高知県議会 > 2019-02-28 >
02月28日-02号

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  1. 高知県議会 2019-02-28
    02月28日-02号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成31年  2月 定例会(第347回)        平成31年2月28日(木曜日) 開議第2日-----------------------------------出席議員       1番  金岡佳時君       2番  下村勝幸君       3番  野町雅樹君       4番  上田貢太郎君       5番  今城誠司君       6番  久保博道君       7番  田中 徹君       8番  土居 央君       9番  浜田豪太君       10番  横山文人君       11番  加藤 漠君       12番  坂本孝幸君       13番  西内 健君       14番  弘田兼一君       15番  明神健夫君       16番  依光晃一郎君       17番  梶原大介君       18番  桑名龍吾君       19番  武石利彦君       20番  三石文隆君       21番  浜田英宏君       22番  土森正典君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  池脇純一君       26番  石井 孝君       27番  大野辰哉君       28番  橋本敏男君       29番  前田 強君       30番  高橋 徹君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  中内桂郎君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         尾崎正直君  副知事        岩城孝章君  総務部長       君塚明宏君  危機管理部長     酒井浩一君  健康政策部長     鎌倉昭浩君  地域福祉部長     門田純一君  文化生活スポーツ部長 門田登志和君  産業振興推進部長   井上浩之君  中山間振興・交通部長 川村雅計君  商工労働部長     近藤雅宏君  観光振興部長     吉村 大君  農業振興部長     笹岡貴文君  林業振興・環境部長  田所 実君  水産振興部長     谷脇 明君  土木部長       村田重雄君  会計管理者      中村智砂君  公営企業局長     北村 強君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  金谷正文君  公安委員長      西山彰一君  警察本部長      宇田川佳宏君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   麻岡誠司君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       弘田 均君  事務局次長      川村文平君  議事課長       横田 聡君  政策調査課長     織田勝博君  議事課長補佐     飯田志保君  主幹         浜田百賀里君  主査         宮脇 涼君-----------------------------------議事日程(第2号)   平成31年2月28日午前10時開議第1 第1号 平成31年度高知県一般会計予算 第2号 平成31年度高知県収入証紙等管理特別会計予算 第3号 平成31年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第4号 平成31年度高知県旅費集中管理特別会計予算 第5号 平成31年度高知県用品等調達特別会計予算 第6号 平成31年度高知県会計事務集中管理特別会計予算 第7号 平成31年度高知県県債管理特別会計予算 第8号 平成31年度高知県土地取得事業特別会計予算 第9号 平成31年度高知県国民健康保険事業特別会計予算 第10号 平成31年度高知県災害救助基金特別会計予算 第11号 平成31年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算 第12号 平成31年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第13号 平成31年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計予算 第14号 平成31年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第15号 平成31年度高知県県営林事業特別会計予算 第16号 平成31年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第17号 平成31年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第18号 平成31年度高知県流域下水道事業特別会計予算 第19号 平成31年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第20号 平成31年度高知県高等学校等奨学金特別会計予算 第21号 平成31年度高知県電気事業会計予算 第22号 平成31年度高知県工業用水道事業会計予算 第23号 平成31年度高知県病院事業会計予算 第24号 平成30年度高知県一般会計補正予算 第25号 平成30年度高知県収入証紙等管理特別会計補正予算 第26号 平成30年度高知県用品等調達特別会計補正予算 第27号 平成30年度高知県会計事務集中管理特別会計補正予算 第28号 平成30年度高知県県債管理特別会計補正予算 第29号 平成30年度高知県国民健康保険事業特別会計補正予算 第30号 平成30年度高知県災害救助基金特別会計補正予算 第31号 平成30年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第32号 平成30年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第33号 平成30年度高知県農業改良資金助成事業特別会計補正予算 第34号 平成30年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第35号 平成30年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計補正予算 第36号 平成30年度高知県流域下水道事業特別会計補正予算 第37号 平成30年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第38号 平成30年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算 第39号 平成30年度高知県電気事業会計補正予算 第40号 平成30年度高知県病院事業会計補正予算 第41号 高知県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例議案 第42号 高知県所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法関係手数料徴収条例議案 第43号 高知県個人情報保護条例の一部を改正する条例議案 第44号 高知県行政不服審査法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第45号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第46号 職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例等の一部を改正する条例議案 第47号 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例議案 第48号 高知県職員の大学院等派遣研修費用の償還に関する条例の一部を改正する条例議案 第49号 高知県職員等こころざし特例基金条例の一部を改正する条例議案 第50号 高知県特別会計設置条例の一部を改正する条例議案 第51号 高知県衛生試験等手数料等徴収条例の一部を改正する条例議案 第52号 高知県助産師緊急確保対策奨学金貸付け条例の一部を改正する条例議案 第53号 高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県介護保険法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県立療育福祉センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県土地改良事業費分担金等徴収条例及び高知県住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県建築基準法施行条例の一部を改正する条例議案 第58号 高知県港湾施設管理条例の一部を改正する条例議案 第59号 高知県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例議案 第60号 高知県立青少年センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第61号 高知県文化財保護条例の一部を改正する条例議案 第62号 高知県森林整備加速化・林業再生基金条例を廃止する条例議案 第63号 高知県スポーツ科学センターの指定管理者の指定に関する議案 第64号 高知県立足摺海洋館の指定管理者の指定に関する議案 第65号 権利の放棄に関する議案 第66号 県有財産((仮称)高知布師田団地造成事業用地)の取得に関する議案 第67号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第68号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第69号 県が行う流域下水道の維持管理に要する費用に対する市の負担の変更に関する議案 第70号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第71号 病弱特別支援学校建築主体工事請負契約の締結に関する議案 第72号 浦戸湾東部流域下水道高須浄化センター消化槽設備工事委託に関する協定の一部を変更する協定の締結に関する議案 第73号 県道の路線の認定に関する議案第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(土森正典君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(土森正典君) 御報告いたします。 第46号議案及び第47号議案については、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき人事委員会に意見を求めてありましたところ、適当であると判断する旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。   〔人事委員会回答書 巻末468ページに掲載〕----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(土森正典君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「平成31年度高知県一般会計予算」から第73号「県道の路線の認定に関する議案」まで、以上73件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 17番梶原大介君。   (17番梶原大介君登壇) ◆17番(梶原大介君) おはようございます。梶原大介でございます。議長のお許しをいただきましたので、発言をさせていただきます。 本年1月7日に天皇陛下が御即位をされて30年となり、去る2月24日には政府主催の御在位30年記念式典が開催をされ、翌25日には、この高知県においても県主催の記念式典が開催をされました。天皇陛下におかれましては、御在位30年をお迎えになられましたことを謹んでお祝い申し上げます。 また、このたび御成婚60年をお迎えになられました皇后陛下とともに常に国民に寄り添ってくださり、日々国の安寧と世界の平和と人々の幸せを全身全霊をもって祈り続けてくださいましたことに、国民の一人として心から感謝を申し上げますとともに、天皇皇后両陛下の御健康と皇室の御繁栄を心よりお祈り申し上げます。 それでは、自由民主党を代表いたしまして、通告に従い順次質問をさせていただきます。 本年1月28日開会の第198回国会の冒頭に、安倍内閣総理大臣が施政方針演説を行いました。その内容においては、まず初めに天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位に触れられ、国民こぞってことほぐことができるよう万全の準備を進めていくと述べられております。 次に、全世代型社会保障への転換として、本年10月からの幼児教育の無償化や介護の受け皿づくりに取り組むこと、また次に成長戦略として自動運転の解禁や遠隔教育の推進、また地方創生や戦後外交の総決算に触れ、最後に憲法においては、次の時代への道しるべとして国会での各党の議論が深まることを期待するとしており、平成のその先の時代に向かって日本のあすを切り開く、ともにその責任を果たしていこうではありませんかと締めくくっております。これはもちろん、与野党問わずの国会議員はもとより、全国民に対しても呼びかけたものでもあると存じております。 この、平成としては最後となる、これからの国の内政及び外交、国政全般における内閣の基本方針としての施政方針演説から始まりました今国会において、現在来年度予算や税制改正などの議論が進められております。 平成31年度一般会計予算の総額は、2018年度当初比で3.8%増の101兆4,571億円となり、7年連続で更新をし、過去最大となっております。その歳入においては、税収は62兆4,950億円、バブル期のピークである平成2年の60.1兆円を抜き、過去最高を更新すると見込んでおりますし、歳出においても、3分の1を占める社会保障費が34兆円を超え、過去最高を更新するものとしております。また、重点項目として、全世代型社会保障制度への転換、消費税引き上げによる経済への影響の平準化、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」などの国政課題に取り組みながらも、国債発行額を7年連続で縮減するなど、財政の健全化にも努めるものとしております。 また、平成30年度第2次補正予算においては、「防災・減災、国土強靱化」、TPP協定の早期発効に対応するための農林水産業の強化、中小企業・小規模事業者に対する支援などにより、2兆7,000億円の補正予算が今月7日に成立をしております。 昨年12月21日に平成31年度予算案が閣議決定をされました際には、地方6団体として、地方財政対策において、地方交付税や地方の一般財源総額の前年を上回る確保や、臨時財政対策債を前年度から抑制したことなどは、これまでの提言に沿ったものであると評価をする一方で、今後の地方税財源の確保、充実を求めるなどの声明を出しております。 現在国会で議論をされております国の平成31年度予算並びに成立をしました平成30年度第2次補正予算について、これまでの国への要望や国と地方の協議、また行ってきた政策提言などを踏まえての御所見を知事にお伺いいたします。 また、同じく現在議論が行われております平成31年度の税制改正においても、与党税制改正大綱について、地方法人課税の偏在是正についてなどの要望を、これまで全国知事会として行われております。その大綱においては、税源偏在があれば地方税の充実の障害になるとし、地方税の充実確保を図る前提として地方税源の偏在是正が必要との認識を示して、地域間の財政力格差拡大、経済社会構造の変化等に対応し、都市と地方が支え合い、ともに持続可能な形で発展をしていくため、地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置を講ずるとの結論を出しております。 この平成31年度税制改正案について知事の御所見をお伺いいたします。 次に、新経済・財政再生計画改革工程表2018についてお伺いいたします。昨年6月に閣議決定をされました骨太の方針2018においては、新経済・財政再生計画が定められ、この中で財政健全化目標として、2025年度の国・地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化を目指すこととしております。また、その取り組みを具体的に進めるため、昨年12月、経済財政諮問会議において、新経済・財政再生計画改革工程表2018が取りまとめられました。3年ぶりに全面改定されたこの工程表においては、平成31年度からの3カ年度を基盤強化期間とし、社会保障や社会資本整備、地方行財政改革、文教・科学技術などの主要な分野ごとに改革の取り組みや政策目標が詳細に定められております。 今後、次年度以降まさに平成のその先の国の予算編成や社会保障制度、地方の行財政改革などに幅広くかかわってくるものでありますが、国の財政健全化に向けた新経済・財政再生計画改革工程表2018の取り組みについて知事の御所見をお伺いいたします。 それでは次に、高知県の県勢浮揚に向けての5つの基本政策、また横断的にかかわる政策に関連をするものについて、順次お伺いをさせていただきたいと存じます。まず、教育についてお伺いいたします。 高知県の将来を担う子供たちへの教育の充実に取り組むための、教育等の振興に関する施策の大綱及び第2期高知県教育振興基本計画は、来年度最終年度を迎えます。これまでの取り組みについては、県の総合教育会議において徹底した進捗管理を行い、それぞれの成果と課題を踏まえ、来年度に向け改訂を行うこととされております。 昨年12月の第3回の会議では、目標の達成状況や本年度の施策の進捗状況、そして第3次改訂の概要について議論が行われております。改訂の主なものとして、チーム学校の取り組みの徹底、厳しい環境にある子供たちへの支援の一層の強化、県立高等学校再編振興計画の推進に向け取り組みを進めていくこととなっております。 最終年度を迎え、まず大綱におけるこれまでの取り組みをどのように総括するのか、また改訂を行い最終年度にどう臨まれていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、その改訂について、まず小中学校の授業改善の徹底についてお伺いいたします。平成28年度から中学校において教科の縦持ちが導入をされ、本年度は実施可能な31校全てにおいて拡大をしております。小規模中学校においても、昨年度からは教科の枠を超えたチームで授業改善を進める教科間連携を11校で導入し、教員同士で学び合う仕組みづくりについての研究が行われております。 教員の大量退職に伴い初任者が急増する中で、効果的な教育技術の伝承が求められておりますが、近年県内の児童生徒の約半数を抱える高知市の全国学力・学習状況調査の結果においては、小学校はここ数年下降傾向にあり、また中学校は特に数学において全国平均と県平均を大きく下回る大変厳しい状況にございます。このことから、昨年4月より県から7名の指導主事を派遣している高知市学力向上推進室に、10月から新たに3名を加え、特に課題の見られる学校への訪問指導の強化をされております。 今後、中学校においては、縦持ち指定校など先行的に取り組んだ学校の成果をいかに普及させていくのか、また小学校においては、学級担任制によるため、日々の授業や生徒指導、学級経営が個々の学級担任に任されており、経験の浅い若手教員を学校の中で育てる仕組みづくりが十分でないといった課題がある中で、来年度いかに取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 次に、高等学校における基礎学力定着に向けた取り組みの徹底についてお伺いいたします。県立高校の全日制及び多部制昼間部全36校で実施をしております学力定着把握検査のうち、国語、数学、英語の基礎学力を診断する検査を実施している30校において、最も学力が低い層と言われるD3層の生徒が全体の3割に達しており、大きな課題が浮き彫りとなっております。 このため、本年度は学校支援チームを設置し、各校への定期的な訪問により、授業改善やカリキュラムマネジメントの強化に向けた助言や指導などを行い、これまでに延べ800回を超える訪問などの取り組みの結果、本年度の2年生では、入学時に31.0%であったD3層の生徒の割合が9月には13.6%と、その成果もあらわれてきております。 今後、授業改善の取り組みを3教科だけではなく、学校全体の取り組みとして拡充をしていく必要があると思われますが、来年度の取り組みについて教育長にお伺いをいたします。 次に、県立高校の再編についてお伺いをいたします。平成31年度からの5カ年の再編振興に向けたものとして、昨年12月に県立高校再編振興計画後期実施計画が策定をされました。この計画の柱には、ICTの活用による中山間地域の高等学校での教育環境の充実や、各校の特色を生かし、魅力ある学校づくりを推進するための方策などを掲げております。 先日の知事提案説明の中でも、高等学校は住民の皆様の生活にかかわる大切な施設であり、とりわけ中山間地域ではその存在意義は極めて大きいとし、できる限りその存続を図り、またそのために各校の魅力と特色ある学校づくりを進めていくことが重要であると言われております。来年度の取り組みについて教育長にお伺いをいたします。 次に、産業振興計画の改定についてお伺いをいたします。知事就任直後より約1年の策定期間を経て、平成21年度から実質スタートをした産業振興計画は、本年で10年が経過をいたします。この間の実績については、各産業分野の産出額が増加傾向にあることや、県内実質GDPがプラス成長へと転じていることなどを挙げられております。 当時、計画のスタート時においては、リーマンショックを受けて世界的に景気が冷え込む中で地産外商に挑戦をするという、逆風の中でのスタートであったと思いますが、その後の大河ドラマ龍馬伝による観光熱の高まりや、アベノミクスや地方創生など国の政策の追い風もあり、高知県経済は順調に伸びてきたところでございます。もちろん国の経済政策や関連施策の追い風をしっかり捉えることができたのは、毎年PDCAを回しながら計画を見直しバージョンアップを図ってきたからこそであり、そのことがさまざまな成果にもつながってきたものと存じております。 いよいよ第3期計画も最終年度を迎える中、次のver.4では、この10年の実績をもとに新たな10年の展望を開くスタートとすることが重要であるとされております。 そこで、次の10年に向けての第一歩となる第3期産業振興計画のver.4への改定に向けて、まずこの10年をどのように総括されたのか、そして最終年度に向けどのように臨まれるのか、知事に御所見をお伺いいたします。 次に、それぞれの産業分野についてお伺いをいたします。まず、農業振興について、本年1月に設立をされましたJA高知県についてお伺いをいたします。 現在の日本の農業を取り巻く環境は、国内においては農業者の高齢化や農業後継者と農業労働力の不足、また国際的には、昨年12月30日にTPP、本年2月1日には日欧EPAが発効され、農業分野でもさらなる国際競争の場に立たされることなどの将来に向けた課題を抱えております。 本県においては、平成7年から平成27年までの20年間で農業就業者人口は半減をし、農家人口の高齢化率も29%から44%へと上昇を続けております。特に県内34市町村の全てが有する中山間地域においては、同じ期間の比較では、農業就業者人口は約55%減、その高齢化率は30%から46%へとさらに上昇をしており、本県の今後の農業振興には、耕地面積の約8割を占める中山間地域の農村と農業を発展させていくことが必要不可欠でございます。 こうした状況の中、JAグループ高知では、今後のますます厳しくなる農業を取り巻く環境に対応すべく、個々のJAの枠を超え連合会も含めた県域全体で、人材、資金、施設などの経営資源を結集して運営や事業の高度化などを図ることにより、将来にわたって農業の発展に貢献をし、豊かで暮らしやすい地域社会をつくっていくことを目的に、本年1月JA高知県を設立されました。 その機関紙によりますと、正組合員数は約4万7,000人で全国第7位、販売取扱高は約664億円で全国第2位、購買品供給高は約307億円で全国第4位と、全国屈指の農業協同組合になられたとのことであり、今後の本県の農業振興に大きな役割を担ってもらえるものと期待をするものでございます。 合併から約2カ月が経過をいたしましたが、JA高知県に対しまして今後どのようなことを期待するのか、知事の御所見をお伺いいたします。 また、今回の12JAの合併によりJA高知県は高知県全域を対象とすることとなったことから、組合員は県下一律のサービスを受けることが可能となりました。合併により大きくなった経営資源を有効活用し、そのスケールメリットを発揮することにより、その効果が組合員の所得の向上や生活の安定に反映されるなど、組合員から評価をされることも非常に重要となってまいります。 JA高知県は、今回の合併によるスケールメリットを具体的にどのように生かし、農業者の所得の向上や生産拡大につなげようとされているのか、またその取り組みに対して県としてどう支援などをしていくのか、農業振興部長の御所見をお伺いいたします。 次に、Next次世代型施設園芸農業についてお伺いをいたします。これまで県では、オランダの環境制御技術などの先進技術を取り入れ、高知県の栽培条件に適応させた次世代型こうち新施設園芸システムを開発し、本年度末には次世代型ハウスは209棟、46ヘクタールまで整備が進み、炭酸ガス発生装置などの環境制御技術の導入率も50%まで拡大をする見込みとなっております。 さらに、本年度から産学官が連携をし、この次世代型システムにIoTやAIなどの先端技術を融合させ、さらなる高収量・高品質・高付加価値化や超省力化・省エネルギー化を目指すとともに、これらを本県で開発することにより、機器関連産業群の創出・集積を図るNext次世代型の取り組みをスタートさせました。 昨年10月には、国の地方大学・地域産業創生交付金の事業に採択をされ、本年度から5年間で約29億円の交付が決定をし、大きく分けますと、生産性システム・省力化研究、高付加価値化研究、流通システム・統合管理研究の3つの課題研究に取り組んでいくとのことであり、プロジェクトの成功、早期実現が期待をされるところでございます。 本プロジェクトの取り組みの中で、今年度からJAの集出荷場に蓄積をされている等階級別の出荷量などのデータを活用した出荷予測システムの開発に先行して取り組んでおられますが、現在の開発状況と今後システムをどのように農家の所得向上につなげていくのか、今後の展望について農業振興部長にお伺いいたします。 次に、林業振興についてお伺いいたします。これまでの林業分野の取り組みにおいては、原木生産のさらなる拡大、加工体制の強化、流通・販売体制の確立、木材需要の拡大、担い手の育成・確保の5つの柱を立てて、川上から川中、川下までの総合的な施策を展開してまいりました。 その中の川中、川下においては、大型製材工場や木質バイオマス発電所の整備などにより、いわゆるB材からC・D材までの安定的な需要を確保するとともに、山側においては、高性能林業機械の導入や路網整備を推進し、原木の生産性の向上に取り組んできた結果、産業振興計画前の平成20年の41万8,000立方メートルから、平成29年の66万8,000立方メートルまで、1.6倍に増加をしており、一定の成果が上がっているものと存じております。 ただ、計画では、今後においても平成37年に90万立方メートルの原木生産量の目標を掲げており、さらなる生産拡大を進めていくためには、間伐による原木生産に加えて、主伐による原木生産を進めていくことも必要となってまいります。この際に、将来にわたり持続的な林業生産活動が可能となるためには、主伐をした後に適切な再造林が行われ、森林資源が維持されるようにしていくことが大変重要となってまいります。 しかしながら、現在主伐後に再造林が行われている面積は約4割程度であり、今後の主伐の増加を見据え再造林の促進を図っていくことが必要と思われますが、林業振興・環境部長の御所見をお伺いいたします。 次に、水産振興についてお伺いいたします。県内の漁業者数は、国の統計によると、平成25年には約4,000人を割り込み、過去15年間の推移では5年間で約1,000人のペースで減少を続けており、平成30年の結果はまだ出ておりませんが、3,000人を下回ることが危惧されております。また、その年齢構成を見ましても、60歳以上の割合が増加し、平成25年には過半数を超え、他の産業に比べましても高齢化が一層深刻な状況となっております。 県では、水産業分野の取り組みの中でも、担い手の確保を重要な柱と位置づけ、就業を支援するアドバイザーの配置や、漁船取得を支援する漁船リース事業を創設するなど、施策のバージョンアップを図ってまいりました。しかしながら、これらのさまざまな取り組みにもかかわらず、漁業者の減少を食いとめるには至っておらず、また日本の漁業全体でこの課題には向き合っているものと存じております。 こうした中、来年度予算では、昨年水産振興部内に立ち上げた漁業就業支援センターの体制を強化し、担い手確保の抜本強化を図ることとされております。 長年の課題である漁業の担い手確保にどのように取り組んでいくのか、水産振興部長にお伺いをいたします。 次に、商工業振興について、まず高知版Society5.0の取り組みについてお伺いいたします。知事は、提案説明において、高知版Society5.0の実現に向けての取り組みを抜本的に強化し推進していくと言われております。このSociety5.0は、科学技術基本法に基づき、国が5年ごとに策定をしている科学技術基本計画の第5期計画で初めて提唱をされた我が国発の未来社会のコンセプトであります。それによりますと、サイバー、仮想空間とフィジカル、現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会とされております。 もう少し具体的に申しますと、フィジカル--現実の空間から、センサーとIoTを通じてあらゆる情報がサイバー--仮想の空間に集積をし、さらにその情報をAIが解析した上で、高い付加価値をつけて仮想空間から現実空間にフィードバックすることによって、新しい価値やサービスが次々に創出をされ、人々に豊かさをもたらすというものであります。 これに関しては、日本はもとより世界中のIT企業などが、IoTやAI、ビッグデータ、ロボットなどの最先端技術に可能性を見出し、新たな技術やサービスの創出にしのぎを削っております。最近では、これに関するニュースをテレビや新聞などで見ない日はないと言っても決して過言ではありません。 このような状況の中で、本県でも高知版Society5.0の実現に向けて目指していくということは、功を奏せば第1次産業や中山間地域の課題を解決し、今後の県勢の発展につながるのみならず、地方への人の流れをつくるための起爆剤ともなり得るとの期待も寄せるところでございます。 本県で最先端のデジタル技術の活用を進めていくことの意義や今後の取り組みについて知事の御所見をお伺いいたします。 次に、川谷刈谷工場用地での企業立地についてお伺いいたします。昨年9月末に、元ルネサス社の高知工場の譲渡先が、愛媛県に本社を置く丸三産業株式会社に決定をされ、10月には丸三産業と香南市との聞で進出協定が締結されております。ルネサス社から工場の閉鎖に関連する発表が行われて以来、県政における重要な課題として、県議会においても本会議や委員会での議論を重ね、また執行部とともに譲渡先の確保にも努めてまいりました。 先月には、6月から一部操業を目指すとの報道もありましたが、このたびあの場所で新たに事業が開始をされますことは、積年の県政課題でもありました香南工業用水道の本格稼働と、県の製造品出荷額にも大きな影響を与える規模の企業の撤退という負のイメージを払拭する大変明るいニュースであったと、多くの関係者や県民の皆さんもうれしく感じられたことと存じております。 このたびの進出を機に、香南工業用水道事業について、丸三産業株式会社への安定的な給水の確保や給水コストの削減、維持管理などの観点から、香南市の工業用水道事業と統合し県が主体となって事業を行っていくことについて、さきの12月議会において関連予算の審議を行い、また今議会には、その給水能力を引き上げるため、高知県公営企業の設置等に関する条例の改正議案が上程をされております。 以上のような経過から、現在はルネサス社から譲り受けた川谷刈谷工場用地の分譲については、工業用水の利用に係る条件等を見直して3月8日までの再公募を行われておりますが、現在どのような状況であるのか、また今後どのように取り組むのか、商工労働部長にお伺いいたします。 次に、観光振興についてお伺いいたします。幕末期から明治維新にかけて多くの偉人を輩出した本県でありますが、大政奉還と明治維新からそれぞれ150年の節目に当たる一昨年と去年に合わせて約2年間にわたり、歴史観光を中心とした「志国高知 幕末維新博」が開催をされ、先月末をもって閉幕されました。開催期間を通して、メーン会場である高知城歴史博物館、坂本龍馬記念館、そして県内各地にある地域の博覧会会場などには334万人を超える方々が来場され、県内各地への波及効果も及んでいるものと存じております。 また、昨年は多くの観光客が本県に訪れる夏場に豪雨や台風などの災害に見舞われながらも、昨年1年間の県外観光客入り込み数は約441万人と、過去最高と同水準となったのも、それぞれの地域や観光業界と行政などが力を合わせての取り組みの結果であるものと存じております。 2年間の開催期間を終えました「志国高知 幕末維新博」の総括について知事の御所見をお伺いいたします。 次に、「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」についてお伺いいたします。