令和 1年 12月 定例会(第351回) 令和元年12月17日(火曜日) 開議第2日
-----------------------------------出席議員 1番 土森正一君 2番 上田貢太郎君 3番 今城誠司君 4番 金岡佳時君 5番 下村勝幸君 6番 田中 徹君 7番 土居 央君 8番 野町雅樹君 9番 浜田豪太君 10番 横山文人君 11番 西内隆純君 12番 加藤 漠君 13番 西内 健君 14番 弘田兼一君 15番 明神健夫君 16番 依光晃一郎君 17番 梶原大介君 18番 桑名龍吾君 19番 森田英二君 20番 三石文隆君 21番 上治堂司君 22番 山崎正恭君 23番 西森雅和君 24番 黒岩正好君 25番 大石 宗君 26番 武石利彦君 27番 田所裕介君 28番 石井 孝君 29番 大野辰哉君 30番 橋本敏男君 31番 上田周五君 32番 坂本茂雄君 33番 岡田芳秀君 34番 中根佐知君 35番 吉良富彦君 36番 米田 稔君 37番 塚地佐智君欠席議員 なし
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 浜田省司君 副知事 岩城孝章君 総務部長 君塚明宏君 危機管理部長 堀田幸雄君 健康政策部長 鎌倉昭浩君 地域福祉部長 福留利也君
文化生活スポーツ部長 橋口欣二君 産業振興推進部長 井上浩之君 中山間振興・交通部長 川村雅計君 商工労働部長 近藤雅宏君 観光振興部長 吉村 大君 農業振興部長 西岡幸生君 林業振興・環境部長 川村竜哉君 水産振興部長 田中宏治君 土木部長 村田重雄君 会計管理者 中村智砂君 公営企業局長 北村 強君 教育長 伊藤博明君 人事委員長 秋元厚志君
人事委員会事務局長 原 哲君 公安委員長 古谷純代君 警察本部長 宇田川佳宏君 代表監査委員 植田 茂君 監査委員事務局長 麻岡誠司君 選挙管理委員長 土居秀喜君
-----------------------------------事務局職員出席者 事務局長 弘田 均君 事務局次長 行宗昭一君 議事課長 吉岡正勝君 政策調査課長 織田勝博君 議事課長補佐 飯田志保君 主幹 春井真美君 主査 宮脇 涼君
-----------------------------------議事日程(第2号) 令和元年12月17日午前10時開議第1 第1号 令和元年度高知県
一般会計補正予算 第2号 令和元年度高知県
給与等集中管理特別会計補正予算 第3号 令和元年度高知県
港湾整備事業特別会計補正予算 第4号 令和元年度高知県
電気事業会計補正予算 第5号 令和元年度高知県
工業用水道事業会計補正予算 第6号 令和元年度高知県
病院事業会計補正予算 第7号 高知県流域下水道事業の設置等に関する条例議案 第8号 高知県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例及び知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第9号 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案 第10号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する等の条例議案 第11号 高知県建築士法施行条例の一部を改正する条例議案 第12号 令和2年度当せん金付証票の発売総額に関する議案 第13号
高知県立交通安全こどもセンターの指定管理者の指定に関する議案 第14号
高知県立県民体育館、高知県立武道館及び高知県立弓道場の指定管理者の指定に関する議案 第15号
高知県立森林研修センター情報交流館の指定管理者の指定に関する議案 第16号
高知県立甫喜ヶ峰森林公園の指定管理者の指定に関する議案 第17号
高知県立室戸広域公園の指定管理者の指定に関する議案 第18号
高知県立土佐西南大規模公園(大方地区・佐賀地区)の指定管理者の指定に関する議案 第19号
高知県立土佐西南大規模公園(中村地区)の指定管理者の指定に関する議案 第20号 高知港係留施設等の指定管理者の指定に関する議案 第21号
高知県立香北青少年の家の指定管理者の指定に関する議案 第22号
高知県立高知青少年の家及び
高知県立青少年体育館の指定管理者の指定に関する議案 第23号 県有財産(
高知新港港湾関連用地)の処分に関する議案 第24号 国道439号防災・安全交付金(大木絆第一橋)工事請負契約の締結に関する議案 第25号
県道川之江大豊線道路災害復旧工事請負契約の締結に関する議案 第26号 国道493号道路災害関連(小島トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第27号
浦戸湾東部流域下水道高須浄化センターの消化槽工事委託に関する協定の一部を変更する協定の締結に関する議案 報第1号 令和元年度高知県
病院事業会計補正予算の専決処分報告 報第2号 高知県が当事者である訴えの提起の専決処分報告 報第3号 損害賠償の額の決定の専決処分報告第2 一般質問 (3人)
----------------------------------- 午前10時開議
○議長(桑名龍吾君) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(桑名龍吾君) 御報告いたします。 第9号議案については、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき人事委員会に意見を求めてありましたところ、同委員会の勧告の趣旨に沿ったものであり、適当であると判断する旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。 〔人事委員会回答書 巻末226ページに
掲載〕-----------------------------------
△質疑並びに一般質問
○議長(桑名龍吾君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和元年度高知県
一般会計補正予算」から第27号「
浦戸湾東部流域下水道高須浄化センターの消化槽工事委託に関する協定の一部を変更する協定の締結に関する議案」まで及び報第1号「令和元年度高知県
病院事業会計補正予算の専決処分報告」から報第3号「損害賠償の額の決定の専決処分報告」まで、以上30件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 12番加藤漠君。 (12番加藤漠君登壇)
◆12番(加藤漠君) おはようございます。宿毛・大月・三原選出の加藤漠でございます。議長より登壇のお許しをいただきましたので、自由民主党会派を代表して質問をさせていただきます。 まずは浜田知事、御就任まことにおめでとうございます。高知県にとっては12年ぶりとなった県知事選挙、大変厳しい戦いだったと思いますが、浜田知事の豊富な行政経験や誠実なお人柄、さらには尾崎県政の継承と発展を掲げた訴えを、多くの県民の皆様から御支持いただいた結果だと思っております。総務省の幹部という重責にありながら退路を断って挑戦されたその大きな決断に対して、改めて敬意を表する次第でございます。 我々自由民主党は、これまでの県政の流れをとめてはいけない、そういう思いで浜田県政の誕生を切に願い、公明党とともに推薦をさせていただいて、選挙戦をともに戦いました。関係者の皆様の御協力はもちろん、多くの皆様の御支援により見事に当選という結果になられましたことは、我々としても大変うれしく思っております。県民の皆様からの期待を背に受けて、高知県の新たなリーダーとして手腕を発揮されますことを心から祈念しております。 知事は、大学進学をきっかけに高知県を出られ、以来30年以上の歳月を県外で過ごしてこられました。知事選挙に挑戦する決意を固められて高知に戻り、県内各地での活動を通じてさまざまな県民の声を聞かれ、また現場を見て、外から感じていた印象どおりだったこと、あるいは印象が違っていた面もあったことと思います。また、選挙戦を経験して、改めてふるさと高知を元気にしたい、そういう思いをより強くされたのではないでしょうか。 前任の尾崎知事は、平成19年当時全国最年少の40歳で知事に当選し、あふれんばかりの情熱と実行力を持って、その類いまれなリーダーシップを発揮されました。12年間の任期中は、経済の活性化や日本一の健康長寿県づくりなど5つの基本政策を中心に取り組まれ、長年にわたって下降・縮小傾向にあった県勢指標が、明確に上昇傾向へと転じてまいりました。そして、高知県はやればできる、そういう機運が県民の中に間違いなく醸成されたものと感じています。 一方、浜田知事は、現在56歳、総務省はもとより、福岡県庁や島根県庁、大阪府など、地方自治体の現場で豊富な行政経験を培ってこられました。また、強い郷土愛と温和なお人柄をお持ちであり、今後の県政を担っていかれるに当たり、前知事と同様、県民の皆様から高い評価を得られるものと確信しております。 知事は選挙において、もっと若者が帰ってきたくなる、移住したくなるような高知を目指したいとお訴えになりました。ぜひ、その思いを実現するためにも、これまでの経験やネットワークを生かし、浜田知事らしい県政運営を進めていただきたいと思います。 まず冒頭、目指すべき県政の実現に向けた意気込みを知事にお伺いいたします。 また、知事は県政運営の基本姿勢として、共感と前進を掲げられました。先日の提案説明において、県民の皆様との対話を重視するとともに、成果志向で県政を展開していきたいとの思いを述べられました。 それぞれの市町村や現場に足を運び、地域の方々との対話を出発点に政策を実行していただきたいと思いますが、どのように共感と前進の県政を実現していくのか、知事のお考えをお尋ねいたします。 次に、経済の活性化についてお伺いいたします。 たとえ人口が減っても高知県の経済は元気になる。人口減少に伴って縮んでいた本県の経済を、拡大する経済へと転換してきたという意味で、産業振興計画はまさに尾崎県政のレガシーと言える取り組みとなりました。 直近の有効求人倍率は1.27倍。平成27年11月以降48カ月、実に4年間連続で有効求人倍率は1倍を超え、失業率についても史上最低水準に近い状況が続いています。かつての仕事がない状況から人手が足りない状況へと変わってきました。1人当たりの県民所得は、昭和61年度から平成24年度まで26年にわたり、全国で40番台の順位が続いてきました。これが、直近の平成28年度では37位、4年連続で30番台となりました。かつては地元の高校生の約6割が県外に出て就職するという厳しい状況でしたが、現在は反対に約6割の生徒が県内に残るようになったことも、大変うれしく思っています。 しかし一方で、知事が強く訴えられているように多くの若者が戻ってくる高知になっているかというと、まだまだ課題が多いと感じています。特に、県外の大学へ進学した若者について顕著であり、県が行った意識調査の結果では半数の方々は高知に戻りたいとの希望を持っていますが、実際に戻って就職する方々は2割以下となっています。さらに、若者だけでなく全体の人数で見ても、県内へ転入される人よりも県外へ転出される人が多い状況も依然として続いており、昨年度の社会減は2,547人、前年から1,000人近く増加する厳しい状況となりました。 仕事の数は間違いなくふえてきましたが、さらにもっと、働きたいと思えるような仕事をつくっていくこと、いわば、いかに雇用の質の向上を図るか、さらにその情報を発信していくかということが、今後の大きな課題の一つだと感じています。今後、さらなる人手不足が予想される中で人材を確保していくためにも、付加価値の高い産業を生み出し魅力ある雇用をつくっていくこと、いわば仕事の数の確保から、質の向上を目指して、産業振興計画のさらなる発展が必要であると思っております。 知事は、産業振興計画の取り組みをどのように評価されているのか、引き続き計画を推進していくに当たってのお考えをあわせてお聞きいたします。 高知県の経済を元気にしていくために、知事は、ことしの7月まで約2年間大阪府の副知事として務められた経験から、関西圏と連携を強化し、経済活力を高知に取り込むことの重要性を強調されておられます。 令和7年に開催予定の大阪万博は、5月から11月までの半年間にわたって開催され、経済産業省によれば約2,800万人の来場者が想定されています。高知県議会では昨年の2月定例会において、2025年国際博覧会の誘致に関する決議を採択いたしましたが、その際にも、関西圏域のみならず、本県に対しても産業振興や観光など経済波及効果を期待するという内容で決議しております。大阪万博を高知県の魅力を発信できる絶好の機会と捉え、県としていかにかかわっていくのか、その検討の余地は大きいのではないでしょうか。 また、関西圏と直接つながる航空路線についても、既存の高知-伊丹線に加えて、昨年からは、インバウンドの玄関口とも言える関西国際空港とのLCC路線が就航いたしました。さらに、今議会にて関連予算も提案されていますが、12月20日からは神戸-高知線の新規就航が予定されているなど、関西圏との交流拡大がこれまで以上に期待されているところです。 加えて、関西圏では令和3年に、生涯スポーツの国際総合競技大会であるワールドマスターズゲームズの開催も予定されており、ビッグイベントをきっかけとして、経済の発展に向けて関西地域が一体となって取り組みが進んでいるなど、本県が交流や連携を一層強化するにはまさに絶好の機会であると言っても過言ではないと思います。 大阪で培われた経験やネットワークも生かして、ぜひ関西圏との交流や連携をさらに強化し、本県経済の活性化につなげていただきたいと思いますが、今後どのように検討していくお考えなのか、知事にお聞きいたします。 産業振興計画に関連し、農林水産業についてお伺いいたします。 高知県の農業産出額は、平成20年の1,026億円から、直近の平成29年には17.1%増の1,201億円にまで増加しました。この間、農業就業者数は毎年1,000人を超えて減少しており、高知県の農業は、人が減る厳しい状況の中でも生産をふやしてきたという意味で、産業振興計画の象徴的な分野とも言えます。 特に、次世代型こうち新施設園芸システムを初めとする環境制御技術の普及によって、野菜の生産量が大きく増加し、面積当たりの農業産出額は全国トップの生産性になるなど、大きな成果につながっています。現在は、さらなる収量増加や高品質化、省力化などを目指して、次世代型こうち新
施設園芸システムにAIやIoTなどの最先端の技術を融合させた、Next次世代型のシステム開発に向けて取り組みが進んでいます。将来は、農業への貢献のみならず関連する機器などの輸出産業となることを目指して、その取り組みが進められています。
Next次世代型施設園芸農業の導入について現在どのように進捗しているのか、今後の目標とあわせて農業振興部長にお聞きいたします。 今後も農業生産を拡大していくためには、最先端技術の導入とあわせて国内外への有利な販売先の確保など、生産から流通・販売までそれぞれの段階に応じた取り組みが必要不可欠となりますが、中でも現在現場で深刻化している課題は人手不足であります。もともと農業に従事していた方々の高齢化や後継者不足の現状もあり、農繁期に労働力が不足してしまう状況は経営に多大な影響を及ぼしかねません。また、意欲ある農業者が規模拡大を考える上でも大きな障壁となってくることが懸念されます。 直面する事態に対応するためにも、農作業の省力化に向けた取り組みや、地域や品目を超えた労働力確保の仕組みづくりなど、生産現場や集出荷場における人手不足への対応が必要不可欠であります。県としてどのような対応を考えているのか、農業振興部長にお聞きいたします。 林業分野における昨年の原木生産量は、64万6,000立方メートルにまで拡大しており、直近の10年間では1.5倍を超える生産増となりました。林業従事者の減少や高齢化が進む中でも、1人当たりの原木生産量は年々増加傾向にあり、中山間地域の活性化にもつながっているものと感じています。しかし一方では、今年度の目標としている原木生産量78万立方メートルにはいまだ達しておらず、今後は原木増産対策をいかに強化していくかということとあわせて、将来の森林資源を確保する観点から再造林をより一層進めていくことが欠かせません。 県は、これまでも原木生産の拡大に向けて、施業地の集約化や路網整備、高性能林業機械の導入など、生産性の向上に努めてきました。さらに、昨年度からは林業大学校を本格開校させるなど、人材の育成にも力を入れてきたものと承知をしております。 産業振興計画に掲げた目標達成も見据え、さらなる原木生産の拡大に力を入れていただきたいと思いますが、林業振興・環境部長に御見解をお伺いいたします。 また、森林、林業の再生を進めるためには、供給体制を整備するのみならず、木材に対する需要を拡大することも重要となります。 市場のニーズに応じた付加価値の高い製材品の供給体制を強化するとともに、全国的な木材需要を積極的に掘り起こしていくことが必要だと考えますが、今後の取り組みを林業振興・環境部長にお聞きいたします。 水産分野における漁業生産額については、目標とする460億円前後で毎年推移しており、農林業と同様に、1人当たりの生産額は年々増加してきました。水産加工出荷額についても、毎年目標とする200億円前後と好調に推移してきており、加えてことしは宿毛市に大型水産加工施設が本格稼働したことから、養殖魚の加工が増加し、海外への輸出の取り組みが加速することによって、さらなる出荷額の増加が見込めるのではないかと期待をしております。 また、水産業における最先端技術の活用を進めるため、
高知マリンイノベーションにも取り組まれてきました。黒潮牧場を高度化することで魚の
集まりぐあいなどの情報を提供するシステムの構築や、市場への自動計量システムといった新しい技術の導入により、さらに効率的な操業が可能になってくるのではないかと期待しています。 現在、漁業就業者の半数以上が60歳を超えていることから、今後はさらなる就業者の減少が見込まれる中、漁業生産額を維持して一人一人の暮らしを守っていくため、より一層の取り組み強化が欠かせません。 今後も、引き続き担い手の確保に努め、さらに効率的な生産・流通体制への転換を図っていくことが重要だと考えますが、どのように漁業生産額の維持・発展を目指していくのか、水産振興部長にお聞きいたします。 観光の分野は、高知県にとって外貨獲得の主要産業へと飛躍してきました。長らく県外観光客入り込み数は300万人台で推移していましたが、平成25年以降は安定的に400万人台で推移してきており、昨年は441万人と過去最高を更新しました。また、観光総消費額についても同様に、800億円前後であったものが、平成25年以降は1,100億円前後まで増加してきました。 一方、国際観光、いわゆるインバウンドの誘致に関しては、まだまだ伸び代があるのではないかと感じております。インバウンド客数は全国的にも前年度を上回って年々伸びてきており、本県においても、クルーズ客船の寄港の増加や四国内の空港に海外からの直行便がふえたことなども追い風に、
外国人延べ宿泊者数も、昨年は過去最高の約7万9,000人泊となりました。平成23年の1万6000人泊と比較すると、7年間で6万3,000人泊増加してきています。しかし、平成28年以降は宿泊者数が横ばいとなっていることから、その伸び率は四国の他県と比較しても低い状況が続いています。また、本県の宿泊者数は、島根県、福井県に次いで全国で3番目に少ない実績ともなっています。 今後のインバウンドの誘致については、高知龍馬空港の国際化が検討されていることや、今議会にも東京オリンピック・パラリンピックの機会を通じてよさこいを海外へ情報発信する取り組みが提案されているなど、積極的な展開が図られており、さらなる誘客の拡大を期待するところです。 産業振興計画の目標に掲げる
外国人延べ宿泊者数30万人泊に向けて、どのように実現を目指していくお考えなのか、観光振興部長にお尋ねいたします。 次に、防災対策についてお聞きいたします。 ことしも大きな自然災害が相次いで発生いたしました。お正月三が日に発生した熊本県熊本地方を震源とする地震に始まり、8月に九州北部での豪雨、9月には千葉市で最大瞬間風速57.5メートルを観測した台風15号や、東日本の13都県に大雨特別警報が発表され多数の河川が氾濫した台風19号など、地震、集中豪雨、記録的な暴風などにより全国各地に被害をもたらしました。本県においても、台風19号などによって、住宅や農業用ハウスの被災に加え、高波で防波堤や海岸堤防が決壊するなど公共施設も被害を受けており、今議会にも補正予算が提案されているところです。 大きな災害が発生するたびに、避難所の運営や停電、断水といったライフラインにかかわる問題など、次から次へと課題が見えてきます。特に、大きな災害では、多くの高齢者や障害のある方が犠牲になっているケースが見受けられます。津波から避難できる避難路はできたけれど、実際に上がっていけるのかどうか。それぞれの状況に応じた個別計画の策定を進めるといった、災害時の要配慮者対策を徹底していくことが求められています。また、地域の方々からも、津波から逃げた後の避難所や仮設住宅の建設用地、あるいは福祉避難所の不足といった課題についても御心配の声をお聞きすることも多く、圏域を超えた対応を早急に検討していく必要があるものと考えております。 8年前、知事は東日本大震災が発生した当時、消防庁で予防課長として勤務されており、全国の救急部隊を動員して被災者の搬送業務に当たるなど、災害対策の指揮をとられたともお聞きしております。 危機管理に関する経験も生かして、高知県の防災・危機管理体制のさらなる充実に尽力されることを期待しますが、
南海トラフ地震対策に取り組む決意を知事にお聞きいたします。 最近は、大雨や台風のたびに、数十年に一度の雨の降り方といった言葉を頻繁に聞くようになりました。気象庁の発表によると、雨が降る日数は減少傾向にありますが、1日に100ミリ以上の大雨の降る日数が増加傾向にあるそうです。また、1時間当たり50ミリ以上の豪雨になる頻度も増加傾向にあるなど、降れば大雨という雨の降り方に変わってきています。今後は、異常気象が異常ではなくなってくることを前提に対策を検討することも必要ではないかと感じています。 現在、国の国土強靱化に基づく3カ年緊急対策の後押しも大いに受けて、県内の中小河川の改修を初め、道路のり面の防災対策や砂防施設の整備といった予防的な対策、
南海トラフ地震発生時の長期浸水対策など、自然災害への備えが急ピッチで進んでいます。また、災害時には命の道ともなる四国8の字ネットワークは、8カ所、67キロメートルが事業化され、それぞれの区間で調査や工事が着実に進捗してきています。私の地元の中村宿毛道路についても、平田-宿毛間で今年度内の開通が予定されており、一日も早い開通を期待する声もお伺いするところです。 しかし一方では、県の東部や西部に多くのミッシングリンクが残されており、また中山間地域を中心として国道や県道などに未整備箇所も多く、まだまだ道路の改良率も約63%と、全国最低レベルの水準となっています。安全・安心の実現に向けて、また地域の生活や産業振興を支える基盤として、引き続き地域の実情を踏まえたインフラ整備を着実に進めていかなければなりません。 知事は提案理由説明において、他県と比べて立ちおくれている本県のインフラ整備にスピード感を持って取り組んでいく必要があるとの認識を示されていますが、今後どのように推進されていくお考えなのか、御見解をお聞きいたします。 次に、日本一の健康長寿県構想について伺います。 本県の最も大きな課題の一つは、急速に進む少子高齢化への対応です。そのため県では、保健・医療・福祉の各分野に対応することを目指し、平成22年に日本一の健康長寿県構想を策定し、壮年期男性の死亡率の改善や高知版地域包括ケアシステムの構築、厳しい環境にある家庭への対応も含めた子育て支援など、積極的に取り組みを進めてきました。 長年の課題となっていた男性の壮年期死亡率は、平成21年と平成29年を比較すると7割程度となるまでに改善したことを初め、医師不足に改善の兆しが見えてきたことや、福祉の拠点となるあったかふれあいセンターの整備が進むなど、それぞれの成果があらわれてきています。また、高知家健康パスポートについても多くの方々に活用されており、県民の健康意識が高まってきていると感じています。 知事は提案説明において、今後は特に、在宅での療養環境を充実させる取り組みや糖尿病の重症化予防対策などを推進し、持続可能な社会保障モデルとして全国へ発信していきたいとの思いを述べられました。高齢になっても、できるだけ在宅で充実した生活を送り、さらに生活習慣病の発症や重症化を防ぐことができれば、生活の質が上がり、結果として医療費の削減にもつながる。ぜひ、こうした健康の好循環モデルに向けて取り組みを進めていただきたいと思います。 生活習慣病の予防や健康づくりの推進についてどのような施策を重視し、日本一の健康長寿県構想の改定を図っていくのか、知事のお考えをお伺いいたします。 厚生労働省は、来年度から75歳以上の方々を対象に、フレイル健診の導入方針を決定いたしました。介護が必要となる状態と健康の間の期間を、フレイルと呼んでいます。これまでの疾病予防、重症化予防における個別的な対応のみならず、幅広い方々に対して、フレイル予防に着目した保健事業のアプローチが推進されるものと期待しています。 現在、高知県内の高齢者人口は34%を超えており、3人に1人は65歳以上となっています。また、平均寿命と健康寿命の差は男性で約9年、女性では約12年あり、亡くなる前のおよそ10年間は要介護状態でいる期間があるという状況です。 介護や認知症の予防のためには、適度な運動や栄養バランスのとれた食生活などが欠かせませんが、フレイル予防で特に注目をされているのは、社会参加の重要性です。定年退職後に外出するきっかけがなくなり、家に閉じこもりがちになってしまう。そうしたフレイルの兆候にいち早く気づき、日常生活を見直すなど適切な対応をとることで、健康な状態に戻ることも可能となってまいります。 健康寿命を延ばしていくためにはフレイルの予防と早期発見、改善をしていく視点も重要になると思いますが、どのように対策を進めていくのか、地域福祉部長にお伺いいたします。 高知県の少子化の状況については、昨年の合計特殊出生率が1.48となり、平成21年の1.29を底として、徐々にではありますがおおむね上昇傾向になってきています。しかし一方で、40年前には1万人だった出生数は、平成28年には5,000人を割り、昨年は4,559人となりました。出生率は改善傾向にあるものの、若い世代の減少とともに、生まれてくる子供の数は年々減少してきています。 10月からは、3歳から5歳までの全ての子供たちの幼児教育・保育の無償化がスタートいたしました。あわせて、来年4月からは、高等教育について授業料の減免や給付型奨学金の支給も開始されます。待機児童の問題や高等教育の無償化についても、その対象が一部に限られているといった課題もありますが、子育て世代の負担を軽減していく取り組みが力強く推進されていることを、大変心強く感じています。 今後も引き続き、若い世代の結婚や出産の希望を実現していくために、出会いや結婚・妊娠・出産・子育てといった各段階に応じた対策に力を入れて取り組んでいただきたいと考えています。 出生率の回復に向けた取り組みをさらに推進するとともに、国などに対して政策提言も積極的に行っていくべきと思いますが、どのように少子化の克服を目指していくのか、地域福祉部長にお伺いいたします。 また、子供の貧困については、世代間の連鎖を通じて、子供たちの将来への夢や希望を奪うことにもつながりかねない大きな課題となっています。しかしながら、一定数の子供たちは、生活が大変という経済的な要因だけでなく、学力の未定着や虐待、非行、いじめといった困難な状況に置かれています。 子供の貧困対策を進めるに当たっては、子供の健康な成長を確保するため、親の妊娠や出産期から、生活に困窮していることも含めた家庭内の課題を把握した上で、適切な支援へつないでいく必要があります。そのため県では、妊娠期から子育て期までの切れ目のない総合的な支援を行う、高知版ネウボラの取り組みが推進されています。子育て世代包括支援センターや地域子育て支援センターが県内市町村へ広がることによって、子供の貧困対策に限らず、地域による子育て支援の充実にもつながってきております。 今後は、さらに高知版ネウボラの取り組みを県内全域に広げ、子供たちの見守り体制をさらに充実強化する必要があると考えますが、地域福祉部長に御所見をお聞きいたします。 次に、教育についてお伺いいたします。 今月3日、先進諸国が加盟するOECDの国際学力調査、いわゆるPISAの結果が公表されました。日本の平均点は、数学的応用力が6位、科学的応用力が5位となりトップレベルを維持していますが、一方読解力は15位で、去年の8位から順位を落とし過去最低の順位となりました。 これまでも、PISAの結果は日本の教育政策に大きな影響を与えてきました。平成15年に行われた調査では、読解力や数学の順位が大幅に低下し、PISAショックとも言われ、ゆとり教育からの転換を図るきっかけとなりました。読解力は国語に限らず全ての教科の土台とも言えるため、今回の結果を受けとめて、県としても、読解力を含めた児童生徒の学力向上に向けて授業改善を進めていただきたいと思います。 高知県では、全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストが開始されて以降、その調査結果をもとに各学校においてきめ細かな分析を行い、課題解決のため組織的に授業改善が進められているものと承知しています。