高知県議会 > 2018-12-11 >
12月11日-02号

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  1. 高知県議会 2018-12-11
    12月11日-02号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成30年 12月 定例会(第346回)        平成30年12月11日(火曜日) 開議第2日-----------------------------------出席議員       1番  金岡佳時君       2番  下村勝幸君       3番  野町雅樹君       4番  上田貢太郎君       5番  今城誠司君       6番  久保博道君       7番  田中 徹君       8番  土居 央君       9番  浜田豪太君       10番  横山文人君       11番  加藤 漠君       12番  坂本孝幸君       13番  西内 健君       14番  弘田兼一君       15番  明神健夫君       16番  依光晃一郎君       17番  梶原大介君       18番  桑名龍吾君       19番  武石利彦君       20番  三石文隆君       21番  浜田英宏君       22番  土森正典君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  池脇純一君       26番  石井 孝君       27番  大野辰哉君       28番  橋本敏男君       29番  前田 強君       30番  高橋 徹君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  中内桂郎君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         尾崎正直君  副知事        岩城孝章君  総務部長       君塚明宏君  危機管理部長     酒井浩一君  健康政策部長     鎌倉昭浩君  地域福祉部長     門田純一君  文化生活スポーツ部長 門田登志和君  産業振興推進部長   井上浩之君  中山間振興・交通部長 川村雅計君  商工労働部長     近藤雅宏君  観光振興部長     吉村 大君  農業振興部長     笹岡貴文君  林業振興・環境部長  田所 実君  水産振興部長     谷脇 明君  土木部長       村田重雄君  会計管理者      中村智砂君  公営企業局長     北村 強君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  金谷正文君  公安委員長      西山彰一君  警察本部長      宇田川佳宏君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   麻岡誠司君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       弘田 均君  事務局次長      川村文平君  議事課長       横田 聡君  政策調査課長     織田勝博君  議事課長補佐     飯田志保君  主幹         浜田百賀里君  主査         宮脇 涼君-----------------------------------議事日程(第2号)   平成30年12月11日午前10時開議第1 第1号 平成30年度高知県一般会計補正予算 第2号 平成30年度高知県給与等集中管理特別会計補正予算 第3号 平成30年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第4号 平成30年度高知県流域下水道事業特別会計補正予算 第5号 平成30年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第6号 平成30年度高知県電気事業会計補正予算 第7号 平成30年度高知県工業用水道事業会計補正予算 第8号 平成30年度高知県病院事業会計補正予算 第9号 高知県住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例議案 第10号 高知県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例及び知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第11号 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案 第12号 高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案 第13号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第14号 高知県家畜保健衛生所条例の一部を改正する条例議案 第15号 高知県立中学校、高等学校及び特別支援学校設置条例の一部を改正する条例議案 第16号 平成31年度当せん金付証票の発売総額に関する議案 第17号 高知県立県民文化ホールの指定管理者の指定に関する議案 第18号 高知県立歴史民俗資料館の指定管理者の指定に関する議案 第19号 高知県立坂本龍馬記念館の指定管理者の指定に関する議案 第20号 高知県立美術館の指定管理者の指定に関する議案 第21号 高知県立文学館の指定管理者の指定に関する議案 第22号 高知県立のいち動物公園の指定管理者の指定に関する議案 第23号 高知県立春野総合運動公園の指定管理者の指定に関する議案 第24号 国道493号(北川道路)道路改築(和田トンネル)工事請負契約の締結に関する議案 第25号 県道安田東洋線防災・安全交付金(明神口トンネル)工事請負契約の締結に関する議案 第26号 県道窪川船戸線(岩土トンネル)防災・安全交付金工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(土森正典君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(土森正典君) 御報告いたします。 議員桑名龍吾君から、所用のため本日の会議を欠席したい旨届け出がありました。 次に、第11号議案については、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき人事委員会に意見を求めてありましたところ、同委員会の勧告の趣旨に沿ったものであり、適当であると判断する旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。   〔人事委員会回答書 巻末257ページに掲載〕----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(土森正典君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「平成30年度高知県一般会計補正予算」から第26号「県道窪川船戸線(岩土トンネル)防災・安全交付金工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで、以上26件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 16番依光晃一郎君。   (16番依光晃一郎君登壇) ◆16番(依光晃一郎君) お許しをいただきましたので、自由民主党を代表いたしまして質問をさせていただきます。 本年10月28日に、天皇皇后両陛下をお迎えしての「明治150年記念 第38回全国豊かな海づくり大会~高知家大会~」が成功裏に終了いたしました。尾崎知事、水産振興部を初めとした県庁職員の皆様、また警備を担当された高知県警の皆様には、平成最後の三大行幸啓ということで、大変な注目の中、滞りなく行事を終えられたことに関しまして、心よりの感謝を申し上げます。 私は、明治改元150年という節目の年に高知県で開催されたこの大会は、高知県民にとって大変名誉なことであったと思います。昨年も、大政奉還150年ということで、なぜ土佐から多くの志士が輩出され、新たな時代を切り開くことができたのかについて、12月議会一般質問で述べさせていただきました。 要約すると、谷秦山先生が実証的な歴史研究の中で皇室と幕府の二重権力の関係について解説し、その学問が後に天保庄屋同盟という生まれながらの上下の身分を否定する民主主義の原点を生み出し、ジョン万次郎先生が伝えた西洋の民主主義思想とまざり合うことで、新しい社会のあり方を明確にイメージできたからこそ、明治維新、自由民権運動に多くの人材を輩出することができたのだという趣旨でした。 加えて、太平洋に面した土佐だったからこそ、ジョン万次郎先生がアメリカに渡ることになったのだとすれば、豊かな高知の海が明治維新を呼び込んだとも言えます。 あと数日で平成30年が終わり、5月からは新元号に改まります。新たな時代を切り開くのは、やはり課題解決先進県であるこの高知であるべきだと思います。土佐の先人に倣って、新しい時代を切り開くべく、今議会も質問をさせていただきます。 まず最初に、沿道での奉迎など、多くの県民が参加した全国豊かな海づくり大会の感想について知事にお聞きをいたします。 次に、現代の最大の課題である人口減少問題についてお聞きをいたします。幕末の課題が西洋列強からの脅威であったということには、誰も反論できないと思いますが、現代の最大の課題が人口減少問題だということについて、世の中の合意がとれているかといえば、そうではないように思います。 内閣府の平成29年版高齢社会白書によれば、日本の人口は、今から37年後の2055年には9,744万人となります。高齢化率は38%。さらに、ゼロ歳から14歳までの子供の総数は1,012万人、その率は10%とされています。危機的な状況をわかりやすく説明するために1学年に直すと、1,012万人を15で割って、1学年が67万人となります。団塊の世代は1学年大体268万人なので、子供の数が約100年で4分の1になるということになります。ちなみに昨年は94万6,000人、一昨年は97万7,000人と、2年連続で100万人を割り込みました。 高知県の出生数の推移を見てみると、過去3年で、平成29年が4,837人、28年が4,779人、27年が5,052人となっています。加えて、合計特殊出生率の3年の推移は、平成29年が1.56、28年が1.47、27年が1.51となっています。 子供の数が減ってきているということは多くの方が実感していると思いますが、小学校の入学時である6年後、あるいは高校進学の16年後という近未来の数字を把握しているでしょうか。ことしの3月に高知県の高校を卒業した生徒の数は、全日制、定時制を合わせて6,151人です。では、昨年生まれた子供たちが全て高校に進学するとして、今よりどれくらい少ない学年になるでしょうか。答えは、平成29年生まれは4,837人ですので、1,300人も少ない学年となります。 現在、県立高等学校再編振興計画後期実施計画の議論が進んでいますが、ことし生まれた子供たちが高校生になる16年後に、郡部高校の存続や私立高校が今の規模で経営が成り立つかなど、考えることが少し怖くなるような未来がすぐそこに迫っています。 人口減少問題については、これまで高知県だからこその危機感を持ち、あらゆる角度から取り組んで、出生数、合計特殊出生率も上がってきていることは承知をしております。しかし、高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略に示した目標である、2040年までに合計特殊出生率2.07、2050年に出生率2.27の達成のためには、高知県だけの取り組みでは難しく、国の考え方を抜本的に変える必要があるのだと思います。 例えば少子化に関する平成27年度の県民意識調査結果を見ますと、理想の数だけ子供を持たない理由として、経済的な理由が大多数となっております。有識者などの意見を調べてみますと、児童手当について、現在月額1万円から1万5,000円の金額を10倍にすべきだという意見や、あるいは第1子が生まれた時点で1,000万円給付という話など、子育て世代への給付の拡大という意見が多く見られます。 国が、直接的なお金の支援なのか間接的な支援なのかは別にして、安心して子供を産むためにもっと予算を投入すべしという議論は、幕末と同じ気迫を持って日本を救うための議論として、高知県がリードすべきではないかと思います。 高知県は少子対策課という担当課をつくり、また尾崎知事は、全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして、国へも提言した御経験からも、人口減少問題という幕末以来の課題、とりわけ少子化の現状について深く考えてこられたと思います。 そこで、少子化対策について、大政奉還のごとく政治体制をひっくり返すくらいの、150年に一度の策を国に要望すべきと思いますが、知事にお聞きをいたします。 次に、出入国管理法改正法案についてお聞きをいたします。先ほどからも話をさせていただいている人口減少問題は、日本の人口構成を逆ピラミッドに変えました。そして、人口構成の大きい世代が定年退職することにより生まれた労働者不足は、若い世代だけでは埋めることができず、大きな社会問題となっております。 そうした中、定年延長や女性の社会進出などに加えて、外国人労働者によって労働者不足を補おうとする出入国管理法改正法案が、今月国会で成立しました。 大きな流れとしては、高知県にも外国人労働者がふえていくことは間違いありません。現在でも、農業分野を中心に受け入れが進んでおり、外国人労働者の労働力なしには農業経営ができないところが多くあります。 今後、外国人の労働者がさらにふえるのであれば、受け入れ農家・組織のフォロー体制や外国人労働者の方々への日本語教育サポート、社会保障制度や生活支援など、外国人労働者にとって働きやすい高知県にするために、県としての支援体制をつくっていただきたいと思います。 そこで、高知県として新たな出入国管理法改正に対してどのような姿勢で取り組み、市町村への支援をどう考えているのか、知事にお聞きをいたします。 次に、外国が近くなった高知においてこそ、伝統文化の継承について意識すべきという観点で質問をさせていただきます。高知県はここ数年で外国とのかかわりが大きく広がり、身近になったと感じています。先ほど述べた外国人労働者のことに加え、外国の方々に高知のものを売ったり、あるいは観光客として来てもらうなど、ビジネスとして成り立つ環境が整ってきたのです。また、教育の分野でも、バカロレアや小学校の英語教育など、国際化に向けた準備も進んでいます。 私は、外国が近くなったからこそ、高知独自の文化や伝統を改めて大事にし、高知県の魅力として世界に発信していただきたいと思います。 しかし、伝統的な生活様式は時代の流れの中で廃れていき、外国人観光客から人気の棚田の風景や日本建築が美しい里山は、過疎・高齢化により失われていっています。 こういった魅力は、行政が補助金で単純に支援すればよいというものではなくて、新たな価値を見出せる人材を活用することによって、新たなビジネスとして再生すべきと思います。外国人観光客に喜んでもらえる高知らしい風景を、自然・体験型観光に位置づけたり、外国人観光客に喜ばれる民泊事業を立ち上げたりという事業です。 新たなビジネス、新たな起業家の活躍には、産学官民連携・起業推進課のKOCHI STARTUP PARKなどが支援しています。 また、ことしからは、文化芸術を観光振興や産業振興に生かせる人材育成ということで、アートビジネス講座を開催しており、この取り組みにも大変期待をしております。 私は、伝統的な文化や芸術を残していくためには、これまでと違った存在意義を生み出し、新たな顧客を獲得していくようなことが必要だと思います。すぐに成果があらわれるものではないかもしれませんが、外国人観光客へのアプローチなど、昨年策定された高知県文化芸術振興ビジョンにより取り組んだこれまでの手応えと、今後に向けた決意を知事にお聞きいたします。 今月6日午前1時40分ごろ、室戸岬の南南東約100キロ地点で、アメリカ海兵隊岩国基地所属空中給油機KC130とFA18戦闘攻撃機が接触し、墜落しました。また、2年前の平成28年12月7日にも、FA18戦闘機が土佐清水沖約102キロ地点で墜落するという事故がありました。 県は、今回も米軍機事故についての原因究明や再発防止に関する要請文書を、防衛省や外務省に対して早速提出したと聞いていますが、これまでに高知県が把握している情報と事故後の対応について知事にお聞きをいたします。 次に、管理型産業廃棄物最終処分場についてお聞きをいたします。高知県は、昨年6月よりエコサイクルセンターの後継となる最終処分場の候補地について選定作業を始め、客観的、科学的かつ透明性のあるプロセスにより3カ所に絞り込みました。そして、須崎市神田、香南市香我美町上分、佐川町加茂の3カ所について、住民説明会やエコサイクルセンターの見学会などを通じ、説明を重ねております。 私は、管理型産業廃棄物最終処分場は重要なインフラ施設であると認識しております。また、早ければ2022年9月には満杯となると試算されていることから、空白期間なく整備すべきだと思います。 高知県は、住民からのさまざまな不安の声に応えるべく、1、地形や地質に関する調査、2、水に関する調査、3、候補地周辺に関する調査、4、南海トラフ地震による津波の影響に関する評価の4点の項目について検討し、佐川町加茂が最も有力であるとの考えを、今議会の知事提案説明により表明しました。 私は、これまでの県の丁寧な取り組みに対して大いに評価をしております。 そこでまず、知事が提案説明において説明した3カ所の候補地の中から、なぜこのタイミングで1カ所に絞り込むことが適切であると考えたのか、知事にお聞きをいたします。 また、高知県は、佐川町加茂において進入道路を新設する案を有力としている理由として、施設整備による生活への影響が最も小さく、地震による津波の影響もないこととしています。 県は、住民生活へのさまざまな影響をどのように把握して3カ所の比較を行ったのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 また、候補地に選定された3地区での住民説明会やアンケートでは、さまざまな御意見が寄せられたことと思います。また、今回の絞り込みにより有力とされなかった2市についても、しっかりと県の考え方について説明する必要があると考えます。 知事からは、住民の皆様の御意見には3市町間で大きな差があるとは言いがたい状況との説明がありましたが、それぞれの地域でどのような意見が寄せられたのか、また県として地元の皆様の受けとめをどう捉えたのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 また、建設予定地の決定に向けては、施設整備における不安の解消に一層努め、地元の理解を得ることが最も重要であると思います。 今後、この施設を地元に受け入れていただくためにどのような進め方で取り組んでいくのか、知事にお聞きをいたします。 次に、よさこいについてお聞きをいたします。 高知県は、2020年オリンピックの開閉会式に、よさこいの演舞を披露することを目的に、2020よさこいで応援プロジェクト実行委員会を立ち上げ、機運を盛り上げてきました。ことし7月には、開閉会式総合統括に狂言師の野村萬斎氏が発表され、演出についても今後議論がなされると思います。 私は、オリンピックでのよさこい演舞は絶対に実現させていただきたいし、ソーラン・どまつり系と言われるチームだけで演舞したとしても、私は成功だと思っております。しかし、この私の意見に対して、あれはよさこいではないとの反論が出ることも予想されます。 現在、高知新聞では「よさこいの「かたち」高知65年目の夏」という連載が続いていますが、第5部の「2020年に向けて」という一連の記事では、名古屋・にっぽんど真ん中祭り、津市・安濃津よさこい、京都・龍馬よさこいの関係者が、それぞれの思いを熱く語っておられます。 こういった情熱を持った方々がなぜ全国にいるのかといえば、28年前に北海道でYOSAKOIソーラン祭りをやりたいと学生が言ったときに、それはよさこいではないから協力しないということではなく、おもしろそうじゃないかと協力した高知県民が多くいたことがルーツです。 特に私の地元香美市は、県内で唯一、よさこいを通じた姉妹都市交流の歴史を持つ町です。28年前に北海道の大学生をサポートした縁で、北海道の積丹町と今でも交流を続けています。詳しい話は、平成26年2月定例会予算委員会で触れましたので、多くを述べませんが、ソーラン・どまつり系の祭りと、高知のよさこい祭りを結びつける役割が私なりに果たせればと考えております。 そんな思いの中、オリンピックに関連した全国的な連携を今後につなげていくために、よさこい祭りの無形文化財指定をという話が、龍馬よさこい実行委員会の木村隆比古さんからありました。来年には、文化財保護法改正法案が施行され、文化財の活用についての議論が活発化することが予想されるタイミングでもあり、すばらしい御提案だと思います。 では、国や県の無形文化財に指定されることによって何が変わるのか、それは、よさこい祭りが、文化的な価値を持つ、日本を代表する祭りとしてのお墨つきが得られ、全国のよさこい系の祭りの維持・発展にも資する取り組みになるということです。 よさこい祭りは、その祭りの持つエネルギーから過去の高知県においても、騒音への苦情や若者を非行に走らせるあしき祭りだなど、よさこいへの規制についての議論がありました。全国のよさこい祭りも同じような経験をしていると聞きます。 しかし、そもそも法令による規制はよさこいにはなじまないし、そうではなくて、よさこい祭りは日本の伝統にルーツがあり、日本文化の継承という矜持によって間違った道に進まないというルールづくりを確立すべきだと思います。日本文化にルーツがというのは、よさこい節という伝統ある楽曲であり、また日本舞踊にルーツを持つ振りつけのことを言っています。 そんな折、正調よさこい鳴子踊りについてしっかりと学び直そうという機運が盛り上がり、当時の振りつけがどのように変遷したかについて御存じの若柳由喜満先生によって、勉強会が開催されました。その勉強会では、現在の正調鳴子踊りができるまでの経緯や、一つ一つの振りつけにどういった意味があるのかなどが明らかにされ、勉強会に参加されたよさこいに深くかかわる面々も、改めてよさこいの奥深さに感動しました。 そこで、高知県は、全国に、そして世界に広がるよさこい祭りについて、生みの親である母なる土地として、よさこい祭りの維持・発展のため、無形文化財の指定に向けて積極的にかかわっていくべきだと思うが、知事にお聞きをいたします。 私は、高知県のよさこい祭りは今後も永遠に続いていかなければならないし、全国のよさこい関係者がいつまでも聖地巡礼で訪れてもらえるような安定的な祭りの運営体制づくりは、高知県の使命だと考えております。 しかし、よさこい祭りの運営は限界に来ているのではと感じます。ことしの象徴的な出来事としては、菜園場商店街と愛宕町商店街が踊り子チームの出場を断念しました。2つの商店街は、競演場の運営は維持していただきましたが、今後も商店街の皆様方だけに頼りっ放しというのは無理があるのではと思います。むしろ、よさこい祭りは高知県の祭りだということで、県が積極的にかかわることも必要ではないかと考えるところです。 他県の事例では、どまつり50年構想を宣言した名古屋のにっぽんど真ん中祭りの運営が、全国的に注目されています。その運営は、コミュニティーづくり、人材育成に力を入れており、祭りを通じて新たなリーダーを毎年毎年生み出す人材育成プログラムとなっております。どまつりのコンセプトでは、参加するチームのリーダーが、活動する地域のコミュニティーの核となり、地域活性化にも貢献してもらうことを期待しています。つまり、地域活性化のためにチームをつくり、チームの運営そのものが人材育成プログラムとなり、そこで学んだ経験が地域コミュニティーに還元されるという仕組みです。また、大学生がスタートさせた祭りであることから、メーンステージは、今でも学生委員会が代がわりしながら運営しております。 高知県においては、追手筋本部競演場は商工会議所、それぞれの競演場は地元の商店や住民の方々が担っており、新しい担い手を確保していくことは容易ではありません。 高知県として、どまつり方式の全面的導入は難しくとも、よいところは取り入れながら少しずつ変えていくことも必要だと思います。 また、商店街の活性化こそが競演場の活性化だという観点からは、新しい商店主の誘致が不可欠ですし、地域のコミュニティーの再生という意味では、小中学校や高校との連携などもできないかと考えるところです。 過去には、移住支援併設型・空き店舗改修事業という提案や、ホーム商店街協定という提案をさせていただきました。最近思いついたことでは、高知県の競演場は、他県の皆さんから見ればそれぞれ魅力的であることから、商店街としてのグッズなどを用意して、ふるさと納税やクラウドファンディングなどで資金集めをして、その資金で運営についての負担軽減が図れないでしょうか。また、KOCHI STARTUP PARKやココプラとの連携など、商店街の新たなビジネスも生み出されればと思います。 本年4月には、競演場、演舞場の維持・発展を初め、よさこい祭りを未来へ継承することを内容とした、よさこい祭りの日宣言を、高知県、よさこい祭振興会、よさこい祭り競演場連合会、高知市観光協会、高知市で行いました。 そこで、各競演場の運営強化について、県を初め宣言した団体で構成する組織体において検討するお考えはないか、観光振興部長にお聞きをいたします。 次に、よさこい祭りやよさこい踊りの学習の状況についてお聞きをいたします。よさこい祭りを100年、200年と残していくためには、高知県の子供たちによさこいに触れてもらう機会をふやすことが重要です。高知県内には、よさこい踊りを披露する祭りが幾つかあります。香美市においても、土佐山田まつりや湖水祭で子供会などのチームが踊りを披露しております。 しかし、高知県内には、よさこい鳴子踊りはテレビでは見たことがあるけれど、実際に踊ったことはないという子供たちがふえているのではと感じるところです。 私は高知県の子供たちは、義務教育の期間によさこい祭りやよさこい鳴子踊りについて学習し、学校内にとどまらず、地域の祭りやイベントで披露する機会を持つことが必要だと考えております。この経験は、県外に出て進学や就職をしたとしても、高知のルーツに誇りを持ち、将来的には高知県に帰って働こうという意欲にもつながるのではと考えるところです。 私は、よさこい祭りやよさこい鳴子踊りは、高知県の子供たちにとって、郷土を愛する心を育むよい教材であると思いますが、高知県内の小中学校では、よさこい祭りやよさこい鳴子踊りについての学習をどのように行っているのか、またその成果をどのように発表しているのか、地域ごとの具体的な取り組み状況について教育長にお聞きをいたします。 次に、よさこい鳴子踊りの教材についてお聞きをいたします。高知県のよさこい文化を子供たちにしっかり教えるためには、教材の整備が必要です。しかしながら、よさこい鳴子踊りの教材に関しては、学校現場で使えるものが少ないのが現状です。 一方、よさこいの原型とも言える正調よさこいについては、実は幾つかのバリエーションがあり、どれが本当の踊りかということに関して結論が出せない状況が続いていました。このことに関して朗報とも言えるのが、先ほども触れた、よさこいを無形文化財にという運動の中で、若柳先生の解説によるよさこい鳴子踊りのルーツや振りつけの意味など、これまで余り深掘りされていなかったことも含め、教材化ができる環境が整ってきました。 学校現場で使える教材ができれば、高知県の子供たちへのよさこい文化の継承だけではなく、バカロレア教育や交換留学で、海外で日本文化を紹介する機会がある学生への事前学習にも有効であると思います。加えて、JICAの青年海外協力隊事業などにおいて、この教材を利用することで、日本語学校などを通じてよさこい文化を海外へ広めることにも活用できるのではないかと考えるところです。 そこで、高知県で、国際交流などにも貢献できる、日本文化、土佐文化を学べるよさこい鳴子踊りの教材を作成してはどうかと考えるが、教育長にお聞きをいたします。 次に、よさこい鳴子踊りを通した人材育成についてお聞きをいたします。さきにお話しした高知新聞の連載では、過去に南海中学校が生徒たちでチームをつくり、よさこい祭りに参加したという事例の紹介がありました。南海中の生徒たちは、行政の補助金がなくなって、よさこい祭りへの参加を断念するかの決断に迫られたときに、自分たちで参加を決め、鳴子を手づくりし、地域の人たちに協力を要請しながらお金を集め、本番を迎えたというエピソードでした。 先ほど、正調鳴子踊りを教えるための教材づくりについて質問させていただきましたが、学校現場でやるべきは、正調鳴子踊りをそのまま踊るということではなく、いかに自分たちのチームとしてアレンジするかを考えさせ、やる気を呼び起こすような授業でなければ意味がありません。よさこい鳴子踊りをなぜ学校現場で学ぶかといえば、例えば高知市のよさこい祭りや、香美市であれば土佐山田まつりに出場するためにチームをつくり、どういった振りつけや曲で踊るのかを考えさせ、仲間と協力して出場するというその一連のプロセスに高い教育効果があるからです。 2020年には、全国高等学校総合文化祭が高知県で開催されますが、全国の高校生を高知県内の高校生がよさこい鳴子踊りでもてなすというようなことができないかと思います。 そこで、よさこい鳴子踊りのチームづくりを通した活動には、郷土愛を育むとともに、生徒の自主性を育てる教育的な効果があると思うが、その活動の効果をどのように考えているのか、また子供たちの活動成果を披露する機会として、2020年に本県で開催される全国高等学校総合文化祭で披露することができないか、あわせて教育長にお聞きをいたします。 次に、よさこいに関する研究支援についてお聞きをいたします。よさこい祭りは全国に、そして海外に広がり、これからも拡大していくことが想像できます。このエネルギーは何なのか、また全国のよさこいはどんな経緯で広がったのか、海外での広がりはどうかなど、興味は尽きません。これまでも多くの大学生が卒業論文のテーマとして取り上げましたが、今後もよさこい研究については盛り上がっていくのではと思います。 私は、よさこい祭りについて、高知に来れば全てのことがわかるというような資料の展示について、新たに開館したオーテピア高知図書館に期待するところです。現状でもよさこいコーナーをつくっていますが、私は、全国のよさこいに関する資料を集め、よさこいにかかわる研究者が必ず訪れるような図書館として磨き上げていただきたいと思います。 また、よさこい期間中は、1階のエントランスホールが開放されていますが、よさこいに関する文献が充実していることを全国から来られた方がわかるような紹介コーナーを設けることで、別の機会に泊まりがけで研究に訪れる方を呼び込むこともできるのではと思います。 そこで、オーテピア高知図書館のよさこいコーナーについて、よさこいに関する文献を全て網羅した特別コーナーへと強化するお考えはないか、教育長にお聞きをいたします。 次に、林業の振興に関連してお聞きをいたします。 高知県は、林業の振興なくして中山間地域の再生なし、中山間の再生なくして地方の活性化なしというキャッチフレーズで、林業を高知県政の中でも重要なものとして取り組んでいます。私も同様の思いで、林業にかかわる森林組合や製材所、大工や左官など建築にかかわる方々、また建具屋さんや家具職人など、高知県の木に関する仕事をされている方々が、今後も生活をしていけるような地域づくりのお手伝いができればと思っているところです。 さて、私は来年が林業にとってとても重要な年だと考えております。それは、国の仮称森林環境譲与税と森林経営管理法のスタートを追い風に、高知県の林業を力強く成長させられるのではと考えているからです。 簡単にそれぞれ説明すると、森林環境譲与税は、市町村に森林整備や人材育成、木材利用の促進などに使える予算が配分され、森林経営管理法は、手入れができていない森林について、市町村がかかわって事業者に委託したり、管理できるというものです。 これまで林業が低迷したのは、安い外国材などの輸入により木材価格が低下したことで、木を切っても利益を生まないということが理由です。そして、このことから山主が関心を失い、手入れが進まないまま荒れ放題となっている山がふえ続けています。 そのため、林業の再生には、木を切って利益が出る仕組みづくりが必要です。特に本日はA材という、本来住宅に使われるべき一番価値の高い木の需要に関して議論させていただきたいと思います。 高知県にとって、A材が高く売れないというのは課題で、さきの9月補正では、県内中小製材業者に対してJAS認定の取得を目指した、製材品高品質化調査委託費が承認されました。私は、この高品質化というのは世の中の流れで、必要なことだと思います。また、高知県の水系ごとに製材所があるという状況も大切です。 しかし、四万十川、仁淀川、吉野川の水系では、それぞれ認定された製材所がある中で、物部川水系だけは認定された製材所がありません。私の住む香美市では、森林組合が2つある林業が盛んな地域でありながら、製材所の存続には不安があるというような状況です。 ウッドマイルズという、木材を輸送するエネルギーを削減して、地球温暖化を防ぎ循環型社会の構築を目指すという考え方からすれば、香美市の2つの森林組合で切った木が、より近い製材所でJAS認定がとれるというようなことが望まれますが、高知県はどういった姿を描いてJAS認定工場となるよう支援していくのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 次に、今後の製材所の経営に資する建築士との連携についてお聞きをいたします。