高知県議会 > 2021-12-14 >
12月14日-02号

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  1. 高知県議会 2021-12-14
    12月14日-02号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 3年 12月 定例会(第360回)-----------------------------------        令和3年12月14日(火曜日) 開議第2日-----------------------------------出席議員       1番  上治堂司君       2番  土森正一君       3番  上田貢太郎君       4番  今城誠司君       5番  金岡佳時君       6番  下村勝幸君       7番  田中 徹君       8番  土居 央君       9番  野町雅樹君       10番  浜田豪太君       11番  横山文人君       12番  西内隆純君       13番  加藤 漠君       14番  西内 健君       15番  弘田兼一君       16番  明神健夫君       17番  依光晃一郎君       18番  梶原大介君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君       38番  桑鶴太朗君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        井上浩之君  総務部長       徳重 覚君  危機管理部長     浦田敏郎君  健康政策部長     家保英隆君  子ども・福祉政策部長 山地 和君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 尾下一次君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     山脇 深君  農業振興部長     杉村充孝君  林業振興・環境部長  中村 剛君  水産振興部長     松村晃充君  土木部長       森田徹雄君  会計管理者      井上達男君  公営企業局長     橋口欣二君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  澤田博睦君  公安委員長      西山彰一君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   中村知佐君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       行宗昭一君  事務局次長      山本和弘君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     川村和敏君  議事課長補佐     杉本健治君  主幹         春井真美君  主査         久保淳一君-----------------------------------議事日程(第2号)   令和3年12月14日午前10時開議第1 第1号 令和3年度高知県一般会計補正予算 第2号 令和3年度高知県給与等集中管理特別会計補正予算 第3号 令和3年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第4号 令和3年度高知県電気事業会計補正予算 第5号 令和3年度高知県工業用水道事業会計補正予算 第6号 令和3年度高知県病院事業会計補正予算 第7号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県助産師緊急確保対策奨学金貸付け条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県ホストタウン新型コロナウイルス感染症対策基金条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第12号 公立学校の教育職員の給与その他の勤務条件の特別措置に関する条例の一部を改正する条例議案 第13号 高知県警察手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第14号 令和4年度当せん金付証票の発売総額に関する議案 第15号 こうち男女共同参画センターの指定管理者の指定に関する議案 第16号 高知県立地域職業訓練センターの指定管理者の指定に関する議案 第17号 県有財産(南国日章産業団地)の処分に関する議案 第18号 (新)安芸中学校・高等学校校舎棟新築主体工事請負契約の締結に関する議案 第19号 県道の路線の変更に関する議案 第20号 令和3年度高知県一般会計補正予算 第21号 令和3年度高知県流域下水道事業会計補正予算 報第1号 令和3年度高知県一般会計補正予算専決処分報告第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(森田英二君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(森田英二君) 御報告いたします。 第7号議案及び第12号議案については、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき人事委員会に意見を求めてありましたところ、法律等の改正の趣旨を考慮したものであり、適当であると判断する旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。   〔人事委員会回答書 巻末220ページに掲載〕----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(森田英二君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和3年度高知県一般会計補正予算」から第21号「令和3年度高知県流域下水道事業会計補正予算」まで及び報第1号「令和3年度高知県一般会計補正予算専決処分報告」、以上22件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 12番西内隆純君。   (12番西内隆純君登壇) ◆12番(西内隆純君) 議長のお許しをいただきましたので、自由民主党を代表して質問を行います。 まず、知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。 歳月の流れは大変早いもので、濱田知事が初当選されてから、はや2年が経過をいたしました。この間を思い起こしてみますと、本当に多くの出来事がありました。新型コロナウイルス感染症を筆頭に、東京オリンピック・パラリンピックの延期と開催、レジ袋有料化、安倍内閣から菅内閣、そして岸田内閣へ、立皇嗣の礼もございました。高知県内では先日の高知西バイパス開通をはじめとして、高知南国道路開通、竜とそばかすの姫の公開、県体の分散開催、SATOUMIや公文書館のオープン、土佐あかうし・Tosa Rouge Beef初出荷など枚挙にいとまがありません。 この間、濱田知事におかれましては、高知県のリーダーとして様々な県政課題に果敢に挑まれておりました。コロナ禍にあっては思いどおりに物事が運ばなかった局面も数々あったことでしょう。新型コロナ感染症患者数が爆発的に増加する中、感染症拡大防止のために断腸の思いで自粛や時短を呼びかける姿は、多くの県民の心を打ちました。 また、「濱田が参りました」、「再び、濱田が参りました」と県内各地に足を運び、いろいろな現場を見て、たくさんの意見交換をされて様々な刺激を受ける中でお考え、お感じになったことがあろうかと思います。 濱田知事に、知事を2年間務められての感想をお尋ねいたします。 あわせて、2年間の取組の中で知事が気づかれた県政上の課題についてお尋ねいたします。 2年前、知事就任直後の12月定例会において、加藤漠議員からの質問に答える形で、知事としての意気込みや夢を聞かせていただきました。少しばかり緊張された面持ちで御答弁されておりましたことを思い起こします。知事は、もっと高知を元気にしたい、若者が誇りを持って定住できる魅力あふれる県にしたい、生まれ育った大好きなふるさと高知のために頑張りたい、尾崎県政の方向性を継承し、さらに新しい時代の視点に立って、県民と共に活力ある高知県、共感と前進の県政を実現していくのだと答弁されました。 加藤議員とのやり取りが示すように、政治とは政治家が夢を語り、共感を得た多くの仲間と夢の実現に向けて汗をかいて、世の中を変えていく、治めていく行為のことと思います。コロナ禍が長期化の様相を呈する中、多くの県民が高知のこれからについて不安を感じていると思います。だからこそ、私たちがまばゆいばかりの夢を、希望にあふれたこれからの高知を語らなければなりません。今まさに折り返し地点にあって、改めて知事のアップデートされた夢や意気込みについてお聞かせください。 県民をどこへ導かれようとしているのか、濱田知事のビジョンについてお尋ねいたします。 さて、本年の10月末には、国のかじ取りを決める上で極めて重要な第49回衆議院議員総選挙が実施されました。自民苦戦のマスコミの事前予想が外れ、15席減らしたものの261議席確保と、単独過半数を維持しました。一方で、日本維新の会が議席を大幅に伸ばし、これにより改憲勢力は選挙前の310議席から345議席と、改憲に必要な3分の2に当たる310議席を大きく超えることとなりました。 日本経済新聞の調査によれば、比例の政党別得票率は全国の市町村別に見た場合、1,464の全体の84%の自治体で前回を上回っています。この結果、自民党は、今回小選挙区トータルで約2,760万票を獲得し、前回よりも約110万票を積み増ししました。また、朝日新聞の調査では、自民党はどの世代からも満遍なく支持を得ており、中でも10代、20代の若者の支持が40%台と堅調であったことが明らかとなりました。 また、SNS上では投票を呼びかけるハッシュタグがトレンド入りしたそうです。その影響もあってかは分かりかねますが、18歳と19歳の投票率は43%で、前回を2.52ポイント上回りました。これからを担う若者たちが将来を真剣に考えて行動し、投じてくれた一票の重みをしっかりと受け止め、責任政党としての責務を果たしていかねばと決意を新たにいたしました。 濱田知事におかれましても、本県の小選挙区と四国比例をはじめとして、衆議院選の趨勢について関心を持って見守られたことと拝察いたします。 衆議院議員総選挙の結果の受け止めについて知事にお伺いいたします。 皆さん御存じのとおり、高知県の小選挙区では中谷元候補と前知事の尾崎正直候補が、野党候補者にダブルスコアの大勝を果たしました。中谷元先生におかれましては、国際的な人権問題を所管する新設の首相補佐官に着任されました。中国政府による新疆ウイグル自治区や香港などでの人権弾圧に対応するため、外務省や法務省など関係する省庁を横断し、人権問題に関する情報収集や分析を担われるとお聞きしております。大変重要な職務と拝察いたします。御活躍を御期待申し上げます。 四国比例代表では、福井照候補は誠に残念な結果となってしまいましたが、山本有二候補と友党公明党からは、先日まで県議会で御一緒しておりました山崎正恭候補が当選されました。誠におめでとうございます。 加えまして、参議院の先生方は自民党籍でございますから、高知県選出国会議員は全て与党系となります。先生方におかれましては、それぞれの得意分野において高知のため、日本のために御活躍くださるものと御祈念、御期待申し上げます。 オール与党系となった高知県選出国会議員に期待することについて知事にお尋ねいたします。 さて、12月6日の臨時国会において所信表明演説が行われ、その中で岸田総理のカラー、新しい資本主義についてお話がありました。岸田総理は、成長も分配も実現する、人に温かい資本主義、人への配分をコストではなく未来への投資と捉えなくてはならないと述べられました。かつて内閣府参与を務められた原丈人氏の影響を色濃く受けているものと思われます。 原氏は新しい資本主義や公益資本主義を提唱し、株主至上主義に傾きつつある現在の資本主義に警鐘を鳴らしました。会社が物言う株主によって短期の利益ばかりを求められる現状を改め、中長期の投資をベースに、開発や基礎研究などにしっかりと取り組み、安定して利益を生み出すことのできる環境を整えなければならない、そして会社は公器でなければならない、ゆえに社員や顧客、仕入先、株主、地域社会、地球など会社を支えるあらゆるメンバーに会社の利益を分配する、三方よしでなければならないと説かれました。新しい資本主義が日本によって結実し、世界の新自由主義的な流れに一石を投じることができますよう御期待申し上げます。 安全保障については、従来の枠組みに加えて、敵基地攻撃能力の獲得を選択肢から排除しないとして、安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画の新たな策定に取り組むといった踏み込んだ発言をされました。高市政調会長の発信を受けて、この国もついにと言うべきか、ここまで追い詰められてと言うべきか、ようやくリアリズムに立脚した安全保障政策を語ることができるようになったと感じました。敗戦から76年という長い歳月を要したことを思うとき、ひときわ感慨深いものがあります。 デジタル田園都市国家構想について、地方の人口減、高齢化、産業空洞化などの課題を解決していくに当たり、デジタル技術の活用が不可欠です。しかし、本県の実情に代表されるように、肝腎の中山間過疎地や人手不足にあえぐ地域においては、デジタル技術を活用したくとも、高速かつ膨大な通信量に応えられる通信インフラが十分に整備されていません。 そこで、デジタル田園都市国家構想では、3年程度で海底ケーブルで日本を周回させ、あわせて各地に設置する大規模データセンター、光ファイバー、5Gの整備を進めることとされています。これからの地方、とりわけ過疎地において起死回生の一手となることが期待されます。るる述べましたとおり、私は現政権のもろもろの政策に大いに期待を寄せております。 濱田知事におかれましては、岸田総理の所信表明演説をどのように受け止められたか、お伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねいたします。 8月中旬頃より本県においても新型コロナの感染者数が急激に増加し、8月下旬には1日当たりの新規感染者数が100名を超えるに至りました。判断指標のステージは非常事態に達し、医療崩壊が心配される状況となりましたが、医療関係者をはじめとして関係各位の献身的な御尽力により無事に乗り切ることができました。おかげさまで、現在県内では感染者数ゼロ名の日が続いております。事ここに至ることができたのは、感染症の拡大防止のための県民や事業者各位の協力はもちろんのこと、4月からのワクチン接種の効果を抜きに語ることはできません。 その3回目のワクチン接種が、12月1日より医療従事者を対象に先行して実施されています。第6波を乗り越える鍵の一つが本ワクチン接種に託されていることは疑いようもありません。ただ、この3回目の接種に当たっては、交互接種やワクチンの確保など、幾つか課題があると考えております。 これまでの国の方針としては、2回目、3回目の接種間隔は原則8か月となっておりましたが、先日の総理の所信表明において、オミクロン株へのワクチン効果を一定程度見極めた上で、優先度に応じモデルナを活用して6か月への前倒しをするという方針が示されました。オミクロン株の出現により、これまでの方針に変更があり、3回目の接種を8か月経過後を前提に準備していた市町村も、計画の変更が必要な状態となってまいりました。 そこで、3回目のワクチン接種における課題と県の対応について知事にお尋ねいたします。 さて、新型コロナウイルス感染症との闘いも間もなく丸2年になろうとしています。この間の変異の速さや感染力の強さから考えても、今後しばらくの間、新型コロナウイルス感染症と闘い続けなければならないであろうことは想像に難くありません。医療体制の整備、ワクチンや経口薬等の開発、マスクや手洗い、3密回避などの感染拡大防止ノウハウ蓄積等により、以前ほど新型コロナ感染症に翻弄されることはないものと期待いたします。 このたび、高知県における新型コロナウイルス感染症対応の目安に修正を加え、さらに高知県保健・医療提供体制確保計画も策定の運びとなりました。これらの動きを踏まえて、新型コロナウイルス感染症の第6波以降にどのように立ち向かわれるおつもりか、濱田知事にお尋ねいたします。 また、コロナ禍が長期化する中で消費は低迷し、県経済は依然として厳しい状況にあります。加えて、世界的にワクチン接種が進む中で急激に需要が回復したことにより需給バランスが崩れ、様々な分野で原材料、製品、サービスの価格が高騰を続けています。半導体不足からの製品供給遅れ、原油の高騰からのエネルギーコストの上昇、コンテナ不足による物流停滞、木材需要急拡大によるウッドショック、サービス業の担い手不足など、もろもろの影響を受けたこのたびの高騰は、ダイレクトに家計や企業経営を脅かしています。 長期化するコロナ禍にあって、県経済をどのように支えていくおつもりか、濱田知事にお伺いいたします。 さて、新型コロナウイルス感染症の次なる不安要素といえば、新たな変異種オミクロン株であります。同株は南アフリカとその周辺諸国を飛び出した後、すさまじい感染力によりあらゆる地域で拡散し、デルタ株と置き換わっているようです。欧州ではワクチン接種が進んでいても、ここに至って過去最多の感染者数を記録する国が出てきています。懸念される変異株に位置づけられたオミクロン株は、特性についてまだ十分な知見が蓄積されておりません。 政府は最大の警戒感の下、水際対策として11月末から全ての外国人の入国を原則禁止といたしました。帰国者についても一時は到着便の新規予約の停止措置を掲げましたが、一転二転の後、1日当たりの入国者数を3,500人以下とする制限措置といたしました。 しかし、このような措置を永久に続けることはできませんし、たとえ人の流れを抑えたとしても、近い将来何らかの形でオミクロン株のある程度の国内流行を許すことになると思われます。既に国内では同株の新規感染者が確認されております。また、県内では、昨日濃厚接触者として県内の宿泊療養施設に1名入所したとの発表がありました。事ほどさようですから、私が申し上げたようなことは政府も重々承知の上であろうと思います。であれば、今般の水際対策の目的とするところはどこにあると考えるべきか。 政府が実施している水際対策についての御所見を危機管理部長にお尋ねいたします。 台湾有事についてお尋ねいたします。 先般、神戸で開催された日台交流サミットに参加をいたしました。以前より本県は、経済面では観光誘致を中心に台湾と積極的な関係づくりを進めてまいりました。また、文化面では台湾最大の祭りであるランタンフェスティバルに本県のよさこいチームが出場し、本県のよさこい祭りに新竹県のチームが参加するなどの交流を実施しています。 台湾の民主化に汗をかかれた李登輝氏は坂本龍馬の大ファンであり、生前は高知にも足を運んでくださいました。また、東日本大震災をはじめとして日本が自然災害に見舞われた際には、台湾より本当に感謝し切れないほどの御支援をいただいております。そして、かつては日本の一部であったことから、台湾で生まれ育ったという方も県下にいらっしゃいます。 このような幾重にも折り重なる御縁もあり、多くの高知県民が中華人民共和国、中国のとどまることの知らない野心によって、建国以来最も危険な状況に置かれている台湾の状況を憂慮し、心を痛めていることと存じます。中華人民共和国は、一つの中国のスローガンの下、台湾をのみ込もうとしています。その悲願とも言える目的を達成するため、台湾に対して領空・領海侵犯などの軍事的プレッシャーを与え、さらには外交、経済を駆使した恫喝をちゅうちょなく実行しています。 つい先日のことですが、中国は、リトアニアが台湾を新たに国家として承認したことに対する報復措置として、多国籍企業に対して、リトアニアとの関係を絶たなければ中国市場から締め出すと警告を発しました。これに従い、既にリトアニアのサプライヤーとの取引をキャンセルした企業も出たそうです。 さらに、中国は、その野心に他の国々が干渉できないようにするために、膨大な軍事費をつぎ込み、驚異的なスピードで軍事力を増大させています。中国が最近配備にこぎ着けた核搭載可能な潜水艦発射弾道ミサイル、JL3型SLBMは、最大射程1万2,000キロメートルと推定されています。その射程範囲内にはアメリカのワシントンはもちろんのこと、ヨーロッパの国々の首都が収まります。 中国は早急に台湾を支配下に置き、JL3を搭載した原子力潜水艦を自由に太平洋に航行させることのできる環境をつくろうとしています。仮に実現すれば、核ミサイルの発射を阻止することはまず不可能となり、中国から核攻撃を受けるリスクの増加により、各国の中国に対しての核戦力の優位性が低下します。東アジアに領土や何らかの権益を有する国々は中国の干渉に対抗できず、それらを放棄せざるを得ない状況に追い込まれると予測されます。 このような事態を回避すべく、アメリカや東アジア、ヨーロッパの国々は現在一致協力して中国包囲網を形成しつつあります。本年の8月には、イギリスは空母打撃群をインド太平洋地域に派遣し、日本、さらにアメリカやオランダを加えて初めての共同訓練を行いました。また、記憶に新しいかとは思いますが、オーストラリアがフランスから原子力潜水艦を調達する旨の契約をほごにいたしました。その後にアメリカから調達することとなった最大の理由は、中国の海洋進出に対処可能な性能を有する原子力潜水艦を確保するためでありました。さらには、台湾には現在アメリカ軍が訓練を名目に駐留しています。 日本に関して言えば、台湾が中国にのみ込まれた場合、致命的な安全保障上の問題が発生いたします。日本に関係するタンカーが台湾周辺を航行できなくなるおそれがあるだけでなく、アメリカの核の傘が有名無実と化し、日本が中国の実質的支配下、影響下に置かれることとなります。香港やウイグルの例を思い起こせば、日本にとって最も避けたい最悪のシナリオです。 日台交流サミットの講演に立たれた元在沖縄海兵隊政務外交部次長、ロバート・D・エルドリッヂ氏は、台湾有事は最大で6年、最短で2年以内に起きる可能性が高いと述べられました。その際には、中国は並行して尖閣や沖縄あるいは日本本土に対して何らかの軍事的アクションを仕掛けてくるのが蓋然的とのお話もありました。サイバー攻撃によるライフライン破壊など、本県も他人事ではありません。台湾有事とは、まさに日本有事であるとの思いを強くいたしました。 台湾有事を我々の問題であると真剣に受け止める必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いします。 集落実態調査の取りまとめについて質問を行います。中山間に点在する50世帯未満の集落約1,500か所を対象に、10年ぶりの住民からの聞き取り調査が行われました。中山間の集落が日に日に活力を失いつつある現実を打破していくため、取りまとめを基に対策を検討し、活性化に向けて取り組むものとお聞きしております。取りまとめ途中の概要版を拝見しましたところ、平素より議員各位が中山間で見聞きし、課題として発信する内容とほぼ一致するものとお見受けいたします。課題の存在が調査により裏づけられたものと評価いたします。 一方で、調査で示された地域の代表的な課題を詳細に追いますと、県や市町村によって課題別に既に何かしらの対策が講じられているものもあるように思われます。ここにさらに一段高いレベルの結果を出していくためには、調査結果に対してもレベルの一段高い活用法を見いだしていく必要があると考えます。 そこで、集落実態調査の取りまとめの概況と今後の活用方法について中山間振興・交通部長にお尋ねいたします。 次に、子供たちの近視についてお尋ねいたします。 昨今、近視による子供の視力低下が世界でも社会問題化しています。アジアでは約60年間で20代以下の近視が4倍となり、2050年には世界人口の約半数が近視になるという予測があります。特に、東アジアの中国、香港、台湾、韓国、シンガポールといった国々で近視が急激に増加し、10代の近視の割合は80%以上に達しています。中国では既に都市部に住む人の失明の原因の第1位が近視となっております。西側諸国の近視の割合は30%から50%ですが、増加傾向にあり、数年後には東アジア並みになるという予測もあります。