高知県議会 > 2022-03-04 >
03月04日-04号

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  1. 高知県議会 2022-03-04
    03月04日-04号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年  2月 定例会(第361回)-----------------------------------        令和4年3月4日(金曜日) 開議第4日-----------------------------------出席議員       1番  桑鶴太朗君       2番  上治堂司君       3番  土森正一君       4番  上田貢太郎君       5番  今城誠司君       6番  金岡佳時君       7番  下村勝幸君       8番  田中 徹君       9番  土居 央君       10番  野町雅樹君       12番  横山文人君       13番  西内隆純君       14番  加藤 漠君       15番  西内 健君       16番  弘田兼一君       17番  明神健夫君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  依光美代子君       26番  大石 宗君       27番  武石利彦君       28番  田所裕介君       29番  石井 孝君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        井上浩之君  総務部長       徳重 覚君  危機管理部長     浦田敏郎君  健康政策部長     家保英隆君  子ども・福祉政策部長 山地 和君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 尾下一次君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     山脇 深君  農業振興部長     杉村充孝君  林業振興・環境部長  中村 剛君  水産振興部長     松村晃充君  土木部長       森田徹雄君  会計管理者      井上達男君  公営企業局長     橋口欣二君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  澤田博睦君  公安委員長職務代理者 小田切泰禎君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員職務代理者             奥村陽子君  監査委員事務局長   中村知佐君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       行宗昭一君  事務局次長      山本和弘君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     川村和敏君  議事課長補佐     杉本健治君  主幹         春井真美君  主査         久保淳一君-----------------------------------議事日程(第4号)   令和4年3月4日午前10時開議第1 第1号 令和4年度高知県一般会計予算 第2号 令和4年度高知県収入証紙等管理特別会計予算 第3号 令和4年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第4号 令和4年度高知県旅費集中管理特別会計予算 第5号 令和4年度高知県用品等調達特別会計予算 第6号 令和4年度高知県会計事務集中管理特別会計予算 第7号 令和4年度高知県県債管理特別会計予算 第8号 令和4年度高知県土地取得事業特別会計予算 第9号 令和4年度高知県国民健康保険事業特別会計予算 第10号 令和4年度高知県災害救助基金特別会計予算 第11号 令和4年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算 第12号 令和4年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第13号 令和4年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計予算 第14号 令和4年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第15号 令和4年度高知県県営林事業特別会計予算 第16号 令和4年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第17号 令和4年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第18号 令和4年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第19号 令和4年度高知県高等学校等奨学金特別会計予算 第20号 令和4年度高知県流域下水道事業会計予算 第21号 令和4年度高知県電気事業会計予算 第22号 令和4年度高知県工業用水道事業会計予算 第23号 令和4年度高知県病院事業会計予算 第24号 令和3年度高知県一般会計補正予算 第25号 令和3年度高知県収入証紙等管理特別会計補正予算 第26号 令和3年度高知県旅費集中管理特別会計補正予算 第27号 令和3年度高知県用品等調達特別会計補正予算 第28号 令和3年度高知県会計事務集中管理特別会計補正予算 第29号 令和3年度高知県県債管理特別会計補正予算 第30号 令和3年度高知県土地取得事業特別会計補正予算 第31号 令和3年度高知県国民健康保険事業特別会計補正予算 第32号 令和3年度高知県災害救助基金特別会計補正予算 第33号 令和3年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算 第34号 令和3年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第35号 令和3年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第36号 令和3年度高知県農業改良資金助成事業特別会計補正予算 第37号 令和3年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第38号 令和3年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計補正予算 第39号 令和3年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第40号 令和3年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算 第41号 令和3年度高知県流域下水道事業会計補正予算 第42号 令和3年度高知県電気事業会計補正予算 第43号 令和3年度高知県病院事業会計補正予算 第44号 高知県動物愛護基金条例議案 第45号 高知県行政書士法関係手数料徴収条例等の一部を改正する条例議案 第46号 高知県個人情報保護条例の一部を改正する条例議案 第47号 高知県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例及び知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第48号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第49号 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案 第50号 高知県部設置条例の一部を改正する条例議案 第51号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例議案 第52号 職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例議案 第53号 高知県職員等こころざし特例基金条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県統計調査条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県国民健康保険法施行条例の一部を改正する条例議案 第58号 高知県青少年保護育成条例の一部を改正する条例議案 第59号 高知県立紙産業技術センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第60号 高知県新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金基金条例の一部を改正する条例議案 第61号 高知県家畜保健衛生所条例の一部を改正する条例議案 第62号 高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案 第63号 高知県営病院事業料金徴収条例の一部を改正する条例議案 第64号 警察職員の服務の宣誓に関する条例及び公安委員会委員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例議案 第65号 高知県警察手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第66号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第67号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第68号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第69号 都市計画道路はりまや町一宮線防災・安全交付金工事請負契約の締結に関する議案 第70号 (新)安芸中学校・高等学校体育館新築主体工事請負契約の締結に関する議案 第71号 県道の路線の認定に関する議案 第72号 令和4年度高知県一般会計補正予算 報第1号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第2号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第3号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(森田英二君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(森田英二君) 御報告いたします。 公安委員長西山彰一君から、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員小田切泰禎君を職務代理者として出席させたい旨の届出がありました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(森田英二君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和4年度高知県一般会計予算」から第72号「令和4年度高知県一般会計補正予算」まで及び報第1号「令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」から報第3号「令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」まで、以上75件を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 25番依光美代子さん。   (25番依光美代子君登壇) ◆25番(依光美代子君) おはようございます。一燈立志の会の新入生の依光美代子でございます。私は、今回初めての登壇ですが、皆さんはきっと私が73歳という年齢を顧みず、なぜ県議に挑戦したのか疑問をお持ちだと思います。 1つには、女性の声や住民の声を県政に届けたい。もう一つは、県民の幸福度の向上です。今回の集落実態調査で集落の現状が見えてきております。これは中山間地域に限ったことではなく、私の住む香美市でも空き家、空き地、耕作放棄地などが増えてきており、限界集落に近い状況が出てきております。このような状況は、我が町に限らず、近隣の香南市、南国市、そして高知市でも同じような状況だと思います。 私は、何とかしなければとの思いに駆られ、ここにおられる皆さんと一緒に力を合わせ取り組むことで、高知県民の誰もが人生100年時代を住み慣れた地域で安心・安全に暮らせる地域にしたいと、ここに立たせていただきました。年は73歳ですが気持ちは38歳でございます。まだまだ未熟者ですが、皆さんの御指導をいただきながら一生懸命努めてまいる所存でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、通告に従いまして5項目について質問させていただきます。 農福連携と林福連携の推進についてお尋ねをいたします。 少子高齢化が進む本県では、福祉、農業、林業、サービス業などの分野で慢性的な人材不足が年々深刻化しております。一方で、障害者に加えて刑務所出所者や少年院を出た方、薬物やギャンブルなどの経験者、ひきこもりの方、そして高齢者など障害者とは定義されない人たちで、働きづらさを抱えているために就労に結びついていない方々がたくさんいらっしゃいます。 私は、保護司をしておりますが、刑務所出所者や少年院を出てきた方への支援は、長期にわたって関わる必要がございます。就労しているかどうかで再犯率にも大きく影響するにもかかわらず、現行制度の公的な就労や生活支援のみでは十分でないために、再犯や依存症に陥ったりと、社会参加につながっていないケースが見受けられます。これらの方々に対して、入り口支援として適切な就労支援があれば、当事者の自立支援に加えて、本県の主要産業である農業などの1次産業における担い手の確保となり、社会課題の解決に期待が持てるようになります。 私は、これまで長年にわたり香美市の農業に携わる方々のお話を直接お伺いしてきました。特に中山間部をはじめ耕作放棄の進む地域の農家の方に現状をお伺いすると、高齢により、田畑を維持管理しようにも体力的にも困難になり限界であるという実情がございました。この状況は香美市のみではなく、県内の多くの地域で共通した課題であり、担い手や労働力不足の抜本的な対策が必要でございます。 1次産業と福祉の連携による数々の問題解決を目的とした農福連携の推進は、多様な人材の活躍の促進や1次産業の持続的な発展などとなり、いわゆるSDGs達成の観点からも、非常に意義のある取組として国の方針にも位置づけされております。加えて農福連携は、ダイバーシティーに表される地域共生社会づくりという観点だけでなく、日本の伝統文化である農業と国土を守ることにもつながる重要な可能性を秘めた取組となります。また、濱田知事が推進している第4期高知県産業振興計画にも、農福連携の推進政策が掲げられており、私自身とても期待しているところでございます。 そこでまず、農福連携の推進についての知事の御所見をお伺いいたします。 農福連携に取り組むことで、障害者などの就労や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく、担い手不足や高齢化が進む1次産業分野においても新たな働き手の確保につながります。近年、全国各地において様々な形での取組が行われており、農福連携は確実な広がりを見せております。 農福連携の取組効果としては、3つの期待を持つことができます。1つは、1次産業の基盤強化として、農家、農業法人などの労働力不足の解消、1次産業従事者の所得拡大効果としてといった、主に経済的な効果が期待できます。2つ目は、社会福祉として障害者や高齢者などの当事者における働く場や生きがいづくり、所得向上などの自立支援に向けた新たな取組となることに期待が持てます。3つ目は、地域コミュニティーの発展として取り組む地域において1次産業の活性化に伴う雇用創出効果や人口増加効果、また耕作放棄地の抑制や減少に加えて、障害のある学生や福祉に関心のある学生への実習、就労の場の提供となります。そして、地域住民や都市住民に対する体験、交流の場の提供など、地域におけるプラス効果のみだけでなく、多様な結びつきが形成されることで、新しい地域コミュニティーが形成される可能性も考えられます。 特に中山間地域をはじめとする農林山村では、少子高齢化によるコミュニティー機能の衰退による高齢者の孤独化や見守り機能の弱体化、地域文化の衰退が課題となっております。これらの課題に対しても、連携を通して障害者と地域住民の方々との交流を深めることで、地域のつながりを守り育てる効果が期待できます。 本県においても、官民挙げての農福連携の取組を県内に普及、展開していくとともに、1次産業と福祉の潜在性を育んでいくことで、地域共生社会の実現につなげていくべきと考えます。農福連携は、障害者の働く場をつくるとともに、働き手の確保につながるもので、それぞれ地域内の1次産業に応じた地域適合型のウィン・ウィンの関係を築く取組であります。 そこで、本県における農福連携に関する取組状況について子ども・福祉政策部長にお伺いします。 次に、農福連携には述べましたような直接的効果や派生効果が期待できるため、本県全域への普及に向けた仕組みの整備が重要となります。現在、運用されている実施モデルには、主に次の4つがあります。1つ目に直接雇用型、2つ目に福祉完結型、3つ目連携型、4つ目グループ内連携型です。 農福連携の実現には、幾つかの課題がございます。連携の中で最も大事なことは、1次産業の経営が発展し、障害者の所得が確保されることです。継続的、発展的な展開には、ビジネスとしての成立が必要です。農業と福祉、ビジネスの3者がつながった仕組みにより、障害者が1次産業の職域で正当に評価されて、その評価に対し賃金を支払うプロセスの成立が必要となります。 所得が確保される仕組みには、関係者の連携が重要となります。例えば、1次産業従事者と福祉事業者の連携に向けた相互理解と調整の場がないことが課題の一つに挙げられております。1次産業従事者と連携を行いたい福祉事業者が出会う場や農業者と福祉関係者が障害者にもできる作業情報を提供する場、そして福祉事業者が農業に関する知識と技術を勉強する場、また農業者が障害者福祉を勉強する場などが必要となります。 これらの課題解決には、行政、福祉、医療、民間組織の連携の仲を取り持つ仕組みや人材の確保、職場適応援助者支援事業、いわゆる農業版ジョブコーチという新しい支援方法の導入、農業関係者の障害者に対する理解の浸透が必要となります。特に障害者と農業者のマッチングや障害特性を踏まえた作業指示や配慮事項などの1次産業者への支援やアドバイスは、障害者の職場定着にとって非常に重要となってきます。 この制度を利用することで、障害者の職場適応に課題がある場合には、職場にジョブコーチが出向いて障害特性を踏まえた専門的な支援を行いながら、障害者の職場適応を図ることができます。また、国の制度利用が難しい場合においても、本県独自に特別支援学校や農業大学校での教育プログラムやインターンシップ制度などの導入の検討が可能と考えられます。 農業では、様々な作業が必要となりますが、障害者が取り組みやすいよう作業工程の見直しなど工夫することで、働き手としての可能性が広がります。 そこで、本県における農福連携の推進や普及の過程で生じている課題についての見解と、その課題を踏まえた今後の農福連携の普及推進体制について子ども・福祉政策部長にお伺いします。 さて、安芸福祉保健所管内では、積極的に行政、福祉、医療、民間組織が連携した農福連携の仕組みづくりを行い、一般就労と福祉的就労を併せて多くの方々が働かれております。また、行政が連携したバックアップによる就労継続の支援まで実施されております。 そこで、本県全体への安芸市をモデルとした農福連携の展開を提案しますが、知事の御所見をお伺いいたします。 最後に、高知市の民間企業では、林業関係者の所得向上と障害者の働く場の創出を目的とした黒潮薪本舗という林福連携の取組を実施されております。まきストーブ用のまきの製造・販売において、県産木質資源の有効活用と伐採、玉切り、まき割り、乾燥、箱詰め、発送までの労働を地域内で完結させる内容となっており、コロナ禍で全国的に需要の伸びるアウトドアビジネスへの林福連携の地産外商モデルと言えます。 そこで、森林率84%の本県においては、林福連携も有効と考えますが、第4期産業振興計画の中で林福連携政策を位置づけることについて知事の御所見をお伺いいたします。 次の日本一の健康長寿県構想における県民の健康管理の推進についてお尋ねをいたします。 本県では、平成22年2月に第1期の日本一の健康長寿県構想の計画が策定され、県民の誰もが住み慣れた地域で健やかで心豊かに安心して暮らし続けることを目指し、毎年各政策をさらに充実強化させ、今月には第4期Ver.3の改定を予定しております。 御承知のとおり、高知県の人口動態においては、人口の自然減少が全国に対して15年先行しております。また、高齢化率の上昇も10年先行している状況でございます。これに伴う労働力不足による県経済における機会喪失は、現在深刻な状況にあります。私の地元の香美市でも労働力不足によって事業継続が困難となり、廃業された事業者や農家を見てきました。 