高知県議会 > 2021-06-30 >
06月30日-03号

  • "営利活動促進法施行条例"(1/1)
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  1. 高知県議会 2021-06-30
    06月30日-03号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 3年  6月 定例会(第358回)-----------------------------------        令和3年6月30日(水曜日) 開議第3日-----------------------------------出席議員       1番  上治堂司君       2番  土森正一君       3番  上田貢太郎君       4番  今城誠司君       5番  金岡佳時君       6番  下村勝幸君       7番  田中 徹君       8番  土居 央君       9番  野町雅樹君       10番  浜田豪太君       11番  横山文人君       12番  西内隆純君       13番  加藤 漠君       14番  西内 健君       15番  弘田兼一君       16番  明神健夫君       17番  依光晃一郎君       18番  梶原大介君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       22番  山崎正恭君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       29番  大野辰哉君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        井上浩之君  総務部長       徳重 覚君  危機管理部長     浦田敏郎君  健康政策部長     家保英隆君  子ども・福祉政策部長 山地 和君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 尾下一次君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     山脇 深君  農業振興部長     杉村充孝君  林業振興・環境部長  中村 剛君  水産振興部長     松村晃充君  土木部長       森田徹雄君  会計管理者      井上達男君  公営企業局長     橋口欣二君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  澤田博睦君  公安委員長職務代理者 古谷純代君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   中村知佐君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       行宗昭一君  事務局次長      山本和弘君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     川村和敏君  議事課長補佐     杉本健治君  主幹         春井真美君  主査         久保淳一君-----------------------------------議事日程(第3号)   令和3年6月30日午前10時開議第1 第1号 令和3年度高知県一般会計補正予算 第2号 高知県過疎地域における県税の課税免除に関する条例議案 第3号 高知県保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例議案 第4号 高知県婦人保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例議案 第5号 高知県個人情報保護条例及び高知県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例議案 第6号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第8号 半島振興対策実施地域における県税の不均一課税に関する条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県介護福祉士等修学資金貸与条例及び高知県認定こども園条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第12号 高知県指定障害児通所支援事業者等が行う障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例及び高知県指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第13号 高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案 第14号 高知県特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例議案 第15号 高知県高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に係る特定道路の構造、特定公園施設の設置及び信号機等に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第16号 高知県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例議案 第17号 県有財産(航空機)の取得に関する議案 第18号 県有財産(教学機器)の取得に関する議案 第19号 都市計画道路高知駅秦南町線防災・安全交付金(久万川橋耐震・補強)工事請負契約の締結に関する議案 第20号 国道493号(北川道路)道路改築(和田トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 報第1号 令和2年度高知県一般会計補正予算専決処分報告 報第2号 令和3年度高知県一般会計補正予算専決処分報告 報第3号 令和3年度高知県一般会計補正予算専決処分報告 報第4号 高知県税条例等の一部を改正する条例の専決処分報告 議発第1号 高知県新型コロナウイルス感染症の感染拡大から県民を守るための条例議案 議発第2号 高知県新型コロナウイルス感染症に関する条例議案第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(森田英二君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(森田英二君) 御報告いたします。 公安委員長西山彰一君から、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員古谷純代さんを職務代理者として出席させたい旨の届出がありました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(森田英二君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和3年度高知県一般会計補正予算」から第20号「国道493号(北川道路)道路改築(和田トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで及び報第1号「令和2年度高知県一般会計補正予算専決処分報告」から報第4号「高知県税条例等の一部を改正する条例の専決処分報告」まで並びに議発第1号「高知県新型コロナウイルス感染症の感染拡大から県民を守るための条例議案」及び議発第2号「高知県新型コロナウイルス感染症に関する条例議案」、以上26件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 22番山崎正恭君。   (22番山崎正恭君登壇) ◆22番(山崎正恭君) 公明党を代表し、知事並びに関係部長に質問いたします。 まず初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いします。長引く新型コロナウイルスとの闘いの中で、本県では先月中旬以降感染の急拡大を受け、現在も県独自の警戒ステージは上から2番目となる特別警戒のままであります。患者数も2桁を超えたり超えなかったりの一進一退を繰り返しており、医療従事者の方々が県民の皆様の命を守るために懸命に頑張ってくださっています。また、感染収束に向けて、現在ワクチン接種が全力で進められています。医療従事者の方への接種もおおむね完了し、65歳以上の高齢者の方の1回目の接種も50%を超える状況となり、現在は一旦申請が停止しておりますが、県直営による職域接種も準備が進んでおります。 そんな中、第4波の影響を受けて大変厳しい状況に置かれている県内事業者への様々な支援策が今回打ち出されました。具体的には、先月26日からの営業時間短縮要請に応じていただいた飲食店への協力金や、要請により影響を受けた飲食店の取引先などを対象とした営業時間短縮要請対応臨時給付金、従業員を多数抱える事業者への新型コロナウイルス感染症対策雇用維持臨時支援給付金などが創設されました。 今回の対策には、国が同様の支援を行っているものがあります。例えば、国の緊急事態措置等に伴う外出自粛等により影響を受けている事業者への支援を行う月次支援金などがありますが、実はこれらの国の支援金の対象となるのは、売上げが前年比か前々年比で50%以上減が条件となっています。 私が今コロナ禍の中で何とか踏ん張って事業を継続し、生活を守られている県内事業者の方からよく聞くのは、国の支援策の条件は売上げが前年等と比べて50%減となっているが、俺らは何とか家族や従業員を守っていかないかんき、今までやったこともないような仕事に手を出したり、ひねり出したりして必死になって売上げをつくりゆうがよ、それやのに売上げが前年等と比べて50%減が条件らあて、50%減が続きよったら店が潰れちゅうきというお声です。 そういった中、県は今回もそうですが、国の支援策よりも幅広い事業者の方を救うことができるよう、対象要件を売上げが前年比か前々年比の30%減少とした支援策を県独自で今までも行ってきています。これは非常にありがたいです。支援の金額が十分であるかどうかは、県民の皆さんもこの未曽有のコロナ禍が長引く中ですので、様々な御意見や感じ方があるところですが、新型コロナの感染が始まった去年に比べ、私のところに、少しの額であっても助かるので何か補助金等の制度はないかという声が寄せられることが増えてきました。特に、今までそういうことをあまり言われなかった比較的コロナ前まで経営が順調であった飲食業の方が、悲痛な表情で言われることが増えてきました。 そんな中、今回も県が売上げ30%減を要件とした支援制度を実施してくれることは、本当にありがたいと、マスコミ発表後すぐに数件の事業者から連絡がありました。 濱田知事は、就任して3か月もたたない中で、この新型コロナウイルス感染症との闘いに突入されました。グローバル化が大きく進んだ社会にあって、いまだかつてない難しいレベルの感染症対策が求められ、総理をはじめ全国の知事、市町村長がその対策に今も悪戦苦闘されています。そういった状況下で、濱田知事は一貫して誠実に丁寧に県民の皆様に寄り添いながら、決してこの支援内容が県民の皆さんにとって十分ではないということも自覚された上で、それでもその時点ででき得る精いっぱいの対策、支援を行ってきたと私たち公明党としては高く評価しております。 そこで、この未曽有のコロナ禍の中で、濱田知事が今まで事業者の方への対策、支援策を立案、実行するに当たり、県民の皆さんに対して込めてきた思いについてお伺いします。あわせて、引き続き厳しい状況が続いております新型コロナウイルスに対してどのような思い、決意を持って今後取り組まれていくのか、お伺いします。 次に、ひきこもりの方への支援についてお伺いします。ひきこもりの方への支援につきましては、知事は今年の2月議会において、障害者やひきこもりの人の社会参加に向けた施策を一段と強化します、また障害の特性に応じて就労や社会参加ができる環境づくりを進めるため、市町村における相談支援体制の充実を図るとともに、農福連携などの取組をさらに広げてまいりますと述べられました。 ひきこもりの方への支援については、私は教員だった経験からも、その支援の難しさを非常に感じております。まず、何よりも本人に会うことが難しい。突っ込んで言えば、会えるようになったということは、もうかなり前向きに本人の気持ちがなっている段階であり、そこまでの支援が難しい。支援の難易度が非常に高いのがひきこもりの方への支援であります。 そのひきこもりの方への支援を進めていく上で重要なポイントが2点あると私は思っています。1点目は、ひきこもり支援の成功事例を磨き上げていくことが重要であると思います。少し分野が異なりますが、私が教員時代、今から20年以上前に初めて学校現場にスクールカウンセラーが配置されました。今では当たり前のように県内の公立小・中・高等学校に100%配置されていますが、その当時の中学校現場では突然の外部からの人材配置に、スクールカウンセラーって一体何という感じでした。 そんな中、私はその後、長きにわたって県のスクールカウンセラー等の指導を行うスーパーバイザーを務めることになる女性のスクールカウンセラーさんと、同じ学校で仕事をする機会を得ました。そこで臨床心理士であるそのスクールカウンセラーさんは、学校現場で起きている問題に対して、我々教員では想像もつかない専門的見地からの深い見立てを行い、生徒の問題行動の裏や根底にある思いなどを私たち教員に分かりやすく理解させてくれました。そして、日々の生徒とのやり取りの中で悩んでいる教職員の声に耳を傾けてくれ、さらにはそれぞれの教員の力量に合わせて、その教員が頑張ればできそうな指導・支援方法を助言してくださる、その姿、実践を見て、スクールカウンセラーが学校現場に入ることの有用性を私は実感することができました。 そのとき、同時に高知県内に数十人のスクールカウンセラーが配置されましたが、全ての学校でそのカウンセラーさんのような実践が進み、その必要性が教職員に認識されたのかというと、正直学校によってかなりの温度差があったように思います。 先ほども述べたように、そのカウンセラーさんは、その後県のスーパーバイザーになられたのですが、私のように彼女の姿、実践を実際に見て感じて、その中から子供や保護者への支援の肝となるノウハウを学んだ教員が支援力を向上させていき、その結果として、スクールカウンセラーが学校に配置される重要性が、高知県内の教育現場に徐々に徐々に浸透していったと思います。 ここで話を戻しますが、私が言いたいのは、高知県内のひきこもり支援の拡充を図っていく上で、支援会議の拡充やアウトリーチ支援員の配置等のシステムを県内全域に整えていくことももちろん必要でありますが、難易度の高いひきこもり支援であるがゆえに、特に実際の現場において結果が出ている成功事例の磨き上げが必要であり、その取組から肝となるノウハウを抽出し、しっかりと横展開をしていくことが必要であると思います。この点につきましては、2月議会で野町議員からも御指摘があったとおりでございます。 さらに、2点目として、ひきこもりの方への支援はタイミングが重要であり、時を逸してはいけないということであります。先ほども申しましたが、まずは本人に会うまでのハードルが非常に高い。次には、会ったときに本人の意向に沿った支援方法を幾つ提案できるかどうか、さらにもし本人がその提案した支援方法に乗ってきてくれたとき、心が動いたときに、すぐに就労体験をさせてあげることができるかといったタイミングの問題、チャンスのときを逃さないといった点に、ひきこもり支援を行っていく上での重要なポイントがあると、現在最前線でひきこもり支援を行い、多くの方を就労に導いている現場の方々からお伺いしました。 しかし、今現在実際の現場においては、ひきこもりの方への就労支援には、まず面接があり、さらには支援計画の策定後にスタートしなければならないというルールになっており、当事者の方の心がやっと動いたタイミングで、すぐに就労体験をしたくてもできないような仕組みになっています。 野町議員の2月議会の質問でも御紹介があった、現在12名のひきこもりの方が就労する安芸の一般社団法人こうち絆ファームの支援者の方に通所者の状況を聞くと、現在40名いる通所者のうち、ひきこもり支援による通所者が12名、生活困窮支援による通所者が15名、触法者支援による通所者が3名、障害者支援による通所者が10名といったように、多様な制度の切り口から通所されています。このように多様な制度の切り口から通所されていますが、実際には皆さん期間の長短はあれ、ひきこもりやひきこもりに近い状態にあった方々であります。現在は、40名の方が就労や就労体験といった社会活動を行うまでになっています。 このことは、ひきこもりの方への直接的な支援という側面以外にも、ひきこもりの未然防止といった側面からも大変貴重な取組であると思います。実際に、国のひきこもりの定義は6か月以上、社会的参加を回避している人となっており、本人が引き籠もっていないと言えば、ひきこもり支援の対象にならないルールになっていますが、引き籠もっている方が、あなたは引き籠もっていますかと聞かれて、はいそうですと答えられるのでしょうか。 こうち絆ファームでは、様々な制度の切り口から通所されてきた40名の方たち全員を、生きづらさを抱えた方々と捉え、それぞれの利用者さんの困り感に寄り添った支援を考え、日々実践されています。そこにはどの制度の切り口から入ってきたかということは関係なく、通所者の皆さんは同じ職場で共に支援を受けながら、それぞれが頑張って就労に励んでおられます。そういった実績が周りから評価され、今こうち絆ファームには、県内各所からどんどん通所希望のオファーが舞い込んでいます。 ここで、その生きづらさを抱えた方々を全力で支えてくださっている支援者の方々が一番苦労されているのが、この人は生活困窮者支援としてなら受入れ可能なのか、この人はひきこもり支援としてなら受入れ可能なのかといった、どの行政支援制度なら受入れ可能なのかといった通所するための入り口の制度の判断、そしてそれに係る行政機関とのやり取りの複雑さに多くの時間と労力を取られ、苦しんでおられます。 そこで、この問題はいわゆる行政の縦割りの問題でもあり、ひきこもりの方への支援を進めていく上で、生きづらさを抱えた人たちへの支援ということで県にワンストップ型の受入れ窓口をつくり、そこで手続を一元化することにより、現場で奮闘する支援者の方々の負担を随分軽減できると思いますが、知事の所見をお伺いします。 次に、デジタル化社会の実現に向けてお伺いします。 知事は、本議会の提案説明において、5つの基本政策と3つの横断的な政策については、ウイズコロナ、アフターコロナ時代を見据え、デジタル化、グリーン化、グローバル化の3つをキーワードに施策を強化していくと力強く言われておりましたが、国においても5月12日にデジタル関連6法が成立し、デジタル庁の創設やデジタル社会形成基本法が定められ、デジタル化が一気に加速しております。そういった大きな流れの中で、高知県におきましてもデジタル化推進本部会議が本年度既に2回行われ、高知県デジタル化推進計画に沿ったさらなる取組の推進が期待されるところであります。 具体的な取組については、本年2月議会において大石宗議員が質問した中小企業デジタル化促進モデル事業等により、県内の中小企業のデジタル化が進み、将来のDX実現に向けての取組が現在行われているところであります。 一方、今回のデジタル関連6法成立に向けて、我が党は、情報アクセシビリティー、高齢者や障害者、外国人、生活困窮者などあらゆる人が環境や能力にかかわらず、情報を不自由なく利用できるようにすることを強く訴えてきたところであります。 そこで、少し古いデータになりますが、平成28年の経済センサスの活動調査によると、高知県の事業所の合計は3万5,366事業所であり、その内訳は従業員1人から4人の事業所が2万2,148事業所で全体の62.6%、従業員5人から9人の事業所が6,491事業所で全体の18.4%であり、この2項目で全体の8割を占めます。さらに、従業員10人から29人の事業所は4,967事業所で全体の14.0%であり、この3つで全体の95%を占めます。つまり、高知県内はその圧倒的多くが小規模事業者となっています。 さらに、高知県中小企業団体中央会が本年1月から2月にかけて行った調査によると、自社のホームページを持っていますかという質問に対して、ホームページがないと回答したのが従業員2人以下の事業所で55.7%、従業員3人から5人の事業所で52.5%、従業員6人から10人の事業所で47.5%と、県内で圧倒的多数を占める小規模事業者の約半分が自社のホームページを持っていないというのが現状であります。まさに情報アクセシビリティーの観点から見たときに、こういった自社のホームページを開設していない事業者の方々にデジタル化の恩恵をもたらす、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化の推進が求められます。 本年4月、県では、産業振興センターデジタル化推進部を設置し、2名の専門員を配置して事業者への伴走支援を行っていますが、何といっても3万近い事業所の支援を伴走型で行っていくには、商工会議所や商工会などの支援機関の協力が必須であると思います。 そこで、高知県の圧倒的多数である小規模事業者のデジタル化を加速化させていくに当たって、どのような取組を考えているのか、商工労働部長にお伺いします。 次に、SDGsの推進についてお伺いします。 現在、世界全体でSDGsの達成を目指した取組が進む中、高知県においても、こうちSDGs推進セミナーの開催や高知県SDGs推進アドバイザー制度を創設するなど、県内事業所のSDGsを意識した取組を促進しています。 さらに、濱田知事が昨年12月に2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいくと宣言したことを受け、令和3年3月に改定した第4期高知県産業振興計画ver.2においては、持続可能な地域社会づくりに向け、SDGsと併せて脱炭素化を重点ポイントとして掲げ、カーボンニュートラルの実現に向けた取組を促進していくこととしています。 私も本日つけておりますこのSDGsのバッジをつけている企業の方を見ることも随分多くなり、この二、三年でSDGsに取り組む事業者の方々が増えてきたことを実感しています。そんな中、県内事業者へのさらなるSDGsの推進、またカーボンニュートラルの実現に向けては、工業系の企業への推進が重要ではないかと考えます。 そこで、現在南国市に建設が進んでおります南国日章産業団地の企業を選定する際の審査項目に、SDGsへの取組といった観点を入れていくということも、今後の企業への推進に向けて一つの大きな転換点になるのではないかと考えますが、商工労働部長の所見をお伺いします。 次に、貧困対策についてお伺いします。 社会問題の一つとして取り上げられる貧困問題は、様々な要因や背景があり、支援策を講じても一挙には解決できない問題であります。中でも女性の月経に関する生理の貧困の問題が世界各国で起こっております。この問題は日本においても無関係ではなく、先日任意団体である、ハッシュタグみんなの生理が行ったオンラインアンケート調査によると、5人に1人の若い女性が金銭的な理由で生理用品を買うのに苦労した、またほかのもので代用している等の調査結果が出ています。 この問題については、3月4日に公明党の佐々木さやか参議院議員が国会でいち早く取り上げ、実態把握と必要な施策を講じるように訴えております。政府から検討したいとの答弁を得た直後の15日にも、公明党として菅首相に対し必要な対策を検討するよう重ねて要望してまいりました。 公明党高知県本部としましても、4月12日に濱田知事に対して、実態調査や県内の県立学校及び県立大学において生理の貧困状態にある児童生徒、学生への生理用品の無料配付等をお願いするなどの緊急要望を行いました。そういった流れの中で、今回孤独、孤立等の不安を抱える女性に対する支援策として、生理用品の配付等の支援を素早く実施してくださることになり、大変にありがとうございます。 