令和 1年 6月 定例会(第349回) 令和元年6月19日(水曜日) 開議第2日
-----------------------------------出席議員 1番 土森正一君 2番 上田貢太郎君 3番 今城誠司君 4番 金岡佳時君 5番 下村勝幸君 6番 田中 徹君 7番 土居 央君 8番 野町雅樹君 9番 浜田豪太君 10番 横山文人君 11番 西内隆純君 12番 加藤 漠君 13番 西内 健君 14番 弘田兼一君 15番 明神健夫君 16番 依光晃一郎君 17番 梶原大介君 18番 桑名龍吾君 19番 森田英二君 20番 三石文隆君 21番 上治堂司君 22番 山崎正恭君 23番 西森雅和君 24番 黒岩正好君 25番 大石 宗君 26番 武石利彦君 27番 田所裕介君 28番 石井 孝君 29番 大野辰哉君 30番 橋本敏男君 31番 上田周五君 32番 坂本茂雄君 33番 岡田芳秀君 34番 中根佐知君 35番 吉良富彦君 36番 米田 稔君 37番 塚地佐智君欠席議員 なし
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 尾崎正直君 副知事 岩城孝章君 総務部長 君塚明宏君 危機管理部長 堀田幸雄君 健康政策部長 鎌倉昭浩君 地域福祉部長 福留利也君
文化生活スポーツ部長 橋口欣二君 産業振興推進部長 井上浩之君 中山間振興・交通部長 川村雅計君 商工労働部長 近藤雅宏君 観光振興部長 吉村 大君 農業振興部長 西岡幸生君 林業振興・環境部長 川村竜哉君 水産振興部長 田中宏治君 土木部長 村田重雄君 会計管理者 中村智砂君 公営企業局長 北村 強君 教育長 伊藤博明君 人事委員長 秋元厚志君
人事委員会事務局長 原 哲君 公安委員長 古谷純代君 警察本部長 宇田川佳宏君 代表監査委員 植田 茂君 監査委員事務局長 麻岡誠司君
-----------------------------------事務局職員出席者 事務局長 弘田 均君 事務局次長 行宗昭一君 議事課長 吉岡正勝君 政策調査課長 織田勝博君 議事課長補佐 飯田志保君 主幹 春井真美君 主査 宮脇 涼君
-----------------------------------議事日程(第2号) 令和元年6月19日午前10時開議追加 第15号 令和元年度高知県一般会計補正予算第1 第1号 令和元年度高知県一般会計補正予算 第2号 高知県公文書等の管理に関する条例議案 第3号 高知県
森林環境譲与税基金条例議案 第4号 地方自治法第203条の2に規定する者の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例議案 第5号 高知県税条例等の一部を改正する条例議案 第6号 過疎地域等における県税の課税免除に関する条例及び
半島振興対策実施地域における県税の不均一課税に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県地方活力向上地域における県税の特例措置に関する条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県手数料徴収条例等の一部を改正する条例議案 第9号
高知県立高等技術学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県道路の構造の技術的基準及び道路に設ける道路標識の寸法を定める条例の一部を改正する条例議案 第11号 県有財産の出資に関する議案 第12号 (仮称)
南国日章工業団地団地整備工事請負契約の締結に関する議案 第13号 高吾地域拠点校本館及び南舎他
改修主体工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第14号 高知県公立大学法人定款の変更に関する議案第2 一般質問 (3人)
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○議長(桑名龍吾君) これより本日の会議を開きます。
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△議案の追加上程、提出者の説明(第15号)
○議長(桑名龍吾君) 御報告いたします。 知事から議案が追加提出されましたので、お手元にお配りいたしてあります。その提出書を書記に朗読させます。 (書記朗読) 〔提出書 巻末239ページに掲載〕
○議長(桑名龍吾君) お諮りいたします。 ただいま御報告いたしました第15号「令和元年度高知県一般会計補正予算」を、この際日程に追加し、直ちに議題とすることに御異議ありませんか。 (「異議なし」と言う者あり)
○議長(桑名龍吾君) 御異議ないものと認めます。よって、日程に追加し、直ちに議題とすることに決しました。 本議案を議題といたします。 ただいま議題となりました議案に対する提出者の説明を求めます。 県知事尾崎正直君。 (知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君) ただいま追加して提案をいたしました議案に関しまして御説明を申し上げます。 第15号議案は、新たな
管理型産業廃棄物最終処分場に関しまして、佐川町加茂における地質調査や基本設計、長竹川の増水対策や上水道整備への支援などの実施に要する経費として、総額1億9,800万円余りの歳入歳出予算の補正並びに総額6,700万円余りの債務負担行為の追加に関する一般会計補正予算を提案しようとするものであります。 県が新たな施設整備に向けて取り組んでおります
管理型産業廃棄物最終処分場につきましては、開会日における提案説明で申し上げましたとおり、知事として、佐川町加茂を新たな
管理型産業廃棄物最終処分場の建設予定地に決定させていただき、先月31日、佐川町及び佐川町議会に対しまして、施設整備の受け入れについて正式に申し入れを行わせていただきました。 その後、佐川町議会におかれましては、今月7日に開会した定例会などにおいて、さまざまな視点から御議論をいただいた上で、賛成多数で新たな施設を受け入れる方針を決定していただきました。また、佐川町におかれましても、施設を受け入れる方針を決定され、今月16日に加茂地区の住民の皆様にその旨を御説明されました。その際、住民の皆様から、なぜ仁淀川水系にばかり処分場をつくるのか、住民の不安は解消されていないといった御意見があり、町長からは、町としては御心配の声はしっかりと受けとめる、地区がよくなったと思ってもらえるよう全力で県に要望し行動したいと理解を求められたとお伺いしております。 その上で、一昨日には佐川町長及び佐川町議会議長から、地域住民の安全の確保や生活環境の保全、不安の解消を図ることなどを前提として、施設の受け入れを受諾する旨の御回答を正式に文書で頂戴しました。 佐川町、佐川町議会の皆様におかれましては、
管理型産業廃棄物最終処分場の受け入れという大変重い課題に関して真摯に御検討をいただき、受諾賜りましたことに対しまして、改めて心より厚く御礼を申し上げます。あわせて、受諾の条件として非常に重要な宿題もいただいたと受けとめており、誠実に対応してまいりたいと考えております。 この新たな
管理型産業廃棄物最終処分場は、県内事業者の経済活動を下支えする大変重要な施設であり、仮に現在の
エコサイクルセンターの埋め立てが終了する時点までに後継となる施設が完成していなければ、県経済、ひいては県民生活に多大な支障を来すことが懸念され、早急な施設整備が必要不可欠であります。 他方、当該施設の整備に当たっては、住民の皆様の御理解が最優先であると考え、これまで誠意を持って対話を重ね、できる限り丁寧に説明を行うよう努めてまいりました。その中で、例えば地下水への影響に関して、処分場内部の水は外部に一切出さない構造で、その水もわずかできれいであること、地下水を常時監視していくといったことなど、さまざまな御不安の声に一つ一つ丁寧に御説明を重ねてまいりました結果、施設の安全性などへの御不安の声は減少し、一定の御理解が得られつつあるのではないかと受けとめております。しかしながら、長竹川の増水や地下の空洞の有無など、依然として施設の安全性や周辺の生活環境について、住民の皆様に御不安や御不満の声が残っていることを県として重く受けとめております。 このため、今後住民の皆様の御不安や御不満をしっかりと解消していくため、佐川町の御意見も十分にお伺いしながら、施設整備に向けた取り組みとあわせて、地域住民の皆様の不安を解消するための取り組みや、地域の振興につながる取り組みなどに真摯に対応をしてまいります。 仮に、本日提出いたしました議案をお認めいただけましたら、まず施設整備に向けて地形の状況を詳細に確認するための測量調査や、地下の空洞の有無などを調べる地質調査のほか、洪水の発生を防止するための調整池の整備などを含む施設構造の基本設計に速やかに着手してまいりたいと考えております。あわせて、この詳細な調査などを進めていく過程においても、住民の皆様に一層の御理解をいただくため、節目節目で調査結果などの情報を丁寧に御説明させていただき、御意見を頂戴する場も設けてまいりたいと考えております。 また、今後の調査結果などにより、施設整備が不可能と判断される致命的な事態が明らかとなった場合には、その内容を佐川町や住民の皆様にお知らせした上で、佐川町加茂での施設整備を中止することといたします。 あわせて、地域住民の皆様の不安解消のため、施設周辺部における安全対策、いわゆる周辺対策に取り組んでまいります。具体的には、加茂地区を流れる長竹川の改修に向けた測量調査や、建設予定地の周辺における上水道の整備への支援にもつながる井戸の利用実態調査及び水質調査、進入道路のルート案を複数作成して再検討するための調査などに速やかに着手してまいります。加えて、国道33号の交通安全対策につきましては、県から国に対して積極的に要望活動を行ってまいります。 こうしたさまざまな安全対策を実施したといたしましても、地元の住民の皆様の中には、なぜこの地域に処分場をつくるのかといった御不満や負担感が依然としてお残りになるものと考えております。そうしたお気持ちを少しでも和らげ、せめてその分については地域がよくなったと思っていただけるよう、地域の振興につながる取り組みをしっかりと実現してまいります。この地域振興策につきましては、住民の皆様からの御意見を踏まえ、県と町による協議の場において具体的な内容を取りまとめた上で、両者で協定を締結し、着実に進めてまいりたいと考えております。 今後、このたびの議案をお認めいただけましたら、これまで申し上げた一連の取り組みに関し、佐川町議会や住民の皆様の御意見を踏まえた上で、県と町で確認書を締結したいと考えております。あわせて、これらの取り組みを円滑に実施するため、佐川町から御要望のありました職員派遣または職員駐在などの人的支援につきましても実施してまいります。 引き続き、新たな
管理型産業廃棄物最終処分場の整備については、その都度進捗状況を県議会に御報告させていただき、議員の皆様方の御意見をお伺いいたします。また、情報公開と丁寧な説明を通じて、佐川町、佐川町議会、加茂地区の皆様に御理解と御協力を賜るよう、誠意を持って真摯に取り組んでまいる所存であります。 何とぞ御審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。
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△質疑並びに一般質問
○議長(桑名龍吾君) ただいま議題となっている議案については、日程第1、第1号「令和元年度高知県一般会計補正予算」から第14号「高知県公立大学法人定款の変更に関する議案」まで、以上14件の議案にあわせて一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 15番明神健夫君。 (15番明神健夫君登壇)
◆15番(明神健夫君) それでは、自民党を代表し、通告に従いまして一般質問を行います。 まず、新たな
管理型産業廃棄物最終処分場の整備についてであります。 日高村にある県内唯一の
管理型産業廃棄物最終処分場である
エコサイクルセンターは、当初は埋立期間を20年間と計画していましたが、これを相当上回るペースで埋め立てが進み、その終了の時期が近づいていることから、リサイクルの推進などによる現施設の延命化に取り組むとともに、新たな施設整備に向けて長年検討を進めてこられました。この施設は、県内事業者の経済活動を下支えする、なくてはならない重要なインフラ施設であり、仮に現在の
エコサイクルセンターの埋め立てが終了する時点までに後継となる施設が完成していなければ、県経済、ひいては県民生活に多大な支障を来すことが懸念され、少しでも早く整備を行うことが望まれます。 一方で、新たな施設の建設には、測量、地質調査、設計、各種許認可等の手続、建設工事などに最低4年程度を要することから、新たな施設の完成時期は、最速でも既に現施設の満杯となる見通しの時期を超えてしまっている状況にあります。そうした中にあっても県としては、知事も言われているように、地元の住民の皆様の御理解を第一に考えて進めていかなければならないと思います。 県においては、候補地の選定過程においては透明性の高いプロセスということを非常に重視して取り組んでこられたと思いますし、3カ所の候補地を選定して以降は地元の理解を得るために、住民の声に真摯に耳を傾けわかりやすく説明を工夫するなど、丁寧に取り組んでこられました。あわせて、昨年末の12月に3カ所の最終候補地から佐川町加茂への絞り込みをされて以降は、12月、2月、5月には加茂地区の住民を対象とした説明会及び話し合い、加茂地区以外の佐川町民を対象とした説明会、
エコサイクルセンター見学会、