これまでの製材所は、地元の大工さんとの連携の中で、建築用材を中心に利益を上げてきました。しかし、時代の流れの中で、大手ハウスメーカーが外国産材を使って家を建てたり、あるいは建築士が地域の実情を余り考えず設計をすることで、地域で家が建つのにもかかわらず、地元の製材業者が木を供給できず、涙をのむという状況となっています。香美市においては、4つの製材事業者全てに後継者がいない状況です。 こういった状況をどうやったら解決できるかといえば、地域の需要に関してしっかりと木を供給して、利益が出せる仕組みをつくるということに尽きると思います。 例えば公共工事においては、地元産材を地域の製材所がひいて用意できることが重要です。香美市においては、集落活動センターを建てる際に、1キロしか離れていない製材所からの木が使えずに、地域外の製材所を使ったという事例がありました。この件は調べてみると、必要な材木が期日までに調達できないことから、よその製材所から材木を買ったということでした。 公共工事においては、仕様書によって工事に使用される材料について指定できるのですが、高知県産材という指定であれば、香美市外の木を使ってもよいですし、別段問題ないように思えます。しかし、地域に製材所を残すという意味では、香美市産材を香美市の製材所で加工したものというような形で発注していただきたいと思うところです。 ただ、前提は、公共工事であれば、設計者が決まった段階で、必要な材木の規格と数量がきちんと製材所や森林組合などの事業者に伝わることが重要で、そうでなければ期日までに納入することが困難となり、建物の完成がおくれることとなります。 建築士は、ただ建物をつくればよいというのではなく、材木の調達など、地域のことも考えた設計をすることが今後は重要です。 また、地域の製材所が売り上げを伸ばせないのには、在庫がないために注文に応じられず、売り上げを上げられないという現状があるのではとも考えております。 製材所にとっては、材木をストックすることは、現金化が遅くなる分、資金繰りに影響があり、また保管のための経費もかかります。しかし、災害が頻発しており、将来の南海トラフ地震への備えとして、応急仮設住宅を建設するための材木の備蓄を市町村が計画し、その備蓄を地域の製材所に委託するというのは、十分に意味があることではないでしょうか。 ことしは台風や豪雨の影響で、応急仮設住宅が全国的にも建てられました。私の知り合いの大工さんは、総社市に手伝いに行っていたのですが、板倉建築という日本の伝統構法による仮設住宅を建てたそうです。この仮設住宅は、一般社団法人日本板倉建築協会が建てたもので、東日本大震災時に建てられた福島県いわき市の仮設住宅26棟、52戸を移築再利用したものだということです。また、隣県の大洲市と西予市では、164戸の木造の応急仮設住宅が建てられています。 高知県でも、いざ南海トラフ地震となれば、仮設住宅の建設は不可避ですし、被害に遭った近県に対して、ストックした材木を送るというような支援もできるのではと思います。また、こうした取り組みは、ふだんの地域の製材所における一般流通材のストックにも資するものと考えます。 例えば木造住宅の建築による一般流通材の需要拡大を図ることにより、流通在庫としてストックすることも可能となります。そのためには、まずは地域の製材所と建築士が連携し、地域の一般流通材による木造住宅が建築される仕組みづくりが必要と考えています。 そこで、地域の製材所と建築士が連携し、地域の一般流通材を使った木造住宅の普及促進の仕組みができないか、土木部長にお聞きをいたします。 次に、地元材利用に向けた仮称森林環境譲与税の活用についてお聞きをいたします。林業、木材産業から工務店なども含めた地域産業の振興を図るためには、地域の山で生産した原木を地元の製材事業者がひいて、その地域の材を使って建築することが重要だと考えます。 そこで、来年度から市町村に配分される仮称森林環境譲与税を活用して地域の木材利用を進めていくためには、どのようなことが考えられるのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 次に、大工の技術の継承についてお聞きをいたします。私は、高知の魅力的な景観は、高知県の強い日差しや台風などから家屋を守り、高温多湿の季節にも快適に過ごせる、すぐれた伝統的木造建築の家々が貢献していると思っております。 そんな高知独自の家々は、先ほども述べたとおり、大手ハウスメーカーの進出などにより、新たに建設されることはまれで、国勢調査のデータでは、大工、とび職、ブロック積・タイル張従事者、屋根ふき従事者、左官という一般住宅にかかわる職人の総数は、平成12年に8,347人だったのが、10年後の平成22年で4,620人とほぼ半減し、技術を持った大工を初めとする職人は数を減らしております。 大工の技術が生きる伝統構法というのは、真壁といって木の美しさが目に見える工法です。昔の方は木の美しさなどを見る目があり、美しい木目の柱を見て大工の技術を評価してくれましたし、職人の賃金も高かったのだと思います。 一方で、大手メーカーの大壁は、軸組工法とはいっても、柱などの木がボードに隠れて見えず、付加価値の高いA材の需要には結びつきません。 若い女性などが古民家のカフェなどで木の美しさを評価してくれていることは、希望ではありますが、新築の伝統的木造建築物が建たない現状では、古民家を維持しながら技術を守っていくことがやっとです。 南海トラフ地震に備えて建設業の活性化プランがつくられ、建設業が守られているのと同じように、一般住宅に関する職人の仕事をつくっていくことも、いざというときのために重要ではないかと考えます。 そこで、高知の伝統的な職人の技術を残すためにどういった支援があるのか、商工労働部長にお聞きをいたします。 次に、気候風土適応住宅の認定のガイドラインについてお聞きをいたします。私は、平成27年に制定された、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律については、大手メーカーにとって有利な工法となり、伝統的な技術で仕事をしている大工にとっては、非常に厳しい法律であると感じております。世の中の流れとして、環境に優しい家とは、気密性が高く、暖房や冷房で温度調整をするというもので、日本の伝統的な、風通しをよくし、夏の日差しを遮る深いひさしなどというものは無視されました。また、効率よく気密性を高めるには、柱が見えない大壁の家となり、結果、A材のようなよい木の需要を減らす結果となります。 ただ、附帯決議において、戸建て住宅を含めた小規模建築物の義務化に向けて、地域の気候風土に対応した伝統的構法の建築物などの承継を可能とする仕組みを検討することとされたことを踏まえ、高知県では建築士会や住宅課の皆さんで、伝統構法や大工などの職人に配慮した形で議論を進めていただいているということで、頼もしく思うところです。 そこで、高知県における附帯決議に関する議論について土木部長にお聞きをいたします。 次に、森林整備に関することについてお聞きをいたします。仮称森林環境譲与税の本来の目的は森林整備であり、森林経営管理法を活用して効率的に森林整備が行われることが望まれます。 私は、森林整備について効果があるのは航空レーザ測量だと考えていて、平成27年2月定例会でも取り上げ、森林経営計画策定を効率化し、森林組合などの事業者の負担軽減を図る取り組みとして御質問させていただきました。答弁としては、航空レーザ測量、ドローンによる森林測量など、新しい技術に対する知見の習得に努め、活用方法などを検討していきたいとのことで、現在その活用が検討されていると思われます。 現在、先進地では地籍調査などへの活用はもちろんですが、収益を上げる山にするための森林整備という観点で、航空レーザ測量が活用されています。収益性を最大限に高めるために、どういう管理計画を立て、どういう路網を整備すれば収益が上がるか、また伐採前にシミュレーションをして事前に収益を予測するなどの活用方法です。 私は、先月山形県の金山町森林組合にお伺いをいたしました。航空レーザ計測による林業成長産業化に向けたICT林業という内容でお聞きをしたのですが、航空レーザ測量によって得られる情報である航空写真、赤色立体地図、レーザ林相図の3つについて、具体的な活用方法をお聞きしました。 赤色立体地図というのは、簡単に言えば木のない裸の土地のデータで、立体模型のように見える図面です。この図を見れば、山に降った雨がどのように流れるかや、作業道をどのようにつければ効率的で壊れにくいかなど、素人でも直感的にわかるものとなっています。 レーザ林相図は、木の位置、木の高さ、木の太さ、材積について1本ずつあらわします。誤差は、20メートル掛ける20メートルの400平方メートル当たり、高さは1.2メートル、太さは2センチ、本数で1.5本ということで、驚異的な精度です。こうして得られた高い精度の資源情報を使い、業務の効率化と生産性の向上を実現しています。例えば路網計画の集材範囲に入る杉の本数は3,000本、A材はこれだけの量がとれる、B材はこれだけの量というように、種類ごとの木の量が事前にわかるため、バイオマス用にこれだけ売れて、これだけの売り上げが上がるというように、収益を事前に計算できるのです。 この航空レーザ測量について、高知県と市町村、そして森林組合連合会が合同で、高知県の山林全てを計測できないかと思います。概算費用は、高知県の民有林面積約46万9,000ヘクタールに要する航空レーザ測量経費と、杉、ヒノキ等の人工林面積約29万5,000ヘクタールの森林資源解析に要する経費を合わせて、17億8,000万円程度になると見込まれています。 このデータは、林業で使う場合は15年に1回のサイクルで回すべきということですが、林業だけではなく、土木事務所や地籍調査事業、災害復旧事業の早期着手支援など、県庁横断的に活用できるデータです。 そこで、林業はもちろん、市町村や県庁各部局でも活用できる航空レーザ測量によるデータ収集について、高知県の山林全域での測量を行ってはどうかと考えるが、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 次に、森林管理に関する情報技術の現場活用についてお聞きをいたします。さきの金山町森林組合の事例では、ICT技術の導入ということで、タブレット端末を用いてデータの収集と共有を実施し、森林GISとの相互連携により、労務管理などでも高い生産性を上げています。また、ドローンとGIS情報の連携により、木の伐採後の状況の把握などについて、作業時間の大幅な短縮なども実現しました。 印象に残ったのは、自前でシステムをつくるのではなく、例えば農業などで使われているスマートアプリなどを活用して、費用対効果と技術革新、バージョンアップを意識しながら独自に工夫しているというお話です。 そこで、高知県の森林管理に関するICT技術の利活用の状況と今後の取り組みについて林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 次に、林地台帳についてお聞きをいたします。森林整備についての課題は、森林所有者の把握と境界の確定です。このことについては、市町村が森林所有者や境界情報を一元的に取りまとめ、林地台帳を作成することとなっています。 このため、県では、市町村にかわって林地台帳の原案を作成し、市町村が林地台帳共有システムを活用することで、この4月から林地台帳制度の運用が始まったとお聞きしています。 しかし、多くの市町村では、林務に携わる職員は限られており、林地台帳共有システムの操作にふなれなことから、林地台帳の情報を十分生かし切れていないのではないかと懸念するところです。また、森林所有者情報については、相続の発生などにより森林所有者がかわるたびに更新する必要がありますが、市町村のマンパワー不足により、更新に支障が生じる場合が考えられますので、林地台帳の円滑な活用や森林所有者情報の更新には、県による市町村の支援体制が必要であると考えています。 そこで、市町村における林地台帳の効率的な活用と更新を進めるための県の支援について林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 次に、災害復旧に備えた市町村の森林管理についてお聞きをいたします。森林経営管理法では、管理されていない山林に関して、市町村がかわって管理することができることとなっております。 このことにより、これまでは所有者と連絡がとれないことで効率的な路網がつくれず、非効率な森林管理だったのが、市町村が所有者にかわって路網整備を進めることにより、効率的な森林管理ができることになります。 また、先般の豪雨災害のときには、被災した道路の迂回路を整備しようとしても、所有者が不明で対応できなかった事例もあると聞いています。 このため、収益性の高い管理されていない森林はもちろんですが、災害が繰り返し発生している地域では、市町村が積極的に管理をして災害に強い森づくりを進めるとともに、所有者、境界の明確化の作業を進めて、災害時の迂回路整備などの際にも、迅速に所有者の承諾が得られるようにしておくことも必要ではないかと考えます。 そこで、森林経営管理法を活用して、森林所有者、境界の明確化を進めていくことにより、災害に強い健全な森づくりにつながるとともに、災害時に緊急に必要となる迂回路などの整備にも迅速に対応できると考えるが、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 次に、香美市商工会、南国市商工会、須崎商工会議所、土佐清水商工会議所への小規模事業経営支援事業費補助金の交付決定の一部取り消し問題についてお聞きをいたします。 昨年12月の商工農林水産委員会にて、須崎商工会議所に続き新たな補助金の不正受給が判明ということで報告があり、2つの商工会、1つの商工会議所が不正受給判明として、マスコミ各社に大きく報道されました。 私は、このことは高知県政にとって大きな事柄であると考えており、香美市商工会のことを例に、高知県の商工事業者支援の問題点についてお話をします。 現在の仕組みでは事務局長や経営指導員は、高知県の補助金交付要綱によって、小規模事業者数や組織率、会員1人当たりの平均会費によって、設置定数や設置可否が決められています。香美市商工会は、平成24年度から平成28年度の組織率が50%を切っていたことが判明ということで、5年間分の2,245万円を県に返還しました。 そもそも香美市がなぜ50%を切ることになったかといえば、例えば銀行は旧町村に1つで数えるのではなく、香美市で1つだということでマイナス2であるとか、観光協会や福祉作業所は商工業者でないなど、基準に基づき普通会員、定款会員、特別会員の数を精査した結果、事業者が減ったことにより割り込んだのでした。このことは、商工会、高知県商工会連合会、高知県経営支援課の中で、適切な運用を行うための明確な基準が共有されてこなかったことに原因があるものと考えられます。この明確な基準が共有されてこなかったことが原因というのは、障害者雇用に関する法定雇用率を達成していなかったという全国事例を見ても、よくあることなのかもしれません。 この事案の発覚の後に、高知県商工会連合会は、商工会の将来像とその実現に向けた提言書をまとめ、1、全商工会への事務局長設置、2、補助対象職員人件費の全額補助金化、3、記帳専任職員退職不補充の撤廃と記帳指導員の謝金単価の引き上げ、4、職員採用及び給与体系の見直しの4点について、提言を行っております。 そこでまず最初に、高知県にとって、地域の商工事業者が果たしてきた役割についてどう評価しているのか、知事にお伺いをいたします。 次に、補助金を返還することになった2つの商工会議所、2つの商工会の財務状況については、補助金返還のために借金をするなど、今後の組織運営に影響が出てきているのではと考えるが、県としてどう認識しているのか、商工労働部長にお聞きをいたします。 また、高知県商工会連合会が提言で示した4つの項目についてどう考えるのか、商工労働部長にお聞きをいたしまして、私の第1問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 依光議員の御質問にお答えをいたします。 まず、天皇皇后両陛下の御臨席を賜り開催しました、全国豊かな海づくり大会の感想についてお尋ねがございました。 平成最後となります天皇皇后両陛下による三大行幸啓を、明治150年というまさに節目の年に本県で開催できましたことは、歴史上のえにしに鑑みましても大変光栄なことであったと考えております。 また、個々の行事を見ましても、おのおのに大変意義深いものであったと考えているところです。特に大会式典及び海上歓迎・放流行事では、高校生までの若い皆様方にも運営などに御参加いただき、若い漁業者の皆様とともに、海づくり八策という海づくりのメッセージを力強く発表していただきました。自然や環境を守り育てる気持ちや行動の大切さを次の世代につなげる、すばらしい大会になったと思っております。 次に、全体を通して本当に多くの県民の皆様方に一連の行事に参加していただき、まことにありがたいことであると感謝いたしております。大会行事には、県内外の関係者約1,000人に御参加いただいたほか、県内3カ所で開催しました関連行事には、合わせて約3万3,000人という大変多くの県民の皆様にお越しいただきました。 さらに、約7万人もの皆様が沿道やお立ち寄り先で両陛下のお出迎えをされました。県民の皆様の両陛下をお慕いする気持ちを、行く先々で強く感じたところであります。 私は、この行幸啓の3日間、天皇皇后両陛下のおそばで随従させていただきました。天皇皇后両陛下におかれましては、御臨席を賜りました式典において、最優秀作文の朗読や海づくり八策の発表を、身を乗り出すような御様子でお聞き入りあそばされ、また県民の皆様方による歓迎に対し、繰り返し丁寧にお手振りなされておられました。豊かな海づくり大会に対する深い思い入れと国民一人一人をとても大切にされておられますことを、改めてひしひしと感じ、大変感銘を受けたところです。 お帰りの際に、今回の沿道や御訪問先でのお出迎えに参加された方の人数を、天皇皇后両陛下にお伝えさせていただいたところ、両陛下におかれましては大変喜んでおられた御様子でありました。また、つつがなく大会が終わってよかったですね、御苦労さまでしたとのお言葉を賜り、私としましては、三大行幸啓への最後の御臨席となった本大会を、好天にも恵まれ盛況のうちに終えることができましたことに安堵するとともに、ねぎらいのお言葉を賜りましたことに大変感激いたしました。 改めて、このたびの行幸啓に関し、天皇皇后両陛下に厚く御礼を申し上げます。また、今回の行事を支えてくださいました関係の皆様方の御尽力、そして大会行事を盛り上げていただいた多くの県民の皆様方の御協力に対しまして、心から御礼を申し上げたいと思います。 次に、少子化対策について、150年に一度の策を国に要望すべきとのお尋ねがございました。 少子化の問題は、1970年代には既に顕在化していたにもかかわらず、その取り組みは諸外国と比較しても1世代おくれており、このまま出生率が大きく改善しなければ、今の子供たちが社会を支える時代には我が国全体の活力が失われる、まさに国家的な危機をもたらす課題であります。 私としても、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダーとして、我が国は現金給付、現物給付を通じた家族政策全体の財政的な規模が小さく、家族関係社会支出の対GDP比を見ると、フランスやスウェーデンなどの欧州諸国と比べて低水準となっていることなどを踏まえ、少子化対策について、国政の中枢に据え、より抜本的に対策を強化する必要があることを、国に対して常々訴えてきたところです。 この点、本年10月、第4次安倍改造内閣の発足に当たり安倍総理は、新たな国づくりを進めるに当たって最大の課題は、国難とも呼ぶべき少子高齢化問題であると表明されたところであり、少子化対策は今や明確に国家の中心的政策課題となっております。 あわせて、私は、地域によって少子化の状況は異なることから、地域の実情に応じた対策を講じることができるようにすることが大事であると訴え、その結果、結婚支援や子育ての機運醸成に向けた地方独自の取り組みを後押しする、地域少子化対策重点推進交付金が創設されるなど、一定の進展も見られるところであります。 少子化対策を有効に進めていくためには、こうした量的拡大を図っていくことに加えて、少子化の背景に鑑み、ライフステージの各段階に応じた施策を総合的に講ずる必要があるものと考えております。 具体的には、第1に、本県のような中山間地域が多い地域においては、出会いや結婚への支援を望まれる方には、出会いの機会を意図的に創出する施策を構築すること。第2に、妊娠期から子育て期までの切れ目のないケアにより、安心して妊娠・出産できる環境を整えること。第3に、働きながら子育てしやすい環境を整えていくこと、さらに言えば、子育てに加え、教育にかかる極めて大きな経済的な負担を軽減することも大事な視点と言えます。 以上のような点について、例えば先ほど申し上げました地域少子化対策重点推進交付金の活用により、我が国において、現在35道府県に結婚を支援するセンターの設置が進んできたところです。 また、妊娠・出産時のケアとしては、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を提供する、子育て世代包括支援センターが全国に展開され、さらに働きながら子育てしやすい環境づくりに関しては、育児休業の取得促進や時間単位で取得できる有給休暇制度の導入などの取り組みの促進が図られているところであります。 今後、結婚から妊娠・出産・子育てまでのライフステージに応じた一連の施策群について、もう一段の対策の強化を図ることが重要であります。 全世代型の社会保障制度を構築するとの政府の方針に沿って、子育て世帯に対する経済的な負担の軽減については、現在政府において幼児教育無償化というこれまでにない施策が展開されようとしており、この点に関し地方としても協力体制がしかれようとしております。 引き続き、国と地方が総力を挙げて一連の少子化対策の強化に取り組むことにより、我が国の少子化対策について、欧州諸国における注力以上の対策となることを目指すべきだと考えております。 私も全国知事会で次世代育成支援対策PT長を長く務めた者として、また現在の社会保障常任委員長として、大いに提言し、また実践をしてまいりたいと考えるところでございます。 次に、出入国管理法改正に対してどのような姿勢で取り組み、また市町村への支援についてどのように考えているのかとのお尋ねがございました。 我が国の経済は、緩やかな景気回復基調が続き、全ての都道府県で有効求人倍率が1倍を超える状態となっています。加えて、生産年齢人口の減少により全国的に人手不足が深刻化する中、一定以上の専門性、技能を持った即戦力となる外国人材を、国の施策として新たに受け入れていくことは、一つの方向性であると認識をしています。 本県における外国人材の雇用状況は、昨年10月の時点で2,414人が雇用され、うち半数以上の1,405人が技能実習生として、製造業を初め農業や漁業、建設業など、1次産業から3次産業まで幅広い分野で受け入れられており、近年大幅に増加をしております。 また、深刻な人手不足の克服に向けては、現在産業振興計画において、成長の壁を乗り越えるための最も重要な施策群として、移住の促進を初め、1次産業や商工業など各分野で人材確保に懸命に取り組んでいるところであり、これらを、より実効性の高いものへと改善を図りながら、全力で実行していくことが最も重要であると考えています。 ただ、製造業や介護業など幾つかの業界から、さらなる外国人材を求める声もお聞きしており、外国人材に対するニーズは一定あるものと捉えています。この外国人材を受け入れていくに当たっては、受け入れ事業者が労働関係法令を遵守することはもちろん、地域の住民として県民の皆様と共生できるようにしていくことが重要でございます。 この点に関し、まず現行の技能実習制度におきましては、昨年、いわゆる技能実習法が施行され、外国人技能実習機構により監理団体や受け入れ事業者への管理監督が強化されるとともに、通報・申告窓口など技能実習生の保護体制についても整備されたところであります。 県としましても、入国管理局や労働局とともに、四国地区地域協議会に参加をするとともに、本県独自で技能実習制度に関する連絡協議会を設置し、法令違反や失踪の実態、また生活関連の課題などを共有し、関係機関の役割に応じて対策を検討しているところです。 さらに、今般の出入国管理法の改正においても、法令遵守や地域での共生が実現できることが重要であり、今後国において示される、外国人材の受け入れに関する基本方針や、受け入れ見込み数等に関する分野別の運用方針、環境整備に関する総合対策、雇用契約基準などを定める省令などにおいて、制度設計をしっかりとしていただくことが重要であります。 県におきましても、まずは現行の技能実習制度を円滑に実施するために、生活や仕事の中でのコミュニケーションに必要不可欠な日本語の学習機会の拡充に取り組もうとしているところです。 さらに今後、今般の国から示される環境整備に関する総合対策を踏まえ、市町村や関係機関と連携して、日本語教育のさらなる拡充を初め、社会生活にかかわる医療、福祉、教育などの問題に対応していくための仕組みを検討したいと考えており、今後関係者の間でそのための協議の場を持つべく、検討を進めたいと考えているところでございます。 次に、伝統的な文化や芸術に関して、外国人観光客へのアプローチなど、昨年策定した高知県文化芸術振興ビジョンにより取り組んだこれまでの手応えと、今後に向けた決意についてお尋ねがございました。 伝統的な文化や芸術を将来にわたって継承させていくためにも、文化芸術活動を経済的な活動にもつなげ、暮らしが成り立つがゆえに後継者が継続的に確保されるという状況をつくり出していくことも有効であると考えています。 このためには、文化芸術の振興を担う人材の育成と、文化芸術を観光振興などとタイアップして産業化を図ることの2点、この点も重要であると考えているところです。 1点目の人材育成の取り組みに関しては、本年度から文化人材育成プログラムとして、文化芸術を産業に生かすために必要なマーケティングなどを学ぶアートビジネス講座や、地域資源を生かした文化芸術活動を学ぶアートマネジメント講座などを開催しているところです。 2点目の文化芸術の産業化につきましては、新たに事業化された事例はまだございませんが、観光振興の取り組みとタイアップして、お城まつりやクルーズ客船の寄港などの機会を活用し、伝統的な文化や芸術の発表の場の創出に取り組んでおります。本年3月のクイーン・エリザベス号寄港時には、高知城と高知城歴史博物館において、抜刀道の実演や一弦琴の演奏などを開催し、多くの外国人観光客の方々に日本の伝統的な文化に触れていただき、満足していただけたと考えております。また、こうした取り組みの中で、文化芸術が産業につながる可能性を実感したところであります。 今後におきましても、文化芸術の振興を担う人材育成の取り組みを行いますとともに、県内各地の伝統的な文化や芸術と、来年2月から開催する自然・体験型観光キャンペーンやナイトタイムエコノミーにかかわる各種イベントなどとのタイアップも模索してまいりたいと考えております。こうした取り組みにより、本県の文化芸術を経済的な活動にもつなげていくことで、その継承、発展に資すること、このことに努めてまいりたいと考えているところです。 次に、空中給油機と戦闘攻撃機の墜落事故に関して、これまでに把握している情報と事故後の対応についてお尋ねがありました。 12月6日に発生した室戸岬沖における墜落事故につきましては、中国四国防衛局から、米軍のFA18とKC130が空中接触し、2機とも着水したとの第1報を受けた後、直ちに高知県の漁業協同組合連合会及び無線漁業協同組合を通じて、操業中の漁船への被害の有無を確認いたしました。幸いにも、被害報告はありませんでしたが、さらに事故について詳しい情報を把握するために、中国四国防衛局や自衛隊に加えて、高知海上保安部からの情報収集に努めたところです。 これまでに、自衛隊及び海上保安庁などの航空機や船舶による捜索救助活動によって、事故当日には2名の乗員が発見されましたが、うち1名はお亡くなりになっており、衷心よりお悔やみを申し上げます。また、安否不明の5名についても、一刻も早く無事に発見されることを心から願っております。 今回の事故に関しまして、海兵隊司令部は定期訓練を行っていたと発表しており、この訓練自体は日米安全保障体制の中において重要であり、必要であると認識をしております。 しかしながら、米軍の運用に当たっては、周辺住民の安全確保が大前提であり、事故はあってはならないものです。過去3回の墜落事故を経験した本県において、今回の事故は県民や漁業者の皆様が抱いていた不安を増幅させるものであり、まことに遺憾と言わざるを得ません。 本県といたしましては、今回のような墜落事故はあってはならないとの観点から、事故発生の翌日に外務大臣及び防衛大臣に対し、事故に関する速やかな情報提供、徹底した事故原因の究明、さらには実効性のある再発防止策を行うことを米国に申し入れていただくよう、書面を提出いたしました。 また、事故当日には中国四国防衛局長が海兵隊岩国航空基地司令官に対し、今回の事故は住民に対して極めて大きな不安と心配を抱かせるものであり、まことに遺憾であること、航空機の運用に当たって引き続き安全面に最大限配慮すること、事故について速やかな情報提供を求めることを文書により申し入れたと伺っております。 海兵隊司令部の発表によりますと、現在事故状況の調査中とのことでありますが、今後その推移をしっかり見守る必要があると考えております。 引き続き、米軍がどのように原因を究明し、さらに再発の防止に取り組んでいるのか、国からの情報収集などに努めてまいりたいと考えております。 次に、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備について、3カ所の候補地の中から、なぜこのタイミングで1カ所に絞り込むことが適切であると考えたのかとのお尋ねがございました。 これまで、県としては、最終候補地として選定された3カ所の地元の皆様には、丁寧な上にも丁寧に誠意を持って対応するとの考えのもと、3地区それぞれの皆様を対象とした住民説明会やエコサイクルセンターの見学会を開催してまいりました。 加えて、説明会に御参加いただけていない皆様にも御理解を深めていただけますよう、説明会資料とあわせてアンケート用紙をお配りして、御意見をお聞かせいただく取り組みも行ってまいりました。 さらに、皆様からいただきました御質問などに関する県の考えを改めて整理して作成した質疑応答集の各戸配布などを行い、住民の皆様に、施設の必要性や安全性、候補地として選定された経緯などへの御理解を深めていただくよう努めてきたところです。 住民の皆様からは、管理型最終処分場で受け入れる産業廃棄物の品目や処理方法など、最終処分場そのものに関する御質問から、施設が整備されることによる生活への影響や跡地利用の考え方に至る幅広い御意見などをいただいてまいりました。こうした御質問や御意見にその都度丁寧に説明を重ねさせていただいてきた結果、住民の皆様には、最終処分場の必要性そのものについてはおおむね御理解をいただけたのではないかと考えているところです。 他方で、地元への説明を重ねる中で、住民の皆様の心配の声や御意見は、豪雨による土砂崩れや河川の増水といった自然災害への不安、大型車両が通行することによる粉じんや騒音、交通安全上の懸念など、住民の皆様の生活への影響といったことに論点が絞られてきたと考えております。 加えて、施設整備に合わせた周辺の環境整備について、雨水の調整池の規模や放流先をどこにするのかといった、より具体的な御質問も多くいただくようになりました。こうした住民の皆様の声に対しては、関係機関との協議を初め、ボーリング調査や測量、設計などの過程において、個別の対策について検討を深めた上でなければ、明確にお答えすることが難しいものと考えております。 さらに、現地調査結果の説明会では、3カ所ある候補地のうちの1カ所という状況では、どこまで踏み込んで考えればよいかわからないといった御意見もいただいております。これらを踏まえれば、3カ所横並びの対応では、これまで以上の説明も難しい状況になってきていると感じております。 こうしたことに鑑みまして、県として住民の皆様の声にしっかりとお答えしていくためには、現時点で候補地を1カ所に絞り込んだ上で、住民の皆様の不安の解消に向けて、次のより詳細な検討の段階へ進ませていただくことが適当ではないかと考えるに至ったところでございます。 次に、今後施設を地元に受け入れていただくためにどのような進め方で取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 県としましては、まずは佐川町加茂において進入道路を新設する案が最も有力であると考えたことについて、本議会において議員の皆様に丁寧にその理由などについて御説明させていただき、御理解を賜りますよう努めてまいりたいと考えております。 県として候補地を1カ所に絞り込む決定をした後は、速やかに地元の首長に対して、施設の受け入れを要請させていただきたいと考えています。 あわせて、住民の皆様からいただいている不安の声に対してもしっかりとお答えをして、御理解を深めていただく取り組みを進めていかなければならないと考えております。このため、まずはより多くの住民の皆様のお声を改めてお聞かせいただくことができますよう、地元の自治体や自治会の皆様の御協力もいただきながら、住民の皆様との話し合いの場の持ち方などについて工夫していきたいと考えています。 