高知県議会 > 2019-06-19 >
06月19日-02号

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  1. 高知県議会 2019-06-19
    06月19日-02号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 1年  6月 定例会(第349回)        令和元年6月19日(水曜日) 開議第2日-----------------------------------出席議員       1番  土森正一君       2番  上田貢太郎君       3番  今城誠司君       4番  金岡佳時君       5番  下村勝幸君       6番  田中 徹君       7番  土居 央君       8番  野町雅樹君       9番  浜田豪太君       10番  横山文人君       11番  西内隆純君       12番  加藤 漠君       13番  西内 健君       14番  弘田兼一君       15番  明神健夫君       16番  依光晃一郎君       17番  梶原大介君       18番  桑名龍吾君       19番  森田英二君       20番  三石文隆君       21番  上治堂司君       22番  山崎正恭君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       29番  大野辰哉君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         尾崎正直君  副知事        岩城孝章君  総務部長       君塚明宏君  危機管理部長     堀田幸雄君  健康政策部長     鎌倉昭浩君  地域福祉部長     福留利也君  文化生活スポーツ部長 橋口欣二君  産業振興推進部長   井上浩之君  中山間振興・交通部長 川村雅計君  商工労働部長     近藤雅宏君  観光振興部長     吉村 大君  農業振興部長     西岡幸生君  林業振興・環境部長  川村竜哉君  水産振興部長     田中宏治君  土木部長       村田重雄君  会計管理者      中村智砂君  公営企業局長     北村 強君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  原  哲君  公安委員長      古谷純代君  警察本部長      宇田川佳宏君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   麻岡誠司君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       弘田 均君  事務局次長      行宗昭一君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     織田勝博君  議事課長補佐     飯田志保君  主幹         春井真美君  主査         宮脇 涼君-----------------------------------議事日程(第2号)   令和元年6月19日午前10時開議追加 第15号 令和元年度高知県一般会計補正予算第1 第1号 令和元年度高知県一般会計補正予算 第2号 高知県公文書等の管理に関する条例議案 第3号 高知県森林環境譲与税基金条例議案 第4号 地方自治法第203条の2に規定する者の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例議案 第5号 高知県税条例等の一部を改正する条例議案 第6号 過疎地域等における県税の課税免除に関する条例及び半島振興対策実施地域における県税の不均一課税に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県地方活力向上地域における県税の特例措置に関する条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県手数料徴収条例等の一部を改正する条例議案 第9号 高知県立高等技術学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県道路の構造の技術的基準及び道路に設ける道路標識の寸法を定める条例の一部を改正する条例議案 第11号 県有財産の出資に関する議案 第12号 (仮称)南国日章工業団地団地整備工事請負契約の締結に関する議案 第13号 高吾地域拠点校本館及び南舎他改修主体工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第14号 高知県公立大学法人定款の変更に関する議案第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(桑名龍吾君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △議案の追加上程、提出者の説明(第15号) ○議長(桑名龍吾君) 御報告いたします。 知事から議案が追加提出されましたので、お手元にお配りいたしてあります。その提出書を書記に朗読させます。   (書記朗読)   〔提出書 巻末239ページに掲載〕 ○議長(桑名龍吾君) お諮りいたします。 ただいま御報告いたしました第15号「令和元年度高知県一般会計補正予算」を、この際日程に追加し、直ちに議題とすることに御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(桑名龍吾君) 御異議ないものと認めます。よって、日程に追加し、直ちに議題とすることに決しました。 本議案を議題といたします。 ただいま議題となりました議案に対する提出者の説明を求めます。 県知事尾崎正直君。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) ただいま追加して提案をいたしました議案に関しまして御説明を申し上げます。 第15号議案は、新たな管理型産業廃棄物最終処分場に関しまして、佐川町加茂における地質調査や基本設計、長竹川の増水対策や上水道整備への支援などの実施に要する経費として、総額1億9,800万円余りの歳入歳出予算の補正並びに総額6,700万円余りの債務負担行為の追加に関する一般会計補正予算を提案しようとするものであります。 県が新たな施設整備に向けて取り組んでおります管理型産業廃棄物最終処分場につきましては、開会日における提案説明で申し上げましたとおり、知事として、佐川町加茂を新たな管理型産業廃棄物最終処分場建設予定地に決定させていただき、先月31日、佐川町及び佐川町議会に対しまして、施設整備の受け入れについて正式に申し入れを行わせていただきました。 その後、佐川町議会におかれましては、今月7日に開会した定例会などにおいて、さまざまな視点から御議論をいただいた上で、賛成多数で新たな施設を受け入れる方針を決定していただきました。また、佐川町におかれましても、施設を受け入れる方針を決定され、今月16日に加茂地区の住民の皆様にその旨を御説明されました。その際、住民の皆様から、なぜ仁淀川水系にばかり処分場をつくるのか、住民の不安は解消されていないといった御意見があり、町長からは、町としては御心配の声はしっかりと受けとめる、地区がよくなったと思ってもらえるよう全力で県に要望し行動したいと理解を求められたとお伺いしております。 その上で、一昨日には佐川町長及び佐川町議会議長から、地域住民の安全の確保や生活環境の保全、不安の解消を図ることなどを前提として、施設の受け入れを受諾する旨の御回答を正式に文書で頂戴しました。 佐川町、佐川町議会の皆様におかれましては、管理型産業廃棄物最終処分場の受け入れという大変重い課題に関して真摯に御検討をいただき、受諾賜りましたことに対しまして、改めて心より厚く御礼を申し上げます。あわせて、受諾の条件として非常に重要な宿題もいただいたと受けとめており、誠実に対応してまいりたいと考えております。 この新たな管理型産業廃棄物最終処分場は、県内事業者の経済活動を下支えする大変重要な施設であり、仮に現在のエコサイクルセンターの埋め立てが終了する時点までに後継となる施設が完成していなければ、県経済、ひいては県民生活に多大な支障を来すことが懸念され、早急な施設整備が必要不可欠であります。 他方、当該施設の整備に当たっては、住民の皆様の御理解が最優先であると考え、これまで誠意を持って対話を重ね、できる限り丁寧に説明を行うよう努めてまいりました。その中で、例えば地下水への影響に関して、処分場内部の水は外部に一切出さない構造で、その水もわずかできれいであること、地下水を常時監視していくといったことなど、さまざまな御不安の声に一つ一つ丁寧に御説明を重ねてまいりました結果、施設の安全性などへの御不安の声は減少し、一定の御理解が得られつつあるのではないかと受けとめております。しかしながら、長竹川の増水や地下の空洞の有無など、依然として施設の安全性や周辺の生活環境について、住民の皆様に御不安や御不満の声が残っていることを県として重く受けとめております。 このため、今後住民の皆様の御不安や御不満をしっかりと解消していくため、佐川町の御意見も十分にお伺いしながら、施設整備に向けた取り組みとあわせて、地域住民の皆様の不安を解消するための取り組みや、地域の振興につながる取り組みなどに真摯に対応をしてまいります。 仮に、本日提出いたしました議案をお認めいただけましたら、まず施設整備に向けて地形の状況を詳細に確認するための測量調査や、地下の空洞の有無などを調べる地質調査のほか、洪水の発生を防止するための調整池の整備などを含む施設構造の基本設計に速やかに着手してまいりたいと考えております。あわせて、この詳細な調査などを進めていく過程においても、住民の皆様に一層の御理解をいただくため、節目節目で調査結果などの情報を丁寧に御説明させていただき、御意見を頂戴する場も設けてまいりたいと考えております。 また、今後の調査結果などにより、施設整備が不可能と判断される致命的な事態が明らかとなった場合には、その内容を佐川町や住民の皆様にお知らせした上で、佐川町加茂での施設整備を中止することといたします。 あわせて、地域住民の皆様の不安解消のため、施設周辺部における安全対策、いわゆる周辺対策に取り組んでまいります。具体的には、加茂地区を流れる長竹川の改修に向けた測量調査や、建設予定地の周辺における上水道の整備への支援にもつながる井戸の利用実態調査及び水質調査、進入道路のルート案を複数作成して再検討するための調査などに速やかに着手してまいります。加えて、国道33号の交通安全対策につきましては、県から国に対して積極的に要望活動を行ってまいります。 こうしたさまざまな安全対策を実施したといたしましても、地元の住民の皆様の中には、なぜこの地域に処分場をつくるのかといった御不満や負担感が依然としてお残りになるものと考えております。そうしたお気持ちを少しでも和らげ、せめてその分については地域がよくなったと思っていただけるよう、地域の振興につながる取り組みをしっかりと実現してまいります。この地域振興策につきましては、住民の皆様からの御意見を踏まえ、県と町による協議の場において具体的な内容を取りまとめた上で、両者で協定を締結し、着実に進めてまいりたいと考えております。 今後、このたびの議案をお認めいただけましたら、これまで申し上げた一連の取り組みに関し、佐川町議会や住民の皆様の御意見を踏まえた上で、県と町で確認書を締結したいと考えております。あわせて、これらの取り組みを円滑に実施するため、佐川町から御要望のありました職員派遣または職員駐在などの人的支援につきましても実施してまいります。 引き続き、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備については、その都度進捗状況を県議会に御報告させていただき、議員の皆様方の御意見をお伺いいたします。また、情報公開と丁寧な説明を通じて、佐川町、佐川町議会、加茂地区の皆様に御理解と御協力を賜るよう、誠意を持って真摯に取り組んでまいる所存であります。 何とぞ御審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(桑名龍吾君) ただいま議題となっている議案については、日程第1、第1号「令和元年度高知県一般会計補正予算」から第14号「高知県公立大学法人定款の変更に関する議案」まで、以上14件の議案にあわせて一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 15番明神健夫君。   (15番明神健夫君登壇) ◆15番(明神健夫君) それでは、自民党を代表し、通告に従いまして一般質問を行います。 まず、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備についてであります。 日高村にある県内唯一の管理型産業廃棄物最終処分場であるエコサイクルセンターは、当初は埋立期間を20年間と計画していましたが、これを相当上回るペースで埋め立てが進み、その終了の時期が近づいていることから、リサイクルの推進などによる現施設の延命化に取り組むとともに、新たな施設整備に向けて長年検討を進めてこられました。この施設は、県内事業者の経済活動を下支えする、なくてはならない重要なインフラ施設であり、仮に現在のエコサイクルセンターの埋め立てが終了する時点までに後継となる施設が完成していなければ、県経済、ひいては県民生活に多大な支障を来すことが懸念され、少しでも早く整備を行うことが望まれます。 一方で、新たな施設の建設には、測量、地質調査、設計、各種許認可等の手続、建設工事などに最低4年程度を要することから、新たな施設の完成時期は、最速でも既に現施設の満杯となる見通しの時期を超えてしまっている状況にあります。そうした中にあっても県としては、知事も言われているように、地元の住民の皆様の御理解を第一に考えて進めていかなければならないと思います。 県においては、候補地の選定過程においては透明性の高いプロセスということを非常に重視して取り組んでこられたと思いますし、3カ所の候補地を選定して以降は地元の理解を得るために、住民の声に真摯に耳を傾けわかりやすく説明を工夫するなど、丁寧に取り組んでこられました。あわせて、昨年末の12月に3カ所の最終候補地から佐川町加茂への絞り込みをされて以降は、12月、2月、5月には加茂地区の住民を対象とした説明会及び話し合い、加茂地区以外の佐川町民を対象とした説明会、エコサイクルセンター見学会最終候補地現地見学会、個別にお話をお伺いする場などを重ね、その中でしっかりと県としての考えを伝えるため、将来も含めた施設の安全性や維持管理体制、候補地選定の考え方、住民が不安に思われる事項への対策、地域振興策などについて、その都度誠意を持って対話を重ね、できる限り丁寧な説明を行い、また精いっぱい答えてこられました。 今議会の冒頭に知事から、現施設の埋め立てが終了する時期が迫っていること、施設の安全性について一定の理解が得られつつあること、さらに残る不安を解消するためにも建設予定地を定めて詳細な検討を行う必要があることの3点に鑑み、佐川町加茂を新しい施設の建設予定地として決定し、先月31日、佐川町及び佐川町議会に対して、施設整備の受け入れについて正式に申し入れをされたとの説明がありました。そして、今月17日に町長と議長から施設の建設を受け入れる旨の返事をいただいたことで、この事業を大きく前進させることができました。この施設を受け入れていただいた佐川町長、町議会、地元住民の皆様に、心から感謝を申し上げます。 しかしながら、施設の建設予定地の下流の住民の皆様を中心に、大雨の際の河川の増水による浸水被害や石灰岩質である建設予定地の地下の空洞の有無など、不安に思われている方々も残っているとのことですので、施設を受け入れていただく地元住民の安心につながる対応、また住民の不安な気持ちに寄り添った対応をしっかりと行っていく必要があります。 ついては、地元の住民の皆様の不安を解消し、一層の理解を得てこの施設を早期に整備するために、地域の振興策を含めどのような方針で取り組んでいくのか、知事にお伺いします。 また、現段階の予測によると、現在のような廃棄物の搬入状況が続けば3年10カ月後の令和5年3月末にも埋め立てが終了する見通しとなっており、一方で新たな施設の建設には最低でも4年程度を要することから、新たな施設の完成時期は現施設の埋め立てが終了する見通しの時期を既に超えてしまっているとのことで、厳しい状況と言わざるを得ません。 エコサイクルセンターの埋め立てが終了する時期までに、新たな施設を稼働できるよう整備を進めなければなりませんが、どのように取り組むのか、知事にお伺いをします。 続きまして、児童虐待根絶に向けてであります。 親の体罰禁止や児童相談所の機能強化を明記した児童虐待防止法と児童福祉法の改正案が、この5月10日、衆議院本会議で審議入りしました。子供が心安らぐ場であるはずの家庭内で親から虐待を受け命を落とした、東京都目黒区の女児当時5歳と千葉県野田市の女児当時10歳の2人の事件が、社会を揺さぶり政治を動かしました。親による体罰禁止の法制化は、2人の女児がしつけ名目で虐待を受けていたことで、政治課題として急浮上しました。 民法は、親が子を戒める懲戒権を認めております。政府は、過去にも懲戒権削除や体罰禁止を検討してきましたが、家庭内でのしつけのあり方に踏み込むことへの抵抗は根強く、見送ってきた経緯があります。だが今回は、親に必要な範囲で子供を戒めることを認めている民法の懲戒権に関し、立憲民主など6党派が提出した野党案は、早急に見直すとしておりますが、安倍首相は、家族のあり方にかかわりさまざまな議論がある、法務省を中心に徹底的に議論する必要があり、2年をめどとした検討期間が必要との考えを示しております。また、禁止される具体的な体罰の内容は、今後国民にわかりやすく説明するためのガイドラインなどを作成すると答弁しております。 政府案では、保護者や児童福祉施設長らによる体罰禁止を盛り込むとともに、児童相談所の体制強化では、子供を親から引き離し一時的に保護を行う介入の担当と、虐待を行った保護者の相談に乗り指導をするなどの保護者支援の担当を分ける体制を整備する。児童相談所とドメスティック・バイオレンス、DV対策との連携を強化する。社会的養育の充実・強化では、虐待された子供を施設ではなく家庭的な環境で育てるとの観点から、里親の開拓に向け制度の周知・広報により一層取り組むとともに、里親家庭に対しては手当の充実を行うなど支援の拡充を図る。児童虐待の発生予防・早期発見では、虐待の発生予防や早期発見を目的に、支援を必要とする妊婦への支援強化や、乳幼児健診未受診者、未就園、不就学などの子供に関する定期的な安全確認などを実施することで、妊娠時から切れ目のない支援を行う。これに加えて、子育てに悩みを抱える親や子供からの相談について、SNS等を活用した相談窓口の開設、運用を進めるなどが、柱となっております。 過去にも、悲惨な事件を受けては法改正が繰り返されてきましたが、虐待事案は減るどころかふえ続けております。こうした流れに終止符を打つべく、国会でも審議を尽くし、打てる手を全て投入してほしいと思います。 関連して、幼い命をまた守れませんでした。札幌市中央区の女児、2歳が、6月5日、体に多数のあざを残し、平均体重を下回る状態で衰弱死する事件が起き、母親と交際相手が逮捕されました。また、厚生労働省によりますと、全国の児童相談所が平成29年度に相談対応した児童虐待は、13万3,778件と過去最多となり、平成24年度から倍増しております。 政府は、昨年3月の東京都目黒区の5歳女児虐待死事件を受けて、虐待の通告から48時間以内に子供への安全確認を徹底し、できない場合は立入調査を徹底するルールを各児童相談所に通知しております。また、虐待の通告があった場合、各児童相談所は客観的に虐待の緊急性を判断するため、リスクアセスメントシートに基づき、身体的虐待や育児放棄などの項目をチェックすることになっております。だが、札幌市児童相談所は、48時間ルールを実行しておりませんでした。また、リスクアセスメントシートも未作成で、教訓は生かされず、対応のずさんさが浮き彫りとなりました。 札幌市児童相談所は6月6日の記者会見で、各職員が百数十件の案件を抱え、職員不足の状態であり、48時間は非常に厳しいと、人材不足を強調して述べております。元児童相談所長でNPO法人おかやま児童虐待事例研究会の松尾代表は、虐待の通告があった場合、特にSOSを出せない幼児の場合は緊急性が高く、児童相談所みずからが会いに行かなければという意識を持つ必要があると言っております。 本県の児童相談所が平成29年度に相談対応した児童虐待の件数及び前年度との比較件数について、また48時間ルールへの対応状況と課題並びにリスクアセスメントシート作成取り組み状況と課題、あわせて双方の課題解決策について地域福祉部長にお伺いします。 関連して、福井大学の友田教授--小児発達学--の研究では、激しい体罰や暴言を受けると、感情思考をつかさどる脳の前頭前野の容積が減少したり、声や音を知覚する脳の聴覚野が変形したり、体罰の影響は大きいことが判明しております。公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが、平成29年、2万人に行った調査では、しつけのために体罰も必要が57%、子育て中の1,030人の7割にしつけとして子供をたたいた経験があったなど、子供への体罰を容認する意識は根強いものがあります。友田教授は、法律などで体罰を禁止することで、自分の子にも暴力や暴言は許されないという社会の規範につながると評価されております。 一方で、NPO法人子どもすこやかサポートネットの高祖副代表は全国各地で、赤ちゃんを泣きやませるヒントや親がいらいらした際に気持ちを落ちつかせる方法、また、たたいたりどなったりしない子育ての方法などの講座を開いております。 そこで、提案ですが、体罰禁止をさらに実りあるものとするには、社会への啓発活動を充実させるとともに、保護者が体罰に頼らない具体的な子育てを学べる場を提供する必要があると思いますが、地域福祉部長の御所見をお伺いします。 関連して、虐待に至ってしまった親の回復プログラム、MY TREEペアレンツ・プログラムを平成13年に開発し、全国にその実践者を養成し、過去17年間で1,048人の虐待言動を終止した修了生を出すなど、大きな成果を上げてこられました森田ゆりさんが、「虐待・親にもケアを」という本を出版しております。この本の中で筆者は、「平成12年5月に成立した児童虐待防止法の立法過程で、国会参考人として、虐待した親の回復支援を法制度の中に組み込む重要性を訴えましたが、法制化には至りませんでした。そこで、親への回復プログラムを開発、実践し、日本におけるその方法論と経験のノウハウの蓄積を始めないことには法改正すらできないと痛感したことが、MY TREEプログラムの開発と実践の始まりでした」と言っております。 平成29年、児童福祉法の改正により、家庭裁判所が、虐待した保護者の指導勧告を児童相談所に対して行い、あわせて虐待した保護者に直接、虐待的言動をとめるためのプログラム受講などを言い渡す法制度となりました。また、筆者は、「虐待に至ってしまった親たちの回復支援は、子育て方法を教える養育支援ではありません。母親支援でも、父親支援でも、子育て支援でもなく、その人の全体性(理性、感情、身体感覚、精神性)回復への支援です。虐待行動に悩む親たちは、今までの人生において他者から尊重されなかった痛みと深い悲しみを、怒りの形で子供に爆発させています。加害の更生は被害によって傷ついた心身の回復からしか始まらない」と言っております。 親が変わらなければ子供は家庭には帰れません。「虐待に至ってしまった親にケアを提供することの緊急性とその具体性を理解していただきたいとの願いで書かれています。そして、何よりも、虐待された子供たちの大半は、親から虐待されても、その親を求め、慕い、その親が変わってくれることこそを願っているのです」と言っております。 ここで、生きる力を取り戻すMY TREEプログラム修了生の言葉を一例紹介しますと、キレなくなった、以前のようにどなり散らして怒ったり、めちゃくちゃにたたきまくったりしなくなった、子供に対しても、ほかの人、物事に対しても感情を抑えることができるようになった、激しく切りかわるスイッチがなくなった、子供をかわいい、いとおしいと思える気持ちを取り戻すことができた、私は生まれ変わった、すがすがしい気持ちでいっぱいと言っております。 これは、平成29年度まで取り組んでいました奈良県の事例ですが、奈良県の児童相談所が受理する児童虐待対応件数は増加の一途をたどり、現場は子供の安全とその確保に奔走することが日常化していました。一方で、虐待をした親への支援、親子分離となった後の家族支援については、日々の対応に手いっぱいで十分な支援ができにくい状況にありました。虐待の世代間連鎖の解消や親との生活を望む子供の権利を保障していくためにも、虐待をした親への支援が必要不可欠であり、効果的な取り組みの一つとして、奈良県ではMY TREEプログラムを導入しておりました。 児童相談所がMY TREEプログラムへの参加を勧める対象は、虐待をしてしまった、あるいはしている親であります。対象となる親は、一時保護や施設入所等で子供と分離されている親や、精神的な問題を抱えている親、孤独で誰にも相談できない親等、皆複雑な背景を有しております。また、多くは、言いようのない不安、怒りを抱えており、その消極的な感情を子供にぶつけることで、ある意味子供を依存対象とした虐待関係を形成しております。こうした親に対して、児童相談所の立場から、虐待はいけないと伝えるだけでは、虐待に至った親の背景や根本の問題は変化しません。MY TREEプログラムは、虐待をとめるために、第一に親がみずから回復できる力を得るようになることを目的としています。 MY TREEプログラムを修了した親のその後については、心身ともに回復し子供との生活を再開した親、みずからの課題に向き合いながらも子供との交流を少しずつふやしている親など、さまざまです。しかし、どの親にも共通して言えるのは、MY TREEプログラムを通して、生きづらさを抱えていた今までの自分から抜け出せる、変化に出会えたということであります。児童相談所が支援を終えた先の未来においても、親がみずから気づいて得た自己回復力は、何よりその子供にとって幸せにつながっていくものでありますと言っております。 そこで提案ですが、虐待に至ってしまった親たちの回復支援をさらに実りあるものとするには、他県の児童相談所の取り組みを学び、効果的な取り組みを本県にも導入すべきであると思いますが、地域福祉部長の御所見をお伺いいたします。 続きまして、学校のマネジメント強化の方策についてであります。 平成27年12月に、中央教育審議会より3つの答申が出されました。「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~」の答申、「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」の答申、「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」の答申であります。この3答申は、新しい教育課程を展開するための条件整備とも言えるものであります。 学習指導要領改訂の方向性である、どのように学ぶか、主体的・対話的で深い学びの視点からの学習過程の改善を実現するためには、個々の教員の資質・力量の絶えざる成長が必要であり、中央教育審議会ではそれを、学び続ける教員を支えるキャリアシステムとしております。これに基づき、教育委員会と大学が連携・協力して教員育成協議会を組織し、教員育成指標を策定しております。 また、新学習指導要領では、よりよい学校教育を通じてよりよい社会をつくるという目標を共有し、社会と連携・協働しながら、未来のつくり手となるために必要な資質・能力を育む、社会に開かれた教育課程の実現が求められております。中央教育審議会では、全ての学校が、学校運営協議会を設置するコミュニティ・スクールとなることを目指すこととしておりますし、学校を核にした地域づくりを展開して、地域学校協働活動を行っていくこととしております。 これらを進めていく中で、新学習指導要領では、各学校におけるカリキュラムマネジメントの実現が求められ、そのためには学校の組織運営の改善が必要であり、今までの学校内の教職員の協働だけでは対応し切れない課題への体制づくり、また教員が子供と向き合う時間の確保等の体制整備などもあわせて、中央教育審議会では、チームとしての学校を展開していく組織マネジメントの一層の強化がポイントになるとしております。 また、平成29年4月の法改正により、学校の事務職員が主体的に校務運営に参画するよう職務規定が見直され、「事務に従事する」から「事務をつかさどる」へと改定されました。あわせて、学校事務を共同して処理する共同学校事務室の設置について、制度化が行われました。家族形態の変化、個人の価値観やライフスタイルの多様化など、社会や経済の変化に伴い、子供たちや家庭、そして地域社会を取り巻く状況が刻々と変化しております。また、学校の教育課題は、生徒指導や特別支援教育等にかかわる課題、子供の貧困問題など、複雑化、多様化しております。新学習指導要領で示されている、新たな教育課題の達成という大きな課題もあります。このように、学校だけでは十分に解決することができない課題もふえております。 この課題の解決には、教職員一人一人がみずからの専門性を発揮するとともに、専門スタッフ等の専門性や経験値などを得て、課題の解決を進めていくことが重要であります。そのために、個々の教員が個別に教育活動に取り組むのではなく、組織として教育活動に取り組む体制をつくり上げるとともに、必要な指導体制を整備し、チーム学校を実現する必要があります。