そこで、県立学校における生理の貧困に関する実態と今後の取組方針について教育長にお伺いします。 次に、教育問題についてお伺いします。 まず初めに、奨学金返還支援制度についてお伺いします。公明党は、今までも学びたい人が経済的理由等により進学を諦めることのない社会を目指して、奨学金制度の対象者の拡大や返済不要の給付型奨学金の実現に取り組んできました。そういった取組を進めていく中で、日本学生支援機構によると、現在現役学生の3人に1人、年間129万人の学生が奨学金を利用するまでに制度が充実してきました。しかし、そんな中卒業後高知県に帰ってきた若者の皆さんからよく聞くのが、奨学金の返済が苦しい、負担が重いという声です。 実は、2019年度末の返還延滞者数は32万7,000人で、延滞債権額は約5,400億円に上ります。延滞の主な理由は、家計の収入減や支出増で、延滞が長引く背景には本人の低所得や延滞額の増加が指摘されています。こうした利用者の負担軽減に向け、返還を肩代わりする支援制度が2015年から実施されています。一定期間定住し、就職する等の条件を満たせば、対象者の奨学金の返済を自治体が支援する制度です。2020年6月現在で全国423市町村が導入しています。自治体と地元企業などが基金をつくることを条件に、国が自治体の負担額の2分の1を特別交付税で支援する枠組みでスタートしましたが、昨年公明党がこの制度の拡充を青年政策2020の一つとして当時の安倍首相に政策提言、去年6月に制度が拡充されました。 今回の拡充により、市町村については基金の設置が不要になり、国が支援する範囲も負担額の2分の1から全額まで拡大されました。また、企業においても社員に代わり奨学金を返還することができる仕組みが令和3年4月から導入され、返還支援した分の金額は法人税上、損金算入できるようになりました。この制度拡充について本年1月28日の参議院予算委員会で菅総理は、今後返還を行う企業名を広く紹介し、取組を広げていきたいと述べ、現在全国で導入する自治体が急増しております。 そこで、奨学金返還に苦しんでいる若者の負担を軽減するとともに、地方創生の観点から若者の地方定着を促す本制度の拡充が今回行われたことについての県内企業への積極的な情報発信が必要であると考えますが、商工労働部長の所見をお伺いします。 現在、須崎市や土佐清水市、香南市などにおいてこの奨学金返還支援制度が行われていますが、今公明党として県内各市町村にこの制度の導入を働きかけており、今後県内の市町村でも導入する自治体が増えてくることが予想されます。そうなってきますと、先ほどの企業による支援と併せて、将来こういった形で高知県内の企業や市町村から奨学金の返還支援を受けることができる可能性があるということを高校生が知ることが、卒業後の進路選択、さらには大学等を卒業した後の居住地の選択にも大きな影響力を持つのではないかと考えます。 そこで、今回拡充された本制度について県内の高校生に周知してあげるべきではないかと考えますが、教育長の所見をお伺いします。 次に、不登校支援についてお伺いします。まず、不登校の現状につきましては、文部科学省の令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によると、全国の不登校者数は小学校で5万3,350人、中学校は12万7,922人、高校で5万100人と計約23万人となっています。次に、高知県の現状を見ると、国公私立学校合わせて小学校で334人、中学校は783人、高校で353人の計1,470人であり、1,000人当たりの不登校児童生徒数を見ても、全国平均よりも高い状況となっております。 こうした状況を受け、知事の提案説明にもあったように、今年度から教室での集団生活になじめない生徒を支援するために、4つの中学校をモデルに空き教室などにコーディネーター教員が常駐し、個々に合わせた学習支援を行う校内適応指導教室を設置するなどの新たな取組がスタートしています。 また、県教育委員会では、昨年度より各小中学校に校務支援システム等を活用した児童生徒の情報収集や関係機関との調整等を担う不登校担当者を位置づけるとともに、不登校の出現率が高い20校には不登校担当教員を配置し、担当者を中心とした早期発見、早期対応の取組の充実等、学校の体制強化を行ってきました。 そこで、昨年度不登校担当教員を配置した20校の取組がどうだったのか、その成果や課題について教育長にお伺いします。また、私は昨年の6月議会において、不登校問題の取組の本丸、肝は学校の総合的な支援力の向上であると述べた上で、今後不登校の取組を進めていく上で国の調査における不登校の定義である年間30日以上欠席という、この30日以上という数値による指標のみにとらわれず、指導の結果登校する、またはできるようになった児童生徒数など、学校現場の取組がより可視化できるような指標を持って評価、指導していただきたいとお願いしましたが、その点についてどうだったのかも併せて教育長にお伺いします。 次に、ヤングケアラー支援についてお伺いします。この問題につきましては、昨日明神議員や上田(周)議員からも御質問がございましたが、ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っていることにより、子供自身がやりたいことができないなど、子供自身の権利が守られていないと思われる子供のことをいいます。 厚生労働省と文部科学省によるヤングケアラーの初の実態調査の結果が今年3月にまとまりました。それによると、学校への調査では、ヤングケアラーに該当する生徒がいるのかの問いに、中学校、全日制高校、定時制高校、通信制高校ともに、いると回答した学校が最も多く、定時制高校では70.4%でした。校種に関係なく、全国の多くの教員が自分の教え子の中にヤングケアラーがいると認識していることが明らかになりました。次に、世話をしている家族がいるかの問いに、いると答えた割合は中学2年生で5.7%、全日制高校2年生で4.1%、通信制高校生では11%でした。 また、世話をしている家族が誰なのかという問いには、全ての校種できょうだいが最も多く、幼いきょうだいや知的障害のきょうだいの見守りや家事をしている実態が分かりました。世話をしている頻度も、きょうだいについてはほぼ毎日の割合が高く、世話に費やしている時間は平均で中学2年生が4時間、全日制高校2年生が3.8時間だったが、中には7時間以上世話に費やしているが、どの校種も一、二割いるなど、今回の調査により、かなり具体的なところまでヤングケアラーの実態が明らかになりました。 さて、ここからが私はこのヤングケアラーの問題の非常に難しい部分だと思うのですが、まず自分がヤングケアラーに当てはまるのかどうかの問いに、当てはまると答えたのは中学2年生と全日制高校2年生で約2%、定時制高校2年生相当でも4.6%しかいませんでした。次に、ヤングケアラー問題の肝とも言える、世話をしているためにやりたいけれどできないことはないのかとの問いに、何と中学2年生、全日制高校2年生ともに、特にないという回答が最も高い結果になっています。 この2つの調査結果が表す意味は、要はヤングケアラーにとっては、きょうだいや祖父母、親の世話を毎日行い、しかも2割近い子供たちが1日7時間以上に及び行っていることが、その子たちの人生の中では当たり前になっているということです。このことは、先ほど質問しました生理の貧困にも共通する問題で、学校現場の養護教諭に話を聞くと、生理用品についても、その家族の考え方、文化がすごく影響する問題であり、例えば家族の考えで生理用品は大きめのものを1日1枚だけ使うと決められている家庭の子供にはそれが当たり前であり、生理用品を交換するという考えがそもそもないと言っていました。 虐待の場合などは体に傷があったり、衣服が交換されずに何日も汚れたままであったりと、周りの大人たちが発見できる外的な状況がもう少しありますが、ヤングケアラーや先ほどの生理の貧困のケースなどは、それがその子供のそれまでの人生における当たり前であり、SOSを発することが少なく、周りが気づいてあげにくい。そして、誰にも気づかれずに本人が我慢し続けている状況が長く続いている、放置されているということがこの問題の一番の難しさだと思います。実際に、この調査においても誰かに相談したかの問いに対し、あると答えたのは2割から3割しかいません。 こういったヤングケアラー問題の難しさを考えた場合、やはりスクールソーシャルワーカーの役割が今後ますます重要になってくるのではないかと思います。一昨年の明神議員の質問においても、スクールソーシャルワーカーが中学校で不登校になってしまったヤングケアラーと面談を重ね、その子の小学校の校長先生につなぎ、初めてその子が今まで行ってきた家族の世話の大変さを、人間ってこんなに泣けるのかというほど泣きながら、2時間半にわたり語ったというエピソードが紹介されました。こういった顕在化しにくい問題への対応には、スクールソーシャルワーカーの専門性、役割が今後さらに重要になってきます。 しかし、今の高知県の学校現場の状況を見ると、スクールソーシャルワーカーは、虐待問題や不登校支援、さらには長引くコロナ禍で経済状況が厳しい家庭が増加しており、生活困窮家庭への支援など様々な活動を行っており、それぞれの問題に対して連携機関等と行う協議会にも出席しなければならないなど、その業務は多岐にわたり多忙を極め、現場からは、今のスクールソーシャルワーカーの配置時間では到底足りないといった声を私も何度となく聞いてまいりました。さらに、加えてヤングケアラーや生理の貧困への対応、支援等、新たな仕事内容が現実的にスクールソーシャルワーカーには増えてきます。 そこで、今後ヤングケアラー支援に取り組んでいくには、スクールソーシャルワーカーの配置時間の拡充がどうしても必要になってくると思いますが、教育長の所見をお伺いします。 次に、離婚に関する調査後の対策についてお伺いします。公明党の提言により、法務省が未成年期に両親の離婚を経験した20代、30代の男女を対象に、子供が離婚をどう感じたのかについて初めて行った調査結果が本年3月に発表されました。それによると、8割は両親の不仲に気づいていたが、誰かに相談したのは1割にも満たず、その理由として、適切な人がいなかった、人に言いたくなかったがそれぞれ2割、また、どちらかと一緒に住むかや別居している親との交流について本心を伝えた人は3割程度でした。金銭面でも4割が苦しくなったと答え、健康面でも同じく4割が腹痛、頭痛、不眠、精神的不安定などの不調を経験しています。そして、結果的に生活リズムが乱れ、不登校、ひきこもり、不良仲間との交友、自殺未遂などに至った人もいました。この調査結果を見ると、両親の離婚が子供たちに様々な影響を及ぼしていることが確認できます。 経済的に苦しくなり体調不良を起こし生活が乱れ、結果的に不登校やひきこもり、非行、自殺未遂などに至った人がいたという調査結果から、現在の教育現場での多くの課題の根っこにこの問題が影響を与えていることがうかがわれます。今回の調査項目の中に、こうした経験を踏まえ望まれることという項目がありますが、精神、健康のチェック制度や子供のための相談窓口の整備などが上位に並びました。 そこで、もちろん離婚した家庭の子供さんが全てこういった状況になるわけではないということは大前提とした上で、今回の調査結果をしっかりと分析し、こういった環境にある子供たちの支援を今後行っていくことが重要であると考えますが、教育長の所見をお伺いします。 最後に、健康行政についてお伺いします。 私は、昨年9月議会において、3歳児健診での視力検査が県内市町村において確実に実施されるよう、県からの啓発、支援の強化をお願いしました。もう一度確認しますと、人間の視力は個人差はありますが、8歳ぐらいでほぼ成人同様に完成すると言われており、その視力が発達する成長期内に視力の発達を阻害する要因を発見し、早期治療につなげることが重要であります。その観点から、今回は保育所、幼稚園における視力検査についてお伺いします。 保育所、幼稚園における視力検査の実施は、学校保健安全法などによりその実施が義務づけられていますが、今県内の保育所、幼稚園において視力検査が実施されていないということが問題になっています。3歳児健診の視覚検査は、昨年度より県内全ての市町村で他覚的屈折検査が行われるようになるなど取組が進んでいますが、3歳児健診の受診率は100%ではありませんので、検査から漏れる子供の対応をどうするかが重要であります。 また、GIGAスクール構想によりICT教育が推進される中、全ての児童生徒に小学校1年生からタブレット端末やパソコンを使った授業が展開されることになります。これまでの黒板中心の授業形態では黒板の文字が見える視力が必要であり、5メートルの距離で視力検査を行ってきたようですが、パソコンやタブレット主体の授業形態になると、近くの文字が見える視力が必要になります。 その点について、これまで子供の視力について40年以上研究してこられた桃山学院大学名誉教授の高橋ひとみ氏は、遠くを見るときの目と近くを見るときの目の仕組みは違う、したがって遠くが見えても近くが見えていない子供がいる、子供は次第に見えてくるようになるため、はっきり見えた経験がないので自分から近くが見えにくいとは訴えません、大人は遠くが見えていれば近くも見えていると思っているので、学校の視力検査で異常なしならまさか近くが見えていないとは思わないと言われています。こういった観点からも、子供たちの視力を守るため、保育所や幼稚園における視力検査は今後ますます重要になってきます。 そこで、本県の保育所、幼稚園における視力検査の実施状況とその現状に対する認識を教育長にお伺いします。 次に、療育福祉センター医療部の拡充についてお伺いします。先ほどまでの質問の流れのとおり、私は子供たちの成長過程の中で見落とされがちな弱視を早期に的確に発見し、そして早期に治療を行い、弱視の改善につなげることが大切であるとの考えで、3歳児健診や保育所、幼稚園での視力検査の確実な実施を訴えてまいりましたが、最後に自閉症や脳性麻痺などの障害や疾病等の原因により、3歳児健診や保育所、幼稚園、また一般の眼科での視力検査を受けることが困難な子供たちの弱視への対応も重要であると考えます。 では、こういった子供たちの弱視への支援をどの機関で行うのが最も適切かと考えた場合、私は発達障害や脳性麻痺、その他の神経疾患等の子供たちの診療を行っている高知県立療育福祉センターの医療部門に眼科を新たに設置し、眼科医や視能訓練士を配置するとともに、既に勤務している言語聴覚士、作業療法士、臨床心理士などの他の専門家とチームを組み、そういった子供たちの弱視の改善を行っていくことが大変に有効であると考えますが、子ども・福祉政策部長に所見をお伺いしまして、私の第1問とします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 山崎議員の御質問にお答えをいたします。 まず、コロナ禍におきます事業者の方への対策の立案、実行に際しての県民の皆様への思いと今後の決意などについてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えをさせていただきます。 新型コロナウイルス感染症は、昨年来県民の皆さんの健康及び生活並びに県経済に大変大きな打撃を与えてまいりました。この間、私は、県民の皆さんの健康と生活を守りながら、県経済へのダメージを最小限に食い止めるように、必要な対策を迅速かつ的確に講じること、これを常に考えてまいりました。 とりわけ県内の事業者の大部分を占めますのは、中小企業者の皆様でございます。こうした中小企業者の皆様方にとりましては、特に支援を届けるタイミングが重要になってまいりますので、この迅速な対応という点についても特に意を用いてまいりました。 例えば、昨年3月にはこうした考え方に立ちまして、全国に先駆ける形で県単独の融資制度を創設するといった取組を行いました。さらに、飲食店と取引のあります事業者などへの支援におきましては、その支援の中身についても、国の制度よりも一歩踏み込む形で要件の緩和、上限額の引上げを行った給付金制度も創設をさせていただいた、そういった点については議員からも御紹介をいただいたとおりでございます。 さらに、本県は財政運営上非常に自主財源が乏しい中でございます。国の財源をできる限り活用して、県民の皆さんに手厚い支援をということも心がけたつもりでございます。こうした一環として、例えば県民の皆さんの県内旅行の支援を行います高知観光トク割キャンペーンなども実施をしてまいりました。 ただ、一方でこうした県内の需要回復に向けました施策は、県内の感染拡大を受けて、一時休止を余儀なくされるといった局面もございました。この感染拡大防止対策と経済活動の回復に向けた施策、これは時にある意味では往々にして方向性として相反する局面もあるということでございまして、こうした施策の両立を何とか図るべく、苦渋の決断を迫られながら取り組んでまいった1年半でございました。県民の皆様の健康と生活を守りますために、ワクチン接種をはじめといたします感染症対策に引き続き全力で取り組んでまいりますけれども、収束に向けました先行きには、なお不透明なものがあるというふうに考えております。 このため、今後も経済状況を注視いたしまして、まずは厳しい経営状況にあります事業者の皆様の経営と雇用をしっかりと下支えしていく、そして早期の経済回復が図られるよう、国の施策も活用しながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 次に、ひきこもりの方を含めました生きづらさを抱えた方々への支援につきましてお尋ねがございました。 ひきこもりの方は病気や障害、人間関係など様々な要因を背景といたしまして、複雑な問題を抱えながら社会から孤立した状態にございます。このため、地域におきます居場所の存在は、ひきこもりの方と社会をつなぐ大変重要なものであるというふうに考えます。 また、こうした居場所には、ひきこもりの方のみならず障害がある方、生活に困窮する方など様々な方が集まってこられていると、こういったことも御指摘のあったとおりでございます。御紹介を議員からいただきましたこうち絆ファームは、まさにこうした方々に居場所を提供し、またこうした方々に寄り添った支援に取り組んでおられる事業所であるということでございまして、多くの方々を受け入れていただいているところでございます。 こうした中で御指摘にもありましたように、支援を受ける方が就労体験といったサービスを利用される際に、制度ごとにこの行政の窓口が異なっているという状況がございます。そのため、サービスの利用までに時間を要しまして、利用者の状況に応じた支援のきっかけを逃すことにもなりかねないという状況だというふうにもお聞きをしているところでございます。 このような状況を踏まえまして、県としては速やかなサービスの利用に向けまして、御指摘のありましたようなワンストップで対応ができる窓口を地域ごとに設けまして、利用者の相談に応じて適切な制度につないでいくと、そういった仕組みづくりを検討してまいります。加えまして、地域の支援者と支援機関によります交流会の開催などにより、地域のネットワークの拡充を図りまして、支援に取り組む方々が活動しやすい環境づくりを進めてまいりたいというふうに考えております。 私からは以上でございます。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) まず、小規模事業者のデジタル化の加速化についてお尋ねがございました。 本県経済の活性化を図り、持続的な発展につなげていくためには、デジタル技術の活用を促進し、小規模事業者も含めた県内企業全般の底上げを図っていく必要があると認識しております。このため、本年4月産業振興センターに、商工会議所などの地域の支援機関の皆様と連携しながら県内企業のデジタル化を支援するデジタル化推進部を設置し、体制の強化を図ったところです。 初年度となる本年度は、県内企業を訪問しながら、本県の実情を把握するとともに、県とセンターで相協力し、小規模事業者の皆様に日頃から接する機会の多い経営指導員などに対して、デジタル技術に関する知識やスキルを身につけていただくためのセミナーを実施しているところです。あわせて、経営指導員が事業者を訪問する際に活用できるデジタル技術の活用事例集の作成や、企業の経営者や従業員向けのデジタル技術活用に関するセミナーの開催にも取り組んでいるところです。 関係団体等と連携し、一連の取組をしっかりと進めていくことで、小規模事業者も含めた県内企業全般のデジタル技術の活用を推進してまいります。 次に、南国日章産業団地の企業を選定する際の審査項目についてお尋ねがございました。 SDGsやカーボンニュートラルの実現は、今後あらゆる企業がビジネスを行う際に取り組むべき普遍的な目標であり、県内企業が事業活動を継続していく上でも重要な視点であると考えております。そうしたことから、山崎議員からのお話にもありましたとおり、第4期産業振興計画に重点ポイントとして位置づけているところです。 新たな工業団地に立地する企業にも、こうした取組を意識した事業活動を積極的に行っていただきたいと考えており、そうした観点を審査項目にも取り入れていきたいと考えているところです。そのため、SDGsやカーボンニュートラルといった観点を、南国日章産業団地の分譲先企業を選定する際の審査項目に取り入れることについて、現在南国市とも協議を進めているところです。 県市の審査項目に位置づけ公表することで、広く企業にこの取組が重要であることをお知らせするとともに、産業振興計画に基づきその取組を支援していくことで、本県経済のさらなる活性化につなげてまいります。 最後に、企業による奨学金返還支援制度についてお尋ねがございました。 今回の制度改正は、県内企業にとって優秀な学生を確保するための有効な手段の一つとなり得ますし、また県にとっても次代を担う人材の確保、定着に有効であることから、この制度の普及に期待を寄せているところです。このため、大卒者を継続的に採用している企業へのメール、県が主催する企業の人事担当者向けのセミナー、さらには就職支援コーディネーターの企業訪問などの機会を活用し、広く周知を図ってまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、県立学校における生理の貧困に関する実態と今後の取組方針についてお尋ねがございました。 本年4月に県立学校に勤務する養護教諭60名全員に行ったアンケート調査では、昨年度に実際に貧困により生理用品を購入できないと相談を受けたことがある養護教諭は1名、1.6%であり、学校において生理用品を貸与し、その返却を求めなかったなど、生理の貧困の状態にあると思われる生徒に対応した養護教諭は2名、3.3%でした。 この調査では、県立学校で養護教諭が実際に生理の貧困に対応した事例は多くありませんでしたが、これ以外にも自ら支援を求めづらい児童生徒が一定数存在すると考えております。 今後は、学校における生理用品の配付に向けた体制を整備していくとともに、身近な人や信頼できる大人に相談することの大切さを知らせ、学校内で相談しやすい体制づくりを進めてまいります。また、学校以外の相談窓口についても積極的に周知を図ってまいります。 次に、奨学金返還支援制度について、県内の高校生に周知すべきではないかとのお尋ねがございました。 奨学金返還支援制度は、若者の地元定着に向けて、奨学金の返済を地元の県や市町村、企業が支援する場合に、財政上や税制上の優遇措置が得られる仕組みとして制度化されました。令和2年度には国において、大学在学時に貸与された奨学金に加え、高校段階の高等学校等奨学金も支援対象として追加されるなどの拡充が行われております。 県内の市町村でも市町村独自の奨学金のほか、本制度を活用して、高校や大学段階に貸与された奨学金を対象として、地元の市町村の事業所に就職することなどの条件を設け、支援を行っているところです。本制度を高校段階から知っていることで、経済的な事情によって大学進学等を断念せざるを得ない生徒が学びを続けられたり、高校または大学卒業後に、地元を就職先として選択したりすることにつながるものと期待されます。 県教育委員会としましては、知事部局や制度を活用する市町村とも連携し、学校において生徒や保護者と進路等について相談する際などに、この奨学金返還支援制度の周知を図ってまいります。 次に、不登校担当教員配置20校の成果や課題、また学校の取組がより可視化できる指標での評価、指導についてお尋ねがございました。 