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12月14日-04号

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  1. 高知県議会 2017-12-14
    12月14日-04号


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    平成29年 12月 定例会(第342回)        平成29年12月14日(木曜日) 開議第4日-----------------------------------出席議員       1番  下村勝幸君       2番  野町雅樹君       3番  上田貢太郎君       4番  今城誠司君       5番  久保博道君       6番  田中 徹君       7番  土居 央君       8番  浜田豪太君       9番  横山文人君       10番  加藤 漠君       11番  坂本孝幸君       12番  西内 健君       13番  弘田兼一君       14番  明神健夫君       15番  依光晃一郎君       16番  梶原大介君       17番  桑名龍吾君       18番  武石利彦君       19番  三石文隆君       20番  浜田英宏君       21番  土森正典君       22番  西森雅和君       23番  黒岩正好君       24番  池脇純一君       25番  石井 孝君       26番  大野辰哉君       27番  橋本敏男君       28番  前田 強君       29番  高橋 徹君       30番  上田周五君       31番  坂本茂雄君       32番  中内桂郎君       33番  金岡佳時君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         尾崎正直君  副知事        岩城孝章君  総務部長       梶 元伸君  危機管理部長     酒井浩一君  健康政策部長     山本 治君  地域福祉部長     門田純一君  文化生活スポーツ部長 門田登志和君  産業振興推進部長   松尾晋次君  中山間振興・交通部長 樋口毅彦君  商工労働部長     中澤一眞君  観光振興部長     伊藤博明君  農業振興部長     笹岡貴文君  林業振興・環境部長  田所 実君  水産振興部長     谷脇 明君  土木部長       福田敬大君  会計管理者      中村智砂君  公営企業局長     井奥和男君  教育長        田村壮児君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  金谷正文君  公安委員長職務代理者 島田京子君  警察本部長      小柳誠二君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   川村雅計君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       弘田 均君  事務局次長      西森達也君  議事課長       横田 聡君  政策調査課長     織田勝博君  議事課長補佐     飯田志保君  主幹         浜田百賀里君  主査         宮脇 涼君-----------------------------------議事日程(第4号)   平成29年12月14日午前10時開議第1 第1号 平成29年度高知県一般会計補正予算 第2号 平成29年度高知県給与等集中管理特別会計補正予算 第3号 平成29年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第4号 平成29年度高知県電気事業会計補正予算 第5号 平成29年度高知県工業用水道事業会計補正予算 第6号 平成29年度高知県病院事業会計補正予算 第7号 高知県国民健康保険法施行条例議案 第8号 高知県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例及び知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第9号 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案 第10号 高知県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県公立大学法人に係る評価委員会及び重要な財産に関する条例の一部を改正する条例議案 第12号 高知県都市計画法施行条例の一部を改正する条例議案 第13号 高知県営住宅の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第14号 高知県立塩見記念青少年プラザの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第15号 高知県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例を廃止する条例議案 第16号 平成30年度当せん金付証票の発売総額に関する議案 第17号 高知市及び高知県におけるれんけいこうち広域都市圏の取組の推進に係る連携協約に関する議案 第18号 高知県立人権啓発センターの指定管理者の指定に関する議案 第19号 高知県立森林研修センター研修館の指定管理者の指定に関する議案 第20号 高知県立月見山こどもの森の指定管理者の指定に関する議案 第21号 高知県立室戸体育館の指定管理者の指定に関する議案 第22号 高知県立池公園の指定管理者の指定に関する議案 第23号 高知県立甲浦港海岸緑地公園の指定管理者の指定に関する議案 第24号 高知県立塩見記念青少年プラザの指定管理者の指定に関する議案 第25号 高知県立高知公園の指定管理者の指定に関する議案 第26号 高知県立埋蔵文化財センターの指定管理者の指定に関する議案 第27号 県道窪川船戸線(岩土トンネル)防災・安全交付金工事請負契約の締結に関する議案 第28号 高知県公立大学法人定款の変更に関する議案第2 一般質問   (2人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(浜田英宏君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(浜田英宏君) 御報告いたします。 公安委員長織田英正君から、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員島田京子さんを職務代理者として出席させたい旨の届け出がありました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(浜田英宏君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「平成29年度高知県一般会計補正予算」から第28号「高知県公立大学法人定款の変更に関する議案」まで、以上28件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 15番依光晃一郎君。   (15番依光晃一郎君登壇) ◆15番(依光晃一郎君) 早速質問させていただきます。平成29年も残りわずかとなりました。ことしは大政奉還から150年、そして来年は明治維新150年の年です。この節目の年は、日本各地で歴史観光に関するイベントが行われ、また明治維新に関しての書籍が多く出版されるなど、過去の歴史を振り返ってこれからの日本のあり方を考えるよい機会ともなっております。 我が高知県においては坂本龍馬先生を初め多くの幕末の志士を輩出し、また明治となってからも中江兆民先生を初めとする自由民権運動にも人材を輩出していることから、明治維新を高知の郷土史と捉えて、高知県独自の検証をするということもできるのではないかと思います。私は、明治維新というのは日本の政治史において、日本の政治体制はこうあるべきだと目指すべきビジョンを正確に指し示したものであり、また土佐の先人たちがそのビジョンに対して命がけで取り組んだのだと理解をしております。大政奉還150年を契機に、土佐の先人の理想を思い出すことによって土佐人としての自信と誇りを再確認するきっかけにしたいと思い、質問をさせていただきます。 いつもどおり説明が長くなりますが、お許しいただきたいと思います。また、土佐の先人には先生とお呼びすべきところですが、若干くどくなりますので敬称を略させていただくこともお許しください。 