それには、教職員や学校内の多様な人材がそれぞれの専門性を生かして能力を発揮できるような体制づくりを行い、学校の教育活動に必要な人、物、お金、情報、時間が一体的にマネジメントされ、活動が促進される学校のマネジメント力の強化が必要不可欠となっております。 こうした中、新潟県教育委員会は、平成20年度から、市町村立学校に勤務する学校事務職員が共同で複数校の事務・業務を効果的・効率的に実施することにより、学校事務の適正かつ円滑な執行、事務機能の強化及び事務処理体制の確立を図るとともに、学校経営全般に係る支援を行い、学校教育の充実を目指すことを目的に、学校事務の共同実施をスタートさせております。また、平成25年1月には、市町村立小・中・特別支援学校事務職員の標準的職務についてを通知し、この通知では、学校事務職員は学校組織マネジメントを成立させるための重要な学校経営担当職員であると述べられております。そして、法改正後の平成29年11月の通知では、学校事務職員は学校経営担当職員として教頭とともに校長を補佐して、学校経営を担いながら共同実施の経営及び企画運営を担う立場であると述べられております。 以上のように、新潟県教育委員会は、国よりも早く、学校のマネジメント機能の強化のため、学校事務の共同実施や学校事務職員の役割の見直しを行い、学校事務の共同実施においては、事務処理における質の向上や、ミス・不正の防止、学校間の標準化による効率化等において、大きな成果が上げられております。また、教員の事務負担の軽減や学校事務職員の学校運営への支援・参画の拡大等においても成果が出ておりますが、本県教育委員会が取り組んでおります学校のマネジメント機能の強化方策とその成果について教育長にお伺いいたします。 続きまして、18歳未満の子供のケアについてであります。 ヤングケアラーとは、家族にケアを要する人がいるために、家事や家族の世話などを行っている18歳未満の子供のことであります。慢性的な病気や障害、精神的な問題などのために、家族の誰かが長期のサポートや看護、見守りを必要とし、そのケアを支える人手が十分にないときには、未成年の子供であっても大人が担うようなケア責任を引き受け、家族の世話をする状況が生じます。世界に先駆けてこうした子供たちに目を向けたのはイギリスであります。 日本では、子供や若者が家族のケアを担うケースの認識自体、まだ十分に広まっておりません。実際、総務省が発表した平成24年就業構造基本調査によれば、同年の介護者557万3,800人の80%近くは50代以上であり、学齢期にケアを担う子供や若者は、こうした介護者の中では見えにくくなっています。介護者の大部分をなしている50代以上は、既に自分の役割、経歴、家族や人間関係、自分自身を築いた上でケアを担います。しかし、18歳未満の子供は、まだ家庭と学校以外のことをほとんど知らない状態でケアに巻き込まれ、自分のしなければならないこととケアの間で葛藤していくことになります。 高度経済成長期以前の子供は、早くから家の内外で働くことを期待されましたが、高度経済成長期から、子供は守られながら自分の知識や経験を広げ、将来に向けて力を蓄えていく存在とみなされるようになりました。もちろんいつの時代にも階層差はありますが、それでも今日の日本人の平均的な感覚として、子供が家族のケアを担うことは、余り想定されておりません。家族の事情でケアを担い、学校生活や人間関係が十分に維持できないことは、ケアをする18歳未満の子供たちを肩身の狭い状況に置いていることになります。未成年の子供は、大人のように働いて稼いで、経済面で家庭内のケアに貢献することはできません。そのため、家族の中にケアとサポートを要する人がいて家庭内の大人が疲弊してくると、子供は家庭を支えるためにも、放課後や夜間のケアにかかわるようになります。要介護者のケアを要する度合いがさらに進んでケアの総量がふえてきても、子供という立場では、その生活を大きく変える判断をすることは難しいことであります。 子供は表には介護者として見えず、みずからもそうした認識を持たないまま睡眠不足や疲労をためていき、それが長期化すると、学校生活や進路にも影響してしまうこととなります。平成25年に医療ソーシャルワーカーの団体、東京都医療社会事業協会の全員に行った、18歳以下の子供のケアに関するアンケート調査の結果、実際に家族のケアを18歳以下の子供が行っていると感じた事例があるかについては、回答者の35.3%に当たる142人が、あると答えました。 具体的な事例の詳細を記述する欄では、142人中134人の回答者が、その子がケアをすることになった理由を自由記述で書いていました。回答では例えば、母親がリハビリで長期入院、父親が仕事で家をほぼあけているためとか、母親が末期がんだったため入退院を繰り返していた、母親は夫と離婚しており、その子が下の弟たちを世話しながら、がんで痛みがあるため十分家事ができない母親のかわりに食事の支度、掃除などを行い、母親の通院・入院時の付き添いや介護をしていた、そのため中学を休むことが多かったなどがありました。医療福祉専門職は、病院の患者やその家族の相談に乗る立場から、18歳以下の子供がケアをする存在を感じていた人たちであります。 では、子供たちに日々接する教育現場では、18歳以下の子供がケアをしていることはどう認識されているのだろうか。こうした問題意識をもとに行われたのが、平成27年の新潟県南魚沼市での調査と、平成28年の神奈川県藤沢市での調査であります。それぞれ市の教育委員会の協力のもと、市内の公立小中学校、特別支援学校の全ての教職員を対象としてアンケートを行いました。 南魚沼市では、市内26校の教職員446人を対象として配付したアンケートに271人が回答を寄せ、そのうち25.1%、68人が、これまでに教職員としてかかわった児童生徒の中で家族のケアをしているのではないかと感じた子供がいると答えました。藤沢市では、市内55校の教職員1,812人を対象としてアンケートを配付し、1,098人が回答しました。藤沢市では、これまでに家族のケアをしているのではないかと感じた児童生徒がいたと答えたのは、回答者の48.6%、534人に及びました。南魚沼市でも藤沢市でも、そうした児童生徒がいたと答えた回答者には、最も印象に残る子供1人について、その詳細を書いてもらいました。 その結果、両市とも、ケアを担う子供は小学校高学年ごろからふえている様子がうかがえました。ケアをしている子供の性別では、両市とも女子のほうが多かった。子供がケアをしている相手として多かったのは、兄弟と母親でした。子供の家族構成については、両市ともひとり親家庭の割合が高目であるという結果になりました。これは、ひとり親家庭で親がケアを必要とする状態になっている場合、子供が家庭のケアを担う状況が生まれやすいことがうかがえます。子供がしているケアの内容については、家事と兄弟の世話が多かったなど、子供がケアをしている特徴が見えてきました。 そして、子供がケアをしていることにどのようにして気づいたかの設問では、圧倒的に多かったのは「子供本人の話」でありました。例えば、きょうの御飯は何にしようかなあと話していたので、毎日夕食の支度をしているのと聞いたら、はいという会話になった。下の子のお世話をしないといけないから、学校を休みがちになっていることを本人が話していたというように、日常の会話や雑談の中で、児童や生徒が何げなく自分から話した場合が多かった。 また、先生が欠席や遅刻の理由を聞く中で明らかになった場合も多く見られた。生徒と面談、保健室での会話、何か問題行動に対する聞き取りの中で明らかになったなどの場合もありました。欠席が続いたときに先生が家庭訪問をするなどして、子供がケアをしていることに気づくというケースはかなりあるようだった。 「保護者の話」では、例えば、面談で生徒の欠席が多いことを言うと、母親が私の病院の付き添いでと言ってわかったなどのケースもあります。「目の前で見た、経験をした」では、学校を勝手に抜け出し、兄弟を保育園に迎えに行っていた、買い物をしている姿を見たことがあるなどでありました。 次に、子供の学校生活への影響を尋ねる設問では、遅刻、早退、欠席、忘れ物、宿題をしてこない、学力が振るわない、衛生面が思わしくない、栄養面が思わしくない、部活などの課外活動ができない、友達やクラスメートとの関係が思わしくないなどでありました。中でも特に多かったのは、欠席と遅刻でありました。ここでは、家族のケアのために自分が学校に行けない、もしくは時間どおりに学校に行けない児童や生徒の存在が示されております。 平成28年9月、18歳未満の子供のケアについて知ろうをテーマとする研修会が南魚沼市役所で開催をされ、小中学校の教員や市の職員が大勢参加されました。この中で、スクールソーシャルワーカーの方が、これまでに経験した3つの事例を解説しております。その中の一事例を紹介しますと、小学5年生のときから料理や買い物や洗濯などの家事をしていた子供の話であります。小学校の運動会のとき、6年生だったその子が3年生だった弟の弁当をつくり、自分の分は間に合わずに遅刻し、運動会の競技に参加できないことがあったとの説明がされました。スクールソーシャルワーカーの方は、研修会の参加者に問いかけます。そのときにその子はどんな気持ちだったか、遅刻してくるその子に、どんなふうに学校や大人たちが声をかけてくれたか。 この子は、その後中学校で不登校になってしまい、スクールソーシャルワーカーと重ねた面談の中で、こんなことをしていましたと初めて話してくれました。スクールソーシャルワーカーは、小学校のときの校長先生にも聞いてもらおうよと提案し、校長も、何でも聞くよと対応してくれました。その中学生は、自分が卒業した小学校の校長室で2時間半、人間ってこんなに泣けるのかというほど泣きながら、これまでのことを次のように話したといいます。これまで学校ではこんなに苦労していた、家ではこんなに大変だった、だから宿題もできなかったし勉強もできなかったし、学校に行くのも嫌になっちゃったし、運動会の競技も自分だけ欠席しちゃったし、苦しかったと言えなかった。でもこういうことをやってきたんだとわかってほしかったと。それを受けて、中学校ではその子の不登校を、これはこの子だけの問題ではないと目線を変え、家族をサポートする視点に立って、必要な支援につなげていったと説明されております。 ケアをする18歳未満の子供たちは、最初のうちは頑張っていても、ケアが長期化するうちに、これ以上は無理だと学校生活を諦めていく場合が多い。学校現場で、18歳未満の子供がケアをしている存在は少しずつ認識されてきているものの、不登校や問題行動などが生じてからでないと支援につながりにくいという状況もあります。南魚沼市のスクールソーシャルワーカーは、子供にまだ自尊感情や自信があって、自分は頑張っていると、ケアをしているうちに気づいてあげ、つながりをつくる、危険水域に行かないうちに、子供が潰れてしまう前につながりをつくり、必要な支援につなげていくことが大切だと言っております。 教育を受ける機会は子供の最低限の権利と考えられておりますが、18歳未満の子供のケアは、その権利が守られていない実態があります。平成25年6月、子どもの貧困対策の推進に関する法律が成立しましたが、これは子供の貧困の議論にも重なる論点であります。 新潟県南魚沼市の各学校では、調査の結果を受けまして、子供のSOSを受けとめる上で小中学校の先生が一番重要になることから、定期的な校内会議が開かれており、そこで気になる子供についての情報が共有され、必要に応じて教育委員会やスクールソーシャルワーカーにつなげております。困難を抱えているかもしれない子供や親を見つける心構えができている学校は、発見が早く、問題が複雑化する前に、外部との連携やスクールソーシャルワーカーへの連絡といった早目の手を打っています。スクールソーシャルワーカーも、困難を抱えているかもしれない子供の見つけ方、親の話の聞き方、支援の仕方、問題行動は子供のSOSなどをテーマに、南魚沼市の学校の教員に向けて研修を行っていると聞いております。 ついては、子供の教育を受ける権利を守る取り組みとして、ヤングケアラーの問題等を含む子供の貧困問題に対しては、高知県においても南魚沼市教育委員会と同様に取り組みが進められているものと思いますが、スクールソーシャルワーカーの活用や学校における組織的な対応の推進の進捗状況について教育長にお伺いをいたします。 次に、新規就農者の支援策についてであります。 新規就農者を支援する国の農業次世代人材投資事業は、就農前の研修期間に年間最大150万円を最長2年交付する準備型と、新規就農者の定着へ就農から最長5年間、年間同額を交付する経営開始型の2本立てで構成しております。全国では平成29年度までの6年間で、準備型8,916人、経営開始型1万8,235人が受給しております。今年度は、年齢を原則45歳未満から50歳未満に引き上げ、親元就農における農地の所有権移転義務を撤廃し、利用権設定でも認め、対象者を拡充しました。 こうした中、新規就農者にとって貴重な資金であります同事業の予算が、昨年度よりも1割以上減額されたことで、自治体や新規就農者から、はしごを外されたなどと憤りの声が広がっております。 桃の産地であります岡山県岡山市北区では、農家以外の出身で当地域に移住した桃農家のAさん、39歳が、支援があっても生活は厳しいけれども、事業のおかげで果樹に挑戦できたと言っております。大手企業を退職し、平成25年に会社員から農家に転身したAさん。子育てもあり、農業への挑戦は不安が大きかったけれども、同事業の準備型、経営開始型の支援があることを見込み、未収益期間の長い果樹に新規参入したと言っております。事業の支援がなければ、アルバイトをして生計を立てるほかありませんでした。しかし、それでは畑に行く時間が減り、技術習得が難しくなります。支援のおかげで畑の作業時間を獲得することができ、地域の人の信頼にもつながり、技術のレベル向上も早くなりました。経営開始型は、5年の支援期間があることから長期的な計画を立てることができ、機械にも投資できました。それだけに、今年度の受給がどうなるかわからないという状況にAさんは、はしごを外された思いです、農政への不信感でいっぱいですと憤っております。 また、農家以外の出身で同市に移住し、桃で就農を目指すBさん、40歳も、今年度から経営開始型を受給する予定でありましたが、予算の減額により不透明になりました。国の支援を頼りに就農を決断した人に、予算がないからやっぱり支給しないという言い分が通用するのかと、険しい表情を見せております。 岡山県は、平成5年から独自の研修カリキュラムを組み、農家出身でない若者もプロ農家になれるよう、産地が一体となって支援してきました。きめ細かなサポートで、過去5年間、研修終了後の営農継続率は100%に達しております。当初の営農継続率は6割台でありましたが、近年は同事業を生かし、門戸を狭くして就農準備をしっかりし、地域の担い手になる人材を見きわめて支援してきたことが奏功しております。 その岡山県は、要望額に比べて約1億3,000万円、昨年度実績に比べて約4,000万円少ない配分となりました。受給者リストをつくって要望したことから、現状の配分額では継続者と新規採択者ともに、支給できない人が出る見通しであります。岡山市は、相談会では生活を支える制度があると説明してきました、農水省は補正予算などで予算の確保をしてもらわなければ困る、極めて重大な課題で、あり得ないことですと不満を募らせております。 予算減額への憤りや疑問の声は、各地から続出しております。要望額に比べて1億円近く、昨年度実績に比べて約1,000万円少ない配分となりました兵庫県は、足りないことは明らかで困惑している、この配分額では対応できないと訴えております。また、要望額から約8,000万円、昨年度実績に比べて約5,000万円少ない配分となりました岐阜県では、希望しても交付できない新規採択者が出てくる、非常に厳しいと困惑しております。 全国的に国の農業次世代人材投資事業の予算配分が削減され、農政への不信感が高まってきていると思いますが、本県が進めている新規就農者の確保対策にどのような影響が出ると考えているのか、あわせて県の今後の対応策について農業振興部長にお伺いし、私の1問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 明神議員の御質問にお答えをいたします。 まず、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備について、地元の住民の皆様の御不安を解消し、一層の御理解を得て早期に整備するために、地域の振興策を含めどのような方針で取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 新たな処分場の整備につきましては、私として、佐川町加茂を新たな管理型産業廃棄物最終処分場建設予定地として決定させていただき、先月31日、佐川町及び佐川町議会に対しまして、施設整備の受け入れについて正式に申し入れを行わせていただき、一昨日には佐川町長及び佐川町議会議長から、地域住民の安全の確保や生活環境の保全、不安の解消を図ることなどを前提として、施設の受け入れを受諾する旨の御回答を正式に文書で頂戴いたしました。 佐川町、佐川町議会の皆様におかれましては、管理型産業廃棄物最終処分場の受け入れという大変重い課題に関して真摯に御検討いただき、受諾賜りましたことに対しまして、改めて心より厚く御礼を申し上げる次第でございます。 県としましては、これまでも住民の皆様の御理解が最優先であると考え、誠意を持って対話を重ね、できる限り丁寧に説明を行うよう努めてまいりました。その中で、例えば地下水への影響など、さまざまな御不安の声に対しまして、一つ一つ御説明を重ねてまいりました結果、施設の安全性への御不安の声は減少するなど、一定の御理解が得られつつあるのではないかと受けとめております。しかしながら、川の増水や地下の空洞の有無など、依然として施設の安全性や周辺の生活環境について住民の皆様に御不安や御不満の声が残っていることを、県として重く受けとめております。 本日提出いたしました議案をお認めいただけましたら、速やかに施設整備に向けた基本設計、地質調査などとともに、周辺対策、地域振興策に係る取り組みに着手してまいりたいと考えております。その際には、以下の方針に沿って対応してまいりたいと考えております。 まず第1に、客観性を担保するとともに、専門的かつ高度な知見や最新の技術等を生かすため、専門家、有識者の参画を得て取り組んでまいります。このため産業廃棄物処理、地質、防災等の専門家から成る施設整備専門委員会を設置させていただくなどしていきたいと考えております。 第2に、節目節目で情報を公開させていただくとともに、調査結果などを住民の皆様に丁寧に御説明させていただきたいと考えております。住民の皆様の御不安や御不満をしっかりと解消していくために、速やかに地質調査などの詳細な調査や設計等を進め、結果をわかりやすくお示しいたします。 第3に、今後のプロセスにおいて、例えば進入道路の再検討や地域振興策の検討に当たって、町や住民の皆様の御意見をできるだけ反映させていただくよう努めてまいります。 第4に、こうした取り組みにつきましてはいずれも一定の年限が必要となりますので、しっかりと書面で確認させていただき、行政組織間での正式なお約束とすることにより、後々に至るまでその約束が担保されるようにしたいと考えております。 最後に、こうしたさまざまな取り組みは、県と町とで連携・協調して進めていくことが非常に大事だと考えております。そのため例えば、町からの御要望を踏まえ、県職員を町に派遣させていただくなどの対応をとらせていただきます。さらに、町からの御指摘、御要望をしっかりと尊重して対応してまいります。こうした取り組みにより、新処分場の早期整備に向けて、地元住民の皆様に一層の御理解を賜るよう丁寧に取り組んでまいります。 次に、エコサイクルセンターの埋め立てが終了する時期までに、新たな施設を稼働できるよう整備を進めなければならないが、どのように取り組むのかとのお尋ねがありました。 管理型産業廃棄物最終処分場は、県内事業者の経済活動を下支えする大変重要な施設であり、仮に現在のエコサイクルセンターの埋め立てが終了する時期までに後継となる施設が完成していなければ、県経済、ひいては県民生活に多大な支障を来すことが懸念され、早急な施設整備が必要不可欠であります。 現段階の予測によると、現在のような廃棄物の搬入状況が続けば、3年10カ月後の令和5年3月末にも満杯となる見通しとなっている一方で、新たな施設の建設には、測量、地質調査、設計、各種許認可などの手続、建設工事などに最低でも4年程度を要することから、新たな施設の完成時期は、現施設の埋め立てが終了となる見通しの時期を既に超えてしまっている状況にあります。また、東京オリンピックやパラリンピック、大阪万博開催などに伴う、近年における建設資材の需要の逼迫などによる工期のおくれなども見通していく必要があると考えております。 このため、埋立終了の時期を少しでも延ばせるよう、エコサイクルセンターの埋立量の約3分の1を占めている廃石こうボードについて、関係団体等と連携して、現在廃石こうボードを搬入している事業者に対し、県外のセメント工場でのリサイクルに関する情報提供を行い、リサイクルの推進への協力を呼びかけるなどの取り組みを行ってきたところです。さらに、その他の廃棄物についても、現在排出事業者やリサイクル事業者を戸別訪問して、リサイクルへつなげられるよう協力を依頼するなど、より一層のリサイクルの推進に取り組んでいるところです。 一方、リサイクルの推進にもコストがかかり、また一定の技術的限界もあるところでありますので、あわせまして施設整備を進める中においても、設計、調査、各種許認可等の手続などの業務を同時並行的に行うなど、各種工程を工夫するなどして、少しでも工期短縮を図ってまいります。 現施設の延命化と工期の短縮により、県内の経済活動と住民生活に支障が生じないよう、全力で取り組んでまいりたいと考えるところであります。 私からは以上でございます。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) まず、本県の児童相談所が相談対応した児童虐待の件数や、48時間ルールへの対応状況などについてお尋ねがございました。 平成29年度の児童相談所における児童虐待に関する相談受け付け件数は、前年度比8.6%増の453件となり、このうち虐待として対応した認定件数は、前年度比12%増の326件となっております。認定件数の増加につきましては、児童虐待に対する県民の皆様の関心が高まるとともに、子供の目の前で保護者が暴力を振るった心理的虐待の事案について警察からの通告が増加したことが要因であると考えております。 48時間ルールの対応状況につきましては、本県の児童相談所では、虐待の通告があれば全てのケースについて、48時間以内に子供の安全確認を行っております。しかしながら、近隣からの子供の泣き声が聞こえるといった通告の場合、場所などの情報が明確でないことも多いため、子供をなかなか特定できないという課題もあります。このため、市町村や関係機関と連携して、日常的な子供の見守り体制のさらなる強化に取り組んでまいります。 また、虐待の緊急性を判断するためのリスクアセスメントシートについては、本県では平成27年の極めて痛ましく残念な死亡事案の発生直後に一時保護の基準を明確化するため、緊急アセスメントシートの見直しを行っております。これにより、虐待通告のあった全てのケースについてリスクアセスメントを実施し、児童相談所が子供の安全の確保を最優先に考え、ちゅうちょすることなく一時保護などの権限を適切に実行できるよう取り組んでいるところです。 さらに、虐待通告後に在宅で支援することとした全てのケースについても、定期的にアセスメントシートを用いたリスクの評価を行っております。今後も、国の動向や他県の取り組み等を注視し、必要に応じてアセスメントシートのさらなる充実を図ってまいります。 次に、体罰禁止の社会への啓発活動の充実や、保護者が体罰に頼らない具体的な子育てを学べる場の提供についてお尋ねがございました。 現在、国においては、法改正により体罰禁止を明確化するとともに、体罰によらない子育てを推進するためのガイドラインを作成し、その普及啓発に取り組むこととしております。県としましても、市町村を初め県内各地域の子育て支援の場や保育所、幼稚園、学校などと連携して、体罰のない子育てを推進していくことが大変重要であると考えております。 体罰禁止の啓発活動については、毎年11月に実施しているオレンジリボンキャンペーンや、同時期に開催予定の虐待防止フォーラムなどで、体罰が子供の発達に与える影響なども含めて周知を図ってまいります。あわせて、家庭における適切な子供への接し方についてわかりやすく紹介するため、リーフレットの配布を初め、妊娠・出産・子育てに関するさまざまな情報を提供するこうちプレマnetやSNSで、広く情報発信を行ってまいります。 保護者が具体的な子育てを学ぶことができる場の提供については、地域子育て支援センターの講習会を初め、乳幼児健診での育児相談や、保育所、幼稚園、小中学校の保護者向け研修会などのさまざまな場を活用して、体罰のない子育てについて理解の促進に努めてまいります。 最後に、虐待に至った親たちへの回復支援について、他県での効果的な取り組みを本県にも導入すべきではないかとのお尋ねがございました。 虐待に至った保護者への支援を充実させていくことは、虐待の世代間連鎖を断ち切るという観点から非常に重要であります。このため現在、保護者支援に関する多様なプログラムが開発されており、全国の児童相談所において、プログラムを活用した専門的な支援が行われているところです。議員から御提案のありましたMY TREEペアレンツ・プログラムは、支援が必要な保護者10人程度でのグループワークや個別の面談などを実施しながら、約半年間かけて親子関係を修復するものであり、子育て不安や孤立などを背景に子供を虐待した保護者を支援する有効な手法であるとお聞きをしております。 現在、本県の児童相談所では、主としてサインズ・オブ・セーフティー・アプローチという考え方を用いた保護者支援を行っております。このプログラムは、保護者が児童相談所の職員と一緒に家庭の課題などについて整理し、子供の安全・安心を確保するために何が必要なのかを明確にした上で、保護者自身が主体的に改善していくことを支援するものでございます。 児童相談所ではさまざまな事案に対応しており、保護者の支援にも多様さが求められますため、御提案いただきましたプログラムが活用できますよう、導入に向けて職員研修などに取り組んでまいりたいと考えております。今後とも、個々の家庭のニーズに応じたプログラムを活用することで、具体的な行動変容につながるよう、保護者支援の充実に努めてまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、教育委員会が取り組んでいる学校のマネジメント機能の強化方策とその成果についてお尋ねがございました。 本県では、高知県教育大綱などのもと、校長が示す学校経営ビジョンを全教職員が共有し、学校教育目標の実現や教育課題の解決を組織的に図るための学校経営計画を、全ての公立学校で策定しております。そして、校長のリーダーシップのもと、この学校経営計画について、PDCAサイクルを回しながら取り組みを進めております。 県教育委員会では、各学校の計画が着実に実施されるよう、学校経営アドバイザーを派遣し、各学校の進捗状況を確認しながら必要な指導や支援を行っております。これらのことにより、各学校においては組織マネジメントの考え方が定着してきており、全教職員がベクトルを合わせて取り組みを推進する体制が構築されてきております。また、学校の組織的な運営を担う管理職に対しては、新たに任用した校長や副校長、教頭を対象に、組織マネジメント力を高め、管理職としての資質・指導力の向上を図る研修も実施しているところです。 さらに、議員からお話のありました学校事務体制の強化については、第2期教育振興基本計画に位置づけ、現在14の教育委員会で設置されている共同学校事務室のさらなる設置促進や、学校事務職員の学校経営への参画に取り組んでおります。このことにより、学校事務の適正化、効率化が図られ、教職員が子供に向き合う時間が拡大するなど、学校運営体制の強化につながってきております。また、学校事務職員につきましても、県教育委員会事務局と学校との人事交流を積極的に進めるとともに、今年度から事務局内の2つのチーフ職に学校事務職員を配置するなど、経験する業務の範囲を拡大しながら人材育成にも取り組んでおります。 県教育委員会といたしましては、こうした一連の取り組みの充実強化を図ることで、それぞれの学校が組織マネジメント力を発揮し、授業力の向上や生徒指導の充実などに成果を上げることができるよう支援してまいります。 次に、子供の貧困問題に対する、スクールソーシャルワーカーの活用や学校における組織的な対応の進捗状況についてお尋ねがございました。 不登校やその他の生徒指導上の諸課題の背景や要因は、多様化かつ複雑化しており、その一つに、ヤングケアラーの問題を含む子供の貧困や家庭の問題があります。このため学校においては、外部専門人材を活用してその背景、要因を的確に見きわめ、組織的に対応していくことが重要であり、児童相談所などの関係機関等と連携した支援も必要となってまいります。 本県では、児童生徒の家庭環境に関する課題に対して、スクールソーシャルワーカーと協働して対応していく取り組みを推進しており、スクールソーシャルワーカーの配置を開始した平成20年度以降、その拡充に努め、本年度は県内全ての35市町村と学校組合及び県立学校24校に、延べ97人を配置しております。この配置率は全国的に見ても非常に高く、教職員等にも、スクールソーシャルワーカーの福祉的な視点からの支援や助言が有用であるという認知が進み、各学校でスクールソーシャルワーカーが積極的に活用されています。