最終候補地現地見学会、個別にお話をお伺いする場などを重ね、その中でしっかりと県としての考えを伝えるため、将来も含めた施設の安全性や維持管理体制、候補地選定の考え方、住民が不安に思われる事項への対策、地域振興策などについて、その都度誠意を持って対話を重ね、できる限り丁寧な説明を行い、また精いっぱい答えてこられました。 今議会の冒頭に知事から、現施設の埋め立てが終了する時期が迫っていること、施設の安全性について一定の理解が得られつつあること、さらに残る不安を解消するためにも建設予定地を定めて詳細な検討を行う必要があることの3点に鑑み、佐川町加茂を新しい施設の建設予定地として決定し、先月31日、佐川町及び佐川町議会に対して、施設整備の受け入れについて正式に申し入れをされたとの説明がありました。そして、今月17日に町長と議長から施設の建設を受け入れる旨の返事をいただいたことで、この事業を大きく前進させることができました。この施設を受け入れていただいた佐川町長、町議会、地元住民の皆様に、心から感謝を申し上げます。 しかしながら、施設の建設予定地の下流の住民の皆様を中心に、大雨の際の河川の増水による浸水被害や石灰岩質である建設予定地の地下の空洞の有無など、不安に思われている方々も残っているとのことですので、施設を受け入れていただく地元住民の安心につながる対応、また住民の不安な気持ちに寄り添った対応をしっかりと行っていく必要があります。 ついては、地元の住民の皆様の不安を解消し、一層の理解を得てこの施設を早期に整備するために、地域の振興策を含めどのような方針で取り組んでいくのか、知事にお伺いします。 また、現段階の予測によると、現在のような廃棄物の搬入状況が続けば3年10カ月後の令和5年3月末にも埋め立てが終了する見通しとなっており、一方で新たな施設の建設には最低でも4年程度を要することから、新たな施設の完成時期は現施設の埋め立てが終了する見通しの時期を既に超えてしまっているとのことで、厳しい状況と言わざるを得ません。
エコサイクルセンターの埋め立てが終了する時期までに、新たな施設を稼働できるよう整備を進めなければなりませんが、どのように取り組むのか、知事にお伺いをします。 続きまして、児童虐待根絶に向けてであります。 親の体罰禁止や児童相談所の機能強化を明記した児童虐待防止法と児童福祉法の改正案が、この5月10日、衆議院本会議で審議入りしました。子供が心安らぐ場であるはずの家庭内で親から虐待を受け命を落とした、東京都目黒区の女児当時5歳と千葉県野田市の女児当時10歳の2人の事件が、社会を揺さぶり政治を動かしました。親による体罰禁止の法制化は、2人の女児がしつけ名目で虐待を受けていたことで、政治課題として急浮上しました。 民法は、親が子を戒める懲戒権を認めております。政府は、過去にも懲戒権削除や体罰禁止を検討してきましたが、家庭内でのしつけのあり方に踏み込むことへの抵抗は根強く、見送ってきた経緯があります。だが今回は、親に必要な範囲で子供を戒めることを認めている民法の懲戒権に関し、立憲民主など6党派が提出した野党案は、早急に見直すとしておりますが、安倍首相は、家族のあり方にかかわりさまざまな議論がある、法務省を中心に徹底的に議論する必要があり、2年をめどとした検討期間が必要との考えを示しております。また、禁止される具体的な体罰の内容は、今後国民にわかりやすく説明するためのガイドラインなどを作成すると答弁しております。 政府案では、保護者や児童福祉施設長らによる体罰禁止を盛り込むとともに、児童相談所の体制強化では、子供を親から引き離し一時的に保護を行う介入の担当と、虐待を行った保護者の相談に乗り指導をするなどの保護者支援の担当を分ける体制を整備する。児童相談所とドメスティック・バイオレンス、DV対策との連携を強化する。社会的養育の充実・強化では、虐待された子供を施設ではなく家庭的な環境で育てるとの観点から、里親の開拓に向け制度の周知・広報により一層取り組むとともに、里親家庭に対しては手当の充実を行うなど支援の拡充を図る。児童虐待の発生予防・早期発見では、虐待の発生予防や早期発見を目的に、支援を必要とする妊婦への支援強化や、乳幼児健診未受診者、未就園、不就学などの子供に関する定期的な安全確認などを実施することで、妊娠時から切れ目のない支援を行う。これに加えて、子育てに悩みを抱える親や子供からの相談について、SNS等を活用した相談窓口の開設、運用を進めるなどが、柱となっております。 過去にも、悲惨な事件を受けては法改正が繰り返されてきましたが、虐待事案は減るどころかふえ続けております。こうした流れに終止符を打つべく、国会でも審議を尽くし、打てる手を全て投入してほしいと思います。 関連して、幼い命をまた守れませんでした。札幌市中央区の女児、2歳が、6月5日、体に多数のあざを残し、平均体重を下回る状態で衰弱死する事件が起き、母親と交際相手が逮捕されました。また、厚生労働省によりますと、全国の児童相談所が平成29年度に相談対応した児童虐待は、13万3,778件と過去最多となり、平成24年度から倍増しております。 政府は、昨年3月の東京都目黒区の5歳女児虐待死事件を受けて、虐待の通告から48時間以内に子供への安全確認を徹底し、できない場合は立入調査を徹底するルールを各児童相談所に通知しております。また、虐待の通告があった場合、各児童相談所は客観的に虐待の緊急性を判断するため、
リスクアセスメントシートに基づき、身体的虐待や育児放棄などの項目をチェックすることになっております。だが、札幌市児童相談所は、48時間ルールを実行しておりませんでした。また、
リスクアセスメントシートも未作成で、教訓は生かされず、対応のずさんさが浮き彫りとなりました。 札幌市児童相談所は6月6日の記者会見で、各職員が百数十件の案件を抱え、職員不足の状態であり、48時間は非常に厳しいと、人材不足を強調して述べております。元児童相談所長でNPO法人おかやま
児童虐待事例研究会の松尾代表は、虐待の通告があった場合、特にSOSを出せない幼児の場合は緊急性が高く、児童相談所みずからが会いに行かなければという意識を持つ必要があると言っております。 本県の児童相談所が平成29年度に相談対応した児童虐待の件数及び前年度との比較件数について、また48時間ルールへの対応状況と課題並びに
リスクアセスメントシート作成の取り組み状況と課題、あわせて双方の課題解決策について地域福祉部長にお伺いします。 関連して、福井大学の
友田教授--小児発達学--の研究では、激しい体罰や暴言を受けると、感情思考をつかさどる脳の前頭前野の容積が減少したり、声や音を知覚する脳の聴覚野が変形したり、体罰の影響は大きいことが判明しております。
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが、平成29年、2万人に行った調査では、しつけのために体罰も必要が57%、子育て中の1,030人の7割にしつけとして子供をたたいた経験があったなど、子供への体罰を容認する意識は根強いものがあります。友田教授は、法律などで体罰を禁止することで、自分の子にも暴力や暴言は許されないという社会の規範につながると評価されております。 一方で、
NPO法人子どもすこやかサポートネットの高祖副代表は全国各地で、赤ちゃんを泣きやませるヒントや親がいらいらした際に気持ちを落ちつかせる方法、また、たたいたりどなったりしない子育ての方法などの講座を開いております。 そこで、提案ですが、体罰禁止をさらに実りあるものとするには、社会への啓発活動を充実させるとともに、保護者が体罰に頼らない具体的な子育てを学べる場を提供する必要があると思いますが、地域福祉部長の御所見をお伺いします。 関連して、虐待に至ってしまった親の回復プログラム、MY TREEペアレンツ・プログラムを平成13年に開発し、全国にその実践者を養成し、過去17年間で1,048人の虐待言動を終止した修了生を出すなど、大きな成果を上げてこられました森田ゆりさんが、「虐待・親にもケアを」という本を出版しております。この本の中で筆者は、「平成12年5月に成立した児童虐待防止法の立法過程で、国会参考人として、虐待した親の回復支援を法制度の中に組み込む重要性を訴えましたが、法制化には至りませんでした。そこで、親への回復プログラムを開発、実践し、日本におけるその方法論と経験のノウハウの蓄積を始めないことには法改正すらできないと痛感したことが、MY TREEプログラムの開発と実践の始まりでした」と言っております。 平成29年、児童福祉法の改正により、家庭裁判所が、虐待した保護者の指導勧告を児童相談所に対して行い、あわせて虐待した保護者に直接、虐待的言動をとめるためのプログラム受講などを言い渡す法制度となりました。また、筆者は、「虐待に至ってしまった親たちの回復支援は、子育て方法を教える養育支援ではありません。母親支援でも、父親支援でも、子育て支援でもなく、その人の全体性(理性、感情、身体感覚、精神性)回復への支援です。虐待行動に悩む親たちは、今までの人生において他者から尊重されなかった痛みと深い悲しみを、怒りの形で子供に爆発させています。加害の更生は被害によって傷ついた心身の回復からしか始まらない」と言っております。 親が変わらなければ子供は家庭には帰れません。「虐待に至ってしまった親にケアを提供することの緊急性とその具体性を理解していただきたいとの願いで書かれています。そして、何よりも、虐待された子供たちの大半は、親から虐待されても、その親を求め、慕い、その親が変わってくれることこそを願っているのです」と言っております。 ここで、生きる力を取り戻すMY TREEプログラム修了生の言葉を一例紹介しますと、キレなくなった、以前のようにどなり散らして怒ったり、めちゃくちゃにたたきまくったりしなくなった、子供に対しても、ほかの人、物事に対しても感情を抑えることができるようになった、激しく切りかわるスイッチがなくなった、子供をかわいい、いとおしいと思える気持ちを取り戻すことができた、私は生まれ変わった、すがすがしい気持ちでいっぱいと言っております。 これは、平成29年度まで取り組んでいました奈良県の事例ですが、奈良県の児童相談所が受理する児童虐待対応件数は増加の一途をたどり、現場は子供の安全とその確保に奔走することが日常化していました。一方で、虐待をした親への支援、親子分離となった後の家族支援については、日々の対応に手いっぱいで十分な支援ができにくい状況にありました。虐待の世代間連鎖の解消や親との生活を望む子供の権利を保障していくためにも、虐待をした親への支援が必要不可欠であり、効果的な取り組みの一つとして、奈良県ではMY TREEプログラムを導入しておりました。 児童相談所がMY TREEプログラムへの参加を勧める対象は、虐待をしてしまった、あるいはしている親であります。対象となる親は、一時保護や施設入所等で子供と分離されている親や、精神的な問題を抱えている親、孤独で誰にも相談できない親等、皆複雑な背景を有しております。また、多くは、言いようのない不安、怒りを抱えており、その消極的な感情を子供にぶつけることで、ある意味子供を依存対象とした虐待関係を形成しております。こうした親に対して、児童相談所の立場から、虐待はいけないと伝えるだけでは、虐待に至った親の背景や根本の問題は変化しません。MY TREEプログラムは、虐待をとめるために、第一に親がみずから回復できる力を得るようになることを目的としています。 MY TREEプログラムを修了した親のその後については、心身ともに回復し子供との生活を再開した親、みずからの課題に向き合いながらも子供との交流を少しずつふやしている親など、さまざまです。しかし、どの親にも共通して言えるのは、MY TREEプログラムを通して、生きづらさを抱えていた今までの自分から抜け出せる、変化に出会えたということであります。児童相談所が支援を終えた先の未来においても、親がみずから気づいて得た自己回復力は、何よりその子供にとって幸せにつながっていくものでありますと言っております。 そこで提案ですが、虐待に至ってしまった親たちの回復支援をさらに実りあるものとするには、他県の児童相談所の取り組みを学び、効果的な取り組みを本県にも導入すべきであると思いますが、地域福祉部長の御所見をお伺いいたします。 続きまして、学校のマネジメント強化の方策についてであります。 平成27年12月に、中央教育審議会より3つの答申が出されました。「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~」の答申、「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」の答申、「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」の答申であります。この3答申は、新しい教育課程を展開するための条件整備とも言えるものであります。 学習指導要領改訂の方向性である、どのように学ぶか、主体的・対話的で深い学びの視点からの学習過程の改善を実現するためには、個々の教員の資質・力量の絶えざる成長が必要であり、中央教育審議会ではそれを、学び続ける教員を支えるキャリアシステムとしております。これに基づき、教育委員会と大学が連携・協力して教員育成協議会を組織し、教員育成指標を策定しております。 また、新学習指導要領では、よりよい学校教育を通じてよりよい社会をつくるという目標を共有し、社会と連携・協働しながら、未来のつくり手となるために必要な資質・能力を育む、社会に開かれた教育課程の実現が求められております。中央教育審議会では、全ての学校が、学校運営協議会を設置するコミュニティ・スクールとなることを目指すこととしておりますし、学校を核にした地域づくりを展開して、地域学校協働活動を行っていくこととしております。 これらを進めていく中で、新学習指導要領では、各学校におけるカリキュラムマネジメントの実現が求められ、そのためには学校の組織運営の改善が必要であり、今までの学校内の教職員の協働だけでは対応し切れない課題への体制づくり、また教員が子供と向き合う時間の確保等の体制整備などもあわせて、中央教育審議会では、チームとしての学校を展開していく組織マネジメントの一層の強化がポイントになるとしております。 また、平成29年4月の法改正により、学校の事務職員が主体的に校務運営に参画するよう職務規定が見直され、「事務に従事する」から「事務をつかさどる」へと改定されました。あわせて、学校事務を共同して処理する共同学校事務室の設置について、制度化が行われました。家族形態の変化、個人の価値観やライフスタイルの多様化など、社会や経済の変化に伴い、子供たちや家庭、そして地域社会を取り巻く状況が刻々と変化しております。また、学校の教育課題は、生徒指導や特別支援教育等にかかわる課題、子供の貧困問題など、複雑化、多様化しております。新学習指導要領で示されている、新たな教育課題の達成という大きな課題もあります。このように、学校だけでは十分に解決することができない課題もふえております。 この課題の解決には、教職員一人一人がみずからの専門性を発揮するとともに、専門スタッフ等の専門性や経験値などを得て、課題の解決を進めていくことが重要であります。そのために、個々の教員が個別に教育活動に取り組むのではなく、組織として教育活動に取り組む体制をつくり上げるとともに、必要な指導体制を整備し、チーム学校を実現する必要があります。それには、教職員や学校内の多様な人材がそれぞれの専門性を生かして能力を発揮できるような体制づくりを行い、学校の教育活動に必要な人、物、お金、情報、時間が一体的にマネジメントされ、活動が促進される学校のマネジメント力の強化が必要不可欠となっております。 