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09月26日-02号

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  1. 高知県議会 2019-09-26
    09月26日-02号


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    最終取得日: 2023-06-16
    令和 1年  9月 定例会(第350回)        令和元年9月26日(木曜日) 開議第2日-----------------------------------出席議員       1番  土森正一君       2番  上田貢太郎君       3番  今城誠司君       4番  金岡佳時君       5番  下村勝幸君       6番  田中 徹君       7番  土居 央君       8番  野町雅樹君       9番  浜田豪太君       10番  横山文人君       11番  西内隆純君       12番  加藤 漠君       13番  西内 健君       14番  弘田兼一君       15番  明神健夫君       16番  依光晃一郎君       17番  梶原大介君       18番  桑名龍吾君       19番  森田英二君       20番  三石文隆君       21番  上治堂司君       22番  山崎正恭君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       29番  大野辰哉君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         尾崎正直君  副知事        岩城孝章君  総務部長       君塚明宏君  危機管理部長     堀田幸雄君  健康政策部長     鎌倉昭浩君  地域福祉部長     福留利也君  文化生活スポーツ部長 橋口欣二君  産業振興推進部長   井上浩之君  中山間振興・交通部長 川村雅計君  商工労働部長     近藤雅宏君  観光振興部長     吉村 大君  農業振興部長     西岡幸生君  林業振興・環境部長  川村竜哉君  水産振興部長     田中宏治君  土木部長       村田重雄君  会計管理者      中村智砂君  公営企業局長     北村 強君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  原  哲君  公安委員長      古谷純代君  警察本部長      宇田川佳宏君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   麻岡誠司君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       弘田 均君  事務局次長      行宗昭一君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     織田勝博君  議事課長補佐     飯田志保君  主幹         春井真美君  主査         宮脇 涼君-----------------------------------議事日程(第2号)   令和元年9月26日午前10時開議第1 第1号 令和元年度高知県一般会計補正予算 第2号 令和元年度高知県工業用水道事業会計補正予算 第3号 地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の施行による会計年度任用職員の制度の導入に伴う職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案 第4号 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律の施行による地方公務員法の一部改正に伴う関係条例の整理等に関する条例議案 第5号 高知県民生委員定数条例の一部を改正する条例議案 第6号 高知県心身障害者扶養共済制度条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県夢・志チャレンジ基金条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県屋外広告物条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県認定こども園条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県警察手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第12号 県有財産(教学機器)の取得に関する議案 第13号 高知県防災行政無線システム再整備工事請負契約の締結に関する議案 第14号 町道佐渡鷹取線社会資本整備総合交付金(佐渡鷹取トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第15号 平成30年度高知県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関する議案 第16号 平成30年度高知県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関する議案 報第1号 平成30年度高知県一般会計歳入歳出決算 報第2号 平成30年度高知県収入証紙等管理特別会計歳入歳出決算 報第3号 平成30年度高知県給与等集中管理特別会計歳入歳出決算 報第4号 平成30年度高知県旅費集中管理特別会計歳入歳出決算 報第5号 平成30年度高知県用品等調達特別会計歳入歳出決算 報第6号 平成30年度高知県会計事務集中管理特別会計歳入歳出決算 報第7号 平成30年度高知県県債管理特別会計歳入歳出決算 報第8号 平成30年度高知県土地取得事業特別会計歳入歳出決算 報第9号 平成30年度高知県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算 報第10号 平成30年度高知県災害救助基金特別会計歳入歳出決算 報第11号 平成30年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算 報第12号 平成30年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第13号 平成30年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計歳入歳出決算 報第14号 平成30年度高知県農業改良資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第15号 平成30年度高知県県営林事業特別会計歳入歳出決算 報第16号 平成30年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第17号 平成30年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第18号 平成30年度高知県流域下水道事業特別会計歳入歳出決算 報第19号 平成30年度高知県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算 報第20号 平成30年度高知県高等学校等奨学金特別会計歳入歳出決算 報第21号 平成30年度高知県電気事業会計決算 報第22号 平成30年度高知県工業用水道事業会計決算 報第23号 平成30年度高知県病院事業会計決算第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(桑名龍吾君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(桑名龍吾君) 御報告いたします。 第3号議案及び第4号議案については、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき人事委員会に意見を求めてありましたところ、法律の改正に伴うもの及び法律の改正の趣旨を考慮したもの等であり、適当であると判断する旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。   〔人事委員会回答書 巻末389ページに掲載〕----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(桑名龍吾君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和元年度高知県一般会計補正予算」から第16号「平成30年度高知県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関する議案」まで及び報第1号「平成30年度高知県一般会計歳入歳出決算」から報第23号「平成30年度高知県病院事業会計決算」まで、以上39件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 13番西内健君。   (13番西内健君登壇) ◆13番(西内健君) おはようございます。自由民主党会派の西内健でございます。議長のお許しをいただき、会派を代表して質問に入ります。よろしくお願いいたします。 尾崎知事は先月21日、次の知事選挙に出馬をしない意向を表明されました。3期12年の間に、産業振興計画や南海トラフ地震対策、日本一の健康長寿県構想など5つの基本政策を掲げ、県勢浮揚に取り組み、先日の提案説明において、下降・縮小傾向にあった県勢は明確に上昇傾向に転じるようになってきたと述べられました。 就任当初、厳しい財政のもとでの予算編成や、中央への政策提言を効果的に行うための東京事務所の機能強化、また政策企画課の設置などの組織再編などを行い、県政運営に取り組まれました。そして、2期目には、平成23年度に発覚した談合問題での対応や、土電問題から端を発した中央地域の公共交通機関の再編など、多くの難題に取り組んでまいりました。そして、3期目の今期でありますが、新食肉センターや新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備にも取り組んでいます。 12年にわたる産業振興計画などの取り組みによって、県内GDPや1人当たり県民所得の向上など、多くの経済指標は上昇を示しており、大きな成果をもって国政に挑戦されることを表明されました。 最後の提案説明でもこれまでの取り組みについて述べられましたが、改めて、就任当初に苦心した点や、公共交通再編及び県経済を考慮した談合問題対策などを振り返り、12年の任期についての評価を知事にお伺いします。 また、12年間の成果を引き継ぎ、拡大していくことになる後継の知事に対して期待するところを尾崎知事にお伺いします。 知事の12年間、中央への政策提言や対話と実行などの活動を内部で支えてきたのは、当初の4年間は十河前副知事、そしてあとの8年間は岩城副知事でございます。副知事は、また最初の産業振興推進部長として、尾崎県政の看板政策の取りまとめも行われました。 岩城副知事に、これまでの尾崎県政12年間について感想をお伺いいたします。 県政において、議会を初め県民の多くの方々が感じているのは、やはり県庁職員の皆さんの意識の変化だと思います。事業計画の策定などにより進めてきた産業振興計画と同様に、県の業務においてもPDCAサイクルを機能させることで、職員に今までにない経営的な考えを導入されました。そして、スクラップ・アンド・ビルドなどを行い、課題解決先進県として事業を行う上で、職員削減の厳しい中、効率的な行政運営が行えたのは、県庁職員の仕事への取り組み方と意識改革によるものだと考えます。 この12年間一緒に仕事をしてきた県庁職員の皆様に対し、知事からの言葉をお伺いいたします。 次に、国政への新たな挑戦を掲げた知事に対して3点質問をしたいと思います。1点目として安全保障、2点目として地方創生と東京一極集中の是正、そして3点目に経済成長と財政健全化に関してお伺いします。 まず、1点目の安全保障についてであります。現在の我が国の周囲を見渡せば、昨今の日韓関係の険悪化、北朝鮮によるミサイル開発及び繰り返される発射実験、ロシアによる北海道方面での領空侵犯、そして中国による積極的な海洋進出など、我が国を取り巻く国際情勢は緊迫化しております。 特に中国においては、一帯一路構想とAIIBによる領土的野心を隠しておらず、スリランカの港における99年間の租借地化などを見ると、19世紀から20世紀における列強の帝国主義時代をほうふつとさせるものであります。また、米中の、関税摩擦に隠れた安全保障上の主導権争いを見ると、今後の米中の軍事バランスの変化に注意を払わねばならず、日米安保体制への何らかの影響を考慮する必要もあると思います。 我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、知事の安全保障に対する御所見をお伺いします。 次に、2点目の地方創生と東京一極集中の是正についてお伺いします。安倍政権は東京一極集中の是正に向け、地方創生を掲げ、地方の活性化策を積極的に支援するとともに、2020年までに東京圏の転出入を均衡させることを目指しました。しかしながら、一極集中の是正は一向に進んでおらず、むしろ加速傾向にあることが、総務省の住民基本台帳人口移動報告から見ることができます。東京圏の転入超過数は、リーマンショック直後減少が続いていましたが、景気回復とともに拡大に転じ、歯どめがかかる兆しが見えていません。 ここで、少し話がそれますが、現代の経済界の主流である新自由主義経済について考えてみたいと思います。新自由主義とは、皆さんも御存じのように、政府の積極的な民間への介入に反対し、小さな政府を目指すとともに、古典的な自由放任主義も排し、そして資本主義の自由競争秩序を重んじる立場及び考え方とされています。 日本においても、特にバブル崩壊以降、新自由主義的な考え方が経済界を支配してきました。バブル崩壊当時、本来なら政府が積極的に財政出動を行い景気を立て直す必要があったにもかかわらず、逆に公共事業費などの予算を削減してきました。民間がリストラをして借金返済を行っているときに政府が国債を発行して予算を拡大することは問題であるといった声が高まり、小さな政府を目指さざるを得ない状況になったわけであります。そして、政府よりも民間企業のほうが効率的に経営ができるはずだとされ、民営化できるものは可能な限り民営化したほうがよいとされ、例えば高知県なんかでも、指定管理など民間委託が進んでまいりました。また同時に、民間企業が投資しやすい環境をつくり出すために、規制緩和が進められました。この結果、大企業において過去最高益を更新し、内部留保が拡大をしています。 そして、最近の東京都における建築物の容積率の緩和はタワーマンション群を出現させ、そして1棟建築されれば1,000人単位で居住者がふえ、東京の人口を増加させています。地方においては行政の効率化の名のもとで、この20年間に、320万人いた地方公務員が270万人に削減され、結果として地方から雇用が喪失いたしました。民間でも正規から非正規に雇用が移り、企業は費用を流動化させることで賃金の上昇を抑えています。 規制緩和と行政の効率化といった新自由主義に基づく政策が所得の格差を広げ、また都市と地方の格差を広げている現状です。そして、地方だけではなく都市においても、若い方々は結婚したくてもできない、子供をつくりたくてもつくれないといった状況で、少子化の原因になっているとも考えられます。 民営化や規制緩和を進める新自由主義的な考え方では、東京一極集中の是正と地方創生の実現は厳しいと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 この項最後に、経済成長と財政健全化についてお伺いをいたします。我が国のGDPは高度経済成長期に大きく伸長しましたが、バブル崩壊以降は低成長期に入り、長期にわたって停滞しています。第2次安倍政権が誕生し、アベノミクスを掲げて取り組みを進めたことで底がたい成長を続けていますが、インフレ目標である2%を達成できず、デフレからの脱却は道半ばの状態です。 国と地方を合わせた長期債務残高は1,100兆円を超えて1,200兆円に迫ろうとしており、財政破綻の懸念があるとされ、政府は財政健全化を目指し、2020年度までの基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスの黒字化を目標に掲げましたが、2025年以降に先送りとされました。プライマリーバランスが改善すれば債務残高の対GDP比の上昇が抑えられ、財政破綻することはないと考えられていますが、財政危機から脱出するためにプライマリーバランスの黒字化を達成したアルゼンチンとギリシャの2国では、景気が悪化して税収が減ったことにより、結局は両国は財政破綻状態に陥りました。 ここで、先ほどお話ししました新自由主義的な経済論とは異なる、最近話題となっている現代貨幣理論、いわゆるMMTについて少し話をしたいと思います。 MMTの基本的な考え方は、自国通貨を発行できる政府は債務超過による財政破綻はあり得ないとしています。高いインフレを招かない限り、政府の債務がふえても問題はないとしております。財政赤字を悪とみなすのではなく、経済にとって必要不可欠なものと考え、従来の発想の転換を図るものです。国債発行が、民間貯蓄によって買い支えられているのではなく、民間貯蓄を増加させるものと考えております。ですから、政府債務の残高が、将来世代への負担の先送りではなく、格差は生じる可能性はありますが、将来世代の貯蓄を増加させることになると考えます。国債残高がふえるということは、政府の負債を増加させるだけでなく、国民の資産を増加するという点を捉えているわけです。 前内閣官房参与の藤井聡氏は、政府にとっては赤字の国債だが国民の側から見れば黒字であるから、国民黒字国債だと言えばよい、こういうふうにも言っておられます。国債が民間貯蓄をふやすものであるなら、国債の償還は国民の貯蓄を減らすものになります。したがって、財政健全化を目指すことは国民経済を貧困化させることにつながります。 このようなMMTに対する批判は次の2つであります。1つは、財政赤字の拡大はインフレを招く。そして2つ目は、同じく財政赤字の拡大は民間貯蓄の不足を招き、金利を高騰させるという批判であります。 しかしながら、1つ目の批判については、現在の日本の状況を見れば明らかなように、財政赤字が増加してもデフレに苦しんでいる状況であります。仮にインフレになった場合には、財政支出の削減や増税によって対応可能としています。また、ノーベル経済学者のポール・クルーグマンやクリントン政権時代の財務長官であるローレンス・サマーズなどの主流派経済学者でさえ、デフレや低インフレ下での財政出動の必要性や有効性を認めています。そして、2つ目の批判については、財政赤字の拡大が民間貯蓄の不足を招くとしていますが、MMTの理論では、先ほどの考え方で示されたように、財政支出の拡大は民間貯蓄を逆に増加させることから、間違った認識であるとしています。 MMTがよい意味でも悪い意味でも注目を集めているのは、現代の主流派経済からすると異端の経済論でありますが、机上の学問にはない、経済の実態を事実として捉えた理論と思われるからであります。 低成長にあえぐ我が国にとって、災害対策や社会保障費など、年間10兆円程度の財政支出の増額を行うことは、MMTの理論としては問題なく、支出した分だけ経済成長につながると導けます。経済成長と財政健全化の両立を政府は掲げていますが、現在の日本はまだまだ景気回復途上の段階であり、財政健全化より財政支出の拡大による経済成長を目指すべきだと私は考えます。 以上を踏まえて、経済成長と財政健全化について知事の御所見をお伺いします。 次に、災害対策についてお伺いします。 本年に入っても、5月中旬の宮崎県、鹿児島県、また8月下旬の佐賀県、福岡県、長崎県における記録的な大雨、そして9月の台風15号が千葉県において大きな被害をもたらしました。被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。 ここ数年、線状降水帯を伴う集中豪雨が頻発し、時間当たり雨量がこれまでに経験したことのないレベルで数時間継続するため、各地で大きな被害が発生しています。また、我が国はその地理的特性のため、地震や台風、火山の噴火など数多くの災害を経験してきました。歴史的に見て、これらに対処するために我が国の土木技術の発展がなされてきましたが、バブル崩壊以降の公共事業費削減により、防災対策の必要性が希薄になったと感じるところです。 国において、近年の激甚化する災害に対処する必要性などから、昨年12月に「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」が閣議決定されました。7兆円規模の総事業費の内訳を見ると、堤防かさ上げなどの防災・減災を目的とするインフラ整備に約3.6兆円、生活インフラの機能維持を目的とする交通網整備などに約3.4兆円を投じるとされています。 そんな中、先月行われた国土強靱化の推進に関する関係府省庁連絡会議において、今後、予算の重点化、要件化、見える化をすることにより、地域計画の策定、地域の国土強靱化の取り組みを一層促進する方向が示されました。それによると、令和2年度は地方公共団体で策定された地域計画に基づき実施される取り組みまたは明記された事業に対し、重点配分や優先採択を行うこと、令和3年度は地域計画の策定が交付要件とされる要件化になることを検討しているとのことです。このため、県内市町村においても地域計画の策定が急がれますが、現状、地域計画を策定しているのは高知市と佐川町のみと聞いています。 今後、他の市町村における地域計画の策定支援などについて危機管理部長にお伺いします。 県は、昨年、頻発化する豪雨災害に対し通年で対応する必要性から、高知県豪雨災害対策推進本部を立ち上げました。通年での豪雨対策の実施体制を全庁的に行い対策の強化を図っていますが、立ち上げから約1年が経過をしました。この1年の取り組みの状況や見えてきた課題について危機管理部長にお伺いします。 次に、第1次産業の振興についてお伺いします。 県は、平成21年度にオランダ王国ウェストラントと友好園芸農業協定を締結し、平成23年度から高知の気候条件や栽培品目などに合わせてオランダの技術を改良して導入を行い、湿度管理や炭酸ガス発生装置など環境制御技術を使用することにより、生産性や収量が大幅に向上しました。平成26年度には次世代型こうち新施設園芸システムの普及を図り、整備面積は46ヘクタールに上り、環境制御技術は50%の農家に普及しています。そして、県はNext次世代型こうち新施設園芸システムの開発プロジェクトの推進に取り組むこととしています。栽培、出荷、流通におけるIoPクラウドを構築して、AIなどを活用し、営農支援を目指しています。 これまでも、気象データやハウス内環境データなどを用いた栽培管理や生産管理の最適化や収量増加を図ってきていますが、今後プロジェクトの取り組みによってどのような効果が期待されるのか、農業振興部長にお伺いします。 環境制御技術を今後一層普及させるためには、既存の製品などの廉価版や簡易版などの開発が必要になるのではと考えます。 大学の研究機関や企業との研究開発においては、農家ニーズを上回る、いわゆる技術者のジレンマといったものが生ずる杞憂もありますが、今後の環境制御技術の普及に当たっての取り組みについて農業振興部長にお伺いします。 また、水田の多面的機能の維持や担い手不足対策として、IoTやロボット技術の活用により省力化や生産性向上などを図ろうとするスマート農業の取り組みについて農業振興部長にお伺いします。 農水省の調べによりますと、全国の農業経営体数が120万を割り込み、過去10年で最少となりました。特に、小規模の家族経営体の減少に歯どめがかかっていない状況とのことであります。また、2018年の全国での新規就農者数は、前年と同水準の5万6,000人弱でありましたが、他産業との人材獲得競争が激しさを増し、2014年以降2万人を超えていた49歳以下の若手新規就農者数が2万人を割り込みました。 このように、全国的には、生産基盤を再建する上で重要な役割を果たす新規就農者がふえていない状況にあります。特に若手新規就農者の確保においては、他産業並みの収入の確保や省力化などによる労働環境の向上などの課題が挙げられます。 高知県における近年の新規就農者全体及び若手新規就農者の推移について農業振興部長にお伺いします。 新規就農は経営が不安定なため、特に農家出身以外の若者らにとって生活の安定を考えた場合、新規参入のハードルは非常に高いものとなっています。 新規就農を促す国の事業として、研修期間に最大150万円を2年間交付する準備型と、定着に向け最長5年間同額を交付する経営開始型の2種類により新規就農者を支援する、農業次世代人材投資事業があります。同事業は制度化されて以降、新規就農者の確保、定着に貢献してきました。 しかし、今年度から、年齢を原則45歳未満から50歳未満に引き上げ対象を拡大したにもかかわらず、国の予算は率にして12%、金額で20億円以上の減額となっています。このため全国において、経営開始型の新規採択を予定する新規就農者に対し、いまだ交付決定ができない自治体や、全額交付の確約ができないまま半額分の上期支払いを決定した自治体があるとのことであります。同事業の信頼が揺らげば新規就農者数は減少するおそれがあり、本県農業の生産基盤再生にも影響が出てまいります。 農業次世代人材投資事業の予算減額に伴う本県への現在の影響と、同事業の今後の見通しについて農業振興部長にお伺いします。 また、同事業の準備型において、これまでは先進農家研修について、研修生の身分が不安定であり、また研修がしっかり行われていないなどの声が農林水産省に寄せられていたことから、働き方改革も踏まえ、準備型の支援対象外とされました。 研修受け入れ機関としての先進農家の役割は大きいところがありますが、高知県において制度変更にどのように対応を行うのか、農業振興部長にお伺いいたします。 次に、農地と担い手の確保についてお伺いします。中山間地域等直接支払制度が2020年度から第5期を迎えるに当たり、県内でも担い手不足などから、面積減少の検討や継続が困難とする集落営農組織等が半数以上存在いたします。 中山間地域等直接支払制度は、中山間地の耕作放棄地の発生防止や解消を図り、適切な農業生産活動の維持を通して多面的機能を確保する観点から、平地に比べて傾斜地が多いなど農業生産条件が不利な農地について、集落等が維持管理していく協定をつくり、これに従って5年以上継続して農業生産活動等の作業が実施されることを条件に、交付金が集落等に支払われる国の制度であります。 県においては、今後も高齢化や人口減少が進む中山間地域において、持続可能な農地維持の仕組みの再構築を重視するとしていますが、中山間地域等直接支払制度の第5期対策に向けた今後の取り組みについて農業振興部長にお伺いします。 一昨年より、主食用米は、国による数量配分から生産地主体で生産量を決める生産調整見直しがなされております。昨年は主食用米価格が安定しており、本年も全国的に主食用米の生産意欲が高いとのことであります。米価維持のためには、生産量を前年から10万トン前後減らす必要がありますが、7割の都府県で前年並みを維持する見込みとなっています。農水省では、主食用米から飼料用米などへの転換を促し、交付金を受ける申請期限の延長を行いましたが、転換は足踏み状態であります。 私の地元須崎市では、JA出資法人みのりが中山間農業複合経営拠点となり、農地を守る取り組みとして農家から委託を受け、15ヘクタールほど飼料用米の生産を行っています。しかしながら、飼料用米の平均収量が低く、水田活用の直接支払交付金を受け取っても1反当たり2万円ほどの赤字が出ているとのことで、今後の法人経営にとって大きな課題となっています。 農地を組織が守ることは、水田の多面的機能の維持に重要であり、耕作放棄地の発生防止につながっています。農地を守る活動を行う組織に対する県の取り組みについて農業振興部長の御所見をお伺いいたします。 5月の通常国会において、農地中間管理機構を通じた農地の集積・集約化の加速化に向けた関連改正法が成立しました。平成26年に、農地の分散状態を解消し、担い手に農地の集積・集約化を図るため、出し手から農地を借り受け、それを担い手に集約するための仕組みとして、農地中間管理機構が創設されました。 今回の法改正の目的は、担い手不足の状況の中、少ない人数でも生産性の高い農業が実現できるように、AIやロボットなどの技術革新の効果を適用させる目的などから、生産基盤である農地の集積・集約化を加速させることであります。法改正を受けて、農水省では、農地中間管理事業の円滑な推進を図るための手段である人・農地プランをより実効性のあるものにするための工程を、あわせて示しております。担い手不足が予想される高知県にとって、スマート農業の推進を図る上で、今後も農地の集積は重要であります。 県内の農地中間管理事業のこれまでの実績と法改正を受けての今後の取り組みについて農業振興部長にお伺いします。 最後に、農福連携について伺います。政府は、4月に農福連携等推進会議を設置し、6月に農福連携等推進ビジョンを取りまとめました。ビジョンの中で、農福連携を実践する農家への調査において、7割を超える農家で障害者を人材として貴重な戦力と評価していることに着目し、農業の労働力確保につながるとしています。 今後も取り組みの拡大が進むと考えられており、課題として、農業、福祉、両方の実態がわかっている人材の育成が必要とされています。農水省では、本年度から双方のつなぎ役の育成に向けて支援事業を設けています。 本県における農福連携をさらに拡大していくため、つなぎ役となる人材育成にどのように取り組んでいくのか、農業振興部長にお伺いします。 次に、水産業にとっても高齢化、担い手不足の課題は大きく、IoTなどを活用したスマート水産業への取り組みが全国的に進められています。 沿岸漁業では、ベテランの漁業者は勘と経験によって海流や風向き、水温などといった環境条件を把握して最適な漁場を探してきました。しかしながら、近年の沿岸漁業においては、よい漁場が減少しており、時間や燃料をかけて沖合に出ても思ったほどの釣果が上げられず、費用倒れとなっています。各種のデータを用いてよい漁場予測が可能となれば、生産性や効率性が上昇し、漁業者の所得向上にもつながることから、スマート化への取り組みの期待が持たれています。 また、養殖漁業は、魚の状態をチェックしながらの餌やりや魚の数の確認、網の掃除などを足場の悪い海上で行っています。陸上からの水中ドローンの遠隔作業によって、生けすの中の魚の状態を把握し、また給餌作業などの自動化による餌料の無駄を省くことで、作業の省力化や効率性、生産性の向上を図ることができます。 また、市場情報などサプライチェーンの分野においても、IoTの活用は進んでいると聞いています。沿岸や養殖以外の分野においても、スマート水産業の推進は、高知県における担い手不足などの課題解決につながります。 我が県のスマート水産業の取り組みの現状について水産振興部長にお伺いします。 林業の分野においても、ドローンによる空撮や航空レーザ計測などにより森林情報のデータ化や共有化を図り、施業の集約化が進んでいます。あわせて、地理情報システムを活用することで、森林データの全国標準化とデータの蓄積を目的とした森林マネジメントシステムが可能であると言われています。高齢化、担い手不足といった課題はほかの1次産業と一緒であり、課題解決に向けた取り組みが急がれます。 高知県におけるスマート林業の取り組みの現状について林業振興・環境部長にお伺いします。 次に、港湾振興についてお伺いします。 知事は12年にわたり、産業振興計画の推進を初め地産外商、貿易の振興に取り組んでまいりました。高知新港におけるコンテナ取扱量も5年連続で増加、過去最高となっています。一方で、中に荷物が入っている、いわゆる実入りコンテナは、昨年が前年比で5.7%減少しており、県は今後、県内の集荷の割合を高め、新しい荷物の掘り起こしにも努めたいとしています。 本年4月に神戸港との内航コンテナフィーダーが休止したため、現在高知新港のコンテナ定期航路は韓国航路の2社による週2体制の就航でありますが、今後この2社が経営統合するとの話もあります。韓国国内においてはトラック業界などのストライキが頻発することから、例えばパルプを韓国経由でアメリカから輸入している県内の製紙業では、原料調達に日数を要する場合があるとのことです。また、現在の日韓関係を考慮した場合、急な就航の変更や停止といったケースも想定する必要があります。 一方で、来年3月には高知新港に新たな大型のガントリークレーンが設置される予定で、これまで受け入れが厳しかった大型貨物船の受け入れが可能になるとのことで、今後は韓国以外の定期航路の開拓も視野に入れることも必要ではないかと考えます。 今後のコンテナ貨物取扱量の増加に向けて、新たな航路開拓は効果的であると考えますが、土木部長の御所見をお伺いします。 