そして、全ての公立学校において、平成29年度から、スクールソーシャルワーカーなどの見立てを活用して、児童生徒への支援について多角的に協議し情報共有する校内支援会を、月に1回以上定期的に実施するよう推進しております。この校内支援会の定着によって、教職員が個人で問題を抱え込むことがなくなり、より専門的で適切な支援が充実しております。また、こうした組織的な取り組みの実効性を高めるための関係者による合同研修会も、平成28年度から毎年実施しております。 今後も、これらの取り組みを継続するとともに、ヤングケアラーの問題に着目した南魚沼市教育委員会の取り組みなど、他県の効果的な取り組みも参考にしながら、児童生徒の抱える問題をさらに広い視点で捉え、より一層の充実を図ってまいります。   (農業振興部長西岡幸生君登壇) ◎農業振興部長(西岡幸生君) 農業次世代人材投資事業の予算削減による本県への影響と今後の対応策についてお尋ねがございました。 本県では、地域で暮らし稼げる農業の実現を目指し、年間320人の新規就農者の確保・育成を目標に、産地提案型の担い手確保対策などに取り組んでおり、農業次世代人材投資事業は、農業を始める意欲と能力のある方に対し、就農前の研修や就農直後の経営確立を支援する資金を交付することから、目標達成を図る上で極めて重要なものとなっています。 本県での交付実績については、事業が創設された平成24年度から29年度までの6年間において、就農前の研修期間に最長2年間交付される準備型を162人が受給しており、また就農後の営農定着のために最長5年間交付される経営開始型を424人が受給しています。このような交付実績もあり、本県の新規就農者数は直近3年間で毎年270人前後となっており、また経営開始型を受給した方の98%が農業に定着しているなど、新規就農者の確保・育成に大きく寄与しています。 しかしながら、今回の唐突な予算配分の削減は、新たに研修を開始する方には、給付を受けることができるかどうかの不安を与え、研修開始を断念させるおそれがあります。また、既に経営開始型を受給している方には、今後の農業経営に不安を与え、離農につながるおそれがあるなど、本県が進める産地提案型の担い手確保対策に大きな影響を及ぼす懸念があります。 このため、県では、本年4月に国への緊急提言を行い、本年度の事業の実施に必要な予算の確保と、来年度以降の事業の継続及び十分な予算の確保を求めるとともに、国の事業担当者に対し、本年度の事業が確実に実施できるよう追加配分の要請も行ったところです。 さらに、四国知事会が行う国への提言にも、本県からの呼びかけにより、本年度の事業の実施に必要な予算の確保などの項目が盛り込まれることとなりました。引き続き、他県とも連携しながら、あらゆる場を活用して事業の実施に必要な予算の確保に努めてまいります。 ◆15番(明神健夫君) それぞれ丁寧かつ前向きな御答弁をありがとうございました。 1点だけ要請ですけれども、今御答弁のありました新規就農者の確保対策につきまして影響が出ないよう、予算の確保に一層努力をしていただきますよう要請をいたしまして、私の一切の質問といたします。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(桑名龍吾君) 暫時休憩いたします。   午前11時18分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(弘田兼一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 31番上田周五君。   (31番上田周五君登壇) ◆31番(上田周五君) 県民の会の上田周五でございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い順次質問をいたします。 令和最初の定例会で質問の機会を与えていただき、光栄に存じております。天皇陛下におかせられましては、風薫るよき日に御即位あそばされましたことは、まことに慶賀にたえないところであります。世界の平和と我が国の繁栄が一層進展し、令和の世が幾久しく続きますよう、心からお祈り申し上げます。 さて、知事は提案説明の冒頭、この新たな時代の始まりを受け、県といたしましても、改めて県勢の発展と県民福祉の向上に向け、最善の努力を尽くしてまいる所存でありますと力強く述べられました。令和元年度の県政運営に大いに期待するところでございます。 それでは、本題に入ります。まず、知事の訪中についてでございます。知事は、ことし4月24日から29日にかけて、自民党の二階俊博幹事長に同行し、中国を訪問されています。今回は北京に滞在し、現地の大学で、本県が取り組む防災事業の紹介や本県への観光客誘致に向けたトップセールスを行うことが主な目的でありました。そして一方で、二階幹事長と中国要人との会談に同席されております。24日は、北京市で開催された巨大経済圏構想、いわゆる「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラム結団式へ、そして北京の人民大会堂での習近平国家主席と自民党の二階幹事長との会談に、尾崎知事も同席されました。この模様は全国ニュースで取り上げられました。 そこで、お聞きをします。会談に同席され、間近に見られた習近平国家主席の印象はどうであったのか、知事にお聞きをいたします。 また、提案説明で中国でのトップセールスの成果に少し触れられていますが、今回の訪中で得られました成果、また将来的に本県にとってどのようなメリットがあるものと考えられているのか、知事にお聞きをいたします。 また、今回は知事選挙を直前に控えている中での訪中であり、加えて二階幹事長に同行し、北京滞在中はほとんど二階氏に帯同していることなどから、県民の皆様からは、1つには国政進出への布石ではないのかとの見方もございます。 知事は、今月7日の記者会見では、次期知事選への態度表明を6月議会で見合わせるとのお考えを明らかにされております。そうしますと、知事選への態度表明はいつごろを考えられているのか、知事にお聞きいたします。 知事を支持されております多くの県民の皆様の最大の関心事でございますので、御答弁よろしくお願いいたします。 次に、新たな管理型産業廃棄物最終処分場についてでございます。今議会の提案説明において知事は、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備について、佐川町加茂を建設予定地として決定した経緯や、先月31日、佐川町及び佐川町議会に対しまして施設整備の受け入れについて正式に申し入れたこと、そして今月12日に開かれた佐川町議会の全員協議会で賛成多数で新たな施設を受け入れる方針を決定されたことを説明され、今後仮にありがたくも町から受け入れを承諾する旨の回答をいただけましたならば、施設整備に向けて測量調査や地質調査、基本設計などに着手してまいりたいとの考えも示されました。 そして、地元佐川町が新たな施設を受け入れる方針を決定され、17日には町長と町議会議長から、施設整備を受け入れる旨の回答文書が知事に提出されました。まずは、施設整備の受け入れ、大変大変重い重い御決定をしていただいた佐川町、佐川町議会、地元住民の皆様に対しまして、心より敬意と感謝を申し上げるものでございます。 今後、ボーリング調査など本格的な現地調査に入っていくことになると思われますが、改めて新たな管理型産業廃棄物最終処分場の建設の今後の具体的な整備スケジュールについて、日高村のエコサイクルセンターの現状とあわせて林業振興・環境部長に御説明をいただきたいと思います。 次に、本年2月の定例県議会において、大野議員の、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備に関して、国道改良や河川改修など、地域の社会基盤整備の道筋をしっかりと住民に示した上で議論を進めることが必要だとの質問に対して、知事は、県として地域住民の皆様の不安を解消するための取り組みを行っていくこととあわせて、受け入れていただく地域の振興にもつながるような取り組みも検討していく必要があると御答弁されております。 そこで、地域の皆様が御不安に思われている社会基盤整備の具体的な箇所と、その整備に関する道筋について知事にお伺いをいたします。 また、知事が社会基盤整備とあわせて検討するとされた地域振興策に関する地元住民や自治体との今後の協議スケジュールについて、あわせて知事にお伺いをいたします。 特に国道33号のいの町から佐川町区間におきましては、慢性的な渋滞とあわせて、ところどころ道幅が狭く、従来から安全性が課題となっており、西バイパスの延伸や産業廃棄物最終処分場の整備に伴う大型工事車両の往来などにより、今後ますます住民の皆様に不安や不便を来すことが考えられますので、早期にしっかりとして抜本的な取り組みを行うよう強く要請をさせていただきたいと思います。 次に、令和時代の経済展望についてでございます。人口減少が続く中、財政再建や貿易摩擦の解消、金融政策の正常化など、平成から多くの宿題を引き継いだのが令和の日本経済であると思っております。令和時代の当面する経済課題として、ことし10月に予定される消費税率10%引き上げ及び来年7月に開催される東京五輪終了後の国内景気への影響、そしてアベノミクスの原動力である日本銀行の大規模金融緩和の問題などが挙げられます。 中でも、令和時代の日本経済を展望したとき、財政危機を避けることができるのかが最大の問いの一つだと考えています。団塊の世代が全員75歳以上になり医療や介護費用が急増する2025年問題を乗り切れるかどうか。そして、2019年度国の一般会計当初予算は初めて100兆円超となりましたが、3割以上は借金で賄われています。平成の30年間で歳出は、社会保障費の増などで1.5倍に膨らみました。国と地方合計の債務残高の対GDP--国内総生産比は約2.4倍と、先進7カ国で断トツの1位であります。経済の専門家は、財政悪化の最大の要因である社会保障費を大幅に削減するか、消費税率を20%前後まで引き上げるといった負担増をやらない限り、いずれ国内の貯蓄では国債を消化できなくなると指摘をされています。 また、安倍政権が進めてきた大幅な金融緩和は、今、出口が見えない状況に置かれていると言われています。そして、我が国の景気について、内閣府が先月13日に公表した3月分の景気動向指数の基調判断で、これまでの下方への局面変化から悪化に引き下げられました。このことは景気が後退している可能性がより高いことを示しているものとされており、悪化の判断は、2013年以来、6年2カ月ぶりのことでございます。中国経済の減速が大きく影響していると指摘されています。また、6月上旬に全国の有力紙が主要企業を対象にしたアンケートで、米中の貿易摩擦を懸念し、国内の景気が足踏み状態にあると答えた企業が57社に上っています。 こうしたさまざまな課題がある中、新たに始まった令和の時代の日本経済の先行き、特に財政面での課題を知事はどのように見ているのか、お聞きをいたします。 次に、消費税増税対策についてです。消費税を増税することに対し、多くの国民はもろ手を挙げて賛成とはまいらないと思います。負担増や景気への悪影響に懸念が根強いことから、この10月に予定されている10%引き上げに反対する人が、直近の調査でも60%に上ることがわかっております。また、金融庁が老後に夫婦で2,000万円の蓄えが必要との試算をしたことで、国民の年金不安、老後不安が一気に募り、個人消費がますます冷え込むことも予想されると思います。 そのような中で、政府は今月11日に経済財政諮問会議を開き、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針の原案をまとめております。今回の方針ではポイントの一つに、10月に消費税率引き上げを予定、教育無償化や軽減税率の実施、予算や税制措置で需要変動の平準化を図ることを挙げております。そして、現実問題として、ことし10月からスタートする消費税軽減税率制度への受け入れ準備も着々と進んでおりますし、教育無償化についても遺漏のないよう取り組まれております。 知事は、これまでも消費税の増税に関しては、国、地方を通じた厳しい財政状況や急速に進む少子高齢化という現状に鑑みれば、社会保障制度の充実強化を図り、かつ持続可能性を確保するために、消費税率の10%への引き上げはやむを得ないものとの認識を示されておりますが、現時点でもそのお考えに変わりはないのか、知事にお聞きをいたします。 次に、消費税は10%への税率引き上げ時期が10月に迫っております。景気の停滞感が強まる中、政府・与党は予定どおり実施する前提で動いていますが、一部に延期論もくすぶっています。予定どおり10月に税率が引き上げられた場合、国においては、国民の消費税増税は景気に悪影響を与えるといった懸念が根強くあることなどから、軽減税率制度の実施や消費者へのポイント還元支援など、税制や予算面であらゆる施策を講じながら対応する方針を示されております。 高知県におきましても、消費税増税後の経済対策が県民の皆様にしっかりと届くようにしなくてはならないと考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。 次に、地方分権改革についてお聞きをいたします。地方のことは地方で、地方自治体にとって平成の時代は、地方分権が進んだのが一つの特徴だろうと考えます。地方分権改革は大きく第1次地方分権改革と第2次地方分権改革とに分かれます。第1次分権改革は小渕内閣時でありますが、平成11年7月、住民に身近な行政サービスはその地域で決められるようにと地方分権一括法が成立。その概要は、知事や市町村長を国の機関として国の事務を処理させる仕組みである機関委任事務の廃止と事務の再構成、及び国の関与の新しいルールの創設、そして農地転用を初めとする国から都道府県への権限移譲などでございます。 また、第2次分権改革では、生活者の視点に立った地方政府をつくっていくことを目指し、地方の自由度の拡大、住民に身近な市町村の強化などを図っていくとして、義務づけ・枠づけの見直し、いわゆる地方に対する規制緩和、及び国から地方への事務・権限の移譲など、そして都道府県から市町村への事務・権限の移譲、さらに国と地方の協議の場の法制化などが進められました。 具体的には、国から地方公共団体への事務・権限の移譲として、看護師など各種資格者の養成施設等の指定・監督等や商工会議所の定款変更の認可、そして自家用有償旅客運送の登録・監査等が、さらに都道府県から指定都市への事務・権限の移譲等で、病院の開設許可や都市計画マスタープラン決定などが進められました。 このように、平成の時代は地方分権改革が一定の成果を上げられたものと存じますけれども、まだまだ道半ばだと思います。今、住民自治の視点に立ったとき、現代社会は、過疎化、少子高齢化が進む中で、住民の地域への帰属意識が薄れ、かつては地域の人たちの手で担われていたことを行政に委ねられるなど、公共的な分野における住民自治の主体的な活動範囲が非常に狭くなり、政治や行政と住民の距離が遠ざかっているように感じます。 こうした状況の中で令和の新しい時代においても、県内広域市町村圏の進化と地方自治の本旨の明確化を進め、地方自治の充実に挑戦していくためにも、これからの地方分権改革は、住民にとって一番身近な市町村において、さまざまな創意工夫を生かすことができ、かつそのための財源がしっかりと保障されるものでなくてはならないと考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。 次に、地方自治体の一般職員数に関することでございます。財務省は、先月22日、財政制度等審議会分科会で地方財政改革案を議論する際、警察官や消防士、教師らを除いた地方自治体の一般職員数に言及し、2025年には約3万人減らせるとの試算を提案されました。その考え方、理由は、全国の都道府県や市町村で働く職員は2005年から2010年ごろに大幅減少、だが2014年4月の90万9,000人弱を底として増加に転じ、2018年4月には91万9,000人になっていることから、今後の人口縮小ペースに合わせると、人口1,000人当たりの職員数を2018年の水準のまま据え置くと仮定し、3%、約3万人の削減幅を例示されました。 そもそも地方自治体の一般職員数は、個々の自治体ごとに職員定数条例の枠の中で定数を管理されており、また類似団体の職員数などを考慮して決められています。過疎化、高齢化が急激に進行する中山間地域を多く抱える高知県の市町村などは、地域地域の実情が全く異なっており、国の言う人口1,000人当たりの職員数を2018年水準のまま据え置くことは困難であり、こうした国の考え方は本県にはなじまないと思いますし、極めて機械的で乱暴ではないのかと思います。 今回の財務省の地方職員3万人減可能との試算についてどのように受けとめられているのか、知事にお聞きをいたします。 次に、教育の問題でございます。 まずは、地方創生に関する有識者会議の報告書についてです。私は、平成28年2月の予算委員会で、地方創生の取り組みにおいて、教育の力を高めることが重要ではないのか、若者の流出をとめる教育力を高めることが重要ではないのかとの視点で、自分たちの住んでいる地域に魅力を感じ、地域のよさを発見する力をつけることにより、将来県外へ出られても、スキルやノウハウを身につけて地域に戻って貢献したいという志を持つ若者を育てることが肝要ではないのかとの質問をしました。 そうした中で、先月23日、地方創生に関する政府の有識者会議が公表された、地方創生の第2期となります2020年から2024年度までの施策の報告書では、次代を担う人材育成に重点的に取り組むよう提言、そして高校生を対象に地域の産業や文化への理解を深める教育を実施をポイントに挙げ、高校生を対象に地域の産業や文化への理解を深める教育をすれば、進学や就職で首都圏に転出しても将来的なUターンが期待できるものと強調されています。政府は報告書を踏まえ、2020年度以降の方向性を示す、まち・ひと・しごと創生基本方針をこの6月に閣議決定し、年末には具体策を明記した総合戦略をまとめる方針でございます。 今回、さきに述べたような形で、政府の地方創生基本方針に、高校の舞台に次代を担う人材を育成することが盛り込まれる予定でございますが、こうした国の方向性に沿って今後高校教育をどのように進めていくのか、教育長にお聞きをいたします。 次に、子育て支援の環境の充実についてでございます。幼児教育・保育の無償化を実施する改正子ども・子育て支援法が成立、本年10月から開始されます。改正案のポイントは、3歳児から5歳児までは原則全世帯、ゼロ歳児から2歳児までは低所得者世帯が対象、さらに国の基準を満たさない、ベビーシッターなど認可外保育所などに、経過措置として5年間は一定の額の範囲で費用が補助されます。この制度は、法の成立から開始までが5カ月足らずと準備期間が短いことに加え、制度そのものが複雑であることなどから、対象施設の把握や給付に関する作業が間に合うかなど、実務を担当する自治体の混乱も懸念されております。 高知県内の市町村のマンパワー不足が否めない中で、この短い期間において、対象世帯へのわかりやすい説明など制度の周知徹底を図っていかなければならないと考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、教育長にお聞きをいたします。 次に、スマートフォン問題についてでございます。高知県教育委員会の高校生を対象にした、携帯電話やスマートフォンなどの情報端末の利用に関する調査結果で、平日の一日に3時間以上使う生徒が高校で45%に達していることがわかりました。スマホやゲームの長時間利用による弊害は既に顕在化しております。 全国学力・学習状況調査の結果で、高知県、全国ともに、使用時間が長ければ長いほど正答率が低い傾向が判明。また、視力1.0未満の小中学生は増加の一途をたどっており、近距離での画面の見過ぎが要因の一つとされております。また、今月14日には、日本小児眼科学会と日本弱視斜視学会が、短期間のうちに片方の目の瞳が内側に寄って左右の目の視線がずれる急性内斜視が、最近子供や若者の間で多発しているおそれがあるとする調査結果を発表されました。スマートフォンなどの長時間使用が影響している可能性があるとの指摘でございます。 スマホの危険性については、子供たち自身が主体的に自己コントロールを考えていくことはもちろんですが、保護者が責任を持って管理していくことが大切であると思います。そして、家庭でのルールづくりやフィルタリングの設定など、子供を守る意識をしっかり持ってほしいと存じます。 今回の厳しい結果を受け、スマホやゲーム機器の適切な利用について周知を図っていくべきと考えますが、教育長にお聞きをいたします。 次に、日本や高知の未来を切り開く人材についてであります。第2期高知県教育振興基本計画では、少子高齢化が著しい高知県が今後も活力を維持していくためには、郷土への愛着を大切にしながら、グローバルな視点を持ち、高い志を掲げ、産業、経済や地域福祉、さらには、文化、コミュニティーなど多くの分野で地域の将来を担う人材が求められているとし、郷土への愛着と誇りを持ち、高い志を掲げ、日本や高知の未来を切り開く人材の育成を基本理念に掲げています。 そこで、自尊感情、夢や志、思いやり、規範意識、公共の精神などを持っている児童生徒の割合を指標とし、主体的・対話的で深い学びを基本とした事業を進めていくなどの高知らしい取り組みが求められていると思うが、どのように未来を切り開く力を育んでいくのか、教育長にお聞きいたします。 次に、高等学校で目指す今後の英語教育の方針についてでございます。教育振興基本計画では、「高等学校においては、これまで知識・技能の習得を目的とした一方通行的な授業が主流であったことから、思考力や判断力、表現力などを生かして主体的に考える力の育成が十分ではなかった。このため、小中学校の対策と同様に、課題の発見から解決に至るまでの主体的・協働的な深い学習の過程を実現することが求められているとし、探究的な授業づくりの推進や、地域や大学等と連携した地域課題解決型の学習などに、チーム学校として組織的に取り組む」とされています。 そして、「グローバルに活躍できる人材を育成するため、推進校において探究型学習と英語教育に関するグローバル教育プログラムを開発・実践し、その成果を県内の県立高等学校に普及します」とあります。 その意味で、世界の多様な人々と共生し、グローバル社会で主体的に活動できるためには、語学力を育成することが重要だと考えます。高等学校で目指す今後の英語教育の方針について教育長にお聞きをいたします。 この項最後に、生涯学習社会についてでございます。第2期高知県教育振興基本計画では、県民が生涯にわたり学び続けていくことは、社会が急速に変化し個人の価値観が多様化していく中で、一人一人が自己実現を図りながら心豊かな人生を送っていくために大変重要であるとの認識から、生涯にわたって学び続ける環境をつくる、このことを基本方向の施策に掲げております。そして、特に高齢化が急激に進む中、今後ふえ続けるシニア層の力を社会のために生かしていくことは、社会の活力の維持・向上に寄与するだけでなく、本人たちの生きがいづくりにもつながりますとも明記され、その対策として、生涯学習の推進体制を再構築していくとされています。 こうした中、2016年版の厚生労働白書によりますと、60歳以上の65.9%が、65歳を超えても働きたいとの希望を持っています。本県もこうした方がたくさんいらっしゃるのではと思います。 こうしたことから、シニア層の力を社会のために生かしていくためにも、生涯学習の場において、例えばおおむね60歳以上の県内在住者を入学対象に土佐シニアカレッジあるいは高齢者大学を開設するなど、学びや活躍の機会を充実させ、高齢者が活躍できる場を拡大すべきと考えますが、教育長の御所見をお聞きいたします。 次に、高齢者福祉についてでございます。 まず、民生委員についてです。地域住民の相談員となる民生委員が本年12月で改選されます。高齢化や地域のつながりが薄れたことを背景に、なり手不足が懸念されております。民生委員は、民生委員法で定められた無報酬のボランティア、児童福祉法が定める児童委員も兼ねています。厚生労働省の調査では、2017年度の民生委員1人当たりの平均活動件数は、高齢者や障害者宅への訪問などが165回、学校や地域の行事への参加などが115件、年間活動日数は平均131日。年代別では、全国民生委員児童委員連合会が2017年度に行った調査によると、2016年4月現在で60代が56%、70代以上が32%と、高齢化が深刻になっています。また、定数に対する民生委員の人数を示す充足率は、厚生労働省の調査では2017年度末時点で97.3%で、民生委員のいない地域もございます。 そこで、お聞きをいたします。本県の民生委員の充足率はどうなっているのか、またその活動状況はどうなっているのか、あわせて地域福祉部長にお聞きをいたします。 次に、先ほど申し上げましたが、民生委員のなり手不足が懸念されています。高齢化が急激に進み、ひとり暮らしの高齢者がふえ続けることが予想されている中で、地域にネットワークを張りめぐらせて困っている人を見つける民生委員の役割は、ますます重要となっています。 そうした中、本年12月には民生委員が改選されます。空白地域が出ないよう、なり手確保に取り組まなければなりません。このため県として、どういった取り組みを考えているのか、地域福祉部長にお聞きをいたします。 次に、ICTを活用した高齢者福祉のまちづくりについてでございます。国立社会保障・人口問題研究所が本年4月に公表した、2040年までの都道府県別世帯数の推計結果では、2040年には、全世帯に占めるひとり暮らしの世帯の割合が全都道府県で30%を超え、全国平均は39.3%、最も高い東京が48.1%に達する見通しで、高知県は40.9%で7番目となっています。今回の推計は2015年の国勢調査に基づいて実施、団塊ジュニアが65歳以上になる2040年までを対象としています。そして、ひとり暮らしのうち65歳以上の高齢者の世帯は、2015年の625万世帯から2040年には896万世帯に増加、本県は20%を超える見通しであります。また、75歳以上のひとり暮らしの世帯は2040年に512万世帯に、都道府県では29道府県で10%を超える、本県は鹿児島の14.8%に次いで13.9%になる見通しであります。 こうしたことから、今後は増加が予想されるひとり暮らしの高齢者の社会的孤立をどうするのか、日常生活支援のあり方をどうするのか、そういったことが課題となるものと存じます。例えば神戸市では、本年3月NTTドコモと連携協定を結び、ドコモの持つ最先端技術を生かし、単身高齢者の見守りといった社会課題の解決や市民サービスの向上を目指しています。単身高齢者の異変を離れて暮らす家族らが察知できるサービスの実用化を目指しています。 実証実験では、高齢者が生活する部屋のコンセントに小型装置を設置し、センサーが電波を発し、その反射状祝によって取得したデータを専用のAIが解析する、そして家族らは高齢者の歩行や睡眠、呼吸、脈拍といった状態をスマートフォンなどで確認し、異変があった場合に速やかに対応できる、カメラを使わないためプライバシーに配慮できる点が特徴となっている。 本県においても、こうしたICTを使った高齢者福祉サービスについて検討されてはと考えますが、地域福祉部長の御所見をお伺いいたします。 次に、大麻の若者への広がりについてでございます。 大麻の若者への広がりが大きな社会問題となっています。昨年1年間の大麻事件の摘発者数が過去最多の3,578人となっています。摘発者の半数以上を29歳以下の若者が占め、大学生や中高生も少なくないことが、より深刻でございます。そして、四国4県でも、摘発者数が前年の1.9倍に当たる115人と過去最多を記録しています。摘発した115人のうち30代以下の若い世代が95人で、全体の82%を占めています。県別の摘発者数は、徳島県警16人、香川県警20人、愛媛県警29人、そして高知県警が35人、厚生労働省四国厚生支局麻薬取締部は15人であります。 大麻はアサ科の草からとれる薬物で、乾燥させたのがマリファナです。摂取すると幻覚成分が脳神経に影響し、興奮状態に陥ったり集中力が低下する。長期乱用は幻覚や妄想、記憶力の低下を引き起こし、依存症になるおそれがあり、特に青少年期の乱用はリスクが高い。看過できないのは、インターネット上などで、大麻は体に悪影響を与えないという認識が広がっていることであります。警察庁が一昨年大麻の所持で検挙した約500人を対象に行った調査では、大麻の危険性を軽視している回答が6割を超え、20歳代では7割を超えているデータがございます。 そこで、まず教育長にお聞きをいたします。若年層への蔓延を防ぐためには、誤った認識を正し、みずからを律する力をつける教育が重要だと考えますが、教育長にお聞きをいたします。 次に、県警では、小・中・高校において薬物の危険性を訴える薬物乱用防止教室が繰り返し開かれていると思いますが、その実施状況はどうか、また今後も地道な啓発活動が求められると思うが、警察本部長の御所見をお聞きいたします。 次に、農業の振興でございます。 若い世代の農業参入についてでございます。高知県農業の現状ですが、2015年農林業センサスによると、本県の農業就業人口は、平成7年の5万2,291人が20年の間に約2万5,000人激減、また農業就業人口に占める65歳以上の割合は、42%から59%へ増加、そして耕地面積は減少傾向、逆に耕作放棄地は増加傾向にございます。こうした本県農業を取り巻く厳しい状況ではございますが、ナス、ショウガ、ニラ、ミョウガ、ユズ、ブンタンなど個性豊かな園芸品目を中心に、特色ある農業生産を展開されており、農林水産省の生産農業所得統計では、平成29年の本県の農業生産額は1,193億円で、平成17年以降で最高額となっており、特に野菜が大きく伸びています。そして、農業産出額に占める野菜の割合は62.8%で、全国一高くなっております。ちなみに全国値は26.1%であります。 こうした中、全国的には異業種から農業の世界に入った若い世代の動きが目立っています。