆3番(土森正一君) ありがとうございます。 昨年、政府の成長戦略の中で、介護人材の確保について先ほどもありました兼業・副業の実践の支援を明記しております。希望する介護職が仕事のスタイルをより柔軟に選べるようにし、それを魅力アップにつなげていく構想を盛り込んでいます。兼業・副業を始めるほかの業界の人を積極的に受け入れるという意味合いもあるそうですが、近年働き方の概念が変わり、ワーク・ライフ・バランスが進められ、ライフプランに合わせた家族や友人たちとの時間、趣味の時間も大事にするようにしている働き方も増えています。 そういう意味を含めて、介護における兼業・副業の実践は人材確保の観点、そしてワークシェアが進められた今の時代にとても当てはまる政策で、高知県にとっても大切な施策であると考えますが、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 介護人材の確保は喫緊の課題であり、兼業、副業、ワークシェアなど、これまでの枠を超えた新しい働き方の推進は、人材確保に向けまして有効な手段だと考えております。その方のライフプランに合わせて働く条件を組み合わせることで、例えば労働時間は短くても、施設で人手が不足する時間帯を兼業、副業の形で補っていただくことも可能となります。 このため、日本一の健康長寿県構想に新しい働き方の推進を位置づけ、高知県福祉人材センターや県内の福祉事業者と共にワークシェアの拡大などに取り組んでまいります。来年度は、特に幡多地域をモデル地区として、副業・兼業や複数の法人が連携した人材の確保など具体的な検討を進めてまいります。 ◆3番(土森正一君) 部長、大変ありがとうございます。 それでは、次の質問に移ります。2月11日の日経新聞に小売の労災が建設業を上回った記事が出ていました。特に労災事故が急増しているのが介護業界である、介護従事者は過去の20年で3倍以上の増加で、最も目立つ労災は腰痛となっており、腰痛が慢性化すれば職員の日常生活にも影響があると書かれていました。 高知県は、全国に先駆けて平成28年に高知県ノーリフティングケア宣言をし、普及に努めており、介護イコール腰痛を引き起こす重労働という現状の解消とイメージの払拭を図っており、コロナ前までは県外より毎年500人以上の視察が訪れるなど、先進県としてリードしていると伺っていますが、現在の状況を子ども・福祉政策部長にお伺いいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) お話のように、本県では介護職員の定着促進や離職防止に向けて、全国に先駆けて職員と利用者双方に優しいノーリフティングケアを推進しておりまして、令和元年度では県内事業所の3分の1が実践をしております。ノーリフティングケアを導入した職場では、職員の腰痛防止など働く環境の改善や、離職率が減少するなどの効果が報告されております。 厚生労働省が策定いたしました職場における腰痛予防対策指針でも、原則として人の力で抱き上げることが禁止をされておりますので、本県の強みであるノーリフティングケアを県内外に積極的に情報発信し、人材の確保や定着につなげてまいります。 ◆3番(土森正一君) ありがとうございます。 それでは、次の質問に移りたいと思います。ある介護施設では、情報通信技術、ICT導入を強化し、入居者の睡眠状態を一元的に把握できる機材や、入居者の介護情報を職員で共有できるアプリを導入するなど、介護とテクノロジーを合わせた造語、いわゆる介護テックで、介護現場の人手不足感が強まる中生産性を高めることで、サービス内容の向上につながる取組をしています。 国のほうでも2月7日の規制改革推進会議で、介護の人員規制を緩和する本格的な検討に入りました。担い手不足が一段と深刻になるのをにらみ、厚生労働省はITを活用する実証実験を年内に始める方針を示し、内閣官房もICT技術は現場の負担軽減と同時に生産性の向上につながる、賃金水準が高まれば慢性的な人手不足が和らぐ可能性もあり、補助金などによる一時的な賃上げにとどまらず、規制改革を通じた抜本的な待遇改善を目指しております。 介護テックを取り入れて人員の緩和や抜本的な待遇改善を目指すことが県内の介護事業者にとっても大変重要なことであると思いますが、どのように取り組んでいくのか、子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 介護事業所における介護ロボットやICTの導入などデジタル化の推進は、介護職員の事務処理などにデジタル技術を活用することで介護職員が直接介助の業務に専念でき、ケアの質の向上や職員の専門性の向上による処遇改善なども期待されるところです。一方で、県外ではデジタル機器を導入しても期待した効果が得られなかったといった事例も見られ、デジタル化を進めていく上では経営者や職員の理解が重要となります。 来年度はICT、介護ロボットの導入に係る助成制度を拡充するとともに、都市部の専門家をアドバイザーとして活用し、各事業所を個別に支援するなど、介護事業所のデジタル化を推進してまいります。 ◆3番(土森正一君) ありがとうございます。 それでは、次の質問に移ります。高知県の介護福祉士の養成校は定員は40名と聞いております。現在では10名程度となり、定員割れで厳しい状態が続いています。以前は多くの学生が実習に入っていき、お手伝いをしてもらっていたということです。実習の中で学生と、介護をなりわいとしている皆様とつながり、信頼関係ができていたことで、学生が自分の道を決める重要な判断もできたのではないかと思います。 県としても、介護福祉士が育ちやすい環境を熟成していくためには、送り出しの学校を修学資金貸付制度の利用も促しながら支援していかなければならないと考えておりますが、子ども・福祉政策部長に御所見を伺います。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 福祉・介護人材の安定的な確保のためには、若い世代に介護職を目指していただくことが必要となってまいります。そのため、昨年8月に高知県若い世代の福祉・介護人材確保・育成検討会を設置いたしまして、介護福祉士養成校への支援も含めて、介護の仕事の魅力発信や関係機関の連携などについて協議を行ってきたところでございます。 来年度は、この検討会の意見も参考に、特に若い世代に向けて本県の強みでありますノーリフティングケアや高知県福祉・介護事業所認証評価制度の認知度の向上に向けた広報を強化してまいります。その際には修学資金貸付制度など有利な支援制度の周知を図ってまいります。 ◆3番(土森正一君) よろしくお願いいたします。 次に、介護支援専門員についてお伺いします。高知県が令和元年度居宅介護支援員実態調査をしています。介護支援専門員につきましては、これからケアマネジャーと呼ばさせていただきます。県西部のアンケート結果を見ると、ケアマネジャー業務のやりがいについての問いで、複数回答ですが、利用者の状態が改善したときや生活上の課題が解決したときなどにやりがいを感じているといった意見が97.7%ありました。 その一方で、72%の方がやめたいと思ったことがあると回答されています。どんなときにケアマネジャーをやめたいと思ったかという項目があります。回答のうち36%の人が更新研修を定期的に受講しなければならない、更新研修の受講期間が長い、更新研修に係る費用の負担を挙げられています。アンケート以外でも、ケアマネジャーに求められているものが年々増え、現場に関わっていない場合の更新もアップしているとの声をお聞きしています。 また、御存じのように幡多地方から高知への講習は距離があり大変です。西部地区での講習、四万十町での講習を増やしていただいておりますが、さらに西部地区への講習を増やしていただき、また研修に対する経費の支援をしていくことで、ケアマネジャーの皆様の負担感が和らぐのではないかと思いますが、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 介護支援専門員、ケアマネジャーは本人や家族とサービス事業所をつなぐ大変重要な役割を担っていただいております。また、災害時の避難行動要支援者の個別避難計画の作成業務への参画など、期待される役割も以前よりも増えております。 お話のように、幡多地域などから高知市内への受講は負担感があるため、これまでも高知市以外での講習会の開催やオンライン研修を実施してきたところでございます。来年度は、さらに高知市以外での講習会やオンライン研修の回数の増加を検討してまいります。 また、受講に要する経費への支援につきましては、他県の支援状況も参考にしながら研究してまいります。 ◆3番(土森正一君) 部長、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 また、同じアンケートでケアマネジャーの人数は足りているかでは、57%の方が足りていない、近い将来不足すると思うと答えています。また、ケアマネジャーの雇用について問題と感じる部分はありますかの問いには、人数を増やしたいが担い手がいない、従事者の高齢化など76%の方が答えております。このアンケートから見えるものは、ケアマネジャーの担い手確保、人材、それに併せて、介護職員の給与がほかの産業と比べて低い水準の中で、ケアマネジャーの給与は仕事の内容と比べて低い水準にあると思います。 ケアマネジャーの仕事はケアプランの作成など、介護のお仕事で重要なポジションも担っております。ケアマネジャーの処遇改善は大変大事なことだと考えますが、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) ケアマネジャーは重要な役割を担っていただいておりますが、本県だけでなく全国的に資格取得のための受験者が以前と比べ大幅に減少するなど、人材の確保に苦慮しております。関係団体からはその理由として、書類作成などの業務量の多さや、業務に対しての給与の低さなどの御意見をお伺いしております。 必要な人材の確保のためには処遇の改善は重要であるため、県ではこれまでも厚生労働省に対しまして、介護支援専門員の基本報酬の引上げや処遇改善加算の創設を政策提言してきたところです。引き続き、全国知事会とも連携しながら、ケアマネジャーの処遇改善に向けて取り組んでまいります。 ◆3番(土森正一君) ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。大変厳しい仕事をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 次に、ホームヘルパーの不足について質問させていただきます。高知県ホームヘルパー連絡協議会がアンケートを行っています。訪問介護事業者102事業所の集計結果によりますと、人材不足について、非常に感じている、感じているを合わせて93%に上っています。人材確保に多くの事業者が悩んでおり、あと何人ヘルパーが必要かとの問いに、順に2人、3人、1人と続きますが、実際にはあと一人の雇用さえ難しいのが今の現実であります。 この現状をどう捉えているのか、子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 高齢者が住み慣れた地域で適切な介護を受けていくためには、ホームヘルパーの役割は大変重要だと考えております。一方で、ホームヘルパーは他の福祉職と比べましても高齢化が進んでおりまして、人材不足は一層深刻なものとなっております。 ◆3番(土森正一君) ありがとうございます。 また、協議会では人材不足に悩む中、副業としてヘルパーという仕事を選んでもらえないかと啓発活動をしています。達成感を得られる仕事イコールホームヘルパーをコンセプトに、今のお仕事に加えて週1回訪問介護をする、専業主婦をしながら少しお小遣いを稼いでもらう、高校生などが学校が終わってから夕食の支度や買物支援で訪問介護をするなどで、人材の担い手不足を何とか補えないかと検討しています。 県としても人材確保のための支援に取り組むことができるのではないかと考えますが、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。
    ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) お話にありました副業としてのヘルパー業務を広げていく高知県ホームヘルパー連絡協議会の取組は、大変心強く思っております。高校生や専業主婦の方などが生活に合わせて可能な時間に可能な仕事に取り組んでいただくことで、介護人材の確保はもとより、ライフプランに合った働き方が実現でき、その方にとって働きがいにつながるものと期待しております。 県としましても、来年度兼業・副業やワークシェアなどライフプランに合わせた新しい働き方による人材確保に向けて、関係者と検討を進めていく予定としております。引き続き、高知県ホームヘルパー連絡協議会をはじめ関係者の方々と連携を取りながら、ホームヘルパーの確保に取り組んでまいります。 ◆3番(土森正一君) 部長、ありがとうございます。本当によろしくお願いいたします。本当に人が少ないので、よろしく頼みます。 人材不足解消のもう一つの取組として、高校との連携があります。介護の仕事はやりがいのある仕事、介護の仕事の大切さを教えることで、若い世代からの人材の育成をしていくことが大切であると思います。嶺北地域のレイイチプロジェクト、西土佐地域での介護施設訪問など、高齢者の皆さんに触れ合う機会をつくることを実践している地域もあります。地域に根差した活動により介護のお仕事の理解が深まっていくのではないかと考えます。 こうした取組は、介護人材において大切なことだと思いますが、子ども・福祉政策部長の所見をお願いいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 若い世代の方々に福祉・介護の仕事に対する理解を深めていただくための福祉教育は、支え合いの仕組みづくりを進めていく上でも大変重要な取組だと考えております。高校生に対しましては、高知県福祉人材センターが学校を訪問させていただき、福祉の仕事セミナーを開催するとともに、福祉専門学校や県立大学がキャリア教育などを実施しております。また、小中学生に対しましては、高知県介護福祉士会が高齢者や障害の理解のための出前講座を実施しておりまして、学校や地域に根差した福祉教育の活動は、介護人材の育成・確保に非常に有効だと考えております。 今年度に設置をいたしました高知県若い世代の福祉・介護人材確保・育成検討会とも連携いたしまして、若い世代を対象といたしました福祉教育の推進や情報発信の強化に取り組んでまいります。 ◆3番(土森正一君) よろしくお願いいたします。 郡部のほうでは介護の人材不足は大変厳しいところがあります。それぞれの市町村で大きな課題に直面しております。今後、市町村だけではその課題の対応が難しくなってくると思います。 枠を超えて広域で課題を共有し、課題解決に向けていく必要があり、県としての役割も大変重要な局面に来ていると思いますが、子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) お話のように、これまでの枠組みを超えました広域での取組は非常に重要だと考えております。来年度の日本一の健康長寿県構想におきましても、人材確保に向けた新しい働き方として、先ほど申し上げましたライフプランに合わせた働き方に加え、複数の法人が連携して人材確保に取り組む社会福祉連携法人の推進に向けまして、関係者の方々と検討を進めてまいります。 その際には、まずは幡多地域をモデル地域として広域的な課題を共有し、関係者と連携をして取り組む予定としております。 ◆3番(土森正一君) 部長、ありがとうございます。幡多地域をモデルということで本当にありがとうございます。よろしくお願いいたします。 それでは、次の質問に移りたいと思います。2017年の就業構造基本調査によりますと、介護離職は2010年代から正社員を中心に急増し、年間9万人から10万人で推移し、深刻な状態となっています。働きながら介護をする人は346万人で、仕事をしながら介護をするビジネスケアラーの多くが40代から50代で多く、職場で責任ある業務を担っている人も多い。ハウス食品では全社員4,300人を対象に介護研修を始めています。突然家族の介護が必要になったとき、研修を受けていたことで介護の知識や仕事との両立の心構えを得ていたため、落ち着いて対応できたとの意見が載っておりました。 県内でも40代、50代を中心として介護研修を受けることで、家族の介護が必要な状況になったときに落ち着いて対応ができるのではないかと思いますが、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 介護の問題は誰もが直面する可能性のある課題であり、親の介護に携わることや、将来的には自ら介護を受ける側になることにも備えまして、お話のように40代から50代の方に介護に関する学びを得る機会があることは大変大切なことだと思います。 県としましては、ふくし交流プラザで開催しております介護の基礎を学ぶための講座などを周知するとともに、市町村に対しましては介護保険の事業の中で、40代から50代の方を対象とする介護教室の開催などを働きかけてまいります。また、それらに併せまして、適切に介護に備えるための知識の普及啓発に取り組んでまいります。 ◆3番(土森正一君) ありがとうございます。