文部科学省が実施している、児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では、不登校と判断する欠席日数の基準は年間30日以上となっております。議員からは令和2年6月議会で、この年間30日以上という数値だけでなく、学校の取組がもっと可視化できるような指標が必要ではないかとの御指摘をいただきました。そこで、昨年度より、年度中に登校状態が改善した不登校児童生徒数の割合を新しく指標に設定し、学校の取組の評価、指導を行っております。 県教育委員会では、令和2年度から不登校出現率が高く早期の改善が望まれる小中学校に専任の不登校担当教員を配置しております。この20校について、従来の指標である年間30日以上欠席した不登校児童生徒数の割合で、令和2年度の状況を評価しますと、平均出現率は県全体よりもやはり厳しい状況となっております。しかし、年度途中の改善率を見る新たな指標を用いて分析しますと、この20校で令和2年度に不登校とされた児童生徒の約47%の登校状況が改善されており、県全体より10ポイント以上高くなっております。 この20校では児童生徒個々の出欠状況を把握しながら、校内支援会等で確認された役割分担や具体策を組織的に実行するなど、校内で決められた取組の徹底によって改善が見られております。このように、それぞれの学校の取組の成果が現れている数値も用いて評価、指導を行うようにしております。 今後は、校務支援システムの機能を有効に活用することで、前年との比較や経年での状況を分析できる数値など、より学校の取組の後押しとなるような様々な成果指標について、さらに研究を進めてまいります。 次に、ヤングケアラーの支援に向けて取り組んでいくには、スクールソーシャルワーカーの配置時間の拡充が必要ではないかとのお尋ねがございました。 学校は、子供たちにとって安心・安全で毎日通いたくなる学校づくりに向け、子供に関わる様々な問題の未然防止や早期対応に向けた取組を行っております。そのため教員は、遅刻の増加や授業中の集中力の欠如、部活動への不参加などの子供のささいな変化を見落とさず、それらの情報をスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門家を加えた校内支援会で共有して、組織的に対応することとしております。その中で、子供の気になる行動が家庭内の問題に起因するような場合には、スクールソーシャルワーカーが中心となって、市町村の福祉担当部署等のカウンターパートと連携しながら、福祉や医療などの専門機関に確実につなぐことが必要となってきます。 スクールソーシャルワーカーは、高知県の全公立学校に配置していますが、1校当たりの平均活動時間は週4時間程度となっております。今後、ヤングケアラーなどを含め、厳しい環境にある子供の支援の充実強化を図るためには、スクールソーシャルワーカーの活動時間のさらなる確保が大変重要であると認識をしております。そのため、県教育委員会といたしましては、6月にスクールソーシャルワーカーのさらなる活動時間の確保に向けた予算措置の拡充などについて、国に対して政策提言を実施したところです。 今後も引き続き、知事部局とも連携しながら、スクールソーシャルワーカーの人材確保に向けた国への要望を続けるとともに、ヤングケアラーなどの課題に対応できる研修を実施するなど、スクールソーシャルワーカーの専門性の向上にも努めてまいります。 次に、国の離婚に関する調査結果を分析し、子供たちへの支援を行うことが重要ではないかとのお尋ねがございました。 いじめや不登校、暴力行為などの生徒指導上の諸課題の要因の一つに、両親の離婚などを含む家庭内の問題があると捉えております。県教育委員会としては、子供の生活環境を考えた適切な支援を行うため、これまでも児童生徒理解や教育相談など、教員としての基礎的な力量を高める研修に力を入れてまいりました。また、学校においては、個々の子供が抱える状況を客観的に捉えるため、楽しい学校生活を送るためのアンケートなどを活用し、子供の状況を把握し、学校全体で共通理解を図り、課題への早期対応に努めているところです。 今回、議員からお話がありました法務省が実施した調査結果から、相談のしづらさ、心の変容、金銭面での困難さなど、家庭環境の変化がもたらす子供への影響が明らかになったものと捉えております。これらの調査結果については、学校関係者がしっかりと理解して、今後の指導に生かす必要があると考えております。そのため、教員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの研修機会に、本調査についての情報提供を行うことで、つらい思いをしている子供を見逃さず、適切な支援ができるよう指導力の向上に努めてまいります。 さらに、各学校ではこれまでどおり、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの見立ての下に、しんどさを抱える子供を見逃すことなく、子供一人一人に寄り添った対応ができるよう、専門的知見を活用した校内支援会を充実させるとともに、外部専門機関との連携強化を図ってまいります。 最後に、保育所及び幼稚園における視力検査の実施状況と、その現状に対する認識についてお尋ねがございました。 保育所や幼稚園における視力検査につきましては、学校保健安全法及び児童福祉施設の設備及び運営に関する基準により、児童への健康診断の検査項目の一つとして実施が義務づけられております。このたび、中核市の高知市が所管する同市内の保育所、公立幼稚園、認定こども園も含め、県内の保育所、幼稚園、認定こども園における健康診断の実施状況について調査をしましたところ、全ての園で医師による内科健診は行われているものの、視力検査につきましては、本年度実施予定の園を含めて51.8%の園にとどまっている状況であることが分かりました。 乳幼児期は、子供たちの健やかな成長の土台となる大切な時期であり、その後の学校生活を充実したものにする上でも、多くの子供たちが通う保育所、幼稚園等において、視力検査を含め法令で定められた内容の健康診断が適切に実施されることが重要となります。 このため、県教育委員会としましては、高知市とも歩調を合わせ、それぞれが所管する施設の設置者に対して、健康診断検査項目の確実な実施を求めるとともに、今後県、高知市がそれぞれ行います指導監査などを通じて、各項目の実施状況についても確認をしてまいります。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) 療育福祉センターへの眼科の設置についてお尋ねがございました。 自閉症や脳性麻痺などの障害がある子供は、その特性から従来の視力検査では検査方法が理解できない、検査用の眼鏡を嫌がるなどといったことから、正確な検査を実施できず、弱視の発見が遅れることがありました。しかし、昨年度までに全ての市町村で導入された新たな機器による検査方法は、障害のある子供にも負担が少なく、正確な検査をすることが可能となっております。このため、これまで見逃されていた弱視の発見が、障害のある子供についても一定進んでいくものと考えています。 また、検査で弱視が発見された場合には、医療機関において精密検査の上、必要な治療が行われており、このうち県内13か所の医療機関では、視能訓練士による治療や訓練などを受けることができます。ただ、議員御指摘のように、障害のある子供はその特性から、検査や治療において特別な配慮が必要となる場合がありますので、一般の病院や眼科では十分な治療を受けることができない可能性もあります。このため、こうした子供の状況を市町村や医療機関からお聞きすることなどにより、県内におけるニーズを把握し、療育福祉センターでの対応も含め、障害特性のある子供の弱視の治療などに関して必要な対策を検討してまいります。 ◆22番(山崎正恭君) それぞれ御丁寧な、また前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。 また、濱田知事の経済支援対策におかれましては、真っ先に国よりも先行して県内事業者を救うために創設した県単独のコロナ対策融資をはじめ、今までに県が濱田知事の下で行った事業継続支援や感染症対策支援などが、コロナ関連の11の支援策による支給決定件数は延べ1万5,200件、総額86億円に上ります。これにより多くの県民が救われています。今後も、濱田知事のカラーで誠実に丁寧に県民に寄り添う県政運営を何とぞよろしくお願いいたします。 ひきこもり支援につきましては、今しきりに国のほうでも重層支援が大事であると言われていますが、生きづらさを抱えた方の支援窓口のワンストップ化こそ、利用者にとっても支援者にとっても分かりやすい効果のある重層支援だと思いますので、先ほど地域ごとの窓口を検討してくださるということですが、ぜひ早期の実現をお願いしたいと思います。 SDGsの審査項目への位置づけにつきましても、検討してくださるというふうな前向きな御答弁いただきましてありがとうございます。公明党としてもSDGsの推進を行っております。今後とも、さらなる高知県におけます推進をよろしくお願いいたします。 生理の貧困につきましては、昨日塚地議員からも御質問がございました。これから学校現場において、どのように生理用品を置いていくのかということを検討してくださるということでしたが、1点だけ気になるのが、トイレに生理用品を置くということで、我が党でも他県においてはトイレに置いてくださいというふうな運動をしておりますが、私が今学校現場のほうの特に養護教諭さんなんかの話を聞くと、やはり衛生上、トイレに置くのは非常に心配なところもあるということです。 経済的に大変な子供たちを救っていくという政策の観点からも、いま一度慎重にこういった運営面のほうの協議を重ねていただきまして、しっかり学校現場でそういった子供さんたちに生理用品が行き渡るようにお願いしたいと思います。 療育福祉センターの眼科機能につきましては、視能訓練士さんが療育福祉センターに配置されれば、現在行っております特別支援学校などに在籍する見えにくさのある弱視の子供さんたちに対しての視能訓練士派遣、昨年9月議会で御質問したところでございますが、この派遣事業にも行ってもらうことができると思いますので、何とぞ早期の改善をお願いしたいと思います。 それでは、1つだけ第2問を行います。 不登校につきましては、私は昨年6月議会でこの問題を取り上げた後も学校現場に何度も足を運びましたが、今県教育委員会も様々な施策を立案、実行し、この不登校問題に全力で取り組んでいますし、学校現場も少しでも子供たちに学校に来てもらおうと必死で頑張っています。そんな中で、改めて不登校者数だけにとらわれた評価は、現場での取組の加速化を妨げてしまうなと感じます。 先ほど教育長から、20校の学校に、新しい指導の結果来れるようになった指標を取り入れてくれたところ、その20校は47%も状況が改善し、それ以外の学校よりも取組が進んでいたと。もちろんだと思います。20校の先生方が必死で頑張っておられました。その頑張りがこういった形に現れたというのは、さらに20校での取組が推進されるものと思っております。 そういった頑張りを承知の上で、もう一歩突っ込んだところで言うと、学校現場においては、1日、たった1日であっても子供たちを登校させることに全力で取り組んでいます。 先日、ある中学3年生の男子生徒のお話を聞きました。彼は、中学1年生の6月からずっと学校に登校できていなかったのですが、何とか中学校生活の節目として、みんなと一緒に卒業させてあげたいと若い担任の教員が何度も家庭訪問し、本人と話をするとともに、副担任やクラスメートが書いた手紙を届けるなど、学年主任を中心に学年団で取り組んだ結果、卒業式当日に2年10か月ぶりに登校することができ、クラスメートと共に卒業することができたということをお聞きしました。お母さんは息子さんのその姿に涙して喜ばれていたようです。 そういった教員と生徒、保護者との営みを大切にしていくのが教育の原点であると思いますし、その若い担任の教員の力量も含め、その学校の総合的な支援力が確実に向上した事例だと思います。 そこで、こういった1日にかける教育活動をも評価できる指標をと考えた場合には、1点目は不登校生徒の前年度1年間の総欠席数、1年間のトータルの欠席数と、今年度1年間の総欠席数、トータルの総欠席数を比べまして、前年度よりも年間の総欠席日数が減少した生徒が何人いるのかということを1つ指標に新たに加えてはどうかと思います。 2点目には、学校全体の総合的な支援力を把握するという観点から、その学校の不登校児童生徒全員の総欠席日数を足したものの今年一年と、その全員の総欠席日数を足したものの前年とを比べて、減少したのかどうかということを2つ目の指標として加えれば、現場の教員も年度末の最後の1日まで子供たちが登校できるように、支援を粘り強く頑張るモチベーションになるのではないかと考えます。逆に、欠席数30日の指標のみで評価すれば、欠席数31日目以降からの子供や教員の頑張りは評価されません。 子供や教員の最後の最後までの頑張りを評価するために、これら2つの指標を加えることへの教育長の御所見をお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 先ほど御答弁いたしましたように、昨年度から導入いたしました校務支援システムに蓄積された様々なデータを活用しまして、今後は個々の児童生徒の年度ごとの比較や学校を単位とした経年の比較など、こういった分析が可能になるというふうに考えております。 不登校児童生徒への支援につきましては、個々に応じた支援を実施することが大変重要になってまいりまして、一律な指標のみではなかなか評価することが難しい学校、そしてそういった事例もあるというふうに認識しております。そのため、各学校が不登校児童生徒に実施しました支援内容が適切に評価できるような指標、これを各学校で設定し、活用されるということも大事だというふうに考えております。 県教委といたしましては、各学校のその設定をしました評価指標の下、改善に向けた取組を推進する学校につきまして、これを適切に評価していきたいというふうに考えておりますし、ただいま議員から御提案をいただきましたこの指標につきまして、指標や学校や教育支援センターでの支援の成果等を踏まえて、評価方法については研究を進めていきたいというふうに考えております。 ◆22番(山崎正恭君) ありがとうございます。私の妹は、県外で教員をやっておりましたが、県外の教員も同じくこの30日の壁に大変苦しんでおります。ぜひ全国のモデルとなるような、高知県のその現場の取組をぐいぐいと進めていけるような指標づくりに今後も取り組んでいただきたいと思います。 私は、今までの議会での質問5回中4回、不登校問題を取り上げてきました。時代の変化の中で、学校に来るだけが全てではなく、それぞれの子供たちに合った多様な学びの場所を提供していくことも大変重要なことであります。が、小学校や中学校といった義務教育では、特に大前提として学校という場所は子供が安心して登校でき、そこで自分の持っている能力、可能性を存分に伸ばしてもらう。そして、友達や先輩、後輩たちと一緒に一生の宝となるような、かけがえのない思い出をつくってもらい、そして自信と誇りを胸に社会に巣立ってもらう。学校というところはそういった本来魅力ある場所でなければならないという思いを込めて、今まで質問を続けてまいりました。 これからの高知県の未来をつくる子供たちのために、高知県の教育がさらに発展していくことを願いまして、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 暫時休憩いたします。   午前11時16分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(加藤漠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 26番武石利彦君。   (26番武石利彦君登壇) ◆26番(武石利彦君) お許しをいただきましたので、一燈立志の会を代表いたしまして質問をさせていただきます。 まず、中山間地域の活性化についてお聞きいたします。 県は平成23年に集落実態調査を行っています。これは過疎化や高齢化が進行する中山間地域の集落における暮らしや産業の実情、住民の思いを知り、中山間地域で望まれている施策の展開につなげるためのものでありました。10年前のこの調査結果には、中山間地域の皆様が生活に不安を抱いている様子が如実に現れています。生活用品や移動手段の確保、健康面についてなどの不安であります。また、集落に最も人がたくさん住んでいた頃の主要産業は農業であるとの認識が多く示され、耕作放棄地が増えていることに対する懸念や、農業の担い手確保が大きな課題であるとの認識が見てとれます。 集落の代表者たちからの回答を見ますと、高齢化により地域活動が沈滞化していることや、集落の後継者がいないことなどが課題として多く挙げられております。これらの調査結果を基にして、県は、集落活動や産業の担い手を育成すること、安心して暮らすために住民同士の絆を深めることの大切さ、近隣の集落や他の地域などとのネットワークづくりの必要性と、この3つをキーワードとして掲げ、これまで中山間対策に取り組んでこられました。 知事は就任以来、県民座談会「濱田が参りました」の取組などで、県下の中山間地域に足を運ばれ、地域の皆様とも積極的に対話をされておられますが、本県の中山間地域の現状についてどのような御所見をお持ちでしょうか、お聞きいたします。 また、平成23年の集落実態調査以来、この10年間の中山間対策の成果と課題をどのように総括されるのか、中山間振興・交通部長にお聞きいたします。 次に、本年度は10年ぶりの集落実態調査が実施されることになっており、まさに本日から調査が開始されたとお聞きしております。本年度の調査において重視するポイントや狙い、そしてまた調査によって浮き彫りになる課題にどのように取り組まれるお考えか、中山間振興・交通部長にお聞きいたします。 次に、平成23年の調査結果にもありますように、農業の担い手確保は中山間地域にとって重要な課題の一つでもあります。県は、この農業の担い手対策に取り組む中で、新規就農者に対する支援策の成果と課題をどのように認識し、また中山間地域においてどのような農業経営が展開されることを目指しておられるのか、農業振興部長にお聞きいたします。 次に、農業分野における女性の活躍についてお聞きいたします。2020年12月に閣議決定されました第5次男女共同参画基本計画があります。その中には、「農林水産業の発展、農山漁村に人材を呼び込むためには、女性が働きやすく暮らしやすい農山漁村にすることが重要である。そのために女性が地方の方針策定に参画し、女性の声を反映させていくことが必要である」とあります。さらに、「田園回帰の動きが見られる中で、移住や定住、地域おこし協力隊としてなど、農林水産業や農山漁村との関わりを志向する都市部の女性が増えている。例えば農業においては、親元就農や結婚とともに就農するだけではなく雇用就農や新規参入も見られるなど、女性の農林水産業への関わり方は多様化しており、それぞれの形態に応じたきめ細かな支援が必要である」とされております。 また、農業委員に占める女性の割合は2025年度までに30%とする、農業協同組合の役員に占める割合は同年度までに15%、土地改良区の理事に占める割合は同年度までに10%とする目標が設定されているのであります。 また、農業分野の女性が活躍している事例を1つ挙げますと、女性メンバー、企業、教育機関により構成された、農業女子プロジェクトと呼ばれる全国的な活動があります。その活動内容は、農業女子の知恵を生かした新たな製品開発、未来の農業女子を育む活動や情報発信等を行い、社会全体の中での女性農業者の存在感を高め、女性農業者自らの意識の改革や経営力の発展を促し、職業として農業を選択する若手女性の増加を図ることだとされております。 具体的には、農業女子が母校で講演をしたり、農業女子の農場における学生のインターンシップの実施、野菜の販売を伴う食育イベントの開催、またプロジェクトへの参加企業は女性に適した作業着や作業機械の開発をしたりといった活動を展開しておられるようであります。 本県の農業分野におきましても、女性が活躍しやすい環境づくりに取り組むことが重要だと考えますが、いかがでしょうか、農業振興部長に御所見をお聞きいたします。 次に、移住者の就農についてお聞きいたします。中山間地域における農業の担い手として、移住者の就農には大きな期待がかかっております。 そこで、本県の中山間地域に移住して就農するといった魅力をどのように発信されておられるのか、中山間振興・交通部長にお聞きいたします。 また、移住者が就農する場合の課題をどのように認識されておられるのか、あわせてどのような支援策を講じておられるのか、農業振興部長にお聞きいたします。 次に、中山間地域における農業の生産性を高める手段として、ドローンを活用する事例が増えているとお聞きします。農業の担い手にとって有効な手段の一つとして期待されますが、活用の状況と今後の展開についてどのような御所見をお持ちでしょうか、農業振興部長にお聞きいたします。 次に、中山間地域を中心に集落営農の取組が広がっております。集落営農のメリットとして、構成するメンバーに応じた役割分担に基づき、機械の共同利用や作業の共同化によるコストの低減が図られる、また共同で農地を維持管理することができるといったメリットがあるなど、これらにより地域農業の維持・発展を図るとともに、所得を向上しようとするものであります。 一方で、集落営農組織の多くが設立から10年以上が経過し、高齢化と次世代の担い手不足といった構造的な課題に直面しています。そこで、集落営農を維持・発展させるために組織を法人化する事例が本県でも見られます。担い手を雇用するといった形により、生産性の向上や地域におけるノウハウの継承が図られることから、地域の農業を安定的に持続することが可能となり、地域の活性化につながるとの期待が膨らみます。 一方で、集落営農法人の経営者からは、若手を安定して通年雇用することが重要かつ大きな課題だとの声をお聞きいたします。そのため、法人のキャッシュフローを回すために米作りに頼るだけではなく、数種類の作柄に取り組むことで通年の収穫や収入を確保し、通年雇用を安定させようとする事例が見られます。 県内の集落営農法人の組織状況や経営状況をどのように把握されておられるのか、また通年雇用などを含め、安定した農業経営を維持するためにどのような仕組みをお考えなのでしょうか、農業振興部長にお聞きいたします。 次に、集落活動センターについてお聞きいたします。来る7月4日に開所式を迎える四万十町家地川地区の集落活動センターけやきをもって、県内で62か所の集落活動センターが活動することとなります。県内の集落活動センターは、特産品の開発、販売や交流の場づくりなど、それぞれが特徴を生かした活動を行っており、少子高齢化が進む中山間地域にはなくてはならない存在、また今後に向けてさらなる機能拡充や発展が期待される存在であると思います。 そこで、まず県内に広がりつつある集落活動センターの現状についてどのような御所見をお持ちになっておられるのか、知事にお聞きいたします。 そして、さきにも述べましたように、集落活動センターの活動には様々な形態がありますが、特産品の製造や販売などに取り組んでいるセンターの関係者からは、なかなか採算が合わず資金繰りや運営に苦労しているなどといった声も聞こえてまいります。また、活動するメンバーの高齢化も進んでおり、ここでもやはり担い手を育成し、活動を継承することが大きな課題として浮上をしております。 このように採算が合わず困惑している状況、また担い手への継承についてどのような御所見をお持ちなのか、中山間振興・交通部長にお聞きいたしまして、この項を終わります。 次に、中山間地域における教育振興についてお聞きいたします。 中山間地域における小・中・高等学校の児童生徒数は減少傾向にあり、統廃合が検討されていると承知をしています。一方で、小規模校ならではといった特性を生かした、目を引く学校運営も数多く見られます。私はこれら中山間地域における小規模校からは、学校と地域が密接に連携し、地域で子供たちを育てているといった印象を受けております。 私は、四万十町の影野小学校でインターネットを活用し、ネパールの方とオンラインで意見交換する授業を拝見させていただいたことがあります。影野小学校の児童たちは、リアルタイムで世界とつながる経験ができていたのであります。 