平成30年 12月 定例会(第346回)招集告示 高知県告示第900号
高知県議会定例会を、平成30年12月6日に
高知県議会議事堂に招集する。 平成30年11月29日 高知県知事
尾崎正直-----------------------------------議員席次 1番 金岡佳時君 2番 下村勝幸君 3番 野町雅樹君 4番 上田貢太郎君 5番 今城誠司君 6番 久保博道君 7番 田中 徹君 8番 土居 央君 9番 浜田豪太君 10番 横山文人君 11番 加藤 漠君 12番 坂本孝幸君 13番 西内 健君 14番 弘田兼一君 15番 明神健夫君 16番 依光晃一郎君 17番 梶原大介君 18番 桑名龍吾君 19番 武石利彦君 20番 三石文隆君 21番 浜田英宏君 22番 土森正典君 23番 西森雅和君 24番 黒岩正好君 25番 池脇純一君 26番 石井 孝君 27番 大野辰哉君 28番 橋本敏男君 29番 前田 強君 30番 高橋 徹君 31番 上田周五君 32番 坂本茂雄君 33番 中内桂郎君 34番 中根佐知君 35番 吉良富彦君 36番 米田 稔君 37番 塚地佐智君 第346回
高知県議会定例会会議録----------------------------------- 平成30年12月6日(木曜日) 開議第1日
-----------------------------------出席議員 1番 金岡佳時君 2番 下村勝幸君 3番 野町雅樹君 4番 上田貢太郎君 5番 今城誠司君 6番 久保博道君 7番 田中 徹君 8番 土居 央君 9番 浜田豪太君 10番 横山文人君 11番 加藤 漠君 12番 坂本孝幸君 13番 西内 健君 14番 弘田兼一君 15番 明神健夫君 16番 依光晃一郎君 17番 梶原大介君 18番 桑名龍吾君 19番 武石利彦君 20番 三石文隆君 21番 浜田英宏君 22番 土森正典君 23番 西森雅和君 24番 黒岩正好君 25番 池脇純一君 26番 石井 孝君 27番 大野辰哉君 28番 橋本敏男君 29番 前田 強君 30番 高橋 徹君 31番 上田周五君 32番 坂本茂雄君 33番 中内桂郎君 34番 中根佐知君 35番 吉良富彦君 36番 米田 稔君 37番 塚地佐智君欠席議員 なし
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 尾崎正直君 副知事 岩城孝章君 総務部長 君塚明宏君
危機管理部長 酒井浩一君 健康政策部長 鎌倉昭浩君 地域福祉部長 門田純一君
文化生活スポーツ部長 門田登志和君
産業振興推進部長 井上浩之君 中山間振興・交通部長 川村雅計君 商工労働部長 近藤雅宏君 観光振興部長 吉村 大君
農業振興部長 笹岡貴文君 林業振興・環境部長 田所 実君
水産振興部長 谷脇 明君 土木部長 村田重雄君 会計管理者 中村智砂君 公営企業局長 北村 強君 教育長 伊藤博明君 人事委員長 秋元厚志君
人事委員会事務局長 金谷正文君 公安委員長 西山彰一君 警察本部長 宇田川佳宏君 代表監査委員 植田 茂君
監査委員事務局長 麻岡誠司君
-----------------------------------事務局職員出席者 事務局長 弘田 均君 事務局次長 川村文平君 議事課長 横田 聡君 政策調査課長 織田勝博君 議事課長補佐 飯田志保君 主幹 浜田百賀里君
-----------------------------------議事日程(第1号) 平成30年12月6日午前10時開議第1
会議録署名議員の指名第2 会期決定の件第3 第1号 平成30年度高知県
一般会計補正予算 第2号 平成30年度高知県
給与等集中管理特別会計補正予算 第3号 平成30年度高知県流通団地及び
工業団地造成事業特別会計補正予算 第4号 平成30年度高知県
流域下水道事業特別会計補正予算 第5号 平成30年度高知県
港湾整備事業特別会計補正予算 第6号 平成30年度高知県
電気事業会計補正予算 第7号 平成30年度高知県
工業用水道事業会計補正予算 第8号 平成30年度高知県
病院事業会計補正予算 第9号 高知県
住宅宿泊事業法に基づく
住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例議案 第10号
高知県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例及び知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第11号 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案 第12号
高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案 第13号 高知県
手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第14号 高知県
家畜保健衛生所条例の一部を改正する条例議案 第15号
高知県立中学校、高等学校及び
特別支援学校設置条例の一部を改正する条例議案 第16号 平成31年度
当せん金付証票の発売総額に関する議案 第17号
高知県立県民文化ホールの指定管理者の指定に関する議案 第18号
高知県立歴史民俗資料館の指定管理者の指定に関する議案 第19号
高知県立坂本龍馬記念館の指定管理者の指定に関する議案 第20号
高知県立美術館の指定管理者の指定に関する議案 第21号
高知県立文学館の指定管理者の指定に関する議案 第22号 高知県立のいち動物公園の指定管理者の指定に関する議案 第23号
高知県立春野総合運動公園の指定管理者の指定に関する議案 第24号 国道493号(北川道路)道路改築(和田トンネル)
工事請負契約の締結に関する議案 第25号
県道安田東洋線防災・安全交付金(
明神口トンネル)
工事請負契約の締結に関する議案 第26号
県道窪川船戸線(
岩土トンネル)防災・
安全交付金工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案第4 345第23号 平成29年度高知県
電気事業会計未
処分利益剰余金の処分に関する議案 345第24号 平成29年度高知県
工業用水道事業会計未
処分利益剰余金の処分に関する議案 345報第1号 平成29年度高知県
一般会計歳入歳出決算 345報第2号 平成29年度高知県
収入証紙等管理特別会計歳入歳出決算 345報第3号 平成29年度高知県
給与等集中管理特別会計歳入歳出決算 345報第4号 平成29年度高知県
旅費集中管理特別会計歳入歳出決算 345報第5号 平成29年度高知県
用品等調達特別会計歳入歳出決算 345報第6号 平成29年度高知県
会計事務集中管理特別会計歳入歳出決算 345報第7号 平成29年度高知県
県債管理特別会計歳入歳出決算 345報第8号 平成29年度高知県
土地取得事業特別会計歳入歳出決算 345報第9号 平成29年度高知県
災害救助基金特別会計歳入歳出決算 345報第10号 平成29年度高知県
母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算 345報第11号 平成29年度高知県
中小企業近代化資金助成事業特別会計歳入歳出決算 345報第12号 平成29年度高知県流通団地及び
工業団地造成事業特別会計歳入歳出決算 345報第13号 平成29年度高知県
農業改良資金助成事業特別会計歳入歳出決算 345報第14号 平成29年度高知県
県営林事業特別会計歳入歳出決算 345報第15号 平成29年度高知県林業・
木材産業改善資金助成事業特別会計歳入歳出決算 345報第16号 平成29年度高知県
沿岸漁業改善資金助成事業特別会計歳入歳出決算 345報第17号 平成29年度高知県
流域下水道事業特別会計歳入歳出決算 345報第18号 平成29年度高知県
港湾整備事業特別会計歳入歳出決算 345報第19号 平成29年度高知県
高等学校等奨学金特別会計歳入歳出決算 345報第20号 平成29年度高知県
電気事業会計決算 345報第21号 平成29年度高知県
工業用水道事業会計決算 345報第22号 平成29年度高知県
病院事業会計決算----------------------------------- 午前10時1分開会 開議
○議長(土森正典君) ただいまから平成30年12
月高知県議会定例会を開会いたします。 これより本日の会議を開きます。
-----------------------------------
△諸般の報告
○議長(土森正典君) 御報告いたします。 総務委員長、
商工農林水産委員長、
議会運営委員長及び
決算特別委員長から閉会中における委員会の審査並びに調査の経過及び結果の報告があり、それぞれその写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。なお、
決算特別委員会の審査結果については、一覧表としてお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。 さきに議決された意見書に関する結果につきましては、これを取りまとめ、お手元にお配りいたしてありますので御了承願います。 次に、知事から地方自治法第180条第2項の規定に基づく専決処分報告がありましたので、その写しをお手元にお配りいたしてあります。 次に、知事から地方自治法第243条の3第2項の規定に基づき法人の経営状況を説明する書類が提出されましたので、お手元にお配りいたしてあります。 〔
委員会報告書、平成29年度高知県
歳入歳出決算審査報告書、平成29年度高知県
公営企業会計決算審査報告書、
決算特別委員会審査結果一覧表、意見書に関する結果について それぞれ巻末235、238、248、281、253ページに
掲載〕-----------------------------------
△新任職員の紹介
○議長(土森正典君) この際、新たに任命された職員を御紹介いたします。
警察本部長宇田川佳宏君。 (
警察本部長宇田川佳宏君演壇前に進む)
○議長(土森正典君) それでは、自己紹介願います。
◎警察本部長(宇田川佳宏君) 警察本部長の宇田川佳宏でございます。よろしくお願いします。(
拍手)-----------------------------------
△
会議録署名議員の指名
