高知県議会 > 2020-03-03 >
03月03日-03号

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  1. 高知県議会 2020-03-03
    03月03日-03号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 2年  2月 定例会(第352回)-----------------------------------        令和2年3月3日(火曜日) 開議第3日-----------------------------------出席議員       1番  土森正一君       2番  上田貢太郎君       3番  今城誠司君       4番  金岡佳時君       5番  下村勝幸君       6番  田中 徹君       7番  土居 央君       8番  野町雅樹君       9番  浜田豪太君       10番  横山文人君       11番  西内隆純君       12番  加藤 漠君       13番  西内 健君       14番  弘田兼一君       15番  明神健夫君       16番  依光晃一郎君       17番  梶原大介君       18番  桑名龍吾君       19番  森田英二君       20番  三石文隆君       21番  上治堂司君       22番  山崎正恭君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       29番  大野辰哉君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        岩城孝章君  総務部長       君塚明宏君  危機管理部長     堀田幸雄君  健康政策部長     鎌倉昭浩君  地域福祉部長     福留利也君  文化生活スポーツ部長 橋口欣二君  産業振興推進部長   井上浩之君  中山間振興・交通部長 川村雅計君  商工労働部長     近藤雅宏君  観光振興部長     吉村 大君  農業振興部長     西岡幸生君  林業振興・環境部長  川村竜哉君  水産振興部長     田中宏治君  土木部長       村田重雄君  会計管理者      中村智砂君  公営企業局長     北村 強君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  原  哲君  公安委員長職務代理者 小田切泰禎君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   麻岡誠司君  選挙管理委員長    土居秀喜君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       弘田 均君  事務局次長      行宗昭一君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     織田勝博君  議事課長補佐     飯田志保君  主幹         春井真美君  主査         宮脇 涼君-----------------------------------議事日程(第3号)   令和2年3月3日午前10時開議第1 新型コロナウイルス感染症対策に関する報告の件第2 第1号 令和2年度高知県一般会計予算 第2号 令和2年度高知県収入証紙等管理特別会計予算 第3号 令和2年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第4号 令和2年度高知県旅費集中管理特別会計予算 第5号 令和2年度高知県用品等調達特別会計予算 第6号 令和2年度高知県会計事務集中管理特別会計予算 第7号 令和2年度高知県県債管理特別会計予算 第8号 令和2年度高知県土地取得事業特別会計予算 第9号 令和2年度高知県国民健康保険事業特別会計予算 第10号 令和2年度高知県災害救助基金特別会計予算 第11号 令和2年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算 第12号 令和2年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第13号 令和2年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計予算 第14号 令和2年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第15号 令和2年度高知県県営林事業特別会計予算 第16号 令和2年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第17号 令和2年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第18号 令和2年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第19号 令和2年度高知県高等学校等奨学金特別会計予算 第20号 令和2年度高知県流域下水道事業会計予算 第21号 令和2年度高知県電気事業会計予算 第22号 令和2年度高知県工業用水道事業会計予算 第23号 令和2年度高知県病院事業会計予算 第24号 令和元年度高知県一般会計補正予算 第25号 令和元年度高知県収入証紙等管理特別会計補正予算 第26号 令和元年度高知県用品等調達特別会計補正予算 第27号 令和元年度高知県会計事務集中管理特別会計補正予算 第28号 令和元年度高知県県債管理特別会計補正予算 第29号 令和元年度高知県国民健康保険事業特別会計補正予算 第30号 令和元年度高知県災害救助基金特別会計補正予算 第31号 令和元年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算 第32号 令和元年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第33号 令和元年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第34号 令和元年度高知県農業改良資金助成事業特別会計補正予算 第35号 令和元年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第36号 令和元年度高知県流域下水道事業特別会計補正予算 第37号 令和元年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第38号 令和元年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算 第39号 令和元年度高知県病院事業会計補正予算 第40号 知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例議案 第41号 高知県無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準を定める条例議案 第42号 高知県犯罪被害者等支援条例議案 第43号 高知県個人情報保護条例の一部を改正する条例議案 第44号 職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例議案 第45号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第46号 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例議案 第47号 議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例議案 第48号 高知県高圧ガス保安法関係手数料徴収条例等の一部を改正する条例議案 第49号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第50号 高知県後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第51号 ふぐ取扱い条例の一部を改正する条例議案 第52号 高知県動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第53号 高知県食品衛生法施行条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県公立大学法人に係る評価委員会及び重要な財産に関する条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県立県民体育館の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県立紙産業技術センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県漁港管理条例及び高知県漁港区域内における行為の規制に関する条例の一部を改正する条例議案 第58号 高知県浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の一部を改正する条例議案 第59号 高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案 第60号 高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案 第61号 高知県営住宅の設置及び管理に関する条例及び高知県特定公共賃貸住宅の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第62号 高知県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例議案 第63号 公立学校の教育職員の給与その他の勤務条件の特別措置に関する条例の一部を改正する条例議案 第64号 高知県警察手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第65号 高知県よさこいピック高知記念基金条例を廃止する条例議案 第66号 高知県が当事者である仲裁の申立てに関する議案 第67号 公平委員会の事務の受託の廃止に関する議案 第68号 公平委員会の事務の受託の廃止に関する議案 第69号 権利の放棄に関する議案 第70号 県が行う高知県防災行政無線システム再整備事業に対する市町村の負担に関する議案 第71号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第72号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第73号 和食ダム本体建設工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 議発第1号 高知県歯と口の健康づくり条例の一部を改正する条例議案第3 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(桑名龍吾君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(桑名龍吾君) 御報告いたします。 公安委員長古谷純代さんから、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員小田切泰禎君を職務代理者として出席させたい旨の届け出がありました。----------------------------------- △新型コロナウイルス感染症対策に関する報告の件 ○議長(桑名龍吾君) これより日程に入ります。 日程第1、新型コロナウイルス感染症対策に関する報告の件を議題といたします。 ただいま議題となりました知事の行政報告を求めます。 県知事濱田省司君。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 新型コロナウイルス感染症対策について御報告を申し上げます。 同感染症に関しましては、国内では、ここ一、二週間が、感染が急速に拡大するかどうかの瀬戸際と言われており、また一部の地域には小規模な患者の集団、いわゆるクラスターが見られるとの報告も出ております。本県におきましても、先月29日県内初の感染が確認をされました。さらに、一昨日、昨日と続いて感染事例が確認をされております。現在、患者の方々は、県内の感染症指定医療機関に入院し、治療を受けておられるところです。 なお、1例目の患者が勤務するクリニックにおかれましては、医療機関名を公表することに関して早々に御承諾をいただきました。また、3例目の患者が勤務する病院におかれましても、同様の御承諾をいただきました。このことにより、両医療機関を受診していた患者の方や職員の方などが、自身の体調管理や行動に気を配ることができるようになるとともに、県民の皆様の臆測や混乱を最小限にとどめることができたのではないかと考えております。両医療機関の御英断に対しまして、この場をおかりして厚く御礼を申し上げます。 県におきましては、現在高知市と連携し、感染経路の特定や濃厚接触者の把握などの調査を早急に進めているところです。特に、濃厚接触者に該当する方については、御本人に説明をした上で健康観察を実施するとともに、発熱などの症状が出ていなくても、御本人の意向を確認しながらウイルス検査を行ってまいります。 このように、県内で感染者が確認されたことにより、本県における感染症対策は新たな局面に入ったものと認識をしております。このため、私を本部長とする高知県新型コロナウイルス感染症対策本部を中心として、感染の拡大防止に向けた対策を全力で進めてまいる所存であります。 具体的には、クラスター化による集団的な感染の拡大を防止することが極めて重要でありますことから、県内での患者のさらなる増加に備えて、国のクラスター対策班とも連携し、必要な医療体制や県民の皆様からの相談に応じる体制など、一層強化してまいります。あわせて、県が主催するイベントなどについて、小規模なものも含め、2週間程度は中止、延期、または規模を縮小するなどの対応を行います。さらに、県民の皆様に対して、迅速かつ丁寧な情報提供や冷静な行動の呼びかけなどを引き続き行うとともに、県民生活や県内経済への影響を最小限に抑える努力も継続してまいりたいと考えております。 一方、県内の公立学校、私立学校におきましては、子供たちの健康、安全を守るため、国の要請を踏まえて、今月2日ないし6日から臨時休業を開始することとなりました。あわせて、県立の特別支援学校では、自宅で過ごすことが難しい児童生徒について個別に学校で受け入れることとし、各市町村においても、放課後児童クラブなどの受け入れ体制が整うまでの間、学校での受け入れを検討いただいているところです。 県といたしましては、引き続き県民の皆様の安全・安心を第一に考え、より一層の緊張感を持って、関係機関と緊密に連携をしながら、必要な対策を迅速かつ的確に講じてまいります。 以上をもちまして、新型コロナウイルス感染症対策についての私からの御報告を終わらせていただきます。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(桑名龍吾君) 次に、日程第2、第1号「令和2年度高知県一般会計予算」から第73号「和食ダム本体建設工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで及び議発第1号「高知県歯と口の健康づくり条例の一部を改正する条例議案」、以上74件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第3、一般質問をあわせて行います。 24番黒岩正好君。   (24番黒岩正好君登壇) ◆24番(黒岩正好君) 皆さんおはようございます。私は、公明党を代表して、知事並びに関係部長に質問をいたします。 先ほど知事から、新型コロナウイルスに関しての行政報告がありましたけれども、県においては、さまざまな機関での相談窓口がございます。これまでもさまざまな県民からの問い合わせ等があったと思いますが、これからさらに問い合わせ等もあると思いますので、丁寧な対応をしていただきまして、県民の皆さん方が安心して生活ができるように、ぜひともお願いを申し上げたいと思います。 それでは、順次質問に入らせていただきます。 知事は所信表明で、共感と前進を県政の基本姿勢として、官民協働、市町村政との連携・協調のもと、5つの基本政策と3つの横断的な政策に沿った各種の施策をさらに発展させ、高知県政を一段と高いステージへ引き上げることを明言いたしました。 2009年度より本格的にスタートしました産業振興計画は、県勢浮揚の大きな下支えになってまいりました。特に、地産外商公社を設立以来、2018年度までの10年間で成約件数は54倍、また成約金額は把握を始めた2011年度からの8年間で12倍と、地産外商の成果が明らかとなっております。このことにより、県内産業分野の底上げや雇用の創出拡大へとつながってまいりました。 知事は、1月に開かれた初めてとなる産業振興推進本部会議で、尾崎県政で進めてきた産業振興計画の継承を掲げることを改めて言及され、4期計画を策定するに当たっては、付加価値や労働生産性の高い産業を育成することを表明されました。 そこで、高知県勢浮揚のかなめとなります産業振興計画への思いや決意につきまして知事に伺いたいと思います。 また、大阪府の副知事など、これまで培った経験や人脈を生かして関西圏の経済活力を誘引することにより、インバウンドなどの観光振興や食品などの外商拡大につなげるため、アドバイザー会議などで戦略の策定に取り組むことも示されました。 そこで、具体的にどのようなイメージで関西圏の活力を高知に誘引しようと考えているのか、知事に伺います。 次に、昨年10月から消費税が10%になり、その影響緩和策として、政党として唯一公明党が主張した軽減税率がスタートいたしました。日本では、今回初めて軽減税率が適用されましたが、世界では41カ国が軽減税率を既に実施しており、中には4つの税区分を採用している国も存在いたします。 日本は、ますます高齢化が進展する中、社会保障費は年々増加するため、子育て支援などを含む全世代型社会保障の構築に必要な財源は、あらゆる世代が広く分かち合い、長期的・安定的な税収である消費税を活用することが適しています。しかし、消費税引き上げ前後には、野党各党が軽減税率は複雑で混乱するのではと批判し、マスコミにも不安をあおるような報道姿勢が目立ちました。 昨年12月に、公明党が民間の調査会社に委託して行った世論調査では、消費税10%引き上げ時に導入した軽減税率に対して、国民の6割が評価し、混乱はなかったが7割の結果となり、食品などの税率が据え置かれた安心感などから高く評価していることが明らかとなりました。また、この消費税増税分も活用して、幼児教育の無償化、私立高校生の授業料の無償化、低所得者家庭の大学授業料の無償化等、教育費の負担軽減が講じられております。 そこで、消費税10%への対応策としての軽減税率の導入や増税分も活用した教育費の負担軽減について知事の所見を伺います。 次に、近海カツオ一本釣り漁船の漁業経営を取り巻く環境は厳しく、深刻な状態が続いております。殊に、資源の減少は確実に進むとともに、高齢化と新規就業者不足による船員の確保が困難となっています。さらには、燃油の高騰はカツオ漁業経営にさらなる負担となっており、今後近海カツオ一本釣り漁業の存続すら懸念される事態となっています。 4年前、カツオ漁船の寄港地である気仙沼市を訪れた際、副市長や漁業組合関係者から、高知のカツオ漁船は、全盛期には100隻を超えて寄港する時代もあり、いつも高知県には感謝していると披瀝していました。しかし、時代も変わり、現在の高知かつお漁業協同組合に所属する漁船は21隻の状況となっています。資源の減少や燃油の高騰に加え、技能実習制度で外国人の受け入れをしており、この技能実習制度から新たな在留資格である特定技能制度が開始されれば事務量が大きな負担となるため、県の支援のもとに円滑な導入ができる体制づくりが求められています。 さらに、カツオ船は、船歴20年以上の老朽化した船が多く維持管理経費の増大で、更新費用が賄えず、新たな漁船の取得ができない状況とも言われています。さらに、100トンクラスの漁船リース事業も金額が高額となるため、厳しい状態となっております。このような状態が続けば、高知のカツオ一本釣り漁業が存続できなくなることは明らかであります。 そこで、カツオ漁業経営の維持・安定のため、抜本的な対応が必要ではないかと考えますが、知事の所見を伺いたいと思います。 次に、地方自治法の一部改正に伴い、この4月より地方公共団体における事務が適正に実施され、住民の福祉の増進を図るといった組織目的が達成されるよう、内部統制制度が導入されることとなりました。毎年指摘をされている不適切な事務処理などをチェックする体制の強化などが求められています。 そこで、適正な事務執行を確保するための内部統制制度にどのように取り組んでいくのか、知事に伺います。 次に、幼児教育・保育の無償化について伺います。 公明党が2006年に発表しました少子社会トータルプラン以来、その必要性を訴えてきた幼児教育無償化が昨年10月よりスタートしました。この制度について、昨年12月の参議院本会議で安倍総理は次のように言われました。幼児教育・保育の無償化が実現しました、これは、小学校、中学校9年間の普通教育無償化以来、70年ぶりの大改革ですと、我が党の質問に答える中で高く評価をしました。幼保無償化は、9年間の普通教育と同様に、3歳からの教育と保育の質の向上に対して、国と自治体が責任を担う宣言とも言えると思います。 そして、全国の公明党所属の議員により、昨年11月から12月にかけて共通の調査票を持ち、関係する当事者の皆様の声を聞くため、幼児教育・保育の無償化に関する実態調査を行いました。その結果、幼児教育・保育の施設を利用する保護者の皆様、施設を運営する事業所の皆様の約3万人の方々から回答をいただくことができ、また1万人を超える方々が自由回答欄に御意見を記していただきました。 調査の結果、利用者の約9割が、幼保無償化制度を評価し経済的負担が減ったと回答していることから、幼保無償化制度の目的である家庭の経済的負担の軽減を図る少子化対策に対して、高く評価している結果となりました。また、今後取り組むべき課題は、幼児教育・保育の現場における質の向上と受け皿整備であることも明らかとなりました。他方で、事業者が求める施設の安定的な経営を続ける上で期待する政策の回答で一番多かったのは人材の育成・確保への支援が約9割を占め、事務負担の軽減、運営費への補助、障害のある子供の教育・保育の充実がいずれも5割を超えています。 そこで、幼保無償化の制度がスタートして5カ月が経過をしました。この制度の目的である家庭の経済的負担の軽減を図る少子化対策として、関係する方々からは高い評価をいただいておりますが、本県の現状を踏まえ、認識や評価について知事に伺いたいと思います。 また、本県も他県と同様に、慢性的な保育士不足が顕在化をしております。保育士の人材育成が急務となっております。これらの解消のため、昨年教育委員会は保育士実態調査を実施しておりますが、実態調査の規模や回答の結果はどうか、あわせて調査結果を踏まえた今後の対応について教育長に伺います。 次に、第3期高知県医療費適正化計画について伺います。 本県は、全国に先駆け、高齢化の進展やひとり暮らしの高齢者の比率が高く、入院に頼らざるを得ない実態などから、医療費が高どまりの現状にあります。本県の県民1人当たりの医療費は、平成28年度44万円で全国第1位、1人当たりの入院医療費は20万7,000円で全国第1位であり、全国平均の1.7倍となっています。また、後期高齢者医療費は県民医療費の44.9%を占め、県民医療費に対する後期高齢者の占めるウエートが高くなっている状況にあります。 そのため、本県は、国の基本方針のもとに、今後の高齢者人口の増加に伴い医療費の増加も見込まれることから、県民生活の質の確保及び向上や良質かつ適切な医療の効率的な提供により、中長期的に医療費の伸びを適正化することなどを目的として、平成30年3月に第3期高知県医療費適正化計画が策定をされています。 そこで、この2年間の取り組みを踏まえ、医療費適正化に向けた知事の所見を伺います。 次に、この医療費適正化計画では、国が示した基本的な数値目標が示されています。これまでも他県と比べ、生活習慣病が死亡原因の多くを占める壮年期男性の死亡率の改善が課題とされてまいりました。この適正化計画では、例えば特定健診で70%以上、特定保健指導で45%以上などとなっています。 そこで、これらの住民の健康保持に関する数値目標に対しての取り組み状況や課題はどうか、健康政策部長に伺います。 次に、糖尿病の重症化予防について伺います。国内の糖尿病が強く疑われる人は推計で1,000万人に上ることが、厚生労働省の平成28年国民健康・栄養調査の結果で明らかとなっています。 糖尿病は放置すると、網膜症、腎症、神経障害の3大合併症を引き起こしかねず、特に糖尿病性腎症が原疾患の4割以上を占める人工透析は1人当たり年間約500万円の費用となり、日常生活へも支障を来し、医療費適正化の点でも課題となっています。 また、国民健康保険制度においては、自治体に対する新たなインセンティブである保険者努力支援制度を創設し、糖尿病の重症化予防の取り組みに高い配点が設定をされています。さらには、令和2年度からはアウトカム指標として、県全体の新規透析導入患者数の減少が求められております。 本県においても、これらの課題解消のため、平成30年1月に高知県医師会、高知県糖尿病医療体制検討会議、高知県の3者で糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定し、取り組んでまいりました。 そこで、この2年間の本県の糖尿病の重症化予防の取り組み内容と、取り組みを行う中で見えてきた課題について健康政策部長に伺います。 また、県下全体で糖尿病の重症化予防を推進するためには、実施主体となる市町村が取り組みやすい環境整備が必要であります。本県では、県と国保連合会の連携により対象者抽出ツールを作成し、市町村へ提供しております。さらに、平成30年度より県のプログラムに基づいた介入対象者リストを作成して、市町村の取り組みを支援していることは大変評価したいと思います。 一方で、KDBシステムの疾病管理一覧のメニューにより、過去5年間のレセプトの有無とレセプトがあった年度の健診データ及び投薬状況を把握することが可能となっています。栃木県では、5年分のレセプト情報と3年程度の健診データを活用して対象者の抽出を行っており、神奈川県でも、これらのデータを活用した対象者抽出ツールの開発を検討していると聞いております。 現在、本県で使用しているツールは、平成29年度から3年分のレセプト情報と1年程度の健診データからプログラム対象者を抽出していますが、糖尿病の重症化予防を効果的に行うためには、他県のようにさらに幅広く対象者を抽出し医療機関につなげることがより重要になってくると思います。 そこで、国保連合会や市町村とも連携し、抽出可能な過去5年間のレセプトデータを用いて行えるよう、財政支援も含め支援体制を強化し、重症化予防対策を講じることが必要ではないかと考えますが、健康政策部長に伺います。 次に、高齢者肺炎球菌ワクチンの接種率向上について伺います。高齢者肺炎球菌ワクチンは、平成26年度から5年間の経過措置として定期予防接種となりました。平成30年9月議会の部長答弁では、本県の対象者数は約20万人で、そのうち約8万人の方が接種し、接種率は約40%とのことでありました。全国的にも接種率が4割程度ということから、昨年3月予防接種法施行令の一部を改正する政令が出され、高齢者の肺炎球菌感染症対策として、国の経過措置により平成31年度から5年間延長されました。 そこで、高齢者の死因で高い割合を占める肺炎の重症化を防ぐため接種率向上に向け市町村や対象者にどのような周知を行ったのか、そしてどの程度の方が接種をされたのか、あわせて健康政策部長に伺います。 次に、後発医薬品の使用促進について伺います。医療費適正化計画では、後発医薬品の使用割合の数値目標も80%以上と示され、その達成に向けて取り組みが進められております。厚生労働省保険局が公表しております、最近の調剤医療費の動向によると、2019年7月の後発医薬品の使用割合は、全国平均が78.4%のところ、本県は74.6%で全国45位と低迷をしています。 そこで、後発医薬品の使用を促進し目標である80%を達成するために、今後県としてどのような取り組みを行っていくのか、健康政策部長に伺います。 次に、高齢者介護における介護人材の確保対策について伺います。 団塊の世代の高齢化が進み、今後介護を必要とする方が増大すると見込まれている一方で、少子化に伴い高齢者を支える若い世代が減少し、介護サービスを安定的に提供するための介護人材の確保はますます厳しさを増しています。 