高知新港では、本年も数多くのクルーズ船が寄港し、高知市内などでは多数の外国人観光客を見かける機会がふえました。 今後も順調にクルーズ船の寄港は続くものと予想されますが、船会社からの声として、エアフェンダー、いわゆる船の舷側から、空気の入ったゴムのようなものですけれども、これの整備を求める声があります。既存の防舷材による接岸では、船体への着色の問題や、クルーズ船は両舷がほぼ垂直となっており船体と岸壁の距離が近いため、乗客の乗りおりにおいて階段が急となって、安全性確保の観点などから要望があるとのことです。 エアフェンダーの整備により安全性が高まることで、より寄港しやすくなるといった声もあります。また、防災面から見て、南海トラフ地震の発生時においては、船体の両舷が急角度になっている自衛艦などを初めとする各種船舶が接岸する利便性が高まるとのことであります。 高知新港へのエアフェンダーの整備について土木部長にお伺いをいたします。 次に、教育に関して。 まずは、道徳教育についてお伺いします。道徳を定義するのは非常に難しいと思いますが、一つの定義の仕方として、歴史の中で育まれ、地域で共有された価値といったものではないでしょうか。 現代の教育が科学重視になっている中で、科学とはある意味トレードオフの関係にある道徳を教科化する意義は非常に重要であります。また、高齢化や社会の一体感が薄れていく中で、地域共同体が辛うじて残っている現在の日本において、教科として学校教育の中で取り入れる時期としては、最後のチャンスではないかと考えます。 小学校においては昨年度から、そして中学校において本年度から、特別の教科道徳が始まりました。道徳科が目指すものとして、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の目標と同様に、よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うこととされています。既に始まっている小学校では、地域や学校、子供たちの実情に応じて、工夫しながら道徳の授業を行っています。 中学校での取り組みも同様であると思いますが、特別の教科道徳について、これまで現場はどのような状況にあるのか、また今後どのように充実していくのかを教育長にお伺いします。 次に、県立高等学校再編振興計画についてお伺いします。生徒数の大幅な減少への対応などから策定された同計画でありますが、本年度は、再編振興を実現するための具体的な後期実施計画の開始年度となっています。 前期実施計画において、高知西高等学校と高知南中学校・高等学校の統合、そして須崎高等学校と須崎工業高等学校の統合がなされました。後期においては、安芸中学校・高等学校と安芸桜ケ丘高等学校との統合を予定しております。 前期における両校の統合までの経験をどのように今回の統合に向けて生かすのか、教育長にお伺いします。 私の地元須崎市では、旧須崎高等学校の校舎や体育館、グラウンドなどの跡地に対して、各種団体から利活用の要望の声が上がっています。津波浸水予測地域に位置していることから、跡地利用などについても多くの課題があるものと考えます。同じことは、高知南中学校・高等学校でも言えると思います。 両校の校舎など跡地利用に向けた現状と今後の方向性について教育長にお伺いします。 また、須崎総合高等学校では、野球部が現在も旧須崎高等学校のグラウンドを利用しています。当初、統合に当たって、須崎総合高等学校に隣接する形でグラウンドの整備案が示されていました。統合当時、卒業生のOB会などからは、通学路やグラウンドを含めて、これらの整備といったものに対して強い要望が出されていました。 新たな通学路も含めた今後の施設整備について教育長にお伺いします。 次に、県立高等学校の食堂についてお伺いします。現在、特別支援学校を除く県立高等学校35校のうち、19校に食堂が設置されています。法人によるものが13校、個人によるものが5校、組合によるものが1校であります。 平成23年度以降において、室戸、安芸、高岡、高知海洋、清水の5校において食堂が廃止されています。主な廃止理由としては、生徒数減少による経営の悪化を挙げています。また、山田、高知東工業、高知南、高知工業、春野の5校において事業者が撤退した後、他社が参入または交代をしています。夏休みなどの営業できない期間が多く、パートさんなどの確保も難しいことから、食堂経営は厳しく、今後も撤退や廃止されることが予想されます。 子供たちの学習・生活環境を考える上で、県立高等学校の食堂の維持に向けた対策が必要と考えますが、教育長の御所見をお伺いします。 教員の多忙化対策としての小中学校への校務支援システムの導入についてお伺いします。システム導入の効果として、教員に生まれた時間や労力を児童生徒と向き合う時間に当てることができ、教育の質の向上が図られるとしています。また、教員の働き方改革につながるとともに、災害時の生徒情報の滅失防止にもつながります。しかしながら、県内市町村においては、導入に要する経費とともにランニングコストの負担に関して、導入に対し消極的な意見があったと聞いています。 市町村の校務支援システムの現状と今後の市町村に対する支援について教育長にお伺いします。 最後に、高齢者対策に関して幾つか質問をさせていただきます。 ことしに入っても、池袋での親子が死亡した事故を初めとする高齢者ドライバーによる運転事故が数多く報道されています。高齢者ドライバーに対し、運転免許証の自主返納を促すような内容の報道も見かけられます。しかしながら、中山間地を多く抱える我が県において、免許証の返納は高齢者にとって、生活必需品の購入や病院への通院が困難となり、すぐさま生活に支障を来すこととなります。中山間を初め、高齢者世帯や独居世帯が多い我が県において、免許証を保持していくことは生活にとって必要不可欠であります。 平成29年3月に、道路交通法の改正により、高齢運転者の免許更新時における講習制度が見直されました。改正された講習制度では、70歳以上75歳未満の高齢者が運転免許証の更新を行う際には、双方向型の講義や実車訓練など、2時間の高齢者講習を受講することとなっています。そして、75歳以上の高齢者は、まず認知機能検査を受けて、その後、認知機能検査の判定結果により分類され、それぞれの分類ごとに高齢者講習を受講することとなっています。 認知機能検査及び高齢者講習は2回に分けて、受講機関である指定の自動車学校で行われます。地域によっては、自動車学校まで3時間以上かけて2度行く必要があることから、自動車学校で聞いた話によりますと、途中で事故に遭ったり、また帰り道に迷ったりと、そういった高齢者も少なくないとのことであります。そのような状態で運転することが適切なのかといった問題はありますが、先ほども申し上げたように、運転免許証がなくなれば即座に生活に窮することとなります。 高齢者講習は実車訓練があることから、自動車学校で受けなければなりませんが、認知機能検査については受検場所を、例えば各警察署で行うなど、高齢運転者にとって利便性を考えてもよいのではないでしょうか。 今後の認知機能検査における受検場所や体制整備について警察本部長にお伺いします。 運転免許証を返納するなどした高齢者にとって、生活の足としての地域の公共交通機関が重要になります。国が公共交通に関して推進している主要な施策の一つに、地域公共交通網形成計画の作成があります。これは、平成26年度に成立した改正地域公共交通活性化再生法において打ち出された施策で、地方公共団体が先頭に立って、まちづくりと連携した面的な公共交通ネットワークを再構築するための計画を、地域の実情に応じて作成しているものであります。 嶺北、また東部において、高知県内各地域において地域公共交通網形成計画を作成していますが、計画の実効性をどのように高めていくのか、中山間振興・交通部長にお伺いします。 最後に、最近多くの高齢者の方々からお悩みの声をいただいております。まずは、県道を中心にトンネルの照明が暗いといった声であります。トンネルの照明灯は、道路照明施設設置基準に基づき設計速度やトンネルの延長などに応じて設置していますが、高齢者にとっては暗く感じるとのことであります。高齢者が多く住む中山間地ほどトンネルが多く、高齢者が安心感を持って通行できるためにも、明るさの確保は必要だと考えます。県内のトンネルにおいては、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を活用してLED化を進めていると聞いてはおりますが、早急に対策が求められます。 また、同じく、道路区画線が薄くなり、また消えているといったところも多く見られ、高齢者の方々が中央線を越えて運転をしている、そういった状況を見かけるといった声も多く聞かれます。中山間地域の道路においては、区画線が視線誘導の役割を担っているところも数多いわけであります。 トンネル照明のLED化や区画線については、高齢化が進む本県の道路利用者の安全・安心の通行に資する施策であるため、これらの取り組みをしっかりと進めるべきだと考えますが、土木部長にお伺いしまして、私の第1問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 西内健議員の御質問にお答えをいたします。 まず、就任当初に苦心した点や、これまでの県政運営を振り返っての評価についてお尋ねがございました。 この12年間を振り返りましたとき、まず就任当初に私が最も苦心しましたのは、県勢浮揚に向けた体制の整備、すなわち県勢浮揚を可能にする政策群をつくり上げていくことでありました。当時は、経済の活性化や中山間対策の充実強化などに向けた構えが、必ずしもできているという状況にはなかったと私には思えたことから、県民からいただいたお知恵をもとに、職員とも議論を重ねながら、新たな政策群を一からつくり上げていくということに大変苦心したところであります。 また、南海トラフ地震対策を、最大34メートルの想定津波高に備えるよう抜本的に強化することにも大変苦心いたしました。当時の想像を絶するような想定津波高に対して、いかに県民と県土を守る抜本対策を講じていくかについて、職員とともに苦労しながら考え抜きましたことが思い起こされます。あわせて、この震災想定のダメージは、ただでさえ厳しい県経済状況に大きなマイナスダメージを与えるほか、県民の心理を全体的に非常に後ろ向きにしてしまうことも懸念されたところでありまして、スピード感を持って震災想定への対抗策を講じることが重要だと覚悟を決めて取り組んでまいりました。 さらには、議員のお話にもありました、県中央地域における公共交通機関の再編や談合問題への対応を初め、高知競馬の経営再建、医療センターの企業団による運営への移行、県土地開発公社の保有地に係る債務処理、香南工業用水道の本格稼働、さらには新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備など、長年にわたる懸案課題にも真正面から取り組んでまいりました。 このように、この12年間は、悩み考え抜いた12年間でありました。厳しい判断が求められる場面も多々ございましたが、多くの県民の皆様、県議会の先生方、県職員に支えられ、御協力を賜ってまいりました。 私に対する評価につきましては、今後県民の皆様に御判断いただくことになると思いますが、一つ申し上げさせていただくとすれば、官民協働、市町村政との連携・協調のもと、課題から逃げずに、がっぷり四つに真正面から取り組んだこと自体は、私として自負するところであります。 次に、後継の知事にどのようなことを期待するのかについてお尋ねがございました。 今後の県政を考えますとき、今まさに上昇傾向にある、県勢浮揚に向けた勢いをここでとどめることなく、引き続き伸ばしていくことが必要であると私は考えております。すなわち、これまで産業振興計画などさまざまな施策を10年以上にわたり展開してまいりました結果、本県のGDPはプラス成長に転じ、1人当たり県民所得も全国を大きく上回る16.3%増となるなど、県勢は明確に上昇傾向に転ずるようになってまいりました。一方、上昇傾向にあるとはいえ、いまだ残る中山間地域の窮状や、1人当たり県民所得の絶対水準が全国の83.3%にとどまるなど、多くの課題が山積をしております。その解決に向けては、地産外商を軸とした産業振興計画や南海トラフ地震対策、日本一の健康長寿県構想など、今の政策群を継続、強化し、さらに発展させていくことが求められるものと考えているところです。 次期知事に対しては、以上申し上げた取り組みをぜひ進めていただけるよう期待申し上げております。また、その際には大きな時代の流れを捉えて、これを本県の追い風とするような施策を講じたり、さまざまな力を外部から取り入れるべく取り組んでいく必要があると考えております。 例えば、2025年に開催が予定されている大阪・関西万博と連動した経済活性化策を講じたり、現在世界的に広がりつつあるIoTやAIなどの最先端のデジタル技術の革新の波を捉えて、新しい産業創出や地場産業の高度化などを進めていただくことなど、新たな取り組みも視野に入れながら、県勢浮揚をなし遂げていただきたいと考えております。 次に、一緒に仕事をしてきた県庁職員に対する私からの言葉についてお尋ねがございました。 私は、知事に就任して以来12年間、県民の皆様の声に真摯に耳を傾け、さまざまな対話を通じてお知恵を賜る、対話と実行を重ね、それらを踏まえて立案した施策をスピード感を持って実行するとともに、PDCAサイクルを回して、よりよい施策となるよう不断の見直しを行うことを徹底してまいりました。産業振興計画を初めとする県勢浮揚を目指す取り組みにおいて、ささやかなりとも一定の成果を上げることができたのは、関係者の方々とともに、県庁職員の皆さんが課題に正面から向き合い、懸命に頑張っていただいたからこそだと考えております。 この間、行財政改革の取り組みの推進により200人程度職員数が減少し、より効率的な行政運営が求められるとともに、取り組めば取り組むほどさらに難易度の高い課題に直面するなど、職員の皆様には御苦労も多かったことと思います。私からは、そのような中においても、所属の仕事のミッション、意義や、それを実現するための道筋を共有することでモチベーションを高く維持することが重要であると、何度も申し上げてまいりました。そのような意識のもと、職員の皆さんにはモチベーション高く頑張っていただいたものと考えております。 実際に昨年、仕事の量と職場の支援の状況に係る職員アンケートをもとに、健康リスクについて分析を行ったストレスチェックの数値を見ると、全国平均を100とした場合に高知県庁は77にとどまるという良好な結果が出ているところでもあります。 職員の皆さんとは、時には夜遅くまで議論を重ね、ともにさまざまな施策を練り上げ実行していく中で、やればできるという思いを分かち合ってまいりました。12年間の取り組みで得られた成果を職員の皆さんとともに喜び合いたいと思うとともに、心から感謝し、敬意を表したいと考えております。 職員の皆様には、引き続きさらなる県勢浮揚に向けて頑張っていただきたいと考えておりますし、私もどのような立場であれ、その取り組みを応援してまいりたいと考えているところです。 重ねてになりますが、まだ私の任期満了まで2カ月余り残っておりますが、この12年間本当に職員の皆様にはお世話になりました。心から感謝を申し上げたいと思います。 次に、安全保障に対する所見についてお尋ねがありました。 我が国を取り巻く安全保障の環境を見ると、北朝鮮によるたび重なるミサイル発射や核実験、中国による海洋進出や軍事力の拡大、さらには領土問題等の不安定要素、保護主義による貿易摩擦があるなど、問題が多様化し厳しさを増しており、特にアジア太平洋地域において緊張が高まっている状況にあります。 政府の最も重要な責任は国民の命と平和な暮らしを守り抜くことであり、その責任を果たしていくことが安全保障の根幹であります。我が国の平和と繁栄を確固たるものとしていくためには、まず平和外交を一層強力に展開していく必要があると考えておりますが、あわせて我が国を取り巻く現実を直視して、安全保障の基盤を強化しなければなりません。 これまでに直面したことのない安全保障環境の中で、我が国の安全保障については、我が国自身の外交努力や防衛力のほか、日米安全保障体制、国連を中心とした国際社会との協力を組み合わせることによって確保されるものと考えております。我が国の安全は、我が国一国では守ることができず、国際協調によらなければならないという状況にあります。とりわけ、日米安全保障条約に基づく安保体制は、我が国の安全保障はもとより、アジア太平洋地域の安定化にとっても極めて重要であると考えております。日米両政府が努力を続けることにより、日米安全保障体制を中核とする日米同盟は強固なものとなっており、このことは地域の平和と安定に寄与していると考えております。 政府には、アジア太平洋や世界の平和と繁栄のために、今後とも同盟国や諸外国と緊密に連携していただきたいと考えており、また政府もそうした考えだと認識をしているところでございます。 次に、民営化や規制緩和を進める新自由主義的な考え方では、東京一極集中の是正と地方創生の実現は厳しいのではないかとのお尋ねがありました。 私は、東京圏と地方とが対立するのではなく、東京圏と地方がそれぞれの強みや特色などを生かしてともに発展し、多様な個性を持つ日本をつくっていくことこそが、東京一極集中の是正と地方創生の実現を両立させる道ではないかと考えております。 東京圏においては、日本の国力の向上のためにも、世界と闘い、常に進化する都市であり続けることが必要不可欠であります。そのためには、我が国の国際競争力を高め、海外から投資やすぐれた人材を呼び込んでくることが重要であり、国においては、積極的な政策展開に加え、民間の活力を最大限に生かす大胆な規制緩和や民営化をさらに進めていくことが重要であると考えております。 他方で、東京圏だけが発展し地方が衰退すれば、地方の若者が出生率の低い東京圏にさらに流出し、我が国全体の人口減少が加速するなどといった事態を招くこととなります。これを防ぐためには、世界と競争する東京圏に負けない魅力を地方が持つこととなるよう、地方において、世界と闘う地場産業をさまざまにつくり上げていくことが大事だと考えるところです。 近年、地方においては、アベノミクスの後押しを受け、雇用や経済状況が改善するなど明るい兆しが見え始めておりますが、多くの企業が集積する東京圏はそれを上回るスピードで発展しており、地方と東京圏との格差はむしろ広がり、東京一極集中は加速している状況にあります。こうした状況を克服し、地方への若者の定着を促すためには、第1次産業など地方の持つ本来の強みを生かし、世界で競争することができる地場産業を地方において創出することが何よりも重要であります。そして、こうした取り組みを特に中山間地域において展開することにより、本県のような地方の本来の強みの源である中山間地域にこそ若者が定着できるようにしていかなければなりません。 これをなし遂げるためには、本県のように小規模で零細な事業者が多く、また産業や技術の集積が少ない地方では、規制緩和や民間活力のみでは難しく、行政の役割が大変重要になると考えております。具体的には、新たな分野を切り開くといったスタートの段階では、行政が前面に立ち施策を推進する必要もありますし、行政みずからが民間の皆様の参画を促すプラットホームをつくり、参画した民間の潜在力を引き出すために積極的にサポートすることも必要であります。 このため、本県では、官民協働、市町村政との連携・協調のもと、産業振興計画において、こうした点を特に重視して進めてきたところであります。とりわけ、Next次世代型こうち新施設園芸システムの開発プロジェクトのように、地場産業とデジタル技術の融合、発展を生むプラットホームをさまざまな産業分野で構築し、地方においてイノベーションを数多く生み出すことが、地方創生をなし遂げる上で大変重要だと考えております。 このような形で、世界と闘うことができる、競争できる地場産業を全国各地で創出するとともに、田舎でも都会と同等の暮らしの質を提供することができれば、地方と東京圏の格差が縮まり、多くの若者が地方に残ることを選択するようになり、ひいては東京一極集中の是正と地方創生の実現につながるものと考えております。 国においては、地方創生推進交付金などにより、地方の創意工夫を凝らした取り組みをこれまで以上に後押ししていただくとともに、真の地方創生の実現に向けて、地方の力を生かす総合的な支援策を息長く展開していただくことを期待しております。また、第5世代移動通信システム、いわゆる5Gなど地方の振興に不可欠なインフラの整備促進についても、中山間地域も含め、大いに後押ししていただきたいと願うものであります。 最後に、経済成長と財政健全化についてお尋ねがございました。 我が国が直面するさまざまな課題に対応していくためには安定した財政運営が必要でありますが、財政規律を重視する余り、予算を縮減することのみにとらわれることがあってはならず、真の経済成長を実現する施策であれば、ちゅうちょなく先行投資を行うことが重要と考えます。また、少子化対策や防災・減災対策など、一時的に予算は必要となるものの、早期に取り組みを進めることで将来の財政負担の大幅な軽減にもつながる施策についても、しっかりとした予算措置を行う必要があると考えております。 一方で、現在国と地方の長期債務残高は1,000兆円を超えておりますことから、無駄な歳出を徹底して削減することや、新たなデジタル技術の活用による行政の抜本的な効率化、QOLの向上と両立させる形での社会保障費の適正化などの取り組みも必要だと考えております。 本年の骨太の方針においても、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針のもと、新経済・財政再生計画の実施だけでなく、成長戦略実行計画や地方創生などを推進することにより、2020年ごろの名目GDP600兆円経済と2025年度の財政健全化目標の達成を目指していく方針が示されております。 私としては、無駄な歳出の削減、デジタル技術の活用などによる行政の抜本的な効率化、さらには、支える力を強くし、QOLの向上とも両立させる形での社会保障費の適正化などに取り組んでいくことに加えて、防災・減災対策など将来の財政負担の軽減にもつながる施策、さらには我が国にとって真の経済成長をもたらす施策への先行投資などを実行していく。こうした、単年度主義にとどまらない、中長期的な視野を持った複合的な取り組みを進めることで、経済成長を図りつつ財政健全化につなげていくことが重要であると考えるところでございます。 私からは以上でございます。   (副知事岩城孝章君登壇) ◎副知事(岩城孝章君) 尾崎県政12年間についての感想についてお尋ねがございました。 私は尾崎県政発足後、総務部副部長、産業振興推進部長、副知事として、知事とともに仕事をさせていただきました。 この12年間の感想ということですが、まず第1に、知事の仕事に対する姿勢、熱意でございます。経済の活性化を初めとする5つの基本政策や、中山間・少子化対策等に真正面から立ち向かい、必ず目標を達成するという強い意志のもと、一歩たりとも歩みをとめることがなかった12年間だったと思います。時代の流れに敏感に、新たな課題に対してはすぐに次の手を打ち、ハードルを越えていくという姿勢を貫き、類いまれなるリーダーシップを発揮されたと感じております。 第2には、職員の意識や仕事への取り組み方の変化です。知事就任当初、職員の間で、今度の知事、結構きついぞという声もちらつき、ざわざわとした雰囲気もありました。しかしながら、議論に議論を重ね、県民のために成果を求めていく知事の姿勢を受けて、職員の意識は着実に変化をし、県民の皆様に丁寧に説明しながら積極的に仕事を進めていくようになりました。県勢浮揚に向けて、県民の皆様との対話を通じ、スピード感を持って仕事を進めていく姿勢を職員が共有できたことは、これからの県政運営における大きな財産になるものと考えます。 職員のたゆまぬ努力と県民の皆様からの御意見、お力添えもあり、この十数年間、さまざまな経済指標に見られますように、県勢は上昇傾向にあると言えます。しかしながら、本県にはまだまだ多くの課題が山積しています。このため尾崎知事退任後も、これまでの12年間の取り組みを生かしつつ、今後とも職員とともに、官民協働、市町村政との連携・協調によりながら、現在の県勢浮揚の上昇傾向を継続していけるよう取り組んでいくことが必要であると考えております。   (危機管理部長堀田幸雄君登壇) ◎危機管理部長(堀田幸雄君) 災害対策に関して、まず市町村の国土強靱化地域計画の策定をどのように支援していくのかとのお尋ねがございました。 国土強靱化地域計画は、地域が直面する大規模自然災害によるリスクを明らかにし、その対策を計画的に推進するために策定するもので、南海トラフ地震対策にもつながるものと考えております。 これまで、市町村に対しては、担当者会やブロック別の課長会を通じて地域計画の策定について働きかけを行うとともに、策定に要する費用について支援を行ってきましたが、多くの市町村で策定できていないのが現状です。 こうした中、国は、地域計画の策定と地域の国土強靱化の取り組みを一層促進させることを目的に、防災・安全交付金等の34の交付金、補助金について、地域計画に基づき実施される取り組みまたは明記された事業に対し、来年度以降重点配分することを決定し、令和3年度には地域計画への位置づけを交付要件とすることも検討しています。加えて、府省庁ごとに配分方針を事前に公表し、重点配分状況について実績を取りまとめ公表する見える化も実施されることとなりました。 県としましては、市町村における地域計画の策定を進めるため、まずは11月に国と合同で、昨年12月に改定された国の基本計画や、ことし6月に改定された国の地域計画策定ガイドラインについての説明会を開催することとしています。また、県の地域計画について本年末をめどに改定し、市町村の計画づくりの参考としていただくとともに、地域本部等による助言や財政支援を行うなど、市町村が早期に計画策定できるよう取り組んでまいります。 次に、豪雨災害対策推進本部の1年間の取り組みの状況や見えてきた課題についてお尋ねがありました。 昨年9月に立ち上げた豪雨災害対策推進本部において、豪雨や台風への事前対策を、これまでの間、全庁を挙げて大きく3つの方向性で進めてきました。 まず1つ目として、豪雨災害によるダメージを取り除いて、後の大きな被災を防止するよう進めてきました。特に河川に堆積した土砂や流木の除去は、予算を増額して対応を加速してきております。 次に2つ目として、豪雨災害に備えるためのインフラが未整備となっている箇所の整備を強化してきました。具体には、本県が政策提言して実現した中小河川の治水対策や、国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の事業を最大限活用し、予算を大幅に増額するなどして対応してきております。 3つ目として、ソフト面での対応強化も非常に大事だと考え取り組んできました。例えば、本県がこれまでの災害対応の経験で培った実践的な時系列での行動を、高知県災害対策本部タイムラインとして本年4月に取りまとめました。各部局ではこのタイムラインをもとに、先を見越した事前の準備を行うなど、早目早目の対応を行っております。 こうした中見えてきた課題としては、まずインフラ面では、3カ年緊急対策による集中投資で整備が加速するものの、十分に形成されるとは言いがたい状況にあります。防災のために有効なインフラ整備が継続的に進むよう、予算面で工夫するとともに、継続的に国に働きかけることが必要だと考えております。 また、ソフト面での課題としては、県民の皆様に避難意識をいかに高めていただくかという点が挙げられます。県民の皆様には、みずからの命はみずから守る意識を持っていただき、県や市町村は、県民の皆様が適切な避難行動をとれるよう全力で支援することが必要だと考えております。 県では、県民の皆様に向けた啓発・広報活動や防災情報の充実に取り組んでおり、例えば、大雨のときに命を守るための行動を5つのお願いとしてSNSや動画サイトで周知したり、防災情報をリアルタイムに提供するためのアプリの開発や、河川の水位計の増設も行っているところです。 今後も引き続き、本県全体の防災・減災能力を高めていけるよう取り組んでいきたいと考えております。   (農業振興部長西岡幸生君登壇) ◎農業振興部長(西岡幸生君) まず、Next次世代型こうち新施設園芸システムの開発プロジェクトの取り組みによってどのような効果が期待されるのかとのお尋ねがございました。 これまでの次世代型こうち新施設園芸システムの取り組みでは、ハウス内の温度やCO2濃度などの環境データに基づいて栽培管理を見直すことで収量や品質を高める技術の確立を図ってまいりました。 昨年度から取り組みをスタートしましたNext次世代型こうち新施設園芸システムでは、農業分野でのSociety5.0を実現していくため、IoP--インターネット・オブ・プランツのコンセプトのもと、これまでの次世代型の技術にAIやIoTなどの先端技術を融合させて、さらに生産性や付加価値を高め、誰でも簡単に活用できる進化型のシステムとして確立することを目指しております。 具体的には、これまでの環境データや気象データの活用に加えて、集出荷場で日々得られる収量や品質等の出荷データや、画像解析で得られる作物の生育状況データ等のさまざまな関連情報を収集、蓄積し、AI等により解析し、有益な情報として生産者にフィードバックできるデータ共有基盤IoPクラウドの構築と活用を目指しています。 この効果としましては、生産面では、さらなる栽培管理の最適化を図っていくことで、特に野菜が不足し高単価となる冬場の収量増の実現が、また販売面では、数週間先までの精度の高い出荷予測が可能となり、契約販売等による安定販売が期待されます。さらに、たくみのわざとも言われる篤農家の熟練の技術やノウハウを見える化することで、農業経験のない新規就農者等でもたくみのわざの早期習得などが可能となることや、省力化のための機器やシステムの開発につなげていくことが期待されます。 こうした一連の取り組みを通じまして、本県の施設園芸農業の飛躍的発展と、地産外商にもつながる施設園芸関連産業群の創出、集積を目指してまいります。 次に、今後の環境制御技術の普及に当たっての取り組みについてお尋ねがございました。 環境制御技術につきましては、これまで県内各地に配置した14名の環境制御普及推進員による指導や、119カ所に設置をしている学び教えあう場での活動など、JAと連携し普及に取り組んでまいりました。その結果、増収増益につながる技術としての理解が進み、導入農家も毎年増加し、現在ナスやピーマンなど主要7品目で50%を超える農家の皆様に普及してきています。 環境制御技術の効果を実感した農家では、さらなる収量増のために、炭酸ガスの施用に加え、湿度管理や日射比例による水管理など、より高度な管理に取り組む農家が増加しており、統合的な環境制御を行う機器やシステムが求められる一方で、コスト面や操作面などに対する不安から導入をためらう農家の皆様からは、より安価で使いやすい機器等も求められています。今後、さらに環境制御技術を進化させ普及していくためには、簡易なシステムからより高度なシステムまで、さまざまな農家のニーズに合った研究開発が必要と考えています。 そこで、昨年度からスタートしたNext次世代型こうち新施設園芸システムの取り組みとして、開発された最新の技術や製品を紹介するフェアや、研究者と機器メーカーに加えてIT企業も参加する情報交換マッチング会を開催する中で、農家の皆様の声を直接にお聞きしながら、研究開発を進めています。 こうした取り組みにより、それぞれの農家の経営規模や所得目標に応じて最適な機器やシステムを幅広い選択肢の中から導入できるよう、開発と普及に取り組んでまいります。 次に、本県のスマート農業の取り組みについてお尋ねがございました。 農業の担い手の減少や高齢化が深刻化する本県では、水田の維持や担い手不足対策としまして、IoT、ロボットなどを活用したスマート農業を積極的に導入し、省力化や生産性の向上を図っていく必要があると考えており、中山間地域などの条件不利地域でこそ、その効果が発揮されるものと認識しております。 現在、県内でのスマート農業の導入に向けた取り組みは、本山町の水位センサーによる水稲の水管理の省力化、四万十町のドローンによる防除や直進機能がついた田植え機、ラジコン式草刈り機などを活用した水稲作業の省力化、土佐市のアシストスーツや掘り取り機によるショウガ収穫作業の軽労化、高知市のドローンによるユズ防除作業の省力化などがございます。 これまでの実証では、水位センサーにより水稲の水管理に要する時間が約25%削減されることや、防除作業にドローンを活用することによって作業時間が、ユズでは4分の1以下、水稲では10分の1以下と大幅に短縮されること、直進機能がついた田植え機では運転手の作業負担が軽減されることなどの効果が確認されております。 今後は、こうした実証を県内各地で積み重ねながら、省力化や生産性向上の効果が確認された技術につきましては、国や県の事業を活用して生産現場への導入を進め、中山間地域の維持・発展にもつながるスマート農業の早期の普及拡大を図ってまいります。 次に、新規就農者全体及び若手新規就農者の推移についてお尋ねがございました。 県では、地域で暮らし稼げる農業の実現を目指し、年間320人の新規就農者の確保を目標に、各産地が受け入れ体制を整備して新規就農者の確保・育成を図る、産地提案型担い手確保対策に取り組んでいるところです。