このような状況は、本県に限ったことではなく、将来的な日本全体の課題として注目されております。内閣府の「「選択する未来」委員会」では、経済活動はその担い手となる労働力人口に左右されることと、人口の急速な減少と超高齢化への流れが継続すると、労働力人口は2014年の6,587万人から2030年には5,683万人、2060年には3,795万人へと加速度的に減少していくと推測されております。総人口に占める労働力人口の割合は、2014年の約52%から2060年には約44%に低下し、働く人よりも支えられる人のほうが多くなる逆転現象が生じることが推測されております。 また、急速な人口減少は、国内市場の縮小や人々の集積や交流を通じたイノベーションの生みにくさによる成長力の低下を招きます。加えて、労働力不足を補うために長時間労働の深刻化やワーク・ライフ・バランスも改善されず、少子化がさらに進行していくという悪循環が生じる懸念がございます。こうした人口急減、超高齢化による経済へのマイナスの相乗効果を発揮し、一度経済規模の縮小が始まると、それがさらなる縮小を招くという縮小スパイラルに陥るおそれがございます。 以上の背景から、働き手へのサポートが重要となります。しかしながら、高知県では働き手の中心である壮年期男性の死亡率の高さが課題となっており、その要因としては糖尿病などの生活習慣病が約6割を占め、特に血管病が主因として挙げられております。加えて、男性の平均寿命と健康寿命が短い傾向にあり、日本一の健康長寿県構想の政策推進により改善はされてきているものの、全国平均を少し下回っており、さらなるてこ入れが必要と感じております。 私は、働き手のサポートでは、生産年齢人口の中心に当たる現役世代の健康の維持管理の機能強化が必要と考えます。それにより、健康寿命の延伸が実現し、現役世代が高齢者になった場合においても、雇用機会獲得への期待が持て、人生100年時代における生涯現役の実現につながるものと考えられます。 このように、高知県のみならず全国で進行する少子高齢化とこれに起因する顕著な労働力不足の社会的課題の解決には、高齢化の進展及び疾病構造の変化を踏まえ、特定健診などにより生活習慣病などをはじめとした疾病を予防、早期に発見することで、県民の健康寿命の延伸と健康格差の縮小を図ることで、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会の実現につながります。 厚生労働省の健康増進法第8条では、都道府県は基本方針を勘案して都道府県健康増進計画を定める、そして、市町村は基本方針及び都道府県健康増進計画を勘案して市町村健康増進計画を定めるとなっており、また都道府県及び市町村は、独自に重要な課題を選択して目標を設定し、定期的に評価及び改定を実施という方針が示されております。 そこで、日本一の健康長寿県構想は、各市町村と政策連携することで県内津々浦々までその効果が網羅的に発揮されるものと考えますが、本政策と各市町村政策との連携状況や今後の展開について知事にお伺いいたします。 次に、最新の認知症研究では、加齢、糖尿病や高血圧症などが認知症発症における危険因子とされております。日本一の健康長寿県構想の柱立てⅠの、健康寿命の延伸に向けた意識醸成と行動変容の促進の政策体系に示されているような、生活習慣の見直しや糖尿病や高血圧症などの血管病の早期発見、早期予防が認知症の発症予防につながる可能性がございます。 そこで、疾病予防や疾病の早期発見、早期治療の政策は、認知症の発症予防効果にも期待が持てるため、行政、病院、大学などと連携した取組が必要と考えますが、健康政策部長の見解をお伺いします。 そして、本県の特定健診の受診率を保険者別に見ますと、市町村国保と協会けんぽの未受診者が大変多い状況にございます。市町村国保の受診率は、令和元年度は37.7%で全国30位であります。また、特に協会けんぽの被扶養者は24.7%と低い受診率結果となっております。 そこで、このような未受診者へはどのような対策を行っておりますか、健康政策部長にお伺いします。 また、特定健診の結果、特定保健指導など血管病予防に関する生活指導及び医療が必要となった対象者への支援体制と実施状況、そして運用上の課題について健康政策部長にお伺いします。 最後に、健康経営高知家プロジェクトの登録企業は608社と、協会けんぽの加入事業者全体の4.7%となっております。本プロジェクトの参加宣言書には健診の受診100%を目指す旨が明記されております。この登録企業の増加は受診率向上につながります。 本制度は協会けんぽにより運用されております。普及に向け県もPRなどに積極的な協力が必要と考えますが、健康政策部長に見解をお伺いします。 次に、集落実態調査の活用方法についてお尋ねをいたします。 昨年4月24日付の高知新聞で、高知県の人口が5年間で5%減少したという記事が一面に出ました。国勢調査の速報値だったようですが、このニュースは多くの県民に大きなショックを与えたと思います。別の紙面には「人口減「何年もつか・・・」中山間からうめき声」という見出しで、厳しい条件の中で暮らしている県民の声が紹介されておりました。香美市も中山間地域を抱えております。以前は中山間地域の振興が課題でしたが、現在は中山間地域をどうやって維持するかが話題になっております。 香美市でも、中山間地域では一段と過疎・高齢化が進み、若者は仕事を求め山里を離れ人口減少が年々進み、地域の行事や祭り事など今後どうすればよいのだろうと嘆きの声を多く聞いております。 2月18日付の高知新聞には、県が2021年度に行った集落実態調査の中間報告の記事が出ておりました。「集落活動「維持困難」4割 県調査10年前より12ポイント増」という見出しがあります。39.3%が10年後の集落活動を維持できないと回答したそうです。私が香美市の中山間地域で見聞きして感じてきたことと一致しております。ただ、昨年の人口減少の記事と受け止め方が異なっており、今回はああやっぱりと感じました。それは多分多くの県民も同じ思いであったのではないかと想像しております。 10年間いろいろな取組がされてきました。しかし、結局は止められなかったという残念な思いです。ただ、県が力を入れてきた集落活動センターについては、満足度が75.2%と肯定的な評価が多かったようです。やはり集落活動センターの設置が中山間地域にとって一つの希望になっているということだと思います。 香美市にも2つの集落活動センターが開設されており、頑張っております。コロナ禍により人を集めることや集まることができず、計画していた取組ができずに、支援員さんがまきの販売などいろいろと工夫をしてしのいでおります。どこの集落活動センターも同じくコロナの影響を受け運営が厳しい中、頑張っていると思います。県からも引き続きの御支援やアドバイスをお願いしたいと思います。 さて、このような中山間地域を取り巻く厳しい状況については、県は既によく認識されていて、だからこそ10年ぶりの集落実態調査をされていると思いますが、その調査結果をどのように県民に伝え、自分事として認識してもらうかが重要でございます。 地域の課題があるのになぜその解決に向かわないのか、その理由はたくさんあるでしょうが、私はその最大の要因には、1つは諦め、そしてもう一つは自分事になっていないからだと思います。つまり、県や市町村の職員、あるいは地域の好きな人がやってくれるだろうという他人事の姿勢です。 それでは、せっかくこの調査をやっても、中山間地域を守ることにはつながらないと考えます。ですから、この厳しい現状を県民の皆さん一人一人に自分事として捉えていただく必要があるのです。そのためには、高知新聞に記事を書いてもらうだけではなく、あるいは県のホームページに資料をアップするだけでなく、もっと強く県民に認識してもらうための手だてを考えておく必要があると思います。 調査結果をどのような方法で県民に伝えることをお考えなのか、中山間振興・交通部長にお伺いします。 香美市には集落活動センターが2か所あると申しましたが、そのうちの1か所は集落活動センターひらやまです。香美市平山地区にあります。この地域はもともと集落の皆さんの意識が高い地域だったのですが、それをより強くしたのは大学生たちの活動でした。学生さんたちが毎週のようにやってきて、地域イベントに参加したり、運動会や夏祭りといった伝統的なまちづくりイベントを復活させたりしました。その結果、地元の若い人たちが奮起して平山青年団が復活し、集落活動センターの設置につながっております。 なぜそういうことが起きたのか。それは10年前の集落実態調査がきっかけだったのです。10年前の集落実態調査の項目を簡素化して、学生さんたちが平山地区を自分たちで全戸調査を実施しました。その結果、皆さんでもっと話合いの機会を持ってほしいと一人の学生さんが泣きながら訴えたことが集落が動き始めたエネルギーになったのです。 この例に限らず、皆さんが御存じのように大学生たちの地域活動が地域の活性化のきっかけになっていることは間違いございません。香美市では、高知工科大学のCSLの皆さんが地域の皆さんを元気づけていますし、高知県立大学もずっと関わりを続けています。これから中山間地域対策課を中心に、あらゆる手段を駆使して結果の周知に努められると思います。 これは私からの提案なのですが、県内の大学や高等学校にお願いして、集落実態調査の結果や集落が抱えている課題について、県職員自らが直接大学や高等学校に出向き、大学生や高校生、そして教職員に説明する機会を設けていただくことはできないでしょうか。そうすることで、自分事として主体的に動いてくれる県民を増やすことができ、将来の高知県を担う人材にもなると考えますが、中山間振興・交通部長の見解をお伺いいたします。 次に、オンパクの推進についてお尋ねします。 香美市では、かみめぐりというまちづくりと観光振興を目的とするイベントが今年初めて開催されました。知事の提案説明にもあったように、まさに本県の強みである自然・体験型観光の基盤を生かし、SDGsにも寄与する「あそんで、まなんで、めぐりあう」香美を廻る11の体験プログラムです。食をテーマに、その食に携わる人など、香美市ならではの資源にスポットを当て、地域の自然や暮らし、文化などへの理解を深めることができる体験型観光の一つなのです。 香美市が主催で、地元のNPO法人が事業委託を受けて開催しております。参加者へのアンケート調査の分析は、イベントの終了後になされると思いますが、関係者に聞くところでは、コロナ禍で一部中止となった企画もありましたが、好評だということです。かみめぐりはオンパクと呼ばれている地域観光振興策だそうですが、大分県別府で始まり、現在は全国に広がってきております。 高知県内では、中芸地域のゆずFeSが最初で、その後佐川町のわんさかわっしょい体験博、津野町、土佐町、仁淀川流域市町村でも開催され、香美市でも開催されているのです。まだきちんと研究がなされているかは確認できておりませんが、識者の話では次のような効果が期待できると伺いました。 1つに、地域にあるよいものやことを観光資源にすることができる。2つ目に、地域で特技を持った人、魅力的な事業を行っている人など、まちの財産となるような人財の発掘をすることができる。3つ目に、イベントをつくっていく過程で地域の人財につながります。4つ目、地域住民が地域のよさを認識し、誇りを取り戻すことができます。5つ目、地域のファンが増える。以上のような効果が期待できると伺っております。 香美市は、移住してこられる方が多い地域なので、移住者もこのイベントに参加することで、移住者同士や前から香美市に住んでいらっしゃる方と新しい住民の交流につながり、あるいは移住を考えておられる方たちの移住を促すことにもつながります。このようなイベントを行うと、当然のことながら大きな経費がかかります。全額を市町村が負担している場合もあるようですが、高知市が取り組んでいるれんけいこうち体験型地域資源開発・活用事業の一環として位置づけてもらい、特別交付税措置で賄っている市町村もあります。ただ、どの市町村も財源には限りがあり、予算が縮小されている、あるいは今後は縮小せざるを得ないという現状にあります。せっかく地域が元気になる、とりわけ中山間地域ではやる気を起こすきっかけになる、あるいは地域住民をつなぐ大切な事業として芽を出したばかりなのに、先々の不安を抱えながら取り組まざるを得ないという課題を抱えているのです。 そこで、お尋ねをいたします。県は、県内各地で開催されるようになっているオンパクの取組をどのように認識し、そして評価されていますか、観光振興部長にお伺いします。 また、現在オンパクを含めて市町村や地域が主催する様々な観光づくりイベントに対して、県としてどのような支援をされているのか、観光振興部長にお伺いします。 最後に、高知県は新しい休日として地域観光を積極的に展開しており、ホームページを見ると500程度の体験プログラムも提供されております。地域の宝を磨き上げて観光プランにされているわけです。 オンパク手法によるまちづくりイベントについても、このような体験プログラムと連携する市町村主体のイベントとして評価していただき、県の観光施策の一つに位置づけ、県としての支援ができないでしょうか。支援というのは具体的には財源の確保であり、またイベントの広報においても支援が必要と考えます。そうすれば、もっともっと他の市町村にも広がっていくでしょうし、それが高知県の担い手の育成につながっていくはずです。このことについて観光振興部長の御所見をお伺いいたします。 最後に、物部川の濁水対策についてお伺いをいたします。 物部川に異変が起き始めたのは20年前頃からです。平成5年に発生した大規模な山火事に始まり、鹿の食害による被害の増加や森林崩壊、そして台風などの豪雨に伴う広域的な山腹崩壊などによる土砂がダムに流入し、濁水の長期化が始まり現在に至っております。特に平成30年7月の豪雨では、私の地区に流れている物部川は、豪雨による観測開始以降、第2位の水位を観測する洪水が発生しました。川の流れは氾濫危険水位まで3センチに迫る水位となり、河口から複数箇所での堤防漏水や甚大な被災が発生いたしました。物部川の様子は見るも無残な状況となり、濁水は長期間続き大変でございました。 幸いにも私の地元であります下ノ村地区では、国土交通省、高知県をはじめ関係各位の御尽力により協力的に推進していただいた物部川の引堤事業完成のおかげで、この豪雨による災害を未然に防ぐことができました。改めてこの場をお借りしてお礼を申し上げます。誠に感謝申し上げます。 近年では、気候変動の影響と言われている豪雨災害の頻発化や激甚化が各地で勃発しており、私をはじめ流域住民の不安や危機感を募らせております。この濁水への対応について過去の物部川に関する委員会などの意見を見ますと、令和2年度の物部川濁水対策検討会においては、上流から海岸域までの土砂循環の把握及び土砂が流下しないことによる環境上のリスクを整理して総合的な土砂管理の推進に関する意見がございました。また、物部川流域治水協議会の中では、改めて永瀬ダムの濁水及び堆砂対策については流域全体で総合的な土砂管理に対する対策が必要ということを、流域3市の市長や関係者の認識が一致したと聞いております。 このことを受けて、今年度の物部川濁水対策検討会では、度々発生する山腹崩壊を目の当たりにしている森林組合をはじめ土地改良区や地域の関係者、また学識経験者などが加わり、流域全体で濁水の長期化の抜本的な解決に向け総合的な土砂管理について検討を行ってきたそうです。 そこで、これまで行ってきた濁水対策の取組とその効果について土木部長にお伺いいたします。 また、今年度の検討の中で、物部川の抱える土砂の流入や濁水長期化などの課題解決に向け、山地から海岸までを一体的に捉えた物部川全体の濁水対策を含む総合的な土砂管理に関する基本的な考え方を取りまとめると聞いております。この内容及び今後の取組について土木部長にお願いいたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 依光議員の御質問にお答えをいたします。 まず、農福連携の推進についてお尋ねがございました。 農福連携は、障害のある方や生きづらさを抱える方の農業分野での活躍を通じまして、自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組であります。農業分野にとりましても、高齢化などによります担い手不足が深刻になっている中でございますので、新たな働き手の確保といった相乗効果がございまして、御指摘もありましたように、福祉と農業双方にとってウイン・ウインの関係にあるというふうに考えております。 農作業に取り組むことによりまして、障害者の方々の精神面あるいは身体面の状態がよくなる、あるいは生きづらさを抱える方の居場所が確保されるといった様々な効果が期待をされるところであります。農福連携は、障害者などが地域の一員となり、地域で支えられる立場から地域を支える立場になるということができる取組でありますので、地域共生社会の実現に貢献をすると、そういった側面もあるというふうに考えております。 このため、県の基本政策でございます高知県産業振興計画や日本一の健康長寿県構想の中に、農福連携をしっかりと位置づけまして取組を進めております。障害のある方あるいは生きづらさを抱える方502名が、令和3年3月の時点で農業に従事をされております。この数字は2年間で約2倍に増加するといったことになっておりまして、農福連携の取組は県内で着実に広がりを見せているというふうに考えております。 農福連携は、お話もございましたように、触法者の方々の立ち直りに向けた取組としても注目をされております。さらには、林業、水産業におきましても農福連携と同様の取組が見られるということになっており、従来の枠組みにとらわれない取組も展開をされ始めております。 農福連携におきます農と福のそれぞれの広がりを推進していくということによりまして、農福連携をキーワードとして地域共生社会の実現を目指してまいりたいと考えております。 次に、本県全体に安芸市をモデルといたしました農福連携の展開を図っていくということについてお尋ねがございました。 御紹介がありましたように、安芸市におきましては、福祉、医療、行政などの関係機関が一体となり、障害のある方、生きづらさを抱える方々の自立や就労に向けた支援が行われております。 具体的には、年齢や障害の有無に関わりませず、最初に把握をした相談機関が受け止めて必要な支援につなげていくということ、そして一つの部署で抱え込まずに、関係機関と相談をし合いまして、各分野の検討会議にかけて方向性を確認するということ、さらに農福連携の就労先や福祉・医療などとも連携をいたしまして、多分野連携、重層的な支援を基本としているということなどであります。 この安芸市の取組は、地域共生社会の実現を目指しました社会福祉法の改正に伴いまして、各市町村において整備が求められております包括的な支援体制を農福連携という視点から具体化するものというふうに評価されると考えます。 こうした安芸市の取組は、ひきこもり支援としても高く評価を受けておりまして、昨年10月には国において先進事例として全国に紹介をされているところであります。 県といたしましては、全市町村におきます、ただいま申し上げました、いわゆる包括的な支援体制の構築を目指しまして、アドバイザーの派遣を行いますほか、体制整備を推進いたします国の新たな事業の活用を促すということなどを通じまして、市町村を支援してまいります。あわせまして、安芸市のような好事例を県内全域に横展開をしていくことで、農福連携が進展をするとともに、ひいては地域共生社会の実現に寄与いたしますよう、県としても引き続き積極的に取り組んでまいります。 次に、産業振興計画の中で林福連携政策を位置づけることについてどうかというお尋ねがございました。 林業分野におきましても、農業分野と同様でございますが、従事者は減少傾向にあります。そして、福祉的な就労を含めまして、多様な担い手により労働力を確保していくことが重要であるという事情も同様であるというふうに考えております。また、農福連携と同じように、障害のある方、生きづらさを抱える方々の就労の場の確保という意味でも、林福連携が進むことは大変意義があるというふうに考えております。 林業の現場といたしましては、苗木の植栽、下刈り、伐採などの林内作業や、製材品、木製品の生産・加工、キノコや山菜、木炭といった特用林産物の生産など様々な現場がございます。 このうち、林業分野に従事する人の大半を占めますのは、林内作業あるいは製材分野となりますけれども、こうした分野は労働災害の発生件数も多うございまして、万が一事故が発生した場合には大きな労働災害につながるということも危惧されるという側面もございます。 その点、安全で取り組みやすい作業といたしましては、お話もありましたような、まきの箱詰めでございますとか、シイタケの収穫といった特用林産物の生産あるいは木工製品の組立ての作業といったものが挙げられると考えます。 こういった作業には、現に既に障害者の就労継続を支援する事業所の利用者の方などが従事をしているケースが多くございまして、林業と福祉双方にとってメリットがある取組だというふうに考えられます。こうしたケースを拡大するために、林業サイドからも県内の複数の福祉事業所に対しまして、こういった取組への参入の打診を行ってまいったところであります。 しかしながら、現在までのところ、事業所におけます関心を十分に高めることができておりませんで、取組の拡大には至っていないというのが現状でございます。また、特用林産などの経営体の多くも自家労力のみで経営が可能といった事情がございまして、人手を要しないケースが多いということもあり、新たな広がりにつなげることができていないという状況でございます。 