高知県議会 > 2019-03-06 >
03月06日-06号

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  1. 高知県議会 2019-03-06
    03月06日-06号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成31年  2月 定例会(第347回)        平成31年3月6日(水曜日) 開議第6日-----------------------------------出席議員       1番  金岡佳時君       2番  下村勝幸君       3番  野町雅樹君       4番  上田貢太郎君       5番  今城誠司君       6番  久保博道君       7番  田中 徹君       8番  土居 央君       9番  浜田豪太君       10番  横山文人君       11番  加藤 漠君       12番  坂本孝幸君       13番  西内 健君       14番  弘田兼一君       15番  明神健夫君       16番  依光晃一郎君       17番  梶原大介君       18番  桑名龍吾君       19番  武石利彦君       20番  三石文隆君       21番  浜田英宏君       22番  土森正典君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  池脇純一君       26番  石井 孝君       27番  大野辰哉君       28番  橋本敏男君       29番  前田 強君       30番  高橋 徹君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  中内桂郎君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         尾崎正直君  副知事        岩城孝章君  総務部長       君塚明宏君  危機管理部長     酒井浩一君  健康政策部長     鎌倉昭浩君  地域福祉部長     門田純一君  文化生活スポーツ部長 門田登志和君  産業振興推進部長   井上浩之君  中山間振興・交通部長 川村雅計君  商工労働部長     近藤雅宏君  観光振興部長     吉村 大君  農業振興部長     笹岡貴文君  林業振興・環境部長  田所 実君  水産振興部長     谷脇 明君  土木部長       村田重雄君  会計管理者      中村智砂君  公営企業局長     北村 強君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  金谷正文君  公安委員長職務代理者 古谷純代君  警察本部長      宇田川佳宏君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   麻岡誠司君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       弘田 均君  事務局次長      川村文平君  議事課長       横田 聡君  政策調査課長     織田勝博君  議事課長補佐     飯田志保君  主幹         浜田百賀里君  主査         宮脇 涼君-----------------------------------議事日程(第6号)   平成31年3月6日午前10時開議第1 第1号 平成31年度高知県一般会計予算 第2号 平成31年度高知県収入証紙等管理特別会計予算 第3号 平成31年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第4号 平成31年度高知県旅費集中管理特別会計予算 第5号 平成31年度高知県用品等調達特別会計予算 第6号 平成31年度高知県会計事務集中管理特別会計予算 第7号 平成31年度高知県県債管理特別会計予算 第8号 平成31年度高知県土地取得事業特別会計予算 第9号 平成31年度高知県国民健康保険事業特別会計予算 第10号 平成31年度高知県災害救助基金特別会計予算 第11号 平成31年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算 第12号 平成31年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第13号 平成31年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計予算 第14号 平成31年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第15号 平成31年度高知県県営林事業特別会計予算 第16号 平成31年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第17号 平成31年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第18号 平成31年度高知県流域下水道事業特別会計予算 第19号 平成31年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第20号 平成31年度高知県高等学校等奨学金特別会計予算 第21号 平成31年度高知県電気事業会計予算 第22号 平成31年度高知県工業用水道事業会計予算 第23号 平成31年度高知県病院事業会計予算 第24号 平成30年度高知県一般会計補正予算 第25号 平成30年度高知県収入証紙等管理特別会計補正予算 第26号 平成30年度高知県用品等調達特別会計補正予算 第27号 平成30年度高知県会計事務集中管理特別会計補正予算 第28号 平成30年度高知県県債管理特別会計補正予算 第29号 平成30年度高知県国民健康保険事業特別会計補正予算 第30号 平成30年度高知県災害救助基金特別会計補正予算 第31号 平成30年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第32号 平成30年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第33号 平成30年度高知県農業改良資金助成事業特別会計補正予算 第34号 平成30年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第35号 平成30年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計補正予算 第36号 平成30年度高知県流域下水道事業特別会計補正予算 第37号 平成30年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第38号 平成30年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算 第39号 平成30年度高知県電気事業会計補正予算 第40号 平成30年度高知県病院事業会計補正予算 第41号 高知県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例議案 第42号 高知県所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法関係手数料徴収条例議案 第43号 高知県個人情報保護条例の一部を改正する条例議案 第44号 高知県行政不服審査法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第45号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第46号 職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例等の一部を改正する条例議案 第47号 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例議案 第48号 高知県職員の大学院等派遣研修費用の償還に関する条例の一部を改正する条例議案 第49号 高知県職員等こころざし特例基金条例の一部を改正する条例議案 第50号 高知県特別会計設置条例の一部を改正する条例議案 第51号 高知県衛生試験等手数料等徴収条例の一部を改正する条例議案 第52号 高知県助産師緊急確保対策奨学金貸付け条例の一部を改正する条例議案 第53号 高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県介護保険法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県立療育福祉センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県土地改良事業費分担金等徴収条例及び高知県住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県建築基準法施行条例の一部を改正する条例議案 第58号 高知県港湾施設管理条例の一部を改正する条例議案 第59号 高知県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例議案 第60号 高知県立青少年センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第61号 高知県文化財保護条例の一部を改正する条例議案 第62号 高知県森林整備加速化・林業再生基金条例を廃止する条例議案 第63号 高知県スポーツ科学センターの指定管理者の指定に関する議案 第64号 高知県立足摺海洋館の指定管理者の指定に関する議案 第65号 権利の放棄に関する議案 第66号 県有財産((仮称)高知布師田団地造成事業用地)の取得に関する議案 第67号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第68号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第69号 県が行う流域下水道の維持管理に要する費用に対する市の負担の変更に関する議案 第70号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第71号 病弱特別支援学校建築主体工事請負契約の締結に関する議案 第72号 浦戸湾東部流域下水道高須浄化センターの消化槽設備工事委託に関する協定の一部を変更する協定の締結に関する議案 第73号 県道の路線の認定に関する議案第2 一般質問(一問一答形式による)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(土森正典君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(土森正典君) 御報告いたします。 公安委員長西山彰一君から、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員古谷純代さんを職務代理者として出席させたい旨の届け出がありました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(土森正典君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「平成31年度高知県一般会計予算」から第73号「県道の路線の認定に関する議案」まで、以上73件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 質疑並びに一般質問は一問一答形式によることとします。 武石利彦君の持ち時間は60分です。 19番武石利彦君。 ◆19番(武石利彦君) おはようございます。それでは、議長のお許しをいただきましたので、一問一答形式による一般質問を始めさせていただきます。 まず早速、世界の港湾がネットワークを形成するINAP会議、私も、この1月にインドネシア・スラバヤ市で開催された会議に出席をさせていただきました。これまでもたびたび参加もさせていただいて、これまでの経過も知っておるというような、そういう中で質問させていただきます。 今回スラバヤで開催されたINAP会議が、早いもので20回目になったということで、当初から高知県は世界の港を相手に事務局を務めて、これまで継続をしてこられたわけですけれども、目的は、世界の港湾をリレーで結んでお互いに発展していこうという趣旨で発足をしたと思うんです。 今回20回目を迎えたということに当たって、これまでの課題なんかも踏まえて、今後尾崎知事は目標をどのように捉えておられるのか、お聞きしたいと思います。 ◎知事(尾崎正直君) このINAP会議について、武石議員には毎回大変熱心に御同行もいただきまして応援もいただき、また御指導もいただきまして、まことにありがとうございます。 このINAP会議でありますが、平成10年に5カ国、5港でスタートをした。ところが、今はもう既に、20年余りで7カ国、10港ということで、ネットワークは着実に成長してきているということであります。 当初は、港同士のつき合いという側面が大きかったかと思いますけれども、特に近年においては、お互いにということかと思いますが、いわゆる外国に向けての輸出など、こういう経済交流を全般として活発化していくよき機会になってきていると、そういうふうに思っています。ぜひその方向でさらに交流を深めていくことができればと、そのように考えています。 ◆19番(武石利彦君) そのINAP会議にあわせて、3年前からということになるんですかね、防災セミナーを、会議に併設する形で高知県が主催してやっていますね。まずフィリピンのセブで行って、昨年度はスリランカのコロンボで行いましたし、今回はインドネシアのスラバヤで第3回目を行って、私も3回ともそのセミナーに出席させていただきました。高知県のいろんな技術を、特に防災対策の技術をプレゼンして、政府関係者とかいろんな民間企業との交流を深める、情報発信をすると、こういった取り組みをしていますが、会場の雰囲気からすると、非常に熱心に高知県企業のプレゼンを聞いてくれているなという、またその閉会後の各ブースが設けられた商談会でも、大変熱心な議論が交わされているという印象を強く持っています。 ここで、知事にお聞きしたいと思いますけれども、この3回やってきました防災セミナーの成果を踏まえて、今後どのように発展をさせる御所見か、お聞きしたいと思います。 ◎知事(尾崎正直君) 平成28年度以降、セブ、スリランカ、そしてインドネシアと、防災セミナーを必ず併設で開催するようにさせていただいて、毎回4社ずつ参加をいただいたということであります。一言で言いますと、大変いい機会だろうと、そういうふうに思います。 防災関連産業を外国に、特に途上国に輸出していこうとしたときに、やはりODA絡みになったりする場合も多いですし、そもそも防災関連の技術の普及ということになると、いわゆる公共的な仕事となる場合がやはり当該国においても多いと。そういう中において、このINAP会議において防災セミナーを開催したりしますと、そもそも外国の政府機関とのおつき合いの上でのいろいろな交流ということが前提になっていますから、その次にやはりつながりやすい。ODA案件なんかにつながる端緒をつかみやすい。そういう意味においても非常に効果的だと思っています。 このINAP会議の機会というのを、今後も防災関連産業なんかの輸出の機会にうまく生かしたい。さらに、今後については、現地におけるジェトロ事務所との連携を深める、そのためにも高知におけるジェトロとの連携を深める、そういう取り組みを行い、さらにそこでつかんだ端緒などを、現地もしくはその現地に強い国内の商社の皆さんとのネットワークに広げるなどという形で、より本格的な輸出展開につなげていけるようにしていきたいと、そういうふうに思っています。 本当にINAPは、今までその輸出の端緒をつかむという意味においてすごくいい機会でしたが、今後この端緒をより拡大していく機会にもつなげていけるよう取り組んでまいりたいと、そう思います。 ◆19番(武石利彦君) これから世界に高知県の技術を広げていく非常に大事な取っかかりのポイントになる、そういった会議になるんじゃないかというふうに期待しています。 一方で、課題として感じたのは、企業によってプレゼンの能力といいますか、うまい、下手とは言いませんけれども、普通にプレゼンしているところと上手にプレゼンしているところがあるんですよね。だから、世界に向けたプレゼンのスキルアップ、そういったことも一つの課題じゃないかなと思いますので、またぜひ県としてもアドバイスをしていただきますようによろしくお願いいたしまして、この項の質問を終えたいと思います。 次に、本県の基幹産業でもあります水産を振興させる、そういった思いでの質問をさせていただきます。 これについては、昨年9月議会からたびたび質問もさせていただきましたが、漁業法が昨年12月に改正されましたので、2年以内に新しい漁業法が施行されると、こういう状況を迎えたわけであります。 そこで、それに向けて、本県としても、水産政策の軌道を修正するところは修正するということで対応しなくてはならないと思うんですけれども、この改正漁業法についての御所見を水産振興部長にお聞きします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 改正漁業法は、我が国の漁業生産量の長期的な減少や、また漁業の担い手不足が大きな課題となっていることから、水産資源の維持・回復を図るとともに、漁業者が将来展望を持って漁業を営むことができるようにするための改正と認識をしております。 その主な内容は、漁獲可能量制度、いわゆるTAC制度における対象魚種を拡大するなど、新たな資源管理システムの導入を進めるとともに、養殖業や定置網漁業への新規参入の促進など海面の有効活用を促進するため、漁業権制度の透明化や見直しを行うものでございます。これは県の目指す方向性とも一致しておるものと考えております。 ◆19番(武石利彦君) 私もそのとおりだと思います。TAC拡大とか養殖、定置網、海面を有効に活用するというのがポイントだろうと思いますし、これも9月議会でも質問させていただきましたけれども、やっぱり知事の権限が拡大するということも一つのポイントになろうかなと思いますので、そういった意味で尾崎知事の政治姿勢にも大いに期待をしておるところであります。 そこで、具体論に入りたいと思いますが、本県はこれまでも黒潮牧場--土佐沖に浮き魚礁をつくって大変成果を上げております。先週も私、久礼に呼んでいただいて、カツオ漁がこれから始まるということで、その出陣式というのか、大漁祈願、安全祈願といいますのか、そういった会に呼ばれまして、漁業者のお話も聞きましたが、やっぱり黒牧のおかげやなというふうに、その船主の方もおっしゃっていました。 その一方で、釣りの場合ですけれども、土佐湾にとにかく小釣りの魚がおらんなというような話もいただいておりますので、このあたりの課題はまた整理して、私もこの議員の活動で取り組んでいきたいなというふうに思っております。 その浮き魚礁なんですけれども、知事は昨年水産庁に対して国による浮き魚礁の整備を要望され、それは可能だというような回答を受けられたというふうに聞いております。 国においては、フロンティア漁場整備事業を平成19年から実施し、そしてその10年後、平成29年度からは広域フロンティア漁場整備事業、これにも着手をしておると。それから、平成30年度からは沖合域での漁場整備の手法の検討を開始しておるということですけれども、浮き魚礁も検討対象に入っているというふうにお聞きしておるわけであります。これはまさに知事が要望された趣旨に合致する、その方向で国が動いてきてくれているなというふうに期待をしておるんですけれども、その国による浮き魚礁を土佐沖で実施するためには、浮き魚礁がどれだけの増殖効果を持つのかと、これをしっかり調査をしないとその事業の導入が実現しないというふうに聞いております。 そこで、国もしっかりと調査をする意思があるというふうに聞いておりますが、県としても国と一緒にしっかりこの調査に対応すべきだというふうに思うんですが、これは知事に御所見をお聞きしたいと思います。 ◎知事(尾崎正直君) 御指摘のように、国直轄事業のこのフロンティア事業というのは、浮き魚礁など魚礁が増殖効果を持つかどうかということが採択要件になっているわけであります。そういう意味において、この浮き魚礁が増殖効果を持つかどうかということについて調査をしていかなければならない。国のほうでも調査をしようということになってくれています。これについては、やっぱり県としてもしっかり協力をしていくということが大事だろうと、そういうふうに思っているところです。 あわせて、まだ調査に時間かかったりするかもしれませんが、今すぐできることとして、高知マリンイノベーションと言っておりますが、土佐黒潮牧場とかの高度化をして、IoT技術とかそういうものも組み合わせ、センサーを組み合わせたりしていくことによりまして、例えば魚の蝟集情報とかを速やかに収集して漁業者の皆さんにお伝えをするとか、そういう形で漁業者の皆さんの生産性を上げていくことにも取り組んでいきたいと、そういうふうに考えています。 ◆19番(武石利彦君) 先ほど、先週中土佐町久礼でというお話をしましたが、その場にインドネシアの技能実習生の方が4人おられまして、彼らともいろいろお話もできました。非常に真面目に漁業に取り組んでいるなという印象を持ちましたし、それからほかの久礼の地元の方に、ことしの中土佐町の成人式には、ちょっと人数を忘れましたけれども、数十人のインドネシア人の方も参加をされたというふうに聞いていましたので、やっぱりかなり技能実習生の方が入ってこられているんだなという、期待を込めてそういう思いがいたしましたことをここで披露させていただきます。 次に、土佐湾の周辺、これは我が国最大のマイワシの産卵場であるというふうに聞いていまして、土佐湾周辺で生まれた稚魚は、黒潮に乗って関東から東北地域の沖合まで広がっておる、つまり世界でも有数の漁場だというふうな研究成果も出ているというふうにお聞きをしております。 また、土佐湾沖で産卵量が多いときには、土佐湾の沿岸部にもイワシのシラスが非常に多数来遊をしているということも研究で明らかになっているというふうに聞きますので、土佐湾の沖合海域から土佐湾内までを一体として資源増殖に努めることができれば、本県の沿岸漁業にもかなりのメリットがもたらされるのではないかというふうに思って期待をしておりますが、この点について水産振興部長に御所見をお聞きいたします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) イワシ類は、主に土佐湾では定置網、宿毛湾では中型まき網により漁獲をされております。イワシシラスを合わせた生産額は、平成28年度に11億円を超えたものになっておりますなど、本県の重要な水産資源だと考えております。 議員御指摘のとおり、土佐湾はイワシ類の産卵や稚魚の生育に良好な環境でありますので、土佐湾周辺におけるイワシ類の資源の増殖は、本県漁業にとっても大きなメリットがあると考えております。 ◆19番(武石利彦君) 先ほど水産振興部長の御答弁にもありましたが、改正漁業法でTACがかなり広げられる--対象魚がですね--そういった見通しであるということであります。土佐沖でよくとれる魚種の中で既にTAC対象魚として指定されているのはサバ類とかマイワシ、それからマアジ、こういったものということですが、この改正漁業法のTAC対象が拡大される。その中で推定されるのは、土佐沖でよくとれると言われているウルメイワシとかブリ類とかカタクチイワシ、こういったものが新たに追加をされるというふうに聞いておりますが、それがまた追加されたら、高知県の漁業にとっては、あるいは先ほどの浮き魚礁、国の事業を導入するとかという前提に立ったら、非常に費用便益が図りやすくなるということだと思いますので、非常に追い風も吹いているんじゃないかなというふうに思います。 ぜひとも、先ほど知事にも御答弁いただきましたが、国としっかり手を携えて県としても増殖効果の調査をするということで、国の事業導入ということで取り組んでいただきたいというふうに思っております。また、もし導入できるとしたら、後進地域特例というさらに有利な財政措置があるというふうに国からも聞いております。本県がこれを取り入れない理由はないというふうに私は思っていますので、ぜひともさらにアクセルを踏んでいただくようによろしくお願いを申し上げます。 次に、定置網漁業です。これも改正漁業法で力を入れるというポイントの一つになっておりますが、県内でも同漁業がサラリーマン漁業として定着して、非常に漁村の活性化にもつながっていると、もちろん漁業の振興にもつながっている事例があるというふうにお聞きをしております。現在の運営状況を踏まえて、課題についてどのような指導あるいは振興策を考えておられるのか、水産振興部長にお聞きをいたします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 本県の大型定置網漁業でございますが、23の経営体に対して33件が免許されておりまして、平成29年の生産量は9,733トンで、県内の海面漁業生産量のおよそ12%を占める重要な漁業でございます。 県では担い手の確保のほか、定置網に大きな被害を与えてきた急潮の発生を予測するシステムの開発や、漁獲物の高鮮度処理に取り組んでおります。 また、廃業などによりまして未利用となっている漁場の調査を実施いたしまして、地元の理解を得ることを大前提に県内外の企業参入を進め、雇用の場の確保と漁村の活性化につなげたいと考えております。 ◆19番(武石利彦君) それでは、その定置網の運営形態についてお聞きをいたしますが、恐らく県内では、村張り的な任意組合による運営が多いのではないかなというふうに思っております。全国的になのかもわかりませんが--ここで言うまでもありませんが、村張りによるというのは、つまり漁村の住民の皆さんの定置網でどんと魚が入って利益が出たら、それを集落で分配をすると、こういった昔からの制度であります。地域の活性化あるいは地域の住民が潤うというメリットはありますが、運営主体に余り資金が留保できないという面もあることは否定できないと思うんです。 これが、企業なんかが経営すると、一定の運転資金とか設備投資とかいろんな資金も留保しながら、次の展開も考えながら定置網漁業が経営できていくというふうに思うんです。 両方いい面があると思うんですけれども、それを高知県としてどう選択していくかという時期に迫られていると思うんです。ある意味、私は会社経営化をしていくことも必要なんじゃないかなと思っているんですけれども、その点について水産振興部長に御所見をお聞きします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 本県で大型定置網漁業の免許を持つ23の経営体のうち、法人化されておるのは5つの経営体でございます。残りの経営体の多くは、いわゆる先ほど申された村張りという大敷組合でございます。 法人化につきましては、資金の内部留保や調達が容易になること、また意思決定が迅速に行える、出資者の責任が有限となることなどのメリットがあると考えられますので、県としては法人化は定置網漁業の持続的な経営につながると考えておりまして、それを推進するための支援をこれからも行っていきたいと考えております。