○議長(土森正典君) これより日程に入ります。 日程第1、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員は、会議規則の定めるところにより、今期定例会を通じて次の3君にお願いいたします。 6番 久保博道君 18番 桑名龍吾君 29番 前田 強君
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△会期の決定
○議長(土森正典君) 次に、日程第2、会期決定の件を議題といたします。 お諮りいたします。今期定例会の会期を、本日から12月20日までの15日間といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 (「異議なし」と言う者あり)
○議長(土森正典君) 御異議ないものと認めます。よって、今期定例会の会期は、本日から12月20日までの15日間と決しました。
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△議案の上程、提出者の説明
○議長(土森正典君) 御報告いたします。 知事から議案が提出されましたので、お手元にお配りいたしてあります。 〔提出書 巻末255ページに掲載〕 日程第3、第1号「平成30年度高知県
一般会計補正予算」から第26号「
県道窪川船戸線(
岩土トンネル)防災・
安全交付金工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで、以上26件を一括議題といたします。 ただいま議題となりました議案に対する提出者の説明を求めます。
県知事尾崎正直君。 (
知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君) 本日、議員の皆様の御出席をいただき、平成30年12
月県議会定例会が開かれますことを厚く御礼申し上げます。 ただいま提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題について御説明を申し上げ、議員の皆様並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願いしたいと思っております。 現在の我が国の経済は、平成30年7月豪雨や
北海道胆振東部地震などの災害の影響が見られたものの、雇用や所得環境の改善が続く中、各種政策の効果もあって、先行きにおいては緩やかな回復が続くことが期待されております。 こうした中、安倍総理は、全世代型の社会保障制度へ大きく転換するとともに、財政健全化も確実に進めるため、法律で定められたとおり、来年10月に消費税率を10%に引き上げる方針を明らかにしました。これを踏まえ、政府はあらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう対応する方針を示したところです。また、近年多発している自然災害から国民の生命、財産を守るため、3年間で
国土強靱化対策などを集中的に実施することも打ち出し、現在、本年度第2次補正予算案の編成作業を進めています。 本県においても、国の施策に呼応し、しっかりと一連の経済対策を実行するとともに、集中的に国土強靱化を図るとの国の方針を生かし、
南海トラフ地震対策や豪雨対策などに必要なインフラ整備などをより一層加速させてまいります。その際には、事業の平準化や先々の安定的な財政運営といった視点も大切でありますことから、こうした点も踏まえ予算編成を行ってまいります。 今議会では、経済の活性化を初めとする基本政策などを着実に推進するため、総額28億8,000万円余りの
歳入歳出予算の補正並びに総額95億6,000万円余りの債務負担行為の追加及び補正を含む
一般会計補正予算案を提出しております。 第1に、経済の活性化に関しては、牧野植物園の貴重な資源を生かした施設の磨き上げを加速してまいりますほか、来年2月末に完成予定の
高知新港客船ターミナルの供用開始に向けて準備を進めてまいります。 第2に、日本一の
健康長寿県づくりに関しては、
高知版地域包括ケアシステムの構築に向け、ICTを活用した
地域医療介護情報ネットワークの整備を進めてまいります。 第3に、教育の充実と子育て支援に関しては、公立小中学校などの空調の設置率が全国と比べて低いことから、国の助成制度に呼応して、県としても新たに助成制度を創設し、早期設置を強力に後押ししてまいります。 第4に、
南海トラフ地震対策の抜本強化・加速化に関しては、住宅耐震化に関する県民の機運の高まりを逃すことなく、国の新たな補助制度も生かして取り組みを一層加速してまいります。 さらに、平成30年7月豪雨やその後の台風第24号などによる被害に対しまして、県民の皆様に一日も早く日常の生活を取り戻していただけるよう、公共施設の早期復旧に向けた対策などを全力で実行してまいります。 続いて、県政運営の現状に関し、まず経済の活性化について御説明申し上げます。 第3期
産業振興計画に関しては、本年度に大幅に強化した3つの施策群、すなわち成長に向けた
メーンエンジンをさらに強化する施策群、成長の壁を乗り越える施策群、成長を支える取り組みを強化する施策群について、より実効性の高いものへと改善を図りながら全力で実行しているところです。あわせて、来年度は第3期計画の最終年度となりますことから、おのおのの目標を達成するために一段と強化すべき施策はないか検討を重ねるとともに、本県経済の発展を先々にわたり確実ならしめるために、今後5年、10年を視野に入れて何に取り組むべきなのかといった視点で議論を深め、来年度のバージョンアップにつなげてまいりたいと考えております。 第1に、成長の壁を乗り越えると、成長を支える取り組みを強化する施策群に関し、まず移住促進の取り組みについては、10月末時点での本県への移住者は577組、対前年比23%の増となっており、本年度の目標である年間移住者900組の達成に向けて順調に推移しております。これは、オール高知の体制である移住促進・
人材確保センターが中心となって、地域地域のさまざまな仕事の掘り起こしに努めてきたことに加え、市町村の相談員のノウハウの蓄積や移住希望者へのフォローの充実など、市町村の受け入れ体制が充実してきたことによる成果であると考えております。 しかしながら、先々にわたり本県の発展をなし遂げていくためには、地域の活性化や産業振興の担い手となって活躍していただける志を持った都市部人材の移住をさらに進め、平成31年度の目標である年間1,000組の達成とその定常化を確実ならしめることが必要であります。現在、県内各地では、担い手の不足により、事業の拡大や継続を断念せざるを得ないケースも多く見受けられます。このため、引き続き民間団体や市町村と連携しながら、地域のさまざまな人材ニーズをしっかりと掘り起こすとともに、移住希望者の属性や志向を踏まえつつ、こうした人材ニーズを都市部の移住希望者に向けて戦略的に情報発信してまいります。 次に、大学生などの新規卒業者の県内就職を促進する取り組みについて御説明申し上げます。 本県において、学生の県内就職の大幅な底上げを図るためには、高知の企業の情報が学生に届いていない、また情報が届いたとしても企業の持つ魅力が十分に伝わっていない、さらに学生の就職につながりやすいとされる、
インターンシップを実施している企業の割合が全国と比べて大幅に低いという3つの課題を、抜本的に解決する必要があります。 このため、さきの補正予算を活用して、企業の学生に向けたPRを質・量ともに強化するとともに、
インターンシップ実施企業の拡大を図るといった一連の取り組みを加速しているところです。具体的には、本年10月から庁内にコーディネーターを配置し、100を超える企業などと面談して、
インターンシップの実施状況やニーズの把握に努めております。また、先月には、県内企業を対象に、
インターンシップの実施やPR動画の作成を支援するセミナーも開催するなど、専門家の知見を活用しながら、県内企業がその魅力を学生へしっかりと伝えることができるよう支援を行っているところです。加えて、これまで就職支援協定を締結した17大学の皆様と連携して、本県出身の学生や保護者への情報提供を行うとともに、来年1月から開催する
ウエブ版就職活動セミナーへの学生の参加を促してまいりたいと考えております。 引き続き、学生の県内就職の一層の促進に向けて、企業によるPRや
インターンシップのさらなる拡充に取り組むとともに、学生の企業に対する関心や理解を高めるための交流の場づくりなどについて検討を進めてまいります。 第2に、成長に向けた
メーンエンジンをさらに強化する施策群に関しては、これから先の5年、10年に向けて、新たな付加価値の創出や市場の拡大に向けた取り組みを進めております。 まず、農業分野においては、さらなる収量増加や高品質化、省力化などを目指して、
次世代型こうち新
施設園芸システムにAIやIoTなどの最先端の技術を融合させた、
Next次世代型こうち新
施設園芸システムの開発に取り組み始めたところです。本
プロジェクトについては、本年10月、国が産学官の連携による地域のすぐれた取り組みを重点的に支援する、地方大学・
地域産業創生交付金の
交付対象事業に採択され、本年度から5年間で約29億円の交付を受ける見込みとなりました。先月26日には、県と大学、産業団体及び金融機関で構成する、高知県
Next次世代型施設園芸農業に関する
産学官連携協議会において、本格的に本
プロジェクトをスタートさせ、最先端の研究開発に取り組むために必要な実証用ハウスや作物の生育状況を観測する機器などの整備に着手したところです。 今後は、これらを活用し、作物の生育状態に応じた最適な環境制御により一層の収量増加を目指す生産システムや、特定の機能性成分などを強化した品種や栽培技術の開発、出荷量や出荷時期などを予測するシステムや省力化技術の開発などに取り組み、これらを産地全体に普及させることにより、本県園芸農業の飛躍的な発展を目指してまいります。あわせて、一連の取り組みを通じて創出される全国初の技術を多種多様なシステムや新製品の開発につなげ、国内外への地産外商の拡大にまで発展させてまいりたいと考えております。 こうした取り組みを通じて、本県に園芸農業を核とした新たな
一大関連産業群が形成されることを目指してまいります。 次に、林業分野においては、林業や木材産業の成長産業化を目指し、木材需要の抜本的な拡大に向けた取り組みを進めております。 今後、木材需要の一層の拡大を図るためには、木造住宅だけでなく、非住宅建築物の木造化や木質化の普及に向けた取り組みをさらに促進することが重要となってまいります。しかしながら、こうした取り組みを進めるに当たっては、施主の方々に国産材を使うことのメリットが十分に浸透していないことや、非