以上のような状況でございますので、まずは今までの努力を受けまして、引き続き福祉事業所への働きかけを行いますとともに、林業・木材産業者のニーズを踏まえました就労のマッチングに取り組んでまいりたいと考えております。そうした実績を踏まえました上で、将来的な産業振興計画への位置づけについて検討をしてまいりたいと考えております。 最後に、日本一の健康長寿県構想におきます各市町村の政策との連携状況あるいは今後の展開がどうかというお尋ねがございました。 長寿県構想は、健康増進計画や保健医療計画、地域福祉支援計画などといいました県が定めます法定の計画に横串を刺すと、そして各計画間の関連性、整合性を確保して実効性を高めた、そうした性格の構想でございます。 こうしたそれぞれの計画策定の過程におきましては、市町村や関係機関も参画をしていただいており、そうした結果として長寿県構想も市町村が定める各種の計画事業と密接な関連性を持つものとして構成をされているという関係になっております。 また、県の各福祉保健所におきましても、管内の市町村や関係機関と連携をした実効性のある取組となりますように、定期的に年2回程度ということでございますが、意見交換、情報共有の場を持つという形にしております。 そうした結果、一例といたしましては、平成28年9月に県がプラットフォームとして仕組みをつくりました高知家健康パスポート事業におきましては、平成30年度には全ての市町村が健康パスポートを活用したインセンティブ事業を実施するようになるというような連携が取られております。こうした県、市町村間の連携によりまして、利用者の増加にもつながり、令和4年1月末時点では5万人を超える方々に健康パスポートを利用していただいているということになっております。 また一方、例えば介護保険の制度におきましては、市町村の事業計画を踏まえ、例えば施設サービスの整備などを県の施策に反映していくといった形で、そういった方向性で市町村から県へという形で、県の介護保険事業支援計画の策定につなげるというような関係性を持っておるというところでございます。 今後におきましても、日本一の健康長寿県構想の目指します高知県の姿を実現するということに向けまして、市町村、関係機関と連携・協調を図りながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。 私からは以上であります。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) まず、本県における農福連携の取組状況についてお尋ねがございました。 農福連携につきましては、農業振興部と連携を取りながら意識の醸成や啓発、マッチング支援、定着支援といった取組を行っております。 まず、意識の醸成、啓発につきましては、有識者による講演や農家による事例発表を行う農福連携サミットや、障害者等が栽培した農作物を販売する農福マルシェを開催しております。あわせて、実際の農作業を障害者等が体験することで作業内容の理解につなげる農作業体験会なども行っております。 次に、マッチング支援では、農福連携促進コーディネーターを配置し、農家と障害福祉サービス事業者とのマッチングなどを支援しております。さらに、定着支援では、農福連携に取り組む障害者や農家への指導・助言などを通じて就労後の定着を支援する農福連携就労定着サポーターを配置しております。 こうした取組により、農業現場で活躍いただいている障害者等は、この2年間で約2倍に増加しております。年齢や障害の有無にかかわらず、支援の必要な方が農福連携を通じて自立や社会参加、生きがいにつながるよう、引き続き市町村とともに農福連携の取組を支援してまいります。 次に、本県における農福連携の推進や普及の過程で生じている課題についての見解と、その課題を踏まえた今後の農福連携の普及推進体制についてお尋ねがございました。 障害者への支援に対する課題につきましては、福祉事業所の中には農福連携に取り組んでいない事業所があること、福祉と農業とのマッチング機能を強化する必要があること、農家等と障害者との直接雇用の拡大などがございます。 そのため、令和4年度は、農福連携に取り組む福祉事業所を増やし、利用者のサポートを充実させていくために農福連携促進コーディネーターを1名増員し、2名体制で支援を行ってまいります。また、障害福祉の共同受注窓口機能を強化し、農業側の情報をこの共同受注窓口に集約することで、マッチング支援をより積極的に進めてまいります。さらに、就労後の定着支援を行う農福連携就労定着サポーターの機能強化や、農福双方の知識を有し、啓発から定着まで支援できる農業版ジョブコーチの育成に取り組んでまいります。 特に生きづらさを抱える方につきましては、福祉の制度サービスの対象とならない場合には福祉専門職によるサポート体制が十分ではないといった課題がございます。そのため、啓発からマッチング支援、定着支援までの体制が構築されている安芸市の取組などを農業部門、福祉部門の双方で共有し、県内全域への展開を図ってまいります。 現在、農業、福祉、行政機関が連携した地域地域のネットワークである農福連携支援会議は、安芸市や高知をはじめ11地域19市町村で設置されております。また、農福連携支援会議間の情報共有などを目的とした高知県農福連携支援調整会議を昨年11月に設置したところです。 こうした会議を通じて、市町村との連携を密にしながら農福連携の普及推進に引き続き取り組んでまいります。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、疾病予防や早期治療がもたらす認知症発症予防効果について、病院や大学等と連携した取組が必要ではないかとのお尋ねがございました。 世界保健機関、WHOの認知症予防ガイドラインでは、運動不足、喫煙、不健康な食事、アルコールの過度の摂取などの生活習慣や、高血圧、糖尿病などの特定の疾患が認知症発症のリスク要因として示されております。 こうした生活習慣の改善や疾病予防については、高知家健康パスポートを活用した健康づくりや特定健診の受診勧奨、人工透析導入時期の延伸を図るための介入などを日本一の健康長寿県構想に位置づけて積極的に進めてまいりました。 また、いきいき百歳体操など地域の集いの場での活動や、心身の機能低下を防ぐためのフレイルの予防の推進などについて、市町村と連携して取り組んでいるところです。加えて、認知症の早期発見、早期対応につきましては、高知大学医学部附属病院と4つの医療圏域ごとに医療機関を認知症疾患医療センターとして指定し、速やかな鑑別診断や治療などに当たっております。これらの事業の企画、検討や結果の評価の際には、大学教員や医療機関の医師、市町村などと協議しながら進めております。 今後におきましても、こうした種々の取組については、市町村や医療機関、大学などと一層連携を図りながら進めてまいります。 次に、特定健診の未受診者への対策についてお尋ねがございました。 議員のお話にもありましたように、市町村の国保加入者の受診率と協会けんぽの被扶養者の受診率は、県全体よりも低い状況になっております。 このため、市町村国保の加入者については、市町村から、未受診者に電話または訪問などを行うことにより、未受診者への受診勧奨を強化しております。あわせて、県からは、受診率が低い若い世代の国保加入者などに対して、未受診の場合に受診勧奨のリーフレットを再度送付するなど、受診率の全体的な底上げに努めております。 また、協会けんぽの被扶養者については、協会けんぽから受診率が低い事業所を訪問するなど、重点的な対策を行っていると伺っております。特定健診は、生活習慣病のリスクを早期に発見し、生活習慣の改善による発症予防や早期治療のために非常に重要なものです。 こうした取組を継続することで、健診の意義と効果を理解していただき、未受診者の受診につなげてまいりたいと考えております。 次に、生活指導や医療が必要となった方への支援体制と運用上の課題についてお尋ねがございました。 特定健診の結果、特定保健指導や医療機関の受診が必要となった方には、まず市町村の保健師や管理栄養士などにより保健指導を行っています。 その中でも、糖尿病などの血管病のリスクのある方には、市町村に加えて医療機関や薬局など関係者による支援体制が重要になります。特に糖尿病性腎症の重症化が疑われる方に対しては、かかりつけ医など医療関係者と連携した保健指導を行うプログラムを策定しているところです。あわせて、医療機関で早い時期から指導を受けられるよう、血管病調整看護師を育成することや、薬局で治療の中断を防ぐためのチェックシートを導入することなど、支援体制の強化に取り組んでおります。 運用上の課題といたしましては、まずは御本人が生活習慣にしっかり取り組んでいただくために、いかに御自身のリスクを理解していただくか、また保健指導に関わる関係者のさらなる技術力の向上も鍵と考えております。 このため、リスクを理解するための特定健診の受診率の向上を図ることと併せて、市町村や医療機関の保健師などを対象にした技術研修を強化してまいります。 最後に、健康経営高知家プロジェクトの普及に向けた県の協力についてお尋ねがございました。 県では、協会けんぽと協同で各圏域において事業所を対象とした職場の健康づくり応援研修を開催し、健康経営の取組を推進してまいりました。 具体的には、糖尿病や歯周疾患予防に関する講演のほか、協会けんぽによる健康経営高知家プロジェクトのPRなども行われております。このように、事業所の健康経営の取組の推進を図っているところですが、お話にありましたように、登録企業は608社と全体の4.7%となっております。 県では来年度、県内事業所100か所、100社ほど訪問し、高知家健康パスポートを活用した従業員の健康づくり支援や健康課題に応じた具体的な助言を行うなど、健康経営の取組をさらに推進していくこととしております。あわせて、プロジェクトの参加についても働きかけを行い、健診受診率の向上につなげてまいりたいと考えております。   (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇) ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) まず、集落実態調査の結果はどのような方法で県民に伝えるのかとのお尋ねがございました。 今回の集落実態調査では、県職員はもとより、市町村職員の皆さんにも委託先の調査員とともに聞き取り調査に参加していただき、地域の実情や住民の皆様の思いを直接お聞きできる機会を設けたところです。 あわせて、調査結果につきましては、市町村にフィードバックすることとしており、集落対策や移住促進、生活環境の整備など、市町村での施策づくりや集落の将来像を話し合う際の基礎資料として活用していただきたいと考えております。 また、地域おこし協力隊や集落支援員など地域づくり活動を支える方々に加え、今後集落活動を担っていただく若者や住民グループに向けても、人材育成の研修などの機会を通じて積極的に調査結果をお知らせしてまいります。 さらに、県民の皆様には、県の広報番組やさんSUN高知などの広報紙、ホームページなどの広報媒体を活用して、あるいは多くの集落活動センターが参加する物販交流イベントを通じて、調査で明らかとなった集落の厳しい現状や住民の皆様の思いなど、中山間地域が置かれている状況をしっかりとお伝えしてまいります。あわせて、中山間地域の魅力や集落活動センターをはじめとする中山間対策についてもお知らせしていきたいと考えております。 集落実態調査の結果は、これまで取り組んできました県の中山間対策の評価や新たな施策の展開に役立てることはもちろんですが、市町村が実施する中山間対策の基礎資料として、また県民の皆様が中山間地域に注目し、交流人口や関係人口の拡大につなげることで、より意義あるものとなると考えております。 次に、大学生などに調査結果を説明する機会を設けることについてお尋ねがございました。 集落の維持や活性化の取組を進める上で、観光などによる交流人口の拡大や、地域が抱える課題の解決に関わる関係人口の拡大は、地域外の人がもたらす刺激や担い手の創出など、非常に重要な要素であると考えております。今回の集落実態調査におきましても、約3割の集落代表者が集落の活性化に必要な取組として、地域の祭りやイベント行事など人との交流を挙げられております。 また、議員のお話にもございました集落活動センターを例に取りましても、大学などがセンターを実習や研究のフィールドにし、地域の活性化や課題解決に向けた活動も行われております。中には、土佐町石原地区のように大学生が実際に地域の担い手となって活躍されているような事例もございます。県では、鳥獣被害対策について高等学校の生徒さんなどを対象とした出前授業を行ってきた実績もございますし、現在県内の大学から集落実態調査の結果を説明してほしいとのお話もいただいているところです。 今後、このような機会を生かして教育機関や学生の皆さんに中山間地域の実情や住民の皆様の思い、課題などをお伝えし、住民との協働による活動をさらに広げていきたいと考えております。   (観光振興部長山脇深君登壇) ◎観光振興部長(山脇深君) まず、オンパクの取組に対する認識と評価についてお尋ねがございました。 いわゆるオンパクは、自然や文化、歴史、食などの地域資源や地域人材を生かして様々な体験プログラムを開発し、地域全体を会場に1か月程度の間、開催するものです。募集定員が少ないプログラムや、一日だけの取組でも参加ができますので、初めての方でもチャレンジしやすい仕組みとなっております。このため、地域資源をより広く発掘していく点におきまして、とても有効な手法だと思います。 また、こうして各地域の観光資源の芽が次々と掘り起こされていくことは、地域観光の振興を図る上におきましても、またお話にもありました移住者の方も含め、多くの住民の方々が参加する形で地域の活性化を図っていくという点におきましても、大変重要なことだというふうに思います。 一方で、オンパクによって掘り起こされたそれぞれの体験プログラムが、今後いかに収益性のある集客事業として継続をし、雇用の拡大や地域の活性化につなげていけるかといった点が今後の課題だと認識をしております。 次に、県の支援や観光政策への位置づけについてお尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えをいたします。 オンパクなどによる観光資源の発掘の取組は、先ほど申し上げましたとおり、体験型の観光商品をつくるスタートの段階として非常に重要な取組でありまして、県の観光政策にも位置づけております。 このため、県では、土佐の観光創生塾を開催し、オンパクなどにより掘り起こされた観光資源を磨き上げ、継続して販売できる商品化を目指して支援しているところです。これまでにも、例えば土佐和紙を使ったアクセサリーづくり体験などのように、オンパクに参加した後に観光創生塾を通じて商品化された事業も幾つかございます。 今後も、地域で行う観光資源の発掘と磨き上げ、これらをしっかり連動する形で進めていきたいと思います。 また、イベント開催に係る経費への財政支援につきましては、現在多くの市町村が事業費の8割が特別交付税で措置される財源的に有利なれんけいこうち広域都市圏のメニューを活用しているというふうに承知をしております。 ただ、現行の県の補助制度でも、オンパクのような立ち上げ段階などにあるものにつきましては、観光資源創出ステップアップ事業としてイベント経費への支援は可能だと考えております。過去には、れんけいこうちでメニュー化される前に開催されました佐川町のわんさかわっしょい体験博プレイベント、これもオンパク事業ですけれども、県の補助金による財政支援を行ってきているところでございます。 また、イベントのPR支援につきましても、県の観光キャンペーンをはじめ、様々な媒体を通じてこれまで以上にしっかりとPRをしていきたいというふうに思っております。   (土木部長森田徹雄君登壇) ◎土木部長(森田徹雄君) まず、物部川で行ってきた濁水対策の取組と効果についてお尋ねがございました。 永瀬ダム上流域で多発している山腹崩壊などにより、ダム湖に流れ込んだ土砂は、降雨による出水のたびに濁水の発生源となっております。このため、流域の山林では国や県、森林組合などにより、森林の維持のための間伐事業や、崩壊の拡大を防ぐための治山事業が進められています。 また、県では永瀬ダムの選択取水設備や、本体下部に設置しております高圧バルブを活用し、ダム湖からの濁水の早期排出を促す運用なども行っております。あわせて、国土強靱化対策予算を活用し、ダム上流の河川やダムに堆積した土砂のしゅんせつを進めているところです。 これらの取組によりまして、下流の国道55号新物部川橋地点で物部川濁水対策検討会が定めた基準以上の濁りが観測された日数は、濁水の発生が顕著となった平成16年から平成20年までの5か年平均でおよそ105日であったものが、令和3年までの直近5か年平均ではおよそ80日まで減少するなど、一定の軽減効果が現れているものと考えております。 次に、物部川の総合的な土砂管理に関する基本的な考え方と今後の取組についてお尋ねがございました。 物部川において、平成16年に濁水が長期化し社会問題となったことを契機に、県は平成17年度に物部川濁水対策検討会を立ち上げ、ダム上流域から発生する濁水の改善に向け議論を深めてまいりました。 この議論の中で、土砂を上流から下流まで適切に流す総合的な土砂管理が必要と提起されたことを受け、流域全体での濁水対策を検討するため、今年度から新たに11名の委員に加わっていただき、計4回の検討会を開催いたしました。この検討の結果、永瀬ダムを含めた3つのダムの連携や改良などにより、上流域の土砂を下流域まで適切に流す方法を検討の上、実施すべきであるという提言が今年度末までに取りまとめられる予定です。 県としましては、今後この提言を受けてダムの改良なども含めた具体的な対策の検討を、関係機関とも連携しながら進めていきたいと考えております。 ◆25番(依光美代子君) 御丁寧な答弁をいただきまして、障害があってもなくても、共に生きていけれるという地域共生社会の実現を積極的に取り組んでくださるということで大変期待をしております。 集落実態調査のことで1点お伺いしたいんですが、その市町村へフィードバックして詳細はそういう形で届けるということですが、県下各地で活躍している市町村議員に対しては何かなされているんでしょうか。それが関心のある人はホームページだとかいろんなものを取り寄せているけれど、意外と知られていない、前回のときの状況を私もちょっと知っていますが、そういう状況、せっかくのこの結果や課題が生かされるためにも、地域で活動しているそういった議員に対してこのことを知ってもらうということは非常に大事ではないかということを思います。 一つの提案ですが、こうち人づくり広域連合、そこでトップセミナーであったり議員セミナーが、その中で取り上げることで皆さんが十分理解し、また自分事として受け止めてくれるんではないかと思いますが、そういうことは検討できないでしょうか。 もう一点、大学のほうから希望があってぜひという依頼があったということで、そして出前授業なんかもやっているということをお聞きして、とても心強いと思いましたが、その待ちの姿勢ではなく、せっかくの機会ですから、こちら側から学校にこういうことをぜひ説明させてくださいというような、そういった働きかけはできないものでしょうか。その2点について中山間振興・交通部長にお伺いいたします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 再質問にお答えします。 まず、市町村議会の皆様への周知なんですが、私、10年前も集落実態調査、担当課長で務めまして、その際市町村ごとのデータを加工しまして、それを御覧いただけるような形まではさせていただいて、職員の方まではお届けできたんですが、その際、その議会の皆様にというところでは対応できていなかったと思います。先ほど議員からお話がありましたような機会をつくりまして、今概要版もつくっているところですので、それに関しては対応させていただきます。 それからもう一つ、学校へのアクションということですが、先ほど私、答弁で言葉足らずでありましたが、県立高校に関しては、年間10校ほど鳥獣被害対策の出前授業をやっております。その土台となりますのが、10年前の集落実態調査の内容なども併せて学んでいただくということもやっておりますので、そういうような機会も生かして、それから県内の大学につきましては、それぞれ県の中山間対策と深い関わりがございますので、そちらに向けてもアクションを起こしたいと思っております。 ◆25番(依光美代子君) ありがとうございました。 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございます。(拍手) ○議長(森田英二君) 暫時休憩いたします。   午前11時17分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(加藤漠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 8番田中徹君。   (8番田中徹君登壇) ◆8番(田中徹君) 自由民主党の田中徹でございます。それでは、早速質問に入らせていただきます。 初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いいたします。 2月1日、後藤厚生労働大臣は、日本医師会の中川会長とテレビ会談し、新型コロナウイルスの感染疑いのある患者を診る発熱外来の約3割が発熱外来であることを積極的に公表していないとして、改善に向けた協力を求めたとの報道がございました。本県では、いち早く検査協力医療機関を公表されましたが、全ての医療機関名を公表している都道府県は、当時本県と埼玉県だったとお聞きしています。 