ビジネスケアラーは高知県のほうでもこれから多くなってくる問題ではないかと思いますので、よろしくお願いをいたします。 それでは、今日は介護の現状について、現場の声を交えながら質問させていただきました。介護のお仕事は高齢者が安心して生活できるように、本人の持てる力をできるだけ保ち、誇りを持って暮らし続けていくように支援をするといった崇高な仕事です。 2018年の調査ですが、介護業界は今後成長していく産業の中で4位にランクされており、飛躍的成長が望める産業だとも言われております。介護を日本の成長産業の一つとして捉え、戦略的に介護事業のさらなる発展をしていくために、どうしても必要なことは介護職の地位の押し上げと処遇改善です。 そのためには、まず子供たちが夢のある職業として選べるように、介護の仕事の魅力発信と情報発信に取り組んでいく必要があるのではないかと考えますが、子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 介護の仕事は高齢者の希望に添った自立を助け、喜びを分かち合える仕事であり、子供たちにこのやりがいや働きやすさをしっかりと伝えていくことが大切だと考えております。 また、介護現場のデジタル化やノーリフティングケア、福祉・介護事業所認証評価制度の普及など、そういった職場環境の改善状況、またワークシェアなど新しい働き方、そういった魅力ある職場だということもしっかりと伝えていくことが重要だと考えております。 特に、小・中・高校生に向けましては、福祉教育を通じました直接的アプローチを行うなど、市町村や関係団体との連携も密にしながら、人材確保の好循環を図ってまいります。 ◆3番(土森正一君) ありがとうございます。介護は、共働き世帯や、家庭内で介護に携わる方が少なくなりまして、なくてはならないお仕事でございます。介護に関わる方の処遇、待遇改善がなければ魅力ある職場にもつながってまいりません。利用者、事業者、介護職員の皆様から満足してもらえる介護行政にしていくために、また皆様の声を届けてまいります。また何とぞよろしくお願い申し上げます。 それでは、次の項に移りたいと思います。脱炭素社会推進アクションプランについてお聞きいたします。 高知県は2020年12月、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組むことを宣言しました。国が2030年度の温室効果ガス排出削減量の目標を、2013年度比46%に引き上げ、本県も47%以上削減を目標にし、本県の強みや特色を生かしたアクションプランを策定することとしています。 濱田知事は、コロナ後の成長を見据え大きな時代の流れを先取りしたと言われ、並々ならぬ決意を感じたところです。特に、グリーン化におきましては、カーボンニュートラルに向けて、本県の製紙業の技術を生かしたプラスチック代替素材の活用や、バイオマス資源によるグリーンLPガスの開発など、本県独自の技術や資源をベースとしたプロジェクトにも挑戦し、新たな産業の芽を創出することは非常に評価をしております。 グリーンLPガスの生産技術については、現時点で研究室レベルでの技術であり、実用化に向けてはまだこれからであると伺っております。私は夢のある取組として非常に注目をしております。 本県の強みを生かし、脱炭素化への貢献と、新たな事業の育成に挑戦しようとする、グリーンLPガスの取組にかける知事の思いをお聞きいたします。 ◎知事(濱田省司君) 現在、国内におけますLPガス、いわゆるプロパンガスでございますが、これはそのほとんどを海外からの輸入に頼っております。今回のグリーンLPガスの取組は県内のバイオマス資源を活用いたしまして、グリーンLPガスを地産地消する取組であります。大都市部は都市ガスが一般的でありますけれども、農村的な形態の地域はプロパンガスを使うということが多いわけでございます。まさしく高知県も8割がプロパンガスという地域でございますから、一種高知型のモデルといたしまして、このプロパンガスのグリーン化を打ち出していくということができますと、全国に、そして世界に発信できると、そういった取組になるのではないかという思いを持っております。 この取組におきましては、木質または海洋系のバイオマスからLPガスを生産いたします触媒がこの技術の肝になるということでございます。現在、触媒自体の開発はできており、今後環境省の資金を活用いたしまして、早稲田大学を中心に生産効率の向上ですとか、長期間安定使用に向けました触媒の高性能化を図っていき、実用化を目指すということになります。この研究には高知大学からも複数の研究者の方が参画されるということでございます。 本県でも2028年度に予定をされます実証実験、それに続きます早期の実用化に向けて、立ち後れることのないよう、来年度から産学官による協議会を早急に立ち上げまして、プロジェクトとして強力に推進をしてまいりたいと考えております。 このプロジェクトによりまして新たなイノベーションを起こして、本県の今後の成長の芽となります新たな産業創出につながるように挑戦をし続けてまいりたいと考えております。 ◆3番(土森正一君) 知事、ありがとうございます。 グリーンLPガスについてもう少し聞かせていただきます。令和3年10月18日に出光興産が出資するアストモスエネルギーや岩谷産業、ENEOSグローブなどにより日本グリーンLPガス推進協議会が設立をされております。北九州市立大学と共に、下水処理汚泥施設から発生するバイオガスから得られる水素と二酸化炭素を化学合成することによって、2030年前半にグリーンなLPガスの社会実装を目指す取組を始めるとお聞きしております。新たな触媒の開発をはじめ、水素や大量の再エネ電力の確保、工場建設にかかる莫大な費用などにより、製造原価がかなり高コストになる見込みともお聞きをしております。 一方で、早稲田大学などが中心となって進める、本県も参画するグリーンLPガスの取組は、バイオマスから直接LPガスの合成を100度台の低温で行う、世界初の技術を実証段階へと高めていくものとお聞きをしています。この技術は、地域のバイオマス資源を活用した地産地消の分散型エネルギーに資する取組であり、比較的低コストの製造が見込まれていること、また地域経済への貢献やレジリエンスの対応なども期待され、まさに本県が取り組むべきプロジェクトであると考えています。 県は来年度、グリーンLPガス生産プロジェクトを立ち上げ、取組を進めていくこととしていますが、具体的にどのように進めていくのか、林業振興・環境部長にお聞きいたします。 ◎林業振興・環境部長(中村剛君) 具体的な進め方でございますが、まず来年度早稲田大学や高知大学、あるいは林業やエネルギー関係の本県の事業者、市町村等によります協議会を設立いたします。この協議会を中心としてプロジェクトを推進していくことになりますが、協議会へのより多くの参画、これを促しますために、高知型モデル、LPガスの地産地消、このプロジェクトの意義あるいはその実現のための取組などを周知いたします講演会等を開催したいと考えております。 あわせまして、関係事業者等との勉強会も開催し、プロジェクトを進めていく上での現状把握あるいは課題の抽出を進めてまいります。例えば、ガスの原料となりますバイオマス資源の供給システム、この確立に向けまして、木質系あるいは海藻などの海洋植物系、2つに分けて勉強会を開催いたしますし、また販売や製造に関しましても、LPガス製造事業者等と勉強会を開催することとしております。 翌令和5年度には、この勉強会で抽出されました課題等を基にしまして、グリーンLPガスの地産地消に向けた具体的な取組あるいは役割分担、スケジュールなどを示した基本構想を策定したいと考えております。この基本構想を基にしまして、現在早稲田大学、理化学研究所等で進められております触媒の技術開発、この進捗を見据えながら、資源供給システムの構築あるいは実証フィールドの提供を行いまして、早期の実用化、さらにはグリーンLPガス地産地消モデルの確立を目指してまいりたいと考えております。 ◆3番(土森正一君) 大変丁寧な答弁ありがとうございます。非常に楽しみにして期待もしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 また、アフターコロナ、ウイズコロナ後の経済対策として、自然エネルギーや地球温暖化対策に公共投資を行うことで、経済の回復と環境問題を同時に解決することを目指す、グリーン・ニューディールとかグリーンリカバリーという政策が注目されています。国内でもその政策の効果で、年間251万人の新しい雇用が生まれるという予測もされています。高知県のアクションプランには、グリーン産業の創出の中で産学連携による事業創出をうたわれており、時代を先取りしている政策だと評価をしています。 