このような事態を背景に、WHO--世界保健機関は深刻な公衆衛生上の懸念を表明しました。また、各国の政府も危機感を抱き、近視についての研究が盛んに行われています。 近視に悩む子供たちは、日本でも増加の一途をたどっています。裸眼視力1.0未満の割合は、12歳で55.19%、17歳で64.43%に達しています。私たちの身近にあふれるデジタルデバイス、スマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機により生活は便利にはなりましたが、30センチ以内の近くのものを見る近見作業時間が大幅に増加いたしました。例えば、GIGAスクール構想が進む中、子供たちがタブレット端末に触れる機会も増加しています。さらには、コロナ禍によりおうち時間が増えたことで、デジタルデバイス利用による近見作業時間が増加し、結果、近視の子供が増加したとのニュースも拝見しました。 近見作業増加により近視になるメカニズムはどのようなものでしょうか。目は通常、網膜の上で像の焦点が合うように、レンズに当たる水晶体の厚さを調節しています。しかし、近距離を見る場合、焦点が網膜の奥に行き過ぎることがあります。この状態が長く続いた場合、焦点合わせに順応するために、眼球の前後の長さ、眼軸長が伸び近視が進行すると考えられています。 近視は視力が低下するだけでなく、眼軸長の伸びにより網膜や視神経が傷つき、緑内障、網膜剥離になる可能性があります。また、最新の研究によると、脳が得る情報のおよそ8割を目からの情報が占めていることから、近視になることにより脳への刺激が減り、認知症になりやすいと報告されています。さらには、鬱や不安障害、睡眠障害との関係性も指摘されています。様々な病気の入り口になり得ることから、糖尿病同様に近視も生活習慣病と言って差し支えないと思われます。 さきに述べましたように、世界では既に近視を減らすことを目的とした様々な研究や対策が進められています。世界で最も近視の割合が高い国の一つシンガポールでは、150億円以上の予算を投じ、国立眼科センターにおいて研究が行われています。その結果、アトロピンという点眼薬が近眼の進行を遅らせることが分かってきました。オーストラリアの国立大学の研究では、光を浴びるとドーパミンが目の内部に分泌され、眼軸の伸びが抑えられることが報告されています。 関連するお話として、20歳以下の8割が近視の台湾では、子供700人を対象とした実験により、明るさ1,000ルクス以上の光を週11時間以上浴びた子供は近視になりにくいことを突き止めました。一般的に屋内では300ルクス程度、窓際でも800ルクス程度であり、屋外でなければ1,000ルクスはまず達成できません。なお、屋外では日陰でも数千ルクスに達します。そこで、台湾政府は法律を改正し、体育の授業を週150分屋外で行うことを義務づけました。そのほかの授業を加えて、1,000ルクス下で1日2時間を目標としています。その取組の結果、視力0.8未満の小学生の割合が、実施前と比較して5%以上減少したと報告されております。子供の近視が増加傾向にある実態と世界の流れを背景に、文科省も調査に着手したと承知をしております。本県の子供たちの目の健康が気がかりなところです。 高知県の子供たちの近視の現状と対策について教育長にお尋ねいたします。 次に、よさこいの振興についてお尋ねいたします。 実は私、今年2年ぶりによさこい踊りを踊らせていただきました。よさこい祭振興会のよさこい祭りは昨年に続き本年もコロナ禍により残念ながら中止となりましたが、高知県理容生活衛生同業組合、り組の皆さんと地域や学校のイベント、こうち旅広場などを間借りしてよさこい踊りを披露させていただきました。やはり体を動かすのはいいものです。ぜひ知事にもどこかの機会に踊っていただきたいと思います。 よさこいに参加するとなれば、少なくとも半年、早いところで1年も以前から準備をスタートさせなければなりません。その上で、コロナ禍によって中止に追い込まれる可能性もありますから、運営側も、また参加者も大変な覚悟が必要です。今年度は、り組のように規模を問わずイベントを探し出し、そこで踊る機会を得ることで、チームのモチベーションの維持を図るケースをお見かけしました。また、中には学生が申し送りでバトン参加を繰り返すことで、毎年の踊り子を確保してきたといった事情から、2年連続の欠場はチーム存続に関わるとして、実施に踏み切った事例もあるようにお聞きしております。 もし、また来年度のよさこい祭りがコロナ禍によって三たび中止になったとしても、それは感染拡大防止の観点から仕方のないことと思います。しかし、先ほど申しましたように、三たび中止にしてそれで終わりでは、よさこい踊りの未来、存続に関わってくる可能性があります。よさこい踊り存続のため、県関係の観光イベント内で踊りを披露できる機会をあらかじめ準備しておくなどの方法も一考に値すると思われます。様々な可能性を御検討いただきたいと思います。 今後のよさこい振興の在り方について観光振興部長にお尋ねいたします。 最後に、議員1期目に行った質問を濱田知事にも行いたいと思います。以前お聞きくださった議員方には、しばらくお付き合いいただきたくお願い申し上げます。 どのような組織、グループでも対処すべき課題が大きいほど、また大きな結果が求められるほど、たくさんの人が強固に連携して課題解決に取り組む必要があります。連携を効果的なものとするためには、信頼関係に基づく闊達なコミュニケーションが重要です。さらには、そのベースとなる信頼の強度を上げるために、仲間意識、帰属意識を高めなければなりません。 御記憶にあるかもしれませんが、私はかつて脳科学分野の研究を参考に、オキシトシンの活用について議会質問を行いました。オキシトシンは脳の報酬回路から支払われる幸せホルモン、愛情ホルモンと呼ばれる化学物質であります。他者からの共感や認知により分泌が進み、人と人のつながりを強める、互いの愛着を形成するなどの働きを有します。つまり、知事のスローガンであるところの他者との共感、他者との物語の共有が進めば、オキシトシンの分泌により、互いの仲間意識やグループへの帰属意識を高めることができます。 これを踏まえて、私が日本人の仲間意識、帰属意識を高めるに最適と考える共有すべき物語、古事記、日本書紀についてお話をさせていただきます。古事記は、一般に現存する日本最古の歴史書であり、その序によれば、和銅5年、西暦712年に稗田阿礼が暗唱したものを太安万侶が編さんし、元明天皇に献上されたことで成立したとされています。天地開闢から推古天皇の記事を記述しています。日本書紀は、養老4年、西暦720年に完成した日本に現存する最古の正史です。神代から持統天皇の時代までを扱い、漢文、編年体で記述されています。その記述方法の違いから、古事記が国内向けの書物として天皇家の正当性を示すもの、日本書紀が国外向けに発信するための公式の国史を記したものとして、それぞれ作成されたと考えられています。 以下、古事記と日本書紀の概要をかいつまんで御紹介いたします。 私たちの祖先は、高天原と言われる神々の住まわれる理想郷があると考えました。そこにいらっしゃる2柱の神、イザナギとイザナミがお創りになられたのが現在の世界です。私たちはこの2柱の神の子孫ということになります。 書物には、たくさんの神々と彼らに関連したエピソードが登場します。記された出来事の多くは、してはいけないこと、してもよいことを、祖先が子孫らに諭すような訓話的な内容です。それらが物語の中で積み重なる中で、日本人が理想とする高天原の輪郭、つまり日本人の理想とする姿が明らかとなっていきます。 あるとき、最も尊いとされる光を象徴する女神、アマテラスオオミカミが誕生されますと、理想世界の高天原を地上世界に実現するために、孫のニニギノミコトを地上にお遣わしになります。これを天孫降臨といいます。天孫降臨の際には、三大神勅と三種の神器をニニギノミコトに託されます。 三大神勅の1つ目は天壌無窮の神勅です。日本は私の子孫が天皇となる国です。その皇位は天地とともに永遠に栄えるでしょうと皇位の正当性を伝えられました。2つ目は宝鏡奉斎の神勅。アマテラスオオミカミはニニギノミコトに三種の神器の一つである鏡を下された際、我すなわちアマテラスオオミカミを見るがごとくせよと仰せになりました。3つ目は斎庭稲穂の神勅。私が高天原で育てた神聖な稲穂をあなたに授けましょうとして、稲を地上に授けられたことを伝える神勅です。毎年秋、宮中や全国の神社で行われる新嘗祭は、アマテラスオオミカミからの贈物である米の収穫を感謝するお祭りです。戦後、新嘗祭は勤労感謝の日と名前を変えさせられました。 さて、2つ目の宝鏡奉斎の神勅では、姿を映す鏡をアマテラスオオミカミそのものであると思い、祭りなさいと渡されました。つまり、鏡に映る自身の姿はアマテラスオオミカミと重なっていなければならないということを示唆しています。ニニギノミコトの孫となる初代天皇の神武天皇をはじめとして、歴代の天皇は鏡に映る姿をアマテラスオオミカミに常に重ねることにより、日本人の理想の姿を体現し、導かれる役割を負われてきたわけであります。過去どんなに日本が乱れても天皇、皇室の導きの下に立ち直れた理由がここにあります。 古事記の語る結びの概念を紹介させていただきます。古事記の出だしには、高天原にまず全ての本源を表すアメノミナカヌシノカミ、次にタカミムスビノカミ、カミムスビノカミがいらっしゃるとあります。これらは3つで1つで、その姿は目には見えません。古代日本人は全てをつかさどる完成されたアメノミナカヌシノカミ1柱では、世界に変化がもたらされないので、結びという生産、創造の働きの力を象徴する神様、タカミムスビノカミ、カミムスビノカミの2柱が必要と考えました。2柱は互いに相補的な存在です。その例と言えば男と女、右と左、火と水といったものが挙げられます。 単体では不完全ですが、2つ以上の力が存在することにより作用し、新しいものが生み出されていく、これが結びの精神です。左右の手が合わさって作られるおむすび、おにぎりの語源でもあります。古来より、日本が仏教をはじめとして外来の様々なものを自国のものとして取り込み、さらに改変することで自国の発展に役立てることができた理由を、この結びの概念に求めることができます。日本人はもとより排他的ではあります。 もう一つ余談をお話しさせていただきます。我が国においては自称無宗教の人がほとんどであります。しかし、周囲に注意を払えば、私たちは生まれながらにして日本書紀、古事記をルーツとする神道から生まれた文化や伝統の影響を強く受けながら日々を営んでいることに気づかされます。例えば、神道に見られる左上位の概念。お茶碗を左側に置き、左手に持つのはアマテラスオオミカミが授けてくださったお米が上位に来なければならないからです。焼き魚も頭を上位の左側に向けます。宴席の配席や舞台の上手、下手、左大臣と右大臣の序列も同じ考え方に端を発しています。 そのほか、日本人の汚れに対する忌避感、湯舟を好む習慣など、しきたりや風習、感性など多くの事柄が神道の影響を色濃く受けています。これらの事実は、神道が宗教というよりは日本人の生き方そのものの伝承であるということを証明しています。 最後に、古事記、日本書紀が今日まで語り継がれてきた意味について考えてみたいと思います。古事記、日本書紀が作成された時代や、その後においても、紙は大変な貴重品でした。また、文字の読み書きができる人も今ほど多くはありません。そのような環境下にあって、古事記、日本書紀は今日までの少なくとも1,300年もの間、それぞれの時代に生きた人々のたゆまぬ努力により大切に残されてきました。その価値があると認められたからこそ守り継がれてきたと言えます。 千数百年、今日に至るまで価値があると認められ続けた物語、それは日本人はかくあるべきという先人の遺言、あるいは日本人の守るべき真理と言い換えることができるでしょう。いにしえより伝わる文化や伝統がなぜ大切なのかという問いの答えもここにあると私は考えます。 神話にルーツを持つ世界最古の王朝、皇室を頂く国日本、その始まりの物語を通して先人の思いを知れば知るほど、日本のことが好きにならずにはいられません。古事記、日本書紀の学びから、私たちが自分たちは何者かについて向き合い、さらに物語の共有が進むとすればどんなにすばらしいか、立ち塞がる課題を前に、より強固な連携の下に取り組むことができるでしょうし、必定よりよい結果につながるものと確信いたします。 日本人が母国の物語を共有することの意義について濱田知事の所感をお伺いいたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 西内隆純議員の御質問にお答えをいたします。 まず、知事を2年間務めた感想と県政上の課題についてお尋ねがございました。関連をいたしますので、併せてお答えをいたします。 改めて振り返りますと、知事就任後の2年間は、やはり新型コロナウイルス感染症への対応に追われた日々であったというふうに感じます。私自身これまで誰も経験したことのない難題を前に、時に悩みながら、感染の拡大防止と社会経済活動との両立に向けまして全力を傾けてまいりました。まさに走りながら次の一手を考えなければならない、そんな2年間であったように思います。 一方、県民座談会などを通じまして、多くの県民の皆さんと触れ合い、様々な御意見やお話をお伺いしてきた2年間でもございました。特に、各地で懸命に頑張っておられる方々の姿には、私自身も勇気づけられ、多くの県民の皆さんの期待に応えなければならない、その思いを強くしたところであります。 また、この間、県勢浮揚に向けた取組についても工夫を凝らしながら進めてまいりました。その結果、スタートを切ることができた新たな施策もあります。一方で、関西圏との経済連携の取組は着手はしたものの、思うように進捗しておらない面もありまして、今後の課題として重く受け止めております。 こうした2年間を通じて気づいた県政上の課題について申し上げますと、まず中山間地域の厳しい状況がございます。これまで全市町村を回らせていただきまして、多くの地域を訪問いたしました。その中で肌で感じた中山間地域の現状は、私の想像をはるかに超えるものがございました。改めて、中山間地域での生活を守り、産業をつくるということの困難さ、また重要さを認識したところです。さらに、人口減少、少子高齢化がもたらす産業や地域の担い手不足といいました本県の構造的な問題もございます。県勢浮揚に向けて避けて通れないこうした課題の解決は、いまだ道半ばと言って過言ではないと存じます。 また、各地に足を運ぶ中で感じましたことは、県外の方々に十分に知られていない魅力的な人や産品、そして豊かな自然などがまだまだ県内には眠っているということでもあります。こうした地域の潜在力をより一層引き出しまして、本県のよさや強みを全国に、さらには世界に向けて広くPRしていかなければいけないと考えます。 今月からは知事として任期の後半に入っております。今後の県政運営に当たりましては、新型コロナウイルス感染症への対応を適切に行いながらも、本県の抱えます積年の課題にスピード感を持って取り組んでいかなければならないとの思いを強くしております。 引き続き、県民の皆様の声に耳を傾けますとともに、時代の変化を先取りし、絶えず施策を進化させながら、県勢浮揚に向けて全力で取り組んでまいります。 次に、私のビジョンについてお尋ねがございました。 私は知事就任直後の12月県議会におきまして、これまでの県政をしっかりと継承すること、また3つの目指すべき姿の実現に向けて県政を発展させることを表明いたしました。3つの目指すべき姿と申しますのは、第1に、いきいきと仕事ができる高知であります。その実現に向けまして、産業振興計画によって新たな雇用を創出してまいります。第2に、いきいきと生活ができる高知であります。教育の充実や子育て支援、日本一の健康長寿県づくりの取組などを進めてまいります。第3に、安全・安心な高知であります。南海トラフ地震対策や豪雨災害対策、そしてインフラ整備を推進してまいることとしております。 これらが私の実現をしたい高知県、本県の将来像でありまして、いわゆるビジョンと言えるものだというふうに考えております。2年を経た現在にありまして、この思いをさらに強くしております。具体的に申しますと、第1のいきいきと仕事ができる高知につきましては、新たな技術、そしてイノベーションにより、生産性の向上や高付加価値化を図っていくということが急務だと考えます。全国に負けない質の高い仕事を生み出すことで、若者を引きつける高知にしたい、そういう思いであります。 第2に、いきいきと生活ができる高知に関しましては、中山間地域の多い本県でありましても、例えば医療や介護、教育や子育て支援、こういったサービスが効果的に提供できるような体制を整えたい、そして住み慣れた地域で住み続けられる高知にしたい、そうした思いを抱いております。 第3の安全・安心な高知につきましては、産業や生活の土台となりますインフラの整備を進めますとともに、近い将来の発生が確実視されております南海トラフ地震などへの着実な備えをいたしまして、県民の皆さんの生命、財産がしっかりと守られる、そんな高知にしたいという思いであります。 こうした将来像につきまして、県民の皆さんの共感を得ながら、共に前進をしてまいりたいと考えております。 また、今般のコロナ禍によりまして、社会や経済の構造が大きく転換をしてきておりますように、時代は常に変化をしていくものだというふうに捉えております。このため、時代の変化を県勢浮揚に結びつけるべく、県のリーダーとして私自身が世の中の大きな潮流を見極め、本県の進むべき道を指し示してまいりたいと考えております。 こうしたビジョンの下、50年後、100年後も県民の皆さんが誇れる高知県を目指しまして、県民の皆さんと共に未来へ向けて歩んでまいる決意であります。 次に、さきの衆議院議員総選挙の結果の受け止めと、県選出国会議員への期待についてお尋ねがございました。関連をいたしますので、併せてお答えをいたします。 さきの衆議院議員総選挙におきましては、自民党と公明党の連立与党で過半数を超える議席を確保することとなりました。このことは、自公連立政権が取り組んでこられた各政策や新型コロナウイルス感染症への対応に対しまして、有権者の皆さんから一定の信任が得られた結果ではないかというふうに受け止めております。 政府・与党におかれましては、岸田総理が述べられましたように、国民の声を丁寧に聞きながら、新型コロナウイルスへの対応や経済対策などを着実に実行していただきたいというふうに考えております。加えて、地方の声にも十分に耳を傾けていただきまして、地方創生の推進あるいは国土強靱化など、山積をいたします諸課題に真正面から取り組んでいただくということを期待いたしております。 また、今回の選挙では、本県の関係議員といたしまして4名の方が当選をされました。いずれの方も政権与党に籍を置かれまして、また本県の実情に精通をし、かつ豊富な経験をお持ちの方々であります。私自身大変心強く感じているところであります。 県選出の国会議員の皆様には、選挙を通じてお聞きになられた県民の声をしっかりと国政へ届けていただきたい、そして地方から日本を元気にしていただきたいというふうに思います。あわせまして、課題先進県であります本県の実情あるいは課題解決に向けた提言を国に届けられまして、制度改正や新たな政策の実現につなげていただくといった形で、国と県との橋渡し役を果たしていただくということを期待いたしております。 次に、岸田総理の所信表明演説の受け止めについてお尋ねがございました。 臨時国会におきます岸田総理の所信表明演説におきましては、さきの総選挙の結果を受け、今後新型コロナの克服や経済の再生に挑む総理の強い決意が述べられたものというふうに受け止めております。 このうち新型コロナウイルス対応におきましては、最悪の事態を想定し、新たな変異株に迅速に対応するとともに、再度の感染拡大に備えて医療提供体制を確保する方針などが示されました。引き続き、地方と緊密に連携を図りながら、感染拡大防止への備えを進めていただきたいと考えております。 また、新型コロナで落ち込みました経済活動が通常に戻るには、もう少し時間がかかるということを踏まえまして、断固たる決意で事業の継続と雇用を守り抜くというふうに述べられております。国会で審議中の補正予算案におきましては、生活に困窮されている方々あるいは影響を受けた事業者の方々への給付金などが盛り込まれております。速やかな予算の成立が図られることを期待いたすものであります。 このほか、総理が目指されます新しい資本主義の実現の中で、デジタル田園都市国家構想の推進によりまして、デジタルによる地域の活性化を進めると力強く述べられました。あわせまして、人類共通の社会課題である気候変動問題を新たな市場を生む成長分野へと大きく転換をする方針などが示されております。これらの方針は、本県の県勢浮揚に向けた政策課題の柱でありますデジタル化、グリーン化などの施策の追い風になるものというふうに考えております。 現在、我が国は新型コロナウイルスへの対応はもとよりでありますが、経済の回復や地方創生の推進、少子高齢化による人口減少、さらには外交、安全保障など様々な重要課題に直面をしております。岸田総理には引き続き地方との丁寧な対話を通じまして、こうした喫緊の課題にリーダーシップを発揮し、真正面から取り組んでいただくことを期待いたしております。 次に、3回目の新型コロナウイルス対応のワクチン接種に向けた課題と県の対応についてお尋ねがございました。 12月から3回目のワクチンの接種が開始をされましたけれども、大きく2つの課題があるというふうに認識をいたしております。1つ目は、いわゆる交互接種とワクチン確保に対する課題であります。3回目の接種につきましては、1回目、2回目のワクチンと異なるメーカーのワクチンを接種する、いわゆる交互接種が認められております。この交互接種を行うということを前提といたしまして、本県に国から3月の末までの接種分として配分されるワクチンは、ファイザー社製が60%、モデルナ社製が40%となっております。しかしながら、一方で3月の末までに接種の対象となる方のほとんどが、これまで2回につきましてはファイザー社製を接種しておられるという実態がございます。したがいまして、これらの方々が前回と同じメーカーを希望する場合、ファイザー社製のワクチンが不足をするという結果が予想されるところでございます。 このため、先日全国知事会のワクチンチームリーダーといたしまして、国に対し、ファイザー社製ワクチンの配分の前倒しの要請を行いました。現在、国におきましてファイザー社との前倒しの交渉を進めておられると聞いておりますけれども、現状では必ずしも希望するメーカーのワクチンが接種できないということが想定をされているわけであります。こうした状況も国民の皆さんによく御理解をいただいた上で、安心して接種を進めていただけるように、交互接種の安全性あるいは効果などにつきまして、国が責任を持って明らかにし、またPRをしていくということを求めてまいります。 課題の2つ目は、接種間隔の前倒しに関わる問題であります。現在は、原則2回目の接種後8か月を経過した方を対象に接種を進めております。一方で、オミクロン株の出現によりまして、接種間隔の前倒しが国において検討されているという状況にあります。感染リスクの変化に伴います対応としては理解できるわけでございますが、その一方でこうした前倒しということになりますと、市町村の接種券の発送計画や接種の体制の変更の必要が出てまいるという問題に加えまして、ワクチン総量の確保も課題となってくるわけであります。このため国に対しましては、前倒しに関します具体的な方針、そしてワクチン確保などの課題に対する対応を早急に示すことを求めてまいる考えであります。 県といたしましては、できるだけ多くの県民の皆さんに円滑に接種をしていただけますように、市町村と連携し、様々な場面で機動的な対応を図ってまいりたいと考えております。 次に、新型コロナウイルス感染症の第6波以降にどのように立ち向かうのかというお尋ねがございました。 今年の夏のいわゆる第5波におきましては、本県でもこれまでに例のない新規感染者の急増を経験いたしました。このため一定程度以上の医療ケアが必要な方、あるいは重症化リスクの高い方に入院療養や宿泊療養の資源を集中的に振り向けるために、それ以外の感染者の方々には自宅療養をお願いするということに至りました。 こうした経験を踏まえ、第6波への備えといたしまして、病床や宿泊療養施設をさらに確保するといった努力に加えまして、自宅療養患者の方々への対応強化策、そして臨時の医療施設の設置について検討を重ねてまいったところであります。検討いたしました結果、第5波と比較して感染力が2倍となった場合にも対応ができるような、高知県保健・医療提供体制確保計画を策定し、保健・医療の提供体制の充実を図ったところであります。 