本県は、導入から1年半以上経過いたしますが、実現に至った経緯や当初懸念されていた風評被害の現状について知事にお伺いをいたします。 次に、高齢者施設や医療機関でのクラスターが発生した場合の対応について数点お伺いいたします。今般の第6波と言われる感染拡大期において、本県でも高齢者施設や医療機関などにおいて多数のクラスターが発生しましたが、施設の種類によって対応は変わり、それぞれの場合で発生状況も違うなど、初期対応に苦慮されたのではないかと感じています。全国でもBCPは用意していたものの、当初の想定を上回る感染拡大が起き、事業継続の前提が覆されるといった事例や、高齢者施設において司令塔的な役割を担うはずであったスタッフが感染し、計画を変更せざるを得なかったという事例も報道されています。 そこで、本県で発生した高齢者施設や医療機関でのクラスターにおいて、県が取った初期対応とはどのようなものであったのか、また今般の経験から今後どのように対応されていかれるのか、健康政策部長、子ども・福祉政策部長にそれぞれお伺いいたします。 そして、新型コロナウイルスが今後さらに感染拡大した場合や、将来新たな感染症が発生したときへの備えとして、感染症に対応できる人材を育成していくことが必要ではないかと考えています。 ここで、2月24日配信の医療専門メディアの記事を少し紹介させていただきます。笠原敬奈良県立医科大学附属病院感染症センター長が医療メディアのインタビューに次のように答えられています。「これは今後に向けた課題ですが、福祉施設や教育施設など様々な施設において感染対策が可能な人材を育成していく必要があります。我々専門家が現地に入り、レクチャーしている内容はそれほど高度な内容ではありません。研修制度か、もしくは資格の認定制度か、スタッフが感染対策の知識とスキルを身につける仕組みをつくることで現場の対応力を上げることができると考えています」といった内容です。 また、国において、予備自衛官制度のスキームを参考に、医療従事者においてもふだんはなりわいを持ちつつも、有事の際には現場で活動することのできる仕組みが構築できないかという話を、先日医師の方々と意見交換させていただいた際にお聞きしました。本県においても、クラスター発生時には医療従事者を派遣する仕組みは構築されていますが、様々な理由でこれまでの実績は数件にとどまっているとお聞きしています。 そこで、さきにも述べましたように、将来に向けて有事の際に医療人材を確保する観点からも、感染症に対応できる人材を育成していくことが必要と考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、無症状者への無料検査についてお伺いします。2月20日配信の医療専門メディアの記事によりますと、検査センターや薬局での無症状者への無料検査について、医療専門メディアが会員である開業医や勤務医、また薬剤師等を対象に2月8日から13日にかけてヒアリングしたところ、2,677人の回答者のうち約半数の方が、一時中止にするという対応が必要と答えています。 また、検査キットの不足がうたわれる今、自費検査よりも行政検査が優先されるべきであり、症状がなく不安を抱えているといった方々への検査は行われたとしても有料であってもよいのではないかといった御意見もお聞きします。 そこで、本県において無症状者への無料検査について、今後どのような方針の下、対応していかれるのか、健康政策部長にお伺いいたします。 次に、情報発信についてお伺いします。これまでも知事の情報発信については、多くの議員が議会で質問を行うなど、県民の皆様の注目が集まっています。とりわけ新型コロナウイルス感染症に関して県民の皆様へのお願いなどは、知事御自身が言葉を選ばれ慎重に発言されていらっしゃることと思います。本日もこの後、新型コロナウイルス感染症対策本部会議が開かれ、まん延防止等重点措置の解除を含め今後の方針について情報発信される予定とお聞きしています。 私は、この第6波の感染者数が高止まりしている中で、まん延防止等重点措置が解除されることによって再拡大が起きないか危惧しているところです。今後、本県においても感染力がさらに強いとされるオミクロン株BA.2への置き換わりが進み、今まで以上に社会機能が麻痺する可能性もあるのではないかと大きな危機感を抱いています。 今、私は重大な局面を迎えていると思いますが、知事は現在の感染状況をどのように捉えられ、本日の対策本部会議に臨まれるのか、知事にお伺いいたします。 次に、新たな事業に取り組もうとする企業に対する支援についてお伺いいたします。長引くコロナ禍において、現在も飲食店をはじめとする多くの県内事業者が大きな打撃を受けています。生活スタイルや企業活動は大きく変化し、今後も変化をし続けることと思いますが、こうした社会構造の変化期だからこそ、新たなニーズが生まれるときでもあり、それらに対応することで新たなビジネスチャンスにつながるのではないかと考えています。全国的には新たなニーズに着目するなど、新しい取組をしたいという企業も出てきているとお聞きしています。 そこで、こうした新たなチャレンジに取り組もうとする企業に対して、県としてどのように支援していかれるのか、知事にお伺いいたします。 次に、コロナショックが及ぼした子供たちへの影響についてお伺いします。今、不登校やひきこもりの児童生徒がかつてないほど急増しています。昨年10月に文部科学省が発表いたしました、令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では、不登校児童生徒数が過去最多を記録しており、県内の小中学校でも前年度比121人増の1,238人となったことが分かりました。 突然の休校、分散登校やオンライン授業、度重なる行事の中止。マスク生活を余儀なくされ、楽しい食事の時間も黙食。共有の中で育まれる人間関係や思い出づくりも半減し、これまでと違う学校生活の変化にリズムをつかみ切れず、ストレスを抱える児童生徒も多くいるのではないかと思います。休むことが許されている環境の中、もともと不登校ぎみの生徒はもちろんですが、そうではない生徒も長引く制約のある生活が希望を失わせ、長時間家にいることが増えたせいもあり、昼夜が逆転するなど不規則になり、それがきっかけで不登校になるケースもあるとお聞きしました。2020年3月、初めて県内の小・中・高校等に一斉休校の措置が取られて2年、いまだ学校の非日常は解消されていませんし、子供たちの不安や悩みは増大するばかりです。 コロナ禍で曖昧になっている隠れ不登校も含め、子供たちのSOSをしっかり受け止め、決して孤立させない体制づくりが急務と考えられます。高知県としても既にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの拡充は図られているかと存じますが、保健室登校が増えている状況下、各学校にサポートルームを設置するなど、新たな居場所づくりを模索していくことも必要ではないでしょうか。本県でも4つの中学校をモデルケースとして、校内適応指導教室の設置が進められているかと思います。 そこで、ますます厳しくなっていくコロナ禍での子供たちの心理的ケアのサポート体制として、これまでの取組の成果と今後のさらなる取組について教育長にお伺いいたします。 また、公立では全国初の夜間中学が2021年4月に開校している高知県ですが、学び直しや日本語習得の機関としてだけではなく、不登校の学齢生徒の受入れを可能にするなど、時代に合ったニーズが求められているのではないかと感じます。 そこで、今現在不登校やひきこもりの中学生にも夜間中学への門戸を広げていくおつもりはないのか、教育長にお伺いいたします。 コロナ禍で不登校やひきこもりの児童生徒が増える中、同じく見過ごしてはいけないのが保護者の休職、退職といった離職問題です。最初は遅刻や早退、やむを得ず欠勤といった感じで現状が好転するのを皆さん後ろ髪を引かれながら両立されているのですが、それにも限界があり、結局のところ、勤め先に迷惑がかかるという理由と親の代わりはいないという理由で職を離れる方が増えているのが現状です。 介護休暇や看護休暇、育児休業とは異なり明確な事由が示しにくく、保障されていないのが現実で、大多数の方が悩みを抱えながら仕事をされています。時代背景を考えたとき、不登校児童を持つ保護者が取得できる養育休暇のようなものがあってもよいのではないかと考えますが、休暇制度を創設するとなると様々な課題があるものと承知しています。 そこで、まずは仕事を持つ保護者が子供たちに寄り添えるように、仕事と家庭とのバランスが両立できる労働環境を整備していくことが大切であると考えますが、県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いいたします。 子供は親を見ています。親に余裕がなければ、それは子供にも伝わります。コロナ禍だからこその支援の在り方をこの変容した世界で展開していかなければならないと考えています。 次に、市町村における地方創生の取組についてお伺いします。 御案内のとおり、地方創生関係交付金は、地方版総合戦略に基づく地方公共団体の自主的、主体的で先導的な取組を支援することにより、地方創生の深化を促すものです。地方創生推進交付金や地方創生拠点整備交付金について、近年の県内市町村の交付状況を確認させていただきましたが、全体的にあまり活用されていないのではないかと感じました。 交付金の趣旨を考えれば、私としては県内市町村にもう少し積極的に活用していただきたいと考えますが、県としてこの状況をどのように捉えられておられるのか、また今後どのように市町村を支援されるのか、総務部長にお伺いいたします。 次に、れんけいこうち広域都市圏事業についてお伺いいたします。このれんけいこうち広域都市圏事業は、来年度が1期目の最終年度となり、2期目に向けて今後は第2期のビジョンを策定される予定とお聞きしています。高知市が中心となった事業ではありますが、県内全ての市町村が参画することから、県全体での連携した取組が広がることや各市町村間での連携の広がりに、私自身も大いに期待を寄せているところです。 そこで、このれんけいこうち広域都市圏事業が1期目の最終年度を迎えるに当たり、県としてこれまでの取組に対してどのように評価されておられるのか、また第2期に向けてどのような期待を寄せておられるのか、総務部長にお伺いいたします。 次に、高知家プロモーションについてお伺いします。 議会初日には、この高知家プロモーションについて、来年度が10年目を迎えることから、これまで積み上げてきた財産を大いに活用しながら、関西圏をはじめ県内外において集大成となるプロモーションを展開し、本県の露出拡大と高知家の認知度向上につなげますという知事からの提案説明がございました。このプロモーションについては、私も何度も議会で質問をさせていただきましたし、10年という節目の取組に大きな関心を寄せています。 そこで、10年目を迎えるこの高知家プロモーションについて、具体的にどのような取組を展開されるのか、知事にお伺いいたします。 次に、移住促進の取組についてお伺いします。 昨年5月に発表がありました令和2年度の本県への移住実績は963組であり、対前年比で93%と初めて前の年を下回る結果となりました。減少の大きな要因は、新型コロナウイルス感染症の影響ということですので、コロナ禍にあっても減少を最小限に止め、一定は健闘したという評価もできますが、本県人口の社会増減の均衡を図るためには、引き続き県外から本県への移住者の増加を期待しているところです。 第4期産業振興計画では、令和5年度に年間移住者1,300組という高い目標が掲げられており、県はコロナの影響を受けてもその目標を下方修正することなく取組を進めていますが、目標達成にはコロナを契機とする移住関心層の志向や傾向を捉えて施策を展開する必要があると考えます。 今年度においても、第5波、第6波と続くコロナ禍において、移住相談会などのイベントが思うように開催できなかったのではないかと考えますが、どのような工夫の下で事業に取り組み、実績につなげているのか、中山間振興・交通部長にお伺いします。 また、来年度に向けては、集落実態調査で明らかとなった中山間地域の担い手の確保の面からも移住促進の取組をさらに強化する必要があると考えます。 そこで、どのような視点で移住施策のバージョンアップを図るのか、中山間振興・交通部長にお伺いします。 また、従前から移住の達成には仕事と住宅の確保が重要であるとお聞きしています。中でも住宅の確保については、県内各地で移住者に提供できる空き家が不足しているとお聞きしています。このことは集落実態調査において、Iターンの方の受入れに必要な支援として空き家を有効活用できる支援を求める意見が多数を占めていることからも明らかです。 一方で、平成30年の総務省の調査では、本県の空き家率は全国ワースト1位となっており、空き家はあるが活用されていないという残念な状態にあると思われます。空き家の増加は全国的な課題であり、防災面、衛生面からもその解決が求められているところです。折しも先日発表された来年度の県の組織改正では、土木部住宅課に空き家対策の専門チームを配置して対策を強化するとのことでした。空き家率ワースト1位の本県が本腰を入れて取り組むことは、まさに課題解決先進県としての姿勢を示したものであり、大いに期待するところです。しかしながら、これまでも空き家対策には取り組んできたことと思います。 そこで、今回強化する空き家対策のポイントは、具体的にどのようなものであり、これまでとどういう点が違うのか、土木部長にお伺いします。 次に、アニメ産業集積プロジェクトの推進についてお伺いいたします。 第4期高知県産業振興計画ver.3では、今後の成長の原動力となるデジタル化、グリーン化、グローバル化を部局を超えた連携テーマとして掲げ、取組を抜本強化するとしています。中でもデジタル化では、これまで推進してきた1次産業のデジタル化に加え、アニメ産業集積プロジェクトといった新しいプロジェクトも促進するとのことで、私も注目をしています。 アニメ産業では、本年1月17日、高知信用金庫と高知県、高知市、南国市、須崎市が協定を締結し、アニメクリエイター聖地プロジェクトとして、アニメクリエーターが高知に集まる仕組みづくりを進めていくこととなったとお聞きしています。高知市ではアニメ関連企業やアニメクリエーターを高知に招くカンファレンスやイベント、南国市ではクリエーターを目指す若者の職業体験会、須崎市ではアニメクリエーターとコラボしたまちづくりイベントと、県内の市町村との連携で進める取組も計画されており、アニメクリエーターの集積のみならず、地域の活性化にもつながる非常に効果的なプロジェクトと感じ、今後の事業展開に大きな期待を寄せています。 他方で、県のプロジェクトはアニメ産業の集積を目指すとのことですが、関連企業の多くは東京に集中しており、全国的に見てアニメ産業が集積している地域はまだないといったこともお聞きしており、誘致や集積のハードルは高いのではないかと感じています。 そこで、アニメ産業の現状や課題をどのように捉え、どういった戦略でアニメクリエーターやアニメ関連企業を呼び込もうと考えていらっしゃるのか、知事に御所見をお伺いいたします。 また、アニメクリエイター聖地プロジェクトと県が連携テーマに掲げるアニメ産業集積プロジェクトは、どのように連携し進めていこうとされているのか、産業振興推進部長にお伺いいたします。 次に、林業の振興についてお伺いします。 本県は、皆様も御承知のとおり、全国第1位の森林率84%を有する森林県であります。この豊かな森林資源を有効に活用することは、中山間における雇用の確保や経済の活性化など、地域の振興に必要不可欠な取組であり、ひいては県勢の浮揚にもつながるものと考えています。 県におかれましても、産業振興計画の一つの分野に林業を掲げ、原木の生産から加工・流通・販売に至るまでトータルでの支援を実施しており、原木の生産量や製材品等の生産額など着実に成果を上げてきていることは大変心強く思っています。加えて、高幡地域では4月からの操業開始に向けた新たな製材工場の整備が進んでおります。昨年からのウッドショックと言われる、かつてない木材需給の変動が起こっている中、この製材工場では乾燥や強度などの品質が明確なJAS材の供給や大径材の加工にも対応していると伺っており、今後県内の林業・木材産業がさらに活気づいていくことを願っているところです。 他方、原木の生産量に目を向けてみますと、産業振興計画が始まった翌年の平成22年から平成29年にかけての生産量は165%と大きく上昇しているのに対し、平成30年からは令和元年に過去最高の67万1,000立米となったものの、その伸びは鈍化してきています。 私自身、こうした状況の中で、現場の実態がどうなっているのかを把握するため、地域の森林組合を訪問し、実際に原木の搬出が行われています現場を視察しながら意見交換を行ってまいりました。その中で出てきました御意見として印象的であったのは、作業道をしっかりと整備していくことの重要性でありました。 本県の山は急峻なところが多いことから、架線による原木の搬出技術が発達してきましたが、より生産性を高めていくためには、可能な限り作業道を整備し、高性能林業機械等による車両系での搬出現場を増やしていくこと、またそうすることで作業員の労働強度の軽減や安全性の向上にもつながるとのことでした。加えて、皆伐後の再造林や下刈りなどの造林作業においても、こうした作業道は有効に活用できるとお伺いしました。 一方で、本県のような急峻な地形では作業道の開設にかかるコストが高くなってしまうことや、雨の多い本県では開設後の修繕に対する経費も必要となることから、県の補助事業があるとはいえ、事業体としてもコストに見合った作業道の整備に苦慮しているとのことでした。また、植栽時に行っている鳥獣害対策用の柵についても、設置後の状態の見回りや修繕等の管理において、それなりの経費が発生し苦労しているとの御意見がありました。 そこで、作業道の開設及びその後の修繕と鳥獣害対策用の柵の管理に対するより一層の支援について林業振興・環境部長にお伺いいたします。 次に、原木生産の拡大と併せて再造林などの森林資源の循環利用に向けた取組についてお伺いします。再造林につきましては、県が策定しています脱炭素社会推進アクションプランにおいても、森林吸収源対策として重要であり、補助事業による支援とともに、皆伐後に植栽を予定していない森林所有者に対して、地域ぐるみで再造林を進めていく活動を行っていると承知しています。 さきの視察時の意見交換では、この再造林とその後の苗木の成長のために必要とされる5年程度の下刈りは、作業員にとって大変負担の大きい作業であると伺いました。近年は、苗木の運搬にはドローンを活用し、下刈りは刈り払い機を利用するなどの改善は図られてきていますが、やはり重労働であることには変わりません。再造林や下刈りといった、いわゆる造林作業に主に従事する作業員については、国の森林組合統計の本県の数値を見てみますと、平成30年度の作業員数は159人となっています。また、この159人のうち60歳以上が76人となっており、全体の48%を占めていることから、このままでは10年もすれば半減してしまうのではないかと考えさせられてしまいます。 森林資源の循環利用、森林吸収源対策を進めていくためにも、この造林作業に従事する担い手の確保や育成に対し、県としての積極的な取組が必要であると考えますが、林業振興・環境部長にお伺いいたします。 次に、皆伐後の再造林のさらなる強化策についてお伺いします。県は、産業振興計画において令和5年度の再造林率を70%とする目標を掲げ、再造林への補助率を最高で標準単価の95%まで引き上げるとともに、増産・再造林推進協議会を県内6林業事務所に設置し、地域の市町村や森林組合などの林業事業体と連携し、再造林の促進に取り組んでいます。こうした取組により再造林面積は産業振興計画が始まった翌年度の平成22年度の175ヘクタールから令和3年度には270ヘクタールまで増加すると見込まれています。その一方、原木の増産に向けて皆伐地も増えてきており、再造林率にすると40%前後で推移している状況となっています。 さきに述べた地域の森林組合との意見交換においても、高率補助にもかかわらず再造林に取り組んでいただける森林所有者はなかなか増えないとお伺いしました。今は、戦後に植栽された人工林の多くが利用可能なところまで成長してきており、当面の原木生産への影響は少ないのかもしれませんが、林業は木の成長に40年から50年を要し、長期的な展望に立って進めていくことが必要であることから、再造林面積の拡大は喫緊の課題であると考えます。 こうしたことから、さらなる再造林の促進に向けてこれまでの施策に加えて、もう一歩踏み込んだ取組の強化が必要であると考えますが、林業振興・環境部長にお伺いいたします。 次に、気候変動や地球温暖化への対策についてお伺いします。 気候変動問題に関し、温室効果ガスの削減に取り組む国際的な枠組みであるパリ協定では、産業革命以降の温度上昇を1.5度以内に抑えるという努力を追求することが盛り込まれています。また、気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCの1.5℃特別報告書によると、この目標を達成するためには2050年のカーボンニュートラルが必要という報告もなされています。 私自身も、この気候変動、地球温暖化への対策は、将来世代に豊かな環境を引き継いでいくためにも非常に重要な取組であり、喫緊に取り組まなければいけない課題であると認識をしています。 国は令和2年10月にカーボンニュートラルを宣言し、本県は令和2年12月議会の加藤議員への答弁の中で、知事自らが高知県として2050年のカーボンニュートラルを目指して取り組んでいくことを宣言されました。