新たに農業経営を始める新規参入者は増加傾向にあり、農林水産省の平成29年新規就農者調査では、49歳以下の2017年の新規参入者は2,710人で、調査を始めた2007年以来最多、さらに新規参入者に農家を継いだ人や雇われて農業に従事する人などを加えた49歳以下の新規就農者も、4年連続で2万人を超えています。 そこで、お聞きをいたします。本県の49歳以下の状況はどのようになっているのか、また若い世代の農業参入をどのように促していくのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 次に、地域で暮らし稼げる農業の実現には、生産を支える担い手の確保や育成が大変重要な課題だと考えます。そのためには、農業大学校での担い手の育成に取り組むことが一つの重要な戦略だと思います。農家人口の減少がとまらない中で、農業における若い新規参入者をふやすためには、農業大学校の果たす役割がますます重要となっています。農業の担い手支援に関連する令和元年度農業大学校教育推進事業予算は1億1,300万円余で、前年度より2,500万円、率にして28%の増となっています。 先進的な技術の習得に必要な機械、設備を整備するとともに、グローバルGAPの更新に取り組むことが事業内容となっていますが、今後具体的にどのように予算を生かして担い手の育成を図っていかれるのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 この項最後に、本県におけるスマート農業推進への取り組みについてであります。あらゆるモノがネットでつながるIoTや、ロボット、ドローンなどの先端技術を農業現場で活用するスマート農業が広がり出しています。情報通信技術により、農作業の省力化、農場・農作物管理の効率化、熟練農業者の技術の継承などを進め、深刻化する担い手不足や農地の集約、大規模化などに対応する狙いがあります。スマート農業技術が注目を集める背景には、農作業はつらいとのイメージが強いなどの理由による担い手の減少、経営面積の拡大、さらに近い将来、熟練農業者が現役を退いていくことは確実で、農業の技術が継承されないまま世代が一気に交代したりしてしまうなどの課題があるからであります。 そうした中、農林水産統計によると、農業生産額は2015年度以降、3年連続で増加を続けており、今後も増加を継続していくための重要なツールとして、スマート農業技術への注目が高くなっているのです。2019年はスマート農業元年と見ている関係者も多いと言われております。 こうした状況において、本県におけるスマート農業の推進に向け、今後どのように取り組んでいくのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 次は、観光振興についてでございます。 本年2月1日から「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」がスタートしました。本イベントは、県外観光入り込み客数435万人の定着を目指し、来年12月31日までの約2年間かけて県内各地で展開されることになっています。キャンペーンがスタートしてから約5カ月が過ぎようとしていますが、その出足については知事の提案説明で、ゴールデンウイーク期間中における主要な観光施設の利用客数は対前年比30%増の約35万人を記録し、順調なスタートが切れたとの報告がございました。 そして、キャンペーンと連動して、来月7日から12月25日までの172日間にわたり「土佐れいほく博」が開催されます。この博覧会は、嶺北地域の4町村が地域の丸ごとの自然と人、四国の真ん中、嶺北地域に伝わる祭りやイベント、自慢の食、そして自然体験を通じて、嶺北地域の魅力を伝える地域博覧会でございます。現在、対面通行となっています高知自動車道の新宮インターチェンジから大豊インターチェンジの間が、この夏休み前には通行可能となるようでございますし、そうしますと関西方面から多くの観光客が本県を訪れてくれることが大いに期待できます。 7月7日のオープニングに向け、受け入れ準備も急ピッチで進んでいると思いますけれども、この「土佐れいほく博」の成功に向け、県としてどのように支援していくのか、観光振興部長にお聞きをいたします。 この項最後に、クルーズ船を利用されて本県を訪れてくれます外国人観光客の下船後の観光周遊ルートについて、現在は高知城、ひろめ市場、帯屋町筋、日曜市を中心にルートが設定されているものと存じますが、これをもう少し範囲を広げまして、例えば高知市以西の仁淀川流域方面まで周遊ルートを拡大され、地域の伝統文化に触れていただき、幅広い本県観光振興につなげてはと考えますが、観光振興部長にお聞きをいたします。 最後に、スポーツの振興についてでございます。 スポーツを通して高知県をもっともっと元気に、そんな思いでお聞きをいたします。スポーツ行政をより効果的、一体的に推進するため、平成29年4月に新たに文化生活スポーツ部が設置されて、2年余りが経過しました。そして、本年3月、昨年3月に策定されました第2期高知県スポーツ推進計画で掲げる、県民がスポーツを通じて健やかで心豊かに、支え合いながら生き生きと暮らすことのできる社会の実現に向けて、これまでの成果と課題を検証し、同計画を第2期高知県スポーツ推進計画Ver.2へと改定されました。 ところで、スポーツは競技する人だけでなく、スポーツを観戦する人、ボランティア活動で支える人など、多様なスタイルで参加できますし、その中から人と人とのきずなが深まったり、支え合いの力も生まれてきたり、スポーツには不思議な力があると感じています。また、近年のスポーツ界は、10代の若者の活躍に目覚ましいものがあります。特に、卓球・ゴルフ・サッカー界、飛び込みに至っては12歳の少年が日本一に輝いていますし、16日にアメリカで開催された、来年の東京五輪で初採用されますスケートボードの五輪予選大会で、日本の12歳、中学1年生が見事優勝し、来年東京五輪の有力な金メダル候補に躍り出ております。このように活躍している選手は、家族の理解やよき指導者に恵まれているなど、よりよい環境のもとで生き生きと練習できているものと推察をいたします。 そうした中で、本県のスポーツのうち、子供の運動、スポーツについてですが、運動遊び教室に参加した保育所、幼稚園などがふえてきていますし、子供の体力は全体的に上昇傾向にございます。しかしながら、一方で学校の運動部や地域のスポーツクラブに加入している子供の割合が、全国平均よりも低い状況となっています。 今後、学校の運動部への加入割合を高める取り組みについて教育長にお聞きをいたします。 また、地域のスポーツクラブなどへの加入割合を高める取り組みについて文化生活スポーツ部長にお聞きをいたします。 次に、競技スポーツの状況についてですが、特別強化選手が増加しており、平成30年度、国際大会に出場し、3位以上の成績をおさめたS指定選手は8名います。 本計画では、計画の基本方針として、日本を代表する選手などの輩出人数を40名以上との基本目標を掲げておりますが、今後こうした日本代表選手を多く輩出するための具体的な取り組みについて文化生活スポーツ部長にお聞きをいたします。 この項最後に、障害者スポーツの状況についてでございます。県では、これまで組織体制の充実や特別支援学校における運動、スポーツ活動の充実、そして障害者スポーツ指導者の育成などに取り組んだ結果、県障害者スポーツセンターの利用者数が増加あるいは障害者スポーツ指導員が増加するなど、一定の成果は上がっておりますが、一方で身近な地域で気軽にスポーツ活動を行うことができる機会が少ないなどの課題もございます。 本県が目指すスポーツの参加の拡大には、障害者のスポーツ参加機会の拡充が重要な要素だと考えますが、今後の取り組みについて文化生活スポーツ部長にお聞きをいたしまして、第1問とさせていただきます。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 御質問にお答えをいたします。 まず、中華人民共和国の習近平国家主席の印象についてお尋ねがございました。 4月の終わりに、総理特使である自由民主党の二階俊博幹事長に同行させていただき、訪中団員の一人として8人の要人との会談にも御一緒させていただきました。 そのうち最初の会談が習近平国家主席との会談であり、私も冒頭より同席させていただいたところです。会談では、安倍総理からの親書が習主席に手渡されるとともに、G20大阪サミットへの出席、日中青少年交流など、さまざまな事柄について話し合いがなされました。私は、習主席とは直接言葉を交わすことはありませんでしたが、非常に友好的な雰囲気の中で会談は進み、会談の終わりに習主席が、きょうは大変よい会談ができましたとの趣旨の発言をされたことが、印象に深く残っております。 総括として、習主席からこのような発言があった際には、これを機に日中関係が本格的に改善の軌道に乗ったのだということが実感され、まさに歴史的な瞬間に立ち会うことができたという感慨を覚えたところであります。 習主席は会談中、終始口調も穏やかで温厚な感じを受けましたが、世界に多大な影響力を与えるリーダーであられるだけに、政治家としてのすごみ、貫禄もひしひしと感じられました。会談終了後に直接握手を交わさせていただきましたが、その際、心にしみ入るような笑顔を見せていただいたことが、忘れ得ない思い出となっているところであります。 次に、今回の訪中で得られた成果と、将来の本県へのメリットについてお尋ねがございました。 今回の訪中は、日中関係の進展に向けて、総理特使や国会議員、経済界の代表などによる国レベルの外交に、中国の都市と友好関係がある地方自治体として参加をしたものであります。国の外交トップの方々にお会いしお話もしたほか、安徽省政府幹部とも久しぶりに会談することができ、地方外交としても大変有意義な訪問となりました。 また、中国は広大な面積と世界一の人口を有する成長市場でありまして、今回の訪問ではそのような市場において、本県の観光、食、産業なども大いにPRをすることができました。 具体的には、日本大使館などが主催する日本の地方の魅力を発信するイベントにおいて、本県の食や自然・体験型観光、祭り文化などのプレゼンテーションを行ったほか、わら焼きカツオのタタキの実演や試食、土佐酒の試飲、グロリオサの展示などを行いました。現地のメディアや旅行エージェント、交流サイトで発信力のあるインフルエンサー、飲食関係者など約200人の参加者からは、非常に好評を得たところであります。 また、そのイベントでの様子を現地メディアに取り上げていただいたことで、本県の魅力をより効果的に発信することができましたし、北京の高級ホテルからは、土佐酒や水産物などをPRする高知県フェアの開催の提案をその場で受け、年度内の実施に向けて現在調整を進めております。 さらに、北京の旅行会社3社にセールスを行う中で、中国の訪日旅行への強い関心と、地方への送客による新たなビジネスチャンスに対する熱意を感じ、この波をうまく生かしていきたいと考えたところでもあります。これを機に、3社のうち中国最大のオンライン旅行会社との間で、中四国圏では初めてとなる連携協定を締結する準備が進んでおります。この連携協定を大きな追い風として、中国からの誘客拡大に向けた旅行商品の造成、販売、プロモーションを加速化させてまいります。 また、世界トップクラスの理工系総合大学である清華大学では、防災先進県高知の取り組みや高知発の防災製品技術などについてプレゼンテーションを行いますとともに、清華大学と高知工科大学との交流についても提案を行い、現在具体的な調整を始めたところであります。 中国は、本県における海外への販路開拓やインバウンドの重点市場と位置づけておりますことから、今回の訪中での成果を足がかりとして、中国市場への輸出拡大や国際観光のさらなる強化に取り組んでまいります。 また、私自身にとって、今回の訪中を通じて中国の目覚ましい発展ぶりを目の当たりにできましたことは、大変貴重な体験であったと思っております。特に、清華大学では、大学が仲立ちをして科学技術とビジネスを結びつけ、すさまじい勢いで新たな事業が生み出されていくさまを体感できたことは、大変有意義であったと考えています。現在、第3期産業振興計画において、デジタル技術を生かした地場産業の高度化などに取り組んでいますが、こうした中国の勢い、スピード感なども参考にしながら、本県の産業の振興に生かしてまいりたいとも考える次第であります。 次に、私の去就に係る態度表明についてお尋ねがございました。 私自身の去就については、これまでも答弁してまいりましたとおり、知事として専念すべき案件が目前にある間は、去就よりもそのことに集中すべきではないかと考えさせていただいているところであります。その意味で、先日も記者会見で、本議会において去就には触れさせていただかないと申し上げたところであります。現時点においても私の去就について、いつごろ表明するかを含め、申し上げる時期にはないと考えているところでございます。 次に、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備について、予定されている社会基盤整備の具体的な箇所と、その整備に関するスケジュールについてお尋ねがございました。 新たな管理型最終処分場の整備に関する説明会の場などにおいて、地域住民の皆様からは、加茂地区を流れる長竹川の増水や国道33号の交通安全についての御不安の声や、御家庭で御利用されている井戸の水質変化の御不安に伴う上水道整備の御要望を数多くいただいております。加えて、一昨日、佐川町長及び佐川町議会議長から施設整備の受け入れについての御回答を頂戴した際には、地域住民の皆様の御不安の声を踏まえて、進入道路のルートについて再検討し、皆様にわかりやすく説明することについて申し入れを受けております。 県としましても、そうした地域住民の皆様の不安解消のため、施設周辺部における安全対策、いわゆる周辺対策に早急に取り組んでまいりたいと考えており、本議会に追加提出させていただきました補正予算案に、長竹川の河川改修や上水道整備への支援、国道33号から施設に至る進入道路ルートの検討、これらについての取り組みに向けた費用を計上させていただいております。 具体的には、長竹川の河川改修に向けた取り組みとしましては、日下川支川の長竹川の全区間において、改修計画の策定に必要となる河川の測量を実施した上で、日下川流域全体の流下能力を考慮しながら、改修計画の概略検討を実施してまいります。その後、それに対する地域住民の皆様の御意見を踏まえるとともに、詳細な改修計画を策定してまいります。また、河床に堆積した土砂の撤去につきましては、速やかに順次実施させていただきます。 2点目の上水道の整備への支援に向けた取り組みとしましては、加茂地区全域の各家庭において御利用されている井戸の状況調査及び水質検査を実施してまいります。あわせて、佐川町と上水道整備に関する支援スキームについて協議を実施してまいります。 3点目の国道33号から施設に至る進入道路ルートの検討に向けた取り組みとしましては、国道33号から施設に至る概略のルート案を複数作成した上で、地域の住民の皆様の御意見等をお聞きし、その御意見を踏まえながらルートを決定してまいります。 また、国道33号の交通安全対策につきましては、加茂地区においてカーブが連続する区間や、隣接する日高村岩目地地区において歩道が整備されていない箇所が存在していることから、県から国道を所管します土佐国道事務所に対して、これまで皆様からいただきました御心配や御要望の声をお伝えさせていただきますとともに、交通安全対策の実施のお願いもさせていただきました。 その結果、土佐国道事務所にも、県が要望した交通安全対策の必要性を理解していただき、比較的容易に実施が可能である交通安全対策については、順次対応していただけるとお聞きをしております。また、用地取得を伴う交差点改良などにつきましては、県と国で協力し対策を進めてまいります。今後も、引き続き国と協議を重ねながら、国道33号の交通安全対策の実施に向けて継続的に要望を続けてまいります。 今後は、住民の皆様の御不安に対する対処策を詳細に検討してまいります。その検討を進める過程においては、節目節目でその調査結果等の情報を丁寧に説明し、住民の皆様の御意見をいただく場を設け、その場でいただいた御意見を踏まえながら、皆様の御不安を解消できるようしっかりと取り組んでいく、そういうサイクルを重ねてまいりたいと、そのように考える次第であります。 次に、地域振興策に関する地元住民や自治体との今後の協議スケジュールについてお尋ねがございました。 管理型産業廃棄物最終処分場は、県内事業者の経済活動を下支えする大変重要な施設ではありますが、先ほど申し上げましたようなさまざまな安全対策を行ったとしましても、住民の皆様には、なぜこの地域に処分場をつくるのかといった御不満や負担感は、依然としてお残りになるものと考えております。そうしたお気持ちを少しでも和らげ、せめてその分については地域がよくなったと思っていただけるよう、地域振興策についてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 このたび、佐川町及び佐川町議会からは、正式に施設整備について受け入れていただけるという回答をいただきましたので、佐川町と県とで確認書を速やかに締結し、その中に、施設整備を円滑に推進するために必要な事項や施設周辺における安全対策などとともに、地域振興策の実施についても盛り込むこととしております。 具体の事業内容につきましては、住民の皆様からの御要望を踏まえ、町としての要望内容をお出しいただいた上で、町と県により設ける協議の場においてプランづくりを行っていきたいと考えております。地域振興策の案がまとまりましたら、県議会にお諮りした上で、遅くとも施設の工事に着工するまでには、町と県で地域振興策の実施に関する協定を締結したいと考えているところでございます。 次に、今後の日本経済の先行き、特に財政面での課題についてお尋ねがございました。 日本の経済は、長期にわたり回復傾向を持続させており、有効求人倍率が全都道府県で1倍を超える状態が続くなど、着実にアベノミクスの成果が広がってきております。しかしながら、依然として経済環境の厳しい地域もあり、東京圏を初めとする都市部との格差も広がってきているところです。また、足元の景気動向を見ますと、実質GDPは年率換算で2.2%のプラス成長が見込まれておりますものの、この先、米中貿易摩擦などの国際情勢、消費税率の引き上げの影響などにも留意する必要があります。 我が国の財政運営に目を向けると、人口減少と少子高齢化の進展、これに伴う社会保障の持続可能性への懸念に加えて、大規模自然災害に備える必要性など、数多くの課題に直面をしております。 政府においては、経済再生なくして財政健全化なしの基本方針のもと、持続的な経済成長と財政健全化の実現に一体的に取り組んでいるところです。今後は、都市部に加えて地方においてもより本格的に経済規模が拡大すること、そしてそのことを通じて国と地方の財政健全化が図られることが重要であると認識をしているところです。 このうち地方の経済面においては、人口減少や少子高齢化という課題を抱える地方において、経済再生の面で鍵を握るのは、デジタル技術を原動力としたSociety5.0の実現ではないかと考えています。デジタル技術の活用により、生産性の飛躍的な向上とコスト削減が可能となり、産業競争力の強化が図られるとともに、中山間地域などの条件不利地においても、その課題の克服に向けた道筋を切り開くことができるものと考える次第です。 財政健全化に関しては、中長期的に見れば、歳入面においては、生産年齢人口の減少に伴い経済活動が縮小し、歳入そのものの減少が懸念されること、また歳出面においては、高齢化の進展などにより、引き続き災害対策の必要性に加え、社会保障費の増加が見込まれることが最大の課題であります。 このうち歳入面の課題については、先ほど申し上げましたように、社会全体においてデジタル化の流れを生かしながら生産性の向上とコスト削減を実現することにより、経済成長を促し、歳入そのものの拡大につなげていくことが重要であります。 また、歳出面の課題については、医療・介護・福祉サービスの改革など、社会保障費適正化の議論は避けて通れません。この点、全国知事会においては、健康立国宣言に基づき、全都道府県参画のもと、持続可能な社会保障制度の構築に向けて、健康づくりや認知症対策などのカテゴリー別に21のワーキングチームを設置し、先進事例や優良事例を全国的に横展開する取り組みなどを進めているところです。また、先月には、国と地方の意見交換会も開催をいたしました。引き続き、国と地方が的確に役割分担しながら連携して改革を進め、財政健全化に取り組むことが重要であると考える次第でございます。 次に、消費税増税対策について、消費税率の引き上げの認識と、消費税増税後の経済対策についてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。 消費税率の8%から10%への引き上げにつきましては、これまでも申し上げてきましたとおり、現在の国、地方を通じた厳しい財政状況や急速に進む少子高齢化といった状況を鑑みれば、社会保障制度の充実強化を図り、かつ持続可能性を確保するためにも、現時点におきまして、やむを得ないものと考えております。 一方で、議員より御紹介のありました調査でも、増税による負担増や景気への悪影響を懸念する回答が多くを占めていたように、経済的に厳しい状況にある方々とマクロ経済全体へのマイナスの影響をできるだけ小さくすることが重要であります。 国においては、消費税率の引き上げに当たって、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を進めているほか、キャッシュレス・消費者還元事業などの消費喚起策や軽減税率制度の導入、さらには幼児教育の無償化など、さまざまな施策を組み合わせ、総合的な対策を講じることとしております。 本県としましても、3カ年の緊急対策を最大限活用し、豪雨等の災害に備えた対策を強化、推進しているほか、金融機関と連携したキャッシュレスセミナーを県内10会場で開催するなど、国の消費喚起策や軽減税率制度の円滑な導入に向けた制度内容の周知を行っております。引き続き、国と歩調を合わせ、一連の経済対策を着実に実施してまいりたいと考えているところでございます。 次に、これからの地方分権改革は、市町村の創意工夫を生かすことができ、かつそのための財源が保障されるべきものではないかとのお尋ねがありました。 議員のお話にありましたように、平成の時代においては、国と地方の関係を上下・主従の関係から対等・協力の新しい関係に転換するとの理念のもと、機関委任事務制度の廃止や地方への権限移譲、義務づけ・枠づけの見直しなど、数多くの取り組みが行われてきた結果、地方分権改革は大きく進展してまいりました。 本県においても、保健・福祉に関する事務や有害鳥獣の捕獲等に関する事務など、住民に身近な事務を地域の実情に応じて行うことができるよう、市町村からの申し出をもとに県からの権限移譲を進めてきたところであります。 特に、平成26年度からは、地方分権改革において提案募集方式が導入されるとともに、地方創生の取り組みにおいて地方創生推進交付金が創設されるなど、地方の発案を生かし、創意工夫に基づき主体的に行う取り組みを支援する方向性が強化されました。人口減少対策への取り組みや南海トラフ地震対策を初めとする防災対策などといった課題が山積する中、住民と直接向き合う市町村の役割はますます大きくなってきており、地域地域の実情に応じた施策の展開と、それに見合う財源の確保が必要であると認識しております。 このため、県としましては、課題解決に向けて地域の意欲と知恵を十分生かせるよう、提案募集方式や地方創生推進交付金制度のさらなる改善を図るとともに、地方創生に必要な財源を十分に確保することについて、全国知事会とも連携しながら政策提言を行ってきたところであります。 あわせて、県では、産業振興計画における地域アクションプランの取り組みのほか、集落活動センターや、あったかふれあいセンターにおける取り組みなど、市町村の創意工夫に基づく施策を人的、財政的にバックアップしてきたところであります。今後も、県政と市町村政との連携・協調のもと、こうした取り組みを最大限進めてまいりたいと考える次第です。 最後に、財務省の地方職員3万人減可能との試算についてどのように受けとめているのかとのお尋ねがございました。 県内市町村の職員数は、国の三位一体改革の影響による厳しい財政状況や市町村合併などを背景に、平成30年には9,449人と、平成12年のピーク時と比べ約19%減少しております。そのような中でも、地方創生や喫緊の課題である南海トラフ地震対策などの行政需要に対応するため、平成26年の9,251人を底に、以降は増加してきているとの実態があります。 今般、財務省の財政制度等審議会が示した試算は、地方公共団体の業務、体制の見直しの一例として、人口当たりの職員数を一定にした場合、2025年までに約3万人、約3%の効率化が可能であると、機械的に算出されたものであります。 この件に関し、石田総務大臣も記者会見において、極めて機械的な試算を示されたということであり、3万人の削減が可能である、あるいは削減が必要との趣旨の提言ではないと認識しているとの見解を示されているところです。私も、この試算をもって直ちに自治体職員の削減を求めるものではないと認識しておりますが、このことを奇貨として地方の財源が削減されることのないよう、今後の国の動向を注視してまいりたいと考えています。 なお、今後県全体としてさらに人口減少が進み、県内市町村においても人員の確保が困難となっていくことが想定されることや、職員の働き方改革などの観点からは、いずれにしても業務をより効果的、効率的に行っていくことが極めて重要であると考えております。 このため、県としましては、先日立ち上げた高知県行政サービスデジタル化推進会議のもとに取り組みを進めている、AIやRPAといった新たなデジタル技術の活用などによる業務の効率化について、市町村への情報提供を行ってまいりたいと考えております。 加えて、市町村間での事務の共同処理を促進するための、こうち広域行政推進プロジェクトや自治体クラウドの導入を進めることにより、業務を効果的、効率的に行えるよう、市町村間での連携を積極的に後押ししてまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。   (林業振興・環境部長川村竜哉君登壇) ◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 新たな管理型産業廃棄物最終処分場の今後の具体的なスケジュールと、日高村のエコサイクルセンターの現状についてお尋ねがございました。 新たな処分場の整備につきましては、一昨日、佐川町長及び佐川町議会議長から、住民の安全の確保や生活環境の保全、不安の解消を図ることなどを前提として、施設整備の受け入れを受諾する旨の御回答を正式に頂戴いたしました。これを受けまして、施設整備に際して必要となる測量調査や地下水調査、基本設計などの費用を盛り込んだ補正予算案を、本日追加議案として議会に提出させていただきました。 この補正予算議案の議決を賜ることができました場合には、速やかに測量、調査等の業務に着手し、その結果を基本設計に反映させてまいります。また、その後、環境アセスメントのための手続なども実施しながら、実施設計や関係法令の手続、用地取得などを並行して行った上で、令和3年度には建設工事に着工できればと考えているところでございます。 建設工事に要する期間は、日高村のエコサイクルセンターの実績等を参考にしますと、約2年半は必要となると思われますので、現地の測量等を開始してから竣工までには約4年間は見込む必要がございます。一方、現段階の予測によりますと、現在のような廃棄物の運搬が続けば、エコサイクルセンターは3年10カ月後の令和5年3月末にも埋め立てが終了する見通しとなっていることから、新たな施設が完成する前に現施設が満杯となることが見込まれているところでございます。 このため、県では、エコサイクルセンターに搬入される廃棄物の大半を占めております鉱滓、燃え殻及び廃石こうボードを搬入している排出事業者に対して、埋立処分する量の減量化、リサイクルへの転換について働きかけを行うとともに、リサイクル処理を行っていただくことが可能な施設等の情報収集や、排出事業者との調整等を精力的に行っているところでございます。 こうしたリサイクルの推進によるエコサイクルセンターの延命化を図りますとともに、発注作業や工事の工程を効率的に行うよう工夫することにより、できるだけ早期に新たな施設が完成することができますよう取り組んでまいります。   (教育長伊藤博明君登壇)