こうした中、新潟県教育委員会は、平成20年度から、市町村立学校に勤務する学校事務職員が共同で複数校の事務・業務を効果的・効率的に実施することにより、学校事務の適正かつ円滑な執行、事務機能の強化及び事務処理体制の確立を図るとともに、学校経営全般に係る支援を行い、学校教育の充実を目指すことを目的に、学校事務の共同実施をスタートさせております。また、平成25年1月には、市町村立小・中・特別支援学校事務職員の標準的職務についてを通知し、この通知では、学校事務職員は学校組織マネジメントを成立させるための重要な学校経営担当職員であると述べられております。そして、法改正後の平成29年11月の通知では、学校事務職員は学校経営担当職員として教頭とともに校長を補佐して、学校経営を担いながら共同実施の経営及び企画運営を担う立場であると述べられております。 以上のように、新潟県教育委員会は、国よりも早く、学校のマネジメント機能の強化のため、学校事務の共同実施や学校事務職員の役割の見直しを行い、学校事務の共同実施においては、事務処理における質の向上や、ミス・不正の防止、学校間の標準化による効率化等において、大きな成果が上げられております。また、教員の事務負担の軽減や学校事務職員の学校運営への支援・参画の拡大等においても成果が出ておりますが、本県教育委員会が取り組んでおります学校のマネジメント機能の強化方策とその成果について教育長にお伺いいたします。 続きまして、18歳未満の子供のケアについてであります。 ヤングケアラーとは、家族にケアを要する人がいるために、家事や家族の世話などを行っている18歳未満の子供のことであります。慢性的な病気や障害、精神的な問題などのために、家族の誰かが長期のサポートや看護、見守りを必要とし、そのケアを支える人手が十分にないときには、未成年の子供であっても大人が担うようなケア責任を引き受け、家族の世話をする状況が生じます。世界に先駆けてこうした子供たちに目を向けたのはイギリスであります。 日本では、子供や若者が家族のケアを担うケースの認識自体、まだ十分に広まっておりません。実際、総務省が発表した平成24年就業構造基本調査によれば、同年の介護者557万3,800人の80%近くは50代以上であり、学齢期にケアを担う子供や若者は、こうした介護者の中では見えにくくなっています。介護者の大部分をなしている50代以上は、既に自分の役割、経歴、家族や人間関係、自分自身を築いた上でケアを担います。しかし、18歳未満の子供は、まだ家庭と学校以外のことをほとんど知らない状態でケアに巻き込まれ、自分のしなければならないこととケアの間で葛藤していくことになります。 高度経済成長期以前の子供は、早くから家の内外で働くことを期待されましたが、高度経済成長期から、子供は守られながら自分の知識や経験を広げ、将来に向けて力を蓄えていく存在とみなされるようになりました。もちろんいつの時代にも階層差はありますが、それでも今日の日本人の平均的な感覚として、子供が家族のケアを担うことは、余り想定されておりません。家族の事情でケアを担い、学校生活や人間関係が十分に維持できないことは、ケアをする18歳未満の子供たちを肩身の狭い状況に置いていることになります。未成年の子供は、大人のように働いて稼いで、経済面で家庭内のケアに貢献することはできません。そのため、家族の中にケアとサポートを要する人がいて家庭内の大人が疲弊してくると、子供は家庭を支えるためにも、放課後や夜間のケアにかかわるようになります。要介護者のケアを要する度合いがさらに進んでケアの総量がふえてきても、子供という立場では、その生活を大きく変える判断をすることは難しいことであります。 子供は表には介護者として見えず、みずからもそうした認識を持たないまま睡眠不足や疲労をためていき、それが長期化すると、学校生活や進路にも影響してしまうこととなります。平成25年に医療ソーシャルワーカーの団体、東京都医療社会事業協会の全員に行った、18歳以下の子供のケアに関するアンケート調査の結果、実際に家族のケアを18歳以下の子供が行っていると感じた事例があるかについては、回答者の35.3%に当たる142人が、あると答えました。 具体的な事例の詳細を記述する欄では、142人中134人の回答者が、その子がケアをすることになった理由を自由記述で書いていました。回答では例えば、母親がリハビリで長期入院、父親が仕事で家をほぼあけているためとか、母親が末期がんだったため入退院を繰り返していた、母親は夫と離婚しており、その子が下の弟たちを世話しながら、がんで痛みがあるため十分家事ができない母親のかわりに食事の支度、掃除などを行い、母親の通院・入院時の付き添いや介護をしていた、そのため中学を休むことが多かったなどがありました。医療福祉専門職は、病院の患者やその家族の相談に乗る立場から、18歳以下の子供がケアをする存在を感じていた人たちであります。 では、子供たちに日々接する教育現場では、18歳以下の子供がケアをしていることはどう認識されているのだろうか。こうした問題意識をもとに行われたのが、平成27年の新潟県南魚沼市での調査と、平成28年の神奈川県藤沢市での調査であります。それぞれ市の教育委員会の協力のもと、市内の公立小中学校、特別支援学校の全ての教職員を対象としてアンケートを行いました。 南魚沼市では、市内26校の教職員446人を対象として配付したアンケートに271人が回答を寄せ、そのうち25.1%、68人が、これまでに教職員としてかかわった児童生徒の中で家族のケアをしているのではないかと感じた子供がいると答えました。藤沢市では、市内55校の教職員1,812人を対象としてアンケートを配付し、1,098人が回答しました。藤沢市では、これまでに家族のケアをしているのではないかと感じた児童生徒がいたと答えたのは、回答者の48.6%、534人に及びました。南魚沼市でも藤沢市でも、そうした児童生徒がいたと答えた回答者には、最も印象に残る子供1人について、その詳細を書いてもらいました。 その結果、両市とも、ケアを担う子供は小学校高学年ごろからふえている様子がうかがえました。ケアをしている子供の性別では、両市とも女子のほうが多かった。子供がケアをしている相手として多かったのは、兄弟と母親でした。子供の家族構成については、両市ともひとり親家庭の割合が高目であるという結果になりました。これは、ひとり親家庭で親がケアを必要とする状態になっている場合、子供が家庭のケアを担う状況が生まれやすいことがうかがえます。子供がしているケアの内容については、家事と兄弟の世話が多かったなど、子供がケアをしている特徴が見えてきました。 そして、子供がケアをしていることにどのようにして気づいたかの設問では、圧倒的に多かったのは「子供本人の話」でありました。例えば、きょうの御飯は何にしようかなあと話していたので、毎日夕食の支度をしているのと聞いたら、はいという会話になった。下の子のお世話をしないといけないから、学校を休みがちになっていることを本人が話していたというように、日常の会話や雑談の中で、児童や生徒が何げなく自分から話した場合が多かった。 また、先生が欠席や遅刻の理由を聞く中で明らかになった場合も多く見られた。生徒と面談、保健室での会話、何か問題行動に対する聞き取りの中で明らかになったなどの場合もありました。欠席が続いたときに先生が家庭訪問をするなどして、子供がケアをしていることに気づくというケースはかなりあるようだった。 「保護者の話」では、例えば、面談で生徒の欠席が多いことを言うと、母親が私の病院の付き添いでと言ってわかったなどのケースもあります。「目の前で見た、経験をした」では、学校を勝手に抜け出し、兄弟を保育園に迎えに行っていた、買い物をしている姿を見たことがあるなどでありました。 次に、子供の学校生活への影響を尋ねる設問では、遅刻、早退、欠席、忘れ物、宿題をしてこない、学力が振るわない、衛生面が思わしくない、栄養面が思わしくない、部活などの課外活動ができない、友達やクラスメートとの関係が思わしくないなどでありました。中でも特に多かったのは、欠席と遅刻でありました。ここでは、家族のケアのために自分が学校に行けない、もしくは時間どおりに学校に行けない児童や生徒の存在が示されております。 平成28年9月、18歳未満の子供のケアについて知ろうをテーマとする研修会が南魚沼市役所で開催をされ、小中学校の教員や市の職員が大勢参加されました。この中で、スクールソーシャルワーカーの方が、これまでに経験した3つの事例を解説しております。その中の一事例を紹介しますと、小学5年生のときから料理や買い物や洗濯などの家事をしていた子供の話であります。小学校の運動会のとき、6年生だったその子が3年生だった弟の弁当をつくり、自分の分は間に合わずに遅刻し、運動会の競技に参加できないことがあったとの説明がされました。スクールソーシャルワーカーの方は、研修会の参加者に問いかけます。そのときにその子はどんな気持ちだったか、遅刻してくるその子に、どんなふうに学校や大人たちが声をかけてくれたか。 この子は、その後中学校で不登校になってしまい、スクールソーシャルワーカーと重ねた面談の中で、こんなことをしていましたと初めて話してくれました。スクールソーシャルワーカーは、小学校のときの校長先生にも聞いてもらおうよと提案し、校長も、何でも聞くよと対応してくれました。その中学生は、自分が卒業した小学校の校長室で2時間半、人間ってこんなに泣けるのかというほど泣きながら、これまでのことを次のように話したといいます。これまで学校ではこんなに苦労していた、家ではこんなに大変だった、だから宿題もできなかったし勉強もできなかったし、学校に行くのも嫌になっちゃったし、運動会の競技も自分だけ欠席しちゃったし、苦しかったと言えなかった。でもこういうことをやってきたんだとわかってほしかったと。それを受けて、中学校ではその子の不登校を、これはこの子だけの問題ではないと目線を変え、家族をサポートする視点に立って、必要な支援につなげていったと説明されております。 ケアをする18歳未満の子供たちは、最初のうちは頑張っていても、ケアが長期化するうちに、これ以上は無理だと学校生活を諦めていく場合が多い。学校現場で、18歳未満の子供がケアをしている存在は少しずつ認識されてきているものの、不登校や問題行動などが生じてからでないと支援につながりにくいという状況もあります。南魚沼市のスクールソーシャルワーカーは、子供にまだ自尊感情や自信があって、自分は頑張っていると、ケアをしているうちに気づいてあげ、つながりをつくる、危険水域に行かないうちに、子供が潰れてしまう前につながりをつくり、必要な支援につなげていくことが大切だと言っております。 教育を受ける機会は子供の最低限の権利と考えられておりますが、18歳未満の子供のケアは、その権利が守られていない実態があります。平成25年6月、子どもの貧困対策の推進に関する法律が成立しましたが、これは子供の貧困の議論にも重なる論点であります。 新潟県南魚沼市の各学校では、調査の結果を受けまして、子供のSOSを受けとめる上で小中学校の先生が一番重要になることから、定期的な校内会議が開かれており、そこで気になる子供についての情報が共有され、必要に応じて教育委員会やスクールソーシャルワーカーにつなげております。困難を抱えているかもしれない子供や親を見つける心構えができている学校は、発見が早く、問題が複雑化する前に、外部との連携やスクールソーシャルワーカーへの連絡といった早目の手を打っています。スクールソーシャルワーカーも、困難を抱えているかもしれない子供の見つけ方、親の話の聞き方、支援の仕方、問題行動は子供のSOSなどをテーマに、南魚沼市の学校の教員に向けて研修を行っていると聞いております。 ついては、子供の教育を受ける権利を守る取り組みとして、ヤングケアラーの問題等を含む子供の貧困問題に対しては、高知県においても南魚沼市教育委員会と同様に取り組みが進められているものと思いますが、スクールソーシャルワーカーの活用や学校における組織的な対応の推進の進捗状況について教育長にお伺いをいたします。 次に、新規就農者の支援策についてであります。 新規就農者を支援する国の農業次世代人材投資事業は、就農前の研修期間に年間最大150万円を最長2年交付する準備型と、新規就農者の定着へ就農から最長5年間、年間同額を交付する経営開始型の2本立てで構成しております。全国では平成29年度までの6年間で、準備型8,916人、経営開始型1万8,235人が受給しております。今年度は、年齢を原則45歳未満から50歳未満に引き上げ、親元就農における農地の所有権移転義務を撤廃し、
利用権設定でも認め、対象者を拡充しました。 こうした中、新規就農者にとって貴重な資金であります同事業の予算が、昨年度よりも1割以上減額されたことで、自治体や新規就農者から、はしごを外されたなどと憤りの声が広がっております。 桃の産地であります岡山県岡山市北区では、農家以外の出身で当地域に移住した桃農家のAさん、39歳が、支援があっても生活は厳しいけれども、事業のおかげで果樹に挑戦できたと言っております。大手企業を退職し、平成25年に会社員から農家に転身したAさん。子育てもあり、農業への挑戦は不安が大きかったけれども、同事業の準備型、経営開始型の支援があることを見込み、未収益期間の長い果樹に新規参入したと言っております。事業の支援がなければ、アルバイトをして生計を立てるほかありませんでした。しかし、それでは畑に行く時間が減り、技術習得が難しくなります。支援のおかげで畑の作業時間を獲得することができ、地域の人の信頼にもつながり、技術のレベル向上も早くなりました。経営開始型は、5年の支援期間があることから長期的な計画を立てることができ、機械にも投資できました。それだけに、今年度の受給がどうなるかわからないという状況にAさんは、はしごを外された思いです、農政への不信感でいっぱいですと憤っております。 また、農家以外の出身で同市に移住し、桃で就農を目指すBさん、40歳も、今年度から経営開始型を受給する予定でありましたが、予算の減額により不透明になりました。国の支援を頼りに就農を決断した人に、予算がないからやっぱり支給しないという言い分が通用するのかと、険しい表情を見せております。 岡山県は、平成5年から独自の研修カリキュラムを組み、農家出身でない若者もプロ農家になれるよう、産地が一体となって支援してきました。きめ細かなサポートで、過去5年間、研修終了後の営農継続率は100%に達しております。当初の営農継続率は6割台でありましたが、近年は同事業を生かし、門戸を狭くして就農準備をしっかりし、地域の担い手になる人材を見きわめて支援してきたことが奏功しております。 その岡山県は、要望額に比べて約1億3,000万円、昨年度実績に比べて約4,000万円少ない配分となりました。受給者リストをつくって要望したことから、現状の配分額では継続者と新規採択者ともに、支給できない人が出る見通しであります。岡山市は、相談会では生活を支える制度があると説明してきました、農水省は補正予算などで予算の確保をしてもらわなければ困る、極めて重大な課題で、あり得ないことですと不満を募らせております。 予算減額への憤りや疑問の声は、各地から続出しております。要望額に比べて1億円近く、昨年度実績に比べて約1,000万円少ない配分となりました兵庫県は、足りないことは明らかで困惑している、この配分額では対応できないと訴えております。また、要望額から約8,000万円、昨年度実績に比べて約5,000万円少ない配分となりました岐阜県では、希望しても交付できない新規採択者が出てくる、非常に厳しいと困惑しております。 全国的に国の農業次世代人材投資事業の予算配分が削減され、農政への不信感が高まってきていると思いますが、本県が進めている新規就農者の確保対策にどのような影響が出ると考えているのか、あわせて県の今後の対応策について農業振興部長にお伺いし、私の1問といたします。 (知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君) 明神議員の御質問にお答えをいたします。 まず、新たな
