高知県議会 > 2022-03-02 >
03月02日-02号

  • 418(/)
ツイート シェア
  1. 高知県議会 2022-03-02
    03月02日-02号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年  2月 定例会(第361回)-----------------------------------        令和4年3月2日(水曜日) 開議第2日-----------------------------------出席議員       1番  桑鶴太朗君       2番  上治堂司君       3番  土森正一君       4番  上田貢太郎君       5番  今城誠司君       6番  金岡佳時君       7番  下村勝幸君       8番  田中 徹君       9番  土居 央君       10番  野町雅樹君       12番  横山文人君       13番  西内隆純君       14番  加藤 漠君       15番  西内 健君       16番  弘田兼一君       17番  明神健夫君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  依光美代子君       26番  大石 宗君       27番  武石利彦君       28番  田所裕介君       29番  石井 孝君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        井上浩之君  総務部長       徳重 覚君  危機管理部長     浦田敏郎君  健康政策部長     家保英隆君  子ども・福祉政策部長 山地 和君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 尾下一次君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     山脇 深君  農業振興部長     杉村充孝君  林業振興・環境部長  中村 剛君  水産振興部長     松村晃充君  土木部長       森田徹雄君  会計管理者      井上達男君  公営企業局長     橋口欣二君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  澤田博睦君  公安委員長      西山彰一君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員職務代理者             奥村陽子君  監査委員事務局長   中村知佐君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       行宗昭一君  事務局次長      山本和弘君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     川村和敏君  議事課長補佐     杉本健治君  主幹         春井真美君  主査         久保淳一君-----------------------------------議事日程(第2号)   令和4年3月2日午前10時開議追加 第72号 令和4年度高知県一般会計補正予算第1 第1号 令和4年度高知県一般会計予算 第2号 令和4年度高知県収入証紙等管理特別会計予算 第3号 令和4年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第4号 令和4年度高知県旅費集中管理特別会計予算 第5号 令和4年度高知県用品等調達特別会計予算 第6号 令和4年度高知県会計事務集中管理特別会計予算 第7号 令和4年度高知県県債管理特別会計予算 第8号 令和4年度高知県土地取得事業特別会計予算 第9号 令和4年度高知県国民健康保険事業特別会計予算 第10号 令和4年度高知県災害救助基金特別会計予算 第11号 令和4年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算 第12号 令和4年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第13号 令和4年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計予算 第14号 令和4年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第15号 令和4年度高知県県営林事業特別会計予算 第16号 令和4年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第17号 令和4年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第18号 令和4年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第19号 令和4年度高知県高等学校等奨学金特別会計予算 第20号 令和4年度高知県流域下水道事業会計予算 第21号 令和4年度高知県電気事業会計予算 第22号 令和4年度高知県工業用水道事業会計予算 第23号 令和4年度高知県病院事業会計予算 第24号 令和3年度高知県一般会計補正予算 第25号 令和3年度高知県収入証紙等管理特別会計補正予算 第26号 令和3年度高知県旅費集中管理特別会計補正予算 第27号 令和3年度高知県用品等調達特別会計補正予算 第28号 令和3年度高知県会計事務集中管理特別会計補正予算 第29号 令和3年度高知県県債管理特別会計補正予算 第30号 令和3年度高知県土地取得事業特別会計補正予算 第31号 令和3年度高知県国民健康保険事業特別会計補正予算 第32号 令和3年度高知県災害救助基金特別会計補正予算 第33号 令和3年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算 第34号 令和3年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第35号 令和3年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第36号 令和3年度高知県農業改良資金助成事業特別会計補正予算 第37号 令和3年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第38号 令和3年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計補正予算 第39号 令和3年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第40号 令和3年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算 第41号 令和3年度高知県流域下水道事業会計補正予算 第42号 令和3年度高知県電気事業会計補正予算 第43号 令和3年度高知県病院事業会計補正予算 第44号 高知県動物愛護基金条例議案 第45号 高知県行政書士法関係手数料徴収条例等の一部を改正する条例議案 第46号 高知県個人情報保護条例の一部を改正する条例議案 第47号 高知県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例及び知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第48号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第49号 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案 第50号 高知県部設置条例の一部を改正する条例議案 第51号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例議案 第52号 職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例議案 第53号 高知県職員等こころざし特例基金条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県統計調査条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県国民健康保険法施行条例の一部を改正する条例議案 第58号 高知県青少年保護育成条例の一部を改正する条例議案 第59号 高知県立紙産業技術センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第60号 高知県新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金基金条例の一部を改正する条例議案 第61号 高知県家畜保健衛生所条例の一部を改正する条例議案 第62号 高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案 第63号 高知県営病院事業料金徴収条例の一部を改正する条例議案 第64号 警察職員の服務の宣誓に関する条例及び公安委員会委員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例議案 第65号 高知県警察手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第66号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第67号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第68号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第69号 都市計画道路はりまや町一宮線防災・安全交付金工事請負契約の締結に関する議案 第70号 (新)安芸中学校・高等学校体育館新築主体工事請負契約の締結に関する議案 第71号 県道の路線の認定に関する議案 報第1号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第2号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第3号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告第2 一般質問   (3人)追加 議発第1号 ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議議案-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(森田英二君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(森田英二君) 御報告いたします。 第49号議案、第51号議案、第52号議案及び第64号議案については、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき人事委員会に意見を求めてありましたところ、同委員会の勧告の趣旨に沿ったもの及び法律等の改正を考慮したもの等であり、適当なものと判断する旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。 次に、第50号議案については、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条第2項及び第55条第4項の規定に基づき教育委員会に意見を求めてありましたところ、適当なものと判断する旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。   〔人事委員会回答書、教育委員会回答書 それぞれ巻末453、454ページに掲載〕----------------------------------- △議案の追加上程、提出者の説明(第72号) ○議長(森田英二君) 御報告いたします。 知事から議案が追加提出されましたので、お手元にお配りいたしてあります。その提出書を書記に朗読させます。   (書記朗読)   〔提出書 巻末455ページに掲載〕 ○議長(森田英二君) お諮りいたします。 ただいま御報告いたしました第72号「令和4年度高知県一般会計補正予算」を、この際日程に追加し、直ちに議題とすることに御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(森田英二君) 御異議ないものと認めます。よって、日程に追加し、直ちに議題とすることに決しました。 本議案を議題といたします。 ただいま議題となりました議案に対する提出者の説明を求めます。 県知事濱田省司君。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) ただいま追加提案をいたしました議案について御説明を申し上げます。 第72号議案は、高知県議会議員補欠選挙に要する経費につきまして、総額2,400万円余りの一般会計補正予算を追加しようとするものであります。 何とぞ御審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(森田英二君) ただいま議題となっている議案については、日程第1、第1号「令和4年度高知県一般会計予算」から第71号「県道の路線の認定に関する議案」まで及び報第1号「令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」から報第3号「令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」まで、以上74件の議案に併せて一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 15番西内健君。   (15番西内健君登壇) ◆15番(西内健君) おはようございます。自由民主党の西内健でございます。議長のお許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。 県内におきましても1月中旬より新型コロナウイルス感染症、オミクロン株の感染拡大により感染され、お亡くなりになられた方々や療養された方々、また現在療養中の方々に対しお悔やみとお見舞いを申し上げます。 そして、長期にわたり大きな影響を受け、新型コロナとの闘いに協力いただいている事業者をはじめとする皆様に感謝申し上げます。そして、爆発的な感染拡大の最前線で取り組まれている医療機関、介護施設、保健所など多くの関係者の皆様に深く感謝申し上げます。 さて、1月17日に第208回国会が開会し、岸田内閣総理大臣は施政方針演説において、新型コロナ対応、新しい資本主義、気候変動問題への対応、全ての人が生きがいを感じられる社会へ、そして地域活性化、災害対策、外交・安全保障、憲法改正などの重点項目について言及されました。昨年の自由民主党総裁選挙のときから岸田総理が看板政策として掲げる新しい資本主義について、少し長いですが、施政方針演説を引用させていただきます。 1980年代以降、世界の主流となった、市場や競争に任せれば全てがうまくいくという新自由主義的な考え方が、世界経済の成長の原動力となった反面、多くの弊害を生み出しました。市場に依存し過ぎたことで格差や貧困が拡大し、また自然に負荷をかけ過ぎたことで気候変動問題が深刻化しました。 世界でこうした問題への危機感が高まっていることを背景に、新自由主義的な考え方が生んだ様々な弊害を乗り越え、持続可能な経済社会の実現に向けた歴史的スケールでの経済社会変革の動きが始まっています。成長と分配の好循環による新しい資本主義によって、この世界の動きを主導し、官と民が全体像を共有し協働することで、国民一人一人が豊かで生き生きと暮らせる社会をつくっていきます。様々な弊害を是正する仕組みを、成長戦略と分配戦略の両面から資本主義の中に埋め込み、資本主義がもたらす便益を最大化していきます。成長戦略では、デジタル、気候変動、経済安全保障、科学技術・イノベーションなどの社会課題の解決を図るとともに、これまで日本の弱みとされてきた分野に官民の投資を集め、成長のエンジンへと転換していきます。分配や格差の問題に正面から向き合い、次の成長につなげます。こうして成長と分配の両面から経済を動かし、好循環を生み出すことで、持続可能な経済をつくり上げますと総理は述べられました。 私も施政方針演説の内容には賛同するところが大きく、新自由主義的な資本主義においては、合理的な個人への信頼という前提の下で、市場に任せれば効率的な分配が行われ、成長していくと考えられていますが、現実には貧富の格差や都市間の格差など多くの格差を生み出しています。新しい資本主義として、行き過ぎた新自由主義的な資本主義の是正を目指すところに期待する一方で、現代社会では資本、労働、土地などが経済要素として市場化されているため、これらの是正は非常に難しいと考えるところであります。 資本においては様々な金融商品が生み出され、労働においては派遣労働や非正規雇用など、そして土地においてはREITなど不動産証券化が行われており、それぞれに市場化が激しく進んでいます。これらの行き過ぎた市場化の是正を図り、新たに成長を目指すのは非常に困難に思えますが、総理は日本ならばできる、日本だからできるとし、経済社会変革に挑戦しようとしています。 新しい資本主義における成長戦略の第1の柱として。デジタルを活用した地方の活性化として、デジタル田園都市国家構想を掲げ、デジタル実装を通じて地方が抱える課題を解決し、誰一人取り残されず、全ての人がデジタル化のメリットを享受できる心豊かな暮らしを実現するという構想であります。デジタルの力を全面的に活用し、地域の個性と豊かさを生かしつつ、都市部に負けない生産性、利便性も兼ね備え、心豊かな暮らしと持続可能な環境、社会、経済の実現を目指すとしています。 それ以外にも、経済安全保障、科学技術・イノベーション、賃上げ、人への投資、中間層の維持を掲げ、経済再生に取り組むとしています。そして、2月22日には、過去最大の総額107兆5,964億円となる令和4年度予算案が衆院本会議で与党と国民民主党の賛成多数で可決され、衆院を通過しました。来年度予算案は、昨年12月に成立した令和3年度補正予算と一体で編成されており、新型コロナ対策に万全を期しつつ、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現を図るための予算となっています。 歳入では、法人税収の増加など昨年度当初比で13.6%増の65兆2,350億円と過去最高となっており、新規国債発行額は36兆9,260億円と当初ベースで2年ぶりに減少し、公債依存度は34.3%に低下しました。 一方、歳出は新型コロナ対策として、国産ワクチンと治療薬の研究開発を強化する費用のほか、感染拡大に機動的に対応するための予備費を昨年度当初の同額の5兆円としました。 また、成長戦略としては、科学技術立国の観点から、過去最高の科学技術振興費1兆3,788億円を確保し、デジタル化、グリーン化、そしてAI等の研究開発を推進するとしています。また、デジタル田園都市国家構想の実現に向け、地方向けの交付金により、自治体の創意によるデジタル技術の実装等を幅広く支援するとともに、デジタル推進委員を全国に展開するとしています。 一方、分配戦略としては、新型コロナ医療対応等を行う医療機関の看護職の方々や、介護現場等で働く方々に対して、診療報酬等による対応を通じて給与の引上げを行うことや、人への投資の促進、下請いじめゼロの実現を図ることとしています。 そのほか、年金、医療、介護など高齢化で膨らむ社会保障費が36兆2,735億円を占め、過去最高を更新し、安全保障環境の変化に対応した防衛費も5兆3,687億円と、こちらも過去最高を更新しました。公共事業費は6兆575億円で横ばいでありますが、翌年度に実施する事業を前倒しできる国庫債務負担行為枠として2兆1,000億円を確保しております。今後は、参院での予算委員会における質疑を経て、年度内での成立が見込まれています。 岸田総理の施政方針演説を踏まえ、国の令和4年度一般会計予算案について知事の御所見をお伺いします。 次に、施政方針演説で総理が述べられた憲法改正についてお伺いします。昨年の新聞各社による世論調査において、憲法改正に関し、各社ばらつきがあるものの、賛成が反対を上回っております。特に、18歳から29歳の世代において憲法改正に賛成が非常に多く、60歳以上でも賛成が若干多い状況でありました。憲法が制定、施行されて70年以上が経過したにもかかわらず、これまで一度も改正が行われていないことから、複雑化した現代社会においては、拡大解釈や類推解釈などではそぐわない面も出てきていることなどが理由として考えられるのではないかと思われます。 与党をはじめ日本維新の会と国民民主党は憲法改正論議に前向きで、立憲民主党も憲法審査会において憲法を積極的に議論する論憲の立場を取ることを表明しました。自民党においては、憲法改正に向けて国会での憲法議論を進めるために、党の推進本部の名称を実現本部へ改め、国民の理解を広める取組に力を入れています。自民党では、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3原則を変えず、自衛隊の明記と自衛の措置の言及、緊急事態への対応強化、参議院の合区解消、教育環境の充実を掲げ、国民の幅広い理解を得て、新しい時代の憲法を目指しています。岸田総理は、憲法改正に向けては国会での議論を深め、国民の理解が重要だとして、国民との対話により理解を広げることで、憲法改正の機運を高める取組に力を入れる方針です。 一方、ここ数日のロシアのウクライナへの侵攻や、中国、北朝鮮など日本を取り巻く国際安全保障環境は、現行憲法が制定された当時とは大きく異なってまいりました。憲法前文には、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して我らの安全と生存を保持しようと決意したとありますが、我が国の周辺国を見渡せば、核武装への動きが着実に進んでおり、戦後の米ソ冷戦構造と日米安全保障条約、そしてアメリカの核の傘により維持されてきた日本の平和は危機に瀕していると言っても過言ではないと思います。米ソの二極化、そしてアメリカの覇権主義的一極体制を経て、現代はアメリカの国力が相対的に低下する中で多極化する現在の国際情勢の下では、今後もますます不透明化することになると思われます。憲法9条を掲げていれば、いつまでも平和が維持されていると考えるのは、個人として疑問に感じざるを得ません。 国における憲法議論の動きや国際情勢の変化を踏まえ、憲法改正の必要性について改めて知事の御所見をお伺いします。 次に、県政運営についてお伺いします。知事は提案説明において、今回の予算編成に当たって、新型コロナへの対応を着実に進めるとともに、ウイズコロナ、アフターコロナ時代の成長の原動力となるデジタル化、グリーン化、グローバル化の視点から施策を一層強化するべく知恵を絞ったと述べられました。そして、さらに県勢浮揚と県財政の持続可能性の両立を図ることができたとおっしゃりました。 そこで、今回の予算編成において、知事が特に意識したポイントについてお伺いします。 次に、新型コロナウイルス感染症に関連してお伺いします。 本県においても1月中旬からオミクロン株による感染の急拡大が進み、連日200人を超える新規の感染者が確認されました。そして、2月10日に300人、11日には310人を確認し、最大確保病床の占有率以外は非常事態のレベルにあり、非常に強い感染力を持つオミクロン株により保育所、学校、高齢者施設、病院などにおいて多くのクラスターが発生しました。 1月28日に開催された新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会においては、委員から県民への情報発信が乏しいとして、知事の姿勢に対し苦言も呈されました。飲食業等を中心にまん延防止等重点措置の適用が要望される状況の中、2月7日にまん延防止等重点措置の適用について国と協議を行い、2月12日から3月6日までを期間とするまん延防止等重点措置の適用が決定しました。 まん延防止等重点措置の適用を要請するに当たり、タイミングをはじめ留意した点について知事にお伺いします。 先ほども述べましたが、感染力の強いオミクロン株により多くの施設等でクラスターが発生しました。施設において、感染予防に対し個人防護具が充足されていて適切な使用がなされていたのか、また入院患者や外来患者、面会への対応が適切であったのか、医療従事者の感染防護体制が整っていたのかなどの標準予防策をはじめ、病院や高齢者施設における感染管理体制に課題がなかったのか検証する必要があると思われます。 また、日本看護協会では、感染症に関する専門的な知識と高度な技術を持つ感染管理認定看護師の養成を推進し、200床未満の医療機関等への配置促進に支援を行っていますが、中四国では感染管理に関する教育機関がない現状であります。資格取得まで半年ほど必要であり、高知県においては資格取得に向けた高いハードルとなっていますが、授業のオンライン化の提言や費用面での支援策を検討してはと考えます。 今後の新型コロナウイルスの変異だけではなく、高齢者を多く抱える本県において、インフルエンザをはじめとする感染管理の対策を十分に取ることが、将来への安心・安全につながることから、これらの対策は重要であると考えます。 今回のオミクロン株による感染拡大をどのように捉えて、また今後に向けた取組について健康政策部長にお伺いします。 ワクチンの2回目の接種から時間が経過したため、ブレークスルー感染が今回多く発生しました。県内各市町村では、3回目のワクチン追加接種を進めていますが、ファイザー社製ワクチンを2回接種した方々がモデルナ社製ワクチンを敬遠する傾向にあると聞いております。国においては、モデルナ社製ワクチンの交互接種について安全性や有効性が確認されていますが、モデルナ社製ワクチンの敬遠による接種進展のスピードが鈍る心配があります。また、今後は5歳から11歳の小児への新型コロナワクチン接種が始まります。 今後のワクチン接種に関して、情報提供をはじめとする対応について健康政策部長にお伺いします。 次に、関西圏との経済連携強化についてお伺いします。 この政策は、令和7年開催の大阪・関西万博といった大規模プロジェクトに向けて、経済活力が高まる関西圏との経済連携の強化を図ることで、県経済の活力につながるとして、知事が選挙時の公約として掲げたものであります。昨年3月には、関西・高知経済連携強化アドバイザー会議での御意見を踏まえ、関西・高知経済連携強化戦略を策定し、観光推進、食品等外商拡大、万博・IR連携の3つのプロジェクトに基づく取組が本年度よりスタートしております。 ところが、コロナ禍が長引き、主眼に置いていたインバウンド観光が足踏み状態となるなど、計画どおりに進まない面もあり、12月議会では知事から、道半ばとも言えない状況だと認識しているとの答弁があったところであります。関西圏は2,000万人の大商圏を有し、本県に縁が深い方々も多くいらっしゃることから、県民の皆様の期待も大変高いものがあり、今後の反転攻勢につなげていくため、しっかり取り組んでいく必要があると考えます。 先月には、大阪・関西万博の民間パビリオン出展参加者が決定されたほか、令和5年度からパビリオンの建設工事が開始されるなど、開幕に向けた準備が着々と進んでおり、万博関連での本県産品の活用や誘客に向けても、今後より一層スピード感を持った取組が必要だと考えております。 ついては、関西圏との経済連携強化に関する1年目の成果と課題について知事にお伺いします。 また、関西戦略のうち外商強化策として、令和4年度に外商拠点の可能性調査に関する予算が盛り込まれておりますが、それに先立って2月15日に開催された関西圏外商強化対策協議会では、都市型か郊外型か、設置場所や運営主体などに関して、幅広な選択肢の中で検討を進めていくとの説明があったとお聞きしているところであります。 今後、この外商拠点の設置を含めた関西圏における外商強化策についてどのように取組を進めていくお考えか、知事にお伺いします。 ここからは、県勢浮揚に向けた政策についてお伺いします。特に、デジタル化ということを念頭に置きながら質問させていただきます。 まずは、農業振興部にお伺いします。本年1月13日に金子恭之総務大臣、中西祐介総務副大臣が南国市を訪れ、四国電力などが設立したスマート農業に取り組むAitosa株式会社を視察されました。高知県から大臣らに対し、温度や湿度、二酸化炭素や日照などをトータルに管理する環境制御技術を取り入れ、現場のデータを一元化してクラウドに集め、より最適な栽培管理を目指すIoPプロジェクトについて説明がありました。また、Aitosa株式会社武田社長より、スマート農業の研究開発におけるAI、IoT、ロボット技術の活用による農業の省力化の紹介がありました。後日、中西副大臣とお会いした際に、高知県のスマート農業の先進性とデジタル化への取組に対して称賛をいただいたところであります。 県では、令和4年度中のIoPクラウドの本格運用開始に向け、データを基にした生産性の向上や経営の改善に結びつけるデータ駆動型農業の指導体制を強化し、分析に基づいた営農指導の実践により、データ駆動型農業の普及拡大を図ることとしています。今後は生産者である農家の皆さんが自らクラウドにおけるデータを活用できるアプリの開発等が進むことで、収量や収益性の向上がより一層期待されます。今後はデータが財産であり、どのように管理を行うのか、そして管理されたデータを誰に対してどのように提供していくのかといった課題が考えられます。 IoPクラウドに一元化されたデータをどのように管理し、営農指導やアプリ開発などへの活用を適正に進めていくのかについて農業振興部長にお伺いします。 令和3年5月12日に農林水産省は、みどりの食料システム戦略を策定しました。生産者の減少、高齢化や温暖化、大規模自然災害などの現状と課題に対して、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するとしています。2050年までの目指す姿として、化学農薬、化学肥料の使用量の低減や有機農業の取組面積の割合を25%に拡大することなどが挙げられています。これらの目標達成には、今後の革新的な技術・生産体系の開発に期待されるところが大でありますが、目標としては非常に野心的であると感じるところであります。 また、先月22日には、みどりの食料システム法案が閣議決定となり、国会に提出され、有機農業に取り組む生産者や環境負荷が少ない技術開発を進める食品事業者の認定制度を創設し、税軽減を行うとしており、年内の施行を目指しています。 みどりの食料システム戦略を受け、高知県農業におけるグリーン化の取組について農業振興部長にお伺いします。 次に、林業振興についてお伺いします。林業の現状において、森林資源情報の制度が十分でなく、不明確な所有者情報の課題などがあり、また少子高齢化による人材不足や流通段階における需要と供給の情報共有がなされていないなどの課題があります。これらの解決に向けスマート林業への取組が進められているところであります。 レーザ計測技術やドローンによる測量、クラウドGISを用いたデータ管理などの先端技術により、森林情報の高度化や共有化を図り、生産における効率化や省力化が行われ、需給マッチングにつながるとされています。また、作業の効率化や安全性の向上のため、高性能林業機械をはじめとする先端技術の導入も行われています。素材生産や木材の収集、搬出を効率的に行うICTを活用した林業機械や、原木入札をインターネット市場で行うなど多くの取組が進んでまいりました。本県でも森林資源情報の収集や森林データの整理が行われてきたことで、森林管理の効率化や人材不足への対応が進むと思われております。 本県におけるスマート林業への取組の現状及び今後の展開について林業振興・環境部長にお伺いします。 また、昨年アメリカと中国における住宅需要の増加による木材価格の高騰、いわゆるウッドショックが起き、木材市場に大きな混乱が生じました。国内需要の約6割を輸入材が占めていることから、我が国においては深刻な木材不足と木材価格の高騰に見舞われました。アメリカでの住宅需要の高まりは今後も当面は続くと見込まれており、また新型コロナの影響による海上輸送コンテナの不足などからコンテナ運賃が急騰していることを見ますと、今後も国内の木材価格は一定程度高い価格が継続する可能性が高いと思われます。 高知県としてもウッドショックをチャンスと捉え、原木生産量の拡大やサプライチェーンの強化を行うとしていますが、今後の取組について林業振興・環境部長にお伺いします。 この項最後に、グリーン化に向けた取組をお伺いします。SDGsやESG投資の観点から木材利用への機運が高まる中、民間企業において経営戦略として持続可能な環境価値の高い不動産、いわゆる環境不動産の形成に木材利用を上手に取り込む動きが見られるとのことであります。 これらを背景にして、高知県においても都市部における木材利用の促進に向けた取組への支援の強化の政策提言を行ってまいりました。