また、農業が盛んな地域に位置する同校では、地域で取れた野菜などの食材を学校に隣接する集落活動センター「仁井田のりん家」で調理してもらい、給食として保護者や地域の方々と共に頂くといった取組もされております。このような取組によって児童らは地域の農業についての知識を深め、地域の方々との交流を深めることもでき、そしてまた食育の面においてもよい経験を積んでいます。これなどは小規模校だからこそできることであり、まさに小規模校のメリットだと思います。 一方で、いまだに小規模校においては社会性が養いにくいだとかといった声を耳にいたします。しかしながら、私は、様々な技術の進歩やその活用を図ることによって、これまでささやかれてきた小規模校のデメリットとされるような事柄を補うことができると確信をしております。今や人数による価値基準は揺らいでいると言わざるを得ません。 少人数だから何々ができないといった考え方は捨て、少人数だからこそ何々ができるといったポジティブな考え方に今こそ転換すべきではないでしょうか。小規模校が抱える課題があるとすれば、どのような方法でそれを克服できるのかを考えるべきだと思います。先ほど述べさせていただきました影野小学校などは、まさにそれを実践していると言えましょう。 また、これから本格化するICT教育の導入も、小規模校にとって必ずや追い風になることでありましょう。要は人数の多寡ではなく、学校運営の手法にしっかりと目を向けるべきであり、児童生徒一人一人に向き合う教育ができる小規模校には、かけがえのない魅力があると私は思います。 教育長は、県下の小規模校における様々な取組をどのように評価されるのか、また県下の統廃合に向けての動きにどのような御所見をお持ちでしょうか、お聞きいたします。 次に、中山間地域の高等学校も様々な学校の魅力づくりに取り組んでおられます。地域の高等学校に魅力を感じ、地域の小中学校から地域の高等学校に進学することにより、子供たちには一層地域愛が育まれ、地域に貢献しようとする人材が育ち、ひいては地域の活性化につながることが期待されます。 そこで、中山間地域における高等学校の魅力づくりに向けた取組の状況について教育長に御所見をお聞きいたします。 また、中山間地域の高等学校の魅力づくりを図る上で、地域における小学校、中学校、高等学校の連携も重要なのではないかと考えます。先日は、窪川高等学校が所有する茶畑で、高校生と地域の小学生が一緒に茶摘み体験をしたとお聞きいたしました。参加した小学校の校長先生によりますと、ふだんなかなか会うことができなかった高校生たちと児童が触れ合うことにより、児童たちは様々なよい経験をすることができたと、高等学校との連携の成果についての感想を述べておられました。 このような地域における小・中・高連携の取組をさらに進めることについて教育長に御所見をお聞きいたします。 また、学校の先生からは、小・中・高の連携を図ろうとしても、なかなか協議の場が少ないのだとお聞きいたします。地域の小中学生が将来高等学校の生徒となることを踏まえ、小・中・高連携の取組を進めるため、高等学校の側から働きかけてはどうかと思いますが、教育長に御所見をお聞きいたします。 次に、ICT教育についてお聞きいたします。県下の小中学校へのタブレットの配付はほとんど完了しているようでありますが、ICT教育の実施に向けての準備は、市町村や学校によって進捗状況がまちまちのようにお見受けいたします。四万十町の各小学校では、夏休みに教員への研修を実施し、2学期から授業に取り入れるのだとお聞きをいたします。 そこで、まず現時点における県下のICT教育の実施に向けての進捗状況はどのような状況にありますでしょうか、教育長にお聞きいたします。あわせて、教員に対しますICT教育の研修の実施見通しについてもお聞きいたします。 次に、その研修も含めICT教育の実施により、教員に対する負担が増えることが予想されますが、この点につきましても教育長にお聞きいたします。 次に、県内の市町村が取り組んでおられます公営塾についてお聞きいたします。四万十町では県内に先駆けて、「じゆうく。」という公営塾を設け、町内の窪川高校、四万十高校、これら2つの県立高等学校に通う生徒に向けた学習の場を提供しています。ここでは大学進学に向けた勉強と探究学習といった両面の学習ができるようになっており、生徒のやる気を伸ばすことに主眼を置いた取組がなされております。 設立当初は、公営塾が県立高等学校の生徒を対象にしていることから、公営塾の位置づけや、またその役割が県立高等学校側からすると理解されづらいといった混乱が若干生まれたように記憶をしております。しかしながら、公営塾で意欲的に学ぶ生徒たちの姿から、このような混乱は徐々に解消されていったように思います。 私も以前、尾崎正直前知事の「じゆうく。」の視察に同行した際、塾に通う高校生からの勉強の楽しさが分かったとの言葉を記憶しております。また、「じゆうく。」の授業において、学習内容について理解が不十分な友達に対して、教室の仲間が教えてあげるといったことが自然に発生したことなども聞くことができました。こうしたことから私は公営塾で学ぶことにより、勉強はさせられるものではなく、自らがするものだといった意識が育ち、生徒たちに自主性が芽生えたのではないかと感じております。このことは公営塾で学んだ生徒たちが大学への進学や、また社会人として踏み出しても、生きていく上での貴重な経験になったのではないかと確信をしております。 現在、県下におきまして、市町村が高校生を対象とした公営塾を設置するケースが増えているとお聞きいたします。そのあたりの状況と、公営塾の成果についてどのような御所見をお持ちになっておられるのか、教育長にお聞きいたしまして、この項を終わります。 次に、健康長寿県づくりについてお聞きいたします。 日本一の健康長寿県構想も第4期を迎えるなど、県は積極的に県民の健康づくりに取り組んでおられます。構想の中では、令和5年度の目標として、様々な分野におけるKPIが示されておりますが、ここでは示された分野の一つである、高知家健康づくり支援薬局による県民の健康づくりに着目したいと思います。 知事は今議会冒頭の提案理由説明におきまして、3つの柱に基づく取組をされることを表明されました。その3つの柱のうち2つ目の柱が、地域で支え合う医療・介護・福祉サービス提供体制の確立とネットワークの強化であります。 知事は提案理由説明において、この2つ目の柱について以下のように趣旨を述べられております。高知版地域包括ケアシステムの構築に向けて在宅療養体制の充実に取り組んでおり、在宅医療に取り組む医療機関の初期投資への支援や、介護事業所を併設した住まいの確保といった新たな取組を進めている。市町村や関係機関ともしっかりと連携しながら、在宅での療養を希望される方が地域で安心して暮らし続けられる環境を整える。 私も、この知事の趣旨には大いに賛同するものでありまして、さきの2月定例会におきましても、プライマリーケアの確立が急務であるとの視点で、知事や健康政策部長に質疑をさせていただいたところであります。 さて、厚生労働省は平成27年に、患者のための薬局ビジョンを発表いたしました。その趣旨は患者本位の医薬分業を実現しようとするものでありまして、いわゆる門前薬局のように立地に依存し、便利さだけで患者に選択される存在から脱却し、薬剤師としての専門性や、24時間対応や在宅対応等の様々な患者や住民のニーズに対応する機能を発揮できるようにする。また、薬剤師や薬局は専門性やコミュニケーション能力の向上を通じ、調剤などの対物中心の業務から、患者や住民との関わり度合いが高い対人業務へのシフトを図る。さらに、患者や住民がかかりつけ薬剤師や薬局を選択することにより、服薬情報が1つにまとまり、飲み合わせの確認や残薬管理など、安心できる薬物療法を受けることができるようにしようとするものであります。 つまり、これまでは多くの患者が門前薬局で薬を受け取っておりましたが、今後はどの医療機関を受診いたしましても、身近なところにあるかかりつけ薬局に行くようになり、これによって多剤投薬や重複投薬の防止や残薬解消なども可能となり、患者の薬物療法の安全性や有効性が向上いたしますほか、医療費の適正化にもつながるものと期待されております。さらに、厚生労働省が定める一定基準を満たし、都道府県知事に届出をすれば、健康サポート薬局としての取組が可能ともなります。 私は、高知版地域包括ケアシステムの構築を図る上で忘れてはならないのは、薬剤師や薬局の存在だと思っています。本県では既に、地域包括ケアシステムを支える高知型薬局連携モデルの整備と称する取組や、また在宅服薬支援事業「高知家お薬プロジェクト」の推進と称する取組も進めていると承知をしております。私は、高齢化が進む中山間地域におきましては、薬剤師や薬局と行政が協働し住民に寄り添うことが求められていると思っており、県が進めるこれらの事業に大きな期待をしております。 そこで、この薬局の健康サポート機能につきましての御所見と、これまでの県の取組の成果と課題についての御認識を健康政策部長にお聞きいたします。 次に、評言社から出版されております杉本豊志氏の著書「高齢者がすてきに暮らせるまちづくり」から、地域包括ケアにおける認知症についてのアンケートに対する医師や薬剤師らからの回答の部分を原文のまま引用させていただきます。 医師からの回答には、「一人暮らしの認知症患者に対する服薬アドヒアランスをどのように向上させていけばよいか」といった声。ちなみに服薬アドヒアランスとは、患者さん自身が自分の病気を受け入れて、医師の指示に従って積極的に薬を用いた治療を受けることとされております。またさらに、医師からは、「独居の場合など規則正しい内服や受診ができないことがある」だとか、「薬剤がしっかり服用できているかどうか」といった、現場における懸念の声が回答として寄せられております。 薬剤師からは、「薬の服用が難しい独居の方の扱い。例えば家族の方に電話をして注意を促したり、ヘルパーなどに継続的に支援をお願いしたりする方法はないか」、また「どこまでアプローチしてよいのか、しすぎて自立性を損ねてしまうのではないか、薬局の窓口だけではわからないことも多い」といった回答。さらに、「認知症の方ほど、できている、問題ないと言う」だとか、また「薬の飲み忘れ、飲み残し、飲み間違い」を懸念する回答が多く寄せられたそうであります。 薬剤師が医師や看護師、ケアマネジャーや介護職員と連携することが問題解決につながることは間違いないと著者は述べられております。アンケートに見られます声は、本県におきましても同様のケースがあるのではないかと思いますし、認知症患者だけではなく、自身の健康に無頓着なケースにも当てはまるのではないかと考えます。 このアンケート結果にも鑑み、特に中山間地域において薬剤師が医療・介護関係者との連携を深めながら、その役割を果たしていただくことにどのような御所見をお持ちになっておられるのか、健康政策部長にお聞きいたします。 次に、四万十町では、東京都健康長寿医療センター研究所の医学博士青柳幸利氏の理論に基づき、1日8,000歩を目標とする健康づくりのための取組を町民に推奨しております。町民は、身につけた活動量計を時々健康ステーションと呼ばれる場所に出向いて、活動状況をシステム端末に読み取ってもらうことで、自身の活動状況を保存、把握し、健康状態と照らし合わせることが可能となっております。 現在は役場庁舎内に健康ステーションが設置されておりますが、このような役割を薬局に担っていただくことができれば、端末のデータ入力にとどまるだけではなく、持病や健康状態についての相談、また食事における栄養指導なども気軽に受けることができるのではないかと私は考えております。 以上、薬局は県民にとって身近な相談窓口としての機能を発揮できる場であり、かかりつけ医とつなぐ窓口にもなりましょう。第4期日本一の健康長寿県構想において、薬剤師や薬局が中心となり住民に対する相談窓口として機能するよう、県として引き続き取り組んでいただきますよう要請を申し上げ、この項を終わります。 次に、保護犬、保護猫についてお聞きいたします。 多数の犬、猫を狭いケージで飼うといった一部の業者の悪質行為が横行するなど、深刻化する動物虐待を背景に、改正動物の愛護及び管理に関する法律が一部を除いて昨年6月に施行されました。また、今月には環境省の省令が改正され、犬、猫を扱う繁殖業者やペットショップの飼育数や管理方法などを規制する数値基準が初めて導入されることとなりました。これは、一部業者の劣悪な飼育の防止を目的としたものでありますが、規制対象には殺処分防止に取り組む動物愛護団体も含まれますことから、行き場を失う犬、猫の増加が懸念されるとの報道もあります。 本県におきましても、多くの動物愛護活動ボランティアの方々が活動してくださっていると承知をしております。猫に関して言えば、愛護活動ボランティアの方は保護した猫にかかる高額な医療費を自ら負担したり、土日には町なかでの譲渡会を開かれたりと、まさに猫一色の生活を送られているとお聞きいたします。 その愛護活動に取り組んでおられる様子は、平成30年、高知新聞の連載に克明に掲載されておりました。連載には、飢えた猫が勝手に一般家庭の生ごみをあさるようなことがないように、責任を持って餌を与える、いわゆる餌やりさんとして活動する愛護活動ボランティアの方の様子もありました。また、ボランティアの方は多額の餌代を自らが負担し、さらにその上で不妊・去勢手術をして元の場所に返す、いわゆるTNR活動までも自腹を切って実施しておられるとのことであります。 私が直接取材させていただきましたボランティアの方からは、地域の住民から、あなたが餌をやるからここに猫が集まってくるのだと苦情を言われたりするケースが間々あると聞かされました。また、餌やりさんと呼ばれる活動をされる方にも、TNR活動をしたり、餌のやり方や後片づけなど衛生にも配慮してきちんと実施されている方がおられる一方で、無責任に餌をまき散らしたり、弁当の食べ残しを置いていくだけといった方もおられるようであります。 後者のような置き去りにされたままの餌には虫などがたかり、猫は食べることができないし、単なる不衛生極まりない迷惑な行為となってしまいます。このような行為が後を絶たないため、きちんとした活動を行ってくださっている餌やりさんにまで、周辺の住民の苦情が投げかけられたりすることは誠に残念であります。このように愛護活動ボランティアの方々は、大変な御苦労をされて貴い命を守ってくださっております。 このような愛護活動ボランティアの方々の活動に対してどのような御所見をお持ちでしょうか、健康政策部長にお聞きいたします。 また、このたびの省令改正がもたらす影響についての御所見も併せてお聞きいたします。 次に、本県におきましても、ボランティアの方々を中心に不妊・去勢手術をして元の場所に返すTNR活動が積極的に展開されておりますし、また地域の方々が猫たちを地域猫として位置づけ、餌やりなどのルールを決めて地域猫活動として成果を上げられているケースもございます。土佐清水市におきましては、積極的な愛護活動ボランティアの方々の活動と行政の理解と協力が相まって、積極的なTNR活動が展開されており、大きな成果を上げているとお聞きいたします。 この土佐清水市のような取組が県内各地に定着するような施策を、県は市町村と共に講ずるべきだと思いますが、いかがでしょうか、健康政策部長にお聞きいたします。 また、その場合、愛護活動ボランティアの活動に対する誤解が生ぜぬよう、行政が一歩踏み込んで、保護活動に対する地域の理解が深まるような取組をする必要がありはしないかと思います。この点、併せて健康政策部長にお聞きいたします。 次に、愛護活動ボランティアの方々からは、県と高知市が整備に向けて取り組んでくださっております、仮称こうち動物愛護センターの設置に向けての大きな期待が伝わってまいります。環境省の省令改正の影響も予想される中、ボランティアの方々にかかる負担を軽減するためにも、一日も早い愛護センターの設置が急がれます。 設置に向けての状況は現在どのようになっておりますでしょうか、健康政策部長にお聞きいたします。あわせて、この動物愛護センターは、本県における愛護活動を推進するためにどのような視点を持って整備、運営されるのか、健康政策部長にお聞きいたします。 次に、電話番号を公開している愛護団体には、負傷した犬、猫についてとか、虐待が疑われるケースについてや、遺棄された犬、猫について、またネグレクトについてなど、動物を思う県民からの電話相談が毎日のように寄せられているとお聞きいたします。相談する側の方々の声からは、行政に相談したが、らちが明かず、愛護団体に相談したとの声があり、そういった状況がかいま見えるのだそうであります。 このような相談に対応するための行政の窓口といたしましては、大阪府が令和元年に設置いたしましたおおさかアニマルポリスがございます。本県におきましても、新たに設置する動物愛護センターにこのようなアニマルポリスの機能を持たせてはどうでしょうか、健康政策部長にお聞きをいたします。 次に、現在の小動物管理センターでは、収容されている犬、猫の里親を募集されておりますが、里親になるための条件の中には、65歳未満との年齢制限が設けられているとお聞きをいたします。 これは、里親になってくださった方が体調を崩されるなどして、飼育に支障を来すケースなどを想定してのことだろうと思いますが、万が一の場合に備え、引受人を立てることを前提にするなどして、65歳以上の方にも里親になっていただけるように検討することはできませんでしょうか、健康政策部長にお聞きいたします。 次に、子猫の保護についてであります。子猫の保護は24時間の授乳体制が求められますため、現在の小動物管理センターでは対応ができず、子猫を預かると、やむなく殺処分しているとお聞きをいたします。やむを得ない事情ではあるにせよ、やるせない気持ちがいたします。そこで、子猫のお世話をしていただけるミルクボランティアの存在が重要となります。県は、高知県・子猫ミルクボランティア試行要領を運用し、ミルクボランティア制度の拡充を図ろうとされていると承知をしておりますが、残念ながらボランティアの登録者が少ない状況であるとお聞きをいたします。 そこで、今後どのようにしてミルクボランティア制度についての周知徹底を図るお考えか、健康政策部長にお聞きをいたしまして、この項を終わります。 次に、行政のデジタル化についてお聞きいたします。 今年9月に、デジタル庁が発足いたします。国の発表によりますと、地方自治体の情報システムについて、標準化、共通化を推進し、2025年には全国規模のクラウド、いわゆるガバメントクラウドへの移行を目標にしているとのことであります。また、2020年12月に策定されました自治体DX推進計画に基づき、情報システムの標準化、共通化や行政手続をオンライン化するための実施手順をまとめた、仮称自治体DX推進手順書を、今年の夏を目途に提示する計画であるともお聞きをいたします。 知事も今議会冒頭の提案理由説明におきまして、行政分野においても、より一層積極的にデジタル化の取組を進めると明言されました。このように本県では、既に行政分野における業務のデジタル化に着手し、その取組が進んでおります。行政分野のデジタル化により、業務の正確性、迅速性、簡略化が図られること、そして何よりも県民の利便性の向上が期待できることに、私も大きな期待をしておるところでございます。 そこで、まず県の業務へのRPA導入に向けての状況はどうか、また現時点におけるRPA導入が効果的だと思われるのはどのような業務だとお考えでしょうか、総務部長にお聞きをいたします。 次に、RPA導入は、住民からの距離感が近い市町村の行政分野においても推進すべきだと思います。しかしながら、市町村からは、RPAそのものに対する理解がまだ十分ではない、また市町村が単独で導入するのはコストの負担が大きいといった声が聞かれます。 そこで、県下の市町村の行政分野におけるRPA導入に向けて、どのような御所見をお持ちでしょうか、総務部長にお聞きをいたします。 次に、市町村におきましては、税務や福祉など多くの分野で、それぞれ同じような業務が行われておりますため、市町村単独でRPA導入に取り組むよりも、複数の市町村が共同して導入し、自治体クラウド化を図ることが効率的だと考えられますが、いかがでしょうか、この点について総務部長に御所見をお聞きいたします。 また、その場合、市町村におきましては、既に個々の行政分野の業務をシステム化しており、単独利用しているケースがあります。このシステム運用については、それぞれの市町村がカスタマイズをして利用している、またシステムの運用期間も市町村によってまちまちの状況だともお聞きをいたします。 このような状況は、広域でのRPA導入を目指す上でボトルネックになりはしないかと懸念をいたしますが、いかがでしょうか、総務部長にお聞きをいたします。 また、既に複数の市町村が広域で基幹系システムを共同化し、自治体クラウドとして運用している事例が県下にもあります。RPAの導入に当たり、このような先進事例から学ぶべき点も多いのではないかと思いますが、いかがでしょうか、総務部長にお聞きいたします。 また、この項最後に、国が2025年に移行を目指すガバメントクラウドに対する御所見を知事にお聞きいたしまして、この項を終わります。 最後に、予土線についてお聞きいたします。 予土線は、愛媛県と本県とを結ぶ唯一の鉄道路線であり、土佐くろしお鉄道中村線と予讃線を結んでおります。四国を循環する鉄道路線として重要な役割を担っており、トロッコ列車や海洋堂ホビー館にちなんだホビートレイン、また日本一遅い新幹線と呼ばれるユニークな列車は予土線3兄弟と呼ばれ、四万十川の人気とも相まって全国的なファンを集めております。 さて、その予土線でありますが、JR四国によりますと平成25年度から平成29年度を平均した営業係数、つまり100円を稼ぐために必要な経費は1,159円となっておりまして、JR四国内におきましては最も経費がかかる路線となっております。 また、平成30年度の区間別平均通過人員、つまり営業1キロメートル当たりの1日平均旅客輸送人員は312人でありまして、JR四国内では2番目に少ないことが分かっております。このように予土線は赤字路線であり、これまでも存廃の議論がなされてまいりました。また、今後さらなる減便もささやかれております。 一方、現在も中高校生の通学の足として、また十和・大正方面から高知市内の病院に通院するための貴重な足でもあります。このように十和・大正方面から高知市内に向かわれます方々は予土線で窪川駅まで行き、特急列車に乗り換えるのでありますが、予土線の減便がこれ以上続きますと、窪川駅での接続がスムーズにいかない状況を生じさせ、より利便性が失われることになり、さらなる列車離れが進むといった悪循環が生じてしまいます。 そこで、四万十町では青少年育成事業の一環として、町内の児童による予土線3兄弟ツアーの実施や、また役場の職員に予土線での通勤利用を促すため、運行時間に合わせたフレキシブルな勤務を認めるなどの取組を進めてまいりました。また、町の広報紙では、鉄道は一旦廃止されてしまうと復活は非常に難しく廃線になってから嘆いても手後れですと町民に訴える一方で、四万十町に住む全ての人が窪川-宇和島間を1年間に3往復乗車すれば30年前の乗車人員まで回復するかもと、具体的な数値を上げて町民に予土線の利用促進をアピールしております。 さて、昨年からは週末を中心に観光列車「志国土佐 時代(とき)の夜明けのものがたり」が高知-窪川駅間で運行されるようになっており、年間を通じて多くの方々が観光列車の旅を楽しまれております。 この方々が高知-窪川間を単に往復するだけではなく、窪川駅に着いたらさらに予土線に乗って、四万十川観光も楽しんでいただけるような観光メニューに取り組んではどうかと思いますが、いかがでしょうか、観光振興部長にお聞きいたします。 最後に、知事にお聞きいたします。四国の循環鉄道路線としての予土線の存在意義について知事はどのような御所見をお持ちでしょうか。そしてまた、これまでの予土線利用促進対策協議会の活動を踏まえ、予土線の存続に向けて愛媛県や沿線自治体と共にどのように取り組んでいかれるお考えか、併せてお聞きいたしまして、私の第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 武石議員の御質問にお答えをいたします。 まず、本県の中山間地域の現状についてお尋ねがございました。 これまで県民座談会をはじめといたします様々な機会に中山間地域での生活に触れ、またお住まいの皆様の思いを直接お伺いしてまいりました。