今月1日から自然・体験を前面に打ち出した新たな観光キャンペーンがスタートいたしました。JR高知駅前のこうち旅広場ではスタートイベントが開催をされ、幕末維新博の勢いを引き継ぎ、大いににぎわったとお聞きをしております。 このキャンペーンでは、これまで磨き上げてきた歴史や食を生かした観光振興にも引き続き取り組みつつ、中山間地域の振興やインバウンド観光の強化を目指して展開をされることとなります。目の前に広がる太平洋とその背後にそびえる四国山地の間を清流が流れるという独特の地勢と手つかずの自然景観、またその中でのさまざまな自然・体験は多くの観光客を魅了させることができるものと期待をいたすところでございます。 今後、県内各地で山、川、海などの自然を生かしたさまざまな体験メニューの磨き上げや、中山間地域の暮らしや伝統文化などにも触れられる体験などの観光基盤づくりが進められるものと存じております。 そこで、本県の目標としております435万人観光の定常化や、さらなる観光振興にかける知事の思いを踏まえまして、このキャンペーンの取り組みについて知事に御所見をお伺いいたします。 次に、中山間対策についてお伺いいたします。 日本全国の地方が抱える課題である人口減少にいち早く陥った高知県では、中山間地域においていまだ人が減り、地域の維持が困難な状況が続いております。 人口の減少による経済の縮小、それによる雇用の場の縮小、若者の域外への流出、同時に進行する過疎化、高齢化と少子化の加速、そしてさらなる人口減少という負のスパイラルからいかに脱却をするか、大変厳しい道のりではございますが、知事もよく言われる、中山間の発展なくして高知県の発展はなしとの言葉にもあらわれますように、今回の平成31年度予算並びに先日の提案説明においては、知事の中山間対策にかける決意が伝わってまいります。本来、中山間地域は、第1次産業はもとより、すぐれた食や文化、観光資源を持つ本県の中長期的な発展の源とし、全庁を挙げて取り組みを強化するとされております。 産業振興計画の改定においては、これまでの取り組みの施策群を特に中山間地域で展開することを意識するとし、観光においては、中山間の各地において付加価値をつけて外貨を稼ぐ仕組みをつくることとし、また農業においては、耕地面積の約8割を占める中山間地域の農村と農業を発展させる取り組み、林業においては、山で若者が働く全国有数の国産材産地を目指すとし、商工業分野の高知版Society5.0の取り組みの柱の一つは、中山間地域と第1次産業の課題の解決を図ることであります。そして、教育においては、とりわけ中山間地域においては、そこにある学校の存在意義が極めて大きいものとし、できるだけの存続を図り、機能の維持・拡大をし、教育機会の格差を解消し、さらには移住の後押しにもつなげるものとしております。 まさに全庁を挙げての取り組みと言えるものであり、中山間地域の発展は今後の県勢浮揚に向けて大変重要となってまいりますが、これまでの中山間対策の総括と今後の意気込みについて知事の御所見をお伺いいたします。 また、その中山間対策の核とされております集落活動センターの取り組みについての総括と今後の取り組みについての御所見をあわせて知事にお伺いいたします。 次に、日本一の健康長寿県構想についてお伺いいたします。 「県民の誰もが住み慣れた地域で、安心して暮らし続けることのできる高知県」を目指す日本一の健康長寿県構想も、策定から10年を迎えます。現在の第3期構想においては、高知家健康パスポート事業を初めとする健康づくりの取り組みや、いずれの地域においても安心して暮らせるための高知版地域包括ケアシステムの構築、また妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を行う高知版ネウボラの取り組みなど、本県の実情を踏まえた独自の施策の展開を図ってまいりました。来年度は、いよいよ現在の第3期構想の総仕上げとなる最終年度を迎えます。 そこで、第3期の構想に基づくこれまでの取り組みの総括と、その最終年度に当たる来年度に向けた意気込みについて知事に御所見をお伺いいたします。 第3期を迎えた今の構想の大きな特徴の一つは、高知版地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みであると存じております。これまでの取り組みの結果、各地域に育ってきたさまざまなサービス資源を有効につなぎネットワーク化することで、そこで暮らすそれぞれの人に最もふさわしいサービスを提供できるシステムを構築しようとするものでございます。 今後ますます高齢化をしていく社会において、特に全国に先行して進んでいる高知県においては、高齢者の方が地域で元気で安心をして住み続けられる社会を実現することは喫緊の課題であります。このため、御本人の意向に沿いつつQOLの向上を図ることを目指した高知版地域包括ケアシステムの取り組みを加速化させることは重要であると存じております。 その構築に向けては、医療・介護・福祉の幅広い関係者や多職種の方をつないでネットワーク化していくことが求められると考えますが、来年度このネットワークの強化にどのように取り組んでいかれるのか、地域福祉部長にお伺いいたします。 次に、地域の医療体制についてお伺いいたします。高知版地域包括ケアシステムを進める上でも大変重要な要素となるのが、それぞれの地域にいかに一人一人にふさわしい療養環境を確保していくかということであると存じております。本県は、御承知のように、病床数が全国1位でありますが、これは全国に先行して進行する高齢化に伴い、早くから病院が介護・療養患者の受け皿としての役割も果たしてきたことによるもので、このことは県内病院の退院支援の担当者に行った調査で、療養病床に入院中の患者のうち、およそ3分の1の方が療養病床以外の受け皿がふさわしい状態であるとの結果であったことからもうかがえるものと存じております。 現在、将来の必要病床数を各地域で機能区分ごとに不足することなく確保していくことを目指す地域医療構想の実現が求められているところでありますが、人口減少、高齢化の進展なども踏まえると、地域ごとに持続可能な医療体制を確保していくことは急務であると存じております。 そこで、この地域医療構想の実現に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか、健康政策部長にお伺いいたします。 次に、南海トラフ地震対策についてお伺いいたします。 平成21年2月に南海地震対策行動計画が策定をされ、平成23年の東日本大震災の発災後、抜本的に改訂をした第2期計画の取り組みを行いながら見えてきた課題に対応するため、平成28年3月に第3期計画が策定をされました。命を守る対策、助かった命をつなぐ対策、そして生活を立ち上げる対策のステージに分け、またその後の熊本地震の教訓を踏まえ、現在262の取り組みを進めております。 提案説明においても、これまでの成果として、想定死者数が第2期当初の4万2,000人から1万1,000人と大幅に減少する見込みなども挙げられております。確かにこれまでの取り組みにより、津波避難空間の整備や住宅の耐震化の進捗、応急期機能配置計画の作成やその実効性の確保など、その成果が見えてきつつあるものもあります。 来年度からの第4期計画をスタートさせるに当たり、これまでの第3期計画の取り組みをどのように総括をされたのか、またそのことを第4期計画への改訂にどう生かして今後の第4期南海トラフ地震対策行動計画に取り組もうとされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、第4期計画に重点課題と位置づけられております、南海トラフ地震に関連する臨時情報への対応についてお伺いをいたします。昨年の中央防災会議、防災対策実行会議のワーキンググループの最終報告書を受け、先月8日防災担当大臣が、自治体や企業が具体的な防災対応を検討するためのガイドラインを今年度末までに発表し2020年度の運用を目指すと表明をされました。 駿河湾から日向灘まで続く南海トラフ地震の想定震源域内でマグニチュード7.0以上の地震やプレート境界面での前駆滑り等が見られた場合など、後発地震につながるおそれのある現象が確認された際、政府が国民に警戒を呼びかけるために出す、いわゆる臨時情報であります。想定震源域の東側か西側のどちらかをマグニチュード8以上の地震が襲う「半割れ」、一部でマグニチュード7以上の地震が起きる「一部割れ」、断層がずれ動く「ゆっくりすべり」の3つを異常現象と定義し、気象庁が最短2時間で臨時情報を発表し政府においても防災対応をとるように呼びかけることとなっております。 これに関した今後の流れを見てみますと、まず国がガイドラインを作成し、その後防災基本計画等を策定した後に、29都府県が計画を策定し、次に707市町村が計画を策定し、その後、域内にある一定規模以上の宿泊施設や病院、交通機関やライフライン事業者などの企業が策定に取り組むものとなっております。 提案説明では、発表された場合には空振りを恐れず具体的な対応をとる必要があるとし、市町村と連携をして地域防災計画、津波避難計画などの見直しを行うとともに、県独自で避難所の開設や運営に対して市町村を支援するとし、そのための予算計上もされております。 本年度末までに国からガイドラインが示された後の市町村等の検討スケジュールと県の支援についての御所見を危機管理部長にお伺いいたします。 次に、防災・減災、国土強靱化への対応についてお伺いいたします。 県の平成31年度当初予算及び平成30年度2月補正予算の大きな特徴の一つが、国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を最大限活用し、防災・減災に資するインフラ整備を加速させるというものであります。国の3カ年緊急対策では、政府全体の公共投資が6兆円から7兆円となることから、本県への影響額も同様の比率で増加をすることが予想をされております。 本議会へ上程されている平成31年度当初予算及び平成30年度2月補正予算には、国土強靱化への対応の予算として326億円が、また平成30年7月豪雨災害復旧工事費として214億円が計上されております。投資的経費全体を見ても、今年度当初予算編成時の1,417億円から1,745億円へと、328億円、23%の増、これまでの尾崎県政で最大となっております。このため、緊急性の高い事業や事業効果の早期発現が見込まれる事業に重点化をすることにより事業量を平準化することや、出先機関の体制強化などにも努められております。 そこで、現在の県内の建設業者数や発注者側の体制において、今後の円滑な事業執行が可能であるのか、またそのためにすべき強化や制度改正など、今後の高知県の防災・減災、国土強靱化の推進とその体制づくりに向けた取り組みについて土木部長の御所見をお伺いいたします。 最後に、旧陸軍歩兵第44連隊跡地の保存と活用についてお伺いいたします。 一昨年の9月議会から、本会議でもたびたび議論が行われております旧陸軍歩兵第44連隊跡地については、昨年1月高知県文化財保護審議会から、弾薬庫及び講堂については、建造物としての歴史的価値の高さが答申をされるとともに、多くの方々が出征をしていった歴史的にいわれのある場所であり、残すべき価値があるといった意見が出されたことを受け、県として重く受けとめ、これまで検討を進めるとともに、国有財産である第44連隊跡地を県が保存、活用するための方法について、国や関係機関と協議を進めてこられました。 昭和20年に終戦を迎えたさきの大戦から既に73年が経過し、また本年においては5月に元号も改められるなど、まさに時代の転換期を迎えようとしています。今後、年を追うごとに、戦争のあった時代である近代から昭和を歴史として後代に継承する必要性はますます高まってくるものと存じております。 県では、これまで歴史民俗資料館でそうした資料の収集、保存や展示公開を行ってきておりますが、伝えるべき資料のボリュームと収蔵展示のスペースの関係などから、いずれは本県の近代から昭和の歴史を継承する新たな施設の整備について検討すべき時期が到来するものと考えられると、昨年の2月議会で知事も答弁をされております。 明治30年から郷土部隊である旧陸軍歩兵第44連隊が兵営として利用し、その後昭和20年までの間、私たちの先人である当時の県内の多くの若者が出征をしていった歴史的に大変重要な場所である第44連隊跡地は、本県の歴史を次世代に正しく伝えていくのにふさわしい場所として、大変に有用な活用ができるのではないでしょうか。 また、この先において新たな県の歴史を継承するための施設を整備する必要があり、今後においても県が取得をせずに保存、活用する協議が困難であるならば、これまではハードルが高いとされておりましたが、県が取得をし、本県の近代から昭和の歴史を継承する施設の適地を確保しておくという観点からも、取得の検討も必要ではないでしょうか。 そこで、まずこれまでの協議において、四国財務局高知財務事務所に再びの売却手続の延期をしてもらえていなければ、まさに本日がその期日となっておりますが、昨年12月の本会議以降、財務事務所や文化庁などの関係機関との協議をどのように行われたのか、また今後どのように進めていくのか、教育長にお伺いをいたします。 また、歴史的に価値の高い建造物を有する第44連隊跡地を県が保存し、後代に継承することに重要な意味があることに加えて、本県の近代から昭和の歴史を継承する新たな施設の整備が必要であるならば、歴史民俗資料館の現状も踏まえて、その施設の適地として第44連隊跡地の取得を検討することも必要ではないかと存じますが、知事の御所見をお伺いいたしまして、第1問とさせていただきます。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 梶原議員の御質問にお答えをいたします。 まず、国の平成31年度予算案並びに平成30年度第2次補正予算についてお尋ねがございました。 国の予算編成等に向けては、本年度も早い段階から関係省庁や政党に対して政策提言を行い、地域の実情に沿った政策の実現を求めてまいりました。特に、喫緊の課題である南海トラフ地震対策や豪雨災害対策につきましては、10県知事会議の代表として、また全国知事会などとも連携して重点的に提言を行ってきたところであります。 さらに、地方創生や社会保障分野の政策に関しては、本県単独の提言に加え、全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダーや社会保障常任委員長として提言を行ったほか、教育の無償化に関する国と地方の協議などにも出席し、意見を述べてまいりました。 あわせて、全国知事会や全国都道府県議会議長会を初めとする地方6団体としても、国と地方の協議の場などにおいて地方の安定的な財政運営に必要な地方交付税等の一般財源総額の確保・充実、持続可能な社会保障の基盤づくり、防災・減災対策の推進などを求めてきたところであります。 こうした結果、国の平成31年度予算案及び平成30年度第2次補正予算においては、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」として、事業費総額7兆円規模の緊急対策を実行に移すための予算が計上されました。この中では、本県が重点的に提言してきた河川・海岸堤防の耐震化対策や治水対策のための予算のほか、治山事業など豪雨災害への予防的対策に係る予算が大幅に拡充されております。特に、中小河川の治水対策などでは、計画的、集中的な事前防災対策を行うために個別の補助制度が創設されたところであります。あわせて、本県が長年訴えてまいりました、高知県沖から日向灘海域における南海トラフ海底地震津波観測網、いわゆるN-netを構築する事業費が計上をされております。 さらに、全世代型社会保障制度への転換に向けた幼児教育の無償化に関しては、国と地方の協議を踏まえ、平成31年度の地方負担分について臨時交付金を創設して対応するとともに、2020年度以降の地方負担については、交付税措置により財源を確保することを前提に制度化が図られることとなりました。加えて、地方税が増収となる中、地方交付税について増額確保されるとともに、地方の一般財源総額についても前年度を上回る額が確保され、臨時財政対策債が大幅に抑制されるなど、安定的な地方財政の運営に資する予算措置がなされています。 以上のように、多くの点で本県の行った政策提言を反映していただいており、大いに評価をしているところであります。また、この間、県選出国会議員や県議会議員の皆様にも各般にわたり後押ししていただいたところであり、改めて御礼を申し上げます。 今後におきましても、本県のさまざまな提言が今後の日本全体にとっても有益なものとなり、結果として本県にとっても追い風となる施策が多数実現することとなるよう、引き続き積極的に政策提言を行ってまいりたいと考えております。 次に、平成31年度税制改正案についてお尋ねがございました。 平成31年度税制改正では、議員からお話しのありました、地方法人課税の偏在是正と車体課税の見直しが大きな論点となり、本県としても国の議論に直接かかわりました。 まず、地方法人課税の偏在是正については、私が全国知事会副会長として国会議員の勉強会に出席し、多くの地方出身者もまた東京都の税収を支えているのであり、都市と地方が共存共栄できるよう偏在是正が必要という旨の意見を述べるとともに、副知事も総務省に設置された検討会に出席し、同様の意見を述べてまいりました。最終的に、税源の偏在を是正する新たな措置が講じられるとともに、これにより生じる財源を地方のために活用することとされたところです。 次に、車体課税の見直しについては、先ほど申し上げた国会議員の勉強会において、私から、地方には災害対応を含め行うべき道路整備が多くあることにも鑑みていただきたい旨の意見を述べたほか、全国知事会においても、地方財政に影響を与えないようにすべきであるとの提言を行いました。最終的に、自動車税の税率の恒久的な引き下げなどによる減収分について、その全額が補填されることとなったところです。 このように、今回の税制改正においては、本県として意見を申し上げてきたことが実現されており、高く評価するものであります。今後とも、地方税財源の充実と税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築していくよう、全国知事会などとも連携をしながら、さまざまな機会を通じ国に提言をしてまいります。 次に、国の財政健全化に向けた新経済・財政再生計画改革工程表2018の取り組みについてお尋ねがございました。 議員からお話がありましたように、国においては、昨年12月、社会保障や文教・科学技術などの主要分野ごとに、2021年度までの3年間における具体的な改革の取り組み内容やKPIを明示した、新経済・財政再生計画改革工程表2018を取りまとめました。2025年度の国、地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化などの財政健全化目標の達成に向けては、こうした取り組みを着実に進めていくことが必要不可欠で、地方においても国と歩調を合わせて取り組むことが重要であると考えております。 こうした中、全国知事会においては、昨年7月に決議された健康立国宣言に基づき、地方は地方の責任をしっかりと果たしていくため、全都道府県参画のもと持続可能な社会保障制度の構築に向けた取り組みが進められております。 具体的には、私が委員長を務める社会保障常任委員会を中心として、重症化予防や医薬品の適正使用の推進など、21のカテゴリーから成るワーキングチームを設置し、各都道府県が先進・優良事例をお互いに学び合い、横展開を図るとともに、それぞれの施策を深化させようと取り組んでいるところです。この取り組みは、持続可能な社会保障を目指すという点において国の改革工程表とも方向性は同じであることから、各ワーキングチームにおいて、改革工程表の進展にも資するよう知恵を出し合い、積極的に横展開を進めるとともに、国に対して必要な提言も行うこととしております。 本県においても、国の改革工程表を念頭に、本県の政策目的に資するさまざまな取り組みを進めてまいります。まず、社会保障分野に関しては、全国の事例も参考にしながら、日本一の健康長寿県構想の取り組みをさらに強化してまいりたいと考えているところです。新年度は、例えば壮年期の死亡率の改善に向けて、糖尿病の通院患者への保健指導を充実させるほか、地域地域で安心して住み続けられる県づくりに向けて地域医療構想を推進するなど、数多くの取り組みを進めることとしております。 また、文教・科学技術分野に関しては、地域間における教育機会の格差解消を図るため、新年度から中山間地域の小規模な高等学校全てに遠隔教育システムを導入し、補習等の講座を実施することにより、地理的条件や学校の規模に左右されず、多様な進路希望を実現できる教育環境の整備を進めることとしております。 さらに、地方行政改革に関しては、AIやRPAといったデジタル技術の活用などによる業務の効率化を通じて、行政コストの縮減や県民サービスの向上を目指すとともに、市町村の希望する業務について広域での共同処理による効率化を図るなど、県全体として不断に行政改革の取り組みを推進してまいります。 こうした一連の取り組みをしっかりと進めることにより、我が国全体の財政健全化に向けた改革工程表の進展にもつなげてまいりたいと考えております。 次に、教育大綱のこれまでの取り組みの総括と最終年度の取り組みについてお尋ねがございました。 平成28年に策定した教育大綱では、本県における教育上の諸問題の抜本的な解決に向けて、チーム学校の構築、厳しい環境にある子供たちへの支援、学校と地域との連携・協働などを取り組みの方向性の柱に据え、さまざまな施策を講じるとともに、年4回開催する総合教育会議において施策の効果の確認や進捗管理の徹底を図ってまいりました。 その結果、まず知の分野では、中学校での教科の縦持ちや高等学校での学校支援チームによる訪問指導など、教員同士が学び合い組織的に授業力を高める仕組みの導入などにより、かつて全国下位であった小学生の学力は引き続き全国上位層に位置し、中学生も全国平均との差が縮まってきており、また高校生もいわゆるD3層の生徒の割合が減少するなど、成果があらわれてきております。また、いじめや不登校などの徳の分野では、各学校に校内支援会が設置され、組織的な情報共有と対応がなされるようになってまいりました。体の分野においても、子供たちの体力は男女ともに上昇し、特に中学校男子は全国平均を上回るなど改善が進んでおります。 さらに、学校と地域との連携を図り、地域ぐるみで子供や家庭を支えるため、現在小中学校242校で地域学校協働本部が設置をされており、民生・児童委員の方々の参画を得て、子供たちの見守り体制を強化した高知県版地域学校協働本部への展開も67校において進んでいるところです。 このように、知・徳・体のそれぞれの分野において、大綱の基本目標の達成に向けて取り組みが進んでいるものと受けとめております。一方で、高知市の小中学生の学力が厳しい状況にあること、不登校やいじめなどの課題も依然として厳しい状況にあること、さらには教員の働き方改革や中山間地域の高等学校の魅力化と特色ある学校づくりが求められていることなど、対応すべき課題も多くあることから、来年度に向けて大綱の改訂を行うこととしたところです。 今回の改訂では、チーム学校の取り組みの一層の推進のため、全ての小中学校においてチームとして不断に授業改善を図る仕組みの構築や、高知市教育委員会と連携したさらなる指導体制の充実強化、また厳しい環境にある子供たちへの支援を充実するため、不登校の予防と支援に向けた体制の強化を図ることとしております。さらには、教員の働き方改革に向けて業務の効率化を図る取り組みを加速化するとともに、次期大綱なども見据えて、中山間地域の高等学校への遠隔教育システムの整備や、魅力と特色ある学校づくりに向けた取り組みも強化することとしております。 教育大綱の最終年度となる来年度、教育委員会においては、大綱の基本目標の達成に向けて、これらの取り組みを全力で推進していただきたいと思います。私も総合教育会議などを通じ、5年先、10年先を見据えて、教育委員会としっかりと連携していきたいと考えております。 次に、第3期産業振興計画ver.4への改定に向けて、10年間の取り組みをどう総括し、最終年度に向けどのように臨むのかとのお尋ねがありました。 私が知事に就任した当時は、全国の景気がどんなによくなっても高知県の経済は低迷し続けているという、極めて厳しい状況に陥っておりました。例えば、有効求人倍率は、全国が1倍を超えるまでに上昇しても、本県は連年にわたり0.4倍から0.5倍程度に低迷し続けていたところであります。その背景には、人口減少により、各産業分野の産出額等の減少、県内市場の縮小を招き、これがさらに人口の減少を招くという、人口減少の負のスパイラルに陥っていたことがあるものと考えられます。 私は、この人口減少の負のスパイラルを何としても克服し、県経済をよい方向に向かわせたい、そして多くの若者が地域地域で住み続けられる高知県にしたいという強い思いでもって、産業振興計画に全力で取り組んでまいりました。 これまでの10年間を振り返りますと、まず平成21年度からの第1期計画では、県内市場が縮小し続ける中、活力ある県外市場に打って出るために、地産外商公社の設立や首都圏アンテナショップまるごと高知の開設など、事業者の皆様の外商活動をサポートするさまざまな仕組みを整え、実行してまいりました。まさに、県外で高知のものが売れるという実感を多くの方々に持っていただくとともに、さらに新たな事業の展開につながるよう、売り込みの強化に全力を尽くしたフェーズでありました。 次の平成24年度からの第2期計画では、外商拡大の流れをさらに大きなものとするため、全ての産業分野において地産の強化に重点的に取り組むとともに、それを支える人材の育成や移住促進の取り組みを抜本強化いたしました。この時期には、防災関連産業の振興や大型製材工場の誘致、次世代型こうち新施設園芸システムの普及に加え、ものづくり地産地消・外商センターや土佐まるごとビジネスアカデミーといった新たな仕組みも構築いたしました。これにより、本県の地産外商は飛躍的に拡大し、多くの雇用が生み出された結果、本県の有効求人倍率は史上初めて1倍を超えるとともに、経済全体としてもよい方向に向かうようになってきたところであります。 また、平成28年度からの第3期計画では、拡大してきた地産外商の取り組みを力強い拡大再生産の好循環につなげるために、新たな成長の種になる事業をつくり、その事業を展開し、販路を拡大する取り組みを後押しするとともに、さらにそこで生まれた効果をクラスター化して、地域地域に波及させていくという一連の政策群を強化してまいりました。具体的には、全ての産業分野において、新技術の導入や各般の取り組みの土台となる事業戦略の策定を進めるとともに、移住促進・人材確保センターやこうちスタートアップパーク、IT・コンテンツアカデミーといった新たな仕組みを構築したところであります。 そして、第3期計画においては、これまでの県が前面に立ってさまざまな施策を進めてきたいわば行政主導型のフェーズから、民間活力創出型のフェーズへと徐々に移行させていくことも意識してまいりました。このため、新たな付加価値創造を促す仕組みづくりや人材の育成・確保の取り組みなどに、より重点を置くようになってきたところであります。 こうした仕組みに多くの皆様に参画いただき、さまざまな挑戦がなされてきたことを通じて、本県経済は生産年齢人口が減少していく中においても、今や拡大していく経済へと構造を転じつつあると捉えております。 次の10年に向けましては、この拡大傾向をより強固なものとし、先々にわたるまで県勢浮揚を確かなものとしていくためにも、経済成長の源泉である付加価値の創造をさらに促していくことが非常に重要であると考えております。このため第3期計画ver.4では、継続的に新たな付加価値の創造を促す仕組みを質・量ともに充実することとしております。 具体的には、本県がSociety5.0の実現に不可欠であるIT・コンテンツ関連産業の集積地となることを目指して、一層の人材育成や企業立地を促進するとともに、デジタル技術と第1次産業や中山間地域などを結びつけた、新たな付加価値を生み出すプロジェクトを数多く創出してまいります。あわせて、自然&体験キャンペーンの取り組みを進めることにより、中山間の各地域において、付加価値をつけて外貨を稼ぐ仕組みを新たに創出してまいります。加えて、中長期的には人口減少に伴い国内マーケット全体の縮小が考えられますので、海外への輸出やインバウンド観光を本県経済にインパクトを与えられるレベルにまで拡充すべく、一連の施策と体制を強化してまいります。 こうした大幅に強化をしました第3期産業振興計画ver.4によりまして、次の10年も引き続き本県経済が成長を続けられるよう、その新たな第一歩を力強く踏み出してまいりたいと考えるところでございます。 次に、合併から約2カ月が経過したJA高知県に対して、今後どのようなことを期待するのかとのお尋ねがございました。 JA高知県は、本県の農業を取り巻く環境が厳しさを増す中、将来にわたって農業の発展に貢献し、農業者の所得増大などに取り組むために、県内の12JAに加えて、園芸連などの連合会も含めた県域全体で、人材、資金、施設などの経営資源を結集して、本年1月に設立されました。 JA高知県は、組合員や地域の皆様とともによりよい未来をつくることを経営理念とされ、その達成に向けた経営方針として、地域農業を振興し農業者の所得増大を実現すること、人と人とのつながりを大切にし心豊かな地域社会を創造すること、新たな改革に挑戦し続けさらなる協同の成果を実現することを掲げておられます。 JA高知県では、その経営理念の達成に向けて、合併直後から組合長みずからが組合員の声を聞くために、県内7つの地区本部の全てを回られ、また各地区の支所や生産部会なども順次回られているとお伺いしています。現在、そうした活動の中で組合員から出てきました声などへの対応に懸命に取り組まれており、今後も組合員のための組織として事業展開を行っていかれるものと考えております。 また、合併によるスケールメリットを発揮して、営農指導員の増員による指導体制の充実強化、広域の集出荷施設の再編整備、県外事務所の活用による販売力強化、大規模直販所とさのさとを拠点とした販路拡大などに取り組んでおられます。こうした取り組みを総合的かつ効果的に実施されることによる組合員へのサービスの向上が、ひいては農業者の所得増大、農業生産の拡大につながっていくものと捉えております。 県としましては、組合員の皆様が合併してよかったと早期に実感されることが最も大切であり、これまでのように組合員の声を反映した組織運営や、スケールメリットを発揮した事業展開により、組合員の皆様の期待にしっかりと応えていただきたいと考えております。 さらに、本県の多くを占める中山間地域では、JAの購買店舗や金融店舗などが、住民の皆様には欠かせない生活基盤となっている地域もあるように、JAが行う総合的な事業全体が地域社会を支える重要な仕組みとなっております。JA高知県におかれましても、引き続き中山間地域を初めとした本県の農業と地域社会を支える役割の大きな一翼を担っていただけるものと期待しております。 加えまして、JA高知県は県内全域を対象とされておりますことから、産業振興計画の農業分野の一連の施策が大きく加速化していくものと期待しております。 県では、産業振興計画の農業分野の目指す姿として、地域で暮らし稼げる農業を掲げており、JA高知県はその実現に向けての重要なパートナーであります。本県の農業振興や地域活性化に関して、情報共有や連携を強めながら、ともに取り組んでまいります。 次に、最先端のデジタル技術の活用を進めていくことの意義や今後の取り組みについてお尋ねがございました。 高知版Society5.0は、IoTやAIなどの最先端のデジタル技術の革新が、我が国の社会や経済のあらゆる分野に大きな変化をもたらすとともに、世界的に見ても21世紀の産業の主役になると見込まれる中で、こうした動きを本県の発展に生かそうとするものであります。 本県は、平野部が狭く、大消費地から遠隔地にあるといった地理的・地勢的に厳しい条件を抱えていることや、全国に先駆けて高齢化が進行するなど、さまざまな課題を抱えています。こうした課題を解決し、先々にわたるまで県勢浮揚を確かなものとするためには、例えば農業分野において施設園芸農業を発展させてきたように、あらゆる分野で効率化や高付加価値化を絶え間なく進めていく必要があります。そのための有効なツールとして、IoTやAIなどのデジタル技術を積極的に活用していくことが不可欠であると考えています。 加えて、解決すべき課題が数多くあるということは、デジタル技術を持つ企業にとっては、逆にビジネスチャンスが多いという意味でもあり、弱みを逆手にとることで、こうした企業の集積を実現できる可能性があると考えております。さらに、IT・コンテンツ関連産業は、インターネット環境さえあれば、地方でも都会と同様の仕事が可能であるとともに、若者の就職先として人気の高い産業であり、若者の県内定着やU・Iターンを促進する効果が期待できます。 このように、今後の本県の発展に重要となるデジタル技術の活用を推進するため、来年度IT・コンテンツ関連の企業の誘致や人材の育成・確保、課題解決型の産業創出の取り組みを抜本的に強化したいと考えております。 企業の誘致に関しては、従来からのIT・コンテンツ関連企業の誘致を引き続き推進していくとともに、Society5.0に関連する事業を行う企業の誘致活動を新たに推進し、企業集積のさらなる加速化を目指してまいります。 次に、人材の育成・確保については、IT・コンテンツアカデミーにAIの技術を学ぶ講座などを追加し、県内での人材育成を充実強化するとともに、人材の掘り起こしから県内企業とのマッチングまでをトータルで推進する仕組みを構築し、県外からの人材の確保を充実強化いたします。 また、課題解決型の産業創出については、これまで第1次産業を中心に行ってきたニーズの抽出を、福祉や医療、防災など県行政のあらゆる分野に拡大し、抽出されたニーズをもとに新たなIoTシステムの開発などにつなげる、高知デジタルフロンティアプロジェクトの推進に取り組みます。加えて、急速に革新が進むデジタル技術をいち早く本県に取り入れるため、すぐれた技術を持つ県外企業と県内企業が連携して県内で実施する実証実験を支援する補助制度を創設したいと考えております。この制度により、県内の課題解決の加速化を図るとともに、県内企業の技術力のさらなる向上や県外企業の本県立地につなげてまいります。 