本県の特性を生かしたグリーン化関連産業の育成を積極的に行い、メード・イン・高知のグリーン技術を生むことで、高知県は日本のグリーン化産業の先進県となり得るのではないかと考えますが、濱田知事にお伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) 今後、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けました取組が進展をする中で、グリーン化関連産業への取組がますます活発になっていくというふうに考えます。本県は豊かな自然、森林資源があるということでございますので、こうしたものを生かした本県ならではのグリーン化関連産業の創出ができるものと考えておりまして、ただいま申し上げましたグリーンLPガスの生産、あるいは土佐和紙以来の伝統を誇ります本県の紙関連産業の技術、ノウハウを生かしたプラスチック代替素材の開発、活用、こういったプロジェクトはその一環に位置づけられるというふうに考えております。 今後、県内外の高等教育機関ですとか先進的な技術を有します民間企業の皆様にも御参画をいただきまして、SDGsやカーボンニュートラルに寄与する新たな事業の創出を目指してまいります。こうした取組を促進することで、グリーン化関連産業の先進県を目指してまいりたいと考えております。 ◆3番(土森正一君) 知事、ありがとうございます。本当にグリーン化産業が生まれましてイノベーションが起こったら、その中で多くの産業のゲームチェンジが起こると言われております。化石燃料から石油燃料、石油燃料からということになりますと、輸出が少なくなるんですよね。その中で本当に高知県が先進県としてできるところがいっぱいあると思っております。本県の特性を生かした自然資源を活用していくことによって、ゲームチェンジが起き、日本のグリーン産業の先進地となることを期待しております。よろしくお願いいたします。 私たちが伝えたいことは、私たちはあなたたちを見ているということです。2019年9月、国連気候サミットでのグレタ・トゥンベリさんの冒頭の言葉です。気候変動の重要性を訴えたこの演説は世界中の注目を集め、気候変動について深く考えるきっかけとなりました。ミレニアム世代、Z世代と言われる10代から30代の若い世代の皆様は、国際機関、世界経済フォーラムの調べによると、ミレニアム世代の約半数は気候変動を問題視し、Z世代のうち90%近くが社会問題及び環境問題を意識していることが分かっております。冒頭で触れたグレタさんはZ世代に該当いたします。 カーボンニュートラルの目標年は2030年、8年後、2050年は28年後の構想であり目標です。その時代に主役になっている先ほどの世代の皆様が、例えば高知未来会議というような組織をつくり、自分たちの将来について考え、議論していくことがあれば、そこで議論された提言や考え方に耳を傾け、アクションプランなどの取組に取り入れていくことは私たちの責任だと考えています。 こうした若い世代の考え方を取り入れていくことについて、濱田知事の所見をお願いいたします。 ◎知事(濱田省司君) カーボンニュートラルの実現は2050年を見据えたものでございますので、この時代に社会の中心となります若い世代の方々の考え方、意見を取り入れていくということは、非常に大事な視点だと考えております。アクションプランの策定に際しましても、この脱炭素社会推進協議会に大学生2名をお招きしまして御意見を伺いましたし、高知県地球温暖化防止県民会議の取組にも学生の方々には様々な形で参画をいただいているというところでございます。 来年度は新たにこうした活動の輪をさらに広げるために、大学生などの若い方々が自由に集い、また意見交換などを行える場を設定したいと考えております。 加えまして、来年度このアクションプラン関連のシンポジウムの開催も考えておりますが、こうした場でも若い世代の意見発表の機会を設けるということによりまして、引き続きこうした機会を通じて若者の意見を積極的に施策に取り入れてまいりたいと考えております。 ◆3番(土森正一君) ありがとうございます。フライデーズ・フォー・フューチャー、FFF運動とか、いろんな若い世代の方が環境問題をすごく世界に訴えて、こういう問題が出てきていると思います。この世代の人たちが考えていること、これから必ずこの世代の方が主役になるわけでございますので、ぜひともよろしくお願いをいたします。 本日は、いろいろと執行部の皆様に丁寧な御答弁をいただいてありがとうございます。特に子ども・福祉政策部長、本当にありがとうございました。今後とも県民、市民の皆さんのために声を届けてまいりたいと思います。 グリーン化になりまして、昔石炭から石油に替わったときに20万人の雇用がなくなっております。そういうところも考えて、ゲームチェンジが起こるときには雇用も生まれるけれども、雇用もなくなる方がおられますので、そういったことも考えてこれからの県政をしていただきたいと思います。 これで一切の質問を終わらさせていただきます。今日は本当にありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 以上をもって、土森正一君の質問は終わりました。 ここで午後4時35分まで休憩といたします。   午後4時30分休憩-----------------------------------   午後4時35分再開 ○議長(森田英二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 石井孝君の持ち時間は45分です。 29番石井孝君。 ◆29番(石井孝君) 失礼します。県民の会の石井です。通告に従いまして質問をさせていただきます。本日最後となります。知事はじめ執行部の皆様よろしくお願いをいたします。 先日、ソフトボールの国際大会、アジアカップが本年6月、7月に四万十市で計画されているとの新聞報道がございました。本県四万十市出身で世界野球ソフトボール連盟で殿堂入りされました、日本ソフトボール協会の岡本専務理事が誘致に御尽力いただいたことと思います。一昨年、岡本専務理事が国際大会を必ず誘致すると言われていたことが、こんなに早く実現することに驚いていますし、大変うれしく思っています。大会の開催に向けて四万十市も支援していくと報じられていました。 県としても、国際大会の成功に向けて最大限の協力をしていただきたいと願いますが、知事のお考えをお伺いします。 ◎知事(濱田省司君) お話のございましたソフトボール男子アジアカップは、今回が第11回目ということでございまして、このうち日本での開催は4回行われるということでございます。本県では初めての開催となりまして、アジアの国、地域から7チームが参加する予定というふうにお聞きをしております。 このトップ選手のプレーを間近で見られますし、選手や指導者の方々と触れ合うということにもなりますので、こういった機会を通じまして、本県のスポーツ振興あるいは交流の拡大に大いに寄与するということが想定をされますし、経済あるいは地域の活性化につながっていくものと大いに期待をいたしているところでございます。 県といたしましては、大会の開催にかかります費用の一部について、補助金を来年度の予算に計上させていただいております。大会の成功に向けまして、できる限りの協力をさせていただきますとともに、今後のスポーツ関係の合宿誘致などにもつなげてまいりたいと考えております。 ◆29番(石井孝君) 本当に最大限の協力ということでありがとうございます。国際大会ともなれば、まさに事前合宿、その後のキャンプ誘致に向けて大会開催前後の展開を見据えた取組に、今後も四万十市を含めて協力していただければと思っております。 さて、今定例会の知事提案説明では、来年度の県政運営方針について、今後の成長の原動力であるデジタル化、グリーン化、グローバル化をキーワードとして各政策を進化させると述べられました。あわせて、関西戦略や中山間対策では5年後、10年後を見据えた抜本強化を図り、次なる時代の扉を開く節目の一年にしたいとのお考えも示されました。 まず、関西戦略について質問してまいります。来年度は、関西・高知経済連携強化戦略を前に進めるため、関西圏外商強化対策協議会を中心に、さらなる外商強化策を進めていくなど、新規事業も多く提案されておりますが、知事が掲げる関西戦略で目指す姿はどういったものを描いているのか、お伺いします。 ◎知事(濱田省司君) 関西戦略におきまして目指します姿としては3つございます。 1つ目は、関西を訪れる外国人の観光客を含めました関西圏との交流人口の増加という姿であります。現在は、コロナ禍の影響が非常に大きく、打撃を受けておりますけれども、この収束後は多くの外国人観光客の方々が関西を訪れるというふうに見込まれます。これらの観光客を含めました関西圏から本県への誘客の増加を図りたいと考えます。 