その中で、飲料水の確保や日用品の買物などにも御苦労されているということ、また農作物の鳥獣被害が深刻であるということ、さらには後継者不足に悩んでおられることなど切実な声をお聞きしてまいりました。 地域の皆様は、そうした課題に対しまして創意工夫を凝らしながら、また協力をし合いながら、よりよい方向に進めていこうと懸命に努力をされておられます。先日お伺いしました集落活動センターげいせいにおきましては、特産物の開発、販売の取組を拝見いたしました。皆さんの活動が生きがいづくりあるいは健康づくりにもつながっておられるということを実感したところであります。 このような地域の皆様の御努力に心から敬意を表しますとともに、私自身、中山間対策に取り組む思いをより一層強くしたところでございます。 現在、中山間地域の多くの集落では人口減少に歯止めがかからず、高齢化、集落の小規模化なども相まちまして、地域の活力、生活基盤が弱まるなど大変厳しい状況にあります。本年度、10年ぶりに実施をいたします集落実態調査などを通じまして、中山間地域にお住まいの県民の皆様の暮らしや思い、そして地域の誇りや自慢などもお聞きをし、地域の実情をより具体的に把握してまいる考えであります。 その上で、中山間地域が抱える課題に正面から向き合い、高齢者の暮らしを守り、また若者が住み続けられる中山間地域の実現に向けまして、今後もしっかりと取り組んでまいります。 次に、集落活動センターの現状についてお尋ねがございました。 議員からお話がございましたように、現在県内には62か所の集落活動センターが置かれております。地域の課題やニーズに応じまして、支え合いの活動、そして経済的な活動が展開をされております。住民の皆さんが主体となりましたセンターの活動は集落に活力を与えまして、地域の課題解決や生きがいづくりにもつながるものであります。そうした意味で、中山間地域にとって集落活動センターは、なくてはならない存在であるというふうに認識をいたしております。 また、今後中山間地域におきまして、高齢化、過疎化が一層進行する中にありましても、集落を維持していくためには、この集落活動センターを拠点とした活性化の仕組みづくりがますます重要となってまいると考えております。このため、現在開所しております集落活動センターの維持・継続はもとよりでありますが、センターのネットワークをさらに県内各地域に拡充していきたいというふうに考えております。 本年度実施をいたします集落実態調査におきまして、地域の皆様にとりまして集落活動センターの仕組みがどのように受け止められているか、またどのような効果を上げているかを検証いたしたいと考えます。あわせまして、集落活動センターのさらなる機能の拡充や発展に向けました新たな施策についても、しっかりと検討してまいりたいと考えております。 次に、いわゆるガバメントクラウドに対する所見につきましてお尋ねがございました。 ガバメントクラウドは、政府や地方自治体の情報システムの共通的な基盤や機能をクラウド形式で提供するというものでありまして、現在国において具体的な検討が進められているところであります。今後でございますが、地方自治体の税ですとか介護などといいました基幹系の17の業務につきまして、システムの標準化を進め、令和7年度末までにガバメントクラウドに移行させると、そういったスケジュールが国からは示されているところであります。 こうしたガバメントクラウドへの移行後は、地方自治体は国が定めます標準仕様に基づいて開発をされるアプリケーションを共同利用するという形となります。このため地方自治体は、個別でのシステム調達が不要となるということになります。さらに、複数のアプリケーションの中から選択ができるような仕組みが取られますので、事業者間の競争によりましてコストの削減あるいは使い勝手の向上といったメリットが、自治体の側でも期待ができるというふうに考えております。 一方で、移行後につきましては、標準仕様に基づきますアプリケーションの利用に限られるということになってまいりますので、地方自治体によりましては、それぞれが求める機能が提供されないという課題が生じる可能性も想定されます。このため、ガバメントクラウドの導入や移行に向けまして、県内の市町村の独自の行政サービスに支障となり得るような状況、あるいはそうした市町村の御意見をお聞きして、県のほうで取りまとめをいたしまして、国にも伝えてまいりたいと考えております。 近々、地方自治体の取組が円滑に実施をできるように、自治体DX推進手順書が国から示される運びになっております。今後は、この手順書を踏まえながら、システムの標準化やガバメントクラウドへの移行に向けまして、市町村の支援にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 最後に、予土線の存在意義と存続に向けた取組につきましてお尋ねがございました。 予土線は、地域の住民の皆さんの生活路線として、また風光明媚な四万十川沿いを走る観光資源といたしまして、地域の活性化にも大きな役割を果たしているところでございます。 議員からお話がございましたように、四国の中で最も収支が厳しい路線ということとなっておりますが、県といたしましては沿線の市や町と共に、守るべき大変重要な路線というふうに考えております。また、四国の鉄道は全体で1つの鉄道ネットワークを形成いたしておるわけでございます。仮に赤字を理由に一部の路線が廃止をされるというようなことになれば、このネットワーク全体の効果が発揮できなくなるということになるというふうに考えます。 このため、予土線の厳しい営業係数が公表されて以降でございますが、本県では四国の他県に先駆けまして、高知県鉄道ネットワークあり方懇談会を立ち上げたところであります。これまでもこの懇談会のメンバーが中心となりまして、民間事業者同士が連携をいたしました鉄道利用の活性化策を協議いたしまして、実行に移しているところでございます。 また、県は予土線利用促進対策協議会のメンバーでもございます。この協議会主催のイベントへの参加、あるいは愛媛県の協議会との連携によりまして、沿線の魅力が詰まりました、よどせんとりてつマップの発行などにも取り組んでまいったところでございます。 今年度は、両県が連携をいたしました予土線の利用促進の取組として、高知県におきましては海洋堂ホビー館四万十との協働により、ウルトラマンフィギュア展のラッピング列車を運行いたします。一方、愛媛県におきましては、全国で唯一、鬼の漢字が入ります市町村であります鬼北町をPRする鬼列車が運行されるというふうに伺っております。 今後も愛媛県や沿線の市や町などとも連携をいたしまして、予土線の存続に向けたメッセージともなりますような、こうした利用促進策に取り組んでいくということを通じまして、路線の維持につなげてまいりたいと考えているところであります。 私からは以上でございます。   (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇) ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) まず、この10年間の中山間対策の成果と課題についてお尋ねがございました。 平成23年度に実施をしました集落実態調査の結果を踏まえ、平成24年度から中山間対策の抜本強化を図り、これまで様々な施策を展開してきた結果、課題の解決に向けて着実に前進したものと考えております。 例えば、集落の維持・活性化の仕組みづくりであります集落活動センターは、32市町村、62か所で開設をされ、それぞれのセンターにおいて住民主体での様々な活動が行われております。また、県外からの移住者数は、平成23年度には120組、241人であったものが、コロナ禍による影響を受けた令和2年度の実績でも963組、1,394人を数え、地域の担い手として様々な分野で活躍をされております。 さらに、鳥獣被害対策についても施策や体制を強化し、集落ぐるみでの守りと攻めの総合的な対策を進めてきた結果、農林水産業の被害額は、ピーク時の平成24年度に比べて約3分の1まで減少しました。 一方、この10年間で県の人口は9.5%減少し、とりわけ中山間地域の人口減少や高齢化が進展することで、1次産業の担い手不足が顕著となっております。また、集落活動センターは集落連携による仕組みづくりですが、この取組に至らない集落の活力をいかにして取り戻すことができるのかといった課題などが現れてきており、対策の強化が求められていると認識しております。 次に、集落実態調査についてお尋ねがございました。 今年度の集落実態調査につきましては、準備が整いましたことから、いよいよ本日、大豊町立川地区を皮切りに県内の約1,500の小規模集落を対象として、集落の代表者などへの聞き取り調査を実施することとしております。 今回の調査では、前回調査からの経年変化の把握と、これまでの中山間対策の取組の検証に加え、中山間地域が直面する課題に対応するための新たな施策づくりを目的としております。前回調査からの10年間で人口減少や高齢化が一層進み、産業や地域づくりの担い手不足や、元気がある地域とそうでない地域など、新たな課題も現れてきております。このため、調査では地域の生の声をお聞きし、その実情をより具体的に把握したいと考えております。 この調査を通じて浮き彫りになった課題につきましては、中山間総合対策本部などの場を通じて全庁で共有し、各分野において施策の見直しやバージョンアップを検討してまいります。特に、早急に対応すべき対策につきましては、これからの10年を十分に意識し、来年度予算にしっかりと反映させ、地域や市町村との連携を図りながら、できるだけ早く事業に着手したいと考えております。 次に、本県の中山間地域に移住して就農する魅力の発信についてお尋ねがございました。 本県の基幹産業である農業の担い手確保は重要な課題であり、議員からお話がございましたように、移住者の方々にも担い手として活躍していただくことが大いに期待されております。 昨年1月、国のまち・ひと・しごと創生本部事務局が、東京圏の在住者1万人を対象に実施したアンケート調査によりますと、約半数が地方暮らしに関心を持っており、また地方でやりたい仕事としては、農業、林業の分野が約15%と最も多くなっております。これまで、このような移住関心層の方々に移住先として本県を選んでいただくために、本県の農業の魅力や手厚い支援体制を移住相談会やポータルサイトなどで積極的に情報発信してまいりました。 具体的には、温暖な気候を利用して野菜や花卉の栽培が盛んであるといった本県の農業の特徴や、環境制御技術を導入した生産性の高い農業により、地域で暮らし稼げる農業が実現できることなどを広くPRしております。また、就農した姿をイメージしていただけるよう、産地提案書を各地域が作成し、産地が求める人材像や想定される所得、やりがいを持って農業に挑戦している先輩就農者の姿なども御紹介しております。さらに、農業未経験の方でも就農に向けた一貫したサポートが受けられることもお知らせした上で、新規就農相談センターの就農コンシェルジュにつなぐ体制を整えております。 今後とも、農業振興部や関係機関の方々と緊密に連携しまして、移住促進による中山間地域での農業の担い手確保に取り組んでまいります。 最後に、特産品の製造・販売での採算性や担い手の育成についてお尋ねがございました。 集落活動センターの仕組みづくりは本年で10年目を迎えておりますが、センターの活動が将来にわたり継続していくことが何よりも重要であると認識しております。このため、特産品の製造・販売などの経済的な活動については、採算の取れる仕組みを確立するとともに、参加されるメンバーの皆様が達成感や充実感を得られる事業として、持続可能なものにしていくことが必要であると考えております。 現在、県では、それぞれのセンターのニーズに応じてアドバイザーを派遣するなど、専門家による現状の分析、事業計画の作成から実践、事業開始後のフォローアップまで一貫した伴走支援を行っているところです。あわせて、インターネットを活用した販売サイトの構築など、新たな販路の開拓についてもサポートを行っております。 今後ともこのような取組を通じまして、センターの皆様が安心して経済的な活動を手がけることができる環境づくりを進めてまいります。 また、議員からお話のございましたとおり、集落活動センターを継続的に運営していくために、担い手の育成や次の世代への承継も大きな課題であると受け止めております。このため、引き続き移住促進の取組と連携した地域おこし協力隊の導入や県内大学との連携など、外部人材の活用を図ってまいります。 また、特産品販売会や物産交流イベントの機会を設けることで、関係人口を創出し、集落活動センターの人材確保につなげてまいります。あわせて、地域内の担い手づくりを推進するための研修会やセミナーなどを通じて人材育成を図ってまいります。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) まず、新規就農者に対する支援策の成果と課題について、また中山間地域で目指す農業経営についてお尋ねがございました。 新規就農者に対しましては、3つの段階で支援策を講じております。1つ目の農業に関心のある層にアプローチする段階では、移住促進・人材確保センターや市町村などと連携し、就農希望者へのきめ細かな情報発信や相談対応を行うとともに、産地提案型の担い手確保対策に取り組んでおります。また、2つ目の就農に向けた準備段階では、充実した研修体制の下、栽培技術や経営の知識をしっかりと身につけていただくためのサポートを行っております。そして、3つ目の就農開始後の段階では、農業振興センターやJA、市町村などの関係機関で構成するサポートチームが支援を行っております。さらに、就農準備段階から就農開始後の経営確立までの最長7年間、資金を交付することで、技術の定着と経営の安定を支援しております。 こうした支援策により、資金の給付を開始した平成24年度からの8年間で、新規自営就農者を1,460人確保し、その定着率は97%となっております。しかしながら、特に中山間地域では小規模で不整形な農地が多く、営農条件が厳しいことから、担い手の確保が進みづらい状況となっております。 このため、中山間地域の特性を踏まえつつ、生産性の向上と省力化を図り、収益力の向上や経営の安定化につなげることが課題であると認識しており、これらを解決していくことが、中山間地域で目指す農業経営と考えております。そのための取組としては、先ほどの支援策に加え、ユズや米ナス、甘長トウガラシといった中山間地域の特性を生かした付加価値の高い作物の栽培を広げるとともに、環境制御技術やスマート農業の普及を図っているところでございます。 今後も引き続き、目指す農業経営の実現に向け、さらなる支援策の充実を図ってまいりたいと考えております。 次に、農業分野における女性が活躍しやすい環境づくりについてお尋ねがございました。 消費者の視点を持つ女性の感性やアイデアを雇用環境の改善や加工品開発、販売戦略など様々な分野で生かすことは、農業経営の発展、ひいては農業・農村の活性化につながるものと考えております。 本県におきましても女性の視点を生かした多くの取組が展開されており、一例ではございますが、お茶の生産者自らがお茶のプリンなどを製造・販売している池川茶園や、地域食材を使った農家レストランなどを行っている十和おかみさん市などは、地域の活性化につながっております。一方、女性の活躍の場を広げていくためには、女性が働きやすく、学びやすい環境づくりを継続して推進していくことが必要であります。 県では、これまで女性の学びと交流の場としてのはちきん農業大学や、加工品開発を学ぶ6次産業化セミナーを開催し、学びから実践、交流までの様々な取組を支援してまいりました。はちきん農業大学の受講者からは、収穫・調製作業の手順を見直すことで作業時間の短縮や品質の向上につながった、また6次産業化セミナーの受講者からは、加工品の磨き上げや開発、新たな販路の開拓などにより所得の向上につながったといった声をお聞きしております。また、参加者同士が直接つながることで、お互いのいいところを学び、自身の経営に生かすといった効果も生まれているところでございます。 今後は、データ駆動型農業やドローンなどのスマート農業、農福連携といった新たなテーマを盛り込んだ学びや交流の場を設け、女性農業者一人一人が活躍できる環境づくりにしっかり取り組んでまいります。 次に、移住者が就農する場合の課題と支援策についてお尋ねがございました。 平成28年度に全国農業会議所が実施した、新規就農者の就農実態に関する調査では、本県においても就農後の課題となっております栽培技術の未熟さや所得の少なさ、労働力不足や資金不足といった経営面の課題に加え、交通、医療などの不便さ、集落の人間関係や付き合いといった生活面での課題などが挙げられております。 多くの移住者の方に本県で就農していただくためには、こうした経営面と生活面の両方の課題に可能な限り対応していくことが重要と考えております。このため、例えば経営面の課題に対しては、支援機関で構成するサポートチームが定期的に訪問し、栽培技術のレベルアップや適正な経営管理などへの支援を行っております。 また、生活面の課題に対しては、地域の指導農業士や篤農家などの先輩農家が移住者の相談相手になるとともに、JA生産部会の研修会や集落での会合などへの参加を勧め、同年代の仲間づくりを後押しするなど、地域コミュニティーにスムーズに溶け込めるようサポートしております。 こうした就農後の課題への対応に加え、移住希望者のニーズと地域の仕事や暮らしなどの実態とのミスマッチを生じさせないことも大変重要であります。このため、移住前の対応としまして、就農相談時には就農コンシェルジュなどが地域の産地提案書を基に、就農までのサポート体制や地域の特徴、また生活環境などについて説明するなど、きめ細かなサポートをしております。 今後もこうした支援策のさらなる充実を図りながら、市町村や関係機関と連携し、新規就農者や移住希望者に寄り添った支援を行ってまいります。 次に、ドローンの活用状況と今後の展開についてお尋ねがございました。 本県では、農業の生産現場における省力化と生産性の向上を図るため、スマート技術の普及を推進しております。この技術の中でも、特にドローンは省力化の効果が大きく、また急峻で狭小な農地が多い中山間地域でも活用しやすいことから、産業振興計画において、ドローンによる病害虫の防除面積を、令和5年度に915ヘクタールにまで拡大するという目標を掲げ、取組を進めております。 その結果、平成29年度に県内で初めて活用されて以降防除面積は年々増加し、昨年度は水稲を中心に約500ヘクタールにまで広がっております。一方で、さらなる拡大に向けては、機体が高額であることや講習を受講した者しか操縦できないこと、水稲以外の品目ではドローンに適した農薬の登録数が少ないことなどの課題があります。 このため、昨年度県では機体の導入や操縦者の育成を支援しており、農業法人や集落営農組織などに新たに9機が導入されるとともに、操縦者16名が育成されたところでございます。また、ドローンに適した農薬が増えるよう、農薬メーカーに対して、ショウガやユズなどでの農薬の散布試験の結果の提供と登録の働きかけを行っております。 今後の展開としましては、こうした取組に加え、農業技術センターなどに整備した機体を使用し、圃場での実証や実演を積極的に行い、防除にドローンを使用できる品目の増加と面積の拡大を図ってまいります。あわせて、ドローンの新たな活用方法として、上空から撮影した画像の利用も研究しており、現在農業技術センターなどで取組を進めております、ショウガの生育状況を診断して病害の早期防除や収穫時期の判断などにつなげる技術、ユズの出荷量を予測する技術などを早期に確立し、実用化を図ってまいりたいと考えております。 最後に、集落営農法人の状況の把握と農業経営を維持するための仕組みについてお尋ねがございました。 県内の集落営農法人は、平成23年度に2法人であったものが、現在では35法人まで増えております。このうち、設立から2年以上経過した28法人の経営状況は、水稲を中心に経営しており、平均経営面積は14ヘクタール、売上高は970万円となっております。これらの集落営農法人が将来にわたり安定した経営を続けていくためには、議員の御指摘のとおり、収益性の改善や作業の省力化、効率化などにより経営を安定化し、次世代の担い手を安定して通年雇用できる仕組みづくりが重要であると考えております。 このため、県では、これらの法人に対しまして、収益性の高い園芸作物の生産拡大や、今後必要となってくる省力化の機械、IoTなどのスマート農業の導入を、ソフト・ハードの両面から支援しているところでございます。また、集落営農塾により経営管理ができる人材の育成に取り組むとともに、経営コンサルタントなどの専門家が一貫してサポートする体制を整備し、経営改善に向けた事業戦略の策定から実行までをフォローアップするなど、組織体制の強化にも取り組んでおります。 こうした取組によりまして、通年雇用を実現している法人も現れてきており、例えば四万十町の集落営農法人四万十農産では、ネギなどの高収益作物や省力化機械の導入により、収益の向上と作業の効率化を図ることで経営を安定させ、3人の通年雇用を維持する仕組みづくりに取り組んでおられます。 今後もこのような法人をモデルに、集落営農法人の生産性、収益性を高めながら雇用を維持し、後継者を育成していく仕組みづくりを引き続き推進してまいります。   (教育長伊藤博明君登壇)