内容として、都市部における非住宅建築物の木造化、木質化や店舗、オフィス空間での木材利用の拡大に向け、経営者や投資家の木材活用への理解の醸成を図ることと併せて、非住宅木造建築に取り組む建築士を育成していくことが重要となることから、こうした取組への支援を強化、拡充することを求めています。 また、グリーン化をテーマとした産業振興として、木質バイオマスや海藻等の資源を活用したグリーンLPガスの地産地消に向けた産学官プロジェクトを立ち上げるとのことであります。こうした環境不動産やグリーンLPガスプロジェクトなどの取組を進めていくためには、取り組む意義や目指す姿を分かりやすく県民に説明し、それらを共有していくことが重要であると考えます。 林業分野におけるグリーン化の取組の意義と目指す姿について林業振興・環境部長にお伺いします。 次に、水産業のデジタル化に関してお伺いします。水産業においても高齢化や担い手不足といった課題解決に向け、川上から川下におけるボトルネック解消を図るため、確実性の高い操業方法への転換や操業の効率化を図るデジタル化に取り組んでいます。釣り漁業における海況データを活用した漁場予測システムの開発や、養殖漁業における赤潮発生予測手法の開発と、スマート市場の整備により課題解決を図る高知マリンイノベーションの推進が行われています。水産業とデジタルは意外と親和性が高いとも言われており、担い手の高齢化や減少が進む本県においては、デジタル技術を導入することで、より収益性を高め、持続的な漁業経営につなげていくことが重要であると考えます。 今後、収益性の高い漁業の実現に向けてデジタル技術をどのように活用していくのか、水産振興部長にお伺いします。 次に、観光振興についてお伺いします。年明け以降のオミクロン株による感染拡大を受け、本県の観光産業も大きな影響を改めて被っています。コロナ禍の収束後に向けて、今後はデジタル化やグリーン化といった時代の流れを捉え、つくる、売る、もてなすという3つの施策群の取組を強化するとのことであります。 新型コロナによる巣籠もり状態から、収束後は観光に対する需要は大きくなると考えられ、これらの施策群をどのように打ち出していく予定であるのか、観光振興部長にお伺いします。 次に、日本一の健康長寿県構想についてお伺いします。 令和2年3月に第4期構想が策定され、本年3月にVer.3へと改定を予定しています。第4期においては、新たに3つの柱を設定し、4年後に目指す数値目標をより明確にして対策を推進していますが、これまでの成果と課題を検証した上で、デジタル化の視点などから、さらに充実強化を図り、同構想を改定することとしています。 まず、1つ目の柱である健康寿命の延伸に向けた意識醸成と行動変容の促進についてお聞きします。濱田知事は知事選挙の公約において、人工透析につながりやすい糖尿病性腎症の重症化予防を掲げ、これまでも透析予防強化プログラムに基づく保健指導などの介入を行ってきました。来年度は、非介入者との比較による検証結果も踏まえて、新たな地域への取組を広げる予定です。そして、初期の段階における発症及び重症化予防を進めるため、ICT機器を活用した血糖状態のモニタリング等、遠隔での保健指導を行うこととしています。 また、一昨年高知県歯と口の健康づくり条例の一部が改正され、高齢期におけるオーラルフレイルが盛り込まれました。高齢者が多い高知県では、フレイル対策が介護予防と健康増進に重要であり、市町村が主体となって健康づくりに取り組んでいます。オーラルフレイルに関しては、県でリーフレットを作成し、啓発にも努めています。 歯周病は、糖尿病をはじめ心臓疾患、脳血管疾患など全身疾患につながる原因となります。また、妊婦の妊娠性歯肉炎や低体重児早産、高齢者の誤嚥性肺炎など多くの病気と深い関係があります。そうした中、県内では歯科医師の高齢化が進んでおり、10年後には歯科医師がいない地域が増加する懸念があり、高齢者を多く抱える本県中山間地域にとって、オーラルフレイル対策の要となる歯科医療提供体制を維持・確保する必要があります。 1つ目の柱である健康寿命の延伸に向けた意識醸成と行動変容の促進の現状における見えてきた課題と今後の取組について健康政策部長にお伺いします。 次に、2つ目の柱である地域で支え合う医療・介護・福祉サービス提供体制の確立とネットワークの強化についてお聞きします。提案説明において、デジタル技術の活用による在宅医療体制の充実が述べられました。 中山間地域を多く抱える本県にとって、この分野でのデジタル技術の活用には大きな期待が寄せられるところでありますが、来年度の具体的な取組について健康政策部長にお伺いします。 3つ目の柱である子どもたちを守り育てる環境づくりについてお伺いします。妊娠期から子育て期まで切れ目なく総合的に支援する高知版ネウボラの取組が始まり5年ほどが経過しました。この間に、妊娠期からの総合相談窓口となる子育て世代包括支援センターや、地域の子育て支援拠点となる地域子育て支援センターが県内市町村では設置が進んでいます。今後は、子供に関わる各部門の連携強化と子育て支援のさらなる充実に向け、子育て世代の様々な相談に対応する子ども家庭総合支援拠点の設置が行われることとなります。 フィンランドでは、妊娠から子育てまで1人の保健師が担当することで、切れ目ない支援が実現していると聞いていますが、高知版ネウボラでは、それぞれの場面において担当が替わるなど課題もあるのではないかと考えます。 これまでの高知版ネウボラの取組に対する評価と今後の展開について子ども・福祉政策部長にお伺いします。 次に、教育の充実についてお伺いします。 新型コロナウイルスの影響が長引く中、教室において子供たち同士の距離を確保し感染拡大を防ぐため、また一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細かな学習指導を行っていくために、いわゆる少人数学級を推進することが全国的な課題となっております。国会においては、令和7年度までに小学校全学年で35人学級とすることとし、昨年春に公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の改正が行われました。この35人学級については、本県では全国より先行して取組が進み、昨年度から小学校5年生、本年度からは小学校6年生にまで拡充したことで、小学校では全学年で少人数学級が実現しております。 一方、中学校については、衆参両院の委員会で35人学級の検討を含め、学校の指導体制の構築に努めるとの附帯決議が採択され、また骨太の方針2021においても小学校における35人学級等の教育効果を実証的に分析・検証する等の取組を行った上で、中学校を含め、学校の望ましい教育環境や指導体制の在り方を検討するとの記載がなされているものの、まだ具体的に実現する見通しは立っておりません。 こうした中、知事は開会日の提案説明の中で、来年度から中学校においても全学年で35人学級を実現する方針を述べられました。もとより少人数学級の推進については、令和2年9月定例会において三石文隆議長の下、全会一致で意見書を可決し、県議会として国に対して意見書を提出してきたところであります。本県において、来年度から中学校でも少人数学級が実現することは、教員が生徒たち一人一人に向き合う時間の確保につながり、ひいては学力の向上、不登校やいじめなど諸課題の解決につなげていくことができるものと、私も期待をするところであります。 そこで、まず小学校では、中学校に先行し全学年で少人数学級を実施してきた結果、具体的にどのような成果が上がってきたのか、教育長にお伺いします。 また、中学校においては、現在1年生のみ30人学級が編制されているものと承知しておりますが、来年度から全学年を35人学級とすることでどのような効果が期待できるのか、さらに今後はどのような課題があると考えるのか、併せて教育長にお伺いします。 次に、不登校等に関わる対策についてお聞きします。高知県では、児童生徒における不登校の割合が全国平均と比較していまだに高く、新規の発生も増加傾向が続いています。また、ヤングケアラーといった新たな課題も出てきている点や、これら不登校やヤングケアラーの児童生徒が将来的にいわゆるひきこもりにつながる可能性もあることから、必要な支援策を講ずることが重要となります。 こうした課題は、社会が複雑化し、それぞれが抱える問題が多様化している現代社会において、学校現場だけでは解決することができないことから、地域を含む多くの関係者の関与が必要になると考えられています。県の組織を考えても、教育委員会だけでなく、子ども・福祉政策部や健康政策部、警察本部なども関係する点もあり、組織横断的な取組が今後は求められます。また、地域における情報に関しては、市町村をはじめ社会福祉協議会などの組織や地域住民の皆さんの協力体制の構築、またそれらを可能とする財政措置なども必要であります。 不登校をはじめとする今後の課題解決に向けた組織横断的な取組や市町村との連携について副知事にお伺いします。 次に、中山間対策についてお伺いします。 県は昨年6月から本年1月にかけて、中山間地域の住民の生の声を政策に反映することを目的に、1,451集落を対象に集落実態調査を10年ぶりに実施しました。10年前に比べて人口減少、高齢化が一段と進んだことから、地域活動への参加者の減少や、将来に向けた集落の維持に不安を抱える集落が増加しています。一方で、住民の多くの方は住み慣れた集落に愛着を持ち、継続して暮らしていきたいと希望を持っていらっしゃいます。 集落活動センターの取組については、多くの集落代表者が満足しており、担い手不足の対応という観点からも着実に成果を上げています。生活環境では、飲料水の確保において施設の維持管理などの点や、また食料品をはじめとする生活用品を確保するための移動手段の維持などに課題が見られています。産業面では、農業や林業などにおいて、担い手不足から8割以上の集落で衰退しているとの回答がありました。 集落の活性化を図るためには、やはり担い手不足が大きな課題となっていることが浮き彫りになってまいりました。これらの調査結果を受けて、県は来年度から新たに小さな集落の活性化に取り組むこととしています。また、中山間地域の課題解決に向けたデジタル技術の有効活用を行い、持続可能な中山間地域を目指すこととしています。 これまでも集落活性化には取り組んできていますが、デジタル技術の活用を含め、今後の中山間地域の活性化に向けた取組について中山間振興・交通部長にお伺いします。 次に、とさでん交通についてお伺いします。 令和4年から8年度の中期経営計画案が策定を進められています。会社設立後から平成30年度までは黒字で推移してきましたが、新型コロナの影響から令和2年度は売上げが前年のほぼ半分となり、国や沿線自治体の補助金を活用しても8億2,400万円の大幅な赤字となっています。今後も新型コロナの影響により先行きが不透明なことから、収支改善の取組を行っても非常に厳しい経営状況になることが予想されています。収益向上や経費削減などの経営改革に取り組むことになりますが、従業員のモチベーション維持などに配慮する必要もあると思います。 先月23日には路面電車の脱線事故がありましたが、保守や点検は乗客の命を預かる公共交通の大前提であります。しかしながら、経営改善に向けた極端な経費削減は、保守、点検などが手薄になるおそれもあり、安全確保と経営改善のバランスを図ることが県として、やはりとさでん交通に対し、しっかり指導・助言をお願いしたいと思うところであります。 県民生活や経済活動の基盤となる公共交通を守っていくことが非常に重要であるとの認識をお持ちでありますが、今後のとさでん交通への対応について中山間振興・交通部長にお伺いします。 最後に、先月本県出身の牧野富太郎博士をモデルとしてNHK連続テレビ小説らんまんが令和5年度前期に放送されるといううれしいニュースがありました。牧野植物園をはじめ、出身地である佐川町、植物観察のフィールドとしていた横倉山のある越知町など、今後の地域の活性化の大きな起爆剤となることが期待されています。 牧野植物園をはじめ多くの施設で企画展の開催などが行われることになると思いますが、1つ心配しているのが、それらの企画・運営を担当する学芸員の育成であります。経済性が優先される現代においては、これらの文化的な非経済の分野に対する財政的な支出が少ない傾向になるのは否めませんが、植物関係だけではなく、自然史や歴史関係の学芸員について、育成が十分に行われているのでしょうか。学芸員の育成にはやはり長期の視点が必要であり、今回県が掲げているサステーナブル観光など今後の経済政策を考えるケースにおいて、学芸員はやはり礎となる重要な人材であります。 学芸員の育成に関して文化生活スポーツ部長の御所見をお伺いし、私の1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 西内議員の御質問にお答えをいたします。 まず、岸田総理の施政方針演説を踏まえた国の令和4年度予算案に対する所見についてお尋ねがございました。 国の令和4年度一般会計予算案は、新型コロナウイルスへの対応に加えまして、新しい資本主義の実現を図るため、令和3年度補正予算と一体的に編成をされております。岸田総理が施政方針演説で述べられた新しい資本主義に関しましては、その実現に向けた成長戦略の一つとしてデジタル田園都市国家構想の推進を掲げられ、自治体の創意によりますデジタル技術実装の支援やデジタル人材の育成などに関する予算が計上をされております。 また、同じく施政方針におきましては、脱炭素社会の実現に向けた取組を新たな成長のエンジンとすると述べられました。この方針に基づきまして、予算案には意欲的な脱炭素の取組を行う地域への支援策でありますとか、再生可能エネルギーの導入促進、環境負荷低減に資する技術開発などが盛り込まれているところであります。 デジタル化の推進は、距離や移動時間といった地方が抱える物理的なハンディの克服でございますとか、中山間地域の課題解決につながるものだというふうに考えております。さらに、脱炭素化の取組では、地方が持つ豊富な自然資源が成長の糧になり得るということだと考えております。こうした国の一連の施策群は、少子高齢化や過疎化の進みます地方にとって活性化の起爆剤になるものと捉えております。加えて、県勢浮揚に向けました成長の原動力として掲げてまいりましたデジタル化、グリーン化といった本県の取組と方向性を一にするものでありまして、高く評価をいたしたいと考えております。 県といたしましては、こうした国の予算を最大限活用して、各施策をさらに進化させてまいります。 また、本県ではこれまで産業振興計画によりまして県経済の抜本的な体質強化を図りますとともに、中山間地域の振興に特に意を用いまして、様々な施策を実施してまいりました。その結果、各種の生産額が大きく増加をし、1人当たりの県民所得についても全国を大きく上回る伸びを見せるといった形で、県全体でいわゆる経済の好循環が形成をされてきていると言って過言ではないと考えます。 新しい資本主義の考え方は、こうした本県の施策展開とも重なってくるものでございまして、持続可能な経済をつくり上げるために重要なものであるというふうに捉えております。さきに述べられました施政方針演説では、この新たな資本主義のグランドデザインと実行計画を今年の春に取りまとめるという方針が示されました。 今後とも国の施策展開が本県の取組の大きな後押しとなりますように、引き続き全国知事会などと連携をして、積極的に政策提言を行ってまいる考えであります。 次に、国の憲法議論の動きや国際情勢の変化を踏まえました憲法改正の必要性についてお尋ねがございました。 お話がございましたように、日本国憲法は制定されてから70年以上が経過をいたしまして、国民主権あるいは基本的人権の尊重といった現行憲法の基本原理に当たる部分につきましては、国民の間に広く定着しているというふうに認識をいたしております。 他方、時代の変化を踏まえまして、憲法の規定が現代の社会に対応したものであるかどうかという観点から、憲法改正について徹底した議論を行うということは必要であるというふうに考えております。特に、本県にとりまして重要な問題であります参議院選挙におきます合区を抜本的に解決するというためには、憲法上の地方自治の規定を充実させるという形での憲法改正が必要不可欠だというふうに考えております。このため、これまでも全国知事会などを通じまして、こうした憲法改正によります合区の解消を訴えてまいったところであります。 加えて、新型コロナウイルス対応のみならず、南海トラフ地震などの極めて重大な緊急事態の発生を想定した場合、私権の制限あるいはそれに伴う補償などの規定をあらかじめ法律で定めておく必要があるというふうに考えます。そのために国民全体の意思として、こうした種類の立法が必要であるという旨を憲法上明らかにしておくということが、私としては望ましいものというふうに考えております。 さらに、憲法に自衛隊の根拠規定を設けるということにつきましては、自衛隊の合憲性に関して、国民的な議論を通じて合意を図るという観点から、大変意義があることではないかというふうに考えております。他方で、平和主義は当然のことながら堅持をすべきだというふうに考えておりまして、憲法に自衛隊を明記する場合には、既存の条文解釈に影響が及ばないかといった点について、慎重に検討する必要があるというふうにも考えております。 先月の10日には衆議院の憲法審査会が今通常国会で初めて開催されまして、オンライン国会の是非をめぐって議論が交わされております。加えまして、昨今のコロナ禍やウクライナ情勢といいました国内外の危機事象は、国民の憲法に対する関心を喚起する機会ともなり得るものと考えます。 岸田総理は施政方針演説の中で、憲法改正に関する国民的議論を喚起していくには、我々国会議員が国会の内外で議論を積み重ね、発信をしていくことが必要というふうに述べられました。言うまでもなく、憲法改正の発議権は国会のみが有するわけでございまして、引き続き国会において多角的な視点で、慎重かつ徹底した議論を行っていただきますとともに、国民の皆さんに丁寧に説明を重ねていただきたいというふうに考えております。 次に、来年度予算の編成におきまして、特に意識したポイントは何かというお尋ねがございました。 来年度予算の編成に当たりましては、まずは新型コロナウイルス感染症対策に万全を期すべく、感染拡大防止対策と経済影響対策を着実に進めるための予算を措置いたしました。その上で、今後の成長の原動力となりますデジタル化、グリーン化、グローバル化の視点から、施策を一層進化させるということに特に意を用いたところであります。その際には、施策を進めることによりまして県民の皆さんの暮らしあるいは事業者の皆さんの経済活動が具体的にどのようによくなっていくのかという点を重視いたしたところであります。 さらに、具体的に申しますと、デジタル化におきましては生活、産業、行政の各分野において、デジタル技術を活用した取組を進めますことで、県民の皆さんの生活の利便性、そして事業の生産性を向上させたいと考えております。また、グリーン化におきましては、本県の豊かな自然を生かし、再生可能エネルギーの導入、グリーン化関連産業の育成などの取組を展開するということによりまして、県の産業振興につなげてまいります。そして、グローバル化におきましては、コロナの収束後も見据えた輸出の拡大あるいはインバウンド観光推進の取組を強化してまいります。 こうした3つの視点に加えて、関西圏との経済連携、中山間対策につきましても、重点的に対応すべき取組として予算編成に臨んだところであります。 また、県勢の浮揚に必要な施策を着実に実行していくためには、安定的な財源の確保などによります県財政の持続可能性を図っていくということも重要なポイントであります。そのため、予算編成に当たりましては、国の有利な財源を最大限に活用していくということ、また事業のスクラップ・アンド・ビルドを徹底しまして、マンパワーと財源を確保するということ、こういった点に努力をしてまいりました。 さらに、歳入におきまして、新年度の地方交付税の減少を見込みますものの、その対応として今年度の県税収入などの増加分を財政調整的基金へ積み立てた上で、来年度に活用するという形を取ることといたしました。これによりまして財源不足に対応いたしますとともに、一定の財政調整的基金の残高を確保できるという見通しが立ったところでございます。 こうしたことを通じまして、来年度予算については県勢浮揚と県財政の持続可能性の両立を図ることができたというふうに考えております。来年度は、今回強化や進化を図ります施策の実行を通じまして、コロナ禍であっても県勢浮揚に向けた歩みを着実に進めまして、次なる時代の扉を開く節目の一年にしてまいる、そうした決意でございます。 次に、今回のまん延防止等重点措置の適用の申請についてお尋ねがございました。 本県では、新型コロナウイルスの新たな変異株でありますオミクロン株によります感染者が今年1月に確認されて以降、これまでに経験したことのないスピードで感染が拡大をしてまいりました。このため、1月20日には県の対応ステージを特別警戒に引き上げまして、会食は4人以下、2時間以内としていただくといった感染拡大防止の呼びかけを行ってまいりました。こうしたステージの引上げに伴い、夜間の人出が減少したということもありまして、飲食店の方々からは、まん延防止等重点措置の適用と協力金による支援を望む声が日増しに強まってまいるという状況がございました。 しかしながら、1月末の時点におきましては新規の感染者数は増加をしたものの、医療の逼迫度合いを示します病床占有率は30%台前半で安定的に推移をしているという状況にございました。こうした点を勘案して、この1月末時点ではステージの引上げや重点措置適用の申請は見送るという判断をいたしました。 その背景といたしましては、第6波の今回の感染においては、飲食をきっかけとした感染事例は第5波までに比べまして大きく減少しているという事情がございましたので、飲食店の営業時間短縮が施策の中心となってまいります現在の重点措置を講じることにつきましては、効果が限定的ではないかという判断をいたしていたところでございます。 しかしながら、その後2月に入りましてから、さらに新規の感染者が増加をいたしました。連日200人を超えるような感染者が確認をされまして、特に高齢者の感染割合が大幅に増えるという事情もございまして、入院治療を要する方の数も増加するという状況がございました。 こうした状況に伴いまして、各指標の中で最も重要視をいたします病床占有率は、重点措置の要請の目安といたします40%に迫る水準まで上がってまいりまして、医療提供体制の逼迫のおそれが急激に強まるという事情が生じてまいりました。ここに至りまして、医療崩壊といった事態を防ぐためには、飲食店などの営業時間の短縮も含めまして、県として取り得る手段は全て講じる必要があると、そういった局面に至ったという判断をいたしまして、2月8日に重点措置の適用を国に要請したというような経緯でございます。 なお、この2月12日に重点措置が適用されまして以降、県民の皆さん、事業者の皆様方の御協力によりまして、こうした各種の指標は改善の傾向が続いております。具体的には、先行して5つの県の重点措置が解除となった際の基準となります新規感染者数の1週間比が継続して1.0を下回っていること、新規感染者が継続的に減少しているということであります。そして、病床使用率、重症病床使用率がおおむね50%を下回っていることなどの指標、基準は全て要件を満たす水準となっているということでございます。 こうした事情を勘案いたしまして、3月6日の期限をもって、本県に適用されました重点措置の解除を要請するということを昨日決定いたしまして、国との協議を開始いたしたところであります。 るる申し上げましたところでございますけれども、一連の経緯を振り返りまして、県民の皆さんの中には今回のまん延防止等重点措置の適用の申請、タイミングが遅かったのではないかという御意見があるということは私も十分承知をいたしております。ただ、この点にはただいま申し上げましたとおり、今年に入りまして国の方針も大きく変わり、毎日の新規感染者数よりは医療の逼迫度を示す病床の占有率、これを指標としてはより重視をしようという判断があったと、これに県としても言わば忠実に対応を考えていくというポイントを置いたというところが1点ございます。 また、第5波までと違いまして、第5波まではいわゆる飲食店におきます飲食が感染拡大のエンジンになったというようなことがございましたから、感染拡大に先立って先手を打つ形でこのまん延防止等重点措置を行うということは、かなりの有効性が期待されましたけれども、第6波は感染力があまりに強いということでございまして、日常の場面で感染がどんどん拡大していくと、そういう意味では第5波までのような先手を打つ切り札的な手当てとしての飲食店への時短の要請というカードという面は、随分と減ってきていたと、こうした事情があったということにつきましては、改めていろんな機会に御説明申し上げたいというふうに思っておる次第でございます。 次に、関西戦略の成果と課題につきましてお尋ねがございました。 関西戦略の実行1年目となります本年度は、コロナ禍で活動に制約がある中ではございましたが、工夫を凝らしながら3つのプロジェクトに取り組んでまいりました。 まず、観光推進プロジェクトにおきましては、コロナ禍が長引く中でインバウンドの観光が大幅に減少をし、最も期待をしておりました関西からの外国人観光客の誘致は大変厳しい状況にございます。そうした中、大阪・関西万博を契機といたしまして、多くの外国人観光客の訪日が見込まれますことから、大阪観光局などと連携をいたしまして、新たに関西と高知を結びます7つの周遊ルートを設定いたしました。今後は、コロナの収束を見据えまして、これらの周遊ルートを生かしました魅力ある旅行商品の造成、販売に向けまして関係者と共に取り組んでまいります。 また、食品等外商拡大プロジェクトにおきましては、卸売市場関係者などの支援をいただきながら、販売促進に向けた取組を進めてきております。そうした状況の中で、例えば量販店などにおきます水産物の販売額は1月末時点でおよそ6億円と、既に年間目標の5億9,000万円を上回るという実績を上げております。 また、関西圏への県産の製材品の出荷量を見ていきますと、いわゆるウッドショックの影響もございまして、1月末の推計値でおよそ2万立米ということになっており、前年同期と比べて2割程度増加をしているということでございまして、木材関係の製材品の出荷は好調に推移をしているということがございます。 一方で、課題といたしましては、コロナ禍におきます緊急事態宣言などにより、各種の商談会、展示会などが中止をされまして、新規の販路開拓が十分にはできなかったという点が挙げられます。 さらに、万博・IR連携プロジェクトについて申しますと、関西圏の企業と連携をいたしました県産木材や工業製品などの外商拡大に取り組んでまいったところでございます。万博におきましては、会場内をつなぎますリング状の大屋根への木材利用が計画をされております。これをチャンスと捉えまして、県産の木材が活用されるように取組を進めてまいります。また、御指摘ありましたように、先月にはパビリオンの出展企業やテーマ事業の協賛企業が公表されております。関係者に対しまして、県産の食材を含めた県産品の活用について強力に働きかけてまいりたいと考えます。 そして、特に来年度に向けては、県の組織体制といたしまして専任の推進監を置き、また関西戦略室を設けるということなどによりまして体制を強化した上で、私自身が先頭に立ちまして、こうした各プロジェクトの取組を一層強力に推進してまいる決意でございます。 最後に、関西圏における外商強化策につきましてのお尋ねがございました。 お尋ねがございました外商拠点の設置につきましては、東京におきますまるごと高知の実績でも分かりますように、情報発信あるいはテストマーケティングなどで大きな効果がある一方で、その運営には多くの経費が必要となるという点もございます。したがいまして、設置に当たっては、その意義や必要性に加えまして、立地場所や機能あるいは運営主体、運営方式など幅広い選択肢の中で費用対効果というものを踏まえながら、慎重に検討していく必要がある、そういった問題であるというふうに考えております。そのため、外商拠点を設置した場合の費用対効果などを含めまして、関西圏におきます効果的な外商強化策について調査の実施に要する経費を来年度予算に計上いたしたところでございます。 また、先月には関西と取引のあります県内事業者あるいは有識者の方々で構成をする関西圏外商強化対策協議会を設置し、関西圏におきます外商強化策につきまして御意見を伺ったところでございます。委員の皆様からは、県産品の購入につなげるには情報発信が必要だといった御意見あるいは拠点設置の目的やターゲットを明確にすべきだといった様々な御意見を頂戴いたしました。 今後は、ただいま申し上げました調査の結果を基にいたしまして、関西圏外商強化対策協議会あるいは関西・高知経済連携強化アドバイザー会議で御議論をいただきまして、こうした御議論も踏まえ、本年の8月をめどにいたしまして、効果的な外商強化策の成案をお示しいたしたいというふうに考えているところでございます。 私からは以上でございます。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、今回のオミクロン株による感染拡大をどのように捉えているのか、また今後の取組についてお尋ねがございました。 今回の第6波の中心となっているオミクロン株は感染力が非常に強く、家庭内に加え医療機関や高齢者施設、さらには学校、保育所など日常のあらゆる場面で感染の広がりが見られます。特に、議員の御指摘のとおり、医療機関や高齢者施設では大規模なクラスターも発生しました。 こうしたクラスター対策としましては、早期に鎮静化をさせるための抗原検査キットの提供をはじめ、高齢者施設や障害者施設の無症状の従事者を対象とした予防的な集中検査を行っております。あわせて、一般的な感染防御対策について改めて周知するとともに、クラスターが発生した施設からの要望に応じて感染管理の専門家による支援を行ってまいりました。 今回の事例を今後の対応に生かすため、大規模なクラスターが発生した施設の感染管理体制については確認をし、検証したいと考えております。また、本県では感染管理対策を築く上で重要となる感染管理認定看護師、ICNと申しますが--が不足していると考えており、県としましても養成の必要性を強く認識いたしております。現在、認定看護師資格を取得するための研修費などを支援しておりますが、さらに支援制度の充実や県内での養成を可能とすることについても検討を進めてまいりたいと考えております。 今後さらに感染力が強い変異株の出現も見据え、医療機関や高齢者施設で感染症の標準的予防策、スタンダードプリコーションが確実に実施されるよう働きかけてまいります。あわせて、先ほど申し上げましたクラスター対策を強化し、新型コロナ患者に対する医療提供体制のみならず、一般の医療体制の崩壊といった事態に陥ることがないよう、引き続き取り組んでまいります。 次に、今後のワクチン接種についてお尋ねがございました。 感染力の強いオミクロン株への変異と2回目接種後の中和抗体減少の時期が重なった第6波の大流行への対応策として、3回目追加接種の早期実現が望まれます。しかしながら、3回目追加接種に係る県内市町村の予約状況は、ファイザー社製はすぐに予約が埋まるものの、モデルナ社製は予約枠に空きがある市町村も見受けられます。これは、県民の95%が2回目までをファイザー社製ワクチンを接種しており、モデルナ社製ワクチンによる交互接種の不安から、3回目もファイザー社製を希望される方が多いことが要因と考えております。 こうした状況は全国的な課題であることから、全国知事会ワクチンチームリーダーの濱田知事から、3回目接種の必要性、交互接種の安全性や有効性の積極的な情報発信について、国に政策提言をしてきたところでございます。その結果、国において積極的な情報発信が行われ始めましたし、県からの情報発信を強化してきた結果、モデルナ社製の接種ニーズも高まりつつあるものと考えております。引き続き、県民の皆様の理解を進めていただきながら、市町村と連携し3回目接種の加速化に努めてまいります。 一方、今月から接種が始まります5歳から11歳のお子さんへのワクチン接種につきましても、副反応などに対する不安の声があると承知いたしております。このため、国に対しては科学的知見に基づいた分かりやすい情報発信を引き続き求めてまいります。あわせて、副反応や有効性などの情報提供を積極的に行ってまいりますので、接種を検討する際には御参考にしていただければと考えております。 続いて、健康寿命の延伸に向けた取組の状況における課題と今後の対応についてお尋ねがございました。 健康寿命の延伸を図るためには、壮年期においては生活習慣病対策、高齢期においてはフレイル対策が重要だと考えております。生活習慣病への取組の一つとして、令和2年度から糖尿病性腎症に対する重症化予防対策を、人工透析の導入が想定される患者に対して重点的に取り組んでまいりました。その結果、令和2年の本県の糖尿病性腎症を原疾患とする新規の人工透析患者は、令和元年より約2割減少して104名となっております。複数年で動向を見ていく必要がございますが、若い方の透析導入が減少しており、一定の成果が見られております。 一方で、県内の糖尿病有病者、また予備群の方は増加傾向にあり、40歳から74歳で7万6,000人と推計いたしております。また、血糖有所見者の割合も男女とも約55%と全国を大きく上回っていることから、将来的な患者の増加が危惧されるところです。こうした状況を大きな課題と捉え、糖尿病有病者、予備群に対する個別の保健指導などハイリスクアプローチに加え、県民全体に高血糖となるリスクの軽減に向け、行動変容を促すためのポピュレーションアプローチの強化に取り組んでまいります。 