高知県議会 > 2019-06-21 >
06月21日-04号

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  1. 高知県議会 2019-06-21
    06月21日-04号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 1年  6月 定例会(第349回)        令和元年6月21日(金曜日) 開議第4日-----------------------------------出席議員       1番  土森正一君       2番  上田貢太郎君       3番  今城誠司君       4番  金岡佳時君       5番  下村勝幸君       6番  田中 徹君       7番  土居 央君       8番  野町雅樹君       9番  浜田豪太君       10番  横山文人君       11番  西内隆純君       12番  加藤 漠君       13番  西内 健君       14番  弘田兼一君       15番  明神健夫君       16番  依光晃一郎君       17番  梶原大介君       18番  桑名龍吾君       19番  森田英二君       20番  三石文隆君       21番  上治堂司君       22番  山崎正恭君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       29番  大野辰哉君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         尾崎正直君  副知事        岩城孝章君  総務部長       君塚明宏君  危機管理部長     堀田幸雄君  健康政策部長     鎌倉昭浩君  地域福祉部長     福留利也君  文化生活スポーツ部長 橋口欣二君  産業振興推進部長   井上浩之君  中山間振興・交通部長 川村雅計君  商工労働部長     近藤雅宏君  観光振興部長     吉村 大君  農業振興部長     西岡幸生君  林業振興・環境部長  川村竜哉君  水産振興部長     田中宏治君  土木部長       村田重雄君  会計管理者      中村智砂君  公営企業局長     北村 強君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  原  哲君  公安委員長      古谷純代君  警察本部長      宇田川佳宏君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   麻岡誠司君  選挙管理委員長    土居秀喜君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       弘田 均君  事務局次長      行宗昭一君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     織田勝博君  議事課長補佐     飯田志保君  主幹         春井真美君  主査         宮脇 涼君-----------------------------------議事日程(第4号)   令和元年6月21日午前10時開議第1 第1号 令和元年度高知県一般会計補正予算 第2号 高知県公文書等の管理に関する条例議案 第3号 高知県森林環境譲与税基金条例議案 第4号 地方自治法第203条の2に規定する者の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例議案 第5号 高知県税条例等の一部を改正する条例議案 第6号 過疎地域等における県税の課税免除に関する条例及び半島振興対策実施地域における県税の不均一課税に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県地方活力向上地域における県税の特例措置に関する条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県手数料徴収条例等の一部を改正する条例議案 第9号 高知県立高等技術学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県道路の構造の技術的基準及び道路に設ける道路標識の寸法を定める条例の一部を改正する条例議案 第11号 県有財産の出資に関する議案 第12号 (仮称)南国日章工業団地団地整備工事請負契約の締結に関する議案 第13号 高吾地域拠点校本館及び南舎他改修主体工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第14号 高知県公立大学法人定款の変更に関する議案 第15号 令和元年度高知県一般会計補正予算第2 一般質問   (2人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(桑名龍吾君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(桑名龍吾君) 直ちに日程に入ります。 日程第1、第1号「令和元年度高知県一般会計補正予算」から第15号「令和元年度高知県一般会計補正予算」まで、以上15件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 11番西内隆純君。   (11番西内隆純君登壇) ◆11番(西内隆純君) 自由民主党の西内隆純でございます。議長よりお許しをいただきましたので、一般質問を行わせていただきます。 初めに、令和元年まことにおめでとうございます。第126代天皇陛下の御即位を心よりお祝い申し上げます。伝統の継承者として一切の私心を排し、ただひたすら国民のためにその重いお立場をお受け入れになられました。国民の一人として衷心より感謝の思いをささげます。 次に、このたび県議会に再登壇する機会を下さいました県民の皆様に心より御礼申し上げます。また、落選中、同僚議員各位にも励ましの言葉、アドバイスなどをいただき何度も助けていただきました。重ねて御礼申し上げます。 高知県を守り抜くとのかたい決意のもと戦い抜いてまいりました。高知県が直面する課題、いずれも待ったなしの課題ばかりでございます。地域の暮らし、文化や伝統、残すべきもの、よいものは守り抜きます。また、攻撃は最大の防御との言葉のとおり、攻めるべきところは果敢に攻めて、常識にとらわれない未来を考えた提言で県政を支え、もって県民の信頼と期待に応えてまいりたいと思います。人生一生勉強、至らぬばかりでございます。県民の皆様、同僚議員各位、そして執行部の皆様には引き続きの御指導、御鞭撻を心よりお願い申し上げます。 県議会再登壇の記念すべき1問目は、日本の心について知事にお尋ねしたいと思います。上皇陛下が御譲位をなされ、本年5月1日より第126代天皇陛下の御代、令和の時代が幕あけました。実は私、新しい御代を迎えるまではいささか心配事もございました。光格天皇以来、例のなかった御譲位。法律では退位との表現ですが、私は譲位と言わせていただきます。この御譲位を受けた新しい陛下の新しい御代が、国民にどのように受け入れられるのかと、出過ぎた心配をしていたわけでございます。しかし、御譲位に向けた環境が整うとともに祝福ムードが高まるにつれて、心にかかっていたもやは去り、さらに令和元年初日の朝方の報道を受けて、御譲位でよかったという思いがふつふつと湧き上がるようになりました。5月の中下旬ごろまで、新しい御代の到来を喜ぶ声があちこちで聞こえ、関連するイベントの開催が相次ぎ、皇室関係の報道が連日連夜続いていたと記憶しております。 また、資料等に形式的に書かれた令和元年の文字を見るだけでも、何とはなしにうれしく感じ、やはり自分は日本人なのだなと再認識したものです。御譲位でよかった、このように令和が迎えられてよかったとの思いに至った理由は、主に3つございます。 1つ目は、昭和から平成の移り変わりの契機が昭和天皇の崩御であったことに対して、今回は上皇陛下が御壮健であられる中での今上陛下の御即位であったこと。崩御となるとどうしても自粛ムードの中で新しい時代を迎えざるを得ません。その点、このたびの御代がわりは、あちこちでさまざま催し物があり、祝福ムードと新しい時代への期待感でもって幕あけを迎えました。 2つ目は、日本人おのおのが自国のことを見詰め直すよい機会となったこと。上皇陛下のお言葉を受けて御譲位に向けた準備が進む中、多くの日本人が当事者意識を持って、皇室や元号、日本の国柄について少なからず何かしら考えたり感じたりする機会になったのではないかと思います。また、このたびの元号の典拠が、中国の古典からではなく、初めて日本の古典であり現存する最古の和歌集の万葉集であったことも大きかったでしょう。万葉集の関連書籍の売り上げが大きく伸びたり、ゆかりの地である太宰府天満宮をおとなう人がふえたりなど、日本の心をたどる人がふえつつあると報道されておりました。 3つ目、これは私ごとですが、光格天皇の故事を通し、天皇の無私の思いの一端に触れることができたこと、御譲位の意義について学べたことです。 平成29年4月13日、朝日新聞において、当時の天皇陛下、現上皇陛下光格天皇の名を挙げて、どのような譲位だったか多くの人に知ってもらいたいと述べられたことが紹介されています。その御発言の背景について、雑誌明日への選択の掲載記事「光格天皇と今上天皇」と題した勝岡寛次氏のすばらしい解説文がございましたので、要約して御紹介いたします。 光格天皇の御代には、天明の大飢饉により数万人が餓死し、100万人近い方が亡くなりました。江戸や大阪では打ち壊しが頻発しましたが、京都の御所では、5万人ほどの人が御所を回っては紫宸殿に向かって拝礼したそうです。窮状を見かねた光格天皇は次の御製を幕府に贈りました。「民草に 露の情けを かけよかし 代々の守りの 国の司は」。「代々の守りの国の司」とは徳川将軍家斉を指します。また、その際のお気持ちを詠まれた御製が残っています。「みのかひは 何いのるべき 朝な夕な 民安かれと 祈るばかりぞ」。「みのかひ」とは自身の身の上のことで、「何いのるべき」との反語表現によって、自分のことなどどうでもよい、朝な夕な民安かれと祈るばかりだという意味になります。幕府は、光格天皇の訴えを無視できず、朝廷の願いに応ずる形で救済米を放出しました。このことが極めて重大な転機となり、以降、幕府は朝廷の意向、希望を尊重するようになりました。明治維新の種がまかれたわけであります。 この光格天皇は後桃園天皇の崩御により御即位されました。光格天皇は閑院宮家の傍系出身で幼帝ということもあって、軽んずる向きもある中で、天皇を常に力強く支えたのが後桜町上皇の存在でした。天皇から上皇に宛てた宸翰--天皇直筆の書には次のようにあります。「仰せの通り、何分自身を後にし、天下万民を先とし、仁恵・誠仁の心、朝夕昼夜に忘却せざる時は、神も仏も御加護を垂れ給う事、誠に鏡に掛けて影を見るが如くに候」。宸翰には何度も「仰せの通り」とあり、後桜町上皇のみ教えに忠実たらんとしていたさまがうかがえます。そして、光格天皇は譲位後、後桜町院同様に若い仁孝天皇を支え続けられました。 当時の天皇陛下の、どのような譲位だったか多くの人に知ってもらいたいとのお言葉、そして前述の一連の御事績や精神的系譜を念頭に置けば、当時の天皇陛下と皇太子殿下の関係も、光格上皇と仁孝天皇の関係に倣ったものと読み解くことができます。そして、御譲位とは単に二重権威の問題などではなく、天皇は無私たるべしとのみ教えをいかに次代につないでいくかの問題なのだと、勝岡氏は総括されております。 御譲位の意義について、思わず膝を打つような答えを得たと大変うれしく思いました。また、いにしえからの皇室のありさまに触れる中で、私たち日本人が皇室をいただいているという奇跡にただひたすら感謝の念を覚えた次第です。私の雑感を長々とお話しさせていただきました。 ここで、このたびの御譲位と令和の幕あけをどのように感じたか、知事にお伺いさせていただきます。 また、昨年は全国豊かな海づくり大会が本県で開催されるに当たり、知事におかれましては、当時の天皇陛下であらせられる上皇陛下と同じ空間、時間を共有され、お言葉も交わされたことと思います。そういった経験も踏まえて、改めて皇室の存在をどのように感じられたか、知事にお尋ねいたします。 次に、米中関係についてお尋ねいたします。皆様御存じのとおり、米中関係の抜き差しならぬ悪化が続いております。一部の識者や財界人からは、どこかで手打ちとなるだろうとの希望的観測を聞くこともございます。しかし、新聞やテレビ等の公開情報を丹念に読み解けば、明らかに米国と中国の覇権をかけた戦争であり、日本も深刻な状況に置かれつつあることを感じ取ることができます。 例えば、米国の対中政策の転換点は、平成30年10月4日ハドソン研究所で行われたペンス副大統領の演説に明らかです。要約しますと、中国政府が、政治、経済、軍事的手段とプロパガンダを用いて、米国に対する影響力を高め、米国国内での利益を得るために政府全体にアプローチをかけている、中国に対して米国民及び同盟国は団結せよ、中国がその態度を改めるまで米国は断固として戦うという内容です。 もう少し詳細に御紹介しますと、第2次世界大戦前の対中門戸開放政策から、1949年の中華人民共和国建国、1972年の米中国交正常化WTO加盟支援などと重要な一幕で手を差し伸べたのみならず、米国の技術と資本の投下を行いました。しかし、その結果はというと、高度成長を続けた中国は、米国企業の知財盗用、莫大な軍事費による軍備拡張、尖閣諸島の領有権主張南シナ海諸島の軍事化・実効支配、スリランカを借金漬けにして港を租借化、個人情報監視体制の構築、サイバー攻撃、宗教弾圧、台湾への抑圧、チベットやウイグルの弾圧等を実行。米国に対しては、大学や研究機関に対する影響力の拡大、ハリウッド映画に対する圧力など、経済、文化、軍事、サイバー、メディアとあらゆる手段を使って米国を支配しようとしていると批判しています。 そして、米国は、同国に対する支配力の拡大をやめなければ、あらゆる力でその野望をくじくとしています。この覇権とも言うべき戦争は恐らく長期化し、経済圏もそれぞれの国を中心にブロック化していくものと予想されます。 日本と米国はパートナー国であり、政治や経済などあらゆるレベルで緊密な連携を図ってまいりました。これからも関係の維持が不可欠なことは言をまちません。日本と中国は経済的、人的に密に交流し、地理的に無視することのできない隣国であるものの、自由、民主主義、基本的人権、法の遵守といった価値観を共有せず、基本的な歴史認識を異にしています。また、中国は、沖縄県や尖閣諸島の帰属について荒唐無稽な主張をし、しばしば同諸島海域・空域において軍事的緊張状態をつくり出すなど、日本の安全保障上の脅威でもあります。双方の影響下にある我が国は、米中対立構図の中、極めて難しいかじ取りを求められていると言えるでしょう。 米国と中国の対立激化についてどのような認識か、知事にお尋ねいたします。 人口減対策についてお尋ねいたします。 いずれの地方自治体においても人口減対策が喫緊の課題となっております。本県においては、平成27年10月から平成30年10月までの約3年間の人口減少率ランキングにおいて、秋田、青森に続き第3位のマイナス3.07%を記録しました。今までの常識にとらわれず将来を考える、そういった使命感のもとに思い切った対策を講じなければならないだろうと思います。 人口減対策として出生率の引き上げがしばしば議論の俎上に上ります。私自身、この議論の参加には勇気が要るのですが、きょう、自身のことは一旦棚に上げて話をさせていただきます。 1999年、ロシアは合計特殊出生率が1.17まで落ち込みました。慌てた政府は、2005年ごろに人口学という国家プロジェクトを立ち上げて、出生率の引き上げを試みました。その結果として、2013年には合計特殊出生率1.71を記録し、2016年には1.75まで回復しました。どのような施策を講じたかというと、2007年1月1日以降生まれた2人目の子供の親に対して、母親資本という一時金の支給を開始しました。支給金額はロシア人の平均年収の1.5倍相当額です。お金の使い道は、家の購入、子供の学費、母親自身の将来の年金に限定されており、約9割の家庭が住宅の購入費用に充てたと言われております。少ない負担で住宅を購入し可処分所得がふえれば、第3子も視野に入ってくるものと思われます。 高知で実施するとすれば、第3子をもうけた場合、住宅購入費のうち2,000万円を公費で賄うといったところでしょうか。20年ローンと考えれば、2,000万円を240カ月で割って1世帯当たり月々9万円弱、これを子供3人で割れば子供1人に対して3万円相当の支給となります。住宅需要の経済効果、人口ボーナスのもたらす経済効果、担税者が増加するメリットなどを挙げていけば、検討に値する施策であると思われます。