高知県議会 > 2020-06-30 >
06月30日-02号

  • SDGs(/)
ツイート シェア
  1. 高知県議会 2020-06-30
    06月30日-02号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 2年  6月 定例会(第354回)-----------------------------------        令和2年6月30日(火曜日) 開議第2日-----------------------------------出席議員       1番  上治堂司君       2番  土森正一君       3番  上田貢太郎君       4番  今城誠司君       5番  金岡佳時君       6番  下村勝幸君       7番  田中 徹君       8番  土居 央君       9番  野町雅樹君       10番  浜田豪太君       11番  横山文人君       12番  西内隆純君       13番  加藤 漠君       14番  西内 健君       15番  弘田兼一君       16番  明神健夫君       17番  依光晃一郎君       18番  梶原大介君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       22番  山崎正恭君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       29番  大野辰哉君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        岩城孝章君  総務部長       君塚明宏君  危機管理部長     堀田幸雄君  健康政策部長     鎌倉昭浩君  地域福祉部長     福留利也君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   井上浩之君  中山間振興・交通部長 尾下一次君  商工労働部長     沖本健二君  観光振興部長     吉村 大君  農業振興部長     西岡幸生君  林業振興・環境部長  川村竜哉君  水産振興部長     田中宏治君  土木部長       村田重雄君  会計管理者      井上達男君  公営企業局長     橋口欣二君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  原  哲君  公安委員長      小田切泰禎君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   中村知佐君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       行宗昭一君  事務局次長      織田勝博君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     川村和敏君  議事課長補佐     馬殿昌彦君  主幹         春井真美君  主査         久保淳一君-----------------------------------議事日程(第2号)   令和2年6月30日午前10時開議第1 第1号 令和2年度高知県一般会計補正予算 第2号 職員の給与に関する条例及び警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第3号 高知県証明事務手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第4号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第5号 高知県地方活力向上地域における県税の特例措置に関する条例の一部を改正する条例議案 第6号 高知県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県安心こども基金条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県家畜保健衛生所条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第11号 室戸市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第12号 安芸市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第13号 土佐市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第14号 須崎市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第15号 宿毛市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第16号 土佐清水市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第17号 四万十市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第18号 香美市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第19号 東洋町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第20号 奈半利町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第21号 田野町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第22号 安田町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第23号 北川村と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第24号 馬路村と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第25号 芸西村と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第26号 本山町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第27号 大豊町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第28号 土佐町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第29号 大川村と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第30号 仁淀川町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第31号 中土佐町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第32号 佐川町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第33号 越知町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第34号 檮原町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第35号 津野町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第36号 四万十町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第37号 大月町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第38号 三原村と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第39号 黒潮町と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第40号 高吾北広域町村事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第41号 香南斎場組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第42号 香南香美老人ホーム組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第43号 高知県競馬組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第44号 香南清掃組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第45号 幡多広域市町村圏事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第46号 高幡消防組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第47号 幡多中央環境施設組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第48号 津野山養護老人ホーム組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第49号 高陵特別養護老人ホーム組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第50号 安芸広域市町村圏特別養護老人ホーム組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第51号 津野山広域事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第52号 高幡東部清掃組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第53号 幡多中央消防組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第54号 幡多西部消防組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第55号 嶺北広域行政事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第56号 高幡障害者支援施設組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第57号 安芸広域市町村圏事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第58号 高幡広域市町村圏事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第59号 高知県市町村総合事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第60号 南国・香南・香美租税債権管理機構と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第61号 中芸広域連合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第62号 国道493号(北川道路)道路改築(和田トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第63号 県道安田東洋線防災・安全交付金(明神口トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第64号 町道佐渡鷹取線社会資本整備総合交付金佐渡鷹取トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(三石文隆君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(三石文隆君) 御報告いたします。 第2号議案については、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき人事委員会に意見を求めてありましたところ、国の規則改正の趣旨を考慮したものであり、適当であると判断する旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。   〔人事委員会回答書 巻末238ページに掲載〕----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(三石文隆君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和2年度高知県一般会計補正予算」から第64号「町道佐渡鷹取線社会資本整備総合交付金佐渡鷹取トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで、以上64件を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 16番明神健夫君。   (16番明神健夫君登壇) ◆16番(明神健夫君) それでは、自由民主党を代表し、通告に従いまして一般質問を行います。 まず、全世代型社会保障への改革についてであります。 日本は、急速な高齢化の進展を背景に社会保障給付費の増加が続いており、平成29年度には120.2兆円となっています。社会保障給付費の内訳を見ると、金額が最も大きいのは年金、医療であります。介護、生活保護費等は、年金や医療ほど規模は大きくないものの、最近5年間の平均増加率は年金や医療を上回るペースで増加しております。 社会保障給付費の増加を受けて、年金、医療、介護では保険料率が引き上げられており、それと同時に公的負担も増加が続いています。社会保障制度改革は、基礎的財政収支の黒字化実現の観点からも課題となっています。年金、医療、介護では、基本的には現役世代が納める保険料が給付の財源としての役割を果たしており、今後も高齢化の進展に伴い社会保障給付の増加とともに、現役世代の負担も上昇してまいります。 人生100年時代と言われる高齢社会が本格化している。一方で、少子化により社会保障の支え手である現役世代は、平成27年に7,728万人おりましたが、10年後の令和7年には人数にして558万人、率にして7.2%減少すると推計されています。また、多くの職場は人手不足に窮しています。このまま放置すれば、暮らしを支える社会保障制度は立ち行かなくなります。 このため、政府は令和元年9月に全世代型社会保障検討会議を設置し、少子高齢化と同時にライフスタイルが多様となる中で、人生100年時代の到来を見据えながら、お年寄りだけではなく、子供たち、子育て世代、さらには現役世代まで広く安心を支えていくため、年金、労働、医療、介護など、社会保障全般にわたる持続可能な改革を検討してきた成果について中間的な整理を行い、令和元年12月19日に中間報告として公表されました。中間報告の中では、全世代型社会保障への改革の基本的な考え方を次のように述べております。 若者も高齢者も、女性も男性も、障害や難病のある方々も、一度失敗を経験した人も含め、一人一人が個性と多様性を尊重され、家庭で、地域で、職場で、それぞれの希望がかない、それぞれの能力を発揮できる、それぞれが生きがいを感じ活躍することができる社会、それが一億総活躍社会である。 一億総活躍社会を掲げる安倍内閣にとって、全世代型社会保障への改革は最重要課題である。少子高齢化が急速に進む中で、新しい時代の日本に求められているのは多様性である。みんなが横並び、画一的な社会システムのあり方を根本から見直し、多様性を認め合い、全ての人が個性を生かすことができる社会をつくることで、少子高齢化という大きな壁を克服する。日本には、元気で意欲にあふれ、豊かな経験と知識を持っている高齢者がたくさんおられる。年齢にかかわらず、学び、働くことができる環境を整備すれば、生産年齢人口が減少する中でも就業者数を維持できる。 これまでの社会保障改革といえば、年金、医療、介護が主要なテーマとなってきたが、今回の全世代型社会保障改革は、人生100年時代の到来を踏まえて、働き方を含めた改革を行っていくものである。働き方改革を進め、元気で意欲ある高齢者に就業の機会を確保し、社会保障制度の担い手をふやす。人生100年時代の到来をチャンスとして前向きに捉えながら、働き方の変化を中心に据えて、年金、医療、介護、社会保障全般にわたる改革を進める。これにより、現役世代の負担上昇を抑えながら、令和の未来をしっかりと見据えた、全ての世代が安心できる社会保障制度を構想する必要があるとしています。 こうした基本的な考え方に基づき、安倍内閣では、まず消費税の使い道を見直し、子供たち、子育て世代への支援を強化することを決定し、昨年10月から、3歳から5歳まで全ての子供たちの幼児教育・保育の無償化を行いました。そしてことしの4月から、真に必要な子供たちの高等教育の無償化を行い、全世代を支援する社会保障に転換されました。 現役世代の負担上昇の抑制については、令和4年にかけて団塊の世代が75歳以上の高齢者となり、現行の社会保障制度を前提とすると、現役世代の負担が大きく上昇することが想定されます。人生100年時代の到来をチャンスと捉え、社会保障制度の担い手となってもらうために、希望する人が70歳まで働けるよう企業に就業機会確保の努力義務を課すことを柱とした関連法が、令和2年3月31日、参議院本会議で可決、成立しました。 年金制度の改革については、年金受給タイミングを自分で選択できる範囲を拡大するため、60歳から70歳まで自分で選択可能となっている年金受給開始時期について、その上限を75歳に引き上げる。また、働いて一定の収入がある場合に年金を減らす在職老齢年金制度は、60歳から64歳の労働者の賃金と年金の合計月額が47万円以下なら年金が減らされないようにすることなどを盛り込んだ年金改革関連法が、令和2年5月29日、参議院本会議で可決、成立しました。 厚生年金の適用範囲の拡大については、低年金で低所得に陥る高齢者の増加を防ぐために、受取額の比較的手厚い厚生年金に、非正規やパートで働く短時間労働者の多くが加入できるようにする。これまで、501人以上の大企業で働く人は一定時間以上働けば厚生年金に加入できましたが、これを順次拡大し、最終的には51人以上の中小企業まで対象を広げることを盛り込んだ年金改革関連法が、令和2年5月29日、参議院本会議で可決、成立しました。 医療制度の改革については、令和4年にかけて団塊の世代が75歳以上の高齢者となり、現役世代の負担が大きく上昇することが想定される中で、中間報告では、現役並み所得の方を除く、75歳以上の後期高齢者であっても一定所得以上の方については、その医療費の窓口負担割合を2割とし、それ以外の方については1割とする方針が盛り込まれました。 具体的には、全世代型社会保障検討会議において、今後検討を進める。同時に、社会保障審議会において検討を開始し、ことしの6月に成案を得て速やかに必要な法制上の措置を講ずるとしていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で議論が進まないため、最終報告の取りまとめを半年延期することになりました。 予防・介護分野については、人生100年時代、今後は国民一人一人がより長く健康に活躍することを応援するため、病気になってからの対応だけではなく、社会全体で予防・健康づくりへの支援を強化する必要があるとして、保険者--都道府県と市町村の予防・健康づくり等への取り組み状況について評価を加え、保険者に交付金を交付する保険者努力支援制度の抜本強化、また、保険者や都道府県の介護予防等への取り組み状況について評価を加え、保険者や都道府県に交付金を交付する介護インセンティブ交付金を抜本強化することなどの方針が盛り込まれました。 この全世代型社会保障への改革に対し、次のような世論の声があります。 日本は、中福祉、低負担と言われ、給付と負担の乖離が社会保障制度の根本的な問題である。負担増と給付費抑制の両面で痛みを伴う改革に真正面から向き合う必要があるのに、打ち出された内容を見ると、一定所得以上の後期高齢者の医療費の自己負担割合を2割に引き上げることを除けば、多くの人にとって負担が大きくふえるようなものは含まれていない。総じて甘さが目立つ。 高齢者が使い勝手のよい労働者として利用されないよう、安心して働ける制度を確立すべきである。また、政府は、全世代型社会保障の構築に向けた改革を実施した場合に、将来の社会保障給付や負担がどのようになるかについても示すべきである。さらには、社会保障と財政を一体のものと捉えて、財政収支の見通しについてもあわせて試算すべきであるといった声があります。 政府は、全世代型社会保障制度の構築に向けて、現在改革の内容を検討しており、近々最終報告をまとめる予定でありますが、現時点での改革に対する知事の御所見をお伺いします。 関連して、介護保険制度についてであります。 介護保険制度は、平均寿命の延びに伴って、介護が必要になる高齢者数は増加し、また3世代世帯の急激な減少や高齢単身・夫婦世帯の増加に伴って、家族の手に負えない要介護高齢者も増加する中で、介護が必要になっても家族に過大な負担をかけずに生きていけるよう、社会全体で高齢者介護を行うという理念に基づいて制度設計され、平成12年4月に始まり、ことしの4月で20年を迎えました。 しかし、制度の浸透と高齢化の進展で、65歳以上の高齢者は、スタートの年2,204万人でしたが、令和元年度には3,601万人と約1.6倍になりました。要介護認定者数は、スタートの年218万人でしたが、令和元年度には659万人と約3倍になりました。介護サービス利用者は、スタートの年149万人でしたが、令和元年度には559万人と約3.8倍になりました。介護保険総費用は、スタートの年3兆6,000億円でしたが、令和元年度には11兆7,000億円と約3倍になりました。一方、65歳以上が負担する毎月の全国平均保険料は、スタートの年2,911円でしたが、令和元年度には5,869円と2倍以上になりました。 このように、介護サービス利用者の増加で給付費も急増し、スタートから数年で給付の抑制を迫られる事態となり、平成17年には介護の必要度が軽い人には筋力トレーニングなどを促す介護予防が導入されました。 特に、平成27年10月に予定されていた消費税の8%から10%への引き上げを延期したことによる介護保険財政の逼迫を受けて、平成27年には特別養護老人ホームの利用資格が要介護3以上になりました。また、自己負担割合を、一定の収入がある人は2割に、さらに平成30年からは現役並みに所得の高い人は3割に引き上げました。 在宅介護では、平成27年に介護保険から要支援者の切り離しが開始され、平成30年4月からは全市町村で要支援1、2を対象とした訪問介護と通所介護は、市町村が実施する総合事業へ移行されました。介護の社会化がうたわれながら、特養への入所を申し込んでも入れない待機者は、平成31年4月時点で約32万6,000人に上ります。 そこで、平成31年4月時点における本県の特養への入所待機者の現状について地域福祉部長にお伺いします。 特に、介護現場の人手不足は深刻で、団塊の世代全員が75歳以上になる令和7年には245万人程度が必要と見込まれますが、現状のままでは約34万人も不足するとされています。 そこで、本県の介護現場での人材確保の実態について、また令和7年に必要と見込まれる介護人材数と、現状のままではどれほど不足するのかについて、地域福祉部長にあわせてお伺いいたします。 介護人材不足の背景には、介護職員は重労働の割には賃金が安いことがあります。実際、賞与込みの月給ベースで、全産業平均が37万円に対し、介護職員の平均は28万3,000円と、9万円程度下回っています。介護人材の確保のため、国は平成21年度以降、数回にわたって処遇改善を実行しましたが、賃金はほぼ横ばいのままであります。 厚生労働省の推計によりますと、国内には平成30年度末で、介護福祉士登録者数は156万人で、ホームヘルパー1級、2級の訪問介護サービスの専門資格を持つ介護人材は380万人を数えると推計されています。しかし、介護施設職員やホームヘルパーとして就業しているのは、それぞれ80万人程度です。介護人材は育成されているのに、多くの資格保有者は低賃金のため、介護分野以外に就業しています。 我が国はこの先、団塊の世代全員が75歳以上になる令和7年には65歳以上の高齢者が全人口の30%に当たる3,677万人に、高齢者人口がピークを迎える令和24年には3,935万人に達すると予測されています。また、認知症の高齢者もふえ続け、令和7年には65歳以上の5人に1人に当たる700万人に達するとの政府の推計もあります。 平成24年に、厚生労働省の資料を用いて国立社会保障・人口問題研究所が作成した年齢別の要介護高齢者比率によりますと、どんなに健康に気を使っても、介護予防策をとっても、80歳代後半の高齢者の50%、90歳代前半で70%、95歳を超えれば84%が何らかの介護を必要とするようになります。 介護保険制度は私たちの暮らしに根づき、高齢者やその家族にとって介護職員の存在なくして、もはや日常生活は成り立たなくなりました。介護職員のとうとい働きをもっと正しく評価し、また新型コロナウイルスの感染リスクにさらされながら、苛酷な現場で働く職員の働き方を評価して、日本人の知識を持つ介護人材を確保するためには賃金の引き上げ、つまり介護報酬の引き上げが必要であります。介護報酬を引き上げるためには、増税と保険料の引き上げを受け入れる必要があります。 この介護保険制度を介護人材不足によって、保険あって介護なしとしないために、今どのように制度を見直して持続発展させていくのかについて、全国知事会で改善点を探り、その取りまとめを国に提言すべきではないかと思いますが、知事の御所見をお伺いします。 続きまして、新たな過疎対策に向けてであります。 過疎地域自立促進特別措置法が、令和3年3月末で適用期限を迎えることを踏まえ、過疎対策のあり方を検討してきた総務省の過疎問題懇談会は令和2年4月17日、国への提言をまとめ公表されました。 提言によりますと、過疎地域の価値・役割と過疎対策の必要性では、過疎地域が有する都市にはない自然環境、景観、生活文化、ライフスタイル等の価値・役割は、過疎地域との共生のもとでの都市の発展、我が国全体の発展にとっても重要であるとしています。また、過疎地域の人口減少、少子高齢化は、これからさらに急激に進むことが見込まれており、このような人口構造の変化を背景として、産業等の担い手不足の深刻化、農地や森林の多面的機能の低下、災害リスクの上昇、景観等の住民の生活環境への悪影響、公共交通や地域医療など生活サービスの供給力の低下、集落の持続可能性の低下が課題となっている。これらの課題を解決するためには、令和3年4月以降についても引き続き過疎対策を講じていくための制度が必要であるとしています。 新たな過疎対策の理念としては、国連の掲げる持続可能な開発目標、SDGsの考え方は、過疎地域の豊かで多様な価値観・文化、地域のつながり、地域経済循環、都市との共生といった価値・役割との親和性が極めて高い。これらのことから、新たな過疎対策においては、これまでの過疎地域の自立促進という理念を尊重しつつも、過疎地域を持続的に発展させていくという理念を新たに位置づけ、より少ない人口で広大な空間を活用する先進的な少数社会の構築を目指すべきとしています。 新たな過疎対策の目標としては、過疎地域の持続的発展のために、以下の目標を掲げて施策を講じることが重要であるとしています。 地域資源を生かした内発的発展では、地域にある魅力あふれる資源を磨き上げ、国内外で販路開拓を進め、地域の価値を発展させていく。一方、関係人口の取り組みなど地域外の人材との交流・連携などにより、地域内の資源や人材の潜在的な可能性を顕在化させ、地域の付加価値を高めていく。 条件不利性の改善では、交通の利便性を高めるための道路整備や、IoT、ICTなどの革新的技術の活用の前提となる情報通信基盤の整備など条件不利性を改善するためのハードのインフラ整備と、ソフト面では、スマート農林水産業などといったIoT、ICTなどの革新的な技術の活用、都道府県の補完による生活サービスの確保を挙げています。 