住宅木造建築物の設計ができる建築士が少ないなどといった課題があります。 このため、まず県内においては、本年4月に設置しました
TOSAZAIセンターにおける営業機能をもう一段強化したいと考えているところです。具体的には、
TOSAZAIセンターと全国レベルの木造建築の専門家が連携し、経済同友会の会員企業を初め、非住宅建築物の施主となる方々に対して、事例紹介や技術面での提案を行うなど、より積極的な提案型の営業活動を行ってまいります。あわせて、県内の建築士などを対象とした木造建築に関する情報提供や勉強会を実施し、非
住宅木造建築物の設計と施主への提案ができる人材の育成に努めてまいりたいと考えております。 また、全国的な民間需要の喚起に向け、本年10月に、本県と経済同友会、
土佐経済同友会の
協働プロジェクトとして、
中高層木造建築や内装の木質化に関するシンポジウムを東京で開催しました。さらに、全国知事会におきましても、東京都知事と私を正副のリーダーとする
国産材活用プロジェクトチームが発足するなど、全国的にも木材のさらなる活用に向けた機運が生まれつつあります。 今後、経済同友会や全国知事会を初め、関係団体の皆様などとも連携し、全国的な木材需要の拡大に取り組み、県産材のさらなる販売拡大にもつなげてまいりたいと考えております。 次に、水産業分野においては、漁業者の高齢化や担い手不足に歯どめをかけるため、効率的な漁業生産体制への転換を目指して、新たに漁業への企業誘致やIoT化の推進などに取り組んでいるところです。 まず、漁業への企業誘致については、地域における雇用創出を目指し、漁協などとも連携して取り組んでおり、これまでにも、地元企業が定置網漁業に参入したことにより、新たな雇用が創出されるとともに生産量が増大した事例が生まれてきております。引き続き、地元の方々との合意のもと漁場の
海底地形などの調査を行い、その結果をもとに県内外の企業に対する積極的な営業活動に取り組んでまいります。 また、漁業のIoT化の推進に関しては、釣り漁業における操業の確実性を向上させるため、黒潮牧場に魚群探知機を設置するなど高機能化を図るとともに、水温を初めとするデータを活用した漁場予測システムを新たに開発するなど、本県水産業の技術革新を推進したいと考えており、現在具体策について検討を重ねているところです。 こうした取り組みを通じて、引き続き、若者が住んで稼げる元気な漁村の実現を目指してまいります。 次に、食品分野においては、地産の強化策として、食品にかかわる産学官の関係者が継続的に交流し学び合う場となる、食のプラットホーム事業を昨年度スタートさせ、これまでに275の県内事業者の方々に商品の開発や改良に関するセミナーなどへ参加いただいたところです。また、同事業の新たな取り組みとして、本年度からスタートした商品づくりワーキングにおいては、16の事業者が専門家や地産外商公社の支援を受けながら、実際の商品開発に取り組んでおります。 今後、こうした商品開発への支援をさらに充実させていく必要があると考えており、商品づくりワーキングの拡充や工業技術センターによる技術支援の強化などについて、現在検討を進めているところです。 あわせて、国内における外商の強化については、地産外商公社がその活動範囲を着実に広げ、県産品の販路開拓や販売拡大に精力的に取り組んでおります。本年度は、中部地区において一連の地産外商活動を強化しているところであり、公社職員の新たな配置や県公認アンテナショップのオープンに続いて、本県産品の販路開拓に向けて10月に開催した展示商談会が好評を博すなど、順調なスタートが切られております。 このように、地産外商公社を中心とした取り組みを通じて国内向けの外商の範囲は着実に広がってきたものの、中長期的には人口減少に伴い国内マーケット全体の縮小が見込まれる中、本県の第1次産業や食品産業のさらなる発展を目指すためには、海外への地産外商の取り組みをこれまで以上に強化することが重要であります。 食料品の輸出に関しては、昨年の輸出額が10億5,000万円余りとなり、第1期
産業振興計画がスタートした平成21年の約20倍にまで伸びてまいりました。現在、さらなる飛躍を目指して、基幹品目であるユズ、土佐酒に加えて、水産物における取り組みを強化しているところです。これまで、アジアを中心に見本市への出展など販路開拓に取り組んできた結果、本年10月には、宿毛市の事業者が高知新港からの定期航路を利用して、ベトナム向けに養殖のブリやマダイ、天然魚12種類の輸出を開始するといった成果も出始めております。 今後、こうした流れを加速させ、さらなる輸出の成果につなげていくためには、販路開拓の取り組みを一層強化していく必要があります。これまでの取り組みに加え、来年7月に予定されている宿毛市の大型水産加工施設の本格稼働にあわせて、市場規模が大きく、需要の拡大が期待されるアメリカや中国に向けた水産物の輸出を強化してまいります。さらに、県産品全体の輸出額の大幅な拡大を目指すための体制のあり方などについても検討を進めてまいります。 次に、ものづくりの分野に関しては、国内においては、首都圏などにおける見本市への出展や商談会の開催などを通じて、地産外商の拡大に取り組んでまいりました。また、海外においても、これまで、防災関連の製品や技術を中心に、本県と同様に自然災害の多い東南アジアや台湾の行政部門へのトップセールスを初め、各地で開催される見本市への出展などに取り組んでまいりました。その結果、ものづくり地産地消・外商センターの営業サポートによる10月までの受注実績は36億9,000万円余りとなり、対前年比で15.6%、約5億円増加し、このうち海外分は5億8,000万円余りとなり、対前年比で22.6%、約1億円増加するなど順調に伸びてきております。 今後、ものづくり分野のさらなる飛躍をなし遂げるためには、国内にとどまらず、経済成長が期待される東南アジアを初めとした海外への販路拡大が一層重要となってまいります。このため先月には、タイ王国工業省産業振興局と産業連携に関する覚書を締結し、同時に高知県工業会とタイ下請業振興協会の間においても覚書が締結され、官民協働で同国との連携強化を図りました。 さらに、これまでの取り組みを土台として、海外企業などとのネットワークの深化や、取引ノウハウを有する国内の商社とのマッチングの強化などについても、具体策の検討を進めているところです。引き続き、県内のものづくり企業の海外展開をしっかりと後押しさせていただき、さらなる輸出の拡大を目指してまいります。 IT・コンテンツ関連産業の振興は、本県の新たな強みをつくり出すとともに、さまざまな産業を飛躍的に発展させていくための基盤となる重要な取り組みであります。 これまで、首都圏からの企業誘致やIT・コンテンツアカデミーによる人材育成などの取り組みを一体的に推進してきた結果、先月末までの累計で、立地企業数が18社、新規雇用者数も約240人となるなど、IT・コンテンツ関連産業の集積が着実に進みつつあります。 また、現場のニーズに対応した機械の開発やIoT技術の導入などにより、県内の各産業分野などのさまざまな課題解決を図るとともに、開発された機械やIoTシステムなどの地産外商を促進する、課題解決型の産業創出の取り組みに関しては、第1次産業や中山間地域などのさまざまな課題から44件のニーズを抽出し、うち31件は製品完成や実証実験の段階にまで進んでおります。 今後は、IoTやAIなどのデジタル技術の導入を、第1次産業を初め、ものづくり産業や食品産業、観光産業、さらには福祉や医療、防災など、あらゆる分野に拡大し、技術革新による生産性の向上や高付加価値化、新たな市場や価値の創造につなげてまいりたいと考えております。 このため、来年度に向けて、最先端のデジタル技術を有する企業への誘致活動の強化や、こうした企業が求める人材を意図的にふやすことを目的とする、IT・コンテンツアカデミーのさらなる充実強化について、検討を進めてまいります。引き続き、企業集積が人材の集積を促進し、人材の集積がさらなる企業集積を生むといった好循環の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。 次に、観光振興の取り組みについて御説明申し上げます。 昨年3月から開催してまいりました「志国高知 幕末維新博」も、閉幕まで残すところ2カ月を切りました。第1幕開幕と同時にオープンした高知城歴史博物館、第2幕開幕と同時にリニューアルオープンした坂本龍馬記念館、さらに県内22の地域会場などには、第1幕の開幕からこれまでに300万人を超える方々に御来場いただき、大変御好評をいただいているところです。これまで、約1年9カ月間の幕末維新博を通じて、県内各地の会場などにおいて、それぞれ展示機能の充実が図られるとともに、さまざまな企画展やイベントが開催され、本県の強みである歴史資源の磨き上げが飛躍的に進んだものと考えております。 来年1月31日の閉幕に向けては、先月から、ナイトタイムエコノミーの観点を取り入れた「高知 光のフェスタ」を開催し、日本三大夜城である高知城における「チームラボ 高知城 光の祭」を初め、県内各地において、イルミネーションなどを活用した夜間イベントを一体的に実施しております。加えて、県内の各地域会場において切れ目のない企画展を開催するなど、幕末維新博の終盤の盛り上げを創出しているところです。 これまでの取り組みを通じて底上げを図ってきた本県の歴史観光につきまして、今後、本県の強みであります食や自然と合わせて、幕末維新博終了後も引き続き磨き上げを継続するとともに、積極的な情報発信やセールス活動に取り組んでまいります。 幕末維新博から引き続いて展開する自然・体験型観光キャンペーンについては、現在来年2月のスタートに向けて準備を本格化しております。本年10月の第3回準備委員会におきまして、キャンペーンの名称を「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」とし、来年2月1日にJR高知駅前のこうち旅広場におきまして、オープニングイベントを行うことなどが決定されたところです。 このキャンペーンは、これまで磨き上げてきた食や歴史資源に加えて、自然景観、体験などを前面に打ち出すことにより、本県の観光面での強みを余すことなく生かそうとする取り組みであります。引き続き、市町村や観光事業者、地域の皆様としっかりと連携して、自然・体験型観光の取り組みを地域地域において加速することにより、県外観光客入り込み数435万人の定常化という目標の達成を目指してまいりたいと考えております。 また、自然・体験型観光の資源は中山間地域に多く存在することから、このキャンペーンの取り組みは中山間対策にも直結するものと考えております。本キャンペーンのスタートに向けて、専門家や民間企業などの有する知見やノウハウを導入するとともに、土佐の観光創生塾などを通じて人材の育成を図ることにより、地域地域において、その持てる資源や魅力に新たな付加価値をつけ、外貨を稼ぐことができるレベルまで磨き上げを行う一連の取り組みを加速してまいります。 さらには、宿泊施設が少ない地域での