    ◎教育長(伊藤博明君) まず、小規模校における様々な取組をどのように評価しているのか、また統廃合に向けた動きについてお尋ねがございました。 本県の小規模校では、地域と連携・協働して様々な体験活動を充実させたり、ICTを活用して外国や他校の子供たちと多様な意見交流を図ったりするなど、これまでの小規模校のデメリットを補うような取組も充実してきたものと認識しております。県教育委員会としましては、これらの取組を後押しするため、小規模校の魅力化を発信する研究校を指定し、地域を教材化した学習や英語教育など、小規模校ならではのきめ細かな指導を実現している学校も見られるようになりました。 一方で、今後小学校の教科担任制の本格的な導入に際し、教員数の少ない小規模校では様々な課題も想定されるところです。また、少人数学級がゆえに幼少期からの人間関係の固定化や、一定人数を必要とする学習や部活動の困難性など、小規模校ならではの課題も存在するものと考えております。こうしたことから、学校統廃合を考える場合には、当該市町村教育委員会が統合によるメリット・デメリットを十分に踏まえ、しっかりと議論を重ねて、地域の実情に応じて適切に判断することが重要であると考えております。 今後、県教育委員会としては、学校統廃合を考える市町村に対して必要な資料や情報を提供しながら、市町村教育委員会が進めようとするそれぞれの特色ある学校づくりに対して、積極的に支援してまいりたいと考えております。 次に、中山間地域の高等学校の魅力づくりに向けた取組状況についてお尋ねがございました。 高等学校は、地域における教育の重要な拠点であり、とりわけ中山間地域の活性化の観点からも、その存在意義は大変大きいものがあると認識をしております。このため、県立高等学校再編振興計画後期実施計画や第3期高知県教育振興基本計画に中山間地域の高等学校の魅力化を位置づけて、取組を推進しております。 具体的には、地域に根差した特色のある教育活動や部活動の振興、学校規模や立地の条件に関わらず多様な進路を実現するための遠隔教育の推進、国の事業を活用した地域課題の解決に向けた探究的な学びの充実などに取り組んでおります。例えば、嶺北高等学校や中村高等学校西土佐分校においては自然環境を生かしたカヌー部の強化、室戸高等学校においては世界ジオパークを核とした探究学習の充実など、地元市町村としっかり連携して、地域や学校の特色を生かしながら取り組んでいるところでございます。 また、本年度から、県外の高等学校において学校と地域の連携・協働を進め、学校の魅力づくりを行った実績を持つ方をアドバイザーとして招くこととしております。市町村が策定する地域の振興計画や、地元中学生及び保護者などへのアンケートの実施、結果の分析を踏まえ、それぞれの地域の強みも生かした、地域から求められる学校に向けて助言をいただくこととしております。 このような取組についてPDCAサイクルを回しながら、地域の活性化にもつながる中山間地域の高等学校の魅力づくりに取り組んでまいります。 次に、地域における小・中・高連携の取組の推進と、小・中・高連携における高等学校からの働きかけについてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えをいたします。 中山間地域の高等学校において、地元の小中学校との連携を図ることは、キャリア教育や郷土愛の醸成にもつながる地域学習などが小・中・高で一貫して実施できることになり、地域社会を担う人材育成が一層期待できるものと考えております。また、高等学校の教育内容や特色ある活動などを小中学校の児童生徒やその保護者に知ってもらい、入学者の確保につなげるための重要な取組であると考えております。 本県では、議員よりお話のありました窪川高等学校の取組のほかにも、嶺北高等学校や梼原高等学校などのように地元市町村の人材育成の戦略や施策と連携して、外国語教育の強化や部活動の充実といった取組を行う高等学校も出てきております。 このように、小・中・高の連携をさらに推進していくためには、中山間地域の高等学校が、市町村の教育委員会や首長部局と連携を行う意義や目的について共有し、地域の教育等に関する計画や方針と方向性を合わせて取組を進めていくことが重要であると考えております。 県教育委員会としても、先ほどお答えいたしました中山間地域の高等学校の魅力づくりの取組と連動して、各高等学校と共に地元市町村と意見交換を積極的に行うなど、小・中・高の連携を含む中山間地域の高等学校と市町村の連携強化に取り組んでまいります。 次に、ICT教育の進捗状況と教員に対する研修の実施の見通しについてお尋ねがございました。 県内におきましては、昨年度末までにほぼ全ての公立小中学校で1人1台タブレット端末の配備が完了しております。多くの学校では4月以降、機器の操作に慣れることから始め、徐々に活用の幅が広がってきております。中でも、タブレットを使ってクラス全体で話合いを行う取組は、全ての子供が意見を表明しやすく、大変好評を得ているところです。 また、タブレットを積極的に活用している学校においては、例えば英単語をデジタル教材で学ぶ、理科では動画教材を活用するといった形で、様々な機能を使った授業を実施しております。さらに、特別支援学級の生徒や不登校傾向にある生徒が、別室においてオンラインで他の生徒と同時に授業を受けるといった使い方も始まっております。 研修につきましては、5月から8月にかけて各学校の情報教育担当者を対象に新たなシステムの操作研修を実施し、校内でその内容を共有することとしております。あわせて、年次別の教科研修にICTを活用した学習指導を組み入れるなど、体系的に研修を実施しているところです。これらの研修の多くは8月前半までに一定完了し、2学期からの授業に生かせるようにしております。 次に、ICT教育に伴う教員の負担増についてお尋ねがございました。 現在は、タブレット端末などの導入初期に当たるため、その活用研修や、これまで使っていた教材のデジタル化対応など、業務が一定増加する部分がございます。 一方、ICTの活用により、教材の共通化やプリントの配付、返却といった作業を省力化することができ、アンケートの集計などもスムーズに実施できるなど、様々な場面で教員の負担軽減にもつながっております。また、教員研修についてはオンデマンド動画なども併用し、なるべく負担が少ない形で実施しているところでございます。 引き続き、ICTの環境整備と活用促進に取り組み、学びの個別最適化の実現を目指すとともに、教員の働き方改革にもつなげてまいります。 最後に、公営塾の設置状況とその成果についてお尋ねがございました。 近隣に高校生が通うことができる民営の塾がない地域において、市町村が学校以外での学習の機会や場所を提供する、いわゆる公営塾について、県教育委員会が把握しておりますのは、嶺北高等学校の生徒が通う「燈心嶺」、窪川高等学校、四万十高等学校の生徒が通う「じゆうく。」、大方高等学校及び黒潮町在住の生徒が通う「コンパス」の3つとなります。また、室戸市がこの9月から、室戸高等学校の生徒を対象とした公営塾を設置するとお聞きをしております。 議員からお話のありました「じゆうく。」では、四万十町と高等学校が協定を結び、生徒、保護者の同意の下、生徒の学力定着状況や進路希望などを把握し、支援方法について協議、共通理解を図る場が設けられており、生徒一人一人に応じたきめ細かな指導が行われております。 こうした公営塾の取組は、希望大学への進学者の増加につながっているほか、社会性の育成に向けても大きな役割を果たしていると考えております。また、地域の中学生がその高等学校を選択する理由の一つともなっておりまして、高等学校の特色、魅力づくりに大いに貢献いただいていることから、県教育委員会としましても大変ありがたい取組だと考えております。 各校において効果が最大限生かせるよう、それぞれの市町村や公営塾と可能な連携をしっかりと行ってまいりたいと考えております。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、薬局の健康サポート機能についてお尋ねがございました。 本県では、平成26年度より服薬に関する相談に加え、生活習慣病やサプリメントなどの健康食品に関することなど、健康づくりに関する総合的な健康相談の窓口として薬局を位置づけ、高知家健康づくり支援薬局として認定する制度を創設いたしました。制度創設後、県民の皆様に支援薬局についての広報を行うとともに、支援薬局に対しては啓発資材の提供、薬剤師のスキルアップ研修の実施など、高知県薬剤師会と協働し、支援薬局の健康サポート機能の強化に取り組んでまいりました。 現在、県内薬局の約8割に当たる311の薬局が認定を受けており、健康パスポート事業とも連携しながら、それぞれの地域で健康相談や受診勧奨を行うなど、地域住民の健康づくりに貢献いただいており、高知版地域包括ケアシステムの構築に重要な役割を果たしていると考えています。 一方、地元に薬局がない、あるいはアクセスが不便な中山間地域などに居住する高齢者などの住民の皆様に対する相談体制の構築が課題であると考えております。このため、今年度は高知県薬剤師会と協働して、試行的に中山間地域のあったかふれあいセンターなどと薬局をテレビ電話などで結び、非対面によるお薬相談会を実施するなど、ICTを活用した新たな服薬支援体制の検討も進めることとしており、今後中山間地域での薬局による健康サポート機能の強化に取り組んでまいります。 次に、中山間地域において薬剤師が果たしている役割についてお尋ねがございました。 高齢者世帯を訪問した訪問看護師や介護ヘルパーなどの介護関係者から、患者さんの薬の飲み忘れなどによる残薬への相談が薬局に数多く寄せられており、薬の一包化やお薬カレンダーを活用するなど、患者さんの生活環境に応じた、きめ細やかな服薬支援が求められております。 そのため、県では、医療・介護関係者などの多職種と連携して、在宅で療養する高齢者などへの服薬支援を行う、高知家お薬プロジェクトを県下全域で実施しております。その結果、プロジェクトに参加する薬局数は、初年度の平成28年度から令和2年度にかけて大幅に増加しており、医療・介護関係者や患者さんからは残薬が減ったなど、高く評価いただいております。 しかしながら、高知市などの都市部に比べ薬局や薬剤師が少ない中山間地域においては、その取組が都市部と同様には進んでおりません。医療・介護資源の乏しい中山間地域ほど、医療・介護関係者との連携を深めることが重要であり、中山間地域で頑張っておられる薬局、薬剤師の方の積極的な活動を期待しております。 県としましては、高知県薬剤師会と協働し、薬局の少ない中山間地域で広域的な薬局間の連携強化を図るとともに、「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」などICTの活用により多職種と連携することで、中山間地域の住民の皆様が安心して生活できるよう支援してまいります。 次に、動物愛護ボランティアの活動についてお尋ねがございました。 動物愛護ボランティアの皆様には、野良猫の繁殖防止対策や子猫の保護など、お話のありましたような様々な動物愛護の活動に多大な御尽力をいただいております。こうした活動に当たっては、餌代の負担に加え、各種の検査、治療あるいは不妊、去勢等の費用負担も行いながら、週末には譲渡会に参加されるなど、本当に頭の下がる思いでございまして、この場をお借りしまして改めて感謝を申し上げます。ありがとうございます。 次に、環境省の省令改正に伴う動物愛護ボランティアの活動に対する影響についてお尋ねがございました。 このたびの制度改正では、御指摘のように悪質なペット販売業者等への対応として、飼育頭数や飼育施設などの大きさなどについて、数量規制が設けられています。こうした規制は、動物福祉の観点から設けられたものであり、安易な多頭飼育や不適切な飼育環境を改善するという観点から、必要な改正であったと考えております。 一方で、10頭以上の犬や猫を保護している動物愛護ボランティアに対しても一律に規制の対象となることから、一定の影響が出てくることも想定されます。県としましては、来年6月までの経過期間中に、動物愛護ボランティアの皆様の活動にできるだけ支障を生じないように、個別に相談や意見交換などを行うこととし、対応策を探ってまいります。 次に、土佐清水市のTNR活動のような地域に愛護活動が定着する施策を市町村と共に講じるべきではないかとのお尋ねがございました。 土佐清水市では、平成30年度の叶崎地区を皮切りに、動物愛護ボランティアが中心になり、市内各地の餌やりさんや地区長の皆さんに適正な餌やり、地域の清掃、TNRの必要性を説明し、御理解、御協力を得ながら、これまで11回のTNRを実施されておられます。 土佐清水市では、手術場所を提供したり、県メス猫不妊手術推進事業の上限数を超えた不妊手術費用や県補助事業対象外の去勢手術の費用について、民間団体の助成事業の活用を支援するなど、動物愛護ボランティアと連携を図って取り組んでおられます。 県としましては、県メス猫不妊手術推進事業に令和元年度から従来の個人申請とは別枠として、動物愛護ボランティアや地域住民と行政が協働してTNRに取り組む際に、費用を助成する市町村申請の特別枠を設けており、これまで土佐清水市も含め7市町に活用していただいております。野良猫問題で苦慮されている市町村には、こうした土佐清水市での取組をモデルケースとして紹介しながら、市町村申請の特別枠を活用していただくよう声かけを強化していきたいと考えております。 次に、動物愛護ボランティアの活動の理解を深める取組の必要性についてお尋ねがございました。 動物愛護ボランティアの皆さんの活動として最も誤解を受けやすいのは、餌やり行為だと考えております。このため福祉保健所では、適切な餌やりや繁殖抑制などについて分かりやすく説明した小冊子「ご近所さんと猫対策」を配布して啓発に努めております。あわせて、福祉保健所に野良猫問題について地域住民の皆様や市町村から御相談が寄せられた場合には、動物愛護の観点も踏まえて個別に対応策のお話をさせていただいております。 今後も市町村と連携して、動物愛護に対する地域の理解が深まるよう取り組んでまいります。 次に、動物愛護センターについてお尋ねがございました。 動物愛護センターについては、県と高知市が合同で、平成30年4月に仮称こうち動物愛護センター基本構想を策定いたしました。この構想では、命を大切にする心を育てる場、収容動物の譲渡の推進の拠点、多様な主体と連携・協働の拠点などを基本的な考え方としており、愛護センターの整備、運営に当たっては、動物愛護の学習、犬、猫の保護・収容数及び譲渡機会の拡充、ボランティアの皆さんと行政が協働できる体制、またそれらを踏まえた、それらを実施するための施設の立地と規模などについて検討を行ってまいりました。 その中で設置場所については、県有地及び高知市市有地の中から用地選定を行ってまいりましたが、基本構想で示された立地要件を満たす適地の確保が難しく、いまだ選定には至っておりません。このため、より幅広く候補地を検討して、用地の早期選定に向けて高知市と協議を進めてまいります。 次に、アニマルポリスについてお尋ねがございました。 大阪府は、動物虐待の疑い事案を掘り起こし、早期発見、改善指導に努めるとともに、市民に対して動物虐待は犯罪であるとの再認識を促し、未然防止を図るため、大阪府内の通報窓口を一元化し、おおさかアニマルポリスと命名しております。 こうした動物愛護に関する相談、通報の窓口を一元化し、県民の皆様に分かりやすくお示しすることは有効な方法だと考えておりますので、今後動物愛護センターの整備の中で高知市と連携して検討してまいります。 次に、65歳以上の方の保護動物の引取りについてお尋ねがございました。 動物の長寿命化が進み、犬、猫については10年以上、場合によっては20年以上長生きする例も少なくありません。そのために、飼う側の健康不安や、万一の場合に残されることとなった動物の行き先が困らないように、譲渡の際には一定の配慮が必要となります。多くの都道府県では、明文化による年齢規制はされておりませんが、譲渡上限年齢の目安として65歳以上を設定しており、本県でも譲渡に当たり、飼養者年齢の目安を65歳とさせていただいております。 しかしながら、老後の生きがい対策などペットの有用性は高いことから、御指摘のありました、万一の場合の引受人を明確に決めていただくことで譲渡は可能と考えておりますので、この改善について検討を行ってまいります。 最後に、ミルクボランティア制度の周知徹底についてお尋ねがございました。 収容される授乳期の子猫を殺処分せずに、一匹でも多く譲渡につなげるためには、ミルクボランティアの存在は欠かせませんが、現在県内のミルクボランティアの登録者数は2人にとどまっております。これまでにもミルクボランティアをやってみたいとの申出はございましたが、具体的にお話をする中で、体力的にも精神的にも大変労力を要することや、福祉保健所からの連絡がいつあるか分からない不安、現在飼育されている動物との完全分離などが課題となり、登録に至っておりません。 しかし、子猫の保護に関心をお持ちの方は数多くいらっしゃると考えておりますので、より参加しやすいよう、県ミルクボランティア試行要領の見直しを検討するとともに、動物愛護ボランティアの開催される譲渡会、動物関連の講演会などでの広報や県のホームページ、SNSを活用しながら、ミルクボランティアについての一層の周知や募集を図ってまいりたいと考えております。   (総務部長徳重覚君登壇) ◎総務部長(徳重覚君) まず、県業務へのRPAの導入状況と、RPAの導入が効果的と思われる業務についてお尋ねがございました。 県では昨年度までに、公営住宅等の耐震化に関する調査集計業務など21業務にRPAを導入し、業務の効率化を図ってきたところでございます。RPAの導入に伴う事務作業時間の削減率は、約33%から99%を超える結果となっており、中には削減率が97%で、削減時間が年間1,390時間となった業務もございます。 これまでの取組の実績から、RPAはシステムへの入力など、定型的な業務への導入がより効果的であろうと考えております。これらのことを踏まえまして、今年度は新たに30業務への導入を目標に、現在対象業務の選定を行っているところでございます。 また、1件当たりの事務作業に要する時間が少ない業務であっても、複数の所属に共通する業務に導入すれば大きな効果が得られます。そのため、今後はこれまでに作成したRPAを全庁的に共有し、ノウハウを活用できる環境を整備したいと考えております。 今後もRPAを活用し、事務処理時間の削減につなげ、さらなる業務の効率化を図るとともに、行政サービスの向上に取り組んでまいります。 次に、市町村におけるRPAの導入に向けての課題や、複数市町村による共同での導入の必要性と懸念点、県内の先行事例から学ぶべき点についてお尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えをさせていただきます。 県だけではなく、市町村においてもRPAの導入は業務の効率化を図るために有効であると考えております。そのため、昨年度から県職員を対象とした操作研修に市町村職員の参加を促し、RPAに関する理解の促進に取り組んでおります。 一方、規模が小さい市町村におけるRPAの導入には、十分な費用対効果が見込まれないといった課題があり、複数市町村による共同での導入が選択肢として考えられます。しかし、各市町村がこれまでに構築してきたシステムにおけるフォーマットや業務手順が異なっている場合には、RPAを共同で導入することが困難でございます。 そのため、契約期間の異なるシステム間のフォーマットや業務手順を統一化していくに当たっては、例えば四万十町と中土佐町で財務などの各種システムを共同化した事例もございます。こうした先進事例における検討の進め方は参考になると考えております。 県といたしましては、県内外の参考事例をまとめた事例集の作成や、県と市町村で構成されるデジタル化推進ワーキンググループの場における情報交換などを行ってまいります。   (観光振興部長山脇深君登壇) ◎観光振興部長(山脇深君) 予土線を活用した四万十川観光の取組につきましてお尋ねがございました。 日本の原風景が残る四万十川を車窓からゆっくり眺めることのできる予土線は、観光面でも重要な路線だと認識しています。また、旅行に関する全国調査などによりますと、コロナ禍により密を避け、自然や緑の多いところでのんびりと旅をしたいという旅行者のニーズが高まっています。予土線は、こうした新しい旅行トレンドにも合致しており、今後の観光資源としての価値もさらに高まってくるものと思います。このため、予土線の列車旅の魅力をテレビや旅行雑誌などのマスメディアを積極的に活用し、全国に情報発信していきたいと考えています。 議員からお話のありました高知駅と窪川駅を結ぶ観光列車につきましては、現在も多くの観光客に御利用いただいておりまして、その方々を予土線に誘導するというのは大変効果的だと考えております。また、予讃線に接続しているという特性を生かして、高知県と愛媛県をそれぞれ走っている、人気の観光列車の利用客を予土線でつなぐといったことができれば、相乗効果も高まりますし、沿線地域への経済効果もより高まってくるものと思います。 本年10月からは、JRグループ6社による四国デスティネーションキャンペーンも始まります。今後、早急に愛媛県や四国ツーリズム創造機構、JR四国など関係機関と協議を行い、四国西南部を鉄道で周遊する観光プランづくりに取り組みますとともに、列車旅の魅力、四万十川の魅力をしっかりとプロモーションしてまいります。 ◆26番(武石利彦君) それぞれ御答弁ありがとうございました。 保護猫についてでございますが、部長から市町村申請でしたか、それを活用というお話をいただきました。まさにそのとおりだろうと思います。実際、私が取材をさせていただいた中にも、土佐清水市のTNR活動の事例に倣って、そのボランティアの方が集まれるところでやろうと思って、該当する市町村に申出をしたらしいんですけれど、猫を公共施設に入れると不衛生だから駄目だっていうようなことを言われて、結局その活動が実現しなかった。猫の問題が社会問題化しているのは行政も分かっているはずなのに、何で行政がブレーキをかけるようなことするんだという声がボランティアの方からも寄せられていますので、今部長に御答弁いただいた市町村申請について、ぜひとも市町村に対して周知徹底をしていただきますように、よろしくお願いしたいと思います。 それから、ボランティアの方は譲渡会で一生懸命飼い主を探してくれておるんですけれど、一方で飼いたいんだけれど、住まいが賃貸住宅で飼えないとか、ペット飼育禁止とかということで、なかなか飼いたいのに飼えないというのも、何かもう残念な話だと思うんですね。ペットを飼うのは癒やしにもなりますし。それは、もう民間の判断ということになりますけれど、例えば県営住宅でも一定のルールを決めて、ペット飼育が可能になるようなことでもできれば、民間への一つの事例にもなりましょうし、いいのではないかなと思うんです。そのあたりぜひとも御検討いただきたいという、これは要請にさせていただきます。 それから、農業振興部長からは農業の生産性を高めるために、スマート農業、ICT、ドローンなんかを積極的に使うというお話もありました。ドローンは空の産業革命とも言われて、これからのツール、いろんな分野で使えるものだろうと思います。 四万十町では近く実証実験を始める。それは、例えば地震時に備えて救援物資を津波避難タワーにドローンで運ぶ、そういったことをするということ、それから今移動スーパーが集落に入っていますけれど、その運送をドローンに置き換えるとかというようなことも取り組むように段取りを今しているというふうにお聞きをいたします。 事ほどさように、中山間地域対策というのは高知県にとりまして本当にもう一丁目一番地、喫緊の取り組むべき課題であると思います。これは何年後によくなるというスパンの話じゃなくて、明日からよくなる、来週からよくなるという、細かいことでもすぐに解決をしなければならない課題だと思います。 今日から集落調査も始まったということでありますが、ぜひとも浮き彫りになった課題をすぐに解決していくというスピード感を持って、県としてこの中山間対策に取り組んでいただきたいということを要請いたしまして、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(加藤漠君) 暫時休憩いたします。   午後2時52分休憩-----------------------------------   午後3時20分再開 ○議長(森田英二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 17番依光晃一郎君。   (17番依光晃一郎君登壇) ◆17番(依光晃一郎君) 早速質問をさせていただきます。 高知県は今年4月、国勢調査の速報値として、令和2年10月1日現在の人口が69万2,065人になったと発表をしました。多くの高知県民が人口減を実感している中ではありますが、改めて69万人台を突きつけられ、今後どうなってしまうんだろうかと不安に感じた県民も多かったのではないかと思います。私もその中の一人で、特に昨年の令和2年に高知県で生まれた子供の数が4,082人と、3年連続で過去最少を更新したことは衝撃でした。私が生まれた年代である45年前の昭和50年が1万1,773人ですので、実に3分の1近くになったということになります。 振り返れば、高知県は平成27年に高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、令和2年の人口は69万9,000人にとどめたいという意欲的な数値目標を掲げておりました。結果は、先ほど述べたように、速報値69万2,000人ということで、約7,000人もの人口が大きく下振れたということになります。 私自身が、最も誤算であったと感じるのは令和元年度に社会増減を均衡させるという目標が達成できなかったことで、令和元年度が2,130人、令和2年度が1,325人と惨敗で、コロナ禍で都会への人の動きが止まった昨年度であっても、均衡からは程遠い状況です。この間、産業振興計画によって経済の拡大と働く場を増やす取組が成果を上げたにもかかわらずです。 昨年度から始まった第2期高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略では、若者の定着と増加について、改めて令和5年度に社会増減を均衡させ、令和22年に1,000人の社会増となるように段階的に上昇させることを新たな目標としました。 私は、この意欲的な目標を高く評価していますが、これまでとは違った抜本的な発想の転換をしなければ、若者の県外流出は止まらないと考えています。これまで高知県の若者流出の原因について語られてきたことは、高知県には働く場所がないから、県外に出稼ぎに行っている。仕事があれば、高知県内に若者はとどまる。県外で働いている若者も高知に帰ってくるに違いないというものでした。産業振興計画の着実な成果とともに、県内就職する割合が高まり、Uターンする高知県出身者も増加するという期待です。 確かに高知県経済は人口減少にもかかわらず、県内総生産や1人当たり県民所得を増やすなど、経済成長をプラスにする大きな成果を上げました。しかし、若者は期待どおり高知県に残ったり、帰ってきたりしたでしょうか。実際はそうなりませんでした。 では、その理由は何でしょう。やはり高知の給与水準が都会の給与水準に届かなかったことでしょうか。