住民の安心な暮らしの確保では、子育て環境や高齢者福祉の向上、地域医療の確保や教育の振興は、引き続きこれらの取り組みを推進していく。また、買い物環境の確保、地域公共交通の確保、集落の維持・活性化などの課題は、小さな拠点など複数の集落の広域連携、機能の再編によって克服する。 豊かな個性の伸長では、それぞれの地域の地理、産業、歴史に根づいた地域文化や多様な生態系を持つ自然環境、美しい景観など、豊かな個性を伸ばしていく。一方、これらの継承に当たっては、地域住民のみならず外部の人の参入により担い手や後継者を確保するの4点を、理念をなし遂げるために提示しています。 新たな過疎対策の施策の視点としては、新たな過疎対策の目標を達成するため、地域、住民、学校の連携による人材の育成などを示しました。特に、現行の過疎法にない人材の育成の大切さを強調しています。 この過疎問題懇談会がまとめた国への提言に対する御所見と今後の県の取り組みについて知事にお伺いします。 続きまして、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。 まずは、これまでの間、患者の治療に当たってこられました医療関係者の皆様、関係機関の皆様の御尽力に対しまして、心から敬意を表させていただきます。 本県におきましては、2月29日に初めて新型コロナウイルス感染症の患者が確認されて以来、これまで74名の方の感染が確認をされております。 本県におけるいわゆる第1波は、1例目の患者が確認された2月29日から、12例目の方が確認された3月8日までの間でありました。その後、感染の状況は落ちついておりましたが、3月27日に13例目の方の感染が確認され、以降徐々に感染者の数がふえてまいりました。とりわけ4月9日には、本県で1日当たりの感染者数として最も多い10名の方の感染が確認され、それ以外の日でも5名以上の感染を確認した日が3日を数えるなど、4月29日までに62名の方の感染が確認されたところであります。いわゆる第2波が大きな山として訪れました。 その間、本当に残念に、3名の方がお亡くなりになられました。改めて、お亡くなりになられました方々の御冥福をお祈りしますとともに、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。 また、入院患者数の急増により病床が逼迫したとの話も伺っており、この逼迫した状況は、入院する病室を工夫したり、宿泊療養施設やまももを活用したりして何とか乗り越えることができたとのことですが、本当に医療関係者の皆様の御尽力に感謝するものであります。 一方で、本県では、入院されていた方は全員退院されており、4月30日以降約2カ月の間、感染が確認された方もおらず、感染状況は落ちついております。また、他の都道府県では、医療機関や高齢者施設などで規模の大きなクラスターが数多く発生をいたしましたが、本県においては、カラオケやバーでクラスターが発生したものの、比較的小規模なクラスターにとどまったのではないかと思っております。 こうした結果は、連日の記者発表によるマスコミ報道を通じた情報の提供や、それを受けた県民の皆様の行動自粛、積極的なPCR検査など、これまでの県の努力が功を奏したのではないかと考えております。 他の都道府県に比して本県の新型コロナウイルス感染症が比較的大きな広がりにならなかった要因をどのように捉えているのか、知事にお伺いします。 続きまして、避難所における新型コロナウイルス感染症対策についてであります。 これから大雨や台風シーズンを迎えるに当たり、避難所の感染症対策は、まさしく喫緊の課題であると考えます。災害が発生すると、避難所には多くの住民が集まり、密閉、密集、密接のいわゆる3密の環境になるため、仮に避難者が感染していた場合、クラスター化という最悪の事態となるおそれがあります。このような事態は何としても避けなければなりません。 県内の市町村では、避難所における感染症対策のために必要なマスク、消毒液、パーティション等の資機材の備蓄を進めるとともに、避難所が不足することを想定したホテル等の活用の検討や、新型コロナウイルス感染症対応のための避難所運営訓練を実施しているところもあると伺っております。 そこで、市町村の避難所における感染症対策の進捗状況がどのようになっているのか、また今後県としてどのように市町村を支援していくのか、あわせて知事にお伺いいたします。 さらに、今後は新型コロナウイルスを含めた感染症の流行下において、南海トラフ地震が発生するという最悪のシナリオを想定することも重要ではないでしょうか。これまで取り組んでこられた南海トラフ地震対策に感染症対策が加わり、対応も複雑になるため、十分な対応ができない事態が生じるのではないかと心配されます。 そこで、感染症が蔓延している状況下における南海トラフ地震対策についてどのように取り組まれるのか、知事にお伺いいたします。 続きまして、地産地消の取り組みについてであります。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、本年4月16日には全都道府県が緊急事態措置の対象区域となり、人の外出や都道府県をまたぐ移動の自粛などが求められました。全国的に、飲食店の休業や人が多く集まるイベントの自粛などが行われ、観光客も激減するなど経済活動が停滞し、さまざまな産業が大きな影響を受けております。本県におきましても、観光客の激減やよさこい祭りなど大規模イベントの中止などにより、特に宿泊業や運輸業、飲食業といった分野に深刻な打撃を与えているほか、その影響は第1次産業や製造業などにも及んでおります。 本県は、5月14日に緊急事態措置の対象区域から除外、同25日には国において緊急事態宣言が解除され、さらに6月19日からは都道府県をまたぐ往来自粛も全面的に解除されました。事態は収束に近づきつつあると思いますが、一方で、県産品の外商や県外からの観光客の回復には、ある程度の時間を要するのではないかと考えています。 そのような中、濱田知事は5月26日の記者会見の中で、6月、7月を高知家の地産地消を進める月間にしようではありませんかと発言され、その具体化として6月15日から、「食べて!遊んで!高知家応援プロジェクト」がスタートしました。このプロジェクトは、非常に厳しい状況にある県経済の回復を目指し、県民が一体となって地産地消を進めるもので、県産品の購入や情報発信、県内観光を促進するプレゼントキャンペーンや、小売店や飲食店など民間事業者が自発的に行う地産地消の取り組みへの支援などを実施することとなっています。 このように官民が協力し合い、地産地消に取り組むことは大きな意義があり、このプロジェクトが大きく盛り上がることを期待しています。 そこで、濱田知事に改めて、地産地消の取り組みを県民に呼びかけるに至った経緯とプロジェクトにかける思いをお伺いいたします。 また、今回の地産地消プロジェクトでは、地域に密着した直販所での農畜産物の販売拡大キャンペーンを実施するとのことですが、その狙いと効果について農業振興部長にお伺いします。 関連して、水産物の地産地消の取り組みについてお伺いします。水産物についても、緊急事態宣言に伴う外出自粛や営業自粛により、重要な販売先である飲食店などの需要が大幅に減少して、魚価の下落や養殖魚の出荷が滞るなどの影響が生じているところです。緊急事態宣言は解除され、徐々に経済活動が再開し、人のにぎわいが戻りつつありますが、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前の状態には戻っておらず、まだまだ水産物の消費動向は厳しい状況にあります。 こうした状況を踏まえ、水産業分野では地産地消の推進に向けてどういった取り組みを進めていくのか、水産振興部長にお伺いします。 続きまして、観光振興についてであります。 さまざまな分野に影響が及ぶ中で、特に観光分野は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛要請などによりまして、深刻な影響を受けております。 私は、県議会の新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会の副委員長という立場で、旅館ホテル生活衛生同業組合の皆様からヒアリングをさせていただく機会を頂戴しました。組合の皆様からは、「宿泊業は、地元の1次産品の利用だけではなく、クリーニングや清掃、写真等取引先も広く、感染拡大の影響でこの循環が滞り、取引先にもダメージがあらわれてきたことに責任を感じる」、また「社員の雇用の安定維持に使命を感じる」という心境を切実に語っていただき、国や県の資金繰り対策や雇用調整助成金など各種の支援策を活用しながら、大変な御苦労をされていると受けとめたところであります。 先ほど申し上げましたような外出自粛などの段階的な緩和は、本県観光にとって潮目が変わるタイミングであったと考えますし、高知家応援プロジェクトの一環として複数の対策を即座にスタートされたことは、まさに機を捉えた取り組みであると考えます。 いよいよ国も、今月16日から「Go To Travel キャンペーン」を受託する事業者の公募手続を開始し、国内観光の本格的な需要喚起に取り組みます。本県では、これに連動する形でリカバリーキャンペーンを展開することとしており、本県観光のV字回復を期待するところであります。観光関連事業者の皆様も、今後の展開に期待を寄せられておりますが、国のキャンペーンは全国一律の取り組みですので、国内観光客の皆様から本県を観光地として選んでいただく必要があると考えます。 そこで、本県観光のV字回復に向け、国のキャンペーン期間中、国内観光客に本県を観光地として選んでいただく独自の取り組みについて知事にお伺いします。 続きまして、高知龍馬空港国際線ターミナルビルの整備についてであります。 外国人観光客の受け入れ拡大によるインバウンド観光を推進するために検討を重ねておりました高知龍馬空港国際線ターミナルビルにつきましては、本年2月に整備の指針となる基本構想が策定され、さらにこうした構想に基づく施設の基本設計と実施設計にかかる経費が令和2年度当初予算に計上されましたことで、整備に向けて大きく一歩を踏み出しました。 国際線ターミナルビルの整備によりまして、外国人観光客がもたらす高い経済波及効果を直接県内に波及させることが可能となり、県民所得の向上はもとより、新たな産業の創造や雇用の創出など、2次的、3次的な効果も期待できます。また、県民の皆様にとっても、高知龍馬空港と海外が直接つながることにより移動時間の短縮や経費の節減などが図られ、観光面やビジネス面の利便性向上などのメリットも多いことから、私としても新たに整備されます国際線ターミナルビルには、県勢浮揚の切り札として大きな期待を寄せているところであります。 しかしながら、未曽有とも言われる今回の新型コロナウイルス感染症の全世界への拡大や、それに伴う入国制限等により、世界の航空業界を取り巻く環境が一変いたしました。現在も、海外と日本を往来する国際便はほぼ休止の状態が続いておりますし、日本政府観光局が6月17日に公表したデータによりますと、5月の訪日客の数は、4月に続き2カ月連続で前年同月比の99.9%減となり、また1,700人という数字は、1964年の統計開始以来過去最少を記録するなど、これまでにない想像を絶するほどの落ち込みを見せております。 さらに、いまだに終息の兆しが見えない新型コロナウイルスの感染症の長期化が予想される中、世界の航空会社で構成される業界団体であります国際航空運送協会が、国際線の需要がコロナ禍以前の水準に回復するのは2024年になるとの見通しを表明されるなど、ここ数年は国際旅客需要の底ばい状態が続く可能性が高く、航空業界にとりましても、明るい展望が開けない状況にあると言えます。 一方、県政に目を向けると、待ったなしの新型コロナウイルスの感染症予防や経済影響対策に対しても、スピード感を持って重点的に予算を投資することが不可避な状況となっており、県財政は大変厳しい局面を迎えています。 今回、28億円とも言われております多額の予算を投じて進めようとしております国際線のターミナルビルの建設についても、こうした県の置かれている状況も考慮して国際旅客の需要回復などの動向を見定めながら、整備計画については一度立ちどまって考えるべきではないかといった声も耳にするようになってまいりました。また、地元紙によると、県は目標としていた2022年夏の供用開始を断念する方針を固めたとも報道されています。 そこで、高知龍馬空港・航空ネットワーク成長戦略検討会議の会長として、国際線ターミナルビルの整備の検討にかかわってこられた岩城副知事にお伺いします。 国際線ターミナルビルの建設について、完成までの整備計画やスケジュールはどうなっているのか、現在の進捗状況についてもあわせてお伺いします。また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、今後の整備について、事業の延期といった選択肢も含め、どのように進めていくのか、お考えをお伺いします。 次に、ふるさと納税についてであります。 ふるさと納税制度は、納税者がふるさとや地方自治体のさまざまな取り組みを応援する気持ちを寄附という形にする仕組みとして平成20年度に創設され、寄附を受けた自治体は、そのお礼やPRのために地場の特産品などを送るものとして始まりました。 その後、寄附控除限度額の拡大もあり、その寄附額は特に近年増加しております。本県の市町村の状況を見ますと、平成20年度には約4,800万円であった寄附額が、平成30年度には約113億8,600万円と最高額になり、各自治体の貴重な収入源として、産業振興や子育て支援など地域の活性化に活用されております。 その中でも、奈半利町は、平成26年度から寄附額が急増し、平成28年度は約20億円、平成29年度は約39億円で全国9位、平成30年度は約37億円の寄附を集めるなど、全国的にも注目されてきました。 私としては、この制度自体は、生まれたふるさとはもちろん、頑張っている地域などを応援するすばらしいものと考えております。一方で、この間、返礼品の高額化や地場産品以外の返礼品によって寄附を募るなど、自治体間の競争が過熱し、さまざまな問題が生じています。国では、返礼品の割合や地場産品に限るなどのルールを通知により示しておりましたが、法律が改正され、昨年6月からルールが制度化されました。 今回の奈半利町の問題は、担当職員の業者との癒着と贈収賄、国の定めたルールに対する違反、さらに総務省に対し実態と異なる報告をしていたことが取り上げられております。いずれも、公務に携わる者として許される行為ではありませんが、これにより、ふるさと納税の趣旨までもが否定されるべきではないと考えております。そのためにも、原因究明や再発防止に努め、奈半利町はもちろん、他の自治体でも同様のことが起こらないように注意していくことが必要であります。 そこで、このたびの奈半利町の不適切な取り扱いについて、これまでの県のかかわり方もあわせて知事に御所見をお伺いします。 また、奈半利町のみならず、県内の他の市町村において、ふるさと納税の適正な運用がなされているのか、その状況について総務部長にお伺いします。 続きまして、孤独な育児のない社会についてであります。 子供を持つか持たないかは、他人や国、自治体が口を出すことではありません。しかし、子供を持ちたいと望む人たちがその望みをかなえることができる社会、若い世代が安心して子育てできる社会、そうした社会に変わることが、結果として深刻な少子化を改善することになります。社会が変わるためには保育制度を、まず行政の都合で利用者を足切りする旧来の運用を改め、親子の希望やニーズを中心に置いた、当事者本位の仕組みに転換することが最初の一歩になると思います。 主要国では、1990年代以降子供にかかわる政策が大きく前進しました。具体的には、保育所は全ての子供に良好な育ちの環境を保障するための公共財と位置づけられており、質のよい保育、教育を希望者に提供することが、国や自治体の責任となっています。このように保育改革が進んだ国々は、女性の就労率が高く、出生率も高い例が多く、スウェーデンやフランスのように少子化問題を過去の話にした国が含まれています。 かつては、親族や地域の人たちに支えられていた妊娠、出産、育児の営みですが、核家族化で親族や近隣の助け合いが薄れた今、若い世代だけで行う孤独な営みとなっております。そして、困難な問題が発生しています。 子供や子育てを取材してきた記者の榊原智子さんの著書の中に書かれている実話を紹介しますと、Aさんは、1人目の子供を産み、最初の育休中に重い産後鬱になりました。産後で体調がよくないのに、家事も育児も一人でやらなければと考え、精神状態がおかしくなりました。精神科医から鬱と診断され、回復するまでに7年かかりました。子育てで孤立すると大変なことになると知りました。以前は、児童虐待のニュースを聞いて、虐待するなんてひどい親と思ったけれど、せっぱ詰まった子育ては狂気と背中合わせだとわかりました。一つ間違うと、自分だって虐待しかねないと気づきました。 孤独な育児と鬱から救ってくれたのが保育所でした。精神科医の勧めで育休を早く切り上げて職場復帰し、子供は保育所で子育てを支えてもらい、安定した環境で暮らす中で、鬱から回復していきました。保育所が持つ子育て支援の機能がいかに重要かを実感しましたと言っています。 Bさんは、最初の育休で、夫は泊まり勤務が多く、赤ちゃんと2人きりの孤立した毎日は、体力的にも精神的にもきつかった。体重のふえ方はこれでいいのか、離乳食の進みぐあいは正常なのか、何をすればこの子にいいのか、このやり方でいいのかを迷い悩み続ける日々でした。 閉塞感に満ちた生活を変えてくれたのが保育所でした。いつでも保育士に相談でき、担任の保育士からは、お母さん、頑張っていますね、それでいいですよと声をかけてくれ、励まされ、またママ仲間とも子育ての悩みや楽しさを共有できるようになり、保育所に通い始めて、地域の人たちと初めてつながった安心感がありました。そして、もう一人産んでも大丈夫と思うようになり、妊娠しましたと言っています。 子育て家庭の変化は、保育所の役割も変えつつあります。保育所は、単なる託児の施設ではなく、若い世代だけで行う孤独な育児から親と子を解放し、育児のスタート期から子育て家庭に伴走し、若い父母を支え、親としての成長をサポートしつつ、子供の人生の最も最初から成長や発達にかかわるようになりました。子育て家庭が孤立して産後鬱や児童虐待がふえる中、保育所は育児には欠かせない現代の社会インフラになっています。 こうした中、厚生労働省の保育所等利用待機児童数調査では、平成31年4月1日現在、高知市で待機児童が34人となっています。国が待機児童ゼロ作戦を掲げてから20年近くになりますし、また第4期日本一の健康長寿県構想の妊娠期から子育て期までの切れ目のない総合的な支援の中では、課題として保育所における待機児童の発生を挙げています。 保育行政を担うのは市町村でありますが、待機児童ゼロに向けて、県は高知市に対してどのような支援を行っていくのか、教育長にお伺いいたしまして、私の1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 明神議員の御質問にお答えをいたします。 まず、全世代型社会保障への改革について、現時点での改革に対する所見についてお尋ねがございました。 現在、国では、全世代型社会保障検討会議を設置し、人生100年時代の到来を見据えた社会保障全般にわたる持続可能な改革が検討されています。議員のお話にもありましたように、昨年12月の中間報告では、年金・労働・医療・予防・介護分野における具体的な方向性が示されました。それ以降、高齢者の活躍を促進するための制度や介護予防の取り組みの強化など、改革が順次実行されています。 少子高齢化が進行している本県にとって、元気で意欲のある高齢者の活躍の場を広げていくことは、地域の活力を保ちつつ担い手を確保していくという点で、大変評価をいたしているところであります。 一方、高齢者をめぐる大きな論点の一つに、後期高齢者の医療費の窓口負担の見直しがあると承知いたしております。今後、団塊の世代が75歳以上の高齢者となる中、現役世代の負担上昇を抑えようとするものですが、負担増が必要な医療を控えることにつながらないか、心配をされています。そのため、見直しによって受診抑制につながることがないよう、特に低所得者に十分配慮した制度設計となるよう、全国知事会として提言しているところです。 新型コロナウイルス感染症の影響により、最終報告は本年末まで見送られましたが、国と地方が方向性を共有し、一体となって全世代型社会保障制度の構築に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。そのため、全国知事会とも連携しながら、引き続き必要に応じて国に対して政策提言を行ってまいります。 他方で、そうした制度改正は国が担うといたしまして、保健・医療・福祉など社会保障分野の実行の大半は地方自治体が担っており、本県におきましても、現在第4期日本一の健康長寿県構想に基づき取り組みを進めているところでございます。 例えば、1つには、生活習慣病予防に向けましたポピュレーションアプローチや血管病の重症化予防対策を強化し、健康寿命の延伸を図っていくということ。また、2つには、フレイル予防や介護予防の取り組みによりまして、多くの高齢者が生涯にわたって健やかに生活ができるようにすること。3つには、在宅療養体制の整備を進めることによりまして、在宅での生活を希望される方の希望をかなえていくこと。こういったことに取り組んでいるところでございます。 こうした取り組みは、県民の皆様の生活の質、いわゆるQOLでございますが、この向上を目指すものではありますが、結果として社会保障にかかる費用の負担の軽減にもつながるものでありまして、その意味で制度の持続可能性を高めるものであるというふうに考えております。 そうした努力を続けまして、県としても、持続可能な社会保障制度の構築に向けまして、地方としての責任をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。 次に、介護保険制度の見直しに関する提言についてお尋ねがございました。 本県では、今後も高齢化が進み、介護サービスを必要とする方が一層増加すると見込まれております。こうした中、将来にわたって介護サービスを提供していく上で、御指摘がありましたように、介護人材の確保は喫緊の課題であります。 県では、これまで介護人材の確保を重点施策と位置づけまして、魅力ある職場づくりと介護職員の処遇改善の両面から、人材確保の好循環の実現に向けて対策を強化してまいりました。このうち、魅力ある職場づくりに関しましては、本県が先駆的に取り組んでおりますノーリフティングケアの推進や、認証評価制度の認証取得への支援などに取り組んできたところでございます。 また、介護職員の処遇改善については、これまで国において介護報酬の加算が充実をされるなど、さまざまな支援策が講じられてまいりました。さらに、新型コロナウイルス感染症への対応などを踏まえますと、もう一段の処遇改善が必要であると考えております。 介護職員は、高齢者やその御家族の生活を支える上で、なくてはならない存在となっております。そうした役割を正しく評価し、処遇に反映をしていくことが求められています。こうしたことから、今後におきましても介護保険制度の持続的な発展に向けまして、介護人材の確保策の充実について、全国知事会とも連携をいたしまして、国に提言をしてまいります。 次に、過疎問題懇談会がまとめました国への提言に対する所見及び今後の県の取り組みについてお尋ねがございました。 議員からもお話がございましたように、この提言では、過疎地域の持続的発展を基本理念としまして、地域資源を生かした内発的発展など4つの新たな目標を掲げております。また、今後の過疎対策では、働く場の創出を初め、革新的な技術の活用や地域運営組織と小さな拠点の推進など、8つの施策の視点が重要であるというふうにされております。 提言に先立ちます、昨年10月の令和元年度第4回過疎問題懇談会におきましては、市町村間の広域連携と都道府県による補完をテーマに、本県の取り組みに対するヒアリングが行われました。ヒアリングにおきましては、本県の過疎地域の現状とあわせまして、地域支援企画員や集落活動センターなど本県の特色ある取り組みも紹介をしながら、県の果たす役割、さらに財源対策について提案を行ったところであります。 今回の提言の理念や視点は、昨年度、市町村を構成員とする地域振興総合協議会と県で検討を重ね取りまとめました、今後の過疎対策に関する提言の方向性と一致するものでありまして、ヒアリングなどを通じて我々の思いや意向を、この懇談会の委員の皆様にも酌み取っていただいたものと、大変心強く感じております。 また、特に地域、住民、学校の連携による人材の育成や、ヒアリングのテーマとなりました過疎対策における都道府県の役割といった視点が新たに盛り込まれております。このことは、これまで本県が推進してまいりました中山間地域の特色ある学校づくりや集落活動センターの取り組みを後押しするものであり、大いに期待をしているところであります。 今後、来年4月の新たな過疎対策法の施行に向けまして、国会議員や関係省庁によります本格的な議論が展開されていくことになります。県といたしましても、新たな過疎対策法が本県の過疎地域の実情に沿った制度となりますよう、私が先頭に立ちまして、政策提言や要望活動などを重ねてまいります。 次に、本県における新型コロナウイルス感染症が比較的大きな広がりにならなかった要因についてお尋ねがございました。 本県において74人の方が感染しながらも、爆発的な感染者数の増加といった状況には至らなかった原因といたしましては、まずは感染された方々が、真摯に保健所の調査に協力してくださったことで、早期に感染の広がりを把握でき、対策が講じられたことが挙げられます。その際、感染者が発生した医療機関などが、直ちに休業などの措置を行った上で、その名前を公表することに同意してくださったことも、調査を進める上で重要でございました。 また、感染の広がりの調査に際して、本県では濃厚接触者については、当初から無症状の方であっても、積極的にPCR検査を行ってまいりました。さらに、発熱の有無にかかわらず、医師が検査が必要と判断した場合には、漏れなく検査を行うという体制、方針をとってまいりました。このように関係者や、いわゆる疑い患者に対してPCR検査を積極的に行ってまいったことも、この要因の一つだというふうに考えております。 加えて、マスクの着用、手洗いの励行を初めといたしまして、外出などの自粛、さらには休業の要請などに県民の皆様が真摯に協力をしてくださったことも、大変大きな要因であったというふうに考えております。 しかしながら、新型コロナウイルスについてはいまだ解明されていない部分も多く、次の感染の波に向けて油断はできない状況にございます。そのため、引き続き県民の皆様には、マスクの着用、手洗いの励行、いわゆる3密の回避など、新しい生活様式を意識した行動をとっていただくことが重要であるというふうに考えております。 次に、豪雨時の避難所におけます感染症対策の進捗状況と今後の県の支援についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の流行下におきましては、避難所での3密の環境を避けることに加えまして、事前準備といたしまして、感染症対策用の資機材の確保、運営マニュアルの作成、マニュアルに基づく訓練などを実施していくということが必要でございます。 まず、避難所のスペースにつきましては、これまで南海トラフ地震の際に必要となる収容能力の確保に向けて取り組んできました結果、豪雨時におけます3密対策の必要性を踏まえたとしても、全ての市町村で十分に確保できるということを確認いたしております。また、感染の疑いのある方が多く避難してきた場合も想定をいたしまして、宿泊施設などの活用を検討している市もあるところでございます。 次に、資機材についてでございますが、マスクや体温計など個人で使うものにつきましては、住民の皆さんにみずから持参をしていただくということを基本としております。しかしながら、これが不足をすることも想定いたしまして、全ての市町村におきまして、過去の風水害におけます避難者数をもとにいたしまして、マスク、消毒液、体温計などを確保することといたしております。現在の確保の状況は、マスクは17市町村、消毒液は12市町村、体温計は11市町村で準備が完了いたしておりまして、残りの市町村においても早期の完了に向けて取り組んでいる最中でございます。 避難所運営マニュアルにつきましては、今月中に全ての市町村で策定が完了する予定でございまして、一部の市町村では、マニュアルに基づいた避難所の運営訓練も始まっているところであります。 これまで県では、市町村が必要な資機材を早期に確保できますよう補助制度を拡充いたしました。