こうした取り組みにより、本県の新規就農者数については、産業振興計画スタート前の平成20年度に114人であったものが、29年度は265人、30年度は271人と増加をしてまいりました。一方、新規就農者のうち49歳以下の若手新規就農者については、平成20年度に92人であったものが、29年度は216人、30年度は199人と増加はしたものの、近年は各産業で人手不足が顕在化する中、伸び悩んでいるところでございます。 農業者の減少、高齢化が進展する中、持続可能な地域農業の実現を図るためには、若い世代の農業参入を促していくことが重要であると考えます。このため県では、若い世代へのPR強化を図るとともに、研修体制の整備や資金面での支援など、農業に参入しやすい環境を整備することで、若い世代の農業参入の促進を図ってまいります。 次に、農業次世代人材投資事業の予算減額の影響及び今後の見通し、制度変更への対応についてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。 農業次世代人材投資事業は、農業を始める意欲と能力のある方に対し、就農前の研修や就農直後の経営確立を支援する資金を交付することから、本県の産地提案型の担い手確保対策などを推進する上で極めて重要なものとなっています。 本県での交付実績については、事業が創設された平成24年度から30年度までの7年間において、就農前の研修期間に最長2年間交付される準備型については202人が受給をされています。また、就農後の営農定着のために最長5年間交付される経営開始型については468人が受給されており、このうちの97%が定着しているなど、新規就農者の確保・育成に大きく寄与をしています。 こうした中、働き方改革も踏まえ、研修生がより安定した身分で研修に専念できる環境を整備することが必要との声が国に寄せられたことから、先進農家研修については、本年度から農の雇用事業に一本化され、準備型の支援対象外になるとともに、本事業の予算が昨年度と比べ削減をされました。 今回の本事業の見直しについては、先進農家研修が中心となっている本県の新規就農者の確保・育成対策に、より大きな影響を与えることが懸念されましたことから、見直しの情報を得た昨年12月以降、農林水産省と協議を重ねてまいりました。その結果、市町村やJA、県の出先機関等で構成される地域担い手育成総合支援協議会が研修機関となり、先進農家に研修生を派遣し実践研修を行うことで、準備型の支援対象として認められることとなりましたことから、この仕組みをしっかりと活用してまいりたいと考えております。 一方、予算の削減につきましては、他県と同様、本県においても、要望額に対して当初配分額が下回っていたことから、本年4月に予算の確保など国への緊急提言を行うとともに、各市町村とも調整しながら必要額を精査し、現在配分されている金額の範囲内で前期の申請に対して交付を行いました。 また、例年予算の執行状況を踏まえて国から後期に追加配分が行われることから、継続的に国に対して働きかけを行い、事業実施に必要な予算の確保に努めてまいります。 今後とも、国に対して農業次世代人材投資事業の継続及び必要な予算の確保を求めていくとともに、当該事業を活用することで、県内各産地の担い手となる若い世代の新規就農者の確保・育成に努めてまいります。 次に、中山間地域等直接支払制度の第5期対策に向けた今後の取り組みについてお尋ねがございました。 中山間地域における農業生産基盤の下支えとなる中山間地域等直接支払制度は、本年度が第4期対策の最終年度となっており、来年度から5カ年にわたる第5期対策に移行いたします。 現在の4期対策においては、初年度となる平成27年度に、農業者の高齢化や活動の取りまとめ役の不在といった理由から取り組みを断念または面積を大幅に減少した集落が多数に上り、本県では前年度の17%に当たる1,160ヘクタールの取り組み面積が減少したところです。 平成29年度に各集落に対して行いました5期対策に関するアンケート調査におきましても、議員御指摘のように、次期対策では取り組みの継続を断念する、または面積を減少させると答えられた集落が全体の約62%に上っており、5期対策の初年度となる来年度につきましても、取り組み面積が大幅に減少することが懸念されているところです。 このため、本年6月に開催されました国の、第8回中山間地域等直接支払制度に関する第三者委員会の場におきまして、中山間地域における農地維持活動の厳しい現状を県として訴えてまいりました。国においては、こうした地方の実態を踏まえ、これまで集落が活動の継続をためらう要因となっていた、交付金の遡及返還に関する規定を見直すなどの制度改正が、今般の概算要求に盛り込まれたところです。 県としましては、本年度に入り、取り組みの継続が困難な集落等に対して、集落協定の広域化や事務支援の体制整備が進むよう、市町村とともに集落への働きかけを行っているところです。今後は、市町村や集落の代表に対して、5期対策に向けた制度改正の内容を周知するとともに、集落個々の実情を踏まえた対応策の検討などにより、取り組み面積が減少することなく5期対策に移行されるよう、市町村と連携し、しっかりと取り組んでまいります。 次に、農地を守る活動を行う組織に対する取り組みについてお尋ねがございました。 農業者の減少、高齢化が進む中、地域の農地を守っていくためには、個々の農家による農地の管理だけでは限界があることから、地域全体で農地を維持していく仕組みづくりが必要となっています。 このため、県では、国の日本型直接支払制度を活用し、地域で取り組む農地の維持管理や農業生産活動を支援することで、生活基盤をしっかりと下支えし、その上で、地域の核となる経営体である集落営農と中山間農業複合経営拠点が両輪となり、営農活動を行いながら、地域の農地を維持管理する取り組みを推進しています。 現在、県内の集落営農組織は平成20年度の130組織から224組織に、中山間農業複合経営拠点は平成27年度の4組織から21組織に増加しています。これらの組織が今後も地域の農地を守る活動を継続していくためには、収益性の改善や作業の効率化などにより、経営の安定化を図っていくことが重要となっています。 このため、県では、これらの組織に対して、収益性の高い園芸作物の生産拡大や、今後必要となってまいります省力化機械やIoTなどスマート農業の導入を、ソフト・ハード両面から支援しているところです。また、法人組織に対しては、経営コンサルタントなどの専門家が一貫してサポートする体制を整備し、経営改善に向けた事業戦略の策定からフォローアップまでを支援するとともに、経営管理できる人材の育成など、組織体制の強化にも取り組んでいます。さらに、地域内の複数の組織が連携して、農地の利用調整やオペレーターの確保、ライスセンターや農作業機械の共同利用などを進めていく組織間連携の取り組みも推進をしています。 今後も、こうした取り組みを進めることで、農地を守る活動を行う組織の強化を図り、持続可能な地域農業の実現につなげてまいります。 次に、農地中間管理事業のこれまでの実績と今回の法改正を踏まえた今後の取り組みについてお尋ねがございました。 本県の農地中間管理事業の実績については、平成26年度から30年度までの累積で560ヘクタールの農地を担い手に貸し付け、その結果、担い手への農地の集積率は25年度の19.6%から30年度には32.4%まで向上をしました。 こうした中、本年5月に農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部が改正され、人・農地プランの実質化の推進が法律に位置づけられるとともに、機構の活用促進を図るための制度改正が行われました。 人・農地プランは、地域の話し合いに基づき、地域における中心経営体や農業の将来のあり方などを明確化するものであり、農地中間管理機構が担い手に農地の集積・集約化を図る上でも重要なものです。一方、プランの中には農地の出し手、受け手が明確になっていないものも見受けられることから、今回の法改正では、農地の利用状況を地図化し、農地の集積・集約化の対象となる担い手を明らかにする人・農地プランの実質化を支援するため、市町村及び農業委員会が、農業後継者の確保の状況や農地所有者の利用の意向に関する情報の提供などの協力を行うこととされました。 また、機構による農地の借り入れと貸し付けについては、これまで集積計画と配分計画の両方が必要であったものが、市町村による集積計画のみで一括して権利設定を行うことが可能となるとともに、地域の話し合いによりまとまった農地を機構に貸し付ける地域に交付される地域集積協力金について、中山間地域での要件が大幅に緩和されるなど、制度の見直しも行われました。 県としましても、各地域が行う人・農地プランの実質化に対し、市町村及び農業関係団体と協力して支援に取り組むとともに、今回の制度の見直しの内容や制度の積極的な活用について市町村や農業関係団体に周知を行うことなどにより、農地中間管理事業の活用を促進し、担い手への農地の集積・集約化を図ってまいります。 最後に、農福連携をさらに拡大していくための人材育成の取り組みについてお尋ねがございました。 県が本年1月に実施した農福連携の実態調査では、トマトの収穫やナスの袋詰め、ニラの調整といった農作業に、農家で191名、JA集出荷場で72名の障害者が従事されており、受け入れ農家からは、仕事が丁寧、なくてはならない人材と頼りにされております。 一方で、受け入れ経験のない農家では、障害者には複雑な作業は難しいという意識があり、また福祉事業所では、農業は作業内容がわからず踏み出しにくいといった意識がございますし、受け入れた農家からも、受け入れ当初は作業の指導方法や接し方に戸惑ったといった声も聞かれております。こうしたことから、農福連携をさらに拡大していくためには、農業と福祉の相互理解と、効果的なマッチングやフォローアップを担う人材の育成・確保が課題であると認識しています。 このため、まずは農福連携促進コーディネーターを配置し、農家と就労継続支援B型事業所とをマッチングする取り組みを開始したところです。また、フォローアップを担う人材につきましては、国の農福連携支援事業の活用も視野に入れながら、先進事例の調査や、農業・福祉両分野の専門家からの助言・指導などを通じて、障害特性を踏まえた作業の指示、障害者への配慮事項などを農家にアドバイスできる人材の育成・確保に取り組んでまいります。 こうした農業と福祉のつなぎ役となる人材の育成・確保によりまして、障害者の就労促進と定着、農福連携のさらなる拡大につなげてまいります。   (水産振興部長田中宏治君登壇) ◎水産振興部長(田中宏治君) 本県のスマート水産業の取り組みの現状についてお尋ねがございました。 就業者の減少が見込まれる中、漁業生産額を維持していくためには、担い手の確保とともに、効率的な生産流通体制へ転換していくことが必要です。このため、生産から流通までの各段階におけるIoTの活用などにより、水産業のスマート化を図る高知マリンイノベーションの取り組みを進めているところです。 具体的には、まず生産段階では、釣り漁業の操業を効率化するため、黒潮牧場にレーダーやソナー、魚群探知機を設置し、魚の集まりぐあいなど、漁業者が出漁の判断に活用できる情報を提供するシステムの構築に取り組んでおります。 さらに、水温や海流などのデータをもとにしたメジカの漁場予測や、キンメダイ漁の操業の支障となる潮流を予測するシステムの構築に着手しており、予測結果を試験的に漁業者の皆様に提供し、御意見をいただいているところです。 また、定置網漁業に被害を及ぼす急潮については、既に室戸岬沖において発生予測が可能となっており、ほかの定置網漁場における急潮予測に取り組んでおります。 養殖業に被害を及ぼす赤潮については、漁業者が早期に対策を講じることができるよう、赤潮プランクトンの発生を微量な段階で検出し、その結果を漁業者の皆様に提供しており、海洋環境や気象条件などのデータとあわせて解析することで、赤潮の発生予測システムの構築を進めています。また、お話のありました養殖作業の効率化につきましては、民間事業者によるAIを搭載した自動給餌機の開発を支援してまいりました。 流通段階では、産地市場における作業の効率化を図るため、水揚げされた魚の計量や入札結果などのデータを自動で一元的に管理するシステムの開発に取り組んでおり、本年度中に黒潮町佐賀の魚市場に導入するとともに、今後ほかの市場へも展開してまいります。 こうした生産から流通に至る一連の情報については、漁業者や流通事業者が共有できるプラットホームを構築し、一元的に発信してまいります。今後も、このようなマリンイノベーションの取り組みを強力に進めることで、効率的な生産流通体制の構築を目指してまいります。   (林業振興・環境部長川村竜哉君登壇) ◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 高知県におけるスマート林業の取り組みの現状についてお尋ねがございました。 スマート林業を推進するためには、議員のお話にありましたように、航空レーザ計測などにより森林情報の高度化を図り、林業事業体等とのデータの共有化などが重要となってきます。また、川下のニーズに応じた木材生産を行うための仕組みづくりなども重要な要素となります。 本県では、平成30年度に林野庁が実施しました航空レーザ計測データを活用して、路網整備に必要な地形解析や森林情報の高度化、共有化を図ることとしております。本年度は、香美市において、モデル的に樹種別の分布状況や資源量の把握など、詳細な解析をすることとしております。今後は、香美市のモデルをベースとして、県内全域の地形解析や森林情報の高度化、共有化を進めてまいりたいと考えています。このことにより、森林経営管理制度の円滑な運用に資するとともに、得られた地形情報や森林資源情報をもとにして、事業地の集約化や作業システムの改善など、森林施業の効率化や省力化を進めてまいります。 また、スマート林業の取り組みを活発化させるため、林業事業体や林業関連団体、市町村など行政機関を対象に講習会を開催し、ICTなど先端技術を取り入れた魅力のある林業を目指して、関係者の意識を高める取り組みを行っております。 さらに、将来的には、川上、川中、川下が連携して、ICTを活用したサプライチェーンマネジメントの構築が必要と考えております。このため、関係者の協議を進めていくための推進フォーラムを設立し、取り組みをスタートさせたところでございます。 今後も、スマート林業を推進するため、森林情報の高度化、共有化や、効率的なサプライチェーンマネジメントの構築などに取り組んでまいりたいと考えております。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) まず、高知新港の今後のコンテナ貨物取扱量の増加に向けた新たな航路開拓についてお尋ねがありました。 高知新港の実入りコンテナ貨物取扱量は、昨年は、悪天候により寄港できなかったなどの理由から減少したものの、産業振興計画に取り組む前の平成19年と比較すると約1.7倍と着実に伸びており、地産外商や貿易の振興などの成果が港湾利用に反映されております。 現在、高知新港には、韓国・釜山港を中心とする2つの外航航路があり、また運航している韓国船社2社は事業統合を進めております。同一の港、同一の船社を利用する物流環境では競争性が働かず、コストの高どまりなどが懸念されることから、外航航路に多様性を持たせることが重要だと考えております。 特に東南アジア方面の航路開拓は、取引のある県内業者が多く、利便性向上や物流コストの縮減、県産品の競争力強化につながることから、最も効果的であると考えております。東南アジア方面の航路誘致に向け、コンテナ船社に対し、集貨に活用できる補助制度等について説明するなど、継続的にセールス活動を行っており、訪問した船社からは、貨物量を一定確保することが航路実現に必要であると伺っております。 県としましては、引き続き、高知新港を利用する貨物量の増加に向け、県内外の貨物の集貨や農林水産物の輸出拡大に取り組むとともに、新たな航路を想定した貨物の掘り起こしに向けた荷主との情報交換も積極的に行い、新たな航路開拓につなげていきたいと考えております。 次に、高知新港へのエアフェンダーの整備についてお尋ねがありました。 エアフェンダーは、接岸時の船体及び岸壁の損傷防止を目的として、船体と岸壁の間に浮かべる空気式防舷材です。必要に応じて岸壁に取りつけることができ、大型クルーズ船の寄港時などに、岸壁に設置されている防舷材の厚みを超えた距離を保持することが可能となります。 平成28年度には、大型クルーズ船社から接岸時の船体へのさらなる衝撃緩和などを理由に、エアフェンダーの整備要望がありました。整備内容を精査した上で、高知新港に設置している防舷材の性能を説明し、部分的に防舷材を追加することで船社と協議が調い、その後寄港に結びつけました。 また、大型の自衛艦の寄港に当たっては、必要に応じて自衛隊がみずから所有するエアフェンダーを運搬、設置しております。 今後、より大型のクルーズ船や自衛艦などの特殊な形状の船舶の寄港に当たっては、船社及び関係機関等と十分な協議を行い、安全で円滑な寄港が実現できるよう、エアフェンダーの導入についても検討してまいりたいと思います。 最後に、トンネル照明のLED化や道路区画線の取り組みについてお尋ねがありました。 トンネル照明は、道路照明施設設置基準に基づき整備しており、これまで消費電力が少ないなどライフサイクルコストにすぐれた低圧ナトリウムランプを多く設置してきました。近年は、より消費電力が少なく、光の色が太陽光に近く、照らされた物の色を識別しやすいため、より明るく感じられるLEDランプの利用が拡大しております。県でも、これまで40本のトンネルの更新や新設の際にLEDランプを設置してまいりました。 現在、国では、昨年7月の西日本豪雨災害や、昨年9月の北海道胆振東部地震による電力不足を受けて、重要なインフラ機能を維持することを目的に「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を進めており、トンネル照明のLED化もこのメニューに含まれております。このため県では、この対策予算を積極的に活用し、県が管理する204本のトンネルのうち、さらに117本の照明をLEDランプに交換するよう取り組みを進めております。 また、区画線の引き直しについては、国の交付金事業の対象となっていないため県単独事業で整備を行っており、定期的な更新はできていないものの、利用者からの要望や道路パトロールなどの結果により必要と判断される箇所について、順次整備を進めております。 今後とも、高齢化が進む本県の道路利用者が安全で安心して道路を利活用できるよう、トンネル照明のLED化や区画線の明瞭化などについて、国の施策も積極的に活用しながら取り組みを進めてまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、小中学校における特別の教科道徳の実践状況と今後の充実策についてお尋ねがございました。 小中学校で導入された特別の教科道徳の授業では、答えが一つではない道徳的な課題を一人一人の児童生徒が自分自身の問題と捉え、「考え、議論する道徳」となるよう転換が求められております。 県教育委員会では、特別の教科道徳への質的転換を図るため、平成27年度に道徳の授業モデルを掲載した道徳教育用指導資料集を作成、配付いたしました。また、平成27年度からの3年間で、各地域で道徳教育を牽引する道徳推進リーダーを39名育成し、研修会等において、それぞれのリーダーによる授業実践の報告や授業公開を実施してまいりました。さらに、平成30年度から10の小中学校において、「考え、議論する道徳」の授業づくりや評価のあり方についての研究を進め、全ての学校の道徳担当教員を対象に授業公開等を行ってまいりました。 これらの結果、それぞれの学校や教員に、これまでの道徳の時間と違った、子供たちが主体的に考える特別の教科道徳の授業イメージが定着しつつあり、授業の質的な改善が図られてきております。 今後は、学級担任以外の教員がより道徳授業にかかわりを持っていく工夫や、学校教育全体で道徳性を育てる取り組み、家庭や地域と連携した道徳教育の実践等をさらに推進していく必要があります。 このため、道徳科授業づくり講座として、教員が主体的に「考え、議論する道徳」のあり方、かかわり方を学習する機会を各地域で多く開催していくとともに、各学校の道徳の授業づくりについて、各教育事務所による指導・支援も充実していくこととしております。加えて、特別の教科道徳の授業を各教科と関連させながら年間を通して発展的に実施されるよう、指導内容や方法をまとめた冊子を作成し、校内研修などで確実に活用することで、授業の質をより一層高めてまいります。 次に、県立高等学校再編振興計画の前期実施計画における経験をどのように後期実施計画の統合に向けて生かすのかとのお尋ねがございました。 学校の統合につきましては、学校関係者の皆様はもちろん、将来高校生となる子供たちを初め、広く県民の皆様にかかわる重要な問題であり、前期実施計画の策定時には、統合対象校や校名などについて検討過程などの事前の説明が十分にできていなかったことなどから、関係者の皆様に混乱を招いてしまったという反省点がございました。 そのため、後期実施計画の策定に当たっては、市町村長や教育長、学校関係者を初めとする地域の皆様の声を直接お聞きするため、県教育委員がそれぞれの地域にお伺いして、公開の教育委員会協議会を18回開催いたしました。この中で、学校関係者の皆様に丁寧に御説明し、御意見を伺いながら、安芸中学校・高等学校と安芸桜ケ丘高等学校の統合についても御理解をいただき、統合後の校名について安芸中学校・高等学校とすることで御了解をいただいているところです。 両校の統合に向けて、この4月からはそれぞれに副校長を配置し、両校と県教育委員会事務局で準備会を立ち上げ、教育目標や教育課程を初めとした教育の内容、校章や校歌、制服の取り扱いなどについて検討を始めております。今後、来月には制服の取り扱い、また令和3年度までには校章と校歌の取り扱いについて、両校の学校関係者の御意見を丁寧にお伺いした上で、県教育委員会として決定してまいりたいと考えております。また、統合する学校の施設整備につきましては、両校と協議を行いながら、令和5年度に予定しております開校に向けて、県東部地域の拠点校としてふさわしい施設となるよう取り組みを進めてまいります。 統合した新しい安芸中学校・高等学校が、県東部地域の拠点校として活力ある学校づくりを推進し、地域の小学生、中学生とその保護者から進学を希望される学校となるとともに、両校の学校関係者の皆様を初めとする地域の方々から信頼される学校となるよう、両校と県教育委員会がしっかりと連携して取り組んでまいります。 次に、旧須崎高等学校等の校舎などの跡地利用についてお尋ねがございました。 ことし4月に開校しました須崎総合高等学校は、体育館の新築や校舎の増築に伴いグラウンドが若干狭くなりましたことや、統合により部活動数も増加したことから、グラウンドを整備するまでの間十分な練習環境を確保するため、野球部など一部の部活動が、津波避難場所や避難経路の確認を徹底した上で、旧須崎高等学校のグラウンド、テニスコート等を使用しております。また、これらの施設を部活動が使用していない場合には、ことし4月から、須崎市を通して、スポーツの振興や社会教育の振興のために各種団体に御利用いただけるようにしております。 現在、本館などの校舎部分に残っている備品等については、有効活用するために、須崎総合高等学校やその他の県立学校への搬出作業を適宜進めているところでございます。須崎市におきましては、来年度以降旧須崎高等学校の本館を含めてさらなる利活用拡大の意向があり、現在須崎市において具体的な検討が進められているとお伺いしておりますので、備品等の搬出作業を本年度中に完了させ、須崎市との協議を進めてまいりたいと考えております。 他方、高知南中学校・高等学校につきましては、現在中学1年生から高校3年生までの生徒が在籍しており、令和2年度の入学生が中学校と高等学校の最後の入学生となります。その生徒たちが卒業する令和4年度末まで、学校として校舎等を使用してまいります。 統合が完了します令和5年度以降の校舎及びグラウンド等の利活用につきましては、同校が高知市の避難所として指定されていることから、高知市の御意見もお伺いしながら、災害時などの安全が十分に確保できる範囲において、県教育委員会で検討することに加え、知事部局や県警などの関係機関にも意見を聞きながら、活用等について検討してまいりたいと考えております。 次に、須崎総合高等学校等における新たな通学路を含めた今後の施設整備についてお尋ねがございました。 須崎総合高等学校については、県立高等学校再編振興計画の前期実施計画において、教育環境の充実のため、グラウンドの整備なども検討することとしているところです。 このグラウンドの整備に当たりましては、学校へ向かう道路の道幅が狭く、工事車両の通行による粉じんや振動など周辺住民の方々への影響が予想されますことから、県と須崎市との連携のもと、須崎市が整備を計画している、学校への新たな通学路ともなる須崎市道を使用することを想定しております。このため、グラウンドの整備については、市道の整備に向けた取り組みの進捗状況を考慮しながら、市道の完成後速やかに実施できるよう、学校の意向確認など事前の検討を進めていきたいというふうに考えております。また、市道につきましては、現在須崎市において、整備に向けた地質調査等の取り組みを進めていただいております。 引き続き、須崎市と連携して、地域の方々の御意見にも十分配慮しながら、須崎総合高等学校の教育環境の充実に向けて取り組みを進めてまいります。 次に、県立高等学校の食堂についてお尋ねがございました。 高等学校の食堂は、法令上、設置を義務づけられているものではありませんが、文部科学省が示している、学校施設の整備に際し必要な留意事項を示した高等学校施設整備指針においては、学校が生徒の生活の場でもあることから、食堂は標準的に備えることが重要なものとされております。しかしながら、議員のお話にありましたように、近年、運営事業者が撤退し、後継の事業者も見つからず、食堂が廃止となる学校が出てきております。 その背景には、学校の食堂がほかの公共施設の食堂と異なり、利用者が生徒や教職員に限られることや、営業時間が昼休みに限定されており、また夏休みなどの長期休業中は営業できないこと、価格設定が抑えられているといった制約に加えまして、生徒数の減少や、コンビニなど学校外で昼食を購入し持参する生徒が増加したことにより、経営が厳しくなっていることが考えられます。 これまでも、学校では食堂の存続に向けて、生徒、教職員に食堂の利用を呼びかけたり、県教育委員会としましても、建物の使用料や共益費などについて可能な範囲で負担軽減策を実施してまいりましたが、食堂維持に向けてはさらなる対策が必要だと考えております。 一つの例といたしまして、生徒数400人規模の高等学校では、1日当たり160人程度の利用がないと経営が成り立たないといった具体的な数字も食堂事業者から伺っております。今後、こうした食堂事業者の状況や要望もお聞きしながら、各学校に応じた具体的な対応策の実施に向けて、学校、PTA、生徒会代表などに事業者も加えた、食堂継続のための検討委員会の設置なども検討してまいりたいと考えております。あわせまして、県教育委員会としましても、PTAとの連携なども含めまして、食堂事業者の負担軽減策について、引き続き検討をしてまいります。 最後に、市町村立学校への校務支援システムの導入の現状と今後の市町村に対する支援についてお尋ねがございました。 児童生徒の出欠管理や成績処理など、市町村立小中学校の教職員が担うさまざまな事務の軽減を図る校務支援システムにつきましては、本年4月より業務削減効果を検証する効果測定重点校となる5校に先行導入した後、この2学期から高知市など26市町村、195校の小中学校において運用がスタートしております。来年4月には、統廃合が予定されている一部の学校を除き、全市町村の小中学校への導入が完了し、今後、教職員がどの学校に異動しても同じシステムを活用して効率的に業務を行える環境が整ってまいります。 導入当初は、各教職員が利用方法を習得し業務手順に順応する必要があるなど、一時的な業務負担が見られますので、全ての管理職や教員などを対象とした研修の実施に加え、システムに関する専用のヘルプデスクを設置し、各学校に混乱が生じることのないよう、しっかりとサポートに努めているところです。来年4月からの導入に向けて準備を進めている市町村に対しても、同様に丁寧なサポートを行ってまいります。 校務支援システムは、全国の市町村教育委員会の多くが、教員の働き方改革を推進するために導入を希望する一方で、多額の費用負担が課題となり取り組みが進まない現状を踏まえ、高知県では県が主導し、各市町村固有の様式なども統一しながら、同じシステムを全市町村が共同利用することで、負担軽減を図る全国のモデルとして一括導入を進めてまいりました。 システムの利用者は市町村立学校の教職員でありますが、構築経費については、県において、国の事業の採択を受け、国費の対象とならない経費はその半額を負担するなど、可能な限りの財政支援も行ってまいりました。また、運用経費に関しては、県が、代表して調達手続を行う中で、当初の計画から約3割の経費を削減するなど、市町村の運用コスト縮減にも積極的に取り組んできたところであり、各市町村の御理解も得て、本年4月には全市町村との間で費用負担に関する協定書を交わしております。 各市町村においては一定の費用負担が伴いますが、本システムの活用により教職員の業務の大幅な負担軽減が図られ、これに伴い生み出された時間を児童生徒へのきめ細かな指導に充てるなど、子供たちの教育のさらなる充実も図られますことから御理解をいただきたいと考えております。   (警察本部長宇田川佳宏君登壇) ◎警察本部長(宇田川佳宏君) 今後の高齢運転者の認知機能検査における利便性向上のための受検場所や体制整備についてお尋ねがございました。 現在、認知機能検査は、原則として全て、県下に11校ございます指定自動車教習所に委託しており、年間約1万8,000人の方が同検査を指定自動車教習所で受検している状況でございます。 ところで、この認知機能検査の対象である75歳以上の免許保有者でありますが、今後継続的に増加し続け、2030年には現在の約1.4倍になることが予想されているところであり、その検査体制をどのように整備していくかは、県警察においても重要な課題となっているところでございます。 こうした中、県警察では本年4月から、身体の障害などの理由により特別な補助を必要とする方、受検期限が迫った方で指定自動車教習所での期限内の受検が困難な方などに限りまして、認知機能検査従事者の資格を取得した免許センター職員が免許センターまたは警察署等において認知機能検査を直接実施する運用を、試行的に実施しているところでございます。試行開始後、昨日までに、免許センター職員が18人の受検者の方に対しまして認知機能検査を直接実施しているところでございますが、その中には、身体の障害を理由とした方の受検のために室戸警察署へ、また期限切迫を理由とした方の受検のために宿毛警察署へそれぞれ免許センター職員を派遣して、認知機能検査を直接実施した実績も積んできているところでございます。 今後、こうした免許センター職員による認知機能検査の直接実施の試行の状況を分析、検証し、指定自動車教習所の受け入れ体制や、指定自動車教習所から遠方に居住する高齢者の方の利便性など、総合的に検討した上で、引き続き検査体制を整備しつつ、高齢運転者の負担軽減に資するよう努めてまいりたいと考えているところでございます。   (中山間振興・交通部長川村雅計君登壇) ◎中山間振興・交通部長(川村雅計君) 県内の各地域で作成している地域公共交通網形成計画の実効性をどのように高めていくのかとのお尋ねがありました。 議員お話のとおり、高齢化が進む中、地域の公共交通の重要性は今後ますます高まってくるものと認識しております。 県内では、現在11の市町村において、それぞれの地域の関係者が課題を共有し、その解決に向けた公共交通網の形成計画を作成しており、加えて嶺北地域や東部地域では、県の主導により、市町村をまたぐ広域的な公共交通網の形成計画を作成しています。それぞれの市町村ではこの形成計画を具現化するため、地域の方々や関係者の声を聞きながら、公共交通をより利用しやすくする取り組みを協議しており、県も、その協議の場に参画し、支援策の活用方法についての助言や先進事例の紹介など、さまざまな支援を行っているところです。 このような形成計画に基づく市町村の取り組みによりまして、低床バスの導入や駅へのエレベーターの設置といったバリアフリー化の推進、コミュニティーバスの導入に伴う路線再編や、結節点での乗り継ぎの改善によるネットワークの確保など、公共交通の利便性の向上につながっています。 県としましては、引き続き市町村に対し、課題解決に向けた財政的支援や他地域の取り組み事例の紹介などを行い、市町村との連携のもと、公共交通で移動しやすい環境づくりに積極的に取り組んでまいります。 ◆13番(西内健君) それぞれに丁寧な御答弁をありがとうございました。第2問は、特にはございません。 最後に、尾崎知事に対しまして、12年間、県勢の浮揚に向けて邁進されたことに心より御礼を申し上げます。 私は、やはり県経済--特に産業振興計画をつくったということが、県がこの縮小する高知県経済において手を携えていく姿勢が、県の経済のさまざまな指標の上昇につながったものだと思います。事業者において、事業計画をつくり、しっかりと予算を組んで、また実績と比較し、改めて計画をつくり直す。まさに県内の事業者にとって、なかなかなかった、PDCAをしっかり回す、この仕組みができたのも、産業振興計画のおかげであったのではないかと思います。そして、そのための仕掛けとしまして、土佐まるごとビジネスアカデミーであるとか、そういったものを機能させながら、この県勢浮揚にしっかりとつなげてまいったところではないかと思っております。 最後に、知事はこの12年間の実績を携えて、国政挑戦の意欲を示されました。地方の実情を知る立場として、しっかりとそれらの声を今後も、国政の立場に立たれたときには伝えていただきながら、国のため、そして高知県のため活躍されることを祈念いたしまして、私の一切の質問といたします。(拍手) ○議長(桑名龍吾君) 暫時休憩いたします。   午後0時8分休憩-----------------------------------   午後1時10分再開 ○副議長(弘田兼一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 28番石井孝君。   (28番石井孝君登壇)