また、高齢者に対するフレイル予防に関してお話がありましたように、オーラルフレイル対策は介護予防や健康増進と密接に関連があります。そのためオーラルフレイル対策をはじめ、歯の喪失の最大原因である歯周病の予防に取り組むことといたしております。 一方、各地でこうした取組を進めていくためには、歯科医師をはじめ歯科保健医療従事者の確保が重要であります。しかしながら、お話のありましたように、地域によっては歯科医師の後継者問題もあるとお聞きいたしておりますので、今後の対応については、県歯科医師会などの関係機関と協議を進めてまいりたいと思っております。 最後に、デジタル技術を活用した在宅医療に関する取組についてお尋ねがございました。 中山間地域を多く抱える本県においては、医療機関へのアクセスが不利な地域が多いことから、デジタル技術の活用を図ることは、訪問診療や通院時の移動時間の短縮といった効率化につながるものであり、患者、医師双方にとって大きなメリットがございます。 そのため、令和4年度からは新たに中山間地域でオンライン診療の促進に取り組む医療機関を支援したいと考えております。具体的には、必要な通信機器や心電計などを搭載した車両を導入して、看護師が患者宅を巡回し、サポートを行いながらオンラインでの診療をモデル的に実施することといたしております。 また、居宅だけでなく、地域の公民館や、あったかふれあいセンターなどを活用することも検討してまいりたいと考えております。加えて、あったかふれあいセンターなどと薬局をオンラインで結び、服薬支援についても各福祉保健所圏域で実施できるよう取組を進めてまいります。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) まず、IoPクラウドに一元化されたデータの適正な管理と活用についてお尋ねがございました。 IoPクラウドは、生産者の日々のハウス内環境データや出荷データなどを保管する重要な基盤であり、またクラウド内に集積されるデータは、個々の生産者の栽培技術やノウハウなどが詰まった貴重な財産と言えるものであります。このため、データの管理と活用に当たっては、県が定めるセキュリティーポリシーを遵守するとともに、国において安全性が認められたクラウドサービスを採用しております。また、知的財産やビッグデータの取扱いに詳しい専門家に助言をいただきながら、ソフト・ハード両面の対策を進めているところでございます。 具体的には、データ管理について、ハウス内環境データや出荷データなど、生産者や指導者が日々活用するデータは民間のクラウドに、また氏名や住所などのデータは総合行政ネットワーク、いわゆるLGWAN内の県庁内クラウドにそれぞれ分けて保管することで、セキュリティーの確保を図っております。その上で、営農指導での活用に当たっては、県やJAの指導員に対してデータの適正な取扱いについて研修を行うなど、周知徹底を図ることとしております。 また、アプリの開発等への活用につきましては、生産者からデータ提供の同意をいただく際に、IoPプロジェクトの目的以外では利用や第三者提供を行わないことを条件としておりますことから、生産者やJA、大学などで構成する審査会において、開発の目的や本県の生産者にもたらすメリットなどについて審査を行い、データ提供の可否を決定する仕組みを現在検討しているところでございます。 今後もこうしたデータの適正な取扱いを前提に、積極的な活用を図っていくことで、本県の施設園芸農業の飛躍的発展と関連産業群の創出につなげてまいります。 次に、本県農業におけるグリーン化の取組についてお尋ねがございました。 国は、みどりの食料システム戦略において、2050年までに化石燃料を使用しない施設園芸への完全移行、化学農薬の使用量を50%低減、耕地面積に占める有機農業の割合を25%に拡大といった高い目標を掲げております。これらの目標を達成するため、国におきましては化石燃料や化学農薬の使用量などを大幅に軽減できる各種の技術開発を中長期的に進めていくこととしております。 一方、本県農業の持続的な発展のためには、グリーン化の取組は不可欠であることから、こうした国の技術開発を待つことなく、本県としてできる取組を着実に推進していきたいと考えております。このため、本年度末に新たに策定します高知県脱炭素社会推進アクションプランにおいて新たな目標を掲げ、取組を強化してまいります。 具体的には、施設園芸では燃油使用量を2020年の5万1,000キロリットルから、2030年には3万5,000キロリットルにまで削減するという目標を掲げ、より低温でも栽培が可能な品種の開発や、園芸用ヒートポンプなどの導入の推進に加え、新たに民間企業のノウハウを活用して省エネルギー化の実証などにも挑戦してまいります。 また、有機農業では、取組面積を2017年の151ヘクタールから2030年には408ヘクタールに拡大することを目標に掲げ、施設園芸で培った天敵などのIPM技術の有機農業への応用や、有機農業栽培指導員による栽培技術の向上、モデル産地の育成、有機農産物の販路拡大などに取り組んでまいります。こうした取組を国の中長期的な技術開発の進展に合わせてさらに加速していくことで、本県農業のグリーン化を実現してまいります。   (林業振興・環境部長中村剛君登壇) ◎林業振興・環境部長(中村剛君) まず、スマート林業への取組の現状と今後の展開についてお尋ねがございました。 スマート林業の取組では、令和元年度から2年度にかけ林野庁の航空レーザ測量データを活用し、写真などでは樹木に覆われて把握できなかった県内全域の森林の地表面の高さ、起伏、崩壊等の状況が詳細に確認できる微地形図を作成いたしました。 令和2年度から3年度にかけましては、森林の杉やヒノキといった樹種の最新の分布状況が把握できる林相図を作成し、また微地形図を基に計測した樹木の高さなどから推計した材積を、樹木1本ごとに把握できる単木情報のデータも作成しております。これらのデータ整備により、これまで現地で一本一本測らなければ把握できなかった施業予定地の樹木の本数や材積、樹種といった森林資源の情報が容易に把握できることになります。 来年度からは、本年度仮運用を始めました森林クラウドにこれらの森林情報を搭載し、市町村や林業事業体との共有を図ることとしており、伐採適地の選定や効率的な路網計画の作成などによる施業集約の効率化につなげてまいりたいと考えております。加えまして、森林の樹種や面積に所有者の氏名や住所が記載されました森林簿や、林道などの路網データを林相図や微地形図の情報を基に更新するなど、森林クラウドに搭載するデータベースの精度の向上にも取り組んでまいります。 また、森林クラウドを活用した効率的な施業集約を実際に行っていただき、あわせて伐採の範囲や丸太のサイズを生産現場でデジタル化する取組などを林業事業体と連携して実証することで、森林情報のより高度な利活用を見据えた森林クラウドの機能強化にも取り組んでまいります。 こうした取組と併せまして、ICTを活用した林業機械の導入に向けた実証や、川上から川下にわたる原木情報の共有にも取り組むことで、施業集約や生産性の効率化、省力化、需給マッチングの円滑化を図り、本県の林業・木材産業の持続可能な成長産業化を目指してまいります。 次に、原木生産量の拡大やサプライチェーンの強化に向けました今後の取組についてお尋ねがございました。 まず、原木生産量の拡大につきましては、今般のウッドショックで顕在化した課題、すなわち生産体制の強化や事業地の確保の取組をさらに加速する必要があると考えております。 このうち生産体制の強化では、林業大学校等による担い手の確保・育成はもとより、生産性の向上が不可欠であろうと考えております。このため、高性能林業機械の導入等の支援に加えまして、最新の林業機械の実証やICTによる原木生産情報の活用など、さらなる効率化に向けた新たな作業システムの導入に取り組んでまいります。また、事業地の確保では、森林情報のクラウド化を進め、施業の計画作成の迅速化による森の工場の拡大など、その確保に取り組んでまいります。 次に、サプライチェーンの強化につきましては、製材事業者のチャンスロスが生じないよう、原木調達の安定化を進める必要があると考えております。このため、6月補正予算で緊急的に製材事業者と原木供給事業者との協定締結を促進するなど、原木調達のサプライチェーンの構築強化に取り組んできたところですが、来年度はこの取組をさらに発展させ、急激な市況の変動などにも対応できる、確実性をより高めた協定締結を進めることで、安定した供給力を備えた信頼される製品産地を目指してまいります。 また、サプライチェーンの総合的強化の一環として、加工分野のボトルネックであります木材乾燥機につきましても、整備の前倒しを進めております。加えて、川上から川下の事業者が参画する高知県サプライチェーンマネジメント推進フォーラムにおきましても、サプライチェーンへのさらなる事業者の参画や、原木流通の情報共有システムを活用したモデル的なサプライチェーンのマネジメントの仕組みづくりにも取り組むこととしております。これらの取組によりまして、増加した国産材の需要に的確に応えられる原木・製材品の生産・供給体制を構築してまいります。 最後に、林業分野におけるグリーン化の意義と目指す姿についてお尋ねがございました。 林業分野におけるグリーン化の取組では、森林率日本一という本県の特色を生かし、林業・木材産業の成長産業化などを通じた森林吸収源対策を進めることとしております。 その取組の一つとして、来年度木造建築物を環境不動産として位置づけ、木材による炭素固定など環境面の価値を可視化し、その公益性に応じて都市計画や税制などで、建築主、施主様を支援する新たな制度設計を県が率先して行い、あわせて国にも制度化に向けた働きかけを行っていきたいと考えております。この制度化は、実現すれば御指摘のSDGs、ESG投資の観点からの木材利用の機運と相まちまして、木造率が低い中高層や非住宅における木造建築拡大の起爆剤ともなり得るものと考えており、ひいては県産材の需要拡大と、それによる林業・木材産業のさらなる振興につながるものと考えております。 また、林業分野のグリーン化の取組として、本県の豊富な森林資源を活用したグリーンLPガスの地産地消に向けたプロジェクトにも取り組むこととしております。このプロジェクトは、現在化石燃料から製造されているLPガスを、木や海藻等のバイオマス資源から生産できるようにする技術、この実用化を目指す取組でございます。このプロジェクトを通じまして、LPガスの脱炭素化はもとよりでございますが、本県林地残材等の活用による林業振興、将来的には本県での地産地消型のグリーンLPガス製造につなげるなど、本県の特性を生かした新たなイノベーションの創出に挑戦することとしております。 こうした環境不動産やグリーンLPガスプロジェクトなど、本県の豊富な森林資源を生かした林業分野のグリーン化の取組を強力に進めていきますことで、2050年カーボンニュートラルの実現はもとより、林業・木材産業の振興や林業分野の新たな成長につながる産業の育成につなげてまいりたいと考えております。   (水産振興部長松村晃充君登壇) ◎水産振興部長(松村晃充君) 収益性の高い漁業の実現に向けたデジタル技術の活用についてお尋ねがございました。 漁業者の減少や高齢化が進む中でも生産額を維持し、担い手を安定的に確保するため、お話にもありましたように、デジタル技術を活用して効率的な漁業生産体制への転換を図る、高知マリンイノベーションの取組を進めているところでございます。 漁業経営におきましては、これまで漁業者の方々はより多く漁獲することを出漁の主な判断基準としてきました。しかしながら、漁業は日々の相場や漁場など変動要因が多く、操業ごとの利益を見通すことが難しいため、漁獲量が多くても遠くの漁場に行ってしまったことで燃料費などの経費がかさみ、十分な利益が出ないといった場合もございます。また、水産資源の持続的な利用に向けて資源管理の重要性が高まっている中で、漁業経営を継続していくためには、限られた漁獲でもしっかりと利益を生み出せる経営に転換していく必要があります。 このため、デジタル技術を活用しまして、出漁前に漁獲量や市場価格の予測と燃料費などのコストの試算を行い、操業ごとの利益を見える化することで、漁業者の操業の判断を支援する操業効率化支援ツールの開発に取り組んでまいります。 来年度は、まず表計算ソフトを使って収入やコストを試算する簡易ツールを開発することとしております。これを漁獲量が多い一方で多くの経費を要するカツオ一本釣り漁業や定置網漁業において漁業者に使っていただきまして、経営改善につなげていただきたいというふうに考えております。操業効率化支援ツールの開発をしっかりと進めていくとともに、今後幅広い漁業種類での活用を図っていくことで、収益性の高い漁業経営の実現につなげてまいります。   (観光振興部長山脇深君登壇) ◎観光振興部長(山脇深君) 新型コロナ収束後の観光振興の取組についてお尋ねがございました。 長期にわたる新型コロナ感染症の影響により、旅行目的や旅先での行動、旅のスタイルなど、コロナ前と比べて様々な変化が見られます。今後、観光振興策を進めるに当たりましては、こうした旅行者の意識や行動の変化を見据えた施策の充実強化が重要だと考えています。 まず、つくる取組では、コロナ禍により旅行の少人数化が進んでいることなどを踏まえますと、1人当たりの観光消費額を上げていく取組をより強化する必要があると考えます。このため携帯電話の位置情報などのデジタルデータを活用し、旅行者の移動経路や滞在時間帯などの行動情報を分析した上で、少しでも広く地域を周遊し、長く滞在していただけるような施策を各広域エリアごとに講じてまいります。 次に、売る取組につきましては、長期にわたり落ち込み続けている観光需要を一日も早く回復させることが最優先であり、感染状況が落ち着き次第、旅行経費を助成するキャンペーンを速やかに再開いたします。 そして、もてなす取組につきましては、宿泊先での満足度を重視する傾向が高まっていることを踏まえた対策が必要と考えています。このため、宿泊施設に直接アドバイザーを派遣し、例えば地域の食材を活用したメニューの開発やコンシェルジュ機能の充実など、宿泊施設の魅力をより一層高める取組を強化してまいります。 こうした3つの施策群を推進するに当たりましては、世界的にも急激にニーズが高まっているサステーナブルな観光地づくりを意識して取り組んでいくことが重要だと考えています。幸い本県には人々の暮らしと自然環境の調和が魅力の四万十川や柏島、地元の食材を使った田舎ずしや地域の伝統文化を色濃く残す日曜市など、サステーナブルな観光地としてアピールし得る資源を数多く有しています。環境への負荷がかからず、地域貢献にもつながる旅行を求める観光客と、持続的な発展を目指す地域社会がともに恩恵を受ける観光、いわゆるサステーナブルツーリズムを本県観光の新たな基軸に据えて推進をしていきたいと考えています。 これら一連の施策を関係者の方々と一体となって取り組み、大変厳しい状況に置かれている県内観光関連産業の早期復活と、高知ならではの観光地づくりを目指し、全力で取り組んでまいります。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) これまでの高知版ネウボラの取組に対する評価と今後の展開についてお尋ねがございました。 妊娠期から子育て期までの切れ目のない総合的な支援体制づくりを進める高知版ネウボラは、これまでの取組によりまして妊娠期の総合相談窓口となる子育て世代包括支援センターが32市町村で設置され、来年度は全市町村に設置される予定となっております。 また、子育て家庭の交流や相談の場である地域子育て支援センターは、24市町村1広域連合に広がるとともに、子供と家庭の相談に対応する子ども家庭総合支援拠点は12市町村に設置され、来年度は7割以上の市町村への設置を目指して取組を進めております。 さらに、全ての妊産婦や子育て家庭の不安の解消に向けた取組では、母子健康手帳交付時に市町村の保健師が面談を行うこととしており、令和2年度は81%の方と面談を行っております。このうち約60%の方と一緒に支援プランを作成するとともに、特に支援が必要と思われる約14%の方には保健師が家庭訪問を行うなど、適切な支援につなげております。 この面談は、令和3年度の実施率がおおむね100%となる見込みであり、乳幼児健診の受診率も向上するなど、各市町村の子育て支援は年々充実し、高知版ネウボラの取組により安心して子育てができる環境が着実に整いつつあると評価をしております。 来年度は、就学後も切れ目のない支援をつないでいくため、学校と児童福祉部門との連携の強化に取り組むとともに、これから結婚や子育てに直面する若い世代の皆様にも高知版ネウボラを知っていただき、子育てに対する安心感を持っていただけるよう、情報発信の強化に取り組んでまいります。具体的には、高知版ネウボラの取組を紹介する広報プロモーションを高知県少子化対策推進県民会議や高知家の出会い・結婚・子育て応援団など関係団体と共に県民運動として展開し、高知版ネウボラのさらなる充実と少子化対策の強化につなげてまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、小学校で少人数学級を実施した結果、具体的にどのような成果が上がってきたのかとのお尋ねがございました。 少人数学級編制は、学級規模を小さくすることで一人一人の児童に対してきめ細かな指導を実現しようとするものです。本県では平成16年度から小学校生活への早期の適応を目的として、まずは小学校1年生に30人学級編制を導入しました。その後、順次小学校2年生を30人、小学校3、4年生を35人と少人数学級編制の拡充を図ってまいりました。 令和3年4月、国の法改正により小学校35人学級編制が全国一斉に導入されることとなり、年次進行により令和7年度には小学校6年生まで拡充される計画となっております。本県ではそれに先駆けて、大規模校における学力の二極化、学年が上がるに従って増加する不登校、教員の長時間勤務などの課題を改善するため、令和2年度に5年生、本年度からは6年生へと少人数学級編制を拡充し、小学校全学年で35人以下学級を実現したところです。 本年度、小学校6年生で少人数学級編制を実施した10校では、各調査結果等で改善が見られました。具体的には、全国学力・学習状況調査において、全国比プラス1.1ポイントの結果となり、前回からは0.5ポイント向上しました。また、楽しい学校生活を送るためのアンケートの学級不満足群に属する児童の割合が、前年の8.6%から5.8%と2.8%の減となりました。さらに、6年生学級担任の9月の時間外在校等時間の平均が、前年の54.8時間から40.3時間と14.5時間の減になるなどの成果が見られております。加えて、それらの学級担任からは、児童一人一人に関わる時間が増えつまずくポイントを把握でき学力の定着につながっているや、不安を抱える児童にすぐ対応することができ不登校の未然防止につながっているといった具体的な成果を示す声も多く聞かれております。 これらのことから、小学校における少人数学級編制は、学力の向上、生徒指導上の諸課題の改善、教員の働き方改革の推進などに効果があるものと判断をしております。 次に、中学校においては来年度から全学年を35人学級にすることで、どのような効果が期待できるのか、さらに今後どのような課題があると考えるのかとのお尋ねがございました。 小学校6年生で少人数学級編制の成果が見られましたので、令和4年度から中学校全ての学年で35人以下学級を導入したいと考えております。少人数学級により生徒一人一人に対するきめ細かな指導がより徹底されることで、現在改善傾向にあります学力の底上げ、厳しい状況が続いている不登校への未然防止や早期対応、中学校教員の働き方改革の推進などの効果が期待されます。 また、本県の中学校での学級編制基準では、少人数学級編制を実施して学級数が増えたとしても、教員定数が増えない場合があります。学校からは、学級数が増えることで学校全体の総授業時間数が増加する一方で、教員数の増加がなければ負担が増すばかりであるといった声も聞かれておりました。今回は、そのような場合においても特別に加配措置をして、中学校における少人数学級編制を後押しする制度設計を考えております。 また、国においては中学校への少人数学級編制の導入は見送られておりますが、本県における今後の成果、効果をしっかりと検証して、新たな法改正に係る国への政策提言にもつなげてまいりたいというふうに思っております。 今後の課題として、1つ目は、教員不足の中にあって、いかに人材を確保するかという点、そして2つ目は、本県独自の少人数学級編制は国から配分される加配定数を活用しておりまして、年々減少傾向にありますこの加配定数の継続的な確保は必要であるといった点が挙げられます。 このため、教員採用審査方法の工夫改善とともに、市町村教育委員会と連携した再任用教員や臨時講師の人材確保などをさらに推進してまいります。また、少人数学級編制を含む加配定数の充実に関する政策提言を行うとともに、全国都道府県教育長協議会を通じて国に対して定数改善を要望するなど、必要な定数の確保に努めてまいります。   (副知事井上浩之君登壇)
    ◎副知事(井上浩之君) 不登校をはじめとする今後の課題解決に向けた組織横断的な取組などについてお尋ねがありました。 不登校やヤングケアラーへの対応としましては、課題を早期に発見し、一人一人に寄り添いながら、教育や福祉・医療などの関係機関が一体となって支援することが重要であります。このため、関係機関や市町村、地域との連携をさらに強化し、早期発見、相談機関へのつなぎ、多職種連携による支援の3段階で組織横断的に対応してまいりたいと考えております。 まず、第1段階の早期発見につきましては、学校や福祉専門職をはじめ地域の様々な支援者が課題を抱えた方々を見逃さない仕組みづくりを進めてまいります。具体的には、スクールソーシャルワーカーを中心とする学校と市町村の福祉部門との連携強化に加え、市町村の社会福祉協議会などへのソーシャルワーカーの配置などを進めてまいります。 また、第2段階の相談機関へのつなぎでは、県や市町村の福祉や教育部門のどの窓口に問い合わせても家庭全体の課題を受け止められる、断らない相談窓口の存在が欠かせません。このため、県では相談機関同士のつなぎ役となる多機関協働コーディネーターの市町村への配置を支援するなど、課題を正面から受け止め、連携して対応できる体制づくりを進めてまいります。 第3段階の支援に当たりましては、関係機関での情報共有の在り方や支援が必要な家庭との信頼関係の構築、地域における協力体制の構築などが課題となってまいります。このため、保健師や福祉専門職に加え、地域のボランティアや社会福祉法人など多職種が連携した支援チームの市町村への設置を進めるとともに、来年度から新たに県に設置いたしますアドバイザーも派遣するなど、一人一人に寄り添った重層的な支援を行ってまいります。 あわせて、教育委員会におけるモデル事業やヤングケアラー対策として新たに配置をしますコーディネーターを通じ、個別の事例を収集することで、より効果的な支援につなげてまいります。また、こうした市町村の取組につきましては、財政負担を軽減するためにも地域共生社会を推進する国の新たな事業の活用が有効となりますので、国の事業の導入に向けた支援も行ってまいります。 このような3段階での取組を強化し、本県の将来を担う子供たちへの支援を丁寧かつ着実に行ってまいりたいと考えております。   (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇) ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) まず、今後の中山間地域の活性化に向けた取組についてお尋ねがございました。 議員からお話がございましたように、今年度実施しました集落実態調査では、人口減少や高齢化による集落機能の低下、日常生活の不便さ、あるいは地域の担い手不足など、中山間地域が抱える課題を改めて確認することができました。このため、中山間地域の活性化の取組としまして、引き続き集落活動センターの開設や持続的な運営に向けた事業の拡充を後押ししてまいります。また、新たに小さな集落の維持・活性化に向けた仕組みづくりや、デジタル技術を活用して課題解決を図ることを目的に実証事業にも取り組んでまいります。 まず、小さな集落の維持・活性化の仕組みづくりでは、集落活動センターの開設に至らない小規模集落を対象としまして、専属のコーディネーターを中心に、集落が抱える課題を把握し、住民の皆さんの話合いを促進して集落の将来像をまとめ、具体的な活動へつなげていくといった手順で進めてまいります。この仕組みづくりには中山間対策の専門家にも参加していただき、より実現性を高め、3年間で集落活動センターが市町村圏域全体をカバーしております6市町村を除く28市町村まで、その輪を拡充していきたいと考えております。 また、デジタル技術を活用した実証事業では、離島や山間部をフィールドとして、ドローンによる物資の運搬、グリーンスローモビリティによる移動手段の確保や集落活動の省力化など、多くの地域に共通する課題をテーマとして設定いたします。2年間の実証事業を通じてデータやノウハウを蓄積し、事業の効果、コストや担い手を明らかにすることで、実装に結びつけてまいりたいと考えております。こうした取組を通じて、地域住民が支え合い、暮らし続けることができる持続可能な中山間地域を実現してまいります。 次に、今後のとさでん交通への対応についてお尋ねがございました。 まず、2月23日に発生しました路面電車の脱線事故につきましては、現在とさでん交通が調査を実施しており、県としましても、とさでん交通に対し原因究明と再発防止を求めているところです。 公共交通を担う事業者にとって一番大切なことは、輸送の安全性を確保し、安心感を持って利用していただくことであると認識しております。このため、とさでん交通の中期経営計画案においても、安全・安心・信頼の確保を基本方針の最初の項目に掲げているところです。 議員からお話がございましたように、とさでん交通はコロナ感染症の影響によりまして厳しい経営が続いており、計画案では特に令和4年度から6年度が厳しい状況になることが見込まれております。県としましては、とさでん交通が新たな改善施策に取り組むことを前提に、公共交通を維持する観点から、これまで実施してきました追加支援を継続すべきと考え、現在関係市町村との協議を進めているところです。 今後、とさでん交通では5年間の中期経営計画に基づく収支改善や、行政からの支援によってコロナ禍からの回復を目指す予定であり、計画の進捗状況につきまして、県と関係市町村がモニタリングを行うこととしております。今後のモニタリングに当たっては、収支改善と輸送の安全性確保のバランスはもとより、社員の皆さんのモチベーションといった視点も持って、とさでん交通との協議を行ってまいります。   (文化生活スポーツ部長岡村昭一君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 学芸員の育成についてお尋ねがございました。 現在、県内の博物館施設のうち県立の文化施設におきましては、歴史民俗資料館、坂本龍馬記念館、高知城歴史博物館、美術館、文学館の5つの施設で38名の学芸員の方々が勤務されています。それぞれ資料の収集、保管、展示及び調査研究など多岐にわたる専門的業務に携わっておられ、その長期的な視点に立った育成は大変重要であると考えております。 これらの施設では、学芸員の長期的な育成を図るため、毎年度様々な研修を受講させています。具体的には、資料の保存修復などの専門的な知識や技術のほか、動画の作成による情報の発信や外国人観光客への対応など、施設の業務や課題、社会状況などに応じて必要と考えられる内容の習得に取り組まれています。加えて、全国の博物館施設が連携して開催する会議などへの参加を通じて、より専門的な知識や情報の習得にも取り組まれているところです。 また、市町村や民間の施設につきましても、高知城歴史博物館が地域の文化施設の学芸員などを対象として、地域学芸員養成講座を実施しておりますほか、県内の博物館や文化施設、県、市町村などが会員となり、各施設の活性化などを目的に活動しているこうちミュージアムネットワークにおきましても、研修の開催や共通する課題の検討協議などを通じて育成が図られています。 こうした取組は、それぞれの施設の魅力の向上はもとより、地域の活性化や観光の振興にもつながるものであると考えております。県といたしましても、各施設における学芸員の育成の取組が円滑に実施できるよう、研修の機会の確保などについて引き続き支援してまいりたいと考えております。 ◆15番(西内健君) それぞれに御丁寧な答弁ありがとうございました。特に、知事におかれましては、まん防の適用要請に関して、本当に留意された点については、御自分の言葉で語られ、またこれからも県民に対してもしっかりメッセージを出していくということでございましたので、よろしくお願いしたいと思います。 さて、第2問は行いませんが、少し要請をさせていただきたいと思います。先ほど質問をしていまして、私の質問もそうですし、執行部側の答弁もそうですが、何とやっぱり横文字や、そういった片仮名語が増えたことかというのを改めて思ったところでございます。やはり私が10年ちょっと前に議員になったばかりの頃にも、先輩議員が資料に片仮名が多過ぎると言っていたのを思い出しましたが、それから比べても本当に倍増ぐらいしているんじゃないかというぐらい増えています。 こういった言葉が、我々と執行部の皆様というのはイメージが共有できるところはあるんですけれども、県民の皆様にはやはり分かりにくいところが多々あるんじゃないかなと改めて思うところでありまして、もう少し簡単な言葉で伝えるような仕組み、これをやはり考えていただければと思います。 というのも今回の質問もデジタル化やグリーン化、こういったキーワードは非常に表に立っているんですけれども、やはり具体的な中身というものを県民にどう伝えるのか、デジタル化で言えば例えばデジタルトランスフォーメーションだとかIT、IoT、こういった言葉の具体的な中身がなかなか分かりづらいですし、ハード・ソフト、そしてシステム、これは多岐に関連していきますし、また技術も日進月歩で進歩していくことから、デジタルというのもなかなかイメージが県民の皆様、そして我々もつかみにくいところがあろうと思います。例えば、デジタル掛ける農業、デジタル掛ける漁業、こういった分野の具体例を出しながら、県民の皆様とイメージを共有することで、我々県民生活がどのように豊かになっていくかというのをイメージしやすくなると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 そして、やはり行政のデジタル化であります。どうしても縦割りの行政においては、それぞれにおいてシステムを開発して、なかなかデータの一元化というものができないと思っています。やはりいろんな決算資料を作る上で、整合性のないものが出てきたりというところもこの間もありましたけれども、どういう形でデータベースをつくって、そしてその上で働くシステムやアプリ、こういったものを開発していくのか、二重構造といいますか、データを管理する部分と、そのデータを活用するシステムやアプリを開発する、そういった二重構造をつくっていくのがこれからのデジタル化の時代であり、なかなか縦割りにはそぐわない部分があろうと思います。 具体例で言えば、先ほど水産振興部長が答えられました操業効率化支援ツールなんかにしても水産だけではなく、農業、林業にも使える、そういうシステムツールをつくっていく、これが実はデジタル産業の育成にもつながっていくものだと考えていますし、もう一例を挙げれば、県のはたまるねっととか高知あんしんネット、こういったものもデータが2つで管理するのではなく、一元管理されて、それが健康福祉の分野の政策を打つためのシステム開発につながる、こういう考え方が今後デジタルの世界の主流になっていくと思われますので、縦割りでシステムを開発するのではなく、横軸というものを考えたデジタル化、これに取り組んでいただければと思っております。 最後になりますが、本議会をもって退職をなされる執行部の関係の皆様方には、これまでの高知県勢浮揚に尽力されたことに心から感謝を申し上げ、また今後も高知県のためにお力添えいただけることをお願い申し上げまして、私の一切の質問とさせていただきます。(拍手) ○議長(森田英二君) 暫時休憩いたします。   午後0時4分休憩-----------------------------------   午後1時10分再開 ○副議長(加藤漠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 32番坂本茂雄君。   (32番坂本茂雄君登壇) ◆32番(坂本茂雄君) 県民の会を代表いたしまして、ただいまから質問をさせていただきたいと思います。 冒頭に、ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議案が本日の質疑終了後提出される予定であり、私もロシア軍がウクライナに軍事侵攻していることを強く非難するとともに、一刻も早くロシア軍の撤退、軍事行動の即時中止を求めることの表明をさせていただいた上で、質問に入らせていただきたいと思います。 さて、この間、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りしますとともに、感染された皆様にお見舞いを申し上げます。 