また、防災部局と福祉保健所が連携いたしまして、地域ごとの説明会を開催いたしましたり、訓練の支援を行ってまいったところでございます。 今後も、市町村の取り組みの進捗状況を把握いたしまして、おくれている市町村については、地域ごとの担当者会などを通じまして、他の市町村の取り組み内容を情報提供いたすとともに、感染症対応についての技術的助言を行うなど、引き続き支援に取り組んでまいります。 次に、感染症が蔓延している状況下における南海トラフ地震対策についてお尋ねがございました。 県では、新型コロナウイルスなどの感染症の流行下におきまして、南海トラフ地震が発生した場合を想定して、今月3日の南海トラフ地震対策推進本部会議におきまして、感染症対応の必要がある26の取り組みの洗い出しを行いました。これらの取り組みには、避難所におけます資機材、あるいは社会福祉施設におけます保健衛生用品の確保、福祉避難所のマニュアルのガイドラインの見直し、医療機関におけます資機材の確保や医療従事者の受け入れ体制の充実などといった取り組みがございます。 感染症対策と地震対策は、基本的に、それぞれの計画やマニュアルに基づいて対応するということとなります。しかし、同時に発生した場合には、御指摘もございましたように、医療体制の逼迫ですとか職員のマンパワーあるいは資機材の不足といった事態が想定されるところでもございます。このため現実には、緊急度や優先度を踏まえた対応が必要となってくる場面も生じようと考えております。 今後は、これらの取り組みについて、各部局で具体的な対策を検討いたしまして、目標期間をあらかじめ設定した上で、南海トラフ地震対策行動計画へ位置づけまして、着実に進めてまいります。 次に、地産地消を県民に呼びかけました経緯と、「食べて!遊んで!高知家応援プロジェクト」への思いについてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症によりまして、本県でも観光関連産業を初め、第1次産業や製造業など、さまざまな産業が大きな打撃を受けております。そうした中、緊急事態宣言が解除されまして、都道府県をまたぐ往来も段階的に可能となってまいりました。このことを受けまして、県経済の回復に向けた動きを本格的に進める局面に入ったというふうに考えているところでございます。 他方で、地産外商を本格化するには、一定の時間を要することがございますので、まずは県民の皆様による県内観光や県産品の購入、すなわち地産地消を進めることが本県経済の回復に向けた第一歩になると考えまして、県民の皆様に呼びかけをさせていただいた次第であります。そして、この高知家応援プロジェクトは、そうした県民の皆様の地産地消の取り組みを後押しし、県全体の大きなうねりとしていくためにスタートさせた、そういった趣旨のものでございます。 県民の皆様には、このプロジェクトを通じて地産地消の具体的な行動を起こしていただきまして、県内事業者の皆様を応援していただきたいと思っております。あわせまして、本県の産品や観光資源のよさを再確認していただき、継続的に地産地消の取り組みを進めていただきたいと考えております。 一方で、本県経済の持続的な発展のためには、今後も地産外商を拡大していくということが必要であります。今後、オンライン商談の活用といった新たな生活様式への対応を進めるなど、県内事業者が再び積極的に地産外商に取り組めますよう、支援をしてまいります。 次に、国の観光キャンペーンにおきまして、本県を観光地として選んでいただく独自の取り組みにつきましてお尋ねがございました。 本県では、観光関連事業者の支援と本県観光のチャンスロスの挽回を目標といたしまして、観光リカバリー戦略を策定いたしております。この戦略では、目標の実現のために事業の継続、観光基盤の維持、国内観光需要の回復などといったフェーズごとに施策を組み上げまして、実行に移しております。 お尋ねがございました本県を観光地に選んでいただくための取り組みにつきましては、ただいま申し上げました国内観光需要の回復を図るフェーズにおきまして、展開をしてまいります。 まず、お話にございましたように、国のキャンペーンに連動いたしまして、本県独自の交通費用を助成するリカバリーキャンペーンを上乗せをするということによりまして、まず価格面でのインパクトを持たせようと考えております。 また、直近の旅行者の方々のニーズといたしまして、多くの方が自然の多い地域への旅行あるいは安心・安全な旅行を望まれているという調査結果が、大手の旅行会社から公表されているところでもあります。 本県では、ちょうど自然&体験キャンペーンを展開している最中でございます。また、この夏には、四万十川を横断するジップラインでございますとか、新足摺海洋館SATOUMIといった施設のオープンもいたします。加えまして、宿泊事業者、交通事業者、体験観光事業者などの皆様を中心に、新しい生活様式とおもてなしの実践に取り組んでいただくことといたしております。こうした本県の取り組みは、ただいま申し上げました直近の旅行者の方々のニーズにも沿うものと考えておりますので、この点は全国に訴求できるポイントだというふうに考えております。 こうした一連の県独自の取り組みをしっかりとアピールをしながら、旅行会社へのセールスあるいはメディアを活用した情報発信を行いまして、多くの観光客を誘致してまいりたいと考えております。 最後に、ふるさと納税に関する奈半利町の事案につきましてお尋ねがございました。 ふるさと納税は、議員のお話にもございましたように、税制を通じまして、ふるさとへ貢献する仕組みができないかという思いのもと導入をされた制度でございます。各自治体は、納税者の思いに応えられる施策の向上を図り、納税者は、地方行政への関心と参加意識を高める。これによりまして、地域に活力が生まれるということが期待されている制度だと考えております。 一方で、返礼品競争が過熱をしていく中で、奈半利町は、全国でも上位となる多くの寄附を集めておりましたけれども、ことしに入りまして、職員などが贈収賄で逮捕されるという事態に至りました。また、町が設置いたしました第三者委員会におきまして、国の定めたルールに反して返礼品を取り扱っていたこと及び国に対しまして事実と異なる報告をしていたことも明らかになりました。これらのことにつきましては、率直に申し上げまして大変残念に思っております。 今回、県としましては、国から町に対する調査の求めに関し、国への趣旨確認や県職員の派遣などを行いまして、町が実施する調査を支援いたしました。また、第三者委員会に委員として職員が参画するといったことなどを通じまして、全面的に協力をしてきているところでございます。 これまで、第三者委員会からは、調査結果が国への報告と大きく異なり遺憾であること、原因究明と再発防止策の徹底を強く求めることなどの意見が出されております。奈半利町においては、今後第三者委員会の取りまとめる報告書や町議会特別委員会での指摘なども踏まえまして、自浄作用を発揮していただくということを心から期待いたしております。 私も議員と同様に、奈半利町での事案をもって、ふるさと納税の制度趣旨自体が否定されるべきものではないというふうに考えております。このため、県として、奈半利町の再発防止策の検討に当たり、他県の優良事例を紹介するなどの支援をいたしますとともに、今回得られました知見を他の市町村にも共有してまいります。 こうした取り組みによりまして、法改正後の基準に沿いまして、ふるさと納税が適正に運用されるように努めてまいります。 私からは以上であります。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) まず、特別養護老人ホームの待機者の現状についてお尋ねがございました。 県内の特別養護老人ホームの入所待機者数につきましては、要介護度が3以上の方は、昨年の4月1日現在で2,219名となっております。そのうち、老人保健施設など他の施設に入所されている方や病院に入院されている方などを除いて、在宅で待機をされている方が517名となっております。 本年度は、次期介護保険事業支援計画の策定年度となっておりますことから、こうした待機者の状況を踏まえるとともに、市町村と中長期的な介護サービスに関するニーズを見通しながら、施設サービスを初め、居宅介護や居住系などのサービスの整備計画を検討してまいりたいと考えております。 次に、介護現場での人材確保の実態と、令和7年の介護人材数の不足の見込みについてお尋ねがございました。 県が、昨年度実施しました人材確保に係る介護事業所実態調査では、63%の事業所が人員不足を感じていると回答しています。調査を始めた平成25年度は、不足を感じている割合は49%となっていましたことから、不足感は増している状況です。不足の理由としては、採用が困難であるが最も多く、次に離職率が高いとなっています。 また、令和7年度の介護人材の見通しにつきましては、平成29年度の第7期介護保険事業支援計画の策定の際に、約1万5,700人が必要となり、約1,000人の介護人材の不足が生じると推計しております。このため県では、介護人材の確保を重点施策と位置づけ、魅力ある職場づくりと介護職員の処遇改善の両面で対策を強化してまいりました。 具体的には、本県が他県に先行して取り組んでおりますノーリフティングケアの普及を初め、介護福祉機器やロボット、ICTなどの導入を支援し、介護業務の効率化を進めています。加えまして、福祉・介護事業所の認証評価制度においては、こうした魅力ある職場づくりとあわせて、事業所の処遇改善の取り組みの後押しをしております。 引き続き、こうした一連の対策を進め、新たな人材の参入と定着を図ることにより、介護人材の確保に努めてまいります。   (農業振興部長西岡幸生君登壇) ◎農業振興部長(西岡幸生君) 直販所での農畜産物の販売拡大キャンペーンの狙いと効果についてのお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の影響により、業務需要の多い野菜や高級果実において消費が低迷をしております。外商を本格化するまでにはしばらく時間を要することから、まずは県内における地産地消を強化することが必要です。このため、地産地消の場として県民の皆様の生活に密着しております直販所を通じて、県内の農畜産物の販売拡大と地産地消の定着を図りたいと考えております。 具体的には、まず第1弾としまして、JAグループ高知と連携し、今月15日から本日まで、JAの直販所においてプレゼントキャンペーンを実施しているところです。さらに、切れ目なく第2弾としまして、あすから92店舗の直販所において、GoTo農林水産物直販所キャンペーンを10月末まで実施することとしております。 このキャンペーンは、直販所で1,000円の買い物ごとに配布するシールを5枚集めて応募していただくと、抽せんで合計4,000名の方に、5,000円相当の地域食材を使用した加工品や土佐茶などがプレゼントされるものです。 これらのキャンペーンを、県産農畜産物や加工品などの地場産品を県民の皆様に知っていただく絶好の機会と捉えて、しっかりとPRし、あわせて地産地消の強化を図ってまいります。   (水産振興部長田中宏治君登壇) ◎水産振興部長(田中宏治君) 県経済の回復に向けた水産業分野の地産地消の取り組みについてお尋ねがございました。 県産水産物の販売状況は、外食産業を主な販売先とする養殖魚やキンメダイなど比較的単価の高い天然魚を中心に、出荷が滞り価格が低下するなど、大変厳しい状況にあると認識しています。そのため、まずは県内における地産地消を推進し、消費の回復を図ってまいりたいと考えています。 具体的には、まず第1弾の取り組みでは、御家庭でより多くの県産水産物を食べていただくことを目的に、6月15日から魚を使った料理の写真をSNSに投稿していただき、抽せんでブリやマダイといった養殖魚などをプレゼントする、今日はさかなにしよう ハッシュタグキャンペーンを実施しています。また、あす7月1日からは、量販店で県産水産物を5点以上御購入いただいた方に、抽せんで養殖魚などをプレゼントする、今日はさかなにしよう 買って応援キャンペーンを実施いたします。 第2弾では、8月から多くの方に飲食店やホテルで魚や肉などの県産の食材を食べていただくことを目的とした、高知家のおいしい食材 食べて応援キャンペーンを実施いたします。キャンペーンでは、飲食店などに県産の食材を使ったキャンペーンメニューを提供していただき、御注文いただいた方に、抽せんで県産の魚や肉、果物などをプレゼントすることとしています。 加えて、国の経済対策を活用し、ブリやマダイなどの養殖魚を県内の学校給食に提供する取り組みも行いたいと考えており、今議会に補正予算案を提出させていただいているところです。 このような地産地消の取り組みをしっかりと進め、さらに高知家の魚応援の店などと連携して地産外商を推進することで、県産水産物の消費の回復、拡大を図ってまいります。   (副知事岩城孝章君登壇) ◎副知事(岩城孝章君) 国際線ターミナルビルの整備計画とそのスケジュール、現在の進捗状況や今後の整備の進め方についてのお尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えをいたします。 国際線ターミナルビルの整備につきましては、本年度当初の予定では、令和2年度に建物の基本設計と実施設計を行った上で、令和3年度には建設工事に着手し、令和4年夏の供用開始を目指す計画で進めてまいりました。 しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けまして、県民の皆様の健康や生活を守ることを第一に考え、感染症対策や経済影響対策などに緊急的かつ最優先で取り組むこととし、既に中止が決定している事業や、幾つかの事業で実施を先送りするなど、大幅な事業の見直しを行っております。今年度に実施を予定しておりました基本設計、実施設計の業務につきましても、プロポーザル方式による委託事業者選定のための審査を保留しており、現在今後の整備の進め方を検討しているところでございます。 国際線ターミナルビル整備につきましては、新型コロナウイルス感染症で大きなダメージを受けております国際航空路線における需要回復の見きわめが大変重要だと考えております。こうした状況の中、政府が感染状態が落ちついている国や地域との出入国制限の緩和に向けた協議を進めるなど、国際航空路線の需要回復につながる動きもわずかではありますが見えてまいりました。 さらに、これまで県が地道に展開してまいりました国際チャーター便の誘致活動を通じまして、高知龍馬空港への就航に前向きなお話もいただいておりますので、こうした航空会社の現状や意向についても再度しっかり確認をし、9月県議会までに、今後の整備の進め方について判断したいと考えております。 いずれにいたしましても、現在の各国の航空会社や国際航空路線の運行状況を見たとき、今年度の基本設計、実施設計、来年度からの建設工事、令和4年夏の供用開始は難しい状況だと考えております。   (総務部長君塚明宏君登壇) ◎総務部長(君塚明宏君) 県内の市町村における、ふるさと納税の適正な運用についてお尋ねがございました。 ふるさと納税の状況については、総務省において、全ての地方自治体におけます制度の運用を把握し、検証するための調査が行われております。この調査では、年間の寄附総額に対する調達費用が3割以下、調達費用や送料などを含む募集経費全体が5割以下であること、寄附額上位10品目について地場産品であることなどを確認しているところです。 令和元年度の調査の結果、年間の寄附総額で見た場合、調達費用が3割を超えるものが奈半利町を含め8団体、募集経費が5割を超えるものが同じく11団体ございました。この要因としては、前年度の寄附額が多く、その返礼品に係る支払いが翌年度になっている場合や、移行期ということもあり、意図せず送料などの経費が大きくなってしまった場合があると認識しております。なお、地場産品以外の取り扱いについては、奈半利町以外には該当する団体はございませんでした。 今回の調査結果も受けまして、県内市町村においてふるさと納税の適正な運用がなされていくよう、適切に支援してまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) 保育所の待機児童ゼロに向けて、高知市に対してどのような支援を行っていくのかとのお尋ねがございました。 高知市の待機児童数は、昨年4月1日現在で34人、ことし4月1日現在で26人という状況で、特にゼロ歳から2歳までの低年齢児に多く発生をしております。 本県において、働きながら子育てしやすい環境づくりを推進する上では、県内の市町村の中で待機児童数が多い高知市において、その解消のための取り組みを進めていただく必要があることから、県として昨年8月の県・市連携会議の議題として取り上げ、高知市からは、令和3年度当初の待機児童解消に向けて取り組みを進めていくとの方向性が示されました。 その後、高知市においては、昨年11月に低年齢児の受け皿として見込んでいた認定こども園の閉園が明らかになりましたが、令和3年度当初の待機児童解消に向けて、保育ニーズの高い地域での小規模保育事業所の新設や、保育士の負担軽減を図るため保育補助員を配置する園に対する支援に取り組んでいるとお聞きしております。 県教育委員会としましては、待機児童の解消のためには保育士の確保が重要であるというふうに考えており、これまで返還免除規定のある修学資金の貸与や、福祉人材センターに委託して求職者と雇用者のマッチングを実施するとともに、保育士の給与の増額等の処遇改善についても国に提言するなど取り組んでまいりました。 今年度は、保育現場の働き方の見直しや処遇の改善により、保育士の確保と定着が図られるよう、市町村や保育士会、保育所経営管理協議会などの関係団体の皆様方と、労働環境の改善や業務負担の軽減に向けて協議を行い、経営者側における主体的な取り組みも促してまいりたいというふうに考えております。 このような取り組みを通じまして、高知市の令和3年度当初の待機児童の解消に向けて支援を行ってまいります。 ◆16番(明神健夫君) それぞれ詳細で行き届いた御答弁をいただきまして、再質問はありません。 地産地消を誘発するための、「食べて!遊んで!高知家応援プロジェクト」が功を奏し、本県経済が早期に回復することを願いまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(三石文隆君) 暫時休憩いたします。   午前11時29分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(西内健君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 31番上田周五君。   (31番上田周五君登壇) ◆31番(上田周五君) 県民の会の上田でございます。議長のお許しをいただきました。会派を代表し、通告に従いまして、順次質問いたします。 高知県内で新型コロナウイルス感染が初めて確認されてから、きのうでちょうど4カ月。一時期は、感染拡大の連鎖が起きるのではとの不安がありましたが、県民の皆様が危機感を共有され、一致協力、コロナ感染拡大の防止に立ち向かってくれました。外出自粛の要請にしっかりと応え、手洗い、消毒、マスクの着用、ソーシャルディスタンス、3密の回避、そして他県への移動自粛の徹底など、今回とられた行動はすばらしいと感じています。こうしたことから県内においては、5月、6月の2カ月の間、新たな感染者はゼロの状態を継続しています。今回、私は県民の力を相当感じました。 そこで、県内において新型コロナウイルスの感染拡大が防止されているのは、県民の総合力が発揮されたことによるものだと思いますが、知事はどのように受けとめられているのか、お聞きをいたします。 さて、本日6月30日で令和2年度の第1・四半期が終了いたします。例年ですと第1・四半期は、年度当初がスタートするといったことで、県職員の皆様には気持ちも新たに県政運営に臨まれるところであったと存じます。特に、知事にとって実質的な初年度になるといったことで、そうした思いが強かったのではないのかと存じます。しかしながら、本年度は2月からのコロナ感染拡大のさなかでのスタートとなり、この問題に集中せざるを得ない異例の事態となったと感じています。 これまでは、感染拡大の予防・防止対策が中心でしたが、これからは、コロナ感染症が再び拡大する第2波に備えた施策と経済活動の回復策を中心とした取り組みとなります。同時に、知事が県民の皆様に約束されました関西圏の経済活力の取り込みや南海トラフ地震対策などに力を注がなければなりません。その意味で、あしたからの第2・四半期が、真のスタートになるのではないかと思っています。当然、コロナ感染拡大の防止対策や新しい生活様式を徹底していく中でのスタートとなります。 そこで、令和2年度の県政運営にかける知事の思いを、改めてお聞かせください。 次に、高知県では、平成21年4月に産業振興計画の取り組みをスタートさせ、これまで経済の活性化など5つの基本政策を柱に、10年以上にわたりさまざまな施策を展開されてきました。結果として、有効求人倍率及び製造品出荷額等あるいは県民所得など各種の経済指標に見られるように、下降、縮小傾向にあった県勢は明確に上昇傾向に転じるようになってきたと、一定の成果を強調されています。 一方で、本県の平成30年度の主要財政指標では、財政力指数は全国46番目、人口1人当たりの借金残高は122万3,000円で、平成20年度と比べおよそ20万円増加し、全国11位から3位に上昇、自主財源比率も低く、財政力は全国水準から大きく低迷しており、依然として、地方交付税など依存財源に多くを頼らざるを得ないのが現実であります。加えて、今般のコロナ禍で本年度以降の県税収の落ち込みが懸念され、今後の予算編成が相当窮屈になることが予測されます。 そこで、こうした逆境を乗り越え、県民に約束された県政の課題解決に向けて前進していくため、また、県民サービスを低下させないためにも、知事は、今後の県財政運営についてどのようにかじ取りをされていくのか、お聞きいたします。 次に、2018年度の全国市町村税の決算状況は、全国の伸び率が4.3ポイントに対し、高知県内34市町村の伸びはわずかに0.4ポイントにとどまっております。高知市初め19市町村でマイナスの伸び率となっており、全国に比べて厳しい状況が続いております。 また、頼みの綱でございます地方交付税も、先細りの状況は否めません。さらに、先ほども申し上げましたが、コロナ禍で県税と同様に市町村税も落ち込みが懸念されることに加え、対策には多額の経費が必要となりますことから、2021年度以降の予算編成がきつくなるなど、今後の財政運営に大きな不安がよぎります。 そうしたことで、県勢浮揚のためには、財政運営に関する助言など、これまで以上に市町村との連携が必要になってくるものと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。 次に、県政運営のよりどころとなります県政運営指針が5年ぶりに改定されました。改定された指針では、簡素で効率的な組織を構築しつつ課題に真正面から取り組むためのマンパワーを確保するといった基本方向を掲げています。その取り組みの一つとして、これまでの知事部局の職員3,300人体制を時限的に見直し、令和6年4月時点において3,400人以内での職員体制にすることが明記されています。 職員体制のあり方については、「県政運営指針」検証委員会で、「職員体制3,300人については、どれくらいが適当な規模なのか、何を物差しで見たらいいのかわからない。時間外勤務は1つの指標ではあるけれど、それだけではない」、「職員の個性の多様性を前提とした適材適所により、県庁全体として最高のパフォーマンスを発揮できる体制を」あるいは「再雇用のOBを活用して若手職員の育成に取り組むべき」などの意見が出されています。 そこで、これまでの職員3,300人体制を時限的に3,400人以内の体制に見直す考え方について、知事の御所見をお聞きいたします。 次に、光ファイバー回線の整備計画についてであります。コロナ禍で、地域活動や住民活動のコミュニケーション手段として、オンライン化が県内で急速に進んでいます。コロナ感染症対策で会合や催しができなくなったのに対応した措置でございますが、遠隔地との交流も深まるなど活動の幅を広げることにつながり、社会活動の形が変わりつつあります。しかし、過疎地や離島など、通信環境が未整備で遠隔授業が受けられない地域があり、課題となっています。 そうしたことで、総務省は、コロナ感染症への対応を進めるため、全国への光ファイバー回線の整備計画を2年前倒しし、2021年度末までにほぼ全世帯で利用できるようにと、12日成立した国の2次補正予算に502億円を盛り込みました。自治体などによる整備を支援し、未整備地域を早期に解消することで、必要な情報通信基盤を提供するものでございます。これにより、高知県内の未整備地域での光ファイバー整備が加速化されることが予測されます。 そこで、県内の光ファイバー整備の現状と課題、そして今後の施策の展開について、知事にお聞きをいたします。 次に、人口減少対策についてでございます。 コロナ禍においても、当面する主要な県政課題への取り組みに後退が生じてはなりません。高知県にとって最大の課題は、県外への人の流出を食いとめることでございます。 総務省が本年4月に公表した昨年10月1日時点の人口推計によると、日本の総人口は前年より27万6,000人少ない1億2,616万7,000人でございました。高知など40道府県の人口が減少する一方、増加は東京圏を含む7都県にとどまり、一極集中傾向も変わっておりません。 本県の人口は、前年より8,000人減って69万8,000人となっています。減少率1.15%は、秋田、青森に次いで全国3番目であります。そして、死亡数が出生数を上回る自然減の人口に対する割合は0.84%で全国で3番目、転出者が転入者を上回る社会減は0.31%で6番目の高さでございます。また、2019年住民基本台帳人口移動報告では、県内における社会減は2,458人であり、転出超過は25市町村に上っています。 そこで、これまで人口減少を食いとめるために地道に施策を重ねてきたにもかかわらず、人口の社会減が解消されていない要因と、令和5年度に人口の社会増減をゼロにするという目標達成に向けた施策の展開について、知事の御所見をお聞きいたします。 次に、関係人口づくりについてでございます。人口減少が進む地方で、都市部の住民が、移住しないで地域の支え手になる関係人口という考え方が注目されています。地域に住み続ける定住人口と、観光などで訪れる交流人口の中間的な概念であります。都会に出た出身者や、旅行や趣味で訪れた人など、地域に愛着を持ち、外部にいながらかかわりを続ける人を指します。都会に住みながら地域や産業の活性化に関与する人をふやそうと、地方創生に取り組む自治体などの間で数年前から提唱され始めました。 過疎化に悩む自治体は、地域を衰退から守ろうと、外部にいながらまちづくりを担う人材の育成に汗をかき、知恵を絞っています。こうした関係人口づくりに取り組む自治体が全国的にも相当増加しています。移住せずインスタグラムで魅力発信、祭りやイベント手伝い、都会のマンションごととの交流事業等々であります。 こうした中、総務省は関係人口に取り組む自治体を対象に上限1,000万円を支援されています。本県においても、津野町や土佐町などがこの制度を活用し、関係人口づくりを行っています。加えて、コロナ禍において働き方が見直され、副業や兼業という形で地方とかかわろうとする都市部人材も増加傾向だと聞きます。 そこで、今後は移住政策と並行して、関係人口の裾野を広げる取り組みを積極的に推進すべきと考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。 次に、コロナで、地方の暮らしに関心が高まることが想定されています。そこで、団塊の世代を中心としたシニア世代をターゲットにした移住促進策を提案いたします。高齢化が進行し、人口減少に歯どめがかかっていない日本では、あらゆる世代がこれまで以上に活躍できる社会にすることが強く求められております。特に、シニアと呼ばれる世代の人たちを、単に支えられる側の存在とみなすのではなく、実態に即した形でよりよく活動できるようにすることが重要だと思います。 シニアという言葉の定義でございますが、一般的に65歳以上の人をシニアと捉えています。超高齢化社会に突入した我が国では、シニア世代もまた、その能力を十分に生かして社会を支えることが求められているものと存じます。今こそ、シニア世代の能力を生かすときだと考えます。 シニアにマニュアルどおりの働き方を求めるのではなく、働き手の個々の事情を許容する弾力性があれば、シニア自身が現場で工夫しながら、持っている能力や機能で力を十分発揮できると思います。つまり、職場環境が決め手となります。