管理型産業廃棄物最終処分場の整備について、地元の住民の皆様の御不安を解消し、一層の御理解を得て早期に整備するために、地域の振興策を含めどのような方針で取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 新たな処分場の整備につきましては、私として、佐川町加茂を新たな
管理型産業廃棄物最終処分場の建設予定地として決定させていただき、先月31日、佐川町及び佐川町議会に対しまして、施設整備の受け入れについて正式に申し入れを行わせていただき、一昨日には佐川町長及び佐川町議会議長から、地域住民の安全の確保や生活環境の保全、不安の解消を図ることなどを前提として、施設の受け入れを受諾する旨の御回答を正式に文書で頂戴いたしました。 佐川町、佐川町議会の皆様におかれましては、
管理型産業廃棄物最終処分場の受け入れという大変重い課題に関して真摯に御検討いただき、受諾賜りましたことに対しまして、改めて心より厚く御礼を申し上げる次第でございます。 県としましては、これまでも住民の皆様の御理解が最優先であると考え、誠意を持って対話を重ね、できる限り丁寧に説明を行うよう努めてまいりました。その中で、例えば地下水への影響など、さまざまな御不安の声に対しまして、一つ一つ御説明を重ねてまいりました結果、施設の安全性への御不安の声は減少するなど、一定の御理解が得られつつあるのではないかと受けとめております。しかしながら、川の増水や地下の空洞の有無など、依然として施設の安全性や周辺の生活環境について住民の皆様に御不安や御不満の声が残っていることを、県として重く受けとめております。 本日提出いたしました議案をお認めいただけましたら、速やかに施設整備に向けた基本設計、地質調査などとともに、周辺対策、地域振興策に係る取り組みに着手してまいりたいと考えております。その際には、以下の方針に沿って対応してまいりたいと考えております。 まず第1に、客観性を担保するとともに、専門的かつ高度な知見や最新の技術等を生かすため、専門家、有識者の参画を得て取り組んでまいります。このため産業廃棄物処理、地質、防災等の専門家から成る施設整備専門委員会を設置させていただくなどしていきたいと考えております。 第2に、節目節目で情報を公開させていただくとともに、調査結果などを住民の皆様に丁寧に御説明させていただきたいと考えております。住民の皆様の御不安や御不満をしっかりと解消していくために、速やかに地質調査などの詳細な調査や設計等を進め、結果をわかりやすくお示しいたします。 第3に、今後のプロセスにおいて、例えば進入道路の再検討や地域振興策の検討に当たって、町や住民の皆様の御意見をできるだけ反映させていただくよう努めてまいります。 第4に、こうした取り組みにつきましてはいずれも一定の年限が必要となりますので、しっかりと書面で確認させていただき、行政組織間での正式なお約束とすることにより、後々に至るまでその約束が担保されるようにしたいと考えております。 最後に、こうしたさまざまな取り組みは、県と町とで連携・協調して進めていくことが非常に大事だと考えております。そのため例えば、町からの御要望を踏まえ、県職員を町に派遣させていただくなどの対応をとらせていただきます。さらに、町からの御指摘、御要望をしっかりと尊重して対応してまいります。こうした取り組みにより、新処分場の早期整備に向けて、地元住民の皆様に一層の御理解を賜るよう丁寧に取り組んでまいります。 次に、
エコサイクルセンターの埋め立てが終了する時期までに、新たな施設を稼働できるよう整備を進めなければならないが、どのように取り組むのかとのお尋ねがありました。
管理型産業廃棄物最終処分場は、県内事業者の経済活動を下支えする大変重要な施設であり、仮に現在の
エコサイクルセンターの埋め立てが終了する時期までに後継となる施設が完成していなければ、県経済、ひいては県民生活に多大な支障を来すことが懸念され、早急な施設整備が必要不可欠であります。 現段階の予測によると、現在のような廃棄物の搬入状況が続けば、3年10カ月後の令和5年3月末にも満杯となる見通しとなっている一方で、新たな施設の建設には、測量、地質調査、設計、各種許認可などの手続、建設工事などに最低でも4年程度を要することから、新たな施設の完成時期は、現施設の埋め立てが終了となる見通しの時期を既に超えてしまっている状況にあります。また、東京オリンピックやパラリンピック、大阪万博開催などに伴う、近年における建設資材の需要の逼迫などによる工期のおくれなども見通していく必要があると考えております。 このため、埋立終了の時期を少しでも延ばせるよう、
エコサイクルセンターの埋立量の約3分の1を占めている廃石こうボードについて、関係団体等と連携して、現在廃石こうボードを搬入している事業者に対し、県外のセメント工場でのリサイクルに関する情報提供を行い、リサイクルの推進への協力を呼びかけるなどの取り組みを行ってきたところです。さらに、その他の廃棄物についても、現在排出事業者やリサイクル事業者を戸別訪問して、リサイクルへつなげられるよう協力を依頼するなど、より一層のリサイクルの推進に取り組んでいるところです。 一方、リサイクルの推進にもコストがかかり、また一定の技術的限界もあるところでありますので、あわせまして施設整備を進める中においても、設計、調査、各種許認可等の手続などの業務を同時並行的に行うなど、各種工程を工夫するなどして、少しでも工期短縮を図ってまいります。 現施設の延命化と工期の短縮により、県内の経済活動と住民生活に支障が生じないよう、全力で取り組んでまいりたいと考えるところであります。 私からは以上でございます。 (地域福祉部長福留利也君登壇)
◎地域福祉部長(福留利也君) まず、本県の児童相談所が相談対応した児童虐待の件数や、48時間ルールへの対応状況などについてお尋ねがございました。 平成29年度の児童相談所における児童虐待に関する相談受け付け件数は、前年度比8.6%増の453件となり、このうち虐待として対応した認定件数は、前年度比12%増の326件となっております。認定件数の増加につきましては、児童虐待に対する県民の皆様の関心が高まるとともに、子供の目の前で保護者が暴力を振るった心理的虐待の事案について警察からの通告が増加したことが要因であると考えております。 48時間ルールの対応状況につきましては、本県の児童相談所では、虐待の通告があれば全てのケースについて、48時間以内に子供の安全確認を行っております。しかしながら、近隣からの子供の泣き声が聞こえるといった通告の場合、場所などの情報が明確でないことも多いため、子供をなかなか特定できないという課題もあります。このため、市町村や関係機関と連携して、日常的な子供の見守り体制のさらなる強化に取り組んでまいります。 また、虐待の緊急性を判断するための
リスクアセスメントシートについては、本県では平成27年の極めて痛ましく残念な死亡事案の発生直後に一時保護の基準を明確化するため、緊急アセスメントシートの見直しを行っております。これにより、虐待通告のあった全てのケースについてリスクアセスメントを実施し、児童相談所が子供の安全の確保を最優先に考え、ちゅうちょすることなく一時保護などの権限を適切に実行できるよう取り組んでいるところです。 さらに、虐待通告後に在宅で支援することとした全てのケースについても、定期的にアセスメントシートを用いたリスクの評価を行っております。今後も、国の動向や他県の取り組み等を注視し、必要に応じてアセスメントシートのさらなる充実を図ってまいります。 次に、体罰禁止の社会への啓発活動の充実や、保護者が体罰に頼らない具体的な子育てを学べる場の提供についてお尋ねがございました。 現在、国においては、法改正により体罰禁止を明確化するとともに、体罰によらない子育てを推進するためのガイドラインを作成し、その普及啓発に取り組むこととしております。県としましても、市町村を初め県内各地域の子育て支援の場や保育所、幼稚園、学校などと連携して、体罰のない子育てを推進していくことが大変重要であると考えております。 体罰禁止の啓発活動については、毎年11月に実施しているオレンジリボンキャンペーンや、同時期に開催予定の虐待防止フォーラムなどで、体罰が子供の発達に与える影響なども含めて周知を図ってまいります。あわせて、家庭における適切な子供への接し方についてわかりやすく紹介するため、リーフレットの配布を初め、妊娠・出産・子育てに関するさまざまな情報を提供するこうちプレマnetやSNSで、広く情報発信を行ってまいります。 保護者が具体的な子育てを学ぶことができる場の提供については、地域子育て支援センターの講習会を初め、乳幼児健診での育児相談や、保育所、幼稚園、小中学校の保護者向け研修会などのさまざまな場を活用して、体罰のない子育てについて理解の促進に努めてまいります。 最後に、虐待に至った親たちへの回復支援について、他県での効果的な取り組みを本県にも導入すべきではないかとのお尋ねがございました。 虐待に至った保護者への支援を充実させていくことは、虐待の世代間連鎖を断ち切るという観点から非常に重要であります。このため現在、保護者支援に関する多様なプログラムが開発されており、全国の児童相談所において、プログラムを活用した専門的な支援が行われているところです。議員から御提案のありましたMY TREEペアレンツ・プログラムは、支援が必要な保護者10人程度でのグループワークや個別の面談などを実施しながら、約半年間かけて親子関係を修復するものであり、子育て不安や孤立などを背景に子供を虐待した保護者を支援する有効な手法であるとお聞きをしております。 現在、本県の児童相談所では、主としてサインズ・オブ・セーフティー・アプローチという考え方を用いた保護者支援を行っております。このプログラムは、保護者が児童相談所の職員と一緒に家庭の課題などについて整理し、子供の安全・安心を確保するために何が必要なのかを明確にした上で、保護者自身が主体的に改善していくことを支援するものでございます。 児童相談所ではさまざまな事案に対応しており、保護者の支援にも多様さが求められますため、御提案いただきましたプログラムが活用できますよう、導入に向けて職員研修などに取り組んでまいりたいと考えております。今後とも、個々の家庭のニーズに応じたプログラムを活用することで、具体的な行動変容につながるよう、保護者支援の充実に努めてまいります。 (教育長伊藤博明君登壇)
◎教育長(伊藤博明君) まず、教育委員会が取り組んでいる学校のマネジメント機能の強化方策とその成果についてお尋ねがございました。 本県では、高知県教育大綱などのもと、校長が示す学校経営ビジョンを全教職員が共有し、学校教育目標の実現や教育課題の解決を組織的に図るための学校経営計画を、全ての公立学校で策定しております。そして、校長のリーダーシップのもと、この学校経営計画について、PDCAサイクルを回しながら取り組みを進めております。 県教育委員会では、各学校の計画が着実に実施されるよう、学校経営アドバイザーを派遣し、各学校の進捗状況を確認しながら必要な指導や支援を行っております。これらのことにより、各学校においては組織マネジメントの考え方が定着してきており、全教職員がベクトルを合わせて取り組みを推進する体制が構築されてきております。また、学校の組織的な運営を担う管理職に対しては、新たに任用した校長や副校長、教頭を対象に、組織マネジメント力を高め、管理職としての資質・指導力の向上を図る研修も実施しているところです。 さらに、議員からお話のありました学校事務体制の強化については、第2期教育振興基本計画に位置づけ、現在14の教育委員会で設置されている共同学校事務室のさらなる設置促進や、学校事務職員の学校経営への参画に取り組んでおります。このことにより、学校事務の適正化、効率化が図られ、教職員が子供に向き合う時間が拡大するなど、学校運営体制の強化につながってきております。また、学校事務職員につきましても、県教育委員会事務局と学校との人事交流を積極的に進めるとともに、今年度から事務局内の2つのチーフ職に学校事務職員を配置するなど、経験する業務の範囲を拡大しながら人材育成にも取り組んでおります。 県教育委員会といたしましては、こうした一連の取り組みの充実強化を図ることで、それぞれの学校が組織マネジメント力を発揮し、授業力の向上や生徒指導の充実などに成果を上げることができるよう支援してまいります。 次に、子供の貧困問題に対する、スクールソーシャルワーカーの活用や学校における組織的な対応の進捗状況についてお尋ねがございました。 不登校やその他の生徒指導上の諸課題の背景や要因は、多様化かつ複雑化しており、その一つに、ヤングケアラーの問題を含む子供の貧困や家庭の問題があります。このため学校においては、外部専門人材を活用してその背景、要因を的確に見きわめ、組織的に対応していくことが重要であり、児童相談所などの関係機関等と連携した支援も必要となってまいります。 本県では、児童生徒の家庭環境に関する課題に対して、スクールソーシャルワーカーと協働して対応していく取り組みを推進しており、スクールソーシャルワーカーの配置を開始した平成20年度以降、その拡充に努め、本年度は県内全ての35市町村と学校組合及び県立学校24校に、延べ97人を配置しております。この配置率は全国的に見ても非常に高く、教職員等にも、スクールソーシャルワーカーの福祉的な視点からの支援や助言が有用であるという認知が進み、各学校でスクールソーシャルワーカーが積極的に活用されています。そして、全ての公立学校において、平成29年度から、スクールソーシャルワーカーなどの見立てを活用して、児童生徒への支援について多角的に協議し情報共有する校内支援会を、月に1回以上定期的に実施するよう推進しております。この校内支援会の定着によって、教職員が個人で問題を抱え込むことがなくなり、より専門的で適切な支援が充実しております。また、こうした組織的な取り組みの実効性を高めるための関係者による合同研修会も、平成28年度から毎年実施しております。 今後も、これらの取り組みを継続するとともに、ヤングケアラーの問題に着目した南魚沼市教育委員会の取り組みなど、他県の効果的な取り組みも参考にしながら、児童生徒の抱える問題をさらに広い視点で捉え、より一層の充実を図ってまいります。 (農業振興部長西岡幸生君登壇)