そして、医療の現場をはじめ感染症予防と向き合ってこられた皆様、この間新型コロナウイルス感染症という難題に全力を傾けて対応されてこられた知事はじめ県職員の皆さん、さらにはコロナ禍のために暮らしそのものに大きな影響を受けながらも、コロナ禍と向き合ってこられた県民の皆様に感謝とねぎらいを申し上げたいと思います。 そのような中で、コロナ禍と向き合ってこられた知事の政治姿勢についてお伺いします。 まず、知事自身が先頭に立った情報発信の在り方についてお聞きします。知事は、県民一丸となって取り組んでいくことができるよう、私自身が先頭に立って県民の皆様にしっかりと情報発信を行いながら、感染拡大防止対策やワクチン接種などを全力で進めますと提案説明で言及されました。 県議会新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会での指摘を踏まえた1月31日の記者会見以降、記者会見や県民へのメッセージの中で、過度に恐れることなく正しく恐れ、県民一人一人が感染防止対策を徹底することで社会経済活動を維持したいということを繰り返されていましたが、その後このフレーズを使用しなくなったと思われます。このメッセージに対する県民の受け止めから、過度に恐れることなく正しく恐れるということが、何が正しいことなのかということも十分伝わらなければ、逆に個人的な判断で正しく恐れているからと正常性バイアスを働かせ、自分は大丈夫と適度に恐れることさえしなかった方がいたのではないかと感じています。 また、感染力は強いが重症化リスクは低いという言葉が、重症にならなければ大丈夫ということで、ここでも適度に恐れることにつながらなかったなどの懸念があり、情報発信、メッセージの伝え方は非常に難しいものがあるのではないかと思われます。 そこで、昨年6月定例会で我が会派の上田周五議員も、トップリーダーの一言は相当重みがあり、勇気づけられ、行動変容にもつながっていくものと指摘しています。行動変容につながる情報発信、メッセージを心がけていただきたいと思いますが、どのような伝え方を今後されていくのか、知事にお聞きします。 次に、コロナ対策禍と言われることのないような施策の在り方についてお聞きします。金井利之東京大学大学院教授は、昨年5月発刊された著書「コロナ対策禍の国と自治体 -災害行政の迷走と閉塞」の中で、国や行政が講じた新型コロナウイルス感染症対策自体が禍を招いている現状をコロナ対策禍と位置づけ、そのメカニズムや災害行政の在り方を論じられています。 そこでは、行政が対処すべき大きな災厄禍という政策課題であるコロナ禍に対処して、様々に講じる対策をコロナ禍対策と言うが、この対策が必ずしも効果を発揮することなく、コロナ禍対策がさらなる問題を引き起こすこともあるとする金井先生は、最もまずいのは、コロナ蔓延防止を目指したコロナ禍対策が、かえってコロナの蔓延を促進する逆効果のときであると言われています。例えば、感染者を自宅療養させたことによって家庭内感染を蔓延させることなどであります。通常は、蔓延防止には一定の効果があったが、別の副次的な悪影響を起こしてしまうことにつながることなどを指摘されています。 また、感染予防・拡大防止対策と両立することとなっていた経済活動対策の代表でもあった各種Go To キャンペーンなどは人流拡大につながり、開始、中止、再開、中止の繰り返しで、コロナ禍対策による禍を生じさせたものではなかろうかと思われます。 このような事例を見るにつけ、コロナ対策禍につながる施策には慎重でなければならないと考えますが、これまでの国の施策、県の施策をどのように評価し、今後の施策にどのように生かすべきと考えられるのか、知事にお聞きします。 次に、県内の平時の保健・医療体制の在り方についてお聞きします。知事が提案説明でも、今回の第6波では家庭内に加え医療機関や高齢者施設、さらには学校、保育所など日常のあらゆる場面で感染の広がりが見られたと述べられましたように、これまで以上に医療機関や高齢者施設や障害者施設でもクラスターが発生し、医療提供体制はぎりぎりの状態となり、一般の診療や救急体制などにも影響を及ぼすこととなりました。入院病床を最大303床確保するほか、宿泊療養施設についても計418室を確保し、臨時医療施設32床が確保されていましたが、第6波においては自宅療養、自宅待機が2,000人を超える日もありました。 全国的にも厳しい状況の中、全日本自治団体労働組合、自治労が実施した全国の保健所、病院職場に働く組合員の昨年1年間の調査結果では、職員の皆さんの厳しい実態が明らかになっています。保健所では、約23%が過労死ラインとされる月80時間を超える時間外労働をしており、メンタルヘルスの不調を訴える職員は、コロナに関する対応を行っている職員の約37%が昨年中に鬱的症状があったと自覚しているほか、80時間以上の時間外労働をした職員の半数が鬱的症状ありと回答しています。また、病院職場では、コロナ感染拡大後に時間外勤務が増えた職員が35.2%、医療従事者であるということで差別、偏見を受けたと感じた職員が22.7%、コロナ対応をされた職員で鬱的症状があったと答えた方が25.8%になっています。 これらの結果もこれまでの保健・医療体制の脆弱性の表れではないかと思われます。今後もこれまでのような感染拡大の波を繰り返しながら終息に向かうとしても、ウイズ・アフターコロナの保健・医療体制がビフォーコロナの保健・医療体制の縮小方向に戻ることを懸念せざるを得ません。 そこでお聞きしますが、令和2年度に県下で15医療機関、366床の病床転換、ダウンサイジングが行われていましたが、そのうち194床が補助金を活用して行っています。この傾向が継続することがあってはならないと思いますが、この縮小傾向をさらに促すような取組を継続するのか、知事にお聞きします。 また、新型コロナ流行に遡ること10年前、厚生労働省の新型インフルエンザ対策総括会議は、国立感染症研究所、検疫所、保健所の組織や人員の大幅強化の必要性を盛り込んだ報告書を政府に提出していましたが、1992年に全国で852か所に設置されていた保健所は、2019年に472か所と45%も減少しており、機能不全が生じたのは当然であろうかと思います。 そのような中で、本県における福祉保健所の体制拡充は今後図られるのか、また政府に対しては、地方自治体の保健所や地方衛生研究所を含めた感染症対策に関わる危機管理を専門に担う組織や人員体制の大幅な強化、人材の育成を進めるとの報告書の具体化を求める考えはないか、併せて知事にお聞きします。 次に、憲法における緊急事態条項創設の在り方についてお聞きします。知事は、令和2年6月及び12月定例会で、コロナ禍または南海トラフ地震などの極めて重大な緊急事態の発生を想定した場合、私権の制限やそれに伴う補償などの規定をあらかじめ法律に定めておくために、緊急事態に対する法制の根拠となるような規定を憲法上に設けておくとの考え方を示されてきましたし、今朝ほども同趣旨の答弁をされております。私は、2015年9月定例会で初めてこの課題を取り上げて以降、4回にわたって南海トラフ地震をはじめとした巨大災害対応をだしに、緊急事態条項改憲は必要ないとの立場で質問してきました。 災害対応との関係で言えば、これまでも述べてきたように、今の災害対策基本法で災害時の緊急事態での対応は可能であります。また、自民党案の条文イメージにある、緊急事態により国会による法律の制定を待ついとまがないときは内閣は政令を制定できるとしていることについては、今回のコロナ対応に至っては国会による法律制定を待ついとまがなかったどころか、コロナ問題が山積していた令和2年6月17日に国会を閉会してしまい、その後開かれた国会も野党の要請にもかかわらず会期延長はされず、憲法第53条に基づいて総議員の4分の1で臨時国会が要求されても、憲法に違反して内閣は召集を決定せず放置しており、コロナ対応における法律の制定を待ついとまがなかったことはありません。 また、憲法上ロックダウンが認められていないので、緊急事態条項を設けるべきとの声もありますが、災害対策基本法第63条では、市町村長は災害が発生し、または発生しようとしている場合、人の生命、身体の危険を防止するための警戒区域を設定して、立入り制限、禁止または区域からの退去命令ができるとしています。 さらに、私権の制限や、それに伴う補償等の規定をあらかじめ法律に定めておくための法制の根拠となるような規定を憲法に設けてはと知事は言われますが、憲法第29条第3項の「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」という規定の趣旨による損失補償制度をあらかじめ創設しておくことは可能であると思われます。要は、そのような法整備や制度化を事前にしておく意思が内閣にあるかどうかであります。 今の新型インフルエンザ等特別措置法の中でも、コロナ対応で可能なことは多々あり、また必要があれば新たに改正することに憲法上の支障はなくて、問題は政府が法律に従った対応を十分にされたのか。コロナ対応について十分な事前の準備をされたのか、または準備がなくても第1波の経験から、その後予想した準備がなされなかったのか。国会を常時開催して法の審議をしなかったことなどが問題ではないでしょうか。 その意味からも緊急事態条項は憲法には必要ないし、むしろ乱用の危険があるので創設すべきではないと考えますが、知事の御所見をお伺いします。 次は、第5期南海トラフ地震対策行動計画案についてであります。 県は、2011年の東日本大震災以降、第2期高知県南海トラフ地震対策行動計画を策定し、以降3年ごとに更新してきました。しかし、9年間かけても達成できない課題の中で、命を守る、命をつなぐ対策の中にも達成のめどがついていないものもあります。また、繰り返される災害の学ぶべき教訓は、時間とともに変わっていますので、それにも対応したものでなければなりません。そして、災害対応こそがSDGsの目標の原点の誰一人取り残さないことの実践でなければなりませんし、平時においても安心で安全な地域共生社会づくりでなければならないと思っています。そのような視点で、今回更新されようとしている第5期南海トラフ地震対策行動計画案における課題について、順次質問させていただきます。 知事は提案説明で、南海トラフ地震対策行動計画に関して、数値目標を設定した上で定量的に評価を行うなど、進捗状況の可視化を通じて取組の成果を県民の皆様に分かりやすくお伝えするとともに、PDCAサイクルを一層徹底しますと述べられていました。 進捗状況の可視化などだけでなく、要配慮者などの命を守る課題については、達成予定を明示した上で加速化を図るとともに、内容の拡充を図ることこそが必要であると考えますが、知事のお考えをお聞きします。 続いて、県・市町村有建築物の耐震化の推進の項についてお尋ねします。この項では、教職員住宅の集約、耐震化について取り組まれようとしていますが、その取組も大変重要ではあると思います。しかし、学校校舎や庁舎が高台をはじめとした津波浸水想定区域外へと移転している中で、職場への参集体制の面からも、県職員、警察職員住宅も含めて、津波浸水想定区域内に存在していることが大きな課題であると思います。 現在、津波浸水想定区域内にどれだけの県職員、教職員、警察職員の住宅があるのか、総務部長、教育長、警察本部長にそれぞれお聞きします。本来は、そこからの移転が優先されるべきではないかと考えますが、その方向性をどう考えられているのか、また地域からも移転の課題が注視されている土佐清水市の職員住宅の移転検討はどのようになっているのか、併せてお聞きします。 津波からの避難対策の促進の項についてお伺いします。要配慮者が迅速に避難できるための支援体制づくりとして、名簿提供の同意者を増やすための取組への支援も、市町村における個別避難計画の策定への支援の取組もこれまで行われてまいりましたが、第4期計画の進捗状況は同意取得率見込みが70%、計画作成率見込みが30%であります。これを第5期でそれぞれ80%までに高めることとしていますが、達成目標100%の達成予定が示されていません。 昨年も福祉人材を活用するなど、その多様性に配慮して一人一人の状況に応じた個別避難計画を策定することを求めてきましたが、達成予定を明示して取り組むべきではないのか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。 次に、これも要配慮者の課題ではありますが、高台移転に向けた取組についての社会福祉施設等の高台移転等の検討及び補助の実施の項についてお伺いします。現在、津波浸水想定区域にある高齢者101施設、障害者43施設、児童7施設に対して、1年間で1から2施設ほどしか移転が進んでいない中で、今後どのようにして対象施設への働きかけ及び支援を行っていくつもりなのかと思わざるを得ません。 現在の高知県老人福祉施設等整備事業費補助金制度や、高知県介護基盤整備等事業費補助金があっても、これだけの進捗状況ということは、これらの制度を拡充するか、新たな制度創設を国に働きかけるなどして高台移転を加速化し、達成予定を定めるべきではないか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。 次は、応急対策活動の整備の項における、高知市の長期浸水域での迅速な救助救出対策の検討における日数の短縮についてであります。令和2年3月に作成された高知市救助救出計画について、エリア1の地区ではこの計画についての意見交換会が行われ、そこでも多様な意見が出されていましたが、それらへの対応が図られていません。 これから令和7年度には10日に向けた日数の短縮を行うとのことですが、エリア2、3、4の地区でも救助救出計画の説明、意見交換を行い、計画に対する市民の声を反映し、より実効性を伴うものに補強すべきではないかと考えますが、危機管理部長にお尋ねします。 続いて、避難体制づくりの促進についてであります。指定避難所の収容能力の拡大については、県全体では必要数約21.7万人分を確保されているとのことですが、市町村単位では避難所が不足している11市町村において、避難所を確保するとの目標の達成年度が示されていません。取組を加速化すべきではないか、危機管理部長にお聞きします。 また、平成25年頃から取り組まれてきたはずの課題である広域避難における広域避難施設の確保について、今回の第5期行動計画には広域避難候補施設の選定をこれから行うとありますが、本来はこれまでに行われていなければならないもので、なぜ今頃なのかと思えてなりません。広域避難施設の確保に向けた取組の本気度について、併せて危機管理部長にお聞きします。 次に、多様な避難者への対応の充実を図る取組の中で、車中泊等の避難所外避難者への対応の検討を目標に掲げていますが、車中泊避難の在り方について危機管理部長にお尋ねします。コロナ禍での自然災害との複合災害に対する避難所の見直しが議論される中、在宅避難をはじめ車中泊や知人、民間施設への避難など分散避難の議論がされ始め、今まで取り組まれたことのなかった車中泊避難訓練についても2020年6月に日高村で開催された際に、私は参加させていただきました。また、最近では、いの町でも車中泊避難訓練が開催されており、その対応と支援の必要性が各自治体からも求められてくるようになりました。 これまでは、車中泊避難ではエコノミークラス症候群などの危険性が言われる中、決して推奨されていませんでしたが、現在のように分散避難が検討される中では、避難行動意識調査でも約38%の方が車中泊避難を選択しているような傾向から、エコノミークラス症候群の予防を周知し、支援を行うことによって、その選択に応えるような訓練が必要になってくると思われます。 これからは、いわゆる分散避難の選択肢としてだけではなく、臨時情報が発せられたときには、事前避難対象地域にお住まいの方々は車で避難し、車中泊避難をされる方が圧倒的に増えるものと思われますが、危機管理部長にお聞きします。 災害対応の基本は多様な選択肢であり、車中泊避難を選択せざるを得ない状況を想定した取組はこれから当然必要であり、これまでリスクとされてきたエコノミークラス症候群は、水分補給や適度な運動など個人で予防可能な課題でもあり、避難生活における車中泊避難希望者の増加などに対して、自治体による支援が必須となってくると思われます。 車中泊避難により想定されるリスクを回避するため、避難訓練における車中泊避難の活用に対して支援を行うなど、事前啓発を進めるべきと考えますが、併せて危機管理部長にお聞きします。 また、避難所外避難者としての車中泊避難者は、災害対策基本法第86条の7、やむを得ない理由により避難所に滞在することができない被災者に該当し、生活環境の整備に必要な措置が講ぜられるべきものと考えますがどうか、危機管理部長にお聞きします。 次に、要配慮者の避難対策の促進についてお聞きします。これまでも2018年以来、避難場所及び一般の避難所に福祉避難所的機能を持たせることについて質問をしてきましたが、一般の避難所における要配慮者スペースの整備への支援の課題について、コロナ禍対応による避難所の感染症対応としてきたものを、今後は一般避難所における要配慮者スペースの確保、資機材整備を全市町村で実施するとの取組にシフトさせようとしているのではないかと思います。 その際に、補助金などによる支援の対象となるスペース確保、資機材とは、感染症対応だけではないと思いますが、対象範囲はどのようなものか、危機管理部長にお聞きします。また、ここでも達成予定が示されていませんが、めどを示して取組の加速化を図るべきではないか、併せてお聞きします。 次に、在宅人工呼吸器使用者及び酸素療法者への支援体制整備についてお聞きします。これまでも酸素療法者数の把握と医療機器取扱業者などとの連絡会の実施を重ねてこられていますが、今後も年1回から2回実施するということだけでよいのか、健康政策部長にお聞きします。 実態把握をしてからということなのでしょうが、まさにこの問題は避難所の電源問題なども含めて命をつなぐ大きな課題です。実態把握を早急にした上で、それに対応できる体制を整えておくべき課題であり、在宅人工呼吸器使用者にとっては最優先すべき課題として取り組まれるべきものです。そうでありながら、達成予定が令和6年度以降となっているということは、それ以前に災害が起きたときには命を諦めてくださいということなのかと言わざるを得ません。 令和6年度以降の達成でよいのか、併せて健康政策部長にお聞きします。 被災者の生活支援体制の整備についてお聞きします。一昨年9月定例会で提起をさせていただいて、第4期行動計画3年目に取り上げていただいた、個別の被災者の被災状況や生活状況に応じた支援体制の検討、いわゆる高知県版災害ケースマネジメントの取組が第5期計画で進められることとなっています。そのことについて、昨年7月県主催の令和3年度高知県トップセミナーで、災害ケースマネジメントについて講演いただいた日本弁護士連合会災害復興支援委員会前委員長、津久井進弁護士が読売新聞の取材に答えて、南海トラフ地震に備える高知が導入することで全国への波及効果も大きいとコメントされています。そこまで評価されている今回の取組です。 市町村における個別支援体制の構築においては、これまでの被災地での教訓を踏まえて、被災者が誰一人取り残されることのないよう、被災者が主人公の仕組みとなるような支援体制とするための決意を危機管理部長にお聞きします。 応急仮設住宅の供給については、令和元年9月定例会で私の質問に、限られた建設用地を有効に活用するため、2階建てや3階建ての場合の問題点や改善策などについて検討を進める一方、必要となる仮設住宅戸数を少なくするため、住宅の倒壊を防ぐ耐震化の促進にも取り組んでいると答弁され、私が提言したトレーラーハウス型応急仮設住宅についても取り入れられ、いち早く日本ムービングハウス協会とハウス設置で協定を結び、南海トラフ地震が起きた際に同協会から応急仮設住宅として5,000戸を供給してもらうなどの取組がされてきました。 しかし、この間、応急仮設住宅の実効性のある供給体制の確認・維持を取り組む項目の中で、L2地震の際の必要戸数7.7万戸に対して、供給可能戸数は建設型2.3万戸と借り上げ型0.8万戸を合わせて3.1万戸の実績と、今後の達成予定すら明らかにできない現状をどう考えているか、そして今後の取組について土木部長にお聞きします。 昨年も事前復興まちづくり計画策定指針検討会の在り方をはじめ、事前復興について質問はさせていただきましたが、改めて南海トラフ地震における事前復興の在り方についてお聞きします。 この間、事前復興について継続的に学び合っている高知市下知地区の皆さんと共に、3・11東日本大震災後に甚大な津波被害想定が出された徳島県美波町の由岐地区の事前復興に学ばせていただきました。由岐地区では甚大な被害想定から事前に避難しようとする震災前過疎の防止を事前復興まちづくりの最重要課題とし、土地利用計画と併せて高台開発の具体化にも取り組まれてきた、先進的で住民主体による事前復興まちづくり計画の立案をされています。 地区の事前復興まちづくりの未来像は、個人の幸福だけでなく、地域全体で幸福を感じながら、次世代にわたって幸福に住み続けられるまち由岐というものでした。それを事前に具体化していくための取組で、事前復興まちづくり計画が地域で認知され、高台住宅地の開発につながるイメージを共有し、施策や土地利用の素案をまとめた事前復興まちづくり計画を立案し、町計画にも提言し、現在は地区別事前復興まちづくり計画を策定し、日和佐地区でこども園などの高台移転構想が進行中との成果を上げられていました。 高知県事前復興まちづくり計画策定指針も、市町村が速やかに復興まちづくりに着手するためには、発災後の土地利用や公共施設の配置などの基本的な考え方を事前に取りまとめ、事前復興まちづくり計画を策定しておくための参考となるように取りまとめようとされています。 昨年の2月定例会で、指針の策定後には、沿岸19市町村の皆様と事前の計画策定の必要性や検討すべき項目、手順などについて勉強会を開催するとともに、計画を策定する際には市町村のニーズに応じた技術的な支援などを行っていくと答弁されましたが、第3回検討会でしっかりと市町村における事前復興まちづくり計画策定の進め方を検討していただきたいと思います。 しかし、第5期行動計画との関係で言えば、まずは勉強会、策定着手、策定の目途は令和9年度となっていますが、昨年も高知県震災復興都市計画指針に基づく訓練のように、何年もかけてやるなどということの繰り返しであってはならないと指摘しました。今朝の朝日新聞にもありましたが、復興事前準備について全国約4割の自治体が策定作業に未着手ということで、国土交通省は新年度以降、策定を促す新たな指針づくりを進めるとのことです。 第5期行動計画に予定している取組を加速化すべきではないかと思いますが、危機管理部長にお聞きします。 そして、行動計画にある令和4年度からの市町村における最初の勉強会から、住民に事前復興の仕組みについての理解を深めていただくために参加を求めるとともに、計画づくりまで継続的に御参加いただき、住民主体の事前復興まちづくり計画の策定を進めていくべきだと考えますが、危機管理部長にお聞きします。 さらに、昨年2月定例会での答弁では、高台への移転の取組が実現できるよう、国に対して新たな制度の創設や既存の制度の拡充につきまして、引き続き全国知事会などを通じて政策提言を行っていく、また県としても具体的な支援についてさらに検討していくとのことでした。 高台移転に限らず、事前復興まちづくり計画で出される多様な事前復興のまちづくりへの支援も強化すべきだと考えますが、この項は知事にお聞きします。 次に、特別支援学校の防災・減災対策の拡充について教育長にお尋ねします。 昨春、コロナ禍のため途中で中止となりましたが、総務委員会の出先機関調査で特別支援学校を訪問調査させていただいた際に、防災・減災体制について聞かせていただきました。学校内での取組は一定なされているようですが、生徒が在宅中に被災した場合の対応など、地域の方との連携や、避難行動要支援者個別避難計画を策定することなどについての取組には、課題もあるとの感じがいたしました。 南海トラフ地震をはじめとした次の災害が来るときに、在校中であれば生徒たちの命を守ることが最優先で取り組めると思いますが、スクールバスでの送迎中、在宅中に被災した場合の避難支援や、避難生活において障害特性が理解された支援が受けられれば、子供たちはより健やかに被災生活を送れるのだということを前提にした取組が必要となります。 特別支援学校の防災・減災を考えるときに、障害を持たれている当事者の方から助けてくださいとお伝えすることで、周りの支援者の方たちもそれに気づいて、助けるよという力を掘り起こすことにもつながるのではないか。そのためにも特別支援学校という強みを生かして、地域と一緒に弱みを補完し合う形がつくれたらよいのではないかと思います。 そこで、順次教育長にお尋ねします。まず、災害時の危機管理マニュアルの対応についてです。特別支援学校の危機管理マニュアルの中で、在校中、登下校中、スクールバス、勤務時間外、寄宿舎、保護者への引渡しと場面ごとに地震発生時の基本的対応が定められています。在校中や寄宿舎ではそれなりに教職員の皆さんの目が届くことから、一定の安否確認が可能かと思われますが、登下校中のスクールバスとなると臨機な対応が求められるだけに、事前の備えが必須であると思います。 分校も含めた13校の県立特別支援学校の危機管理マニュアルの中で、様々な場面における対応をどのように定められていくのか、教育長にお聞きします。その際、中村特別支援学校では、スクールバスのルート上のハザードについて、高知大学岡村眞名誉教授のアドバイスもいただいて明記されているようですが、これから取り組まれる学校でもルートが広域複数市町村に及ぶことからも、スクールバスの対応について各市町村の危機管理部局とも連携を取り、県教委及び防災専門家による調整なども行い、作成されることが必要ではないか、併せて教育長にお伺いします。 次に、地域防災との連携についてお伺いします。マニュアルの中に出てくる場面は、在校中と通学途中までであり、在宅中における発災時の生徒の安否確認をはじめ、その後の避難生活も含め、教育のみならず医療と福祉の継続という、より丁寧な災害への対応と、そのための準備が必要となるのではないかと思います。 現在、避難行動要支援者対策として、要配慮者の個別避難計画の策定が各自治体で進められていますが、この策定に当たって、大変でしょうが、生徒さんたちの障害特性を理解されている特別支援学校も、それぞれの生徒さんの個別避難計画策定に関わってあげていただきたいと願います。 そこで、お聞きしますが、在校生の在宅時における発災時の対応についてどのような取組がされているか、また在校生の個別避難計画の策定状況の把握はされているのか、併せて教育長にお聞きします。 特別支援教育の現場で作成が義務づけられている個別の教育支援計画は、教育のみならず、福祉、医療、労働などの様々な側面からの取組に活用されることが必要であるとされていますが、自治体の個別避難計画作成に向け、個別の教育支援計画を活用するなど、地域と連携した協力の必要性について教育長にお聞きします。 次に、特別支援学校と特別支援学級の災害時連携についてお伺いします。市町村立の小中学校における特別支援学級の児童生徒及び担当教諭の災害時対応については、被災した学校に在籍する児童生徒が災害発生後も速やかに特別支援教育を受けられるよう、県内全ての特別支援学校と特別支援学級における災害時連携を具体的に推進する必要があると考えますが、教育長にお聞きします。 この項の最後に、教職員も児童生徒とともに命と尊厳を守られる対象とした取組についてお伺いします。特別支援学校の現場においては、教職員が身を挺して児童生徒の体と命を守る体制をしいているマニュアルが少なくないのではと考えますが、これは正常性バイアスによる教職員は災害時にあっても無事であるに違いないとの思い込みがベースとなっており、教職員自身の災害対策が具体的に進まない原因の一つと考えられているとの指摘があります。 そのためにも、教職員の皆さんも児童生徒とともに命と尊厳を守られる対象とされるべきであって、教職員は自らの安全確保を図りつつ、児童生徒と施設の安全・安心を守るとして、教職員の命と尊厳の保障についても危機管理マニュアルにおいて早急に具体化されてこそ、児童生徒の命が守られると考えますが、どのように位置づけ取り組まれるのか、教育長にお聞きします。 次に、障害児虐待と県の向き合い方についてお伺いします。 高知市議会令和3年12月定例会、12月10日の個人質問で取り上げられた、重症心身障害児が利用した施設での虐待の疑いがあった事例との関わりで、県としての障害児虐待と向き合う姿勢についてお尋ねします。この事例は、令和2年6月、日帰りショートステイを利用していた重症心身障害児が、施設から帰宅後に性器下部の出血、裂傷を母親が発見したことに始まります。その後、医療機関を受診し、医療機関の虐待予防チームが支援し、小児科、産婦人科が診察した結果、第三者による加害行為が疑われたことから、県をはじめ関係機関に虐待通報し、施設内虐待が疑われるとして、県障害福祉課から高知市へ障害福祉施設従事者等による障害者虐待の通報がされたものです。 以降、警察、高知市のそれぞれによる調査がなされましたが、障害福祉施設従事者による障害者虐待の認定や加害者の特定には至らなかったとの経緯があります。その後も高知市と保護者との話合いは重ねられたものの、高知市は厚生労働省の示す、市町村・都道府県における障害者虐待の防止と対応の手引きに準じることなく、高知市独自の調査を実施し、同年11月に本事例の調査は終結されています。 そこで、子ども・福祉政策部長にお尋ねします。当事者の両親から県へも虐待通報に係る申入れがされていますが、県は両親から県及び市による共同での調査の実施を求められたことについて、高知市から共同調査の要請があれば協力をすると回答されています。これは、高知市から要請がなければ協力してはいけなかったということなのか、また県は事案発生の通報を受け、高知市に通報して以降、高知市との連携・協議などは行われなかったのか、併せて子ども・福祉政策部長にお聞きします。 この際に、県及び市の法律上の権限による監査、立入調査を行うことを求められ、県は事実確認は高知市が実施するものであり、県は必要に応じて支援をする立場であり、当該施設を対象に実施した最近の指導監査の結果から、現時点において県として監査を実施する必要性はないと判断されています。ここで言う最近の指導監査とはいつ行われたものだったのか、また重度障害があることから、自ら虐待を訴えることができない障害児の性的虐待の疑いのある事例が起きても、その重症度、緊急度を鑑みた監査の必要性はなかったのか、併せて子ども・福祉政策部長にお聞きします。 そして、このような重要な事案でありながらも、支援の必要性を高知市に打診することなどの必要性はなかったと考えられているのか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。 施設側はこの件が起こって以降、保護者との面会を拒否していますので、施設において例えばモニターの増設や同性介助の徹底などの対応改善についての情報は両親に伝えられていないと聞いていますが、そのような現状について県としてどのように考えられるか、子ども・福祉政策部長にお聞きします。 当該児童及び家族は、その後当該施設を再利用できなくなっていますが、社会資源の乏しい本県において、重症心身障害児が利用できる機関は数少なく限られています。そのような中で一つでも社会資源が利用できない状況になったことは、当該児童及び家族の生活に多大な影響を及ぼしています。 このような状況を踏まえて、県としてこの事案に関して障害児の権利擁護の視点から、施設の再発防止システム、施設整備などについて助言・指導することに加え、当事者、家族の心身ともの深い傷からの回復と日常生活の負担解消のために何をしなければならないと考えるのか、この項は知事にお伺いします。 最後に、免許返納問題への支援を通じた移動貧困社会からの脱却と、中山間地における移動手段の確保についてお伺いします。 この間、全国でも高齢者の引き起こす自動車事故が大々的に取り上げられる中、運転免許の返納者数は増加傾向にあります。しかし、免許返納問題が喚起策だけでは進まないのは、長年車に頼ってきた当事者の運転免許返納後の移動手段や生活、心身への影響があまり考えられずに、私たち日本人が車に頼った暮らしを続けてきた結果と言えるのではないでしょうか。この問題は免許を返納する本人のみならず、その家族にも多くの葛藤を引き起こしており、車以外の移動手段を持たない状況になってしまった地域での免許返納問題は、もはや個人や家族で対処できる範囲を超えているものと思われます。 これらの課題がよほど丁寧に議論され、対策が講じられなければ、交通事故の減少にはつながったものの、高齢者のひきこもりや老いを加速させることにもつながりかねないことを考えておかなければならないと思います。そうならないために、今の移動貧困社会からどう脱却するかについて順次お尋ねします。 まず、県内の運転免許自主返納者が令和2年には2,910名に上っていますが、返納後の課題を考えるためにも、返納後に利用する移動手段はどのようなものと把握し、それらの活用状況は十分と考えられているのか、警察本部長にお聞きします。 また、免許返納者が抱える課題として、県内にはどのようなものがあると考えられるか、警察本部長にお聞きします。 県内において免許返納者が返納後に困らないために、移動の選択肢を整備しておく必要があると考えますが、選択肢としては公共交通の確保はもとより、例えば自転車やシニアカーなどをはじめとするスローモビリティーなど、自分で移動できる移動手段の種類を増やすとともに、安全に通行できるように既存の道路を生かした道路整備も求められてくるのではないかと思います。 