    ◆28番(石井孝君) 失礼します。県民の会の石井です。県議会議員として2期目の負託をいただきました。これからも、県民の皆様に寄り添った身近で温かな県政をつくるためにとの会派県民の会の基本姿勢のもと、しっかりと奮闘してまいります。私自身、初の会派代表質問となります。知事初め執行部の皆様、よろしくお願いをいたします。 初めに、今議会が最後となる尾崎知事の政治姿勢についてお伺いします。 先月21日、尾崎知事の4期目不出馬の会見により、県内に大きな波紋が広がりました。これまでの12年間の尾崎県政は、県民から高い支持を得てきました。全国知事会でのリーダーシップ、国への積極的な政策提言を行いながら、経済の活性化などの5つの基本政策と、それらに横断的にかかわる政策として中山間対策の充実強化などを掲げてこられました。目標に対する成果や各種の経済指標が、知事のすばらしい功績を物語っています。 また、4年間ではありますが、県議会議員として、知事の県政運営の手腕と魔法のような答弁を目に耳にしてまいりました。率直に知事の4期目に期待し、御指導を賜りたいと感じていただけに残念です。 新聞報道でもありましたように、7月の世論調査で約67%が尾崎知事の続投を望む結果でした。一方で、これまでの目に見える成果とその結果による評価から、国政への期待感を持つ県民の声も寄せられています。 もう一方では、12年前多くの政党や関係団体から推される万全の布陣から誕生した尾崎県政が、各政党や会派と一定の距離感で、対話と実行を基本に県民目線で県政運営を行ってきたにもかかわらず、自民党内で競合する山本有二衆議院議員との党内調整を経ないまま、次期の衆議院議員選挙に高知2区から自民党公認候補として立候補を目指すことを表明し、高知2区の広田一衆議院議員に挑む構図になったことを鑑みて、去就のあり方について、初心を忘れているのではないか、人情的にどうなのかといった声もあります。 さまざまな波紋を広げた8月21日の記者会見は、まさに県政界には激震が走り、多くの県民が今後の行く末に関心を持つこととなりました。特に、御自身の後継者のPRと知事選挙への応援を力強く語った尾崎知事の発言には、私は違和感を抱きました。 後継者指名という強烈なトップダウンに、県民からも尾崎知事らしからぬとの意見もありますが、会見以降これまでの反響についてどのように感じていらっしゃるのか、知事にお伺いします。 これからの高知県も、引き続き課題先進県として多くの課題を克服していかなければなりませんが、会見において、秋の知事選には出馬せず国政挑戦を決意した、課題先進県の知事としての経験と東京時代の行政官の経験を生かし、国政をより地方重視にしていくために我が身をささげたいと語られました。 そこで、国政がより地方重視となれば県政施策がどのように進むと考えるのか、知事の御所見をお伺いします。 知事は、基本政策のさらなるバージョンアップを図り、県勢浮揚の実現に向けて実効性の高い施策をスピード感を持って展開するとして県政運営に取り組まれてきました。それでもなお、尾崎知事をもってしてもこれまで進めることができなかった施策こそが、今後の県政の重要事項であり、懸案事項であると思います。 今議会の知事提案説明でも、任期の限り高知県知事として、新たな時代に向けて知恵を出し、汗をかいてまいる所存であり、残る期間、県勢浮揚に向けた歩みをとめることなく、職務に精励する所存と述べられました。 後継者の知事選の応援をするよりも、知事が12年間でなし得なかった事柄や現在挑戦している困難な課題への道筋を示し、新知事にしっかり引き継いでいただくことを残された期間で全うしていただきたいと願いますが、知事のお考えをお伺いします。 課題や懸案事項への道筋を示した上で尾崎知事が新たなステージで活躍されることを、県民は期待していると思います。 次に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会についてお伺いします。 先日20日、ラグビーワールドカップが開幕しました。プールAの日本代表は、初戦を30対10でロシアに勝利しました。かたさが目立った、苦しみながらも勝利との見出しが出ておりました。次は、世界ランキング1位のアイルランドとの一戦です。格上のチームに対して正々堂々と立ち向かい、善戦することを期待しています。また、高知県に事前キャンプに来ていただいたトンガ代表の今後の御健闘を心よりお祈り申し上げます。 来年には、東京オリンピック・パラリンピックも開幕予定であり、世界的なスポーツイベントの開催によって日本に注目が集まっています。開閉会式でのよさこい演舞の実現に向けた取り組みにも期待をしております。 高知県にも、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした海外チームの事前合宿に来ていただくこととなっています。誘致に御尽力いただいている関係者や、合宿中の通訳業務等の支援をしていただける、大学生を中心としたキャンプサポーターの皆様に、心から敬意と感謝を申し上げます。誘致に当たっては、高知県シンガポール事務所による仲介や、オランダとの友好園芸農業協定を生かしたもの、またカヌーなどは自然条件等の立地を生かした取り組み、さらには住民団体の交流をきっかけとしたものまで幅広く展開していただいています。 そこで、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の事前合宿に向けたさらなる誘致の展望と、誘致をきっかけとした外国との産業や教育などさまざまな分野の相互交流を深めていくことも必要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。 来月から始まる消費税の増税についてお伺いします。 昨年度の国の税収は約60兆円、バブル期の1990年度の約60兆円をわずかに超え過去最高税収となりました。1990年と2018年の内容を比較すると、所得税と法人税を合わせて12兆円の減収に対して、消費税による増収が13兆円となっています。1,100兆円を超え毎年膨らみ続ける国の借金は一体いつまで続くのかとの不安の声や、毎年増大する社会保障費により、来月からの消費税率2%の増税分である5.6兆円も、その半分の2.8兆円は借金返済、あとは教育・子育てに1.7兆円、社会保障に1.1兆円を充てることとなっていますが、すぐに財源不足になり、これまで繰り返してきたように、新たな消費税の増税議論と法人税の減税が始まるのではないかと不安の声もあります。 借金がふえ続け、消費税増税と法人税減税を繰り返してきたこれまでの国の財政運営について知事の御所見をお伺いします。 来月から始まる消費税の増税では、クレジットカードなどのキャッシュレス決済を利用した消費者に対して、購入額の5%もしくは2%分をポイントやキャッシュバックで還元する期間限定の施策も実施されますが、還元の仕組みが多様であり、消費者や企業に混乱が生じないかといったことが懸念されています。 また、今回新たに食品などを8%に据え置く軽減税率が導入されることとなりましたが、複数の税率を管理していくためのレジスターの買いかえなどの体制整備や、同じ飲食料品であっても店内飲食では通常の10%の税率が適用されることへの対応など、円滑な移行に向けて県内企業からの困惑の声も耳にしているところでございます。 そこで、円滑な制度移行に向けて、キャッシュレス決済のポイント還元事業や軽減税率の仕組みの周知など、これまで県内企業に対してどのように取り組まれてきたのか、また今後引き続きどのように取り組まれていくのか、あわせて商工労働部長にお伺いします。 次に、管理型産業廃棄物最終処分場についてお伺いします。 これからの県政における継続した課題としては、管理型産業廃棄物最終処分場の整備への取り組み課題や新食肉センター建てかえに関連する課題、ルネサス高知工場跡地と従業員の雇用問題、南海トラフ地震対策のさらなる推進、教育の充実、産業振興、観光振興、会計年度任用職員制度の導入や行政改革の推進など、人口減少と少子高齢化が進む中で、県の勢いや県経済を取り巻く多くの事業と問題や課題があります。 管理型産業廃棄物最終処分場の整備に関しては、この間、丁寧な地元説明のもと、着実にその整備に向かっていると聞いております。今後の地域振興策に地元も期待していることでしょう。 知事は、6月定例会の質問に対して、川の増水や地下の空洞の有無など地元の皆様の不安については、「御不安をしっかり解消していくためにも、ボーリング調査を初め、建設予定地の地形状況等に応じた調査や設計等、億単位の多額の予算を伴う対応が必要であること」、また「今後、調査を進めていく過程においても、節目節目で調査結果を公開し、説明していく、調査などの結果により、致命的な事態が明らかになれば、加茂地区での施設整備は中止することとする」との答弁でした。 地質・ボーリング調査は、その結果いかんによっては致命的な事態にもなりかねませんし、多額の予算を伴い、時間的にも余裕のない、大変重要な管理型産業廃棄物最終処分場の加茂地区での最終決定を左右します。 そこで、今回の地質・ボーリング調査は、1社のみによる調査ではなくセカンドオピニオン的に別の調査業者の調査も実施し、その調査結果も踏まえることで、現在の予定地に処分場を建設する場合の安心の担保とすべきと考えますが、知事のお考えをお伺いします。 次に、元ルネサス高知工場従業員の雇用についてお伺いします。 ルネサス社は2015年12月に工場閉鎖を表明して承継先を探していましたが、見つからないまま昨年5月に閉鎖されました。その後、協力して承継先探しを続けていた県の紹介をきっかけに、昨年の10月に、コットン製品の製造・販売で業界首位の愛媛県大洲市の丸三産業株式会社に譲渡されました。その後、同社は約35億円を投じて建物改修や設備投資を実施し、本年6月の操業開始を予定して求人を募ってきました。また、段階的に大規模な投資に踏み切る方針が打ち出されております。 記者会見した知事は、関係者の尽力に感謝したい、閉鎖後に退職してまだ就職先が決まっていない人たちや、配置転換で県外に出た人たちに紹介したいと話されました。昨年5月の閉鎖には間に合わなかったものの、県の御尽力により工場誘致が実現したことは、すばらしい成果であると言えます。敬意と感謝を申し上げます。一方、知事も言及されています、閉鎖で退職した方々や配置転換となった方々への対応が求められています。 丸三産業では工場閉鎖により県外に配置転換された元ルネサス高知工場従業員なども受け入れる予定とお聞きをしておりますが、現在の操業状況と雇用状況、今後の雇用の展望について商工労働部長にお伺いします。 知事も、ルネサス社が当時抱えてくださっていた雇用量に達していくためにも、もう一段、川谷刈谷工場用地等に企業誘致をしていくことが大事で、トータルとしてルネサス社以上の雇用を目指すと言われております。 川谷刈谷工場用地への企業誘致の進捗状況と元ルネサス高知工場従業員の雇用確保の方策について商工労働部長にお伺いします。 次に、観光振興についてお伺いします。 ことしの2月1日から来年の年末までの予定で、「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」がスタートしています。今議会の知事提案説明にもございましたように、自然&体験キャンペーンのスタートから約半年、県外観光客入り込み客数も順調であること、また中山間地域への誘客も着実に進んでいるとのことでした。今後も、自然体験を前面に押し出しながら、これまで磨き上げてきた高知の食や歴史、文化を融合させた、知事の観光振興の集大成とも言えるキャンペーンの展開に期待しています。 先月、産業振興土木委員会の県外調査にて、世界遺産登録されている合掌造り集落で有名な岐阜県の白川村を訪問しました。その際に、観光振興策についてその現状と取り組みや課題を御説明いただきました。 白川村では2018年から、大手通信事業者が提供する情報通信技術を使用した約80万人規模の観光動態調査が行われていました。民間のビッグデータを活用することで、正確で精度の高い観光動態調査が解析できるようになったとのことでした。この動態調査では、1時間ごとの人口を24時間365日把握することができます。1時間ごとの人口増減を、国・地域別、性別、年代別、居住エリア別に把握できます。入出空港別、前後滞在地別、滞在日数別、経過日数別など、日帰りや宿泊の判別も含め、どの期間にどこからどこへ何人移動したかも把握できます。エリア内に滞留する人口とエリア間を流動する人口も判定できます。 本県では高知市において、れんけいこうち広域都市圏における平成30年度事業として、別の大手通信事業者が提供する携帯電話の位置情報ビッグデータを活用した観光客動態調査を実施しています。観光客の属性や移動軌跡等の調査及び分析を行うことにより、客観的な根拠に基づいた効果的な観光施策の立案につなげることを目的として実施しています。 そこで、県として、この調査分析結果を生かしたれんけいこうち広域都市圏で進める周遊促進の取り組みと県の観光施策を連携させるべきと思うが、観光振興部長の御所見をお伺いします。 このれんけいこうちの観光客動態調査は、約3万人の国内来訪の観光客動態調査となっています。外国人観光客については、四国運輸局がサンプル数500人程度の四国エリアにおける訪日外国人旅行者の周遊動態・趣向分析調査を行っています。 費用対効果の面からも難しい課題ではありますが、一度四国4県で連携して、外国人観光客も含めたもう少しサンプル数の多い動態調査を行い、より詳細な振興策を立案するためにニーズの把握に努めてはどうかと考えますが、観光振興部長の御所見をお伺いします。 また、県外出張では南信州の体験型の観光振興を学ぶ機会がございました。それぞれ地域の自然や文化を生かしたすばらしい取り組みであると感じました。当然のことながら、高知県の強みである自然や食や文化を生かした観光振興策が重要となります。 次に、観光に関連して、四万十川についてお伺いします。 世界的にも有名な日本最後の清流四万十川では、釣りやカヌー、キャンプ、最近ではSUPなどの体験メニューに加え、自然を満喫する屋形船の周遊コースもあります。本県を代表する観光名所の一つとして、引き続き四万十川の観光振興に取り組むことが必要だと思います。今後、インパクトのある新たな四万十川観光の振興策に期待をしています。 知事は日本最後の清流四万十川を観光資源としてどのように捉えているのか、お伺いします。 現在、残念なことに四万十川でメガソーラーの建設計画が進んでいます。多くの住民から反対の声が上がっています。屋形船が回遊するのどかな自然の中に、幾ら目隠し用に植栽するとはいえ、川沿いの過去に浸水した土地にメガソーラーを建設することは、重要文化的景観や安全性の面からも賛成できないと反対運動が一つになりつつあります。先週20日には、四万十市議会において、メガソーラーの建設反対の陳情が採択されました。 今月8日から9日にかけ本州を襲った台風15号は、千葉県を中心に甚大な被害をもたらしました。大規模停電が長期間続き、被害の全容が把握できていないまま、屋根の補修作業による転落事故など二次災害が相次いでいます。被災された方々、二次災害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。その千葉県市原市のため池の水面にある千葉・山倉水上メガソーラー発電所において、台風の強風でフロート架台が破損し、複数箇所から火災が発生しました。首都圏の災害は、寺田寅彦先生の「文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその激烈の度を増すという事実」との言葉が胸を刺します。 四万十川沿いに設置されようとしているソーラーパネルについても、こうした危険性を否定できないのではないでしょうか。台風の多い高知県、昔から暴れ川の別名を持つ四万十川、過去の水害でははかれない最近の局地的な集中豪雨といった面からも、このメガソーラー建設に私は反対の立場で行動しておりますが、現在の高知県四万十川の保全及び流域の振興に関する基本条例では、景観対策と危険性の排除対策さえあれば容易に許可できてしまうのではないかと心配をしています。極端に言えば、条例上の対策さえ施せばどこでもメガソーラー建設が許可できる条例なのかとも考えてしまいます。 四万十川沿いにおけるメガソーラー建設予定について知事の御所見をお伺いします。 また、今後高知県四万十川の保全及び流域の振興に関する基本条例を見直して、四万十川沿いの土地の利用についてはその規制を強化すべきと考えますが、林業振興・環境部長のお考えをお伺いします。 次に、保育についてお伺いします。 今議会に条例案が提案されています会計年度任用職員に関しては、県の条例案を参考に多くの市町村も12月議会の提案に向けて準備していることと思いますが、保育行政など市町村独自の課題があります。 全国的にも保育士不足が叫ばれる中、県内でも多くの市町村が、年度当初から臨時職員に頼った保育行政を行っています。来年度から会計年度任用職員となる臨時の保育士さんのこれまでの実績をどのように前歴換算するのかといった近隣市町村での処遇の違いによっては、年度当初から必要な保育士が配置できないなどの争奪戦になりかねません。 県内の保育所や幼稚園の子育て支援を管轄する立場から、臨時保育士の会計年度任用職員制度への移行に伴う市町村間での保育士の争奪などの懸念に対して教育長の御所見をお伺いします。 さきにも述べました消費税の増税により来月から、3歳から5歳までの幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料が無償化されます。あわせて、賃上げによる保育士増員のための増税ともなっています。 増税分による保育の無償化と保育士の賃上げによって県内の保育士不足の解消が図られるのか、今後の展望について教育長に御所見をお伺いします。 また、待機児童の解消や速やかな保育士の配置と確保に向けた県の取り組みについて教育長にお伺いします。 保護者は、保育士が確保できているのかどうなのか、どのような内容の保育が行われるのか、無償化による保育の質の低下はないだろうか、また何歳から受け入れて、何時から何時まで預かりがあって--送り迎えと仕事のバランスを図りながら、大事な子供を預ける保育所や幼稚園を決めます。しかし、市町村では、財政難や児童数の減少、保育所の老朽化などの理由により、保育所の廃止や新たな施設整備などの再編計画が着々と進んでいます。 幼保支援が子供たちにとって重要な時期であるという認識のもと、保護者のニーズと市町村が進める保育所の再編計画について、教育委員会としてどのようにかかわっているのか、教育長にお伺いします。 私はこれまで、就学前のゼロ歳から6歳までの幼保支援の重要性について質問をしてきました。以前、幼児教育が国家にとって最も費用対効果が高いという教育経済学の研究に関する質問をしました。これは、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授の研究です。 また、運動や体育は、生活や仕事など生きていく上で必要な対処力、創造力、自制心、根気強さといった、社会的能力の向上に資する可能性が大きいとされる非認知スキルを高めるため、運動を得意とする子供と苦手な子供の二極化が顕著になる前段階の幼児期に、運動の楽しさを体感することも子供たちの社会性を育む上で大切だといった趣旨の質問もしてきました。 脳科学的な分野からも、特に6歳までの教育が肝心だと言われています。なぜなら、脳を使う資質の約9割は6歳までに完成されてしまいます。幼児期に爆発的につくられていく脳の神経ネットワークも、6歳を境に脳の神経ネットワークの発達にブレーキがかかります。また、6歳で右脳から左脳に主導権が移ります。その役割が決まるまでに興味ある刺激を受けて、右脳と左脳をつなぐ脳梁を鍛え、全脳が使えるパイプスルーが大切だと言われています。 こうした背景からも、現在世界各国が幼児教育に予算を投入しています。6歳で能力が固定化してしまうのに義務教育が6歳からでは遅いと考え、イギリスでは5歳、オランダでは4歳、フランスでは2019年度から3歳で義務教育をスタートさせることとなりました。カナダでは、ゼロ歳から1人の子供に対して1人のベビーシッターをつけるプログラムがあり、デンマークでは、チャイルドナースと呼ばれる幼児教育のスペシャリストを育成しています。チャイルドナースは、国の負担で利用時間の制限もなく各家庭の要請により派遣されます。このように先進国は、幼児教育の質の向上と強化へ動いています。 こうした世界的な動向も踏まえて、日本の幼児教育の現状と課題について教育長の御所見をお伺いします。 現在の日本の教育システムにおいて、義務教育を早めることは容易ではありません。すぐに、科学的根拠に基づく先進的な幼児教育を実践するならば、保護者とその家族への支援と、ゼロ歳から6歳を預かる保育士と保育所の充実強化が必要だと思います。特に、未来を創造していく子供たちの大事な発育時期を預かる保育士には、デンマークのチャイルドナースのような幼児教育のスペシャリストとしての充実強化が理想的だと感じています。 保育士のキャリアアップと処遇改善については、2017年4月に厚生労働省より、保育士等キャリアアップ研修の実施についての通知がありました。「児童福祉施設の職員は、常に自己研鑽に励み、法に定めるそれぞれの施設の目的を達成するために必要な知識及び技能の修得、維持及び向上に努めなければならない」こととされており、「児童福祉施設は、職員に対し、その資質の向上のための研修の機会を確保しなければならない」こととされています。 近年、子供や子育てを取り巻く環境が変化し、保育所に求められる役割も多様化、複雑化する中で、保育士にはより高度な専門性が求められるようになり、日々の保育士としての業務に加え、各種の研修機会の充実によってその専門性を向上させていくことが重要となっています。 現在、保育現場においては、園長、主任保育士の下で、初任から中堅までの職員が、多様な課題への対応や若手の指導等を行うリーダー的な役割を与えられて職務に当たっており、こうした職務内容に応じた専門性の向上を図るための研修機会の充実が特に重要な課題となっています。 乳児保育や幼児教育、障害児保育、保護者支援・子育て支援などの専門分野別研修とマネジメント研修、保育実践研修などが盛り込まれていますが、現状各保育所が保育士の配置基準を満たすために苦慮する中で、多忙な保育士がこの保育士等キャリアアップ研修を生かせているのか疑問を感じます。さらに、臨時の保育士に頼った保育行政が続く中で、臨時保育士のキャリアアップや処遇改善についても検討すべきではないかと感じます。 県内における保育士等キャリアアップ研修の受講状況と課題について教育長にお伺いします。また、臨時保育士のキャリアアップについて、県としてどのように取り組んでいるのか、あわせて教育長にお伺いします。 預かり保育から、専門性の高い幼児教育としての保育が求められる時代だと思います。そのためには、保育士の確保による多忙感の解消、そして保育の質の底上げに向けた体制の構築が求められています。これまでの体制を抜本的に見直さなければ、子供たちの、ひいては日本の未来が危ぶまれている状況にあるのではないでしょうか。 次に、保育に関連して、発達障害と療育についてお伺いをします。 先日、「県内特別支援校 教室不足」との新聞記事がございました。社会や保護者の理解を背景に、特別支援学校に通う知的障害のある児童生徒がふえ、専門対応に苦慮しているとのことでした。記事には、不足する教室やスペースを探し回る実態や環境整備に対する保護者からの訴えを受けて、県教育委員会は本年度、支援学校新設も含めて対応策の協議をスタートさせ、年内には具体的な方向性を固める方針とありました。 2005年に発達障害支援法が施行されて以降、発達障害については、その保護者はもちろん、医療関係者や保健・福祉・教育関係者に広く知られ、近年では社会の理解もある程度進んできたように思います。 発達障害の主な障害とされるのは、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の3つです。それら、複数の特性をあわせ持っていることも少なくないそうです。重度の発達障害から軽度の発達障害までさまざまです。発達障害は外見からはわかりにくく、その症状や困り事は十人十色です。 また、発達障害の特性はあるが、診断基準を満たさないグレーゾーンと言われる、はっきりと見きわめづらい状態にある子供もいます。診断基準を満たす場合に比べ、困難は少ないと思われがちですが、理解や支援が得られにくいなどグレーゾーンならではの悩みもあります。 さらには、発達障害に対する周囲の対応によって引き起こされる二次障害もあります。二次障害には、不眠やパニック、集団への不適応、不安障害、統合失調症、鬱病などが挙げられます。一口に発達障害と言っても、こうした複雑な状況下にあります。 さきに述べたゼロ歳から6歳までという幼児教育が一つの目安になるのは、発達障害の子供も同じです。6歳までに適切な教育を受けることができれば、苦手を克服する脳の神経ネットワークが構築でき、生きていく上での困り事を随分と軽減できると言われています。運動も同じです。体幹が弱い傾向にある発達障害の子供は、座っていられず寝転びたがる傾向にあるそうです。しかし、幼児期に楽しく運動することを知れば、時間がかかっても解消することができるそうです。また、ハーバード大学では、6歳までに効果的な療育を受けられれば、IQを平均27ポイント上げることができるとしています。これは知的障害のある子供のIQが平均以上になるということです。 発達障害の子供の生きづらさは、幼児期に適切な教育を受けることで解消できることがあります。さらには、類いまれな才能を引き出せるよう支援することで、将来にわたってすぐれた才能を生かして活躍できる可能性も大いに秘めています。発達障害の子供たちへの幼児期における適切な教育とは、ただの預かり保育ではなく、社会に出るためや自立するためだけの訓練でもありません。自尊感情を育み、個性を認め、自分からやってみようとする姿を引き出す療育を指しています。 今回の質問に当たり、多くの施設関係者や保護者の皆様にお話を伺いました。まだまだ勉強不足な面もありますが、世界の潮流や科学的根拠、先進的な民間施設の事例を知り、幼児教育と療育の重要性を改めて強く感じました。 発達障害の子供に対しては、乳幼児健診での早期発見、早期療育、早期支援の必要性が認識されてはいますが、現実的にはさまざまな課題があります。まず重要なのは、疑いがあるならば、なるべく早い段階で発達障害かどうかの診察を受けることです。子供が何か問題を抱えているかどうかに最初に気づくのは、保護者か保育士が多いはずです。しかしながら、保護者が子供の何らかの障害を認めたくないという心情に駆られ、受診することをためらうケースがあるそうです。 最近は、発達障害の疑いがあるので受診してみてはどうかと勧める先生や保育士もふえてきているとのことですが、ある保育士からは、最初に相談してから約2年後にようやく保護者から受診への決心をいただいたという話も伺いました。第一歩は、発達障害に対する保護者や家族への理解が必要です。 発達障害に対する早期診断と早期療育が子供の未来を切り開くのだという理解と啓発が肝心だと考えますが、地域福祉部長の御所見をお伺いします。 子供の抱える問題、いわゆる発達障害等の早期受診には保育士の気づきから保護者への助言がしっかり行われる体制が必要だと考えますが、教育長に御所見をお伺いします。 しかし、早期受診にこぎつけたとしても、発達障害の診断ができる医師が少ないことも問題視されています。1歳半、3歳児の幼児健診や子供のために複雑な思いを抱えて診察に訪れたとしても、医師が発達障害に詳しくない場合など経過観察として判定が先送りされ、療育の開始がおくれてしまう現状もあります。 そこで、発達障害の診断ができる専門的な医師を育成することや、医療的な立場からも早期受診のために健診体制の強化が必要と考えますが、地域福祉部長の御所見をお伺いします。 これらの道筋を経て、やっと早期療育の入り口にたどり着きます。次は、速やかに利用できる療育の体制整備が求められます。診断基準の変更や社会的な認識の高まりから、近年発達障害とされる子供はふえています。よって、療育を受けられる場が足りなくなっているのではないでしょうか。文部科学省の調査によると、発達障害の可能性のある子供は推計で約60万人とされていますが、そのうちの4割弱は特別な支援を受けていないとのことです。多くの子供たちが療育を受けられず、社会に出て活躍できる足がかりをつくることができないのは、本人にとっても社会にとっても痛手だと思います。 児童発達支援センターも含め県内の療育の受け皿の拡大について地域福祉部長の御所見をお伺いします。 次に求められるのは、発達障害の子供の状況に合った的確な療育の質の確保となります。さきに述べたように、発達障害の子供たちの状況は十人十色です。障害の子供に合った治療、教育を行う児童発達支援センターは、県内療育施設の中心的な役割を担うセンターとして大変重要です。 児童発達支援センターにおける療育の質の向上を図る取り組みと、県内の療育施設に対する質の底上げ策について地域福祉部長にお伺いします。 次は、グレーゾーンの支援が必要ではないでしょうか。さきに述べましたように、発達障害の特性はあるが、診断基準に満たないグレーゾーンにある子供たちへの支援をどうするかという問題です。こうしたグレーゾーンに当たる子供たちも、幼児期に適切な療育が受けられることで、苦手な部分を大きく改善することができるのではないかと考えます。 このグレーゾーンの子供たちに対する療育的な支援について地域福祉部長のお考えをお伺いします。 このようなグレーゾーンの子供たちは、その診断も曖昧で、明確な療育を施すことも困難かもしれません。また、定型的な発達をしている子供の中にも、隠れ発達障害のような子供やこれだけは苦手だという子供もいるのではないかと思います。 そこで、保育所において全ての子供たちに療育的な保育を実践してみてはどうかと考えますが、教育長の御所見をお伺いします。 あとは、社会の理解がさらに進むことに期待しています。高知県では昨年の7月から、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで援助が受けやすくなるよう、赤い札にプラスとハートマークが白抜きされたヘルプマークを配布しています。 県民に対するヘルプマークの認知度向上への取り組みについて地域福祉部長にお伺いします。 発達障害の子供を抱える保護者の苦労ははかり知れないものがあると思います。そうした保護者は、医療面のサポートも生かした日常的に役立つ個別の支援計画を立ててくれるような、療育的な視点を持つ保育士の加配を速やかにつけていただくことが理想となります。しかし、実際は保育士不足により速やかな加配は難しく、熱心な保育士も日々の業務に追われ、療育の勉強をする機会になかなか恵まれないのが現実ではないでしょうか。さらには、医師の専門性、グレーゾーンへの対応、療育の受け皿の拡大と質の向上、社会の理解などなど、理想に向けた道のりはまだまだ遠いように思います。 今後、保育・療育の充実を図っていくためには、知事部局の福祉担当部局、医療担当部局、そして保育を所管する教育委員会が連携して取り組むことが必要不可欠と考えます。 そこで、療育を取り巻く各部局間の連携体制について地域福祉部長にお伺いします。 教育や保育、福祉、医療の一部とした捉え方の療育では、発達障害等を抱える子供たちの未来を切り開いてあげることは難しいと思います。医療や介護・福祉などと同じレベルに療育を据えて、後の県の機構改革も見据えて抜本的に取り組む領域として御検討いただきますようお願い申し上げまして、第1問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 石井議員の御質問にお答えをいたします。 まず、知事選4期目への不出馬と国政への挑戦を表明した会見以降の反響についてお尋ねがございました。 私の去就表明については、各方面から評価していただく声や御批判の声など、さまざまな御意見をいただきました。