今後は、そうした話し合いの場において、住民の皆様からの御不安の声などを詳しくお聞かせいただき、それらの不安を一つ一つ解消できますよう、個別具体的な対応を含めて県としてしっかりとお答えさせていただくことにより、施設の整備についてより多くの皆様に御理解を深めていただきますよう、一段と丁寧に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、よさこい祭りの無形文化財への指定についてお尋ねがありました。 よさこい祭りは、昭和29年に市民の健康と繁栄を祈願し、また商店街の振興を促進するために始まりました。現在では、全国で200カ所以上、世界28の国や地域に広がり、日本を代表する祭りへと成長しています。よさこい祭りが無形文化財に指定されれば、世界に向けての発信力が増しますとともに、将来に向けての適切な保存、伝承につながることが期待できます。 現在、県内における国の重要無形民俗文化財は、室戸市の吉良川の御田祭と、9つの神楽を一括した土佐の神楽が、民俗芸能の変遷過程を示す特に重要なものとして指定されています。吉良川の御田祭は、田楽や農耕の様子を演じる古風な祭りとして、また土佐の神楽は、出雲神楽の系統に属し、一般的な神楽と比べ特色のある一時代古いものとして認められたものであります。 県の保護無形民俗文化財としては、秋葉祭、土佐の太刀踊などの34の祭りや芸能が、江戸時代以前から行われる祭礼等における行事で、現代まで続く芸能のもとを示すものとして指定をされています。 よさこい祭りの無形文化財指定に当たりましても、こうした国や県の指定基準を満たすとともに、無形文化財としての価値を明確にすることや、保存、伝承を担う団体を特定することなどの課題があると考えています。加えて、過去の指定事例からすると、江戸時代以前に起源を持つ歴史が評価されていますことから、息の長い取り組みになることも想定をされます。 よさこい祭りは、本県の宝であり、世界にも通用する観光資源であることから、先人たちの労苦に思いをはせながら、しっかりと未来へつないでいくことが重要であると考えています。 本年4月には、よさこい祭りを未来へ継承することを目的として、よさこい祭振興会、よさこい祭り競演場連合会、高知市観光協会、高知市、高知県の5団体とよさこいチームの皆さんとで、8月10日をよさこい祭りの日と宣言したところであります。 よさこい祭りを振興させていく方法につきましては、無形文化財への指定の取り組みも含め、5団体で連携して検討を深めてまいりたいと、そのように考えております。 最後に、本県にとって、地域の商工事業者が果たしてきた役割についてどのように評価しているのか、お尋ねがありました。 地域の商工事業者の皆様には、生産、販売、サービスなどの事業活動を通じて、経済の活性化や雇用の創出など、地域経済において重要な役割を担っていただいております。日常生活に欠かすことのできない食料品の販売やガソリンスタンドの営業などで、人々の暮らしを下支えしていただくとともに、農林水産品や観光素材など地域の特色ある資源を生かした、産業の創出や交流人口の拡大を通じて、地域社会の発展に大きく貢献してもいただいております。また、イベントや伝統行事など地域の活動に取り組まれる中で、活力の担い手としての役割を果たされますとともに、日々の防犯活動や災害時の協力など、安心・安全の社会生活の実現においてもなくてはならない存在であります。 このため、県としましては、商工会・商工会議所など関係機関とも連携し、地域の商工事業者の経営計画の策定など、経営基盤の強化をお手伝いさせていただくとともに、商店街の振興にも取り組み、あわせて喫緊の課題であります事業承継や働き方改革への対応なども全力で支援させていただいているところです。 本年度からは、商工会・商工会議所の経営指導員のサポートを行う経営支援コーディネーターを県内5カ所に新たに配置するなど、経営計画の策定、実行の支援体制を充実させたところであり、本年度の計画策定件数は11月末現在で491件となっており、既に昨年度を超える策定件数となっております。 また、商工会等に限ったものではありませんが、今年7月には事業承継ネットワークを立ち上げて、事業者の皆様の事業承継にかかわる診断を10月末までに532件行うなど、取り組みを強化しております。 こうした中、昨年度、商工会、商工会議所の補助金返還事案が発生しましたことは、故意に数字を操作するといった極めて悪質な事案もあり、大変遺憾に思っております。 他方で、その背景として、小規模事業者数の減少など取り巻く環境の変化もあったものと考えられたため、補助要件などの緩和も今年度一部行ったところであります。 来年度に向けましても、高知県商工会連合会からの提言なども踏まえ、見直しを検討してまいりたいと、そのように考えているところでございます。 私からは以上でございます。   (林業振興・環境部長田所実君登壇) ◎林業振興・環境部長(田所実君) まず、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備について、住民生活へのさまざまな影響をどのように把握して3カ所の比較を行ったのかとのお尋ねがございました。 新たな管理型最終処分場は、現在日高村にあるエコサイクルセンターと同様に、被覆型で処理水を場外に一切出さないクローズドシステムを採用するとともに、国の基準を上回る遮水構造とすることとしているため、処分場内で発生する粉じんや騒音、処分場からの排水などによる住民生活への影響はないものと考えています。 他方、施設の整備に伴い、工事用車両や廃棄物運搬車両の通行による、粉じん、騒音などの影響や交通安全上の懸念など、住民の皆様の生活への影響が想定されますことから、候補地周辺に関する調査を実施し、施設への進入道路として、既存道路を拡幅して利用する案と新設する案について、それぞれの影響を評価したところでございます。 評価に当たりましては、既存道路の幅員や利用状況、沿道で影響を受けると思われる住家等の有無などについて、現地を確認し、課題を整理いたしました。 既存道路を拡幅して利用する案では、須崎市神田は、進入道路として想定する県道の沿道に農業用ハウスや家屋が連なっているところがあり、その県道は通学路としても利用されていることから、車両通行による沿道への粉じん、騒音等の影響や交通安全上の懸念が考えられますし、沿道で農作業をされている方々の利便性が損なわれてしまうことや、農業用ハウス等の移転や補償が必要になるということが考えられます。 香南市香我美町上分は、進入道路として想定する県道の沿道に家屋や倉庫が点在しており、その県道は通学路としても利用されていることから、車両通行による沿道への粉じん、騒音等の影響や交通安全上の懸念、家屋等の移転や補償が必要になるということが考えられます。 佐川町加茂は、進入道路として想定する町道の沿道に住家があり、その付近の道路の幅員は広く、町道を拡幅する必要はありませんが、車両の通行による沿道への粉じん、騒音等の影響が考えられます。 進入道路を新設する案は、既存道路を拡幅して利用する整備案と比べると、住民の皆様の生活に及ぼす影響は小さいと考えられますが、須崎市神田は、農業用ハウス等の移転や補償が必要となりますし、香南市香我美町上分は、整備するトンネルの入り口周辺に住家があるといった状況にありますことから、車両の通行による粉じん、騒音等の影響が考えられます。 この点、佐川町加茂は、沿道に住家等のないルートとなるため、他の2カ所のような粉じん、騒音等の影響は小さいと考えられ、佐川町加茂において進入道路を新設する案が、住民の皆様の生活への影響が最も小さい案であると評価したところでございます。 次に、それぞれの地域でどのような意見が寄せられ、地元の皆様の受けとめをどのように捉えたのかとのお尋ねがございました。 本年2月に3カ所の最終候補地が選定されて以降、各地区で開催した説明会やエコサイクルセンターの見学会において、住民の皆様からたくさんの御意見、御質問をいただきました。また、2回実施いたしましたアンケートにも多くの御意見をいただいたところです。 各地区の住民の皆様からは、地震の影響による施設からの水漏れを初め土砂災害や大雨による河川の増水など自然災害に関すること、工事用車両が通行することによる粉じん、騒音や交通安全上の懸念に関すること、また施設が立地することによる農作物への風評被害など、不安に思われていることについての御意見、御質問を多くいただいたところであり、これらは3地区にほぼ共通するものでございました。 地区ごとの特徴的な御意見としましては、須崎市神田では施設園芸への影響に関する御心配、香南市香我美町上分では交通安全に関する御心配、佐川町加茂では大雨による河川の増水に関する御心配の声がございました。 また、3カ所ともに、御自身の地域には施設をつくってほしくないという意見もいただいてきたところでございます。 県としましては、こうした住民の皆様の御意見には、3市町間で大きな差があるとは言いがたいと捉えているところでございます。 他方、こうした住民の皆様の不安の声につきましては、候補地の絞り込みに当たって、現地調査の結果などに基づいて検討した、地形や地質、水に関する調査などの4項目についての科学的かつ合理的な視点と重なるものであり、佐川町加茂において進入道路を新設する案を最も有力とする検討結果は、住民の皆様の不安の声をも踏まえたものであると考えているところでございます。 次に、林業振興について、どういった姿を描いてJAS認定工場となるよう支援していくのかとのお尋ねがございました。 製材業は、本県の豊かな森林から産出される原木を地域地域で加工し、付加価値をつけて県外に販売する重要な地場産業であり、中山間地域にある中小製材工場は、その地域の経済や雇用を支えています。 このため、製材業が地域地域で発展していくことが重要であると考えており、県では事業戦略の策定やその実践を支援することなどにより、中小製材工場の経営力の強化や人材育成を進めているところでございます。 あわせて、中小製材工場の主力製品である一般材の新たな需要先として、これまで余り木が使われてこなかった非住宅建築物の木造化に向けた取り組みも進めているところでございます。 今後、事務所や店舗などの非住宅木造建築物においては、大きな空間をつくることが求められることとなり、その設計に対応するには、強度や乾燥度など、品質が確かで構造計算ができるJAS製品を安定供給することが必要となります。 こうした状況の中、本県の中小製材工場においては、JAS製品や乾燥材の生産に取り組んでいる工場が少ないことから、それらの生産力を高めることが喫緊の課題となっています。しかしながら、その多くは経営規模が小さいことから、JAS製品等の生産に必要な乾燥や強度測定などの施設整備を単独で行うことは難しい状況にあります。 このため、県としては、中小製材工場が地域単位で連携し、共同で乾燥や強度測定などの施設を利用する体制が有効であると考えており、今後事業規模や採算性、運営方法などを検討し、その結果をもとに関係者と協議を行いながら、一部の工程を協業化するといったモデル施設の整備を進めていきたいと考えています。 さらに、この取り組みを検証し、県内の他の地域にも横展開することにより、県内全域でJAS認定工場をふやしていきたいと考えています。 地域地域の中小製材工場が市場ニーズに合った品質の確かなJAS製品を安定的に供給することができ、地産外商の拡大と中山間地域の活性化につなげていくことができるよう、しっかりと取り組んでまいります。 次に、仮称森林環境譲与税を活用して地域の木材利用を進めていくためには、どのようなことが考えられるのかとのお尋ねがございました。 仮称森林環境譲与税は、本年5月に成立した森林経営管理法の施行にあわせて創設されるものであり、主として市町村が新たな法律に基づいて実施する、経営管理が行われていない森林の整備等の財源に充当されることになるものと認識しています。 昨年12月に閣議決定された平成30年度税制改正大綱では、仮称森林環境譲与税の使途として、市町村が行う間伐や人材の育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発など、森林整備及びその促進に関する費用に充てることとされています。 地域の木材の利用促進に向けて、仮称森林環境譲与税を活用する取り組みとしましては、例えば公共建築物に地域の木材を利用して木造化、木質化を図ることが考えられます。この取り組みは、木材の利用量をふやすことにつながりますとともに、その施設を利用する多くの皆様に木のぬくもりなどの木のよさに触れていただくことができ、木材利用の普及啓発にもつながり、地域の木材の利用促進に大いに効果があると考えています。 また、このように地域の木材を利用することが、地域の森林整備の促進につながり、ひいては地域の森林環境の保全につながるということを地域の皆様に御理解していただくような森林環境教育などの普及啓発に同税を充てることも、地域の木材の利用促進には有効であると考えています。 次に、航空レーザ測量について、本県の山林全域で行ってはどうかとのお尋ねがございました。 航空レーザ測量は、森林資源の把握を初め、治山事業や林道等の路網計画などへの活用が可能であることから、本県においても導入について検討を行ってまいりました。 そのような中、平成30年7月豪雨によって甚大な被害を受けた本県、愛媛県などにおいて山腹の崩壊箇所等を把握するため、林野庁が航空レーザ測量を実施することとなり、そのデータは本県に提供していただけることになりました。 今後、県では提供を受けたデータを活用して、森林資源の解析を行い資源量を把握し、森林施業の集約化に向けた取り組みを進めていきたいと考えています。 また、治山事業や路網計画に活用するため、県内全域についての詳細な地形図の作成などを行う予定であり、これらの情報は、効率的な森林施業や災害復旧を初め幅広い業務で活用できることから、庁内はもとより、市町村、林業事業体などにも提供していきたいと考えています。 あわせて、これらの情報は、来年度から始まる森林経営管理法に基づく新たな森林管理システムにおいても大いに活用できるものであることから、市町村や林業事業体が効果的に活用できるよう、これらの情報の取り扱い方の周知などもしていきたいと考えています。 県としましては、このように航空レーザ測量によるデータを十二分に活用し、本県の森林の保全と原木の増産にしっかりと取り組んでまいります。 次に、本県の森林管理に関するICT技術の利活用の状況と今後の取り組みについてお尋ねがございました。 ICT技術の利活用を推進して、森林資源の適切な管理やサプライチェーンマネジメントの最適化に役立てることは、林業の成長産業化を進める上で重要な取り組みであると考えています。 県内におけるICTを活用した取り組みとしましては、佐川町が航空レーザ測量による精度の高い森林資源情報をいち早く取り入れ、森林の集約化や効率的な作業道の開設に役立てており、今後インターネット環境下で閲覧できるよう取り組みを進めています。 また、香美市では、作業現場において作業員が転倒し、動けなくなるなど危険な状態に陥ったことをスマートフォンが感知し、自動的に管理者などに知らせる仕組みや、現場ごとの原木の生産状況などを事務所とリアルタイムで共有する仕組みを構築する取り組みを進めているところです。 さらに、昨年度、林業の成長産業化に向けたモデル的な地域として選定された高吾北地域において、仁淀川町、佐川町、越知町の3町が連携し、ICT技術を取り入れて、木材の需要と供給のマッチングが可能となる仕組みづくりを目指した取り組みを進めているところです。 このように、林業現場におけるICT技術に対する取り組みは始まったばかりであり、林業関係者に広く関心を持っていただくことが必要であると考えています。 県としましては、県内の先行的な取り組みをしっかりと支援するとともに、県外の先進企業と連携した講演会の開催や、林業大学校におけるカリキュラムの充実などにより、ICT技術を利活用する取り組みを拡大していきたいと考えています。 今後は、森林資源情報の活用や原木生産現場における進捗管理、川下からのニーズに対応できる安定供給体制の構築など、あらゆる段階におけるICT技術の導入に向けた取り組みを推進することにより、森林施業の効率化、省力化や、需要に応じた高度な木材生産等が可能となるスマート林業の実現を目指して取り組んでまいります。また、そうしたことにより、若者や高齢者がさらに活躍でき、女性も参入しやすい職場環境づくりも期待できるのではないかと考えています。 次に、市町村における林地台帳の効率的な活用と更新を進めるための支援についてお尋ねがございました。 林地台帳制度は、国の統一的な基準に基づき、森林所有者や林地の境界などに関する情報を、市町村が林地台帳として整備し、森林組合や林業事業体に提供することにより、森林施業の効率的な集約化の推進を図ることを目的として、平成28年5月の森林法の改正により創設されたものでございます。 林地台帳につきましては、森林法の規定により平成31年3月31日までに整備することとされているところ、本県では、森林簿の情報と法務局から取得した登記簿情報をもとに林地台帳の原案を作成するとともに、林地台帳共有システムを整備し、総合行政ネットワークを通じて市町村に提供する仕組みを構築することにより、全国に先駆けて本年4月から運用をスタートさせています。 市町村における林地台帳の効率的な活用に向けましては、その運用の開始前に市町村職員に対して、林地台帳共有システムの基本的な操作や、森林所有者、森林の位置等の検索方法などについての研修会を行いますとともに、本年4月からの運用開始後も、林地台帳の運用や改善点等についての意見交換会を開催し、林地台帳が効果的に活用されるよう取り組んでいるところです。 あわせて、林業事業体に対しても、林地台帳制度の趣旨や林地台帳の活用方法等を周知するため、県内3カ所で説明会を開催いたしました。その結果、市町村における林地台帳の利用件数は、第1・四半期に365件であったものが、第2・四半期には768件となるなど、着実に浸透してきております。 また、林地台帳で管理している森林所有者情報の更新につきましては、法務局から市町村に通知される所有権移転等の登記情報と、平成24年4月1日以降の固定資産税課税台帳の納税義務者情報が利用できますので、これらの情報を速やかに林地台帳に反映できるよう、林地台帳共有システムの改修を行うことを計画しているところでございます。 県としましては、市町村や林業事業体に林地台帳を効率的に活用していただき、来年度から始まる新たな森林管理システムの円滑な運用と、森林施業の集約化の促進による原木生産のさらなる拡大につなげていきたいと考えています。 最後に、森林経営管理法を活用して、森林所有者、境界の明確化を進めていくことにより、災害に強い健全な森づくりにつながるとともに、災害時に必要となる迂回路などの整備に迅速に対応できるのではないかとのお尋ねがございました。 来年度から施行される森林経営管理法は、森林所有者に適切な森林の経営管理を促すため、その責務を明確化し、経営管理が適切に行われていない森林については、森林所有者に森林の経営管理を市町村に任せるかどうかの意向を確認する調査を、市町村が主体となって行うこととなっています。 この森林経営管理法においては、不明となっている森林所有者の探索や境界の明確化などの取り組みを進めていく必要があり、その際にはどの地域を優先して意向調査を行っていくのかは、地域の実情に応じて市町村が判断していくこととなりますので、山地災害防止の観点から調査地域を選定することも選択肢の一つであると考えています。 議員のお話にありましたとおり、災害が繰り返し発生している地域において、所有者の探索や境界の明確化を行い、森林経営管理法に基づく意向調査などの取り組みを進め、適切な森林整備を推進することは、災害に強い森づくりにつながるものと考えています。 また、こうした取り組みによって所有者や境界が明らかとなり、市町村が林地台帳でこれらの情報を管理していけば、災害時に迂回路などの用地として使用することが必要になった場合でも、所有者の承諾を得る際に迅速な対応が可能になると考えています。 県としましては、さまざまな地域の実情に応じて市町村が円滑に森林経営管理制度を運用していけるよう、積極的に支援してまいります。   (観光振興部長吉村大君登壇) ◎観光振興部長(吉村大君) よさこい祭りにおける競演場の運営強化面についてお尋ねがありました。 よさこい祭りの競演場、演舞場の運営に当たりましては、これまでにも、祭りを支えているよさこい祭り競演場連合会の方々との意見交換を通して、担い手の不足や高齢化といった課題があると伺っています。 これらの課題は、祭りを主催するよさこい祭振興会や高知市・県としましても、早期に改善が望まれる課題であると考えていますので、3団体でそろって、商店街で競演場の運営を担う代表の方をお訪ねし、担い手の不足などに加えて、後継者や資金の確保、運営手法の引き継ぎが難しくなっている現状もお聞きしたところです。 競演場、演舞場の運営強化に向けましては、先ほど知事からお答えしましたように、本年4月によさこい祭振興会や県など5団体が主体となって、よさこい祭りをさらに県民、企業に浸透させ、競演場、演舞場の維持・発展などにつなげ、未来へ継承していくことを目的に、8月10日をよさこい祭りの日と宣言しました。 さらに、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開閉会式でのよさこい演舞の実現を目指して設立しました、2020よさこいで応援プロジェクト実行委員会には、北海道のYOSAKOIソーラン祭りや愛知のにっぽんど真ん中祭り、三重の安濃津よさこいにも加盟をいただき、各団体の運営手法についても情報交換ができる関係を築いています。 ことしのよさこい祭りでは、幾つかの競演場において、県内の企業や大学生に応援を依頼してボランティアスタッフが確保できたとお聞きしていますし、愛宕競演場では、三重の安濃津よさこいの方々に応援を依頼して協力が得られるなど、運営面での工夫が図られています。 将来にわたるよさこいの振興にとって、競演場、演舞場の維持・発展は何より大切ですので、さまざまな運営上の課題の解決に向けまして、よさこい祭りの日宣言を行いました5団体を構成員とする検討会において、運営面での工夫や全国のよさこい主催団体の運営手法などにも学びながら、具体的な対策の検討を進めてまいりたいと考えております。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、よさこい祭りやよさこい鳴子踊りについての学習をどのように行っているのか、またその成果をどのように発表しているのか、地域ごとの具体的な取り組み状況についてお尋ねがございました。 具体的な数値での把握はできておりませんが、よさこい祭りやよさこい鳴子踊りを学習している小中学校は、高知市及びその周辺の市町村に多くあり、その取り組み方は地域や学校によって違っております。 例えば高知市では、小学生向けに作成している社会科の副読本の中に、よさこい祭りについて調べる学習が設けられており、小学校3年生が、祭りの起源や主催者の願い、参加者やそれを支える人々の思いなどについて学んでおります。また、香美市には総合的な学習の時間に、なぜ全国から人が集まってよさこいを踊るのかという研究テーマで、よさこい祭りの魅力を探究する学習に取り組んでいる中学校があります。 よさこい鳴子踊りの学習については、取り組んでいる小中学校の多くが、保健体育の授業において児童生徒がよさこい鳴子踊りを創作し、運動会で発表しております。また、市町村によっては子供会活動の一環として、よさこい鳴子踊りの練習を行い、8月のよさこい祭りや地域のお祭りで踊りを披露しているところもあります。 よさこい祭りは、高知市で始まったお祭りですが、今では多くの県民が参加するとともに、全国、そして世界へ広がっております。県内全ての地域で取り組まれている状況ではありませんが、県教育委員会といたしましては、子供たちに郷土を愛する心を育むため、よさこい祭りはもとより、各地域のお祭りや踊りなどの伝統文化も大切に学習していただきたいと考えております。 次に、よさこい鳴子踊りの教材を作成してはどうかとのお尋ねがございました。 日本を代表する祭りとなり、世界各地にも普及しているよさこいを児童生徒が学び、さまざまな交流の場において活用することは、交流を深める効果的なコンテンツになるとともに、郷土である高知県の魅力と文化を国内外に知っていただくにも、大変効果的であると考えております。 また、中学校の学習指導要領解説では、保健体育の授業において日本の民踊を指導する際に、それぞれの地域の風土や風習、歴史など、踊りの由来についての知識を踏まえ、踊り方の特徴を捉えて踊ることができるよう工夫することが求められており、より効果的な指導を行うためには、こうした内容をまとめた教材があることが望ましいと考えております。 よさこい鳴子踊りに関する教材につきましては、平成27年度によさこい祭りの主催者であるよさこい祭振興会が、よさこい鳴子踊りの普及を目的に、正調よさこい鳴子踊り、アレンジを加えた踊り方や楽曲、さらにはよさこい鳴子踊りの歴史に関する資料をおさめた教材として、よさこい鳴子踊りというDVDとCDを作成しております。このDVDとCDは、平成27年度に高知市内の全ての保育園、幼稚園、小中学校に、平成28年度には高知市を除く県内全ての保育園、幼稚園、小中学校及び県内全ての高等学校に配布していただいておりますので、学校現場でよさこいを学ぶ際には、まずはこの教材を活用していただきたいと考えております。 次に、よさこい鳴子踊りのチームづくりを通した活動の効果をどのように考えているか、また活動成果を披露する機会として、全国高等学校総合文化祭で披露することができないかとのお尋ねがありました。 よさこい鳴子踊りのチームをつくり、大人のチームと同様によさこい祭り本番に参加するといった活動は、生徒たちの力でさまざまな課題を乗り越えていくことが求められ、その過程においては仲間との強い連帯感を育み、実行後は大きな達成感が得られるなど、生徒の情操を育み、主体性や協働する力を育成する上で大変有意義なものであると考えます。 全国から2万人の高校生が参加する全国高等学校総合文化祭は、総合開会式やパレード、参加者へのおもてなしなどの企画や運営について、高校生に主体的に担っていただくことになっており、高知大会においても、現時点で安芸市から宿毛市までの高校生39名が学校、学年を超えて集まり、生徒実行委員として活動中です。 生徒実行委員会の取り組みは、よさこい鳴子踊りのチームづくりに比べても相当に規模が大きいものであり、今後生徒の主体的な活動により、実行委員となる高校生の参加者を拡大しながら、演劇や吹奏楽など、県内各地で開催される部門や、さらに県内全ての高校生を巻き込んだ取り組みへと広がってまいります。こうした取り組みにより、たくさんの県内高校生の主体性や協働する力が大いに育まれるものと期待しております。 また、生徒実行委員会では、全国から来県する高校生に対して、高知県の自然、文化、歴史などを生かし、地域と一体となったおもてなしを企画、検討しており、本県の代表的な文化であるよさこい鳴子踊りもさまざまな場面に活用されていくと考えております。 次に、オーテピア高知図書館のよさこいコーナーについて、よさこいに関する文献を全て網羅した特別コーナーとして強化する考えはないかとのお尋ねがございました。 オーテピア高知図書館のサービスや取り組みを定めたオーテピア高知図書館サービス計画においては、よさこい祭りなど高知に深くかかわるテーマを、高知ならではの資料として重点的に収集し、提供することとしております。 現在、オーテピア3階には、高知資料コーナー内に、よさこい祭り関連の図書やよさこい読本といった雑誌など、よさこい祭り関係の資料を集めたよさこいコーナーを設けているほか、同じく3階の視聴覚コーナーでは、よさこい祭りのライブ映像など、関連するDVDなどをまとめて展示しております。 しかしながら、現在オーテピア高知図書館が収集しているよさこい祭りをテーマにした資料の数は、図書と雑誌を合わせて約300冊で、まだ十分と言える状況にはなく、引き続き研究に資する資料も含め充実に努め、多くの方によさこいの魅力やすばらしさを伝えられるコーナーづくりが必要であると考えております。 このため、よさこい関連として出版されている資料の購入とあわせ、県内の市町村や関係団体等のほか、全国各地でよさこいの祭りやイベントを主催する団体に対し、書籍情報の提供や資料の寄贈について依頼を行うなど、利用者のさまざまなニーズや用途に応えられるよう、県内、県外を問わず幅広い資料の収集に取り組むことなどにより、よさこいコーナーの充実強化を図ってまいりたいと考えております。加えて、図書館を訪れた方々がよさこいに関する資料を探す際に役立つブックリストを作成するとともに、そのブックリストをホームページでも公開してまいりたいと考えております。 こうした取り組みを通じて、よさこいに関しましても、さまざまな情報が得られる図書館として充実強化を図り、図書館を利用する方々の知りたい、学びたいという思いにしっかりと応えてまいります。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) まず、林業振興について、地域の製材所と建築士が連携し、地域の一般流通材を使った木造住宅の普及促進の仕組みができないかとのお尋ねがございました。 地域の一般流通材の利用を促進することは、中山間地域の林業関係産業の振興に寄与するとともに、一般流通材のストック拡大により、大規模災害時の木造応急仮設住宅の早期着工も可能となるなど、南海トラフ地震対策にも役立つ取り組みと考えております。 県では、県内で必要な木材がそろわないといった事態を防ぎ、県産材の利用促進につながるよう、これまでも県の大規模な木造建築物を建築する際には、関係団体に対して事前に、必要な木材に関する情報提供を行ってきたところでございます。 今後は、この取り組みを小規模な建築工事にも広げ、地域や流域単位で製材所、建築士、建築関係事業者が意見交換を行い、連携を強化する場を設けるなど、地域の一般流通材を活用した木造住宅の普及促進のための仕組みづくりを研究してまいります。 次に、本県における、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の附帯決議に関する議論についてお尋ねがありました。 現在、住宅を除く延べ床面積が2,000平方メートル以上の大規模建築物は、新築時等にエネルギー消費性能基準への適合義務が課せられ、延べ床面積が300平方メートル以上の中規模建築物には、届け出制度による努力義務が課せられております。 さらに今後、2020年以降に、住宅を除く延べ床面積が300平方メートル以上の中規模建築物については、適合義務が課せられる見通しでありますが、一般の住宅につきましては、適合義務は見送られる予定です。 一方で、附帯決議を踏まえた省令では、地域の伝統的構法などを用いた住宅であるため、外気に接する建築部材の断熱基準などに適合させることが困難であると所管行政庁が認めるものについては、気候風土適応住宅として緩和された基準が適用されることとなっております。このため、公益社団法人高知県建築士会等の協力を得ながら、高知県の建築素材と伝統的構法の要素を抽出し、気候風土適応住宅の仕様について検討しています。 また、伝統的構法を用いても断熱性能を向上させる方法を図解した冊子を取りまとめるなど、消費者が伝統的構法を選択した場合でも快適に過ごせるような取り組みを進めてまいります。   (商工労働部長近藤雅宏君登壇) ◎商工労働部長(近藤雅宏君) まず、本県の伝統的な職人の技術を残すための支援についてお尋ねがございました。 議員のお話にありましたように、本県の大工や左官などの建築系人材につきましては、職人の高齢化や後継者不足により、伝統的な工法や技術の継承が難しくなってきております。 建築系人材の育成につきましては、伝統的な木造建築の知識や技能を学ぶため、中村高等技術学校において、木造建築科や左官・タイル施工科を設置し、本県の建築産業の未来を担う技能者を育成しています。しかしながら、近年は少子化や中高生の進学率、就職率の向上などにより、中村高等技術学校への入校生は減少傾向にあります。 こうしたことから、昨年度、幡多地域では市町村、商工会議所、建築関係団体等と中村高等技術学校が連携をして、後継者不足が懸念される建築系人材の育成について協議をいたします、幡多地域建築系人材育成推進協議会を立ち上げまして、地域の方々とともに、学校や移住者へのPR活動を行うとともに、キャリアパスを取り入れた学校説明パンフレットを作成するなど、人材の掘り起こしから育成、就職まで、一体的な取り組みを進めております。 その中で、現在の一戸建て住宅では左官の仕事は少なくなってきており、左官業だけでは仕事が成り立たない現状があることから、これからは大工、左官などの技術に加えて、型枠施工や鉄筋施工など複数の技術を習得した多能工の育成に取り組み、就職につなげることが重要との意見がございました。 県としましてはこうした意見を踏まえ、来年度から中村高等技術学校のカリキュラムを一部見直し、建築現場の第一線で活躍されている技能者を講師に招き、現場で求められる多能工の育成に向けた訓練を実施するよう計画しております。 また、訓練修了後も、後継者として地域への定着につながるよう、協議会とも引き続き連携をし、確実に就職につなげるための企業とのマッチングや、就職後の在職者訓練によって技術のさらなるアップを図るなど、伝統的な職人の技術が継承していけるように、地域の皆様とともに支援をしてまいります。 次に、補助金を返還することとなった商工会議所、商工会の財務状況や組織運営への影響についてお尋ねがございました。 補助金の返還を受けました2つの商工会議所と2つの商工会の4つの団体からは、法令等への違反があったことなどへの真摯な反省に立って、それぞれ再発防止や信頼回復に向けた行動計画を柱とした改善計画書の提出がなされています。 改善計画の実行に当たっては、補助金の返還に伴い、やむを得ず借り入れを実行した団体が1つあるほか、各団体は自主財源で事務局長を置いていることなどから、財務状況にも一定の影響が出ています。イベント経費を節約するなど、事業への影響も一部みられるほか、退職給与積立金の一時的な取り崩しや人件費のカットに踏み切る団体もあるなど、身を切る努力をしていただいています。 このような中でも、それぞれの団体は積極的に改善計画の実行に取り組み、大幅に増加している経営計画の策定や、喫緊の課題となっています事業承継や働き方改革などに前向きに取り組んでいただいており、徐々に会員数も増加するなど、よい結果も出始めています。 しかしながら、人口の減少や廃業の増加などにより、ことしに入り補助金の交付要件である組織率50%を達成した団体は1団体となっており、3つの団体については組織率は依然達成できていない状況です。 県としましても、各団体の取り組み状況を引き続き把握し、地域の商工業者にとって魅力ある組織として活躍いただけるよう助言・指導するとともに、支援のあり方を検討してまいります。 最後に、高知県商工会連合会が提言で示した4つの項目についてお尋ねがございました。 高知県商工会連合会からは、平成30年10月25日付で、商工会の将来像とその実現に向けた提言書を受け取っております。その趣旨は、法令遵守等コンプライアンスをしっかりと守るとともに、地域に信頼され、地域経済の活性化に寄与する団体を目指すという強い覚悟のもと、人口減少や小規模事業者数の減少など地域の実情を踏まえ、県の補助制度等の内容の変更を提言するものと理解をしています。 県の補助制度の見直しについては、小規模事業者の減少などの実態を踏まえ、本年度から経営指導員の補助要件について設置基準の見直しを行ったところでございますが、今回大きく4つの項目について提言をいただいております。 1つ目の事務局長の設置に関しましては、全国チェーン店の進出などにより商工業者の質も変化している中で、一律に組織率を補助の要件とすることは実態に即していない面があると考えています。そのため、商工会等が組織や地域のそれぞれの実情に応じて配置ができますよう、来年度に向けて見直しを検討しているところです。 補助対象職員人件費の全額補助金化、記帳専任職員退職不補充の撤廃と記帳指導員の謝金単価の引き上げ、職員採用基準と給与体系の見直し、この3つの項目につきましても、それぞれ商工会等の財務基盤や指導力の強化、職員のモチベーションの向上等に効果があるものと考えておりますが、全てを実施することは多額の補助金が必要となりますことから、今後さらに検討を深めてまいりたいと考えています。 また、この間の県の商工会等に対する監査や指導におきまして、最も基本となる会員数や組織率の問題を見過ごしてきましたことは、県としましても大きく反省するべき点でありまして、本年度から、監査職員の監査能力の向上のための研修の実施、効率的な監査のための事前提出資料の内容の充実、高知県商工会連合会との合同監査、そういったことなどで監査体制の見直しを行い、強化を図ったところでございます。 今後とも、地域の商工業者にとりまして、商工会等の果たすべき役割はますます重要となってきますことから、商工会連合会との連携も強化し、地域経済の発展に向けて取り組んでまいります。 ◆16番(依光晃一郎君) 質問はありませんが、最後に商工会、商工会議所の補助金返還について、知事からは、地域の中小企業が公共を担っておるというようなお話もいただきました。県として補助金を出しているところから、指導ということはわかるんですけれども、商工事業者はそれなりに地域のことを考えて頑張っている。そこを伴走というか、横に立ってやっていただきたいという思いがあって、今回の件に関しては、ちょっと問題があるんではないかなと私自身は思っています。ただ、前向きな御答弁もいただいたと思うんで、今後地域の商工事業者、あるいは商工会、商工会議所がしっかりと地域を支えていく、そこを伴走というか、支えていただきたい。それを私のほうから要請させていただきまして、一切の質問といたします。ありがとうございました。(拍手) ○議長(土森正典君) 暫時休憩いたします。   午後0時休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(坂本孝幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○副議長(坂本孝幸君) 御報告いたします。 欠席の届け出のありました議員桑名龍吾君が、午後の会議から出席されておりますので御了承願います。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○副議長(坂本孝幸君) 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 32番坂本茂雄君。   (32番坂本茂雄君登壇)