さらに、今回の集落実態調査でも、公共交通機関の課題があるとする集落代表者は6割に上り、住民アンケートでは日常的に使う移動手段として8割近くの住民が自家用車を活用し、このうち5割の住民が今後10年以内に利用できなくなる不安があると答えられています。 このことを踏まえて、県民が年を重ねても、どこでも1人で移動できる地域社会を築いていく必要性についてどう考えられるか、この項は知事にお伺いいたしまして、私の第1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。 まず、新型コロナウイルス感染症対策に関しまして、今後どのような情報発信を心がけるのかとお尋ねがございました。 新型コロナウイルスに関しましては、これまで動画やSNSの活用、あるいはホームページへの掲載など多様な手段を用いまして、県からの情報発信をいたしております。また、県の対策本部会議でございますとか記者発表の場におきまして、県の方針や県民の皆様へのメッセージを私自らマスメディアを通じて発信をしてまいったところであります。 その際には、国の対処方針や県内の実際の発生事例などを基にいたしまして、避けるべきリスクの高い場面や行動などについて、具体的に分かりやすく丁寧な説明となるように心がけてまいりました。特に御質問がありましたように、人々の行動変容を促していくということを考えますと、県民の皆さんに言わば我が事として捉えていただけるように、メッセージを発していくということが大事だと考えておりますので、メッセージを受け取る方々の立場や思いを想像いたしまして、ここに想像力を働かせて、それに寄り添ったものとなるということが肝要だというふうに考えております。 今後もこうした点に留意をしながら、県民の皆さんと心を一つにしてコロナ禍を乗り越えていけますように、正確で、かつ分かりやすいメッセージの発信に努力をしてまいりたいと思います。 続きまして、コロナ禍におきますこれまでの施策の評価と今後の施策の在り方についてお尋ねがございました。 コロナ禍におきます県政運営に当たりましては、これまで感染の拡大防止対策と経済対策の両立という難しいかじ取りが求められてまいったところであります。このうち感染の拡大期には、何よりも県民の皆さんの命と健康を守るということを優先し、県民生活や社会経済活動への一定の制約もお願いをしてまいったところであります。 一方で、感染が落ち着いております間には、思い切った財政出動の下で、需要の喚起策、回復策を講じまして、ダメージを受けた県経済の早期回復を図るというほうに軸足を置いてまいったところであります。具体的には、国の施策に呼応いたしまして、Go To Eat事業あるいは高知観光トク割キャンペーンの事業などを展開するといったほか、観光に関しましては県独自でのリカバリーキャンペーンなども展開をしてまいったところでございます。このように感染の状況、そして社会経済の状況を見極めながら、時宜にかなった施策がタイムリーに実行できるように努めてまいったところでございます。 こうした中、昨年11月、国のほうで今後の対策の全体像が示されました。この中では感染拡大時にも行動制限の緩和を可能とするようなワクチン・検査パッケージの制度の導入といった方針が示されたわけでございまして、これは感染対策と日常生活の両立を目指すという意味で、新しい取組ということで注目をされたところでございます。 残念ながら、オミクロン株によりますブレークスルー感染が多く発生をするといったこともございまして、このワクチン・検査パッケージを活用して行動制限を緩和していく、感染拡大期でも緩和をしていくという取組は、目立った進捗が見られないわけでございますが、方向性としては間違っていない、正しいものであるというふうに考えているところでございます。 今後につきましては、感染対策と日常生活の両立を目指すということを旨としながらも、ウイルスの特徴あるいは感染状況に応じまして、アクセルとブレーキを適宜踏み分けながら、臨機応変に施策を講じてまいる考えでおります。 次に、いわゆる平時におきます県の保健・医療体制の在り方に関連いたしまして、病床転換、ダウンサイジングを促す取組を継続するのかどうかというお尋ねがございました。 本県では、地域医療構想に基づきまして、各地域において医師会などの関係機関と協議をいたしまして、合意を図りながら医療機関の自主的な病床転換あるいはダウンサイジングへの支援を行ってまいっております。 これまでにこの流れに沿いまして、介護療養病床の9割以上が介護医療院へ転換をされたということがございます。そういう意味でこれら病床数は形としては減ったということになっておりますが、実質的に言わば介護の機能を果たしていた分につきまして、介護医療院に転換するという中身であったということでございます。 こういったものに加えまして、病床稼働率の低下あるいは今後の医療需要の動向などから、医療機関自らが継続が不要であると判断した病床あるいは休床病床の廃止などによりまして、御指摘ありましたダウンサイジングが図られているというところでございます。今後も適正な医療体制を確保するという観点に立ちまして、医療機関の意向も尊重しながら、このような取組を継続して支援していくと、こういった必要性はあるものというふうに考えております。 しかしながら、県内の地域を見渡しますと、高知市及び周辺の地域以外におきましては、病床の確保を含めて、医療体制の維持・強化がむしろ必要だと考える地域があるところでございます。特に、郡部におきまして後継者問題が課題であるというふうな認識をいたしておりまして、次年度には具体的な支援策の基礎とするための、こうした郡部におきます後継者問題に関わります実態把握のための調査を行いたいというふうに考えております。 県といたしましては、当面地域の合意が得られました医療機関の自主的な取組の支援、これは継続をしながら、今後の国の動向あるいは地域の声も参考にいたしまして、必要に応じて支援の追加あるいは見直しを行ってまいるという考えでございます。 次に、福祉保健所の体制拡充、人員体制の強化についてのお尋ねがございました。 福祉保健所の体制の拡充につきましては、国の令和3年度地方財政対策の中で、保健所の恒久的な人員体制の強化の方針が示されております。具体的には、保健所の感染症対応業務に従事をいたします保健師を、令和4年度までに令和2年度の1.5倍となるように地方財政措置を講ずるという方針が明らかにされたところでございます。 こうした国の対応方針を踏まえ、本県におきましては、今年度福祉保健所での感染症対応業務に従事をいたします保健師の数を令和2年度比で1.35倍に増員いたしました。令和4年度につきましても、保健師の新規採用あるいは再任用などにより目標といたします1.5倍の達成に必要な人員を確保し、さらなる体制強化を図ってまいりたいというふうに考えております。 そして、政府におきましてはコロナ収束後に今回の経験を踏まえ、緊急時におきます対応能力確保のための平時の保健・医療体制の在り方について再び検討されるということが想定をされるわけでございます。県といたしましても、地方自治体が必要といたします体制を確保するための支援策につきまして、全国知事会などを通じて政府に引き続き提言を行ってまいる考えであります。 次に、憲法上の緊急事態条項の在り方についてのお尋ねがございました。 新型コロナへの対応のみならず、南海トラフ地震など極めて重大な緊急事態を想定した場合に、私権の制限あるいは補償の規定などをあらかじめ法律に定めておくことが必要であるというふうに考えております。 午前中にも御答弁をいたしたところでございますけれども、こういった必要があるというふうに考えているわけでございますが、ただいま議員から御意見がございましたように、こうした法律に私権の制限を定めること自体は、現行憲法下でもこの緊急事態条項の有無にかかわらず、公共の福祉のためという目的に沿う限り可能であるというふうに考えております。 ただ、こうした万一に備えた法整備ということが制度的に可能であるということと、現実にそうした法制の整備が進むかどうかというところは別問題という部分があるというのは、議員御指摘のとおりではないかと思います。 このため、私としては言わば国民全体の意思として、こうした種類の立法が必要であるという旨を憲法上明らかにするということが、やはり望ましいのではないかというふうに考えております。言い換えますと、こうした必要とされる緊急事態に対応する法制の根拠となるような規定を、憲法上も明確に設けておくということによりまして、立法府であります国会に対して、そうした法制の整備を行うようにと促しておくということが望ましいものと考えております。 加えまして、緊急事態が発生いたしましたときには、何よりも迅速な対応が求められるということが想定をされますので、行政府と立法府の間におきます緊急時の立法の在り方のルールを憲法上設けておく必要があるのではないかと、そういった観点からの議論も必要なのではないかというふうに考えているところであります。 いずれにいたしましても、緊急事態に即応できるような体制をあらかじめ整備をしておくということは、大変大事だと思いますので、そうした方向に向けて憲法改正という手法も含めまして、国政の場におきまして活発な議論が求められるものではないかというふうに考えております。 次に、南海トラフ地震対策行動計画の取組の加速化と内容の拡充についてお尋ねがございました。 第5期の南海トラフ地震対策行動計画--現段階は案でございますが--におきましては、これまでの取組の成果や課題を分析し総括をいたしました上で、アドバイザーからの意見なども踏まえながら策定の作業を進めてまいりました。いわゆる命を守る対策をはじめとして、計画に位置づけているそれぞれの取組につきましては、議員から御紹介もいただきましたように、可能な限り数値目標を設定いたした上で、最終的な達成予定年度を明示するということを原則に計画を策定してきております。 しかしながら、例えば社会福祉施設の高台移転といったようなケースのように、事業者の意向あるいは財政状況、こういった制約がございまして、最終的な達成予定年度を県の計画の中で一方的に設定することが難しい、そういった性格の取組もあるということは、御理解をいただきたいと存じます。こうした取組に関しましては、国に対して既存の制度の拡充あるいは新たな制度の創設につきまして政策提言を行い、速やかな実現に向けた環境整備を県としても図ってまいりたいと考えております。 南海トラフ地震対策は、これまで東日本大震災を教訓といたしまして、対策の抜本強化を図るための見直しを行ってまいりました。また、要配慮者支援対策などの命を守る対策につきまして、新たに見えてきた課題に対しては、これを重点課題と位置づけまして、目標達成に向けて取組の加速化を図ってまいったところでございます。今後とも引き続き、PDCAサイクルによります取組の検証と見直しを行いまして、命を守る、命をつなぐ、生活を立ち上げる、こうした対策が着実に進むようにしっかりと取り組んでまいります。 次に、事前復興のまちづくりへの支援についてお尋ねがございました。 南海トラフ地震によります発災後、市町村が速やかに復興まちづくりに着手できますように、高知県事前復興まちづくり計画策定指針を本年度内に取りまとめることといたしております。この指針におきましては、復興の遅れによります人口減少あるいは地域の衰退といった東日本大震災におけます教訓を生かしまして、地域の実情に応じて早期の生活再建あるいはなりわいの再生が可能となりますように、復興パターンを例示するということといたしております。 さらには、東日本大震災を受けました国の復興方針や復興事業の検証なども踏まえまして、高台移転や地盤のかさ上げ、あるいは堤防、道路などの盛土構造物によりますいわゆる多重防御など、多様な復興まちづくりの手法もメニューとして示すという考えでございます。 今後は、市町村と地域が一体となりまして計画の策定に取り組めますように支援をいたしますとともに、具体的なまちづくりの方向性が見えてきました段階で、これに対します財政的な支援について具体的に検討してまいりたいと考えております。また、国に対しましても、新たな制度の創設あるいは既存制度の拡充について、引き続き全国知事会あるいは南海トラフ関係の10県知事会議などを通じまして、政策提言を行ってまいる考えであります。 次に、障害児虐待の疑いの事案に関連いたしまして、障害児の権利擁護の視点から何をしなければならないと考えるのかというお尋ねがございました。 重症心身障害のある児童や御家族は、日々の生活の中で大変な御苦労、御負担を感じておられることと思います。そうした中、利用された施設で虐待が疑われる事案が起きてしまうということは、その児童はもとよりでありますが、御家族の心身も深く傷ついてしまわれるものというふうに思っております。 お尋ねがございました障害児の権利擁護の観点から申しますと、御家族と施設が信頼関係を構築するということ、そして相談支援事業所、市町村などの関係機関と連携をしながら、安心して施設を利用できる環境整備をしていくと、このことが重要だというふうに考えているところでございます。 県といたしましては、具体的には施設の従事者などの権利擁護に対する理解が促進をされるような取組を行う、さらには判断が難しい事例につきましては、市町村や施設の従事者などが司法、福祉の専門職の支援が受けられるような相談体制を強化する、こういった対応を図ってまいりたいと考えております。 こうしたことによりまして、障害のある児童や御家族を含め、地域で暮らす全ての方々が尊厳のある、また本人らしく生活ができる、社会全体で支え合います共生社会の実現が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。 最後に、年を重ねても1人で移動できる地域社会を築いていく必要性についてお尋ねがございました。 運転に不安を感じます高齢の方にとりまして、過疎・高齢化が進む中で免許返納後の移動手段の確保は、御指摘ありましたように大変に切実な問題であるというふうに受け止めております。例えば、買物や通院、訪問などの外出が制約をされ、健康面での影響が懸念をされますとともに、御家族に移動を頼るケースになりますと、御家族の生活や仕事への影響ということも考えられるわけでございます。誰しも年齢を重ねますと免許の返納問題に直面をするということだと考えます。住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためにも、移動手段の確保など社会全体で高齢者の生活を支えていくということが必要であると考えております。 また、議員からお話がございましたように、今年度実施をいたしました集落実態調査においては、地域の公共交通機関につきまして、利便性などに課題があるとの御意見もいただいております。このため、公共交通の利便性の確保という観点から、例えばコミュニティーバス、デマンド型の乗合タクシーなどといった、地域の実情に応じた、よりきめ細かな移動手段を整備していくということが重要であると考えております。県といたしましては、引き続き各市町村が移動手段を協議いたします公共交通会議に参画をして、実証運行、車両導入などの補助事業によりまして、各市町村の取組を積極的に支援してまいります。 また、あったかふれあいセンターによります移動の支援、社会福祉法人が自主的に移動支援サービスを実施している事例など、公共交通を補完する取組も広がっているところであります。引き続き、地域の支え合いの中で移動手段の確保が拡大をしていきますように、市町村と共に支援をしてまいりたいと考えております。 今後も、移動手段の確保の取組を市町村や関係者、県民の皆さんと共に着実に進めまして、高齢者の方々が免許返納後も生活の質を維持できる社会を目指してまいりたいと考えております。 私からは以上であります。   (総務部長徳重覚君登壇) ◎総務部長(徳重覚君) 津波浸水想定区域にある知事部局の職員住宅の数とその移転の方向性、また土佐清水市の職員住宅の移転の検討状況についてお尋ねがございました。 現在、知事部局が所管している職員住宅は59棟、608戸あり、そのうち最大クラスの地震及び津波が発生した際の津波浸水想定区域内には22棟、221戸の住宅がございます。その移転の方向性に関しては、高知県職員住宅長寿命化計画におきまして、全ての住宅が津波浸水想定区域内に立地する須崎市、宿毛市、土佐清水市の住宅は廃止も含めて移転を検討することとしております。 お尋ねにございました土佐清水市の職員住宅は入居率が高く、利用ニーズが高いことから、同じ区域内にある教職員住宅と合同での高台移転を検討しており、現在移転候補地の選定を行っているところです。引き続き、教育委員会と連携し、移転に向けた検討を進めてまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、津波浸水想定区域にある教職員住宅の数と移転の方向性及び土佐清水市の教職員住宅の高台移転についてお尋ねがございました。 令和4年2月現在、津波浸水想定区域の教職員住宅は8市町村に25棟、126戸あり、棟数については全体の約24%、戸数については全体の約28%を占めております。また、当該区域にある住宅の入居率は57.9%となっております。このうち土佐清水市の教職員住宅につきましては、7棟、13戸あり、入居率は46.2%となっております。 教職員住宅の整備につきましては、令和元年度から令和5年度を計画期間とする整備実施計画を策定しております。この中で整備の基本的な考え方としまして、今後の教職員数の動向や入居状況、周辺地域の住環境を考慮しながら、必要な戸数を確保した上で、老朽度に応じて計画的に修繕等を行うことによりまして、住宅の長期使用可能年数を確保、維持管理することとしております。 ただし、津波浸水予測地域外へ移転する県立学校が管理する教職員住宅につきましては、学校の移転に合わせて津波浸水予測地域外に新たに建設することとしており、土佐清水市の教職員住宅については、清水高等学校の高台移転に合わせて移転の検討を行っているところです。なお、土佐清水市の教職員住宅の高台移転の取組につきましては、先ほど総務部長が答弁したとおり、県職員住宅と合同で移転を検討しているところですので、引き続き知事部局と連携して取り組んでまいります。 次に、県立特別支援学校の危機管理マニュアルの中で、様々な場面における対応をどのように定めていくのか、またその際のスクールバスの対応について、市町村との連携や防災専門家との調整が必要ではないかとのお尋ねがございました。 学校の危機管理マニュアルは、災害の発生時に児童生徒等の安全を守るため対応すべき事項をまとめたものであり、県立特別支援学校では各学校の実情に応じて様々な場面を想定しつつ、本校と分校13校の全てで作成をしております。しかしながら、各校のマニュアルをチェックする中で、例えば在校中の場合において授業中における対応はマニュアルに記載されておりますが、休み時間中の記載がない、あるいは理科室や体育館など普通教室とは違う場所での記載が不十分といった改善すべき点が見られました。 このため、本年度の防災教育研修会におきまして、マニュアルの改善をテーマとした研修を開催し、在校中、そして登校中、スクールバス乗車時など様々な場面での震災対応について不十分な点がないか、ほかに想定しておく場面はないかといった確認を行い、現在各学校で見直しを進めているところです。 また、スクールバスの対応につきましては、議員からお話のありました中村特別支援学校では、防災の有識者に就任いただいております高知県学校防災アドバイザーの助言を基に、スクールバスのルート上の危険箇所をマニュアルに反映させ、発災時の適切な避難行動につなげるようにしております。 スクールバスを運行している県立特別支援学校はほかに5校ありますことから、今後中村特別支援学校の取組を参考に、他の学校のマニュアルについても学校防災アドバイザーの助言をいただきながら改善してまいりたいと考えております。あわせて、改善しましたマニュアルに基づいて、市町村の防災担当部局とも連携をして、スクールバス乗車時の避難訓練等を実施し、その結果を検証しながら、より実効性のあるものとしてまいります。 次に、在校生の在宅時における発災時の対応や個別避難計画の策定状況の把握について、また計画作成に向けた特別支援学校と自治体の連携についてお尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えをいたします。 県立特別支援学校では、幼児、児童生徒が在宅時に被災した場合においても災害から自分の身を守ることができるよう、防災教育の充実に努めております。現在、特別支援学校13校中6校では、個々の障害特性に応じて避難場所の確認、避難経路の確認、避難場所での過ごし方などについて学習しており、その成果を家庭で保護者と共に確認していただき、災害に備えるようにしております。特に、中村特別支援学校では、学習の成果を記録としてまとめ、災害時に各家庭で活用できるようにしております。今後、このような取組を全ての県立特別支援学校に展開してまいります。 個別避難計画では、災害対策基本法に基づき市町村に作成の努力義務が課せられております。これを学校として一律に把握することはしておりませんが、安否確認のための災害時の連絡方法などについては各学校でも把握をしております。 議員御指摘の個別の教育支援計画や防災教育の一環として、幼児、児童生徒が保護者と共に確認した避難経路等の情報につきましては、個別避難計画の作成の参考となりますので、保護者等に対して防災教育等の取組成果が個別避難計画に有効に活用できることなどについて、情報提供を行ってまいりたいと考えております。 次に、災害時の特別支援学級の児童生徒の教育について、特別支援学校と特別支援学級の連携を推進する必要があるのではないかとのお尋ねがございました。 災害時において子供たちの学びを止めず、早期に学校教育が再開できるよう全ての県立学校で学校再開計画を策定しており、市町村立学校に対しても危機管理マニュアルにおいて学校再開に向けた対応を定めるよう促しております。 また、被災した児童生徒の受入れに関しては、学校間で調整することとなりますが、災害規模や児童生徒の障害の程度、避難場所などによって様々なケースが想定され、あらかじめ個別の受入先の学校等を指定して連携を図ることは難しいと考えております。 学校の再開に当たっては、通学している施設で再開が困難な場合は、近隣の他の学校や市町村等の施設を活用することとしており、特別支援学級の児童生徒も含めて再開した学校に通うことになります。 また、居住地から離れて避難することで、それまで通学していた学校に通えない場合、避難先の最寄りの小中学校等が受け入れることになります。その際、特別支援学級の児童生徒が最寄りの学校では障害に適した教育を受けることが難しく、通学可能な特別支援学校が近くにある場合には、そこでの受入れについて柔軟に対応するなど、被災した児童生徒の学びを守るため、可能な限り弾力的な対応を行っていきたいと考えております。 加えまして、避難等によって学校を移った場合にも、その学校で児童生徒の情報が円滑に利用できるよう、県内で統一して導入しました校務支援システムの学校再開時の活用について、あらかじめ周知を図ってまいります。 最後に、教職員の命と尊厳の保障について、危機管理マニュアルにどのように位置づけて取り組むのかとのお尋ねがございました。 本県では、自分の命は自分で守る力の育成を防災教育の目標として掲げており、このことは児童生徒はもとより、教職員自身も身につけておくべき基本的な資質能力となります。しかしながら、特別支援学校には様々な障害特性の児童生徒が在籍しており、自分一人では安全を守ることが難しい面がございます。こうした支援の必要な特別支援学校の児童生徒の命を守るためには、教職員自身が自らの安全を確保し、支援のできる態勢にあることが重要であり、そのためには防災に関するさらなる知識の習得や、それを生かすための訓練も必要となります。 このため、現在進めております各学校の危機管理マニュアルの見直しの中で、児童生徒の安全確保の内容に加え、教職員自身の安全確保につながる、例えば職員室にあるものの落下・転倒防止対策や、素早く身を守るための場所の把握など、日頃の安全点検や身を守る行動のポイント等についても具体的に明記したいと考えております。また、研修や避難訓練等を通じて、教職員に対し子供たちを守るために自らを守るという意識を一層啓発するとともに、具体的な安全確保行動などを確認しながら、発災時の対応力を高めてまいります。   (警察本部長熊坂隆君登壇) ◎警察本部長(熊坂隆君) 最初に、津波浸水想定区域にある警察職員住宅の数やその移転の方向性、また土佐清水市の職員住宅の移転の検討状況についてお尋ねがございました。 現在、県警察が管理している職員住宅は68棟、741戸あり、最大クラスの地震が発生した際の津波浸水想定区域には、34棟、390戸が所在しております。 津波浸水想定区域にある職員住宅の移転の方向性については、県警察として職員住宅が津波浸水想定区域に所在するリスクについて十分承知しておりますが、一方で昼夜を問わず発生する事件、事故等への対応から、警察署等に勤務する警察官が居住地から非常参集しやすいかどうかということも、職員住宅の立地に関して重要な要件と考えております。特に、当直体制が十分に確保できない小・中規模警察署等においては、有事の際、直ちに幹部職員が非常参集できるよう、警察署等の敷地内や近隣に職員住宅を設けることを基本としているところでございます。 したがいまして、津波浸水想定区域に警察署等がある場合に、職員住宅を津波浸水想定区域外へ移転させることは、有事の際への対応も十分考慮する必要があり、容易ではないと考えております。そのような状況にはありますが、津波浸水想定区域にある警察署等を津波浸水想定区域外へ移転させることが可能な場合には、職員住宅の移転も併せて検討しているところであり、現在高台等への移転新築事業を進めております宿毛警察署及び室戸警察署につきましても、一定戸数の職員住宅の移転を計画しております。 なお、土佐清水市内には、中村警察署清水警察庁舎勤務員に貸与している職員住宅、2棟、17戸がありますが、宿毛警察署、室戸警察署と同様、警察署分庁舎の庁舎移転が可能であれば、庁舎と併せて職員住宅の整備を検討してまいりたいと考えております。 次に、免許返納後の移動手段の把握や、それらの活用状況についてお尋ねがございました。 返納後の交通手段として、自治体や公共交通機関の方々の協力をいただき、タクシー料金の割引制度や路線バスの運賃割引等が実施されており、免許を返納された方の中には、これらの制度を御利用いただいている方もいると承知しております。 活用状況につきましては、個々具体的には把握しておりませんが、代替手段がなく御家族の方々に送迎してもらう方もいるものと承知しており、移動手段の確保が十分ではないというふうにも考えております。 今後も、自治体や関係団体の方々と連携しながら対応してまいりたいと考えております。 さらに、免許返納者が抱える課題にはどのようなものがあると考えられるかとのお尋ねがございました。 免許返納に関する課題としましては、免許返納後の交通手段、特に中山間地域において代替交通手段が少ないため、生活する上で運転免許を返納することはできない方がいるということが挙げられます。一方で、御家族等が運転に不安を感じ免許返納を勧めても、御本人にその意思がなければ、強制的に免許証を返納させることができないため、御家族が苦しい思いをしているというケースもございます。県警察としましては、個別のケースにより事情が異なることから、御本人、御家族からの相談に丁寧に対応し、それぞれのケースに最適な解決策を御本人や御家族と共に考えて対応しております。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) まず、要配慮者の迅速な避難に向けた取組について、目標値だけでなく、その達成予定の年度を示して取り組むべきではないかとのお尋ねがございました。 令和3年の災害対策基本法の改正により、自ら避難することが困難な高齢者や障害者など避難行動要支援者の個別避難計画の作成が市町村の努力義務とされました。また、国の指針において計画作成の優先度が高いと市町村が判断した方につきましては、おおむね5年程度で計画の作成に取り組むことが示されたところです。このため、市町村において計画作成の優先度が高い方の判断を行っておりますが、今年1月の国の調査では、県内の11市町村で計画作成の対象者が確定していない状況となっております。 お話のように、現時点では全市町村で対象者を確定できていない状況を踏まえ、南海トラフ地震対策第5期行動計画案において、同意取得率と計画作成率の目標である100%の達成予定が空白となっております。今後、11の市町村で優先度の高い方が確定し、改めて各市町村と協議するなど、地域の実情を十分に把握した上で、達成予定の年度を確定していきたいと考えております。 次に、社会福祉施設等の高台移転の取組についてお尋ねがございました。 県では、社会福祉施設等の高台移転を促進するため、県の補助制度や国の優遇融資制度の活用を促すとともに、市町村と連携して移転適地の確保などの支援を行っているところです。 L2の津波浸水予測区域内にある入居型の社会福祉施設は155施設となっております。そのうち、建物の高さや構造、浸水の深さを踏まえて、施設内での避難が可能と思われる施設は85施設。近隣の他の施設等への避難が可能と思われる施設は22施設。浸水の深さや津波到達の予測時間から、現状では避難することが難しいと思われる施設は48施設となっております。 避難することが難しいと思われる48施設につきましては、高台への移転など早急な対応が必要ですが、一方で身近な地域でのサービス確保といったことも考慮した対策を検討する必要があります。施設の運営状況は様々であり、高台移転後の事業展開を見通すことが難しいため、結論に至らない事業者も多くあります。 このため、県としましては、津波から命を守ることと身近な地域でのサービス確保が両立できるよう、高台への移転だけではなく、建物の高層化も含めた対策について各施設の運営法人との協議を丁寧に行い、高台移転等の方向性について一定の結論が出るよう取り組んでまいります。また、避難が可能と思われる施設につきましても、避難計画の策定や見直し、避難器具の整備など、施設入所者の安全の確保に向けてきめ細かく支援してまいります。 次に、障害児虐待の疑いのあった施設への高知市との共同調査についてお尋ねがございました。 障害児虐待の疑いのある事案に対する県と市町村の共同調査につきましては、市町村が共同で調査を行うべきと判断し、県への申入れに基づき実施することとされております。今回の事案につきましては、令和2年8月の県と高知市との協議の場において、県から共同調査の実施を打診しましたが、高知市からは必要な調査は既に実施しており共同調査は行わないとの回答があり、共同調査の実施に至らなかったものです。 高知市とは、県が通報を受理して以降、引き続き必要な情報提供を行うとともに、電話等による助言や書面による情報共有、協議の場を持つなど連携して対応してきたところです。 次に、県の指導監査と高知市への支援の必要性についてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。 この事案のあった施設に対する県の直近の指導監査につきましては、令和元年10月1日に通常の実地指導を行っております。県が障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づき指導監査を実施するには、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律に基づき、市町村から虐待の事実の報告を受けた場合、県が定める指導・監査要綱に基づき定期的に行う場合、施設の運営面に違反等が疑われる場合がございます。 この事案につきましては、高知市からは調査の結果、施設において虐待があったとの判断には至らず、運営面においても指導すべき点は認められなかったとの報告を受けております。これまでの県の指導監査において、運営面での違反等は認められていなかったこと、高知市等から虐待の事実の報告を受けていなかったことから、この時点で県単独で指導監査を行う必要はないと判断したものです。なお、高知市には令和2年8月の協議の場で、障害者総合支援法に基づく調査と、その際の共同調査についても打診をしていましたが、実施には至らなかったものです。 最後に、施設の対応についてお尋ねがございました。 施設側では、虐待防止委員会を複数回開催し、職員への個別聞き取りを行いましたが、虐待の事実は確認できていないとお聞きしております。また、この事案の対応策も協議され、可能な範囲で同性での介助と2人介助に取り組んでいくとの対応策をお聞きしております。しかしながら、そのような施設側の対応が御両親に伝わっていないことは残念なことだと考えております。 利用者と施設が信頼関係を築き、安心して施設が利用できるよう、県としましても各施設への助言や適切な支援を行ってまいります。また、令和4年度からは全ての障害福祉サービス事業所に虐待防止委員会の設置や、職員の研修の実施が義務化されますので、県が実施する職員研修への参加を促し、虐待防止につなげてまいります。   (危機管理部長浦田敏郎君登壇) ◎危機管理部長(浦田敏郎君) まず、高知市の長期浸水域での救助救出計画に市民の声を反映し、補強すべきではないかとのお尋ねがございました。 高知市の救助救出計画は、孤立する日数の短縮や救助救出方法の明確化などの住民の要請を受けて、県、市、応急救助機関の救助救出方法を示したものです。今後、日数の短縮に必要となるボートの確保や、浦戸湾内の堤防と排水機場の整備の進捗による止水・排水の効果を反映できるよう、検討を進めることとしております。 