◎農業振興部長(西岡幸生君) 農業次世代人材投資事業の予算削減による本県への影響と今後の対応策についてお尋ねがございました。 本県では、地域で暮らし稼げる農業の実現を目指し、年間320人の新規就農者の確保・育成を目標に、産地提案型の担い手確保対策などに取り組んでおり、農業次世代人材投資事業は、農業を始める意欲と能力のある方に対し、就農前の研修や就農直後の経営確立を支援する資金を交付することから、目標達成を図る上で極めて重要なものとなっています。 本県での交付実績については、事業が創設された平成24年度から29年度までの6年間において、就農前の研修期間に最長2年間交付される準備型を162人が受給しており、また就農後の営農定着のために最長5年間交付される経営開始型を424人が受給しています。このような交付実績もあり、本県の新規就農者数は直近3年間で毎年270人前後となっており、また経営開始型を受給した方の98%が農業に定着しているなど、新規就農者の確保・育成に大きく寄与しています。 しかしながら、今回の唐突な予算配分の削減は、新たに研修を開始する方には、給付を受けることができるかどうかの不安を与え、研修開始を断念させるおそれがあります。また、既に経営開始型を受給している方には、今後の農業経営に不安を与え、離農につながるおそれがあるなど、本県が進める産地提案型の担い手確保対策に大きな影響を及ぼす懸念があります。 このため、県では、本年4月に国への緊急提言を行い、本年度の事業の実施に必要な予算の確保と、来年度以降の事業の継続及び十分な予算の確保を求めるとともに、国の事業担当者に対し、本年度の事業が確実に実施できるよう追加配分の要請も行ったところです。 さらに、四国知事会が行う国への提言にも、本県からの呼びかけにより、本年度の事業の実施に必要な予算の確保などの項目が盛り込まれることとなりました。引き続き、他県とも連携しながら、あらゆる場を活用して事業の実施に必要な予算の確保に努めてまいります。
◆15番(明神健夫君) それぞれ丁寧かつ前向きな御答弁をありがとうございました。 1点だけ要請ですけれども、今御答弁のありました新規就農者の確保対策につきまして影響が出ないよう、予算の確保に一層努力をしていただきますよう要請をいたしまして、私の一切の質問といたします。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(桑名龍吾君) 暫時休憩いたします。 午前11時18分休憩
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○副議長(弘田兼一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 31番上田周五君。 (31番上田周五君登壇)
◆31番(上田周五君) 県民の会の上田周五でございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い順次質問をいたします。 令和最初の定例会で質問の機会を与えていただき、光栄に存じております。天皇陛下におかせられましては、風薫るよき日に御即位あそばされましたことは、まことに慶賀にたえないところであります。世界の平和と我が国の繁栄が一層進展し、令和の世が幾久しく続きますよう、心からお祈り申し上げます。 さて、知事は提案説明の冒頭、この新たな時代の始まりを受け、県といたしましても、改めて県勢の発展と県民福祉の向上に向け、最善の努力を尽くしてまいる所存でありますと力強く述べられました。令和元年度の県政運営に大いに期待するところでございます。 それでは、本題に入ります。まず、知事の訪中についてでございます。知事は、ことし4月24日から29日にかけて、自民党の二階俊博幹事長に同行し、中国を訪問されています。今回は北京に滞在し、現地の大学で、本県が取り組む防災事業の紹介や本県への観光客誘致に向けたトップセールスを行うことが主な目的でありました。そして一方で、二階幹事長と中国要人との会談に同席されております。24日は、北京市で開催された巨大経済圏構想、いわゆる「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラム結団式へ、そして北京の人民大会堂での習近平国家主席と自民党の二階幹事長との会談に、尾崎知事も同席されました。この模様は全国ニュースで取り上げられました。 そこで、お聞きをします。会談に同席され、間近に見られた習近平国家主席の印象はどうであったのか、知事にお聞きをいたします。 また、提案説明で中国でのトップセールスの成果に少し触れられていますが、今回の訪中で得られました成果、また将来的に本県にとってどのようなメリットがあるものと考えられているのか、知事にお聞きをいたします。 また、今回は知事選挙を直前に控えている中での訪中であり、加えて二階幹事長に同行し、北京滞在中はほとんど二階氏に帯同していることなどから、県民の皆様からは、1つには国政進出への布石ではないのかとの見方もございます。 知事は、今月7日の記者会見では、次期知事選への態度表明を6月議会で見合わせるとのお考えを明らかにされております。そうしますと、知事選への態度表明はいつごろを考えられているのか、知事にお聞きいたします。 知事を支持されております多くの県民の皆様の最大の関心事でございますので、御答弁よろしくお願いいたします。 次に、新たな
管理型産業廃棄物最終処分場についてでございます。今議会の提案説明において知事は、新たな
管理型産業廃棄物最終処分場の整備について、佐川町加茂を建設予定地として決定した経緯や、先月31日、佐川町及び佐川町議会に対しまして施設整備の受け入れについて正式に申し入れたこと、そして今月12日に開かれた佐川町議会の全員協議会で賛成多数で新たな施設を受け入れる方針を決定されたことを説明され、今後仮にありがたくも町から受け入れを承諾する旨の回答をいただけましたならば、施設整備に向けて測量調査や地質調査、基本設計などに着手してまいりたいとの考えも示されました。 そして、地元佐川町が新たな施設を受け入れる方針を決定され、17日には町長と町議会議長から、施設整備を受け入れる旨の回答文書が知事に提出されました。まずは、施設整備の受け入れ、大変大変重い重い御決定をしていただいた佐川町、佐川町議会、地元住民の皆様に対しまして、心より敬意と感謝を申し上げるものでございます。 今後、ボーリング調査など本格的な現地調査に入っていくことになると思われますが、改めて新たな
管理型産業廃棄物最終処分場の建設の今後の具体的な整備スケジュールについて、日高村の
エコサイクルセンターの現状とあわせて林業振興・環境部長に御説明をいただきたいと思います。 次に、本年2月の定例県議会において、大野議員の、新たな
管理型産業廃棄物最終処分場の整備に関して、国道改良や河川改修など、地域の社会基盤整備の道筋をしっかりと住民に示した上で議論を進めることが必要だとの質問に対して、知事は、県として地域住民の皆様の不安を解消するための取り組みを行っていくこととあわせて、受け入れていただく地域の振興にもつながるような取り組みも検討していく必要があると御答弁されております。 そこで、地域の皆様が御不安に思われている社会基盤整備の具体的な箇所と、その整備に関する道筋について知事にお伺いをいたします。 また、知事が社会基盤整備とあわせて検討するとされた地域振興策に関する地元住民や自治体との今後の協議スケジュールについて、あわせて知事にお伺いをいたします。 特に国道33号のいの町から佐川町区間におきましては、慢性的な渋滞とあわせて、ところどころ道幅が狭く、従来から安全性が課題となっており、西バイパスの延伸や産業廃棄物最終処分場の整備に伴う大型工事車両の往来などにより、今後ますます住民の皆様に不安や不便を来すことが考えられますので、早期にしっかりとして抜本的な取り組みを行うよう強く要請をさせていただきたいと思います。 次に、令和時代の経済展望についてでございます。人口減少が続く中、財政再建や貿易摩擦の解消、金融政策の正常化など、平成から多くの宿題を引き継いだのが令和の日本経済であると思っております。令和時代の当面する経済課題として、ことし10月に予定される消費税率10%引き上げ及び来年7月に開催される東京五輪終了後の国内景気への影響、そしてアベノミクスの原動力である日本銀行の大規模金融緩和の問題などが挙げられます。 中でも、令和時代の日本経済を展望したとき、財政危機を避けることができるのかが最大の問いの一つだと考えています。団塊の世代が全員75歳以上になり医療や介護費用が急増する2025年問題を乗り切れるかどうか。そして、2019年度国の一般会計当初予算は初めて100兆円超となりましたが、3割以上は借金で賄われています。平成の30年間で歳出は、社会保障費の増などで1.5倍に膨らみました。国と地方合計の債務残高の対GDP--国内総生産比は約2.4倍と、先進7カ国で断トツの1位であります。経済の専門家は、財政悪化の最大の要因である社会保障費を大幅に削減するか、消費税率を20%前後まで引き上げるといった負担増をやらない限り、いずれ国内の貯蓄では国債を消化できなくなると指摘をされています。 また、安倍政権が進めてきた大幅な金融緩和は、今、出口が見えない状況に置かれていると言われています。そして、我が国の景気について、内閣府が先月13日に公表した3月分の景気動向指数の基調判断で、これまでの下方への局面変化から悪化に引き下げられました。このことは景気が後退している可能性がより高いことを示しているものとされており、悪化の判断は、2013年以来、6年2カ月ぶりのことでございます。中国経済の減速が大きく影響していると指摘されています。また、6月上旬に全国の有力紙が主要企業を対象にしたアンケートで、米中の貿易摩擦を懸念し、国内の景気が足踏み状態にあると答えた企業が57社に上っています。 こうしたさまざまな課題がある中、新たに始まった令和の時代の日本経済の先行き、特に財政面での課題を知事はどのように見ているのか、お聞きをいたします。 次に、消費税増税対策についてです。消費税を増税することに対し、多くの国民はもろ手を挙げて賛成とはまいらないと思います。負担増や景気への悪影響に懸念が根強いことから、この10月に予定されている10%引き上げに反対する人が、直近の調査でも60%に上ることがわかっております。また、金融庁が老後に夫婦で2,000万円の蓄えが必要との試算をしたことで、国民の年金不安、老後不安が一気に募り、個人消費がますます冷え込むことも予想されると思います。 そのような中で、政府は今月11日に経済財政諮問会議を開き、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針の原案をまとめております。今回の方針ではポイントの一つに、10月に消費税率引き上げを予定、教育無償化や軽減税率の実施、予算や税制措置で需要変動の平準化を図ることを挙げております。そして、現実問題として、ことし10月からスタートする消費税軽減税率制度への受け入れ準備も着々と進んでおりますし、教育無償化についても遺漏のないよう取り組まれております。 知事は、これまでも消費税の増税に関しては、国、地方を通じた厳しい財政状況や急速に進む少子高齢化という現状に鑑みれば、社会保障制度の充実強化を図り、かつ持続可能性を確保するために、消費税率の10%への引き上げはやむを得ないものとの認識を示されておりますが、現時点でもそのお考えに変わりはないのか、知事にお聞きをいたします。 次に、消費税は10%への税率引き上げ時期が10月に迫っております。景気の停滞感が強まる中、政府・与党は予定どおり実施する前提で動いていますが、一部に延期論もくすぶっています。予定どおり10月に税率が引き上げられた場合、国においては、国民の消費税増税は景気に悪影響を与えるといった懸念が根強くあることなどから、軽減税率制度の実施や消費者へのポイント還元支援など、税制や予算面であらゆる施策を講じながら対応する方針を示されております。 高知県におきましても、消費税増税後の経済対策が県民の皆様にしっかりと届くようにしなくてはならないと考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。 次に、地方分権改革についてお聞きをいたします。地方のことは地方で、地方自治体にとって平成の時代は、地方分権が進んだのが一つの特徴だろうと考えます。地方分権改革は大きく第1次地方分権改革と第2次地方分権改革とに分かれます。第1次分権改革は小渕内閣時でありますが、平成11年7月、住民に身近な行政サービスはその地域で決められるようにと地方分権一括法が成立。その概要は、知事や市町村長を国の機関として国の事務を処理させる仕組みである機関委任事務の廃止と事務の再構成、及び国の関与の新しいルールの創設、そして農地転用を初めとする国から都道府県への権限移譲などでございます。 また、第2次分権改革では、生活者の視点に立った地方政府をつくっていくことを目指し、地方の自由度の拡大、住民に身近な市町村の強化などを図っていくとして、義務づけ・枠づけの見直し、いわゆる地方に対する規制緩和、及び国から地方への事務・権限の移譲など、そして都道府県から市町村への事務・権限の移譲、さらに国と地方の協議の場の法制化などが進められました。 具体的には、国から地方公共団体への事務・権限の移譲として、看護師など各種資格者の養成施設等の指定・監督等や商工会議所の定款変更の認可、そして自家用有償旅客運送の登録・監査等が、さらに都道府県から指定都市への事務・権限の移譲等で、病院の開設許可や都市計画マスタープラン決定などが進められました。 このように、平成の時代は地方分権改革が一定の成果を上げられたものと存じますけれども、まだまだ道半ばだと思います。