また、県版の学力定着状況調査についても同様に、全国調査で対象となっていない小学4年生と5年生、中学1年生と2年生へと学年を広げて取り組んでいます。 その結果、子供たちの学力は着実に改善してきており、小学校については全国平均を超える結果が得られるようになりました。また、開始当時には大変厳しい結果となっていた中学校についても、全国平均まであと一歩という状況まで改善が進んできています。 今後とも、より一層基礎学力の定着に向けた取り組みが必要だと思いますが、教育振興に対する決意を知事にお聞きいたします。 特に、今後の中学校の学力向上を図る上では、高知市と連携した取り組みの強化が不可欠だと感じています。ことしに実施された中学校の全国学力テストの結果では、国語、数学、さらに初めて実施された英語も含め、全ての科目で高知市が県平均を下回る厳しい結果となりました。県内の児童生徒の約半数は高知市内の中学校に在籍しているため、高知市の学力向上は県全体にとっても重要な課題であり、県と高知市の連携のもと、徹底した学力向上対策が不可欠となっています。 また、全国学力テストの調査には県内の公立中学校等が参加しており、調査結果に私立中学校は含まれていません。本県は、全国の都道府県の中でも東京都に次いで私立中学校に通学する生徒の割合が高いことに加え、私立学校は高知市に集中しているため、市内のおよそ3割近くの生徒が私立中学校へ進学しています。私立中学校を受験する子供たちの多くは、大学への進学を希望する御家庭の児童生徒だと思いますので、調査結果に対する影響は少なくないのではないかと感じています。 しっかりとその現状を分析するとともに、将来大学進学を希望する児童生徒も安心して公立中学校へ入学できるよう、中学校の学力向上対策、さらにはその先の進路となる県立高校の魅力化など、より一層の教育環境の充実に努めていくことが必要だと考えております。 高知市の学力テストの結果をどのように捉え、今後の対策に生かしていくのか、教育長の御見解をお尋ねいたします。 不登校の児童生徒数が増加傾向にあり、本県にとって喫緊の課題となっています。昨年度、1年間に30日以上欠席をした不登校の児童生徒は、小中学校で1,059人となっており、1,000人当たりの数は全国でも2番目に高い割合となっています。不登校になると、夜遅くまでインターネットの動画やゲームに熱中してしまい生活習慣が乱れることから、さらに不登校を抜け出せなくなってしまうという話もお伺いいたします。不登校の児童生徒への支援に関しては、未然防止の取り組みと迅速な対応が必要不可欠となっています。 不登校の要因は多岐にわたりますが、県教育委員会では、教職員と生徒双方で、不登校の原因認識にずれが生じているのではないかと懸念している状況もあります。不登校の理由を、教職員は家庭や生徒自身の問題として捉え、生徒は友達や教職員との関係性を挙げているといった認識の違いであり、不登校の予防や支援については子供の視点から考えて対応することも重要と言えます。 そのため、公立小中学校において実施しているQ-Uアンケートを初め、全国学力テストにおける子供の生活習慣全般に対するアンケートなどの結果も参考にしながら、子供たちが楽しく学校生活を送ることができるよう、不断の努力を続けていただきたいと思います。 増加傾向にある不登校に対してどのように対応策を強化していくのか、教育長にお聞きいたします。 次に、中山間対策について伺います。 中山間対策の核となる集落活動センターについては、これまでに31市町村、58カ所で立ち上がり、県内各地域に広がってきているとの御報告が知事からありました。三原村のやまびこカフェは、年間1万人以上、開所から3年で4万人を超える方々が来店される、人気のランチスポットとなりました。地元の食材を利用することや交流人口の拡大など、地域経済への波及効果も生まれてきています。そのほかにも、観光イベントの実施やシシトウのハウス栽培、さらにはコインランドリーの運営など、今や地域にとってなくてはならない拠点となっています。 県内それぞれの集落活動センターでは、地域の資源を生かした独自の事業展開が進められており、改めて、地域に愛着や誇りを持ち、生き生きと暮らしている方がふえてきているように感じています。また、中山間地域の対策については、これら地域を元気にする取り組みとあわせて、水道が普及していない地域における生活用水供給施設の整備や買い物支援、移動手段の確保など、住みなれた地域での生活を守る対策も実施されてきました。 知事は提案説明の中で、若者が住み続けられる中山間地域の実現なくして高知県の発展はないという強い決意を述べられました。今後、どのような施策に力を入れていくお考えなのか、中山間対策のさらなる強化に向けた知事の思いをお聞きいたします。 最後に、選挙事務についてお尋ねをいたします。 本年は12年に1度の、い年の選挙であり、春の統一地方選挙に始まり、夏の参議院選挙、7つの自治体における首長選挙、県知事選挙と、大型選挙が続きました。選挙管理委員会においては、それぞれの選挙についての手続や啓発活動、市町村に対する助言など、大変な年ではなかったかと拝察いたします。 い年の選挙では投票率が落ち込む傾向があるとも言われますが、県内の児童生徒に向けた選挙啓発作品コンクールや参議院選挙の啓発キャラクターの採用、知事選挙の投票を呼びかける啓発イベントを行うなど、特に若年層を対象とした啓発活動の工夫がされてきました。先日行われた県知事選挙の投票率は、選挙戦となった12年前と比較すると、前回をおよそ2ポイント上回る47.67%となり、年々投票率が低下傾向にある中、一定の改善が見られたことは、選挙管理委員会の取り組みの成果もあったものと思います。 ただ一方、全国的に選挙事務の誤りが増加していることも指摘されており、夏の参議院選挙においては、全国の自治体から報告があった選挙事務の誤りなどが200件に上り、記録が残っている平成7年以降、最多となりました。本県においても、選挙区と比例代表の投票用紙を間違えて渡し、一部が無効票となるといったケースがあったことなどが報告されています。また、投票の際には、選挙区と比例区で一緒の記載台が使用されていたため、それぞれの候補者の氏名を誤認し、比例代表の用紙に選挙区の候補者の氏名を記載するといった事例があったともお聞きしております。 有権者の意思が的確に反映されるよう、それぞれの選挙において得た教訓を今後の再発防止策につなげていただきたいと思います。 ことし行われた一連の選挙をどのように総括し、今後の選挙執行に生かしていくのか、選挙管理委員長に御見解をお伺いいたします。 以上で、私からの第1問とさせていただきます。 (知事浜田省司君登壇)
◎知事(浜田省司君) 加藤議員の御質問にお答えをいたします。 まず、目指すべき県政の実現に向けた意気込みはどうかというお尋ねがございました。 私は、大学進学を機に高知を離れまして、34年間の公務員生活を県外で過ごしてまいりました。その間、ふるさと高知が、全国に先駆けて人口減少や高齢化が進み、いわば課題の先進県となっており、その解決に向けて尾崎知事のもと、県勢浮揚に向けたさまざまな取り組みが進められていることを承知しておりました。この流れを途切れさせることなく高知をもっと元気にしたい、若者が誇りを持って定住できる魅力あふれる県にしたいとの思いから、知事の職を目指すことを決意いたしました。生まれ育った大好きなふるさと高知県のために、これまでの行政経験や人脈を生かしてお役に立ちたいと考えております。 今後は、まず前知事が築き上げてこられた財産である、県勢浮揚に向けた方向性を継承しながら発展させていき、さらに新しい時代の視点に立って、活力ある高知県を県民の皆様とともにつくり上げていきたいと思います。 そのための道筋として、3つの目指すべき姿の実現に向けて、さまざまな施策を展開させる必要があると考えます。すなわち、第1に、産業振興によって新たな雇用を創出する、いきいきと仕事ができる高知、第2に、教育の充実や子育て支援、日本一の健康長寿県づくりの取り組みなどを通じました、いきいきと生活ができる高知、第3に、
南海トラフ地震対策や豪雨災害対策、インフラ整備の推進によります、安全・安心な高知という、3つの姿であります。 尾崎県政のもとでは、県勢浮揚を目指す県民の皆様の心に灯をともす、いわば県民総参加で取り組みが進められたからこそ、この成果に結びついたものだと考えております。だからこそ、私としてもこうした姿勢を継承し、県民の皆様と心を一つにして共感を得ながら、成果を求めて着実に前進する県政を行ってまいりたいと考えております。 また、選挙の際に県民の皆様から、御期待の声や激励をたくさん頂戴いたしました。そうした負託に応えて、行政経験や人脈を生かした私ならではの成果を上げていかなければならないという責任感で、身が引き締まる思いでございます。さらに、このことが、しっかりと県政のかじ取り役を務めていこうという意気込みの原動力にもなっているところであります。 今後、さらなる県勢浮揚に向けまして、官民協働、市町村政との連携・協調のもと、高知の強みを十分発揮できるような創意工夫を持って、県政運営に全力で取り組んでまいります。 次に、どのように共感と前進の県政を実現していくのかについてお尋ねがございました。 私はこれまで、人口減少に伴います県経済の縮みや中山間地域の衰退といった、本県の直面する困難な課題の解決に向けまして、県民の皆様との対話を通じて県政に対する共感を得ていくこと、そして地域を支えていこうという熱意を持った皆様の英知を結集して成果を生み出し、課題の解決に向けて着実に前進をしていくこと、この共感と前進を基本姿勢としたいと訴えてまいりました。 これから県政を運営するに当たって、まず共感につきましては、県民の皆様と膝を突き合わせる座談会のような場などを通じまして、できるだけ早い時期に全ての市町村において、地域の皆様から率直な御意見をいただく機会を設けることができるように、スピード感を持って取り組みを進めてまいります。 また、前進につきましては、自分たちの地域を支えていこうという気概と熱意を持った多くの県民の皆様からの英知を結集するとともに、私のこれまでの知見や人脈を生かして関西圏の活力を取り込むための戦略的な仕組みづくりを、私が先頭に立って指揮するなど、成果を追求し、課題の解決に向けて着実に前進をしてまいりたいと考えております。 今後、県民の皆様と気持ちを一つにして、新しい時代の流れや外部の知見も取り入れながら、官民協働、市町村政との連携・協調のもと、高知の持てる潜在力を十分発揮できるような県政運営に取り組んでまいる所存であります。 次に、産業振興計画の取り組みの評価と、引き続き計画を推進していくに当たっての考え方についてお尋ねがございました。 これまでの産業振興計画の取り組みを通じまして、県内総生産や1人当たりの県民所得といった経済指標は好転をしており、本県経済は、人口減少に伴って縮む経済から、人口減少下にあってもむしろ拡大する経済へと構造を転じつつあるものと受けとめております。 こうした成果は、多くの皆様に産業振興計画の取り組みに御参画いただき、官民協働による取り組みを進めてきたからこそなし得たものであると感じております。私自身、ここ数カ月県内各地を回る中で、産業振興計画の取り組みにより心に灯をともされた県民の皆様が地産外商に挑戦している姿を拝見し、本当に心強いと思いました。そして、ここにこそ高知の未来があると確信をいたした次第であります。 そして、これまでの取り組みをしっかりと引き継ぎ、その土台の上に立って、より多くの若者が戻ってくることができる、さらには都会に出ていかなくても誇りと志を持って定住ができる、魅力あふれる県を目指してまいることこそが、私の使命であると考えております。その実現のためには、仕事の質の向上と多様な仕事の創出、この2つの点が特に重要であると考えております。第1の仕事の質の向上につきましては、本県産業をさらに付加価値や労働生産性の高い産業にしていく、そういうことで企業の体力を一層強化するとともに、働き方改革の促進を通じまして、その実現を図ってまいります。第2の多様な仕事の創出につきましては、若者の多様なニーズに応えるためにも大変重要だと考えております。地域アクションプランや各産業分野におけます地産外商の取り組み、さらには起業や新事業展開を促す取り組みなどを一層強化してまいります。 そして、この第1と第2の取り組みの大きな推進力になると考えておりますのが、デジタル技術と地場産業の融合を図る取り組みであります。これを大いに進めることによりまして、各産業の付加価値や労働生産性の飛躍的な向上、さらにはSociety5.0関連の産業群の創出に、挑戦をしてまいりたいと考えております。 こうした取り組みを中山間地域においてもしっかりと展開いたすとともに、多くの若者に、多様で、かつ魅力ある仕事が本県にあることが伝わるように、情報発信もあわせて強化をしてまいります。 次に、関西圏との交流や連携の強化によります本県経済の活性化について、どのように検討していくのかというお尋ねがございました。 大阪を初めとする関西圏は、令和7年に開催をされる大阪・関西万博に向けまして再開発が進むとともに、外国人観光客も数多く訪れるなど、経済活力に満ちております。また、万博における経済波及効果は約2兆円とも言われております。さらに、令和3年のワールドマスターズゲームズや、また大阪府市一体となって進めているIR誘致なども相まって、今後さらに大きな経済成長が期待をされているところであります。 本県では、これまでにも産業振興計画に基づき、関西圏において地産外商公社による外商活動や観光客の誘客などに取り組み、一定の成果につなげてきておりますけれども、今後の関西圏の経済成長を本県に取り込むことができれば、拡大基調にある本県経済をさらに上昇気流に乗せていけるものと考えております。 例えば、国内外から多くの方々が集まる関西圏におきまして本県の強みである食を発信し、食料品の販売拡大につなげることで、本県への経済波及効果を一層高めることができるものと考えているところであります。また、観光分野におきましては、万博やIRを訪れる多くの外国人観光客を本県に誘客することによりまして、本県の観光振興をもう一段高いレベルへ引き上げていくことができるのではないかというふうに考えております。 こうした取り組みを成果につなげていくためには、関西圏での新たな経済活動の戦略をつくり上げ、スピード感を持って効果的かつ効率的に展開していくことが重要であると考えております。このため、来年度のできるだけ早い時期に、これまで私が築いてきた人脈、あるいは経験も活用しながら、関西圏の行政機関、あるいは経済界の皆様にも御参画いただきまして、このための戦略を検討する組織を立ち上げるべく、年明け早々にも大阪に出向き、関係者の皆様と意見交換をするなど、準備を進めてまいりたいと考えております。 この場合の戦略といたしましては、食料品の販売拡大におきましては、いわゆる中食・外食向けの食料品の外商の強化、観光振興では、関西圏と高知を結ぶ新たな観光ルートや旅行商品の開発、さらには万博関連施設での県産材や県産食材の活用促進など、さまざまな取り組みが考えられます。関係の皆様から御意見、御助言もいただき、しっかりと練り上げた上で、関西圏の経済活力を活用した本県経済のさらなる浮揚に向けまして、全力で展開をしてまいりたいと考えております。 次に、
南海トラフ地震対策に取り組む決意を聞くというお尋ねがございました。
南海トラフ地震対策につきましては、県や市町村、事業者、県民の皆様がそれぞれの立場で実施すべき具体的な取り組みをまとめた行動計画を策定し、PDCAサイクルによります検証と改善を徹底することで、着実に推進をしてまいります。 現在の第4期の計画におきましては、揺れや津波から命を守る対策のさらなる徹底を図り、次に助かった命をつなぐ対策を幅広く展開するとともに、第3に復旧・復興期の生活を立ち上げる対策も推進をいたしております。中でも、要配慮者の支援や避難所の確保対策などについては、重点的に取り組む課題として加速化を図っております。 御質問にございました要配慮者の支援対策につきましては、約6万人の避難行動要支援者に対しまして、今、個別の避難計画の策定が12%程度にとどまっております。この策定を加速化するとともに、福祉避難所の確保でございますとか、一般の避難所での受け入れ体制の強化などに取り組んでまいります。 避難所の確保対策につきましては、想定される約23万人の避難者に対しまして不足する約2万人分の確保に向けまして、学校の教室や地域集会所の利用に加えまして、ホテルや旅館などの民間施設の活用も進めてまいります。 応急仮設住宅の建設用地の確保につきましては、各市町村において公園や校庭などの公有地の活用を検討いたしますとともに、圏域ごとの広域調整により対策を進めてまいりました。しかしながら、まだ約4万6,000戸分が不足しております。今後は、民有地の活用や2階建て、3階建てでの建設などの検討によりまして、その確保に努めてまいります。 こうした取り組みに加えまして、私自身がこれまで消防庁などで、東日本大震災を初めとする大規模災害にかかわってきた経験を生かして、ソフト対策を一段と高いステージに引き上げてまいります。 具体的には、消防や自衛隊、DMATなどの応援部隊が迅速に人命救助活動を行えますよう、県や市町村における受援計画--支援を受けるための計画でございます--この作成を推進してまいります。これは--昨年の夏、私自身が大阪の北部地震で経験をいたしました。特に震源地になりました高槻市、茨木市、こういった都市で、応援の受け入れというのに、特に発災直後に非常に問題があったという点を反省点だと思っております。 また、市町村物資配送拠点の運営マニュアルの作成でございますとか物流事業者との連携強化によりまして、住民の皆様に支援物資が確実に届く仕組みづくりを推し進めてまいります。さらに、より実践的で効果的な訓練を実施することで、県や市町村の職員一人一人の災害対応力の向上にも努めてまいります。 県民の皆様の命と暮らしを守り、安全・安心な高知を実現するため、
南海トラフ地震対策を県政における最重点課題と位置づけまして、市町村や関係機関とも連携をしながら、全庁挙げて全力で取り組みを進めてまいります。 次に、他県と比べまして立ちおくれている本県のインフラ整備について、今後どのように推進していくのかというお尋ねがございました。 道路や河川、海岸堤防、港湾などのインフラは、南海トラフ地震などの自然災害から県民の生命や財産を守りますとともに、産業や観光振興を下支えする基盤として、県政全般に大きくかかわる大変重要なものでございます。このため本県では、国などに対して積極的に政策提言を行いながら、四国8の字ネットワークでございますとか浦戸湾の三重防護事業など、地域の生活を支え、
南海トラフ地震対策などにも資するインフラ整備を、着実に推進してまいりました。 一方、近年、毎年のように全国各地において、これまでに経験したことのないような豪雨が頻発し、深刻な水害や土砂災害がもたらされております。本県におきましても、昨年の7月豪雨では、県内で初めてとなる大雨特別警報が発表されるなど、記録的な豪雨により甚大な被害が発生をいたしました。これらの災害につきましては、昨年来被災箇所の復旧に全力で取り組みますとともに、国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を最大限に活用しながら、中小河川の河床掘削や樹木伐採を初め、河川や海岸堤防の強化など、豪雨災害に事前に備える対策に取り組んでいるところでございます。 加えて、発生確率が高まる南海トラフ地震など、本県を取り巻く危機的状況は厳しさを増してきております。全国水準に比べて大きく立ちおくれております本県のインフラについて、その整備水準を高め、災害対応力を強化していかなければならないと意を強くしております。 このたびの国の経済対策におきましても、国民の安心・安全を確保するため、防災・減災、国土強靱化の取り組みをさらに強力に推進しなければならないとされております。この13日に閣議決定されました補正予算案では、頻発化、激甚化する災害を踏まえまして、河川や海岸堤防の整備、土砂災害対策などの整備費用が盛り込まれております。 こういった国の動きも注視をいたしまして、国の施策も最大限に活用しながら、今後とも全国知事会や他県ともしっかりと連携をいたしまして、あらゆる機会を通じて国などに対しまして、インフラの必要性、あるいは整備に要する予算が確実に確保されるよう強く訴えながら、全力でインフラ整備に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、生活習慣病の予防や健康づくりの推進につきましてどのような施策を重視し、健康長寿県構想の改定を図っていくのかというお尋ねがございました。 まず、尾崎正直前知事が取り組み、成果を上げてこられました日本一の健康長寿県構想の各施策は、しっかりと継承してまいりたいと思っております。その上で、生活習慣病の予防や健康づくりといった点で言えば、日常生活を制限なく送っていただける期間、いわゆる健康寿命の延伸に向けた施策を一層強化していきたいと考えております。 健康寿命を延伸するためには、広く多くの方々に対して健康増進を図ります、いわゆるポピュレーションアプローチと申します方法と、特に疾病の発症リスクの高い方々に絞ったハイリスクアプローチ、この2つの面がございまして、この両面から取り組んでいく必要がございます。 このうち、いわゆるポピュレーションアプローチといたしましては、これまでの取り組みによりまして、がん検診、特定健診の受診率が向上するなど、県民の皆様の健康意識も着実に高まってきておると思います。まずは、これまでの高知家健康パスポート事業を初めといたしまして、健康的な生活習慣の定着に向けた施策を通じまして、県民の皆様の健康づくりに向けた行動変容を後押ししたいと考えております。そして、さらに生活習慣病の予防につながり、健康状態に大きな影響を与える要素でございます、食生活の改善や運動の習慣化、禁煙、適正飲酒などについて、県民運動につながるような取り組みを新たに展開してまいりたいと思います。 一方で、いわゆるハイリスクアプローチにつきましては、これまで、人工透析になれば生活の質が低下し、さらに医療費が高額となりますために、保険者による介入が効果的とされます、中等度の病状の糖尿病性腎症の方への重症化予防に取り組んできたところでございます。私といたしましては、新規の透析導入患者数の減少に向けました目標値を新たに掲げました上で、重症度の高い方も新たにこの対象に加えて取り組んでいきたいと考えております。最初は、一部の地域に対象が限られることも想定されますけれども、事業効果をしっかりと検証できる仕組みを整えまして、可能な限り早く結果を示すことにチャレンジをいたしまして、その結果をもとに県内全域に横展開をしていくということによりまして、この目標を達成してまいりたいと考えております。 次に、教育振興に対する決意に関しましてお尋ねがございました。 本県の子供たちがこれからの時代をみずからの力で力強く生き抜き、夢や志を抱いて羽ばたいていくためには、知・徳・体の調和のとれた生きる力を育んでいくことが必要であります。特に、変化が激しく将来の予測が難しい時代においては、基礎学力をしっかりと定着させるとともに、それらを活用して課題を解決する力、あるいは論理的に考える力、また創造性や表現力を育むことが重要であるというふうに考えております。 来年度からは、新たな教育大綱のもとで、基礎学力の定着や思考力、表現力などの育成に向けて、成果の上がってきたこれまでの取り組みを継承しながら、一層の充実を図ってまいりたいと考えております。具体的には、授業改善の進捗を客観的な指標ではかりながら、教員同士が主体的に授業の質を高めていきます、いわゆるチーム学校の取り組みをより一層推進していくことや、就学前から高等学校までの各段階において、多様な課題を抱える厳しい環境にあります子供たちに放課後などの学びの場を用意するなど、切れ目ない支援を充実させてまいります。 さらに、先端技術の活用は、個別最適化された学びの実現や、中山間の小規模校の教育の充実に向けて大変有効な手段でございまして、積極的に導入をしていく必要があると考えております。 加えて、プログラミング教育や理数系科目の教育の充実、AIやデータサイエンス分野におけます高度な人材の育成に向けた高大連携の推進など、子供たちがデジタル社会に対応できる力を育むための教育の充実にも取り組んでまいります。 あわせて、こうした取り組みを進めていくためには、教員が子供と向き合うための時間や、教員としての資質・指導力を高めることができる時間の確保が重要であります。このため、学校における働き方改革をさらに推進してまいります。 こうしたことにつきまして、総合教育会議において教育委員会としっかり協議をし、本年度内に新しい教育大綱を策定いたしまして、成果、効果を意識した取り組みを進めてまいりたいと考えております。 最後に、中山間対策のさらなる強化に向けて、今後どのような施策に力を入れていくのかについてお尋ねがございました。 中山間対策につきましては、これまで産業をつくる取り組みと生活を守る取り組みを柱として、県政の各分野においてさまざまな施策を展開してまいりました。 その結果、中山間対策の核となる取り組みとして市町村との連携のもとで推進してきました集落活動センターは、現在31市町村、58カ所で立ち上がり、県内各地で着実に広がりを見せております。また、それぞれのセンターにおいては、生活店舗の運営といった生活を守る取り組みのほか、産業振興計画の取り組みとも連動した経済活動も展開されております。議員のお話にもありましたように、今や地域の暮らしを支える集落維持の拠点となっていると言えると思います。あわせまして、32市町村におきまして移動手段の確保対策が実施をされるなど、中山間地域の皆様の暮らしを守る取り組みについても、着実に進んできているところです。 一方で、中山間地域におきましては、多くの集落で人口減少に歯どめがかからないなど厳しい状況が続いております。今回の知事選挙で私自身、県内各地の中山間地域を回らせていただきまして地域の皆様のさまざまな声をお聞きする中で、若者が住み続けられる中山間地域の実現なくして高知県の発展はないとの強い思いを持ち、中山間地域の振興を一層図っていかなければならないと、決意を新たにしたところでございます。 県といたしましては、今後も中山間対策のテーマであります、産業をつくる、生活を守るを対策の柱として、集落活動センターの取り組みをさらに拡大させますとともに、産業振興計画におきましては、デジタル技術と地場産業の融合などによりまして、地産外商と担い手確保の取り組みを強化いたしますほか、日本一の健康長寿県構想、教育、インフラ整備など全ての施策を、中山間地域を念頭に置いてさらに充実強化いたしてまいります。 (農業振興部長西岡幸生君登壇)
◎農業振興部長(西岡幸生君) まず、
Next次世代型施設園芸農業の導入に係る現在の進捗と今後の目標についてお尋ねがございました。
Next次世代型施設園芸農業につきましては、九州大学の北野教授や東京大学大学院の越塚情報学環長を初めとした、世界でもトップレベルの農学研究者やITの専門家を招聘するなど、先端技術の研究開発に取り組むための体制を構築し、多様な園芸作物の生理・生育情報のAIによる可視化と利活用を実現するIoP--インターネット・オブ・プランツのコンセプトのもと、現在100名を超える研究者により、生産から流通、消費までの13の多様な研究群に取り組んでいるところです。 これまでの進捗状況としましては、昨年本県の主要品目であるナス、ピーマン、キュウリの出荷データと気象データを学習させたAIの活用により、個々の生産者が3週間先までの出荷予測などをスマートフォンやタブレット等で閲覧できる、高知県園芸品生産予測システムを開発し、現在安芸市や土佐市などの5つの集出荷場において、生産者の皆様の栽培管理の改善等に活用いただいております。また、AIを用いた画像解析によりナスの開花数や着果数を自動計測するシステムや、生産者の皆様が農薬や肥料の使用履歴をスマートフォンを活用して簡単に入力、集計できるシステムがほぼ完成しつつあります。 来年度は、これらのシステムに加えて、ハウス内の環境データ、ボイラーや炭酸ガス発生機の稼働状況など、さまざまなデータ群を自動で収集、蓄積できる仕組みを確立していきます。その上で、これらのデータ群とIoPの多様な研究開発により得られる多くの知見や技術を統合、解析し、有益な情報として生産者にフィードバックするためのデータ共有基盤、IoPクラウドを令和4年度中に構築してまいります。 このクラウドを活用したきめ細かな営農サービスの展開により、さらなる収量・品質の向上や省力化を実現し、生産者の皆様の所得向上につなげるとともに、クラウドに集積されたビッグデータを活用した、新たな機器やシステム、アプリケーション等の開発を加速し、本県施設園芸農業の飛躍的発展と施設園芸関連産業群の創出につなげてまいります。 次に、生産現場や集出荷場における人手不足への対応についてお尋ねがございました。 本県農業の維持・発展を図る上で喫緊の課題となっております、生産現場や集出荷場における人手不足に対しましては、人の確保と省力化の両面から取り組むことが重要であると考えております。 まず、人の確保の面では、長期の雇用を望む求職者のニーズに対応するため、本年度にJAグループとともに実施しました、品目ごとの人手が不足する時期や作業などの調査結果に基づいて、野菜の収穫や集出荷場での荷づくり作業など、繁忙期の異なる複数の作業を組み合わせた、長期間の農作業体系を構築してまいります。また、昨年ショウガの収穫作業に29名を確保した、県外や地域外からのアルバイターの呼び込みを強化するためのJAによる宿泊施設の確保や、JA無料職業紹介所の機能を強化するための、担当職員のコーディネート力を向上させる研修への支援などによりまして、地域、品目を超えた効果的なマッチングを進めてまいります。さらに、JAグループや関係団体と連携しまして、農福連携の県内全域への拡大、外国人材の受け入れ体制の整備など、新たな労働力の掘り起こしにも取り組んでまいります。 次に、省力化の面では、これまでに100台以上が導入されたニラのそぐり機を初め、作業を省力化できる機械の導入や、農家とJA集出荷場13カ所で実施をしておりますトヨタのカイゼン方式による作業の効率化、軽労化などへの支援を継続してまいります。また、ドローンによる病害虫防除やロボットによる箱詰めなどのスマート農業技術の導入を図り、さらなる省力化につなげてまいります。 こうした人の確保と省力化の取り組みを、JAグループなどと緊密に連携しながら、スピード感を持って進めてまいります。 (林業振興・環境部長川村竜哉君登壇)