さて、幕末のキーワードの中に尊王攘夷運動という言葉があります。私は、この言葉の意味を、日本人が日本人の手で日本を守るために江戸幕府とは違った国をつくるべく、皇室の権威を旗印に新しい政治システムを生み出そうとした運動というように捉えています。明治維新は、黒船来航に象徴されるように外国からの軍事的な圧力がきっかけで起こりました。当時の東南アジアや中国の清王朝は、西洋列強に戦争で敗れ植民地化されていきます。そのことを憂いた草莽の志士、また実際に政治を担っていた江戸幕府の幕臣、雄藩の藩士たちはそれぞれの立場で奮闘をします。日本中が新しい政治体制を模索する中で、公武合体論、倒幕論などが生まれ、最終的に大政奉還という形で江戸幕府は幕をおろしました。 それでは、我々の先祖である土佐の先人たちが理想とした政治体制はどういったものだったのでしょうか。私は、幕末の時点で既に庶民も政治参加できる民主主義国家を目指していたのだと考えています。 高知県では、現在「志国高知 幕末維新博」ということで、高知県各地の資料館などで当時の手紙や文書などが公開されています。新国家という言葉で有名になった、龍馬が暗殺される5日前に書いた手紙などは高知県観光の新たな目玉となりました。私は、この貴重な資料に光を当てる取り組みをさらにパワーアップさせ、来年度の明治維新150年に向けて、土佐がリードした民主主義国家への歩みをもっと打ち出せないかと思うところです。特に、大政奉還より4カ月前の6月に土佐藩と薩摩藩の間で結ばれた薩土盟約に関する資料は重要です。 薩土盟約というのは、大政奉還という平和的に幕府を倒すという土佐藩の考え方に薩摩藩が同調した盟約で、結果的には武力討伐を目指した薩摩藩と意見が合わず決裂したというものです。この会議の出席者は、土佐藩から後藤象二郎、寺村左膳、真辺栄三郎、福岡孝弟、薩摩藩から小松帯刀、西郷隆盛、大久保利通、陪席いわゆるオブザーバーとして坂本龍馬、中岡慎太郎というものです。薩土の幕末のスター勢ぞろいというおもしろさに加え、大政奉還か武力倒幕かという緊迫した会議という点でも、もっと注目されてよいのではと思います。そして、何より土佐藩が民主主義国家を目指していた証拠が明確に示されているという点で、大いに注目すべきです。 この盟約は7カ条から成る約定書で、その3番目には「議事院上下に分ち、議事官は上公卿より下陪臣・庶民に至まて正義純粋の者を選挙し、尚且諸侯も自ら其職掌に因て上院の任に充つ」と記されています。現代文に訳すと、上院と下院を分け、議員は公卿から諸侯・陪臣・庶民に至るまで正義の者を選任し、諸侯も職掌によって上院に充てるとなります。庶民に至るまで正義の者を選任しという部分は、土佐の自由民権運動のスタートであると言えます。ちなみにこの文書は、大久保利通自筆の原本が鹿児島県歴史資料センター黎明館に残されています。 この薩土盟約は、先ほど述べたように解消され、土佐単独での大政奉還建白書として最後の将軍徳川慶喜に提出をされます。その中の別紙に建白の具体案が8項目あるのですが、その2番目に「議政所上下を分ち、議事官は上公卿より下陪臣・庶民に至まて正明純良の士を選挙すへし」と、薩土盟約の内容を引き継いだものが示されています。この内容は、高知城歴史博物館で11月27日まで展示されており、議会は上下二院に分け、議員は上は公卿、下は藩士・庶民に至るまで、身分を問わず人格にすぐれた人物を選挙すべきですと、現代文もありました。 ちなみに、選挙という言葉ですが、現代的な意味での選挙については当時は入れ札という言葉が一般的だったということで、本日は選任という意味で解釈しています。一方で、高知城歴史博物館は、原本の選挙をそのまま選挙と訳していますが、アメリカの政治制度を学んだジョン万次郎の影響を受けた土佐の志士が、現代的な選挙を目指していたというのも否定はできないことと思います。 大政奉還建白書は最終的に明治天皇が宣言した五箇条の御誓文につながるのですが、そこでは「広く会議を興し万機公論に決すべし」という文言となって国民に示されます。ちなみに、起草者の一人である土佐の福岡孝弟は「列侯会議を興し万機公論に決すべし」という文言で起草しています。議会を列侯会議と改め、大名や公家が国政について話し合う、幕末の諸侯会議に近い政治体制です。薩土盟約に参加していた福岡孝弟ですので、なぜ庶民についての文言を入れられなかったかと悔やまれます。もし入っていたのなら、明治新政府は現代の政治体制に近い形になっていたはずです。このことこそが、坂本龍馬が生きていれば世の中が変わっていただろうにという大きなポイントかもしれません。この「列侯会議を興し」は、木戸孝允によって「広く会議を興し」に修正されます。 最後に、高知県出身の吉田茂総理が、戦後の昭和21年6月25日に衆議院本会議にて五箇条の御誓文について述べておりますので御紹介をいたします。「日本の憲法は御承知のごとく五箇条の御誓文から出発したものといってもよいのでありますが、いわゆる五箇条の御誓文なるものは、日本の歴史、日本の国情をただ文字にあらわしただけの話でありまして、御誓文の精神、それが日本国の国体であります。日本国そのものであったのであります。この御誓文を見ましても、日本国は民主主義であり、デモクラシーそのものであり、あえて君権政治とか、あるいは圧制政治の国体でなかったことは明瞭であります」。この日本国憲法案の審議で述べられた内容は、吉田茂総理が土佐がリードした民主主義国家の理想を改めて述べられたものであり、土佐人の一人として誇りに思うところです。 長々と話をさせていただきましたが、まず最初に、「志国高知 幕末維新博」を通じて高知県民に、また県外から来られる観光客の皆さんに伝えたいことについて知事にお聞きをいたします。 また、来年度の明治維新150年に向けて、先ほど御説明させていただいた薩土盟約、大政奉還建白書、五箇条の御誓文、吉田茂総理の日本国憲法案審議は、土佐がリードした日本の民主主義を語る上でおもしろい切り口ではないかと思います。 そこで、これらの資料を一堂に集めて流れをわかりやすく整理して展示し、明治維新150年の歴史を観光の目玉とする企画展示を計画してはと考えるがどうか、観光振興部長にお聞きをいたします。 次に、民主主義的な国家像と皇室との整合性について、土佐の先人が自由民権運動を通じてどう考えたかを前提に、皇室について考える土壌づくりをしたいという趣旨で質問させていただきます。 私は、尊王攘夷運動について、日本人が日本人の手で日本を守るために江戸幕府とは違った国をつくるべく、皇室の権威を旗印に新しい政治システムを生み出そうとした運動と定義しました。先ほど見た資料のそれぞれに、皇室の権威を旗印にしたことの証明となる文言があります。薩土盟約では、1番目に「天下の大政を議定する全権は朝廷にあり」とあります。大政奉還建白書でも全く同じ文言が使われています。このことから明治維新は、明治天皇を絶対君主にした政治体制を構築しようとするもので、民主主義政治とは最も遠い政治体制だとの反論が出るのではと思います。明治天皇が国の全てのことを決め、また国民に命令をして自分に対する反対は認めないというような体制を目指したのだという反論です。 なるほど、日本を除く諸外国の王政は絶大な政治権力を持ち、巨大な宮殿を建てて人民を支配しました。しかし、私は、中国の皇帝のように絶対的な権力を持つ王として明治天皇を位置づける国づくりを、幕末の日本人が考えていたということについては絶対にあり得ないと考えています。なぜなら、日本人は、絶対王政が政治腐敗と国内の混乱を生み、やがて国が滅ぶということをよく知っていたからです。その証拠に、江戸時代の寛政期ごろには、安定した皇室を持つ日本を世界に冠たる国として誇る意味で、皇国という言葉が生まれます。ころころと皇帝がかわる中国の政治体制を念頭に置いたものと思います。ちなみに、皇国とは大日本帝国の別名として生まれたのではなく、中国と比べた政治体制という意味であったことをつけ加えておきます。 では、土佐の先人は民主主義国家と皇室の整合性についてどう考えていたのかを見てみます。まず最初に、自由民権運動の板垣退助です。板垣は、明治15年に「自由党の尊王論」という論文を発表しています。薩長藩閥政府は強権政治を行うことで結果的に皇室を危うくしている、明治天皇が五箇条の御誓文で「広く会議を興し万機公論に決すべし」と神に誓う形で示された趣旨に立ち返り、民選国会を開き、自由な議論による政治を目指せと主張します。皇室を守っていくためにも民選国会が必要という主張です。 次に、東洋のルソーと言われた中江兆民を見ます。中江兆民は、絶対君主ルイ16世が処刑されたフランス革命を紹介したことから皇室について否定的であったと思われがちですが、皇室の重要性を積極的に説いた尊王土佐人の一人です。 明治20年に「平民のめさまし」という本を出版しています。明治22年、大日本帝国憲法制定、翌23年、第1回総選挙、第1回帝国議会に先駆けた出版です。