2つ目は、関西圏におきます県産品の外商拡大でございます。2,000万人の消費人口を有します大商圏をターゲットといたしまして、県産食材や木材、防災関連製品をはじめといたします工業製品などを売り込むということで、いわゆる外貨の獲得を図るという考えであります。 3つ目は、大阪・関西万博あるいは大阪IRなどの大規模プロジェクトの開催を契機といたしました、県産品などの知名度向上を図るということでございます。高い評価をいただいています県産の食材、あるいは森林率全国一を誇ります県産木材などの知名度の向上により販路の拡大を図ってまいりたいと考えます。 こうした形で関西圏との人、物、情報の交流が活発になっていくということにより、本県経済の活性化につなげてまいりたいというふうに考えております。 ◆29番(石井孝君) 来年度予算案には、関西圏における外商拠点の開設に向けた調査を行っていく事業も盛り込まれておりますけれども、コロナ禍の2年間における東京のアンテナショップまるごと高知の運営は、外出自粛や度重なる緊急事態宣言、まん延防止等重点措置によって営業活動が制限されるなど、厳しい運営を強いられたことと思います。 そんな中でも県内事業者の営業活動支援や商品の磨き上げの支援を行うとともに、感染防止に努めながら、物販、飲食の販売と高知県情報の発信に御奮闘をいただいてまいりました。全国的にも厳しい運営を強いられてきた他県のアンテナショップでは、コロナ禍の対応としてデリバリーや通信販売に力を入れた動きもあったそうです。 いまだ終息が見通せないコロナ禍にあって、関西圏への外商拠点の設置を検討されるのはなぜか、知事にお伺いします。 ◎知事(濱田省司君) 現時点におきましてはコロナ禍という逆風下にございますけれども、今後の反転攻勢につなげていくということも考えまして、来るべき時期に備えました外商強化策の一環として、この外商拠点の検討も行うという考えでございます。 その意味で、この外商拠点につきましては、施設の設置ありきということではございませんで、取り得るべき選択肢の一つという考え方で調査研究を進めようと考えております。例えば、情報発信といった備えるべき機能はどういったものがあるか、それを達成するために費用対効果がどういったものが想定をされるか、こういったところの詰めの作業を踏まえまして、その有効性ないし必要性を検討してまいりたいと考えているところでございます。 今後の調査の結果を基にいたしまして、関西圏外商強化対策協議会の実務に当たられている方々、あるいは関西・高知経済連携強化アドバイザー会議に御参加いただいておりますアドバイザーの方々、こういった方々の御議論も踏まえ、本年8月をめどといたしまして、この拠点設置を含めました幅広い選択肢の中から効果的な外商強化策をお示ししたいというふうに考えております。 ◆29番(石井孝君) 先ほどお話しいただきました交流人口、特にインバウンドの交流人口を増やしていきたいということと、外商、高知県をPRしていくということと、産品の知名度を上げていくというような3つの姿がありますので、それを実現していくには、外商拠点というのは本当に大きな役割を果たすんだろうと思っております。よりよい形で建設的な議論ができればというふうに期待をしておりますけれども、その議論するための材料の一つとして、現在の大阪の動向も注視すべきと考えます。 大阪府と大阪市は、それぞれから職員を集め、都市計画部門を統合して昨年11月に130人規模の大阪都市計画局を発足させ、2050年を目標に大阪の町の在り方を描くグランドデザインの検討が始まっているそうです。現在、大阪府には2つのグランドデザインがあるそうです。1つは、万博やIR、リニア中央新幹線などの大規模な再開発を含む大阪市内の将来像を描いたグランドデザイン・大阪、もう一つは、府内の市町村や近隣府県を含めた広域的な視点を持ち、東西二極の一極を担う大阪都市圏の実現を目標に、ベイエリアなどの発展を掲げるグランドデザイン・大阪都市圏、この2つのグランドデザインを整理、統合するために大阪都市計画局が発足しています。 この整理、統合される大阪の新たなグランドデザインは、濱田知事が掲げる関西圏との連携強化に関して重要なものと考えますが、知事の御所見をお伺いします。 ◎知事(濱田省司君) 御指摘がございました大阪の新しいグランドデザイン策定の動きにつきましては、私も承知をいたしているところでございます。高知県で定めました関西戦略におきましては、こうしたグランドデザインの中で示されましたうめきた地区の大規模再開発でございますとか、夢洲地区への万博・IRの誘致、こういった動きなどにつきまして、既存のグランドデザインを一定程度反映させていただいております。 この既存のグランドデザインは、平成24年ないし28年に策定をされたということでございますが、本年策定が予定されております新しい構想におきましても、都市間連携の強化あるいは民間主導によります都市空間の創造とのこれまでの理念は継承されるものというふうに考えます。また、最近では大阪圏におきましては、例えばスーパーシティ構想でありましたり、リニア中央新幹線、北陸新幹線の乗り入れによります新大阪駅の再整備、それに伴う周辺の再開発、こういった議論も精力的に進められておりますので、こういった議論につきましても熟度が高まりましたら、新しいグランドデザインの中に反映をされるのではないかというふうに、私としては見込んでいるところでございます。 この新たなグランドデザインは、この春に中間取りまとめが行われまして、年内には策定される運びだと伺っておりますので、今後その動向を注視いたしまして、関西戦略に生かしていけるものについてはしっかりと取り込んで、反映をしていきたいと考えております。 ◆29番(石井孝君) ぜひ大阪市内の将来像を描いた、今言われるIRとかリニアとか、そういったもののグランドデザインもありますけれど、もう一つの大阪都市圏というグランドデザインでは近隣府県を一緒にしながらデザインしていこうということでございますので、ここに高知県が、動き出している大阪のグランドデザインにいかに関わることができるかどうか。今後、関西との関わりということで本県の将来にも影響してくるのかなというふうに考えています。 今後の大阪の成長を見据えたこうした動きに高知県としても参画していけるように、これまでの知事の手腕、そして人脈に期待をしております。 次に、中山間対策について質問します。 10年ぶりの集落実態調査の結果を受けて、改めて中山間地域の振興は本県の発展に不可欠との認識が示されました。多くの議員の皆さんから今議会質問もありましたけれども、私からも何点かお話をさせていただきたいと思っております。 新たな中山間対策として、中山間対策の核となる小さなにぎやか集落の仕組みづくりや、地域の担い手の確保や育成、ドローンによる日常生活の不便解消に向けたデジタル技術の実証実験など、来年度の取組とその効果を期待しております。 集落の共通の課題は担い手不足が挙げられており、その課題解決に移住者対策が期待されています。移住者が移住を決断するに当たって重要な要素は、住まいと生活のための仕事が見通せるかどうかだと思っております。 まず、移住者の住まいについて、知事提案説明では空き家所有者に売る、貸すの方針の決定を促すために、市町村が行う啓発や働きかけを支援し、積極的な掘り起こしを進めると述べられました。また、空き家対策を抜本強化するために編成された空き家対策チームの活躍にも期待をしています。 この空き家と移住者とのマッチングを具体的にどのように進めていくのか、中山間振興・交通部長にお伺いします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 来年度、土木部が中心となりまして、空き家の活用策を抜本強化いたします。具体的には、空き家決断シートを普及し、県民の皆様が空き家を放置せず活用することを促す仕組みづくりを進め、空き家に関する総合相談窓口の設置や広報を強化し、改修に係る補助金の拡充を図るという内容になっております。 移住の分野では、昨年7月に実施しました市町村へのアンケート調査において、希望する住宅がないことで移住を断念した事例が年間200件を超えるということが判明いたしました。このことから、対策の強化により掘り起こされた空き家を移住者とマッチングし、調査で明らかになったチャンスロスを解消していきたいと考えております。具体的なマッチングの方法としましては、賃貸・売買住宅として市町村の移住サイトの空き家紹介のコーナーに掲載して情報発信を行うことや、移住希望者を対象としたマッチングツアーの内覧会などで物件紹介を行ってまいります。 また、空き家対策の強化と連動しまして、移住の分野での市町村への補助金による支援として、これまでの空き家に残る荷物の整理や入居後の軽微な修繕への助成に加え、移住者に一定期間家賃補助を行うメニューも追加いたします。