住宅宿泊事業、いわゆる民泊サービスなどを活用した宿泊の受け皿づくりについても、検討を深めてまいりたいと考えております。 次に、ルネサス高知工場の承継に関して御説明申し上げます。 本年5月末に、ルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリング株式会社の高知工場が閉鎖された後、地域における雇用の場の創出に向けて、ルネサスエレクトロニクス株式会社や香南市とも協力し、譲渡先の確保に向けて全力で取り組んでまいりました。こうした中、県と香南市による誘致活動がきっかけとなり、本年9月には、ルネサス社と丸三産業株式会社において譲渡契約が締結されました。また、10月には県の立ち会いのもと、丸三産業と香南市との間で進出協定の締結が行われ、現在同社により、操業開始に向けた準備が進められているところです。今回の進出に当たり、これまでの間、御尽力をいただきました丸三産業、ルネサス社、香南市を初めとする関係者の皆様方に、改めて感謝を申し上げます。また、県議会議員の皆様にも、県民の貴重な声を関係者に届ける活動を展開していただいたところであり、心より感謝を申し上げます。 今回の進出により、香南市において再び100名規模の雇用が創出されることとなり、地域経済の活性化に大いに寄与するものと期待をしているところです。県としましても、旧ルネサス高知工場の閉鎖に伴い、県外の工場へ配置転換になった方々やいまだ再就職先が決まっていない方々に対し、関係機関と連携して今回の事案をお伝えするなど、再就職に向けた支援をしっかりと行ってまいりたいと考えております。 県の香南工業用水道事業が、長年にわたり、ごく一部のみの稼働にとどまってきたとの積年の課題について、このたびの丸三産業株式会社の進出を機に、一定の解決を図りたいと考えております。これまで、旧ルネサス高知工場には、香南市の工業用水道から給水が行われておりましたが、同市の水源の給水能力では、丸三産業が必要とする日量4,000立方メートルを安定的に確保できないといった根本的な制約があります。このため、今般、県と香南市で協議を行い、同じ地域内にある県の香南工業用水道の水源も活用して、安定的な給水を確保することといたしました。 また、給水のルートに関しては、給水コスト削減の観点とともに、一元的な給水を望む企業のニーズを踏まえ、当面は香南市の配管をメーンルートとして使用したいと考えております。一方、同市の設備は県のものより古く、配管の耐震対策が行われていないため、万が一に備え、県の配管もバックアップ用として活用するとともに、比較的新しく耐震化もされている県の配管へ、給水機能を段階的に移行させてまいりたいと考えております。今議会においては、県の香南工業用水道から給水を開始するために必要な施設整備に関する補正予算案を提出させていただいております。 今後、こうした対応を行っていくに当たっては、次の3つの理由により、県と香南市の工業用水道事業を統合した上で、県が主体となって事業を行うことが適当であると考えております。 1点目は、企業への安定的な給水の確保であります。今後、県と市にまたがる複数の水源を活用し、迅速かつ柔軟に対応していくためには、両者の事業を一元化し、責任の所在を明確にしておくことが必要であります。その際には、専門の技術職員を有する県に一元化することが適当であると考えております。 2点目は、給水コストの削減であります。両工業用水道事業を統合することにより、人件費などの共通経費の削減が可能となります。さらに、香南市が単独で工業用水道事業の運営を継続する場合は、将来的に設備の更新や配管の耐震化に多額の費用が発生することとなりますが、先ほど申し上げましたように、最終的に県の配管を活用することにより、これらの費用が不要となります。 3点目に、事業の統合を行わず、県の香南工業用水道から市の工業用水道に給水を行うことは卸売に当たり、そもそも法律上認められていないという問題もあります。 こうしたことから、地元関係者の御理解もいただきながら、これまで香南市と協議を進めてきた結果、このたび、統合に向けた手続を進めていくことについて合意に至ったところです。 この両工業用水道事業の統合によりまして、丸三産業に対し、責任を持って、技術面、費用面で安定的な給水を確保できることに加え、県全体として、次の3つのメリットが生じることとなるものと考えております。 まず、県としましては、平成14年度の完成以来、長らく活用の見通しが立っていなかった香南工業用水道を、本格的に稼働させることが可能となります。また、香南市としましては、工業用水道事業を県へ移管することに伴い、将来発生する設備の更新や配管の耐震化に要する多額の費用が不要となります。加えて、香南工業用水道の本格的な活用に向けためどが立ったことから、川谷刈谷工場用地の分譲において、同用水の大量使用という条件を大幅に緩和することが可能となり、企業誘致の促進と新たな雇用の創出につながるものと期待されます。 以上のように、今回の工業用水道事業の統合は、県、香南市、企業誘致のいずれにとりましても大いにメリットがあるところであり、いわば三方よしと言えるものではないかと考えているところです。 今後は、一連の取り組みを通じまして、丸三産業の工場への安定的な給水を図るとともに、川谷刈谷工場用地への早期の企業誘致を実現し、さらなる雇用の創出や経済波及効果の発現につなげてまいります。 次に、日本一の
健康長寿県づくりの取り組みについて御説明申し上げます。 まず、地域地域で安心して住み続けられる県づくりの実現に向けては、本年度から県内の各地域において、医療・介護・福祉のサービスが連携し、切れ目のないサービス提供を可能とする
高知版地域包括ケアシステムの構築の取り組みを加速しております。具体的には、各福祉保健所に配置している地域包括ケア推進監を中心に、市町村や関係者の皆様と、それぞれの地域におけるネットワークづくりに向けて協議を進めているところです。 この中において、入院時から退院後の生活を見据えた支援が十分でないことや、在宅生活を支える訪問看護や介護のサービスが不足していることなど、地域ごとの課題について関係者が認識を共有してきているところであり、今後、入退院から在宅生活への円滑な移行や在宅サービスの量的・質的拡充のさらなる加速化などに向けて、具体的な議論を深めてまいります。 また、この地域包括ケアシステムを支える取り組みとして、高知県医師会や医療機関により構成される協議会において、病院や薬局、介護事業所などが保有する医療や介護の情報をICTを通じて共有する、
地域医療介護情報ネットワークシステムの構築を進めているところです。これにより、患者の治療内容などの情報を関係機関が共有し、効果的な治療はもとより、重複検査や医薬品の重複投薬の防止につながることが期待されます。 さらに、同ネットワークシステムと、在宅患者の日々の状態を関係者間でリアルタイムに情報共有する「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」との連携を図ることにより、各地域における医療・介護・福祉の情報が切れ目なくつながるネットワークが広がり、
高知版地域包括ケアシステムの構築が大いに加速するものと考えております。 今議会においては、同ネットワークシステムの整備を推進するための補正予算案を提出させていただいているところです。 本年4月に、慢性期の医療や介護ニーズに対応するための介護医療院が制度化されたところであり、これにより、療養病床の移行先の選択肢が広がるとともに、高齢者の生活の質、いわゆるQOLの向上にもつながるものと期待されております。これまでに3医療機関などが介護医療院に転換し、さらに複数の医療機関においても転換の検討が進められているところです。引き続き、セミナーの開催などを通じて参考となる先行事例を紹介するとともに、転換を機に行う耐震化などに県独自で上乗せ支援を行うなど、介護医療院への円滑な転換を支援してまいります。 以上のような一連の取り組みを通じて、支援の必要な高齢者の皆様を、本人の意向に沿った、QOL上最もふさわしいサービスにつなぐことができる
高知版地域包括ケアシステムの構築を進めてまいります。 先月、官民協働で健康寿命の延伸を図るとともに、
高知版地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいくことを目的として、高知家健康会議2018を開催しました。この会議の趣旨に賛同いただいた県内の医療関係団体や経済団体、行政機関など、幅広い分野から約250名の方々の御参画を得たところです。第1回目となる今回の会議においては、日本医師会の横倉会長より、持続可能な社会保障制度を構築するための健康づくりの重要性などについて御講演いただくとともに、県内企業による健康経営の優良事例が発表され、今後の取り組みを進める上で大いに参考となる有意義な機会を持つことができました。 引き続き、同会議を定期的に開催することを通じて、本県の抱える課題を関係者間で共有するとともに、県内外の先進的な事例を学び合い、官民一丸となって、日本一の健康長寿県構想の取り組みを推進してまいります。 また、本年7月の全国知事会議で決議された健康立国宣言に基づき、私が委員長を務める全国知事会社会保障常任委員会を中心に、持続可能な社会保障制度の構築に向けた取り組みが精力的に進められております。 具体的には、まず全都道府県が参画する勉強会を立ち上げ、社会保障制度に造詣の深い有識者から御意見を伺い、持続可能な制度構築のために必要な施策の方向性などについて議論や検討を行っているところです。 あわせて、各都道府県の先進事例や優良事例をお互いに学び合い横展開を図るとともに、それぞれ深化させていく取り組みを、全国知事会を挙げて組織的に進めていくこととしております。先月までに、重症化予防、医薬品の適正使用、仕事と子育ての両立支援、地域医療構想の実現など、21のカテゴリーから成るワーキングチームを立ち上げ、順次活動を開始するとともに、これまでの活動から見えてきた方向性や、横展開を進める上での課題などについて中間取りまとめを行い、国などに対して提言活動を行いました。 