第1章国会、第3章上院下院、第6章選挙の方法など、民主主義を国民にわかりやすく伝える内容です。ここで注目すべきは第2章の君主という項目で、民主主義国家における天皇の位置づけについて解説し、内閣が倒れようと国会で激しい論争が起ころうとも、天皇の地位は絶対に揺るがないと国民が安心できるように記述をしています。この内容は、高知市民図書館・近森文庫の蔵書が、国文学研究資料館のデジタル版としてインターネットで見られます。 フランスに留学し、革命後のフランス民主主義体制の混乱を知っていた中江兆民は、いつも国民に寄り添おうとする皇室の伝統的な政治姿勢が、国会の激しい論争による国民の分断に対して抑止力となると期待していたのではと感じます。この「平民のめさまし」には、皇室について「御世ごとに聡明仁慈にわたらせ給ひ、民を恵むこと父母のごとし」と書いています。皇室の伝統的な政治姿勢をたたえ、だからこそ日本の民主主義はヨーロッパ諸国に負けないのだという自尊心を表現したのだと思います。 また、板垣退助の、薩長藩閥政府の強権政治が国民の政治不信を生み皇室を危うくするという考え方は、昭和の太平洋戦争開戦という政治の失敗を予言していたようにも思います。帝国議会開設の後、薩長藩閥政治は終わりを告げますが、皇室の権威を盾に議会を超える権力を持つに至った軍部が台頭します。そして、日本は焼け野原になりました。 私は、明治維新150年に当たって、板垣退助の「自由党の尊王論」、中江兆民の「平民のめさまし」の2つについて、まずは高知県内において再評価できないかと考えています。 今月1日の皇室会議により、天皇陛下の御退位が平成31年4月30日、新天皇陛下の御即位が翌5月1日と決まりました。天皇陛下の退位に関する議論は、私はスムーズに進んだと感じておりますが、一方で国民が皇室のあり方、今後の皇位の安定性についてしっかりと議論ができたとは思っていません。その理由として、皇室について語ること、また皇室についての敬愛を言葉にして伝えることについて、タブーと感じている国民が多いからだと感じております。 私は、皇室が今後も続いていくことを願っている一人です。そういう意味では、皇位継承者が減少し、安定した皇位継承に不安のある現状について、尊王思想のルーツを持つ高知県から議論を深めることができないかと考えるところです。明治維新で活躍した志士が尊王の志士である以上、そのことに誇りを持ち、その遺志を受け継いで皇位継承の議論を深めることは責務であるとも思います。 そこで、私は、尊王思想を持っていた板垣退助と中江兆民について、県民にさらに知っていただくための取り組みが必要と考えますが、文化生活スポーツ部長にお聞きをいたします。 先ほど、板垣退助の「自由党の尊王論」の中で、薩長藩閥政府の強権政治が国民の政治不信を生み皇室を危うくするという考え方を御紹介しましたが、逆に考えれば、日本において、成り上がりの権力者は皇室の権威を利用することで国を治めることができるということになります。 明治新政府のメンバーも成り上がりなわけですから、当然に皇室の権威を利用して明治新政府を運営していきます。土佐の志士は、明治新政府が議会による政治を行うことに期待したはずです。実際に明治天皇は、五箇条の御誓文のとおり上下二院制の議会をつくり、直接的な政治は委任するという伝統的な皇室のあり方を望んで政体書を公布し、立法議事機関である議政官を含む七官を設置しています。しかし、明治新政府は、戊辰戦争終結の見通しがつくと議政官は3カ月で廃止、議会開設を先送りして、独裁的な藩閥政治を推し進めることになりました。 この皇室の権威を背景に独断政治を行う勢力に対抗するには、板垣が考えたように民主主義制度しかありません。つまり、選挙によって選ばれた議員が、その選ばれたということを背景にして政治を行うというものです。 この民主主義政治については、土佐藩は、ジョン万次郎を通じてアメリカの政治制度を学び、深く理解していたと考えられます。万次郎のアメリカの知識を記録した河田小龍の「漂巽紀畧」に、アメリカ大統領の記述があります。「多くの才能や学識を持った人達を推薦して、大統領を選ぶ。大統領の在職期間は四年を限度としている。しかし、もし徳が高く、政治の力が抜群であれば、なお、職を続けることが出来ることもある。在職中、一日の給料は銀千二百枚である。全国の、才能があるものがこれに選ばれようと、相争ってここに集まる。今の大統領はテーラーと言い、その政策は法に則って厳正であるという。このように、政治や法律が行き届いているために、合衆国の政治にこれ以上付け加えることはないということである。」と記述をされています。ちなみに、この訳は、ウェルカムジョン万の会がホームページに載せています。 また、万次郎は、藩校、教授館の教授に登用され、後藤象二郎、岩崎弥太郎などを教えています。この下地があったからこそ、土佐が、民主主義政治を生み出すための自由民権運動発祥の地になったのだと思います。 そして、ついに大日本帝国憲法自由民権運動の後押しを受け、アジア初の近代憲法として成立します。さかのぼること薩土盟約以来の念願であった、庶民も政治参加できる政治体制です。しかし、民主主義と天皇の位置づけについて完全に消化できず、混乱の種を残したことも指摘しておきます。 日本が政治的に混乱する際には、皇室のためにということを旗印にした勢力が、自分が考える理想的な政治体制を、時の天皇も望んでいるはずだと言って起こします。戦前の民主主義の最後のとりでとして忘れてはいけないのが、土佐の浜口雄幸総理です。ロンドン海軍軍縮条約は統帥権干犯であるとされ、右翼団体の凶弾に倒れます。この犯人は、浜口は社会を不安におとしめ、陛下の統帥権を侵した、だからやった、何が悪いと供述したといいます。皇室のためにといってテロを起こすことは五・一五事件、二・二六事件と続いていき、軍部の暴走をとめるべき民主主義政府不在のまま、太平洋戦争に突入します。浜口雄幸の受難は、さきの大戦を振り返り、民主主義とは何かを考える際の歴史的な教訓であると思います。 現在の民主主義についての学習は、政治的中立が言われ過ぎて、政策についての学習はまれで、選挙違反の事例を教えることが中心の学習内容であるとも聞きます。なぜ民主主義が大切か、なぜ選挙が必要なのか、また政治権力が選挙を通じて選ばれた政治家に付与されるのはなぜかなど、きちんと教えられていないのではと思います。 私は、高知県の生徒は、民主主義制度について、郷土史として土佐の先人の活躍を追っていくことで学習できるすばらしい環境にいると思います。土佐の自由民権運動、浜口雄幸の受難を土佐の郷土史として位置づけ、将来的には高知県独自の民主主義教育教材の作成をも目指すべきではないかと思うところです。 現在、高知県郷土史副読本が作成中と思いますが、土佐の民主主義についての先人の活躍をどのように盛り込んでいるのか、教育長にお聞きをいたします。 次に、なぜ土佐の先人が尊王についての自我を持ったかについて考えてみたいと思います。私は、土佐南学の谷秦山に源流を見ています。土佐南学は、室町時代末期に儒者南村梅軒が土佐で朱子学を講じたことを始まりとし、谷秦山は中興の祖として元禄年間に活躍をします。その特色は、大義名分という朱子学が重んじる、誰が君主で誰が臣下か、またそれぞれの立場で守るべきことは何かという学問を、神道古典の研究と土佐の歴史の実証的研究をあわせて、論理的に明らかにしたことです。谷秦山は、皇室と幕府の二重権力の関係について、明確に皇室が君主と示した上で、どうして政権が幕府にあるのか解説します。この学問体系が、土佐の尊王思想の根拠として幕末にまで影響を与えていきます。 谷秦山の著作に「保建大記打聞」というものがあります。江戸時代前期に水戸藩の朱子学者栗山潜鋒が書いた尊王論の書物である「保建大記」について、谷秦山が講義したものを、弟子が講義録としてまとめたものです。この「保建大記打聞」は、吉田松陰が野山獄で読んだと読書記の中に記述があり、遠く山口県まで伝わるなど、谷秦山の影響力の大きさがわかります。ちなみに、この尊王論は、太平洋戦争末期の神がかった尊王論ではなく、むしろ皇室が政権を奪われたのは皇室が道義を失い徳が至らなかったからだと皇室を批判し、叱咤激励するものであったことをつけ加えておきます。 現在、幕末維新博が高知県全域で開催されていますが、土佐の志士は高知県内のあらゆる土地から出ていることが特色となっております。中岡慎太郎が北川村でどういった教育を受けたのか、津野町で生まれた吉村虎太郎が何に影響を受けて遠く故郷を離れ吉野で命を散らすことになったのか、こういった志士たちの情熱と行動の源は、谷秦山の学問にルーツがあります。 谷秦山の学問は、皇室が、徳川将軍家、土佐山内家にまさる存在ということを大義名分論として明らかにし、また神道古典の研究によって庄屋のアイデンティティーを呼び起こすことで、後の天保庄屋同盟を生んでいきます。