本県では、昨年度からの3年間を期間とする第7期介護保険事業支援計画において、特別養護老人ホーム待機者の解消など必要な介護サービスを確保するために、第6期計画からの残り分も含め、特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームなどを469床整備することとしています。また、この施設整備などにより介護職員は、平成28年度と比べ約2,000人多く必要となるとの試算も行っております。 一方、1月に公表されました民間調査会社の老人福祉・介護事業の倒産状況では、全国では介護人材の不足などによる介護事業者の倒産がふえてきており、過去最高となったとされています。本県では、こういった事例はなかったようですが、事業者の方からは、人材確保については厳しい状況が続いていると聞いています。このような介護人材の確保の難しい状況が、第7期計画の施設整備や地域包括ケアシステムの構築に影響を与えていないか心配をするところであります。 そこで、第7期計画の進捗状況と整備目標の達成の見通しについて地域福祉部長に伺います。 次に、介護事業所認証評価制度について伺います。介護人材を確保するために、国や地方公共団体は、介護職員の処遇改善や多様な人材の確保・育成など、さまざまな対策を講じております。その中の一つである介護事業所認証評価制度は本県でも平成29年度から取り組んでいますが、現在認証を取得した法人は26法人と聞いております。制度の目的である職員の離職を防止するとともに、新たな人材を確保することにより、質の高い介護サービスを提供し続けていくためには、高齢者介護を行っている法人の中で、認証取得法人の割合を高めていく必要があると思います。 そこで、認証取得法人が現状にとどまっている要因と、今後割合を高めていくための具体的な方策について地域福祉部長に伺います。 次に、介護職員の給与改善のために、介護報酬における介護職員等特定処遇改善加算が昨年10月から始まりました。この制度が創設された背景から、可能な限り多くの事業所が早期に加算の届け出を行うためには、周知を含め、県と市町村が緊密に連携し、対応することが重要と考えます。 そこで、現在の状況をどのように認識し、今後どう取り組んでいくのか、地域福祉部長に伺います。 また、高齢者の介護に当たっている事業所の中でも居宅介護支援事業所は、この加算の対象外となっています。これらに勤務している介護支援専門員の給与は、他の産業と比べると低い額となっています。 処遇改善のための加算が算定できる事業所と対象外の事業所の両方を経営している法人では、対象外の事業所の処遇改善のための費用の捻出が難しく、職員間の給与のバランスを保つために、対象となる事業所の加算を取得するかどうか苦慮したという話も聞くところであります。 こうしたことからも、高齢者の介護に従事しているものの、国の処遇改善の対象外である事業所や職種の職員の処遇改善について国に提案すべきではないかと考えますが、地域福祉部長の所見を伺います。 また、介護職員の処遇改善は、給与だけでなく休日をふやすことも必要ではないかと思います。平成27年度の社会福祉士・介護福祉士就労状況調査によると、労働時間、休日、勤務体制が合わなかったことも、介護福祉士の離職理由の上位となっておりますが、休日をふやす場合には介護職員の増員が必要となります。これから先、必要とする介護人材を確保するためには、こういった面についても改善が必要になると思います。 現在、介護保険における介護職員の処遇改善のための加算は給与の改善を対象としているため、加算で得た資金は給与以外の処遇改善に充てることができません。 事業者がそれぞれの職場の実態に即した処遇改善に柔軟に対応するために、これらの加算を給与の改善以外にも活用できるよう国に対し要望すべきではないかと考えますが、地域福祉部長の所見を伺います。 次に、養護老人ホームの保護措置費について伺います。養護老人ホームの入所者の介護や食費などに必要な経費を賄うための保護措置費については、平成17年度から国の保護費負担金が一般財源化されて以降、養護老人ホームが所在している市町村が、地域の社会経済状況などを踏まえ決定することとされています。これまでに消費税が2度引き上げられ、国からは消費税の引き上げに伴う保護措置費の改定に関する通知文書も、その都度出されております。 一方、特別養護老人ホームなどの介護保険サービスでは、社会経済状況の変化に合わせ、3年に1度介護報酬の見直しも行われております。しかし、養護老人ホームの保護措置費に関しては、平成17年度以降今日まで、全く改定をしていない市町村も県内にはあると聞いております。 現在、昨年10月の消費税改定には間に合わなかったものの、来年度からの改定に向けて検討を行っている市町村もあるようですが、入所者の適切な処遇を確保するためには、適切な時期に適切な保護措置費の改定が必要と思います。また、養護老人ホームが設置されている市町村からは、適切な額をどのように設定すればいいか県に助言をしてもらいたいとの声も聞きます。老人福祉法や国の措置事務の実施に係る指針において、県は必要があれば市町村に助言を行うべきとされています。 そこで、適切な保護措置費のあり方について、県は市町村に対して積極的に助言すべきではないかと考えますが、地域福祉部長の所見を伺います。 次に、介護職場における事務負担の軽減について伺います。事務負担の軽減については、これまでも改善や対応について質問をしてまいりました。昨年12月には厚生労働省において、介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会の中間取りまとめが行われました。この委員会は、介護人材が不足している状況において、介護現場における事務負担を軽減することにより、ケアの質を確保することを目的として設置されていますが、委員会の最終取りまとめを待たず早急に実施できるものもあるのではないでしょうか。 国の法令改正などは必要とせず、県独自または県と市町村が協力すれば実施できるもの、例えば届け出様式の簡略化、統一化などについては最終報告を待たずに早急に実施すべきではないかと考えますが、今後どのように事務負担の軽減に取り組んでいくのか、地域福祉部長に伺います。 さて、来年度は、令和3年度から令和5年度を計画期間とする第8期介護保険事業支援計画を策定しますが、75歳以上の高齢者が今後も増加する見込みであることから、介護を必要とする方も増加し、それに伴い介護を担う人材も今以上に必要となります。東京都など都市部では、本県以上に介護を必要とする高齢者が急増し、必要な介護人材も同様に急激に増加すると見込まれています。 若者の都市部への流出が続いている本県において、都市部への介護人材の流出を防ぎ、必要な介護人材を確保するためには、他県が行っている介護人材確保対策と同じことを行っているだけでは不十分であり、本県独自の魅力と実効性のある対策が必要であると考えます。宮城県では、来年度から介護人材を確保するために、週休3日制の促進や外国人材の受け入れのためにベトナム政府などと覚書を結ぶといったことに取り組むことが公表されています。特別養護老人ホームなどの施設の増設や地域包括ケアシステムの構築も、必要な人材が確保されなければ、幾ら計画をしても絵に描いた餅となります。 そこで、介護人材の確保が今以上に厳しくなると考えられる状況における、第8期計画の策定に向けた基本的な考え方や決意について知事の所見を伺いたいと思います。 次に、障害者スポーツセンターの施設整備について伺います。 高知県立障害者スポーツセンターは、障害者スポーツへの関心の高まりや障害者自身からの要望を受け、平成8年に高知市春野町にオープンし、障害者スポーツの拠点としてこれまで活動を行ってきました。この間、同センターの施設では、体育館、屋外プール、グラウンド、テニスコートなどで、健康増進や競技力向上を目的とした利用が行われてきており、その利用者数は年々増加し、現在年間5万人近い人が利用しております。この施設を利用されている方の中には、県と県社会福祉協議会が毎年開催している高知県障害者スポーツ大会にも多くの方が参加されており、障害を持つ人がスポーツを通じて自信をつけ、障害者の自立と社会参加にもつながっております。 しかしながら、施設によってはふぐあいや劣化が発生し、小規模修繕で対応する状況となっています。例えば、障害者スポーツセンター開館時から設置されているグラウンドは、平成30年度には約7,000人もの人が利用しています。このグラウンドに整備されている全天候型走路は、20年以上経過しゴム表面の劣化が進んでおりますが、今まで全く補修や修繕が行われておらず、摩擦により表面が滑りやすくなり、雨天時などでは転倒することもあり、早急な改修が求められています。 また、プールの活用については、屋外プールのため、夏場の40日程度しか利用できない状況の中、約2,000人を超える利用があり、利用者からは屋内化への要望が寄せられています。水に入ることは、障害のある方にとって非常に効果があると言われておりますが、身体障害者の場合は体を見せることや、知的障害者の場合は大声を上げたりすることなどにより、御自身や保護者の方に抵抗があり、近隣にある他の施設の屋内プールでの利用が進まないことも理由の一つとなっています。 折しも、ことしは56年ぶりに東京オリンピック・パラリンピックの開催もあり、スポーツへの関心も一段と高まっているときだけに、日ごろからの障害者スポーツへの環境整備に取り組んでいくことは大変重要と考えます。 そこで、これら障害者スポーツセンターの施設整備を進める上で、今後計画的な大規模改修や修繕等が必要と思いますが、国の制度活用も含めた対応について文化生活スポーツ部長に伺います。 次に、被災者支援システムについて伺います。 近年、地震や台風、集中豪雨などの多くの自然災害が発生しており、また南海トラフ地震が想定される本県においては、将来起こり得る災害に備え、災害発生時の緊急対応や迅速な被災者支援を進めるために必要となるさまざまな情報を管理するための仕組みを、平常時から構築しておくことが重要であります。 そのような中、マイナンバー制度関連システムの構築や地方公共団体の情報化推進を支援するための各種事業を行う、地方共同法人である地方公共団体情報システム機構、いわゆるJ-LISが兵庫県西宮市において構築したシステムをベースに、被災者や被災家屋等の属性情報、救援物資等の情報などの管理が可能となる被災者支援システムを、全国の自治体が活用できるよう無償提供しております。 地方公共団体情報システム機構、J-LISでは、特に小規模自治体において、この被災者支援システムの普及への取り組みとして、被災者支援システムと、市町村が発行する住民票の写しや印鑑登録証明書などを全国のコンビニエンスストア等で取得できるサービス、いわゆるコンビニ交付サービスをセットで導入するという、小規模市町村向けコンビニ交付サービス・被災者支援システムのクラウド化の試行事業を本年度から実施しております。新聞報道でも話題となりましたが、この事業を活用し、これまで高知県下の自治体では全く行われていなかったコンビニ交付サービスが、2月4日から大豊町、土佐町、仁淀川町で開始となりました。 全国の自治体のコンビニ交付サービスの導入状況を調べてみると、令和2年1月6日時点では、全市区町村1,741団体のうち導入済みの団体が675団体、対象人口は9,867万人であり、日本の人口の約8割弱の方が、このサービスを享受することが可能となっています。一方、本県は令和2年2月4日時点で、先ほど紹介しました大豊町、土佐町、仁淀川町の3団体が導入し、対象人口は約1万3,000人であります。 そこで、県下の市町村において、これまでコンビニ交付サービスを導入する団体がなぜなかったのか、総務部長に伺います。 仮に導入するために必要となる経費の問題であれば、国において3年間は、コンビニ交付サービスの導入経費の2分の1が特別交付税措置されることとなっています。 したがって、本県としても県下の市町村に対してコンビニ交付サービスの導入を促し、このサービスを享受できる県民人口をふやすべきだと考えますが、総務部長の所見を伺います。 また、本県はこれまで、総務省が周知を図っている、自治体が無償で使用できる被災者支援システムを県下の自治体に周知するため、被災者支援システムの開発者吉田稔氏を高知に招き、被災者支援システムの講演会などを幾度も行ってきています。昨年9月にも高知県下の自治体職員に向け、被災者支援システムとコンビニ交付サービスについて講演が行われています。 現在、被災者支援システムは、全国の400近い自治体で導入されています。南海トラフ巨大地震等の大規模災害発生時に県として自治体を支援する場合、自治体が使用する防災システムは自治体ごとのシステムとするよりも、被災者支援システムのような統一された全国版であるほうが、県としても支援しやすくなると考えます。これまで本県も、県下の市町村に対して被災者支援システムの周知を図ってきております。 そこで、県下での被災者支援システムの導入状況はどうか、危機管理部長に伺います。 被災者支援システムは、発災時に重要な被災者台帳の作成や罹災証明の発行に役立つ中核となる被災者支援システムと、被災者の見守り・追跡支援ができる避難行動要支援者関連システム、避難所関連システム、緊急物資管理システム、仮設住宅管理システム、犠牲者遺族管理システム、倒壊家屋管理システム等から構成をされています。 このような総務省が周知するシステムがある中、内閣府は大規模災害時における物資調達等を支援する物資調達・輸送調整等支援システムを新たに開発し、今後自治体への導入を図ろうとしております。しかしながら、県下の自治体には被災者支援システムを既に導入しているところもあることから、災害時に幾つものシステムを持つことになります。 そこで、これまで本県として周知してきた被災者支援システムと、これから推進を図ろうとする物資調達・輸送調整等支援システムをどのように整理し、県下市町村への推進を図ろうとするのか、危機管理部長に伺います。 次に、公共工事の品質確保の取り組みについて伺います。 近年、全国各地で想定を超える自然災害が頻発しています。これらの自然災害に対して、住民の安全を確保し被害を最小限に食いとめるためには、地域の建設土木事業者の協力が不可欠であります。少子高齢化、人口減少社会において、人材の確保が年々難しくなってきております 。また一方で、知事部局における土木技術職員は、応募者数の減少により人材の確保が厳しい状況になっています。事業の繰り越しも、昨年末で土木部に限っても、件数が491件、金額で399億円余りとなっています。 さまざまな理由があるにせよ、公共工事を円滑に遂行していくには、適切な発注、監督や検査、工事受託業者の適正な評価を行うことが重要だと考えられますが、技術系職員の減少や経験不足による影響、発注者側の個人の能力差による品質低下、発注のおくれ等が懸念をされます。特に、災害が起きた後の迅速な対応が困難となるのではないかとの懸念があります。 国は平成17年、公共工事の品質確保の促進に関する法律を制定し、行政側として行う職務の一部を民間に委託することにより品質確保を行っています。これまで、発注者支援業務として民間事業者に一部を委託する業務は、広島県や福島県でも積極的な導入が行われています。民間事業者の力を積極的に取り入れることにより、災害発生時の迅速な対応が可能になるのではないかと考えます。当然、民間事業者への一部委託の場合は、行政の透明性の面からも考慮し、行政情報の漏えいにも注意するため、適切な業者を選定する明確な評価基準や条件を付したガイドラインの策定が必要となります。 そこで、他県での事例等も参考にして本県も発注者支援制度を検討すべきと考えますが、土木部長の所見を伺います。 次に、新たな国の取り組みとして、災害に遭った自治体の復旧・復興業務を支援するため、県の技術職員の採用をふやし自治体へ派遣することが計画をされています。 そこで、本県は新たな制度への対応をどのように図る考えなのか、総務部長に伺います。 次に、国土交通省は、国や自治体が公共工事の予定価格を算出する際に使う公共工事設計労務単価を全国・全職種の平均2.5%引き上げることを発表しています。労務単価の上昇は9年連続で、労働者不足に伴う賃金の伸びを反映し過去最高を更新しています。 国は3月1日以降に契約する工事に適用するとしていますが、本県はどのような対応を図るのか、土木部長に伺います。 次に、GIGAスクール構想について伺います。 昨年6月には、学校教育の情報化の推進に関する法律が成立し、国や自治体が学校教育の情報化の推進に関する施策を総合的、計画的に策定、実施する責務が明確化されています。 そして、文部科学省はGIGAスクール構想として、学校ICT環境の抜本的な改善とICTを効果的に活用した、多様な子供たちを誰ひとり取り残すことのない、公正に個別最適化された学びや創造性を育む学びの実現を目指していくことを打ち出しました。このGIGAスクール構想では、子供たちの1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークの一体的な整備を目指しており、令和元年度補正予算では約2,300億円が決定しています。これまでは地方財政措置での対応とされており、予算化はそれぞれの自治体の一般財源に委ねられていたのと比べると、画期的な政策転換と言えると思います。 そこで、国は、子供たち1人1台のコンピューター端末の整備を目指していますが、本県はどの程度整備がされているのか、また県内の市町村間で格差が生じないように県内全域での共同調達を進めるべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか、教育長に伺います。 ハードが整備されてもそれが使われなければ意味がなく、教師がICTを活用して指導する力も高めていかなければなりません。 そこで、教師がICTを活用できるためにどのように取り組んでいくのか、教育長に伺います。 また、本県としてGIGAスクール構想の実現にどう取り組んでいくのか、知事に伺いまして、第1問を終わります。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 黒岩議員の御質問にお答えをいたします。 まず、県勢浮揚のかなめとなります産業振興計画への思いや決意についてお尋ねがございました。 来年度からスタートいたします第4期の産業振興計画におきましては、5つのポイントを考えております。すなわち1点目が、デジタル技術と地場産業の融合、2点目が、県外・海外とのネットワークの強化、3点目が、担い手確保策と移住促進策の連携、4点目が、県内事業者の、いわゆるSDGsを意識しました取り組みの促進、5点目が、中山間地域での施策の展開を特に意識すること、こうした5つの点でございます。これによりまして、多面的かつ重層的に施策を強化したいと考えております。 これらのポイントは、しっかりと成果を上げてこられました尾崎県政の路線を継承いたしまして、さらに前に進んでいくという形を基本に据えております。その上で、私の、付加価値や労働生産性の高い産業を育成し、多様な仕事を生み出していく、そのことで中山間地域においても若者が住み続けられるようにしたいという思いを込めまして、掲げさせていただいたところであります。 特に、デジタル技術と地場産業の融合は、本県の地場産業の高度化と、高知ならではのSociety5.0関連の産業群の創出につながるものであります。産学官民の総力を結集して、さまざまな分野で取り組みを進めてまいりたいと考えております。 また、国連の開発目標SDGsに関しましては、全世界でこのSDGsの達成を目指した取り組みが進められております。こうした中で、事業者におきましてもSDGsを意識した事業活動を行うことにより、大きなビジネスチャンスを得られる可能性がございます。このため、県内事業者のSDGsを意識した取り組みを促進してまいる考えであります。 この第4期の産業振興計画の着実な実行を通じまして県の経済をさらに活性化させ、高知県政を一段と高いステージへ引き上げられますよう、前へ前へと全力で取り組んでまいります。 次に、関西圏の活力を高知に誘引するための具体的なイメージがどうかというお尋ねがございました。 大阪・関西圏との経済連携の強化に向けた戦略につきましては、これまでの本県の地産外商の取り組みでございますとか、予定されております大規模プロジェクトなどを踏まえますと、現時点では、次の3つの方向性が考えられるのではないかと思っております。 1つ目は、いわゆるインバウンド、海外からの観光客の推進でございます。例えば、関西と高知を結びます新たな旅行商品を開発、販売するということによりまして、関西圏を訪れます外国人観光客を高知に誘引できるのではないかというふうに考えております。 2つ目は、食品を初めといたします県産品の外商の拡大ということでございます。例えば、食品の分野では、関西におきます中食・外食産業でございますとか大手卸などとの連携によりまして、新たな販路の開拓につなげることで、さらなる外商の拡大を図っていけるのではないかというふうに考えております。 3つ目は、大阪・関西万博などの大規模プロジェクトとの連携でございます。例えば、万博の施設などにおきまして、県産食材あるいは県産材の活用や情報の発信ができますと、本県の認知度を高めますとともに、本県の観光あるいは外商の拡大にもつながっていくというふうに考えております。 開催を予定しておりますアドバイザー会議におきましては、こうした視点に限らず幅広に忌憚のない御意見を伺いながら、具体的な戦略を練り上げてまいりたいと考えております。 次に、消費税10%への対応策としての軽減税率の導入あるいは増税分も活用した教育費の負担軽減についてお尋ねがございました。 消費税の軽減税率につきましては、経済的に弱い立場の方々への配慮から、食料品などについて、わかりやすい形で税負担を軽減するという点で評価ができると考えております。また、制度の導入に当たりまして、軽減税率の適用区分が複雑ではないかと、混乱が発生するのではないかというような危惧もございましたが、本県におきましても全国的にも、そうした目立った混乱はなかったというふうに聞いております。 今後は、この軽減税率も含めました消費税の適正な申告に向けまして、国におきまして講習会あるいは相談会の実施などが予定されており、県としても周知などに協力をしてまいります。 また、増税分を活用いたしました教育費の負担軽減が図られたところでございます。これは、少子高齢化に対応いたしまして、子育て世代や子供たちに大胆に政策資源を投入いたしまして、いわゆる全世代型の社会保障へ転換していくというための人材への投資というべきものであると承知をいたしております。 あわせまして、私立高校の授業料無償化に関しては、従来の県単独の減免補助制度と重なる部分について財源が不要となることから、新たな財源が生み出されまして、これを活用して県単独の制度の対象を拡大することができるという次第でございます。その予算を今回お諮りしているところでございます。 今後とも、県といたしまして、消費税の引き上げによります財源などを活用し、少子化対策や人づくりに関する施策について、しっかりと役割を果たしてまいります。 次に、カツオ漁業経営の維持・安定のための対応につきましてお尋ねがございました。 本県のカツオ一本釣り漁業は、かつては140億円に迫る生産額を誇りまして、本県の漁業を牽引いたしますとともに、地域にとって重要な雇用の場でもございました。また、カツオのタタキに代表されます土佐のカツオは、観光や食文化の面で、本県にとって極めて重要な資源でございます。 しかし、本県のカツオの漁獲量は長期的に減少傾向にありまして、特に平成26年以降は過去最低の水準となっております。生産額につきましては、近年では40億円前後で推移しているという状況にございます。こうしたカツオの不漁は、熱帯域におきますまき網漁船の大量漁獲によって、資源が減少したことに原因があるというふうに考えております。加えて、議員のお話にもございましたように、燃油価格の高どまり、あるいは漁船員の不足、漁船の老朽化など、カツオ一本釣り漁業の経営を取り巻く環境は厳しい状況が続いていると考えております。 このため、県におきましては、カツオの資源管理を協議いたします国際会議におきまして、我が国が率先して資源管理の強化を提案いたしますよう、国へ政策提言を行ってきております。あわせまして、国が行います資源調査への協力あるいは高知カツオ県民会議とともに国際会議でのロビー活動、こういったことも行っておりまして、今後もこれらの取り組みを継続してまいります。 漁業経営の安定に向けましては、漁船の取得や運転資金に対する融資制度を拡充してまいりました。また、国への政策提言によりまして、燃油高騰時の差額補填のための基金に対します漁業者負担の軽減が実現をしてきております。 さらに、今後関係者の御意見を伺いながら必要な対策を検討いたしまして、来年度中をめどにこの対策を取りまとめ、伝統ある土佐のカツオ一本釣り漁業の灯を消さないように、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 次に、内部統制制度についてどのように取り組んでいくのかについてのお尋ねでございます。 内部統制と申しますのは、自治体内部におきまして、あらかじめ事務執行上のリスクを把握した上で対応策を講じ、定期的な確認や評価を行いまして、事務の適正な執行の確保を図るという制度でございます。この制度は、地方自治法の改正によりまして、新年度から導入が義務づけられております。 現在、本県におきましても、基本方針の策定などの導入に向けた準備を進めているところでございます。対象となります事務は、財務に関するものが必須、必ずやるということになっておりまして、本県ではこれに個人情報保護、そしてコンプライアンスに関する事務を加えるという予定で準備をしております。 本県の推進体制といたしましては、副知事をトップといたします内部統制推進会議を設置いたしまして、全庁的な取り組みの推進や事例の共有を図るということにいたしております。あわせまして、関係課によりますプロジェクトチームを設けまして、リスクとなる事象の例や対応策、ひな形的なものをお示しするとともに、各所属に推進員を配置いたしまして、対応策の策定と適正な運用を図ってまいります。その上で、制度所管課が運用状況の評価を行いまして、毎年度評価報告書を作成し、監査委員の審査を受けまして、議会に提出をさせていただくこととしております。 本制度の導入により組織的にリスクへの対応策が講じられますことで、政策的な課題に集中して取り組むことが可能になるなどの効果が期待されます。制度の趣旨に沿った運用となりますよう、事務の適正な執行にしっかりと取り組んでまいります。 次に、幼児教育・保育の無償化についての認識と評価についてお尋ねがございました。 幼児教育・保育の無償化は、子育て家庭の経済的な負担を軽減することによりまして、少子化対策の取り組みを抜本的に強化するものであります。政策的な意義は大きいものと認識をいたしております。このことは、公明党が実施されました実態調査--御紹介ございましたように、保育所、幼稚園等の利用者の約66%が経済的負担の減少を実感されているという結果にもあらわれているというふうに言えると思います。 本県におきましては、昨年4月1日の時点で、3歳以上の子供のうち98.3%と、ほぼ全ての子供が保育所、幼稚園などを利用している状況でございます。このような本県の現状からいいましても、今回の無償化の政策的な効果は子育て家庭に幅広く及んだというふうに評価をいたしております。 今回の無償化によりまして、原則として、保育所などを利用いたします全ての3歳児から5歳児までの保育料、そして住民税非課税世帯のゼロ歳児から2歳児までの保育料が無償という形になりました。逆に言いますと、住民税が課税されております世帯ですと、ゼロ歳児から2歳児までの保育料については、所得に応じまして引き続き負担が必要だという状況にあるわけでございます。 少子化対策をさらに強化するという観点に立ちますと、このゼロ歳児から2歳児までの保育料につきまして、一定の所得制限は必要かというふうにも考えますが、そうであるにしても無償化の対象範囲を現状よりも拡大していくということが必要なのではないかと考えております。このため、このことにつきまして全国知事会などを通じて、引き続き政策提言を行ってまいりたいと考えております。 次に、第3期医療費適正化計画におけます2年間の取り組みを踏まえまして、医療費適正化に向けた所見についてお尋ねがございました。 第3期の医療費適正化計画につきましては、1つが県民の健康の保持、2つ目が医療の効率的な提供、大きくこの2つを柱といたします取り組みを進めてまいったところでございます。県民の皆さんの健康の保持に向けましては、特定健診の受診率の向上あるいは生活習慣病の重症化予防などの取り組みを進めているところでございます。また、医療の効率的な提供といたしましては、病床機能の分化や高知版地域包括ケアシステムの構築、さらには後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品の使用促進などに取り組んでいるところでございます。 