具体的には、まず治療を必要とする方が迅速かつ確実に入院ができますように、ピーク時の入院病床を9月1日時点に比べて約3割増となります301床に拡充いたしました。あわせまして、特別警戒のステージ以降の感染拡大期におきましては、医師会などと連携して、高知医療センターに隣接をいたしますやまももに、臨時の医療施設32床を運用するということといたしております。臨時の医療施設では、重症化リスクのある方への中和抗体薬治療などを実施するという計画でございます。 また、宿泊療養施設につきましても、高知市内に新たに1施設を追加して、合わせて4施設、385室を確保いたしました。この確保の居室数は、9月1日時点に比べまして約6割増となっており、感染した方々が安心して療養できる体制を強化したところであります。 このように、第5波の時点と比べまして大幅に医療提供体制を拡充したところではございますけれども、患者の方々が急増する時期には、やむを得ず自宅療養をお願いするといった場面も想定をいたしております。その場合におきましても、安心して自宅療養がいただける環境を整え、感染判明時から速やかに健康観察や生活面の支援が行えるように、保健所の体制を確保することが重要だと考えております。 このため、必要に応じて市町村保健師などの外部人材の協力を得ることなどによりまして、保健所の体制を強化してまいります。また、第5波の経験を生かしまして、感染状況に応じた高知市保健所を含みます各保健所の体制強化を可視化いたしましたタイムラインを策定し、業務量の増大にもスムーズに対応ができるようにしてまいります。あわせて、患者情報の電子化も促進をいたしまして、保健所業務の一層の効率化も図ってまいる考えであります。 今後、オミクロン株によります状況の変化なども注視をしながら、さらなる病床や宿泊療養施設の確保、そして保健所の体制強化に努めまして、今後の感染拡大に万全を期してまいります。 次に、長期化をするコロナ禍におきます県経済への対応につきましてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の影響により、本県の経済は観光関連産業をはじめといたしまして飲食業や農業、水産業など様々な分野でその影響が長期化をし、厳しい状況が続いております。こうした状況に加えて、原油価格の高騰などによりまして、運送業や製造業、建設業、さらには施設園芸といった第1次産業におきましても影響が出始めている、そうした状況だというふうに伺っているところでございます。 こうした状況が長引きますと、資金需要が高まります年末あるいは年度末にかけまして、事業者の方々の資金繰りへの影響が懸念をされるところであります。このため、原油価格高騰の影響を受けております事業者の資金繰りの支援に向けまして、県の制度融資の一部のメニューに償還期間、そして据置期間の延長等の特例措置を導入いたしました。加えまして、先行きを見通せない不安から廃業を検討されておられる方々からの相談件数が増えております。こうしたことから事業承継に関しても金融機関と連携をいたしまして、積極的に取り組んでまいります。 また、観光需要を喚起いたしますために、高知観光トク割キャンペーンの対象範囲を隣接県に拡大いたしますと同時に、交通費用を助成するキャンペーンと併せて期間を延長してまいります。さらに、需要が大きく落ち込んでおります結婚披露宴や大規模な宴会に関しましては、ワクチン・検査パッケージの手法の活用を促してまいりたいと考えております。 今後、県経済を再び成長軌道に乗せていきますためには、こうした喫緊の課題への対応に加えまして、一歩先を見据えた取組が必要となってまいります。このため、コロナ禍にありましても成長が期待できますデジタル化、グリーン化、グローバル化といった視点の下に、産学官民連携によります新たな産業創出にも挑戦をしてまいります。こうした取組を通じまして、県内産業の事業の継続と雇用を守りますとともに、県全体の産業の底上げを図ってまいりたいと考えております。 次に、台湾有事の受け止めについてお尋ねがございました。 台湾の主権や領土に関する問題は、歴史的な経緯を背景にいたしまして複雑化をしているところであります。こうした中、我が国と台湾との関係は、非政府間の実務関係として維持をされております。近年では、台湾周辺での中国の軍事活動が活発化をいたしまして、本年度の防衛白書においては、中台間の軍事的緊張が高まる可能性も否定できない状況になっているというふうにされているところでございます。 万が一、台湾が有事となった場合には、与那国島などは台湾から100キロ程度しか離れておらないということもございます。このため、台湾の有事は、日本の平和と安全にも重大な影響を及ぼすのではないかという懸念の声が高まってきているものと考えております。 こうした中、日本政府は、台湾海峡の平和と安定が日本の安全保障はもとより国際社会の安定にとっても重要だと考え、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するという立場にございます。 本県は、台北市に県の台湾オフィスを設置するなど、活発な経済交流や文化交流を通じまして、台湾との友好的な関係を構築してまいりました。私といたしましても、日本政府においては、台湾問題の平和的な解決に向けて御尽力をいただきたいと強く思っているところであります。 最後に、日本人が母国の物語を共有することの意義についてお尋ねがございました。 議員から御紹介がありました古事記や日本書紀には、悠久の時の流れを経て現在に引き継がれてきた中で、和を貴ぶ精神など古来より日本人が大切にしてきた普遍的な真理が説かれているというふうに考えております。また、これも御紹介がございました複数の力が合わさることにより新しいものが生まれ、世界がよりよくなっていくという結びの精神などの話は、現代においても全く色あせないものだというふうに感じるところでございます。 我々は、祖先のたゆまぬ努力、そして知識の積み重ねによりまして、現代社会の繁栄という果実を享受しております。このため歴史を振り返り共有するという作業を通じまして、こうした先人たちの業績を再認識し、これから進むべき方向性を見定めることができるというふうに考えます。 今後、地方が直面をしております人口減少、高齢化などの構造的な課題に対処をしていきます上で、地域の住民の英知を結集し、地域全体が思いを一つにして活性化に取り組むことが求められております。そのためには、自分たちの故郷に愛着を持ち、家族をはじめ他人を尊重いたしましたり、あるいは自分たちが生まれ育ってきた歴史、伝統を大切にしながら、仲間意識、帰属意識を醸成することが望ましいものというふうに考えております。 私が知事に就任をして2年が経過をいたしましたけれども、今後の県政運営を進めます上で大切な故郷の活力を底上げしていくと、そして皆様が誇りを持って住めるような魅力あふれる県にしたいとの思いを改めて強くしているところであります。地域でのつながりや支え合いの力を大切にいたしまして、官民の協働、そして市町村政との連携・協調、こういったものを通じながら、地域全体で課題の解決を図りたいと考えております。 引き続き、共感と前進を県政運営の基本姿勢といたしまして、県民の皆さんと価値観や進むべき方向性を共有していくということによりまして、共に元気な高知県づくりを進めてまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。   (危機管理部長浦田敏郎君登壇) ◎危機管理部長(浦田敏郎君) 政府が実施している新型コロナウイルスの水際対策についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルスの新たな変異株であるオミクロン株が南アフリカで確認されたと先月25日に発表されて以降、世界各国で感染が確認されておりますが、感染力や病原性の強さ、既存のワクチンの効果の有無といった特性は、まだはっきりとは分かっておりません。こうした新たな変異株に対しては、まずは水際対策を強化し、流入を防ぐことが重要であると考えます。 現在、国においては、11月末から当面1か月間、特段の事情がある場合を除き、全ての国、地域からの外国人の新規入国を一時停止しています。また、全ての入国者の検疫を強化するなど、オミクロン株についての情報がある程度明らかになるまでの緊急避難的な予防措置として、迅速かつ適切な対応をいただいていると考えております。こうした水際対策の強化により、ウイルスの流入を完全に防ぐということは困難と思われますが、感染拡大を遅らせる効果は十分あると考えています。 県といたしましても、国内における感染拡大を抑制している間に医療提供体制を整え、市町村と連携して3回目のワクチン接種を進めるなど、新たな変異株に備えてまいります。   (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇) ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 集落実態調査の取りまとめの概況と今後の活用方法についてお尋ねがございました。 今年度実施しております集落実態調査のうち、集落の代表者への聞き取り調査は、11月末時点で調査対象の約1,500集落のうち1,158集落で調査が終了しております。また、約100集落を対象としました世帯アンケート調査は、調査票の配付が完了し、順次回収を進めているところです。 これまでの集計結果では、地域の担い手不足や人口減少、高齢化による集落の活力の低下が共通の課題としまして現れております。また、日常生活を送っていく上での不便さなど、中山間地域の厳しい現状を改めて確認することができました。 今後の調査結果で、より明らかになってまいりますこれらの課題につきましては、デジタル技術の活用や集落活動センターとの連携、小規模集落の維持・活性化の仕組みづくりなど、新たな視点での対策を検討してまいります。また、喫緊の課題への対策につきましては、令和4年度予算に反映してまいりたいと考えております。 また、この調査は市町村の全面的な御協力の下、市町村職員の皆さんにも参加していただいております。調査結果につきましては市町村にもフィードバックさせていただき、各市町村での集落対策、人材育成、生活環境整備などにも活用していただきたいと考えております。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) 本県の子供たちの近視の現状と対策についてお尋ねがございました。 昨年度、文部科学省が実施しました学校保健統計調査の結果によりますと、高知県の児童生徒のうち学校生活への影響が生じるおそれがあるとされる裸眼視力1.0未満の児童生徒の割合は、6歳で22.1%、12歳で52.2%、15歳で65.8%と、年齢が上がるにつれて増加をしております。これは全国平均とほぼ同じ水準となっております。また、10年前と比較しますと、全国的な傾向と同様に、裸眼視力1.0未満の者の割合が高くなっており、児童生徒の視力低下は重要な課題であると認識をしております。 こうした状況から、これまでも学校では、健康診断後に眼科の受診を勧めることや、目の健康を保つための保健指導を実施してまいりました。また、県教育委員会では、このたびの1人1台タブレット端末の整備に合わせまして、今年3月には目に優しい教室環境の整備等の留意点をまとめた研修用動画を作成いたしました。さらに、10月には教室でタブレット端末を使用する際に目に負担のかからない正しい姿勢の確認や、目を休めることなどについての掲示物を作成し、県立学校や市町村教育委員会に配付するとともに、活用について周知をしたところでございます。 また、本年度文部科学省は、視力低下が進行する時期となる小中学生約9,000名を対象に、近視実態調査研究事業を実施しております。この事業では医療関係者等の協力の下、視力の実態について詳細を把握するための調査を行い、遠視、近視、乱視等の視力悪化の詳細やライフスタイルとの関連を明らかにし、有効な対策を検討した上で、社会全体で児童生徒の視力低下を防ぐ啓発資料を作成することとなっております。 今後は、これまでの取組と併せまして、文部科学省で作成される啓発資料も活用しながら、児童生徒の近視への対策を充実してまいります。   (観光振興部長山脇深君登壇) ◎観光振興部長(山脇深君) 今後のよさこい振興の在り方についてお尋ねがございました。 よさこい祭りが2年連続で中止になりましたことは、踊る機会が失われた踊り子やチームを運営する皆様にとりまして大変大きな影響があったと思います。また、競演場や演舞場を運営する地元商店街の方々や、よさこいに関わる宿泊や飲食、理美容、バス、地方車や衣装の製作など、関連する多くの業界の方々に与えた経済的な影響も非常に大きかったと認識しています。 このため、来年のよさこい祭りにつきましては、以前のように熱気あふれる祭りとして再び開催されますよう、よさこい祭振興会や競演場連合会、高知市観光協会や高知市など関係者の方々と現在協議を重ねているところです。 議員からお話のありました、よさこい祭り以外でも踊りを披露できる機会を確保していくことは、今後それぞれの踊り子チームが安心して参加の準備を進めていく上におきましても、また県民の方々がよさこい祭りに接する機会が増えるといった点におきましても大変重要なことだと思います。 県では、これまで龍馬マラソンなどの大きなイベントでは、よさこい踊りの披露の場を設けてきましたが、今後はこうした機会をさらに増やしていきたいと思います。例えば、こうち旅広場で食1グランプリのような集客イベントを開催する際に、隣のステージで順番に演舞をしていただければ、相当多くのチームがよさこい踊りを披露することができますので、早速取り組みたいと思います。 また、県内各地の様々なイベントによさこい演舞を組み込んでいただいて、一年を通じていろんな場所でよさこい祭りに接することができるようになれば、よさこいのさらなる発展にもつながるものと思いますので、市町村や主催団体の方々にも今後働きかけていきたいというふうに思います。 ◆12番(西内隆純君) それぞれ御答弁ありがとうございました。 私が質問した中で、日本人が母国の物語を共有することの意義について知事に質問させていただきましたけれども、その中で知事からお答えのあった、歴史を振り返る中で、自らの今の立ち位置を確認するということができると。そして、それを基にこれからの未来に進んでいけるというお話がありました。単に仲間意識、帰属意識を強化するだけでなく、そういう意味においても文化、伝統をしっかり我々が学んでいくことには意義があるということを、私もすみません、言及していなかったもので、触れていただいてありがとうございました。 それ以外で、オミクロン株なんですけれども。大変動向が気になることではございますけれども、オミクロン株はじめこのコロナ全般にだんだんと我々のほうでどういうふうに対処していけばいいのか、あるいはそのコロナ自体の特性みたいなものが分かりつつあるような気がします。しっかりとそういった研究の中で感染症を拡大させないための取組が県民、事業者の中にも浸透してきておると。また、お話の中にありました医療提供体制も充実し、ワクチン接種率も向上しております。経口薬の開発なんかは今後の開発が待たれるところではございます。 そういったことで予断は許されませんけれども、このコロナウイルス感染症との付き合い方といいますか、うまくコントロールしつつ、今後の日常を取り戻すことのできる道筋がだんだんと見えてきたのではないかというふうに思っております。この流れをしっかりキープして、今後知事が御答弁くださいました夢と意気込み、目指すべき県勢の部分、これを実現するために、我々議会と執行部が丁々発止の議論を交えながら取り組んでまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。 なお、本年度は我々の同僚議員が多く新たなステージに羽ばたかれていきましたし、また羽ばたかれようとしております。少し寂しくはありますけれども、それぞれ志、また能力もある議員方ですから、おのおのの立場で高知のため、日本のために御活躍する姿をぜひ拝見したいと思います。応援したいと思います。改めまして、御活躍を心より祈念申し上げます。 以上をもちまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 暫時休憩いたします。   午前11時26分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(加藤漠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 30番橋本敏男君。   (30番橋本敏男君登壇) ◆30番(橋本敏男君) 県民の会の橋本敏男でございます。お許しをいただきましたので、順次一般質問に入らさせていただきたいと思います。今回は県民の会を代表しての質問ということになります。どうぞよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。 まずは、知事の政治姿勢についてお尋ねをいたします。 共感と前進を県政運営の基本姿勢として、前知事が進めてきた経済の活性化をはじめ5つの基本政策などを継承し、県勢の発展につなげるとした濱田県政も、折り返し地点の2年間が過ぎ去ろうとしています。 まずは、濱田県政前半の2年間で濱田カラーを出すことができたのか、独自の色に染め上げることができそうか、行政成果と課題について知事の所見を求めます。 コロナ禍の間に、マスク着用は必須、仕事はリモートワークが主流で、食についてはテークアウトやデリバリーが増え、我々の暮らしや地域は大きく変わってしまいました。また、令和2年国勢調査によると、高知県の総人口は約69万人で、平成27年と比べ5%の減少となり、減少率は全国4番目の高さとなっています。県民は、長引くコロナ禍に加え、人口減少に歯止めがかからず、閉塞感が漂う中濱田知事のリーダーシップによる発進力をこれまで以上に期待していると思います。 このような県民の期待に応えるためには、ポストコロナを見据え、高知の未来を切り開くための道筋を示すべきだと思いますが、知事の答弁を求めます。 新たな経済対策などを盛り込んだ過去最大の2021年度補正予算35兆9,895億円が可決されました。しかしながら、その補正予算の6割は国債を充当しており、つまり国の借金で賄われています。政府は、今回の補正予算と年末にまとめる2022年度予算を一体的に編成し、16か月予算として切れ目のない財政出動で景気を下支えすることによって、新型コロナウイルス感染症で傷ついた経済へのダメージの回復を早急に図りたいとの思いが読み取れます。他方で、2020年度の予算は2021年度への繰越しが約30兆円にも達していることからも、だぶついたお金が据置きになっており、必要なところに素早く手当てをすることが課題と言えます。 コロナ禍においての生活困窮者や、コロナ禍で売上げが減った中小企業者への支援、先端半導体の国内生産拠点確保のための補助金、保育士や介護職員、看護師らの賃金引上げといった政策の意義は理解はできます。しかしながら、18歳以下に10万円相当の給付を行うに当たり、5万円はクーポンでの給付に批判が殺到し、現金一括にした場合に比べ、クーポン給付の場合は事務的な経費が約967億円余計にかかることが明らかになりました。 吉村洋文大阪府知事は、10万円の給付を全て現金にして、浮いた967億円を現金で、経済的に厳しい人たちに支援したほうがいいと批判するなど、専門家の多くも、経済学的にもクーポンにする意味はないと指摘をしています。さらには、事務を担う自治体からは、クーポンは準備に時間がかかり、新学期に間に合わないなど見直しを求める声も上がっていました。 昨日の予算委員会で岸田総理は、18歳以下の子供への合計10万円相当給付について、年内の現金一括給付を容認するとの方針を表明し、一転事実上の方向転換をすることになりました。政府の対応が二転三転したことは否めない事実で、コロナ対策で巨額な費用を投じることに対し、目的意識のずれが生じてきているのではないかとの指摘もあり、そのツケは全て国民が背負うことになります。 一般会計の歳出が過去最大となった補正予算の財源を確保するため、政府が新たに発行する国債は22兆円余りになっており、2021年度の末の国債発行残高は初めて1,000兆円を超える見通しとなっています。今回の予算措置で一時的に家計が潤うにしても、財源は借金頼みであり、将来世代にも負担がのしかかってくる事実を忘れてはならないというふうに思います。さらに、団塊の世代が後期高齢者になり始める2022年度からは、社会保障費の増加ペースが加速する状況にあり、近い将来には地方財政への影響が不安視されています。 知事は今回の補正予算を高く評価するとしていますが、国債発行残高1,000兆円を突破することに対する認識について知事の答弁を求めておきたいと思います。 厚労省は、10月24日までに報告があった接種後の死亡事例は全国で1,325人、このうち接種と死亡との因果関係は、情報不足などで評価できないが1,317人と99.4%を占め、認められないが8人、否定できないがゼロとなっています。つまり、全国で接種が原因で死亡したと確認された事例は一件もないということになります。 高知県内でコロナワクチン接種後に死亡が確認されたのは、15例が確認されています。高知新聞に2021年11月25日から連載が始まった「夫はなぜ死んだ コロナワクチンを考える」に目を通してみました。夫はなぜ死んだの、答えは今も霧に包まれたまま、手の届かないところにあると、遺族が疑念と後悔の感情が入り交じる心境を高知新聞の記者に語ったことから始まり、ワクチンの効果とリスクを考えさせられる記事となっています。 一連の対応についての疑念と後悔が事細かく取材されており、病理解剖をお願いしたときの医師の対応や、ワクチンの因果関係の否定など、医師と遺族とのやり取りがリアルに記事にされていました。遺族は、父は打った直後に亡くなったのに関係が分からないと言われても、その理由が知りたいのに国はと、死因を誰よりも知りたい遺族が蚊帳の外に置かれている現状を嘆いています。 コロナワクチンの3回目のブースター接種が進む陰で、悲しみと疑念を抱えた遺族がいることを忘れてはならないと思いますが、知事の所感を求めておきたいと思います。 知事は、今議会冒頭の提案理由説明で、インフラの充実と有効活用について、地域経済の活性化や地域防災力の向上など、多方面へ波及効果をもたらす四国8の字ネットワークなどの整備促進に向け、沿線市町村や他県とも連携し、国などに対して積極的に政策提案を行ってまいりますと決意を述べられました。 確かに、四国8の字ネットワークなどの整備促進は本県にとって重要な取組ではありますが、四国8の字から外れた市町村にも力点を置いていただければありがたいと思います。具体的には、知事が進める広域道路ネットワークを強力に進めていただきたいと思います。 特に、高知県の広域道路ネットワーク計画に位置づけられた高知広域環状道路、奈半利室戸道路、幡多西南地域道路の構想路線について、早期着工を目指し調査に着手するよう強く国に働きかけていただきたいと思いますが、知事の所見を求めたいと思います。 次に、環境影響評価についてお尋ねをしていきます。 国は、再生可能エネルギーの適正な導入に向けた環境影響評価のあり方に関する検討会の規制改革実施計画を踏まえ、風力発電施設を新設する際のアセス実施対象について、環境影響評価法施行令を一部改正し、10月4日に公布され、10月31日に施行されています。 この改正は、風力発電所建設において、第1種事業の規模を現行の1万キロワット以上から5万キロワット以上に緩和、第2種事業の規模を0.75万キロワット以上1万キロワット未満から、3.75万キロワット以上5万キロワット未満に引き上げる措置を講じました。しかしながら、環境影響評価制度は地域や住民の特性を踏まえて定められる高知県環境影響評価条例が一体となって形成、運用されてきたことから、改正された対象外となる事業について、県条例が整備されるまでは経過措置期間が設けられることになっています。 高知県環境影響評価条例施行規則では、環境影響評価の対象となる第2種事業の規模を国の環境影響評価法施行令より低く設定して、小規模な事業でも環境に配慮してきましたが、環境影響評価法施行令が一部改正されたことによりどのように変わっていくのか、林業振興・環境部長の答弁を求めたいと思います。 県内においても、FIT法が制定されてから再生可能エネルギー発電施設建設をめぐり、県民トラブルが多発している現状があります。再生可能エネルギー発電所建設は、低圧から高圧、さらには環境影響評価法の適用を受ける大規模開発や適用外の小規模な開発等々様々でございます。