天保庄屋同盟とは、簡単に言えば、庄屋という役職のルーツは日本書紀にまでさかのぼることができ、朝廷から土地と人民を預かっている存在である、だから山内家の侍に理不尽なことを言われたら、協力してその侍と戦い人民を守るという密約です。谷秦山の、皇室こそがあるじという考え方と神道古典の研究成果が、天保庄屋同盟を生んだと言えます。 この学問は、長男垣守、孫真潮と代々受け継がれ、その子孫の谷干城も当然学びます。谷家の家訓として伝えられていたことについて、谷干城が語るところによると「万一、国の大動乱がおこったならば、何をおいても、京都へのぼれ。のぼって天子さまをお守り申しあげよ。もし旅費がない時は、乞食をしてのぼれ。御所をお守り申しあげて、力尽きたらば、御所の塀によりかかって死ね。死んでも御所をお守りするのだ」という内容であったそうです。まさに土佐の尊王の志士の行動の原点が見えます。 ちなみに、坂本龍馬の4代前の坂本八郎兵衛が谷秦山に学び、長男垣守と親交があったと言われており、坂本龍馬の尊王のルーツも谷秦山と言えます。 谷秦山は、香美市土佐山田町にお墓があり、学問の神様ということで、県内外から受験シーズンには多くの参拝者が訪れます。このお墓の管理と毎年2月の墓前祭を行っている組織が高知県秦山会です。大正7年に結成されました。戦後、長らく絶えていたのですが、昭和37年に溝淵知事を会長にして再結成されます。 現在の高知県では、谷秦山は余り知られていないのではと思いますが、土佐の幕末維新は谷秦山なくしてはあり得ず、来年の没後300年に合わせて広く県民に知っていただくことができないかと考えるところです。そこで、香美市には、現在幕末維新博に関する地域会場がないのですが、土佐の尊王の源流に触れてもらうべく、来年の明治維新150年のパンフレットなどに紹介していただいたり、香美市観光協会の企画への支援をお願いできればと思います。 谷秦山を広く県民、観光客に伝えることについてどうか、観光振興部長にお聞きをいたします。 次に、谷秦山を土佐が生んだ科学者と捉えて質問させていただきます。谷秦山の学問の特徴は、実証を大切にし、論理的に真理に迫るという学問体系です。そして、その中で天文暦学に興味を持ち、京都の山崎闇斎に入門した際に、天文暦学の渋川春海にも学びます。谷秦山は、実地観測を重視し、天球儀、地球儀、望遠鏡など天体観測の測定器を使い、元禄7年、1694年に高知城の北緯を33度半と測定しています。32歳のときです。今から320年以上前に正確な天体観測を行っていたことは驚きです。 高知県は、来年高知市との合築図書館オーテピアをオープンさせ、あわせて高知みらい科学館もオープンします。高知みらい科学館では、プラネタリウムの星空や宇宙に関するオリジナルプログラムによって、子供たちにこれまで以上にわかりやすく宇宙について教えられることになると思います。 そこで、高知県で最も早く天体観測を行った谷秦山の業績を紹介し、土佐の先人に学ぶコーナーも設けていると思うが、現状どのような企画を考えているのか、教育長にお聞きをいたします。 私は、皇室について、土佐の先人がそうであったように敬愛の念を抱いていますが、その敬愛の念がどこから来るかといえば、皇室が大切にされる皇室らしさと日本の伝統を守る姿勢を尊敬しているからです。 天皇皇后両陛下が毎年御出席される、三大行幸啓という行事があります。これは全国植樹祭、国民体育大会、全国豊かな海づくり大会の3つですが、農漁村の暮らしを守る皇室の伝統を踏まえたものと言えます。 皇室は日本の農業をとても大切にされており、宮中行事の中でも新嘗祭は特に重要です。高知県を含む全国から新嘗祭献穀者が毎年選ばれ、宮中に新米を献上しております。また、先月行われた第20回全国農業担い手サミットinこうちには皇太子同妃両殿下の御臨席を賜り、盛況のうちに開催されました。皇室の農業を守る姿勢は、農業を担う県民にとって励みとなっていると思います。 高知県では、毎年の新嘗祭献穀者についての業務を行っていますが、農業者の誇りであり地域の誇りである事業なので、広く県民に知ってもらう取り組みができないか、農業振興部長にお聞きをいたします。 次に、林業についてです。皇室と林業のかかわりは深く、天武天皇が、畿内の山から木を伐採することを禁止する勅令を天武5年、676年に発令していますが、これは森林伐採禁止令の最古の記録ということで、日本書紀にその記述があります。また、国土を守るための植林も皇室の伝統で、昭和53年5月に「防災もみどりできずくふるさとづくり」をテーマに開催された第29回全国植樹祭のために、昭和天皇が香美市の甫喜ヶ峰森林公園に行幸され、植樹を行っています。 甫喜ヶ峰森林公園は、現在では森林環境学習の拠点として、県内の小中学校、幼稚園、保育園の生徒児童に親しまれています。 高知県は、この甫喜ヶ峰森林公園を通じて子供たちにどういったことを伝えようとしているのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 次に水産業です。来年は、第38回全国豊かな海づくり大会の本県での開催が予定されており、先日開催日が10月28日に決定しました。この大会を契機として、水産業の振興と地域の活性化が期待されます。この全国豊かな海づくり大会の開催によって、高知県水産業に従事する方々が誇りと志を持って高知県水産業を発展させていただく契機になるのではと思います。 そこで、今回の全国豊かな海づくり大会を通じてどういった効果が期待できるのか、水産振興部長にお聞きをいたします。 次に、明治天皇、大正天皇と高知県にかかわりのある事柄から質問させていただきます。明治天皇は、明治維新により御自分の意思とは関係なく、満14歳で御即位されます。この若い明治天皇を支えたのは土佐の志士たちで、宮内大臣としては、土方久元、田中光顕、また明治天皇の教育を担当する侍補として佐々木高行がいました。 この明治天皇が崩御された後の大正時代に、明治神宮の造営が始まります。何もない原野に鎮守の森をつくるという大変困難な事業で、当時の林学の最先端の研究を結集して進められました。この事業には、全国からの多額の寄附、そして約10万本、365種にも上る全国からの献木があったそうです。また、一般財団法人日本青年館が発行している、明治神宮と青年団の造営奉仕という本の中で、全国209の青年団による延べ11万人の勤労奉仕が紹介されています。高知県からも600人の参加があり、高知県香美郡青年団60名の集合写真も掲載されています。全国から集まった若者は、造営局が用意したバラック宿舎で10日間の共同生活を送り、夜は講話を聞き、また東京の視察も行ったのだそうです。明治神宮は、若者の自発的な奉仕によってつくられ、その奉仕団でともに学んだ青年たちが故郷に帰り、林業の発展、地域の発展に尽くすという人材育成事業でもあったそうです。 現在、神宮外苑で建築中の新国立競技場は、高知県とゆかりの深い隈研吾さんの設計です。隈さんは、先月新校舎の落成式が行われた香美市の高知県立林業大学校の初代校長に御就任されることになっています。明治神宮の造営に参加した若者が故郷に帰って日本の林業を支えたように、新たな林業大学校も、日本の林業を牽引する学校になっていただきたいと思います。 そこで、高知県は、新たにスタートを切る林業大学校においてどのような人材を育てていこうとしているのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 最後に、大正天皇です。大正天皇と聞いてまず高知県民が思い出すのが、久礼大正町市場ではないかと思います。大正4年に久礼の大火によって230戸が焼けた際に、大正天皇より当時のお金で350円が復興費として届けられ、感激した町民により大正町市場に改名したということです。 現在の天皇皇后両陛下も、日本のあらゆる災害復旧現場に御訪問になり、被災された方々を励まされております。多くの国民もボランティアとして参加し、また被災された方々の落ちついた振る舞いは世界から称賛されました。この国民性は日本人の美徳です。 この美徳は海外にも伝わっており、その代表として台湾があります。台湾には、リップンチェンシンという言葉があり、漢字で書くと、日本精神となります。台湾では、あの人はリップンチェンシンだというと、真面目で勤勉で堅物の人を指すのだそうです。なぜこの言葉が生まれたかといえば、日本が台湾を統治していた時代に台湾の方が日本人に対して持ったイメージであり、敬意をもって見習おうとした名残だと思います。 戦前、戦中の日本の教育は軍国教育という洗脳であったと思われがちですが、台湾の人にとっては全く違うようで、私がお会いした台湾のおじいさんは、小学校のときに習ったという先生を恩師と呼び、本当に立派で優しい先生でしたよと日本語で語ってくれました。また、国交が結ばれ日本に旅行できるようになった際に、先生を訪ねて再会したともおっしゃっておられました。 台湾は、東日本大震災のときに、国民向けのチャリティー番組を放送するなどして、多くの台湾の方々がお金を出し合い、最終的に200億円の義援金を送ってくれました。