    ◎教育長(伊藤博明君) まず、今後の高校教育をどのように進めていくかとのお尋ねがございました。 情報技術の進展など社会が急激に変化していく中で、地域の将来を支える人材を育成するための高校教育は大変重要であると考えております。 先月、国の教育再生実行会議から、技術の進展に応じた教育の革新、新時代に対応した高等学校改革について、第11次提言がなされたところです。その中においても、Society5.0と呼ばれる超スマート社会への対応とともに、高校において地域の産業や文化への理解を深めることは、その後の地元定着やUターン等にも資するなど、地方創生の観点からも重要であるとの意見が述べられております。 こうした国の方向性は、昨年12月に本県で取りまとめた県立高校の再編振興計画後期実施計画の、高校を核とした地域振興にもつながる、特色ある教育活動の推進方向とも一致したものとなっております。具体的には、地域への理解を深め、課題解決能力を高めることを目的として、地域と連携した協働学習をさらに充実することとしており、例えば高知追手前高校吾北分校では、地域の方々の協力のもと、伝統産業である和紙をテーマに、原料の栽培から和紙の製作までを一貫して学ぶとともに、その製品化や利用方法などを研究し発表する学習を通して、地域の魅力や産業への理解を深めさせ、将来地域を支える人材の育成につなげる取り組みを行うことになっております。 また、中山間地域の高校にあっても、多様な学びの機会が確保され、生徒一人一人の希望に応じた進路の実現に向けて、ICTを活用した遠隔教育を導入し、今月から放課後における補習を開始したところです。今後は、順次講座数をふやしていくとともに、来年度からは授業として教育課程上に位置づけ、活用していく予定です。今後も、こうした取り組みを通して、郷土に愛着を持ち、本県の将来を支える人材育成に向けた高校教育を推進してまいります。 次に、幼児教育・保育の無償化制度の対象世帯の方々への周知についてお尋ねがございました。 改正子ども・子育て支援法の成立を受け、都道府県向けの国の説明会が5月30日に開かれましたので、県教育委員会としましても、県内市町村の幼児教育・保育の担当者向け説明会を6月11日に開催し、今回の無償化に関する制度の詳細や、対象世帯の方々への周知も含め、市町村が準備を進めるに当たって必要となる手続などについて説明を行っております。 実務を担う市町村では、短い準備期間の中で、各市町村における副食費の徴収や利用料の給付方法等の取り扱い等を決定した上で、必要な規則の改正や保育料の決定、徴収等に係るシステムの改修などを実施することに加え、認可外保育施設等の利用者の把握や無償化の制度の周知、利用開始に向けた認定等の事務も必要となってまいります。 県教育委員会としましては、無償化制度の円滑な実施に向け、国からの情報収集に努めながら、市町村に対し必要な情報を提供するとともに、随時市町村からの相談や質問に対応したり、制度実施に向けた県内市町村の検討状況を取りまとめて、市町村へフィードバックを行っております。また、7月には、県教育委員会が主催し、内閣府の担当職員による県内市町村向け説明会を開催するなど、制度の円滑な実施に向けて市町村を支援してまいります。 今後、無償化の対象世帯の方々に対しましては、各市町村において、無償化に関する手続等の詳細を決定した後に、各施設を通して制度の内容について周知を行うとともに、無償化実施後の保育料、副食費に関しても対象世帯にお知らせいただくことになります。県としましては、全ての対象世帯に漏れなく周知が図れるよう、県民全体に向けて、さんSUN高知やホームページなどの広報媒体を活用して、早期にわかりやすくお知らせしていくとともに、市町村において把握されない可能性がある認可外保育施設等の利用世帯などへの周知についても、確実に実施していくことにしております。 次に、スマートフォンやゲーム機器の適切な利用について周知を図っていくべきとのお尋ねがございました。 議員のお話にもありましたように、全国学力・学習状況調査や高校生を対象とした県独自の生活状況調査の結果から、本県の児童生徒においては、スマートフォンやゲーム機器の使用時間の増加傾向が見られ、学習に集中できないといったことや睡眠不足、視力の低下など、学習面や健康面へのマイナスの影響も懸念されるところです。 こうした状況を踏まえ、県教育委員会では、警察や大学等と連携して、ネット問題に関する小中学生用の教材の開発を行うとともに、年間100回程度、小中学生や高校生を対象とした出前講座を実施しております。また、スマートフォン等の適切な利用を促すリーフレットを作成、配布することによって、家庭や子供たちに対する啓発を行っております。 あわせて、学校では授業等を通して、子供たちが自分自身のスマートフォン等の利用状況を振り返り、適切な利用方法を考える学習を行うなど、予防的な取り組みを進めております。また、児童会、生徒会が中心となって、スマートフォン等の利用の仕方について議論し、ルールをつくる活動も、多くの学校で行われております。 さらに、家庭や地域においては、例えばスマートフォン等の利用時間帯を決めたり、フィルタリングを設定するといったルールづくりの取り組みが幡多地区から始まり、その運動が、香美市や香南市など県内各地へと広がりを見せております。また、奈半利町では、夜間はあらかじめ決められた時間になると子供がスマートフォンを定められた場所に保管する取り組みが進められるなど、各地域でも子供たちのスマートフォン等の適正な利用に向けた取り組みが進められています。 今後、県教育委員会としましては、学校、家庭、地域、関係機関と一体となって、こうした取り組みをさらに充実させていくとともに、子供のスマートフォンやゲーム機器の利用開始時期の低年齢化に対応できるよう、さまざまな機会を通じて、より早い段階から、保護者や子供たちに対して効果的な啓発ができるよう取り組んでまいります。 次に、第2期高知県教育振興基本計画で掲げている、郷土への愛着と誇りを持ち、高い志を掲げ、日本や高知の未来を切り開く人材の育成について、どのように進めていくのかとのお尋ねがございました。 子供たちがこれからの時代をみずからの力で力強く生き抜き、また日本や高知の未来を切り開いていく人となるためには、知・徳・体の調和のとれた生きる力をしっかりと育んでいくことが必要です。県教育委員会としましては、まず道徳教育において、平成29年度に「家庭で取り組む 高知の道徳」を新学習指導要領に基づいて見直し、新たに郷土の偉人の話を多く盛り込んだ冊子を活用して、学校、家庭、地域が一緒になって、本県が生んだ偉人の生き方を学び、自己の生き方を考える教育を行っております。 キャリア教育では、世界に誇れる本県の地域の産業や文化、また日本や高知県の企業等において現在活躍されている本県出身の方々の考え方や生き方を掲載したキャリア教育副読本「みらいスイッチ」を活用して、郷土や高知県についてのよさや働く人々の志、苦労を知る学習を行うとともに、自分の将来や進路を考える学習を進めております。さらに、総合的な学習の時間では、地元産ユズを売り出す土佐山学舎の取り組みや、シャモ肉を十(てん)菜(さい)シャモとしてブランド化する十市小学校の取り組みなど、地域の魅力を発信したり、課題解決を図ったりする取り組みを行っている学校も多くあります。 このように、地域や郷土、高知県を題材として学び、自分の生き方を考え、社会の一員として活躍する心を育む教育を、多くの学校が進めているところです。 今後は、新学習指導要領において社会に開かれた教育課程の実現が求められていることから、地域ぐるみの教育活動を一層充実させていくとともに、教科横断的に知・徳・体を伸ばしていくカリキュラムマネジメントを推進し、子供たちの未来を切り開く力の育成に取り組んでまいります。 次に、高等学校で目指す今後の英語教育の方針についてお尋ねがございました。 議員の御指摘のとおり、グローバル社会において多様な意見を尊重し、主体的、協働的に活動するためには、一定の語学力を持つことが大変重要です。こうした観点からも、文部科学省は高校生の英語力について、英検準2級相当以上の英語力を持つ生徒の割合を50%以上とする目標を掲げており、本県においてもその目標に向けた取り組みを進めています。 また、新しい学習指導要領では、小学校5年生から教科として外国語が導入され、小・中・高一貫して、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの4技能をさらに総合的に育成することとしております。現在、県立高校では、学校支援チームが定期的に学校訪問を行い、ALTの活用や生徒への学習指導の方法などについて指導・助言し、新学習指導要領で求められる4技能の統合的な言語活動が充実するよう授業改善を推進しており、来年度から実施される大学入学共通テストにも対応できるよう取り組んでいるところです。 また、グローバル社会で活躍するためには、4技能に加えて、積極的に外国の方とかかわりながら、主体的に取り組む姿勢や探究する力が必要になることから、海外留学なども推進しており、昨年度は200名を超える生徒が海外を体験しております。さらに、高知南中・高校では、県教育センターと連携した、中高6年間を通した系統的な英語教育プログラムや探究型学習を実践しており、高知西高校では、国のスーパーグローバルハイスクール事業の指定を受け、英語をコミュニケーションツールとして活用しながら、地域の課題や地球規模の社会問題などについて探究し、研究成果を発表するなどの学習活動を進めております。これらの成果は公開授業や研修会を通じて、他の県立学校に普及するように努めております。 こうした取り組みを通じて、高等学校の英語教育においては、外国語によって発信されるさまざまな情報や考え方などを的確に生徒が理解し、実際の場面や状況において外国語で適切に表現できる技能や、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成してまいりたいと考えております。 次に、生涯学習の場において、例えばおおむね60歳以上の県内在住者を入学対象に土佐シニアカレッジあるいは高齢者大学を開設するなど、学びの機会を充実させ、高齢者が活躍できる場を拡大するべきとのお尋ねがございました。 高齢者も含めて、県民の誰もが生涯にわたって学び続けられる環境を整備していくことは、生きがいづくりにつながるとともに、それぞれの学びの成果が地域の課題解決に生かされることも期待され、本県が活力ある社会を維持していく上で大変重要であるというふうに考えております。 現在、県においては全国一学びの機会が多い県を目指して、土佐まるごとビジネスアカデミーや土佐の観光創生塾など産業分野を初め、福祉・介護や、文化芸術、防災などさまざまな分野で、学びを通じた人材育成に取り組んでおります。また、県立大学における正規の授業を受講する県民開放授業のほか、県教育委員会においても、各定時制高校において外国語や芸術、商業などの教科で、社会人の聴講制度を設けているところです。加えて、市町村でのシルバー教室や民間での高知県高坂学園生涯大学による教養講座など、既に高齢者を対象としたさまざまな学びの場が多く開設されています。 こうした中、平成28年度の県民世論調査において、学びの場の情報提供の充実を望む声を多くいただいたことから、県教育委員会では、本年度、県や市町村を初め民間や大学等が開催するあらゆる講座の情報をホームページ上で一元的に提供するポータルサイトの構築を進めております。年度内に関係機関とのデータ連携システムの整備やサイトの試運転を行い、相談体制の強化とあわせて、来年度当初よりサービス提供を本格的に開始することとしております。まずは、このポータルサイトから、県内で実施されているさまざまな分野での人材育成の取り組みや資格取得講座などの学びの情報、地域におけるボランティアなど学びの成果を生かす場の情報も幅広く一元的に提供し、高齢者が活躍できる場の拡大につなげていきたいと考えております。 次に、大麻の若年層への蔓延を防ぐためには、誤った認識を正し、みずからを律する力をつける教育が重要だと考えるがとのお尋ねがございました。 青少年の薬物乱用については、近年未成年者の大麻による検挙数が増加しており、青少年への広がりが懸念される状況にあります。その背景には、大麻については有害性がないなどの誤った情報が氾濫しており、大麻乱用の拡大につながっているものと推測されていることから、正しい認識を持ってもらう教育が大変重要であると考えております。 また、大麻を初めとする薬物乱用が身近に起こり得る問題との危機意識を持ち、子供たちが小・中・高の発達段階に応じた薬物乱用防止に関する正しい知識を身につけて、誤った情報に流されることなく、断る勇気を持ち、自分を大切にする教育が重要であると考えます。 このため、県教育委員会としましては、薬物乱用防止の推進に向けて、県内の各学校で年1回は開催をしております薬物乱用防止教室において、薬物乱用の実態や現状を承知されている警察や厚生労働省麻薬取締部、県の健康政策部などの関係機関の協力を得ながら、犯罪でもある薬物乱用の実態を児童生徒に直接伝えていただき、大麻を初めとする薬物に関する正しい知識を持たせること、また教職員が薬物乱用防止教室や道徳、保健体育などの教科の中でも、薬物乱用防止に関する正しい知識とともに、児童生徒にみずから律する力を育んでいくことなどの重要性について、市町村教育委員会及び県立学校に周知徹底をしてまいります。 最後に、学校における子供の運動部への加入割合を高める取り組みについてお尋ねがございました。 「平成30年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」では、本県の公立中学校の学校の運動部への所属は、男子が全国平均77.4%に対して県平均が75.8%、女子は全国平均58.5%に対して県平均52.7%と、全国平均より男子は1.6ポイント、女子は5.8ポイント下回っております。 本県の運動部への加入割合が低い原因には、郡部では、小規模校が多く実施できる運動部が少ないことや、団体競技で部員の不足により単独で大会に出場できないこと、専門的な指導ができる教員の確保が難しいことなどが挙げられます。また、都市部では、文化部に加入している割合が高いことに加え、運動部に対する生徒のニーズが、自分のペースで行えること、適度な頻度で行えることなど、多様化していることも挙げられております。 こうしたことから、県教育委員会では、中学校・高等学校体育連盟とも連携しながら、部員が少ない運動部での合同部活動等の取り組みを推進したり、市町村教育委員会と連携して、運動部活動支援員等の専門性の高い外部指導者を各学校に派遣するなどして、部活動の実施体制の充実を図ってきたところです。 今後、こうした合同部活動等の取り組みや専門性の高い外部指導者の派遣をさらに充実させるとともに、都市部で運動部などに所属していない生徒のニーズが多様化している状況を踏まえ、このような生徒たちの受け皿となる新しい部活動のあり方についての研究を進めてまいります。 加えて、地域のスポーツクラブや地域スポーツハブと連携し、運動部活動の活性化や生徒の多様なスポーツニーズへの対応をしていくことで、運動部への加入割合を高め、スポーツをする子供たちの増加を図ってまいります。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) まず、本県の民生委員の充足率と活動状況についてお尋ねがございました。 本県の民生委員・児童委員の定数は現在2,477名となっており、その内訳は、中核市である高知市所管の745名と、高知市以外の県が所管する1,732名となっています。それに対する県全体の委嘱数は、平成31年4月1日現在2,394名で、欠員が83名、充足率は96.6%となっております。 民生委員・児童委員の皆様の活動状況といたしましては、ひとり暮らしの高齢者や障害者の自宅への訪問を初め、厳しい環境にある子供たちなど支援が必要な方の見守りや適切な支援へのつなぎ、さらには南海トラフ地震や豪雨への備えとして、災害時要配慮者支援対策への協力や生活困窮者の生活支援など、近年多様化する地域課題の解決に向け、地域と行政のかけ橋として活動いただいております。 次に、本年12月の民生委員改選に伴い、空白地域が出ないよう、なり手確保にどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 県では、これまでも民生委員・児童委員の役割や活動に対する県民の皆様の理解の促進を初め、活動費の助成や活動ハンドブックの作成、研修体制の充実など、民生委員・児童委員の方々が活動しやすい環境づくりに努めますとともに、県職員や教職員の退職予定者説明会において就任を呼びかけるなど、なり手の確保に取り組んできたところです。 あわせて、民生委員・児童委員の皆様の負担軽減を図るため、県内約290カ所に広がったあったかふれあいセンターの職員に対し、支援が必要な方にアウトリーチし必要なサービスにつなぐ、高知版地域包括ケアシステムのゲートキーパーの役割を担っていただけるよう研修を実施しております。 また、日ごろから地域住民の方々と接する機会の多い民間の事業所と高知県民生委員児童委員協議会連合会及び県の3者による、地域の見守り活動に関する協定の締結を進めており、現在では16事業者の御協力をいただくなど、地域における複層的な見守りネットワークの体制整備に取り組んでいるところです。 今後とも、こうした負担軽減を図る取り組みを進めるとともに、各市町村における、なり手確保のためのさまざまな取り組みを情報共有するなど、市町村との連携をさらに強化し、民生委員・児童委員の確保に努めてまいります。 最後に、ICTを活用した高齢者福祉サービスの検討についてお尋ねがございました。 地域におけるひとり暮らし高齢者などの日々の生活を支える見守りや安否確認などの高齢者福祉サービスにおいても、ICT、IoTなどのデジタル技術を活用した取り組みは、サービスの質の向上や業務の効率化などにおいて非常に重要であると考えております。 そのため、県では日本一の健康長寿県構想において、医療と介護の連携を推進する観点から、在宅療養に係る日々の情報をリアルタイムで共有する「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」のほか、診療歴、治療歴や看護記録等を共有する地域医療介護情報ネットワークシステムや、はたまるねっとといった、ICTを活用した取り組みへの支援を進めているところです。 現在、県内の一部の市町村においては、高齢者の安否確認にテレビ電話装置や緊急通報装置などのIT機器が活用されておりますが、今後ともひとり暮らし高齢者の増加が見込まれる中では、ICTなどを活用したさらに高度な見守り支援の仕組みを検討する必要がございます。 このため、高知版地域包括ケアシステムの構築に向けた圏域ごとの医療・介護・福祉の関係者による協議体において、地域の実情に応じたICT、IoTの活用について検討を進めてまいりますとともに、全庁的な取り組みであります高知デジタルフロンティアプロジェクトや、高知県行政サービスデジタル化推進会議の取り組みとの連動を図りながら、福祉分野におけるICT、IoTの活用を積極的に進めてまいりたいと考えております。   (警察本部長宇田川佳宏君登壇) ◎警察本部長(宇田川佳宏君) 薬物乱用防止教室の実施状況と啓発活動を今後どのように進めていくのかとのお尋ねがございました。 本県における平成30年中の大麻の検挙状況は35人となっておりまして、これを年代別に見てみますと、30歳代以下が31人で全体の約88.6%、20歳代以下が16人で全体の約45.7%を占めるなど、議員御指摘のとおり、若年層における広がりが深刻な状況となっているところでございます。その要因につきましては、教育長からもお話がありましたが、近年有害性を否定するような誤った情報が流れ、また若年層の中にはファッション感覚で大麻を使用する者もおり、大麻に対する警戒心が低下していることによるものと思われます。 県警察といたしましては、大麻が覚醒剤など、より危険な薬物への入り口になり得るものとして、このような状況を看過できないものと考えており、正しい知識を周知するための広報啓発活動に取り組んでいるところでございます。 県下の薬物乱用防止教室につきましては、平成30年中、小学校で70回、中学校で56回、高等学校で41回の計167回実施し、1万575人の児童生徒に、大麻の有害性をしっかりと正しく認識させることに力点を置いた指導をしているところであります。 また、このような現状を踏まえ、教職員の方々にも大麻について正しい知識を持っていただくよう、新たな取り組みとして、本年6月と7月に開催されます中学校、高等学校における補導担当教職員の会合に、実際に薬物捜査に携わっている捜査員を派遣することを計画しているところでございます。 さらに、薬物乱用防止に向けた各種キャンペーンやラジオ放送のほか、ツイッターなどのSNSを活用した啓発活動にも引き続き取り組み、大麻に関する正しい知識を若年層に浸透させ、根づかせるための広報啓発活動を一層強化してまいりたいと考えているところでございます。   (農業振興部長西岡幸生君登壇) ◎農業振興部長(西岡幸生君) まず、本県の49歳以下の新規就農者の状況と、若い世代の農業参入の促進についてお尋ねがございました。 平成29年度の新規就農者数につきましては265名であり、そのうち49歳以下の方は216名となっております。全国平均より、若い方の割合が多くなっているところです。また、親が農業者でなく、みずから農業を始めた新規参入者は56人であり、そのうち49歳以下の方は49人となっております。 県では、農業者の高齢化が進む中、産業振興計画に基づき、県内外の就農希望者を地域に呼び込むことを目的に、産地提案型の担い手確保対策に取り組んでおり、特に若い世代の農業参入を促す施策を強化しているところです。 具体的には、若い世代に本県農業の魅力を伝えるため、恵まれた気候や環境制御技術の導入による高い生産性、強力な販売体制など、本県農業の強みをまとめたパンフレットやDVDを作成し、県内外の相談会での配布や、SNSを活用した情報提供を行うなど、PR活動の充実強化を図っています。 また、若い世代が安心して農業に参入することができるように、農業担い手育成センターと先進農家で基礎的な知識から先端技術まで学べる研修の実施や、就農後においても各産地の現地研修会を通じて栽培技術のレベルアップを支援するなど、産地での受け入れ体制を強化し、就農前から就農後まできめ細かいサポートを実施しています。 さらに、農業への参入には資金が必要であり、若い世代には負担も大きいことから、研修期間中に交付される国の農業次世代人材投資事業への上乗せ支援を行うとともに、今年度からは45歳未満の若い農業者が国の補助事業を活用して次世代型ハウスを整備する場合に、県で上乗せ補助を行うこととしております。このように、若い世代へのPR強化を図るとともに、農業に参入しやすい環境を整備することで、若い世代の農業参入の促進を図ってまいります。 次に、農業大学校教育推進事業を活用して、どのように担い手の育成を図っていくのかとのお尋ねがございました。 県立農業大学校は、幅広い視野を持ち、社会変化に対応できる能力を備えた担い手を育てることを目的に設立され、これまでに農業の基礎的な技術や知識の習得を進めてまいりました。 近年、農業分野で先端技術の導入が進み、施設園芸での環境制御技術や土地利用型農業でのドローンの活用が進展し、AIやIoTを導入したスマート農業も各地域で広がりを見せています。また、来年のオリンピック・パラリンピック東京大会への対応や、生産された農産物の信頼度の向上を図るために、各産地でのグローバルGAPなどの認証取得も求められています。 このような農業分野での技術革新や安心・安全な農産物を求める社会ニーズに対応するためには、農業関係の教育機関において先端技術を習得し、地域でその導入を行う際のリーダーとなる人材や、GAPに取り組む産地などで即戦力となる人材の育成が求められています。 このため、農業大学校では本年度予算を活用して、先端技術の実習を行う新たなハウスや、炭酸ガス発生装置、環境モニタリング装置、タブレットなどを整備し、学生に対し、環境制御技術やドローンの活用方法などを学ぶスマート農業の講義を行うこととしております。また、昨年度取得したグローバルGAPを更新し、GAPを通じて食品安全や環境保全などを学ぶ環境保全型農業の講義も行います。このように、時代に対応した教育を実施することで、次世代の農業を担う若者の育成を進めてまいります。 最後に、スマート農業の推進に向けた取り組みについてお尋ねがございました。 担い手の減少や高齢化が深刻化する中、本県農業のさらなる発展に向けては、IoTやロボット、ドローンなどの、飛躍的に技術開発が進んでいるスマート農業技術を積極的に導入し、農作業の省力化、効率化を図っていく必要があると認識しております。特に、条件不利地の多い中山間地域における農業生産の維持・拡大には、こうした技術が必要不可欠なものと考えております。 現在、水稲や果樹などの露地栽培において、ドローンやGPS機能のついた田植え機、ラジコン式草刈り機など、スマート農業技術の現場への適合性を検討する実証を始めています。この中で、例えばドローンを使ったユズの防除では作業時間が4分の1以下に短縮されるなど、大幅な省力化が図られることを確認しております。また、今議会には、土佐市においてドローンやアシストスーツ、親芋も一緒に掘り上げることができるショウガの掘り取り機といった省力化機械などの実証を行うための補正予算を計上させていただいております。 県としましては、農業団体や機械メーカー等と連携して、シンポジウムや展示会を開催するなど農家との情報共有に努めるとともに、こうしたスマート農業技術を本県の品目や地域に適した体系として組み立ててまいります。 また、実証圃場を学び教えあう場に位置づけ、農家の皆様にスマート農業を実感していただきますとともに、省力効果が確認された技術につきましては、国や県の事業を活用して生産現場への速やかな導入を進めてまいります。こうした取り組みによりまして、農作業の省力化や効率化による生産性の高い農業を実現し、農業生産の維持・拡大につなげてまいります。   (観光振興部長吉村大君登壇) ◎観光振興部長(吉村大君) まず、自然&体験キャンペーンと連動して開催される「土佐れいほく博」をどのように支援していくのかとのお尋ねがありました。 来月7日に開幕します「土佐れいほく博」では、これまで土佐れいほく博推進協議会を中心に、全国的にも知名度の高い吉野川や早明浦ダムを初め、白髪山や棚田の景観などの美しい自然や生活文化を生かし、町村ごとにイベントや体験プログラムを磨き上げて、地域の食や特産品などと組み合わせて、周遊コースづくりを進めてまいりました。 また、誘客に向けたセールスプロモーション活動では、「土佐れいほく博」の魅力を公式のホームページやガイドブックにまとめ、効果的な情報発信を行うとともに、昨年10月からの関西や中四国の旅行会社への精力的なセールス活動により、旅行商品の販売につながっております。 さらに、訪れた観光客の皆様に観光スポットや体験プログラムなどの情報を提供し、地域での周遊を促す拠点となる、モンベルアウトドアヴィレッジ本山を初めとするインフォメーションセンターの整備も進んでおります。こうした取り組みを、開幕後においてもPDCAサイクルを回しながら継続し、実施計画に定める宿泊者数の10%増、観光施設利用者数の20%増という目標の達成を目指すこととしています。 このため、県としましては、引き続き職員の派遣や財政支援を行うとともに、土佐の観光創生塾やアドバイザー派遣により、観光商品づくりやインストラクターの育成などを支援してまいります。また、自然&体験キャンペーンの取り組みとも連携して、特設ウエブサイトやガイドブック、近隣県でのテレビCMを活用した情報発信を初め、「土佐れいほく博」をテーマとした旅行商品の造成に向けて、全国に販路を持つ旅行会社に対して、県と観光コンベンション協会が主催する観光説明会等のセールス活動を、東京や大阪などにおいて引き続き展開してまいります。 このような取り組みに加えて、「土佐れいほく博」を通じて広域観光を推進する仕組みが地域に根づき、嶺北地域の持続的な観光振興につながるよう、推進協議会の運営面、体制面についてもしっかりと支援してまいります。 次に、クルーズ船を利用する外国人観光客の周遊ルートを、中心部以外にも範囲を広げてはどうかとのお尋ねがありました。 外国人観光客の方々に、より広い範囲で県内を周遊していただくことは、本県の強みである自然や歴史、文化、食、そして人の魅力を強く印象づけることによりまして、クルーズ船の寄港地としての地位の確立と寄港の定着につながるとともに、外国人観光客に対応できる受け入れ環境の整備がさらに進むものと考えています。 観光周遊ルートにつきましてはこれまで高知市内が中心でしたので、県や観光コンベンション協会では船会社や旅行会社などに対して、個別セールスや商談会の開催、モニターツアーの実施などを通じて、地域の歴史や伝統文化を体験していただく周遊ルートを提案してまいりました。 これらの取り組みによりまして、高知市以外を周遊するルートが採用されるようになり、例えば室戸市のジオパークセンターや香美市のフラフ工場の見学、いの町での紙すき体験、佐川町での町歩きなど、地域の生活や文化などに触れていただける周遊ルートが徐々にふえてきています。 また、美しい自然景観や体験メニューを生かした観光は外国人にも人気がありますことから、現在開催しています自然&体験キャンペーンにおいては、例えば仁淀川の渓谷ガイドツアーや屋形船体験といった観光商品が企画され、外国人観光客にも対応できるように磨き上げられています。 今後も引き続き、船会社や旅行会社などに対して、自然&体験キャンペーンを通じて創出された観光商品のPRも強力に実施することで、県内を周遊するルートのエリアを広げるとともに、自然、歴史、伝統文化といったテーマの広がりにもつながるよう取り組んでまいります。   (文化生活スポーツ部長橋口欣二君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(橋口欣二君) まず、地域のスポーツクラブなどへの加入割合を高める取り組みについてお尋ねがございました。 本県の子供の主なスポーツ活動の場は、学校での活動のほか、スポーツ少年団や総合型地域スポーツクラブなどがありますが、地域や競技種目が限られており、希望するスポーツにめぐり会える環境が十分とは言えないのが実情です。 このため、地域のスポーツクラブを核として、子供を含む幅広い年代の方にスポーツの機会を提供できますよう、現在6市町で地域スポーツハブの取り組みを進めており、その中で、子供たちがスポーツを始めるきっかけとなるイベントの開催や運動部活動にない競技種目の実施など、それぞれの地域でスポーツに参加できる環境の充実に取り組んでいます。 今後、子供たちの主なスポーツ活動の場であるスポーツ少年団の充実に向けた支援とあわせて、こうした地域スポーツハブの取り組みを拡充していくことで、多くの子供たちが多様な場でスポーツに参加できるようにしたいと考えています。 次に、日本代表選手を多く輩出するための具体的な取り組みについてお尋ねがございました。 日本を代表する選手を輩出するためには、本県の競技力の向上が不可欠であります。そのため、競技ごとにジュニアから一般までの有望な選手を集めた常設の全高知チームを立ち上げ、戦略的な育成強化を進めてまいりました。 