高知市では、住民への周知の取組として、一定期間長期浸水域内にとどまっていただく必要のある病院や社会福祉施設に対して、説明会や動画配信による研修会を実施しています。また、市民に対しては、まずは長期浸水自体の認知度を向上させるための継続的な広報に取り組んでおり、今後は地域の方々との訓練の実施についても検討し、訓練を通じて市民の声を反映していくと伺っております。 県としましても高知市と連携し、長期浸水連絡会の場などを通じて、計画の実効性の確保に向けて取り組んでまいります。 次に、避難所確保の加速化と広域避難施設の確保に向けた取組についてお尋ねがございました。 避難所確保につきましては、学校の教室利用や集会所の耐震化など、これまでの取組により最大クラスの南海トラフ地震で想定される避難者数21万7,000人を超える21万9,000人分の避難所を確保しています。しかしながら、市町村別に見ると、11の市や町で避難所が不足しており、これらのほとんどの市や町では様々な取組を実施した上でも、単独での避難所の確保が困難な状況となっておりますので、全体の達成年度をお示しできておりません。 このため、県内4つの圏域ごとに広域避難の取組を行っているところです。具体的には、市町村間やバス事業者との協定の締結、広域避難計画の策定、広域避難候補施設のリスト化を行い、各圏域において訓練により実効性を高める取組を行っています。安芸、須崎、幡多の3圏域内では、広域避難により避難所を確保することができますが、避難者が多い中央圏域では、なお避難所が不足する状況となっています。 この課題を解消するため、広域避難用として収容数に余裕がある避難所のスペースを活用することや、新たな施設を指定することが必要となります。昨年度から高知市の避難先となる近隣市町村や施設管理者との具体的な協議を進め、可能な限り中央圏域内での避難ができるよう取組を進めているところです。 第5期行動計画では、こうした取組を継続しつつ、広域避難施設の確保を推進し、最終の達成年度である令和9年度の前倒しに向けて取り組んでまいります。 次に、車中泊避難について、利用の広がりやリスクを回避するための事前啓発、生活環境の整備に必要な支援についてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。 大規模な地震が発生した場合に、避難所へ車で避難することは、渋滞により避難路を塞いでしまうなど、他の避難者への影響が考えられるため推奨していません。一方、風水害に加え、南海トラフ地震発生の可能性の高まりを知らせる臨時情報が発表された場合には、車で避難される方が多いことが想定されます。こうした車で避難された方々は、避難所での感染症の心配やプライバシーの確保、ペットの同伴などの理由でやむを得ず車中泊をされることが考えられます。 県では、車中泊をされる方々が避難所へ避難した方々と同様の支援が受けられるよう、避難者名簿に登録していただくことや、食料、物資、情報を適切に提供することなどについて、避難所運営の手引に記載の上、市町村に周知しております。 また、今後車中泊が増加することも想定して、エコノミークラス症候群の予防について、避難所の受付時に注意喚起のチラシを配布するなどの啓発の取組を進めてまいります。一部の市町村では、車中泊で避難される方を想定した訓練を既に実施しており、このような訓練、学習会に対して補助金による支援を継続してまいります。 次に、要配慮者の避難対策について、補助金の対象と取組の加速化についてお尋ねがございました。 県では、一般の避難所における要配慮者への対応のため、マニュアル作成の手引やチェックリストの作成、説明会の開催など市町村への支援を実施しております。市町村からは、マニュアル作成に当たって、要配慮者への対応を地域住民で行うことや、個人個人で状態が異なる要配慮者を支援することについて不安があるといった住民の声があると聞いております。このため、本年度さらなる支援として、一般の避難所での要配慮者対応の理解を深め、不安の解消につながる動画を作成することとしています。 こうしたマニュアルの作成費用や要配慮者のスペース確保のためのパーティション、段ボールベッドなどの資機材整備については、県の補助金により支援していますが、計画的に資機材整備を進めていくためには、まずはマニュアルの作成が必要となります。 今後は、手引や動画の活用によってマニュアルの作成が進む中で、必要な資機材の種類や量を把握した上で、資機材整備の達成年度を明示してまいります。 次に、災害ケースマネジメントの取組についてお尋ねがございました。 県では、災害ケースマネジメントの取組として、被災者が速やかに生活を再建するため、個別の避難者の被災状況や生活状況に応じた支援体制の検討を行動計画に位置づけ、本年度から取組を進めております。これまで東日本大震災や鳥取県中部地震において災害ケースマネジメントを導入、実施した先進事例を調査したほか、市町村に理解を深めていただくために、市町村長等を対象とするトップセミナーに専門家をお招きして、被災者支援の在り方や課題、法制度等について講演していただきました。 令和4年度は、まずは県において市町村や社会福祉協議会、弁護士、税理士などの関係者と協議を行いながら、市町村が支援体制を構築するに当たり参考となる手引の作成に取り組むこととしております。その上で、市町村にはこの手引を活用していただき、地域の実情を踏まえて、具体的な被災者支援の在り方について検討していただきたいと考えております。 県としましては、継続して技術的な支援を行うなど、令和7年度までに全市町村における個別支援体制の構築が完了することを目指して取り組んでまいります。 最後に、事前復興まちづくり計画の策定の加速化と、住民の勉強会への参加についてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。 昨年度から策定を進めている高知県事前復興まちづくり計画策定指針につきましては、今月の第3回検討会において、市町村における計画策定の進め方を議論していただいた上で、本年度内に取りまとめることとしております。 来年度以降、この指針に基づいて市町村が策定する事前復興まちづくり計画は、居住場所や働く場所、地域コミュニティーの維持など、住民の皆様に密接に関わる事項を定めることとなりますので、住民の皆様に納得をしていただけるよう話合いを重ね、丁寧に検討を進めていただきたいというふうに考えております。 そのためには、計画づくりの旗振り役となる市町村職員が、住民の皆様からの疑問や意見に適切に対応できるよう、計画を事前に策定する必要性や策定手順、様々な制度などについてあらかじめ理解を深めておく必要があります。このため、来年度は沿岸市町村の職員との勉強会に取り組むこととしております。 第5期行動計画では、まずは沿岸全ての市町村で計画策定に着手していただくことを目標としておりますが、取組が進捗し、住民の皆様と協議を始める市町村に対しては、県としても技術的・財政的支援を行っていきたいというふうに考えております。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) 在宅人工呼吸器使用者及び酸素療法者への支援体制整備についてお尋ねがございました。 これまで、平成28年に作成しました南海トラフ地震時重点継続要医療者支援マニュアルにのっとり、医療機器取扱業者などから得られた在宅の人工呼吸器装着者や酸素療法者の実数や、市町村への情報提供に同意された方の情報を年1回市町村のほうに提供いたしておりました。 ただ、年1回程度の市町村への情報提供では、市町村が対象者支援に生かすことが十分できず、市町村の災害時個別支援計画の作成の加速化につながりませんでした。このため、今年1月からは毎月医療機器取扱業者などから得た新たな同意者情報の収集を行い、その都度市町村に情報提供を行うよう支援マニュアルを見直し、実施いたしております。あわせて、市町村ごとの不同意の方を含む人数についても、年2回市町村に提供し、市町村と支援体制整備に係る進捗管理を行うことといたしました。 また、以前より医療機器取扱業者とは定例の連絡会以外に、電話や面談による情報共有を実施いたしております。今後も関係機関との研修会の実施や、災害時個別支援計画の協働作成など、市町村や関係業者との連携体制をさらに強化してまいります。 こうした取組によりまして、市町村における災害時個別支援計画の策定を支援し、達成予定を令和6年度以降と言わず、少しでも早く非常用電源確保や酸素供給体制などの具体的な支援体制の整備を進めていきたいと考えております。   (土木部長森田徹雄君登壇) ◎土木部長(森田徹雄君) 応急仮設住宅の現状と今後の取組についてお尋ねがございました。 応急仮設住宅の用地の確保につきましては、発災後の救護物資の集積場所や災害廃棄物の仮置場などについて、公有地への配置を事前に定める応急期機能配置計画の中で調整し、検討をしてきたところでございます。この調整によりまして、現在仮設住宅の供給可能戸数は建設型と賃貸型を合わせ、県内で約3万1,000戸となってございます。 しかしながら、平成25年に県が推計いたしましたL2クラスの南海トラフ地震が発生した場合、仮設住宅の必要戸数は約7万7,000戸とされており、現状では供給戸数が大幅に不足する大変厳しい状況であると考えてございます。特に、多くの仮設住宅が必要となる高知市におきましては、これまでも建設候補地を募集するなど、民有地を活用する取組を進めてまいりましたが、現時点では抜本的な解決には至っておりません。 このため、仮設住宅の建設について協定を締結しております一般社団法人プレハブ建築協会と、限られた用地を効率的に活用できる2階建て以上の仮設住宅の活用について協議を継続しているところでございます。また、高知市で不足する分を周辺の市町村に補っていただくような広域的な調整につきましても支援していきたいと考えてございます。 引き続き関係機関と連携しながら、供給可能戸数の確保に向けまして取り組んでまいります。 ◆32番(坂本茂雄君) それぞれに御答弁いただきましてありがとうございました。幾つか再質問をさせていただきたいと思います。 まず最初に、知事の情報の発信の仕方ということで、御答弁の中でもいわゆるその情報を受ける受け手の側の県民であったり、その情報の内容によっては事業者であったりとかすると思うんですけれども、そういった方々に、受け手の側の捉え方をきちんと想定して情報発信していく、このことが大変重要だろうというふうに私も思います。 先日もちょっとそういった行動変容のためのヘルスコミュニケーションというような本を読んでいたら、その中には幾つか人を動かす、言えば行動変容につながるような伝え方というのが紹介されているんですけれども、私はその中でやはり受け手の側の関心事をどう捉えて伝えていくかということが大事であるという、その1つが物すごく印象に残りました。そういった意味では、ぜひそういったところを丁寧に掘り起こしながら、その受け手の側が先ほど知事が言われた我が事として捉えられる、そしてそれが行動変容につながる、そういった情報発信の仕方を心がけていただきたいというふうに思います。 ただ、それと関連して思うのは、先ほどから南海トラフ地震の第5期の行動計画、私は相当な数で質問をさせていただきました。そういった中で、災害対応というのも実はいわゆる自助・共助の部分の住民の側にとっては、ただ単にそういった災害リスクとか、そういったことについては知っちゅうとよく言われますよね。それはそんなことは知っちゅうと。ただ、知っちょっても備えていない場合があるわけです。その知っちゅうを備えちゅうに変えていくことが、まさにこれは災害におけるその行動変容をどうやって促していくのかということで、高知大学の先生なんかに私たちはよく言われます。そういった意味では、そういったことも含めて、じゃあこの南海トラフ地震の第5期行動計画が本当に公助の側も備えちゅうというところにまで至っているのかというふうに私は疑問を感じてなりません。 本当に幾つか指摘しました、この何年も前から同じような質問をせざるを得ない、そういうことに対して、やはり住民の側は諦めすら生じてくるわけです。それを住民に諦めを生じさせないために、公助は何をしていくのか、その決意がやっぱり私はこの行動計画の中で示されなければならないというふうに思っています。場合によっては、要配慮者対策の課題なんかは、命を守る、命をつなぐということさえ諦めさせるような、そんな計画であってはならないというふうに思います。 その意味でも、もう一度私は知事に、第5期の南海トラフ地震対策行動計画の案を策定するに当たっての前提として、先ほど知事にお答えいただいたその部分の決意を、もう一度お聞かせいただきたいというふうに思います。 それと、障害児の虐待の件で御答弁がありました。高知市とはいろんな形で連携をされてきたというふうなお話があったんですけれども、言えば打診をしたりとかも、あるいは連携もしてきた、それでもその答えが、言えばそのことに対して、じゃあ協力願いたいということがなければ県は何もできないのかということについて、もう一度だけお聞かせいただきたいと思います。それは子ども・福祉政策部長にお願いします。 それと、この点について、知事がやはりこういった事例について御家族の思いにどう応えていくのかというふうなことで、幾つか述べていただきましたけれども、具体的にじゃあこの事例について、今後県としてどういうふうに臨んでいくかということについても、もう一度知事にお聞かせいただきたいなというふうに思っています。それが第2問目です。 それともう一つ、免許返納問題の関係で、いわゆる中山間地における移動手段の確保、これは本当に重要な問題だろうというふうに思います。特に、中山間地以外のところと比較したときに、道路交通網がより脆弱な面があろうかと思います。そういった場合の移動手段をどういうふうに確保していくのかということについて、先ほどいろんな形での地域での話合いというのを大事にしながら取り組んでいきたいということでしたが、ぜひ中山間地での先ほど言われたような課題の具体化に向けた取組をお願いしたいというふうに、これは要請をさせていただきたいと思います。 再質問は以上です。 ◎知事(濱田省司君) 坂本議員からの再質問にお答えを申し上げます。 まず、南海トラフ地震に関します、特に要配慮者対策など命を守る対策についての実現へ向けた決意をということでございました。 お話がございましたように、今回要配慮者対策に関しまして御質問にお答えを部長からいたしましたような中で、少なからぬ市町村がまだ要配慮者の特定、お一人お一人の特定まで至っていないというような状況にあるということでございます。そうしたところから、達成予定の年度がまだ設定はできないというような状況でございますが、ある意味こうした3か年の第5期の行動計画を通じまして、そういった実態にあるということを包み隠さずこれをお示ししながら、それは県民の皆さんとも市町村も含めて危機感を共有して、これを何とか手を打っていただかないといけないと、そうした形でこのPDCAを働かせていくということが大事ではないかというふうに思っております。 今回の質疑を通じまして、そういったある意味例えば仮設住宅の用地なども含めて、厳しい状況が明らかになっているということでございますから、そうした状況につきましてしっかりと発信すべきところは発信をして、市町村の皆さんあるいは県民の皆さんへの呼びかけも含めて、これはしっかりと県としても対応いたしまして、命を守る対策を進捗させていくということについて、対応してまいりたいというふうに考えております。 また、障害児虐待の疑いがあった事案についてということでございます。この点に関しましては、障害児向けのサービスの実施主体が高知市であるということはございますから、そうした中で市との役割分担を行ってきた中で、市との関係について十分に意思疎通ができていたのかというようなお話があったかというふうに思います。 この個別の事案に関して、私も今回の質疑を通じまして知り得た以上の細部にわたる情報は必ずしも今持ち合わせておりませんので、あまりこの場で確定的なことは申し上げられません。ただ、それでも今回質疑の中で、施設の側も今回の事案を踏まえていろんな改善を、同性介助であったり2人体制で介助したりというような形で体制の改善は考えておられると、そうしたところが利用者の方とのコミュニケーションが必ずしも十分できていなくて、伝わっていないというような状況も、私自身知りましたので、どういった形でこの市との意思疎通あるいは利用者の方との意思疎通を図っていくかというのは、また部のほうに細部の検討を委ねたいと思います。こうした中で県として知り得た情報で、この利用者の方に関しましてお伝えをするということが今後の関係者の間のコミュニケーションにとって望ましい方向になるということであれば、県として何ができるかというのを担当部のほうで考えさせたいというふうに思っております。 以上でございます。 ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 協力願いがなければ対応ができなかったのかというお話がございました。 基本的に高知市、また当事者の方、当該の施設につきましては、この事案を通じてではなく、それ以外の部分で県としても大きく関わりを持っておりますし、そういった方々に対して通常の支援というのもさせていただいております。ただ、一定この虐待の疑いのあった事案のそういった確認の部分につきましては、法的な責任の役割分担がございますので、県のほうから共同調査等の打診もさせていただいた上で、またお話がありましたように、警察のほうも実際、調査、事情聴取もされておるというようなことで、虐待の事実が確認をされておれば、法に基づいた対応ということになりますけれども、それの疑いがあるという段階で、県としては打診いたしまして、市のほうの回答に基づいて対応したということでございます。 ◆32番(坂本茂雄君) もう時間がありませんので、改めてお聞きしませんけれども、やはりこのコロナ対策の問題、さらには南海トラフ地震対策の問題、そしてこの障害児虐待の問題も含めて、まさにこれは知事がどうやって県民に共感するか、そしてそれを施策に生かすかということだろうと思います。ぜひ今後とも知事はそういった県民への共感を寄せながら、様々な施策の展開をお願いしたいというふうに思います。 最後に、この3月末で退職される県職員の皆様、本当に長い間お疲れさまでした。今後ともお元気で、それぞれの分野で御活躍いただくことを祈念いたしまして、私の一切の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(加藤漠君) 暫時休憩いたします。   午後3時4分休憩-----------------------------------   午後3時25分再開 ○議長(森田英二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 35番吉良富彦君。   (35番吉良富彦君登壇) ◆35番(吉良富彦君) 私は日本共産党を代表して、以下質問を行います。 まず最初に、ウクライナ侵略についてお聞きいたします。 ロシアは2月24日、ウクライナの東部地域の独立を一方的に承認し、集団的自衛のためだとしてロシア軍を侵入させ、ウクライナ各地の軍事施設、キエフ、オデッサなどへの武力攻撃も始めました。これはウクライナの主権と領土を侵し、主権尊重、領土保全、武力行使の禁止を義務づけた国連憲章、国際法を踏みにじる紛れもない侵略行為で、直ちにやめるべきです。今、国際社会はウクライナ侵略反対の一点で団結し、ロシア国内の都市での戦争反対の大規模な集会とも連帯し、侵略をやめさせるため力を合わせるときです。 23日の国連安保理では、「政治的、外交的手段による平和的解決に代わるものはない」ウクライナ代表、「国際法を遵守することが全ての人々にとって最良の安全保障政策になる」オーストリア代表、「国連憲章と国際法に基づく多国間システムへの集団的な責任が問われている、全ての国が国際法を守らねばならない」シンガポール代表など、ロシアの暴挙を非難するとともに、紛争の平和的解決をとことん追求することが語られ、武力、力の論理での対抗を否定していることは重要です。 その中でケニアの代表は帝国主義が分割したアフリカの歴史に触れ、ロシアの行動を非難するとともに、多国間主義擁護の旗の下に結集せよとの国連事務総長の要請を支持することを参加国に呼びかけています。その際、我々はこの安保理の理事国を含む、国際法を軽視して踏み破るという過去数十年の大国の動向についても強く非難すると、厳しく指摘していることは重要です。21世紀には、平和維持、民主主義促進、集団的自衛、人道的介入を理由にした戦争、武力行使が相次いだことも忘れてはなりません。 憲法9条を持つ日本は、今こそ平和の国際ルール、国連憲章に基づく平和の国際秩序を守るよう国際社会に働きかけ、軍事行動を停止させる先頭に立つべきだと考えます。今、こうした努力が最も重要ではないか、知事にお聞きします。 プーチン大統領は、ウクライナへの侵略行為に当たって、ロシアが核兵器大国であることを誇示し、欧米の批判や制裁の動きに対抗する姿勢を見せています。昨年1月に発効した核兵器禁止条約は核の保有や使用だけでなく威嚇も禁止しており、国際法に違反する態度は決して許されません。唯一の被爆国として断固抗議すべきだと考えます。 核大国を誇示し威嚇するプーチン大統領の態度をどうお考えか、知事にお聞きします。 私ども日本共産党は、今年で党創立100年を迎えます。あの戦前の日本の暗黒時代に侵略戦争反対、国民主権、自由と民主主義の確立を命がけで貫き、その主張の多くは日本国憲法として結実しました。また、綱領では、どんな国であれ覇権主義的な干渉、戦争、抑圧、支配を許さず、平和の国際秩序を築くことを掲げ、米国のベトナム侵略にも、ソ連の覇権主義にも反対して闘ってきました。この24日にはウクライナ侵略を断固糾弾する、ロシアは軍事作戦を直ちに中止せよと題する声明を緊急に発表し、ロシア、ウクライナをはじめ各国大使館に送りました。ウクライナ侵略反対の世論と運動を広げるために全力を尽くす決意です。 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きいたします。 新型コロナウイルスとの闘いは、オミクロン株よりさらに強力なBA.2系統という新たな変異株の登場により先を見通せなくなっていますが、第6波の対策とともに、次に備えての体制構築は進めなければなりません。 1つは検査能力の抜本的拡充です。いつでもどこでも、そして組織的、定期的に検査を受けられる体制が極めて弱いがため、検査数はいまだに世界135位です。そのため、職場や公共の場などでは自らの感染有無も不確実なゆえに、相互不信の下、常に感染の不安を感じながらの日常生活となっています。 このように検査数の低さが経済活動を含め社会的不安を増長させているにもかかわらず、政府は昨年末突然PCR検査と抗原検査の診療報酬を大幅に引き下げました。第6波に向けて体制づくりを急いできた診療所、とりわけ規模の小さな医療機関は大きな打撃を受けています。1万8,000円だった検査料が1万1,000円も引下げとなり、手元に残るのはこれまでの半額の2,000円、4月からは1,000円となります。使命感から発熱外来や検査に大きな経費と感染リスクをかけながら対応してきたが、検査すればするほど赤字になり、持続不能となるという指摘が相次いでいます。 また、感染拡大による医療機関の逼迫で医療機関を受診できず、みなし陽性という、自主検査だけで感染と判断し自宅待機に追い込まれる、国民皆保険制度の崩壊とも指摘される惨たんたる状況が生まれています。医者にかかる権利を守るため、発熱外来の抜本的な強化が求められます。しかし、発熱外来設置の補助金は2020年度で打ち切られ、感染症対策の実績に基づく診療報酬の加算も次々と廃止されています。 医療機関が安心して発熱外来やPCR検査、抗原検査に取り組めるよう、財政支援の強化が必要と思うが、知事にお聞きいたします。 第6波では、県内の医療・高齢者施設、学校、保育施設などでのクラスター発生が多発しています。家庭内感染から、それら施設への感染拡大を防止するために、また感染が疑われた人が陰性を確認し、早期に社会活動に復帰できるようにするためにも、定期検査や頻回に検査を実施する重要性はますます高くなっています。 本県の検査体制の現状と抜本的な充実策について知事にお聞きします。また、高齢者施設などが積極的に検査に取り組めるよう、陽性者が発見された場合の財政的補償、医療支援の構築が必要と思うが、知事にお聞きいたします。 せんだっての高知県・高知市病院企業団議会でも問題が報告されました。それはコロナ感染症で入院した高齢者が、コロナからは回復しても、入院中に歩行困難など介護度が上がり、感染前に過ごしていた自宅や施設に戻ることができないこと等が課題となっています。 コロナから回復した高齢者の受入先確保に新たな支援制度が必要と思うが、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。 次に、後遺症についてです。国立国際医療研究センターは、4人に1人は発症から半年後も何らかの後遺症が残り、10人に1人は1年後も症状が残っているとの調査結果を昨年10月公表しました。世田谷区が無症状感染者も含む3,710人から回答を得た調査では、約半数が後遺症を訴え、無症状者でも3割近くが後遺症を訴えています。WHOも定義を明らかにし、感染者の10人に1人が後遺症になるとの見解を示しています。 後遺症の症状は、倦怠感、集中力の低下、息苦しさ、味覚障害、脱毛など多岐にわたり、寝たきり状態になるなど深刻な事例も報告されています。3,000人以上診療してきたヒラハタクリニックの平畑光一医師は、初期の対応を間違えなければ徐々に回復する方も多いと指摘する一方、後遺症の無理解からサボっているなどと追い詰められ、仕事を辞めざるを得なかったなどの例を語られています。高知大学医学部附属病院が後遺症専門外来を開設したことを県は昨年10月、各医療機関に周知しています。 県として、県民に対してコロナ後遺症への理解を促進させるとともに、安心して相談できる相談体制を構築していく必要があると思うが、知事にお聞きいたします。 次に、ケア労働についてお聞きいたします。 政府は、コロナ禍で疲弊した看護・介護・保育職などの賃上げ策を打ち出しました。この2月から9月の賃上げについて、介護、保育は月9,000円、看護はコロナ対応の職員に限り4,000円となっており、全額国費で予算措置されます。10月以降は、通常の診療報酬、介護報酬、子ども・子育て支援新制度の枠組みで予算措置されます。 看護については、コロナ対応に限らず全体を対象にし、1万2,000円となっていますが、10月以降も賃上げすることが前提となっており、10月以降の賃上げも実施するよう求められています。しかし、この10月以降の介護分野の賃上げは、地方自治体が4分の1、介護保険料が半分を負担する仕組みです。保育では、都道府県と市町村がそれぞれ4分の1ずつを負担することが大きな問題となっています。 自治体負担、保険料負担にならない形で、国庫負担の増額により低賃金を解消すべきと思うが、どう対応するのか、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。 また、介護も保育も職員の配置基準が低いことから、実際の現場では配置基準以上の人を配置せざるを得ないことが、低賃金の構造的な原因になっています。例えば、4・5歳児を担当する保育士の配置基準は、子供30人に対して1人と、70年以上変わっていません。特別養護老人ホームなどの施設の人員配置基準は現在3対1ですが、サービスの質を担保するためにより多くの職員を配置しているところが多く、実際の平均はおおむね2対1と言われています。 配置基準を高め、働きやすい環境をつくることが、ケアの質の向上にとっても、また人手不足解消にとっても重要と思うが、子ども・福祉政策部長及び教育長にお聞きいたします。 県内の各自治体で、保育士、幼稚園教諭、放課後児童支援員などの賃上げの検討が始まっています。全国的にも公立は民間より高いとか、会計年度任用職員の中で格差が生じるなど、その後の財政負担に懸念があるとして、賃上げに積極的でないことが問題となっています。 我が党などの国会論戦も受け、内閣府と厚生労働省はこの2月17日、公立の施設、事業所も対象とできることを徹底するよう各都道府県に求める事務連絡を出しています。事務連絡は、各地方自治体とその管内の保育園や幼稚園など関係団体に周知することとして、公設公営の施設、事業所における賃金改善については、公立の施設、事務所も対象としていることを挙げています。さらに、賃上げの対象として、地方公務員である公設公営の施設、事業所の職員について、積極的な実施を検討することを求めています。県内では多くいる、いわゆる非正規、会計年度任用職員の賃上げを実施する自治体も出ています。 県内の公立の保育所、幼稚園等での状況はどうか、この機会に処遇改善を図るよう徹底すべきではないか、教育長にお聞きします。 また、小さな民間事業所では、事務と判断が間に合わないと諦めているところもあります。補助事業の申請期限の猶予を国に求めるとともに、申請事務の支援を図るべきと思うが、教育長にお聞きいたします。 私ども県議団は、高知県経済において医療・介護・福祉の分野が果たす役割は極めて大きい、雇用数としても最大であり、安心して生活や経済活動を進める上でも、また地方に税を再配分し経済を下支えする上でも極めて重要な分野だと指摘してきました。県も中山間地の訪問介護、訪問看護を実施する事業所の支援を全国に先駆けて実施し、ノーリフティングケアの普及でも努力しています。また、県内には、訪問介護ヘルパーなどに月1万円の処遇改善の給付を実施している自治体もあります。しかし、人口減など高知県の抱える課題解決にとって、これまでの延長線上でない抜本的な県独自の支援策に踏み出すときだと考えます。 産業連関表に基づく試算では、医療、保健、社会福祉、介護の4分野にそれぞれ1兆円投入した場合、各分野は、生産で2.5から2.6倍、GDPは1.4から1.6倍となり、1兆円投入で各分野22万人強から28万人弱の雇用を生み出し、分野合計で100万人の雇用効果、GDP1%強の押し上げ効果があります。公共事業との比較では、生産波及効果はほぼ同じです。GDP効果は、医療は1.04倍、保健衛生は1.14倍、社会保険、社会福祉は各1.13倍、介護は1.20倍となります。雇用効果では1.3から1.6倍と、それぞれ大きく上回ります。ケアに手厚い社会をつくることは、雇用の場をつくり、経済を支えるとともに、安心して暮らせる地域をつくり、ひいては人口減対策を進める力を持っています。 そこで、知事にお聞きいたします。県内GDPにおける医療・保健・社会福祉・介護分野の規模と、それら就業者の処遇改善や人員不足等への取組をどうなさるのか、知事にお聞きいたします。 次に、消費税インボイス制度についてお聞きいたします。 政府が2023年10月に実施を予定している消費税のインボイス、適格請求書制度は、全国約1,000万と言われる免税業者やフリーランス等に新たに消費税納税義務を課すもので、営業と暮らしを立ち行かなくする苛酷な課税制度と言えます。既にインボイス発行事業者の登録申請が昨年10月から来年3月31日までの期間で行われていますが、時間がたつにつれて苛酷な内容が分かり始め、不安が広がり、中小業者、農民、個人事業主ら幅広い人たちから中止を求める声が広がっています。コロナ禍で苦しむ多くの国民にさらに負担を強いる制度の導入は直ちにやめるべきだと考え、以下お聞きいたします。 年間の売上高1,000万円以下の業者は、現在消費税の納税を免除されています。インボイス制度は、消費税を販売価格に転嫁することが困難な零細業者を課税業者にし、納税することを迫ります。1,000万円以下の売上げの利益から10%も取られたら、廃業が増えるのは火を見るより明らかです。 課税業者が免税業者から仕入れた場合、現行では消費税がかかっているとみなして控除できますが、インボイス導入後はインボイスのない税額控除は認められません。ですから、免税業者からの仕入れにかかった消費税を差し引くことができず、納税額が膨らみます。課税業者はこれを避けるために、免税業者との取引を停止することが増えるおそれがあります。 一方、インボイスを発行するには課税業者、登録業者になるしかありませんが、赤字経営でも身銭を切って消費税を納めなければなりません。財務省の試算では、インボイス導入で新たに納税業者になる事業所の平均年間課税売上げは550万円、粗利益は154万円になり、10%の税率だと納税額は15万4,000円になり、残った月10万円ではとても暮らしていけません。 インボイス制度の下で新たな課税業者になったら増税、また免税業者のままでは取引を拒否されるということになり、どっちにしても零細業者は廃業への危機を強めることにつながります。 知事のインボイス制度への認識を伺います。 次に、インボイス制度導入の影響の広がりなど具体的な影響について伺います。法人企業統計調査などから、個人、法人の事業者数は推計約800万者、消費税の課税業者は315万者で、残りの約480万者が免税事業者と推計されています。商店や町工場などの自営業者、農家や個人タクシー、大工の一人親方など様々な職種の人々です。さらに、国勢調査では自営業者に分類されていない、いわゆるフリーランスの人たちも消費税法上は事業者ということになり、消費税課税対象となります。内閣府などの調査ではフリーランスは400万人前後と言われています。 県内でもシルバー人材センターや農業者はじめ様々な職種の方から制度実施を危惧する声が出されています。