こうした御意見は真摯に受けとめなければならないと思っているところです。また、今は残された任期の限り、職務に全力で取り組んでまいりたいと考えております。 一方で、先日の去就会見では、尾崎県政を継承、発展していただける方を見つけることができたので、その方に私自身として知事選への立候補をお願いしている旨を申し上げました。これは、今後の県政運営を見据えた際の、私なりの候補者の選択肢を県民の皆様に提案させていただいたものにすぎず、当然のことでありますが、あくまで最終的には選挙で有権者の皆様がどの候補者を選択されるかお決めになることとなります。 私といたしましては、今の県勢浮揚の傾向をさらに伸ばしていくためには、今の県政上の政策群を継承し、発展させていくことが必要であると考えさせていただいております。他方で、4期目の知事選に立候補しないという決断を下した者として、その責務をみずからが果たせないのであれば、この流れを継承する意志と能力を持つと私が考えさせていただいた方を次期知事選の候補者の選択肢としてお示しすることにより、私なりの政治的責任を果たそうと考えたところであります。 次に、国政がより地方重視となれば県政施策がどのように進むのかとのお尋ねがございました。 提案説明でも申し上げましたとおり、我が国の持続的な発展を可能とするためには、東京などの都市の力に加えて、豊富な資源や多様な産業、人材などを有する地方の潜在力を生かし切ることが何より重要であると考えております。今後は、国の政策立案過程において、より地方を重視した2つの方向での取り組みが重要であると考えているところです。 1点目は、国の政策立案段階から地方の実情をより一層反映することであります。例えば、地域包括ケアシステムを初めとする社会保障制度の構築などにおいては、都市と地方では大きく事情が異なりますし、また地方間でも状況が違っていることから、必要となる施策もおのずと異なってまいります。このため、国の政策に地方の意見が十分に反映されることとなれば、それぞれの地方の実態に合った施策展開が可能となるものと考えられます。 2点目は、地方みずからの努力を力強く後押しすることであります。本県においては、例えば南海トラフ地震対策や産業振興計画を初めとする高知の実情を踏まえた独自の施策を展開しているところですが、これらを実施する上で一定の財源を必要とするのもまた確かであります。こうした地方独自の施策展開を国が持続的かつ強力に後押ししてくれることとなれば、地方として中長期的に計画性を持って、より速いペースで取り組むことが可能となるものと考えております。 こうした取り組みが講じられることによって、国政がより一層地方重視となれば、さらに地域地域の実情に合った施策の展開が可能となるとともに、本県など地方独自の施策についてもなお一層骨太かつスピード感を持って実施できるようになるものと考えております。そして、このことが東京一極集中の是正と若者が住み続けられる地方の創生の実現につながっていく政策的基盤となるものだと考えるところです。 次に、後継者の知事選の応援をするよりも、知事が12年間でなし得なかった事柄や現在挑戦している困難な課題ヘの道筋を示し、新知事にしっかりと引き継いでいくことを残された期間で全うすべきと考えるがどうかとお尋ねがございました。 現在も、経済の活性化などの5つの基本政策と中山間対策の充実強化など、それに横断的にかかわる3つの政策それぞれについてPDCAサイクルを徹底し、課題を洗い出して改善点の検討をするとともに、新たな視点を盛り込んだ施策展開について構想するなど、それぞれの政策群のバージョンアップに向けた検討協議を行っているところであり、残された任期の限り、こうした知事の職務に全力で取り組んでまいる所存であります。 一方で、県勢浮揚に向けた歩みをより力強いものとしていくためには、現在の県政運営を継承、発展していただける意志と能力を持った方に次代を託すことが必要不可欠であると私は考えております。各政策群の磨き上げに任期の限り力を尽くすとともに、この次代へのバトンタッチを実現すべく努力することも私の政治的責任だと考えているところでございます。 次に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の事前合宿の誘致についてお尋ねがございました。 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会は、世界中のトップアスリートの卓越したパフォーマンスなどを通じ、人々に夢と感動を与え、スポーツへの関心が高まる絶好の機会です。あわせて、事前合宿の誘致などを通じて大会参加国・地域との相互交流を図り、地域や経済の活性化につなげるための絶好の機会でもあり、こうした機会を生かすため、本県でもさまざまな取り組みを進めてきたところです。 平成28年7月には官民協働で招致委員会を立ち上げ、これまで関係団体等と連携して事前合宿の誘致活動を展開してまいりました。その結果、平成30年4月にチェコ共和国、シンガポールの両国と事前合宿の実施に向けた覚書を締結し、本年7月から8月にかけてシンガポールの水泳、卓球、バドミントンの各代表チームが合宿を行い、また本年11月と来年の大会直前にはチェコ共和国カヌー代表チームの合宿が予定されています。さらに、キルギスのレスリングやチェコ共和国の陸上競技チームの合宿を誘致すべく、これまでの活動で培ったネットワークを最大限活用して関係者に働きかけているところです。 また、誘致をきっかけとしたさまざまな分野の相互交流については、現在7つの市町と連携して、ホストタウンに登録している8カ国とさまざまな交流を実施しております。例えば、シンガポールスポーツスクールと県内の中学生、高校生との相互交流や、チェコ共和国カヌー代表選手による県内ジュニア選手への指導などのスポーツ交流のほか、ホストタウン登録国との異文化交流など、さまざまな取り組みを進めているところです。 今後、こうした取り組みが大会終了後もレガシーとして継続され、本県全体の地域や経済の活性化につながるよう、引き続きしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。 次に、消費増税と法人減税を繰り返してきたこれまでの国の財政運営についてお尋ねがございました。 国の長期債務残高は、高齢化の進展による社会保障費の増、景気後退やデフレ脱却のための経済対策に係る経費の増などにより、毎年増大をしてまいりました。 こうした中、消費税については、社会保障の安定財源として制度の充実強化を図り、かつ持続可能性を確保するために段階的に税率の引き上げが行われてきたものと承知しております。また、法人課税については、課税ベースの拡大による税収確保に配慮しつつ、企業の活力と国際競争力を維持するため、実効税率の引き下げや投資減税が行われたものと承知しております。 我が国の厳しい財政状況に鑑みれば、持続可能な社会保障制度を確立するための消費増税など、財源確保に向けた取り組みは非常に重要であります。同時に、持続的な経済成長を促し、税収をしっかりと確保していく法人減税などの取り組みも、財政健全化を達成するに当たって必要であると考えます。 今後も、国において税制改正に取り組まれる際には、引き続き財源確保の観点とあわせ、経済成長の観点も踏まえた議論がなされることが重要だと考えております。あわせて、歳出面でも、少子化対策や防災・減災に資する施策など将来の財政負担の軽減につながる施策や、無駄な歳出を徹底して削減することなどに取り組むとともに、よき経済成長をもたらす施策をしっかりと進めていくことにより、県財政健全化につなげていくことが重要であると考えます。 次に、管理型産業廃棄物最終処分場の整備に向けて実施する地質・ボーリング調査は、1社のみでなく別の調査業者の調査結果も踏まえることで、施設を建設する場合の安心の担保とすべきではないかとのお尋ねがありました。 新たな管理型産業廃棄物最終処分場につきましては、本年6月に佐川町及び佐川町議会から、佐川町加茂における施設を受け入れる旨の御回答を正式に頂戴しました。これを受けまして、6月議会において、地質調査や施設の基本設計など関連する予算をお認めいただいたところです。現在、これらにつきましては全て発注を終え、実際に現地における作業を開始するための準備を行うなど、施設の早期整備に向けた取り組みを行っております。 この取り組みのうち、地域住民の皆様が御不安に感じられております建設予定地の地下の空洞につきましては、ボーリング調査などにより地下の地質分布の状態を確認するとともに、地盤の電気の伝わり方を調査することにより地下の状況を確認することとしております。その結果を踏まえ、空洞と思われる箇所が見つかれば、その箇所において追加のボーリング調査などを実施して空洞の有無を確認してまいります。仮に空洞が確認された場合には、さらにその大きさなどを詳しく調べていくこととしております。 この地質調査などによって得られますデータは、同一の区域内で別の地質調査業者が実施した場合でも、調査内容や方法などが大きく異なることはなくほぼ同じデータが得られることが見込まれるため、1社による調査で十分であると考えているところです。 他方、調査により得られましたデータは、専門的な知見に基づき多角的に分析していくことが非常に重要であると考えており、県では、地質、廃棄物処理などの専門家から成る施設整備専門委員会を設置し、各専門分野の委員の皆様に生データを個別にお示しし、客観的な視点により御意見を頂戴していくこととしています。 なお、仮に地下に空洞が確認された場合には、この施設整備専門委員会において、その対処方法や施設の安全性などにつきまして詳細かつ慎重に検討していただいた上で、県として建設工事の是非について結論を出していくことになります。また、調査により得られましたデータや施設整備専門委員会で出された御意見などにつきましては、節目節目で情報を公開させていただくとともに、住民の皆様にわかりやすく御説明させていただきたいと考えております。 こうした取り組みを通じまして、地元の住民の皆様に安心をいただけるよう丁寧に取り組んでまいります。 次に、四万十川を観光資源としてどのように捉えているかとのお尋ねがありました。 四万十川は、日本の原風景とも言える美しい景観に恵まれており、日本最後の清流と聞けば、多くの人がその名を思い浮かべることができるだろうと考えております。そうしたことからも、私は世界に誇れる観光資源でもあると捉えているところです。 このため、「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」におきましても、四万十川の知名度を生かし、日本最後の清流で楽しむカヌー、サイクリング、屋形船、火振り漁などを積極的に売り出しております。また、日本在住の外国人専門家を活用しながら、外国人観光客にとっても訴求力の高い観光資源として、旅行商品の造成と販売の強化も図っているところです。 加えて、新たな体験・滞在メニューを創出する取り組みとして、流域の市や町、地域の皆様を中心に、清流の景観が広がる自然空間の中でダイナミックな体験ができるジップラインや、ゆったりとした特別な時間を過ごせるキャンプ場の整備に向けた準備も着々と進められております。 既に圧倒的な知名度を誇る四万十川ですが、こうしたたゆまぬ磨き上げにより、さらなる魅力や価値を生み出す、今後においても大いに期待すべき観光資源でもあると考えているところです。 最後に、四万十川沿いにおけるメガソーラー建設予定についてお尋ねがございました。 流域に日本の原風景とも言える風情を残しながら、地域固有の生活や文化、歴史と密接にかかわる四万十川は、日本最後の清流とも呼ばれ、高知県の貴重な資源であるとともに、県民、そして国民共有の財産でもあります。この貴重な財産を後世に引き継いでいくため、高知県四万十川の保全及び流域の振興に関する基本条例、いわゆる四万十川条例を制定し、人と自然が共生する循環型の地域社会の創造を目指して、四万十川の保全と流域の振興を図っているところです。 現在、建設計画が持ち上がっている太陽光発電施設の予定地は四万十川条例が適用される地域となっておりますことから、条例の許可権限を持つ四万十市において、事業者と建設計画の内容について協議されているとお聞きをしております。 四万十市におかれましては、地域の皆様が特に懸念されている危険性の排除や景観の保全といった点、すなわち洪水時に太陽光発電施設が破損したり流出したりするのではないかといった懸念、また景観の保全のために植栽を予定している竹や樹木が本当に根づくのかといった懸念について、しっかりと四万十川条例に照らし合わせた上で、適切に許可、不許可の判断をされるものと考えており、県も市に対してさまざまな助言を行っているところです。 また、本県が策定した、太陽光発電施設の設置・運営等に関するガイドラインでは、地域の合意を得た上で事業を進めていただくよう事業者に求めているところですが、貴重な財産である四万十川流域においては、事業が地域と調和したものとなることが特に重要であることは言うまでもありません。 県としましては、引き続き事業者に対し、地元理解を得るための努力を丁寧に行っていただくよう求めてまいりますとともに、防災上の観点も含め、条例の趣旨に沿った結論となるよう、四万十市に対してもさまざまな助言を行ってまいります。 私からは以上でございます。   (商工労働部長近藤雅宏君登壇) ◎商工労働部長(近藤雅宏君) まず、消費税の円滑な制度移行に向けて、キャッシュレス決済のポイント還元事業や軽減税率の取り組みの周知など、県内企業に対してどのように取り組んできたのか、また今後どのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 県内事業者へのキャッシュレス決済システムの導入は、ポイント還元による需要の平準化のみならず、住民の利便性の向上やインバウンド需要への対応においても大変重要になってまいりますことから、可能な限り広めていきたいと考えています。また、あわせて軽減税率制度につきましても混乱が生じないよう周知を図っていく必要がございます。 このため、県では、国が実施するキャッシュレス・消費者還元事業や軽減税率制度の内容とそれらの支援策について周知をするため、今年度当初より地元金融機関と連携して、県内10カ所でのセミナーや少人数での勉強会を開催してまいりました。また、このほかにも商工団体や税務署などによるセミナーや個別相談も多数実施されています。 ことし7月に実施したアンケート調査では、高知市中心商店街のキャッシュレス決済の導入率は、昨年10月の調査で63.6%であったものが67.2%と若干の上昇にとどまるものの、スマートフォンを使ったQRコード決済が可能な店舗は7.6%から34.3%と大幅に上昇しております。他方、高知市を除く中山間地域の商店街においては、手数料負担の問題や手続の煩わしさ、現金払いがメーンであるといった理由から、その導入率は22.1%と依然低く、十分に理解が進んでいるとは言えない状況であると考えております。また、軽減税率につきましても、さまざまなケースが想定され、戸惑いの声をお聞きしております。 10月以降、年内には改めて導入率の調査を行いますとともに、キャッシュレス・消費者還元事業は来年4月末まで申請が可能となっておりますので、引き続き導入率の低い地域を中心に勉強会などを継続し、さらなる導入の拡大に努めてまいります。あわせて、導入後の事業者からの運用上のお困り事の相談にも商工団体と連携して対応しますとともに、キャッシュレス決済可能な店舗が一目でわかるような掲示物を作成、配布することで、混乱が生じないようしっかりと取り組んでまいります。 次に、丸三産業株式会社は元ルネサス高知工場従業員なども受け入れる予定とのことだが、現在の操業状況と雇用状況、今後の雇用の展望についてお尋ねがございました。 ルネサス高知工場の閉鎖に当たりましては、従業員の皆様の雇用が維持・継続されますことを第一に考え、譲渡先の確保や従業員の雇用対策に全力で取り組んでまいりました。昨年5月末の工場閉鎖までの決定には至りませんでしたが、昨年9月に、コットンを中心とした医療衛生品等の原料製造において国内シェアの90%を超える丸三産業株式会社への譲渡が決定されました。この間、ルネサス社や香南市と連携した取り組みはもとより、県議会からの強力な御支援をいただき、譲渡先の確保が実現しましたことに心から感謝を申し上げます。 従業員の皆様の雇用対策としては、高知労働局や県、香南市などでルネサス高知工場雇用対策連絡会議を立ち上げ、支援体制を整えるとともに、ルネサス社は全従業員から個々の希望をお聞きし、雇用の維持に努めてきたところです。その結果、昨年5月末時点では、約160名の方が県外の工場へ配置転換を希望され、県内での再就職を希望される方が協力企業も含めて約90名おられましたが、現時点で再就職希望の方のほとんどが就職されている状況だとお聞きをしています。 現在、丸三産業では、元ルネサス高知工場の改修工事と並行して新工場の建設も進めながら、順次さらし綿や不織布の製造に係る設備も導入され、この7月からは工場の一部操業を開始し、11月末には竣工式が予定をされているところです。 採用に当たりましては、元ルネサス高知工場の従業員を積極的に受け入れていくお考えを持っていただいており、既に雇用されている五十数名の方の中には、県外へ配置転換されていた方を含め元ルネサス高知工場の従業員が一定数含まれているとお聞きをしております。今後、令和3年11月を目途に段階的に投資を行う計画であり、フル操業時には100名規模の雇用に達する見通しとなっております。 県といたしましては、丸三産業の人材確保に向けて会社説明会などの積極的な採用支援を行う中で、やむを得ず県外へ配置転換となった方々への情報発信に努めてまいります。 最後に、川谷刈谷工場用地への企業誘致の進捗状況と元ルネサス高知工場従業員の雇用確保の方策についてお尋ねがございました。 川谷刈谷工場用地への企業誘致につきましては、丸三産業株式会社の進出を契機として県の工業用水道が本格稼働となりますことから、工業用水道の使用といった分譲の必須条件を撤廃し、製造業を対象に本年1月から3月までを期限として改めて公募をいたしました。同用地の公募に当たっては、従来から同用地に関心のある企業や新たに問い合わせのありました県内外の約50社の企業への訪問等を通じて立地の条件を紹介するなど、活用の検討をお願いしてまいりました。 こうした取り組みにより、応募がありました活用計画について、外部の有識者を交えた立地企業選定委員会において、事業計画や雇用の創出効果、県内産業への波及効果などの項目により審査を行い、分譲候補先となる企業を選定したところです。現在、選定した企業が立地に向けた準備のため関係する機関との調整を進めており、条件が整いましたら、分譲契約を締結する予定となっております。 当該企業の計画ではフル操業時に約40名の雇用の創出が見込まれておりますほか、同用地の近隣に位置する香南工業団地においても製造業5社の全てが操業を開始しており、フル操業となった際には新たに約100名の雇用が創出される計画となっております。これらの企業と丸三産業の操業により、約240名の新たな雇用が創出される見込みでございます。 今後は、こうした企業のアフターフォローをしっかりと行うとともに、令和2年度完成予定の仮称南国日章工業団地への企業立地を推進することにより、トータルとしてルネサス高知工場以上の雇用の確保に努め、配置転換などにより県外へ出られた方々の県内就職の選択肢を広げてまいります。   (観光振興部長吉村大君登壇) ◎観光振興部長(吉村大君) まず、れんけいこうち広域都市圏の周遊促進の取り組みと県の観光施策の連携についてお尋ねがありました。 現在、れんけいこうち広域都市圏では、高知市から県内各地へ観光客の周遊を促進するため、議員のお話にもありました昨年度の調査結果を生かした旅行商品の造成に向けて、新たな観光資源や自然体験プログラムなども組み込んだ複数の周遊ルートの開発が進められています。この周遊ルートは、中山間地域への誘客や県内での滞在時間の延長と観光消費の拡大につなげるものであり、県が進める観光施策とも連動しますことから、「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」においても大いに活用させていただきたいと考えています。 具体的には、キャンペーンの特設ウエブサイトなどにおいて、周遊ルートを広くPRするほか、県外の旅行会社に対する観光説明会やモニターツアーなどの場において積極的にセールスを行ってまいります。また、本県を訪れてから具体的な周遊プランを決める観光客の方々もいますことから、観光コンベンション協会でこうした方々向けに旅行商品化を図り、JR高知駅前の高知観光情報発信館とさてらすにおいて販売することとしています。 このように、れんけいこうち広域都市圏における周遊促進の取り組みと県の観光施策がしっかりと連携することで、観光客のさらなる誘致と新たな経済効果の創出につなげてまいりたいと考えています。 次に、四国4県で連携して、外国人観光客も含めたニーズの把握に努めてはどうかとのお尋ねがありました。 県では、これまで観光統計調査などのさまざまなデータを活用し、国内外からの誘客施策を立案してまいりました。特に、海外からの誘客に向けては、観光庁や日本政府観光局の統計から訪日ニーズのトレンドをつかむとともに、重点市場に配置する海外セールス拠点から、本県観光に関する要望のほか四国をめぐる旅行商品の傾向などの情報を得て施策に反映させてまいりました。 四国4県が連携した観光振興につきましては、4県を初め観光関係事業者など多くの会員が参画する、広域連携DMO法人である四国ツーリズム創造機構において、四国を一体的に売り出し誘客を図る取り組みを進めております。四国ツーリズム創造機構では、実際に四国を訪れた外国人と日本人観光客の立ち寄り先や移動手段などの旅行動態を把握するため、ことし3月にアンケート調査を行い、今後も継続されることとなっています。 県としましては、観光振興策を立案する上で、これまで活用してきたデータに加え、このアンケート調査の分析結果も生かしていきたいと考えておりますが、この調査自体まだ始まったばかりということから、今後検証や見直しが図られるとも伺っております。その際には、ほかの3県の御意見も伺いながら、例えば、より詳細なニーズの把握や、より多くのサンプル数の確保といったアンケート調査の充実について、四国ツーリズム創造機構に対して積極的に働きかけてまいりたいと考えています。   (林業振興・環境部長川村竜哉君登壇) ◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 四万十川条例を見直して、四万十川沿いの土地利用についてはその規制を強化すべきではないかとのお尋ねがありました。 四万十川条例は、四万十川の景観保全などを目的として土地の形状変更や建築物の建設などの開発行為を規制しており、規制の内容につきましては、これまでにも社会情勢の変化などを受け、見直しを行ってまいりました。平成30年4月には、四万十川の景観を保全する観点から施行規則を改正し、一定規模を上回る太陽光発電施設を建設する場合は、四万十川から、また四万十川沿いの国道、県道から、施設が見えないよう植栽や木柵で遮蔽することを義務づける許可基準を設けるなど、規制を強化したところでございます。 このように、四万十川条例においては、景観の保全の観点では規制を強化してきておりますが、他法令の規制の状況も踏まえながら、規制の内容については検討を重ねていく必要があるものと認識しております。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、臨時保育士の会計年度任用職員制度への移行に伴う懸念についてお尋ねがございました。 会計年度任用職員の給与につきましては、平成29年6月の総務省通知によりますと、「職務給の原則、均衡の原則等に基づき、従事する職務の内容や責任の程度、在勤する地域等に十分留意しつつ、地域の実情等を踏まえて適切に定めるべきもの」とされております。 会計年度任用職員である保育士の給与につきましては、各市町村において、こうした考え方に基づき、会計年度任用職員となる全ての職についての検討がなされる中で適切に定められるものと考えており、県教育委員会事務局が6月から8月にかけて市町村を訪問し、保育担当課からお話をお聞きしたところでは、多くの市町村において、保育士以外の職とともに会計年度任用職員の職全体として総務担当課を中心に検討が進められているという段階でございました。 今後、各市町村ではこうした検討をさらに深められ、会計年度任用職員の他の職種とのバランスも図られながら保育士の給与が決定されることになりますが、現時点でも臨時的任用職員である保育士の給与水準は市町村によって異なっていることなどから、会計年度任用職員である保育士の給与水準につきましても市町村によって異なることが見込まれます。 加えて、各市町村においては、現時点でも給与面だけでなく、休暇をとりやすくするための職場ローテーションの工夫、ICT化の推進といった働きやすい職場環境づくりなど、それぞれに保育士確保のための努力をしているものと承知しております。こうした市町村間の競争は、それぞれの市町村の規模や地理的な状況も異なる中、一定はやむを得ないものと思われますが、県全体の保育士確保に向けましては、県教育委員会として引き続き各市町村と連携して取り組んでまいります。 次に、県内の保育士不足の解消に向けた展望についてお尋ねがございました。 本年10月からの幼児教育・保育の無償化に当たっては、3歳以上の全ての子供と、ゼロ歳から2歳児のうち住民税非課税世帯の子供の幼児教育・保育に係る利用者負担が無償化の対象となります。 無償化による入園者の増加とそれに伴う保育士の不足が懸念されておりますが、高知県においては、3歳以上の保育所、幼稚園等の利用率が本年4月1日現在で98.3%と高く、既にほぼ全ての子供が保育所、幼稚園等を利用しております。また、未入園の児童数に対して利用定員のあきも十分ある状況でありますので、無償化によって大幅な保育士不足は生じないものと考えております。 また、平成25年度から国においては消費税等を財源とした保育士等の処遇改善を進めており、本県においても、平成26年度以降正規雇用の保育士が年々増加するとともに、年度当初に保育士を確保できないために発生している待機児童数は、平成29年度の73人をピークに本年度は35人にまで減少してまいりました。 このように、保育士不足は改善傾向にあり、本年度当初に34人の待機児童が発生している高知市においても、8月に開催しました県・市連携会議におきまして、高知市として令和3年度当初の待機児童解消に取り組むとの方向性が示されております。今後、それに向けまして高知市において保育士の確保が進むことになりますので、保育士不足の状況もさらに改善するものと考えております。 県教育委員会としましても、引き続き高知市を初め各市町村と連携し、養成施設等の新規卒業者の確保やさらなる処遇改善などについて研究、検討を進め、保育士不足の解消に向けて取り組んでまいります。 次に、待機児童の解消や保育士の確保に向けた県の取り組みについてお尋ねがございました。 近年、ゼロ歳、1歳といった低年齢からの保育所利用がふえてきている中で、保護者の育児休業明けなど年度途中からの入所希望があった際に、保育所等において受け入れに必要な保育士の確保が難しいことが待機児童発生の一つの要因となっております。 県教育委員会としましては、これまで保育士修学資金貸付による県内保育士の確保や、福祉人材センターでの保育求職者と雇用者のマッチングなど、保育士確保に向けた取り組みを進めてまいりました。また、待機児童の発生を防止するため、ゼロ歳から2歳の低年齢児の年度途中からの入所に備え、保育所等において年度当初からあらかじめ保育士を配置する場合の経費に対して、県独自の補助を行っております。 こうした取り組みや保育士等の処遇改善により、待機児童数は年々減少し、保育士不足は解消に向かいつつありますが、保育所等が十分な保育サービスを提供するためには、保育士を安定的に確保するとともに、その定着を図る必要があることから、10月に市町村の保育士確保に向けた取り組みの状況を調査するとともに、離職者を含む保育士の有資格者を対象にアンケート調査を実施し、その結果などをもとに保育士の就業促進や離職防止のための新たな取り組みを検討することとしております。 また、保育士の確保については全国的な課題であることから、ことし8月に全国知事会を通じて国に対して保育士の処遇改善、潜在保育士の就職・再就職支援の強化、保育士修学資金貸付等事業の継続実施のための財政措置等の要請を行ったところであり、引き続き国の動向を確認しながら、こうした提言を行ってまいります。 次に、市町村が進める再編計画について、教育委員会としてどのようにかかわっているのかとのお尋ねがございました。 市町村における保育所などの再編計画については、まずは保護者や地域住民などの関係者の方々の御意見を十分にお聞きした上で、子供たちや保護者の方々の立場に立って方向性を定めた後、具体的な検討協議を深め、最終的には議会での審議を経て実施されているものと承知しております。 市町村における保育所の設置や運営につきましては、保育の実施義務を負う市町村が当該市町村における民意を踏まえ児童福祉法等の規定に基づき実施するものであり、県教育委員会としましては、市町村が再編計画の検討を進められる過程において個別の事案の是非に対して意見を述べる立場にはありませんが、市町村には訪問時を含め機会あるごとに子ども・子育て支援事業計画に基づく保育サービス等の内容についてのお話をお伺いし、さらなるサービスの向上について要請を行っているところです。 県教育委員会としましては、各市町村において、児童福祉法等の規定に基づき、地域の実情に応じたきめ細やかな保育が積極的に提供され、児童がその置かれている環境等に応じて必要な保育を受けることができるよう、引き続き各市町村に対し必要な助言や支援を行ってまいります。 次に、日本の幼児教育の現状と課題についての所見についてお尋ねがございました。 幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、近年では世界的にも幼児教育・保育が子供の未来を左右するものとして注目されるようになってきました。 このため、日本においても、待機児童解消のための施設確保など量的な拡大を図りつつ、さらに質の高い教育・保育を目指すため、昨年度から実施となった幼稚園教育要領、保育所保育指針等を踏まえた教育・保育が進められているところです。具体的には、保育所、幼稚園等から高校までを見通した、幼児教育において育みたい資質・能力と幼児期の終わりまでに育ってほしい姿が示され、環境を通して行う教育・保育を基本としながら、小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながる指導を行うこととしています。 また、教職員一人一人がその資質を向上させることが重要であることから、職務内容に応じた専門性を高めること、協働するチームとなって組織的な取り組みをすることが求められており、国においては平成28年4月に幼児教育研究センターを設置し、幼児教育に関する効果的な研究活動が開始されるとともに、最新の研究成果について積極的に広く普及する取り組みも進められてきているところです。 一方、日本の幼児教育の課題としましては、OECDの調査から、2015年の就学前教育に対する教育支出のGDP比がOECD加盟国の中で最も低い国の一つであるという実態があります。また、加盟国の中では日本とアイルランド以外は公的な教育機関で幼児教育を受けているものの、日本では就学前教育を受ける子供の4分の3が私立の保育所・幼稚園等に在園する状況となっているため、就学前教育に対する家庭の負担が重いともされております。 こうした課題を解消することも含めて、国においては幼児教育・保育の無償化などが実施されてきたものと承知しておりますが、県としましても、これらの施策がさらに充実していくよう、教育・保育の質や教職員の資質や専門性の向上に向けて、本県で独自に作成しました園評価の手引きや教育・保育の質向上ガイドライン等を活用して就学前教育の充実を図ってまいります。 次に、保育士等キャリアアップ研修の受講状況と課題、臨時保育士のキャリアアップの取り組みについてお尋ねがございました。 本県では、平成30年度から保育士等キャリアアップ研修を実施しており、昨年度は延べ722人、今年度は延べ822人の保育士等が受講しております。この研修を受講することにより保育士等のキャリアアップが図られるとともに、令和4年度からは処遇改善等加算の要件に本研修の受講が加えられる予定であることもあり、研修に対する認知度が上がり、受講者数の増加につながっていると考えております。 研修の実施に当たっての課題としては、1科目3日間の受講が必要であり日程的な負担があることや、代替保育士の確保に苦労していること、研修場所が高知市内であるため特に幡多地域からの参加が難しいことなどがございます。こうした課題に対して、研修日程を早期にお知らせすることで計画的に代替保育士を確保できるようにすることや、代替保育士を雇用する経費に対する支援制度の活用も呼びかけているところです。また、大方高校のテレビ会議システムを活用し、一部の科目については幡多地域においても受講できるようにしております。 キャリアアップ研修は、保育者としてのキャリアアップと処遇改善、そして各園の保育の質の向上にもつながりますことから、引き続き施設管理者などに積極的な研修受講を促してまいります。 