    ◆32番(坂本茂雄君) お許しをいただきましたので、県民の会を代表いたしまして、順次質問をさせていただきます。 まず、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。 1年前ともなるとお尋ねしたくなるのが、来年11月に知事選挙を控えた知事の去就でございます。尾崎知事の4期目挑戦はあるのか、それとも国政のレベルで活躍を期そうとされているのか、県民は関心を持って見詰められています。しかし、知事は多分、現在は一生懸命日々の仕事に専心するという状況とか、これまでも6月議会の時期にお示ししてきたとおっしゃられると思いますが、来年は天皇の退位、そして即位があり、参院選もこれありと、これまでの年とは違うということがあります。 その意味でも、国政に活躍の場を求めるのか、来年12月以降も引き続き高知県政のリーダーとしての任務を果たしたいとの意欲をお持ちなのか、あるいは第三の道を模索されているのか、お尋ねします。 次に、その前提として、知事が4期目に挑戦するということになれば、期数にも関心が高まります。かつて橋本元高知県知事は、多選については、何期何年務めるかといった一般論ではなく、本人のやる気や意欲、さらには改革の志や新鮮な気持ちを持ち続けていけるかどうかが最も大切なことだと思うと答弁されたことがありました。しかし、私は、何期何年務めるかといった一般論にも重要な意味合いがあるとの視点で、平成15年9月定例会で次のように指摘させていただきました。 「知事が長期間在任していることに伴い強大な権力を同一人物が長期間にわたって独占することには、幾ら政党の推薦を受けない無党派知事であっても変わりはありません。そして、知事の個人的つながりが県庁内外に扶植され、人事が偏向し、行政が側近政治化し、県政が私物化される危険を伴います。さらに、職員の士気も沈滞して清新な県政が期待しがたくなり、暗黙のうちにプラスイメージは知事に、マイナスイメージは副知事やその他の職員にというような役割分担が決められてしまいます。知事というものは、どうすれば知事の顔が輝き、どうすれば渋い顔をするか、そういうことを心得た人々に囲まれて仕事をしているのです」。 「また、知事は、日常が選挙運動になります。大きな権限を持ちながら、自治体の顔としてあらゆる場面に登場します。毎月、毎年膨大に作成される、さんSUN高知や県発行のパンフレットには、ほとんど顔写真と名前が入って配られます。このことからしても、選挙の公正という観点から見るならば、現職と新人のハンディというのはとてつもなく大きいものがございます。その結果、なかなか候補者が出てこない。そして、住民も選挙に関心を持たなくなってしまう。投票率は下がり、さらに進むと無投票という事態が起こってしまいます。これも多選の弊害の一つではなかろうかと思います」。 「多選を戒めてきた例として、(中略)細川元熊本県知事は、権不10年ということで2期で知事の職を辞しました。そして、北川前三重県知事が「熟慮の上に決心した。権力の座のあり方を考えた。どんなに立派な人物でも功罪がある。民主主義は権力者を交代させるのが条件だ」と述べ、2期で引退されました」ということなどを述べさせていただいております。 真摯に県政に向き合われている尾崎知事だからこそ、期数を重ねたとしても、多選との批判などにさらされることはないとは思いますが、県知事における在任期間が4期16年間というのは、いわゆる多選と言われる期間だと考えられるのか、またその際、多選によって生じる弊害にはどのようなものがあると考えられているか、お尋ねします。 さらに、2期連続の無投票当選を重ねられた知事に対して、高知県知事として続投を望まれる県民の皆さんが多くいらっしゃることは周知の事実であります。 しかし、知事自身も前回の無投票当選の際に、前回が無投票だったので、今回は県民の多くの声を聞かなければならないと思っていたと述べられていましたが、県民が一票を投じる機会がないまま県政トップが再び決まることとなり、尾崎知事に対してどれだけの信任を与えたかは見えないままでした。こういったことが長く続くと、知事自身がそう思わなくても、県政のことは知事に任せておけばとの県民の無関心や無批判が根づいてしまうことを懸念します。 3期連続で無投票としないためにも、尾崎県政12年間の総括と今後の高知県政のリーダー像について、県民が熟慮できる期間を設けるためにも、知事選挙に向けた去就を早期に決断すべきではないかと考えますが、お聞きします。 次に、県庁における障害者の適正雇用についてお尋ねします。開会翌日の7日に、この間の一連の、障害者雇用に係る不適切な対応をめぐっての処分が下されました。障害者雇用で不適切計上が判明した38県のうち、11月24日時点では本県を含む7県が処分方向でした。本県の、障害者雇用に係る不適切な対応に係る措置とした知事以下の処分は、意図的ではないにしても、組織的な対応に問題がある一方、意図的に法的な不正のケースではないことから、過去の知事の減給処分に相当しないとのことでしたが、障害者の方の就業機会を失わせたこと、県民や民間事業者に対して範を示せなかったことを重く受けとめるなら、さらに重い処分が適当ではなかったかとの声もあります。 どのように判断したのか明確に説明すべきだと考えますが、知事にお尋ねします。また、今後の処分のあり方として、意図的でない信用失墜行為に対する処分の前例となるのか、あわせて知事にお伺いします。 さて、早速実施される、障害者を対象とした県職員採用試験特別募集については、9月定例会で示されたことに沿った対応をされて、受験対象者に知的障害者、精神障害者を加えられたことは評価するものです。 しかし、来年4月1日の採用日までに、9月定例会で示した、採用に当たりクリアすべき課題への対応は間に合うのかどうか、知事にお伺いします。 この採用予定人数だけでは法定雇用率の達成は困難だと考えますが、達成するためには、これまでにも示してきた非常勤職員障害者枠なども含めた雇用で、法定雇用率の達成を目指されると思いますが、全体の達成目途について総務部長にお伺いします。 次に、室戸沖での米軍機墜落事故についてお伺いします。今月6日未明、本県室戸岬沖約100キロの上空で、米海兵隊岩国基地所属の空中給油機と戦闘攻撃機が訓練中に接触し海上に墜落するという、極めて危険な事故が発生したことによって、県民の不安と怒りを増幅させています。 県内や周辺海域での米軍機の墜落事故は、1994年の大川村の早明浦ダム湖に米海軍の空母艦載機が墜落した事件、1999年の夜須町沖でのFA18の墜落、2016年12月の高知県沖でのFA18の墜落に次いで4回目となりました。 今回の事故は、夜間の空中給油訓練中の事故と見られる極めて危険性の高い訓練が行われていたと言われており、事故の程度を示す4分類のうち、最も重大なクラスAに認定されています。本県上空にはオレンジルートと呼ばれる訓練経路があり、土佐清水市沖約70キロには米軍演習場リマ海域・空域もあり、原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機約60機が移駐し、所属機は約120機に倍増し、軍事拠点化した岩国基地の訓練場所となる岩国臨時留保空域が、四国沖などに設定されています。いやが応でも四国沖での訓練はふえ、事故の可能性は高まっています。そんな中での今回の事故は、起こるべくして起きた事故とも言われています。 知事は、高知県周辺での事故は4回目となる、県民の不安は増大しており遺憾と言わざるを得ないとして、防衛省や外務省に対し、原因究明や再発防止を米軍に求めるよう、今月7日に文書で要請をされました。本会議質問戦中は無理かもしれませんが、本県の本気度を示すために、休会中にでも直ちに、訓練の中止もあわせて直接申し入れるべきではないかと思いますが、その意思はないのか、お聞きします。 また、原因究明や再発防止を求める上でも、県危機管理部に、訓練が適切な内容だったのかどうかもわからないと言わしめているのは、情報が遮断されているという状況を許している、日米地位協定に原因があるとしか思えません。 本来は、この日米地位協定の抜本改定しかないと思われますが、ついては、全国知事会でことし7月に取りまとめた、米軍基地負担に関する提言で示した改定内容の実現を目指す行動を展開し、訓練の事前通知と当該自治体の承認を最低でも認めさせるよう改定させるべきではないかと考えますが、知事にお伺いします。 続きまして、自治体戦略2040構想研究会報告についてお伺いします。 我が国は既に2008年から人口縮減期に入ったと言われ、2040年ごろには団塊ジュニア世代が65歳以上となるなど、人口縮減時代の自治体のあり方が問われようとしています。 そのような中で、ことし7月、総務省に置かれた自治体戦略2040構想研究会が出した第2次報告には、幾つかの懸念すべき課題が見受けられ、この内容について議論を始めた第32次地方制度調査会の第1回総会でも、批判的な指摘がされた点もあると聞いています。 私なども、圏域単位での行政のスタンダード化の項に、「個々の市町村が行政のフルセット主義と他の市町村との勝者なき競争から脱却し、圏域単位での行政をスタンダードにし、戦略的に圏域内の都市機能等を守り抜かなければならない」としていることに対して、市町村行政はフルセット主義であるべきと平成の大合併を推進し、他の市町村との勝者なき競争に市町村が駆り立てられたのは、地方消滅、自治体消滅といったおどし文句の国策であった地方創生政策であったと思われるのですが、報告が指摘する、行政のフルセット主義と他の市町村との勝者なき競争は、あたかも自治体側の責任であったかのような書き方に、違和感を覚えております。 「自治体戦略2040構想は、2040年ごろにかけて迫りくる我が国の内政上の危機を明らかにし、共通認識とした上で、危機を乗り越えるために必要となる新たな施策の開発と、その施策の機能を最大限発揮できるような自治体行政の書きかえを構想するものである」との前提で、今後の検討の基本的方向性が定められていますが、この方向性で進む自治体が、多様な地域で多様に生き、暮らしていくための場としての地域、自治体を維持していくことになると考えられるか、知事にお尋ねします。 さらに、圏域マネジメントと二層制の柔軟化にある圏域が主体となって、行政のスタンダード化を進めていくことは、全国的に国が主導して、市町村の権限の一部を圏域に担わせようとするものであり、自治体が自主的権限によってみずからの事務を処理するという団体自治の観点から問題があるのではないか。また、住民による選挙で直接選ばれた首長及び議員から成る議会もない圏域に対し、国が直接財源措置を行うことは、住民の意思を尊重する住民自治の観点からも問題があると思われるのです。 このような懸念が払拭されるような、地方制度調査会や全国知事会での議論がされるべきだと考えますが、知事にお伺いします。 続いて、南海トラフ地震対策の加速化についてお伺いします。 ことしを振り返る際によく言われるのが、いろんな形態の自然災害に次から次へと見舞われ、改めて災害大国日本という国に我々は生きているということを実感させられた年であったということです。それだけに、さまざまな災害に備えて、自然現象としての災いを防ぐことはできなくても、社会現象としての災害を減らすことに注力しなければならないとの思いを新たにしたところです。 私は初登壇以来、本日で32回目となる質問機会ですが、今回も今まで同様、南海トラフ地震対策について取り上げさせていただきます。それは、さまざまな要因によって働いている場所、住んでいる家、住んでいる地理的要件・位置も違う中で、災害は確実に社会の脆弱点、弱いところを大きく襲ってまいります。だからこそ、災害対策を講じることで、ソフト面でもハード面でもその脆弱性を事前に克服することで、日常の生活改善にもつながるとの思いですし、災害格差を拡大させるという社会の脆弱点を克服する取り組みは、震災への備えの最たるものとして、今後も取り組み続けることが必要だと思っているからです。 そこで、第3期南海トラフ地震対策行動計画を総括する中で、もう一段ステップアップする第4期行動計画づくりの中で加速化を図られるべき重点課題などについて順次質問をさせていただきます。 まずは、復興に向けた取り組みについてであります。中でも、災害後に必ず取り組まなければならない復興ならば、災害復興を事前に予測して取り組むということで、事前復興についてお伺いしたいと思います。この発想は、1980年代から取り入れられ、1995年の阪神・淡路大震災を踏まえて広く使われるようになりました。 高知県議会では、平成16年7月に私が述べた、消防研究所の室崎益輝理事長が指摘する、被災したつもりで地震の前に投資し、安全な町をつくるという事前復興の重要さという考え方も、南海地震対策推進条例に盛り込んでいく必要があろうと考えますとの発言が、事前復興との言葉が議事録に載った最初であろうかと思います。東日本大震災以降の平成24年定例会以降は、広く事前復興との言葉が議場でも多く使われ始めました。 全国でも事前復興の取り組みが広がり、11月26日付朝日新聞、災害大国特集では「事前復興計画、地域の力に」ということで、一面全てを使った特集が組まれていました。そこには、私たちの住む高知市下知地区で策定し、高知市の地域防災計画に位置づけられた、下知地区防災計画の事前復興計画が紹介されていました。 そのように全国で事前復興が取り組み始められる中、全国知事会でも2015年に、平成28年度国の施策並びに予算に関する提案・要望(災害対策・国民保護関係)において、超大規模災害を想定した事前復興制度の創設として、地域においては、生命、財産、地域産業など住民の日々の暮らしを守る観点から、被災前の円滑な高台移転や区分所有物件の修理・再建等、地域の実情に応じた事前復興が可能となるよう法整備や制度設計を行うことと、準備して待つ事前復興から、実践する事前復興への取り組みを要望しています。 まさに、今こそ事前復興を初めとした復興の取り組みを加速化するべきだと思いますが、まず第4期行動計画の重点課題案に復興の項目がなぜないのか、知事にお尋ねします。 第3期行動計画参考資料にある南海トラフ地震対策の全体イメージにも、復興まちづくりは、震災に備えることは速やかな復興につながることと、復興をイメージすることで事前の備えの重要性が明確になることが強く関連づけられており、それは事前と事後を一体的に考えるということの大切さを強調しているものだと思います。まさに重要な柱でありながら、その取り組みが加速化されていないことが残念でなりません。 復興のまちづくり計画を事前に議論しておくことや、その計画のうち可能なものから前倒し実施することによって、事前の備えや速やかな復興にもつながるものであるということについて、どのようにお考えか、あわせて知事にお聞きします。 下知地区防災計画の中で、事前復興計画を策定することとしたのは、東日本大震災の被災地の復興状況のおくれがもたらす課題に学んだことから、南海トラフ地震で甚大な被害が想定され、被災後には必ずや復興計画の立案が必要となる地区である、しかし他地域への移転など人口流出も懸念されていることから、被災後早期に魅力あるまちづくりを行うために、事前復興計画を立案することとしました。 中山間地であれ、沿岸部であれ、被災後に復興のまちづくりをしなければならないのであれば、被災後の混乱した大変な状況の中で議論を行うことの困難さを考えて、平常時から議論しておくことで、被災後にできるだけ早期に着手できること、そして可能なものから前倒しで実践できれば、備えの強化にもなるし、日ごろの地域の共助力の向上にもつながるものであることから、復興のまちづくり計画について、各自治体がモデル地区を指定してでも、事前に取り組んでいくことは考えられないか、危機管理部長にお尋ねします。 また、土木部が2016年度から取り組んでこられた震災復興まちづくり訓練は、1年間に4自治体ずつ訓練研修を行ってきて、対象となる20自治体の完了は2年後となっています。 なぜ年間4自治体でなければならないのか、市町を対象とした震災復興まちづくり訓練を早急に完了させ、次の段階として、市町が主体となる地域住民を巻き込んだ訓練に着手すべきだと考えますが、土木部長にお伺いします。 次に、重点課題に取り上げられている要配慮者支援対策の拡充、加速化についてお伺いいたします。9月定例会でも質問させていただきましたが、ことしの西日本豪雨災害で改めて顕在化したのは、避難行動要支援者対策の脆弱性であり、取り組みの加速化が求められていることであったと思います。 これまでにも、当事者やその御家族、そして支援について研究、実践されている方などと検討すればするほど、さまざまな課題が明らかになってきたことがあります。それらを、個別計画の策定ということの中で、共助の取り組みとして、避難行動要支援者の支援対策を講じていければと思っているところです。ただし、津波浸水地域で避難行動をとる場合に、車椅子利用者が津波避難ビルの避難階段の前でたじろぐという、垂直避難の困難性にぶつかることがしばしばです。スロープがあればよいのですが、既存ビルの場合、あるいは外づけ階段を設置して、津波避難ビルとして指定されているものでは、余計に困難性が伴います。 ことし、ある地域で、身体障害者通所授産施設の前のビルに、地域住民のニーズから外づけ階段を設置し、屋上まで避難可能な施設として改修され、津波避難ビルにも指定されましたが、通所施設の利用者にとっては、避難場所として選択しがたい困難に直面しています。当然、地域ではスロープ設置を要望しましたが、スロープ設置に必要な敷地確保の困難性などから諦めざるを得ませんでした。その施設の職員が介助しようにも、車椅子利用者数に比較して職員が少なかったり、また日中に近隣に住まわれている住民の支援をいただくにも、高齢者が多くを占めるような地域であれば、マンパワーによる避難支援行動がとりづらい面にも遭遇します。 このような問題を多くの津波避難タワーや津波避難ビルで抱えていないのかとの思いで、まずお尋ねします。 津波避難タワーも111カ所が完成し、津波避難空間の確保は着実に進んでいるとのことですが、津波避難タワーや公的施設の津波避難ビルの中で、スロープが取りつけられたものがどれだけあるのか、危機管理部長にお伺いします。 そして、避難行動要支援者の方たちの避難行動を支援するためにも、スロープのない津波避難ビルや津波避難タワーの階段に、取りつけ可能な車椅子用のスロープを設置すべきと考えますが、危機管理部長にお尋ねします。また、民間津波避難ビルでも、設置を必要とする津波避難ビルから申し出があった場合は、設置の支援の仕組みが必要と考えるのですが、あわせて危機管理部長にお伺いします。 なお、本県発信の防災産業も成長しつつある中、例えば多少傾斜がきつくても設置できたりするスロープであったり、階段を上れる車椅子など、現場にある命を守る・つなぐニーズに対して耳を傾け、さらなる製品開発に努めることへの支援を商工労働部長に要請させていただきたいと思います。 次に、避難行動要支援者対策における個別計画策定について、検討している中で感じている課題について質問させていただきます。個別計画は、基本的に居住地域における計画策定であって、通所施設利用者などの場合は、日中の施設にいる際の利用者の避難行動を支援するための対応策も必要と考えられます。 とりわけ、その施設利用者が施設以外の避難場所に避難しなければならない場合など、さまざまなケースが想定されますが、通所施設利用者の避難行動を支援するための対策についてはどのように取り組まれているか、地域福祉部長にお尋ねします。また、通所施設などの要配慮者の特性を踏まえた対応策が、居住地域における個別計画の策定にも活用されるようになると、個別計画の策定の迅速化も図られるのではないか、あわせて地域福祉部長にお尋ねします。 高知市の長期浸水域における住民避難対策の推進についてお伺いします。ことし3月末に明らかにされた、高知市長期浸水域における津波からの住民避難シミュレーションの結果の概要では、江ノ口・下知、潮江、高須の3地区で、水平避難の可能範囲、避難経路の渋滞・混雑、現状の避難ビル配置における避難困難地域の明確化、津波避難ビルの収容者数と避難者数などの課題が示されていますが、例えば下知地区では、まさに日ごろから懸念される地域が、現状の避難ビル配置における住宅地域内での避難困難エリアとして明確にされています。 避難ビルの少ない地域での避難距離の長さや、一つのビルに避難者が集中し避難完了時間の長さから、さらなる追加指定や避難路の整備が必要と考えられること。また、研究対象区域内における津波避難ビルの収容総数は約12万人であり、解析結果から、津波避難ビル避難者数は約9万1,000人、避難困難者数は約8,000人、合計約10万人となり、収容総数以内であり、収容総数は確保されているが、最寄りの避難ビルに避難した場合、避難者数に偏りが生じるとともに、収容可能数の格差により、多数の避難ビルにおいてその収容力を超えて避難者が集中するという解析結果となっています。 避難ビルへの避難者数の超過、偏りについての対応は、避難ビル等の追加指定や整備、または避難ビルへの分散型避難が考えられるとのことですが、今後はより地域と行政が一緒になって、検討を深めていくことの必要性に迫られているということが明らかになったのではないかと思います。 そこで、お尋ねしますが、津波避難ビル不足・偏在課題については、避難ビル等の追加指定や整備、または避難ビルへの分散型避難を検討しても、なお津波避難ビルが不足する場合、第3期南海トラフ地震対策行動計画の総括の、津波対策の項にある評価及び課題として、今後新たな避難空間の必要性が認められれば整備を行うことが、長期浸水域においても避難空間の整備を行うことになるのか、危機管理部長にお伺いします。 毎年度末の南海トラフ地震高知市長期浸水対策連絡会で、南海トラフ地震で想定される長期浸水に対し、長期浸水の早期解消と迅速な救助・救出などのための事前対策を推進することを目的とした、長期浸水対策項目進捗確認シートに基づく各機関の進捗確認と救助救出に関する検討結果の報告が行われています。平成22年2月定例会で長期浸水対策のスケジュールを議会質問で取り上げてから8年がたちましたが、そろそろ課題も煮詰まってきたと思いますので、その課題解決の取り組みの目途が見えてきてもいいように思っています。 2013年9月予算委員会で、長期浸水域内で避難所への避難者そのものを低減させる対策の一環として、在宅避難者支援にシフトしていくことの提案について、知事は、避難所として使えるための2つの条件として、耐震の度合いと生活物資の調達が可能かということの懸念が残るので、長期浸水域外において十分な避難所の量を確保できるようにすると答弁をされました。 長期浸水域内の避難者が浸水域外に避難した際の避難所確保の見通しと、長期浸水域外への救出対策の進捗状況についてお伺いします。また、こうした対策を第4期行動計画期間中においていつまでに仕上げるのか、あわせて危機管理部長にお伺いします。 次に、津波火災対策についてです。面前にあるタナスカ地区と中の島地区という石油基地に対して、159件の津波火災が発生した東日本大震災での映像を思い浮かべる浦戸湾沿岸域のエリアがあり、想定されるリスクの解消を求める声が高まっています。今年度の瓦れきの漂流や石油などの拡散の状況をイメージするためのシミュレーション結果から、緊急遮断弁の設置などによる石油施設等の耐災化、防護柵の設置、周辺地域の安全確保の3つの視点で、重点対策を絞り込んでおられます。 決算審査報告でも触れられたように、浦戸湾沿岸域における石油基地の耐災化の指摘で、津波火災などの被害軽減対策が求められていましたが、一体その被害軽減対策がどこまで進捗しているのか、危機管理部長にお尋ねします。また、周辺地域の安全確保の面からも、周辺住民にこうした対策の進捗状況を随時明らかにされるべきと考えるがどうか、あわせて危機管理部長にお聞きします。 もう一つの重要視点から絞り込まれた重点対策として、漂流瓦れきが石油・ガス施設等に衝突しないよう防護柵の設置検討、概略設計を行うとしていますが、タナスカ地区だけではなく中の島地区も含めたものなのか、そしてその効果などについて危機管理部長にお聞きします。 これまでに2014年2月定例会では、津波火災が津波避難ビル周辺に押し寄せた際の消火という点でお尋ねしました。 そして、2015年9月定例会では、消防庁消防研究センターでは水陸両用の小型消防車両に関する研究を行っており、救助用の車両をベースに消火機能を持つ車両で延焼をおくらせることの可能性などについて検討したいとか、専門家の調査研究の状況や国の取り組みの動向などについては、今後もしっかり情報収集に努めていくとの答弁がされていました。 そこで、最悪の津波火災が発生し、津波避難ビルなど避難場所周辺に押し迫った際の消火方法について、現在の検討状況を危機管理部長にお伺いします。 南海トラフ地震対策の加速化の項の最後に、液状化対策についてお伺いします。東日本大震災の際に千葉県浦安市で顕在化した液状化被害でありましたが、今回の北海道地震でも、札幌市清田区で液状化現象による民家の傾斜、沈下などが大きく取り上げられました。 これからの地震では、地域間の違いはあっても、リスクの高い場所が多い地盤では被害をもたらすものとして、今まで以上の意識的な備えが必要ではなかろうかと思います。私もかつて調査をさせていただいた千葉県浦安市で、液状化被害の対応に当たった当時の松崎秀樹前市長が先日来高し、液状化は高知でも起こるとして、全国の被害家屋のうちの3分の1に当たる約8,700棟の住宅が浦安市に集中していたことや、マンホールや100トン級の耐震性貯水槽が地上にせり上がり、住宅が土砂に埋もれたこと、下水道管が壊滅的な被害を受けたためトイレ使用ができなくなったこと、ガスが11日後で上水道が27日後、最後に下水道が36日後というライフラインの復旧状況などを話され、改めて液状化被害の深刻さを確認できたところでした。 そこでお尋ねしますが、唯一の避難路が液状化によって避難困難となることが想定される場所などでの対策、対応など、改めて研究する必要があるのではないかと考えますが、危機管理部長にお聞きします。 液状化による被害が、直後の在宅での避難生活にどのような影響を及ぼすのかわかるよう周知することや、事前に備えることも必要であるが、その周知と啓発は十分か、危機管理部長にお聞きします。 また、液状化が想定される地域で、既に住宅の傾斜や沈下が起こっていないか、そのような家屋では揺れにも弱くなるので、事前に沈下修正の必要な家屋では対策が必要であることや、災害前の対応と災害後の対応のいずれにも備えるため、これまでの取り組みの不十分さを踏まえて、引き家技術の継承、養成を行うべきであると考えています。 昨年6月定例会で上田貢太郎議員の質問に、土木部長は、さまざまな地震対策の入り口である住宅の耐震化を強力に進めているところであり、その取り組みの中でこうしたインセンティブがあるという情報も提供し、引き家技術の周知や耐震改修とあわせた沈下、傾きの修正の推奨に努めていくと答えられましたが、具体的にどのような取り組みがされてきたのか、土木部長にお伺いします。また、引き家技術は災害前後のいずれにも対応できることから、その必要性が期待されると思いますが、今後の引き家技術の継承、養成についてどのようなことができるのか、あわせて土木部長にお伺いします。 次に、出入国管理法改正に伴う本県外国人材の動向と多文化共生社会についてお尋ねいたします。 外国人労働者の受け入れ拡大を図るための出入国管理法改正案は、多くの不明点と疑念、疑問を残し、生煮えのまま法案が、政府・与党の強引な国会運営で成立させられました。自民党の平沢勝栄衆議院法務委員会理事は、この問題は議論したら切りがないんですと強弁していましたが、自民党みずからが課題山積、疑問だらけの法案であることを認めた発言であったと言わざるを得ません。 高度な専門職に限定していた従来の施策を転換し、来年4月から、人材確保が困難な単純労働分野にも初めて外国人労働者を受け入れるもので、技能水準に応じて特定技能1号、特定技能2号という新たな在留資格を設け、介護職や建設業など14業種を対象に就労を促すものです。歴史的な政策転換でありながら、理念がはっきりせず、受け入れ後の将来像も示されないままに強行成立させたもので、なぜ今なのかという疑問は多くの国民に残ったままの法改正だったと言えます。 午前中の依光議員の質疑で触れられましたので、できるだけ重複を避けてお尋ねしたいと思います。この法改正によって、対象となる単純労働分野をどのように定めるのか、外国人材受け入れの前提となるはずの、どの分野がどの程度人手不足であるのかを判断する方法や、受け入れる人材に求める、相当程度の知識や経験をどう定めるのかなどといったこの制度の内容の多くが、法案成立後に法務省令などで定めることとして何ら明らかにされないままであり、県民からは、一体県内にどのような影響が出るのかぜひ明らかにしてほしいとの声が届けられています。 そこで、お尋ねします。初年度に最大4万7,550人、5年間で最大34万5,150人を受け入れ、5年間の最大受け入れ数は、介護業が6万人で最多、外食業は5万3,000人、建設業は4万人などと見込まれていますが、本県において不足する労働力に対して、外国人材に頼らざるを得ない人数はどれだけが見込まれているのか、商工労働部長にお尋ねします。 また、見込まれる外国人材を本県で受け入れることによって、本県の雇用状況にどのような影響を及ぼす可能性があると考えられているか、商工労働部長にお聞きします。 さらに、特定技能1号は、その5割程度を外国人技能実習制度からの移行で見込むとされていますが、今回の法案審議の中で改めて明らかになったのは、現在の技能実習生の違法な低賃金や長時間労働の実態でありました。 