シルバー人材センターの1人当たり年間収入の全国平均は税込みで43万円ですが、このような零細な高齢事業者にも消費税の納税が課せられ、簡易課税を選択した場合の消費税納税額は1万9,500円になります。この納税のために税務署に事業者登録番号をもらう申請をし、番号つきの正規の請求書を取引ごとに発行し、それを7年間保存し、毎年消費税の申告、納税をすることになります。恐らくシルバー人材センターから脱会する高齢者が続出するのではと危惧されています。 道の駅、直販所なども、同様の各事業所個人にも、新たな増税負担と日々の事務手続が求められます。年金生活や家計の少しでも足しをとの思いで頑張る県民の営みを奪うことになるでしょう。このようなインボイス制度の影響は多くの国民に及び、900万人から1,000万人前後と推計されます。 県内事業者数の実情、推計についてお聞きします。また、シルバー人材センターの会員や直販所への納入者等に対する対応について知事にお聞きいたします。 多くの県民、業種、業界からは、コロナ危機による影響とインボイス導入による影響の2つの大きな危機、深刻さに直面し、インボイス異議ありと不安と怒りの声がかつてなく広がっています。日本商工会議所は、約500万者の免税業者に対する取引排除や不当な値下げ圧力等が生じる懸念を指摘するとともに、コロナ対応に追われ準備に取りかかる状況にないと明言しています。また、全国建設労働組合、日本税理士会連合会、全国青色申告会総連合、全国中小企業団体中央会などからも、インボイス導入実施の凍結、延期、中止等を求める声が上がっています。 県内でも、高知県商工会議所連合会は、事務負担が大きいこと、多数の免税事業者に対する取引排除や不当な値下げ圧力等が生じる懸念もある、改めて中小企業の準備状況や事業者の取引への影響等について検証を進めるとともに、当初想定されていなかったコロナ禍からの経済再生に注力するために、インボイス制度の導入を当分の間凍結すべきと考える、全国と比べ小規模事業者割合が圧倒的に多い本県の特性を踏まえ、県から国に要請すること等を決議し、昨年11月12日、森田県議会議長に要望書として提出されています。 中小・小規模企業対策要望実現高知県商工会大会と高知県商工会連合会の連名で、当分の間凍結することとの要望書が提出されています。また、今議会に、インボイス制度の実施延期を求める意見書提出を求める陳情が、高知県商工団体連合会からもなされています。 これら各団体から寄せられた決議、要望をどう受け止めるのか、また国に対してどのように反映するのか、決意も併せて知事にお聞きいたします。 次に、中山間対策についてお聞きいたします。 高知大学にいた大野晃さんが1980年代終盤に、綿密なフィールドワークを踏まえて限界集落の概念を打ち出して30年余経過しました。この間、幾つかの集落が消滅しましたが、なお多くの集落が人口減少と高齢化が進みながらも、住民の皆さんの懸命な努力と支え合いによって維持され、食料の安定供給とともに、県土保全、水源涵養等の多面的機能を果たしています。頑張るパワーの原点は、何といっても住み慣れた地域に愛着があるからです。しかし、今回県が10年ぶりに行った集落実態調査の概要、中間報告を見ると、その地域への愛着が諦めに変わり始めているのではないかと危惧するものです。 地域への愛着や誇りを感じているかという質問に対して、強く感じていると思う、多少感じていると思うで前回は93.0%、今回は85.9%と7ポイント減ですが、問題は、強く感じていると思うが64.8%から34.6%へと半減していることです。集落の今後について、10年後の集落活動を維持できないと回答した集落が39.3%と、前回調査から12ポイントも増加していることも、中山間の置かれている厳しい現実を反映するものです。 これに対して、県は施策の柱に小さな集落、人づくり、デジタル技術の活用を挙げています。自らの先が見えず、きゅうきゅうとしている集落活動センターに連携推進加算額をつけても、従前施策の横展開、つまり質的転換がなく量的拡大の施策では、金の切れ目が取組の終わりとなるでしょう。 また、デジタル技術が万能であるかのように書かれています。例えば、生活用水設備のデジタル化で、自宅から施設の監視や遠隔操作が可能になるとしていますが、遠くの水源地で異常が生じた場合、遠隔操作でできることは限られています。今までどおり険しい山道を歩いて管理、補修を行うことになるのです。ドローンの輸送手段としての活用も配達業者に利するだけで、独り暮らしの方との世間話や、暮らしぶりや様子を見ながらの安否確認が奪われます。高齢者の独り暮らしが増えている中で、すぐに連絡の取れる体制づくりなど、人と人の交流や触れ合いを手助けし、持続可能な集落の仕組みとなるものが求められています。連携推進加算やデジタル技術活用はあくまで手段であり、原因に手を入れるものではありません。 今回の調査を踏まえて知事は、限界集落を生み出してきた原因をどう捉えているのか、お聞きいたします。 次に、中山間支援と密接に関係するであろう小規模・家族農業についてお聞きいたします。2010年頃からEU及び国連、国際市民社会の間では、小規模・家族農業の再評価と支援強化が訴えられてきました。そして、EUはこれまでの大規模農業を優遇する政策を見直し、小規模・家族農業を積極的に支援する農政へとかじを切っています。背景には、小規模農家の維持が農村の活性化に不可欠であることや、小規模農業が果たす多面的価値が高く評価されるようになったことがあります。また、工業的大規模農業が社会や環境にもたらす弊害、農場外資源に依存する経済的不安定性が考慮されたからです。さらに、EUではSDGsや2050年の脱炭素化という国際的アジェンダと歩調を合わせて、今まで以上に生態系と調和した農業、食料システムへの転換を加速化しているからです。 これまで小規模・家族農業は非効率で生産性が低いとみなされていました。しかし、大規模な比較研究によって、単収は高く、温室効果ガスの排出削減、炭素貯留、雇用創出、過疎化の抑制等の効果も確認されています。また、気候危機と新型コロナ感染症を受けて、過去30年余りにわたって支配的であった新自由主義的価値観が大きく見直されつつあります。 こうした国際的な流れは日本ではあまり報じられませんが、知事のこうした国際的な流れに対する認識をお聞きいたします。 小規模・家族農業の多面的価値を生かし、それを支える施策展開こそが、中山間地での暮らしを具体的に支えることにつながります。これまでの大規模化、効率化の農政から、小規模・家族農業重視の農政へと転換させていく施策を進める過程でこそ、持続可能な中山間地での新たな暮らしが創出され、中山間地が息を吹き返すことにつながっていくと考えるものですが、知事の見解をお聞きいたします。 次に、教員定数の正常化についてお聞きいたします。 教育行政の根幹は教壇教員の確保であり、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律にのっとり確実に各学校に教職員を配置することは行政の責務です。しかし、本県は教室に先生がいないという、まさに教育行政の存在が問われる事態が毎年繰り返されています。 4月当初から300名もの臨時教員を標準定数に含めてやっと新学期のスタートを切っている実態からは、義務標準法で定められた教員数さえ、県教委は正規教員として任用してこなかったことを示すものです。教職員定数の充足率は全国最下位が続くなど一向に改善がなされず、定数問題で文科省要望へと足を運んだ際、文科省の側から毎年のヒアリングで充当率に沿うよう指導しているのですがと言われる始末でした。 小学校教職員充足率の全国平均は100%を超え102%近くにある中、依然97%台というゆゆしき事態を解決するために、県の教育大綱並びに教育振興基本計画に克服への工程が明示されてしかるべきと思います。 教育大綱と基本計画に教員の定数に対する配置の課題を明記し、解決への工程を示し、実効ある取組を推進すべきだと思いますが、教育長にお聞きいたします。 2020年10月の本議場で、小学校充足率が97.4%と全国平均を3.7%も下回り、最下位になっている実態を示しました。その上で、義務標準法の見直しへと国が動こうとしているので、その動きに乗じて、さきに述べた新学期当初から定員籍に臨時教員を充てることがないよう、思い切った教員確保を行うよう求めました。教育長は、来年度に向けてさらにそういった定数内でしっかりと定員が確保できるように、取組を進めていきたいと思いますと答えられました。 2021年度の小学校教諭等の充足率はどう改善されたのか、また新学期当初の学級数に応じて配分される教員定数内の臨時教員数はどう改善なされたのか、来年度の改善目標も併せて教育長にお聞きいたします。 さて、2021年3月、予想どおり義務標準法改正案が衆参とも全会一致で可決、成立、実に41年ぶりの学級編制標準の改善となりました。既に多くの地方自治体は国を上回る少人数学級を実施してきましたが、改正を受けて、2021年度は15道県、3政令市で対象学年の拡大が行われました。法改正により少人数学級編制のための国庫加配定数は基礎定数へと置き換わります。2021年度から小学校2年生が新たに35人学級になり、それを見越して本県は先取りで6年生を35人にしたことはうれしいことです。 そこで、提案ですが、小学校全学年が新標準法定員となる2025年度の基礎定数総数と2021年度の総数と比較した増員分を、正規採用教員として先取り採用し、現下の教員不足、多忙化解消に資するお考えはないか、教育長にお聞きします。 次に、中学校についてです。これまでは1年生を県独自に30人、2年生、3年生を40人としていたものを、2022年度からは全学年35人にすると提案なさっています。義務標準法改正案が可決、成立したとき、国会で8項目の附帯決議が全会一致で可決、採択されています。その一つに中学校35人学級のさらなる改善を含め検討とあり、今回の県教委の提案は、それを先取りしたものと考えます。 これによって何名の教員の増員が必要とされるのか、教育長にお聞きします。また、増員分は国庫加配対応教員数も含め正規教員で対応すべしと考えますが、教育長にお聞きいたします。 県内の過半数を超える中学校は1学年1学級で、3学年で合計3学級の中学校が多くあります。今回の措置で2年生と3年生がそれぞれ1学級増えても、全体では5学級の中学校となります。学級数が増えたら教員数も増えないと教員の持ち時間数は大変なことになります。しかし、本県の教員配置基準が3学級から5学級の学校は7人の教員配置としているので、教員数はそのままとなります。そのままでは学力保障と働き方改革に逆行する事態を招くことになります。 来年度、35人学級導入で学級数が増える学校は何校でしょうか。そのうち6学級に届かず、教員配置数が変わらない中学校は何校となるのか、まず教育長にお聞きいたします。そして、本県の配当基準を見直し、今回の学級増での授業時数増に対応できる教員配置数とすべきだと考えるものですが、教育長の考えをお聞きいたします。 次に、教員不足に関してお聞きいたします。文科省は1月31日、公立小・中・高校などを対象に初めて教員不足の全国実態調査を実施し、昨年4月の始業日時点で2,558人、5月1日現在で2,065人が計画どおり配置されていなかったと発表しました。私どもは早くから教室に先生がいない実態を指摘し、改善方法も示し、実行を迫ってきたことは御案内のとおりです。調査は遅きに失したと言わざるを得ませんが、より正確な調査を継続すべきとは思います。 そもそも、時代の流れと児童生徒の実態に合わない古い制度を41年間もそのまま放置し、地方自治体が動き出しても教員増に背を向けて過重・過密労働を押しつけてきた責任は政府にあります。世論に押されての今回の改正ですが、その内容は諸外国では当たり前の20人には到底及ばず、小学校2年生から1学年ごとの学年進行ですから、6年生の40人という規模は4年間変わらない冷たいやり方です。教員不足のこの調査結果を意味のあるものにするためには、何よりも教員を増やす予算をつけることです。 公教育費がOECD諸国で下から2番目の対GDP比4.0%を、あと1%増やし、せめてOECD諸国並みにするよう政府に強く求めていく姿勢が必要だと考えますが、教育長にその考えがあるか、お聞きいたします。 先ほどの年度当初の300人もの定員籍内臨時教員数をはじめ、本県の教員不足の弊害として、私どもは病休や法的に位置づけられている産・育休も含め、年度途中の代替教員が見つからない深刻さ、女性教師が妊娠を申し訳なく思う雰囲気をつくっていること、超過密・長時間労働等々を挙げて、それらは結局子供たちの学習権をないがしろにすることになっているとして、対策の必要性を訴えてきました。 年度当初の300人の臨時教員問題の原因は、さきに述べた採用してこなかったからだけでなく、もう一つ考えられるのは、当該数は教諭として採用し任用してきたが、その一部を学校現場ではない他の部署に配属してしまったので、臨時教員で補充せざるを得なくなっていることです。そこで、2年前に本議場で、他県に比して極端に多い指導主事を現場に返すべきと提案いたしました。 学校現場の窮状を長時間過密労働で必死に支えているのは、現場教職員の献身的な努力です。今最も急がれている喫緊の課題は、ほかでもない、学校現場に教員を確保することです。ところが、その教職員を現場から引き抜き、教員を減らし指導を薄くする人事政策が、本県の充て指導主事への任用です。その比率は2020年度で3.37%、全国1位、人数は173名、そのうち充て指導主事125名です。四国の他県は教員総数の1%にも満たず40人台であるのに、その4倍もの教員を現場から引き剥がして、教育委員会の事務局などに配置しているのです。 まさに、事件は現場で起こっており、そこに実動部隊が必要であるにもかかわらず、現場へ上から号令をかける司令部にばかり人員をかき集めるという矛盾した取組です。指導主事を他県並みの人数にして学校現場に戻せば、どれほど現場が助かることかと、指導主事を現場に返すことを私どもは提起してきました。 この指摘に教育長は、本県の喫緊の教育課題の対応や、新たな取組のために、指導主事を増員配置しておりますと答えていますが、本県の喫緊の教育課題は、教育の土台、根幹である教員をきちんと学校現場に配置することではないのでしょうか。それをやった上での新たな取組ではないのでしょうか。2021年度の指導主事の比率は3.4%、174名、そのうちの充て指導主事123名と高いままとなっております。 不登校や学力保障、生活指導など子供たちの声や状況にゆっくり向き合い、共に歩んでいくためにも、まずは充て指導主事123名を計画的に他県並みに減らして学校現場へ返していくべきだと思いますが、教育長の考えをお聞きいたします。 最後に、部局再編、組織改正に関わりお聞きいたします。 1点目は、統計分析業務についてです。この間、国土交通省において建設工事受注動態統計のデータ改ざん、統計不正が明らかになりました。建設工事受注動態統計は、建設業の毎月の受注実態を調べるもので、全国約47万の建設業者の中から約1万2,000社を抽出し、都道府県を通じて受注データを集計しているものです。 今般明らかになった統計不正では、1つに業者から遅れて提出された未提出分の調査票を無断で書き換え、受注高を最新月に合算していました。そして2つ目に、未提出分に推計値を当てはめる処理に変更した後も、前述の書換え、合算を続けた結果、受注実績が二重計上、推計プラス合算されていました。さらには3つ目に、不正を認識した後も隠蔽とデータ改ざんを続けるという、一連の不正行為が行われていました。この統計不正においては、2020年度の統計が約4兆円過大になっていたのではないかとの報道もあります。 統計法では第1条の目的において、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であると規定しています。今般の統計不正は、公的統計への国民の信頼を裏切るものです。政府もEBPM、証拠に基づく政策立案が重要としています。公的統計はその政策立案の前提となるものであり、ひいては国民の暮らしや業者の営業などを行政がどのように支えていくのか、その具体的施策の策定において決定的な指標です。この統計不正の背景に、統計業務の軽視、人員配置に問題があったと指摘されております。 国土交通省における今般の統計不正についてどのように受け止めているのか、知事にお伺いいたします。 令和4年度の本県の組織改正において、産業振興計画やまち・ひと・しごと創生総合戦略の策定において各種統計データを有効活用するためとして、統計分析業務を所管する統計分析課を産業振興推進部に移管するとしています。 さきに述べたように、公的統計は政策立案の前提であり、それは当然に産業振興のみに関わるものではありません。高知県統計調査条例においても、適切な行政運営を図り、もって県民経済の健全な発展及び県民生活の向上に寄与することを目的とするとしています。この目的から考えても、県の統計分析は、県民の暮らし全体に関わる多様な政策立案に生かされるべきです。 統計分析課のこれまでの所管で、各施策への活用に支障があったのか、知事にお聞きいたします。 李下に冠を正さずとの言葉がありますが、まさに国において統計不正が続き、公的統計への国民、県民の信頼が揺らぐ中で、この統計分析の移管をあえて進めれば、恣意的な統計操作につながりかねないとの懸念を抱かせるのではないか危惧するものです。国連の公的統計の基本原則は、その前文において、統計機関の専門的独立性と説明責任が非常に重要であるとうたっています。 統計分析課の産業振興推進部への移管は、本来専門的独立性が確保されるべき公的統計の性格をゆがめるものではないか、知事にお聞きいたします。 2点目は、文化行政についてです。来年度組織改正において、教育委員会から知事部局である文化生活スポーツ部に文化財課が移管され、歴史文化財課を設置するとされています。文化財保護を含む文化予算の対国家予算比、2017年では日本は0.11%、イギリス0.16%、ドイツ0.49%、フランス0.88%、韓国1.05%などとなっており、国際的に見ても日本の文化施策は後れた現状にあります。文化財保護行政の抜本的強化が必要と考えるものです。 本県の文化行政の現状と今後どのように取り組んでいくのか、文化生活スポーツ部長にお聞きいたします。 2018年の文化財保護法改定に関わり、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改定され、文化財保護行政の教育委員会から首長部局への移管が可能とされました。この文化財保護法改定をめぐっては、当時の安倍首相が施政方針演説において、十分活用されていない観光資源が数多く存在する、文化財保護法を改正し、各地の文化財の活用を促進すると述べ、観光資源として文化財を活用する方向性を打ち出したものです。 文化財保護と観光資源として文化財を開発する行為は、原則的には対立するものです。その中で、保護と開発の均衡を図っていく必要があります。まず、しっかりとした文化財保護、本物を守り残す取組があってこそ、結果として観光にも資するものと考えます。 知事部局は、文化財の観光面での活用など開発行為を進める側であり、文化財保護も一体的に所管することになれば、保護と開発の均衡が崩れ、保護の側面が弱まるのではないか、知事にお伺いいたしまして、第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 吉良議員の御質問にお答えをいたします。 まず、ウクライナへの侵略に関しまして、日本が先頭に立って軍事行動を停止させることについて、また核大国を誇示し威嚇をするプーチン大統領の態度についてお尋ねがございました。関連をしますので、併せてお答えをいたします。 このたびのロシアによるウクライナ侵攻につきまして、岸田総理は侵略行為と位置づけた上で、明白な国際法違反であり、断じて許すことはできないと厳しく非難をしております。また、事態の解決に向けましては、国際社会と緊密に連携をし、ロシアに対して軍の即時撤収と国際法の遵守を強く求めるとしております。 私といたしましても、ウクライナ問題の早期の平和的解決を望むものであり、政府におかれましても引き続き国際社会と結束の上で、最大限の外交努力を行っていただきたいと考えます。また、プーチン大統領の核保有を誇示する態度は、核兵器のない世界の実現に向けました世界共通の願いを踏みにじるものであると考えます。このため、唯一の被爆国であります我が国といたしましても、決して許すことのできないものと考えております。 次に、新型コロナウイルス感染症対策に関連いたしまして、医療機関が安心して発熱外来や検査に取り組めるように財政支援を強化すべきではないかというお尋ねがございました。 現在、本県におきましては28の市町村で、240の医療機関が検査協力医療機関として対応いただいております。県ではこれらの名称を公表いたしまして、新型コロナウイルス感染症が疑われる症状のある方々に受診をしていただいております。 新型コロナウイルス感染症のPCR検査などに係ります診療報酬の引下げの後、これらの検査協力医療機関の辞退などの大きな変化はございませんけれども、4月には再引下げが行われることになります。この後の動向についても注視をしてまいります。 一方で、新型コロナに関します診療報酬の特例的な評価につきましては、令和4年度の診療報酬改定においても継続をされますほか、外来診療時の感染防止対策に係る評価が新設をされるということとなっております。このため、当面は診療報酬改定後の状況を注視しながら、必要がありましたら全国知事会を通じまして診療報酬の見直し、あるいは外来診療に係ります財政支援の拡充について提言をしてまいる考えであります。 次に、検査体制の充実と高齢者施設などへの支援についてのお尋ねがございました。 まず、検査体制につきましては、先ほど申し上げました有症状者への検査と併せ、無症状の方を対象に1月4日から県の臨時検査センターや薬局などにおきまして、無料の検査を実施してまいりました。加えて、既に複数の感染者が確認をされた施設等に対しましては、クラスターを早期に鎮静化させるという目的で抗原検査キットを配布し、検査をいたしております。 また、まん延防止等重点措置の適用後におきましては、クラスターの発生リスクと感染時の重症化リスクの高い入所系の高齢者施設の従事者などを対象として、いわゆる集中的検査を行っているところであります。ただ、検査はあくまでその時点の結果ということにすぎませんので、また感染拡大防止の一つの方策にすぎないという性格のものだと考えております。県といたしましては、感染状況に応じた検査を円滑に実施できるように体制整備を図ってまいります。 次に、高齢者施設などへの財政的な支援についてでございます。施設内で療養を行う施設に対しましては、感染対策の徹底あるいは療養体制が確保できますように、かかり増しの費用を支援いたしているところであります。また、医療的な支援といたしましては、施設の状況に応じて感染拡大を食い止めますために、感染管理を専門とする医師、看護師によります指導が受けられる体制を構築いたしているところであります。 さらに、高齢者などにつきましては、早期に抗ウイルス薬などの治療を行い、重症化を予防することが重要であります。このため、施設の嘱託医や関連の医療機関に対しまして、治療マニュアルを提供するといった形での技術支援を行っているところであります。引き続き、感染状況に応じた検査体制の下で、高齢者施設などに対しましてきめ細かな支援を行ってまいります。 次に、コロナ関連の後遺症への理解の促進、そして安心して相談できる体制の構築についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の療養が終了した方に対しましては、保健所がおおむね4週間後に体調などの確認を行うこととしております。罹患後症状、いわゆる後遺症が疑われる場合には、かかりつけ医等への受診を勧めているところであります。コロナウイルス感染症の後遺症は多種多様でありますけれども、多くの方におきましては軽微なものであり、まずは陽性診断を行った医療機関あるいはかかりつけ医にフォローアップを行っていただくようにいたしております。 しかしながら、症状が複数の診療科の領域にわたるような場合あるいは重い症状が認められる場合には、専門的な診療やチーム医療としての診療が必要となるということでございます。このため、御紹介もいただきましたが、昨年10月、高知大学医学部附属病院にいわゆる後遺症の専門外来を開設していただいたところであります。 高知大学医学部附属病院におきましては、現在までに地域の医療機関から42件の紹介を受けまして、患者の症状に応じました複数の診療科の医師等によりますチーム診療を行っていただいております。今後も関係機関と連携をいたしまして、後遺症がある方が安心をして相談や治療いただけるように進めてまいります。また、後遺症についての多様な症状あるいは国の研究成果につきまして広報し、県民の皆さんの理解を促進してまいる考えであります。 次に、県内総生産におきます医療・保健・社会福祉・介護分野の規模、そしてそれらの就業者の処遇改善と人員不足などへの取組についてお尋ねがございました。 平成30年度の県内総生産は約2兆4,000億円となっておりますが、そのうち保健衛生・社会事業は3,000億円余りでございまして、構成比12.8%になっており、分野別に見た場合に一番高くなっているところであります。 こうした医療・福祉分野の職員の人材確保あるいは処遇改善を進めることは、御指摘もありましたように、本県におきます経済波及効果としても大きいものがあると考えております。そのため、県内におきます医療・福祉分野の職員の処遇改善あるいは人材確保は重要な課題であると考えておりまして、日本一の健康長寿県構想などにも位置づけて取組を進めております。 まず、医療の分野におきましては、若手医師が増加するなどの成果が見え始めましたので、これまでの奨学金貸付制度や高知医療再生機構と連携した若手医師への支援などの取組を継続して進めてまいります。 また、薬剤師や看護師などのコメディカル職員につきましても、職能団体との協働で就職説明会を行い人材確保を行う、あるいはキャリアアップのための取組を継続してまいる考えであります。 さらに、医師の労働時間短縮、職員のワーク・ライフ・バランスなどに取り組みます医療機関を対象といたしまして、高知県医療勤務環境改善支援センターと連携をしながら、支援を強化してまいります。 また、福祉・介護の分野におきましては、離職率の低減などの成果も見られてきております。ノーリフティングケアや福祉・介護事業所認証評価制度を通じました職員の処遇改善、職場環境改善につながる取組をさらに後押ししてまいります。 また、デジタル技術の導入を加速いたしまして、業務の効率化、事務負担の軽減によって介護職員が直接介助に当たる時間を増やすといった形で、サービスの質の向上にもつなげてまいる考えであります。今後もこうした取組につきましては、現場の職員の声もお聞きして、必要な見直しを行いながら実効性のある処遇改善、人材確保を進めてまいります。 次に、消費税のインボイス制度への認識についてお尋ねがございました。 お話がありましたいわゆるインボイス制度は、消費税につきまして複数税率が採用される下で、適正な課税を確保するためには必要な措置であると認識をいたしております。また、制度の導入に当たりましては、特に中小・小規模事業者の皆さんなどに混乱が生じないようにするということが大切だというふうに考えております。 このため、インボイス制度の導入につきましては、軽減税率の制度が実施をされてから4年間の準備期間を置いてスタートするということにされておりますし、このスタート後も6年間は経過措置を置きまして、段階的に移行していくという配慮が行われているところでございます。 また、中小・小規模事業者の方々が免税事業者のままでありましても、取引先の事業者が課税売上高5,000万円以下のいわゆる簡易課税制度の適用を受けている場合には、インボイスの交付を求められることはないという制度設計が行われているところであります。 あわせて、政府におきましては制度の周知や広報、事業者の準備を支援する取組、免税事業者をはじめとした事業者の取引環境の整備を進めているところであります。県といたしましても、中小・小規模事業者を含みます県内事業者の皆さんがスムーズに新しい制度に移行できますように、県内の税務署とも連携を図りながら、周知、広報等に努めてまいる考えであります。 次に、これに関連いたしました本県の事業者数につきまして、及びシルバー人材センターの会員や農産物などの直販所への納入者に対します対応についてのお尋ねがございました。 国税庁の統計年報によりますと、本県の事業者数は個人、法人合わせまして約4万6,000者、消費税の課税事業者は約1万9,000者でございまして、残りを免税事業者というふうに推計をいたしますと、約2万7,000者というふうに見込まれます。 なお、お尋ねがございましたフリーランスの数につきましては、全国レベルでの推計の数値しか公にされていないということでございますから、県として県内分につきまして確たる数字がどうかという点については、把握をいたしておらないところでございます。 インボイス制度は、ただいま申し上げましたとおりでございますが、売手から買手に正確な適用税率あるいは消費税額などを伝えるという役割を果たすものでありまして、消費税の適正な課税に必要な制度であるというふうに考えております。 一方で、インボイス制度の導入開始を前に、事務負担などの観点から様々な不安や疑問を感じておられる方がいらっしゃるというふうに承知をしております。こうした方の不安などを解消するために、政府におきましては国税庁、関係省庁が連携をして、例えば制度案内リーフレットの配布などによります広報、またホームページ上での動画による制度解説、さらに説明会の開催、コールセンターの開設によります相談対応などに取り組んでいるというふうに承知しております。県といたしましても、国と協力をしながら周知、広報に努めますとともに、不安や疑問の声をお聞きした場合には、しっかりと国に届けてまいります。 次に、インボイスに関しまして各団体から寄せられました決議、要望の受け止めなどについてお尋ねがございました。 インボイス制度の導入は、この要望にもありますように、経費、事務手続などで事業者の方々に新たな負担を伴うものというふうに認識をいたしております。このため、商工会、商工会議所などと連携をいたしまして、事業者の方々への個別の指導・助言、税理士などによりますセミナーの開催などに努めてまいりました。また、全国知事会とも連携をいたしまして、制度の円滑な導入に向けました十分な広報あるいは支援の充実を行うように、国に対して要望してまいりました。 こうした結果、今回の国の補正予算で、インボイス制度に対応いたしました会計ソフトやレジを導入するという場合への補助制度を拡充するといった形で、国の施策の充実が図られたところであります。引き続き、県内の商工団体、事業者の皆さんの声もお聞きをいたしまして、全国知事会とも連携をいたした上で、円滑な導入に向けた対応をしっかりと国に提言してまいる考えであります。 次に、中山間対策に関連いたしまして、いわゆる限界集落を生み出してきた原因についてどう考えるかというお尋ねがございました。 中山間地域の多くの集落におきましては、人口の流出あるいは高齢化によってその活力が奪われてまいりました。また、それによりまして集落機能が低下をし、産業の衰退を招くといった形で、いわゆる負の連鎖に陥りまして、集落の疲弊が進んできたものというふうに受け止めております。 一方で、こうした厳しい環境の中にありましても、前回の実態調査と同様に、約7割の住民の方々から、これからも集落に住み続けたいとの強い思いをお聞きいたしております。また、多くの住民の方々は、自然や景色、集落のまとまり、住みやすい環境など地域への愛着や誇りを持って生活をされているところであります。 県といたしましては、調査を通じて把握いたしましたこうした県民の皆様の思いをかなえるということが使命であると考えております。このため、市町村と連携をいたしまして、引き続き中山間地域におきます産業づくり、そして担い手の確保に総力を挙げて取り組んでまいります。 次に、小規模あるいは家族農業への国際的な流れに対します認識はどうかというお尋ねがございました。 小規模・家族農業をめぐります国際的な流れといたしましては、議員からお話がございましたEUのほか、国連におきまして2019年からの10年間は家族農業の10年と定め、各国に対して家族農業に関する施策を進めることなどを求めております。 世界の食料生産額の8割以上を占めるのが家族農業というふうに報告をされておりまして、食料の安全保障という点に加え、貧困の撲滅、飢餓の解消、生物多様性の保全、環境の持続可能性の達成など様々な面から重要な役割を担っているというふうに認識をしております。SDGsが世界的な動きとなります中で、こうした家族農業の役割や重要性について国際社会で認識を共有するということは大変意義深いものであるというふうに考えております。 次に、小規模・家族農業重視への農政への転換を図るべきではないかというお尋ねがございました。 本県におきましては、農業に占めます家族経営体の割合が全体の約97%を占めております。このため、家族経営体の経営発展を図ることが本県農業の持続的な発展に不可欠であるという考えの下に、産業振興計画において重点的に取り組んでまいりました。 具体的には、環境制御技術に最先端のデジタル技術を融合させました、いわゆるIoPプロジェクトを推進していくということ、スマート農業の普及におきましては、大規模な法人経営体だけではなく、小規模な家族経営体でも生産性の向上や省力化が可能となりますように取り組んでいるところであります。 