現在、12の競技団体で全高知チームが立ち上がっており、特別強化コーチの監修のもと、課題の克服のための技術の習得や体力強化に特化した練習、さらなるレベルアップに向けた強豪チームとの対戦や、国内トップレベルを体験するための県外遠征などにも取り組んでいます。こうした取り組みを通して、水泳の飛び込みやレスリングにおいては複数の選手が国際大会で入賞するなど、日本を代表する選手が育ってきております。 加えて、本年4月に開設した高知県スポーツ科学センターでは、効果的、科学的なトレーニングを実施するための分析やサポートを行うこととしており、既に7種目の全高知チームを対象に、運動時に発揮されるパワーや酸素を取り入れる能力などの測定を実施し、その結果に基づくトレーニング指導を始めています。あわせて、アスレティックトレーナー協議会や栄養士会などの関係団体の協力を得まして、競技特性や選手の発達段階などに応じた栄養面やメンタル面でのサポートチームの編成や、広く県内指導者を対象としたスポーツ医科学研修も実施することとしております。 今後とも、こうした競技力の向上を通じ、全国で活躍できる選手、日本を代表する選手が一人でも多く輩出できますよう取り組んでまいります。 最後に、障害者のスポーツ参加機会の拡充に向けた今後の取り組みについてお尋ねがございました。 特別支援学校の卒業生を対象に実施したスポーツに関する意識調査によれば、1週間のうち1日も運動やスポーツを行っていない人の割合は64.7%でした。その理由として、仕事や家事などで忙しく時間がないという回答が一番多く、このほか機会や場所、施設がない、仲間がいないなどの御意見がありました。こうした調査結果からも、障害者が気楽に参加し、スポーツの楽しさを知ることができるスポーツ機会の提供を図ることが重要だと考えております。 県では、これまで学校施設や障害者施設など障害者が参加しやすい場を活用したスポーツ活動や、障害種別にかかわらず参加できる新たな障害者陸上競技大会の開催など、障害者が安心して気軽に参加できるスポーツ機会の提供に取り組んできました。 今年度は、新たに10月に春野総合運動公園で開催するスポーツ・JAM・フェスタにおいて、健常者も障害者も一緒に楽しめるスポーツ体験教室の開催や、障害者スポーツの紹介なども行うこととしております。今後も、こうした障害者スポーツの理解促進やスポーツイベントの開催を通じて、障害者のスポーツ参加機会の拡充が図れるよう取り組んでまいります。 ◆31番(上田周五君) それぞれに御丁寧な御答弁ありがとうございました。 1点は要請でございますが、地方職員3万人減可能ということで、知事の御答弁の最後のほうで、地方財源が削減されることがないようにという御答弁がございました。今回の3万人減の試算を示したことの中に、来年度の予算編成に向けて、財務省が地方財政規模の伸びを抑えるといった狙いがあるというふうにお聞きしていますので、ぜひ知事の御答弁のように--具体で言いましたら、地方交付税の削減に切り込まれるというような不安が私どもにございますので、そういったことも含めて削減されることがないように、財源確保をよろしくお願いいたします。 もう一点は、佐川町の最終処分場に関してでございます。繰り返しになりますけれども、今後次のステップへ事業展開されるときに、やはりとにかく丁寧な上にも丁寧、そして慎重な上にも慎重、そして地元に寄り添った、そういった対応をお願いしておきたいと存じます。 その上で、午前中の知事からの提案説明の中に、佐川町への職員派遣、また職員駐在など、人的支援を実施していくとのお話がございました。実は私も、かつて伊野町役場の助役時代に、新宇治川放水路、これが床上対策特別緊急事業、国の直轄でございますが、その助役をしていたときに、窓口業務を担当したことがございます。何を申し上げたいかといいますと、やはり今回の場合は県事業で、知事からそういう提案説明があったんですが、どうしても事業が進んでいきますと、やっぱり地元の、今回でしたら佐川町の職員の方に結構負担がかかるということがございますので、もう一歩踏み込んで、例えば職員さんを派遣とか駐在というときに出先事務所を佐川町へつくるとか、そこのあたりまでは御検討されていないかどうか、それを改めてお伺いいたしたいと存じます。 それから、もう一点、要請ですが、周辺対策で国道33号の交通安全対策を、今回県から強く国へ要望していきますよというお話がございます。例えば、今、国道33号整備促進期成同盟会高知県協議会というのが結構--もちろん佐川町も入られて頑張っておられますので、その協議会と連携して国へ要望していくとか、そういったことも今後検討されてはということで、これは要請ということで、よろしくお願いをいたします。 2問目終わります。 ◎知事(尾崎正直君) 御要請の向きにつきましては、重く受けとめて対応させていただきたいと、そのように思います。その上で、佐川町に対する人的支援の関係についてでありますが、まず佐川町の皆様からは、町役場への派遣もしくは常駐というお話でありますから、そのことについて真摯に対応させていただきたいと思います。速やかに派遣できるように体制を整えたいと、そう思っています。 その上で、現地事務所という話でありますけれども、まずは越知に土木事務所がございます。その越知におきます土木事務所において、本件についてしっかりと対応していくという体制を整えさせていただきたいと、そのように思っています。 現実に、先日、町長さん、そして町議会議長さんがおいでになられました会談の席にも、土木部長とともに越知事務所長も同席をさせていただきまして、会談の翌日には早速現地にお伺いをさせていただいて、川の状況とか道の状況などについて詳しく、より住民の皆様からの御意見もお伺いする、そういう活動も始めたところです。私からも明確に越知事務所長に、本件についてしっかりと対応してほしいという指示をいたしているところであります。まずは、この体制で進めさせていただいて、その上でなおもって不足があるということでありますと、追加的な対策を考えると、そういう形でやらせていただければと思っています。 ◆31番(上田周五君) どうもありがとうございました。引き続いてよろしくお願いをいたします。 以上で終わります。(拍手) ○副議長(弘田兼一君) 暫時休憩いたします。   午後3時休憩-----------------------------------   午後3時20分再開 ○議長(桑名龍吾君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 33番岡田芳秀君。   (33番岡田芳秀君登壇) ◆33番(岡田芳秀君) 市民と野党の共闘で県議会に送り出していただきました日本共産党の岡田でございます。会派を代表しまして、以下質問をさせていただきます。 まず、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。 1つは、日米貿易交渉についてでございます。米国が昨年12月21日に発表した対日貿易交渉目的は、サービス分野を含む22項目から成る包括的な交渉を想定したものとなっています。日本は単なる物品協定、TAGとしていますが、アメリカは包括的な自由貿易協定、FTAを目指す構えです。 ことし4月15、16日の両日、ワシントンで行われた日米通商交渉では、農産物、自動車についての物品貿易交渉に加えて、物品貿易とは異なる項目であるデジタル貿易についても交渉することで合意がされています。 来日したトランプ米大統領と安倍首相との5月27日の日米首脳会談では、日米貿易協定について、早期の成果達成に向けて議論を加速させていくことで一致しました。会談後の両首脳の共同記者会見でトランプ大統領は、8月に両国にとってよい発表ができるだろう、貿易不均衡を早期に是正しなければならないと言及し、さらに、TPPは関係ない、私は何も縛られていないと強調しました。安倍首相は、新たな貿易交渉はTPP水準を上限とするのかという質問には答えず、TPP以上の市場開放の可能性を否定しませんでした。 そしてその後、政府は米国に対する牛肉や豚肉など農産物関税を、先行しているTPPに合わせて一気に引き下げる案を提示し、その見返りに自動車分野で譲歩を求める方針であると報じられています。そうなれば、国内農業に大きな影響が出ることは避けられません。政府・与党は予算委員会を開いてきちんと説明をする責任があります。7月の参院選をやり過ごして一気に大幅譲歩などということはあってはなりません。 財務省の貿易統計をもとに農林水産省が作成した輸出入概況によると、2017年から2018年にかけて、農産物輸出は4,966億円から5,661億円へと695億円ふえましたが、農産物輸入は6兆4,259億円から6兆6,220億円へと1,961億円増加をしています。つまり、国内農産物市場は1,266億円縮小したことになり、成長戦略にも反するものです。 また、既に発効されたTPP11、日欧EPAによって生じている国内農業への影響もしっかり見きわめる必要もあります。特に、チリ産ブドウの輸入が急増しており、生鮮果実の関税撤廃の影響はないとしてきた政府試算の見直しが必要となっております。 私は、日米2国間交渉を直ちに打ち切り、日本の経済、食料主権を守る、公平・公正な貿易ルールづくりをこそ目指すべきと考えます。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、自治体職員の職員数についてお伺いします。財務省が財政制度等審議会の分科会で、警察官や消防士、教師らを除いた地方自治体の一般職員について、人口減に合わせて2025年には約3万人を削減、効率化できるという試算を示しました。 地方公共団体の総職員数は1994年に約328万人でしたが、2018年には約274万人に減少、このうち一般職員は117万人余りから約92万人と大きく減少しています。同時に、2014年をボトムとして増加に転じ、2018年までに計約1万人ふえています。総務省の調査では、防災や地方創生、子育て支援、生活保護関連業務の体制充実などが主な増員理由となっています。 地方財政審議会の意見では、「地方財政計画における近年の歳出は、その内容を見ると、国の制度に基づく社会保障関係経費が増加しており、その増加分を、給与関係経費や投資的経費の減で吸収してきた。このため、給与関係経費、投資的経費ともに、ピーク時から大幅に減少しており、これまでと同様の対応を続けることは困難になってきている。」「今後、少子高齢化への対応や社会的に支援が必要な人々へのきめ細かな対応がますます求められることを考えると、これまでと同じように地方公務員の数を減らすことは限界にきている。」と指摘しています。 職員不足、職員の多忙化解消こそ求められており、財務省の試算は、以前の少人数学級やめよという主張と同様、地域の実態を見ていないものではないかと言わなければなりません。撤回を強く求めるべきと思いますが、知事にお聞きをいたします。 国の制度に基づく社会保障関係経費の増、行政需要の高まりによるマンパワーの充実が迫られているにもかかわらず、国の地方財政計画の一般財源はふさわしくふえていません。これが上記のような職員削減を生み出すとともに、一方で非常勤職員を増加させてきた要因です。 2016年度、市町村の非正規職員は、全職員の30.3%にまで増加し、約49万人になっています。職員の半数以上が非正規という市町村は2016年度92自治体と、10年余りで7倍に急増しています。財務省の試算は、急増してきた非正規職員の実態を無視した暴論と言えます。 サービスの安定性、継続性と専門性を考えれば、正職員をふやすことが求められています。また、非常勤職員の処遇改善を目的とした会計年度任用職員への移行に基づく処遇改善予算をしっかり確保することが求められています。しかし、政府は処遇改善のための財源規模すら示していません。正職員を減らして非正規を拡大するという動きも全国的には起こっています。 行政需要の多様化に見合った職員体制の確保、非常勤職員の処遇改善のための財政措置こそ真っ先に行うものであると考えるが、知事にお聞きをいたします。 次に、米軍機の低空飛行訓練についてお伺いをいたします。本年4月11日、午後0時47分から1時の13分間に、本山町上空を米軍の戦闘機が3度飛来。本山町役場に設置をされた騒音測定器ではいずれも100デシベルを超える爆音が記録され、目撃をした町民や役場職員からは、これまで目撃した中でもこれほど低く飛んだことはなかった、パイロットのヘルメットが確認できるほど近かったなどの証言も寄せられています。 本山町立本山保育所では、90名を超える園児たちがちょうどお昼寝をしていた時間です。園舎を震わすほどの轟音に目を覚まし泣き出す子供たち。保育士さんたちは、大人でも身の危険を感じるほどだった、子供たちの心に恐怖を与える米軍機の訓練は絶対にやめてほしいと語っています。 今回の事態を受け、知事も翌日、防衛大臣と外務大臣に要請文を提出し、その後、知事御自身が政府関係者に面談し要請をされていますし、5月27日には本山町で保育所職員や保護者の皆さんから直接声も聞かれています。 そこで、まず5月27日に本山町の現地で実態を聞かれた感想を知事にお伺いします。 また、防衛省地方協力局の職員が高知県を訪れていたとのことですが、どのような目的で訪れていたのか、知事の要請に応えたものなのか、知事に伺います。 この日、低空飛行訓練の40分後には、ほぼ同じルートでドクターヘリが救急患者の搬送のため飛行していることを高知新聞の本山支局の記者がカメラで捉えており、その後の調査で、2017年12月には県の消防防災ヘリの操縦士から、目視で約200メートルの距離で米軍機が後方から接近し抜き去っていったとの証言を得て、5月3日の新聞紙上で大きく取り上げられました。 知事は、これまでもこうした危険性を回避するため、米軍機の低空飛行訓練の事前の情報提供を求めてきましたが、日米地位協定の壁に阻まれ、事態は全く改善されておりません。今、全国で米軍による基地被害や訓練による被害に対し全国知事会が声を上げ、日米地位協定の見直しを決議し行動を開始しています。 全国知事会の要請を踏まえ、また現地の皆さんの声もお聞きになり、今後知事としてどのような働きかけを行っていくのか、伺います。 6月6日、日本共産党高知県委員会、徳島県委員会合同で、米軍機の低空飛行訓練の中止についての要請書を持って政府交渉を行いました。その中で、防衛省、外務省の担当者からは、全く自由に飛んでいいわけではない、安全に配慮するのは当然、日米地位協定第16条には国内法の尊重という記述もあると、何の見直しの必要もないと言わんばかりの答弁がなされ、現実に起きている事態を全く無視する発言が相次ぎました。政府に事態の深刻さを、そして危険性を事実として認識させる重要性を改めて痛感しました。 そこで、まず低空飛行の実態を音量だけでなく映像で捉え、飛行高度を記録するためのカメラの設置を提案いたします。本山保育所の保育士さんたちはいつもポケットにカメラを持ち、子供たちの様子を記録することと、低空飛行を証拠として残すための努力もしておられます。 県として飛行ルートを町民から聞き取り、有効な場所にカメラを設置すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。 また、この間、消防防災ヘリやドクターヘリの乗組員からの報告も共有することとなりましたが、その報告を空の安全をつかさどる国土交通省の部署にも通知し、米軍機であるとの確認を行わせるよう求めるべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。 事実確認に関して、これまで低空飛行が確認されたら、県が中国四国防衛局に米軍への確認を求め、その機体が米軍機であるとの通知を受け取っていました。しかし、最近では米軍からの回答が明確になされていない事態となっています。自衛隊機でもない出所不明の戦闘機が飛び回っているという異常事態は、看過できるものではありません。 事前の情報提供とともに、飛行訓練後の速やかな情報公開を求めるべきだと思いますが、どのように対応されるか、知事に伺います。 さきの政府交渉には、事故が起こってからでは取り返しがつかない、子供たちの心と命を守るのが私たちの責任だと、知事も受け取られた抗議はがきを持って、本山保育所の保護者や保育士さんたちも参加をし涙ながらに訴えられました。政府交渉から帰ってきた保育士に子供たちから、もう飛ばんって言うてくれたとの問いかけがあり、胸が詰まってしまったとのお話も伺っております。 県としてのこれまで以上の積極的な取り組みを強く求めるものですが、最後に知事の決意を伺います。 次に、農業振興について伺います。 本県では、県のトータルプランである高知県産業振興計画や高知県南海トラフ地震対策行動計画を上位計画として、また昨年7月の豪雨災害等を踏まえて、2019年から2023年までの新たな高知県農業農村整備推進方針が示され、農を強くする、農を守る取り組みが始まっております。 この方針でも指摘をされていますが、農地の減少と耕作放棄地の増加、農業者の減少と高齢化は、農業振興にとって引き続き大きな課題です。本県の耕地面積は2万7,600ヘクタールで、この10年間で約1,300ヘクタール減少しています。これは、南国市の水稲の作付面積1,380ヘクタールに相当します。また、耕作放棄地は3,921ヘクタールで、この10年間で約110ヘクタールふえています。このため農地を担い手に集積して耕地面積を維持しようとしておりますが、集積率は全国平均の55.2%に対して31.4%にとどまっています。 農業振興にとって生産性を高めることは大事ですけれども、やはり農業生産の基盤となる耕地面積を維持することが大切だと考えます。そして、耕地面積の減少に歯どめをかけるには、何よりも耕作放棄地の増加を食いとめる、このことが重要です。 耕地面積の減少に歯どめがかからない現状をどう捉えているのか、農業振興部長に伺います。 とりわけ耕作放棄地は狭い土地であったり、水の便が悪かったりといった、いわゆる条件不利地に多くありましたが、最近では平野部でも見られるようになっています。圃場整備を進めて集約するというやり方だけでは追っつかないのが現状ではありませんか。圃場整備がされなければ、そのまま放棄されることにもなりかねません。 地域農業の持続可能性を高めるには、貸し手と借り手をつなぐ農地バンクの機能をもっと充実させること、耕作放棄地が生まれた要因を具体的に分析して対策を講じること、耕作放棄地をどう活用するのかを具体的に検討する仕組みを充実させることが大切です。例えば町の周辺などでは、JAや集落営農などと連携し、圃場を一定の小さな面積に区切り、市民農場として市民に一定の金額で貸し出し、そして家族が週末には土に親しむ、そこから農業をもっとやってみたいという人が生まれるというように、耕作放棄地をうまく活用しているところもあります。また、障害者就労施設が農地を借り受けて福祉農園を営んでいるケースもあります。こうした取り組みを広げていくことができるのか、市民のニーズを調査するのも一つの対策ではないでしょうか。市町村の耕作放棄地再生の取り組みと連携をし、県としてもしっかりと取り組んでいかなければなりません。 地域農業を維持していくために、耕地面積の減少や耕作放棄地の増加が続く現状に歯どめをかけるためにどう取り組むのか、農業振興部長にお聞きをします。 農業者の減少と高齢化の問題も大きな課題です。大もとには人口減少が続いているという背景がありますが、直接的には農業だけで暮らしていける展望が持てないことがあります。息子に農業をやれとは言えない。年をとって無理がきかん、作を減らそうと思いゆう。燃油は高どまり、消費税が上がったらどうなるか心配。こんな声が寄せられています。新規就農を促進するには、高知の農業の魅力を発信し、農業で暮らしていこう、農業で暮らしが成り立つという展望を示すことが重要です。そのためには、何よりも農家の皆さんの経営安定を図り、後継者が農業に自信が持てるようにすること、そしてU・Iターンを促す取り組みを強めることが必要です。 これから、農業者の高齢化がさらに急速に進むことが予測をされます。一昨年の県の新規就農者数は、目標320人に対して265人となっており、足踏み状態です。一方、全国的には49歳以下の農業就農者がここ数年2万人以上をキープしていることは、就農の形態はさまざまあるにしても、変化の兆しが生まれてきているのではないかと感じています。それでも、全体として見れば農業就業人口は引き続き減少傾向にあり、歯どめがかかっていないこともリアルに見なければなりません。 今後、県として新規就農者の目標達成にどう取り組むのか、そして就農支援をどうしていくのか、農業振興部長にお聞きをします。 また、現場では人手不足という問題も生まれています。ネットで労働条件を示して募集するということも行われていますが、労働力不足に対してどう取り組むのか、農業振興部長にお聞きします。 農家戸数や農業就労者の減少にもかかわらず、販売額は伸びてきています。このことは産業振興政策の成果と言えます。しかし、今後を考えますと、就業人口が減り続ける一方で、販売額を伸ばし続けていくにはやはり限界があるのではないでしょうか。私は、集約化、規模拡大で生産性を上げて売り上げを伸ばすというやり方だけではなく、農家が住民と一緒に地域を守る、持続可能な農業を続けるには、地域農業の多くを担っている家族農業への支援を図るなど、足元の力をつけることが大切だと考えます。 この10月から消費税の10%への増税が予定をされています。農業経営も圧迫するものです。政府自身が景気判断を悪化していると下方修正した状況の中で、実施をすべきではないと考えますが、知事の所見をお聞かせください。 また、増産が実証されている環境制御技術の普及についてです。安芸市では一定普及が進んでいるようですけれども、アンバランスがあり、全体として目標に届いていません。せっかくの研究成果が現場で生かされないとすればもったいない話です。例えばAさんのところではこうなると、収支のバランスシートも示して、本当に経営がよくなる、収益が上がるというイメージが湧くようにわかりやすく示すなど、工夫が必要ではないでしょうか。 高齢になった農家の方たちは新しいやり方をためらう傾向がありますが、今後どのように環境制御技術の普及を図っていくのか、農業振興部長の考えをお聞きします。 次に、農業農村整備事業について、とりわけ南国市で行われている国営緊急農地再編整備事業についてお聞きします。いよいよ、この圃場整備事業がこれから本格的に始動します。受益面積は約530ヘクタール、全体が仕上がる工期は約10年です。当初の目標からすれば受益面積は狭くなったとはいえ、この事業は地域の農業構造を変える大きな事業となります。どう変えるか、県はことし3月に策定した農業農村整備推進方針の参考資料にかなり具体的に示されていますが、地域の皆さんとよく話し合って進めなければなりません。 この事業は、農地集約にとどまらず、新たな営農展開によって、直販所、学校給食や農家レストラン、JA出資法人が取り組む還元野菜の生産や、周辺の園芸農家などとも結びついて、農業を中核産業とする地域全体の活性化につなげていける可能性を持っています。期待の大きい事業です。こうした事業を通じて次の世代が育つようにしなければなりません。地域の人たちが主体的に取り組み、地域の特性を生かした農業の振興が図られるよう、県におかれましては、地元農家、土地改良区、南国市を初め関係機関としっかり連携し、御支援をいただくようにお願いいたします。 その上で、支援体制について伺います。南国市では、この4月に農地整備課が新設をされました。職員は6名です。うち1名は基盤整備の事業内容に精通している県の出向者ですが、南国市の5名は基盤整備に取り組んだ経験がないと伺っております。今後、具体的に事業が進んでいく中で、きめ細かな対応を図るためには支援体制の拡充も必要だと考えます。 この事業推進を図る上で県の役割、意気込みを農業振興部長、お聞かせください。 次に、この圃場整備事業に隣接をしている浜改田と前浜地域を流れる後川の排水対策についてお聞きします。南国市の最南端を東西に流れる後川は、もともと物部川の河口に流下していましたが、排水に課題があったことから、直接海へ放流する放水路が整備されています。 放水路の老朽化により、排水機能の低下が懸念をされていますが、今後どのような対策を検討されているのか、土木部長にお伺いします。 また、これから造成にかかる仮称南国日章工業団地にかかわる用水・排水対策についても、関係する農家の皆さんの御理解、御協力が得られるよう求めるものですが、経過を含めてどのように対応されるのか、商工労働部長にお聞きします。 次に、新たな管理型産業廃棄物最終処分場についてお聞きをします。 知事は、今議会の提案説明で、佐川町加茂を建設予定地として決定した理由を、反対の御意向を示された方はごくわずかにとどまった、一定の御理解が得られつつあるのではないかと受けとめさせていただいておりますと述べています。 6月11日付の高知新聞によれば、県が受け入れるように要請している建設候補地の長竹地区自治会が地元住民42世帯を対象に6月2日から9日にかけて実施したアンケートでは、回答した37世帯のうち29世帯、8割近くの住民が反対をしていると報道されています。添えられた意見には、声が届かないから県の説明会に行く気がなえる、会の参加者が減り一部の人しか発言しなくなったのは理解とは違うとあり、反対の御意向を示されたのはごくわずかというのは諦めさせられたゆえのものであり、とても一定の理解が得られつつあるという状況ではないことが示されています。 第1回選定委員会では建設予定地の決定は、地元住民、市町村の御了解をいただいて候補地を決定すると説明していますが、知事は何をもって地元住民の了解をいただいたと考えたのか、お聞きをします。 16日に佐川町が受け入れを住民に表明し、実施した説明会では、住民は理解していない、どんどん進めないでほしい、なぜ受け入れ決定の前に町独自で住民の声を聞く機会を設けなかったのかとの意見が出されたと報道されております。住民の意見が異なる極めて重要な事業の適否を諮るには、当該自治体の首長や執行機関の恣意性を排し、客観性、公正・公平性を担保するため、住民代表や専門家などを構成員とする第三者的な側面を持つ検討委員会を当該市町村が設置し、住民合意を形成し了解をいただく手法をとることが極めて大事だと考えるものです。 今からでも遅くありません。候補地となった自治体に設置への助言を行うべきと思うものですが、知事にお聞きをします。 本県同様に最終処分場の建設を図る岩手県では、10カ所を選んだ第4次選定の現地調査で、選定委員の地盤工学、土質力学の専門の教授が10カ所全てに調査に入り、地すべりや崩壊などの可能性の有無を評価し、最終的に選定した5カ所の候補地は立地条件等の点で問題ない場所だと、候補地を決定する時点で科学的で公平・公正な選定結果を示すことができています。しかし、本県では、知事説明でも触れられているように、いまだに河川の増水や地下の空洞の有無などに関する御不安があるにもかかわらず候補地として決定する、いわば住民の気持ちを無視した対応と言わざるを得ません。これでは住民が納得するわけがありません。 本県で第4次スクリーニングとして11カ所の現地調査を実施したとき、なぜ岩手県が行ったように選定委員会の専門家が同行して調査、地形判断を行わなかったのか、また決定するまでにそれら地形的な立地条件については当然調査をすべきだと考えますが、林業振興・環境部長にお聞きをします。 また、その第4次のスクリーニングで最終的な3カ所の候補地が選定されましたが、その際佐川町加茂については、それまで議論もされていない経路の津波浸水条件がつけ加えられて最終候補地決定をしていることは、それまでの論議の不十分さとともに極めて不明瞭な選定方法だと考えます。経緯について林業振興・環境部長にお聞きをします。 最後に、住民の不安を招いていることに、災害廃棄物の搬入があります。基本構想では搬入しないとなっているにもかかわらず、第1回選定委員会で、ここには記載されていないが災害廃棄物の搬入を総合的に判断すると説明しています。県は基本構想を変えたのか、また住民に対してそのことを説明したのか、林業振興・環境部長にお聞きをします。 次に、高齢難聴者への支援、聞こえのバリアフリーについて伺います。 人間は誰でも加齢とともに高い音から徐々に聞こえなくなり、70歳以上の半数に難聴があるとされています。いわゆる加齢性難聴です。言葉が聞こえにくくなると日常生活を不便にし、コミュニケーションを困難にするなど生活の質を落とす大きな原因になります。また、認知機能が低下し、コミュニケーションが減り、社会的に孤立することで、認知症や鬱病のリスクが高まります。 難聴になったら、なるべく早い補聴器の使用が聞こえの改善にとって大切です。そして、国が今高齢者の社会参加、定年延長や再雇用を求めており、耳が聞こえにくい、聞こえないというのは大きな障害となります。まさに高齢者にとって補聴器は社会参加の必需品です。その促進のための公的補助は、時代の要請とも言うべきものです。 補聴器の値段は片耳3万円から20万円ぐらいですが、補聴器は大変な精密機械で、人それぞれの聞こえに合わせようとすると30万円以上になると専門家は言います。年金暮らしの高齢者、低所得の方々や、生活保護利用者等には手が届きません。結局、全く耳が聞こえない、ほとんど聞こえないまま毎日を過ごすという深刻な事態になっています。 補聴器購入の公的補助は、障害者手帳を持つ、両耳の聴力レベルが70デシベル以上という重度・高度の難聴者に限られています。具体的には、40センチ以上離れると会話が聞き取れない人が対象です。欧米諸国では医療の問題として補助が行われています。そのため、難聴の人の補聴器所有率は、イギリス47.6%、フランス41.0%、ドイツ36.9%、アメリカ30.2%と比べ日本は14.4%と非常に低くなっています。欧米の半分以下です。 世界保健機関、WHOは、聴力が中等度の41デシベル以上、具体的には、基本的には聞こえるがかなり聞きづらくなっているを補聴器装着の基準としています。これは、放っておくと聴力がさらに低下をし、認識できない音がふえていく、その段階で補聴器をつけたほうが音の認識が保てるという、非常に意味のある基準です。