しかしながら、本県の壮年期男性の死亡率は全国よりも高うございまして、その死亡原因の約2割は糖尿病、脳血管疾患などの血管病となっております。また、後発医薬品の使用割合が依然として全国下位にあるなど、まだまだ課題も残されておりますことは御指摘のとおりでございます。そのため、新たな第4期の日本一の健康長寿県構想におきましては、血管病重症化予防対策あるいは医薬品適正使用の取り組みの拡充などについて、さらに施策の強化を図ることといたしております。 言うまでもなく、医療費の適正化を進める上で、医療費の削減そのものが目的ということであってはならないと考えております。まずは、県民の皆さんのQOLの向上を図るということを目指しまして、その結果として、医療費の伸びが徐々に下がり医療費の適正化につながっていくと、こういう経路をたどることが肝要だと考えております。引き続き、こうした観点で取り組んでまいりたいと考えております。 次に、第8期の介護保険事業支援計画の策定に向けました考え方、あるいは決意についてお尋ねがございました。 本県におきましては、今後も高齢化がさらに進みまして、介護サービスを必要とされる方が一層増加するものと見込まれているところでございます。こうした中で、第8期の介護保険事業支援計画を策定するに当たりましては、高齢者の生活の質、いわゆるQOLを高めることを基本に、必要な介護サービスを確保するということが重要であると考えます。また、介護サービスを確保し、将来にわたって高知版地域包括ケアシステムを推進していきます上で、介護人材の確保は克服すべき大きな課題であると認識をいたしております。 県ではこれまでも、介護人材の確保に向けましては、日本一の健康長寿県構想や介護保険事業支援計画に基づきまして、新たな人材の参入と定着の両面で対策を強化してまいりました。これまでの取り組みによりまして、例えば本県が先駆的に取り組んでおります、いわゆるノーリフティングケアにおきましては、ケアを実践する事業所におけます離職率は11.3%となっておりまして、他の事業所に比べて2.5ポイント低くなっている、定着率が相対的に高いということになっております。また、魅力ある職場づくりを推進いたします介護事業所認証評価制度におきましては、認証を受けた施設から、就職の問い合わせが増加してきているといったようなお話もお聞きをいたしております。 今後は、こうした取り組みをさらに進めてまいりますとともに、介護分野に多様な人材の参入を促す取り組みを強化する必要があると考えております。このため、例えば元気な高齢者などを介護助手として受け入れる環境整備などについて強化をしてまいります。 あわせまして、外国人介護人材の確保対策の強化に向けまして、来年度介護福祉士の養成校や施設の関係団体などと検討会を立ち上げてまいります。この検討会では、外国人介護人材の受け入れ拡大に向けました関係機関の連携のあり方や、課題となっております日本語の習得などについて十分協議をしてまいりたいと考えております。 最後に、GIGAスクール構想の実現に向けました取り組みについてお尋ねがございました。 技術革新が急速に進む中でございますので、教育につきましても、人工知能、AIやビッグデータなどの新しい技術の活用が進んできております。これまでの学校教育のあり方が大きく変化しようとしている局面にあると考えております。 こうした中で、先般国の令和元年度の補正予算におきまして、1人1台端末環境あるいは校内の高速通信ネットワークを一体的に整備いたします、GIGAスクール構想の実現に向けた経費が盛り込まれたところでございます。この構想におきましては、1人1台端末環境は、もはや令和の時代における学校のスタンダードだとされておりまして、令和5年度までに全小中学校に整備するためのロードマップも示されているところでございます。 本県におきましても、国の補正予算も活用いたしまして、県立学校の高速通信ネットワーク環境等の整備を進めてまいります。また、小中学校におきましても、高速通信ネットワーク環境の整備と1人1台端末環境の実現に向けまして、市町村と連携をして取り組んでまいりたいと考えております。あわせまして、整備したICT環境を教員が効果的に活用していきますよう、研修の強化充実など、ICT活用指導力の向上にも取り組んでまいります。 4月から始まります第2期の教育大綱におきましては、学習指導への先端技術の活用など、デジタル社会に向けた教育の推進を新たな基本方針に掲げて取り組むことといたしております。一人一人に個別最適化され、創造性を持ってICTを活用できます教育環境の充実に向けまして、国のGIGAスクール構想を本県もしっかりと実現してまいりたいと考えているところでございます。 私からは以上でございます。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、昨年実施した保育士実態調査の結果と今後の対応についてお尋ねがございました。 県教育委員会では、昨年10月に実態調査を実施し、先月その結果を取りまとめております。この調査では、本県で保育士登録をされている方のうち、平成26年度以降に養成施設を卒業された方、また保育士として一定の経験を積まれた30歳代から40歳代までの方、合わせて3,870人を対象に郵送方式でお聞きし、684人から回答をいただきました。 その中で、保育士として働き続けるために必要な条件について3項目を選択する方式でお聞きしたところ、給与の増額が80.2%、保育士の増員が41.0%、保育業務や持ち帰り仕事の軽減が41%、休みをとりやすい職場環境が30.2%という順になっております。 また、改善可能な保育活動やその他の御意見をお聞きした自由記載欄には、それぞれ200件を超える御意見があり、その中には先ほど申しました処遇改善のほか、保育中は多忙で保育準備は勤務時間終了後になることや、保育の時間を確保するための行事等の軽減、提出書類の削減を求める意見が多くありました。このため、まず保育士の給与の増額等の処遇改善につきましては、国に対して全国知事会を通じて、引き続き要請を行ってまいります。 加えて、処遇改善や働き方の見直しのためには、保育士確保に向けての施設経営者の意識や課題を把握する必要もありますことから、市町村も含めた施設経営者側への調査やヒアリングを実施したいと考えております。その上で、市町村や保育士会、保育所経営管理協議会などの関係団体の皆様との協議の場を持ち、国の制度を最大限活用しつつ、労働環境の改善や業務負担の軽減に向けた経営者側の主体的な取り組みを促すための手だてを検討し、県教育委員会としましても必要な支援を行うことで、保育士の確保と定着につなげてまいりたいと考えております。 次に、本県の子供たちのコンピューター端末の整備状況と今後の整備に向けた取り組みについてお尋ねがございました。 本県の公立学校における教育用コンピューターの整備状況は、平成31年3月現在で児童生徒3.6人に1台の割合となっており、全国平均である5.4人に1台を上回る全国第3位の水準にあります。しかしながら、個々の市町村の整備状況にはばらつきがあり、また児童一人一人の習熟度に応じた授業や個別学習、協働学習などに有効なタブレット型端末の整備が十分でない状況もございます。 こうした中、国においてはGIGAスクール構想の実現に向け、令和2年度から5年度までの4年間で、小中学校の全ての児童生徒に1人1台のコンピューター端末を整備するための財政的な支援策を講じることとされたところです。今回のコンピューター端末整備に係る国の支援については、児童生徒1人当たり4万5,000円の定額補助となっていることから、各市町村においては、それぞれの財政状況などにかかわらず計画的な整備が進められるものと考えております。加えて、県教育委員会としましても、県と各市町村の共同手続によるスケールメリットを生かした有利な条件での調達を想定し、仕様の標準化などの検討を市町村教育委員会連合会と連携しながら進めております。 なお、国の支援対象となりますタブレット型端末につきましては、文部科学省の標準仕様において、3つのオペレーティングシステムが示されております。教職員の人事異動等を考慮すれば、各市町村が調達するオペレーティングシステムを統一することで、学習活動や指導方法などの共通化が図られるというメリットが想定されます。一方で、先行して独自にタブレット型端末の整備を進めた市町村もあり、オペレーティングシステムの統一には、各市町村の意向も踏まえた慎重な検討が必要であると考えております。 現在、県教育委員会としましては、各市町村におけるタブレット型端末の選定に資するよう、3つのオペレーティングシステムの実演会を開催するなど支援に努めているところです。今後とも、各市町村における円滑で効率的な調達の実現に向けた助言など、必要な取り組みを進めてまいりたいと考えております。 最後に、教師のICTの活用についてお尋ねがございました。 まず、来年度予算において、小・中・高等学校教員の資質能力の向上に向けた研修を担う県の教育センターにおける、タブレット型端末やプロジェクター等のICT環境の充実を図りたいと考えております。あわせて、教育センターにおいては、来年度からそれらを活用した各種の研修を実施し、教員のICT活用指導力を育成してまいります。 また、来年度からプログラミング教育が必修化される小学校教員については、タブレット型端末等を活用した効果的な指導が可能となるよう、具体的な授業実践モデル等を盛り込んだICT活用ハンドブックを策定し、周知、活用を図ってまいります。さらに、小・中・高等学校の若年教員研修におけるICTを活用した授業づくり及び校内研修の実施や、高等学校における大学教員等の外部人材を活用した校内研修の充実などを通じ、教員のICT活用能力を高めることとしております。 こうした取り組みにより、教員のICT活用指導力の向上を図るとともに、学校のICT環境の整備を進め、第2期の教育大綱に基づき、ハード・ソフトの両面から、デジタル社会に対応した教育を推進してまいります。   (健康政策部長鎌倉昭浩君登壇) ◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) まず、医療費適正化計画について、住民の健康保持に関する数値目標に対しての取り組み状況や課題についてお尋ねがございました。 本県の医療費適正化計画には、県民の健康の保持に関して、特定健診、特定保健指導、そしてメタボリックシンドロームの3つに数値目標を定めています。 まず、1つ目の特定健診につきましては、これまでがん検診とのセット化などを支援し、受診者の利便性向上を図ってまいりました。また、さまざまな広報媒体による受診の呼びかけとともに、特に受診率の低い40歳代前半と60歳代前半の方を対象に、直接郵送による受診勧奨も行っています。 データとしましては、第3期医療費適正化計画策定以前の平成28年度が直近のものとなりますが、受診率は48.2%と、目標の70%以上には届いていない状況です。その受診者を分析してみますと、市町村国保の40歳代、協会けんぽの被扶養者の受診率が特に低くなっています。そのため来年度は、引き続き保険者と連携した取り組みを強化するとともに、新たに翌年に特定健診の対象となる39歳の方への啓発も行っていく予定にしております。 次に、特定保健指導につきましては、保険者の保健指導技術力の向上に向け、研修会の開催などを通じて支援を行ってまいりました。ただ、これも直近のデータである平成28年度の実施率は18.0%にとどまっており、目標である45%には達していません。その要因として、保健指導を行う保健師や管理栄養士のマンパワー不足が考えられますので、県としては、保険者と個別に協議を行い、民間の特定保健指導受託事業者や高知県栄養士会への委託を促進したいと考えています。 そして、3つ目のメタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少につきましては、保健指導の徹底により、平成20年度と比べて令和5年度には25%以上減少させることを目標としていますが、平成28年度時点では10.6%の減少にとどまっています。この減少率が小さい背景には、本県では肥満につながる食生活習慣が見受けられることや1日の平均歩数が少ないことの影響が考えられます。そのため来年度からは、新たに野菜の摂取量や運動量をふやすなどしていただくため、日常生活に少し健康行動をプラスして取り込む5つのプラス運動の啓発活動を展開したいと考えています。 次に、本県の糖尿病性腎症の重症化予防プログラムの取り組み内容と課題についてお尋ねがございました。 本県の糖尿病性腎症の重症化予防プログラムは、受診勧奨により医療機関につなぐ取り組みと、保健指導により病状の維持・改善を目指す取り組みの2つから構成されております。 まず、受診勧奨の取り組みにつきましては、レセプトデータ等を分析し、特定健診で医療機関への受診が必要と判断されながら健診後3カ月以上経過しても受診していない者、いわゆる未治療ハイリスク者、そして過去に糖尿病の治療をしていたが直近6カ月以上治療を中断している者、いわゆる治療中断者を抽出し、受診勧奨を行っています。 プログラムを開始した平成30年度からこれまでに、286人に受診勧奨を行い、約4割に当たる113人の方を受診につなげることができましたが、逆に受診につながっていない方が約6割いらっしゃいます。その要因としては、受診の必要性が十分に理解されていないことだと思われますので、広報を充実するとともに、保険者にかかわらず、市町村による地域としての取り組みを進めていく必要があります。そのため、本年度から新たに市町村に対して、糖尿病看護の専門家等をアドバイザーとして派遣しております。 次に、保健指導により病状の維持・改善を目指す取り組みにつきましては、糖尿病の治療中で重症化リスクの高い方に対して、かかりつけ医と連携して保健指導を行っております。現在のところ、連携して保健指導に結びつけた割合は、対象者の2割程度と低くなっています。ただ、保健指導を受けた方においては、血糖値が改善あるいは維持されている方がいらっしゃいますので、来年度は保険者とかかりつけ医が連携した保健指導をより一層推進するため、ブロック単位の研修会を開催するなどして、まずは保健指導に結びつける割合を高めてまいります。 他方で、これらの取り組みを糖尿病性腎症の重症化を起因とする新規透析導入患者数を減少させるというアウトカム指標に結びつけるためには、どうしても時間がかかります。そのため来年度は、糖尿病性腎症がより進行した方に対して、人工透析導入の時期を少しでもおくらせる取り組みにもチャレンジすることを予定しています。現在の取り組みの強化に加えて、この新たな取り組みを着実に進めることによって、新規透析導入患者数の減少を図っていきたいと考えています。 次に、過去5年間のレセプトデータを用いて糖尿病の重症化予防を行えるよう、支援体制を強化する必要があるのではないかとのお尋ねがございました。 議員のお話にありましたとおり、県では、平成30年度から糖尿病性腎症重症化予防プログラムに基づく対象者抽出ツールにより、市町村に介入対象者リストを提供しております。この対象者リストは、レセプトデータなどからプログラムに基づく対象者を毎月抽出することで、最新の情報で市町村が対象者に介入できるものです。 このリストは、プログラムの開始時にとり始めた平成29年度のデータ以降、現在は3年間のレセプトデータで作成しており、基本的にはデータを蓄積していくこととしておりますが、何年間のデータを蓄積するかは決まっておりません。そのため、議員のお話にありました5年間という期間も含めて、今後市町村、国保連合会など関係者の御意見や他県の事例も参考にしながら、蓄積するデータの期間を検討してまいります。 次に、高齢者肺炎球菌ワクチンの接種率向上のための周知方法と接種実績についてお尋ねがございました。 高齢者肺炎球菌ワクチンの予防接種につきましては、65歳、70歳、75歳と5歳刻みの年齢の方を対象に平成26年度から開始され、平成30年度には開始から5年を経過したことから、65歳以上の全ての方に予防接種の機会があったことになります。本県では、かかりつけ医などの医療機関でも個別接種が受けられる予防接種広域化の体制が確立されております。高齢者の肺炎球菌についてもその対象の予防接種になっており、これまで市町村での広報に加えて、県も新聞広告で制度の周知を行うなど啓発に努めてまいりました。 高知県では、平成26年度から平成30年度までの5年間に約10万人が予防接種を受けられましたが、残念ながら65歳以上人口に対する5年間の平均接種率が39.6%と、直近の全国データである平成29年度の35%を若干上回った水準にとどまっております。このような全国的にやや低調な実績と、肺炎で亡くなる方の97%以上を65歳以上の高齢者が占めていることなどを踏まえ、議員御指摘のとおり、国は、この肺炎球菌ワクチンの予防接種を、これまで接種を受けていない方を対象とする経過措置として、今年度から改めて5年間延長いたしました。 肺炎球菌ワクチンの予防接種は、県の第3期医療費適正化計画の中にも、高齢者に対する必要な予防接種として位置づけられております。国が、改めて今年度から制度を延長した理由を踏まえまして、接種率向上に向け、ホームページなどで啓発するとともに、市町村に対しても対象者への周知を積極的に図っていただくよう働きかけてまいります。 最後に、後発医薬品の使用促進に関する県の取り組みについてお尋ねがございました。 県では、これまでも後発医薬品の使用促進に向けて、医療関係者に対する研修会や県民に対する講演会などを通じて、後発医薬品の有効性や安全性に関する知識の普及啓発に取り組んでまいりました。また、医療保険者におきましても、後発医薬品を使用した場合と先発医薬品を使用した場合の差額通知や、後発医薬品の希望カードの配布などを行ってきたところです。 さらに、平成30年度からは、国による後発医薬の使用促進を図る重点地域に指定されたことなどを受けまして、県民向けのテレビCMや新聞広告の実施といった啓発事業や、高知県薬剤師会の御協力のもと、後発医薬品への切りかえを薬局薬剤師が直接声をかけて促す取り組みを強化しました。また、市町村国保及び後期高齢者医療広域連合から提供されたレセプトから、使用割合の低い病院や薬局を抽出し、そこへの個別の働きかけも行っています。 こうした取り組みを行ってきました結果、後発医薬品の使用割合はまだ全国45位であるものの、過去1年間の使用割合の伸び率は5.1%で全国2位になるなど、一定取り組みの手応えも感じているところです。今後も引き続き、医療保険者や薬剤師会と連携しながら、これまでの取り組みを着実に進めてまいります。 またあわせて、来年度は後発医薬品の使用が進んでいない医療機関や薬局のレセプトをより詳細に分析し、後発医薬品へ切りかえた場合の診療報酬加算の取得に向けたシミュレーションや薬剤費の削減効果額をお示しすることなど、個別の働きかけを強化して、目標達成に向けて取り組んでまいります。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) まず、第7期介護保険事業支援計画の進捗状況と整備目標の達成の見通しについてお尋ねがございました。 第7期計画における施設の整備につきましては、市町村から、公募したものの介護事業者の人材確保の厳しさなどから応募がなかったケースもあったと聞いていますが、そうしたケースでは再公募が予定されるなど、おおむね計画に沿った整備が進められているところです。 具体的には、特別養護老人ホームは、既に計画どおり2施設、55床の整備が完了しています。老人保健施設については、高知市において160床の整備に向けて、今後公募がされる予定と聞いています。また、認知症高齢者グループホームについては、4市町で90床の整備計画があり、このうち既に18床が整備され、残りの72床も来年度に整備される予定とお聞きしています。さらに、介護つき有料老人ホームなどが対象となる特定施設入居者生活介護につきましては、4市町で計画されている164床のうち、これまでに75床が整備され、残り89床も来年度中に整備される予定となっております。 来年度は、第7期計画の最終年でありますことから、整備計画に掲げた介護サービスが確保できますよう、市町村と連携して取り組んでまいります。 次に、介護事業所認証評価制度の現状と今後の具体的な方策についてお尋ねがございました。 本県では、平成29年12月に認証評価制度を導入して以降、現在までに26法人、158事業所が認証を取得しています。認証の対象となる介護事業所は県内に約1,100ありますことから、現在の認証取得率は約14%となっております。この認証評価制度について、本年度実施しました介護事業所の実態調査では、64%の事業所から今後の認証取得に前向きであるとの回答をいただいており、さらに多くの事業所の認証取得につながるよう、一層支援を強化していく必要があると考えています。 認証取得の課題について事業者の方々からは、小規模な法人では、キャリアパスに応じた昇給の仕組みや職員の育成計画が未整備であり、その整備に時間を要すること、また規模の大きな法人では、サービス種別の異なる事業所を多く抱えており、取り組み実績の確認作業や事業所間の調整に時間を要することなどがあるとお聞きしています。 こうした事業所の課題に対しては、個別のサポートを行っているところです。具体的には、認証取得に向けたキャリアパスの構築や給与体系の整備などの事業所の取り組みを支援するセミナーを開催するとともに、その際に個別相談を行い、個々の事業所の課題に応じて専門家がアドバイスを行うなどのサポートをしています。さらに来年度は、介護労働安定センター高知支部など関係機関とも連携し、これまでに認証を取得した法人の取り組み事例を紹介するなどして、法人の規模や課題に応じたきめ細かなサポートを一層強化してまいります。 次に、介護職員等特定処遇改善加算の現在の状況への認識と今後の取り組みについてお尋ねがございました。 介護職員等特定処遇改善加算は、経験、技能を有する介護職員の賃金改善について重点化を図るとともに、一定の条件のもとではありますが、介護職員以外の職員の賃金改善ができるよう制度化されたものです。 県としましては、できる限り多くの事業所にこの加算を活用いただけるよう、加算の説明会や介護事業所認証評価制度支援セミナーで活用を呼びかけるとともに、県のホームページなどでも取得を促してまいりました。しかしながら、現在県内における加算取得率は約39%と、まだ十分に活用されていない状況です。加算を取得していない事業所からは、介護職員とその他の職員の給与体系のバランスをとることが難しいことや、処遇改善加算制度が複雑でわかりにくいといったさまざまな声をお聞きしております。 このため、今後より多くの事業所が加算を活用できるよう、事業所ごとに個別のサポートを強化していく必要があると考えております。具体的には、各事業所に加算を取得していない要因を詳しくお聞きした上で、参考となる活用事例なども紹介しながら、きめ細かく助言を行ってまいります。また、その際には地域密着型サービスを所管する市町村とも緊密に連携して取り組んでまいりたいと考えております。 次に、処遇改善加算の対象範囲の見直しを国に提案することの必要性についてお尋ねがございました。 議員からお話がありました居宅介護支援事業所については、今回の加算を含めて、処遇改善加算の対象外となっています。こうした中、本年度県が居宅介護支援事業所を対象に実施したアンケート調査では、地域によって介護支援専門員の確保が難しい状況があることや、介護支援専門員の処遇改善を求める意見があり、介護支援専門員の方々との意見交換会においても、こうした声をお聞きしているところです。 このような実情を踏まえ、介護支援専門員の安定的な人材確保を図るため、介護支援専門員の処遇改善について、国に提案してまいりたいと考えております。 次に、処遇改善加算の給与改善以外への活用を国に提案することの必要性についてお尋ねがございました。 県では現在、介護・福祉職場における子育てと仕事の両立を支援するため、介護職員等が育児休業または休暇を取得する場合に代替職員を派遣する事業を実施しているところです。 今後は、こうした支援に加え、処遇改善加算のあり方を初め、業務の効率化や休暇制度、職員体制のあり方など、介護人材を確保するための働きやすい環境づくりについて、幅広く事業者の皆様の御意見をお聞きした上で、本県の実情を国に伝えてまいりたいと考えております。 次に、養護老人ホームの保護措置費のあり方に関する市町村への助言についてお尋ねがございました。 養護老人ホームの老人保護措置費につきましては、昨年10月の消費税率の改定に伴い、関係の市町村に対して、適切な改定が行われるよう個別に助言をしてまいりました。その結果、養護老人ホームが所在している9市町村のうち、現在までに4市町村で措置費の改定が行われ、残る5市町においても、令和2年度に改定を行う予定であるとお聞きしております。 今後とも、施設入所者の適切な支援体制を確保するため、社会経済情勢等に応じて措置費の適切な改定が行われるよう、市町村に対して積極的に助言を行ってまいります。 最後に、介護事業所の事務負担の軽減についてお尋ねがございました。 議員のお話にありました昨年12月の国の専門委員会における中間取りまとめでは、事務負担の軽減策として、指定申請時などの添付書類への原本証明を求めないことや、処遇改善加算及び特定処遇改善加算に関する計画書の一本化などの対応の方向性が示されております。 県といたしましては、国の検討内容を参考にしますとともに、議員から提案いただきました届け出様式の統一化など、現時点でも見直しが可能なものについては、速やかに改善を図っていきたいと考えています。そのため、市町村や事業者の皆様の御意見もお聞きしながら、具体的な見直しの検討を行ってまいります。   (文化生活スポーツ部長橋口欣二君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(橋口欣二君) 障害者スポーツセンターの施設整備に関して、計画的な大規模改修や修繕などが必要ではないかとのお尋ねがございました。 第2期高知県スポーツ推進計画の中では、障害者スポーツの振興を強化のポイントの一つに位置づけまして、競技力の向上や参加者の拡大などに取り組むこととしており、この点からも障害者の方が利用できる施設の維持・充実は不可欠だと考えております。 議員のお話にありました障害者スポーツセンターの全天候型走路につきましては、利用頻度や施設の状況から優先順位は高いと捉えており、できるだけ早期に改修できるよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。一方、屋内プールの整備につきましては、通年利用するためには温水プールとなりますことから、多額の建設費用とランニングコストが必要といった課題もございます。 今後の県立スポーツ施設の大規模改修や修繕につきましては、国の補助制度など財源活用を最大限図りながら、引き続き関係者や利用者の御意見も踏まえ、検討してまいりたいと考えております。   (総務部長君塚明宏君登壇) ◎総務部長(君塚明宏君) まず、県内の市町村において、これまでコンビニ交付サービスを導入する団体がなかった理由、また県としてのサービス導入促進に対する所見についてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。 マイナンバーカードを用いてコンビニエンスストアなどで住民票の写しなどを取得できます、いわゆるコンビニ交付サービスは、住民の方にとりましては市町村の窓口に出向くことなく、閉庁日や閉庁の時間帯であっても証明書を取得できるようになるとともに、自治体側にとっても証明書発行業務の軽減につながることとなります。こうしたメリットを享受できるよう、県としてはこれまでも、知事と市町村長との意見交換の場や担当者向け説明会において、導入を促してきたところですが、県内市町村では、議員のお話にありましたように、先月まで導入した団体はございませんでした。 その理由としましては、このサービスを導入するに当たり、既存システムの改修費や地方公共団体情報システム機構に対する運営費負担など新たな費用が生じること、マイナンバーカードの普及が進んでおらずニーズが見込めないことがあるものと考えております。 国においては、費用面の課題に対し、平成26年度から特別交付税措置を講じ、その後も上限額の引き上げや措置期限の延長を行うなど、財政支援の拡充を図っているところです。また、マイナンバーカードの普及については、キャッシュレス決済サービスと連携して買い物などに使えるポイントを付与する消費活性化策や、マイナンバーカードの健康保険証利用など、さまざまな取り組みを進めているところであります。 こうした状況の中、去る2月4日には大豊町、土佐町、仁淀川町が、地方公共団体情報システム機構の小規模団体向けのモデル事業を活用してサービスを導入し、昨日には南国市、香南市においてサービスを開始したところであります。今後、他の市町村においてもサービス導入に向けた機運が高まっていくと考えられますが、例えば高知市では、令和6年度に予定されている大規模なシステム更新に向けて検討するとの意向が示されておりますように、各団体の事情にも留意する必要があります。 