    ◆19番(武石利彦君) わかりました。 それで、先ほど来の御答弁にありますように、改正漁業法が施行されて民間企業による定置網漁業が盛んになるということも予想されるわけですけれども、そのことで、今部長が御答弁された県内の既存の定置網漁業にどのような影響が及ぶというふうに認識されておられるのか、水産振興部長にお聞きしたいと思います。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 定置網漁業の生産量の回復を図るためには新規の参入が不可欠となっておりますが、多額の初期投資を要することから、漁村の住民が出資する村張り方式による操業はなかなかハードルが高いのではないかとも考えております。このため、地元の合意を前提に、未利用漁場を活用して定置網漁業に企業の参入を促進することは、本県の定置網漁業の振興を図る上で重要であると考えております。 一方で、新規参入した企業と既存の経営体との間で従業員の獲得競争みたいなことが生じることも懸念されておりますので、こうした事態に対処するためにも、来年度からも定置網漁業での新規就業者の雇用促進を支援してまいりたいと考えております。 ◆19番(武石利彦君) まさに今答弁された、熟練した経験者を引っこ抜かれるんじゃないかとかというような心配の声も上がっていますし、県として、既存の定置網漁業が持続的な健全経営ができますように、しっかりと指導・御助言もしてあげていただきたいというふうに思います。 それから、企業が定置網漁業を始めたとした場合の今懸念される声を私も漁業者から聞きますと、1点、水揚げをどうやってやるんだろうと。地元の市場を通じて出荷をするのか、あるいは自分のところで自己完結で、水揚げしてそこでトラックに積んでどんと売っていくのか、そのあたりも非常に懸念されるという声を聞きます。このあたりも重々知事も部長も答弁されていますね、地元の漁業者としっかりと話し合って同意を得た上でということをおっしゃっていただいていますので、こういった懸念の声にもしっかりとお応えいただけるものというふうに思っていますので、よろしくお願いをいたします。 それでは、もう一問お聞きしたいと思うんですけれども、先月高知の水産会館で定置網に対してのシンポジウムのようなものがありまして、私もそこに勉強に行かせていただいて、いろんなスライドによる全国の事例なんかも見させていただきました。その中で、定置網にはいろんな魚種が当然入るわけで、人気のある魚種、つまり高く売れる魚とそうではない魚、つまり市場で人気のない魚が当然あるわけで、運営を健全化するためには人気のない魚もうまく売っていかないかんということで、コスト削減をせないかんということかな。それをある漁協は、直営の居酒屋をつくってそこで新鮮な刺身として出すとか、そういった工夫をやっています。 それから、千葉県のほうでしたかね、輸送費のコストを下げるために地元の乗り合いバスに、水が漏れないように発泡スチロールにちゃんとこん包して貨客混載、これで運搬しているというような工夫も見られたんです。 本県で定置網漁業を盛んにしていこうとする中で、やっぱり経営を安定させるにはこういった工夫も必要になると思うんですけれども、そのあたりについての部長の御所見をお聞きしたいと思います。 ◎水産振興部長(谷脇明君) いろんな工夫でございます。直近で926店舗まで増加しました高知家の魚応援の店では、定置網等で漁獲された水産物を詰め合わせた鮮魚ボックスというのが大変評価を得ております。この鮮魚ボックスでは、これまでお話にありました市場流通ではロットが少ないなどの理由で取引が難しかった多種多様な魚種が人気でございまして、他店舗との差別化を図りたいという意味で都市圏のニーズにも合致したものとなっております。 また、この取り組みを進める中で鮮度管理のニーズが高かったことから、神経締めなどの高鮮度処理は、現在高級飲食店やホテルなどからも高い評価をいただいております。また、インターネット販売にも取り組んでおりまして、一部は事業として定着もしております。 ◆19番(武石利彦君) ありがとうございました。 それでは、次の項目に入ります。次は、シラスウナギであります。 きょうですかね、密漁が現行犯逮捕されたというような報道もされておりますが、このほど水産庁がシラスウナギの不透明な採捕の解消を目指して、取引履歴を確認できる仕組みを整備する、それを検討するということが明らかになりました。これはまさに、全国的に密漁が横行している、そういった懸念に対応するためのものであることは間違いないと思います。 本県として、高知県うなぎ稚魚特別採捕取扱方針をさらに厳格に運用しなければならないというふうに考えておりますが、水産振興部長に御所見をお聞きします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 本県の取扱方針でございますが、統制ある採捕及び適正な供給を目的に、採捕の期間や区域など一定のルールを定めたものでございます。 ただ、この取扱方針に反しまして、無許可での採捕、違法漁具の設置など違法行為が後を絶たないのが現状でございまして、今後とも取扱方針の厳守を徹底するとともに、県警など関係機関とも連携して厳格な運用に努めたいと考えております。 ◆19番(武石利彦君) それでは、本県のシラスウナギの密漁の現状を踏まえて、課題についてどのように認識されておられるのか、警察本部長にお聞きしたいと思います。 ◎警察本部長(宇田川佳宏君) シラスウナギ密漁の検挙状況でございますが、平成30年は県漁業管理課によるものも含めまして19件、30人を検挙しております。近年は検挙件数、人員とも年々増加傾向にあります。 シラスウナギ密漁を取り締まる上での課題でございますが、シラスウナギが違法に採捕されたものであるということを立証するためには、密漁者を現行犯として検挙する必要がありますが、密漁者が取り締まりを察知すると、現場において取り締まりを免れるために、違法に採捕したシラスウナギを投棄するということがありまして、こうした場合には立証措置がとれず、検挙が困難になるということが挙げられます。 また、検挙した被疑者の中には、シラスウナギが高値で取引されているのに対しまして、県の漁業調整規則等による罰金の上限額が10万円であると低いことから、密漁はやめられないというふうに話す者もおりまして、必ずしも現在の罰則が密漁防止に十分な抑止力となっていないという状況もうかがえるところでございます。 さらに、密漁されたシラスウナギについては、その流通経路の実態が明確となっていないというところもありまして、そのことが密漁を助長するのみならず、暴力団が組織的な資金源活動としてシラスウナギ密漁に参入する素地ともなっているということがうかがわれます。実際これまでの取り締まりを通じて、暴力団員がシラスウナギの密漁に関与したとして検挙されているところでもございますし、先ほど議員御指摘のとおり、昨日も暴力団幹部を現行犯として逮捕したところでございます。こうしたことから、平成29年度には県のうなぎ稚魚特別採捕取扱方針に暴力団排除条項を盛り込むなどして、暴力団の関与を排除する取り組みも強化したところでございますけれども、さらに暴力団の関与を排除するためにも、密漁されたシラスウナギの流通経路の実態解明が必要不可欠であると考えているところでございます。 県警察としては、これらの課題を踏まえた上で、今後も引き続き関係機関及び団体と連携を図りつつ、シラスウナギ密漁の取り締まりを強力に推進してまいりたいと考えているところでございます。 ◆19番(武石利彦君) 現場での御苦労も多々あるかと思うんですが、ぜひとも頑張っていただきたいというふうに思います。 それから、本年度より四万十川、それから仁淀川の採捕人には、顔写真つきの腕章の着用が義務づけられたというふうに聞いております。これは、違法操業の取り締まりを効率的に行えることや、名義貸しの防止ができると、こういうことで効果が上がっているというふうに聞いておりますが、実施した状況について水産振興部長にお聞きしたいと思います。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 今年度、検問方式での取り締まりを何度か実施いたしております。本人確認が非常にスムーズに行えるなど、取り締まりの効率化が一定図られたと考えておりますので、今後は許可を受ける他の漁協等に対しても顔写真つき腕章の効果などの情報を提供いたしまして、他地域への普及に向けても協議を進めてまいりたいと考えております。 ◆19番(武石利彦君) 次に、密漁や不正流通に歯どめをかけるために、宮崎県では既に平成7年から条例を制定して非常に成果を上げているというふうにもお聞きしております。高知県としてもこのような条例を制定すべきではないかというふうに思いますが、水産振興部長に御所見をお聞きします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 宮崎県では、ウナギ稚魚の取り扱いに関する犯罪防止を目的に条例を制定しております。シラスウナギを扱う者は県に登録する制度を導入することで、流通面での取り締まりが一定可能となり、また暴力団員等を排除することができるなどの成果があったと聞いております。 しかし、シラスウナギはグローバルに流通しているにもかかわらず、県内産なのかあるいは県外・外国産なのか、産地を明確にする仕組みが構築されていないことから、例えば県内で違法に採捕されたものでも、県外から購入したと偽装されますとなかなか取り締まり、摘発ができないという課題もお伺いしております。また、1県だけの取り組みでも限界があるということは認識をしております。 一方で、先ほどお話にありましたように、国が調査に乗り出すこととしております。宮崎県も高知県もそれに参加をしてまいりますので、宮崎県の条例制定後の把握ももちろんいたしますし、国の動向も踏まえて、条例制定の是非も含めて関係者と協議を始めたいと思っております。 ◆19番(武石利彦君) ぜひともしっかりと取り組んでいただきますようにお願いをいたします。 それから、うなぎ稚魚特別採捕取扱要領の規定によりますと、前年度の採捕数量が100グラム未満であった者は原則として本年度の採捕従事者にはなれないという定めがあるんです。だから、余りとらないということであれば次はもう採捕人になれないよと、こういうことでありますが、これは私が推測すると、正規のルートに乗せずにどっかおかしなところに流しているような者を規制するといいますか、そういったことをさせないための規定だと思うんです。 その中に例外規定があって、100グラム未満だった理由として、病気をして入院しておったからとか幾つかの項目があるんですよね。これが悪用されているんじゃないかという指摘の声もあるんですけれども、この点について水産振興部長にお聞きします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 今お話にありました例外規定、シラスウナギの採捕数量が100グラム以下であっても、病気など、あるいは家族が病気でなかなか採捕に行けなかったとか正当な理由がある場合には、翌年度も採捕従事者になれるとした規定、規定ではございませんけれども、そうした申し合わせ事項がございます。これが結果としてシラスウナギの一連集出荷の阻害要因となっていることについては、課題として重く認識をしておりますので、今後例外規定やその運用について、抜本的な見直しも含めて、適正に採捕数量が報告されてそうした疑念を払拭できるように関係者との協議を進めたいと考えております。 ◆19番(武石利彦君) この項最後に、シラスウナギの採捕期間とか採捕量、これについて現在は海面や内水面の関係者が調整、協議をしているというふうにお聞きしております。私は養鰻団体もその協議の場に加えることで、より実態に即した結論が引き出せるのではないかというふうに思っておりますが、この点について水産振興部長にお聞きします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 今後は、ウナギの資源の維持や回復にも配慮いたしますとともに、内水面の関係者のみならず、許可名義人や養鰻業者等の関係者の意見を今まで以上に十分にお伺いした上で、採捕期間等や数量を決定していきたいと考えております。 ◆19番(武石利彦君) それでは、次の項目、アユ資源の回復について質問させていただきます。 四万十川、特に四万十町なんかでも、随分以前は県外からアユ漁にたくさんの方が訪れてきたんですけれども、最近はめっきりその数が減ったというふうに聞いております。その原因は何なんだと聞きますと、アユがおらんなったということとか、友釣りのだいご味である、アユが闘争心をむき出しにしておとりアユにだんと体当たりしてくるというような性質ではなくなったと、おもしろみがなくなったというようなことが原因だというふうに、アユ漁ファンから聞かされています。 そのため、そういったことを解消するためにどうするのかという趣旨で質問させていただきます。まずアユ資源をそもそも回復させなくちゃならんというふうに思いますので、県内の河川で産卵域を確保する取り組みとか、あるいは堰堤とか魚道の改修をするなどして生育面積を拡大する、こういった取り組みをさらに強化するべきだと思うんですが、水産振興部長にお聞きします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) アユ資源の回復を図るために、県の内水面漁業センターでは、アユの漁業権を管理する漁協等が行う産卵場の造成や魚道の改修に対して、必要な技術面の指導・助言を実施しております。また、県では、内水面漁業協同組合連合会が主要河川で実施している産卵場の造成に対しては支援をしております。 一方、堰堤や魚道の改修は、水産資源保護法に基づき設置者が行うべきでございますけれども、市町村や漁協が魚道の改修を行う場合は、国の事業を活用して支援をしてまいりたいと考えております。 ◆19番(武石利彦君) アユ漁に詳しい方のお話をお聞きしますと、河床の石の間に土が入って目詰まりしているとか、だからコケがつきにくいとか、いろんな要因があるというふうに聞きます。それから、それ以外にも冷水病が蔓延したとかというお話も聞きますし、いろんな要因があるんだろうと思うんです。 放流をするわけですけれども、放流に必要な種苗アユの品質を向上させるため--つまり縄張り意識の強い、おとりアユにだんと体当たりするような性質を持ったアユとか、もちろん冷水病に感染していないとかというふうな、そういった種苗アユをどのように安定的に確保するのかということが大事だと思うんですけれども、この点について水産振興部長にお聞きします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 県では、天然アユ資源の復活に向けて、再生産に寄与する健全で遺伝的にも天然魚に近い人工種苗、土佐のあゆの生産、供給にも取り組んでおりまして、全国的にも高い評価を受けております。 具体的には、内水面漁業センターが漁協の協力を得まして、奈半利川などの複数の河川で3月から4月に採捕した天然アユを、病原体を持たない健全な親アユに養成しているものでございます。こうした親アユを、種苗生産を委託している内水面漁業協同組合連合会に供給するとともに、種苗の安定かつ大量生産に向けた指導も行っております。 ◆19番(武石利彦君) わかりました。 放流アユの品質を向上させるということの一方で、天然遡上を増加させるということも重要になるというふうに思っております。 そこで、翌年度の資源確保につながるように、漁獲量の制限を施すなどして指導をすることも大事なんじゃないか、つまり落ちアユ漁で一気に一網打尽にしてしまうということがいいのかどうなのかということが問われているんじゃないかと思うんですけれども、こういった翌年度の資源を残していくということに対する御所見を水産振興部長にお聞きいたします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) アユの資源が再生産できるサイクルを構築する上では、産卵期の保護・育成対策は最も有効な手段だと考えています。現在、関係の漁協では翌年度の資源確保のために、産卵場の造成を行うとともに、落ちアユ漁については、その年のアユの資源状況を考慮して解禁するかどうかの判断を行っております。 県としましては、今後とも漁協が適切な産卵期の保護、育成に取り組めるよう、産卵場の造成や、ふ化したアユがいつどのくらい海に下っているのかなど、落ちアユ漁の解禁の判断に必要な調査について、引き続き指導・支援を行ってまいります。 ◆19番(武石利彦君) ぜひよろしくお願いいたします。 言うまでもなく、四万十川だけじゃないですけれども、特に四万十川の特徴としたら、流域面積が非常に広いというか、長いものですから、いろんな自治体を流れている。そして、そこにはいろんな漁業の組合があるというようなことで、なかなか上下流なんかの調整が難しい。天然遡上を図ろうとしても、堰堤とかがあってそこでとまっちゃったり、いろいろ流域での協調性、統一した方向性がないとなかなか足並みがそろわないという現実もあるやにもお聞きしていますので、今御答弁いただきましたけれども、県としては一層の指導・助言をいただけたらというふうに思います。これは要請をしておきたいと思います。 それから、この項最後に、カワウの食害ですね、この食害対策が非常に重要。放流してもほとんどカワウに食われてしまっているという状況もあるやにお聞きしますし、何年か前に県議会の委員会でも、琵琶湖のアユのカワウの食害の調査に行ったことがありますが、そのときの地元の方の御説明では、琵琶湖で人間がアユをとる量の倍ぐらいカワウがとっているという話もお聞きした記憶があります。その琵琶湖でのカワウ対策としては、コロニー、つまりすみかを見つけて、そこに消防車のホースで水をかけたりして、とにかくそこを徹底的に壊滅させているというようなお話もしております。 四万十川流域でもそういったコロニーは発見を当然されているんですけれども、なかなか山深いもんですから消防車が行くわけにもいかんし、さてどうするかということもあります。 この深刻なカワウの食害について、その影響を踏まえて対策をどのように考えておられるのか、水産振興部長にお聞きをいたします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) カワウの被害は全国的な問題となっていることは十分に認識しております。県では、平成18年度から内水面漁業協同組合連合会が行う報奨金制度によるカワウ駆除を支援しておりまして、平成27年度以降は県内10の河川で毎年1,800羽程度を駆除しております。また、カワウは広範囲に移動いたしますから、中国四国カワウ広域協議会を通じて全国的な被害状況や対策の情報収集も行っております。 今後は、こうした取り組みを継続いたしますし、カワウの食害を軽減するために、漁協などが行う稚アユの放流場所の分散や河川の上流から下流までの一斉駆除などについて、関係機関と連携しながら重点的に支援をしたいと考えております。 ◆19番(武石利彦君) どうもありがとうございました。 それでは、水産に関する質問はここで終えまして、次の項目、畜産振興についてへ移りたいと思います。 本県の畜産振興を持続的に図っていく上で、新食肉センターの整備というのは非常に重要な位置づけであるというふうに認識をしております。 一方で、その新食肉センターがしっかりと運営をしていくためには、経営計画に基づく黒字体質、しっかりとした経営が求められているということはもう言うまでもないと思うんですけれども、またこの点については、県民も大きな関心を寄せているポイントであろうかというふうに認識をしております。 その黒字の経営といいますか、そういった経営方針についてどのような御所見をお持ちになるのか、農業振興部長にお聞きをしたいと思います。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 新会社の運営シミュレーションでございますが、その運営を担う県、JAグループ、食肉事業組合で構成される協議会におきまして、収入は少な目、経費は多目という方針のもと慎重に試算し、精査をしてまいりました。その結果、これまで民間事業者が実施してまいりました競りや部分肉加工、卸売等の利益を取り込むことで、初年度から黒字運営が可能となる見通しが改めて確立されたところでございます。 このことはまさに、JAグループ等の民間事業者が、身を切る改革として、これまでの税負担から受益者負担への転換を図ることで実現できたものであるというふうに考えております。 ◆19番(武石利彦君) そういった見通しでしっかりとした経営をしていただきたいというふうに期待もしております。 ただ、万が一運営に赤字が出たとした場合にどうするのかというのがやっぱり心配な点であるんですけれども、そういった場合、どのように対応されるのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 万が一新食肉センターに運営赤字が出た場合には、不可抗力を原因とするものを除き県及び市町村には負担を求めず、JAグループの経営責任のもと、新会社の積立金の取り崩しや系統金融機関からの融通で対応することとしております。 不可抗力でございますが、激甚災害または家畜伝染病予防法に基づく家畜の殺処分や移動制限によりまして屠畜が1年以上滞り、運営赤字が累積した場合を想定しておりまして、その場合でも行政による補填につきましては、国の支援の有無や他県の事例などを踏まえまして慎重に検討した上で判断することとしております。 県は、出資者としまして地方自治法の規定により、議会への経営状況の提出義務を負いますほか、予算執行状況の調査や監査を行うなど、新食肉センターが赤字運営に陥ることのないようしっかりと運営にかかわってまいります。 ◆19番(武石利彦君) 今御質問させていただいたようなことについての懸念があるということでありますので、ぜひとも県としてはこれからも県下の市町村--あるいは市町村には議会もあるわけだし、何といっても地域の住民の方々の御理解を得られるように、これからもしっかり取り組んでいただきますように要請をさせていただきたいというふうに思っております。 それから、高知市の新食肉センターは牛がメーンになると、こういうことを聞いております。だから、安定経営をするためには、何といってもたくさんの処理頭数をこなしていくということが大事になると、そういった意味で土佐あかうしのブランド化の推進ということと両輪で進んでいくことが必要になると思うんです。 あかうしの増頭対策、これが急がれますが、その進捗状況を踏まえて今後どのようにあかうしの増殖に取り組んでいかれるのか、御所見を農業振興部長にお聞きをします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 県では、畜舎整備への支援や、母牛、子牛の増頭対策による生産基盤の強化や販路拡大、高知県畜産会を窓口に新規就農者の確保にも取り組んでおりまして、昨年度の土佐あかうしの飼養頭数は、2,169頭の計画に対しまして実績は2,236頭と、計画を上回って増頭が進んでおります。 土佐あかうしは、赤身のおいしさや脂の質のよさが県外の料亭や高級レストランからも高く評価されておりまして、現在でも供給が足りず、今後もさらに需要は高まっていく状況にございます。 土佐あかうしの増頭は新食肉センターの経営の安定化にもつながりますため、計画目標達成に向けてしっかりと取り組んでまいります。 ◆19番(武石利彦君) ぜひよろしくお願いします。 それから一方、四万十市でも食肉センターの建設の計画が進んでおりますが、県内2つの食肉センターがどのように共存共栄を図っていくのか、農業振興部長に御所見をお聞きします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 食肉センターは、生産農家だけではなく流通加工業者や小売業者など、川上から川下までの取り組みを好循環させ、拡大再生産につなげるために極めて重要な公共インフラであり、産地や消費地の近くにあることが必要な施設と考えております。 そのため、現在県内における牛や豚の産地を考慮しまして、高知市では牛を、四万十市では豚をメーンに屠畜する方針のもと、いずれも安定的な経営が可能となる見通しが示されており、それぞれの事業領域の違いにより共存共栄が図られるものと考えております。 ◆19番(武石利彦君) これまでの高知市での食肉センターの経営状況を見ましても、牛、豚両方を処理していたわけですけれども、1頭当たりの処理料が高い牛、1頭当たりの処理料は安いんだけれども頭数が非常に多い豚、これを比べた場合に、圧倒的にといいますか、やっぱり豚をたくさん処理するほうが安定した経営ができるんですよね。 今回、高知市は牛がメーン、それから四万十市は豚がメーンと、こうなるわけでありまして、そのあたり今までの傾向からすると、あかうしの増頭体制をしっかり組んで経営を安定させるというのが非常に重要なポイントになると思いますし、じゃあ四万十市の豚メーンの新処理場が安定していくのかというと、今度愛媛県の大洲に非常に大規模な食肉センターが建設されるという計画もお聞きをしており、今四万十市の食肉センターには愛媛県からも豚が結構たくさん来ていますので、その影響が全くないのかどうかというのも懸念されるところであります。しっかりとした情報収集と計画に基づいて、この食肉センターの事業について取り組んでいただきたいというふうにさらに要請をしたいと思います。 それでは、畜産振興最後の項でありますが、豚コレラですね、感染が全国的に報道されておりますが、本県でこの発生を予防するためにどのような対応をされておられるのか、農業振興部長にお聞きします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 豚コレラの発生予防対策としましては、農場にウイルスを侵入させないことが最も重要でありますことから、昨年9月の岐阜県での発生以降、国内で発生が確認されるたびに、養豚場に直接出向くなどによりまして、出入りする車両の消毒を徹底することや豚に異常が認められた場合の早期届け出等について、徹底した指導を行っております。この結果、消毒の実施状況や異常な豚がいないことを確認しております。 さらに、死亡した豚や野生イノシシが確認された場合につきましては豚コレラの検査を行い、これまで全て陰性であることを確認しております。 豚コレラの発生リスクは依然高いと思われますことから、引き続き緊張感を持って発生予防対策に取り組んでまいります。 ◆19番(武石利彦君) よろしくお願いいたします。 それでは、最後の項目の質問に移らさせていただきます。 これも高知新聞でも報道されましたが、四万十市と四万十町の境の尾根に大規模な風力発電所を建設する、そういった計画があるという内容でございました。これは、民間企業が、非常に大規模、高さ120メートルの風車を49基、標高550メートルの市・町境の尾根に建設をすると、こういう計画が報道されたわけでありますが、非常に地元では懸念の声が広がっておりまして、2月21日に四万十町内で地元住民と企業側の情報交換会が行われたというふうに聞いております。 その中の意見なんかを見ますと、ヤイロチョウは夜間に飛行するらしいんですね、そのヤイロチョウへの影響というのを--この風力発電の風車がどのような影響があるかというのを当然企業側も調査しなくてはならないわけでありますが、夜間にヤイロチョウが飛んでいるかどうかというのをどうやって調査するか、つまり目で見たって夜だからわからないわけで、一方でレーダーを使って夜間の動物の動きを調査する手法があるらしいんですけれども、何か動物が動いているというのはその調査ではわかるんですけれども、それがヤイロチョウなのか何なのかというのまではわからないと、そういった状況があるという懸念の声もそこで上げられたと聞いております。 そしてまた、一般的に小鳥の渡りというのは非常に調査が難しいとされている、そういった状況があるというふうにもお聞きしておりますので、企業が何か調査をした、これ大丈夫ですと言われたところで、とても地元の住民としては納得ができるものではないと、こういった声が大勢を占めたというふうに聞いております。 それから、もう一つ気になるのは景観の問題でありまして、その情報交換の席で企業側からは、四万十川から全くその風車が見えないわけではないというような、つまりやっぱり川からもその風車が見えてしまうというような発言もあったというふうにお聞きしております。その今回の予定地は四万十川条例の対象エリアではないわけなんですけれども、もし原風景が売り、魅力の四万十川にそういったものが建設をされたら、これは何をか言わんやというふうに私は大変懸念をしております。 そこで、3月末に環境影響評価技術審査会が、専門家の意見とか関係する市町村の意見を踏まえて開催されるというふうにお聞きしておりまして、知事の意見を取りまとめることになっていくと思うんですけれども、今私が申し上げたこの計画についての御所見を尾崎知事にお聞きしたいと思います。 ◎知事(尾崎正直君) お尋ねのありました風力発電事業については、現在事業者から、いわゆる環境アセスメント法にのっとりまして、事業計画の立案前の段階において予定地周辺にどのような環境保全の対象が存在するかなどを確認するための関係書類が、県に提出されているところであります。その書類によりますと、発電出力は最大で14万7,000キロワットと、県内では最大級の風力発電施設が計画をされているということであります。 この風力発電施設の設置は、再生可能エネルギーの導入の促進に大きく寄与しますが、森林などの開発を伴いますことから、周辺環境に及ぼす影響への配慮というのが大変必要になってくるわけであります。この風力発電施設の予定地周辺には、議員のお話にありましたように、国内希少野生動植物種に指定されるとともに、県の天然記念物であり県の鳥でもありますヤイロチョウの営巣地がありますし、また四万十川など本県にとって重要な自然環境が存在をしております。これらを将来に引き継げるように保全していかなければならないと考えるところです。 今後、当該事業に関して知事として事業者に、環境に配慮すべき項目に関する意見を申し述べることとなりますことから、関係市町や各分野の専門家の御意見もいただいた上で、四万十の大切な自然環境が守られるようしっかりと対応していきたいと、そのように考えるところでございます。 ◆19番(武石利彦君) ぜひよろしくお願いいたします。 四万十町下道というところがありまして、大正の田野々から梼原のほうへ向いて上流のほうへちょっと行ったところに非常に開けた地域があるんですけれども、そこによくヤイロチョウが来ているんですよね。そこにヤイロチョウの保護区があるんですけれども、この予定地というのはそこから10キロ以内の地点だというふうに聞いていますので、非常にヤイロチョウへの影響を懸念しております。その点も重々踏まえていただいて、知事には大所高所から御判断をいただきたいというふうに思っております。 それから、風力発電には当然大きなプロペラ、これが必要になるわけでありまして、今回情報交換会で示された計画を見ると、その巨大なプロペラであるとか風力発電の本体、機器ですかね、そういったものは宿毛港に陸揚げをされて、それから国道56号、それから窪川から国道381号へ入って現地に向かうと、こういう計画が示されているらしいんです。 まあまあそこまではまだいいとしても、道も恐らく満足にないような尾根にその巨大な資材をどうやって上げるのかというふうな懸念がされています。だから、地元の懸念というのもここで言うまでもないと思いますが、山を切り崩して道路をつけて、そこでそういう巨大な資材を上げるんじゃないかなと。それはもう当然山というか環境が破壊される、そういった懸念もありますし、四万十川にとっては濁水が流出するというような懸念もありますので、できれば四万十川にはこういう施設は必要ないんじゃないかなというふうに、私も含めて地元の住民は思っておりますので、また知事には御指導・御助言をよろしくお願いしたいというふうに思っております。 最後に、これも要請です。事業に向けての調査ですけれども、これを単に企業に任せるんではなくて、地元にも、環境に詳しい団体とか経験を積んだ地元のまさに四万十のことをよく知っている団体もありますので、そういった方々の協力も得て、これを可とするのかどうするのかとか、そういった調査にしていただきたいというふうに思います。 以上で、私の全ての質問を終えたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(土森正典君) 以上をもって、武石利彦君の質問は終わりました。 ここで11時5分まで休憩といたします。   午前11時休憩-----------------------------------   午前11時5分再開 ○議長(土森正典君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 上田周五君の持ち時間は40分です。 31番上田周五君。 ◆31番(上田周五君) 県民の会の上田周五でございます。議長のお許しをいただきました。よろしくお願いいたします。 財政問題から入ります。 平成31年度一般会計当初予算は、投資的経費が約1,071億円、対前年度比9.6%増と大きく伸びたことなどにより、総額で4,607億円余り、対前年度比2.2%の増となっています。 歳入面では、県税や地方譲与税の増などにより、実質的に前年度を上回る一般財源を確保し、新たに設けられた国の補助金や地方交付税措置率の高い地方債といった有利な財源を最大限に活用されています。 しかしながら、そういった工夫、努力をされてもなお予算ベースで146億円の財源不足が生じています。この不足に対しては、財政調整的基金の取り崩しと退職手当債などの発行で賄っています。先々にわたり安定した財政運営を行っていくには、この財源不足146億円を少しでも減少させることが求められていると思いますが、今後の取り組みについて総務部長にお聞きいたします。 ◎総務部長(君塚明宏君) 財政の基本ですけれども、まずやるべき仕事、業務、歳出がありまして、その財源をどうするか検討することというふうに認識しております。 本県の場合でいきますと、産業振興計画など県勢浮揚に向けた取り組みに加えまして、南海トラフ地震対策ですとか防災・減災対策、こういった財政需要を適切に見積もった上で財源を確保して予算を重点に振り向けていく、これが財政当局の役割と思っております。 同時に、財政調整基金あるいは県債の残高というストック面にも留意しまして、先々にわたる安定した財政運営に見通しをつける必要がございます。 このため、引き続き歳入歳出両面で取り組みを最大限実施することが不可欠でございまして、今後の取り組みにつきまして、まず歳入面におきましては、地方交付税など一般財源総額の確保に加えまして、今般の国の3カ年緊急対策に伴う国庫補助金ですとか、地方交付税措置率の高い地方債のような有利な財源の創設に向けて国に対して強く訴えてまいりますとともに、公共施設におけます広告収入など、新たな歳入の確保につながる取り組みも強化をしてまいります。 また、歳出面におきましては、事務事業のスクラップ・アンド・ビルドにも徹底して取り組んで予算の重点化に努めますほか、RPAやAIといった新たなデジタル技術を活用することなどによりまして業務効率化を図る、こういったことも推進してまいりたいと考えております。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。財源不足でございますが、平成26年が104億円だったものが年々増加をしております。今後の予算編成におきましては、こうしたことにも留意されて先々にわたる安定した財政運営をよろしくお願いいたします。 