個人の資産形成に公のお金を入れるということで社会主義的過ぎる政策だといった批判も寄せられそうですが、有効な対策も見出せないままにこのままにしてよいのか、よくよく考えなくてはいけない段階にあると考えます。 そこで、お尋ねいたします。人口増加には経済的な負担の軽減が重要であると考えます。高知で第3子をもうけた3年後に、家庭に対して大胆な住宅購入費用の支援を行うなどの手厚い支援についても検討していく余地があるのではないでしょうか、地域福祉部長にお尋ねいたします。 次に、人口の減少部分にスポットを当てた場合、その要素は自然減と社会減に大別されます。自然減は、病気や不慮の事故、高齢による老衰死などが代表的です。社会減は、若者の大学進学や就職といったものが主要因として挙げられます。関西や首都圏の大学への進学、県外への就職、これらは大変よく聞く話です。もし県内にいながらにして有名大学に入学、受講し卒業できたら、世界に名立たるあの企業のオフィスが高知にあったなら、人口の流出に一定歯どめがかかるかもしれません。 まず、就職の問題。魅力ある企業を高知に誘致できないものでしょうか。地理的条件の制約を受けにくく、今後ますますニーズが高まると予想される知的財産系サービス業がターゲットとして適当でしょう。しかし、そのような会社を誘致するならば、法人税の免除か劇的な減税ほかないように思います。例えば、域外から高知県に本拠地を移した企業及び高知県に従前より拠点を構える企業に対して、法人税の免除もしくは劇的な引き下げを措置します。ここまでやれば、恐らく国内だけにとどまらず、世界中からさまざまな企業が進出してくることでしょう。 人口の社会減対策として、大胆な優遇措置による企業誘致について商工労働部長の御所見をお伺いいたします。 次に、大学進学による若者の県外流出の問題について。都市部の大学にとっても地方の過疎は見過ごせない問題のはずです。彼ら自身の存続のためにも、都市より相対的に出生率の高い地方に子供を残すことで、将来の学生の確保に努める必要があると考えます。言いかえれば、大学がこれからも存続していくためには、学生を確保しつつ、地方に学生を残すという一見相反する取り組みに果敢に取り組んでいかなければなりません。 このような取り組みは、ICTにより十分実現可能であると私は考えます。県庁や企業の会議では、双方向通信が可能なインターネット会議別名テレビ会議が利用されております。また、県下の中山間の高校に在学し進学意欲の高い生徒を対象とした遠隔教育システムの導入が進められています。同様に、都市圏の大学がいささかの設備投資を行うことで、本県に学生をとどめ置くことのできる環境を整えることは十分に可能だと考えます。ただし、実験等を伴う理系の学科においては、遠隔操作のロボットが研究室を闊歩するようになるまでは採用が難しいかもしれません。 取り組みに必要な設備投資を一大学で担う必要はございません。問題意識を共有する複数の大学の協力によって合同キャンパスを用意すればよいですし、既存の県立大学との連携も考えられます。また、同取り組みは仕送りによる富の県外流出も防ぎます。もし、県外の大学に進学すれば、1人当たり年160万円程度の仕送りが必要ですが、それが不要となれば、地域経済の活性化に幾ばくか貢献するものと期待されます。 以上述べました、ICTを駆使した大学キャンパスの高知への誘致について検討してはどうか、産業振興推進部長の御所見をお伺いいたします。 県内で県外の某有名大学の授業が受けられて卒業もできる、さらには法人税減によって高知に拠点を構えた企業がひしめき合い、就職先もより取り見取り、結婚し第3子をもうけてマイホームも手に入る。このような夢のある高知を現実に近づけるためには、時に大胆なチャレンジが必要と考えます。米沢藩主上杉鷹山も、「なせば成る なさねば成らぬ何事も 成らぬは人のなさぬなりけり」と申しておりました。 次に、林業の活性化について質問させていただきます。 県では、第3期高知県産業振興計画に基づき、原木生産のさらなる拡大、加工体制の強化、流通・販売体制の確立、木材需要の拡大、担い手の育成・確保等、あらゆる方面に対して効率的な施策を講じ、切れ目のない支援に取り組んでいるものと承知しています。時間軸で大別すれば、増産や需要拡大など比較的短期の時間軸で対応すべき案件と、再造林や人材育成など30年から100年先を考えて取り組まなければならないものがございます。 中でもタイムスパンの長い再造林がどうあるべきかという問題は、相当の慎重さでもって取り組まなければ、森林整備公社のような課題を残す事態を再び引き起こしてしまうかもしれません。将来の住宅需要を初め川下はどうなるのか、バイオマス需要は今後どのように根づいていくのか、再造林樹種として広葉樹はどうか、早生樹のコウヨウザンは活躍できるのか、セルロースナノファイバーの利用が本格化した場合に大規模パルプ工場のない我が県はどのような立場に置かれるか等々、考慮すべき事項は多岐にわたります。 再造林事業が今後どのように進められるのか、その展望について林業振興・環境部長にお尋ねいたします。 再造林と関連して、人工林の齢級構成の偏りの是正を挙げたいと思います。人工林は、戦後の復興・拡大造林期、昭和30年から40年代に植栽されたものが多く、現在11齢級、51年生から55年生程度のものが最も多く分布しており、木材生産を目的とした森林施業をより活発に展開する時期にあるとされています。私たちの社会生活を支える保険や年金などの公的扶助・互助制度は、若年層ほど割合が多く、高齢者ほど割合が減少することを前提とした、なだらかな人口ピラミッドを前提として設計されました。現実には逆ピラミッドとなってしまい、制度の存続のために多種多様な応急手当てを続けております。 人口ピラミッドの例を引き合いに出しましたが、人工林の齢級構成も同様にその偏りが原因となって問題が生じるケースもあるのではないかと憂慮いたします。鳥取県の森林・林業・木材産業の現状と課題と題する取りまとめには、「今後、持続的な森林経営を実現していくためには、次世代を担う若い森林への更新により、人工林の齢級構成の偏りを小さくすることも不可欠です。このことは、森林による二酸化炭素の吸収を促進し、地球温暖化防止に貢献することにもつながります。」と記載がありました。我が高知県においても、将来を見越した場合に、人工林の齢級構成がどうあるべきかという問題にも向き合う必要があると考えます。 低い齢級が極端に少ない現在の人工林の状況について、その齢級構成上、将来顕在化する可能性のある課題についてどのようにお考えか、林業振興・環境部長にお尋ねいたします。 今後、原木の増産を図るとしても、現在11齢級前後の原木がすぐになくなってしまうわけではありません。12、13齢級と成長し、おのおのストックを増加させていくものと思われます。 そこで、将来素材の供給に占める大径木の割合が高まることを見越し、あらかじめ考慮すべき事項はないか、林業振興・環境部長にお尋ねいたします。 選挙の投票率低下の対策についてお尋ねいたします。 令和元年の本年は、12年に1度のい年選挙の年です。統一地方選から始まって参議院選挙、ひょっとすると衆議院選挙、さらには知事、市長の同日選挙と続き、関係者一同は多忙をきわめる年でもあります。高知のあるいは日本のこれからを決める大切な選挙ですから、どの選挙においても真剣そのものです。有権者の皆さんに政治を身近に感じていただき、貴重な一票を投じていただけるよう頑張ってまいります。 さて、一方で気になるのは昨今の投票率の低下の問題。特に若者の投票率の低さが目を引きます。県議選の高知市について見ますと、全体の投票率が39.35%、18歳・19歳が21.16%でした。高知市議選に至っては、全体が36.55%なのに対して、18歳・19歳が16.30%でした。選挙は民主主義の根幹であり、その参加は国民の責務です。投票率の引き上げ対策が急務と思われます。 有権者として一票を投じ、政治に参画することの重要性をどのように啓発していかれるのか、若者への浸透をどのように図ろうとお考えか、選挙管理委員長にお尋ねいたします。 もう一つ気になる点は、高齢者や障害者の選挙への参画についてです。現在、公共交通機関の利用が困難、あるいは長時間の自立歩行が難しいケースへの対処として、県内の自治体でも移動期日前投票所の取り組みが始まっています。その一方、介護保険等の施設利用中の方から、投票所に足を運ぶことが困難であるから棄権する旨の話、あるいは施設に投票所があればといった声をお聞きします。病院、障害者支援施設、介護保険といった施設サービスを利用する方々への対策は十分でしょうか。制度上で言えば、県選挙管理委員会の指定する病院、介護老人保健施設、老人ホーム、保護施設、身体障害者支援施設、以下指定施設において不在者投票を行うことができます。 不在者投票指定施設説明会の開催に当たり、とりわけ高齢者・障害者関係施設の同説明会への参加状況、あわせて施設の指定状況について選挙管理委員長にお尋ねいたします。 また、他県の選挙管理委員会では、指定施設における不在者投票制度の説明として、1、入院または入所中の方で、疾病、負傷、妊娠、老衰、身体の障害もしくは産褥に当たるため歩行が困難であること、2、歩行が可能である方については、自分の登録されている選挙人名簿の属する投票区の区域外にある指定施設に入院または入所中であることとあり、高齢者や障害者を念頭に置いた説明項目を設けています。 これに対して本県の紹介ページでは、「不在者投票制度とは、投票日に仕事や旅行など一定の予定のある方が選挙人名簿登録地以外の市町村選挙管理委員会や指定された病院・老人ホーム等で、投票日の前に投票をすることができる制度のことを言います。」との純粋な制度説明のみとなっております。 投票率向上はもちろんですが、さまざまな立場に置かれた方の民意をしっかりと酌み上げて施策や法律に編み込んでいくためにも、入院または入所中の高齢者や障害者、あるいは歩行困難者等を念頭に置いた、不在者投票制度の周知と指定施設数の拡大にも力を入れていくべきと考えますが、選挙管理委員長の御所見をお伺いいたします。 次に、高台移転用地の造成についてお尋ねいたします。 地震によって生じる津波からの被害を最小限度に抑えるべく、さまざまな取り組みが進められていますが、その中でも抜本的対策であり事前復興の代表格として、高台移転を挙げることができます。高台移転に際しては、用地選定にその確保、造成、これらに要する費用等、さまざまな問題に対処しなければなりません。 そこで、道路整備などの公共事業にあわせて、高台移転用地の整備に取り組んではどうかと考えます。道路の整備コース上には、当然のことながら山や谷がございます。山にぶつかれば、トンネルを掘るか、山を削るかしなければなりません。この際、関係機関とよくよく相談の上、山を開発し、必要とあればその残土で谷を埋めることによって、移転用地の造成をしてはいかがでしょうか。あわせて整備を進めることでコストの大幅な圧縮も期待できます。 実際に移転用地を確保したとしても、住みなれた土地を離れることには、財政面はもちろん、心理的抵抗などハードルが多く残ります。しかし、地震と津波はいつかはやってまいります。たとえ町の移転に時間がかかろうとも、次の南海トラフ地震、あるいはさらに将来の、次の南海トラフ地震を見据えた安全・安心なまちづくりを進めていくという観点からも、高台移転用地の整備はなされなくてはなりません。 以上、道路整備などの公共事業にあわせて高台移転用地の造成を進めてはどうかと考えますが、土木部長の御所見をお伺いいたします。 特定技能2号認定についてお尋ねいたします。 平成31年4月より改正入管法が施行、14の業種が特定技能として定められました。特定技能には1号と2号の2種類がございます。1号は、不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に属する相当程度の知識または経験を要する技能を持ち、業務に従事する外国人向けの在留資格のことを指します。最長5年の滞在が許可されますが、家族の帯同は認められていません。2号は、同分野に属する熱練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格のことで、こちらは家族の帯同も許可されており、滞在期間を更新することができます。2号認定を行うには、1号資格の保有者の持つ技術水準が熟練した状態にあることを試験等で確認しなければなりません。また、対象とする業種は、現時点で建設及び造船・舶用工業のみとなっております。 さて、特定技能2号については1号と異なり、在留期間に実質的上限はなく、受け入れ機関または登録支援機関による支援の対象外であり、さらには配偶者と子の帯同が認められています。 以上を踏まえて、特定技能2号に認定された外国人労働者が、長期にわたり在留する場合や家族を本国より呼び寄せた場合に、予見される課題について商工労働部長にお尋ねいたします。 最後に、道路整備についてお尋ねいたします。 一般県道384号の北本町領石線の混雑・安全対策について改めて質問させていただきます。同県道の一宮業務用スーパーの前から土佐神社前交差点間において、おかげさまで一部を除き拡幅工事が実施されました。夕刻マルナカ前の大渋滞は右折レーンの増設によって幾分か緩和され、さらに歩道の拡幅により歩行者が安心して移動することができるようになりました。しかしながら、走行レーンの増設や迂回路を新規に設けたわけではないので、渋滞の根本的解消がなされたわけではありません。 これからも人口が増加すると予想される地域であり、高知中央産業団地の完成も相まって、さらに混雑するであろうことは想像にかたくありません。また、渋滞の緩和はもちろんですが、周辺住民の安全確保の観点からも交通量を分散する手だてを何かしら講じる必要があると考えます。 そこで、高知中央産業団地付近から旧県交通跡地までの区間において、一般県道384号から国道195号あけぼの街道及び一般県道374号高知南国線に南北で接続する道路の整備について土木部長の御所見をお伺いいたします。 以上、私の1問でございます。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 西内議員の御質問にお答えをいたします。 まず、天皇陛下の御退位と令和の幕あけをどのように感じたかについてお尋ねがございました。 上皇陛下におかれましては平成の30年余にわたり、日本国及び日本国民統合の象徴として、上皇后陛下とともに一つ一つの御公務を心を込めてお務めになり、国民に寄り添ってこられました。両陛下が国民、高知県民にお心を寄せられ、限りない愛情を持ってともに歩んでくださいましたことに心から感謝を申し上げますとともに、お心穏やかでお健やかにお過ごしになられますことを心からお祈り申し上げるところであります。 天皇陛下におかれましては、元号が令和に改まりました先月1日に御即位あそばされ、日本国及び日本国民統合の象徴として皇位を継承なされましたことは、まことに慶賀にたえないところであります。議員のお話にもございましたとおり、平成の時代から令和の時代への御代がわりが日本全体の祝福ムードの中で、新しい時代への期待感とともになされましたことは、私自身も大変喜ばしく意義深いものであったと感じているところであります。 令和という元号には、人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味があります。新たに幕をあけたこの時代が、世界の平和と我が国の繁栄が一層進展する、希望に満ちあふれた時代として幾久しく続きますよう心からお祈り申し上げますとともに、県といたしましても、県民一人一人があしたへの希望を持って歩んでいくことができるよう、経済の活性化や中山間地域の振興により一層取り組み、県勢の発展と県民福祉の向上に向け最善の努力を尽くしてまいりたいと考える次第であります。 次に、昨年の行幸啓での経験も踏まえ、皇室の存在をどのように感じたかについてお尋ねがございました。 私はこれまで、行幸啓、行啓、皇族方のお成りに知事として随従をさせていただき、幾度となく皇室の皆様方と間近に接しさせていただく機会を賜りました。昨年10月には天皇皇后両陛下の御臨席を賜り、平成最後の三大行幸啓となる全国豊かな海づくり大会を明治150年というまさに節目の年に本県で開催できましたことは、歴史上のえにしに鑑みましても大変光栄なことでありました。この大会には大変多くの県民の皆様にお越しいただきましたが、本県人口のおよそ1割にも当たる約7万人もの方々が沿道やお立ち寄り先で両陛下のお出迎えをされるなど、まことに多くの皆様が両陛下の御訪問を歓迎されておりました。 私も随従する車列から、沿道などで両陛下を歓迎する皆様の様子を拝見しておりましたが、多くの県民の皆様が両陛下をお慕いする気持ちがひしひしと伝わり、行く先々で深く感銘を受けたところであります。改めて両陛下に対する国民の敬愛の念の深さを強く感じましたし、我々日本人にとって天皇皇后両陛下を初め皇室の存在がいかに大きなものかということに思いをいたした次第です。 また、私がお近くで随従させていただきました際には、両陛下がいかに国民のことを思っていらっしゃるか、また国民一人一人をいかに大切になされておられるかを感じられる機会に数多く接することができました。