大規模開発を行う場合には、国の環境影響評価法や県条例などでアセスメントの検討がなされ、法制上の制約を受けることにはなりますが、それから外れる開発については環境影響評価法の影響を受けないことになります。 特に、太陽光発電所の大規模開発については、環境影響評価法施行令の一部を改正する政令が令和2年4月1日に施行され、太陽電池発電所の設置または変更の事業が法の対象事業に追加されることになります。それを受け県は高知県環境影響評価条例施行規則を改正し、環境影響評価の対象となる第2種事業の規模を、環境影響評価法では3万キロワットと規定されているものを2万キロワットと小さく設定し、比較的に小規模な事業でも環境に配慮するようにしています。県内における再生可能エネルギー発電所建設に対して反対運動やトラブルが起きている事案のほとんどが、環境影響評価法対象外の中小規模の開発に当たります。 そこで、法対象外も含め、県内において地域住民と事業者との間で反対運動やトラブルが起きている事案について林業振興・環境部長に示していただきたいと思います。 環境影響評価制度は、開発事業の内容を決めるに当たって、それが環境にどのような影響を及ぼすか、事業者自らが調査、予測、評価を行い、その結果を公表することとなっています。また、公表後には一般の方々や地方公共団体などから意見を聴取し、その結果を踏まえて、環境保全の観点からよりよい事業計画をつくり上げていくものでございます。 こうした制度の趣旨を踏まえ、事業計画に対し地域の声がどのように反映されていくのか、林業振興・環境部長の答弁を求めます。 大規模開発を行う場合には、環境の保全に十分配慮するため、環境影響評価は義務づけられてはおりますが、環境影響評価法は事業の実施に係る環境の保全について適切な配慮がなされることを確保することを目的とするものであり、事業実施の可否について判断するものとはなってございません。 加えて、環境影響評価法適用外の中小開発については、太陽光発電事業に関して県はガイドラインを策定し対応していますが、お願いベースでしかなく、国のFIT事業の認定要件においても地域との合意は認定要件にはなっていません。また、林地開発の許可についても、法律上問題がなければ許可しなければならないという前提があり、地域との合意は要件とはなっていないとされております。 四万十市では、メガソーラー建設に関連して業者と自治体で裁判闘争になっている事案や、私の地元土佐清水市では、大規模風力発電施設建設に絡んでの反対運動など、住民と業者の対立は日増しに高くなっています。 県内において、新たな再生可能エネルギー発電所建設に絡む反対運動やトラブルに対する県の関わり方について林業振興・環境部長の答弁を求めます。 次に、防災・減災対策などのインフラ整備の加速化についてお尋ねをしてまいります。 国の経済対策補正予算を最大限活用し、感染拡大防止対策を着実に実施するとともに、社会経済活動の回復に向けた施策の強化と、あわせて防災・減災に資するインフラ整備を加速するとして、一般会計総額235億円余りの補正予算が追加提案されました。その補正予算のインフラ整備予算は約200億円と、昨年度の2月補正には届かないものの、12月補正としては平成以降で2番目の規模感のある大型補正となっています。 国の補正に合わせた県の対応ということになりますので、ここでの補正予算の多くは来年度に繰越しとなることは皆さん御承知のとおりでございます。昨年は2月県議会において約300億円が補正され、その全てが次年度に繰越しされたというふうに思われますが、それに続いて今回の大型補正です。国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」に続き「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」などによって、公共事業予算規模は大きく膨らみ、大変ありがたいことではございますが、この予算を効率よく使いこなせるか心配になります。年度末近くの補正であるため繰越しを余儀なくされ、準備期間が非常に短く、タイトな状況下の中での発注作業になります。さらには、コロナ禍ということもあり、建設作業員や技術者の不足に加え、資材の調達難や高騰などが考えられます。 そして、建設事業者などの少ない地域によっては対応できず、不調や不落が多くなってくるのではないかとの心配もございますが、県としてどのように向き合うのか、土木部長の答弁を求めたいと思います。 次に、里親・養子縁組制度についてお尋ねをしてまいります。 高知県には、経済状況や養育環境など様々な事情により家庭で生活することができない、児童福祉施設や里親家庭で暮らす子供たちが約400人いますが、家庭的な環境で暮らしている子供は多くありません。多くの子供たちは乳児院や児童養護施設などの児童福祉施設に集団で暮らしているというのが実態です。 社会的養育の充実については、平成28年に児童福祉法の改正を行い、子供の家庭養育優先原則が明記されました。高知県においても令和2年度から令和11年度までの10年間にわたる高知県社会的養育推進計画が策定され、できるだけ家庭的な環境で養育するため、里親委託や施設の小規模化、地域分散化などの環境整備を推進することになっています。 児童福祉法の改正によって、子供の家庭養育優先原則が明記をされてはいますが、親元で暮らせない子供の里親委託は、国が目標とする委託率、3歳未満は5年以内に75%の達成を見込む計画が全国で6か所にとどまっており、国の認識とは大きく乖離しているように見えます。 本県の計画では、今後10年間で3歳児未満65%、就学前60%と計画されておりますが、なぜ国の目標に届かないのか、子ども・福祉政策部長の答弁を求めておきたいと思います。 里親制度や特別養子縁組制度が普及しないのは、圧倒的な情報不足が一つの原因でもあると言われており、里親には経済的な支援も多く、短期委託も可能であるなど、制度への理解が進めば、多くの子供が家庭を得られる可能性があるというふうに思います。 県の里親制度や特別養子縁組制度の情報発信に対する取組、さらには制度の普及啓発や新規の開拓にどう取り組んでいくのか、子ども・福祉政策部長の答弁を求めます。 里親や特別養子縁組が成立したとしても、養育上の悩みや不安が付きまとうことになるというふうに言われています。1人で抱え込み孤立することがないよう、定期的な家庭訪問をはじめいろいろな機会を通じての相談支援や、養育技術向上のための研修会の実施、里親同士の相互交流などの支援が必要であると思いますが、どのような支援を行っているのか、子ども・福祉政策部長の答弁を求めます。 次に、中山間地域等直接支払・多面的機能支払制度についてお尋ねをしてまいります。 農村の維持が目的の一つであるはずの中山間地域等直接支払制度で、交付金の使途や配分をめぐるトラブルが相次ぎ、一部で集落の分断を引き起こしている実態について、全国紙・毎日新聞が1面で報じました。それは大分県の小さな集落を舞台にした村八分訴訟から始まり、その背景にあるのは、中山間地域等直接支払制度や多面的機能支払など、中山間の農村を守るための交付金制度が各地で分断を生んでいる実態が見えてきたという内容です。 中山間地域等直接支払制度では、集落ごとに協定を締結し、農地の面積や傾斜に応じて交付金が支払われる仕組みで、集落協定書を交わし、構成員を登録し、その登録員の合意によって共同活動や個人配分の計画書を策定して、交付金の使途は決められることになっています。 大分県宇佐市における農村の事件では、協定書の構成員に知らぬ間に登録され、もらってもいない個人配分の交付金5万円が支給されたことになっており、税金だけが徴収されていたことが分かり、市に制度の説明を求めても、全て地域で決めるので行政はタッチしませんと切り捨てられたといいます。 記者が受入れ団体の会長に交付金の使い道を問いただすと、個人配分の交付金は配っておらず、協定書の押印についても自分でついたかもしれないと話したといいます。さらに、会長は、受入れ団体における帳簿上の金の出入りを合わせるために家の前を舗装したり、瓦を張り替えたりしたとも明らかにしました。これら事業は農地などの保全により農業・農村の維持を図ることが目的で、地域の絆、合意形成を前提にした信頼関係によって成り立っている事業で、農村の自主的な活動を支援するすばらしい制度であると思います。 この制度を守り育てていくという前提で、この問題をどのように受け止めているのか、また交付金の使い道をチェックする自治体としてどう向き合うのか、農業振興部長の答弁を求めます。 農村では、高齢化による労働人口の減少や他地域からの移住者などで、昔の社会構造がかなり変化をしている実態がありますが、まだまだ昔の閉鎖的だった農村を担ってきた年配の発信力が強かったりするところでは、このような制度をうまく利活用することができない状況があると聞きます。しかも、会計や報告書の策定についても対応することができず、他に依存している実態があることは行政側も承知の上で、事業を行っているところも少なくないと聞きます。 中山間地域等直接支払・多面的機能支払制度は地域が自主的に農村機能の維持を合議の下で行っている事業で、適正な制度の運用を行っていくためにも、収支実績の確認や議事録の策定など、交付金の実施状況に関わる基本的なことについて、最低限の事務は担っていただく必要があると思います。 交付金が国や県、市町村の公金であることを踏まえると、人口減少、高齢化を理由に適正な制度の運用や報告が他に依存している団体に交付することはいかがなものかというふうに思いますが、農業振興部長の見解を求めたいと思います。 農村は、既に農業をやっている人だけの居場所ではなく、新たな持続可能な農村社会に向けた取組が求められています。それには農村地域にある多種多様な活動の組織を組み合わせ、中山間地域等直接支払制度や多面的機能支払交付金等を適正に有効に使える農村全体合議の仕組みが求められますが、農業振興部長の所見を求めておきたいと思います。 交付金の使い道の末端チェック機関は市町村ということになりますが、市町村職員の人手不足は深刻で、十分な監視機能が果たせているのか、どこまで団体の詳細を把握しているのかは甚だ疑問です。市町村の現場力低下をどうカバーするかは、制度を統括する意味で欠かせない視点でございますが、県としてどのように向き合っていくのか、農業振興部長の答弁を求めたいと思います。 次に、新事業チャレンジ支援事業費補助金についてお尋ねをしてまいります。 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウイズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、中小企業等の事業再構築を支援することを目的に、国は事業再構築補助金制度を創設し、経済の構造転換を進めています。 本県においても、6月補正予算で国の事業再構築補助金に類する新事業チャレンジ支援事業費補助金が組まれました。この補助金は事業再構築補助金制度を補完するもので、意欲のある県内の中小企業者の挑戦をカバーし、持続的な運営や成長拡大の後押しを図るものと理解をしています。非常に厳しいコロナ禍にあって、必死に活路を見いだそうと新たな事業にチャレンジし、前に進もうとする中小企業を支援する大変有意義な制度であると評価いたします。 しかしながら、このコロナ禍でのサプライチェーンの寸断などがボトルネックとなって、様々な資材や半導体の不足がチャレンジ支援事業に影響を及ぼしているとお聞きをしています。具体的に言うと、せっかく内示をいただいて準備を進めても、世界的半導体不足のため設備が手に入らない、また見積もっていた資材が急激に高騰して確保が難しい、だから補助事業実施期間内に事業完結ができないおそれがあると心配している事業者の声を聞きました。 もし補助事業実施期間内に完結できないとしても、世界的な動向の中個々の努力では対応するには限界があり、まさにこのことは不可抗力であると思います。そうであるならば、この新事業チャレンジ支援事業の補助事業実施期間の延長に柔軟に対応すべきだというふうに思いますが、商工労働部長の答弁を求めたいと思います。 次に、水産業の現状と漁場の有効活用の促進についてをお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染症で多くの人たちの生活ががらっと変わってしまいました。コロナの影響による魚価の下落に加え、不漁や燃油、資材の高騰が追い打ちをかけ、漁業者は途方に暮れています。また一方で、コロナ禍で販売先を失い、売上げが減少し、経営に行き詰まる仲買人など、水産業を陰になりひなたになり支えてきた多くの関係者が悲鳴を上げています。 まずは、水産振興部長の現状認識について求めておきたいと思います。 また、コロナのような厳しい状況下においても、水産業が将来にわたって持続的に発展し続けるためには、水産資源の回復に向けた取組をはじめ優良漁場の活用を最大限に図る必要があります。高知県において定置網漁業の生産量は、県全体の沿岸漁業の約4割を占めており、水産物の供給と漁村の雇用を支える重要な漁業であります。定置網の未利用漁場を有効に活用することは、漁獲のアップや市場のにぎわい、何よりも就労をはじめとした地域の活性化など、多様な効果が期待できると漁村も歓迎してくれるのではないかと思います。 県として、長い時間を費やして対象漁場の調査をはじめ、事業者の誘致や地元の調整など様々に手を尽くしてこられたと認識していますが、その見通しについて水産振興部長の答弁を求めたいと思います。 また、漁場の有効活用を促進する中での課題は何か、新たな参入者と地元の調整には問題がないのか、水産振興部長の答弁を求めます。 最後に、危険なバス停についてお尋ねをいたします。 12月10日の朝、NHKの報道番組で危険なバス停が紹介されていました。停車したバスによって死角が生じ、交通事故を誘発するおそれのあるバス停が危険なバス停とされ、安全対策が急務と位置づけられています。そのきっかけとなったのは3年前、2018年に横浜市で発生した、バスを降りて道路を渡ろうとした女の子が対向車にはねられて死亡した事故でした。 国も2019年11月に乗合バス事業者に、信号機のない横断歩道のそばにあり、停車時にバスが横断歩道にかかるバス停の数や状況を報告するよう求め、バス停付近の事故リスクを判定した上で、特に危険度の高いバス停の名称や所在地を公表する方針を決め、調査することになりました。 国土交通省は3月19日にまとめた調査の結果、該当するバス停は全国に約1万か所あることが分かり、危険なバス停と位置づけられたバス停の改善を図るといたしました。そのうちの10府県の15か所では、既に停車したバスが要因の人身事故も起きていることが分かるなど、危険なバス停の全都道府県の状況が明らかになりました。国土交通省は安全対策の進捗状況も調べ、順次公表するとしています。 本県では、危険なバス停として55か所が2021年9月30日現在で報告をされています。その内訳は、危険度が高い順にABCとランクづけがあり、Aのバスの車体が横断歩道にかかるか停車したバスが原因で人身事故が発生したところが14か所、Bの横断歩道の前後5メートルの範囲に車体がかかるか交差点に車体がかかるところが37か所、Cの交差点の前後5メートルの範囲に車体がかかるところが4か所となっています。 そこで、本県の55か所あった危険なバス停が起因したことによって起こった事故はなかったのか、まずは警察本部長に示していただきたいというふうに思います。 全国的には危険なバス停解消のため、移設などの対応がなされたところで、全国で該当するバス停は1万か所、そのうち1,400か所、13%が対策済みと報道されていましたが、まだまだ抜本的な解消には程遠い状況であると言わざるを得ません。 確かにバス停を移設するということは簡単にできるものではなく、道路交通法を厳守することは無論ですが、道路管理者や警察への確認、さらにはその場所の住民や地権者の了解を得なければなりません。バス停設置には地域住民たちの要望や議論もあり、地域や利用者によかれと思い設置されたところがほとんどだろうというふうに思います。 さらに、危険なバス停と位置づけられている中には数年、長いものでは数十年も前からバス停が置かれているところも少なくないと思います。その間には周囲の環境も大きく変わり、昔は安全であったバス停の周囲が変化していき、地域住民の安全のために横断歩道が後から描かれるようなケースもあると思います。そのバス停の周囲に家が建ち、そこで暮らす人が増え、交通量やバスの利用者も増加し、紆余曲折、様々な歴史の中で危険なバス停となってしまったとも考えられます。 しかしながら、事は人の命に関わることで、事故が起きてからではなく、事故が起きるまでに対策を取らなければなりません。もう二度と3年前に起きた横浜市の、ゆり愛ちゃんのような不幸な事故を起こすようなことがあってはならないと思います。人の命、特に子供の命は社会が、大人が守ってやらなければならないと思います。 人の命を守る観点から、危険なバス停問題に対して県警としてどう向き合うのか、対策を進めていく上で問題となるのは何か、なぜ危険なバス停の解消が進まないのか、警察本部長の見解を併せて求めます。 危険なバス停については、県警だけの対処で済む問題ではなく、国、県、市町村などの道路管理者や地域住民の生活全般にも関わる問題であり、総合的な調整が必要となりますが、知事の所見を求めて、第1回の質問を終わりたいと思います。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 橋本議員の御質問にお答えをいたします。 まず、2年間の行政成果と課題、ポストコロナを見据えた道筋の提示についてお尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えをいたします。 一昨年の12月に私が知事に就任をしてから、今月ではや2年を迎えました。改めて振り返りましても、新型コロナウイルス感染症への対応を最優先に力を注いだ2年間であったというふうに感じております。 一方、コロナ禍にありましても、前県政から継承した5つの基本政策と3つの横断的な政策をさらに発展させるべく、様々な工夫を凝らしながら取り組んでまいりました。その結果、カーボンニュートラルの実現に向けたアクションプランの策定に着手をいたしましたほか、糖尿病性腎症対策あるいは在宅療養体制の充実に係ります新たな施策についてスタートを切ることができました。加えまして、小中学生の学力向上あるいは南海トラフ地震発生時の受援計画の策定などで一定の成果が見られていると考えております。 しかしながら、新型コロナにより落ち込みました県経済の回復にはまだ時間を要します。また、公約に掲げました関西戦略の実行についても思うように進捗をしていないというのが事実であります。さらに、厳しさを増します中山間地域あるいは担い手不足といいました本県が抱えます様々な課題への対応もいまだ道半ばといった形であります。 このため、今後の県政運営に当たりましては、感染拡大防止に万全を期しながら、社会経済活動の再開に軸足を移しまして、早期に県経済の回復を図ってまいりたいと考えております。 あわせて、コロナ禍によります社会経済の構造変化などが進む中におきまして、県勢の発展を成し遂げますためには、時代の潮流を捉えまして、先手を打って施策を進化させていかなければなりません。かねてより私がウイズコロナ、アフターコロナ時代のキーワードだと考えておりますのは、デジタル化、グリーン化、グローバル化であります。この3つのキーワードによりまして、5つの基本政策などをもう一段強化し、着実に県勢浮揚につなげてまいりたいと考えております。 次に、国債の残高が1,000兆円を突破することに対する認識についてお尋ねがございました。 今回の国の補正予算は、ウイズコロナの下で一日も早く通常に近い社会経済活動の再開を図ること、そして成長と分配の好循環を実現いたしまして、経済を自律的な成長軌道に乗せることを目的としたものというふうに認識をいたしております。 御指摘のありましたとおり、国は今回の補正予算の財源として、国債を22兆円発行することといたしておりまして、本年度末には残高が1,000兆円を突破する見通しとなっております。このため、今後歳出改革やデジタル技術の活用によります事務の効率化といった取組はもちろんでございますが、こうした取組に加えまして、財政の健全化についての議論が必要になるというふうに考えております。 一方で、骨太の方針2021におきましても、2025年度の国、地方を合わせたプライマリーバランス黒字化という財政健全化目標は堅持をする方針が示されております。さらに、岸田総理の所信表明演説におきましては、経済をしっかり立て直し、財政健全化に向けて取り組むとされているところであります。手順の問題として、まず経済の回復、その次に財政健全化という順番を考えておられるというふうに理解をしております。 なお、地方財政につきましては2024年、令和6年度までの3年間、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額につきまして、2021年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するということが、この骨太の方針の中でも明記をされているところでございます。このため、地方の財政運営に直ちに直接的な影響があるとは考えておりませんけれども、本県の財政状況は、地方交付税制度など国の動向に大きく左右をされるという構造にございます。したがいまして、引き続き国の財政健全化に関します動向については注視をしてまいりたいと考えております。 次に、コロナのワクチン接種後に亡くなられた方の御遺族に対しての思いはどうかというお尋ねがございました。 12月5日時点で本県の接種数は約108万6,000件に及びますけれども、このうち医療機関から国に対しまして181件のアナフィラキシーなどの疑い報告がございました。そのうち15名の方が亡くなられているということは御指摘あったとおりでございます。御遺族の皆様には心からお悔やみを申し上げます。また、ワクチン接種後に体調不良を起こして、つらい思いをされた県民の皆様方も相当数おられると思います。心からお見舞いを申し上げたいと存じます。 医療機関から報告されました副反応の疑い事例につきましては、国の専門家部会におきまして評価が行われ、因果関係を分析いただける仕組みが出来上がっているところでございます。ただ、この因果関係を究明していくには、亡くなられた方の年齢、基礎疾患の有無、亡くなられたときの状況や経過、直接的な死因など詳細な情報、様々な情報が必要となるというふうに言われておりまして、国の専門家部会においても、情報不足等によりまして因果関係が評価できない例が多数となっているのは周知の事実でございます。 これまで県内でお亡くなりになられました方々のうち14名の方については、この専門家の評価によりましても情報不足により、ワクチンと死亡との因果関係が評価できないというふうにされており、残るお一人につきましては、今後調査予定というふうに聞いているところでございます。 こうした状況でございます。御遺族の方々にとりましては、大変割り切れない思いがあるのは当然のことと私自身も受け止めております。ワクチン接種に関わります我々行政に携わる者におきましては、そうした御遺族の思いに寄り添っていくと、そういう姿勢が求められているというふうに考えます。 次に、広域道路ネットワーク計画に位置づけられました幡多西南地域道路などの構想路線の早期着工を目指して、調査に着手するよう国に働きかけるべきではないかといったお尋ねがございました。 近年の社会情勢の変化でございますとか、新たな社会経済の要請に応えていくというためには、総合交通体系の基盤としての道路の役割強化などが求められているところでございます。 こうした状況を踏まえまして、本年6月に国において今後の四国地域の道路の在り方を示しました四国地域新広域道路交通ビジョンが策定をされたところでございます。あわせまして、このビジョンを基に、今後おおむね20年から30年の中長期的な視点で検討を行いました四国地域新広域道路交通計画も策定をされたところであります。 この計画におきまして、御指摘もありましたように、本県の幡多西南地域道路などが構想路線という形で位置づけられております。国によりますと、この新広域道路交通計画に位置づけられました構想路線は、将来高規格道路に指定をされ、検討状況に応じて基本計画、整備計画を策定すると、そういった扱いとされているところであります。 一方、この新広域道路交通計画におきましては、四国8の字ネットワークが既に高規格道路として位置づけられており、大規模災害への備えを高め、また地域の経済活動を支える重要な社会基盤として、この8の字ネットワークを優先的に整備するということが求められている状況だと考えております。 