高知県議会 > 2020-07-01 >
07月01日-03号

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  1. 高知県議会 2020-07-01
    07月01日-03号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 2年  6月 定例会(第354回)-----------------------------------        令和2年7月1日(水曜日) 開議第3日-----------------------------------出席議員       1番  上治堂司君       2番  土森正一君       3番  上田貢太郎君       4番  今城誠司君       5番  金岡佳時君       6番  下村勝幸君       7番  田中 徹君       8番  土居 央君       9番  野町雅樹君       10番  浜田豪太君       11番  横山文人君       12番  西内隆純君       13番  加藤 漠君       14番  西内 健君       15番  弘田兼一君       16番  明神健夫君       17番  依光晃一郎君       18番  梶原大介君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       22番  山崎正恭君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       29番  大野辰哉君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        岩城孝章君  総務部長       君塚明宏君  危機管理部長     堀田幸雄君  健康政策部長     鎌倉昭浩君  地域福祉部長     福留利也君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   井上浩之君  中山間振興・交通部長 尾下一次君  商工労働部長     沖本健二君  観光振興部長     吉村 大君  農業振興部長     西岡幸生君  林業振興・環境部長  川村竜哉君  水産振興部長     田中宏治君  土木部長       村田重雄君  会計管理者      井上達男君  公営企業局長     橋口欣二君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  原  哲君  公安委員長職務代理者 西山彰一君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   中村知佐君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       行宗昭一君  事務局次長      織田勝博君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     川村和敏君  議事課長補佐     馬殿昌彦君  主幹         春井真美君  主査         久保淳一君-----------------------------------議事日程(第3号)   令和2年7月1日午前10時開議第1 第1号 令和2年度高知県一般会計補正予算 第2号 職員の給与に関する条例及び警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第3号 高知県証明事務手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第4号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第5号 高知県地方活力向上地域における県税の特例措置に関する条例の一部を改正する条例議案 第6号 高知県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県安心こども基金条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県家畜保健衛生所条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第11号 室戸市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第12号 安芸市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第13号 土佐市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第14号 須崎市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第15号 宿毛市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第16号 土佐清水市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第17号 四万十市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第18号 香美市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第19号 東洋町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第20号 奈半利町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第21号 田野町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第22号 安田町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第23号 北川村と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第24号 馬路村と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第25号 芸西村と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第26号 本山町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第27号 大豊町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第28号 土佐町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第29号 大川村と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第30号 仁淀川町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第31号 中土佐町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第32号 佐川町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第33号 越知町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第34号 檮原町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第35号 津野町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第36号 四万十町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第37号 大月町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第38号 三原村と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第39号 黒潮町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第40号 高吾北広域町村事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第41号 香南斎場組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第42号 香南香美老人ホーム組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第43号 高知県競馬組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第44号 香南清掃組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第45号 幡多広域市町村圏事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第46号 高幡消防組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第47号 幡多中央環境施設組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第48号 津野山養護老人ホーム組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第49号 高陵特別養護老人ホーム組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第50号 安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第51号 津野山広域事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第52号 高幡東部清掃組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第53号 幡多中央消防組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第54号 幡多西部消防組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第55号 嶺北広域行政事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第56号 高幡障害者支援施設組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第57号 安芸広域市町村圏事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第58号 高幡広域市町村圏事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第59号 高知県市町村総合事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第60号 南国・香南・香美租税債権管理機構と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第61号 中芸広域連合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第62号 国道493号(北川道路)道路改築(和田トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第63号 県道安田東洋線防災・安全交付金(明神口トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第64号 町道佐渡鷹取線社会資本整備総合交付金佐渡鷹取トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(三石文隆君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(三石文隆君) 御報告いたします。 公安委員長小田切泰禎君から、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員西山彰一君を職務代理者として出席させたい旨の届け出がありました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(三石文隆君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和2年度高知県一般会計補正予算」から第64号「町道佐渡鷹取線社会資本整備総合交付金佐渡鷹取トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで、以上64件を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 22番山崎正恭君。   (22番山崎正恭君登壇) ◆22番(山崎正恭君) 公明党を代表し、知事並びに関係部長に質問いたします。 濱田知事が就任されまして、私も初の質問になりますので、まず初めに知事の政治姿勢について3点お伺いいたします。 1点目は、新型コロナウイルスへの今後の対応についてであります。知事を初め県庁、市町村自治体、そして何より最前線で県民の命を守ってくださっている医療従事者の方々、さらには多くの県民の皆様の協力によって、新型コロナウイルスという見えない敵に立ち向かい、高知県においてはウイルス感染による直接的なリスクは抑えられつつある状況だと思います。もちろん第2波への警戒を怠ってはなりませんが、手洗い、うがいの励行、ソーシャルディスタンスを保つといった新しい生活様式を実行するなどの対策により、県内では2カ月以上感染者ゼロの状況が続いています。 そこで、今後はコロナ禍の影響で起こる間接的なリスクに対する対応が、非常に重要になってくると考えます。具体的には、外出や人との交流が減ったことで心身に不調を来したり、社会的孤立から自死に至る場合も想定されます。また、経済的リスクも、現在は飲食業や観光業等が大きな影響を受けていますが、今後は他の業種へ広がってくることが予想されます。ほかにも、高齢者の認知機能の低下や児童虐待、DV--家庭内暴力の増加などが挙げられます。 こういった現在の状況は、東日本大震災後の状況と似ていると言われています。福島県において、地震や津波で亡くなった方は1,605人であるのに対し、避難生活の中で心身の体調を崩して亡くなった震災関連死の数は2,308人に上ります。直接的リスクもさることながら、間接的リスクも私たちの社会に深刻な影響を与えます。社会全体がこうした細かなリスクを見落としてしまえば、東日本大震災の後に震災関連死が話題になったように、コロナ関連死と呼ばれる問題が顕在化するのではないかと危惧しています。 現在は、その被害の大きさから感染リスクの抑制か経済危機からの復興かという二項対立の議論が中心ですが、今後コロナ禍と向き合う中で多くの人が抱える多様なリスク、小さなリスクにも目を配る多元的なリスク観が非常に重要になってくると考えます。 そこで、知事に今後のコロナ禍の対応における多元的なリスク観の重要性についての認識と、今後そういった視点を生かした対策を高知県においてどのように実施していくのか、お伺いします。 次に、ふるさと納税についてお聞きします。安芸郡奈半利町のふるさと納税をめぐる贈収賄事件で、奈半利町の地方創生課の元課長補佐とその親族が逮捕され、現在捜査が行われています。 御存じのとおり、ふるさと納税は、育ててくれたふるさとへの恩返しや都市と地方の税収格差の是正等の問題提起からスタートし、数多くの議論を経て、生まれ育ったふるさとに貢献できる制度、自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度として2008年に創設されました。最初のころは、全国的になかなか浸透しませんでしたが徐々に普及していき、高知県の市町村においても、2018年度には市町村分で総額113億8,000万円余りの寄附額となりました。ふるさと納税については、事実返礼品の過剰競争やネット販売と化している状況も見られ、本来のふるさとへの恩返しという趣旨から外れているという批判もあります。 他方、総務省もルールの改正を行い、それにのっとって真面目に地元の業者が自治体と協力し、返礼品を開発し、地域産業を発展させていることも事実であり、産業振興、また中山間の振興に取り組む高知県においては、一つの重要なツールでもあります。 そこで、総務省出身の濱田知事は、ふるさと納税という制度について政治家となって改めてどのように捉えているのか、お伺いします。また、この制度を県内市町村において今後どのように生かしていけばよいと考えているのか、あわせてお伺いします。 次に、男性職員の育児休業取得についてお聞きします。男性職員の育児休業の取得については、国の第4次男女共同参画基本計画の中で、令和2年までに13%の達成が政府目標として設定されています。国の調査によると、男性の家事、育児等への参加状況は、6歳未満の子供を持つ共働き世帯の男性の8割は家事を行わず、約7割が育児を行っておらず、女性が働いているかどうかにかかわらず、依然として家庭での家事、育児の負担は大きく女性に偏っている現状があります。女性の社会進出、さらなる女性の活躍の促進という側面においても、男性職員が仕事と育児の両立に取り組むことは重要なことであります。 県としては、2019年度に9.3%だった男性職員の育休取得率を、2022年度末に30%、その2年後には50%とする非常に高い目標を設定し、現在取り組みを進めています。 濱田知事は、本年度のスタートである4月1日に県庁幹部を前に、部下の仕事と家庭の両立を後押しする上司を目指すイクボス宣言をされました。そのときの地元紙の取材の中で、知事はみずからの子育てを振り返り、反省の一字、激務に追われてとおっしゃっていたようでありますが、そこでぜひこれからの県庁の男性職員の一つのモデルとするためにも、知事が総務省時代の激務の中、なかなか思うように育児に参画できなかったであろう、そういった反省点等も踏まえながら、今からもう一度育児を行おうとするならば、どのように仕事と育児の両立を行っていくのかということについてお伺いします。 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きします。 まず、新型コロナウイルス感染症対策を取り入れた避難所設置についてお伺いします。国は、新型コロナウイルス感染症が拡大したことを踏まえ、5月29日に国や自治体の災害対策を示した防災基本計画を改定しました。災害時の避難所は3密になり感染リスクが高まるために、それらを抑える新型コロナウイルス感染症の観点を取り入れた対策の必要が明記され、高知県の市町村においてもその対策が急務となっています。 具体的には、備蓄するのが望ましい物資にマスクと消毒液が追加されましたが、特に重要なのは3密対策であり、政府も密集を避けるためには避難所の増設が有効で、既存の公共施設などが不足している場合は、ホテルや旅館の活用を視野に入れるべきだとしています。梅雨、台風など、災害が起きやすい本県にとっては、そういったコロナ禍の新しい避難所の運営体制や増設を、今後市町村がスピード感を持って行っていくには、県の支援が重要であると考えます。 そこで、現在各市町村が取り組んでいる新型コロナウイルス感染症の観点を取り入れた避難所整備の中で、特に県の支援が必要であると考えるホテルや旅館を活用した避難所の増設について、その対応と財政的支援をどのようにお考えか、危機管理部長にお伺いします。 次に、今回の新型コロナウイルス感染症の教育問題への対応についてお聞きします。まず初めに、高知県教育センターにおける家庭学習支援動画についてであります。 今回の新型コロナウイルスの拡大により、高知県内では、3月から5月までの間に、一番長かった市町村で最長46日間の休業となりました。休業が長引く中で、子供が一人で学習する時間が続き、先行きも見えず、子供や保護者の不安が膨らんでいく中で、少しでもそれを和らげたい、子供たちの自学自習の手助けになりたいとの思いで、県教委が行った初の試みでありました。 6月25日現在で、小・中・高校生向けに計124本の授業動画を作成し配信されましたが、子供たちからは、わかりやすくまとまっていた、自習ばかりだったので久々に教えてもらえる感じでよかった、もう少し長い時間があればよかった等の感想をお聞きしました。 こうした動画を配信するという学習スタイルは、今後コロナの第2波が発生した場合や、将来における新たなウイルスの発生等による緊急事態への備えとしてはもちろん、不登校の子供たちへの支援、さらには発達障害の中でも視覚的な情報からの学習が有効である子供たちへの学習にとっても大変有効なツールとなり得る、大きな可能性を秘めた取り組みであると思います。 また、今回の自分の授業を動画に撮って多くの児童生徒に見てもらうという取り組みを経験した県教委の指導主事等には、教員としての大きな学び、経験となったのではないでしょうか。こういった取り組みがさらに各学校現場に広がり、教員が誰でもつくることができるようになっていくことが、これからの時代の教育には求められると考えます。 そこで、今回の県教育センターの家庭学習支援動画の取り組みの成果と課題についてどのように捉えているのか、また今後の取り組みの方向性についてどのように考えているのか、教育長にお伺いいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症による学校の臨時休業が明けてから、学校再開後の課題への対応についてお聞きします。5月25日の高知市の学校再開をもって、県内全ての学校の本年度が実質的にスタートしました。新型コロナウイルス感染症には、いまだ不明な点が多く、有効性が確認された特異的なワクチンはまだ存在しませんので、国内外の感染状況を考えると、長期間この新たな感染症とともに生きていかなければなりません。このため、文部科学省も、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルを発行し、学校においても3つの密を徹底的に避けるため、基本的な感染症対策を継続する新しい生活様式を導入していくことを訴えています。 高知県においても、学校再開に当たりさまざまな通知文を出して、その対応の強化を図っています。しかし、実際には文部科学省の衛生管理マニュアルにも、感染症対策を徹底しつつも、感染リスクはゼロにすることはできないという事実を前提として、感染者が出た場合には迅速かつ的確に対応できるようにとありますように、それぞれの学校現場においては必死で工夫をしながらも、実際の対応に大変苦戦していると多くの教員から聞いております。 そこで、学校における新型コロナウイルスを拡大させないための対応について2点お聞きします。1点目は、国の衛生管理マニュアルに、手洗いやせきエチケットと並んで基本的な感染症対策として挙がっている、教室の換気についてであります。 御存じのとおり、3密とは密閉、密集、密接でありますが、学校の教室という場所は通常の40人学級では密集状況は避けがたく、発達段階にもよりますが、マスクを着用させたとしても、なかなか近くで友達と話さないという密接を避けるのが難しい面もあります。そう考えたときに、非常に重要であり、かつほかの2項目より実施しやすいのが密閉を防ぐための換気であります。国のマニュアルによると、気候上可能な限り常時、困難な場合は小まめに、30分に1回以上数分程度、2方向の窓を全開にすると定められています。また、今の季節の対応として、エアコンを使用していても室内の空気を循環しているのみで、室内の空気と外気の入れかえを行っていないことから、換気は必要と定めています。 本県の気候を考えたときには、熱中症対策とあわせてエアコンの使用は必須であります。しかし、今までと違い、30分に1度窓をあけてのエアコン使用となると電気料金の上昇が予想されます。ほかにも、山間部にも学校がある本県の県立学校では、窓をあけた際に虫が入ってくること等が予想され、網戸の設置などが新たに必要になってくることも考えられ、去年までになかった経費が各学校の負担になることが想定されます。 そこで、県立学校における今回の新型コロナウイルス感染症に対応した換気対策及びそれに関連する学校への支援をどのように行っていくのか、教育長にお伺いします。 次に、学校行事、その中でも特に修学旅行についてお聞きします。今回の新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの学校行事が中止または延期になっています。学校行事は子供たちを大きく成長させてくれるものであり、このコロナ禍の状況でもできる限り形を変えてでもやってあげたいと現場の教員が頑張ってくれています。 その中でも、特に修学旅行は一生思い出に残ると言っても過言ではないほど子供たちが楽しみにしている行事であり、今回の休業により春に予定していた学校の多くが実施できずに、10月以降の秋に延期しています。何とか行かせてあげたいと、県内の小中学校では10月に実施する案、感染状況によりそれがだめな場合には12月に実施する案、さらにそれでもだめな場合は3月に実施する案と、3段階まで準備している学校もあり、修学旅行の実施に向けて必死で対応しています。このことは、高等学校においても同じで、実施に向けて検討している状況であると思います。 そういった取り組みを聞く中で私が懸念しているのが、1つは修学旅行の実施の判断の基準をどうするのかということであり、もう一点は修学旅行の行き先の選定についてであります。修学旅行の実施については、文部科学省は感染防止対策を最優先としていただき、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で示されている3つの条件が重なることのないよう、学校や教育委員会等の学校設置者において適切に判断するよう考えを示しています。現在、日本全国の感染状況が全体的に落ちついてきているとはいえ、東京や大阪などでは感染者がゼロではない状態が続いています。 そこで、今現在県立学校の修学旅行の実施に当たり、行き先等も含めた判断基準について、教育委員会としての方針を教育長にお伺いします。 次に、コロナ禍の中での高知県立大学及び高知工科大学の対応についてお聞きします。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、保護者の収入減や学生本人のアルバイトの打ち切り等により、大学での学びを続けることが厳しい学生が出てきています。その状況及び学生への支援状況につきましては、昨日中根議員の質問に対する答弁にあったように、国の学生支援緊急給付金や各大学における支援策等で大学生の学びを守っていく取り組みがなされています。 そこで、私からは高知県立大学及び高知工科大学の学生寮についてお聞きします。先日、高知大学の学生寮が今まで相部屋だったのを、コロナ対策で3密を回避するために1人1部屋に変更したという報道がありました。大学が、寮を改装して部屋数をふやしたり、職員宿舎の空き室を利用したりの対応を行った上で、それでも部屋が不足するため退寮者を募り、退寮者には大学が8万円を給付するという対策を行っています。 そこで、高知県立大学及び高知工科大学の学生寮における3密を避ける等の対策について文化生活スポーツ部長にお聞きします。 次に、高知県立大学及び高知工科大学における遠隔授業についてお聞きします。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、両大学ともに、今年度の授業は4月当初より対面での授業ではなく、デジタル技術を活用したオンラインによる遠隔授業を行ってきたと聞いています。幾ら大学とはいえ、ここまで長期間にわたる本格的な遠隔授業は初めてであり、教員も準備に相当な苦労があったと思います。 私も直接大学生に感想を聞いたところ、コロナでなかなか友達にも会えない中、遠隔授業であってもゼミの先生の講義を受けれてうれしかったや、授業では先生は一度しか説明しないので思わず聞き逃してしまうこともあるが、遠隔授業は先生が録画した授業をアップしたものに学生がアクセスして学習する形態にもなっているため、わからないところを繰り返し何度も学習することができて、かえってこちらのほうがよかったと、多くの学生が肯定的な感想を述べていました。 逆に、残念だったところとして、これは県立大学の学生でしたが、一気に何十人もがオンラインでつないで遠隔授業を行うと通信状況が固まってしまうため、仕方なく映像を切って音声のみの送信になっているようで、教員との双方向のやりとりや、映像資料を使っての授業ではなかったという点を挙げていました。 私は学生の話を聞き、今回行った遠隔授業のノウハウを蓄積し、さらにバージョンアップさせていくことで、対人関係が苦手な学生や、大学生であっても学校に来るのがやや苦手な学生にとって、非常に負担の少ない有効な学びになるのではないかと思いました。さらに、今よりも高度なネット環境を整備し、映像も配信できる遠隔授業を行えば、例えば先ほどの県教育センターの動画配信でも述べたように、発達障害の中でも視覚的な情報が学習理解に有効な学生にとっては、学習効果が大いに期待できますし、不注意等がある発達障害の学生にも繰り返し学習ができるというメリットがあります。 