また、台湾の皆さんが日本に旅行するのは、台湾統治時代に教育を受けた世代が、子供や孫の世代にも日本のよい印象を伝えたからだということです。 また、日本の外国に伝わった美徳として、移民された方のことにも触れたいと思います。昨年9月に、眞子内親王殿下も御臨席された、パラグアイ日本人移住80周年記念祭典へ出席させていただきました。ブラジル、アルゼンチンも含めた南米3カ国を訪問させていただいたのですが、印象に残ったことは、日本語学校において日本の美徳について子供たちにしっかりと教えていること、そして県人会などの日本関係の施設で皇室の家族写真が当たり前に飾られていることでした。皇室への敬愛の念をストレートに表現されていることに驚くとともに、皇室や愛国心について語ることがタブー視される日本のほうがおかしいのではと感じたことでした。 私は、来年の明治維新150年を契機に、尊王土佐人としての自信と誇りを呼び覚まし、土佐の志士たちのごとく、自分の地域は自分たちで守るという気概を持って頑張りたいと思います。 長々と話をしてきましたが、土佐人が明治維新で果たした役割を踏まえ、今後の高知県が日本にどのような役割を果たすべきか、知事の御所見をお聞きいたしまして、私の1問目といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 依光議員の御質問にお答えをいたします。 まず、「志国高知 幕末維新博」を通じて県民や県外観光客の皆様に伝えたいことについてお尋ねがございました。 平成29年と平成30年は、日本の転換点となった大政奉還と明治維新から150年に当たり、日本全体として歴史に注目が集まる年でありますとともに、幕末から明治維新にかけて多くの偉人を輩出し当時の日本をリードしてきた本県にとりましても、特にかかわりの深い節目の年であります。 「志国高知 幕末維新博」は、こうした節目の年に、高い志を持った多くの若者が生まれた風土や、彼らを育んだ時代につながる食や自然、文化を知っていただくとともに、当時地方にありながらも志を抱き世界を視野に行動した人々に思いをはせ、未来を切り開いていこうとする心を育むきっかけにしていただくことも目的として開催をしており、観光振興だけでなく、特に若い人たちに土佐の歴史や先人の業績を学んでいただきたいという目的もございます。 幕末期、土佐には、土佐勤王党の結成や命がけの脱藩など、個人的な利害損得を打ち捨てて日本の国難を我がこととし、日本を何とかしようとしたたくさんの人々があらわれました。私は、このような土佐の先人たちに大変誇りを感じています。脱藩したのは坂本龍馬先生だけではありません。幕府に対して戦いを挑んだ吉村虎太郎先生、那須信吾先生など、志を立て行動を起こした人々の足跡がたくさん残っています。 幕末維新博では、このような志士ゆかりの地を中心に、史跡や本物の資料を通じて、その功績はもとより幕末・明治維新期のリアル感が伝えられるように、しっかりと磨き上げを進めてきているところであります。 また、第2幕では、坂本龍馬先生の志を継いだ2つの系譜にもスポットを当てていきたいと考えております。1つは、岩崎弥太郎先生に代表される日本の産業革命を起こしていく多くの経済人たちの系譜、もう一つは、板垣退助先生を代表とする自由民権運動を起こしていった人物たちの系譜でございます。 私は、この「志国高知 幕末維新博」を通じて、土佐の幕末維新期の人とその志を見ていただきたいと思います。そして、その志を継いだ現代の高知の人を見ていただきたいと思っております。引き続き、第2幕の開幕に向けてもしっかりと準備を進めてまいります。 次に、土佐人が明治維新で果たした役割を踏まえ、今後の高知県が日本にどのような役割を果たすべきか、お尋ねがございました。 幕末維新期においては、日本国内では市場経済領域などの拡大、世界では産業革命などの進展という大きな時代の変化がゆっくりと進んでいく中、黒船来航などを契機として一挙に動乱期に突入し、近世から近代へと歴史は大きく動いていきました。この中で当時の土佐人は、自由民主主義、貿易立国の推進といった時代の大きな流れを指し示す、そうした役割をも果たしたものと考えます。 現代の日本においても、世界的にはグローバル化の進展など、国内的には人口減少の進展などといった大きな変化が緩やかに進んでいっております。何かをきっかけにハレーションを引き起こす前に、これらの大きな変化にあらかじめ対処していくことが求められます。現代の高知も、こうした時代の大きな流れの中において、時代の方向感にかかわる重要な役割を果たせるものと思います。私としては、人口減少問題、そして関連する問題としての中山間対策、さらには南海トラフ地震対策という少なくとも3つの課題については、その一つの処方箋を示す、そうした役割を高知は果たしていけるのではないかと思っています。 第1の人口減少問題については、本県は、全国に先駆けて平成2年より本格的な人口減社会に突入し、それに伴う経済の縮み、地域の福祉の崩壊という厳しい状況を経験してまいりました。これに対して、地産外商の取り組みや高知型福祉という意図的な福祉ネットワーク構築の取り組みなどを経て培ってきたノウハウは、今後本格的に人口減社会に突入する日本全体にとっても有益なものとなり得ると考えております。幕末・明治期の日本も、国を開くことを通じて国の発展を図りました。人口減少打開の鍵は、日本各地における地産外商と福祉ネットワークの構築にあると思っております。 第2に、中山間問題については、中山間は決して一方的に支えられる存在などではなく、むしろ強みであるとの考え方に基づき、それを生かすべく全力を挙げてまいりました。日本の自然豊かな田舎を強くすることは、東京など世界に冠たる日本の大都市の強みを生かすことと並んで、日本の潜在力を生かし切ることにつながる極めて重要なアジェンダだと考えます。幕末期の日本も、薩長土肥という強い地方が日本を救いました。強い地方は、今後の日本においても必要な存在であります。 第3に、南海トラフ地震対策を初めとする災害対策について、この分野が本県のノウハウを生かすべき分野であることは言うまでもありません。 いずれも、我が国の中長期的な発展を確保するために、国民の一人一人の幸せを保ち伸ばすために必要な課題であります。本県の経験を生かして、これらについて一つの処方箋を示すべく、機を捉え、発信、貢献してまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。   (観光振興部長伊藤博明君登壇) ◎観光振興部長(伊藤博明君) まず、明治維新150年に向けて、薩土盟約や大政奉還建白書など、土佐がリードしてきた日本の民主主義に関係する資料を一堂に集め、わかりやすく展示し、観光の目玉とする企画展示を計画してはどうかとのお尋ねがありました。 お話のあった、これらの資料を一堂に集めてストーリー立てて展示することは、幕末・明治維新期に果たした土佐人の功績、役割を語る上で大変魅力的な展示になるものと思います。 幕末維新博では、お話のあった資料に関連するものとして、本年9月から11月までの間、メーン会場である高知城歴史博物館の特別企画展、大政奉還と土佐藩の中で、大政奉還建白書の写しや坂本龍馬記念館所蔵の由利公正が後年になって書いた五箇条の御誓文など、県内で有する資料について展示をしてまいりましたし、幕末維新博で展示をさせていただきたい貴重な資料については、議員からお話のあった資料を含めまして、博覧会開催が決まって以降、所有・保管元の施設などに貸し出しの要請や調整を続けてきたところです。 しかしながら、大政奉還から150年、明治維新から150年という全国的に節目の年ということもあり、全国各地から展示要請が寄せられていることに加えて、1年間に展示できる日数が制限される資料もあり、こちらの希望の日時に合わせてお借りすることが大変難しい状況となっております。 お話のあった資料も既に来年の年間展示計画が決まっておりますので、これらを本県に一堂に集めて展示することはかないませんが、土佐がリードした歴史のストーリー立てにつきましては、専門家に相談して取り組みたいと考えておりますし、幕末維新博では、来年においても貴重で魅力ある資料の展示に向けた取り組みを続けていきたいと考えております。 次に、谷秦山先生を広く県民や観光客に伝えることについてお尋ねがありました。 谷秦山先生は、土佐藩における著名な儒学者であり、土佐から多くの志士たちを生み出す原動力となったと言われている土佐南学の継承、発展に大きな役割を果たされました。 「志国高知 幕末維新博」は、志を持った多くの若者が生まれた土佐の風土や、彼らを育んだ時代につながる食や自然、文化について、国内外の観光客の方々に知っていただくことを目的に開催しておりますので、谷秦山先生の功績をお伝えすることはこの博覧会の目的にも沿うものであると考えております。 