このため、これまでも県政の最重要課題の一つとして、8の字ネットワークの整備促進に取り組んでまいりました。この8の字ネットワークの整備に一定のめどがつきました段階で、国の動きを注視しながら、構想路線の調査の着手に向けまして働きかけを行ってまいりたいと考えております。 最後に、いわゆる危険なバス停の問題に関するお尋ねがございました。 高知県におきましてはこの問題について、四国運輸局の高知運輸支局が中心となりまして、令和2年11月に高知県バス停留所安全性確保合同検討会という組織が設置をされました。この検討会には、国、県、市町村の道路管理者のほかに、バス協会ですとか県の公共交通を扱う部局などが参加をいたしているところでございます。この検討会におきましては、改善が必要なバス停留所の情報を共有していくこと、そして安全性の優先度に応じまして講じるべき安全対策の内容を取りまとめること、その上で進捗状況を確認すること、こういった活動を行うことといたしております。 具体的な安全対策として想定されておりますのは、バス停や横断歩道の移設または廃止、あるいはバス停付近へのガードレールの設置などといったハード面での対策、そして住民の皆さんへの注意喚起などのソフト面の対策、こういったものがございます。県内におきましては、当初この安全対策が必要なバス停は56か所ございましたが、この検討会の取組により、1か所の移設が完了をし、そして今後横断歩道の1か所を廃止する予定が決まっているというふうにお聞きをいたしております。 県といたしましては、議員から御指摘もありましたように、痛ましい事故が繰り返されることがないように、今後もこの検討会の取組を通じまして関係機関と連携をし、危険箇所を一つ一つなくしていく努力を粘り強く続けてまいりたいと考えております。 私からは以上であります。   (林業振興・環境部長中村剛君登壇) ◎林業振興・環境部長(中村剛君) まず、環境影響評価法施行令が一部改正されたことにより、環境影響評価条例施行規則はどのように変わっていくのかとのお尋ねがございました。 議員のお話にありましたとおり、環境影響評価制度、いわゆる環境アセスメント制度につきましては、本年10月の政令の改正により法の対象となる風力発電施設の規模要件が引き上げられております。 県では、法の環境アセス制度を補完するものとして条例を制定しており、その対象事業の規模要件を条例施行規則において、第1種事業は法と同じ規模、第2種事業は法の50%としているところでございます。今回の政令改正に伴う風力発電施設の規模要件につきましても、従来の考え方に基づいて法に準じた引上げを行うことが基本となります。 一方、令和元年の政令改正により、太陽光発電施設が法の対象に追加された際には、高知県の実情を踏まえ、第1種事業につきましては法より厳しい基準を設定し、条例施行規則の対象としております。また、地域の意見を反映できる仕組みを持つ環境アセス制度の対象であっても、一部の事業につきましては地域住民等の反対運動が起こっている状況も承知しております。 このため、今回の規模要件の検討に当たりましては、こうした状況も踏まえ、また新たな制度導入を検討している国の動向あるいは他の都道府県の動向につきまして情報収集を行い、専門家の方々の御意見もお聞きしながら対応してまいりたいと考えております。 次に、地域住民と事業者との間で反対運動やトラブルが起きている事案についてお尋ねがございました。 再生可能エネルギーの発電所建設に関して、県に対し事業計画の中止や事業者に対する指導を求める要望書などが提出されている事例といたしまして、土佐市における太陽光発電事業、四万十市と四万十町の境における大型風力発電事業、四万十市における太陽光発電事業がございます。また、議員のお話にございました土佐清水市と三原村の境における大型風力発電事業につきましては、事業中止を求める署名活動が呼びかけられているということを承知しております。 次に、環境影響評価制度の趣旨を踏まえ、事業計画に対し地域の声がどのように反映されていくのかとのお尋ねがございました。 議員のお話にありましたとおり、環境アセス制度は事業計画に関わりのある地域の皆様や地方公共団体の意見を酌み上げ、その意見を事業計画に反映させるという仕組みになっております。そのため、手続や調査などが進んでいく段階に応じて、事業者は方法書や準備書などの図書を公表するとともに、地域の皆様を対象とする説明会を開催し、御意見を伺うこととなっております。 県といたしましては、こうした地域の皆様の御意見に真摯に耳を傾け、環境への影響が最小限にとどめられるよう取り組んでいく必要があると考えております。このため、県としての意見を取りまとめる際に開催する環境影響評価技術審査会の場では、地域の皆様からの御意見を詳細に説明するとともに、その御意見を踏まえ、知事としての意見を事業者や国に申し上げているところでございます。また、この知事の意見が国の事業者への勧告の際に勘案されるという仕組みになっております。 最後に、新たな再生可能エネルギー発電所建設に関する反対運動やトラブルに対する県の関わり方についてお尋ねがございました。 再生可能エネルギー発電事業を推進するに当たっては、当該事業が地域と調和したものとなることが重要であると考えております。このため県では、平成28年3月に太陽光発電施設の設置・運営等に関するガイドラインを策定し、太陽光発電事業が地域と調和したものとなるよう、工事の着手までに地域との合意を得た上で進めていただくことを求めているところでございます。 また、国におきましても、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法、いわゆるFIT法に基づく事業計画策定ガイドラインを平成29年3月に策定しております。この中で、事業計画作成の初期段階から地域住民と適切なコミュニケーションを図るとともに、地域住民に十分配慮して事業を実施するよう努めることを求めておるところでございます。 しかしながら、全国的に見ましても、事業者と地域住民とのコミュニケーション不足により関係が悪化し、反対運動を受けた計画の修正、撤回を余儀なくされる事態が生じております。このため県といたしましては、引き続き事業者に対し様々な機会を通じて、地域と十分なコミュニケーションを図り、事業が地域と調和したものとなるよう、市町村とも連携し働きかけに努めてまいります。 他方、こうした問題は全国的な課題でもあること、また国のガイドラインにおきましても、地域との調和は努力義務となっており、法的拘束力がないことなどから、全国一律に適用される法律によりまして、その実効性を強化することが望ましいと考えております。このため、全国知事会を通じまして、事業計画の認定に際し、地域住民への事前説明や、その結果の国等への報告を義務づけるなどの法整備を図るよう、引き続き求めてまいりたいと考えております。   (土木部長森田徹雄君登壇) ◎土木部長(森田徹雄君) 防災・減災対策などのインフラ整備の加速化についてどのように向き合うのかとのお尋ねがございました。 県では、これまで平成30年7月豪雨や「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」による事業費の増大に対応するため、発注規模を拡大して工事件数を減らすことや、予定価格の事前公表の範囲を拡大させるなど、建設事業者が受注しやすい環境を整えてまいりました。また、本年度におきましても現場への配置が義務づけられております主任技術者の兼務要件の緩和や、現場代理人の工事期間中での変更を可能にするなど、限られた人員を効率的に配置できるよう制度改正を行ってきたところでございます。 現在、鋼材などの建設資材に一部調達の遅れが生じておりますものの、工事の進捗に大きな影響はなく、この11月末には今年2月に補正でいただいた「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」予算の9割以上を発注することができております。また、この12月議会に補正予算を提案することで、昨年度よりは早い時期に発注することが可能となり、来年度当初の端境期にも切れ目なく工事を進めることができるため、建設事業者のさらなる受注環境の改善につながるものと考えているところでございます。 今後も建設業界などの御意見をお聞きしながら、5か年加速化対策を含む公共事業予算を円滑に執行できるよう、入札の状況や事業の執行状況などを注視しながら、必要な改善に努めてまいります。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) まず、本県の里親等委託率が国の目標に届いていないことについてお尋ねがございました。 里親等委託率は、里親に委託している児童に加え、乳児院、児童養護施設等に措置されている児童数を分母として、里親等委託児童数の割合で算出しているもので、本年9月末の本県の里親等委託率は23.7%となっております。 国は、平成29年に策定された新しい社会的養育ビジョンにおいて、3歳児未満はおおむね5年以内に75%、3歳児以上就学前はおおむね7年以内に75%、学童期以降はおおむね10年以内に50%を目標としております。本県の計画では、令和11年度末に3歳児未満は65%、3歳児以上就学前は60%、学童期以降は50%としており、将来的には国の目標を達成することを目指しております。 本県と国との目標の乖離につきましては、本県の児童養護施設数が全国と比べて充足していること、また施設には心身や医療面での専門的なケアを受けることが望ましい子供を約7割受け入れていることから、子供の利益を最優先に考えた社会的養育を推進していくため、本県の実態を考慮した目標を設定しております。 本県の目標は、全国と比較すると3歳児未満の里親等委託率では全国19位と中位に位置しております。目標の達成に向けまして、家庭的な養育が望ましい児童は可能な限り里親に委託できるよう、里親登録数の増加や支援の充実などにより、里親等委託を推進してまいります。 また、施設においてもできる限り家庭的な環境で養育できるよう、施設の小規模化、地域分散化に取り組んでおり、既に11施設中9施設で、定員6名以下の小規模グループケアを実施しているところです。これらの取組を通じて、子供の利益を最優先に、家庭的な養育の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。 次に、里親制度の普及啓発や新規開拓に向けた取組についてお尋ねがございました。 里親制度の普及や定着を進めていくためには、里親を担っていただく登録者を増やしていくとともに、里親制度に対する地域の理解を広げていくことが重要です。そのため、里親登録を増やす取組として、平成30年度から里親家庭サポートセンターに里親リクルーター2名を配置し、子供の養育に関心が高い方々などを中心に、制度の広報や登録者の開拓に取り組んでおります。 里親には現在114組が登録しており、里親等委託率の目標達成に向けて毎年25組の新規登録を目指しております。本年度は、量販店等でのパネル展の開催や児童委員研修会等において14回の説明を行うなど、積極的に啓発活動を行っており、現時点で20組に登録をいただいております。 一方、里親制度では委託後に里親と里子の関係が悪化すると、双方に大きな負担が生じますので、里親登録の前に制度を十分に理解していただくことが大切です。このため、里親リクルーターが行う説明会では、養子縁組里親や、夏休みや週末などに数日程度里子を受け入れる週末里親などの各種制度を丁寧に説明した上で、参加者と個別に面談をさせていただいております。本年度は5回の説明会に19組が参加いただきました。また、10月の里親月間に合わせてメディアを活用した広報活動を集中的に行うなど、広く地域の方々に向けた啓発活動に取り組んでおります。 今後もこれらの取組を通じまして、里親登録者の増加や里親制度の普及、定着に努めてまいります。 最後に、里親への支援についてお尋ねがございました。 里親の皆様には社会的養護の担い手として、日頃から子供の利益に配慮した養育に尽力をいただいております。里親に委託される子供には厳しい家庭の背景があることから、里親の皆様が養育に悩んだときには1人で抱え込まず、様々な方々とつながり、孤立しないことが大変重要です。このため、高知県社会的養育推進計画において、里親養育への支援を取組に位置づけ、定期的な家庭訪問や個別の支援を実施しております。 具体的には、里親家庭サポートセンターに相談支援員を配置し、児童相談所の専任職員と連携して、約60組の委託里親を年3回以上定期的に訪問し、養育状況の確認や相談支援を行っております。さらに、委託里親をきめ細かく支援するため、本年度からセンターの相談支援員を1名増員するとともに、子供の心理的ケアなどを担う心理訪問支援員を新たに配置し、8名の体制で委託里親との信頼関係を築きながら、里子も含めたサポートを行っております。 来年度は、育児疲れや育児不安、休息が必要な場合に利用できるレスパイトケアを充実していきたいと考えております。また、里親のスキルアップや里親同士のネットワークを広げる取組として、定期的な研修会に加え、里親同士で行う勉強会を新たに実施するなど、研修会や交流会の開催に力を入れてまいります。 今後も里親が孤立することなく、安心して養育ができるよう、きめ細かな支援の充実に取り組んでまいります。   (農業振興部長杉村充孝君登壇)
    農業振興部長(杉村充孝君) まず、中山間地域等直接支払制度における交付金の使途をめぐる問題についてお尋ねがございました。 本制度は、農業の生産条件が不利な地域における農業生産活動を支援するものであり、本県の大半を占める中山間地域の農業を守るとともに、地域の活性化を図る上でも重要な制度でございます。 制度を活用するに当たっては、集落の目指すべき方向や、そのための活動内容、交付金の使途などについて集落内で話し合い、協定書を作成することとなっております。その上で、議員のお話にありました事例は、交付金の不適切な使用であることはもちろんのこと、地域での話合いの下、農地や農村の保全を図るといった本制度の意義が根本から揺らぎかねない事例であると受け止めております。 また、全国では本事例以外でも会計検査院から交付金の不適切な支出について多くの指摘を受けております。その要因の一つとして、制度開始から20年たち、交付金の運用に関する関係者のコンプライアンス意識が希薄になっていることが考えられます。 県としては、今後交付金の適正な執行を促す啓発のチラシを作成し、市町村が開催する集落協定の代表者への説明会や協定の総会などを通じて、改めて制度の趣旨をしっかりと理解していただくとともに、交付金の適正な執行などの周知徹底を図ってまいります。また、市町村や県が行う検査において、こうした不適切な事例を参考にして、検査のチェックシートを充実させるなど、適正な運用が図られるよう、検査体制の強化も図ってまいりたいと考えております。 次に、制度の運用や報告を他の団体に委託していることについてお尋ねがございました。 中山間地域等直接支払や多面的機能支払制度は、地域で話合いを行い、活動内容や交付金の使途についての合意の下、地域で取り組んでいく活動を支援するものであり、適正な制度の運用を行っていくためにも、交付金に関わる事務は地域で担うことが基本であると認識しております。 一方、中山間地域では、人口減少や高齢化が深刻化しており、活動の継続が危ぶまれている地域も出てきております。その要因として、中でもまとめ役の後継者不足に加え、制度が複雑化したことにより事務量が増えたことが大きな負担となっているとの声が上がってきてもおります。 このため、県では、市町村との連携の下、活動の継続に向けた対策として、協定の広域化や事務支援の体制整備に取り組んでおります。一例を申しますと、四万十町では、第三セクターの営農支援センター四万十と一般社団法人のしまんと農楽里が中山間地域等直接支払制度の協定の構成員となって、会計や書類作成などの事務支援を行うことで、現在26協定、1,215ヘクタールでの活動の継続につながっております。 引き続き、こうした取組事例を県内に横展開を図ってまいりますが、議員の御指摘のとおり、事務を委託するにしても、総会資料や活動記録などの最低限の事務は地域が担うことが前提でありますので、この点をしっかりと踏まえた上で、事務支援の体制整備を進めていきたいと考えております。 次に、交付金を有効に使える農村全体での合議の仕組みについてお尋ねがございました。 人口減少や高齢化が進行する中でも、交付金を有効に活用し、将来にわたり農地や水路等の地域資源を保全していくためには、地域にある自治会や集落営農組織などの様々な組織が相互連携し、地域活動に関する取決めを地域住民の合議で決めていく、農村全体での合議の仕組みが今後ますます求められてくるものと考えております。 県内でもそうした取組事例が出始めており、例えば中山間地域等直接支払では、三原村で集落活動センターが各協定の構成員となり、交付金事務を行っております。また、多面的機能支払では、日高村で自治会や消防団、NPO法人等で構成される村内1組織を立ち上げ、地域の小学校と連携した農業体験や地域イベントの開催により、農地保全に対する住民の意識の向上や地域の振興が図られております。 県としては、こうした取組事例を広く周知し、他の市町村へも横展開していくことで、将来にわたり持続可能な農村社会の維持につなげてまいりたいと考えております。 最後に、市町村のマンパワー不足を県としてどうカバーしていくのかとのお尋ねがございました。 当該交付金は、市町村を通じて活動組織に交付されており、市町村が行う交付金の使途などの確認検査は、交付金の適正な執行をチェックする機能として大変重要な役割を担っております。一方、県内の一部の市町村では、1人の職員が国や県の複数の事業を担当しているなど、マンパワー不足になっている実態がございます。また、当該制度においては年々制度が複雑化していることで、市町村の事務作業が増えてきており、加えて十分に制度内容を理解できていないといった声も上がってきているなど、市町村の負担増が大きな課題であることは認識しております。 このため、県では、市町村に制度の趣旨や運用方法を正しく理解してもらい、活動組織への指導に生かしていただけるよう、毎年の担当者会の開催はもちろんのこと、制度のマニュアルやQ&A集、確認検査用のチェックシートなどの充実を図り、負担軽減にもつなげてまいりたいと考えております。こうしたことにより、少しでも市町村職員の負担軽減が図られ、交付金の適正な執行のためのチェック機能の強化となるよう、県としても努めてまいります。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) 新事業チャレンジ支援事業費補助金についてお尋ねがございました。 本補助金は、コロナ禍の厳しい状況の中でも新製品の開発や新市場への進出など、新たな取組に意欲的にチャレンジする事業者を力強く後押しするために創設いたしました。製造業や宿泊、飲食、卸・小売業をはじめとする幅広い分野の方々から多くの申請をいただきまして、現在約120社が新たな事業展開に果敢に挑戦されております。 お尋ねのありました補助事業の実施期間につきましては、今年度中の事業完了が必須である国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を財源としていること、また経済対策として事業効果を早期に発現させること、この2つの観点から来年の2月中旬までとしていたところです。 しかしながら、お話にありましたように、全国的な建築資材の不足や設備の納品遅延により、この期間内に事業を完了させることが難しい案件も出てきております。このため、期間内に事業を完了していただくことが基本ではありますが、事業者の責に帰すべきでないケースにつきましては、柔軟な対応を検討してまいりたいと考えております。 引き続き、こうした県内事業者の新たな取組が、感染拡大により影響を受けた本県経済の回復、さらには体質強化につながりますよう、関係機関と連携して、しっかりと支援してまいります。   (水産振興部長松村晃充君登壇) ◎水産振興部長(松村晃充君) まず、水産業の現状認識についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う飲食店への営業自粛の要請などにより、県産水産物の飲食店や宿泊施設との取引は大きく減少いたしております。特に、キンメダイなどの高級魚やマダイやカンパチなどの養殖魚において、価格の下落や出荷の停滞などが発生し、漁業者のみならず仲買人など水産流通事業者も大きな影響を受けております。 緊急事態宣言等の解除以降、こうした影響からは回復傾向にはありますものの、キンメダイやメジカなど一部の魚種の不漁や燃油価格の上昇などにより、漁業経営は依然として厳しい状況にあると認識しております。このため県では、関西の卸売市場関係者と連携して、販売が堅調であります量販店を中心とした販売促進に取り組みますとともに、高知家の魚応援の店のネットワークを生かしたフェアの開催など、飲食店への販売促進にも取り組んでおります。 あわせまして、効率的な操業を目指した漁場予測や、コスト、利益を見える化するシステムの開発などに取り組むことで、本県水産業の持続的な発展につなげてまいりたいと考えております。 次に、定置網漁場の有効活用の今後の見通しについてお尋ねがございました。 お話にございましたように、定置網漁業は、本県沿岸の漁船漁業生産量のおよそ4割を占める重要な漁業となっております。しかしながら、経営不振などによる廃業により、一部の漁場が活用されていない状況にあります。このため県では、平成30年度に活用されていない漁場の海底地形や潮流の調査を行い、その後新たな企業の参入に向けた誘致活動を行ってまいりました。 その結果、四万十町の興津地区と土佐清水市の貝ノ川地区において、それぞれ水産物の流通・販売を行う県内の企業が新規参入の意向を表明されました。県では、円滑な操業に向け、企業と地元関係者との対話の場を設定するなどの調整を行い、両地区とも参入が決定をいたしました。興津地区につきましては、本年10月1日付で定置漁業権の免許を受け、来年春の操業開始に向けて網の敷設などの準備が進められているところでございます。貝ノ川地区につきましては、来年4月上旬の定置漁業権の免許に向けた手続を進めているところでございます。県といたしましては、引き続き事業者や地元のお声を聞きながら、円滑な操業の開始に向けて支援を行ってまいります。 最後に、漁場の有効活用を促進する中での課題と、新規参入事業者と地元との調整についてお尋ねがございました。 新たに定置網漁業を始めるためには、網や漁船の購入など多額の初期投資が必要であることに加え、操業開始後も人件費や網のメンテナンス費用などの経費も大きくかかります。こうした経費に見合う水揚げが得られるかどうかが事業参入への課題であるというふうに考えております。このため、国の事業を活用いたしまして、事業者の初期投資への負担が軽減できるよう支援を行っております。さらには、予想される水揚げに見合った漁具の構造や規模を設定することも必要となってまいります。 また、定置網漁業への新たな事業者の参入に当たりましては、事業者と地元の方々の双方の合意を得ることが重要であると考えております。今回参入が決まりました2つの地区においても、新規参入事業者と地元関係者との対話の場を設定いたしまして、十分な意見調整を図ってまいりました。 今後も定置網漁業への新たな事業者の参入に当たりましては、事業者と地元の方々のお声をしっかりとお聞きし、調整を図りながら進めてまいりたいと考えております。   (警察本部長熊坂隆君登壇) ◎警察本部長(熊坂隆君) 危険なバス停が起因したことにより起こった交通事故の有無と、危険なバス停問題に対してどう向き合うのか、また対策を進めていく上で問題となるのは何かなど、危険なバス停問題に関するお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。 まず、県内で危険なバス停と位置づけられた箇所において、過去5年間に停車したバスが原因となる人身事故は発生しておりません。危険なバス停に関する対応については、知事が答弁された高知県バス停留所安全性確保合同検討会に県警察も参加しており、安全性の観点から必要な意見等を述べてきたところでございます。その結果、検討会での取組によって、警察関連では横断歩道の利用者が極めて少なく、地域住民の理解を得た横断歩道1か所を廃止することとしております。 