県としましては、多くの市町村でコンビニ交付サービスの導入が図られますよう、国の財政支援制度についての周知やマイナンバーカードの普及に向けた広報などの取り組みを積極的に進めてまいります。 次に、技術職員の確保に係る国の新たな制度に対する本県の対応についてお尋ねがございました。 まず、国が新設する制度は、技術職員が不足傾向にある市町村を支援するとともに、大規模災害発生時に必要となる中長期の派遣要員を確保するため都道府県などが技術職員を増員した場合、その人件費に対して財政措置を講ずるというものであります。県内の市町村におきましても、技術職員が不足傾向にあることは全国と同様であり、また近年全国的に多発している自然災害や南海トラフ地震など、大規模災害への備えとして本制度は有効でありますことから、積極的に活用してまいりたいと考えております。現在、作業中の県政運営指針の改定案におきましても、時限的な知事部局3,300人体制の見直しの中で、本制度を活用していくことを明記しているところです。 一方で、議員からも御指摘のありましたとおり、本県においても、応募者数の減少等により技術職員の確保が困難な状況となっています。このため、土木技術職員を確保する取り組みとしまして、新年度業界紙への採用試験の掲載など全国に向けた広報活動を強化いたしますほか、新たにU・I・Jターンとなる方などを対象とした採用試験を実施する予定としております。引き続き、人事委員会や関係部局と連携しまして、技術職員の確保に取り組んでまいります。   (危機管理部長堀田幸雄君登壇) ◎危機管理部長(堀田幸雄君) まず、県内での被災者支援システムの導入状況についてお尋ねがございました。 地方公共団体情報システム機構、いわゆるJ-LISが提供している被災者支援システムにつきましては、先月末に本県が調査したところ、高知市など11市町村が導入している状況でした。そのほか、導入を検討していると回答した市町村も複数ありました。 このシステムは、住民基本台帳を基盤にして被災者の被災状況を管理できるメリットがあります。一方で、システムを起動させるOSが、一般的なウィンドウズではなくリナックスであることから、専用端末の購入やリナックスの知識が必要となります。 次に、物資の調達に関して、これまでの被災者支援システムと内閣府が新しく開発したシステムをどのように整理し、市町村に推進するのかとのお尋ねがございました。 大規模災害発生時に、大量かつさまざまな物資を迅速に調達し、必要とするところに必要な量を的確に届けるためには、国、県、市町村が避難所での物資ニーズなどの情報を共有しながら、連携して調達、輸送を行う必要があります。このため、内閣府は、熊本地震や西日本豪雨での教訓を踏まえて、避難所のニーズの把握、必要な物資の発注、物資到着状況の確認を、国、県、市町村が情報共有しながら一元的に行うことができるシステムを開発し、本年4月から運用を開始することとしています。一方、J-LISの被災者支援システムの中にある緊急物資管理システムは、市町村内における備蓄物資の在庫管理を主な機能とするものです。 県としましては、内閣府のシステムは、国、県、市町村で情報共有や発注などができる機能を持っていること、同一システムを使用することによって入力作業を省力化できることから、今後はこのシステムを導入していただくよう市町村に働きかけてまいります。 なお、J-LISの被災者支援システムにつきましては、避難行動要支援者システムや倒壊家屋管理システム、仮設住宅管理システムなど、物資管理以外のさまざまな機能を有しておりますことから、今後も市町村に対して、このシステムの機能や有用性について周知をしてまいります。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) まず、公共工事の品質確保への取り組みについて、他県での事例なども参考にして発注者支援制度を検討すべきではないかとのお尋ねがございました。 県では、県民生活や県経済を支えるためのインフラ整備を初め、南海トラフ地震対策や「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」への対応などの多くの事業を推進しているところです。一方で、土木技術職員の確保が年々難しくなってきており、業務の一部を県の外郭団体である公益社団法人高知県建設技術公社に委託するなどして、事業の円滑な推進に努めてまいりました。しかしながら、近年建設技術公社では県内市町村からの受託業務も増加しており、県が希望する全ての業務の受託は困難な状況となっております。 このため、本県においても、一部の土木事務所において、広島県や福島県のように発注者支援業務を民間のコンサルタントなどに委託することについて、来年度から試行することとし、現在制度設計を行っているところです。委託する内容につきましては、これまで県の職員が行っておりました現場での出来形管理や変更図面の作成などを予定しております。 来年度試行を行った後は、その結果を検証した上で、より効果的な制度となるよう改善を図るとともに、運用の拡大を図っていきたいと考えております。 次に、国は3月1日以降に契約する工事に公共工事設計労務単価の引き上げを適用することとしているが、本県はどのような対応を図るのかとのお尋ねがございました。 今回の公共工事設計労務単価の改定は、国の補正予算成立にあわせて実施するもので、実勢価格を適切に反映するよう見直しが行われています。また、今年度は労働基準法の改正がありましたので、有給休暇の取得義務化に要する費用も踏まえた労務単価となっております。 県としましても、労働者の確保・育成のためには、適切な賃金水準の確保などによる処遇改善が重要であると考えているところです。このため、国の対応におくれることなく設計労務単価の改定を行い、3月1日以降に契約する工事及び委託業務の予定価格に適用しております。 ◆24番(黒岩正好君) それぞれ丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございました。 教育長にちょっとお伺いをしたいと思います。保育士の実態調査をして、県下の状況もさまざま御意見等も付していただいた調査票をまとめていただいているわけですが、全体的に3,870名に郵送で依頼をして、実際17.7%しか回収ができていないという状況に対して、どのような御感想を持っているのかということをまずお聞きしたいと思います。 そしてその上で、御意見をいただいている中で私が感じましたのは--こういった意見がございました。なぜ人材不足なのかの理由、原因を明確にし、その問題を払拭しなければいけないと。答弁でもありましたけれども--幾ら人材確保しても同じことの繰り返しで改善されることはないでしょうとか。無償化とか無資格の方の雇用など悪いことではないと思うけれども、処遇改善もうたわれていますが実際現状は何も変わっていないと思いますとか。それから、正社員採用が少なく感じますということで、子供が好きで保育士になったけれども将来の貯蓄とかプライベートを充実させるために転職といった形をとりましたとか。いろいろやはり処遇改善あるいは労働状況の中での保育士の多忙化というのは、非常にネックになっているかと思います。 そういうことで、例えば福島県で昨年度から保育士等におけるICT化推進事業というのを実施しております。これは、保育士等における業務の効率化、そして保育士の事務負担の軽減ということを図っていっているわけですね。 ちょうど、本県もデジタル化ということで、ICTの環境整備を今後どんどんいろんな分野で進めていくわけですので、こういった多忙化の保育士の職種についても、やっぱりある一定推進していくべきじゃないかなと思いますけれど、そのあたりをどういう認識なのか、お伺いをしたいと思います。 それから、GIGAスクール構想ですが、先ほど教育長から答弁ありました折、これまでの1人1台端末に向けての取り組みの中で、一般財源化の中で非常にやりくりをしていただいて、全国3番目の、3.6人に1台という非常にすばらしい取り組みを進めてこられたと思います。 答弁にもありましたが、取り組んできた機種が3種類あるということで、非常に具体的な--人事異動等で教師がほかの市町村の学校にかわった場合に、その機種がどうなのかということになった場合に、きちっと使い分けができるような形が、実際教師の研修等で確保できるのかどうか。 あと、一括調達していく場合において、市町村と連携しながら検討していくという答弁もありましたが、現場の状況等もさまざまと思いますので、そのあたりも含めて、ある一定の方向性を出さなきゃいけないと思います。どうかそのあたりも種々混乱の起きないように、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。 以上です。 ◎教育長(伊藤博明君) まず、1点目の回収率の件でございます。 これは郵送でありましたけれど、まず宛先不明というのが14%、600通ぐらいございました。これが一つ大きかったのかなというふうに思っております。あと、30代、40代で、過去に保育士であった方に対して送らせていただきましたけれども、現在保育士として在職していない方の回答率がすごく低かったのかなというようなこともございましたし、職場を通じてということではなくて個人に直接郵送させていただいたことで、結果的に回答率が低かったのかなというふうに分析をさせていただいております。 それから、その内容につきまして、今議員から言われましたように、処遇の中でも働き方改革というのは、そこは非常に大事なところだろうと。今回、それぞれ2項目について自由記載をお願いしましたけれども、それぞれで200件を超えるような御意見をいただきました。それは、やっぱり多くが処遇改善の中でも働き方改革と言われるような分類になるものだということで、今回保育士の方または保育士をやっておられた方からそういった御意見をいただきましたけれども、働き方改革になってきますと経営者側といいますか、施設設置者側の御意見、考え方も非常に大事になってくるんだろうと。 今回保育士さんのアンケートを実施しましたけれども、今後経営者側に対してヒアリングなりアンケートなりして、働き方改革、処遇改善に向けて、意識とか課題とか把握した上で、協議をしていく必要があるんだろうというふうに考えました。保育士会とか保育所経営管理協議会とは既に協議を進めていきましょうというお話もさせていただいておりますので、今後その施設設置者側の調査をさせていただきながら、働き方改革について検討を進めていきたいと思っております。 先ほどお話にありました福島県のICT、そういったようなものも、アンケートの中でも一々記載するのが非常に業務として煩雑だという御意見をいただいておりますので、そういったような活用なんかも、しっかり検討していきたいというふうに思っております。 それから、GIGAスクールのところについて。 オペレーティングシステムを統一すれば便利だということもありますけれども、先ほど言いましたように、市町村によっては先行して特定のオペレーティングシステムを入れているところがあるというお話もございます。入っていってなれてくると、それぞれ3つの部分でもできてくるんだろうかなというふうに思いますけれども、ここにつきましては、先ほど御答弁いたしましたように、今市町村教育委員会連合会も含めて、どういったような統一化をすれば効率的かというふうな検討も進めておりますので、市町村教育委員会側と調整もしていきたいと思います。いずれにいたしましても、仮にオペレーティングシステムが幾つかに分かれたとしても、共同調達というような、スケールメリットが生かせる効率的、効果的な調達については取り組んでいきたいというふうに考えております。
    ◆24番(黒岩正好君) 大変ありがとうございました。時間も参りましたので、以上で、一切の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○議長(桑名龍吾君) 暫時休憩いたします。   午前11時58分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(弘田兼一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 25番大石宗君。   (25番大石宗君登壇) ◆25番(大石宗君) 発言のお許しをいただきました一燈立志の会、大石宗でございます。 午前中、濱田知事から新型コロナウイルス感染症対策について行政報告が行われ、1例目と3例目の患者さんの勤務されていた医療機関名の公表について、両機関の英断に対する感謝と、現在の高知県の対応、今後についても、緊張感を持って関係機関と緊密に連携しながら必要な対策を講じるとの強い意志が示され、心強く感じたところであります。 そのような中、感染症対策のある種副作用でもある経済の縮小ですが、本県は他県よりもGDPの多くを消費に負う地域であることから、より深刻な影響も懸念されるところであります。事業者の実態把握と、国の動向を見ながらの的確な対応が求められますし、あわせて東日本大震災のときも同じでしたが、こういったときには流言飛語を含めさまざまな情報が出回りますので、行政が正確な情報を速やかに公開していくことに、ぜひ注力していただきたいと思います。 大変な中でありますが重要な時期ですので、県庁挙げてのなお一層の御努力を心よりお願いし、会派を代表しての質問に入らせていただきます。まずは、今2月定例会は、令和2年度の当初予算を審議する大変重要な議会であると同時に、濱田知事にとっては本格的な予算編成に初めて取り組まれた、今後の県政運営の上で節目の議会になろうかと思います。その節目の議会で質問できる機会をいただいたことに感謝し、尾崎県政から濱田県政、その継承と変化、発展の政策的内容に主眼を置いて、本日は質問させていただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。 まずは、濱田知事の政治姿勢についてであります。 知事は、昨年の知事選挙のときから、母校土佐高校由来の報恩感謝を座右の銘とされています。この報恩感謝、文字どおり、恩に報いて感謝するという仏教から来る言葉ですが、今から19年前の平成13年、土佐中学校・高等学校が出版した創立80周年記念誌「冠する土佐の名に叶へ」、そうそうたる土佐出身者28名が寄稿されておりまして、当時馬路村村長の上治県議も文章を寄稿されておりますけれども、この記念誌に濱田知事が「「報恩感謝」の今日的意味、それは、自分で考え行動し責任を負う、自立の人。」というタイトルの寄稿をされております。今回、濱田知事に関する資料を探す中で、議会図書室の植村さんに見つけていただいたこの文章を読んで、さまざま思うところがありましたので、恐縮ですが引用して質問をさせていただきます。 いま、行政の仕事に携わっていて痛感するのは、社会はものすごい勢いで変化をしているということです。一昔前までは、去年のファイルを取り出して、数字を更新するとか、前例を調べて最低限の修正を加え同じことを繰り返していればよい、といった仕事で足りていた時代でした。今ではそんな仕事しかしていない組織は、会社でも役所でも消えてなくなるしかないといった風情です。 また、かつて経済が順調に拡大していった時代なら、与えられた目標に疑問を抱かずに、がむしゃらに邁進する人材が重宝されたでしょう。しかし、今や大銀行や大手企業もあっけなく倒産してしまう時代です。行政機関でも、いわゆる薬害エイズ事件や大蔵省の接待問題、地方自治体のカラ出張問題等々、かつてなら部内では当然の慣行であった仕事の進め方が、ある日突然に社会の指弾を浴びるといったことが枚挙にいとまがありません。だからこそ、今あるものを当然と思ってはいけない、根底からひっくり返ることもありうべしで、自分たちが今まで行ってきた仕事の進め方や制度に絶えず疑問をもって、時代の変化によって意味がなくなってしまったものは思い切って変えていかないと生き残れない、という時代になっています。 その意味で、私は土佐校の校訓である(と私は理解していますが)「報恩感謝」の今日的な意味を痛感します。私の解釈では、「報恩感謝」は、別に道徳教育をしろということではなくて、何事も現状が当たり前と思うな、他人が自分のために何かしてくれることを当たり前と思うな、ということだと思います。そのような問題意識をもって、他人や社会に「感謝」でき、自らも自分が能力を発揮できる分野で創意工夫を重ねて社会に恩返しができる人間になれ、ということではないでしょうか。 また、他人や社会に感謝することができる人間になれということは、言い換えれば、一個の人間として自立しようという意欲を持て、ということでもあると思います。他人の世話にならずに、自分のことはまずは自分でやろうと考える人間でなければ、自分ではできないことを他人から助けてもらった時に感謝することもないと思うからです。 私は、知事の書かれたこの文章を拝見して、自立と感謝の心を基礎に、現状に満足せず常に変化に挑み、社会に恩返しするという、この志に軌を同じくするとともに、19年たった今でも、いや今の時代だからこそ、さらに重要さが増していると、深く感じ入ったところであります。 知事は、この19年前に取り上げた報恩感謝を現在でも座右の銘にされていますが、まずはこの言葉に込めた思いについて、19年前と現在で変化があったのかどうかも含めて、お考えをお伺いしたいと思います。 また、この考え方は、個人の生き方のみならず、組織の中での仕事の進め方とも関連すると思いますが、濱田県政下における県の職員の皆さんに期待する仕事への姿勢や進め方について知事のお考えを伺います。 また、この文章を書かれた2001年は、高知県の橋本大二郎知事を初め、マニフェストの導入で知られた三重県の北川正恭知事、岩手県の増田寛也知事、宮城県の浅野史郎知事、鳥取県の片山善博知事など、いわゆる改革派知事に脚光が当たり、地方分権の議論華やかなりし時代でありました。一方、この年、小泉内閣が発足、構造改革がスタートし、その後の三位一体の改革と、地方にとっては、ある意味で試練の始まりの年でもありました。 そこで、知事にお伺いをいたします。さきに取り上げた寄稿文の最後で、知事は地方分権について、「私は現在総務省で地方分権の推進の仕事に携わっています。地方分権とは、地域のことは国の指図を受けたり国に依存したりするのではなく、地域自身で決めていくという社会の仕組みを作っていくことだと考えますが、そのためには、究極的には、国民一人ひとりが自分のことは自分で決め、その結果の責任は自分自身で負う、という気風が培われることが必要だと感じています。」と書かれています。 この19年、地方行政のエキスパートとして地方分権論議にかかわってこられた中で、知事に就任された今、これまでの地方分権論議、そして今後の姿についてどのような所感を持たれているのか、あわせて地域自身で決めていく社会の仕組みづくりは、今においても地域づくりの重要なポイントだと考えますが、今後どういった取り組みが必要だと考えるのか、お伺いをいたします。 また、2001年は、アメリカ同時多発テロの発生、今に続く世界の安全保障環境の大きな変化が始まった年でもありました。その後の対テロ戦争での疲弊などもあり、ついにオバマ政権時には大統領みずから、米国は世界の警察官ではないと明言。米国を中心とした世界の安全保障環境は、我が極東の状況を初めとして、さらに大きく変化をしつつあります。 そのような中、我が国の政治は、歴史を振り返ると、平時は緩やかな分権的体制をとる一方、外からの脅威にさらされたときは、白村江の戦いと大化の改新、蒙古襲来による鎌倉幕府への権力集中、その後、権力の一元化を目指した建武の中興、黒船来航から始まる帝国主義に対抗した明治維新、敗戦後、郷土の政治家である吉田茂総理がGHQと取り組んだ財閥解体や農地解放を初めとする急進的な改革など、国家の権力を集中させる政治体制をとってまいりました。 現在、我が国はコロナウイルスという非常に強い感染症と闘っていますが、安全保障や感染症対策などの本質が危機管理であることを鑑みると、特にこの分野においては、現在の日本には、集権的政治体制の必要性が増しているように思います。 そこで、今後は、さきに取り上げた地方分権と中央による権力集中をどのように両立させていくか、あわせて権力集中の弊害をどのように補完していくかなど、さまざまな論点があろうかと思いますが、これからの国と地方の関係における役割分担についてどのような御所見をお持ちか、知事に伺いたいと思います。 また、最後のくだり、「国民一人ひとりが自分のことは自分で決め、その結果の責任は自分自身で負う、という気風が培われることが必要」という部分は、一見厳しいようですが、外に安全保障環境の変化、内に財政問題や少子化、人口問題、成長率の低下など、構造的な課題を抱えた我が国日本、そして人口減少に代表される厳しい環境の続く私たちのふるさと高知、困難な時代だからこそ、しっかり向き合わなければならない言葉でもあります。 ケネディの演説に、国があなたのために何をしてくれるのか問うのではなく、あなたが国のために何をなすことができるのか問うてほしいという、有名な言葉がありますが、まさに我がふるさと高知県を次世代によい形で引き継ぐためには、それぞれが自立し、地域のために何ができるのか問う、そうした気風が必要不可欠です。 そのためには、政治や社会の動向を我が事として捉え行動する主権者をふやしていくための、いわゆる主権者教育を推進していくことが重要だと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、平成29年3月には、総務省主催の主権者教育の推進に関する有識者会議から、現状の課題と将来の方向性を取りまとめた報告が出されており、高校入学以前の子供段階、高校生段階、高校卒業後の有権者、3つの発達段階ごとの取り組みが重要だとして、授業参観に合わせた出前授業や児童会・生徒会選挙の充実、実際の選挙を題材とした模擬選挙、期日前投票所の大学設置などの事例も紹介をされております。 そういった中、高校生段階の主権者教育の一環として、先日は県立高校にお邪魔をして生徒さんたちとの意見交換会を行い、教え子さんたちから黄色い歓声を一身に集めて終始御機嫌だった山崎正恭県議会議員を筆頭に、参加した私たち県議会議員は大変有意義な時間を過ごさせていただいたところです。 今後、本県において、この3つのそれぞれの段階でどのような取り組みを進めていくべきか、現在の取り組みと課題、今後の展開について教育長並びに選挙管理委員長にお伺いをいたします。 この項最後に、この令和2年度からが本格的な濱田県政のスタートだと思いますが、この濱田丸の船出に当たり、昨年12月議会では岩城副知事が再度選任されたところであります。尾崎政権の城代家老として県政をさまざまな面から支えてこられた岩城副知事が、濱田県政の出発に当たって、しっかり船に乗り込み、支える体制ができたということは、全会一致で認めた私たち議会にとっても、恐らく県庁職員の皆さんにとっても安心できる人事であったように思います。改めて御就任おめでとうございます。 昭和53年、中内力知事1期目に入庁された岩城副知事は、中内知事、橋本知事、尾崎知事、そして濱田知事と、4代の知事と向き合い仕事をされてきたところですが、それぞれのリーダーにはそれぞれの特徴があり、県政に果たされた役割があったと思います。 そこで、岩城副知事がこれまで向き合ってこられた高知県政のリーダーを振り返っての所感と、県の職員さんの思い、そして今回船出した濱田県政について、報道では部局長が先頭に立つ自覚の必要性を語ったとされておりましたが、現在の思いをお聞かせいただきたいと思います。 また、最近、専ら県民が興味津々なのは、濱田知事がどんな人柄で、どんなリーダーだろうかということで、実際に私自身も一番聞かれる質問であります。 そこで、森田療法で有名な野市出身の森田正馬先生の孫弟子、土佐町出身の精神科医沢田淳氏が昭和43年に「いごっそう考-土佐人気質の性格学的考察-」を出版。代表的土佐人を、性質は温順、忠実、純真だが、いざ戦いになると決然として攻撃し、死ぬまで敢然と戦う、中岡慎太郎、岩崎弥太郎、浜口雄幸、吉田茂、金子直吉などの闘犬型と、忍耐強く、努力を惜しまず、こつこつと粘り強く研究に取り組む、牧野富太郎、寺田寅彦、森田正馬、西谷退三などの長尾鶏型、そして藩の声がかりで研究された尾長鶏に対し反発した民間有志が、逆に丸く尻尾の短い鳥をつくり上げたエピソードから、反骨、草の根の象徴となった、中江兆民、植木枝盛、弘瀬洞意いわゆる絵金などのチャボ型の3類型に分けて考察。坂本龍馬は闘犬とチャボの混合だなどとさまざま当てはめて、当時大いに議論を呼んだとされています。 御自身の分析では濱田知事はどの類型に当たるのか、差し支えなければ御所見をお伺いしたいと思います。 次に、尾崎県政から引き継がれた重要政策についてお伺いをさせていただきます。まずは、高知県の歴史を引き継ぐという意味で、尾崎前知事が思い切って事業実施を決断された県史の編さんについてであります。この県史編さん、前回は溝渕知事時代の昭和38年に、学識経験者及び郷土史家から県に対して要望があったことをきっかけに事業開始、古代から現代に至るまでの高知県の発展の過程を各時代にまとめ、考古編、古代中世編、近世編、近代編、民俗編と5分野を通史編と資料編に分けて刊行したものであります。この作業は、昭和38年冬に始まり、最初の近世編の刊行は5年後の昭和43年、最後の民俗編はさらに10年後の昭和53年ということで、足かけ15年もの歳月をかけて行われたもので、現在でも非常に高い評価を受けているものであります。 前回の事業開始からことしで57年、終了から42年がたち、その後の時代の変遷や近年の学術研究の成果なども踏まえた新たな県史の編さんの必要性や、地域の変化とともに急速に失われつつある歴史資料の保存に関する危機感などから、この県史編さんを通じ、高知県の歴史の保存と継承を行ってほしいとの声が高まっていたところであります。 そのような中、昨年、尾崎知事は県政150年に当たる記念の年である令和3年度から事業に着手するとの方針を明らかにし、県庁内に検討本部を設置、基本方針の策定を行うこととし、有識者による基本方針策定準備検討委員会も立ち上がり、今後の検討すべきポイントについての整理が始まったところであります。 第1回の検討本部会議の冒頭、当時の尾崎知事は、「この県史編さんは、十数年かけて実施する大変な大事業でございます。きょう、この本部会議を開催することをもって第一歩を踏み出すということになります。十数年、皆さんとともに、十数年後、バトンを引き継いでいきながら、この県史編さんの取り組みを進めさせていただきたいと思います」と挨拶し、長期戦になるこの事業に対する熱意と覚悟を示されたところですが、私は、この県史編さんに当たっては、まずは県として、この事業に具体的にどれぐらいの力を注ぐ意志があるのか、最初にはっきり打ち出す必要があると感じているところであります。 この県史編さんは、ほかの都道府県でももちろん取り組んでおり、ちょうど知事が財政課長として予算査定されていたころの福岡県でも事業が行われていたと思いますが、それぞれの地域によって取り上げる内容、全体の予算、成果物なども千差万別であり、どこかに先例があるわけではありません。あわせて、大学や研究機関など、高知県以外からも多くのサポートを受けながら進めなければならない性質上、事務局体制と予算がどれほど確保できるのか、そして長い期間、着実に最後まで進めていけるものなのかどうか、その全ては政治判断による体制次第と言っても過言ではありません。 我が高知県は、長宗我部、幕末・維新、自由民権運動という、全国の中でも注目の高い歴史を有していることなどから、歴史を前面に出した県土づくりを行ってまいりました。また、近年では、観光においても歴史文化が基幹の取り組みになるなど、ますます歴史の重要性は増しています。あわせて、前回の県史編さん以降に出てきた資料を追加記録すること、カバーできていなかった昭和22年以降の現代史を取り上げること、何より散逸しつつある資料の保存を行う、今回が最後の機会であることなど、今回の県史編さんはその緊急性、必要性ともに大きいものがあると考えます。 このまたとない機会に、歴史関係者のみならず県民を巻き込んで、日本にその名をとどろかし、将来の子供や孫に誇ることのできる県史編さん事業を実施するためには、知事の意志と県の体制整備が必要不可欠であります。 ぜひとも、この県史編さんに当たり、濱田県政として全力で歴史の記録に取り組むという決意を示していただきたいと心より願うところでありますが、知事のお考えをお伺いいたします。 また、この事業を進めていくに当たり一番の肝は、調査を進めていく上での歴史人材の確保と育成であります。県内歴史施設の学芸員さんや県内外の大学、さらには県立高校などとの連携がもちろん重要になってきますが、こうした歴史人材の確保についてどうお考えか、文化生活スポーツ部長にお伺いいたします。 また、前回の編さんのときは高校の先生方が大変な尽力をされたと伺っていますが、市町村の歴史人材も減少しつつある中、県立高校を初め教員の皆様方のお力をかりる、あわせて高校生の皆さんにもこの高知の歴史を残す一大事業にかかわってもらうことが、成功への重要なポイントであると同時に、教育的効果も高いのではと考えますが、現在の状況と今後の連携の可能性について教育長に御所見をお伺いいたします。 次に、44連隊の証言集の作成についてであります。