また、担い手の高齢化や生産条件がより厳しい中山間地域におきましては、家族だけで農業を担うということが難しい状況にございますので、集落営農組織の拡大あるいは組織間の連携など、地域の農業を面的に支える仕組みづくりを推進しております。さらに、来年度からは国の事業を活用いたしまして、農用地の保全活動、地域資源の活用などの取組を複数の集落などが連携して行います農村型地域運営組織の形成を推進してまいります。 その一方で、地域で暮らし稼げる農業を実現するためには、経営体の規模拡大あるいは大規模な法人経営体の農業参入を図る取組、これも他方では重要だというふうに考えまして、各種の施策を推進しているというところでございます。そういう意味で、今後も農家の規模の大小あるいは経営の形態にかかわらず、必要な施策をしっかりと展開してまいりたいというふうに考えております。 次に、国土交通省におきます統計調査の不適切処理への受け止めについてお尋ねがございました。 国土交通省は、建設工事受注動態統計調査におきまして二重計上が生じていたことを受けて、外部委員から成る検証委員会を設置し、調査、検証の上で、本年1月14日に報告書を公表されております。報告書では、期限を過ぎて報告された月の受注額を、受理した月分にまとめて計上した上で、受理前の月分にも推計値を計上するという方法としておりましたために、二重計上が発生したことが問題点とされております。 これらの原因としては、1つには、人的な余裕がなく、こうした処理を見直す機会もないまま続けていたこと、またもう一つには、制度設計を行う職員と集計の実務を行う職員間で十分な情報共有がされず、情報の分断が生じていたことなどが指摘をされております。 建設工事受注動態統計は、国の基幹統計といたしまして、国土交通白書あるいは各種施策の基礎データにも利用されるなど、重要な調査として正確な計数が求められることは言うまでもないことでございます。統計調査に関しましては、厚生労働省の毎月勤労統計調査をめぐる不適切事案を受けて、平成31年に基幹統計の一斉点検が行われたにもかかわらず、このような事案が再び発生したということは大変残念に思います。 検証委員会の提言にもありますように、今回の事案を契機として統計実務を取り巻く環境が改善をされ、国民の公的統計に対する信頼を取り戻すことができますように、対策を講じていただきたいと考えております。 次に、本県の統計分析業務に関しまして、これまでの所管で各施策への活用に支障があったのかどうか、また公的統計の専門的独立性の確保についてお尋ねがございました。関連をいたしますので、併せてお答えをいたします。 本県の統計分析業務につきましては、これまでも適切に統計調査を実施し、経済波及効果の算定など、各分野におきます統計データの活用、分析なども行ってまいりました。 統計分析の各施策への活用に関しまして、現状で特段の支障を生じているという状況にはございませんけれども、これまで以上に本県の課題解決に向けた政策立案に生かしていきたい、活用できるようにしていきたいというふうに考えております。具体的には、多くの統計調査が関連をいたします産業振興計画でございますとか、いわゆるまち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、各施策の効果検証あるいはバージョンアップをする際に、統計データをより有効に活用していきたいというふうに考えているわけでございます。 そもそも、公的統計の作成におきましては、統計法の趣旨に基づき、統計機関が専門的かつ中立公正に調査を行い、説明責任を果たすということが求められるわけであります。このことは統計分析業務を産業振興推進部に移管したとしても、これまでと何ら変わることはございません。恣意的な統計操作、統計不正などはいずれにしてもあってはならないことでございまして、今後とも正確で信頼できる統計調査を実施してまいる考えであります。 最後に、これも県の組織改正に関連いたしまして、文化財の保護と開発の均衡についてお尋ねがございました。 御指摘もございましたように、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正によりまして、平成31年4月から地方公共団体の文化財保護事務は、条例により地方公共団体の長が担当できるということとなりました。文化行政全体の一体性でございますとか景観、まちづくりなどに関します事務との関連性を考慮いたしまして、文化財保護事務を一層充実させるために取り得る制度の選択肢として設けられたというふうに承知をしております。 既に10県において文化財保護事務が知事部局に移管をされているというふうに承知しております。本県も貴重な文化財の次世代への確実な継承に向けまして、文化財の保存と活用に関する取組を文化芸術や地域振興などの取組と一体的に執行できますよう、来年度から移管をしたいというふうに考えているところでございます。 他方、文化財保護法の改正によりまして、文化財保護事務を知事部局に移管する場合には、文化財に関する有識者で構成をされます地方文化財保護審議会を必ず設置するということが定められました。これまで同様、文化財の本質的な価値が毀損されないように、重要事項について御意見を求めることで開発行為との均衡を図ってまいります。 また、例えば高知城や龍河洞などの文化財を観光面で活用する際には、文化財保護法によります現状変更の制限や文化庁の助言を得るという必要がございます。こうした文化財の価値を守るための制度は、文化財保護事務が知事部局に移管された後も変わることはなく、従来どおり維持されるということになっております。 文化財の保存と活用は二項対立、二律背反の関係ではございませんで、相互に高め合う好循環の関係であるべきだというふうに考えております。知事部局で一体的に所管をすることで、文化振興と文化財保護の連携を強化いたしまして、文化財を将来にわたってしっかりと保存しながら、効果的に活用していくように取り組んでまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) まず、新型コロナウイルス感染症から回復した高齢者の受入先の確保についてお尋ねがございました。 お話のように、第6波では高齢者の患者が増加する中、新型コロナウイルス感染症から回復後の感染リスクの有無や、新型コロナ以外の病状、介護度等により自宅や施設へ戻ることが困難な場合があり、こうした高齢者への対応として次の支援を行っております。 まず、コロナの症状が改善したものの、感染リスクがあり介護を要する高齢者につきましては、2月21日に新たに設置した臨時の療養施設において療養していただいております。また、感染リスクはなくなったものの、持病等の悪化により引き続き医療が必要な高齢者につきましては、こうした患者の受入れが可能な後方支援病院の情報を県から各入院医療機関へ提供し、転院調整を支援しております。 さらに、入院前と比べて介護がより必要となった高齢者への支援につきましては、退院後の在宅生活において心身の状態に応じたケアプランの適正な見直しが行われますよう、市町村など関係機関に周知徹底してまいります。 県としましては、コロナ禍においても高齢者の方が安心・安全に生活を続けていけるよう、引き続き関係機関と連携し、受入先の確保等に取り組んでまいります。 次に、国庫負担を増額して介護や保育職員の低賃金を解消すべきではないかとのお尋ねがございました。 お話のように、今回の処遇改善につきましては、本年2月から9月までは補助金により行われ、10月以降は介護報酬の改定や子ども・子育て支援新制度による1人当たり3%、月額約9,000円の引上げが国において示されております。9月までの補助金による処遇改善につきましては全額国費が充当されますが、10月以降は介護保険料や自治体の負担額に影響を及ぼす可能性もございます。 少子高齢化が進む中、将来にわたって安定して介護や子育てサービスを提供していくためには、給付と負担のバランスを図りながら、制度の持続可能性を高めていくことが重要となってまいります。県としましては、介護保険制度が将来にわたり安定したものとなるよう、国と地方の負担の在り方を含め必要な制度の改善を図ることや、子ども・子育て支援新制度の実施に必要な財源の確保につきまして、全国知事会を通じて国に提言を行っているところです。引き続き、国の動きも注視しながら持続的な制度の改善に向け、全国知事会などと連携し取り組んでまいります。 最後に、配置基準を高めることにより働きやすい環境をつくることが、ケアの質の向上や人手不足解消のためには重要ではないかとのお尋ねがございました。 介護施設の配置基準は、施設が守るべき最低限の基準であり、各施設ではケアの質の向上のため、介護報酬の加算制度を活用して基準以上の人員を配置し、適切なサービスを提供しております。介護施設の配置基準につきましては、現在国において見直し等の議論が行われており、県としましても引き続き国の動きを注視してまいります。 ケアの質の向上のためには、施設で働く方のモチベーションの向上や働きやすい環境づくりが重要です。県としましては、行政への提出書類の簡素化や事業所のデジタル技術の導入を支援するなど、介護現場の効率化や事務の負担軽減を進め、介護職員が直接介助に当たる時間を増やすことで、ケアの質の向上を図ってまいります。 また、新たな介護人材として、元気高齢者の介護助手への参入を進めているところです。元気な高齢者御自身に人材不足を補っていただき、介護職員の業務をサポートすることで、介護職員が専門性の高い業務に専念できる環境づくりを進めるとともに、就労を通じて高齢者御自身の介護予防につなげるなど、相乗効果を期待しているところです。 さらに、本県が先駆的に進めてきましたノーリフティングケアや福祉・介護事業所認証評価制度の取組を広げていくことで、ケアの質の向上と介護人材の確保を図ってまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、質の向上や人手不足解消のため、保育士の配置基準を高め、働きやすい環境をつくることについてお尋ねがございました。 保育所において働きやすい職場環境づくりを進めることは、質の高い保育を提供する上で、また離職防止も含めた人材確保の観点からも重要だと考えております。このため県教育委員会では、本年度から新たに保育士の補助を行う職員の配置への支援や、保育所等の経営者を対象にした保育現場の業務改善研修などに取り組んでおります。 お話にありました保育士の配置基準につきましては、国の省令において3歳児であれば子供20人に保育士1人、4・5歳児は30人に1人と子供の年齢に応じて最低限必要な保育士数が示されており、それを基本として保育所の運営費が算定、支給されているところです。 国においては、平成27年度に子ども・子育て支援新制度がスタートした際、3歳児に対する職員配置を15人に1人とした場合の加算措置を講じており、一定の改善が図られております。県教育委員会としましては、保育の質の向上や人材確保に向けて、他の年齢の子供も含め、さらに職員配置の改善がなされるよう、引き続き全国知事会を通じて要望を行ってまいります。 次に、保育士、幼稚園教諭等の収入を引き上げるための国の新たな補助事業に関して、県内の公立の保育所、幼稚園などの実施状況、また公立職員の処遇改善を図るよう徹底することについてお尋ねがございました。 今回の補助事業は、現場で働く全ての方々の処遇改善を目的としており、民間施設だけではなく公立施設も対象となっております。県教育委員会では、これまで事業の実施主体である市町村に対し、国から示される情報を速やかに提供するとともに、補助申請の取りまとめを行ってまいりました。 その中で、民間に比べ公立施設の申請が低調であったことから、県内各市町村の検討状況や、条例や規則改正など処遇改善を実施する場合に必要な庁内手続について、随時市町村に情報提供を行っております。その中で、保育士等の処遇改善については、これまで各市町村からの要望も踏まえ、全国知事会などを通じて繰り返し政策提言していることから、特に会計年度任用職員については積極的に本事業を活用するよう促してまいったところでございます。 結果として、公立の保育所、幼稚園、認定こども園の31.1%に当たる9市町村、41施設において本事業を活用して、会計年度任用職員の処遇改善が図られることになっております。なお、活用を見送った施設につきましては、市町村からは管内の民間施設に比べ一定給与水準が高いことや、他職種の会計年度任用職員との均衡の維持といった理由であるとお聞きをしているところです。 各市町村においては、様々な事情や経緯を考慮して判断されたものと受け止めておりますが、県教育委員会としましては、引き続きこの事業を実施する市町村の状況を把握して、他の市町村へ情報提供するなど、職員の処遇改善に向けた市町村の取組を支援してまいります。 次に、補助事業の申請期限の猶予を国に求めるとともに、申請事務の支援を図るべきではないかとのお尋ねがありました。 今回の補助事業については、民間施設からは対象施設の87.6%に当たる162施設から申請が提出されております。なお、申請を希望しなかった施設について、市町村を通じてその理由を確認したところ、公立から民間に移管した施設で、給与水準が管内の公立施設と同等であることなどが多く挙げられ、検討に時間を要したことを理由としているのは1施設のみでありました。 本事業は、本年2月分からの賃金引上げが実施要件となっており、賃金規程等の改定に時間を要する場合には、3月中に2月・3月分をまとめて支払うことも可能となっております。また、2月分から賃金を引き上げ、3月中に支払っていれば、令和4年度に2月分から補助対象に含めて申請を行うことも可能であり、こうした取扱いについても市町村を通じて各施設へ周知してきております。また、申請事務への支援につきましても、これまで県独自で作成した申請書類の記入例の提供などを行ってきており、引き続き各施設が円滑に申請できるよう市町村を支援してまいります。 次に、高知県教育振興基本計画等に教員配置の課題があることを明記し、実効ある取組を推進すべきではないかとのお尋ねがありました。 第3期高知県教育振興基本計画の中に、チーム学校の基盤となる組織力の強化の項目において、質の高い教員の確保・育成を対策に掲げております。そこには教員の大量退職・大量採用時代にある中で、できる限り数多くの教員の確保と、その資質や能力の向上を大きな課題として捉え、教員採用審査方法についての記載をしております。必要な教員数を確保するための課題や取組について一定記載をしているものと考えております。 具体的な取組としては、全国一早い審査日の継続、県外での採用審査会場の開設、現職教員を対象とした特別選考、任期付教員の採用など、これまでも教員の採用における工夫改善に継続的に取り組むことで、必要な教員数の確保に努めてまいりました。 今後も引き続き将来の適正な教員数も念頭に入れつつ、国から配分される教員定数に対して実際に配置された教員実数の割合、いわゆる教員配置の充足率100%に向けた必要な教員数の確保に取り組んでまいります。 次に、小学校教諭の充足率と標準定数内の臨時教員数の改善状況及び来年度の改善目標についてお尋ねがございました。 いわゆる充足率は本県の小学校教諭等--これ教頭、校長、主幹教諭、教諭、講師などを含みますが--で令和2年度が97.3%、令和3年度が98.3%となっており、前年度に比べて改善傾向にありますが、100%には至っておりません。しかしながら、本県の小中学校全体の充足率は昨年度の99.5%から本年度は100%となっており、校種別では中学校は100%を超えて105.3%、小学校ではただいまお答えしたように1.7%の未充足となっております。 本県の中学校は小規模校が多いことに加え、小学校以上に学力の未定着、不登校をはじめとする生徒指導上の諸課題、部活動の顧問等の教員の長時間勤務の課題が大きく、その解決を図るため、中学校への重点的な教員配置を行ってきたことによるものでございます。教員定数は児童生徒数や学級数で毎年変動するものでありますが、今後とも小中学校全体で100%の充足率を目指した取組を進めてまいります。また、小学校教科担任制に係る中学校の乗り入れ授業等で小学校の負担軽減を図るとともに、小学校についても100%充足率を目指して改善に努めてまいります。 次に、4月の新学期当初において、県の基準に基づき学級数に応じて配置される教員定数内の臨時教員数は、小学校では令和2年度が50名で令和3年度は36名と14名の減、同様に中学校では令和2年度が46名で令和3年度は44名と2名の減となっており、ともに改善傾向となっております。 学校の統廃合や児童生徒の転出入によって教員定数は毎年変動するものであり、加えて近年の加配定数の減少傾向などに対応するため、一定の臨時教員の配置は必要であると考えておりますが、できる限り正規職員の配置割合を増やしていくよう今後も努めてまいります。 次に、小学校の少人数学級編制により増員分の定数を先取り採用して、教員不足や多忙化解消に資する考えはないかとのお尋ねがございました。 国のいわゆる義務標準法が改正され、本年度から小学校2年生が1学級40人の上限から35人に改められ、年次進行で令和7年度には小学校全学年で35人学級編制となる計画です。これにより1学級の上限が40人から35人に変更となり、学級数が増えることで教員定数が増え、その分が基礎定数化されることになります。本県では1学年当たり10名程度の教員が増加する見込みとなっております。 お話しいただきました法改正の先取りは、例えば予算要求に当たっての考え方の一つとなるものであると考えておりますが、教員の採用数につきましては、児童生徒数の増減や学校統廃合による定数の変動、それから退職者や再任用数の動向などの様々な要因を分析しながら、5年先まで採用計画を立てているところでございます。その上で、小学校のこのたびの教科担任制のような国の新しい制度や方向性を考慮しまして、必要となる採用人数や教科等を精査して、毎年度採用計画を補正し、より教育効果が上がる採用を行っているところでございます。 また、本県の教員を志願する方々に対して、毎年一定数の安定した採用を確保することは、優秀な人材の確保に資するものであり、あわせて毎年の採用者数をできるだけ平準化することで、いびつな年齢構成の解消にも努めているところでございます。こうしたことに加え、優秀な教員の確保の面からも、現状においては一度に4年分40人程度を上乗せして先取り採用することは難しいと考えております。 今後は、定年延長制度の導入によりまして、退職者数などが不透明となる部分もありますが、採用についてさらに検討を深め、採用計画の精度を高めながら、安定的な学校経営に資するよう取り組んでまいります。 次に、中学校35人学級によって何名の教員の増員が必要となるのか、増員分は正規教員で対応することについてとのお尋ねがございました。 年度末から年度初めにかけて、特に市部の学校では児童生徒の転出入が多いため、少人数学級編制の確定は4月の学校始業日となります。このため、令和4年1月10日時点の生徒数によって推計をいたしますと、中学校の35人学級編制を実施した場合、県全体で68名の教員定数の増員が見込まれております。 この増加する教員定数については、国の少人数学級編制に係る加配定数と県単独の加配措置によって対応してまいります。この少人数学級編制を含む様々な課題解決に対応するための国の加配定数は、毎年変動するという不確定な要素がある上に、国からの加配定数決定の通知は毎年2月上旬ということから、その全てを正規教員で配置することは難しい状況にあります。 加えまして、中学校の場合は教科担任制であり、この増加した定数分をどの教科で配置することが有効であるかということにつきましては、市町村教育委員会と十分に協議をした上で教科等が決定されるため、教科によっては正規職員の配置が困難な場合があります。正規教員及び臨時教員のいずれを記置するにしても、少人数学級編制を実施する中学校において、教育課題の解決につながる教員の配置と活用に努めてまいります。 次に、来年度35人学級導入で学級数が増える学校数と、そのうち実施しても教員配置数が変わらない中学校は何校となるのか、また本県の配当基準を見直し、今回の学級増での授業時間数増に対応できる教員配置数とすることについてお尋ねがございました。 本県の中学校の教員配置基準では、少人数学級編制を実施して学級数が増えたとしても教員定数が増えない場合があります。具体的には、特別支援学級を除き学校全体の学級数が3学級から5学級までは教員定数が9名という配置基準となっております。この基準は、国のいわゆる義務標準法によって算定される教員数に基づき県が定めているものですが、各中学校への配置数は国の義務標準法と同程度のものとなっております。 令和4年度に35人学級編制を実施した場合に、学級数が増加する学校は29あり、そのうち学級数が増加しても3学級から5学級の範囲となって教員数が増加しない学校は、昨年12月の段階での試算では5校程度になると想定をしております。 学校の現場からは、学級数が増えることで学校全体の総授業時間数が増加するにもかかわらず、教員数の増加がないので、教員の負担が増すとの声が聞かれておりました。そのため、現行の基準では35人学級編制を導入しても教員数の増加がない学校については、特別に1名を加配措置することとしました。これにより、県教育委員会としましては、対象となる全ての中学校において35人学級編制を導入していただきたいと考えております。 次に、公教育費がOECD諸国で下から2番目の対GDP比4.0%をあと1%増やし、せめてOECD諸国並みにするよう政府に強く求めていくことについてお尋ねがございました。 本県の教育課題を解決し、さらに教育の振興を図るためには、教員定数の確保を含めた教育予算の充実が重要であると考えております。そのため、全国都道府県教育長協議会や教育委員協議会と共に、国に対して各種加配定数の改善、充実や教職員給与等の改善、公立学校施設整備に係る必要な財源の確保など、約70項目にわたって教育予算に関わる内容を毎年しっかりと要望しているところです。これら個別の具体的な要望が実現されることによりまして、結果としてGDPに占める公教育費の割合も増加するものと考えております。 あわせて、本県独自で政策提言書を国に対して毎年提出しており、定数の充実についての提言を行っているところです。本年度は教育課題を解決するための教職員加配の重点化による支援につきまして、令和3年6月21日にウェブ会議システムを活用し、濱田知事から文部科学大臣政務官に対し、少人数学級編制を拡充するための加配措置や主幹教諭の加配、事務職員の加配等の充実の提言を行っております。今後とも国に対して、本県の教育が強力に推し進められるよう、教育予算や教職員加配の拡充など、必要な提言や要望を継続してまいります。 最後に、充て指導主事の数を計画的に他県並みに減らし、学校現場へ返していくことについてのお尋ねがございました。 指導主事は本県の小中学校の学力課題や不登校など喫緊の課題の解決を図り、県の教育振興基本計画を着実に推進するために、専門職として各学校や市町村教育委員会への直接的、間接的な支援を実施しております。その配置に当たっては、小規模の小中学校が海岸部から山間部まで広範囲に点在しているといった本県の状況に対応しつつ、各学校や市町村教育委員会への支援を充実させるため、県内の3地域に教育事務所を設置し、その教育事務所や市町村教育委員会にそれぞれ必要となる一定数を配置しております。 高知県の教育の現状を鑑みた場合、こうした体制による各校の取組が成果を上げてきておりますので、指導主事の配置数等については当面現状を維持していきたいと考えております。一方で、それぞれの教育課題の改善状況により、高知県教育振興基本計画の改訂と合わせた、指導主事の配置減も含めた適正配置について今後も継続して検討してまいります。   (文化生活スポーツ部長岡村昭一君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 本県の文化行政の現状と今後の取組についてお尋ねがございました。 県では、文化芸術の力で心豊かに暮らせる高知県の実現に向け、平成28年度に策定した高知県文化芸術振興ビジョンに沿って様々な施策に取り組んでおります。例えば、高知県芸術祭の開催や県立文化施設の利用促進、文化広報誌「とさぶし」の発行などにより、多くの県民の皆様に優れた文化芸術に親しんでいただくことのできる環境づくりに努めているところです。 また、高知の固有の文化を後世に伝えるため、本年度から新たな県史の編さんを開始いたしました。今後20年間にわたる県史編さんの事業を通じて、県民の皆様に本県の歴史への理解と愛着を深めていただけるよう取り組んでまいります。 加えまして、地域の人々の努力によって引き継がれてきた文化財の保存と活用につきましては、昨年度県教育委員会において高知県文化財保存活用大綱が策定されております。今後は、この大綱を踏まえ、市町村の文化財保存活用地域計画の策定についても支援するなど、取組を進めてまいりたいと考えております。 さらに、文化芸術を地域の振興につなげる取組としましては、まんが甲子園や全国漫画家大会議などの開催による交流人口の拡大と高知県の魅力の発信にも努めているところです。 今後も、これらの取組を着実に推進するとともに、社会状況の変化を踏まえ、デジタル技術の活用を進めるなど、県民の皆様に文化芸術をさらに身近に感じていただける環境づくりに努めてまいります。あわせまして、地域における文化芸術の振興を担う人材の育成にも取り組んでまいりたいと考えております。 ◆35番(吉良富彦君) それぞれありがとうございました。2問を行います。 ウクライナ侵略、侵攻についてですけれども、今世論の中で憲法9条も、そして国連憲章も無益やと、そんなんじゃあ戦争は防げんというような声が上がっております。しかし、この論議というのは--知事も先ほど憲法の平和主義は守っていくということですので--今までの人類の英知、知性を否定する考えですね。 じゃあ軍事大国に、武力行使やって、憲法をなくして、国連憲章もやめて、じゃあ武力行使をやるのかと、まさに力と力の論理で、これは野蛮ですよね。力の大きいものが自らの思いを貫徹していくということになるんで、当然これは私たちはあまりにも暴論だということで、今の平和主義、憲法を守っていくことを先頭にして、今実際、諸国民の圧倒的な多数は、高知でもスタンディングをやっていますけれども、戦争するなと、武力行使はいかんというのが、これは圧倒的な世論です。それにくみした流れをぜひ大きくしていかねばならないと思います。 しかし、その中で突出した流れがやはり御存じのように、この被爆国の首相をやった安倍元首相、彼がいわゆる核のシェア、ニュークリア・シェアも論議をすることをとどめてはならないというような発言をしております。御存じのようにこの高知では広島や長崎の戦争被爆はないですけれども、実験被曝で大きな影響を受けております。知事を先頭にした原水爆禁止の運動が高知から起こって、今の原水爆禁止の流れができているわけですけれども、その被曝者の思いをしっかりと考えたことがあるんだろうかというふうに思うんです。 ちょうど昨日が3月1日で、68年目のビキニ被災の日でした。今日の高知新聞にも出ていますけれども、静岡県の焼津でも、第5福竜丸の乗組員らが被曝した、その3・1ビキニデー集会を行ったということになっています。 本県でも県が主催をして、シンポジウム、これを3月12日に行うことになっております。そこにはなぜそれを開くかというと、汚染されたマグロ--要するに被災したのは大体1,423隻、そのうち本県は100隻を超えるマグロ漁船が含まれています。実際私たちが調べたのでは274隻ですけれども、またその他の海域で操業中に水爆実験によって被曝したとされる方々もいます。こうした方の健康不安に寄り添うとともに、放射線被曝について理解を深め、再びこうした被害が起きないことを願ってシンポジウムを開催しますということでやっているわけですね。 そういう本県の知事として、今回の安倍さんの発言をどうお考えなのか、ぜひお聞きしたいと思います。 それから、もう一つはやはり教育問題で、教員不足の問題ですね。指導主事、充て指導主事の問題、やっぱり冷たいですね、教育長。9月から12月までの各学校で未着任になっている学校がだあっと出てきているんですけれども、複式担任が休み、代替なく管理職などが入っている、2名が病休、1か月以上いまだ未着任、これは小学校です。そして、例えば高校でも高校2年次が9月から休み、これ12月ですよ、報告があったのは。代替が来ていない、そして特別支援学校でも2学期より家庭科教員休み、分校の家庭科教員が兼務している。もう現場は火の車です。教えるといっても、管理職が教えに行っているところもあるんですけれども、それは十分な学力保障できませんよ。管理職は管理職の仕事があるわけですから。 本当にもう毎日毎日、薄氷を踏む思いでやっているんですよ。優秀な、中堅の力のある人が、ぽんと抜かれるわけですね。本来教員として採用されているのに、途中で、あなた必要だからと言われて現場から出ていく、これはやはり考え直す必要があると思います。 先ほど言いましたように、4%近くて、北海道だって0.何%ですよ。時間がなくなってきますけれども、一番広い北海道だって、教育長が言うようによね、本県は横に広いからだと言うけれどよね、北海道だって高知県より少ないんですよ、比で言えばね。せめて現場の苦悩に寄り添った人事配置で、可能なものは現場へ行って頑張ってもらうという姿勢を取っていただきたいと思いますが、そのことについて第2問といたします。 ◎知事(濱田省司君) 吉良議員の再質問にお答えいたします。 今御指摘ございましたように、今回の事案に関連いたしまして、安倍元首相のほうが、これは安全保障上の議論はタブーなくすべきだという御趣旨だと思いますけれども、核共有なども議論を党として、していくべきではないかというような発言をされたということは報道で承知をいたしております。 ただ一方で、これは国会でも早速議論になっているというふうに承知しておりまして、岸田総理のほうは、政府として非核三原則を国是として様々な法制を整備し運用しているという立場から、政府としてそういったものを議論する立場にはないと考えているという発言もされたというふうに承知をしております。 高知県も、お話ございましたようにビキニ環礁の事件もあり、また昭和59年には県議会におきまして非核平和高知県宣言も決議をされているというふうに承知しておりますので、本県といたしましても、この非核三原則は遵守をするという立場で対応していくべきだというふうに考えているところでございます。 ◎教育長(伊藤博明君) 今議員からお話がありましたように、教員を確保していくというのは非常に大事なことだと、そういう認識はしております。指導主事の件につきましては、先ほど御答弁させていただきましたように、今現状の課題解決には非常に成果が上がっておりますので、その課題が解決されるまでは、--されれば先ほどお答えしましたように、そういった減少に向けての検討も進めていきますけれども、それと併せて充当率の話もいただきました。そっちの教員もしっかり確保していくと、そういったものも含めて、教員の確保に向けては一生懸命取組をさせていただくと、そんな中で、そういう配置ができないということについての解消に力を入れていきたいというふうに考えております。 ◆35番(吉良富彦君) 悪循環ですね。本当に現場の必死の思いでやると精神疾患が増えて、現場に穴が空くというようなことになっているわけですよ。だから、ぜひ善処を求めまして、全ての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)----------------------------------- △議案の上程、採決(議発第1号 決議議案) ○議長(森田英二君) 御報告いたします。 議員から議案が提出されましたので、お手元にお配りいたしてあります。その提出書を書記に朗読させます。   (書記朗読)   〔議発第1号 巻末456ページに掲載〕 ○議長(森田英二君) お諮りいたします。 ただいま御報告いたしました議発第1号「ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議議案」を、この際日程に追加し、議題とすることに御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(森田英二君) 御異議ないものと認めます。よって、日程に追加し、議題とすることに決しました。 本議案を議題といたします。 お諮りいたします。ただいま議題となりました議案については、提出者の説明、質疑、委員会への付託、討論を省略し、直ちに採決することに御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(森田英二君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決しました。 これより採決に入ります。 議発第1号「ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議議案」を採決いたします。 本議案を原案のとおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。   (賛成者起立) ○議長(森田英二君) 全員起立であります。よって、本議案は原案のとおり可決されました。----------------------------------- ○議長(森田英二君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明3日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後5時13分散会...