欧州等はこの基準に沿って、また難聴を障害ではなく医療の対象として捉え、手厚い公的補助を実施しているのです。さらに、難聴に早く対応することは、認知症や鬱病などへの進行を防ぐという意味で医療費を抑制する効果を発揮することになります。 3月20日、参議院財政金融委員会で、日本共産党の大門実紀史議員の補聴器購入への公的助成制度創設の求めに対して、麻生国務大臣は、やらなければならない問題だと答えています。兵庫県議会は昨年12月議会で、加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的補助制度の創設を求める意見書を全会一致で可決しています。また、東京都では8つの自治体で独自支援を実施しています。 国に対して公的助成制度の早急な創設を強く提案すべきだと考えますが、地域福祉部長の所見をお伺いします。 それまでの間、加齢性難聴で困っている方の現状を把握するとともに、軽中度の子供の補聴器購入助成制度創設に続き、高齢者への支援を検討するよう求めますが、地域福祉部長に伺います。 また、相談体制の充実、公共施設等への、補聴器を使われる方の聞こえをサポートする磁気ループ設置を求めますが、地域福祉部長に伺います。 次に、大学等修学支援法についてお聞きをします。 本法について安倍政権は、マスコミを通して無償化という言葉を喧伝していますが、その支援対象は現行の減免対象数より狭まるものです。しかも、肝心の高い学費値下げがこの制度によって図られるのかを問うた我が党の国会での質問に、柴山文科相が新たな制度は授業料の値下げを行うものではないと答えたように、異常に高い学費には一切手をつけようとしていません。圧倒的多数の学生は、この支援法では放置されるだけでなく、今各大学が実施をしている授業料減免措置がなくなるおそれも出てきております。しかも、その財源という口実で逆進性の強い消費税10%増税が学生と家族に押しつけられます。 支援法が授業料の減免措置の拡充と給付型奨学金の支給額を大幅にふやす対象としているのは、住民税非課税世帯などの低所得世帯です。4人家族で年収380万円未満の世帯が対象、270万円未満で上限額54万円から70万円が支援をされます。住民税非課税などの低所得世帯から大学などに進学する高校生は、1学年当たり6.1万人で新入生の6.3%に当たります。現在の授業料減免制度で支援を受けている学生は、国立大で12%、公立大で6.8%、私立大で3.2%です。私立大学には年収841万円以下の世帯でも国が半分を補う制度がありますが、今回の支援法によってこれら中間所得世帯への減免措置は、拡充されるどころか縮小されるおそれが出ています。 また、第7条では支援対象を政府が定めた要件、すなわち実務家教員による授業や経済界など外部の理事の数が一定割合を超えるなどを満たした大学、専門学校に限定するとしており、大学自治にまで文科省の規則を当てはめ、支援対象はさらに狭くなります。国立大学協会会長の山極壽一京都大学総長が、学生が行きたい大学に進む希望をかなえるのが重要なのに、大学に条件をつけるのはおかしいと発言するなど、大学関係者からも厳しい批判の声が上がっています。 知事は、全国知事会次世代育成プロジェクトチームのPT長として、給付型奨学金の創設や高等教育の無償化に向けて、国の責任として取り組むよう強く訴えられてきたと本議会でも述べられております。 今回成立した支援法が、一部中間所得層も対象となっている現在の減免制度の縮小、廃止となり、就学継続が困難になる懸念に対する認識、さらに大学の要件に対してどうお考えか、知事にお聞きします。また、高知県立大学においての対応方策についてもお聞かせください。 また、現在授業料減免を受けている高知県立大学生の措置が後退することがあってはならないと考えるものですが、授業料減免制度を利用されている学生の現状とあわせて知事にお聞きします。 支援法では、在学中の成績評価で下位4分の1に入った学生に対しては支援を打ち切ってしまう足切り制度を検討していることも重大です。支援を打ち切られた学生は退学するか、莫大な借金を背負うかの選択に迫られます。この非情な足切りに関し大学は厳格な成績管理が求められることとなり、支援の適否を評価するための経費や新たな人員配置などへの経費増加が見込まれるとの声も上がっており、消費税増税を財源とする支援制度がさらに学生に負担を課す学費値上げを誘発する要因となることも予測されます。 本来、高等教育無償化は、誰もがお金の心配なしに高等教育を受けられる条件を整えるために学費ゼロに近づけていくことです。ところが、安倍政権は異常に高い学費には、さきに触れたように一切手をつけようとしていません。昨年授業料を5万円、8万円と値上げする私立大学が相次ぎ、雑誌が「有名大学が大幅値上げラッシュ!」と特集を組むほどです。こうした値上げ傾向を値下げに転じる政策は安倍政権にはありません。 高知県立大学においては、入学金、授業料など学費を低減させていくべきだと考えますが、知事にお聞きをします。 次に、大規模風力発電集中立地問題についてです。 自然エネルギーは、地域分散型で地域活性化に資するとともに、地球的な環境問題の解決に結びつく技術として、世界的規模で導入が急増し、価格低下も進んでいます。そうした世界の流れから取り残されそうな日本も、第5次エネルギー基本計画では、初めて自然エネルギーの主力電源化に向けた取り組みを進めると位置づけました。しかし、国家的な総合戦略の欠陥により、現実には地域、地元のエネルギーとしてではなく、大資本、地域外資本による大規模事業・計画が進められ、各地で地域住民や自治体との間でトラブルが発生しています。 高知県でも、住民の知らない間に大型風力発電の集中立地計画がめじろ押しの状態です。土佐清水市と三原村の境にある今ノ山を中心とする尾根上に、ジャパンウィンドエンジニアリング社が、ブレード直径が117メートルの巨大風車を最大46基設置する全国最大級の風力発電所の建設計画があります。四万十町と四万十市の境には、オリックスによる最大49基の風車による総出力最大14.7万キロワットの風力発電所の計画。そして、電源開発株式会社は、梼原町と愛媛県西予市との県境に最大50基、総出力最大18万キロワットの計画と、香美市と本山町の境の国見山周辺に最大22基、総出力数万キロワットの計画などです。いずれも東京の企業による計画です。 ジャパンウィンドエンジニアリング社の計画以外は、既に環境影響評価の手続の計画段階配慮書に対する環境大臣意見も出されています。それぞれ生態系、自然環境、水質、景観などへの懸念や影響を低減することなどが付されていますが、県は自然エネルギーの住民本位の推進のためにも、生活環境、自然と景観の保護、防災の観点から、現在の計画に対し毅然とした対応をとること、さらに規制のルールを本格的に検討する時期に来ていると思います。 再生可能エネルギーの固定価格買取制度である改正FIT法は、各地のトラブル増加を反映し、地域住民と適切なコミュニケーションを図ることを努力義務と規定しました。3月20日の参院経済産業委員会で、我が党の岩渕友議員の質問に答え世耕経産相は、そのあり方は、それぞれの実態に応じ丁寧に決められるべきと答弁しています。また、地域住民の反対意思を無視した開発推進に、地域の人が何を言ってもやるというものは、まさにコミュニケーションをしていないということかと思うとも答弁をしています。 まず、これらの既存の計画について、どのように対応するつもりか、また適切なコミュニケーションを図ることの努力義務をどう果たさせていくつもりか、林業振興・環境部長にお聞きします。 そもそも自然エネルギーは、地域資源の活用として地域住民の合意、出資で進められることから、欧州ではエネルギーデモクラシーと称されています。そうした本来的なあり方を取り戻すためにも、FITの事業計画認定に当たり、地元住民、自治体の合意の義務化、地域と共生できない事業のFIT認定は取り消すといったルール化が必要ではないか、林業振興・環境部長にお聞きをします。 高知県は災害常襲地域です。大雨や地震などで土砂災害による被害のおそれがある場所、また施設建設のための工事でその危険が増幅するような場所への立地を規制するゾーニングが必要となっています。ゾーニングについては、2012年に共産党県議団がその必要性をいち早く提案していましたが、さきの参院経済産業委員会で環境省も、早期の段階から関係者との調整のもとで、風力発電を促進するエリア、環境保全を優先するエリアなどを設定するゾーニングが有効な手段と考える、ゾーニングの取り組みにより、立地段階での環境影響の回避、低減や地域の合意形成が期待されるとして、地方自治体によるゾーニングを推進する旨の答弁をしています。 環境省は、モデル事業を踏まえて、昨年3月にゾーニングについてのマニュアルを公表しました。現在、ゾーニングマップを公表している自治体は、鳴門市など4地域にとどまっていますが、長崎県西海市は土砂災害に関する情報をゾーニングマップに落とし込んでいます。マップ作成に当たり、事業適地から除外する項目として、砂防指定地、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域を指定しています。鳴門市も10の影響項目の一つに災害を入れています。 高知県は、南海トラフ巨大地震、豪雨災害と山の深層崩壊など多くの危険と隣り合わせです。災害の起こる危険性が高い場所等について、ゾーニングによる規制を早期に実施すべきではないか、林業振興・環境部長にお聞きをします。 もう一つの懸念は、20年間の固定価格買取制度が終了した後の問題です。大規模風力発電の集中立地計画が発生するのは、平原が多く偏西風の吹くヨーロッパと違い、日本は適地が限られており、また台風、地震などによる故障のリスクもあることに加え、売電するための送電網の設置に多額の費用がかかるために、スケールメリットが要求をされるからです。それだけ採算性が厳しいということではないでしょうか。さらに、九州電力で発生した自然エネルギーの出力抑制は、事業経営を一層不安定にさせています。そうしたもとで、FIT後も安定して事業が継続できるのか、さまざまな課題があります。 FIT後に巨大な廃墟が放置されることにならないか、そこまで含めた判断が必要と思われますが、林業振興・環境部長にお聞きします。 以上をもって、私の第1問とします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 岡田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、日米の2国間交渉についてお尋ねがございました。 私は、これまでもお話ししてまいりましたように、世界経済の活性化のためには、国際協調による世界的な自由貿易体制の確立が必要であり、そのために多国間、地域間、2国間のそれぞれにおいて、基本的には自由貿易を促進する形でのルールの確立が必要であると考えております。 ただし、従前から申し上げてきましたように、我が国としては、攻めるべきところは攻め、守るべきものは守るという姿勢をあわせて堅持していただきたいと考えているところです。そうした中において、本県のような中山間地域の農業を守ることは、私としても重大な関心事であります。議員からお話のありました日米貿易交渉につきましても、こうした姿勢で臨んでいただきたいと考えております。 次に、財務省の地方職員3万人減可能との試算について、撤回を求めるべきではないかとのお尋ねがございました。 議員のお話にありましたように、地方自治体の一般行政部門の職員数は、厳しい財政状況や市町村合併などを背景に、平成7年以降減少しておりましたが、平成27年以降は、地方創生の取り組みや防災対策などの行政需要に対応するため、増加してきているという実態があります。 今回、財務省の財政制度等審議会から示された試算は、今後人口減少がさらに加速し、労働力不足が深刻化することを踏まえ、地方公共団体の業務や体制を抜本的に見直していく必要があるとの前提に立って、その一例として、人口当たりの職員数を一定にした場合の削減数を算出したものであります。総務大臣も記者会見で発言されたように、極めて機械的な試算であって、これにより直ちに自治体に対し職員の削減を求めるものではないと認識しております。ただし、このことを奇貨として地方の財源が削減されることのないよう、今後の国の動向について注視してまいります。 次に、行政需要の多様化に見合った職員体制の確保と非常勤職員の処遇改善のための財政措置についてお尋ねがございました。 先ほどお答えしましたように、地方創生や防災対策などの行政需要の高まりに応じて職員数が増加しているという実態がある中、今後も行政需要の増加や複雑化に対応するためには、必要な人員体制を確保することが重要であると考えています。 他方で、今後さらに県全体の人口減少が進み、労働力不足が想定されることや、簡潔で効率的な組織体制を目指す観点を踏まえると、AIやRPAといったデジタル技術の活用や、事務の共同処理を初めとする広域連携の推進などによる業務のさらなる効率化によって、マンパワーを確保する必要もあると考えております。 また、社会情勢の急速な変化や多様化する行政需要に対応するためには、正職員に加えて非常勤職員などの方々の力は欠かせないものと考えております。来年4月からは、会計年度任用職員制度が導入されることにより、現行の非常勤職員などについて任用が明確化されるとともに、新たに期末手当が支給されるなど、一定の処遇改善が図られることとなります。 今回の会計年度任用職員制度導入に係る財政措置を含め、地方の安定的な行政運営に必要な財源の確保について、引き続き全国知事会などと連携して、国に対してしっかりと要望してまいります。 次に、米軍機の低空飛行訓練に関して、5月27日に本山町の現地で実態を聞いた感想についてお尋ねがありました。 各市町村を訪問している対話と実行行脚で本山町に伺った際に、本山保育所の職員や園児の保護者の皆様から米軍機の低空飛行について実態や皆様の切実な声をお聞きし、県民の安全・安心を守る立場として重く受けとめました。 このお話の中では、米軍機が低空で保育所の園庭の真上を飛んでいくことや、子供たちが昼寝から目を覚まして保育士にかきついて泣いたり、怖がっていたことなどをお聞きするとともに、保護者や子供たちの声を一筆一筆書いたというカードの写しをいただきました。 また、その後屋外に出て、実際に見えた飛行コースや、周辺の山を見ながら高さのイメージを皆様から教えていただいたり、他の地域でも別の方から同様のお話をお聞きしました。実際に体感した皆様のお話を直接お聞きし、現地を見ることで、かなり低い高度を飛んだということを実感するとともに、本山町におけるこのたびの低空飛行訓練の実情を実感することができました。 私もこれまでに見たことがありますが、改めて本県の抱えている負担の大きさを感じるとともに、子供が泣き叫ぶような超低空飛行訓練はやめてほしいとの声を上げ続けることが大事だと思ったところであります。 次に、防衛省地方協力局の職員が本県を訪れたのはどのような目的か、私の要請に応えたものなのかとのお尋ねがありました。 防衛省の職員が本県を訪問された目的としましては、防衛省として、より具体的にヘリの運航や現場の状況を確認するためだとお聞きをしております。当日は、地方協力局の補償課長ら6名が消防防災航空センターや高知医療センターを訪れ、操縦士からヘリの運用実態や米軍機の目撃情報などについて直接ヒアリングされたほか、嶺北地域の地形やヘリポートなどを視察されております。 今回の防衛省の訪問は、4月に県として外務・防衛両大臣に米軍機の低空飛行訓練に係る要請書を提出するとともに、その後私が4月と5月の2度にわたって防衛省地方協力局長と本省で面談し、地図や緯度、経度の座標を示した資料を用いて嶺北地域にあるヘリポートの位置などを御説明するとともに、ヘリコプターが飛んでいる空域の安全度をより高めるために何らかの工夫ができないかとお願いしたところ、局長から何ができるか検討するとのお話があったことなどが背景にあると思っております。 今回の訪問でのヒアリングや視察を踏まえて、何らかの形でヘリの運航の安全度がより高まっていくような具体的な対応に踏み出していただきたいと考えているところであります。 次に、全国知事会の要請を踏まえ、また現地の方々の声もお聞きし、今後知事としてどのような働きかけを行っていくのかとのお尋ねがありました。 低空飛行訓練については、全国知事会が平成25年度以降、事前情報提供を行うことを毎年要望しております。特に、昨年7月には米軍基地負担に関する提言を基地のない都道府県も含めた総意として取りまとめ、その中で改めて米軍機による低空飛行訓練等については、訓練ルートや訓練が行われる時期について速やかな事前情報提供を必ず行い、十分な配慮を行うことや、日米地位協定を抜本的に見直し、航空法などの国内法を原則として米軍にも適用させることなどを盛り込んで政府に提言しております。 他方では、本県としても本年4月に外務・防衛両大臣宛ての要請文書を提出するとともに、その後4月と5月には防衛省地方協力局長と面談して、米軍機の低空飛行訓練等については事前情報提供を必ず行うこと、危険性の極めて高い超低空飛行訓練など異常な訓練は行わないことを改めて要請するとともに、先ほどお答えしましたとおり、ドクターヘリなどが飛行する空域の安全度をより高めるための工夫をお願いするなど、私の思いを直接お伝えいたしました。 本山町の皆様が不安を感じたり心配されているように、万が一、米軍機が墜落したりヘリと衝突すれば、住民やヘリ搭乗者のみならず、米軍の人命にもかかわることとなり、日米関係にも大きなダメージを与えることになると考えております。引き続き、ドクターヘリなどの運航の安全確保のため、米軍機の飛行に関する情報を訓練実施前に提供していただけるよう、全国知事会などとも連携をして、関係機関に粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。 次に、低空飛行訓練の実態を捉えるため、有効な場所にカメラを設置すべきではないかとのお尋ねがありました。 県では、米軍機の低空飛行訓練が住民生活に与える影響を客観的、確定的な数値として把握するためには、騒音の測定と記録が有効だと考え、目撃情報が多い嶺北地域の4町村と香美市の御協力のもとで、合計5台の騒音測定器を平成25年度から2カ年で設置して運用しております。 御指摘のあったカメラの設置につきましては、航空機の飛行実態等を把握するために有効な選択肢の一つとして考えられますが、設置者や設置場所、撮影の方法や精度、機器の維持管理も含めて、技術面やイニシャル・ランニング両面でのコスト等について十分に多角的な検討が必要になると考えております。 県としてカメラを設置するかどうかにつきましては、全国知事会が国の責任で実態調査を行うことを提言していることを踏まえつつ、国や関係市町村の意見もお聞きしながら、今後検討してみたいと考えるところであります。 次に、消防防災ヘリなどからの報告を国土交通省にも通知し、米軍機であるとの確認を行わせるよう求めるべきではないかとのお尋ねがありました。 県の消防防災ヘリやドクターヘリ、県警ヘリが米軍機を目撃した場合には、日時や場所、ヘリとの目視距離などを記載した書面を危機管理部へ速やかに報告する仕組みを整え、市町村からの目撃情報と同様に、速やかに防衛省へ伝達することとしたところです。 一方、米軍機が飛行する場合には、日米地位協定のもとでも適用されている航空法第97条などに基づき、米軍も国土交通大臣に対して飛行計画の通報が必要となっております。この具体的な流れとしましては、まず米軍から自衛隊に米軍機の飛行計画が通報され、その後自衛隊から国土交通省に通報されているものと承知しております。 このように、米軍のカウンターパートが自衛隊、つまり防衛省となっている運用の実態を踏まえれば、本県が消防防災ヘリ等から報告を受ける米軍機の目撃情報についても、防衛省を窓口として伝達し、防衛省から国土交通省や米軍に通知し情報共有を図ることが適当であると考えるところです。本県が防衛省へ伝達する目撃情報につきましては、低空飛行訓練の実態として国の関係機関や米軍との間で共有されるとともに、ヘリなどの安全度をより高めたり、十分な配慮を行うための対応等を国が検討する上で役立てていただくことを期待しております。 次に、事前の情報提供とともに飛行訓練後の速やかな情報公開を求めるべきではないかとのお尋ねがありました。 本県では、市町村から報告された米軍機の目撃情報をその都度速やかに集約して中国四国防衛局に伝えておりますが、その際同局においては、周辺の自衛隊に限らず全国の自衛隊に照会し、自衛隊機に該当がないか確認の上、該当がない場合は、米軍機であった可能性があるとして県に回答するとともに、苦情などの内容を米側に伝え、住民の方々に与える影響を最小限にとどめるよう求めていただいております。 今般、いわゆるオレンジルートを飛行するドクターヘリなどの安全確保のため、米軍機による低空飛行訓練等に係る速やかな事前の情報提供を私から防衛大臣らに改めて要請したところでありますが、議員御指摘のように、飛行訓練後についても情報の公開を求め、それが実現したとすれば、目撃情報以外の情報も把握することができ、頻繁に訓練が行われるルートや時間帯といった情報が蓄積されることになりますので、ヘリが飛行する際に参考となり、安全確保につながる面もあろうかと思います。 一方で、米軍機の飛行訓練に係る情報は、米軍の軍事上での運用にかかわる情報であることから、全てを明らかにすることは難しい面があると考えられます。県といたしましては、軍事的な機密にかかわるような情報まで求めているものではなく、ドクターヘリなどの安全確保のためには事前の情報が重要であると考え、事前の情報を差し支えない範囲で工夫して提供していただくよう粘り強く求めていきたいと考えているところであります。 次に、低空飛行訓練に対する決意についてお尋ねがありました。 米軍機の低空飛行訓練について、私の思いは大きく申し上げて3つであります。1点目は、まず大前提として、これまでも申し上げてきましたとおり、日米安全保障は極めて重要であり、厳しい安全保障環境の中で日米安保の実効性を高めるという意味において、全ての訓練を否定するものではありません。 しかしながら、2点目として、先ほども申し上げましたけれども、住民の皆様が恐怖を覚え、子供が恐れ、泣き叫ぶような危険な超低空飛行訓練はぜひやめてもらいたいと考えているものであり、このことはこれまでも繰り返し訴えてきたところであります。 さらに、3点目として、いわゆるオレンジルートはドクターヘリなどが頻繁に飛行している空域でもありますため、このことを踏まえてさらなる安全対策を何らかの形で講じていくことも、あわせてまた重要であると考えています。 そのため、低空飛行訓練に係る事前の情報提供を必ず行うことや、危険性の極めて高い超低空飛行訓練を行わないことについて、本年度に入り改めて国に要請を行うとともに、防衛省に対しドクターヘリなどの安全度がより高まっていくよう具体的なアクションを求めたところであります。今後とも、全国知事会などとも連携し、米軍機の飛行訓練の動向を注視しつつ、粘り強く是正の要求を行ってまいりたいと考えているところでございます。 次に、10月からの消費税増税について、政府自身が景気判断を悪化と下方修正した状況の中で実施すべきではないと考えるがどうかとのお尋ねがございました。 景気動向指数の基調判断は、一致指数の動きを一定の基準に機械的に当てはめたものであり、本年3月から悪化を示しているとなっておりますが、直近の月例経済報告における政府の基調判断では、景気は緩やかに回復しているとの骨格が維持されているところであります。現在の国、地方を通じた厳しい財政状況や急速に進む少子高齢化という状況を鑑みれば、社会保障制度の充実強化を図り、かつ持続可能性を確保するためにも、消費税率の引き上げはやむを得ないものと考えております。 一方で、消費税率引き上げに当たりましては、経済的な影響をできるだけ小さくすることが重要でありますことから、国においては一連の対策をしっかりと行っていただきたいと考えております。 次に、新たな管理型産業廃棄物最終処分場について、何をもって地元住民の了解を得たと考えたのかとのお尋ねがございました。 県としましては、これまで住民の皆様の御理解を第一としまして、住民の皆様への御説明を最優先に考え、説明会を初めとしたさまざまな取り組みを重ねてまいりました。昨年末の12月に3カ所の最終候補地から佐川町加茂への絞り込みをさせていただいて以降、12月、2月、5月の説明の場を初めとしたさまざまな取り組みを重ねて、3巡目を終えました。その中で、誠意を持ってしっかりと県としての考えをお伝えするため、将来も含めた施設の安全性や維持管理の体制、候補地選定の考え方などといった住民の皆様の御不安や御心配の声について、精いっぱいお答えをさせていただきました。 例えば、12月の説明会において多く出されていた、施設からの水漏れや施設に持ち込まれる廃棄物など処分場特有の御不安の声に対しては、この間、水漏れへの懸念については、処分場内部の水は外部に一切出さない構造であり、その水もわずかできれいであること、地下水を常時監視していくことなど、また持ち込まれる廃棄物については、受け入れる廃棄物のほぼ全てが乾いている状態であり腐敗物は含まれていないこと、有害な廃棄物は受け入れないことなどを丁寧に御説明させていただいたところです。この結果、2月、5月と話し合いの場を重ねるにつれて、こうした処分場特有の問題に関する御不安の声は減少してまいりました。 こうしたことから、県としましては、地元の皆様が施設整備に関して抱いてこられたさまざまな御不安や御心配に対する県の説明に対して、一定の御理解が得られつつあるのではないかと受けとめさせていただいたところであります。 他方で、引き続き川の増水や地下の空洞の有無などについて、御不安の声が多く残っていることも認識をしており、重く受けとめております。これらの対処策を詳細に検討し、御不安をしっかり解消していくためにも、ボーリング調査を初め、建設予定地の地形状況等に応じた調査や設計等、億単位の多額の予算を伴う対応が必要となります。 また、長竹地区自治会から県へも御意見をいただいており、いただいた御意見に対して一つ一つ丁寧にお答えを作成し、長竹地区の全戸に配付させていただいたところでもあります。 今後、調査を進めていく過程においても、節目節目で調査結果を公開し、住民の皆様に御説明させていただき、御意見を頂戴する場を設けてまいります。調査などの結果により、致命的な事態が明らかになれば、加茂地区での施設整備は中止することとします。引き続き、御不安の解消に御理解をいただけますよう努めてまいります。 次に、候補地となった自治体に、住民代表や専門家などを構成員とした第三者的な検討委員会設置への助言を行うべきではないかとのお尋ねがありました。 これまで3巡にわたり開催してまいりました説明の場には、町長や副町長、役場関係者に毎回出席していただき、町議会議員の方々にも多数御参加をいただいてきたところでありまして、その場でいただきました住民の皆様の声をも踏まえて、それぞれのお立場で御判断をいただいたものと認識をしております。その上で、町議会で議論がなされ、議会としての結論を出され、その結果を踏まえ、町長が御判断されたものと認識をしているところです。 自治体が意思決定をするに当たって、第三者的な側面を持つ検討委員会を設けるのか否かにつきましては、当該自治体が判断されることだと思います。ただ、御指摘のとおり、住民の皆様と専門家の御意見を取り入れていきながら、施設整備を進めていく視点は極めて大事なことだと考えております。そのような観点から、節目節目で開催する説明会などで住民の皆様の御意見をお聞きしていきたいと考えております。また、施設の整備中であっても、現地の見学会を何度も開催させていただき、そのような場などでも御意見をお聞きしていきたいと考えております。 さらに、専門家の御意見を取り入れることも極めて大事なことだと考えており、これまでも候補地の選定に当たり専門家の知見を生かしてまいりました。今後、県と町とで連携・協調しながら施設整備を進めるに当たっても、専門的かつ高度な知見や最新の技術等を大いに取り入れるため、廃棄物処理、地質、防災等の専門家から成る施設整備専門委員会を設置して取り組んでまいります。この委員会からの知見、御意見などは当然として、県と町、住民の皆様との間で共有をされるものであります。 次に、高等教育の無償化について、今回成立した大学等修学支援法に関してお尋ねがございました。 大学等における修学の支援に関する法律による高等教育無償化は、授業料等減免と給付型奨学金の支給をあわせて措置することで、真に支援が必要な低所得者世帯の学生を対象に、大学等における経済的負担を軽減するものであります。この制度により、今後は意欲と能力のある学生が経済的理由で進学を断念することなく、大学等に進学する機会の充実につながるという点で、意義が大きいものと評価をしております。 一方で、今回の無償化制度における授業料等の減免基準は、これまで各大学がそれぞれ自己財源で実施してきたものとは異なるため、国の制度を適用した場合、高知県立大学におきましては、現状で授業料減免を受けられる学生が支援の対象から外れる可能性があります。 国におきましては、今後現に支援を受けている学生については、国立大学等の授業料減免の状況を把握し、学生の学びを継続支援する観点から、減免の事由や家計基準の実態等を見きわめつつ、何らかの配慮が必要かどうか検討を行うとのことでありますので、県としましても授業料減免制度について大学と協議を行い、検討する必要があると考えています。 また、大学に対しましては、無償化の対象となる機関要件として、実務経験のある教員が一定数以上配置されていることや、法人の理事に産業界等の外部人材を複数任命していることなどが定められています。支援を受けた学生が大学等でしっかり学んだ上で、社会で自立し、活躍できるようになるという、今回の支援措置の目的を踏まえますと、大学等に対するこうした要件も必要ではないかと考えています。 現在、県立大学におきましては、高等教育無償化の対象となるための機関認定の申請を準備しており、大学からはこうした要件を十分満たすことができる見込みであると聞いています。 