失踪した外国人技能実習生2,870人に対する昨年の法務省調査の元資料である聴取票を野党が分析した結果、67.6%の1,939人が最低賃金割れだったことや、過労死ラインとされる月80時間以上の時間外労働をしていた実習生が全体の1割、292人に上るなど、法務省発表の実態とかけ離れていたことが明らかになっています。また、平成29年に技能実習生の実習実施者に対して行った監督指導や送検等の状況から、労働基準関係法令違反が認められた実習実施者は、監督指導を実施した5,966事業場のうち4,226事業場、70.8%であり、主な違反事項は、労働時間26.2%、使用する機械に対して講ずべき措置などの安全基準19.7%、割り増し賃金の支払い15.8%の順に多く、重大、悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは34件となっています。 そこで、外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況などから明らかになる県内の実態と、その是正がどのように図られるべきかということについて商工労働部長にお聞きします。 少子高齢化に伴う人手不足が深刻化する中、受け入れの必要性自体は多くの国民が理解するところだと思います。しかし、本来、法改正が図られようがそうでなかろうが、今まで以上に増加すると思われる外国人を地域社会の仲間として受け入れ、文化や言葉の違いを超え、同じ社会でともに生きていく地域づくりと、そのための準備が求められるのではないでしょうか。 そこで、ともに暮らしていくために、本県における教育、医療、社会保障、法的アクセス、相談窓口などの生活支援策は十分と考えられているか、文化生活スポーツ部長にお聞きします。また、県を初め各自治体は、担当部署の設置や指針、計画の策定が、それらを踏まえた対応として考えられるべきではないか、さらにそれらを盛り込んだ本県の条例を制定することなどについて検討する考えはないか、あわせて文化生活スポーツ部長にお聞きします。 最後に、子供たちのネット依存脱却の問題についてお尋ねします。 インターネットへの病的な依存が疑われる中高生が推計で93万人に上ることが、厚生労働省研究班の調査で明らかになっていますが、5年前の51万人からほぼ倍増するという深刻な事態になっています。 ネット依存は、インターネットやオンラインゲーム、会員制交流サイト、SNSなどに没頭し、やめられなくなる状態を言い、特に多いゲームへの依存は、世界保健機関、WHOがことし6月にゲーム障害として、新たな疾病に加えたばかりです。 6月定例会でも西森雅和議員がこのような状況に対して、知事の認識と教育長に対する取り組みについて質問されています。知事からは、「スマートフォンなどへの依存対策は、国においてもその必要性を認識しており、具体的な対応の検討の動向を注視していく。学校やPTA単位でのインターネット利用のルールづくりなど、保護者を初め県民にインターネットの適正な利用を周知していく」、また教育長からは、「保護者に対して、スマートフォンなどの使用時間と学力との相関関係について説明したリーフレットの作成配布。また、幡多地域や香美市、香南市などのように、家庭でスマートフォンなどを使用する時間帯を決めるといったルールづくりに、学校や家庭、地域が連携して取り組む事例などを紹介し、今後も市町村教育委員会などと一体となって進めていく」という考え方が示されていました。 子供のネット依存の影響が学校現場に及び、オンラインゲームにのめり込み、授業中に居眠りをしたり、成績が下がったりする中で、教員らは対応に悩むという状況が突きつけられています。 事態が深刻化し続ける中で、学校や家庭での具体的で効果的な予防・対応・支援策を講じていく必要があると考えますが、教育長にお尋ねいたします。 また、県内の退職教員の方が立ち上げられた、こうちねっと見守り会議では、昔遊びや体験活動を行うことにより、ネットやゲームから離れようとする取り組み、デジタルダイエットキャンプに取り組まれています。昨年1月、第4回子どものネット利用問題に関する研修会の2日目の研修カリキュラムとして取り入れられており、参加者の方からは「先生からは、ゲームをしないで、スマホをさわらないでと一言も言われなかった。でも、このプログラムの間、開催地の越知町野老山での4時間、ほとんどの人がスマホを利用しなかった。これがデジタルダイエットキャンプ、親子関係の再構築だと感じた」との感想が寄せられています。これは、単なるネットやゲーム断ちではなく、親子関係の再構築を中心に置いた、リ・クリエート--再創造の取り組みであると言えます。 このデジタルダイエットキャンプは、自然の中で遊ぶことで、ゲームやスマホのほかにもおもしろいことがたくさんあることに気がついて、子供たちの依存状態が明らかに改善してきたという実績を既に上げられています。 高知県にはどこよりも豊かな自然があるということを生かして、親子で地域活動で居心地のよい空間をつくり上げていくためのデジタルダイエットキャンプによる取り組みを、県内全域に広く導入、支援できないか、教育長にお伺いをしまして、私の第1問とさせていただきます。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。 まず、私の今後について、その方向性や知事としての去就、さらにはその去就の早期判断についてのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。 11年前に知事に就任させていただいて以来、私は県勢浮揚に向けて全力で取り組んでまいりました。この間、県勢浮揚をなし遂げたいとの一念でさまざまな挑戦を続けてまいりました。この気持ちは今も変わることのない私の強い思いであります。 現在、平成31年度の予算編成及び産業振興計画などのバージョンアップなどについて、日々職員との協議を重ねているところであり、例えば先々に至るまで経済の拡大傾向等をより確実なものにしていくためには何をするべきか、今必死で考えをめぐらせている状況にあります。こうしたことから、私としては去就云々にとらわれず、この点に専念したいと考えているところです。 さらに、去就を表明する時期についてもお尋ねがございました。 この新たな政策予算に関する議会での御審議の間や、最終的に議会でお認めいただくことができた政策が、新年度において円滑にスタートし定着できるまでの間、少なくともこの間は去就に触れることなく、県政に専念する必要があるものと考えております。 そして、その一連の政策等を見ていただくことを通じて、尾崎県政の総括を賜ることになるものと考えるところであります。 次に、多選についての認識や弊害についてのお尋ねがございました。 議員からも具体的に多数の指摘がありましたように、私としても多選の弊害は確かにあるものと思っております。多選により、長年首長の座にあることを通じて、首長に権限が集中する余り首長に対して問題提起したり、批判的見解を述べることが困難になりがちと、そういった問題が生じ、県政が硬直化したり、さらには民意から離れていったりするといった問題が生じ得るものと私も考えています。 ただ、こうした弊害を生じさせる、いわゆる多選というものは、どれくらいの任期を重ねたかではなく、任期中に実際にこうしたさまざまな問題が起こるか否かによるものでもあろうかと考えます。私としては、これまでの間それらへの防止のため、例えば庁内においては、特に悪い情報ほど早く私もしくは副知事に上げてくるようにということを常々言ってまいりました。 いずれにいたしましても、そうした多選の弊害と言われるものを肝に銘じながら、日々県政運営に当たることが肝要ではないかと考えているところでございます。 次に、障害者雇用に関する今回の処分についてどのように判断したのか、また今後の意図的でない信用失墜行為に対する処分の前例となるのかとのお尋ねがありました。 本県の障害者雇用に係る長年にわたる不適切な対応については、対象となる職員の数を意図的に水増ししようとしたものでは決してありませんが、これにより、法定雇用率を達成していると誤認し、その分、障害者の方々の就業の機会を失わせる結果となってしまいました。このことは、明確な基準を策定して庁内に徹底することにより防ぐことができたものであり、この点において、県として組織的な対応に問題があったと考えております。 このため、明確な基準を策定し、徹底すべき立場にあった私以下担当課の課長までを対象として、処分を行いました。処分を決定するに当たっては、法令の規定、本県における過去の事例や他県の状況、さらには選択する処分が他の公務員や社会に与える影響なども考慮し、適切かつ妥当なものとなるよう、総合的に判断を行ったところです。 具体的には、まず懲戒処分に相当するか否かについて検討いたしました。法律では、法令違反があった場合などに懲戒処分とすることができるとされており、今回の事案について、関係法令の規定に照らし整理を行いました。例えば障害者雇用促進法第37条の、障害者の雇い入れに努めなければならないとの規定に関しては、法定雇用率を達成していると誤認している中にあっても、障害者枠試験による新規雇用を毎年度継続して行うなど、障害者雇用の拡大に努めており、規定に違背しているとまでは言えないと考えられます。また、地方公務員法第33条の信用失墜行為の禁止に関しては、汚職や飲酒運転などの行為を行った場合に該当するものであります。今回のような意図しない不作為にまでこれを適用し、懲戒処分とすることは、社会通念上著しく重い処分となり、裁量権の濫用となりかねないと考えられます。 さらに、本県の過去の事例に照らしても、モードアバンセ事件や飲酒運転など明らかな法令違反の場合や、悪質なセクシュアルハラスメントなど意図的な不適切行為がなされた場合に懲戒処分としているところであり、これらとのバランスを勘案しても、懲戒処分とすべき程度には至らないものと判断をいたしました。 その上で、懲戒処分に至らない非違行為として措置相当とし、過去の事例も勘案して、文書注意が妥当であると判断いたしたところであります。 さらに、県庁組織全体を統括する最終的な責任者である私については、特別職であり、法令上は処分を定めた規定がございませんが、本件について最終的に責任を負う者として、責任の所在を明らかにするため処分を行うことといたしました。過去、県知事が処分として給与の減額を行った例は、モードアバンセ事件や高知商銀事件など、職員が意図的に法的な不正を行い懲戒処分等となった場合で、職員を文書注意処分とする今回は、これには当たらないものですが、職員より一段重い処分が必要であるとの観点から、厳重文書注意とすることとしたものであります。 また、今後意図的でない信用失墜行為があった場合には、個別具体に法令の規定や今回の事案も含めた前例などを踏まえ、総合的に判断する必要があります。何よりも重要なことは、他の行政分野も含めて同様の事案を起こさないよう、適切な行政運営に努めていくことであり、そうなるよう今後身を引き締めて対応を図ってまいりたいと考える次第でございます。 次に、障害者を対象とした県職員採用試験特別募集の採用に当たり、クリアすべき課題への対応が間に合うのかとのお尋ねがございました。 本県の障害者を対象とした正職員の採用試験は、一定の配慮のもと、幅広い分野で行政事務全般に従事する職員を採用しようとするもので、これまでは身体障害者の方のみを対象としてまいりました。今回の特別募集は、これを障害の種別に関係なく門戸を広げるものであり、採用された職員に対しては、個々の障害の状況に応じたサポート体制の整備が必要となります。 具体的には、本人と個別に面談を行い、それぞれの障害の特性を考慮しながら、配属所属や業務の要望等を丁寧に聞き取り対応してまいります。また、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構へも相談にお伺いし、障害者への支援方法などについて御意見をいただき、今後の御協力をお願いしたところであり、こうした対応により今回適切なサポートを行ってまいります。 また今後、さらに障害者雇用を進めていくためには、一定の業務に限定した採用や、知的障害者、精神障害者の方の採用枠を設定することも検討していくことが必要であると考えております。その場合には、先ほど申し上げたサポート体制の整備のほか、従事していただきたい業務の洗い出し、キャリアプランなどの課題があり、他県の状況調査などを行いながら、引き続き検討しているところです。 現在、国においても障害者雇用の推進に向けた方策が検討されており、その動向を注視しつつ、さらなる具体の方策について関係機関とも協議しながら、実現に向けて取り組んでまいります。 次に、室戸沖での米軍機墜落について、防衛省や外務省に対し、原因究明や再発防止を米軍に求めるよう、今月7日に文書で要請したが、訓練の中止もあわせて直接申し入れるべきではないかとのお尋ねがありました。 今回の事故に関しましては、海兵隊司令部は定期訓練を行っていたと発表しており、防衛省からも空中給油は定期訓練の一環であるとの情報提供がありました。通常の空中給油訓練自体は、日米安全保障体制の中において重要であり、必要であると認識しております。 しかしながら、米軍の運用に当たっては、周辺住民などの安全確保が大前提であり、事故はあってはならないものであります。本県では、2年前にも土佐湾沖で戦闘機の墜落事故が発生しておりますが、その際は事故原因が全く不明であり、機体自体に構造的なふぐあいがあるのではないかという、不安の度合いが非常に高いものでありました。このため、情報提供や原因究明、再発防止とともに、本県上空が含まれるオレンジルートでの低空飛行訓練を速やかに中止すべき旨を申し入れるために、事故発生の翌々日に私自身が直接出向き、防衛大臣らと面談させていただきました。 一方、今回の事故につきましては、空中接触が原因であると伺っており、原因が全くわからない前回とは、そういった面から、申し入れに係る対応や内容も違ったものになっており、現時点では訓練の中止までは求めておりません。そして、まずは書面によって申し入れを行うこととしたところであります。ただし、今後事故の状況や原因などの詳細がわかれば、内容に応じて必要な対応を検討していかなければならないと考えるところであります。 次に、全国知事会が取りまとめた、米軍基地負担に関する提言で示した、日米地位協定の改定内容の実現を目指す行動を展開し、訓練の事前通知と当該自治体の承認は最低でも認めさせるよう改定を求めるべきではないかとのお尋ねがありました。 この提言につきましては、日米安全保障体制は、国民の生命や財産、領土・領海等を守るために重要であることを前提とした上で、全都道府県の総意として、日米地位協定を抜本的に見直すことなどを提言しております。特に米軍機による低空飛行訓練などについては、地域住民の不安が払拭されるよう、訓練ルートや訓練が行われる時期について速やかな事前情報提供を必ず行い、十分な配慮を行うことを求めております。 全国知事会においては、既に本年8月、会長である埼玉県知事と沖縄県ほか3県が、外務省及び防衛省に対し要請活動を行うとともに、在日米大使館においても提言内容を説明されております。米軍の運用に当たっては、周辺住民などの安全確保が大前提であり、事故はあってはならないものであります。本県及び本県沖の海上では、今回の事故を含め4度もの米軍機の墜落事故が発生しており、県民や漁業者の皆様は不安感を抱えて生活されております。このため、県民の皆様の不安が払拭されるよう、まずは事前の情報提供や配慮を求めるこの提言の実現に向けて、今後とも全国知事会の一員として継続的に取り組んでまいりたいと考えております。 また、政府におかれましては、国民の生命・財産や領土・領海等を守る立場から、日米地位協定について日米政府間でしっかり協議をしていただきたいと考えるところであります。 次に、自治体戦略2040構想研究会の報告書で示された基本的な方向性についてお尋ねがありました。 全国に先駆けて人口減少や高齢化が進んでいる本県におきましては、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県を実現するため、地産外商による雇用の創出や、集落活動センターの推進による中山間地域の振興などの取り組みを、市町村とともに進めてきております。 こうした中、総務省の研究会においては、2040年ごろにかけて全国的に深刻化する人口減少や少子高齢化に伴って生じる各分野の課題を整理するとともに、そうした課題に対応していくために、自治体行政がどうあるべきかについて議論がなされてまいりました。ことしの7月に取りまとめられた報告書では、スマート自治体への転換や公共私による暮らしの維持、圏域マネジメントと二層制の柔軟化といった、今後の自治体行政の方向性が示されたところです。この中には、行政が、個人や地域の共同体の活動を活性化していくためのプラットフォーム・ビルダーになっていくことや、県による市町村の補完、支援などの内容が盛り込まれており、本県の取り組みと方向性を同じくする取り組みもあるのではないかと考えております。 現在、国においては、研究会の検討結果を踏まえて地方制度調査会で議論が進められているところであり、どのような制度が設けられるのかは明らかではありませんが、本県の取り組みの後押しとなるものとなるよう期待をしているところであります。 次に、自治体戦略2040構想研究会の報告書で示された圏域の仕組みについて、団体自治や住民自治の観点からの懸念が払拭されるように議論が進められるべきではないかとのお尋ねがありました。 私としても、この圏域に関する仕組みの制度化に当たっては、都道府県及び市町村との役割分担や各地方自治体の自主性、自立性の確保に留意する必要があるものと考えております。地方制度調査会での議論の中では、地方自治体からのヒアリングも行われていることから、地方の意見を取り入れ、地方の実情や多様性を踏まえた形で議論が進められていくものと考えております。 県としましては、今後の具体的な制度の検討に当たって、地方の意見が適切に反映され、よりよいものとなっていくよう、今後も引き続き国における議論を注視するとともに、必要な場合には、全国知事会とも連携して提言を行うなどの対応をとってまいりたいと考えております。 最後に、南海トラフ地震対策の加速化についてお答えをいたします。 第4期計画の重点課題案に復興の項目がない理由について、また復興のまちづくり計画を事前に議論することや、可能なものから前倒し実施することに関して、どのように考えるのかとのお尋ねがありました。 南海トラフ地震対策行動計画では、261の取り組みを、命を守る、命をつなぐ、生活を立ち上げるの3つのステージに区分して整理し、対策を総合的、計画的に推進しています。このうち、生活を立ち上げるの項目は復旧・復興対策にかかわるものであり、これまでも、そしてこれからも当然に復興対策も含めて対策を進めていくところであります。 ただ、これまでの取り組みの中での重点課題について御説明しますと、まず第3期計画では、揺れや津波から命を守るための住宅の耐震化や津波避難空間の整備、多数の避難者のための避難所の確保、前方展開型による医療救護体制の確立などの、命を守る、命をつなぐ対策を重点課題として位置づけて取り組んでまいりました。第4期計画においても、住宅の耐震化や津波避難経路の安全性の確保、避難所の確保や医療救護体制の強化など、命を守る、命をつなぐ対策について、命に直結するものとして、引き続き重点課題として取り組みたいと考えているところです。 また、過去の地震で亡くなられた方の多くが高齢者などの要配慮者であることから、要配慮者支援対策も、新たに重点課題に加えたいと考えています。 他方で、先ほど述べましたように、復興につきましても、これまで一定の対策を講じてまいりました。例えば、震災復興都市計画指針や災害公営住宅建設計画を策定したほか、事業者のBCPの策定支援を行うなどの取り組みを実施してきたところであります。 第4期では、第3期以上に復興期の対策について取り組みを前に進めたいと考えており、県の復興組織体制の構築や応急期対策として策定した市町村ごとの機能配置計画と復興対策との接続、さらには事業者や産業のBCPの実効性を高める取り組みなどについて、検討を重ねたいと考えているところです。地域の復興のまちづくりにつきましては、事前に市町村や地元の皆様で議論し、地域の合意形成など、可能なものについては前倒しして実施しておくことで、早期の復興につながるものと考えます。また、こうした議論をしていく中で、住宅の耐震化や火災対策によって、被災後の復旧費用が少なくなることや避難生活の短縮につながることなど、事前の備えに対する理解が深まり、対策が進む効果もあると考えております。第4期対策の中におきまして、先ほど申し上げたような諸事項とともに検討を重ねていく必要があると考えているところです。 私からは以上でございます。   (総務部長君塚明宏君登壇) ◎総務部長(君塚明宏君) 障害者枠非常勤職員の雇用なども含めた法定雇用率の達成の目途についてお尋ねがありました。 9月定例会でも御説明いたしましたとおり、平成30年6月1日時点の障害者雇用率を前提とすると、法定雇用率を達成するためには、少なくとも15名分の障害者の方の雇用が必要な状況であります。正職員につきましては、既に実施しました採用試験の合格者2名と、今回の特別募集による合格予定者2名の合計4名を見込んでいるところでございます。 平成31年度中に法定雇用率を達成するためには、非常勤職員の採用により対応することが必要となりますことから、非常勤職員の採用拡大に向けて、全庁に対し、障害者の方に担っていただきたい業務の内容や業務量の把握をするための調査を実施したところでありまして、この調査結果を踏まえ、今年度中に募集を開始する予定としております。この募集に対しまして、何人応募していただけるか、また何人程度採用できるかということは、現時点では確定的ではありませんが、引き続き正職員及び非常勤職員を対象とした採用の拡大を図ることによりまして、法定雇用率をできるだけ早期に達成できるよう努力してまいります。   (危機管理部長酒井浩一君登壇) ◎危機管理部長(酒井浩一君) まず、復興のまちづくり計画について、各自治体がモデル地区を指定してでも、事前に取り組んでいくことは考えられないかとのお尋ねがありました。 市町村や住民の皆様が、御自分の地域の復興のまちづくりについて事前に議論しておくことは、早期の復興を実現することにつながるものと考えています。こうした取り組みは、復興に向けた計画を事前につくっておく必要性が地域全体で認識されていることが必要と考えています。そのため、まずは他県の先進事例を紹介することなどにより、少しでも多くの方に計画の必要性を認識していただくとともに、地域において計画を作成しようとする先進的な取り組みに対しましては、地域本部による協力や地域防災対策総合補助金により、市町村を人的、財政的に支援してまいりたいと考えています。 次に、津波避難タワーや公的施設の津波避難ビルのうち、スロープが取りつけられているところがどれだけあるのかとのお尋ねがありました。 現在、完成している111基の津波避難タワーのうち91基、津波避難ビルに指定されている131の公的施設のうち2施設に、スロープが設置されています。 次に、スロープのない津波避難ビルなどの階段に車椅子用のスロープを設置することについて、またそのための支援の仕組みについてお尋ねがありました。 車椅子を利用されている方が安全に避難していただくために、県の津波避難タワー設計のための手引では、スロープを必要とする方の人数や設置スペースの有無など、地域の状況を考慮した上で、スロープの設置を検討するよう示しております。現在、多くのタワーではスロープが設置されていますが、スロープのないタワーにつきましては、車椅子を利用されている方の避難方法について検討しておく必要があると考えています。 一方、既存の建物を指定している津波避難ビルは、車椅子の利用者の避難を想定したスロープは設置されていません。他県の福祉施設では、車椅子の利用者が階段を利用するためのスロープが簡易的に設置できるように準備している事例もあると聞いておりますが、この場合、勾配がきつくなり過ぎ、車椅子の利用者が自分で移動できず、介助者が必要になるなどの課題もあると思われます。 今後、タワーも含めて、車椅子を利用される方が安全に避難できる方法について、市町村や自主防災組織など避難を支援することとなる方々とともに、研究してまいりたいと考えています。 また、御質問のありましたスロープを設置する支援につきましては、市町村が設置するものを地域防災対策総合補助金の対象としております。 次に、津波避難ビルが不足する場合、長期浸水域においても新たな避難空間の整備を行うことになるのかとのお尋ねがありました。 これまで、地域地域で作成された津波避難計画に基づき、高台の避難場所やタワーの整備、避難ビルの指定などにより、避難空間の整備を進めてまいりました。こうした取り組みは、長期浸水域においても同様に進めており、避難ビルの指定、避難場所の整備によって避難空間の確保が進められております。 長期浸水地域における避難ビルの偏在や不足といった課題に対しては、高知市はビルの新規指定により新たな避難空間の確保を進めておりますが、十分な確保ができない場合には、ビル以外の新たな避難空間を整備する必要があると考えておりますし、緊急防災・減災事業債を活用していただくこともできます。 次に、避難所確保の見通しと長期浸水域外への救出対策の進捗状況、またそれらをいつまでに仕上げるのかとのお尋ねがありました。 高知市においては、最大クラスの南海トラフ地震発生時に、長期浸水域内の方々も含め、約11万6,000人の避難者が想定される中、82の避難所で約6万8,000人分のスペースを確保しましたが、残り約4万8,000人分が不足しております。そのため、現在高知市を含む中央圏域では、みずからの市町村外へ広域的に避難する方の受け入れ先やバスの搬送手順、受け入れ手続を定めた広域避難計画の策定に取り組んでおり、年度内に完了する見込みです。しかしながら、広域的な避難をしても、なお高知市の不足分を補えないことが想定されています。 今後も引き続き、避難所の確保に向けて、学校の教室利用や集会所、民間施設の活用に加え、圏域を越えた広域避難について検討を行うなど、あらゆる手段を使って、できるだけ早期に必要な避難所が確保できるよう、高知市と連携して取り組んでまいります。 一方、長期浸水域からの住民の救出につきましては、現在高知市において、津波避難シミュレーションの結果明らかとなった浸水域外への避難が可能な人数を踏まえ、エリアごとの要救出者数をもとに救助・救出計画の策定が進められております。本年度内には、救助機関の活動拠点、救出者の優先順位など基本的な考え方が取りまとめられ、来年度には救出を進めるルートや救出後の移動先なども含め、より具体的な計画が取りまとめられることとなっております。 今後とも、県と高知市が密接に連携しながら長期浸水対策に取り組んでまいります。 次に、石油基地の耐災化対策など津波火災の被害軽減対策の進捗状況と住民への周知についてお尋ねがありました。 浦戸湾沿岸のタナスカ及び中の島地区における石油基地の耐災化につきましては、南海トラフ地震による揺れと津波に備えて、各事業者が既にさまざまな対策を講じていただいていると承知しております。 例えばこれらの地区における石油タンクは、事業者が行った耐震診断では基準を満たしていることが確認されておりますし、それに加え県が行った耐震照査においても、L2クラスの地震の揺れに対して、タンク本体は耐震性を有していることも確認しております。また、地震発生時にタンクに附属する配管を緊急的に遮断する弁は、地区内の石油タンク50基のうち36基のタンクに設置済みであり、これをタンクの容量での割合で見ると、設置率は約93%となっております。また、地盤の液状化で地表面に変形が生じることに備え、柔軟性のあるフレキシブル配管や継ぎ手を両地区の全てのタンクに設置するとともに、非常用発電機を高いところへ配置がえすることも各事業者で講じていると伺っています。そのほかにも、ワイヤーロープによるタンクの固定やドラム缶の屋内保管、消火ポンプ室への防水扉の設置などの対策を行っている事業者もあると承知しております。 県では、今後のさらなる耐災化対策の進捗に向けて事業者を支援するため、補助事業の拡充に向け、国へ政策提言を継続的に実施しているところです。 こうした事業者によるさまざまな耐災化対策の進捗状況につきましては、行政による取り組みもあわせて、高知市とともに住民の皆様に丁寧に説明させていただきたいと考えております。 次に、防護柵の設置検討や効果についてお尋ねがありました。 南海トラフ地震の津波によって浦戸湾内周辺で漂流する瓦れきや油の拡散の状況を、定量的に把握するためにシミュレーションを実施し、この結果を、10月に開催した学識経験者らによる石油基地等地震・津波対策検討会で報告するとともに、今後の対策案を提示して検討を行ったところです。このシミュレーションから、タナスカ及び中の島地区の石油基地に向けて瓦れきや車両などが漂流して、タンクに衝突する可能性があることなどがわかりました。 このため、両地区における対策として、三重防護事業での護岸のかさ上げにあわせて、石油基地周辺に防護柵を設置して漂流物を捕捉し、タンクへの衝突を防ぐための検討を進めることといたしました。防護柵につきましては、押し波によって瓦れきや車両などが基地へ流入することを防いだり、引き波によってガスボンベなど基地内の危険物が海域へ流出するのを防止する効果があります。あわせて、津波や瓦れきの衝突エネルギーを吸収し、威力を減衰させる効果も考えられます。既に、本県でも、国土交通省が須崎港において木材が流出することを防ぐために設置している事例や、須崎市が野見漁港において船舶などの漂流物から避難所や診療所を守るために設置している事例があります。 今後は、防護柵を設置するための調査や概略設計を進めたいと考えており、国土交通省や高知市、事業者とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。 次に、津波火災における消火方法の検討状況についてお尋ねがありました。 まず、消防庁消防研究センターにおいて開発された水陸両用の消防車両が平成28年度に高知市に配備され、現在訓練を重ねているとお伺いしております。 次に、専門家の調査研究や国の取り組みにつきましては、現在のところ本県に参考となるような事例は見当たりませんが、引き続き情報収集に努めてまいりたいと考えております。 一方、浦戸湾内で瓦れきなどが拡散するシミュレーションの結果から、瓦れきが集まりやすく、火災発生の危険度が高い地域を想定することができました。まずは、こうした地域への対応を優先するべきだと考えますが、津波火災におきましても、初期消火と延焼防止が重要となることから、皿ヶ峰に設置したカメラで浦戸湾全体を見渡し、出火のもととなる瓦れきなどの実際の動きを確認することとしています。 今後は、シミュレーションの結果やこのカメラを活用した消火や避難誘導などの津波火災対策を高知市と連携し、人命を最優先として進めていきたいと考えています。 次に、液状化が想定される場所での対策や対応などを改めて研究することについてお尋ねがありました。 液状化は、避難路だけでなく、公園や学校の運動場など広い範囲で発生することから、それらの全てに地盤改良などのハード対策で対応することは、費用の面からも難しいのが現状です。また、液状化が発生した場合、道路に段差が生じたり噴出した土砂が堆積することで、通行が困難になるなど、通常よりも避難に時間を要するようになることが想定されます。 こうした状況に対し、どのような対応が考えられるのか、有識者にも意見をお伺いしながら検討を進めたいと考えております。 最後に、液状化による被害が直後の在宅での避難生活に及ぼす影響や、事前に備えることについての周知と啓発は十分かとのお尋ねがありました。 液状化が発生すると、住宅が傾いたり、水道や下水道などに損傷が生じるほか、道路の通行が困難になるなど、多くの被害が想定され、自宅で避難生活を送ることが難しくなることが想定されます。 県では、液状化の可能性を判定したハザードマップを作成し、ホームページで公開するなどして周知を図っております。また、液状化によって生じる被害については、地域地域での防災学習会や自主防災組織のリーダーの育成研修などの場で、被災した状況の写真をごらんいただくなどの啓発を行っております。 今後は、液状化による被害や事前の備えについても、広報紙や啓発冊子に掲載するなど、幅広く県民の皆様に知っていただけるよう取り組んでまいります。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) まず、南海トラフ地震対策の復興に向けた取り組みについて、市町を対象とした震災復興まちづくり訓練を早急に完了させ、次の段階として、市町が主体となる地域住民を巻き込んだ訓練に着手すべきではないかとのお尋ねがありました。 震災復興まちづくり訓練は、市町村の復興のまちづくり計画の中に、面的な基盤整備を位置づける場合に備え、都市計画にふなれな市町村に対して、都市計画の手続や土地区画整理事業等の基盤整備の手法について習熟していただくなど、職員の対応力の向上を目的に実施しています。 具体的には、全体訓練と地区別訓練の2つの訓練に取り組んでおります。全体訓練は、平成27年から実施しており、県内全市町村の職員を対象に、架空の被災地域で都市計画の手続等の行動手順を机上で訓練するものです。一方、地区別訓練は、都市計画区域を有する20市町を対象に、それぞれの市町において最大クラスの地震・津波による被災を想定し、まず被災直後の現地調査を行い、次に1次、2次の建築制限を経て、現位置か高台移転による復興かの都市計画決定の手続を踏まえ、基盤整備のたたき台を作成する一連の模擬訓練を行うもので、平成28年から毎年4市町で行っており、平成32年度で全20市町が訓練を完了する予定です。この訓練の加速化につきましては、主体となります市町と協議を行い、前倒しの検討を行いたいと考えます。 