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) まず、産業振興計画に掲げた目標達成も見据え、さらなる原木生産の拡大に力を入れることについてお尋ねがございました。 これまで、産業振興計画の林業分野における取り組みによりまして、大型製材工場や木質バイオマス発電施設などの整備を進めるとともに、これらの原木需要の増加に応じて安定的に原木を供給するため、施業地の集約化や路網整備、高性能林業機械の導入、担い手の育成などを推進してまいりました。その結果、原木の生産量は10年前に比べ20万立方メートルを超えて増加し、平成30年は64万6,000立方メートルとなっております。 現在、第4期産業振興計画に向けて原木の需要を精査し、生産量の目標値の見直しを進めているところではございますが、豊富な森林資源を活用し中山間地域の振興につなげていくためには、今後もさらなる原木増産を推進していく必要があると認識しております。 このため、引き続き安定的な原木生産に必要な施業地の集約化や、10トントラックが走行可能となる基幹的な路網の整備と高性能林業機械の導入などを進め、これらを組み合わせた効率的な作業システムを構築することにより生産性の向上に努めてまいります。 また、引き続き林業大学校では、現場で即戦力となる人材から将来の中核となる人材まで幅広い人材の育成に取り組むとともに、今後は林業事業体の事業戦略づくりを推進し、経営基盤の強化とあわせて労働環境の改善を図る中で、労働生産性の向上につなげる取り組みを新たに進めてまいりたいと考えております。 さらに、持続可能な森づくりに向けて、引き続き地域ぐるみで再造林を推進していくとともに、再造林の省力化に向けて、皆伐の際に発生する林地残材の整理等を支援してまいりたいと考えております。 こうした取り組みにより、皆伐と再造林を一体的に推進して将来の森林資源量を確保しながら、目標の達成に向けてさらなる原木増産に取り組んでまいります。 次に、付加価値の高い製材品の供給体制の強化と全国的な木材需要の掘り起こしに向けた今後の取り組みについてお尋ねがございました。 将来の人口減少に伴い、住宅の需要は縮小していくことと見込まれていることから、これまで木材が余り使われてこなかった非住宅建築物における木材需要の拡大が、林業・木材産業全体の重要なテーマとなっております。 そのため、本県では、木材協会に設置したTOSAZAIセンターが、全国レベルの建築家集団であるNPO法人チーム・ティンバライズと連携し、非住宅建築物の木造化、木質化に向けて、都市部の民間企業などへ積極的な提案・営業活動を推進するとともに、県内企業を加えたワーキンググループを立ち上げて、付加価値の高い商品開発などにも取り組んでいるところでございます。 あわせて、中小製材事業体の共同化、協業化などにより、JAS認定された構造用製材品の安定供給体制を整えていくとともに、オフィス向けの内装材等についてもしっかりと供給できるよう、県としても支援してまいりたいと考えております。 また、全国的な木材需要の拡大を図るために、経済同友会と連携し、全国各地域の経済同友会や自治体、民間企業、324団体による木材利用推進全国会議を、11月7日に設立しました。この全国会議では、シンポジウムやセミナーを通して、木材活用の意義などについて施主となる企業などの理解を深め、具体的な木材利用を促していくこととしており、本県としてもその先導的な役割を果たしてまいりたいと考えております。 現在、都市部の民間企業では、SDGsや環境、社会、企業統治に配慮したESG投資に対応するための取り組みが始まっています。木材は持続可能な建築材料であり、木材の活用への関心が高まってきております。こうした動きも追い風にしながら、新たな木材需要の積極的な掘り起こしを進めてまいりたいと考えております。 (水産振興部長田中宏治君登壇)
◎水産振興部長(田中宏治君) 担い手の確保に努め、さらに効率的な生産・流通体制への転換を図っていくことが重要であると考えるが、どのように漁業生産額の維持・発展を目指していくのかとのお尋ねがございました。 漁業者の高齢化や減少が進む中、生産額を維持・増大させていくためには、議員からお話がありましたように、担い手の確保に加え、効率的な生産・流通体制への転換が必要であると認識しております。そのため県では、黒潮牧場の高機能化を初め、メジカの漁場予測システムの開発や産地市場への自動計量システムの導入など、生産から流通におけるIoT化に取り組む、
高知マリンイノベーションを推進しているところでございます。 今後は、大学や民間企業と連携してAIなどのより高度なデジタル技術を活用することで、さらなる生産性の向上を図るとともに、その成果を関連産業の創出にもつなげてまいりたいと考えております。 あわせて、地元の合意を前提に、定置網漁業や養殖業における未利用漁場への企業参入を促進して、新たな雇用の創出や生産額の維持・増大につなげてまいります。 また、外商をさらに推進していくためには、加工体制を強化することで水産物の付加価値を高めるとともに、活力ある海外市場への販路を拡大することが必要であることから、これまで取り組んでまいりましたシンガポールやベトナムなどの東南アジアに加え、中国や米国などの巨大市場への輸出拡大を一層強化してまいります。 これらの取り組みを力強く進め、漁業生産額をしっかりと確保し、就業者の所得の向上を図ることが、担い手の安定確保につながるものと考えています。このような好循環を生み出すことで、持続的かつ付加価値を創造する産業への転換を強力に推進してまいります。 (観光振興部長吉村大君登壇)
◎観光振興部長(吉村大君)
外国人延べ宿泊者数30万人泊をどのように実現していくのかについてお尋ねがありました。 本県では、これまで外国人観光客の誘致拡大のために、台湾や香港など8つの重点市場に海外セールス拠点等を設けて、海外の旅行会社やメディアとの関係づくりを強化しながら、団体旅行を初めとする商品造成や情報発信に取り組んでまいりました。また、特に個人旅行向けには、日本在住の外国人専門家や中国最大手のオンライン旅行会社との連携などによる、外国人目線での商品づくりも推進しております。 こうした取り組みにより旅行商品の数が増加した一方で、売れ行きの伸びは微増にとどまっており、海外の旅行会社からは、旅行先としての高知の認知度がまだ低いのでさらに高めてほしいとの意見をいただいているところです。 このため、来年度は、重点市場の訪日旅行に関心を持つ方々に向けて本県観光の魅力をダイレクトに伝える情報発信を、さらに充実強化したいと考えています。加えて、日本を代表する祭りに成長したよさこいと発祥の地高知を海外メディアなどにアピールする場を通じて、観光地としての高知の認知度も高めてまいります。 さらに、高知龍馬空港を初め四国内の空港を活用したチャーター便の誘致や、新たな四国周遊商品の造成に4県が連携して取り組むなど、これら一連の施策によって、令和5年の
外国人延べ宿泊者数30万人泊を実現してまいりたいと考えています。 (地域福祉部長福留利也君登壇)
◎地域福祉部長(福留利也君) まず、健康寿命を延ばしていくためのフレイルの予防と早期発見、改善について、どのように対策を進めていくのかとのお尋ねがございました。 フレイル予防につきましては、高齢者の方が要支援・要介護状態とならないための重要な取り組みであると考えており、今年度から、高知版地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みの中で、フレイルチェックを活用した住民主体の健康づくりを進めているところです。 具体的には、高齢者の集いの場などにおいて住民同士でフレイル状態となる危険度をチェックし合い、その結果をもとに、栄養や歯科・口腔、運動などの専門職がその方の状態に応じた改善プログラムの実施につなげていくことに取り組んでおり、今後はこうした取り組みを県内全域に横展開してまいりたいと考えているところです。 このような中、来年度からは、高齢者一人一人に対しきめ細かな保健事業に取り組む、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施が予定されており、75歳以上の高齢者を対象に新たにフレイル健診も導入されることとなっています。 こうした状況も踏まえて、県としましては、各市町村でフレイル予防に取り組む際の参考としていただくため、フレイルチェックの方法やアセスメントのあり方、改善プログラムの実施事例などを示した、高知県フレイル予防推進ガイドラインを策定することとしております。この策定に当たっては、県医師会や県歯科医師会などの関係機関の御協力をいただき、ガイドラインの内容について協議検討する検討会を今年度内に立ち上げることとしております。 あわせまして、県民の皆様へのフレイル予防の普及啓発のため、福祉保健所の圏域ごとに講演会を開催しますとともに、予防を担う専門職の育成や、あったかふれあいセンターにおける介護予防の促進など、積極的に市町村の取り組みを支援してまいります。 次に、どのように少子化の克服を目指していくのかとのお尋ねがございました。 少子化の克服に向けましては、県民の皆様の出会い・結婚・妊娠・出産・子育ての希望がかなえられますよう、ライフステージの各段階に応じた対策のさらなる強化が必要であると考えております。 このため、まず出会い・結婚につきましては、婚活サポーターを増員し情報発信を強化するとともに、マッチングシステムの利便性の向上や、会員に対する個別相談会の開催など支援のさらなる充実を図り、より多くの出会いの機会を創出してまいりたいと考えております。 また、高知版ネウボラの取り組みにより、安心して妊娠・出産・子育てができる環境づくりを推進しますとともに、働きながら子育てしやすい環境づくりを強化してまいります。本県では、育児をしている女性の有業率が大きく上昇する一方で、出産や育児を理由に離職した割合は全国を上回っておりますことから、企業等における働き方改革の推進とあわせて、育児休業の取得促進や時間単位年次有給休暇制度の導入を支援しているところです。 こうしたライフステージの各段階に応じた取り組みについて、官民協働による県民運動として推進し、より大きな効果につなげていきたいと考えております。あわせて、特に出生率が高い傾向にある中山間地域において、高知版地域包括ケアシステムの構築などを通じて、誰もが地域地域で安心して住み続けられる環境を整え、少子化の克服を目指してまいりたいと考えております。 国に対しましては、こうした取り組みを後押しいただけるよう、地域少子化対策重点推進交付金の充実などについて、全国知事会とも連携して提言してまいります。 最後に、高知版ネウボラの取り組みを県内全域に広げ、さらに充実強化する必要があるのではないかとのお尋ねがございました。 高知版ネウボラの取り組みでは、母子保健や子育て支援、児童福祉、教育など多くの関係機関が連携して、妊娠期から子育て期までの切れ目のない総合的な支援体制づくりを進めることにより、全ての妊産婦や子育て家庭の不安の解消と、働きながら子育てできる環境づくりに取り組んでいるところです。このうち、特に母子保健と児童福祉の連携については、厳しい環境にある家庭をリスクに応じて適切な支援につないでいくため、両者の連携を強化し、支援体制を充実させてまいりました。 今後は、各取り組みの実効性を高めていくため、子育て世代包括支援センターなどにおける相談支援機能のさらなる強化を図るとともに、地域子育て支援センターを初め、保育所やあったかふれあいセンター、子育てサークルなどの地域資源を活用した子育て支援の場の拡充に取り組んでまいります。 さらに、発達障害のある子供への支援につきましては、心理職等の専門職が関与してアセスメントを実施することにより、できるだけ早い段階で身近な地域で適切な支援が受けられるよう、体制を整備してまいります。加えて、保護者の就業支援につきましても、高知県の女性しごと応援室などの関係機関と連携しながら支援の充実を図ってまいります。 こうした高知版ネウボラの充実強化策とあわせて、市町村の実情に応じた推進体制の構築に向けて、市町村などの関係機関を対象とした研修会の開催や意見交換の実施、アドバイザーの派遣など、きめ細かな支援を行っていくことで、県内全域への拡大に取り組んでまいります。 (教育長伊藤博明君登壇)
◎教育長(伊藤博明君) まず、高知市の学力テストの結果をどのように捉え、今後の対策に生かしていくのかとのお尋ねがございました。 本年度の高知市の全国学力・学習状況調査の結果につきましては、8月に開催した知事、市長と県市の教育長による連携会議において、高知市から、「全体として改善傾向は見られるが、高知市と高知市以外の地域との差が大きいという課題は十分に認識している。こうした中で県市連携の取り組みにより、大規模校であっても大幅に学力が向上した学校も見られ始めた。引き続き、県との連携を深めて取り組むことなどにより、成果を上げていきたい」といった趣旨の発言がありました。意見交換の後、改善の方向が見えてきたので、成果の出た学校をモデルとし、県と市がしっかりと協力して学力向上に取り組んでいくといった取り組みの方向性を、県市で確認しております。 高知市から報告があった、大きな伸びを示した学校の取り組みを分析しますと、教員が行っている業務を見直し、思い切ったスクラップと業務の精選を行うことで、教員が生徒と向き合う時間や授業研究のための時間の確保に取り組まれていました。また、学習指導の改善を検討する教科会には、高知市の学力向上推進室から指導主事の派遣を受けて充実が図られているほか、学校全体として、常に課題解決を意識した授業の改善や、家庭学習等の推進に向けた取り組みや手だてが徹底されておりました。 現在、このような取り組みを高知市内の他の学校へも拡大していくため、県から高知市に派遣しております13名の指導主事を中心に、県教育委員会も連携して学校訪問を実施しているところです。加えて、新学習指導要領において目指す授業づくりを、教材研究や研究授業を通して学び合う、授業づくり講座を実施しており、多くの高知市の教員が意欲的に参加をしております。 今後も、こうした取り組みをさらに充実し、県と市が連携して高知市の学力向上に取り組んでまいります。 次に、増加傾向にある不登校に対してどのように対応策を強化していくのか、お尋ねがございました。 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の結果において、平成30年度の本県の小中学校の不登校児童生徒数は前年度より大幅に増加し、不登校の出現率において全国平均を大きく上回る状況にあります。県教育委員会としましては、この結果を大変厳しく受けとめており、先般開催された総合教育会議においても、不登校の要因やその対応について集中的に議論をしたところです。 総合教育会議での議論を踏まえ、現在不登校に対する学校の支援体制を強化するとともに、不登校の児童生徒に多様な学びや相談の場を保障する取り組みを充実するための検討を進めております。 まず、学校の支援体制の強化については、県内全公立小中学校において不登校担当の教員を位置づけ、管理職と担当教員が連携しながら、校内の不登校支援についてトータル的なコーディネートの役割を担っていただくことを考えております。あわせて、不登校児童生徒が多い学校にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを重点的に配置し、専門的なアセスメントの実施やアドバイスにより、校内支援会の充実を図ってまいります。こうした取り組みを通じて、各学校における、初動から組織的な支援に至るまでの校内支援体制を強化していきたいというふうに考えております。 次に、学校以外で、児童生徒の学びの場の保障の観点から、市町村の教育支援センターの設置推進と機能強化が必要であると考えております。このため、教育支援センターをスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活動拠点として相談支援や家庭支援ができるような体制の強化と、教育支援センターでの学習支援のさらなる充実に向けた支援などについて検討していきたいと考えております。 これらに加え、県の心の教育センターによる学校、教育支援センターへの支援を強化し、学校、教育支援センター、心の教育センターによる、不登校児童生徒への3層構造での重層的な支援体制を強化してまいります。 (選挙管理委員長土居秀喜君登壇)
◎選挙管理委員長(土居秀喜君) ことし行われた一連の選挙をどのように総括し、今後の選挙執行に生かしていくのかとのお尋ねがございました。 県選挙管理委員会では、ことし実施予定の一連の選挙執行を念頭に、昨年度から投票率の向上や選挙事務のミス防止などの観点から、各種の取り組みを行ってまいりました。 投票率の向上の観点からは、選挙出前授業などのこれまでの取り組みに加えまして、県内の企業などを対象に選挙時の啓発に御協力いただく選挙啓発サポート団体の募集や、県内の若年層を対象に、携帯電話会社のメール配信サービスを活用した投票日の周知などの新たな取り組みも実施いたしました。 ただ、投票率につきましては、参議院議員選挙及び県知事選挙では前回を上回ったものの、県議会議員選挙では過去最低を更新する残念な結果となりました。このように、依然として投票率は低い傾向にありますことから、今後も投票率の向上に向けて、選挙出前授業などの選挙啓発の取り組みを、市町村選挙管理委員会や教育委員会とも一層連携し、粘り強く行ってまいります。 次に、選挙事務のミス防止の観点からは、昨年度県内の全ての投票所の投票手順やレイアウトなどの実態調査を実施した上で、市町村選挙管理委員会に対しまして、投票用紙の交付事務の改善点や県内でのミス防止対策のすぐれた事例の紹介などの助言を行ったところでございます。 しかしながら、ことし実施された一連の選挙では、投票用紙の二重交付や別の選挙の投票用紙を誤って交付するなど、20件を超える選挙事務に関するミスが発生いたしました。言うまでもありませんが、これらのミスは選挙事務の信頼を揺るがすものであり、あってはならないものでございます。 今後の再発防止に向けまして、ミスが生じた原因について改めて検証するとともに、外部の有識者などからのアドバイスも取り入れた選挙事務の留意点や改善点などについて、選挙事務講習会などの場を通じ、市町村選挙管理委員会に周知徹底を図ってまいります。 また、参議院議員選挙におきましては、議員御指摘のとおり、比例代表の投票用紙に選挙区の候補者の氏名を記載したことにより無効となった投票が多くありました。このような無効票が生じた主な原因は、選挙区と比例代表の投票について同じ記載台を使用することにより、記載台に掲示されている候補者の氏名等を選挙人が見間違えたことによるものではないかと考えられます。このため今後、選挙区と比例代表それぞれの記載台が設置できるよう投票所のレイアウトを工夫するとともに、やむを得ず同じ記載台を使用する場合におきましても、事務従事者による説明や注意事項の掲示を徹底するなど、市町村選挙管理委員会とともにこの問題の解消に努めてまいります。
◆12番(加藤漠君) それぞれ皆さん、御答弁をいただきましてありがとうございました。再質問は特にいたしませんけれども、各分野において積極的な取り組みが進んでいるというふうに、改めて感じさせていただいたところでございます。 また、浜田知事にとっては、きょうが初めての質問戦ということになりました。特に、選挙戦でお訴えになられたことを中心に質問もさせていただきまして、関西との連携であったり、防災の取り組みであったり、健康づくりと、こういった積極的にお訴えになられたことを、より一段深掘りできた議論になったんじゃないかなというふうに感じたところでございます。 万博の誘致に携わった浜田知事だからこそできることがあるんじゃないか、そんなふうに感じましたし、また高槻市なんかの事例も含めて、受援計画の必要性もおっしゃっていました。役場にたくさん支援の物資が来たけれど、そこからあとラストワンマイル届かない、こういうことを高知県でもなくしていくことは、本当に大事なことだというふうに思います。 また、健康づくり、透析のお話もされていましたけれど、1週間に3回も病院に行って3時間も4時間も透析を受ける、こういうことは本当に御負担になることですので、できる限り予防の徹底をしていく--こういう取り組みも力強く進むんだなというふうに、期待をさせていただいたところでございます。 1期4年間、新しい浜田県政の船出にエールを送って、また私たち自民党会派も全力で頑張って令和を明るい時代にしていきたいと、こういうことをお誓い申し上げて、私からの一切の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(桑名龍吾君) 暫時休憩いたします。 午前11時49分休憩
----------------------------------- 午後1時再開
○副議長(弘田兼一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 29番大野辰哉君。 (29番大野辰哉君登壇)
◆29番(大野辰哉君) 県民の会の大野辰哉でございます。浜田知事が就任されて初めての県議会質問戦初日に、諸先輩・同僚議員たくさんおられる中、質問させていただく機会を与えていただき、大変光栄に思います。議長のお許しをいただきましたので、大変僣越ではございますが、少しの間お時間をいただきまして、知事初め執行部の皆様に質問させていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。 改めまして、浜田省司知事におかれましては、このたびの高知県知事選挙において、17万票を超える多くの県民の皆様からの支持を得て見事当選され、公選知事としては8人目、官選を含めると50人目、第62代の高知県知事、本県のリーダーとしてこれから4年間、高知県のかじ取り役という大役を担うこととなられました。まずもって、心よりお祝いを申し上げます。本当におめでとうございました。 県政運営において知事と県議会は、健全な緊張感を保ちながらも、お互いに県民の声を代弁する二元代表として切磋琢磨し合い、県民の幸せの実現に向け仕事を遂行する、よく例えにありますが、車の両輪のような関係でなくてはならないと私も思っております。私自身はまだまだ大変微力でありますが、浜田新県政においても、これまで同様、全ては高知県民のため、常に地域住民の目線で考え、よいものはよい、悪いものは悪いという是々非々の姿勢で、あったか県政を目指してしっかりと議論をさせていただきながら、ともに汗をかかせていただきたいと思っております。改めまして、県民の皆様を初め、浜田知事、執行部の皆様、同僚議員の皆様、どうかよろしくお願いいたします。 まず初めに、知事の政治姿勢についてお伺いしたいと思います。 午前中の加藤議員の質問と重なる部分も多々あると思いますが、御答弁のほどよろしくお願いしたいと思います。 知事は、ふるさと高知県を離れ東京大学に進学し、同大学を卒業後、旧自治省に入省され、総務省、消防庁、内閣府といった中央省庁での活躍のみならず、大阪府副知事や島根県庁、福岡県庁など地方の現場でも仕事をされてこられるなど、34年間の長きにわたって、地方も含め行政の中枢で勤務されてこられました。 そして、この夏に総務省を退職され、総務官僚から政治家、高知県知事として新たなステージに立たれたわけでございますが、これまで東京、霞が関から見ていた高知県は知事の目にどのように映っておられたのか、お伺いしたいと思います。 尾崎前知事は、初出馬のときには当時の民主党も含め、自民党、公明党、社民党といった各政党を初め、各種団体などからも幅広い推薦、支援を受け初当選され、当選後も、対話と実行を通じて多くの県民の皆様の声に耳を傾けるなど、幅広い、県民全体のリーダーとして職務を果たされてまいりました。そんな前知事の姿に多くの県民が信頼を寄せ、以降2回の選挙は無投票、3期12年間にわたってオール高知とも言える安定的な県政運営の上に立って、さまざま政策を実現、具現化させてまいりました。その結果として、停滞していた本県において各種の経済指標などが上昇するなど、さまざまな成果を上げてこられたのは御承知のとおりであります。 無投票が必ずしもよいというものではありませんが、県民の不毛な対立を生まない尾崎前知事の県政運営やスタンスに、私自身は大変共感をしていましたし、多くの県民もそうした前知事の姿勢を支持してこられたのではなかったかと思います。 その尾崎前知事が、8月突如、自民党からの国政くらがえ出馬を目指すとして知事選不出馬を表明されました。その後継者として浜田省司現知事が指名され、本県政界は激震、風雲急を告げることとなりました。県民から8割を超える支持を得ていた尾崎前知事の不出馬、国政挑戦の表明により、無風状態から一転、急転直下の短期決戦となり、マスコミも連日のように取り上げるなど、県民からも大きな注目を集めることとなった今回の知事選挙ですが、12年ぶりに県民がおらんくの知事を決める、県政のリーダーを選ぶことのできる貴重な機会でありながら、最終的な投票率は50%を切り、選挙戦はさながら国政選挙のようでした。 令和おじさんと呼ばれ人気の菅官房長官を初め、各政党の党首など、国政のいわゆる大物と言われる国会議員も多く来高され、県内各地で行われた応援演説では、候補者の高知県に対する思いや政策、人となりより、国政与野党間の激しい批判合戦が主となり、高知県の未来へのビジョンや政策論争が薄れた感もありました。立候補されたお二人ともがすばらしい候補者だっただけに、私自身は少し残念な思いがしましたし、県民の間にも少なからず混乱や戸惑いもあったのではないかと思います。 国政与野党の対立を知事選、県政に持ち込み、県民を分断へと転換させた要因の一つには、尾崎前知事の次の目標である衆議院議員選挙出馬への思いや戦略が働いたこともあるのかもしれませんが、浜田知事本人の選挙に臨む体制において、これまでの尾崎前知事のような幅広い政党や団体の支援体制はとられずに、自民党、公明党の国政与党のみに寄り添った姿勢や、国政野党に対するスタンス、距離感にも原因の一端があったのではないかと思います。 私自身はマスコミ報道でしかそのことを存じ上げませんが、当初は国政与野党問わず各政党に対しても推薦を申し入れるなど、尾崎前知事と同じ体制での出馬を検討されていたとも言われていますが、結果として国政与党のみの推薦・支援体制をとられました。 そうした体制となった真意と経緯も含め、今後県政運営を担っていく上において、各政党、県議会の各会派とはどのようなスタンス、距離感を持って県政運営に当たられるおつもりか、知事の各政党、県議会の各会派に対する基本姿勢についてお伺いしたいと思います。 人口減少や過疎化が全国に先駆けて進んでいる本県にとって、そうした課題の解決や県勢浮揚を果たしていくためには、県民誰もがそれぞれの立場や考え方など違いを乗り越え、力を合わせて頑張っていくことが最も大切なことだと思っています。しかしながら、今回の知事選挙には、国政与野党の対立が色濃く県民の間に持ち込まれてしまい、そうした対立軸を県民に強いたことに、私自身は少なからず責任を感じています。 「在和栄郷」、和がある里には栄がある。私が地方自治の基本を教わった故片岡音吉吾川村長の言葉です。私の生まれ育った旧吾川村の多くの集会所には、今も片岡村長の在和栄郷の書が飾ってあります。どんな選挙であっても選挙後はノーサイド、選挙後に住民の間に不毛な対立や分断をつくらないようにすることも政治の大切な役目、役割だと、片岡村長は教えてくれました。 知事には、与党とか野党とかの枠組みや、立場や考え方の違いを乗り越え、豊富な行政経験や人脈を生かしながら、浜田知事らしく、和をもって、思いやりのある優しいワンチームの県政運営にも期待をしたいと思います。 そこで、知事のキャッチフレーズでもある共感と前進の県政運営への思いについて知事にお伺いしたいと思います。 本県はことし、推定人口で70万人を割りました。本県の人口が70万人台を割り込むのは大正時代の末以来ということで、人口に限って言えば、昭和、平成を経て、大正時代末と同じにまで減少してきている状況となっています。一方、東京においては人、物、金、全てが集中し、地方とは、不動産価値を含め、経済的な格差はますます広がっています。 戦後、高度経済成長期やバブル崩壊などさまざまな局面を経ながら、日本社会は、政治も含め、そうした国づくりを行ってまいりました。