次に、高知県立大学の授業料減免制度と、それを利用している学生の現状についてお尋ねがございました。 高知県立大学において、平成30年度に授業料減免を受けた学生は、全額免除が105名、半額免除が69名となっています。また、先ほどお答えしましたように、国の無償化制度が始まることにより、現在授業料減免を受けている学生が新制度のもとでは対象外となる可能性がありますので、国の動向等を注視しながら大学と協議し、制度の検討を行ってまいります。 なお、その際には県立大学のこれまでの授業料減免制度の導入経緯を踏まえた上で、さらには新たな国の給付型奨学金制度が拡充されることも加味して、トータルとして現状並みの学生支援ができる方向で検討を進めたいと考えているところでございます。 最後に、高知県立大学において入学金や授業料を低減させていくべきではないかとのお尋ねがございました。 現在の高知県立大学の入学金や授業料は、大部分の国公立大学と同程度であり、突出したものではありません。また、今回の高等教育無償化が実施されることで、真に支援が必要な低所得者世帯の学生に対しては、授業料減免とあわせて給付型奨学金が支給されることとなり、経済的負担が軽減されることにもなっています。こうしたことから、現状では県立大学の学費を変更する必要があるとは考えておりません。 私からは以上でございます。   (農業振興部長西岡幸生君登壇) ◎農業振興部長(西岡幸生君) まず、耕地面積の減少に歯どめがかからない現状に対する認識と、地域農業を持続させていくための取り組みについてお尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えをいたします。 本県の耕地面積は、平成19年から29年の10年間で約1,300ヘクタール減少しており、地域別に見ても、山間部はもとより平野部でも大部分の市町村で耕地面積が減少しています。減少の主な要因としては、農業者の減少や高齢化が進む中、特に山合いの土地や平野部の小規模な水田など、生産条件の不利な農地を中心に耕作放棄地になっていることが考えられます。 耕作放棄地の発生を防止し、耕地面積の減少に歯どめをかけるためには、担い手を確保し、農地中間管理機構を通じて農地を担い手に集積する取り組みも重要ですが、個々の農家への集積だけでは限界もあることから、関係者の協力のもと、地域全体で農地を維持していく仕組みづくりが必要です。 このため、県では、農地を維持管理し農業生産活動を支援する国の中山間地域等直接支払交付金を初めとした日本型直接支払制度を活用し、生産基盤をしっかりと下支えし、その上で地域の核となる経営体である集落営農と中山間農業複合経営拠点の両輪の取り組みを推進しています。現在、県内の集落営農は224組織、中山間農業複合経営拠点は20組織と着実に増加しており、今後も地域の農地の受け皿となるこれらの組織の拡大に取り組んでまいります。 また、生産条件のよい平野部においても耕作放棄地が発生していることから、国の多面的機能支払交付金を活用し、農業者や地域住民が共同で行う水路の泥上げや草刈り、植栽による景観形成など農地の維持を図る活動を支援しています。こうした取り組みにより、耕地面積の減少に歯どめをかけるとともに、持続可能な地域農業の実現につなげてまいります。 次に、新規就農者の確保目標の達成に向けた取り組みについてお尋ねがございました。 県では、地域で暮らし稼げる農業の実現を目指し、年間320人の新規就農者の確保を目標に、産地提案型の担い手確保対策などに取り組んでいるところです。こうした取り組みにより、新規就農者数については、産業振興計画スタート前の平成20年度に114人であったものが、29年度には265人となったところです。 しかしながら、目標達成に向けては、農地などの生産基盤がありスムーズな就農が可能な親元就農や、近年増加傾向にある移住者の農業参入を促す取り組みの強化が必要であると考えております。このため今年度から、親元就農への支援について、対象品目や研修方法を拡大するとともに、親元の経営体を法人化する場合は、支援期間を従来の1年間から最大3年間に延長して支援水準も拡充したところです。また、これらの支援策の拡充内容をJAの生産部会で直接説明するなど、親世代の農家とその後継者に対するPR活動も強化し、親元就農の掘り起こしを進めてまいります。 さらに、移住部署と連携して就農相談会を開催するとともに、県や市町村のホームページなどを通じて、豊かな自然の中で暮らせる本県の魅力や本県農業の強みを広く周知するなど、県外からの就農希望者の呼び込みも強化してまいります。 このように、親元就農を積極的に推進するとともに、県外へのPR活動を強化するなど、新規就農者の確保目標の達成に向けて取り組んでまいります。 次に、労働力不足に対する取り組みについてお尋ねがございました。 農業生産の維持・拡大を図る上で、労働力の確保は喫緊の課題となっております。このため平成28年度に、JAや農業振興センターなどが県内11の地域でプロジェクトチームを設置し、JA無料職業紹介所の開設や、シルバー世代、子育て世代といったターゲットを絞ったマッチングなど、地域の実態に応じた取り組みを進めてまいりました。その結果、昨年度はJA無料職業紹介所において260件のマッチングが行われますとともに、JA四万十では全国規模の求人サイトでショウガの収穫作業の募集を行ったところ、県外からの16名を含む29名のアルバイターが確保されるなど、一定の成果が見られているところです。 しかしながら、安定した雇用を望む求職者に対して、農業分野では収穫ピーク時を中心に季節的、短期的な雇用が多いことから、労働力の確保は厳しい状況が続いており、求職者のニーズに合致した長期間の就労が可能となる仕組みづくりが必要と考えております。そのため、現在県とJAグループが連携し、品目ごとの労働力の不足時期、不足する頻度や人数、支払い可能な賃金などの実態把握に努めているところです。 今後は、この実態をもとに施設野菜や露地野菜、果樹など複数の品目の作業を組み合わせて、求職者にとって魅力ある、長期間安心して働くことができる農作業体系を構築してまいります。また、構築した農作業体系につきましては、JA無料職業紹介所によります全国規模の求人サイトへの掲載や、募集チラシの配布などによりまして、県内外の求職者とのマッチングを図り、農業労働力の確保に努めてまいります。 次に、どのように環境制御技術の普及を図っていくのかについてお尋ねがございました。 環境制御技術の普及につきましては、平成31年3月末現在でナスやピーマンなど、本県の主要7品目における導入面積率は50%となり、多くの農家の皆様の所得向上につながってきています。一方で、農家の方が導入をためらう要因としましては、新たな機器を導入する際のコスト面に対する不安、機器やシステムが使いこなせないのではといった操作面での不安、増収に伴う労働力に対する不安などが挙げられます。 これらの不安を払拭するため、まずコスト面では、地域ごとに設置した学び教えあう場を活用した機器の導入による増収効果の実証に加えて、品目ごとの経営収支モデルを作成し、生産部会での説明や個別農家への巡回指導などにより普及に努めてまいりました。 次に、機器類の操作面では、例えばJA土佐くろしおでは機器メーカーと連携し、タッチパネルを活用した誰でも簡単に操作できる機器類を開発し、積極的に導入を推進したところ、この2年間でミョウガでの導入率が約10%から約50%にまで一気に普及をいたしました。 また、労働力不足に関しましては、今年度から自動天窓など省力化につながる機器類の導入についても支援ができるよう、補助事業の対象メニューを拡充し取り組んでいるところです。 今後は、さらに機器メーカーに加えてIT企業とも連携して、より簡単で便利な機器の開発を推進していくとともに、経営規模や所得目標等に応じたきめ細かな指導を徹底し、導入にためらいのある農家の皆様に安心して導入してもらえるよう、取り組みを強化してまいります。 最後に、南国市の国営緊急農地再編整備事業の推進についてお尋ねがございました。 本事業は、県内最大の水田面積を有する南国市において526ヘクタールの圃場整備を実施する大規模プロジェクトであり、基盤整備による優良農地の確保とあわせて、次世代型施設園芸の拡大や企業参入による農業クラスターの形成など大きな成果が期待される重要な事業です。 このため、県としましても、事業着手に向けて南国市やJA等の関係者の取り組みを積極的に支援しており、昨年度は国営農地整備推進監を専任で配置した上で、圃場整備の実務経験を持つ県職員と市の職員によるチームを編成し、事業の必要性を地権者に説明するための戸別訪問を行うなど粘り強く取り組みを重ね、仮同意率の向上を図ってまいりました。 さらに、本年度は圃場整備に精通した県職員を南国市に派遣して連携を強化しており、年度内に予定されています農林水産省の事業着手の決定が円滑に行われるよう、引き続き県の関係課と出先機関が主体性を持って、地元調整や営農計画の課題解決に取り組んでまいります。 今後は、県を通じて行う事業申請や土地改良区の設立などの事務手続に万全を期すとともに、来年4月以降の本同意の徴集に当たっては、県と市が一体となった集中的な取り組みが必要になりますので、臨機応変に対応できるよう県の支援体制を整えていきたいと考えております。 国営事業の着手後は、工事の進捗に合わせて新たな営農が実践され、一日も早い事業効果の発現につながりますよう、国や南国市と一体となった取り組みをしっかりと進めてまいります。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) 後川における放水路の老朽化による排水機能の低下が懸念されるが、今後どのような対策を検討しているのかとのお尋ねがありました。 後川は、高知龍馬空港の周辺を流域とする物部川の支川であり、国道55号付近から南に流れた後、海岸に沿って形成された砂丘に遮られて東に方向を変え、物部川の河口に流れ込んでいます。東西に流れる区間では河川の勾配が緩く、排水能力が不足することから、砂丘を横断して直接太平洋へ放流する放水路を3本整備し、必要な排水能力を確保しております。 これらの放水路は、整備後60年以上が経過したものもあり、老朽化してきたため、平成25年度から2カ年で長寿命化計画を策定し、この計画に基づき水門や機械設備の修繕、更新、トンネル部の断面補修などの対策工事に着手しています。引き続き、これらの河川管理施設の定時点検と補修、更新を行い、適切な維持管理に努めてまいります。   (商工労働部長近藤雅宏君登壇) ◎商工労働部長(近藤雅宏君) 仮称南国日章工業団地の用水・排水対策に関する経過と今後の対応についてお尋ねがございました。 県では、新たな企業の誘致やBCP対策も含めた県内企業の移転、増設などに対応するため、昨年度分譲を完了した高知中央産業団地に次ぐ安全・安心な工業団地の開発を進めています。仮称南国日章工業団地は、南国市と共同で開発を進めており、令和2年度中の完成に向けて、今年度から本体造成工事に着手する予定でございます。 地元の住民の皆様には、団地の開発に伴います用水及び排水対策を含めました整備計画について、南国市とともに平成27年度から28年度にかけて、王子地区、下咥内地区を初め6つの地区で19回の説明会を開催いたしました。また、昨年度は団地内からの排水に関連します導水路工事について、計7回の説明会を行ってまいりました。そうした地元説明会等でいただきました用水の機能維持や排水対策に対する御意見も踏まえ、整備計画への反映も行ってきたところでございます。 まず、農業用水につきましては、現在工業団地の計画地内には12本の用水路があり、国道55号の下を通って南側の農地に用水が流れている状況でございます。このたびの団地整備に伴い、これらの用水路についてはつけかえが必要となりますが、現在の12本の用水の出口を全て存続させ、従前と同じように水を流すことで、用水機能が維持される計画としております。 次に、工業団地からの排水につきましては、団地内に降った雨水を一時貯留池に導き、放流量を調整した上で、導水路を通じて国道55号を挟んだ南側の王子川の河川改修済みの区間に流す計画としております。このことにより、30年に一回程度に発生する確率とされている降雨によるピーク時の流出量を、整備前と比較して約6割に抑えることができる計画としております。 現在、こうした取り組みのもと導水路工事を進めておりますが、今議会に提出しています団地整備工事の契約に関する議案をお認めいただけましたら、直ちに本体造成工事に着手することとしており、工事に入ります前には、施工方法等について改めて地元説明会を行う予定としております。今後も引き続き、地元を初め関係者の皆様の御理解と御協力をいただきながら、団地の早期完成を目指してまいります。   (林業振興・環境部長川村竜哉君登壇) ◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) まず、新たな管理型産業廃棄物最終処分場について、本県で第4次スクリーニングとして11カ所の現地調査を実施したとき、なぜ選定委員会が同行して調査、地形判読を行わなかったのか、また決定するまでに地形的な立地条件について調査すべきではないかとのお尋ねがございました。 最終処分場の候補地選定に当たっては、平成28年度に策定された、高知県における今後の管理型産業廃棄物最終処分のあり方に関する基本構想に基づき、処分場整備に精通し、地形、地質等の専門的知識も有するコンサルタント会社に事務局案の作成支援に関して業務委託を行い、事務局案を作成しております。その上で、有識者や専門家などから構成する選定委員会において事務局案を議論していただきながら、客観的、科学的に候補地の選定を進めてまいりました。 第4次スクリーニングを行う際には、県とコンサルタント会社の専門技術者で現地踏査を行うとともに、コンサルタント会社の地形判読の専門知識を有する部署が詳細な地形図をもとに作業を行った上で事務局案を作成し、選定委員会において議論していただいております。その際には、航空レーザ計測データから作成された詳細な地形図とその地形判読結果、現地の写真なども委員にお示しさせていただきながら御議論いただいており、現地の状況もしっかりと踏まえた上で選定していただいたものと認識しております。 また、河川の増水や地下の空洞の有無などに関する御不安の声に対して、対処策を詳細に検討し、住民の皆様の御不安をしっかりと解消していくためには、ボーリング調査などの詳細な調査や、建設予定地の個別の地形の状況に対応した設計などの相応の予算を伴う対応が必要であり、建設予定地を定めた上でないと、調査を行うことは困難だと考えております。 これらの調査結果は住民の皆様にも節目節目で明らかにするとともに、仮にも調査の結果、施設整備にとって致命的な事項が明らかになった場合には、佐川町加茂における整備を中止することも想定しているところです。 次に、経路の津波浸水条件をつけ加えた最終候補地の決定の経緯についてお尋ねがございました。 今回の候補地選定では、有識者と専門家等で構成する候補地選定委員会において、高知県全土の中から津波を含めた災害発生時の危険性や法規制、周辺環境への影響などといった観点によってさまざまな検証を行い、最終候補地の3カ所が選定されており、客観性かつ科学的で透明性のあるプロセスにより選定していただいたものと認識しております。 その選定に当たっては、まず候補地を選定する範囲から、津波浸水想定区域を初めとした施設の整備が困難な区域が除外されていることから、最終候補地の3カ所はいずれも、南海トラフ地震による津波が発生した場合でも埋め立てた廃棄物が津波により流出する心配がなく、さらに施設の点検のため、車両や徒歩等によりアクセスが可能であるといった条件を満たしているものと言えます。 その上で、最終候補地3カ所から1カ所の最有力な候補地を定めるに当たっては、当然のこと、より厳しい条件を設定して絞り込みを行うこととなります。このため、県としてさまざまな条件について追加的な比較検討を行う中で、特に有意に差のあった現地調査結果に基づく周辺環境への影響の度合いや、南海トラフ地震の津波による通行への支障の度合いの違いに基づいて比較検討を行うこととなったものでございます。 その結果、新設する進入道路沿いに民家等がなく、車両通行による周辺環境への影響が最も少ないことと、高知市中心部からの通常経路上に津波による長期浸水エリアがないため、発災直後から通常経路を通行して施設へ到達可能であるという理由から、佐川町加茂を施設の整備に最も適した箇所として絞り込みをさせていただいたものです。 次に、基本構想では災害廃棄物の搬入はしないとあるが、第1回選定委員会では搬入を総合的に判断すると説明しており、基本構想を変更したのか、またそのことについて住民に対して説明を行ったのかとのお尋ねがございました。 平成28年度に策定した、高知県における今後の管理型産業廃棄物最終処分のあり方に関する基本構想では、有識者委員会での検討結果を踏まえ、新たな管理型最終処分場の必要性や施設規模、施設構成、候補地選定手法などについて、県としての考え方を取りまとめております。 その基本構想の中では、新たな施設の施設規模に災害廃棄物の受け入れを反映するか否かについても検討しているところですが、本県において南海トラフ地震が発生した場合、最終処分が困難な災害廃棄物がL1の地震で約190万立方メートル、L2の地震で約780万立方メートル発生すると見込まれていることから、そうした災害廃棄物の受け入れを考慮した大規模な施設を整備することは現実的ではなく、災害廃棄物の受け入れについては新たな施設の規模に考慮する必要はないと結論づけております。 加えまして、そのただし書きとして、「大規模な災害が発生した時の災害廃棄物の受け入れについては、その時点での新たな施設の残余容量等も考慮したうえで、総合的に判断することとする。なお、災害廃棄物の具体的な処理方法については、別途「南海トラフ巨大地震の発生に伴う災害廃棄物処理検討会」において、検討することとしている。」という記載をしてございます。 議員から御指摘のありました第1回候補地選定委員会において、委員の皆様にはこの基本構想の概要版をお配りしていたものであり、本資料には先ほどのただし書きについては記載しておりませんでしたので、同委員会における委員の皆様への説明の折に、このただし書きの部分について口頭で補足説明をさせていただいたものでございます。 ただし、実際の南海トラフ地震が発生した場合に生じる災害廃棄物の量は、先ほども申し上げましたとおり、極めて莫大なものであるため、発生した廃棄物につきましては、災害用の受け入れ場所を別途用意することとなりますので、新たな施設での受け入れは行わない方針です。このことは既に住民説明会でも御説明してきたところでございます。 次に、高知県内で環境影響評価の手続が進められている大型風力発電の立地計画について、どのように対応し、適切なコミュニケーションを図ることの努力義務をどう果たさせていくのかとのお尋ねがございました。 国においては、平成29年4月施行の改正FIT法に基づいて制定された事業計画策定ガイドラインの中で、事業計画作成の初期段階から地域住民と適切なコミュニケーションを図るとともに、地域住民に十分配慮し事業を実施するよう努めることを求めているところです。 本県では、新エネルギービジョンにおいて、生活環境や自然環境との調和などの課題に対応しつつ、再生可能エネルギーの導入を図ることを基本方針としており、従前から風力発電に限らず、大規模な再生可能エネルギーの発電施設の設置に関しては、事業者に対し、早い段階からの説明などにより地域住民の理解を得られるよう求めてきております。 議員のお話にありました大規模風力発電の立地計画につきましても、例えば環境影響評価の計画段階配慮書に対する知事の意見を付す際に、地域の実情に応じて早期に丁寧な説明を行い、十分な理解を得られるよう努めることや、地域住民等からの意見に十分配慮した上で事業計画を検討するよう求めるなど、事業者に対して丁寧な対応を求めております。 引き続き、事業者の方々には節目節目の適切なタイミングで、地域住民の皆様と適切にコミュニケーションをとっていただき、丁寧な合意形成を図りながら事業を進めていただくことにより、地域と共生した事業となるよう、しっかりと働きかけてまいります。 次に、FIT法の事業計画認定に当たり、地元住民、自治体の合意の義務化、地域と共生できない事業のFIT認定は取り消すといったルールづくりが必要ではないかとのお尋ねがございました。 改正FIT法では、事業計画の認定基準を満たさないことが確認された場合、その事業については個別に指導や改善命令が行われたり、必要があれば認定の取り消しが行われる仕組みとなっております。一方で、地域住民との適切なコミュニケーションに関しては努力義務となっており、認定基準とはなっていないことから、その実効性について、もう一段強化の必要があると考えております。関連する既存の法令との整理を考えますと、法律という形で全国的に規制を強化することが望ましいと考えており、また全国的にもこうした問題が発生しておりますことから、全国知事会として国に対し政策提言を行っているところでございます。 今後とも、地域との共生が図られた再生可能エネルギーのさらなる利用促進に向け、事業者に対し誠意ある対応を求めてまいりますとともに、引き続き国に対しても政策提言を行ってまいります。 次に、災害の起こる危険性が高い場所などについて、ゾーニングによる規制を早期に実施すべきではないかとのお尋ねがございました。 砂防指定地や地すべり防止区域等、災害の発生の危険性が高い区域については、それぞれ個別法によりゾーニングと規制がなされており、本県ではこうした災害の発生の危険性が高い区域については、高知県防災マップとして一覧できる形で県のホームページ上に公開しております。事業者の皆様が事業計画を立てる際にも、こうしたツールを御活用いただけるようになっておりますことから、防災面のゾーニングに関して言えば、実質的に機能を備えているものと考えております。 最後に、固定価格買い取り終了後に施設が放置されないよう、施設の撤去も含めたFITの事業計画認定の判断が必要ではないかとのお尋ねがございました。 事業者がFIT制度の事業計画認定を受ける際には、廃棄費用の総額、毎月の積立金額などを記載した事業計画の認定申請書を経済産業省に提出することとなっており、発電事業を廃止する際の設備の廃棄計画についても事業計画の認定の際に判断される仕組みとなっております。また、平成30年7月より、FIT認定を受け運転を開始した事業者は、年に1回、廃棄費用の積立額や累積の積立額を経済産業省に報告することが義務づけされており、毎年の状況についてもフォローがなされております。 こうした仕組みに加えて、FIT終了後に風力発電設備等が放置されるおそれがないように、全国知事会として管理及び撤去、処分が適切かつ確実に行われる仕組みをつくるよう、国に対し政策提言も行ってきたところでございます。 再生可能エネルギーは、昨年7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画において、2050年に向けて主力電源化を目指すことが掲げられており、現在国においては、主力電源化に向けての検討が始まったところであるとお聞きしております。 本県といたしましても、再生可能エネルギーの発電事業者が、FIT終了後においても施設を更新し、継続的に事業を実施できる仕組みづくりが必要であると考えておりますことから、こうした制度設計となるよう、国の動きを注視するとともに、引き続き国に対し政策提言を行ってまいります。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) 高齢難聴者の補聴器の公的助成制度の創設を国に提案することについて、また加齢性難聴者の現状把握と高齢者への支援についてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。 補聴器の購入支援につきましては、聴覚障害の身体障害者手帳が交付された方に対して、障害者総合支援法に基づき、年齢にかかわらず、その購入に要する経費の一部が支給されておりますが、身体障害者手帳の対象とならない中軽度の難聴の方への国の支援措置は講じられていない状況にございます。 また、これまで市町村や関係団体から加齢性難聴の方の補聴器購入への支援を求める声はお聞きをしておりませんが、今後におきましては、各市町村の地域包括支援センターに相談があった際や、要介護認定に係る聞き取り調査などのさまざまな機会を捉えて、加齢性難聴の方の状況把握に努めてまいりたいと考えています。 こうした中、難聴が認知症のリスクを高める可能性も指摘をされておりますことから、国において、補聴器を用いた聴覚障害の補正による認知機能低下の予防効果を検証するための研究が昨年度から開始をされておりますし、昨日関係閣僚会議で決定されました認知症施策推進大綱においても、難聴などの危険因子に関する予防介入研究を進めることが盛り込まれているところです。 このため、国への公的助成制度創設の提言や県の支援策につきましては、こうした国における研究の結果やその対応状況などを踏まえた上で、対応を検討してまいりたいと考えております。 次に、相談体制の充実や公共施設等への磁気ループの設置についてお尋ねがございました。 高齢難聴者の相談体制につきましては、高知版地域包括ケアシステムの構築に向けて取り組みを進めております、かかりつけ医やケアマネジャー、あったかふれあいセンター、地域包括支援センターなどのゲートキーパーの機能強化を図る中で、難聴の方に対しても、その相談内容に応じて専門医療機関への早期受診を助言するなど、相談支援体制の充実に努めてまいります。 磁気ループの公共施設への設置につきましては、高知県ひとにやさしいまちづくり条例の施設整備設計マニュアルに基づき、補聴器を利用している難聴者や聴覚障害者に配慮した設備として設置を推奨しているところです。県内の公共施設では、床に埋め込む大規模な磁気ループの設置事例は少ない状況ですが、最近では持ち運び可能な携帯型や、窓口などに手軽に置くことができるカウンター型の磁気ループが普及してきておりますので、今後はこのような設置工事が不要な磁気ループの公共施設への導入が促進するよう働きかけてまいります。 ◆33番(岡田芳秀君) どうも御答弁ありがとうございました。幾つか要請と、質問も2問したいと思います。 1つは、米軍機の低空飛行の問題でございます。知事からも、現地に行かれて直接皆さんからもお話を聞かれたということでございます。騒音測定器は大きな役割を果たしていると思いますけれども、カメラもぜひ設置していただいて、やっぱり機種とか高度を把握しなければならないと思います。やはり少なくても日本の国内法で定められた高度などは遵守をしていただきたいし、基本的にはそういう立場で日米地位協定の見直しも図ってもらいたいというふうに思います。 大人が身の危険を感じるほどの高さで飛んできたということが繰り返されることはあってはならないし、本山保育所にはゼロ歳児から年長組まで90名の子供さんがおいでるわけですけれども、こうした子供さんが寝ていたのに飛び起きて泣き叫ぶと、こんな事態をいつまでも許していくわけにはいかないと思います。 軍事的な機密ということもありますけれども、やはり少なくとも国内法、航空法を守らせるぐらいのことはしてもらわなければならないというふうに思います。知事もカメラ設置について検討するという御答弁でございましたので、ぜひともそれを実現するように求めておきたいというふうに思います。 それから、就農支援の問題ですけれども、やはり後継者不足というので、地元農家の関係者の皆さんも次の世代に渡していきたいが、なかなか後継者がいないということが悩みでございます。政府もこれから日米経済交渉の中で、農産物の輸入自由化のほうにまだまだかじを切っていこうとしておりますし、今回新規就農者への支援の予算が突然12%も削減をされるということも、今後大きな影響も出てくるのではないかというふうに心配しております。そうした中で、本県の重要産業である農業の振興のためにも、後継者づくりを進めるように、政府に対しても強く要望を上げていただきたいということもお願いをしておきます。 最後に、佐川町に建設されようとしている新規の産業廃棄物最終処分場の問題でございますけれども、やはり住民合意なくして公共事業の推進というのはないと思います。そうした点では、住民の皆さんが納得いかれるように十分配慮した取り組みにしなければならないし、公共事業のあり方として禍根を残すことがないようにしていただきたいというふうに思います。 その点で、環境への配慮ということも言われておりました。今回の6月補正予算案、スケジュールを見ましても環境アセスメントという項目はありますけれども、この予算がどこについているのか、どこかに含まれているのか、このことも林業振興・環境部長に答弁をいただきたいというふうに思います。これは質問ですけれども、このことを求めて2問を終わります。 ◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) ただいま御質問いただきました佐川町の産業廃棄物最終処分場の件でございますけれども、環境アセスメントの調査につきましては、今回予算計上の中には含まれておりません。それは基本設計がある程度進んだ段階で規模等を確定させてから、環境アセスメントの手続に入っていく必要がございますので、ある程度進んだ時点で予算計上した上で取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ◆33番(岡田芳秀君) わかりました。 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(桑名龍吾君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明20日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後5時7分散会...