さらに、デジタル技術の導入をあらゆる企業に広げ、生産性向上や新たなサービスの創出などにつなげるため、商工労働部内にワンストップ相談窓口を設置し、デジタル技術導入に取り組む企業の掘り起こしや、専門家との個別相談機会の提供、IT企業とのマッチングなどに取り組みます。 このように抜本強化した取り組みをスピード感を持って推進する組織体制の充実も行うことにより、高知版Society5.0の実現を全力で目指してまいりたいと考えるものであります。 次に、2年間の開催期間を終えた「志国高知 幕末維新博」の総括についてお尋ねがございました。 「志国高知 幕末維新博」においては、歴史を中心とした観光基盤の底上げを目的に、歴史資源の磨き上げや、これらを核とした観光クラスターを地域地域につくり上げる取り組みを進めてまいりました。そして、こうした魅力的な観光資源を全国に向けて強力に情報発信することなどにより、多くの誘客にも取り組んできたところであります。 その結果、開催期間中、会場には334万人を超える方々に御来場いただきました。2年間にわたる博覧会としては一定成功だったと受けとめておりますし、次の点においても大きな財産を残したものと考えております。 まず、歴史資源の磨き上げを通じて、土佐の偉人の功績や歴史的役割を思い起こしていただく歴史観光の基盤を地域地域に整えることができました。これは、観光のみならず文化・教育面においても、大変意義深いことだと考えております。例えば、メーン会場として高知城歴史博物館や龍馬記念館の新館を新たに整備いたしましたし、地域会場であるジョン万次郎資料館や四万十市郷土博物館などの全面リニューアルのほか、青山文庫や中岡慎太郎館などにおいては歴史的価値の高い資料を展示できる環境が整ったところです。 これらが点の整備であるとすれば、面的な整備に当たるのが観光クラスターであります。地域会場を中心に、食や特産品など地域ならではの資源を連動させた観光クラスターを15市町村で形成し、観光客の滞在時間の延長や消費の拡大に向けた仕組みを整えることができたものと考えております。 さらに、集客拡大を図るため、話題化を意図的に創出しながらプロモーションを展開してきたところであり、従来にない新たなチャレンジであったと思っております。第1幕では高知城歴史博物館、第2幕では坂本龍馬記念館新館がそれぞれオープンするという話題のみならず、新発見の坂本龍馬書簡の発表や、ナイトタイムエコノミーの取り組みとして企画、開催した「チームラボ 高知城 光の祭」なども、全国的に大きな注目を集めたところであります。 こうした一連の取り組みにより、博覧会期間中の県外観光客入り込み数は、2年連続で440万人台を達成することができたと考えております。将来にわたって誘客できる歴史を中心とした観光基盤が十分に整いましたことで、本物の歴史観光の地力がついたと言えるものと考えているところでございます。 次に、435万人観光の定常化や、さらなる観光振興にかける思いを踏まえた「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」の取り組みについてお尋ねがありました。 新たにスタートさせました自然&体験キャンペーンは、大きく3つの政策目的を持って展開をしております。第1に、これまでに磨き上げてきた歴史や食に次ぐ柱として、自然や体験資源をしっかりと磨き上げることにより、本県の観光基盤を揺るぎないものにしていくこと。第2に、自然や体験資源はとりわけ中山間地域に多く存在しており、このキャンペーンを通じて、こうした地域において外貨を稼ぐ仕組みを創出し、中山間対策に直結させること。第3に、美しい自然や地域の伝統文化などは、外国人観光客にも人気のコンテンツであるため、インバウンド観光も大いに伸ばしていくことであります。 こうした政策目的を実現するため、旅行商品をつくる、売る、もてなすといったカテゴリーごとに施策を強化することとしております。 まず、つくるに関しては、自然や暮らし、産業など、身近な資源を生かした多様な観光事業の創出や、土佐の観光創生塾などを通じた磨き上げを行いますとともに、食や歴史と組み合わせたクラスター形成を地域地域で進めてまいります。 売るに関しては、旅行会社へのセールス活動を切れ目なく行うことに加えて、本県独自の特設ウエブサイトとこれと連動したSNSや、全国メディアなどを活用したキャンペーンなど、一連の取り組みを進めてまいります。 また、海外向けの観光情報サイトVISIT KOCHI JAPANにおいてもキャンペーン情報の充実を図るほか、新たな海外セールス拠点の設置や、専門コーディネーターの配置による旅行商品の販売促進など、インバウンド対応を強化してまいります。 もてなすに関しては、県内各地の観光案内所などにおいて、特設ウエブサイトなどを活用した周遊プランの提案や丁寧な接遇を行うほか、アンケートなどを通じて観光客などから集約した評価を各事業者にフィードバックすることで、サービスの改善につなげてまいります。 これらの一連の取り組みをキャンペーン期間を通じて実施していくことで、本県において、自然・体験型観光においてもしっかりとした地力を身につけられるよう取り組んでまいりたいと考えるところでございます。 次に、これまでの中山間対策の取り組みの総括と今後の意気込みについてお尋ねがありました。 中山間対策につきましては、平成24年度に抜本強化を図ったところであり、生活を守る、産業をつくるの2つを政策の柱として、県政の各分野においていかに中山間地域の課題を解決し、その振興につなげていくかを常に意識した施策展開を図ってまいりました。 生活を守る取り組みについては、生活用水の確保や買い物支援、移動手段の確保といった、中山間地域の生活そのものを守る取り組みを進めるとともに、県内48カ所、231サテライトに広がったあったかふれあいセンターの取り組みや、高知版地域包括ケアシステム構築の加速化などにより、中山間地域で安心して暮らし続けることができる仕組みづくりを推進してまいりました。 また、産業をつくる取り組みについては、産業振興計画の産業成長戦略や地域アクションプランの取り組みにより、中山間地域の基幹産業である第1次産業などの重点的な振興と拡大に取り組んでまいりました。この結果、農業分野では平成29年の産出額が平成20年と比べて16.3%の増、林業分野では原木生産量が同59.8%の増となるなど、人口減少の中にあっても、中山間地域に広く展開する第1次産業が着実に成長、発展してきており、このことは、将来にわたり中山間地域で若者が住み続けられるための礎となるものと考えております。あわせて、先ほど申し上げたとおり、今月1日からは自然&体験キャンペーンを通じて、中山間対策に弾みをつけたいと考えているところであります。 加えて、産業振興計画の取り組みが届きにくい小規模な集落などを対象にした集落活動センターの取り組みは、市町村を初め多くの住民の皆様方に御参画、御賛同いただきながら推進してきた結果、県内で29市町村、48カ所で立ち上がり、さらに30カ所程度で開設に向けた準備が進んでおります。 あったかふれあいセンターとあわせ、こうした集落活動センターのネットワークの拡大によりまして、産業をつくる、生活を守る、それぞれの取り組みの受け皿が、地域における核となる拠点が整ってきているものと受けとめており、今後の中山間対策の加速化が期待できるのではないかと考えるところです。 本県の中山間地域は、農業や林業といった第1次産業はもとより、豊かな自然や食、文化といった観光の面でも貴重な資源を有し、本県の中長期的な発展の源となる、全国に誇るべき高知ならではの強みを生み出している地域であります。そして、何より住みなれた地域で暮らし続けたいとの中山間地域の皆様の思いをかなえていかなくてはなりません。 このため、産業振興計画の推進はもとより、さまざまな県の関連施策を総動員して、中山間対策に全力で取り組んでまいります。 次に、集落活動センターの取り組みの総括と今後の取り組みについてお尋ねがありました。 集落活動センターについては、平成24年度にスタートした施策であり、今や全国においても小さな拠点として位置づけられるなど、広がりを見せてきています。こうした集落活動センターは、これまでに29市町村、48カ所で立ち上がり、さらに現在30カ所程度で開設に向けた準備が進むなどしており、中山間地域をおおむねカバーできる方向で取り組みが進んでおります。 また、それぞれにおいて地域の実情に応じた取り組みが進んできているところであり、生活を守る取り組みとしては、例えば四万十市大宮や土佐町石原などでの生活用品店舗やガソリンスタンドの経営、四万十町仁井田などでの高齢者への配食サービスや見守り活動などが、産業をつくる取り組みとしては、大豊町西峯での杉苗の生産、三原村でのカフェ、梼原町越知面や黒潮町蛎瀬川などでの宿泊施設の運営などが行われております。このように、集落活動センターのネットワークが広がっていく中、それぞれにおいて一定経済活動を支える拠点性が育ちつつあるものと考えています。 一方で、こうした一つ一つの取り組みが住民の皆様の手によって継続し、さらに大きく発展していくためには、産業振興計画における第1次産業や自然・体験型観光などの取り組みと集落活動センターの取り組みの連動も意識しながら、しっかりとした事業計画を立て、その実行を担う人材を確保していくことが大変重要であると考えています。 このため、来年度からは、集落活動センターの活動段階に応じた財政支援や事業計画づくりをテーマとした研修会の開催はもとより、それぞれのセンターの課題やニーズに沿って、センターの現状分析から新規事業の立ち上げや既存事業の拡充の検討、事業計画の作成や磨き上げまで、専門家による伴走支援を実施し、センターの経済活動が基幹ビジネスとして確立されるよう後押しをしてまいります。あわせて、首都圏や県内における地域おこし活動に取り組む人材の掘り起こしやネットワーク化を図り、センターの活動に従事する地域おこし協力隊などの人材を確保するなど、センターの活動の継続と拡充に向けて、もう一段支援を強化してまいります。 次に、第3期日本一の健康長寿県構想に基づくこれまでの取り組みの総括と、来年度に向けた意気込みについてお尋ねがございました。 平成28年度からスタートしました第3期の日本一の健康長寿県構想では、それまでの取り組みの結果明らかとなった本県が抱える課題に対して、より重点的かつ骨太に対策を講じることにしました。 具体的には、5つの大きな目標を掲げることとし、そのうち例えば大目標1の、壮年期の死亡率の改善では、疾病の早期発見・早期治療につなげる取り組みに加えて、より根治的な対策が必要なことから、子供のころからの健康教育を強化することや、高知家健康パスポート事業をスタートさせ、健康意識を高めるための取り組みを進めてきたところであります。現時点で、健康パスポートを3万5,000人を超える県民の皆様に取得いただいたところでもありますが、引き続き健康づくりに向けては大変息の長い取り組みが必要でありますので、今後ともさらなる取り組みを進めてまいりたいと考えているところです。 また、第3期構想では、おのおののサービス資源のさらなる充実強化とあわせ、これまでの取り組みにより県内各地で一定程度整ってきた個々のサービス資源を連携させ、切れ目のないサービス提供を行える一連のシステムに仕立て上げていくことに注力をしております。 具体的には、大目標2の、地域地域で安心して住み続けられる県づくりに向けて、高知版地域包括ケアシステムを構築するために、地域における医療・介護・福祉のサービス資源のさらなる拡大とネットワークの強化を進めているところです。そのため、今年度から各福祉保健所に地域包括ケア推進監や企画監を配置し、それぞれの地域で市町村や関係者の皆様と一緒に、地域に不足しているサービス資源の確保やサービスの接続部を担うゲートキーパーの機能強化などの課題抽出と課題解決に向けての議論を深め、地域ごとに対策を進めております。 そして、連携やシステム化といった点は、大目標3の、厳しい環境にある子供たちへの支援や、大目標4の、少子化対策の抜本強化についても同様であり、妊娠期から子育て期に至るまでの切れ目のない総合的な支援体制として、子育て世代包括支援センターなどを起点とした、高知版ネウボラの構築に向けた取り組みを進めています。 現在、妊産婦ケアのほか、子供の成長発達への支援や身近な地域における子育ての支援、働きながらの子育て支援など、妊娠から出産・子育てまでの家庭のニーズや成長段階に応じ適切にサービスを提供できるよう、支援サービスの充実や体制整備に取り組んでいるところです。また、18の市町村に設置された子育て世代包括支援センターでは、妊娠の段階からその全数を把握の上リスクアセスメントを行い、リスクが高いと判断されるケースは速やかに市町村の児童福祉担当課や児童相談所へつなげ、リスクに応じた適切な支援が行える仕組みを構築しています。 そして、こうした一連の取り組み全体を下支えする大目標5、医療や介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化では、本県が先駆的に進めているノーリフティングケアなど、介護職員の負担軽減を図る取り組みや、現在8法人、61事業所に広がっている介護事業所認証評価制度の運用などにより、人材の安定確保、参入確保を進めていこうとしているところであります。 こうしたこれまでの取り組みを通じ、それぞれの項目で着実に成果は上がってきていると実感してはおりますけれども、さらなる課題もあります。第3期構想の最終年度に当たる来年度は、5年後や10年後も見据え、ネットワーク化やシステム化といった点に一層注力していきたいと考えております。その際には、本年度立ち上げました高知家健康会議の場も活用しながら、より一層官民協働により取り組みを進めてまいりたいと考えるところでございます。 次に、南海トラフ地震対策行動計画について、第3期をどのように総括し、それを踏まえ第4期にどのように取り組むのかとのお尋ねがありました。 第3期行動計画の総括に当たっては、命を守る、命をつなぐ、生活を立ち上げるの、それぞれの対策の成果を明らかにするとともに、そこから見えてきた課題の整理を行いました。 まず、命を守る対策では、公共施設の耐震化がほぼ完了するとともに、避難所となる学校の校舎や体育館については、天井材や照明などの非構造部材の耐震化も進めてきました。また、津波からの避難については、避難タワーを初めとする津波避難空間の整備が概成したほか、市町村や県民の皆様と一緒になって避難経路の現地点検を全沿岸域で実施いたしました。 次に、命をつなぐ対策では、約20万人分の避難スペースを確保し、地域の皆様に自立的に避難所運営を行っていただくためのマニュアル作成や資機材の整備を進めてまいりました。加えて、応急期に必要となる道路啓開や物資配送、燃料確保、応急期機能配置などの各種計画の策定を進め、さらに地域ごとの医療救護の行動計画を全地域で策定するなど、医療救護対策も進めてきました。 また、生活を立ち上げる対策では、市町村が災害公営住宅を建設する際の基本的な考え方を示した整備指針の策定や、事業者の早期復旧のためBCP策定の支援を進めてまいりました。 一方で、第3期の取り組みを総括する中で見えてきた課題も多数あります。例えば住宅の耐震化については、戸別訪問により啓発を強化したことなどにより、改修件数は増加してきたものの、耐震化しなければならない住宅はまだまだ数多く残っています。津波避難経路の現地点検の結果、ブロック塀や老朽住宅の倒壊により、重要な避難路が閉塞するおそれがあるといった課題が明らかとなりました。 さらに、全市町村で応急期機能配置計画を策定し、各市町村で足りない機能について4つの圏域ごとに広域調整を図りましたが、それでも避難所や応急仮設住宅建設用地、災害廃棄物仮置き場が大幅に不足することが明らかとなりました。さらに、要配慮者については、避難のための個別計画の策定率が10%にとどまっていることや、福祉避難所が十分確保できていないことなど、大幅な支援の強化が必要であることが明らかになりました。 第4期行動計画においては、こうした第3期を総括する中で明らかとなった課題を踏まえるとともに、これまでの取り組みを土台としつつ、想像力を働かせ、より現実に即した対策を強化するなど、難易度の高い課題にも正面から立ち向かってまいります。また、対策の時間軸をこれまで以上に長く捉え、復旧期の対策も検討段階から実行段階に移行してまいります。 特に、第3期で積極的な取り組みを進めてきた8つの重点課題につきましては、住宅の耐震化のように、第4期でもスピード感を緩めることなく引き続き取り組みを進める必要があるものや、津波避難対策や応急期機能配置計画のように、対策が一定進んだことにより次の段階に進むべきものがあります。それらに加えて、南海トラフ地震に関連する情報、いわゆる臨時情報への対応や、要配慮者への支援対策の加速化、これらも追加し、10の重点課題に再整理して強力に取り組んでまいります。 このようにバージョンアップした第4期行動計画に基づき、想定死者数をまずは約5,800人にまで減少させるとともに、早期の復旧・復興を目指して、命を守る対策のさらなる徹底、命をつなぐ対策の幅広い展開、生活を立ち上げる対策の推進に全庁挙げて全力で取り組み、犠牲者ゼロを目指した取り組みをさらに進めてまいりたいと考えるところでございます。 最後に、本県の近代から昭和の歴史を継承する新たな施設の整備及びその適地としての第44連隊跡地の取得に関し、歴史民俗資料館の現状も踏まえた検討の必要性についてお尋ねがございました。 さきの大戦から既に73年を経過し、戦争体験者の高齢化や減少により、記憶の風化が憂慮される現状において、戦争のあった時代である近代から昭和の歴史を後世に引き継ぐことは大変重要なことだと認識をしており、これまでも県では歴史民俗資料館において、戦時資料や遺族会を通じて寄贈されました遺品等の収集、保存や展示公開に努めているところです。 また、提案説明でも申し上げましたが、高知県が設置されてから2021年で150年を迎えることを契機に、新たな高知県史の検討に着手したいと考えており、この新たな県史の編さん過程を通じて、本県の近現代史の資料収集が活発に行われていくものと考えております。 これらの貴重な資料を保管する収蔵スペースには、例えば歴史民俗資料館の現状を見ても限りがありますことから、将来において新たな施設整備についても検討しなければならない時期も来るであろうと考えております。 他方、これまで第44連隊跡地の活用については、教育委員会において土地の取得をせずに活用する方法の検討を進めてきましたが、国との協議が不調に終わり、残念ながら、土地を取得せずに活用することは困難であるとの結論に至りました。 しかしながら、第44連隊跡地は、明治30年から郷土部隊の旧陸軍歩兵第44連隊が兵営として利用した場所の一部であり、その後昭和20年までの間に県内の多くの若者がこの地から出征していった歴史的に大変重要な場所であり、当該跡地にまつわる歴史を後代に継承することは、県としても重要な意義があることだと考えています。また、将来的に、先ほど述べましたような戦争のあった時代である近代から昭和の本県の歴史を次世代に正しく伝えていく施設等の整備を検討する際には、メモリアル的な場所として最も有力な適地になるものと考えております。 以上のことから、今後は当該跡地を県が購入することを前提とした検討を進めさせていただければと考えています。その上で、来年度は専門家による検討会を立ち上げて、将来を見据えた土地の利活用や遺存する弾薬庫及び講堂の保存・活用方法などの検討を行い、あわせて県議会にもお諮りして広く合意をいただくことができましたら、土地の取得に向けまして具体的な作業を進めていきたいと考えるところであります。 私からは以上でございます。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、縦持ち指定校などの取り組みの成果の普及と小学校の若手教員の育成の仕組みづくりについてのお尋ねがございました。 これまで、教科の縦持ちや教科間連携を導入した中学校では、週の時間割りの中に、教員同士が集まって授業改善についての協議や指導上の困難点についての相談を行う時間を設定したことにより、教員同士が協働して授業をつくったり切磋琢磨する機会がふえ、また若年教員の成長も図られているといった成果報告が上がってきています。 これらの仕組みを普及させるため、来年度から全ての中学校に導入するとともに、中学校の管理職等を対象に教科の縦持ち等に取り組み、組織力が高まってきている学校を会場として年間36回程度、県内各地で講座を開催することとしています。会場校の教科会やチーム会などを公開するとともに、組織的に授業改善や教材研究に取り組むチームづくりのためのポイントを研修することで、管理職のマネジメント力や主幹教諭の指導力の向上にも取り組んでまいります。 一方、学級担任制がとられている小学校についても、いわゆるメンター制の考え方に基づき、ベテランや中堅の教員が相談役や指導者として若年教員とチームを組み、若年教員をOJTにより育成する手法を全ての小学校で取り入れてまいります。特に、来年度は初任者の教員を配置した学校のうち、24校程度の小学校を選定し、メンター制のより効果的な実践方法を研究し、その実践例等をもって全体に普及していくこととしております。 このような、教科の縦持ちや教科間連携、またメンター制などの取り組みを推進することによって、本県の全ての小中学校における学校のチーム化を図り、教員同士がチーム学校として協働することが日常となり、そしてやがて高知県の学校の文化として定着するよう継続して取り組んでまいります。 次に、高等学校において、授業改善の取り組みを国語、数学、英語の3教科だけでなく、学校全体の取り組みとして拡充していくための来年度の取り組みについてお尋ねがございました。 本年度から、高等学校課に学校支援チームを編成し、企画監を初め、国語、数学、英語の指導主事等がこれまで延べ800回を超える学校訪問を行い、各校の授業改善等の取り組みを推進してまいりました。 こうした取り組みにより、これまで個々の教員の力量に任されがちであった授業について、3教科については教科会などの活動が改善され、その結果、昨年9月に3教科で実施いたしました第2回学力定着把握検査において、2年生では、最も学力が低い層といわれるD3層の生徒の割合が過去最小になるとともに、上位層であるA・B層の生徒の割合が増加するといった成果が上がっております。 しかしながら、授業改善の取り組みが国語、数学、英語の3教科にとどまり、他教科には十分広がっていない状況にありますので、今後は3教科における授業改善の取り組みをさらに充実させながら、この取り組みが他教科にも波及するように各校を支援していく必要があると考えています。 このため、来年度からは、全教員を対象とした教科ごとの教育課程研究協議会において、本年度の3教科の成果をもとに授業改善に向けた研修等を実施することとしております。また、校長会や各校の学力向上担当者を対象とした研究協議会においても、3教科の取り組みや授業改善に組織的に取り組んでいる県外先進校の事例などを情報提供し、各校で実施する授業改善の取り組みを支援してまいります。加えて、各校で行っている公開授業において、3教科以外の教員を対象に、授業改善のためのチェックリストを活用した自己評価を実施してまいります。 こうした全ての教科での授業改善については、管理職のマネジメント力の向上もあわせて、学校支援チームの指導主事やアドバイザーの体制も強化して取り組んでまいります。 次に、中山間地域の高等学校について、できる限りその存続を図り、魅力と特色ある学校づくりを進めるための来年度の取り組みについてお尋ねがございました。 高等学校は、地域における教育の重要な拠点であり、とりわけ中山間地域においての存在意義は大変大きいものがあります。これらの学校が将来にわたって存続していくために、地域はもとより、地域外からも生徒が集まるような、生徒や地域にとって魅力と特色ある学校づくりを進める必要があります。 このため、中山間地域の高等学校10校全てに遠隔教育システムを整備し、県教育センターを配信拠点として大学進学に向けた進学指導講座や就職に必要な資格試験講座などを受信できるようにすることで、生徒が中山間地域の小規模校であっても希望する教科、科目などの授業が受けられ、みずからの進路を実現できるよう、学習環境の整備を進めてまいります。 また、各校における特色ある部活動については、順次それぞれの具体的な計画に基づいて、著名な指導者の招聘や施設、器具の充実などを行うことで、全国大会上位入賞や世界大会出場などの大きな目標を持って部活動ができる環境づくりにも取り組んでまいります。 さらに、高等学校を核として地域の教育力の向上や活性化につながる施設整備を行う市町村への財政的な支援や、学校と地域とが協働して人材の育成を図る探究的な学習の推進など、これまで以上に地域と連携した取り組みを進めてまいります。 こうした取り組みにつきましては、来年度に教育委員会事務局の体制も強化いたしまして、学校や地域との連携を図りながら、各校と魅力化の取り組みを推進するとともに、後期実施計画の進捗管理を確実に行っていくこととしております。 最後に、旧陸軍歩兵第44連隊跡地の保存、活用に係る、昨年12月本議会以降の財務事務所や文化庁との協議及び今後の取り組みについてのお尋ねがございました。 高知財務事務所から平成31年2月末まで土地処分の留保期限の延長をいただいて以降、文化財保護審議会の答申内容も踏まえ、遺存する講堂及び弾薬庫を単に保存するというだけでなく、当該跡地が高知県民にとっては歴史的に意味のある土地であるとの認識のもと、建造物の保存方法や周辺地域を含めた活用方法、関連する施設等のリストアップとその利活用の可能性などについて、さまざまな視点から検討を進めてまいりました。 土地の利活用について、まずは県が当該跡地を購入することなく保存、活用する方法について、高知財務事務所及び文化庁と協議を行ってまいりました。 まず、1つ目の方法として、土地、建物を文化庁に所管がえの上、県が管理団体の指定を受け保存、活用を図る方法について、文化庁から示唆も受けながら、所管がえを行う際に重要な判断資料になるとされた土地、施設等の保存、活用計画の作成を行ってきたところです。しかしながら、最終的には文化庁から、行政財産は国が行政目的遂行のために必要な物的資産と定義されており、国登録有形文化財は行政財産に当たらず、文化庁に所管がえはできないとの見解が示されました。 このほか、財務事務所から土地を無償または有償で貸し付けを受け、保存、活用を図る方法や、県有地との等価交換により当該跡地を取得する方法についても協議を行ってまいりましたが、いずれも国の同意を得ることはできなかったことから、土地を購入しないで活用することは困難であるとの結論に至ったところです。 先ほど知事から答弁がありましたとおり、第44連隊跡地は歴史的に大変重要な場所であり、当該跡地を後代に継承することは重要な意味がありますし、戦争のあった時代である近代から昭和の本県の歴史を次世代に正しく伝えていく、メモリアル的な場所として将来的に施設等を整備する上では最も有力な候補地になるものと考えており、今後は当該跡地を県が購入することを前提に検討を進めさせていただければと考えております。 一方で、高知財務事務所から延長いただいた土地処分留保の期限は本日までとなっていましたが、土地購入を前提に十分な検討を行う必要があることから、土地処分の留保期限について、来年3月末までの延長を申し入れ、昨日財務事務所から正式に文書で御了解をいただいたところです。 今後とも、高知財務事務所の御理解、御協力を得ながら、土地や建物などの有意義な活用が可能となるよう広く協議を進めてまいりたいと考えております。   (農業振興部長笹岡貴文君登壇) ◎農業振興部長(笹岡貴文君) まず、JA高知県の合併によるスケールメリットを生かした取り組みと県の支援についてお尋ねがございました。 県内の12JAに加えて、園芸連などの連合会の機能移管を含めた合併により設立されましたJA高知県は、高知県全域を区域として、合併によるスケールメリットを生かしたさまざまな取り組みを行うこととされておられます。 具体的には、営農指導事業では、合併によって重複機能を見直し、生み出される人員の活用により営農指導員を合併前の約180人から順次増員し、3年後には26人を増員する計画としており、これまで以上に組合員のもとへ出向き、きめ細かな営農指導ができるよう、体制の強化を図ることとされておられます。また、営農指導員のリーダーとして、ナス、ユリ、畜産など12品目に専門の営農指導員24人を配置し、品目別の営農指導員の研修を行うなど、県内全体の営農指導のスキルを向上させ、事業全体のレベルアップに取り組まれておられます。 販売事業では、これまでのJAの枠を超えた品目集約、集出荷施設の再編・整備、包装作業の効率化の検討など、流通コストの低減を図るとともに、大規模直販所とさのさとでは、こだわりの逸品や規格外品などさまざまな農産物を県内全域から集約し、販路拡大に取り組まれることとしておられます。 購買事業では、類似品の集約や大量発注による価格交渉や仕入れ機能を一元化することにより、生産資材コストの低減に取り組まれることとしており、特に使用頻度の高い肥料、農薬のそれぞれ50品目については、1月の予約注文から価格の引き下げが行われておられます。 こうした合併によるスケールメリットを生かした取り組みが、総合的かつ効果的に展開されることにより、農業者の所得増大、農業生産の拡大につながっていくものと考えております。 県としましては、県の行う研修へのJA営農指導員の参加による営農指導員の育成や資質向上の支援を行いますとともに、集出荷施設の再編・整備計画の策定やその計画に基づく施設整備、また新たにオープンする大規模直販所なども含めた出荷・流通・販売体制の仕組みづくりに関して、県職員の派遣や補助事業を活用した施設整備への支援などを行ってまいります。 このように、JA高知県が合併の効果を最大限発揮できるよう、ソフト・ハードの両面から支援を行い、情報共有を図りながらともに取り組んでまいりたいと考えております。 次に、出荷予測システムについてのお尋ねがございました。 県内のキュウリ、ナス、ピーマンなどの自動選果ラインが整備されている集出荷場においては、農家ごと、等階級ごとの出荷データが蓄積されておりますが、これまで農家の栽培管理へのフィードバックやJAの販売戦略には十分活用されておりませんでした。 そのため、現在開発中の出荷予測システムは、集出荷場の出荷データをIoTやAIを使って収集・分析し、見える化することで農家の栽培改善、営農指導の高度化、販売戦略への活用を目指すものでございます。これにより、各農家は等階級別出荷量に加えて、10アール当たりの収量・品質の推移や部会内順位、3週間先までの日々の出荷予測などをスマートフォン等を使って、いつでも把握することが可能になります。 県ではまず、昨年9月から春野地区のキュウリ、芸西地区のナス、安芸地区のナスとピーマンの各部会約600戸の出荷データを活用し、IT企業とシステム開発を進めており、あすから全国初となるキュウリ、ナス、ピーマンの出荷予測システムの運用を開始することとなっております。 具体的な活用方法としましては、等階級別出荷量の推移に加えて、果実の長さ、曲がり、色などの情報からB品、C品などに格付された要因が見える化されますので、農家自身の気づきによる栽培管理の見直しや、営農指導員等の効果的な指導によって、収量や品質の向上につなげることが可能となります。また、販売面では、出荷データを日々蓄積し、AIによる出荷予測精度を高めることで、有利に販売できる予約相対取引の増加につなげて価格の安定化を図るなど、生産と販売の両面から農家所得の向上につなげてまいります。 来年度以降は、産学官連携プロジェクトNext次世代型施設園芸農業において、さらに予測精度を高めるため、温度や日射量などの環境データ及び開花数や着果数などの生育データも加味したシステムへのバージョンアップを図るとともに、他の品目でのシステム開発も目指してまいります。あわせて、スマートフォン等を持たない農家でも、集出荷場に行けば個々の情報が見られるよう、県内各集出荷場にモニターを整備し、本システムを誰でも活用できるようにしてまいりたいと考えております。 これらの一連した取り組みにより、さらなる農家所得の向上と農業産出額の増加を目指してまいります。   (林業振興・環境部長田所実君登壇) ◎林業振興・環境部長(田所実君) 林業の振興に関し、主伐の増加を見据え再造林の促進を図っていくことが必要と思うがとのお尋ねがございました。 議員のお話にありましたように、県では、第3期産業振興計画において、平成37年の原木生産量を90万立方メートルまで伸ばすことを目標としており、主伐期を迎えている10齢級、46年生以上の森林が人工林の7割を超えている現状から、今後主伐をする森林が増加するものと見込んでいるところです。現在、主伐が行われている森林は林道に近いなど、比較的生産条件のよいところであると考えており、そうした森林においては、確実に再造林を行うことによって将来の資源量を確保し、林業の成長産業化に向けた好循環を生み出すようにしなければならないと考えています。 しかしながら、議員のお話にありましたように、主伐に対する再造林の割合は4割程度にとどまっています。その要因としましては、主伐時の収入に当たる山元立木価格の低下や森林所有者の高齢化、不在村化などにより、植林とその後の保育費用を負担した上で、長期にわたって所有林を適正に管理することが困難であるとして、再造林が回避されているのではないかと考えています。また、その前段において、再造林を行うことにより、将来期待できる伐採収入やその間の育成に係るコストなどの情報が、十分に森林所有者に伝えきれていないという現状があるということも一つの要因ではないかと考えています。 県としましては、再造林を促進していくためには、山元立木価格を高め、山に再投資する意欲を喚起することが重要であると考えており、これまで路網整備や高性能林業機械の導入などを進めることにより生産性を向上させ、生産コストの低減を図ることや、木材をより高くより多く販売するため、加工体制や販売体制を強化し、木材需要の拡大にも取り組んできているところです。あわせて、主伐後の森林の育成コストを低減するため、伐採と再造林を一体的に行うことにより作業を効率化する一貫作業システムや、活着がよく植栽本数を減らして植林が可能なコンテナ苗の導入などを進めることとしています。 こうした取り組みを着実に推進していくためには、地域ぐるみで再造林の促進に取り組む必要があると考えています。