そこで、両大学における今回のコロナ禍での本年度の遠隔授業の状況について文化生活スポーツ部長にお伺いします。あわせて、遠隔授業のバージョンアップのためにデジタル技術のさらなる環境整備が不可欠であると思いますが、その点についての認識を文化生活スポーツ部長にお聞きします。 次に、高知県の教育問題についてお聞きします。 まず初めに、不登校問題への取り組みについてであります。ことし3月に、第2期の教育大綱及び第3期高知県教育振興基本計画が策定されました。今までの取り組みにより、知の分野では全国学力・学習状況調査の結果において、小学校の学力は引き続き全国上位に位置し、中学校も全国平均との差を縮めるなどの成果があらわれています。 一方、本県の不登校の状況は、1,000人当たりの不登校児童生徒数は国公私立を含む小中学校で20.9人と、全国平均を4.0人上回っています。同じく国公私立を含む高等学校も17.1人と、全国平均を0.8人上回る状況であります。こうした状況を受け、県教育委員会では、本年度より各小中学校に校務支援システム等を活用した児童生徒の情報収集や関係機関との調整等を担う不登校担当者を位置づけるとともに、不登校の出現率が高い学校には不登校担当教員を配置し、担当者を中心とした早期発見、早期対応の取り組みの充実など、学校の体制強化を行っています。 そもそもこの不登校児童生徒数というのは、文部科学省が年1回実施している、児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査における数値であり、その定義は1年間に連続または断続して30日以上欠席した児童生徒のうち、病気や経済的理由以外で欠席した人数となっています。よって、国の最新の調査結果である平成30年度の高知県の国公私立小中学校の不登校児童生徒数の1,059人の中には、年間31日学校を休んだ児童生徒もいれば、1年間一日も学校に来れていない児童生徒もいます。 調査である以上、どこかで基準を設けなければならないわけで、それが年間30日になっていますが、高知県において一日も学校に来れていない全日欠席の児童生徒数は44人であり、ほとんどは登校と欠席を繰り返す子供たちです。30日間の欠席は、連続であっても断続的であっても同じようにカウントされますので、例えば月に3日だけの欠席でも10カ月以上続けば不登校としてカウントされますし、年間160日登校したとしても不登校にカウントされるシステムになっています。不登校問題は、尾崎県政からの高知県教育の重要課題であり、今力を入れて取り組むべき課題であることは言うまでもありませんが、重要なのはその取り組む方法であります。 先ほども述べたように、知の分野においては全国学力・学習状況調査において、小学校は全国上位に位置し、中学校も全国平均との差を縮めるなどの結果が出ています。尾崎県政下で行われてきたこの取り組みの本丸、肝は、子供たちが興味を持って楽しいと思える授業、わかる授業を行うといった教員の授業力の向上でありました。当然、取り組みの指標としての学力テストの結果は、県教委としては持っていたと思いますが、学校現場には徹底して授業改善、授業力の向上が要求されました。そのことは、私も実際に教育現場にいた者として強く感じました。 私は、高知県の学力向上の取り組みは、教員の授業力の向上という王道の取り組みを行ったからこそ、ぽっと湧いたような単年だけの好結果ではなく、継続的に学力の成果が向上していっている最大の要因であると考えます。それは、教員の育成という観点から見ても、子供たちが楽しいと思う、わかる授業をできる力をつけた教員は、その後の教員生活において確かな力、教員としての武器を持つことになり、その成功体験がさらなる自分の向上のモチベーションとなり、力を伸ばしていくという好循環を生んできました。 そこで、本題に戻り、では不登校問題の取り組みの本丸、王道はどこなのかということであります。不登校の要因については、全国的な傾向を見ても、本人に係る要因としては多い順に、不安の傾向がある、無気力の傾向がある、学校における人間関係に課題があると続き、学校に係る状況としては、いじめを除く友人関係をめぐる問題が圧倒的に多く、学業の不振、さらに家庭に係る状況等と、その要因は多岐にわたっています。このことからも不登校問題への取り組みとしては、不安や無気力といった個人の内面を支えていく力、人間関係に悩む子供たちを支援する力、そして学業のつまずきを支援する力、さらに家庭を支える力等を、学校が組織として継続的につけていかねばなりません。要は、学校の総合的な支援力の向上こそが、不登校問題の取り組みの本丸、肝であると考えます。 現在、県教委は第3期教育振興基本計画において、新規の不登校児童生徒数を減少させる、及び90日以上欠席している児童生徒を外部の専門機関につないでいくという2つの指標を設定して取り組みを進めています。全国的に見ても小学6年生から中学1年生にかけての不登校児童生徒数が倍増する状況があり、特に中学校においては新規の不登校児童生徒を出さないための取り組みは重要で、3日欠席したら学校としてすぐに対応する等の初期対応を強く現場に意識づけていく取り組みとして、非常に重要であると考えます。それとともに、欠席が長引く生徒を外部の専門機関につなぐ取り組みも重要であり、県教委が設定した2つの指標の向上は重要であることは間違いありません。 それを踏まえた上で、実はことしの1月末に私が訪問させていただいた学校で、こんなうれしい話を校長先生からお聞きしました。小学2年生から全く学校に来ることができなかった児童が小学5年生になり、この1月から学校に来れるようになったとのことでした。3年以上欠席し続けていた児童がどうして学校に来れるようになったのか。実はその陰には、担任の先生や学年の先生が本人に会えないことがあっても、子供のために何度も何度も家庭訪問を繰り返し、学習プリントや手紙を渡し、そして子供の不登校に悩むお母さんを、担任や管理職、養護教諭、スクールカウンセラー等で構成された月1回の支援会で支え続ける取り組みを、本人に何の変化が見られないときであっても、粘り強く続けていったとのことでした。 私の経験上からも、不登校になる要因は非常に多岐にわたっており、一人一人全て違うと言っても過言ではありません。また、中には虐待を受けていたり、長い間の両親の不和に悩んでいたり、もともと対人関係が苦手で、団結、協力が求められる傾向がある日本の学校という組織が本来苦手な子供もおり、それらのストレスをため込み、苦しくなり、それを吐き出すために、また無意識に自分を守るために学校を休むという行動をとっている面もあり、誤解を恐れずに言うと、ある意味、その子が生きていく上、成長していく上で必要な行為でもあり、不登校を完全にゼロにするというのは難しい側面があります。 しかし、高知県が本当の意味で不登校問題に取り組んでいく本丸、肝は、先ほどのような一人一人に寄り添った丁寧な支援ができる教員、学校をふやしていくことではないかと考えます。 そこで、1つ提案があります。先ほどの事例も、その児童はその後1月から3月まで一日も休まずに登校できるようになりましたが、12月まではずっと欠席していましたので、もちろん欠席日数は30日を超えており、さきに述べました国の調査では不登校児童生徒1のカウントとなります。あれほど学校が組織となって取り組み、その後ずっと学校に来れるようになったという、教員が本当にうれしくなる、自信が持てるような取り組みの成果が学校現場で起きているにもかかわらず、その子は調査上は前年までと何も変わらない不登校児童であり、そこからはこの学校の努力の実践を見ることはできません。 今後、高知県が、多岐にわたる要因を抱えさまざまな支援力が必要であるという、そういった意味においては、学力の向上よりも何倍も難しいと言える不登校に対する支援力の向上に取り組んでいくためには、やはり現場の教員が頑張ったことが反映される指標が必要であると考えます。例えば国の調査の中に、指導の結果登校するまたはできるようになった児童生徒数という項目があります。その項目には、先ほどの学校の取り組みは1としてカウントされます。そういった現場の教員が取り組んだ成果が見える指標を用いることで、次へのモチベーションも上がります。 そこで、現在取り組んでいる2つの指標のほかに、取り組みを進めていく上で、先ほど述べた指導の結果登校するまたはできるようになった児童生徒数など、学校現場の取り組みがより可視化できるような指標を持って評価、指導していけば、学校における不登校の取り組みにプラスの影響を与えるという考えにつきまして教育長の所見をお伺いします。 次に、高知北高校についてお聞きします。高知北高校は、高知県の中心部にある、通信制とともに昼間部と夜間部の両方を備えた定時制・単位制・普通高校であり、今までもその特徴を生かし、特別な支援を必要とする生徒への教育を充実させてきました。その高知北高校において本年度より、通常の学級に在籍する障害のある生徒が必要に応じて別室などで授業を受ける通級による指導が開始されます。 通級による指導については、私は昨年の6月議会でも城山高校の実践を通して質問をしましたが、先ほども言いましたように、高知県の中央部に位置し、昼間部、夜間部、通信制をあわせ持つ高知北高校の通級による指導には、大変大きな期待を寄せています。といいますのも、今までにも公立・私立高校を問わず、さまざまな事情で中退してきた生徒の学び直しとして数々の実績を積み重ねていますし、現在も日本一あったかな学校づくりを目指し、発達障害を初め、いわゆるグレーゾーンと呼ばれる発達に課題のある生徒への支援にも実績を積み重ねてきた学校であるからです。 2016年に障害者差別解消法がスタートし、発達障害の生徒たちへの合理的配慮が求められる中で始まる高知北高校の通級による指導は、今までのノウハウも生かしながら、ぜひ高知県内のモデルとなるような取り組みを行っていただきたいと思います。 そこで、今年度からスタートする高知北高校の通級による指導の現状と、今後の目指す方向性について教育長にお伺いします。 次に、夜間中学についてお聞きします。戦後の貧困と混乱等により教育を受けることができなかった方のために、また不登校等の事情から実質的に十分な教育が受けられなかった方のために、いよいよ本県においても来年4月に夜間中学がスタートします。平成29年度に行われた公立中学校夜間学級設置検討委員会のアンケート調査でも、回答した8割の県民が夜間中学があったほうがよいと回答しており、その早期の設置が期待されています。 そこで、ことしの2月議会では、現在の高知江の口特別支援学校の校舎を活用するとの報告がありましたが、この県民の皆さんの注目、また期待も非常に高い夜間中学設置に向けた現在の進捗状況について教育長にお伺いします。 次に、ひきこもりの方への支援についてお聞きします。 ひきこもりの方の支援につきましては、知事も就任直後の昨年12月議会において、ひきこもりの方々の社会参加や自立に向けた支援策の抜本強化を図りますと表明され、現在、高知県ひきこもりの人等に対する支援のあり方に関する検討委員会において、その抜本的な強化策が検討されているところであります。 この問題については、昨年3月に公表された中高年のひきこもり調査で、約半数の方が5年以上、さらに全体の3割の方が10年以上ひきこもりの状態にあるなど、ひきこもり期間の長期化が浮き彫りになりました。また、ひきこもりは社会や家族を巻き込んだ複合的な現象でもあり、その対策としては、本人、家族に寄り添う伴走型支援と複合・複雑化した多様な支援ニーズに対応する断らない支援が重要であると言われています。 そこで、高知県としては、しっかりとした伴走型支援、また断らない支援を実行していくために、市町村におけるケース会議の実施拡大を目指しています。昨年、県内の市町村でひきこもり地域支援センターが支援し、ケース会議を実施したのは10市町村であり、県はこれを令和5年までに全市町村において実施という目標を設定しています。また、なかなか外出することができないひきこもりの方へのアプローチとして、自立相談支援機関のアウトリーチ支援員を今年度増員配置し、訪問による支援を行うことで、本人や家族への支援がしっかりと行き届くよう取り組んでいくこととしています。 本年2月議会で国に提出しました、中高年のひきこもり状態にある人に対する実効性ある支援と対策を求める意見書においても、より身近な場所での相談支援を行うために、アウトリーチ支援員の配置による支援の実施を要望したように、実態が見えづらいひきこもりの方への支援においては、より身近な自立相談支援機関のアウトリーチ支援員による訪問支援等が最も有効であると考えます。 また、先ほど述べた市町村におけるケース会議においても、市町村が主体となって運営していくと考えた場合に、やはり日常の業務より、住民の情報を幅広く把握している自立相談支援機関のアウトリーチ支援員を中心に運営していくことが、より実効性の高い支援につながっていくと考えます。 しかし、そうなった場合には、これも意見書の中で、自立相談支援の機能強化に向けたアウトリーチ等を行うための経費については、新たな財政支援の仕組みを創設することが必要と要望したように、アウトリーチ支援員の配置強化に向けた市町村への財政支援が不可欠であります。 そこで、今後市町村におけるケース会議の実施拡大を図っていく中で、県としてどの機関が中心となって運営していくことが望ましいと考えているのか、地域福祉部長にお伺いします。 また、より充実した伴走型支援を実施していくために、自立相談支援機関のアウトリーチ支援員のさらなる増員が必要であると考えるが、県としての今後の方針について地域福祉部長にお伺いします。 最後に、相談員の配置の強化についてお聞きします。 本年4月1日より、犯罪被害に遭われた方が直接的な被害や2次被害に苦しめられるといった状況をなくしていこうと、高知県犯罪被害者等支援条例が制定されました。これは、全国の都道府県では20番目、四国では初めてのことであり、それに伴い本年4月から県民生活・男女共同参画課内に犯罪被害者等支援相談窓口が設置されました。 今まで本県においては、犯罪被害者の方の支援は警察を初め県、市町村や弁護士会、民間の専門支援団体が行ってきました。今回、県に設置された相談窓口では、犯罪被害に遭われた方に対して支援対策の適切な情報提供や必要な支援を途切れることなく受けられるように、相談機関につなぐ役割を行うことになっています。今後、この県の相談窓口を広く県民に周知することで、犯罪被害に遭ったときのワンストップ窓口として、非常に重要な役割を果たしてくれることが期待できます。 しかし、ここで1点気になることがあります。犯罪被害に遭われた方がワンストップ窓口として、まず最初にこの県の相談窓口に電話をしてきます。当然、犯罪被害に遭われた中で、非常に厳しい精神状態で電話をかけてきたであろうということが想像できます。その被害者の心理状態等を電話という顔の見えない状況の中で、包み込むような雰囲気で、相談者の状況を的確に捉え、そしてその方に合った支援方法を、県内のあらゆる相談機関の特徴を熟知した上で、的確に、しかも短時間の間に判断して助言していかなければならないという、大変高度な専門性が窓口における相談員には要求されます。 犯罪被害に遭われた御遺族への支援等は、特に高い専門性が要求されますが、どの分野でも相談業務というのは一定の経験、ノウハウの積み上げが不可欠な専門業務でありますが、今回の配置を見ると、この相談員は会計年度任用職員の方が行っております。本年4月に開所したばかりであり、県民から求められる高度な専門性をこれから組織として築き上げていくことが重要でありますが、その最前線に立つ最も高い専門性が求められる相談窓口というポジションに、単年契約である会計年度任用職員を充てるということで、経験やノウハウの積み重ねが進んでいかないのではないかということを非常に強く危惧しています。 そこで、犯罪被害者の方への支援をさらに充実させていくために、県の相談窓口業務を行う相談員に、日々の業務での経験、ノウハウを積み上げていくことができる正職員を充てていくという点について文化生活スポーツ部長の所見をお伺いします。 実は、こういった状況は、DVなどから女性を守る女性相談支援センター等でも同様に見られます。専門員1名に対して会計年度任用職員は9名、内訳は女性相談員6名、休日夜間電話相談員が3名と、こちらもほぼ全ての相談業務は会計年度任用職員が行っており、経験やノウハウの蓄積が難しい状況にあります。ほかにも、ひきこもり地域支援センターや自殺対策推進センター等も、こちらは全体の配置人数が少ないこともありますが、その対応に会計年度任用職員が当たっている状況です。 犯罪被害、DV等による女性への被害、さらにはひきこもり、そして自殺対策、これらの課題に対する対策の強化は、県民の命を守るために、今後ますますその重要性が増していく分野であります。 そこで、これら県民を守っていく最前線に立つ相談員について、その経験やノウハウの蓄積も含めてどう強化、育成していくつもりなのか、知事にお伺いしまして、私の第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 山崎議員の御質問にお答えをいたします。 まず、新型コロナウイルスに関しまして、多元的なリスク観の重要性の認識と対策についてお尋ねがございました。 本県におきましては、感染拡大を防止するため、県民の皆様に対し、4月上旬から2カ月以上にわたり、他県への移動や不要不急の外出自粛などを要請してまいりました。こうした要請に対し、県民の皆様が一丸となって協力いただいた結果、県内では4月29日を最後に、新たな感染者は確認をされておりません。 一方で、県民生活や県経済への影響は現在も続いておりまして、感染症による直接的なリスクに加え、議員御指摘のように、間接的なリスクも懸念されるところであります。例えば、県民の皆様の精神面では、感染に対する不安や生活面の不安から鬱などの症状が長引き、最悪の場合、自死のリスクが高まるといったことが懸念をされます。このため、新聞広告やホームページなどさまざまな媒体を活用いたしまして、メンタルヘルスや心のケアにつきまして、県民の皆様に注意を促すとともに、相談窓口の周知を図ってまいります。 また、身体面におきましても、外出の自粛による運動不足により、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の発症あるいは重症化のリスクが高まるといったことが心配をされます。そのため、例えば健康パスポートアプリを活用して、人との距離をあけたウオーキングなどに楽しみながら取り組んでいただくなど、運動不足の解消に向けて啓発をしてまいりたいと考えます。 今後も、こうした間接的なリスクについても見逃さないように目を配りまして、影響を最小限にとどめますよう、関係者との連携も図りながら、しっかりと対策を講じてまいります。 次に、ふるさと納税に対する認識と県内市町村での今後のあり方についてお尋ねがございました。 ふるさと納税制度につきましては、昨日もお答えいたしましたように、税制を通じてふるさとへ貢献する仕組みができないかという思いのもとで導入されたものであります。 この制度の意義としまして、次の3点が挙げられております。第1に、納税者が寄附先を選択する制度であり、税に対する意識を高めるきっかけとなること、第2に、生まれ故郷や応援したい地域の人材育成あるいは環境整備などの支援につながること、第3に、自治体が切磋琢磨してふるさと納税を呼びかけることで、寄附先として選んでもらうにふさわしい地域のあり方を考えるきっかけとなること、こういった3点でございます。 このふるさと納税制度は寄附税制の一環ということで設定をされておりますので、この寄附金の活用先、使途の問題というのが非常に大事になると考えております。これまでの代表例といたしましては、例えば子育て支援や防災対策、観光施設の整備というようなことでございますけれども、今後は最近の状況を考えますと、例えばデジタル技術を活用した産業振興、リモートワークの推進といった、社会構造の変化に対応した事業なども考えられるのではないかというふうに思っております。 いずれにいたしましても、県内の各市町村は都市部の住民の方々に対しまして、我が町はこうした形で寄附を生かしていきたいといった形で、しっかりアピールができるような、そんな使途を編み出して、また発信をしていただきたいというふうに考えております。 一方で、新しいふるさと納税の制度のもとでは、返礼品という枠組みが、この返礼品の提供が制度上認知をされた形になっているということはございます。返礼品であります地元の農産品ですとか海産物の生産・加工に創意工夫を重ねまして、地域の幅広い世代の方々が携わるようになったというような事例も紹介をされているところでございます。県内の各市町村におきましてもこうした活動を通じまして、雇用の創出あるいは産業振興につなげていくということも有意義な取り組みではないかというふうに考えております。 ただ、ふるさと納税の寄附は、冒頭申し上げましたように、税制の枠組みの中で行われるということでございます。この制度へ参加をし、活用するに当たりましては、法律などに定められたルールに沿いまして、公平性、透明性が確保されているということが、ぜひとも必要であるというふうに考えております。 次に、もう一度育児を行うとしたら、どのように仕事と育児の両立を図っていくのかという点についてお尋ねがございました。 お尋ねにもございましたとおり、私自身、若いころは総務省におきまして国会対応などもあり、深夜まで残業が続くという、いわゆる激務の状態にございました。そうしたこともございまして、子供の寝顔しか見られないといったような時期も少なからずあったわけでございます。子育てに携わりたいという気持ちは抱いておりましたものの、父親としての役割を十分に担うことができていなかったのではないかという反省を持っているところでございます。 そうしたみずからの過去を省みますと、現在時代は大きく変化していると考えております。男性の育児休業の取得の促進が、社会全体から見ましても、少子化対策という意味に加えまして、働き方改革の観点からも、非常に重要な取り組みになっているというふうに考えております。 そうしたことを踏まえまして、もし私自身がもう一度育児にかかわるという立場になるといたしましたら、現在のこうした社会状況のもとで子育てにもしっかりとかかわり、その大切さや家事の大変さをしっかり経験したいというふうに思います。そうした経験を通じまして、夫婦間の理解を深め、妻の負担を軽減するといった形で家族の支えになりながら、ワーク・ライフ・バランスの両立を図ってまいりたいと思います。 そうして、その際には、やはり前提として職場の選択という時点におきましても、そういったワーク・ライフ・バランスの両立ということに関しまして、理解がある、そういう職場をみずから選ぶという、こういった点もやはり大事ではないかというふうに考えます。であればこそ、我らが県庁といたしましても、まず隗より始めよ、そしてそういったワーク・ライフ・バランスの両立ということに理解がある職場であれという思いを込めまして、令和6年度末までに男性職員の育児休業取得率を50%とする、非常に意欲的な高い目標を掲げて、育児休業を取得しやすい職場づくりに取り組んでいるというところでございます。 具体的には、お話がいただけましたように、私自身のイクボス宣言のほか、直接部局長と面談をいたしまして、部局別の目標値がどうであるかというところを確認いたしております。あわせまして、子供の生まれてくる職員にメッセージを送って、職員の育休取得を促していくといった形で仕事と育児が両立できるように、私自身が先頭に立って取り組んでまいります。 最後に、県の相談機関に関するお尋ねがございました。 お話のございました各相談機関とも、正職員と会計年度任用職員が組織的に相談の対応に当たっておりまして、会計年度任用職員には、資格をお持ちの方あるいは経験を積まれた方を任用しているところでございます。また、各機関では、相談事例の共有をしていくこと、対応方針を職員間で協議をしていくこと、また相談記録を作成し保存していくこと、こういった業務活動を通じまして、各職員はもちろんでありますけれども、組織として経験やノウハウを蓄積していくということに努力をしているところでございます。 こうした環境のもとで、各機関に新たに配置された職員につきましても、日々の業務を通じまして、支援に関する法律あるいは施策などの専門的な知識、そして傾聴の技術、そういったスキル面での素養、さらには関係機関との調整力、こういった能力が身についていくものというふうに考えているところでございます。 これに加えまして、職員の能力あるいは経験に応じた研修の機会を確保していくといったことにより、この体制の強化あるいは職員の育成を図っていきたいというふうに考えているところでございます。 私からは以上でございます。   (危機管理部長堀田幸雄君登壇) ◎危機管理部長(堀田幸雄君) ホテルや旅館を活用した避難所の増設と財政的支援についてお尋ねがございました。 災害時の避難所においては、多くの方々が避難することで3密の環境となるおそれがあるため、国から可能な限り多くの避難所の開設を検討すること、それでも不足が予測される場合はホテルや旅館などの活用を検討することが通知されており、県でも市町村に対して同様の検討を依頼いたしました。 市町村において、過去の風水害の避難実績などをもとに、新型コロナウイルス感染症の流行下で必要とされる避難スペースを検討した結果、これまで南海トラフ地震による避難者数を目標にスペースを確保してきたことから、ホテルや旅館などを活用しなくても十分確保できるとお聞きしています。また、一部の市では、十分なスペースが確保されていても、発熱などの症状のある方が避難し、多くの専用スペースが必要となることを考慮して、ホテルや旅館などの活用も検討されています。 ホテルなどを避難所として活用した場合、大きな災害が発生し、災害救助法が適用されれば国の財政的支援が受けられます。しかしながら、それ以外の場合には、国の支援が受けられず市町村の負担が大きくなるため、今年度県の補助制度を拡充し、ホテルなどの活用に取り組む市町村を県において支援することとしています。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、家庭学習支援動画の取り組みの成果と課題、今後の方向性についてお尋ねがございました。 5月に各市町村教育委員会に依頼しました、臨時休業に伴う児童生徒の家庭生活・学習状況等の調査によりますと、休業期間に各学校が子供たちに課した家庭学習としては、学習プリントを使用したが最も多く、その次にこの学習支援動画の視聴が挙げられており、小中学校の35%で家庭学習に活用したとなっております。実際、配信を始めてから約2カ月ですが、5万回を超える視聴がなされております。 また、この学習支援動画について、市町村教育委員会や学校からは、児童生徒の学習習慣を育む一助となっている、予習、復習に役立つものであるといった評価をいただいており、県としても子供たちの家庭学習を充実させるものであったと捉えております。 一方、同調査では、学習支援動画の少なさを指摘するものや、学習内容の解説にとどまらず、児童生徒の学習意欲を高める内容も望むといった意見も寄せられております。また、この学習支援動画の存在を知らなかった方もおり、視聴方法の周知が十分でなかったということも明らかになっております。 県教育委員会では、再び新型コロナウイルス感染症が広がる事態も想定し、引き続き学習支援動画を作成することとしております。その際には、先ほども述べました課題の解決を図り、児童生徒が家庭でも主体的に学び、教員が通常の授業でも活用できるものとなるよう、教材等の研究を進め、学習支援動画の作成に取り組んでまいります。あわせて、今後学校においては、タブレットを活用したオンライン学習等の実施が視野に入っております。市町村教育委員会や学校に対しましても学習支援動画の作成を奨励し、それらの事例も収集していきたいというふうに考えております。 次に、新型コロナウイルス感染症に対応した換気対策、またそれに関連する学校への支援についてお尋ねがございました。 学校における新型コロナウイルスの感染拡大防止対策の一つといたしまして、密閉を回避するために教室の換気は重要なことでございます。換気方法等については、文部科学省が作成した衛生管理マニュアルなどに示されており、県教育委員会では、これらの内容を各県立学校に周知し、徹底を図ってまいりました。 また、夏季の県立学校でのエアコンの使用は、生徒の熱中症防止など生徒の健康を守るためには必要であり、感染防止対策としての換気も行いながら適切に活用していくべきものだと考えておりますし、それに伴う電気代等は当然必要経費であると考えております。 加えて、県教育委員会としましては、各校の教室や体育館の換気を効率的に行えるよう、サーキュレーターや扇風機を増設するための予算を、補正予算に計上させていただいております。また、定時制の教室など、必要に応じて網戸を増設するような準備を進めており、感染防止のための環境整備を順次行ってまいります。今後も、生徒の安全・安心を第一とし、感染拡大防止のための換気対策等が徹底できるよう、各校の状況を確認しながら支援をしてまいります。 次に、県立学校の修学旅行の実施に当たり、行き先なども含めた判断基準についてお尋ねがございました。 修学旅行は、特別活動の一つとして、各校がそれぞれに目的を明確に持って実施する教育活動であり、子供たちの成長にかかわる教育的意義の大きい学校行事となっております。 県立学校における修学旅行については、新型コロナウイルス感染症に関する文部科学省からの通知や、国の専門家会議による提言を踏まえた修学旅行に関するガイドライン等に基づき、各校長が関係機関と相談し、実施の判断を行っております。 今のところ、多くの県立学校が予定どおり実施する方向で検討を進めておりますが、新型コロナウイルス感染症の状況が流動的であるため、キャンセル料が発生する時期をめどに、変更、延期等の判断を各校長が行うことになります。最終的には、実施直前の目的地の感染状況などを確認し、生徒の安全・安心を第一として総合的に判断しなければならないと考えております。 