両陛下からは県民の暮らしに思いをはせるお言葉を幾度も賜りましたし、沿道や御訪問先においては、お体への御負担が心配されるほど、何度も繰り返し県民一人一人に向けて丁寧にお手振りをなされるなど、大変感銘を受けたところであります。まさに議員のお話にもありました、光格天皇から後桜町上皇に宛てた書にある「何分自身を後にし、天下万民を先とする」との言葉どおりのお姿だったと思っております。 日本国及び日本国民統合の象徴として、このような両陛下をいただく私たちはまことに幸せであると改めて感じたところです。あわせて皇室の存在は我々国民にとって世界に誇る、まことに得がたい存在だと実感したところでもあります。長い歴史と伝統を有する皇室が国民の深い敬愛の中で幾久しく続きますとともに、今後ますます御繁栄なされることを心より願っております。 最後に、米国と中国の対立激化についてどのような認識か、お尋ねがございました。 近年の米中両国の対立、とりわけ貿易において追加関税措置を応酬している状況は、双方の経済減速はもとより、サプライチェーンを通じて部品等を供給している国や企業の経済活動の停滞、金融資本市場の変動など、世界経済に悪影響を及ぼすことが懸念をされております。我が国の経済にとっても例外ではなく、米中貿易摩擦の先行きが景気下降の大きなリスク要因となっているところです。 追加関税措置の応酬は、どの国の利益にもならず、世界全体にとって決して望ましいものではありません。保護主義による地域間の対立が2度の世界大戦を招いた歴史的経緯を見ましても、国際協調による自由貿易体制は全世界にとって必要なことであります。安倍総理も国会で答弁されているように、いかなる貿易上の措置もWTOと整合的であるべきだと、私もそう考えるところであります。 こうした中、今月下旬に大阪で開かれるG20サミットには、米中両首脳も出席される予定となっております。この機会に、貿易摩擦解消に向けた建設的な話し合いが行われることを期待するところであります。 また、安全保障面も含め、我が国にとって「自由で開かれたインド太平洋」の実現は極めて重要な課題であります。政府においてはG20議長国として、世界経済の成長のため、世界の安全保障の確保のため、米中を含めた国際協調の強化にさらなるリーダーシップを発揮していただくことを期待しております。あわせて、引き続き世界経済のリスクなどをしっかりと注視しながら、我が国経済にとって必要な対策を含めて、経済財政運営に万全を期していただきたいと思うところでございます。 私からは以上でございます。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) 第3子をもうけて3年後に、家庭に対して大胆な住宅購入費用の支援を行うなどの手厚い支援の検討についてお尋ねがございました。 平成30年度の県民意識調査において、予定する子供の人数が理想の子供の人数を下回る理由として、子育てや教育にかかる経済的な負担が最も多く挙げられていることから、議員のお話にありましたように、経済的な支援は少子化対策としても有効な施策であると考えております。 本県では、これまでも県独自の制度として、一定の条件のもと市町村に対しまして、第3子以降の子供の保育料、医療費を補助してきたところです。また、国に対しては、多子世帯に有利な税制の検討などについて全国知事会を通じて要請してまいりました。 内閣府が平成26年度に実施した結婚・家族形成に関する意識調査では、妊娠・出産に積極的になる要素は何かとの質問に対し、将来の教育費に対する補助と回答した方の割合が69%と最も多くなっており、このほか、妊娠・出産に伴う医療費の補助や、職場の理解や勤務先の産休・育児休業制度の整備などの項目が多くなっております。 このため、県としましては、まずは少子化対策として教育にかかる経済的な負担軽減や、仕事と家庭の両立支援に重点を置き取り組んでまいりたいと考えております。引き続き、子育て世帯の経済的な負担軽減を図っていくとともに、育児休暇、育児休業の取得促進や時間単位の年次有給休暇制度の導入支援を県民運動として展開してまいります。加えて、少子化対策につきましては、本年度一連の取り組みを一段と強化することとしており、先月公表された人口動態調査の結果を詳細に分析するなどして、さらなる改善を図ってまいります。   (商工労働部長近藤雅宏君登壇) ◎商工労働部長(近藤雅宏君) まず、人口の社会減対策として、大胆な優遇措置による企業誘致についてのお尋ねがございました。 魅力のある企業を本県に誘致することは、雇用創出はもとより、人口の社会減対策として大変重要であると認識をしております。本県では、地域間の熾烈な誘致競争に打ち勝つため、従前から全国トップクラスの補助制度を創設し、きめ細かなアフターフォローなどにより企業誘致を進めてまいりました。加えて、平成29年度には新たな企業立地戦略を定め、地域産業クラスターからの発展、ものづくりの強化、高知ならではの新産業の振興の3本柱のもと、本県ならではの魅力や強みも訴求しながら、全庁挙げて取り組んでいるところです。 中でも、立地が地理的条件に左右されにくく、本県への集積が期待できるIT・コンテンツ関連産業については、人材の育成・確保の取り組みの充実強化を図りながら誘致を進めてきました結果、業界内で高いシェアを有する将来性のある企業などにも立地をいただき、若者の県内定着にもつながってきております。本年度からはAIやIoTなどの最先端のデジタル技術を持つ企業への誘致活動を大幅に充実強化しますとともに、デジタル技術の実証実験を本県へ呼び込む補助制度を創設し、県外企業に訴求する取り組みも進めております。 議員からお話がございました法人税の免除や劇的な引き下げは、現実的には大変厳しく、容易ではないと受けとめておりますが、先進的な設備投資を促進する国の地域未来投資促進税制なども積極的に活用しながら、引き続き企業誘致の取り組みを充実強化し、人口の社会減対策に寄与できる魅力のある企業の誘致に全力で取り組んでまいります。 次に、特定技能2号に認定された外国人労働者が長期にわたり在留する場合や家族を本国より呼び寄せた場合に予見される課題についてのお尋ねがございました。 特定技能2号の外国人は、在留期間が最長5年の特定技能1号と異なり、在留期間の更新に制限がないことから、長期間にわたり日本に在留することが可能となりますほか、登録支援機関等によるサポートは必要とされておりませんことから、日常生活を初めとするさまざまな事柄について、外国人自身が対応していくことが予想されます。 また、特定技能2号は、配偶者や子の帯同が可能でありますが、その家族に特段の日本語能力は求められていないことから、例えば出産や保育、就学、就労といったそれぞれのライフステージや日常生活において直面する医療、福祉、防災、交通、住宅等々の場面での言語の問題を初め、サポート体制の構築や環境整備の促進といった課題があると考えております。 一方、特定技能2号は、建設、造船・舶用工業の2つの分野で認められておりますが、現時点で技能水準の試験が実施をされていないなど、就労にはまだ相当の時間を要する状況下にあり、まずは特定技能1号での就労から徐々にふえてくるものと想定をしております。 そうした中、本県では先月高知県外国人生活相談センターを開所し、外国人の皆様から寄せられる生活上のさまざまな相談や困り事に対応するための体制を整えたところです。今後とも、特定技能2号も含めた外国人の方々から本県が生活しやすく働きやすい場所として選ばれるように、共生に向けた取り組みをしっかりと進めてまいります。   (産業振興推進部長井上浩之君登壇) ◎産業振興推進部長(井上浩之君) ICTを駆使した大学キャンパスの誘致についてお尋ねがありました。 若者の東京圏への一極集中を是正し、地方への流れを促進するため、国のまち・ひと・しごと創生総合戦略において、東京圏の大学の地方へのサテライトキャンパスの設置促進が位置づけられております。また、昨年国が取りまとめたこれに関する調査研究報告書において、地方に大学のキャンパス機能を設置することにより、若者の増加による地域の活性化や将来的な就業者の増加、さらには研究所等の併設による地域の新しい産業の創出などが期待できると報告をされております。 一方で、首都圏等の大学には地方へのキャンパス設置について余り前向きな意見がないことや、地方の大学からは地方創生には地元大学への支援を強化すべきという意見があることも報告されているところであります。 県としましては、昨年10月に国の地方大学の振興に向けた交付金事業として採択された、県内3大学等と県との連携によりますNext次世代型こうち新施設園芸システムの構築を通じ、県内大学の魅力を大きく高め、意欲のある学生を県内外から集めることを目指しているところであります。さらには、東京大学と協定を結び、IoTなどを活用した本県の課題解決に向けた研究、実践を進めるとともに、県出身県外大学生の県内就職に向けた就職支援協定を締結するなど、首都圏等の大学との連携を進めており、まずはこうした取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。 一方、国においてキャンパスの誘致や大学との連携に関し、地方公共団体と大学とのマッチングを支援するシステムの構築や、連携強化を後押しする新たな予算措置などが検討されており、またお話にありましたICTの活用に向け5G環境の整備も加速することとされております。 今後、こうした国の動向も注視しつつ、県内大学の振興とも両立する首都圏等の大学との連携のあり方について、検討してまいりたいというふうに考えております。   (林業振興・環境部長川村竜哉君登壇) ◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) まず、再造林事業の今後の推進とその展望について、また低い齢級が極端に少ない人工林の齢級構成上、将来顕在化する可能性のある課題についてどのように考えるかとのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。 議員の御指摘のとおり、全国の人工林における30年生以下の面積割合は10%未満と少なく、本県においては5%程度という状況になってございます。このような中で伐採面積に対する再造林の割合は約4割となっており、現状のまま推移いたしますと、将来林業経営に適した人工林面積が少なくなり、今後増大が期待できる国産材の需要に応じた安定的な木材生産に支障を来す可能性がございます。このため、持続的な木材の供給に向けては伐採後の再造林率の向上が不可欠となっており、造林などの低コスト化とあわせて森林所有者の経営意欲を高めることが重要と考えております。 まず、造林などの低コスト化に向けては、伐採と再造林を一体的に行うことにより全体の作業を効率化する一貫作業システムの導入や、下刈りの回数を減らすことによる省力化を進めてまいります。また、花粉が少なく成長が早い杉・ヒノキの新たな品種に加え、多様な活用が期待できる早生樹のコウヨウザンの導入を推進し、伐採までの期間の短縮化などを図ってまいります。あわせて、備長炭の原料となるウバメガシなど広葉樹も含めた多様な再造林を進めてまいります。 次に、森林所有者の経営意欲を高めるため、こうした低コスト化や多様な樹種による再造林を森林所有者にPRし、木材生産の条件がよい適地において再造林率を引き上げていく取り組みを進めることとしております。具体的には、県内を6ブロックに分け、地域ごとに林業関係者や市町村などをメンバーとする増産・再造林推進協議会を設置し、再造林に関する情報の共有を図るとともに、伐採を予定している森林所有者に再造林の働きかけを行うなど、地域ぐるみで再造林を推進してまいります。 現在、皆伐が行われている森林は比較的生産条件のよいところであると考えており、その跡地への再造林をしっかり行うことにより、持続的な林業経営に必要となる森林資源を確保していくとともに、将来的には若い森林が少ない偏った齢級構成の改善につながるものと考えております。 次に、素材の供給に占める大径木の割合が高まることを見越して、あらかじめ考慮すべき事項についてお尋ねがございました。 今後の人工林の高齢級化に伴い、大径木の出材が増加することが見込まれます。これを踏まえて、大径木を活用した付加価値の高い商品づくりや販路の開拓、原木を山から効率的に搬出することなどについて取り組んでいくことが重要であると考えております。 県内の多くの製材工場では、これまで大径木の生産量が少なかったことや効率的に加工できないなどの理由から需要が少なく、中径木と比べて大径木は単価が安くなっております。しかし、一般的には木材は高齢級で大径化すると強度や色合いが向上し良質になることから、こうした特徴を生かした高付加価値の商品づくりを行い、今後増加する大径木を活用していくことが必要であると考えております。 そのため、高知県木材協会に設置したTOSAZAIセンターが中心となり、木造建築に関し全国レベルの高い技術力を持つNPO法人チーム・ティンバライズと連携して、県内の木材加工事業者や建築士による新たな商品開発に取り組んでまいります。また、経済同友会等とも連携した木材需要の創出を進め、開発された商品と一般製材品を組み合わせてプッシュ型の提案営業活動を展開し、販路の拡大にも取り組んでまいります。あわせて、製材など木材加工事業者に対して、大径木に対応した加工や乾燥等について技術面でのサポートを行ってまいります。 原木の搬出におきましては、重量のある大径木に対応して、大型の高性能林業機械による作業や10トントラックが通行できる林業専用道など、幅員の広い路網の整備を推進していくことが必要であると考えています。このため、県内5ブロックに設置しました林道整備促進協議会において、市町村や林業事業体などと連携して、原木の生産性及び効率性の高い路網整備の推進に取り組んでまいります。 今後は、原木の生産から加工・流通に至るまでの関係者が一体となり、大径木から小径木まで需要と供給の最適なマッチングを図り、本県の豊かな森林資源を有効に活用し、中山間地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。   (選挙管理委員長土居秀喜君登壇) ◎選挙管理委員長(土居秀喜君) まず、政治に参画することの重要性をどのように啓発していくのか、また若者への浸透をどのように図ろうと考えるのかについてのお尋ねがございました。 議員のお話のとおり、選挙は民主主義の根幹をなすものであり、投票の機会を通じて政治に参画することは極めて重要であると考えております。このため県選挙管理委員会では、これまでも特に政治への関心が低い若年層に重点を置いた選挙出前授業や、議員の皆様に御協力をいただいて開催しております若者と議員の座談会の開催、選挙に関するポスターや標語の募集などのさまざまな啓発活動に積極的に取り組んでまいりました。 こうした中、平成27年には、若年層の政治への参加機会の拡充を図ることを目的とした選挙権年齢の18歳への引き下げが行われたところであり、当委員会としましても、この引き下げを契機として、これまで取り組んできた若年層を対象にした啓発の取り組みを、より主権者教育の充実に軸足を置いた形で強化してまいりました。 具体的には、これまでも行ってまいりました選挙出前授業の取り組みを大幅に充実し、それまで年間平均10校足らず実施していた出前授業を、平成27年度から平成30年度までの4年間に延べ137校、約2万5,000人を対象に実施したほか、平成26年からは新たに県内の高校生や大学生を対象とした参加型学習会の開催などの取り組みを始めたところでございます。加えて、今後の啓発活動の参考とするため、今年度新たに県内の高校生を対象にした選挙や政治に関する意識調査を実施することとしております。 今後も、選挙人の政治意識の醸成や投票率の向上につなげていくため、これまでの啓発活動を粘り強く続けていくとともに、今年度実施する意識調査の結果や他県の事例なども参考にしながら、新たな啓発の取り組みにつきましても積極的に検討してまいります。 次に、不在者投票指定施設説明会への参加状況と不在者投票施設の指定状況についてお尋ねがございました。 不在者投票指定施設説明会は、県内の病院や老人ホームなどのうち、既に不在者投票施設として当委員会が指定している施設を対象に開催をしております。直近の本年4月の県議会議員選挙では、227の指定施設のうち97施設の方に出席をいただいております。 また、不在者投票施設の指定状況につきましては、病院や老人ホームなどのうち、当委員会の指定の基準としておりますおおむね20床以上の施設ということで申し上げますと、県全体で388施設ありますところ、このうち指定施設としておりますのは先ほど申し上げました227施設でございます。主な内訳としましては、病院は157施設のうちの117施設、特別養護老人ホームや養護老人ホームは76施設のうちの67施設、障害者支援施設は11施設のうちの7施設などでございます。 最後に、入院または入所中の高齢者や障害者などを念頭に置いた、不在者投票制度の周知と不在者投票指定施設数の拡大に向けた取り組みについてお尋ねがございました。 