本県においても、ワーキングチームで情報共有される他県の優良事例からしっかりと学び、取り入れていくことにより、重症化予防などの取り組みをさらに深化させてまいりたいと考えております。 次に、教育の充実に関する取り組みについて御説明申し上げます。 小中学校における学力向上対策に関しては、今後、県内の児童生徒の約半数を抱える高知市内における取り組みを強化することが不可欠であります。同市の全国学力・学習状況調査の結果において、小学校はここ数年下降傾向にあり、また中学校は特に数学について全国平均や県平均を大きく下回る大変厳しい状況にあることを踏まえ、本年度当初から、県市が連携を強めて、高知市内の小中学校に対する訪問指導体制を強化しております。 さらに、本年8月に開催した県と高知市との教育に関する連携会議において、高知市長から、高知市の厳しい現状を学校はもとより保護者とも共有しながら、学力向上対策をさらに進めていきたいとのお話を伺ったところです。 このことを受けて、本年4月より県から7名の指導主事を派遣している高知市学力向上推進室の活動に、10月から新たに県教育委員会の指導主事3名を加え、特に課題の見られる学校への訪問指導を強化しております。これにより、本年4月から10月末までの間に延べ1,185回の学校訪問が行われ、数学の授業や教科会に対して指導・助言が実施されるなど、授業改善を徹底する取り組みが進んできております。この訪問指導に関して、学校現場からは、新学習指導要領に基づく授業づくりへの理解が深まり、授業改善や教科会の充実につながっているといった声を伺っており、訪問を要請する声も多く上がってきております。このため現在、県と高知市との連携によるさらなる取り組みの拡充について検討を進めているところです。 また、県全体の取り組みに関しては、複数の教員が学年をまたがり同じ教科を担当する、教科の縦持ちを実施する中学校が31校となり、同じ教科の教員が少ない学校において、教科の枠を超えて教科間連携に取り組む中学校も11校となるなど、定期的な教科会などを通じて教員同士が学び合い、組織的に授業改善を行う取り組みも広がってきております。 今後は、これらの取り組みを県内の市町村立中学校103校全てに展開するとともに、小学校においても、若年教員を育成するためのメンター制度の導入を初め、OJTの推進に資する新たな取り組みを始めるなど、不断に授業改善を図る仕組みを県全体において構築してまいりたいと考えております。 次に、高等学校における学力向上対策に関しては、本年度に設置した学校支援チームが10月末までに延べ655回の学校訪問を行うなど、授業改善やカリキュラムマネジメントの充実に向けた指導・助言に取り組んでおります。こうした取り組みを通じて、教員の授業改善に対する意識改革が着実に進むとともに、9月に実施した3教科の学力定着把握検査において、進学や就職に支障を及ぼすレベルの学力とされているD3層の生徒の割合が過去最少となり、国立大学への合格レベルとされるA層の生徒の割合が過去最多となるなど、各学校の学力向上に向けた取り組みの成果があらわれ始めております。 一方で、授業改善の取り組みが学校全体にまでは広がっておらず、また生徒の多様な進路希望への対応の充実も求められております。このため、学校支援チームによる訪問指導のさらなる充実を図り、授業改善や学力定着把握検査によるPDCAを徹底することに加え、生徒の多様な進路を支援する取り組みへの助言を強化するなど、各学校の課題解決につながる取り組みをさらに進めてまいりたいと考えております。 次に、県立高等学校再編振興計画の後期実施計画について御説明申し上げます。 高等学校は、地域における教育の重要な拠点であるとともに、住民の皆様の生活にもかかわる大切な施設であり、とりわけ中山間地域においては、地域唯一の後期中等教育機関として、その存在意義はより大きなものがあります。さらには、中山間振興の核ともなり得ることから、地理的条件や学校の規模に影響されることなく、可能な限りその機能の維持・拡充を図っていくことが重要であります。このため、少子化の進行に伴い一層の生徒数の減少が見込まれる中、地理的条件や学校規模に影響されない充実した教育環境の実現をいかにして図っていくのか、また地域と連携した魅力ある学校づくりをどのように進めていくのか、さらに、近い将来に起こり得る南海トラフ地震に備えて、いかに安心・安全な教育環境の整備を図っていくのかなどといった視点から、教育委員会協議会において18回の議論を重ね、現在、今後5年間で実施すべき施策について、最終的な取りまとめを行っているところです。 今後は、中山間地域の小規模な高等学校においても、生徒が希望する進路を実現できる学習環境の整備に向けて、遠隔教育システムなどのICTを活用した教育環境の充実に取り組んでまいります。 また、地域外からも生徒を呼び込み、地域の活性化にもつなげることができるよう、各学校の教育内容や部活動の充実を図るとともに、それぞれの学校においてより一層の特色づくりを図る取り組みも進めてまいります。さらには、地元の市町村や企業などと連携しながら、地域課題の解決に生徒が主体的に取り組む探究的な学びを推進するなど、地域の将来を支える人材の育成を進めてまいります。 加えて、安芸中学校・高等学校と安芸桜ケ丘高等学校については、南海トラフ地震に備えるとともに、適正規模を維持しながら教育活動の充実を図るために統合を行うこととし、東部地域の活力ある拠点校として整備してまいります。さらに、清水高等学校については、地震による津波被害から確実に生徒や教職員を守るために、高台への移転を進めることとしております。 同計画に基づき、こうした取り組みを着実に実行していくことにより、県立高等学校のさらなる振興を図ってまいりたいと考えております。 次に、
南海トラフ地震対策及び豪雨災害対策について御説明申し上げます。
南海トラフ地震対策に関しては、平成28年度から本年度までの3年間を計画期間とする、第3期
南海トラフ地震対策行動計画に基づき、命を守る、命をつなぐ、生活を立ち上げる対策にそれぞれ取り組んでまいりました。こうした取り組みの結果、揺れや津波から命を守るための避難空間の整備や公共施設の耐震化がおおむね完了するとともに、助かった命をつなぐための迅速な応急活動に向けた体制の充実や避難所の確保などが着実に進んでまいりました。 今後は、それぞれの対策に関し、次のステージに向けてさらに対策を着実に進めていくとともに、これまで取り組みを行ってきたがゆえに見えてきた新たな課題に対応していく必要があると考えております。 例えば、命を守る対策に関しては、避難路・避難場所については計画していた1,445カ所の整備が完了し、津波避難タワーについても計画総数115カ所に対して111カ所が完成するなど、津波避難空間の確保は着実に進んでまいりましたが、他方で、津波避難経路の現地点検の結果、老朽住宅やブロック塀の倒壊により避難経路を塞ぐおそれがあるなどの課題が明らかとなったことから、今後は、市町村と連携してその安全対策を加速する必要があると考えております。また、住宅の耐震化については、計画期間中の目標である4,500棟は達成する見込みとなったものの、依然として耐震化が必要な住宅が数多く残っておりますことから、所有者に対する啓発など、住宅の耐震化の取り組みを進めていくことが引き続き必要です。 次に、命をつなぐ対策に関しては、道路啓開計画について実効性を高めるための改定を行ったほか、物資配送や燃料確保、医療救護などの応急活動に必要な各種計画を策定しました。このうち、応急期機能配置計画については全市町村で策定が完了し、個々の市町村で確保できなかった応急活動の拠点などの機能については、県内の各圏域内で機能を補完する広域調整を行ったところです。しかし、それでもなお、避難所や応急仮設住宅の建設用地、災害廃棄物の仮置き場については、計画における必要な量を確保する見通しが立たないことから、民地の活用も含め、対策のさらなる強化を図っていかなければならないと考えております。 また、生活を立ち上げる対策に関しては、事業者の業務継続計画について、講演会やセミナーの開催、個別支援などにより策定率が向上し、さまざまな産業分野において事業の継続性が高まったものの、迅速な復旧・復興を実現するためには、各分野においてさらなる事前対策が必要であります。第4期計画においては、こうした第3期計画の総括を進める中で見えてきた課題に対する対応を確実に盛り込むことに加え、対策の時間軸をこれまで以上に長く捉えた取り組みを充実強化してまいります。 次に、南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合に臨時に発表される、南海トラフ地震に関連する情報への対応については、本年3月に設置された国の中央防災会議のワーキンググループにおいて、臨時情報が発表された場合に住民や企業がとるべき防災対応の方向性や具体的な取り組みに関して、議論が進められてきました。私も委員として積極的に議論に参加してきたところであり、今後年内を目途に取りまとめが行われることになっております。 こうした中、本県においては、この臨時情報がいつ発表されても対応できるように、当面の対応方針について市町村と協議を進めてきたところです。これまでに3回の会議を行い、県内で統一的に行う防災対応として、家具の固定や物資の備蓄を呼びかけるとともに、避難に時間を要する避難行動要支援者のための避難所を開設することなどを取り決めました。 今後は、避難所の開設や運営に係る市町村の負担を軽減するための県の支援内容について検討を進めるほか、県民の皆様に臨時情報について正しく知っていただくための啓発や広報の方法などについて、関係者と協議を重ねてまいります。 県としましては、この臨時情報を防災対応に生かし、一人でも多くの県民の皆様の命を守ることができるよう、国における議論の動向を注視しつつ、市町村と連携しながら必要な取り組みを進めてまいります。 豪雨を初め暴風や高浪などの災害対策に関しては、本年9月から豪雨災害対策推進本部を新たに設置し、平時から部局横断的にハード・ソフト両面で対策を推進していくこととしております。 まず、さきの7月豪雨やその後の台風によってもたらされた多岐にわたる甚大な被害に関しては、第1に公共施設などの早期復旧、第2に被災者の生活再建、第3に経済被害への対応といった3つの点について、さきの補正予算も活用して迅速に対応を進めております。 また、今後の豪雨などに備えてインフラ整備が必要な箇所や、土砂や流木の撤去を要する危険な箇所を洗い出すとともに、豪雨の際は防災行政無線の音声が聞こえづらいといった課題を踏まえ、情報伝達手段の多重化などについて検討を進めております。