県教育委員会としましては、県内外の感染状況等を把握し、各校長が修学旅行の実施について適切に判断できるよう、情報共有を図ってまいります。また、修学旅行の実施が危ぶまれる場合においては、生徒の心情等にも配慮し、延期を含めた検討を行うようお願いしたいと考えております。 なお、今後再び新型コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言等が出されたり、県をまたぐ移動が制限された場合などには、各校に対して周知を徹底するとともに、適切に指導を行ってまいりたいと考えております。 次に、不登校に対する学校の取り組みが可視化できるような指標による評価、指導についてお尋ねがございました。 県教育委員会では、これまで魅力ある学校づくりや相談支援体制の充実を進めてきておりますが、不登校児童生徒の出現率は、ここ数年、全国平均と比較して3から4ポイント高い状態が続いております。そこで、第3期教育振興基本計画において、県教育委員会の横断的な取り組みの一つとして、不登校への総合的な対応を位置づけ、生徒指導上の諸課題の状況を全国平均まで改善するとの指標を掲げて、PDCAサイクルを回しながら取り組みを進めております。 一方で、各学校においては、不登校児童生徒の心身の状態に応じて、個別指導や家庭訪問等を重ね、また心の教育センターや市町村の教育支援センターなどの関係機関と連携を深めるなど、課題の解決に向けた支援を行っております。 このような取り組みによりまして、登校できるようになった小中学校の児童生徒数としましては、平成28年度の約200人から平成30年度には約250人に増加するなど、取り組みの成果が見られております。 不登校の対応には、未然防止、初期対応、自立支援のそれぞれの段階での取り組みを充実させることが必要と考えられます。そのため、県全体の傾向を見ると同時に、個々の事例の原因や変化の状況をつかむことが必要であり、さまざまな指標を設定して、学校等の取り組みの成果を肯定的に評価していくことが重要だと考えております。 今後は、まず不登校担当教員を加配している学校において、登校できるようになった児童生徒数や、登校した日数が増加した不登校の子供の割合など、それぞれの学校の取り組みの成果があらわれている点を捉えて、取り組みの後押しとなるような評価方法について研究を行ってまいりたいというふうに考えております。 次に、高知北高等学校の通級による指導の現状と、今後の目指す方向性についてお尋ねがございました。 近年、高等学校において教科等を学ぶ力がありながら、文字の読み書きが苦手なために文章理解に極端に時間がかかる、コミュニケーションが苦手なために人間関係が築けないなどの発達障害のある生徒に適切に対応するため、障害に応じた特別な指導を行う通級による指導が重要となってきております。 高知北高等学校は、発達障害等の生徒に対する指導や支援について平成20年度より2年間、国の指定を受け、その後も継続してこの研究に取り組んでまいりました。これまでの研究成果を生かし、県内の中心的な役割を担うセンター校として、10月から通級による指導をスタートすることとしており、現在大学教員等の専門家からの助言を受けながらその準備を進めております。 高知北高等学校では、センター校として、既に県内で通級による指導を実施している他の3校の課題も含め、高知大学教職大学院と連携して課題解消に取り組むこととなります。これらの成果を公開授業や3校との合同研修会などで共有し、各校の通級による指導力の向上を図ってまいります。 県教育委員会としましては、今後高知北高等学校を初めとする4校の通級による指導の取り組みを各高等学校に展開することで、発達障害等のある生徒への教育を充実してまいりたいというふうに考えております。 最後に、夜間中学設置に向けた現在の進捗状況についてお尋ねがございました。 本県の夜間中学の設置につきましては、本年2月議会において、現在の県立高知江の口特別支援学校の校舎を活用し、令和3年4月開校を目指すことを説明させていただき、設置形態等につきましては、この6月議会で御説明ができるように検討を進めてまいりました。 本県の夜間中学は、高知県立高知南中学校の分教室として開校したいと考えております。分教室とは、学級を本校舎とは別の場所に設置する形態であり、入学者数が不確実で、多様な生徒が入学するため、学級数の増減などに、より柔軟に対応できる方法であると判断したものでございます。 また、県立中学校の中で高知南中学校の分教室としましたのは、現在の高知江の口特別支援学校と高知南中学校との距離は4キロメートル程度と近く、教職員の移動が短時間でできること、施設や備品、教材等の共有が容易となり、双方の生徒の異年齢交流が可能となるなど、教育活動の充実を図ることが挙げられます。加えて、高知南中学校が統合により学級数が減少する中、夜間中学を設置することで学級数が全体として確保され、教員数を維持できることから、生徒によりよい教育環境を提供することができるなどの理由によるものです。 今後のスケジュールとしましては、こうした内容につきまして、今議会における御審議を踏まえ、今月7月中に県教育委員会として決定した後に、10月ごろから生徒募集を始めたいと考えております。また、年明けには、県教育委員会と関係の市町村教育委員会との協議の場を設け、入学生の情報も共有するとともに、市町村による主体的な夜間中学の整備を促してまいりたいというふうに考えております。   (文化生活スポーツ部長岡村昭一君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) まず、高知県立大学及び高知工科大学の学生寮における3密を避けるための対策についてお尋ねがございました。 現在、高知県立大学には2つの学生寮、高知工科大学には5つの学生寮がございます。これらの学生寮のうち、高知県立大学のあふち寮につきましては、唯一学生一人一人の個室ではなく、全室が4人部屋となっております。このため、あふち寮における3密の回避対策といたしまして、先月1日から大学の設置者であります高知県公立大学法人に対し、県が県職員住宅の空き室の使用を許可し、一部の寮生を入居させることで、1室2人以内とする対策を講じております。 また、このあふち寮は昭和45年に建築されたものであり、老朽化も進んでおりますことから、新築建てかえが予定されておりまして、学生一人一人の個室を確保することも含め、現在設計業務が行われているところであります。 次に、高知県立大学及び高知工科大学の遠隔授業の状況と今後のデジタル技術の環境整備についてお尋ねがございました。 高知県立大学では4月20日から先月21日まで、高知工科大学におきましても4月8日から来月5日までの間、実験や実習などの一部の科目を除き、遠隔授業が実施されております。先月、両大学が実施した学生アンケートによりますと、高知県立大学では93%、高知工科大学でも85%の学生が、ほぼ問題はなく順調に受講できていると回答するなど、両大学とも一部学生の通信環境などに課題はあるものの、おおむね円滑に実施されたのではないかと受けとめております。 今後におきましても、何らかの事情で学生が通学できなくなった際などに、この遠隔授業は有効だと考えております。また、今後の大学教育には、学生が主体的に学修するアクティブラーニングへの展開を図るなど、教育の質向上の観点とともに、グローバルに進展している教育研究のオープン化に対応し、大学の知を広く国内外に発信する観点からも、多様なメディアを活用した遠隔教育など、ICTの利活用を推進することが求められているものと認識しております。 両大学における今後のデジタル技術の環境整備につきましては、こうしたことを踏まえまして、法人及び大学と協議していきたいと考えております。 最後に、県の犯罪被害者等支援相談窓口についてお尋ねがございました。 本年度、県民生活・男女共同参画課内に設置いたしました犯罪被害者等支援相談窓口の業務につきましては、正職員であるチーフ、担当及び会計年度任用職員の3名のチームで組織的に行っております。このうち、会計年度任用職員には、相談業務に関する豊富な経験を有する方を任用し、専任の相談員として配置しております。 また、日々の業務を進めるに当たりましては、個別の相談案件ごとに、このチーム内で情報の共有、また支援内容や関係機関との連携についての協議を行うとともに、相談記録の作成、保存を行うことなどによりまして、組織としての経験やノウハウの蓄積に努めているところでございます。 これまでのところ、メールによる御相談も含め、5人の方から御相談をいただいておりますが、いずれも特段の支障はなく、円滑に対応できている状況でございます。こうしたことから、現行の体制での組織的な対応を継続する中で、犯罪被害者等の方々からの今後の御相談の内容や件数及びそれらへの対応など、業務の状況を見ていきたいと考えております。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) まず、ひきこもり支援に関する市町村におけるケース会議についてお尋ねがございました。 ひきこもりの方が抱える課題は、本人の精神保健上の問題や家庭の問題などが複雑化、複合化していることから、その課題に対しては市町村が住民課題として捉え、包括的に支援する体制を整備することが重要だと考えています。また、個々の状況を把握した上で、適切な医療や福祉サービス、居場所へのつなぎや就労に向けた支援などを、地域において継続的に行っていくことも重要です。 このため、市町村の保健福祉部門などが主体となり、ケース会議を運営することとなりますが、関係機関参加のもと、総合的なアセスメントを行い、それぞれのケースにふさわしい支援策を検討していくことが必要であると考えています。また、支援策を検討するに当たっては、ひきこもり地域支援センターが専門的知見から助言を行い、支援力の強化につなげることとしています。このケース会議においては、関係機関との連絡調整や、より身近なところで伴走型支援に直接携わる生活困窮者自立相談支援機関のアウトリーチ支援員等が、その中心的な役割を果たすことが望ましいと考えています。 県としましても、こうしたケース会議を通じたひきこもりの方への支援の実効性が高まるよう、身近な地域での居場所の確保や、中間的就労の促進による出口支援の強化などに取り組んでまいります。 次に、自立相談支援機関のアウトリーチ支援員のさらなる増員についてお尋ねがございました。 ひきこもりの方への支援の一つとして、さまざまな課題を抱えながらみずから支援を求められない方やその御家族を支えていくには、自立相談支援機関がそうした方の状況を把握し、適切な支援につなぐアウトリーチが大変有効です。また、支援につながった後も、信頼関係を築きながら、社会参加に向けた継続的かつ伴走型の支援を行う必要があることからも、アウトリーチによる支援が効果的だと捉えています。 このため、県では、現在3町の自立相談支援機関において、アウトリーチ支援員の配置に向けた準備を進めているところです。今後は、できるだけ多くの市町村に配置されるよう、7月から8月にかけて行う、ひきこもりに関する取り組みや体制等に関する各自立相談支援機関へのヒアリングの場などを通じて、積極的に働きかけてまいります。また、ひきこもりの方への支援については、そのノウハウの取得など人材の育成も大変重要となることから、アウトリーチ支援の実践をテーマとするなど、自立相談支援員に対する研修の充実を図ることとしています。 こうした取り組みとあわせて、現在県内のひきこもりに関する実態把握調査を進めているところですが、その結果も踏まえて、今後自立相談支援機関の支援力の強化を図ってまいります。 ◆22番(山崎正恭君) それぞれ御丁寧な答弁ありがとうございました。再質問を2問行います。 1点目は、夜間中学についてです。 先ほど、高知南中学校の分教室になるとの答弁がありましたが、なぜ2年後に統合される高知南中学校の分教室なのでしょうか。来年7月に入学する方の修業年限は3年だと思いますが、それなのになぜ2年後に統合されて高知南中学校という校名がなくなるのが決まっている中学校の分教室なのか。この方たちは、3年後にどこの中学校の卒業生になるんでしょうか。 今までその設置を待ち望んで、やっと来年4月に学び直しに来られる方々に大変失礼というか、配慮がないというか、戦後の混乱期や困窮のために、義務教育を受けられなかった方の学び直しの場をというこの事業の理念に、全く相反しているように思います。なぜ高知国際中学校の分教室ではだめなのか。これから本格的な統合に向けて、ますます高知国際中・高等学校の業務量はふえると思います。それに比べて、中高6学年がそろうのが今年度最後で、来年からは4学年になり、再来年には2学年のみとなっていく、高知南中・高等学校との業務負担のバランスから出てきた案なのでしょうか。 本来、中学校なので市町村が設置という中、今までのさまざまな過程の中で、国の、少なくても各都道府県に1校との方針で、県がやってくれているせっかくの取り組みなのに、この校名では違うふうに、まるで県が片手間でやっているような間違った印象を県民に与えてしまうのではないでしょうか。私たち公明党としては、この庶民感覚からかけ離れた校名案には大きな疑問を感じています。 どうしてこのような高知南中学校の分教室という案が出てきたのか、来年4月に入学する方はどこの中学校の卒業になるのか、またこのことについて再度検討するべきだと思いますが、教育長の所見をお伺いします。 次に、相談員の配置強化について再質問します。 先ほど、会計年度任用職員でもノウハウの蓄積はできるとの答弁がありましたが、そういうことではなく、その重要な仕事のポジションにきちんと正職員を配置しましょうという、相談員という仕事の地位の向上も重要ではないかというのが、今回の質問の趣旨の一つであります。そんなノウハウと経験を持ったすばらしい方なら、なぜ今までに高知県の財産として、正職員として採用しなかったということを強く感じます。 そして、もう一点は、そうやってベテランの相談員を一年一年つないでいくというだけでなく、県としてどのように相談員という専門職を育てていくのかということです。そういう意味では、県の組織で言えば児童相談所が非常によいモデルとなっていると思います。 私が教員時代に児童相談所と連携をとって子供たちの対応をする中、15年ぐらい前まではある職員、班長の方の専門性が突出しており、これはあくまで利用者側であるこちら側からの視点ではありますが、その班長となら子供の指導・支援に関して非常にスムーズな連携がとれ、適切な指導・支援が受けられます。他の職員さんは、それぞれ皆さん一生懸命頑張ってくれているのですが、専門性という点においては厳しく、どうしてもその班長を指名してしまうというパターンに、ほかの学校も陥っていたように思います。 しかし、10年ぐらい前から児童虐待への対応が大きく迫られる中、児童相談所は社会福祉士や臨床心理士といった専門職を雇い始め、しかも比較的若い職員を雇って班で組織的に対応するようになってからは、どの班が担当になっても相手の職員の方の専門性、対応に変わりはなく指導・支援が受けられるようになるとともに、若い職員さんがどんどん力をつけているなというのを我々利用者が感じました。そういった形の育成を、ぜひきょう言いました犯罪支援、女性支援、ひきこもり支援、自殺対策等の相談員の育成モデルとして生かしていっていただきたいと思います。 そういった意味で、先ほど言ったような機関に、こういった育成モデルを活用することのお考えはないのか、また一人の人がずっと長いところに所属するという弊害もありますので、さっき言った機関なんかで相談員さんを交流させながら、総合的に支援していくということが考えられないのかという、その辺の所見につきまして知事にお伺いいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 夜間中学を、なぜ高知南の分教室にしたかという御質問をいただきました。 夜間学級の分教室につきましては、これは中学校に設置をするという必要がございます。県立中学校といたしましては、高知市内に現在高知南と高知国際の2校がありまして、このどちらかの学校の所属ということにする必要がございます。2校はこの後統合いたしまして、令和5年4月からは高知国際中学校ということになりますが、先ほど御答弁いたしました理由によりまして、高知南中学校に所属するほうが利便性が高いというふうに考えての提案ということになっております。 お話がありましたように、来年入学された方につきましては、南中学で入学をされて、卒業するときには統合されて国際中学校の卒業ということで、校名が変わることとなります。校名につきまして、入学される方に対して配慮は必要じゃないかと、失礼ではないかという御意見をいただきましたので、この設立準備会のメンバーなどで、今後入学が見込まれている方々が所属するという可能性がある団体などに私どもの考えについても説明して、それぞれにこの校名が変わることなどについての御意見をお伺いしてみたいというふうに考えております。 ◎知事(濱田省司君) 山崎議員からの相談員の任用のあり方、形態のあり方についての御質問にお答えをいたします。 この相談員の任用の形態をどうしていくかということに関しまして、児童相談所の例も引いての御質問がございました。こういった相談員に常勤の職員を充てるのか、あるいは会計年度の任用職員を充てるのかといった判断を行うにつきましては、専門性、経験といった問題がございますけれども、やはり個々の業務の中身により、具体的な業務量ですとか担う業務の範囲、また責任の程度、そういったものを踏まえまして、総合的に判断する必要があるというふうに考えております。 現在の実態としての運用におきまして、お話がございましたような4つの機関の相談員については、定期的に人事異動が行われますいわゆる正職員よりはむしろ専門的な知識を有しまして、経験豊富な方に専任として相談業務に従事していただくということが、組織としてノウハウを蓄積していくという上で、より有効であるという考え方に立って、現在の運用をいたしているところでございます。 また、もう一方の事情として、やはり正職員ということで申しますと、昨日も御質問いただきましたが、全体として3,300人から3,400人、効率的で、また簡素な県の職員の体制を保持していくという中で、さまざまな分野におきます正職員の配置との兼ね合いの中で、優先順位を判断していかなければいけないという問題も片方ございます。 そうした事情を踏まえまして、現状におきましては、この4つの相談機関の相談員については、会計年度任用職員を中心とした体制を組ませていただいているということでございます。 ◆22番(山崎正恭君) ありがとうございました。 夜間中学についてですが、先ほど教育長のほうから利便性が高いというふうなお話がありました。やはり、その辺の感覚が少し県民感覚と違うんじゃないかなというふうに思います。 今回のことがもし県民に知れた場合に、え、夜間中学校南にできるがと、けれど南ってなくなるがやなかったっけ、統合されるがやなかったっけと、やっぱり皆さん思うのではないかと思います。その優先順位といいますか、やはりこういった方々の学び直しをするというときに、きちっと入学した段階で卒業する学校の名前がわかっているということは、申しわけないですが、ある意味当たり前のことではないかというふうに思いますので、強く再検討を望みます。 最後に、要望事項です。1点目、不登校の取り組みにつきまして、先ほど答弁の中で、新たな現場の教員の頑張りが可視化できる指標について研究していただくというお話がありました。ぜひ、そういった形の研究に取り組んでいただいて、本当に重要な問題でありますので、しっかりとみんなが一丸となって取り組んでいけるような手法を、今後開発していただきますよう、よろしくお願いします。 修学旅行につきましては、先ほど御答弁いただきました。しっかり県教委のほうが指導もしてくださるということですので、学校間において対応に大きなぶれが出ないように、またやはり子供の命を預かるということですので、学校長だけに過度な負担がかからないような御配慮をいただきながら、子供たちが無事に修学旅行に行ってくれるようなことをよろしくお願いします。 以上で全てを終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(三石文隆君) 暫時休憩いたします。   午前11時29分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(西内健君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 25番大石宗君。   (25番大石宗君登壇) ◆25番(大石宗君) ただいま議長から発言のお許しをいただき、会派を代表して質問に入らせていただきます。一燈立志の会の大石宗でございます。 この春より世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症は、我が国日本、そして高知県、さらには個人個人の家庭や職場、生活全般に大きな影響を与えております。このコロナ感染症に向き合うに当たり、基本的な戦略と目的を定めるとすれば、その目的はただ一つ、命を守るということに尽きます。そして、命を守るという意味で戦略的に取り組むべきは、医療対策と経済対策、この2点であります。そのうち、医療対策については、現在のところ医療機関、そして医療従事者の皆様の大変な御努力もあり、感染症対策として166床の病床を確保、重症化した患者さんに対応するための高知医療センターの医療体制も着実に整備が進んでいるところであります。 一方、経済という意味では、緊急事態宣言下で人の動きが全くストップしたことから、本県の基幹産業である観光・宿泊・飲食業の皆様を中心に厳しい環境が続いております。加えて、他業種にも着実に厳しい経営環境が広がりつつあり、まさに県経済は予断を許さない状況であります。 そのような中、我が高知県は4月末より感染者ゼロが続き、一定落ちついた状況にあるということ、そしてコロナウイルスが完全終息する見通しが全く立たないという中では、今後はいわゆるコロナ感染症と共存していきながら、経済活動の回復を段階的に図っていくことを模索していかなければなりません。 そのような中、先日は濱田知事と三石議長の大変な御尽力で、新しい生活様式での懇談会が開かれ、数カ月ぶりに我が高知県で100人規模の懇親会が開催をされました。この開催に当たっては、6月定例会前、どうしても前倒しでやらなければならない--森田県議を初めとする多くの県議の皆様のお力もあったところであります。 感染症対策を引き続き行っていかなければならないことは当然のことですが、一方で県内の感染状況を考えれば、リスクの低い時期に、リスクを低減しながら通常の活動を行っていくことは、非常に重要だと考えます。そのときに最も高いハードルとなるのが、自粛から萎縮へ、コロナ自粛により心が萎縮してしまい、いろいろな活動を行おうとしても、世間の目も気になるし、感染症のリスクもどれぐらいの状況か判断できない、さまざまなことが気になってなかなか一歩踏み出すことができないという問題であります。 中国の古典「春秋左氏伝」に、百年河清を俟つという言葉があります。悠久の大河である黄河は、その性質上黄色く濁っていますが、その黄河の水が澄むまで待つという例えで、つまり状況が変化をしない中で長く待っていてもいけないという意味を持つ言葉です。まさに、今回そういった意味では、コロナ感染症の特効薬ができて完全終息する見通しが、短くても2年から3年以上はかかると言われている中で、高知県内の現在の状況であれば、対策を行った上で、通常の活動を行っていくことも重要だと、誰もが一歩踏み出せない中で、率先垂範して行動したことは、自粛から萎縮へと負の流れに一つのくさびを打つ、非常に勇気のある取り組みであったと思います。 何事も最初に一歩踏み出すものには賛否両論がつきまといます。それを超えての行動は、まさに県の将来を考え、私心を捨て去った上での思いから来たと確信するところであります。改めて、大変な勇気の中で行動を起こされた濱田知事と三石議長、そして参加いただいた県庁の皆様に心からの感謝を申し上げるところであります。 簡単に終息することのないコロナ感染症は、これからも私たちの社会に大きな影響を与え続けます。正しく恐れ、対策を行い、うまくつき合いながら、私たちは次の時代を築いていかなければなりません。厳しい局面も予想されますが、人間万事塞翁が馬という言葉にあるように、さまざまな変化は我が高知県にとって悪いことばかりではありません。 今回、コロナで明らかになった東京一極集中のリスク顕在化や、コロナの影響で一気に進んでいるオンライン化などの変化は、都市から地方への人の流れを進める可能性と同時に、これまで課題解決先進県として政策を進めてきた本県にはさまざまな優位性も出てくるなど、高知県にとっては大きなチャンスが到来したとも言えます。こうした変化を好機と捉えつつ、高知県政を前進させていくという観点から、以下質問に入らせていただきます。 まずは、ウイズコロナ時代の高知県の可能性についてであります。さきに述べたような社会の変化を踏まえ、コロナを高知県政の危機としてではなく、チャンスと捉えるとすれば、どのような分野に今後可能性が眠っていると考えるのか、そしてその可能性をどう伸ばしていくのか、濱田知事の御所見をお伺いいたします。 次に、本年度の政策実行の優先順位の変化についてであります。4月1日から令和2年度の事業が始まっています。コロナ感染症という大きな変化に対応するため、現在県は不要不急の予算の洗い出しなどを行っておりますが、各課への通達の中には、政策の優先順位などは記載されておりません。一方、予算の組み替えなどを行うに当たっては、コロナの影響を加味した上で、政策の優先順位をつけることが議論の前提になると考えます。 本年度の政策実行の優先順位が当初からどう変化しているのか、また次年度以降の考え方について知事にお伺いいたします。 次に、高知県の財政運営についてであります。濱田知事は、総務省から大阪府、島根県庁など、国、大都市、地方とこれまで多くの地方行政の現場で仕事をしてこられました。就任直後からコロナ対応で奮闘されてこられましたが、先月からは「濱田が参りました」などにより高知県下のさまざまな現場も回られるとのことで、ますます県内の状況を深く把握されることと思います。その中で、今後の県政運営において最も厳しいのが財政の問題であります。令和2年度当初予算における我が高知県の自主財源比率は29.6%、全国と比べても実に厳しい数値だというのは以前から変わらない課題であります。 そうした中で、濱田知事はさまざまな御経験も踏まえられた上で、本県のような自主財源の乏しい県の財政運営についてどのような所見を持たれているのか、お伺いいたします。 また、明神議員、そして山崎議員から今定例会でふるさと納税の質問がありましたが、もともとふるさと納税には、地方間の税収格差の是正という、地方にとって切実な意味合いも込められていたように思います。 私は、今回の奈半利町の事件の一連の報道の中で、身の丈に合っていなかったのではという報道機関の問いに対し、斎藤一孝前町長がおっしゃっておられた言葉が忘れられません。身の丈ち何ぜ。貧乏な町はずっと貧乏でおらないかんのか。衰退する町を指くわえて見るしかできんがかよ。あしはその丈を伸ばしたかったがよ。私は、ちょうど奈半利町がふるさと納税で沸いていた時期、高知県東部を朝から晩まで歩いておりました。そのときの奈半利町の皆さんの目の輝き、そして町に対する誇りが芽生えている様子をまじまじと覚えております。 地域の、市町村の特産品づくりは、それこそ何百年も前から地域の課題として、これまでに何度も何度も提唱されてきました。しかし、上治県議の馬路村のように抜本的にうまくいった事例はわずか、あわせて地域産品の出口をつくることは、特に流通や小売の形態も変わり、大資本、大企業が有利になっている現代において困難さを増していた中で、ふるさと納税制度は、地域産品の出口づくりの実態としては大きな大きな波及効果を生み、地域に活力を生んできたことも事実であります。 そういった意味では、高度成長時代より人材を都市部に供給し続けながらも、ふるさとの山河を守り続けてきた私たち高知県のような地方にとって、都市部との格差是正は切なる願いであり、その願いがふるさと納税によって一部かなったとも言えると感じております。 ふるさと納税を導入した立役者である菅義偉官房長官は、東北から集団就職で東京に出てきた苦労人との伝説もある方ですが、そうした地方の思いを背負ってこの制度をつくられたと承知しております。菅官房長官は、月刊「事業構想」のインタビューに答えて、「私は秋田で生まれ、高校生まで秋田で育ったのですが、就職したときには地元を離れていましたから、秋田に住民税を納めていません。地方自治体は子供を高校まで卒業させるために1人当たり約1,600万円の公費をかけていますが、成長して納税する先は都会が大部分になります。何らかの形で、ふるさとやゆかりのある地域にかかわりを持ちたいと考える人はたくさんいるのではと問題意識を持っていました」と述べられております。 この制度導入については、そうした問題意識に基づいて、政治を通して光の当たらなかった地方に光を当ててくれた、私は率直に感謝したいと思っております。そのような中、税制という根本的な意味で考えておかなければならないのが、ふるさと納税の当初期待された効果の一つであったと言われる、地方間の税収格差の是正であります。 そこで、これまでのふるさと納税制度の総括として、地方間の税収格差の是正に意義があったと考えるか、県内市町村の状況も踏まえ、知事の御所見をお伺いいたします。 また、今回の緊急事態に当たり、財政調整基金の存在がクローズアップされました。この財政調整基金は都道府県によっても規模が全く違いますが、本県は平成に入ってからは平成元年の77億円が最も少なく、平成18年の369億円が最も多い年となっております。 