また、若者との協働の環境をつくり出していくことも有効な手段だと存じます。例えば、新しい機器を使うのが苦手とされるシニアも、若者と一緒に作業しながら使っているうちに、自分なりの使い方が見出せるようになっていくと思いますし、若者の側にも、高齢者との共同作業で自己評価が高くなり、積極性が高まるメリットがあると考えます。 以上述べてきましたが、シニア世代は現在の少子高齢化の中で一定の労働力を担える存在でございます。 そこで、シニア世代の能力を最大限に発揮できるようにするためには、多様な働き方の実現が重要であると考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。 次に、都会に居住するシニア世代が、地域にとっては大切な住民力になっていただけるのではないかと考えます。本県に移住された方の年代を見ますと、60代以上は非常に少ないですが、この世代は、総じてさまざまな興味や関心を持つ活動派で、豊富な知識や技術と経験を持っています。また、出身地への回帰や田舎暮らしへの志向も強いとの調査データもございます。 今後は、定年され職場を離れた第二の人生は、自由な生活の場として田舎を選択される比率が高まるのではないのか。今般のコロナ禍で、田舎志向が相当強くなることも予測されます。本県においても、中山間地域への移住や第1次産業への就業も期待されます。 都会で定年退職を迎えたシニア世代を高知県に呼び込み、彼らの培ってきた高い能力を発揮していただいてはどうでしょうか。地域の若者と交流していただくことで、それぞれの活動が活性化するなど相乗効果も期待できると思います。 そこで、シニア世代を対象とした相談会を行うなど、シニア世代をターゲットにされた移住促進策を検討されてはと考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。 次に、昨年12月厚労省から日本の出生数が1899年の統計開始から初めて90万人を割り込み、過去最少の86万4,000人になるとの発表がありました。この発表後に安倍首相がこれは国難だと語りました86万ショックでございます。衝撃的な数字であり、深刻化する少子化に歯どめがかかっていない状況が、改めて浮き彫りになりました。そして、今月5日厚労省から発表された2019年の人口動態統計で、高知県の合計特殊出生率は前年より0.01ポイント下がり1.47となりました。2年連続の減少は、2009年以降初めてでございます。 少子化対策については、私はもともと国策として取り組むべき事柄だとの考え方を持っております。政府は、結婚して子供を望む人の希望がかなった場合の出生率を1.8として、2025年度までの実現を目指しています。内閣府の2018年の調査では、未婚の20代から40代の男女の7割以上が結婚を希望されています。結婚を望むのにためらう人がいるのはなぜか。国は要因を分析し、障壁をなくす施策を進めてほしいと存じます。また、非正規で働く若者の待遇改善、出産や子育てに関する経済支援などで、これまでの論点や施策が正しかったか、再検証が必要ではないでしょうか。 本県においては、5つの基本政策に横断的にかかわる政策として、少子化対策の充実強化を図ってきましたし、議会としても、少子化対策・子育て支援特別委員会を設置し、たびたび議論をしてきました。 そこで、これまでの取り組みで何が不足しているのか、結婚や出産を望んでいるのにためらう人がいるのはなぜか、経済的不安だけではないと思います。その具体的な理由を分析し、少子化対策につなげていくべきだと考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。 次に、経済の活性化についてです。 今回の補正予算のうち、県内の事業者を支援するため、県独自で創設された制度、新型コロナウイルス感染症対策雇用維持特別支援給付金19億7,800万円についてお聞きをいたします。支援給付金は、国が最大200万円を手当てする持続化給付金に上乗せするもので、従業員の規模は設けず、連続する3カ月の売上合計が前年同期比で5割以上減るなどの要件を満たせば、最大1,000万円が支給されます。本事業の対象となる想定事業者数は約1,700事業者を数えます。 そこで、申請に当たっては、手続に多くの労力が必要となることが予測されますが、窓口となる県の執行体制はどうなるのか、また、申請受け付けから給付までにどれくらいかかる見通しなのか、さらに迅速な給付のためには手続の簡素化、スピード化を図るべきだと思いますが、あわせて商工労働部長にお聞きをいたします。 また、雇用維持特別支援給付金は、国の持続化給付金を受給することが要件の一つとなっています。この持続化給付金については、国の2次補正において、フリーランスが対象に追加されるとともに、本年1月から3月までに開業した事業者も対象となったところでございます。しかし、この拡充内容を知らない県内事業者も多いと思われます。 そこで、国の持続化給付金の支給対象が拡充したことについて、県としても周知を図るべきだと考えますが、商工労働部長に所見をお聞きいたします。 次に、観光振興についてです。コロナの打撃から県経済回復が当面の課題となっています。外出自粛中の個人消費の落ち込みが続いています。最も痛手をこうむっておりますのが、観光分野ではないでしょうか。 訪日外国人旅行者らの減少や航空機の減便、県外移動自粛で観光バスや貸し切りバスの利用激減、緊急事態宣言の全国拡大による県内観光施設の利用者の大幅な減少、さらに7月から秋口にかけて県内で開催が予定されていましたよさこい祭りなど多くのイベントの相次いでの中止が、重立った要因でございます。 政府は、コロナの感染拡大でダメージを受けた国内観光の需要喚起策を8月以降に始める方針でございますが、旅行者には慎重な姿勢が目立っています。大手旅行会社が5月に公表した旅行に関する意識調査によると、年内の旅行を検討しているとの回答は32.2%で、2月時点の48.1%から大幅に減少し、国内旅行の開始時期については、9月から10月までが34.4%で最も高くなっています。 こうした中、県では6月と7月を高知家の地産地消を進める月間とし、県民に、県内のいろいろな観光名所や施設を再発見するという面で県内観光を進めています。これには大いに賛同いたします。今後は、新しい生活様式が取り入れられる中で、旅行、観光のあり方も変わってくるのではないでしょうか。地元にいて地元のことを知らない、高知にいる子供が高知のことを知らないといった大人や子供たちが多くいるのではないかと思われます。児童生徒の遠足や修学旅行については、ふるさと再発見という視点に立って、県内にすることも一考ではないのかと思います。 いずれにしても、国が8月以降展開する観光キャンペーンまでの間、本県観光の活性化をどのように図っていくのか、観光振興部長にお聞きをいたします。 次に、農業政策でございます。コロナ危機の中で日本の農業を守り、世界に比べ余りにも低い食料自給率を高めることの大切さを痛感しています。そこで、中山間地の農地の保全についてお聞きをいたします。 中山間地の耕作放棄地の発生防止や解消に向けて、傾斜地などの農道の草刈りや水路の泥上げ、施設整備といった営農を支援する中山間地域等直接支払制度の第4期対策の最後の年度である2019年度高知県の交付実績によると、交付金の支払い対象となった農用地面積は前年度比55.5ヘクタール増の6,815.1ヘクタール。また、2019年度の交付金総額は579万9,000円増の10億4,276万3,000円。そして、県内で本制度の対象となる農用地は1万350ヘクタールで、全市町村が対象となっており、うち交付面積は65.8%を占めています。交付の前提となる農家などの協定締結数は2件増の599件であります。 また、農林業センサスの2015年調査結果では、県内の農業就業人口は2万7,161人で、5年前の調査に比べ6,967人、20.4%と大きく減少。その平均年齢は全国平均の66.4歳をやや下回っているものの65.0歳で、前回より0.6歳上がっています。一方、耕作放棄地面積は3,921ヘクタールで、前回調査に比べ1ヘクタール増加しています。 このように、農業者の高齢化や担い手不足などにより、県内の農業を取り巻く現状は厳しいものがございますが、中山間部の農地は、保水機能などから防災面でも有効でございます。 そこで、中山間地域の農地保全にとって重要な役割を有する本制度の利用を促して、耕作放棄地をこれ以上ふやさず、山間部の農地の保全につなげていくべきだと考えますが、本制度の第5期対策の今後の進め方について、農業振興部長の御所見をお聞きいたします。 次は、日本一の健康長寿県づくりなどについてでございます。 保健・福祉の分野においてもコロナショックは大きく、これまでの高齢者の通いの場の活動や介護サービス事業所の運営などに支障が出るなど、高齢者福祉のあり方が課題となっています。 デイサービスなど介護サービス事業所では、休業、縮小の連鎖の中で新たなサービスのあり方に苦心されています。施設利用者には、送迎車に乗る前にアルコール消毒と検温を求め、室内の活動は2メートル以上距離をあけ、ゲームや工作は中止、飲食時の会話は遠慮してもらうようにしている。本来のサービス目的である人との触れ合いが思うようにできず、認知機能の低下につながりはしないかなど心配があります。介護サービスそのものの根幹が揺らいでいます。加えて、これまでの利用者が利用を控えたり、マスクなど新たな物資の確保など、経営面でも不安が募っています。 そこで、これらの課題を踏まえた上で、今後介護サービスと感染予防を両立させるため、行政としてどう対応されていくのか、地域福祉部長にお聞きをいたします。 次に、新しい生活様式が取り入れられる中で、地域で行われている高齢者の通いの場の活動に支障が生じています。人と人との間隔を2メートルあけることや、近くで話すときはマスクの着用などに注意しなければならず、活動に制限が加わり、窮屈な思いの中で本来の交流ができず、気持ちがそがれてしまい、参加者も少なくなっていると聞きます。 関係者によりますと、この先ひきこもりの高齢者がふえはしないかとの心配をされています。こうした介護予防の活動は、健康寿命の延伸に向けた大切な保健活動だと思います。 そこで、県として感染予防を踏まえた介護予防をどう進めていくのか、地域福祉部長にお聞きをいたします。 次に、新型コロナウイルスの影響による健康二次被害への対応でございます。2カ月から3カ月にわたる長い期間の外出自粛生活が続いたため、健康における3つのリスクが高まっていると言われています。 1つは、運動不足が人々の免疫力を低下させることでございます。この免疫力を維持するためには、運動不足に陥らないことが必要であります。2つ目は、外出自粛中は、巣ごもりとかコロナ飲酒といった言葉がよく聞かれました。運動不足により体重が増加する人がふえつつございますが、これは将来の生活習慣病発症のリスクを高めています。また、糖尿病や認知症など基礎疾患のある人は、重症化するリスクが高まります。特に高齢者は他の世代に比べて、後者のリスクがより顕在化しやすいです。そして3つ目は、趣味や運動サークルなどへの参加制限による社会性の低下に伴いメンタルヘルスが悪化することでございます。 特に2つ目と3つ目が、健康二次被害と呼ばれています。コロナ禍を克服したときに、この被害が顕在化し、多くの国民、県民がさらに厳しい期間を過ごすことは絶対に避けなければならないと、専門家は警鐘を鳴らしています。 そのためには、国や自治体が率先して健康二次被害予防を政策として位置づけ、具体的な施策を実施すべきと考えます。高知県として、健康二次被害を回避するための具体的な取り組みについて、地域福祉部長にお聞きをいたします。 次に、新型コロナウイルス禍で、発生しやすくなると言われております荷おろし鬱病についてであります。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国の緊急事態宣言が全面解除され、日常生活が戻りつつあります。解除後に、それまでの緊張感が緩むことで懸念されますのが、精神的重荷から解放されたときに生じやすい鬱状態、荷おろし鬱病の増加であります。 その症状は、鬱病と同じで抑鬱気分、睡眠障害、食欲の減退など、一般的に全力を注いで大仕事をやり遂げた後、燃え尽きたような状態になると発症しやすい。専門家は、「今回のコロナ禍で、多くの人は感染しないよう外出自粛をするなど、不安とストレスを感じながら2カ月以上生活してきました。緊急事態宣言が解除されて生活が落ちつき、緊張の糸が切れればこの病が発生しやすくなる」と警鐘を鳴らしています。また、宣言解除前は大半の人が外出自粛などに取り組み、みんな同じという意識があった。解除後は、自分と他者との差が気になり始める。例えば、コロナ禍で収入の減った人が影響のなかった人を見ると、自分が不利な状況にあると感じてストレスがたまるといった、鬱病の要因となる新たなストレスも心配されています。 実際、高知県においても心のケア相談窓口には、5月に入りまして、食欲不振、倦怠感が強くなった、今後のリストラへの不安が強いなどなど、鬱病の予兆と思われる相談内容が多く寄せられていると伺っております。具体的な予防策には、情報を入手し過ぎないことや、体を動かすことも重要だと言われております。 いずれにしましても、こうした相談も踏まえ、荷おろし鬱病への注意喚起が必要だと思いますが、地域福祉部長にお聞きをいたします。 次に、国の水際対策についてでございます。6月7日、県政記者クラブ配付資料において、検疫所で実施した新型コロナウイルスに係るPCR検査の結果、無症状病原体保有者であることが判明した事例について発表がございました。翌日の高知新聞記事によると、海外在住の本県出身者がペルー共和国から成田国際空港に帰国し、成田空港検疫所で実施したPCR検査において陽性が確認されました。この感染確認された方は無症状であったため、国の通知などに従い、公共交通機関を使用せずに本県へ移動中に陽性の連絡を受け、高知医療センターに入院したとのことでございました。 成田空港から入国する際の検疫手続については、出入国管理及び難民認定法に基づく入国制限対象地域に滞在歴のある人に対してPCR検査を実施します。帰国から14日間までは、公共交通機関は使えず、検疫所長が指定する場所に待機していただくことになっています。 帰国者が、公共交通機関を使わずに自宅に帰ることが可能な場合については、検査結果が判明するまでの一時的な待機場所を自宅としています。公共交通機関を使わずに自宅に帰ることが不可能な場合は、空港内の待機スペースか、検疫所長が指定した宿泊施設で検査結果を待つこととされています。検査結果が陰性の場合でも、14日間は自宅及び帰国者自身で確保したホテル等で待機することになっています。 今回のケースは無症状であり、本人が海外在住であるため、公共交通機関を使わずに滞在予定の本県親族宅に向かうことが許されたと考えられます。その後の14日間の待機場所は親族宅となる予定だったのでしょう。 世界の感染者数は、28日時点で1,000万人に上り、国別では、米国が約251万人、ブラジル約131万人、ロシア約63万人となっています。ちなみに、ペルー共和国の感染者は27万人以上です。6月に入り、各航空会社の海外定期便再開の動きが出始めた中、水際としての空港検疫は、第2波防止の観点からも大変重要だと考えます。 そこで、国の水際対策として、帰国者に対して、待機場所やそこまでの移動手段などについて丁寧に説明することが重要であると考えますが、健康政策部長の御所見をお聞きいたします。 次に、教育政策についてお聞きをいたします。 初めに、健康教育の推進についてでございます。日本一の健康長寿県構想は具体的な施策として、健康寿命の延伸に向けて、子供のころからの健康づくりの推進を重要施策の一つに掲げています。 本県においては、朝食を毎日食べる子供の割合が、全国平均より低い現状があります。小学5年生と中学2年生を対象にした高知県の子供の生活習慣の状況調査では、男女とも全国平均より低く、特に中学2年生の女子の割合が5.1ポイントも低くなっています。朝食を食べない主な理由は、時間がない、食欲がない、そして用意がないの順となっています。朝食を抜いて学校に通うことは、健全な食生活を送る上で大きなマイナスになるとともに、学業の面でも集中力などが欠ける要因となります。 県では、これまで望ましい生活習慣を身につけるため、実践につながるような健康教育の推進に取り組んできたとは存じますが、さきに述べましたような実態があることも踏まえ、子供自身、そして保護者に対し、朝食の大切さをいま一度理解していただくため、もう一歩踏み込んだ形で取り組むことが必要だと思いますが、教育長の御所見をお聞きいたします。 次に、新型コロナウイルスの影響で県内の小中学校が一時休校したことによる学習のおくれが心配されております。4月から5月にかけての休校に伴い、小中学校では1年間に必要な授業時間のうち最も長く休業した学校では、約13%に当たる約150時間が失われています。特に、次年度にカリキュラムを繰り越しできない小学6年生と中学3年生の学習のおくれを挽回するため、例えば、少人数で授業を受けられるよう非常勤講師を新たに配置するなど、よりきめ細やかなサポートが必要ではないでしょうか。 そこで、小学6年生、中学3年生の学習のおくれを挽回するための具体的な取り組みと、一時休校したことによる県立学校入試への影響はないのか、再び感染が広がった場合の入試の対応はどうか、あわせて教育長の御所見をお聞きいたします。 この項最後となりますが、コロナの影響で今夏のインターハイが中止となったことを受け、各県において代替大会の開催が模索され、発表の場を失った高校生を独自に支援する取り組みが広がっています。 5月臨時会において、我が会派の坂本議員から、部活動などの成果発表の場を設けられないかとの質問に対し、県教委から開催を検討するとの前向きな御答弁をいただき、高校生は、県体が、3密を回避できない競技を除いた競技を、今月27日を皮切りに分散開催が決定され、先日ソフトボール大会などが行われました。また、中学生は、県総体が7月21日から一部の競技を除いた競技で一斉開催されます。この間、子供たちの発表の場をつくっていただき、大会の開催準備や運営に御尽力いただいています関係者の皆様に心から敬意と感謝を申し上げます。 実施に当たっては、県の指針に基づき、県高体連及び中体連と県教委が作成された開催要領や感染防止ガイドラインにより、選手や関係者は大会2週間前から検温などを実施し、健康確認を徹底した上で出場となります。大会は無観客であり、一般生徒や保護者の応援は原則禁止でございます。 一方、保護者の間では、これまで子供たちが流してきた汗や涙の集大成を見届けたい思いがあります。これまで子供たちを愛情を持ってサポートされてきた保護者にとって、その集大成を何としても見たいと思うのは、誰もが同じ心境ではないでしょうか。そうした声から、高等学校の一部の競技では、会場規模や健康管理など諸条件を満たせば、保護者の観覧が可能となっています。しかし、中学校の県総体では、保護者の観覧は認められていません。 やむを得ず、そのような対応をとられているとは存じますが、どのような検討がなされたのか、教育長にお聞きをいたします。 次に、地域防災について何点かお聞きをいたします。 地球温暖化の影響で気象条件が激甚化し、巨大地震も予測されています。「行政主導の防災から住民主体で行政がサポートする防災へ」、2018年7月の西日本豪雨災害を受け、内閣府の中央防災会議のワーキンググループがまとめられた提言でございます。行政がやるべきことは適切にした上で、行政主導の防災対応を根本的に見直し、国民がみずからの命はみずからで守る行動を主体的にとり、行政が全力で支援するといったインパクトの強いメッセージとなっているものと感じています。 行政の財源やマンパワーに限りがある中で迎えた災害多発時代でございます。国民も一人一人が防災意識を高め、行政と一体で取り組まないと人命を守れない超高齢・少子化社会に突入しています。互いに命を守るための仕組みづくり、地域づくりが急務となっているのではないでしょうか。 改めて、自主防災組織の充実強化、そして必要性を認識させられました。県内には、いまだ結成されていない地域がございます。高齢化で担い手がいなかったり、コミュニティーが希薄だったりすることが要因となっているようでございます。 そこで、県内におけます自主防災組織の現状と課題を踏まえた今後の取り組みについて、危機管理部長にお聞きをいたします。 次に、地域の消防団についてでございます。消防団は、地域の安全・安心を守るために欠かせない存在でございます。消防団員は、全国的に地域コミュニティーの希薄化などで減少傾向にあります。高知県内の消防団員の現況は、平成31年4月1日現在8,020名、うち女性団員が305名おいでます。条例定数8,805名に対して785名不足しております。充足率は91.1%となっています。そして、本県の団員の年齢別割合は、39歳までが32.0%、55歳以上が22.8%となっており、若い世代の団員確保が急務となっています。 全国の消防団では、団員の減少傾向に歯どめをかけようと、現状では少ない学生や女性の入団促進に努めるほか、任用時の年齢上限50歳を撤廃するとともに、団員の定年60歳を引き上げて65歳とし、組織の維持につなげようと腐心されています。一方、若い世代で地元消防団へ入団意向はあるが、処遇面などに不安があるため、入団をためらっているとの話も伺います。 いずれにしても、消防団は地域防災のかなめでございます。地域の消防団という支えがあるからこそ、自主防災組織も不安なく自主活動ができるのではないでしょうか。南海トラフ地震等自然災害などに備え、本県の危機管理体制を盤石にする上において、消防団員の確保は大きな課題と考えます。 そこで、消防団員の確保に向けてのポイントは何か、危機管理部長にお聞きをいたします。 次に、住宅耐震化促進事業についてでございます。南海トラフ地震による死者数を限りなくゼロに近づけるためには、ハード面、ソフト面とも、より一層の対策を強化する必要がございます。命を守るためには、何といっても地震対策の一丁目一番地である住宅の耐震化を進めることだと考えます。 高知県内の住宅耐震化は2019年3月時点で進捗率が82%となっていますが、いまだに耐震化が必要な住宅は数多く存在しております。県は、2年後の2022年3月までに住宅の耐震化率を87%に引き上げる目標を掲げて取り組みを進めておりますけれども、県内での住宅耐震改修の進捗状況に、地域差があるのではないかと考えます。 そこで、南海トラフ地震による死者数を限りなくゼロに近づけるためには、このような地域差の解消も必要だと思いますが、今後の取り組みについて、土木部長にお聞きをいたします。 この項最後に、コロナ警戒下の出水期における避難所運営のあり方についてでございます。コロナ感染症の脅威がおさまらない中、水害リスクが高まるシーズンに入っています。県内の自治体が災害時の避難所のあり方について見直しを迫られています。住民が押し寄せて、3密を避けられない場面が想定されるためで、国はことし4月上旬通常より多く避難所を開設するなどの対処方針をまとめて自治体に通知しています。 各自治体は、避難所の運営面での対応を模索するとともに、民間施設活用による増設や駐車場での車中泊を検討する動きが出ています。地域によっては、すぐの避難所の増設などは困難なこともあり、その対応として、まずは在宅避難、あるいは親戚、友人宅への避難など分散避難で、少しでも密度を下げようと苦心されています。 また、出水期を前に、県と市町村が連携されてウエブ会議での情報交換など水害訓練を実施し、3密回避へ対応確認されている地域もございます。 そこで、避難所におけるクラスターの発生を防ぐためには、市町村職員の対応力の強化に向けた県の積極的な支援が必要だと考えますが、どうか。また、感染が収束しない中での避難所運営は、3密回避が求められております。このため、1世帯ごとの間隔を1メートルから2メートル確保するのが目安となっており、従来より多くのスペースが求められていますが、3密回避に向けた避難所のスペース確保について、あわせて危機管理部長にお聞きいたしまして、私の第1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 上田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、県内で新型コロナウイルスの感染拡大が防止されていることへの受けとめについてお尋ねがございました。 新型コロナウイルスの感染拡大を受けまして、本県では4月以降県民の皆様への外出自粛や、あるいは飲食店などへの休業、あるいは営業時間短縮の要請といったさまざまな御協力をお願いしてまいりました。要請期間中は、かつてないほど大幅に人の流れが減少するなど、県民の皆様一人一人が感染防止に対する強い思いを持って、要請に御協力をいただいたものと考えております。 県民や事業者の皆様、そして医療従事者など多くの関係者のお力が総合力として発揮され、新たな感染者はゼロが続く結果につながっているというふうに考えます。この場をおかりしまして、改めて心から感謝を申し上げたいと存じます。 今後は、新しい生活様式の実践と定着に努めるなど、感染拡大防止対策を徹底しつつ、社会経済活動を本格的に再開させていくということが重要であります。県といたしましても、大きな打撃を受けました県経済のV字回復に向けまして、県民の皆様とともに、この難局を乗り越えていきたいと考えております。 次に、本年度の県政運営への思いについてお尋ねがございました。 本年度は、私が県政運営に当たります実質的な初年度となります。県勢浮揚の実現に向け、これまでの政策の継承と発展を図り、施策の実効性をさらに高めてまいりたいと考えていたところでございます。しかしながら、御指摘もございましたように、本年2月以降新型コロナウイルスへの対応に注力してきたことに加えまして、予定していた取り組みが延期になったということもございまして、事業の進捗におくれが生じております。 足元では、県内外の感染状況が落ちついてきておりますことから、第2・四半期以降は5つの基本政策などについて、少しでもおくれを取り戻せるように鋭意取り組んでまいります。その際には、政策ごとに社会構造の今後の変化も見据えまして、新しい生活様式への対応を進めますとともに、これまでの戦略や手法について検証し、施策を進化させたいと考えております。 今後、次なる感染拡大の波に備えた対策を着実に実施しながら各政策の取り組みを軌道に乗せ、令和3年度の事業の充実につなげてまいります。さらに、その結果として、県民の皆様の目に見える形で成果がお示しできるように、引き続き全力で取り組んでまいります。 次に、今後の財政運営についてお尋ねがございました。 県の財政運営に当たりましては、県勢の浮揚と県財政の持続可能性の両立を図ることが重要であると考えております。 新型コロナウイルス感染症対策では、県民の健康と生活を守るとともに、県経済へのダメージを最小限に食いとめるために必要な取り組みを全力で講じてまいりました。その際には、国の補正予算を最大限に活用するほか、既存の事務事業の見直しを行うなどによりまして、財源の確保に努めているところでございます。 今後は、ただいま申しましたように、感染症の影響でおくれておりました5つの基本政策と3つの横断的な政策に沿いました各種の政策についても、県勢浮揚に向けて前へ前へと取り組みを進めてまいる所存であります。 一方で、議員の御指摘のとおり、今後は税収の減も想定されるところであります。したがいまして、引き続き国の有利な財源を積極的に活用していくこと、あるいは既存の事業のスクラップ・アンド・ビルドなどを徹底してまいりたいと考えております。 また、本県の財政運営は、地方税財政に関します国の動向などの外的要因に大きく左右されます。したがいまして、国に対しましては、地方交付税などの財源確保をしっかりと提言してまいります。 次に、これまで以上の市町村との連携の必要性についてお尋ねがございました。 県勢浮揚を図るためには、市町村と県が施策の基本的な考え方や方向性をあわせまして、連携・協調を図りながら取り組みを進めていくということが重要であります。その際、各市町村におきましては各施策に取り組むに当たり、財政面の負担が懸念材料となることが多いというお話は、私も直接何度も伺っているところでございます。 このため、事業の財源確保に向けました情報共有あるいは助言のほかに、県単独の補助金によります財政支援などを通じまして、連携を図っていく必要があるというふうに考えております。例えば、このたびの新型コロナウイルス対応におきましては、地方創生臨時交付金の使途に関しまして、県内の各市町村の対応案を取りまとめまして、全市町村間で情報共有いたしましたし、また、活用策に係るアドバイスも行っているところでございます。また、予備費を活用いたしまして、避難所に対する県単独の補助金に感染症対策のメニューを追加いたしまして、市町村の取り組みを後押しいたしたところでございます。 