また、訓練の次の段階として、地域住民の方々に参加いただく復興のまちづくり計画を策定する際には、地域本部による協力や地域防災対策総合補助金の活用による支援に加え、都市計画の視点からの技術的支援を行ってまいりたいと思います。 次に、液状化対策について、引き家技術の周知や耐震改修とあわせた沈下、傾きの修正の推奨にどのように取り組んできたのか、また今後の引き家技術の継承、養成についてどのようなことができるのかとのお尋ねがございました。 引き家技術については、地盤が弱い場合に発生する建物の沈下や傾きを修正するための有効な技術の一つであると認識しています。 現在、南海トラフ地震対策の、命を守る取り組みの最重要課題の一つとして、住宅の耐震化を積極的に進めており、その啓発の際には、耐震改修にあわせて建物の沈下や傾きを修正する場合などにも市町村の支援制度を活用できる場合があること、さらに住宅金融支援機構が扱っている低金利の融資についても情報を発信しています。 また、事業者等を対象とした震災復旧技術に関する勉強会で、引き家技術の周知も図っており、加えて耐震診断の結果、基礎が沈下するなどして建物に傾きがあることが判明した場合は、耐震改修にあわせて基礎の補強、傾きの修正を行う工事の提案を行うよう、事業者にアドバイスをしているところです。 県としましては、引き続き引き家技術の周知や住宅の耐震改修とあわせた沈下、傾きの修正を推奨することにより、引き家技術が発揮される選択肢を広げ、技術の継承に寄与してまいりたいと考えております。   (地域福祉部長門田純一君登壇) ◎地域福祉部長(門田純一君) 通所施設利用者の避難行動を支援するための対応策と、居住地域における個別計画策定への活用についてお尋ねがございました。 県におきましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、高知県社会福祉施設防災対策指針を作成するとともに、各施設の現状や防災対策を正確に把握していただくツールとなる安全対策シートや、施設みずからがその立地条件などの現状を正確に把握するためのチェックリストを作成するなど、各施設において、効果のある防災対策を検討できるよう支援をしてまいりました。この指針は、介護が必要な高齢者や障害のある人などといった、配慮を要する利用者の特性を踏まえるものとなっており、県内の通所施設においてはこの指針に基づき、防災対策マニュアルの整備や避難訓練の実施などが行われているところです。 通所施設などの防災対策マニュアルは、専門的な視点から要配慮者の特性を踏まえて策定されているものであり、これを地域で策定する個別計画の参考とすることは、議員のお話にもありましたように、より有効な個別計画の策定につながるものと考えています。 また、一部の地域では、ケアマネジャーや相談支援専門員などの専門職と連携し、専門的な視点も加えた個別計画の策定に取り組んでいるところもあると承知をしております。こうした取り組みでは、避難行動要支援者と地域との関係が希薄な場合であっても、要支援者との信頼関係を築いている専門職が地域とのつなぎ役となり、円滑な個別計画の策定につながっているケースもあるというふうにお伺いをしております。 このため、第4期南海トラフ地震対策行動計画を策定する中で、こうしたことも参考にしながら、個別計画策定の加速化の方策について検討をしてまいります。   (商工労働部長近藤雅宏君登壇) ◎商工労働部長(近藤雅宏君) まず、本県において不足する労働力に対して、外国人材に頼らざるを得ない人数の見込みについてお尋ねがございました。 本県においては、有効求人倍率が36カ月連続で1倍を超え、平成30年10月には過去最高の1.32倍になるなど、雇用情勢が改善する一方で、各産業分野で人手不足が深刻化しています。特に顕著でありますのは、介護業、建設業、製造業などであり、有効求人数に対する有効求職者数がそれぞれ600人から700人以上不足をしております。また、求人票等にはあらわれない農業や水産業等の1次産業分野でも人手不足の声が多く聞かれます。 特に介護業や製造業においては、新たな外国人材に対しても一定のニーズがあることをお聞きしています。今般の出入国管理法の改正では、新たな在留資格が創設をされ、一定の日本語能力や技能を持つ外国人材は特定技能1号として、さらに熟練した技能を有する外国人材は特定技能2号として、日本に在留し就業することが可能となります。これらの在留資格の取得については、日本語及び技能の水準について、受け入れ分野の所管省庁が定める試験に合格することが必要ですが、技能実習生のうち3年間の実習を終えた技能実習2号修了者は、特定技能1号に係る試験が免除となることから、2号修了生のうち、相当数が特定技能1号に移行するのではないかと考えられます。本県には、平成29年10月現在で1,405名の技能実習生が在留をしており、今後毎年400名から500名が技能実習2号を修了することが見込まれます。 しかしながら、特定技能1号は14業種に絞られていること、また特定技能に係る資格試験の詳細や、外国人受け入れ企業に義務づけられる支援計画の内容等を規定する省令の内容が現時点で不明であり、介護や製造業など外国人材についてニーズのある業界においても、受け入れに向けた具体的な動きは現時点で確認できておりません。2号修了生を含め新たな在留資格による外国人材を、県内企業等がどれだけ受け入れするのか、現時点で想定することは難しい状況となっています。 次に、外国人材を受け入れることによる雇用状況への影響の可能性についてお尋ねがございました。 外国人材の受け入れの拡大が雇用状況に与える影響として、国内の労働者の賃金水準の低下を懸念する声や、人手不足が解消され労働力が余るようになった場合、外国人材に仕事を奪われ、日本人の雇用が不安定になるのではないかといった不安の声があります。賃金水準の低下については、今後整備をされる、特定技能に係る雇用契約の基準を定める省令において、報酬は同一業務に従事する日本人等と同等以上であることが規定をされることとなっており、また日本人の雇用が不安定になるという不安に関しては、改正法に、必要とされる人材が確保されたと所管省庁が判断をしたときは、一時的に外国人材の受け入れを停止する措置をとることが盛り込まれており、さらに今後、各省庁で作成する分野別運用方針において、外国人材の受け入れ上限を規定することが予定されているところです。 県といたしましても、今後の省令等の整備状況や、規定されたことがどのように運用され、実行されていくのかを注視していくとともに、外国人材への報酬の支払いや雇用管理が適正に行われますよう、労働局等、国の機関との情報共有や連携した取り組みを行いながら、受け入れ機関や登録支援機関等への支援を行ってまいりたいと考えております。 最後に、県内の技能実習生の違法な労働状況の実態の把握と、その是正がどのように図られるべきかとのお尋ねがございました。 議員のお話にありましたように、平成30年6月に厚生労働省が公表いたしました「外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況」によりますと、全国の労働基準監督機関において、平成29年は監督指導の対象となった5,966件の実習実施者のうち、その70.8%に当たる4,226件が労働関係法令違反となっています。その主な内容は、労働時間に関すること、安全基準に関すること、賃金等に関することとなっています。 労働局の資料によりますと、高知県においては、平成28年の数字で監督指導の対象となった13件の実習実施者のうち、69.2%に当たる9件で、労働時間や安全基準、賃金等に関する違反がございました。これは県内の実習実施者総数の約3%となっています。 このような違法な労働状況の是正については、技能実習制度においては、法務省、厚生労働省が所管をする外国人技能実習機構が、実習実施者などを管理監督していく中心的役割を担うこととなっています。 外国人技能実習機構は、実習実施者などに対して定期的に実地検査を実施し、認定を受けた技能実習計画とは異なる内容の作業が実施されていないか、賃金の未払い等の労働関係法令違反はないかなどを確認するとともに、悪質な場合には改善命令や認定の取り消し等を行うなど、厳正な対処をすることとなっています。 一方で、都道府県は法的な権限は与えられておりませんが、外国人技能実習機構や国の機関等と、地域協議会を通じて相互の連携や情報の共有化を図り、技能実習制度が円滑に行われますよう、連携して取り組んでいるところです。 具体的には、県内の実習実施者などの関係者に対して、外国人雇用に関する制度の説明冊子の配布や、四国地区協議会で得た情報を提供するなどの取り組みを実施しております。また、本県独自に技能実習生の受け入れの際の課題等を共有する、技能実習制度に関する連絡協議会を設置いたしまして、法令違反や失踪の実態、また生活関連の課題などを共有し、各機関の役割に応じて対策を検討しているところであります。県では、中小企業団体中央会と連携をいたしまして、技能実習者や監理団体など、個別に訪問し、ヒアリングを行うということを始めたところでございます。 引き続き、こうした取り組みを通じて、関係機関との連携を図ることで、県内の技能実習生の違法な労働状況の是正に努めてまいりたいと考えています。   (文化生活スポーツ部長門田登志和君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(門田登志和君) 出入国管理法改正に伴い、外国人を地域社会の仲間として受け入れ、ともに暮らしていくための生活支援策が十分であるか、またそれに関する指針、計画、条例の制定などを検討する考えがないかとのお尋ねがございました。 県内に住む外国人が暮らしやすい高知県をつくるためには、在住外国人への支援と県民の方々の異文化理解の向上が必要であると考えております。 県ではこれまで高知県国際交流協会を中心に、生活や人権相談窓口の開設、日本語教室の開催、情報誌やメルマガによる生活・災害情報の提供や、外国人をサポートするボランティア人材の育成と確保などに取り組んでまいりました。加えて、学校や地域などにおける異文化理解講座や国際交流イベントの開催といった、県民と在住外国人とが交流する場を設けることなどにより、多文化共生の地域社会づくりに取り組んできております。 こうした中、出入国管理及び難民認定法が改正され、今後より多くの外国人が県内で生活することが考えられます。このため、今後これまでの取り組みに加え、医療・保健・福祉サービスの提供や住宅への入居支援、教育の充実、雇用の安定といった外国人に関する施策の充実が必要になってくるものと考えています。 年内には、国において、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策が取りまとめられることになっておりますので、今後とも国の動向を注視し、市町村や関係機関、関係する部局などとも連携・協力しながら、県として、必要な対策などを検討し、外国人が暮らしやすい多文化共生の地域社会づくりに向けて取り組んでまいりたいと考えています。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、子供たちのネット依存脱却について、学校・家庭における具体的で効果的な予防・対応・支援策が必要ではないかとのお尋ねがございました。 ネット依存については、まだ医学的に明確な定義はありませんが、一般的にはネット利用の時間や方法が自分でコントロールできず、ネットに接続できない状態になるといらいらして不安になったり、それが原因で日常生活に支障を来したりする状態であるとされており、オンラインゲームや動画、ソーシャルメディアなどのサービスで依存傾向が高いと言われております。 ネット依存への対策としましては、まず予防が重要であり、学校においては授業などを通して、ネット依存について理解すること、自分自身のネットの利用状況を把握し、適切なネットの利用時間・方法をみずから認識すること、規則正しい基本的な生活習慣を身につけさせることなど、ネット依存についての児童生徒の理解を深め、生活習慣を身につけさせる予防的な取り組みを進めてまいります。 また、ネットへの依存のおそれがあると判断される場合には、できるだけ早い時期から、医師や臨床心理士などによるカウンセリングが必要であると考えられますことから、学校と家庭が連携して、医療機関などへつなげる取り組みを進めてまいります。加えて、児童生徒がこうしたネット利用を行うのは学校以外の場所となりますので、対応に当たっては、家庭や地域の協力が不可欠であり、ネット依存への理解を深めていただくよう、これまで同様、リーフレットなども活用しながら啓発を行っていくことも必要であると考えています。 県教育委員会としましては、今後とも世界保健機関や国などの動向を注視し、専門的な研究に基づく予防策や対応策、支援策が明らかになれば、それらも取り入れながら、学校・家庭・地域と連携した取り組みを進めてまいります。 次に、ネットを断ち、親子での触れ合いを目指したデジタルダイエットキャンプによる取り組みの導入と支援についてお尋ねがございました。 デジタルダイエットキャンプとは、その期間中はスマートフォンや携帯電話などのデジタル機器の使用を控え、親子での触れ合いを深めることを目的としたキャンプであるとお聞きしております。 現在、県教育委員会では、デジタルダイエットキャンプと称した取り組みは実施しておりませんが、県立青少年教育施設では、親子の触れ合いや自然体験を目的とした事業を実施しています。その中で、日帰りやテント宿泊による野外炊飯や川遊びなど、さまざまな体験活動を親子で実施し、活動中はおのずとデジタル機器の使用は控えるようになっており、自然体験や親子で活動することの楽しさを実感させる取り組みを進めております。 今後も、親子の触れ合う時間をふやせるような体験プログラムや、子供たちの興味を引く魅力的な体験プログラムを拡充し、ネットを介さずに人と人とが触れ合うことの大事さを体感できるよう、さまざまな体験活動を提供してまいります。 また、民間の方々で実施されているデジタルダイエットキャンプにつきましては、その効果やニーズなどについて情報収集も行い、その中で県による実施や民間の方々への支援などについても検討していきたいと考えております。 ◆32番(坂本茂雄君) ありがとうございました。 知事は多分そのような御答弁になるのかなあというふうに思いましたが、やはり県民の方が注視されておりますので、ぜひできるだけ早い時期に去就を明らかにされるほうがよろしかろうということで、お尋ねをしたところでした。実際は、それこそ来年度の予算編成に向けたさまざまな取り組み等があろうかと思いますし、私の場合でいえば、先ほど南海トラフ地震対策の加速化について意見を述べさせていただいたように、県民の方それぞれが関心のあるさまざまな県政課題があるわけで、その県政課題がどのように進められていくかによって、また知事に対するこれまでの3期12年間の評価にもつながってくるだろうというふうに思います。 そういったことも含めてただ一つ、先ほど知事みずからが言われました、やはり多選の弊害というのが確かにあるとすれば、そういったことが指摘されないように尽力されながら真摯に取り組まれていくというその決意を、また実践に移していただきたいというふうなことだけは、御要請をさせていただきたいと思います。 それで、障害者雇用の関係で総務部長にお伺いしたいと思うんですけれども、法定雇用率達成の目途の関係で、非常勤の障害者の皆さんに担っていただけるような業務の洗い出しということを言われていました。それで、その洗い出しをされたことで、実際公募がどれぐらいあるかというのは別にして、どれだけの職種、人数が洗い出せたのかというのがわかれば教えていただきたいというふうに思います。 それと、米軍機の墜落事故の関係ですが、空中給油については定期訓練の一つであり、それについては中止を求めるということにはならないと、必要性を感じているということなんですが、空中給油という訓練が定期訓練ではあるにしても、非常に危険性を伴うという訓練であるということは事実ではないのかなあというふうに思います。 ちょっと私も今すぐには、過去に空中給油訓練でどれだけの事故が発生したかとかというのは、にわかに数字は持っておりませんけれども、ぜひそういったことも調査をされた上で、その空中給油訓練が定期訓練として認めざるを得ないというようなことなのか、危険性を伴う訓練なのかというようなことをもう少し精査していただいて、さらには知事会の提言については、実現に向けて取り組んでいきたいという決意も先ほど述べていただいたと思うんです。ぜひそれの中でも盛り込んでいただけたらというふうに思いますが、知事にその辺のところ、もう少しお考えを聞かせていただけたらというふうに思います。 それと、事前復興の取り組みですけれども、事前復興で議論することの必要性は感じているということは、御回答いただけたというふうに思います。 これまで、命に直結する課題を優先してきたというふうなことですけれども、ただいわゆる復興計画があるか否かによって、じゃあその復興をなし遂げるために身近な人を失わないということが、我々は取り組みをする中で学んできたことです。復興計画を議論するということは、備え、命を守ることにも通ずるもんだというふうに感じておりますので、ぜひその、命を守る、命をつなぐ、そして生活を立ち上げる、これは本当に強く関連したものであるということで、今後さまざまな取り組みへの御支援をよろしくお願いしたいと思います。もしそういったことに関して御意見があればお聞かせいただきたいというふうに思います。 それと、危機管理部長にお尋ねしますが、スロープのない民間津波避難ビルへのスロープ設置の支援の仕組みについて、市町村が設置するものについては総合防災補助金でというふうなお話でした。それは、民間の津波避難ビルであっても、その必要性を認めて、例えばそれが大きなスロープでなくて、簡易な、場合によっては階段に取りつけれるようなものがあると、これならここの津波避難ビルには効果的やないかというふうに判断して、市町村がそれを設置しましょうというふうになったら、それは総合防災補助金で対応してもらっていいということなのかどうか、その点についてお聞かせください。 津波火災対策についての消火方法についてです。延焼する可能性が高い地域が明らかになったということなんですけれども、これは今の段階で公表できるのかどうかわかりませんが、そういったところに対する今後の対応についてより強めていただくということで、どういう支援策などがそういった地域に対して考えられるのか、お聞かせいただきたいと思います。 最後に、商工労働部長にお聞きいたします。国の法案の議論の段階でも明らかになったと思うんですけれども、余りにも実態が把握できていない中での法案審議だったと。だから、例えば34万5,000人という受け入れをしていく根拠が明確でない。高知県にしても、技能実習生等、今おいでる方の中で、この約1,400人が順次3年以上になっていく中で、1号に切りかえられていくんではないかというような推測でしかなくて、具体的にどの業種でどれだけの人が必要なのかというようなことなどについて、決して明らかになっていないということが、今の答弁でも私は明らかなのではないかなあと実は思いました。 それと、技能実習生の違法な雇用の状態についても先ほど御報告があったとおりですし、さらには国のほうで問題になりました、技能実習生の失踪した方に関する聴取票、これは今インターネットに出ていますんで見てみますと、本当に大変な実態です。もう時間給が300円を切るというのは幾つもありますね。労働時間が週90時間とか、そんなのがあります。そういうことを含めて、ぜひ実態をとにかく把握して改善をしていただくということをお願いしておきたいと思います。 以上で終わります。 ◎知事(尾崎正直君) まず、多選の弊害について、おっしゃるとおりだと思いますので、肝に銘じていきたいと、そのように思います。 私も長いこと、23歳のときから公務員組織におりますんで、公務員組織において上司というのはどういう存在で、その上司の動きによって部下がどう右往左往するかということは、ずうっと経験もしてまいりました。若い部下としてさまざまに経験もしてきましたし、つらい思いもたくさんしてきました。厳しい仕事を乗り越えていかなければなりませんけれども、他方で私の動きによってどういうことになるか、想像も及んでないところもありますでしょうが、少しは想像できるつもりであります。ぜひ多選の弊害ということ、今後もこれをしっかりと旨として仕事をさせていただきたいと、そのように考える次第でございます。 米軍機の空中給油についてでありますけれども、空中給油を行っていかなければ一定継戦能力を確保できない、これは当たり前のことだと。そういう意味において、空中給油訓練をするということは、ある意味当たり前のことなのではないかと、私は思っていますが、ただ今回の事故の態様によっては、場合によっては極めてアクロバティックな訓練をしていたのかもしれませんし、どういうことなのか、そこはやはり原因も見きわめさせていただいて、必要とあらば、追加的な対応もさせていただかなければならないのかなと、そのように考えております。 事前復興についての御議論については、議員のおっしゃることに私も賛成であります。ある意味、発災直後の対策を考えていく状況から、だんだん応急期の対策など考えていくにつけ、復興時点においてどうするかということを視野に入れて対策を講じていくということが極めて大事だと、そういうふうに思っています。 先ほどの御答弁でも申し上げましたが、今市町村ごとに応急期の機能配置計画というのをつくっています。これは、応急期において応急救助機関はどこにしてもらうかとか、例えば仮設住宅はどこに置くかとか、そういうことなどについて、応急期における町の機能をどう配置していくかということを考えるものでありますが、これはすなわち後の復興後のまちづくりにも直結していくものだろうと、そういうふうに考えているところです。 今後、この応急期の機能配置計画、全ての市町村でおおむね策定は終わっていますけれども、これをベースとしていきながら、復興後のまちづくりはどうしていくかということの議論につなげていきたいと、そういうふうに思っています。そういう意味では、先ほど申し上げたように、復興期の議論と応急期の機能配置計画の議論を接続させるということを申し上げたということであります。 そして、そういうグランドデザインができているからこそ、例えば新築の建物はどんどんそっちのほうに移っていきますという形で、あらかじめ事前の防災につながるまちづくりがされて、多くの人の命が守られるということになるんだろうというふうに考えています。 3期計画からその点意識し始めていましたけれども、4期計画、その点についてより突っ込んで対策を講じていきたいと、そういうふうに考える次第です。 ◎総務部長(君塚明宏君) 非常勤に担っていただきたい業務の洗い出しの状況でございます。一定程度出てまいりましたけれども、今その中身につきましては分類分けですとか、重複の調整をやっておりまして、今現在ですと、まだ何人役になるかというところまでの数字は精査できていないところでございます。これを精査して必要な人数を募集していくということを考えております。 以上です。 ◎危機管理部長(酒井浩一君) まず、スロープの設置でございますが、今の制度上でも市町村が避難ビルを指定し、そこへ整備するというのはできますけれど、先ほど答弁させていただきましたように、私が見たスロープは非常に急ですので、実際にそれを使って運用ができるか、そういう実効性がない限りは補助は出せませんし、決してスロープだけが方法ではなくて、車椅子を簡易に担ぐような方法も今検討されておりますので、そういった、車椅子の方がどうやって安全に避難をするかというのは、まだまだ研究の段階だとは思っております。 次に、消火方法についてでございますが、実際に消火するのは、消防という専門の機関になります。住民の皆さんが一番不安に思っていらっしゃるのは、一体初期消火とか延焼防止はどういうふうになるんだろうかだと思っておりますので、どういうふうに消火するというのは、具体化しましたら、それ自体を住民の皆様にきっちりとお知らせすることが一番だと思っております。 ◎商工労働部長(近藤雅宏君) 要請ということでございましたけれども、外国人技能実習生並びに今般の法改正に伴う新しい在留資格の件につきまして、まだ実態も含めてわかっていないことが多くあったのは事実だろうと思います。そういう意味で、今後受け入れの上限を決める省令でありますとか、共生のための総合的対策でありますとか、こういったものをしっかり国のほうから示していただくということは、まず重要だろうと思っています。その上で県ができることは、関係機関と連携してしっかり取り組んでいきたいと考えています。 そして、技能実習生の件につきましても、今の実態、御報告したとおりですけれども、これについて関係機関と連携してやっていくことはもちろん、今後新しい在留資格に移る方については、今のところ新しい制度の概要がわからないこともあって、明確につかむことはできていませんけれども、一定ニーズがあることは把握しておりますので、出てくると思います。そういったことについても、しっかり関係機関と連携して、できることは対応していきたいと考えております。 ○副議長(坂本孝幸君) 暫時休憩いたします。   午後2時52分休憩-----------------------------------   午後3時10分再開 ○議長(土森正典君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 34番中根佐知さん。   (34番中根佐知君登壇) ◆34番(中根佐知君) 私は日本共産党を代表して、以下質問をいたします。 まず最初に、米軍機の墜落事故について知事にお伺いをいたします。 12月6日午前1時42分ごろ、夜間訓練中の米軍岩国基地所属の米軍機FA18D戦闘攻撃機とKC130J空中給油機の2機が、本県室戸岬沖南南東99キロの上空で接触し墜落、そして当日夕刻には双方の乗組員7名のうち2名は、海上自衛隊によって救助されたと報道されました。この11月に那覇市沖で、同基地所属のFA18戦闘攻撃機の墜落事故があったばかりです。事故原因が明らかになっていないまま、飛行を容認した日本政府の責任は重大と言えます。 岩国基地は、米本土から展開する飛行隊のFA18の10から12機に加え、常駐飛行隊としてFA18、13機を擁し、昨年からはF35Bステルス戦闘機16機を新たに常駐配備し、ことし4月にはFA18を含む米海軍の空母艦載機60機を厚木基地から受け入れるなどし、今や合計120機、米軍人等9,000名を超す、アジア最大の戦闘攻撃機の拠点として増強、強化された一大基地となっています。6月のF15、9月のF35B、11月のFA18、そして今回と、ことしになって墜落事故が立て続けに起こっている背景には、この岩国基地増強による危険な訓練の激化があることは間違いありません。 本県での墜落事故は、2年前、今回と1日違いの12月7日、同型のFA18戦闘攻撃機1機が墜落したばかり。1994年、早明浦ダム湖への墜落を初め、1999年の土佐湾沖わずか17キロメートルへの墜落などと合わせ、4回ものたび重なる山と海での墜落に、県民の不安と怒りは大きいものがあります。 室戸岬沖99キロというのは、飛行時間にすればわずかであり、一歩間違えば陸上での事故にもなりかねません。しかも、その時間帯は、日米が合意している滑走路の運用時間午前6時半から午後11時以外の、深夜の時間帯であったと考えられます。また、墜落した地点は、国土交通省航空局への申請、承認の手続が必要で、使用状況を把握することが可能になる新たな臨時留保空域近辺であるとも思われます。 これら事故に関する連絡、報告は、県民の命を守る任にある当該県に速やかにあってしかるべきです。岩国市への中四国防衛局からの第1報が入ったのは、報道によると発生から5時間たった午前6時半ごろで、墜落ではなく着水との連絡だったとなっています。 そこで、知事に、本県への連絡はいつどのような内容でなされたのか、滑走路使用時間、墜落した空・海域、申請承認の有無、訓練内容など含めてお聞きをいたします。 原因が究明されるまで、滑走路の運用時間外使用の不承認、使用停止や、墜落同型機の飛行停止を日米両政府に求めると同時に、墜落海域の環境汚染、漁業への影響など情報提供を求めるべきだと考えますが、県としてどのような要請と対応をしたのか、事故発生後から救助、その後の原因究明、再発防止への日米両政府への対応を含めお聞きいたします。 2016年9月議会で私どもは、艦載機移転による、深夜、土佐湾沖の空母と基地との間を頻繁に往復する着艦資格取得訓練が展開される危険性を指摘、訓練空域拡大と訓練の中止の意思を示すべきと知事に求めています。また、12月議会では、政府の訓練容認姿勢を厳しくただし、地位協定の見直しを求め、本年9月議会でも、全国知事会の地位協定見直しを支持し、その実行に向けた意見書議案を提出もしてきたところです。今回の事故で我々県民は、米軍機がいつ住家に墜落してきてもおかしくない危険性を痛感しています。 リマ海域を含む土佐湾沖の訓練空域撤去と、当面、原因が確認されるまでオレンジルートと土佐湾沖での訓練の中止、そして日米地位協定に飛行運用に関する制限措置を求める条項の新設など、全国知事会の提言の実行を国に強く求めるべきだと考えるものですが、お聞きをいたします。 次に、消費税について知事にお聞きいたします。 消費税は、1988年に導入の決定が強行され、1989年4月に税率3%で開始されて以来、低所得者ほど負担が重い逆進性が高い税制として、税率が高まるごとにその負担により消費を冷え込ませ、経済成長を阻害してきました。社会保障のためと言いながら、医療、介護、年金などは改悪の連続であり、大企業減税のために使われてきたのが消費税の真の姿です。 安倍政権の内閣参与を務める藤井聡京大教授は、消費税10%に反対を唱え、デフレ状況にある現在の我が国において消費増税を行うことは、国民を貧困化させ、日本を貧国化させ、そしてあげくに日本の財政基盤そのものを破壊すると、強い警告を発しています。 日本の経済のメーンエンジンである、GDPの6割を占める家計消費を冷え込ませ、その結果税の自然増収を見込めなくなること、この間消費税が大企業や富裕層の減税のために使われ、消費税収の8割は法人税減税、減収の穴埋めに使われて、税源として役に立っていないことを挙げ、消費増税は確実に庶民の間の格差や不平等を拡大させたと指摘をしています。 日本経済の6割を占める家計消費が低迷するもとでの消費税増税は、暮らしと経済を破壊するものと考えないのか、知事にお聞きをいたします。 藤井氏は、増税する対象は消費税ではなく、税率が下げられてきた法人税を上げるべきだと強調しています。 経済のメーンエンジンである家計消費を冷やす消費税増税ではなく、格差解消の税制改革で経済を活性化させることが、結果として税収も増収させるとして、法人税増税のほかにも、所得税の高額所得者ほど減税の流れの見直しや、金融所得の税率引き上げなども提案をしています。 応能負担の原則に基づいて、富を蓄積させている大企業、富裕層に応分の負担を求めることが、財政にとっても、経済成長にとっても、今求められていると思いますが、お聞きをいたします。 安倍政権は10%増税の際、食料品などの税率を据え置く複数税率導入やカード利用でポイント還元を行うとしていますが、機器の更新の負担増とともに、制度が複雑で混乱が拡大しています。 その中で、インボイス制度の導入は、年商1,000万円以下の免税業者となっている中小零細業者の多くが廃業に追い込まれるのではないかとの危倶が広がっています。この構造は農家も同じです。 消費税は、販売価格に上乗せした税額から仕入れにかかった税額を差し引いて業者が納税する仕組みです。インボイスとは、税務署が課税業者に付与した識別番号を記載した適格請求書のことを指します。仕入れの際、インボイスに書かれている消費税額は仕入れ控除できますが、識別番号を付与されていない免税業者から仕入れた場合には、消費税額が控除できずに、仕入れた側が負担させられることとなります。そのため、取引から排除されるおそれがあり、それを避けるためには、消費税分をかぶって実質値下げをするか、課税業者となって身銭を切って納税するかという悪魔の選択を強いられることになります。導入までの猶予期間があっても、この本質は変わりません。 中小零細業者、農業者の多い高知県では、大きな影響が危惧されます。この点でも、消費税増税は導入すべきではないと思いますが、知事にお聞きいたします。 また、医療機関の消費税負担については、窓口負担のもととなる診療報酬は非課税ですが、医療材料や薬剤には消費税がかかっていることから、医療機関に負担が強いられていると、当初から問題となってきました。政府は、その分は診療報酬のアップでカバーしていると主張してきましたが、7月25日厚労省は、中央社会保険医療協議会の、医療機関等の消費税負担に関する分科会で、消費税率8%への引き上げに伴う補填状況に関して、これまでの調査結果に誤りがあったとして、再調査した結果を公表しています。それによれば、医療界全体の補填率は、2014年度が102.07%から90.6%、2016年度も92.5%と、大幅に不足していたことが示されました。病院も補填率は100%を超えていたものが2014年度は82.9%、2016年度は85.0%となっており、高度医療を担う特定機能病院は約6割にとどまっています。県下では、地域を支えるために医療機関が必死の努力を行っていますが、政府がこうした補填不足を4年間も放置したことは、到底許されるものではありません。 医療センターや県立病院は、国の試算に当てはめると、補填が不十分と想定されます。補填が適切に行われるよう国に要望すべきだと考えますが、お聞きをいたします。 日本共産党は、仕入れにかかった消費税は還付されるよう、医療費ゼロ税率の導入を提案しています。 消費増税による医療機関のコスト増を診療報酬で補填するという政府の方針は、結局消費増税分を窓口負担、保険料負担として国民に転嫁していることになり、医療は非課税の原則に反します。