本県の財政調整的基金は、今後もコロナ対策や災害対策など緊急性の高い問題が発生したときには最後の頼みの綱となる非常に重要な基金ですが、濱田県政下では最低でもどのぐらいの規模を確保すべきか、またどのぐらいの水準を目指すのか、知事にお伺いいたします。 この項最後に、同じく人を呼ぶという意味で、これまで高知県でも重要な役割を果たしてきたイベントについてであります。我が高知県は、観光イベントから地域のお祭りなどの地域イベント、多様なイベントが一年中開催されるイベント大国であります。そのような中、コロナ感染症により、高知県最大のイベントであるよさこい祭りが中止となったほか、大規模なイベントはほぼ中止となるなど、3月以降、これまでとは状況が一変しています。 私たち県民は、このイベントを通し、経済効果はもちろん、生活を楽しむ、または地域になじむなど、さまざまなプラスの効果を受けてきたように思います。週末の予定に、イベントへ出かけていくという楽しみがなくなった今、初めてイベントが開催されることのありがたみを痛感しているところです。 そのような中、先日はこれまでイベント業に従事されてこられた事業者の皆さんが一堂に会し、現在の苦しい状況について情報交換を行うとともに、連絡協議会を設立し、再開までのガイドラインづくりなども行おうとの議論を始めたことが報道されたところであります。これまでイベント業を支えてくださっていた皆さんの声は、本当に切実なものばかり。経済的にも支えていかなければならないことはもちろん、今後の本県のイベント開催の動向が、こうした業界の皆さんのモチベーションにも直結すると感じたところでもあります。 そのような中、イベントの現状については、民間のイベントも、地域で行われる神社の夏祭りなどの行事も自粛の影響が続き、緊急事態宣言が解除された現在でも、中止が続々と決定されております。一方、足摺海洋館のイベントや観光コンベンション協会のイベントなどは開催されるなど、感染症の状況が安定化するにつれ、少しずつ変化も出てきたところでありますが、主催者の中には、開催していいのか悪いのか判断がつかないと開催を見送るケースが多いと感じております。 そういった意味では、民間などのイベントの開催可否の参考となるのが、県主催のイベントをどのような条件下で実行していくのかということになります。今後のイベント開催に関する県の方針について濱田知事の御所見をお伺いいたします。 次に、高知県経済に関してであります。 まずは、県内の事業者の状況についてであります。東京商工リサーチの調査では、2020年の事業者の休廃業・解散の推計は全国で5万件、前年比15%増という厳しい数値となっており、もともと経営者の高齢化や人手不足も深刻化していた中で、今回のコロナが事業継続を諦める決定的な引き金になっているとも考えられます。 現在、県内事業者の状況をどのように把握されておられるのか、商工労働部長にお伺いいたします。 また、県内でも休廃業・解散がふえていくとすれば、雇用、経済の持続性という観点からも、事業承継に関する政策をこれまで以上に強力に推進していくことがますます重要になってくると考えます。 本県の事業承継に関する現状と課題、今後の方針について商工労働部長にお伺いいたします。 次に、都市から地方への人の流れができるとしたときに、本県が全力で取り組むべき課題である移住促進と企業誘致についてであります。まずは、移住についてであります。県内の移住者数は昨年度1,000組を超え、順調にふえており、この傾向が続けば人口の社会増減プラス・マイナス・ゼロも視野に入ってきたところであります。 そのような中、ウイズコロナという新たな時代にこの高知県、地方移住は可能性が広がっていると思いますが、この機会をチャンスと捉え、さらなる移住の強化につなげていくために、どのような取り組みを今後進めていくべきと考えるか、産業振興推進部長にお伺いをいたします。 また、移住する際の引っ越しなどの経費、また引っ越し後の家具などの新規購入費用が、特に所得の少ない若者世代にはネックになるとの話も聞くところであります。そのような中、国の地方創生移住支援事業では世帯100万円、単身60万円の支援策がありますが、東京23区在住者または勤務実績がある方という限定がついており、東京23区以外の都道府県からの移住者には適用されないことから、ふるさと回帰支援センター来場者の移住希望地日本一である長野県では、対象地域を一部拡大。福井県、大分県、宮崎県ではさらに対象を広げ、他都道府県全てからの移住者への支援を、県独自で一般財源も投入しつつ行っているようです。 高知県の今後の移住促進を考えたとき、引っ越しなどの最低限の経費を支援する制度を設ける考えはないか、産業振興推進部長にお伺いをいたします。 次に、企業誘致についてであります。私も、コロナ禍の自宅待機中からオンライン飲み会なるものを始め、世界中のいろいろな人と瞬時につながることのできるオンラインの可能性に目覚めた一人ですが、そのオンライン飲み会で首都圏のいわゆるIT系スタートアップ企業の経営者たちと意見交換する機会に数多く恵まれたところであります。その際、異口同音にそうした経営者、特に若い経営者が言っていたのが、コロナで東京一極集中のリスクの高さを痛感した、またコロナによって進んだリモートワークなどのオンライン化によって、今一番に興味があるのは日本の地方で拠点づくりをすることだという話でありました。 ウイズコロナ時代、地方展開を図る企業の立地先としては、課題解決先進県をもともとうたっている上、自然環境も豊かな我が高知県には大いなる可能性があると確信もするところでありますが、本当に真剣にそうした首都圏からの企業移転先として高知を選んでもらうためには、支援策の拡充や基本的な通信インフラ環境の整備、住宅や学校、医療機関などを総合的に考える中での豊かな生活環境づくりなど、総合的な県のバックアップが重要であります。 あわせて、私はもう一つ重要なことは、移住と同じで市町村のやる気と戦略構築だと考えております。企業誘致とまちづくりをどう連携させていくのか、実際に立地する場所である市町村の確固たる戦略と企業に対するフォローが何より重要であります。 一方、こうした企業誘致に関しては、市町村の取り組みはいまだ模索中といった状況で、県のIT・コンテンツ企業誘致に関しても、ほとんどの企業が市町村を介さず高知市内に立地するという状況が続いております。こうした状況を変えていくためには、市町村がそうした企業誘致に取り組む際に一緒に動いてくれるネットワークを持った人材、もしくは企業を確保することが重要であります。実際に、宮崎県日南市では担当の専門官を民間から登用し、大きな実績を上げているところであります。 本県においても、今後さらに市町村がIT系企業などの誘致を進める場合、そうした人材や企業との連携を支援する制度なども検討してはどうかと考えますが、商工労働部長の御所見をお伺いいたします。 次に、本県経済の発展について重要な貿易振興並びに高知港についてであります。まず、高知港長期構想における潮江地区のにぎわい創出事業についてであります。ことし1月に、高知港のおおむね20年から30年後の将来像や、それを実現するための施策の方向性を示す高知港長期構想が策定されたところであります。 この構想が取りまとめ中であった昨年6月議会において、私も代表質問の中で当時の尾崎知事に対し、古くは競馬場とフェリー乗り場というにぎわいの地域であった潮江地区を、南中・高校と西高校との統合による校舎の移転などの変化や、電車の軌道があること、高知市で最も子育て世代に人気のわんぱーくこうちが隣接していることなどの地理的条件を生かし、県市連携の目玉事業として、この地区をにぎわいの場として再開発してはどうかと質問させていただいたところであります。 その後、ことしに入ってから策定された長期構想には、20年という期間の中で、潮江地区については、周辺施設等と連携するとともに、民間資金も活用し、「みなと」と「まち」が融合した魅力ある賑わい空間を形成し、地域のブランド価値の向上を図りますと明記され、にぎわいの場の創出を目指していくということになっております。 そこで、この潮江地区のにぎわい創出事業の今後の進め方について土木部長に御所見をお伺いいたします。 また、この事業を進めるに当たっては、高知市との連携が非常に重要であります。にぎわいの場の創出となれば、近隣にある市の施設との連携なども含めて、高知市のまちづくり、都市構想と一体で行わなければならないからであります。歴史をひもとけば、高知港の整備については、保守県政と革新市政の対立がある中で、当時の氏原一郎市長から溝淵増巳知事に直談判があり、一体で進めてきたことが始まりと言われていますが、その後浦戸湾の埋め立てをめぐっては対立姿勢になるなど、常に高知港、そして浦戸湾に関する問題は県市にとって重要課題とされてきたところであります。 時代はめぐって、県庁前のお堀は深いと評された時代は忘却のかなたへ、尾崎前知事の時代から急速に県市連携が進んでいる今だからこそ、県市連携の象徴的な事業として、高知市と十分協議をしながらこの潮江地区の再開発に積極的に取り組んではどうかと考えますが、濱田知事の御所見をお伺いいたします。 次に、高知県が事務局を務める友好提携港国際ネットワーク、INAPについてであります。INAPは1998年に設立された港を通じた国際ネットワーク組織で、日本・高知港、スリランカ・コロンボ港、中国・青島港、フィリピン・スービック湾港、セブ港、ダバオ港、インドネシア・タンジュンペラ港、韓国・木浦新港、唐津港、バングラデシュ・チッタゴン港の10港が現在までに参加しております。 INAPの理念をあらわしたINAP憲章では、このネットワークの目的として、以下の3つの方針を掲げております。 1、それぞれの姉妹港の関係をより高度なものとし、会員港の間のネットワークを形成する。2、会員港の港勢の拡大を図るとともに、港湾の開発、振興、管理に関する情報交換を図り、それぞれの姉妹港関係をより有効なものとする。3、会員港が属する地域間の相互関係を確立し、経済、文化的つながりを強くすることを目的とする。 この目的に基づき、事務局を務める高知県は、毎年持ち回りで行う、事業計画などを定める総会やシンポジウムの開催をサポートすると同時に、この企画に合わせて経済ミッションも行い、商談会や視察なども組み合わせながら、取り組みを進めているところであります。このINAP、ことしは韓国・唐津港で行われる予定でしたが、先日所管する港湾振興課より、ことしのINAPはコロナ感染症により中止にするとの連絡をいただいたところであります。 一方、多年にわたり県も専属の担当者を置くなど心血を注いできたINAP自体は、今後の本県の海外展開に当たり非常に重要だということを考えれば、中止になったことし、改めてこれまでの取り組みを総括すると同時に、関係港の皆様の御意見やニーズなどもしっかり把握した上で、今後の中長期的な取り組みの方向性についても議論すべきではないかと考えます。 そこで、本県が22年にわたり取り組んできたINAPについてどのような評価をしているのか、今後の目指すべき方向性も含めて濱田知事に御所見をお伺いいたします。 次に、高知県のシンガポール事務所についてであります。高知県シンガポール事務所は、1996年6月に開設した県内企業の皆様の海外における経済活動を支援するための拠点で、生の経済情報の収集、提供、現地企業との取引あっせんなどを行っており、アジア・オセアニア地域などの地産外商の拠点としても大変重要な事務所であります。 また、高知県方式と言われた、事務所長を民間から招聘する方式は他県や県内民間企業の皆様からも評価が高く、これまでも数々の成果を残してきたところであります。昨年からは、四国銀行からの出向者も参加し、副所長も1名増強、さらなる貿易振興への期待と高知県の国際化支援の強化が期待されるところであります。 そのような中、急速に成長を続ける新興国を多くその活動範囲としているシンガポール事務所の重要性は、ますます高まってくると感じていますが、これまで事務所が行ってきた業務への評価と今後期待することについて知事にお考えをお伺いいたします。 また、ちょうどこの春から所長さんが交代されたとのことですが、本県の海外展開に意欲ある事業者の皆さんにとっては、ビジネス経験豊富な所長さんを初め、シンガポール事務所の持っているタイムリーな現場の情報は非常に有意義だと考えます。また、あわせて、海外ビジネスがいまだ未知のものであるという県民にとっても、現地の経済状況や、文化、生活の様子を情報共有してもらうことは、海外に対する県民の意識を高める効果があるとも感じます。 一方、現地を訪問するとなると、現在の状況下ではもちろん、平時でもハードルが上がることを考えれば、オンラインセミナーやオンライン相談会、オンライン視察などの手法を活用し、県内事業者との情報共有をさらに強化するとともに、県民に対する広報機能も業務内容に追加すべきと考えますが、産業振興推進部長に御所見をお伺いいたします。 次に、教育について。 まず、本県の多くの子供たちが学ぶ私立の学校に対する支援についてであります。高知県内の子供たちの進学状況を見ると、中学校においては、令和元年度の全生徒数1万7,232名のうち、私立学校在籍者は3,118名、割合にすると18%で、東京に次ぐ全国2位、高校においては1万8,343名中5,509名、割合は30%で、これも全国平均を上回り、全国18位ということで、本県の教育、子供たちの学びについては私立も大きな役割を果たしているところであります。 そのような中、今回の国の2次補正予算には、私立の学校に通う生徒の家計がコロナにより急変し、経済的に困難になった場合、学校が授業料の減免措置を行い、都道府県がその減免額に対し助成を行う場合、国がその一部を補助する減免支援予算が含まれております。 県内経済が打撃を受ける中、こうした事業について早目早目に周知するとともに、学校とも連携して支援を行っていくべきと考えますが、文化生活スポーツ部長の御所見をお伺いいたします。 また、私立の学校の授業料に関する支援策は、高等学校は非常に手厚い一方、生徒数が全国2位の割合である中学校については、国の支援制度も少なく、保護者の負担も大きくなっていることは、以前から指摘されてきたところです。 コロナの影響で今後また経済が悪化していく可能性も踏まえれば、状況を確認しながら支援の拡大なども引き続き模索していくべきではないかと考えますが、文化生活スポーツ部長の御所見をお伺いいたします。 次に、私立の学校に通う生徒のタブレットの導入についてであります。GIGAスクール構想に基づく1人1台のタブレットの配付については、コロナの影響もあり、公立学校については今年度中に対応を前倒しするということになっていますが、私立は公立と違い、定額補助ではなく2分の1補助ということで負担も生じることから、同じく負担のかかる通信インフラの整備との兼ね合いもあり、導入に時間がかかるのではとの懸念もされているところであります。 そうすると、同じ高知県内で学ぶ子供たちの学習環境に、公立と私立で差がついてしまうことにもなりますが、こうした課題をどのように捉えているのか、また公立学校が前倒し整備になったことで、国の支援策がいつまで続くのかという懸念もある中で、継続の要望も国に行うべきと考えますが、文化生活スポーツ部長の御所見をお伺いいたします。 次に、タブレットを配付した後に本格的に始まるオンライン教育についてであります。今後、多くの子供たちがインターネットを利用する中で懸念されるのが、インターネットと正しくつき合う方法をどう教育していくかという問題であります。 悪質な書き込みや誹謗中傷の防止など、インターネットを利用する上で大切にしなければならない考え方、インターネットに関連する人権教育をどう進め、情報モラルの向上をどう図っていくのか、教育長にお考えをお伺いいたします。 また、今後教育現場に本格的にタブレットが導入された場合、子供たちの持つパソコンでつなぐことのできるサイトをどう制限していくかという課題も出てくると言われております。有害なサイトなどの閲覧制限はもちろんですが、例えばユーチューブなどは制限するのかしないのか、その方針は県の教育委員会の判断となります。 実際に運用が始まる前の今の段階で、この閲覧制限の線引きをどうするのかという議論も必要ですが、教育長のお考えをお伺いいたします。 次に、オンライン教育を進めていく上での教員・学校間の情報共有についてであります。いまだ誰も取り組んだことのない、新たな取り組みであるオンライン教育、あるいはタブレットを活用した授業を進めていくに当たっては、先進事例の共有や、学校間、教員間の情報共有などが重要であります。また、こうした問題に関する情報共有については、公立、私立の垣根なく、高知県の教育界全体で考えておかなければならない課題だと考えます。 オンライン教育に取り組む教員・学校間の情報共有を進めるため、私立も含めて意見交換ができる場をつくってはどうかと考えますが、教育長のお考えをお伺いいたします。 この項最後に、各学校がICT化やオンライン教育を進めていく上での相談体制についてであります。国のGIGAスクール関連予算には、学校のICT化を進めるため、技術者を学校に配置する場合に経費を支援するスクールサポーター配置支援事業も含まれていますが、この制度では、インフラ導入時のお手伝いはできても、実際に授業の運用が始まるときの教材の活用など、授業に関するアドバイスはできないこと、また人材の確保ができるのかなどの課題もあるように思います。 そういった意味では、こうした急激な変化の時代において、インフラの整備から教材の活用策まで、オンライン教育にかかわる全ての分野について、知悉した専門人材に各学校が気軽に相談できる体制づくりをどう進めていくのか、教育長にお伺いをいたします。 次に、文化政策についてお伺いをいたします。 まずは、さきの2月議会で取り上げ、知事から大変力強い御答弁をいただきました、半世紀に一度の大事業、県史編さんについてであります。今後の進め方などについては、基本方針策定準備検討委員会で本格的な議論が始まっている中ではありますが、時間のかかる事業だけに、緊急性を要するものと、一定後からでも行えるものとの整理が必要だと考えます。 特に、近現代資料などは、日に日に散逸しつつある現状を考えれば、できるだけ早期に資料保存などの取り組みも必要ですが、進め方における取り組み時期の優先順位についてどう考えるのか、現在の進捗状況とあわせて文化生活スポーツ部長にお伺いをいたします。 次に、けさの高知新聞でもオーテピア高知図書館のオンライン活用が話題となっていましたが、県立文化施設のオンライン活用についてであります。コロナによる休館を余儀なくされた県立文化施設ですが、そうした時期だからこそ、オンラインでの発信を強化してほしいと新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会でも議論を行いましたが、5月6日付の高知新聞で、この休館中に学芸員さんたちが知恵を絞って発信してくれた動画が高い評価を得ているとの報道を目にしたところであります。これは、高知城歴史博物館がツイッターで投稿した刀剣の動画が再生回数、何と1万7,000回を超え、全国の歴史ファンから大きな反響があるというものであります。こうした施設のオンライン活用については、施設のPRはもちろん、教育への活用なども考えると、今後ますます強化していくべき取り組みであります。 県立の文化施設には、オーテピア、文学館、歴史民俗資料館、高知城歴史博物館、美術館、龍馬記念館、牧野植物園など、魅力的な施設が数多くあり、そこで働く学芸員さんたちの知見は、高知県にとって大変重要な財産であります。オンラインでの発信は、こうした知見を気軽に共有させてもらえると同時に、施設の魅力強化にもつながります。また、東西に広い高知県で、なかなか直接施設を訪れることのできない県民にとっても重要な取り組みであります。 現在、各施設の事業計画の中にもウエブサイトの充実を中心に取り組んでいく旨の記載はありますが、オンラインでの館内案内、オンラインセミナーなど、オンラインを活用した取り組みは今後さまざまな展開の可能性を秘めていることを考えれば、オンライン活用のさらなる充実に向け、強力に進めていく体制を整備することが必要ではないかと考えますが、今後の進め方について文化生活スポーツ部長のお考えをお伺いいたします。 この項最後に、文化芸術団体への支援についてであります。さきにイベント関連の質問でも取り上げましたが、コロナの影響でこの3月から文化芸術団体の主宰するあらゆる行事は自粛、中止に追い込まれ、関係者が大変な苦境に立たされております。そのような中、自粛解除もなされ、少しずつイベントなどの開催も検討され始めましたが、そこで課題となってくるのが、感染症の状況はその日になるまでわからない、つまり現在のようにゼロが続き、感染症対策を行った上で開催することを決めて準備をしても、直前に感染拡大などが急遽出れば、取りやめなければならないリスクが常につきまとうということであります。 そこで県は、4月に出した事務連絡に基づき、コロナ感染症の影響によるイベント中止の際の県有施設のキャンセル料については時限を切って全額還付対応としています。この措置をコロナ感染症のリスクがほぼ収束するまで延長することにより、ただでさえ厳しい環境にある文化芸術団体によるイベント開催のハードルを下げる支援へとつなげていくべきだと考えますが、文化生活スポーツ部長のお考えをお伺いいたします。 次に、観光政策についてであります。 さきの5月臨時議会では、国の「Go To Travel キャンペーン」と、それに連動する県の政策について議論をさせていただいたところであります。6月19日には全都道府県との往来自粛解除もなされ、今後本格的にキャンペーンが始まるところであります。 その中で、特に5月臨時議会の質問戦では、高知県民が県内の観光地を訪れる観光の地産地消が重要だと取り上げたところですが、その中で県が独自に行う交通費助成については、臨時議会提出時には県外観光客のみであった助成対象を、このたび県内観光客にも拡大する措置を行っていただきました。 このことによって、高知県民が県内の観光地に出かけ宿泊した際の交通費が5,000円まで助成されることとなりました。つまり、高知市の人が、JRで窪川経由で予土線に乗って西土佐に泊まりに行く、あるいは貸し切りバスで嶺北に泊まりに行く、あるいはごめん・なはり線に乗って東部観光に行く、またはふだんよりも大きな車をレンタカーで借りて家族で泊まりに行く、いろいろなパターンで交通費が助成されると同時に、宿泊補助などそのほかのキャンペーンとも組み合わせれば、観光の地産地消の推進にとって大きな魅力となり得ると感じております。 あわせて、県内観光客が利用する交通事業者やレンタカー業者は厳しい環境にある県内企業ということで、事業者支援にもつながる取り組みですが、今後こうした制度をどう周知していくのか、また活用策をどうPRしていくのかということが課題ではないかと考えます。 県内観光客に対し、広報など周知やPRが必要だと考えますが、今後の取り組みについて観光振興部長のお考えをお伺いいたします。 次に、県内観光にとって重要な基幹宿泊施設の事業継続についてであります。コロナ感染症による観光需要減少の影響により、室戸市室戸岬町のホテルウトコ オーベルジュ&スパと、土佐清水市足摺岬の宿泊温泉施設足摺テルメをそれぞれ運営するアクトリゾートが会社を清算する方向を明らかにし、両施設ともに6月30日付で撤退となりました。この両施設は、高知県の両端の岬に位置する基幹宿泊施設として、これまで県内観光に大きな貢献をしてきた施設であると同時に、ウトコに至っては建設時より県も1億5,000万円という多額の建設費用を補助するなど、深くかかわってきた施設であり、テルメも土佐清水市が直接所有している、ともに重要な施設であります。 両施設とも、市長を初め市関係者の必死の努力で事業継続を模索している状況だと伺っていますが、この両施設が運営者不在のまま塩漬けになる、ましてや両施設の位置する室戸岬は国定公園、足摺岬は国立公園内ということで、国も推進し、県もこれから取り組むワーケーション事業に取り組む地域でもある中で、現在の状況が続くことは、県観光にとっても大きな損失であります。 そこで、両施設の持つ意義を考慮し、県として両市をバックアップしていくことも必要であると考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、市町村との連携についてお伺いいたします。 さきの5月臨時議会でも、市町村との連携については取り上げさせていただきましたが、その後濱田知事の市町村長さん訪問や「濱田が参りました」の開催、オンライン会議の検討など、さまざまな取り組みが進んでいる様子を拝見し、非常に力強く思っているところであります。 そのような中、県と市町村との連携という意味で直接地域で活動いただいているのが、いわゆる地域支援企画員であります。この地域支援企画員は、我が高知県独自の取り組みとして、橋本大二郎知事時代の平成15年に、当時の吉良史子副知事肝いりの事業としてスタートした制度です。当初は、元気のでる市町村総合補助金の採否についての実質的な権限を持たせるなど、予算に関する権限もあったようですが、その後尾崎県政では産業振興計画における地域アクションプランの推進役として、地域で活動を続けておられます。 平成15年のスタートのとき7名だった体制は現在64名、大幅に増加する中で、今は全ての市町村に担当を置くなど、まさに県と市町村のパイプ役でもあります。一方、この地域支援企画員の各地域での取り組みには温度差があったり、業務内容にも幅があり過ぎるのではないかという意見も聞くところであります。 そのような中、コロナ感染症対策もあり、現在市町村が活用できる国や県の支援制度のメニューが大幅にふえていますが、そうした国や県の制度が十分に市町村に情報共有されていないという課題も聞くところであります。そういった意味では、今の国の積極的な支援制度の情報をいち早く察知し、適合する市町村に周知し、県とともに取り組むという役割をこの地域支援企画員の業務に追加することも検討してはどうかと考えます。 橋本県政、尾崎県政、それぞれのトップによりその役割が変わってきた地域支援企画員制度。濱田県政下で期待する役割について、またさきに述べた国や県の支援制度のつなぎ役としての役割を追加することについて濱田知事のお考えをお伺いいたします。 最後に、エコサイクルセンターについてであります。 現在、佐川町において新たな県の管理型産業廃棄物最終処分場の建設計画が令和5年度の稼働開始を目指して進んでおります。伴って、現在の日高村にあるエコサイクルセンターは、早ければ令和5年3月に埋立終了となります。振り返れば、日高村に建設計画が持ち上がったころから地元でも大きな論議を呼び、住民や議会も巻き込み、最終的には住民投票まで行うというまさに大難産の上に生まれたのが、今のエコサイクルセンターであります。 事業が進んで行く中で、県と日高村は連携を深め、ともに地域振興策にも取り組んできました。今後、佐川町でも処分場建設に伴う地域振興策などが進められる予定ですが、改めて今同じように取り組んできた日高村の地域振興策の総括を行うことも必要ではないかと考えるところですが、村とともに取り組んできた諸事業について、これまでの実績と評価、今後の考え方について濱田知事にお伺いをいたします。 また、令和5年をもって日高村のエコサイクルセンターはその役割を終えますが、日高村、そして村民の皆様が大変な御苦労もされながらも、多大な御協力もいただいてきたことを私たち県政にかかわる者はもちろん、県民皆が心に刻んでおかなければなりません。 改めて、今佐川町での新施設の建設が前に進み出したからこそ、日高村の皆様にどのような思いを抱いているのか、濱田知事に伺って、第1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 大石議員の御質問にお答えをいたします。 まず、ウイズコロナ時代におけます本県の今後の可能性についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症によりまして、個人の価値観や、社会や産業の構造が大きく変化するというふうに言われております。中でも、東京圏一極集中の構造への危機意識の広がりがございまして、地方暮らしへの関心が高まってきております。地方への新しい人の流れを生むチャンスだというふうに私としても考えております。 また、産業振興という側面から考えますと、現在海外に多くを依存しております日本の食料事情を改善すべきという議論も生じてきておりまして、改めまして本県の1次産業の重要性、こういったものが再評価をされるのではないかという期待も抱いているところでございます。こうしたチャンスを逃さないことが重要ではないかと考えております。 まず、1点目の地方暮らしへの関心の高まりを本県への新たな人の流れにつなげるためには、デジタル化への対応がポイントになると考えております。具体的には、IT・コンテンツ関連産業の集積に向けました取り組みをさらに加速させまして、若者に魅力ある仕事を地域地域につくってまいります。また、県内企業のデジタル化を進めることによりまして、付加価値や労働生産性を高めます。これによりまして、労働環境や働き方の改善につなげていきたいと考えておりますし、あわせましてテレワークあるいはリモートワークの拠点となりますシェアオフィスなどの整備も加速をしてまいります。 2点目の再評価の兆しがございます1次産業分野につきましても、担い手をふやしていくというためには、デジタル化への対応が不可欠であると考えます。第4期産業振興計画の強化のポイントとして掲げました、デジタル技術と地場産業の融合の取り組みをさらに加速いたしまして、生産性の高い魅力的な仕事としていくということで、本県への担い手の呼び込みを図ってまいります。 こうした新しい流れに本県がしっかりと乗ることができるように、専門家の御意見もお聞きしながら、今後の具体的な施策を練り上げまして、産業振興計画をさらに進化させてまいりたいと考えております。 次に、本年度の政策実行の優先順位の変化あるいは次年度以降の考え方についてお尋ねがございました。 