今、住民自治の視点に立ったとき、現代社会は、過疎化、少子高齢化が進む中で、住民の地域への帰属意識が薄れ、かつては地域の人たちの手で担われていたことを行政に委ねられるなど、公共的な分野における住民自治の主体的な活動範囲が非常に狭くなり、政治や行政と住民の距離が遠ざかっているように感じます。 こうした状況の中で令和の新しい時代においても、県内広域市町村圏の進化と地方自治の本旨の明確化を進め、地方自治の充実に挑戦していくためにも、これからの地方分権改革は、住民にとって一番身近な市町村において、さまざまな創意工夫を生かすことができ、かつそのための財源がしっかりと保障されるものでなくてはならないと考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。 次に、地方自治体の一般職員数に関することでございます。財務省は、先月22日、財政制度等審議会分科会で地方財政改革案を議論する際、警察官や消防士、教師らを除いた地方自治体の一般職員数に言及し、2025年には約3万人減らせるとの試算を提案されました。その考え方、理由は、全国の都道府県や市町村で働く職員は2005年から2010年ごろに大幅減少、だが2014年4月の90万9,000人弱を底として増加に転じ、2018年4月には91万9,000人になっていることから、今後の人口縮小ペースに合わせると、人口1,000人当たりの職員数を2018年の水準のまま据え置くと仮定し、3%、約3万人の削減幅を例示されました。 そもそも地方自治体の一般職員数は、個々の自治体ごとに職員定数条例の枠の中で定数を管理されており、また類似団体の職員数などを考慮して決められています。過疎化、高齢化が急激に進行する中山間地域を多く抱える高知県の市町村などは、地域地域の実情が全く異なっており、国の言う人口1,000人当たりの職員数を2018年水準のまま据え置くことは困難であり、こうした国の考え方は本県にはなじまないと思いますし、極めて機械的で乱暴ではないのかと思います。 今回の財務省の地方職員3万人減可能との試算についてどのように受けとめられているのか、知事にお聞きをいたします。 次に、教育の問題でございます。 まずは、地方創生に関する有識者会議の報告書についてです。私は、平成28年2月の予算委員会で、地方創生の取り組みにおいて、教育の力を高めることが重要ではないのか、若者の流出をとめる教育力を高めることが重要ではないのかとの視点で、自分たちの住んでいる地域に魅力を感じ、地域のよさを発見する力をつけることにより、将来県外へ出られても、スキルやノウハウを身につけて地域に戻って貢献したいという志を持つ若者を育てることが肝要ではないのかとの質問をしました。 そうした中で、先月23日、地方創生に関する政府の有識者会議が公表された、地方創生の第2期となります2020年から2024年度までの施策の報告書では、次代を担う人材育成に重点的に取り組むよう提言、そして高校生を対象に地域の産業や文化への理解を深める教育を実施をポイントに挙げ、高校生を対象に地域の産業や文化への理解を深める教育をすれば、進学や就職で首都圏に転出しても将来的なUターンが期待できるものと強調されています。政府は報告書を踏まえ、2020年度以降の方向性を示す、まち・ひと・しごと創生基本方針をこの6月に閣議決定し、年末には具体策を明記した総合戦略をまとめる方針でございます。 今回、さきに述べたような形で、政府の地方創生基本方針に、高校の舞台に次代を担う人材を育成することが盛り込まれる予定でございますが、こうした国の方向性に沿って今後高校教育をどのように進めていくのか、教育長にお聞きをいたします。 次に、子育て支援の環境の充実についてでございます。幼児教育・保育の無償化を実施する改正子ども・子育て支援法が成立、本年10月から開始されます。改正案のポイントは、3歳児から5歳児までは原則全世帯、ゼロ歳児から2歳児までは低所得者世帯が対象、さらに国の基準を満たさない、ベビーシッターなど認可外保育所などに、経過措置として5年間は一定の額の範囲で費用が補助されます。この制度は、法の成立から開始までが5カ月足らずと準備期間が短いことに加え、制度そのものが複雑であることなどから、対象施設の把握や給付に関する作業が間に合うかなど、実務を担当する自治体の混乱も懸念されております。 高知県内の市町村のマンパワー不足が否めない中で、この短い期間において、対象世帯へのわかりやすい説明など制度の周知徹底を図っていかなければならないと考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、教育長にお聞きをいたします。 次に、スマートフォン問題についてでございます。高知県教育委員会の高校生を対象にした、携帯電話やスマートフォンなどの情報端末の利用に関する調査結果で、平日の一日に3時間以上使う生徒が高校で45%に達していることがわかりました。スマホやゲームの長時間利用による弊害は既に顕在化しております。 全国学力・学習状況調査の結果で、高知県、全国ともに、使用時間が長ければ長いほど正答率が低い傾向が判明。また、視力1.0未満の小中学生は増加の一途をたどっており、近距離での画面の見過ぎが要因の一つとされております。また、今月14日には、日本小児眼科学会と日本弱視斜視学会が、短期間のうちに片方の目の瞳が内側に寄って左右の目の視線がずれる急性内斜視が、最近子供や若者の間で多発しているおそれがあるとする調査結果を発表されました。スマートフォンなどの長時間使用が影響している可能性があるとの指摘でございます。 スマホの危険性については、子供たち自身が主体的に自己コントロールを考えていくことはもちろんですが、保護者が責任を持って管理していくことが大切であると思います。そして、家庭でのルールづくりやフィルタリングの設定など、子供を守る意識をしっかり持ってほしいと存じます。 今回の厳しい結果を受け、スマホやゲーム機器の適切な利用について周知を図っていくべきと考えますが、教育長にお聞きをいたします。 次に、日本や高知の未来を切り開く人材についてであります。第2期高知県教育振興基本計画では、少子高齢化が著しい高知県が今後も活力を維持していくためには、郷土への愛着を大切にしながら、グローバルな視点を持ち、高い志を掲げ、産業、経済や地域福祉、さらには、文化、コミュニティーなど多くの分野で地域の将来を担う人材が求められているとし、郷土への愛着と誇りを持ち、高い志を掲げ、日本や高知の未来を切り開く人材の育成を基本理念に掲げています。 そこで、自尊感情、夢や志、思いやり、規範意識、公共の精神などを持っている児童生徒の割合を指標とし、主体的・対話的で深い学びを基本とした事業を進めていくなどの高知らしい取り組みが求められていると思うが、どのように未来を切り開く力を育んでいくのか、教育長にお聞きいたします。 次に、高等学校で目指す今後の英語教育の方針についてでございます。教育振興基本計画では、「高等学校においては、これまで知識・技能の習得を目的とした一方通行的な授業が主流であったことから、思考力や判断力、表現力などを生かして主体的に考える力の育成が十分ではなかった。このため、小中学校の対策と同様に、課題の発見から解決に至るまでの主体的・協働的な深い学習の過程を実現することが求められているとし、探究的な授業づくりの推進や、地域や大学等と連携した地域課題解決型の学習などに、チーム学校として組織的に取り組む」とされています。 そして、「グローバルに活躍できる人材を育成するため、推進校において探究型学習と英語教育に関するグローバル教育プログラムを開発・実践し、その成果を県内の県立高等学校に普及します」とあります。 その意味で、世界の多様な人々と共生し、グローバル社会で主体的に活動できるためには、語学力を育成することが重要だと考えます。高等学校で目指す今後の英語教育の方針について教育長にお聞きをいたします。 この項最後に、生涯学習社会についてでございます。第2期高知県教育振興基本計画では、県民が生涯にわたり学び続けていくことは、社会が急速に変化し個人の価値観が多様化していく中で、一人一人が自己実現を図りながら心豊かな人生を送っていくために大変重要であるとの認識から、生涯にわたって学び続ける環境をつくる、このことを基本方向の施策に掲げております。そして、特に高齢化が急激に進む中、今後ふえ続けるシニア層の力を社会のために生かしていくことは、社会の活力の維持・向上に寄与するだけでなく、本人たちの生きがいづくりにもつながりますとも明記され、その対策として、生涯学習の推進体制を再構築していくとされています。 こうした中、2016年版の厚生労働白書によりますと、60歳以上の65.9%が、65歳を超えても働きたいとの希望を持っています。本県もこうした方がたくさんいらっしゃるのではと思います。 こうしたことから、シニア層の力を社会のために生かしていくためにも、生涯学習の場において、例えばおおむね60歳以上の県内在住者を入学対象に土佐シニアカレッジあるいは高齢者大学を開設するなど、学びや活躍の機会を充実させ、高齢者が活躍できる場を拡大すべきと考えますが、教育長の御所見をお聞きいたします。 次に、高齢者福祉についてでございます。 まず、民生委員についてです。地域住民の相談員となる民生委員が本年12月で改選されます。高齢化や地域のつながりが薄れたことを背景に、なり手不足が懸念されております。民生委員は、民生委員法で定められた無報酬のボランティア、児童福祉法が定める児童委員も兼ねています。厚生労働省の調査では、2017年度の民生委員1人当たりの平均活動件数は、高齢者や障害者宅への訪問などが165回、学校や地域の行事への参加などが115件、年間活動日数は平均131日。年代別では、全国民生委員児童委員連合会が2017年度に行った調査によると、2016年4月現在で60代が56%、70代以上が32%と、高齢化が深刻になっています。また、定数に対する民生委員の人数を示す充足率は、厚生労働省の調査では2017年度末時点で97.3%で、民生委員のいない地域もございます。 そこで、お聞きをいたします。本県の民生委員の充足率はどうなっているのか、またその活動状況はどうなっているのか、あわせて地域福祉部長にお聞きをいたします。 次に、先ほど申し上げましたが、民生委員のなり手不足が懸念されています。高齢化が急激に進み、ひとり暮らしの高齢者がふえ続けることが予想されている中で、地域にネットワークを張りめぐらせて困っている人を見つける民生委員の役割は、ますます重要となっています。 そうした中、本年12月には民生委員が改選されます。空白地域が出ないよう、なり手確保に取り組まなければなりません。このため県として、どういった取り組みを考えているのか、地域福祉部長にお聞きをいたします。 次に、ICTを活用した高齢者福祉のまちづくりについてでございます。国立社会保障・人口問題研究所が本年4月に公表した、2040年までの都道府県別世帯数の推計結果では、2040年には、全世帯に占めるひとり暮らしの世帯の割合が全都道府県で30%を超え、全国平均は39.3%、最も高い東京が48.1%に達する見通しで、高知県は40.9%で7番目となっています。今回の推計は2015年の国勢調査に基づいて実施、団塊ジュニアが65歳以上になる2040年までを対象としています。そして、ひとり暮らしのうち65歳以上の高齢者の世帯は、2015年の625万世帯から2040年には896万世帯に増加、本県は20%を超える見通しであります。また、75歳以上のひとり暮らしの世帯は2040年に512万世帯に、都道府県では29道府県で10%を超える、本県は鹿児島の14.8%に次いで13.9%になる見通しであります。 こうしたことから、今後は増加が予想されるひとり暮らしの高齢者の社会的孤立をどうするのか、日常生活支援のあり方をどうするのか、そういったことが課題となるものと存じます。例えば神戸市では、本年3月NTTドコモと連携協定を結び、ドコモの持つ最先端技術を生かし、単身高齢者の見守りといった社会課題の解決や市民サービスの向上を目指しています。単身高齢者の異変を離れて暮らす家族らが察知できるサービスの実用化を目指しています。 実証実験では、高齢者が生活する部屋のコンセントに小型装置を設置し、センサーが電波を発し、その反射状祝によって取得したデータを専用のAIが解析する、そして家族らは高齢者の歩行や睡眠、呼吸、脈拍といった状態をスマートフォンなどで確認し、異変があった場合に速やかに対応できる、カメラを使わないためプライバシーに配慮できる点が特徴となっている。 本県においても、こうしたICTを使った高齢者福祉サービスについて検討されてはと考えますが、地域福祉部長の御所見をお伺いいたします。 次に、大麻の若者への広がりについてでございます。 大麻の若者への広がりが大きな社会問題となっています。昨年1年間の大麻事件の摘発者数が過去最多の3,578人となっています。摘発者の半数以上を29歳以下の若者が占め、大学生や中高生も少なくないことが、より深刻でございます。そして、四国4県でも、摘発者数が前年の1.9倍に当たる115人と過去最多を記録しています。摘発した115人のうち30代以下の若い世代が95人で、全体の82%を占めています。県別の摘発者数は、徳島県警16人、香川県警20人、愛媛県警29人、そして高知県警が35人、厚生労働省四国厚生支局麻薬取締部は15人であります。 大麻はアサ科の草からとれる薬物で、乾燥させたのがマリファナです。摂取すると幻覚成分が脳神経に影響し、興奮状態に陥ったり集中力が低下する。長期乱用は幻覚や妄想、記憶力の低下を引き起こし、依存症になるおそれがあり、特に青少年期の乱用はリスクが高い。看過できないのは、インターネット上などで、大麻は体に悪影響を与えないという認識が広がっていることであります。警察庁が一昨年大麻の所持で検挙した約500人を対象に行った調査では、大麻の危険性を軽視している回答が6割を超え、20歳代では7割を超えているデータがございます。 そこで、まず教育長にお聞きをいたします。若年層への蔓延を防ぐためには、誤った認識を正し、みずからを律する力をつける教育が重要だと考えますが、教育長にお聞きをいたします。 次に、県警では、小・中・高校において薬物の危険性を訴える薬物乱用防止教室が繰り返し開かれていると思いますが、その実施状況はどうか、また今後も地道な啓発活動が求められると思うが、警察本部長の御所見をお聞きいたします。 次に、農業の振興でございます。 若い世代の農業参入についてでございます。高知県農業の現状ですが、2015年農林業センサスによると、本県の農業就業人口は、平成7年の5万2,291人が20年の間に約2万5,000人激減、また農業就業人口に占める65歳以上の割合は、42%から59%へ増加、そして耕地面積は減少傾向、逆に耕作放棄地は増加傾向にございます。