あわせて、国に対して中小河川の治水対策の強化などについて政策提言を行うなど、国を巻き込む視点も持って取り組んできたところです。引き続き、全庁を挙げて取り組むべき対策について知恵を絞り、県全体の豪雨への防災・減災能力を高めてまいります。 次に、インフラの充実と有効活用について御説明申し上げます。 先月、四国8の字ネットワークを構成する片坂バイパスが開通し、これまで本県を東西に分断してきた焼坂、久礼坂、片坂という3つの交通の難所が全て解消するという歴史的な日を迎えることができました。このバイパスは、県中央部と西部とのアクセスをさらに向上させ、地産外商や観光振興の推進に大いに寄与するとともに、南海トラフ地震を初めとする災害時には、円滑な救援活動や物資輸送を可能とする命の道としての役割を果たすことが期待されるところです。 今後につきましても、2020年度までに中村宿毛道路や高知南国道路の全線開通が予定されるなど、四国8の字ネットワークの完成に向けて、一歩一歩着実に前進をしております。 引き続き、災害に強い高速道路ネットワークの整備が推進されるよう、全国高速道路建設協議会の会長として、高速道路のミッシングリンクを抱える他県の知事とも連携し、国などに対して積極的に政策提言を行ってまいります。 また先月、西日本高速道路株式会社から、7月豪雨により流失した高知自動車道立川橋を来年の夏休み前までに復旧させ、大豊から新宮間の対面通行を解消するとの発表がなされました。県としましても、復旧工事が円滑に進められるよう同社や関係機関と連携し、全力で取り組んでまいります。 次に、スポーツの振興について御説明申し上げます。 第2期スポーツ推進計画に基づくスポーツ振興の取り組みにつきましては、関係者の皆様から幅広い御意見をいただきながら、PDCAサイクルを徹底し、着実に推進しております。 特に、競技力の向上に関しては、現在10競技団体において全高知チームの活動が行われており、全国トップレベルの指導者のもと、質の高い強化練習が実施されているところです。さきに行われた国民体育大会においては、ラグビーの少年男子が県勢で初めての勝利を上げるなど、全高知チームの取り組みが成果につながったものも見受けられます。 しかしながら、男女総合得点で競う天皇杯において本年度も最下位となり、これで5年連続最下位という大変厳しい結果となったところです。この厳しい現状について、関係者の皆様と改めて危機感を共有させていただくとともに、本県の取り組みに何が足りないのか詳細に分析し、競技力向上の施策をさらに加速してまいりたいと考えております。このため県と県体育協会、各競技団体の3者により、全高知チームの強化計画に沿った取り組みを再度検証し、来年の国体に向けた短期的な対策とそれ以後の中期的な対策を明確化して、それぞれの目標に沿ったPDCAサイクルをもう一段強化してまいります。 また現在、春野総合運動公園で整備を進めているスポーツ医科学拠点において、それぞれの競技に応じた科学的、合理的な練習方法を提供できるよう、競技ごとの年間計画の策定や専門家によるサポートチームの編成などについて検討を進めているところです。 全高知チームの取り組みなどが着実な成果につながり、本県の競技力がさらなる高みに到達できるよう、引き続き県体育協会とともに競技団体を全力で支援してまいります。 産業廃棄物の新たな管理型最終処分場の整備については、本年2月1日に、須崎市神田、香南市香我美町上分、佐川町加茂の3カ所が最終候補地として選定されて以降、県として、丁寧な上にも丁寧に誠意を持って対応するとの考えのもと、住民説明会やエコサイクルセンターの見学会を重ねて開催し、説明を続けてまいりました。こうした説明と並行して、各候補地及び周辺における施設整備上の課題などを把握するため、現地調査を実施し、その結果も県議会や3市町の皆様に御説明させていただきました。また、説明会資料とあわせてアンケート用紙を3地区の各戸にお配りさせていただき、説明会に御参加いただけていない方々についても御理解を深めていただけますよう取り組んできたところです。さらに加えて、皆様から頂戴した御意見や御質問に関する県の考えを、改めて質疑応答集として整理し、各戸にお配りさせていただきました。 こうした一連の説明を通じて、住民の皆様には、最終処分場の必要性そのものについてはおおむね御理解をいただけたのではないかと考えておりますが、他方で、地震による水漏れや土砂災害への心配を初めとするさまざまな不安の声や、御自身の地域には施設をつくってほしくないといった声もいただいてきたところであり、こうした住民の皆様の御意見には3市町間で大きな差があるとは言いがたい状況です。 他方、地元への説明を重ねる中で、住民の皆様の心配の声や御意見は、自然災害への不安や施設整備による生活環境への影響といったことに論点が絞られてまいりました。加えて、施設整備に合わせた周辺の環境整備に関し、より具体的な御質問や御意見も多くいただくようになりました。こうした状況のもと、今後県として、住民の皆様の声にしっかりとお答えしていくためには、ボーリング調査や設計などの過程を通じて個別の対策について検討を深め、詳細かつ具体的に御説明をさせていただくことが必要となります。しかし、これには地権者の承諾や相当の費用を要することから、現段階において候補地を1カ所に絞り込ませていただき、次のより詳細な検討の段階に進ませていただくことが適当ではないかと考えるに至ったところです。 これまで申し上げてきましたとおり、候補地の絞り込みに当たっては、まずは、現地調査の結果に基づき、科学的かつ合理的に検証を行うことが重要であると考えております。このため、現地で行った地形や地質に関する調査、水に関する調査、候補地周辺に関する調査の結果と、南海トラフ地震による津波の影響に関する評価を合わせた4点の項目について、科学的かつ合理的な視点から検討をいたしました。 1点目の地形や地質に関しては、住民の皆様からも土砂災害などについて多くの心配の声をいただいたところです。現地調査の結果によれば、須崎市神田及び香南市香我美町上分の候補地及び周辺において、小規模ではあるものの土石流など自然災害の痕跡が確認されておりますが、こうした自然災害の痕跡については、施設の設計を行う際の検討によって対応することが可能であると考えております。佐川町加茂は、石灰岩採掘跡の平たん地であり、自然災害の痕跡は確認されていないものの、周辺では小規模な洞穴が2カ所確認されておりますことから、候補地の地下に空洞がないとは言い切れませんが、万が一空洞が確認された場合においても、構造物に対する支持力を十分に確保する工法により対応することが可能であると考えております。 2点目の水に関する調査に関しては、住民の皆様からも処分場からの水漏れによる下流への影響などについて多くの心配の声をいただいたところです。現地調査の結果からは、3カ所ともに周辺流域への地下水の大きな流動は確認されず、特段の課題は見受けられませんでした。また、処分場の整備に当たっては、処理水を一切外へ出さない設備を完備し、国の基準を超える遮水構造とするとともに、南海トラフ地震で想定されている最大震度を超える地震にも耐えられる施設とするなど、万全の対策をとってまいります。 3点目の候補地周辺に関する調査に関しては、住民の皆様から生活への影響を不安視する声を多くいただきました。この点、既存道路を利用して進入道路を整備する案では、工事用車両などの通行に伴う沿道の住家や農業用ハウスへの粉じんや騒音の影響、交通安全上の懸念、拡幅工事に伴う住家の移転など、3カ所それぞれにおいて住民の皆様の生活に少なからず影響を及ぼすおそれがあります。一方、進入道路を新設する案では、既存道路を利用する整備案と比べると住民の皆様の生活に及ぼす影響は小さいと考えられますものの、須崎市神田においては農業用ハウスの移転が必要となりますし、また香南市香我美町上分は整備するトンネルの入り口周辺に住家があるといった状況にあります。この点、佐川町加茂は沿道に住家などのないルートとなるため、そうした影響は最も小さいものと考えられます。 4点目の南海トラフ地震による津波の影響に関しては、高知市中心部から処分場へ通行することを想定した場合、須崎市神田は、経路の一部が津波による長期浸水エリアとなっており、一定期間アクセスが困難となります。香南市香我美町上分は、経路の一部が長期浸水エリアとなっておりますものの、迂回することによりアクセスは可能であります。佐川町加茂は、内陸部を通行するため、浸水の影響を受けることなくアクセスが可能であります。 このような現地調査の結果などを総合的に勘案しますと、県としては、施設整備による地域の皆様の生活への影響が最も小さく、地震による津波の影響を受けることがないと考えられる佐川町加茂において進入道路を新設する案が、科学的かつ合理的な視点からも、また住民の皆様の不安の声に鑑みても、最も有力ではないかと考えているところです。 つきましては、本議会において、この絞り込みの考え方についてより丁寧に御説明させていただいた上で、議員の皆様の御意見を踏まえ、県として候補地を1カ所に絞り込みたいと考えております。1カ所に絞り込みを行った後は、その地域の実情に応じた個別具体的な対応を含めてお話し合いをさせていただき、より多くの皆様に御理解を深めていただけますよう、一段と丁寧に取り組んでまいります。 さきの9月定例会で御説明させていただいたとおり、障害者雇用に関し、本県の知事部局と公営企業局において、法定雇用率を達成していない状況であることが明らかとなりました。その要因としては、国への障害者雇用状況の報告に当たり、国の通知やガイドラインの確認が不十分であったこと、人事申告があった後の障害者手帳所持の状況確認がずさんであったこと、対象者かどうかを医学的に不十分な知識によって判断していたことの3点が挙げられます。さらに申し上げれば、庁内に向けて、適切な運用を行うための明確な基準が示されてこなかったことに原因があるものと考えております。 これまでの対応は、法定雇用率を満たすために障害者雇用の対象となる職員の数を意図的に水増ししようとしたものでは決してありませんが、法定雇用率を達成していると誤認してきたことにより、その分、障害者の方々の就業の機会を失わせる結果となってしまいました。改めて、範を示すべき立場にある県として、深く反省しております。 県庁組織として、責任の所在を明らかにし、けじめをつけた上で、早期に法定雇用率を達成していく必要があると考えております。