結婚相手が高知に一緒に帰ることを反対したからでしょうか。高知の教育が子供に受けさせたい教育水準に届かないと判断され、子供のために都会に残ったからでしょうか。それぞれの若者に様々な理由があるのだと思います。こういった声を前提にした上で、本気で令和5年度に社会増減を均衡させるのだとしたら、高知のマイナス評価を大きく上回る何かをアピールする必要があるのだと私は考えています。 そもそも、高知県は明治維新以来の筋金入りの脱藩県で、若者の県外流出は県民性に根差したもので止められないという話を聞くことがあります。私はこの意見には一理あると思っています。幕末の尊王の志士は外国の脅威から国を守るために、政治の中心地であった京都を目指し故郷を離れました。同じように、世の中を変えてやろう、自分の力を試そうと、東京など中心地を目指して高知を離れるということは、応援すべきものであって、邪魔をするものではありません。 そうであるならば、志を持った若者を呼び込めるよう、課題解決先進県である高知県で活躍することが誇りであり、志であるような大きな夢を描ける高知県になるよう、政治がビジョンを描かなければなりません。コロナ禍が世界で猛威を振るい、これまで想像していたものとは全く違った未来が訪れようとしています。アフターコロナ社会という未知の世界を切り開くのは、激動の時代で活躍した多くの先人を持つ我々土佐人の出番ではないでしょうか。若干大風呂敷を広げたなと思いつつ、新たな未来を切り開くべく、以下質問をしていきます。 まず最初に、高知県は第1期高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略において、人口の社会増減を均衡させる年を令和元年度としていましたが、残念ながら達成できませんでした。社会減となった年代を見れば、高校を卒業したタイミングで県外に進学する、もしくは県外企業に就職するという傾向が見えています。私は、先ほども述べたように、この年代が社会減になるのはある程度は仕方がないと考えていますが、このマイナスを補うUターンによる社会増を、30代半ばまでの層を中心に均衡させなければならないと考えています。 後知恵ですが、もしこれまでの産業振興計画における雇用増目標を、Uターン人材で補うような視点で政策立案できていれば、もっと違った結果が出たのではとも考えるところです。高知県は、人口の社会増減について令和5年度の均衡を目指して取組を進めているところです。 その前提として、第1期の総合戦略において社会増減の均衡を達成できなかった原因をどう考えているのか、知事にお聞きをいたします。 次に、高知県が世の中を変える先進地になることについてお聞きをしていきます。私は、先ほど尊王の志士が京都を目指して脱藩したことをお話ししました。平成29年12月議会でも取り上げたのですが、徳川家による世襲政治体制から、薩土盟約にあるように天皇を中心とした政府をつくり、人材は庶民も含めて登用するという立憲君主政府に変えるため、御所のある京都を目指したという歴史です。同じ考え方で、志ある人材が高知を目指して集うような仕掛けを高知につくり出すことができれば、社会増減の均衡と、令和22年から毎年1,000人以上の増加について、私は夢物語ではないと思っております。 高知県は、これまで課題解決先進県ということで、人口減少と高齢化を逆手に取って、世の中に先駆けた新たなサービスや製品を生み出そうと努力をしてきました。最近では、デジタル技術掛ける地場産業の融合という言葉を使うようになりましたが、農業ではIoPクラウド、林業ではスマート林業、水産業では高知マリンイノベーションというように、これらの取組を推し進め、SDGsの観点からも世界をリードし、志ある人材を集めていける産業に育て上げなければなりません。そして、本日は、これまであまり議会で取り上げられてこなかった視点で質問をさせていただきたいと思います。 私は、これまでも医療と介護の仕事を、不適切な表現かもしれないとも思いつつ、高知県では最も大きな雇用と売上規模を持つ産業として捉えるべきであると述べさせていただいてきました。高知県は、高齢化が日本の中でも早く進んだこともあり、医療と介護の連携について早くから先進的な取組を重ね、競争力を持つ産業に育ってきていると感じております。 その中でも、高知大学医学部を中心に開発された医療介護情報連携システム、通称「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」が平成27年度から試験運用され、平成29年度から本格運用されていますが、日本の高齢化社会を支え、世界に発信できる優れた取組だと私は感じています。このシステムは、医療と介護の切実なニーズからスタートしたものです。高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるようにするために、モバイル端末を用いて迅速にそれぞれの専門職が課題を共有し、意見交換することで、よりよい支援をスムーズに実現させる、まさにチームで支える高知家モデルです。 私なりにこのシステムについて、もう少し詳しく説明したいと思います。もともと医療職と介護職には大きな壁があり、同じ土俵に立って連携することは不可能だと思われていました。そのような中でこの壁を打ち破り、患者さんの生活を支える、きめ細かなチーム医療を実現したことが、このシステムのこれまでにない先進性になります。 なぜ医療職と介護職に壁があったかについてですが、これまでの医師とホームヘルパーの関係を考えると直接のつながりはなく、あってもケアプランを考えるケアマネジャーを通じて、意見または依頼をするくらいで、ましてやホームヘルパーさんから医師に話しかけたり、気軽に相談するというのは敷居が高く、あり得ないという状況だったようです。しかし、このシステムを使えば、医師は患者のために最も欲しい患者の日常の情報を手に入れることができ、正確な情報に基づいた医療が実現できます。 医師の側から見ると、これまでは病院に来た患者さんの状況について、面談時という点でのことしか分からなかったのが、介護職の皆さんが患者さんの状況を日々システムに書き込むことで、訪問介護で実際に見た自宅での食事や薬の内服状況、また歩行など体の動きについて病院で確認することができます。つまり、患者の日常生活の情報を診断や薬の処方などの医療に生かすのです。 私は、この「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」は、高知発の誇るべきシステムであり、他県の同じようなシステムに比べても優位性があると評価をしております。しかし、この優れたシステムは高知県内の一部地域でしかまだ活用されていません。私は、この「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」は、高知県の日本一の健康長寿県構想における3つの柱の一つ、地域で支え合う医療・介護・福祉サービス提供体制の確立とネットワークの強化の核となるべきシステムで、高知県全域に早く行き渡らさなければならないと思っています。 そこで、「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」について、安芸圏域でモデル事業を行ったと聞いておりますが、その成果や課題をどのように捉え、またそれをどう反映しながら、今後県内の他の圏域に広げていくのか、健康政策部長にお聞きをいたします。 次に、医療・福祉分野における新たなビジネスの創出に向けた取組についてお聞きをいたします。私は冒頭に、高知県が世界の課題を解決する場所になれば、多くの志ある若者を集めることができるとお話しさせていただきました。これまで述べたように、「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」の取組は、世界の高齢化社会を、よりよいものに変えるポテンシャルを持っています。しかし、ビジネスとして付加価値を生むためには、「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」を活用して、よりよい生活を送ることができるようになった多くの患者さんの治療プロセスについてデータ化し、分析することが必要です。 医療情報をビジネスのネタにすると言うと、お叱りを受けそうですが、データ分析による効果的な治療方法の確立や新薬の開発、また新しい介護ロボットの実証実験などは、将来的にはビジネスを超えた、人類の課題を解決する意義ある産業にまで発展する可能性があると私は考えています。今後、「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」を通じて医師の診断や薬の効果、介護機器の有用性などについて匿名加工された医療情報を多く集め、その情報を活用することにより、新たなビジネスを生み出すことも可能になってくるものと考えます。 なお、ここで心配されるのは、個人情報やプライバシーが守られるかという点であると思いますが、セキュリティーに関しても都度バージョンアップされる医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを遵守することによってクリアしており、患者さんへの不利益は全くないと言い切ってよいと思います。とは言いながら、ビジネスへのデータ転用に当たっては、利用者の許可が必要となることなどから、すぐにビジネスに活用するのはハードルが高いと認識しているところです。 一方で、同じく高知大学がこの4月にヘルスケアイノベーションコースを開設し、医学と工学を融合した新たな革新的技術を創出する人材の育成に取り組まれております。今後、シンポジウムなども開催されるとお聞きしており、ヘルスケアなどの医療・福祉分野における新たなビジネスの創出にも期待が高まります。 そこで、高知県の医療・福祉分野における新たなビジネスの創出に向けた取組について産業振興推進部長にお聞きをいたします。 次に、情報通信のための基盤整備についてお聞きをいたします。 先ほどからデジタル技術掛ける地場産業の話や、「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」の話をさせていただきましたが、これらの基礎になるのが情報基盤整備の状況です。これまで国の支援、県の御努力もあって、県内で光回線が届いていない地域は、ほぼなくなり、高知県全域で情報通信の恩恵が受けられる基盤が整ってきました。 一方で、最近ではインターネットが遅いとか、つながりにくいという声も聞こえてくるようになりました。これは、動画コンテンツの量や質の変化、ネットにつながる機器やネットで提供されるサービスの多様化などにより、増加を続けているインターネットトラフィックに、コロナ対策によるリモートワークやオンライン授業などが拍車をかけ、顕在してきた新たな課題です。 この状況について通信事業者にお聞きをすると、県内のブロードバンド環境は、地域や市町村ごとに民設民営、公設民営、公設公営といった整備パターンの違い、また整備時期や設備構成の違いなどがあり、状況はまちまちであるとのことです。 高知県は、情報通信技術を活用したシェアオフィスによる雇用創出を目指した企業誘致や、ワーケーションの取組、またGIGAスクール構想による教育での活用など、大容量かつ高速の情報通信を前提とした施策を今後さらに進めようとしております。しかし、高速の情報通信が思うように使えないとなれば、高知県の取組は絵に描いた餅となってしまいます。 そこで、高知県におけるインターネット回線がつながりにくくなってきているとの声も聞くが、高知県の現在の情報通信基盤についてどのように評価をしているのか、総務部長にお聞きをいたします。 次に、情報通信基盤の更新についての市町村サポートについてお聞きをいたします。Society5.0と言われる情報化社会に向けての環境整備は、高知県だけがやるのではなく、市町村も主体的に立案し、実施しなければなりません。その中でもとりわけ重要な情報通信基盤については、整備して完了ではなく、通信容量の将来予測に基づいて適宜更新していくことが重要です。しかし、市町村に情報通信技術に精通した職員がいるというのはまれで、適切な支援がなければ県内市町村の間でも格差が生まれるおそれがあります。 例えば、ケーブルテレビを運営している自治体とそうではない自治体では、設備構成が違うことから、設備更新の時期や方法などの方針や、必要となる投資も変わってくるはずで、それを適切に行っていくためには、その自治体に合わせた支援が必要となります。 そこで、今後も増加が想定されるデータ通信容量に対応した設備更新について県としても市町村に支援していく必要があると思うがどうか、総務部長にお聞きをいたします。 次に、県外大学に進学を考えている県内高校生への受皿づくりについてお聞きをいたします。先ほどから、県外から若者を呼び戻すための施策について話をさせていただいておりますが、大学で学んだ後に高知県企業に就職をすることを考えた場合、4つのパターンがあります。1つ目は、高知の大学に進学しそのまま高知県企業に就職する場合、2つ目は、県外大学に進学しその後高知県企業に就職する場合、3つ目は、高知の大学に進学し県外企業に就職した後高知県企業に転職する場合、4つ目は、県外の大学に進学し県外企業に就職した後高知県企業に転職する場合です。これまでも大学生にいろいろなアプローチをして、県内企業への就職をサポートしてきましたが、結果として分かったのは、県内大学生の県内就職率が、県外進学大学生の県内就職率よりも高く、現状では1.5倍であるということです。 そうであるならば、高知県内の大学定員を増やし、受皿を増やせば県外大学に進学する高校生の数を減らし、県内就職の可能性が高い大学生を生み出すことができます。これまでも高知県は、工学部がなかったことで県外に進学する学生を高知県にとどめようと、高知工科大学を設立し、また経済、経営が学べる学科がなかったことで県外に進学する学生をとどめようと、既存のマネジメント学部100人に60人の定員を追加して、経済・マネジメント学群を設置しました。高知県内に大学生の受皿をつくったことは、高知県に若者がとどまることに大きな成果をもたらしたと思っています。 さらに、私は令和5年の開設を目指しているデータ&イノベーション学群に、先ほどから述べている県内の優れた取組を下支えする、優秀な人材を輩出してくれると大いに期待をしています。ちなみに、現在の経済・マネジメント学群は当初200名とする計画であったのが、現在の160名と計画より定員を減らして設置されております。今回、60人の定員が計画されているデータ&イノベーション学群は、増えるはずだった残り40人を補う意味をも持っています。 そこで、県内の大学に進学した学生を高知県企業への就職につなげる取組がますます重要になると考えますが、どのように対応するのか、商工労働部長にお聞きをいたします。 次に、新たに組織改編によって設置した子ども・福祉政策部の設置後の状況や手応えについてお聞きをいたします。 国では、こども庁創設の機運が高まっており、私も自民党を通じて、国会議員とのズーム会議などで高知の課題や提案を届けるなど、積極的に関わっておりますが、高知県も今年度から地域福祉部を子ども・福祉政策部として設置し、あわせて部内の児童家庭課が子ども・子育て支援課に改称しております。まさに時代を先取りした形と高く評価しております。 また、DVなどの人権問題に対応する人権・男女共同参画課が子ども・福祉政策部に移管されたことによって、児童虐待とDV対策の担当課が1つの部となり、連携して施策を実施できるようになりました。コロナ禍が続き、児童虐待の報告件数が増えている現状の中で、親と子供を一緒にサポートしていく体制が整ったことは、自立支援につながるすばらしい取組になると感じています。 高知県は、子供に関する取組について、さらに力を入れるべく組織を見直し、子ども・福祉政策部として今年度から設置しましたが、設置後の状況や手応えについて子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします。 次に、結婚を機にUターンする若者を増やすという視点で、子育て環境の整備についてお聞きをいたします。若者が県外に進学や就職を考えるのはなぜかと考えたときに、都会のほうが買物や遊ぶ場所の選択肢が多く、また大規模なスポーツや音楽イベントなどに魅力を感じてということも多いでしょう。しかし、結婚して育児が始まると、人口が多い都会は住みにくく感じる場面も増えるのではと思います。例えば、ベビーカーを使い満員電車で移動することだけを考えても、その大変さが想像できます。また、コロナ禍が続く中で、妊産婦の産後鬱、孤独な育児の問題は、都会のほうが深刻ではないかと思います。結果、都会から地方への人の流れが生まれ、高知県の人口問題解決の視点では追い風です。 私は、子供を産み育てやすい高知県として、都会で就職した高知県生まれの若者に帰ってきてもらうようなアピールがもっとできないかと思います。一例として、子供の幸福という視点で、ユニセフの調査を御紹介します。ユニセフが子供の幸福度ランキングを発表しており、日本は38か国中20位という結果でしたが、その中で、より多く外で遊ぶ子供のほうがより幸せであるという結果が示されています。外遊びの機会が子供の幸福度に関係するという調査結果で、都会よりも自然豊かな高知のほうが、子供にとって幸福であるということも言えるはずで、アピールポイントになると思います。 また、国もまち・ひと・しごと創生基本方針2021において、子供を帯同して地方に移住する場合を重点的に支援すると表明をしております。 そこで、子育てを機に帰ってこようとしている若者へのPRや、転職や育児の情報提供などを含めた支援について中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。 次に、今年度実施される令和3年度高知県集落実態調査についてお聞きをいたします。高知県は、今年度10年ぶりに集落実態調査として、集落代表者への聞き取り調査や地域住民へのアンケート調査を実施します。この10年で集落活動センターの取組が県内全域でスタートし、高知県は生活環境の整備などに努力をしてきました。今回の調査では、集落活動センターの効果や生活支援の効果などが検証できるのではと、調査結果に注目をしています。 特に私が注目するのは、地域リーダーの後継者が育っているかという点、移住者の受入れが進んだかという点、そして食料品や日用品について不便はないかという点です。 私は、地域リーダーについて後継者探しは急務であり、その人材は血縁者などのUターンを含めた移住者に担ってもらいたいと思っています。前回の調査では、移住者が入居できる空き家について調べ、受け入れることに賛成か反対かなどを聞いていましたが、その調査を生かして移住の取組につなげ、地域リーダーの発掘という成果を上げられたかどうかは、非常に興味があるところです。 また、国勢調査の結果からも急激な人口減が数値として出ていることから、食料品や日用品を販売する事業者の苦しい状況も想像できることから、集落の命綱である生活用品の購入について、不便になってきているのではと危惧もしているところです。 そこで、10年ぶりに実施する集落実態調査について前回の調査を踏まえてどのような内容で実施するのか、中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。 次に、中山間地域の移住先としての可能性についてお聞きをいたします。私は、中山間地域の集落には日本人が大切にしてきた世界に誇れる伝統や文化があり、日本の多様性と活力の源であると信じています。また、こういった集落には人を癒やす力もあり、長引くコロナ禍の中で、働き方や生き方を変えたいから移住を検討しているという人のニーズにも合致するのではとも思っています。最近では、コロナ禍の長期化により孤独が社会問題となり、国は解決のために、孤独・孤立対策担当大臣を設けました。孤独、孤立が国家的な課題となったのです。 そこで、私は孤独、孤立を感じて地方に移住し、心を癒やして再起した人物の元祖を御紹介したいと思います。皆様は、漂泊の歌人吉井勇を御存じでしょうか。「いのち短し恋せよ少女」のフレーズで有名なゴンドラの唄の作者です。祖父は旧薩摩藩士吉井友実で、坂本龍馬とも交流があったことで知られます。余談ですが、私がさきに述べた薩土盟約と並ぶ重要な薩摩と土佐の同盟である薩土討幕の密約に関して、西郷隆盛、小松帯刀と共に薩摩側として参加し、土佐藩の板垣退助、中岡慎太郎、谷干城と討幕について会談したのが吉井勇の祖父友実です。また、吉井勇は、坂本龍馬が鹿児島に新婚旅行をした際のエピソードを、直接龍馬と出会った父から聞いて雑誌キングの昭和4年3月号に「或日の龍馬」と題する文章を発表しています。 さて、吉井勇がどうして心を病んで隠棲したかは、香美市猪野々の吉井勇記念館に来て調べていただければと思いますが、3年の隠棲期間中、猪野々集落の人々の温かさが心を癒やし、静かに生活した隠棲の時間がその後の活躍のエネルギーとなりました。 ここで高知県の移住の取組を振り返ってみると、当初は全国に先駆けて積極的に施策を実施した高知県ですが、最近では全国の自治体で競争が激化しており、年々移住者を集めることのハードルが高くなってきているように思います。そのため、令和22年に社会増1,000人を目指すためには、さらに斬新な切り口が必要です。 そこで、私は元祖移住者、吉井勇に倣って、隠棲型移住を提案します。移住者が移住先に求める3大要素は、働く場所、住居、趣味ですが、そこから働くという要素を除いて、住居だけを大いにアピールするのです。 具体的には、中山間地域の空き家をどんどん改修して、お試し住宅を整備します。そして、高知に短期間隠棲しませんかと全国にアピールします。家賃を安くすれば、取りあえず3か月間隠棲してみようというような人は、それなりにいるのではと思います。そして、仕事はせずに、ぼーっと静かに隠棲生活を送ってもらいます。隠棲型移住者に対して住民は不安を持つかもしれませんが、そこは地域の移住サポーターが、あの人は隠棲していて、そのうち都会に帰りますと説明すれば、住民は安心するのではと思います。 私は、コロナ禍におけるストレス社会において、仕事をせずに、ぼーっと過ごすリセットの時間は、新たな活力とクリエーティブな発想を生む大切な時間になり、移住者にとってのメリットは大きいと想像します。例えば、高知県がストレスフルな業界の大企業に対し、社員のストレス解消に向けて市町村の移住地情報を紹介してもらうなど、社内で隠棲型移住のことをPRしてもらうお願いはできないでしょうか。地域住民との交流が生まれれば、それもよし。元気になって都会に戻れば、地域の癒やしの力が証明されたことになり、それもよしです。何もしなければ都会との交流人口は増えていきません。 以上は、斬新な切り口としての私の思いつきではありましたが、国は、まち・ひと・しごと創生基本方針2021で地方創生テレワーク、通称転職なき移住という言葉を使い始めており、そうした視点も加えていく必要があるのではないでしょうか。 そこで、高知県はこれまで高知県の魅力ある集落への移住について積極的に取り組んできましたが、コロナ禍を通じて発見した中山間地域の集落の移住先としての新たな可能性ついてどうか、中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。 関連して、高知県のひきこもりに関する支援についてお聞きをいたします。 高知県では、令和2年に行ったひきこもりの実態調査によって、692人の方について実態を把握しました。コロナ禍の長期化によって自宅にとどまることが多くなり、それからひきこもりへと進むことも懸念されるところです。しかし、ひきこもりに関しては、表面化しづらい傾向があることから、御家族や御近所からの情報提供が非常に重要です。また、御家族が支援を求めるためには、ひきこもり地域支援センターをはじめとした支援機関や市町村の相談窓口の存在を多くの県民に知ってもらう必要があり、また民生委員やあったかふれあいセンター職員が、ひきこもりで困っている方についての専門的な知識を持ってもらうことも重要です。 まずは、ひきこもりとは誰でも起こり得ることであるという知識と、ひきこもりの相談窓口について県民にどのようにして広報していくのか、子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします。 最後に、中山間地域で住み続けられるための生活用品の購入と、物流事業者支援についてお聞きをいたします。