議員お話しのとおり、高齢化が進行する本県におきましては、病院や老人ホームなどの施設に入所している選挙人の投票機会の確保が極めて重要でありますことから、当委員会ではこれまでも不在者投票制度の周知や指定施設数の拡大に取り組んでまいりました。 まず、制度の周知に関しましては、選挙ごとに指定施設を対象として説明会を開催し、投票方法や留意事項などについて詳しく説明するとともに、議員からお話のございました高齢者や障害者などを念頭に置いた投票制度につきましても、例えば歩行が困難な方についてはベッドでの投票が可能であることや、障害などにより投票用紙に記載することができない方を対象とした代理投票制度が設けられていることなどについて、詳しく説明をしてきたところでございます。 今後も、説明会におきまして高齢者や障害者などを念頭に置いた制度の説明を行いますとともに、当委員会のホームページにおいてもこれらの制度について詳しく掲載するなど、制度の周知に向けた取り組みを行ってまいります。 また、指定施設数の拡大に向けた取り組みとしましては、昨年9月に当委員会の指定基準であるおおむね20床以上を充足する施設のうち未指定の施設を対象として、文書により指定への呼びかけを行ったところでございます。その結果、2施設ではありますが、新規の指定につながっております。 しかしながら、先ほどお答えしましたとおり、いまだ指定に至っていない施設も多いことから、昨年実施した未指定の施設への文書の送付を今後も継続して行ってまいりますとともに、特に入所者の多い施設につきましては当委員会が直接出向いて指定に向けた呼びかけを行うなど、指定施設数の拡大に向けた取り組みを強化してまいります。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) まず、道路整備などの公共事業にあわせて高台移転用地の造成を進めてはどうかとのお尋ねがありました。 東日本大震災では、津波により多くの住宅や学校などが被災し、多くの方が亡くなられたことに加え、庁舎が被災した市町村では発災後の応急対策活動に支障を来しました。このため県では、南海トラフ地震対策行動計画に、学校や社会福祉施設、庁舎等の高台移転を位置づけ、市町村や事業者と連携し取り組みを進めているところです。この取り組みを進める中で、公共事業により発生する残土を高台移転用地の造成に盛り土材として活用することは、相互の事業を効率的に進める上で大変有効であると考えております。 一般的に、道路事業を初めとする公共事業では、あらかじめ切り土と盛り土の量の均衡がとれるように計画しております。しかし、延長が長いトンネル工事などにより、残土が大量に発生することがあります。このような場合には、これまでにも地元の市町村が土捨て場を確保し、残土を処分した結果として創出された平地の有効活用を図った事例もございます。 今後、残土が発生する工事箇所の近隣において、事前に市町村等から高台を造成したいというお話をいただいた場合には、県としましても、残土を活用した造成等につきまして積極的に協力してまいりたいと考えております。 次に、県道北本町領石線の混雑・安全対策として、県道北本町領石線から国道195号、通称あけぼの街道及び県道高知南国線、通称大津バイパスを南北で結ぶ道路の整備についてお尋ねがございました。 県道北本町領石線は、JR高知駅前を起点に、旧県交通、土佐神社、高知中央産業団地の前を通過し、南国市で国道32号に接続する、県管理道路の中でも交通量の多い路線の一つです。そのため、旧県交通から土佐神社までの区間を、高知広域都市計画区域マスタープランにおいて優先的に整備する路線として位置づけ、道路の拡幅を進めているところです。 現在、道路の拡幅は一部を除いて完成しておりますが、沿線には住宅地が広がり、事業所も多くあることから、通勤時間帯には混雑が発生することを県としても把握しております。こうした混雑の解消と交通安全対策として、新たな道路を整備し、交通を分散させることは有効な手段の一つです。その一方で、市街地における地域内道路の整備は、地域のまちづくりと一体的に検討していくことが重要となりますことから、一般的に市町村にその役割を担っていただいております。 今後、市町村が新たな道路整備を踏まえたまちづくりの検討を行う場合には、県としましても初期段階から参画し、安全で円滑な通行の確保と良好な市街地形成に協力してまいりたいと考えております。 ◆11番(西内隆純君) それぞれ大変丁寧な御答弁まことにありがとうございました。 知事から皇室の存在をどのように感じたか聞くという質問をさせていただきましたところ、非常に心温まる、しみ入るような、聞いておりまして、県民を代表する知事からこんな言葉が聞けたということで、大変誇らしくうれしく思いました。ありがとうございました。 それともう一つ、その次の米中の対立構図についてです。いろいろと私も思うところがあってでございますけれども、私が心配するのは、隣の国でコウモリ外交ということで今大変な状態に置かれた国がございます。日本におきましてももちろん貿易摩擦、米中の構図ではございますけれども、この延長線上には当然日本の先ほど申しました尖閣や沖縄の領有権の問題などございまして、我々本当に当事者意識を持ってこの推移を見守っていかなくてはいけない、最後に本当に有事に至らないために、ぎりぎりのところでどういう決断をしていかなきゃいけないかというところで、やはり慎重な判断を常にしていかなくてはいけないだろうと思います。そのために、我々県会議員でございますけれども、よくよくこの動向を、しっかりと勉強して、地域住民の皆さん、県民の皆様に啓発していくといいますか、課題意識を共有していかなくてはいけないんだろうというふうに私は思っております。 それで、少子化対策のことでございます。これは地域福祉部長にお尋ねしたいと思いますけれども、少子化対策のことについて、今いろいろ調べて分析をして、今後強化するというような御答弁をいただきました。その強化内容についてどういうスケジュールで取り組むか、もし現段階でおわかりのことがありましたら御答弁をお願いいたします。 それから、産業振興推進部長に御回答いただきましたICTを駆使した大学キャンパスの誘致の件でございますけれども、県の立場上、県立大学をまず振興するというのが、まさにそれはそのとおりなんだろうと思います。が、その枠を超えたところで見ますと、やはり早稲田や慶應といった名門の大学にとにかく行きたいと。もちろん、中には純粋に東京や大阪に行きたいという思いの方もたくさんいらっしゃいますが、そういった方々はそれはそうとして、経済的な面など、さまざまな事情によって、高知でそういった有名な大学の講義を受けて卒業証書がもらえるんだったら高知に残りたいという人も一定いらっしゃるかと思います。また、大学側も先ほど私が申し述べましたような問題意識でもって、どうですか、こちらに共同でキャンパスを置いてみませんかと、インターネット回線を使えば塾でやっているように、必ずしも東京にいなくたって授業というものは展開できますよというような話も、私は十分できるんじゃないかと思います。これは、きょうあすのことじゃないと思いますので、今後いろいろと御検討いただければと思います。 それから、先ほど林業についてお聞きしましたところ、大径木の活用について、付加価値の高いものをつくっていかれるというふうに御答弁いただきました。チーム・ティンバライズの皆さんが考えていくのだろうと思いますけれども、その付加価値の高い製品というのを、大量にある大径木を付加価値を高くして売るというのはどういったものを現段階で念頭に置かれておられるのか、もし御答弁いただけるようでしたらお願いいたします。 それから、不在者投票指定施設の拡大について選挙管理委員長から御答弁いただきました。施設が努力を重ねておりますけれども、一定のところから今後どういうふうに拡大していくかということについて徹底をさせていくためには、その施設側のほうにアンケートをとっていく必要があるんじゃないかと思います。どういう課題があって、あるいはひょっとするとその指定施設を受け入れることによってさまざまな事務が発生するんじゃないかとか、いろいろ向こう側で思いとどまるような要素があるのかもしれません。相談する中で、そういった思い込みといいますか、すれ違いの要素が解消できる可能性もあると思いますので、そういったアンケートをとって、施設指定について前向きに進んでいけるような取り組みがなされておるのか、もしされていなければ今後する予定があるのか、してはどうかと思いますが、その点について御回答をお願いいたします。 以上、2問目でございます。 ◎地域福祉部長(福留利也君) 議員から少子化対策につきまして御質問いただきました。 県の少子化対策の取り組みにつきましては、今年度もさまざまな取り組みにつきまして強化を図っているところでございます。そうした中で、今回の人口動態の結果が先日公表されたところでございますので、その結果を早急に詳細に分析いたしまして、さらなる取り組みの強化に向けて、できるだけ早く検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。 ○議長(桑名龍吾君) 産業振興推進部長へは、質問ですか。 ◆11番(西内隆純君) 質問じゃございません。 ◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 大径木の高付加価値化の商品づくりについてお尋ねがございました。 基本的には、この大径材は見た目も非常によくなってくるということを考えますと、内装材を主に考えてまいりたい。それではボリュームがはけないのではないかという御指摘もございますが、非住宅の内装材というところでの商品開発をして、量的にも一定確保してまいりたいと。また、大径材になりますと、柱ではなくて横使いのはり、桁のほうにも使っていけるというふうに考えております。その場合、乾燥というところが非常に技術的にネックになってまいりますので、そういったところで付加価値をつけて売っていきたいということで考えてございます。 ◎選挙管理委員長(土居秀喜君) 不在者投票指定施設数の拡大について再問がございました。 当委員会における施設の指定基準というのは、病床数がおおむね20床以上であることに加えまして、不在者投票記載場所のスペースや机等の設備が整っていること、また投票のための事務従事者や投票立会人、代理投票の際の補助者などの人員を確保していただくことが必要となります。現在、指定に至っていない施設につきましては、これらの基準を満たせていないということも指定に至っていない要因の一つではないかと考えております。 なお、アンケートについては、またこの後検討させていただくこととしたいと思います。 ◆11番(西内隆純君) それぞれ2問目の御答弁まことにありがとうございました。 選挙管理委員長からも検討していくと御回答いただきました。実際に施設に行ってみますと、何かスタッフの方、施設の方も、選挙をやっていますね、何ですかねとか。施設の中に、選挙なんかやりゆうかねと、そういう状態もあります。もちろん、我々がしっかり啓発をしていかなければならないところなんだろうと思いますけれども、ぜひ我々と知恵を出し合いながら、民主主義の根幹である選挙というものを、しっかりと皆さん投票所に投票していただく、足を運んでいただく体制をつくってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 以上、一切の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(桑名龍吾君) 暫時休憩いたします。   午前11時16分休憩-----------------------------------   午後1時再開
    ○議長(桑名龍吾君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 20番三石文隆君。   (20番三石文隆君登壇) ◆20番(三石文隆君) お許しをいただきましたので、まず初めに、知事の政治家としてのこれからの姿勢や思いについてお尋ねいたします。 私は、このたび県議会議員として新たにスタートすることとなりました。原点に戻り、所信を述べたいと思います。 私が最も尊敬する人物は吉田松陰先生であります。偉大な思想家、教育者でもある松陰先生は、全国を旅して知識を高め、多くの友を得て学識を広め、投獄、自宅幽閉の不自由な状況にあっても、一寸の時を惜しんで本を開き、今ある場所を価値ある場所と信じてくじけない、不屈の精神の持ち主でありました。わずか30歳で武蔵野の野辺に朽ちる、その死でさえ受け入れ、日本を変えるという志を貫き通されます。 また、有能な志士を世に送り出した類いまれな教育者でもあられます。松陰先生は身分にこだわらず、来る者たち全てを受け入れました。若者とともに畑仕事などをしながら、それぞれの長所を見つけ伸ばすという教育を行われました。そして、教え子たちに、人間に最も大切なものは至誠、真心であり、志を立てることが重要だと説きます。「至誠にして動かざる者はいまだこれあらざるなり」、これは松陰先生が発したお言葉で、至誠を持って相手に接すれば心を動かされない者は一人もいないという意味であります。そのひたむきな生き方をあらわしたこの言葉は、今も私の心を熱く震わせ、行く道を照らし続けています。 私の出身大学、国士舘大学も、激動の幕末期に思想家、教育家として熾烈な生きざまを貫き通した松陰先生を範とし、誠意・勤労・見識・気魄を建学の精神としております。新一万円札の肖像画となる日本資本主義の父と称される渋沢栄一氏もこの精神に賛同し、援助を惜しまなかったとお聞きしています。 私は、教員時代も今もなお松陰先生に対する崇敬の念を持ち、子供たちに確かな未来を届けるため、さまざまな課題に対して真摯に耳を傾け、至誠を持ち、時世にこびず、利に走らず、真心と慈悲の心で世のため人のために動くことを信条としています。しかし、まだまだ松陰先生のように情熱を持ち、行動することを逡巡しない、見事な生きざまには到底至っておりません。自問自答する日々であります。 今、高知県では、尾崎知事を筆頭に県勢浮揚を目指し、産業振興計画を大きな柱に、各産業分野の持続的な発展に向け、幅広いきめの細かな施策が展開されており、県民所得の向上、有効求人倍率の上昇など、その成果は着実にあらわれてきております。また、学力向上を初めとする教育課題への対応、南海トラフ地震対策の推進、健康長寿県づくりなど、課題の解決に向けた取り組みが進められています。 知事は、政治家としてどのような生き方を描いているのか、お尋ねいたします。 次に、元号の使用についてお伺いいたします。 平成の時代が幕を閉じ、令和の時代が始まりました。令和には、人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ、そういう意味が込められています。元号は、皇室の長い伝統と、国家の安泰と国民の幸福への深い願いとともに、1,400年近くにわたる我が国の歴史を紡いできました。日本人の心情に溶け込み、日本国民の精神的な一体感を支えるものとなっています。この新しい元号も広く国民に受け入れられ、日本人の生活の中に深く根差していくことを願ってやみません。 元号については、もともと中国に由来するもので日本国憲法の原則になじまないとか、グローバル化の進む国際社会において日本国内にしか通用しない元号は不便だから廃止すべきだと論ずる者もいます。確かに、21世紀の時代、ネット空間でつながり、西暦が世界標準となっています。西暦のほうが前後の対比や内外の比較に便利かもしれません。とはいえ、西暦はキリスト教に由来するものです。キリスト教徒なら当然の紀年法でありますが、今や日本にしかない、長く続いている元号の文化を捨ててしまってよいのでしょうか。 私は、それぞれの時代の人々が理想や希望を元号に託す文化に着目し、古代以来の日本の歴史を理解するにも大事な手がかりである元号を積極的に使っていくことが大切だと考えます。歴史を見詰める目を研ぎ澄まし、これからの時代を洞察する、そんな場面に今、日本国民一人一人が立ち会っていることを理解し合いたいものです。 現在、元号は一般国民にその使用が義務づけられているわけではありませんが、公の機関においては、原則として元号によって年を表示することとなっています。私も、総務委員会の出先機関調査で学校を訪問することがありました。一部ではありますが、学校要覧などで西暦を使っているところがあり、学校も公の機関であり元号を使うべきであると指摘してきました。特に本年は、4月1日まで新元号がわからなかったことを理由に西暦が使われている実態もあるようです。 公の機関である学校においても元号を使うよう、市町村教育委員会や校長に要請をしてはどうかと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 次に、新教育委員会制度についてお伺いいたします。 平成27年4月1日に施行された、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正により、教育委員長職は廃止され、教育長は、教育委員会事務局の文字どおりのトップとして、即応性、機動性のある円滑な事務局運営を目指すこととなりました。