次は、自主財源の確保の観点からでございますが、将来にわたる財政の健全性の確保には、自主財源の確保を徹底することだと思っております。 県有財産の処分については、平成16年度から遊休財産処分計画に基づいて、県として利用の予定がない県有財産の売却に積極的に取り組んでおりますけれども、本年度までの処分状況について総務部長にお聞きをいたします。 ◎総務部長(君塚明宏君) 本県では、平成16年度以降3年ごとに遊休財産処分計画を定めながら、利用予定のない県有財産の処分に努めてきております。 平成16年度からの売却実績につきましては、現時点におきまして物件数では179件、売却金額で申しますと約84億2,000万円となってございます。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。 それでは、現在までに処分できていない遊休財産などの処分に向けた今後の取り組みについて総務部長にお聞きをいたします。 ◎総務部長(君塚明宏君) 平成28年度から30年度までを期間とします現在の遊休財産処分計画に基づきまして一般競争入札などを実施したもの、これが45件ございます。このうち応札がなく現時点で処分の見込みの立っていないものというのが12件ございます。これらの物件は、接面道路、進入路が狭いなど条件不利なため、問い合わせもほとんどなかったものでございます。 こうした物件につきましては、現在県のホームページですとか新聞等へ情報掲載を行っているわけでございますが、これに加えまして、今後費用対効果も踏まえる必要がございますが、市町村等からの情報収集、あるいはエリアごとへの情報提供、さらには隣接地所有者などへの打診を行うことなどによりまして、処分に粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。御答弁では、条件不利な物件が幾つかあるということでございますが、今後におきましては、遊休財産の処分につきまして引き続き努力されるようお願いを申し上げまして、次に移りたいと存じます。 次は、平成30年度県民世論調査でございます。 地域地域で安心して住み続けられる県づくりについて聞いています。「あなたは現在、ご近所(向こう3軒両隣など)の方とどのような関係ですか」との問いには、ほとんどもしくは全くつき合っていないとの答えが16.5%、平成28年度比で3.8ポイント増加。「地域での支え合いの力は、以前と比べてどうなっていると感じますか」との問いには、弱まっているとの答えが55.4%と、2年前と比べて12ポイント増加。「あなたは現在、地域の活動に参加していますか」との問いには、ほとんどもしくは全く参加していないが44.4%、平成28年度比で5.1ポイント増加。 この結果から言えることは、地域力とか近所力が確実に弱まっているという現実ではないでしょうか。この結果に対する受けとめについて、まず地域福祉部長にお聞きをいたします。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 今回の世論調査の結果では、平成28年度と比較すれば、先ほどお話のありましたように、地域の支え合いの力が弱まっていると感じている割合がふえておりますけれども、平成21年度と比較しますと大体同程度ということでございます。 今後、単身の高齢者などがふえることが考えられますので、地域での支え合いの活動を意図的に再構築していくことはますます重要になっていくものと考えております。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。 調査結果で私が特に気にかかっているのが、御近所の方とどのような関係ですかという問いに、20代から40代の3割強がほとんどもしくは全くつき合ってないと答え、地域での支え合いの力についての問いには、40代の66%が弱まっていると答え、さらに現在地域の活動に参加していますかとの問いに、20代から40代の約6割がほとんどもしくは全く参加していないと答えていることでございます。 今後、南海トラフ地震など自然災害の発生などへの対応を考えたとき、地域での支え合いの力を強めていくことが大きな課題となっていると存じますが、今後どういった対策を講じられていかれるのか、地域福祉部長にお聞きをいたします。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 県では、地域福祉の拠点でございますあったかふれあいセンターの整備や集落活動センターとの連携を含めました機能強化を進めることによりまして、地域住民の支え合いを意図的に再構築することを市町村とともに進めております。 また、来年度からは災害時の要配慮者対策を加速化していくこととしており、県が支援し、地域の皆様で個別避難計画を策定していく過程を通じまして、地域の支え合いの力をより確かなものとしていきたいというふうに考えております。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。部長から、来年度から個別避難計画等々の御答弁もございましたが、私は地域を挙げていわゆる自主防災組織の強化を図ることが、今後の支え合いの力を強めていくための有効な手段の一つではないかと考えておりますので、今後そういったことも含めて積極的に取り組んでいただきたいと存じます。 次は、中山間地域対策についてでございますが、これまで私はこのことを言い続けてまいりまして、今回改めて、中山間地域に住まう人々の生活を守る対策について幾つかお聞きをいたします。 いよいよ人がおらんなったのう、このままやったらこの集落はやがてだめになりやせんろうか、中山間地域で最近よく聞かれる住民同士の会話でございます。 中山間地域の過疎化、高齢化はすさまじい勢いで進行していますのが私の実感でございます。事実、もう五、六年すれば集落そのものを維持できなくなる高齢者小規模集落が確実にふえてくることが予測されます。こうした地域の現状の受けとめについて、まず中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。 ◎中山間振興・交通部長(川村雅計君) 平成28年度に実施しました集落調査の結果によりますと、過疎地域の高齢化と人口減少、それに伴う集落の小規模化が進んでいる状況にあります。 一方で、こうした厳しい状況にある過疎地域であっても人口が増加した集落が出てきており、その中には産業振興計画や集落活動センター、あったかふれあいセンターの取り組みといった一連の中山間対策の効果があらわれているのではないかと思われる事例もあります。 こうした流れをさらに大きく広げていくために、県内各地に広がっております集落活動センターのネットワークも生かしながら、産業をつくる取り組みや生活を守る取り組みをさらに加速していきたいと思っております。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございました。 高知県が推計された先月2月1日の数値で少し述べさせていただきますと、中山間地域の65歳、いわゆる高齢者比率、県平均が34.8%に対しまして郡部の平均が44.3%、うち2つの市で50%を超え、2つの町で57.4%、56%となっております。そういった大変厳しい現状でございます。そういった現状の中で、以下質問を続けさせていただきます。 生活用水の確保でございます。平成20年度から平成30年度までに30市町村で対象世帯3,600、対象人口7,800人と整備が進んでいますが、一方で、300を超える集落で未整備となっております。 この生活用水の確保で当面する課題に、取水施設などの維持管理の問題があります。幾つかの集落では、高齢化と人口減少により、取水施設などの維持管理がままならない実態に直面しております。今後ますますそうした集落がふえることは、現状からいたしますと明々白々でございます。その対策が急がれていると思いますが、中山間振興・交通部長にお聞きします。 ◎中山間振興・交通部長(川村雅計君) 県では、中山間地域における生活用水確保対策として、取水施設の新設のみならず、老朽化した既存施設の補修や更新についても支援の対象としております。 今後は、御高齢の方が多い中山間地域の小規模な集落であっても容易に維持管理ができるような施設整備を行うことが重要であると考えております。 このため、御高齢の方でも維持管理がしやすいよう、住居から近い取水地の選定や車で通行可能な管理道の整備、メンテナンスの容易な取水施設やろ過施設等の導入などを市町村や地域に対して助言をしているところでございます。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。先ほど集落から近い取水施設というお話がございましたが、現状は、集落の麓から400ないし500メートル入った山中に取水施設が多く設けられております。ということで、そこまで行けないと、高齢化で行けないという現状がございますので、そういったことも含めて早急な対策をお願い申し上げます。 次は、生活用品の確保でございます。中山間地域に住まう人々の日々の暮らしを支え、守っているのが、食品や日用品を扱う移動販売に携わる方々でございます。 先日、ある集落で移動販売車に出会いました。買い物をされていました高齢者が、こんな山奥まで来てくれる、週2回来てくれてありがたい、私らは楽しみに待ちよらねえ、欲しい品物を頼んじょったら次に必ず持ってきてくれらあねなどと元気な笑顔で言ってくれました。もう一人の高齢者が、これがないなったら私ら生活ができん、ないなりやせんか心配していると話してくれました。 過日、移動販売の経営者に話を伺いました。過疎化、人口減少などで近年の売上高は相当減少し、加えて人件費やガソリン代などの経常的な経費もかさみ、経営がままならない。しかし、待ってくれている地域の高齢者の顔を思い浮かべると簡単にはやめられないとのことでございました。 そこで、県内の移動販売事業者数は幾つあるのか、中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。 ◎中山間振興・交通部長(川村雅計君) 今年度実施しました、買い物の実態に関する市町村への聞き取り調査の結果によりますと、食品や日用品などを取り扱う移動販売を実施している事業者は44事業者でございます。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。 44事業者ということでございますが、今県の補助制度で、移動販売車両の購入費に係る経費の助成などには生活用品確保等支援事業がございます。以前にもこの議会で何人かの同僚議員がお訴えしたと思いますが、私が先ほど申し上げました人件費やガソリン代などの必要経費につきましても、当該支援事業のメニューに加える時期が来ているのではないかと、そういう思いがしますけれども、その点につきまして中山間振興・交通部長の御答弁をお願いいたします。 ◎中山間振興・交通部長(川村雅計君) 移動販売に必要となる人件費や燃料代などの必要経費につきましては、新たに事業を始めようとする場合には、試行期間として最長12カ月までを支援の対象としております。 一方で、移動販売事業は基本的には民間の経済活動と位置づけられることから、県としましては、12カ月を超える継続的な運営費につきましては公費支出は行っておりません。 ただ、中山間地域における生活用品の確保は、ますます重要な課題となっておりますことから、引き続き地域の実態の把握に努め、さらに検討を続けてまいりたいと考えております。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。先ほど御答弁いただいたんですが、私は重要という話もちろんでございますが、生活用品確保はこの中山間地の生活を守るという対策の一丁目一番地の事業だと思っております。そういう意味で、その44の業者が廃業に追い込まれる状況が来るということは大変な状況だと思いますので、るる御説明がございましたが、この件につきましては、ぜひ中山間総合対策本部会議で議題として検討していただければと、これお願いでございますが、よろしくお願いをいたします。 次は、冒頭申し上げましたが、中山間地域は大変高齢化が進んでおりますが、今回地域を回らせていただきまして一番感じたのは、ひとり暮らしの高齢者が急増していることでございます。また、ひとり暮らしの高齢者で身寄りがなく、将来不安のある高齢者も多くなっております。さらに、老老介護を余儀なくされている高齢者世帯が増加していることです。 その中で、県はそういった高齢者の厳しい暮らしの実態を把握されているのか、地域福祉部長にお聞きをいたします。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 高齢者の暮らしの実態につきましては、住民に身近な市町村が最もその実情を把握されていますし、中でも高齢者の相談窓口である地域包括支援センターは、よりきめ細かく生活の困り事などを把握されています。 県としましては、これまでも市町村へのヒアリングなどを通じて実情を把握してきたところですが、今年度は各福祉保健所に配置をしております地域包括ケア推進監などが中心となって地域包括支援センターからお話をお伺いすることや、地域包括ケア推進協議体の場などでその実情をしっかり把握した上で関係者と課題解決に向けた検討を行っているところでございます。 ◆31番(上田周五君) ぜひよろしくお願いいたします。 中山間地域の高齢者の暮らしでもう一点お願いをいたします。中山間地域では、車からおりて、そこから自宅まで急な坂道を4分から5分かけて歩かねばならない地域が多くございます。 現実の話といたしまして、ひとり暮らしの高齢者の方は、今は元気でいるが、先々のことを考えると不安がいっぱいだとおっしゃいますし、老老介護を余儀なくされている高齢者世帯の方は、外出しようにも制限があり、しばらく地域の人に会っていない、ストレスがたまる一方だともおっしゃっております。 こうした方々が安心して日々暮らしが送れるよう、行政が手を差し伸べることが今必要ではないでしょうか。中山間地域の高齢者の暮らしを守るための具体策について地域福祉部長の御所見をお聞きいたします。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 地域地域で実情やニーズが異なっていますことから、地域の実情を最も把握している市町村がその地域ごとにきめの細かな支援をしていく必要があり、県としてはそういう市町村の取り組みを支援していくことが重要だと考えています。 このため、身近な集いの場としてのあったかふれあいセンターの整備を市町村とともに進めることに加えまして、センターへの送迎を生かした買い物や通院などの生活支援など、センターの機能充実を図っているところでございます。 また、支援が必要となった場合に必要なサービスにしっかりとつなぐことができるよう、介護者の御家族の負担軽減などにもつながる小規模多機能居宅介護などを含めました医療・介護・福祉サービスの充実を図ることとともに、それらを切れ目のないネットワークでつなぐ高知版地域包括ケアシステムの構築を加速化してまいります。 ◆31番(上田周五君) どうも御答弁ありがとうございます。ぜひそういった方向で進めていただきたいと存じます。 次も暮らしを守るための分でございますが、ひとり暮らしの高齢者がふえる中山間地域では、周囲への警戒心からか、日中でも家の中に閉じこもり、鍵をかけ、不安いっぱいで暮らしている世帯が多く見受けられます。特に、高齢者小規模集落でその傾向が強くなっていると感じています。 こうした高齢者世帯の人々が安心して暮らし続けることができるには、警察による見守り体制及び防犯体制の強化がなお一層重要になってくるものと考えますが、警察本部長の御所見をお聞きいたします。 ◎警察本部長(宇田川佳宏君) 議員の御指摘にもございましたように、中山間地域の見守り体制と防犯体制の強化は、大変重要であると考えているところであります。 県警察では、中山間地域を含む管内全域においてパトロール活動や巡回連絡、街頭指導活動等を通じ、高齢者の方が犯罪や交通事故に遭わないように見守るとともに、地域住民の安心感の醸成に努めているところでございます。 また、高齢者世帯には警察官、高齢者アドバイザー等が戸別に訪問活動を行っているところでありまして、こうした活動により得られた高齢者の方の御意見であるとか御要望、それから地域の実情等を踏まえて、デイサービスでありますとか老人クラブ等の集まりでの出前講座、あるいはミニ広報紙や自治体発行の機関紙などを活用しまして特殊詐欺や交通事故、空き巣などの各種被害に遭わないためのタイムリーな情報の発信と対策を行っているところでございます。 今後も、各自治体やボランティア団体、地域住民の方々と一体となった高齢者の安全対策を強化するとともに、特に中山間地域におきましては、駐在所員が高齢者宅を一軒一軒巡回連絡し、また地域住民への積極的な声かけを行うなどのきめ細やかな活動を通じて高齢者の方が安心して暮らせる地域づくりに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ◆31番(上田周五君) 御答弁ありがとうございました。先般、仁淀川町で空き巣事件があったんですが、迅速な対応で犯人が逮捕されたということで、地域の方は大変安心をしております。そういう意味でも、今後におきましては、御答弁にあったように、パトロールを一層強化していただきたいとお願いを申し上げます。 次に、県では南海トラフ地震等に備え、土砂災害対策及び緊急ヘリコプターの離着陸場の整備支援など、中山間地域に住まう住民の命を守る、そして命をつなぐ対策を進められています。 平成31年度予算に、備蓄以外による飲料水の確保策として浄水装置の整備を支援する新規事業を計上されていますが、どのような取り組みなのか、中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。 ◎中山間振興・交通部長(川村雅計君) 南海トラフ地震や豪雨等の災害時に孤立が想定される中山間地域の集落において、生活用水の確保を目的とした浄水装置の整備に対し支援を行うものです。 整備する浄水装置は、本来の生活用水の水源が被災した際に、ほかの水源を利用して飲料水を確保することができるよう、移動や持ち運びが可能で、取水した水から不純物を除去して一定量を供給することができるものを想定しており、市町村が集落などに整備する費用に対して補助するものです。 ◆31番(上田周五君) 御答弁ありがとうございました。 次でございますが、孤立集落での救助活動の中心となるのは、地元消防団でございます。県内には38の消防団がありますが、チェーンソーやエンジンカッターなど救助機材の備えは十分でしょうか。 消防団は全国に約2,200ございますが、消防庁によりますと、6種類の救助機材の配備数は必要数の約1割程度にとどまっており、西日本豪雨のように被害が広範囲に及ぶ災害では、機材不足で救助に時間を要する懸念があるとされております。 そこで、本県の消防団が扱う救助機材の配備状況は十分か、危機管理部長にお聞きをいたします。 ◎危機管理部長(酒井浩一君) 消防庁が示します必要な配備数に対しまして、チェーンソー、エンジンカッター、油圧ジャッキ、トランシーバーはそれぞれ約4割、AEDは2割弱、油圧切断機は1割足らずにとどまっており、十分な配備状況に至っているとは考えておりません。 ◆31番(上田周五君) 答弁では、十分な配備状況に至っておりませんというお話ですが、ことしの国の1次補正、来年度予算そして2020年予算3カ年で、総務省消防庁のほうがその救助機材に3分の1を補助するということがございますので、ぜひそういったことを活用して市町村と連携とって進めていただきたいと思います。やっぱり命の消防団が迅速に救助活動できますよう、よろしくお願いをいたします。 次でございます。中山間地域は、ほとんどの地域が急傾斜地崩壊危険箇所及び土石流危険渓流や地すべり危険箇所に指定されていることから、住民は殊のほか南海トラフ地震などの自然災害による山津波を心配されています。 平成31年度予算には、土砂災害を想定した訓練及び土砂災害に対する啓発活動に要する経費などが含まれています。 私は、土砂災害から人命を守る対策について、日ごろから有事を想定した訓練を行うことが非常に重要であると考えています。そこで、この土砂災害を想定された防災訓練の実施状況はどのようになっているのか、土木部長にお聞きをいたします。 ◎土木部長(村田重雄君) 土砂災害から県民の命を守るため、警戒避難体制の充実を図っていくことは大変重要なことだと考えておりまして、関係機関と連携した訓練を毎年実施させていただいております。 具体的には、毎年出水期前に気象台や全ての市町村とともに土砂災害警戒情報の発表を想定した情報伝達訓練を実施しております。 また、市町村と連携いたしまして、梅雨シーズンとなる6月の土砂災害防止月間を中心としまして、住民が実際の避難訓練を行う住民参加型の防災訓練など実践的な訓練にも取り組んでいるところでございます。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。 それでは、そうした防災訓練への住民の参加状況について土木部長にお伺いいたします。 ◎土木部長(村田重雄君) 県では、実践的な防災訓練の重要性につきまして、さまざまな機会を通じまして市町村に周知してきておりまして、近年では土砂災害を想定した住民参加型の防災訓練に取り組む市町村がふえてきているという状況でございます。 例えば、いの町では昨年長沢地区におきまして、土砂災害に関する避難勧告の発令を想定いたしまして、地域住民が実際の避難所まで避難をする実践的な防災訓練を実施してきているところでございます。 このような市町村の取り組みの結果、住民の皆様の訓練参加につきましても着実に広がっていると感じているところでございます。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。 それでは、今後土砂災害に関する防災訓練の充実が一層重要となるものと考えますが、土木部長の御所見をお聞きいたします。 ◎土木部長(村田重雄君) より多くの県民の皆様が日ごろから土砂災害に備え防災力を高めるためにも、防災訓練の充実は大変重要だと考えております。 また、防災訓練の充実のためには、県と市町村の防災部局が主体となった訓練の継続的な実施に加えまして、民間を含めましてさまざまな機関が主体となった訓練、こういった取り組みを県内各地で広く展開していくことが必要だと考えております。 このため、県では、社会福祉施設、学校、自主防災組織など各機関での主体的な防災訓練の取り組みを促進しているところでございます。 引き続き、防災訓練の充実に向けまして、県としましても防災訓練また防災学習への講師の派遣といった取り組みを通じまして、関係機関での取り組みを積極的に支援してまいりたいと思います。 ◆31番(上田周五君) どうもありがとうございます。今後ともよろしくお願いをいたします。 次は、中山間地域で今本当に深刻な問題となっておりますニホンザルによる被害の件でございます。猿被害に頭を悩ませている山の人の話では、被害を与える群れの数が相当ふえた、一時的に群れの大半が耕作放棄地に出没して農作物に被害を与えたり、群れ全体が通年で出没して常時被害を出したり、現状では手の施しようがないとのことでございました。県におかれましては、平成24年度から鳥獣対策を抜本強化し、取り組んできておりますけれども、猿の被害は本当に深刻化しております。 こうした猿被害を最小限にとどめるためには、被害を与える群れの数など生息状況の調査が必要だと考えますけれども、県といたしまして現状を把握されているのか、中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。 ◎中山間振興・交通部長(川村雅計君) 県では、平成16年度と平成24年度にそれぞれ2カ年にわたって猿の生息状況調査を行っております。 その調査では、群れの数が平成16年度の44から平成24年度には77に増加していることを把握しております。猿の群れは県内に広く存在しており、中部と西部に比較的多く分布していることを確認しております。 ◆31番(上田周五君) 御答弁ありがとうございます。 平成16年度44から平成24年度77に、群れの数がふえたということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、ニホンザルによる農作物被害や生息範囲が拡大しております。 被害を与える群れが生息する市町村や関係団体--猟友会等々でございますが--と連携を強化し、猿の行動域を抑制しまして、農作物などの被害が起こらない環境をつくっていくべきと考えますが、今後の具体策について中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。 ◎中山間振興・交通部長(川村雅計君) 県では、これまでも猿用の大型の囲いわなや防護柵の設置に対する助成など、猿の被害対策を推進してまいりました。しかしながら、平成29年度の数字でございますが、猿による農業被害額は約2,000万円であり、最近では猿による被害を訴える集落は増加傾向にあります。 そういったことから、平成31年度はこれまでの対策に加え、猿を集落に近づけないために、例えばロケット花火を使った追い払いや、果実をそのまま切り残さないなどの環境整備を組み合わせた猿総合対策事業に取り組むこととしております。 この事業を効果的に進めるためには、市町村や関係団体の御協力が不可欠でありますことから、今後もより一層連携して取り組んでまいります。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。御答弁では、近年猿被害がふえているということですが、現実に地元の方と話しますと、イノシシなんかは結構駆除が進んでおりますが、猿については、結構人間に近いということで、ハンターが減少傾向だという話がございまして、実際本当に猿を駆除するときに大変らしいです。これは聞いた話でございますが、そういったことで、本当に地域の方はお困りになっておりますので、今部長が答弁されたように、関係団体と今後本当にそういった取り組みを強化して、少しでも被害が発生しないようによろしくお願いをいたします。 次でございます。中山間地域に押し寄せる過疎化の波は容赦ありません。そんな中で、中山間の地域おこしは伝統、文化、歴史をしっかりと見直し、掘り起こし、守ることだと私は信じています。 近年、情報化が進み、少しずつではありますが田舎に目を向ける傾向も出ていると感じております。そういった中で、本県の風土を好きになったり、戻ったり、仲間に加わったりしてくれる人たちがいると信じています。その人たちが来てくれるような本県の中山間地域を元気にするべきではないでしょうか。 全国的には中山間地域の伝統の祭りは、少子高齢化による担い手不足や資金難、互助精神の衰退などで危機に直面をしております。本県におきましては、御案内のとおり、秋葉祭りや津野山神楽に代表される伝統の祭りや神楽が、外の力をかりつつ、今のところ何とか頑張れています。 そんな中で、伝統の祭りを保存、継承していくためには、祭りの際に着用する衣装や刀などの道具を新しくすることが必要となりますが、新調する際にも資金難で関係者相当御苦労されているようでございます。こうしたことにも行政として目配りをする時期に来ているんじゃないかと存じますけれども、この件につきまして文化生活スポーツ部長にお聞きをいたします。 ◎文化生活スポーツ部長(門田登志和君) 伝統の祭りや神楽などに必要な道具の購入や修繕などに必要となる費用については、内容によって利用できる県の補助事業や民間の助成金など複数ございます。本年度も県内でこれらの事業を利用して、祭りなどに必要な用具の購入や修繕などに充てられた事例もございますので、活用していただけるよう、こうした情報をしっかり市町村などに対してお知らせしていきます。 また、中山間地域などにおけますこうした伝統や文化を将来に継承していくためには、経済的な活動につなげていくことも大切なことだと考えておりますので、今後とも発表の機会の創出に努めますとともに、伝統的な文化を観光などに生かすことのできる人材の育成にも取り組んでまいります。 ◆31番(上田周五君) 御答弁ありがとうございます。観光につなげていくと、そういう御答弁もございましたが、ちょっと紹介をさせていただきますと、ことし1月3日、県立美術館能楽堂での池川神楽に800人集まりました。それくらい神楽には魅力があると思っております。ぜひ伝統文化を未来へとの視点に立っていただき、先ほどの件も含めて御検討をよろしくお願いいたします。 最後に、中山間地域がよみがえるふるさとづくりには、これからの地域を背負って立つ若きリーダーの育成が必要だと考えております。 こうした中、来年度予算に地域おこし活動に携わる人材の掘り起こし、確保に関する新規事業を計上されていますけれども、どのような取り組みなのか、中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。 ◎中山間振興・交通部長(川村雅計君) 平成31年度当初予算案として提案しております地域おこし人材確保・連携強化事業は、首都圏において集落活動センターの経済活動などの担い手となり得る地域おこし協力隊の確保を目的として、県内市町村の職員や地域住民による地域活動の紹介や意見交換等を行う交流セミナーを実施することで、地域おこし協力隊の実際の活動や地域での生活の理解を深めていただき、隊員の募集、マッチングにつなげていくものです。 また、地域おこし活動に携わる人材の確保やネットワーク化を目的として、高知市周辺の中山間地域出身者など地域の取り組みに関心のある方々を対象に交流セミナーを実施し、市町村職員や地域住民とともに行うイベントを企画するワークショップなどを通じ地域活動への参加につなげるとともに、市町村の広報紙を通じた情報提供などにより、地域と継続的なつながりを持つ人材の増加を図り、県内における地域おこし活動のさらなる活性化を目指してまいります。 ◆31番(上田周五君) ぜひ部長、そういう方向で今後進めていただきたいと思います。 私は15年前、県議会での初めての質問で中山間地域の振興策についてお聞きいたしました。具体的には、ふるさとづくりは人づくりからといった視点で、それぞれの地域でリーダーでなくリーダーズの育成が必要だと訴えました。ぜひ、何よりも仲間と一緒に行動する協調性を持ち合わせた人材を育てていただきたいと思います。 このことを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(土森正典君) 以上をもって、上田周五君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。   午前11時45分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(坂本孝幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 米田稔君の持ち時間は30分です。 36番米田稔君。 ◆36番(米田稔君) 日本共産党の米田稔です。通告に従いまして順次質問をさせていただきます。 まず、中国帰国者の介護保障などについてお伺いをいたします。 去年9月23日付地元高知新聞は、2ページにわたって「県内元残留孤児 高齢化深刻」、「政府帰国援護開始45年」、「平均76歳超え 介護課題に」、また「習慣、言葉の壁 老後も」、「元残留孤児 施設になじめず」との見出しで報道をしています。そして、「元孤児たちは、日本式の既存の介護サービスを受ける想定で処遇されている。しかし現実は、言葉や食習慣などが壁となり、日本の施設やサービスになじめず、引きこもりや家族の負担を招くケースがある。」