県警察では、人の命を守ることを第一に考え、必要な安全対策を講じているところですが、他方で地域住民からは安心して道路を横断することができる横断歩道の存続を求める声もあり、横断歩道の移設や廃止をする場合、利用状況等の調査や地域住民との協議など、慎重に取り組まなければならない課題があります。 引き続き、関係機関と連携の下、危険なバス停の解決に向けて取り組むとともに、ドライバーに対して横断歩道における歩行者優先の呼びかけや、警察力を活用した交通指導取締りなどを実施してまいります。 ◆30番(橋本敏男君) それぞれ御答弁を賜りましてありがとうございます。2問目を少し行いたいと思います。どうか対応のほどよろしくお願いをいたしたいと思います。 まずは、知事にお聞きをいたします。ワクチン接種による死亡についてでございます。知事の答弁によりますと、遺族に寄り添った対応を今からもしていくということでございますけれども、いかんせん国そのものがなかなか因果関係について明らかにしようとしていないという実態がございます。そういう流れの中で、遺族そのものについては非常にやるせない思いがあるんだろうというふうに思います。多分因果関係が分からない以上、一生その遺族はずっとそのことと向き合っていかなければならない、そういうふうに思います。 私は、コロナワクチンの接種についてはほとんどの人が、人にうつさない、うつしたくない、そういう思いから多分接種をしていただいているんだろうなというふうに思います。そういう中で、行政がこういう事案について、やっぱり知事が言うように、しっかり寄り添った対応をぜひお願いしたいと思います。 そこで、国に対して知事のほうからも、因果関係に対しては丁寧にしっかりと遺族に寄り添って向き合うようにお願いを申し上げていただきたい、そんなふうに思います。 次に、中山間地域等直接支払制度、それから多面的機能支払制度について、質問をいま一度させていただきたいというふうに思います。1回目の質問の答弁、すばらしい答弁だったというふうに私は思います。ただ、部長のほうからもお話がありましたように、農村の実態というのは高齢化、そして人口減少、維持ができなくなっている、そういう状態があるのも分かっていますし、なかなか高齢化の中で慣れていない、そういう事務を担うというのは非常にきつい、このこともよく分かります。 しかし、大分のようなとんでもない、ああいう事案がやっぱりあることも事実です。たまたま大分は、ああいうふうに全国紙にも載って大変なことにもなりましたけれども、国のほうの会見の中で、この交付金について不適切な指摘というのは多分たくさんあるんだろうなというふうに思います。 私は、高知県の中で出ているのかどうなのか分かりませんけれども、こういうことがないように、やっぱりしっかりと自浄作用ができるような組織であること、これが前提だと思います。そういうことに対してしっかり向き合ってもいただきたいし、また県としての指導もしっかりしていただきたい。この事業そのものは国が半分、要は県が4分の1、それから市町村が4分の1、積み上げた事業でございますので、確かに末端の事務の精査というのは市町村が担うんでしょうけれども、しっかりそこを牽制していくように、県のほうもしっかりと対応していただきたい。そのことに対して部長の答弁を求めておきたいというふうに思います。 それから、危険なバス停、なかなか難しい問題があろうと思います。先ほど知事のほうからもありましたけれども、ハード・ソフト、それに分かれていくと、ハードなことで移設をするというのは、なかなか至難の業なんだろうなというふうに思います。 ただ、こういう問題をその地域で共有することによって、大きな啓蒙、啓発につながっていくのではないか、そこを使う、利用する方、事業者の方、市町村、県、そういう皆さんがその問題を共有することが、私は一番大事なことなんだろうというふうに思います。 ぜひ高知県バス停留所安全性確保合同検討会の中においても、この問題をぜひとも地域の皆さんと共有して、これは事がなるならないにかかわらず、そういうことを共有していただければというふうに思います。これは要請で結構でございます。 2回目の質問を終わりたいと思います。 ◎知事(濱田省司君) 今回のワクチン接種に関わりまして、県内で亡くなった方が15人おられるということに関して、行政として寄り添う対応というお話でございました。 この前提となります因果関係がなかなか学術的に特定をし難いという中でございますので、正直なところ、これを法的な関係がどうこうということで突き詰めていくというのは、なかなか難しいところはあると思いますが、まさしく行政に携わる身として、また私自身も県民の皆さんにワクチン接種のメリットと、そしてリスク、それは十分理解された上で、積極的にぜひ接種をしていただきたいというふうに呼びかけた、そういった立場でもございます。そういった立場を改めましてかみしめて、国のほうに対しましてもこうした事案を改めてお伝えし、また国のほうとしても行政として何らかの寄り添った対応ができないのかということは投げかけをしまして、国との対話をしてみたいというふうに考えております。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 議員のお話もありましたように、この制度そのものは、やはり高知県にとっても中山間地域にとっても非常に重要な大切な事業でございます。ですから、制度、この交付金をずっと維持していくためにも、このルールというのはしっかり守っていかなければならないと思っております。 県としましては、今まで確かに市町村が一義的には検査をしてございますけれども、そういう例えば市町村の代表の方が地域の代表の方とお話をできる場があれば、そこにお邪魔して直接説明する機会も設けていきたいと思っております。これまで書類、書面での確認が多かったんですけれども、場合によっては地域の代表者からヒアリングを行うなど、そういう対応も考えていきたいと思っております。 ◆30番(橋本敏男君) それぞれ適切な答弁を賜りました。 以上をもちまして、私の全ての質問を終了したいと思います。どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(加藤漠君) 暫時休憩いたします。   午後2時39分休憩-----------------------------------   午後3時5分再開 ○議長(森田英二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 33番岡田芳秀君。   (33番岡田芳秀君登壇) ◆33番(岡田芳秀君) 日本共産党の岡田芳秀でございます。通告に従い、会派を代表して順次質問をさせていただきます。 初めに、憲法についてです。 新型コロナウイルスは、日本社会の脆弱な部分をあらわにしました。それは女性などの自殺の急増に表れています。2020年における総自殺者数は2万1,081人、男性は前年より23人減少した1万4,055人、逆に女性は2019年から935人増加し7,026人と2年ぶりに増加、職に就いている女性の自殺者数は2015年から2019年の平均の1,323人から大幅に増加し、1,698人となりました。若年層に至っては、小学生が14人、中学生が146人、高校生が339人の合計499人に上り、1978年の統計開始以来最多だった1986年の401人を超えました。 ジェンダーギャップ指数は、先進国最低の156か国中120位、男女の賃金格差は先進国ワースト2位、子供の精神的幸福度は先進国38か国中37位、独り親家庭の貧困率は約5割で先進国最低水準です。こういう実態が背景にあることは明らかです。 この状態は、憲法第11条の基本的人権の尊重、第13条の幸福追求権、第25条の健康で文化的な生活を営む権利がないがしろにされている表れではないか、自殺者の急増の現状とその背景をどのように認識されているのか、知事にお聞きをいたします。 近代憲法は、政治権力の暴走や恣意的な行使を許さず、憲法によって国民の権利を守るという基本に立っています。それゆえ、政治に担当する国会議員、公務員などに憲法を尊重し擁護する義務で縛りをかけています。 女性などの自殺増をもたらす社会のひずみに対し、憲法擁護義務を負う知事としてどう対処するつもりか、お聞きをいたします。 2017年6月県議会で、国会図書館の資料も示しながら、日本国憲法の象徴天皇制、基本的人権の尊重、国民主権という基本構造に、本県の自由民権家、植木枝盛の理論が圧倒的な影響力を与えていることを明らかにし、これは高知県民の誇りではないかとただしました。また、植木枝盛は、今日の憲法9条につながる軍備縮小・廃止をすれば、福祉が増進するとその有効性を説いたこと、また第9条第2項については、幣原喜重郎首相の発案だったことも示し、日本国憲法はメード・イン・ジャパン、メード・イン・土佐だと指摘をしたところです。さらに、追加すれば、第25条第1項の生存権規定も日本の国会審議の中で追記されたものです。 当時の尾崎知事は、憲法制定の過程の史実を確認し、土佐人として誇らしいと述べ、制定から70年を経て大多数の国民が現行憲法を支持していることは確かであり、現行憲法は国民の間に定着していると答弁をされました。 日本の民権思想、特に土佐の自由民権運動を源流として成立したのが日本国憲法だと思いますが、知事の認識をお聞きいたします。 また、自由民権の思想を源流とし、侵略戦争の痛苦の反省から生まれた憲法の成立過程を学ぶことは、主権者教育にとって重要だと思いますけれども、教育長にお聞きをいたします。 2001年9月11日に米国で起きた同時多発テロへの報復として始められた戦争は、米国最長の戦争となり、民間人を含む16万人を超える犠牲者を出し、大混乱をさせた末に、今年8月混乱を放置し、撤退せざるを得なくなりました。テロはなくなるどころか世界に拡散をされました。これらは対テロ戦争の破綻を示すものです。日本もイージス艦、補給艦などの自衛艦をインド洋に派遣し、洋上給油で米軍などを支援しました。米国と国際社会は、アフガニスタンへの20年間の軍事介入がテロ問題を解決せず、同国を一層の苦難に陥れたことから教訓を学び、同国の再建に責任を果たすべきと考えます。 この12月は、そのアフガニスタンで人道復興に尽力した中村哲さんが武装勢力の凶弾に倒れて2年を迎えます。中村氏は、記録的な干ばつに直面し、医師でありながら、まず飢餓から命を守ることが必要だと経験のない土木作業に取り組み、現地の人々と1,600もの井戸を掘り、全長30キロ近い用水路を開き、不毛の地は広大な農地となって、数十万の人々に恵みをもたらしました。 その中村氏は、9条が本当の日本の強みだと指摘をし、「9条が僕らの活動を支えてくれている、これが我々を守ってきてくれたんだ。武器など絶対に使用しないで平和を具現化する。それを現地の人たちも分かってくれている。現地で活動していると力の虚しさが本当に身にしみます。緑色に復活した農地に誰が爆弾を撃ち込みたいと思いますか。それを造ったのが日本人だと分かれば少し失われた親日感情はすぐ戻ってきます。それが本当の外交じゃないかと僕は確信している」と述べています。 米軍の対テロ戦争の破綻、一方で平和貢献に徹した中村哲氏の取組を教訓に、9条に基づく武力によらない平和貢献で、世界の人々の信頼と共感を得ることが真に日本の平和を擁護する道と思うが、知事の認識をお聞きいたします。 次に、米軍機の低空飛行についてです。 幼い子供たちがなぜ日常的に恐怖を感じないといけないのか。経験しないとこのつらさはなかなか分かってもらえない。怒りの声が渦巻いているのは、まるで地上で生活している人々をあざ笑っているかのように、保育所の上空で米軍機の低空飛行が繰り返されている本山保育所です。 先月11月5日にも、お昼寝の時間に戦闘機2機が上空を短時間のうちに3回飛行したとの報告が寄せられました。保育園上空を低空で爆音を放ちながら飛ぶ米軍機の動画もあります。ぜひ議場の皆さんにも御覧をいただきたいので、映像と写真を準備させていただきました。この映像と写真は、何度も県知事をはじめ防衛省、外務省にも訴え続けてきたにもかかわらず、中止されないばかりか今年はさらに回数が増えており、子供たちや職員の思いを伝えるための、やむにやまれぬ思いで保育士によって撮影されたものです。 初めに、爆音をとどろかせて米軍機が飛来したときに園庭で遊んでいた子供たちの様子を写した写真です。(スクリーンを示す)1枚目と2枚目には、園児が怖がって保育士に抱きつき、その奥には不安げに空を見上げる子供の姿があります。3枚目は、昨年おやつの時間に爆音を聞き、不安で泣いている子供の姿です。そして、次の動画は、この11月5日の13時前後に飛来した米軍機です。青い屋根が本山保育所です。 知事には、事前に爆音の入った映像を御覧いただいておりますけれども、これらの映像を御覧になっての知事の思いをまず伺いたいと思います。 米軍機の低空飛行訓練の中止を求める質問は、この議場でも何度も繰り返してきました。知事名での中止要請も、歴代の知事が行ってきました。全国知事会としても、ついに日米地位協定の見直しを求める要望を提出する状況となっています。 しかし、今年の5月3日付高知新聞は、「米軍機 本県苦情 知らん顔」の見出しを立てて、要望が無視され続けている実態を報じています。さらに、今年7月17日付朝日新聞では、米海兵隊岩国航空基地が取材に対し、保安上の理由により運用の詳細は言及しない、騒音が地元の方々にもたらすかもしれない不都合については、軍として遺憾に思う、高いレベルの軍事的即応態勢の維持において極めて重要かつ欠かすことのできないものと答えたと報じられております。全く見直す意思のない回答となっております。 ここ数年は、戦闘機、輸送機、オスプレイなどが、いわゆるオレンジルート以外でも四万十市、四万十町、須崎市、越知町、いの町、そして高知市などでも目撃をされています。県が集計しただけでも今年1月から65日間、195回、256機に上っています。米軍機の墜落の危険、ドクターヘリ、防災ヘリとの衝突の危険、子供たちが泣き叫ぶ恐怖を与え続けることを、私たちは黙認することはできません。 中国四国防衛局は、固定式の観測カメラを本山町の雁山に設置すること、騒音測定器を同町の建物の屋上に設置し、飛行実態の把握を行うための予算を確保したとしていましたが、現在の進捗状況はどうなっているのか、危機管理部長に伺います。 また、米軍の低空飛行訓練の中止を強く求めること、せめて事前に訓練通告が行われてしかるべきとの意見がありますが、今後どのように要請していくのか、知事に伺います。 米軍の無法ぶりは、先日の青森県での燃料タンクの市街地への投下という、大惨事につながりかねない暴挙まで引き起こしています。ドイツでは、米軍にドイツ国内の航空法を守らせる強い要請を行い、低空飛行訓練が実質的に行えないことになっています。 全国知事会でも、日米地位協定の見直しが共通の要望として出されています。その実現のため、知事は今後どのような決意でどう取り組まれるのか、お聞きをいたします。 次は、政府の経済対策についてです。 岸田文雄内閣は、コロナ克服・新時代開拓のための経済対策を閣議決定し、2021年度補正予算案を今年中にも成立させたいとしています。岸田内閣の経済対策は、Go To Travelの再開、マイナンバーカードの取得に伴うマイナポイントの付与、所得制限を設けた18歳以下への10万円給付、困窮学生への給付金、住民税非課税世帯への一律10万円の給付、困窮世帯向けの生活困窮者自立支援金の支給などが盛り込まれています。 加えて、ミサイルなどの装備を拡充する軍事費7,700億円は補正予算としては過去最大、先端半導体の国内生産拠点の確保やポスト5G関係の研究開発など、大企業への支援も並んだ総花的なものとなっています。 まず、第1の問題は、経済対策の財政支出が55.7兆円に上り、その裏づけとなる2021年度補正予算案の一般会計補正規模が35.9兆円となるなど、過去最大となる見込みにもかかわらず、国民、事業者への給付金があまりに不十分であり、必要な国民に届く支援となっていない点です。 住民税非課税世帯への10万円給付は要件が厳しく、単身者で収入がおよそ100万円以下とならなければ対象となりません。これでは、コロナ禍の影響を受けた非正規雇用労働者は、その多くが対象とならないことが強く懸念をされています。コロナ禍での生活悪化の影響は幅広い上に、誰がダメージを受けているのか、事前に把握することも難しい状況です。この状況に対応するためには、給付金が必要なところに迅速に、かつ確実に届く仕組みが求められます。 非正規労働者なども広く支援、給付の対象とするよう改めるべきと考えますが、知事の認識をお聞きします。 子育て世帯への給付も、主な稼ぎ手の収入で所得制限を設けた結果、給付の不公平が生じると指摘されています。また、半額は来春に原則クーポンでの支給となり、967億円の事務経費がかかることにも多くの疑問の声が上がっています。今回、補正予算に計上されている学生支援緊急給付金の予算額が675億円であり、それと比しても巨額の事務経費と言わなければなりません。また、16歳から18歳への給付については別途申請が必要で、5万円が届くのも年明け以降になるとも報道されています。 政府は年内に5万円を給付し、来春にクーポン5万円を配布する計画ですが、政府に対して、自治体が現金で一括給付できる予算措置を行うよう、市町村と連携して求めるべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。 事業者への支援である事業復活支援金は、新型コロナの影響で今年11月から来年3月のいずれかの月の売上高が50%以上、または30%から50%減少した事業者--中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主ですが--を対象にしています。その上で、個人事業者の実情はどうかと事業者にお聞きをいたしますと、売上減少が30%までいかなくても、20%減少が数か月続いて困っているという事業者が少なくありません。ところが、こうした事業者には支援金はなく、次第に経営が厳しくなっているのが実情です。 売上減少が20%、25%という月が続いて経営が厳しい事業者に対して、何らかの支援が必要だと考えます。県独自の給付金の対象拡大を行う考えはないか、あるいは国に求める考えはないか、知事の御所見を聞かせてください。 また、新型コロナウイルス感染症の次なる感染拡大を見越し、自宅療養で亡くなる方が相次いだ第5波を教訓として、医療体制の抜本強化を行うことも必要です。そのためには、医療従事者の確保が喫緊の課題です。 政府は、看護師の賃上げとして、コロナ医療に携わる医療機関に限って、当面月4,000円の賃上げを行うとしています。額が不十分な上に、地域における医療体制の維持には、コロナ医療に直接関わる医療機関以外も大きな役割を果たしており、コロナ医療に携わる医療機関に対象を限ることは道理がありません。抜本的な看護師の処遇改善が必要です。 国に対し、さらなる看護師の抜本的な処遇改善を求める考えはないか、知事にお聞きをいたします。 そして、国の補正予算案には、新型コロナウイルス感染症と全く関連性のない軍事予算7,700億円が、コロナ克服・新時代開拓のための経済対策に含まれていることも大きな問題です。今年度の新規契約費として約2,500億円、過去に契約した装備品の分割払いの経費として約4,300億円をそれぞれ充て、哨戒機や輸送機のほかにミサイルや魚雷などを増やす見通しとなっています。2021年度の当初予算5兆3,422億円と今回の補正予算を合わせると、同年度の防衛費は6兆円を上回ります。 財政法上、補正予算による支出は特に緊要となった経費について行うものとされています。財政法第29条です。補正予算による軍事費計上は、安倍政権から繰り返されている補正予算を悪用した、あからさまな軍拡と指摘しなければなりません。 補正予算での軍事費計上には、財政法上要請される緊急性は全くなく、コロナ克服という政府自らが掲げた経済対策の目的からも逸脱するものと考えますが、知事の御所見を聞かせてください。 次に、地方創生についてお聞きをします。 国において、2014年11月に地方創生の根拠法となる、まち・ひと・しごと創生法が制定をされました。政府は、この地方創生法に基づき地方創生の総合戦略と、その具体的な政策化の方向を示した基本方針を定めています。そして、昨年12月に第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略2020改訂版として策定をされています。 総合戦略の目的は、将来にわたって活力ある地域社会を実現することです。そのために、1、人口減少を和らげる、そのために結婚・出産・子育ての希望をかなえる、また地方に住みたい希望を実現する。2、地域外から稼ぐために力をつけるとともに地域内経済循環を実現する、人口減少に適応した地域をつくる。3、東京一極集中を是正するというものです。また、まち・ひと・しごと創生基本方針2021では、地方創生の3つの視点として、ヒューマン、デジタル、グリーンを重視して推進するとしています。 岸田首相は、新しい資本主義を標榜していますが、この地方創生の路線は引き継がれるものと考えます。政府の政策決定を受けて本県では、まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し実行していますが、私は、いま一度、地方が主体性を持って政府が進める地方創生を見詰め直し、点検する必要があると考えます。 その理由は、第1に、国と地方の関係に関わる問題を含んでいるからです。もっと言うと、政府による地方創生が、国と地方の関係をゆがめていると考えるからです。 初代の地方創生担当大臣が、地方再生ではなく地方創生と言っているのは、いろいろな考え方や仕組みをつくろうとしているためだ、中央と地方、あるいは民間と政府の関係を全く違うものにしていきたいと述べたことがあります。2015年1月、経団連会長との懇談の中です。1993年6月の衆参両院での地方分権の推進に関する決議に基づく地方分権改革を経て、国と地方自治体は対等・協力の関係になりましたが、地方創生によってそれが変わるということです。 地方創生の実施手段は選択と集中です。地方自治体に地域の総合戦略をつくらせ、結果について政府が評価、選別する。それにより、努力する自治体には資金と支援策を集中する仕組みです。一見、当たり前のように見えますが、国主導で上から地域間競争を促す戦略であり、やる気がないとみなされれば取り残されます。そして、自治体の集約や再編が余儀なくされるおそれもあります。 国連の持続可能な開発目標は、誰一人取り残さないです。自治体間の格差が広がるようなことになっては本末転倒です。また、権限を独り占めする政府の交付金という金によって、地方創生の取組が支配されるようになってしまうと、国と地方の対等な関係がゆがめられます。 地方から見て、政府の地方創生には、国と地方の対等な関係を崩す構造的な問題があると考えますが、知事の所見を伺います。 第2に、政府が進める地方創生は、これまでの経済政策、社会福祉政策に対する反省が希薄であるからです。地方衰退の要因は、東京に人、物、金が集まる東京一極集中もありますが、それだけではありません。同時に、地方が切り捨てられてきたことによるものです。 とりわけ輸入自由化の下で農林水産業が衰退したことが、地方の活力を失わせました。また、この30年間、賃金はほとんど上がらず、人手不足と言われる介護の職場でも、最低賃金レベルで働いている人が少なくありません。男女の賃金格差も残っています。非正規労働者は4割に増え、貯蓄ゼロの世帯が増えています。勤労者の可処分所得が増えなければ購買力が回復せず、地域経済はよくなりません。一方、安心してお金を使える基盤ともなる社会保障は、充実どころか病床を減らす計画です。また、将来を担う学生は高い学費を払うためにバイトに追われ、卒業すれば多額の奨学金の返済が待っています。 他方で、エネルギー政策は、地方に豊富にある再生可能エネルギーへの思い切った転換を図るのではなく、原発を温存する構えです。しきりに言われた、大企業がもうかれば、やがて滴り落ちてくるというトリクルダウンは起きませんでした。 今だけ、金だけ、自分だけと言われる新自由主義の経済政策を改め、大企業優遇ではなく、1次産業を重視し、家計を応援する経済政策に切り替えてこそ、地方再生につながるのではないでしょうか。何より、安定した雇用と社会保障の充実こそ、人口減少への一番の対策となります。先端技術の導入や規模拡大で生産性を上げた事業者に支援を集中するというやり方だけでは、地方の衰退に歯止めはかかりません。普通に働いて普通に暮らせる社会を持続させることが大切です。政府の地方創生には、地方を衰退させてきた、こうした問題に正面から向き合っていないと言わざるを得ません。 政府の地方創生は、地方衰退の根本をただすものになっておらず、暮らしへの施策が乏しいと考えますが、知事の認識をお聞きします。 