今回の当初予算の中には、県が購入を計画している旧陸軍歩兵第44連隊跡地に関するさまざまな証言を記録するためのものが含まれております。 生きた記録である証言を残すという大変意義のある事業だと、大いに評価をするところですが、この事業の狙いについて教育長にお伺いをいたします。 また、あわせて取り組んでいただきたいのが、県が管理する兵籍簿の研究であります。戦時中、陸軍、海軍、それぞれの兵隊の行動記録は陸軍省と海軍省が管理していましたが、戦後復員省に引き継がれ、現在は、陸軍関係は都道府県、海軍関係は厚生労働省が管理しており、本県陸軍の記録は11万3,963件残されているところです。県はこの兵籍簿をもとに、軍人恩給や遺族年金などの事務処理を行っていますが、まさにこの兵籍簿は兵隊一人一人の生きたあかしの資料でもあります。さらに、この兵籍簿は、高知県において軍に入隊した兵隊の記録ですから、今回証言を集める朝倉兵舎に関連するものばかりであります。 個人情報との関連もありますので、詳細の閲覧は自由にはできませんが、研究を進めることができれば、入営からの行動、県出身者が所属した部隊、どの戦地に赴いたのか、そして終戦後の行動など、高知の兵隊の足跡が明らかになる可能性を秘めており、歴史的価値の非常に高いものであると考えますが、現在は、さきに触れたような地域福祉部の現用公文書であるため、研究用に資する資料としては使用のハードルが高いと承知しております。 一方、今後の歴史研究に関する価値については、沖縄県の公文書館が作成した広報誌にも、将来の歴史資料として兵籍簿が重要な役割を果たすという記事が掲載されているように、非常にその扱いが注目をされているところでもあります。 そのような中、令和2年4月1日から施行される高知県公文書管理規程によると、昭和27年度までに作成された文書は歴史公文書等に当たる可能性が極めて高いことから、保存期間満了後には公文書館に移管するものとするとされております。 もしこの兵籍簿が歴史公文書として公文書館に移管された場合、歴史資料として研究目的での活用を図ることが可能になるのか、またあわせて、現在地域福祉部が6親等以内の親族からの問い合わせに対応して閲覧事務を行っていますが、公文書館に移管された後、現在のように親族が閲覧を希望した場合の対応がどう変化するのか、総務部長にお伺いをいたします。 また、現在地域福祉部が所管している戦時中の公文書は、兵籍簿以外にどういったものがあるのか、地域福祉部長にお伺いをいたします。 次に、漁業、その中でもカツオ・マグロ漁業の将来展望についてであります。 午前中に、カツオ漁業について黒岩議員より同じ趣旨の質問があり、知事からは来年度中に方針を出すと踏み込んだ答弁もあったところでありますが、あわせて、おいらの船は300とんという歌があるように、マグロ漁業に関しても本県は、遠洋、近海、沿岸と全国でも有数の地域であります。 漁業統計では、マグロはえ縄とカツオ一本釣りの遠洋・近海で高知県の海面生産量の3割を超え、沿岸や沖合を含む生産金額でも、マグロ、カジキで約4割、カツオで2割、合わせて6割強をカツオ・マグロ類が稼いでおり、名実ともにカツオ・マグロ漁業は高知県の水産業の根幹であると考えますが、これまで、特に遠洋、近海のカツオ・マグロ漁は、県外の港で水揚げを行っていることや、水産庁を初め国の機関などとの調整が多かったということもあり、県の水産行政の中で特別に支えていくという体制は余りなかったように思います。 県の産業振興計画の中にもカツオ・マグロ漁の振興対策は一行も出てきませんが、これまで高知を支えてきた産業を何としてでも守るという視点で、県の水産行政の中で、特にこのカツオ・マグロ漁業に関しては、特別な位置づけも視野に入れつつ、事業者の皆さんとも胸襟を開いて議論し伴走しながら、特に勝負どころであるこの10年の間に、将来展望が描けるような産業として再生させていく決意が必要ではないかと考えますが、濱田知事のお考えをお伺いいたします。 次に、農業、近年高知県農政の目玉事業となっているNext次世代型こうち新施設園芸システムについてであります。 まずは、その中で県の取り組んできた、いわゆる環境制御技術に関してですが、この技術はこれまでに約5割の農家が導入しており、これにより高収量・高品質化を図る中で実際に収量アップという結果が出ていますが、品質という面では、導入前のハウスと導入後のハウスを比較してその秀品率がどう変化しているのか、農業振興部長にお伺いいたします。 また、農家の実所得に環境制御技術の導入がどう反映されているか考えたときに、収量アップというプラス効果がある一方--収量増に対応する人件費のアップや設備導入によるコストの増加などを差し引いた中で、所得の変化を分析することも必要ではと考えます。2019年度のJA高知県の園芸販売の状況を見ると、取扱量は環境制御技術で3%ふえた一方、暖冬による全国的な収量増加などで1キロ当たりの年間平均単価は7%ダウン、結果、販売額は4%減という数値が出ています。 そこで、収量はふえても、結果的にコスト増と単価減で所得が下がることとなれば、県の期待する収量アップがイコール所得向上につながるわけではないという側面もあるように思いますが、農業振興部長のお考えをお伺いいたします。 またあわせて、環境制御技術を導入した農家の実所得について、好成績者が数値を引き上げる平均値ではなく、新規就農者なども含め一番多い層を正確に把握しやすい中央値が、導入前と比較してどう変化をしているのか、農業振興部長にお伺いをいたします。 また、県の進める中規模・大規模次世代ハウス並びに大規模施設園芸団地の経営状況について、補助金を除く純利益がどう変化をしているのか、農業振興部長にお伺いをいたします。 次に、IoPプロジェクトの根幹となるIoPクラウドに関してお伺いをいたします。県は、このプロジェクトを通じて5年以内に全てのハウスをインターネットに接続すると同時に、独自に開発するIoPクラウドを通して各農家が生産や販売の最適化、ハウスの遠隔制御や自動化、省力化を図るとしており、一連のプロジェクトを進めるため、大学や民間企業などと官民協働の連携協議会を設置、研究開発、運営体制、人材育成の3つの部会を設け、大きな予算を投じて取り組みを進めているところであります。 その取り組みの肝となるのは、農家が生産や出荷情報をクラウドに提供し、そのデータをAIが解析して生産と販売を最適化するシステムで、将来はこのシステムを管理運営する一般社団法人IoP推進機構が、蓄積したデータを活用する企業との連携や、県外や海外へのシステム販売まで進めていくということになっています。 そこで、農業振興部長にお伺いをいたします。農林水産省の知的財産に関する啓発資料には、農業は知的財産に立脚した産業ですという見出しに始まり、農業は動植物、化学、気象、土壌、土木、水利用、機械、経営、経済といった幅広い知識と経験の上に成り立つ高度な知的産業であり、これからは特許や商標といった権利化されたものだけではなく、幅広い農家の知見を知的財産として守ることが必要不可欠だと書かれております。 そうした中で、今回の仕組みでは、高知の農家がある種の経営機密でもある生産や販売の情報をクラウドに提供するというスキームになっていますが、その知的財産の所有権はどうなるのか、また農家とはどのような契約を結ぶ予定なのか、農業振興部長にお伺いをいたします。 また、特に先駆的な取り組みで結果を出している、いわゆる篤農家の皆さんに至っては、情報を提供することがむしろ不利益になる可能性もあると考えますが、そのリスクを上回る利益をどう提示するのか、農業振興部長にお伺いいたします。 また、このスキームを見ると、一見、県外や海外に高知の農家から得た情報で構築したシステムを販売するということになっているとも読めます。競合相手に自分たちの技術を渡してしまうというリスクを背負う危険性をはらむとともに、質で勝負してきた高知の野菜がコピーされることによって高知の野菜でなくてもよいという状況がもしできれば、強みが失われてしまい、そうするとKPIで示したシステム販売で100億円売り上げたとしても、そもそもの高知野菜のシェアが失われ、結果、産出額も現在の1,000億円から減るリスクも出てくる可能性があると思いますが、農業振興部長のお考えをお伺いいたします。 次に、今回の予算案の中で新規事業として取り組もうとするオープンイノベーションプラットフォームの設置による課題解決型産業創出について質問させていただきます。 この仕組みは、農林水産業から交通、防災、福祉、観光など、県内のあらゆる分野の課題を掘り起こし、企業などが持つ技術やアイデアと組み合わせることで、新しいビジネスモデルやサービスの開発につなげようとするもので、課題側と解決側をつなぐためのプラットフォームを構築しようとするものであります。 課題解決先進県を目指す我が高知県にとって非常に重要な取り組みだと評価するところですが、一方、今後の課題となってくるのが解決側の企業と人材の確保だと考えます。特に、社会課題を思い切ったアイデアで解決に導くとともに、ビジネスとしても成功をおさめる起業家の参画、育成は重要であります。 そのような中、以前県は、株式会社日本トリム様よりいただいた寄附金を活用し、新規事業の立ち上がりを支援するこうちビジネスチャレンジ基金事業を、平成25年度より3年間にわたり行っております。ここで認定されると使途の自由な支援金が支払われるということで、自己資金に頼らざるを得ない事業立ち上げ時のスタートアップ企業にとっては、非常に意義のある支援制度だったと伺っております。 この認定事業者からは、ヘルステックの分野で全国的に注目されるスタートアップに成長し、先日会社ごとマイナビに売却した株式会社エクスメディオや大手企業などから11億円を調達し、人工知能を活用した医療情報の分析やオンライン診療を手がける、旧の株式会社情報医療から現在社名変更した株式会社MICINを初め、県内外で活躍を続ける多くの企業も巣立っているところであります。 この事業は、残念ながら、基金が尽きた時点で廃止となっていますが、今後県が取り組もうとする課題解決を真に果たそうとするなら、これぐらいの思い切った取り組みで創業や新規事業展開を後押しし、スタートアップ企業を高知から生み出し、さらに高知県に協力してもらう仕組みをつくることも必要ではないかと考えますが、産業振興推進部長に御所見をお伺いいたします。 また、この基金事業では、認定された事業者とのその後の県の連携は仕組み化されていなかったようですが、認定された事業者は、現在でも意欲的に新規事業に取り組もうとする傾向もあると思われます。 卒業生のネットワーク化を図り、県とのさらなる連携を図ることも必要ではないかと考えますが、産業振興推進部長に御所見をお伺いいたします。 また先日、出前授業で嶺北高校と山田高校に伺った際、さきに取り上げたエクスメディオの物部真一郎社長の生き方について、高知大学医学部在籍時に地域情報誌Velocityを発行する企業を起こし、その後医師として現場に出ながらもビジネスへの思いを捨てず、スタンフォード大学に留学、MBAを取得、世界中から集まった起業家の卵たちと切磋琢磨する中で医療分野での起業を決意、現在の事業につなげ、AIやIoTといった新技術を活用した地域医療課題の解決に取り組んでいるとのエピソードを紹介させていただきました。 その際に、食い入るようにうなずきながら聞いてくれる高校生たちを見ていて、うれしく思うとともに、物部社長のような実際に起業し成功をおさめた、いわゆる起業家、アントレプレナーたちの生きざまを学校現場で学ぶ仕組みがあったらよいのではと思ったところであります。 学ぶの語源はまねるといいますが、こうしたアントレプレナーシップ教育を通じ変革者の生きざまを学ぶことは、将来の世代にとって非常に有益だと考えますが、今後県立高校に導入してはどうか、教育長に御所見をお伺いいたします。 この項最後になりますが、オープンイノベーションを図るためには、行政が持つさまざまな情報のうち提供できるものに関してはインターネットなどを通じて外部に広く公開していく、オープンデータの取り組みが必要不可欠だと考えます。 まずは、このオープンイノベーションプラットフォームの取り組みを進めるに当たり、オープンデータの活用がどのような可能性を秘めているのか、商工労働部長にお伺いをいたします。 また、このオープンデータは、県のデジタル化推進会議で取りまとめている高知県行政サービスデジタル化推進計画案にも、重要な取り組みとして記載されていますが、一方高知県内の取り組み状況を見ると、市町村での取り組みは全国で唯一ゼロ、取り組み率はワースト1位となっております。 この要因は、市町村の意識の課題や情報担当の余力の問題などさまざま考えられますが、ここは市町村の取り組みを県が思い切って支える体制を整備しないと進んでいかないのではないかと感じます。総務部長に、現在の課題と今後の展開について御所見をお伺いいたします。 次に、観光政策「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」2ndシーズンについてであります。 自然豊かな高知の強みを生かしたこの観光キャンペーン、観光客からも好評で、昨年は東部と西部の主要観光施設の利用者数が5%ずつ増加するなど、好調に推移しているところであります。セカンドシーズンもますますの前進を図ってもらいたいと願うところですが、そのような中、少し懸念されるのが、アウトドア観光につきものの事故に関する課題であります。 そもそもアウトドアに出かける場所は、都市部から離れた地域が多く、もともと医療体制が弱いところが多い上に、観光客の多い休日は特に医療空白地帯がふえる、厳しい状況があるように思います。ましてや、土地カンのない県外や海外の観光客にもアウトドア観光を安心して行ってもらうためには、健康政策部が運用するこうち医療ネットなどの活用を含め、地域の医療情報を共有し、いざというときに慌てない対策も必要だと考えます。 現在のところ、大きな事故が起きたとは伺っておりませんが、アウトドア観光を進める上での事故防止策や事故が起きた場合の対処など安全管理について、現在の取り組みと今後の対応を観光振興部長にお伺いいたします。 次に、県有施設のさらなる活用についてであります。 昨年、トリップアドバイザーの格付で、のいち動物公園が何と日本一になりました。県有施設のこうした評価はうれしいものですが、県にとっては、こうした県有施設をさらに磨き上げていくということは至上命題だと考えます。 そこで、幾つかの施設の現在の課題と今後の活用について質問をさせていただきます。まず、世界的な評価も高く、観光施設としても重要な牧野植物園に関してであります。御案内のとおり、植物の精と言われ、植物研究にその一生をささげた牧野富太郎博士を記念して整備されたこの植物園ですが、最近新たなハード整備も終わり、ますます集客も好調、今後への期待も高まっているとお伺いしているところであります。 一方、植物という特殊なものを扱うこの園の性質上、その質をどう担保していくか、そのための技術を持った職員さんをどう育成していくかという観点は非常に重要だと思いますが、近年、特に契約職員の皆さんを中心に、退職、あるいは引き抜きにあって転職するという事例が続いているとも伺っているところであります。ことし1月の監査でも、この点に関しては質疑の中で委員からの指摘もあり、牧野記念財団もこの事実を認めた上で、困っているとの答弁もなされているところですが、幾らすばらしいハード整備が行われても、技術が育たず、植物園の質の向上が図れないということになれば、まさに本末転倒であります。 そこで、今後、園がその質を担保しつつ、さらなる発展を図っていくためには、職員の処遇向上を含めて対策を早急に図るべきだと考えますが、牧野記念財団を初め、公社職員の処遇の問題に関して議論している公社等改革推進会議の座長である岩城副知事に御所見をお伺いいたします。 次に、高知県立交通安全こどもセンター、いわゆる比島交通公園についてであります。この施設は、幼児期からの実践を通じた交通安全教育を行う施設として昭和45年にオープン、以来、子供たちを中心に多くの県民に親しまれている施設です。年間の利用者は何と、さきに取り上げた牧野植物園と同程度の約14万人と、非常に県民の支持も高く、私自身ももちろん子供連れで伺ったこともありますが、子育て中のお父さんお母さんからは、その過ごしやすさやゴーカートなどの設備、高いコストパフォーマンスから、聖地とも呼ばれる施設であります。 一方、この施設も運営体制は厳しく、平成25年と平成30年に行われた監査でも、パート、アルバイト、非常勤職員の賃金は最低賃金プラス100円程度と厳しく、生活できないために長続きしない、できるだけボランティアに頼っている、イベントなどは自主企画で県の予算はないなどの状況が議論もされているところであります。 せっかく利用者も多く県民の支持も高い施設であるのに、こうした運営の厳しい状況を指定管理者の努力だけに任せていいものか、監査の書類を見ながら懸念も覚えたところでありますが、現状をどのように評価しているのか、また今後この施設に期待するものについて、所管する文化生活スポーツ部長にお伺いをいたします。また、昭和45年オープンということは、ことし、ちょうど半世紀の節目を迎えることになりますが、記念行事などは予定しているのか、あわせて部長にお伺いをいたします。 この項最後に、高知県立芸西天文学習館、いわゆる芸西の天文台についてであります。この施設は、安芸市出身の株式会社五藤光学研究所元会長、五藤斉三氏が、アマチュア天文家関勉氏の天文学上のすぐれた業績をたたえるとともに、青少年の自然科学への知識・関心の高揚とさらなる成果を期待し、高知県へ口径60センチの反射望遠鏡を寄贈されたことをきっかけに昭和56年3月にオープン、現在でも天文家のメッカとして、高知こどもアストロクラブの取り組みなど、天文少年の育成施設として、そして幅広い県民の生涯教育の施設として活用されているところであります。 ちなみに、現在の望遠鏡は2代目で、一般財団法人日本宝くじ協会の助成により平成20年3月に完成したもので、初代の望遠鏡は遠くレバノンのノートルダム大学に寄附され、大変現地の皆さんに喜ばれたそうであります。当時の報道では、日本にとっては小さな望遠鏡でも、レバノンでは本格的な研究ができる初めての望遠鏡、夢のようですという、大学関係者の声が紹介されています。何とロマンのある話でしょうか。 また、本県は、古くは儒学の大家として有名な谷秦山に始まり、葉山の片岡直温の祖先直次郎や、その弟子でからくり半蔵として有名な細川半蔵などに引き継がれた土佐天文暦学の歴史や、日本で初めてすい星を発見した佐川町出身の天文学者山崎正光、先述した株式会社五藤光学研究所の創業者であり日本で初めてプラネタリウムの国産化に成功した五藤斉三、コメットハンターとして世界的に有名な現在でも御活躍の関勉先生など、天文に関しては日本でも類を見ないほど多くのエピソードを抱えた県でもあります。 一方で、この天文学習館も、施設の老朽化や、駐車場から学習館に向かうまでの間も街灯設備がなかったり、バリアフリー化もなされていなかったり、苦しい状況もあるように感じます。 一方、教育的機能や今後の観光などにも、これまで培った人脈や知見も生かすことができる重要な施設だと、私は大いに期待もするところですが、観光という観点からすると、星まつりに1万人以上動員する沖縄県石垣市や、シーズンオフのスキー場施設を活用して大成功をおさめ、何と一晩で2,000人もの観光客が訪れるようになった長野県阿智村などの例に鑑みれば、星空観光は、自然豊かな本県にも大いに成功の可能性があるように思います。 まずは、観光振興部長の星空観光に関する御所見、あわせて教育施設でもあり、キャパの問題も考えれば直接観光施設としての活用は難しいと思いますが、今後の県の観光振興に当たり、学習館との連携の可能性についてお考えをお伺いさせていただきます。 また、この施設の今後を考えたとき、新規オープン以来、大人気の施設となっているオーテピアの高知みらい科学館とのさらなる連携の強化も重要だと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 最後に、太平洋島嶼国・日本地方自治体ネットワークについてであります。 このネットワークは、我が国にとって重要なパートナーである太平洋島嶼国と地方自治体の関係を発展させようと、郷土の先人森小弁の関係で、高知とゆかりあるミクロネシア連邦と我が高知県がそれぞれ呼びかけて、太平洋島嶼国の16の国と地域、そして14の地方自治体で平成30年に設立されたもので、昨年も高知で実務者会議を開催、防災面など複数の分野での連携を確認しているところであります。 そのような中、国においては太平洋島嶼国とのきずなを深めるため、1997年から3年に一度首脳レベルでの意見交換を行うため、太平洋・島サミットを開催しています。次回は2021年に第9回の開催を予定しており、昨年8月には開催地を公募、ことし2月に同じ地方自治体ネットワークの仲間である三重県の志摩市が開催地に決まったと聞いております。次の次の開催はさらに3年後の2024年を予定していますが、この年は、明治25年に渡航して以来、ミクロネシアと高知県のきずなの象徴となった森小弁のちょうど生誕155年に当たる年でもあります。 今後、ますます重要性の高まる両地域の関係を考えると、大変貴重な機会となるこの島サミット。歴史的にもこの地域と関係深く、ネットワークの呼びかけ人でもある我が高知県も、ネットワークの強化とあわせて島サミットへの積極的な参画を図るべきだと考えますが、尾崎知事からネットワークの代表を引き継がれた濱田知事のお考えを伺い、第1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 大石議員の御質問にお答えをいたします。 まず、報恩感謝の言葉に込めた思い、そして職員に期待する仕事への姿勢や進め方についてお尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えを申し上げます。 19年前に、お話の寄稿をいたしました際、報恩感謝という言葉につきまして、現状に対する問題意識を持ちながら他人や社会に感謝をする、そしてみずからが能力を発揮できる分野で創意工夫を重ねて、社会に恩返しができる人間になることだと、私なりに解釈をいたしておりました。その思いは、県知事となりました今も相変わらず持ち続けておりますし、ある意味、そうしたこともあって出馬を決意したという部分も、正直ございます。まさに今、報恩感謝の思いで県政のかじ取りを進めていかなければならないと、気持ちを新たに、日々職務に努めているところでございます。 一方、そうした県政に対する思いを形にする上で、私から、職員と共有しておきたい点について、これまでに5つのキーワードを職員に対してお示ししているところでございます。まず、県民の皆様にしっかり説明することで信頼を得るという透明性の確保、2番目に、時代の変化に合わせて行政自身も変わっていく進化の必要性、3つ目は、今の仕事が県民の皆様に役に立っているかということを絶えず問い直す使命の感覚を持つこと、4つ目には、新しいことをなし遂げるためのリスクをとって挑戦するということ、最後に、行政運営について相手方がどう思うかについて意を用いて想像力を発揮すること、こういった5つのキーワードでございます。こうしたことが実践をされていくようになることで、私が基本姿勢としております共感と前進の県政運営を進めていくことができると--その上で非常に重要だというふうに考えているところでございます。 現在、私たちは、日進月歩のデジタル技術の革新など、急速な時代の変化の潮流の中におります。しかし、今後時代がどのように変わりましても、他人や社会とのかかわり合いの中で、報恩感謝という言葉が持つ意味合い自体は、決して色あせることがない普遍的なものであるというふうに考えております。県の職員が一丸となりまして、県民の皆様の英知も結集をして、高知の強みを十分に発揮しながら、県勢浮揚に向けて全力で取り組んでまいります。 次に、これまでの地方分権論議と今後のあるべき姿、地域自身で決めていく社会の仕組みづくりにつきましてお尋ねがございました。 これまで、国と地方の関係を、以前の上下・主従の関係から新たに対等・協力の関係に転換していくという理念のもとで、機関委任事務制度の廃止でございますとか、いわゆる義務づけ・枠づけの見直しが行われてまいりました。あわせまして、いわゆる三位一体の改革におきましては、国から地方への3兆円の税源移譲も行われましたけれども、一方で、地方の自主性、自立性の発揮のために必要な国庫補助負担金の見直しは、十分ではなかったという思いでおります。将来にわたりまして、地方が安定的に行政サービスを提供するためには、地方の一般財源の総額の確保、そして充実が必要不可欠だという思いでおります。 また、近年、国と地方の協議の場が法制化されますとともに、地方から国に規制緩和などを提案いたします、提案募集方式が導入されまして、毎年法案も提出され、一定の成果が出てきていると考えております。今後は、国の政策立案の早い段階から地方の実情を一層反映させていく、こういうことが求められると思います。そのために、こうした仕組みを質的に、また量的にも拡充していくということが必要であるというふうに考えます。 さらに、地方の自主性、自立性を高めていく上では、これらに加えまして、地域で課題解決に取り組む人材の確保・育成を図っていくということが重要であると思います。このため国におきましては、地方創生の施策をさらに充実させるということとともに、地方の取り組みを継続的に後押ししていただきたいと考えております。 本県といたしましても、引き続き課題解決に向けて全力で取り組みますとともに、全国知事会などとも連携をしながら、国に対して積極的に政策提言などを行ってまいる所存であります。 次に、これからの国と地方の関係における役割分担についてお尋ねがございました。 国と地方は、時代の情勢、あるいは課題の性質に応じまして、最適な役割を分担し合うということが重要だと考えます。さらに、国と地方のあるべき関係について申しますと、地方分権を進めるべき行政分野と、逆に中央政府のリーダーシップを強化すべき行政分野とに、御指摘もありましたように、仕分けをして議論は行われるべきであるというふうに考えております。 例えば、人口減少、あるいは高齢化など、進展の度合いが地方によって異なっているという状況がございますので、課題も地方によって異なってくるという状況がございます。そのため、こうした課題解決に向けました地域の福祉、あるいは地方創生などの取り組みについては、国が一律に行うよりも、地方がその実情に応じて実施をするという方向で対応すべきものと考えます。 一方で、御指摘もございましたが、外交、防衛、こういった国家としての存立にかかわります事務については、専ら国が実施すべきということだと思いますし、またこれもお話がございました、大規模な災害対策、重度の感染症対策など、統一的、広域的に対応する必要がある事務、ある意味では究極のスケールメリットが必要な事務とも言えると思いますが、こういったものにつきましては、国が基本方針を定めまして、地方が実行し、国が地方の取り組みを支援すると、こういった役割分担で進めていくということが適当ではないかと考えている次第でございます。 次に、主権者教育の推進についてお尋ねがございました。 主権者教育と申しますのは、主権者として社会の中で自立をし、他者と連携・協働しながら社会を生き抜く力、あるいは地域の課題解決を主体的に担う力を育成する教育であるというふうに考えております。こうした教育を推進していくためには、学校や家庭、そして地域が連携をしながら、子供たちの発達段階に応じました適切な教育内容を実施することが大切だと考えております。 現在、本県におきましては、地域の課題を自分なりに追求して解決策を探るという探究的な学習が、多くの学校で行われております。特に高知国際中学校では、国際バカロレア教育の理念のもとで、みずからが設定したテーマについて探究する学習活動が活発に行われているというふうに承知しております。こうした取り組みによりまして、子供たちは主体的に自分の役割を見つけまして、クラスや生徒会の運営などに多くの生徒が競ってかかわろうとする姿が随所に見られるというふうにお聞きをしております。このような学習活動は全県的に取り入れられてきておりまして、この春からは、山田高校には探究科という科が新たに設置をされることになっております。地域とのつながりの中で、今後、社会に主体的に参画する意識が子供たちにどんどん育まれていくものと、またそうなってほしいと考えております。 これまでも、各地域での子供たちが参画いたします模擬議会でございますとか、お話にもございました県議会の議員との意見交換、こういった企画も実施をされ、政治への関心が高まっているということだと思います。私自身も、県民座談会などさまざまな機会を通じまして、若い方々の御意見もぜひお聞きをいたしまして、若者に向けた政策をPRすると、こういったことも含めまして、効果的な主権者教育、あるいは探究学習の推進に向けて、県教育委員会とも連携をして取り組んでまいりたいと考えております。 次に、私自身が、いわゆる土佐人気質の類型について、闘犬型、長尾鶏型、チャボ型、この3類型に照らして、どの類型に該当するのかというお尋ねがございました。