このため、障害者雇用に係る行政運営上の明確な基準が庁内に向けて示されるべきであったのに、そうされてこなかったことなどについて、このたび私を含む関係者の処分を行うことといたしました。また、これまで不十分であった運用の基準については、既に本年8月の関連調査時に、国の通知やガイドラインに沿ったより厳格なものを示したところです。今後、この厳格な基準に基づいて法定雇用率を早期に満たすことができるよう、最大限努力しなくてはならないと考えております。まずは、正職員の障害者枠採用試験を追加で実施することとしました。その際には、受験年齢の上限を34歳から39歳に引き上げるとともに、身体障害者の方に加え、知的障害者及び精神障害者の方にも広く門戸を開くこととし、一昨日から募集を開始いたしました。 今後とも、障害者手帳の有無にかかわらず、障害のある職員が働きやすい環境づくりに努め、より一層障害者の雇用の推進に努めてまいります。 本年10月、天皇皇后両陛下の御臨席を賜り、「明治150年記念 第38回全国豊かな海づくり大会~高知家大会~」を開催いたしました。明治150年という節目の年に、平成最後の三大行幸啓となる大会を本県で開催できましたことは、歴史上のえにしに鑑みても大変光栄なことであり、多くの県民の皆様にとりましても大変喜ばしく、感慨深い機会となったのではないかと感じております。 3日間の行幸啓を通じまして、約7万人もの県民の皆様方が天皇皇后両陛下を奉迎されました。両陛下におかれましては、沿道や御訪問先において何度も繰り返しお手振りをなされるなど、県民に大変親しく接してくださいました。私としましても、天皇皇后両陛下が国民一人一人をとても大切になされておられますことに改めて深く感じ入り、大変感銘を受けたところです。 本大会の行事中、高知市文化プラザかるぽーとで開催された式典においては、県内の児童生徒や若手漁業者の皆様により、海づくり八策が力強く発信されるとともに、土佐市宇佐しおかぜ公園においては、県内の代表的な漁法を紹介する海上歓迎パレードや、イサキやイシダイの稚魚の放流などが行われました。これらの行事に関しまして、天皇皇后両陛下から、とっても立派な行事で本当にいい行事だったとの大変ありがたいお言葉があったと、侍従の方より伺ったところであります。改めて、このたびの行幸啓に関し、県民を代表いたしまして、天皇皇后両陛下に心から厚く御礼を申し上げます。 また、本大会の開催に当たり、御協力いただきました県内漁業者の皆様、準備をされた実行委員会の皆様、国や関係機関の皆様、さらには数多くの県民の皆様に改めて心より御礼申し上げます。 本大会の開催を契機として、森、川、海のつながりを意識しながら自然環境を守り育てる気持ちや行動の大切さを、次の世代へしっかりと伝えてまいります。あわせて、本県の豊かな水産資源や自然環境を未来へ引き継いでいくための保全活動をなお一層推進してまいります。 続きまして、今回提案いたしました議案について御説明申し上げます。 まず、予算案は、平成30年度高知県
一般会計補正予算などの8件です。このうち、
一般会計補正予算は、先ほど申し上げました経済の活性化などの経費として、28億8,000万円余りの
歳入歳出予算の補正などを計上しております。 条例議案は、高知県
住宅宿泊事業法に基づく
住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例議案など7件であります。 その他の議案は、平成31年度
当せん金付証票の発売総額に関する議案など11件であります。 以上をもちまして、議案提出に当たっての私からの説明を終わらせていただきます。何とぞ御審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。
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△
決算特別委員長報告
○議長(土森正典君) 日程第4、345第23号「平成29年度高知県
電気事業会計未
処分利益剰余金の処分に関する議案」及び同第24号「平成29年度高知県
工業用水道事業会計未
処分利益剰余金の処分に関する議案」並びに345報第1号「平成29年度高知県
一般会計歳入歳出決算」から同報第22号「平成29年度高知県病院事業会計決算」まで、以上24件を一括議題といたします。 これより
決算特別委員長の報告を求めます。
決算特別委員長浜田英宏君。 (
決算特別委員長浜田英宏君登壇)
◆
決算特別委員長(浜田英宏君) 決算審査を担当させていただきました浜田でございます。少し風邪を引いてございまして、喉の調子が悪うございます。お聞き苦しい点あろうかと思いますが、御容赦を願いたいと思います。 平成30年9
月県議会定例会において
決算特別委員会が付託を受けました平成29年度
一般会計歳入歳出決算及び特別会計歳入歳出決算、平成29年度公営企業会計決算について、その審査の経過並びに結果を御報告いたします。 まず、平成29年度一般・特別会計決算についてであります。 当委員会は、執行部から提出された決算資料及び監査委員の決算審査意見書に基づきまして、予算及び事業の適正かつ効率的執行並びに事業の成果に主眼を置くとともに、前年度の
決算特別委員会の意見に対する措置状況についても重点を置いて、慎重に審査いたしました。その結果は、お手元に配付されております平成29年度高知県
歳入歳出決算審査報告書のとおりであります。 各会計の決算の内容については、説明を省略させていただき、審査の結果について、その要旨を御説明いたします。 当年度の決算全般については、財政状況の厳しい中、財政運営の健全化や質的転換に向けた予算執行への取り組みは一定評価すべきものと認められます。各会計における予算の執行は、おおむね適正かつ効率的に行われており、その成果が認められますので、一般会計決算及び各特別会計決算については全会一致をもって、いずれも認定すべきものと決しました。 また、予算執行において改善すべき事項が見受けられますので、今後の行政運営上、検討または改善すべき事項として次の意見を付して、各種施策の実施に当たっては十分留意するよう求めます。 なお、今回の決算審査に当たり提出されました決算に関する説明書等において、記載事項に誤りが見られました。今後はこのようなことがないよう、資料の提出に当たっては、十分精査することを求めます。 まず、行財政運営等についてであります。 平成29年度は、県勢浮揚を目指した第3期の
産業振興計画や日本一の
健康長寿県づくり、
南海トラフ地震対策などの5つの基本政策と、中山間対策や少子化対策の強化、女性の活躍の場の拡大を図る施策などを進めるとともに、新たに文化芸術とスポーツの振興を横断的な政策として位置づけて取り組んでいます。 決算状況については、歳入では地方譲与税が増加したものの普通交付税が減少し、歳出では補助費などが減少したものの物件費が増加したことなどから、経常収支比率は前年度からさらに上昇しており、自主財源が3割程度の脆弱な財政体質であることから、引き続き県債残高を意識して、さらなる財政の健全化に努める必要があります。 職員の確保については、獣医師を初め土木の技術職や薬剤師も不足しています。ついては、その原因をしっかり分析し、人員を確保するために効果的な対策を検討するよう求めます。あわせて、人員の配置については、高どまりとなっている時間外勤務の状況を分析するとともに、現場の声を聞くなど各所属の現状を十分に把握した上で、適正な配置に努めるよう望みます。 職員の公務中の交通事故については、事故防止に向けた取り組みを行っているにもかかわらず、発生件数は高どまりの状態であります。ついては、これまでに発生した事故の分析を行い、原因を把握した上で、事故防止に取り組むことを求めます。あわせて、安全運転を支援する装置を公用車に導入することについても検討するよう求めます。 財務会計事務の処理については、監査委員からの指摘を踏まえ、さまざまな対策を講じていますが、依然として補助金や契約事務などにおいて基本的な処理の誤りが見られました。ついては、会計事務の基本を理解させる取り組みを引き続き行うとともに、管理職員等のチェック機能の向上を図り、適正な業務の執行に努めることを求めます。 次に、
南海トラフ地震対策等についてであります。 浦戸湾沿岸域における石油基地については、南海トラフ地震の発生時に石油の流出や津波火災のおそれがあることなどから、被害軽減対策が必要となっています。ついては、津波による瓦れき等と石油の拡散状況のシミュレーション結果を踏まえ、関係者との連携を図り対策を進めるとともに、引き続き事業者の負担軽減に向けた国への政策提言などにより、石油基地の耐災化を推進するよう望みます。 消防団については、災害の多様化、大規模化などにより、さまざまな役割が求められ重要性が増す中において、女性消防団員の活動の活性化が期待されます。ついては、機動性、操作性にすぐれた資機材の充実に向けた支援等を行い、女性が活動しやすい環境の整備を進めることで、地域防災力の強化を図ることを望みます。 次に、保健・福祉・医療対策等についてであります。 中山間地域における訪問看護については、人材のさらなる確保・育成と訪問看護ステーション等の収入の確保が必要です。ついては、高知県立大学に設置された寄附講座などの取り組みを引き続き積極的に進めるとともに、訪問看護ステーション等に対する支援制度の周知に努め、中山間地域における在宅医療提供体制の強化を図ることを望みます。 県内の自治体病院については、幾つかの病院で医師不足により休止している診療科があるなど、地域住民が求める医療の提供が困難な状況にあります。ついては、市町村における医師確保対策を効果的に推進するために必要な助言、支援を行うとともに、地域医療構想等の推進を通じて各医療機関の役割を明確にした上で、地域医療の確保を図ることを望みます。 あったかふれあいセンターについては、県内の多くの地域で整備され、地域福祉の重要な拠点として定着していますが、看護師や理学療法士等の専門職の確保が難しい状況にあります。ついては、一般の職員が専門知識を習得できるスキルアップ研修の充実を図るとともに、専門職の派遣による支援をさらに進めることで、あったかふれあいセンターの機能強化を図ることを望みます。 高知いのちの電話協会による相談業務については、相談員の努力等により自殺者数の減少につながっていますが、相談員の確保・養成が課題となっています。ついては、人材確保に向けて、養成講座のPR方法を含めた今後の対応策を関係者と協議した上で、必要な条件整備について検討することを望みます。 次に、地域の振興等についてであります。 