、「敗戦と異国での生活を生き延びて帰り着いた故郷で、老いた元孤児らの落胆とため息の声が漏れる。」と指摘をしています。 去年9月議会で坂本茂雄議員も質問をしています。今回の報道に見られる中国帰国者の介護保障の実態などについて、どう受けとめて対応しているのか、地域福祉部長にお伺いします。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 介護を必要とする帰国者の方々にとりまして、言葉の問題や生活習慣の違いなどから介護サービスの利用に不安や戸惑いを感じられることもあると考えています。また、介護の事業所においては、中国語への対応が十分にできないため、日本語でのコミュニケーションが難しい帰国者の方に対するきめ細かいサービスの提供が難しい場合があるとのお声もお伺いをしております。 こうした厳しい状況にあることを受けとめまして、県としましては、介護事業所等で中国語による語りかけを行います語りかけボランティアの確保に向け、高知県ボランティア・NPOセンターのホームページへの掲載や国際交流協会、日中友好協会の関係者への周知などの依頼を行いますとともに、介護関係資格の取得助成について就労生活相談員などの関係者に改めて周知をしたところでございます。 ◆36番(米田稔君) 高知市潮江地区にあるデイサービスせいきょうやまももでは、利用者定員40人のうち5人の中国帰国者の方が利用をされています。毎朝朝礼で、スタッフみんなでよく使う中国語の動詞や形容詞の単語などを練習、帰国者の来所日はキムチや中華風の食事提供を工夫、デイサービス紹介チラシも中国語、韓国語も作成などの努力を続けています。 施設管理者の方は、長い間つらい思いをしてきた人が我慢をして介護サービスを受けられない、ぽつんと一人で置かれることはできない、どんな人にも平等・公平でなければならない、同時に、苦とは思わないが手間も費用もかかると率直に指摘をします。そして、どこの事業所もサービスを提供できるようになるためには、事業所の善意、負担や犠牲ではなく、人員不足の中、手間暇かかるが報酬は同じという実情を改善することが必要ではと話をしています。 必要な人が介護を受けることができるように、なじめずやめることがないように、支援・相談員や自立支援通訳を増員すべきではないかと思いますが、地域福祉部長に伺います。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 現在、国の支援給付を受けます中国帰国者等の生活相談に対応する支援・相談員を県に1名、高知市に2名を配置しております。中国帰国者等からの就労・健康等の相談や、中国帰国者等が公共機関等のサービスを利用する際の通訳などを行う自立支援通訳を、県において3名を委嘱しているところでございます。 まずは、この支援が必要な方をこうした通訳などの支援サービスにきちんとつなげていきたい、そのように考えております。今後、高齢化に伴うニーズが高まり、現行体制で十分な支援が難しいという場合には、増員に向け、必要に応じて国への要請も行ってまいりたいと考えています。 ◆36番(米田稔君) ありがとうございます。ただ、現状でも不足しているというふうにその施設の方は言われています。大変従業員の方も御苦労されて片言でも覚えていますけれども、やはりそういう通訳の方が一緒に来てくれる、あるいは巡回をしてくれるというだけでも利用者の方々の思いは全く違いますので、もっと深く検討していただきたい、急いで体制を充実していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。 帰国者受け入れに当たっての、介護事業所の必要な経費への支援など、一定の支援を県として行うべきとも思いますが、地域福祉部長にお聞きします。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 介護事業所への報酬自体は国で定めています中、帰国者の方々が安心して介護サービスを受けられる環境の整備に向けまして、これまでの取り組みに加え、国際交流協会に登録されている約60名の中国語通訳のボランティアの方に個別に御協力を依頼するなど、引き続き語りかけボランティアの育成支援や、関係機関と連携をいたしました2世から4世の方々の介護関連資格取得の支援に取り組んでまいりたいと考えております。 戦後の混乱の中、肉親と離別し孤児となられ、やむなく中国にとどまった中国帰国者の方々は、長期の残留により言葉、生活習慣、就労などの面でさまざまな困難に直面をされてきております。こういうことも思いますと、しっかりと公的な支援をしていくことが必要であるというふうに考えており、さらに何ができるかを引き続き検討してまいりたいと、そのように考えております。 ◆36番(米田稔君) ありがとうございます。 部長が言われたように、さらに何ができるかということをしっかりと把握するためにも、意見交換会を開催するなどして、高知県の帰国者70人とその家族の方々の暮らしの実態とニーズをぜひ把握していただきたいし、その点について知事にお伺いをしたいと思います。 ◎知事(尾崎正直君) これまでも中国帰国者の団体の皆様から随時いろいろとお話をお伺いしてきて、そういう中で帰国者の方々の交流の場の必要性などについてもお伺いをしてまいりました。 そういうことで、このたび交流の場の確保について関係者の皆様にも御尽力賜りながら検討を進めてきた結果、来年度早々には開設を予定していると、そういう段階にもなってきたわけであります。 先ほど部長からも答弁をさせていただきましたように、今後何ができるか検討していくに当たっては、御意見も聞いて検討していかなければならないと思います。 こういう交流の場に、例えば高知市の職員さんも行かれる、そういう中においていろいろお話も聞くことになりますでしょう。その他適宜必要に応じ、いろいろと御意見を伺う場も設けさせていただくようにさせていただければと、そういうふうに思います。 ◆36番(米田稔君) ありがとうございます。中国帰国者の支援に関する有識者会議をやられていますよね、随分以前になりますけれど。その報告なんかも見ると、中国残留邦人の方が6,000人おいで、家族も含めると2万人の方々が帰国されているわけです。その人たちの意見交換会の概要を見ますと、本当に深刻な皆さんの思いが語られていますので、ぜひ今、知事が言われたように、交流の場を交流館も使って、そういうことも含めてぜひ生の声を聞きながら、できる支援を強化していただきたいということを重ねて要請をしておきたいというふうに思います。 次に、住宅行政について土木部長に伺います。 国土交通省住宅局長は去年3月30日付で、公営住宅管理標準条例案についての改正についてを都道府県などに送付しています。民法の一部改正による債権関係規定の見直し、単身高齢者の増加など公営住宅を取り巻く状況の変化、これまでの制度改正の内容を反映することが改正の理由としています。 まず、県条例改正についてスケジュールも含めた現在の検討状況をお伺いします。 ◎土木部長(村田重雄君) 民法改正に伴いまして、県営住宅への入居の際の連帯保証人に関する事項など条例の改正が必要となっており、現在見直し作業を行っているところでございます。 民法改正のうち、連帯保証人に係る規定の施行日は来年4月1日であることから、来年度中に条例の改正を行う予定でございます。 ◆36番(米田稔君) 今回の主な改正の第1は、今もお話がありましたが、入居手続での保証人の義務づけを行わないこと、条例での規定を削除することであります。債権関係の見直しと国交省の説明では、住宅に困窮する低額所得者への住宅提供という公営住宅の目的を踏まえると、保証人を確保できないために入居できないといった事態が生じないようにしていくことが必要としています。重要な改善、前進だと思います。 一方、緊急連絡先を求めることや、さまざまな問題が指摘されている保証会社の活用を推奨する動きもありますが、今回の見直しの趣旨を損なうおそれがあり、不要だと考えます。 自治体条例では、保証人規定の削除を明確にすることが、今回の改正の趣旨に沿うものであると考えるものですが、土木部長に伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) 保証人に関する規定を削除することのメリット・デメリットを十分検討した上で、方向性を判断していきたいというふうに考えております。 ◆36番(米田稔君) 十分検討せんといけませんが、ぜひ趣旨に沿った形でやっぱり明確な規定を、県民の立場、入居者の立場、そして住まいは人権という思想を貫いて、そのことを改定していただきたいというふうに思います。 主な改正の第2は、家賃の減免または徴収猶予の説明中に、民生部局との十分な連携を追記したことです。標準条例案では、収入が著しく低額であるとき、病気にかかったときなど、このような場合、民生部局とも連携し、収入等の状況や事情を十分に把握した上で家賃減免等の適切な対応を行うことが必要であると追記をしています。 2015年2月議会、前年の9月に県営住宅家賃を滞納した母子家庭の母親が、住宅明け渡しの執行日に無理心中を図って長女に手をかけた千葉県の痛ましい事件を紹介し、家賃減免制度の充実・徹底、福祉行政との連携強化を提起しました。2017年9月議会でも、県の取り組みと市町村への支援強化を求めたところです。 千葉県の事例を教訓として、県は民生部局との連携をどう進めているのか、土木部長に伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) 入居者が家賃を滞納した際には、住宅供給公社の職員による戸別訪問などを実施しているところです。その際には、入居者の収入や生活の状況を聞き取った上で、生活に困窮していると判断すれば、家賃減免制度の利用や生活困窮者に対する自立相談支援窓口また福祉事務所への相談を勧めているところです。 また、生活保護を受けることとなった場合には、入居者の家賃負担がなくなる手続を福祉事務所と連携して行っております。 ◆36番(米田稔君) 関連して、家賃減免制度について伺います。2017年9月議会では、減免世帯数が2015年は803世帯、減免の割合が約20%、2017年は1,153世帯、入居世帯総数3,889の約30%と答弁されています。大変努力をされていると思います。同時に、非課税など減免制度利用可能な方が推定1,700世帯でしたが、そのうちの約550世帯、30%余りの方が利用されていませんでした。 現在の県営住宅家賃減免状況について伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) ことし2月末時点の入居世帯数は3,793世帯でありまして、その約3割、1,179世帯が家賃の減免制度を利用しております。 減免制度を利用できるにもかかわらず申請していない世帯もあることから、全世帯に対しまして、毎年収入申告の案内時と家賃決定通知時、この2回にわたりまして家賃減免制度を説明したチラシを同封いたしまして、制度の周知に努めているところでございます。また、やむを得ず滞納をすることになった方には、戸別訪問時に家賃減免制度の説明を行っているところです。
    ◆36番(米田稔君) ありがとうございます。ただ、今の答弁は、2017年とほとんど変わっていませんよね、状況がね。それ以前は大分改善されていたわけですけれど。 なぜなかなか利用されないのか、またどういう手だてをすれば皆さんが所得にふさわしく減免を利用するというふうになるとお考えなのか、お伺いしたいです。 ◎土木部長(村田重雄君) 減免制度を利用できるにもかかわらず申請しておられない方が約3割引き続きおられますので、その方には丁寧に説明をして制度の周知に努めていくことが利用促進につながるものというふうに考えてございます。 ◆36番(米田稔君) 年に2回文書を同封してくれていますので、それは今までと同じ対応なんですよね。今部長はその方にと言われますけれど、その方に直接お話しすることは多分ないと思うんです。そういう、やっぱり醸成というか雰囲気をやっぱりつくりながら、本当に皆さんが受けられる対象ですよ、ぜひ受けてくださいよということがわかるような対応をとらないと。当然受けたくないという人もおりますけれども、必要な方がまだ受けられていないということは現に残っていますので、さらなる知恵と力を尽くしていただきたいというふうに思います。 それで、国土交通省の資料によれば、全国の都道府県と市町村の公営住宅について、管理戸数、家賃滞納世帯数、家賃減免世帯数が示されています。高知県は、2016年度管理戸数が1万2,194戸で、減免世帯数2,421戸、減免割合は19.8%、約20%となっています。県営住宅のみの減免割合は約30%ですから、市町村の取り組みの強化が求められているというふうに思います。 県下の市町村の家賃減免制度の利用状況について伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) 県下の市町村営の住宅の家賃減免制度を利用している世帯の割合は、平成28年度末の時点で管理戸数全体に対しまして13.6%と把握しているところでございます。 ◆36番(米田稔君) もう少しあるかと思ったんですけれど、県の約30%の割合からいえば非常に低いし、さらに努力をされるということです。 市町村へのいろいろな技術的な支援も含めて、住民の方に、市町村民の方にもっと受けられるような、そういう関係をつくっていく必要があるというふうに思うんですが、県として市町村にどんな援助、支援ができるのか、してきたのか、お願いします。 ◎土木部長(村田重雄君) 県としましては、県の取り組み等を市町村に情報提供を行ってきているところでございます。 ◆36番(米田稔君) 結果として13.6%ですけれども、極めて低いし、住民の皆さんに市町村営住宅のそういう制度を十分周知されているのか、あるいは住民税非課税の方が受けられるという、そういうそれぞれの市町村、自治体の減免制度が充実されたものになっているのかどうか。そこら辺本当に親身になって、市町村のそれぞれの自治体のことですけれども、市町村民の住民の皆さんは県民ですから、そこら辺はきちっとやっぱり協力・連携もして、住民の皆さんの役に立つ公営住宅ということでぜひ努力していただきたいというふうに思います。 それで、国交省のを見ますと、管理戸数に対する家賃減免世帯数割合が一番高いのが、愛知県で43%、100人のうち43人の方が減免制度を受けられているんですね。今の市町村からいえば13%ですから、3倍を超える開きがありますよね。鳥取県も39%、東京でも32%、岡山県は31%などとなっています。 こうした県の取り組みにしっかり学んで、県も市町村も家賃減免制度の充実を図るべきだというふうに考えますが、土木部長にお聞きをします。 ◎土木部長(村田重雄君) 家賃減免制度の利用率の高い県につきまして、その背景ですとか取り組み状況を情報収集してまいりたいと思います。 ◆36番(米田稔君) まず情報収集せんといけませんけれど、今回全市町村、県も含めて住宅設置管理条例の見直し改正をしないといけませんから、これも機会にしてぜひ状況だけではなくて、住民の皆さん、住居は生活の土台ですから、本当に役立つ公営住宅になるように一致協力をして、ぜひ改善させていただきたいというふうに思います。 次に、敷金について伺いますが、岡山市は昨年末に岡山市営住宅条例を改正しています。2017年の民法一部改正、改正公営住宅管理標準条例案を踏まえて、連帯保証人とともに敷金の規定を削除、廃止し、徴収しないことを決めました。これらを取り入れた県条例の改正を検討すべきと考えますが、土木部長に伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) 2017年の民法の一部改正、また改正されました公営住宅管理標準条例案では、敷金の取り扱いを大きく変える改正は行われていないと認識しております。 一方、岡山市では市営住宅条例を改正し、敷金規定を削除したと聞いておりますので、まずは岡山市が条例を改正した背景や改正前後の状況の変化について把握してまいりたいと思います。 ◆36番(米田稔君) 確かにそうなんですが、国民的に、世論的に敷金のあり方が裁判にもなったり、最高裁で判例があったりしているわけですから、そこをやっぱり重視してやる必要があるし、もともと負担が重たい、2009年から入居収入基準が引き下げられて、25万9,000円の入居基準が15万8,000円になっていますから、今の公営住宅はますます低額所得の人しか入れないという公営住宅になっているわけですよね。その人たちから3カ月分の家賃分を敷金として納めてもらうわけですから、県民の皆さん、入居される方にしたら、とっても重たい状況になっています。これが1つあると思うんです。 2つ目には、民法改正は賃借人の原状回復義務規定が改正をされまして、これで最高裁で訴えられて、敷金を取ることは無効だという裁判判例があったわけなんです。ですから、高知県の条例をどうするかということに当たっても、このことをやっぱり真摯に受けとめないといかんというふうに思うんです。それで、その最高裁の例なんか見ると、入居者が住宅を通常の用法に従って使用していれば原状回復義務は生じない、そういう市民的ないろんな裁判の事例も広がる中で、岡山は英断をしたわけです。 このことは確かに標準条例案の改正にはないですけれど、今公営住宅をめぐってそこまで来ているということですから、もっと前向きに検討していただきたいなというふうに思っています。 それで、ぜひ廃止に踏み出す、そういうときだというふうに思うんですが、そういうことも含めて検討されますか、部長にお伺いします。 ◎土木部長(村田重雄君) まず、岡山市の条例改正は、実際どういう背景で、また改正をした前後にどういう状況が変わってくるかという状況も踏まえまして検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆36番(米田稔君) 後でちょっと言うつもりでしたけれど、来年の4月にはもうできちょかないかんわけね。そのことからいうたら、県の取り組みは遅い。もっと意欲的に前向きな改正をしないと、何かスケジュール的な事前の話を聞いたときも、私はこれでいいのかなと。もっとやっぱり公営住宅の役割について積極的に捉えて、それを改善していくような方向での改正の検討を、私はしていただきたいということを再度要請をしておきたいと思います。 それで、住宅の修繕費用の負担区分についてですが、昨年末にUR都市機構が居住者負担で修繕する項目の見直しを発表しました。その結果、現行81項目の約8割をUR都市機構の負担としました。入居者の皆さんの声と運動、国民世論による大きな前進だと思います。 これらを参考にして、県営住宅においても見直しが求められるというふうに思いますが、見直しに当たっての基本的な方針、進め方について部長に伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) 県営住宅の修繕につきましては、基本的に畳の表がえ、障子やふすまの張りかえ、破損したガラスの取りかえ等軽微な修繕ですとか、附帯施設の構造上重要でない部分の修繕を除きまして県の負担としているところでございます。 今回のUR都市機構が行った修繕項目の見直しの詳細についてはまだ把握しておりませんが、UR都市機構が実施することとなった項目には、畳床の取りかえ、ふすまや障子また床板の修繕といった、従来から県が行っているものも含まれていると聞いているところです。 今後、UR都市機構の見直し項目について精査するとともに、他県の状況なども注視していきたいと考えております。 ◆36番(米田稔君) ありがとうございます。 2017年に改正された民法では、自然な劣化の修繕費は貸し主の負担と明文化されました。これを受けて国土交通省は、賃貸住宅標準契約書を改定しています。 こうした変更、改善に基づいて、障子紙やふすま紙の張りかえ、畳の表がえなどは当然貸し主負担に変更すべきと考えますが、土木部長の見解を伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) 国は、公営住宅を対象としました公営住宅管理標準条例案につきまして、現在その改正を検討していると聞いております。 今後、その改正結果も踏まえまして判断していきたいと考えております。 ◆36番(米田稔君) この賃貸住宅標準契約書、これが何度かにわたって出されていますけれど、別表4として入居者負担、賃貸し人負担の別表があります。畳表の取りかえ、裏返し、障子紙の張りかえ、ふすま紙の張りかえ、LED照明の取りかえ、これは全部入居者負担から賃貸し人負担に変更した、国土交通省の賃貸住宅標準契約書になって、これが今最終の国交省の姿勢なんですよ。 ふすまとかいろいろかえるのは、本来家主が負担すべきものなんですよ、自然に劣化したものですからね。故意とかの場合ではないですから。そういうことからしたときに、入居するときに家主のほうが地位的に上になりますから、合意契約ということになっていますが、それによってこれをいつまでも最初から条例でうたい、契約とみなして入居者の人に負担を求めるのではなくて、本来の立場に戻しなさいというのが、今流れになってきているわけです。 ぜひ、このことも深く検討していただきたいというように思いますが、部長に伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) 昨年国が改定されました賃貸住宅標準契約書、これは民間住宅を対象としたものというふうにお聞きしております。 先ほど申し上げましたが、国は公営住宅を対象としました公営住宅管理標準条例案につきまして、現在その改正を検討しているという状況でございますので、その改正結果も踏まえまして判断させていただきたいと考えております。 ◆36番(米田稔君) その中に同じところに、例えば家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡、これも家主負担なんですよ。畳の変色、フローリングの色落ち、これも経年劣化ということで家主持ちなんですよ。今そういうところへ来ていますから、やっぱりきっちりとそこを見て、県民の立場からこの条例改正をぜひ進めていただきたいというふうに思います。 最後に、知事にお聞きしたいんですけれども、今聞かれた状況で、私はもっと専門家も含めて--22年ぶりの条例改正なんですよ。そのことからいうたら、本当に何々を見てとか、そういう岡山市の取り組みから見たら非常に積極的ではないという受けとめ方をせざるを得ないです。 もっとやっぱり県民のために、住まいは人権という立場から検討していただきたいというふうに思うんですが、知事の受けとめをお聞きしたいと思います。 ◎知事(尾崎正直君) よく情報収集をしてスピード感を持って対応したいと思います。 ◆36番(米田稔君) 今、県は4,000、それから全県で1万2,000の公営住宅があります。ホームレスという社会問題がありましたように、家は本当に生活の土台ですから、それを県が、市町村が一つの役割を担っているわけですから、そういう思いを持ってぜひ県条例の改正含めて市町村とも協力しながら進めていただきたいということを再度要請をして、私の全ての質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(坂本孝幸君) 以上をもって、米田稔君の質問は終わりました。 ここで午後1時35分まで休憩といたします。   午後1時30分休憩-----------------------------------   午後1時35分再開 ○副議長(坂本孝幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 黒岩正好君の持ち時間は50分です。 24番黒岩正好君。 ◆24番(黒岩正好君) それでは最初に、高知市北部を流れます、久万川、紅水川の浸水被害対策について伺いたいと思います。 近年、全国各地で豪雨災害が頻発をしております。高知市では、平成26年の豪雨で久万川、紅水川が氾濫したことで、万々商店街を初めとする高知市北部地区で浸水被害が発生をしました。このため私どもは政府に対して、中小河川の緊急治水対策の推進を訴えてまいりました。このことを受け政府は、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の実施を決定し、本年度の補正予算から対策がスタートします。 今議会に提案をされております、平成31年度予算案及び2月補正予算案では、この緊急対策事業を活用した、近年の豪雨等を踏まえた中小河川の治水対策費用が盛り込まれております。 そこで、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」予算を活用し、この久万川、紅水川の浸水被害の軽減に向けてどのような対策を行うのか、土木部長に伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) 久万川、紅水川、両河川の水位を低減させるために、久万川では河床掘削、紅水川ではヨシなどの除去を実施することとしております。 具体的には、久万川につきましては、紅水川合流点から下流方向に約1,500メートルの区間におきまして河床掘削を予定しており、紅水川と合わせまして平成31年度予算案には2億5,000万円を計上しているところでございます。 ◆24番(黒岩正好君) この河床掘削につきましては、昨年の9月議会での私の質問に対しまして、堆積状況を把握してその効果を検討中ということでございましたが、どのような効果が得られたのか、土木部長に伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) 9月議会では、久万川の下流部の測量結果をもとにしまして、どの区域で、どの程度の土砂を撤去すれば、どのような効果があるのかにつきまして検討中というふうにお答えをさせていただきました。 検討の結果、平成26年8月豪雨と同程度規模の洪水が石神橋の桁に当たらないよう、水位を約20センチメートル低減させるためには、久万川の紅水川合流点から下流方向約1,500メートル区間で、おおむね干潮時の水面の高さまで堆積土砂を取り除く必要があることを確認したところでございます。 ◆24番(黒岩正好君) 地元住民にとりましては、悲願の浸水被害が軽減できるということで、大変うれしい限りであります。 そこで、土木部長、今回の対策でしゅんせつの容量はどれだけの程度と見込んでいるのか、伺いたいと思います。 ◎土木部長(村田重雄君) 紅水川合流点から下流1,500メートルの区間で、7,000立方メートル程度の除去を予定してございます。 ◆24番(黒岩正好君) ありがとうございました。よろしくお願いいたします。 次に、県営住宅の高齢単身世帯への対応につきまして伺いたいと思います。 急激な人口の高齢化や核家族といったライフスタイルの変化によりまして、高齢単身世帯が急激に増加をしております。平成27年の国勢調査によりますと、全国で65歳以上の人一人のみの高齢単身世帯は592万8,000世帯、20年前の平成7年の220万2,000世帯から372万5,000世帯増加し、一般世帯の11.1%を占めております。 一方、高知県では、高齢単身世帯は5万2,000世帯で、平成7年の2万9,000世帯から2万3,000世帯増加をし、一般世帯の16.5%となっており、全国一高い割合となっております。そこで、県営住宅に限ってみますと、高知県住宅供給公社の資料では、平成29年時点で高齢単身世帯は785世帯で、県営住宅入居世帯の20.2%を占め、全国一高い高知県全体の割合をさらに大きく上回っておるわけであります。 そこで、こうした県営住宅の入居者の高齢単身世帯の状況の認識について土木部長に伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) 高齢者が県営住宅への入居申し込みをする場合には、入居者決定の抽せん時に当選確率が高くなる優遇措置を設けております。また、入居後に配偶者が亡くなられても引き続き世帯用住宅への入居を認めていることから、全入居者世帯数に占める高齢単身世帯の割合がおのずと高くなっているものと考えております。 このことは、県営住宅が高齢者が住宅を確保するために一定の役割を果たしているものと認識しているところでございます。 ◆24番(黒岩正好君) こういった高齢化の進展に伴いまして、高齢単身世帯の生活者というのは、加齢に伴い健康不安を抱えながらも健康管理が十分できなくなったり、生活不安を抱えながらも家族関係や近所や地域のつき合いが希薄になっている現状では、社会から孤立していくことが懸念をされます。 社会からの孤立は、病気などで動けないなど異常状態に陥った場合に助けを求めることができず、周囲に発見されないまま手おくれとなってしまうケースなどが考えられるわけであります。これらの高齢者の社会からの孤立を防ぐためには、地域や社会とのつながりを保つための受け皿づくりが求められており、各自治体においてもさまざまな方法での見守りが行われております。 各県の住宅供給公社の見守り活動等の中から、看護師資格を有する職員による訪問活動を実施しております長崎県の住宅供給公社の取り組みを参考にして、高知県住宅供給公社も今年度から訪問活動を実施しているようでありますが、取り組みの状況について土木部長に伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) 県営住宅の高齢単身世帯では、今後孤独死や認知症になる高齢者の増加が懸念されることから、今年度から看護師資格を有する公社職員による、75歳以上の高齢単身世帯への訪問活動を行っているところです。 具体的には、定期的に訪問し、身体・精神の健康状況、介護等のサービスの利用状況、家族・近隣との交流や外出の状況等を把握しているところです。昨年6月から高知市内の4団地、99の高齢単身世帯を対象にこの活動を開始し、昨年10月からは高知市内の2団地、45世帯を追加し、合計で6団地、144世帯を対象に行っているところです。 ◆24番(黒岩正好君) こういった訪問相談等の活動に対する高齢単身の皆さん方の受けとめ方はどんな感じでしょうか、土木部長。 ◎土木部長(村田重雄君) 訪問先の単身高齢者の方からは、訪問を重ねるうちに、家族のような話しやすさを感じるので訪問を心待ちにしているといった言葉も聞かれるなど、おおむね好意的に受けとめていただけているものと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) 非常に好意的に受けとめていただいているということでございます。今6団地、144世帯ということで答弁がありました。 県下の恐らく62団地ぐらいあるかと思いますが、私は、その団地全部、その対象となる方に対しては、土木部が予算を組んで、これらの活動を通して高齢者の単身世帯の皆さん方に対するさまざまな訪問活動を実施すべきと考えますが、土木部長はどういう見解をお持ちでしょうか。 ◎土木部長(村田重雄君) 高齢単身世帯への訪問活動により、社会から孤立しがちとなる単身高齢者の状況を把握するということは、県営住宅の適正な管理にも有効だというふうに考えているところでございます。 しかしながら、現在の体制でこの取り組みを拡大することは難しいところもあることから、今後は訪問活動の効果を踏まえまして、関係市町村の福祉部局と連携した取り組みも検討していきたいというふうに考えております。 ◆24番(黒岩正好君) ぜひとも県下的に、段階的でも結構だと思いますので、広げていただくように御努力をお願いしたいと思います。 次に、高知県公営住宅等長寿命化計画が平成30年度で終了することとなっております。これまでの取り組みの状況について土木部長に伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) 高知県公営住宅等長寿命化計画は、県営住宅の長寿命化に資する予防保全的な管理や改善を計画的に推進し、ライフサイクルコストの縮減を図ることを目的に策定しているものでございます。 