せっかくのお尋ねでございますので、即してお答えをさせていただきたいと思います。 まず、私自身の性格、あるいは目指しているリーダー像について申しますと、私自身は、前知事のような強力なリーダーシップを発揮するというよりは、むしろボトムアップの要素も取り入れて、調和型、調整型のリーダー像を目指していきたいという意識でおります。それを目指していく際には、トップに立って人を引っ張るという側面よりは、県民の皆様と同じ目線に立ってさまざまな御意見をたくさんお聞かせいただくと、また職員の意見や悩みにも耳を傾けていくということを、まず心がけたいと思います。そうした形で、いわば県民の皆様や職員と心を一つにして一緒に進んでいく方向性を見定めていく、少し不器用かもしれませんけれども、そうした形で着実に歩みを進めるようなやり方が、私の性格に合っているのではないかというふうに感じております。 その意味で、この沢田先生の3分類、土佐人気質のどの類型に当てはまるのかということを改めて考えてみますと、基本は忍耐強く努力を重ねるという形の長尾鶏型、これが分量的には全体の4分の3ぐらいを占めているんじゃないかなと思っております。一方で、時に敢然と闘う闘犬型というのも、残る4分の1ぐらいはまざっているのではないかというふうに自己分析をしておりまして、そういう意味での混合型ではないのかなと、私なりに自己評価をいたしております。 こうした土佐人気質にあふれます県民の皆様とともに、時代の流れを見据えました先進的な取り組みも追求しながら、さらなる県勢浮揚に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。 次に、県史の編さんに取り組む決意についてお尋ねがございました。 県史の編さんの取り組みは、本県の歴史を後世に着実に継承いたしますとともに、資料の発掘や研究によりまして学術、文化の一層の振興にもつながる、大変意義のある取り組みであるというふうに考えております。 県史の編さんは、資料の収集や調査、執筆などに膨大な労力と長い年月を要する大事業となります。したがいまして、十分な体制のもとで計画的に進めていく必要があると考えております。 本年度から、各分野の有識者から成る、県史編さん基本方針策定準備検討委員会におきまして、編さんの範囲、あるいは分野、期間、体制などの具体的な検討を行っていただいているところでございます。これまでの検討委員会の議論の中では、1つには、現在の県史では記述がされていない戦後の現代史をまとめてはどうかというような御意見、また幕末・維新ですとか自由民権運動といいました本県の特徴を打ち出すような取り組みを考えてはどうかというような御意見、さらに本県の災害の歴史を含みます自然の分野の県史を取り上げてはどうか、こういったようなさまざまな御意見もいただいているというふうに報告を受けております。 今後、そうした御意見も踏まえまして、来年度中には県としての基本方針を策定してまいりたいと思います。その上で、令和3年度から本格的に事業に着手できるように、しっかりと準備を行ってまいります。 次に、カツオ・マグロ漁業の再生についてお尋ねがございました。 本県の遠洋・近海のカツオ・マグロ漁業は、海面漁業におけます生産量のおよそ3割を占めておりまして、本県を代表する重要な漁業でございます。また、小型魚までも漁獲をするまき網漁業と異なりまして、一本一本魚を釣り上げる、資源に優しい漁業でもございます。本県といたしましては、県を代表いたします、また資源の持続的な利用が可能なこうした漁業を、将来にわたって存続させていきたいというふうに考えております。 一方で、カツオ・マグロ漁業の現状を見ますと、燃油価格の高どまり、漁船員の不足、漁船の老朽化など、非常に厳しい状況にあると考えております。このため、関係者の御意見も伺いながら必要な対策をしっかりと検討し、来年度中をめどに取りまとめてまいりたいと思います。これを踏まえてカツオ・マグロ漁業の存続に向けた取り組みをしっかりと進めてまいりたいと考えております。 最後に、太平洋島嶼国・日本地方自治体ネットワークと太平洋・島サミットに関してのお尋ねがございました。 このネットワークは、太平洋島嶼国と地方自治体のこれまでの個別の交流を、国や関係機関と連携してネットワーク全体で取り組むということで、面的な交流に発展させるということを目的としております。前回の太平洋・島サミットにおきましては、このネットワークを通じた地方による交流の活性化が、島嶼国に対する国の公約の一つとして位置づけられております。 ことしの2月には、次回サミットに向けました外務省主催の太平洋島嶼国との意見交換会に、本県が地方自治体代表として出席をいたしました。会議では、活動の実績、あるいは今後の目標などについて発表いたしますとともに、国を初め島嶼国や関係機関に、本ネットワークのさらなる活用でございますとか、今後の協力を呼びかけたところであります。 代表県であります本県といたしましては、島嶼国のニーズが高い医療従事者の研修などを先行して実施いたしまして、これを他の自治体に広げていくということを予定いたしております。今後、こうした具体的な交流の取り組みの推進とネットワーク全体の活性化を通じまして、我が国と太平洋島嶼国とのさらなるきずなの強化にしっかりと貢献をしてまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、主権者教育を3つのそれぞれの段階で、どのような取り組みを進めていくべきか、現在の取り組みと課題、今後の展開についてお尋ねがございました。 18歳への選挙権年齢の引き下げによって、来年度から順次全面実施となる学習指導要領において、主権者教育は、あらゆる教科等を活用し、さらに体系的に実施されることが示されました。また、子供たちは発達段階に応じて、家庭や学校から地域や社会を題材にして、その中にある課題を解決するためのプロセスを体験的に学び、主体的、協働的に考え判断し、実践していく学習を行うことが重要になります。 例えば、現在、小学校段階では、ごみ処理に関することなど、地域の身近な課題についての解決方法を自分たちで考え実践する学びを通して、地域の一員としての意識を育んでいます。 中学校では、生徒会活動や総合的な学習の時間の中で、地域でのボランティア活動を企画、実施するなど、よりよい社会の実現を視野に入れた学習を進め、社会参画意識の涵養を図っております。 高等学校では、基本的な知識の習得に加えて、生徒がみずから地域の課題を見つけ、その解決に向けた方策を考える活動など、実践的で探究的な学びを通して、社会的な活動にみずからが参画しようとする意欲や態度を育む取り組みを進めております。このような取り組みにより生徒の主体性は育ちつつあるものの、選挙での投票行動にはまだ十分つながっていないことなどが課題となっております。 今後は、主権者教育がより重視された新学習指導要領に基づき、高知国際中学校の探究学習の成果などを踏まえて、生徒の主体性と社会性を育む地域探究活動を軸に、各学校段階の学習をしっかりと実施してまいります。 次に、高知県史編さん事業への教員や高校生のかかわりと現在の状況、今後の連携の可能性についてお尋ねがございました。 前回の県史編さんにおきましては、当時現役の県立学校の教員が、高知県史編さん専門委員として3名参加するなど、執筆や資料調査等に携わっておりました。教員が編さんに参画することは、本県の歴史の根拠となる史料に直接的にかかわり、県史研究の最先端に触れることができるとともに、歴史的な知識、技能を高めることはもちろん、調査手法の習得にもつながるものと認識をしております。 一方で、教員が編さんに携わるためには、作業量も多いと想定されますので、学校籍を離れ、例えば知事部局の職員になることなどが必要だとも考えられます。また、極めて高い歴史的専門性を有し、調査技能等も有することが求められますが、こうした知見を持った現職教員はごく少数の者に限定される状況もあり、退職教員の協力を求めることも検討する必要があると考えております。 高校生が編さんに直接的に携わることは、高い専門性が求められますことから困難であると思われますが、編さんに携わった研究者と交流したり、研究成果に触れたりする機会は大変重要であると考えております。 県史編さん事業に教員や高校生がどのように具体的にかかわることができるかにつきましては、こうした状況も考慮しながら、県教育長も本部員となっております県史編さん検討本部会議などにおいて、検討、調整が図られるものと考えております。 次に、旧陸軍歩兵第44連隊跡地に関する証言記録作成の狙いについてお尋ねがございました。 本年度、県教育委員会は、44連隊跡地の適切な保存と活用に向け、遺存する旧弾薬庫及び旧講堂等の保存活用や管理等を含めた当面の土地利活用について、専門家による旧陸軍歩兵第44連隊跡地保存活用検討委員会を立ち上げ、検討いただきました。 検討委員会からは、44連隊跡地の整備に当たっては、各委員からのさまざまな意見や提案を反映させて県教育委員会が策定した基本方針をもとに、関係諸分野でさらに検討を重ね、高知県民にとってかけがえのない場所として、適切な整備が行われていくことを期待するとの報告をいただいたところです。 その検討委員会における協議の過程におきまして、44連隊跡地に関する証言記録に関しましても、戦後74年が経過し戦争体験者並びに遺族等の関係者が高齢化している現状において、関係者の記憶が徐々に失われつつあることから、建物や土地、文書、戦争に使われた道具類などの有形の資料は大切だが、急ぎ保存しなくてはならないのは人々の記憶であるとして、関係者の方々の記憶を記録として残すことの重要性と緊急性についての御提言をいただいております。 こうしたことから、兵役につかれていた方などへの緊急のインタビューを行い、映像と文字による証言記録を急ぎ作成することで、体験や記憶の次の時代への継承を行うとともに、展示や公開など将来の活用に備えることとしたものでございます。 次に、アントレプレナーシップ教育を通じ、変革者の生きざまを学ぶことを、今後県立高校に導入してはどうかとのお尋ねがございました。 起業家や経営者が持つ、情報を収集・分析する力や新しい価値を創造する力などは、これからの不透明な時代を生きていく生徒にとっても身につけてもらいたい資質、能力の一つであると考えております。 高等学校段階において、起業家として必要となる資質や能力を体系的、専門的に学ぶことは、まだ難しい面がありますが、例えば県内で起業されている方から、歩んできた道のりや苦労したことなどについて講話をしていただくことで、起業家の職業観、勤労観等を学ぶことができます。既に安芸桜ケ丘高校では将来の起業家を目指して、県内の経営者団体の協力を得て、起業家としての理念や人材育成の手法を学ぶ課題研究の取り組みも実施されております。 今後は、各高校において、地域課題解決学習やインターンシップを活用することや、実際に起業されている方々から直接指導していただくことで、従来の枠組みにとらわれず新たなことにチャレンジする起業家精神の育成に努めていきたいと考えております。また、生徒みずからが生き方を主体的に考え、将来、起業することや地域の担い手として活躍するために必要な資質、能力を身につけられるよう、今後も地域での実体験の場を整えるなど、起業に関する学習を充実してまいります。 最後に、芸西天文学習館と高知みらい科学館とのさらなる連携の強化についてお尋ねがございました。 芸西天文学習館では、世界的に有名な関勉さんを初め、天文分野の専門家や退職教員を講師に、季節ごとの観測会や、小学生を対象として天文に関する知識や観測技術を身につけてもらう、高知こどもアストロクラブなどを実施しております。このような実際の星空を通じて、子供たちが天文について学ぶ機会を長年提供してきているところです。 一方、一昨年の7月に開館した高知みらい科学館のプラネタリウムでは、宇宙や天文に関するオリジナル番組をライブで解説しております。科学館では、プラネタリウムをきっかけにして天文に関心を持ち、生の天体観測の魅力を知っていただけるよう、現在プラネタリウムで投映中の番組において、関勉さんの業績とともに芸西天文学習館を紹介し、観測会などへの参加を呼びかけているところです。ことし6月には、オーテピアにおいて、全国から集まるすい星ファンを前に、関勉さんが天文に関する知見や芸西天文学習館について語る、第50回彗星会議の開催も予定をしております。 こうした取り組みを初め、今後も例えば、七夕や流星群など、季節季節で更新されるプラネタリウムの番組と連動した本物の星空体験イベントなど、科学館との連携を深めながら、芸西天文学習館のさらなる活性化策を検討してまいります。   (選挙管理委員長土居秀喜君登壇) ◎選挙管理委員長(土居秀喜君) 本県での3つの段階における主権者教育の取り組みについてお尋ねがございました。 県選挙管理委員会では、継続的に投票に参加する主権者の育成を目指し、小中学生や高校生、大学生などを対象に、それぞれの段階に応じた主権者教育の取り組みを進めてきております。 まず、高校入学前の段階では、県内全ての小学6年生と中学3年生を対象に、政治や選挙制度を説明した冊子を配付しております。また、高校生及び高校卒業後の大学生などを対象に、政治や社会をより身近に感じていただくために、議員の皆様に御協力をいただき開催しております、若者と議員の座談会や、ワークショップなどのイベントを開催しております。このほか、県内全ての高校3年生と県内大学の入学者を対象に、住所移転時に住民票の異動が必要である旨の周知や、不在者投票制度を説明したチラシの配付などを行っております。加えて、各段階に共通する取り組みとしまして、小・中・高・大学生などを対象とした選挙出前授業を行ってきております。 ただ、近年の投票率を見ましても、特に若年層が低い傾向にあり、政治や選挙への関心が高まっているとは言えない現状にありますことから、それぞれの取り組みをさらに充実させていくことが必要であると考えております。 例えば選挙出前授業におきましては、小中学生には、より政治や選挙への興味を持っていただくため、模擬投票の題材として地域の課題を取り上げること、また高校生や大学生には、実際の選挙への参加を見据え、新聞記事などの具体的な事例をもとに議論することにより、選挙の意義や選挙制度などへの理解を深めていくことも必要ではないかと考えております。 今後も、政治や選挙への関心が高まりますよう、それぞれの段階に応じた取り組みに工夫を加えながら、教育委員会とも連携し、粘り強く取り組んでまいります。   (副知事岩城孝章君登壇) ◎副知事(岩城孝章君) これまでの高知県政のリーダーを振り返っての所感、職員及び濱田県政についての思いに関してお尋ねがございました。 お話にありましたように、私が入庁したのは中内知事の1期目。私が20代、30代ということもあり、直接接する機会はほとんどありませんでしたが、廊下でお会いするときなど、ようと手を挙げて挨拶していただくなど親しみやすいお人柄で、安定感のあった知事だという印象を持っております。 その後を受けた橋本知事。任期終盤には私も所属長としてともに仕事をさせていただきましたが、行政の透明性の確保に向けて県庁改革に積極的に取り組まれ、地方分権時代の全国的なリーダーとして活躍をされました。 そして尾崎前知事。部長として、副知事として、3期12年間のほとんどをともに過ごさせていただきました。経済の活性化を初めとする5つの基本政策や中山間・少子化対策等に真正面から立ち向かい、目標達成への強い意志のもと、類いまれなリーダーシップを発揮されました。 その尾崎前知事の後を受け、昨年12月に濱田知事が就任をされました。就任直後だと思いますが、私が部局長を集めて話をしたのは、これまで尾崎前知事に頼り過ぎていた面があると感じていたことから、それぞれの所管部門でこれまで以上にしっかりとリーダーシップを発揮し取り組んでいくこと、また部局長同士、横の連携を重視し、新知事を支えていくようにという話をさせていただきました。 早いもので、濱田知事就任後、間もなく3カ月が経過しようとしています。この間、知事と職員たちとのきずな、連帯感は着実に強まっていると思います。今後とも、知事を先頭に職員一丸となって、県勢浮揚に向け取り組んでまいります。 次に、高知県牧野記念財団についてお尋ねがございました。 牧野植物園は、平成29年12月に策定しました牧野植物園磨き上げ整備基本構想に基づき、新しい園地のオープンやガイド機能の強化など、ハード・ソフト両面の磨き上げを進めているところです。植物園として、こうした磨き上げにより、県外からの誘客を図る観光面や、子供たちの探究心を育む教育面での役割を高めていくこととしています。 こうした役割を果たすために、植物園の運営管理を担う財団の職員の皆さんが、植物園で経験を積み、スキルを高めていくことは必要不可欠です。そのためには、職員の処遇を含め、働きがいのある職場づくりも重要な要素の一つだと考えております。このため、これまでも正職員の増員や手当の増額など処遇の改善に努めてまいりましたが、財団からは、すぐれた人材を確保するためには、さらなる職務内容や知識経験に見合った処遇にしていく必要があると聞いております。 来年度は、牧野植物園の5年間の指定管理期間の最終年度を迎えますので、財団とは、令和3年度以降の植物園の指定管理に向けた協議を始めたところです。この中で、県としても職員の処遇のさらなる改善を含め、適切な運営体制が構築できるよう検討していきたいと考えております。   (文化生活スポーツ部長橋口欣二君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(橋口欣二君) まず、県史編さんに当たっての人材確保についてお尋ねがございました。 長期間にわたります県史編さん事業には、膨大な資料の調査や研究、執筆等にかかわる人材の確保が何より欠かせないと考えております。県史編さん基本方針策定準備検討委員会の中でも、この大事業をなし遂げるためには、こうした専門的な人材の確保が最大の課題であるとの御意見をいただいております。 このため、歴史民俗資料館や高知城歴史博物館など県内の文化施設の学芸員や、大学の研究者、高等学校の教員など、幅広く専門家にかかわっていただくことが必要と考えております。そうした方々に編さんに深くかかわってもらうには、今後関係機関との調整を行わせていただき、人材の確保に努めてまいりたいと考えております。 次に、県立交通安全こどもセンターの現状についての評価と今後施設に期待することについて、またオープン記念行事についてお尋ねがございました。 交通安全こどもセンターの指定管理者につきましては、限られた予算の中で経費の削減に取り組みますとともに、年間を通じた交通安全教室や工夫を凝らしたイベントの開催などにより来場者数をできるだけふやし、収入の増加にもつなげていただいている等、その運営に当たりましてさまざまな努力をされているというふうに認識をしております。 今後とも、正しい交通知識や交通ルールを楽しみながら体得できる県内唯一の施設として、多くの皆様に利用していただけるよう取り組んでいただきたいと考えております。 また、50周年の記念行事につきましては、指定管理者と、実施に向けて今協議をしているところです。その内容は、近隣住民の方々や利用者、関係者の皆様に喜んでいただけるものとなりますよう、取り組んでまいりたいと考えております。   (総務部長君塚明宏君登壇) ◎総務部長(君塚明宏君) まず、兵籍簿が公文書館に移管された場合の取り扱いについてお尋ねがございました。 兵籍簿に限らず公文書館に移管された歴史公文書は、利用請求をしていただくことによりまして、原則としてどなたでも御利用いただけます。この際、所管課から公文書館へ移管するに当たって、プライバシー保護の観点などから、利用の制限を行うことが適切である旨の意見が付された場合には、一定の期間、該当箇所をマスキングするなど一定の制限を行うこととなります。 兵籍簿の場合、御遺族からの問い合わせ対応など、使用が見込まれなくなった時点で、移管することが想定されます。この場合、作成から相当の年限が経過しておりますことから、利用の制限というものは限定的になると考えております。 また現在、個人情報保護条例に基づきまして、6親等以内の御親族であれば、申し出により閲覧可能となっております。公文書館への移管後、利用の制限がかかる場合には、現在と同様の対応をすることになると考えております。 次に、市町村のオープンデータの取り組みの現在の課題と今後の展開についてお尋ねがございました。 市町村の状況を見ますと、各種統計などのデータは公表されております。ここに、利用に当たって出典を記載することなどのルールを定めて、これが適用されることを明らかにすれば、これはオープンデータとして取り扱われるということになります。このルールにつきましては国がひな形を示しておりまして、費用や手数がそれほどかかるものではございません。 現在の課題は、保有するデータを民間等に活用していただくという意識や、オープンデータを扱う際の手続などに関する理解が十分でないということであると認識しております。 これに対して、国においてはオープンデータを推進するため、ガイドラインや公開を推奨するデータの種類、活用事例などを示しているところです。 県としましても、これまで国のアドバイザーを活用した研修会や担当職員への説明会を開催し、市町村の取り組みを促してまいりました。新年度からは、これまでの取り組みに加えまして、県のデジタル化推進計画に基づく具体の取り組み状況を市町村とも共有し、意識の向上を後押ししますほか、情報政策課の体制を充実して、市町村からの相談窓口機能を強化してまいります。さらに、県において、市町村のオープンデータもあわせて公開する専用のウエブサイトを導入することも検討してまいります。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) 戦時中の公文書について兵籍簿以外にどういったものがあるのか、お尋ねがございました。 県では、旧陸軍関係者の恩給申請等に係る在職期間を証明するため、兵籍簿などの文書を保管しています。兵籍簿のほかに国から引き継ぎを受けた文書として、戦没地の情報や遺族との続柄を記載した戦没者原簿、引揚者が収容された場所や復員年月日を記載した陸軍身上申告書、戦没者の死亡事由や遺族に遺骨を伝達した日を記載した遺骨伝達原簿など、24種類の文書を保管しています。こうした文書は、戦没者の遺族への特別弔慰金の支給要件の確認などに使用しています。 兵籍簿などの文書は、戦時中の様子を記録する貴重な財産であると認識しております。こうした公文書につきましては、引き続き適切に保管してまいります。   (農業振興部長西岡幸生君登壇) ◎農業振興部長(西岡幸生君) まず、環境制御技術について、導入前後を比較した秀品率の変化についてお尋ねがございました。 環境制御技術につきましては、平成26年度に補助事業を創設し、重点的に普及拡大に取り組んでまいりました。その結果、野菜主要7品目では、今年度末の導入面積率が53%まで達する見込みとなっております。 環境制御技術による秀品率の変化につきましては、平成25年度から平成26年度に県内主要産地で実施した現地実証の結果によりますと、ナスでは83%から84%にやや向上、キュウリでは60%から66%に向上、ピーマンでは91%の高どまりで変化なしとの結果となっております。 野菜主要7品目につきましては、それぞれの品目の主産地の営農指導員らに実態を確認しましたところ、いずれの品目におきましても環境制御技術の導入前後で、秀品率は同等もしくはやや向上するという傾向でございました。収量が1割から2割増加することに伴い、価格の高い秀品での出荷量もふえることから、所得の向上につながっている場合が多いとの声をいただいております。 また、花卉につきましては、平成29年度に主要産地で実施した現地実証の結果によりますと、オリエンタルユリで茎が強くなるという品質向上効果が認められ、トルコギキョウでは花数の増加や全体のボリュームアップにより、秀品率が60%から64%に向上するなどの効果が出てきております。 その他、特に品質が重視されますハウスメロンやスイカにおきましては、栽培環境がより厳しい冬場においても、玉ぞろいや糖度が安定し秀品率が高くなるということで、主産地である香南市では9割以上の農家に導入が進んでおります。 次に、収量アップがそのまま所得向上につながるわけではないという側面についてお尋ねがございました。 まず、環境制御技術の導入によるコストについてでございますが、高知県のハウス野菜で平均的な栽培面積である25アールを例にとりますと、環境測定器、炭酸ガス発生機など標準的な機器類の年間の償却額は約20万円、ランニングコストは約30万円、合わせて約50万円のコスト増となります。このコスト増に対応する採算ラインは品目により異なり、例えばナスやキュウリでは4から5%の増収が必要となりますが、実際には10から30%の増収が得られており、これらの農家では所得の向上につながります。 また、環境制御技術の導入当初は、機器類を使いこなせず収量が伸びないため、所得の上がらない農家も一部おられましたが、環境制御技術普及推進員による指導や学び教えあう場での情報共有により、年々技術が定着してきております。その結果、県内各地に所得が増加する成功例がふえたことが、現在の普及状況につながっていると考えております。 一方、単価につきましては、高知県の出荷量のみならず全国の産地の出荷量や消費動向に左右され、年によっても、時期によっても変動いたします。単価が下落した場合にも農家の所得を安定して確保していくためには、環境制御技術によって単価の高い冬場の収量をふやし、年間を通して安定生産を図っていくことが必要だと考えております。 次に、新規就農者などを含めた農家実所得の中央値の変化についてお尋ねがございました。 環境制御技術導入による農家所得への影響でございますが、個々の農家の所得までは把握ができておりませんので、中央値での比較は困難でございます。そこで、新規就農者なども想定しまして、栽培面積が小さく収量が平均に達していない農家が環境制御技術を導入した場合の所得がどう変化するかにつきまして、モデル的に検証してみますと、ナスとキュウリでは、栽培面積が平均より小さい15アールで収量も平均より少ない10アール当たり14トンの農家が環境制御を導入した場合、コストは約30万円増加しますが、15%増収することにより、所得はナスで約55万円、キュウリで40万円ほど増加する結果となっております。 このように、環境制御技術は、経営規模の小さい農家やこれまでに収量を上げてこられなかった農家にも、所得向上の見込める技術であると考えております。実際に現場におきまして、農業経験のない新規就農の方が、環境制御技術を活用したデータ農業の実践により、ナス、ピーマン、キュウリ、トマトなど複数の品目において、二、三年で地域におけるトップレベルの収量を上げ、所得が大幅に増加する成功例が多く見られており、早期の経営安定にも有効な技術となっております。 今後も、個々の農家の経営規模や所得目標などに応じたきめ細かな指導を徹底し、農家の所得が高まるよう、環境制御技術の普及に取り組んでまいります。 次に、中規模・大規模次世代ハウス及び大規模施設園芸団地の経営状況についてお尋ねがございました。 県内における次世代型ハウスは、本年度末までに282棟、59ヘクタールに普及してまいりました。 次世代型ハウスの経営状況につきましては、1ヘクタール未満の中規模ハウスでは、しっかりとした栽培技術や経営管理能力を有した農家が規模拡大した場合が多く、初年度から安定した経営が継続されている傾向にございます。また、1ヘクタール以上の大規模ハウスでは、異業種からの企業参入の場合が多く、初年度は栽培管理者のスキルや雇用労働力の確保が課題となりましたが、2年目以降の経営状況はおおむね計画どおりに改善されております。四万十町の大規模施設園芸団地では、高度な環境制御装置などを使いこなせる技術力を有した栽培管理者と雇用労働力の確保により、初年度からほぼ目標どおりの経営状況となっており、全国に10拠点整備された次世代施設園芸拠点の中でも優良事例となっております。このように、いずれの事例もおおむね安定した経営状況となってきておりますことから、純利益は確保されているものと考えております。 なお、これらの次世代型ハウスの整備には国や県の補助事業が活用されており、補助金による初期投資の圧縮を踏まえた経営計画のもと、営農に取り組まれております。そのため、補助金を除く想定での収支を考えてみますと、資金の借り入れが増加し毎年の返済がふえていきますことから、純利益が減少し資金繰りが厳しくなる場合もあるのではないかというふうに考えております。 次に、農家の生産や販売の情報をクラウドに提供するスキームにおける知的財産の所有権について、また農家と結ぶ契約についてお尋ねがございました。 IoPプロジェクトにつきましては、平成30年度から令和4年度までの5カ年間、内閣府の地方大学・地域産業創生交付金を活用しながら、さまざまな研究開発を進めているところです。その成果を少しでも早く農家の皆様に活用いただくため、来年度からIoPクラウドのプロトタイプを構築し、実際に農家の皆様にお試しをいただきながら、令和4年度末からの本格運用を目指して取り組みを進めてまいります。 