人、物、金を一つの都市に集中させ国際的な競争に打ち勝っていくという方向性は、理解できなくはないですが、例えば、万が一東京に大規模な災害などの有事があった際に、国全体の危機管理体制が機能し維持できるのか危ぶまれますし、地方においては、里山に住む人が減少することによって、これまで守られてきた田畑や山林が荒れ、命を育む水の管理や自然災害へのリスク対応もできなくなってきています。 そうした東京一極集中化の弊害がさまざまな面で現実となってきている中、国においては近年、公文書のデータ改ざんや破棄など、全体の奉仕者であるはずの官僚の一部の、安倍政権、官邸に対するおもねる姿勢、そんたくが問題となっています。また、地方においても、国からの補助金や交付金をめぐって全国の市町村に競争を強いる地方創生などにより、地方自治体や議会からも、国や政権に対するそんたくやおもねる姿勢が強くなっているように感じます。 昨年12月、土佐沖で訓練中の米軍機2機が接触し墜落しました。県民の生命や財産を守るため、二度とそうした事故のないように、事故の原因究明と再発防止を国や米軍に求めることは当然のことだと思いますが、高知県議会からは、国などに対して意見を求める決議は示されませんでした。 また、文科大臣の発言が発端となり延期、見直しとなった、大学入試テストでの英語の民間試験の導入についても同じ結果となり、田舎に住み、これから受験に挑戦していく子を持つ親の立場からしても、その結果には大変残念な思いがしたものでした。本県のように、交通網も脆弱で都市部との経済的な格差も大きいなど、さまざまなハンディがある中で頑張っている子供たちに、少しでも不利益のない受験環境をつくっていくことは、私たち大人や政治、行政の責務でもあると思いますが、残念ながら、本県議会から国に対して物申す、意見を求めることはかないませんでした。 そうした状況の中、県政運営を担われることとなった官僚出身の知事には、政権や国におもねるのではなく、高知県民の立場、県民の生活に軸足を置いた立場で、市町村との連携・協調など、地方の現場に寄り添ったビルドアップ型の政策提言を行っていただきたいし、国に対しても時には意見し物申す姿勢を期待したいと思います。 そこで、知事の国に対する向き合い方、基本姿勢についてお伺いしたいと思います。 本県経済の土台を支える根幹でもある農林水産業、第1次産業の振興は、県勢浮揚のための一丁目一番地であることは言うまでもありません。しかしながら、地域の現場では、高齢化による人手不足や担い手不足、後継者不足が深刻な問題となっています。 優良農地で経営を続けてきた農家からも、人手が足りなくて困っている、後継ぎの子供は県外で働いていて帰ってくる気もなさそう、私の代で廃業せざるを得ないとの声や、先代やその前から代々田畑を守り農業を続けてきたけれど、年がいてようやらんなりゆう、後継ぎもおらんし、もうやめようかと思いゆうと言いながら、曲がった腰、老体にむち打って、黙々とくわを振りおろし続けるおじいさんもいました。そうした状況などから、作付されない荒らした田んぼや畑が地域の中で毎年どんどんふえているのを実感します。 知事は提案説明の中で、農林水産業は本県の強みであり、新たな雇用の創出など、いきいきと仕事ができる高知の実現により産業振興の実現を図っていくとおっしゃられていました。 そこで、人口減少、高齢化などによる担い手不足、働き手不足など、さまざまな課題を抱えながらも頑張っておられる本県の第1次産業についての現状認識と、今後の取り組みの方向性について知事にお伺いしたいと思います。 人口減少や過疎・高齢化、移動手段や生活用品の確保、医療・福祉体制の維持など、本県の中山間地域を取り巻く環境や課題の解決は、県政施策の最重要課題の一つともなっています。 知事は提案説明の中で、若者が住み続けられる中山間地域の実現なくして高知県の発展はないとして、県土の約93%を占める本県の中山間地域を中長期的な発展の源として、これまで行ってきた集落活動センターの整備や移動手段の確保対策などの政策を引き継ぎ、産業をつくる取り組みや生活を守る取り組みを柱とする中山間対策のさらなる強化、拡充を図るとされました。 私自身、生まれも育ちも中山間地域、いや、まだその先の奥山間地域の者でありますので、中山間地域の衰退という困難な課題に立ち向かおうとする知事の力強い言葉に大きな期待を寄せるとともに、私自身も、地域の現状、現場の声をできる限りお伝えさせていただくなど、中山間・奥山間地域の少しでもお役に立てればと思っているものであります。 そこで、知事の中山間地域、奥山間地域についての現状認識と今後の取り組みの方向性についてお伺いしたいと思います。 県民、住民の生活スタイルや地域環境はさまざまに異なり、また経済力もそれぞれに違います。みずからの力で夢や希望をかなえられる地域や住民もあれば、社会的な環境や経済力などにより生活に困窮している人や地域もあります。 誰もが自力で克服が困難な状況に陥ったときには、誰であっても必要な支援を受けて、誰もが住みなれた地域で安心して生活できる環境をつくり上げなくてはなりません。そのための社会的支援や仕組みが福祉や社会保障であり、そうした支援や仕組みをどこに、どうつくり、どう運用していくのか、社会のセーフティーネットをどこに、どう張りめぐらせていくのか、そうした社会づくりこそが行政や政治の最大の使命、役割でなければならないと思っております。 本県においては、誰もが住み慣れた地域で健康で安心して暮らし続けられる高知県の実現を目指して、日本一の健康長寿県構想を策定し、高知型福祉、あったかふれあいセンターの取り組みや、高知版地域包括ケアシステム、障害者施策、厳しい環境にある子供たちへの支援など、子供から障害者、高齢者まで幅広く、制度の切れ目のないさまざまな福祉施策を行ってきております。そうした本県の福祉施策の取り組みは、全国に10年、15年先駆けて高齢化社会となっている課題先進県の取り組みとして、全国からも注目されています。 そうした中で、知事が目指す県政は、社会的弱者と言われる方々にどう寄り添うのか、誰もがどこでも心豊かに安心して暮らせる高知県を今後どうつくっていかれるのか、知事の本県福祉施策についての現状認識と今後の取り組みの方向性とあわせ、福祉に対する知事の思いをお伺いしたいと思います。 本県においては、これまで、教育等の振興に関する施策の大綱や教育振興基本計画などによる、チーム学校の取り組みや教科の縦持ち化など、さまざまな施策を通じて、子供たちの学力や体力の向上など、知・徳・体それぞれの分野で一定の成果を上げてこられました。しかしながら一方で、いじめや不登校、発達障害など、厳しい環境にある子供たちが増加傾向にあるなど、教育行政を取り巻く環境や課題はますます複雑化、多様化してきています。 近年、公教育の中にも国際化の波や厳しい競争、格差が持ち込まれ、子供たちや保護者、学校、教職員、教育委員会などにおいても、そうしたさまざまな変化への対応が求められるようになってまいりました。 そうした中、来年度からは小学校において新学習指導要領も始まり、今後はさらに情報化や学力向上対策、学校現場の働き方改革、小中一貫教育の制度化、学校と地域の連携など、教育に関するさまざまな課題への対応が求められることとなります。 また、平成27年には地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部が改正され、教育長、教育委員の任命や、教育大綱の策定、予算編成など、さまざまな面で知事の教育行政における役割も強化されています。 そこで、知事の教育行政に対する現状認識と今後の取り組みの方向性についてお伺いしたいと思います。 次に、不登校対策についてお伺いしたいと思います。 私は保育園のときに、自分の中にある壁をどうしても乗り越えられず、約2年間不登園になった経験があります。また、教育委員会の職員時代には不登校生徒の勉強や遊びの相手をしていたこともあり、今自分自身が親となり、PTA活動などを通じて多くの学校や親御さんらとかかわる中で、不登校対応の複雑さ、難しさを日々実感しています。 よく、不登校に対する処方箋はないとか、不登校自体が悪いことで治さなければならないと捉える向きもありますが、不登校となる原因は子供たち一人一人それぞれに違い、一くくりにできるものではありません。私のように自分自身が壁を乗り越えられずそこから逃げてしまう子供もいれば、いじめや人間関係から学校に行きたくても行けなくなっている子供もいます。また、にぎやかな学校では勉強に集中できないからと、家庭で勉強に集中したい子供もいるでしょう。 生活環境や親の育て方も、それぞれに違います。不登校がふえる原因の一つに、そうした多様な考え方やライフスタイルの変化に、学校や教育現場が追いついていないこともあるのかもしれませんし、もしかしたら、これまで行ってきた画一的な学校の教育スタイルそのものに、多様性や変化が求められるようになってきているのかもしれません。 これまで、教育行政での不登校対策の多くが、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置など、対症療法的な支援が主となっていましたが、学校に行かない、行けない子供たちがふえる中、そうした対症療法だけでなく、例えば、学校での集団学習を基本としながらも、情報通信を用いた家庭での遠隔教育や地域の公民館、集会施設での学習を認めるなど、学校に行かなくても教育が受けられる柔軟な環境や体制を整える時期に来ているのではないかとも思います。 そうしたことも踏まえ、本県の不登校対策の現状と今後の取り組みについて教育長にお伺いしたいと思います。 次に、消費税増税以降の県内中山間地域の零細商店や事業所の状況についてお伺いしたいと思います。 10月から、消費税が一部を除いて8%から10%に引き上げられました。政府は、消費税の増税による買い控えや低所得者への激変緩和対策として、スマートフォンやクレジットカードなどキャッシュレス決済による還元策を実施。県内でも、10月以降さまざまな商店や店舗などにおいてキャッシュレス決済の導入が進みました。急速な普及により、中にはキャッシュレス決済のできるレジなど端末の導入やシステム化が、還元策に間に合わない店舗も少なくない状況ともなっています。 お財布を持たずに携帯一つで買い物ができるなど、特に若者などスマートフォンを使いこなす利用者にとって大変メリットのあるキャッシュレス決済ですが、一方で、スマートフォンを持たない層や使い方がわからない高齢者などには、キャッシュレス決済の便利さはもとより、消費税増税に伴う還元策の恩恵が受けられないなどの不利益も生じています。 私は2月県議会において、特に中山間地域の零細商店や高齢者が経営されている商店でのキャッシュレス決済の導入には、レジやシステムの導入など新たな負担が大きく、結果として店を畳んだり経営を諦めてしまったりする方が出てくるのではないか、またポイント還元を求めてお客さんの流れが変わることへの懸念なども申し上げさせていただきました。 消費税増税以降、ある中山間地域の若手店主の方は、還元策の導入により市部の大型店舗やコンビニエンスストアへの買い物客の流れがより強くなり、明らかに客足が減ったと感じると、地域の中小の商店から大規模な量販店やコンビニエンスストアに客の流れが進んでいる現状を憂慮する声もありました。 消費税の増税やその還元策により、ますます大手と中小零細や、都市部と地方の経済格差が広がっているように思われます。そうした実態をしっかりと調査し把握した上で、今後の中小零細商店や事業所への対策をとらなければならないと考えますが、10月に消費税が増税されて以降の、特に県内の中山間地域の零細商店や事業所の現状と今後の対策について商工労働部長にお伺いしたいと思います。 次に、自治体職員のマンパワー不足の課題についてお伺いいたします。 昨年の西日本豪雨に続き、ことしも東日本を中心に各地で台風や記録的な豪雨により大規模な災害が発生し、多くのとうとい命が奪われ、いまだに行方不明者やもとの生活に戻れない方々がたくさんおられる状況となっています。改めて、お亡くなりになられた方々の御冥福と、被害に遭われた皆様の一日も早い復旧・復興をお祈りするものでございます。 東日本の各地で起こった豪雨災害後の自治体の現場において、役所の職員が来るのが遅い、公務員が全く足りていないなどの声が多くあったことが報道されていました。ある自治体では、要配慮者の方が避難所に避難をしたいと申し入れたことに対して、その要配慮者に日常業務で常に接して顔や状況を知っていたのが非正規の職員であったことから、現場で対応に当たった正規職員が要配慮者の顔を知らなかったため、本人確認に時間がかかり、避難までに時間を要したことが報道されていました。 そうした事例は、その自治体の対応に当たった方々だけの問題なのかもしれません。しかしながら、私も自治体職員として災害の現場や避難所などでの業務をした経験からいえば、そうした現場での人員不足の問題、自治体職員のマンパワー不足による現場の混乱は、起こるべくして起こっていると思えます。特に小泉改革以降この15年間、公務員たたきをすれば票になるということで、特に地方の公務員は政争の具として矢面に立たされ、職員数は削減され続け、非正規化も進みました。 そうした中、東日本大震災や近年の豪雨災害など、全国各地で大規模災害が発生する中、全国の地方自治体の多くで、災害時や被災後の現場における職員が足りず、自治体の最も大切な役割である住民の安全を確保することが困難な状況も顕在化してきています。 そこで、本県の災害時、発災後における自治体職員のマンパワー確保の取り組みと今後の対策について危機管理部長にお伺いしたいと思います。 近年、災害が続発する中で、土木技術職員の確保が大きな課題ともなっています。国土交通省のデータによると、技術系職員のいない市町村の割合は全国で約3割にも上っており、大規模災害後、全国に応援職員の派遣を依頼しても復興・復旧に携われる職員が派遣されず、被災各地で対応に当たれる職員が足りないなどの課題も浮き彫りとなっています。 本県においても、若者の土木離れ、民間企業との競争の激化、低賃金などにより、特に自治体職場における土木技術職員の人材の確保が難しくなってきています。今後、災害の発生だけでなく、高度成長期以降に整備された道路や橋梁、トンネル、上下水道など、生活に身近で、なくてはならない社会資本、インフラが建設後50年以上経過し老朽化を迎えることから、社会インフラの新設や補修、修繕など、災害や老朽化対策・対応も急がれており、土木技術職員などの人材の確保は喫緊の極めて重要な課題となっています。 そこで、本県における土木技術職員の現状と対策について土木部長にお伺いしたいと思います。 次に、高知自動車道の2車線対面通行区間の解消と国道整備についてお伺いしたいと思います。 国土交通省は、この秋、現在2車線の対面通行で運用がされている全国の高速道路122区間、約880キロメートルについて、4車線化をしていくという方針を示されました。そのうち本県関係では、高知自動車道の土佐パーキングエリアから須崎東間の約9キロメートルが選定され、今後、順次工事が始まっていくこととなりました。 国土交通省では、今後そうした有料の対面通行区間を、財源を確保しながら順次4車線へと整備していく方針とのことで、今後、3年から5年後をめどに対象区間の見直しも検討していくとのことであります。4車線化により、渋滞の解消はもとより、交通事故の抑制、災害対策、流通、利便性の向上など、さまざまな面において効果が期待されます。 そこで、県内の高知自動車道のうち、2車線対面通行区間における有料区間の現状と今後の4車線化の見通しについて土木部長にお伺いしたいと思います。 現在、2車線対面通行区間の高知インターチェンジから土佐パーキングエリア間は、水質日本一の仁淀川流域の各市町村と全国をつなげる交通の入り口、窓口としても、大変重要な区間でもあります。 また、慢性的な渋滞や大雨時に冠水が発生する国道33号と一部並走する区間もあることから、緊急時の救急搬送や朝夕の通勤ラッシュの解消策としても、早期の4車線化が期待されています。しかしながら、この秋の国土交通省の4車線化の計画には入っておらず、沿線住民や利用者からは落胆の声も聞かれています。 そこで、2車線の対面通行区間の無料化を図ることにより、現在費用の面から毎日の通勤には利用できない方などに高知自動車道を御利用いただき、沿線住民の利便性の向上や地域経済の活性化、渋滞解消につなげていくことも検討できないかと考えますが、高知自動車道の2車線対面通行区間の無料化の検討について土木部長にお伺いしたいと思います。 一般国道33号は、高知市から仁淀川町を経ながら四国山地を縦断し、愛媛県久万高原町、松山市に至る延長約124キロメートルの路線で、産業、経済及び日常生活を支える重要な幹線道路であるとともに、大規模災害時には沿線住民の命の道ともなる道路でもあります。 以前は、高松市と高知市を結ぶ国道32号と並んで、愛媛、高知の県庁所在地を結ぶV字ルートとしても大変重要な路線でしたが、慢性的な朝夕の通勤ラッシュや雨量による通行規制に伴う通行どめも多く、またイベント開催や交通事故が起こったときなどには大渋滞も発生するなど、2桁国道としては大変脆弱で、沿線住民などから早期の改良を望む声が強く出されています。 特に雨量による通行規制区間となっている越知町横倉から仁淀川町、愛媛県境までの区間は、連続雨量が250ミリ以上となると事前通行規制に伴う通行どめが行われ、越知町の一部と仁淀川町が陸の孤島状態となることから、地域の沿線住民にとって国道改良による事前通行規制区間の解消は悲願ともなっています。 そうした中、いよいよ来月には、愛媛県との県境に橘中津トンネルが開通する運びとなり、関係各位に心から感謝を申し上げるものでございます。橘中津トンネルの開通以降、今後、現在工事が進む越知道路2工区の完成、さらには仁淀川町までの区間の一日も早い整備により、事前通行規制区間の解消が期待されています。 そうしたことなどから沿線自治体では、国道33号整備促進期成同盟会高知県協議会を結成し、市町村が共同し力を合わせて、国などに対して早期整備の要望を行うなどの活動を行っており、先般私も吾川郡選出の横山県議とともに国への要望活動に同行させていただき、国土交通省の道路局長や財務省の主計局長を初め、関係機関とも協議をさせていただくなど、地元自治体とも連携しながら整備促進に取り組んでいるところでございます。 そこで、国道33号整備に関して、現在特に各市町村から早期の要望が出されている高知市旭地区、高知西バイパス、日下橋、川内ヶ谷橋、越知道路2工区を含む事前通行規制区間の防災対策について、それぞれの整備の進捗状況と今後の見通しについて土木部長にお伺いしたいと思います。 私はことし2月の定例県議会において、新産業廃棄物最終処分場に関連する質問の中で、施設を佐川町加茂地区に整備する前提として、地域の社会基盤の整備と地域振興策は別に考えるべきであると申し上げました。というのは、新産業廃棄物最終処分場が整備される予定の仁淀川流域は、先ほども述べましたとおり、高速道路の四国8の字ネットワークからも外れるなど、その社会基盤、インフラは大変脆弱な地域で、そうしたところに、都市部で大量に出される産業廃棄物が持ち込まれる場所が再び整備されることに対して、地域住民の皆さんが複雑な気持ちを持つ、不満を持つのは当然のことであると言えます。 都市部と同等とはいかないまでも、せめて安心・安全な地域生活が行える社会基盤の整備は暮らしのベースとしても当然のことであり、そうした意味においても、これまで地域から強い要望がありながら整備がなかなか進んでこなかった加茂地域の国道33号の安全対策や整備、河川の改修については、産廃施設の地域振興策とは切り離して考えるべきであると申し上げたものですが、当時の尾崎前知事からは、地域振興策とあわせて、河川の増水対策や国道の安全対策を講じ、住民の皆様の不安の解消を図っていくと、前向きな答弁をいただいておりました。 そこで、岩目地交差点の改良など国道33号の安全対策と長竹川の改修事業の進捗状況並びに今後のスケジュールについて土木部長にお伺いしたいと思います。 次に、厚生労働省による再編統合の再検討が必要とされた病院名の公表についてお伺いいたします。 ことし9月、厚生労働省は全国の公立・公的病院のうち、診療実績が乏しく、再編統合について特に議論が必要と分析、判断した全国の424の病院名を公表しました。本県については、いの町の仁淀病院や佐川町の高北病院など5つの病院がその該当となり、対象となった地域の住民などからは、病院がなくなるのではと不安の声が出されるなど、行政や医療関係者の間にも動揺が広がっています。 人口減少や高齢化が進み、医師不足も深刻化する中で、地域医療の形を早期に検討することは避けられない課題とはいえ、住民の命と健康に密接にかかわる、地域のセーフティーネットとも言える公立・自治体病院の再編や統合を、単に医療費の削減や財政の効率化優先の議論で、国が強権的に進めることは決してあってはなりませんし、地域の実情に合わせた保健・医療・介護の提供など、幅広く地域全体から見た検討、現場主導の議論を求めるものであります。 改めて、病院名の公表における厚生労働省からの要請内容とその後の県の対応について健康政策部長にお伺いしたいと思います。 過疎化、高齢化が進み、公共交通も脆弱な中山間地域における公立・自治体病院の役割は、地域住民の命と健康を守る大変重要なものであり、医療従事者は、患者さん一人一人の状況やニーズを把握され、住民に密着したかかりつけ医としての機能も果たしながら地域医療の核となって、介護も含めた多種多様な診療やケアを行っています。 また、その医療機関が急性期、高度急性期、回復期、慢性期のどの機能や役割を担い受け持つのか、さらには地域の民間病院や介護事業所などとの連携も重要なことであり、これまで各地域における地域医療構想の議論の中では、そうしたことも前提としながら、さまざまな議論がなされてきていることと思います。 そこで、病院名の公表の対象となった仁淀川流域の地域医療構想調整会議では、これまでどのような議論がなされてきたのか、健康政策部長にお伺いしたいと思います。 また、厚生労働省による病院名の公表以降、地方の多くから困惑の声や要請を受け、総務省は国と地方との意見交換の場を新たに設けられ、10月末には岡山県において、中国・四国地方を対象とした国との意見交換会も開催されたとのことでありますが、その意見交換会ではどのような議論が交わされたのか、健康政策部長にお伺いしたいと思います。 また、今回、国が地域の個別事情を踏まえず全国一律の基準による分析のみで、公立・自治体病院の再編統合を--来年9月までに結論を出すことを地方に迫っている現状について、県として、今後どのような姿勢、方向性を持って対応していくおつもりか、知事にお伺いしたいと思います。 続いて、スポーツに関する質問をさせていただきたいと思います。 ことしの国民体育大会、いきいき茨城ゆめ国体において、本県は6年ぶりに最下位を脱出し、46位となりました。団体競技においては、ソフトボール少年男子が県勢としては9年ぶり、単独では10年ぶり、11度目の全国制覇を達成したのを初め、ゴルフの少年男子とクレー射撃のトラップが準優勝、卓球少年男子と成年男子が3位に輝くなど、4競技、7種目で入賞を果たしました。個人でも、レスリング少年男子フリースタイル60キロ級で高知南高校の清岡幸大郎選手、少年女子高飛び込みで高知商業高校の山崎佳蓮選手がそれぞれ優勝、陸上少年男子800メートルで小津高校の石元潤樹選手が3位となるなど、陸上を初めレスリング、水泳飛び込み、馬術、カヌー、空手、クレー射撃、ゴルフで入賞者を出すなど、好成績をおさめました。 本県においては、これまでスポーツ推進計画に基づき全国トップレベルの指導者を招聘するなど、質の高いトレーニングにより強化を行う全高知チームの活動や、競技に応じた科学的、合理的な練習方法の提供ができるスポーツ医科学拠点の整備など、全国で戦える選手の育成など競技力の向上を図ってまいりました。そうしたことが実を結び、ことしの茨城国体での最下位脱出にもつながったのではないかとも思います。改めて、県選手団の健闘に敬意と感謝を申し上げるものでございます。 そこで、令和で最初の国民体育大会、いきいき茨城ゆめ国体における本県選手団の活躍の総括と今後の課題について
文化生活スポーツ部長にお伺いしたいと思います。 知事選挙のあった11月24日は、高知県にとってもう一つの歴史的な大一番、戦いが行われていました。福島県で開催された全国地域サッカーチャンピオンズリーグ決勝ラウンドで、本県のサッカークラブチーム、高知ユナイテッドSCが、1勝1敗からの最終戦で京都の強豪チームを3対1で下し、高知県勢としては初めて日本フットボールリーグ、JFLへの昇格を決めました。 高知ユナイテッドSCは、2016年に当時の県内の強豪クラブ、アイゴッソ高知と高知UトラスターFCが、高知からJクラブをとの合い言葉のもと統合し、高知の子供たちに夢と目標をの理念を掲げて戦ってこられました。 今回、同チームが昇格するJFLはサッカーのアマチュアリーグの最高峰に位置づけられ、リーグ戦で年間4位以内に入り観客動員数など条件を満たせば、さらなる高みであるプロのJリーグに昇格できることから、チームの目標であるJリーグ入りに大きく近づく快挙となりました。 改めて、高知ユナイテッドSCの選手、監督を初め、サポーター並びに関係者の皆様のこれまでの努力と活躍に敬意と感謝を申し上げます。本当におめでとうございました。 こうした本県のスポーツ界にエールを送る意味で、高知ユナイテッドSCのJFL昇格と、いきいき茨城ゆめ国体における本県選手団の活躍について知事の御所見をお伺いしたいと思います。 高知ユナイテッドSCの新たな戦いの舞台となるJFLリーグは、北は青森から南は宮崎まで、全国の強豪16チームが参加し、ホームとアウエー、全30戦のリーグ戦が行われることとなります。 リーグ戦の半数は四国外となるため、宿泊費などの遠征費の増加など、クラブの運営費の確保が課題となる一方で、高知県で行うホームゲームには、相手チームの選手やスタッフはもちろん、サポーターやファンなどが全国から大勢来高されることとなり、県経済や観光の面において大きな効果を得られるチャンスともなります。そうしたことからも今後は、県内外の経済界や県スポーツ協会などと連携した官民挙げての支援が、より必要となってくると思われます。 そこで、Jリーグ入りを目指す高知ユナイテッドSCへの今後の支援策について
文化生活スポーツ部長にお伺いしたいと思います。 最後に、子供たちや若者に夢を与える全天候型のドーム球場の整備についてお伺いいたします。 本県に足りないもの、それは子供たちに夢や希望を与えられる機会や場所です。知事からの提案説明においても、多くの若者が戻ってこられる、都会へ出ていかなくても誇りを持って定住できる魅力ある県にしたいとの決意が述べられました。本県において、特に若者が憧れを持つスポーツや芸能といったジャンルの、例えば、プロ野球などスポーツの最高峰の戦いや、ジャニーズや嵐、サザンオールスターズといった大物アーティストのコンサートなどは、そのほとんどが東京など大都市圏での開催のため、高知県に住むファンはチケット代金のほか、旅費やホテル代といった大金をはたいて大都市まで出向いて、それぞれの憧れのスターを見に行っているのが現状となっています。私自身もスポーツやコンサートを見るのが好きで、わざわざ東京へ何度か足を運んだものでしたが、都会への憧れはそうしたことからも発生し、高知から都会への若者の流出につながっている要因の一つだとも思います。 例えば、そうした憧れのスターが公演や試合を行う東京ドームという職場で、イベントスタッフや売り子など裏方で働くことさえも、ファンにとっては憧れの存在を身近に感じることのできる夢の仕事ともなります。そうした夢のある職場をつくる意味においても、本県にプロ野球の公式戦が開催できる規模の全天候型ドーム球場があれば、レベルの高いプロの試合はもちろん、大物アーティストの公演も開催が可能となるなど、子供たちが本物を見られる機会がふえるとともに、若者に夢のある雇用の場の創出にもつながっていくと考えます。さらに、ドーム球場なら全天候型のため、災害時には大規模な避難施設ともなり得ます。 本県は、昨年のLCC就航ともあわせ、12月からFDAの神戸-高知線が就航されるなど、国内だけでなく、世界中から本県への交通アクセスも格段によくなってきています。観光産業での付加価値や新たな雇用にもつながり、何よりも高知に若者が残って、高知で誇りを持って生活していくための環境整備の一つの取り組みとして、プロ野球の公式戦が開催できる規模の全天候型のドーム球場の整備は有効ではないかと考えます。 そこで、子供たちや若者に夢を与えるドーム球場の整備について
文化生活スポーツ部長にお伺いいたしまして、第1問とさせていただきたいと思います。 (知事浜田省司君登壇)