また、教育委員会への首長のかかわり方も変わり、教育委員会との総合教育会議を通して、教育等の振興に関する施策の大綱、いわゆる教育大綱の策定を行い、知事は、教育の分野にも行政上責任を持つ立場として明確化されました。 本県においては、尾崎知事の卓越した識見のもとに、知事と教育委員会との連携が非常に円滑に行われているものと捉えています。全国で危惧された、首長の教育への関与のあり方は、本県の場合、健全な関係性が保たれていると、高い評価も聞くところであります。 新教育委員会制度を4年間運用した中で、知事、教育長はそれぞれの立場でその使命と役割をどのように捉え、留意しながら果たしてこられたのか、またこの新制度のもと、教育委員会を本県の教育の質的向上に資する機関に、より高めていくためには、今後どのような観点で改善を加えていけばよいかを知事、教育長にそれぞれお伺いいたします。 次に、教育長に求められる役割についてお伺いいたします。さきに触れたように、新教育委員会制度で教育委員長は廃止され、教育長が事務局責任者であるという立場が一層鮮明になりました。この改正に伴い、国は教育長に求められる役割を2つ提示しています。第1に、「教育長は、教育委員会の会務を総理し、教育委員会を代表するとともに、具体の事務を執行する、教育行政の第一義的な責任者であること。」、第2に、「教育長は、教育行政に大きな権限と責任を有することとなるため、その資質・能力の向上は、極めて重要であり、強い使命感を持ち、各種研修会への参加など、常に自己研鑽に励む必要があること。」であります。 第1の提示は言うまでもないことですが、私が注視するのは第2の点であります。そこには、常に自己研鑽に励むとあります。今日の社会の進展に伴うさまざまな教育課題をどのように捉え、本県の公教育の質を向上させるかは、まさに教育長の資質と熱意、子供たちの将来を展望した、思慮深い課題解決への取り組み姿勢にかかっています。 本県教育界のトップリーダーとして、教育長は御自身の研さんをどのように深められているのか、また研さんにより深められた知見はどのように教育行政に反映されているのか、教育長にお伺いいたします。 さきに述べた教育長に求められる役割は、各市町村教育長も全く同等であります。それぞれの市町村の教育力の質的向上を図る上でも、市町村教育長の豊かな識見は極めて重要であり、自己研さんから逃れることはできません。新教育課程では、児童生徒の学ぶ意欲や態度、学びに向かう人間性までを問うています。そうした中で、各市町村教育長にも、強い使命感を持ち、各種研修会への参加など、常に自己研さんに励む姿を求めていきたいところです。 それぞれの市町村教育長がどのように自己研さんを積まれているのか、その実態について伊藤教育長にお伺いいたします。また、仮にそのような研さんの機会が十分でないとすれば、県教育委員会として情報や場を提供すべきと考えるが、どのような認識を持たれているのか、教育長にお伺いいたします。 次に、総合教育会議と教育振興基本計画についてお伺いいたします。 本年3月にまとめられた、東京大学村上祐介准教授のグループによる、新教育委員会制度の運用実態の調査結果において、市町村首長への質問から、教育政策に関する首長の影響力は高まったと捉えている首長は旧制度に比べ割合が高くなっており、人口規模が増すにつれその傾向は強いこと、また総合教育会議に意義はあるかとの問いでは、約8割の首長が総合教育会議の設置に意義を感じているとのことであります。 本県において、新教育委員会制度のもと、平成27年度に7回にも及ぶ精力的な総合教育会議は、全国的に見ても大変意欲的な会議の運営であったと感じています。その会議を経て平成28年春策定された教育大綱は、4年間の教育振興基本計画において実践されています。策定後も、知事を先頭に本県教育の現状、課題、強み、弱みを把握しつつ、毎年改訂されながら教育改革を推し進めてこられました。ここ数年で実効性のある施策が結実となって、中・高等学校の学力や小中学生の体力面であらわれていることに、現場を知る者の一人として敬意を表します。 さて、本年度はいよいよそのまとめと検証、そして第2期の取り組みへの橋渡しとなる年であります。その結果はどのように評価されるのか、あと半年と迫ってきました。 そこで、教育大綱の策定を通して、本県教育の質的向上を、知事の立場として県民や保護者にどのように訴え、周知し、理解を得てきたのか、またその思いは県民、教育関係者や教職員に届け切れているのかを知事にお伺いいたします。 同様に、教育長には、教育振興基本計画を通して、本県教育の質的向上を市町村教育長や現場教員にどのように訴え、周知し、理解を促し、実践につなげてきたのか、お伺いいたします。 また、県教育委員会と各市町村教育委員会の連携強化の状況、さらに各市町村教育委員会における教育振興基本計画の進捗状況の把握と指導・支援の実際及び実績について教育長にお伺いいたします。 次に、教育振興基本計画の具体の取り組みについて3点お伺いいたします。1点目は、チーム学校の中心、中学校の同一の教科指導において、複数の教員が3学年にわたって受け持つ、いわゆる縦持ち指導についてであります。この仕組みは、教員の大量退職、大量採用に伴い、経験年数の不均衡や、組織能力の脆弱化といった構造的な課題を乗り越えるとともに、授業力を高め合う教員集団を構築するため、有効な手段であると私も評価をしております。やっと、教員の本分である授業の改善、特に中学校の授業の質を変えなければならない本丸までたどり着き、現在全ての大規模校で実施されています。現場の教員からも、縦持ちを始めたころは教材研究が3倍になり忙しい思いもしたが、3年間を見通した指導を3年間重ねてきたことで、教材研究にゆとりができてきたという声が聞こえてきます。 ただし、縦持ちは単なる仕組みでしかありません。県内中学校全体の組織力や授業力の向上のためには、もう一段その取り組みを引き上げることが必要と考えます。私は、縦持ちに伴って新たに生み出された週1回の教科会、この50分間をいかに有効に使うかにかかっていると思っています。仮に、教科会で従来どおりの教師主導型の授業をつくることに論が展開されていれば、主体的・対話的で深い学びのある授業など創造できるはずがありません。 今回の学習指導要領は、何を知っているかにとどまらず、知識、技能を活用して何ができるようになるかにまで発展させることが重視されています。このような新学習指導要領の趣旨を踏まえ、教科会でしっかりと授業の工夫改善を重ねていくことが欠かせないと考えます。 縦持ち実施校において教員の授業力や組織力をより一層高めるための具体策をどのように考えているのか、教育長にお伺いいたします。 2点目は、学力や生徒指導上の諸問題において、他の市町村と比べて多くの課題を抱える高知市対策についてであります。県は、高知市教育委員会に他市町村以上の比率で支援を行っており、人的なものも含め、相当な予算を計上し執行しています。学力向上のための指導主事の派遣を本年度さらに増員させるとともに、本年度から新たに高知市に不登校対策アドバイザーを配置し、県と市が連携して学校訪問を始めています。 学力と生徒指導の両輪で高知市対策を推進していくことが肝要であると考えますが、今後の展望について教育長にお伺いいたします。 また、高知市対策を推進するためには、高知市と高知市以外の教員の人事交流を強力に行うべきと考えますが、その現状と所見を教育長にお伺いいたします。 さらに、本県全体の教育の質を高めるためには、高知市に対して結果を求めることが極めて重要であると考えます。高知市に対して一層の努力を促し、取り組み内容や課題や成果を県民、市民にきちんと公表してもらうよう、どのように要請していくおつもりか、教育長にお尋ねいたします。 3点目は、幼児教育の充実についてであります。そっ啄同時という禅語があります。この言葉を本年2月に行われた空手の会で教えていただきました。そつとは、卵の中からひながもうすぐ生まれるという、内側から殻をつつく音。啄とは、そんな卵の変化に気づいた親鳥が、ここから出てきなさいと外側から殻をつつく音。殻を破るものとそれを導くもの、そんな両者のそつと啄が少しもずれることなく同時に行われて初めて殻が破れ、ひなが生まれる、これをそっ啄同時と言うそうです。これは、親と子に始まり、師匠と弟子、教師と生徒、上司と部下にも学ぶべき大切な言葉だと、我が意を得た思いがしました。 その後、私は公園で5歳ぐらいの子供が自転車の練習をしているところに出くわしました。ぐらぐらしながらも少し乗れた瞬間、子供が、お母さん見てと言いますが、母親はスマートフォンを見ていて見向きもしません。スマートフォンは決して悪いものではありませんが、本当乗れたねと言えば、子供の笑顔が浮かびます。親子が思いを共有するには時が大切なのです。絶妙の機を逃してはなりません。そっ啄同時、親には、音なきそつを感じ取る知覚を持ち、子供をよく見る目を鍛えてほしいものです。 家庭教育があらゆる教育の土台であることは改めて言うまでもありませんが、近年のさまざまな世相を見るにつけ、ひとしおその重要性を強く感じます。また近年、少子化、核家族化が進み、若い父母の教育力も低下しがちで、幼稚園、保育所は親の役割を一部担わざるを得なくなっているのが現状であります。 今日、本県の学校教育現場では、以前と比較して、小学校においても授業が成立しにくい状況が生まれています。幼児教育の現場において、自由保育の教育論が求める幼児の主体的活動や自発的な遊びを全く否定するものではありませんが、中にはその趣旨を誤解して幼児の活動を放任する保育が行われていることなどが、この原因の一つとして挙げられております。 今後、どのように家庭教育及び幼児教育を充実させていこうと考えているのか、教育長にお伺いいたします。 次に、日教組を母体とし、校長、教頭が加入する高知県管理職教員組合、いわゆる高管教の元書記長による組合資金4,800万円の横領事案についてお尋ねいたします。 平成31年3月29日、高知地裁で判決公判が行われ、4,800万円のうち3,105万円を着服したとして、元書記長に対して懲役3年の実刑判決が下されました。公立学校長という職にあり、児童生徒の幸せと尊厳を、自己を犠牲にしてでも守り通さなければならない教育者が、私利私欲のために組合資金を横領し費消し続けたという本事案は、一人の教員の行った一非違行為ではなく、戦後の公立学校教員の持つ負の遺産、高知県の戦後教育の怠惰な影そのものと捉えるべきであり、その影は、まさしくこの組合の存在により、濃くつくり上げられてきていると私は考えます。 このようなことから、昨年の6月定例会において、「謝罪すべきは組合であり、事のてんまつを整理し切ってから、初めて県教委が任命権者としての態度を表明すべきであったと考えるが、この点の見解と、今後高管教に対してどのように向き合うのか」と教育長にお伺いしたところ、教育長から、「県教育委員会として、この横領事案を認知した際、高管教の役員に、県民の皆様に対して組織としてしっかりと説明責任を果たす必要があるのではないかと申し入れを行っている。県教育委員会としても、22名もの懲戒処分等を受けた管理職が役員を務めていた高知県管理職教員組合の皆様には、県民に対して組織としての反省と今後の対応を含めた説明責任をしっかりと果たすことが求められるものと考えている」との答弁をいただきました。 しかし、いまだに説明どころか謝罪すらありません。実刑が確定したから終止符が打たれたと考えているとすれば、これは県民の教育に託す期待への背信行為であります。実刑が確定したからこそ、高管教は公の場に出て事のてんまつを明らかにし、謝罪をすべきでしょう。校長、教頭という範を示すべき立場の教育者にもかかわらず、説明や謝罪から逃げているとしか思えません。よく子供や保護者、教員の前に立てるものだとあきれ返ると同時に、教育者としての資格なしと宣告したい思いが日々強まってきております。そういう体質そのものが今回の事案を生じさせたと考えざるを得ません。 日教組を母体とする高管教の元書記長による組合資金の横領事案について、いまだに高管教から説明責任が果たされていないことに対して教育長はどうお考えか、そのことの御所見をお伺いいたします。 次に、こども食堂の取り組みについてお伺いいたします。 ことしの1月中旬、高知市山間部に住む青年に出会いました。彼は、先輩とともに起業し、現在技術系の会社を経営しているのですが、経営の順調さの裏で、若手社員の態度、例えば出社時の服装に清潔感がないこと、進んで挨拶ができないこと、また少し注意すればすぐ離職してしまうことなどを嘆いていました。彼との話で印象に残ったのが、高知工業高等学校のころの思い出話であります。雨の日も風の日も自転車で険しい山道を通い続け、無遅刻無欠席。毎朝学校に着いたころには足が臭くてたまらなかったが、誰もいじめたりからかったりすることがなかったこと。バイクで通学している人もいたが、家計が苦しい中、親には言い出せなかったこと。しかし、若いころに辛抱することを覚えたことに感謝していると語ってくれました。現在も早起きの習慣が身についており、早朝から出社し、掃除をして社員を迎えるようにしているそうです。 私は彼に対して、平成29年に自民党会派による県外調査で、特攻出撃の命を受けた隊員たちが過ごした最後の場所、知覧で見聞きした話をしました。輝かしい人生を道半ばで捨てなければならなかったにもかかわらず、遺書のほとんどは両親への感謝、幼い妹や弟の健やかな成長を願うものばかりであること。平和な世の中が当たり前の現代社会において、誰かのために辛抱する、苦労する経験が減少していること。このようなことを、時を忘れ彼と語り合ったことでした。 さて、現在各地でこども食堂の取り組みが広がっています。私は、月に1回程度食事を提供し居場所づくりを行ったところで、子供たちの日々の暮らしを変えることができるのか疑問を持っており、こども食堂がふえ続けることは家庭教育力の弱体化を生むことにもつながるものであると、警鐘を鳴らしてきました。中途半端な優しさは本当の優しさではないと思いますし、先ほど述べた青年のように辛抱や苦労をすること、それを家族で助け合いながら乗り越えることは、生きていく上で大切なことです。 昨年の6月定例会で知事は、本県におけるこども食堂の目的は、ややもすると社会から孤立しがちな、精神的あるいは経済的に厳しい環境にある子供たちやその保護者を、地域の見守りのネットワークにつなぎ支援していくことにあると答弁されましたが、現時点での達成状況を知事にお伺いいたします。 また、同定例会で地域福祉部長は、こども食堂の取り組みが、家庭の教育力をさらに育む方向に作用するような方向で、さらなる充実を図っていくことができるよう、検討を重ねていくと答弁されましたが、その後の具体的な内容について地域福祉部長にお尋ねいたします。 次に、国旗・国歌についてお伺いいたします。 私は、これまでに繰り返し国旗・国歌についての質問をし続けてきました。その意図は何か。単に数値を知りたいからとか、形だけ整えばよいと思っているからではありません。なぜならば、グローバル化が一層進展する中で、児童生徒が国際社会において尊敬をされ、信頼をされる日本人として成長していくためには、日本人の自覚を養い、国を愛する心を育てることは基本であるからであります。また、自国の国旗に敬意と誇りを持って掲げることや、自国を象徴する国歌を卒業式や入学式はもとより、文化的な行事や国際的な大会で斉唱することは、世界の常識であります。しかも、学習指導要領の中に、「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」ことが明確に示されております。にもかかわらず、いまだ県内に入学式や卒業式で国旗掲揚、国歌斉唱が適切に行われていない学校が存在しています。ですから、質問をし続けるのであります。 さて、まず公立小中学校と県立学校の実施状況について教育長にお尋ねいたします。平成20年12月定例会で、私は、過去5年間の公立小中学校と県立学校における、入学式、卒業式での国旗掲揚及び国歌斉唱の実施状況をお聞きしました。当時の教育長から、「公立小中学校においては、平成15年度の入学式以降、平成18年度の卒業式まで、国旗が式場外に出されているなど、国旗掲揚が適切になされていない学校や、君が代のメロディーだけが流され、教職員や児童生徒によって国歌斉唱が行われなかった学校が、平成17年度を除いて毎年1校から数校あった。そして、このような学校について、小中学校課長や教育事務所の所長が対象の市町村教育委員会や学校に出向き、市町村教育委員会に是正を求め、また学校長を直接指導し、学習指導要領に基づく国旗掲揚、国歌斉唱の適切な実施に努めてきた。このようなことから、平成19年度の入学式以降は国旗掲揚、国歌斉唱は100%の実施となっている。また、県立学校については、過去5年間にわたり、全ての学校で国旗掲揚及び国歌斉唱が実施されている」との答弁をいただきました。 また、平成24年、平成26年、平成28年にも同様の質問をしたところ、「全ての学校で国旗掲揚並びに国歌斉唱を実施している」との答弁をいただきました。 