本県では、県民の健康と生活を守るために、短期的には感染症対策を最優先で進めるということといたしまして、執行スケジュールの変更あるいは事業内容の見直しなど、事業全般にわたりまして柔軟な対応をとってまいりました。今後は、県勢浮揚の実現に向けまして、5つの基本政策と3つの横断的な政策について、少しでもおくれを取り戻すことができるように鋭意取り組んでまいる考えであります。 ただ、その際には、政策ごとに今後の社会構造の変化も見据え、新しい生活様式への対応を進めるということとあわせまして、これまでの戦略や手法について検証し、施策を進化させていくということが必要だと考えております。 次年度以降につきましても、県勢浮揚に向けて取り組んできた5つの基本政策など大きな方向は維持すべきものと考えておりますけれども、社会構造の変化などに対応しながら、施策をさらに進めてまいりたいと考えております。あわせて、次なる感染拡大が今後生じたという場合などにおきましては、臨機応変に対応を図ってまいりたいと考えております。 次に、本県のような自主財源の乏しい県の財政運営に対する所見はどうかというお尋ねがございました。 本県のように自主財源に乏しい自治体におきましては、施策の実現に当たりまして、国庫補助金あるいは地方交付税など国からの財源を確保するということは特に重要になってまいります。このため、国に対しまして、地方交付税などの安定的確保について、全国知事会あるいは財政力の弱い他の自治体とも連携をいたしまして、政策提言などの働きかけを行っていく必要がございます。 また、国の財政政策に過度に依存することなく、安定した財政運営を行っていくためには、主たる自主財源であります県税収入の確保に努めていく必要がございます。このため、本県におきます産業振興計画などの県勢浮揚に向けた取り組みをしっかりと進めることで経済基盤を強化いたしまして、それにより税収の確保につなげていくということも重要であると考えています。 加えて、自主財源が乏しいということは、財政運営面での自由度が高くないということを意味いたします。したがいまして、毎年度の予算編成におきましては、国の有利な財源を最大限に活用するといった取り組みに加え、事業の選択と集中を尽くすこと、またスクラップ・アンド・ビルドを徹底していくこと、こういった努力が必要不可欠だと考えております。こうした取り組みを通じまして、必要な行政サービスを提供しながら、安定的な財政運営を行ってまいる必要があると考えております。 次に、ふるさと納税制度の総括といたしまして、地方間の税収格差の是正の効果についてどうかというお尋ねがございました。 総務省で公表いたしております令和元年度分の市町村民税の寄附金控除が多い20団体というのを見ますと、東京23区のうち9区が入っているということになっており、この寄附金の控除での減収が多い団体といたしまして、都市部の自治体が上位を占めているという実態がございます。これらの団体につきましては、寄附を受けた金額よりも寄附金控除額のほうが多いということでございますから、効果といたしましては、都市部から地方部へ税収を移転させるという効果があったことを示すものだというふうに考えております。 また、県内市町村におきましては、96億8,700万円の寄附があった一方で、寄附金控除、税収の減のほうになりますが、これは3億9,200万円という数字になっております。このことからも、本県におきまして、税収の偏在の是正にプラスの効果があらわれていると考えております。こうしたプラスの効果の分は、各市町村におきまして、ネットベースで新たに活用ができる財源ということになっておりますので、子育て支援や災害対策などの施策に幅広く活用されまして、地域の活性化に役立っているというふうに受けとめているところでございます。 次に、本県の財政調整的基金についてお尋ねがございました。 財政調整的基金は、経済事情の著しい変動や災害によりまして財源不足が生じる場合などに充てるものとして、確保しているところでございます。このため、今回のような新型コロナウイルス感染症あるいは南海トラフ地震などの不測の事態に柔軟に対応していくためには、一定の基金残高を確保しておくということが重要であると考えております。 本県において確保すべき基金残高の定量的なイメージについてもお尋ねがございました。この場合、本県のいわゆる標準財政規模が約2,600億円余りということでございます。全国的に一つの目安として言われますのは、この5%相当の赤字を出しますと、財政再建団体に指定をされるということになってまいります。逆に言いますと、そのぐらいの蓄えを持っておけば、いざそれだけの赤字が出ても補填ができるということもございまして、標準財政規模の5%相当額あるいは近年の財政運営の中での財源不足額の実績、こういったものを照らしますと、安定的な財政運営に必要な当面の水準としては、あえて数字を申し上げるとすると、130億円程度といった水準が考えられるというふうに考えております。 今後も適切な基金残高の確保を図りまして、将来にわたって持続可能な財政運営に努めてまいりたいと考えております。 次に、今後のイベント開催の方針についてのお尋ねがございました。 5月25日に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づきます緊急事態宣言が全面的に解除されまして、あわせて国から今後のイベント開催の目安が示されたところでございます。目安によりますと、感染状況を見つつ、5月25日からおおむね3週間ごとに参加人数の上限が段階的に緩和されるという枠組みとなっておりまして、今月の10日からはこの上限が5,000人ということになりますし、来月に入りますと、この上限の数字自身がなくなるというような計画になっているところでございます。 県が主催するイベントなどにつきましても、この目安をもとにいたしまして、参加人数の上限を段階的に緩和していくという方針に立って対応をしております。既に、先月の27日からは、高知県高等学校体育大会を競技ごとに分散開催をいたしておりますし、また御指摘もございましたけれども、今月の18日、19日には、足摺海洋館SATOUMIの開館に合わせまして、オープニングイベントも予定をしているということでございまして、県としても具体的なイベントの再開を進めているところでございます。 こうしたイベントの開催に当たりましては、業界団体ごとに作成されたガイドラインを参考にいたしまして、イベントの内容に応じた感染防止策をしっかりと講じていただくということが前提となってまいります。イベントの開催は、本県経済の本格的な回復に向けまして、欠かせない重要な要素であると考えます。今後も、例えば龍馬マラソンのような大規模なイベントも含めまして、感染状況も見きわめながら、感染防止策に知恵を絞り、開催に向けての準備を進めてまいりたいと考えております。 次に、高知市の潮江地区の再開発についてお尋ねがございました。 高知港の潮江地区は、高知市の中心市街地からも近く、路面電車などの公共交通機関の活用が期待できます上に、周辺には市の運営されておりますわんぱーくこうちも立地をしているところでございます。それらをうまく組み合わせていくことによりまして、にぎわいの創出あるいは観光振興の拠点となる可能性を十分に持ち合わせた地区であるというふうに考えております。 このようなことから、ことし1月に策定をいたしました高知港長期構想の中で、潮江地区を「みなと」と「まち」が融合した魅力ある賑わい空間づくりを形成する地区という位置づけを行ったところでございます。この潮江地区のにぎわいの形成は、高知市のまちづくりに対する考え方あるいは周辺施設の意向に大きく左右されるということになりますので、今後高知市や関係機関と密に連携を図りまして、具体的な協議を行ってまいりたいと考えております。 次に、いわゆるINAPの評価と今後の目指すべき方向性についてお尋ねがございました。 INAP--友好提携港国際ネットワークは、姉妹港との情報交換、交流を通じまして、地域間の経済、文化的なつながりを強くするということを目的といたしまして、平成10年に5カ国の5港で発足をいたしました。 まず、この加盟数につきましては、この20年余りで7カ国、10港へとネットワークが拡大をしております。また、会議にあわせまして開催をする県内企業と現地企業との商談会などを通じて、例えば、韓国とは木材や農業用機械、インドネシアとは紙製品の輸出が拡大するといった形で、具体的な成果も出ているということでございます。こうした取り組みは、そういった意味で県内企業にとって輸出入の端緒をつかむよいチャンスとなっているというふうに考えております。加えまして、設立以来、事務局として高知港が携わってきましたことは、国際感覚が求められる職員の育成にも寄与いたしておりますし、また本県の貿易振興、国際観光の推進にとって大変意義があることだというふうに考えております。 本県が産業振興計画の柱の一つとして取り組んでおります輸出の加速化には、このINAPによります海外ネットワークの活用も大変有効であると考えております。このため、引き続き会員港とも協議をしながら、会員の増加あるいは経済交流の拡大を図ってまいります。あわせまして、県内企業と現地企業の商談の機会をより多く確保するために、オンライン商談会などの開催にも今後取り組んでまいりたいと考えております。 次に、これまでのシンガポール事務所への評価、そして今後への期待についてお尋ねがございました。 本県のシンガポール事務所は、平成8年に設置をされていますが、これ以来シンガポール国内にとどまりませず、東南アジア・オセアニア地域におきます県内企業の海外展開を支援してまいりました。具体的には、県内企業のニーズに応じました現地での営業同行支援でございますとか、食品見本市などへの出展支援、さらには商談後のフォローを通じまして販路の開拓を進めてまいりました。また、東京オリンピック参加選手団の本県への事前合宿誘致など、シンガポールと本県との交流促進にも努めてまいったところでございます。 こうした結果、平成10年度から令和元年度までの輸出入の支援実績額の累計は約25億円に達しております。こういった成果につながっておりまして、活動について高く評価をしているところでございます。 今後の展望といたしましては、シンガポールを初め東南アジアの諸国などでも、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして大きな経済的ダメージを受けているところでございます。このため、これまでの現地飲食店向けの食料品を中心とした輸出拡大については、今後一定の制約があるものと受けとめております。 こうしたことがございますので、まずは防災関連製品を初めといたしました工業系の製品につきまして、産業振興センターと連携をいたしました販路開拓をこれまで以上に強化してまいりたいというふうに考えております。この4月から就任をいたしましたシンガポール事務所長は、平成26年度から約3年間、産業振興センターで企業の海外展開の支援などを担った実績がございます。その意味で、所長の今後の活動にも大きく期待をいたしているところでございます。 また、食品につきましては、コロナ後の現地ニーズの変化を県内企業に情報提供しまして、新たな小売向けの商品開発などを支援するということを通じまして、販路拡大につなげてまいりたいと考えております。 次に、室戸市と土佐清水市の宿泊施設の運営に関します県のバックアップについてお尋ねがございました。 お尋ねがございました2つの宿泊施設は、県の東西の滞在拠点といたしまして、観光客の誘致あるいは周遊によります観光消費額の向上を初めといたしまして、地域経済の活性化にも貢献をいただいてまいったというふうに考えております。県といたしましても、両施設のこうした拠点としての位置づけを考慮しながら、まずは両市や施設の所有者の御意向をしっかりと確認させていただきたい、そういったところから始めさせていただきたいと思っております。 その上で、県のバックアップ策としてとり得る手法といたしましては、1つには観光分野で取り組んでおります民間活力の導入事業のスキームの活用が考えられると思います。このスキームは、市町村の持ちます資産などを観光事業に有効活用できないかという観点から、参入に意欲を示す企業とのマッチングを図っていくというものであります。これまでに、全国的なブランド力を有する企業との連携によりまして、アウトドアレジャー施設の整備につながるなどの成果もあらわれ始めているところでございます。 また、これ以外にも本県では産業振興計画の取り組みなどを通じまして築いてまいりました、県内外の多くの企業あるいは経営者の方々とのネットワークがございます。こうしたネットワークの活用に加えまして、地域経済活性化支援機構、いわゆるREVICといった専門機関の活用といったことも可能性としては考えられると思っております。 いずれにいたしましても、施設の再開に向けました両市の御意向、施設所有者の計画、地元の期待などを十分に踏まえまして、県としてどのようなバックアップ支援ができるのか、検討してまいりたいと考えております。 次に、地域支援企画員に期待する役割についてのお尋ねがございました。 地域支援企画員は、産業振興や地域づくりなど、地域の活性化に向けまして、地域の声を県政に反映させていくことあるいは県の施策を地域につないでいくことを主な役割といたしております。具体的な活動内容は、その時々の県の重点施策に合わせまして変わることはありますが、私といたしましても、ただいま申し上げましたような役割を果たすことを期待いたしているところでございます。 お話のありました国の施策などにつきましては、内容が多岐にわたりまして、個々の地域支援企画員が全てを隅々まで熟知するということは、やはり難しい面もあるというふうに考えます。したがいまして、この地域支援企画員の皆さんが地域や市町村に寄り添って活動していただく中で、この企画員個々がというよりは、地域におきます産業振興推進地域本部がいわば組織として、個々の課題あるいはニーズに応じました国や県の施策を紹介していく、あるいは逆に現場のニーズを県庁の担当課につないでいくといったような対応をしているところでございます。今後もこうした役割をしっかりと果たすことができるように、産業振興推進本部の会議や、あるいは地域産業振興監の会議などの場で徹底をしてまいります。 次に、エコサイクルセンターの建設に伴い実施をいたしました日高村の振興策についてお尋ねがございました。 エコサイクルセンターの建設に伴います日高村への振興策につきましては、平成17年12月に日高村と県が締結をいたしました確認書に基づき実施をしてまいりました。このうち、村と県とが協議をいたしました上、事業計画を策定して実施した振興策といたしましては、能津小学校の耐震補強工事、村営住宅の建設、学童保育や保育料の助成事業などがございます。 また、県からの交付金を原資といたしまして、村が基金を造成して実施をした振興策といたしましては、JR小村神社前駅、国道33号沿いの村の駅ひだかや村立図書館の整備が挙げられます。このうち、平成26年度開業の村の駅におきましては、特産品のトマトなど地域の産品をそろえまして、令和元年度の販売額は約2.1億円、レジの通過者も約19.2万人という実績を上げております。このように、日高村とともに取り組んでまいりました振興策によりまして、生活環境の整備、観光の振興、交流人口の拡大など、村の活性化に寄与ができてきたものというふうに受けとめております。 なお、仁淀川への高架橋につきましては、村におきます検討の結果、整備が断念をされたものでございます。それにかわるものといたしまして、能津地区振興計画に基づき、集落活動センターや子育て世帯等向け住宅の建設などの取り組みが現在進められているところでございます。県としましては、引き続きこうした日高村振興のための残された事業の具体化に向けまして、支援に努めてまいりたいと考えております。 最後に、日高村の皆様への思いについてお尋ねがございました。 平成5年に、日高村柱谷を建設予定地として御協力を要請した後、予定地を複数回変更したことなどによりまして、日高村の皆様にはさまざまな御心配や御迷惑をおかけいたしました。その後、平成15年10月に実施をされました住民投票の結果を受けまして、能津地区を建設予定地としてお引き受けをいただいたというところでございます。 この施設が、日高村の皆様の長期にわたります大変な御苦労と御協力のうちに完成することができたということを、私自身もこのたび改めて学びまして、このことを胸に刻み、改めて日高村の皆様に感謝申し上げたいと存じます。 埋立終了後の跡地利用などにつきましても、エコサイクル高知とともに、地元や日高村の皆様と話し合いしながら、有効に利活用ができるように努めてまいります。こうしたことは、佐川町に計画をいたしております新しい施設につきまして、佐川町の住民の皆さんの安心にもつながるということだと考えておりますので、この日高村に関する対応に関しましてしっかりと取り組んでまいりたいと考えます。 私からは以上でございます。   (商工労働部長沖本健二君登壇)
    ◎商工労働部長(沖本健二君) まず、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた県内事業者の休廃業や解散の状況についてお尋ねがございました。 宿泊業や飲食サービス業、運輸業などを初めとする多くの県内事業者は、国の緊急事態宣言などにより経済活動の自粛や移動制限があったことから、売り上げが大幅に減少し、大変厳しい経営状況に置かれています。 加えて、新型コロナウイルス感染症が収束するまでの見通しが現時点で予想できないことや、新しい生活様式に対応するための設備投資などの経営課題が山積することから、ポストコロナ、ウイズコロナを迎えるに当たって、経営者の事業継続意欲にマイナスの影響を与えることが想定されます。そのため、先日商工会や商工会議所、商店街振興組合等への聞き取り調査を実施したところ、現時点では新型コロナウイルス感染症の影響による倒産はないものの、一部において休廃業や解散が見られるという状況でございました。 現時点では限定的でございますが、今後新型コロナウイルス感染症の影響が長期化してまいりますと、高齢の事業者や経営基盤の弱い事業者などを中心に、手元資金があるうちに、または借金を重ねる前にとの思いから、休廃業等を検討する事業者がふえてくる可能性もあるとの御意見をいただいております。 次に、本県の事業承継に関する現状と課題、今後の方針についてお尋ねがございました。 民間の信用調査会社の調査によると、本県の経営者の平均年齢は、平成2年の54.1歳から令和元年の61.4歳と、7.3歳上昇しております。また、事業引継ぎ支援センターが平成29年に調査したところによると、後継者が決定していない事業者が3割を超える状況にあります。特に、高齢の経営者の中には、県内人口の減少に伴う市場規模の縮小により、自分の代での廃業を考える方や、第三者への事業承継を選択したいものの、後継者を見つけられない方もいらっしゃいます。そうしたことに加えて、今回の新型コロナウイルス感染症による将来への不安から、廃業や解散への時期を早める経営者も出てくることが危惧されております。 そのため、これまで以上に事業承継の啓発を図るとともに、廃業や解散を考えている事業者を把握し、承継の可能性を探ることで、そこにある雇用や地場産業を守っていくことが重要です。そこで、商工会、商工会議所等と連携し、順次事業承継が必要となる事業者の把握に努めますとともに、その内容に応じて、事業引継ぎ支援センターや税理士、あるいは金融機関といった専門機関の支援による後継者とのマッチングにつなげてまいります。そうした取り組みを県内全域で実施していくことで、少しでも多くの事業承継の実現につなげ、雇用の確保と地場産業の保護、育成に努めてまいりたいと考えております。 最後に、IT系企業等の誘致を進める市町村への支援制度についてお尋ねがありました。 県では、IT・コンテンツ関連企業の誘致に積極的に取り組んできました結果、これまでに23社に立地いただき、合計で300人を超える新たな雇用が生まれております。 そのような中、新型コロナウイルス感染症への対策として、リモートワークが急速に進展したことや、都市の過密がもたらすリスクというものが認識されたことなどから、企業や人材が地方に分散しようとする動きが高まっており、本県でもこの機を捉えて市町村と連携した誘致を進めていかなければならないと考えております。 これまでの誘致活動の実績から、IT系企業が地方進出するには、受け入れ側の自治体の熱意に加えて、企業が求める一定以上のスキルを有する人材が集積していること、また継続的に人材を輩出する仕組みがあることが重要なポイントとなると感じております。そのため県では、市町村を対象としたセミナーの開催による啓発や助成制度の整備に対する助言、さらには市町村と連携したIT人材の育成講座を実施するなどの取り組みを進めてまいりました。 今後も県としましては、セミナーや人材育成の取り組みに加えて、IT・コンテンツ産業振興アドバイザーを初め、県が保有する人的ネットワークや企業の情報の提供を行いながら、IT系企業の誘致に積極的な市町村と連携して、さらなる誘致に取り組んでまいります。   (産業振興推進部長井上浩之君登壇) ◎産業振興推進部長(井上浩之君) まず、コロナ後の移住促進策の強化についてお尋ねがありました。 先日、内閣府が公表した3大都市圏にお住まいの方々を対象に行ったコロナ後の働き方や意識の変化に関する調査によりますと、年代では20代、地域では東京23区に住む方の地方移住への関心が高くなっているとの結果が出ております。さらに、就職情報会社の転職に関する意識調査によりますと、U・Iターンや地方での転職を希望する20代の方々の割合が、ことし2月に比べ、5月には約14ポイント上昇し、全体の3分の1を占めるほどになっておるということであります。 また、本県でも、5月中旬ごろから、移住促進・人材確保センターに対しまして、すぐにでも移住したいという相談が多く寄せられるようになってきております。こうしたことから、地方への移住やUターンのニーズが確実に高まってきているものと感じているところであります。 こうした動きにいち早く対応するため、県ではこの3月にオンライン相談窓口を設置したところです。また、毎年6月に東京と大阪で開催をしております大規模な移住相談会や就職・転職フェアをオンラインに切りかえまして8月に開催するということで、現在その準備を進めているところでございます。このオンラインでの相談は、全国の移住希望者と地方とが、時間や距離などの制約がなく、つながることができるということが利点でございますけれども、他県との区別化を図らなければ相談先に選ばれないという課題もございます。そのため、新しい生活様式への対応を踏まえた、移住のプロモーション戦略を現在検討しているところでございます。 また、ウエブでの情報発信の抜本強化や、オンラインでの相談者をオフラインで着実に移住にもつなげるための、東京や大阪の相談体制の強化なども検討をしておるところでございます。 また、コロナ後の移住促進策について助言をいただきますため、首都圏等の専門家7名の委員で構成する有識者会議を、遅くとも9月までには設置することとしております。先月、委員の皆様に事前に個別に御意見をお聞きしましたところ、やはり志のある仕事の見える化をすること、あるいは本県出身者も含め本県とかかわりのある方へのアプローチを強化すること、さらにはワーケーションの誘致をすることなどの御提案もいただいたところでありますので、こうした点も含めまして、今後具体的な施策として練り上げ、順次実行してまいりたいと考えております。 次に、移住者に対する引っ越しなどの経費への支援についてお尋ねがありました。 本県でも、一部の市町村が引っ越しにかかる経費を支援しておりますが、県としましては、移住を決める前に地域を訪れ、地域のことをよく知っていただく機会を設けるとともに、その際の経費を支援するということが有効だと考えております。このため、市町村と連携しまして、移住や就職の相談会などに参加した方が、希望する地域や企業などを訪問する際の交通費を助成するほか、移住体験ツアーを実施するなど、移住希望者に寄り添いながら、移住を後押しする取り組みを丁寧に進めているところであります。 今回のコロナ禍により、首都圏への一極集中の危機感が広がりまして、地方への新しい人の流れが生じることが予想されております。こうした中で他県との厳しい競争に打ち勝つためには、本県の強みである、移住を希望される方へのきめ細かな相談対応とフォローアップをこれまで以上に充実させていくということが重要だと考えております。加えて、魅力的な仕事と快適な居住環境が移住の決め手となりますことから、オール高知の体制である移住促進・人材確保センターを中心に、市町村などとの連携をさらに強化し、その掘り起こしと情報発信を一層進めていきたいと考えております。 こうした点に重点を置きつつ、先ほど申し上げました新しい生活様式への対応も含め、移住促進策をさらに強化し、本県への移住者の増加につなげてまいりたいと考えております。 最後に、シンガポール事務所と県内事業者との情報共有の強化、そして事務所活動の県民への広報についてお尋ねがありました。 シンガポール事務所では、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、本年4月7日から現在に至るまで、現地政府の指示により在宅勤務を余儀なくされております。 この間、同事務所ではリモート会議システムを活用し、県内事業者やシンガポール周辺国にある商社との商談をオンラインで実施するほか、高知県酒造組合とも連携いたしまして、現地に居住する日本人を対象に、オンライン土佐酒セミナーを開催するなど、新しい試みもスタートさせたところであります。 今後、県では、国内外におけますオンライン商談の仕組みづくりを早急に進めるということにしておりまして、シンガポール事務所においてもこの仕組みを活用して、県内事業者との情報共有を一層強化してまいりたいと考えております。 また、事務所の活動内容を広く県内事業者や県民の方々に広報することは、輸出促進はもとより、シンガポールと高知県のさまざまな交流活動にもつながることが期待されます。そのため、高知県貿易協会のホームページにおいて、事務所の取り組みなどの情報発信を行うとともに、商工団体の広報紙への掲載であるとか、県内事業者や学校などのニーズに応じた講演会の開催などにつきましても、積極的に対応してまいりたいと考えております。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) 高知港長期構想における潮江地区のにぎわい創出事業の今後の進め方についてお尋ねがございました。 現在、ことし1月に策定いたしました高知港長期構想の実現に向けまして、潮江地区につきましては魅力あるにぎわい空間を形成する緑地を、今年度末を目標に高知港港湾計画に組み入れる作業を進めております。 先ほど知事からも申し上げましたとおり、にぎわいのあるまちづくりのためには、高知市や関係機関などの意見を踏まえ、進めていく必要がございます。このため、今後は高知市など関係者が集まった協議の場を設けるなどして、さらに議論を深めていきたいと考えております。   (文化生活スポーツ部長岡村昭一君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) まず、国の第2次補正予算に盛り込まれた私立学校の授業料減免支援の周知などについてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の影響により家計が急変した世帯への授業料の減免支援につきましては、国の第2次補正予算案の閣議決定後速やかに各私立学校に対し、その内容を周知いたしました。今後、各学校では、保護者の皆様に対し今回の減免制度の周知を行い、対象となる世帯からの申請に対応することとなってまいります。 県といたしましては、今後とも各学校に対し必要な情報の迅速な提供に努めますとともに、申請手続などに関する学校からの相談に適切に対応することで、対象となる方々に確実に授業料の減免支援を受けていただけるよう、学校と連携して取り組んでまいります。 次に、私立中学校の授業料への支援の拡大についてお尋ねがございました。 本県では、平成12年度に私立小中学校に在籍する児童生徒に対する授業料減免支援制度を創設し、その後の拡充を経て、現在の制度では、家計急変世帯や生活保護世帯、住民税非課税世帯を対象に授業料減免を行う学校法人に対し、その3分の2を補助しております。この制度により、私立中学校に在籍する市町村民税非課税世帯の生徒の場合、授業料が全額免除され、私立高等学校の生徒への支援と同等の支援を受けていただくことができるものです。 他方、国の修学支援制度におきましても、私立中学校について平成29年度から令和3年度までの5年間、授業料の負担軽減の実証事業が実施されておりますものの、高等学校への支援と比較いたしますと、対象となる世帯の広がりや金額が十分でないと考えております。このため、この制度の恒久化と支援の拡充につきまして、引き続き全国知事会を通じて国への要望を行ってまいります。 次に、私立学校におけるタブレットの導入についてお尋ねがございました。 タブレットの導入を初め、学校におけるICT環境を整備することは、公立、私立を問わず、新学習指導要領において学習の基礎となる資質、能力として位置づけられている情報活用能力などを養う上で、また災害や感染症などによる学校の臨時休業等の緊急時において、子供たちの学びを保障するという点からも重要であると認識しております。 県内には従前からタブレットを活用した学習に取り組んでいる私立学校もありますが、今回のGIGAスクール構想に基づく国の補助制度を活用し、同構想の計画期間である令和5年度までの間に、複数年にわたって計画的に整備することを検討している私立学校もあるとお聞きをしております。 このため、国に対しましては、私立学校については当初の計画どおり令和5年度までの支援を継続していただく必要があることをお伝えしております。