こうした本県農業を取り巻く厳しい状況ではございますが、ナス、ショウガ、ニラ、ミョウガ、ユズ、ブンタンなど個性豊かな園芸品目を中心に、特色ある農業生産を展開されており、農林水産省の生産農業所得統計では、平成29年の本県の農業生産額は1,193億円で、平成17年以降で最高額となっており、特に野菜が大きく伸びています。そして、農業産出額に占める野菜の割合は62.8%で、全国一高くなっております。ちなみに全国値は26.1%であります。 こうした中、全国的には異業種から農業の世界に入った若い世代の動きが目立っています。新たに農業経営を始める新規参入者は増加傾向にあり、農林水産省の平成29年新規就農者調査では、49歳以下の2017年の新規参入者は2,710人で、調査を始めた2007年以来最多、さらに新規参入者に農家を継いだ人や雇われて農業に従事する人などを加えた49歳以下の新規就農者も、4年連続で2万人を超えています。 そこで、お聞きをいたします。本県の49歳以下の状況はどのようになっているのか、また若い世代の農業参入をどのように促していくのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 次に、地域で暮らし稼げる農業の実現には、生産を支える担い手の確保や育成が大変重要な課題だと考えます。そのためには、農業大学校での担い手の育成に取り組むことが一つの重要な戦略だと思います。農家人口の減少がとまらない中で、農業における若い新規参入者をふやすためには、農業大学校の果たす役割がますます重要となっています。農業の担い手支援に関連する令和元年度農業大学校教育推進事業予算は1億1,300万円余で、前年度より2,500万円、率にして28%の増となっています。 先進的な技術の習得に必要な機械、設備を整備するとともに、グローバルGAPの更新に取り組むことが事業内容となっていますが、今後具体的にどのように予算を生かして担い手の育成を図っていかれるのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 この項最後に、本県におけるスマート農業推進への取り組みについてであります。あらゆるモノがネットでつながるIoTや、ロボット、ドローンなどの先端技術を農業現場で活用するスマート農業が広がり出しています。情報通信技術により、農作業の省力化、農場・農作物管理の効率化、熟練農業者の技術の継承などを進め、深刻化する担い手不足や農地の集約、大規模化などに対応する狙いがあります。スマート農業技術が注目を集める背景には、農作業はつらいとのイメージが強いなどの理由による担い手の減少、経営面積の拡大、さらに近い将来、熟練農業者が現役を退いていくことは確実で、農業の技術が継承されないまま世代が一気に交代したりしてしまうなどの課題があるからであります。 そうした中、農林水産統計によると、農業生産額は2015年度以降、3年連続で増加を続けており、今後も増加を継続していくための重要なツールとして、スマート農業技術への注目が高くなっているのです。2019年はスマート農業元年と見ている関係者も多いと言われております。 こうした状況において、本県におけるスマート農業の推進に向け、今後どのように取り組んでいくのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 次は、観光振興についてでございます。 本年2月1日から「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」がスタートしました。本イベントは、県外観光入り込み客数435万人の定着を目指し、来年12月31日までの約2年間かけて県内各地で展開されることになっています。キャンペーンがスタートしてから約5カ月が過ぎようとしていますが、その出足については知事の提案説明で、ゴールデンウイーク期間中における主要な観光施設の利用客数は対前年比30%増の約35万人を記録し、順調なスタートが切れたとの報告がございました。 そして、キャンペーンと連動して、来月7日から12月25日までの172日間にわたり「土佐れいほく博」が開催されます。この博覧会は、嶺北地域の4町村が地域の丸ごとの自然と人、四国の真ん中、嶺北地域に伝わる祭りやイベント、自慢の食、そして自然体験を通じて、嶺北地域の魅力を伝える地域博覧会でございます。現在、対面通行となっています高知自動車道の新宮インターチェンジから大豊インターチェンジの間が、この夏休み前には通行可能となるようでございますし、そうしますと関西方面から多くの観光客が本県を訪れてくれることが大いに期待できます。 7月7日のオープニングに向け、受け入れ準備も急ピッチで進んでいると思いますけれども、この「土佐れいほく博」の成功に向け、県としてどのように支援していくのか、観光振興部長にお聞きをいたします。 この項最後に、クルーズ船を利用されて本県を訪れてくれます外国人観光客の下船後の観光周遊ルートについて、現在は高知城、ひろめ市場、帯屋町筋、日曜市を中心にルートが設定されているものと存じますが、これをもう少し範囲を広げまして、例えば高知市以西の仁淀川流域方面まで周遊ルートを拡大され、地域の伝統文化に触れていただき、幅広い本県観光振興につなげてはと考えますが、観光振興部長にお聞きをいたします。 最後に、スポーツの振興についてでございます。 スポーツを通して高知県をもっともっと元気に、そんな思いでお聞きをいたします。スポーツ行政をより効果的、一体的に推進するため、平成29年4月に新たに文化生活スポーツ部が設置されて、2年余りが経過しました。そして、本年3月、昨年3月に策定されました第2期高知県スポーツ推進計画で掲げる、県民がスポーツを通じて健やかで心豊かに、支え合いながら生き生きと暮らすことのできる社会の実現に向けて、これまでの成果と課題を検証し、同計画を第2期高知県スポーツ推進計画Ver.2へと改定されました。 ところで、スポーツは競技する人だけでなく、スポーツを観戦する人、ボランティア活動で支える人など、多様なスタイルで参加できますし、その中から人と人とのきずなが深まったり、支え合いの力も生まれてきたり、スポーツには不思議な力があると感じています。また、近年のスポーツ界は、10代の若者の活躍に目覚ましいものがあります。特に、卓球・ゴルフ・サッカー界、飛び込みに至っては12歳の少年が日本一に輝いていますし、16日にアメリカで開催された、来年の東京五輪で初採用されますスケートボードの五輪予選大会で、日本の12歳、中学1年生が見事優勝し、来年東京五輪の有力な金メダル候補に躍り出ております。このように活躍している選手は、家族の理解やよき指導者に恵まれているなど、よりよい環境のもとで生き生きと練習できているものと推察をいたします。 そうした中で、本県のスポーツのうち、子供の運動、スポーツについてですが、運動遊び教室に参加した保育所、幼稚園などがふえてきていますし、子供の体力は全体的に上昇傾向にございます。しかしながら、一方で学校の運動部や地域のスポーツクラブに加入している子供の割合が、全国平均よりも低い状況となっています。 今後、学校の運動部への加入割合を高める取り組みについて教育長にお聞きをいたします。 また、地域のスポーツクラブなどへの加入割合を高める取り組みについて
文化生活スポーツ部長にお聞きをいたします。 次に、競技スポーツの状況についてですが、特別強化選手が増加しており、平成30年度、国際大会に出場し、3位以上の成績をおさめたS指定選手は8名います。 本計画では、計画の基本方針として、日本を代表する選手などの輩出人数を40名以上との基本目標を掲げておりますが、今後こうした日本代表選手を多く輩出するための具体的な取り組みについて
文化生活スポーツ部長にお聞きをいたします。 この項最後に、障害者スポーツの状況についてでございます。県では、これまで組織体制の充実や特別支援学校における運動、スポーツ活動の充実、そして障害者スポーツ指導者の育成などに取り組んだ結果、県障害者スポーツセンターの利用者数が増加あるいは障害者スポーツ指導員が増加するなど、一定の成果は上がっておりますが、一方で身近な地域で気軽にスポーツ活動を行うことができる機会が少ないなどの課題もございます。 本県が目指すスポーツの参加の拡大には、障害者のスポーツ参加機会の拡充が重要な要素だと考えますが、今後の取り組みについて
文化生活スポーツ部長にお聞きをいたしまして、第1問とさせていただきます。 (知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君) 御質問にお答えをいたします。 まず、中華人民共和国の習近平国家主席の印象についてお尋ねがございました。 4月の終わりに、総理特使である自由民主党の二階俊博幹事長に同行させていただき、訪中団員の一人として8人の要人との会談にも御一緒させていただきました。 そのうち最初の会談が習近平国家主席との会談であり、私も冒頭より同席させていただいたところです。会談では、安倍総理からの親書が習主席に手渡されるとともに、G20大阪サミットへの出席、日中青少年交流など、さまざまな事柄について話し合いがなされました。私は、習主席とは直接言葉を交わすことはありませんでしたが、非常に友好的な雰囲気の中で会談は進み、会談の終わりに習主席が、きょうは大変よい会談ができましたとの趣旨の発言をされたことが、印象に深く残っております。 総括として、習主席からこのような発言があった際には、これを機に日中関係が本格的に改善の軌道に乗ったのだということが実感され、まさに歴史的な瞬間に立ち会うことができたという感慨を覚えたところであります。 習主席は会談中、終始口調も穏やかで温厚な感じを受けましたが、世界に多大な影響力を与えるリーダーであられるだけに、政治家としてのすごみ、貫禄もひしひしと感じられました。会談終了後に直接握手を交わさせていただきましたが、その際、心にしみ入るような笑顔を見せていただいたことが、忘れ得ない思い出となっているところであります。 次に、今回の訪中で得られた成果と、将来の本県へのメリットについてお尋ねがございました。 今回の訪中は、日中関係の進展に向けて、総理特使や国会議員、経済界の代表などによる国レベルの外交に、中国の都市と友好関係がある地方自治体として参加をしたものであります。国の外交トップの方々にお会いしお話もしたほか、安徽省政府幹部とも久しぶりに会談することができ、地方外交としても大変有意義な訪問となりました。 また、中国は広大な面積と世界一の人口を有する成長市場でありまして、今回の訪問ではそのような市場において、本県の観光、食、産業なども大いにPRをすることができました。 具体的には、日本大使館などが主催する日本の地方の魅力を発信するイベントにおいて、本県の食や自然・体験型観光、祭り文化などのプレゼンテーションを行ったほか、わら焼きカツオのタタキの実演や試食、土佐酒の試飲、グロリオサの展示などを行いました。現地のメディアや旅行エージェント、交流サイトで発信力のあるインフルエンサー、飲食関係者など約200人の参加者からは、非常に好評を得たところであります。 また、そのイベントでの様子を現地メディアに取り上げていただいたことで、本県の魅力をより効果的に発信することができましたし、北京の高級ホテルからは、土佐酒や水産物などをPRする高知県フェアの開催の提案をその場で受け、年度内の実施に向けて現在調整を進めております。 さらに、北京の旅行会社3社にセールスを行う中で、中国の訪日旅行への強い関心と、地方への送客による新たなビジネスチャンスに対する熱意を感じ、この波をうまく生かしていきたいと考えたところでもあります。これを機に、3社のうち中国最大のオンライン旅行会社との間で、中四国圏では初めてとなる連携協定を締結する準備が進んでおります。この連携協定を大きな追い風として、中国からの誘客拡大に向けた旅行商品の造成、販売、プロモーションを加速化させてまいります。 また、世界トップクラスの理工系総合大学である清華大学では、防災先進県高知の取り組みや高知発の防災製品技術などについてプレゼンテーションを行いますとともに、清華大学と高知工科大学との交流についても提案を行い、現在具体的な調整を始めたところであります。 中国は、本県における海外への販路開拓やインバウンドの重点市場と位置づけておりますことから、今回の訪中での成果を足がかりとして、中国市場への輸出拡大や国際観光のさらなる強化に取り組んでまいります。 また、私自身にとって、今回の訪中を通じて中国の目覚ましい発展ぶりを目の当たりにできましたことは、大変貴重な体験であったと思っております。特に、清華大学では、大学が仲立ちをして科学技術とビジネスを結びつけ、すさまじい勢いで新たな事業が生み出されていくさまを体感できたことは、大変有意義であったと考えています。現在、第3期産業振興計画において、デジタル技術を生かした地場産業の高度化などに取り組んでいますが、こうした中国の勢い、スピード感なども参考にしながら、本県の産業の振興に生かしてまいりたいとも考える次第であります。 次に、私の去就に係る態度表明についてお尋ねがございました。 私自身の去就については、これまでも答弁してまいりましたとおり、知事として専念すべき案件が目前にある間は、去就よりもそのことに集中すべきではないかと考えさせていただいているところであります。その意味で、先日も記者会見で、本議会において去就には触れさせていただかないと申し上げたところであります。現時点においても私の去就について、いつごろ表明するかを含め、申し上げる時期にはないと考えているところでございます。 次に、新たな