◎知事(浜田省司君) 大野議員の御質問にお答えをいたします。 まず、東京、霞が関から見ていた高知県は私の目にはどのように映っていたのかというお尋ねがございました。 私は、当時の自治省、今の総務省に入省後、消防庁や内閣府といった中央省庁での勤務でございますとか、大阪府、島根県など地方自治の現場で行政経験を重ねてまいりました。その間、東京や首都圏では、政治、経済、文化などの中心として、人や物、資金、サービスなど社会における資本、資源が集中する、いわゆる東京一極集中の状況が発生をしており、東京は活力に満ちあふれておりました。その一方で、吸い取られるように地方が衰退していくことは、国全体のさらなる発展という視点で見ると、決して喜ばしいことではないというふうに考えておりました。 一方、ふるさと高知も、全国に先駆けて人口減少、高齢化が進む、いわば課題の先進県となっておりました。その解決に向けて、尾崎知事を筆頭に皆様が懸命に努力を続けてこられたことは承知をいたしておりましたし、私としても、何かお手伝いをしたいという思いを抱き続けておりました。 そのこともありまして、今回の選挙では、この解決に向けた流れをとめてはならない、さらに言えば高知をもっと元気にしたい、若者が都会に出ていかなくても誇りを持って定住できる、そんな高知にしたいという思いを訴えてまいったところであります。 地方には、首都圏など大都市部とは異なる豊かな資源と、またすぐれた潜在力があります。それらを生かしまして地方の人々の暮らしを守ることが、東京一極集中の是正に向けて必要不可欠であるというふうに考えております。 こうして県民の皆様から負託を受け、県勢浮揚に向けて取り組む機会を与えられた責任の大きさに、身が引き締まる思いがいたします。人口減少下においても、高知のよさを生かして暮らしやすさを実感できる県にすることで、大好きなふるさと高知に恩返しをする、そうした強い思いで職務に邁進をしてまいります。 次に、各政党、県議会の各会派に対する基本姿勢についてお尋ねがございました。 今回の知事選挙では、私としては、できるだけ多くの方々の御支持をいただくべく、自民党、公明党のみならず、さまざまな政党、団体に御支持をお願いする努力をいたしましたけれども、結果として、いわゆる自公対野党共闘といった、国政を反映した構図となったところでございます。 しかしながら、私には、県政と国政の課題は同じではございませんので、国政の対立をいたずらに県政に持ち込むことは建設的ではないという思いがございます。さらに、選挙を通して県民の負託を受けたからには、県知事として、さまざまな方々から意見を頂戴し、全ての県民の皆さんの幸せを追求していく、このことが必要であると考えておりまして、こうした2つを基本姿勢として県政に臨んでまいりたいと考えております。 そのような姿勢を基本といたしまして、まず県民の皆さんを代表いたします県議会議員の皆様とは、執行部とともに県政を前進させていくための車の両輪といたしまして、緊張感のある建設的な議論を通じて、目指すべき方向性を共有させていただきたいというふうに存じます。 このため、私どもの提案に共感がいただけるように、まずはこれまで選挙で御支持いただいた議員の皆様にいろいろなことを御相談すると、これは当然とさせていただきまして、一方で各党、各会派の皆様にも、これまでと同様に丁寧な説明を行わせていただきたいというふうに存じます。このように、各党、各会派の皆様とも可能な限り一致点を見つけながら、県政を前へ前へと進めてまいりたいと考えております。 次に、共感と前進の県政運営への思いについてお尋ねがございました。 私はこれまで、人口減少に伴います県経済の縮みや中山間地域の衰退といいました、本県の直面する困難な課題の解決に向けまして、県民の皆様との対話を通じて県政に対する共感を得ていくこと、そして地域を支えていこうという熱意を持った皆様の英知を結集して成果を生み出して、課題の解決に向けて着実に前進をしていくこと、この共感と前進を基本姿勢としたいと訴えてまいりました。 まず、この共感につきましては、県民の皆様から率直な御意見をお伺いいたします座談会の開催などに、スピード感を持って取り組んでまいりたいと思います。 また、前進につきましては、県民の皆様からの英知を結集しながら、例えば関西圏の活力を生かした経済活性化などについて、早期の成果を意識しながら取り組んでまいりたいと思います。 今後、県民の皆様と気持ちを一つにして、新しい時代の流れや外部の知見も取り入れながら、成果を追求するための施策を練り上げてまいります。その実行段階におきましては、目標を明確にして成果を丁寧に検証するといったPDCAサイクルを一層徹底してまいります。 活力のある高知を皆様とともにつくり上げるため、官民協働、市町村政との連携・協調のもと、高知の持てる潜在力を十分発揮できるような県政運営に取り組んでまいる所存であります。 次に、国に対する向き合い方、あるいは基本姿勢についてお尋ねがございました。 私は、昭和60年に当時の自治省に入省いたしまして、34年間地方自治行政に携わる中で、福岡県や島根県、さらに大阪府といった自治体の職員として、まさに地方自治の現場で職務に精励をしてまいりました。こうした行政経験も踏まえまして、私は、国と地方は対等・協力の関係であるべきという理念のもと対応していくことを基本姿勢としたいというふうに考えております。 一方、課題が山積いたします本県の現状を考えますと、本県独自の施策のみでこれを解決することには限界があることも、また事実でございます。そのため、いたずらに国と対立するのではなくて、県政の課題解決のために国と連携・協調し、強い信頼関係を確立したいという思いがございます。それとともに、課題先進県として培ってきた知見を生かしまして、率先して国に対して目指すべき方向を示しながら理解や共感を得ていくということも、重要ではないかと考えております。 こうした考え方のもと、今後も県内の市町村と連携・協調いたしまして、例えば、国土強靱化関連予算の確保でございますとか地方創生推進交付金の拡充などにつきまして、積極的に国に対して政策提言を行い、本県の実情や地域の声をしっかりと訴えてまいりたいと思います。あわせまして、本県の県勢浮揚の大きな後押しになるように、国の施策を最大限に活用してまいります。 あわせまして、例えば御質問にございましたような、米軍機によります危険性の極めて高い超低空飛行訓練でございますとか夜間訓練などの異常な訓練の中止の問題、あるいは条件が厳しい中山間地域におけます農林漁業の振興に向けた施策の強化の問題などにつきまして、県政の課題解決のために、国に対して申すべきことはしっかりと申し述べてまいりたいというふうに思います。 次に、本県の第1次産業の現状認識と今後の取り組みの方向性についてお尋ねがございました。 本県の第1次産業は、中山間地域の基幹産業であるとともに、食品産業やものづくり産業、あるいは観光産業といった産業群に派生をする重要な産業であります。そのため、これまで産業振興計画において重点的な振興を図ってきたところでありますが、減少傾向にあった農業産出額や原木生産量、漁業生産額といった指標は、今や担い手が減少する中にあっても、金額自体は増加傾向に転じるという形になっております。 この流れを持続的なものとしていくためには、特に生産面を支えます担い手をしっかりと確保していくということが重要であります。そのため、農業担い手育成センター、林業大学校、あるいは漁業就業支援センターなどの学びの機会をさらに充実させてまいります。これとあわせまして、若者が参入しやすいように、引き続き雇用型就労の拡大でございますとか、自営におけます初期投資の負担軽減策の強化などを図ってまいりたいと考えております。また、各分野の担い手確保策と移住促進策との連携を一層強化いたしまして、移住希望者へのアプローチも強化をしてまいりたいと考えております。 加えまして、担い手を確保していく上では、第1次産業を夢や希望がかなえられる魅力的な産業にしていくということも極めて重要であると思います。そのため、第1次産業とIoT、AIなどのデジタル技術との融合を進めまして、第1次産業を、さらに付加価値や労働生産性が高い産業として育ててまいりたいと考えております。具体的には、施設園芸農業の飛躍的な発展を目指します
Next次世代型こうち新
施設園芸システムの開発プロジェクトでございますとか、水産業におきましてIoT化を進めます
高知マリンイノベーションなどの取り組みを加速してまいります。 また、生産の拡大にあわせまして、今後は新たな市場を切り開いていくことがより重要となってまいります。このため、海外への輸出の強化などにも、これまで以上に取り組んでまいりたいと思います。 こうした大きな方向性のもとで、次期の産業振興計画におきまして、いわゆる川上から川下までの対策のさらなるバージョンアップを図りまして、第1次産業の振興に全力で取り組んでまいります。 次に、中山間地域、奥山間地域についての現状認識、あるいは今後の取り組みの方向性についてお尋ねがございました。 私は、今回の知事選挙で県内をくまなく回りまして、中山間地域にお住まいの多くの県民の皆様から、さまざまな声をお聞かせいただきました。こうした中で、中山間地域では人口減少、高齢化が進行して、地域住民の皆様の暮らしを守る移動販売の継続が困難になりつつあるといったお話でございますとか、鳥獣被害に苦労されているというようなお話をお聞きいたしました。また、このほかにも産業振興、医療や福祉、教育、インフラ整備などのいろいろな分野におきまして、大変困難な課題に直面をしているという現状に接してまいったところでございます。 一方で、豊かな自然、あるいは食、文化といった本県ならではの資源を有する中山間地域の潜在力というものも、改めて認識をいたしたところでございます。現在31市町村、58カ所で開設をされております集落活動センターを訪問した折には、地域に非常に愛着を持って集落を元気にしていこうとする皆様、たくさんの方々の熱い思いに触れまして、こうした方々とともに前に進んでいこうという決意を新たにいたしたところでございます。 高知県といたしましては、これまでの間、産業をつくる取り組みと生活を守る取り組み、この2本の柱で中山間地域の振興対策を進めてまいりました。産業振興計画の産業成長戦略、あるいは地域アクションプランなどによります、産業をつくる取り組み、もう一つは、移動手段の確保といった生活支援、あるいは高知版地域包括ケアシステムの構築などといった、生活を守る取り組みでございます。 今後も、若者が住み続けられる中山間地域の実現なくして高知県の発展はないとの強い思いを持ちまして、中山間地域の隅々にまで目を向けながら、これまでの取り組みを継承、発展させてまいります。産業振興計画や日本一の健康長寿県構想を初めといたします県の施策を総動員して、中山間地域振興にしっかりと取り組んでまいります。 次に、福祉施策についての現状認識、今後の取り組みの方向性、あるいは福祉に関する思いはどうかというお尋ねがございました。 本県は、全国に大きく先行して人口減少、少子高齢化が進んでおりまして、単独高齢者世帯が増加をし、地域の支え合いの力が弱まるといった課題を抱えております。また、県内には、家庭の経済的困窮などといった困難な状況に直面している子供たちが存在をしております。 こうした本県の実情を踏まえまして、高知版地域包括ケアシステムを構築するために、地域の支え合いの拠点として政策的に整備を推進してまいりました、あったかふれあいセンターを活用いたしまして、介護予防などに取り組んでまいりました。また、中山間地域においても必要なサービスが行き届きますように、訪問看護や訪問介護のサービス提供に対して独自の支援を行ってまいりました。これらに加えまして、いわゆる高知版ネウボラを推進いたしまして、全ての妊産婦や子育て家庭の不安解消、子供たちを守り育てる環境づくりに取り組んでまいったところでございます。 以上申し上げましたように、本県の福祉施策は、本県が抱えます困難な課題に真正面から取り組み、地域の実情に応じた解決を図ろうとするものでございます。今後の福祉施策の推進に当たりましても、これまでのこうした取り組みについてはしっかりと継承し、発展をさせてまいります。 また、今回の選挙にかかわります活動を通じましても、子供の発達障害、あるいはひきこもりといった悩みを抱えまして御苦労されている方々の貴重なお話を伺わせていただきました。私は、こうした困難な環境を抱えている本人や御家族にも寄り添いまして、切れ目のない支援をより強固にしていかなければならないという思いを強くしております。 具体的には、発達障害のある子供たちにつきましては、できるだけ早い段階から適切な支援を行うことが重要であります。引き続き、乳幼児健診での早期発見に取り組んでまいります。また、健診後には専門職がアセスメントを実施し、身近な地域で支援を受けられる体制づくりをぜひとも進めていきたいと考えております。また、ひきこもりの方への支援では、その人の状況に応じて適切な支援ができますよう、社会参加や自立に向けた支援策の抜本的な強化を図ってまいりたいと考えております。 今後、福祉施策を推進する上では、施策の多くの役割を担っていただいております市町村との連携・協働が、ますます大事となってまいります。私自身、これまでの行政経験を生かしまして、県として求められる必要なサポートをしっかりと行ってまいりたいと考えております。 次に、教育行政に関する現状認識と今後の取り組みの方向性についてお尋ねがございました。 尾崎県政のこれまでの取り組みによりまして、本県の子供たちの知・徳・体のそれぞれの状況は、確実に改善が進んだと考えます。また、学校教育はもちろんのこと、オーテピア高知図書館の開館など、いわゆる生涯学習、社会教育などのさまざまな分野を通じて、教育の充実が図られてきたものと考えております。 一方、小中学校におけます不登校の出現率は全国水準と比べまして依然として高い状況にあるといった、多様な課題を抱え厳しい環境にある子供たちへのさらなる支援の充実が必要な状況にあると考えております。私は、こうした子供たちお一人お一人に抜かりなく支援を届けていくということを、選挙期間を通じて県民の皆様にお約束してまいりました。 今後、総合教育会議におきまして、教育大綱を策定してまいります。こうした中では、これまで成果を上げてきたチーム学校の推進などの取り組みをさらに発展させてまいります。また、不登校の児童生徒や特別な支援を要する子供への重点的な支援など、厳しい環境にある子供への支援の充実に特に意を払ってまいりたいと思っております。また、デジタル社会に向けました教育、あるいは学校における働き方改革を推進するとともに、地域の皆様のお力もおかりしながら、子供たちの、知・徳・体の調和のとれた生きる力を育んでまいりたいと考えております。こうした新しい教育大綱のもと、県教育委員会とともに教育行政のさらなる充実に取り組んでまいります。 次に、厚生労働省によります再編統合の再検証が必要な病院名の公表につきまして、今後どのような姿勢、方向性を持って対応していくのかというお尋ねがございました。 全ての団塊の世代が後期高齢者となります2025年のあるべき医療提供体制を医療機能別に整理したものが、いわゆる地域医療構想でございます。この構想の実現に向けまして、全国に先駆けて高齢化の進んだ高知県におきましては、地域に必要な医療資源の量、あるいは医療機能の範囲をしっかりと見据えて、民間も含めて、医療機関がどのように機能分担をしていくかという観点からの議論が必要であるというふうに考えております。 このため、2025年において必要な医療機能を議論するに当たりましては、まずは公立・公的病院が率先して検討するということが望ましいと考えられますので、今回、厚生労働省が医療機関名を公表し具体的対応方針の再検証を促したことは、これ自身、拙速であるとか唐突という非難は免れないと思いますけれども、地域における議論を喚起したという点で意義はあるというふうに思います。 他方で、県内の16の公立・公的病院は、数百床の基幹病院から、数十床規模でございますがその地域では唯一の医療機関というところまで、規模や医療機能が実にさまざま、多様でございます。したがいまして、地域で担うべき役割は、診療実績の多寡ですとか構想区域全体におけるシェアといった数値によって、一律に判断され得るものではないというふうに考えております。 地域におきまして、公立・公的病院でしか担うことができない役割があるとすれば、それは当然確保していかなければならないと思いますし、また高齢化が進みました本県では、公立・公的病院には、民間医療機関との適切な役割分担をしながら地域包括ケアシステムの一端を担っていく、そのために、地域の近隣の医療機関と連携した地域医療支援を通じまして、地域の医療ニーズに応えていく、こういったことも期待されているというふうに考えます。再検証に当たりましては、そうしたそれぞれの地域の実情を踏まえた丁寧な議論が必要であるというふうに考えております。 今回再検証の対象となりました5つの病院には、この機会を捉えまして、改めまして、将来にわたって必要な人が必要な医療を受けられるために、地域の医療機関との連携や役割分担について検討していただきたいと考えております。その上で、地域医療構想調整会議での、行政と住民、各病院の診療を担う医療従事者が共感できるような方策の合意形成に結びつけていただきたいと考えております。県といたしましては、そうした議論がしっかりと行われるようにサポートをしてまいる考えであります。 最後に、高知ユナイテッドスポーツクラブのJFL昇格と、いきいき茨城ゆめ国体におけます本県選手団の活躍に関する所見についてお尋ねがございました。 まず、高知ユナイテッドスポーツクラブにおかれましては、2016年のチーム発足から4年目の今シーズン、全国地域サッカーチャンピオンズリーグを勝ち抜き、このたび見事JFL昇格をかち取られました。これは選手、スタッフの絶え間ない努力が結実をし、県内にJリーグクラブを誕生させたいという多くの県民の夢に一歩近づいたものであり、私といたしましても非常にうれしく、大変喜ばしいことと受けとめております。 今後、JFLでは厳しい戦いも予想されると思いますが、チームの活躍が多くの県民に感動を呼ぶものと思います。選手、スタッフの皆様のさらなる御活躍とサポーターの皆様の熱い応援を期待いたしますとともに、私も県民の一人としてしっかりと応援をしてまいります。 また、さきに行われました茨城国体におけます本県選手団は、今回6年ぶりに最下位脱出となります、46位の結果をおさめました。このことは、選手の頑張りに加えまして、これまで各競技団体、あるいは関係者の皆様が地道な取り組みを行ってこられたことが、実を結んだものであると考えます。ここ数年低迷した本県の競技力が高まる、確かな一歩になったのではないかというふうに思います。 今後も、競技力の向上対策に引き続き取り組みますことで、こうした国体の成績だけではなく、スポーツ推進計画に目標として掲げました、国内外の競技大会に本県から日本を代表する選手を多く輩出すると、こういうことが実現するようにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。 私からは以上でございます。 (教育長伊藤博明君登壇)
◎教育長(伊藤博明君) 不登校対策の現状と今後の取り組みについてお尋ねがございました。 県教育委員会ではこれまで、不登校の未然防止を図るため、子供の自尊感情を育む生徒指導を実践する研究事業や、子供の居場所づくりを進める魅力ある学校づくりを推進してまいりました。また、厳しい環境にある児童生徒への支援の充実を図るため、スクールカウンセラーの全公立学校への配置やスクールソーシャルワーカーの全市町村配置、さらにそうした専門人材を活用した校内支援会を全ての学校で実施してまいりました。 しかしながら、本県の不登校の出現率は全国と比較しても高く、その児童生徒数は増加する傾向にあります。また、不登校児童生徒の背景や要因も複雑化、多様化してきており、学校だけでは対応できない状況も見られ、県・市町村教育委員会、医療・福祉などの関係機関が密に連携して対応しなければならない喫緊の課題であるというふうに捉えております。 このため、県教育委員会においては、まず各学校に不登校担当の教員を位置づけるなど学校体制の充実や、医療・福祉の専門機関との連携体制の構築のほか、不登校児童生徒の学校以外の学びの場の充実を図ってまいります。具体的には、各市町村が設置する教育支援センターのさらなる機能強化に加え、地元に教育支援センターがない、あるいは地元であるがために地元の教育支援センターには通うことができない児童生徒も存在しますので、教育支援センターが未設置の町村に対しては設置を促すとともに、市町村を越えた広域での児童生徒の受け入れができるよう、市町村への支援策なども検討するなどして働きかけてまいります。 また、不登校のお子さんを持つ保護者への支援も重要と考えております。現在、心の教育センターにおいては、保護者の相談を受けたり、保護者同士が悩みなどを出し合える場を設けるなどの取り組みを行っております。そうした保護者支援を充実させる観点から、心の教育センターの日曜日の開所や、東部地域や西部地域に心の教育センターのサテライト機能等の整備など、不登校児童生徒や保護者がどこに住んでいてもいつでも気軽に相談できるよう、体制の充実について検討を進めてまいりたいというふうに考えております。 (商工労働部長近藤雅宏君登壇)
◎商工労働部長(近藤雅宏君) 10月に消費税が増税された以降の、特に県内の中山間地域の零細商店や事業所の現状と今後の対策についてお尋ねがございました。 12月9日に公表されました日本銀行高知支店の金融経済概況によりますと、個人消費につきましては、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動が見られているものの、基調としては持ち直しているとされています。 引き上げ後の状況を把握するために、11月に商店街等を対象に県が行いましたアンケート調査では、売り上げや客数については、特に変化はないという回答も6割から7割ございますものの、下がったという回答が高知市中心商店街で33.7%、高知市以外の中山間地域で20.1%ございます。また、キャッシュレス決済の導入状況は、高知市中心商店街では7月の調査から約10ポイント上昇しまして76.7%に、中山間地域では約20ポイント上昇し40.2%となっております。一定進んできたものの、まだ中山間地域では低い状況にありますし、導入された決済手段も事業者によって異なります。 これらのことから、売り上げなどの減少は、駆け込み需要の反動などの影響のほか、キャッシュレス・消費者還元事業により顧客がキャッシュレス決済可能な店舗に流れている影響も、少なからず考えられるところです。 キャッシュレス決済の導入は、インバウンドを初めとする観光客への対応や今後の消費者ニーズの高まりを考えますと、大変重要であると考えています。そのため引き続き、関係団体と連携をして、中山間地域を中心に勉強会や個別相談会を開催し、経営の効率化や新たな顧客獲得といったメリットがあることも十分御理解いただけるよう努めてまいります。 あわせて、初期投資や手数料負担といったデメリットもございますことから、国の助成制度の活用のほか、人手不足や後継者問題など、ほかにも多くの課題に直面する地域の事業者の方々に対しまして、商工会や商工会議所を通じた経営計画の策定、実行など、個々の事業者への伴走支援や、商店街の振興計画策定など面的な支援を強化することで、小規模事業者の経営基盤の強化を図ってまいります。 (危機管理部長堀田幸雄君登壇)
◎危機管理部長(堀田幸雄君) 発災後における自治体職員のマンパワー確保の取り組みと今後の対策についてお尋ねがございました。 被災した自治体にとりまして、マンパワーの確保は重要な課題であると認識しています。このための取り組みと対策としましては、大きく3点あると考えています。 1点目、まず大切なことは、被災自治体が発災後に実施すべき優先業務を絞り込んでおく業務継続計画、いわゆるBCPをあらかじめ策定しておくことだと考えており、本県では、地域本部がその策定支援を行っているところです。 2点目としては、住民の皆様や民間団体に行っていただく役割を事前に決めておくことも必要であり、例えば県内で策定を進めている避難所運営マニュアルでは、地域の方々に避難所の運営を行っていただくこととしております。 3点目として、そうした上でも被災自治体職員のマンパワー不足が生じることがありますことから、本県では、市町村のニーズをお聞きして県職員の派遣を行っておりますし、県内市町村の災害時相互応援協定に基づいて市町村職員の派遣も行われています。 昨年の7月豪雨では、被害の大きかった岡山県、広島県、愛媛県や県内の被災市町村で職員が不足し、本県からも被災自治体に職員を派遣して支援を行っております。総務省においても、昨年の3月から職員派遣の仕組みとして被災市区町村応援職員確保システムをスタートさせており、ことしの台風第19号では、本県からも被災した福島県本宮市へ、このシステムによる対口支援として10月23日から12月7日まで、県や市町村の職員計52名を7班に分けて順次派遣しました。 このように、災害時のマンパワー不足を補うためさまざまな取り組みを行っておりますが、今後とも計画や制度を充実させるとともに、市町村においても実践的な訓練を行っていただけるよう、積極的に支援してまいります。 (土木部長村田重雄君登壇)
◎土木部長(村田重雄君) まず、土木技術職員の現状と対策についてお尋ねがございました。 地方公共団体の土木技術職員は、県民の生活や産業振興の下支えをするインフラ整備を行うほか、道路などのインフラの維持管理や豪雨などによる災害復旧などの大変重要な役割を担っております。 県の土木技術職員の新規採用については毎年計画的に行っておりますが、近年応募者数が減り、人材の確保が難しくなってきております。 平成26年や平成30年の豪雨などでは県内各地が被災し、県や市町村では、災害査定や復旧工事のための土木技術職員が大幅に必要となりました。このため県では、土木部本課や被害の少なかった事務所から被害の多かった事務所に、職員を派遣するなどの対応を行いました。一方、市町村から土木技術職員の派遣要請がありましたが、県管理施設の災害対応で職員数に余裕がなかったことから、一部の市町村への支援にとどまった経緯もございます。 このような災害対応や、今後ますます増大するインフラの老朽化対策などを考慮しますと、土木技術職員の確保は大変重要となります。このため県では、県内の大学や高校へのガイダンスの実施、インターンシップの受け入れに取り組んでいるところですが、今年度からさらに年齢層を広げ、中学生の職場体験の受け入れを進めております。 今後は、これらの取り組みをさらに進め、採用試験の応募者数の増加に向けて土木職場の魅力発信に努めてまいります。 また、総務省では、近年の豪雨等による大規模災害時の対応やインフラの維持管理を行う上で、市町村の土木技術者が慢性的に不足していることを受けて、都道府県から市町村に対して応援職員の派遣ができるよう、都道府県の人員増強を支援する制度を創設するといった動きもございますので、このような国の動向も注視しながら、県内の土木技術職員の確保に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、県内の高知自動車道のうち、2車線対面通行区間における有料区間の現状と今後の4車線化の見通しについてお尋ねがございました。 県内の高知自動車道のうち、現在暫定2車線により供用している有料の区間は、高知インターチェンジから須崎東インターチェンジ間の33キロメートルです。このうち、9月に国土交通省が策定した、高速道路における安全・安心基本計画において、暫定2車線区間の中から優先的に4車線化を進める区間として、土佐パーキングエリアから須崎東インターチェンジ間が選定されました。この区間を除いた有料の暫定2車線区間は、高知インターチェンジから土佐パーキングエリア間の24キロメートルとなります。 今回選定された区間につきましては、高速道路における安全・安心基本計画において、おおむね10年から15年で4車線化を目指すとされております。残る区間の4車線化の見通しにつきましては現在示されておりませんが、高速道路の対面通行区間につきましては、反対車線への飛び出しによる重大事故の発生や自然災害発生時の代替路の確保などにおいて、大きな課題があると認識しております。 このため、県としましては、引き続き暫定2車線区間の4車線化の早期実現に向けて、四国経済連合会などの関係団体の皆様とも連携しながら、国などに積極的に働きかけてまいりたいと考えております。 次に、高知自動車道の2車線対面通行区間の無料化の検討についてお尋ねがございました。 高知自動車道の川之江ジャンクションから須崎東インターチェンジ間は、事業者が整備に必要な費用を民間などから調達し、供用後に利用者から料金を徴収して返済に充てる有料道路として整備されました。これにより、国直轄事業で整備を進めている区間に比べ、長い延長を短期間で供用開始することに寄与したものと考えております。 さらに、高知インターチェンジから須崎東インターチェンジ間を初め、全国各地の高速道路の一部区間においては、少ない費用で建設できる暫定2車線により整備が進められた結果、より短い期間で日本全体の高速道路の供用延長を伸ばしていくことにつながったと認識しております。 この手法で整備され、平成9年度に供用を開始した高知インターチェンジから伊野インターチェンジ間と、平成14年度に供用を開始した伊野インターチェンジから須崎東インターチェンジ間の沿線や周辺の地域には、特産品の販路拡大や自然災害発生時の円滑な緊急輸送の確保など、多様な効果が継続してもたらされております。 有料道路の整備費用につきましては、道路整備特別措置法に基づき、徴収する料金やその期間等が定められており、利用者から料金を徴収して、着実に償還が進められる必要があります。また、喫緊の課題でもある高速道路の老朽化対策を今後も計画的に進めていく必要があり、限られた予算の中で無料化を行うことは、道路事業全体の進捗への影響も懸念されることから、今直ちに2車線対面通行区間を無料化することは困難と考えております。 県としましては、引き続き暫定2車線区間の4車線化の早期実現と国道33号の整備促進が図られるよう、道路整備の促進を訴える団体の皆様とも連携しながら、国に働きかけてまいりたいと考えております。 次に、国道33号の高知市旭地区や高知西バイパスなどの整備の進捗状況と今後の見通しについてお尋ねがございました。 国道33号の整備につきましては、道路を管理している国土交通省四国地方整備局土佐国道事務所において進めていただいているところです。 まず、高知市旭地区につきましては、旭駅前通交差点などにおいて交差点改良の調査、設計が進められております。今後は、とさでん交通株式会社と電停構造などについて協議を進め、早期の工事着手を目指していくと聞いております。 高知西バイパスにつきましては、来年度の全線開通に向け、JR土讃線の跨線橋の架設工事などが進められております。今後は、構造物などの工事が完了した箇所から順次舗装工事などに着手していく予定と聞いております。 日下橋につきましては、令和2年7月までの予定で橋梁の架設工事が進められております。その後、取り合わせの舗装工事を進め、令和2年度の完成を目指していくと聞いております。 川内ヶ谷橋につきましては、これまでに橋梁の詳細設計や地元との設計協議が完了しております。今後は、用地調査を進め、令和2年度から用地買収に着手する予定と聞いております。 越知道路2工区につきましては、仁淀川を渡る2本の橋梁工事が進められており、今年度末には現道の対岸を通るトンネル工事について契約する予定と聞いております。今後も、早期完成に向けて工事を推進していくと聞いているところです。 県としましては、引き続きそれぞれの事業箇所の整備が着実に進められるよう、直轄負担金を確実に確保するなど、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 最後に、岩目地交差点の改良など国道33号の安全対策と長竹川の改修事業の進捗状況並びに今後のスケジュールについてお尋ねがございました。 岩目地交差点の改良につきましては、この交差点で国道33号と接続する道路が県道であることから、まずは県道側の拡幅計画について、現在検討を進めているところです。また、長竹地区における国道33号の安全対策につきましては、土佐国道事務所におきまして、車両の急制動データなどを用いて、岩目地交差点から佐川町の霧生関トンネル間の潜在的な危険箇所を把握し、具体的な対策の検討を進めていると聞いております。 長竹川の改修につきましては計画策定に向け、本年4月に地域の皆様と現地を確認させていただくとともに、9月に開催された住民説明会では河川整備につきまして御意見を伺っているところです。これを受けて県では、その後、測量作業や現地踏査を実施し、現在その結果をもとに、概略計画の作成に向けて、現況河川の流下能力の確認などを行っております。 来年1月にも住民説明会が予定されておりますので、道路と河川事業の進捗状況を御説明するとともに、改めて住民の皆様の御意見もお伺いし、今後の設計などに生かしてまいりたいと考えております。 (健康政策部長鎌倉昭浩君登壇)