現時点では来年度以降の予定については明らかになっておりませんが、今後の国の動向を注視するとともに、適宜の要望なども行っていきたいと考えております。 次に、県史編さん事業の進め方と進捗状況についてお尋ねがございました。 県史の編さんにつきましては、編さんの基本方針を本年度末までに策定することとしております。これに向けまして、これまでに2回の検討委員会を開催いたしましたほか、委員への個別のヒアリングや他県への聞き取りなども行っており、来月をめどに基本方針の素案を固めたいと考えております。来年度からは、この基本方針に基づき県史の編さんに着手してまいります。 まずは、市町村や関係団体への聞き取りなどによりまして、全県的に歴史資料の所在を確認した上で、資料数が比較的多く、また散逸の懸念が大きいと思われる近世及び近現代の資料調査から取り組んでいきたいと考えております。あわせて、県史編さん事業や関連調査の実施につきまして、広く県民の皆様への周知も行い、貴重な歴史資料の散逸防止に努めてまいります。 次に、県立文化施設のさらなるオンライン活用についてお尋ねがございました。 これまで県立文化施設では、主に企画展の御案内として、展示の概要などをフェイスブックやツイッターなどで発信してきております。こうした取り組みは、来館者アンケートなどの結果からも、一定の誘客に結びついているものと考えております。また、議員のお話にもありましたように、新型コロナウイルス感染拡大に伴う休館時には、インターネット上で、企画展の一部を学芸員の解説つきで観覧していただける取り組みなども行い、高い評価を得たところでございます。 今後、こうした取り組みの効果を検証し、誘客につなげるためのより効果的な情報発信の手法などにつきまして、各文化施設や関係機関と協議を行いますとともに、必要に応じて専門家の御意見などもお伺いしながら、検討してまいりたいと考えております。 最後に、県有施設のキャンセル料の還付措置の延長についてお尋ねがございました。 県立文化施設の使用予約のキャンセルにつきましては、国や県が新型コロナウイルス感染症対策として、イベント等の自粛を要請した本年2月下旬から5月末までの間につきましては、通常であればお支払いをいただいておりますキャンセル料を、主催者に対し全額還付しているところでございます。6月以降におきましても、国がイベント開催を段階的に緩和していくための移行期間として定めた7月末までのキャンセル料につきましては、全額還付とすることを予定しております。 その後の取り扱いにつきましては、国の動向なども注視しながら、新型コロナウイルス感染症の状況に応じて、適切に対応してまいりたいと考えております。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、インターネットに関連する人権教育や情報モラルの向上についてお尋ねがございました。 インターネットの利活用が一般化している情報化社会の中にあって、自分や他人の個人情報や人の悪口を書き込まないことなど、低年齢層から人権を尊重する態度や情報モラルの育成に努めることが重要となってきております。 県教育委員会では、ことし3月に高知県人権教育推進プランを改定いたしまして、今年度からインターネットによる人権侵害を含む11の人権課題の解決に向けて、幼・小・中・高と連携した人権教育を進めることとしております。 また、情報モラルに関する学習は、学習指導要領にもその重要性が位置づけられ、社会や技術、道徳科などで、小・中・高等学校のそれぞれの発達段階に応じた授業実践が教科横断的に進められております。県教育委員会では、これらの授業実践を支援するため、情報モラル教育実践事例集を作成するとともに、県警察や大学等と連携した情報モラルに関する教材開発や、インターネットの正しい利用に関する出前講座、リーフレットを活用した啓発活動を実施しております。さらには、県内の全高校生を対象とするSNSを活用した相談活動にも取り組んでおります。 今後も、高知県人権教育推進プランの活用が徹底され、子供たちが安全にインターネットの利活用ができるように、人権教育や情報モラル教育のさらなる充実に向けて、関係機関と連携しながら横断的な取り組みを進めてまいります。 次に、インターネットの閲覧制限についてのお尋ねがございました。 本県では、全ての県立及び市町村立の学校において、安全・安心にインターネットを利用することができるよう、県教育委員会の教育ネットにおいて、統一してセキュリティーの確保等の対策を講じているところです。 また、児童生徒の発達段階に応じて、有害なサイトの閲覧を制限するフィルタリングにつきましては、教育上の必要性を踏まえ弾力的に運用しており、従来閲覧制限をかけていましたユーチューブにつきましては、先般の臨時休業中に公開いたしました動画教材を視聴するため、この制限を解除したところでございます。ウイルス感染等の予防のために、一部のアプリケーションの利用についても制限をかけているところですが、タブレット端末等の整備に伴いまして、教育効果を上げる観点から必要なものについては、セキュリティーの確保に留意しながら、制限解除に向けた見直しを検討してまいります。 今後も、利用者であります各市町村教育委員会とも協議しながら、安全・安心なインターネットの利用と、タブレット端末等の有効活用のバランスを見きわめつつ、適切に運用してまいります。 次に、オンライン教育に関する私立学校との情報共有についてのお尋ねがございました。 県内の私立学校の中には、タブレット端末等を効果的に活用した教育が行われている学校もあると承知しております。こうした県内の私立学校も含めまして、効果的な取り組みを参考とし、本県の子供たちの学びの充実に生かしていくことは大変重要であると認識をしております。 まず、本県の高等学校の校長協会の会議等におきましては、公立と私立のそれぞれの校長が参加をしておりますことから、このような機会を活用しまして情報共有を図ることなどについて、今後相談をしてまいりたいというふうに考えています。 また、県教育委員会としましても、今年度からICT教育の先進自治体に教員を1年間派遣することなどによりまして、さまざまな取り組みの研究を進めているところであり、この成果報告会などの場に、私立学校に対しても案内することなども検討してまいりたいというふうに考えております。 最後に、ICTの専門人材による相談体制の整備についてお尋ねがございました。 情報インフラの整備を効果的、効率的に実施するためには、高度な専門性が求められますことから、GIGAスクール構想の実現に向けたネットワーク環境の整備に際しては、教育政策課と、教育政策課に配置しております情報アドバイザーが各学校や市町村教育委員会等を訪問し、整備に係る助言を行ってまいりました。 また、タブレット端末の整備につきましても、県下統一の仕様書の作成や、県と市町村による合同入札の実施等を進めてきたところです。さらに、ICT機器に係る基本的な操作について、民間事業者に委託し、学校や市町村教育委員会が随時相談できるヘルプデスクを設置して対応を図っています。今後とも、こうした取り組みを通じ、適切に各学校や市町村教育委員会等の支援を行ってまいりたいというふうに考えております。 また、教員がICT教材を実際の授業で活用していく場面でのサポートにつきましては、ICTの理解に加えて高度な教育に関する専門性が欠かせません。現在、県教育委員会にプロジェクトチームを設置し、ICTの授業への活用方策について研究を実施することとしているところでございます。こうした研究成果も踏まえながら、指導主事等が学校へ訪問する際などに指導・助言を行い、日々の教育活動へのICTの活用についても支援を行ってまいりたいというふうに考えております。   (観光振興部長吉村大君登壇) ◎観光振興部長(吉村大君) リカバリーキャンペーンの県民の皆様向けのPRについてお尋ねがありました。 県民の皆様に広くお伝えするための取り組みといたしましては、キャンペーンの特設ホームページやSNSによる情報発信のほか、県内の新聞やテレビなどのメディアを通じたPRを実施してまいります。また、多くの皆様が立ち寄る観光施設や観光案内所、道の駅、宿泊施設などに、周知のためのポスターやチラシを配布してまいります。さらに、今議会には担当部局から、県内に路線網を持つ地元の鉄道や路面電車、バスを初めとする公共交通機関の車両ラッピングなどを活用したPR予算を御提案させていただいております。 こうした広報を通じまして、県内で宿泊することを前提に交通費用を助成するキャンペーンを県民の皆様にわかりやすくお伝えし、十分に活用していただけるよう努めてまいります。 ◆25番(大石宗君) それぞれ御答弁いただきましてありがとうございました。 第2問とあわせて、要請と質問をさせていただきたいと思います。まず、お願いからですけれども、ふるさと納税で税収格差の是正といいますか、偏在性についてもやっぱり一定役割があったという御答弁をいただきました。いろいろとふるさと納税ありましたけれども、やはり高知県としてはしっかりこれからもこの制度を守っていかなければならないという立場で、引き続き頑張っていただきたいというふうに思います。 それから、イベントの件でもこれからの経済回復にイベント開催は欠かせないという大変力強い御答弁をいただいたところであります。やはり県のやり方、動向というのを皆参考にしておりますので、県のさまざまな取り組み、そしてその基準については、できるだけわかりやすい形でまた周知もしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。 それから、U・Iターンといいますか、移住のところで、支援金については考えない、手前のところで支援するというお話を産業振興部長からいただきました。確かに市町村も支援策はありますけれども、市町村の場合は、ほぼUターンあるいはIターンに限定されておりまして、それ以外の皆さんには余り制度がないように思います。それから、国の制度が東京23区から来れば60万円あるのに、それ以外は全く0円ということで、非常に格差を感じる方も多いというふうに思います。 そういう意味では、また移住者住宅も、これから暑い時期ですけれども、クーラーがついていないとか、ただ住宅に入って何年も住むわけでないのに、じゃあクーラーを今から入れるのかとか、いろんな悩みがあるように思います。引き続き、いろんな現場の実態と移住者の声にまた耳を澄ませていただきたいということを、お願いしておきたいというふうに思います。 それから、県市連携の潮江工区のことで、土木部長から緑地化の計画の話や協議会をつくるというお話もいただきました。知事からも非常に前向きな御答弁をいただきました。高知市も一体となって活動するということでありますし、久しぶりに非常に夢のある事業になろうかと思いますので、ぜひ前向きに進めていただきたいということをお願いしたいというふうに思います。 それから、タブレットの導入について。タブレットはこれから非常に教育の基本的な基盤になろうかと思いますけれども、公立学校はことしじゅうに全て整備をされるのに、私立の学校は2年、3年かかる可能性があると。しかも、インフラの整備も私立は自前である程度しないといけないということで、非常に負担が大きくなっております。国の制度を延長してもらうということも非常に重要なことですし、そういった御答弁をいただきましたけれども、引き続きぜひ目配りをしていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。 それから、もう一点お願いでありますけれども、ウトコと、それからテルメのことであります。ちょうどきのうで事業者撤退ということで、本当に質問の中でも言いましたけれども、あそこを塩漬けにずっとしておくというのは非常に問題がある、高知県はとても損失だというふうに思います。そういった中で幾つかの支援策についてきょうは具体的に御答弁もいただきましたので、非常に心強く思っておりますけれども、両市とも話を聞くと県までなかなか相談に行けていないという状況もあるようです。地域本部などがサポートをしっかりしているということもあわせて聞いておりますけれども、ぜひともこれまで高知県が培ってきた人脈、ネットワークが非常に大きいものがあろうかと思います。産業振興計画を含めて、そこはぜひお力を入れていただきたいというふうに思います。 そこで、3つほど質問をさせていただきたいと思います。政策の優先順位のところで、これは非常に知事にとっては失礼な質問になるかもしれませんけれど、5つの基本政策と3つの横断的政策について、引き続きやっていくということであります。これ非常に練り上げられた尾崎県政からのすばらしい私は基本の柱だというふうに思いますけれども、一方で濱田知事もこれから県内随分回られると思います。コロナという前代未聞の出来事もあります。どこかの時期でこの5つの基本政策と3つの横断的政策という基本的な政策についてもやはり議論をしていく、見直しとは言いませんけれども、議論をしていくということも重要ではないかというふうに思います。そのあたり知事が現時点でお答えできる範囲で、これから先のお考えを伺いたいというふうに思います。 それから、財政調整的基金で130億円という具体的なお話をいただきました。ちょうどこの金額は、令和2年度の当初4月1日時点でたしか130億円ぐらいだったと思います。その後、コロナがあったり、あるいは県の制度融資でこれはすぐなくなるお金ではありませんけれども、120億円を超える負担というのもまだあるという中で、この財政調整的基金の現状と今後については今一体どういった感覚でおられるのかということを、これも知事にお伺いをしたいと思います。 そして、もう一点は、事業承継についてであります。沖本部長から、これからセンターなどもサポートして強力にやっていくという、こういう力強い御答弁をいただきましたけれども、この事業承継、これまで県が前に立ってやってきたようなことは、ちょっとなかったんではないかというふうな感触を受けております。事業承継は、時期を逸すると非常にもったいないといいますか、もう本当に時期を見て、しっかり前へ出るところは出ていかないといけないという状況だと思います。これまでとは違う一歩進んだ対応も必要ではないかというふうに思いますけれども、そのあたりの感覚について商工労働部長にお伺いをして、3問再質問とさせていただきます。 ◎知事(濱田省司君) 大石議員の再質問にお答えをいたします。 1点目が施策の優先順位の中で5つの基本政策、3つの横断的な政策、これは位置づけ自身の見直しはあり得るのかということだと思います。現時点におきましては、この大きな柱でございますので、柱立てを変えるべきだというようなところをアフターコロナ、ウイズコロナを考えましても、明確なイメージを持っているわけではございません。むしろ、例えば同じ日本一の健康長寿県構想にしましても、その中で今回新しい構想に移行する中で、政策の柱立ては再編成をしたというようなことがあります。そうしたレベルでの見直しといいますか、体系の組みかえといいますか、そういったレベルの話はこれまでもやっておりますし、恐らく特にそれからさらに事業ですとか個別の施策レベルになりますと、アフターコロナの中で随分と比重の置き方が変わったり、新しいものが入ったり、こういったことはあるというふうに思います。 そこから先の時点につきまして、ただいま具体的なこうあるべきという方向を持っておるわけではありませんが、そうしたアフターコロナ、ウイズコロナの見直しも経ていく中で、さらに5本の柱立て自身について手直しといいますか、そういったものも必要ではないかというような局面が生じましたら、それはそれで何というんですか、いわゆる不磨の大典ということまでは思ってもおりませんので、これがですね。それは必要な場合にはそういったものを検討し、また議論をさせていただくということではないかというふうに思っております。 2点目が財政調整基金についてでございますが、今130億円程度という数字を具体的に申し上げました。ちょうど現在の残高程度ということでございます。これは財政運営の安定性ということを考えれば、先ほど申しました5%の赤字相当の1年分ということでありますが、私自身も島根県で大変厳しい時期に財政運営に携わった経験からいいますと、大きな制度の見直しとかになりますと、これは2年、3年かけてやっとできるかというようなことも多いわけでございますので、そういったことを考えますと、でき得るならば、それはこれの2年、3年分ぐらいの残高があったほうが本当は望ましいということは言えると思います。 ただ、これはこの財調基金の残高をふやすこと自身が目的であってはならないと思っておりますので、あくまで県民のための施策をやっていく中で、あとは財政運営の状況とのバランスをとって考えていくというべきものだと思います。 また、逆に言いますと、過去の本県の財政運営あるいは基金の取り崩し状況を見ますと、実際130億円という数字そのものは絶対水準ということでは必ずしもないと。それは、必要な場合には必要な取り崩しも行って県民のために施策を打たないといけない、特にこのコロナ感染症ですとか災害、こういった非常事態によってはということを思っております。 まとまりませんけれども、そういったことで、これといった定量的な線引きは難しいかと思いますが、いずれにいたしましてもある程度の残高は持っておきませんと、毎年の予算編成をする中に財源不足はどうするのかというところのお答えをお示しできないということになりますと、これは毎年の財政運営の中でも非常に厳しい状況に入ってしまうということがございますから、そういった先々の持続可能性といいますか、そういったものを県民の皆さんに感じていただけるようなボリュームを財政調整基金としては持っておきたいという思いを持っております。 以上でございます。 ◎商工労働部長(沖本健二君) 事業承継につきまして、少し県として前に出ていなかったんじゃないかという御指摘がありました。産業振興計画の中でもこの事業承継というのは重点項目の一つとして、特に今年度の重点項目として常に協議するような項目として今挙げております。 そうした中、実務的に申しますと、事業承継ネットワークには県も入っておるんですけれども、事業引継ぎ支援センターの経費に関しまして、やはり国が商工会議所に対して、商工会議所におりているということで、少し県と直接のお金のやりとりとかがないもんですから、そこのところで少し、もっともっと連携を深くして、一緒になってやっぱりやっていく必要があるというふうに考えております。 ことしの事業承継に関しましては、課題をお互いに抽出をしながら、特にこのコロナで事業承継が求められることになろうかと思いますので、力を入れて早急に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ◆25番(大石宗君) どうもそれぞれありがとうございました。 最後になりますけれども、このコロナの期間中に、さまざま知事の記者会見というのがありました。私も、何人かの県議の皆さんと一緒に記者会見を見に行って、知事のお言葉を聞いていましたけれども、非常に御自身の言葉で丁寧に、そして自分自身の科学的ないろんな数値をもとにしながらお話しされる姿勢と、もう一つ温かさを感じたところであります。きょう、日高村の皆さんのお話をさせていただいたときに、本当に温かい御答弁をいただきました。そういった温かさのある知事とともにこれから仕事ができるということをうれしく思っていますし、基本政策のことも少しお話がありましたけれども、ぜひそういった知事のカラーを引き続き政策的にも大きく出していきながら、濱田県政がまた発展をしていただきたいというふうに思っております。 以上で私の一切の質問を終わらせていただきたいと思います。きょうはどうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(西内健君) 暫時休憩いたします。   午後2時47分休憩-----------------------------------   午後3時10分再開 ○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 5番金岡佳時君。   (5番金岡佳時君登壇) ◆5番(金岡佳時君) 議長の指名をいただきましたので、通告に従いまして質問をさせていただきます。自由民主党の金岡佳時でございます。 昨日、そして本日の質問の中には私の質問と同じ質問が幾つかあり、重ねての質問となりますが、よろしくお願いを申し上げます。 昨年末から始まりました新型コロナウイルスの蔓延はとどまることを知らず、WHOの6月18日付の状況報告によりますと、その前日から新たにふえた感染者は約18万人に上り、1日当たりとしては過去最多のものとなっております。 日本では、理由がわからないと言われながらも、とにかく収束の兆しを見せ、緊急事態宣言は5月25日に解除をされ、6月19日には政府が自粛を求めていた都道府県をまたぐ移動も解禁をされたところであります。 高知県も2月28日に最初の感染者が確認されて以来、毎日の発表に一喜一憂するといった毎日が続いたわけでありますけれども、4月29日以後、感染者は確認をされておりません。これはとりもなおさず、県当局、健康政策部の的確な対応と、医療センターを初めとする医療機関の医師、看護師そして多くの関係スタッフの頑張り、さらに県民の皆様の協力のおかげであると思います。特に医療関係者の皆様におかれましては、毎日毎日がどうなるかわからないような混乱の中で心ない偏見や差別、感染への恐怖などいろいろな困難があったことと承知をしております。改めまして心から敬意を表すると同時に、感謝を申し上げます。 また、経済対策でも3月に追加提案補正で県独自の新型コロナウイルス感染症対策融資を創設、多くの事業者に御利用いただいております。ちょうど、資金繰りが厳しくなっている、すぐに利用できる融資があればよいのだがという話があったところでありました。実に的確で効果的な取り組みでありました。高く評価をいたしたいと思います。余り派手さはないですけれども、一番大事なところを見抜き、どういう手を打っていくか冷静に判断をする濱田知事ならではの手腕を見せていただいたような気がいたしました。ありがとうございました。 先日、厚労省によって3都府県で約8,000人を対象に抗体検査が行われました。その結果、抗体陽性率は東京都で0.1%、大阪府で0.17%、そして宮城県では0.03%でありました。高知県の抗体陽性率も宮城県程度ではないかと思われます。そういたしますと、高知県民のほとんどが罹患をしていないということになります。 先月18日、新型コロナウイルス禍への対策として都市封鎖を実施していないスウェーデンも、国民抗体保有率が約6.1%にとどまっているとの報道がありました。このように、感染をしての集団免疫の獲得は極めて困難であると思われます。そういたしますと、特効薬やワクチンの開発を待たなければならないということになります。高齢化率の高い高知県ではなおさらであります。 この新型コロナウイルス感染症の終息にはどれくらいの期間がかかり、どのように終息すると考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 また、第2波、第3波が来たときの経済対策はどのようなものを考えておられるのか、そしてまたその際の財源をどのように考えておられるのか、あわせて知事にお伺いをいたします。 約100年前に、ちょうど現在と同じようにスペイン風邪と呼ばれるインフルエンザが世界中で大流行し、3年間3度にわたって猛威を振るいました。全世界の死者は2,000万人から4,000万人、日本では約38万8,000人の方が亡くなっております。本県でも流行の第1期、1918年8月から1919年7月には14万7,253人の患者が発生し、924人の方が死亡しております。第2期、1919年9月から1920年7月には5,002人の患者が発生し、486人の方が死亡しております。当時の人口は、日本全体では現在の約半分、高知県では現在とほぼ同じであります。当時、ウイルスというものはほぼ知られていなかったので、治療薬やワクチンはなく、対策はマスク、うがい、換気、クラスター対策、そして隔離というものでありました。 今回の新型コロナウイルスについても、コロナウイルスということはわかっているのですが、どのような特徴があるウイルスかはわかっておりませんので、特効薬やワクチンはなく、開発が待たれるところであります。対策としては100年前と同じで、アルコールなどによる消毒、手洗い、3密の回避、ソーシャルディスタンスが新しく加えられたところであります。病院での治療は比べるべくもなく進歩しており、県民にとっては大きな安心感をもたらしております。 100年前も、感染対策をとりながら経済活動や文化活動を復興させております。しかし、100年前と決定的に違うのは人の動きであります。日本中のみならず世界中の人々の往来がある中で、どのように安全を確保し経済活動や文化活動、日常生活を続ければいいのか。特に高知県はお酒を飲む機会が多く、献杯や返杯に見られるように人と人との距離が特に近く、皿鉢を囲んで和気あいあいと話をするというように、個人個人ではなく、できるだけ大勢が集まって楽しむといった文化を持つ県であります。 そのような状況の中で、いわゆる新しい生活様式とはどのようなものを考えているのでしょうか。一人一人の距離をとるとか、使う道具は全てそれぞれ個人専用にするとか言われてはおりますけれども、今までのように長い時間の中で形づくられたものではないわけであり、いわば全てが白紙であります。 事業所や学校、宴会や会議など全ての場面で土佐の新しい生活様式のガイドラインを、国のガイドラインを参考にしてつくらなければなりませんし、そしてそれを普及啓発していかなければならないと考えておりますが、県としてどのように取り組んでいかれるのか、また新しい生活様式に対する知事の御所見もあわせてお伺いをいたします。 コロナ禍の中においては、県の政策も今までと同様の手法では対応ができないわけであります。知事も先日、産業振興推進本部会議の中で、オンライン商談に必要なシステムやツールをまとめた事業者マニュアルの作成、多言語の県産食材PRサイトの開設、移住促進では相談会のオンライン化などの話をされたそうでありますが、要は人と人が直接接触しないこと、距離をとることが求められますので、でき得るものは全てオンライン化を進めるということになるのではないでしょうか。 今回、新型コロナウイルスの流行は、第1次産業にも花卉農家を中心に大きな打撃をもたらしました。国、県ともにそれぞれ経済対策を講じてはおりますけれども、基本は以前と同じように、しっかりと消費をしていただくことでありますので、まずは地産地消の徹底を図ることであろうと思います。スーパーを営む事業者の皆様方に地元産品の販売の強化をお願いすることや、直販所のさらなる充実などが必要であると思われます。そして、外商に向けたオンライン化でありますが、ネット通販の拡充が望まれるのではないでしょうか。 しかしながら、それぞれの生産者全てがインターネットを使えるわけではありません。むしろ、インターネットを使えない事業者が大半であろうと思われます。自分たちだけでネット通販はできない、どこか近くでやってくれるところはないだろうかという声をよく耳にするところであります。それぞれの市町村と集落活動センターなどが一緒になってネット通販事業を立ち上げるなどが考えられます。ふるさと納税の返礼品の取り扱いや、返礼品そのものの開発なども期待をされます。 直販所の強化と外商に対応したインターネット販売について、どのように進めていかれるのか、農業振興部長に御所見をお伺いいたします。 次に、観光についてお伺いをいたします。2017年440万人、2018年441万人、2019年438万人と、ほぼ440万人観光が定着したように思われる成果を上げた高知県観光に、新型コロナ禍は暗い影を落としました。そして、観光にかかわる業者の皆様方は大変な御苦労をされております。何とかしなければならないという思いは県民全員が共有しているものと思われます。 今、コロナ禍の中で、人々の移動を制限すれば経済が死に、制限を緩めれば人の命が危うくなるといった二律背反の状況にあり、観光は特にその傾向が顕著にあらわれる産業であると思います。しかも高知県にとっては極めて重要な産業であります。どうやって観光を復活させるのかが経済を復活させる鍵であるとの考え方から、国ではGo To キャンペーンの予算が組まれ、8月ごろから始まるのではないかと言われております。 高知県でも県内モニターツアー造成支援事業を立ち上げ、取り組んでおりますけれども、お隣の愛媛県では1人1泊5,000円の割引、香川県では1人1泊当たり1万円を上限に半額の補助、徳島県では1人当たり1泊上限5,000円の助成が行われております。全てそれぞれの県民向けでありますけれども、特に愛媛県はきょうから県外観光客も対象としております。また、日本全国、各県で同じような取り組みがなされております。 その中で、四国では5月28日以降ほとんど感染者が出ておりません。そこで、全国から四国に大きな関心が寄せられているようであります。この際、四国4県が連携・協調し、観光客を受け入れる必要があるのではないでしょうか。人の制限を無制限に緩めてしまいますと、経済も人命も大きな痛手をこうむることになります。安全を確保しながら、着実に経済のエリアを広げていくことが肝要であると思います。そのためには、しっかりとした水際対策も考えなければなりません。 観光や、それぞれの県民の往来、水際対策など四国4県が連携・協調していくことについて、知事の御所見をお伺いいたします。 また、感染を防ぐためには3密を回避しなければならないとずっと言われております。この3密の回避が、日本における感染者数の少なさにつながっているのではという説もあるほどであります。その中の2密は密集、密接であり、人の行動でありますが、密室は部屋の構造の問題であります。すなわち、部屋を改修すれば解消される問題であります。 南海トラフ大地震対策として、建物の耐震化が進められておりますけれども、それと同様に新型コロナウイルスの感染対策として、換気設備の整備をすることが必要であると考えてきたところです。