地域の産業振興については、地域アクションプランに位置づけられた事業などへの総合的な支援により着実に進んでいますが、地域の活性化を牽引する人材の不足が懸念されます。ついては、地域の意欲ある担い手を育成するため、人材の掘り起こしをさらに進め、関係機関が連携して支援に取り組むよう望みます。 地域産業クラスターの形成については、高知県の強みである第1次産業を核とした、第1次産業から第3次産業までの産業集積の支援を行っています。ついては、各産業間の連携を強め、各生産者・事業者の所得向上につながるようなクラスター化を図るよう望みます。 中山間地域の移動手段の確保対策については、県も支援を行い、各市町村に浸透してきていますが、中山間地域では高齢者のひとり暮らしがふえるなど状況の変化があります。ついては、市町村と連携して地域の声を聞き、利用実態を確認し、市町村が実施する見直しに対する支援も行いながら取り組むよう望みます。 本県固有の文化の継承と活用については、高知県文化芸術振興ビジョンに基づいた取り組みが進められていますが、県内各地に引き継がれている文化資源を活用した、さらなる地域の活性化が求められます。ついては、地域における文化財等の保存、活用に向けて、関係部局間の連携強化を図るとともに、必要となる施策を検討することを望みます。 次に、商工業の振興についてであります。 事業承継については、さまざまな取り組みが実施されていますが、事業者等に対してのさらなる周知が必要であります。ついては、関係機関と連携し、機会あるごとに情報提供を行うなど、事業者等にその必要性の理解を促すとともに、円滑な事業承継が推進されるよう望みます。 高知県ワークライフバランス推進企業認証制度については、労働者が働きやすい職場づくりを促進していく大切な施策であり、普及に向けてさまざまな取り組みを実施しています。ついては、働き方改革を推進し、高知県内の労働環境をよくするために、さらに認証制度を広め、多くの企業が認証を受けることができるよう支援することを望みます。 次に、観光の振興等についてであります。 インバウンド観光については、海外からの観光客に向けた、旅行商品の開発に対する支援などにも取り組んでいます。ついては、外国人が高知県のどこに魅力を感じているのかをしっかりと把握し、リピーターにつながるような旅行商品をつくるよう望みます。 よさこいプロモーションについては、県内のよさこいチームを海外へ派遣してPRを行うなど、よさこいを通じた交流が国際観光の推進の大きな要素となってきています。ついては、この新しい流れを大切にし、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、よさこいの国際化への取り組みをさらに充実させていくよう望みます。 地域観光の推進については、観光客の増加に伴い、トイレの不足や道路整備などの受け入れ環境が懸念されます。ついては、観光客への情報提供をしっかりと行うほか、必要な整備とあわせて、維持管理面も含めて、地元市町村や関係部局と協議検討しながら取り組むよう望みます。 次に、農林水産業の振興等についてであります。 農業の生産を支える担い手の確保・育成については、就農希望者の掘り起こしや新規就農者の確保・定着など、担い手不足への対策が喫緊の課題となっています。ついては、県、市町村、関係団体が連携し、一体となって取り組みを推進するとともに、予算を執行する際は事業の目標を達成できるよう、その都度必要な対策を進めていくなど、より一層の取り組みを求めます。 県産材の販売促進については、県外における展示会や商談会のほか、海外においても、韓国での展示会への出展や台湾のバイヤーを招聘するなど、販路拡大に向けて取り組んでいます。ついては、山元へ利益を還元し、持続可能な林業の発展につなげるためにも、県外での土佐材を使用した建築の促進に努めるとともに、CLTや内装材などの木製品の研究を進めるほか、海外における木材需要を把握するなど、さらなる取り組みの充実を望みます。 漁業の振興については、生産性の高い漁業への構造改革の推進や担い手の育成・確保、定置網漁業や養殖業への企業参入の促進など、さまざまな取り組みを行っています。ついては、本県の水産業を取り巻く状況が厳しさを増す中、危機感を持って、地域の漁業が継続できるよう、その方向性と施策をしっかりと示し、取り組むことを望みます。 遊漁船業等の振興については、利用客の拡大に向け、設備の整備や接客サービス向上などへの支援のほか、担い手の体制づくりにも取り組んでいます。ついては、漁業者と遊漁船業者等との調整を進めるなど、関係者で連携し、地域の漁村の核の一つとして担い手を育成するとともに、漁業体験だけでなく、周辺の観光施設を周遊し、地域に滞在してもらえる取り組みとなることを望みます。 次に、社会基盤の整備等についてであります。 高知県土地開発公社の所有していた土地については、公社の債務処理に伴い、県が管理を行うこととなっています。ついては、土地の売却や利活用の検討を進めるとともに、適切な管理が行われるよう望みます。 河川における水防活動については、水位計を活用した取り組みが行われているものの、災害時の連絡体制には課題もあります。ついては、河川への水位計の設置をさらに進めるとともに、その活用について市町村へ徹底し、住民への周知にも取り組むよう望みます。 県営住宅については、高齢者に優しい住宅の供給整備に取り組んでおり、ニーズが多い地域では満室に近い状態ですが、一方で空き室の多い県営住宅も存在しています。ついては、土砂災害の危険性がある地域の住民の入居など、県営住宅を有効活用できる方策を検討するよう望みます。 最後に、教育についてであります。 保育士の確保については、コーディネーターを配置し、潜在保育士と保育所等のマッチング事業を行うことにより、平成29年度は33名の雇用に結びついていますが、家庭支援、特別支援に対応するための保育士の配置は厳しい状況にあります。ついては、保育士の処遇改善に向けて引き続き国への政策提言を行いながら、過去のアンケート調査結果も踏まえ、人材確保に取り組むことを望みます。 地域による学校支援活動の充実については、地域の方々が学校の教育活動を支援する取り組みや、それを担う人材の育成研修を実施していますが、地域によっては活動が停滞しています。ついては、引き続き活動の中心となるコーディネーターや支援にかかわる方の資質向上に向けた研修を行うとともに、支援活動の一層の充実を望みます。 いじめ、不登校、中途退学などの対策については、早期に個別対応を図るため、スクールカウンセラー等の配置や24時間体制での電話相談対応などを行っていますが、全体的に発生件数は減少していません。ついては、さまざまな問題の要因の分析、現状の把握に努めるとともに、スクールカウンセラー等の専門性の向上や関係機関との連携の強化を図り、対応するよう求めます。平成29年度一般・特別会計決算については以上であります。 次に、平成29年度公営企業会計決算についてであります。 当委員会は、執行部から提出された決算資料及び監査委員の決算審査意見書に基づきまして、予算及び事業の適正かつ効率的執行並びに事業の成果に主眼を置くとともに、前年度の
決算特別委員会の意見に対する措置状況についても重点を置いて慎重に審査いたしました。その結果は、お手元に配付されております平成29年度高知県
公営企業会計決算審査報告書のとおりであります。 各会計の決算の内容については説明を省略させていただき、審査の結果について、その要旨を御説明いたします。 各事業会計における予算の執行は、おおむね適正に行われているものと認められますので、
電気事業会計及び
工業用水道事業会計の未
処分利益剰余金の処分並びに各事業会計決算については全会一致をもって、いずれも可決または認定すべきものと決しました。なお、事業の執行については不十分な点が認められますので、今後の事業運営上、検討または改善すべき事項として次の意見を付して、事業の執行に当たっては十分留意するよう求めます。 最初に、
電気事業会計決算についてであります。 当年度の経営状況については、純利益が2億992万円余となっており、前年度に比べて9,172万円余減少しています。これは、事業化を断念した水源のさと石原「北郷」発電所の建設に係る費用などを減損処理したことで特別損失が増加し、総費用が増加したことなどによるものであります。 風力発電事業については、台風による機器の故障等により、計画どおりの収益を得ることができず、また水力発電事業については、豪雨の影響等により、例年以上に流木等の処理が必要となっています。ついては、近年台風や豪雨を初めとする異常気象が多発する環境となりつつあることから、今後は、そうした気象による経営への影響について考慮しながら、事業継続に努めていくことを望みます。 次に、
工業用水道事業会計決算についてであります。 当年度の経営状況については、純利益が3,023万円余となっており、前年度に比べて1,749万円余増加しています。これは、過年度損益修正益の増加などにより総収益が増加し、給水費の減少により総費用が減少したことによるものであります。 鏡川工業用水道事業については、管路の大部分が耐用年数を経過するなど、施設の老朽化対策に取り組む必要があります。ついては、管路の更新には利用料金の引き上げが必要であることから、より一層丁寧に説明することで利用者の理解をさらに深めるとともに、長期的な視点に立った更新に取り組むことを望みます。 最後に、病院事業会計決算についてであります。 当年度の経営状況については、純損失1億7,079万円余となっており、赤字額は前年度に比べ3億764万円余減少しています。これは、医業損益の改善に加え、医業外収益の他会計負担金が増加したことによるものであります。平成29年度から平成32年度までを期間とする第6期経営健全化計画において、平成32年度までに黒字とすることを目標として掲げた経常損益は、計画初年度で計画額を1億9,431万円余上回っています。ついては、引き続き医業収益の向上や委託費の見直しなどによる費用の適正化に努め、さらに積極的に経営の健全化を進めるとともに、地域の中核病院として、急性期医療機能の充実や地域完結型医療の提供等の地域のニーズに応えていくよう取り組むことを求めます。あわせて、新たな医師の確保に一層努め、医療体制の整備を進めるとともに、医療事務作業補助者の専門性の向上や助産師等の確保により、医師や医療スタッフの負担軽減を図ることを望みます。平成29年度公営企業会計決算については以上であります。 以上をもって、
決算特別委員長報告を終わります。
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△採決