これまで、この計画に沿いまして耐震性不足の県営住宅の建てかえを平成26年度までに完了させたところでございまして、現在耐震化率は100%となっております。また、最も古い2団地につきまして、全面リフォームを行い、またあわせまして室内のバリアフリー化を行って共用部分にエレベーターを設置するなど、高齢者対策を進めてきたところでございます。 ◆24番(黒岩正好君) ありがとうございました。新年度から新しい長寿命化計画等も計画策定中のようでございますので、しっかりとさまざまな視点からの対策を検討いただきたいと思います。 次に、高知市旭地区の本宮川の環境改善について伺いたいと思います。 平成14年8月5日の高知新聞の見出しには、「本宮川 水門閉鎖で魚大量死」、「自然保護か水害対策か」とあります。リード文には、「高知市旭街地区の本宮川で、大雨のたびにイダやハヤなど小魚が大量死している。水害対策として、市が鏡川から取水する水門を完全閉鎖するのが原因。いったん閉鎖すると本宮川は数日間干上がり、多いときは数百匹の死がいが散乱する。周辺はホタルの幼虫放流など自然保護の機運が高まっているだけに、「何とかならないか」と心を痛める住民も多い。防災面を強調する市側に対し、水流を確保するよう訴えている。」との記事であります。 理由は、昭和50年と51年の台風被害で本宮川の水があふれ、周辺の家屋が浸水被害に遭った苦い経験があるため、鏡川取水地点に可動堰が整備をされ、昭和55年から水門閉鎖の基準が厳格に運用されてきており、約40年の月日が経過をしております。 先日、地元の皆さんが集まって、本宮川の環境改善対策の会が行われました。大雨が降り、鏡川が増水するたびに本宮川に水が流れなくなる、いわゆる水無川の改善を求める声が多くありました。さらには、本宮川の前には旭小学校があり、子供の通学路に魚の死骸が散乱している状況は、環境教育の上でも好ましくない等の意見も出されておりました。 そこで、通学路沿いに魚の死骸が散乱している状況を目にすることは、まことに残念なことではありますが、環境教育や防災教育を進めていくきっかけにもなると思います。教育長はどのように思われているのか、見解を伺います。 ◎教育長(伊藤博明君) 子供たちが身近な自然に興味を持って自然環境の問題点を明らかにし、自然を大切にすることや人間と自然が共存することの重要性について学習を進めていくことは大切なことであると考えております。旭地区にある小学校では、子供たちが理科や総合的な学習の時間を使って、学校の近くの本宮川やそこに生きる水生生物を教材に環境についての学習を進めていると聞いております。 今回お話があった本宮川の状況については、自然保護の視点などからは残念なことでありますが、こうしたことをきっかけとして地域の現状をさらに多面的に捉え、環境教育や防災教育を進めていただきたいというふうに考えております。 ◆24番(黒岩正好君) 高知市の管理する本宮川ではありますが、水無川となることは、大雨で鏡川の水かさが増すことにより起こる現象であります。 そこで、抜本的な解決のためには、何らかの対策を講じることにより生態系を守ることも検討すべきと思いますが、土木部長はどのような考えをお持ちか、伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) 昭和50年と51年の台風で本宮川の水があふれ、周辺の家屋が浸水被害に遭った苦い経験がありますから、地域を浸水被害から守るために、洪水時に水門を閉鎖し、本宮川に水を流さないようにすることは極めて重要なことであると考えております。 一方、公共事業におきまして環境への配慮を行うことは、社会的に求められているところでもあります。本宮川に生息する魚などへの対策につきましては、取水堰及び本宮川の管理者である高知市が実施しているところですが、本宮川の川底を部分的に深くし、通水がなくなった際に魚の逃げる場所などを増設する予定と聞いているところです。 ◆24番(黒岩正好君) 水門の閉鎖時に鏡川の取水口付近から本宮川にポンプアップして、生息できる水量を確保する方法なども考えられると思います。 そこで、高知市から県に対して協議や申請があった場合に、許可をするのは可能なのか、土木部長に伺います。 ◎土木部長(村田重雄君) 本宮川の水量を確保するために鏡川にポンプを設置することにつきましては、現在許可している本宮川の取水量の範囲内で、かつ設置する施設が洪水時に悪い影響を及ぼさない構造であれば許可することは可能であります。 ◆24番(黒岩正好君) ぜひとも、市から相談があった場合は、早急に許可を出していただくようにお願いをしたいと思います。 次に、移住の促進につきまして伺いたいと思います。 平成26年度の移住は403組、平成29年度は816組、平成30年度は900組の目標も達成目前とのことで、最終年度の第3期の産業振興計画の目標であります1,000組への取り組みも着実に成果を示してきており、定常化への期待も高まるところであります。そういうことから、この5年間大変関係部局に御努力いただきまして、大変大きな成果を上げてきていると思っております。 そういう意味で、この5年間の取り組みにつきまして知事の思いを伺いたいと思います。 ◎知事(尾崎正直君) 御指摘いただきましたように、この平成25年度から抜本強化しました移住促進策について、随分移住者の方もおいでいただくようになりました。平成23、24年当時というのが120組、大体220人、240人ぐらいだった移住者の方が、平成29年度は816組1,198人おいでいただいているということでありまして、本当にありがたいことであります。この中において、狭義の移住施策と広義の移住施策、それぞれ随分対応が強化されてきたと思っています。 移住専属にかかわるところの施策について、例えば移住コンシェルジュの増員が図られてきたり、また専属の担当者を多くの市町村が置かれるようになったり、多くの移住サポーターの皆様にお助けをいただいたり、さらに近年は移住促進・人材確保センターという形でオール高知の体制というものもできてくるようになりました。 どれだけ担当の皆様方が随分力量も上げて頑張っていただいたかということを如実に物語る数字があるわけでありますが、新規の相談者数に対し、実際に移住された方の割合というものを見ますと、これが平成26年度当時の実績で大体12%ぐらいなんです。しかしながら、これが平成29年度の実績では19.5%と、随分上がってきておりまして、結局相談いただいた方を的確に移住にお導きするということについて、本当に皆さんがよき連係リレーを発揮いただいているその証左だと、そのように思っています。 さらに言えば広義の移住施策ということになりますが、これは端的に言ってそれぞれの地域に、移住者の皆様に本当にその志を満たしていただく、またお暮らしについて満足をいただけるような雇用をつくり出す、そういう住環境をつくり出す、そういうことが大事だということになってくるんだろうと思います。 そういう意味において、それぞれの地域においてさまざまなプロジェクトの展開がされたり、そういう中で的確にその担い手のニーズというものを拾い上げていく、そういうような取り組みというのが進んできていると。また、このことがやはり大きな背景となって移住の促進ということにつながってきているんだろうと、そういうふうに思います。 ただ、これまでも申し上げてまいりましたように、今や埼玉県まで一生懸命移住促進をやろうとされるような、本当に地域間競争が大変厳しくなってきている時代であります。本県は大変災害の多い県ということもありまして、そういう中において引き続き地域の担い手ともなっていただけるような皆様方にたくさん移住者として来ていただくためには、我々の施策を常に進化させていかなければならないと、そのように考えています。 そういうことで、平成31年度も新たに施策の進化を図っていこうということでございます。 ◆24番(黒岩正好君) 大変に、知事のおっしゃるとおり、各部局が取り組んできた成果のあらわれだと思います。 そこで、この基本となる項目について確認をしたいと思います。 初めに、ステップ1の「高知を知って・好きになってもらう」については、高知家プロモーションの推進によって高知家の認知度が向上したというふうにしておるわけですが、具体的にどうなのか、産業振興推進部長に伺います。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 高知家の認知度は、首都圏と関西圏でのインターネット調査によりますと、スタート時、平成25年10月の調査では21.9%、最も高かったのが平成28年3月の36.4%、直近昨年10月になりますが29%と、今もおおむね3人に1人が認知しているという高水準をキープしているものと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) 次に、ステップ2の「移住に関心を持ってもらう」については、SNSを通じた情報発信やメディアへの広告等の情報提供が行われているが、この効果の検証はどういうふうにしているのか、産業振興推進部長に伺います。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 高知家プロモーションやSNSでの情報発信などによりまして、「高知家で暮らす。」のホームページのアクセス数は、平成24年度の約26万件から平成29年度は約51万件と大きく増加をしております。 また、広告につきましてはターゲットに応じてさまざまなメディアを活用して展開しておりまして、今年度は東京、大阪で開催します就職・転職フェアにUターンを希望する方に多く参加をしてもらうために、県内にお住まいの家族をターゲットとして県内のテレビ、新聞での告知の回数を大幅に増加したところであります。 この結果、フェアの参加者の約65%を高知県出身者が占めるとともに、フェアを知ったきっかけとして、家族、知人に勧められたという方が約4割となりますなど、成果につながったと感じておりますので、引き続きターゲットに応じた効果的なプロモーションを展開したいと思っております。 ◆24番(黒岩正好君) そこで、ステップ1と2の取り組みを踏まえまして伺いたいと思います。移住ポータルサイトの「高知家で暮らす。」や求人ポータルサイトの高知求人ネットのアクセス数の現状をどう分析しているのか、産業振興推進部長に伺います。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 先ほど申し上げましたさまざまなプロモーションによりまして、「高知家で暮らす。」のアクセス状況は、今年度は直近の1月末時点で約36万回、地域別で申しますと、関東が37%、関西が29%となっています。また、約6,300件の本県での仕事を網羅しました高知求人ネットへのアクセス数は、1月末現在で約22万回、これも県外からが約7割を占め、関西29%、次いで関東25%となっております。 こうした傾向は、本県への移住者が関東圏、関西圏に多いことにつながっているものと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) 昨年の12月末時点の新規相談者数が3,484人となっておるわけです。先日の新聞報道では、ふるさと回帰支援センターを利用する方へのアンケートで、現地での暮らしぶりをわかりやすく説明している自治体への関心が高いと、そのような分析結果を紹介しておりました。 こうした方々の相談内容の分析をして移住に結びつける努力をされていると思いますが、状況はどうか、産業振興推進部長に伺います。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 昨年度の移住促進・人材確保センターの相談窓口への相談内訳を見てみますと、仕事に関することが約3割と最も多く、次に住まいが約2割となっております。 センターの移住交流コンシェルジュがこうした相談の多い仕事や住まいなども含め、暮らし全般の相談に対応できるよう、地域の情報の収集に加え、1次産業の相談会や研修施設にも足を運ぶなど、日常的に市町村や関係機関との連携を図っているところです。また、相談内容につきましてはデータベースに登録しまして、コンシェルジュ間でシェアをすることでそれぞれのレベルアップも図り、相談から移住へと着実につなげているところであります。 ◆24番(黒岩正好君) 次に、ステップ3の「移住に向けた主体的な行動に移ってもらう」については、都市部における移住相談会あるいは移住体験ツアーなどが行われておるわけでありますが、どのような効果の検証がされているのか、産業振興推進部長に伺います。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 県内ほぼ全ての市町村が参加し、東京と大阪で開催しております高知暮らしフェアの昨年度の参加者753組のうち、現時点で本県へ移住をされました方は74組となっており、参加者の約1割が移住するなど、効果的なフェアになっておるものと考えております。また、平成25年度から平成27年度までの3年間で9回開催しました本県への移住体験ツアー、この参加者64組のうち、現時点での移住者は16組と、参加者の25%が移住をするという成果にもつながっているところであります。 このように、常に効果を検証しつつ取り組みも進化させてまいりたいと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) やはりこのステップ3の主体的な行動に移ってもらうというのは、ここに非常に重要な視点があろうかと思いますので、さらなる努力をお願いしたいと思います。 次に、ステップ4の「移住について真剣に考えてもらう」については、市町村のサポート体制の充実や移住促進・人材確保センターと市町村等との一体的な取り組みが行われておるわけであります。 移住者の最終判断となる、仕事、住居、生活環境等の情報提供機能が十分に行われているかどうか、産業振興推進部長に伺います。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) まず、仕事の情報につきましては、都市部の若者の志を満たす地域での多様な仕事を初め、企業や1次産業、福祉の求人など、現在約6,300件の求人を掲載している高知求人ネットを活用して提供するほか、1次産業系の求人につきましては、就農コンシェルジュや漁業就業支援アドバイザーにもつなぎ、現地でのサポートなども行っているところです。また、住居や生活環境の情報は、より身近な市町村の移住相談員により提供されておりまして、市町村では実際に移住を決断される前に、ミスマッチを防ぐため現地を体験していただく移住体験ツアーやお試し滞在住宅の紹介などを行っております。 こうした県と移住促進・人材確保センター、そして市町村の連携により、移住希望者のニーズに応じた情報提供を行っているところであります。 ◆24番(黒岩正好君) 次に、ステップ5の「高知に安心して住み続けてもらう」については、地域移住サポーターの取り組みや移住者間の交流等のネットワークづくりが大切と思うわけであります。そこの取り組みの状況について産業振興推進部長に伺いたいと思います。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 地域での移住者の身近な相談役であります地域移住サポーターは、年々増加しておりまして、ことしの1月末現在で22市町村、143名となっております。 この地域移住サポーターには、空き家の紹介などを通じた受け入れへのサポート、それから移住して間もない方への相談対応や、移住者間の交流の場づくりなど地域への定着、こちらのほうもサポートをしていただいておりまして、こうした地域に密着した取り組みが移住者の地域への定着率約9割にもつながっているものと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) これらステップ1からステップ5の5年間の取り組みを踏まえて、平成31年度の移住促進策については、地域間競争が確かに進んでおる、知事も言われたとおりでございますが、その中でいかに高知の強みを生かし、より戦略的な取り組みを行うかということで、3つの視点を掲げておるわけであります。これらの取り組みについて伺いたいと思います。 まず、1点目のリーチを広げる取り組みということで、首都圏における本県出身者や本県ファン等のネットワーク化による送り出し機能を強化するということを掲げておるわけでありますが、これは具体的にどう取り組んでいくのか、産業振興推進部長に伺います。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 来年度は本県への移住者が多い首都圏においてさらに移住を促進していくため、SNSなどを活用して高知県コミュニティーをつくってまいりたいと考えております。 このコミュニティーは、県人会の方々など県出身者の方々や龍馬パスポート保持者などの高知県ファン、そして高知県には余り関心がない方などに広く呼びかけまして、多くの方々に参加していただくことを目指しております。 このコミュニティーのメンバーに対しましては、SNSによる本県の情報を発信することに加え、首都圏で開催します本県の移住相談会や産業系のセミナー、それからさまざまな交流会、学習会などへの参加を促すことによりまして、本県への関心を高め、U・Iターンへつなげてまいりたいと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) このリーチを広げる中で、他県との差別化した方法での情報発信を掲げて取り組んでおるわけでありますが、今後どのように取り組んでいくのか、産業振興推進部長に伺います。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 他県との差別化ということで申しますと、本県に移住されました方は、本県のそれぞれの地域での仕事に大変やりがいを感じている方が多く、そして地域もそういう方を望み、ともに仲間として働こうという傾向が非常に高いということから、そうしたいわゆる志移住に向けた取り組みを、さらに本県としては進めてまいりたいと考えているところであります。 このため、都市部の若者の志を満たすような地域の担い手としての多様な仕事を地域地域で掘り起こし、高知求人ネットなどを通じて魅力的な仕事として発信をするとともに、志移住がイメージできるように、先輩移住者の仕事ぶりあるいは地域での活躍などを「高知家で暮らす。」ポータルサイトなどにおきまして動画による発信なども行ってまいりたいと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) 次に、2点目のアクティブに働きかけるについては、地域の支援機関と連携した伴走支援の強化とあるわけですが、具体的な取り組みについて産業振興推進部長に伺います。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 来年度は移住促進・人材確保センターに新たに3名の求人支援コーディネーターを配置しまして、まず1点目として、商工会や商工会議所などの地域の支援機関と連携をしまして、特に中山間地域において潜在化している人材ニーズを掘り起こします。 そして第2として、その人材ニーズの求める人材像を明確化しつつ、専門家の派遣なども通じて地域が求める魅力的な仕事として磨き上げてまいります。 さらに第3に、事業者がみずから魅力的な求人広告を作成できますよう、事業者自身による情報発信力も高める、こうした3つの点を中心に県内事業者を、しっかりと寄り添う形で伴走支援、サポートしてまいりたいと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) 次に、3点目のゲートウエーを広げるについては、市町村と連携をして受け入れ体制のさらなる充実を図るというふうにしているわけであります。 この移住者の受け皿となる住宅確保が最も重要であろうかと思います。市町村でばらつきがあると思いますが、状況はどうか、産業振興推進部長に伺います。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 市町村が移住者に紹介できる空き家のストックでございますけれども、民間の賃貸物件が多い高知市や南国市の中心部を除きまして、この1月末現在で22市町村、295戸となっております。市町村によりまして数戸程度から40戸余りということで、市町村の規模にもよりますけれども、ばらつきが生じているところであります。特に中山間地域には賃貸物件も少ないことから、市町村がみずから空き家を提供する仕組みを設けておりまして、今年度は29の市町村において190件の移住者向けの住宅の改修が行われることになっております。県もこれに対しまして補助金による支援を行っております。 今後、移住者の増加に向けましては、さらなる住宅の確保が必要であり、こうした支援に加えまして、空き家をスムーズに活用可能にしていくために、今年度新たに立ち上げました県内19の空き家再生・活用促進専門家グループの協力も得ながら、特に中山間地域において市町村が移住者向けの住宅をしっかりと確保できるようにバックアップしてまいりたいと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) 1,000組の定常化ということで取り組みがされていくわけでありますが、この住宅確保、先ほど部長から答弁いただきましたけれども、各市町村によってもばらつきもありますし、1,000組に対する住宅確保がなかなかままならない状態だと思います。 これに対して、さらなるてこ入れをしていかなきゃいけないと思いますが、もう一歩深めてどんなふうに取り組んでいくのか、そのあたりをどのように考えていらっしゃるでしょうか。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 高知県内では毎年大体2,000戸程度の空き家が、今現在としては出ているような状況にもあります。特に市部を中心になりますけれども、そちらのほうは高知市ほか不動産関係団体などもございますので、そちらとも連携しながら、そうした空き家の提供、掘り起こし等について一緒に進めていきたいと思っております。 また、一番問題になりますのは、やはり中山間地域でありますので、住宅をなかなか空き家になっても貸したがらないといった方も非常に多いし、どうやって改修したらいいのかということがわからないという方々も非常に多いというふうにお聞きをしております。先ほど申し上げました空き家再生グループは、工務店の方々、それから設計事務所の方々など多くの専門家で構成をされておりますので、そうした方が気軽に所有者並びに市町村からの相談を受けることで、スムーズに空き家を移住者向けに改修するとか提供するとかといった一連の仕組みの中で、しっかりと市町村が住宅を確保できるようにサポートしていきたいと思っております。 ◆24番(黒岩正好君) ありがとうございます。 ちょっと知事にもお伺いしたいと思いますが、県下30の市町村の中で、上位10番までの移住者数等は公表されております。どうしてもやはり県下それぞれ違いも出てきている状況の中で、いかに各市町村が移住を受け入れるだけの環境整備をできるかということは、県も相当てこ入れをしていかなきゃいけないと思うんですが、そのあたり知事はどんなふうな思いでおられるのか、伺いたいと思います。 ◎知事(尾崎正直君) 1つ、何といっても移住者の方が来られて暮らしていけるということが大事。そのためには、雇用があるということが大事です。この雇用については、何もでっかい工場がなければならんとか、そういうことは決してなくて、例えば今、今後放っておけば耕作放棄地が生まれてくるのだということは、すなわちそこに雇用があるということと表裏一体であります。 しかしながら、それが雇用につながる形で情報発信されないと、移住者、担い手の確保につながっていかない。ですから、各地域地域においてしっかりとその潜在的な人材ニーズ、雇用をしっかりと把握して、また地域アクションプランなどを通じてつくり出して、それを的確に発信するということを、各市町村でしっかり行っていくということが大事だろうと、そういうふうに思っておるところです。 そういうことから、商工会や商工会議所が各地域にあり、ほぼ県下全域をカバーしているわけでありますが、その皆様方と一緒に経営計画の策定支援を行う事業というのを今展開してきているわけであります。それをやっていくと、必ずそれぞれにおいて後継者不足だとか人材が欲しいとかという話になってくる、それこそまさに移住のネタになるわけです。もとになるわけです。そういうところからしっかり人材ニーズを把握して的確に発信するという取り組みを強化したということです。ぜひ、県内全域でそれに対応していくことで、現在移住者が少ない地域においてもおいでいただけるようにしていきたいと思います。 そしてもう一点、確かにボトルネックになりかねないのが、住宅の供給能力ということになります。この点はやはり我々も心配をいたしたものですから、平成30年度から、先ほども部長から申し上げましたように、専門家集団の皆様方に、この空き家を的確にお貸しいただけるようなリフォームなどを的確に行っていくこともお助けをいただこうという体制をしいてまいりました。 先ほど申し上げたように、戸数としては年間2,000戸ぐらい空き家は生まれてくるわけです。市部であれば民間取引によって新たな方に貸し出しされていくということも体制としてあるようですが、特に中山間なんかではそういう機能が弱いということがあったりする。それと、空き家がないがゆえに、これ以上若い人を受け入れられないとかということになりかねないわけです。 ですから、平成30年度から本格的にスタートしたこの取り組みでありますけれども、的確に、ボトルネックが生じないようにという視点も持っていきながら、県内全域でもって空き家の確保、いわゆる住宅供給能力の確保ということにつながっていくよう取り組んでいく、このことをしっかりやりたいと思います。 ◆24番(黒岩正好君) ありがとうございました。 高知県は他県にない2段階移住を進めてきておるわけでありますが、取り組みの状況について産業振興推進部長に伺います。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) ことし2月末現在での高知市の2段階移住の相談件数は80件、1段階目の移住となります2段階移住パスポートの発行件数は22件、2段階移住の達成は4組というふうにお聞きをしておりまして、本格的なプロモーションがおくれたこともありますけれども、正直まだまだこれからだと思っております。 2段階移住は、都市としての機能が備わった高知市へ一旦移住した上で、自分に合った移住先を見つけるという、全国に例を見ない移住のハードルを下げる有効な取り組みだと考えております。 このため、県としましても、都市部での全国規模の移住相談会において2段階移住のブースを設けるなど、積極的にPRをしておるところでございますけれども、今後移住者の大幅増に向けまして高知市とさらに連携し、プロモーション活動を全国で展開をするとともに、高知市への1段階目の移住がスムーズに行えるよう、お試し滞在住宅の確保に向けて不動産関係団体にも積極的にアプローチをしてまいりたいというふうに考えております。 ◆24番(黒岩正好君) さらに、U・Iターンの取り組みも力を入れておるわけであります。 高知県内の企業は東京や大阪で開催する就職・転職フェアに参加をしているわけでありますが、状況はどうか、商工労働部長に伺います。 ◎商工労働部長(近藤雅宏君) 高知就職・転職フェアは、東京と大阪でそれぞれ春と冬の2回開催をしており、これまで移住相談会と同時に開催をしておりましたが、今年度からそれぞれ主なターゲットをUターンとIターンに明確に分け、単独開催といたしました。その結果、Uターン希望者の割合が前年の24%から65%へと、またUターン希望者の参加者数も184組から277組へと大幅に増加をいたしたところです。 参加企業からは、高知に来る時期が決まっている人が多く、実のある話ができた、職探しを明確に目的とされている前提で面談ができた、地方で働きたいと真剣に検討されている方が多かったといったような感想をいただいており、参加企業数も前年の延べ100社から180社へと増加をしています。 本年度フェアに来場され、県内に就職をされた方は、現在集計中でございますが、昨年度の17人を確実に上回る見込みとなっておりまして、効果が高いと考えられますので、来年度も単独開催をしたいと思っております。 ◆24番(黒岩正好君) 昨年から、学生に高知の企業を知ってもらうためのインターンシップ、この実施拡大に向けた取り組みを行っておるわけですが、その状況について商工労働部長に伺います。 ◎商工労働部長(近藤雅宏君) インターンシップ実施企業の拡大に向けましては、今年度コーディネーター2名を新たに配置し、これまでに200社を超える企業や県内大学の訪問、面談を行いました。プログラムの内容や受け入れ期間など実施状況の把握とそれぞれのニーズの共有を図ってきたところでございます。 あわせて、インターンシップの効果を説明し、掘り起こしを行うとともに、プログラムの作成や磨き上げを行うセミナーを開催いたしましたところ、新たに55社が実施の意向を示し、トータルで127社が今年実施を予定しているところでございます。このうち61社が春のインターンシップを実施する予定となっており、今後夏に向けて就職活動が本格化してまいりますので、県内企業のインターンシップ情報を高知求人ネットに掲載するとともに、就職支援協定大学等を通じて発信をいたしまして、より多くの学生の参加を促していきます。あわせて参加した学生や受け入れた企業のフォローアップにもしっかりと取り組んでまいります。 ◆24番(黒岩正好君) この県外大学との就職協定は23大学というふうに聞いておるわけですが、就職協定の効果について商工労働部長に伺います。 ◎商工労働部長(近藤雅宏君) 本県出身の学生が多い大学を中心に締結をしています就職支援協定は、本年度新たに11大学と締結をしまして、現在23大学となっています。 協定大学では、県が行う就活準備セミナーや県内企業のインターンシップの情報などを県出身学生に対して、学生宛ての個別メールや学内掲示板への掲載などによる周知をしていただいているところです。また、大学内で開催をします就職相談会での高知県ブースの設置や、県内で開催をされます保護者会において県内の就職環境や県の就職支援策の説明機会をいただくなどの協力を得ています。 こうした御協力の結果、平成29年度までに協定を締結しました12大学の昨年のUターン就職率は31.4%となっており、県外大学の平均18.1%を大きく上回っています。今後ともさらに連携を強化して、より多くの県内就職につなげてまいります。 ◆24番(黒岩正好君) それで、県内就職の促進を図るためには、やはり県内にいる保護者への情報提供が大変重要だと考えますが、その取り組み状況について商工労働部長に伺います。 ◎商工労働部長(近藤雅宏君) 大学生の保護者への情報提供につきましては、県内就職に関する情報を掲載いたしました高知県Uターン就職サポートガイドを年2回、7月と12月に発行しています。大学生だけではなく、高校3年生の3者面談時に先生から保護者に登録を呼びかけていただくなどしており、登録は現在1,400件となっております。また、県外大学が開催をする保護者会や新たに今年度から開催しています保護者向けセミナーにおいて、県内の就職環境や県の各種セミナー、インターンシップの情報などの情報提供を行うほか、サポートガイドへの登録を呼びかけしているところでございます。 