このため、来年度から県内を6ブロックに分け、それぞれの地域に林業関係者や市町村などをメンバーとする増産・再造林推進協議会を設置し、再造林の促進に関する情報共有を図るとともに、森林組合や林業事業体の職員を再造林を推進する担当者として登録し、主伐を行う一方で、再造林を予定していない森林の所有者に対して、森林管理の責務や再造林の意義、低コスト施業などの詳細な情報をお伝えし、将来の主伐までの長期の施業プランによりトータルコストもお示しして、再造林を実施していただくよう働きかける取り組みを進めることとしています。 こうした新たな取り組みも加え、再造林の促進対策を総合的に展開することにより、持続的な林業生産活動を可能にするとともに、森林の持つ公益的機能を発揮し続けられるよう、しっかりと取り組んでまいります。   (水産振興部長谷脇明君登壇) ◎水産振興部長(谷脇明君) 長年の課題である漁業の担い手確保にどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 漁業における担い手確保対策については、これまで都市部における就業相談会の開催や、技術習得に向けた長期研修の実施などに取り組んでおり、近年は年間50人前後の方々が新たに就業しております。 今後、さらなる担い手を確保するためには、就業後から経営が安定するまでのフォローアップが不十分といった課題が見えていることや、U・Iターン者を受け入れる地域間の競争がますます激しくなっていることなどを踏まえ、支援策の一層の強化が必要となっております。 このため、昨年10月にまずワンストップ相談窓口として設置いたしました漁業就業支援センターにつきまして、本年度末に関係する市町村や漁業協同組合にも参画をいただき、一般社団法人化した上で、来年度から県職員を派遣するなど組織の体制を強化いたします。 さらに、就業希望者への支援制度を充実強化し、研修内容に共通の座学研修を盛り込むとともに、就業時の漁船取得へのサポートや就業後の経営面での指導体制を構築するほか、大型定置網などにおける新規就業者の雇用促進や漁業後継者の育成支援にも新たに取り組むこととしております。 また、これまで発信してきました地域ごとのライフスタイルの提案をさらに磨き上げ、住居や求人などの具体的な情報を盛り込んだ漁村からの提案を移住促進・人材確保センターとも連携して積極的に情報発信に努めます。 県といたしましては、こうした漁業就業支援センターの活動を強力に支援し、一人でも多くの漁業の担い手を育成・確保してまいります。   (商工労働部長近藤雅宏君登壇) ◎商工労働部長(近藤雅宏君) 川谷刈谷工場用地の分譲について、現在の状況と今後の取り組みに関するお尋ねがございました。 まず、元ルネサス社高知工場の譲渡先の確保につきましては、県議会の皆様を初め、関係者の方々にお力添えをいただき、丸三産業株式会社への譲渡が決定いたしましたことに、改めて感謝申し上げます。 議員からお話がありましたように、川谷刈谷工場用地の分譲については、丸三産業株式会社の進出を契機として、県の香南工業用水道が香南市の工業用水道事業と統合されることで本格的に稼働となりますことから、これまで分譲の必須条件としておりました工業用水道の使用といった条件を撤廃し、製造業対象に本年1月15日から3月8日までを期限として、改めて公募を行っているところです。 川谷刈谷工場用地は、空港や自動車道のインターチェンジからも数分の距離に位置し、交通の利便性にすぐれ、最大クラスの地震による津波でも浸水しない約3.3ヘクタールの用地でございます。これまで同用地の分譲においては、平成28年11月からルネサス高知工場を承継する企業に一体的に活用されることを狙いとして取り組みを始めました。さらに、昨年4月には選択肢を広げて、同用地のみの活用を視野に、工業用水道の一定の使用を前提として再公募を行ってまいりましたが、応募はありましたものの、結果として分譲の決定には至りませんでした。今回、工業用水道の使用を条件から撤廃しますことで、工業用水道を使用しない多様な企業やBCPに対応する企業などの立地の可能性が高まるものと考えております。 同用地の分譲に当たっては、今年度民間調査会社の情報をもとに立地の可能性があると思われる約800社に対し、また直近では有識者からの投資動向に関する情報を得た約40社に対しまして、ダイレクトメールにより同用地の活用を提案してまいりました。あわせて、従来から同用地に関心をいただいていた企業や新たに問い合わせ等のありました県内外の企業の約50社には、直接の訪問等を通じて立地条件等の紹介をするなど、改めての御検討をお願いしているところでございます。 今後、公募期間が終了する3月中旬には、外部有識者を交えた立地企業選定委員会で事業計画や県内への波及効果などの審査を行い、分譲候補先となる企業を選定してまいります。 こうした取り組みにより、元ルネサス社高知工場の従業員で、県内での再就職先が決まっていない方や、やむを得ず県外の工場に異動された方を初め、就職先を探されている方々の新たな雇用の場を確保し、地域経済の活性化に寄与できますよう、早期の企業立地の実現に努めてまいります。   (地域福祉部長門田純一君登壇) ◎地域福祉部長(門田純一君) 高知版地域包括ケアシステムの構築に向けたネットワークの強化にどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 地域包括ケアシステムの構築に向けたネットワークの強化には、医療・介護・福祉の接続部を担う人材、いわゆるゲートキーパーの機能強化と入院から退院、在宅までの流れを支援する仕組みづくりが重要だと考えています。 このため、ゲートキーパーの機能強化に向け、支援が必要な高齢者を見つけ地域包括支援センターなどにつなぐことができるよう、あったかふれあいセンター職員の研修を充実いたしますほか、ケアマネジャーの資質向上に向けた福祉保健所ごとの取り組みにアドバイザーを派遣いたしますなど、人材育成への支援を強化してまいります。 また、各福祉保健所に配置をしております地域包括ケア推進監や企画監を中心に、各市町村や関係者の皆様と連携しながら、入退院時の連携方法などを定めた入退院時の引き継ぎルールの運用や改善への支援を行いますほか、在宅患者の日々の状態を関係者でリアルタイムに情報共有する「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」のさらなる普及を進めることによりまして、入院から退院、在宅までの情報の切れ目のないネットワークづくりに取り組んでまいります。 特に、ネットワークの核となる地域包括支援センターへの地域包括ケア推進監等の支援を、来年度からさらに強化することによりまして、センター自体の地域課題への対応力を高めるとともに、医療・介護・福祉の幅広い関係者や多職種の連携をさらに深めてまいります。 県といたしましては、こうした取り組みを通じまして、地域包括ケア推進監等が中心となり、市町村など関係者と連携し、さらに強固な医療・介護・福祉のネットワークの構築を進めてまいります。   (健康政策部長鎌倉昭浩君登壇) ◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 地域医療構想の実現に向けてどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがありました。 高知版地域包括ケアシステムを構築し、県民の皆様が今後とも地域地域で安心して暮らし続けていくためには、議員のお話にもございましたように、それぞれの地域において、一人一人にふさわしい療養環境を確保していくことは大変重要なことでございます。 地域医療構想では、医療圏ごとの将来のあるべき医療体制を取りまとめており、現在その実現に向けて、安芸、中央、高幡、幡多の4つの圏域ごとに設置をした市町村や地域の医療機関、介護事業所などの皆様で構成する地域医療構想調整会議において、それぞれの医療機関が担っている役割や病床の稼働状況などの情報を共有しながら、将来あるべき病床数や病床機能などについての議論をしていただいています。 また、そのほか県として、不足している回復期病床への転換支援や介護医療院への転換に向けたセミナーの開催など、各医療機関が具体的な行動に移すことができるよう、これまで取り組んでまいりましたが、今後は検討段階から体制整備の段階までの一貫した支援をさらに強化してまいりたいと考えています。 具体的には、まず医療機関が検討や決定を行う段階への支援として、新たに介護医療院や地域で不足する病床機能への転換などに向けた経営シミュレーションを行うことや、複数の医療機関間で連携のあり方の検討を行うことに対する財政的支援を行ってまいります。そして、各圏域での地域医療構想調整会議での協議が一層進むよう、病床機能について主観的な病床機能報告に加えて客観的な指標もお示しするとともに、個々の医療機関が各圏域で解決できない課題に対して、県単位で協議する仕組みの導入も図っていく予定です。 また、実際に医療機関が具体の体制整備を行う段階への支援として、介護医療院への転換を機に行う耐震化などに対する支援を引き続き行うとともに、新たに必要な医療提供体制が確保されることを前提としながら、病床のダウンサイジングを行う際の施設の改修や処分に係る経費等への支援も行ってまいります。 こうした取り組みを通じて、調整会議での議論や各医療機関の自主的な取り組みを後押しすることで地域医療構想の推進を図り、地域地域で持続可能な医療提供体制により、先々にわたって一人一人のQOLを高めることができますよう取り組んでまいります。   (危機管理部長酒井浩一君登壇) ◎危機管理部長(酒井浩一君) 南海トラフ地震に関連する臨時情報が出された際の対応に関するガイドラインが示された後の市町村等の検討スケジュールと県の支援についてお尋ねがありました。 臨時情報は、南海トラフ沿いで異常な現象が発生し、ふだんと比べ地震発生の可能性が高くなっていると評価された場合などに気象庁が発表するもので、平成29年11月から運用が始まっております。この情報を減災に生かすための防災対応のあり方について、国のワーキンググループにおいて検討が行われ、昨年末に報告書が取りまとめられました。 報告書では、南海トラフ沿いで発生する典型的な異常現象を、半割れ、一部割れ、ゆっくりすべりの3つのケースに整理した上で、例えば南海トラフの東側の地域で大規模地震が発生した半割れのケースでは、後発の地震が想定される本県を含む西側では、津波から迅速に避難することが困難な地域では事前に1週間避難することが示されております。また、半割れケースの防災対応を1週間実施した後や、一部割れ、ゆっくりすべりのケースでは、揺れや津波に対する警戒レベルを上げ、避難経路を確認するなどの対応を実施することも示されております。 ガイドラインは本年度内に公表される予定であり、現在示されているスケジュールでは、4月に都府県・市町村説明会の開催、その後災害対策基本法や南海トラフ地震対策特別措置法に基づく基本計画が改定されることになっております。国は、2020年度のしかるべき時期からガイドラインを踏まえた防災対応の運用を開始することとしているため、それまでの間に市町村は、住民への情報伝達の方法や避難対象者、開設する避難所などについて、企業等は従業員や利用者等への情報伝達の方法や施設の点検などについて、具体的な計画を策定することが求められております。 一方、県としましては、こうした国の動きを待つことなく、臨時情報を防災対応に生かすため、市町村と協議を行い、昨年11月には当面の対応方針を定めたところです。また、この方針を踏まえ、市町村が財政的な負担を理由として積極的な防災対応の実施をためらうことのないよう、避難所の設置に係る財政的な負担を軽減する支援制度も設けることとしております。 今後、市町村が具体的な計画づくりを進める上で参考となるよう、国の説明会を踏まえ、より詳細な説明会の開催や地域本部による各地域での取り組みの支援なども行ってまいりたいと考えております。また、企業等に対しても、説明会の開催や問い合わせに対応できる窓口の設置なども検討したいと考えております。 県としましては、こうした支援により、市町村や企業等が具体的な検討を速やかに進めることができるよう取り組んでまいります。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) 防災・減災に資するインフラ整備に当たり、現在の受発注者の体制で円滑に事業執行が可能であるのか、また防災・減災、国土強靱化の推進と体制づくりに向けた取り組みについてお尋ねがありました。 本県では、昨年7月の西日本豪雨による災害復旧予算に加え、国から「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」が示されたことを受けまして、近年にない大幅な予算の増加が見込まれます。県としましては、この予算を活用し、着実に事業を執行して防災・減災に資するインフラ整備を加速させ、災害に強い県土づくりを進めていかなければならないと考えております。 今回の事業費の増大に伴う影響としまして、発注件数が増加することにより受注者側の技術者不足や、受注者・発注者双方の入札や契約手続等の一連の事務量の増加が懸念されます。そのため、まず工事の発注に当たっては、難易度が同程度の複数の工事を1件にまとめて発注するなど1件当たりの金額を大きくし、事業費の増大に伴う発注件数の増加をできるだけ抑え、現場に配置が義務づけられる技術者数の抑制に努めていきたいと考えております。 また、1件当たりの工事金額が大きくなることから、A等級からD等級までの各ランク別の建設事業者に発注する際の標準となる金額を上方にスライドさせ、それぞれの工事の難易度に応じた等級への発注が継続できるよう、制度改正を行いたいと考えております。さらに、これらの改正とあわせて、指名競争入札や総合評価方式など、発注金額に応じた入札方式の適用範囲も上方にスライドさせ、建設事業者の皆様が不安なく、これまでと同様の事務処理で入札に参加できるよう配慮し、事務の負担軽減を図っていきたいと考えております。 こうした発注方法の改正に当たっては、受注者、発注者の限られたマンパワーを最大限に活用できる制度設計となるよう、建設業界の皆様からも広く御意見をいただきながら検討してきたところです。 今後も引き続き、増大する事業費に適切に対応できるよう、入札の状況や事業の執行状況なども注視しながら、必要な制度の改善に努めてまいりたいと考えております。 ◆17番(梶原大介君) 知事初め各部長には、それぞれ真摯に御答弁をいただきましてまことにありがとうございました。本年度の残された期間を含め、平成31年度それぞれの県政課題においてどのように取り組まれていくのか、その決意も含めてお答えをいただいたものと感じております。 また、尾崎知事におかれましては、昨年12月の議会でその去就を問われた際には、この2月議会で新年度予算、またさまざまな政策が審議を経て成立をし、31年度それぞれの事業がスタートして定着するまでは、その去就について明らかにされるおつもりはないとお答えになった後、各報道からの問いにも一貫して、そうお答えになられております。 その後、予算編成を行い今議会への提出を受け、また提案説明においても、先ほどいただいた答弁においても、この1年を単に任期の最終年ということではなくて、それぞれ御答弁をいただきましたように、これまでの10年間の取り組みをかけて、今後5年後、10年後に向けて、この高知県で多くの方々が暮らし続けられる、その起点となるような大切な1年に位置づけられているのが伝わってまいりました。 ぜひそれぞれの分野の県勢浮揚に向けて、今後御奮闘を心から期待を申し上げますとともに、この議会においても政策提言などを通してその責務に務めていかなければと強く思う次第でございます。 また、まだ一月ありますので少し早いのではありますが、今年度をもちましてこの県庁を退職される県行政の職員の皆様には、これまで長年にわたり高知県職員という生き方を選ばれ、そして県の行政に対して大きく御尽力をいただき、御貢献をいただきましたことに心から敬意を表し、感謝を申し上げさせていただきたいと思います。どうか、今後ともそれぞれお住まいのその地域の発展や、また県行政の発展に向けて御尽力を賜りますように心からお願いを申し上げさせていただきます。 そしてまた、4月の末まで任期がございますので少々早いとお叱りを受けるかもわかりませんけれども、本任期の最後の本会議でございますのでお伝えをさせていただきたいと思います。 今任期をもって御勇退をされます土森議長、池脇議員、浜田英宏議員、高橋議員、そして久保議員におかれましては、これまで長きにわたり県勢の発展に多大なる御尽力をいただきましたことを、そして御功績を残されましたことを、後輩として心から敬意を表し、また御指導をいただきましたことにも感謝を申し上げさせていただきます。 今後におかれましても、ますますそれぞれ御壮健でおいでになられまして、ありとあらゆる角度から高知県勢の発展にさらなる御尽力を賜りますと同時に、後輩である私たち一同にさらなる御指導をいただきますことをお願いさせていただきまして、私の一切の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(土森正典君) 暫時休憩いたします。   午後0時21分休憩-----------------------------------   午後1時20分再開 ○副議長(坂本孝幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 33番中内桂郎君。   (33番中内桂郎君登壇)
    ◆33番(中内桂郎君) 副議長のお許しをいただきましたので、通告順に従いまして順次質問をさせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。 ことしは5月に改元が行われ、大きな歴史の節目を迎えることとなります。安倍首相は年頭恒例の記者会見において、5月1日の新天皇の即位に伴う新たな元号については、国民生活への影響を最小限に抑える観点から4月1日に発表すると表明され、4月1日に改元のための政令を閣議決定の上、皇太子様が即位されます5月1日に改元を行うとのスケジュールを示し、歴史的な皇位の継承を国民がこぞってことほぐことができるよう、政府としてその準備に全力を尽くすと強調いたしております。 平成の時代はあと残りわずかとなり、その幕を閉じようとしておりますが、尾崎知事は新たな時代をどのように切り開いていこうとされるのか、今後の県政運営に大きな影響が生じるものと思われます重要な政策課題に関する知事の政治姿勢について、何点かお尋ねをいたします。 まず、県勢浮揚に向けた知事の政治姿勢についてお伺いいたします。 平成の30年を振り返ってみますと、バブル経済の絶頂期からの転落に始まり、阪神・淡路大震災や東日本大震災などのたび重なる自然災害などに見舞われた上に、少子高齢化や人口の減少という新たな試練などにも翻弄された、長期に及ぶ停滞の期間ではなかったかとの思いがいたします。言いかえれば、我が国を戦後の復興から高度経済成長期へ導いた昭和モデルが色あせる中で、その次の確たるビジョンを描き切ることのできなかった期間であったとも言えます。 思えば戦後の我が国は、とにもかくにも、もっとよい国にしようとひたすら経済成長を追い続け、脇目もふらずに突き進んでまいりました。高度成長期のような豊かさはいつまでも続かないのに、まだ大丈夫、もっと頑張れるという成長神話にとらわれ、このままの状態で突き進めば後々厄介なことになるのではないかといった負の側面に、多くの国民が薄々は気づいていたものの、あえて直視することを怠ってきたのではないか。現在の超高齢社会の到来は、極めて確度が高いと言われる将来人口の推計により予測もできていたはずで、その備えに目をつぶり怠ったために昭和のツケを払い続けてきたのが、平成の30年だったとも言えるのではないかと思います。 この間に尾崎知事は、霞が関の大蔵官僚から高知県のリーダーとなる政治家へ大きく転身を図られたわけですが、まずは平成を振り返っての知事の御所見を、県政運営の現状を含めてお聞きしたいと思います。 ことしは、4月の統一地方選挙に始まり、夏には一昨年10月の衆議院選以降の安倍政権の真価が問われる参議院選が控えている上に、首相は頭の片隅にもないと繰り返してはおりますが、自身の総裁任期なども絡めて、衆議院の解散総選挙も一部ではささやかれております。 参議院選の直後には消費税率の10%への引き上げが予定されておりますし、働き方改革や全世代型の社会保障改革、幼児教育や保育の無償化、外国人労働者の受け入れ拡大などといった重要政策の具体的な中身やその実績なども問われることとなり、皇位継承に伴う改元も含めて、ことしは我が国にとりましても大きな歴史の転換点となるものと考えます。 また、平成の次に来る時代は、少子高齢化と人口の減少が急速に進み、2040年には団塊ジュニアの世代が退職期を迎え、国民の3人に1人以上が高齢者となることが予測されており、新たな時代が本県にとりましても大きな試練となることは間違いのないところです。 尾崎知事は、2019年を迎えるに当たって、記者会見において、3期目の総仕上げを行うとともに、先々にわたるまで県勢浮揚を確かなものにできるよう全力投球で頑張るとの決意を述べられております。 本県が日本の新たな成長モデルとして、全国に胸を張ってお手本を示せるような県づくりに向け、知事のリーダーシップの発揮が大いに期待をされるところですが、その決意のほどを改めてお聞きいたします。 次に、消費税増税についてお伺いします。2012年6月の消費税増税に向けての3党合意から6年以上の歳月が過ぎ去りましたが、この間には10%への引き上げの2度にも及ぶ延期や、増収分の新たな使途への変更、さらには経済や税財政の状況を取り巻く厳しい環境の変化などもありました。 しかしながら、これまでの間、政府において消費税増税の必要性について説明責任がしっかりと果たされてきたかといえば、選挙で国民の審判を受けているとの答弁などが繰り返されるだけで、最近の世論調査の結果などを見てみましても、私には疑問に思えてなりません。 こうした中、安倍首相は、ことしの10月に消費税率を10%に引き上げる方針を表明いたしますとともに、増税前の駆け込み需要とその後の反動による景気の落ち込みを防ぐため、2019年度の政府予算案に、キャッシュレス決済時におけるポイント還元やプレミアム付商品券発行などに必要な経費のほか、公共事業に1兆円超の上積みをするなど、総額で2兆円余りの経済対策予算を計上しております。また、このほかにも税制面では、住宅ローン減税の拡充や自動車税の減税なども盛り込まれております。 政府では、2014年4月の5%から8%への引き上げで景気の腰折れを招いた教訓から、やるからには景気にマイナスが出ないように万全を期すとの方針だとお聞きをいたしておりますが、一方で今回の内容につきましては、家計の実質的な負担増とも言われる2兆円余りの金額の単なる数字合わせを行うための、財政状況を無視したばらまき予算ではないかといった批判なども起こっております。 まず、キャッシュレス決済時のポイント還元では、一定の期間内でのまとめ買いが可能となる高所得者層にどうしてもその恩恵が偏ってしまいますし、キャッシュレス化の進捗状況の違いによる地域間での不公平や、そもそもクレジットカードを持たない低所得者層が恩恵の対象から除かれるなどといった問題があります。 次に、プレミアム付商品券については、公費の投入により、購入した金額以上の買い物ができる商品券を低所得者などが購入可能となりますが、その差額の金額でもともと購入予定だった商品を前倒し購入する可能性も高く、こうした点を考慮いたしますと、その効果は公費による投資額に比べて大きく落ち込むとも言われております。 また、昨年末には、日本スーパーマーケット協会を初めとする小売業界の団体から、キャッシュレス決済時のポイント還元については、消費者の利便性と公正な競争の確保といった観点から強い懸念があるとして、撤回を含めた見直しを求める異例とも言える関係業界からの要望書が経産相宛てに共同で提出され、実施に向けての調整が図られております。 知事はこれまでも、社会保障制度の充実と強化の必要性などから消費税の引き上げはやむを得ないものの、経済的な影響をできるだけ小さくすることが重要だと述べられておりますが、今回の政府による消費税増税の影響緩和のための措置の内容と、それを踏まえた増税方針の表明についても知事の御所見を改めてお聞きいたします。 次に、地方創生についてお伺いします。政府が2014年に策定した地方創生のための総合戦略において、東京圏への転入超過を2020年までにゼロにし、東京一極集中を是正するとの目標を掲げてから、既に4年以上が過ぎております。この間、地方自治体を支援するための交付金制度や、東京にある企業の本社機能を東京23区から地方に移す企業を支援するための税制優遇措置などが打ち出されましたが、東京一極集中に歯どめがかかったとはとても言えないような状況にあります。 最近では、若者を中心に地方移住への関心が高まりを見せるなど、本県においても明るい兆しが見えてはおりますが、東京、埼玉、千葉、神奈川の東京圏では2018年の転入超過者が14万人近くに上るなど、これまでの施策の効果が十分にあらわれていないといった現実もあります。 こうした中、昨年末にはまち・ひと・しごと創生総合戦略の改訂版が閣議決定をされておりますが、2020年に東京圏と地方の転入、転出を均衡させるとの目標は、引き続き維持されることになっております。このため、改訂されました総合戦略では、地域からの人口流出を食いとめる新たな対策として、地域の経済や住民生活を支える拠点となる中枢中核都市を選定の上、集中支援をすることを通じて、周辺自治体を含めた圏域全体を活性化することにより、人口の流出に歯どめをかけることといたしております。 具体的には、中枢中核都市が作成した産業育成や市街地活性化などに関する計画を認定の上、地方創生推進交付金を配る際の上限額の引き上げや関係省庁の合同チームによる人的支援などを通じて、地域の取り組みを積極的に支援する方針だとお聞きをしております。さらに、直近5年以上東京圏に在住かつ東京23区に通勤していた地方への移住者が、移住先の中小企業等に就職した場合や起業したケースなどに、迎え入れた自治体が補助金を支給する際の財政支援制度の創設のほか、自治体による移住者への求人・生活情報の提供などを後押しするなど、地方への移住を希望する若者などへの支援も拡充されることとなっております。 産業振興計画の推進による雇用の創出や移住促進に向けた環境整備などに積極的に取り組む本県といたしましては、これを機会に中枢中核都市に選ばれました高知市との連携・協力をこれまで以上に密にいたしまして、取り組みを一気に加速する必要があるものと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、地方創生と関連して、地域社会のあり方に深くかかわる外国人労働者の受け入れ拡大についてお伺いします。昨年の暮れ、我が国において初めて単純労働に外国人の就労を認める改正出入国管理法が成立し、新たな在留資格として特定技能1号・2号が設けられますとともに、制度の導入に向けた基本方針や分野別の運用方針などが決定されております。 基本方針では、大都市圏への外国人労働者の集中を防ぐための措置を講ずるよう努めることや、悪質な仲介業者の排除などが明記されておりますとともに、分野別の運用方針においては、即戦力となることが期待されます特定技能1号について、介護、建設、宿泊、外食などの14分野を対象に、5年間で最大34万5,000人余りの受け入れが見込まれております。 深刻な人手不足の状況にある業種において、雇用する側から見れば確かに労働力の安定確保にはつながりますが、一方で受け入れた外国人労働者がスキルを上げていけば、やがては日本人労働者と同じ職を奪い合うことにもなり、欧米諸国において深刻な社会的、政治的な分断を引き起こしている移民労働の問題へと発展していくことが大いに懸念されるところです。 このため、政府では、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策において、政府全体で共生社会の実現を目指すことを明記いたしますとともに、全国100カ所の生活相談などに応じる総合相談窓口の設置を初め、126項目に上る支援策などを盛り込んでおります。 また、外国人労働者の大都市圏への集中を防ぐために、受け入れ分野ごとに協議会を設けて偏在の状況などを把握の上、大都市圏の事業者への受け入れ自粛要請などを通じて調整を図ることといたしております。 しかしながら、多くの支援を担うこととなります自治体からは、相談員や通訳などのマンパワーの確保すら容易なことではなく、大都市圏の企業への自粛要請の実効性確保などを含めて、戸惑いの声が出ていることもお聞きをいたしております。新制度の4月からの円滑なスタートに向け、果たして十分な体制が整うのか、私には疑問に思えてなりません。 中でも本県のような賃金レベルの低い地方では、今でも都市部などに失踪する外国人技能実習生が多いとも言われておりますが、新設されます出入国在留管理庁の指導監督体制のあり方や外国人労働者の登録支援機関ともなります民間団体などの活動内容によっては、外国人材の大都市圏への移動と地方で働く外国人労働者の待遇面での劣化が進むこととなり、結果として日本人労働者の待遇の劣化などにもつながりかねません。 また、外国人技能実習生の受け皿づくりを急ぐ必要性から、課題を先送りするといった安易な手法により事を進めていけば、後々において自治体や地域社会に大きな混乱を招くという結果にもつながりかねません。 新制度の施行までには時間的に余り猶予がない中で、懸念される課題の解決に向けた具体的な対応についての検討が必要だと考えますが、知事の御所見をお願いいたします。 知事の政治姿勢についての質問の最後に、憲法改正の議論についてお伺いします。安倍首相は、年明けから憲法改正については、具体的な改正案を示した上で、国会での活発な議論を通じ国民的な議論や理解を深めるための努力を重ねていくことが国会議員の責務であると述べられ、ことしの通常国会に自民党の改憲案を提示する意思を改めて表明いたしておるとともに、2020年に新憲法の施行をするという気持ちに全くの変わりがないことを明言するなど、憲法改正への強い意欲を示されております。こうした憲法改正に向けた首相の強い思い入れにもかかわらず、最近の世論調査の結果などを見てみますと、2020年に新憲法の施行を目指すという首相の方針にはおおむね反対の声が賛成の声を上回る傾向が見てとれますし、国民が政権に期待する政策としては、明らかにその優先順位は低いようにも思われます。 また、首相は、憲法改正に向けた前のめりの発言の一方で、憲法改正について最終的に決めるのは主権者たる国民の皆様であると、国民の声を最大限に尊重する重要性について述べられておりますし、スケジュールありきではないし、それを国会が決めていくことになるとも発言をされております。本当に首相の言葉のとおりであるのであれば、あらかじめ御自身の任期中などという期限を区切って憲法改正の議論を進めようとする姿勢は、少なくとも改めるべきではないかと私は思います。 首相は、平成のその先の時代に向かって日本のあすを切り開く1年とするため、その先頭に立つとの年頭所感を発表されておりますが、そうであれば憲法改正ではなく、多くの国民の皆さんの不安や心配を取り除くことができる社会保障制度の改革、10月に予定されている10%への消費税や米中間の貿易摩擦の激化などによる深刻な影響が心配されます景気の維持・拡大に向けた経済政策、さらには少子化対策などを中心とした人口の減少問題への対応などに、何を置いても最優先で取り組むべきではないかと思います。 憲法改正の議論は、初めに改正やスケジュールありきではなく、じっくりと腰を落ちつけて、国民の間で機が熟したと判断できるまで議論を尽くすべき問題であり、拙速な議論に走り、結果的に国民の間に深刻な亀裂や分断を生じさせてしまっては、それこそ取り返しのつかないことにもなりかねないと危惧をいたしておりますのは私一人に限らないと思いますが、知事の御所見をお願いいたします。 次に、日本一の健康長寿県づくりについてお伺いします。 昨年末に、厚生労働省の有識者会議において、高齢者の健康づくり、介護予防の取り組みを一体的に行う必要性についての提言が取りまとめられました。 こうした保健事業と介護予防事業の一体的な実施が求められる背景には、団塊の世代が全て75歳以上となる2025年に向けて、医療と介護を中心に急増する社会保障費の問題があります。高齢者人口がピークを迎えます2040年度の社会保障給付費は、2018年度の1.5倍以上となる約190兆円にも上るとの推計結果が公表されております。 このため、政府では、介護を受けずに日常生活を送れる健康寿命の延伸に向けた2040年までの目標と2025年までの工程表を、ことしの夏ごろをめどに策定する予定だともお聞きをいたしております。 保健事業と介護予防事業の連携の強化を図ることにより、高齢者が元気に過ごせる期間を長くできれば、その効果は本人や御家族の身体的、金銭的な負担の軽減にとどまらず、医療や介護に必要となる給付費の増大の抑制にもつながるといったことが大いに期待をされるところです。 他方で、本県のような過疎地域を数多く抱えます地方において、こうした取り組みを進めていくためには、県と市町村が連携を密にし、効果的に対策を実施できるような体制整備が必要になってまいりますが、市町村によっては専門知識を持つ人材の不足などといった課題も数多くあるものと思います。 本県ではこうした国の動きを先取りする形で、昨年から高知版地域包括ケアシステムづくりに向け全力で取り組んでおりますが、これまでの進捗状況と今後に向けての課題や取り組みの方向性などについて知事にお伺いをいたしたいと思います。 こうした本県独自の取り組みを進めておりますが、一方で生活習慣病対策や特定健診などは医療保険による対応、健康体操などの介護予防の取り組みは介護保険による対応となるなど、それぞれ別々の縦割りの制度の下で実施されており、情報が共有されることも少なく、効果的な取り組みはなかなか進まない状況にあります。 さらには、高齢者医療の分野では、74歳までの国民健康保険による対応と、75歳以降の後期高齢者医療制度による対応とに分断され、保険者間において健診結果などのデータが引き継がれない75歳での断絶が大きな課題となっています。 