臨時保育者の研修につきましては、障害児保育や保育環境など一部の研修を土日開催とし、臨時職員も参加しやすい日程となるよう配慮しているところです。また、幼児教育アドバイザーなどが各園に出向いて研修する際には、可能な限り臨時職員も参加するよう呼びかけております。あわせて、市町村や施設管理者に対して訪問時や機会あるごとに、臨時職員の研修への参加や、受講が困難な場合は研修を受講した職員による報告や伝達等を要請しているところです。 臨時保育士であっても、就学前教育・保育の質の充実に向けて資質や専門性の向上を図る必要があることから、全ての保育者に対して学びの機会を確保するよう、引き続き市町村や施設管理者に対して研修への参加を要請してまいります。 次に、発達障害などの早期受診のための保育所等における体制づくりの必要性についてお尋ねがございました。 発達障害等に限らず支援の必要な子供を早期に発見し、専門機関等へ確実につないでいくために、日々子供にかかわっている保育者の果たす役割は大変重要だと考えております。また、目の前の子供の変化やつまずきにいち早く気づき、家庭や関係機関との連携を密にしながら、早い段階からその子にとって何が必要か、どういった支援が効果的かを保育所、幼稚園等の各職員がチームで考えていく必要もあります。 このため、県教育委員会としましては、保育所等への指導などを行う親育ち・特別支援保育コーディネーターを市町村に配置し、特別な支援を必要とする子供の実態を把握しながら園と面談をし、管理職や保育者に必要な支援に対する助言をしたり、専門機関との連携を図ったりするなどして、子供の育ちを支える体制づくりを支援しております。 さらに、各園において、子供が自立して生きていくことも見通して個別の指導計画を立て、組織的にかかわっていけるよう、親育ち・特別支援保育コーディネーターが指導計画の立て方や記録のとり方について指導・助言を行うことで、保育者の気づきや子供理解の力が向上し、子供や保護者に対する支援の充実にもつながっております。 親育ち・特別支援保育コーディネーターを配置していない市町村においては、保育者が保健師やスクールソーシャルワーカー等と連携し、支援が必要と思われる子供については複数の職員で確認を行い、適切な支援につなげるようにしております。 また、全ての園において、子供の状況に合わせた保護者への支援が適切に行われるよう、家庭への支援の中核となる親育ち支援担当者の配置を要請するなど、養育に対する支援体制づくりを進めているところです。 今後も、このような取り組みをさらに充実させ、保育者の資質の向上を図り、保護者への助言体制を強化してまいります。 最後に、保育所において全ての子供たちに療育的な保育を実践してはどうかとのお尋ねがございました。 保育所等においては、一人一人の子供たちの発達を理解し、その発達過程に応じた教育・保育を行っておりますが、さらに療育的な保育も含めた障害児保育や特別支援教育に関する知識や技能の習得が重要でありますことから、平成26年度から新規採用保育者から管理職まで全てのキャリアステージにおいて、障害のある子供に関する専門的知識と実践力を高める研修を実施しております。この研修は、各園から事例を持ち寄り、子供の状況に応じた指導方法を検討し指導計画を立てるなど、日々の保育の実践につながるような内容としております。また、研修で得た学びを園に持ち帰り、園全体で組織的・計画的な支援を行うよう指導しております。 さらに、専門的な知識や経験を有する作業療法士、言語聴覚士、療育福祉センターや特別支援学校、福祉保健所の職員などで構成する巡回相談チームを、要請のあった保育所、幼稚園等へ派遣する事業も行っており、この事業の実施により、障害の特性に応じた関係機関による支援や各園における適切な指導を充実させるとともに、関係機関を含めた地域ネットワークの構築を図るようにしております。 また、先ほど答弁しましたように、親育ち・特別支援保育コーディネーターや各園での親育ち支援担当者の配置により、保護者への支援体制も充実させているところです。 今後も、引き続き発達障害等の障害理解に関する研修を積み重ねるとともに、専門職による巡回相談チームの各園への訪問機会をふやすことなどにより、療育的な保育も含め保育所等における子供への対応力を向上して、日々の教育・保育に当たるよう取り組んでまいります。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) まず、発達障害に対する早期診断と早期療育の理解、啓発についてのお尋ねがございました。 発達障害の子供に対する早期療育は、子供自身の発達が促進されるとともに、保護者の子育ての不安などにも対応することができることから、乳幼児健診等における早期発見を進め、診断の有無にかかわらず、早い段階から子供と保護者を支援していくことが重要と考えております。そのためには、広く発達障害への理解と啓発を図ることが必要であるため、本県では県立療育福祉センターにおいて、発達障害児・者の支援に携わる方や一般の方を対象としたセミナーを開催するとともに、関係機関などからの要請に応じた講演などを行っており、平成18年度からこれまでの間に延べ約3万人以上の方に参加いただいております。 また、早期療育を行うためには、何より保護者が子供の障害を受けとめ、理解することが重要です。このため、まず最初に保護者と接することとなります乳幼児健診の従事者を対象に、保護者の気持ちに寄り添い支援を行うことができるよう、カウンセリング技術の向上を図る研修などを実施しております。さらには、子供の成長が気になる保護者に向けて、子供の発達の見方や悩んだときの対応のポイントなどをわかりやすく記載したリーフレットを作成し、乳幼児健診の際などに配布できるよう取り組んでいるところです。 今後も、フォローが必要な子供が早期に療育支援につながるよう、医師を初めとした医療職や保健師、保育士などと連携し早期発見を進めていくとともに、保護者の理解の促進や支援の充実を図ってまいります。また、引き続き支援に携わる方や県民の皆様への啓発に取り組んでまいります。 次に、発達障害の診断ができる専門的な医師の育成や、早期受診のための健診体制の強化についてお尋ねがございました。 発達障害の診療につきましては、発達障害に関する関心の高まりや乳幼児健診等における早期発見の取り組みが一定進んできたことに伴い、専門的な医療を提供できる医療機関への受診を希望される方が増加しています。このため本県では、県立療育福祉センター内に設置した高知ギルバーグ発達神経精神医学センターにおいて、発達障害の専門医師の養成に取り組んでおります。具体的には、発達障害の診断に携わる医師の臨床技術の向上のため、定期的な研修会や学習会などを開催しており、これらに参加している県内の医師は、平成24年度のセンター設立時の9名から現在は17名に増加しています。さらに、本年度に高知大学医学部に開設された児童青年期精神医学講座と連携を図りながら、専門医師等の人材の養成を進めていくこととしています。 健診体制については、乳幼児健診従事者の対応力向上のための研修会を開催するとともに、健診の場に心理職や言語聴覚士等の専門職を派遣するなど、早期発見の体制の充実に取り組んでおります。また、健診後フォローが必要な子供が医療機関や療育施設などの適切な支援の場に早期につながるよう、専門医師への受診の前に心理などの専門職が子供の発達の状況をアセスメントし、保護者に療育について助言を行う体制の整備にも取り組んでいるところです。 今後とも、発達障害の診療体制の充実に向けて専門医師の養成に取り組むとともに、市町村と連携して診断前から地域で適切な療育支援を行うことができる体制の整備を進めてまいります。 次に、児童発達支援センターも含めた県内の療育の受け皿の拡大と質の向上、県内の療育施設に対する質の底上げ策についてのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えします。 まず、療育施設の量的な面といたしましては、個別の療育支援に加えて、専門的な相談支援や保育所等訪問支援などの機能を持つ児童発達支援センターについては、現在6カ所に設置されております。これまで新規開設や機能強化への支援に積極的に取り組んできており、今後新たに3カ所開設される予定となっているところです。また、就学前の子供を対象に個別の療育支援を行う児童発達支援事業所は、現在23カ所に設置されており、この4年間で約2倍になるなど量的な拡大は進みつつあります。 しかしながら、これらの療育施設は安芸圏域と高幡圏域ではそれぞれ1カ所のみの設置となっているなど地域偏在があり、身近な地域で早期療育支援を行うためにはさらに量的拡大を図る必要があります。 次に、療育施設の質の向上の面では、個々の子供の特性に応じた適切な支援計画を策定することが重要です。その役割を担う児童発達支援管理責任者の養成研修の修了者は211名となっており、専門的な人材の養成が進んできているところです。また、平成28年度からはより高い専門性を持った人材を養成するため、現場実習を中心とした9カ月間の集中的かつ実践的なスーパーバイザー養成研修を実施しております。さらに、児童発達支援事業所や保育所等の職員の専門性の向上を図るため、発達障害の特性や支援方法などを学ぶ発達障害児等支援スキルアップ研修を実施するなど、療育支援の質の底上げに取り組んでいるところです。 今後も、こうした取り組みをさらに進め、療育施設の量的な拡大と専門性の高い人材の養成にあわせて取り組んでまいります。 次に、グレーゾーンにある子供たちに対する療育的な支援についてお尋ねがございました。 発達の気になる兆候が見られるものの診断のつかないグレーゾーンの子供についても、社会性や言語などの発達を伸ばすとともに、子育てを支援するため早期に発見し、一人一人異なる子供の状況に応じた適切なフォローを早い段階から受けられるようにすることが重要です。 こうしたグレーゾーンの子供についても早期の療育支援が必要な場合は、医師の診断がなくても療育施設を利用することができるようになっていますので、先ほど申し上げましたとおり療育施設の量の拡大と質の向上を図ってまいります。あわせて、こうした子供の多くは保育所や幼稚園等に通っているため、日常的に子供と接する保育士等の支援力の向上を図る必要がありますので、教育委員会と連携して研修の充実に取り組んでいるところです。 今後も、このような取り組みを通じて、支援が必要な子供がノーケアとならない体制づくりをさらに進めてまいります。 次に、県民に対するヘルプマークの認知度向上への取り組みについてお尋ねがございました。 ヘルプマークは、障害の種別を問わず、援助や配慮を必要としていることが外見からはわからない方が身につけることで、必要な支援を受けやすくするものであり、光や音に過敏に反応したりコミュニケーションが難しいなどの特性がある発達障害の子供にとっても支援を受けやすくするツールとなります。 本県では、昨年7月のヘルプマークの配布開始後ことし6月末までの配布数は約2,500とまだまだ少ない状況ですので、必要な人に配布できるよう普及啓発を強化する必要があります。このため、発達障害のある子供やその保護者にヘルプマークを十分活用していただけるよう、今後は保育所や療育施設などを通じてヘルプマークの趣旨や利用方法などについて周知を図ってまいります。 あわせまして、ヘルプマークを所持している人が必要な支援や配慮を受けられるよう、マークの趣旨について引き続き広報紙やテレビ、ラジオなどで広く周知を行いますとともに、コンビニや量販店の協力をいただくなど、効果的な普及啓発に取り組んでまいります。 最後に、各部局間の連携体制についてお尋ねがございました。 発達障害に関する療育においては、発達の各ステージに応じて、保健、医療、福祉、教育がしっかりと連携することが大変重要となります。このため、就学前における支援の内容を小学校に確実に引き継ぐ、引き継ぎシートやつながるノートの活用により、一貫した支援が受けられるよう取り組みを進めてまいりました。 また、発達障害児への支援においては、これまでも早期発見や人材育成、保育所への巡回相談など、各部局が連携して取り組みを進めておりますが、一人一人の子供の状況に応じたより効果的な支援をしていくためには、さらに県全体で保健、医療、福祉、教育などの関係機関がそれぞれの取り組みや課題などの情報を共有し、地域の実情に応じた支援策を検討する必要があります。このため、平成28年度に発達障害者支援地域協議会を立ち上げ、各部局が連携して課題の解決に向けた支援策の検討を行っているところです。 さらに、支援が必要な子供がノーケアとならないよう地域で支援していくためには市町村の対応が重要であるため、各市町村において個別のケースごとに、地域の保健、医療、福祉、教育などの関係者が情報を共有し、支援の内容や役割分担などを協議しながら、連携して支援する体制が構築されるよう、市町村の支援などに取り組んでまいります。 ◆28番(石井孝君) それぞれ御答弁を賜りました。幾つか第2問をさせていただきたいと思います。 まず知事に、12年間お疲れさまでございましたということなんですけれども、最後の県知事の政治責任として、これまでの流れを引き継いでいける後継者の方の応援が必要だというような捉え方でいいのかなということで、その応援が必要というのは、選挙も含めて知事選挙で応援をしていくということなのか、改めてお伺いしたいと思います。 それから、商工労働部長、雇用も拡大予定、それから新しい選定も立地も進んでいるということで、引き続き御尽力を賜るようにお願いを申し上げます。 それから、観光振興部長は、動態調査はれんけいこうちの中でやっている部分も含めて、これからサンプル数の多いものをとるのに当たっては、4県でやるのに非常に予算的にもお金がかかるんじゃないかというようなことも話をされておりましたけれども、白川村のほうの80万人サンプルは数百万円のような話でございました。もう少し、どういうところの通信会社のデータがとれるのかといったことも含めて、これまでの観光の統計の裏づけとしても、一度大きくやってもらえればなというふうに思っております。 それから、林業振興・環境部長には、メガソーラーの条例強化について検討していくというようなことも含めてお話をいただきました。現状、ガイドラインも含めて業者に話をしていくということなんですが、県の権限としてメガソーラー建設を踏みとどめるような方法があるのかどうか、教えていただければと思います。 それから、教育長は、保育士の不足について今後保育士も臨時も含めて確保できるような方向性に向かっているということだと思うんですけれども、もう一方で、研修、研修でなかなか現場の保育が追いつかないとか、臨時さんだけになっているというような現場の話も聞いたりしております。非常に臨時の保育士さんの確保にも悪戦苦闘しているということで、まずは受け皿を広げて多くの保育士さんに入ってもらうこと、それから質を上げていくということになります。臨時保育士さんのキャリアアップというのが非常に難しいのであれば、やはり正規職員化をしていくという流れも考えていかなきゃいけないのかなというふうに思います。 これは財源も含めて非常に厳しい課題かもしれませんけれども、国にそうした提言であったり、県独自に正規化に向けた支援というのができないものか、お伺いしたいと思います。 あと、児童生徒数が減る中で、保育士だけたくさん確保してもということがあるかもしれません。広域で連携をしていくような保育行政のあり方みたいなものも考えてみるというのは一つの手かなというふうに思いますが、そういう視点はないか、お伺いしたいと思います。 それから、地域福祉部長には、本当に前向きな答弁をいただきましてありがとうございました。本当に厳しい環境の子供たちを何とか社会に出て苦労のないようにしてあげたいという親の切なる願いを、しっかり応援していただけるものだというふうに思っております。 療育は、先ほどの話もありましたように、医師の診断があろうがなかろうが受けられるということなんですけれども、保護者によっては、どういうルートで診察に行って、療育にたどり着くまでに結構時間がかかったり、わからなかったりというようなことがあります。ちゃんと窓口に来てもらえば、そのまま行けるという道筋もあるかもしれませんけれども、非常に一人で思い悩んでいるというような話もよく耳にします。それから、社会が全体でそれを支えるような仕組みがないと、やはり先ほど言いましたように二次障害みたいなところがあっては私は絶対いけないというふうに思っております。 よろしければ、療育の充実強化と、多様性が認められる社会に向けた療育というか地域福祉について地域福祉部長にもう一回、覚悟といいますか、療育をしっかり頑張るんだというようなお話をいただければと思います。 以上、第2問とします。お願いします。 ◎知事(尾崎正直君) 私の今後についてお話がありました。私が先ほど答弁したとおりであります。 ◎商工労働部長(近藤雅宏君) 何より、フル操業に持っていくという今後のアフターフォローで、雇用の新たな創出を生み出していくということが大変大切だと思っております。 アフターフォローの中では、雇用の確保ということがもちろん第一なんですけれども、地産外商、それから輸出も含めて取り組まれている企業もございます。そういった外商、例えば海外での販売をお手伝いするといった形で事業規模自体を拡大していただいて、フル操業に持っていくというようなお手伝いも視野に入れて動いておりますので、香南市とともに全面的にバックアップしてまいります。 ◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 県として、太陽光発電を踏みとどまらせるような権限がないのかということでございました。 今回の場所につきましては、四万十川条例に基づく回廊地区ということで条例上の指定しかかかっておりません。その他の法令上の指定がないということで、条例に基づく四万十市の権限という状況になっております。 この条例上の権限につきましては、市町村に任せるということで措置されておりますので、これについての県の権限というのは現状ではちょっと難しいかというふうに考えております。 ただ、そのほかの森林ですとか、あるいは森林の中でも保安林といった場合には、県なり国なりの権限というものがございますので、その場所に応じた規制というところで、今後とも他法令の状況も見ながら、規制のあり方については検討してまいりたいというふうに考えております。 ◎教育長(伊藤博明君) 保育士の確保に向けては、先ほどお話ししましたように、各市町村でも努力され、待機児童の解消に向けて、確保に取り組まれているということですけれども、やはり非常に重要な課題であるという認識については変わっておりません。 御答弁いたしましたように、保育士の確保に向けて、まず10月に、各市町村がどういった取り組みをされておったか、しっかりと調査をさせていただきたいと思いますし、資格者の方についてもいろいろアンケートをしてみたい。そういった形の中で、県としてもどういったことができるのかということについて、改めて検討していきたいというふうに思っております。それから、国に対しましては、先ほど御答弁しましたように、就職とか再就職支援の強化であったり、資金の確保であったり、必要な対策については要請をこれからも続けていきますし、そういった中で取り組みをしっかりとやっていきたいというふうに考えております。 また、研修につきましては、新たに教育要領であったり保育指針とかができて、それから特別な支援を要する子供たちの研修とか、さまざまなことが要請されてきております。ちょっと多くはなっておりまして、研修が多いというお話は聞いておりますけれども、何とかそこを効率的に、先ほどのテレビ会議システムのお話もしましたけれども、いろんな工夫をしながら保育士の資質の向上に向けての取り組みもしっかりやっていかないかんと思っております。確保と同時に、これからまた努力をしていきたいというふうに思っております。 ◎地域福祉部長(福留利也君) 発達障害につきましては、平成17年の発達障害者支援法の施行以降、発達障害に関する社会の理解がかなり進んできているというふうに思っております。 しかしながら、乳幼児健診等でフォローが必要な子供さんの保護者の方につきましては、やはり不安な気持ちが非常に大きいというところがございますので、市町村と連携をしまして、親御さんの不安な気持ちに寄り添いながら、子供さんの障害の受容が早くできるように支援して、早急に適切な療育支援につながっていくように、今後もそうした取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆28番(石井孝君) それぞれ丁寧な御答弁を賜りましてありがとうございました。 教育長、広域でというのはまた検討していただければというふうにも思いますし、市町村だけ独自でやっていくというのは非常に難しい課題であるかもしれませんので、そうしたことの視点も踏まえてお願いしたいと思います。 知事におかれましては、12年間、改めましてお疲れさまでございました。あの記者会見以降、さまざまな波紋を広げているように私は思っておりますけれども、残された期間はぜひ、一挙手一投足に気を配りながら、感謝と人情を大切に、高知県のよりよい未来に向けて、高知県知事として有終の美を飾っていただくことを期待申し上げまして、全ての質問を終わります。(拍手) ○副議長(弘田兼一君) 暫時休憩いたします。   午後3時4分休憩-----------------------------------   午後3時20分再開 ○議長(桑名龍吾君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 35番吉良富彦君。   (35番吉良富彦君登壇) ◆35番(吉良富彦君) お許しが出ましたので、日本共産党を代表して、順次質問をさせていただきます。 今議会は、尾崎知事が11月の知事選に出馬せず、次期衆院選挙に高知2区から自民党公認で出馬することを目指すと表明した直後の定例会ですので、まず3期12年間の尾崎県政の評価並びに私たち県議団の県政への姿勢を述べさせていただきます。 尾崎知事は、第1次安倍内閣の官房副長官秘書官の経歴がある官僚出身で、自民党政治と距離の近い政治家であると思っていました。しかし、橋本前県政の積極面を継承する姿勢を早々と明らかにし、県民に軸足を置いた県政運営に当たり、私ども県議団の論戦や県民の声にも耳を傾け、暮らしを守る施策での制度的後退を余儀なしとせず、積極果敢な施策を展開しました。それゆえ、私たちは2期目、3期目の知事選では対立候補を立てず、是々非々の立場で、暮らしを支える側面を前進させる姿勢をとってまいりました。 国の悪政のもとで、第1次産業の低迷、若者の県外流出、人口減、少子高齢化、また南海トラフ地震など、県民の命と暮らしを守る課題に対し、地元資源に光を当て内発的発展の産業政策や、医療・福祉を雇用面からも重視する施策、学校図書館支援員の創設やスクールソーシャルワーカーの手厚い配置、耐震リフォームの積極的推進、また旧陸軍歩兵第44連隊跡の購入など、私たちの提案とも共通する施策を実施してきました。 国政にかかわる問題でも県民の立場から、核ごみ処理施設の否定、米軍機の低空飛行訓練に対して騒音測定器を設置し中止を求め、国が隠し続けたアメリカ・ビキニ水爆実験核被災船員に対しては健康相談会を実施し、国に救済を要望しています。また、脱原発の立場で四国電力の株主総会で主張するなど、伊方原発の1、2号機の廃炉に貢献したと言えます。 問題点、課題の一つは、目先の学力テストの全国順位向上を目標とした教育行政です。それは深刻な教員多忙化、教員不足を加速させ、子供たちの成長をゆがめるものであり、私たちは予算修正提案も行い、厳しく対峙してまいりました。 そして、何よりも大きな弱点は、県民の暮らしの厳しさ、地方衰退の元凶となっている、国の悪政の根本的転換を求める立場にないことです。自民党政治のもとでも、県民の実態に基づいたきめ細かい努力を積み上げれば、一定の前進を築くことができることを証明したことは、私は大変重要だとは思いますが、やはり県政の取り組みだけでは、若者の県外流出、少子化、人口減の流れを大きく変えるところまでは行かず、限界が示された12年ではなかったでしょうか。私たちは、農産物の輸入自由化、暮らしと営業を破壊する消費税増税など、異常なアメリカの言いなり、そして大企業中心の自民党政治を放置していては、県政の努力も無に帰すと指摘し続けてきましたが、その弱点は期数を重ねるごとに顕在化しました。 TPPについて述べますと、当初は反対を表明していましたが、現在は、しっかり国内対策をと容認に変わりました。消費税増税については、8%時には、今上げるべきではない、景気や弱い立場の人に大きな影響を与えるとしていましたが、現在は、社会保障の安定財源として最もふさわしいと、10%増税の積極的肯定へと踏み込んできました。 安倍首相が執念を燃やす憲法改悪では、1期目には、憲法第9条については平和の維持や発展に大きく貢献してきた、これをしっかり守ることが必要であると述べていましたが、2期目は、歴代の自民党政府の見解をも無視し、集団的自衛権の一部容認の、9条空洞化につながる安保関連法案に理解を示す立場をとりました。その後も、緊急事態条項の創設を訴えるビデオメッセージを改憲派の集会に送っています。最近では、参院選挙区の合区解消を改憲理由として掲げ、県民を改憲の土俵に乗せる役割を強めてきたと言えます。 尾崎知事が国政に挑むという、それ自体は個人の自由の問題ですが、それは、県民の暮らしの実態をもとに国に提案、要望するという、尾崎県政の積極面を支えてきた有能な職員、職場、県庁という足場を失い、その上に平和・暮らし・地方破壊を進めている国の悪政の流れにみずから身を投ずということであれば、これまでのような積極的役割を果たせるかどうかは、おのずと明らかだと考えるものです。 私たちは、引き続き、県民の皆さんと築いてきた積極面をさらに前進させ、国の悪政から暮らしを守る姿勢を貫きます。そして、この間の市民と野党の共同をさらに発展させる立場に立ち、皆さんとよく話し合い、共同の候補者を擁立し、県民の暮らしと命に寄り添う温かい高知県政実現のために全力を尽くす決意を、以上表明するものです。 次に、知事の政治姿勢についてお聞きします。 まず、憲法問題です。千葉県で台風による被害が拡大しているもとで発足した第4次安倍政権は、改憲をなし遂げることを最大の使命に掲げています。しかし、さきの参院選では、安倍政権は参議院で改憲発議に必要な3分の2の議席を失い、自民党も9議席後退し、単独過半数を失いました。共同、時事、朝日などの世論調査を見ても、安倍首相のもとでの憲法改正に反対が賛成を上回っており、改憲を国民が求めていないことがはっきりと示されたのが、さきの参院選の結果です。 安倍総理が改憲に暴走するのは、侵略戦争と植民地支配の加害の歴史を否定するところに原点があります。国内外の平和を願う人々の声を反映して生まれた日本国憲法を、連合国軍総司令部の、憲法も国際法も全くの素人の人たちがたった8日間でつくり上げた代物だと蔑視したのも、そのあらわれです。日本国憲法の源流には土佐の自由民権運動の思想が息づいていること、また日本共産党が戦前から掲げていた政策が反映したものであるなど、日本国民の平和と民主主義を求めてきた歴史を無視し、侮辱する発言です。 また、安倍首相は、終戦記念日の全国戦没者追悼式で一貫して侵略戦争での周辺アジア諸国に対する加害責任に触れず、反省の言葉を排除したことに、歴史修正主義の立場であることが象徴的にあらわれています。国際的な到達点を無視し、侵略の定義は定まっていないと詭弁を弄したこともあります。 知事は、平和憲法が国民の間に定着しているもので、憲法第9条はしっかり守るということが立脚すべき立場と明確に述べ、憲法の源流に自由民権運動があることを土佐人として誇らしいとも答弁しています。 自民党公認を目指す政治家として、安倍総理の改憲の立場、侵略戦争だったことを認めない立場をどう評価しているのか、知事にお聞きいたします。 次に、貧困と格差の拡大についてお伺いします。2011年9月議会で、私は、日本の所得再配分機能がOECD諸国の中でも最低クラスであるとの統計も示し、是正が必要なことを述べ、知事に社会保障など社会権の意義についてただしました。そのとき知事は、社会権は、20世紀になって社会国家の理想に基づき、特に社会的・経済的弱者の方々を保護することにより、社会における実質的な平等を実現するために保障されることとなった人権であると認識しておりますと答弁しました。 しかし、現実の日本社会では、格差と貧困が拡大し、子供の貧困、若者の非正規雇用、学生を苦しめる高い学費と奨学金という名の大きな借金、高齢者の孤独死、老老介護、8050問題などが大問題となっているように、基本的人権、社会権がじゅうりんされている現実が広く存在していることは論をまちません。その最大の原因は、自公政治による異常な大企業中心、国民・労働者犠牲の政策がとられ続けてきたことにあります。それは、税収構造を見れば一目瞭然です。 消費税3%であった1990年度の国の税収は60兆1,000億円です。消費税率8%の2018年度の税収は60兆4,000億円と、わずか3,000億円の増にとどまっています。消費税収は4.6兆円から17.7兆円へと4倍、額にして13.1兆円も確かにふえていますが、その3,000億円分、率でいうとわずか2.3%しか反映しておらず、残り97.7%、12.8兆円という莫大な国民の血税はどこかに使われて税収に反映していません。なぜそうなるのか。それは、法人税収が18.4兆円から6.1兆円も減り、所得税収も26兆円から6.1兆円も減り、両税合わせ12.2兆円もの減に食われてしまったからです。 1989年の消費税創設以来、過去30年の消費税収は349兆円にもなりますが、同じ時期に法人税は地方分を含めて281兆円、所得税、住民税も267兆円減ってしまいました。消費税収は、大企業と富裕層向けの減税、優遇税制で消えたその税収の補填に使われたのが真実であり、消費税頼みではいつまでたっても社会保障も教育も財政もよくなりません。 税収構造の推移をどう認識していらっしゃるのか、社会保障のための安定財源というのは国民をだますためのスローガンでしかなかったのではないか、知事の認識をお聞きいたします。 消費税導入時と現在の企業の経常利益と法人税収の割合を見てみますと、1997年度は、企業の経常利益27.8兆円、そのほぼ半分が法人税ですので、法人税収は13.5兆円でした。2017年度の経常利益は3倍の83.6兆円になったにもかかわらず、法人税収は3倍化しておりません。税収は11.7兆円と逆に減少しています。特に安倍政権のもとでは、大企業は史上最高の利益を上げ続けましたが、日本経済全体には還流せずに、資本金10億円以上の大企業の内部留保は116兆円もふえて449兆円にも膨れ上がりました。 日銀による国債の大量購入、日銀や年金基金などによる株式購入という、異常で出口も見えない愚かな政策による円安、株高の演出で、富裕層に巨額の金融資産が集中し、アメリカの経済誌フォーブスが発表した日本の長者番付上位40人の資産は、安倍政権の7年間で7.7兆円から18.6兆円と2.4倍にもふえました。 OECDが実施している各国の時間当たりの賃金--残業代も含みますが、それについての調査結果で、日本は過去21年間で8%減っており、主要国の中で唯一の賃金がマイナスした国ということが示されました。ちなみに同期間に、イギリスは93%もの賃金増、1.9倍です。アメリカは82%、フランスは69%、ドイツも59%、1.59倍へとふえています。そして、お隣の国、韓国は167%の増加、2.67倍と賃金が上がっているんです。所得が再配分されるどころか、国民から大企業、富裕層に逆に移転しているという、日本の異常な姿を示すものです。 大企業、富裕層に富が偏在している上に優遇税制で税の空洞化がつくられる一方で、国民の貧困が広がっている、この政治が生み出したゆがみを正すことなくして日本社会の未来、地方の再生はないと思いますが、知事の認識をお聞きいたします。 次に、農業問題についてお聞きいたします。8月25日の安倍首相とトランプ大統領との日米首脳会談で日米貿易協定が大筋合意され、昨日発表されました。その内容は、まさに失うだけのFTAです。 農産物についてはそもそもTPP水準が大問題だったわけですが、それさえも守れませんでした。TPPは、牛肉、豚肉の関税は段階的に削減することになっていますが、先行したTPP11に米国が劣後しないようにとそんたくし、段階的削減期間を飛び越して、昨年12月に発効したTPP11の水準に一挙に適用させるとしています。 TPP11では、米国も含めた12カ国全体の輸入枠を、米国が抜けた11カ国でそのまま適用させた品目が、乳製品も含めて33品目もあります。これらについて、日米2国間で米国枠をまた新たに設定すれば二重枠となり、完全なTPP超えとなります。乳製品などについて二重枠の設定が見送りになったので、現時点でTPP水準を維持しただけであり、自国分の乳製品などを米国が放棄するわけはなく再協議は時間の問題で、TPP超えを回避したと考えるのは早計だと考えます。 加えて、余剰となっているアメリカの飼料用トウモロコシ270万トンを日本の民間に買わせる約束をさせられました。政府は、新たに発見された害虫の食害を輸入の理由づけにしていますが、大規模な食害は発生していません。そもそも食害が懸念されている日本の飼料用トウモロコシは、葉や茎を青刈りして発酵させる粗飼料であり、米国から輸入しているのは濃厚飼料となるトウモロコシの実であり、全く別物で代用できるものではありません。