このIoPクラウドでは、農家の皆様のさまざまな情報を集約してまいりますが、これらの情報には、所有権の対象とされていない環境データや出荷データなどの単なるデータ情報のみならず、栽培技術やノウハウなどの知的財産ともなり得る有益な情報も含まれますことから、本人の承諾なしには他者が閲覧したり利用できないことを基本に構築してまいります。 なお、IoPクラウドの構築に当たり農家と結ぶ契約につきましては、農家と県の間で、提供いただくデータをIoPプロジェクト以外の目的での利用や第三者提供は行わないことなどを定めた同意書を交わし、守秘義務を遵守した上で取り組んでおります。 次に、篤農家の皆様に対し、情報を提供することのリスクを上回る利益の提示についてお尋ねがございました。 県では、これまでもIPM技術や環境制御技術等の最新技術を普及していくために、多くの篤農家の皆様が実際に栽培管理している圃場を、学び教えあう場として活用させていただき、地域の農家の皆様と情報を共有し切磋琢磨していくことで、産地全体での技術の確立と普及を図ってまいりました。 IoPクラウドの構築におきましても、この学び教えあう場と同様に、県内の篤農家の皆様に御協力いただき、ハウス環境データや生育調査結果などの情報から作物の光合成や生育の最適モデルを提案するAIの開発等に取り組んでいるところです。 IoPクラウドでは、篤農家の皆様にとりましても参考となる最適モデルと、実際の自分のハウスの状況を比較し、有益な情報が得られる仕組みとして、構築をしてまいります。最適モデルを参考に日々の栽培管理を改善していくことにより、さらに安定した、一歩進んだ生産が行えるようになるものと考えております。 最後に、IoPクラウドのスキームにおける、高知野菜のシェアが失われ、産出額が減少するリスクについてお尋ねがございました。 IoPプロジェクトでは、産学官が連携して制御機器類やシステム、アプリケーションの開発を促進し、これらの製品を全国や海外に外商していくことで、県内施設園芸産業群の創出につなげていきたいと考えております。 議員の御指摘のとおり、高知で培われてきた技術やノウハウとも言える情報やデータに関しましては、県にとりましても、また個々の農家の皆様や産地にとりましても重要な財産であり、IoPクラウドのスキームにおいて、データをもとに開発したAIなども含め、高知のノウハウを県外や海外に流出させてはならないというふうに考えております。 そのため、高知の農家から得た情報で構築したシステム自体を県外や海外に販売することはありませんが、一方で新たな知見をもとに開発された製品等については、県外や海外への外商も目指してまいりたいと考えております。例えば、高知工科大学等で開発中の画像解析によりナスの花や実の数をカウントするAIなどは、将来的に高知で栽培していない品目にも応用していくことで、外商が可能になるのでないかというふうに考えております。 IoPプロジェクトの推進に当たりましては、農家の皆様や農業団体ともしっかり連携し、情報共有しながら、データの提供をいただいた農家の皆様はもとより、県内の農家の皆様の利益を損なうことには決してならないよう、また高知野菜のシェア拡大と産出額の増加につながりますよう取り組んでまいります。   (産業振興推進部長井上浩之君登壇) ◎産業振興推進部長(井上浩之君) まず、思い切った取り組みによるスタートアップ企業の創出と、そうした企業に県に協力してもらう仕組みについてお尋ねがありました。 本県経済の持続的な発展のためには、継続的に新しい挑戦が行われ、新たな付加価値を創造する環境をつくっていくことが重要であり、起業や新事業展開を促進していくための施策を強化してまいりました。 具体的には、起業の専門家による相談対応から、アイデアを形にしビジネスへとつなげるプログラムの実施、そして初期投資に対する資金的な支援といった、起業に必要な一連の手厚い仕組みとして、お話がありました基金事業の終了後、平成28年度にこうち起業サロンを、そして平成29年度からはこうちスタートアップパークを構築しまして、起業家の裾野の拡大とビジネスの創出に取り組んでいるところでございます。さらに、今年度からは、高付加価値ビジネスを目指す県内起業家の育成に向けまして、県内の起業希望者がチームを組み、都市圏のスタートアップ企業の持つ技術や知見に触れながら、ビジネス化の手法を習得するプログラムも実施しております。 こうした一連の仕組みによるサポートの中で、資金調達へのサポートも重要なポイントとなります。基金事業があったころと比べますと、県による試作品の開発への助成や、昨年度から始まりました国、県による起業支援金の助成といった公的な支援に加えまして、クラウドファンディングの活用、さらには金融機関からの融資やファンドからの出資など、資金調達手法も多様化をしておるところであります。起業しようとする方のニーズに合った資金調達ができますよう、こうちスタートアップパークに御協力いただいております県内の金融機関の皆様とも連携して、引き続きしっかりと資金面でのサポートもしてまいりたいと考えております。 また、こうした取り組みを通じて生まれる起業家の皆様方には、こうちスタートアップパークにおいて、起業を志す方々に対するメンターとして参画をしていただくなど、人材育成や事業のブラッシュアップ、さらには起業後のフォローにも協力をしていただけるように取り組んでまいりたいと考えております。 次に、基金事業の卒業生との連携についてお尋ねがございました。 こうちビジネスチャレンジ基金事業の認定企業16社は、医療や農業、食品加工などさまざまな業種にわたっており、それぞれの分野で活躍をされております。これまでも、産学官民連携センターの開所記念イベントでの基調講演を初め、起業セミナーの講師として県の取り組みに御協力をいただいておるところでございますけれども、昨年度は初めて認定企業の交流会も開催いたしまして、ネットワーク化も進めているところでございます。 今後、こうしたつながりをさらに深めていきたいと考えており、来年度、ココプラにおける革新的なビジネスに取り組む経営者を対象に開催しますセミナーの講師などもお願いをしたいと思っております。 また、起業や新事業展開を目指す方々の交流会への先輩企業としての参加も呼びかけまして、スタートアップ人材の育成や、新しい事業にチャレンジする方々との交流などへの協力もお願いするとともに、県の進めます起業促進策のさらなるバージョンアップに向けましたアドバイスも賜りたいというふうに考えております。   (商工労働部長近藤雅宏君登壇) ◎商工労働部長(近藤雅宏君) オープンイノベーションプラットフォームの取り組みに当たり、オープンデータを活用することによる可能性についてお尋ねがございました。 県では、IoTやAIなどのデジタル技術を活用してあらゆる分野の課題解決と産業振興を図る、課題解決型産業創出の取り組みを平成28年度から進めてまいりました。来年度からは、県内外から企業や研究者等に参画を求め、技術やアイデアを組み合わせて新しいビジネスをつくり出すことを目指して、オープンイノベーションプラットフォームを新たに設置することとしております。 少子高齢化、過疎化など、今後全国各地で直面するであろうさまざまな課題を抱える本県において、地域の実相を客観的にあらわすオープンデータを活用することができる環境を整えることは、より市場のニーズに即したビジネスが生まれる可能性が高まるものと期待されます。 具体的な例としましては、東京都が公開をしている、都立文化施設の多目的トイレの位置情報などのオープンデータを活用しまして、都内のNPOと企業が共同でバリアフリー地図アプリを開発し、障害者やベビーカー利用者などが外出時に必要となる情報を提供するサービスにつながった事例などがございます。 このようなサービスは、情報がオープンデータとして公開をされていれば、全国各地に展開が可能となりますことから、ビジネス面でのメリットも大きなものになると考えられます。 本県におきましても、県民消費動向調査や公共交通データなど、現在およそ100件のデータを、オープンデータとして県のホームページで公開し、順次拡大していくこととしており、今後市町村の取り組みも含め、オープンイノベーシプラットフォームの施策との連携を図ってまいります。   (観光振興部長吉村大君登壇) ◎観光振興部長(吉村大君) まず、アウトドア観光を進める上での安全管理の取り組みと今後の対応についてお尋ねがありました。 県では、これまで土佐の観光創生塾や観光拠点の整備支援などを通じまして、安全管理の視点も取り入れながら、地域が主体となった、自然や産業、暮らしなど身近な資源を生かした、滞在・体験メニューの創出に取り組んでまいりました。 このたびの自然&体験キャンペーンの実施に当たりまして、県内で活躍するインストラクターなどの方々から、安全管理に関する標準的なガイドラインを定めるよう要請されたことを機に、体験型観光における安全管理の業務手順を明示して、事故防止や事故発生時の対策に万全を期すことといたしました。現在、弁護士や保険会社、体験事業者などの皆様から御意見をいただきながら、メニューの実施前に必要となる事前準備や、実施中の安全対策、事故が起こった場合の対策に区分し、必要な業務手順をまとめているところです。 具体的には、まず事前準備として、天候悪化時や危険箇所を想定したコースづくり、メニューのプログラムに応じた参加資格の設定や保険加入の推奨、事故発生に備えた緊急連絡網の構築、こうち医療ネットを活用した医療案内といった、事故防止のための備えについて定めています。次に、実施中の安全対策としては、危険箇所の注意喚起、参加者の体調や天候の変化に伴う中止やコースの変更、参加者に合わせた進行など、事故防止のための運営について定めています。3つ目の事故が起こった場合の対策としては、被害を最小限に抑えるための応急手当てや救命処置の実施、警察や消防、病院、保険会社等との的確な連携などについて定めています。 このガイドラインを、今月中にはまとめ上げまして、アウトドア観光などの体験事業者の皆様に広く周知し、各事業者の業務マニュアル等への反映や見直しに役立てていただくことで、安全管理のさらなるレベルアップが進みますよう取り組んでまいります。 次に、星空観光に関する所見と芸西天文学習館との連携の可能性についてお尋ねがありました。 スターウオッチングや天文台を活用した天体観測などのいわゆる星空観光は、観光客の皆様に夜間の観光を楽しんでいただく機会を提供しますことで、滞在時間の延長によるにぎわいづくりや宿泊にも結びつきやすいことから、観光総消費額の増加が期待できると考えています。 本県におきましては、足摺岬の展望台から広がる眺望を生かし、都会ではなかなか見ることのできない星が見られる足摺スターウオッチングや、本県で唯一国から認定を受けた星空の街、四万十市での天体観測などのガイドプログラムが人気となっています。 こうしたプログラムは、ナイトタイムエコノミーの推進や中山間地域の振興につながる観光資源であり、自然&体験キャンペーンにおいても、特設ウエブサイトなどを通じた情報発信を行っているところです。 さらに、津野町の天狗荘では、ワンランク上の宿泊施設を目指して、星空を眺められる客室を初め、プラネタリウムや天文台などを備えるとともに、1,400メートルの標高を生かした満天の星の魅力を伝えるガイドプログラムが計画されています。 このように、県内各地に、それぞれの立地条件を生かした星空観光ガイドの取り組みが広がりつつありますので、芸西天文学習館の講師の方々の知見やネットワークを活用させていただくことにつきまして、検討を進めてまいりたいと考えています。 ◆25番(大石宗君) 知事初め、皆さんの本当に丁寧な御答弁、ありがとうございました。 知事が、闘犬が4分の1入っているということで。今は本当に危機管理の時代です。そういう意味では、また闘犬型のよさも出していただけたらと思います。 その中で、県史の編さんですけれども、知事から十分な体制で計画的に進めるという御答弁をいただきました。この十分な体制というのが、まず何を意味するのかというのを、再質問で聞きたいと思います。これを、資金と、それから県庁内の事務局体制という意味と、具体的には私は捉えています。 知事は長尾鶏型が4分の3ですけれども、長尾鶏の人ですね、大体牧野富太郎とか西谷退三とか寺田寅彦とかが共通して人生において困ったのはお金なんですね。研究を続けるのにお金がなくて大変で、奥さんにも逃げられかけるとか、こういうことで、研究を続けていくというのは大変なことであります。 そういう意味で、この県史の編さん、本当に資金をしっかり県が手当てするのか、そして事務局をしっかり引き受けるのかどうか、こういう具体的なことが必要かと思いますけれども、十分な体制でという意味について、もう一度知事にお伺いをしたいと思います。 そして、教育長には県史編さん--要請になりますけれども、もう本当に日本の第一人者のような研究者がたくさん来る可能性があるわけですから、ぜひ生徒さんたちがそういう人材とかに触れ合う--余り歴史のことはわからなくても、例えば調査に行くとか、こういう仕事もあると思うんですね。そういう意味で、また県立高校の学生さんと連携できるような体制をぜひつくっていただきたいと、これは要請をしておきます。 アントレプレナーのところで、起業した人を呼ぶという御答弁いただきましたけれども、私は起業しただけではだめだと思うんですね。あと2つ条件があって、成功しているかどうかということと、それからもう一つは変革者であるかどうかということだと思います。今まで社会になかったような新しい仕組みを提供するとか、そういう本当に変革者と言われる人、そして実際成功した人、こういうところまで突き詰めて呼んでいただくようなことをできたらなというふうに思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。 それから、文化生活スポーツ部長は交通公園50周年、やるということで、ぜひ楽しみにしていますので、また前へ進めていただけたらというお願いをしたいと思います。 それから、兵籍簿の関連ですけれども、総務部長から御答弁いただきましたとおり--答弁を聞くと、歴史的資料として研究するという余地があるように、思いました。地域福祉部長にお伺いしたいのは--今、多分閲覧の事務をずっとやっていることに支障が出るのが一番まずいというふうに思いますけれども、このあたりは本当に支障がないなら、やはりこういうことも検討を進めていくべきだと思います。遺族会とか遺族の皆さん、親族の皆さんと、ぜひ話し合いもどこかの段階でしていただきたいと思いますけれども、これはちょっと質問として、今の見解--それからそのほかの資料のことも御答弁いただきましたけれども、こういうものも今後そういう協議ができないのかということも、見解をお伺いしたいと思います。 それから、農業ですけれども、環境制御、本当にすばらしい結果を出しているということを今お伺いしました。特に質に関して、本当にいい話ばっかり今回出たんですけれども、逆に課題はないのかということも伺いたいんで、これは農業振興部長に質問をさせていただきます。 それから2点目です。中規模以上のハウスについては、補助金を前提としているから補助金を除くとそもそも計画していないという、こういうお話もありましたけれども、もともとこういうものをどんどん横展開していくということで考えれば、補助金を今回--しかも1発目で結構なお金が入っている補助金を前提にしている以上、今後の広がっていく見通しをどういうふうに考えられているのか、あわせて農業振興部長に伺いたいと思います。 それから、クラウドに関して、農業振興部長に2点伺いたいと思います。1つは、他者が利用できないように同意書も、それから守秘義務もしっかりやるということで、これは農家の皆さんは安心されると思うんですけれども、情報というのは一旦中に入ると、名前もわからないわけですし、少し条件を変えるとその人の情報かどうか特定できないとか、こういう課題もあるように思うんです。そういう意味で、本当に一個一個守秘義務を守ってできるのかという懸念も少しあるわけですけれども、そのあたり、もう一回御答弁をいただきたいと思います。 そして、篤農家に関してです。学び教えあう場はこれまでも成功してきたという話でしたけれども、今度のクラウドの話は、それ以上に大きな話だと思うんですね。だから、これまでのように、本当に篤農家の皆さんにメリットがあるのかどうかというのが、先ほどの答弁では少し腹に落ちないというか、ちょっとわかりづらかったので、もう一回詳しくお伺いをしたいと思います。 それから、産業振興推進部長に、これは質問じゃないんですけれども、スタートアップパークを利用してというお話がありましたけれども、やっぱり起業家というのは、育成するって余りうまくいかないと思うんですよね。やっぱりビジネスプランに投資をした前のような事業のほうがはっきりわかりやすくて、新しい人が生まれるような気がします。そういう意味で、県外の人にノウハウを学ぶとかこういったことではなくて、新しい事業を応援するような取り組み--県のお金では前のような事業はできないかもしれませんけれども、ぜひ仕組みを考えていただきたいというふうにお願いをして、2問目とさせていただきたいと思います。 ◎知事(濱田省司君) 大石議員からの県史編さんに関しての体制についての再質問にお答えをいたします。 ただいま教育長や文化生活スポーツ部長のほうからも御答弁申し上げましたとおり、まず人材というのが、大いに大事な体制の中身になろうかと思います。そういった具体的な人、ないしは処遇といいますか、組織上の位置づけ、こういったものはもちろんでございますけれども、今議員から御指摘もございましたような予算面、お金の面での手当てというのも、当然必要な体制に入ってくると思います。 何分長期にわたるという事業でもございますし、やる以上は中途半端なものをやっても仕方がないという思いもございますので、しっかりと県の財産になるようなものをつくっていくという観点から、財政的にもしっかりとした裏打ちをしたいと考えております。 ◎地域福祉部長(福留利也君) 兵籍簿の研究用の使用ということでお話がございました。 現在、兵籍簿につきましては援護事務ということで、個人情報の取扱事務、こちらのほうで取り扱っているものでございまして、個人情報保護条例では、こうした取扱事務を目的以外の目的のために利用提供することが禁止されております。ただし、例外的に高知県個人情報保護制度委員会の意見を聞いた上で、公益性の必要があると認められるときは、目的外の利用提供が可能となります。 議員のほうからお話のありました、兵籍簿の研究用の利用に当たってのハードルということになりますと、この兵籍簿を研究用に利用する場合の公益性の検討が必要ということになろうかと思います。 以上でございます。 ◎農業振興部長(西岡幸生君) 4点、答えさせていただきます。 まず1点目は、環境制御技術に関する課題が何かないかということでございます。 今考えられるところで言いますと、先ほど答弁の中にもありましたが、例えば、環境制御技術を導入するに当たり、一定のコストがかかるということがございます。今のNext次世代型の研究の中でも、そういう部分の、もっと安価な環境制御技術の装置なんかができないかということも考えております。 さらに、ここから先、例えば環境制御技術を広げていこうとすると、もう先進的な考え方の方は大分入れてまいりましたので、今後広げていくとなると、どうしてもまだちょっと消極的な方がやはり多いのではないかと思います。そういう方々に対しましては、やはり事例をよく見せるということが、これからの方向性ではないかというふうに考えております。 続きまして、中規模以上のハウスの今後の見通しでございます。 これも、先ほどの環境制御技術と似たようなところがあると思いますが、やはり取り組もうとする方はもう既に、今の補助金なんかも含めて取り組まれているところがございます。そういうところについて、やはりそれ自体もしっかりと成果を出しているところでございますので、例えば、次世代型ハウスの連携協議会、議員のほうからもおっしゃっていただきましたが、そういうものもつくっておりますので、そういうところで情報共有しながらいい成果を広げていくという形で考えたいと思います。まだまだ広がっていくというふうには考えております。 それと3点目でございます。IoPクラウドに関する守秘義務についてでございます。 基本的には、守秘義務については、先ほどおっしゃっていただきました個人にひもづいた形でとるという場合もありますし、そうではないという場合もあるかと思います。特に篤農家さんからいただくような情報につきましては、しっかりと個人とひもづいた形で、それが全体として成果を上げているという形が非常に大事なところでもございます。そういうところについては、おっしゃいましたように、セキュリティーにも非常に意を用いて、しっかりと構築していきたいというふうに考えています。 それから最後でございます。学び教えあう場等の篤農家に対するメリットというところですが、やはりこれまでも、先ほども申しましたが、篤農家さん自体には学び教えあう場において、非常に自分のノウハウとかも積極的に地域の皆さんに広げていこうというふうな形で、これまでも御協力をいただきました。今回、地域の篤農家さんにも、もう既に同意書をいただいて、その情報をいただいているところもございます。 それともう一つは、最後のほうで言いましたが、最適モデルをつくると、農家さんはそのとおりやるわけではなくて、例えば、温度はこう、湿度はこうという、パーツパーツだけでも自分に対するメリット--じゃ、こういうやり方もあるのかというような形でも、やはり参考になるところがあるんじゃないかというふうに思っておりますので、そういうところが篤農家さんに対しては、より一歩進むためのメリットになるんじゃないかと思います。 以上でございます。 ◆25番(大石宗君) どうもありがとうございました。 きょうは、知事には、19年前の作文を引っ張り出して大変失礼な質問もしましたけれども、知事の本当に温厚な姿勢と、それから芯のあることは、非常にみんな理解したと思います。 県史編さんも、あるいはさっきの農業の知財の話も、県民の皆さんにしっかり説明して、対話していくことが大事だと思いますので、ぜひ引き続きお願いをしたいと思います。 それからもう一点、尾崎県政を振り返って、やっぱり攻めという姿勢が、非常に産業振興計画を初め、尾崎知事にはあったと思うんですね。これは非常にすばらしいことだったと思うんですけれども、一方で、守るということも、これから非常に重要になってくると思います。きょうは、マグロの話とかカツオの話、あるいは農家の話もしましたけれども、濱田県政、ぜひ守るということも主眼に置いて、これから県勢発展に取り組んでいただきたいということをお願いして、一切の質問を終わらせていただきたいと思います。きょうはどうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(弘田兼一君) 暫時休憩いたします。   午後3時2分休憩-----------------------------------   午後3時20分再開 ○議長(桑名龍吾君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 21番上治堂司君。   (21番上治堂司君登壇) ◆21番(上治堂司君) 私は、昨年4月に中芸地域5町村から選出され、議員活動を行って10カ月になります。今議会、初めて登壇する機会をいただきまして、本当にありがとうございます。 まず、新型コロナウイルス感染症対策について、本日知事から報告がありました。知事を本部長として、県は適切な対応をしているということでございますけれども、県民の安全・安心を第一に考えて、各分野においてさまざまな面で、なお一層の対応をよろしくお願いいたします。また、観光関係や宿泊施設等ではキャンセルが相次いでおり、各産業分野においても厳しい環境になっていると聞いております。経済・産業面においても、適切な対応、支援がされますようにお願いをいたします。 それでは、議長から発言のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。 まず濱田知事は、当選後最初の12月議会、そして今議会において、若者が住み続けられる中山間地域の実現なくして高知県の発展はないという強い思いを持って、県政の各政策において、中山間振興を念頭に置いた取り組みを進めていくと表明されています。私たち中山間地域に暮らす県民にとりましては、本当に心強い限りであります。 さて、私は、日本という国は大変すばらしい国だと思っております。それは、政治、経済などの中心として世界に活動する大都市東京、そして北は札幌から始まって、横浜、名古屋、大阪、神戸、福岡など人口100万人以上の中核となる都市、そして全国県庁所在地の地方都市、そしてそれを取り巻く市町村それぞれが、農山漁村なくして都市はなく、都市なくして農山漁村はないという互恵の理念のもと、それぞれの役割を行っていて、日本という国を形成していると思っております。 その中にあって、本県の中山間地域の自治体は、少子化や社会的要因による人口減少に伴う過疎化のスピードが速く、また道路や公共交通等の条件不利地域が多いため企業誘致も難しく、税収を確保することが厳しい環境にあります。しかしながら、風土とともに地域の文化、伝統を守りながら農林水産業の振興、資源循環型社会の構築、国土保全など諸課題に積極的に取り組んでいます。 また、自主性、主体性を発揮し、地方創生を着実に進めていくとともに、地域の実情に応じた社会保障サービス、道路や橋梁、水道などの重要インフラの整備、住民の命を守る防災・減災対策等、山積する各種施策を着実に推進するため、日々努力を積み重ねている状況であります。しかしながら、多くの中山間地域の自治体は、これらの施策を実現するために、国、県の補助金や交付金を活用したとしても、多くの自主財源を必要としているところです。特に小規模な町村においては、税収が少ないため、財源調整機能と財源保障機能の役割を持つ地方交付税に頼っていて、歳入に占める地方交付税の割合が約40%になっているのが現状であります。 その地方交付税も、算定の基礎となる測定単位において、多くの項目で人口が基本になっています。本県のように、少ない人口で広い面積を有し、多面的機能を発揮し、国土保全を行いながら離れた多くの集落を維持し、社会福祉の充実、人口定住に向けたさまざまな取り組みを行っていくということは大変厳しい状況であります。また、民間事業体が少ないため、景気が上向いたからといって、地方税収が大きく伸びることもないところであります。 国は、こうした厳しい市町村の状況を鑑みて、基準財政需要額の算定に特別枠を設けて対応していますが、平成24年度に創設をされました地域経済・雇用対策費も年々算定額が減少し、平成29年度の最終には創設から83%の減少となる自治体もあり、予算編成が厳しい状況だとお聞きしています。 令和2年度には、人口減少率、高齢者人口比率、生産年齢人口減少率など、全国平均を上回って人口が減少し、少子高齢化が進行している団体の経費を割り増し算定する、地域社会再生事業費が創設される予定であり、本県のような中山間地域にとっては、これは大いに期待をしているところです。 県内の中山間地域がこれからも地方創生を進め、知事の思いであります若者が住み続けられる地域の実現に向けては、安定した地方交付税の配分が必要であります。令和2年度に創設される予定の地域社会再生事業費が、将来にわたってしっかりと確保されていくことが県内の自治体にとって大事であると考えます。 自治体を総括する総務省におられました知事の地方交付税に対する考え方についてお伺いいたします。 次に、県内多くの自治体にとって、施策を行っていくのに欠くことのできないのが過疎債であります。現過疎法は、令和3年3月末をもって法の期限が来るところであり、全国過疎地域自立促進連盟は、令和元年11月15日に新たな過疎対策法の制定に関する決議を行い、引き続き総合的な過疎対策を充実強化し、過疎地域の振興が図られるよう、関係機関に強く要望しているところです。県におかれましても、令和元年7月に県と高知県地域振興総合協議会、過疎関係市町村等で構成する高知県次期過疎対策検討会を立ち上げ、令和元年11月15日に新たな過疎対策の施策の視点として、産業をつくる、生活を守る取り組み、集落の維持・再生の仕組みづくり、担い手の確保と育成を基本とした全体提言や、過疎地域の環境と特性を生かした産業の振興、安全で安心して暮らし続けることができる生活基盤の確立、集落対策等の推進、高度情報通信基盤及び道路網等のインフラ整備促進を図る個別提言を取りまとめているところです。 過疎地域は、言うまでもなく豊かな自然や歴史文化を有する心のふるさとであり、都市に対して食料、水、エネルギーの供給、国土保全など、国全体に対して過疎地域が果たしている役割は大きいと思います。本県の取りまとめた提言は、全国の過疎地域でも同様の課題であると考えますので、この提言が実現されるよう期待をするところです。 そこで、今後高知県及び高知県地域振興総合協議会が取りまとめた次期過疎対策に向けた全体提言や個別提言の実現に向けて、知事はどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、ダム、水力発電施設が立地する中山間地域は、さまざまな環境の中で条件不利地域に所在し、これまで多くの犠牲を払いながら、水源地域として森林を形成し水資源を育み、水や電力の安定供給という重要かつ公益的な役割を担っています。