このため、安倍政権が進めようとしている全世代型の社会保障制度改革においては、こうした課題の解決に向け、予防対策に力を入れる自治体にインセンティブを与えるための交付金制度の活用や、高齢者医療確保法などといった関連法の改正などの手続を進めているともお聞きをいたしております。 全国知事会の社会保障常任委員会の委員長でもある知事として、本県のような過疎地域を数多く抱える地方にとりましても不利益が生じないような、全ての世代が安心できる社会保障制度の実現に向け、全国知事会の意見を取りまとめるなど、その手腕を大いに発揮されることも期待されるところですが、知事の御所見をお聞きいたしたいと思います。 次に、知的障害者福祉についてでございます。 高知県は、全国に先駆けて高齢化が進んでおります。その中で県は、日本一の健康長寿県構想を掲げ、高齢者は当然のこと、「県民の誰もが住み慣れた地域で、安心して暮らし続けることのできる高知県」を達成すべく、保健・医療・福祉の各分野において諸課題の解決に向け、積極的な施策を展開されております。 親御さんの我が息子、娘への強い思いがそれぞれを支え続けてきたと言ってもよいと思っております。その後、そういった家族やその関係者の負担を軽減していくことを主体に、施設面での福祉や在宅面での福祉が充実してきたことは御存じのとおりでございます。 私は専門家ではありませんので、詳しいこと、技術的なこともよく承知をしていませんが、特に知的障害者福祉の面では、先ほど申したように、御家族のその子供たちへの思いから始まったという経緯もあって、知的障害者の高齢化といった観点では余り議論されてこなかったのではと考えています。 知的障害を初め障害のある方の高齢化を考える場合、健常者の高齢化により出てくる不都合な面以上に、特別な対応をすべきことが多いはずであろうということは想像できます。例えば、加齢に伴う身体的機能の落ち込みのスピードも健常な方より速まってくると言われていますし、生活習慣病や認知症などについても、健常者の方に比べてより注意と配慮をもって対応する必要があると言われています。 まず、50歳以上、60歳以上の障害者支援施設の利用者の人数割合が10年前と比べてどう推移しているのかについて地域福祉部長にお伺いします。 当然、高齢化する利用者については、その加齢に伴う機能低下などの課題に対し、施設運営者はその処遇のあり方など具体的な対応が求められますが、高知県の障害者支援施設ではどのように高齢者対策がとられているのか、どのような具体的な事例があるのか、地域福祉部長にお伺いします。 利用者の高齢化が進めば進むほど、施設運営面で取り組むべき処遇のレベルはより細やかに、より高度なものになっていくことが求められると思います。障害に加えた認知症などの加齢による症状の併発は介護負担を重くしていくでしょうし、認知症などの高齢化の症状への対応方法といった職員研修の充実、または医療的ケアの増大に伴って必要となる看護師や理学療法士などの介護スタッフの充実も必要とされているのではないでしょうか。 実際に多くの高齢者が障害者支援施設で生活されているという実態からして、現状をどのように認識し、高齢化の伴う諸課題についての対応をどのように考えているのか、地域福祉部長にお伺いいたします。 一方、在宅の知的障害者について、知的障害者福祉法を初めとする現行の障害関連法規は、高齢期を迎えた障害者が安心して暮らすことのできる施策といったものについて特段触れてないのではないかと思っていますが、国のほうでは、在宅の障害福祉サービスを受けている人が65歳を過ぎれば介護保険制度が優先するとの基本的考えで、介護保険制度でカバーし切れない部分だけを障害者総合支援法で補うという考えをしておられます。また、介護保険サービス優先の原則についてはあくまで原則とし、自治体に対しては利用者の状況に合わせて配慮するよう通知しているとのことです。 また、自治体が独自にサービスを行うこともあると聞いていますが、その内容はまちまちで、住む場所によって格差が生じていることもお聞きしています。 本県の状況について、県内市町村の具体策はどうなっているのか、あわせて県の指導・支援の現状はどうなっているのか、地域福祉部長にお伺いいたします。 次に、知的障害者、精神障害者の県職員の採用についてでございます。 昨年大変大きな問題となり、県議会でも多くの議論がなされました障害者雇用水増し問題に関連して、県の障害者雇用・採用について質問をいたします。この問題は、そもそも国の行政・立法・司法の各機関において、障害者雇用促進法に定める障害者の法定雇用率を大きく下回っているにもかかわらず、本来は対象外であった人を対象に加えることで法定雇用率をさも達成しているかのように見せかけていたという、公共機関としてあってはならない不適切な取り扱いが明らかになったことから始まっております。 長年にわたり放置され続けていたこの事態が判明したことをきっかけとして、高知県を初め多くの自治体においても同様の事態が明らかになり、本県では知事部局、公営企業局、教育委員会といった機関で不適切な取り扱いが明らかになりました。 私は、一連の事実が明らかになった中で、国、県などの公共機関が最低基準とも言える法定雇用率の制度、趣旨を十分に理解し把握されていたならば、安定した職場と皆さんが考えている公共的な職場で、より多くの障害のある方が働くことの大切さ、喜びを体験できていたのではないかと残念でなりませんでした。 知的障害がある人を初めハンディキャップのある人がみずからの能力を生かし、公務員として働ける環境が実現することは、障害がある方、親御さんを初め、障害者支援・福祉にかかわっている人たちが長らく願ってきたことであり、このたびの行政による極めて不適切な対応により、行政や事業への不信、やりきれなさを感じるとともに、大変寂しく悲しい思いをしたところでもあります。 そのような中、昨年9月の県議会において尾崎知事から、範を示すべき県として国の通知やガイドラインについて関係機関に確認するなどした上で、対象者とするか否かについてはより厳格に判断を行うべきであったと反省をしているとの発言に加え、今回の反省を踏まえ、国の通知やガイドラインに沿ってより厳格に運用するとともに、引き続き障害者枠による職員の採用など障害者雇用に積極的に取り組んでいくことが明らかにされました。精神障害、知的障害がある方も、少しでも社会に貢献したい、公務員の道を進みたい、社会とのつながりを持ちたい、安定した職につきたいと考えています。そういう方にとっては希望を感じる大変うれしいコメントであったと思います。 そして、県当局におかれましては、速やかに知的障害者及び精神障害者の採用拡大についての検討が表明され、我々関係者にとっても大変喜ばしいことであり、昨年12月4日に、知的障害者、精神障害者が県職員選考試験の対象となる県職員の特別募集を始めていただきました。このことは、公務職場を目指す知的障害者、発達障害者を含む精神障害のある方にとって何よりも励み、目標になるものであり、御家族の皆さんもこの判断を何よりも喜びをもって迎えられております。我々、知的・精神障害者の支援に携わっている、かかわっている者としても大変喜ばしいものであり、強く評価をさせていただくものであります。本当にありがとうございました。 国においては、同様の中央省庁の障害者雇用者数の水増し問題を受けた形で、障害者対象の国家公務員統一試験が、全国の22会場で政府として初めて2月3日に実施されています。新聞報道によりますと、676人の採用枠に対して、その約13倍に当たる8,712人が受験に申し込んだということであり、申込者の内訳は、それぞれ持っている手帳別で見ると、精神障害者保健福祉手帳が57%、身体障害者手帳などが40%、知的障害者らの療育手帳などが3%ということになっております。 そこで、このたびの県の特別募集についてお聞きをいたします。今回の試験案内によりますと、申し込みの期限は1月10日になっており、1月20日には第1次試験が実施されたということですが、今回の特別募集にかかわる障害別の申し込みの状況や実受験者数、採用予定人員に対する倍率について人事委員長にお聞きをいたします。 今回の特別募集は、受験対象者に知的障害者、精神障害者を新しく加えて初めての募集であり、受験年齢上限を39歳に引き上げるという受験対象者に配慮した内容を含んでおり、その取り扱いについては評価しておるところですが、今回の申し込み状況を受けてその結果をどう評価しているのか、またその評価をもとに募集に当たって何か見直すべき点を検討しているのか、これから受験を考えている該当者、親御さんを初めとする関係者は大変関心のあるところだと思いますので、評価、見直しの検討内容などについて総務部長にお聞きをいたします。 今後、県庁での法定雇用率の達成ということに限らず、障害のある方の就業の確保、社会参加の促進といった点からも、また障害がある皆さん、また御家族が追い求めていく目標になるといったことからも、継続した採用と一定規模の採用数の確保が必要だと考えます。 そのように、さらに雇用を進めていくためには、12月議会の我々の会派の坂本議員の質問に対し執行部から答弁をされましたように、一定の業務に絞った採用、そして知的障害者、精神障害者の採用枠の設定が必要不可欠ではないかと思います。 そこでまず、知的障害者、精神障害者に適した業務または仕事の種類について、全国的に設定されている先進例としてどういうものがあるのか、総務部長にお尋ねをいたします。 この質問の最後に、今回の特別募集に関して、その速やかな実行を決断した尾崎知事に、知的障害者、発達障害者を含む精神障害者募集に当たっての一定の業務の設定、そして採用枠の設定についてお考えをお聞きしたいと思います。 次に、JA高知県の農業者へのサービス向上についてでございます。 本年1月、合併、設立しましたJA高知県の農業者へのサービス向上についてお伺いいたします。県内のJAは、昭和35年には200組合あったものが、平成元年には83組合、平成22年には昨年末時点と同数の15組合と、大規模経済の有利性を発揮し、経営基盤の強化や事業の効率的実施などを図るため、複数のJAが合併してきたという歴史を重ねてこられました。そして、今回12JAと連合会などにより、県内全域を区域とするJA高知県の設立に至られ、現在では4JAになったわけであります。 これまで、JAの合併において、経営基盤の強化など合併効果を発揮し、組合が維持されてきた反面、組合員からは、支所の統廃合によりサービスが低下した、期待した資材単価の低下にもつながらなかったなどの御意見があるとお聞きをいたしているところです。 今回の合併においても、組合員の中には、合併はやむを得ないとしつつも、JAが遠くなり組合員の声が届きにくくなるのではないかとの声を聞いているところです。 協同組合は組合員の相互扶助のために組織されたものであり、JA合併は、組合員である農業者や地域住民などへのサービスの維持・向上を図るため、組合員の合意の上に行われるものであって、単にJAという組織の維持だけを目的としたものであってはなりません。 県は、これまでの議会答弁において、JAグループ高知は農業振興の重要なパートナーであるとの答えをしてきたところであり、本県の農業振興を図っていく上で、さまざまな農業施策についてJAグループ高知と連携し、また必要な支援を行いながら取り組んでいると認識をしているところです。 今回の合併によりまして、JA高知県は全国屈指の規模を誇る農業協同組合となられたわけですが、本県の農業を守り、さらに振興していくといった役割をこれまで以上に担っていただくことを期待しているところであり、今回の合併によるスケールメリットを大いに発揮し、農業者の所得向上や農業生産の拡大に寄与していただかなければならないと考えています。同時に、これまで合併してきた歴史の中での課題を踏まえた上で、今回の合併における組合員の不安の声に真摯に向き合い、組合員の期待に応えていただかねばなりません。 今回のJA合併が、JAが遠くなりサービスが低下するのではないかといった農業者の不安の声を払拭し、本当に農業者のサービス向上につながるものとなっているのか、知事にお聞きをいたしたいと思います。 次に、南海トラフ地震対策、津波対策についてでございます。 南海トラフ地震は、昨年2月に政府の地震調査委員会において、今後30年以内の発生確率が70から80%に引き上げられ、大きな揺れと巨大津波の脅威は刻々と増しています。そうした中、押し寄せる津波に備え、少しでも逃げる時間を稼ぐ、また少しでも被害を少なくするためには、海岸堤防の耐震化やかさ上げが必要不可欠であり、最大の防御となると考えます。 中でも高知市を中心とする沿岸部は、高知龍馬空港や高知港、国道などの重要インフラが立地しており、人口が集中し、都市機能が集積している地域でもあります。この地域の津波被害を最小化し、早期に社会経済活動が復旧・復興することで、高知県全体の地震・津波被害の最小化へつながっていくものと考えております。 東日本大震災以降、高知市を中心とする海岸線である高知海岸において、いち早く国による海岸堤防の耐震化などの工事に着手し、高知海岸の地震・津波対策の工事が急ピッチで進められているところでありますが、南海トラフ地震がいつ発生するかわからない状態の中で、整備されている海岸堤防の効果が最大限発揮されるよう、一日でも早く完成させる必要があります。 そこで、現在の直轄高知海岸の進捗状況について土木部長にお聞きしたく思います。 また、直轄高知海岸の西に隣接する土佐市宇佐地区では、第3種宇佐漁港を中心に、その背後には緊急輸送路として指定されている主要道路、須崎仁ノ線が位置するとともに、約5,200人の地域住民が居住しています。また、この地域は、1946年に発生した昭和南海地震において甚大な津波被害を受けた経験があることから、以前から津波に対する避難路や避難広場について整備を進めているところでもあります。 しかしながら、隣接する直轄高知海岸は整備が目に見えて進んでいるのに対し、新居地区以外の宇佐漁港海岸はまだまだ整備が始まったばかりです。 そこで、宇佐地区の住民の不安を解消するためにも、海岸堤防の耐震化のスピードを上げていく必要があると考えますが、現在の宇佐漁港海岸の進捗状況と今後の進め方について土木部長にお聞きしたいと思います。 次に、教育問題についてでございます。 高知県教育大綱や第2期高知県教育振興基本計画に基本理念として掲げられている「学ぶ意欲にあふれ、心豊かでたくましく夢に向かって羽ばたく子どもたち」や「郷土への愛着と誇りを持ち、高い志を掲げ、日本や高知の未来を切り拓く人材」を育成することこそ重要であると考えます。 そして、こうした人材育成の中核を担うのは何といっても学校教育であり、その学校教育を充実させるためには、教育は人なりと言われるように、教育をつかさどる教員にまたれるということは、誰もが認めるところです。 しかし、近年小中学校において、その教員不足が全国的に発生しているという状況にあると言います。本県においても、病気や産前産後休暇をとった先生の後補充が十分できず、授業にも影響が出ているという話も漏れ聞こえ、非常に深刻に受けとめているところです。 本年度における本県の教員不足の状況とその打開策をどのように立てられておるのか、教育長にお聞きします。 現代は、かつて私たちの子供のころのように、先生という職や地位にあることで人々から尊敬が得られるという時代ではありません。あわせて、12月の新聞にも、2人に1人が過労死ラインとの記事が出ておりましたが、教員の仕事内容もブラックと言われるほどに多種多様で、莫大な量を持っていることも教員不足の要因となるのではないかと考えます。 当然先生が子供、保護者からの信頼、尊敬を得られるように、日々勉強や鍛錬、努力を惜しまず、みずからを磨いていくことは必須の条件であります。しかし、その仕事内容の整理や勤務条件を整えることは、教育行政が行ってしかるべきと考えます。そうしなければ教員を志望する人材もますます減ってくるのではないでしょうか。 現在、教員の働き方改革ということが言われていますが、本県の教員の勤務の実態と働き方改革の進行度合いを教育長にお聞きしたく思います。 そして、現在の小中学校の教員の構成は、50歳以上が50%を占め、30歳から40歳代の者が非常に少ない状況であります。そうすると、今後10年で半数以上の教員が入れかわる状況にあるわけで、このことはつまり、教育についての経験や知識が少ない教員が大量に学校に入ってくることを意味します。確かに若いということは学校に活気をもたらし、子供たちによい結果がもたらされると思います。しかし、殊、授業や学級経営、生徒指導、あるいは保護者対応などの面で未熟な面を持つということも事実です。 また、これから実施される新学習指導要領で求められている主体的・対話的で深い学びの実現や、高知県教育大綱に上げるチーム学校の構築や厳しい環境にある子供たちへの支援などに対応するためには、それぞれの教員の力量を高めると同時に、学校の組織化を図ることが必要不可欠です。 このようなときにあって、大量に採用される若い教員の資質・指導力をしっかりと向上させていくことが重要と考えますが、県教育委員会としてこの若手教員をどのように育てていこうと考えているのか、若手教員の育成方針と具体策について教育長にお聞きします。 また、私が住む土佐市の高岡中学校は、若い教員の割合が非常に多い大規模の学校ですが、同校においては平成28年度から、複数の教員が学年をまたがり同じ教科を担当する教科の縦持ちというシステムを導入しております。この中で、定期的に先輩教員が若い教員に指導したり、教員同士が授業力を高め合う話し合いを持ったりして、教育効果を上げてきていると聞いております。 このように、若い教員が学校内の先輩教員について授業力を鍛えられ、時には悩みを相談し、成長していく、あるいはそれぞれの教員が授業づくりについて、かんかんがくがくと討議をし切磋琢磨するこの仕組みは、非常に有効なものと思います。 しかし、このシステムは、現在のところ県内の大規模中学校にしか導入できないといったことを聞いています。 このような、学校の中で若手教員が先輩から習う、教員同士が高め合うという仕組みを、小学校や中小規模の中学校にも広めていくべきと思いますが、教育長はどう考えておるのか、お聞きしたいと思います。 最後に、東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みについてお伺いします。 来年はいよいよ我が国で2度目の夏季オリンピック・パラリンピックが東京で開催されます。 前回の1964年大会は、史上初めてアジアで開催された大会でありますとともに、敗戦後の日本が目覚ましい復興を遂げた姿を世界に示し、国際社会への復帰を果たすといった象徴的な大会でありました。また、大会の開催に先駆けて、東海道新幹線や首都高速道路網、東京モノレールの整備や羽田空港の拡張整備など、国家規模の都市改造プロジェクトが推進され、高度成長の礎を築くきっかけになりました。 それから半世紀経過して開催される今回の大会は、当時と比べ、日本の経済社会構造はもとより、あらゆる分野で様相が大きく異なっております。成熟社会における先進的な取り組みを世界に示す絶好の機会になるものと考えます。 観光庁においては、2020年の訪日外国人旅行者数の目標を4,000万人と定め、観光先進国への新たな国づくりを進めており、2018年、史上初めて訪日外国人旅行者が3,000万人を突破し、インバウンドのさらなる推進に邁進しております。 また、今回の大会が全国に及ぼす経済効果は、東京都が一昨年行った試算では、大会招致が決まった2013年からオリンピック終了後10年を経過した2030年までの18年間で約32兆3,000億円としており、全国の雇用増加数は約194万人を見積もっております。 一方、オリンピック・パラリンピックなどのメガスポーツイベントの開催地では、建設コストの上昇や不動産の高騰などの課題も懸念されております。実際に、平成25年度から29年度の5カ年で国が東京大会の開催のために支出した経費が約8,011億円にも上るとして、会計検査院から指摘を受けていますし、組織委員会、東京都、国のオリンピック・パラリンピック関係経費を合計した最終の支出見込みが3兆円を超えるとも見込まれており、当初予想しておった予算規模より大幅に拡大することが懸念されるなど、功罪両面があります。 ただ、本県におきましては、東京大会の成功に向けて、競技力の向上やスポーツに親しむ人の増加など、スポーツ振興の機運醸成を図る面からも喜ばしいことが多いと思います。 県では、大会に向けて提案書を取りまとめ、よさこいやCLTの活用などについて国等へ継続的に提言活動を行うなど、東京大会を見据えた取り組みを積極的に進めてこられました。 これらを踏まえ、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて県としてどう取り組んでいくのか、これまでの県の取り組みの総括を含め、知事の御所見をお聞きしたいと思います。 また、オリンピック・パラリンピックにおける日本人アスリートの活躍は、我々国民に夢や感動を与えてくれるものであります。県においても、昨年度よりスポーツ行政を一元化し、第2期スポーツ推進計画を策定し、さまざまなスポーツ施策を打ち出して本県の競技力向上やスポーツ機会の拡大に取り組まれております。 オリンピック・パラリンピック本番に向け、海外の競技団体などへの事前合宿招致活動も日ごとに熱を帯びているとお聞きしていますが、事前合宿は世界のトップアスリートを間近に見ることができるまたとない機会であり、本県のスポーツ振興における大きな推進力になるものであります。 我々としても大変期待をしておりますし、現在の招致活動やホストタウンの取り組み状況について、また今後どう取り組んでいくのか、文化生活スポーツ部長にお伺いいたします。 最後に、これは私の提案でございますが、この東京オリンピック・パラリンピックの取り組みが進む中で、私を取り巻く多くの人たちから、ソフトボールの球場そして野球場の2万人体制の新しい施設を建設してほしいという声が多く上がっております。どうかこのことも、知事を初め執行部の皆さん方がよく考えて実施されますことをよろしくお願いいたしまして、私の第1問の質問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 中内議員の御質問にお答えをいたします。 まず、県政運営の現状を含めて、平成を振り返っての所見につきましてお尋ねがございました。 平成は、日本全体が、それまでのいわゆる右肩上がりの追いつき追い越せといった時代から、みずからがみずからの道を切り開いていかなければならない時代へと、時代の大きな転換を余儀なくされた時代であったものと考えております。すなわち、欧米という目指す明確なモデルがあり、かつ人口が増加し、地方から都市という形で大きな産業の構造が転換することにより安定的に経済成長が達成されてきた時代から、不確かな中で、現在や将来の取り巻く環境の正と負の側面を見きわめつつ、みずから新しいものを生み出し続けていかなければ経済成長を持続し得ないという時代が到来したと言えるものであろうかと考えるところです。 また、阪神・淡路大震災や東日本大震災を初めとする、国全体を揺るがす未曽有の大災害や多くの災害に見舞われることにより、国民全体が改めて日本が災害大国であることを実感させられ、それらの教訓から最悪の事態を想定した備えをしていくことの必要性を痛感させられたのも、平成の時代でありました。 県政運営という視点からこれらの平成の時代を考えてみますと、本県経済は基本的には右肩下がりで推移し、特に平成10年以降は厳しい時期を迎えておりました。ここ数年は、本県経済は拡大傾向を維持しており、ある意味みずから道を切り開くことにより時代を新たに展開していこうとしている状況にあると考えているところであります。 また、災害対策にしても、私が知事に就任した当時はいまだ最悪に備えるという形にはなっておりませんでしたが、東日本大震災等の惨状を経て、県の防災対策も最悪に備える形で大きく進み、また同じく最悪に備える施策に転じた国の一連の施策を大いに活用してきたところであります。 この平成という時代に経験した出来事から我々は多くのことを学んでまいりました。目の前にある課題を克服して、将来に向けての経済の成長や県民生活の安定をいかに確実なものとしていけるのか、引き続き本県が直面している課題であります。 新たな時代を切り開き、自立的な発展をする高知県であり続けるために、その解決に向けて県庁を挙げてひたむきに努力を続けていかなければならない、そのように考えているところです。 次に、私のリーダーシップにつきましてお尋ねがありました。 私は11年前に知事に就任させていただいて以来、全国に先駆け本県が突入した人口減少社会をもたらすさまざまな課題に対して、その解決策を見出していかなければならないとの強い思いを一貫して持ち続けているところであります。 従前より申し上げておりますように、本県は人口減少、高齢化の波に全国に先駆けて真っ先にさらされ、これに伴う経済規模の縮小や過疎化の進展といったさまざまな課題に直面してまいりました。しかし、今や人口減少や高齢化は全国的に進展をしており、これまで本県が長年悩まされてきた課題は他の地域でも顕在化してきております。 そうした中、本県がいわば課題の先進県であるからこそ、そのことで蓄積されたノウハウや知恵を生かしてこれからの時代を生き抜く処方箋とし、全国に範たるいわば課題解決先進県となることを目指してきたところであります。 今後も、人口減少が続く中、徐々に力強くなりつつある県勢浮揚に向けた歩みをより確かなものとしていくため、私としましてもリーダーシップを発揮し、今議会でも審議いただく経済の活性化を初めとする5つの基本政策と、それらに横断的にかかわる3つの政策をしっかりと展開してまいる所存であります。 次に、消費税増税の影響緩和のための措置の内容と、それを踏まえた増税方針の表明についてお尋ねがございました。 従前から申し上げておりますとおり、国、地方を通じた厳しい財政状況や急速に進む少子高齢化という現況に鑑みれば、社会保障制度の充実強化を図り、かつ持続可能性を確保するために、消費税率の8%から10%への引き上げはやむを得ないものと考えております。一方で、税率引き上げによって経済的に厳しい状況にある方々と、マクロ経済全体へのマイナスの影響をできるだけ小さくすることが重要であると考えるところです。 議員からお話のありましたキャッシュレスポイント還元事業やプレミアム付商品券事業につきましては、消費税率引き上げ後の一定期間消費を喚起することによって、経済全体への影響を緩和する効果が期待できるものと考えております。 他方、一つ一つの対策だけでは、御指摘にもありましたように、その効果には限りがありますことから、国においては、先ほど申し上げた事業のほか、軽減税率制度の導入や「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」、さらには幼児教育の無償化などさまざまな施策を組み合わせ、総合的な対策を講じることとしております。 国においてはこうした経済対策を、混乱が生じないようにしっかりと行っていただきたいと考えております。 また、本県としましても、3カ年の緊急対策を最大限活用するなど、国と歩調を合わせ、一連の経済対策を着実に実施してまいります。 次に、中枢中核都市とされた高知市との連携・協力についてのお尋ねがありました。 私は、県政と市町村政との協働なくして県勢浮揚をなし遂げることはできない、特に県内人口のほぼ半数を占め県都である高知市との連携・協調は、各種の政策を実効あるものとするためにも必要不可欠であると考えており、これまでも課題を共有しながらさまざまな連携を図ってまいりました。 一例を申し上げますと、産業振興計画ではよさこい祭りの振興や地域アクションプランなどの取り組みを、また南海トラフ地震対策では津波防御や長期浸水などの対策を、日本一の健康長寿県づくりでは厳しい環境にある子供たちへの支援などの取り組み、さらに教育面では学力向上対策といった具体の連携を図ってきたところであります。昨年7月にオープンした新図書館等複合施設オーテピアにつきましても、県市の連携なくしては実現できなかった施設であり、これにより中心市街地のにぎわいなどにもつながっているものと感じております。 こうしたさまざまな連携に当たっては、高知県・高知市連携会議などの場において、トップ同士が課題を共有し、方向性を協議、確認しているところであります。 お話にありました中枢中核都市は、活力ある地域社会を維持するための中心拠点として、近隣市町村を含めた地域全体の経済、生活を支え、東京圏への人口流出を抑止する機能を発揮することが期待されており、このたび高知市など82都市がこれに位置づけられたところであります。 他地域への人口流出の状況が把握できる平成29年のデータを見ますと、高知市は県外に1,194人の転出超過となっており、中枢中核都市として県都である高知市がその魅力を高めるまちづくりを進めることは、若者の流出防止と県外からの移住促進につながるものと考えております。 既に高知市は、県全体の牽引役としての役割をこれまで以上に発揮するため、県内33市町村と高知県とで、れんけいこうち広域都市圏を形成しており、高知市が移住者や外国人観光客の受け皿となり、中山間地域を初め県内各地に誘導する2段階移住や、インバウンド観光の取り組みなどが進められております。 こうした県内全市町村の連携による取り組みと中枢中核都市の取り組みが相乗効果を発揮することで、高知市はもとより県全体の発展につながるよう、しっかりとスクラムを組んで取り組みを進めてまいります。 県としましては、自然や食、文化など、本県の強みの源泉である中山間地域の振興なくして県勢浮揚はなし得ないと考えており、県政運営に当たっては、中山間地域での展開を特に意識して進めているところであります。 中山間対策の柱である集落活動センターは48カ所にまで広がってきており、センターの経済活動と産業振興計画の産業成長戦略や地域アクションプランの取り組みとを連携させてステップアップさせていく、3層構造の取り組みを各地で展開しているところでありますし、また自然・体験型観光などの取り組みも進めることとしております。 こうした中山間における取り組みは、県都である高知市と連携することにより、さらに大きな経済効果が期待されることから、今後もさらなる施策の充実と高知市との連携強化を図り、多くの若者が地域地域で住み続けられる高知県の実現を目指してまいりたいと考えるところです。 次に、改正入国管理法の施行までの時間的猶予がない中、課題解決に向けた具体的な対応策の検討が必要ではないかとのお尋ねがございました。 今般の出入国管理及び難民認定法の改正に伴い、昨年12月には制度の運用に関する基本方針や分野別運用方針、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策が定められ、3月中旬には、パブリックコメントを踏まえ、特定技能外国人の雇用契約や支援計画の基準などを定めた政省令が制定される見込みであるなど、4月施行に向けた準備が進められております。 こうした中、先日本県で開催された国の制度説明会には、県内の介護や建設業、製造業、農業などの事業者や関係団体などから約250名の参加があり、外国人材への期待の高さがうかがわれるところです。 また、県が県内の技能実習制度の監理団体にお尋ねしたところ、傘下の事業者の多くが新たな制度に基づく外国人材の受け入れを希望しており、技能実習生の中にも残りたいという声があるとお聞きしております。 さらに、市町村においても、共同通信社のアンケートによると、約7割が法改正に賛成またはどちらかといえば賛成と回答するなど、外国人材の受け入れに関して前向きに捉えられた回答が多くございました。 一方、事業者や市町村からは、議員の御指摘にありましたように、処遇の格差から大都市に人材が集中するのではないかといった声や、言葉の問題を含む受け入れ体制などに関する不安の声もお聞きしております。大都市への集中に対する懸念につきましては、国において各分野別に協議会等を設け、過度に集中して就労することとならないよう必要な措置を講ずることとされておりますが、具体的な内容は今後示されるものと考えています。 県としては、外国人材への期待の声が大きいことを踏まえ、国の動きを注視するとともに、4月の施行に向けて現時点でできることをしっかりと準備し、何よりも大切である制度の適切な運用と、地域住民としての外国人の社会生活の支援に努めてまいりたいと考えております。 具体的には、制度の運用につきまして、日本人と同等以上の報酬とされる雇用契約の基準など、出入国在留管理庁や労働基準監督署による適切な指導監督が求められるところでありますが、県としましても、入国管理局や労働局などで組織する、技能実習制度に関する連絡協議会を拡充し、新たな制度を含めた外国人材の就労状況などに関する情報共有と課題への対応、事業者に対する制度の周知などに努めてまいります。 社会生活の支援につきましては、平成31年度の早い時期に、医療や福祉、教育などの社会生活や就労等に関する総合的な相談窓口として、仮称ではありますけれども、高知県外国人生活相談センターを設置したいと考えております。センターの業務については、現在庁内各部局が参加するワーキンググループでの検討を進めているところですが、外国人や受け入れ機関等からの相談を受け、適切なアドバイスや的確な対応窓口への誘導などを行う予定であり、その運営に当たっては、国や市町村、関係機関等とも連携した運営協議会を立ち上げ、関係機関の御意見も踏まえて取り組んでまいります。 あわせて、県の関係部局においても、高知県中小企業団体中央会や高知県国際交流協会などと連携し、日本語教育の機会の拡充や地域での交流事業の実施など、外国人労働者にとって働きやすく住みやすい環境づくりを進め、高知県が働き続けたい場所として選ばれるよう、しっかりと取り組んでまいります。 次に、憲法改正議論についてお尋ねがございました。 私は、これまで申し上げてきましたとおり、日本国憲法は我が国の礎となるものであることから、その時々の表層的な風向きによってそのあり方が問われるべきものではないと考えております。 他方、現行憲法が制定されてから70年が経過しており、現行憲法で必ずしも対応できない根本的な事柄が生じているのであれば、憲法改正について徹底した議論を行うことが必要であるとも考えております。 こうした中、自由民主党から4つの検討項目と条文案が示されたことは、憲法改正に向けた議論を促進するものとして意義があるものと捉えているところです。特に、南海トラフ地震などの大規模災害に対処するための緊急事態条項の追加や、今後の地方自治の発展に資し、合区問題の解消とも関連する地方自治の規定の充実については、国会においてしっかりとした議論を進めていただきたいと考えております。 