その後、本県では宣言から1年をかけて、県だけではなく、関係する業界団体や有識者、市町村などからの多くの御意見や助言などを踏まえ、知事を先頭に県庁全体でカーボンニュートラルの実現に向けた具体的な行動計画である高知県脱炭素社会推進アクションプラン案を練り上げてこられたと受け止めています。 先日拝見した、そのアクションプラン案は、温室効果ガスの削減目標について国を上回る高い目標を掲げ、本県の強みである豊富な自然資源を生かした再生可能エネルギーの導入促進等に取り組むとともに、グリーンLPガスのプロジェクトへの参画、木造建築物の環境価値に着目した都市計画や税制面での優遇措置を検討する環境不動産の取組など、野心的な施策も織り込んだ経済と環境の好循環を目指す計画であると認識をしています。 加えて、市町村との連携を深め、脱炭素の先行地域を目指す動きを県内各地に広げていくことにも取り組むこととしており、私自身は目標達成に向けた実効性だけではなく、コロナ後の県勢浮揚も見据えた計画であると高く評価をしています。このアクションプランは、来年度が実行初年度となりますが、いかに実行し成果を上げていくのかが重要になってくると考えます。 そこで、知事御自身のアクションプランへの評価と実行に向けた意気込みについてお伺いをいたします。 また、温室効果ガスの削減目標である2013年度比で47%以上削減という高い目標を達成するためには、県民総ぐるみで取り組むことが必要であり、業界団体や市町村はもとより、県民一人一人の行動変容が必要になると考えますが、具体的にどのように取り組んでいかれるのか、林業振興・環境部長にお伺いします。 最後の項として、自然災害に対する防災意識の啓発についてお伺いします。昭和47年7月5日、早朝から降り続ける豪雨により追廻山が崩落し、住民や救助作業に当たられていた消防団員など60人もの貴い命が失われました。あの未曽有の惨劇となった繁藤災害の発生から50年が経過しようとしています。この繁藤災害の教訓を風化させることなく、次世代につなぐことが重要ではないでしょうか。 また、近年全国各地で気候変動による大規模な自然災害が発生しています。昨年も静岡県熱海市で大規模な土石流が発生するなど、梅雨末期に多い大雨による災害が起きています。毎年6月には、土砂災害防止月間として全国で様々な取組が行われていますが、繁藤災害から50年を迎える本県にとって、さらなる取組の強化が必要ではないかと考えます。 そこで、繁藤災害も踏まえ自然災害に対する防災意識の向上を図る取組について知事の御所見をお伺いし、第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 田中議員の御質問にお答えをいたします。 まず、新型コロナウイルス感染症関係で検査協力医療機関の公表についてのお尋ねがございました。 この流行の当初におきましては、少数の限られた規模の大きい医療機関しかこの検査を実施しておりませんで、県民の皆さんにとっては利便性に欠けるという面がございました。また、これらの医療機関の名称は非公表ということにされておりました。したがいまして、発熱など症状がありコロナ感染を疑いましても、どこで検査が実施可能なのかが事前には分からないような状態でございまして、多くの県民の皆さんから不安感を持たれているような状況であったということが背景にございます。 そうしたことがございましたので、広く地域の医療機関が有症状者に対してこのコロナウイルス関係の検査を実施する枠組みをつくりたい、そして医療機関名を県民の皆さんに公表することによりまして速やかに受診しやすい環境づくりを進めたいと、こうしたことで現在の仕組みの構築に至ったところであります。このために、県の医師会でございますとか郡市医師会の御協力をいただきながら、各地で説明会を行いまして、検査の実施、そして名称の公表に協力をしていただける医療機関を郡市の医師会単位で取りまとめていただいたということでございます。 その結果、令和2年9月10日から、まずは18市町村、85の医療機関に御協力いただけるということで、これを県のホームページで公表し検査を開始いたしました。御指摘もありましたように、本県と埼玉県、全国47都道府県のうち2県だけが全国に先駆けましていち早く医療機関名を公表するという形でのスタートとなりました。御質問にございましたように、名称の公表前には参加予定の医療機関から風評被害の発生を懸念する声がございましたけれども、公表後は現実にはそのようなお話は全く伺っておらないということでございます。 検査協力医療機関は、県内のコロナ対策の上で大きな役割を果たしておりますし、県民の皆さんの間にも定着をしているというふうに考えております。現在では、28市町村、240の検査協力機関におきまして、日々数百件の検査が行われており、各医療機関や医師会の御尽力、御協力に心より感謝申し上げているところでございます。 次に、感染症に対応できる人材を育成していく必要性についてお尋ねがございました。 御指摘もございましたように、今回の感染第6波におきましては、高齢者施設、医療機関などにおきまして多くのクラスターが発生をいたしました。医療従事者も多数感染をするという状態でございまして、医師や看護師が不足するような事態も生じてまいりました。県といたしましては、県の医師会あるいは県の看護協会に医療従事者の派遣を要請いたしまして、クラスターが発生した施設に派遣をするというコーディネートをしてまいったところでございます。 しかしながら、感染拡大によりまして県全体の医療体制が逼迫している中での派遣職員の確保は、これはなかなか容易ではないということはございますので、やはりおのおのの医療機関などにおきまして、感染管理体制を強化していただくということがぜひとも必要だというふうに考えております。 本県におきましては、これまでも地域の感染管理認定看護師などの専門家等を構成員としましたネットワークを活用いたしまして、医療機関あるいは高齢者施設の職員を対象といたしました講習会などを実施し、スキルアップを図ってまいりました。 さらに、来年度から新たな取組といたしまして、医療機関、高齢者施設で勤務をされる看護職員の方々を対象に、専門的な知識、技術を習得する研修を開催いたしまして、感染拡大防止に向けて各施設でリーダー的に活動していただける感染管理看護職員を育成すると、そういう予定にいたしております。 こうした取組を通じまして、感染対策の知識を学ぶ機会を設け、それぞれの施設におきましてしっかりと感染対策ができる人材育成につなげてまいりたいと考えております。さらには、議員から御紹介もございましたけれども、国において感染対策専門の医療従事者を養成して、有事の際には広域的な派遣ができるような体制整備、こういったものが必要ではないかということについては我々も同感でございまして、この点につきましては全国知事会などを通じて国に提言してまいりたいと考えております。 次に、現在の感染状況をどのように捉えまして本日の対策本部会議に臨むのかというお尋ねがございました。 本県の感染状況は、2月12日にまん延防止等重点措置が適用されて以降、新規感染者数は全体としては減少の傾向にございますし、病床の逼迫度合いも改善傾向が続いているところでございます。具体的な数字で申しますと、直近の1週間当たりの新規感染者数は、ピーク時に比べて約25%減少をいたしております。ただ、最近は前の週の同じ曜日よりも増となる日も続いて生じているというような傾向にございまして、やや下げ止まり感ないしは再拡大の懸念を感じさせるような状況にございます。 一方で、最も重視をいたしております病床の占有率につきましては、30%台前半で安定的に推移をいたしておりますし、このうち重症病床の占有率も30%前後の水準で推移をしているということでございます。これは、本県がまん延防止等重点措置の適用の目安として設定しております病床占有率の水準、基準となります40%をかなり下回る水準で推移をしております。 また、全国の各県の状況を調べまして、これと相対的な比較を見ておりましても、本県の新規の感染者数、病床占有率は比較的低いところに位置しているという状況にございます。こうした状況を踏まえまして、本県の重点措置につきましては、今月の6日の期限をもちまして解除されるように、昨日国に対して正式に要請をいたしたところであります。本日、政府の対策本部におきまして解除の決定が正式にされる予定となっております。 しかしながら、ただいま申し上げましたように、本県の新規の感染者数を見ますと、下げ止まりから再拡大の兆しも見られると、そういった状況にあるというのが正直なところでございまして、重点措置を解除された後も十分な警戒を怠ることができないと考えます。 また、ここ数日は感染の主体が再び若い世代に移行しております。家庭内の感染などによりまして、若い世代から重症化リスクの高い高齢者などに感染が拡大をしていくと、こういったシナリオが再度発生をするということも懸念される状況にあるわけでございます。 したがいまして、本日予定しております対策本部会議におきましては、県民の皆様に対しまして決して警戒を緩めることなく引き続き感染防止対策を徹底していただきたいというメッセージを発信したいと考えております。また、第6波の感染収束に向けましては、ワクチンの追加接種が鍵となってまいりますので、できるだけ早く3回目の接種を受けていただくように呼びかけてまいりたいと考えております。 次に、コロナ禍によります社会構造の変化に対応して、新たなチャレンジに取り組む企業への支援についてのお尋ねがございました。 議員からお話がございましたように、コロナ禍によります社会構造の変化は、新たなニーズを生み出し、またビジネスチャンスを生じさせるものであるというふうに考えます。しかしながら、技術やノウハウ、資金といった様々な課題もございます。こうしたビジネスチャンスを生かし、新たな事業に踏み出す県内企業は必ずしも多くはないというのが現状でございます。 このため、産業振興センターや商工会、商工会議所などが新たな事業展開をお考えの事業者の方々が抱える様々な相談に対応いたしますとともに、事業戦略あるいは経営計画の策定の支援にも取り組んでいただいているところであります。 さらに、異業種間の交流や先進的な技術、ノウハウを有します企業とのマッチングの機会を設けるということで、新たなアイデアを生み出すきっかけづくりを提供しております。その上で、新たな取組に踏み出そうとする企業に対しましては、国の事業の活用を促すということと同時に、県単独の補助制度、融資、利子補給の制度を設けまして支援を行っているところでございます。こうした支援によりまして、製造業や宿泊・飲食サービス、さらには卸小売業をはじめといたしまして幅広い分野の方々が新たな取組をスタートさせているところでございます。 こうした取組を来年度も引き続き総合的に実施していくということによりまして、新たな事業にチャレンジをしようとする企業の皆様を強力にバックアップしてまいる考えであります。 次に、仕事と家庭とのバランスが両立できるような労働環境の整備にどう取り組んでいくのかというお尋ねがございました。 不登校の状態にあります児童にとりまして、身近な保護者の方の寄り添いは何よりも大切であります。また、こうした保護者の方々も、仕事を続けながら児童に寄り添うことができる高知県を目指すべきだというふうに考えております。そのためには休暇制度の充実に加えまして、実際に休みが取りやすい、そうした環境づくりが大変重要であります。 これまで県におきましては、労働局あるいは関係機関で構成をいたします働き方改革推進会議のメンバーと共に、休暇の取得促進セミナーあるいはキャンペーンなどを行ってまいったところでございます。その結果、児童のサポートにも活用しやすい時間単位の年休制度を導入している企業の比率は、令和元年度29.0%でございましたところが、令和3年度には41.8%となりまして、12.8ポイント増加をしてまいりました。 また、年次有給休暇の取得の状況につきましても、令和元年度の平均5.8日から令和3年度は7.9日と2.1日伸びてまいったところでございます。しかしながら、全国の有給休暇の取得状況と比べますと、なお低い水準にとどまっているということでございますので、まだまだ休みを取りやすい環境に至っているとは言い難い状況だというふうに認識しております。 このため、引き続き経営者の方々の意識醸成に向けましたセミナー、あるいは企業内で働き方改革を推進するリーダーの育成に取り組んでまいります。加えまして、休みやすい職場づくりを実践しております企業の先進事例の普及啓発を様々な機会を捉えて実施してまいります。 関係者の方々と連携をし、粘り強く働きかけていくということによりまして、様々な事情を抱えておられる方々も仕事と家庭を両立できる、そうした高知県を目指してまいります。 次に、高知家プロモーションの取組についてお尋ねがございました。 高知家プロモーションは、本県の認知度向上を図りまして、外商の拡大や観光振興、移住促進の成果につなげていくということを目的といたしまして、平成25年度から取り組んでおります。これまで「高知県は、ひとつの大家族やき。」というコンセプトの下に、著名人あるいは県民の皆さんに御参加をいただきまして、家族のような温かい県民性というコンセプトで全国に発信をしてまいりました。 その結果、県内外におきまして高知家の認知が広がってきておるということは確かだと考えますし、県民の皆さんの間にも、高知県は一つの大家族という意識が定着してきたものと捉えております。県内では、高知家を冠するイベントが数多く開催されておりますほか、ロゴマークが商品パッケージに使用されるという形で、多方面で幅広く御活用いただいているというふうに考えています。令和4年度は、10年目の節目となりますことから、これまで培った財産を大いに活用し、県民の皆さんの意識に根づくようなインパクトのある取組にしたいというふうに考えております。 こうした取組を進めていく上におきましては、これまで高知家プロモーションに御協力をいただきました著名人、県民の方々など多くの方々に御参加をいただきたいというふうに考えております。その上で、末永く高知家に愛着を持っていただけるように様々な企画を展開してまいる考えであります。 また、特に新年度は関西戦略の取組を後押しするという考え方から、メディアとの情報交換会、あるいはパブリシティー活動などによりまして、関西メディアを通じました本県の露出拡大というところに重点を置いてまいりたいと考えております。 令和4年度は、こうした取組を通じまして本県のさらなる認知度の向上を図り、県産品の外商拡大、観光振興、移住促進、こうした成果につなげていきたいと考えております。あわせて、今後も引き続き高知家が県内外で愛されまして、広く活用されますように取り組んでまいります。 次に、アニメ産業の現状と課題、アニメクリエーターやアニメ関連企業を本県に呼び込む戦略につきましてお尋ねがございました。 日本のアニメーションは、世界を席巻しております一方で、近年国内のアニメクリエーター不足の深刻化、あるいはアニメ制作におきます国外発注の増加といった課題が生じております。特に東京一極集中が顕著なアニメの制作の現場におきましては、制作技術を持つ人材の不足が常態化しておるというふうに言われます。その一因に、地方から上京しての就業は生活面で困難があるといった理由が挙げられているところでございます。 こうした背景もございまして、アニメーションの作画工程におけますデジタル化という点を追い風といたしまして、近年はアニメクリエーターを目指す若者が潜在いたします地方へ分業化を検討する制作会社が増えている状況にございます。この流れは、年々増加しております国外発注を国内の発注に切り替える動き、これにつながるというふうにも考えられるところでございます。 まさしく、こうした動きのある中で、昨年東京のアニメ関連企業が本県に制作会社子会社を立ち上げていただきまして、採用の募集を行われたところであります。その結果、県内外から155人の応募があったというふうにお聞きをしております。このうち、全体の半数以上が女性であり、また県の在住者及び県の出身者が84%を占めていたということでございます。若干名程度の採用の予定のところにこれだけの応募があったということでございまして、改めましてアニメ産業の人気の高さを実感いたしましたし、県内在住の女性や若者、さらにはUターン、Iターン希望者の就職先として極めて有望であるということを実感いたした次第でございます。 アニメの制作におきますデジタル化や分業化の動きは、今後ますますの進展が見込まれると考えます。したがいまして、地方への進出を検討される制作会社はさらに増えてくるというふうに想定をいたしております。こうした企業に、本県を進出先として選んでいただくためには、人材の供給あるいは制作環境が重要でございますので、県内のアニメクリエーターの養成あるいは環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。 こうした取組を通じましてアニメクリエーターやアニメ関連企業の集積を図り、産業の活性化、雇用の創出につなげてまいりたいと考えております。 次に、アクションプランへの評価と実行に向けた意気込みにつきまして、脱炭素社会関係についてのお尋ねがございました。 気候変動の問題は、世界全体で取り組んでいかなければならない課題でございまして、また我々自身も我が事、自らの問題として認識をし取り組まなければならない喫緊の課題であると考えます。このため、御紹介もいただきましたように、私自身、昨年度12月議会の場におきましてカーボンニュートラルの宣言を行わせていただき、またその実現に向けたアクションプランの策定に取り組むということといたしました。 その際に、特に重視をいたしましたのは、第1に、カーボンニュートラルの確実な達成に向けた施策、そしてプロセスを明確にする、そしてその進捗、成果を県民の皆様にお示しできるようにするということ、第2に、その際には本県としての役割をしっかり果たすということは当然でありますが、我が国全体、日本全体にどう高知が貢献できるかという視点を持つこと、そして第3に、本県の豊富な自然資源といった強みを生かしていくということとともに、経済と環境の好循環の創出にも挑戦をしていくといった点でございます。 今回のアクションプランにおきましては、こうした私が特に重視をしました内容が反映をされ、施策としても盛り込むことができたのではないかというふうに考えております。例えば、温室効果ガス排出量47%以上削減という目標に関連いたしましては、58項目、89の指標によりましてCO2の削減量を積み上げ、それを実現するために148の関連施策をひもづけするという体系を取っております。この148の施策には、全て進捗を管理する指標を設定いたしておりまして、いわゆるPDCAサイクルを回していくということにより実効性を高め、県民の皆さんに成果を分かりやすくお示しができるように工夫をいたしております。 また、本県の恵まれた自然資源を生かすといった点につきましては、本県の電力需要以上の再生可能エネルギーの導入を目指すと、言わば自給率を100%以上にしていくということによりまして、全国の電力の再エネ化に貢献をしてまいりたいと考えております。さらに、御紹介もいただきましたけれども、木造建築物の持つ環境面での公益性を評価いたしまして、都市計画、税政等において、建築主の方々を支援する新たな制度設計を行っていくと、こうした環境不動産の取組も行っていくということによりまして、本県林業の振興と併せて都市の脱炭素化の動きを加速させるというプロジェクトも進めてまいりたいと考えております。さらに、豊富な森林資源を活用いたしましたグリーンLPガスプロジェクトによりまして、新たな産業の育成にも挑戦をしていきたいと考えております。 こうした内容に加えまして、昨年4月以降、議員の皆様方はもとよりでありますが、外部の有識者の方々、広く県民、事業者の皆様方から多くの御意見をいただき、そのお知恵を踏まえて何度も施策を練り上げたというプロセスを経たことによりまして、県民の皆様からも一定共感が得られるものができたのではないかというふうに考えております。 しかしながら、計画はあくまで計画でございますので、議員御指摘のとおり、実行の初年度となります来年度から目標達成に向けて、いかに着実に実行し成果を上げていくかが最も重要であります。このため、本年4月からは私自身をトップといたします脱炭素社会推進本部を新たに設置いたしまして、県庁内の推進体制を強化いたします。この本部会議でしっかりと進捗状況を確認し、PDCAサイクルを回してまいる考えであります。 これに際しまして、併せて外部委員会の御助言もいただきながらのプランのバージョンアップも毎年行っていくといった形で、私自身が県民の皆さんの先頭に立ちながら、目標達成に向けて挑戦をしてまいりたいと考えております。 最後に、自然災害に対します防災意識の向上を図る取組についてお尋ねがございました。 本県では、御紹介もありましたような繁藤災害をはじめといたしまして、昭和50、51年には連年の台風災害、平成10年には98高知豪雨、平成30年7月豪雨といった形で、これまで大雨による多くの災害に見舞われてまいったところでございます。 豪雨災害から命を守るためには、正確な情報の把握と併せまして危険な場所には近づかない、早期に避難するといった県民の皆さん一人一人の防災意識の向上が重要であると考えます。このために県におきましては、出水期前、あるいは6月の土砂災害防止月間に合わせまして、様々な広報啓発活動を行っております。 具体的には、県の広報紙、ホームページ、テレビ、ラジオといった多様なメディアや学校の防災教育の場などを活用いたしまして風水害への備え、早期の避難行動を促してまいりました。その際には、過去の災害におきます写真やパネル、被害状況をまとめた資料などを用いまして、災害の教訓や記憶を風化させないように取り組んでまいっております。このほか、スマートフォンでハザードマップが確認できたり、あるいは雨量や水位などの防災情報がプッシュ型で受け取れるという防災アプリを開発いたしまして普及促進に取り組んでおります。 近年、地球温暖化の影響もございまして、自然災害は激甚化、頻発化をしており、災害はいつでもどこでも起こり得るものと考えなければなりません。過去の教訓を決して風化させず、災害を人ごとではなく、我が事、自分自身のこととして県民の皆さんお一人お一人に考えていただけますように、今後も広報資料を充実させるといったことを通じまして、積極的な啓発に取り組んでまいります。 私から以上であります。   (健康政策部長家保英隆君登壇)
    ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、医療機関でのクラスター発生における初期対応と今後の対応についてお尋ねがございました。 今回の第6波では、2月末までに15医療機関でクラスターが発生しており、このうち11が高知市内の医療機関となっています。医療機関で感染者が確認された場合の初期対応としましては、クラスターの発生の有無にかかわらず、保健所において当該医療機関の感染拡大を防止する措置について確認し、必要に応じて助言を行っています。 その後、感染状況が一定把握できた段階で、さらなる感染拡大の防止措置や医療従事者の確保など、今後の対応策について当該医療機関の意向に沿って必要な人的支援などを行っており、第6波では6つの医療機関の要請に応じて医師や看護師の派遣を行っております。 しかしながら、第6波では医療機関のみならず介護施設や学校などで同時多発的にクラスターが発生し、急激に感染者が増加したことから、一時期保健所のマンパワーが追いつかず、一連の初期対応が後手に回った事例があったことは否めません。 また、医療機関においても、対応方法が定まらない間に感染が拡大し、人的支援の要請のタイミングが遅れた事例も見受けられました。加えて、本県の感染管理を専門とする看護師などが少ないことや、感染拡大の影響により医療従事者が逼迫しており、派遣する人材確保に時間を要した事例もございました。こうしたことを踏まえまして、先ほど知事から答弁がありましたとおり、今後人材育成の取組をしっかりと進めてまいります。 一方、いまだ第6波のさなかにあり、クラスターが継続的に発生しております。これまでの課題を保健所と共有しまして、感染者が発生した医療機関には可能な限り迅速に対応し、感染管理などのできる体制を行ってまいります。 次に、無料検査についての今後の方針についてお尋ねがございました。 オミクロン株が疑われる市中感染例が初めて確認された1月4日から、県が設置した臨時検査センターや地域の薬局などにおいて、無症状でも感染不安のある方を対象に無料検査を実施しております。 その後、全国的な抗原検査キットの不足状況を踏まえ、抗原検査キットは医療機関の診断用や医療機関や福祉施設でのクラスター対応のほうに振り向けるということで、有症者の診療に影響が出ないようするため、県の設置した無料の検査センターにおいては、原則PCR検査としております。 第6波による感染が高い水準にとどまっている状況では、無料検査は無症状感染者の早期発見と感染を心配される方の不安軽減には有用と考えられますので、当面は継続してまいります。ただ、今後無料検査での陽性率が低下してきたり、県内の感染状況が改善した場合には、終了を考えてまいります。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 高齢者施設でのクラスター発生における初期対応と今後の対応についてお尋ねがございました。 今回の第6波では、これまでに23か所の高齢者施設でクラスターが発生しております。クラスターの発生の有無にかかわらず、施設内で新型コロナウイルス感染症が発生した場合には、感染拡大を防止することが重要ですので、感染症対策と初期対応に関する通知を発出し、施設に対して対応の徹底を促してきたところです。 実際にクラスターが発生した場合には、医療的な対応として、保健所が速やかに施設と連携し、陽性者と同じフロアの入所者や職員のPCR検査を行い、その上で感染拡大を食い止めるための指導や助言を行っております。また、施設からの要請等に応じて感染管理を専門とする医師や看護師を派遣し、ゾーニングなど感染対策の指導や助言を行っております。 クラスターの発生を受けて、他の施設に対し改めて感染症対策の徹底などの注意喚起と衛生用品や資機材の確保状況を確認し、要請があれば県の備蓄物資から提供を行っております。あわせて、クラスターの発生により職員が不足する事態などに対応する社会福祉施設間の相互支援ネットワークを改めて周知し、要請があれば派遣に向けた調整を行うなど支援に取り組んでいるところです。 今般の経験を踏まえ、施設内での感染防止対策を徹底すること、施設の利用者や職員の感染が疑われる場合は直ちに主治医または協力医療機関に御相談いただくこと、他者との接触を避ける対策を講じていただくことを施設に対し周知徹底してまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、子供たちへの心理的ケアのサポート体制の成果と今後の取組についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の度重なる感染拡大により、学校の長期間の休業のほか、修学旅行や運動会の中止、給食時間での黙食など、子供たちにとって楽しみな行事や活動がなくなり、制約の多い学校生活となったことでストレスを抱えて不登校につながる事例も見られております。 このため、県内の学校では、子供のささいな変化も早期に把握し、子供の状況に応じて保健室や別室において個別支援を行ったり、スクールカウンセラーとの面談の実施や校内支援会による組織的な対応などにより、子供の心のケアに努めております。 また、議員からお話がありましたように、不登校生徒の居場所づくりとしまして、県教育委員会では、令和3年度よりモデル校となる4中学校に校内適応指導教室を設置して、コーディネーター役の教員を常駐させ、生徒が安心して学べる環境整備と効果的な支援の在り方について研究を進めております。 この4中学校での令和3年12月末現在の教室利用者は合計68名となっており、登校できるようになった、居場所ができてうれしい、仲間と勉強できてよかったといった生徒の声があり、中学校からは学級復帰などの改善につながっているとの報告を受けております。 令和4年度は、この校内適応指導教室を7校に拡充し、それぞれの市町村の教育支援センターとも連携して、子供にとって安心な居場所づくりと個別最適な学びの在り方の研究をさらに深め、不登校への有効な支援策の一つとして、その取組内容や成果について広く発信をしてまいります。 次に、県立夜間中学において、不登校やひきこもりの中学生に門戸を広げることについてお尋ねがございました。 県立の夜間中学である高知国際中学校夜間学級は、いわゆる教育機会確保法に基づき義務教育の年齢を超えた方で様々な事情により義務教育を十分受けることができなかった方の就学の機会を提供する目的で昨年4月に開設いたしました。 このため、現状では県立夜間中学において義務教育の年齢に当たる不登校などの生徒のきめ細かな支援を実施できるような教員配置や学校施設にはなっておりません。また、何より、現在の法制度では2つの中学校に同時に籍を置くことができませんので、仮に県立の夜間中学へ通うことになれば、現在通学をしている市町村の中学校から転学することとなります。このため一般的には、地元の市町村の教育委員会や教育支援センターの支援も得られない状態で通学することになりますし、これまで関わってきた中学校の教員やスクールカウンセラーとの関わりも途切れることとなります。 県立の夜間中学としましても、元の中学校から引継ぎを受けるものの、人間関係の構築など一からの取組となってしまいます。生徒にとって県立夜間中学への転学がよりよい選択となるのか十分に検討する必要がございます。この点は、全国の県立で設置されました夜間中学に共通した課題であるというふうに考えています。 一方、民間の自主的な夜間中学と呼ばれているところ、いわゆるフリースクールでは、不登校の学齢年齢の生徒を受け入れて学力の保障や社会的自立に向けて成果を上げているところがございます。このため、不登校等の学齢生徒が在籍する中学校や市町村の教育支援センターなどが継続して生徒に関わる中で、学習習慣の定着や学校生活に慣れることなどを目的に、県立夜間中学で体験的に学ぶといった受入れにつきましては、学齢生徒の希望も踏まえまして柔軟に対応してまいります。   (総務部長徳重覚君登壇) ◎総務部長(徳重覚君) まず、地方創生関係交付金の活用状況と今後の市町村への支援についてお尋ねがございました。 県内市町村における地方創生推進交付金の交付決定額は、おおむね5億円から6億円程度で推移しており、今年度も33市町村で計5.4億円程度が活用されております。この交付金により、例えば本山町のブランド米天空の郷を活用した加工品の開発や、津野町の星ふるヴィレッジTENGUに整備されたプラネタリウムで上映するオリジナル番組の制作など、地域の資源を生かした個性的な取組が実施されております。 一方で、市町村によって交付金の活用状況はまちまちであることに加え、意欲はあるものの計画の策定等に要するマンパワーの不足といった事情により活用に踏み切れていない事例もあるのではないかと推測されております。こうした点について、令和元年5月に公表された内閣府の、地方創生推進交付金のあり方に関する検討会の最終取りまとめでは、小規模町村向けに事業の企画立案に関する検討体制の支援が重要ではないかとの指摘がされているところでございます。 県ではこれまで、計画策定や国との協議、円滑な事業執行等についての助言などを通じ、市町村の交付金活用を側面から支援してまいりました。加えて、今後は市町村のニーズも伺いながら企画立案段階からも含めて適切なサポートに努めるとともに、交付金の活用が活発な市町村の取組状況を横展開することで交付金を活用した事例を創出し地域の活性化につなげてまいります。 次に、れんけいこうち広域都市圏事業のこれまでの取組に対する評価と第2期に向けての期待についてお尋ねがございました。 平成30年度から始まった、れんけいこうち広域都市圏の取組につきましては、これまで各市町村が知恵を出し合い、連携を深めながら日曜市やアグリコレットでの事業者の販売支援や2段階移住のPRなどを通じて、圏域経済の活性化が図られるなど、一定の成果が上がっているものと考えております。 また、新型コロナウイルス感染症の影響により、大型客船の誘致や県外見本市への出展など、一部の事業について中止や計画変更を余儀なくされた事業もある中で、ウイズコロナ、アフターコロナを見据え、オンラインによる就農相談会を開催するなど、新たな手法も取り入れながら各事業が進められております。こうした中、高知市を中心に各市町村が連携しながら既存事業の評価検証を行った上で、令和5年度からの次期ビジョンの方向性や新規事業の提案などの検討を始めたところです。 県といたしましては、牧野富太郎博士をモデルとしたNHK連続テレビ小説など、その時々の話題を捉えつつ、圏域全体に効果が及ぶ核となる事業の実施や、時代の潮流であるデジタル化、グローバル化、グリーン化の視点からの事業の磨き上げと県事業との連携などに取り組んでいただくことを期待しております。 こうした取組によって、市町村間の連携が深まり、活力ある地域経済を維持し、住民が安心して快適な暮らしを営むことができる圏域の形成につながるよう、しっかり支援をしてまいります。   (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇) ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 移住促進に関して、コロナ禍における取組とその実績について、また来年度のバージョンアップについてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。 コロナ禍に見舞われましたこの2年間、高知県移住促進・人材確保センターでは、感染状況に柔軟に対応できるよう、対面方式とオンライン方式を臨機に使い分けながら、相談会などのイベントを開催してまいりました。あわせて、インターネットでの情報発信やイベントへの誘導が有効と考え、ポータルサイトの充実なども図ってきたところです。また、市町村においても、インターネットを活用した新規相談者の獲得や、これまで相談を受けてきた方へのきめ細かなアプローチなど、工夫しながら取組を進めてまいりました。 この結果、本年1月末時点での移住者数は速報値で876組と、コロナ前の令和元年度の同時期をも上回る実績となっております。今年度見えてきました相談者の傾向としましては、具体的な検討熟度が低い移住検討初期層と言える方や、自分がやりたいことを優先して移住先を探す自己実現型移住を志す方が増加していることが挙げられます。 このような移住関心層の傾向を踏まえ、来年度には検討の熟度に応じた、また本県への移住意欲を高めていただけるようなセミナーや交流会の開催を行うなど、イベント体系の見直しを行うこととしております。あわせて、中山間地域における多様な働き方や自然豊かな環境での子育て、休日の過ごし方など、本県で実現できる暮らしの魅力をこれまで以上に情報発信してまいります。 このような取組を通じて、中山間地域に移住者を呼び込み、地域づくりや産業づくりの担い手確保につなげてまいります。   (土木部長森田徹雄君登壇) ◎土木部長(森田徹雄君) 強化する空き家対策のポイントは、具体的にどのようなものであり、これまでとどういう点が違うのかについてお尋ねがございました。 県では、これまで防災面や衛生面などで周辺に悪影響を及ぼす老朽空き家の増加を抑制するため、除却や再生などの空き家対策に市町村と連携して取り組んでまいりました。そうした中、近年移住者などの受皿となる住宅として空き家を活用することへのニーズが高まってきたことから、令和4年度から住宅課に空き家対策チームを設置し、空き家の再生に向けた体制を強化することといたしました。 具体的な取組としましては、まず空き家の積極的な掘り起こしを促進していくため、空き家を売る、貸すといった方針の決断を所有者に促す取組を市町村と連携して進めるとともに、新たに空き家対策専用ホームページを開設するなど広報の強化も図ります。 次に、空き家の活用方法をはじめ不動産取引や相続など、所有者の様々な悩みに応えるため、総合相談窓口の新設や相談会の開催など、サポート体制を強化いたします。さらに、空き家を再生するための改修費への補助を拡充するなど、空き家再生に取り組みやすい環境を整備することとしております。   (産業振興推進部長沖本健二君登壇) ◎産業振興推進部長(沖本健二君) アニメクリエイター聖地プロジェクトとアニメ産業集積プロジェクトとの連携についてお尋ねがございました。 地元金融機関が主体となって官民連携で取り組むアニメクリエイター聖地プロジェクトは、地方における産業の創出とアニメーション業界の人手不足解消を目的として、アニメクリエーターが高知に集まる仕組みを構築しようとするものでございます。 一方、アニメ産業集積プロジェクトは、この聖地プロジェクトの推進に伴って高知に集まるクリエーターの移住の支援や県内のアニメ人材の育成などを行いますとともに、アニメ関連企業の立地を促進し集積を図りますことで、高知にアニメ産業を根づかせようとするものでございます。 つまり、集積プロジェクトは聖地プロジェクトを包含するものでございまして、両プロジェクトが産学官連携の下で有機的に連動し、アニメ産業の集積を実現しますことで雇用の創出や地域の活性化につなげてまいります。   (林業振興・環境部長中村剛君登壇) ◎林業振興・環境部長(中村剛君) まず、作業道の開設や作業道及び鳥獣害対策用の柵の管理に対するより一層の支援についてお尋ねがございました。 作業道については、その開設に対し森林の整備や間伐材の搬出などの施業と一体的に実施する場合は国の事業を活用した支援、また国の要件に該当しない小面積の施業につきましては県単独事業で支援しております。ただ、本県のような急峻な地形では、御指摘のように開設にかかるコストも高く、加えて豪雨などの後には災害対応や修繕が必要となることもございます。 このため、開設コストへの対応といたしまして、県単独事業の労務単価を本年度見直し、開設単価を引上げさせていただいたところでございます。また、国の開設単価につきましては、その基礎となる標準歩掛かりについて、毎年度国が各都道府県に対し実態調査を実施しておりますが、この調査の対象となります林業事業体数の増加を図り、より本県の実態が伝わるように取り組んでまいります。 また、作業道の修繕につきましては、間伐などの施業を実施する場合は、被災した箇所の補助事業の活用が可能であるため、豪雨等の後には被災の有無を迅速に確認し、早期の復旧に向けた取組を支援しております。 さらに、鳥獣害対策用の柵の設置につきましても、再造林に必要な附帯施設として国の補助事業の対象となっておりますが、これに対しましても県独自に補助率が9割になるようかさ上げして支援しておるところでございます。 しかしながら、御指摘のとおり、こうした一連の取組だけでは地域の実情に十分対応できていない場合もございます。このため、市町村に対しまして作業道の開設や鳥獣害対策の柵の設置について独自のかさ上げ支援などを要請しており、これを次年度さらに広げていきたいと考えております。また、国に対しましても鳥獣害対策用の柵の維持管理について、全国知事会を通じた政策提言を行うなど、さらなる支援強化を訴えてまいります。 次に、造林作業に従事する担い手の確保や育成についてお尋ねがございました。 造林作業は、伐出作業のように機械化が進んでおらず、人力での作業が中心となるため、労働負荷が高くなっております。お話にありましたように、苗木の運搬はドローンの活用により改善が進んでおりますが、植付け後の下刈りは刈り払い機を使用し、蜂やマムシなどに注意しながら夏場の炎天下で行う大変苛酷な作業でございます。このため、特に若い人からは敬遠される傾向がありまして、造林作業従事者の高齢化も進む中、林業の持続可能な成長産業化に向け、その担い手の育成・確保は大変重要かつ喫緊の課題であると考えております。 このため、昨年9月補正予算で市町村や林業事業体と連携し、林業に興味のある方や経験の少ない方などを対象としました、事業体で1年間研修を受けてから就業していただく林業研修支援事業を創出したところでございます。この事業は、事前に研修計画を作成し、機械操作をあまり必要としない造林作業に取り組んでいただくこととしておりまして、この事業を活用し、若い担い手に造林作業にも慣れていただきたいと考えております。 加えて、林業労働力確保支援センターに来年度配置いたします、森のしごとコンシェルジュが窓口となりまして、本県での林業就業を希望する方々に造林作業の重要性とその大変さをしっかりとお伝えし、理解を深めていただきたいと考えております。 また、造林作業の省力化、労働負荷の軽減も重要でありますことから、現在開発が進められております乗用型の下刈り機につきまして、来年度本県のような急峻な地形での実証を行い、機動性を確認しながら、その普及を図ってまいりたいと考えております。 こうした取組に加えまして、事業体との意見交換会も開催し、造林事業に従事する作業員も含めた担い手の待遇改善、あるいは将来的に造林作業を担っていく人材育成の仕組みづくりについても検討してまいります。 次に、再造林の促進に向けた取組の強化についてお尋ねがございました。 再造林につきましては、高い補助率の設定や増産・再造林推進協議会の設置、早生樹の利用などによる低コスト造林の推進などに取り組んでまいりました。その結果、再造林面積は着実に増加しており、これまでの取組の効果が徐々にではありますが、現れてきているものと考えております。 一方、さらなる再造林の促進に向けましては、こうした施策による森林所有者や林業事業体といった川上だけでの取組では限界があり、林業・木材産業に関わる関係者全てが再造林の重要性に対する意識を醸成し、連携して取り組む必要があると考えております。このため、来年度は木材に関わる方々が再造林のための基金を造成するなど、独自の取組を行っている他県の先進地の方々をお招きいたしまして、県内の川上から川中・川下までの事業者の皆様と意見交換を行い、再造林への関心を改めて高めていただきたいと思っております。 あわせて、こうした関係者が支え合って再造林を行う体制整備について、課題を整理しながら早急に県内のモデル地域でその構築に取り組んでまいりたいと考えております。また、このモデル地域での取組のノウハウを活用することで、この仕組みを県内全体へ広げていけるのではないかということにつきまして、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。 最後に、温室効果ガスの削減目標達成に向けた行動変容を促していくために、具体的にどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 目標達成に向けた県民お一人お一人の行動変容を促すためには、まずは多くの方々に気候変動の現状や本県アクションプランの取組を御理解いただき、御賛同を得ていくことが必要であると考えております。 そのため、アクションプランを分かりやすくまとめたパンフレットや県民・事業者向けの具体的な取組を記載いたしました冊子を作成、配布し、アクションプランの取組の周知を図ってまいります。