見直すべきだと思いますが、お聞きをいたします。 次に、外国人技能実習生、外国人労働について知事にお聞きいたします。 日本で働く外国人の受け入れを拡大するための出入国管理法改定案は、外国人を無権利状態で働かせる実態が今でも大問題になっているのに、法案は、現状にメスを入れるどころか、それを温存し、外国人労働者の使い捨てを深刻化させる重大な内容です。しかも、対象業種や受け入れ規模を初め重要項目を条文に明記せず、質疑に必要な重要データを出し渋り続けるなど、審議の前提は欠いたまま。来年4月施行ありきで、12月8日未明に強行採決をしたことに強く抗議するものです。 入管法改定案は、新たな在留資格として特定技能を設けることなどが柱です。特定技能1号は、在留期間を最長通算5年とし、家族の同行は認めません。熟練した技能が要件の特定技能2号は、長期滞在可能で、家族帯同も認めるとしていますが、定義や運用は不明確です。1号の対象について政府は、農業、建設など14業種を検討しているとしますが、法案には書き込まれてはいません。職場や住居の選択の自由、安定した雇用や賃金の確保、悪質なブローカーの介在排除など、人権と人間としての尊厳を守れるかどうかの保証は全くありません。 何より問題なのは、国際社会から大きな問題があると批判を浴びている現在の外国人技能実習制度の見直しに手をつけようとしていないことです。同制度は、日本で習得した技能を母国に持ち帰ることが建前ですが、外国人労働者を安価な労働力として利用しているのが実態です。 苛酷な処遇に耐え切れず失踪した実習生は、政府の調査でも昨年で7,089人に上り、ことし上半期でも既に4,279人になるなど激増しています。残業代の時給300円、1日16時間労働を強いられた、いじめやパワハラに遭った、飛びおり自殺も図ったという悲痛な証言は後を絶ちません。来日の際に背負った多額の借金に縛られた上、実習先の雇用主に逆らえない構造などから、非人間的な扱いをされても声を上げられない人たちは、さらに多く存在すると指摘をされています。 法務省は昨年、失踪した実習生2,892人から動機などの聞き取りを行っており、政府側は当初、実習生の失踪理由の約87%はより高い賃金を求めてなどと説明をしていましたが、実際はそのような選択肢はなく、それに当たるのは低賃金、契約賃金以下、最低賃金以下というもので、合計は67.2%でした。さらに、訂正後資料では、指導が厳しい、暴力を受けたとの割合も増加しました。人権侵害行為などは少数存在としていた政府の説明とも大きく食い違っています。 改定案は、現在の技能実習制度を温存し、多くの実習生を新たな在留資格に移すことが想定されています。国会で審議をすればするほど、問題点は浮かび上がってきています。2015年からの3年間に69人もの技能実習生が死亡した事実解明もしっかりされていない状況です。実習生の苛酷な実態をごまかそうとする政府の姿勢は、外国人労働者の人権をないがしろにし、安上がりな労働力、雇用の調整弁としか見ていないことを示すものです。 国際的にも問題が指摘されている技能実習生の実態をどう認識しているのか、お聞きいたします。 政府が外国人労働者受け入れ拡大へ踏み出す契機になったのは、2016年に経団連がまとめた受け入れ促進の提言です。財界に号令をかけられ、悪法強行に突き進むやり方は、余りに異常です。低賃金と劣悪な労働環境を正さず、とにかく外国人に頼るというやり方自体が問われます。 外国人労働者の当然の権利を守ることは、日本人の労働者の権利と労働条件を守ることにもつながります。現状の抜本的な是正を抜きにした受け入れ拡大ありきのやり方は、日本の未来に禍根を残します。どう認識をされているのか、お伺いをいたします。 農業の現場などでも、県下でも多くの技能実習生が活躍をしています。国際貢献にふさわしい対応で、高知に来てよかったと思ってもらうことが大事だと思います。 医療や日常生活のサポート、困り事を気軽に相談できる体制の確立、また地域との国際交流の機会の設定など、行政としても国際交流につながる支援を行うべきだと思いますが、商工労働部長にこの点お聞きいたします。 次に、漁業の成長産業化について水産振興部長にお伺いいたします。 政府が提出をした漁業法改定・水産改革法案は、漁業のあり方やルールを定めた漁業法を70年ぶりに抜本的に改正するものですが、農協改革と同様、漁民の共同を基本に営まれてきた沿岸漁業と水産資源管理などを--漁業の成長産業化を口実に、大企業の目先の利益のために、沿岸漁業の衰退や資源と環境保全の荒廃をもたらす、百害あって一利なしの大改悪となりました。 そもそも、この法案の枠組みをつくった規制改革推進会議の水産ワーキンググループは、漁業の専門家、漁業者はたった一人しかいない、その報告は結論ありきの極めてずさんな代物です。 改革法案の主な内容は、漁獲量による資源管理の導入、船のトン数規制の撤廃、漁業権のルールの根本的な変更などです。 資源管理では、現在8魚種に限られている漁獲可能量制度、TACの対象を大幅にふやすとしています。しかし、漁獲量と資源量との関係が証明されているものは極めて少なく、実施するには調査など、膨大な体制と予算が必要なことから、魚種が限定されてきた経過があります。対象の大幅増は現場を知らない暴論です。 また、TAC管理の手法の一つである個別割り当て方式は、北欧を中心に発展したものです。当地の漁は、回遊性のない底魚が中心であり、しかも日本のような漁協を軸とした共同管理が存在しないという事情から、船ごとの個別管理に至ったものです。多種多様な魚種と漁法があり、禁漁期間や禁漁水域の設定など、共同管理で実施してきている日本とは事情が全く違います。 そうした違いを無視して導入する意図は、クロマグロの漁獲量枠の設定の事例が端的に示しています。漁業者の声を聞くことなく、政府が一方的に設定した枠は、日本海に産卵のために集まる親魚や生育途上の個体を一網打尽にする大型船のまき網漁を優遇し、資源保護に留意して大型の魚のみを対象とする沿岸漁業者に対しては、一回の漁で枠が埋まってしまうなど生活できない漁獲枠しか与えず、大問題となりました。大きな運動で一定是正されたものの、大型養殖場の設置の障害となる沿岸漁業者、中小漁業者を、資源保護を名目とした漁獲割り当てをもって排除するものだと、強い批判がされています。遠洋・沖合漁業では漁船のトン数規制をなくし、大型化を進めることも盛り込んでいますが、中小零細漁業者を締め出すという一連の流れに沿った規制緩和となっています。 資源管理は重要ですが、当事者の意見も聞かず、生活を脅かすような一方的な漁獲量割り当て、科学的根拠のない割り当てはすべきでないと思いますが、お聞きをいたします。 養殖漁業では、都道府県知事が漁協に一括して与えてきた漁業権を、漁協を通さずに地域外の企業などに個別に与える方式に変更します。しかし、現状でも企業は、漁協の組合員となり共同管理を担う一員として参加をしています。それを改悪し、企業への個別の漁業権を付与する目的は、良好な漁場をひとり占めにしたい、共同管理に責任を負いたくない、漁業権行使料は払いたくないという企業の手前勝手な発想に基づくものです。 水産改革方針は、漁業のポテンシャルが発揮されていないという前提に立っていますが、そもそも養殖に適した静穏な水面は限られ、既に飽和状態にあります。そのため、持続的養殖生産確保法に基づく漁場改善、適正養殖体制の実現が取り組まれており、水産庁はさらに生産数量ガイドラインによって、供給過多による暴落防止をとっています。水産改革ワーキンググループの議論では、ノルウェーのサーモン養殖の成功を典型例として取り上げていますが、養殖に適した静穏な水面を持つ海岸線が非常に長いなどの地理的条件を無視したものです。 失敗から学ぶことは大事です。世界最大のサーモン養殖業者、マリンハーベストが2003年に大分県にハマチ養殖で進出をしましたが、国外販売、加工工場建設の約束は一切果たされず、5年連続の赤字で撤退した事例があります。宮城県水産特区も、ルールを無視した出荷で地元ブランドを毀損した上、多額の税金を投入させながら、3年目からは赤字の連続という惨状です。 大分県の失敗事例、宮城県の水産特区の失敗についてどう認識しているのか、水産振興部長にお聞きいたします。 日本のような多種多様な魚種と漁法がとられている水産業の実態に見合った、資源と環境保全の管理方法は、世界的にも高く評価されている共同管理方式です。既にこの中で企業も共生しています。この仕組みの中で課題を解決しながら、ともに繁栄していく道こそ強化すべきではありませんか。 共同管理方式は国際的に高く評価されていると思うがどうか、またここに風穴をあけ、浜と沿岸漁業の崩壊をもたらす漁業権ルールの変更は行うべきではないと思うが、お聞きをいたします。 次に、特別支援学校の過密解消と増設について教育長にお聞きをいたします。 9月県議会で吉良県議が取り上げ、現在の山田養護学校のすさまじい過密の現状が報告されました。約10年前の2008年2月県議会でも私の質問の中で、全国特殊学校長会によるアンケート調査で、効果的に運営できる学校規模として、生徒数は71から90名と挙げられていることを紹介し、当時132名の山田養護学校、115名の日高養護学校の過大規模を解消するために、新たな学校の新設を求めました。当時の大崎教育長は、「県の中央部にあります、知的障害の特別支援学校の児童生徒数が増加傾向にあることにつきましては、これまで既存の施設の増改築や特別教室を普通教室に転用することで対応をしてきましたが、こうした対応では限界があると考えており、私たちも大きな危機感を持っています」と答弁され、加えて「一方で、児童生徒の絶対数は減少をしています。こうしたことから、今後の児童生徒数の推移予測が極めて難しいことに加えまして、財政状況が厳しいために、直ちに特別支援学校の新設という解決策がとれる状況には至っておりません」とした上で、「できる限り早い時期に解消していきたい」と述べられました。 その後、日高養護学校の高知みかづき分校、山田養護学校の田野分校が増設されましたが、2018年5月時点で、山田養護学校は37学級、189名、日高養護学校は22学級、102名、高知市立高知特別支援学校は33学級、142人と、過大規模の解消にはほど遠い状況です。職員が一堂に会して意見交換する職員室の机も、一部には3人がけの事務机を使用しています。教室も足りず、子供も大変ですが、先生もすさまじい環境の中で教育に取り組んでいます。 教育長は山田養護学校を訪問されています。さまざまな気づきがあったことと思いますが、率直にいかがだったのか、お伺いをいたします。 先日、10月末に日本共産党高知県代表団は文部科学省を訪問し、特別支援学校の課題、過密解消のためにも、学校の設置基準の必要性や教職員不足解消などについて要望しました。文科省は、設置基準は一人一人の状況が違うことから柔軟に対応できるようにしていると述べた後で、高知県は教職員定数を満たしておらず、まずは県が教職員定数を満たす努力を求めているとの指摘を受けました。 教職員数は標準定数も満たしていないとはどういうことなのか、足りない数はどのくらいなのか、お聞きをいたします。 特別支援教育への研修や学習を積み重ねる先生方の教育環境をさらに整えながら、定数確保の努力も避けて通れない課題です。最も支援が必要な子供たちのもとに、本来配置すべき人数が配置できていないのは大問題です。思い切った対策を講じるべきだと考えますが、教育長に伺います。 この10年を検証、分析し、今の実態解決のために教育委員会が学校新設に今や踏み切るべきときだと考えますが、教育長にお伺いいたします。 次に、教員の増員について教育長にお聞きします。 まず、教室に先生がいないという教員未配置問題についてです。この問題は、6月議会でも米田議員が取り上げました。その際、教育長は、4月当初定員籍で配置されるべき教員が、小学校で17校、17人の未配置となったが、6月27日時点で全ての小中学校において配置ができたと答弁されています。しかし、その後も未配置校数はふえ続けています。11月1日現在、1カ月以上先生がいないという未配置校は、小学校21校、23件、中学校6校、6件、高校6校、7件、特別支援学校6校、6件と、昨年よりふえる極めて深刻な状況となっています。 まずは、今年度のような年度当初からの未配置を生まない手だての一つとして、早くから臨時教員として任用することを本人に知らせ、他県や他職への流出を防ぐことが大切ではないでしょうか。そのためには、3月末の人事異動以降に行っていた臨時教員の着任内定時期を早めなくてはなりません。他県の例では、12月や1月に来年度の着任内定を通知し、着任校も示していますから、他県にも申請している臨時教員は、先に職が決まった他県に行く例も出ています。 本県でも、着任内定時期を早くするなどし、臨時教員を確実に確保する取り組みを行うべきと考えますが、どうでしょうか。 次に、採用審査の改善です。審査日を日本一早くしたから受審者が大幅にふえたと言っていますが、事実は違います。小学校の場合、採用予定110名に応募数794、1次合格者は492名。ところが、2次審査では、そのうち323名、何と66%が辞退をし、臨んだ者はわずか169名、そのうちの不合格者はわずか26名で、そのうちの7名を繰り上げて名簿登載しているので、19名しか不合格になっていません。66%もの辞退者を生んだ背景は、1次審査が腕試しとして利用されているからです。本県で教員として採用されることを希望し、4月から着任し、身を粉にして子供たちを熱心に指導している臨時教員は、決して辞退などしないでしょう。全く本県で教育に当たる意志などない323名の1次合格者の枠は、この本県臨時教員の2次への道を閉ざしたとも言えます。 さらに、大量増となった受審者数をこなすために、1次に面接がなくなり、実績のある臨時教員を評価する機会を消滅させたことも、やる気のある有能な臨時教員を現場から去らせる要因となっています。 この10年間の小学校採用者に占める臨時教員率の推移をお聞きいたします。 また、教育長は、採用選考審査時期から生じる課題と、臨時教員の教育実践を正当に評価し審査に反映させる課題とにどう向き合い改善なさるお考えがあるのか、お聞きをいたします。 次に、産休、育休の代替教員確保についてお聞きをいたします。産休、育休の代替教員が配置されていない小学校が高知市で3校、11月26日現在、朝倉第二小学校、初月小学校、鴨田小学校と発生しています。 女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律の第3条で、公立の学校に勤務する女子教職員が出産することとなる場合においては、任命権者は、産前の休業を始める日から起算して14週間を経過する日までの期間、教職員を臨時的に任用するものとすると規定。女性が安心して妊娠・出産し、職員も子供たちも保護者も、新たな命の誕生を喜び合うお手本であるべき教育現場が、妊娠してしまい申しわけないというような思いをさせる現場であっていいのでしょうか。 現在、県下の学校で、産休法、育休法にのっとって配置すべき教員が未配置となっている学校数と件数を学校種別にお示しください。 団塊世代の大量退職や阪神・淡路大震災以降の採用抑制の反動などで、教職員の急速な若返りが進み、育児休業取得者がこの10年で3倍になった神戸市では、育休取得者増加に対応するため、本年度の4月の教職員採用から、代替教員を育休期間3年間の任期付職員として100名採用し、来年度は180名を採用するとしています。本年度要項によると、この任期付教員は、任期が決められていること以外、原則として正規教員と同様の扱いとなっており、育休前の産前産後休暇を取得する教員の代替などとして配置される場合もあるとしています。 今後、本県でも増加する産前産後休暇・育休取得者への対応を図るためにも、この神戸市教委の取り組みを研究し、子供たちの教育に穴があくことがないようにすべきだと考えますが、教育長にお聞きをいたします。 次に、学童保育について知事にお聞きいたします。 学童保育は、働く親にかわって、小学生の放課後や長期休暇などを安心・安全に過ごす生活の場です。高まるニーズの中で急増し、高知県でも、高知市の92クラブとその他の市町村の81クラブで173クラブへと増加してきました。2015年からは、それまでの1年生から3年生の入所対象者枠を4年から6年生まで広げ、年齢や家庭環境の異なる子供たちが集団で過ごすのが学童保育の特徴です。どの子にとっても安心できる生活の場を保障していくことが指導員の大切な役目であり、学童保育があるからこそ保護者も安心して働くことができます。 指導員には固有の専門性が求められ、ただ子供と遊んでいればいい、けがのないように見ていればいいというものではありません。 長年の運動の結果、2014年、厚生労働省は省令第63号で初めて市町村責任を明記し、市町村の条例のもとで、指導員の専門性、支援の単位、クラスごとに複数を配置し、そのうちの一人は放課後児童支援員の資格を持つ指導員とすることが、従うべき基準とされました。やっと明記された国基準であり、全ての学童保育に通じて今後さらに積み上げていくべき最低の基準です。 先日、知事は内閣府の地方分権改革有識者会議、提案募集検討専門部会に出席し、従うべき基準の見直しについて提案され、職員確保に苦しむ地方からの提案として、従うべき基準を拘束力のない参酌すべき基準に変更しても、安全性と質の確保は十分だと発言されています。今後、市区町村が条例改定を行って、職員数などを自由に決めるとなると、放課後児童支援員の現行資格のない職員が1人で学童保育を担うことも可能となります。安全の確保について、児童クラブの求めに応じて、学校や教育委員会の複数の目があり教員などが駆けつけることができるとしていますが、現場にそれほどの余裕がないのは御存じのとおりです。規制緩和で子供たちの命と安全と安心が守れないと心配する声が、関係者から沸き起こっています。関係者が求めているのは、子供の安全を確保できる学童保育のあり方です。 安全・安心の学童保育を継続、実施していくために、高知県として今後どのような支援をしていくのか、知事にお伺いいたします。 次に、戦争遺跡の保存と活用について伺います。 県議会総務常任委員会は、本年度の県外調査で、沖縄県八重瀬町にある戦没者慰霊碑土佐之塔、また沖縄県平和祈念資料館を視察しています。 土佐之塔は、沖縄戦で亡くなった高知県の方々832人を含め--毎年追悼行事が行われ、日ごろは地元の方々が清掃など管理をしてくださり、姉妹都市となっている香南市の子供たちとの交流も続いています。 戦争体験を次世代に引き継いでいくことが、戦後73年たった今、今を生きる私たちの世代の歴史的使命でもあります。県としてもそうした観点から、ことし開かれた戦没者追悼式において、大川中学校の皆さんの献花や作文朗読など、伝え引き継ぐ努力をされています。人から物へ戦争の語り部が移り行く中、県内各地でも戦争遺跡の掘り起こし、保存、活用の活動が広がっています。 まず、教育長に、次の世代に本県における戦争の歴史や体験を引き継ぎ伝えることの重要性をどのように考えておられるのか、御所見を伺います。 2017年9月議会で、教育委員会として県内戦争遺跡の悉皆調査に取り組まれる、また2018年2月議会で、戦争遺跡を文化財として明確に位置づけるための文化財指定基準の見直しの検討を行うとの答弁をいただいていました。その後、どのような取り組み状況になっているのか、教育長に伺います。 12月2日、高知大学で、旧陸軍歩兵第44連隊弾薬庫等の保存と活用を考えるシンポジウムが開催されました。その中で、高知大学人文社会科学部の小幡尚教授が、この間新たに確認された資料をもとに、旧歩兵第44連隊と高知と題した報告をされました。その資料は、1943年に安芸郡安田町と合併した旧中山村の役場資料で、日露戦争期を中心に、同村出身の兵士たちに関するさまざまな文章、徴兵、出征の見送り、安否確認、遺骨の帰還・引き渡しなどに関する多数の文章がつづられているものを紹介されました。それらの中には、遺骨または遺髪が朝倉連隊に到着したという通知や、応召軍人見送りの件として歩兵第44連隊から出発する日時を記し、見送りに集合するよう通知する文章、また朝倉の兵営にあった朝倉忠魂社に戦死者を合祀することを通知する文章などが確認されています。 小幡教授は、朝倉兵営は高知県民の生と死が交錯した場所と述べられました。 ことし1月25日、高知県文化財保護審議会は、この跡地と弾薬庫、講堂について、建物は県指定か国登録文化財に値する、跡地も平和学習等の教材、学びの場として意義があると答申。この間、県としても、文化財保護を前提にさまざまな選択肢を検討すると、四国財務局高知財務事務所に売却手続の再延期を求めてきました。その期日は来年の2月28日と目前に迫りました。 そこで、教育長に、これまでどのような部署でどのような関係者と、保存と活用について協議をされてきたのか、具体的にお示しいただきたいと思います。 高知市においては、都市計画の見直しによる都市公園区域指定を外す代替地として、この44連隊跡地を都市公園用地として取得してほしいという要望も寄せられています。 用地取得費は約4億円とされ、高知市は購入を断念した経緯がありますが、高知県文化財保護審議会の答申を真摯に受けとめ、奇跡的に残った貴重な戦争遺跡を後世に残し伝えていくために、知事に対応を急いで行っていただきたいと考えますが、御所見を伺います。 最後に、物部川の防災対策について土木部長にお伺いいたします。 ことし7月の豪雨によって、総降水量が多いところで1,600ミリを超えて、平均で約1,200ミリを観測いたしました。香南市の深渕水位観測所において、無堤の氾濫危険水位4.25メートルを超え氾濫、そして最高水位4.52メートルまで達して、有堤の氾濫危険水位4.55メートルまであとわずか3センチ、あわや大惨事という事態になっていました。さまざまなリスクが高まっていた、もし決壊した場合は、浸水面積3,144ヘクタール、被害額約300億円に及ぶ浸水が発生する可能性があったと述べられています。 最近頻発する異常気象を想定したときに、最悪の事態に至っていた可能性も認識することが必要です。今回の7月豪雨などを踏まえて、ソフト対策の促進、強化とともに、河床掘削など流下能力向上など、洪水氾濫を未然に防ぐ対策が急がれますが、物部川の防災対策の重要性や今後の対策についてお伺いをいたします。 また、さまざまな点がありますが、永瀬ダムの機能なども含め、国交省、農水省、流域自治体、県、住民などの協力・連携を今後どのように強めていくのか、お伺いをいたします。 また、永瀬ダムについてですが、堆砂量は発電開始から50年で100年間計画の115%に達しています。現在、ダム上流においてダム湖に流入する土砂を抑制する、いわゆる貯砂ダムの整備を進め、これ以上土砂の堆積が進まないような事業を実施しているところだと聞いています。 永瀬ダムの南側に、日本最大級の仏像構造線が走っていることも心配の一つです。南海トラフ地震による影響を早急に調査し、科学的検証に基づく見解を示すことを求めて、第1問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 中根議員の御質問にお答えをいたします。 まず、米軍機墜落について、本県への連絡はいつどのような内容でなされたのかとのお尋ねがありました。 今回の墜落事故につきましては、第1報として、発生当日の午前6時55分ごろに中国四国防衛局高松防衛事務所から危機管理部に電話で、午前1時48分ごろに四国沖で米軍のFA18とKC130が空中接触し、2機とも着水したとの連絡があり、その直前の6時52分には同様の内容でメールも受信しております。 その後、同局からの第2報として、9時43分にメールで、室戸岬の南南東約55マイル付近の海上において、午前1時42分ごろ2機とも墜落したこと、海上等における被害情報は現時点でないこと、乗員7名のうち1名は海上自衛隊のSH60Jにより救助され、容体は安定していること、米軍と協力して自衛隊が残る乗員を捜索中であることの情報提供を受けております。 この後も、中国四国防衛局長が海兵隊岩国航空基地司令官に対し、事故当日の正午過ぎに文書で申し入れを行ったことや、捜索救助活動は継続されており、2名が発見され、1名については死亡が確認されたこと、両航空機は定期訓練を実施しており、空中給油はその一環であること、事故が起きた際に何が行われていたのかは調査中であること、米海軍安全センターのホームページに事故の情報が公表されているといった情報が、メールで提供されました。 国に対しては、既に事故に関する速やかな情報提供を求めているところですが、今後とも中国四国防衛局と連携してまいりたいと考えております。 次に、事故発生後から救助、その後の原因究明及び再発防止への日米両政府の対応を含め、どのような要請と対応をしたのかとのお尋ねがありました。 今回の墜落事故後からの本県の対応につきましては、中国四国防衛局からの第1報を受けた後、直ちに高知県の漁業協同組合連合会及び無線漁業協同組合へ連絡をし、操業中の漁船への被害がないことを確認いたしました。 その後、事故情報に関しては、中国四国防衛局から累次の情報提供をいただきましたが、本県からも、同局や自衛隊に加えて、高知海上保安部からの収集にも努めたところであります。 一方、救助に関しましては、事故当日、海上自衛隊により乗員2名が救出されましたが、本県の消防防災航空隊への出動要請はございませんでした。 また、事故時の訓練の内容については、海兵隊司令部は定期訓練を行っていたと発表しており、通常の訓練であれば、日米安全保障体制の中において重要であり、必要であると私は認識をしております。 しかしながら、米軍の運用に当たっては、周辺住民などの安全確保が大前提であり、事故はあってはならないものであります。今回の事故は、県民や漁業者の皆様が抱いている不安を増幅させるものであり、まことに遺憾と言わざるを得ません。そのため本県におきましては、事故発生の翌日に外務大臣及び防衛大臣に対し、事故に関する速やかな情報提供、徹底した事故原因の究明、さらには実効性のある再発防止策を行うことを米国に申し入れていただくよう、要請書を提出したところであります。 事故当日には、中国四国防衛局長が海兵隊岩国航空基地司令官に対し、今回の事故は住民に対して極めて大きな不安と心配を抱かせるものであり、まことに遺憾であること、航空機の運用に当たって引き続き安全面に最大限配慮すること、事故について速やかな情報提供を求めることを、文書により申し入れたと伺っております。 海兵隊司令部の発表によると、事故状況は現在調査中であるとのことですが、今後その推移をしっかり見守り、米軍がどのように原因を究明し、さらに再発の防止に取り組んでいるのか、さらには墜落現場周辺の環境汚染や漁業への影響の有無について、情報収集に努めてまいりたいと考えております。 次に、リマ海域を含む土佐湾沖の訓練空域撤去、原因が確認されるまでの間のオレンジルートと土佐湾沖での訓練の中止及び日米地位協定に飛行運用に関する制限措置を求める条項の新設など、全国知事会の提言の実行を国に強く求めるべきではないかとのお尋ねがありました。 日米安全保障の環境を考えたときに、訓練空域が設定されること自体はやむを得ないことではないかと考えております。また、通常の空中給油訓練も日米安全保障体制の中において重要であり、必要であると認識しております。 2年前の土佐湾沖における戦闘機の墜落事故については、事故原因が全く不明であり、機体自体に構造的なふぐあいがあるのではないかという不安度が非常に高いものでありましたが、今回の事故については空中接触が原因であると伺っており、前回とはそういった面で違いがあり、現時点では訓練の中止までは求めておりません。 とはいえ、繰り返しになりますが、米軍の運用に当たっては、周辺住民などの安全確保が大前提であり、事故はあってはならないものであります。 全国知事会の提言においては、日米安全保障体制が我が国にとって重要であることを前提とした上で、日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることを求めております。本県では、今回の事故を含め4度もの米軍機の墜落事故が発生しており、県民や漁業者の皆様の不安が払拭されますよう、私といたしましても、この提言の実現に向けて、今後とも全国知事会の一員として要望してまいりたいと考えております。 政府におきましては、国民の生命・財産や領土・領海を守る立場から、日米地位協定について日米政府間でしっかり協議をしていただきたいと考えるところでございます。 次に、消費税の増税についてお尋ねがございました。 国、地方を通じた厳しい財政状況や急速に進む少子高齢化という現状に鑑みれば、社会保障制度の充実強化を図り、かつ持続可能性を確保するために、消費税率の8%から10%への引き上げはやむを得ないものと考えております。 一方で、経済的に厳しい状況にある方々とマクロ経済全体へのマイナスの影響をできるだけ小さくすることが重要であります。政府におきましては、消費税率の引き上げに当たり、軽減税率制度の実施や消費者へのポイント還元支援など、税制・予算面であらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ばさないよう対応する方針を示したところです。本県におきましても、国の施策に呼応し、しっかりと一連の経済対策を実行してまいります。 次に、増税の対象は消費税ではなく、応能負担の原則に基づき、大企業や富裕層に求めるべきではないかとのお尋ねがございました。 消費税は、税収が経済の動向や人口構成の変化に左右されにくく、安定していることに加え、勤労世代などの特定の者への負担が集中せず、経済活動に与えるゆがみが小さいとされています。そのため、幅広い国民が負担する消費税は、少子高齢化社会における社会保障の安定財源としてふさわしい財源であると考えています。 一方で、先ほど申し上げましたとおり、消費税率引き上げに当たりましては、経済的な影響をできるだけ小さくすることが重要でありますことから、政府におきましては、十分な対策を実施していただきたいと考えているところでございます。 次に、中小零細業者や農業者の方が多い本県では大きな影響が危倶され、消費税の増税は導入すべきではないのではないかとのお尋ねがございました。 お話のありましたインボイス制度を導入することは、消費税の適正な課税を確保するために必要な措置ではないかと考えています。その際、中小零細業者や農業者の皆さんなどに混乱が生じないようにすることもまた大事だと思っています。 政府におきましては、インボイス制度の導入に当たり、4年間の猶予期間を設けるとともに、受注や発注のためのシステム改修などを行う際に経費の一部を補助する制度のほか、農協等を通じて取引される農産物等に関する特例などを講じることとしています。 県としましても、国と協力しながら県民の皆様への周知、広報に努めるとともに、疑問や不安の声をお聞きした場合には、しっかりと国に届けてまいります。 次に、医療センターなどの消費税の補填に関する国への要望と、消費税増税による医療機関のコスト増を診療報酬に加算する方法の見直しについてお尋ねがありました。関連いたしますので、あわせてお答えをいたします。 医療機関が行う医療設備の整備や医療機器の購入などに係る費用には消費税が課税される一方、社会保険診療自体は非課税となっており、医療機関は負担した消費税について仕入れ税額控除ができないため控除対象外消費税が発生し、それは医療機関の負担となってしまいます。 そのため、国におきましては、医療機関の消費税負担分を診療報酬の増分で対応してきたところですが、議員からお話がありましたように、本年7月の中央社会保険医療協議会の分科会において、前回消費税が5%から8%に引き上げられた際の補填状況として、医療界全体の補填不足があること及び医療機関種別ごとの補填率にばらつきが見られることが報告をされました。 言うまでもなく、消費税は本来事業者が負担するものではないことから、医療機関が負担した控除対象外消費税は何らかの形で補填される必要があり、現在国では来年10月の消費増税に向けて、医療機関等における消費税負担に関して、診療報酬における配点方法の是正の検討が行われております。 さらに、政府・与党が取りまとめた平成30年度税制改正大綱では、医療に係る消費税のあり方については、医療保険制度における手当のあり方の検討等とあわせて、平成31年度税制改正に際し、税制上の抜本的な解決に向けて総合的に検討し、結論を得ることとされております。 他方、全国知事会においても、これまで国に対し、社会保険診療に係る消費税の取り扱いについては、患者負担の増加や医療機関の経営実態を考慮した上で、地域医療体制確保の観点から、速やかかつ確実に対策を講じることを要望してきたところであります。 今後も、引き続き国の議論の動向を注視しながら、必要に応じて国に対し、全国知事会を通じて政策提言を行ってまいりたいと考えているところでございます。 次に、外国人技能実習生の実態をどのように認識しているのかとのお尋ねがありました。 技能実習制度は、国際貢献のため開発途上国などの外国人を日本で一定期間受け入れて、技能を移転することなどを目的とした制度であり、多くの受け入れ事業者が目的に沿った取り組みを行う一方で、全国的に労働関係法令違反が増加するとともに失踪件数も増加し、中には自殺者も含まれるといった実態があることは、非常に残念であります。 本県においても、労働局と警察の資料によると労働関係法令の違反が見受けられ、平成28年度の数字で9事業所、全体の約3%において、労働時間や賃金等に関する違反がございました。また、技能実習生の増加とともに失踪の件数も年々増加しており、平成29年度には31件で、全体の約2.2%となっています。 これらの原因については、国においてしっかりと調査をし、対策をとっていただくことがまずは重要と考えます。 国においては、監理団体や受け入れ事業者の義務、責任が不明確であることや、実習生の相談窓口など保護の体制が不十分であるなどの課題を踏まえ、昨年11月にいわゆる技能実習法を施行しました。この法においては、法務省、厚生労働省が所管する外国人技能実習機構を設置し、受け入れ事業者などへの管理監督を強化するとともに、母国語による通報や相談の窓口を置くなど、保護の体制を整備したところであり、今後より実効性の高い取り組みが期待をされるところです。 