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) まず、厚生労働省による再編統合の再検証が必要な病院名の公表に関して、厚生労働省からの要請内容とその後の県の対応についてお尋ねがございました。 現時点では、国から都道府県に対して正式な再検証の要請はなされていませんが、9月に国が公表した際には文書で、必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではないこと、また、病院が将来担うべき役割や、それに必要なダウンサイジング、機能分化等の方向性を機械的に決めるものでもないとし、今回の取り組みは、一定の条件を設定して急性期機能等に関する医療機能について分析し、各医療機関が担う急性期機能やそのために必要な病床数等について再検証をお願いするものであるとの考えを示しております。 この公表を受け、県としては、再検証の対象となった5つの病院の管理者や開設者に対し、個別の意見交換や文書で、近隣の医療機関や医師会等の関係団体との間で、医療機能の役割分担や、将来の人口減を見据えた規模の見直し等の必要性はないかなどといった点について、検討をスタートしてほしいとのお願いをいたしました。 また、国に対しては全国知事会を通じて、地域における議論を進めるために民間病院も含めた病院全体のデータを早急に公表するなど必要な情報開示を行うこと、地域医療構想の実現に向けて国費による思い切った財政支援を実施することなどを政策提言しています。 恐らく民間病院の診療実績データの提供と同時になるものと見込まれますが、今後国からの正式な通知が出されれば、地域医療構想調整会議での協議を開始し、再検証に着手したいと考えております。 次に、病院名の公表の対象となった仁淀川流域の地域医療構想調整会議では、これまでどのような議論がなされてきたのかとのお尋ねがございました。 県内4つの構想区域に地域医療構想調整会議を設置しておりますが、中央区域は広域にわたるため、中央西福祉保健所管内の6市町村の医療機関や介護事業所、市町村の担当者で構成される、仁淀川部会を設置し、地域の医療提供体制のあり方や各病院の具体的対応方針についての議論を進めてきたところです。 そこではこれまで、地域の各医療機関が担っている役割や2025年に向けての具体的対応方針を議論するほか、病床機能の転換計画についての個別協議や、地域医療構想に関する国の動向などについての情報共有を行ってまいりました。 また、昨年度には、仁淀病院、高北病院、土佐市民病院の3つの公立病院が策定した、2025年に担うべき医療機能や病床数等を定めた新公立病院改革プランについての協議を行い、現状の医療機能及び病床数を維持するとの内容での合意が得られたことから、その旨を国に報告したところです。 最後に、国との意見交換会ではどのような議論が交わされたのかとのお尋ねがございました。 厚生労働省が主催の、地域医療構想に関する自治体等との意見交換会のうち、10月30日に開催された中国・四国ブロックの意見交換会に、本県からは県職員3名、県内の公立・公的病院や医師会等から14名が出席いたしました。 意見交換会では、まず厚生労働省の担当者から、対象となった病院の公表の仕方が唐突であったことを反省し、今後は丁寧に説明していきたいとの説明がありました。 会場からは、既に患者が減少するなどの風評被害が発生している、患者や住民の不安をどう解消するか説明がない、平成29年6月の1カ月のみの診療実績をもとにした分析結果であり、今回の分析では見えない役割を担っている病院が評価されていない、再編統合を行う場合の結論を来年9月までに行うのは無理があるなどの意見がありました。 これに対し厚生労働省からは、今回の公表は国として何か強制をするものではなく、あくまでも議論の活性化のためのものであり、データの分析には限界があることから、地域の実情を踏まえて議論していただきたいなどの回答があり、一方、患者や住民の不安解消や再検証の期限の延長については、具体的な回答はありませんでした。 (
文化生活スポーツ部長橋口欣二君登壇)
◎
文化生活スポーツ部長(橋口欣二君) まずスポーツ振興について、茨城国体における本県選手団の活躍の総括と今後の課題に関するお尋ねがございました。 今回の本県選手団は男女総合成績の天皇杯におきまして、昨年の大会を120点上回る競技得点を獲得し、6年ぶりの最下位脱出となりました。この結果は、選手の皆様の健闘はもとより、各競技団体や関係者の皆様の地道な努力が実を結んだものであると考えております。 今大会におけます選手団の活躍の総括といたしましては、例年に比べて、個人・団体競技の入賞数、特にベスト4以上の上位入賞数がふえております。また、種別ごとに見てみますと、少年男子が大幅に得点を伸ばしました。これは、各競技団体がレスリングや飛び込みに代表される、ジュニアからの系統的な選手育成に取り組んできたことや、段階的な目標を定め、課題を捉えた強化対策を進めてきたことが結果に結びついたものと考えております。 また、団体優勝した少年男子ソフトボールチームでは、メンタルトレーニングを大会前に実施したことが好成績につながったとお聞きをしており、スポーツ科学センターによる医科学サポート面でも成果があったものと捉えております。 今後の課題といたしましては、今回のような成績を連年でおさめるには、ジュニアから成年まで系統立てた一貫した強化計画を各競技団体が引き続き徹底し、実行していくことが、何より重要であると考えます。 そのため、小学生から一般までの有望選手を集めた常設の全高知チームの強化、ジュニア期にかかわる指導者の指導力向上などの取り組みが各競技団体で着実に進められ、裾野の拡大や競技力の全体的な底上げにつながるよう、引き続き高知県スポーツ協会等と連携し、しっかりと支援をしてまいります。 次に、高知ユナイテッドスポーツクラブへの県の今後の支援策についてお尋ねがございました。 クラブにおかれては、このたび全国地域サッカーチャンピオンズリーグの激戦を勝ち抜かれ、見事JFL昇格をつかみ取られました。多くの県民が期待しているJリーグ参入に一歩近づいたことは、大変喜ばしいことと感じております。 今後、Jリーグ入りを果たすためには、JFLでのホーム戦の観客動員数が平均2,000人以上であることや上位4チームに勝ち残ることなど、大変厳しい条件をクリアする必要がございます。また、クラブからは、ホームゲームの会場や練習場の確保のほか、クラブ運営面でも遠征費が増大するなど、課題があるとお聞きをしております。 こうしたことから、今後どのような強化策や運営計画を考えているか、まずはしっかりと聞かせていただいた上で、他県の例も参考にしながら、どういった支援策が可能なのか検討してまいりたいと考えております。 最後に、子供たちや若者に夢を与えるドーム球場の整備についてお尋ねがございました。 県内のスポーツ施設に関しましては、これまでにも競技団体から、活動拠点が少ないといったことや、大規模な大会を開催できる施設が欲しいといったような御要望が寄せられております。 このため、スポーツ振興推進本部などで議論をし、今年度、スポーツ振興や観光振興、防災など、幅広い観点から研究を行うため、各担当部署の課長で構成するワーキンググループを設置したところでございます。これまで、先進地視察や有識者からの意見聴取なども行ってきたところですが、プロ野球の本拠地となるようなドーム球場は大都市圏しか立地しておらず、研究の対象とはしておりませんでした。 ドーム球場を初め大規模なスポーツ施設を整備する場合、土地の確保や多額の建設費用、運営コストなど、その実現に向けては大きな課題があるものと考えております。今後、専門家の御意見などもお聞きをしながら、さまざまな課題を整理していきたいと考えております。
◆29番(大野辰哉君) それぞれ御答弁いただきまして、本当にありがとうございます。 これから先、知事とは、子供たちや若者たちを初め、県民の皆様に夢や希望を与えられるような議論もしていきたいと思っております。きょうは最初の記念すべき質問戦でもありますので、知事のほうに--知事も野球がお好きということをお伺いしましたので--夢のドーム球場の整備について、2問目を質問させていただきたいなというふうに思っております。 本県では、四国アイランドリーグ、高知ファイティングドッグスとか頑張っていますけれども、以前から高知でプロ野球のチーム戦をという県民の声は多々あってきたことなんですけれども、これまで開催のネックになってきたのは、やっぱり球場の問題でした。そうした球場の問題とか、いろんな困難な課題をクリアするのもまた、これは県、知事の役目の一つでもあると思うんです。そうしたクリアすべき問題も多々あると思うんですけれども、お願いしたいということが1つです。 あと、もう一つ夢を言いますと、四国4県の官民が力を合わせたら、四国をフランチャイズとするプロ野球の球団の誘致なんかも可能じゃないかなというふうに、自分は思っておるんです。野球王国高知に、そうした夢の実現の牽引役も果たしていっていただきたい。知事のほうには、その牽引役も果たしていただきたいというふうに思っておりまして、そうした機運の盛り上がりのためにも、ドーム球場の整備について、知事から夢と希望が膨らむような答えをいただきたいなというふうに思って、2問目としたいと思います。お願いします。
◎知事(浜田省司君) 大野議員の再質問にお答えいたします。 プロスポーツを身近に見られる機会ができるということは、野球に限らず、また多くのスポーツについて、若者だけではなくて県民の皆さんにまことに夢がある話だと、そのこと自身には同感をいたします。 一方で、ドーム球場の整備という問題に関して申しますと、先ほど
文化生活スポーツ部長からもお答えいたしましたとおり、課題がいろいろあると、大変多いということだと思います。 まずは、関係者、専門家の御意見でございますとか、県民の皆さんのお声、そういったものをお聞きするというところから始めさせていただきたいと思います。
◆29番(大野辰哉君) 知事初め、執行部の皆様からそれぞれ丁寧な御答弁をいただき、本当にありがとうございました。 特に浜田知事におかれましては、知事として、きょう初めての県議会答弁ということで、その姿勢についてさまざまな質問をさせていただきました。それぞれ懇切丁寧な御答弁をいただき、本当にありがとうございます。 知事は提案説明の中で、成果志向の県政運営を目指すとしておりました。その目指す成果なんですけれども、もちろん数字も大切なんですけれども、数字ばかりを追い求めるのではなく、浜田知事らしく、その成果を県民の気持ち、県民の心にも求めていただければ大変ありがたく思います。 県民誰もが幸せで未来への希望が持てる明るい高知県の実現に向け、これから4年間、いや、もっともっとになるかもしれませんけれども、浜田知事の卓越した行政手腕を遺憾なく発揮していただきますことを心より御祈念申し上げ、私の一切の質問を終わりたいと思います。本日はありがとうございました。(拍手)
○副議長(弘田兼一君) 暫時休憩いたします。 午後2時41分休憩
----------------------------------- 午後3時10分再開
○議長(桑名龍吾君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 36番米田稔君。 (36番米田稔君登壇)
◆36番(米田稔君) 私は、日本共産党を代表して、浜田省司新知事の政治姿勢について質問を行います。 日本共産党県議団は、暮らしと地方破壊を進める自公政権のもとでも、現場の課題、地域の資源に目を向けて、それをしっかり支援する尾崎県政の努力は評価するとともに、一方学力テスト偏重の教育行政のひずみを指摘しつつ予算にも賛成してきました。しかし、その頑張っている尾崎県政のもとでも人口流出はとまらず、強みとする農業人口も耕作面積も減少し、また地域の商店など事業所数も減っています。室戸では入院できる病院がなくなり、県下で出産に対応できる医療機関も減少しています。 県政が努力するとともに、国の政治のあり方を変えないと地方は成り立たないという現実があります。産業振興で努力しても、消費税がこの数年で2倍になり、税を価格に転嫁できない中小業者の努力が限界を超えてきています。TPP、EPAで安い1次産品が入ってくる、さらに一部の輸出大企業を潤す円安政策により、燃料、材料費の高騰が1次産業、中小業者を直撃しています。県の抱える少子化、人口減の克服には国政の転換が必要であり、今までの延長線で、県の努力で解決できる範囲は限定的だということを指摘しなければなりません。その上で、高知県の課題解決のために、私たちも力を合わせることのできるところは力を合わせ、全力で取り組んでいくことを表明し、質問に入ります。 浜田知事は知事選挙の中で、尾崎県政の継承を最大の柱として訴えましたが、その尾崎県政も、橋本県政の開かれた県政、住民力を重視した県政運営の継続を明言しスタートをしています。行政経験のない橋本大二郎氏は、庶民の常識ではあり得ないだろうという視点で、それまでの県政運営にメスを入れたことが改革の出発点となりました。特定勢力と結びついたしがらみや不合理な慣行の一掃を進め、県職員が真っすぐ県民に向き合って仕事ができる環境をつくったことが、尾崎県政が活躍できた土台にあると考えます。 また、尾崎前知事は2007年当選後に、橋本知事は県民から積極的に話を聞いた、これは今後も継続していくと答え、実際、対話と実行座談会に取り組んできました。こうした真っすぐ県民に向き合う決意でスタートしたことが、あらゆる施策の前提にありました。 橋本県政以来の県政改革の流れである、公正・公平で真っすぐ県民に向き合う姿勢で県政運営に臨むことが必要と思いますが、県民に開かれた県政の意義をどう認識されているのか、県政運営の基本姿勢について知事にお聞きをします。 県民の意見をよく聞くという点ですが、尾崎県政では、我が党が提案した企業訪問を実行に移し、課題や得意分野などを把握するところから始めて、産業振興計画をつくったことは評価してきました。同時に、その後の対話と実行座談会では、成功事例やそれに準ずる方々への意見聴取に偏重してきたのではないかとも感じています。 今回の知事選で、誰ひとり取り残さない県政という訴えが大きく共感を広げた背景には、取り残されていると実感している多くの県民の実態があると思います。浜田知事は、三十数年間高知から離れて生活をしています。まず、一部の成功事例だけではなく、県民のリアルな実態、取り残されているという思いを抱いている方々と向き合っていただきたいと思います。 例えば、こども食堂やホームレス支援、ひきこもりの対応、無料低額診療などに取り組む団体の方々から実情と課題を聞き、それを県民課題として発信し、課題を解決することが極めて大事だと思いますが、そうした県民のリアルな声を聞く場を設定するおつもりはないか、知事にお聞きいたします。 次に、公務の役割についてお聞きいたします。尾崎県政では、官民協働型の県政運営を目指しながらも、官から民へでは済まない厳しい現実に向き合わなくてはならないと公務の役割を重視し、橋本県政のときに作成した知事部局3,000名体制の方針を3,300名へと改めています。 県は、総務省に提出した財政比較分析表でのコメントには、人口当たりの職員数が多いことに対し、「本県は面積が広く、県土の大部分を森林が占め、地形も東西の距離が約190キロメートルに及んでいることから、行政サービスの提供が非効率となり得る地理的な要因を有している。また、人口規模の小さな市町村が多く、県から市町村に対して多くの人的・財政的支援を必要としている。職員数は、面積や地形等の地理的要因、県内の市町村の規模によって大きく影響されることから、実数をもって本県の職員が多いとは言えない」と明言していることも、評価されるものです。 ことしの6月議会で尾崎前知事は、地方創生や防災対策などの行政需要の高まりに応じて職員数が増加しているという実態がある中、今後も行政需要の増加や複雑化に対応するためには、必要な人員体制を確保することが重要であると答弁しています。2015年12月の地方財政審議会の意見では、社会保障等の対人サービスの適切な提供にはマンパワーの確保が重要である、今後少子高齢化への対応や社会的に支援が必要な人々へのきめ細かな対応がますます求められると指摘をしています。 県は、課題解決先進県として、5つの基本政策に基づき積極的な取り組みを進めていますが、貧困と格差の拡大、TPP、日欧EPAなど、自由化、規制緩和から地域経済を守る取り組みなど、行政需要は拡大を続けています。その一方で知事選では、現場から、50代の先輩方が自己退職をたくさんした、職員は駒で、疲れ切った駒は使い捨てだという苛酷な実態の告発もありました。また、消費者相談など専門性の高い職員を正規化できない現状もあります。 これらの点は、我が党が、職員体制3,300人の枠組みに縛られているからで、その枠組みが限界に来ているのではないかと指摘したことに対し、尾崎前知事は、「行政需要の拡大や災害対応などのため業務量が増加する中、職員定数に縛られることでやるべき業務ができない、あるいは職員に過度な負担が生じるということがないよう留意する必要があると考えています。知事部局3,300人体制の見直しについては新年度--つまり今年度ですが、検討することとしておりますが、いずれにしても必要な人員をしっかりと配置できる体制を目指していきたい」と答弁をしています。 最近、教員の働き方は余りにもブラック過ぎると、若者が教職を敬遠しているとの報道がされるまでになりましたが、公務員の職場も例外ではないと危惧しています。若手、後輩に経験や専門性を継承できる、OJTが可能な一定の余裕がある、そして職場と家庭が両立できる職場環境を実現することが、ひいては県庁全体のパフォーマンスを中長期的に安定的に維持し、高めていけることにつながると考えます。 新知事は、高知県における公務の役割とそれを支える県職員の役割をどう認識しているのか、また行政需要の拡大に応じた体制の強化が必要ではないか、あわせてお聞きをいたします。 次に、総理主催の桜を見る会疑惑について知事にお伺いします。安倍首相と自民・公明政権は、野党がルールに基づいて要求した国会の会期延長、予算委員会開催を拒否し、9日国会を閉じました。強く抗議するとともに、桜を見る会疑惑にふたをし逃げ切りを図るなど、絶対に許されるものではありません。 10日付高知新聞社説は、「立法府軽視が強まった」として、「安倍政権が公的行事や税金を私物化し選挙や後援会活動に利用したのではないかといった疑いが晴れていない。」、「政府・与党ももっと真摯に説明責任を果たすよう努めなければならない。国民の納得が得られなければ、桜の「疑惑の芽」はこれからも膨らみ続けるだろう。」と強調しています。また、朝日新聞の社説は、「臨時国会閉幕 政権の専横を忘れまい」と題して、「政治権力が国民への説明を放棄した先に待っているのは、民主主義の土台の崩壊である。」と指摘をしています。 桜を見る会私物化疑惑は、安倍首相の後援会員を買収した疑惑を初め、虚偽答弁、招待者名簿や資料の廃棄、隠蔽など、安倍政権の本質的な特徴が凝縮しています。その上、ことしの会の招待者1万5,000人中、首相や自民党の枠での招待者が8,000人に上り、悪徳マルチ商法会社ジャパンライフによる実害をこうむった人が多数いること、公職選挙法、政治資金規正法を初め、財政法、公文書管理法などに違反する首相直結の疑惑が多岐にわたる点で、より深刻です。 まさに、民主主義の根幹にかかわる大問題であり、数の横暴による幕引きを許さず、真相の究明と憲法、地方自治法に基づく政治の確立こそ、圧倒的な国民、県民の願う道ではないでしょうか。 知事にお伺いします。長年、総務官僚、そして地方行政に携わってきた政治家として、疑惑の解明と真相究明のために、安倍首相が説明責任を果たすよう求めるべきではありませんか、お聞きします。 次に、公文書の管理にかかわって知事にお伺いします。ことし5月、日本共産党の宮本徹衆議院議員が質問準備のため推薦者名簿を資料要求したところ、内閣府はその直後に廃棄しました。さらに問題なのは、バックアップデータはしばらく残っていたにもかかわらず、廃棄したと、うその説明をしてきたことです。悪質な隠蔽というほかありません。 また、各省庁には推薦者名簿が保存されているのに、内閣官房にあるはずの総理・長官等の推薦者、与党による推薦者の名簿だけが廃棄された。これが事実ならば、安倍政権のもとで内閣府と内閣官房は、公文書のまともな取り扱いさえできない行政府になり果てたと言わなければなりません。 反社会的勢力が招待されたのかという事実確認さえ、できないで終わらせることは許されません。やましいところがないならば、首相の責任で電子データを復元させ、全ての名簿を明らかにすべきです。 2日の参議院本会議で、日本共産党田村智子議員は次のように発言をしています。「国立公文書館には、桜を見る会の文書が多数保存されています。岸信介内閣時代の名簿は永久保存です。1957年の名簿は、戦後の引揚者、戦後の復興への功績・功労者として、招待者の名前が全て開示されています。政府がどのような考え方で、どのような施策を行ったのか、後世においても検証できるよう、国民の財産として公文書を保管する。自民党政権のもとでもこうした歴史と伝統、政府としての矜持は受け継がれてきたはずです」と呼びかけました。そして、「安倍政権の7年間で公文書が隠され、改ざんされ、廃棄される。官僚の答弁は、総理をかばうために矛盾に矛盾を重ねる。いつまでこんなことを繰り返すつもりなのか。日本の民主主義が壊されていくことを黙認などできるはずがありません」と厳しく指摘をしています。 菅官房長官の、バックアップデータは公文書ではない発言は、全くのヘ理屈と思いますがどうか、また今後の高知県の公文書管理にどう臨むのか、知事にあわせてお伺いをします。 米軍の低空飛行訓練について知事にお伺いをします。高知県は過去4度の墜落事故を経験するなど、米軍機の低空飛行訓練が県民の安全と安心を脅かしています。尾崎県政では、我が党の要望に応え、市町村からの目撃情報の収集と公表、騒音測定器の設置などにより、その実態を告発するとともに訓練中止を求めてきました。しかし、子供が泣き叫ぶような訓練はやまっていません。ドクターヘリ、防災ヘリの飛行の安全性も脅かされ続けています。それどころか、この11月ごろから嶺北地域で、昼夜を問わず米軍機と思われる機体による低空飛行訓練がふえているとの声が寄せられています。 それによると、昼間は保育園の午睡中や園庭で遊んでいる時間であってもお構いなしに、保育園の真上を低空飛行し、建物の中でも振動を感じるほどの騒音です。保育園の子供たちは、戦争の飛行機、爆弾が落ちてくると怖がっています。夜間は20時前後が多く、住民からは、うるさい、子供が怖がると不安と怒りの声が出ています。その後も毎日のように不気味な音が響き渡るので、1994年10月の早明浦ダム湖の事故のように墜落するのではないか、沖縄県緑ヶ丘保育園のように部品が落ちてくるのではないかと、不安を感じています。12月6日の12時過ぎの低空飛行は、町内の山、雁山標高431メートルより低く見えたなど、その恐怖とともに訓練中止を求める強い願いが出されています。 まず、この間の低空飛行訓練の状況をどう把握し対応したのか、また今後どう対応するのか、知事にお聞きします。 昨年12月の高知沖の墜落事故の調査の中で、手放しの操縦や飛行中の読書、ひげを整えながらの自撮りなど重大事故につながりかねない規則違反が横行していることが判明しました。報告では、背景として部隊内に、薬物乱用、アルコールの過剰摂取、不倫、指示違反といった職業倫理にもとる実例が存在すると指摘されており、背筋の凍るような実態です。 実は4年前にも、嶺北での低空飛行訓練中の自撮りの動画が、あれが掘っ立て小屋だとのタイトルでインターネット上に配信され、大問題になった事件がありますが、これ以降も全く反省していなかったわけです。 新知事も、米軍の低空飛行訓練の中止を求める姿勢を継承するとともに、さらに踏み込んだ対応が必要と思います。 中止を強く求めるのは当然とし、さらなる証拠を積み上げ、国民世論に訴えるためにも、住民などが撮影した低空飛行の実態を示す動画を県のホームページで公表する、また県がドライブレコーダーのような録画装置を設置し、動かぬ証拠をつかむことを検討すべきと思いますが、知事にお聞きをします。 また、知事と中国四国防衛局とのやりとりは公開してきました。この点もしっかり継承すべきと考えますが、お聞きをいたします。 なぜこんな横暴が繰り返されるのか。その根本には、米軍の無法を容認している地位協定の問題があります。ドイツ、イタリアなど他国では米軍訓練をしっかり規制していることは、県議会の場で取り上げできました。先日、全国知事会の場で、沖縄県によるオーストラリアの実態が報告されています。領空内に米軍管理の空域はない。米軍機が配備される際は分解・洗浄し、オーストラリア検疫当局の検査を受ける。飛行経路も厳しく規制。住宅地上空の飛行はなく、騒音問題もないとのことです。広大なオーストラリアでもこうした規制をしています。政府の姿勢の問題です。 この屈辱的な日米地位協定の実態をどう認識されているのか、また全国知事会も提言している地位協定の抜本改定を実現するため、地元選出の国会議員と一致して連名で要望するなど、これまで以上に踏み込んだ対応が必要と思いますが、知事にお聞きをいたします。 米軍と自衛隊の共同防災訓練などへの対応で、県政の継承についてお聞きをします。南海トラフ巨大地震が発生すれば、あらゆる支援の受け入れが必要であり、米軍参加の訓練であっても、党県議団は一律に否定はしていません。ただし、防災訓練である以上、高知での訓練については、県がしっかり把握し、県民にも内容を公表し、安全性、生活への影響で問題はないかチェックをし、県民にとってより有効な訓練となるようにすべきだと申し入れをし、副知事との話し合いの中で課題意識を共有してきました。 防災訓練である以上、しっかり県が内容を把握し、県民に公表する立場をとるべきと思いますが、知事にお聞きをいたします。 次に、オスプレイへの対応です。内外で多発する事故を受け、尾崎前知事も、県民の安全性について懸念があるとし、訓練の実施計画に当たっては、市街地上空を飛ばないこと、進入時の高度、コース--可能な限り河川の上--を確認、転換モードは海上で実施などを条件とし、その実施を確認するために、県職員2名が同乗することを防衛省に約束させています。 県民の安全・安心を守るために、この立場を堅持すべきと思いますが、知事にお聞きをいたします。 次に、産業振興と人口減対策について、まず国政との関連で、県が産業振興計画の土台に位置づけている農業政策への認識をお聞きします。次世代型のハウス園芸、6次産業化、担い手育成、地産外商など、県としてきめ細やかな努力をしていますが、日本政府の農業と食料の安全保障に対する認識と政策が、欧米諸国と比べ著しく貧困であることを認識されているでしょうか。 