今後も、財政運営に関します情報を随時提供いたしますとともに、国や県からの補助金、交付金等の活用方法あるいは有利な地方債の紹介などを通じまして、市町村との、なお一層の連携に努めてまいります。 次に、県の職員3,300人体制の見直しの考え方についてお尋ねがございました。 職員体制に関しましては、デジタル技術の活用あるいは事業の見直しによりまして、簡素で効率的な組織を構築しながら、増加、多様化する行政需要に必要なマンパワーを確保するという方針で対処してきております。このため、効率化の取り組みの成果が本格化するまでの間、御指摘もありましたように、時限的に知事部局3,300人体制を見直すこととしております。 現在の状況を見ますと、今般の新型コロナウイルスの感染防止対策でございますとか経済影響対策などの新たな行政需要が生じてまいっております。一方で、社会の構造変化に対応しまして、業務の効率化にも資するようなデジタル技術の活用を加速していくということが、今まで以上に求められている状況になっております。また、今後税収の減少も想定されることを考えますと、財政の安定性への配慮、これも欠くことができないと考えております。加えまして、国における公務員の定年延長の議論も、この職員体制のあり方に影響を与えますので、注視をしてまいる必要があります。 今後の職員体制につきましては、ただいま申し上げましたような状況の変化も見ながら、適切に対応していく必要があるというふうに考えております。 次に、県内の光ファイバーの整備の現状と課題、そして今後の施策の展開についてお尋ねがございました。 まず、国の発表によりますと、平成31年3月末におきまして、全国の光ファイバー整備率は98.8%となっておりますが、高知県内は96.1%という数字となっておりまして、全国平均をやや下回る水準にございます。これは整備の費用や維持管理経費など採算性が課題となりまして、中山間地域などにおきましては、民設はもとよりでございますが、公設でありましても、整備が進みづらいということが大きな要因であると考えております。 この点、今回の国の補正予算におきましては、御指摘もありましたが、総額で約530億円の補助事業費が計上されておりまして、市町村が希望する全ての地域での光ファイバー整備を支援するという方針が示されているところでございます。また、市町村では、今回の地方創生臨時交付金などもあわせて活用することができますので、従来以上に手厚い支援を受けることが可能だという環境になっております。 したがいまして、県では、この機会を生かして、ぜひ未整備地域の残る市町村についても整備を促したいという考えに立っておりまして、こうした市町村を訪問いたしまして補助事業の活用について検討を促しますとともに、通信事業者に対しましても、工事体制の確保を要請したところでございます。加えまして、国に対しては、支援策をさらに充実させるために光ファイバーによります高速通信を、国で言いますいわゆるユニバーサルサービスの対象とすることなどについて、引き続き提言をしてまいりたいと考えております。 今後は、新しい生活様式への対応あるいは東京一極集中の是正のために、例えば、遠隔医療、遠隔教育の拡大でございますとか、ワーケーションなどによります働き方の変革が不可欠であり、また不可避であるというふうに考えております。こうしたことも踏まえまして、社会のあらゆる分野におきまして、デジタル技術の活用を一層進めるための基盤といたしまして、引き続き、県内におけます光ファイバー整備を促進してまいります。 次に、人口の社会減が解消されていない要因と、人口の社会増減の目標達成に向けての施策の展開についてお尋ねがございました。 本県の人口の社会減は、以前の景気回復期と比べますと、2分の1程度の水準に改善してきているとはいいましても、直近5年間の平均で年間2,000人程度の減となっているところでございます。 プラス面の要因といたしましては、産業振興計画の取り組みなどを通じて多くの雇用が生み出されたこと、本県への移住者が年間1,000組を超えるまでに増加してきたことなどが挙げられます。一方で、マイナス面の要因といたしましては、正社員の有効求人倍率が依然1倍を下回っていること、事務系の仕事が少ないなど、都市圏に比べまして仕事の種類が限られるといったことなどが挙げられます。また、近年では全国的に人手不足が深刻化する中で、大都市が地方に人材を求める圧力が一層強まってきたということも、大きなマイナス要因であるというふうに考えております。 こうした状況のもとで、人口の社会増減の均衡という目標を達成するためには、2つの点が大きなポイントであると考えております。 1点目は、特に若者が魅力を感じる仕事を数多くつくっていくということであります。最先端のデジタル技術を活用いたしまして、本県の強みであります第1次産業など地場産業の高度化を図る取り組みをさらに加速し、地場産業を若者に魅力ある産業として育ててまいります。また、若者の雇用の受け皿として期待ができますIT・コンテンツ関連産業の集積を図ってまいりたいと考えております。 2点目は、コロナ禍の影響によりまして、これまでの働き方、暮らし方が見直されまして、今後地方暮らしへの関心が一層高まってくるということが考えられます。こうした流れにしっかりと対応していくことが必要だという点でございます。こうした方々へのアプローチを強化いたしますとともに、受け皿となります県内企業のデジタル化あるいはリモートワークを進めることなどによりまして、県出身者のUターンも含めまして、移住者のさらなる増加につなげてまいりたいと考えております。 次に、関係人口の裾野を広げる取り組みの推進についてお尋ねがございました。 御指摘がありました関係人口は、地域の担い手としての活躍にとどまらず、将来的には移住にもつながるものと期待をされます。したがいまして、その関係人口の創出、拡大に向けました取り組みを、第4期の産業振興計画の移住促進策の中でも新たに位置づけまして、推進をいたしております。 具体的には、本年度新たにウエブ上での会員組織の立ち上げを計画いたしておりまして、高知家プロモーションも活用して、高知ファンや本県とゆかりのある方、本県出身者などへの情報発信、アプローチを強化してまいりたいと考えております。 加えて、副業や兼業という形で地方とかかわりを持とうとする都市部の人材をふやしていくことが大変重要であると考えておりまして、国に対しまして、全国規模のこういった方々と地方とのマッチングの仕組みの構築などを政策提言しているところでございます。 また、今後は会員同士の交流や、会員と地域との交流の場を設けるなど、本県への関心や本県とのつながりをさらに深める取り組みを進めてまいりたいと考えております。 加えて、コロナ禍によりまして、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を可能とするテレワーク、リモートワークが広がってきております。このことは、地域とのかかわり方のバリエーションをさらに広げるものというふうに期待をいたしております。そのために、テレワークやリモートワークの拠点となるシェアオフィス等を、県内により整備してまいりたいというふうに考えております。 こうした取り組みを通じまして、関係人口の裾野を広げるとともに、こうした方々の移住意識の醸成もあわせて図ってまいります。 次に、シニア世代の能力が最大限に発揮できるような多様な働き方の実現についてお尋ねがございました。 本県におきましては、全国に先駆けて少子高齢化が進んでおります。労働力人口に占める65歳以上の割合が16.5%となっておりまして、全国平均の12.6%を大きく上回っているところでございます。そのため、シニア世代の方々にはさまざまな産業分野の貴重な担い手として、大いに期待をいたしているところでございます。 こうした中、来年4月には70歳までの定年の引き上げや継続雇用制度の導入などが盛り込まれました高年齢者等の雇用の安定等に関する法律が施行されます。このことによりまして、企業におけるシニア層の活躍の機会はさらに拡大していくものと考えております。 また、県におきましては、高知労働局と連携をしながら、生活維持や健康維持といいましたそれぞれの働く目的に応じまして、雇用形態あるいは就業時間などの面で、多様な就業機会の創出にも取り組んでおります。このほか、高知県シルバー人材センター連合会への運営支援を通じまして、働く意欲のある高齢者の方々の能力を生かした就業の支援も行っているところでございます。 こうしたシニア世代の多様な働き方の実現は、豊かで充実した生活という観点のみならず、本県の喫緊の課題でございます1次産業の担い手の確保あるいは事業承継にもつながるものというふうに考えております。こうしたことから県といたしましてはシニア世代の方々がその能力を最大限に発揮できます多様な働き方の実現に向けまして、さらに積極的に取り組んでまいります。 次に、シニア世代をターゲットにした移住促進策についてお尋ねがございました。 議員からお話がございましたように、都会にお住まいのシニア世代に本県に移住をしていただきまして、お持ちの知識や御経験を発揮していただくことは、本県の活性化につながっていくものと考えております。 県内では、高知市が都会のアクティブシニアの本県への移住を推進する団体と協定を締結されまして、その活動を支援しております。また、県におきましても、こうした取り組みを進める市町村を後押しするための支援制度を設けておるところであります。 今後、新しい生活様式の実践が求められる中で、これまでの働き方や暮らし方が見直され、地方暮らしへの関心がさらに高まるということが見込まれます。また、本県はふるさと回帰支援センターの調査におきまして、シニア世代の移住希望地としても上位にランキングされているところでございます。 そのため、今回の事態を好機と捉えまして、シニア世代をターゲットとした効果的な情報発信や相談会の開催なども、今後検討してまいります。また、コロナ禍によりまして、定年退職を機に郷里へのUターンを検討される方も増加するものと思われますので、県人会や同郷会、あるいは高校の同窓会などへのアプローチも積極的に行ってまいりたいと考えております。 最後に、さらなる少子化の現状分析と対策の強化についてお尋ねがございました。 県民の意識調査によりますと、子育て世代の負担感といたしまして、経済的な負担のほか、仕事と子育ての両立が難しい、あるいは子育てによる精神的・肉体的な疲れといった点が挙げられております。また、本県では、平成24年から29年までの5年間で、育児をしている女性の有業率が15.3ポイント上昇いたしまして、80.5%となっております。 こうしたことから、本県では、出会いの機会の創出などとともに、働きながら子育てがしやすい環境づくりに向けた取り組みを強化してまいりました。具体的には、いわゆる高知版ネウボラの推進ですとか、企業などにおけます働き方改革、時間単位の年次有給休暇制度の導入促進などに取り組んでいるところでございます。 一方、昨年の本県の合計特殊出生率は1.47と、2年連続で前年を下回る結果となりました。この結果を受けまして、これまでの取り組みのもう一段の強化に向けまして、少子化の要因についての分析と施策の検証をさらに深める必要があるというふうに考えております。 このため、まずは県民意識調査につきまして、現在18歳以上としています対象を、特に結婚や子育てに直面する世代に絞って実施をしたいと考えております。結婚や出産を希望しているにもかかわらず、なぜためらうのかということなど、その世代の意識や置かれた環境につきまして、掘り下げて調査をしてまいりたいと考えております。そして、施策の検討に当たりましては、新型コロナウイルス感染拡大後の社会構造の変化も見据えながら、県民の皆様の意識や実情に応じた対策を強化してまいります。 私からは以上でございます。   (商工労働部長沖本健二君登壇) ◎商工労働部長(沖本健二君) まず、新型コロナウイルス感染症対策雇用維持特別支援給付金の執行体制などについてお尋ねがございました。 宿泊業、飲食業を中心に、新型コロナウイルス感染症の影響により、大変厳しい経営状況に置かれている事業者の方々がおられます。こうした方々に対しまして早急に給付を行うため、まずは庁内のメンバーによります対応チームを組織して、各種相談を初め申請から給付までの事務に当たることとし、7月中の給付開始を目指してまいります。 一方で、受け付け期間は来年2月上旬までと長期にわたりますことから、庁内の応援体制で行うには限度がありますため、すぐれたノウハウを有する民間業者から御提案をいただき、最適な業者を選定し、8月中旬には委託に移行したいというふうに考えております。 また、今回の給付金では、できるだけ事業者の手続の負担軽減を図りますとともに、審査事務を効率的に行い、早期の給付につなげたいというふうに考えております。具体的に申しますと、国の持続化給付金の決定通知書や年金事務所などからの納付書の写しを添付しますことで必要最小限の申請書類とし、簡素化、スピード化を図りますとともに、オンラインでの申請にも対応してまいりたいと考えております。 給付までの日数につきましては、申請の集中ぐあいや書類の不備といった個別の状況にもよりますけれども、受け付け後おおむね2週間以内に給付できるよう取り組んでまいりたいと考えております。 次に、国の持続化給付金の支給対象の拡充に関する周知についてお尋ねがございました。 国の持続化給付金については、本年に入って開業した事業者や、雑所得、給与所得で税務申告をしている個人事業主、いわゆるフリーランスの方々は支給の対象となっていなかったことから、国の2次補正におきまして、それらの方々も支給対象として追加をされました。 国においては、この内容をホームページにおいて広報しておりますが、議員御指摘のとおり、新たな事業者に対して情報が十分に行き届いていないことも考えられます。そのため、今議会に提案中の県の支援制度にあわせて、国の拡充内容等につきましても、さまざまな広報を通じて周知徹底を図ってまいりたいと考えております。   (観光振興部長吉村大君登壇)
    ◎観光振興部長(吉村大君) 国の観光キャンペーンまでの間、本県観光の活性化をどのように図っていくのかとのお尋ねがありました。 本県観光の活性化に向けては、観光を目的とする人の流れと、にぎわいをつくり出すことが重要だと考えています。そのため、県民の皆様を対象とした県内観光の振興に続いて、中四国エリア、そして全国エリアへと段階的に、県をまたぐ観光振興の取り組みを展開してまいります。 まず、県内観光については、地産地消を推進する高知家応援プロジェクトの中で、県内観光ツアーの造成や、オンライン旅行会社などを活用した宿泊割引事業の実施といったキャンペーンに取り組んでおります。このプロジェクトに多くの県民の皆様に参加していただけますよう、現在県内向けのテレビCMや公共交通機関を活用した広告、オンライン旅行会社でのPRなど、さまざまな媒体を通じたプロモーションを行っております。このほか、市町村などにおいても、主体的に域内の観光消費を促進する施策が企画されていますし、県としましても、地域のにぎわいづくりのための誘客イベントを実施してまいります。 県民の皆様には、これらの機会を通じて、ぜひ県内観光を楽しんでいただきたいと思います。例えば、仁淀川流域においては、遊歩道の整備によって利便性が増したにこ淵の景観や、渓谷ガイド、カヌーやラフティング、土佐和紙づくりなどさまざまな観光資源がありますので、これらを存分に体感していただくことで本県観光は盛り上がりますし、皆様のふるさとの魅力再発見にもつながるものと思います。 また、県をまたぐ観光振興については、国の施策に先行して今月から順次中四国や全国の方々を対象に、県内宿泊施設の割引クーポンを発行するキャンペーンを実施しているところです。 この夏には、四万十川のジップラインや新足摺海洋館といった施設のオープンが続きますので、こうした情報も含め県内外にしっかりと発信して、人の流れとにぎわいの創出につなげてまいります。   (農業振興部長西岡幸生君登壇) ◎農業振興部長(西岡幸生君) 中山間地域等直接支払制度の第5期対策の進め方についてお尋ねがございました。 本年度から第5期対策がスタートしました本制度は、中山間地域での営農の継続と耕作放棄地の発生防止に大きな役割を果たしており、中山間地域の生産基盤の下支えとなっております。 一方、昨年度に実施いたしました第5期対策に向けたアンケート調査では、高齢化や取りまとめ役の不在といった理由から取り組みの継続を断念する、または取り組みの面積を縮小させると回答した集落が全体の50%に上っており、第5期対策の取り組み面積が減少することが懸念されているところでございます。 県ではこれまで、本制度の充実に関する国への政策提言や、国の中山間地域等直接支払制度に関する第三者委員会の場を通じて、中山間地域における農地維持活動の厳しい現状を訴えてまいりました。 国においては、こうした地方の実態を踏まえ、第5期対策では、これまで集落が活動の継続をためらう要因となっていました交付金の遡及返還に関する規定の見直しや、営農ボランティアなどの新たな人材を確保するといった前向きな取り組みなどを支援します集落機能強化加算が創設されるなど、より取り組みやすい制度に改正をされました。 これらの制度改正を受けまして、県ではこれまで市町村と連携し、集落の代表者等に制度改正の内容を周知するとともに、集落個々の実情を踏まえた対応策の提案を行っているところです。 今後はさらに、昨年度から取り組んでおります継続が困難な集落に対する集落協定の広域化や事務支援の体制整備を進めますとともに、集落営農組織等による営農活動のサポート体制づくりなどによりまして、より多くの集落が本制度を活用し、中山間地域の農用地の持続的な維持管理がなされるよう、引き続き市町村とも連携し、取り組んでまいります。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) まず、介護サービスと感染予防の両立についてお尋ねがございました。 これからの介護サービス提供に当たっては、新しい生活様式を踏まえた身体的距離の確保や会話の制限などへの対応が求められています。このような感染防止対策を行いつつ、利用者にサービスを提供するに当たっての課題としましては、会話等の制限による認知機能の低下や、運動量の減少による身体機能の低下などの影響が考えられます。 事業所の皆様からは、感染防止対策をしながら効果的な介護サービスを提供することは難しく、苦慮しているといったお話をお聞きしております。あわせて、今後の効果的なサービス提供のあり方などについて、県と一緒に研究、検討を行いたいとのお話もいただいているところです。 県としましては、本県が先駆的に取り組んでおりますノーリフティングケアやICT機器の活用は、介護サービスの提供と感染予防の両立にも有効と考えられますことから、こうした分野の専門家や事業所の皆様の御意見をお聞きしながら、効果的なサービス提供のあり方を協議検討する場の早期設置に向けて取り組んでまいります。 次に、感染予防を踏まえた介護予防の取り組みと、高齢者の健康二次被害を回避するための取り組みについてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。 高齢者が体操などを行う通いの場につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、県内全域で3月下旬から活動自粛を余儀なくされておりましたが、現在はほとんどの地域で活動が再開されております。 通いの場の活動自粛中は、高齢者の心身の機能低下が懸念されることから、自宅で運動の習慣を維持していただけるよう、いきいき百歳体操などをわかりやすく説明したチラシを制作し、新聞への折り込み等により各家庭に配布したところです。あわせて、市町村からは、独自に作成した介護予防体操の動画をインターネット上で公開したり、心身の状態が気になる高齢者には、地域包括支援センターの職員が訪問支援などを行っていたとお聞きしております。 議員のお話にありましたように、高齢者は、加齢に伴う心身の機能低下に加え、感染を恐れ、社会参加の自粛など生活全般で活動が低下することで、要介護等の状態に陥るリスクが一層高くなると考えられます。こうしたことから、運動、栄養、社会参加の3つを柱とするフレイル予防の取り組みが重要となってまいります。 現在、県ではフレイル予防の取り組みを県内全域に展開するため、市町村向けのガイドラインを作成しているところです。このガイドラインには、感染を恐れて自宅に閉じこもっている高齢者に対するアプローチや支援のあり方などを盛り込むこととしており、今後とも市町村と連携して、高齢者の健康の維持向上と重症化予防に取り組んでまいります。 最後に、荷おろし鬱病の注意喚起についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の影響による不安や鬱に対する心のケアは重要であると考えております。議員からお話がありました荷おろし鬱病は、精神的な重荷から解放された後に新たな不安や緊張が増し眠れないなどの変化が生じるもので、誰にでも起こり得る自然な反応と言われております。 このため、変調を感じたり、不安や鬱などの症状が長引くときは、早目に専門の相談機関に相談したり、医療機関を受診していただくことが必要となります。本年3月に県立精神保健福祉センターに設置しました心のケア相談窓口では、荷おろし鬱病を含めた、いわゆるコロナ鬱の相談に対応しているところです。 県では、これまでも県民の皆様が一人で不安を抱え込むことのないよう、コロナ鬱の注意喚起や心のケア相談窓口の周知を行ってきましたが、感染拡大が一定落ちついたこの時期においても、不安や鬱の症状などへの注意が必要です。そのため、今後とも新聞広告や県のホームページなどのさまざまな媒体を活用して、一層の注意喚起を行っていきたいと考えています。   (健康政策部長鎌倉昭浩君登壇) ◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 新型コロナウイルス感染症対策に関して、帰国者への検疫における取り扱いについてお尋ねがございました。 お話にございましたように、現在国際線の到着空港では国の水際対策として、入国制限対象地域に滞在歴のある方全員にPCR検査を実施しており、帰国者は、その検査結果が判明するまでの間空港内スペース等で待機することとなっています。その際、無症状で、かつ公共交通機関を使用せずに自家用車やレンタカーで移動できる場合には、自宅等での待機も認められているところです。 また、検査結果が陰性の場合であっても、入国の次の日から起算して14日間は、不要不急の外出を避け、自宅などで待機することが要請されるとともに、保健所等が健康観察を行うこととなっています。ただ、こうした対応はあくまで要請であることから、感染拡大を防止するためには、帰国者本人に移動や待機の方法を丁寧に説明し、理解していただき、そして協力していただくことが極めて重要となります。 検疫所においては、帰国者全員に対して詳しい説明がなされているものと認識しておりますが、なお丁寧な説明をお願いしたいと考えており、国との意見交換の機会などを通じて、その旨を伝えていきたいと考えています。 また、保健所での健康観察の対象となった方には、保健所から、不要不急の外出を避け、自宅などで待機していただくことを重ねて説明し、御理解と御協力を得るようにしたいと考えています。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、子供と保護者に、朝食の大切さを理解していただくための取り組みについてお尋ねがございました。 朝食の大切さに関する健康教育としましては、これまで、県が作成した健康教育副読本の授業での活用や、県内全ての小学生に対する生活リズムチェックカードの配付、また、保護者に対する啓発パンフレットの配付や、高知家の早寝早起き朝ごはんフォーラムの開催など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。 こうした取り組みの結果、本県では毎日朝食を食べる児童生徒の割合が、小学5年生で約80%となっておりますが、全国平均と比べると1から2ポイントほど低く、中学2年生女子を見ますと、議員の御指摘のとおり、全国より5.1ポイント下回る73.1%となっております。 朝食を食べない理由として挙げられた、時間がない、食欲がないなどは、単に食生活だけでなく、睡眠や運動なども含めた生活習慣全体の乱れが問題だと認識をしております。また、保護者が欠食すると子供の欠食率も高まる傾向があることも報告されており、保護者への啓発の継続は、就学前の子供の保護者も含めて、引き続き重要であると認識しております。 このため、保護者や親子を対象とした食育講座や朝ごはん教室など、市町村で取り組まれている家庭教育支援をさらに後押しするとともに、地域学校協働本部での食育等の活動を積極的に支援することで、学校教育だけでなく地域全体で子供の生活習慣を確立する機運を醸成してまいります。 加えまして、さらにもう一段、子供たちに対して、朝食を食べない原因である時間がない、食欲がない、用意がないとなる真の理由を掘り下げる調査などを実施し、保健や福祉などさまざまな分野の機関と連携することで、より効果的な施策の展開につなげてまいりたいというふうに考えております。 次に、小学6年生、中学3年生の学習のおくれを挽回するための具体的な取り組みと県立学校入試への影響、また再び感染が広がった場合の入試の対応についてお尋ねがございました。 県内の各学校におきましても、新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業によりまして、授業日数が不足することになりましたが、各学校や市町村では、夏休みの短縮や行事の精選など、教育活動の計画の見直しによりまして、現時点では、学習に必要な授業日数の確保についての見通しが立った状況にあるとお聞きしております。 こうした学校や市町村の体制面を支援するため、県教育委員会としましては、特に、進路指導面で配慮の必要な学年であります小学校第6学年、中学校第3学年の学習保障のために、本県の少人数学級の基準であります35人を超える学級がある学校に対しまして、加配教員を配置できるよう、市町村教育委員会と連携して退職教員等の掘り起こしを行うなど、現在その人材確保に努めているところです。加えて、放課後等学習支援員を8市町村に85人程度追加配置できるよう、今議会に補正予算をお願いしております。 また、県立学校の入学者選抜、いわゆる入試につきまして、市町村教育長連合会や校長会に状況をお伺いしたところ、このような取り組みによりまして、現時点では臨時休業による学習のおくれは解消できる見通しであり、県立学校の入試についても影響はないだろうと回答をいただいております。 しかしながら、今後新型コロナウイルス感染症が再び広がった場合には、小中学校におけます学習の進捗状況及び学校等の要望を把握しながら、受験生や小中学校等の対応に混乱が生じないタイミングで、入試の日程や出題範囲等を適切に判断していく必要があるというふうに考えております。 最後に、中学校の県総体における保護者の観覧への対応についてお尋ねがございました。 今年度、本県と山梨県、宮崎県の3県を除く都道府県では、中学校の県総体が中止となっていますが、県教育委員会では、これまで頑張ってきた生徒たち、とりわけ3年生最後の発表の場を何とか確保したいとの思いから、事前対策を含め十分な安全確保対策を検討した上で、7月21日からの開催を決定しました。 開催に当たっては高知県中学校体育連盟と協議を重ね、地区予選が実施できず参加生徒がふえることに対し、例年より会場をふやし、日程を延長して対応することとしました。また、参加生徒や大会関係者には、大会2週間前からの体調管理の報告を求めるとともに、当日の検温の実施や競技中以外のマスクの着用、手指や競技用具の消毒、また、選手入れかえ時の椅子の消毒などの感染防止対策を徹底することとしております。 このため、本年度の中学校の県総体は、競技会場がふえることによる運営業務に加えまして、感染防止対策に多くの時間や人員が必要となります。約1万人の生徒の感染防止対策を確実に実施し、安全に大会を運営する必要があり、保護者など見学される方々の感染防止対策を徹底することまでは大変困難であるという判断をいたしました。 こうしたことから、保護者の皆様の子供たちへの思いは、私どもとしましても十分理解しておりますが、生徒の安全・安心を第一とし、無観客で大会を開催することといたしました。保護者、関係者の皆様には、どうか御理解いただきたいというふうに考えております。   (危機管理部長堀田幸雄君登壇) ◎危機管理部長(堀田幸雄君) まず、自主防災組織の現状と課題を踏まえた取り組みについてお尋ねがございました。 