現行でも、学校での換気設備の整備を進めていることや、換気設備の整備の補助制度があることは承知をしております。飲食店やホテル、旅館、病院や介護施設など多くの施設で必要とされており、今回の6月補正で計上されている事業は、まさに時宜を得たものであると考えております。構造的に換気設備の整備が困難な施設では、業務用の空気清浄器も有効であると思います。 人の集まる施設に換気設備の整備を促していくことは、新型コロナウイルスの感染防止の観点から極めて重要であると考えますが、商工労働部長の御所見をお伺いいたします。 また、客足の回復を図るためには、飲食店やホテル、旅館などを安心して利用していただけるよう、施設の消毒の徹底や従業員のマスク着用、客席間隔の確保、換気設備の整備などの感染予防対策をさらに進めていく必要があると考えますが、健康政策部長の御所見をお伺いいたします。 これから徐々にではありますが、経済活動も文化活動も、学校も日常生活も、新しい生活様式の中で今までと変わらないような営みが続けられるようにしなければなりません。要するに、人が動けるようにしなければなりません。そのベースになるのが、私は医療だと思っております。しっかりとした医療体制が整っていれば、安心して経済活動もできますし、日常生活も不安なく送れるわけであります。 一たび医療崩壊を起こしますと、経済活動や文化活動は言うまでもなく、人の動き全てがとまってしまいます。感染爆発が起こったときは医療現場が最前線であり、最後のとりでとなります。今後30年以内に80%の確率で起こると言われる南海トラフ大地震への備えは、津波避難タワーや三重防護の防波堤など着々と整備がされてきております。しかし、感染症対策はSARSやMERS、そして鳥インフルエンザと発生してきましたが、私たちには直接大きな被害も出なかったので、感染症の大流行はあり得るとわかっていながらも、余り強い危機感は持ちませんでした。 しかし、今回新型コロナウイルスの流行を目の当たりにし、新型コロナウイルスの恐ろしさを痛感したところでありますが、それにも増して、人の動きをとめてしまうこと、経済をとめてしまうことが、世界中の人々に想像以上に大きな影響をもたらすことを知らされたところであります。したがって、南海トラフ大地震対策と同様に感染症対策をしなければならないのではないかと思うところであります。第2波、第3波への準備を万全にしなければなりません。 流行の真っただ中では、N95マスクや防護服などの防護具が足りない、ベッドが足りない、何もかもが日本中で足りないという報道が毎日のようにされていました。この新型コロナウイルスと闘うための武器がなければ何ともなりません。まず、PCR検査体制についてですが、高知市保健所にPCR検査装置を新設し、1日約260人の検査体制になると聞いておりますし、受け入れ病床数も166床確保されたと聞いております。 着々と第2波、第3波への準備がされており、心強く感じているところでありますが、医療現場の感染を防ぐ防護具は必要数が確保できているのか、医療器材などはどうか、またいざというときのそれぞれの資器材の供給体制は整っているのか、そして何よりも求められる医療現場の人材確保など、第2波、第3波への対策の現状と、今回の経験を通じて得られた知見から見えてくる課題、そして対策を健康政策部長にあわせてお尋ねいたします。 また、民間医療機関の経営状況も外来患者の減少によって厳しいものになっていると聞きます。その対策について健康政策部長の御所見をあわせてお伺いいたします。 一番感染リスクの高い医療現場のオンライン化は必須であると考えます。できるだけ感染者と接触しないで見守ることができ、医療従事者の感染防止につながります。それぞれの病院のオンライン診療も同様の効果があると思います。 感染者病棟のオンライン化と民間病院のオンライン診療の現状と課題、対策と今後の見通しなど、服薬指導もあわせて健康政策部長に御所見をお伺いいたします。 次に、この新型コロナウイルスは、風邪などのコロナウイルスと全く違うウイルスで、当初何もわからないという状況でありました。37.5度以上の熱が4日間続いたらPCR検査をするとか言っていたのが、無症状の感染者がたくさんいるとか、あるいは味覚、嗅覚が失われる症状が出るとか、消毒薬では次亜塩素酸水が効くとか効かないとか、薬ではアビガンが効くとか効かないとか、解熱剤ではイブプロフェンは使ってはいけないとか、抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンは新型コロナには効果がないとか、そのほかシクレソニド、ナファモスタット、イベルメクチンなどいろいろな薬の名前や情報が錯綜しております。何が正しくて何が間違っているのかわかりません。 いろいろな論文や報告、いろいろな情報を精査、研究、状況の分析など、感染症についてより高度な対応ができる組織づくりが必要ではないでしょうか。そこで得られた情報を県民に知らせられれば、間違った情報に踊らされることもなくなりますし、医療現場での投薬についても確かな情報に基づいて使用ができるようになると思います。今、世界中で毎日のように新型コロナウイルスに関する論文や報告、新たな情報が発信をされております。さらに、また中国で新型インフルエンザウイルスが発見されたというニュースも流れております。 最新かつ正しい情報を県民に発信するとともに、より高度な感染症対策を講じるためには、公衆衛生医師を確保するなど、県の組織づくりが重要と考えますが、健康政策部長の御所見をお伺いいたします。 また、この情報は確かなものかどうかはわかりませんが、新型コロナウイルスは、夏よりも冬が流行しやすいのではと言われております。さらに、新型コロナウイルス肺炎とインフルエンザの症状が非常によく似ているようでありますので、もしインフルエンザの流行と重なれば大変な混乱を起こすのではないかと言われております。 確かな情報でないとしても、インフルエンザの対策をしておくにこしたことはないわけでありますから、ことしは早目に、より多くの県民の皆様にインフルエンザの予防接種を受けていただくよう、啓発活動を進めていく必要があると思いますが、健康政策部長の御所見をお尋ねいたします。 今、県では高知あんしんネットの構築を急いでいるところであると思いますが、このコロナ禍の状況下においては、極めて有効に使えるのではないかと思われます。特に、高齢者福祉施設と医療機関の連絡・連携がスムーズにいけば、新型コロナウイルス対策に威力を発揮するのではないかと期待をされるわけですが、現在の進捗状況について健康政策部長にお伺いをいたします。 次に、高齢者福祉についてお伺いをいたします。 全国を見てみますと、高齢者福祉施設でクラスターが発生し、深刻な被害が出ております。高齢者福祉施設での対策は、マスクや消毒液などの物品購入や外部専門家等による研修実施などとなっておりますが、実際に感染者が出た場合、当該施設内で療養するのか、それとも病院へ搬送するのかで施設の対応は全く違ってまいります。施設内での療養をする場合には病院での対応と全く同様の対応となるわけです。 それぞれの高齢者施設に防護服などの防護資材は十分に備蓄をされているのか、施設そのものの簡易な改修の手順などの研修は行われているのか、さらに病院へ搬送する場合は、専用の搬送車両は用意されているのかなど、高齢者施設で想定される対応についてどのように考えているのか、あわせて地域福祉部長にお伺いをいたします。 また、高齢者施設での面会は、高齢者への感染リスクということで特に気をつけなければなりません。しかし、入所者や家族の気持ちを考えれば、訪問をしていただきたいところであります。 そこで、オンライン面会が効果的であるとのことでありますが、県下の高齢者施設における整備状況と課題、今後の対応について地域福祉部長に御所見をお伺いいたします。 中山間地域では、多くの高齢者が先祖代々受け継いできた山や畑のある山合いで生活をしております。コロナ禍の中で、出かけることが極端に少なくなり、外部からの訪問者も必要最小限となっております。要するに、その地域以外の人との接触はほとんどなくなっています。隣の家が遠い御家庭は、なおさらであります。 そうした中での安否確認はどうするのかも大きな課題となっております。これもオンラインでできれば、感染防止の面から極めて有効であります。オンラインによる見守りは、このコロナ禍の状況でなくとも中山間地域の喫緊の課題となっております。中山間地域のお年寄りの御家庭をオンラインで結ぶことができれば、見守りはもとより、オンライン診療や買い物ができ、危険な山道を車で走ることもなく、公共交通機関が運休したとしても必要最低限のものは確保でき、生活が守られることになります。 オンラインによる見守りなど中山間地域高齢者世帯のIT整備について地域福祉部長の御所見をお伺いいたします。 次に、教育についてお伺いいたします。 このコロナ禍の中で、教育についても大きな影響を受けました。いまだかつて、突発的に学校が休校になり、ほとんどの行事が中止もしくは内容の変更、縮小と、あらゆるところに影響を及ぼした状況は見たことがありません。 この長期の休校は児童生徒に学習のおくれや生活リズムの乱れ、それらに伴う不安やストレスをもたらしています。現在の児童生徒の様子はどうなのか、教育長にお尋ねをいたします。 感染防止のためにも、インターネットの活用は早急に進めなければならないと思います。今、タブレットの配備が進められておりますが、第2波、第3波がいつやってくるかわかりません。できるだけ早い整備が望まれるところであります。 7月に共同入札が行われるということでありますが、タブレット端末が品薄であるとの情報もあります。配備の予定はどのようになっているのか、教育長にお伺いをいたします。 タブレットの配備がされても、十分な容量のあるモバイルルーターが使えないなど、インターネット環境の整っていないところがありますが、どのような対処を考えておられるのか、教育長にお伺いいたします。 オンライン授業はコロナ禍での授業対応のみならず、不登校傾向にある児童生徒への対応策としても有効であると思います。教育委員会では、不登校傾向にある児童生徒への対応策として教育支援センターの設置を進めておりますけれども、本来、人となじみにくい、人と会うことが苦手であるといった児童生徒が多い中で、オンラインで会うことによって先生との信頼関係をつくる、さらにネットで授業に参加することによって教室の雰囲気になれる、そして回数を重ねていけば、他の児童生徒との信頼関係を築くことにもつながるのではと思われます。 不登校傾向にある児童生徒への対応策としてオンライン授業を活用することについてどのような御所見をお持ちなのか、教育長にお伺いをいたします。 高等学校でもGIGAスクール構想の加速化ということで、県立高校に1校41台のタブレット端末が整備をされることになっておりますが、このコロナ禍の中では、早急に県下の全生徒にタブレット端末が行き渡るようにしなければなりません、県下県立高校の全生徒に行き渡るようになるのはいつごろになるのか、教育長にお尋ねをいたします。 以前からオンライン授業をやっている学校は学校が休校になったとしても全く影響を受けておりませんし、インターネット環境が整っているところはいち早くオンライン授業を行っております。オンライン授業のできている学校とできていない学校の学力差は極めて大きなものとなっております。 日本財団の18歳意識調査によれば、休校で最も困ったことのトップは学業が37.4%、続いて友達とのコミュニケーションが20.3%、受験や進学、就職が17.8%となっております。長引く休校に58.6%が教育格差を感じている、そして学習のおくれの打開策に52.5%がオンライン授業をふやすを上げており、再度休校が行われた場合の対策もオンライン授業の導入が50.8%となっております。 来年行われる大学入学共通テストは、予定どおりの日程で行われるようであります。休校による学習のおくれの格差を是正する取り組みはどのように行うのか、間に合うようにできるのか、教育長にお伺いをいたします。 また、遠隔授業が県下全ての学校でできるようになれば、技術的にはどこの学校に通っていても、自分の受けたい授業を受けることが可能となります。もちろん制度的なこともあり、すぐには実現はできませんけれども、将来的には考えられるのではないでしょうか、教育長の御所見をお伺いいたします。 オンライン授業を行うためには、先生方の機器の操作とそれに伴う授業方法の理解が必要となります。機器の操作に関しては生徒のほうが詳しいと言われる中で、先生方の理解が急務となっております。とにかく扱ってみること、日ごろの授業に取り入れるなど、扱う機会をふやすことが必要であると思いますが、どのようにして先生方が扱えるようにしていくのか、教育長にお伺いをいたします。 いつ来るかわからない南海トラフ大地震、そして間もなく迎える台風シーズン、梅雨の終わりごろに来る集中豪雨、これらに備えて、避難所の指定がされておりますが、新型コロナウイルスの感染を防ぐために3密の対策が必要であります。県は、感染症対策に関する内閣府などの通知を受け、避難所の開設、運営などの感染症対策について市町村に依頼し、市町村はこれらを参考に、新型コロナウイルス感染対策用の運営マニュアルをつくられていると思います。 先日、長崎県内各地で大雨があり、避難指示、避難勧告が出されました。各自治体は感染対策をしながら避難者を受け入れましたが、検温など必要な対策に手が回らなかった避難所もあり、避難と感染防止の両立の難しさが浮き彫りになったとの報道がありました。 運営マニュアルを実効性のあるものにする対策はとられているのか、またそれぞれの市町村の資機材の備蓄に大きなばらつきがありましたが、避難所用の資機材についてはパーティションや非接触型体温計なども必要であると思われ、財政難の中それぞれの市町村で必要とされる予算が十分に確保されているのか、あわせて危機管理部長にお伺いをいたします。 国家戦略特別区域法改正案、いわゆるスーパーシティ法案が5月27日参議院本会議で可決、成立をいたしました。これは、最先端テクノロジーを駆使したまるごと未来都市をつくる構想を実現するものと言われております。スーパーシティ構想は、さまざまなデータの連携を可能にする基盤を通じ、必要なときに必要なデータを迅速に収集し、APIを介してテレワークや車の自動走行、キャッシュレス決済、ドローン配送、遠隔医療、遠隔教育などのいろいろな先端的サービスを連携させ、地域の課題を丸ごと解決しようとするものです。新型コロナウイルスの感染防止対策や中山間地域での生活全般をカバーできる施策として期待をされるところであります。 このようなスーパーシティ構想で国が想定しているそれぞれの施策を中山間地域において展開することは、中山間対策として有効ではないかと考えられますが、知事の御所見をお尋ねいたしまして、第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 金岡議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず、新型コロナウイルス感染症の終息の時期についてのお尋ねがございました。 多くの専門家の御意見によりますと、1つには感染症対策の柱の一つでありますワクチンの開発に現在めどが立っていないということ、また現在の国内外の流行状況--程度差はございますけれども、流行が続いているということでございます。こうしたことなどを見ますと、事態の収束には少なくとも月単位の時間では足りない、年単位の時間を要するというのがコンセンサスになっているのではないかというふうに受けとめております。 このため、県民生活への影響も長期化することを想定いたしまして、さまざまな分野の施策について中長期的な視点で取り組む必要があるというふうに考えておりますし、そうした中で、お話もございましたワクチンの開発、治療薬の開発、また普及、こういったことを待っていくと、そうした中で終息を期待していくというようなシナリオが現在一番蓋然性が高いのではないかというふうに私自身は受けとめているところでございます。 次に、いわゆる第2波、第3波に対応します経済対策とその財源の確保についてお尋ねがございました。 経済影響への対策につきましては、現在、1つには事業の継続と雇用の維持、2つには経済活動の回復、3つには社会・産業構造の変化への対応という3つの局面--フェーズに対応いたしました取り組みを同時並行的に強力に展開いたしているところでございます。 御質問がございましたように、仮に第2波、第3波という形で次の感染の波が到来をいたしました場合には、改めてまず先ほど申し上げました第1の局面--フェーズでございます事業の継続と雇用の維持に全力を挙げる必要が出てまいると考えております。他方で、現状はと申しますと感染が一定おさまりつつある、落ちつきつつある現在でございますので、新しい生活様式あるいは社会・産業構造の変化への対応をしっかりと進めていくということで、その際の県経済へのダメージを少しでも抑えていきたいと考えております。 財源の問題に関して申しますと、国におきましては、今回の第2次補正予算において、いわゆる第2波、第3波に備えまして10兆円の予備費を計上されております。そのうち5兆円程度は、雇用の維持、生活支援、事業継続さらには地方向けの医療・介護などに活用するというような方針も示されておりますので、こうしたところで国のほうとしては一定の財源の確保はされているということではないかと思います。 こうしたことを踏まえまして、県といたしましては、まずは国費を活用していくということを考えると同時に、財政調整基金の取り崩しあるいは既存の事務事業の見直しなど、あらゆる手段を使って必要な財源の確保を図ってまいります。あわせまして、全国知事会などとも連携しながら、地方に必要な財源の確保につきまして国に提言してまいる考えでございます。 次に、新しい生活様式の普及啓発につきましてお尋ねがございました。 感染状況が一定落ちつきを見せまして、社会経済活動の本格的な再開が求められる場面におきましても、しっかりとした感染防止策を講じることが前提となってまいります。県民の皆様には、新しい生活様式を実践いただくとともに、事業者の皆様には、業界ごとに作成をされましたガイドラインに沿った感染防止策を実践いただきたいと考えております。 現在、140余りの業界ごとに全国的なガイドラインが作成されております。これを本県の実態に合わせてわかりやすくアレンジをして普及を図っていくということも必要だと考えております。このため、5月15日に開催いたしました本県の第9回目の対策本部会議において、高知県の特性に鑑みまして必要となるガイドラインの追加、手直しあるいは周知徹底、こういった取り組みを行うように各部長に指示をいたしたところでございます。 既に、旅館、ホテルや飲食業などにつきましては、県内の業界団体が高知県版のガイドラインも作成をされまして、各事業者において創意工夫をした対策を講じられているというふうに承知をいたしております。県といたしましても、県版のガイドラインの作成あるいは事業者の皆様への周知について、しっかりと支援を行ってまいります。 新しい生活様式やガイドラインに基づきますと、大変に残念なことではございますが、例えば献杯、返杯などといいました、これまでと全く同じスタイルでの宴席などは、当面はなかなか難しいというふうに感じているところでございます。県民の皆様には、まずはこの新しい生活様式、ガイドラインに基づく感染防止対策に努めていただくということが第一であろうと思います。そして、今後ワクチンや治療薬が開発された際には、これまでの高知、土佐独自の文化を取り戻すための条件がそのことによって整ってくるのではないかというふうに考えております。 次に、四国4県で連携・協調いたしました観光あるいは水際対策などについてお尋ねがございました。 今回、国のGo To キャンペーンが全国一斉に展開されますが、一方で国のほうではこの観光の回復につきましては、身近な地域から段階的に全国へ拡大をしていくという方針も示されております。したがいまして、県外から本県にお越しいただく観光客の誘致に当たりましては、もとより本県独自のPRも必要でございますが、御指摘ございましたように4県で連携をした四国の周遊観光の魅力をPRしていくと、こういうことも大切だというふうに考えております。 このために、5月に行われました四国知事会議、これはウエブ会議で行われましたけれども、私から全国に向けた4県共同の誘客のPRあるいは四国内での相互のPRといったような連携をしてはどうかという提案をいたしまして、この方向性については各県知事の御賛同を得たところでございます。 これに基づく取り組みといたしましては、四国ツーリズム創造機構、これは4県や観光関連事業者などが参画しておりますので、この機構とも連携をいたしまして、四国内の観光施設を周遊する仕組みづくり、そのPRなどの準備を今進めているところでございます。 また、四国各県が予定をいたします、御指摘もございました県外観光客向けの宿泊割引などの施策を、4県のメディアでお互いに広報するといったような取り組みも予定をいたしております。 一方、4県で水際対策をというお話もございました。新型コロナウイルスの感染拡大防止につきましては、ただいま申し上げましたように国の方針により、業界団体による全国標準のガイドラインが140余り作成をされておりまして、これによりますと、例えば旅行会社で言いますと、首都圏などの出発地側の旅行会社あるいはフェリーなどの旅客船におきましては、出発前に旅行者の検温や体調チェックを行う、そして発熱のある方などには、旅行や乗船を御遠慮いただくというようなガイドラインが示されているところでございます。また、航空業界でも、発熱などの症状がある場合には利用を慎んでいただくということを、ターミナルビルの館内アナウンス等を活用して周知をする、あるいは大都市部の空港では搭乗の時点での検温と、こういったことも示されているというふうに承知をしております。 緊急事態宣言が現在では解除されておりますので、ただいま申し上げましたような対応が、経済活動と感染防止の両立を念頭にした対策というふうに言えると思いますし、出発地側で講じる水際対策という意味を持っているというふうに考えておるところでございます。 最後に、スーパーシティ構想で国が想定をいたしております施策の中山間地域における展開についてのお尋ねがございました。 スーパーシティ構想は、AI--人工知能ですとかビッグデータなどの技術を活用いたしまして、交通、医療、教育や行政手続など、国民の暮らしを支えるさまざまな分野におきまして、先端サービスを一体的に提供するものでございます。国では、この構想を通じました経済発展と社会的課題の解決を両立する新たな未来社会、いわゆるSociety5.0の実現を目指しているという状況でございます。 本年9月に法が施行されました後には、国によります区域指定の公募が予定されております。県内の市町村におきましては、情報基盤が脆弱であること、あるいはただいま申し上げました分野のうち5分野以上における取り組みが必要であるという条件が示されているということがございまして、現時点では応募に向けた動きがないというのが実態でございます。 しかしながら、この構想の取り組み例に掲げられておりますような、例えば自動走行、自動配送でございますとか遠隔医療、遠隔介護などの施策につきましては、担い手や生活基盤に課題を抱えます本県の中山間地域にとって大変有効なもの、大きな可能性を秘めたものであるというふうに考えているところでございます。 本県では、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略の中山間対策の柱といたしまして、未来技術を活用した中山間地域の暮らしの質の向上を掲げているところでございます。構想と親和性のある具体的な事業といたしまして、ICTを活用して医療・介護情報を関係機関で共有いたします高知あんしんネットですとか、小規模校へのデジタル技術を活用した授業の配信などに取り組んでいるところでございます。 今後も、このスーパーシティ構想の施策の進展状況も十分注視をいたしながら、交通や医療の分野など、中山間地域の課題とデジタル技術をマッチングさせることで、高知版Society5.0の実現と中山間地域の振興に向けて取り組みを進めてまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。   (農業振興部長西岡幸生君登壇) ◎農業振興部長(西岡幸生君) 直販所の強化と外商に対応したインターネット販売の進め方についてお尋ねがございました。 県ではこれまで、地産地消の場として定着しております直販所をさらに魅力あるものにしていくために、ワークショップ形式のセミナーを開催し、専門家の助言のもと、集荷体制の強化による品ぞろえの充実や、消費者に喜ばれる店舗づくりなどを支援しております。 また、直販所を活用した地産地消の強化として、先月にはJAの直販所、そして本日からは県内各地の直販所においてプレゼントキャンペーンを実施しております。このキャンペーンを通じて、県産農畜産物や加工品の販売拡大とあわせて、地産地消のさらなる定着を図るとともに、引き続き直販所の充実強化に取り組んでまいります。 一方、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、農畜産物の購入に当たっても、インターネットを利用される消費者がふえてきております。本県においても、例えばJA高知県のネット販売のサイトである龍馬マルシェでは、本年4月から5月までの売り上げが前年に比べ3倍を超えるなど、ネット販売のニーズは高くなっております。今後、新型コロナウイルス感染症の終息後においても、県産農畜産物の外商を拡大する上での販売ツールとして、ネット販売は必要不可欠であると考えております。 このため、県では、本年4月にJAグループ高知と設立をしました、実需者との直接取引などにより外商拡大を目指す高知県直販流通外商拡大協議会において、新たなネット販売の構築について検討を進めております。このネット販売を運営するに当たっては、魅力ある商品の品ぞろえや集荷、発送などのさまざまな課題にきめ細かく対応していくことが必要ですので、既存のネット販売の課題なども参考にしながら、新たなネット販売の構築に向けて取り組んでまいります。   (商工労働部長沖本健二君登壇) ◎商工労働部長(沖本健二君) 新型コロナウイルス感染防止対策として、換気設備の整備の重要性についてお尋ねがありました。 緊急事態宣言の解除に引き続き、全国的な移動自粛も解除されたことから、今後は新しい生活様式に対応した社会経済活動の再開をしっかりと後押しすることにより、本県産業のV字回復につなげていく必要があります。そのためにも、議員からお話のありました換気設備の整備を初め、消毒やマスク着用の徹底、さらにはいわゆるソーシャルディスタンスの確保など、感染防止対策を着実に実施していくことが極めて重要となります。 このため、個人事業者を含めたさまざまな業種の中小企業者が行います感染防止対策を支援する制度を今議会に提出させていただきました。この制度では、業種別の感染予防対策ガイドラインに基づいて実施する換気設備の整備といった施設改修や、空気清浄器といった備品の購入などについて支援することとしておりますし、実際に旅館、ホテル等からのお問い合わせもいただいております。 あわせて、医療機関や福祉施設において実施する感染防止対策の支援制度も提案されておりますし、国の補正予算においては、不特定多数の人が集まる飲食店等における高機能換気設備等の導入に対する支援制度が盛り込まれるなど、換気の重要性に着目したさまざまな支援策が設けられております。 県民の安全・安心を確保するため、さまざまな業種の中小企業者に対してこうした制度の積極的な活用を促し、県内事業者が行います感染防止対策をしっかりと支援してまいります。   (健康政策部長鎌倉昭浩君登壇) ◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) まず、飲食店やホテル、旅館などにおける感染予防対策についてお尋ねがございました。 飲食店やホテル、旅館などでの感染予防対策としては、3密を避ける、清掃、消毒を励行する、一般的な衛生管理を徹底する、まずはこの3つを徹底することが基本となります。この基本を徹底するため、県では食品及びホテル旅館関連団体が、関係する事業者に向けて新型コロナウイルス感染予防対策を啓発するためのチラシや、施設に掲示するポスター、対策を取りまとめた高知県版ガイドラインを作成する際、助言や監修を行うとともに、各福祉保健所などを通じて事業者への周知・啓発に努めてまいりました。 今後、各福祉保健所で開催される食品関係者向けの講習会などの機会を捉え、ガイドラインに関する啓発を強化してまいります。また、そうしたソフト対策に加え、ハード対策として商工労働部と連携の上、各種設備の補助制度の広報に努めて、換気装置といった必要な設備の整備につなげるなど、事業者の自主的な取り組みを後押ししてまいります。 あわせて、今後もし新型コロナウイルスに関する新たな知見が出ましたら、その知見を踏まえたガイドラインやポスター等のバージョンアップなどにも、関連団体と一緒に取り組んでいきたいと考えています。 次に、医療現場への資器材の供給、人材確保などの現状と課題、そして対策についてお尋ねがございました。 医療用マスクやガウン等の感染防護具につきましては、これまで国からプッシュ型で送られてきたものを医療機関等に配布してきており、十分とまでは言えないものの、一定量が供給できている状況です。また、4月専決の補正予算を活用しながら、県独自でも医療用としての規格基準を満たした感染防護具の確保に努めています。そして、現在は国のウエブ調査によって、各医療機関の感染防護具の在庫量が把握できる仕組みができており、不足する医療機関については、国や県の備蓄分から緊急配布を行う体制が整っているところです。 