このようなことから、ここ十数年、公立小中学校及び県立学校においては、国旗・国歌についての学習が進められ、儀式的な行事においては国旗掲揚、国歌斉唱が適切になされていると認識していましたが、本年度公立小学校入学式で国旗掲揚がなされていなかったという話を聞き、愕然としました。あえて掲揚しなかったのか、失念していたのか、いずれにしてもその理由を理解することは到底できません。 国旗掲揚がなされていなかった理由を分析し、今後に生かすことが重要だと考えますが、その要因と今後の取り組みについて教育長にお伺いいたします。 次に、新学習指導要領における国旗・国歌の取り扱いについてお尋ねいたします。平成29年3月に新学習指導要領が告示され、小学校での全面実施が間近に迫ってきました。新学習指導要領における国旗及び国歌について、幼稚園、小学校、中学校、高等学校でどのように取り扱うことが決められているのか、教育長にお伺いいたします。 また、昨年度から既に幼稚園教育要領及び保育所保育指針が全面実施されています。現在、幼稚園や保育所において、国旗・国歌についてどのような指導や保育が行われているのか、教育長にお伺いいたします。 次に、私立学校における実施状況について文化生活スポーツ部長にお伺いいたします。昨年の議会で私は文化生活スポーツ部長に、「学習指導要領に基づき適切に入学式や卒業式において国旗掲揚、国歌斉唱が実施されるため、土佐中・高等学校、清和女子中・高等学校に対してどのような要請をしたのか、また今後両校に対してどのような要請をしていくおつもりか」お聞きしました。文化生活スポーツ部長からは、「学習指導要領については、国会においても主務大臣が、法規としての性格を有している、各学校は学習指導要領に基づいて教育課程を編成し実施する責務を負うと答弁されていることから、私立学校においても当然に指導されるべきものと考えている。そのため、実施されていない学校に対しては、今後も機会を捉えて対話を重ね、入学式や卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱が学習指導要領にのっとって適切に実施されるよう、引き続きしっかりと取り組んでいく」との答弁をいただいております。 文化生活スポーツ部長の答弁のとおり、私立学校といえども学習指導要領は遵守すべき教育課程の基準であるにもかかわらず、いまだに改善されていない。勝手な判断でそれがまかり通るなど言語道断、教育者として失格であり、恥を知るべきであります。 昨年の答弁以降、国旗・国歌の実施について、土佐中・土佐高等学校、清和女子中・高等学校に対して、いつ、誰に、誰が、どのような要請をしたのか、また両校からの具体的な応答について文化生活スポーツ部長にお伺いいたします。 加えて、今後両校に対してどのような要請をしていくおつもりか、文化生活スポーツ部長にお伺いをいたしまして、第1問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 三石議員の御質問にお答えをいたします。 まず、政治家としてどのような生き方を描いているのかとの御質問がございました。 私は、政治家の役割には大きく3つ、すなわち第1に、世の中の大きな流れを見きわめ、今の時代にやるべきことを課題として設定するという役割、第2に、その課題に関する具体的な施策を行政官などの専門家などを的確に組織しながら具体的に導き出すという役割、第3に、その施策を関係者の同意を得ながら着実に実行に移すという役割、この3つがあると考えているところです。 そして、こうした役割を的確に果たしていくためには、2つの姿勢が大事だと思っています。第1は、多くの方々との対話の姿勢であります。世の中の流れを見きわめ、施策を見出し実行していくためには、多くの知恵とコンセンサスが必要であります。多くの知恵を得てコンセンサスを得るためにも政治家には対話が必要であり、それがあるからこそ実行が可能になるのだと考えております。引き続き、対話と実行の姿勢を貫きたいと考えております。 第2は、誠をいたす、至誠の姿勢であろうと考えます。世の実情を率直に見れば、つらいことも多く、そしてそれを解決するために必要な膨大な負担にひるみがちになることも多いというのも実感であります。それでもなおそれに立ち向かおうとする全ての原動力は、誠であろうかと思っております。私の場合であれば、高知のためにならんとする誠であります。 三石議員と同じく、私も吉田松陰先生を尊敬しております。私ごとで恐縮ですが、私の新婚旅行先は伊豆の下田でありました。そして、下田の港には、海外の事情を学ばんと、まさに黒船を目指してこぎ出さんとする吉田松陰先生、金子重輔の踏海の朝の像がありました。それを見たとき、私は、国のためになすべきことがあれば、いかに困難があろうとも敢然と実行しようとする姿、そのために全くためらいをも覚えようともしない姿に、底知れぬ勇気と誠意を感じ、深く感動したことを今でも覚えています。 誠意に裏打ちされた実行力こそが時代を切り開く力であろうと今も思っており、ゆえに私のもう一つの座右の銘は至誠通天であります。私自身未熟にして、対話も至誠も至らぬことばかりという状況でありますが、だからこそ政治家として、対話と実行、至誠通天の二言を常に生き方の旨として心せねばならないと思うものであります。 次に、新教育委員会制度における使命と役割、教育の質的向上に向けた教育委員会の改善についてお尋ねがございました。 平成27年度から導入されました新たな教育委員会制度においては、教育の政治的な中立性はしっかりと確保しつつ、住民による選挙で選ばれ自治体を代表する立場である首長が、教育委員会と、公の場である総合教育会議において教育政策に関する協議、調整を行い、教育大綱を策定するとともに、教育行政の責任者である教育長を直接任命することで、首長が教育に対して連帯して責任を負う仕組みが構築をされました。私も政府の教育再生実行会議の委員として、同会議において同趣旨の制度の創設を強く主張してきたところであり、新制度を大いに生かしていきたいと考えてきたものであります。 私としましては、これまで本県の子供たちのために、同制度を通じて教育行政に民意を反映させ、県民の皆様が求める教育改革の実行を果たすべく、全力で取り組んでまいりました。この中で3点、1つ目は、教育行政上の課題を浮き彫りにし、その課題解決のための実効性ある具体的な施策群をつくり出すこと、2つ目は、教育行政のPDCAサイクルを着実に回し、不断の改善を図っていくこと、3つ目は、知事部局の施策とも連携を図っていくこと、これらを意識して取り組んできたところであります。そして、教育大綱を策定しますとともに、年4回の総合教育会議を開催し、施策の効果の確認や進捗管理の徹底を行い、毎年度末には教育大綱のバージョンアップを図ってまいりました。また、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想、少子化対策など、関連する施策群と連携した取り組みを推進してまいりました。 その結果、知の分野では、中学校の教科の縦持ちの導入などにより、かつて全国下位であった小学生の学力は引き続き全国上位層に、中学生の学力も全国平均との差が縮まってきており、また高校生の学力もいわゆるD3層の生徒の割合が減少するなど、成果があらわれてまいりました。また、いじめや不登校などの徳の分野では、各学校に校内支援会が設置され、組織的な情報共有と対応がなされるようになってきたところであり、体の分野においても、子供たちの体力は男女ともに上昇するなど、改善が進んでおります。このように、知・徳・体それぞれの分野において取り組みが進んでいるものと受けとめております。 一方で、高知市の小中学生の学力が厳しい状況にあること、不登校やいじめなどの課題も依然として厳しい状況にあることなど、対応すべき喫緊の課題も多くあるところです。そのため本年度においても、総合教育会議においてしっかりとPDCAサイクルを回し、その中で、喫緊に対応すべき課題については直ちに取り組みを進めることとしており、先週第1回総合教育会議を開催し、喫緊の課題の解決に向けた協議を行ったところであります。 今後も、教育委員会には、子供たちの教育をよりよいものとするため、県民の皆様方の思いを旨として、本県教育の質的向上の実現に向けて取り組みを進めていただくことを期待します。私も総合教育会議を通じて、全力で取り組みたいと考える次第であります。 次に、本県教育の質的向上を県民や保護者にどのように訴え、周知し、理解を得てきたのか、またその思いを県民や教育関係者などに届け切れているのかとのお尋ねがございました。 私が知事に就任させていただいた当時は、本県の子供たちの学力、体力、生徒指導上の諸課題の状況はいずれも全国最下位レベルと極めて厳しいものがあり、県民の皆様が求める教育改革の実行を果たすべく、私としても私の立場で全力で取り組みを進めてきたところであります。 教育改革の取り組みを実効あるものとするためには、何よりも県民の皆様の御理解と御協力が重要であります。私自身も、教育大綱の取り組みの柱について、さまざまなメディアを通して教育関係者や広く県民の皆様に繰り返しお伝えするとともに、毎年例えば民生委員・児童委員の皆様方にも総会の場において直接お話をさせていただくなど、さまざまな場において取り組みへの御協力をお願いしてまいりました。あわせて、対話と実行行脚などの機会を通じて、可能な限り教育関係者の皆様とも意見交換をさせていただきました。その中では、意欲にあふれた若手の教員の姿に心を動かされたこともあり、大変うれしく思っております。 これまでの取り組みによりまして、学校現場においては、教員同士が互いに学び合い組織的に授業改善を図る教科の縦持ちを初め、教育大綱の取り組みや学校現場におけるOJT、取り組みの推進に当たってPDCAサイクルを回すといったことなどが、随分浸透してきたと考えております。 しかしながら、全ての教員に対してこれらの取り組みを徹底させるという点では、まだまだ道半ばのところもございます。このため、引き続き教育大綱の取り組みを全力で進めてまいりますので、教育委員会にも、教育大綱の取り組みが隅々まで浸透するよう全力で頑張っていただきたいと考えております。私も折に触れてそのような努力を行いたいと考えているところでございます。 最後に、本県のこども食堂の目的に照らして、現時点での達成状況についてお尋ねがございました。 本県におけるこども食堂は、子育て経験のある方々と厳しい環境にある保護者との交流を通じて、子育て力の向上、家庭の教育力の向上の一助となることを念頭に、社会から孤立しがちな子供たちや保護者を地域で見守り、支援につなぐことを目的としております。まずは、こうしたこども食堂が県内各地域に広がるよう、多くの企業や県民の皆様の御協力もいただきながら、開設に向けた支援に重点的に取り組んでまいりました。その結果、現在70カ所のこども食堂において、民生委員・児童委員や地域のNPO、福祉団体などさまざまな方々が、子供や保護者への支援に御尽力されているところです。 こども食堂における具体的な支援の事例としましては、県外から転入してきた保護者が、地域の子育てサークルを通じてこども食堂につながり、地域の方々と交流することにより、なれない土地での子育ての不安や負担感の軽減が図られたといった事例がございました。また、市の社会福祉協議会を通じて参加した不登校の子供が、大学生ボランティアによる学習支援や遊びなどを通じてさまざまな経験をすることで、人との接し方を身につけ、学校へ登校できるようになった、あるいは生活に困窮した親子が、こども食堂への参加を契機として福祉事務所につながり、公的な支援を受けられるようになったといった事例など、少しずつではありますが、それぞれの子供や保護者が置かれている状況に応じた支援につなげるなどの成果が見え始めたところです。 今年度は、こども食堂の取り組みを一定充実するため、これまで県が養成してきた地域の福祉関係者などから成る地域コーディネーターの方々の力をおかりして、こども食堂の活動をサポートしていただくとともに、地域の支援機関と顔の見える関係づくりを進め、支援の必要な子供や保護者を支援ネットワークにつなぐ取り組みを強化してまいります。 こうした取り組みを推し進める際には、御指摘のように、家庭の教育力が弱体化することのないよう留意し、子供と十分に向き合うことが難しい保護者や子育ての悩みを抱える保護者に寄り添い、必要とする支援につなげ、さらには家庭の子育て力、教育力の向上につながるといった方向となるよう取り組んでまいりたいと、そのように考えております。 私からは以上でございます。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、学校においても元号を使うよう、市町村教育委員会や校長に要請してはどうかとのお尋ねがございました。 一般的に、公的機関が作成する文書は、これまで慣例として元号の使用が原則とされてきたものと認識しております。本県においては、本年4月1日付の通知により、文書における年月日の表記について、5月1日以後に施行する文書については原則令和を使用するものとし、ただし文書の内容やデザイン、国際的に西暦が使用されていることを踏まえた事情等の事由がある場合は、所属長の判断により、元号と西暦の併記、または西暦のみを表記しても差し支えないこととしており、県教育委員会においても各県立学校に対し、同様の通知を行っているところであります。 我が国における公式の元号は、大化から現在の令和まで248の元号が用いられてきたと考えられており、議員御指摘のとおり、1,400年近くの歴史を有しており、単に年を表示する手段としてだけでなく、長い歴史の中で日本人の心情に溶け込んでおり、こうした日本の国柄もしっかりと引き継いでいくことが大切ではないかと考えております。 こうしたことから、市町村教育委員会においても基本的には元号が用いられているものと思いますが、県教育委員会としてはこうした県教育委員会の考え方などを、折につけお話させていただきたいと思っております。 次に、新教育委員会制度における使命と役割、教育の質的向上に向けた教育委員会の改善についてお尋ねがございました。 新たな教育委員会制度のもと、総合教育会議の議論を経て策定した本県の教育大綱は、平成28年度からの4年計画でスタートし、今年度、最終年度の4年目を迎えております。郷土への愛着と誇りを持ち、高い志を掲げ、日本や高知の未来を切り開いていく人材の育成を目指し、本県の子供たち一人一人に知・徳・体の調和のとれた力を育んでいくために、私の役割として、まず第一には、本県の教育行政の統括者として、チーム学校の構築、厳しい環境にある子供たちへの支援、地域との連携・協働などの取り組みについて、学校現場の声をお聞きしながら、スピードを緩めることなく、しっかりとPDCAを回しながら実行していくことだと考えております。 その上で、PDCAサイクルを徹底する中で明らかとなった成果や課題を踏まえ、より実効性のある施策や新たに柱とすべき施策などをしっかり見きわめ、教育大綱の取り組みを毎年進化させること、さらにはそれにとどまらず、本県の子供たちのために教育行政そのものを進化させ続け、これからの時代を見据えた本県教育のあるべき姿、方向性をお示しすることも大変重要であると考えております。 一方で、本県の教育の状況は、子供たちの学力や不登校等の課題、教員の働き方改革の実現など、解決すべきさまざまな課題があるところです。教育大綱の取り組みを学校現場でさらに進展させ、本県教育の質的向上を図るためには、県教育委員会においても、市町村教育委員会や学校関係者、地域の方々としっかりと連携してベクトルを共有し、さまざまな課題に対して真正面から取り組んで課題解決を図っていく、そういった姿勢でさらなる改善を進めてまいります。 次に、私自身の教育長としての自己研さんに関するお尋ねがございました。 教育長就任に当たり知事からは、子供たちのためにという視点を徹底すること、学校現場の思いにしっかりと寄り添うこと、さらには常に創造性を発揮して教育行政そのものを進化させ続けること、この3点について指示を受けたところであり、私自身、これらのことを実践できるよう日々心がけているところでございます。 そのためには、まず本県の教育がこれまでどのような変遷をたどってきたのか、また本県の教育の現状はどのようになっているのか、さらには日本や世界の教育の動向や技術の進展はどのようになっているのか、これらのことを理解する必要があると考えており、みずから学ぶとともに、教育行政にかかわる先人たちの御知見や先進地の状況をお伺いし、さらには本県各界のトップリーダーの方々との意見交換等を通じて、日々研さんをさせていただいているところです。 また、児童生徒の現状や教職員の組織的な対応状況、地域の状況など、学校現場を取り巻く生の状況をお伺いすることも大変重要であると考えております。そのため、時間の許す限り学校訪問を行い、現場でどのようなことが課題となっているのか、教職員は課題に対してどのような対応を行っているのか、地域とのかかわりはどのようなものなのか、実情を把握すべく努めているところです。 