要するに、使い道のないものに数百億円もの日本のお金が使わされることになります。これも実質的なTPP超えです。 一方、日本政府がメリットとして強調してきた自動車関税は、撤廃どころか20から25%の追加関税発動を避けることに必死のていたらくです。25%関税を押しつけられなくてよかったという論調がありますが、そもそもアメリカの特定国を狙った25%関税適用などは、国家安全保障を名目とした明白なWTO違反です。しかし、日本政府は反論すらしていません。自由貿易が重要だと言いながら、理不尽なアメリカの要求に屈服しているのです。 農政に詳しい鈴木宣弘東大教授は、「25%の関税に脅されて、やはり差し出すだけになった。恐ろしいのは、味をしめた米国大統領は、引き続き25%関税をちらつかせることで、際限なく日本に「尻拭い」・「肩代わり」を要求してくるということである。」と指摘しています。 日米FTA交渉は、知事が大事だとする自由貿易に真っ向から反する内容ではないでしょうか、知事の認識をお聞きいたします。 安倍政権のもとで、食料自給率は過去最低の37%にまで低下しました。基幹的農業従事者は2010年の205万人から2019年の140万人へと減少し、その42%は70歳以上です。近い将来、大量リタイアによる農業者の激減は避けられません。耕作放棄地も年々ふえ、今や全耕地面積の約1割に達しています。 歴代自民党政権の農業政策の破綻は明白になっていると考えますが、知事の認識をお聞きします。 農林漁業の安全保障の機能、多面的機能を重視し、価格保証や所得補償などによる農業経営条件の抜本的な改善、また若者が安心して就農できる条件の整備などで多様な担い手を大幅にふやす方向への転換が求められます。 輸入自由化、大規模化・競争力一辺倒の農政を根本から転換することが急務と思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、幼保無償化についてお聞きいたします。消費税増税と一体で、10月から幼児教育・保育の無償化が始まります。しかし、今回の制度設計は幾つかの重大な問題点を抱えています。 第1は、今日の待機児童問題の根幹をなしている保育士不足、保育士の貧困な処遇に対する抜本的な手だてがなされていないことです。 第2は、保育士不足とも関係しますが、子供の安全、命に対して、無責任な制度設計だということです。認可施設の基準でさえOECD加盟国では最低レベルにとどまっていますが、同改定では、国の認可外保育施設指導監督基準--これ自体保育士の配置が認可保育所の3分の1という低いものですが、その最低基準すら満たさない状態の施設も、5年間無償化の補助対象としています。 2004年から2018年の15年間で、全国の認可外施設での保育中の事故で亡くなった子供の数は137件で、死亡事故発生率は認可施設の2.2倍となっています。認可外保育所に預けていて子供さんを失った高知市内の母親は、事故があって初めてその保育士配置基準を知り、まさか子供の命を守れないと思われる基準の施設が堂々と営業しているとは思わなかった旨、語っています。今回の改定で、基準に満たない小規模事業所が次々と立ち上がるのではないかと懸念の声が出ています。子供の安全、成長と発達にとって極めて重要な時期を担う保育の質が低下させられる危険があります。 認可外保育施設が幼保無償化の対象となることに対してどのように対応していくのか、教育長にお聞きします。 第3は、今回の無償化において幼稚園との整合を図るとして、これまで保育の一環として保育料の中に含まれていた副食費が実費徴収されることとなりました。批判の声に押されて、免除の範囲を年収360万円まで拡大しましたが、保育所での事務の煩雑化、また滞納世帯の保護者と緊張関係が強いられるなど、保育士不足に拍車をかけることになります。この実費徴収について、引き続き無償とすることを表明する自治体が次々とあらわれています。 内閣府は5月30日、幼児教育・保育の無償化に関する都道府県等説明会の資料である、幼児教育・保育の無償化に関する自治体向けFAQの中で、「これまで市町村が単独事業により利用者のさらなる負担軽減を講じてきた部分についても、国や都道府県の負担が入ることになります。」、「このため、今般の無償化により自治体独自の取組の財源を、地域における子育て支援の更なる充実や次世代へのつけ回し軽減等に活用することが重要である。」として、「適切に対応いただきたいと考えています。」と明記しています。そこで、県内の幾つかの自治体を調べてみますと、軽減される負担額で十分副食費の無償化を実現できる額となり、高知市や南国市などはこの9月に予算措置を講じることを決定しています。 県段階で言いますと、秋田県は、25自治体のうち半数以上の14自治体、5市7町2村が、全ての対象児童の副食費を無料にする方向です。同県では既に、無償化に合わせて、多子世帯の副食費を助成する県と市町村の共同事業を立ち上げることを決めています。この助成事業に、市町村が独自に上乗せして行われるものです。うち4町1村では主食費も無償です。同県の担当者は、秋田でも少子化、人口減少が進むもと、助成事業は子育て世帯を支援するもの、やはり経済的支援が一番求められていると語っています。 秋田県のような副食費無償化への県の補助制度を県内の全自治体に適用した場合、予想される県負担額はどれだけになるのか、県補助制度を創設し、子育て支援への県の決意を示すべきではないか、知事にお聞きいたします。 次に、子供の医療費無償化についてをお伺いします。尾崎県政では子育て支援を重視してまいりました。特に、全国的にもおくれていた中学校給食が須崎市の2校を除いて実施となり、子供の医療費無償化も、高知市も小学校卒業、他の自治体は中学校卒業以上へと前進を見ています。私たちも市町村議員や住民の方々と力を合わせ、実現に力を尽くしてまいりました。中学校給食実施では、県が積極的に市町村に働きかけたと承知しております。 しかし、残念なのは、この医療費無償化の前進部分と中学校給食の実施において、県の独自財源はほとんど支出されていないということです。反対に、県の乳幼児医療費助成制度の予算額は、制度が拡充していないために少子化を反映し、予算規模は2010年度の4億9,500万円から2017年度3億9,900万円と、1億円も減っています。 子供の医療費無料化について、県下の市町村が住民の願いに応え財政出動の努力をしてきた一方で、県の乳幼児医療費助成制度予算が1億円も減っていることをどう評価なさっているのか、知事にお聞きいたします。 厚生労働省の2018年度調査で、高校卒業まで助成している市区町村は、通院と入院ともに全体の3割を突破しております。中学校卒業までと合わせると、通院も入院も約9割に達しています。高知県の子供の半数は高知市にいます。その高知市の小学校卒業までの医療費無償化の費用は10億800万円かかっていますが、うち県負担は2億円にとどまっています。高知市では、中学生の無償化の市民の声に対し、全て市の単独財源となることを挙げ、2億円の財源は厳しいと説明をしている状況があります。 知事は、国に対しては、全国一律の子供の医療費助成制度をつくるよう要請しているとおっしゃいますが、県としてやる気がないとの表明にも聞こえるとの住民の指摘も聞こえてまいります。 県も、高知市初め市町村と足並みをそろえ、子供の医療費無償化の拡充に予算出動すべきと思いますが、知事にお聞きいたします。 次に、全国学力テストについてお聞きいたします。 今議会、知事提案説明の教育の充実の項で、知事は、この間チーム学校の構築など幾つかの施策を述べた後、これら一連の取り組みを発展させてまいりました結果、全国学力・学習状況調査の小学校算数が43位から6位と大きく上昇しておりますと述べています。この発言は、公教育のさまざまな施策の目標を学テに収れんさせてきたことをくしくも示すものです。公教育は、個人の価値を尊重して、人格の完成を目指して行われるものです。全国学テの順位を競い合うために、子供たちは学校に毎日通っているのではありません。 全国学テの目的は学力・学習状況を把握、分析するもので、本調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること、学校における教育活動の一側面にすぎないことなどを踏まえるとともに、序列化や過度な競争につながらないように十分配慮すると、文科省自身も示しています。 しかし、知事の発言は、学校長や教員をして、結局は学テの順位数値で結果を出すことに子供たちを今まで以上に追い込むことになると危惧するものですが、知事の御所見をお聞きいたします。 また、次期教育大綱では基本目標に、現行大綱のように、小学校の学力は全国上位を維持し、更に上位を目指す、中学校の学力は全国平均以上に引き上げるとの、序列競争をあおる目標設定はすべきでないと考えるものですが、知事にお聞きいたします。 学テの現場での弊害は何度もこの議場で取り上げてまいりましたが、実際、追い込んだ結果生徒の指導死を招いた、10年連続で学テ日本一の福井県の例を本年2月議会でも取り上げました。福井県では2017年の中学3年生の自殺を契機に、県議会が、自殺に追いやった教員の不適切な指導の背景には学力を求める余り業務が多忙化し精神的ゆとりを失ったことがあったとして、本県でも実施している県版学テなどの取り組みを学校裁量に任せることなどを含む、教育行政の根本的見直しを求める意見書を可決した例です。 2月議会時に紹介できなかった、福井県議会総務教育常任委員会委員長で自民党の斉藤新緑県議のコメントを御紹介いたします。「福井県は、学力日本一ではなく学力テスト日本一です。学力テストの平均点を上げることにどれほどの意味があるのか。福井型教育といって新たな施策をどんどん打ち出す一方で、これまでの施策を減らすことをしないため、教員の仕事は常にふえ、学校現場で悲鳴が上がっています。授業準備ができない、蓄積した疲労で授業のパフォーマンスも落ちるとの声も届きました。尋常でない多忙化のもと、教員のストレスは限界に達しています。常任委員会では、この状態を解決しない限り同じような事件は防げないと考え、教育行政のあり方について意見をまとめました。子供たちには問題意識を持って、多様な物の見方、考え方、生き方を学んでほしい。ふるさとを担う人間づくりを目標にした教育を目指すべきです」、これは、まさに本県の状況にそのまま当てはまるものではないでしょうか。 学テを利用し、競争をあおり、見せかけの一時的な学力というものの数値を追う指導はもう限界に来ていることに、私たちも気づくべきです。本県では、学テを受けることを拒否する生徒、保護者も出始めています。2018年には広島県が、業務改善の視点から県独自の学力テストを休止すると、福井県に続き、県版学テ取りやめの方向性を決定しています。 2月議会での県版学テへの私の問いに教育長は、学テについては継続してやっていくというふうに考えておりますと答えていますが、さきに述べたように、学力・学習状況を把握、分析するものであるならば、全国学テに毎年63億円も使う必要はなく、数年に一度で、そして抽出で十分であると考えますが、改めて教育長にお聞きいたします。 また、福井県や広島県が県版学テを現場裁量にしたり休止したことをどう認識していらっしゃるのか、また本県の県版学テや単元テストは取りやめるべきだと思いますが、あわせて教育長にお聞きいたします。 次に、特別支援学校新設についてお聞きいたします。 ちょうど1年前の9月議会で私が、そして続いて12月議会で中根議員が取り上げて、教室不足など過密・過大規模化の実態を告発し、知的障害児学校を新設するよう提案を行いました。教育長は、直ちに学校現場を訪問もし、将来を見据えた抜本的な改善、解消の方策について具体的な検討策を検討していくと、前向きな姿勢を示されました。そして今、高知県における知的障害特別支援学校の在り方に関する検討委員会が設置され、検討が進められています。 検討委員会設置の目的を示した要綱第1条は、高知県における知的障害特別支援学校の児童生徒数の増加傾向による学校の狭隘化等の課題に対し、将来を見据えた抜本的な改善、解消の方策について検討することと述べています。しかし、この間の2回の検討委員会の審議経過は、その目的から離れ、目先の課題解決のみに審議を誘導しようという県教委事務局の姿が見られます。 最も重要な一つである規模の問題について、審議をこれから積み重ねて決めていく第1回検討委員会であるにもかかわらず、何といきなり、山田特別支援学校校区に40人から50人規模の対応が必要と人数まで示して、事務局である県教委みずからが案を示す始末です。その姿勢は2回目にさらにエスカレートします。現特別支援学校について増築は困難である、そして施設の新築については、調査の結果高知市に適当な土地はない、あっても整備期間4年から5年かかると否定的見解を並べ立てた一方、既存施設を活用した整備なら複数の情報があるなどと、審議の方向性を特定の方向に導く意図的記述が報告という形で委員に示されています。まさに県教委主導そのものです。県教委事務局案ありきの提案をするのであれば、何も検討委員会は必要ありません。 教育長は、県民に十分な審議を保証するために検討委員会に審議を諮問したのではないですか、お聞きします。 この10年間、一貫して渦巻いていた声と願い、取り組みが大きな流れになってきています。障害児と保護者、学校現場、医療・福祉関係者、県民が、豊かに学べる教育の実現を目指して、高知市に小・中・高、寄宿舎のある県立の100名規模の知的障害特別支援学校をつくろうと呼びかけています。自立する力をつけてほしい、小学部から高等部まで地域で手厚く見てもらえる学校が欲しい、地域で障害児が大切にされ安心して学べる教育条件を整えてほしい、寄宿舎とスクールバスは絶対必要、子供がふえ学校が過密化で教室もカームダウン室もない、少ないなどなど、声と願いがいっぱいです。 今、高知市立の特別支援学校に130名の児童生徒が学び、約100名は日高や山田の特別支援学校に通っています。子供も保護者も学校の先生も、多忙な労働とますます厳しい暮らしの中で、成長と発達、穏やかで幸せな日々を願っています。 第2回特別支援学校の在り方に関する検討委員会の協議の概要の末尾に、「会議終了後、会長と事務局で協議し、次回検討委員会までに、知的障害特別支援学校及び各市教育委員会を対象に「特別支援学校に対するニーズ調査」を行うこととなった。」と付記されています。手順はさきに述べたように、検討委員会で審議して決定したことではなく、会長と事務局が勝手に審議を経ずして決めたことは問題です。しかし、ニーズ、意見を聞くことは極めて重要であることは言うまでもありません。 今回の検討委員会の目的からいっても、保護者やこれら学校をつくる会の皆さん、そして誰よりも現場で奮闘する学校の皆さんと意見交換、懇談することは、極めて有意義ではないでしょうか、教育長にお伺いいたします。 先日、県議会総務委員会が、岐阜県、岐阜清流高等特別支援学校を訪問して、当該支援学校と県の特別支援教育の取り組みを視察、研修しています。地域で学び地域で育ち地域に貢献するを基本理念とする、子どもかがやきプランと改訂版に基づいて、この間新たに8校を新設し、20の特別支援学校を整備しています。そして、子供の増加による施設の狭隘化の解消と社会的自立のための教育の充実が急がれていること、県も議会も厳しい財政状況の中でも特別支援学校の整備については別問題との認識に揺るぎはなかったと思いますとの説明に、同僚議員は大きな衝撃を受けたと話しています。こうした全国の先進的な取り組みに学び、検討委員会の目的にある抜本的な改善、解消への審議にも真正面から臨むべきです。 さきの視察は教育次長も同行していたとのことですが、次長からの報告を受けての感想及び、山田特別支援学校の過密・過大規模化の緊急な改善はもちろんですが、関係する知的障害特別支援学校適正化等、将来を見据えた抜本的な改善、解消の方策について真摯に向かい合うべきと考えますが、教育長の御所見を伺います。 最後に、四万十川メガソーラー建設計画についてお聞きいたします。 観光客からも人気が高い佐田の沈下橋の約1キロメートル上流に、大規模太陽光発電所、メガソーラーの整備が計画されています。出力3メガワットで、8.3ヘクタールの河川敷に太陽光パネルを約4ヘクタール設置するというものです。 多様な生態系や景観を守るため、大規模な造成や建造物を制限する四万十川条例を県は制定しています。2016年、2018年の過去2回の当該地へのソーラー計画は、同条例に基づき、水害のおそれ、景観破壊、住民の反対を理由に不許可にした経緯があります。そして2018年4月、同条例には、許可が必要な工作物として太陽光発電も新たに追加されています。にもかかわらず、今回は四万十市長が許可しそうだと新文書などから感じている住民の皆さんが、四万十市、そして県に対する憤りと批判の声を大きくしています。業者が数次にわたり県との問い合わせや協議を行っているのに訴訟をちらつかせる強硬な姿勢を示しているのは、県と市の対応に何か非があったからではないかという疑念も起こってきています。 県は、四万十市並びに事業者とどのような協議、連絡、接触を行ってきたのか、林業振興・環境部長にお聞きします。 知事は今月13日の記者会見で、本県が策定した太陽光ガイドラインでは、地域の関係者に対する事業内容の説明、協議を行い、地元合意を得た上で事業を進めるように求めていると発言なさっています。しかし、9月13、14両日に開かれた佐田、三里での地元説明会は、本来主催すべき事業者が一人も来ずに四万十市が行うという、前代未聞の開催となっています。 知事が言う国、県のガイドラインに照らすと、住民との合意を図ることをはなから無視し怠っている事業者に事業許可を出すことがあってはならないと考えるものですが、林業振興・環境部長にお聞きします。 今回の事業計画には多くの問題点があります。県として、四万十市に対ししっかりと助言をするためにも、以下の点について明確な答弁を林業振興・環境部長に求めます。 第1に、この事業は昭和38年8月豪雨、約1万3,400立方メートル・パー・セカンドの水位を基準にしており、その1.19倍、約1万6,000立方メートル・パー・セカンドの洪水が発生した昭和10年8月の水位を無視していることは問題です。近年の集中豪雨は、予測を超えるものが頻発しています。また、当地は遊水地として機能を果たしてきたところでもあります。太陽光パネルや施設が流されれば、佐田の沈下橋にひっかかり被害を大きくします。さらに、パネルには有害物質を含むものもあり、下流5キロメートルにある水源地が汚染される危険性も発生します。四万十川下流の特産品であるアオサへの影響など、市民生活に甚大な被害を及ぼすことが予想されます。 当該地が河川法適用外の建設場所であるとしても、水位や遊水機能の補填や施設の流下などに関して、想定外の洪水対策を実証データとともに提示することなしに建設を認めない姿勢を県、市とも示すべきではないかと考えますが、どうお考えか、お聞きします。 第2に、景観保全のため遮蔽することが必要ですが、事業者の木と竹の植樹計画で遮蔽ができるのか、川の景観が保たれるのか、そもそも砂利のあった河川敷で竹や木が根づくのか、それらを担保する実証データの提出がない限り事業許可を認めるべきではないと考えるが、どうか。 また、改正FIT法は、事業計画と関係省庁や地方自治体からの情報提供などをもとに、関係法令・条例違反等、認定基準への違反が判明した場合は認定取り消しができるとなっており、さきの四万十市議会では、遮蔽ができない状態であれば発電させないという執行部答弁もなされています。 県も、FIT法に基づく対応姿勢はこの四万十市と同様の考え方なのか、お聞きします。 第3に、今回の事業主は東京都港区にある2014年設立の株式会社で、資本金300万円、従業員3人の小さな会社と聞いています。設置後に施設の流出やパネルの自然発火など問題が発生した場合、事業者が迅速かつ適切に対応できるのかは甚だ疑問です。 太陽光パネルの設置期間25年間及び設置期間終了後の実効ある安全対策を担保させるべきだと考えますが、どうお考えか。 市長の許可容認姿勢に、地元住民や観光業者、漁業関係者は危機感を抱き、四万十川観光遊覧船連絡協議会、四万十川中央漁協青のり組合、四万十川リバーアクティビティ連絡協議会、四万十川を後世に伝える会、四万十川の景観を大切に守りたい市民の会、四万十ふるさとの自然を守る会など6団体は、四万十川のイメージが悪くなる、景観が損なわれる、防災上も問題だと、不許可を求める要望書を市長に提出し、署名も9月18日段階で5,460筆となっています。 そして、四万十市議会では9月21日、四万十川流域における大規模太陽光発電を許可しないよう求めた陳情書を賛成多数で採択いたしました。この議会の決定は非常に重いと言えます。 今回のメガソーラー建設計画について知事の所見と対応をお聞きいたしまして、私の1問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 吉良議員の御質問にお答えをいたします。 まず、安倍総理の改憲の立場、侵略戦争であったことを認めない立場をどのように評価しているのかとのお尋ねがありました。 安倍総理は改憲について、困難な挑戦だが必ずやなし遂げると意欲を示した上で、野党各党もそれぞれの案を持ち寄って、憲法審査会で憲法のあるべき姿について与野党の枠を超えて活発な議論をしてもらいたいと述べておられます。 私も、これまで申し上げてきたとおり、現行憲法が制定されてから70年が経過しており、現行憲法で必ずしも対応できない根本的な事柄が生じているのであれば、憲法改正について徹底した議論を行うことが必要であり、国会においてしっかりとした議論を進めていく必要があると考えております。 また、さきの戦争に係る歴史認識について、安倍総理は、戦後70年を迎えるに当たり、閣議決定もされた平成27年の内閣総理大臣談話において、我が国はさきの大戦における行いについて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明してきました、こうした歴代内閣の立場は、今後も揺るぎないものでありますとしており、歴代内閣が持ち続けてきた思いを引き継いでいくことを明確にされているものと考えております。 私といたしましても、戦争の教訓を風化させることなく、平和のとうとさ、平和を愛する心を次の世代に伝えていくことは我々に課せられた使命であると考えているところであります。 次に、税収構造の推移と社会保障のための安定財源についてお尋ねがございました。 まず、税収構造については、御指摘のあった平成2年度はバブル経済下であり、法人税収、所得税収とも過去最高水準にありました。その後、バブル崩壊による不況やリーマンショックによる景気後退により、平成21年度には平成2年度に比べ、法人税は12兆円減の6.4兆円、所得税は13.1兆円減の12.9兆円と、税収が大きく落ち込みました。そこから、近年はアベノミクスの取り組みなどにより税収が回復し、平成30年度は平成21年度に比べ、法人税は5.9兆円増の12.3兆円、所得税は7兆円増の19.9兆円となっております。平成21年度以降、3回、法人税の実効税率の引き下げが行われておりますが、単なる減税とならないよう課税ベースの拡大などをあわせて行っており、平成23年度以降は法人税は増収傾向が続いております。 国、地方を合わせた消費税収については、平成元年の導入以降、平成9年の引き上げまでは7兆円程度、平成26年の引き上げまでは12から13兆円程度、その後は22兆円程度で安定的に推移していると認識しています。このように、近年の動向を見ると、法人税、所得税、消費税いずれも増収となっているところであります。 この消費税の引き上げ分については、社会保障の安定財源としてしっかり使われていると認識をしており、実際に数字を見ても、平成2年度から平成28年度にかけて社会保障給付に係る国と地方の負担分は、16.2兆円から47.7兆円へ30兆円以上増大しており、この金額は消費税収入の増額分を超えております。 消費税は、経済の動向や人口構成の変化に左右されにくく安定していることに加え、勤労世代などの特定の者への負担が集中せず、経済活動に与えるゆがみが小さいとされています。そのため、幅広い国民が負担する消費税は、少子高齢化社会における社会保障の安定財源としてふさわしいものであると考えているところです。 次に、特定の大企業等に富が偏在している状況を踏まえ、政治によるゆがみを正す必要があるのではないかとのお尋ねがございました。 政府においては、アベノミクスによる成長と分配の好循環をつくり上げる中で法人の内部留保が拡大していることに関連し、法人に対して賃上げの要請や税制上のインセンティブを付与することを通じて、企業の収益を賃上げや設備投資につなげていく取り組みを進めているものと承知しております。また、所得再分配機能を強化する観点から、平成27年分以降の所得税の最高税率を5%引き上げており、加えて今般の消費税引き上げに当たっては、低所得世帯に対する高等教育の無償化や介護保険料の軽減、低年金者に対する給付金の支給などを実施することとしております。 このように、国においてさまざまな格差是正策が講じられてきたものと承知していますが、私としては、今後とも全ての世代の方が安心して暮らせる社会の実現に向けて、さらに格差是正の取り組みを進める必要があると考えているところです。 そのためには、国全体として地域間格差を是正することが大きなポイントになるものと考えており、地方創生の推進など地方の経済の底上げに資するさまざまな取り組みを、格差是正の一環としてより骨太に講じていく必要があるとも考えているところでございます。 次に、日米貿易交渉についてお尋ねがございました。 日本時間の本日未明、日米両首相によって新たな貿易協定の最終合意がなされました。これまでの報道によりますと、議員のお話にもありましたように、輸出面では、米国が離脱する前のTPPで予定されていた自動車や関連部品の関税撤廃は見送られたものの、懸念されていた自動車への追加関税の発動は回避されることとなり、かつ関税撤廃についても継続協議となっております。あわせて、多くの工業製品の関税撤廃や引き下げが行われることになったほか、牛肉については低関税枠が拡大されることとなりました。輸入面では、例えばTPPでは合意していた米の無関税枠の設定が見送られることとなりましたし、為替条項は盛り込まれておらず、引き続き金融政策が円滑に進むことが期待されるところです。 詳細な内容は今後検証されることとなりますが、今回の協定は、両国双方のさらなる貿易拡大につながるものであり、自由貿易に真っ向から反するものではないものと考えているところです。 今後は、残された自動車などの品目について協議が続けられることとなります。また、農産品についても将来的に再協議を行うこととされています。政府においては、引き続き我が国として攻めるべきところは攻め、守るべきものは守るという姿勢で臨んでいただきたいと考えているところです。 次に、歴代自民党政権の農政の破綻は明白になっているのではないか、また農業政策の転換が急務ではないかとのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをします。 少子高齢化の進展により我が国全体で人口減少が進む中、農業の分野におきましても、農業者の高齢化などにより農家戸数が減少し、それに伴い耕地面積が減少するといった厳しい状況が続いております。こうした中において、我が国の農業が今後も産業として持続可能なものであるためには、経営の規模を問わず、多様な担い手が地域地域において農業を続けていけることが重要であると考えています。 国におきましては、平成11年に食料・農業・農村基本法を制定し、以降法に掲げる食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、そして農村の振興という4つの基本理念を具体化するため、大規模化や競争力強化といった攻めの施策一辺倒ではなく、担い手の育成・確保対策や中山間地域の農業を下支えする日本型直接支払制度の推進など、地域農業を守るための施策についても講じてきたものと認識しております。 本県におきましても、産業振興計画のもと、国の制度も最大限有効に活用しながら、次世代型こうち新施設園芸システムの普及拡大の取り組みなどにより産地の生産力を高めるとともに、より生産条件の厳しい中山間地域においては集落営農や中山間複合経営拠点の整備を進めるなど、地域で暮らし稼げる農業の実現を目指し、さまざまな取り組みを展開しているところです。 こうした取り組みを進めてきました結果、本県の農業産出額は、平成20年の1,026億円から平成29年には17.1%増の1,201億円まで増加し、平成20年度には114人であった新規就農者数は、近年は毎年270人前後で推移するなど、各種の指標が上昇傾向に転じてまいりました。 今後も、国においては、最先端のAIやロボットなどの技術を活用したスマート農業の推進や、我が国のすぐれた農畜産物の輸出拡大といった攻めの施策とあわせて、本県のような中山間地域が多く高齢化が進む地域に対しては、守りの農業についてもきめ細やかな対策をしっかりと講じていただきたいと考えております。県としましても、今後も必要に応じ地方の声を届けてまいりたいと考えているところです。 次に、保育所等における副食費の無償化に向けた県の補助制度の創設についてお尋ねがございました。 本年10月からの幼児教育・保育の無償化に当たって、引き続き保護者負担となる3歳から5歳の子供の副食費について、秋田県においては、世帯の所得等により保護者の負担割合を設定し、市町村が無償化または減免しようとする場合に県が補助する制度を創設したとお聞きしております。 高知県において、仮に県内市町村が3歳から5歳の子供の副食費を全面無償化しようとする際に県が2分の1の補助を行うとすれば、県負担額は年間約2億7,000万円となります。 なお、幼児教育・保育の無償化に当たっては、3歳以上の全ての子供と、3歳未満の子供のうち住民税非課税世帯の子供の保育料等が無償となりますが、県内においては、9月13日時点で27市町村が3歳以上の全ての子供の副食費を無償とする方向で検討されていると承知いたしております。 これまで県では、高知版ネウボラの取り組みにより、妊娠期から子育て期まで切れ目のない総合的な支援体制の充実に努めるなど、子育て支援施策全体について、各施策の連携も図りながら充実強化を進めてきたところです。その中で保育料については、18歳未満の子供が3人以上いる世帯を対象として、3歳未満の第3子以降の保育料を軽減する市町村に対して補助してきたところですが、今後も、仕事をしながら子育てしやすい環境づくりなど、少子化対策に資する施策全体をいかに充実させていくかなどを議論する中で、御指摘いただいた副食費についても検討されていくべきものと考えております。 次に、県の乳幼児医療費助成制度に関する予算が1億円減っていることに対する評価についてお尋ねがありました。 乳幼児医療費助成事業費補助金の予算につきましては他の予算と同様に、毎年、前年までの実績額などを考慮して計上しています。お話のありました2010年度は、前年度に新型インフルエンザが大流行したことから、ここ10年間で最も多い約4億9,500万円を当初予算に計上いたしました。他方、その後は助成対象となる乳幼児数が徐々に減少してきたことに伴い実績額も漸減したことから、2017年度の予算では、2010年度と比べ約1億円少ない約3億9,900万円を計上したものであり、決して県が裁量的に予算を削減しているものではなく、予算計上としては適切になされているものと考えております。 なお、直近の2018年度、2019年度は、対象となる乳幼児数が減少する中にあっても、それぞれ2017年度に比べて微増の4億200万円、4億円を予算計上しておりますし、この予算については、疾病が大流行することなどの事情により実際の補助額が当初予算額を上回ることも想定されますが、そうした場合には補正予算を組んで、必要な助成金を市町村に交付することを予定しているものであります。 次に、県も高知市を初めとした市町村と足並みをそろえ、子供の医療費無償化の拡充に予算出動すべきではないかとのお尋ねがありました。 子供の医療費の無償化の問題については、これまで申し上げてまいりましたように、子供が生まれ育った環境によって左右されず、全国どこでも治療費を心配することなく安心して医療を受けられるよう、社会全体で支えていくことが必要であり、子供の医療費は国の責任において全国一律に実施すべきものだと考えております。こうした観点から、全国知事会などを通じて新たな子供の医療費助成制度の創設を国に提言してきたところであり、県としては、これからも引き続き全国での実施が実現するよう提言を行っていく必要があると考えております。 他方、県の助成制度を上回る就学期以降の子供の医療費無償化につきましては、各市町村において、既にそれぞれの置かれている状況や財政状況などを踏まえつつ対応しているところであり、県が中学校卒業までの医療費の助成の拡充を行ったとしても、単に市町村での財源の振りかえになるだけで、本当の意味での子育て支援策の充実にはつながらないと考えております。 県としましては、引き続き市町村に頑張っていただいている事業は市町村にお願いしつつ、あわせて県独自の他の施策を展開するなどして、限られた財源の中で、子育て支援の施策が全体としてさらに充実し、子育てしやすい環境となるよう全力で取り組んでいく必要があるものと考えているところです。 次に、全国学力・学習状況調査についてお尋ねがございました。 