また、国土保全や水源の涵養、河川環境の維持・保全を通じた水資源の開発や、クリーンで安全な水力発電の安定供給など、水の恵みを将来にわたって享受することができる社会を目指す水資源政策を実施しています。 国においては、過疎化、少子高齢化の進行、財政基盤の脆弱化など水源地域の厳しい状況に対し、ダム・発電関係市町村振興対策として、水力発電施設周辺地域交付金を制度化して対応しているところです。 全国で組織するダム・発電関係市町村全国協議会の会員は536市町村で、県内では17市町村が会員となっており、平成31年度には約1億4,000万円が交付され、地域住民の生活の利便性の向上や産業振興など、それぞれ市町村の振興策に活用されているところです。しかしながら、県内で交付を受けている16市町村のうち9市町村が、令和3年3月末をもって交付期限を迎えることになっています。 水源地域の重要性、また中山間地域の活性化を考えた場合、水力発電施設周辺地域交付金制度は継続、または時限立法ではなく恒久的に措置されるべきと考えますが、この交付金制度に対する知事の考え方をお伺いいたします。 次に、私は商工農林水産委員会に所属をしておりますけれども、県勢浮揚を図っていく施策の中で、高知県の強みである農業、林業、水産業の1次産業の活性化を図っていくことは、大変重要であります。そして、時代と環境の変化に対応し、次世代の1次産業を推進していくために、県では、さまざまな研究施設、試験場、また人材育成を行っていく上で、大学や技術学校を設置しているところです。そして、設置している施設の多くは、県土全体で見てみますと、中央部と西部地区にあるのが現状であります。 県東部2市7町村で構成します安芸広域市町村では、東部地域全体の各種行政課題に各市町村が協力して対応しているところです。近年、県東部では、医療に携わる人材不足によって医療機関の存続が困難な状況になり、地域住民にとって安全・安心の確保ができていないところであります。そのため、安芸広域行政の中で、看護学校の設立に向けて研究、検討を行っていましたが、さまざまな面で課題が大きく、前進できていない状況にありました。しかし、平成30年に入って、県が主導で東部地域医療確保対策協議会を設置し、看護師養成所を含む多機能型支援施設の提案もしていただいているところであります。 県においては、次期過疎対策に向けた提言の中で、県全体の底上げを図るため、財政力の乏しい市町村の抱える課題に対して、県がより大きな役割を果たしていくことが重要であるとしています。その役割として、人的支援、財政的支援を行いながら、県が関係市町村と連携・協調して広域で実施するとなっています。また、安全で安心して暮らし続けることができる生活基盤の確立では、医療体制の充実の重要性もうたっているところです。 私の村、馬路村は、昼の人口が住民基本台帳より約1割程度多い村であります。将来にわたって定住人口の増加を図っていくために、通勤者に対しまして、問題点等について聞き取り調査を行いました。馬路村は、地域医療対策によって診療所やヘリポートは設置できておりますけれども、そのときの多くの方々の回答には、病院等医療に対する不安で、馬路村に住むということにはならなかった点もありました。そしてまた、高知市から東部へ車で走っていると毎日のように救急車に会いますが、室戸市消防が目につくことが多いのが現実であります。室戸市佐喜浜地区から高知市の医療機関までの時間は、救急車でも約2時間半かかるようであります。 少子化が進む本県にとって、生徒数の確保の問題など、新たな複合的な看護専門学校の設置には課題が多いと思いますが、地域住民の安全・安心を確保していくには、地域医療に携わる医療スタッフの確保が必要であると考えます。 東部地域は県が主体的に行っている施設が少ないところであり、いま一度県がリーダーシップをとり、スピード感を持って県東部への看護学校の設置に取り組むべきと考えますが、副知事に御所見をお伺いいたします。 次に、令和7年に大阪・関西万博が開催予定になっており、今関西圏は、経済活力が上向いているということであります。知事は、大阪副知事の経験を生かし、万博の機会を捉え、さまざまな面で活力に満ちている関西圏から、外国人観光客の誘致や地産外商の拡大など、高知に誘引する施策を行おうとしています。 第3期産業振興計画の観光分野の実行3年半の取り組みの総括では、宿泊を伴う外国人観光客数は、平成28年から平成30年まで7万人泊台で、目標の54%となっています。今議会の提案説明において、令和5年には約4倍の30万人泊にまで伸ばすことを目指して、台湾や香港を初めとする重点市場を中心に動画配信などのプロモーションを積極的に展開するとともに、関西国際空港を経由した旅行商品づくりなどにも取り組むと述べられました。さらに、これから知事のトップセールスにより関西圏からの誘致活動が進めば、外国人観光客だけではなく、国内観光客も含めた多くの宿泊客が本県に来るのではと期待をするところです。 また、近年において効果的なセールスやプロモーションを行って、スポーツのキャンプ誘致、マラソンやサイクリングなどのイベント、全国的な催しなどが高知市内で多く開催され、全国から観光客などを受け入れている状況であります。私は郡部でありますので、会議、研修、調査などで高知市内に宿泊する機会が多いわけですが、近年早くから予約をしないと、なかなか泊まることができない状況であります。 また、高知市内に急に泊まることになった場合、なかなか泊まることができないということを、郡部の市町村からたびたび耳にします。外国人だけでなく、関西圏から多くの観光客が本県を訪れ出したとき、このような宿泊環境の状況を考慮すると、何らかの手だてが必要ではないかと考えるところであります。 そこで、今後関西圏からの観光客が大きく伸びることを想定した場合、どのように宿泊の受け入れをしていくのか、観光振興部長にお伺いいたします。 次に、関西圏から高知県へ迎える交通網の整備についてですが、高知インターチェンジから高知南インターチェンジまでの高規格道路は、令和2年度末の開通を目指して工事が急ピッチで進んでいるところです。関西圏に最も近い県東部の高規格道路の進捗を見てみますと、新規事業化となっている工事推進中の高知龍馬空港から香南のいち間、芸西西から安芸東間、北川村柏木から和田までの工事状況は、着実に進んではいるものの道路用地の確保などの問題もあり、完成には時間がかかると思われます。 東部の関係市町村で構成いたしますそれぞれの道路整備促進期成同盟会、また各市町村長や議会議長会においては、早期の8の字ネットワークの完成を目指して各関係機関に要望活動を続けているところですが、高知インターチェンジから高知南インターチェンジまでの工事が完了しますと、いよいよ本格的にそれぞれの東部の未整備区間に多くの予算が投入され、目に見えて進んでいくものと期待をしているところであります。 去る2月1日に行われました、四国の新幹線を考えるシンポジウムで、新幹線は北海道から九州まで行き渡り、具体的な整備計画がないのは四国だけであり、スローガンを「さぁ、次は四国の番だ。」として声を上げているところです。8の字ネットワークの中で、整備がおくれている東部地域の住民の皆様は、高知インターチェンジから高知南インターチェンジまでが完成をいたしますと、まさに、さあ次は東部の番だという気持ちで積極的に整備促進活動をしているところです。 また、去る1月18日に安芸市で行われました、四国の道を考える会主催の高知県東部における道路整備の進展を祝う会において、四国地方整備局長は、四国8の字ネットワークの中でも県東部未整備区間は最重点的に行わなければいけない区間だと発言され、私たちは大いに期待をしているところであります。県東部の高規格道路の整備が進むことによって、徳島県南部地区も同様に進み、四国8の字ネットワーク全体の完成が早期になると考えます。 2025年の大阪・関西万博までに県東部が待ち望んでいる高規格道路の整備をどこまで進捗させていきたいのか、県の考え方を土木部長にお伺いいたします。 また、東部の高規格道路が進んでいきますと、観光や物流などにおいて接続される主要地方道である安田東洋線、魚梁瀬公園線の利用度も今以上に大きくなってくると思います。現在、同路線は、災害復旧事業や社会資本整備総合交付金などを活用したトンネル工事を含めて15カ所、明許繰り越しを入れて約24億2,000万円の事業費が投入され、整備が進んでいるところです。しかしながら、本路線の2車線化での整備率は約20%と極めて低い上、急峻な地形や厳しい自然条件に阻まれ、落石により通行どめとなるなど、たび重なる道路の寸断は地域住民に大きな不安を与えているところです。 道路は、言うまでもなく地域住民の生活や経済と社会活動を支える最も基本となる施設であり、地域が自立していく上で欠かせない重要な社会基盤として、最優先して整備しなければならない根幹的施設であります。関係する安田町、馬路村、北川村は、同路線の整備促進期成同盟会を設立して活動を続けているところです。 県として、地域住民の日常生活を支える命の道の道路整備、特に条件不利地域で整備がおくれてきた主要地方道安田東洋線及び魚梁瀬公園線について、令和2年度以降も積極的に予算を投入し整備していくべきと考えますが、土木部長に御所見をお伺いいたします。 次に、森林環境譲与税は、全国の森林・林業・環境行政等に関係する多くの団体の長年の努力により、平成31年4月に森林整備などに必要な地方財源を安定的に確保する観点から創設された制度であります。この制度が創設されたことで、84%の森林を持つ本県、そして県土の多くを占めます中山間地域の活性化につながっていくことが期待をされているところです。 森林、林業の現状を見てみますと、全国平均の原木価格は、木造住宅の新設住宅着工戸数の減少や住宅様式の変化などから、昭和55年をピークに下落しており、林業・木材産業にとって厳しい時代が続いています。本県においても、原木価格は、昭和60年代までは杉が1立方メートル当たり2万円、ヒノキが1立方メートル当たり5万3,000円程度でありましたが、平成16年からは杉で1立方メートル当たり1万円、ヒノキで1立方メートル当たり1万8,000円を切る状況が続いています。近年は、少し盛り返しているということでございますが、製材品価格においても、平成25年ごろまでは杉、ヒノキとも平均で全国を上回っていましたが、それ以降は全国平均より2割程度安い状況であります。 今申し述べましたように、原木価格、製材品価格ともに安価な状況が続いており、生産量がふえても作業に携わる方々の賃金を初め、労働環境は厳しい状況にあります。また、木材加工のスタートとなる製材工場も、厳しい経営状況などから事業継承が難しく年々減少している状況です。 森林環境譲与税の配分は、御案内のとおり、森林面積だけではなく人口も考慮して決める仕組みになっており、配分金額のトップは横浜市で、トップ10の中に7つの政令指定都市が入っている状況です。また、近年の台風等の大災害を受けて、森林の持つ公益的機能、多面的機能の発揮、そしておくれている森林整備を積極的に進めていくために、森林環境譲与税の譲与額並びに市町村及び都道府県への譲与割合が見直され、譲与額が前倒しをして増額されることになり、令和2年度には市町村で令和元年度の約2.1倍、都道府県では約1.5倍になることが見込まれております。 森林環境譲与税の使途は、市町村は間伐や人材育成、担い手の確保など、また都道府県は森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用となっています。本県のように、県土の84%が森林の場合、おくれている森林整備に譲与税の活用はできると思いますが、森林面積の少ない大都市では、木材を活用して公共建築などに譲与税を活用していくこととしていますが、将来に向けて使い道探しに苦慮することも想定されております。 近年、木材製品は木の欠点に対応するため、CLTや集成材など、強度や品質が確かで安定した工業的木製品が製造されるようになりました。また、環境貢献やSDGsの観点から、都市部の民間企業においても木造の事務所などを建設するといった事例も出てきており、全国的に国産木材を活用する機運は高まっています。しかし、一方で建築用の製材品は厳しい価格競争を強いられていることから、新たな用途の創出と付加価値の高い製品づくりによって製材品価格を高めていくことのほうが重要であると思います。 そこで、木材製品が住宅等建築資材だけではなく、これからもまだまだ整備が促進される公共道路の資材などとして、幅広い分野で活用できる新たな木材製品を開発していくことが大事であると思います。近年では、公共道路に県内で生産、あるいは製造された木製のガードレールや防護柵が使用されるようになってきておりますので、こうした製品の売り込みを進めるとともに、例えば道路の縁石やほかにも多くの部分に使用できる木材製品が開発できるのではないかと考えています。 このように、木材製品の開発や売り込みを進めることは、現在パブリックコメントを実施している第4期高知県産業振興計画において、計画全体を貫く目標の一つとして掲げている県際間の収支の改善にも資するものと考えます。 ぜひ、県として木材需要を拡大するため、スピード感を持って積極的に木材製品を開発し、森林環境譲与税の配分の多い大都市の自治体に活用策の一つとなることも含めて製品を売り込んでいただきたいというふうに考えますが、林業振興・環境部長に御所見をお伺いいたします。 以上で、私からの第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 上治議員の御質問にお答えをいたします。 まず、地方交付税に対する考え方についてのお尋ねがございました。 本県のように、人口減少や過疎化が進みます地方自治体におきまして、地域の実情に合った地方創生などの施策を実施していくためには、使途が制約されない一般財源の確保が大切でございます。とはいえ、議員から御指摘もございましたように、人口減少が進み、都市部に比べて民間の事業者も少ないといった事情がございまして、税収の確保が難しいというのが、高知県の自治体の実態であるというふうに思います。 このため、一般財源を確保していくためには、地方交付税が非常に大事な存在となってまいります。平成30年度決算の県内市町村の状況を見ましても、地方交付税、臨時財政対策債を合わせますと、一般財源の約6割を占めるというふうな状況になっております。 一方で、本県のように人口の少ない県あるいは面積が広大な道県によりましては、近年一般財源が減少する傾向にございまして、景気回復により税収が増加している都府県との財政力格差が拡大をしているという状況でございます。このために、他の10道県とともに、一般財源総額の確保に加えまして、地方交付税の財源調整機能の充実強化を訴えてまいったところでございます。 その結果、令和2年度の地方一般財源総額は、前年度を上回ります63.4兆円が確保されまして、地方交付税につきましても、前年度を0.4兆円上回ります16.6兆円が確保されました。この中で、御指摘がありましたような、地方法人課税の偏在是正措置により生じます財源の全額を活用いたしまして、地域社会再生事業費が創設をされたところでございます。全国で、4,200億円という額になっております。 この地域社会再生事業費は、普通交付税の算定上、人口減少が進んでいる自治体などに対しまして、重点的に配分されるという仕組みになっております。この結果、本県及び県内の市町村にとって、相対的に有利な算定となるということが想定され、普通交付税の増額が見込まれます。こうした手当てをとられましたことは、私といたしましても高く評価をしたいと思っております。御指摘もございましたように、令和3年度以降もこの項目がしっかりと地方交付税の基準財政需要額に計上されていくことが重要であると認識しております。 今後も、地方交付税の財源調整機能の充実強化とあわせまして、一般財源総額が安定的に確保されますように全国知事会とも連携をいたしまして、国に対してしっかりと訴えてまいりたいと考えております。 次に、次期過疎対策に向けた取り組みにつきましてお尋ねがございました。 国の過疎対策につきましては、これまでの特別措置法によりまして、本県におきましても産業の振興あるいは生活環境の整備などの分野で大きな成果を上げてまいったと考えております。 一方で、過疎地域では、依然として人口減少、少子高齢化が進行しておりまして、担い手不足あるいは生活・生産基盤の弱体化といった深刻な課題を現在も抱えているというのが実情であるというふうに認識をしております。こうした課題を解決していくために、引き続き国におきまして過疎対策に取り組むということは、大変重要であると考えます。新たな過疎対策法の制定、そして過疎対策事業債などによります支援の継続がぜひ必要であるというふうに考えております。 このため、本県といたしまして、お話もいただきましたように、高知県地域振興総合協議会と共同で次期の過疎対策に向けた提言を取りまとめ、その実現に向けまして、昨年11月に関係の市町村長とともに、県選出国会議員の方々への要望活動を行ったところでございます。主な内容といたしましては、1つには、令和3年度を初年度といたします新たな過疎対策法を制定するということ、2つ目には、過疎地域におきまして、必要な行政サービスを提供するために、地方交付税のほか過疎対策事業債の財源を十分に確保し、市町村の財政基盤を強化すること、3つ目には、合併前の旧市町村の区域を過疎地域とみなします、いわゆる一部過疎の取り扱いを継続すること、また4つ目には、県の果たす役割を明確化するとともに、県に対する新たな財政措置を講じること、こういったことなどを盛り込んでいるところでございます。 また、全国知事会といたしましても、過疎対策特別委員会を設置いたしまして、関係の国会議員及び総務大臣政務官に対し、昨年11月に要請活動を実施しておるところでございます。 御案内のとおり、過疎対策法は議員立法で成立をされてきておるという歴史がございます。そのため、令和3年度を初年度といたします新たな過疎対策法が制定されますよう、県といたしましても関係の国会議員に対しまして強く要望を行ってまいります。さらに、国の過疎問題懇談会の動きなども見据えながら、私自身が総務省などの関係省庁に足を運びまして、提言内容の実現に向けて、働きかけを行ってまいる所存でございます。 最後に、水力発電施設周辺地域交付金制度についてでございます。この制度は継続、または時限立法ではなく恒久的に措置されるべきではないかというお尋ねがございました。 この交付金は、水力発電施設の設置あるいは運転の円滑化を目的といたしまして、昭和56年度に創設をされました国の制度でございまして、交付期間は当初、最大15年間ということにされておりました。その後、ダム・発電関係市町村全国協議会などの要望もありまして、水力発電に協力する旨の意思表示をすることなどにより、2回にわたって期間の延長がされておりまして、現在では当初から通算しますと、最大40年間ということになっているものでございます。 この交付金は、交付を受けます県内の16市町村にとりまして大変貴重な財源となっております。例えば、道路などの公共施設の整備あるいは保育所の運営などの地域振興に活用されております。ただ、この16市町村のうち9市町村におきましては、令和3年3月末に先ほど申し上げました40年の期限が到来しまして、交付期限を迎えるという状況でございます。 一方では、発電の施設によりまして、自然環境への影響を受けます県内の市町村におきましては、森林の間伐によります水源の涵養あるいは稚アユの放流などの取り組みも行われております。こうした取り組みは、発電施設の運転の円滑化に貢献するものであるというふうに考えておりまして、その意味で、その施設が存続する限りは、この取り組みも継続をしていくことが重要だというふうに考えます。 このために、県といたしましては、関係団体とも連携いたしまして、あらゆる機会を捉え、この交付金の制度のほうも、恒久化ないしは拡充などを図られるように、国に対して訴えてまいる考えでございます。 私からは以上でございます。   (副知事岩城孝章君登壇) ◎副知事(岩城孝章君) 東部地域への看護学校の設置についてお尋ねがございました。 住みなれた地域で安心して暮らし続けるためには、地域医療の確保はなくてはならないものと認識をしています。特に、東部地域においては、医療提供体制を構築するに当たり、看護師を初めとした医療人材の確保に苦労されておられます。 そうした状況の中、安芸郡医師会や東部地域の市町村を設立母体とする看護師養成所整備が検討されましたが、結果的に運営組織に関する問題などから実現には至りませんでした。その後、平成30年6月に県は、東部地域における看護師確保を含めた医療提供体制の課題を協議することを目的として、東部地域の市町村や地元医師会等で構成する東部地域医療確保対策協議会を設置したところです。この協議会では、会を立ち上げるに至った経緯を踏まえ、県が前面に立って積極的に提案を行うこととしており、これまでの議論の中で県から、看護師の養成に加えて訪問看護センターに対する支援機能など、東部地域の高知版地域包括ケアシステムの構築に資する複数の機能を持った、多機能型支援施設の提案をしています。 しかしながら、さきに申し上げました東部地域の医療人材の確保という大きな課題に対しましては、看護師養成所を設置さえすれば、その課題が解決できるというわけではありません。18歳人口の減少など厳しい状況が見込まれる中、いかに地域の学生を確保するか、また卒業生にいかに地元に残ってもらうかなどについて、セットで考える必要がございます。そうした課題への対応も含めて、地元市町村等の御協力をいただきながら、スピード感を持って精力的に検討を進めてまいります。   (観光振興部長吉村大君登壇) ◎観光振興部長(吉村大君) 関西圏からの観光客の増加を想定した宿泊の受け入れについてお尋ねがありました。 第4期産業振興計画の観光分野では、令和5年に観光総消費額と県外観光客入り込み数をそれぞれ1,288億円以上、460万人以上まで引き上げる目標を設定しています。この目標の実現に向けましては、中山間地域を中心に、お話にありました関西圏を初め国内外から多くの観光客を誘致するため、現在展開しています自然&体験キャンペーンを通じて、地域の自然や体験資源を生かした外貨を稼ぐ仕組みづくりを、一層推進してまいりたいと考えています。 このため、第4期計画では、中山間地域を含む県全域で、市町村や宿泊、飲食、交通、体験施設など多様な関係者の連携のもと観光資源を磨き上げながら、地域での周遊や宿泊を促進する滞在型の観光地域づくりに取り組んでまいりたいと考えています。 この取り組みに当たりましては、県内の旅館やホテルを初め、民宿やゲストハウス、宿泊機能を備えた集落活動センターといった、多様な宿泊施設をフルに活用いたしまして、宿泊の受け入れを図ってまいります。また、県内全ての市町村で構成する、れんけいこうち広域都市圏におきましても、高知市から中山間地域へと観光客の周遊を促進するため、新たな観光資源や自然体験プログラムを組み込んだ複数の周遊ルートの開発が進められています。 このような市町村の取り組みとも連携しながら、県全域で滞在型観光の仕組みづくりを進めることによりまして、多くの観光客の宿泊需要を満たしていけるよう、しっかりと取り組んでまいります。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) まず、2025年の大阪・関西万博までに、県東部の高規格道路の整備をどこまで進捗させていきたいのかとのお尋ねがございました。 四国8の字ネットワークは、本県の産業振興に大きな効果をもたらすとともに、災害発生時の命の道として不可欠な社会資本です。このため、県政の重要課題の一つとして、これまでにも県議会や市町村の皆様と一体となって整備促進に取り組んでまいりました。県東部地域の四国8の字ネットワークでは、国土交通省が整備する南国安芸道路や安芸道路、県が整備する北川道路において、橋梁やトンネル、盛り土などの工事が着々と進んでおります。 2025年に大阪・関西万博が開催される大阪府を初め、経済活力に満ちている関西圏との連携を強化し、本県経済の活性化につなげていくためには、四国8の字ネットワークを早期に整備し、本県と関西圏の間の安全で快適な人流や、安定した物流を確保することが大変重要となります。現時点では、県東部地域の四国8の字ネットワークについて、2025年に向けた開通の見通しは示されておりませんが、早期完成に向け、事業中の箇所の整備をできる限り進めていかなければならないと考えております。 このため、県としましては、国土交通省が整備する安芸道路へのアクセス道路であるとともに、工事用道路としても活用できる県道安芸中インター線や大久保伊尾木線について、来年度の完成を目指し、先行して整備を進めているところです。あわせて、用地の取得や残土処理場の確保など、工事を実施できる環境が早期に整えられるよう、引き続き関係する市町村と連携してしっかりと取り組んでまいります。 次に、主要地方道安田東洋線及び魚梁瀬公園線について、令和2年度以降も積極的に予算を投入して整備していくべきではないかとのお尋ねがございました。 主要地方道安田東洋線並びに魚梁瀬公園線は、地域にとって唯一の幹線道路であり、農林業や観光業など中芸地域の産業を支える重要な路線です。このため県では、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を積極的に活用し、安田東洋線については、安田町小川地区で令和3年度の完成供用を目指して明神口トンネルの整備を進めているほか、安田町瀬切地区や馬路村朝日出地区での拡幅工事、北川村久木地区での橋梁整備など、複数の箇所で2車線整備や防災対策に取り組んでおります。また、魚梁瀬公園線では、魚梁瀬大橋の修繕及び耐震補強に取り組んでおり、これまでにも両路線の整備を重点的に進めてきたところです。 今後とも、日常生活を支える命の道として安全な通行を確保するとともに、高規格道路のストック効果を中芸地域に広げていくよう、引き続き両路線の整備を積極的に進めてまいります。   (林業振興・環境部長川村竜哉君登壇) ◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 森林環境譲与税を利活用した木材需要の拡大についてお尋ねがございました。 議員のお話にありましたように、森林環境譲与税の前倒しの増額やSDGs、ESG投資といった環境や社会に配慮した企業活動など、木材利用への追い風が吹き始めております。この追い風をしっかり捉えて、住宅分野以外での木材需要の拡大や地産外商体制をさらに強化していくとともに、市場ニーズに合った付加価値の高い製品の開発を進めていくことが重要と考えております。 このため、TOSAZAIセンターが全国レベルの木造建築の専門家と連携して、県内の製材や木工関係企業による多様な木材製品の開発に取り組んでいるところです。具体的には、個別のテーマごとにワーキンググループを設置し、そこに参加した企業がマーケット情報をもとに、非住宅建築物の構造用部材から内装材、外装材など幅広い用途での活用を想定した新製品の開発を進めております。 また、都市部の自治体に対しては、県産材の需要拡大に向けて、県とTOSAZAIセンターが提案型の販売促進活動を行っております。この活動の中で、本県において既に開発されている木製ガードレールや木製防護柵等の土木用資材につきましても、森林環境譲与税の活用も含め、その採用を働きかけてまいります。あわせて、これらの自治体のニーズを把握し、迅速に関連する企業等にフィードバックすることにより、スピード感を持って新たな付加価値の高い商品開発につなげてまいりたいと考えております。 ◆21番(上治堂司君) それぞれに丁寧な御答弁ありがとうございました。また、その中には前向きな御回答もいただきまして、本当に心強い限りであります。 県土の多くを占めます農業、林業、そして漁業を主産業とする農山漁村の中山間地域は、本当に日本の食や水、空気を育むなど、国土保全にとって欠くことのできない地域だと思っております。そうした中、本県は温暖な気候を活用いたしました農業振興、また県土の84%を占めます森林を生かした林業振興、そして清流と言われるそれぞれの河川や雄大な太平洋に面した立地を生かした漁業振興と、県内それぞれの地域で地域資源を利活用した産業振興を進めているところであります。 また、21世紀は環境がテーマとも言われております。ぜひ、今後も環境をテーマとしながら、地域資源を生かした取り組みを本県から全国に発信するとともに、これらの産業に携わる方たちの所得の向上も図られ、若者がそれぞれの地域に住み続けられることによって中山間地域が維持されるような施策の実行をこれからも期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(桑名龍吾君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明4日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時21分散会...