私自身、こうした日々の取り組みを踏まえながら教育大綱の取り組みを進めているところですが、これから新学習指導要領が実施されるとともに、AIの進展など社会の変化が激しい状況下においては、本県の教育課題の解決に向けてさらに一層の研さんに励むことが必要であるとも考えており、関係の皆様からさらなる御指導を賜りながら取り組みを進めてまいります。 次に、各市町村教育長の自己研さんに関するお尋ねがございました。 本県の各市町村の教育長の皆様は、それぞれ学校現場や行政などの職場でさまざまな知識や経験を得られながら実績を上げられ、各市町村長から任命を受けられた方々であり、各市町村の教育行政の統括者として、強い使命感を持ち、常に自己研さんと修養に励んでおられるものと理解しております。多くの教育長の方々は、各市町村が抱える教育課題の解決の方向性やこれからの教育のあるべき姿を探るべく、例えば最新の教育動向や技術の進展を学ぶための研修会、研究会などへの参加、全国各地や世界の教育の現状を学ぶための文献の精読、有識者との意見交換など、さまざまな形で自己研さんに取り組まれているものと考えております。 本県の市町村におきましては、例えば遠隔教育などの教育のICT化への積極的な取り組みや、地域のNPOと積極的に連携した人材育成、地元の高校生を対象とした町営塾の設置、道徳教育や地域連携の推進など、各市町村教育委員会においてさまざまな教育改革の取り組みが進められておりますが、これらはいずれも、教育長の皆様が高いアンテナを張って時代の先を見据えつつ、各地域が抱える教育課題の解決に向けた施策を講じたものであり、各教育長の日々の自己研さんと修養によるものと受けとめております。 なお、県教育委員会においても、毎年市町村教育長を対象とする研修会を開催するとともに、市町村教育委員会連合会や都市教育長会、町村教育長会、さらには文部科学省において、それぞれさまざまな研修会が開催されており、最新の教育動向や各地の教育改革の状況についての研修が行われ、多くの市町村教育長が参加しているところです。 引き続き、市町村の教育長の皆様におかれては、このような研修の機会を積極的に活用しつつ、教育行政の責任者として、各地域の教育課題の解決を図るため、みずからの資質向上に向けた不断の取り組みに努めていただきたいと考えております。 次に、本県教育の質的向上を市町村教育長や現場の教員にどのように訴え、周知し、理解を促し、実践につなげてきたのかとのお尋ねがございました。 教育振興基本計画に掲げる目標を達成し、子供たちの知・徳・体のさらなる向上を図っていくためには、取り組みの成果と課題を踏まえ、PDCAサイクルをしっかりと回しながら、より効果的な施策を実行していくことが必要です。 そのためにも、これらの施策を現場で日々実践する教職員や市町村教育委員会の皆様には、取り組みの意義や目的をしっかりと理解していただき、連携・協力して取り組みを進めることが不可欠であると考えており、さまざまな機会を通じて計画の周知徹底に努めているところです。 既に本年度も4月から5月末までの間、市町村教育長会や小・中・高等学校の校長会、教頭会など、20回を超える会合において、子供たちの現状と課題や、計画に位置づけた重点的な取り組みとその目標、チーム学校の意義などについて、私から繰り返し御説明してまいりました。また、管理職や初任者を対象とした研修会での講話においても直接お話をさせていただくとともに、可能な限り学校現場を訪問させていただき、現場の意見もお聞きしながら、計画の内容や取り組みに対して理解を求めてきたところです。さらに、教職員一人一人に周知徹底を図っていくために、事務局の幹部職員や指導主事を初め、高等学校の学校支援チームや高知市学力向上推進室に県から派遣した指導主事、教育事務所などが、精力的に市町村教育委員会や学校を訪問し、重点施策の周知とともに、きめ細やかな助言・指導を重ねております。 このように、市町村教育委員会や学校との共通理解に意を尽くして取り組んでまいりました中で、組織的な授業改善や校内支援会の充実、地域学校協働本部の拡大など、学校がチームとなって組織的に子供たちを支える仕組みの構築が確実に進んできているものと認識しております。 さらに、本年度から新たにスタートしましたメンター制や不登校対策などの取り組みにつきましても、早期の定着に向けて現場への周知徹底を図ってまいります。 次に、県教育委員会と市町村教育委員会の連携強化の状況と、各市町村教育委員会における教育振興基本計画の進捗状況の把握、指導・支援の実際及び実績についてお尋ねがございました。 各市町村教育委員会との連携につきましては、市町村教育長会や都市教育長協議会、町村教育長会などの場において、定期的に県の重点施策の周知や意見交換を行っており、県の施策の方向性とベクトルを合わせて取り組みを進めていただいております。特に、困難な教育課題を抱える市町村に対しては、県としても重点的に支援を行っており、例えば県内の児童生徒の約半数を抱える高知市には、県と市の教育委員会事務局の幹部職員が参画した学力向上を推進する運営委員会を設置し、定期的に取り組みの進捗管理を行うなど、これまで以上に連携の強化を図っているところです。 また、各市町村が定める教育振興基本計画に関しては、地域ごとの教育課題を踏まえて自主的かつ主体的に定めた取り組みを、各市町村において着実に実行していただいております。その上で、県の教育大綱や教育振興基本計画に掲げる知・徳・体の基本目標の達成につながる取り組みについては、教育版地域アクションプランに位置づけ財政支援を行っており、本年度は全市町村の79事業に活用いただいているところです。アクションプランでは、事業開始時や中間時点での取り組み状況を確認するため、7月と9月に各教育事務所の指導主事が市町村を訪問し、事業の進捗状況の把握に加え、目標の達成に向けてより効果的な展開が可能となるよう、きめ細やかな助言・指導を行っております。 このように、各市町村の取り組みにおいても県との連携を強化する中で、昨年度は高知市への学力向上スーパーバイザーの配置を初め、22市町村が英語教育の充実に関する取り組みを実施し、24市町村が不登校対策や特別な支援が必要な児童生徒への支援を充実するなど、県の施策と軌を一にした取り組みを進めていただき、一定の成果も見られております。 今後とも、一層市町村との連携を図りながら、それぞれの教育目標の実現に向けてしっかりと取り組みを進めてまいります。 次に、縦持ち実施校において教員の授業力や組織力をより一層高めるための具体策についてお尋ねがございました。 教科の縦持ち実施校においては、教科の担当教員が集まり、教科ごとの授業改善、教材研究を進めるための教科会を確実に実施することによって、教員同士がともに学び合い、高め合う姿が見られるようになってきております。しかしながら、新学習指導要領の趣旨を踏まえた授業を実現するためには、教科会での協議や研究内容の質をさらに高め、教員の組織力や授業力を向上させることが必要と考えております。 このため、組織的な授業改善のための体制づくりなどについて指導・助言を行う組織力向上エキスパートの派遣に加え、今年度からは、教科の縦持ちや教科間連携を導入している学校の中から、組織的な授業力向上のための体制づくりを研究する拠点校を設け、組織づくり講座を開催しています。拠点校では、教科会や教科主任会、チーム会などを公開し、他の学校からの参加者も含め、全員で教科会や教科主任会の充実に向けた方策やチームづくりのあり方などについて学び、各校の教科会等の質の向上につなげることにしております。 さらに、授業力については、昨年度算数・数学の授業改善や学力向上に成果のあった授業づくり講座を、英語、国語、特別の教科道徳に広げて実施しております。学力向上総括専門官を初めとする専門性の高い外部講師に指導・助言を仰ぎながら、教材研究と授業研究を通して、新学習指導要領の趣旨を理解し、主体的・対話的で深い学びの授業づくりのプロセスを学び、そこでの学習成果をもって自校の教科会に臨み、授業の質の向上を図ることとしております。 こうした組織力と授業力を両輪で高めていく取り組みを一層推進していくことで、教科の縦持ちの本質である、教員同士が協働しながら切磋琢磨し、授業力を磨いていくチーム学校の構築を確かなものにしていきたいと考えております。 次に、学力と生徒指導の両輪で進める高知市対策の今後の展望についてお尋ねがございました。 学力の課題と暴力行為や不登校等の生徒指導上の諸課題は、相互に関連し合っているものと考えております。例えば、児童生徒が落ちついた環境や精神のもとに学習に取り組めば、基礎学力がしっかり身につき、また学力が向上していけば、精神的な安定がもたらされ、自尊感情や社会性が高まっていきます。このようなことから、議員の御指摘のとおり、学力向上と生徒指導の取り組みを両輪で進めていく必要があると考えております。 高知市の学力の課題に対しましては、昨年度から高知市の学力向上推進室に指導主事を派遣し、今年度はさらに3名増員して、よりきめ細かな訪問指導ができる体制をつくってきております。この学力向上推進室は、教科指導や授業技術のノウハウを伝えるだけでなく、子供に対する称賛や励まし、子供同士の認め合いや学び合いを深める生徒指導の視点を大切にした指導・助言を行うことを基本としております。 また、生徒指導上の諸課題への対策につきましては、今年度高知市が新たに配置した不登校対策アドバイザー6名と県の不登校対策チームが連携して、市内の小中学校を継続して訪問するようにしておりますが、この連携したチームにおいても、子供たちの様子はもちろん、授業の実施状況も観察しながら指導・助言を行うようにしております。 このように、学習指導と生徒指導の両面で高知市の学校を支える体制をつくりつつ、両チームが知と徳の2つの視点を持って指導に当たることにも注力をしているところです。 今後は、学力向上推進室と不登校対策アドバイザー及び不登校対策チームが随時話し合う場を持ち、現状や課題を共有し、取り組みを進めていきたいと考えております。それぞれの対策が効果を上げるよう、高知市との連携をさらに強化して取り組んでまいります。 次に、高知市対策を推進するためには、高知市と高知市以外の教員の人事交流を強力に行うべきと考えるが、その現状と所見についてお尋ねがございました。 本県の教職員の人事異動は、教職員個々の生活や家庭の事情を踏まえた上で、第2期高知県教育振興基本計画に基づいて、学力、体力、心の問題、厳しい環境にある子供たちへの対応など、本県の教育課題に的確に対応し、成果を上げることを目的として実施をしております。 その中で、地域間の人事交流については、地域間の教育格差を生じることがないよう教育の平準化や学校の活性化を図る観点から、重要であると認識をしております。このため、これまでも県内を3つの教育事務所管内と中核市である高知市の4つのブロックに区分し、このブロック間の異動を広域での交流と規定し、広域交流を意識した人事異動を実施してまいりました。特に、県内の教職員数の約3分の1を占める高知市と他の3教育事務所との人事交流の拡大は、学校組織をさらに活性化させ、教育力の向上を図るために重要であるとの認識に立ち、これまでも高知市教育委員会の理解も得ながら取り組んできたところです。 高知市との人事交流は、5年前の平成27年4月の人事異動では、全広域人事交流者の約36%となる45名となっておりましたが、平成31年4月の人事異動においては、全広域人事交流者の約44%となる78名と、大幅に増加しております。さらに、昨年度からは高知市学力向上推進室に指導主事を派遣し、学校現場だけでなく、県教育委員会と高知市教育委員会との事務局間の人事交流もふやしているところです。 今後も、引き続き広域の人事交流なども活用しながら、高知市はもちろん、県全体の教育水準の向上と学力等の教育課題の改善、学校の活性化につなげてまいりたいと考えております。 次に、高知市に対して一層の努力を促し、取り組み内容や、課題や成果を県民、市民にきちんと公表してもらうよう、どのように要請していく考えかとのお尋ねがございました。 高知市においては、県内の児童生徒の約半数が在籍しており、学力や生徒指導上の課題も多いことから、その解決を図るため、これまでも各教科の学習シートを作成し、それを活用した授業の実施や、県と方向性を同じくして教科の縦持ちなどにも積極的に取り組んできております。県教育委員会においても、指導主事の派遣や不登校対策チームによる高知市と連携した学校訪問などを実施し、高知市の課題解決に向けた取り組みを支援してきたところです。 こうしたことにより、高知市の学校では授業改善に対する意識が高まり、教員がお互いに学び合う姿も多く見られるようになり、また子供たちの家庭での学習時間が伸びるなど、一定の改善傾向があらわれてきていますが、県全体の状況から見ますと、今後もこうした取り組みを充実強化し、伸びを確実なものとしていくことが必要な状況にあります。このためには、県市の一層の努力はもちろんですが、保護者や市民の皆様に子供たちの教育の状況を正確に御理解いただき、施策の推進に後押しいただくことが重要であると考えております。 高知市においては、これまでも全国学力・学習状況調査等の結果について、独自の判断によって保護者や市民の皆様に公表されてきておりますが、今後は学校の情報なども含めて、市民の皆様一人一人に、より具体的にわかりやすく届けていく工夫や手だてが期待されるところです。知事、市長と県市の教育長によります昨年8月の県市連携会議においても、こうした取り組みの必要性が確認されておりますので、県教育委員会としても、高知市の積極的な情報公開に向けた取り組みについて、さらに連携を強めながら協力してまいりたいと考えております。 次に、今後どのように家庭教育及び幼児教育を充実させていく考えかとのお尋ねがございました。 幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培うために大変重要であると認識しております。しかし、近年子供や家庭を取り巻く社会の急激な変化により家庭の教育力が低下し、子供の育ちにさまざまな課題が生じております。 このため、県教育委員会では、幼児を養育する保護者に対する啓発や支援が重要であるとの考えに立ち、子供とのかかわりや家庭教育の重要性についての理解を図る学習会を継続的に実施しております。具体的には、園長経験を持つ親育ち支援アドバイザーや指導主事を各園に派遣して、保護者を対象に、良好な親子関係を築いていくための方法や規則正しい生活を送ることの大切さについての研修会を実施しています。また、3歳児や5歳児の保護者向けの生活習慣づくりについてのパンフレットなどを作成し、啓発に努めております。 また、本年度は、PTAと県教育委員会との共催により、県内7地区で、保育所、幼稚園、小中学校のPTA会員が一堂に会し、子供との適切なかかわり方というテーマで、子育てや家庭教育についての相談や情報交換の機会をつくるなど、子育て中の親たちのネットワークづくりに力を入れてきました。このような中で、保護者の悩みが軽減され、子供を肯定的に見る保護者がふえたと評価する園も出てまいりました。 また、幼児期の教育を現場で担う幼稚園教諭や保育士などの指導力や実践力を高めるため、幼稚園教育要領などに示されている幼児教育の基本を徹底するための研修会も実施しております。さらに、今年度からは各園において、目指すべき教育・保育目標を設定し、それに基づき職員全員が共通認識を持ち、教育・保育計画を組織的に実施していく園評価の取り組みを開始するとともに、県内3地区で保育園や幼稚園、小学校とが連携し、円滑な接続に向けた保・幼・小連携推進支援事業を実施しております。 このような取り組みをPDCAサイクルを回しながら継続することで、家庭教育と幼児教育の充実を推進させてまいります。 次に、高知県管理職教員組合の元書記長による組合資金の横領事案について、いまだに高知県管理職教員組合から説明責任が果たされていないことに対してどのように考えているのかとのお尋ねがございました。 高知県管理職教員組合、いわゆる高管教の元書記長は、現職の公立小学校長であった時期に、公務外とはいえ、その団体の組織運営にかかわる中で4,800万円もの横領を行い、昨年9月に逮捕されております。また、昨年6月には、組合役員であった公立小中学校の校長20名、教頭2名の計22名が、この元書記長による横領の事実を知っていたにもかかわらず、警察への通報や教育委員会への報告を怠ったことで、県教育委員会や市町村教育委員会から懲戒処分や厳重注意等の措置を受けるという、教育公務員の信頼を著しく損なう事態を招いております。そして、本年3月には元書記長の実刑が確定し、この事案に関して、刑事事件としては一定の区切りがつきましたが、現時点においても、高管教からはいまだ事案の経緯や詳細についての説明及び反省が、県民の方々や他の教職員になされた状況にはないと認識しております。 こうした中、高管教は昨年9月に規約の改正を行い、その中で組織の名称も、高知県管理職教員組合から高知県管理職教員協議会へと変更している状況のようですが、このことについても、その理由などに関する県民の方々や他の教職員への説明などはなされていない模様です。 