本県の子供たちがこれからの時代をみずからの力で力強く生き抜き、みずからの夢に向かって羽ばたけるようにするためには、知・徳・体の調和のとれた生きる力を育んでいくことが必要となります。このうち、知の分野において確かな学力をしっかりと身につけることは、子供たちがみずからの夢や目的を実現していくために大変重要であると考えております。 学力は、多面的、多角的に評価されるものであり、お話にあったこの全国学力調査だけで評価されるものではなく、他の学力調査や各種のアンケート調査、学校における日常の授業や子供の発表などから総合的に評価されるべきものであります。一方で、全国学力調査は、OECDなどの国際的な学力調査の結果や課題なども考慮しつつ、学習指導要領に示された目標、内容に基づき実施されるものであって、出題される問題にあっては、これからを生きる子供たちに必要な学力観が示された良問であると捉えております。さらに、その結果は、客観的に全国の状況とも比較検証できることに加え、学校での授業改善や県、市町村の施策の効果、成果をはかることにも利用することができるものであります。そのため全国学力調査は、多様な学力評価の指標、手法の中でも特に有効なものであると捉えているところです。 したがって、今後とも本県の教育施策の進捗管理やさらなる改善に向けて、全国学力調査は活用されていくべきものと考えておりますが、あわせて個々の子供たちの学力の定着状況は、先ほども申し上げましたように全国学力調査のみをもって把握、評価するものではなく、さまざまな視点を持って多面的、多角的に評価していくことが重要であるとも考えているところです。 次に、次期教育大綱における目標設定のあり方についてお尋ねがございました。 高知県の教育大綱では、学ぶ意欲にあふれ、心豊かでたくましく夢に向かって羽ばたく子どもたち、また、郷土への愛着と誇りを持ち、高い志を掲げ、日本や高知の未来を切り拓く人材の育成を基本理念に掲げており、そのために必要となる力を一人一人の子供たちに育むことを大きな目標として各事業に取り組んでいます。その際には、県民の皆様とも目標を共有して、総力を挙げた取り組みとしていくためにも、具体的で客観的なわかりやすい数値目標を設定することが必要であります。 また、明確な数値目標が設定されていなければ、事業実施において選択する手段やそのボリュームが定まらず、その状況で事業を実施しても十分な成果は期待できません。さらに、適正で効率的な予算の執行という面や県民の皆様への説明責任という面からも、しっかりと数値目標を立てることが必要であります。そして、このような数値目標を設定するに当たっては、先ほども申し上げた、良問で構成され、かつ全国比較や経年比較も可能な全国学力調査の結果を活用することが有効であると考えるものです。 こうした理由から、これまでも全国学力調査における全国平均や全国順位を指標として、目標達成に必要な具体の取り組みを進めてきたところであります。この結果、本年度本県の小学生の学力は引き続き全国レベル以上を維持し、中学生の学力が全国の平均集団に入ってきたことは大変うれしいことであり、学校や教員の皆様、そして各家庭の皆様の御努力、何より小中学生、子供たちの頑張り、これに敬意を表するところであります。 ただ、もとより全国学力調査の結果のみをもって学力の定着状況を把握しようとするものではなく、全国学力調査の結果以外から把握されるさまざまな事柄、学習シートや単元テスト、また授業中につくり上げた作品などを総合して、それぞれの子供の定着状況を把握しようとされてきたものと考えております。 次期教育大綱の策定に当たっては、全体としては現教育大綱の知・徳・体の分野における基本目標の設定を踏襲しつつ、不登校の児童生徒への支援など強化すべき分野についてはさらなる充実を図っていくこととしており、これらの各施策、事業についてしっかりと数値目標を設定していくことが必要となるものと考えているところです。 最後に、四万十川流域へのメガソーラー建設計画に対する所見と対応についてお尋ねがございました。 県は、四万十川の多様な生態系や景観を基礎とした流域の生活、文化及び歴史の豊かさを確保するとともに、持続的な発展を目指した流域の振興を図り、四万十川を県民・国民共有の財産として後世に引き継ぐことを目的として、四万十川条例を制定しております。このため、四万十川流域での開発行為については、自然環境との調和、景観の保全、そして災害時の安全性の確保が大変重要だと考えております。 今回の四万十川での太陽光発電施設の建設計画につきましては、地域の方々から、洪水時に太陽光発電施設が破損したり流出したりしないのかといった心配の声や、景観の保全のために植栽が計画されている竹や樹木が本当に根づくのかといった点について、特に懸念されているとお聞きしております。 この建設計画に対し、地域の皆様が懸念されている洪水時の安全対策や景観との調和といった点などについて、四万十川条例に照らし合わせた上で、四万十市が適切に許可、不許可の判断をされるよう、県としても市に対してさまざまな助言を行っているところです。 また、現段階で事業者による地元への説明会は開催されていないとお聞きしておりますことから、県として、事業者に対して早期に説明会を開催し、地域の皆様の不安を解消するよう、努力を惜しまず丁寧に対話を積み重ねていただくよう、引き続き求めてまいります。 私からは以上でございます。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、認可外保育施設が無償化の対象となることに対する懸念についてお尋ねがございました。 認可外保育施設の設置、運営に当たっては、利用する子供たちの安全を確保することが大変重要であると認識しております。そのため、高知市の所管を除く県内の認可外保育施設に対しては、これまでも県が、子供たちの安全を確保する観点から、定期的に立入調査を実施しております。 今年度は、9月までに対象26施設のうち19施設に対して立入調査を実施しており、残りの7施設についても来月中に実施することとしております。これまでの調査の結果、認可保育所に準じた職員配置や、子供の数に応じた必要な保育室の面積などを定めた指導監督基準を満たしている2施設に対しては、その旨の証明書を発行しており、基準を満たしていない17施設に対しては、基準を満たすよう改善に向けて必要な指導を行っているところです。今年度は、8施設に対し13項目について文書指導を行い、改善報告を求めています。平成29年度は、立入調査対象19施設のうち6施設に対し11項目について、昨年度は、調査対象3施設のうち1施設に対し2項目について文書指導を行い、全ての施設の改善を確認しております。こうしたことは、高知市においても同様に取り組んでおられるとお聞きしております。 さらに、認可外保育施設においても保育所保育指針を踏まえた適切な保育が行われるよう、毎年認可外保育施設の保育従事者を対象とした研修を実施しております。このほか、保育士、幼稚園教諭等を対象としたさまざまな研修への参加も促し、保育内容の充実にも取り組んでいるところです。 今後も、子供たちの安全を確保するため、引き続き、届け出対象となる全ての認可外保育施設に対して指導監督基準に基づく立入調査を毎年度実施し、基準を満たしていない施設に対しては早急な改善と改善結果の報告を促すとともに、報告がない施設に対しては再度の立入調査を実施し改善に向けた指導を行うことにより、保育の質の向上に取り組んでまいります。 次に、全国学力・学習状況調査について、数年に一度の抽出による実施で十分ではないかとのお尋ねがございました。 文部科学省では、この全国学力・学習状況調査の目的は大きく3つあるとし、1つ目は、義務教育の機会均等とその水準の維持・向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図ること、2つ目は、各学校における児童生徒への教育指導や学習状況の改善等に役立てること、3つ目は、そのような取り組みを通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立することを挙げております。さらに、文部科学省において、この調査問題については、これからの社会において求められる学力を具体的な問題として示しているものとされていますので、教員はこの問題の意図などを学習し、授業改善に生かしていくことが重要となっております。 統計的なものとして、全国的な学力や学習状況の傾向や、都道府県別の傾向を把握するということであれば、数年に一度の抽出による調査になるようにも思います。しかしながら、県教育委員会としましても毎年の施策の成果を把握し、改善点を検討するためのデータとして活用しておりますし、各学校においてもそれぞれで児童生徒の状況を把握し、学校ごと、学級ごとに応じた授業改善を行い、また小学校、中学校それぞれで卒業までに身につけておくべき学力について、児童生徒個々の状況に応じて教育指導を行うため、毎年悉皆で行っている本調査を活用しているものです。 このように学力向上に向けた検証改善サイクルを確立するためには、毎年度、全国学力・学習状況調査の実施とその結果の活用が大変有効であると考えております。 次に、福井県や広島県の県版の学力調査の扱い方についての認識と、本県が独自に実施する学力定着状況調査や単元テストについてお尋ねがございました。 文部科学省のホームページ公表資料では、平成30年度に独自の学力調査を実施している都道府県、指定都市は、小学校で46、中学校では47となっております。また、同資料では、福井県は全小中学校で県独自の学力調査を実施し、広島県は質問紙調査を実施していることが公表されています。いずれにしましても、それぞれの自治体には独自の教育課題があり、その解決に向けて効果的な施策が検討され、取り組みを進められており、福井県と広島県でも、それぞれの自治体の事情の中で今回の取り組みの変更が判断されたものと認識しております。ただ、各県の事業や取り組みについても広く研究し、そのよさを本県の教育施策に生かしていくことは大切なことでありますので、さまざまな機会を活用して情報収集や研究を行ってまいりたいと考えております。 本県独自の学力定着状況調査は平成24年度から開始し、現在は小学校4年・5年生、中学校1年・2年生を対象に実施しております。これは、それぞれの学年で身につけるべき学力の定着状況を1年間のスパンで調査、把握して、一人一人の子供の強みや弱みを強化、補強した上で、次の学年へ進級させようとするものであり、あわせてこの調査結果を教員や学校の授業改善に資することを大きな目的としています。この県版学力調査を全国学力・学習状況調査とあわせて実施することによって、一人一人の子供の学力の定着状況を経年で把握することができ、それぞれの習熟に合わせたきめ細かな学習支援が可能となり、また授業改善サイクルの確立にもより有効に働くものと考えています。 また、単元テストは、一つの単元が終わる時点で学習内容が十分に理解され、定着されているかをはかり、習熟度に合わせた個別学習を進めるもので、特に積み重ねが必要な算数・数学において効果をあらわしています。このような取り組みにより、授業改善や学力向上に成果も上がっておりますので、現時点においては継続が必要であると考えております。 次に、検討委員会は、県民に十分な審議を保証するために審議を諮問したのではないかとのお尋ねがありました。 高知県における知的障害特別支援学校の在り方に関する検討委員会は、知的障害特別支援学校の児童生徒数の増加傾向による学校の狭隘化等の課題に対し、将来を見据えた抜本的な改善、解消の方策について検討することを目的として、本年6月に設置いたしました。 7月の第1回の会議では、教育委員会事務局から検討委員会に対して、議論に必要な情報として知的障害特別支援学校の現状や児童生徒数の増加要因、今後の児童生徒数の推計などを説明するとともに、それらに基づき、考えられる対応の方向性の案をお示しいたしました。8月の第2回では、委員会から提出の要請があった資料として、これまでの対応の状況について御説明し、その上で具体的な対応策について御意見をいただきました。 検討の大前提として、施設整備の必要性の有無及び施設整備をする場合にどの程度の規模とするかという点について、さまざまなデータから児童生徒数の推計を行い、その根拠を示しながら御説明いたしました。 本県中央部の知的障害特別支援学校の児童生徒数の推計については、高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略における高知県人口の将来展望に基づいて算出いたしました。これには、インクルーシブ教育システムの推進等による減少要因は考慮しておりませんが、全児童生徒数における知的障害児童生徒数の割合が徐々に上昇していることから、平成30年度には0.97%であったものを令和2年度以降は1.01%まで上昇すると仮定して推計しております。その結果、県中央部の3校間で通学調整ができれば理論上現状の施設で対応できるものとなりましたが、地域性や通学の利便性を考慮すると、山田特別支援学校校区では40から50人規模の人数超過への対応が必要とし、委員の皆様にも確認していただいたところです。 これらは、課題解決の方法を検討していただくために、根拠をお示ししながら必要な情報を提示させていただいたものであり、決して事務局案ありきということではありませんし、検討委員会の議論を具体的に進めるためには、こういった情報を事務局が提示することが必要であると考えております。 今後とも、検討委員会においては、根拠をお示しして資料を提出するとともに、会議も公開し、透明性を確保しながら取り組んでまいります。 次に、狭隘化の対応に関して、保護者や学校をつくる会、学校の関係者と意見交換、懇談することについてお尋ねがございました。 検討委員会の委員には、医療や福祉の立場から知的障害のある児童生徒やその保護者とのかかわりを持つ方々、保護者の代表として知的障害特別支援学校や小中学校のPTA連合会会長、関係自治体の教育長など知的障害特別支援学校にかかわる方々を委嘱し、さまざまな視点から幅広く協議いただいているところです。また、県中央部の各知的障害特別支援学校長もオブザーバーとして参加しております。 これまでに、教職員団体からは、6月に県教育委員会に対して、検討委員会の委員の選定や会議の持ち方に関する御要望を文書でいただきました。また、この教職員団体からは、7月には当検討委員会の委員に対して、施設整備等に関して、高知市内に100名規模の小・中・高一貫した、寄宿舎のある新しい学校の整備を求める提案書が送付されたこともお聞きしておりますし、8月にはこの教職員団体の方が県教育委員会事務局を直接訪問され、担当課においてお話を伺っております。 今後も、教育委員会として、いろいろな機会を通じて御意見をお聞きしてまいりますし、私といたしましても、来月から複数の職員団体や各種団体の方々といろいろとお話をする機会が既に具体的に予定されております。このような場において、この特別支援学校の整備についても意見交換させていただくことになると考えております。 最後に、岐阜県の視察の報告を受けての感想と、全国の先進的な取り組みに学び、将来を見据えた抜本的な改善や解消の方策について検討すべきではないかとのお尋ねがございました。 岐阜県教育委員会では、特別支援学校の児童生徒数が増加し、教室数不足が深刻化した状況等を踏まえ、平成18年3月に特別支援教育の推進のために子どもかがやきプランを策定し、そしてこのプランに基づき、地域で学び地域で育ち地域に貢献するという子供たちの育成を目指して、各地域の特別支援教育の核となる特別支援学校8校を新たに整備しているとのことでした。また、その一つである岐阜清流高等特別支援学校は、平成29年度に開校した知的障害の生徒を対象とした高等部のみの特別支援学校で、1学年48人、全校生徒が137名となっております。 圏域ごとに8校の特別支援学校を計画的に整備された岐阜県の取り組みは大変興味深く、その背景や過程などについて詳しく勉強したいというふうに思いましたし、校舎については、8校のうち6校は統廃合となった高等学校等の空き校舎を活用しているとのことから、既存の施設を活用した効果的な取り組みが行われているという感想を持っております。 本県におきましても、山田特別支援学校の狭隘化と県中央部の知的障害特別支援学校の規模の適正化等については、早期に対応すべき重要な課題であると認識しており、検討委員会においては必要なデータをお示ししながら、将来を見据えた抜本的な改善、解消の方策について、具体的な対応策を検討していただいております。今後、さらに2回の検討委員会を実施し、11月をめどに意見のまとめをいただき、意見のまとめをもとに、他県の取り組みも参考にしながら、本県に合った形でできるだけ早く課題解決に向けた具体的な方策を、県教育委員会として決定していきたいというふうに考えております。   (林業振興・環境部長川村竜哉君登壇) ◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 四万十川流域のメガソーラー計画についての一連の質問にお答えいたします。 まず、県は、四万十市並びに事業者とどのような協議、連絡、接触を行ってきたのかとのお尋ねがございました。 今回の太陽光発電施設の建設計画に関し、条例や規則の解釈、運用について、四万十市から県に対して問い合わせや相談がございまして、随時助言を行っているところです。また、県の太陽光発電施設の設置・運営等に関するガイドラインに基づいて、地元への説明会を早期に開催するよう、事業者に対し県から直接要請を行っております。 次に、国や県のガイドラインに照らして、住民との合意を図ることを怠っている事業者に事業許可を出すことがあってはならないのではないかとのお尋ねがございました。 国が定めている固定価格買取制度、いわゆるFITの事業計画策定ガイドラインでは、事業計画作成の初期段階から地域住民と適切なコミュニケーションを図るとともに、地域住民に十分配慮して事業を実施するように努めることが求められております。また、本県が策定している、太陽光発電施設の設置・運営等に関するガイドラインにおいても、工事の着手前までに地域の関係者に対し事業内容を説明、協議し、地域の合意を得た上で事業を進めるよう、事業者に対し求めているところでございます。 今回、太陽光発電施設の建設が計画されている場所は、過去にも反対運動が起こっている場所でありますことから、先ほどもお答えしましたように、県も四万十市とともに、早期に地元説明会を開催するよう事業者に対し要請しているところでございます。事業者側は、四万十川条例の許可を受けた後に地元説明会を開催するとの意向であり、これまで事業者による地元説明会は開催されておりません。 四万十川条例上は地元合意は許可の要件とはなっておりませんが、四万十川は地域で暮らす方々にとっても、また県民、国民にとっても貴重な財産でありますことから、事業が地域と調和したものとなることが特に重要であると考えております。このため県としましては、事業者に対し、早目早目に住民説明会等を開催し、丁寧な対応を重ねて地域との合意形成を図っていただくよう、引き続き求めてまいります。 次に、想定外の洪水対策を実証データとともに提示することなしに建設を認めない姿勢を示すべきではないかとのお尋ねがございました。 今回の建設計画では、昭和38年8月洪水の際に浸水した水位を想定して、太陽光パネルの高さや防護柵の設置などの洪水対策を講じるとお聞きしております。こうした洪水対策について、想定する洪水の水位の設定や洪水対策の内容が十分なものとなっているかどうか、専門家の意見も付しながら、科学的な根拠をもとに説明することを事業者に求めるよう、県から四万十市に助言しているところでございます。 また、事業者からの説明内容の妥当性について、四万十市においても専門家の助言を得ながら判断されるよう助言してまいります。 次に、事業者の植樹計画で遮蔽できるのか、川の景観が保たれるのか、竹や木が根づくのかといった実証データの提出がない限り許可すべきではないのではないかとのお尋ねがございました。 今回の建設計画では、四万十川条例施行規則に基づいて、太陽光発電施設が四万十川や川沿いの道路から見えないように樹木等で遮蔽することが必要です。このため、まずは事業者が専門家の意見を付して、建設計画で予定する竹や樹木が実際に根づくことを説明する必要があると考えております。 具体的には、植栽を計画する竹や樹木について、それぞれの樹種の特性に応じた土壌改良や植栽手順、また維持管理方法などに関し、専門家の意見を付して、技術的に根づくということが可能であることを具体的に説明するよう事業者に求めていくことを、四万十市に対し助言しているところでございます。 次に、県も、FIT法に基づく対応姿勢は四万十市と同様の考え方であるのかとのお尋ねがございました。 平成29年4月にいわゆるFIT法が改正され、関係法令の遵守が位置づけられ、法令違反があった場合には、関係省庁や地方自治体からの情報提供に基づき、経済産業省は事業者に対して必要な指導及び助言を行い、改善を命じ、最終的にはFIT認定の取り消しを行うことができることとなっております。 今回、四万十川で計画されている太陽光発電施設に関しましては、四万十川条例がFIT法の関係法令に該当することとなります。例えば、仮に発電施設の適切な遮蔽ができないなど四万十川条例に違反する事態が生じ、四万十市が速やかな是正の指導を事業者に対し行いました場合には、県としましては国に対し適宜情報提供を行い、FIT法に基づき速やかに対応いただくよう要請してまいります。 最後に、太陽光パネルの設置期間及び設置期間終了後の実効ある安全対策を担保させるべきではないかとのお尋ねがございました。 まず、発電施設につきましては、事業者がFITの認定を受ける際に、保守点検の責任者や、保守点検及び施設の維持管理計画と、そのかかる費用を算定し、提出することが求められております。事業認定後は、自然環境や近隣への配慮を行いながら、この維持管理計画に基づいて、設備の保守、維持管理とともに災害の防止に努めていただくことになります。 発電事業終了後につきましては、太陽光パネルなどの発電設備は、関係法令を遵守した上で可能な限り速やかに撤去、処分することが求められております。その廃棄にかかる費用につきましては、FITの認定申請の際に資金の積立計画を提出することが求められており、その積立額につきましても毎年国に報告することが求められております。加えて、廃棄費用の積み立てが確実に行われるように、現在国において新たな制度の検討もなされているところでございます。 また、災害などにより発電施設が近隣に被害を及ぼすようなことがあった場合には、事業者が責任を持って適切かつ誠実に対応していくことが、国のガイドラインで求められております。 県のガイドラインでは、事業者は、市町村や地域から合意内容について協定書等の書面を求められた場合には、誠実に対応することとしております。 これらのことを踏まえて、災害発生時の補償や事業者の責任の範囲、事業終了後の設備の廃棄など、地域の方々が懸念される内容につきましては、事業者に、四万十市や地域の方々と丁寧に話し合いを重ね、合意形成を図っていただくよう要請してまいります。また、その合意内容を協定書等の書面の形で明確に残していくことも必要であろうと考えます。 県内では、事業者と地元自治体が災害補償等に関する協定を締結した例もございますことから、こうした事例も参考にしながら、四万十市と連携して、地域の方々の懸念がなくなるような形で合意形成が図られるよう、事業者に対し誠実な対応を求めてまいります。 ◆35番(吉良富彦君) 2問を行います。 まず、学テですけれども、知事も、それから教育長も、多角的にということをおっしゃっていますけれども、それは現場を知らない認識です。学テのみになっているんです。そのことを考慮せずにこのまま突っ走っていくということは、やはり絶対に許されないと思います。 学力テスト体制を問うという高知県民主教育研究所の冊子があります。これを見ますと、学力テストの正答率が大きく下がった。その結果、県教委から学校視察に来る機会がふえ、学力向上、正答率向上のための指導が頻繁に行われた。常に市町村教育長から校長に、学力調査の結果に関する話と正答率向上に向けた校内取り組みの指導が入っている。子供たちに時代の変化に対応できる力をつけろと言っているけれども、調査の結果が絶対的な学力の物差しとして使われるようになった。職員に余裕がなくなっている。職員の長所である個性を潰している。学校行事が削られ、学校がつまらない場所へと変化している。宿題も大変ふえている。その中で子供たちも、テスト偏重の中で美術や音楽など、それ以外の教科が軽視されがちになっている。学力テストが学校現場へ入ってから、夏休みだけではなく、冬休みも春休みも国語や算数の宿題が出されている。その量も多く、子供たちにとっては負担となっている。 高知市では、市教委が長期休業の前に、全ての学校がどれくらいの宿題を出したかを毎回調査している。テスト結果が悪かった学校には、市教委からの指導が入る。そのことで宿題がふやされる。過去問を解くことはもう当たり前になっている。そういう状況が--授業改善を目指すのではなく結果を上げるために、教職員だけでなく子供たちも振り回されているという、これが現場の実態ですよ。 知事も教育長も、本当にこれが私たちが求める学校現場の姿なのか、前回も言いましたけれども、「ねえ君、不思議だと思いませんか」という寺田寅彦のような問いが学校でできるようなものになっているのか、ぜひ現場で教職員と一緒に膝を突き合わせて、さあどうですかということを問うてあげてほしいです。ぜひそういう場を--それはもう結構ですよ、それは思い込んでやっているわけですから、国も一生懸命。でもね、やっぱり出ていって、先生方どうですかと、子供たちの実態はどうですかと、喜んで学校へ来ていますかということを、ぜひ聞く場を持ってあげてほしいと思います。 それを実践しているところがあるんですよ。実は、知事も多分御存じだと思いますけれども、3年前に高知に来た鈴木大祐さんという教育研究者。彼は土佐町で、何と議会として、町内の先生方全部と一緒になって、多忙化の問題、現場の問題を話し合って、そして子供たち、先生たちも大いに喜んでいると、やる気になっていると、自分たちの声を聞いてくれると--これは議会が、その常任委員会がやっているんです。やっぱし土佐町の教育委員会も、それについて評価はしていると思うんですね。 そういう取り組みを、ぜひ高知県としても、県教委としてもやっていただきたい。ただ地教委が出ていって、どうしてこんなに低いんやと、もっとやれ、宿題出せなんていう、こんな貧弱な指導のあり方があってはいけないと思いますね。地教委に関しても、そういう土佐町の実践なんかを含めて例を示しながら、忙しいですけれども、出ていって聞くという場をぜひ持っていただけたらと思います。 それから、教育大綱ですけれども、順位のこともそうですけれども、非常に私が気になるのは、学力状況調査における児童生徒の道徳性、自尊感情や夢や志、思いやり、規範意識で、全国平均を3ポイント以上上回るものにしなさいというのが目標に出ているんですよ。これは、「自分には、よいところがあると思う」、思うというのを全国平均より3ポイント上げろ。「いじめはどんな理由があってもいけないことだと思う」、「人の役に立つ人間になりたいと思う」、この思いを、内面の自由を、どうやって教育の現場で指導するんですか。どう思おうと、それはそれぞれの子供たちの状況で判断されるべきなんです。それを3ポイントあげろなんていう、内面の自由に踏み込むようなこの目標の設定の仕方というのは、ぜひ是正をすべきだと思います。 この2点について、知事に、そして教育長にもお伺いしたいと思います。 それから、四万十川のほうですけれども--もう時間がないですね。県が結局出ていって、ぎっちりやっているわけですよ。それは、市のほうにそういう専門家がなかなか少なくていないということがあって、そういうことになっているんじゃないかと思うんです。やはり私は、市に移譲したというのを非常に今、後悔しているんです。 やっぱし四万十川、日本最後の清流で、観光資源としても大事なところですから、ぜひもう一度、人員もたくさんいるし、そういう専門家もいる県がそれを担当としてできるように変えていくべきだと思いますけれども、それについても御所見を知事にお伺いして、質問を終わりにいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 学力テストについては、真の学力というものがあって、学力テストとの関係というのは恐らくこういうことだと思っております。真の学力が身についているのであれば、結果として、学力テストの結果というのも向上していくであろうと。他方で、学力テストの結果がよいから、ゆえにもってして真の学力がついたとは必ずしも言えないと。そういう結果にあるんだろうと思っています。 前々から申し上げておりますけれども、本県の学力テストの結果が全国平均に比べても著しく低いという状況というのは、本当の学力という点においても著しく低いというものがやっぱりその背景にあったので、学力テストの中でそういう結果があらわれてきたということであって、やはりこれはゆゆしき問題として、我々として努力を傾注しなければいけないということで取り組んできたものであります。 ただ、御指摘もありましたし、我々もそう思っていますけれども、目的とすべきは間違いなく知・徳・体も含め真の学力、これが非常に大事ということは間違いないだろうと思います。ですから、学力テストの結果だけが自己目的化するということであってはいけないということは、それはよくよく気をつけないといけないと思いますし、もし学力テストの結果が自己目的化しているようなことがあるのであれば、その点については一定是正をするような取り組みは大事なことだろうと私も思います。 ただ、真の学力が身についていれば、学力テストの結果においてもよい結果が出てくる。そういう中にあって、やはり真の学力の状況というのを把握するための一つの手法として学力テストを生かすということ、このことは大事なことだと私は思っているところです。 そして、2点目の話でありますけれども、この道徳性について全国平均を3ポイント以上引き上げるということについて、内面の自由を侵害するのかという話であります。これも、子供たちにおいて自尊感情が高まっていけば、結果としてこのポイントも上がっていくだろうと、そういうふうに考えていまして、逆に言うと、このポイントを上げるということを自己目的化するということは、確かにあってはならないことだと思います。例えばアンケートにおいて、いいと答えなさいと言ったりしたりすると、これはもってのほかなのであって、そういうものではないだろうと思います。 ただ、道徳教育をしっかり施して、それが自尊感情の向上とかにつながっていったのかなと、その結果が出ているのかなということを把握するときにおいて、何も操作をしないで、子供たちが素直に答えたその結果を一つ参照するということは、それは十分あり得ることではないかと私は思っております。 3点目、四万十川条例についてということであります。今後この許可基準のあり方について、県としてどう関与していくかということ、さまざまな事例も踏まえて検討も重ねていかないといけないと思いますが、少なくとも現行の問題となっている事例について、新たに変更したものを遡及適用することはできませんから、四万十市において対応されることになるわけであります。しかしながら、我々としても、これに対して技術的助言などしっかり対応していきたいと、そのように考えるところです。 ◎教育長(伊藤博明君) 知事からもお話がありましたように、学テの件、自己目的化ということについては、私どもも、もちろんそういったことをやっているわけではない、そういう形になるということは、ちょっと問題があるかなというふうに思っております。 そういった学テの結果によって子供たちがどんどん追い込まれていくという、そういうようなことであってはならない話で、ここら辺については、しっかりと市町村教育委員会とも連携といいますか、協議といいますか、お話し合いもしていきたいと思います。お話がありましたように、現場の先生方の声というのは非常に大事だと、私も常々現場へ行きたいというお話をさせていただいております。積極的にお話もこれからも聞かせていただいて、教育施策に反映していきたいというふうに思っています。 それから、大綱につきましても、いろんな生徒指導上の課題に対して、やっぱり自尊心を高めていくということが一番なんだろうと。その高めていくということで、いろんな施策を打って、どういうふうに効果が出ているかをはかるために、子供たちのアンケートで、そういう3ポイントというふうなものを指標として使っております。3ポイントが目的ではなくて、やっぱり自尊心を高めていこうという授業が、やっていることがちゃんと成果が出ているのか、それをどうはかるのかというような活用ですので、指標のあり方も、次回以降ここの3ポイントを使うかどうかは別にしまして、何らかの指標はしっかりと設定していく必要があります。そういったことには取り組んでいきますけれども、学テも大綱の目標についても、数値ありきということではなくて取り組んでおりますので、よろしくお願いいたします。 ○議長(桑名龍吾君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明27日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後5時散会...