あわせまして、脱炭素化に取り組む意義や必要性及び県の取組等を紹介する特別番組の放映や、新聞広告、シンポジウムの開催、事業者向けセミナーの実施など、様々な媒体により年間を通じた広報を行い、理解の促進を図ってまいります。 また、不要な電気の消灯やマイバッグの使用などのエコな取組をポイント化し、削減効果を見える化するウェブ版環境パスポートを構築し、楽しみながら脱炭素化に取り組める環境も整えてまいります。加えて、高知県地球温暖化防止県民会議や量販店等と連携しまして、環境にやさしい買い物キャンペーンや、地球温暖化防止活動推進員によります出前講座など、脱炭素化につながる具体的な行動を促す取組を展開してまいります。 こうした硬軟様々な取組を通じまして、脱炭素化に向けた理解促進と機運の醸成を図り、温室効果ガス削減目標の達成に向けた具体的な行動変容につなげてまいりたいと考えております。 ◆8番(田中徹君) 知事はじめ執行部の皆様方、本当に御丁寧というか、御丁寧過ぎるというか、本当に前向きな、気持ちの感じられる御答弁をいただきまして、本当に感謝を申し上げます。ありがとうございました。 この議会で、この議場からは7名の方が退職をされるとお伺いしております。このコロナ禍でなかなか思うように事業が進まなかったこともあろうかと思いますけれども、またこの経験をぜひ次の場でも活躍していただきたいと心からの感謝申し上げまして、私の一切の質問に代えさせていただきます。本当にありがとうございました。(拍手) ○副議長(加藤漠君) 暫時休憩いたします。   午後2時34分休憩-----------------------------------   午後2時55分再開 ○議長(森田英二君) 休憩以前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 1番桑鶴太朗君。   (1番桑鶴太朗君登壇) ◆1番(桑鶴太朗君) 私は1月に自由民主党会派に入らせていただきました桑鶴太朗です。議長のお許しをいただきましたので、順次質問に入らせていただきます。 昨年9月に県議会議員として初めて質問させていただいて以来、各会派の議員方から御指導いただき、様々な面で議員活動を勉強させていただきました。ありがとうございました。まだまだ勉強不足ではありますが、今後は自由民主党会派で見識を深め議員活動を深めてまいりたいと思います。 それでは最初に、知事の政治姿勢についてお聞きいたします。 令和元年12月に新型コロナウイルス感染症が確認されてから丸2年がたちましたが、新型コロナウイルスは変異を繰り返し、現在新型コロナ感染症第6波、オミクロン株の流行により感染者数が全国で累計500万人、2月だけでも200万人を超え、高知県でも累計1万人を超えてきております。最前線で対応されている医療従事者の皆様には心からの敬意を表します。また、県民の皆様が安心して暮らせる日々が一日でも早く戻ってくることを心から願っております。 県内においては、新型コロナ感染症第5波、デルタ株の歯止めにより飲食店では少しずつコロナ前の活気を取戻しつつありましたが、新型コロナ感染症第6波、オミクロン株の再流行により高知市内の飲食店はもとより、宿泊施設においてもキャンセルが相次ぎ、中山間地域の飲食店でもお客様が来ない状態が続きました。 私の地元でも、お店を開けていてもお客様が来ないから仕入れがしにくいといった声もあり、取引先や関連事業者の売上げも減少し、再び大きな影響を受けております。 飲食店では、前日までに予約を受けるようにし、予約のあった日だけ店を開けてしのいでいる状態でしたが、そもそも予約が入らない。お客様にとっては新型コロナ感染症が感染拡大になるたび、会食を自粛する傾向が表れ、飲食店の方はこの状態が続くならもう閉めないかんといった悲痛な声を多く聞いております。 知事は、県民の皆様との対話を通じて県政に対する共感を得ながら課題の解決に向けても確実に前進していけるよう共感と前進を県政運営の基本姿勢としておられますが、経済の実情や県民の声を的確に把握した対策を講じなければ、県政に対する共感を得ることはできないと思います。 濱田知事は、県民座談会「濱田が参りました」を県内の34全市町村で行うなど、県民の声を聞きながら地域の実情を県政に反映させることを狙いとして県民座談会を開催されてきたのではないかと思います。現状のコロナ禍においては、知事が当初想定されていたような県民の皆様との対話という部分につきましては、十分ではなかったのが実態ではないでしょうか。中山間地域の住民の方から、県民座談会っていつやったが、出席者はどうやって決めゆうが、第2回目もあるろうかとの声をたくさんお聞きしました。 そうした中にあって、コロナ禍への対応、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略など、スピード感を持って県民の声、地域の実情を反映した県政を行っていくために、2巡目となる今年度からは「再び、濱田が参りました」として、これまでの座談会に加え、地域地域の取組の現場を訪ねる形にリニューアルをして開催し、その場でなければ実感できない課題や解決に向けた取組などを直接県民の皆様に見聞きすることにより、これまで以上に県民の皆様の声を県政に反映されていかれるおつもりだと思います。 この「濱田が参りました」において、県民の皆様から出された数多くの意見や知事が感じた点を産業振興計画や中山間対策、デジタル化、グリーン化、グローバル化の実現に向けてどのように政策に反映されたのか、知事にお聞きします。 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きします。 一昨年からのコロナ禍においては、高知県の経済にも多大な影響を与えています。そうした中で、県内で多数を占めています中小企業・小規模事業者は、それぞれの地域において何とか事業を継続していこうと必死に頑張っておられます。 今回、第6波、オミクロン株の感染拡大による経済影響をどのように捉え、県内事業者へどのような支援を行うおつもりか、商工労働部長の御所見をお伺いします。 感染拡大防止と社会経済活動との両立に関しまして、本県においてはその都度対応方針の見直しを行い、感染拡大期においても、できるだけ日常生活や社会経済活動を継続できるようワクチン・検査パッケージの活用や高知家あんしん会食推進の店認証制度の普及に取り組んできたことと思います。9月議会の中でもお聞きしましたが、飲食店の多い高知市だけでなく、郡部での認証のスピードアップを図るということでした。 2月14日をもって申請を終了しました認証制度の成果と課題、来年度の取組について健康政策部長にお聞きします。 また、この認証制度を進めていく上においては、非認証店に対する認証店のインセンティブが重要だと思われますが、高知県としてどのような取組をお考えなのか、健康政策部長にお聞きします。 コロナ禍では、飲食店だけでなく、整骨院や整体、理美容関係をはじめとした接客業を主とする業種の皆様や介護事業所、保育施設など対面接触をする必要のある職業の方々は、感染者やクラスターを生まないようおのおの対策を講じておられます。こういった多業種の方々に対しても、県民の皆様が平常時と同様に生活し、商いができる環境を整えていくことが大事だと考えます。 次に、産業振興についてお聞きします。 先日、仁淀川地域アクションプランフォローアップ会議に出席させていただき、第4期産業振興計画ver.3の取組を聞かせていただきました。 デジタル化、グリーン化、グローバル化の促進や関西戦略など、外商活動の全国展開などが計画に盛り込まれ、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化し、様々な分野が大きな打撃を受けている中であっても、新しい生活様式に対応して県経済を再び軌道に乗せるため、仁淀川地域では全34のプランが実施されております。各分野で実行支援チームを編成し、事業推進に向けた協議と進捗管理を行い、それぞれの地域アクションプランの目標達成に向けた取組をされていると思います。 その中でも、高知県の第1次産業でもある農業における問題は外せない課題の一つです。農業なくして産業の発展なしと言っても過言ではない高知県にとりましては、農業は大切な産業の一つです。県では、農業においてもデジタル化によるスマート農業を推進され、生産性の向上を図り、収益アップを図るだけでなく、露地品目でも気象データ等の活用により、気象被害の軽減等に役立てようとしておられますが、それぞれの取組も含め、まずは農地、いわゆる圃場の整備が大切だと思います。昨年の11月にショウガ農家さんとお会いし、現地調査をさせていただいた際、田んぼ仕様では水はけが悪く、ショウガを作っても病気になる率が高く、商品にならない、田んぼ仕様では畑作には向かないとお聞きしました。 お米の消費が減り、需要が減少しつつある今、非常事態になったときにはすぐにお米が作れる状態の水田面積は残しつつ、ある程度の面積の水田を畑地に変換していく必要があるのではないかと思います。そうすることにより、借手の見つからなかった農地のメリットが増え、目的を持った借手の目に留まる機会が増え、耕作放棄地の減少に歯止めがかかることにつながっていくのではないでしょうか。 本県の推進作物でもあるショウガやニラなどの作付面積も増え、生産量が増えることにより農家さんの所得も向上すると思われ、また新規就農者の獲得にもつながり、雇用も増えていくと考えられ、新しい人の流れを捉えた中山間地域の振興による持続可能な地域社会づくりにもつながると思います。 圃場の整備について県としてどのように推進していくのか、農業振興部長にお聞きします。 次に、関西圏との経済連携プロジェクトについてお聞きします。 まず、観光推進プロジェクトにおいて、関西からやインバウンド観光の回復を見据えた周遊モデルルートの旅行商品化、スポーツツーリズムに関するプロモーションを展開することで、高知県への誘客を図るとあります。 スポーツツーリズムでの誘客はどのような案や取組を考えておられるのでしょうか、文化生活スポーツ部長にお聞きします。 私の住む仁淀川流域でのスポーツ施設とアウトドア施設は、ある程度の規模で整備されつつありますが、まだまだ誘客した場合の宿泊施設等が未整備なところもあるため、なかなか誘客にはつながっておりませんが、私が思うには、JRの沿線上でもある自然豊かな仁淀川流域の立地を生かしたスポーツや、スポーツ施設と宿泊施設をしっかりと整備することにより、小中学生はもとより、県内外の高校生や大学生、また高知ユナイテッドスポーツクラブが所属するJFLなど、様々なスポーツの練習場や合宿地としての誘致にもつながり、利用されることが想定されます。また、強豪チームが来てくれることにより県内の子供たちの技術向上にもつながり、教育の場としての施設の利用もでき、将来のプロ選手の育成にもつながるかと思われます。宿泊施設とセットにすることで、県内外のスポーツをされている方のファミリー層にも御利用していただけますし、また仁淀川流域には地盤が固い地域もあり、地震に強く、さらには津波発生時には海岸沿いにお住まいの方々の避難場所にもなり、防災の拠点としての活用も見込めると思います。また、移動にはJRを利用することにより、公共交通機関の利用向上にもつながり、経済効果だけでなく防災対策面においても、多くのメリットが生まれると考えられます。 ウイズコロナ、アフターコロナを見据え、関西・高知経済連携強化戦略に基づくスポーツツーリズムプロジェクトの取組としてどのようなプロモーションを考えておられるのか、文化生活スポーツ部長にお聞きします。 食品等外商拡大プロジェクトについては、中山間地域の小規模事業者にとっても販路拡大につながるチャンスだと思われますが、輸出を見据えた地産外商の推進に至るまでの参画できる事業者への道のりが遠く感じます。 小規模事業者が参画できるような対策をどのようにお考えでしょうか、産業振興推進部長にお聞きします。 私の知る限りでも、個性的なものや魅力的な製品を多く手がけている小規模事業者の方も多く、販路が広がれば一気にヒット商品になっていく可能性もあるよいものを県内で生産し販売している方も多くいます。販路拡大につなげるための商談会や販売促進会への参加は多くあります。大手との取引は一歩手前までたどり着く事業所も一定数おられますが、売手と買手の発注量と生産量に格差があり、アンマッチとなる事例も多いと聞きます。外商を行う場の提供とともに、生産量の底上げや生産体制の強化、設備増強等、多面的な支援対策が多くなされることを願っております。 さて、去る2月2日にNHKが発表した世界的植物学者牧野富太郎博士を題材とした朝の連続テレビドラマの放送決定により、県内に明るい話題が届いたのは皆さん御存じのとおりだと思います。タイトルはらんまん。激動の時代に愛する草花と向き合い続けた植物学者牧野博士の波乱万丈の人生を描くこのドラマに、出身地である佐川町はもとより、隣町の越知町や仁淀川町をはじめ自然豊かな高知県内全域で植物を採取し研究をされてきておりますことで、県内全域の方々の放送への期待が高まってきているのではないでしょうか。 私自身も地元出身の牧野博士を見習い、赭鞭一撻の精神で牧野博士が自然豊かな高知県内全域の野山を歩き回り植物を採取し、研究をし続けられたように、各地を歩き回り地域の皆様の言葉に耳を傾け、県政に届け続けていきたいと思いを新たにした次第です。 この朝ドラ化の決定に至るまでは、地元をはじめ県としてもNHKへの要望活動や署名活動など朝ドラ化に向けた活動を積極的に行ってきていただいたと聞いております。これまでの高知県内関係者の皆様の御努力が身を結んだ形であり、またコロナ禍で落ち込んだ県の観光を回復する起爆剤になると考えております。今まで御尽力された関係各位の皆様に心から御礼申し上げます。 そこで、朝ドラ化の決定により高知県への観光に来られる方が増えてくると予想されますが、県としてはこれから具体的にどのような観光施策を考えておられるのでしょうか、観光振興部長にお聞きします。 記憶に新しいもので、昨年上映されました映画竜とそばかすの姫では予想をはるかに超える集客につながったと聞いております。また、以前放送されました大河ドラマ龍馬伝では、535億円の経済効果があったと聞いております。確かに坂本龍馬の人気に加え、国民的スター福山雅治さんが演じられたことも相まってのことだと思いますが、牧野富太郎博士は世界的な植物学者でもありますので、さらなるインバウンド需要も見込めるのではないでしょうか。また、牧野博士が植物を採取した場所は仁淀川流域をはじめ高知県内全域に及んでおり、各地に集客が見込めると思われます。 昨年上映されました竜とそばかすの姫では、急激なブームが起こり予想をはるかに超えた集客があり、観光客のマナーの悪さや道幅が狭く駐車場も少ない自治体が対応に苦慮されたと聞いております。観光客への悪印象を与えず、地元にとっても大事な景観や資源をなくすことがないような対策を講じておく必要があるのではないかと思われます。 そこで、県としてそういった対応を含め、佐川町をはじめ今回のドラマを契機に、観光資源の磨き上げや受入れ体制整備等に取り組む市町村に対する支援策について観光振興部長にお伺いします。 次に、中山間対策についてお聞きします。 先月2月17日、県が今年度実施した集落実態調査において、10年後の集落活動を維持できないと回答があった住民が39.3%に上ると中間報告がありました。10年前に行った調査よりも12.5ポイント増え、高齢化や担い手不足による集落の維持が難しくなっている実情が浮き彫りになったところです。一方、集落にこれからも住みたいかとの質問には、68.2%が住み続けたいとの回答があり、住み慣れた自然豊かな集落に暮らし続けたいのだけれど様々な理由で諦めざるを得ないといった切実な現状が示されました。 私はこれまで家業の食品製造業に従事し、パンなどを自ら中山間地域に足を運び、移動販売をしながら、まさにこういった中山間地域の集落で生活をしておられる皆様のお声をたくさんお聞きすることができました。 若い子がおらんなってね、地元のお宮さんの宮守りもおらん、誰が継いでくれるか分からん、これじゃ祭りもできんといった声も多く、まさに県の集落実態調査の結果と同じく地域に住み続けたいが様々な生活の不安や不便を抱えながら、その地で暮らし続けている方々を目の当たりにしてきました。 県では、前回2011年度に実施した集落実態調査以降に中山間対策を本格的に強化し、集落活動センターの開設や中山間地域の生活用水、生活用品の確保といった支援策が充実され、私自身も佐川町内の集落活動センターなどを通じ、県や市町村の力の入れようを感じてきたところです。また、新たな中山間対策として核となる集落活動センターには、人の交流と活発な活動が行われると思われます。 そこで、今回の集落実態調査の結果を踏まえ、これまでに県が強化してきた中山間対策の総括と今後どのような事業展開を想定されているのでしょうか、中山間振興・交通部長にお聞きします。 また、集落実態調査では、集落の活性化に向けた課題として、人口減少、地域に若者がいない、集落長の成り手がいない、集落活動の担い手不足が上位を占めており、中山間地域の担い手不足が大きなボトルネックとなっているとの調査結果が出ました。 本県では、2060年に人口55万7,000人を維持すると目標を立て、その目標達成のために産業振興計画などの取組に加え、中山間対策や少子化対策を総合的に組み合わせた高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定しておりますが、社会減は以前よりは改善しているものの、2020年度の転出超過は1,148人となっており、中山間地域に限ればさらに人口流出は一向に止まらない現状ではないでしょうか。また、地域に若者がいないといった課題については、若者が住みやすい住宅の確保や移住者の若い世代が住み続けていくことができる環境が求められています。これまでも県では中山間地域での空き家改修への支援を行ってきており、空き家の改修は一定進んでいることかと思います。 移住者や若者の定住につながる空き家の確保についての課題と今後の強化策について土木部長にお聞きします。 県では、これまでも移住促進の取組を強化し、右肩上がりに移住者数の実績を積み重ねてきましたが、昨年度はコロナ禍の影響を受け963組となり、産業振興計画に掲げる目標の1,075組を112組下回ったと聞いております。 今年度もコロナ禍の影響を受けながら取組が続いているとお聞きしますが、このコロナ禍を契機として、都市部に住む人々の地方への関心が高まり、地方暮らしをする都会から地方へと向かう新しい人の流れをキャッチするチャンスであるという見方もあります。今議会での知事の提案説明では、そうした新しい人の流れを捉えた中山間地域の振興を強化するといったお話がありました。また、移住促進の取組は、中山間地域における担い手不足解消の視点からも重要であり、移住促進策を一層強化し、令和4年度の目標、年間1,225組の達成という力強い意気込みをお聞かせいただいたところです。目標達成には、各市町村における移住促進の取組の活性化が不可欠だと思います。 佐川町が行っている自伐型林業を進める地域おこし協力隊の募集や、日高村が行っている移住促進プロジェクトなど、特色のある取組を行っている市町村があります。中山間地域に移住者を呼び込むためには、移住先を探している全国の方に市町村の取組についての情報発信をしていくことが必要だと思いますが、市町村単独でのPRには限界もあるところだと思います。また、市町村の特色ある事例を県内全域に広げることも、県全体の移住者の増加には効果的と考えます。このような市町村を支援する取組は、まさに県が担うべきものだと考えます。 県は市町村との連携の視点でどのような取組を行っているのか、中山間振興・交通部長にお聞きします。 最後に、中小・小規模事業者が多い高知県の喫緊の課題でもある担い手不足問題について、人材育成や担い手の確保とありますが、各産業分野の担い手育成や移住促進の強化、空き店舗活用、新規学卒者の県内就職促進など力を入れられていると感じております。しかしながら、県内の若者の県外流出は後を絶たず、中山間地域の過疎化に歯止めが利いているとは言い難い状況となっております。 今までの施策においては、人口減少に対する施策や新たな人口の流入に注力されておりますが、高知県内への就職について、大学生になってから振り向かせ高知に戻ってきてもらおうとしても遅いのではないでしょうか。小学生や中学生、高校生の頃から県内企業をもっと身近に感じる、誇りに感じる取組が必要ではないでしょうか。高知県で働きたいという気持ちをつくることが大切だと考えております。 それでも高知から流出する若者は後を絶たないと思います。私が聞いた話では、彼らは高知県が嫌いで出ていっているわけではなく、新しい技術や知識を身につけるため県外に行かれるそうです。なので、地元愛もあり、タイミングを見計らって高知県に帰ってくる予定もあると思われますので、そういった方々にも高知県内はもとより、自分が育ってきた地域の魅力をPRなど、高知の魅力を転出先で広く周知してもらうことで、広告塔になってもらうとともに、高知の魅力を再発見するきっかけとなり、UターンやIターンにつながるのではないでしょうか。 そこで、県内での就職を促進する取組について商工労働部長にお聞きしまして、私の第1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 桑鶴議員の御質問にお答えをいたします。 県民座談会で出されました県民の皆さんからの御意見や私自身が感じた点の政策への反映について、どのようなものがあったかとお尋ねがございました。 県民座談会「濱田が参りました」は、私自身が現地に赴きまして、県民の皆さんの御意見を頂戴し、それを直接県政運営に反映するために知事就任後速やかに実行いたしてまいりました。