先月召集された通常国会の冒頭、安倍総理は、憲法は国の理想を語るもの、次の時代への道しるべであると述べられた上で、国会の憲法審査会の場において各党の議論が深められることを期待すると訴え、憲法改正の議論の加速を求めたところであります。しかしながら、現在の国会の状況を見ますと、必ずしも憲法改正について議論が深まるという段階には至っておりません。 ぜひ、今後時間はかかったとしても、国会において多角的な視点で慎重かつ徹底した議論を行っていただき、国民に丁寧に説明を重ねていただきたいと思っております。 また、私自身も、引き続き機会を捉えてみずからの考えについて訴えてまいりたいと考えているところです。 次に、高知版地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みの進捗状況と今後に向けての課題や方向性についてお尋ねがありました。 高知版地域包括ケアシステムの構築に向けて、これまでシステムを構成する一つ一つのサービス資源の整備に重点を置いて取り組んでまいりました。 その取り組みの一つとなります、あったかふれあいセンターについては、サテライトも含めますと県内約280カ所にまで広がりますとともに、リハビリテーション専門職等の派遣による介護予防の取り組みや認知症カフェの実施など、機能の充実も図られてきたところです。また、救急医療体制の確保に向けたドクターヘリの離発着場の整備や、在宅生活を支えるための訪問看護、訪問介護のサービス確保などにも取り組んでまいりました。 こうした整備が一定進んできましたことから、今年度から、中山間地域の多い本県の特性を踏まえた上で、意図的に医療・介護・福祉の各拠点を切れ目のないネットワークでつなぎ、システムとして機能させる高知版地域包括ケアシステムの構築を加速化しています。 現在、各福祉保健所に配置した地域包括ケア推進監などが中心となり、入退院時の引き継ぎルールの運用の支援による医療機関とケアマネジャーの連携の強化など、地域のネットワークづくりにおける課題やその解決策を各市町村や関係者の皆様と協議し、対策を進めているところです。 こうした取り組みを進めていく上では、ネットワークなどの核として地域包括支援センターの役割がますます重要になってまいります。このため、各センターがその機能を充実させることにより強固なネットワークが築いていけるよう、地域包括ケア推進監等が個別にしっかりと支援していく取り組みを強化していくこととしています。 さらに、中山間地域においても医療・介護・福祉の情報を切れ目なくつなぐことができるよう、ICTを活用した地域医療介護情報ネットワークシステムの整備を進めてまいります。 あわせて、「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」につきましても、モデル地域を設定して実証事業を行うなど、県内全域での普及に向けて取り組んでまいります。 他方、関係者との協議の中で、在宅生活を支えるためには、さらなる介護サービスの量的拡大が必要であるとともに、限られたマンパワーの中で効率的なサービスの実施が求められるといった課題も明らかとなってまいりました。このため来年度は、一つの事業所で通い、訪問、泊まりのサービスが提供できる小規模多機能型の在宅サービス施設の整備をより積極的に支援してまいります。 こうした一連の取り組みを、地域包括ケア推進監等が中心となり、市町村など関係者と連携しながら地域の実情に応じて進めていくことにより、中山間地域におきましても、支援の必要な高齢者の皆様を本人の意向に沿った最もふさわしいサービスにつなぐことができる、高知版地域包括ケアシステムの構築を進めてまいりたいと考えるところです。 次に、全世代型の社会保障制度改革についてお尋ねがございました。 我が国は、少子化により現役世代の減少が進む一方、さらなる高齢化の進展に伴い、医療費、介護費の一層の増大が懸念されており、社会保障制度の持続可能性そのものが課題となっております。 そうした中、今年度から都道府県が国民健康保険の保険者となったことも踏まえ、全国知事会では昨年7月に健康立国宣言を決議しました。これは、持続可能な社会保障制度の構築に向け、住民のQOLの向上を図りつつ社会保障に係る負担を軽減することとあわせて、社会保障制度を支える力を強くする施策について、地方は地方の責任をしっかりと果たすということを宣言したものであり、私も社会保障常任委員長としてこの取りまとめに携わったところであります。 また、昨年11月には、全国知事会として、議員のお話にもありました生活習慣病対策や重症化予防に取り組むこととあわせて、介護予防や加齢・疾病によるフレイル対策に取り組むことにより健康寿命の延伸につなげ、QOLを向上させていく必要性などを国に対して政策提言したところです。 あわせて、現在全国知事会では、健康立国宣言に基づき、持続可能な社会保障制度の構築に資する全国の先進・優良事例の横展開を図るため、21のワーキングチームを立ち上げ、全ての都道府県が参加して取り組みを進めています。大きく分類すると、重症化予防など健康づくり分野、介護予防など高齢者対策を含む地域包括ケアシステム分野、子育ての経済負担軽減など次世代育成支援・女性活躍促進分野から成っております。この取り組みは本県の施策の向上にも役立つものであり、本県は全てのワーキングチームに参加して、他の都道府県の事例も参考にしてきたところであり、先般この検討も踏まえて日本一の健康長寿県構想のバージョンアップを行いました。 こうした全国知事会の取り組みは、全世代型社会保障制度の構築や、国が持続可能な社会保障制度の構築を目指して取りまとめた新経済・財政再生計画改革工程表2018に掲げられている改革項目の推進にもつながってまいります。 今後も、行動する全国知事会として、先進・優良事例の横展開を図ることとあわせて、その実行に当たり必要となる規制緩和や財政的支援については、本県のような過疎地域の多い地域にとって不利益が生じることがないようしっかりと現場の声を取りまとめ、国に対して政策提言を行ってまいりたいと考えております。 次に、知的障害者、精神障害者の募集に当たっての一定の業務の設定、採用枠の設定についてお尋ねがございました。 12月定例会でお答えいたしましたように、今後さらに障害者雇用を進めていくためには、一定の業務に限定した採用や、知的障害者、精神障害者の方々の採用枠を設定することを検討していくことが必要です。その際には、従事していただく職の設定に加え、サポート体制の整備や試験の実施方法のほか、採用後の処遇やキャリアプランなども検討していく必要があると考えております。 新年度においては、文書等の封入、データ入力等の定型的な業務を集約して行うワークステーションを開設し、非常勤職員として10名程度の障害者の方々を雇用することとしており、知的障害者及び精神障害者の方も採用することを考えています。 さらに、正職員としての採用について他の都道府県の状況を調べたところ、知的障害者については、現に採用している3団体全てにおいて一定の業務を行うことを前提とした採用枠を設定しており、精神障害者については、現に採用している3団体のうち1団体において採用枠を設定していることがわかりました。また、本県と同様に、本年度から特定の障害種別に限定せずに採用試験を実施している団体が9団体ありました。 新年度、これらの団体の状況や国の障害者雇用の状況、さらには本県のワークステーションでの雇用の状況も踏まえながら検討を進めてまいります。 次に、今回のJA合併が農業者の不安の声を払拭し、農業者のサービス向上につながるものとなっているのかとのお尋ねがありました。 JA高知県は、将来にわたって農業の発展に貢献し、農業者の所得増大などに取り組むため、連合会も含めた県域全体で人材、資金、施設などの経営資源を結集して、本年1月に設立されました。 これまでの合併協議の過程では、組合員の声が届きにくくなるのではないか、生産資材の単価は本当に下がるのかなどといった組合員の不安の声もあったとお聞きをしております。JA高知県では、こうした不安の声も踏まえて、合併した12JAの支所、出張所などは維持したまま管内を7つの地区に分け、各地区の長である統括常務が権限を持って、迅速に地域の独自性を生かした運営を行うとともに、各支所、各地区及び本所に運営委員会を設置し、組合員の意見をJA運営に反映することができる体制とされております。 また、職員が組合員を訪問してニーズの把握などを行う、いわゆる出向く体制の強化のために、営農事業では今後3年間で26人の営農指導員の増員を行うとともに、購買事業では営農経済渉外課を設置し、組合員のもとへ出向き、地域の特性や組合員のニーズに沿った活動をこれまで以上に行うと伺っております。さらに、合併を契機として全職員による訪問活動を開始されているなど、組合員と直接向き合う出向く姿勢を大事にされておられます。 加えて、JA高知県では、スケールメリットを発揮して大量発注や仕入れ機能の一元化などによる生産資材のコスト低減、広域の集出荷施設の再編・整備、県外事務所の活用による販売力強化、大規模直販所とさのさとを拠点とした販路の拡大などに取り組み、農業者の所得増大、農業生産の拡大を図っておられます。 このように、JA高知県では、合併によるスケールメリットを発揮して、出向く体制の強化や事業の強化に全力を注いでおり、こうした取り組みが組合員の不安の声を払拭し、これまで以上の農業者のサービス向上につながるものと考えております。 県としましては、農業者の所得増大や農業生産の拡大に向けて、JA高知県と課題を共有し、ともに取り組んでまいります。 最後に、東京オリンピック・パラリンピックについて、これまでの取り組みの総括と今後の取り組みについてお尋ねがございました。 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会は、世界中から注目され、多くの外国人が訪日する機会となる大会であり、高知の魅力を発信する絶好の機会であるとともに、県民のスポーツへの関心を高めるまたとない機会です。 このため、オリンピック・パラリンピック関連施設に国産木材を活用し、日本の木の文化を世界にアピールすることで国産木材の需要拡大につなげることや、よさこいを全世界にPRすることにより国外から本県に多くの観光客に来ていただくことを目的に、CLTの活用やオリンピック・パラリンピック開閉会式等でのよさこい演舞実現について、国や組織委員会などに積極的に提言活動を行ってまいりました。これまでの提言活動を通じて、CLTを初めとする国産木材については、新国立競技場のほか7施設で活用されることとなっており、歓迎式典やメディアセンターが配置される選手村ビレッジプラザの整備においては、本県から提供するCLTも使用されることとなっております。 こうしたことによって、国内外において木への関心が高まることが期待できることから、国産木材はもとより、県産木材の需要拡大の機運醸成にしっかりとつなげてまいりたいと考えています。 オリンピック・パラリンピック開閉会式等でのよさこい演舞実現に向けては、全国でよさこいを主催する団体を会員とする2020よさこいで応援プロジェクト実行委員会の90の団体と連携して、日本を代表する祭りとして国内外に広がっているよさこいの魅力や、開閉会式とよさこいのコンセプトが一致していることをアピールしてまいりました。 今後とも、要望活動を継続しますとともに、実行委員会の会員と連携し、海外メディアに会員の祭りや海外のよさこいチームの活動を発信してもらい、よさこいの認知度をさらに高める取り組みを進めてまいります。 県民のスポーツへの関心を高める取り組みとしましては、世界レベルの選手や指導者等との交流を図り、県民のスポーツ参加への機運醸成や競技力の向上につながるよう、事前合宿の招致活動に積極的に取り組んでまいりました。その結果、昨年4月、チェコ共和国、シンガポールの事前合宿が決定したところです。 来年4月には本県でもオリンピック聖火リレーが行われ、大会に向けた機運がますます高まってまいります。 今後は、招致活動はもとより、こういった機運の高まりをさらなる本県のスポーツ振興につなげてまいりたいと考えております。今後とも、オリンピック・パラリンピックの効果を最大限に生かし、スポーツの振興はもとより、本県全体の地域や経済の活性化につなげ、大会終了後もレガシーとして継続されるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。 私からは以上でございます。   (地域福祉部長門田純一君登壇) ◎地域福祉部長(門田純一君) まず、障害者支援施設における知的障害がある高齢の方の利用人数の推移についてお尋ねがございました。 日本知的障害者福祉協会が実施をいたしました全国知的障害児者施設・事業実態調査報告における、平成23年度と28年度の知的障害のある利用者人数を比較しますと、50歳以上の方の入所施設の利用割合は43%から48%に、60歳以上の方は23%から27%に増加をしており、比較できる10年前のデータはございませんものの、近年の状況を見ても全国的に高齢化が進んでいるものと考えています。 本県におきましては、知的障害を含む全障害種別を対象としたものにはなりますが、年齢比較が可能な障害福祉計画の進捗状況調査における、平成26年度と平成29年度の利用者人数を比較いたしますと、50歳以上の方の入所施設の利用割合は53%から55%に、60歳以上の方は33%から34%へと緩やかに増加をしております。 また、県内の障害者支援施設では、入所者のうち50歳以上の方の割合が80%を超える施設もあり、県全体の高齢化と同様、施設入所者の高齢化も進行しているものと考えております。 次に、障害者支援施設における高齢の利用者への対策の事例、また施設の高齢の障害者の現状や高齢化に伴う課題への対応についてお尋ねがございました。関連をいたしますので、あわせてお答えをさせていただきます。 障害者支援施設で生活をされている高齢の障害者につきましては、障害特性に応じた支援に加え、高齢化による機能低下に対して居住スペースの確保や介護負担の増加への対応が必要となりますし、あわせて医療ニーズも高くなってきます。このため、生活環境の整備や介護福祉機器の導入等のハード部分の充実だけでなく、職員の介護や医療のスキルの向上など、ソフト部分の充実も必要となってまいります。 こうした現状を踏まえ、多くの施設では、生活スペースの工夫や介護用ベッドの導入などのハード面の対策に加え、身体機能の低下を防ぐためのリハビリ訓練や職員のスキルアップのための研修といったソフト面の対策に取り組まれております。 県といたしましても、施設整備や介護用ベッド等の介護福祉機器導入のための補助事業、高齢者の介護に関する研修事業等を開催するなど、高齢の障害者が入所している施設の支援に取り組んでいるところです。また、医療ニーズの増大に関しましては、介護職員への医療的ケアの研修を実施するとともに、現状では介護施設に比べて基準上の看護職員の配置が少ない障害者支援施設が看護職員を複数配置した場合の新たな加算の活用についても、施設に周知をしているところです。 今後も、こうしたハード・ソフト両面の支援を継続するとともに、施設からの御意見もお伺いし、高齢の障害者への支援のさらなる充実に向けて必要な検討を行ってまいります。 最後に、在宅の高齢障害者に対するサービスの市町村の状況、県の支援などの状況についてお尋ねがございました。 在宅の65歳以上の方の障害福祉サービスの利用につきましては、議員のお話にもありましたように原則として介護保険が優先となりますが、個別の利用者の状況を考慮し、一律に介護保険サービスを優先的に利用するものとはしないとの通知が、厚生労働省より発出をされているところです。県といたしましても、市町村の担当者会や介護保険のケアプランを作成する介護支援専門員の研修などの機会に、この通知の趣旨について周知をしているところです。 県内の市町村の状況としましては、例えば就労継続支援などのように障害福祉サービス固有のサービス利用や、介護保険サービスだけではサービス量の確保が困難な場合、市町村の保健師、相談支援専門員、介護支援専門員などによる支援会議等でその必要性の検討を行った上で、65歳以上の方であっても障害福祉サービスの利用を決定していることを確認しております。 県といたしましては、今後におきましても、さきに述べました厚生労働省の通知について、担当者会の場などにおいて引き続き市町村に周知をしてまいります。   (人事委員長秋元厚志君登壇) ◎人事委員長(秋元厚志君) 障害者の県職員採用に関しまして、障害別の申し込みの状況や実受験者数、採用予定人員に対する倍率についてお尋ねがございました。 このたびの障害者を対象といたしました高知県職員等採用選考試験の特別募集では、任命権者と協議を進める中で、年齢制限を34歳から39歳に引き上げますとともに、対象となります障害の種別を広げ、行政2名、学校事務2名、県立病院事務1名、電気1名、合わせまして6名を採用予定として募集を行いました。 技術系の電気職への申し込みはございませんでしたが、行政、学校事務、県立病院事務の事務職種には38名の応募があり、このうち身体障害者手帳などをお持ちの方が15名、39.5%、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方が20名、52.6%、療育手帳などをお持ちの方が3名、7.9%となっておりまして、男女別で見ますと、男性28名、73.7%、女性10名、26.3%の方から申し込みがございました。 このうち、身体障害の方1名が欠席をされましたので、試験には37名の方が臨まれ、競争倍率は7.4倍でございました。   (総務部長君塚明宏君登壇) ◎総務部長(君塚明宏君) 知的障害者、精神障害者の県職員採用に関し、まず申し込み状況を受けて、その評価と見直しの検討についてお尋ねがございました。 今回の正職員の特別募集の申し込み状況からは、多くの障害者の方が公務部門において活躍の場を求めていることが確認できたと考えております。特に精神障害者の方につきましては、20名と多くの方に申し込みいただいたところです。一方で、知的障害者の方につきましては3名にとどまっておりまして、これは従事していただく業務を限定せず、かつ障害の種別を限定しない同一の試験であったことも一因と考えられるところです。 このため、先ほど知事の答弁にもありましたように、今後一定の業務に限定した採用枠の設定についても具体的に検討する必要があるものと考えております。 次に、知的障害者、精神障害者に適した業務の全国の先進例についてお尋ねがございました。 昨年来、先行して知的障害者や精神障害者の方の採用を行っております他の都道府県に、聞き取りや訪問調査を実施してきております。 現時点において把握している限りでは、正職員の募集に当たり、まず精神障害者の方については特定の業務を設定している例はございませんでした。 知的障害者の方につきましては一定の業務に限定した採用枠を設けており、その内容として、具体的には文書の収発・管理、簿冊の管理、ホームページの保守管理、データ入力・集計などの業務に従事することとしている例があったところでございます。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) まず、南海トラフ地震・津波対策について、直轄高知海岸の現在の工事の進捗状況についてお尋ねがありました。 直轄高知海岸は、背後地が人口や経済・社会基盤が集積する重要な地区であることから、国において平成23年度より全国防災事業などの予算を活用し、今までにないスピードで海岸堤防の耐震補強工事が進められております。 現在の耐震補強工事の進捗状況は、平成28年度末までに土佐市の新居工区、高知市の仁ノ工区、戸原工区が完了しております。残る高知市の長浜工区、南国市の南国工区につきましても、平成32年度末にはほぼ完了する予定とお聞きしております。 今後も、引き続き直轄高知海岸の堤防の耐震補強工事が計画どおりに進みますよう、しっかりと国に政策提言を継続してまいりたいと考えております。 次に、現在の宇佐漁港海岸の工事の進捗状況と今後の進め方についてお尋ねがありました。 宇佐漁港海岸には、東から新居、宇佐、竜、井尻の4つの地区があり、5,000人を超える方々が生活されており、これらの地区における海岸堤防の耐震化は、住民の皆様の生命と財産を守る重要な対策であると認識しております。 直轄高知海岸に隣接する新居地区の海岸堤防565メートルにつきましては、平成25年度に耐震補強工事に着手し、平成28年6月に工事が完了しております。また、竜・井尻地区では、平成28年8月から耐震補強工事に着手し、両地区の整備延長約1,200メートルのうち、今年度末までに約200メートルの工事が概成する予定です。整備延長が一番長い宇佐地区の4キロメートルにつきましても、昨年度より工事に着手し、事業を進めているところでございます。 しかしながら、耐震補強の整備が必要な海岸堤防の残りの延長はまだ約5キロメートルと長く、早期完成に向けましてこの事業を計画的に進めていくためには、予算の確保が大きな課題であると認識しております。このことから、国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を最大限に活用するための予算を本議会にお諮りしているところです。 今後も、引き続き土佐市など関係機関との連携を強化し、予算の重点配分について国への政策提言を継続するなど、宇佐漁港海岸での地震・津波対策が早期完成できるようスピード感を持って取り組んでまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、本年度における本県の教員不足の状況とその打開策についてお尋ねがございました。 議員のお話にもありましたように、教員の採用倍率の低下や臨時教員の不足などの状況は、本県に限らず全国的な課題となっており、年々深刻になってきております。 本県においては、本年度4月1日から2月22日までの間に長期の病気休暇や産前産後休暇等を取得した教員等は、小中学校、高等学校、特別支援学校合計で196名となっています。このうち、164名については臨時教員を配置できておりますが、現在全校種合計で32名分が未配置となっております。特に小中学校においては、級外教員や教頭などが対応することで学級担任が不在となっている状況には至っていないものの、26名分が未配置となっております。 こうした教員不足を解消するために、これまで本県では、まず再任用者を多く確保するとともに、県外出身者をターゲットにした採用審査を関西地区で実施することで、高知会場とあわせて受審者数を確保し、新規採用者も可能な限りふやしてまいりました。 また、臨時教員の確保については、広報紙やSNSを活用したPRも行うとともに、免許が休眠状態になっている本県の元教員については、免許の更新講習を受講しなくてもすぐに勤務していただけるよう、先月から臨時免許状を発行することにしたところです。必要な教員が確保された状態で新年度をスタートできますよう、引き続き努力をしてまいります。 さらに、関西会場を受審した方で2次審査に進まれた方の辞退割合が高いことから、来年度の採用審査では、2次審査の日程を関西圏の他府県等の日程とずらすことによって2次審査の受審者をふやし、さらなる新規採用者の増を図りたいと考えております。 あわせて、今後増加が予想されます育休取得者等の代替教員として新たに任期付教員の採用を行うこと、県内の学校で教育実習を行う方に対して本県の教員を志望するよう早い段階から声がけを行うこと、他県で公立学校の教員をされている方に本県の現職教員等特別選考制度の紹介を移住促進制度の周知等とあわせて呼びかけるなど、さまざまな取り組みを実施し、教員の確保に努めてまいります。 次に、教員の勤務の実態と働き方改革の進行度合いについてお尋ねがありました。 本県の公立小中学校のうち、比較的規模が大きくスクールサポートスタッフを配置している20校の教員560人を例にとってみますと、統計をとり始めた昨年6月から12月までの1人当たりの平均時間外勤務は、小学校では6月の60時間55分が最も長く、最も短いのは8月の12時間30分で、7カ月の平均では46時間37分となっています。また、中学校では、6月の84時間55分が最も長く、最も短いのは8月の33時間43分で、平均67時間56分となっており、いずれの校種においても、月によってばらつきがあるものの長時間勤務の解消が求められる状況にあるものと考えております。 また、これら20校における長時間勤務の要因は、小学校では担任業務が最も多く、次に分掌業務、教科業務、中学校では部活動が最も多く、続いて分掌業務、教科業務、担任業務となっております。 こうした要因による長時間勤務を改善するため、まずは教員の行う成績処理や出欠管理などの担任業務や教科業務に係る事務作業を大幅に軽減する校務支援システムを、平成32年度には県内全ての市町村に導入したいと考えており、来年度は公立小中学校の約7割に導入することとしております。また、中学校で最も負担感が大きい部活動については、適正な活動時間や休養日を定めた活動方針を徹底するとともに、来年度は、顧問にかわって指導、引率ができる指導員を28人から74人へと拡充することとしています。 さらに、教員としての専門性を必要としない授業準備の業務などを行うスクールサポートスタッフを20人から30人へと拡充するなど、担任業務や教科業務の軽減のため、外部人材の活用も推進してまいります。 県教育委員会としましては、これらの取り組みを市町村教育委員会や学校の取り組みと連携して業務の削減や効率化につなげ、教員の働き方改革を進めてまいります。 次に、若手教員をどのように育てていこうと考えているか、教育方針とその具体策についてお尋ねがございました。 教員の大量退職、大量採用に伴い急激に増加してきた若年教員については、経験や技能の不足のため学級経営が十分にできていない状況や、児童生徒の興味、関心を高める魅力的な授業づくりが十分にできていないといった状況も見受けられ、若年教員の資質・指導力の向上は、本県の教育水準向上のために大変重要な課題であると認識をしております。 このため、県教育委員会においては、昨年度、若年期から管理職までの人材育成の基本方針となる高知県教員育成指標を策定し、各段階において、学級・ホームルーム経営力、学習指導力、チームマネジメント力、セルフマネジメント力の4領域ごとの資質・能力の達成目標を明示し、若年教員についてもこの指標に基づく育成を本年度から開始したところです。 具体的には、教育センターにおいて実施する初任者や2年次、3年次などの若年教員を対象とした集合研修においては、児童生徒を理解し、信頼関係を構築して学級を円滑に経営する力や、指導技術を工夫し、的確な学習指導を行う力の向上を図るとともに、自己管理や自己変革に努め、チームの一員として協働する姿勢の習得を促すことなどに重点を置いて取り組んでおります。 また、若年教員においては、この指標に基づき、1年間で目指す具体的な姿を自己の達成規準として作成し、この規準に照らして年2回の自己評価や年度末の校長評価を行うことで、定期的に実践を振り返り、自己の成長や課題を捉えて、教員としての資質・能力を高めていくことができるようにしております。 さらに、来年度からは各学校において、日常の勤務の中でのOJTとして、経験豊富な先輩教員が若年教員を指導するなど、学校内で教員同士が学び合い、チーム学校として組織的に人材育成を行う仕組みを全県的に拡充し、若年教員の資質・指導力のさらなる向上に向けて取り組んでまいります。 最後に、学校の中で若手教員が先輩から習う、教員同士が高め合う仕組みを、小学校や中小規模の中学校にも広めていくべきと考えるがどうかとのお尋ねがございました。 現在、教員の大量退職に伴い、若年の教員が多く採用され、初任者教員が配置される学校も増加してきており、各学校においてこの若年教員を育てるOJTを充実させるための仕組みを構築することが急務となっております。 このため、平成28年度から、規模の大きい中学校においては、複数の教員が学年をまたがり同じ教科を担当する教科の縦持ちのシステムを導入し、現在31校で実施しています。これらの学校では、同じ教科の教員同士が話し合い学び合う機会を確保するため、週の時間割りの中に教科会を位置づけ、あるいは放課後などにも随時教科会を設定するようにしております。この中で、若年教員が先輩教員から習ったり、教員同士が互いに切礎琢磨しながら授業改善や指導力の向上を図る姿が見られるようになっています。 また、平成29年度からは教科の縦持ちの考え方を中小規模の中学校にも導入するよう、異なる教科の教員がチームを組んで互いに学び合う教科間連携の研究を進めてまいりました。これらの学校からも、教科の違う教員同士であっても授業づくりについての意見交換や授業公開をすることにより、授業改善を図っていこうという姿勢が各教員に見られるようになったとの報告が上がってきております。 このようなことから、来年度は教科の縦持ちや教科間連携を組み合わせて、教員同士が学び合う仕組みづくりを県内全ての中学校に拡充していくこととしております。 さらに、小学校においても、若年教員の育成のために、ベテランや中堅の教員が相談役や指導者として若年教員と一緒になってチームを組む、いわゆるメンター制の仕組みを、先進的に実践研究している岡山県や高崎市などの取り組みも参考に、本県の全ての小学校に取り入れ、人材育成の仕組みを構築してまいります。   (文化生活スポーツ部長門田登志和君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(門田登志和君) 東京オリンピック・パラリンピックに向けた現在の事前合宿招致活動とホストタウンの取り組み状況、さらには今後の取り組みについてお尋ねがございました。 まず、事前合宿の招致につきましては、知事をトップとした招致委員会を立ち上げるとともに、本県にゆかりがあり、各国のスポーツ関係者などと交流のある方にアドバイザーに就任いただき、これまで関係団体などと連携して招致活動を展開してまいりました。その結果、昨年4月にはチェコ共和国、シンガポールとそれぞれ事前合宿の実施に向けた覚書を締結し、現在合宿受け入れに向けた具体的な協議、調整を行っているところです。 また、ホストタウンの取り組みとしましては、現在高知市や南国市を初めとした県内6つの市町と県が連携して、ホストタウンとして登録しているシンガポールを初めとする7カ国とさまざまな交流活動を実施しております。具体的には、シンガボールスポーツスクールと県内中高生との相互交流や、チェコのソフトボール代表チームと県内の高校生・社会人チームとの親善試合のほか、オランダの自転車ナショナルチームと地元住民の交流イベントなどの取り組みが行われております。異文化を理解する取り組みとしましては、ホストタウン登録国の文化を学ぶ教室や、大使館専属シェフによる母国の料理教室なども行われております。 今後におきましても、引き続き招致活動やホストタウンの取り組みを進めることで相手国とのつながりをより深め、大会後もレガシーとしてスポーツ振興や文化交流、経済交流などにもつながるよう、市町村や競技団体などとも連携して取り組んでまいります。 ◆33番(中内桂郎君) それぞれおおむね了解をする答弁をいただきまして、ありがとうございました。 ここでは質問をすることはなく、今期で退職をされます皆さん方に心から感謝を申し上げ、今後とも県政を見守ってほしいことをお願いいたしまして、私の全てを終わります。どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(坂本孝幸君) 暫時休憩いたします。   午後3時7分休憩-----------------------------------   午後3時30分再開 ○議長(土森正典君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 35番吉良富彦君。   (35番吉良富彦君登壇) ◆35番(吉良富彦君) 私は日本共産党を代表して、以下質問を行います。 まず、知事の政治姿勢にかかわって、辺野古への米軍新基地建設についてです。安倍政権は、昨年12月14日、沖縄県が中止を強く求めているにもかかわらず土砂の投入を始めました。土砂は赤土を多く含み、防衛省が県に示した含有率が守られていない疑いが持ち上がっていますが、防衛省は県の立入調査を拒否しての投入強行です。また、辺野古新基地の是非を問う県民投票の結果にかかわらず工事は続行すると発言し、県民の声を一顧だにしない姿勢をとっています。 しかし、辺野古新基地は、完成など到底できないことを裏づける事実が次々に判明しています。軟弱地盤の深さと、その地盤改良工事に使う砂ぐいの多さです。いずれも政府が隠し続けてきた不都合な真実です。 政府はこれまで大浦湾の軟弱地盤の存在を公にせず土砂投入を強行しました。既成事実を重ねて県民の諦めをまず誘った上で公表し、設計変更に着手するという極めてこそくで卑劣な手法です。軟弱地盤の改良工事への設計変更には県知事の承認が必要ですが、玉城デニー知事は新基地建設反対の民意に応えたいと確固たる決意を繰り返し表明しており、設計変更は不可能です。 2月15日の野党合同ヒアリングで、防衛相は、海面から約90メートルの層にまで及ぶ軟弱地盤に対して、国内での地盤改良の実績は最深65メートルで、海外でも最深70メートルであると明らかにしました。国内には70メートルを超える工事可能な作業船すらなく、砂ぐいの総数は約7万7,000本にも上り、環境面への影響はもちろん、総工費がどこまで膨れ上がるのか、完了までに何年かかるのか、一切明らかにしていません。 また、大浦湾側のサンゴ類7万4,000群体の移植が必要であり、これにも県の承認が必要です。 途方もない年数を要することになるとしか政府が言えない、こんな公共事業が許されるのでしょうか。琉球新報は、政府の対応を、不誠実を通り越し県民を愚弄しているとしか思えない、差別的で植民地のごとき政府の姿勢は他県の公共工事でも同様にできるんだろうかと投げかけています。 たび重なる県民の新基地建設中止の審判を踏みにじり、情報を隠蔽、立入調査も拒否し、既成事実をも積み上げて強行するやり方は、国民主権、地方自治を押し潰すものではないか、琉球新報の指摘も含めて知事はどう受けとめていらっしゃるのか、お聞きいたします。 24日投開票された辺野古への米軍新基地建設の賛否を問う県民投票は、埋め立て反対が投票総数の71.7%、43万4,273票となり、投票資格者総数115万3,591人の4分の1、約29万人をはるかに超えました。県民投票条例の規定に基づきデニ一知事は、投票結果を尊重し、速やかに内閣総理大臣及びアメリカ合衆国大統領に通知すると述べ、辺野古埋め立てに絞った県民の民意が明確に示されたのは初めてであり、極めて重要な意義があると強調。