あわせて、県職員住宅や教職員住宅を移住者の一時的な住居として活用することも進めてまいります。 このように移住者に提供できる住宅のストックが増えることは、本県への移住を決断する大きな後押しになると考えており、市町村との連携の下で積極的にマッチングに取り組み、中山間地域の担い手の確保に努めてまいります。 ◆29番(石井孝君) ぜひよろしくお願いしたいと思います。移住先の住まいを決めるには、やはり来て、見て、触って、感じて、周辺環境も含めてというような、実際に知ることが大切だと思っておりまして、先ほど部長から市町村とも連携しながらということでございますけれども、ぜひ集落とも連携をしていただきたいなと思っております。 実は、先日ある中山間地域の集落の皆さんと移住の話をしていて、来年度も空き家対策は進んでいくんだよという話をしているときに、例えばほかの市町村でやっているかもしれませんけれども、空き家と畑をセットにして貸す、それから山林をセットにしてあげるという話なんかもあります。 その中で、できるかどうか分かりませんけれども、お墓をセットにできないか、要は墓守を集落にお願いしていくというようなことも含めて、何か売りにできるんじゃないかというようなこともあって--もう20年移住されてきた人が、お墓の問題でずっと悩んでいて、ここに来て移住して定住して、最後骨を埋めるということになれば、当然お墓の問題なんかも含めて、その墓守も最後集落が面倒見ていくよというようなことになれば、すごく売りになるんじゃないかというような提案もありました。 こうした集落の皆さんがいろいろ地域の特性を生かした提案というのがあろうかと思いますので、そうした連携をぜひ深めていただきたいなというふうに思っております。 案内するところから、移住したいと思っていただける提案がなされるかが重要な役割を果たすというふうに思いますし、そうした丁寧な提案は移住者に大きな安心感を生み、移住の決断につながるのではないでしょうか。空き家対策が移住者の住まいとなれば、住宅所有者、移住者、集落、行政の四方よしのとても有益な取組になると言えます。 次に、もう一つ重要な要素である移住者の仕事について、集落実態調査でも改めて明らかとなった担い手不足の解消に向けて、働き方の魅力に関する情報発信をするなど、移住検討初期層へのアプローチを強化すると述べられました。集落としては、この仕事を生み出す取組が集落の課題解決と担い手不足の解消に寄与すればと期待しているはずです。中山間地域が抱える担い手不足は多職種にわたるかもしれませんが、本県では特に農業や林業といった1次産業の担い手不足が顕著ではないでしょうか。移住者が1次産業の担い手となって生活ができるのであれば、中山間地域を守り育てることにつながると考えます。 グリーン化の促進でも触れられていました森林吸収源対策として適切な森林整備や再造林の促進が必要ですが、肝腎な林業の担い手がいなければ進みません。これ以上耕作放棄地や荒れ地を増やさないために、農業においても担い手が必要となります。さらに、今後の集落における農業や林業は、人口減少に伴う担い手不足によって、これまでの森林整備や耕作地の維持・存続がますます困難となっていきます。よって、個人に加えて集落単位や企業単位で農業や林業を守っていく施策も模索しなければなりません。 例えば、企業がSDGsへの取組を強化している現在、開発目標の15番目にある陸の豊かさも守ろうにおける持続可能な森林管理を行うために、企業に資金提供を求めるだけでなく、企業の社員として移住者を雇用してもらい本県の森林整備の担い手とすることや、もしくは企業の人材を中山間地域に担い手として派遣してもらうなどの仕組みづくりができないか。また、同じ開発目標の土地劣化の阻止、回復といった観点で、企業の協力により農業の担い手を確保していく仕組みなども考えられるのではないか。 こうした中山間地域の担い手不足を解消することを含め、中山間地域が抱える課題を解決するために、企業と連携した中山間地域の活性化を図ることを考えてはどうか、中山間振興・交通部長に御所見をお伺いします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 中山間地域の活性化の観点から、様々なノウハウや知見を有する企業との連携は重要であると考えております。大豊町の東豊永集落活動センターでは、昨年10月から大手製薬会社による生薬の試験栽培がスタートし、民間事業者と連携した地域活性化の取組が進められております。また、これをきっかけに大豊町内でのイベントにも協力いただくなど、関係人口づくりにもその効果は波及しており、さらに県内に広げていきたいと考えております。 一方、国においては、今年度から地域活性化起業人制度が創設をされております。この制度は、3大都市圏に所在する企業などの社員が在籍派遣の形で様々な地域活動に従事する際に、受入れ側の自治体を支援するもので、現在県内の10市町村で導入され、14人の方が地域で活動されております。 このような大豊町における民間企業との連携の事例や、地域活性化起業人制度といった民間企業の専門的な知見を活用できる制度については、中山間総合対策本部のチーム会において進捗状況や課題を共有するとともに、市町村にもその取組内容や制度を周知し、担い手の確保につなげてまいります。 ◆29番(石井孝君) ぜひよろしくお願いしたいと思います。知事提案説明でも時代の変化を先取りし、絶えず施策を進化させながら、県勢浮揚を目指して前に進んでいくと述べられました。まさに中山間対策を進めていく上で、次回の集落実態調査に向けて具体的な目標設定を行い、その効果をしっかりと検証しながら、新たな施策や仕組みづくりを展開していくと、そういう取組が大切だと思っております。 次に、第4期産業振興計画ver.3において、産学官民連携によるイノベーションの創出を進める中で、アニメやヘルスケアといった新たな産業も育てながら、海外の輸出を見据えた地産外商のさらなる推進によって、県経済の拡大を図る取組が紹介されています。新しい産業の掘り起こしや企業の先進的な取組をいち早く把握しながら、外商への可能性を探り、海外輸出も含めた展開へ結びつけていこうとする取組が行われております。 第4期産業振興計画ver.3を推進していくに当たり、外商戦略における海外輸出の重要性について産業振興推進部長のお考えをお伺いします。 ◎産業振興推進部長(沖本健二君) これまで4期13年にわたり産業振興計画の中で外商の強化に取り組み、一定の成果が現れているものと認識をしております。しかしながら、県際収支はいまだに6,000億円近いマイナスになっておりまして、産業振興計画が始まる前と比べますと700億円程度は改善をしております。まさにこれが成果の一つだろうというふうには考えておりますけれども、これを改善するためには人口減少により市場が縮小しております国内だけでは困難であるということで、大規模な海外マーケットに打って出ることが不可欠だと考えております。 そのため、来年度からグローバル化の促進を掲げ輸出の強化を図ってまいります。具体的には、ユズ、土佐酒、土佐材などが有望品目でございまして、まずはこれらの輸出の強化を図りますとともに、今後有望品目となる県産品の掘り起こしにも取り組んでまいりますし、アニメとか、そういった新しい産業がもし製品として海外等に輸出できるようなものがあれば、そういったことも考えていきたいというふうに考えております。 ◆29番(石井孝君) 県が主体的に海外への輸出を見据えた地産外商の取組を推進していくことは、高知県経済に元気を与える私は原動力になると思います。 以前、土佐あかうしを海外の巨大市場に進出できるようにするため、新食肉センターにおいてハラール認証の取得に関する質問をしました。新センターでのハラール認証の取得については多くの条件や制約が課せられることから、解消に必要となる経費や効果の検証も行いながら判断をしていきたいとの答弁でしたが、その後の検討状況はどうか、農業振興部長にお伺いします。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 現在建設中の高知市の食肉センターでのハラール認証の取得につきましては、ハラール食で禁じられている豚を病気などで緊急的に屠畜する施設を敷地内に設置することから、輸出国やハラール認証を行う機関から認証されるのかといった課題があります。しかしながら、他県におきましては、輸出国が指定する国内の認証機関によっては豚も屠畜している施設で認証された事例もあります。現在、認証機関に可能性を相談しているところでございます。 また、イスラム圏への輸出に当たっては、まずは土佐あかうしの需要調査が必要ですが、コロナ禍で実施には至っていない状況でございます。