また、企業のPR動画やウエブセミナーといったものも保護者に対して有効な情報提供ツールでありますことから、より多くの保護者に見ていただけますよう保護者会などで積極的に広報してまいります。 ◆24番(黒岩正好君) 次に、観光政策について伺います。 2年間にわたりまして開催されました「志国高知 幕末維新博」も、観光客の皆さんに高知に来ていただき、高知の歴史や文化に触れるとともに、大いに高知の食を堪能していただいたと思います。また、引き続いて2月から自然&体験キャンペーンがスタートしておりまして、県下各地に多くの観光客の来県が期待をされるところであります。 このキャンペーンを生かして観光客の方々の観光消費を伸ばすことが必要と思いますが、その取り組みについて観光振興部長に伺います。 ◎観光振興部長(吉村大君) キャンペーンでは、県内各地において自然や体験資源を生かした新たな経済効果を生み出す観光事業の創設に取り組んでいます。具体的な取り組みとしましては、キャンペーン期間を通じて市町村や観光事業者などと連携して、山、川、海の魅力を生かした体験・滞在型観光施設の整備や、さまざまな体験プログラムの磨き上げを県内全域で進め、外貨を稼ぐ自然・体験型観光の仕組みを整えることとしています。 あわせて、こうした施設や体験プログラムを中心に、食や歴史など地域ならではの資源を組み合わせた観光クラスターの形成も進め、国内外の観光客を地域地域にいざなうことで観光消費の拡大につなげてまいります。 ◆24番(黒岩正好君) 国内外からの観光客を広く受け入れ、観光消費を伸ばすためには、キャッシュレス決済の普及が重要と考えているわけであります。クレジットカード決済はもちろん、ICカード決済、QRコードをスマートフォンで読み取ることができる決済など、首都圏や全国的に展開をしているチェーン店で普及が進んでいるわけであります。政府も2020年の東京オリンピック・パラリンピックをにらんで、電子決済の普及に力を入れる取り組みが始まっておるわけであります。 そこで、現在高知県におけるキャッシュレス決済の導入状況について商工労働部長に伺います。 ◎商工労働部長(近藤雅宏君) 県内全域における導入状況は現在把握できておりませんけれども、昨年10月に高知市中心商店街の小売業や飲食業、サービス業、ホテル業など478店舗へアンケートをお願いし、269店舗、約56.3%から回答をいただいております。 集計結果によりますと、63.6%が何らかのキャッシュレス決済に対応しておるということでございます。決済の方法としましては、そのほとんどがクレジットカードでございまして、電子マネーやデビットカード、スマートフォンなどの導入率は非常に低いものとなっています。業種別では、小売業が比較的高く66.5%、飲食業では58.9%、サービス業で53.6%となっています。 高知市の中心街でこういった数字でありますことから、その他の地域においてはさらに下回っているものと思われます。 ◆24番(黒岩正好君) 高知を訪れた国内外の観光客が現金しか利用できない店舗が多くあると、消費行動にも大きな影響があります。 その意味から、高知の地場の飲食店や小売店などへのキャッシュレス決済の普及について、県としてどのように取り組むのか、商工労働部長に伺います。 ◎商工労働部長(近藤雅宏君) キャッシュレス決済の導入は、住民の利便性の向上だけでなく、国内外からの観光客の消費を取り込むためにも大変重要であり、今回の消費税増税対策にあわせてできるだけ県内に広めていきたいと考えております。 キャッシュレス決済には多種多様な手段があるとともに、事業者にとって現金管理や在庫管理など経営の効率化が図られるといったメリットがある一方、新たな手数料負担や決済サイトの長期化など経営を圧迫する要因や、機器の導入、操作を覚える煩わしさといったデメリットもございます。 このため、導入率が低い中山間地域を初め、各地域の事業者にメリット・デメリットを理解していただいた上で導入していただけるよう、金融機関と連携をして県内7カ所でセミナーを開催する予定としてございます。あわせて、既にスタートしておりますけれども、よろず支援拠点が県内各地に赴き勉強会などを実施するほか、日々の事業者の個別相談には、地元商工会や商工会議所が対応してまいります。 ◆24番(黒岩正好君) また、交通インフラについても同様に、SuicaとかPASMO等、全国的にICカードが存在をしているわけであります。 そういったSuicaなど全国で利用可能な交通系ICカードを県内でも利用できるようにすることで、観光面での公共交通機関の利用者の増加にもつながると思いますが、中山間振興・交通部長に認識を伺います。 ◎中山間振興・交通部長(川村雅計君) 県内のバスなどでSuicaなど全国共通の交通系ICカードが利用可能になれば、県外からの観光客などの利便性向上につながり、利用者が増加することも考えられますが、そのためには少なく見積もっても10億円を超える初期費用に加え、毎年多額の維持費用が発生すると聞いております。 そういうことから、利便性の向上のメリットはあるとはしましても、事業者の費用負担の面から実現のハードルは相当高いのではないかと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) 時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(坂本孝幸君) 以上をもって、黒岩正好君の質問は終わりました。 ここで午後2時45分まで休憩といたします。   午後2時25分休憩-----------------------------------   午後2時45分再開 ○議長(土森正典君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 金岡佳時君の持ち時間は45分です。 1番金岡佳時君。 ◆1番(金岡佳時君) 議長の指名をいただきましたので、ただいまより一般質問を行います。少々前置きが長くなりますけれども、よろしくお願いいたします。 いよいよ4月より森林経営管理法が施行され、あわせて森林環境譲与税が交付をされます。これによって川上において安定的に事業量が確保され、川中、川下に木材が安定供給される期待がされておるわけであります。 しかし、原木の市況は、杉が平成13年以来ほぼ横ばいで、ヒノキも平成19年あたりからほぼ横ばいで推移をしております。このように、もう既に15年以上も同じ状況が続いておるわけであります。今後も同様に推移すると考えなければなりません。 そうした中で、川上の事業量を安定的に確保し、木材が安定的に供給できるようにするためには、森林経営管理法と森林環境譲与税の運用の方法をどのようにするかということが、安定確保、安定供給に大きく影響するのではないかと考えます。それは中山間地域の経済にも大きな影響をもたらすものと考えられます。 中山間地域はもともと豊かな地域でありました。そして、その経済の源泉は林業でありました。その歴史は古く、江戸時代の前から続いております。昭和35年から木材の輸入自由化が始まり、昭和42年ごろまでは需要も旺盛で、国産材の生産量はふえていきますが、昭和55年をピークに国産材価格は下がり始め、それにつれて国産材の生産量も減少していきます。杉材で言えば、平成13年にはピーク時の3分の1以下に価格が下落し、現在に至っております。ヒノキ材はそれ以上下落をしております。 単純に1ヘクタール、400立方メートルの材積があるといたしますと、ピーク時の杉の単価は3万8,700円であり、1,548万円になります。伐採、搬出等、山から市場までの経費を、条件により違いはありますが、仮に1立方メートル約1万5,000円といたしますと600万円で、差し引き948万円残ることになります。もちろん、当時の人件費や経費ははるかに安いので、もっと大きな収益を得ることができました。 現在では、直近の12月の価格を見てみますと約1万1,200円であります。400立方メートルで448万円ですが、最終的に山林所有者の手元に入るのが40万円から50万円と言われております。要するに、山はかつてあった資産価値を失ってしまったのであります。 私の学生時代には、子供を東京の大学へ行かせるために山の木を切って行かせておりましたし、農業や商工業におきましても、新たな投資をするときには山の木を売って投資資金に充てておりました。いざというときには山の木を売れば何とかなるという思いもあり、いろいろなことにチャレンジができておりました。そういう環境の中でありましたから、中山間地域の中でいろいろな業種が生まれ、子供を育み、次の世代につなぐことができたと思われます。このように、中山間地域にとって山の木は投資の財源であり、セーフティーネットでありました。 ところが、平成9年あたりから材価は極端な下落を始め、山林が資産価値を失うようになると、過疎化に一層拍車がかかり始めました。私は、このように山林が資産価値を失ったことが、中山間地域の経済を後退させ、過疎化を進めておる一因であると考えております。 中山間地域の経済の現状の要因についてどのような御所見をお持ちなのか、知事にお伺いいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 中山間地域、先ほど午前中の御質疑で厳しさを知っておるのかというお話もありましたけれども、私も大変厳しいと、そういうふうに思っています。そして、それは確かに林業の衰退ということもありますでしょうが、大きく言えば、やはり昭和30年代ぐらいから若者が県外に流出をする、それによって経済が縮む、それがさらなる若者の流出を加速する、そういう流れがずっと戦後一貫して続いてきた、そのことが大きな背景になっているものと考えるところです。若者がいない、ゆえにもってして中山間では高齢者のひとり世帯がふえる、そういう状況になっているということかと思います。 であればどうするか。厳しい、そう、確かに厳しいわけです。ですから、それに対抗する具体的な施策をとっていかなければならないだろうということで、先生方に大変御指導いただきながら中山間対策の取り組みを進めてきました。 その中でいろんな施策を展開していますが、共通する要素は2つだというふうに思っています。中山間において地産外商につながる事業をつくること、これが第1。そして、そのつくった事業に対して、担い手となる若者を呼び込んでくること、これはUターンも含めてです。移住施策などと連動させながらそういう取り組みをしていく、そういうことによって中山間で暮らし続ける若者の数を少しずつふやしていく。そうすることしか、本当の意味での中山間対策の根治対策はないだろうと私は思っております。 林業の振興の取り組みしかり、中山間の農業の取り組みしかり、そしてまた自然&体験キャンペーンの取り組みしかり、集落活動センターの取り組みしかり、全て地産外商と担い手確保、移住促進、これらを組み合わせて対応していこうとするもので、目指すところは若い人たちが住み続けられる地域をつくることであります。これを今後もぜひ続けてまいりたいと。 そういう意味において、森林の資産価値を取り戻す、林業を再生するというのはその最たるものであって、非常に力を入れなければならないことだと、そういうふうに思っています。 ◆1番(金岡佳時君) ありがとうございます。 今、各地で農林業に携わっている方の御意見を賜るわけでありますが、やはりその中で多いのが、もう年だから借金をしてまで冒険ができないが、山の木が高く売れたならそのお金を農業に投資したいという、そのような話をよく聞きます。 農業に限らず、ほかの業種でも同様で、機械設備などへの投資意欲は旺盛であります。山林が資産価値を持つようになれば、中山間地域の経済はかなり好転するのではないかと思います。 山林の資産価値を取り戻す施策が今必要であると思いますが、知事のお考えをお聞きいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 山林の資産価値を高めていくために、やはり川上、川中、川下で総合的な対策をとっていかなければならないだろうと、そういうふうに思います。 効率的に山で木を切り出していくための取り組みとして、路網整備だとか、さらには本県の場合は非常に急峻な山が多いということもあり、高性能林業機械の導入とか、何といっても人材育成とか、そういうことをしっかり進めていくことが大事であります。また、川中において加工していく体制もしっかり強化していかなければならない。おおとよ製材でありますとか、さらには近年におきましては中小の共同化とか、そういう取り組みを進めていこうとしています。 ただ、やはり材価の向上も伴う形で根本的な改善を図っていくためには、資産価値の向上を図っていくためには、川下の対策が非常に大事だろうと。これから、特にこっちのところに力を入れなければならないと思っています。 柱は2つあると思っていまして、1つは、山で生み出していく商品、川上部分でつくり出していく商品について高付加価値化を進めていくこと。特にA材を活用した高付加価値製品づくりというのが、非常に本県の場合は重要であると、そういうふうに思っています。そういうことから、山の事業者の皆さんと例えばデザイナーの皆さんなどが出会って、新たな現代の床柱といいますか、そういう高付加価値製品をつくり出していくような取り組みを、大いに応援していきたいと思います。 そして、あわせて日本国全体として木の需要が拡大していくような施策というのをぜひとっていかなければならないと、そう思っておりまして、CLTの普及促進の取り組みなどに一生懸命県としても取り組んでおるのは、その一環であります。CLTが構造材として普及するから、内装材として使われるその量がふえていく、そういう循環になりますように、今経済同友会の皆さんなんかとも一緒に取り組まさせていただいています。本県として、こういう取り組みを一生懸命頑張って、何とかこれが全国のムーブメントになるように取り組んでまいりたいものだと、そういうふうに考えております。 ◆1番(金岡佳時君) 私も全く同感であります。 そういう施策を進めていかないけませんけれども、資産価値を取り戻すといいましても、先ほど申し上げましたように、材価はここ15年ほど横ばいであります。これからの人口推計や輸入材などの状況を見てみますと、急激な材価の上昇は見込めないと思います。仮にあと15年今のような状況が続きますと、担い手不足も相まって、それぞれの業種の失われたフィールドの復活は不可能となります。 材木の販売収益はできる限り山林所有者に返し、山林に資産価値を持たすことが必要だと思いますが、田所林業振興・環境部長の御所見をお伺いいたします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 山林に資産価値を持たせるためには、原木生産コストを低減させることと、木材製品の販売額を高めることが重要であると考えております。 このため、具体的な取り組みとしまして、原木生産コストを低減させるために、森林の集約化とともに基幹となるトラック道など路網の整備や、高性能林業機械の導入などを進めることにより生産性を向上させ、生産コストを低減させる取り組みを引き続き行ってまいります。 また、木材製品の販売額を高めるために、先ほど知事が申し上げましたとおり、TOSAZAIセンターを核として、木材製品の高付加価値化や木材需要の拡大に向けた取り組みをしっかりと行ってまいります。
    ◆1番(金岡佳時君) もう一つ、中山間地域経済の減退の要因は、言うまでもなく少子高齢化、過疎化であります。もちろんその問題の解決策として、いろいろな移住奨励策や観光客の誘致、集落営農、集落活動センターなど、懸命に努力をされていますことは重々承知をしておりますし、今の状況の中でとることができる最善策であると高く評価をするものであります。 しかし、人口の減少スピードは、私どもが考えているよりはるかに速く、次から次へと切実な問題を突きつけてまいります。そして、それによって、商店やその地域地域にあった生活に密接した仕事も廃業を余儀なくされております。耕作放棄地に見られますように、農林業などもやめられる方が年を追うごとにふえております。後継者を育成すること、移住者に来ていただくことが廃業のスピードに追いついていないということであります。 廃業されるのはいたし方がないといえばそれまでですが、一つ一つ生活に密着した仕事が失われるごとに、地域での生活は不自由なものになってまいります。特に、棚田の復元は至難のわざとなります。小手先の施策になりますけれども、今それぞれの仕事で頑張っている方々に、いましばらく頑張っていただけるような施策が必要ではないかと考えます。 中山間地域で活躍されている方のほとんどが高齢者であります。新たな事業を始めることは困難で、現状の中でどのようにして事業を続けていただくかということであります。これはかなり昔から言われてきておることでありますが、地元で賄えることのできるものは地元で賄うということを徹底すべきであると考えます。地域住民やそれぞれの市町村が取り組むことでありますけれども、県が発注している事業もかなりありますし、購入される物品も少なからずあろうと思います。 物品などの調達について、それぞれの地域にこだわるところまで県が率先して取り組めば、各市町村に及ぼす影響も極めて大きなものになると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 一番大事なことは、後継者を育成すること、さらには移住者に来ていただくことが廃業のスピードに追いついていないということでありますが、それを追いつかせるようにすることだと思います。それをそれぞれの地域が頑張らなければならない。それをそれぞれの市町村が応援をする。それを県がしっかり応援する。そうしていくしか展望は開けないだろうと私は思っています。ですから、これをしっかりと進めていくということをより徹底していくと。これを県政の基軸に据えていくということでこれまでもやってまいりましたし、今後も取り組んでいかなければならないと思います。 ただ、そういう中において、やはり非常に即効性がある施策として、地元の物品をできる限り調達するに当たって優遇していくとか、そういう施策があるのは確かにおっしゃるとおりだというふうに思っています。平成24年に、産業振興、中山間対策の観点から、各部局長及び出先機関長等に対しまして、可能なものは地元業者を優先するよう通知を出しているところであります。こういう施策も、さっき申し上げたような、我々として根治対策だと思うものと並行して進めていくようにしたいと、そう思います。 ◆1番(金岡佳時君) 1円でも地域に落としていただければ、その分だけ地域経済はよくなるわけでありますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。 中山間地域の農林業に携わる多くの方々は高齢者であります。お元気な方が多く、現役で頑張っておられます。また、仕事への意欲もあるのですが、体力の衰えは否めません。それが農林業の廃業の理由になっており、仕事はしたいけれども体力が続かないという声をよく聞きます。 今、県では次世代型ハウスや環境制御技術を普及させ、今年度からはNext次世代型こうち新施設園芸システムの開発を進めておりますけれども、中山間地域では後継者不足、担い手不足の中で、今求められているのは、あらゆる場面での徹底した省力化であります。意欲ある農業者は若者だけではありません。高齢者となっても意欲ある農業者はおります。そのような方々に活躍していただくために、棚田など急傾斜地における農作業の徹底した省力化の開発と支援が必要ではないでしょうか。また、徹底した省力化をすることによって、若者も参入しやすくなるのではないでしょうか。 中山間地域農業の省力化をどのように進めていくのか、農業振興部長にお伺いいたします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 棚田での稲作では、本山町などで水位センサーを導入し、水の見回り回数が減るなど省力化が図られております。今後は、他の地域への普及拡大を図るとともに、水管理のマニュアル化や自動化にもつなげていきたいと考えております。 また、水稲に加えましてユズや露地野菜でも、ドローンを使った防除や施肥、GPSを活用した圃場管理などの技術が急速に進歩し、普及しつつあります。 これらの省力化につながる新たな技術を積極的に導入し、急傾斜地の棚田も含めて、本県の中山間農業に適応できる技術として組み立て、迅速に普及してまいります。 さらに、今年度から開始したNext次世代の取り組みにおきましては、シシトウやユズなどの主要な園芸品目で篤農家の技術を見える化する動画マニュアルづくりを進めており、作業効率の高いたくみのわざの伝承、普及にもつなげてまいります。 ◆1番(金岡佳時君) ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。 次に、コウヨウザンについてお伺いをいたします。 昨年2月議会でコウヨウザンについてお伺いをし、今後研究する旨の答弁をいただいたところでありますが、その後どのような研究がされたのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) コウヨウザンにつきましては、昨年度から四国森林管理局と連携しまして、間伐木の材質調査を初め、燃焼試験による発熱量の測定や伐採後の萌芽の調査などに取り組んでいるところでございます。 ◆1番(金岡佳時君) そこでどのような知見が得られたのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 間伐木の材質調査では、杉とヒノキのほぼ中間の強度がありますことや、燃焼試験では、燃焼の際に得られる発熱量がヒノキと同程度であることが確認できたところでございます。 ◆1番(金岡佳時君) 四国森林管理局が苗木の育成に取り組んでおり、再来年には苗木の提供ができるというようなことを聞いておりますが、コウヨウザンを今後再造林の補助対象樹種に加えるのかどうか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 再造林の補助対象に加えるためには、県内各地で広く健全な成長が見込めることや、生態系など環境への影響がないことを確認した試験研究報告書を取りまとめ、国の承認を受ける必要がございます。 このため、今後は県内での生育実態や、地域の気候、土壌などの育成条件に応じた成長状況、植栽密度や保育の方法などの調査を進め、その成果を分析した上で国との協議を進めていきたいと考えております。 ◆1番(金岡佳時君) 広島県などではもう既に行われておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。 昨年7月豪雨で気づいたことについて今度はお伺いいたします。 嶺北地域では、あの豪雨によって多くの山が崩落し、多くの道路が不通となりました。本山事務所の素早い対応で道路啓開が行われたわけでありますが、幾つかの場所で対応に当たった土木業者の方々が悪戦苦闘をしている場面に行き当たりました。それは、山腹崩壊によって流木が折り重なり、重機が使えない状況になっていたからであります。結局、グラップルなどを持つ山林事業者の手によって折り重なった流木の処理がされ、その後土木業者が土砂の撤去をするというようになり、かなりの時間がかかったわけであります。 今後、中山間地域の山腹崩壊や土石流災害において、流木が絡んだ災害がますます多くなると考えられます。このような災害の復旧作業には、グラップルなどを持つ山林事業者の協力が不可欠であります。 道路啓開をお願いする業者の中に山林事業者を加える必要があると思いますが、土木部長の御所見をお伺いいたします。 ◎土木部長(村田重雄君) 昨年の7月豪雨では、県道への流木や倒木の除去に、森林組合などの山林事業者の皆様に多大なる御協力をいただき、応急復旧を円滑に進めることができました。 災害発生時には、被災地への円滑な支援部隊の進出や物資の輸送の確保はもとより、生活に欠かせない通院などを早期に再開できるよう、防災拠点とそれぞれの地域をつなぐ道路の啓開を早期に完了させることが大変重要だと考えております。昨年の経験からも、災害発生時に、木材の取り扱いに通じ重機を保有している山林事業者の皆様に倒木等を除去していただくことは、議員の御指摘のとおり、道路啓開の早期の完了に大変有効であるというふうに考えております。 このことから、まず南海トラフ地震発生時の道路啓開への協力につきまして、ことし1月から高知県森林組合連合会と協議を進めさせていただいているところでございます。 今後は、各地域の森林組合と具体的な調整を進め、協力体制の確立に向けて取り組んでまいります。 ◆1番(金岡佳時君) どうかよろしくお願いをいたします。 さて、昨年9月に豪雨災害対策推進本部が設置をされ、通年で豪雨対策実施体制が大幅に強化されたことは、毎年のように豪雨災害に見舞われる中山間地域にとってまことに心強く、感謝するところであります。 昨年の台風発生数は29個で、日本に平年の倍近い5個の台風が上陸をいたしました。特に台風20号、21号、24号は、暴風により各地に大きな被害をもたらしました。これらの台風は、室戸岬沖を通るなど、台風の中心が高知県の東側を通り、沿岸部に大きな被害をもたらしましたけれども、中山間地域は暴風による被害は軽微でありました。 しかし、これらは偶然であり、いつ高知県の西側を通過する台風が来てもおかしくはありません。現状で、昨年の台風21号、24号クラスの台風に中山間地域が直撃されれば、甚大な被害が予想されます。中山間地域では、国道や県道に沿って電柱が立てられており、配電線と通信線がのせられております。多くの場所で、そのすぐそばに成長した植林や雑木が迫っております。一たび暴風にさらされれば、道路は不通になり、配電線の通じている地域は停電、場合によっては通信も不能になるということであります。 南海トラフ大地震対策、そして豪雨対策は着実に進められておりますけれども、暴風に対する対策については多くは見当たりません。暴風に対する対策はどのようにとられているのか、危機管理部長にお伺いいたします。 ◎危機管理部長(酒井浩一君) 暴風の対策といたしましては、危険と認められる箇所がある場合には、道路沿いの樹木の伐採、ビニールハウスのような風に弱い施設は補強をしていただくなどの備えを行うようにしています。 これまで、台風の接近で暴風が予想される場合には、災害対策本部の各部から関係者へ注意喚起をするなど、暴風の備えを呼びかけてきたところです。また、暴風の際には出歩かないことが身を守るために大切でありますので、県民の皆様にも注意喚起を行っております。 今後は、これまでの取り組みに加えまして、新設の豪雨災害対策推進本部において、暴風に対する対策の検討も進めていきたいと考えております。 ◆1番(金岡佳時君) よろしくお願いをいたします。 次に、土佐あかうしについてお伺いをいたします。 日本農業新聞によりますと、2018年の赤牛1頭の平均価格は、ほぼ熊本県産の子牛でありますけれども、前年より20%安い50万円台であり、頭数がほとんどふえていないにもかかわらず急落をする異例の値動きとありました。これまでの高値で、肥育農家の経営が悪化し需要が鈍った、そしてTPP11の発効も影を落とす、生産基盤の一層の縮小を心配とありました。 また、財務省の貿易統計によりますと、2018年の食肉輸入量が209万トンとなり、過去最多を2年連続で更新したようであります。さらに、1月の牛肉の輸入量は5万574トンとなり、前年同月より42%ふえたようであります。特に、オーストラリアやカナダなど、TPP参加国からの輸入量がふえたのではないかと言われております。 さらに、本県の状況を見ますと1月25日の嶺北家畜市場では、それよりさらに安い45万円前後の取引となっておりました。これ以上下落しないようにしなければならないと同時に、肥育農家の経営の安定化を図らなければなりません。この状況についてどのように捉えているのか、農業振興部長にお伺いをいたします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 1月の子牛価格は、全国的に牛肉の年末需要が過ぎ、枝肉価格が落ちつくことから、肥育農家の購買意欲が薄れ、例年安くなる傾向にございます。 土佐あかうしは、特徴ある肉質により輸入牛肉とすみ分けできていることから、輸入の増加による子牛価格への影響はないと考えております。 一方、子牛を仕入れる肥育農家の経営につきましては、枝肉価格の変動によって先読みが難しくなることから、経営の安定化を図るためには枝肉価格の安定が重要だと考えております。このことにより、子牛価格も安定し、繁殖農家の増頭意欲にもつながるものと考えております。 ◆1番(金岡佳時君) いわゆる価格を安定させるということは、肉の価格を高どまりさせ、そして子牛の価格を安定させなければならんということであります。 ですから、輸入による影響がないと私は言えないと思うんですけれども、できるだけ少なく抑えるためには、揺るぎのないブランド化を図ることしかないと思いますが、どのように考えているのか、農業振興部長にお伺いいたします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 土佐あかうしのブランド化につきましては、県や生産団体などで構成される土佐和牛ブランド推進協議会を中心に取り組んでおるところです。首都圏の高級レストランなどターゲットを絞った販売戦略によりまして、ブランド牛肉としての認知が進み、土佐あかうしとして地域団体商標の取得にもつながっております。 今後は、料理人から高く評価されている、赤身のおいしさや脂の質のよさといった特徴を生かした牛肉をしっかりと供給していくことで、さらなる土佐あかうしのブランド化を図り、これまでの販路を深掘りすることに加えまして、輸出も視野に入れた新たなマーケットの開拓を行ってまいります。 ◆1番(金岡佳時君) 部長の言われましたとおり、そういう活動を続けていってもらわなければなりませんが、ブランド化を図るためには、地道な取り組みが必要なのはもちろんでありますけれども、GI法やGAPなどの認証をとってブランド化につなげていくことも必要ではないかと考えます。 GI法などへの取り組み状況はどのようになっているのか、農業振興部長にお伺いいたします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 農畜産物の輸出や地域ブランド化の取り組みとして、GIの登録やGAPの認証等は大変有効です。 土佐あかうしにつきましては、昨年12月に開催された土佐和牛ブランド推進協議会におきまして、GI登録に向けて合意が得られたところです。これを受け、2月にGI活用の支援窓口であるGIサポートデスクと協議を行い、産地が高知県に限定され、出荷もほぼ一元化されていること、品種改良に高知県の風土が大きくかかわっていること、肉の特性についても差別化できることなどの点から、登録の可能性は高いとの評価が得られました。 土佐あかうしのさらなるブランド化と今後の輸出を見据えた販路拡大のためには、GIへの登録は効果的であると考えておりますので、土佐和牛ブランド推進協議会において申請に向けた協議を重ねているところでございます。 ◆1番(金岡佳時君) しっかり進めていただきたいと思います。 先日、日本穀物検定協会が公表した2018年産米食味ランキングにおいて、県北産のにこまるが昨年に続き特Aに選ばれました。2年連続は高知県では初めての快挙だと思います。 これを機にブランド化を進めていかなければならないと思いますが、県北産にこまるのブランド化をどのように進めていくのか、農業振興部長にお伺いいたします。 ◎農業振興部長(笹岡貴文君) ブランド米には、味や品質のよさはもちろん、栽培された年や生産者ごとにばらつきがなく、いつどれを買ってもおいしいことが求められます。