辺野古新基地建設の工事を中止し、米軍普天間基地の一日も早い閉鎖、返還の問題も含めた県との対話に応じるよう、日本政府に強く求めていくと表明しました。 当初、投票に参加しないとしていた市も含め県内41市町村全てで反対が賛成を大差で上回り、翁長前知事が獲得した36万820票、玉城知事の史上最多の39万6,632票も大きく超える歴史的な得票結果でした。政府が強行すればするほど、建設許さずの県民の数はふえているのです。 この結果は、多くの困難を乗り越えて県民投票を成功させた沖縄の民主主義、地方自治の勝利と言えます。県民投票に示された沖縄県民の民意を重く受けとめ、辺野古新基地建設のための埋め立てを安倍政権は直ちに中止すべきです。また、普天間基地の無条件撤去を求め、米国と交渉することを強く求めるものです。 知事は、辺野古建設の是非を問うた今回の沖縄県民投票の結果をどう受けとめているのか、お聞きいたします。 次に、毎月勤労統計調査についてお聞きいたします。厚生労働省による毎月勤労統計調査の偽装を初めとする統計不正の影響は、極めて深刻です。 政府統計への「信頼が揺らいだ」75%、毎日新聞。この問題で政府の対応は「不十分だ」、東京新聞で83.1%。政府の発表する統計を「信用できない」79%、日経新聞と、大多数の国民が不信と疑念を抱いています。日本経済学会は1月29日、日本の統計を通した実証研究の国際的な信頼性も大きく揺らいでいますと訴え、負の影響ははかり知れませんとの声明を出し、強い警告を発しています。 統計データは、雇用保険の失業給付、労災保険の休業補償給付、育児休業や介護休業の給付などの給付額算定のベースとなっているため、給付不足が延べ1,973万人、推計総額約538億円となっています。過労自死で夫を失った遺族の方は、労災認定には高いハードルがあり被害者なのに何年も闘わないと認定されない、その上、国が数字をごまかして補償額を減らし15年も放置し、わかっても秘密裏に修正していた、二重三重に国に裏切られた、怒りが抑えられないと述べています。当然の怒りだと考えます。 県民の中にも多数の被害者がいると思われます。知事は、毎月勤労統計調査の偽装とその影響についてどう捉えているのか、お聞きいたします。 2004年から続けられていた統計不正は、2018年1月から極めて悪質な偽装となります。1つは、3分の1しか調査していなかった東京の数字を3倍化して補正し、賃金アップを偽装したこと。2つ目が、これが決定的に重要ですが、調査対象の入れかえ、また他の全数調査との整合性を図るためのベンチマークの変更で、基準が2,000円ほど高くなったにもかかわらず、従来のようにサンプルの入れかえ、ベンチマークの変更を過去に遡及して改定することを突如やめて前年の数字と比較したことで、賃金の伸び率をかさ上げしたのです。 この問題を早くから指摘してきた明石順平弁護士は、別の人と比べて身長が伸びたと言っているのに等しい、厚労省はずっとうそをつき続けてきたと厳しく批判しています。 こうしたかさ上げを除くと、昨年の実質賃金はマイナス0.5となっているとの野党側の試算を、厚労省も認めざるを得ない事態となっています。しかし、政府は、かさ上げ部分を除いた場合の実質賃金の伸び率を公表することに否定的な態度をとっています。余りに無責任です。 そもそも統計は、社会経済の実態を捉え、各種の政策の基礎となることから、国民共有の財産であり、民主主義の基盤をなすものです。1947年に制定された統計法は、第1条法の目的で、真っ先に「統計の真実性を確保」と明示されていました。これは、戦前の反省に立って、つまり大本営発表に象徴される当局にとって好都合な数字ではなく、何よりも現実を正確に反映した客観的な統計が作成されなければならないという強い決意をあらわしたものです。 ところが、統計法は2007年5月、安倍首相、菅総務大臣のもとで全面改定が行われ、第1条目的の条文から、先ほど申し上げました「真実性を確保」の文言が削除されました。偶然とは思われません。 昨年の実質賃金は伸びていないことを政府はしっかりと説明すべきではないか、知事にお聞きいたします。 安倍政権は、偽装した賃上げなどを景気回復の根拠にして、ことし10月から消費税率10%への引き上げを決めましたが、その前提は崩れました。2012年を100として実質賃金指数は、2013年99.3、2014年96.6、2015年95.7、2016年96.5、2017年96.3で、2018年もさきに指摘したとおりのマイナスで、アベノミクスで実質賃金は約4ポイント低下しています。 消費税8%への引き上げは消費を大きく後退させ、今も深刻な不況が続いています。8%増税前に比べ、家計の実質消費支出は2013年平均363万6,000円から338万7,000円と、年間25万円も落ち込んでいます。5年連続のマイナスです。日本全体で見ても、GDPの実質家計消費支出は、2013年平均の241兆円から、2018年7~9月期には237.9兆円と、3兆円も落ち込んでいます。 増税延期を決めた2年半前、直近の四半期のGDPは年率換算でプラス1.6%でしたが、昨年12月に発表された7~9月期のGDPは年率換算でマイナス2.5%です。これは2014年の8%増税強行直後以来の大きな落ち込みとなっています。2年半前の増税延期の理由は、世界経済の不透明感でした。今、世界経済は、米中貿易戦争、イギリス離脱問題とEUの経済不安など、2年半前とは比較にならないほど不透明感は高まっています。2年半前の政府の延期理由がごまかしでなければ、当然ことし10月の増税は延期となります。 消費税増税の前提が崩壊しているのではないか、増税による暮らしと地域経済への深刻な影響が出ることをどう捉えているのか、知事にお聞きいたします。 2017年度の企業の経常利益、これは史上最高の83.6兆円です。消費税5%実施、そして構造改革が本格化する1997年度の27.8兆円の3倍にも膨れ上がっています。一方、2017年度の法人税収は11.7兆円と、その1997年度の13.5兆円よりも減少するという異常な姿となっています。その結果が、大企業の内部留保がこの10年で281兆円から425兆円と激増する事態を生んでいます。 このような状況は異常であり、消費税の引き上げではなく、法人税の見直しにより対応すべきだと考えますが、知事にお聞きいたします。 私ども日本共産党は、こうしたいびつな状況にメスを入れ、8時間働けば普通に暮らせる賃金、大企業・富裕層の応分による社会保障の充実を提案しています。そして、現在の状況で消費税増税はすべきでないと考える個人、団体とも共同して、消費税増税中止を求めて全力を尽くす決意です。 次に、会計年度任用職員問題についてお聞きいたします。来年4月から導入される会計年度任用職員制度について、県の方向性が職員組合に示されました。 この制度は、格差と貧困、とりわけワーキングプアと称される非正規雇用の拡大が大きな社会問題となる中で、急激に増加してきた自治体での臨時・非常勤職員の任用の基準を統一化、適正化すると同時に、何より処遇改善を目的としたものであると、政府は繰り返し国会で答弁しています。また、処遇を引き下げることは改正法案の趣旨に沿わないものと考えていると、総務省自治行政局公務員部長も答弁しています。 地方行財政の専門家である小西砂千夫関西学院大学教授は、同制度の意義について、「格差社会の問題が指摘されて久しい。正規職と非正規職の処遇の違いはあまりにも大きく、ワーキングプアという言葉も生まれた。それと闘うはずの地方自治体が、自らそれを助長すべきではない。会計年度任用職員という柱を立て、同一労働・同一賃金の観点で適正化を図るのは当然である」、「スクールカウンセラーが必要といわれ、志望する若者も少なくない。しかし、不安定な身分で昇給もない処遇だと、現実的な進路にはなりにくい。そこに大きな壁がある。若者の田園回帰を進め、出生率を上げるのが課題である。仮に、夫婦がともに地方公務員の会計年度任用職員だとして、同一労働・同一賃金の観点で処遇改善が進めば、農村の生活費ならば十分暮らせる。そうなれば、若者の地方移住の条件は大きく変わる。会計年度任用職員の創設には、このように大きな社会的な意義が込められている。構造改革がもたらした歪んだかたちでの人件費圧縮の悪弊を払拭するために、使命感をもって制度開始に向けての取り組みを進めてほしい。」と述べています。 小西氏の指摘も含め、同制度の目的、意義をどう捉えているか、また目的の一つは処遇の改善であり、処遇の引き下げはあってはならないと考えるが、総務部長にお聞きします。 今回県が示した制度内容は、国のマニュアルなど最低限の基準を機械的に導入したもので、県と職員組合が長年の話し合いで合意してきた賃金、有給休暇などの労働条件を一方的に引き下げるものとなっていれば処遇改善とは言えず、到底容認できるものではありません。 今回処遇が大きく切り下げられようとしている職種に、消費生活相談と登記事務にかかわる職員がいます。ともに専門性、経験が重要な職種であり、一時的、臨時的な仕事ではあり得ません。例えば消費生活相談員については、消費者庁も繰り返し雇用の安定を図るよう通知しています。消費者安全法施行規則は、「消費生活相談員が実務の経験を通じて専門的な知識及び技術を体得していることに十分配慮し」「消費生活相談員の専門性に鑑み適切な人材及び処遇の確保に必要な措置を講ずること。」としています。以前に指摘した、スクールソーシャルワーカーの低処遇の問題もその一つです。 専門性、経験が重要な職種は本来正職員として採用すべきではないか、総務部長にお聞きいたします。 今回県が示した運用方針は、国が処遇改善のための財源を示さないので、従来の予算の枠内で処遇改善分に係る費用を別のところで切り下げて帳尻を合わせようとしているようにしか見えません。行政の最大の力の源泉は、職員の知恵と力であり、経験と専門性です。人を大切にできない組織に未来はありません。 国にしっかりと財源を確保させて処遇を改善し、希望を持って働ける職場にする、その決意を知事にお聞きいたします。 2015年12月の地方財政審議会の意見、「今後目指すべき地方財政の姿と平成28年度の地方財政への対応についての意見」は、地方財政計画における過去10年間の歳出の推移を見ると、子育てや高齢化、雇用や防災など行政需要や国の制度に基づく社会保障関係経費の増大にもかかわらず歳出総額は抑制され、給与関係経費の減少などでの対応を余儀なくされ、地方自治体の運営は困難をきわめているとし、社会保障などの対人サービスの適切な提供にはマンパワーの確保が重要である、今後少子高齢化への対応や社会的に支援が必要な人々へのきめ細かな対応がますます求められると指摘しています。 県は課題解決先進県として、5つの基本政策に基づき、積極的な取り組みを進めていますが、貧困と格差の拡大、TPP、日欧EPAなど、自由化、規制緩和から地域経済を守る取り組みなど、行政需要は拡大を続けています。それにもかかわらず、専門性の高い職員を正規化できないのは、職員体制3,300人の枠組みに縛られているからで、その枠組みが限界に来ているのでないかと考えます。 3,300人体制を見直し、必要な増員をすべきと思うが、知事にお聞きいたします。 次に、農業政策についてお聞きいたします。 昨年末のTPP11に続き、2月1日に日欧EPAが発効し、また米国とはTPP以上の自由化要求が必至の貿易交渉が進められています。原則関税ゼロのルールにより、国内農業は極めて厳しい局面に追い込まれています。 こうした広大な自由貿易圏の出現と輸送や保管技術の向上により、農産物においても国際的な最適地生産が大きく進み始めています。県内で花卉栽培に取り組んでいる方からお話をお聞きしました。花類は関税ゼロで、現在日本の花の流通量の約30%は輸入品となっています。三大切花、菊、バラ、カーネーションは50%以上です。輸出国は、コロンビア、インド、中国、ベトナム、マレーシア、韓国、ケニア、エクアドル等で、産地の特徴は、熱帯地方の高冷地、標高2,000から3,000メートルの常春の土地であり、日本のように施設や暖房も必要ないところです。最近、ベトナムからコチョウランの切り花の輸入が増加しています。花の中で最も高温条件を好む、暖房費の多く要る作物ですが、暖房の要らないベトナム産には太刀打ちできません。そして、最近300ヘクタールの菊の切り花生産企業ができたとのことです。日本の生産は大打撃で、壊滅も近いのではと警告を発しています。 また、その方は、この間オランダ、ドイツの花生産者、バイヤーなどと情報交換し、世界一の花・野菜の生産国でヨーロッパの流通のハブ的存在のオランダでも、最近は新興国アフリカなどからヨーロッパ各国に農産物の流入量が多くなり、苦戦しているとのことでした。そして、野菜類が花類のようになれば、高知の施設野菜は大変なことになる、ピーマン、シシトウ、トマトなどが外国からスーパーなど量販店に直接流れて販売されたら太刀打ちできませんと指摘しています。 土佐市の乾燥ネギ工場が中国へ行き、ネギ生産は衰退しました。日本国内でも栽培環境の違いで産地間の競合がありますが、それが国際舞台に大規模に展開されようとしています。 現在、県は県下各地でJAや食品企業などとさまざまな形で提携し、大型の次世代型ハウスによる大規模な施設園芸を推進していますが、こうしたTPP11などの世界の流れを視野に入れ、リスクも認識した上で取り組む必要があると思いますが、知事の認識をお聞きいたします。 ことし、国連が呼びかけた家族農業の10年がスタートします。国連が2014年の家族農業年に続いて本格的な取り組みを呼びかけたのは、輸出偏重や大規模化、企業的農業を推進してきた世界の農政が、家族農業の危機を広げ、貧困や格差、飢餓を拡大し、地球環境を悪化させてきたことへの反省からです。世界の農政が歴史的な転換を求められているのです。また、昨年末の国連総会は、小規模家族農業の役割を後押しする枠組みとして、食料主権、種子の権利などを定めた農民の権利宣言を採択しています。 ところが、安倍政権は、こうした世界の流れに逆らって、競争力強化を口実に大規模化、企業参入を最優先し、農協や農地制度、種子法など戦後の農業や家族経営を守ってきた諸制度を壊してきました。国連の農民の権利宣言に棄権の態度をとったのは、それを証左するものです。 政府が喧伝する輸出拡大にしても、2017年から2018年にかけ、農産物輸出は4,966億円から5,661億円へと、確かに695億円ふえましたが、農産物輸入は6兆4,259億円から6兆6,224億円と、輸出増の3倍近い1,965億円も増加しています。つまり、輸出と輸入の差し引きで国産の農産物市場が1,270億円も縮小しているのです。農業成長戦略は完全に破綻しています。安倍政権が目指すのは企業が一番活躍しやすい国であり、国民への食料の安定供給や国土や環境の保全は二の次です。 日本農業新聞は、この1月4日付でアンケート調査結果を発表しました。農協組合長の96%が安倍農政を評価しないと答えています。農政の転換が必要です。多くの国民も、農業と農村の荒廃に胸を痛め、安全な食料は日本の大地からを願っています。生産者と消費者が共同した、地域農業を守る取り組みも各地で発展しています。農山村に移住する都会の若者がふえる田園回帰の流れも広がっています。 国連家族農業の10年、農民の権利宣言に基づく、地域に根差した、小規模でもその地に住み続けられる農業政策、地域政策が大事と思うのでありますが、知事にお聞きいたします。 次に、国民健康保険についてお聞きいたします。 高過ぎる国保料に住民は悲鳴を上げています。高齢、低所得の加入者が多い国保の保険料は、そもそも高くなる構造があり、他の現役世代の医療保険にはない平等割と加入者数で保険料がふえる均等割もあって、子育て世帯にとってより厳しいものとなっています。例えば高知市で年収240万円の夫婦と子供2人の世帯の保険料は、後期高齢者医療支援金を加えると約29万円にもなり、1カ月半分の給与に相当します。子供の均等割だけで6万円となります。同じ世帯が協会けんぽなら、保険料は半分以下の約12万円です。 国は、国保の都道府県単位化に合わせ、国保の構造的問題の解決を求める地方の声に押されて3,400億円の公費投入を行いましたが、高過ぎる国保事業費納付金、つまり国保の保険料の実態はほとんど改善されていません。むしろ高額な新薬の保険適用に伴い、保険料がますます高くなる傾向となっています。 2019年度の国保の市町村事業費負担分は、2018年度比で9%もの増額となっており、このままでは2019年度の保険料は大きく引き上げられることとなります。昨年の雇用者の実質賃金はマイナスです。2019年度の年金給付も、マクロ経済スライドによる0.9%減が実施され、0.1%増にとどまるため、物価上昇1.0%に追いつかず、実質マイナスです。 全国知事会は2014年、負担は限界として、国保料を協会けんぽ並みに引き下げるために1兆円の公費負担増を要望し、3,400億円の公費投入後も国庫負担率の引き上げを要望しています。 知事は2018年度の実施状況を見て、さらに政策提言をしていくことを答弁していましたが、2019年度の国保料の引き上げが県民に与える影響は深刻です。知事は、その影響をどう認識しているのか、また引き上げをできるだけ回避するため県としてどう取り組んできたのか、お聞きいたします。 日本共産党は、1兆円の公費投入で均等割、平等割をなくし、国保料を大幅に引き下げること、その財源として、極めて低い税率の証券優遇税制を他の先進国並みにすれば1.2兆円確保できると提案しています。 子育て世代の保険料を格段に高くしている均等割は、子供の貧困解消や少子化対策に逆行するもので、直ちに廃止すべきものです。2月7日の参議院予算委員会で、日本共産党は、国は全国知事会から均等割の軽減措置の導入など見直しを再三要望され、検討すると合意してから4年もたっていることを指摘し、いつまでに結論を出すのかと厳しく迫りました。首相は、引き続き検討するとしか答えませんでした。この点でも、地方からの声と取り組みをさらに強めていく必要があります。 全国には、仙台市など子供の均等割を軽減している自治体が存在しますが、国保法第77条で、被災、病気、事業の休廃止など特別な事情のある場合、市町村の判断で保険料を減免できます。特別な事情には政省令の定めがなく、首長の裁量に委ねられており、各地の独自減免はこの規定を利用し、子供がいることを特別な事情として実施しています。 また、国保法第77条に基づく減免制度への公費投入は、政府・厚労省の区分でも、国保運営方針に基づき計画的に削減・解消すべき赤字には含まれていません。もちろん、厚労省が削減、解消すべきとする法定外繰り入れも自治体の判断でできることは、国会答弁、2015年4月16日衆議院本会議での答弁で明確にされています。 そこで、県として子供の均等割の減免に踏み出すことを求めます。例えば、県内自治体の一般財源繰入分を県が支援する制度です。課題解決先進県として、知事の決意をお聞きいたします。 高過ぎる国保料が払えず、無保険となり、病院にかかれず手おくれになる不幸な事態が生まれています。2017年6月1日時点の滞納世帯は1万652世帯で、加入世帯11万7,339の約9%、窓口で10割負担しなければならない資格証明書の発行は2,010世帯にも及んでいます。これ以外に、失業、退職後に保険料が高過ぎて国保に加入していない無保険世帯も存在しています。 高知市で、妻と幼児の3人世帯の40代の男性の例です。喉に違和感を持ち、保険証がなくても受診できる医療生協の無料低額診療を知り受診しましたが、甲状腺に炎症性のリンパ節増大が疑われて、総合病院を紹介されました。しかし、保険証がないために総合病院は受診できず、市の国保窓口に病状・受診経過書を持参し、訪ねましたが、滞納額の2分の1が払えないこと、また総合病院への紹介が受診ではなく精密検査であることから特別の事情にも該当しないことの2点を理由に保険証が交付されず、この時点でこの男性は総合病院にかかることはできませんでした。男性はその後、滞納額の一部を納付し、受診できましたが、既に食道がんがリンパに転移し、手術もできない状況でした。 高知市は、滞納額の半分を一括納入しないと保険証を渡さないという機械的な対応をしています。それは、2009年1月我が党の小池晃参議院議員の質問趣意書に対して、当時の麻生太郎総理大臣が、医療を受ける必要がある場合には、保険料が払えなくても緊急的な対応として、当該世帯に属する被保険者に対して短期被保険者証を交付することができるとした閣議決定の趣旨にそぐわない対応です。 また、機械的な差し押さえも増加しています。2009年の1,100件から2016年度は2,639件となっています。この点も、改正された生活困窮者支援事業の趣旨に沿って、滞納は生活状況のシグナルとして支援につなげる取り組みを強化すべきです。 生活苦、保険料滞納から受診できず、手おくれになるような事態を生まないよう、市町村に対し文書等を含めてしっかりと助言すべきと思いますが、健康政策部長にお聞きいたします。 次に、旧陸軍歩兵第44連隊跡地についてお聞きいたします。 旧大蔵省印刷局跡に奇跡的に残った旧陸軍歩兵第44連隊の弾薬庫等の戦争遺跡の保存と活用について伺います。2017年9月議会での私の質問に対し、知事は、既に売却手続に入っていた当該用地について、県が取得するには相当ハードルは高いと考えられますが、まず文化財としての価値について専門家の意見をお聞きし、慎重に判断してまいりたいと考えていますと述べられ、次に、一方で売却手続が進められようとしている段階にあり、検討可能な時間は限られているのではないかとの危惧がございますので、その点については財務事務所に要請したいと思いますと、保存と活用を切に願ってきた県民に大きな希望を与える答弁をなされました。 その後開催された高知県文化財保護審議会の答申では、弾薬庫、講堂の建造物については、明治30年代前半に建築されていて、高知の近代和風建築、近代化遺産としては他に類例が見当たらず、歴史的価値が高いことなどから、ともに国登録有形文化財、県保護有形文化財に相当すると報告され、また審議の過程では、多くの方々が出征していった歴史的いわれのある場所であり残すべき価値がある、隣接する高知大学はまさに連隊の跡地の歴史であり、平和学などの教材として、あるいは学びの場としての意義は十分にあるとの意見が多く出されたことも付議されていました。 この答申を真摯に受けとめられ、財務事務所や文化庁とも積極的に協議を重ねてこられたことに敬意を表したいと思います。 昨年の12月末、私どもが行った知事、教育長への予算要望の席で教育長から、塚地議員が本議会で提案した、高知県歴史民俗資料館の戦争遺物などを保存活用する場所にという方向で検討されている旨のお話があり、本日午前の梶原議員に対する御答弁で、その方向が現実に向かっていることを確信いたしました。 そこで、知事に、当初県として取得するにはかなりハードルが高いとお答えになっていた状況から、土地を購入することを前提で検討すると決断されたのは、いつ、どのような思いであったのか、改めて伺います。 第44連隊のあった朝倉地域には、日露戦争の戦没者の碑が並ぶ陸軍墓地や軍馬の碑、現在の国立高知病院にある陸軍病院跡の碑なども存在し、JR朝倉駅とともに高知県の戦争の歴史を伝える地域としての位置づけが重要だと考えます。 午前中の御答弁では、今後の活用については、専門家による検討委員会を設置し検討をするとのことでしたが、委員の中に地域で活動されてきた歴史家の方や平和学に関する高知大学関係者、当然戦争遺跡の保存と活用を進めるネットワークのメンバーにも参加していただく体制にすべきと考えますが、教育長に伺います。 最後に、今後どのようなスケジュールを考えておられるのか、高知県歴史民俗資料館の収蔵庫の集積状況や弾薬庫等の保存状況を見ると、一定のスピードも必要になると思いますが、教育長に伺います。 次に、教職員の異常な長時間労働についてお聞きいたします。 1日12時間労働、休憩数分。文部科学省が発表した、2016年小中学校教員の教員勤務実態調査の結果です。法律で45分と定められている休憩時間は、小学校でたった6分、中学校も8分。土日も中学校は部活等で4時間半、小学校2時間以上勤務です。これをもとに月当たりに換算いたしますと、時間外勤務時間は小学校98時間、中学校は119時間。過労死ラインを大きく超え、労働条件の問題であると同時に、これはすぐれて子供たちの教育条件そのものと言えます。 この1月、高知市内の中学校に伺い、昨年5月に同校が行った勤務実態調査についてお聞きいたしました。40人の教員のうち、過労死ライン80時間どころか100時間を超える教員が何と13人にも上り、160時間、130時間を超える教員もいらっしゃいます。 一日の勤務実態も調査されていましたが、例えば3人のお子さんを持つ3年生担当の47歳の女教師は、7時過ぎに出勤し、時間外勤務となる午後4時45分以降、加力指導、学級通信作成、教材研究、印刷、提出物の点検、研究所への連絡文書作成、欠席者への連絡をして、退勤は9時過ぎです。帰宅後も、教材研究、プリント評価と実質勤務状態が続いています。新採男性教員は、出勤が朝6時から7時の間、放課後の部活動が終わるのは午後7時ごろ。その後、学級通信を作成し、翌日の授業の教材研究をし、学校を出るのは午後10時を回っています。土・日曜日に部活の大会がなくても、過労死ラインはとっくに超えているのが実情です。 本県教育委員会が昨年行った勤務時間外調査でも、中学校では2人に1人が過労死ラインを超え、小学校でも2割が超えている実態が明らかになり、文科省の調査結果、そして私が訪れた学校の実態を裏づけるものとなっています。 今回、県の調査で明らかになった勤務実態を余儀なくされている教員の皆さん並びに勤務実態の苛酷な学校に身を置く児童生徒、そこに我が子を預けることに不安を持ったであろう保護者に、教育長はどのような思いを持ち、臨まれるのか、まずお聞きいたします。 「一升徳利に二升は入らぬ」という絶妙な指摘を、佐藤晴雄日大教授がしています。佐藤氏いわく、「ある官僚経験者の話である。例えば、国土交通省に道路や橋を作る計画がある場合、財務省がその予算を認めなければ、道路や橋は作られない。ところが、教育行政の場合、新たな施策の予算が認められないにもかかわらず、何とかそれを実施せよ、という具合になる。確かに、教職員定数増の要求が十分認められなくても、その定数の不足分は教職員の努力や負担に転嫁されてしまう。」、「教育行政は、新たな課題が発生したら学校に詰め込めばよいという姿勢を改め、「一升徳利に二升は入らぬ」ことを肝に銘じる必要がある。」。時事通信社、内外教育の10月30日号から引用いたしました。 これだけ働いても授業準備や子供に触れ合う時間がとれないという今日の事態は、長年の施策の累積の深刻さを示していると言えます。国も自治体も教職員の労働時間に関する責任ある当事者です。今ある施策は、一升徳利に二升は入らぬことを忘れ、教育効果があるからと教育委員会がつけ加えたものばかりです。 学力向上も、残業なしもというなら、教員をふやすしかないとは現場の率直な声。教職員をふやさずに教育効果がある業務を積み重ねることは、教職員を違法な長時間労働に追い込み、学校で一番肝心な授業準備と子供たちに向き合う時間を奪い、教育を台なしにすることにつながります。教育効果がある論は、適法な労働条件を保障すべき行政機関が違法な労働条件をつくり出し、しかも結果として子供の教育も荒廃させるという二重に誤った論です。 教育改革、教育施策の削減・中止への取り組みは避けて通れません。既に初任者研修に関して、負担軽減へと一歩、歩を進めた県教委の姿勢に現場から評価の声が聞かれています。 過労死ラインまで労働時間が膨らみ、かつ標準的な授業や子供と向き合うことは削れない以上、現場の負担となっている国や自治体の教育施策の中止、削減に向けて、現場教職員の声を集約し、反映すべきだと思いますが、教育長に伺います。 中央教育審議会は去る1月25日、新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策の答申を出し、文科省は、残業上限月45時間、年360時間が原則のガイドラインを策定しました。各県教育委員会に対し、方針の策定、状況把握、業務の役割分担や適正化、必要な環境整備などの取り組み、事後検証などを求めています。 その中、教育課程の編成・実施にかかわる標準授業時数のあり方について、「指導体制を整えないまま標準授業時数を大きく上回った授業時数を実施することは教師の負担増加に直結するものであることから、このような教育課程の編成・実施は行うべきではない。」と踏み込んだ指摘をしています。本県での実態はどうか、教育長にお聞きいたします。 教員の多忙化の決定的要因は、この標準授業時数、一日に受け持つ授業数の増加にあります。教員定数は、1958年の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律で定めています。定数割り出しの根拠について、教科の指導時数と1教員当たりの標準指導時数との関係を押さえて、実際に都道府県で行われている時数を平均化し、1教員当たりの標準指導時数は1週24時限をもって標準とし、1日平均4時限となるが、これは1日の勤務時間8時間のうち4時間--休憩時間を含みます--を正規の教科指導に充て、残り4時間を教科外指導のほか、指導のための準備整理、その他校務一般に充当するという考え方であると明確に述べています。つまり、教員1人当たりの授業負担は長い間、1日4こま、週24こまとされ、それに基づいて今の教員の定数が配置されているわけです。 ところが、国はこの基準を投げ捨て、教員の授業負担をふやしたのです。学校週5日制、これは1992年から部分実施され、2002年から完全実施されていますが、日数が1日減るので、つまり6分の1、約16.7%のこま数を減らさないと4こまにはならないのに、実際は約7%しか授業を減らさず、教員の1日の授業負担がふえました。その後も次々と、教員増をせずに、つまり必要なコストをかけずに授業時数はふやされ、2003年には時数増確保の通知を出し、2011年にはゆとり見直しの号令で、標準指導時数自体もふやしてきたのです。 授業という教員しかできない業務のところで長時間労働の根本がつくられているわけで、それを改善するには教員をふやす以外にありません。学校6日制のころの授業時数に戻したとして、今の5日制労働で行うためには、9万人の増員が必要となります。中教審のヒアリングの場で、種村全国連合小学校長会会長も、週5日制に移行した際に土曜日の授業が平日に回されたことが、現在の長時間労働の背景にあると訴えています。 政府に対し、新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策の実現には、教員の定数増を図るしかないことを示し、教員増を求めるべきだと思いますが、教育長にお聞きいたしまして、私の第1問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 吉良議員の御質問にお答えをいたします。 まず、沖縄県辺野古の新基地建設についてお尋ねがありました。 一般論として申し上げれば、地方自治の観点からは、地元自治体が反対しているにもかかわらず国が事業を強行するといったことが望ましくないのは言うまでもありません。また、公共事業における設計変更に伴う工期と費用の大幅な変更については、事業実施主体が責任を持って説明しなければならないのは当然であります。 ただ、私は従前から申し上げているように、沖縄の皆様の負担を軽減するに関しては、平成24年の日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2での合意に基づいて対応していくべきだと考えており、このスタンスは今でも変わっておりません。 今般、埋立工事の課題として、軟弱な地盤を改良する必要があることが明らかとなりましたが、地盤改良にかかわる具体的な設計については、今後防衛省において検討すると岩屋防衛大臣が説明されています。地盤改良という新しい要素が加わったことで、設計の変更により埋立工事の工期は延びるとともに、費用もふえるものと思われます。 政府におきましては、今回の設計変更の内容について、沖縄県民の皆様の不安な声を踏まえ、しっかりと沖縄県に説明していくべきだと、そのように考えています。 次に、沖縄県での県民投票の結果をどのように受けとめているのかとのお尋ねがありました。 今月24日に沖縄県で行われた県民投票につきましては、辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否に関し、沖縄の皆様の思いが改めて明らかになったものだと思いますし、これにより、政府による取り組みに関する説明の重要性がますます高くなったものと考えられます。 先ほども申し上げましたとおり、沖縄の皆様の負担を軽減することに関しては、私は平成24年の日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2での合意に基づいて対応していくべきだと考えております。辺野古移設だけが焦点化されておりますが、この2プラス2合意に基づいて、普天間飛行場の移設や海兵隊のグアムなどへの移転と嘉手納基地以南の米軍施設の返還など、一連の再編プロセスが行われていくことも大変大きなメリットがあることなのではないかと考えます。 他方で、今回の県民投票の結果からも明らかなように、辺野古の埋め立て反対について、大変多くの皆様の重い思いがあるということもまた重く受けとめなければなりません。 この両者をよくよく勘案して、両面から議論が徹底的に交わされることが大事なことだと思われます。 政府は外交や防衛について責任を持って解決すべき立場にありますけれども、今回の県民投票をよき機会とし、改めて沖縄の皆様と対話を重ね、政府の取り組みについて丁寧な上にも丁寧な説明を繰り返していくことが必要であると、そのように考えます。 次に、毎月勤労統計調査の偽装とその影響についてお尋ねがございました。 毎月勤労統計調査の問題に関しては、データそのものの信頼性にかかわる不適切な調査手法が行われていたこと、調査手法について対外的に虚偽の説明が行われていたこと、この2点について問題があったと認識しております。 この問題については、昨日厚生労働省の特別監察委員会により、組織的な隠蔽は認定されないとされたものの、公的統計の意義や重要性に対する意識の低さや、幹部職員の公的統計に対する無関心などを指摘するとともに、外部チェック機能の強化等の再発防止策を盛り込んだ報告書が取りまとめられたところであります。他方、毎月勤労統計調査以外の政府統計については、現在総務省の統計委員会点検検証部会により点検が進められているところです。