さらに、現状で申し上げますと、土佐あかうしの国内需要に生産が追いついていない状況でもあります。 このような状況ではありますが、引き続き認証や輸出先などでの課題の解消に向けて検討してまいります。 ◆29番(石井孝君) ぜひよろしくお願いします。病畜棟があっても何とか認証を受けている施設があるということでございますので、先ほどの産業振興推進部長の話でも海外市場の重要性のお話がございました。ぜひともこの外商戦略の一環として巨大市場となるムスリムの皆さんへ土佐あかうしの輸出展開を進めるべく、新会社との協議も含めて、新食肉センターにおけるハラール認証の取得を積極的に進めていただけるように改めてお願いを申し上げます。 あと県内の豚についても品種改良をしていただきたいということで質問も少し用意をしておりましたけれども、あまり時間も--次の課題がありますので、1問ちょっと飛ばさせていただきます。コロナ禍の今だからこそ、土佐あかうしでは販路拡大の開拓、豚では新たなブランド化の模索など、グローバル化の展開を見据えた仕込みとして様々な研究開発を私は進めていただきたいなというふうに思っております。 そして、1つ要請は、四万十市の食肉センターの建て替えについて、今後整備計画による詳細な事業費の算出によって建て替え案が具体化していくことと思います。建て替えから整備後の運営も含めて、引き続きの県の支援を要請しておきます。 次に、新型コロナウイルス感染症に関連して質問してまいります。 ワクチン接種の推進について、私も今月末に3回目のブースター接種を行う予定です。ファイザー社と武田・モデルナ社のワクチン交互接種に関して不安の声が聞かれますが、安全性や有効性はもちろん、厚生労働省の資料によると、交互接種のほうが抗体の増え方が多いことも報告されていますので、オミクロン株や今後の変異株に備える意味においても、県では3回目のワクチン接種を積極的に行っていただくよう啓発を行っています。 接種率の向上は、県民へ分かりやすく丁寧で粘り強いワクチン接種の啓発を行うことと、実施主体である市町村との連携による円滑で速やかな接種体制の構築が必要ではないでしょうか。感染者の大半が軽症で済んでいるとはいえ、38度を超えるような高熱を出して、せきが2週間続いても軽症に分類されます。感染者の中には、今も嗅覚、味覚障害、疲労感、記憶障害などの後遺症に苦しんでいる人がいます。中等症や重症では入院を余儀なくされ、また残念ながらお亡くなりになる方もいらっしゃいます。 そんな中、幸い昨年ワクチンが開発をされました。臨床試験では新型コロナウイルスに対して高い有効性が確認できました。ワクチン接種を受けることで本人の感染や発症の確率を大きく減らすことができます。仮に感染したり発症しても症状のある期間が短くなったり、重症化を防いだりする効果も期待できます。よって、同居する家族や日常的に接する友人、同僚、さらには重症化リスクの高い持病のある人や高齢者を守る効果も期待できます。 加えて、地域でより多くの人がワクチン接種を受けることによって、その地域の新型コロナウイルスに対する防御は高まり、感染伝播が減っていくことになります。感染する人が減れば減るほど、変異ウイルスが誕生する確率を減らすことができます。 しかし、ワクチンにはデメリットもあります。ワクチン接種後に軽症な心筋炎がまれに報告されています。しかし、新型コロナウイルス感染症にかかった場合には、ワクチンを接種した場合よりもはるかに高い頻度で心筋炎が見られています。 長期的な副反応の可能性についても、臨床試験やこの間の接種経験から、新たな副反応が遅れて出現する可能性は極めて低いと考えられています。このワクチン接種のリスクと新型コロナウイルス感染による重症化や、長期にわたる後遺症のリスクを考えれば、ワクチン接種により感染の重症化予防を図るメリットのほうが圧倒的に大きいことが分かります。こうした事実を分かりやすく、しっかりと啓発していくことで、3回目のワクチン接種率を高めていかなければなりません。 次は、実施主体である市町村との連携です。国からの要請を受ける形で現役世代の3回目のワクチン接種に関して、2回目からの接種間隔を8か月から6か月に前倒ししていく動きが全国で広がっています。しかし、高知市では予約の混乱などの懸念から、一気に前倒しをしないとの新聞報道がなされていました。 今後、夏には医療従事者を中心に4回目の接種がスタートすることになるのではないか。今後も治療薬や治療法が確立されるまでワクチン接種はずっと続いていくのではないか。そう考えれば、特に人口の多い高知市とは円滑で速やかな予約からワクチン接種が行える体制を構築すべきと考えるが、健康政策部長にお伺いします。 ◎健康政策部長(家保英隆君) ワクチン接種につきましては、これまでも各市町村と連携して取組を進めてまいりました。例えば1回目、2回目の接種に関しては、地元の医療機関での医療従事者で対応が難しいという申出のあった6つの市町村に対し、医療従事者の執務支援の調整を行いました。 高知市との連携につきましては、3回目接種の前倒しに向けて、2月19日から県全体の接種を加速化する目的で、高知新港に県市合同の接種会場を設置し、3月6日までに5,036人に接種をいたしました。この会場設置の効果もあり、高知市でも順次接種の前倒しが進んでおります。 また、今月から始まります小児の接種につきましては、小児科医の地域偏在がある幡多地域においては、県と6市町村で協議を行い、宿毛市に特設会場を設けて広域接種を行うような取組を行うことになりました。 一方で、円滑な接種に向けては、議員のお話にありましたワクチンの有効性や副反応、デメリットについて県民の皆様の理解が不可欠なことから、県としてはこうした情報発信を強化しているところでございます。 4回目の接種についての方針は今のところ未定でございまして、実施の方針が示された場合、高知市をはじめ実施主体である県内市町村と意見交換をし、それぞれの実情を踏まえた体制を支援したいと考えております。 ◆29番(石井孝君) 今回の新聞報道も高知市にも事情はあろうかと思いますけれども、ぜひ県民の安心・安全のため、コロナ対策においてはさらに強い連携を求めていただきたいというふうに思います。 今回、オミクロン株による第6波の感染拡大が起こり、県内2度目のまん延防止等重点措置の適用となりました。飲食店には時短要請が行われ、給付金の支給がなされます。また、間接的に影響を受ける事業者に対しても条件によって給付金の支給がなされるなど、コロナ禍で厳しい状況に追い込まれた事業者の皆様を守っていく施策が打ち出されました。 しかし、飲食店と直接取引をしている農家さんなどは注文がなくなり、収入が全くない上に、先ほど武石議員も申されておりましたけれども、原油高、物価高で肥料や飼料代、燃料代などのランニングコストが予想以上に膨らみ、給付金や貸付金だけでは立ち行かず、廃業ぎりぎりの経営を余儀なくされている事業者も少なくありません。新型コロナウイルス感染症は、観光産業関連を中心に全ての産業に経済的な打撃をもたらしました。度重なる感染の蔓延により収入が不安定なまま、税やランニングコストの支払いに追われ、さらには貸付金の返済が始まります。 こうした厳しい現実と未来予想が立たない事業者の悲痛な声をお伺いしてきました。全てを助けていくことは大変難しい課題かもしれません。しかしながら、せめてコロナ禍で厳しい状況に追い込まれている各事業者の声を聞き、実態把握に努め、対策を講じるというサイクルをしっかり発揮させていただくことと、あわせて廃業に追い込まれないように助けていく手だてを模索するためにも、市町村や関係機関と連携しながら、各事業者に寄り添った支援を行うよう要請をいたします。 次に、教育課題について質問をしてまいります。 知事提案説明の教育の充実の中で、学校における働き方改革を加速化させるとあります。教育の負担軽減を図り、子供たちと向き合う時間を確保するため、業務の効率化や外部人材の活用が進められてきました。加えて、来年度からは教科担任制の導入やデジタル技術のさらなる活用による業務の効率化を推進するとしています。 デジタル技術による業務効率化に関して、文科省は一昨年10月20日、全国の教育委員会や都道府県に対し、学校、保護者間の連絡手段のデジタル化の推進について通知を発出しています。URLやQRコードによる保護者向けアンケートのオンライン化、欠席・遅刻連絡のオンライン化、学校、学級、保健などのお便りのオンライン配信など、デジタル化は学校の働き方改革のほか、迅速な情報共有や学校と保護者の双方の負担軽減につながるとしています。 一方で、デジタル化に対応できない家庭への配慮に関する課題や、教員のデジタルへの得手不得手によって、一部の教員に業務負担が偏る可能性、デジタル情報のセキュリティーに関する学校の体制整備など課題があると考えます。