また、誰からも愛されるネーミングやパッケージ、さらには生産者の皆様の熱意やストーリー性も重要でございます。 それらの条件を兼ね備え、全国的なブランド米へと成長してきた本山町の土佐天空の郷では、さらにブランド力を高め生産拡大していくために、水位センサーや栽培管理記録ソフトを活用して、栽培技術の高位平準化に組織を挙げて取り組んでおるところでございます。 今回の2年連続となる特A獲得を契機に、県北全域にブランド化の横展開を図っていけますよう、土佐天空の郷の取り組みを産地の皆様に知っていただき、高品質生産に向けた技術指導を強化してまいります。また、販路拡大などの取り組みについてもしっかりと支援してまいります。 ◆1番(金岡佳時君) よろしくお願いいたします。 次に、海洋プラスチックの問題についてお伺いいたします。 最近、海岸線を何度か通りました。久しぶりに通ったせいか、ペットボトルや発泡スチロール、レジ袋など、プラスチックごみが非常に目立ちました。 推計資料に幅はありますけれども、公益財団法人環日本海環境協力センターが行った調査によれば、2001年から2010年まで日本の海岸に漂着したごみの量は、1年に約19万トン、100平方メートル当たりの漂着ごみの平均個数は443個、そのうちプラスチック類が340個で77%、発泡スチロールが77個で17%となっております。 また、平成24年度漂着ごみ状況把握調査によりますと、2011年度の海岸線長1キロメートル当たりの回収量と日本の全海岸線長を掛けますと、約30万トンとなります。土佐湾も、1キロメートル当たりの回収量2.7トンに海岸線長439キロメートルを掛けますと、約1,185トンとなります。 環境省の漂着ごみのモニタリング調査に、高知のデータが少々ありました。それによりますと、50メートルで986リットル、そのうち92%が人工物、その人工物のうちの50%がペットボトル、12%が発泡スチロール、そして7%がプラスチックなどの石油製品となっております。 海洋ごみの漂着原因はおおむね4つで、内陸部からの河川を介して海に排出され海岸に漂着したもの、国内の海岸から排出され別の海岸に漂着したもの、沖合の船舶から排出され海岸に漂着したもの、そして外国から排出され海岸に漂着したものであります。 高知に漂着したペットボトルの製造国は95%が日本で、内陸部から排出されたものであろうと推測できます。私たち自身が気をつけていかなければならないと考えているところでありますが、奄美になりますと状況が一変し、人工物が68%、漁具が19%となっており、ペットボトルの72%が中国製、7%が韓国製となっております。 そして、海外を見てみますと、海洋に流出したプラスチックごみの発生量は、1年当たり2010年推計で、1位が中国353万トン、2位がインドネシアで129万トン、3位がフィリピンで75万トン、4位がベトナムで73万トン、日本は30位で6万トンとなっております。 また、中でも深刻な問題であると言われておりますのが、マイクロプラスチックの問題であります。マイクロプラスチックとは、いろいろありますが、おおむねプラスチックごみが、波や紫外線の影響を受けるなどして小さなプラスチック粒子となり、5ミリ以下になったものを言います。 その濃度が日本の沖合で高くなっているとの報告もあり、環境への影響も懸念をされますが、足摺沖など土佐湾での状況はどのようになっているのか、林業振興・環境部長にお伺いいたします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 環境省が平成27年度に土佐湾中央部と足摺沖で、平成28年度に室戸沖の東西2カ所で調査した結果によりますと、海水1立方メートル当たりに含まれるマイクロプラスチックの量は、土佐湾中央部では2.366個、足摺沖では6.189個、室戸沖の東側で0.04個、西側で7.66個となっております。 ◆1番(金岡佳時君) 海洋プラスチックごみの魚類や鳥類、海洋動物への影響はどのようなことがあるのか、林業振興・環境部長にお伺いいたします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 小魚などがマイクロプラスチックを摂食しますと、マイクロプラスチックに含まれる、あるいは付着された有害物質が体内に取り込まれ、脂肪に濃縮されることにより、生体に悪影響を及ぼすことが懸念されております。また、こうした小魚などを海鳥や海洋動物が摂食するという食物連鎖の中で、さらに有害物質が濃縮されていき、長い間暴露されることによって、生殖器の異常や奇形の発生による生態系への影響も懸念されておるところでございますが、明確なことはわかっていないというところでございます。 環境省では、これまでマイクロプラスチックの分布状況や付着している有害物質の量を調査してきており、本年度からは小魚への直接的な影響や、マイクロプラスチックの影響を受けやすいと言われている海鳥の遺伝子レベルでの生体影響評価を始めておりますので、今後海洋動物等への影響が明らかになってくるものと考えております。 ◆1番(金岡佳時君) 影響はかなりこれから出てくるんではないかと思われます。特に、先ほど挙げましたように、中国や東南アジア諸国のことを考えますと、カツオなどの回遊魚を中心とした水産資源への影響が心配をされますが、水産振興部長に御所見をお伺いいたします。 ◎水産振興部長(谷脇明君) カツオやマグロを初めとする回遊魚へのマイクロプラスチックによる影響はまだ明らかになっておりませんが、京都大学などの調査では、既に全国複数の箇所で、イワシ類の体内からマイクロプラスチックが確認されたという報告もなされております。 また、水産庁では本年度から、マイクロプラスチックの摂食と魚介類の生態との関係を明らかにするため、魚の体内におけるマイクロプラスチックの滞留時間や、マイクロプラスチックへの有害化学物質の吸着等について試験を開始しております。 今後は、引き続き国や大学などの調査結果を注視するとともに、情報収集にも努めてまいります。 ◆1番(金岡佳時君) 注視をしていただきたいと思います。 国は、ことし日本で開催されるG20で、途上国を巻き込んだ対策、施策を国際社会に打ち出していくようでありますけれども、高知県も非常に関連性があります。 この問題の対処策として、プラスチックに取ってかわるセルロースナノファイバーの研究開発に期待がされるわけでありますけれども、商工労働部長に御所見をお伺いいたします。 ◎商工労働部長(近藤雅宏君) セルロースナノファイバーは、木材等から得られるパルプなどを科学的、機械的に処理してナノサイズまで細かく解きほぐした繊維状の物質で、重さは鉄の5分の1、強度は5倍と言われており、食品、化粧品、建材、自動車部品など、幅広い分野での活用が期待される新素材でございます。 現在、さまざまな分野で活用に向けた研究が進められておりますが、プラスチックが1キログラム当たり100円から数百円程度であるのに対し、セルロースナノファイバーは数千円以上と言われており、コスト面での課題がございます。そのため当面は、付加価値の高い自動車部品などの用途が中心になるのではないかと考えております。 これまで、プラスチックにかわるものとしては、微生物によって分解される生分解性プラスチックや、トウモロコシ等を原料とするバイオマスプラスチックなどがあり、既に農業・土木資材や食品の容器などで多くの製品が販売をされています。セルロースナノファイバーにつきましても、将来その活用が広がり大幅なコスト削減が実現できれば、プラスチック使用量の削減につながる可能性を秘めた素材であると考えています。 ◆1番(金岡佳時君) 林業県の高知県にとっては非常に期待をされる物質ではなかろうかということで、さらなる研究開発が期待をされるわけであります。ぜひともよろしくお願いをいたしたいと思います。 今、INAP会議を通じまして、防災関連機器等を知事のトップセールスによって売り込んでおるところでございますが、こうした環境問題を含め、各国が抱える課題に対応できる製品を買っていただければ、防災関連機器と同じく、ビジネスを通じて国際貢献ができるというふうに思われますが、知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 各国がそれぞれ課題を抱えている。本県と同じく課題を抱えていて、そしてその課題に対して有効な対応策を本県が持っている場合、その関連産業というのは、本県として有効な輸出産業になり得るでしょうし、またあわせまして国際貢献のもとにもなるだろうと、そういうふうに考えています。防災関連産業がその典型だと思っているところでありますけれども、そういう関連のものにつきましては、今後もしっかり輸出関連産業化を進めていけるようにしていきたいと思います。 そういう中において、ODAの活用ということが非常に有効になってまいります。そういうことで、ジェトロとかJICAの皆さんとかと協力をさせていただいて、高知県海外展開・ODA案件化サポートチームというのをつくりまして、ODA化していくことについて支援をさせていただくような取り組みも進めてまいっております。 今、有望案件も出てきて楽しみにしているところでありますけれども、今後もさらにその他の取り組みについてよき分野が出てきましたら、しっかり積極的に対応していきたいと、そう思います。 ◆1番(金岡佳時君) 私もINAP会議に出席を2度ほどさせていただきました。特にスリランカのコロンボでは、町の真ん中に大きなごみ山があったわけでございます。ごみ山が豪雨で崩れて多くの方が亡くなったというようなニュースもありました。そのごみは恐らく豪雨によって流され、海に行くわけでございます。そういうところが至るところにあったわけでございます。フィリピンもそういうような場所をあちこちで見ることができました。 そういうものが海へ至ればマイクロプラスチックになると。そして、黒潮に乗って土佐湾まで来るというようなことも考えられるわけでありますので、これからの自然環境を考えましたときには、やはり自分の身の回りだけのことではもう済まない。それこそPM2.5ではないですけれども、もう国際的な問題になっていくのではないか。そうした中で、どうした貢献、対処ができるかということをやはり考えていかなければならないような時代になったのかなという印象を持ったわけでございます。今後とも、知事の言われたとおり、また進めていただきたいというふうに思います。 さて、3月31日で退職をされる多くの県職員の皆様には、長年にわたって高知県そして高知県民のために御尽力を賜りまして、ありがとうございます。心から敬意を表するとともに、感謝を申し上げます。 とはいえ、それぞれ退職される皆さん、私よりはるかに若いわけでございますから、退職後もそれぞれの分野、それぞれの場所で、高知県そして高知県民のためにまだまだ御尽力を賜りたいというふうに思います。これからさらなる皆様方の御活躍を御祈念いたしまして、私の一切の質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(土森正典君) 以上をもって、金岡佳時君の質問は終わりました。 ここで午後3時35分まで休憩といたします。   午後3時28分休憩-----------------------------------   午後3時35分再開 ○議長(土森正典君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 高橋徹君の持ち時間は30分です。 30番高橋徹君。 ◆30番(高橋徹君) 土森議長からお許しをいただきました。一問一答で30分ということでございますが、どうぞよろしくお願いをいたします。 私自身、少し体調も崩しておりまして、今議会でこの質問が議員としての最後の質問になるところです。余り元気もございませんので、そっと今議会を終えるつもりでしたが、きょうは新聞の報道もありますので、私の仲間、支援者の皆さん、地域の皆さんにおいでていただいております。大変感謝をするところでございます。 質問項目でございますが、通告してございますように、そんなに大した質問じゃございません。身近な質問を少し取り上げてみましたので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 まず、尾崎知事にお聞きをするところでございますが、対話と実行行脚ということで、就任早々から地域に出向いて御意見をいただいて、それを県政に反映していくということでずっと続けておられます。お忙しい公務の中でやりくりをしながら、ずっと県内を回られております。大変御苦労さまでございます。 私も一度はこの対話と実行行脚、どこかの会場に寄せていただいて、どんな雰囲気で開催をしているのかなと、見てみたいなと思っていたんですが、なかなかその機会もございませんでした。ちょうど、高知市でせんだって開催をしました、対話と実行行脚の御案内をいただきました。ところが、ちょうど大日本猟友会で理事会の開催を2カ月前に予定しておりましたので、出席もかないませんでした。 そこで、対話と実行行脚、非常にタイトなメニューの中で、最後は皆さんと懇親会をされるという計画でございました。特に土佐山地区、それからオーベルジュ等々にも行かれて昼食もされておられますが、河川の土砂の流出の状況であったり、あるいは風倒木の状況であったり--それから対話をする方の中にも、地域を代表される方もおいでたかと思います。 少し、時間は結構でございます。私にとって非常に聞いてみたいなという一つのテーマでございましたので、知事の当日の御感想をできたらお聞きしたいなということで上げてみました。どうぞよろしくお願いをいたします。 ◎知事(尾崎正直君) この対話と実行行脚は2期目になってスタートさせていただきました。1期目からは対話と実行座談会ということで、今も年数回はやっていますが、今まで82回やらせていただいて、全部で7,000人ぐらいの方といろいろお話をさせていただきました。対話と実行行脚ということで、それぞれの市町村を1日かけて回らせていただくというのを2期目に一巡させていただいて、3期目の今、2巡目をさせていただいている途中であります。これまで、全部で505カ所、3,000人を超える皆さんに、大変御多忙の中御対応いただいて、いろいろお話をさせていただいてきたところでございます。 各市町村の皆さんに選んでいただいて、大体産業系、さらには福祉系、教育系、それぞれお願いをしてお話を伺うということであります。以前にも答弁をいたしましたように、それぞれの市町村をお伺いして、対話と実行行脚でお話をお伺いしていく、そのことでその市町村の全てがわかったなどというつもりは全くありません。特に、やはり選んでいただく中において、どちらかというと前向きな取り組みを選んでいただいている場合が多いと思いますから、そういうことには留意をして対応しないといけないと思っています。実際のところ私自身も、例えば対話と実行行脚以外の場合でも多くそれぞれの市町村をお伺いすることがありますから、そういうことも含め複合的にお話を伺っていく視点が必要だろうと、そういうふうに思っています。 ただ、実際のところ一定時間をかけてお話を伺っていく中において、それぞれやっぱり過去の経緯があられたり、それぞれについて大変誇りを持って取り組んでおられる。しかしながらそういう中において、客観情勢の厳しさによって大変御苦労があられたりとか、言葉は丁寧ですけれども、事実上おっしゃっていることについて県に対する御不満もあられたりとか、そういうことをいろいろ感じるわけであります。そこのところをどれだけ感じられるかということが私にとって大事なことだろうと。ある意味、500カ所も回ってきますと随分なれてもきまして、いろいろとお話をしていく中において、いろんなことを感じられるようになっているようにも思うところでありますが、まだまだ足りないかなと思っています。 ただ、土佐人の方、それから移住者の方もおいでになりますが、やっぱり飲みニケーションも大事だということで懇親会の場も設けさせていただく中で、夜、懇親会をさせていただいたりしますと、昼間はああ言ったけれども現実問題としてこうだとかという話も聞こえてきたりもしまして、いろいろと多様にお話を伺うように努めてきました。 先日、高知市にお伺いしたときは、6カ所の現場にお伺いをして75名の皆さんにお話をお伺いさせていただきました。本当に御多忙の中、高知市役所の皆様にも、また各現場で御対応いただいた皆様にも大変お世話になりまして、感謝を申し上げたいと、そのように思います。 高知市において、どちらかといいますと中山間のお取り組みについてお話を聞いたわけでありますが、例えば朝倉のショウガのお話にせよ、さらには土佐山のさまざまなお取り組みにせよ、一言で言いますと、戦後以来、さらに言えば昭和60年ぐらいから営々と積み上げてきた多くの皆様のお取り組みというのがあって、それがやっぱり本当に海外にも県外にも通じていくような地産外商にも相通ずる取り組みというのを展開されています。しかしながら、やはりそういう中において共通して大変な御苦労というものもあって、それを乗り越えていくために県に対して、どういうことをすべき、ああいうことをすべき、さまざまなお話もいただいたところでございました。 私としては、本当にそれぞれのお取り組み自体、高知市のお取り組みであるから特にそうだと思いますけれども、大変展開がうまくいけば全県下にとっても非常に心強いお取り組みだなと思ったものもたくさんありました。例えばイタドリなんかというのはもう典型的でありますけれども、地産外商なんかがうまくいくことができれば、本当の意味で中山間のいろんな集落活動センターなんかでも優位に展開していけるんじゃないかと、そういうふうに思いました。 しかしながら、それを実際に事業化していくための御苦労のようなお話もお伺いして、そういう中において県として、もう一段きめ細やかに対応していかなければならない部分はあるなということを感じさせていただいたところであります。具体の中身については現場それぞれでありますけれども、やはりそこのところは感じたところです。 幸い私どもとして一緒に職員、スタッフも同行させていただいていますんで、その時々における会話を共有して、今後の地域アクションプランへの対応などなどに生かしていく、また例えば集落活動センターの設立に向けた対応などに生かしていければと、そう思っています。 あとまた、非常に勉強になりましたのは、いるかひろばのお取り組みであります。ここに行ってお話をお伺いして、子育てをしながら大変御苦労をしておられる若い保護者の皆さんがおいでになる、その話をお伺いしました。短い時間でしたけれども、大変密度濃くお話をお伺いすることができました。私は、その30分だけでは恐らく足りないと思いましたので、部局にも指示をして、より詳細にお話をお伺いするように話をし、さらに言えば、そこでのお話をよりシステマチックに生かさせていただいて、今後の制度づくりにつなげていきたいと、そう考えたところであります。 高知版のネウボラづくりということを取り進めていますけれども、いるかひろばにお伺いして、土居先生という方にお話をお伺いしましたが、今本当に大変すぐれた力量を持たれた個人の方によって支えられて、多くのこういう子育てをバックアップするようなお仕事というのが実際になされているわけであります。そういう方々の力量から学ばせていただいて、いかにそれをシステマチックに展開できるようにしていくかということが非常に大事であります。新年度以降、少し組織的にお話をお伺いさせていただくような場を設けさせていただいて、それによりまして、我々としてのこのネウボラの取り組みというのを、真に御苦労されている若い子育てをされている皆様方のバックアップになるようなものにつなげていくことができればなと、そういうふうに思ったところです。 往々にして、対話と実行行脚で一回一回30分ぐらいしかお時間がありませんので、その場で全て解決するわけではありません。ただ、よき端緒となって、先ほど、いるかひろばのお取り組みについて申し上げたように、次の施策展開につなげていく、その過程で今度は職員が繰り返しお伺いしてお話を聞く、そういう機会につなげていくなどなどしてきているところです。高知市の場合はそうでありますが、それぞれの場においてそういう取り組みを展開してきたところであるつもりでございます。 まだ全部回っておりませんので、あとたしか7カ所、7市町村ぐらい残っていますんで、この3期目のできるだけ早い時期に全て回れるようにこれからも鋭意取り組んでいきたいと、そのように思っています。 ◆30番(高橋徹君) ありがとうございました。知事とともに杯を交わす機会なんていうのは県民の方にはそうそうあるわけじゃございませんので、どうぞこれからも時間が許しましたら対話と実行行脚を続けていただきますようお願いをしたいと思います。 がらっと話は変わりますが、千葉県野田市の少女虐待死についてお伺いをさせていただきたいと思います。 御案内のように、今国会でも随分とこの話題が展開をされまして、法改正も視野に入れていく、そんなテレビのニュースも流れておりましたが、高知県でもこういった事案が起こらないとも限りませんので、取り上げてみました。どうぞよろしくお願いをいたします。 暗いニュースでございますが、千葉県野田市の小学校4年生の栗原心愛さんが父親の暴力を受けた後死亡した事件は、学校、児童相談所、自治体の全てに対応のまずさがあったと言われております。学校でのいじめや家庭での虐待などに対する教育委員会の対応のまずさが、大きな社会問題となっております。これまでに幾度となく対策を講じてきておりますが、こうした事件が後を絶ちません。父親から学校の先生が恫喝にも似た抗議を受け、心愛さんのアンケートのコピーを市教委が手渡していたこともわかりました。市教委が警察に相談しなかったことも悔やまれます。先生、どうにかできませんかという、心愛さんのせっぱ詰まった悲鳴をも見逃したわけでございます。 そこで、教育長にお伺いをいたしますが、教育の現場から上がってくる虐待については、親が親権を盾にとってくるとなかなか対応が難しいと考えます。今回の事案を受けて、今後同様の事案が起こらないよう県教育委員会としてどのように対応すべきと考えているのか、お聞かせをいただきたいと思います。 ◎教育長(伊藤博明君) 高知県の各学校においては、平成20年度から毎年児童虐待に関する校内研修を実施しており、また学校と児童相談所等関係機関との連携については、日ごろから密な連携を図ることを意識して取り組んでおります。 そうした中で、学校や教育委員会の職員は、まずは子供の命を守ることを最優先に、常に子供の立場に立って判断、行動することとし、さらに教育関連法規はもとより、児童福祉法や児童虐待に関連する法令に精通し、それらの法令にのっとって対応することが重要であるというふうに考えております。 あわせて、今回の事案のような対応に苦慮するケースに限らず、学校現場の教職員も含めて常に組織で判断し対応することを再確認し、組織で対応していく中において、必要に応じて警察や弁護士、その他の関係機関としっかりと連携して対応していくことを徹底してまいります。 ◆30番(高橋徹君) 依然として児童虐待が後を絶ちませんが、児童相談所等の福祉行政面での取り組みだけでは解決できない事案が多く、今回の千葉県での事件を見ても、学校などと児童相談所との連携が今後さらに重要であると思います。 高知県では、このような陰惨な事件を絶対に起こさないために、学校などの関連機関が相当綿密な連携を仕組みとして構築する必要があると思いますが、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 ◎知事(尾崎正直君) 本県におきましても、平成20年に大変悲しい不幸な児童虐待死の事案が起こりました。これを受けまして、当時からまず児童相談所の体制を抜本強化しようということで取り組んでまいったところであります。例えば体制面で言えば、児童福祉司、当時18人でありましたものが現在30名に、児童心理司、当時6名でありましたものを現在13名に、既に国が目標として掲げております水準を上回る体制をしいております。またあわせまして内部の運用という点におきましても、外部専門家の招聘、弁護士によるサポート、そういう取り組みをしますとともに、やはり児童相談所、さらには地域福祉部、県庁挙げて、組織として事案を共有し対応するということを徹底しようとしているところであります。 そういう意味において、今も極めて深刻な事案については全て私のところまで報告が来て、一時保護などのことにつきましても最終的に私のほうで責任をとると、そういう体制で取り組みを進めてきています。 あわせて、御指摘のように、我々側の体制を強化することと加えて、学校でありますとか、民生・児童委員の皆様とか、市町村の皆様とか、地域の皆様とかとの連携をしっかり強化していくということが大事だろうと、そういうふうに思っています。それぞれ地域地域におきまして、一定そういう協議会方式でもって対応していくような仕組みというのをつくってきているわけでありますが、御指摘のように、特に核となるのはやはり幼稚園、保育園、学校だろうと、そういうふうに思っています。 学校側のほうにおいて、先ほど教育長からも御答弁申し上げましたように、事案を把握した場合、まず学校で組織体として共有するような取り組みの強化を今チーム学校の一環としてしています。そして、組織として学校で捉まえた事案については関係先につなぐと、このことを徹底しようとしてきているところです。過去の事案の教訓も含めて、この点は特に力を入れなければならんところだろうと、そういうふうに思っておるところです。 ◆30番(高橋徹君) それでは次に、公立高校における不登校について御質問をいたします。 昨今、パワハラ、セクハラ、暴力指導、いじめなど人権にかかわる問題として、その排除と改善が進んでまいりました。その中で、本県は大きな社会問題として取り上げられるほどのものもなく、住みやすい高知家をアピールできたものと喜ばしく思っております。 ただ、高知新聞2月22日の夕刊で報じられました山口県の県立高校の教職員の認識の低さ--内容は、いじられてもうれしい人はいる、あるいは注意しづらいなどと、先生が答えておりました。この報道を見て私は驚いたところであります。 先日、ある方から、最近高校生が不登校となり転校を考えていると、お話をいただきました。不登校になる原因にはさまざまなことが考えられます。子供たちは減っているのに、不登校はふえている。新聞報道にもありましたが、平成29年度の高校生の不登校は208名と記してありました。 そこで、教育長にお聞きをいたしますが、公立高校の不登校の状況はどのように推移しているのか、お聞かせをいただきたいと思います。 ◎教育長(伊藤博明君) 本県の公立高校における1,000人当たりの不登校の生徒数は、平成23年度の20.4人をピークにその後は減少に転じております。平成29年度は、全国の公立高校の平均である16.8人に対して、高知県は15.5人というふうになっております。 ◆30番(高橋徹君) 次に、再度教育長にお聞きをいたしますが、平成30年度についても現在集計中であると思います。極端に減っているとは考えにくいのですが、県教育委員会として不登校に対してどのように取り組んでいるのか、お聞かせをいただきたいと思います。 ◎教育長(伊藤博明君) 生徒が登校しづらくなる主な要因としましては、人間関係をめぐる問題、それから学業の不振、それから高校入学による環境の変化への不適応などが主なものであると考えております。 このため、不登校の防止対策としましては、これら主な不登校の要因に対応しまして、入学当初に実施する仲間づくりの合宿、中学からの学びを円滑につなげるための教材の活用、それから学習のつまずきの見られる生徒への放課後補力補習の実施、スクールカウンセラーによる新入生への面接や、学習の計画や振り返りを行い進路への意欲を高めるための学習記録ノートの活用、こういった事業に取り組んでおりまして、一定の成果が見られているというふうに考えております。 また、いじめや不登校に対応する校内支援会の充実を図っており、さらに今年度からは学校経営計画の中に生徒理解や生徒支援を位置づけ、PDCAサイクルを回しながら支援に努めております。 今後も、さらに不登校の状況が改善するように取り組んでまいります。 ◆30番(高橋徹君) 次でございますが、県道高知伊予三島線の整備でございます。 高知市からいの町、土佐町を経由し大川村へ至る県道6号高知伊予三島線は、地域の産業や暮らしを支える重要な路線ですが、高知市鏡庁舎から北側は大半が未改良で、大雨による事前通行規制や落石などによる通行どめがたびたび発生をしております。高知市の未改良区間では、昨年の7月豪雨による大きな被害はなかったものの、一昨年は斜面崩壊による通行どめで集落が一時的に孤立をしております。 当該路線については、地域から早期改良の強い要望がなされていると思いますが、県道6号線の道路整備の現状について土木部長にお聞きをいたします。 ◎土木部長(村田重雄君) 県道高知伊予三島線は、高知市と愛媛県四国中央市を結ぶ路線で、高知県側の路線延長は59キロメートル、改良率は37%で、国道33号鏡川橋北詰から高知市鏡庁舎までの間は2車線改良が完了しているものでございます。 また、鏡庁舎以北の狭隘箇所の1.5車線的道路整備や国道439号に接続する道路整備につきまして、地域から長年御要望をいただいているところでございます。県では、御要望いただいた箇所の1.5車線的道路整備やのり面防災対策を現在進めているところでございます。 ◆30番(高橋徹君) 次の久万川の土砂のしゅんせつでございますが、先ほど黒岩議員からの質問で、私の質問と大方ダブっておりましたし、土木のほうでしゅんせつをするということで御回答をいただきましたので、割愛をさせていただきたいと思います。 時間がございませんので、最後の鳥獣行政についてお尋ねをしたいと思います。 近年、我が国における野生鳥獣による農林水産物に対する被害は深刻で、収穫間近の作物を一夜にして食い荒らされるなど、経営意欲まで喪失させる事態になっており、中山間地域の衰退の一因にもなっております。しかし、これまでの県の積極的な取り組み、いわゆる守りと攻めの対策によりまして、有害鳥獣の被害額は、ピーク時であった平成24年度と比較して約半分にまで減少いたしました。半分に減ったとはいえ、いまだ約2億円の被害が発生をしております。一方、野生鳥獣は法的には無主物であり、誰のものでもなく、国民の財産でございます。 守りについて申し上げると、平成24年度から集落単位で防護柵を設置し被害を防ぐ対策を実施しており、その結果、被害が半減した集落が多数出るなど、大きな成果が出ています。ちなみに防護柵の総延長は、高知県内で約4,000キロメートルになると言われ、日本列島以上でございます。 一方、攻めの狩猟について将来を見据えたとき、狩猟に携わる狩猟者の年齢構成を見ると、平成29年度の数字になりますが、60歳以上の方が約80%を占め、50歳未満になると約12%となっており、今後10年、20年を考えると、非常に心配をしているところでございます。その結果、また被害が増加するのではないかと懸念をするところでございます。 県においては、有害鳥獣対策にあらゆる手だてを行っていただいており、県猟友会としては感謝しておりますが、今後このように担い手となる狩猟者の高齢化、さらには若い方の担い手不足についてどのような対策を行っていくのか、中山間振興・交通部長にお伺いをいたします。 ◎中山間振興・交通部長(川村雅計君) 議員のお話のとおり、将来に向けての狩猟者の確保につきましては、今後の被害対策を行っていく上でも重要な課題であると認識をしております。 そのため、まずは県民の方々に狩猟に関心を持っていただくことを目的に、狩猟フォーラムを開催しております。これまで中央地域のみで実施してきたフォーラムを幡多地域でも開催し、多くの方々に御参加いただきました。加えて、狩猟体験ツアーの実施にも取り組んでいるところでございます。 また、今年度からは、これまで農業高校を対象としておりました出前講座を普通高校にまで広げ、若い担い手の確保にも一層力を入れているところでございます。