次に、医療機器については、本年6月24日現在で、重症患者の治療に必要な人工呼吸器が38の病院に277台、人工肺装置、いわゆるECMOは4病院に10台、そのうち医療センターには3台が整備されています。ただ、国の新しい推計による県内の重症患者の1日当たり患者数は多くて30名程度とされているものの、コロナ以外の患者への利用も考えますと、主に重症患者の治療を担う医療センターでは、ECMOが不足する事態も考えておく必要があります。そのため、6月12日にはECMOを保有する他の医療機関から機器と臨床工学技士などの人材を医療センターに集約するための協定を締結し、体制の強化を図っているところです。 一方、医療人材の確保については、現時点で感染症指定医療機関等の12の医療機関に166床の病床を確保し、そのために必要な人員を充てていただくようお願いをしております。県としましても、厚生労働省が6月19日から開始をした求職者に求人情報を広く案内するためのサイト「医療のお仕事 Key-Net」の利用を県内の医療機関に促すなど、各医療機関が行う医療人材の確保を支援してまいります。 次に、外来患者の減少により経営状況が厳しいものとなっている民間医療機関への対策についてお尋ねがございました。 本年4月の県内の国民健康保険及び後期高齢者医療制度における医科、歯科合計の外来診療の状況は、昨年同時期と比較して請求件数で15.1%の減少、請求額でも11.9%の減少となっており、外来受診は落ち込んでいます。本来、体調不良の医療機関受診や持病の治療のための通院は不要不急の外出には該当しないにもかかわらず、新型コロナウイルスへの感染の不安と不要不急の外出の自粛要請が影響したと考えられます。 仮に、次の波がやってきて新型コロナウイルス感染症への対策が特に重要となった場合でも、過度の受診回避により、適切な時期に受診をせずに治療開始がおくれたり、慢性疾患の管理が不十分となり疾病の増悪につながることは避けなければなりません。 そのため、このたびの6月補正予算案では、定期的、頻回な清拭、消毒等を行う環境整備や、発熱患者と他の患者が混在することを避けるための動線の確保など、医療機関等の院内感染防止対策に要する費用を補助することとしています。こうした支援も活用し、患者の不安解消につなげる一方、適正受診がなされるように、その必要性や新型コロナウイルス感染症についての正確な情報の提供も行ってまいります。 次に、感染症病棟のオンライン化と民間病院のオンライン診療の現状と課題、今後の見通しについてお尋ねがございました。 まず、感染症病棟のオンライン化については、今回県内で対応した患者の多くが軽症者であったことから、感染防止対策としては、患者への直接対応の回数を減らすなどで対応しており、病棟内における医療従事者と入院患者のオンライン対応は行われませんでした。ただ、今後の準備として、病棟内でタブレット端末を用いて患者との通信を確保することなどを検討している医療機関もあるとお聞きをしております。 次に、病院等のオンライン診療については、非対面での診療や服薬指導を実施している病院や診療所、薬局のほとんどが、現在は電話を通信機器として使用しており、オンライン化自体は進んでいないものと推察をしております。その要因としては、診療報酬の対象となったのが、オンライン診療は平成30年、オンライン服薬指導は令和2年とまだ日が浅く、患者側にとってなじみが薄いことに加え、医師の研修や設備整備など医療機関側に負担があることなどが考えられます。 県としましては、院内感染を防ぐことや、受診控えや重症化リスクの高い高齢者等への対応など、ウイズコロナの状況下での医療体制はもとより、アフターコロナの状況における在宅患者への対応や中山間地域などでの医療体制においても、オンライン化は大いに求められてくるものと考えています。そのため、今議会の補正予算案に計上している国の2次補正予算で新設された医療機関や薬局のオンライン化のための設備整備等を対象とした補助制度を、医療機関等にしっかりと周知し、積極的に活用されるよう取り組んでまいります。 次に、新型コロナウイルスへの対策に当たる県の公衆衛生医師の確保や組織づくりについてお尋ねがございました。 疾病の治療にとどまらず、社会的防御も求められる感染症対策を進めるためには、県や保健所を設置している高知市に勤務する公衆衛生医師の役割は非常に大きいと考えております。しかしながら、公衆衛生医師については全国的に人材が不足をし、本県においても大変厳しい状況にあるため、県のホームページでの募集を初め、高知大学の同窓会へのチラシの送付など、さまざまな手法を活用して確保に努めているところです。直ちに確保するというわけにはいきませんが、引き続き採用に向け努力をしてまいります。 今回、新型コロナウイルスに関してさまざま対応するに当たっては、部内に新型コロナウイルス感染症医療調整本部を設置し、そこで必要な対策の協議を行うとともに、県と高知市の公衆衛生医師同士で頻回に協議検討を行っています。また、節目節目で感染症対策協議会の先生方や厚生労働省のクラスター対策班の専門家の力もおかりしながら、最新の知見を踏まえて取り組んでまいりました。 未知のウイルスであるがゆえに、現在世界中でその正体をつかみ、効果的な対策を編み出そうと必死で研究が進んでいます。その過程において出てくるさまざまな情報の真偽を県の組織で判断することは難しいと考えますが、県の行う対策が間違ったものとならないよう、また適時に抜かりなく行えるよう、有効な組織のあり方については他県の事例なども参考に研究をしたいと考えています。 次に、インフルエンザの予防接種の啓発についてのお尋ねがございました。 インフルエンザの流行期間は、一般的に12月から翌年3月と言われています。もし新型コロナウイルス感染症の流行と重なってしまうと、インフルエンザなのか新型コロナウイルスなのか、判別のつかない発熱等の患者がふえてしまい、医療現場が混乱することが予想されます。そのため、ことしのインフルエンザの予防接種は例年以上に重要となります。予防接種は10月ごろから開始をされ、12月中旬ごろまでに接種することが奨励されており、特に高齢者や基礎疾患がある方などは、インフルエンザにかかると重症化しやすいため、その時期までに積極的に予防接種を受けていただくことが望まれます。 県では、例年新聞等を通じて、インフルエンザの流行や予防方法についてお知らせをしてまいりましたが、ことしは早目にインフルエンザの予防接種を受けていただくよう、市町村広報紙も活用させていただくなどして、これまで以上に積極的に広報してまいります。 最後に、高知あんしんネットの現在の状況についてお尋ねがございました。 高知あんしんネットは、昨年10月に運用を開始して以降、現在6月19日時点までの加入施設は440施設、またデータを共有することに同意をいただいた県民の方は3,848人となっております。 この間、加入施設の増加に向け、施設への訪問や病院以外の事業所の利用料を半年間無料化するとともに、CMの放映等による県民の高知あんしんネットへの加入活動を行ってまいりました。ただ、新型コロナウイルス感染症が拡大するにつれ、医療機関に説明ブースを設置しての患者への対面での勧誘ができなくなるとともに、3月上旬からは県外の委託業者が加入促進や接続支援のために本県に出張することができなくなったことなどにより、事業所や県民に対する加入促進活動が大きく制限をされてきました。 医療機関と高齢者福祉施設の情報連携は、新型コロナウイルス感染症対策としても有用であるとともに、より多くの事業所及び県民の方々に加入していただくことで、システムの有用性はより高まります。新型コロナウイルスの感染状況も見ながら、参加同意に向けた活動や地域ごとの説明会を再開し、新たな施設や県民の加入に向けて鋭意取り組んでまいりたいと考えております。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) まず、高齢者福祉施設における新型コロナウイルス感染症対策の状況などについてお尋ねがございました。 現在の県における福祉施設向けの防護資材の備蓄状況は、これまでの他県でのクラスター発生事例を参考に、収束するまでの約1カ月間を目安に、防護ガウンやフェースシールドなどについて3施設分程度を備蓄しております。今後の備蓄の予定としましては、さらに25施設分程度まで対応が可能となるよう、防護資材を追加購入し、必要なときに速やかに提供できるようにしてまいります。あわせて、各施設における防護資材の備蓄を促進するため、感染症対策用物品の購入を支援することとしております。 また、施設の入所者が感染した場合には、基本的に感染症指定医療機関に入院していただくこととなっていますが、大規模なクラスターの発生により病床が不足する場合など、施設での療養が必要となるケースも想定されます。そのため、国の第2次補正予算などを活用し、個室化のための改修や多機能型簡易居室の設置など、施設の感染防止のための環境整備を支援してまいります。あわせて、施設において感染防止対策の研修が実施できるよう、専門家の紹介や、その派遣に要する費用を助成するなど、必要な支援を行うこととしております。 施設から感染症指定医療機関への感染者の移送につきましては、原則として保健所が所有する移送車を用いることになっております。なお、保健所の移送車による移送が困難で、緊急を要する場合には、保健所の依頼に基づき、各消防本部の救急車による搬送ができるよう調整しているところです。今後とも、新型コロナウイルス感染症の発生に備え、高齢者福祉施設への支援を強化してまいります。 次に、高齢者福祉施設におけるオンライン面会の整備状況と課題、今後の対応についてお尋ねがございました。 高齢者福祉施設等での面会については、緊急やむを得ない場合を除き自粛をお願いしてきたところですが、6月19日をもって都道府県をまたぐ移動の自粛要請が全面的に解除されたことなどを踏まえ、感染対策を引き続き徹底した上で、各施設の判断により面会の制限を順次緩和していただくことといたしました。 こうした中、県内の特別養護老人ホーム67施設のうち22施設において、パソコンやタブレットなどのテレビ電話機能を活用したオンライン面会が可能となっています。このようなオンライン面会は、感染防止対策に加え、遠方にお住まいの御家族にとって、入所している親御さんなどとの交流の機会をふやすことができる効率的で有効な手段となっております。 施設において、オンライン面会の導入を進めていくためには、機器の導入費用への支援やオンライン面会のノウハウを職員に身につけてもらうことなどが必要となります。このため県では、これまでに高齢者施設等のICT機器導入を支援する補助金について、補助上限額を引き上げるとともに、新たに無線LAN機器なども補助対象としてきたところです。 また、国の第2次補正予算を活用して、施設における感染症対策に要する物品の購入等とあわせて、ICT機器の導入をさらに後押ししたいと考えております。加えて、施設の職員の皆様に、国が策定したオンライン面会を実施する際の留意点や、先進的な事例などを紹介し、施設でのオンライン面会の取り組みを促進してまいります。 最後に、オンラインによる見守りなど中山間地域の高齢者世帯のIT整備についてお尋ねがございました。 現在、県内の一部の市町村においては、高齢者の安否確認にテレビ電話装置や緊急通報装置などのIT機器が活用されています。議員からお話がありましたように、中山間地域における高齢者の見守りや安否確認などをオンラインを活用して行うことは、サービスの質の向上や効率化に加え、新型コロナウイルスの感染防止対策の観点からも有効であると考えています。 県内における先進的な取り組みとして、大豊町では高齢者の自宅への訪問が困難な場合などに、各世帯に配布しているタブレットを活用し、文字や画像により安否確認を行うなど、双方向による見守り支援システムを検討しているとお聞きしております。このような双方向のシステムが実現すれば、ITを活用した高齢者の生活全般を支える新たな仕組みづくりにつながっていくものと期待されるところです。 そのため、県内外のIT活用事例や、民間企業の最新機器の情報などを市町村に紹介しながら、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らせるよう、見守り支援の取り組みを促進してまいります。あわせて、国に対しましてもITの活用の促進に向けた支援策の創設、拡充などについて提言してまいりたいと考えております。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、長期休業後の現在の児童生徒の様子についてお尋ねがございました。 市町村教育委員会と各学校においては、臨時休業による学習のおくれを取り戻すため、夏季休業期間の変更などさまざまな検討が進められており、現在のところ授業日数確保の見通しは一定立っているとお聞きしております。 また、5月の学校再開時に、全ての児童生徒を対象に実施したアンケートや面談等の結果では、勉強についていけるか心配であるとか、部活動の大会が中止となり目標がなくなりショックであるといった、不安や喪失感を抱いている児童生徒もいるとの報告がございました。 こうした状況を踏まえ、各学校において校内支援会を中心に、気になる児童生徒については全教職員で情報共有しながら、声かけや家庭訪問などの支援に加えて、スクールカウンセラーや外部の専門機関と確実につなぐよう、市町村教育委員会や校長会に要請をしております。 県教育委員会としては、児童生徒の心のケアに向けて、スクールカウンセラーの重点配置や心の教育センター職員の派遣、また本年度から全ての小中学校に配置しました不登校担当教員のスキルアップのための研修の開催、さらには出欠状況の早期把握のための校務支援システムのさらなる活用促進などの支援を実施してまいります。 次に、タブレット端末の配備予定についてお尋ねがございました。 再度の感染拡大に備える観点からも、GIGAスクール構想の実現に向けたタブレット端末の整備の加速化を図ることが重要であると考えております。本年度、国の補正予算の活用により、県立分、市町村立分合わせて3万5,000台余りの整備を県内で予定しておりますが、議員御指摘のとおり、全国的に需要が拡大していることから事業者の供給体制に課題が生じるおそれがございます。こうした課題につきまして、文部科学省においては全国的な需要の把握に基づく供給メーカー等の業界と連携した取り組みや、交付決定の手続を待たずに自治体の整備の着手を認めることなどの措置が講じられているところです。 県教育委員会として、これまで市町村教育委員会等における円滑な調達手続を支援するため、仕様の統一や合同での入札を計画してきたところであり、今月下旬にも合同入札を実施する予定となっております。納品の目安としては、一般的には契約から約4カ月程度を要するとの情報も得ておりますが、再度の感染拡大に備えるため、文部科学省において供給メーカーと調整を進めているともお聞きしております。いずれにしましても、県教育委員会としましては市町村教育委員会と連携し、必要な手続を可能な限り速やかに講じてまいりたいというふうに考えております。 次に、家庭のインターネット環境への対応についてお尋ねがございました。 感染拡大により休業等の措置をとらざるを得ない場合、オンライン教育等の実施は学校教育活動の継続のために極めて有効であり、さきの臨時休業に際しても、一部の学校でその成果が報告をされております。自宅等でオンライン教育を受けるための前提となる家庭の通信環境について、県立学校の生徒の約8割の家庭では光回線等が整備されており、これらについては、オンライン教育を実施する環境が整っているものと考えております。 一方、自宅の通信環境が十分でない児童生徒については、国の補正予算において貸し出し用モバイルルーターの購入に係る補助が盛り込まれており、県立中学校等での活用のために300台程度購入することとしております。 なお、家庭でオンライン教育を受ける際の通信費については、国において就学援助制度や高校生等奨学給付金制度における追加給付が行われることになっており、こうした仕組みを活用してまいりたいと考えております。 また、モバイルルーターの通信が困難な地域に居住する生徒や、貸与に係る補助の対象になっていない高校生等については、臨時休業の趣旨が学校における密集等を避けるために実施されるものであることを踏まえ、感染症対策に万全を期した上で、個別に学校で指導することなどについても想定しており、こうした対応について周知を図ってまいります。 再度の感染拡大に備え、ICTの活用準備を進めるとともに、家庭の環境によって学習機会の格差が生じることのないよう、生徒の実態に応じたきめ細かな対応を図ってまいります。 次に、不登校へのオンライン授業の活用についてお尋ねがございました。 不登校は、学校・家庭における人間関係、また学業不振など、さまざまな要因により生じているため、支援の方法も一人一人の実態に応じた対応が必要となってまいります。オンライン授業の活用は、集団生活になじみにくくなっている児童生徒に対して、人とのコミュニケーションによるストレスを軽減しながら支援を行うための有効な手段の一つであると考えられます。 福岡市や熊本市では、新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みの一つとしてICTを活用した双方向の授業を実施し、その中で不登校児童生徒を対象にしたオンライン授業も試験的に行われております。参加した生徒からは、登校はできないが、オンラインなら授業に参加できたといった感想が寄せられるなど、不登校児童生徒の支援において一定の成果が報告されております。 本県におきましても、現在県教育センターと市町村の教育支援センターが連携し、不登校傾向にある児童生徒を対象に、試験的にオンライン授業を実施するよう準備を進めているところです。これは、県教育センターが実施する授業を市町村の教育支援センターに配信し、そこに通所している児童生徒が授業に参加するもので、センター間の準備はもう既に完了しておりまして、参加する児童生徒の調整を行っており、7月中旬からの実施を予定しております。 こうした取り組みの成果や課題を検証しながら、オンライン授業を活用した不登校児童生徒への多様な支援のあり方について、市町村教育委員会とも連携しながら、具体的に研究を進めてまいりたいというふうに考えております。 次に、タブレット端末が県立高校の全生徒に行き渡るのはいつごろになるのかとのお尋ねがございました。 国のGIGAスクール構想が加速化されることになり、小中学校において1人1台のタブレット端末の整備が進められているところですが、高校生はこの支援の枠組みの対象となっておりません。このため、県教育委員会では再度の感染拡大に備えるため、県独自の整備計画を前倒しいたしまして、5月補正予算などによりタブレット端末の整備を進めているところでございます。この結果、今年度中には全県立高等学校35校において、各校に1クラス分以上のタブレット端末が整備されることになります。 今後、再び臨時休業となった場合には、自宅のタブレット端末やパソコン等の活用、それから整備した学校のタブレット端末やノートパソコンを貸し出すことによって、自宅でもICTによる学習が継続できるものと考えております。これらの方法による学習が困難な生徒には、分散登校など感染防止対策を徹底した上で、学校において学習する環境を整えてまいります。 なお、GIGAスクール構想により、小中学校で1人1台のタブレット端末が今年度中に導入されることを踏まえると、高等学校においても1人1台環境を実現していくことが必要となります。高等学校における1人1台タブレット端末の整備のあり方については、既に私費で端末整備を先行させている学校の成果や課題を整理した上で検討会を設置し、今後PTAなどの関係者の御意見を聞きながら、県教育委員会として早急に検討してまいりたいというふうに考えております。 次に、休校による学習おくれの格差を是正する取り組み等についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大による臨時休業期間中、各学校においては、生徒が計画的な家庭学習ができるよう課題を与えて指導を行うとともに、分散登校により個別面談等を実施し、進路についての不安を少しでも和らげるよう心のケアも図ってまいりました。学校再開後は、各学校において学校行事の精選、夏季休業期間の短縮など、教育計画の見直しを行い、現時点で授業日の確保に見通しがつきましたので、おくれを取り戻しつつ、大学入学共通テストに間に合うように、子供たちの学びを保障してまいります。 今後、再び感染が拡大し臨時休業になった場合、オンラインの授業の実施や、各学校が生徒の学習状況に応じた動画等の学習教材を作成するなど、生徒の各家庭における学習が充実するよう準備を進めてまいります。なお、家庭でインターネットが活用できない場合は、十分な感染対策をとった上で登校させるなど、さまざまな方法を準備し、万全の備えを行ってまいります。 次に、遠隔授業を県下全ての学校で行うことについて、将来的に考えられるのではないかとのお尋ねがございました。 本県では、高等学校の立地条件等にかかわらず、在籍する生徒が進路希望に応じた教科、科目を学ぶ機会を保障するため、今年度より教育センター内に設置しました岡豊高等学校教育センター分室から、中山間地域の小規模校等に対して遠隔授業を実施しているところです。現在、嶺北高等学校を初め県立高等学校10校で実施しており、小規模校で選択者が少ないことから実施が難しい数学Ⅱや物理など9科目を配信し、延べ47名の生徒が受講しております。加えて、授業以外でも難関大学受験や公務員受験など、生徒の希望に応えられるよう受験対策の教科補習や面接、集団討論なども実施しているところです。 本県のこの遠隔授業の取り組みは、国の中央教育審議会においても先進事例として報告されており、今後さらに対象校の拡大も図り、遠隔授業の有効な活用方法について研究を深めてまいります。また、国においては小学校の専科指導等の充実に向けて遠隔授業の活用等も検討されていることなどから、本県としましても小中学校における活用についても検討してまいりたいというふうに考えております。 最後に、オンライン授業を行うための教員の機器操作の向上についてお尋ねがございました。 議員の御指摘のとおり、整備されたタブレット端末等を教員が日々の教育活動に活用していくことが極めて重要です。今年度より、教員の研修を担う教育センターのICT環境の充実を図ったところであり、さまざまな研修についてICTを活用して実施していくことで、教員の活用能力の向上を図ってまいります。 また、教員が日常的に活用していくためには、授業で何ができるようになるのかといった具体的な事例を示していくことが重要であるというふうに考えております。このため、県教育委員会にプロジェクトチームを設置しまして、協働学習支援ツールなど授業で活用できるアプリケーションの利用方法等について研究を進めるとともに、高等学校の拠点校において具体的な指導方法等の研究を進めてまいります。 これらの研究成果や、今年度作成する授業動画等をもとに、授業の計画となります指導案のモデル等を作成しまして、各教員が実際にICTを活用して授業を実施する機会を設けてまいります。このような取り組みにより、各教員が実際に授業でICTを活用する機会をふやすとともに、県教育委員会の指導主事等が各学校に訪問する際などに具体的な指導・助言を行うことで、質的な向上も図ってまいりたいというふうに考えております。   (危機管理部長堀田幸雄君登壇) ◎危機管理部長(堀田幸雄君) 感染症対策用の運営マニュアルに基づく対応の実効性と、資機材購入の予算の確保についてお尋ねがございました。 コロナ禍における避難所の運営については、これまでとは違った対応が求められるため、感染症対応のマニュアルを作成するとともに、訓練などを通じて実効性を高めていくことが重要であると考えています。 市町村では、感染症対応のマニュアルを6月中に作成し、そのマニュアルに基づく訓練や説明会を通じて職員のスキルアップを図ることとしており、県としても防護服の着脱など感染症対応についての技術的助言を行うなど、実効性を高める取り組みを支援してまいります。 また、市町村では、マスクや消毒液、体温計のほか、熱、せき等の症状のある方などの専用スペースを確保するためのパーティションやテントなどの資機材を確保することとしています。このために必要な予算については、国の臨時交付金や県の補助金などを活用し、既に26の市町村で措置されております。残りの8市町村につきましても、今月中に臨時議会等で予算が措置される見込みとなっております。 ◆5番(金岡佳時君) それぞれ丁寧な答弁ありがとうございました。 1点だけ再質問をさせていただきたいと思います。 先ほども申し上げましたように、3密の解消がこの新型コロナウイルス感染症予防に非常に効果的であるということはわかっているわけであります。先ほども申しましたが、今南海トラフ地震対策として耐震化を進めておるわけでありますが、これは建物の倒壊を防ぐことによって命を守ろうということでございます。それと同じく、3密を解消することによって命を守ろうということでありますから、このいわゆる密室の解消、換気設備の整備というものは、これは何があってもやらないけないことであるというふうに私は思っております。 これから観光についていろいろなキャンペーンが進められ、恐らくいろいろな町からも観光客が訪れるようになると思います。そうしたときにどうやってそれぞれの命を守るのか、どうやったら感染しないようにできるのかということを考えたとき、少しでもリスクを軽減するということが一番求められることではないかというふうに思います。そうすると、換気設備を整えれば、少なくとも整えていないときよりもリスクの軽減ができるわけです。換気設備を充実させればさせるほど、結局このコロナウイルス感染症へかかるリスクは下がってくるわけでございますから、どんなことがあってもこれはやるべきであろうというふうに思います。 そこで、そうしたらそれをどうやって進めていくのかということが1つ大きな課題になろうかと思います。私は、やはりそこできちんと感染症の予防のできたところ、予防対策のできたところ、特に換気設備を十二分に整えられたところは認証するというような、県が認証するというような認証制度を設けて、その換気設備の徹底を進めていくべきではないかというふうに考えます。ですから、具体的に言えば、単純に認証制度を設けて、そしてその整備の努力を認めることにより整備の重要性、必要性を再認識してもらう、さらにその他の地域との差別化、そして地域の方々から同意や応援も得られるというふうに思いますので、そうすれば換気設備の整備を強力に進めていくことができるのではないかというふうに思います。 こういう進め方について、もう一度健康政策部長の御所見をお伺いいたします。 ◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) せんだって産業振興計画のフォローアップ委員会が行われまして、県外から委員の方が高知に久しぶりにお越しくださったことがございます。そのとき、その委員が--東京で生活をしておられる方なんですけれども--今回の緊急事態宣言下でのいろんな制約の中で生活が一変をしたと、あるいはその考え方が大きく転換せざるを得なくなったんだということをおっしゃっておられました。例えば高知県に観光で人を呼びたいときに、やっぱり感染対策がどれだけできているかということなんかは非常に大きな選択の項目に上がってくるんだということをおっしゃっておられました。したがいまして、それが全ての方の考えかどうかは別にしても、そうした考え方を持たれた方は少なからずいらっしゃるんだろうというふうに想像しますと、議員の先ほどおっしゃられたことなんかも十分に理解はできるところでございます。 ただ、その換気のやり方につきましては、通常窓があけれる場所においては窓をあけながらのエアコンも考えられますし、そうでないところでは、定期的に、時間ごとに全開にしながら空気を入れかえるといったこともあるわけでございます。そうしたことはしっかりとお勧めをしていくんですけれども、ウイズコロナの状況にあっては、そうしたことは必須の条件としてやっていかなければならないというベーシックなところに、機械を設けたところにだけ認証するというその上乗せにつきましては、いわゆるどちらかというとその認証を受けていないところは、そこの施設は衛生上問題があるかのような、かえって逆の効果ももたらされる懸念もございます。そうした進めていくに当たってのやり方としましては、それをしていないと認証しないぞと、したところには認証するぞといったような、いわゆる北風的政策ではなくて、我々としてしっかりと--その業界にもそうした制度がありますので、それを大いに活用していただいて取り組んでいただきたいということは、業界ともお話をさせていただきたいと思いますので、できましたらそうした太陽政策における取り組みということで進めさせていただきたいなというふうに考えているところでございます。 ◆5番(金岡佳時君) できるだけ進めていただきたいと。加えて申し上げますと、換気設備がなかなか難しいところは、先ほども申し上げましたように空気清浄器でも有効でございます。それもそれほど費用もかからないというようなことでございますし、導入はできるというふうに私は思いますので、認証にかかわらず、これは導入をぜひとも進めていただきたいと。それぞれの店をやっている方々、そこにいらっしゃる方々の命を守ることにもつながりますので、外から来る方だけではございません。ですから、ぜひともまた進めていただきたいというふうに思います。 そして、少しでも県民が罹患をせずに健康に暮らせるようにということを念じて、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(三石文隆君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明2日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時44分散会...