谷秦山先生に関しましては、現在、高知県立文学館での幕末維新博関連展示においてその功績を御紹介しているほか、こうち旅広場の地域情報コーナーでは、学業成就にちなんだ香美市のスポットとして谷秦山墓所を御案内しているところです。 県としましては、これらに加えまして、幕末維新博のホームページへの掲載などの情報発信や、谷秦山先生没後300年に合わせて香美市や地元団体が観光資源として磨き上げを実施する際の支援についても検討してまいりたいと考えております。   (文化生活スポーツ部長門田登志和君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(門田登志和君) 板垣退助先生と中江兆民先生を県民にさらに知っていただくための取り組みについてお尋ねがございました。 板垣退助先生と中江兆民先生は、ともに自由民権運動に大きな役割を果たした郷土の偉人であり、これまでも、「志国高知 幕末維新博」を契機に作成しました冊子、幕末維新の土佐人物紹介でその人物像を紹介しておりますほか、高知城歴史博物館や文学館において、板垣退助先生の系図や中江兆民先生の全集などを展示公開してまいりました。 来年は、明治維新から150年に当たる節目の年でありますことから、4月にグランドオープンする坂本龍馬記念館も含め、県立文化施設におきまして明治維新に関連するさまざまな企画展を開催する中で、多くの県民の皆様に、板垣退助先生や中江兆民先生など、郷土の偉人の功績や志に触れる機会を創出していきたいと考えております。   (教育長田村壮児君登壇) ◎教育長(田村壮児君) まず、土佐の民主主義における先人の活躍について、作成中の高知県郷土史副読本にどのように盛り込んでいるのかとのお尋ねがございました。 御質問のありました高知県郷土史副読本は、旧石器時代から現代までの高知県の偉人や出来事を時代順に叙述する形式であり、授業などでの活用を通して、子供たちの郷土に対する誇りや愛情を育むために作成しているものでございます。全体的には歴史の流れを重視して編集しておりますが、幕末以降は、坂本龍馬先生やジョン万次郎先生などの特に重要な偉人をトピックスとして取り扱うことで、高知の先人たちがどのような思想・信条を持ち、どのような業績を上げ、日本の発展にどのような影響を与えたのかについて、生徒たちが興味を持ちながら理解できるよう工夫をしております。 お話のありました、日本の民主主義の充実・発展に貢献した浜口雄幸先生などの高知の偉人につきましては、当時の日本や高知の政治、社会のさまざまな課題に信念を持って立ち向かったことを、副読本の中で取り上げております。 現在作成中の副読本は、来年4月に県内の中高生に配付し、社会科、地理歴史科、総合的な学習の時間などで積極的な活用を図ってまいります。そして、郷土を知り、郷土の歴史に関心を抱いた子供たちに、高知城歴史博物館を初めとする県内の諸施設を利用しながら、主体的に土佐の民主主義について学んでもらいたいと考えております。 次に、高知みらい科学館において、谷秦山の業績を紹介し、土佐の先人に学ぶコーナーも設けていると思うが、どのような企画を考えているのかとのお尋ねがございました。 議員より御紹介のありましたように、谷秦山先生は、土佐南学の高名な学者であると同時に、日本人による最初の暦を作成した渋川春海を師として、天文暦学を研究した土佐の天文学の先駆者でもあり、細川半蔵や川谷薊山などによるその後の本県の天文研究にも影響を及ぼしております。こうした本県の科学の先人を知り、その業績を学ぶことは、同じ郷土で育つ子供たちの自尊心を育むとともに、科学への関心を持つきっかけにもなると考えております。 高知みらい科学館は、高知市の施設ではありますが、その運営には県も積極的に参画し、来館者を深遠な科学の世界にいざなう科学館となるよう、現在開館に向けた準備を進めているところでございます。 常設展示では、「見て、触れて、感じて、作って、学び遊ぶ」体験型展示をコンセプトに、子供だけでなく大人の知的好奇心を満たすアイテムのほか、高知の科学・ものづくりゾーンでは、科学の先人を紹介するコーナーを設け、細川半蔵が設計したからくり人形の技術や谷秦山先生などの業績を紹介する予定です。 コーナーでの企画は現在もその詳細を検討中ですが、青少年の理科・科学離れが起きていると言われる中、科学館が、子供たちに科学の世界に目を開かせ、宇宙、天文への興味、関心を高める入り口となるよう、高知市とも協議を行ってまいります。   (農業振興部長笹岡貴文君登壇) ◎農業振興部長(笹岡貴文君) 新嘗祭献穀者を広く県民に知ってもらう取り組みについてお尋ねがございました。 新嘗祭は、天皇陛下が、その年に収穫された米やアワなどを天地の神にお供えし、農作物の恵みに感謝するとともに、みずからも食される祭儀であり、議員のお話にもありましたように、日本の伝統を守り農業をとても大切にしておられる皇室にとりまして、宮中行事の中でも特に重要なものと承知しております。 本年10月に皇居でとり行われました新嘗祭には、知事みずからが各都道府県の献穀者とともに出席し、四国ブロック代表として、米の作柄などにつきまして天皇陛下に奏上いたしました。今後におきましても、新嘗祭には、でき得る限り知事みずからが本県を代表して献穀者とともに出席する予定です。 この新嘗祭に関する広報につきましては、市町村やJAで組織する実行委員会が実施します、お田植え式や抜穂式といった節目となる行事の開催に合わせて、県ホームページヘ行事概要を掲載するほか、県政記者室を通じて県内マスコミに情報提供しており、毎年新聞やテレビに大きく取り上げていただいております。 今後におきましても、献穀は生産者御本人や地域にとって大変名誉なことでありますので、他県の状況も参考にしながら広報に努めてまいります。   (林業振興・環境部長田所実君登壇) ◎林業振興・環境部長(田所実君) まず、甫喜ヶ峰森林公園を通じて子供たちにどういったことを伝えようとしているのかとのお尋ねがありました。 甫喜ヶ峰森林公園は、議員のお話にありましたように、昭和53年に開催されました第29回全国植樹祭の会場として整備された後、県民の憩いの場、児童生徒の学習の場として多くの県民の皆様に親しまれています。 この公園では、102ヘクタールの広大で多様な森のフィールドを活用して、子供たちに、豊かな森に感謝し森林や山を守ることの重要性を伝え、理解と関心を深めてもらえるよう、木を育てる、木に親しむ、木を生かすの3つをテーマとして、さまざまな森林環境学習の支援を行っています。例えば、春と秋の山野草の観察、間伐体験やキャンプ、ネーチャーゲームなど、甫喜ヶ峰森林公園ならではの自然を生かした約180種類の多様なプログラムを提供しており、季節ごと、また年齢層に応じて、身近な自然を楽しみながら学習できるよう工夫しております。 今後とも、この公園の特色である豊かな自然とこれまで培ってきた森林環境学習のノウハウを生かして、子供たちが、森の恵みのありがたさや森林とともに生きることの大切さなどについて、四季折々の自然の中で五感を通して学び、日本一の森林県である高知県に生まれ育ったことを誇りに思えるよう取り組んでまいります。 次に、林業大学校における人材育成についてお尋ねがありました。 県では、森林率全国1位の豊富な森林資源をダイナミックに活用することにより、林業の振興や中山間地域の活性化を進めています。 そのかなめとなる林業の担い手の育成・確保を目的に、平成27年4月に林業学校を創設し、短期課程と基礎課程を先行して開講しました。 基礎課程は、林業の現場で即戦力となる人材を育成するため、1年間で林業に関する知識や技術を基礎からしっかりと学び、林業分野に就業する上で必要な12の資格も取得できるなど、実践型のカリキュラムとなっています。この2年間で33名が卒業し、全員が県内の林業関係の仕事についています。 来年4月からは、新たに専攻課程を開設し、世界的な建築家である隈研吾先生を初代校長にお迎えして、林業大学校として本格開校することとしています。 この専攻課程では、森林管理、林業技術、木造設計の3つのコースにおいて、林業のエキスパートから木造建築を提案できる建築士まで、幅広い担い手を1年間で育成することとしています。そのカリキュラムは、森林の機能や林業経営など幅広い知識を習得できる共通科目とそれぞれの分野についての専門科目で構成されており、各分野の第一線で活躍されている一流の講師陣による充実した授業やフィールドワークにより、実践力と応用力が身につく内容となっています。 林業大学校では、隈校長のもと人材育成の拠点として、全国から志を持った人材が集まり、新しい森や木の文化と技術を世界に発信できる若者たちのプラットホームとなることを目指してまいりますとともに、知識や技術の向上のみならず、森林や木に対する理解を深め、木を愛する情熱を持って林業や木材産業の再生に取り組み、本県のみならず将来の日本をリードするすぐれた人材を育成していきたいと考えています。   (水産振興部長谷脇明君登壇) ◎水産振興部長(谷脇明君) 来年本県で開催される全国豊かな海づくり大会を通じて、どういった効果が期待できるのかとのお尋ねがございました。 全国豊かな海づくり大会は、水産資源の保護、管理と海や河川などの環境保全の大切さを広く発信するとともに、漁業の振興と発展を図ることを目的として、昭和56年の第1回大会が大分県で開催されて以来、毎年各地で開催されている大会です。 本県で全国豊かな海づくり大会を開催できますことは、県民一人一人が、森と川からつながる豊かな海を守り育むことの大切さを改めて理解していただける機会となるとともに、カツオの一本釣りなど長年培われてきた本県の伝統ある漁法や、クロマグロの人工種苗生産の取り組みなどの新たな挑戦について、全国に向けて発信することができる絶好の機会になるものと考えております。 また、県外から多くの方々を御招待し、本県へお越しいただくことになります。「志国高知 幕末維新博」の第2幕が開催されている時期でもあり、観光部門とも連携して、本県の魅力である豊かな自然や食、歴史、文化などにつきましても相乗効果のあるPRに努めていきたいと考えております。 先日、大会の開催日も正式に決定し、大会開催に向けた準備も本格化してまいります。この大会が、参加される方々や県民の皆様にとって意義深く記憶に残るものとなりますよう、水産団体を初め多くの関係者の皆様の御理解と御協力をいただきながら、万全の準備を進めてまいります。 ◆15番(依光晃一郎君) ありがとうございました。 知事から、力強い日本における高知県の役割について、強い地方、強い高知県をつくるというお話がありまして、自分も本当にそのとおりだと思います。明治維新から何を学ぶべきかといったときに、私自身が思うのは、自分の地域を自分で守る、自分たちの国は自分たちで守る、その意識ではないかと思います。 来年に向けしっかりと勉強して、来年も皆様方とともに強い地方、強い高知県をつくりたいと思います。皆様よろしくお願いします。 一切の質問といたします。ありがとうございました。(拍手) ○議長(浜田英宏君) 暫時休憩いたします。   午前11時6分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○議長(浜田英宏君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 21番土森正典君。   (21番土森正典君登壇) ◆21番(土森正典君) 平成29年12月定例会、昨年に引き続きまして、最後の質問者になりました。今までの質問と重複する点がありましたら、お許しをいただきたいと思います。 私は、昭和51年、旧中村市の市議会議員に31歳で当選をさせていただきました。58年には県議会に上げていただき、その間ずっと考え続けてきましたことが人口問題であります。当時から、大都市に人、物、金が全て集中をする、一方で地方は人口減少、全てのものが疲弊する。これで一体いいのだろうか、そういう疑念を持ち続けてまいりました。 そこで、私は25年前に、都市の人口を地方に移動さすべく、日本列島人口構造改革なるものを国に提案したことがありました。しかし、一切取り上げてくれることはありませんでした。また、この本会議場でも当時人口問題、移住政策について政策提案をさせていただきましたが、当時の幹部は政策として取り上げてくれることはありませんでした。非常に残念に思っております。 私は、平成9年、高知県議会議長として就任をさせていただきました。そのときに、時事通信社の地方行政の道標のページに、高知県議会議長としての提言を、次のような思いで述べさせていただいております。 議長に就任し上京の機会がふえたが、東京は日々変容している。多くの高層ビルがあり、しかもふえているのが印象的だ。その最上階からは遠く北関東までもかすんで広がっているが、この中に4,000万人の人が住み活動していることを考えると、むしろ狭さを感じ、さまざまなものがこれだけ集中していいのかと思う。自然に囲まれて、自然に調和し暮らしたいという人々のひそやかな欲望の中で、人間が本来住むべきところは豊かな自然環境に恵まれた田舎であろうと思うが、戦後、人口の大都市への集中は著しい。一方で著しい情報化の進展により、テレワークを使って地方においても、全国、世界を相手にした仕事が可能となってきている。需要喚起、投資効果の観点からも、今こそ地方への投資が有効であり、投資すべきであるという、一極集中を憂いまして私の思いをつづったものでありました。 少子高齢化が他県に先行する高知県であるがゆえに、20年以上前から危機感を持ち、これまで人口問題に関連した多くの質問をさせていただいてきたところであります。 東京圏への一極集中が加速化する中で、地方経済と大都市経済の大きな格差を是正すべく、地方に仕事をつくり新しい人の流れをつくるための、まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づくさまざまな取り組みが進められていますが、もう少し早い段階から、地方の厳しい現状認識を国とも共有できていたらと感じるところであります。このような思いを込めまして質問をさせていただきます。 まず初めに、平成28年度高知県集落調査の結果の受けとめなどについて知事にお聞きをいたします。 今回の集落調査の結果によりますと、県内270の集落において人口増となる一方で、集落全体の約9割に当たる1,976の集落で人口の減少が、また1,442の集落で世帯数の減少が進み、過疎地域を含む中山間地域における厳しい現状が明らかになりました。これらの地域の活力の低下、存続までもが一層憂慮される状況となっております。 かつて昭和30年から昭和48年まで、日本の実質経済成長率は年平均10%を超え、世界に例を見ない高度経済成長期を迎えました。昭和43年には、世界第2位の経済大国にまで上り詰めました。この発展の原動力となりましたのは、集団就職と言われる社会現象のもとで、貴重な労働力として農村から都市へ出ていった多くの若者たちでしたが、このことが今日の農村社会における過疎化、高齢化を招く大きな要因ともなりました。 国勢調査によりますと、昭和35年から昭和45年の間、高知県の人口は85万4,595人から78万6,882人と6万7,713人減少していますが、人口の自然動態はプラスで推移をしております。昭和45年以降昭和60年までは人口増に転じています。一方、平成2年から自然動態はマイナスとなり、再び人口は減少の途をたどりました。平成17年から平成27年の10年間には6万8,016人の減となっています。単純な比較は適当ではないかもしれませんが、この10年は高度経済成長期とほぼ同程度の人口減少を示しております。過疎地域や中山間地域の人口は、昭和35年から平成27年までの55年間でほぼ半減をし、現在の推計人口は71万人台となっています。 このような中で、中山間地域における地域住民の方々の活動拠点とすべく、平成31年度末までに80カ所の集落活動センターの開設を目標に取り組みが進められております。 集落の維持・存続を図る上で待ったなしの取り組みでありますが、この平成28年度高知県集落調査の結果をどのように受けとめ、集落活動センターの開設も含め、中山間地域における今後の施策にどのように生かしていかれるのか、御所見をお聞きいたします。 私は、昭和、平成の激動の時代の変遷の中に身を置いてきた者といたしまして、今改めて、敗戦による荒廃からの復興と著しい経済成長を遂げ、今日の豊かで平和な世を築いた、地方から都会に出ていった方々の並々ならぬ苦労、努力に敬意を表するとともに、脈々と続く伝統文化、風習を代々受け継ぎ、集落、ふるさとを守り抜いてきた地域の人々への感謝の心を決して忘れてはならないと思っています。過疎地域・中山間地域対策の推進に当たっては、日本の発展に貢献してきた方々の暮らしに思いをいたし、取り組まなければならないと感じています。 知事は、対話と実行の県政を進めるため積極的に県内各地を訪問され、地域の方々の声をつぶさにお聞きしておられますが、中山間地域などの人々の暮らしを支える対策の推進に当たり、その声をどのように受けとめ、どのような思いを持って取り組まれるのか、改めまして御所見をお聞きいたします。 次に、中央省庁のサテライトオフィスの地方設置、企業の地方移転、企業誘致についてであります。 東京一極集中傾向が続く中で、中央省庁の地方移転は、地方創生の看板政策として大いに期待をされましたが、現在のところ文化庁の京都移転以外への広がりは見通せない状況のようであります。 このような中、6月に閣議決定されました、まち・ひと・しごと創生基本方針2017では、地方創生の新展開として、中央省庁のサテライトオフィスの地方への設置拡大を進める方針が示されました。内閣府は、小規模なサテライトオフィスの地方設置に向け、地方創生や働き方改革の観点から東京以外で働く国家公務員をふやせないのか、その可能性を探るため、職員を地方に派遣しています。 