中山間地域の人口減少が進むことは、その地域で商売をしている事業者にとっては商売が成り立たなくなる非常事態となります。私の住む香美市においても、物部町大栃のスーパーが平成29年1月に閉店となりました。地域にとってなくてはならないお店であったため、私としても存続のためにもっと何かできなかったのかと、今でも悔やまれます。 当時、高知県中山間地域生活支援総合補助金を活用して、JAの店舗と別の商店の品ぞろえを増やすための設備投資に対して補助をしていただき、影響を最小限に抑えることができました。しかし、中山間地域の人口減少は、物流費にも影響を与えております。 高知県の食品卸売業の旭食品株式会社にヒアリングをしたところによると、高知の宿毛、室戸両営業所は人口減少により売上げが激減し、関東、近畿、中京などの利益で補っているような状況のようです。また、梼原町と津野町の量販店や個人商店への配送については、特に売上げも見せていただきましたが、かなりの落ち込みでした。企業努力としては、何としても配送を維持しなければということで、納品回数を週3便から1便に減らしたり、ドライ専用便を酒類と一緒にするなどの努力をしております。 しかし、住民にとっては、週3回来ていた食料品が週1回となることから、不便になったことは間違いなく、どうしても欲しいとなれば、地域外の店舗に買い出しに行くなどの対応をするだろうと思います。そうなれば、地元商店にとってはお客さんを他の店舗に取られ、売上減少が進み、さらに厳しい経営状況となります。 私は、中山間地域で住み続けられるために必要な支援として、食料品に関する物流についても考えていくべきときが来たのではと思います。私としては、住民への日用品についてのアンケートを取るのと同時に、高知県の物流業者の状況について早急に聞き取る必要があるのではと思います。 私なりにお聞きしたところでは、人口減少による店舗の仕入れ減や店舗の廃業により採算が取れなくなる物流事業者が、今後間違いなく増えるとのことでした。このままでは物流費を商品に転嫁するしかなく、結果、中山間地での食料品価格が高騰し、中山間地域で生活するコストが高くなることも予想できます。解決策としては、共同配送の再構築、貨客混載の検討、距離に応じた燃料支援、デジタル技術を活用した配送の効率化など、考え得る限りの方法で中山間地域の暮らしを守らなければなりません。 そこで、買物弱者対策として、中山間地域の物流の維持に向けた所見を知事にお聞きをいたしまして、私の第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 依光議員の御質問にお答えをいたします。 まず、まち・ひと・しごとの第1期の総合戦略におきまして、社会増減の均衡を達成できなかった原因をどう考えるかというお尋ねがございました。 本県の転出超過について見ますと、第1期の総合戦略の5か年平均で年間2,000人程度という水準となっております。その多くは15歳から24歳までの若年層が占めているということでございます。このことは議員からも御指摘ございましたように、高等学校あるいは大学などを卒業して進学あるいは就職をきっかけに県外に転出をし、多くの者がそのまま戻ってきていないといった構図によるものというふうに推測をしております。 その要因は、高知県内の正社員の有効求人倍率が1を下回りまして、依然低水準にあることに加えまして、全国的に人手不足が深刻化をし、大都市が地方に人材を求める圧力が強まったということが挙げられるのではないかというふうに考えております。 また、本県におきましては、若者が希望する事務系の仕事が少ないといった、大都市に比べまして仕事の種類が限られているということも、要因として挙げられるのではないかというふうに考えます。これは、令和元年度に実施をいたしました就職、進学の希望地等の意識調査の結果からも見てとれるところであります。県外就職を希望する理由として、都会で働きたい、あるいは希望する就職先がある、給料や待遇などの労働条件がよいといった声が上位を占めているところであります。 こうしたことがございまして、本県は県内に働く場がありましても、若者の都会志向あるいは本県と都会との雇用環境の違いなども影響して、社会減が継続をしたという構図になっているものと受け止めております。 一方で、この人口の社会減約2,000人という水準は、これまでの取組によりまして、以前の全国的な景気回復期、景気拡大期と比べまして、約2分の1程度の水準に改善をしているということも言えると考えております。まだまだ道半ばではございますが、そういった方向性としては改善の傾向にあるということはございます。 人口の社会増減の均衡という目標の達成に向けまして、1つにはアフターコロナ時代を見据えた地方への新しい人の流れ、これを高知県に呼び込んでくるということに努力をしてまいりたいと思いますし、あわせまして若者が魅力を感じるような産業、仕事をつくっていくということ、企業を誘致していくということ、これにつきましても引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、中山間地域の物流の維持についてお尋ねがございました。 人口減少や高齢化が進行いたします中山間地域におきまして、食料品や日用品を購入できる環境を維持していくということは、御指摘もありましたように大変重要な課題であるというふうに考えております。 このため、県では、これまで閉店をした商店に代わる店舗の整備でございますとか、移動販売網の維持ないし拡大、さらには買物代行の仕組みづくりといった形で、市町村とも連携をいたしまして、事業者への支援を行ってまいりました。 また、地域におきます商業者の経営力を強化するという観点から、小規模事業者などへの経営計画の策定あるいは実行に対する支援、さらには商工会などの体制の強化に向けた支援も取り組んでまいったところでございます。さらに、小規模事業者の抱えます後継者不足の課題に対しましては、円滑な事業承継につなげるための支援制度を強化するといった取組を行ってまいりました。 しかしながら、議員からも御指摘ございましたように、物流を担う事業者は、根本的には人口減少に伴い採算性が悪化をしているという状況にあるというふうに考えております。今後、中山間地域におきます食料品などの確保に影響が出てくるのではないかという懸念は大きく持っておるところでございます。 こうしたことから、現在共同配送の仕組みを再構築するということに関しまして、事業者の方々からの御要請もあり、今お話をお聞きするといった形で、来年度に向けまして共同配送の仕組みに関する現状、課題を整理いたしているところであります。こうした動きも踏まえまして、今後中山間地域の物流の維持に向けて、県として何ができるか、何をやるべきか、しっかりと検討してまいりたいと考えております。 私からは以上であります。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) 「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」のモデル事業での成果や、その課題を踏まえた今後の普及についてお尋ねがございました。 「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」につきましては、医療機関や介護事業所などの多職種間の情報連携を進めるシステムとして、令和元年度から2年間にわたり安芸圏域においてモデル事業を実施してまいりました。このモデル事業の取組においては、在宅療養を支える医療・介護サービス担当者の間で、携帯端末を用いて患者の情報を迅速かつ正確に共有することで、一体的なサービス提供ができたり、患者の状態を写真や動画で記録することで、医師が本人に会えない状況でも正確に様子を確認できるなど、様々な効果がございました。 結果として、モデル事業実施前と比較して患者の登録数、システムのアクセス数が令和2年度末で約6倍まで増加するなど、在宅医療・介護サービスの効率的で適切なケアができる体制づくりの実施につながったものと考えます。 一方で、運用上の課題としましては、参加事業所の増加を図ること、より簡単な入力方法の導入を図ることなどといった指摘もございますので、今後対応策を検討してまいります。 今年度は、高知市や中央西福祉保健所管内、須崎福祉保健所管内で導入を進めていくこととしております。今後開催予定の説明会では、モデル事業に参加して成果を感じた事業者から、直接システム導入のメリットなどについてお話しいただくなど、理解促進を図りつつ、令和4年度には県下全域で導入できるよう取り組んでまいります。   (産業振興推進部長沖本健二君登壇) ◎産業振興推進部長(沖本健二君) 医療・福祉分野における新たなビジネスの創出に向けた取組についてお尋ねがございました。 本県が全国に先駆けて突入した人口減少、高齢化は、現在では我が国全体が直面する大きな課題となっており、今後ますます顕著になるものと予想されます。 一方、世界に目を向けましても、その傾向はG7といった主要先進国のみならず、人口14億人を超える中国においても同様でありますことから、裾野が広い医療・福祉分野は、今後世界的にも大きな成長が見込まれる有望な産業だと言えます。 この分野における新しいビジネスを創出するためには、医療などの専門的知識に加えて、情報テクノロジーの活用やデジタルトランスフォーメーションの推進が必要となりますことから、県内の高等教育機関との連携が大変重要になると考えております。そのため、高知大学医学部と連携し、医療とDXをテーマとしたセミナーを開催しますとともに、県内の医療・福祉分野に関心のある企業と高等教育機関との情報交換やマッチングの場づくりに取り組み、様々な検討が始まっております。 具体例を申し上げますと、心療内科の分野においては、バーチャルリアリティーを活用したデジタル治療薬の開発に向けた研究がなされておりますし、また中山間地域や離島において有効な診療方法として期待されます遠隔医療の実証実験なども行われております。 こうした医療・福祉分野における新たな産業化へのチャレンジに対しまして、産学官連携により取り組みますことで、課題解決先進県高知発のグローバル産業の創出を目指してまいりたいと考えております。   (総務部長徳重覚君登壇) ◎総務部長(徳重覚君) まず、現在の情報通信基盤の評価についてお尋ねがございました。 令和2年3月末時点の県内の光ファイバーの整備率は96.5%となっており、全国平均の99.1%よりも低くなっております。未整備の地域が残る15市町村のうち9市町が、国の令和2年度補正予算を積極的に活用して整備を進めておりまして、今年度末の整備率は99%を超える見込みとなっております。これによりまして、県内のインターネット利用環境は大きく向上するものと認識しておりますけれども、依然として整備のめどが立っていない地域も残っております。 そこで、光ファイバーの整備等について、全国一律のサービスを課すユニバーサルサービス制度の対象とするよう、国への政策提言を行ってきたところでございます。また、光ファイバーが整備されている地域におきましても、インターネット利用者の増加や高画質動画の視聴などによるデータ通信量の増加の影響によりまして、速度が遅くなるといった状況が生じているものと認識しております。 県といたしましては、市町村のネットワーク環境を把握するとともに、こうした状況を解消できるよう、通信事業者や市町村と議論してまいります。 次に、情報通信基盤の更新についての市町村支援についてお尋ねがございました。 市町村が所有する光ファイバー設備については、現在老朽化に伴う更新や、利用者のニーズ、技術革新に対応した設備の高度化が求められるといった課題があるものと考えております。このため、今年度から通信環境の格差を解消し、地域課題の解決や産業振興を図るため、市町村が所有する光ファイバー設備の高度化について、県独自の交付金により支援しているところでございます。 一方で、電気通信事業者との調整が整わず、高度化に至らない地域もあると聞いております。県といたしましては、県内各地における状況を的確に把握し、公設光ファイバーケーブル及び関連設備の民間移行や運営主体の変更などの選択肢も含めて、地域の実情を踏まえた対応策を市町村に助言するなどの支援を行ってまいります。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) 県内の大学に進学した学生の高知県企業への就職についてお尋ねがございました。 令和2年3月卒の就職状況を見ますと、県外の大学に進学した学生のうち高知県企業に就職した本県出身者の割合は18.6%であったのに対し、県内の大学から高知県企業に就職した学生の割合は27.8%と、約1.5倍の率となっております。県内の高校生が県内大学に進学し県内企業に就職することは、人材確保の点、若者の県外流出防止の点から大変重要と考えており、これまでにもインターンシップの促進や県内就職に関する情報発信に努めてきたところです。 今後、さらに多くの学生の皆さんに県内企業を就職先として選択していただけますよう、引き続き産業振興計画の取組により、県内企業の成長や魅力向上を支援してまいります。また、学生に対しましては、今年度新たに設置した就職支援コーディネーターによる伴走支援や、大学連携まち・ひと・しごと創生推進本部の取組の充実を図ることなどにより、さらなる県内就職につなげてまいります。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) まず、子ども・福祉政策部の設置後の状況や手応えについてお尋ねがございました。 子供に関する取組につきましては、妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援する高知版ネウボラを充実強化することで、子育てに関する様々な不安感の解消を図り、安心して子育てができる環境づくりを推進しております。具体的には、母子保健事業の中で市町村の保健師などが妊娠期からの面談や訪問を通じて、子育て家庭の不安や悩みに寄り添うとともに、その家庭のリスクの早期把握に努め、迅速な対応を行うことで課題の解決を目指しております。 また、子育て家庭の負担感の解消に向けて、各市町村の地域子育て支援センターやファミリー・サポート・センター、あったかふれあいセンターでの一時預かりなど、地域における子育て支援サービスの充実にも取り組んでおります。 このように、子育て家庭のリスクに応じて適切に対応することは、児童虐待や子供たちの貧困の世代間連鎖などを未然に防ぐためにも大変重要です。子育て家庭の抱える課題は、育児に加え保護者の健康面や家族間の問題、経済的困窮など複雑化、多様化しており、子供や高齢、障害、生活困窮など各分野の関係機関が一体となった支援が必要となります。 子ども・福祉政策部としましても、新たな体制の下に地域共生社会の実現に向けた包括的な支援体制づくりを重点目標の一つに掲げ、地域で様々な課題を抱える人やその世帯が、社会から孤立することなく、必要な支援を受けることができる仕組みづくりを市町村と共に進めております。さらに、就学後の支援の充実に向けたスクールソーシャルワーカーと福祉部門との連携強化や、社会から孤立しがちな家庭を地域で見守るネットワークの充実にも取り組んでまいります。 これらの取組を通じて、安心して子育てできる環境づくりを一元的に進めることで、子育てに関する不安感を解消し、さらには本県の全ての家庭において、妊娠・出産・子育ての希望がかなえられることを目指して取り組んでまいります。 次に、ひきこもりに対する知識と相談窓口の広報についてお尋ねがございました。 議員御指摘のとおり、ひきこもりは対人関係の不安や自分に自信が持てないことなどを背景に、社会に一歩を踏み出せないでいる状態であり、誰にでも起こり得る可能性があります。また、ひきこもりは子供から成人まで広い年代にわたる問題です。 ひきこもりの状態にある方やその御家族は、それぞれ異なる経緯や事情を抱えていますので、地域全体でしっかりと受け止め、その方に合った支援につなげていくことが重要となります。そのため、ひきこもりへの理解を広げ、誤解や偏見をなくすことが大切ですので、県としましては多くの県民の方の目に留まり、分かりやすく、広く関心を持っていただけるような工夫を凝らした広報を実施してまいります。 また、ひきこもりの状態にある方や御家族には、課題を抱え込む前に、県の相談窓口であるひきこもり地域支援センターや、各市町村に設置しているひきこもり相談窓口に御相談いただきたいと考えております。さらに、地域においてはNPO法人や家族会などが、安心して過ごせる居場所や就労体験の提供などの支援に取り組んでいますので、ひきこもりの状態にある方や御家族がこうした団体につながることも大切です。 そのため、県や市町村、さらには地域の相談窓口と支援の情報をリーフレットやホームページ、SNSなどを活用し広く周知してまいります。あわせて、地域の支援者の方々への理解促進のために、ひきこもり支援の事例を用いた研修等を実施するとともに、地域の支援団体同士が交流する機会を設け、それぞれの支援活動について情報交換し、連携を深める取組を進めてまいります。   (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇) ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) まず、子育てを機に本県に帰ってこようとしている若者へのPRなどについてお尋ねがございました。 本県は、海、山、川などの豊かな自然に恵まれており、このような環境の中で子育てを希望される方にとって、魅力ある地域が数多くあります。また、本県へ移住される方々の約8割を占める20歳代から40歳代の年齢層には子育て中の方も多く、地域や産業の担い手確保といった観点からも有望なターゲットであると考えております。 このため、子育てを機に移住を検討されている方に対して、移住・交流コンシェルジュや市町村の移住担当者から、地域の子育て環境や支援策、仕事の紹介などの情報提供をきめ細かに行っているところです。また、子育てや教育環境をテーマとした相談会や子育て中の先輩移住者との交流会を開催するなど、都市部にお住まいの子育て世代に訴求する事業も実施しております。こうした取組は、議員のお話にありました子育てを機にUターンをお考えになる方にとっても、本県の子育て環境の魅力や暮らしやすさを再認識いただけるよいきっかけとなるものと考えております。 今後とも、市町村の皆さんと一丸となり、本県の強みであります豊かな自然や子育て支援策のPRなどを積極的に行ってまいります。加えて、Uターンを対象とした相談会の実施やポータルサイトでのUターン情報の発信などによりまして、Uターンの増加につなげてまいりたいと考えております。 次に、集落実態調査の内容についてお尋ねがございました。 前回の調査では、集落活動の状況をはじめ、生活用品や飲料水の確保などの生活環境、さらには安全・安心や産業の状況などについて調査を実施いたしました。この結果を基に中山間対策を抜本強化し、集落活動センターの仕組みづくりが県内の各地域に広がりますとともに、生活用品や飲料水の確保、鳥獣被害対策など、生活環境の整備などの取組が着実に進んでまいりました。その一方で、この10年間で人口減少や高齢化が一層進み、産業や地域づくりの担い手不足や、集落の小規模化といった課題も現れてきております。 このため、今回の調査では、前回に引き続き集落活動や生活環境、産業の状況などを調査し、経年変化を把握したいと考えております。特に、集落活動センターをはじめとする集落対策や、生活用品の確保などの生活支援、移住促進による担い手確保といった分野については、より詳細にお聞きし、これまでの中山間対策の検証を行うことで施策を強化してまいります。 さらに、中山間地域におけるデジタル技術の活用分野などを新たに調査内容に加え、あわせて地域資源の活用や地域の魅力についてもお聞きすることで、新たな中山間対策の施策づくりにつなげてまいりたいと考えております。 最後に、中山間地域の集落が移住先となる新たな可能性についてお尋ねがございました。 本年4月から5月にかけて内閣府が実施しましたインターネット調査では、東京23区に住む20歳代のうち、地方移住への関心があると答えた方は48.2%に上り、その割合は増加傾向にあります。また、その理由として自然豊かな環境に魅力を感じたことや、テレワークによって地方でも都市部と同じように働くことができると感じたことなどが挙げられています。 本県の中山間地域は豊かな自然環境に恵まれ、人情味あふれる県民性から、調査結果にも合致する、都市部の方々にとって魅力ある地域であります。 今後、これまで以上に中山間地域での生活や魅力を積極的にPRすることによって、中山間地域への移住の可能性をさらに広げていきたいと考えております。具体的には、中山間地域の多様な仕事を掘り起こした上で、その魅力にスポットを当て、やりがいを求めて移住を希望する方に積極的に紹介してまいります。また、テレワークなど場所を選ばない働き方が可能な方には、中山間地域のシェアオフィスなど、テレワークが可能な場所を活用していただけるよう、アプローチの強化を図ります。さらに、地域や産業の担い手である地域おこし協力隊の活動や集落活動センターの取組など、中山間地域で活躍する方々の元気な暮らしぶりも併せて発信してまいります。 このような取組を通じまして、コロナ禍により生まれた都市から地方への人の流れを本県の中山間地域に呼び込み、新たな移住の動きにつなげてまいります。 ◆17番(依光晃一郎君) それぞれ御丁寧かつわくわくするような御答弁をいただきまして、ありがとうございました。 もう質問はいたしませんが、ちょっとだけ思いを話させていただきたいと思います。 昨年のコロナ禍における9月の代表質問以来、自分としては不勉強にもかかわらず、デジタル技術であるとかデータサイエンスとか、そういったことでずっと言い続けておりまして、そういう意味では、私の地元にある高知工科大学のデータ&イノベーション学群、非常に期待しております。 昨日の代表質問にあったように、一旦白紙に戻すという話もありましたけれども、私2月議会に県庁がリーダーシップを取って、知事の経験も生かしながらやってほしいということもお話をしておったので、そういう意味では知事の思いを受けて、いい学群ができるんではないかなと期待しております。 それで、本日は幕末とか、そういったお話もさせていただいておったので、1つだけエピソードをお話しさせていただきたいと思います。 幕末に土佐藩が財政難にもかかわらず、山内容堂公が開成館というのをつくっております。これは何かといいましたら、簡単に言ったら教育機関なわけですけれども、西洋の書物であるとか医学書であるとか、そういったことを翻訳して勉強して、そこから人材育成とともに、この人材が自由民権運動で活躍するような人材を生み出したと。そしてもう一つ、いわゆる殖産興業ということで、土佐のものを外へ売っていく、今風に言ったら地産外商なわけですけれども、長崎に行って土佐和紙であるとかしょうのう、かつおぶし、そういったものを売って外貨を稼いだわけなんですけれども、そこの出張所が土佐商会といいます。この土佐商会を仕切っておったのが岩崎弥太郎で、三菱になったと。何を言いたいかというと、開成館というのが財政難ではありながら土佐藩でつくったことによって、いろいろな意味で幅広い、土佐藩にとっても日本にとっても成果が出たということであります。 今回、2月議会でも言ったんですが、企業のニーズをという話があって、そのときに山内容堂が自由民権運動とか三菱を見越してつくったかといったら、多分そうじゃないと思うんです。ただ、どれだけいろんないい先生とかを呼んだりとか、いろんな設備投資をしたことは、多分将来的に必ず役に立つものになるんではないかなと思います。 そういう意味では、今回の学群設置というのが50年後、100年後に、あのときに濱田知事がリーダーシップを取ってつくったんだ、そんな学群になることを私は本当に期待しておりますし、ずっと言い続けたこともあって、私もしっかり応援させていただきますので、議論を深めて、現代版開成館をぜひつくっていただきたいと要請をいたしまして、私の一切の質問といたします。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明7月1日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時29分散会...