新型コロナウイルス感染との関係で、当初計画したものが延期になるといったことが相次ぎましたけれども、これまで801人の座談会参加者と49か所の視察先から、まさに地域の実情を肌で感じてまいったところであります。 産業振興、地域振興、教育、防災などなど、様々な分野で課題を抱えながらも創意工夫を凝らし挑戦をし続けている皆さんの姿あるいは御意見から、解決に向けましたアイデアやヒントをいただきまして、私自身の思いとして政策形成に生かしているところであります。 例えば、中山間地域を訪れた際には、集落に愛着と誇りを持って暮らす多くの皆様方と出会いました。こうした方々から、この暮らしを次世代にしっかりと引き継ぎたいという思いをお聞きし、私自身深く感銘を受けました。このため、中山間の対策といたしまして、小さな集落への直接支援に加えて、集落活動センターを中心といたしまして、周辺の集落へと支援の輪を広げるといった形での強化策が必要だと考えて、今回の新年度予算におきまして、これを計上するということにいたしました。 また、距離や移動時間といった物理的な制約から暮らしに不便さを感じるというお話も数多く伺ったところでございます。このことに関しましては、中山間地域での暮らしを大幅に向上させるためにデジタル技術を活用いたしました、例えば遠隔診療あるいは遠隔教育、こういった新しい技術を活用した取組をより拡大していくという形で政策に反映をさせようとしておるところでございます。 また、複数の移住者の方々からは住宅の確保に大変苦労をしているという御意見をいただいたところでございます。そうした点から、特にこの点を抜本的に改善したい、前に進めたいという思いから、関係の部局に指示をいたしまして、今般、県庁内に空き家対策チームを設置して、空き家や住宅確保対策に抜本的、また総合的に取り組むということにいたしております。こうした皆様の生の声や現場の実態を、スピード感を持って政策に反映をしていくというためにも、今後とも可能な限り多くの県民の皆様と直接お会いする機会を設けたいというふうに考えております。 それによりまして、県民の皆様と対話をし、また県民の皆様の共感をいただきながら、さらに皆様の声を私自身の力に変えるという形で県政をしっかりと前に進めてまいりたいと考えているところでございます。 私から以上であります。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) まず、第6波の感染拡大による経済影響と県内事業者への支援についてお尋ねがありました。 本県経済は、年末から年始にかけて一定の回復傾向が見られましたものの、十分な回復に至らないまま第6波の感染急拡大という事態となりました。そのため、影響を受けている県内事業者は、コロナの長期化による影響が蓄積していることと相まって、より厳しい状況に置かれているものと認識しております。 このため、今回国の新たな事業復活支援金制度が創設されたところではありますが、より手厚い支援を行うため、売上高に応じた県独自の給付金を見直した上で支給することとしたところです。あわせて、社会保険料の事業主負担に着目した県独自の給付金も見直しをした上で支給いたします。 まずは、この2つの給付金で事業の継続と雇用の維持をしっかりと下支えしていきたいと考えております。その上で、引き続き商工会、商工会議所及び金融機関等ともしっかり連携し、今後の国及び県のコロナ関係融資の償還の開始に向け、特に資金繰りへの支援を強化し、伴走支援を行ってまいります。 次に、県内での就職を促進する取組についてお尋ねがございました。 県では、これまでにも小学校、中学校、高等学校などそれぞれのステージに応じ工場見学や職場体験、インターンシップといった様々な取組を推進してきたところです。 お話のありましたように、小学生の段階から高知で働きたいという気持ちを育てることは大変重要と考えますことから、令和4年度は県内企業をより身近に感じられますよう、一歩踏み込んだ取組を実施してまいります。具体的には、高知県工業会や県教育委員会と連携することで、物づくりのすばらしさを伝える動画を作成し、小学校の教育現場で活用していただきたいと考えております。こうした取組によりまして、少しでも早い段階でより多くの職業を学び、将来の選択肢の幅を広げられるよう取り組んでまいります。 また、県外在住の高知県にゆかりのある方や思いを持つ方に本県の情報を発信していくことも大変重要と考えております。県では、高校卒業時に登録いただいた方へのUターンサポートガイドの送付や県人会、同窓会への県内就職支援情報の提供をはじめ、6,000人を超える皆様に登録をいただいている高知家ゆる県民倶楽部などの取組を通じまして、高知の食や文化、イベント、求人情報など本県の魅力を発信しているところであります。 今後とも、高知のすばらしさの再発見にもつながりますよう、情報発信の強化や工夫を凝らしてまいります。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、高知家あんしん会食推進の店認証制度の成果と課題、来年度の取組についてお尋ねがございました。 今年度の認証申請件数は、昨年12月末の時点で2,500件程度のものが、第6波の流行への対応のためか、1月中旬頃から申請が急増し、締切日の2月14日には3,264件となりました。3月2日の時点での認証済みは2,654件で、3月中に認証が完了する予定となっております。なお、高知市と高知市以外の地域において認証の進み具合に差はございません。 認証制度の成果といたしましては、目標4,000店のところ、約8割の3,200店超えを認証するめどが立ったことにより、県内飲食店では一定の感染防止対策が図られた、環境がつくられたものと考えており、また第6波で飲食店由来のクラスターが少なかったことにもつながったものではないかなと考えております。 課題といたしましては、今後認証から一定期間を経たことによる認証基準の遵守の継続が懸念されるところですので、来年度認証店については再調査を実施し、認証制度の質の担保を図ってまいります。 また、認証店のさらなる増加を目指し、来年度も引き続き応援金の支給を含めた高知家あんしん会食推進の店認証制度を継続し、飲食店が実施する感染防止対策を支援することで、利用者が安心して会食できる環境整備に努めてまいります。 次に、非認証店に対する認証取得に向けたインセンティブについてお尋ねがございました。 現在、高知県全域がまん延防止等重点措置区域となっており、飲食店等の事業者の皆様には営業時間短縮の協力要請をしております。その際、非認証店につきましては酒類の提供は行わず、営業は午後8時までの要請を行っております。一方、認証店につきましては、酒類の提供を午後8時まで、営業時間は午後9時までを可能としております。 このように、認証店には営業時間の延長や酒類の提供などによるインセンティブを設定するとともに、令和4年度も新規の認証店には感染防止の支援として応援金10万円を支給することといたしております。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) 圃場整備について、県としてどのように推進していくのかお尋ねがございました。 圃場整備は、農業の生産性の向上や担い手への農地集積の促進、畑地化による高収益作物への転換など、効率的かつ安定的な農業を展開する上で欠くことのできない施策でございます。第4期産業振興計画では、新たに戦略の柱の一つとして位置づけ、地域のニーズに応じたきめ細かな圃場整備をさらに推進しているところでございます。進めるに当たっての課題としては、農業を取り巻く環境が厳しい状況の中では、圃場整備への投資意欲が減退していること、また本県では経営規模が小さいことから関係者も多く、事業化に向けた地域での合意形成に時間を要していることなどがあります。 このため、県では、昨年度から圃場整備の効果や地元負担を軽減できる有利な制度のPR資料を作成し、これまでの地元からの要請待ちの姿勢から、積極的に地元に提案するといった攻めの姿勢で啓発活動を行うなど、地域の農業者の方々や市町村の意欲の醸成を図る取組を強化しております。また、事業化に向けましては、県や市町村、JA等が連携したプロジェクトチームを立ち上げるなど、推進体制を強化し、将来の担い手確保や営農を含めた事業計画づくりとともに、地域の合意形成を支援しております。 こうした取組により、現在圃場整備事業の候補地は58地区に増え、5地区で事業化のめどが立っております。今後は、今年度末に実質化が完了する人・農地プランも有効に活用しながら、地域のニーズに応じた圃場整備事業のさらなる掘り起こしの強化を図ってまいります。 こうした取組を重ねることで、早期の事業化を実現するとともに、地域で暮らし稼げる農業の下支えとなる優良農地の確保に向けて圃場整備を一層推進してまいります。   (文化生活スポーツ部長岡村昭一君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) まず、スポーツツーリズムによる誘客の取組についてお尋ねがございました。 県では、スポーツを通じて、経済や地域の活性化を図ることを目的として、スポーツツーリズムを推進しております。高知県観光コンベンション協会などと連携しながら、プロ野球やJリーグのキャンプ、プロゴルフ大会などの誘致に取り組んでおりますほか、今年度は新たにラグビーのトップリーグのチームの合宿も実現したところです。また、アマチュアスポーツにつきましても、こうしたプロスポーツやトップチームのキャンプ地であることに加え、特色ある自然環境など本県の強みを生かすとともに、県外にネットワークをお持ちの方々の御協力をいただきながら、特に関西圏のチームや学校などの合宿誘致などに取り組んでおります。 しかしながら、こうした合宿などの受入れは一部の地域、施設に集中している状況であり、スポーツツーリズムの取組の効果をより多くの地域に広げていくことが大きな課題であると捉えております。さらなる誘致の拡大に向けましては、県内のスポーツ施設を幅広く活用する必要がありますため、合宿などの受入れ施設の掘り起こしなどを目的といたしまして、本年度市町村に対して受入れ可能な施設や競技種目などについての調査を実施いたしました。 今後は、こうした情報を基に市町村や民間団体などと連携し、より効果的な誘致活動を展開し、関西圏をはじめとする県外からのさらなる誘客につなげてまいりたいと考えております。 次に、スポーツツーリズムのプロモーションについてお尋ねがございました。 県内のスポーツツーリズムに関する情報を一元化し、幅広い層への効果的な発信を行うため、来年度新たなウェブサイトを構築してまいりたいと考えております。このウェブサイトでは、県内で行われるプロスポーツ、アマチュアスポーツのキャンプや合宿などに関する情報のほか、スポーツ大会の開催情報やサーフィンやサイクリングといった県内各地の自然環境を生かしたスポーツに関する情報などを集約し、地域の魅力的な景観や文化、歴史といった関連情報と併せて発信してまいります。 サイトの運用に当たりましては、スポーツツーリズムの資源の掘り起こしや磨き上げを踏まえ、随時情報を更新し、魅力的かつ旬な情報の提供を行ってまいります。あわせまして、より多くの方々に情報が伝わりますようSNSでも発信してまいります。また、スポーツ関係の展示会やイベントなどにおける本県の取組の紹介や、スポーツ合宿の誘致先や旅行会社などへのPRにも活用してまいります。 こうしたプロモーションを関係機関や団体と連携して行うことで、県内各地におけるスポーツツーリズムを推進し、経済や地域の活性化につなげるとともに、県民の皆様のスポーツへの関心の高まりやスポーツ交流を通じた競技力の向上にもつなげてまいりたいと考えております。   (産業振興推進部長沖本健二君登壇) ◎産業振興推進部長(沖本健二君) 小規模事業者の外商参画への対策についてお尋ねがございました。 小規模事業者が販路拡大に取り組みますためには、まずは取引の基本となります衛生管理や食品表示への対応が必要となります。そのため、県庁内に相談窓口を設置しまして、異物混入対策や温度管理など様々な御相談に対応しますとともに、研修会の実施や専門家によります現場指導などを通じまして、適正な衛生管理や食品表示を行っていただけるようサポートをしております。そうしたことをクリアした上で、実際の取引につなげるために重要となりますのは、何といっても商品力です。 そのため、マーケットインの商品づくりをテーマとしたセミナーの開催や専門家によるアドバイスを行いますとともに、商品開発に当たっての技術的な支援を行っております。さらに、出来上がった商品に関しましては、アンテナショップにおけるテストマーケティングの機会を提供し、さらなる商品の磨き上げに取り組んでいただいております。 こうした支援策を展開するとともに、商談会への参加や大規模展示会の出展情報を積極的に提供しておるところでございます。 しかしながら、これらの情報を小規模事業者の皆様に対しまして十分に届き切れていないことも考えられます。そのため、地域本部や商工会議所、商工会を通じて支援制度の周知徹底を図りますことで、販路拡大にチャレンジする意欲ある小規模事業者を支援してまいります。 そうした事業者の皆様におかれましても、地産地消・外商課や地域本部などにぜひともお気軽に御相談いただければというふうに考えております。   (観光振興部長山脇深君登壇) ◎観光振興部長(山脇深君) まず、朝の連続テレビドラマ小説を契機とした観光施策についてお尋ねがございました。 このたびのドラマ化によって、牧野博士の御功績が県内外で広く顕彰されるとともに、コロナ禍で落ち込んだ本県観光の活性化に絶好の機会をいただいたものと思っています。これまで誘致活動に携わってこられた佐川町はじめ関係者の皆様に心より感謝を申し上げます。 この機会を最大限に生かすよう、官民が一体となって、また県内全域で観光振興策を進め、ふるさと高知の魅力を全国に向けて力強く発信していきたいと考えています。振興策を進めていくに当たりましては、県内に広く誘客効果を波及させるため、次の3つの点に留意して取り組んでいきたいと考えております。 1点目として、まずは多くの観光客が訪れることが想定される牧野植物園や佐川町、越知町としっかり連携し、それぞれ拠点としての受入れ体制の強化を図ります。2点目は、今回の大きなテーマは植物や花であり、博士ゆかりの地をはじめ県内各地の草花が楽しめるスポットにも観光客をいざなってまいります。このため、各市町村と連携して、関連する遊歩道や案内板の整備、ガイドのスキルアップなど、それぞれのスポットにおける受入れ環境の整備を進めてまいります。3点目は、ドラマをきっかけに訪れた観光客の方が、県内をより広く周遊し、長く滞在していただけますよう、これまで磨き上げてきた自然体験や食、歴史資源をフル活用するとともに、各拠点での観光案内機能の充実を図ってまいります。 全体の取組を通じまして、ドラマ終了後には本県観光の実力が一段と高まったと言えるような将来の観光振興につながる取組となりますよう、関係者の方々としっかりと準備をしてまいります。 次に、受入れ体制整備などに取り組む市町村に対する支援策についてお尋ねがございました。 このドラマの放送開始後には、県内の牧野博士ゆかりの地やロケ地を目指して多くの観光客が訪れることが期待されます。そうした観光客の皆様に満足していただけるよう、観光資源の磨き上げを進めることと併せて、議員御指摘のように地域の皆様に負担がかからないような受入れ体制の整備が重要であると認識をしております。 このため、集客の核となる佐川町や越知町をはじめ関連する市町村の皆様の御意見や御要望をしっかりとお伺いしながら、支援策の制度設計を早急に進めてまいります。   (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇) ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) まず、これまでに強化してきた中山間対策の総括と今後の事業展開についてお尋ねがございました。 前回の集落実態調査の結果を受けて、平成24年度から中山間対策を抜本強化し、各分野で様々な施策を実施してまいりました。特に中山間対策の核となる集落活動センターにつきましては、32市町村、63か所で開設されるなど、地域の課題やニーズに応じて、支え合いの活動や経済的な活動が各地で展開をされております。 また、生活環境の面では、中山間地域生活支援総合補助金を活用しまして、飲料水供給施設の整備や生活用品の確保対策としての移動販売車両の導入支援を行ってきたところです。加えて、野生鳥獣による農林水産業の被害額は、ピーク時の3分の1まで減少するなど、大きな成果を上げております。 こうした中、今回の集落実態調査では、集落活動センターの取組に満足している、地域がよくなったなど、一定の評価をいただいたものと考えております。 一方で、センターの有無にかかわらず、地域の担い手不足は深刻であり、人口減少や高齢化による集落の活力の低下が多くの集落に共通する課題となっております。また、生活環境に関しましても、これまでの取組により一定改善されたものの、移動手段の確保など、日常生活を送る上での不便さを訴える多くの声をいただき、中山間地域の厳しい現状を改めて認識しているところです。 今後、これからの10年を見据え、引き続き集落活動センター仕組みづくりを推進してまいります。また、新たに集落活動センターの開設に至らない小さな集落の維持・活性化にも取り組んでまいります。さらに、地域の担い手となる人材の確保や育成、デジタル技術を活用した生活環境整備にも取り組んでまいります。 このような取組について、集落に住み続けたいという県民の皆様の声に応えていきたいと考えております。 次に、移住促進に関する県と市町村との連携についてお尋ねがございました。 県外からの移住者数の目標を掲げ、着実に実績を上げていくためには、市町村との連携が不可欠であるとの考えの下、全ての市町村に参画の呼びかけを行いまして、平成29年に高知県移住促進・人材確保センターを設立いたしました。 本県では、このセンターが移住促進の総合窓口として先頭に立ち、移住希望者のニーズを丁寧にお聞きし、市町村の窓口へつないでいく流れを構築しております。また、センターでは市町村とも連携し、東京や大阪で移住フェアを開催しているほか、移住ポータルサイトにおいて、各市町村の魅力や地域の多様な働き方、住まいの情報などを集約し、全国に情報発信を行うなど、オール高知での取組を進めているところです。 さらに、市町村における移住希望者と地域とをつなぐ取組を促進するため、県が補助制度を設け、移住相談員の配置や移住体験ツアーなどの開催に必要な経費を支援しております。加えて、市町村の職員や相談員のスキルアップ研修や、県内外の特色ある事例や先進的な事例についての情報交換会などを行い、市町村での取組の推進に役立てていただいているところです。 今後とも、高知県移住促進・人材確保センターを中心としまして、市町村との連携の下で県外からの移住者数の目標達成に向けて取組を進めてまいります。   (土木部長森田徹雄君登壇) ◎土木部長(森田徹雄君) 移住者や若者の定住につながる空き家の確保についての課題と今後の強化策についてお尋ねがございました。 国土交通省が令和元年に実施した空き家所有者実態調査の結果によりますと、空き家にしておく主な理由として、家財などの物置として必要、将来自分や親族が使うかもしれない、他人に貸すことが不安、リフォームに費用をかけたくないなどが挙げられております。また、県内の市町村からの聞き取りにおいても同様の理由をお聞きしており、所有者が空き家の活用に踏み出せないことが課題と考えております。 このため、令和4年度に決断シートを作成することとし、空き家所有者に売る、貸すといった方針の決断を促すことで、空き家の活用に踏み出すきっかけをつくることといたしました。このシートは、決断のポイントであります空き家の放置が及ぼす悪影響、売る、貸す、壊すなどの選択肢とそれぞれのメリット・デメリット、空き家の活用事例などを新聞紙サイズの一枚紙に掲載し、空き家の再生活用について気軽に御家族で話し合えるものといたします。 今後は、この決断シートを有効に活用しながら、住民への啓発や所有者への働きかけなどを市町村と連携して行い、空き家の掘り起こしを強化していきます。さらに、空き家の活用を検討する所有者へのサポートとして、総合相談窓口を新設し、空き家の活用方法や資金計画、不動産の売買や賃貸借、相続登記といった専門的な相談にも応じることで空き家の活用につなげてまいります。 ◆1番(桑鶴太朗君) それぞれに丁寧な、また真摯な御答弁をいただきまして誠にありがとうございます。 1つだけ要望させていただきます。今回の牧野富太郎博士の朝ドラ化は、県内の観光を盛り上げる上でも、ぜひとも県を挙げて各市町村としっかり連携をして盛り上げていってほしいと思う1点を要望として上げさせていただきます。 最後に、3月で退職される県庁職員の皆様には、私は大変短い間でしたけれども、大変お世話になりましてありがとうございます。皆様の今後の御多幸を祈念申し上げ、私の一切の質問を終わりとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 お諮りいたします。明5日から7日までの3日間は議案精査等のため本会議を休会し、3月8日から再開いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(森田英二君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決しました。 3月8日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時3分散会...