また、そうした視点から、将来を担う学生の高い学費引下げなど、県民の要望をしっかり国に上げていくべきと考えますが、知事の考えを聞かせてください。 本県では、昨年3月に第2期高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略が策定されました。この中の、人口の推移と人口減少の負のスパイラルに対応する5つの基本政策、それらを下支えする施策、そして基本目標、この関係が分かりにくい面があります。それは、日本一の健康長寿県づくり、少子化対策の抜本強化は別として、経済の活性化、教育の充実、中山間対策の充実強化など、人口の増減とは直接つながっていないか、つながりが薄い施策もあり、こうした施策をも人口で評価するという問題です。 そのため、5つの基本政策の目標とは別に、人口増減に関わる4つの基本目標を立てています。政府の総合戦略もそういう組立てになっているので、致し方ないかもしれませんが、無理に人口との関わりに結びつけているようにも見てとれます。 人口増への貢献は重要だとしても、全ての施策を人口増への貢献で評価するのは少し無理があると考えます。個別の施策そのものが重要でもあるからです。総合戦略の評価基準について知事にお聞きをします。 地方創生の主体は何といっても県民です。そこに地方創生の鍵があると考えますが、どう県民主体の取組にしていくのか、併せて知事にお聞きをします。 地域を維持していく上で、集落連携等による地域の支え合いや活性化に向けた仕組みをつくることは重要です。そのため本県では、集落活動センターやあったかふれあいセンターの整備を進めてきました。小さな拠点として集落活動センターは、令和6年度に80か所を目標にしています。この事業を始めるには、運営主体や運営に協力していただく人を組織しなければなりません。そのために、県の地域支援企画員が市町村や関係機関、地域住民とも協力して重要な役割を果たしています。 課題は、県の地域支援企画員のような役割を担える人材を市町村や地域に育成し、全体のスキルアップを図ることではないでしょうか。こうした人材が増えることが、市町村、地域住民による内発的な力を引き出し、地域のまとまりをつくり、住民主体で事業を起こす力、安定的に事業を継続していく力を強めることにつながります。今後、さらに地域の高齢化が進むことから、きめ細かく支援、取りまとめができる人材の確保が重要です。 県として、県の地域支援企画員の役割、市町村との連携と地域支援の人材育成についてどのように考えているのか、中山間振興・交通部長にお聞きします。 次に、過疎地域に対する県の取組についてお聞きをします。 国では過疎地域の持続的な発展という理念の下、今年4月に新しい、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法を施行しました。これを受けて本県では、8月に「高知県過疎地域持続的発展方針(令和3年度~令和7年度)」を定めています。過疎は、一定の空間的な範囲に住んでいる人がどれだけ減っているかで表されます。その過疎地域が直面しているのは、過疎化に加え人口減少、少子高齢化です。これらは同時に進行しており、過疎・高齢化と一まとめに表現されます。 中山間地域を中心とする過疎化や高齢化が進むと、集落の自治機能が低下し、それとともに農林地や生活基盤が荒廃します。景観や文化など地域固有の資源が消滅していきます。過疎・高齢化が進む地域の方からは、買物に苦労している、バス停まで行くのが遠くて大変だと、病気になったら心配といった声を多くお聞きします。 地域の置かれている現状、地域の人たちの要望、他方で地域のよさなども把握し、問題点や課題を整理して、横断的に共有できる仕組みを充実させることが必要であり、そして総合的な施策や事業を行い、住民の皆さんに適切な行政サービスが届くようにしなければなりません。 本県では、新過疎法に基づく過疎地域とされた自治体数は、これまでと変わりありませんでした。人口減少に歯止めをかける諸施策を行っても、なお当分の間人口減少が続く見通しです。その間に、地域の過疎化が進行することは避けられません。こうした状況の中で、いかにして生活の質を落とさず、むしろ生活の質を向上させて、住み慣れた地域で暮らし続けられるようにしていくのかが県政の大きな課題です。 過疎地域の現状に対する認識、そして今後過疎対策に具体的にどう取り組むのか、知事にお聞きをいたします。 次に、物部川の濁水問題についてお聞きします。 物部川は流程71キロと、四万十川、吉野川、仁淀川に次いで県内では4番目に長い川です。源流部一帯は奥物部と言われ、県下の最高峰である三嶺、標高1,894メートルをはじめとして1,500メートル級の山々が連なり、石鎚山系と並ぶ四国の2大奥山地帯となっています。 自然豊かなこの物部川にも、他の日本の多くの川と同様に、戦後間もなくから昭和30年代にかけて電源開発の事業が入り、物部町、旧物部村大栃より上流では、住友共同電力による大小幾つかの取水堰堤や発電所が支流にでき、それより下流では永瀬、吉野、杉田の3つの県営ダムが造られていきました。地域住民に親しまれ、アユ漁も盛んなこの物部川に、20年ほど前から異変が起きています。豪雨により川の水が濁ると、なかなか元の清流に戻らなくなってしまいました。 このため2005年度、平成17年度に国土交通省、高知県、関係機関、関係自治体で物部川濁水対策検討会が設置され、濁水の実態把握、監視、流域対策、発生源対策、貯水池対策が取り組まれてきました。また、清流と森を守ろうという官民挙げた活動も取り組まれてきています。関係者の御努力には、心より敬意を表するものです。しかし、こうした活動を行ってもなお抜本的な解決には至っておりません。 物部川で濁水問題が言われ出したのは、1993年、平成5年に発生した大規模な山火事を原因としたものが最初です。その後、2004年、平成16年、2005年に連続して来襲した台風に伴う豪雨による土砂崩れなどが大きく影響し、出水のたびに頻繁に濁水を発生させるというパターンが続いております。 濁水の要因としては、鹿の食害、森林崩壊、ダム湖にたまった土砂などが要因として考えられます。その中でも、ダム湖に泥水が流れ込んでたまることが濁水を長期化させていると見られています。長期の濁水は、自然環境や生態系に悪影響を及ぼします。日光が遮られ、水生動植物の生息環境が悪化します。石にヘドロがこびりつき、コケを食べるアユやボウズハゼなど川魚の生育に支障を来しています。また、物部川の水は農業用水としても利用されており、農業への被害も広げます。作物によっては、水をろ過して使用しなければなりません。 こうした被害を防ぐための抜本的な対策が必要です。現在の濁水対策の取組状況について土木部長にお聞きをいたします。 県は、従来の濁水対策検討委員21人に、森林組合や土地改良区代表、土砂管理や水生生物の専門家ら11人を追加したとのことですが、その理由、目的についても併せて土木部長に伺います。 10月27日に開かれた新しい濁水対策検討会では、ダム上流の川底の掘削などで除去できる土砂の量は流入量に対してごく僅かであり、ダムの改良を視野に議論が交わされた、検討会は本年度中に対策方針をまとめ、2022年度以降の具体化につなげる方針だとの報道がありました。 全国で検討されているダムの貯水池における濁水長期化対策としては、濁質の発生、流送、貯留の過程から、1流域・発生源対策、2河川内対策、3貯水池内対策、4貯水池下流対策の4つの対策があるとされています。 流域・発生源対策とは、森林整備、治山事業、地滑り防止対策、流域の乱開発の防止等により濁質の生産量を抑制することです。 河川内対策は、流域内で発生した濁質の貯水池内への流入を防ぐためのものです。渓流における側岸浸食による土砂の生産及び堆積土砂の運搬を抑制する渓流対策や、排水バイパスを設置して自然に近い形で洪水時の土砂や濁水をダム下流に流し、ダムへの流入濁質の低下を図る方法などがあります。 貯水池内対策は、湖岸浸食を防ぎ、濁質の貯水池への流入を抑制するとともに、流入した濁質については放流操作などにより、ダム下流の濁水を軽減させるものです。 貯水池下流の対策は、河川内対策と同様、濁水を流す過程における対策ですが、ダム下流における放水口下流といった限定された範囲における対策です。こうした様々な知見を有するダム工学の専門家、専門機関に加えて、国の知見なども総動員をして抜本的な対策を早急に検討する必要があると考えます。 県としてどのような知見を集めて対策を行っていくのか、またダムの改良とその効果についてどのように考えるのか、土木部長にお聞きをいたします。 また、濁水を軽減するには、水源地である上流域、中流域の森林保全が重要です。高知県は2003年4月、全国に先駆けて森林環境税を導入しました。本県は林野率が83.5%と全国一高く、森林の約6割が杉、ヒノキの人工林で、その面積は39万ヘクタールに及びます。人工林は、外材の増加による林業不振と担い手の高齢化などによって、人の手が入らず放置されているところが少なくありません。人工林の荒廃は、水源涵養機能の低下による水不足の問題や、土壌流出による川や海の生態系に影響を与えます。 高知県の森林環境税の趣旨は、県民に薄く広く税負担をしてもらい、県民総意で山の再生に取り組むところにあります。県民への一層の周知を図り、県民参加の森づくりを促進していくことが求められます。 県は、今後濁水防止に寄与する県民参加の森づくり、森林環境保全事業をどう進めていくのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 次に、鳥獣被害対策についてお聞きをいたします。 11月に高知市東部の住宅地や南国バイパス、南国市の香長中学校や吾岡山、大篠小学校南の住宅地などで野生の猿の目撃情報が相次ぎました。けが人がなくて幸いでしたが、平野部の住宅街に猿が出てくるのは自然環境が変化したからでしょう。最近では、私の住む南国市の南部の十市や稲生の方からも、イノシシに畑作物を荒らされたという相談が寄せられるようになりました。いずれも山裾の田畑でしたが、平野部に近いところでも鳥獣対策が必要になってきています。 本県では2012年度、平成24年度に過去最高の3億6,000万円の農林水産物への被害があり、その後、野生鳥獣による被害は減少傾向にありますが、昨年度においてもなお1億1,300万円の被害を被っています。そのため鳥獣対策は、引き続き県政の重要な課題であると考えます。なお、農地面積は近年減少傾向にあるため、被害の評価は農地面積の推移なども勘案をして行う必要があります。 本県では、2012年度から野生鳥獣に強い集落づくりをスタートさせ、JAに業務委託し、鳥獣被害対策専門員事業を行っています。専門員は、地域住民を主体とした集落ぐるみの鳥獣被害対策を進めていく役割を担っており、集落の合意形成、防護柵の設置や捕獲方法の指導などを行っています。この専門員の育成には、県がしっかり支援をしなければなりません。また、重点支援集落を決める県と市町村、関係機関でつくる推進チームの役割も重要です。 事業自体は県の実施であり、鳥獣被害対策専門員事業の活動をどう評価しているのか、今後の課題と取組も併せて中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。 本県では、生息数が著しく増加し、またはその生息地の範囲が拡大している鳥獣の管理を行う第二種特定鳥獣管理計画を作成し、イノシシ、ニホンジカの捕獲目標を立てて、農林業被害や自然生態系への被害を軽減するために取り組んでいます。計画の捕獲目標は、イノシシが年間2万頭、ニホンジカが年間3万頭。これに対する捕獲実績は、2015年実績ですが、イノシシが1万8,736頭、鹿が2万556頭です。 ここ10年の狩猟者登録は、第一種銃猟の減少が著しく、2005年度に4,000件を下回り、2015年度には2,122件となっています。一方、わな猟の登録が増加しており、2015年度に2,631件、これは1985年、昭和60年の約8倍となっています。そして、直近の10年間は毎年、合わせて約4,800件前後で推移をしてきています。年齢別では、50歳以上が9割となっており、高齢化が顕著となっています。特に60歳以上の割合が年々増加をしています。 狩猟者登録は横ばいで推移しており、イノシシや鹿の年間捕獲目標を達成するのは難しいのではないかと考えますが、狩猟者登録をどう増やし、捕獲目標達成へどのように取り組むのか、中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。 次に、三嶺におけるニホンジカ、以下、鹿の食害対策についてお聞きをいたします。鹿は、古くから日本に生息していましたが、明治期から大正期、昭和初期にかけて全国的に乱獲が行われ、生息数は減少をたどりました。その後、1940年代から1990年代にかけて、狩猟を規制し保護する時代が続きました。この保護政策とともに、山村を取り巻く経済社会の変化が合わさって、鹿は1980年代から徐々に増加し始め、1990年代、そして2000年代には全国的に急激にその数を増やしています。 四国山地での鹿の急激な増加は、林業の衰退、集落の崩壊が大きく影響しています。山間奥地の森林を取り巻く環境が変化し、特に人と自然との関わりが希薄になり、狩猟を行う人が減ってきました。このことが鹿の激増につながっています。 増え過ぎた鹿によって、奥物部の三嶺では鹿の食害が深刻です。広範囲にササや樹木の下草や樹皮が食い荒らされ、一部では山林崩壊につながっています。そこから崩れた土砂が河川に流れ込むことが、物部川濁水問題の原因の一つにもなっています。また、鹿による希少植物の食害も深刻です。 三嶺は、四国に残された自然の宝庫です。県として四国の山間部で、とりわけ三嶺で鹿が増加した要因をどう理解しているのか、中山間振興・交通部長にお聞きをします。 現在、高知県では特定鳥獣保護管理計画によって、個体数管理の強化を実施しています。しかし、それを担う県下の第一種、第二種の銃猟狩猟者数は著しく減少している現実があります。また、同時に高齢化が見られます。捕獲柵は、高知県の山間部は急峻であるため、大規模な捕獲柵は困難であろうと予測をされます。 今後、捕獲実績を向上させていくには、くくりわなが最も重要な部分を占めていくことと思われます。高知県もくくりわなを推進していますが、くくりわなは無差別であるため、雌、雄に関係なく捕獲され、またカモシカやツキノワグマといったほかの野生動物の錯誤捕獲の可能性も高いという問題を含んでいます。 三嶺の鹿の食害をどう把握しているのか、今後どのように鹿の頭数管理を行っていくのか、中山間振興・交通部長に伺います。 以上で、私の第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 岡田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、女性などの自殺者の急増の現状、その背景についての認識、自殺者の増加をもたらす社会のひずみへの対処についてお尋ねがございました。互いに関連をいたしますので、併せてお答えをいたします。 令和2年の女性の自殺者数でございますが、本県では前年に比べ3人減の33人となっております。しかし、全国では前年より935人、率にして15.4%と大幅に増加をしているのは御指摘のとおりでございまして、これは生活苦や職場の人間関係、DVの被害などがコロナ禍で深刻化したものというふうな分析もされているところであります。 また、今回のコロナ禍におきましては、女性の自殺者の増加のほかにも、女性の非正規労働者の減少、シングルマザーの失業率の上昇など、弱い立場の女性が特に深刻な影響を受けているという情報がございます。こうした状況を踏まえ、県におきましては、国が緊急的な対応として打ち出しておられますひとり親家庭生活支援給付金でございますとか、地域女性活躍推進交付金を活用するなどによりまして、積極的な支援に取り組んでいるところであります。 コロナ禍におきまして、女性に特に強い影響が生じた背景には、家計を支えるのは男性といった従来の固定的な役割分担意識でございますとか、そのことによります女性の経済的基盤の弱さにあるというふうに思われます。このため、ただいま申し上げましたような緊急的な対応に加えまして、男女共同参画の取組を社会全体として加速していくということが、これが男性も含めて全体で取り組んでいくべき課題であるというふうに考えております。 こうした課題に対処するために、具体的には長時間労働の見直し、男性の育児休業の取得推進、多様なニーズに応じた就労支援といった形で、女性の視点に立った取組をより一層進めてまいる考えであります。 次に、日本国憲法の成立過程と高知県におきます自由民権運動の関係についてお尋ねがございました。 自由民権運動は、明治初めの藩閥政治、官僚政治に対する反発ということから、板垣退助、後藤象二郎らによります民選議院設立の建白書の提出に端を発して展開された運動というふうにされております。そして、こうした運動が帝国議会の開設でありますとか、大日本帝国憲法の制定をもたらしまして、ひいてはこれらが日本国憲法の成立につながったと、そういった関係にあるというふうに理解をしております。 また、国立国会図書館が公表をされております、日本国憲法の誕生によりますと、民間の憲法研究会案がGHQの草案作成に大きな影響を与えていたということが確認をされているところでございます。さらに、この憲法研究会案を作成いたしました鈴木安蔵氏はこの作成に当たり、植木枝盛が著しました「東洋大日本国国憲案」などを参考にしたというふうにされております。加えて、歴史学者の家永三郎氏は植木枝盛選集におきまして、主権在民、基本的人権の尊重、地方自治などの点で、植木枝盛草案と日本国憲法とは酷似しているというふうに評しておられるところであります。 このように我が国の立憲政治の成立過程で、土佐の自由民権運動がこれを大きく後押ししたということ、また郷土の思想家、植木枝盛の草案が現憲法の理念を先取りするものであったということが言えるというふうに考えます。私といたしましても、このように日本国憲法の成立の先駆けといたしまして、歴史に名を刻んだ郷土の先人たちの先見性に深い尊敬の念を抱くところであります。 次に、武力によらない平和貢献についてお尋ねがございました。 我が国は、日本国憲法にうたわれております平和主義の理念に基づき、国際社会の責任ある一員といたしまして、これまでも世界の平和貢献に積極的に取り組んでおります。 具体的には、平和構築を主要な外交課題の一つといたしまして、1つには国連平和維持活動、PKO等への貢献、2つには政府開発援助、ODAを活用した現地における取組を行っているところであります。また、留学生を受け入れて優れた知識や技術の習得を促すという知的貢献や人材育成といったものが3本目の柱と考えまして、これらの3本柱により、様々な活動を展開されているというふうに承知をされております。 私も、こうした武力によらない世界各国におきます平和貢献の活動を継続していくということが、我が国の平和と安定につながるものというふうに考えております。 次に、米軍機の低空飛行訓練に関しまして、映像を見た私の思いがどうかというお尋ねがございました。 本県におきます米軍の低空訓練飛行に対しましては、これまでにも県民の皆様から多くの不安の声が届いております。県といたしましても、米軍に対して超低空飛行など異常な訓練を行わないように、国を通じた要請を繰り返し行っているところであります。私の知事就任以降も、これまでに3回、外務、防衛の両大臣に対して要請を行ってまいりました。 今回、戦闘機と思われます飛行機が爆音を響かせながら保育園上空を飛ぶ映像、それに驚き涙する子供たちの写真を拝見いたしました。このような住民を強い不安に陥れるような異常な訓練については、何としても中止をしていただかねばならないという思いを改めて強くしたところであります。 次に、米軍の低空飛行訓練の中止と事前通告を、今後どのように要請していくのかというお尋ねがございました。 低空飛行訓練の中止要請につきましては、住民が生命の危険を感じるような超低空飛行訓練が繰り返されるとか、また訓練回数が大幅に増加するといったような場合には、改めてこうした異常な訓練の中止を求めてまいりたいというふうに考えております。 加えまして、本県上空におけます米軍機の主な訓練ルートに当たる、いわゆるオレンジルートは、ドクターヘリ、消防防災ヘリが日常的に活動している空域でもあるわけでございます。また、オレンジルート下には、山間地域での救急患者搬送あるいは災害時の救援物資の運搬などに必要なヘリポートも多く存在をしております。米軍機の低空飛行訓練は、こうしたヘリの安全な運航を脅かすものでございます。したがいまして、飛行ルートや時期を事前に情報提供するように、これまでも繰り返し国に要請をしてまいりました。 一方で、米軍機の飛行訓練に関する情報は、米軍の軍事上の運用に関わる情報でもあるというのは事実でありまして、その意味で全てを明らかにするというのは軍事上困難であるという事情も、一定程度理解はできるところであります。 県といたしましては、そういうことではございますけれども、訓練に関する情報につきましても、軍事的な機密に差し支えのない範囲で、工夫をして事前に提供していただきたいと考えておりまして、今後もこの趣旨を全国知事会とも連携をし、粘り強く求めてまいります。 次に、日米地位協定の見直しの実現に向けた決意と取組についてお尋ねがございました。 全国知事会におきましては、平成30年7月に基地のない都道府県も含めた知事会全体の総意といたしまして、米軍基地負担に関する提言書を取りまとめております。この提言書には、日米地位協定を抜本的に見直し、航空法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることなどを盛り込みまして、同年8月に政府に提言を行っております。この提言に関しましては、それ以降も毎年行っているところであります。 本県といたしましては、この日米地位協定の抜本的な見直しについては全国知事会の枠組みを通じて要望をしていくことが効果的であるというふうに考えており、今後も全国知事会の一員といたしまして、この提言の実現に向けて、継続的に取り組んでまいります。 次に、住民税非課税世帯等への今回の経済対策におきます給付金に関しまして、給付の対象を改めることについてお尋ねがございました。 国におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中で、様々な困難に直面した方々が速やかに生活、暮らしの支援を受けられるということを旨として、今回の制度を打ち出されたというふうに理解をしております。対象は、令和3年度分の住民税均等割が非課税の世帯ということを基本とされておりますけれども、これに加えまして、コロナ禍の影響により家計が急変をし、非課税世帯と同様の事情にあると認められる世帯も加える予定というふうにお聞きをしているところでございます。 現在、国において、具体的な制度を検討中の状態でございまして、国の補正予算が成立をされ詳細が示されましたら、事業の円滑な施行に向けて市町村の取組を支援してまいる考えであります。 加えて、今回の経済対策におきましては、生活福祉資金特例貸付や新型コロナウイルス生活困窮者自立支援金の申請期間が、令和4年3月まで延長されました。県といたしましては、今回新設をされる給付金の対象にされない方々につきましても、こういった延長となりました特例貸付、自立支援金などの支援策が講じられる場合もあると考えますので、こういった支援策も通じまして、厳しい状況にあります方々の生活あるいは暮らしの支援を行ってまいりたいと考えております。 次に、子育て世帯への給付におきます現金の一括給付についてお尋ねがございました。 今回の経済対策におきましては、コロナ禍の影響を踏まえて、子供たちを力強く支援するという観点から、子育て世帯への臨時特別給付が決定をされております。このうちクーポンによる給付、5万円分というのが想定されておりますが、これにつきましては、給付の仕組みの構築あるいは商品提供店舗の選定に時間を要するということがございますので、来年春の入学、新学期に向けた給付が難しいという事情も想定をされます。また、特に本県の中山間地域におきましては、学習支援、育児支援など、子育てサービスを提供する事業者や商品提供店舗が少ないといった課題もあるということでございます。 こうした事情もございますので、全国知事会、市長会、町村会においては、地方の意見を反映いたしまして、市町村が柔軟に対応できる仕組みとしていただきたいという旨を、11月の末に連名で国に要望し、要望書の形で提出をしたというところでございます。 