各国の農業政策にも詳しく、TPP推進を厳しく批判してきた東京大学の鈴木宣弘教授の指摘は重要だと思います。日本農業は過保護だ、だから競争力の強化をという主張は、根拠がありません。まず、日本の農産物関税ですが、米、こんにゃくなど高関税のものもありますが、9割の産品の関税は非常に低く、平均関税率11.7%でEUの19.5%の半分程度しかなく、既に相当低く、大型の自由貿易協定の発効前でも苛酷な競争にさらされている現実があります。 次に、農産物の輸出大国アメリカは、競争力があるからその地位を確立したのではないということです。コストが高くても食料自給は当たり前、それに加えて、食料を武器に世界をコントロールするため、いかに増産するかという食料戦略をとっているからだと解明しています。 アメリカ農務省経済研究局のデータによると、ほとんどの年度、作物では販売額より生産コストが上回っています。あれだけ大規模経営でも赤字なのです。そのためアメリカは、農家が満足に暮らし営農を再生産するために必要な目標価格と国際市場で競争力を持つための市場価格の差額を、全額政府が所得補填しており、その額は多い年で1兆円にもなります。農家所得に占める政府補助金の割合は、米、綿花の場合4割から5割になる年もあります。 2006年の統計ですが、農業所得に占める直接支払いの割合は、アメリカが26.4%、フランスは90.2%、イギリスは何と95.2%、一方、日本は15.6%です。このどこをとって過保護というのでしょうか。農業をこんなに軽んじている国はほかに見当たりません。 欧米では、穀物、乳製品の生産がふえ支持価格を下回ると、支持価格で無制限に買い上げて、国内外の援助物資や補助金をつけて輸出するなど、政府が最終的に価格を確保し、価格を支える仕組みを築いています。それは、国民の命を支える、国土・環境を保全する、国の独立性を守るという観点から、単なる商品ではないとの哲学があるからです。 日本の農業政策は、欧米諸国に比べて余りに貧困ではないか。農業人口の減少がその証左ではないのか。この農業政策の違いを無視して諸外国との自由貿易の競争にさらすのは、日本の農業を潰す亡国の道と思いますが、知事の基本認識をお聞きいたします。 また、中山間の多い本県の特徴を考慮すれば、中山間地域で希望を持って働ける、そして暮らし続けられるような施策を充実させていくことが重要です。 その一つとして、日本型直接支払交付金の有効活用が大切だと考えます。多面的機能支払交付金、中山間地域等直接支払交付金、そして環境保全型農業直接支払交付金等が、中山間地域の農業振興にとどまらず、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、そして良好な景観の形成等に利用され、関係者から高く評価されています。とりわけ中山間地域等直接支払交付金は、農業生産活動の継続に向けた前向きな取り組みにとどまらず、農業以外の組織との連携など集落機能の強化のためにも活用されてきています。 今後は、高齢化や人口減少が著しい地域のコミュニティーを維持していくためにも、また地域の魅力を発信するとともに地域外の人たちとの連携も図れるようにしていくなど、さらに使い勝手のいい制度として活用範囲を広げていき、他の施策とも連携させて、地域が守れる、農業の担い手ができる、そして自然豊かな中山間地域で暮らし続けられるようにしていくことが大切だと考えます。中山間地域の農家は、単に作物をつくっているだけではありません。地域の文化や棚田の風景やたくさんの生き物、そして子供たちの豊かな体験を育んでいます。そうした里山の果たす役割が引き継がれていくようにしなければなりません。 国に対して、中山間地域等直接支払交付金の総額をふやすこと、地域の実態に沿った単価設定にすること、農地だけでなく集落の維持や若者の参加をさらに促す加算メニューをふやして活用範囲の拡大を図ることなどを求める考えはないか、本県での同制度の成果、そして今後のこの制度の果たす役割についての認識をあわせて知事にお聞きをします。 次に、人口減少の問題についてお聞きします。本県の推計人口は、ことし6月1日に69万9,522人となり、70万人を割り込みました。そして10月1日の推計では69万7,674人と、さらに減少しています。この10年間では、出生数から死亡数を引いた自然増減で4万9,967人減少、転入から転出を差し引いた社会増減では2万656人減少し、合わせて7万623人、年平均7,000人余も減少しています。本県は、全国より10年以上先行して人口減少と少子高齢化が進んでおり、特に中山間地域では、その傾向が著しくなっています。 しかし、この人口減少は、決して自然現象ではありません。他の先進諸国では、2015年から2050年までの人口増加率が20%前後になると予測される国が2つあります。アメリカ18%とカナダ20%の増加です。一方、イタリアはマイナス8%、ドイツはマイナス3%と減少の予測ですが、日本ほどの減少率ではありません。この日本の人口減少は、政治の責任が大きいと言わなければなりません。非正規や派遣労働をふやし、若者が生活の将来設計をしにくくしてきた国の経済政策の抜本的な見直しが必要です。 人口の社会減を食いとめるには、子育てしやすい労働環境を整えることとあわせて、賃金の地域間格差を平準化することが大切です。全国一律の最低賃金にして、時給1,000円、1,500円へと引き上げる。これを経済的に対応が困難な中小企業への支援策と一体に取り組むことが重要です。賃金格差がなくなれば東京一極集中が緩和され、高知のような自然環境のいい、食べ物のおいしいところで働き続けたい、また高知に移住したいという人がふえてきます。 本県の人口減少を食いとめるためにも、政府に対して全国一律の最低賃金を求める考えがあるのか、知事にお聞きをします。 次に、地域医療構想を踏まえた公的医療機関等2025プランについて伺います。昨年度、本県においても各公立・公的医療機関等が策定した新公立病院改革プラン及び公的医療機関等2025プランについて、地域医療構想調整会議において協議し、合意に至ったものを厚生労働省に提出しました。 しかし、厚生労働省は、提出されたプランでは現状と大きな変化がないと判断し、同省において、対象医療機関の診療実績データ分析を行い、診療実績が特に少ない、または構想区域内に一定数以上の診療実績を有する医療機関が2つ以上あり、かつお互いの所在地が近接していると位置づけた公立・公的医療機関等について、本年9月個別病院名を挙げ、改めて、再度協議を行うよう各都道府県に要請しました。 再編統合の議論を促すようにと挙げられた病院は、公立・公的病院の4分の1にも及ぶ424病院。本県では、佐川町立高北病院が診療実績が特に少ない病院として挙げられ、JA高知病院、高知西病院、仁淀病院、土佐市民病院が、診療実績が類似かつ近接している医療機関があるとの理由により、名指しで具体的対応を検討せよと要請されています。 全国一律の物差しで地域の実情も無視して、しかも2017年のわずかな期間のみの実績で個別病院名を名指しした今回の厚生労働省の発表に、全国知事会からも、当該病院からも抗議の声が上がるのは余りにも当然です。 まず、地域特性も無視した唐突な個別病院名の公表に対する地方の反発をどう受けとめておられるのか、知事に伺います。 今回の2つの指標の設定も問題です。まず、診療実績が少ない問題では、その根底に医師や看護師、助産師などの人材不足があります。地域にニーズがあっても、それに医療機関が応えられない。そうした事態を改善することにこそ、本来の国の役割が果たされるべきです。 さらに、近接の範囲が車で20分以内とされていますが、本県のように高齢者が多く、運転免許の返上で車を手放す方も多く、公共交通機関も不十分な地域には、一律に当てはめることのできない基準です。病院間が20分であっても、その病院に行くまでに時間を要する高齢者にとっては大きな負担となります。 こうした実態を無視した余りにも乱暴な病院名公表で、各病院は風評被害も受け、医師や看護師、患者や地域に不安が広がっており、一旦白紙撤回すべきだとの声が広がっています。厚生労働省は、あくまでも検討材料としていますが、そんな言い分で、広がった不安が払拭できるものではありません。 今からでも国に撤回を求めるべきだと思いますが、知事の御所見を伺います。 今回の再検討を求めた国の姿勢は、地方自治を無視したものと言わなければなりません。さきに述べたとおり、各都道府県は、平成30年度末には公的医療機関等2025プランを地域医療構想調整会議で協議し、決定したものです。その結果を無視した唐突な病院名の公表は、都道府県での協議、決定を覆すものと言わなければなりません。 病院の再編は国が強制すべきものではないと思いますが、知事の御所見を伺います。 さて、少し前の話となりますが、日経メディカルの2007年7月号特集連動企画に掲載された記事に、当時の総務省自治財政局企業経営企画室長浜田省司氏のコメントが掲載されています。知事は当時、自治体病院は原則民営化あるいは廃止・統合、それができない場合には、地方公営企業の全部適用や指定管理者による公設民営制度などを考えてほしいと述べられています。 この間、本県の高齢化率、家族構成、地域特性を見てこられたと思いますが、改めて自治体病院の果たす役割についてどのようにお考えか、住民が安心して住みなれた地域で暮らし続ける上で、公立・公的病院の果たす役割の重要性について知事の御所見をお聞かせください。 次に、国民健康保険について伺います。政府・厚労省は、国保料の値上げを抑制したり、引き下げたりするために、一般会計から国保特別会計に独自に公費繰り入れを行う市町村に対し、国からの予算を減らすペナルティー措置を2020年度から本格導入しようとしています。高い負担に苦しむ住民生活を無視し、地方自治も踏みにじり、事実上国保料値上げへの圧力をかけるようなことは許されるものではありません。 国保保険者努力支援制度という名による国が出す交付金で、全国で市区町村分500億円、都道府県分500億円の予算です。各自治体の国保行政を国が採点し、成績がよい自治体に交付金をふやす仕組みです。 採点項目には、計画策定対象市町村の赤字削減・解消計画について全て取りまとめて公表するなど、市町村の公費繰入金を減らすよう都道府県が指導した場合に、交付金をふやすことなどを盛り込んでおり、繰入金の削減による国保料値上げを誘導しかねないことが問題になっています。そして、2020年度からは市町村も含めて、公費繰入金の削減・解消の取り組みを進めれば交付金をふやす、そしてそれだけでなく、取り組みを進めないと交付金を減らすというのであります。 交付金が減額されるケースとして、市区町村の場合、公費繰入金の削減・解消計画策定対象だが計画をつくっていない、同計画の中で削減の目標年次、削減額、具体的取り組みのいずれかを定めていない、2018年度までに解消が見込まれるとして計画未策定だが、2018年度に昨年度以上の公費繰り入れを行ったなどです。都道府県の場合は、計画策定対象の市区町村のうち1割以上が上記ケースのどれかに該当している--さきに紹介した市区町村のケースを指している--などです。 厚労省はこれまで繰り返し、公費の繰り入れは自治体の判断と、国会答弁をしています。 地方分権に逆行し、地方自治体の自主性を踏みにじり、住民に負担を押しつけることは許されないと考えますが、知事の見解を伺います。 次に、全国学力テストに関してお聞きします。 9月県議会において我が党の吉良県議が、全国学力テストの結果を絶対的な学力の物差しと捉え、正答率向上策を学校現場に求める県や地教委によって、教職員と子供たちが振り回されている現場の実態を示し、学テの抽出化と県版学テの取りやめを求め、あわせて県の教育大綱の見直しを求めました。知事は、学力テストの結果だけが自己目的化するということであってはいけないと述べ、教育長も、学テの結果によって子供たちがどんどん追い込まれていくということであってはならないと答弁をしています。 しかし、その思いと裏腹に、この間も学テの正答率アップが自己目的化した学校現場の様相を告発する声は後を絶ちません。学校によっては、県版学テ、全国学テにまさに命を燃やしている管理職がいます。学テの結果がよかった教科の先生たちを連れて御飯をごちそうし、逆に結果が悪かった教科の先生を人格否定も含めて非難したりしている学校長がいる。本来の授業をせずに、テスト前1週間を学テの教科のみの授業で埋めて学校の独自性を出す学校がある。また、学テでは無回答の割合も比較対象となるので、生徒に対して、わからなくても書け、無回答が多かったら校長室に呼ぶと言う教員が出てきています。さらには、校長会では学テの結果がよい学校の校長は大きな顔をし、結果が悪ければ顔を上げることができないと、職員会議で全教員に学テ対策を十分行うようハッパをかける校長の例も告発されています。 知事は、この声にあるような校長や学校現場をどう考えるのか、また学力テストが自己目的化することがあってはならないという考えをお持ちなのか、お聞きをします。 県版学テをめぐっては、さきの9月議会でも福井県や広島県の例を示し中止を求めました。知事も教育長も、自己目的は問題だとの真っ当な認識であることも示されましたが、その意図とは正反対の指導が、教育事務所、地教委を通して学校現場におろされています。 「中学校第2学年 平成31年度高知県学力定着状況調査出題予定範囲」という現場に配布された文書では、教科領域・範囲を示し、県教委作成の単元テスト、数学シート、国語学習シート、高知これ単など使用教材まで明記し、学習内容を指定しています。また、別の文書では、チェック項目を5点にわたって明示。全国学テや県版学テの課題があると見られる問題は、授業や加力指導で取り出して計画的に確実に改善をと特別な取り組みの指示に始まり、特に小学5年生、中学2年生には、各校でことしの全国学力テストを再実施せよと明示。また、県作成の問題集や過去問を活用し、改善状況を把握するよう指示しています。 全国学テ、県版学テに対する県教委、教育事務所、地教委のこのような微に入り細に入る文書での指示こそが、知事と教育長が否定している点数結果を追い求める、自己目的化を推し進めていると断言できます。 自己目的化はあってはならないというのであれば、これらの現場教員の教育権を踏みにじる文書の類いは即刻やめるべきだと考えますが、教育長にお聞きします。 単元テスト、県版学テ、過去問、授業振りかえなど学テ体制に命を燃やす現場の構築に努めた結果、全国学テの小学校算数が12年前の43位から6位へと大きく上昇しておりますと、さきの9月議会で知事はアピールしました。しかし、それは小学校算数で言えば、全国平均との差でマイナス1.7点だったのがプラス1点になったにすぎません。その陰で、本県の不登校の生徒数は悪化の一途をたどってきました。不登校の小中学校における出現率は依然として高く、さらなる対応が求められる状況ですと知事は述べていますが、2009年度と2018年度を比較すれば、小中合計で1.4倍に大きく増加しているのであって、それは依然として高くではなく、急激に悪化していると言えます。依然として高くという、事実を糊塗する表現はすべきではありません。正直に、全国2位の高さにまで増加してしまったというべきでありましょう。 この間、学テ体制で強化され、教員と子供からゆとりが奪われてきたことと、その陰で不登校が4割もふえていることとに関連性があるとする研究報告もなされています。 不登校児童生徒の出現率の増加傾向について知事の認識をお聞きします。 教育長は、9月議会でのさきの自己目的化への答弁に次いで、しっかりと市町村教育委員会とも連携・協議していきたい、現場の先生方の声というのは非常に大事だ、積極的にお話もこれからも聞かせていただいて教育施策に反映していきたいと述べています。 学力テストの結果を見た教育事務所や各地教委が点数を上げることを自己目的化し、現場教員の頭越しに点数をあおるような指導、教育内容・方法まで押しつけている実態の有無をまず調査すべきだと考えますが、教育長にお聞きします。 また、現場教員の声を直接しっかり受けとめる場を、年間を通じてどう確保するおつもりなのか、教育長にお聞きいたしまして、第1問といたします。 (知事浜田省司君登壇)
◎知事(浜田省司君) 米田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、県民に開かれた県政の意義をどう認識しているかという県政運営の基本的姿勢についてお尋ねがございました。 先日、初登庁時の訓示で職員を前にして、私自身が仕事を進める上で気をつけている5つのキーワードを申し上げました。その中でも、第1の基盤として保持していただきたいと申し上げたのは、透明性であります。 私は、行政に携わる者として、県民の皆様にもしっかりと説明ができる、透明性がある県政運営を行うことが県民の皆様の信頼を得て、共感の県政を実現していくための必要不可欠な最低条件であるというふうに考えております。これが確固たるものとなって、初めて県政への信頼と理解が進み、官民協働、市町村政との連携・協調が図られるものと考えております。 このような基本的姿勢をとりつつ対話を通じて県民の皆様の共感を得ることで、課題の解決に向けて着実に前進してまいりたいと考えております。 次に、課題を解決するために、県民のリアルな声を聞く場を設定するつもりはないかというお尋ねがございました。 知事を目指すことを決意いたしましてから、ここ数カ月間、県内各地を回る中で県民の皆様からさまざまな声をお聞かせいただき、地域における厳しい現状に接してまいりました。 本県の直面する困難な課題に県民の皆様とともに立ち向かっていくためには、県民の皆様との対話を通じて県政に対する共感を得ていくことが重要であると考えております。 したがいまして、私も共感と前進という形で前知事の基本姿勢を継承いたしまして、できるだけ早い段階で、座談会のような形式で県内各市町村にお伺いし、住民の皆様の御意見をお聞きしてまいりたいと考えております。その際には、市町村の御意見も伺いながら、幅広い皆様からお話を聞くことができるように工夫をしてまいります。 こうした取り組みに加えまして、県内各地のイベント、会合に参加させていただくときなど、県民の皆さんから御意見をいただく機会は数多くございます。庁内におきましても、各部局との協議の中で地域の情報に多く接してまいることとなります。 今後、あらゆる機会を通じまして、さまざまな立場の皆様の御意見にしっかりと耳を傾けさせていただきたいと考えておりますし、職員ともそうした意識を共有してまいります。 次に、高知県におけます公務の役割と県職員の役割についての認識、行政需要の拡大に応じた体制の強化についてお尋ねがございました。 本県におきましては、全国に先駆けた人口減少、少子高齢化など、課題が山積しております。これらを解決するために、引き続き国や市町村、民間事業者、大学などと連携して取り組みを進めることが重要であります。 その中で県は、進むべき方向性を示し、関係者の協力を得ながら率先して取り組む必要があることから、果たす役割は非常に大きいと認識をしております。そして、県職員は、企画を立案し、関係者の方々との対話を通じて、実際にこれを推進し成果を出していく、大変重要な役割を担っているというふうに認識いたしております。 また、行政需要の増加、複雑化に対応し、しっかりと県勢浮揚を目指す取り組みができる体制づくりを図る必要があると考えております。このため、これまでも業務の状況に応じた職員配置や事業のスクラップ・アンド・ビルドなどに取り組んできたところであります。 今後は、さらにデジタル技術を活用して抜本的な事務の効率化を図ることとしております。その上で、こうした事務の効率化の成果、効果が出るまでの間におきましては、県政運営指針に掲げております知事部局3,300人体制について、時限的に、一時的にこれを超える一定のマンパワーの確保が必要ではないかと考えまして、先般開催いたしました県政運営指針の検証委員会に御提案をしたところでございます。 職員の体制については、今後検討を進めてまいりますが、簡素で効率的な組織の構築に努めながら、必要な人員をしっかり配置できる体制を目指してまいります。 次に、桜を見る会につきまして安倍総理が説明責任を果たすよう求めるべきではないかというお尋ねがございました。 桜を見る会につきましては、招待者の基準や支出のあり方、公文書の管理などに関する問題が指摘され、さきの臨時国会において議論が行われてきたものと承知しております。 これに関連し、安倍総理、あるいは政府関係者の説明に十分に納得していない国民が多いといった報道もされているところであります。このため、国会閉会中でございましても、適切な機会を捉えて丁寧に説明していただくことが重要であると、私も考えております。 政府におきましては、既に来年度の開催の中止を決定し、招待基準の明確化や予算の見直しなどを図ることとされております。こうした中で、国民に対する説明がなされるべきものと考えておるところでございます。 次に、桜を見る会に関します菅官房長官の発言内容に関する認識、あるいは本県の公文書管理についてどうかというお尋ねがございました。 まず、菅官房長官からは、バックアップファイルは一般職員が業務に使用できるものではないことから、組織共用性を欠いており、行政文書に該当しないという説明があったものと承知をしております。 これは、内閣府におけます公文書管理のルールと手続に基づいた御発言であるというふうに認識をしております。 次に、本県の公文書管理につきましては、本年6月議会で議決いただきました高知県公文書等の管理に関する条例を、来年4月から施行することといたしております。この条例では、職員に文書の作成義務を課した上で、その件名や保存期間などを記載した公文書ファイル管理簿を公表することといたしております。また、保存期間が満了した公文書の公文書館ヘの移管または廃棄の取り扱いにつきましては、各実施機関での判断、これが第1段階、それから公文書館長との協議、これが第2段階、そして知事の附属機関である公文書管理委員会での確認という、三重のチェックをかけるということにいたしております。 条例に基づいた取り組みを徹底いたしますことで、県政の透明性を確保し、県民の皆様への説明責任を適切に果たしてまいります。 次に、米軍の低空飛行訓練に関しまして、状況をどう把握し対応したのか、また今後の対応はどうかというお尋ねについてでございます。 本県では、従来から市町村に対しまして、低空飛行訓練の目撃情報を報告するよう依頼いたしております。報告された情報につきましては、その都度、速やかに集約して中国四国防衛局に伝えているところでございます。その際、同局におきましては、本県での低空飛行の実態、あるいは苦情などの内容をアメリカ側に伝え、住民に与える影響を最小限にとどめるよう求めていただいていると承知をいたしております。 また、本県は、危険性の極めて高い超低空飛行訓練など異常な訓練を行わないこと、あるいは飛行ルートや時期を事前に情報提供することなどを、繰り返し国に要請してきたところであります。しかしながら、これまでの要請にもかかわらず、本年の10月末からは、戦闘機のほかプロペラ機による低空飛行訓練の目撃回数が大幅に増加しております。また、配慮があるべき夜間における飛行、あるいは子供が怖がるような超低空飛行訓練も報告されているところでございます。 この間の目撃情報につきましても、従来と同様に中国四国防衛局にお伝えしたところでありますけれども、特に私が知事に就任してからも、超低空飛行訓練なども含め目撃情報が多くございました。こうしたことから、今月12日に外務・防衛両大臣に対しまして、異常な訓練は行わないよう米国に強く要請すること、あるいは事前の情報提供などを改めて求める要請書を提出いたしたところでございます。 今後も、目撃情報の収集や状況の把握に努めまして、超低空飛行訓練が繰り返される場合などには是正の要請を行ってまいりたいと考えております。 次に、住民などが撮影しました動画を県のホームページで公表する、あるいは県が録画装置を設置する、こういったことを検討すべきではないかというお尋ねがございました。 御指摘がございました動画の公表でございますとか録画装置の設置につきましては、航空機の飛行実態などを把握するために、確かに有効な選択肢の一つとしては考えられると思います。ただ一方で、提供される動画の真贋、あるいは、録画の撮影の方法、映像の精度など技術面での問題がございますほか、装置の維持管理、イニシャル・ランニング両面でのコストの問題など、さまざまな課題があるというふうに考えております。 全国知事会では、国の責任で実態調査を行うということを提言いたしておりまして、本県といたしましても、先日提出いたしました要請書におきまして、国として現地における低空飛行訓練の状況を把握する方策を講じることを、新たに求めたところでございます。 一方、防衛省におきましては、本年8月に広島県内におきまして米軍機の飛行実態を把握するための観測用カメラを設置したというような情報に接しております。防衛省からは本県に対して、現地における状況を詳細に把握するべく、現在どのような方策をとるべきか鋭意検討している--これは本県においてということでございますが、そのような御説明もいただいているところでございます。 こうしたことから、本県といたしましては、国の責任で実態調査を行っていくことも含めまして国や関係市町村の意見もお聞きしながら、引き続き検討を行ってまいりたいというふうに思います。 次に、尾崎前知事と中国四国防衛局とのやりとりを公開してきた点も継承すべきだという点のお尋ねがございました。 米軍機に関しまして、知事と中国四国防衛局長との直近のやりとりといたしましては、米軍の事故調査結果を報告するため、前知事のところへ局長が先月2回説明に来られた例がございます。この面談につきましては、その一部始終を情報機関に公開したというふうに承知をしております。 私は、先ほど申し上げましたように、仕事を進めていく上で透明性を確保することが、県民の皆様の信頼を得るための第1の基盤だと考えております。県民の皆様にしっかり御説明ができるように、そして御納得がいただけますように、私が中国四国防衛局と県庁にて面談を行う際には、これまでと同様に、報道機関の皆様に公開してまいりたいと考えております。 次に、日米地位協定の実態をどう認識しているか、またこの抜本改定を実現するため、これまで以上に踏み込んだ対応が必要ではないかというお尋ねがございました。 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しております。こうした中にありまして、日米地位協定は、日本と極東の平和と安全に寄与する目的で駐留いたします在日米軍の円滑な活動を確保する観点から、日米安全保障体制にとって極めて重要なものになっているという認識でございます。 全国知事会が、米軍基地負担に関する提言を昨年7月に取りまとめておりますが、この提言におきましては、日米安全保障体制は国民の生命・財産や領土・領海などを守るために重要であると、こういう前提に立った上で、地位協定は我が国にとって依然として十分とは言えない現況であるといった課題を取りまとめておりまして、その内容については私も共感いたしております。 日米地位協定の抜本的な見直しを求めるこの知事会の提言の実現に向けて、まずは全国知事会の一員として、しっかり取り組んでまいりたいと考えているところでございます。政府におかれましては、国民の理解と協力が得られるよう、地位協定のあるべき姿を不断に追求していただきたいというふうに考えております。 次に、米軍と自衛隊による共同防災訓練は、県が内容を把握し、県民に公表する立場をとるべきではないかというお尋ねがございました。 南海トラフ地震は、東日本大震災をはるかに上回る甚大な被害が想定されております。在日米軍を初めとした外国からの支援も必要であるというふうに考えております。このため、在日米軍と自衛隊が共同した防災訓練を行い、連携を強固なものとしておくことは、大変重要なものであると考えております。 これまでも本県は、南海トラフ地震を想定した日米共同の統合防災訓練が3回実施されております。それぞれ一定の成果を上げたと承知いたしております。一方、防災訓練は、安全が最優先でございますので、訓練に使う機材の安全性、あるいは地域住民への生活環境に十分配慮して実施されるべきものであると考えております。 このため、本県におきまして日米共同での防災訓練が実施される際には、これまでと同様に防衛省から、訓練内容、あるいは安全対策、生活環境への配慮など詳細な説明をしっかりと受けたいと思います。その上で内容をしっかり把握いたしまして、安全対策も確認した上で、その概要を県民の皆様に公表したいと考えている次第でございます。 次に、オスプレイへの対応について、これも前知事の立場を堅持すべきではないかというお尋ねがございました。 オスプレイにつきましては、垂直に離発着ができる特性を持った上で、一般的なヘリと比べて速度や航続距離の面で高い性能を有しており、災害時の物資、人員の受け入れ、負傷者の搬送など、災害応急活動に有用であるという認識でございます。このため本県でも、過去にオスプレイを活用する防災訓練が計画されたことはございますけれども、その都度具体的な安全対策をとるよう、防衛省に要請してきたものと承知をいたしております。 一方で、近年事故や緊急着陸が相次いだことを考えますと、県民の不安感は完全には払拭されていないと思われます。このためオスプレイによる防災訓練については、飛行の高度や経路、飛行モードの転換場所によっては、県民の皆様から懸念の声が出るということも考えられるところでございます。 