大規模な自然災害から県民の皆様の命を守るためには、公助だけでなく、住民の皆様一人一人の自助に加えて、地域で互いに支え合う共助の取り組みが重要となります。その中で自主防災組織は、共助のかなめとなるものと認識をしています。そのため、県では市町村と連携して、地域の皆様に自主防災組織の重要性を理解していただくための説明会を開催するなどして設立を促してまいりましたほか、学習会や訓練の実施、資機材の整備などについて財政支援を行ってまいりました。 その結果、東日本大震災発災直後に67.7%であった本県の組織率は、本年4月現在で96.8%にまで上昇しておりますし、活動についても、例えば、沿岸部の自主防災組織の避難訓練実施率は93.7%となっています。 一方で、一部の自主防災組織では、活動の停滞やマンネリ化、リーダーの不在といった課題が明らかになっています。このため県では、県内の先進的な取り組みや多くの方が参加されているような工夫を凝らした取り組みなどを集め、今年度自主防災活動事例集を改訂し、全ての自主防災組織に配付して、活動の活性化に役立てていただきたいと考えています。 また、引き続き、自主防災組織人材育成研修や防災士養成講座を開催するなど、組織のリーダーとなる方の育成にも取り組んでまいります。 次に、消防団員の確保に向けてのポイントは何かとのお尋ねがございました。 県内の消防団員数は減少傾向にあり、市町村においては、地域防災力のかなめとなる消防団員の確保に取り組んでいるところです。しかしながら、中山間地域では少子高齢化や過疎化により若者が少なくなってきたことや、市街地では共働き世帯や独身世帯が多く、地域活動への関心や意欲が低くなりがちなことから、団員の確保に苦慮されているとお聞きをしています。 県では、平成19年度から希望する市町村と協力して消防団員定数確保対策事業に取り組んでおり、これまでに21の市町村で実施し、団員の増加につながるなど一定の成果を上げています。昨年度は須崎市において、この事業を契機に消防団のPR動画を作成するなどして団員確保に取り組んだ結果、団員が6名増加しました。このほか、少年消防クラブの合同研修会や女性消防団員の交流の場を設ける取り組みなども行っているところです。 現状においては、団員確保の抜本的な解決策は見出せていませんが、消防団ヘの理解を深める広報や、若い世代や女性への声かけ、小・中・高校生などを対象とした次世代の消防団を担う若者の育成、消防職員OBの活用といったさまざまな取り組みを、市町村と連携しながら複合的に行うことが効果的と考えられますので、引き続き市町村と協力して、地域の実情に応じた消防団員の確保対策に取り組んでまいります。 最後に、避難所でのクラスターを防ぐための市町村職員の対応力の強化と避難スペースの確保についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の流行下において、適切な避難所の開設、運営を行うためには、市町村職員の対応力を強化しておくことが必要です。そのため県では、感染症対応のための避難行動や避難所の開設、運営のあり方、住民の皆様に事前に周知しておくべき事項などについて整理して通知するとともに、地域別の説明会を開催して、市町村に早期の体制整備を依頼してきました。また、国や健康政策部が作成した感染症対応の留意事項や、各種団体が作成している対応マニュアルなど、参考にすべき資料も随時提供してまいりました。 こうした結果、今月中には全ての市町村においてマニュアルが策定されることとなっており、今後訓練や説明会などを通じて職員への徹底が図られていくこととなります。 一方、避難所でのスペースの確保については、これまで全ての市町村において南海トラフ地震による避難者数を目標にスペースの確保を進めてきたことから、風水害においては、3密回避のために多くのスペースが必要になることを考慮したとしても、十分確保できております。 また、国からは、発熱やせきなどがある人や濃厚接触者には、個人ごとにパーティションで区切るなど専用のスペースを確保することが求められており、こうした対応も徹底されるよう、市町村と連携して取り組んでまいります。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) 住宅耐震改修の進捗状況の地域差を解消する今後の取り組みについてお尋ねがございました。 県では、これまで耐震診断の無料化、設計費や改修工事費への補助などの支援体制の強化、耐震改修に携わる設計事務所や工務店等の事業者の育成、低コスト工法の普及などの供給能力の強化に取り組んでまいりました。 この結果、昨年度の住宅耐震改修の実績は、目標の1,500棟を超える1,638棟となりました。しかし、地域によっては取り組みの進捗にばらつきがあり、このことは課題の一つであると考えております。 実績が少ない自治体では、診断を実施した後改修設計や工事に進む率が低い傾向にあり、改修工事を行う住宅所有者の経済的負担の軽減につながる低コスト工法が、それらの地域に十分に普及していないことがその要因の一つと考えているところです。 このため、県では、特に実績の少ない自治体と協力して、低コスト工法をその地域で実施できる事業者の育成に取り組み、診断を受けた住宅所有者が改修工事に進みやすい環境整備を進めてきたところです。このことにより、診断から工事に進む率も徐々に改善されてきております。 まずは、早期に第4期南海トラフ地震対策行動計画の目標である87%を達成させ、さらにはそれを上回ることができるよう引き続き市町村と連携し、しっかりと取り組んでまいります。 ◆31番(上田周五君) それぞれ御丁寧な御答弁ありがとうございました。2問目を少し行わせていただきます。 先ほど知事の答弁で、令和2年度の県政運営にかける熱い思いをお聞かせいただいたわけでございますけれども、これまでの職員3,300人体制の見直しの件についてでございますが、詳しく御説明いただいたんですが、一つ県政運営指針の考え方の中に、市町村支援の確保に向けてという文言がございます。今般のコロナ禍で一線で働く、いわゆる保健・福祉分野、保健師さんとか栄養士さん、こういったマンパワーが必要ではないかというような感じもいたしておりますが、そういったあたりで、少しそういった考え方をこの見直しに含めていただきたいと思いますが、そのあたりお聞きをいたします。 それから、光ファイバーの整備でございますが、知事から、財源がすごく有利になったという趣旨の御答弁をいただきました。今回、新聞報道ですけれど、国が回線を整備する自治体に対しては9割まで後押ししますよということがございまして、少し調べてみますと、例えば事業費が10億円でしたら、いわゆる補助裏に過疎債を充当した場合、結果として持ち出しが3%で済むという、大変、未整備地域を抱える自治体の整備に当たっては、すごい大きなチャンスではないかと思います。 そういった意味で、令和3年度末までに県内100%整備しますよということで、もう一度知事の整備に向けての意気込みをお聞きしたいと思います。 それから、危機管理部長でございますが、御答弁ありがとうございました。避難所運営について、せんだっての知事の提案説明の中に、県として市町村に対して、災害時に可能な限り多くの避難所を開設するよう早期の対応を求めていますが、そこで、数をふやして開設するには、やっぱりマンパワーを確保する必要があると思いますが、各市町村、職員数は確保できているのか。そのあたりの状況と、少し具体的なことでございますけれども、市町村支援として、午前中の御答弁にもございましたが、予備費を活用されて県の補助制度を拡充されているという御答弁があったと思いますけれども、この中に、例えば、具体的に段ボールベッドとか隔離テントとかございますが、そういったものが補助対象に含まれているかどうか、この2つのことをお聞きいたしますので、よろしくお願いします。 2問目を終わります。 ◎知事(濱田省司君) 上田議員の再質問にお答えをいたします。 1つは、職員3,300人体制との関係で、特に市町村、あるいは保健師さんなどの現場の職員の確保が必要ではないかという点についてでございます。 今後、ただいま申し上げましたように、コロナウイルス後の社会ということを考えましたときに、御指摘のありましたような、特に市町村での対応、あるいは保健行政でのスタッフの確保、こうしたものも重要な課題の一つであると思います。そういった行政課題への対応というのも、もちろん考えながら、片方で既存の事業の見直しでございますとか財政運営への配慮、こういったものも考えて対応していかなければいけないと考えております。 3,300人体制見直しといいましても、野方図にこれを上向きにということでは、これは県民の皆さんの御理解得られないと思っておりまして、この行政方針の中でも、令和6年4月1日で3,400人以内という目安といいますか、一定の上限は考えながら対応していくということでございますので、そういった中で、ただいまお話しありました市町村の現場支援ないしは保健・衛生体制の確保、こういった課題についてもしっかりと考慮してまいりたいと考えております。 2点目は、光ファイバーの整備に関してでございます。これは、議員御指摘にあったとおりでございまして、今回国のほうも、例年の予算の規模からいいますと10年分の予算を積んでいて、今回未整備の市町村をなくすんだという決意で取り組まれているということでございます。御指摘もございましたように、いわゆる地方負担の分につきましても、今回のコロナ関係の地方創生の臨時交付金もかなり充当できますし、さらに過疎債も充当するというようなケースも考えますと、ただいま御指摘ありましたように、かなりの部分を国の財源で対応ができると。そういう意味では、またとない機会だと思います。 財源的にもそうでございますし、また新しい生活様式の中でオンラインでのリモートワーク、テレワークですとか、あるいは遠隔教育、遠隔医療、こういったものに対応していく、まさしく基盤になる分でございますから、これは今後地域間競争を勝ち抜くためにも、ぜひ必要な基盤整備であると思います。そういった点をしっかりと市町村に、いわば膝詰めで御説明をしまして、これまで採算面、あるいは財源面で二の足を踏んでおられた市町村にもぜひ再考していただきたいと思いますし、この事業を進めるにつきましては、国や通信事業者ともしっかり連携をとりまして、この機会に何とか県内の未整備区域の解消を図るという決意で、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。 ◎危機管理部長(堀田幸雄君) まず、避難所の件に関してでございますが、1点目、県としましては3密を避けるために、指定している避難所については、できるだけ多く開設していただきたいということを市町村にお願いしてございます。開設した上で、運営するためのマニュアルを今月末に全部つくるということで、これからそのマニュアルに従って市町村の職員に周知していくということになります。 現状では、職員が足りないというふうなことはお聞きをしていませんが、想定以上に避難者がふえるということがあれば、我々のほうとしても支援をしていきたいと思ってございます。 2点目の補助金のほうでございますけれども、段ボールベッドとかパーティションの間仕切りなんかについても、補助の対象としてございます。 ◆31番(上田周五君) それぞれ御答弁ありがとうございました。 先ほど危機管理部長に対して行ったものは、隔離テントの分で、後で構いませんので、よろしくお願いいたします。本当に御答弁ありがとうございます。 最後に、少し要請的なもので、先ほど商工労働部長、本当に特別支援給付金について前向きな御答弁ありがとうございました。8月以降は、業者の委託という話でございますが、それまで県庁の職員ね、マンパワーは限りがあると思いますけれど、ぜひ頑張ってよろしくお願いします。 それから最後ですが、教育長ありがとうございます。この中学校の県総体での保護者の観覧の件ですが、本当に御答弁聞いておりまして、学校側が御苦労されているということが、十分保護者の熱い思いというか、そういうことに伝わったと思いますので、ありがとうございました。 以上で終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手) ○副議長(西内健君) 暫時休憩いたします。   午後2時47分休憩-----------------------------------   午後3時10分再開 ○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 34番中根佐知さん。   (34番中根佐知君登壇) ◆34番(中根佐知君) 私は日本共産党を代表し、質問をさせていただきます。 初めに、ことしになって急増している米軍機等の低空・夜間飛行についてお伺いいたします。 本県議会は昨年12月県議会でも、全会一致で米軍機による超低空飛行訓練の中止を求める意見書を可決し、政府に送付しました。ところが、ことしに入って、米軍機と見られる戦闘機やプロペラ機などが、昼夜を問わず高知市上空を初め四万十市、いの町などオレンジルート以外でも多数目撃をされています。市町村からの情報を集約している危機管理・防災課の資料によると、米軍機の可能性の高い低空飛行訓練は、昨年が116回、ことしは6月26日段階で既に155回と、大幅にふえている状況となっています。 これまでも、保護者会などで政府への中止要請を求めて活動してきている本山町立本山保育所でも、ことし何度も飛来し、時にはあざ笑うかのように保育所上空を2機が低空で旋回するといったことが繰り返され、不安と怒りが渦巻いています。 5月12、13日と知事名で防衛大臣、外務大臣に、異常な訓練の中止や事前の情報提供、国による低空飛行訓練の実態把握を求める要請書を提出されていますが、その後も、全く問題にしていないと思われる50回を超える目撃情報が寄せられています。 そこで、知事に伺いますが、提出をされた要請書に対し、政府からどのような回答が来ているのか、具体的にお示しください。 これまでは、オレンジルートを中心に目撃や爆音の被害情報が寄せられていましたが、さきに述べたように、ことしになって高知市、県西部での目撃情報も増加し、特に夜間の爆音に、一体何が何の目的で飛んでいるのかもわからず不気味だという不安の声が寄せられています。 県として、県民に説明のできる情報確認を行うべきだと考えますが、どのような対応をされているのか、危機管理部長に伺います。 ことし2月21日午前、本山町の土佐れいほく博推進協議会の玄関付近で、同協議会職員が飛来した2機の米軍機を撮影し、その動画を、低空飛行解析センターが現地測量などを実施し飛行高度を推計、その結果を3月25日に発表しています。報告によれば、1機目を追う2機目は、撮影したカメラから約240メートル上空を通過したと見られると計測。飛行ルート下には嶺北中央病院や本山小学校などがあり、日本の航空法最低安全高度300メートル以下の飛行で、明らかに日米合意に違反していると指摘をしています。 こうした実態を日本政府や米軍に示し、具体的な改善対策を求める必要があります。今は文書による報告が主流ですが、県として動画の収集を行えるよう、メールやラインなどの開設と充実を提案するものです。 現在の県民からの情報収集の方法と今後の充実策について危機管理部長に伺います。 墜落や消防防災ヘリなどとの衝突事故が起こってからでは、取り返しがつきません。一刻も早く危険な飛行訓練を中止させるため、全国知事会との連携はもとより、低空飛行訓練の被害に抗議の声を上げている自治体とのネットワークをつくり、抗議と中止要請行動を強化する必要があると思いますが、知事にお伺いいたします。 次に、持続化給付金などに関して知事にお聞きします。 新型コロナウイルス危機を克服し乗り切る取り組みは、今正念場を迎えています。第2の波に備えて、医療や検査体制の抜本的強化、暮らし・営業への支援、教育の充実などの促進が必要です。同時に、国民の声や苦境に応える施策を、迅速に国民に届けることが重要であることは言うまでもありません。しかし、国の対応は、給付金にしても補助金にしても、余りにも遅過ぎます。また、コロナ対策が一部大企業の食い物にされ、政官財の癒着があらわれています。この2つの深刻な問題を徹底的に明らかにし、改めることが急がれています。 その一つの象徴として、新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が減った中小企業、個人事業主らに国が支給する持続化給付金の事務事業のあり方が大問題になっています。 持続化給付金をめぐる疑惑は、経済産業省が一般社団法人サービスデザイン推進協議会に769億円で委託、さらに委託費の97%、749億円で電通に再委託、さらには電通が104億円中抜きして645億円余りで子会社に外注、そしてさらに竹中平蔵氏が会長を務める人材派遣会社パソナや大日本印刷、トランスコスモス、今家賃支援給付金事業で電通が圧力をかけたとするテー・オー・ダブリュー等への外注などとなっていて、本当に驚きを禁じ得ません。電通やその子会社、パソナ、トランスコスモスは、いずれも協議会を設立し、構成する企業でもあります。コロナ対策予算を身内で食い物にする、国民の税金を一部の大企業が分け合うようなことは許されません。 2016年に設立以降、協議会は持続化給付金を含む14件、1,600億円を経産省から受託しており、その契約金額の9割に当たる事業が、現中小企業庁長官が幹部を務めていた部署からでした。また、電通は、自民党の政治資金団体国民政治協会に毎年献金をし、2012年から2018年の7年間で3,600万円に上り、自民党山口県の支部も献金をされています。事業の再委託を受けた広告大手電通と経産省、政府・自民党との癒着の真相解明が求められているのではないでしょうか。 2006年に財務大臣が各省庁に出した通知、公共調達の適正化については、全部再委託を原則として禁止しています。また、協議会との今回の契約書でも、再委託をしてはならないと明記されています。 知事は、これらの事務事業のあり方をどう受けとめているのか、また国に対してしっかり究明と改善を求めるべきではないか、お伺いいたします。 また、高知県の委託業務における再委託に関する基本的な方針について会計管理者にお伺いいたします。 全国各地に申請サポート会場が設けられています。しかし、電話をしてもつながらない、予約がずっと先になってしまう、対応する人によってサポートが違う、国会での論戦による改善点や新たな決定などが反映されていないなど、不安や批判が強まっています。 必要な人が申請、給付にまで進めるように、国に対する要望や意見提出など、どう対応していくのか、知事にお伺いいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。 緊急事態宣言は解除されましたが、経済社会活動の再開は、感染抑止をしながら段階的に進めていかなければなりません。感染拡大を抑止するための医療と検査の体制を抜本的に強化して、安心して経済社会活動の再開に取り組めるようにすることと、自粛と一体の補償をの立場で、大打撃を受けている暮らしと営業を支えることを一体に進めることが強く求められています。 確かに、日本の新型コロナによる死亡者数は、欧米に比べ人口比で2桁の違いがありますが、これは日本だけでなく東アジアの沿岸地域全体の特徴です。その中で、日本はワーストなのです。日本モデルが成功したという根拠はありません。今こそ、この間あらわになった社会構造、感染防止策の弱点を直視しなければなりません。 その第1の柱は、感染流行の第2波に備え、医療と検査体制を抜本的に強化することです。県をまたいだ移動の制限も解除されましたが、ウイルスは消えたわけではありません。東京都は新規感染者の拡大が続いていますし、一旦は抑え込んだ韓国、中国でも、局所的な集団感染が発生しました。第2波へのしっかりした備えが今必要です。 まず、安心して経済社会活動を再開していく上で、感染者を早期に発見し、症状に応じた医療と隔離を行う必要があります。そのためには、検査のあり方を根本から見直し、大規模に行える体制を整えることが必要です。日本の人口当たりのPCR検査数は、諸外国に比べて桁違いの少なさです。韓国は日本の8倍、米国は14倍、欧州諸国は20倍から30倍となっています。 18道県の知事が、感染拡大を防止しながら経済社会活動を正常化する緊急提言を発表し、これまでの受動的な検査から、感染者の早期発見・調査・入院等による積極的感染拡大防止戦略への転換を提言しています。ごく軽症も含む全ての有症者や全ての接触者への速やかな検査を行うとともに、症状の有無にかかわらず医療・介護・福祉施設の従事者及び入院者、入所者などに対して優先的に検査を行うことを求めています。そのために、PCR検査の検査能力を現在の2万件から、10万件から20万件に引き上げるとしています。 第2波に備え、再度の緊急事態宣言を回避する上でも、この緊急提言は積極的で合理的提案だと考えます。提案は、積極的検査への戦略的転換を政府が宣言し、進めるとしています。 知事は、6月初旬の全国知事会議でPCR検査の体制について、再び感染の波が来たときに備え、民間機関に検査を分担してもらう必要があると指摘し、人口規模が小さい地方でも民間が参入できるよう国が環境整備をしてほしいと求めたと報じられていますが、具体的にどのような体制をつくろうとしているのか、お示しください。 日本医師会の有識者会議は、PCR検査が進まなかった最大の理由は、国から財源が全く投下されていないことだと指摘し、PCR検査センターの設置・維持に必要な予算を4,694億円と試算しています。18道県緊急提言の記者会見で広島県知事は、2,000億円から3,000億円が必要としています。ところが、安倍政権の第2次補正予算案では、PCR検査体制の整備は366億円にすぎません。今後、どの程度の感染がどれくらい続くかにもよりますが、1桁違います。数千億円の規模で予算の確保が必要です。 次に、医療崩壊を起こさないために、医療・介護・福祉施設への財政支援を抜本的に強化することが必要です。医療崩壊ぎりぎりという訴えが、医療現場からも、政府の専門家会議からも相次いでいます。今の時期に、第2波に備えた医療体制を確立しなければなりません。その大きな障害になっているのが、医療機関の経営危機です。 日本病院会など3団体の調査によれば、コロナ患者を受け入れた病院は、4月は平均1億円の赤字です。大学病院の調査でも、全国の80病院で年間5,000億円もの赤字になります。直接コロナ患者に対応していない病院や診療所でも、大規模な受診抑制によって経営危機が深刻化しています。東京保険医協会の調査では、4月、93%の診療所が収入減を訴え、そのうち30%を超える診療所が5割以上の減収です。 国の2次補正予算案で、コロナ対応の医療機関に1.2兆円規模の財政支援が盛り込まれましたが、一方、非コロナ医療機関、地域医療には、実際にかかった感染対策費の補償だけで経営危機に対する財政支援は全くありません。地域の診療所が倒産、閉鎖が相次ぐようなことがあれば、国民の命と健康は守れません。コロナ対応の医療機関と非コロナ医療機関は、役割分担を行って日本の医療を支えているのであり、その全体の経営を守り抜くための財政支援を行うことを強く求められています。 地域の医療機関の経営状況をどう捉えているか、抜本的な支援が必要ではないか、健康政策部長にお聞きします。 医療機関は、もともと厳しい経営状況に置かれていました。日本病院会などの調査では、全国の病院の利益率は昨年4月時点で1.5%、全体の45.4%が赤字です。その原因は、診療報酬が大きく削減されてきたからです。2002年から2020年まで、消費税補填分を除いた実質改定率はマイナス10.5%です。そこへ、コロナが直撃しているわけです。政府の対策は融資でしかありません。この間の医療費削減政策が新型コロナ拡大のもとで、医療崩壊として矛盾が噴出したわけです。 医療費削減政策の見直し、転換が求められると思いますが、知事に認識をお聞きします。 介護事業所、障害福祉事業所なども、感染リスクから利用を手控え、減収により介護基盤を崩壊させかねません。全国老人福祉施設協議会、日本障害者協議会など関係者は強く財政支援を求めており、これに応えることが必要です。 地域の介護事業所、障害福祉事業所の経営状況をどう捉えているか、抜本的な支援が必要ではないか、地域福祉部長にお聞きします。 国の第2次補正では、医療・介護従事者に20万円から5万円の慰労金が支払われることが決まりました。それ自体は評価できるものですが、先ほども触れたようにコロナの影響による減収で、日本医療労働組合連合会の調査では、夏のボーナスを半分にする、2割賃下げあるいは定期昇給見送りなど、既に影響が出ており、その改善、支援と一体でなければ意味をなさないことを改めて指摘した上で、問題意識を提起いたします。 この慰労金は、児童分野が排除されています。6月1日、全国社会福祉協議会は政府に対して、新型コロナウイルス感染症に対応する児童分野で働く職員にも慰労金の支給を求める緊急要望書を提出しました。高齢者や障害、救護分野で働く職員には、感染者が出ていなくても支払われる予定だが、保育所や児童養護施設は対象外となっており、要望書は強い憤りを感じると訴えています。 要望では、保育所については、緊急事態宣言以降も看護師や医師の子供を受け入れるなど保育を継続してきたことや、実際に全国で50カ所以上の保育所で感染者が出ている現状を訴えています。実際、感染してはいけない、感染者を出してはいけないと、非常な緊張とストレスの中で頑張ってきたという現場の声もお聞きしています。 慰労金から保育所が外されたということは不当だとは思わないか、また県として独自の対策をとるつもりはないか、教育長にお聞きします。 また、社会的養育を担っている児童福祉施設についても、県として独自の対策をとるつもりはないか、地域福祉部長にお聞きいたします。 保健・公衆衛生、医療体制は、今後の社会の安定的な営みにとって不可欠なインフラです。新型インフルエンザを総括した2010年の政府報告書では、国立感染症研究所や検疫所、地方自治体の保健所や地方衛生研究所を含めた感染症対策にかかわる危機管理を専門に担う組織や人員体制の大幅な強化が提言をされました。 ところが、この間、自民党政治のもとで、医療費削減、社会保障費抑制が続けられ、我が国の保健・公衆衛生の体制は大きく弱体化してしまいました。保健所は、この30年間で約半分に減り、職員定員も減らされました。地方衛生研究所の予算、人員も、国立感染症研究所の予算、人員も、連続的に削減をされました。 こうした削減路線を転換し、保健・公衆衛生、医療体制を充実させること、今回のように、まさに感染拡大という有事に対応できる余裕を備えていくことを、国の安全保障戦略として位置づける必要があると思うが、知事にお聞きいたします。 今回、コロナ対策の前線に立って奮闘された医者、看護師、介護従事者、保育士等は、以前からきつい労働と重い責任、見合わない処遇の低さから人手不足が深刻な分野でした。 新型コロナウイルス感染症対応のもとで、命の危険、強いストレスに直面して奮闘された医療・介護・保育分野での抜本的な処遇改善がないと、人手不足が一層深刻となることが危惧されます。知事に認識をお聞きいたします。 第2の柱は、新しい自粛要請と一体の補償を急いで現場に届けることの必要性です。自粛と一体の補償をという大きな国民の声が政治を動かし、一律10万円給付、雇用調整助成金の上限額引き上げ、家賃支援などで一連の前進がかち取られてきましたが、なお改善すべき問題点が残されています。最大の問題は、支援が現場に届くのが決定的に遅く、失業や倒産、廃業がふえ続けていることです。 政府の新しい生活様式の呼びかけとは、新しい自粛要請にほかなりません。大きなダメージを受けている中小企業、個人事業主、フリーランスで働く人たちに、新しい自粛要請による経営難が加わります。緊急事態宣言の解除や休業要請の解除、緩和を理由に、必要な支援を1回限りにし、打ち切ることは許されないと考えます。 また、このように支援を必要とする方々に対して、自治体においても、よりきめ細やかな対策を打っていくことが重要と考えます。その際には、さらなる国の財政支援が必要だと思いますが、知事にお聞きをいたします。 コロナ禍のもとで急速に生活が悪化し、今後、みずから命を絶つ人が増加するのではないかという懸念が指摘されています。 いのち支える自殺対策推進センターの清水康之代表理事は、今は国民全てが生命の危機を感じ、社会全体に乗り切ろうという連帯感が生まれ、以前から自殺を考えていた人の中にも、ほかの人たちも同じ状況にあると感じてほっとしている人もいる、ただしこの状況は長くは続かないと東日本大震災の事例を示し、時間がたつにつれ、もとの生活に戻れる人と戻れず取り残される人との格差が広がるのが心配と言い、追い込まれた末の死を防ぐために生活保護の受給要件緩和などを求めています。 しかし、経済的に苦しんでいるのに、生活保護の申請に結びつかない人は多くいます。この是正が必要です。