この問題に関しましては、国会では昨日総理から、自治体の判断で地域の実情に応じ、年内からでも10万円の現金を一括で給付することも選択肢の一つに加えたいという、明確な方向性も示されたところでございます。県といたしましては、こうした方向性に沿って、今後の制度設計におきまして、各市町村の自主性が尊重される仕組みとなるということを期待いたしているところでございます。 次に、国の事業復活支援金に関しまして、県独自で対象を拡大できないかというお尋ねがございました。 本県におきましては、コロナ禍が長期化する中、国に先行して県独自の給付対象を拡大した給付金を創設いたしまして、事業者の下支えを行ってまいりました。それと同時に、国に対しては給付金の支給対象を拡大すること、給付内容を充実していくことを訴えてまいったところであります。こうした結果、今回の国の経済対策の事業復活支援金という形で、ようやく支給対象が拡大をされ、支給金額も拡充をされるということになったわけでございます。 こういった事情がございますので、まずは今回の国の新たな支援金を活用いただくということで、事業者の事業継続の支援を図ってまいりたいと考えております。これと同時に、需要回復の対策などを含めました各種の経済対策を県としても実施していくということで、早期に景気回復に努めてまいりたいというふうに考えております。 その上で、今後の経済状況でございますとか、国の新たな支援金制度の適用状況などを踏まえまして、また事業者の皆さんの御意見もお聞きしながら、必要な場合には、国に制度のさらなる充実などの政策提言を行ってまいる考えであります。 次に、国に対して看護師の抜本的な処遇改善を求める考えはないかという点についてお尋ねがございました。 11月19日に閣議決定されました今回の経済対策においては、公的部門におきます分配機能の強化の一環といたしまして、看護や介護などの現場で働く方々の収入の引上げなどを図ろうという内容が盛り込まれております。 議員から御指摘がございました看護職員等処遇改善事業は、その第一歩という位置づけで、このたびの国の補正予算に計上されたものであります。内容的には、地域でコロナ医療など一定の役割を担う救急医療機関に勤務をする看護職員を対象といたしまして、来年の2月から収入を1%程度、月額にして4,000円引き上げるといったような中身と承知しております。コロナ禍の中で御尽力をいただいている看護職員の皆さんの処遇改善に資するものと期待をいたしております。 一方で、この措置は10月以降の措置をどうするかという点につきましては、今後の公的価格の見直しでございますとか、令和4年度の当初予算の編成過程におきまして、改めて検討されるという扱いとされており、この点についての国の動きを、まずは注視してまいりたいと考えております。 次に、国の補正予算での防衛費の計上について、財政法との関係でのお尋ねがございました。 財政法第29条は、内閣は予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合、補正予算を作成し、これを国会に提出することができるというふうに規定をいたしております。お尋ねの補正予算への防衛費の計上につきまして政府は、財政法に基づき、緊要性があるものとして予算案を提出しているというふうに説明されているものと承知をいたしております。防衛費を含めて、この緊要性の有無などにつきましては、予算案の提出を受けました国会において十分な審議がなされた上で判断をされるべきものだというふうに考えております。 次に、政府の進める地方創生におきます国と地方の関係、そして施策の内容の在り方についてお尋ねがございました。関連をいたしますので、併せてお答えをいたします。 地方創生は、地域地域の様々な課題に対しまして、各自治体が自らその強みや弱みを分析する、そして地域の特性を生かした取組を自主的、主体的に行っていくということによりまして、その実現を目指すといったものであります。そして、こうした地方独自の取組を国が支援するということが基本的な枠組みとなっております。 本県におきましては、人口減少におきます経済の縮みが若者の県外流出、中山間地域の衰退を招き、さらにこの結果、人口減少に拍車がかかるといった負のスパイラルをたどってきた経緯がございます。この負のスパイラルを克服し、一人一人の暮らしを守るべく、産業振興計画をはじめといたしましたこれまでの取組を生かしながら、体系的な総合戦略を策定したところでございます。 この総合戦略におきましては、地産外商、観光振興、移住促進といった経済の活性化、そして出会いの機会の創出などの少子化対策、さらには中山間地域の小さな拠点となります集落活動センターの開設などを盛り込みまして、様々な取組を進めてまいりました。その結果、本県の経済は人口減少下におきましても拡大をしていくと、そういった構造に転じつつあるというふうに考えております。こうした取組を進めるに当たりまして、地方創生推進交付金など、国の施策が大きな後押しとなったということは否めない事実だというふうに考えております。 このように、全国の自治体が地域の特性を生かし、創意工夫を凝らした独自の取組を主体的に行うということが、まさに地方創生のあるべき姿というふうに考えているところでございます。 次に、この地方創生に関連をいたしまして、学生の学費引下げなど、県民の要望を国に上げていくべきではないかということについてお尋ねがございました。 大学は、地域におきます知の拠点といたしまして、地域の将来を支えます産業、人材の育成に大きな貢献を果たすといったことなど、地方創生にとって重要な役割を担っていると考えております。そうした大学への進学について、子供たちが経済的な理由によって断念することのない環境づくりが必要であると考えます。 こうしたことを踏まえまして、県においては、全国知事会を通じまして、大学などの高等教育への進学希望をかなえるための給付型奨学金の創設などを国に提言してまいりました。その結果、国は令和2年度から、授業料等の減免制度、そして給付型奨学金の支給を併せて措置をいたします、高等教育の修学支援新制度を開始したところでございます。 県としましては、この制度の開始後も奨学金の給付額の引上げなど、制度の拡充につきまして、引き続き全国知事会を通じて国に提言をいたしているところであります。 次に、高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略の評価基準についてお尋ねがございました。 この総合戦略においては、地産外商により魅力のある仕事をつくるといった4つの基本目標を設定いたしまして、これに基づき関連する具体的な施策を盛り込んでいるところであります。こうした施策の評価基準は、例えば中山間地域の振興という基本目標につきましては、集落活動センターの開設数を数値目標として掲げるといった形で設定をしており、それぞれの施策の目的、内容に応じて設定をしているところでございまして、一律に人口増への貢献度を評価するといったものではないところであります。 各施策につきましては、総合戦略推進委員会などにおいて、取組の進め方、あるいは人的・財政的支援の投入量、こういった点なども含めて評価をいたしておりまして、PDCAサイクルによります不断の点検、検証及び見直しを行っているところであります。 次に、地方創生をどのように県民主体の取組にしていくのかというお尋ねがございました。 総合戦略などの各計画におきましては、策定段階から検証に至りますまで、有識者のほか関係する団体、市町村の皆様などに参画をいただきまして、様々な御意見をいただいております。また、その実行に当たりましては、できるだけ多くの県民の皆さんに参画をいただき、自らプレーヤーとして取り組んでいただくということが、地方創生を成し遂げる上で望ましい姿だと考えております。 これまでもこうした観点から、産業振興計画の地域アクションプランでは、地域の皆様が主体となり、地域資源を生かして加工品の開発や販売などに取り組んでいただいております。また、集落活動センターでは、住民の皆さんが主体となりまして、集落での支え合い活動、特産品づくりなど、地域の課題に応じた取組が進められているというふうに承知しております。 今後も私自身、可能な限り地域に出向きまして、より多くの県民の皆さんと対話を重ねながら、率直な御意見を反映した戦略づくり、あるいは官民協働による取組をさらに進めてまいりたいと考えております。 最後に、過疎地域の現状に対する認識と今後の過疎対策の具体的な取組についてお尋ねがございました。 本県におきましては、長年にわたります総合的な過疎対策によって、産業の振興、インフラ整備など、一定の成果を上げてきたものと考えております。一方で、過疎地域では依然として人口減少に歯止めがかかりませんで、高齢化や集落の小規模化なども相まちまして、地域の活力や生活基盤が弱まるといった厳しい状況にあると考えております。 このような過疎地域の現状を踏まえまして、本県におきます過疎地域の持続的発展を図るという目的で、御指摘もありましたような、高知県過疎地域持続的発展方針を本年8月に策定いたしました。この方針では、県の5つの基本政策、横断的に関わります3つの政策、さらには地方創生の総合戦略などとも連動をさせるという考え方で、産業の振興、生活環境の整備、教育の振興など11の項目を柱として過疎対策を進めることといたしております。 現在、この方針に基づきまして、評価指標となりますKPIを設定した県計画の策定を行っております。県計画に基づく事業の実施に際しましては、進捗状況、達成状況を踏まえ、PDCAサイクルを回しながら進めてまいります。また、過疎地域のそれぞれの市町村では、県の方針に基づきまして、順次市町村計画を定めていただいており、過疎市町村の皆様と連携をして過疎対策に取り組んでまいる考えであります。 私からは以上であります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) 自由民権の思想を源流とした、日本国憲法の成立過程を学ぶことの主権者教育における重要性についてお尋ねがございました。 日本国憲法の制定につきましては、小・中・高の各校種の発達段階に応じて学ぶべき内容が学習指導要領において定められております。 まず、小学校では日本国憲法の内容に関する学習と関連づけながら、戦後平和で民主的な憲法が制定され、民主的な国家として出発したことを、中学校では小学校の学習を踏まえ、日本国憲法の基本的原則などを取り上げ、平和と民主主義への期待などを背景に日本国憲法が制定されたことを、そして高等学校の歴史総合では、日本国憲法の制定や戦後の民主化改革が日本の社会に与えた影響などについて考察する学習が行えることになっているなど、各学校段階を通じて、体系的な学びが行われることとなっております。 また、本県の中学・高校生に配付している県教育委員会作成の歴史副読本「中高生が学ぶ ふるさと高知の歴史」においても、植木枝盛らの国民主権、人権尊重という自由民権運動の理想が、日本国憲法に結実したことが触れられております。 子供たちが、将来主権者として自らの判断でその大事な権利を行使するようになるためには、現代社会の諸課題について多面的、多角的に考察し、公正に判断できる力や、公共的な事柄に自ら参画しようとする意欲や態度などを育むことが大変重要です。 今後も、日本国憲法の制定の過程などを学ぶことに加えて、日本とその他の国や地域の動向を比較したり、相互に関連づけたりする学習活動を充実させるなど、各学校における主権者教育の推進に取り組んでまいります。   (危機管理部長浦田敏郎君登壇) ◎危機管理部長(浦田敏郎君) 低空飛行訓練を観測するためのカメラ等の設置に関する進捗状況についてお尋ねがございました。 本県における米軍機による低空飛行訓練の実態について、国自らが映像などを用いて把握できるよう、防衛省の中国四国防衛局において、動画撮影用の観測カメラと騒音測定器を本山町に設置すべく、準備を進めていただいているところでございます。 その進捗状況につきましては、10月に設置工事に関する契約を施工業者と締結し、現在は設置箇所や撮影の角度などについて、地元の本山町と協議を行っている段階であるということを防衛局に確認しております。また、来年の3月15日までとする工期内に設置を終え、設置後は速やかに運用を開始する予定であると伺っております。   (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇) ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) まず、地域支援を担う人材の育成についてお尋ねがございました。 各市町村に駐在しております地域支援企画員は、市町村や地域の皆様に寄り添い、共に考え行動することで、住民の思いを実現し課題の解決を図るなど、地域の活性化を後押ししております。 一方、人口減少や高齢化により地域のリーダーや担い手が不足する中にあって、市町村職員や地域支援企画員の活動だけでは地域の活性化を進めていくことは困難になってきております。このため県では、これまでも地域づくりや集落活動を応援する地域おこし協力隊や集落支援員などの人材を確保し、地域活動の担い手やコーディネーターとして育成する取組を市町村と共に進めてまいりました。 今後、集落実態調査の結果を踏まえ、地域おこし協力隊などの活動に対して相談体制やネットワークを充実することに加え、実践的な研修会を開催するなど、サポートの強化を検討したいと考えております。また、このような地域をサポートする人材だけでなく、集落活動センターをはじめとする地域の団体の関係者や集落の後継者など、地域内の人材育成にも市町村と連携して取り組みたいと考えております。 次に、鳥獣被害対策専門員の活動の評価、今後の課題と取組についてお尋ねがございました。 県では、平成24年度から集落ぐるみでの総合的な鳥獣被害対策に取り組んでおり、県内の4つの農業協同組合に配置しております16名の鳥獣被害対策専門員は、その対策を推進するコーディネーターとして重要な役割を担っております。 具体の活動としましては、被害の深刻な集落に対して、集落ぐるみで対策を行うことへの合意形成や被害の実態把握、防護柵の設置や効果的な捕獲方法の指導など、総合的な被害対策の窓口として住民に寄り添い、きめ細やかな支援を行っているところです。 また、今後の課題といたしましては、集落でのリーダーの不在、あるいは担い手が不足していることで、集落単位での被害対策が進まない集落が存在することです。このため、今年度から周辺集落を巻き込んだ広いエリアでの合意形成を行い、集落連携による鳥獣被害対策を進めているところです。 これらの対策を進める上で、鳥獣被害対策専門員の役割はますます重要になってまいります。県としましては、専門員を対象とした研修や専門機関のサポートなどのバックアップを行い、さらなる鳥獣被害の縮減に努めてまいります。 次に、狩猟者登録の増加と捕獲目標の達成のため、どのように取り組むのかとのお尋ねがございました。 令和2年度の狩猟免許交付件数5,962件に対して、狩猟者登録件数は4,528件で、その割合は75.9%にとどまっており、いわゆるペーパーハンターが一定数存在する状況です。 イノシシや鹿の捕獲目標を達成するためには、狩猟免許の取得者が狩猟者登録を行うことを促進し、狩猟の現場へいざなう必要があります。このため、くくりわなの製作講習会の開催や、狩猟の名人によるマンツーマンでの捕獲技術指導、わな猟体験ツアーなどを通じて、狩猟を行うきっかけづくりや担い手の育成を行っているところです。また、若い世代を中心に新たな狩猟者を確保するため、高等学校での出前授業や狩猟フェスタなどのイベントの開催、狩猟免許試験の初心者講習会の受講料への補助なども行っております。 この結果、狩猟免許取得者の年齢構成につきましては、平成23年度から令和2年度までの10年間で、50歳代以上の狩猟者は減少している一方で、40歳代以下の狩猟者は526人から1,079人にまで増加しております。また、新たに狩猟免許を取得される方も年間360人程度で推移をしております。 今後も、このような取組を継続することで、狩猟者登録件数の増加や捕獲目標の達成につなげてまいります。 次に、三嶺で鹿が増加した要因についてお尋ねがございました。 三嶺でのニホンジカの急激な増加は、議員からお話のありました全国的な要因に加え、四国4県の気象データや研究者の報告から、温暖化により降雪量が減少したことが大きな要因ではないかと考えております。 具体的には、ニホンジカの食害が拡大する前の三嶺では、稜線部に豊かなササ原が広がり、樹林内にも多くの下草が生い茂っておりました。2000年代に入り、温暖化が進行したことで降雪量が減少し、ササ原や下草が冬期でも雪に埋もれることがなくなり、ニホンジカにとって魅力的な冬期の餌場となりました。この餌場を求めて周囲から多くの個体が集まり、繁殖が進んだことでニホンジカの生息密度が急激に増加したと分析しております。 それらに加え、三嶺には鳥獣保護区や国有林が存在し、平成元年からは国の特別保護区も設定されておりますことから、狩猟による捕獲圧が十分にかからなかったことも、ニホンジカが増加した要因の一つと考えられます。 最後に、三嶺での鹿の食害の把握と今後の個体数管理についてお尋ねがございました。 県では、自然保護活動を行っている団体や高知大学などの研究者、関係機関などで組織されております、三嶺の森をまもるみんなの会から、三嶺でのニホンジカの食害などの情報提供をいただいております。 いただいた情報によりますと、被害面積などは把握されていないものの、食害により稜線部のササ原や樹林内での下草の枯れ上がりが見られたり、表皮の食害で枯れる樹木が発生しているとお聞きをしております。このような被害への対策としましては、捕獲の強化が重要であると考え、国の事業を活用した有害許可による捕獲活動への支援に加え、県独自で狩猟期における捕獲に対する報償金制度を設けるなど、一年を通じて捕獲を推進しているところです。 また、狩猟が禁止されている鳥獣保護区や国有林では、香美市や四国森林管理局が中心となりまして、ツキノワグマなど希少動物の錯誤捕獲を起こさないように、銃や囲いわなでの捕獲を実施しております。さらに、徳島県との連携事業としまして、県境での捕獲にも取り組んでいるところです。 今後も引き続き、これらの取組を継続することで、ニホンジカの個体数管理に努めてまいります。   (土木部長森田徹雄君登壇) ◎土木部長(森田徹雄君) まず、現在の物部川における濁水対策の取組状況についてお尋ねがございました。 永瀬ダム上流域の山腹崩壊などによりダム湖に流れ込んだ土砂は、降雨による出水のたびに濁水の発生源となっております。このため、流域の山林では国や県により、崩壊の拡大を防ぐための山腹工をはじめとする治山事業を行うとともに、森林組合などによる森林保全のための間伐も進められています。 また、県では、ダム湖内で濃度の高い濁水がとどまる水深に取水口を移動させ、ダム湖から濁水の早期排出を促す選択取水設備の運用なども行っているところです。あわせて、国土強靱化対策予算を活用し、上流の河川やダムに堆積した土砂のしゅんせつを加速化しているところでございます。 次に、従来の濁水対策検討委員21人に、森林組合や土地改良区代表、土砂管理や水生生物の専門家ら11人を追加した理由及び目的についてお尋ねがございました。 平成16年に、物部川の濁水が長期化し、社会問題となったことから、翌年の平成17年から濁水対策検討会を開催し、濁水対策に関係する学識者に御意見をいただきながら、課題の解決に向け、土砂のしゅんせつや治山事業に取り組んでまいりました。しかし、これら上流域の対策だけでは抜本的な解決には至らないことが明らかになってまいりました。 令和2年度に開催した検討会においては、課題の解決に向けて、山の荒廃が進む上流域から濁水の影響を受けている下流域まで、流域全体で関係者の理解を得なければならないとの提言がございました。このことを受けて今年度から、度々発生する山腹崩壊を目の当たりにしている森林組合や、農業用水の濁りに苦慮している土地改良区の代表など地域の関係者、また海岸の浸食や水生生物の生態に詳しい学識者など、新たに11名の委員に加わっていただき、流域全体で濁水の長期化の抜本的な解決に向けた検討を行うこととしたものでございます。 最後に、どのような知見を集めて濁水対策を行うのか、ダムの改良とその効果についてお尋ねがございました。 ダム上流域で毎年のように山腹崩壊が発生し、大量の土砂がダム湖に流れ込む状況は、濁水の発生のみならず、水をためる容量が少なくなることから、ダム本来の目的である治水機能を低下させることにもつながります。 このことから、ダムへの堆砂を抑えるために、大量の土砂を効果的に下流へ排出する方法の検討が必要であると考えております。例えば、洪水時において、ダム湖内を経由せずに土砂を下流に排出する排砂バイパスの整備は、土砂堆積の抑制や濁水の早期排出といった効果を発現できる一つの事例と考えております。 今後は、同様の課題を抱えて対策を実施したほかのダムの先行事例などを参考とし、国の専門機関などから知見を得ながら、物部川に適した対策を検討してまいります。   (林業振興・環境部長中村剛君登壇) ◎林業振興・環境部長(中村剛君) 濁水防止に寄与する県民参加の森づくり、森林環境保全事業をどう進めていくのか、お尋ねがございました。 森林は、水源の涵養や山地災害の防止、生物多様性の保全など、多くの公益的機能を有しております。御指摘のありました河川の濁水防止も、こうした公益的機能の一つであると考えております。この公益的機能の維持・確保に向けまして、県では、森林環境を保全する取組や、県民の皆様に森林への理解や関わりを深め広げる取組などを行っております。 まず、森林環境を保全する取組としましては、荒廃森林の発生を防止するための保育間伐の実施や、地域の活動団体が放置された竹林の伐採などを行う里山保全活動を支援しております。 また、森林への理解や関わりを深め広げる取組につきましては、将来を担う子供たちへの森林環境教育として、令和2年度は県内の小中学校67校、5,253名の児童生徒に、森林の持つ機能や森林資源の活用などについて学んでいただきました。県民が参加する森林保全ボランティア活動につきましても、令和2年度は46回、延べ651人の皆様に、間伐やまき作り作業などに参加していただいたところでございます。 加えまして、森林の持つ公益的機能や森林環境を保全することの重要性につきまして、より広く御理解いただくため、森林環境情報誌を毎年2回、県内全ての保育園や幼稚園、小中学校等に配布することで、家庭での周知にもつなげております。 引き続き、こうした取組を通じまして、川の濁水防止をはじめとした森林の公益的機能の重要性について、広く県民の皆様の御理解をいただきながら、森林環境保全活動を推進してまいります。 ◆33番(岡田芳秀君) それぞれに御丁寧に答弁いただきましてありがとうございます。 米軍機の低空飛行の問題ですけれども、11月5日の飛行状況、騒音について本山町役場にお聞きしますと、12時54分に飛んできたのが99デシベル、13時28分に飛んできたのが100デシベルだという記録が残されているそうです。本山町役場と保育所というのは、すぐ近くにありますけれども、このレベルだと極めてうるさいと、会話はほとんど不可能だというレベルでございます。寝ている子供が飛び起きて先生に抱きつく、不安を与える、泣き出すと、こういう事態がずっと続いているわけですよ。そして、この12月に入っても飛来が確認されたということもお聞きをしております。本当にこの山間部の状態、放置はできないと思います。 引き続き、強く改善を求めていくということで、知事には努めていただきたいと要請をしておきます。 そして、中山間の問題、知事も先ほど答弁の中で想像以上に厳しいと、中山間の状況もですね、認識されたと、把握されているということでございますけれども、質問の中でも取り上げました高知県過疎地域持続的発展方針、これも読みました。やっぱり人材ですね、人、地域を支える人をつくるのが大事だということもかなり強調もされております。やっぱり地域のリーダー不足、あるいは支援をする行政側の体制、これも一緒につくっていくということを、県、市町村連携しながら一層強めていくことが、これからの高知県、一層過疎も進む、高齢化も進む中で大事だと思います。 中山間の振興なくして高知県の発展はないということも言われておりますけれども、やっぱり地域の皆さんの声をしっかりと受け止めて、地域振興を図っていただくことを強く要請をいたしまして、私の一切の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明15日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時40分散会...