私としては、たとえ組織の名称は変更していても、高管教が現在においても過去においても、公立小中学校の校長、教頭という現職の管理職である教育公務員で組織されているという立場を踏まえますと、高管教関係者には法的な責任はないのかもしれませんが、道義的には本事案の事実関係や今回の組織名等の変更の理由、また今後の組織のあり方について、県民の皆様に対してしっかりと説明をしていく責任が求められているのではないかと考えております。 次に、国旗掲揚が実施されていなかった要因と今後の取り組みについてお尋ねがございました。 本年度の入学式において、県内の1つの公立小学校で、国旗と校旗の掲揚を失念するという遺憾な事案が発生いたしました。この学校では、入学式当日に式場のステージフロアに旗ざおにより国旗と校旗を掲揚するように計画し、フロア横に準備をしておりましたが、入学式当日の最終点検の段階で国旗と校旗のフロアへの設置が確認されず、国旗と校旗が掲揚されていない状態で入学式がとり行われたものです。 このようなことに至った原因として、まず入学式の準備が当日に行われており、確認する時間が十分でなかったこと、また誰が、いつ、何を用意し確認するのかという役割分担の不明瞭さがあったものと考えます。さらに、このような結果を招いたということは、入学式に対する管理職の認識にも甘さがあったと考えられます。 小学校1年生の入学式は児童や保護者にとって一生に一度しかない大切なものであり、その式に国旗の掲揚がなされていなかったことは、出席した保護者や関係者の信頼を裏切るものであるとして、当該小学校の校長及び教頭に対しては、当該市町村教育委員会からの強い指導が行われております。 県教育委員会として、今後このような事案が再び発生することがないよう、全ての市町村教育委員会に対して今回の事案の概要と問題点を伝え、注意喚起を行いました。その中では、各学校には、児童生徒の発達段階に即し、国旗及び国歌に対する意識を高めていくことができるよう指導することや、儀式的行事についての計画や式場のチェック体制について再確認を行うこと、市町村教育委員会には、各学校の教育課程を適宜点検することなどについて要請をしております。 県教育委員会といたしましては、今後とも学習指導要領の趣旨に沿って適切な国旗・国歌の指導や取り扱いが確実に行われるよう、取り組みを徹底してまいります。 次に、新学習指導要領における国旗及び国歌について、幼稚園、小学校、中学校、高等学校でどのように取り扱うことが決められているのか、お尋ねがございました。 まず、新幼稚園教育要領では、国旗及び国歌の指導については、「園内外の行事において国旗に親しむ。」ことに加えて、近年の子供たちの育ちをめぐる環境の変化等を踏まえて、「我が国や地域社会における様々な文化や伝統に親しむ。」ことが盛り込まれております。また、その内容の取り扱いとして、「伝統的な行事、国歌、唱歌、わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しんだり、異なる文化に触れる活動に親しんだりすることを通じて、社会とのつながりの意識や国際理解の意識の芽生えなどが養われるようにすること。」とされています。 次に、小・中・高等学校の新学習指導要領においては、まず小学校の社会で、「我が国の国旗と国歌の意義を理解し、これを尊重する態度を養うとともに、諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を養うよう配慮すること。」としています。中学校の社会では、小学校における学習をさらに深め、「国旗及び国歌の意義並びにそれらを相互に尊重することが国際的な儀礼であることの理解を通して、それらを尊重する態度を養うように配慮すること。」としています。また、小学校の音楽では、「国歌「君が代」は、いずれの学年においても歌えるよう指導すること。」としております。さらに、小・中・高等学校を通じて、特別活動においては、「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するもの」とされています。 県教育委員会としましては、これら幼稚園教育要領や学習指導要領に示された国旗及び国歌の指導内容が確実に実施されるよう、市町村教育委員会や関連部局とも連携して取り組んでまいります。 最後に、現在幼稚園や保育所において、国旗・国歌についてどのような指導や保育が行われているのか、お尋ねがございました。 国旗・国歌については、幼児の発達段階に応じた指導を行うこととされており、この新しい幼稚園教育要領等の説明会を、県内の全認可保育所・幼稚園等の保育士、幼稚園教諭等を対象に、平成29年度から30年度にかけて実施しております。 説明会においては、幼稚園教育要領等に基づき、幼児期において国旗や国歌に親しむことの意義を説明すると同時に、実際の保育の中で、オリンピックごっこといった遊びを通じて国旗や国歌に接する機会を持つことや、国旗を掲揚した運動会などの行事に参加することなどを通して、国旗や国歌に親しみを感じられるようにするといった具体例も示してまいりました。 このようなことから、入園式、卒園式において、ステージや子供の目線の高さに合った場所に国旗を掲揚したり、掲揚時に国歌を斉唱したりするなどして、国旗や国歌に接する機会を設けている園も出てきております。また、日常生活の中では、国旗に興味、関心が持てるよう、国旗の絵本や国旗が描かれたかるた、ポスターなどに触れることができる環境を意図的、計画的につくることで、自発的に国旗についてのクイズをつくったり、図鑑で調べて絵で表現する園もあります。 国旗や国歌に親しむことは、日本人としての自覚を養い、郷土や国を愛する心を育てるとともに、子供たちが将来、国際社会において尊敬され、信頼される日本人として成長していくために大切なことであり、各園においては、その趣旨に沿って適切に対応していただきたいと考えております。 県教育委員会としましても、引き続き園長研修などの機会を捉え、教育要領等に沿った適切な対応がとられるよう要請を行ってまいります。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) こども食堂の具体的な取り組み内容についてお尋ねがございました。 本県におけるこども食堂は、先ほど知事の答弁にもありましたように、厳しい環境にある子供たちやその保護者を地域のネットワークにつなぐことを目的とし、あわせて家庭の子育て力、教育力の向上を目指しています。 そのような中で、こども食堂から支援のネットワークにつながった事例としては、知事が申し上げた事例のほか、家庭の子育て力、教育力への支援に関するものといたしまして、保護者からの食事の栄養バランスについての相談に対し、スタッフがアドバイスした事例や、子供たちが積極的に食事の準備や片づけをするようになった事例、また学校から帰宅後、こども食堂に参加するまでの間にまずは宿題を済ますという学習習慣が身についた事例なども見られるようになっております。 こうした中、本年度は、支援が必要な子供や保護者を地域の支援機関につなぐネットワークの充実に向けて、地域の福祉関係者などから成る地域コーディネーターの方々と連携して取り組むこととしています。また、家庭の子育て力、教育力の向上につながる取り組みをさらに推進するため、こども食堂のスタッフの方々に対して、子供の生活習慣や食育などについて学ぶ研修会を実施するなど、こども食堂に参加している保護者にアドバイスができるよう支援の充実を図ってまいります。 議員の御指摘の点は極めて重要なことだと思いますので、その点は十分留意して取り組んでまいります。   (文化生活スポーツ部長橋口欣二君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(橋口欣二君) 国旗・国歌について、土佐中・高等学校、清和女子中・高等学校に対して、この1年間どのような要請を行ったのか、また今後どのような要請を行っていくのかとのお尋ねがございました。関連がございますので、あわせてお答えをいたします。 まず、土佐中・高等学校に対しましては、昨年6月議会での議員の御質問に御答弁を申し上げまして以降、私や前部長、担当の副部長、課長がこれまで合わせて11回の学校訪問を行い、理事長や校長に対して、学習指導要領にのっとった入学式や卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱の実施についての要請を行ってまいりました。 少し長くなりますが、具体的に申し上げますと、まず前部長が訪問した7月には、6月議会での答弁内容を説明することとあわせて、実施についての要請を行いました。理事長からは、承知している、理事会での意見をまとめるのは難しいところだが、理事会のたびに県からの要請については報告をしている旨のお話がございました。担当課長が訪問した8月、9月、10月には、学習指導要領は法体系に位置づけられていることなど改めて説明を行い、実施についての要請を行ってまいりました。また、担当副部長が訪問した11月には、ルールの中で学校運営をやっていただきたいという要請を行い、理事長からは、新しい理事長が12月に就任予定であり、新理事長に要請のことは引き継ぐ旨のお話がございました。前部長が訪問した12月には、学習指導要領に基づく入学式等での国旗掲揚、国歌斉唱の要請を行いました。校長からは、引き続き検討していきたい、新理事長にはこれまでの県からの要請は引き継ぎする旨のお話がありました。 その翌月の1月には、同じく前部長が国旗掲揚、国歌斉唱について、改めて新理事長に要請をいたしました。新理事長からは、これまでどおりのやり方を継承していきたい旨のお話がありました。担当課長が訪問した3月には、その3月の理事会において改めて各理事に説明し、意見を聞いていただくよう要請を行ってまいりました。翌4月にも担当課長が、5月の理事会において改めて各理事に説明し意見を聞いていただくよう、また入学式等において国旗掲揚、国歌斉唱を実施していただくよう要請を行ってまいりました。校長からは、県からの要請については引き続き検討していく旨のお話がございました。そして、先月私が学校にお伺いし要請を行った際には、理事長から、国旗・国歌が重要なのは理解している、住んでいる地域に愛着を持ってもらうことも必要である旨のお話がありました。 次に、清和女子中・高等学校に対しましては、昨年7月以降、私や前部長、担当課長が合わせて7回学校訪問を行い、理事長や校長に対して、入学式等での国旗掲揚、国歌斉唱の実施についての要請を行ってまいりました。 具体的には、前部長が学校を訪問した12月には、理事長から、要請があったことは常任理事会で報告しており、県からの要請は必ず伝えているが、それぞれの立場があり、まとめることは難しい旨のお話がありました。担当課長が訪問した8月、10月、2月、4月には、理事長から、要請内容については常任理事会に諮ったが意見をまとめるには至らず、現段階で実施するということにはならなかった、県からの要請はしっかりと受けとめている旨のお話がありました。また、今月に私が訪問した際には、理事長から、県からの要請については理解しており、理事会、評議員会で毎回議論しているが、結論には至っていない旨のお話がありました。 このように、未実施の学校に対しましては、学校訪問を繰り返し行い、入学式や卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱の実施についての要請を重ねてまいりましたが、現時点で学校から、実施されるというお話はいただけておりません。 学習指導要領の中では、国旗・国歌に関しましては、入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導するものとすることが明確に示されております。この学習指導要領については、国会においても主務大臣が、法規としての性格を有している、各学校は学習指導要領に基づいて教育課程を編成し実施する責務を負うと答弁されていることから、私立学校においても当然に指導されるべきものと考えております。 そのため、実施されていない学校に対しましては、今後も機会を捉えて対話を重ね、入学式や卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱が学習指導要領にのっとって適切に実施されるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。 ◆20番(三石文隆君) それぞれ丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございました。特に、文化生活スポーツ部長からは、土佐中・高等学校及び清和女子中・高等学校の国旗・国歌に関する要請につきまして、詳しく御答弁をいただきました。 私は、昨年社会人の方々を表彰する式典に出席をしておりました。名前を呼ばれて一人一人登壇して表彰状を受け取っていくのですが、壇上に掲げられた国旗に対して礼をしない方が散見されました。大人については内心の自由がありますので、とかく言うことはありません。ただし、私が先ほども述べましたように、グローバル化が一層進展する中で、児童生徒が国際社会において尊敬をされ、信頼をされる日本人として成長していくためには、日本人の自覚を養い、国を愛する心を育てること、これはもう基本中の基本のことであります。学習指導要領にも、「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するもの」と示されております。 式典で国旗に一礼しない社会人の内心がどうなのか、知る由はありません。国旗に一礼することをあえて拒否しているのか、緊張して一礼を忘れているのか、理由はさまざまあるでしょう。しかし、一礼することを知らない、学校で教えられていないと仮定すれば、非常にそのことは残念なことであります。教員による身勝手な判断で教えられていないわけですから、本人には何の罪もありません。私は、常日ごろから、学習指導要領にのっとってきちんと教えるべきであると、こういうことを言っているんです。それを教えていないというのは、教育者として無責任きわまりない、大きな罪、大罪ですよ。私は大きな罪であると思います。根拠のない信念に酔っているとしか思えません。 今後、国旗・国歌の課題にどのように取り組んでいくのか、改めて文化生活スポーツ部長の御所見をお伺いいたします。 ◎文化生活スポーツ部長(橋口欣二君) 教育基本法におきましても、教育の目標として、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重する態度を養うことも定められております。このような日本人としての自覚や誇りを育むこと、自国の国旗・国歌のみならず、他国の国旗・国歌にも敬意を払う態度を養うことは、教育の上では非常に重要なことだと考えます。 繰り返しになりますし、議員のお話にありましたが、やはり国旗の掲揚、国歌の斉唱は、こうした意義のもとに、法規としての性格を有する学習指導要領に定められておりますし、「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」ということが示されております。そのために、今後とも両校に対しましては、学習指導要領にのっとって入学式、卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱が適切に実施されますよう、引き続きしっかりと粘り強く要請を行ってまいります。 ◆20番(三石文隆君) ありがとうございました。 今後とも、土佐中・土佐高同様、清和女子中・高等学校に対しても強く働きかけをしていただくことを改めて要請いたしまして、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(桑名龍吾君) 以上をもって、議案に対する質疑並びに一般質問を終結いたします。----------------------------------- △議案の付託 ○議長(桑名龍吾君) これより議案の付託をいたします。   (議案付託表配付) ○議長(桑名龍吾君) ただいま議題となっている第1号から第15号まで、以上15件の議案を、お手元にお配りいたしてあります議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。   〔議案付託表 巻末240ページに掲載〕----------------------------------- ○議長(桑名龍吾君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 お諮りいたします。明22日から27日までの6日間は委員会審査等のため本会議を休会し、6月28日に会議を開きたいと存じますが御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(桑名龍吾君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決しました。 6月28日の議事日程は、議案の審議であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後2時37分散会...