ドイツでは、誰ひとりとして最低生活以下に陥ることがあってはならないと、新型コロナ対応で120万人の生活保護利用を見込んでいます。長野県ではパンフレットで、生活が立ち行かなくなることは誰にでも起こり得ること、憲法第25条の生存権の理念に基づく最後のセーフティーネットが生活保護などと、わかりやすく市民に伝えていますし、ホームページのコロナ対策個人支援の項目にも、しっかりと生活保護がパンフと同趣旨で紹介をされています。 高知県のコロナ禍に対する支援制度を紹介するホームページには、残念ながら生活保護の記述はありません。 誰ひとりとして最低生活以下に陥ることがあってはならないという立場から、生活保護は憲法第25条に基づく権利であることを知事が宣言し、県民に周知していくことが必要と思いますが、知事にお聞きいたします。 コロナ対策として、国民健康保険料の減免制度が実施されていますが、連絡文書が複雑で、通常の減免との違いについて明確に認識できていない自治体が、全国的にも少なからず発生しています。 減免は、2月から減免申請の月までで最も収入の低い1カ月の収入を基準として、前年の月額平均収入と比べ3割以上減少していれば対象となります。横浜市や京都市は、この基準で実施しています。また、北海道の後期高齢者医療広域連合も、同様の基準で減免判定を行うと明言しています。 それが可能なのは、3割以上の減少の要件について、広く救済する観点で運用されているからです。我が党の倉林参議院議員の、減少見込みで減免し、結果として3割以上減らなかった場合でも減免取り消しはせず、返金は求めないかとの質問に対して、厚生労働省保険局長は、その場合も国の財政支援の対象になると明確に答弁をしています。 最も収入の低い1カ月の収入を基準とする、見込み違いとなっても返金を求めない、国が財政に責任を持つ事業であること、これを県内の市町村に周知徹底しているか、健康政策部長に伺います。 前年の所得が300万円以下なら、全額免除となります。条件の合う県民に、漏れなく申請してもらうことが重要です。それは、県民の暮らしを支援することにもなりますし、市町村にとっても収納率アップにつながり、調整交付金増となって国保財政に貢献します。逆に申請漏れが多いと、県民の苦しみも財政的デメリットも拡大します。 誰ひとり取り残さない姿勢で、国保料減免をしっかり推進すべきだと思いますが、いかがですか、健康政策部長にお聞きいたします。 次に、県内の学生支援の必要性についてお伺いします。感染症の影響を受けて、県内学生に深刻な状況が広がっています。高知大学の会見によれば、大学独自の困窮学生への高知大学緊急学生支援金制度1人当たり3万円には、1,308人から申請があり、496人に支給しました。国の学生支援緊急給付金に対しても545人から申請があり、452人を大学として推薦したと発表されています。これだけを見ても、支援が届かない学生が広範に残されている状況です。 5月臨時議会で知事は、県内の大学や専門学校に御協力いただき、学生の生活実態、支援の状況などについて、各大学などで把握されている内容を集約すると答弁しました。 集約の結果、県として、感染症の県内学生への影響をどのように把握し分析しているのか、また国の学生支援緊急給付金について県内の申請・推薦人数はどうなっているのか、あわせて知事にお聞きいたします。 この間、学生の深刻な実態は、県内各地で大学生などを対象とした食料配付などのボランティアの取り組みが広がって、多くの学生が支援を受けていることにもあらわれています。食料を受け取ったある大学院生は、飲食店での毎月七、八万円の収入がなくなり、家賃の支払いもできず待ってもらっている、実家からの仕送りはお米のみで、4月、5月はふりかけと御飯、おかゆだけでしのいだと、悲痛な実態を訴えたとのことです。 知事は5月臨時議会で、実態も踏まえ、必要な取り組みを検討したいと述べていますが、食料配付等ボランティアに学生が多数支援を受けている生活実態は深刻で、非常事態と言わざるを得ません。 深刻な実態を受けて、県として学生に対する独自の支援策を講じ、学生の生活を支える必要があると思いますが、知事にお伺いいたします。 世界保健機関は、新型コロナウイルスのパンデミックを3月11日に宣言し、国連女性機関が、新型コロナ対策のためのチェックリストを3月20日に、女性と新型コロナという提言を3月26日に、立て続けに公表しました。各国政府の対応が、女性を取り残したものになっていないか注意喚起すると同時に、具体的な対策を講じるように求めたものです。 非常時にこそ、社会的、文化的、政治的につくられた性差であるジェンダーの視点で、女性も男性もそれ以外の性の人も、誰もが生きやすく、公平で公正な社会を目指すジェンダー平等の視点で対策をとっていこうとする提言です。 日本は、世界の先進国の一つでありながら、世界経済フォーラムが毎年発表するジェンダー平等指数である男女平等度ランキングは大変低い国で、2019年は何と153カ国中121位でした。政治、経済、教育、健康の4つの分野の指標で見るのですが、日本社会では政治、経済の分野で大きくおくれをとっています。このことを認識しながら提言を受けとめることは、とても重要だと考えます。 ジェンダー平等の視点で新型コロナウイルス対策に取り組む認識を知事にお伺いいたします。 この間、国民の中から、国の1人10万円を支給する特別定額給付金について、基準日となる4月27日までに生まれた子供だけを対象にするのではなく、誕生日のわずかな違いで給付対象にならなかった新生児も支援できないかという声が起こっています。新型コロナウイルス対策の中で、感染予防に神経を使い、里帰り出産や立ち会い出産を初め、さまざまな制限を受けながら赤ちゃんが誕生してきています。胎児も一人の人間として給付金の制度の枠からこぼれないようにしようと、4月27日以降来年3月末までに生まれた子供まで給付に踏み切る自治体や、商品券を配布する自治体も生まれています。 今、出産育児一時金は42万円です。出産後に病院を退院するときは、何万円かを足して支払うのが常態となっています。これに、まず車に義務づけられているベビー・チャイルドシートなど、最低限必要になる出費がかさみます。 6月5日、厚生労働省が発表した日本の2019年合計特殊出生率は1.36で4年連続減、高知県では前年より0.01ポイント下がって1.47となりました。出生数は289人減の4,270人で、2年連続過去最少を更新しています。 高知県の少子化対策として、新型コロナウイルスが収束し、安定したワクチンが供給されるまでなどと日切りをしないで、生まれてくる赤ちゃんについて、4月27日以降、県版特別定額給付金を創設してはどうかと考えますが、いかがですか、今年度中を概算すれば必要な予算はどの程度になるのかも含めて知事にお伺いします。 ポストコロナの時代に向けて、幾つか指摘をしたいと思います。 今回のコロナ禍で明らかになったことは、自国に必要なものを過度に他国依存する危険性です。マスク、医療機器の不足も、主に他国でつくられていることが原因でした。また、一部の国で農産物の輸出を規制する動きも出てきました。グローバル化した世界では、一旦感染爆発が起これば、人と物の移動が寸断されることを突きつけられました。改めて、食料自給率の向上、地産地消、国産国消の重要さが示されました。 また、インバウンドについては、各国での新型コロナの抑制とともに、広範な検査体制の確立を抜きに復活することはあり得ません。ソーシャルディスタンスという新しい生活様式を保っての取り組みは、コロナ以前に考えられていた取り組みと質を異にします。 大都市が感染症に対して脆弱であることも示されました。近年、自然豊かな地域への移住が全国的にも注目され、本県も力を入れているところですが、今回のコロナ危機を受けて、大都市が危ないという認識が強まるとともに急速に拡大したテレワークは、このような動きを促進すると考えられます。 新型コロナに代表される感染症と向き合う社会を築くためには、テレワークの全面的な活用、学びの場の確保、医療・福祉の充実と処遇改善、地域に根差した1次産業の推進、豊かな自然と文化の活用など、東京ではなく地元や自分の住みたい場所に住める時代になることを展望したパラダイムシフトが求められています。 ポストコロナの時代を見据えて、産業振興計画やまち・ひと・しごと創生総合戦略など高知県の進むべき方向と方策について根本から再検討する作業に取り組むべきではないか、知事にお聞きします。 もう一つ指摘をしたいのは、全国知事会も提案をしている全国一律の最低賃金の確立です。東京など大都市への一極集中を是正するために、私たちは、全国一律の最低賃金の確立は不可欠だと繰り返し提起してきました。残念ながら、濱田知事のこの間の答弁は、都市部とは経済的格差があり厳しいというものでしたが、コロナ禍を経験し、認識の発展が求められているのではないでしょうか。 第一生命経済研究所の首席エコノミストの試算では、コロナ感染リスクの影響に伴う経済損失額は、5月31日までで合計額が45兆円にもなっています。その損失に比べれば、全国一律1,500円最低賃金を実施するために、中小企業への支援策にかかわる予算は限定的です。例えば、日本共産党は、中小企業の賃上げ支援予算を7,000億円へと抜本的にふやし、社会保険料の事業主負担分を賃上げ実績に応じて減免する制度をつくることを提案しています。 今回、高知県が、コロナ禍ヘの事業所支援として、恐らく全国初と言える社会保険料の事業主負担に着目した給付金を創設したことは、画期的な取り組みと評価しています。この観点を平時に、そして全国で実施させようではありませんか。 ポストコロナ時代の全国一律の最低賃金の確立について、高知県こそ積極的に発信すべきだと思いますが、改めて知事の認識を伺います。 次に、子供たちの実態について伺います。全日本教職員組合は、この5月から6月にかけて、新型コロナ感染拡大にともなう子どもと学校実態調査アンケートを行い、6月11日、本県30校の途中集計が発表されています。それによると、休校中は友達に会えない、行きたいところに行けなくて地獄の日々だったという声とともに、再開の日はとても早く登校してくる児童が多かった、マスクなしで遊びたい、みんなで歌を歌いたいと学校再開を心待ちにしていた様子が語られる一方で、自宅待機でストレスがたまっている、いらいら、生活リズムの狂いを強く感じる、授業中机にべたっと伏せる子が多い、再開2週間後から長く自宅にいたことも影響し登校渋りが出始めている、学習が嫌になっている、学習のスピードが速く学校のリズムがしんどいなどと回答するなど、子供たちの心への影響の深刻さが語られています。学習を進める前に、こういった子供の心をケアすることが求められています。 一人一人の子供に丁寧に寄り添い、心のケアに取り組む手厚い教育が必要だと考えるものですが、教育長はどう認識されているのか、お聞きします。 また、保護者が学校に寄せた声として、おくれた部分の学習内容を子供に押しつけずにゆっくり教えてほしい、運動会、参観日の中止、修学旅行延期への問い合わせもあり、思い出づくりをしてほしいと、延期がさらに中止になることを不安視しているとの回答が見られます。学習のおくれを取り戻そうと7時間授業など詰め込み教育をすれば、子供に新たなストレスを与え、不登校などが危惧されます。 子供たちをゆったり受けとめながら、学びとともに遊びや休息を保障し、単元の精選など学校現場が創造性を発揮できるよう、柔軟な教育課程を奨励することが大切だと考えるものですが、教育長のお考えをお聞きします。 5月22日、文科省はコロナ感染に対する、学校の新しい生活様式と題した衛生管理マニュアルを全国の教育委員会に通知しています。そこでは、地域の感染レベルを3段階に分けて、それぞれのレベルに応じた身体的距離のとり方、実施できる教科、部活、給食や休み時間のとり方などを示しています。 身体的距離のとり方について、文科省初等中等教育局の平山直子健康教育・食育課長は、第2波、第3波の感染が起きるリスクを考えれば、児童生徒の人数や教室などの施設環境によって分散登校が可能な学校は、レベル1であっても分散登校や時差登校で学校を再開したほうが安心だと述べ、できるだけ2メートルあけて、1教室の人数を40人の半分、20人を推奨しています。 5月22日、日本教育学会は20人ほどで授業するために必要な教員人数増は、1校につき小学校3人、中学校3人、高校2人の教員増で全国合計10万人、ICT支援員、学習指導員を小中学校4人、高校に2人配置で合計13万人であり、それは政府の2次補正予備費10兆円のわずか1割で実現できると提言を行っています。 さきの5月臨時議会の総務常任委員会での委員長報告では、文科省の学校の新しい生活様式実践の具体的手だてとして、保健室や20人学級への対応例を示し、教員増の必要性を問うたことに対し、県教育委員会は、教員増員は市町村から要望が上がってくれば、国に確認しながら検討したいと、市町村教委待ちの姿勢を示す答弁がなされています。文科省通知に積極的に応え、感染リスクを避けるべきです。 本県での身体的距離をとるための学級人数の分散等の取り組みをどう進めるおつもりなのか、教育長にお聞きします。 また、コロナの後には、子供たちに少人数学級をプレゼントしたいと心から思います。日本教育学会の提言を実現するよう国に働きかけるべきだと思いますが、教育長にお聞きいたします。 最後に、家畜伝染病予防に資する、家畜の所有者がその飼養に係る衛生管理に関し最低限守るべき基準の問題についてお聞きします。 農林水産省は、2018年9月に国内で26年ぶりに発生が確認された豚熱の感染拡大や、一昨年以降、アジア地域において発生が拡大したアフリカ豚熱の国内への侵入防止のため、ことし4月に家畜伝染病予防法が一部改正されたことを受けて、ことし7月までに豚、イノシシだけでなく、牛、ヤギなどの他畜種まで含めて、飼養衛生管理基準の見直しを目指すとしています。 この見直し案には、放牧の停止または制限があった場合に備え、家畜を飼養できる畜舎の確保または出荷もしくは移動のための準備措置を講じること、大臣指定地域については、放牧場、パドック等における舎外飼育を中止することなどと明記されていました。 農家にとっては、今回の話は寝耳に水の事態です。豚や牛などの放牧制限につながることから、放牧飼育をしている農家から、放牧を危険視する科学的な根拠を示してほしい、国は放牧を推進してきたのに矛盾する、負担がふえ経営が成り立たなくなるといった疑問と不安の声が上がりました。 農水省は今月12日、パブリックコメントを踏まえて、飼養衛生管理基準の最終案を示しました。それによると、防疫対策を強化する大臣指定地域の、舎外飼養の中止の文言が削除されて、放牧停止や制限があった場合の、畜舎の確保の文言は避難用の設備の確保に変更され、放牧する農家全てが畜舎を建てる必要はないとしています。 大臣指定地域には、豚熱に感染した野生イノシシがいる都府県及び豚熱ワクチンを打っている地域が指定される見込みです。また、同地域は、野生動物が豚熱やアフリカ豚熱、口蹄疫に感染した場合にも設定されます。豚は新たに、大臣指定地域の放牧場の取り組みとして、給餌場所における防鳥ネットの設置及び家畜を収容できる避難用の設備の確保が盛り込まれました。必要設備の補助は検討中とされています。 このように、放牧している農家は、畜舎の確保という表現がなくなったことにひとまず安堵していますが、今回の政策策定の動きは、改正案の内容の周知も、生産者からの意見聴取も、放牧農家への影響調査も全く不十分です。 こうした法案策定のあり方をどのように受けとめているのか、農業振興部長に伺います。 放牧は、近年多面的機能や持続可能な循環型農業の実践として、またアニマルウエルフェアや良質の畜産ブランドとしても大きく注目をされています。食の安全は最も重要ですが、放牧のこうした重要な役割を希薄な根拠で否定するのではなく、家畜伝染病に脆弱な近代の畜産のあり方を多面的に検証することこそ、家畜伝染病予防に資する飼養衛生管理につながるものと考えます。 今回の飼養衛生管理基準の見直しについての県の見解と今後の対応について農業振興部長のお考えをお聞きして、第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 中根議員の御質問にお答えをいたします。 まず、米軍機の低空飛行に関しまして、県の要請に対する政府の回答についてお尋ねがございました。 昨年10月末以降、米軍機と見られる低空飛行の目撃回数の増加が続いておりますことから、昨年12月に外務、防衛両大臣宛ての要請書を提出いたしました。しかしながら、要請書の提出後も目撃回数は減少せず、むしろ増加傾向にありましたため、先月にも再度の要請を行ったところです。 当時は、新型コロナウイルス感染症に関します緊急事態宣言下でございましたために、東京事務所長が外務、防衛両省に要請書を持参いたしました。その際に、防衛省の担当者からは、所管の課へ伝える旨の回答があり、また外務省の担当者からは、米軍に伝える旨の回答がございました。 今後、私自身も上京の機会に合わせて、異常な訓練を行わないよう米国に強く要請することあるいは訓練ルートや時期を事前に情報提供することなどについて、改めて要請をしていきたいと考えております。 次に、低空飛行訓練が行われている自治体とのネットワークづくりについてお尋ねがございました。 これまで、米軍機の訓練に関しましては、本県単独の要請に加えまして、全国知事会においても平成25年度以降、国に対して、訓練情報の事前提供を行うことなどを要望しているところであります。 全国知事会では、平成30年7月に、基地のない都道府県も含めた総意として、米軍基地負担に関する提言を取りまとめております。この提言の中で米軍機の低空飛行訓練などに関しましては、訓練ルートや訓練が行われる時期について速やかな事前情報提供を必ず行うこと、地域住民の不安を払拭した上で実施されるように十分な配慮を行うことといった内容を盛り込んだものとなっております。 米軍機の低空飛行訓練は全国各地で行われております。自治体のネットワークとしては、全国知事会の枠組みを通じまして要望していくということが効果的であるというふうに考えているところであります。 次に、持続化給付金などの事務事業のあり方、また国に究明と改善を求めるということについてお尋ねがございました。 持続化給付金などの事業の再委託などの問題に関しましては、国会で審議が行われてきたところですが、手続の透明性あるいは公平性がしっかりと確保されるということが重要だと考えております。あわせて、必要とされる方々に速やかに給付が行われることも大変重要であります。 いずれにいたしましても、この件については、国会の閉会後も閉会中の審査が行われております。こうした中で、国民に対する説明が行われ、必要な改善が図られるべきものだというふうに考えているところでございます。 次に、持続化給付金の国に対する要望、意見提出などの対応についてお尋ねがございました。 国の持続化給付金は、多くの事業者の事業継続を後押しし、地域経済への負の波及を食いとめるために有効な制度であるというふうに考えております。このため県では、迅速かつ確実に給付がされますように、関係省庁あるいは県選出の国会議員の先生方に、手続の簡素化あるいは電子申請が困難な事業者への支援の緊急提言を今まで繰り返してまいったところでございます。 現在、県内には6カ所に申請サポート会場が開設されるといったことで、事業者への支援体制が順次整備をされてきておると考えております。今後も、必要に応じまして、申請が困難な事業者へのさらなる支援あるいは手続の簡素化などにつきまして、全国知事会と連携を図りながら、提言を行ってまいります。 次に、いわゆるPCR検査への民間検査機関の参入についてお尋ねがございました。 現在、民間のPCR検査機関は東京などの大都市圏に集中しております。したがいまして、地方から検査を依頼しようといたしましても、検体の搬送に時間がかかり、検査結果が判明するまでに数日間程度を要するという課題がございます。そのため、本県のように、地理的に大都市部から離れていて人口規模の小さな県では、医療機関から依頼されるPCR検査のほとんどを地方衛生研究所が担っているというのが現状でございます。 ただ、次の感染の波が訪れた場合を考えますと、こうした場合には、同時に多数の検査をしなければならないということが想定をされるわけでございます。こうした事態を想定いたしますと、地方でも、公的な地方衛生研究所だけではなくて民間検査機関も役割分担をしていただいて、あわせて対応していく必要があると考えております。 具体的には、無症状の人も含めて感染の広がりを把握するための濃厚接触者のPCR検査については地方衛生研究所が担い、その他のいわゆる新規に当たる有症状者の検査は民間検査機関にも担っていただくということが、望ましい体制ではないかというふうに考えております。 このため、現在複数の民間検査機関の高知営業所の方などと医療機関からの検体搬送の方法も含めて協議をしておりまして、このための体制を整えつつあるという段階でございます。 次に、医療費削減政策の見直しへの認識についてお尋ねがございました。 御指摘がございました近年の診療報酬の改定につきましては、医療機能の分化あるいは地域包括ケアシステムの推進、医療従事者の負担軽減など、地域医療を維持あるいは充実させていくために必要な課題に的確に対応するために行われてきた、そういうものであると考えております。 したがいまして、ただいまマイナスが連続しているという御指摘がございましたが、薬価の引き下げ分を除きました医療従事者の人件費あるいは技術料に当たりますいわゆる本体部分に関しましては、ここ10年ほどプラス改定が続いているというのが、その実情であるというふうに考えております。 他方、新型コロナウイルス感染症の拡大が予断を許さない現在の状況におきましては、医療機関の経営環境あるいはオンライン診療など診療体制が大きく変化し、またしようとしている状況にあると考えております。その意味で、次回の診療報酬改定時には、単に診療報酬の見直しにとどまらずに、アフターコロナあるいはウイズコロナという状況を見据えました医療提供体制あるいは医療保険制度など医療全般のあり方を再検討していく、そうした中でこの診療報酬の見直しが検討される必要があるというふうに考えております。 次に、保健・公衆衛生などの体制を充実させることなど、感染症対策を国の安全保障戦略として位置づけるということについてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症に対応する中で、一部の地域におきましては、地方衛生研究所に処理能力を超える検査依頼がございましたり、あるいは保健所機能が危機的な状況に陥ったところがあったというふうにも聞いております。 こうした状況も踏まえまして、全国知事会におきましては、次の感染拡大の波に備える有効な検査体制あるいは医療提供体制を構築するという目的で、今月12日に新型コロナウイルス対策検証・戦略ワーキングチームを立ち上げております。その中では、PCRの検査体制や相談、疫学調査などの体制強化など、保健所の体制強化についても検討を進めていくこととしており、8月中の報告書の取りまとめを目指しまして、今議論が進められているところでございます。 この全国知事会のワーキングチームを通じて、PCR検査や健康危機管理に備えます保健所などの体制のあり方を検討いたしまして、国に対して必要な措置を提言してまいりたいと考えております。 次に、医療・介護・保育分野での処遇改善につきましてお尋ねがございました。 今回の感染症の状況の中で、医療や介護などの現場で感染リスクを抱えながら従事しておられる方々の処遇改善については、しっかりと図られるべきだというふうに考えております。 県といたしましては、5月の補正予算におきまして、感染者や濃厚接触者の診療に携わられました医療従事者の方々に特殊勤務手当--一種の危険手当が支給されるように医療機関への財政支援を行うこととしたところでございます。あわせまして、介護従事者につきましては、感染リスクを伴います利用者に対してサービスを提供した場合の介護報酬加算の創設につきまして、5月に国に対して、緊急提言を行うというような取り組みをしてまいりました。 今後におきましても、現場の実情などを踏まえまして人材確保という観点から、医療・介護・保育分野のさらなる処遇改善について、全国知事会とも連携いたしまして、国に提言を行ってまいります。 次に、さらなる国の財政支援の必要性についてお尋ねがございました。 これまで、県民の健康と生活を守るために思い切った規模で、かつスピード感を持って県独自の融資制度あるいは休業等要請協力金などの施策を実行してまいりました。 こうした中で、国の第2次補正予算におきまして、本県が強く求めてまいりました地方創生臨時交付金の総額の大幅な増額が認められました。このような国の対応は、本県を初め地方団体が行います経済対策などへの大きな後押しになるものと高く評価しているところでございます。 今後は、この地方創生臨時交付金を最大限活用いたしまして、社会の構造変化への対応を初めといたしました、地域の実情を踏まえた実効性ある施策をさらに展開してまいりたいと存じます。 今後のさらなる国の財政支援につきましては、状況に応じまして全国知事会などとも連携しながら提言や要望などを行ってまいります。 次に、生活保護の制度の周知についてのお尋ねがございました。 生活保護制度につきましては、これまでもホームページなどを活用いたしまして、制度の概要、相談窓口などの周知を行ってまいりました。また、今般の新型コロナウイルス感染症に際しましては、国の通知を受けまして、福祉事務所に対して速やかな保護決定あるいは生活困窮者の支援機関との連携などを求めてまいったところであります。 今回の感染症の影響を受けた方々の中には、就労の場の確保や収入がもとに戻るまでに、今後一定の期間を要する方々がおいでになるということは想定されるところでございます。このため、生活保護制度あるいは生活困窮者自立支援制度などにつきましても、ホームページ上の表記に関する工夫も含めまして、さらに周知に努めてまいります。 次に、今回のコロナウイルス感染拡大に関します学生への影響の把握、分析あるいは国の学生支援緊急給付金の申請人数などについてのお尋ねがございました。 県内の各大学からいただきました情報を集約いたしますと、県内の大学生1万613人のうち、お尋ねのありました学生支援緊急給付金への申請人数は1,334人、全学生の12.6%となっております。このうち、給付対象とされた人数は1,033人、今後予定されております第2次配分枠に向けて審査中の人数が248人となっております。これによりまして、経済的に困窮する学生の相当部分がカバーされることになるのではないかというふうに考えております。 他方で、高知大学、高知県立大学及び高知工科大学では、授業料の減免に関する相談がふえているというふうにお聞きしております。この点について、各大学において対応が図られているところであるというふうに承知しております。 次に、学生への県独自の支援を考えてはどうかというお尋ねがございました。 学生の皆さんが利用可能な制度につきましては、国において、この間さまざまな制度が準備されてきていると思います。先ほど申し上げました学生支援緊急給付金のほかにも、これは一般的な制度になりますが、生活福祉資金貸付金でございますとか、あるいは今回雇用調整助成金と同様の内容を就労者の方に直接お支払いするという休業支援金も、アルバイトの収入が減ったというような場合には適用の対象になり得るということだと思いますし、さらには10万円の特別定額給付金、こういった支援措置も、学生の皆さんにも届くという形での支援が行われているというふうに考えております。 これに加えまして、国立高知大学では、新型コロナウイルス感染症の影響により家計が急変をいたしました学生からの相談に応じまして、授業料の減免を実施しているというふうにお聞きしております。 県といたしましても、高知県立大学及び高知工科大学が行います授業料の減免につきまして、両大学を運営いたします法人の設立者として支援をすることといたしております。このため、これに要する経費として、今6月補正予算案に2億2,000万円余りを計上させていただいて、御審議をお願いしているところでございます。 次に、ジェンダー平等の視点で新型コロナウイルス感染症対策に取り組むことへの認識はどうかというお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染拡大に伴います生活不安やストレスなどから、全国的に女性に対するドメスティック・バイオレンス、DVでございますが、被害の大幅な増加が指摘をされております。本県におきましても、改めて相談窓口の周知などを行い、被害の相談にしっかりと対応いたしているところでございます。 また、配偶者やその他の親族からの暴力などを理由に別居されている方々に対しましては、世帯主でなくても国の特別定額給付金を受給できるといった制度の周知も、あわせて行ってまいりました。 