仮に、今後本県で行われます防災訓練にオスプレイが参加する場合には、これまでと同様に防衛省に対し、1つには、安全の確保に向けた具体的な対策をとっていただくこと、2つには、訓練内容の詳細な説明を求めることをしてまいりたいと思います。同時に、県としても安全対策の確認をしっかり行っていく必要があるというふうに考えております。 続きまして、欧米諸国との農業政策に違いがある中で、諸外国と自由貿易をすることの認識はどうかというお尋ねがございました。 我が国の農業は、食料の安定供給のみならず、国土や環境の保全といった多面的な機能を有しております。このため、農業生産活動が持続可能なものとなるよう、所得保障や価格補填を含めた国の政策によりまして、しっかりと農業者を支えていくということが重要であると考えております。 諸外国におきましても同様に、各国の実情に応じた農業施策を講じているものと考えます。ただ、その考え方につきましては、それぞれの国によって成り立ちに過去の経緯や背景がございまして、一律に同じ土俵で議論することは難しいというふうに考えております。 したがいまして、議員のお話にありました諸外国の国内施策と単純に比較をすることは難しいと考えておりますが、我が国では、例えば経営所得安定対策、あるいは野菜価格安定制度といいました農業経営の安定対策が講じられております。これに加えまして、日本型直接支払のように、農業・農村の多面的機能の維持・発揮を図る地域活動、あるいは農業生産活動に対する交付金制度などによりまして、これまで農業者を支援してまいったところでございます。 さらに、今般日米貿易協定に関する最終合意を受けまして、政府は、総合的なTPP等関連政策大綱を改訂されまして、肉用牛・酪農経営の増頭・増産を図るための奨励金制度の創設、あるいはスマート農業の開発・実証といいました生産基盤の強化など、国際競争力を高めるための新たな対策を盛り込んだと承知しております。国においては、改訂後の大綱に基づきます国内対策を十分に講じていただきたいと考えております。 県といたしましても、国のこうした施策も活用しながら、自由貿易における県内農家への影響を最小限に抑えられるように、しっかりと取り組んでまいります。あわせて、本県の中山間地域の厳しい実態も踏まえて、必要に応じて国に対して政策提言を行ってまいりたいと考えております。 次に、特に中山間地域等直接支払制度に関しまして、新たな加算措置などを国に求めること、あるいは本県でのこの制度の成果、今後の役割についてどうかというお尋ねがございました。 この制度は、農業の生産条件が不利な地域におけます農業生産活動を支援するものであります。本県の大半を占めます中山間地域の農業を守りますとともに、地域の活性化を図る上でも重要な制度であるというふうに考えております。 本県でも約600の集落におきまして、年間約10億円の交付金を活用いたしまして、農業生産活動が継続されております。このことによりまして、耕作放棄地の発生が防止されるという効果に加えまして、集落機能の維持、あるいはコミュニティーの活性化といった成果があらわれていると考えております。 また、議員のお話にもありました地域の実情に沿った支援策の充実につきましては、本県の厳しい実態なども踏まえまして、これまでも政策提言などを通じて国に訴えてまいりました。 その結果、現在の第4期対策におきましては、例えば高齢化などによりまして5年間農地を保全管理しなかった場合、本来交付金を返還しなければいけないわけですが、交付金の返還免除規定が置かれましたり、あるいは超急傾斜の農地を対象といたしました加算措置が設けられるといった形で、要件緩和や支援策の充実が図られてまいったという実績がございます。 また、来年度から新たに第5期の対策がスタートするわけでございますが、この中でも今国のほうでは、交付金の遡及返還規定のさらなる緩和、あるいはより生産条件の厳しい棚田地域を対象といたしました加算措置の創設など、地域がより取り組みやすい制度への見直しに向けて検討が行われているというふうに承知しております。 本県といたしましても、こうした要件緩和、あるいは拡充される加算措置の内容も踏まえまして、今後においても地域の実情に応じた制度となりますように、国に対して提言活動を行ってまいりたいと思います。あわせまして、市町村と連携して制度の周知を図るなどいたしまして、第5期の対策におきましても、各地域におけます農業生産活動の継続につながりますよう、しっかりと取り組んでまいります。 次に、本県の人口減少を食いとめるためにも、政府に対して全国一律の最低賃金を求める考えがあるのかというお尋ねがございました。 本県が抱えます人口減少の要因には、経済状況、生活環境など、さまざまなものがございますが、県内企業の労働生産性、あるいは労働環境が改善をされて、働く方々の賃金が向上することは、大変望ましいことであるというふうに私も考えます。 最低賃金につきましては、国のいわゆる骨太の方針におきまして、より早期に全国加重平均が1,000円になることを目指す旨が示されております。一方で、日本商工会議所など中小企業の関係者からは、最低賃金の大幅な引き上げは、経営基盤が脆弱な中小企業・小規模事業者の経営を直撃し、雇用や事業存続自体を危うくする旨の緊急要望がなされておりますし、私自身も、そういった声を中小企業の経営者の皆様からお聞きしているところでございます。 本県の最低賃金はここ数年は3%以上の上昇を続けておりまして、本年決定されました790円は、引き上げ額、上昇率ともに現行制度下で最大となっております。また、1人当たりの現金給与総額も、産業振興計画を推進してきた本県におきましては、全国を上回る伸びを示しております。 しかしながら、絶対水準では全国との開きがあるというのが実態でございまして、経済力に一定の格差がある現状におきましては、全国一律の最低賃金の導入は現実的ではないというふうに私としては考えております。 県といたしましては、事業戦略の策定・実行の支援、あるいは産業振興計画の着実な実績により、中小零細規模が大多数を占める県内企業の生産性の向上や経営基盤の強化を図ることがまず先決であると思っております。これによりまして働く方々の賃金の向上と、いきいきと仕事ができる高知が実現できるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。 次に、地域医療構想に関しまして、厚生労働省が行いました個別の病院名の公表に対する地方の反発をどう受けとめているかという御質問についてでございます。 国のほうでは9月に、診療実績が少ないなどの理由で、2025年に向けた具体的対応方針の再検証が必要な病院として、全国424の公立・公的病院の名前を公表されました。これは、必ずしも医療機関そのものの統廃合を機械的に決めるものではないとされておりますが、公表された医療機関にとっては、御質問にもございましたように、影響は少なくないということだと思います。したがいまして、公表に当たりましては、事前に再検証の留意点でございますとか、国の支援策、こういったものを十分に説明するなど、慎重かつ丁寧なプロセスが必要であったというふうに思っております。 こうしたプロセスを経ずに、いわば唐突に個別の病院名を公表した形になっておりますので、地域の実情を無視したでありますとか、あるいは統廃合ありきではないのかといった地方の懸念、反発を生じてしまったということにつきましては、国は反省すべきであるという認識でおります。 次に、それでは国に対して公表の撤回を求めるべきではないかという御質問がございました。 先ほども申し上げましたように、国は、そのことが与える影響は決して少なくないにもかかわらず、個別の病院名を公表に至ったプロセスが、いわば拙速であったということは否めない、そういう認識は持ってございます。 しかしながら、地域医療構想を実現するためには、やはりまずは法的な位置づけ、あるいは財政・税法上の措置が民間医療機関とは異なって特別な措置を講じておられます公立・公的病院が、率先してこの問題の検討に当たっていくことが必要なんだろうというふうに思っております。そのためには、2025年におけます必要な医療機能を議論し、今後の高齢化の進展などを見据えた対応を、公立・公的病院が率先して検討していくということが必要であると思います。 したがいまして、国が医療機関名を公表し、具体的対応方針の再検証を促したことは、地域における議論を喚起したという意味では、この点では意義があるというふうに考えております。 また、国のほうも、必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではないということ、あるいは病院が将来担うべき役割等の方向性を機械的に決めるものではないという説明をして、考え方を示しておりますから、国に撤回を求めることまでは必要ないという考えでございます。 次に、病院の再編は国が強制すべきものではないというお考えについてどう考えるかというお尋ねがございました。 言うまでもございませんが、病院のダウンサイジングや機能連携、機能分化を含めた広い意味での再編統合は、地域住民の意向も踏まえて、医療機関、あるいは設置者でございます自治体が主体的に議論し決定すべきものであると考えております。国は、民間病院も含めました診療実績のデータを早急に公表するとともに具体的な支援策を示すなど、地域でしっかりと議論が行われるような環境を整える役割に徹するべきだと考えます。 お話にございましたように、地域医療構想調整会議におきまして、一度は新公立病院改革プランや公的医療機関等2025プランを合意しているところではございます。しかし、今回再検証の対象となった5つの病院には、この機会を捉え、同会議におきまして改めて協議を行っていただきまして、地域の医療機関との連携や役割分担について、行政と住民、各医療機関の診療を担います医療従事者が共感できるような方策を議論していただきたいと考えております。 県といたしましても、そうした議論がしっかり行われるようサポートしてまいります。 次に、自治体病院の果たす役割、あるいはその重要性についてお尋ねがございました。 約10年前になりますが、平成19年ころ、私はかつて総務省で公立病院改革ガイドラインの策定にかかわっておりました。このころと比べましても、本県の人口は10万人近く減少し、高齢化率は26.8%から35.2%まで上昇いたしております。さらに、高齢夫婦世帯、あるいは高齢単身世帯の割合がふえるといった形で、家庭における看護力、介護力が低下してきているという状況の変化もございます。また、医療資源が高知市周辺に一極集中する一方で、郡部における医師不足などの地域偏在が顕著になってきたというような状況もあります。 こうした状況の中で、公立・公的医療機関には、中山間地域など民間医療機関が少ない地域におけます、一般診療、あるいは救急、小児、周産期など不採算とされる医療の確保、さらにはがんなどの高度先進医療、さらに申し上げますと、医師などの人材育成などの役割を果たしていただくことが必要だというふうに考えております。 また、民間医療機関との適切な役割分担をしながら地域包括ケアシステムの一端を担っていただいて、近隣の医療機関と連携した地域医療支援を通じて地域の医療ニーズに応えていく、こうしたことも公立・公的な病院にも期待されている一つの役割だと思います。もちろん、地域におきまして、公立・公的医療機関でしか担うことができない役割というのがあれば、それは当然確保していかなければならないという考えでございます。 高知市への極端な人口集中が進みます一方で、過疎が進む中山間地域を多く抱える本県につきましては、公立・公的医療機関の役割は大変重要であると考えております。今後、地域の医療機関との連携や役割分担について、さらに御議論いただきまして、住民が安心して住みなれた地域で暮らし続けることができるよう、県も一緒になって取り組んでまいりたいと考えております。 次に、国民健康保険に関しまして、一般会計から国保特別会計に独自に繰り入れを行う市町村に対します国の交付金の減額措置の導入に関しましてお尋ねがございました。 国民健康保険の財政を安定的に運営していくためには、受益者でございます被保険者の国保料、そして法定の国庫負担金などの公費により必要な支出を賄いまして、国民健康保険の特別会計におきまして当該年度の収支を均衡させる、このことが重要であり、運営の基本だと考えております。 お話にございましたように、国は、令和2年度の保険者努力支援制度の市町村評価指標におきまして、新たに国保料の引き上げの抑制などを目的としました法定外の一般会計繰り入れの有無でございますとか、赤字削減・解消計画の進捗状況に応じて評価する項目を設けたところでございます。このため、例えば計画策定対象市町村であるにもかかわらず計画を策定しない市町村は、交付金が減額されるということになります。 しかしながら一方で、この新たな指標によりますれば、これまで評価されておりませんでした法定外繰り入れを行っていない市町村でございますとか、策定した赤字削減・解消計画に沿って削減や解消している市町村につきましては、交付金が交付されることとなります。これは、国保財政を安定的に運営していくための基本に基づいた見直しであるというふうに考えております。 県といたしましては、国保の財政運営の責任主体といたしまして、引き続き法定外繰り入れの解消も含めまして、国保が将来にわたって安定的に運営できることが大事だと思っておりますので、その方向で取り組んでまいりたいと思います。 次に、全国学力・学習状況調査に関しまして、学校現場についての声に対する考え、あるいはこの調査結果の自己目的化に関する考えがどうかというお尋ねがございました。 私は、学力はその子供の人生や将来を豊かにする能力の一つであると考えております。学校においては、子供たちに考える力や創造力、あるいは表現力といった力をしっかりと育んでいただきたいと考えております。そして、9月議会において尾崎前知事や教育長が答弁されているように、私も、学力調査の数値や順位だけを追い求めて、その結果が自己目的化するようなことがあってはならないと考えているところでございます。 このため、全国学力・学習状況調査の実施やその活用に当たりましては、児童生徒の学力の定着状況を把握して授業改善を図ったり、個々の子供の指導に役立てるとの意図や狙いをしっかりと学校や教員が理解し、共通認識を持っておくことが大切であるというふうに考えます。 そうしたことから、もし議員からお話があったような自己目的化といったことが学校現場で行われているのであれば、それは決して好ましいことではなく、早急に是正されるべきものと考えます。 今後とも、学力調査の本来の趣旨に鑑みまして、県はもとより、各市町村教育委員会や学校において、学力調査への取り組みが適切に行われますように、県教育委員会においては、自己チェックを働かせるとともに、市町村などに対しまして十分に説明し、理解をいただくよう取り組んでいくことが必要だと考えております。 最後に、不登校児童生徒の出現率の増加傾向についてお尋ねがございました。 不登校につきましては、一面では、学校に行かない時期が心の休養となったり、自分を見詰め直す時間となるという積極的な意味を持ち得る面はあると思います。ただ一方で、義務教育の機会が十分に保障されず、学業のおくれなどによりまして社会的自立を阻害するリスクを内在するものでもございまして、重要な教育課題の一つというふうに捉えております。 近年の不登校児童生徒数は全国的に増加傾向にございますが、本県においては、その出現率が全国より高い状況が続いております。関係者が総力を挙げて対応すべき喫緊の課題であると認識しておりますし、不登校の増加原因については、社会の変化等さまざまな背景要因が複雑に関連し合っているというふうに考えております。 そうした中で、本県の各学校からの報告によりますと、不登校となります主な要因といたしまして、第1に家庭に係る状況、次いで友人関係をめぐる問題、そして3番目として学業の不振が挙げられております。このようなことから、各学校におかれましては、1つには、子供たち一人一人の居場所がある学級・学校の実現、あるいは2つ目には、わかる授業づくりに努めていく、こういったことによりまして、子供にとって魅力ある学校をつくっていくということが大切であると思います。あわせまして、教員が子供と向き合う時間を確保するための働き方改革、これは推進していくことも重要な課題だというふうに考えております。 加えまして、市町村や関係機関と連携いたしまして、第1には、学校以外に多様な学びの場を保障すること、第2には、心理と福祉の両面から子供や保護者をサポートしていくこと、また第3には、就学前から高等学校までの各段階において、児童生徒の社会的自立を目指した切れ目のない支援を実施していくこと、こうした3つのことが必要であるというふうに考えております。 今後、こうした施策の充実に向けまして、県教育委員会としっかりと協議を行い、連携して取り組みを実行してまいります。 私からの答弁は以上でございます。 (教育長伊藤博明君登壇)
◎教育長(伊藤博明君) まず、現場教員の教育権を踏みにじる文書は即刻やめるべきではないかとのお尋ねがございました。 高知県学力定着状況調査において、出題範囲を明確に示すことについては、各学校において調査実施までに履修漏れがないように、計画的に授業で取り組んでもらうためにも必要なことと考えております。また、学力調査後に調査結果から見えてきた課題を克服するために、学力調査等の問題を活用した授業方法などを例として提供することは、県教育委員会として必要なことと考えております。 しかし、御指摘がありましたように、これまでに教育事務所から発出した文書の中には、過年度の学力調査問題の活用を指示し、学力調査の正答率を自己目的化すると捉えられかねない内容の文書がありました。御指摘のあった8月29日付の中部教育事務所が発出した文書につきましては、9月11日に校長会などからの情報提供が県教委にありましたので、その内容を確認し、直ちに同教育事務所に、文書を撤回し、今回御指摘いただいた部分など不適正と思われた部分はその時点で全て削除した上で出し直しするように指示いたしました。同教育事務所では、9月13日付で訂正した文書を持って管内の各市町村教育委員会を回り丁寧に説明し、さらに各市町村教育委員会から各学校へ周知していただいております。 御指摘のあった文書は訂正して出し直しをしましたが、県教育委員会が、このような市町村教育委員会や学校の権限や裁量の範囲を超えた指示と捉えられるような文書や、点数を上げることを自己目的化すると捉えられるような文書を発出することは、あってはならないものと考えております。 今後は、県教育委員会全体として、全国学力調査及び県版学力調査の目的や趣旨が理解され、各学校において活用が図られるような適正な資料や文書の提供に努めてまいります。 次に、学力テストの点数を上げることを自己目的化し、点数をあおるような指導、教育内容や方法まで押しつけることの有無を調査すべきとのお尋ねがありました。 教育事務所は、市町村教育委員会や学校の教育活動が充実するよう、それぞれを支援することが主な役割となっています。例えば、学力調査に関して言えば、市町村教育委員会の協力のもと管内の小中学校の学力状況を把握し、学校の強みや弱みを分析して、市町村教育委員会の担当者が集まる研修会や学校訪問指導において、必要な支援策を提案したり、進捗状況を確認することになります。このような役割から、教育事務所は、市町村教育委員会や学校が学力向上などを進める上で参考となる資料や学力調査の分析シートなどを作成し、提供を行っているところです。 しかし、このたび教育事務所が発出した文書の中で不適切なものがあるとの御指摘をいただきましたので、先日各教育事務所から市町村教育委員会や学校へ学力調査の実施に関して提供した資料やシートがどのようなものであったのか、全ての文書について調査を実施いたしました。その結果、議員から御指摘があった文書の配付以外にも、学校全体の学習状況を把握するためのものという思いではあったものの、点数を上げるためと受けとめられるような、毎月の学力向上への取り組みを書き込むシートの様式を示すなど、学校が負担に感じるような取り組みが見受けられました。 市町村教育委員会や各学校に対して、強制的に指導や文書の提出を求めるものはありませんでしたが、市町村教育委員会や各学校の権限や裁量の範囲を超えることはあってはならないものですし、学校の負担感についても十分な配慮が必要だと考えております。 そのため、先日緊急に教育事務所長会を開催して、県教育委員会として、適切な資料提供や指導・助言がなされるように、私が全ての教育事務所長と直接確認を行ったところです。 最後に、現場教員の声を直接しっかり受けとめる場を、年間を通じてどう確保するつもりかとのお尋ねがございました。 県の教育行政を確かな方向に推進していくためには、県民の皆様を初め、さまざまな教育関係者の方々の声に耳を傾け、その総意で教育大綱や教育振興基本計画の理念の実現に向け進んでいくことが大変重要だと考えております。そのため、子供たちに直接教育を行い、さまざまな課題を体験している現場の教職員の声を聞くことは、特に大事なことと認識をしております。 これまでも、校長会や教頭会、養護教諭や栄養教諭の代表者、さらには各職員団体など、管理職やさまざまな職種、立場の皆様と本県の教育の現状について話し合う機会を設けてまいりました。また、全ての県立高校及び特別支援学校、一部の市町村立学校にも直接出向き、授業参観や教職員の皆様との懇談会も実施しているところであり、今後も継続して実施してまいります。また、今後は特に、市町村立学校の教職員の方々と意見交換する機会をできるだけふやしてまいりたいと考えております。
◆36番(米田稔君) 丁寧な答弁ありがとうございました。第2問行いたいと思います。 さきに伊藤教育長が言われたように、教育事務所とか地教委でいろいろあったとしても、やっぱり現場が一番大変ですので、どうなっているかということによく耳を傾けて、その対応をぜひしていただきたいということを強く、重ねてお願いしておきたいと思います。 ただ、勝手にやり過ぎではなくて、震源はやっぱり学テなんですよ。ですから陰に陽に、県の教育委員会も、結局1点2点、順位を上げるためにそういう流れに向かっているわけですね、皆さんね。2007年の平成19年のときの小学校算数で、AB合わせて大体マイナス1.7点になるんですけれど、全国平均からいうと、何と1.7点の間に19の県がひしめき合っているわけですよ。それを、みんなが0.何ぼずつ伸ばそうという、ある意味、競争が実際あっているわけですね。 2019年も、その当時よりも2.7点上がりましたけれど、全国平均より1点ふえた、前進したと。しかし、その中に6つぐらいの県がひしめき合っていると。結局1点2点を争う、1位2位をまあ言うたら争うために、今学校の先生たちは追い立てられている。そして、子供たちは、安心・安全な場所を追い立てられている、居場所がなくなっている。そういう実態があることを、私はぜひ見ていただきたいと思いますし、現場でいろいろ聞いていただきたい。 特に2009年と2018年を比べると、2009年のときは子供の数が6万人で、不登校775人でした。2018年は5万人の子供に減って、1,059人です。出現率は1.26%から2.09%、この10年の間に1.65倍ふえているんですよ。 学テの実施と無関係どころか、点数を争い、先生が追い込まれ、子供たちが追い込まれる中で、学校になじめない、学業なんかについていけない、友達と勉強を中心にしてうまいこといかない、いっぱいあるわけですよ。私は、この不登校の子供たちの実態は、一つはやはりそこに大きな要因があるんではないかなと思うんです。これは知事にお聞きしたいんですが、どういうふうに考えておられるのかということです。 そして、新しく担当の人をふやすと言われていますけれど、やっぱり今一番大事なのは、一人一人の子供に向き合える先生に時間を保障する、学校の先生をふやす、それがなければ絶対できませんよ。兼任で不登校担当を持っても見れんじゃないですか。結局、仕事がふえるだけですよね。そんなんできるがやったら、前からやっちゅうわけですよね。だから、僕らは新聞を見て喜んだけれど、何のことはない、兼任でやりますということでしょう。それでは打開になりません。本当に、先生も大変、子供たちも大変ということを、ぜひ打開するために取り組んでいただきたいと思います。それが急がれているんではないかなというふうに思います。それは回答もされましたけれど、再度お伺いしたいと思います。 それと、国民健康保険のペナルティーと公的病院のことですけれど、知事は最初のところで、国と地方との関係は対等と協力やと言われた。しかし、これは対等ですか。決して対等やないですよ。行政はまだええかもしれんけれど、そこに通っている患者さん、そこに勤めている医療スタッフ、意欲が出んと言うんですよ。お医者さん、看護師さんが集まらんと言うんですよ。それでも頑張ってやろうとしているんですけれど、そこまで言わいでええと今知事言いましたけれど、この公的病院の再編問題は一度撤回させるべきですよ。 去年、皆さんが力を合わせて、地域医療構想どうするかと知恵を集めてやったわけでしょう、高知県も。それを1年もせんうちに、国が、2つの単純な指標で、これはだめですと来るわけですよ。こんなやり方許されますか。私は、優秀な県の職員の方が地域医療構想、新公立病院の改革プランと2025年プランつくったわけでしょう。自信持ってつくったわけでしょう。それをだめだというわけですから、足りんというわけですから。国にはそう言われても、私たちは責任持って地域を守りますと言うて、やったらいいじゃないですか。それが一回撤回をする、誤りなら撤回をする。それが常道ですし、それが初めて対等と協力関係があるということになるわけですので、その点も知事にあわせてお聞きして、第2問といたします。
◎知事(浜田省司君) 米田議員の再質問にお答えいたします。 1点は、不登校の問題ということだと思います。特に学力テストが不登校の増加原因になっているんではないかという点でございます。 各学校からの報告を見ますと、学業の不振といったような言い方での報告はされておるものも多いと思いますが、スクールカウンセラーからの聞き取りにおきましても、学力テストそのものが実施をされることですとか、あるいは高い点をとるようなプレッシャーがあったというようなことが要因となって不登校となったというケースは、今のところ報告は受けていないというふうに私も承知をいたしております。 今後、不登校となりますさまざまな要因があると思いますので、こういったものを把握し、適切な対応をしていくために、学力テストと不登校の関係性につきましても、スクールカウンセラーの皆さんから情報収集を行っていくということが必要だと思っておりますし、学業の不振といいましたときに、これが主な要因となっているという可能性にも十分留意をいたしまして、分析をしっかり教育委員会でしてもらいたいというふうに考えております。 それから、公立・公的病院の再編の関係でございます。 これに関しましては、確かに今回の厚生労働省の進め方には拙速なところがあり、また唐突感を与えたというのは事実だと思います。各病院にいたしますと、事前に何らの情報なしに固有名詞が挙げられたということで、戸惑い、反発があったというのは、これは紛れもない事実だと思います。 ただ、公立・公的な病院も含めました地域医療構想をしっかり進めていく、2025年に向けて、必要な地域の医療に向けて現状の医療の提供体制を改革していく、このこと自体はやはりやっていきませんと、県民の皆さんの健康、医療を守ることができない大事な課題であると思います。その意味で、今回の手法、やり方は、いささか乱暴だというそしりは逃れられませんけれども、そうは申しましても、今のまま各地域が現状を維持したい、ないしはどんどんふえていく医療の需要に応じて医療機能をふやしていきたいというような形でまいりますと、医療機関が共倒れになってしまうというのが一番恐ろしい事態だと思います。 そうした意味で、いろんな機能分担ですとか連携、そして現に果たしている機能との関係での見直し、こういったものはやっていきませんと、高知県全体の医療の維持・確保ということに支障を来してしまうおそれがあると思います。今回いささか乱暴な形になったということは否めませんけれども、一つの議論のきっかけをいただいたというふうに捉えて、しっかりと対応を検討していく必要がある、こういう課題ではないかというふうに考えております。
◆36番(米田稔君) ありがとうございました。 2017年には、公立小中学校における不登校要因というのが調査されていまして、その大きな部分を占めているのに、学業の不振というのがあるんですよ。できる人はまだいいですよ。しかし、多くの課題に困難を持っている子は、やっぱりプレッシャーになります。大変な圧力になりますということ、ぜひ現場を見ていただきたいと思います。 それと、公立・公的病院ですけれど、やっぱり本当に対等というならば、きちんと御破算にして、一緒に再度考えましょうという姿勢でないといきません。もともと公的病院の再編問題は、骨太の方針に出されてきた、経済界、財界から持ち込まれたものですから、そんなきれいごとではないというふうに思います。 最後に、新しい知事も含めて、ぜひ誰ひとり取り残さない、そういう県政に向けて努力していただきたいということを要望して、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(桑名龍吾君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明18日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。 午後4時47分散会...