国におかれては、特別監察委員会の報告書や点検検証部会の今後の点検結果を踏まえ、政府統計への信頼が揺らぐことのないよう、徹底した原因究明と速やかな対策を講じていただきたいと考えております。 このほか、毎月勤労統計調査の不適切な処理により、雇用保険や労災保険における追加給付等も生じていることから、国においては、こうした不利益をこうむられた方々に速やかに給付が行えるよう、しっかりと対応していく必要があるものと考えています。 次に、昨年の実質賃金が伸びていないことを政府がしっかりと説明するべきではないかとのお尋ねがございました。 平成30年度の共通事業所における実質賃金につきましては、国において第1回目の有識者検討会が去る2月22日に開催されたところであり、これから議論が進んでいくものと承知しております。 実質賃金をめぐる議論につきましては、国民の関心も高いことから、国におかれては、検討内容や検討結果について丁寧に説明を行っていただきたいと考えております。 次に、消費税増税の前提が崩壊しているのではないか、増税により暮らしと地域経済への深刻な影響が出ることをどう考えているのかとのお尋ねがございました。 政府は昨年10月15日の閣議において、アベノミクスの推進により、経済成長率、雇用の状況などに鑑みて景気は回復しているとして、消費税の増税を行うと確認をしております。 これまでも申し上げているとおり、消費税率の8%から10%への引き上げについては、現在の国、地方を通じた厳しい財政状況や急速に進む少子高齢化という状況を鑑みれば、社会保障制度の充実強化を図り、かつ持続可能性を確保するためにもやむを得ないものであると考えているところです。一方で、消費税率の引き上げに当たりましては、経済的に厳しい状況にある方々やマクロ経済全体へのマイナスの影響をできるだけ小さくすることが重要であります。 国においては、前回の消費税率引き上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応することとしており、本県としましても、国の施策に呼応し、しっかりと一連の経済対策を実行してまいります。 次に、増税は消費税の引き上げではなく、法人税の見直しにより対応すべきではないかとのお尋ねがございました。 少子高齢社会における社会保障の安定財源としては、税収が経済の動向や人口構成の変化に左右されにくく安定していることに加え、勤労世代などの特定の者への負担が集中せず、経済活動に与えるゆがみが小さいことが望ましいとされています。そのため、幅広い国民が負担する消費税は、これにふさわしい財源であると考えています。 先ほど申し上げましたとおり、消費税率引き上げに当たりましては、経済的な影響をできるだけ小さくすることが重要でありますことから、政府におきましては十分な対策を実施してもらいたいと、そのように考えています。 次に、国に対する会計年度任用職員制度の導入に係る財源の確保と処遇の改善などへの決意についてお尋ねがございました。 会計年度任用職員制度につきましては、地方自治体の臨時・非常勤職員の適正な任用や勤務条件を確保するために導入されるものであり、このことによって時間外勤務手当や通勤手当などのほか、一定の期間勤務した場合には期末手当が支給できるようになることから、一般的には処遇改善につながるものと考えております。また、国会においても、勤務条件などの確保に伴い、財政上の制約を理由として、いわゆる雇いどめを行うとか処遇を引き下げるといったことは、改正法案の趣旨に沿わない旨の答弁がなされているところであります。 このため、全国知事会などとも連携し、制度導入に伴い必要となる財源について、これまでも国に対しその確保を求めてまいりました。制度導入まで残り一年余りの状況となっていることも踏まえ、引き続き財源確保について、国に対ししっかりと要望してまいります。 あわせて、会計年度任用職員の方々が、県勢浮揚の実現に向けて、それぞれの業務において力を発揮していただけるよう、制度導入に向けた準備を進めてまいりたいと考えています。 次に、知事部局3,300人体制の見直しについてお尋ねがございました。 知事部局の体制につきましては、県政運営指針も踏まえ、これまでも業務の見直しや効率化に向けた取り組みを進めながら、業務の状況に応じた職員の増員を含む適正配置により、簡素で効率的な組織の構築に努めているところです。新年度においては、行政改革を進めることで、こうした取り組みをさらに強化することとしております。 一方で、御指摘のありました行政需要の拡大や災害対応などのため業務量が増加する中、職員定数に縛られることでやるべき業務ができない、あるいは職員に過度な負担が生じるということがないよう留意する必要もあるものと考えています。 知事部局3,300人体制の見直しについては新年度検討することとしておりますが、いずれにしても必要な人員をしっかりと配置できる体制を目指していきたいと考えているところです。 次に、TPP11などのリスクを踏まえた上での大規模施設園芸の推進についてお尋ねがございました。 TPP11及び日欧EPAの輸入関税撤廃による本県園芸品への影響については、野菜では、これまでも関税率が低い上、参加国から競合する品目の輸入がほとんどないこと、また本県産の野菜は品質や生産性が高く優位性もあることなどから、直接的な影響はないものと認識しております。また、これまで大型の次世代型ハウスの整備に当たりましては、生産量が多いためしっかりとした販売戦略が必要とされることから、品目や販路などを国内外の情報をもとに慎重に議論を重ね決定してきているところでございます。 しかしながら、海外における新たな産地化の動きや輸入の増加による価格低下などへの影響に備えて、本県の強みである施設園芸をさらに磨き上げ、海外の動向にかかわらず微動だにしない産地をつくり上げることが重要であります。 現在、次世代型ハウスでの大規模な施設園芸の推進を初め、既存ハウスへの環境制御技術の導入など、施設園芸農家の所得向上に向けて次世代型こうち新施設園芸システムの取り組みを進めてきております。この取り組みにより、県内各地で次世代型ハウスの面積拡大と環境制御技術の導入が進み、生産量が増大したことで、日本一の生産量を誇るナスやニラ、ミョウガなど、国産志向の高い青果物需要において揺るぎない地位を保ち、安定した販売につなげているところであります。 野菜の生産増大に伴い、国内販売だけでなく、従来から取り組んでいるアジア向け輸出をさらに強化することに加え、EU向けにユズで12.8%、グロリオサなど花卉類で8.5%課せられていた関税が撤廃されたことから、これを好機と捉えEUへの輸出の拡大にも取り組むなど、海外への新たな販路を模索することも重要だと考えています。 今後、さらなる収量増加や高品質化、省力化などを目指して、環境制御技術にIoTやAI技術を融合させた進化型のシステムであるNext次世代型こうち新施設園芸システムの開発に取り組むことで施設園芸の飛躍的な発展を図り、国内外の競争に負けない園芸王国高知を実現してまいりたいと、そのように考えています。 次に、家族農業の10年、農民の権利宣言に基づく農業政策についてのお尋ねがございました。 国連におきまして一昨年の12月に、2019年から2028年までの10年間を家族農業の10年とすることが、また昨年12月には、小農と農村で働く人々の権利に関する宣言、いわゆる小農の権利宣言が決議されました。 家族農業の10年の目的は、小規模農業が食料安全保障や自然環境、農業の持続性などの面で大きな役割を果たしていることに着目し、国際規模で小規模農業が直面する課題などについて議論を交わし、飢餓の根絶などに対応していこうとするものであり、また小農の権利宣言は、世界の家族農業の権利を守ることを目的に、小規模農家の価値と権利が明記されたものであると認識しております。 我が国の農業においては、家族経営体の割合が約98%を占めており、日本の農業の維持・拡大を図る上では、その健全な経営発展を図っていくことが極めて重要であります。また、本県の大部分を占める中山間地域では、産業の中心である農業を守ることが地域そのものを守ることにつながりますことから、生産条件が厳しく規模拡大が困難な中山間地域において、小規模な家族経営体がしっかりと存続していけるための取り組みが不可欠であります。 このため、産業振興計画のもと、県内各地に設置した学び教えあう場での技術指導や、環境制御技術の導入支援などにより、生産性の向上を図るとともに、高齢化などによって農地の維持が困難になった地域では、集落営農組織や中山間農業複合経営拠点の整備に取り組んでいるところであります。さらに、今年度からは小規模園芸農家の所得向上にも直結する、Next次世代型こうち新施設園芸システムの開発を進めております。 国連の家族農業の10年や小農の権利宣言で言われる小規模農業の有する価値や役割は、農業の持続性という点で考えますと、本県の目指す農業政策と根本的に相通ずるものがあると思っております。今後におきましても、経営の規模や形態を問わず、多様な担い手が地域で安心して暮らし、農業を続けていけるよう、しっかりと取り組んでまいります。 次に、国民健康保険に関して、来年度の国民健康保険の事業費納付金の増額の県民への影響と、引き上げをできるだけ回避するために行ってきた県の努力についてお尋ねがありました。 市町村に負担をお願いする国保事業費納付金は、各市町村の国保料・税率が主にこの納付金をもとに算出されることから、納付金の増額は被保険者の負担に影響を与える可能性があるものと認識をしています。 本議会に提出しております来年度の予算案において、国保事業費納付金は約9%の増額を見込んでおりますが、これは、今年度納付金算定の基礎となる要素のうち、歳出に当たる医療費が今年度は想定以上に増加しており、来年度においても引き続き増加すると見込んだことなど歳出の増が見込まれる一方、納付金以外の歳入はむしろ減少する見込みであることが主な理由となっています。 今回、この納付金の算定に当たりましては、医療費以外の歳出の要素である社会保険診療報酬支払基金へ支払う介護納付金の精査を行うなど、納付金の増加額を圧縮するよう努力するとともに、各市町村には来年度の納付金の状況について丁寧に説明を行い理解を求めてまいりました。 また、あわせて医療費を適切に抑制して今後の納付金の増加を抑制するために、ジェネリック医薬品の使用促進や糖尿病の重症化予防などの健康づくり、さらには地域包括ケアシステムづくりや地域医療構想の推進など、これは現在進行形の取り組みでもありますけれども、これらの根本的な対策にも取り組んでいるところです。 現在、各市町村においては、県から示された納付金の額だけでなく、今年度の国保特会の収支見込みや基金残高、さらには国保財政の健全な運営と被保険者への負担の影響などを総合的に勘案し、国保料・税率の検討を行っていただいているものと考えております。 次に、国民健康保険料の子供のいる世帯への均等割の減免の実施についてお尋ねがございました。 国民健康保険では、所得や資産といった被保険者の能力に応じた負担だけでなく、子供を含めた全ての被保険者の人数に応じて国保料・税を負担していただくこととされており、子供の多い世帯はそれだけ負担が増加することとなっています。 他方、我が国の少子化の現状は危機的な状況であり、将来にわたって国や地方が活力を維持していけるよう、若い世代が安心して結婚し子育てを行うことができる環境を整えることは国を挙げた大きな課題であり、幅広い分野での思い切った政策の展開が不可欠となっています。また、議員のお話にありました国保料・税の子供の均等割の減免を行った場合には、その分の国保料・税にかわる多額の財源が必要となってまいります。 そのような状況の中、全国知事会としては、国に対して、少子化対策、子育て支援の充実の観点や医療保険制度間の公平性の観点から、国保料・税の子供に係る被保険者均等割の軽減措置を導入し、子供の多い世帯の負担軽減を図ることを繰り返し提言してまいりました。 私としても、軽減措置の導入については、国の責任と負担によって行っていただく必要があると考えており、引き続き全国知事会を通じて粘り強く提言を行ってまいりたいと考えています。 最後に、第44連隊跡地の保存、活用に関し、土地の購入を前提に検討すると決断したのは、いつ、どのような思いであったのかとのお尋ねがございました。 第44連隊跡地は、高知県文化財保護審議会からの答申にもありましたとおり、単に遺存する弾薬庫及び講堂が文化的価値を有するというだけではなく、明治中期から昭和前半にかけて、高知の多くの若者がこの地から出征し、そして多くの若者が帰らぬ人となったという、高知県民にとっては歴史的に意味のある土地であり、当該跡地の歴史を後代に継承することは、県としましても重要な意義があるとの認識のもと、関係機関との協議を進めてまいりました。 一方、文化財の取得、保存については極めて限られたケースであり、県が取得するには相当ハードルは高いとの考えから、まずは教育委員会において土地を購入せずに活用する複数の方法について検討を進めてまいりましたが、本年1月末までに協議が不調に終わり、残念ながら土地を購入せずに活用することは困難であるとの結論に至りました。 しかしながら、午前中の梶原議員の御質問にお答えしましたように、さきの大戦から既に73年を経過し、戦争体験者の高齢化や減少により、記憶の風化が憂慮される現状において、戦争のあった時代である近代から昭和の歴史を後世に引き継ぐことは大変重要なことだと思います。加えて、将来において昭和の歴史を刻む資料館のような施設整備について検討することとなった際には、その設置場所としてこの場所が最も有力な適地であるとも考えます。 以上のことから、将来における施設の整備なども視野に、今後は当該跡地を県が購入することを前提に検討を進めていくとの結論に至ったところであります。 私からは以上でございます。   (総務部長君塚明宏君登壇) ◎総務部長(君塚明宏君) まず、会計年度任用職員制度の目的、意義の受けとめについてお尋ねがございました。 議員からお話のありました小西教授の主張につきましては、会計年度任用職員制度の導入により、同一労働同一賃金の観点で処遇改善が進み、構造改革のもたらしたひずみの是正などが期待されるという趣旨であると受けとめております。 この制度につきましては、先ほど知事から答弁がございましたとおり、臨時・非常勤職員の適正な任用や勤務条件を確保するために導入されるものであり、このことによって臨時・非常勤職員の方々が引き続き地方行政の重要な担い手として活躍していただく、より適切な環境が整うものと認識をしております。 また、同制度の導入により、時間外勤務手当や通勤手当等のほか一定の期間勤務した場合には期末手当が支給できるようになることから、一定の処遇改善につながるものと考えており、本県の制度導入に向けまして、その目的、意義を十分踏まえた上で検討を進めていきたいと考えております。 次に、専門性、経験が重要な職種について正職員として採用すべきではないかとのお尋ねがございました。 まず、任期の定めのない常勤職員が従事すべき業務か否かの判断に当たりましては、御質問にありました専門性や経験だけでなく、個々の具体的な事例に即して業務量や担うべき業務の範囲、責任の程度などを踏まえ、総合的に判断する必要があると考えております。 会計年度任用職員制度の導入に当たり総務省が作成したマニュアルでは、臨時・非常勤の職の中に常勤職員が行うべき業務に従事する職が存在することが明らかになった場合には、常勤職員や任期付職員を活用する検討が必要とされております。本県におきましても、現在の臨時・非常勤職員が従事している業務内容を精査、整理した結果、常勤職員が行うべき業務内容であることが判明した場合には、正職員としての採用を含め、常勤職員等による対応をしっかりと検討していきたいと考えております。   (健康政策部長鎌倉昭浩君登壇) ◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 国民健康保険の保険料滞納者への対応に関する市町村への助言ついてお尋ねがございました。 国保料・税を長期にわたり滞納している方については、まずはその方が行っている事業の休廃止や病気など、国保料・税を納付することができない特別な事情があるかどうかを適切に把握し、その上で特別な事情がある方に対しては、短期被保険者証を含めた被保険者証を交付します。一方、特別な事情がないにもかかわらず滞納している方に対しては、一旦は医療機関の窓口で本人が10割支払うこととなる被保険者資格証明書の発行を行うこととされています。 そのため、県では、市町村に対して、この基本をしっかり守り、滞納している方の所得の状況や病気の実情など滞納の理由を丁寧に確認し、その状況に応じて適切に短期被保険者証とするか被保険者資格証明書とするかの判断を行うよう助言をしているところです。また、あわせて各市町村の条例に基づいた国保料・税の減免制度を活用することや、さらには生活困窮者に対しては、生活保護などを担当する福祉部門ともしっかりと連携して対応する必要があることなども助言しています。 今後におきましても、研修会の機会や個別に市町村を訪問して行っている事務打ち合わせの場などを通じて、それぞれの市町村で適切な対応がなされるよう取り組んでいくほか、こうした助言の内容のさらなる徹底を図るため、市町村に対して文書での周知も行ってまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、旧陸軍歩兵第44連隊跡地の保存、活用に関し、来年度設置予定の検討会のメンバーについてお尋ねがございました。 来年度設置予定の検討会では、将来における土地の利活用の方向性や遺存する講堂及び弾薬庫の修理・耐震化の方法、展示資料の内容、施設の管理運営のあり方などについて、県内外の専門家による検討を行いたいと考えております。メンバーとしましては、県の施設として社会的にも政治的にも偏りのない形で整備や資料展示などの方向性が検討されるよう、例えば国レベルの文化審議会で委員経験がある方、県の文化財保護審議会の委員経験のある方、県内外の博物館関係者及び文化財の保存、活用の専門家などを想定しております。 なお、これまでも、お話にありました地域で活動されてきた歴史家の方や民間団体の方からの提案などもいただいておりますので、いただきました情報などにつきましては、検討会における議論の際に活用させていただきたいと考えております。 次に、今後のスケジュールについてお尋ねがございました。 まずは、来年度設置予定の検討会においてしっかりと御検討いただき、その検討結果を踏まえて、第44連隊跡地の活用について広く合意をいただくことができましたら、土地の鑑定評価など土地の取得に向けまして具体的な作業を進めていきたいというふうに考えております。 土地取得に当たっては、県から財務事務所に取得希望書を提出した後に、財務事務所内で県に対して売り払うことについて検討する期間も一定程度必要であると伺っておりますので、協議が調いましたら、具体的な土地購入に向けて必要な手続を行っていきたいと考えております。 また、これと並行して弾薬庫及び講堂の修理や活用等についても、検討会での検討結果を踏まえて、順次必要な作業について議会にお諮りするなどの手順を踏んで進めていきたいというふうに考えております。 次に、県の調査で明らかになった勤務実態を余儀なくされている教員並びにそのような環境で授業を受ける児童生徒、そこに我が子を預けることに不安を持ったであろう保護者に対し、どのような思いを持ち、臨むのかとのお尋ねがございました。 議員のお話にありました県の調査結果では、スクールサポートスタッフを配置している20校について、昨年6月から12月までの間における1カ月の時間外勤務が80時間以上となっている教員の割合は小学校で12%、中学校で34%となっております。 こうした長時間勤務は、教員の皆さんが疲労を蓄積し、心身の健康を損ない、日々の教育活動に支障を来したり、子供とかかわるための時間を十分に確保できないといった状況につながってまいりますので、そうした働き方は、児童生徒の学習活動の充実や保護者の方々の安心という面からも是正していくべきものであると考えております。教員の皆さんが児童生徒のためであれば時間外勤務もいとわないという姿勢で取り組まれてこられた中で、これまで県教育委員会としましても、長時間勤務の是正に関し、必ずしも十分な対策ができていない状況であったと考えております。 今後は、本来業務である授業やその準備、児童生徒指導などの子供と向き合う時間を確保するとともに、教員の肉体的、精神的な負担を軽減し、学校を働きやすく魅力的な職場とすることで日々の教育活動の成果につながるよう、教員の働き方改革に向けた取り組みをより一層推進してまいります。 次に、学校現場の負担となっている国や自治体の教育施策の中止、削減に向けて、現場教職員の声を集約し、反映すべきとのお尋ねがございました。 教員の長時間勤務を是正するに当たっては、先ほど申し上げました働き方改革の目的を踏まえた上で、これまでの働き方を見直し、子供たちに対して今まで以上に質の高い教育活動を行うという観点から、どういった業務について削減や効率化、外部人材の活用などを図るかを判断することが必要だと考えております。 そのためには、学校現場で業務を担っておられる教員の皆さんの意見を聞くことが重要であると考え、各課が行う学校訪問の際の教員の意見や、働き方改革に取り組むモデル校の校長や教員の意見、校長会からの要望、教職員団体との話し合いなど、機会を捉えて現場の声をお聞きしながら働き方改革の取り組みを推進しております。 これまでの取り組みとして、例えば移動時間も含め縮減を望む声が多かった研修・会議について、まず本年度は初任者研修の日数や配置校での研修時間の削減を行い、来年度は終日研修の終了時刻を1時間繰り上げるとともに、テレビ会議システムの活用の拡大に取り組んでまいります。 また、報告等の準備に係る事務負担が大きいとの声が多かった調査・照会については、県教育委員会実施分128件について重複の排除や整理等を行うことで、来年度は16件の廃止、32件の調査項目や様式の簡便化などを図ることといたしました。 さらに、研究指定事業についても、教員の授業力等には大きな成果があるものの、同一年度に多くの指定を受けると研究発表会の準備等に係る負担感が大きいとの声を踏まえ、一部については廃止や他の事業への統合を行うとともに、1校当たりの指定事業数の調整を行い、過度に同一校への指定が集中することがないように見直しを行っているところです。 今後も、県教育委員会としましては、機会を捉えて現場の教員の意見をお聞きしながら、働き方改革の趣旨に沿った取り組みを推進してまいります。 次に、教育課程の編成・実施に係る標準授業時数のあり方に関し、本県の実態についてお尋ねがございました。 教育課程の編成及び実施に当たっての標準授業時数は、学校教育法施行規則において、学習指導要領に示されている各教科等の内容を指導するために要する授業時数を基礎として定められているものです。例えば中学校1年生であれば、1週間に29時間の授業を年間35週実施することとして、標準授業時数が1,015時間となっております。 学校教育法施行規則における計算上の授業日数は年間35週ですが、標準授業時数を確実に確保した上で、災害やインフルエンザの流行などによる学級閉鎖等の不測の事態にも備えるため、余剰時間を加えて授業時数を設定することができるようになっており、実際には全国的に1年間で40週程度となっております。また、標準授業時数に示された教科以外にも、消費者教育や環境教育などの現代的な諸課題や、防災教育のような本県独自の課題への対応も求められており、それぞれの学校が教育課程を工夫して編成を行っております。 今年度文部科学省が実施した小学校第5学年と中学校第1学年を対象とする平成29年度の授業時数実施状況調査では、働き方改革に関する中央教育審議会の答申において児童の負担過重にならない限度の例として示されている、標準授業時数から105時間を超えて授業を実施した学校について、本県は小中学校全体の約20%となっております。 この国が定めた標準授業時数を下回ることはできませんが、上回って教育課程を編成することにつきましては、校長や各学校の設置者の判断に委ねられておりますので、今後適切な教育課程の編成及び実施が行われますよう、市町村の教育長会や校長会において先ほどの答申の内容等について情報提供していくことなどによりまして、改善につなげてまいりたいと考えております。 最後に、学校における働き方改革に関する総合的な方策の実現のため、政府に対して教員の定数増を図るように求めるべきであるとのお尋ねがございました。 県教育委員会としましては、これまで働き方改革の取り組みとして、ICT等を活用した勤務時間の管理、業務の効率化・削減、専門スタッフ・外部人材の活用の3つの柱を中心として取り組んでまいりました。これらの取り組みは、中教審の答申である学校における働き方改革に関する総合的な方策の内容に合致しており、まずはこれらの取り組みを着実に進め、県教育委員会全体として業務の見直しや工夫改善を実施してまいります。 また、個別の教育課題の解決を図るために、県教育委員会として国に対して教員加配の重点化による支援についての政策提言も行ってまいりました。具体的には、児童生徒の学力向上や学校生活への適応を進めるための少人数学級編制の加配や、学習指導要領の改訂に伴う小学校英語を着実に進めるための小学校英語専科教員の加配の充実、学校における働き方改革に向けた体制の充実のための学校事務職員や主幹教諭の加配の充実について提言を行ってまいりました。 こうしたことから、来年度の学校における働き方改革に向けた加配定数については、小学校専科指導の充実や学校事務職員の体制強化とともに、主幹教諭の学校マネジメント機能強化など、国全体で1,110名の増員が示されているところです。 今後は、県教育委員会として、勤務時間の上限や変形労働時間制の導入など、国の動向に注視しながら、市町村教育委員会としっかりと連携・協働し、学校における働き方改革の取り組みを推進してまいります。あわせて、今後も国に対して必要な加配定数の確保についても粘り強く要請してまいります。 こうした取り組みを進めた上で、なお定数増が必要な状況がありましたら、全国都道府県教育長協議会等とも連携を図り、学校における働き方改革に向け、定数増も含めた体制の充実について国への要望を検討してまいりたいと考えております。 ◆35番(吉良富彦君) 第2問を行います。 まず、会計年度任用職員のことですけれども、給与のことだけではなくて、処遇というと休暇だとか更新していく、そういう条件も含んでいるわけです。現在職員団体と交渉中ということですので、勤務条件のことですのでそちらのほうが。 しかし、姿勢として、そういう休暇も含めて処遇の低下は招かないという決意をお聞きしたいと思うんですけれども、これは知事にお願いいたしましょうか。 それから教育長、教職員団体との今の交渉はどういうふうになっているのか。この間、臨時教員含めて処遇改善を随分と図ってきたわけです。その努力がちゃんと実るように、さらに前進するように処遇改善を図られるべきだと思うんですけれども、それについての教育委員会としての考え方もあわせてお聞きしたいと思います。 次に、国保のことです。相当厳しい状況になるだろうとおっしゃっていたんですけれども、これは国のほうの交付金が予想よりも少なかったわけですか、その影響はあるのか、大体どれぐらいの額がふえそうなのかということも、もし今の時点でわかっていればお示しいただきたい。市町村に結局頼むということで、これはなかなかの困難を来すと思うので、現時点でわかっている状況を教えていただきたい。 それから、本県も特に子供の均等割については、昨年2月議会でも均等割について見直しの意見書が全会一致で上がっているわけですので、やはりいつになったら--4年前からずっと知事会も含めてやっているのに、もう子供も大きくなっちゃって、全くこれ予想がつかない。知事会も随分頑張ってくださっているんですけれども、その見通しをどう考えているのか。 それから、もう子供の医療費と同じように均等割をどんどんなくしていく市町村がふえています。第2子に限ったり、あるいは子供全体で3割減をしたりというので、ふえているわけです。ぜひ、そういう市町村の取り組み、財政的な規模も大変だ、国保会計も大変だという市町村の取り組みにインセンティブを与えるような県としての姿勢も示していただければと思うんですけれども、それについての決意はいかがなのかということを、これも知事にお聞きしたいと思います。 それから、教員の長時間労働の問題ですけれども、福井県議会が2017年の中学2年生の自殺を契機に意見書議案を出しています。これは改めて皆さんに御紹介したいと思うんですけれども、要はその自殺に至ったのは、福井というのは学力日本一、ずっと学テで高い地位を占めていまして、そのことがストレスになって、学校に、生徒と教員に大きな負担を来したんではないかというふうなことをおっしゃっているんです。 平成29年12月19日に意見書議案を上げています。その中では、学校の学力というものは単なる学テの学力だけじゃなくて、人生を生き抜いていくために必要な力を身につけることが目的であるということをまず再確認すべきで、過度の学力偏重は避けることという、学力というものに対する概念について議会のほうからもう一回再考してみる必要があるんじゃないかということ。それから、具体的には、教育大綱は本県全体の教育行政の指針であるが、その基本理念実現のための具体的方策までを教育現場に一律に強制し、現場の負担感や硬直化を招くことがないよう改めることと言っているんです。 その一環として第3点目に、現場の多くの教員の声に真摯に耳を傾けて、本来の教育課程に上乗せして実施している福井県独自の学力テスト等の取り組みを学校裁量に任せることと、そして部活指導の軽減化も進めるなど見直しを図ることということで、いわゆる県独自の学テなんかはもういいんじゃないかと。それは現場の裁量に任せて、その傾向はしっかりとつかむ必要はあるけれどもということも言っているんです。 つまり、私が提案したように、研修については一歩踏み出しましたけれども、学テそのものについても、一旦やっぱり負担を軽くするという意味で裁量性にするだとかという、施策そのものを見直していく動きもあるわけです。 そういう面で言うと、本県のほうも、もう御存じのようにあっぷあっぷですから、さっき言ったように一升徳利には二升も入らないわけですから、一つそのことも検討課題ではないかということを教育長にお聞きして、第2問といたします。 ◎知事(尾崎正直君) まず、会計年度任用職員の皆様方について、新たな制度導入に当たって、国全体で定められていく方向性というものもあるわけではありますけれども、ぜひそれぞれの業務において力を発揮していただけるような制度となるように、いろんな方々の御意見をお伺いしながら検討を重ねさせていただければと、そのように考えています。これは、先ほど言われた例えば休暇だとか更新のあり方、こういうことも含めてということだと、そのように思っています。 2点目でありますが、今回国保について市町村の皆様へ国保事業費納付金の増額をお願いしなければならないことについて、1つは何といいましても、この問題、やはり医療費が非常に増嵩したということが一番の大きな原因だと、そういうふうに思っています。 あわせて、歳入面において高額医療費負担金につきまして、今年度の見積もりが多かった分、来年度については減額する必要が生じたとか、そういう課題もあるわけでありまして、細かい数字についてはまた担当のほうから、もし要すればお答えをさせていただければとは思いますけれども、そういう要因も確かにあるところであります。 こういうふうに国保料が高くなっていくということについて、やはり国に対してもさらなる負担軽減のための一連の措置というのを全国知事会としても訴えてきましたし、そういう中において一定国費の負担というものも拡大してきているところではありますが、さっき申し上げた均等割などについて、引き続きこちらも訴えていくとしか今の段階では言いようがありません。いつになれば実現できるかどうかというのはわかりませんが、ただやはり特に地方においてはこういう問題は非常に深刻でありますから、この点について訴えていくことは非常に重要であります。 先ほど申し上げた医療費が非常に高くなっている原因ということについて、やはりこれは県も新たに保険者になりました。市町村においても、これまでも取り組んでこられております。先ほど御答弁でも申し上げましたけれども、ジェネリックの導入などというすぐさまできることから始まって、さらに言えば、地域の医療需要と供給をマッチングさせていくことによってある意味適切な医療費の水準に持っていくというような一連の総合的な対策を講じていくという根本的な対策を講じるしかないのだと、そういうふうに思っています。この点について、日本一の健康長寿県構想の推進を通じて、県と市町村ともに取り組みを進めていけるようにしていくこと、これが大事だと、そういうふうに思っているところです。 ◎教育長(伊藤博明君) まず、会計年度任用職員の件につきまして、これは会計年度任用職員の趣旨を生かしながら、よりよいものになりますように、知事部局ともしっかり歩調を合わせて取り組みを進めていきたいというふうに思います。 それから、学テのことですけれども、やっぱり学テ自体、その年の高知県の状況がどういったものになるのかという現状を把握するためのものであって、そのものに対してどういうふうに対策、改善をしていくかというような指標になるものでございますので、現状においては学テについては継続してやっていくというふうに考えております。 ◆35番(吉良富彦君) しかし、学テは今やっぱり学校現場を非常に圧迫しています。本来、学校がどうあらなければならないか、学力はどうなのかということを、やっぱり哲学的に考える必要があると思うんです。塾と変わらなくなるんですね、今のままでは。正解ばかりを追っていくような今の学校体制はだめで。オーテピアの前の、「ねえ君、不思議だと思いませんか」という寺田寅彦のあの探究心、不思議だなと思わすこと、そしてそれを分析していくこと、そして分析した後統合していく能力。これを培っていく方向に学校のあり方が変わっていくような方向での施策の精選を求めて、私の全ての質問を終わりたいと思います。 以上です。(拍手) ○議長(土森正典君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明3月1日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後5時2分散会...