県といたしましては、今後とも、女性がさらに困難な状況に置かれることのないように十分配慮しながら、新型コロナウイルス感染症対策を実施してまいります。 次に、県版の特別定額給付金を創設してはどうか、また必要な予算額についてどうかというようなお尋ねがございました。 議員御提案の、生まれてくる赤ちゃんに対する一時金の給付につきましては、子育て支援の一つの手法ではあるというふうに考えます。仮に、新生児1人当たり10万円を給付いたしますと、昨年と同じ出生数でありますと、毎年県内全体で4億円を超える予算が必要となるということでございます。 しかしながら、少子化対策といたしましては、一時的な現金給付という形ではございませんで、安心して妊娠・出産・子育てができるような環境を整備していくということがより重要ではないかというふうに考えております。その意味で、引き続き限られた財源の中で費用対効果を見きわめながら、施策の充実に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、産業振興計画などについて、計画の根本からの見直しが必要ではないかとのお尋ねがございました。 産業振興計画やまち・ひと・しごと創生総合戦略などの県の各種の計画は、これまでPDCAサイクルによります検証あるいはその時々の社会情勢の変化などを踏まえまして、不断の見直し、いわゆるローリングの作業を行ってきております。 御指摘がございましたように、今回の新型コロナウイルス感染症によりまして、本県の経済はこれまでにないような大きなダメージを受けております。ただ、これは感染症という、経済活動とは直接関係のない要因によるものと考えております。この一方で、本県経済は、これまで地産外商の取り組みによりまして、人口減少下においても拡大する経済へと、構造あるいは基調を転じてきておるということでございまして、こうした効果をもたらしております産業振興計画におけます取り組みを根本から変えてしまうという必要はないのではないかというふうに考えております。 今なすべきこととしましては、感染症の影響が和らぐまでの間、大きなダメージを受けております県内事業者を幅広く支援していくことが中心になると考えます。あわせまして、産業振興計画におきましては、県経済を再び成長軌道に乗せていくことができますように、これまでの取り組みは、これは土台としておきまして、この土台の上に、御指摘ありましたコロナ後の価値観の変化あるいは新しい生活様式への対応、さらには社会・産業構造の変化、こういったものも見据えて、施策の強化を図り、進化をさせていくことが必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。 こうした観点から、今月産業振興計画フォローアップ委員会を開催いたしましたが、この会議は感染症によります経済影響対策に、まずは特化して開催し、今後の強化の方向性といたしまして、例えばデジタル技術の活用あるいは移住促進を強化する、こういったことなどについての御提言、御意見をいただいたところでございます。 今後も引き続きまして、市町村や関係団体あるいは外部の有識者などの方々の御意見もお聞きしながら、施策に反映をさせてまいりたいと考えております。 最後に、ポストコロナの時代におけます全国一律の最低賃金制度の導入についてお尋ねがございました。 最低賃金は、労働者の賃金や生計費を考慮いたしまして、労働者側、使用者側などからの御意見もお聞きしながら、地域の実情を踏まえて、地方最低賃金審議会を経て決定されるものでございます。 現状で申しますと、地域ごとに賃金水準が異なりますのは、この背景といたしまして、労働生産性に地域差があるという事情がございます。こういった状況のもとでございますから、最低賃金をいきなり全国一律にしてしまうということは、現状ではやはりいささか無理があるのではないかというふうに考えております。 今回の新型コロナウイルスの感染拡大によりまして、大都市部への過度な一極集中に伴いますさまざまなリスクが顕在化してまいりました。また、テレワークの急速な普及など働き方にも変化がもたらされております。今後、こうした変化を背景に、時間や場所にとらわれない働き方が進むということを通じまして、大都市部と地方の労働生産性の格差が縮小していく、そうした可能性はあるというふうに考えております。 ただ、こうしたテレワークなどになじまない仕事も片方ではたくさんございますので、この労働生産性の地域差は縮小されたとしても、全くこれが解消されて同じ水準になっていくということは、現時点で見通すことは大変難しいのではないかというふうに考えております。 お話にありました、今回の補正予算で提案をさせていただきました県独自の給付金につきましては、賃金ですとか労働生産性のこうした地域間格差を穴埋めするという目的でお願いをしようというものではございません。あくまで、コロナ禍において経営状況が厳しい事業者に対しまして、固定費の一つとして人件費の負担に着目した給付を行う、このことによりまして、事業の継続と雇用の維持を図っていくための臨時的な対策として御提案申し上げた次第でございます。 県といたしましては、企業の経営基盤の強化なども含めまして、産業振興計画などを着実に実行していく、そして労働生産性を高めていくということで、地域間の賃金格差の縮小に向けて取り組んでまいります。そうしたことが、最低賃金の地域差を縮小に向けていくところの後押しにもなっていくというふうに考えているところでございます。 私からは以上でございます。   (危機管理部長堀田幸雄君登壇) ◎危機管理部長(堀田幸雄君) まず、米軍機の低空飛行について、県民に説明できる情報確認を行うべきと考えるが、どのような対応をしているのかとのお尋ねがございました。 県では、住民からの情報などをもとに市町村から報告された米軍機の目撃情報を、その都度速やかに集約し、中国四国防衛局に伝えております。これに対して、中国四国防衛局からは、県からの情報を全国の自衛隊に照会の上、自衛隊機の該当がない場合に、米軍機であった可能性があるという回答が得られるにとどまっており、米軍はこれまでも、個別の米軍機の飛行の有無などについては、運用上の理由から明らかにしておりません。 県といたしましては、今後も国に対して、低空飛行訓練の状況を把握する方策を講じることなどを、引き続き要請してまいりたいと考えております。 次に、現在の県民からの情報収集の方法と今後の充実策についてお尋ねがございました。 市町村から県に報告をいただく米軍機の目撃情報については、飛行場所のほか、機体の形状や飛行高度、飛行音の大小など、可能な限り詳細な情報を提供いただくようお願いしているところです。 また、いわゆるオレンジルート上にあります嶺北地域の4町村と香美市については、騒音測定器を設置しており、その測定値もあわせて報告していただいております。こうした報告の中には、市町村の職員や住民が撮影した写真や動画データが添付されている場合もあり、これらについても、県から中国四国防衛局に報告をしているところです。 低空飛行の実態把握に当たっては、動画の収集も有効な選択肢であると考えられますが、提供された動画の真贋の見きわめや、撮影された方が大容量のデータを送るための手段の確保が課題であると考えております。 一方、防衛省からは本県に対して、現地における状況を詳細に把握すべくどのような方策をとるべきか、現在鋭意検討しているとの御説明をいただいているところです。 県といたしましては、国の責任のもとで実態調査を行っていただくことも含めて、国や関係市町村の意見もお聞きしながら、引き続き情報収集の手法を検討してまいりたいと考えております。   (会計管理者井上達男君登壇) ◎会計管理者(井上達男君) 本県の委託業務における再委託に関する基本的な方針についてお尋ねがございました。 県では、委託契約書の標準書式を定めており、その中で、各種調査やイベント開催など一般的な業務の委託において、委託業務の全部または一部を第三者に委託し、または請け負わせてはならないと規定しています。ただし、あらかじめ書面により県の承諾を得た場合はこの限りでないとし、契約締結後に相手方から再委託を行いたい旨の申し出があった場合は、再委託の業務範囲やその理由等を書面により提出させ、その妥当性や履行能力などの審査を行うこととしております。 このように県では、不適切な再委託により業務の効率性や経済的合理性が損なわれないように、委託業務の適正な履行の確保を図っているところです。   (健康政策部長鎌倉昭浩君登壇) ◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) まず、地域の医療機関の経営状況や支援の必要性についてお尋ねがございました。 本年4月の県内の国民健康保険及び後期高齢者医療制度における医科、歯科合計の診療報酬の状況は、昨年の同時期と比較して、請求件数で14.6%の減少、請求額でも4.7%の減少となっており、新型コロナウイルス感染症が医療機関の経営にも影響を与えているものと認識しております。 また、今月25日には、高知県医師会を初めとする県内の4つの医療関係団体連名で、医療機関等の実態に即した財政的支援や医療物資の安定供給に関する要望もいただいたところです。 そうした中、今議会の補正予算案に計上している国の2次補正予算には、支援金として医療機関等の院内感染防止対策に要する費用や、救急医療、周産期医療等の診療体制を確保するための費用などへの新しい補助事業が盛り込まれました。現在聞いている国からの説明によると、これは一概に感染対策に限らず、比較的幅広な使途に活用が可能とのことですので、一定、医療機関等に対する財政的支援にも資するのではないかと考えているところです。 県としましては、この補助事業を最大限活用するとともに、引き続き5月以降の診療報酬や医療機関の経営状況などを注視し、関係団体の皆様から御意見もお聞きしながら、必要に応じて全国知事会を通じるなどして、国への政策提言を行ってまいりたいと考えています。 次に、新型コロナウイルスによる国保料の減免制度の市町村への周知徹底と、国保料の減免の推進についてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。 新型コロナウイルスにより収入が減少した国保の被保険者の保険料の減免については、まず5月1日に国から示された減免に要する費用の全額を国が財政支援する際の基準を各市町村に通知し、基準に沿った減免であれば、費用の全額を国が財政支援することを周知いたしました。 また、その後5月11日には国から、財政支援の基準等の取り扱いに関するQ&Aが示されましたので、これも各市町村に周知しております。その上で市町村からの質疑を取りまとめ、国に照会し、その結果も各市町村に情報提供しています。 また、お話にありました最も収入の低い1カ月の収入を基準としている他の保険者での取り扱い例や、見込み違いとなっても返金を求めないことを厚生労働省保険局長が答弁した厚生労働委員会での発言概要などについても、情報提供を行っているところです。 引き続き、各市町村には情報提供をしっかりと行うとともに、対象となる方が漏れることがないよう、そしてできる限り速やかに保険料減免に係る申請受け付けや決定を行うことができるよう、市町村からの問い合わせに丁寧に対応することなどを通じて、市町村を支援してまいります。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) まず、地域の介護事業所、障害福祉事業所の経営状況に関する認識と抜本的な支援についてお尋ねがございました。 本県の事業所の経営状況については、現在把握できている4月分の国民健康保険団体連合会への報酬請求資料によりますと、デイサービスなどの通所事業所1カ所当たりの平均請求額は前年同期と比べて、介護事業所はマイナス3%、障害福祉事業所はマイナス5.8%となっております。いずれも、収入が減少していますが、直ちに事業継続に支障を来すような状況ではないと考えているところです。 こうした通所事業所については、感染症の影響で利用を自粛した方に対して、訪問や電話による代替サービスを提供した場合にも、通所の報酬を算定する臨時的な取り扱いが可能となっていますが、利用自粛に伴う利用者数の減少は、小規模な事業所ほど影響が大きいと考えられます。 特に、障害福祉サービスは小規模な事業所が多いことから、県では、財務基盤の弱い障害福祉事業所に対する支援について、5月に国に対し緊急提言を行ったところです。今後も、事業所の経営状況を把握するとともに、事業者の皆様の御意見をお聞きしながら、必要に応じて国に提言を行ってまいります。 次に、社会的養育を担う児童福祉施設の職員に対する慰労金についてお尋ねがございました。 今回の国の慰労金は、感染すると重症化リスクの高い高齢者や障害者に対して、密の状態で継続的にサービス提供を行っていただいた職員を対象としたものとお聞きしています。 今回の慰労金の支給対象から外れている児童養護施設などは、緊急事態宣言期間中においても、高齢者や障害者の施設などと同様に事業の継続が求められていたところです。このため慰労金の支給については、国において対応すべきものと考えています。 県としましては、こうした社会的養育を担う施設も支給の対象となるよう、全国知事会等と連携して国に働きかけてまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、保育所が慰労金から外されたことへの所見と、県として独自の対策をとるつもりはないかとのお尋ねがございました。 国の説明では、今回の慰労金については、感染すると重症化するリスクが高い患者や利用者に対して、接触を伴いながら継続的にサービスを提供してきたことなどの理由から、医療機関や介護施設の職員を対象としたものとお聞きをしております。 保育所においても、開所を継続し、子供たちの安全を最大限確保しながら受け入れてきたものですので、こうした点に対する配慮も必要ではないかと考えております。 こうした慰労金の必要性や対象範囲については、国の責任において検討されるべきものと考えておりますので、保育所の職員も支給対象となるよう、全国知事会などを通じて働きかけてまいります。 次に、子供たちの心のケアに取り組む手厚い教育の必要性についてお尋ねがございました。 県教育委員会では、臨時休業の長期化により、児童生徒の不安やストレスなど心身への影響が懸念されることから、電話相談や家庭訪問などの支援を行うこと、また学校再開時に児童生徒の状況把握のための面談等を実施することを、4月16日付で市町村教育委員会や県立学校に依頼しました。各学校では、この通知を受けて面談等を実施したところ、勉強についていけるか心配、部活の大会やイベントが中止になり目標がなくなりショックだなどの報告が上がってきております。 こうしたことから、県教育委員会としては関係機関と連携しながら、この目標となる中学・高等学校の各種体育大会、全国高等学校総合文化祭の実施報告発表会などもそうですが、こういったものを可能な限り開催し、部活動などの成果発表の場を確保する方向で取り組んできたところです。また、学習保障に向けては、学習支援員の追加配置なども進めてまいりました。 加えて、議員のお話にもありましたように、今まで以上に子供に寄り添った心のケアが必要となってまいります。県教育委員会では、今年度から新たに心の教育センターの日曜日の開所、東部・西部地域のサテライト相談活動など、相談体制を拡充させてまいりました。また、不登校担当教員を全ての小中学校に配置し、情報収集と校務支援システムを活用した出欠状況の早期把握や継続的な家庭訪問の実施など、心のケアに向けた組織体制の充実にも努めております。 こうした体制の十分な活用を各学校に促すとともに、ネット依存などの生活習慣の乱れや感染症に関する誹謗中傷などを防ぐため、PTAや補導センター、県警察等との関係者会議を開き、より一層の見守りを強化することを保護者や県民の皆様へ呼びかけてきたところです。 今後も、各学校において校内支援会を中心に、児童生徒のささいな変化にも気づき、早期に対応することや、スクールカウンセラーや医療・福祉等の関係機関と専門的な支援を必要とする児童生徒をつなぐことを徹底し、一人一人の児童生徒の心のケアに努めていくよう、県教育委員会として取り組んでまいります。 次に、学校現場が創造性を発揮できるよう、柔軟な教育課程を奨励することについてお尋ねがございました。 学校や市町村教育委員会においては、学習内容の過度な詰め込みにならないよう注意しながら、学習のおくれを取り戻すため、長期休業期間の短縮や2学期制の導入、また行事の精選など教育活動の計画の見直しを図り、授業日数の確保に努められてきております。 県教育委員会においては、今年度から教員の働き方改革の観点から、夏季休業中における集合研修の大幅な削減や、調査・照会の精選及び見直しを実施しております。さらに、新型コロナウイルス感染症対策のために臨時休業となりましたので、教員が教育活動に専念できるよう研修のオンデマンド化や、さらなる中止また延期なども実行し、可能な限り教員の負担軽減に努めてまいりました。加えて、放課後の個別指導など、きめ細やかな学習指導が行えるよう学校スタッフの追加配置も行うようにしております。 一人一人の子供たちの知・徳・体の力を最大限に伸ばしていくためには、学習指導要領を基本として、学校が主体的に教育課程を編成し、学習方法に工夫改善を加え、柔軟に実施していくことが重要であると考えております。 県教育委員会としましては、こうした学校や市町村教育委員会の取り組みを支援していくため、先ほど申しました教員の負担軽減や指導体制の強化のほか、参考となる全国の情報を収集、提供していくとともに、学校等からの個別の相談にもしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。 次に、身体的距離を図るための学級人数の分散などの取り組みについてお尋ねがありました。 本年5月、児童生徒及び教職員の感染リスクを低減しつつ、また感染状況に応じて、学校の教育活動を行うための行動基準である「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~」が国によって示されております。各学校においては、この基準に従って取り組んでいくことが原則だと考えております。 現在、本県は感染状況がレベル1の状況にあり、各学校においては国の行動基準を踏まえ、教室では机の間隔を1メートル以上離すなど身体的距離の確保が行われております。加えて、検温など事前の体調管理、マスクや消毒の徹底、頻繁な換気などを組み合わせて教育活動に取り組んでおり、このように総合的に安全性を高めていくことが重要であるというふうに考えております。 なお、今後本県において感染が拡大した場合、学級の規模に応じて学級を2つのグループに分けるなど、国の行動基準に従って、分散登校や時差登校を適宜組み合わせた教育活動を行うなどの対応が必要になってまいります。 県教育委員会としては、現在児童生徒の学びの充実のために、今議会で放課後等学習支援員を追加配置できるよう補正予算をお願いしており、また少人数分割指導のための人員確保についても、市町村教育委員会と連携して取り組みを進めているところです。さらに、分散登校や時差登校時において、学校の授業を補完する家庭学習の充実に向け、ICT機器の整備に関する国の予算の積極的な活用を市町村教育委員会に対して促すとともに、学習支援動画の充実にも取り組んでいるところでございます。 最後に、日本教育学会の提言を実現するよう国に働きかけるべきではないかとのお尋ねがございました。 本県では、学力や生徒指導上の諸問題の解決を図るため、平成16年度から令和元年度までに県独自の取り組みとして、小学校は第4学年まで、中学校は第1学年において、少人数学級編制を行ってまいりました。さらに本年度からは、学力向上に加え、喫緊の課題である不登校や教員の長時間勤務等の課題の改善を図るため、小学校5年生にも拡充し、少人数学級編制の効果を調査研究しているところでございます。 今後は、本年度拡充した小学校5年生を含め、少人数学級編制の実施校における成果、効果がしっかりと確認できれば、小学校6年生や中学校2年生・3年生への拡充についても検討していきたいというふうに考えています。 このように、県として少人数学級編制の取り組みを進めてきたところであり、今後においても国に対し、加配定数の拡充について引き続き要望してまいります。また、新型コロナウイルス感染症対策として、緊急的な加配措置や学習支援員の配置は必要であると認識しておりますので、あわせて国へ要望していきたいと考えております。   (農業振興部長西岡幸生君登壇) ◎農業振興部長(西岡幸生君) まず、飼養衛生管理基準の策定のあり方に対する受けとめについてのお尋ねがございました。 今回、国が行った飼養衛生管理基準の策定に当たりましては、豚熱の国内発生やアフリカ豚熱の侵入脅威を踏まえ、我が国の養豚業全体を守るために、家畜疾病の専門家だけではなく、養豚農家や現場の地方公共団体の職員などの関係者からさまざまな意見を聴取したと聞いております。 しかしながら、最終案の取りまとめに向けて実施されたパブリックコメントでは、酪農家など放牧を行っているさまざまな畜種の農家や関係者の方々から、放牧の中止に対して多くの反対意見があったことを踏まえますと、事前にさらに幅広く意見を聴取する機会を設けてもよかったのではないかというふうに受けとめております。 次に、今回の飼養衛生管理基準の見直しに対する県の見解と今後の対応についてのお尋ねがございました。 今回の見直しの最終案では、お話にあったような放牧の多面的な機能を踏まえ、大臣指定地域--家畜伝染病発生リスクの高い地域でございますが、この地域においても、給餌場所における防鳥ネットの設置や避難用の簡易な設備を確保することにより、家畜を病原体から守りながら、今までどおり放牧を継続できる対策が盛り込まれたと認識しております。 今後は、見直された内容について、農家に対して丁寧に説明するとともに、飼養衛生管理基準の遵守について理解や協力を得ながら、引き続き豚熱や口蹄疫など家畜伝染病の予防対策を進めてまいりたいと考えております。 なお、本県では、温暖な気候のもとで乳牛を放牧する山地酪農や土佐あかうしの放牧など、地域地域で特色ある放牧が実施されております。放牧は省力化や低コスト化に資するだけでなく、動物福祉の向上や耕作放棄地の解消の機能も有しますことから、今後も推進してまいりたいと考えております。 ◆34番(中根佐知君) それぞれに御答弁ありがとうございました。3点再質問をさせていただきます。 1つは、コロナウイルス対策。今、たくさん出ていないときこそ、第2波、第3波についてしっかりとした対応をしていかなければならないと思いますが、本当に県民の不安も含めて--全国民ですけれども、とにかく検査をしっかりと受ける体制をつくる。そして、全域について検査をすることによって、そこで感染者を隔離することができて、収束に導いていける、そういう体制を今やっぱりつくる必要があるというふうに思っています。 全自動PCR装置などというのがあって、日本で開発されて外国で利用されているけれども、日本では俎上に上っていない。1時間半で結果が出てくる、こういう話も聞こえてきていまして、医療、介護、飲食など今発生をしているそれぞれのところで責任を持っている方たちが、例えばですが、月に1回はPCR検査を受けて、そして社会全体として安心をつくっていく。こういう思い切った体制を、経済活動のためにも今こそしなければならないんじゃないか、そんなふうに思っているところです。 そう思いますと、知事が先ほど言われた、複数の民間機関にも今対応を接触しているというお話でしたが、一体どんなところに接触できているのか、それをお聞かせください。 それから、新生児の給付金についてです。高知県は、よくネウボラというふうに言いますが、北欧などのネウボラは赤ちゃんが胎児の段階から、生まれたときにはお金も含め、本当に子供として、人間としてしっかりと育っていけるような体制を、予算を使ってつくります。そういった意味では、今こうした時期にしっかりと予算措置もすべきではないかということを考えていますが、あわせて知事にお答えいただきたい。 最後に、危機管理です。国の責任で米軍機などの飛行の状態をというふうにおっしゃいましたが、国待ちにならずに、本当に落ちたら最後ですから、こうした点では国待ちにならずに、動画作成などできるような形を考えていただきたい。 このことをもう一度危機管理部長にお答えいただいて、2問にいたします。 ◎知事(濱田省司君) まず1点目は、コロナウイルスの検査体制についてであります。 今、私自身は、民間検査機関の固有名詞まで報告を受けておりませんけれども、イメージとして申しますと、例えば、病院で日常的に行います血液を採取して、その検体を民間の検査機関の方が回収して、それを検査所へ持っていって、検査結果が出てくる、そんなところに関与されている民間の会社は、複数あるものと思っております。 そういったところの全国的な会社の高知の営業所の方とかと接触して、通常の血液検査なんかの検体と--もちろん感染防止対策はしっかりしなきゃいけませんけれども--同じようなルートで、民間の検査機関の方が、お医者さん、診療所、クリニックなどを訪ねて採取されたものを回収して、その会社の検査所へ搬送してもらう、そして検査結果を出してくる、こういったような通常の民間におけます検体検査のルートに、同じような形で検査にのせていくことはできないかという相談をさせていただいているということでございます。 この検査の手法自体も、かなり日進月歩という感じがございまして、例えば抗原検査などにつきましても、厚生労働省の見解も最初は、なかなか確定的な陰性の検査は難しいというお話でございましたけれども、発症から9日以内であれば、ある程度ウイルスが出ているということが考えられるので、そういった検査にも適するというふうに、最近また違った形で見解が示されているというようなこともございます。 こういったことで言えば、日進月歩の検査の技術ということにもしっかり対応いたしまして、今お話がございましたように検査が必要な方に関して--特に公費で負担するということを考えますと、やはり医師の判断というのを介していく必要があるんじゃないかと思いますけれども、いずれにしましても必要な方に対して検査はしっかりできるという体制を、民間の力もかりながらつくっていきたいということを考えている次第でございます。 2点目の、特に新たに生まれてきた新生児に対する特別給付金についての御提言でございます。 ただいまも申し上げましたように、少子化対策、経済的な負担の軽減ということを考えましたときに、一つの手法であるという、そういう認識はございます。 ただ、ただいまお話ししましたように、仮に県内で1年間に生まれてくるお子さんに10万円ということで支給した場合、4億円という財源が必要になるということでございます。これは、今乳幼児の医療費の助成に対して県が支出しているのとほぼ匹敵するような大きな予算の規模が必要になるということもございまして、その意味で私どもといたしましては、給付によって経済的負担を軽減するというよりは、限られた財源の中で安心して妊娠・出産・子育て、こういったものができていく環境づくりのほうを、より優先してさせていただきたいという考え方を持っているということでございます。 ◎危機管理部長(堀田幸雄君) 繰り返しになりますけれども、低空飛行の実態把握に当たっては、動画の収集も有効な選択肢でありますが、提供された動画の真贋の見きわめですとか大容量のデータを送るための手段など、さまざまな課題も確かに現実としてございます。 全国知事会においては、国の責任で実態調査を行うということを提言していますし、高知県としても、まずは国において実態調査をしてくれという要望をしてございます。それを受けまして、防衛省では、現在現地における状況を詳細に把握するための方策を検討してくれておるという状況でございます。改めまして今回もその検討状況をお聞きしましたが、現時点では、詳細にまだ言うことはできないということでございました。 我々も大きな期待をしてございますんで、定期的に、または区切りごとに、検討状況について防衛省のほうにお聞きしていきたいというふうに思ってございます。 ◆34番(中根佐知君) どうもありがとうございました。 新しい様式のもとで、さらなるさまざまな施策が求められています。ぜひ取り残される人がないように、業種がないように、御奮闘をお願いしたいと思います。私たちも一緒にいろんな策を練りたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○議長(三石文隆君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明7月1日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時53分散会...