管理型産業廃棄物最終処分場の整備について、予定されている社会基盤整備の具体的な箇所と、その整備に関するスケジュールについてお尋ねがございました。 新たな管理型最終処分場の整備に関する説明会の場などにおいて、地域住民の皆様からは、加茂地区を流れる長竹川の増水や国道33号の交通安全についての御不安の声や、御家庭で御利用されている井戸の水質変化の御不安に伴う上水道整備の御要望を数多くいただいております。加えて、一昨日、佐川町長及び佐川町議会議長から施設整備の受け入れについての御回答を頂戴した際には、地域住民の皆様の御不安の声を踏まえて、進入道路のルートについて再検討し、皆様にわかりやすく説明することについて申し入れを受けております。 県としましても、そうした地域住民の皆様の不安解消のため、施設周辺部における安全対策、いわゆる周辺対策に早急に取り組んでまいりたいと考えており、本議会に追加提出させていただきました補正予算案に、長竹川の河川改修や上水道整備への支援、国道33号から施設に至る進入道路ルートの検討、これらについての取り組みに向けた費用を計上させていただいております。 具体的には、長竹川の河川改修に向けた取り組みとしましては、日下川支川の長竹川の全区間において、改修計画の策定に必要となる河川の測量を実施した上で、日下川流域全体の流下能力を考慮しながら、改修計画の概略検討を実施してまいります。その後、それに対する地域住民の皆様の御意見を踏まえるとともに、詳細な改修計画を策定してまいります。また、河床に堆積した土砂の撤去につきましては、速やかに順次実施させていただきます。 2点目の上水道の整備への支援に向けた取り組みとしましては、加茂地区全域の各家庭において御利用されている井戸の状況調査及び水質検査を実施してまいります。あわせて、佐川町と上水道整備に関する支援スキームについて協議を実施してまいります。 3点目の国道33号から施設に至る進入道路ルートの検討に向けた取り組みとしましては、国道33号から施設に至る概略のルート案を複数作成した上で、地域の住民の皆様の御意見等をお聞きし、その御意見を踏まえながらルートを決定してまいります。 また、国道33号の交通安全対策につきましては、加茂地区においてカーブが連続する区間や、隣接する日高村岩目地地区において歩道が整備されていない箇所が存在していることから、県から国道を所管します土佐国道事務所に対して、これまで皆様からいただきました御心配や御要望の声をお伝えさせていただきますとともに、交通安全対策の実施のお願いもさせていただきました。 その結果、土佐国道事務所にも、県が要望した交通安全対策の必要性を理解していただき、比較的容易に実施が可能である交通安全対策については、順次対応していただけるとお聞きをしております。また、用地取得を伴う交差点改良などにつきましては、県と国で協力し対策を進めてまいります。今後も、引き続き国と協議を重ねながら、国道33号の交通安全対策の実施に向けて継続的に要望を続けてまいります。 今後は、住民の皆様の御不安に対する対処策を詳細に検討してまいります。その検討を進める過程においては、節目節目でその調査結果等の情報を丁寧に説明し、住民の皆様の御意見をいただく場を設け、その場でいただいた御意見を踏まえながら、皆様の御不安を解消できるようしっかりと取り組んでいく、そういうサイクルを重ねてまいりたいと、そのように考える次第であります。 次に、地域振興策に関する地元住民や自治体との今後の協議スケジュールについてお尋ねがございました。
管理型産業廃棄物最終処分場は、県内事業者の経済活動を下支えする大変重要な施設ではありますが、先ほど申し上げましたようなさまざまな安全対策を行ったとしましても、住民の皆様には、なぜこの地域に処分場をつくるのかといった御不満や負担感は、依然としてお残りになるものと考えております。そうしたお気持ちを少しでも和らげ、せめてその分については地域がよくなったと思っていただけるよう、地域振興策についてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 このたび、佐川町及び佐川町議会からは、正式に施設整備について受け入れていただけるという回答をいただきましたので、佐川町と県とで確認書を速やかに締結し、その中に、施設整備を円滑に推進するために必要な事項や施設周辺における安全対策などとともに、地域振興策の実施についても盛り込むこととしております。 具体の事業内容につきましては、住民の皆様からの御要望を踏まえ、町としての要望内容をお出しいただいた上で、町と県により設ける協議の場においてプランづくりを行っていきたいと考えております。地域振興策の案がまとまりましたら、県議会にお諮りした上で、遅くとも施設の工事に着工するまでには、町と県で地域振興策の実施に関する協定を締結したいと考えているところでございます。 次に、今後の日本経済の先行き、特に財政面での課題についてお尋ねがございました。 日本の経済は、長期にわたり回復傾向を持続させており、有効求人倍率が全都道府県で1倍を超える状態が続くなど、着実にアベノミクスの成果が広がってきております。しかしながら、依然として経済環境の厳しい地域もあり、東京圏を初めとする都市部との格差も広がってきているところです。また、足元の景気動向を見ますと、実質GDPは年率換算で2.2%のプラス成長が見込まれておりますものの、この先、米中貿易摩擦などの国際情勢、消費税率の引き上げの影響などにも留意する必要があります。 我が国の財政運営に目を向けると、人口減少と少子高齢化の進展、これに伴う社会保障の持続可能性への懸念に加えて、大規模自然災害に備える必要性など、数多くの課題に直面をしております。 政府においては、経済再生なくして財政健全化なしの基本方針のもと、持続的な経済成長と財政健全化の実現に一体的に取り組んでいるところです。今後は、都市部に加えて地方においてもより本格的に経済規模が拡大すること、そしてそのことを通じて国と地方の財政健全化が図られることが重要であると認識をしているところです。 このうち地方の経済面においては、人口減少や少子高齢化という課題を抱える地方において、経済再生の面で鍵を握るのは、デジタル技術を原動力としたSociety5.0の実現ではないかと考えています。デジタル技術の活用により、生産性の飛躍的な向上とコスト削減が可能となり、産業競争力の強化が図られるとともに、中山間地域などの条件不利地においても、その課題の克服に向けた道筋を切り開くことができるものと考える次第です。 財政健全化に関しては、中長期的に見れば、歳入面においては、生産年齢人口の減少に伴い経済活動が縮小し、歳入そのものの減少が懸念されること、また歳出面においては、高齢化の進展などにより、引き続き災害対策の必要性に加え、社会保障費の増加が見込まれることが最大の課題であります。 このうち歳入面の課題については、先ほど申し上げましたように、社会全体においてデジタル化の流れを生かしながら生産性の向上とコスト削減を実現することにより、経済成長を促し、歳入そのものの拡大につなげていくことが重要であります。 また、歳出面の課題については、医療・介護・福祉サービスの改革など、社会保障費適正化の議論は避けて通れません。この点、全国知事会においては、健康立国宣言に基づき、全都道府県参画のもと、持続可能な社会保障制度の構築に向けて、健康づくりや認知症対策などのカテゴリー別に21のワーキングチームを設置し、先進事例や優良事例を全国的に横展開する取り組みなどを進めているところです。また、先月には、国と地方の意見交換会も開催をいたしました。引き続き、国と地方が的確に役割分担しながら連携して改革を進め、財政健全化に取り組むことが重要であると考える次第でございます。 次に、消費税増税対策について、消費税率の引き上げの認識と、消費税増税後の経済対策についてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。 消費税率の8%から10%への引き上げにつきましては、これまでも申し上げてきましたとおり、現在の国、地方を通じた厳しい財政状況や急速に進む少子高齢化といった状況を鑑みれば、社会保障制度の充実強化を図り、かつ持続可能性を確保するためにも、現時点におきまして、やむを得ないものと考えております。 一方で、議員より御紹介のありました調査でも、増税による負担増や景気への悪影響を懸念する回答が多くを占めていたように、経済的に厳しい状況にある方々とマクロ経済全体へのマイナスの影響をできるだけ小さくすることが重要であります。 国においては、消費税率の引き上げに当たって、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を進めているほか、キャッシュレス・消費者還元事業などの消費喚起策や軽減税率制度の導入、さらには幼児教育の無償化など、さまざまな施策を組み合わせ、総合的な対策を講じることとしております。 本県としましても、3カ年の緊急対策を最大限活用し、豪雨等の災害に備えた対策を強化、推進しているほか、金融機関と連携したキャッシュレスセミナーを県内10会場で開催するなど、国の消費喚起策や軽減税率制度の円滑な導入に向けた制度内容の周知を行っております。引き続き、国と歩調を合わせ、一連の経済対策を着実に実施してまいりたいと考えているところでございます。 次に、これからの地方分権改革は、市町村の創意工夫を生かすことができ、かつそのための財源が保障されるべきものではないかとのお尋ねがありました。 議員のお話にありましたように、平成の時代においては、国と地方の関係を上下・主従の関係から対等・協力の新しい関係に転換するとの理念のもと、機関委任事務制度の廃止や地方への権限移譲、義務づけ・枠づけの見直しなど、数多くの取り組みが行われてきた結果、地方分権改革は大きく進展してまいりました。 本県においても、保健・福祉に関する事務や有害鳥獣の捕獲等に関する事務など、住民に身近な事務を地域の実情に応じて行うことができるよう、市町村からの申し出をもとに県からの権限移譲を進めてきたところであります。 特に、平成26年度からは、地方分権改革において提案募集方式が導入されるとともに、地方創生の取り組みにおいて地方創生推進交付金が創設されるなど、地方の発案を生かし、創意工夫に基づき主体的に行う取り組みを支援する方向性が強化されました。人口減少対策への取り組みや南海トラフ地震対策を初めとする防災対策などといった課題が山積する中、住民と直接向き合う市町村の役割はますます大きくなってきており、地域地域の実情に応じた施策の展開と、それに見合う財源の確保が必要であると認識しております。 このため、県としましては、課題解決に向けて地域の意欲と知恵を十分生かせるよう、提案募集方式や地方創生推進交付金制度のさらなる改善を図るとともに、地方創生に必要な財源を十分に確保することについて、全国知事会とも連携しながら政策提言を行ってきたところであります。 あわせて、県では、産業振興計画における地域アクションプランの取り組みのほか、集落活動センターや、あったかふれあいセンターにおける取り組みなど、市町村の創意工夫に基づく施策を人的、財政的にバックアップしてきたところであります。今後も、県政と市町村政との連携・協調のもと、こうした取り組みを最大限進めてまいりたいと考える次第です。 最後に、財務省の地方職員3万人減可能との試算についてどのように受けとめているのかとのお尋ねがございました。 県内市町村の職員数は、国の三位一体改革の影響による厳しい財政状況や市町村合併などを背景に、平成30年には9,449人と、平成12年のピーク時と比べ約19%減少しております。そのような中でも、地方創生や喫緊の課題である南海トラフ地震対策などの行政需要に対応するため、平成26年の9,251人を底に、以降は増加してきているとの実態があります。 今般、財務省の財政制度等審議会が示した試算は、地方公共団体の業務、体制の見直しの一例として、人口当たりの職員数を一定にした場合、2025年までに約3万人、約3%の効率化が可能であると、機械的に算出されたものであります。 この件に関し、石田総務大臣も記者会見において、極めて機械的な試算を示されたということであり、3万人の削減が可能である、あるいは削減が必要との趣旨の提言ではないと認識しているとの見解を示されているところです。私も、この試算をもって直ちに自治体職員の削減を求めるものではないと認識しておりますが、このことを奇貨として地方の財源が削減されることのないよう、今後の国の動向を注視してまいりたいと考えています。 なお、今後県全体としてさらに人口減少が進み、県内市町村においても人員の確保が困難となっていくことが想定されることや、職員の働き方改革などの観点からは、いずれにしても業務をより効果的、効率的に行っていくことが極めて重要であると考えております。 このため、県としましては、先日立ち上げた高知県行政サービスデジタル化推進会議のもとに取り組みを進めている、AIやRPAといった新たなデジタル技術の活用などによる業務の効率化について、市町村への情報提供を行ってまいりたいと考えております。 加えて、市町村間での事務の共同処理を促進するための、こうち広域行政推進プロジェクトや自治体クラウドの導入を進めることにより、業務を効果的、効率的に行えるよう、市町村間での連携を積極的に後押ししてまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。 (林業振興・環境部長川村竜哉君登壇)
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 新たな
管理型産業廃棄物最終処分場の今後の具体的なスケジュールと、日高村の
エコサイクルセンターの現状についてお尋ねがございました。 新たな処分場の整備につきましては、一昨日、佐川町長及び佐川町議会議長から、住民の安全の確保や生活環境の保全、不安の解消を図ることなどを前提として、施設整備の受け入れを受諾する旨の御回答を正式に頂戴いたしました。これを受けまして、施設整備に際して必要となる測量調査や地下水調査、基本設計などの費用を盛り込んだ補正予算案を、本日追加議案として議会に提出させていただきました。 この補正予算議案の議決を賜ることができました場合には、速やかに測量、調査等の業務に着手し、その結果を基本設計に反映させてまいります。また、その後、環境アセスメントのための手続なども実施しながら、実施設計や関係法令の手続、用地取得などを並行して行った上で、令和3年度には建設工事に着工できればと考えているところでございます。 建設工事に要する期間は、日高村の
エコサイクルセンターの実績等を参考にしますと、約2年半は必要となると思われますので、現地の測量等を開始してから竣工までには約4年間は見込む必要がございます。一方、現段階の予測によりますと、現在のような廃棄物の運搬が続けば、
エコサイクルセンターは3年10カ月後の令和5年3月末にも埋め立てが終了する見通しとなっていることから、新たな施設が完成する前に現施設が満杯となることが見込まれているところでございます。 このため、県では、
エコサイクルセンターに搬入される廃棄物の大半を占めております鉱滓、燃え殻及び廃石こうボードを搬入している排出事業者に対して、埋立処分する量の減量化、リサイクルへの転換について働きかけを行うとともに、リサイクル処理を行っていただくことが可能な施設等の情報収集や、排出事業者との調整等を精力的に行っているところでございます。 こうしたリサイクルの推進による
エコサイクルセンターの延命化を図りますとともに、発注作業や工事の工程を効率的に行うよう工夫することにより、できるだけ早期に新たな施設が完成することができますよう取り組んでまいります。 (教育長伊藤博明君登壇)