県としましては、本年6月に設置された、入国管理局や労働局、外国人技能実習機構などから成る四国地区地域協議会に参加をするとともに、本県独自で関係機関による、技能実習制度に関する連絡協議会を設置し、法令違反や失踪の実態、また生活関連の課題などを共有し、各機関の役割に応じて対策を検討しているところであります。 当面、母国語での相談窓口の周知や共通する課題となっている日本語の学習機会の拡大などに取り組んでまいりますが、今後とも関係機関と連携して、技能実習制度が適正に運用されるよう努めてまいりたいと思います。 次に、出入国管理法改正についてどのように認識しているのかとのお尋ねがございました。 我が国の経済は、緩やかな景気回復基調が続き、生産年齢人口の減少と相まって、全国的に人手不足が深刻化しています。人手不足倒産なども発生する中、喫緊の対策として、一定以上の専門性、技能を持った即戦力となる外国人材を新たな在留資格を設けて受け入れていくことは、国の施策として一つの方向性であると認識をしています。 ただ、受け入れに際しては、労働関係法令を遵守することはもちろん、地域住民として共生できるようにすることが重要であります。新たな在留資格は、その相当数が技能実習制度の修了者から移行していくことが見込まれており、技能実習制度とあわせて、改正される出入国管理法が適正に運用されることが必要だと考えています。 今般の出入国管理法の改正においては、年内に外国人材の受け入れに関する基本方針や、受け入れ見込み数等に関する分野別運用方針、また環境整備に関する総合対策などがまとめられ、年度内には日本人と同等以上とする雇用契約の基準や悪質ブローカーの排除、技能や日本語能力に関する水準などを内容とする省令が定められることとなっています。 今後は、まず国において、来年4月の施行に向けて、こういった制度設計をしっかりと行っていただくことが重要であります。 県におきましても、まずは現行の技能実習制度を円滑に実施するために、日常生活などで必要不可欠な日本語の学習機会の拡充に取り組もうとしているところです。 さらに、今後国から示される環境整備に関する総合対策を踏まえ、市町村や関係機関と連携して、日本語教育のさらなる拡充を初め、社会生活にかかわる医療、福祉、教育などの問題に対応していくための仕組みを検討したいと考えており、今後関係者の間でそのための協議の場を持つべく検討を進めたいと考えております。 次に、安全・安心な学童保育を継続、実施していくために今後どのように支援していくのか、お尋ねがございました。 一般に学童保育とも呼ばれる放課後児童クラブの設備運営基準につきましては、国が定める基準を踏まえ、それぞれの市町村が条例で定めることとされており、先月内閣府の地方分権改革有識者会議において、厚生労働省より、2名以上うち1名は資格を持った支援員を配置しなければならないという現行の基準を緩和する方針が示されたところであります。 私は、本年5月にこの会議の提案募集検討専門部会に全国知事会の代表として出席し、全国的な状況として、放課後児童クラブの利用ニーズが年々高まる一方、受け皿拡大に必要な人材の確保がボトルネックとなっている現状を申し上げ、全国一律の基準を適用することで、利用児童数に応じた柔軟な配置ができない、国の定める内容の研修がなかなか受講できず長年児童クラブに従事していても資格が取得できないなど、さまざまな支障が生じている問題を提起しました。 その上で、この基準の目的である、放課後児童クラブにおける安全性とサービスの質を確保するための手段は、決して全国一律の基準のみにとどまるものではなく、地域の実情に応じた多様な対応が可能であり、地方がみずからの責任において、しっかりと安全性と質を確保しながら受け皿拡大を図ることが望ましいと説明をさせていただきました。 本年4月に、県教育委員会が行いました、基準が緩和された場合の対応に関する調査の結果によりますと、全ての市町村が、有資格者の配置については柔軟な対応をしつつも、現行の職員数を維持する意向であるとともに、独自の研修の充実や、近隣にある保育所、小学校などとの連携によるバックアップ体制の構築などといった対応を考えられているとお聞きをしておりまして、安全や質の確保は十分可能だと考えております。 県教育委員会には、これまでどおり、子供たちが放課後、安全・安心に過ごすことを最優先に、職員を対象にしたさまざまな研修の実施、職員の処遇改善や新たな施設整備への助成、さらには活動内容の充実に向けた市町村訪問による助言などを通じて、安全面やサービスの質が低下することのないよう、しっかり取り組んでいただきたいと考えているところでございます。 最後に、戦争遺跡を後世に伝えていくための対応についてお尋ねがございました。 高知県文化財保護審議会の皆様から御提出された答申については、専門家の判断として大変重く受けとめさせていただいております。 また現在、教育委員会においてさまざまな検討が行われているところですが、遺存する講堂、弾薬庫を単に保存するというだけではなく、明治中期から昭和前半にかけて高知の若者がこの地から出征し、その多くが帰らぬ人となったという、高知県民にとっては歴史的に大きな意味のある地域でもありますことから、財務事務所や文化庁など関係機関の御理解、御協力が得られて、土地や建物などの有意義な活用が可能となるよう、今後も引き続き教育委員会としっかり協議してまいりたいと考えているところでございます。 私からは以上でございます。   (商工労働部長近藤雅宏君登壇) ◎商工労働部長(近藤雅宏君) 外国人技能実習生が気軽に相談できる体制の確立や、国際交流につながるような支援を行うべきではないかとのお尋ねがございました。 現在、県内では農業分野を初め製造業や建設業など、幅広い分野で多くの技能実習生が受け入れられており、昨年10月時点で334の受け入れ事業者において1,405名の技能実習生が雇用されています。県においては、高知県中小企業団体中央会と連携して、監理団体や受け入れ事業者へのヒアリングを行い、技能実習生の方々が抱えているさまざまなお困り事等について把握に努めているところです。 技能実習生においては、実習先での主なお困り事として、ごみ出しや家電の使い方等の生活習慣を覚えることができない、母国語以外が十分しゃべれないため実習先で孤立してしまうなどの問題があり、受け入れ事業者においても、技能実習生との業務上の意思疎通で伝わりづらいことがあるなど、日本語でのコミュニケーションに起因するものが多くなっています。 技能実習制度を管理している外国人技能実習機構や、厚生労働省において、母国語による相談窓口を設置しておりますので、まずはこうした母国語相談窓口の周知徹底に努めてまいりますとともに、ニーズの高い語学学習の機会をふやすために、日本語支援が実施されていない地域においても今後の実施を検討しているところです。 今後、技能実習生の方々が抱えるさまざまなお困り事を気軽に身近に相談できるよりよい体制の構築に向けて、現在在住外国人へのサポートを行っている高知県国際交流協会や地元市町村等と連携していくとともに、県主催の技能実習制度に関する連絡協議会で今後のサポート体制の検討を進めてまいりたいと思います。 また、技能実習生につきましては、このように暮らしのサポートを行っていきますとともに、母国に帰った後の国際交流のあり方についても支援を検討しているところです。例えば、県内で育成をした技能実習生が、帰国後に海外に工場を持つ当該企業においてマネジャーとして活躍している事例など、帰国後も実習先の企業との交流が続いているといったお話もお聞きをしております。県においては、今後このような交流事例を他の県内企業にも普及できないか、検討を進めてまいります。   (水産振興部長谷脇明君登壇) ◎水産振興部長(谷脇明君) まず、このたびの漁業法の改正における漁獲割り当てによる資源管理のあり方についてお尋ねがございました。 今回の制度改正は、水産資源の維持・回復を図るとともに、漁業者が将来展望を持って積極的に経営発展に取り組むことができるよう、資源管理措置と漁業の許可や免許などの漁業生産に関する基本制度とを一体的に見直すものでございます。 国は、資源管理の基本原則として、漁獲可能量の設定により水産資源の適切な管理を行うとしており、対象魚種を順次拡大するとともに、まずは経営体が少なく、水揚げ港が比較的限定される沖合の許可漁業、その中でも1隻当たりの漁獲量が多い大臣許可漁業から、順次漁獲割り当てを導入することとしています。 これらの対象魚種の拡大や漁獲割り当ての導入を行う際には、丁寧な説明と十分な理解を得ることが不可欠として、最新の科学的知見を踏まえた資源評価の結果なども含めて、漁業者への説明を重ねていくこととしております。 さらに、これらの資源管理手法の導入に当たっては、沿岸漁業者の経営への影響を緩和するため、収入安定対策の活用も含め、最大限の配慮を行っていくと聞いております。 県としましては、新たな資源管理手法の導入に際しましては、さまざまな機会を通じて本県の漁業の実情を訴えていくとともに、地域の特性に応じた漁獲量管理システムとなりますよう国の動向を注視していきたいと考えております。 次に、大分県の企業参入事例及び宮城県の水産特区に対する県の認識についてお尋ねがありました。 まず、大分県の事例については、現行の漁業権制度のもと、平成15年に民間企業が地元漁協の組合員となり、養殖業に新規参入をいたしましたが、赤字や経営方針の変更により、平成20年に撤退しております。しかし、その撤退後、この漁場には別の企業が参入して現在も養殖業を続けておりまして、漁場は有効に活用されていると承知しております。 現行の漁業権制度のもとで、こうした民間企業の新規の参入の事例は、本県でもこれまでに見られております。 また、宮城県の事例については、東日本大震災後、宮城県の強い要望によりまして、平成25年に水産業復興特区が導入され、複数の地元の漁業者と水産会社によって設立された合同会社に直接漁業権が免許されたことで、当初は地元漁協からの反対があったとお聞きをしております。しかし、合同会社が新規参入することにより、震災被災者が漁業を円滑に再開することができ、さらに新規就業者などの雇用も生まれるなど、合同会社が地域の復興に貢献したことから、現在は漁協との関係も良好であるとお伺いしております。 企業の新規参入は、地域の漁業就業者の減少や高齢化に歯どめをかけるための選択肢の一つと受けとめておりまして、大分県や宮城県のような前例も検証した上で、本県においても地元の合意を大前提として、漁業生産の増大と雇用の創出につながるよう支援してまいりたいと考えております。 最後に、共同管理方式の評価と漁業権ルールの変更についてお尋ねがありました。 我が国では、地先の漁場における紛争を防止し、資源の持続的な利用を図るため、地元漁業者によって漁場を共同で管理、利用するという方法が形成されてきました。このような共同管理方式は、漁業者の経験や創意工夫による実態に即した自主的な資源管理として、国際的にも高い評価を受けているものと認識をしています。 今回の制度改正は、養殖業や定置網漁業を免許する際の優先順位の規定を改め、漁場を適正かつ有効に利用している漁業者については優先して免許する仕組みとし、現に地域の漁業を支えている漁業者の経営安定につなげるというものです。また、新たな漁場を設定する場合にも、事前に漁業者や漁協など関係者間の調整を図るとともに、海区漁業調整委員会の意見を踏まえ、地域の実情に即して水産業の発展に寄与する者に免許することとなっております。 国では、こうした制度が適切に運用されることにより、地域の漁業者が不利益をこうむることがないよう対応することとしております。県といたしましても、新たな漁場の設定や漁業権の免許に当たりましては、地元の合意を前提として慎重に対応してまいりたいと考えておりますし、地域に貢献する事業者の参入を積極的に推進したいと考えております。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、特別支援学校の増設に関して、山田養護学校を訪問したことに関するお尋ねがございました。 山田養護学校には10月に訪問し、教室棟や作業棟、寄宿舎、職員室など、学校の施設全体を見てまいりました。児童生徒の増加に伴い、特別教室を普通教室に転用したり、多目的ホールを有効活用するなどさまざまな工夫の中で、児童生徒の学習に支障がないよう、現場の皆さんに御苦労をおかけする中で対応していただいているというふうに感じております。 また、議員の御指摘のとおり、職員室は大変手狭な状態となっており、先生方には御不便をおかけしていると感じております。 今後、さらに児童生徒数が増加した場合には、現状の施設ではこれ以上教室を増設する余裕はなく、また職員室の改善もあわせて、特に県中央部の知的障害児の受け入れ体制等についての対応が必要であるというふうに考えております。 次に、教職員数が標準定数を満たしていないことと、本来配置すべき人数を配置できるよう対策を講じるべきだとのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをさせていただきます。 標準定数とは、毎年5月1日の基準日における特別支援学校の学校数、学級数、児童生徒数などをもとに、法律で規定された算定基準により算出される教職員数のことであり、本年度、本県の特別支援学校の標準定数に対する教職員の配置割合、いわゆる充足率は97.1%となっており、標準定数に比べると23人少ない状況となっております。 学校に配置する教職員数につきましては、学校から学級編制資料の提出を求め、児童生徒数や児童生徒の障害の程度などについて校長とヒアリングを重ね、児童生徒の実態に対応できるように積み上げたものであり、その結果、標準定数の範囲内におさまっているものとなっております。 また、特別支援学校では、年度途中の転入生が多く見られ、その転入生に対応する教員や寄宿舎指導員を増員するための人数や、教職員の病気休暇などの代替教職員を配置するために一定数を確保しておく必要があることも、年度当初に充足率を100%にすることが難しい理由となっております。 県教育委員会としましては、今後とも学校とさらに連携を図り、障害の重度化、多様化が進んでいる児童生徒の実態把握に努め、標準定数をさらに有効に活用して教職員の配置を行ってまいります。 次に、この10年間を検証、分析し、実態解決のために学校新設に踏み切るべきではないかとのお尋ねがございました。 平成15年ごろからの県中央部を中心とした児童生徒数の増加に対応し、平成23年度には山田養護学校田野分校、日高養護学校高知みかづき分校を開校したことにより、山田養護学校では、平成22、23年度のピーク時の171名から平成27年度には22名減少し149名に、日高養護学校では、平成21年度のピーク時の146名から平成29、30年度には100名程度まで減少してきたことから、両校の大規模化、過密化の解消には一定の効果がありました。 しかしながら、全体的には少子化の傾向が顕著であることや、共生社会の実現に向けたインクルーシブ教育の推進により、地元の小中学校への就学が増加傾向にあるといった、県立特別支援学校の児童生徒数に対する減少要因がある中で、山田養護学校においては、平成28年度から再び増加に転じております。この児童生徒数増加の要因として、保護者、関係者等に知的障害や特別支援教育に関する理解や専門的な教育のニーズが高まり、県立学校では小学部段階など、早期からの入学者が増加していること、また原因はまだ十分に把握できておりませんが、小中学校の知的障害特別支援学級の児童生徒数が増加傾向にあることなど、複数の要因があるというふうに考えております。 県教育委員会としましては、今後の知的障害特別支援学校への入学希望者の動向などを見きわめながら、将来を見据えた抜本的な改善、解消の方策について、入学者数が増加している高知市や香南市などの関係市町村にも御意見をいただきながら、具体的な対応策を検討してまいりたいというふうに考えております。 次に、着任の内定時期を早めることなどにより、臨時教員を確実に確保する取り組みを行うべきではないかとのお尋ねがございました。 本県においては、次年度の臨時教員確保に向けて、従来より9月下旬から臨時教員募集要項を配布するとともに、県教育委員会のホームページにも掲載して、10月1日から臨時教員志願書の受け付けを開始しております。その後、2月中旬ごろから、臨時教員志願書を提出していただいた方に対して直接連絡をとらせていただき、本県での勤務意思を確認するとともに、勤務地についての希望をお聞きしております。その後、人事異動発表後の3月下旬に、志願者に実際の配置校や採用条件などを提示し、採用手続を行っております。 このような手順により臨時教員の配置を行っておりますが、2月の意思確認の段階で他県で採用される予定となっていたり、他の職種での雇用が既に決まっているなどの理由から、本県での勤務を断られる事例も近年ふえてきております。また、臨時教員志望者数自体が大きく減少しており、年度当初から必要な教員数を十分確保することができない状況となっております。 このようなことから、教員採用数を伸ばすとともに、現在臨時教員の確保方法についても検討を進めているところです。具体的には、退職教員の臨時的任用者をふやす取り組みを進めることや、臨時教員の志願書を受け付けた段階で順次採用の内示を行うことや、また議員の御指摘のような内定時期を早めることについても検討してまいりたいというふうに考えております。 次に、この10年間の小学校の採用者に占める臨時教員の割合の推移についてお尋ねがございました。 本県の小学校教員の採用者のうち、県内の臨時教員が占める割合につきましては、今年度分は審査継続中のため、平成20年度から29年度までの10年間の推移についてお答えをいたします。 平成20年度実施分は、平成21年度以降と異なり、採用者数は24人と少なく、そのうち県内の臨時教員は16人で66.7%でした。翌年の平成21年度実施分では、採用者58人のうち臨時教員は47名で81.0%となりましたが、その後全体の採用者数の増加に伴い徐々に低下し、平成29年度実施の採用審査では、採用者118人のうち県内の臨時教員は40人で33.9%となっております。 一方で、受審する県内の臨時教員の数が大幅に減少する中で、県内の臨時教員から採用となった者の数は40人前後で推移しており、受審した県内の臨時教員からの採用率は、平成21年度実施の採用審査では受審者145人のうち採用者47人で32.4%でしたが、平成29年度実施の採用審査では受審者90人のうち採用者40人で44.4%と上昇しております。 次に、採用選考審査の実施時期から生じる課題と臨時教員の教育実践を正当に評価することについてどのように改善するのかとのお尋ねがございました。 まず、採用審査につきましては、平成28年実施分より関西会場を新設するとともに、昨年度から日程を6月下旬に前倒ししたことで、大幅に受審者が増加しました。一方で、議員のお話にもありましたように、本年度実施した小学校受審者の中で2次審査を辞退した者が、1次合格者のうちの66%となり、十分な2次審査の受審者を得ることができなかったことは、優秀な教員を確保する上で課題であると捉えております。 この原因は、受審者の中には地元を第1志望とする県外出身者が多くいることに加え、本県の2次審査の日程が、関西圏の12団体のうち大阪府や兵庫県を含む6団体の日程と重なっており、そちらの団体を第1志望とする方は、本県の2次審査を受審できなかったことが大きいと考えています。 このため、来年度はこうした辞退者を減らすために、2次審査の日程を関西圏の団体の日程とずらすことを検討したいと考えております。 次に、採用審査における臨時教員の教育実践の評価につきましては、県教育委員会としましても、臨時教員経験の中で資質や能力が高まるものと考えており、選考に当たっては、その力量は適正に評価されていると考えております。その結果としまして、1次受審者に占める臨時教員の割合と採用者に占める臨時教員の割合を比較いたしますと、この10年間、いずれも採用者に占める臨時教員の割合のほうが高くなっております。 臨時教員の皆さんには、今後も学校現場において実践を積むことにより、専門力を高めて1次審査を突破するとともに、2次審査の模擬授業や面接審査において、臨時教員としての強みを発揮できるよう努めていただきたいと考えております。 次に、産休法または地方育休法に基づき配置すべき教員が未配置になっている学校数と件数についてお尋ねがございました。 正教員が産前産後休暇や育児休業を取得する場合には、女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律などの関係法令に従って、その職員の代替となる臨時教員を配置することとなっております。 しかし、臨時教員志望者数が年々減少しており、産前産後休暇等を取得した教員の後補充のための臨時教員を十分に配置できない状況に至っております。本年12月1日現在、この代替の臨時教員が未配置となっている状況は、中学校、高等学校、特別支援学校においてはありませんが、小学校では4校で4件の未配置がある状況となっております。 次に、今後増加が予想される産前産後休暇・育休取得者への対応として、任期付教員を採用することを検討してはどうかとのお尋ねがございました。 教員が大量に定年退職する時期に当たり、小学校教諭を中心に若年教員の採用も増加しており、今後ますます産休や育休の取得者が増加することが予想され、その代替となる教員の確保策をさらに講じる必要があると考えております。 議員のお話にありました代替教員を任期つきで採用する神戸市の制度は、県教育委員会としましても、代替教員を確保するための有効な手段の一つであると考えており、先月同市を訪問して採用審査の実施方法についてお話をお伺いしてきたところでございます。 神戸市の制度は、最長3年間の任期を付して代替教員を採用し、その勤務条件は基本的に正規教員と同様とするものであるため、同市で勤務している臨時教員はもちろん、神戸市以外で勤務している臨時教員にとっても魅力ある制度となっております。また、採用する側にとりましても代替教員の確保につながり、さらに正規教員にとっては気兼ねなく産休、育休が取得できる職場環境が整えられることになりますので、今後制度の導入に向けて検討してまいりたいと考えております。 次に、本県における戦争の歴史や体験を引き継ぎ伝えることの重要性についてお尋ねがございました。 戦後73年が経過し、戦後に生まれた世代が大半を占めるようになりましたが、この悲惨な戦争の教訓を風化させることなく、しっかりと伝えていく必要性を感じています。 特に、日本の将来を担う子供たちには、まず日本の歴史をしっかり学んでほしいと考えています。現在、小中学校におきましては、さきの大戦に係る学習も含め、平和を希求する学びが道徳や特別活動を中心に行われており、その中で、例えば修学旅行先で語り部から話を聞いたり、地域に住む戦争を体験された方をお招きし、平和や人権について学んだりするなど、それぞれの学校が工夫しながら、戦争の歴史や体験を引き継ぎ伝えていると聞いております。 また、郷土に対する誇りや愛情を育むことを目的としまして、県教育委員会が今年度初めに中高生を対象に配布しました、高知県の歴史を学ぶ副読本「中高生が学ぶ ふるさと高知の歴史」には、旧陸軍歩兵第44連隊や高知空襲等に関して詳細に掲載をしております。 今後、二度と悲しみの歴史を繰り返さないよう、戦争の悲惨さや平和のとうとさを次の世代に引き継いでいくことが、私たち大人に課せられた重要な責務であると考えております。県教育委員会としましても、引き続き社会科や道徳、特別活動などを通じて、戦争が人類全体に惨禍を及ぼすことや、平和で民主的な国際社会の実現に努めることの重要性などについて、児童生徒の理解が深まるように努めてまいります。 次に、県内戦争遺跡の悉皆調査と文化財指定基準の見直しの状況についてお尋ねがございました。 戦争遺跡の分布状況の情報収集については、平成12年度から2カ年をかけて県が実施しました高知県近代化遺産総合調査の成果と、民間関係団体からの情報提供をもとに、戦争遺跡のリストを本年4月に作成いたしました。このリストをもとに県内全市町村を対象として、5月に、8月末を提出期限として現状等を把握するための悉皆調査を行いました。これにより、これまで県内11市町で41カ所を把握しておりましたものが、県内13市町で92カ所に増加するなど、新たな資料を収集することができております。今後、この92カ所の内容について、遺構の残存状態や聞き取りなどの現地調査を市町と一緒に実施するとともに、必要に応じて詳しい調査を専門家に依頼して、意見もお聞きしながら精査してまいります。 また、戦争遺跡に該当する古戦場から戦跡への文化財指定基準の見直しにつきましては、7月に各県の指定基準について照会を実施しており、31年2月には文化財保護審議会での検討を行い、改定をしてまいりたいと考えております。 最後に、保存、活用についての協議の経過についてお尋ねがございました。 高知財務事務所から平成31年2月まで土地の処分留保の延長をいただいて以降、本年1月の高知県文化財保護審議会の答申の内容を踏まえ、建造物の保存方法や周辺地域を含めた活用方法、関連する施設等のリストアップとその利活用の可能性などについて、さまざまな視点から検討を進めているところです。 これまで、議会で知事が答弁してまいりましたとおり、県が土地と建物を取得するには相当ハードルが高いことから、高知財務事務所とは、土地を購入しない方法での活用など、国有財産の取り扱いについて協議を重ねているところであり、また文化庁とは、文化財としての保存、活用を図る場合の手続や、保存と活用計画についての課題等について協議を行うとともに、御助言もいただいているところです。 このほかにも、戦時資料や遺族会を通じて寄贈されました遺品等の収集、保存を行っている県立歴史民俗資料館との協議を行いますとともに、民間の団体の方からも、保存、活用に向けた具体的な提案をいただいていますので、その内容についての検討を行っているところです。 今後とも、財務事務所や文化庁など関係機関の御理解、御協力が得られて、土地や建物などの有意義な活用が可能となるよう協議を進めてまいります。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) まず、物部川の防災対策の重要性や今後の対策についてお尋ねがありました。 物部川下流域の香長平野は扇状地形となっており、地盤が洪水時の水位より低いことに加えて、川から離れるほどさらに低くなる特徴があり、右岸側で氾濫した場合には洪水の影響が高知市にまで達するなど、影響の及ぶ範囲が広く、大災害が発生するおそれがあります。 国の試算では、想定される氾濫区域内の人口は6万9,000人と、県内人口の約9%にも及び、人や物流の拠点となる高知龍馬空港なども浸水のおそれがあることから、物部川の治水対策は極めて重要であると考えております。 そのため、これまでにも物部川は河川改修事業を実施してきており、今回の記録的な豪雨におきましても、家屋の浸水被害は発生いたしませんでした。 しかし、合同堰下流の国管理区間では、堤防の漏水や護岸侵食など16件の災害が発生したことから、現在その災害復旧費を補正予算として計上していると聞いております。 県といたしましては、これらの災害復旧が完了した後も、洪水などによりダメージが蓄積されないよう、河床掘削などの適切な維持管理を国にお願いしてまいります。 次に、国土交通省や農林水産省、流域自治体及び住民などとの協力・連携をどう強めていくのかとのお尋ねがありました。 現在、物部川流域では、関係機関が物部川に関する諸問題に対して協力・連携し、効果的な取り組みを進めるための3つの会議がございます。 1つ目は、上流域の崩壊地対策や堆積土砂の除去、濁水対策について連携して取り組む物部川濁水対策検討会であります。この検討会は、県のほか、流域市、国土交通省、林野庁、物部川漁協などの関係者に有識者を交えて構成され、濁水の軽減に向けて関係機関の役割調整を行っております。 2つ目は、県管理河川の減災対策を推進するための「中央東土木事務所管内 豪雨に強い地域づくり推進会議」、3つ目は、物部川下流域における、物部川大規模氾濫に関する減災対策協議会であります。 これら2つの会議は、県のほか、流域市、国土交通省で構成され、逃げおくれゼロを目指し、関係機関が減災のためのハード対策やソフト対策に取り組み、いざというときに住民が確実に避難できることを目標に取り組んでいるものです。 この取り組みの一環として、ことし5月には消防関係者や地域住民など約700人が参加する物部川・仁淀川合同水防演習を物部川で開催し、自主防災組織による避難訓練なども行っております。 7月豪雨では、物部川流域において護岸侵食などの河川施設災害に加えて、新たな山腹崩壊や河川への土砂堆積なども発生していることから、先ほどの3つの会議の情報共有を行うなど連携を強化しながら、住民の安全・安心を守るための一体的な取り組みを進めてまいります。 最後に、永瀬ダムの南側に日本最大級の仏像構造線が走っているが、南海トラフ地震による影響を早急に調査し、科学的検証に基づく見解を示してはどうかとのお尋ねがありました。 永瀬ダムの耐震性能につきましては、国の基準となる「大規模地震に対するダムの耐震性能照査指針(案)」に基づき、平成25年に照査を行いました。照査に当たっては、ダムの南側を走る仏像構造線を初めとするダム周辺の断層についても考慮しており、取りまとめた資料は国の専門機関である国土技術政策総合研究所や国立研究開発法人土木研究所にも確認をいただいております。その結果、南海トラフ地震に対して耐震性能を確保しているとの結論に至っております。 ◆34番(中根佐知君) 御答弁ありがとうございました。2問を行います。 米軍の墜落事故についてです。本当に4回も次々とということになりますと、大変心配です。そして、知事会も全国的にもその元凶である地位協定の見直しについても提言をされているところですし、今回の事故も通常の訓練というふうに知事はおっしゃいますけれども、深夜の時間帯に通常訓練をしているような状況なのかということについても、私どもも大変驚きました。なれにはならないで、本当に県民の安全・安心を図るために、しっかりと国に対して物申すと、そして米軍に対してもそれを伝えるという中身を知事としても貫いていただくように再度要請をしたいと思います。 それから、特別支援学校について教育長からお話がありました。この10年間努力はしてきたけれども結果的に今の現状では、抜本的に変えるしかないという思いは、皆さん一致しているのではないでしょうか。具体的に考えていくという御答弁をいただきましたので、本当に10年経過して、やっぱり改善をされていないという--10歳年をとると子供たちは青年になってしまいますので、この点をぜひ考えていただければと思います。ぜひとも新設を要望して、再度御決意を伺いたいと思います。 それから、教員の採用試験についてです。2次審査の時期を変えるというお話がありました。しかし、1次審査の中身も変えないと、本当に県内で努力をしている臨時教員の皆さんにとっても、不利な条件が続くということになります。そうした点で、再度、これもちょっとやってみて、またちょっと変えるのではなくて、抜本的に採用のあり方を考え直すという点で御努力をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 最後に、戦争遺跡の問題です。知事からの御答弁も教育長からの御答弁も、努力をし、この間協議を重ねてきたというお話でした。文化財の審議会の決定も重いものだと思います。この間の調査のまとめ、それから御努力も含めて、再度、もう時間がありませんので、2月28日までの決断をどの時点でしていくのか、その点、ぜひ御答弁を教育長にお願いして、2問といたします。 ◎教育長(伊藤博明君) まず、特別支援学校の部分につきましては、御答弁も申し上げましたように、本来は子供が減っていく状況の中にあって、さまざまな要因があって、特別支援学校に通う子供さんが増加をしておると。そこはちょっとさまざまな要因といいますか、個別それぞれの原因に対して適切な対応をしていく必要があるというふうに思っておりますので、そこら辺をしっかりと、抜本的な対応を図っていきたい。これについては、10年というお話がありましたけれども、それは急いで取り組みをしていきたいというふうに考えております。 それから、採用の関係ですけれども、今回2次の辞退者がたくさん発生したということについては、昨年に比べてたくさん発生しておりますけれども、これはやっぱり関西地域の他の多くの府県との日程がぶつかってしまって、どうしても他県出身で他府県を第1志望としている方がそちらに行ったと、そういうような分析になっております。来年はそういったところ、他県とかぶらないように、どこの県も教員不足という中で、いかにして教員を集めようかというような、あの手この手でやっておる部分がございます。決して高知で臨時教員をされている方々に不利な状況ということにはなっていないというふうに思っておりますので、来年度はそういった、日程を重ねて受審者が減らないような形に持っていきたいというふうに考えております。 それと、戦争遺跡の部分につきましては、先ほども御答弁いたしましたように、それぞれ関係のところに御意見もいただきながら、利活用のほうについて検討を進めております。現状、2月28日までということで留保していただいておりますので、その日程をにらみながら、そういったお約束の状況に合わせるような形での結論を出していきたいというふうに考えております。 ◆34番(中根佐知君) ありがとうございました。 あと最後ですけれども、神戸方式の採用についてもぜひ前向きの御検討を期待して、今回の質問を全て終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(土森正典君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明12日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時56分散会...