その結果、狩猟免許試験では、昨年度合格者ゼロであった高校生が、ことしは3名合格いたしました。 今後は、こうした取り組みに加え、実際に被害に遭われておられる農家の方々に対しましても、機会あるごとに狩猟免許の取得をこれまで以上に呼びかけてまいりたいと考えております。さらに、平成31年度からは、受験にかかる経費の一層の負担軽減も行うこととしております。 今後とも、猟友会を初めとする関係者の皆様方の御意見も参考に、現在行っているさまざまな取り組みの検証も行いながら、引き続き手を緩めることなく鳥獣被害対策に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆30番(高橋徹君) ありがとうございました。担い手の確保につきましては、一朝一夕に解決できる問題ではないと思っておりますが、ことしの試験において高校生が3名ではありますが合格したということは、大きな成果だと我々は思っております。だんだんと積み重ねがとても大事なことでございますので、我々も期待をするところでございます。 ちなみに、高知県猟友会のわな猟の会員でございますが、平成29年度は1,596人ですが、うち女性会員が73人で全国1位となっておりますので、申し添えておきたいと思います。 1分少々でございますが、少し知事にお話を申し上げたいと思うんです。耳の痛いといいますか、嫌な議員だなと思われるかもわかりませんが、最近見ておりまして、私、凡人でございますので能力もないんですが、県の資料がすごくて、よう見切れません。これは職員の皆さんがどんどんつくっているんだろうと思います。やることが多岐にわたって、どんどん知事が前に行っていますので--県内だけじゃなし、日本全国あるいは外国にまでいろんなことで、本当にスーパーマンです。新聞を見ていて、本当に大丈夫かなと思うぐらい、全国を飛び回りながら高知県のために働いていただいている。大変感謝をするところなんですが、質問の答弁を見ておりまして、職員の方がもう少し元気があったらいいなという感じがしたんですけれども、職員の方は大丈夫かなと。それから、残業も、聞いておりましたらそんなに年々減っていません。トップギアで走っているんですけれども、ちょっとギアを落とされたらどうかなと思いました。大変失礼かと思いますが、率直な私の思いでございますので、受けとめていただけたらと思います。 以上で、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(土森正典君) 以上をもって、高橋徹君の質問は終わりました。 ここで午後4時10分まで休憩といたします。   午後4時5分休憩-----------------------------------   午後4時10分再開 ○議長(土森正典君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 塚地佐智さんの持ち時間は35分です。 37番塚地佐智さん。 ◆37番(塚地佐智君) いよいよきょう最後の質問となりまして、お疲れのこととは思いますけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。 まず、障害者雇用について伺います。 知事も今議会の提案説明で、障害のある方の活躍の場や機会を拡充するとともに、国が示した厳格な基準のもと、来年度早期に法定雇用率を達成するよう取り組みを進めている、あわせて障害のある職員が働きやすい環境づくりにも引き続き取り組んでいくと述べられました。その具体的な取り組みについて幾つか伺いたいと思います。 障害者の雇用の促進等に関する法律による、地方公共団体における法定雇用率は、今年度から0.2ポイント引き上げられ2.5%となっています。 まず、知事部局において来年度法定雇用率を達成するためには何名の新たな雇用が必要になるのか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(君塚明宏君) 障害者雇用率の算定に当たりましては、重度障害の職員にあっては2倍、短時間勤務職員にあっては0.5倍に障害者の人数の換算を行うこととなっております。 これを前提といたしまして、知事部局におきまして新年度法定雇用率を達成するためには、退職による減も見込みますと現時点で、フルタイム勤務の重度でない障害者の方といたしまして、新たに20人分の雇用が必要になると考えているところでございます。 ◆37番(塚地佐智君) 来年度中の法定雇用率の達成に向けて、既に今年度から対策、取り組みも進めてくださっていると思います。 今年度、正職員としての追加の特別募集を行った行政職の障害者採用試験には、採用予定人員2名に対し、第1志望として26名の方が申し込みをされました。なんと13倍の倍率となっています。 学校事務や県立病院事務を含むと38名の方が応募をされており、法定雇用率を達成したからといってその門戸を閉じてはならないと考えますけれども、知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 法定雇用率を超えたからといって障害者の皆様方の雇用をやめるということではなくて、積極的に雇用していくと、そういう方針で臨んでいきたいと思っています。 ◆37番(塚地佐智君) ぜひ正職員としての採用を、知事部局また企業局や教育委員会、公安委員会でも積極的に進めていただきたいと、ここは要望をしておきたいと思います。 障害の種別によっても、お一人お一人の状況によっても、適性やサポートの仕方が全く違っています。そこをしっかりと確認しながら仕事内容や職場環境をつくっていくことが求められます。これまでそのサポートが十分だったのかを、今しっかりと振り返っておくことが必要だと考えます。 現在は、障害のある方が働いている所属の長がその方の意見や要望を聞き取り、対応を図っておられますが、所属長に対してどのような研修が行われているか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(君塚明宏君) 所属長も含めまして職員の各階層別で行っております研修の中で、毎年度障害のある方全般に対する職員の心がけや配慮すべきことを理解してもらうための研修を実施しているところでございます。 ◆37番(塚地佐智君) 民間事業所では、12時間の講習を受けて取得をする障害者職業生活相談員という資格があり、5人以上の障害のある方を雇用する事業所には、厚生労働省が定めるこの資格を有する従業員のうちから障害者職業生活相談員を選任して、職業生活全般における相談、指導を行うように義務づけていますが、地方公共団体にはその義務づけがありません。 現在、国において国や地方公共団体にも配置する方向で検討がされていますが、まだ見通しは明らかではありません。障害のある方の所属の長には、障害者職業生活相談員の資格を取得するための講習に相当するような研修を受けていただく必要があると思いますが、今の時点でこの講習を受講することができません。 県として主体的に研修を行う必要があると思いますが、今後の対応について総務部長にお伺いをいたします。 ◎総務部長(君塚明宏君) 今後、さらに障害者雇用を進めていくに当たりましては、現在行っております研修に加えて、所属長を初め周囲の職員の理解が深まるよう、障害の特性に応じた指導や接し方など、より具体的で実践的な研修を行うことが必要だと考えております。 このため、ただいまお話のありました障害者職業生活相談資格認定の講習の内容も参考に、労働局など外部の専門機関にも協力をいただきながら、具体的な研修内容を検討していきたいと思っております。 なお、議員御指摘のとおり、国や地方公共団体に対しましても障害者職業生活相談員の選任を義務づけるよう、国において法律の改正が検討されているものと承知しております。この選任に必要となります障害者の人数要件が、課や出先機関ごとに判断するのかなど、詳細はまだ不明でありますけれども、検討の状況を注視いたしまして適切に対応してまいりたいと考えております。 ◆37番(塚地佐智君) 国の動向が前向きになっていまして、ぜひその動向も注視しながら、きめ細かくその職業生活相談員が配置できるという方向でぜひ検討していただきたいと思います。 配置されている上司の方から、困っていることがあれば言ってほしいと声をかけられるけれども、みんなが忙しくしていてなかなか言いづらい。障害の特性をわかってもらえず疎外感がある。気にはかけているが、どう接していいか戸惑ってしまう。こうした声は、現在さまざまな職場でも聞かれる声です。 専門知識のある、日常的に人間関係もできている、職場環境の改善に発言力もある、いわゆる産業医のような役割を果たせる方の配置が必要だと考えます。ぜひ県として、さまざまな障害に対する専門知識を持ち、本人や職場からの相談を受け改善策を提案できる人材を採用し、しかるべき部署に配置すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。 ◎知事(尾崎正直君) 障害のある職員が働きやすい環境づくりを行っていくためにも、所属長を初め周囲の職員に対する研修を充実させていく、これがまず第一に必要なことだと思っています。 その上で、障害のある職員及び一緒に働く職員双方へのサポートを継続的に充実させていくことが大事だろうと、そういうふうに考えるところでありまして、御指摘のありましたような産業医、こういう方への相談の体制とか、場合によっては外部の専門機関の活用、さらには専門職員の配置とか、そういうことも考えられるかもしれません。 どういうやり方がいいかということについて、他県の事例なども参考にさせていただきながら検討を深めていきたいと、そう思います。 ◆37番(塚地佐智君) ありがとうございました。外部の力をかりるということも大事なんですけれども、県は、やはり全県的に障害者雇用を進めていくという、民間に対する福祉部門の役割もあります。そういうことを考えると、やっぱり県庁がある意味モデル的な役割を果たせる職場づくりというのが大事だと思っていまして、今前向きに検討もいただくという御答弁もありましたが、私は障害者雇用推進監といいますか、やっぱり本当に県内の隅々の県庁の職場でそういったことが充実していける人材の配置というのはぜひとも必要だと思います。今、そういうことも検討の中に入れていこうという知事のお話もありましたので、前向きにぜひ検討していただきたいということは要望しておきたいと思います。 教育委員会においても同様のことが言えます。昨年10月に、各県立学校へ、障害のある方を非常勤職員として1校1名、10校で採用されています。さらに、来年度残りの県立学校でも1名の非常勤職員の採用を行うよう取り組んでおられます。この間の取り組みを参考事例として示すなど、教育委員会としての努力は否定するものではありません。 しかし、これまでは特別支援学校が主で、障害に理解のある職場です。今後、現場での受け入れ体制がないままなら、かえって採用された方にとっても、現場の同僚にとっても大きな負担になってしまうとの危惧の声も出されています。どのような特性を持った方なのか、どういう配慮が必要なのか、しっかりとしたプランを持って取り組みを進める必要があります。どのような仕事をしてもらうか、誰を採用するか、サポート体制はどうするのかも各学校任せでは、障害者雇用促進の真の狙いを達成することはできません。 県教委としてのしっかりとしたアドバイスや対応ができる体制が必要ではないかと思いますが、今後の取り組みについて教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 県教育委員会では、障害のある方の雇用をするに当たり、事務局に窓口となる担当者を決めまして、どのように選考すればいいのか、採用後にはどのようなことに配慮すべきなのかといった疑問や不安の声に対しまして、先行して雇用している学校の事例などについて情報提供をするとともに、高知労働局からのアドバイスをいただきながら各学校の支援をしてきたところでございます。 こうしたこれまでの取り組みに加えまして、今後は各学校において障害のある方の育成担当の役割を担う職員を選任して、日々の指導や相談を受けるなどの支援を行う体制づくりなどについて、学校と協議してまいりたいというふうに考えております。 また、県教育委員会としても、各学校に向けての窓口の設置に加えまして、労働局や障害者就業・生活支援センターなどの専門機関との連携を強化し、研修を開催するなど、学校の支援体制を充実してまいりたいというふうに考えております。 ◆37番(塚地佐智君) 学校現場は大変多忙な状況になっています。新たな負担になるということにならないように、県の教育委員会としてどうバックアップするかというところがとても大事なところで、そこにやっぱりそれなりに責任を持つ、今窓口というふうにおっしゃいましたけれども、先ほどの障害者職業生活相談員ぐらいの深い認識を持った方にその相談の対応をしていただけるようなことをぜひ進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。 次に、保育の無償化と保育士の処遇改善についてお伺いをいたします。 今開かれている通常国会に無償化関連法案として、子ども・子育て支援法の改正案が提案をされています。今回の無償化は、保育所、幼稚園を利用する全ての子供が対象になるわけではありません。無償化の対象になるのは3ないし5歳児が中心で、子ども・子育て支援新制度の対象となる施設で、幼稚園、保育所、認定こども園、地域型保育などが対象となります。ゼロ歳から2歳児については、住民税非課税世帯の子供のみが対象で、ほとんどの世帯は対象になりません。 対象にならない世帯の本県での割合はどのようになっているのか、教育長に伺います。 ◎教育長(伊藤博明君) 平成30年4月1日現在で、保育所等に入所しているゼロ歳から2歳の子供が1世帯について1人であるとして推計しますと、国の基準では保育の無償化の対象とならない世帯の割合は約80%というふうになっております。 ◆37番(塚地佐智君) 保育料は低年齢児ほど高くて、子育て世代にとっては大変負担が大きいもので、この所得制限を外して無償化の対象にするように求める必要があると私は思います。これは要望としておきます。 また、認可外施設においては、それぞれ上限額を決めての括弧つきの無償化で、ゼロ歳から2歳の住民税非課税世帯には、4万2,000円までの利用料が無償化をされます。 ここで問題になるのは認可外施設の範囲です。都道府県に届け出を行い、国が定める認可外保育施設指導監督基準を満たすことが必要であるとしながらも、5年間の猶予期間を設け、基準を満たしていない施設も対象にするとしていることです。子供たちの安全が保たれるのか、保育の質の確保の点からも問題があると思いますが、教育長はどのように認識をされているか、お伺いいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 子供たちの安全を確保することは、無償化の対象施設であるかどうかにかかわらず最も大切なことだと思っております。そのため、認可外保育施設指導監督基準により定期的に認可外保育施設の立入調査を行いまして、認可保育所に準じた職員配置や保育室の面積等についての基準を満たすよう、改善に向けた必要な指導を行っていくこととしております。 また、毎年9月には認可外保育施設の保育従事者を対象とした研修を開催しまして、保育の質の向上にも取り組んでいるところでございます。 ◆37番(塚地佐智君) 今問題になっていますのは、みなし的に5年間そうした指導監督基準を満たすことを目指していれば無償化ができるという規定に、大変な不安が広がっているわけです。この確認ができていない施設については無償化の対象にしないという条例をつくろうとしている市町村もあります。ぜひそういった事例も参考にしていただいて、子供たちに危険が及ばないような適切な対応を要求しておきたいと思います。 次に、給食費の問題について伺います。これまでも3歳以上の給食の主食材料費は保護者負担でしたが、今回の改定で、これまで保育料の中に含まれていたおかず、副食の食材費も実費徴収すること、徴収は各施設が行うことが示されました。 子供たちの成長にとって、豊かな食育にとって、給食は保育の原点とも言えるもので、保護者に新たな負担を求めることは本末転倒、しかも施設に新たな事務負担、徴収負担を生むことになります。この点については、子ども・子育て会議でも保育関係者団体から反対意見も多く出されていました。この方針の見直しをぜひ求めていただきたいと考えますが、教育長に伺います。 ◎教育長(伊藤博明君) 食材料費の取り扱いについては、在宅で子育てをする場合においても生じる費用であって、学校などと同様に実費を徴収すべきという考え方によるもので、見直しは難しいものと考えております。 なお、各施設や市町村における事務の取り扱いについては、国においてその負担を軽減するための検討が進められているとお聞きしており、今後も国の動きを注視していくとともに、市町村などの意見もお聞きしながら対応していきたいというふうに考えております。 ◆37番(塚地佐智君) 保護者は、保育料の中に食材費は含まれていて、それをこれまで負担してきたんだという、当然そういう認識です。保育料の無償化というのは、今まで負担してきたその保育料がなくなるんだと考えているわけで、新たにこの食材費が負担になるというのは大変納得のいかないということが1点。 もう一つは、学校給食も有償だから保育所も有償にする、それは食育の考え方として私はまるで逆だと思っています。むしろこの学校給食も無償化にする方向で意見を上げる、それが本来教育長としてとっていただきたい対応だというふうに私は思いますが、そこは答弁は結構でございます。 全国でも給食費の無料化というのは徐々に進んでいまして、ぜひこうした方向も見詰めながら今後の対応を考えていただきたい、また国には、新たな保育所の負担に徴収がならないようにしっかり声は届けていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。 私たちは、幼児教育・保育の無償化は世界の流れからも当然実施すべき施策だと考えています。しかし、財源の問題また現在の保育環境の劣悪さや、保育士不足による待機児の増加という深刻な実態を放置したまま、十分な検討もなく実施に踏み出すことに対する危惧の声があることにも、しっかり耳を傾ける必要があります。 本県でも、保育士不足と待機児童問題は深刻な状況です。まず、ここ3年間の1月1日時点での入所待機児童の人数について教育長に伺います。 ◎教育長(伊藤博明君) 1月1日時点での待機児童の数につきましては、平成29年が231人、平成30年が353人、平成31年が267人となっております。 ◆37番(塚地佐智君) 1月1日の時点ということで、4月当初には入所が決定をしてこの数が減るということにはなります。なりますけれども、またその年に生まれた子供さんたちが入所できないということで、結局また待機児童が1月1日段階ではふえてしまうというのが現状で、今の深刻な数字になっていると思います。 私たちのところにも、この時期さまざまな声が寄せられます。2人目の子供を同じ園に預けようと思ったけれども、定員いっぱいで、職場から反対方向になってしまって困っている。産休明けで入れてもらおうと思ったが、いっぱいで入れず、育休を延長しなくてはならなくなった。自分も保育士で、育休明けに預けようと思っていたが、保育士が不足していて予定していたゼロ歳児保育ができないと言われ、私も復職できなくなったという、負のスパイラルとなっているお話まで伺っています。 施設の定員は大丈夫だけれど、とにかく保育士が不足していて、園長さんの仕事は臨時の保育士さんを探すことという事態も広がっています。こうした状況をどのように認識されておられるか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 保育所等の園長の仕事は、保育所のスムーズな運営と健全な経営ということになっておりまして、子供の保育を行うための保育士確保もこうした業務の一環ではありますが、そのために園の運営に支障を来すことは好ましい状態ではないというふうに考えております。 市町村や施設設置者には、園長が本来の役割を果たせるように必要な対応をお願いしたいと思いますし、県教育委員会としましては、保育士の確保対策として修学資金の貸し付けやいわゆる潜在保育士の復職支援を行うとともに、子育て支援員の配置による保育士等の負担軽減、それから退職者の再雇用などの取り組みを促してきております。 ◆37番(塚地佐智君) 園長さんが保育士さんを探すのも仕事の一つだというふうにおっしゃいましたが、やはり行政がそこはしっかりと責任を持っていく、とりわけ公立保育所の場合は、役所の果たす役割というのは大きいと思うんです。保育士さんがいないがゆえに園児を預かることができないといった事態の解消は、ぜひとも園の責任ではなくて、やっぱり行政の責任としてしっかり果たしていくという決意で臨んでいただきたいと思います。 国も県も、この間保育士不足に対するさまざまな対応を行ってこられました。県としても、保育士等人材確保事業で求人、求職のマッチングや、今御答弁もありましたが、保育士修学資金等貸付事業の拡充、返済免除の拡大などにも取り組んでいます。しかし、その実績は思うように上がってはきていません。 平成30年度の保育士等のマッチング状況はどうなっているのか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 潜在保育士等の求職者と雇用者のマッチングにつきましては、高知県社会福祉協議会の福祉人材センターに委託して実施しておりますが、昨年4月から2月20日までで、潜在保育士等の求職者数が73人に対しまして、求人数は月平均で約100人となっております。その中で、実際に就職に至ったのは18人となっております。 ◆37番(塚地佐智君) 今、月単位の御答弁をいただきましたが、年間にするとどれくらいになるかの数字はありますでしょうか。 ◎教育長(伊藤博明君) 求職者数につきましては、73人というのは2月20日までの数字でございます。求人数につきましては、新しいのが出てきてどんどんということになっていますので、トータルといいますか、月平均にすると100人ぐらいの求人が毎月あるというような格好で、年間トータルでどれだけの求人数かはなかなかカウントができませんでしたので、月平均で100人ぐらいの求人があるというようなお答えをさせていただきました。 ◆37番(塚地佐智君) いずれにしても、100人の求人に対して18人という数字なので、大変マッチングが難しい状況の具体的な数字なんだと思います。その要因についてどういうふうに分析をされているのか、教育長に伺います。 ◎教育長(伊藤博明君) それぞれ求職者個々の理由もあると思いますけれども、総じて求職登録があっても、勤務時間それから給与面の勤務条件、労働条件が求職者の希望に折り合わないことから就職に至らない、または条件の合う他の例えば児童福祉施設などに就職して、保育所への就職につながっていない状況があるというふうに考えております。 勤務条件とか労働条件も含めて、保育士として働きたいと思えるような環境、現場をつくっていくことが大切であるというふうに考えております。 ◆37番(塚地佐智君) 本当に大事な御答弁だと思います。今、やっぱり保育士さんの処遇の改善ということなくして今の保育士不足ということを解決することはできませんので、それに対して、やっぱり国や地方自治体がどういう役割を処遇改善で果たしていけるのかということを--思い切って私は足を踏み出す必要があるというふうに思います。 この保育士不足について、私は責任の重さ、労働密度の厳しさ、業務負担の増加、さらにそれに見合う処遇になっていない、まさに今教育長が御答弁になったとおり、そのことが最大の要因だと考えます。保育の現場はまさに命を丸ごと預かる場所です。自分の子供1人でもなかなか大変な状況なのに、国の職員配置の最低基準は、1・2歳児で6人に1人、3歳児では20人に1人、4・5歳児では30人に対して1人の保育士、しかも家庭との連絡や保護者との関係は、学校よりも日々顔を合わせながらの助言や指導が必要になっています。現在、開園時間は朝の7時から夕刻の7時まで、大変な長時間労働にもなってきています。 まず、この労働密度の改善、業務負担の軽減は急務です。保育士の働き方改革、私は今そういう旗を掲げるべきときだと思います。その中身としても、職員配置の最低基準を改善することで推進するように国に求めるべきだと考えますけれども、この点は知事にお伺いをいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 平成27年度に子ども・子育て支援新制度がスタートしたときに、国において、3歳児についての職員配置に関しては、最低基準が20対1のところを15対1の配置ができる財源措置が講じられたわけであります。 しかしながら、1歳児と4・5歳児につきましては、こういう財源措置は見送られることとなりました。そういうことでありますので、全国知事会といたしまして、この1歳児と4・5歳児につきまして職員配置を充実するための財源措置について、国に要望してまいりました。 具体的には、1歳児については最低基準6対1のところを5対1、そして4・5歳児につきましては最低基準30対1のところを25対1、これを可能とするような財源措置をという要望をしてきたわけであります。引き続きこの要望を行っていきたいと、そう思っています。 ◆37番(塚地佐智君) ぜひやっぱり基盤となるこの最低の職員配置基準というのを--先ほどおっしゃった水準では、まだまだ大変な状況は現場には残ると思いますけれども、ぜひ御奮闘いただきたいとお願いをしておきたいと思います。 今保育士の皆さんは、大変厳しい職場、また他職種の平均よりも賃金が低い、この現状の改善も急がれています。根本においては公定価格を引き上げることが重要だと考えますが、当面国においてこの間、処遇改善等加算制度が実施をされてまいりました。民間保育所と民間幼稚園に対し、処遇改善等加算Ⅰは、職員1人当たりの平均経験年数によって加算率を設定するもの、処遇改善等加算Ⅱは、経験年数おおむね7年以上で4分野以上の研修を修了することを条件に月4万円の加算、また3年以上で一定の研修を受け月5,000円の加算というメニューがあります。 しかし、現場からは、研修に出せる人的余裕がなくせっかくの制度も使い切れない、研修を受けた全員に4万円を支給できる制度になっておらず不公平感があるなどの声が出ています。 北海道などでは出前研修を実施し、少しでも負担を軽くする取り組みなどがなされています。また、ネットやDVDなどによる研修に改善できないかとの声もあります。県として改善するお考えはないか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 保育士等の処遇改善等加算制度に関する研修においては、既存の人材育成研修と重ねて受講できる、それから複数会場から選択できるといった講座を設け、また出前研修の形で所属園において学ぶ実践研修の時間を設けることなどによりまして、受講者の負担を軽減してきております。 今後も、保育者が必要な資質・指導力を研修を通して身につけられるよう研修内容の充実に努めてまいりますが、受講方法や受講場所などについて、受講者や受講園の負担を軽減する方向で検討を進めてまいりたいというふうに考えます。負担を軽減するために、ネット研修については有効な手段の一つであると考えられますので、その導入について他県の実施例なども参考にしながら研究してまいりたいというふうに考えております。 ◆37番(塚地佐智君) ありがとうございました。 高知市の民営保育所協議会の皆さんからも、ぜひそうした研修の改善をしてほしい--さらには研修に出したときに、4人研修に出しても代替は1人分しか予算措置がないといった問題もあって、この問題は今回取り上げていませんけれども、ぜひ実態をよく聞いていただいて、具体的改善を進めていただき、処遇改善がスムーズに進むようにお願いをしておきたいと思います。 今後の保育士さんの確保についてで、公立保育所においてはこの改善加算が当然あるわけではありませんが、今問題になっているのは、公立の保育所において臨時の保育士さんの雇用が今後会計年度任用職員制度に移行する際に、今までの処遇よりも引き下げになり、賃金がさらに低くなって一層保育士不足が深刻になるとの危惧の声が出されています。 現在、公立保育所での臨時職員の割合はどのような状況か、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 平成30年4月1日現在、本県の公立保育所における常勤の保育士の数は、正規職員が846人、臨時職員が618人であり、臨時職員は42.2%というふうになっております。 ◆37番(塚地佐智君) まず、今保育の現場では、臨時の保育士さんがクラス担任をしなくてはならないという状態も大変広がっています。こうした方々は当然正式採用、正職員にしていくという流れをつくらなくては、保育士不足の根本解決はできないというふうに私は思っております。ぜひそういう方向をつくり出していただきたいということが1つです。 同時に、今おっしゃられた618人という大変大量な臨時の職員の皆さんがどういう処遇になっていくのか、これは今後の保育士不足にとっても大変大きな問題になってまいります。確かに市町村の問題ではありますけれども、この深刻な臨時の保育士さんの処遇をどうしていくのか、決して現在から下がることのないような努力が必要だというふうに思います。 会計年度任用職員制度の導入に向けた事務処理のマニュアルの中には、専門職である保育士さんや看護師さんについて、今回の制度の移行でも現状から下がらないような工夫をしてもいいんだと、ある意味しなくてはならないと私は思いますが、そういうものもきちんと出されているわけです。ぜひそういう情報提供も市町村にもしていただいて、決して今の処遇から引き下がることのないような助言をぜひ市町村にしていただきたいということを、お願いしておきたいと思います。 市町村任せにせずに、保育士不足に県として責任ある対応が求められていますが、どのように対応されるか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 現在、子供の数が減少傾向にありまして、県全体の保育所への入所数もこの10年間で1,300人減少しているにもかかわらず、多くの保育士の配置を必要としますゼロ歳から2歳の入所児童数は、約600人増加しております。加えまして、加配が必要となります特別な支援が必要な子供や家庭も増加しておりまして、結果、保育士の数は平成20年度の2,716人から平成30年度には3,015人と、約300人増加をしております。 このように急激に保育士の数が増加する中で、各市町村においては、全体的な少子化を見越して臨時職員も含めた職員採用を行っており、保育士の正職員化を一気に進めることは難しい状況にあるというふうに考えております。 正規か臨時かいずれの職を配置するかは市町村の裁量に任されてはいるものの、保育士の確保に向けた処遇改善面や、家庭支援、就学前教育を継続的に行うための人材育成面からも、職員は正規職員の配置が望ましいと考えており、正規職員の配置割合の高い市町村もありますので、こうした市町村の状況もお聞かせいただきながら、どうすれば正規職員の配置が進むのか研究を進めていきたいと思います。 ◆37番(塚地佐智君) ありがとうございました。 ○議長(土森正典君) 以上をもって、塚地佐智さんの質問は終わりました。 以上で、本日の議事日程は終了いたしました。 明7日の議事日程は、一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時45分散会...