これらの課題にどのように対応しているのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 県では本年度から全県立中・高等学校に保護者との連絡ができるシステムを導入し、希望する保護者が登録する形で運用しております。例えば、学校側からでは新型コロナウイルス感染症に関する臨時休業の連絡などの緊急対応やアンケート調査などで活用しておりますし、保護者側では生徒の遅刻・欠席連絡などに活用しております。学校、保護者双方の負担軽減につながっているところでございます。また、このシステムの登録を希望しない家庭につきましては、従来どおり電話や書面などによる対応を行っております。 また、県内全ての公立学校で校務支援システムを導入しておりまして、出欠管理や成績処理などについて教職員の負担軽減が図られております。また、ICTの活用につきましては、研修を実施するなどして、できるだけ一部の教員に負担が偏らないよう努めているところでございます。 さらに、情報セキュリティーにつきましては、県及び各市町村でセキュリティーポリシーを定めて学校に徹底するとともに、フィルタリングソフトを導入するなど、ソフト・ハード両面からしっかりと対策を講じております。 ◆29番(石井孝君) ありがとうございます。現場の実態をしっかり把握していただいて、対応していただいているというふうに感じました。ぜひともこれも継続的な支援をお願いしたいというふうに思っております。 このデジタル技術の活用によって、真に教員の負担軽減が図られ、子供たちと向き合う時間を確保するためには、今まで以上に外部人材だけでなく、教員定数の確保を国に提言していく必要があると考えますが、教育長の御所見をお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 教員の負担軽減を図り、児童生徒と向き合う時間を確保するために、業務の効率化や外部人材の活用などに加えまして、必要な教員定数の確保が重要となってまいります。そのため、教員定数の確保に向けまして、チーム学校の構築に係る中核的な役割を担う主幹教諭の配置や、少人数学級編制に係る加配の充実など、国に対して政策提言や要望を継続して実施してきたところでございます。 本県では、これまで国の加配を活用しまして、中学校における教科縦持ち校への主幹教諭の全校配置や、小学校における35人以下学級編制の全学年への導入など、教育施策の充実を図ってまいりました。 今後も、高知県型小学校教科担任制に係る定数の拡充など、本県の教育推進に必要な教員定数のさらなる充実に向けまして、引き続き国に対して県独自の政策提言を実施するとともに、全国都道府県教育長協議会や教育委員協議会と連携した要望を継続して行ってまいります。 ◆29番(石井孝君) 様々な課題の中で教員加配というようなことが必要だと思いますけれど、私はデジタル技術の活用だけでもコロナ禍によって早まった上に、現在ではその必要性とか重要度が増しているように思います。今だからこそデジタル技術の活用においても、ぜひとも教員の加配が必要だというふうなことを訴えさせていただきたいと思いますし、このほかにも教員の加配が必要な状況が私はあると思っています。 それは、近年高知県だけでなく全国的な課題として、人口減少を背景として小中学校の統廃合が進んでいることです。人口減の大きな流れの中では、子供たちのための学校規模の適正化を考えれば、学校統廃合の推進は避けて通れない道と言えます。しかし、学校がなくなれば近隣から子育て世帯が減り、地域の衰退につながる可能性もあるため、統廃合には住民の反対や不安の声もあります。保護者は学区が広がることにより、通学時の安全が確保できるか心配されます。教員は統廃合準備など通常業務外の用務で多忙となります。子供たちは環境の変化に適応していかなければなりません。 統廃合の課題は、それぞれの立場で違いがあり、複雑な課題と言えると思います。そんな中でも丁寧な住民説明を行い、理解を得ながら、何より子供たちのために将来を見据えた学校の統廃合が進められてきています。 ここで重要なのは、学校の統合や休校、廃校、移転に関する準備委員会や実行委員会の業務が教員に重くのしかかることです。学校統合に向けて設置される委員会では、保護者や地域の代表者と校長先生や教頭先生が委員となり、統合の場所、時期、校名、校章、校歌、備品、制服、体操着、名札の選定、通学路、スクールバスの運行、事前交流、地域へのアンケート、メリット・デメリットの整理、統廃合校それぞれの記念事業、廃校舎の利活用、伝統文化の継承、部活動などなど、統合に伴い多くの細かい諸課題の解決に向けて話合いが行われます。通常業務に配置された教員は、統合や移転の前に1年や2年といったスパンでこれら多くの課題解決を余儀なくされ、最後は年度末の春休みなどの短期間に一挙に引っ越し作業を行うことになります。 国は、学校統合に伴う教育計画や年間指導計画の作成、学校環境の整備など適切な学習指導や生活指導を充実させるため、統合前後の学校を加配教員の対象としています。 本県では、統合前後の学校に対する教員加配は行われているのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 学校統合に係る国の支援としまして、統合による環境の変化によって生じる学力や不登校などの課題解決に資することを目的としました加配の制度がございます。県教育委員会としましては、この加配制度を活用して、学校統合前後のどちらかの1年間を原則として加配教員を配置しております。 この国の加配は、統合前後のいずれの年度で配置するかは、学校統合を行う市町村教育委員会の意向をお聞きして国へ要望を行っております。令和3年度は、この国の加配を活用して、統合後となる小学校3校、中学校3校の6校に6名を配置しております。 ◆29番(石井孝君) 前後の加配ということですけれども、市町村教育委員会からの話でということなんですが、これがこの質問を作るときに聞いておりますと、統合前の加配1年間という部分があったんですけれども、それが統合前に2年間制度を拡大しているという背景からも、丁寧に統廃合を行いなさいというような国の意図があるんじゃないかなと私は思っておりまして、この丁寧に統廃合をすることを市町村教育委員会にもしっかりと促していく、そういう必要があるのではないかというふうに思っています。 それ以外にも耐震化による校舎の建て替えとか、一時的な移転、中学校の統合に伴い空き中学校へ小学校が移転するなどの事例についても、学校統合前と同じような業務負担が教員にのしかかります。 小中学校の統合ではないが、単に移転する場合の移転前に加配教員を配置することについて教育長のお考えをお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 先ほど申し上げましたように、この国の教員加配は児童生徒を中心とした学力に関する課題、それから不登校などの課題解決に資することを目的に配分されるということになっております。そのため、移転に係る教員の業務軽減を図ることを目的とした配置につきましては、この加配要件に該当していないので、この適用については難しいというふうに考えております。 ◆29番(石井孝君) それでは、統合後ということでは分かるんですけれども、前についている部分がどういったものかというのは、教員のやっぱり負担軽減が、ひいては子供のためになるというふうに私は思っていますので、その辺が国にもそういった意味合いでの話合いを今後していっていただければなというふうには思います。この学校統合とか学校移転を抱えた教員の通常業務外の負担感というのは非常に大きいというふうに聞いております。 そのほかにも様々な支援の仕組みとかがあるのかもしれません。時間もありませんので最後の質問は省かせていただきますけれども、ぜひとも負担感軽減、それが子供たちのためになるという視点でよろしくお願いしたいと思います。こうした現場の課題、教員多忙の中身の把握に努めて、学校における働き方改革に向けて有効な対策を講じていただくようにお願い申し上げます。 今回、連携をテーマに県民に寄り添った県政運営のために、他県や市町村、企業など関係各位との連携を進めること、各現場の実態把握に努めること、各施策の研究開発を行うことなど、要請も含めて質問してまいりました。知事はじめ各部長から丁寧な御答弁を賜りました。 以上で質問を終えます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 以上をもって、石井孝君の質問は終わりました。 以上で本日の議事日程は終了いたしました。 明10日の議事日程は、一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後5時20分散会...