この6月には安田町で、事業の立案など地域活性化の取り組みへの支援を通じ、出先拠点にふさわしい業務や体制を検証するための実証実験が行われています。旧保育所に事務所を開設し、高知県東部を中心に職員が役場を訪問し、地方創生施策、地方分権改革、子育て支援など内閣府の所管事項に関する相談業務を通じて、ウエブ会議システムでの東京との連絡や意思疎通について、支障がないか確認をしたとのことであります。 出先拠点が公務員の働き方改革や業務の効率化につながるかどうかを検証し、今後の展開を考えていくとのことでありますが、安田町で実証実験が行われることとなった経緯と実証実験についてどのような評価、分析がなされたのか、産業振興推進部長にお聞きをいたします。 国におきましては、サテライトオフィスの地方設置について、今後具体的な検討が進められるとのことでありますが、政府関係機関の地方移転について、サテライトオフィスの地方設置を含めて、高知県はどのように対応していかれるのか、これは知事にお聞きをいたします。 またあわせまして、東京23区からの企業の地方移転や地方拠点の強化を促進するための税制措置が拡充をされております。地方の若い世代が安心して働くことのできる雇用の場が確保されることには、大いに期待を寄せますが、地方の人口減少とマーケットの収縮を背景に、狙いとは逆に巨大市場となる首都圏に向かう企業の動きに拍車がかかっているのが現状であります。国が率先して、中央省庁の地方移転、許認可権限の地方出先機関への移譲を進めなければ、人、企業の新しい流れは到底見込めないのであります。 経済界からは、こうした優遇策だけでは呼び水とはならないとの見方もありまして、地方移転の促進には、10年から20年間にわたる法人税の全額免除や霞が関の許認可権限の地方出先機関への移譲など、さらに大胆な対策の検討が必要との見解が示されました。 国は、地方への企業の本社機能移転などを加速化するための具体策について、年内に成案を得るとしていますが、検討状況について情報は得られているのか、また高知県として地方への企業の本社移転にはどのようなスタンスをとっていくのか、商工労働部長にお聞きをいたします。 この項の最後になりますが、企業誘致についてお聞きをしておきます。企業誘致は制度面の充実とあわせまして、企業が魅力を感じる資源や独自性の積極的なアピールとともに、地場産業と連携できる分野をターゲットにした誘致活動も必要と考えますが、今後の企業誘致についてのその戦略と展望を商工労働部長にお聞きをいたします。 次に、移住対策についてであります。 平成15年、私は、アメリカ・アリゾナ州の有名なリタイアメントタウン、サンシティーを同僚6人の議員とともに訪問し、将来の高齢化社会を考える上で大きな刺激を受けて帰りました。議場では武石議員がおられますが、一緒に行きました。 当時から高知県は、高齢化が他県に10年先行していると言われている中で、自然、食、温暖な気候など、全国に誇れる豊かな資源を生かし、他県の高齢者を中心に、高知県に引き寄せるまちづくりに大きな期待を込めまして、市町村をも巻き込んだ高知県版のリタイアメントタウン、リタイアメント地域、今で言うCCRCの推進について、平成16年7月定例会で質問をさせていただきました。 そのときの執行部の答弁は次のようなものでありました。お年寄りの増加を考えると、これからの地域づくりには有力な手法としつつも、その構想の実現には資金とノウハウを持つ民間の協力が欠かせず、具体的なケースに応じて、県として役割を果たしていきたいとのことでありました。基本的に民間主導で進めるべきものとの見解で、私から言わせますと、腰が引けた答弁でありました。 今はどうでしょう、日本版のCCRC構想が打ち出され、中高年齢者が希望に応じて地方や町なかに移り住み、地域の住民と交流し、健康でアクティブな生活を送りながら、必要に応じて医療・介護を受けることのできる地域づくりを目指すこととし、行政も積極的にかかわることになりました。また、全国の自治体でも、それぞれの地域の特色を打ち出し、年齢層を問わず移住者、産業の担い手の獲得に向け、移住対策が活発に展開をされております。 私は、生産年齢人口の減少による活力の低下、県経済の衰退に危機感を強くいたしておりまして、人口問題、移住対策を議員活動の大きなテーマと位置づけ、一貫して移住対策について質問を行ってきたところであります。 尾崎知事は就任以来、産業、経済の発展にとって、何より担い手の確保が重要であることを認識されまして、移住対策にも積極的に取り組んでこられております。この結果、平成28年度の高知県の移住相談件数は全国第8位の7,518件となり、同年度に県や市町村の相談窓口を経て高知県に移住してきた人は683組、1,037人と1,000人を突破しています。平成29年度には800組、平成31年度には移住者数、年間1,000組の達成と定常化を目指しておりますが、その実現も視野に入るまでになってきております。 こうした中、知事説明にもありましたように、さらなるスムーズな移住に向けて、移住に関するさまざまな情報提供や相談についてワンストップでの対応が可能となる、官民連携による一般社団法人高知県移住促進・人材確保センターが設立をされました。運営には、34市町村のほか、1次産業、商工、福祉などの関係機関とともに移住促進団体が参画をし、企業求人を初め、農業や福祉など各産業分野の人材ニーズに関する情報を一元的に集約したデータベースを活用し、移住相談者とのマッチングを行っていくとのことであります。また、市町村の移住相談員の育成も行っていくなど、官民挙げて総合的に移住対策に取り組む体制が整えられました。 私が移住対策の重要性を訴え始めたころと比較をいたしますと、本当に飛躍的な進展であります。当該センターへの期待は膨らみますが、その機能を十分に発揮させるために、何といいましても関係機関、スタッフの有機的な連携が図られるかどうかが鍵になると思います。 各産業分野の求める人材ニーズや空き家・住宅情報などデータの集約の状況はどうか、また対外的な情報発信がどのように行われているのか、現在の取り組み状況について産業振興推進部長にお聞きをいたします。 高知市を中心に県内市町村が一体となり、人口減少、少子高齢化などの課題解決に向け取り組む、れんけいこうち広域都市圏が形成されることになりました。平成30年3月の予定で、高知市と各市町村との連携協約の締結、ビジョンの策定を目指し、作業が進められているとのことであります。 この広域都市圏の取り組みには、田舎暮らしに興味を持つ移住希望者に、一旦高知市などに居住していただいた後、他の市町村のPRを行いながら周辺市町村への再移住を促す、いわゆる2段階移住も掲げられています。まさにオール高知家の移住対策が進められることになります。 移住者1,000組の達成はもちろんのこと、日本一の移住者の受け入れ県を目指して頑張っていただきたいと思っておりますが、さらなる移住促進にかける知事の決意をお聞きいたします。 次に、酒米の生産振興と土佐酒の輸出拡大についてであります。これは土居議員が専門でありますが、私のほうからも質問させていただきたいと思います。 近年、日本酒全体の国内出荷量が減少傾向にありますが、その中でも消費者の志向は量から質へと変化をしております。吟醸酒、純米酒の出荷量が堅調に推移をしているとのことであります。また、海外における日本食ブームを背景に、平成28年の我が国の酒類の輸出は430億円となり、5年連続で過去最高を記録いたしました。そのうち清酒につきましては156億円と、こちらも7年連続で記録を更新しています。清酒の主な輸出先は、アメリカ、香港、韓国となっています。 第3期産業振興計画では、海外輸出の拡大、強化が掲げられ、輸出品目として、ユズ、木材、防災関連製品などとともに土佐酒も入っております。その土佐酒の振興につきましては、ブランド化に向け、原料となる酒造好適米の生産拡大を図るため、産学官の連携による土佐酒振興プラットフォームが昨年5月に設置をされ、取り組みが進められております。 8月にハワイで行われました、米国の第17回全米日本酒歓評会において、本県の酒が吟醸部門でグランプリを受賞いたしました。このことによりまして、土佐酒の認知度の広がりへの期待は高まりますが、現在の土佐酒の海外への輸出に向けた取り組み状況と輸出額・量について産業振興推進部長にお聞きをいたします。 国では、高級清酒の輸出が伸びる中で、酒米の需要をめぐる環境の変化に合わせて、酒の増産に応じた酒米の増産分について生産数量目標の枠外といたしまして、需要増に応じた酒米の生産拡大が円滑に行えるよう、制度の見直しを行っています。 こうした状況の中で、地元産米にこだわった酒づくりを実現するため、大吟醸酒に適した高度精米が可能なオリジナル品種の育成に取り組む自治体もふえてきているとのことであります。酒米の流通は、酒造業者と生産者との間で契約栽培方式の形態を基本とし、安定的な生産と供給が不可欠となりますが、生産拡大には丁寧な栽培管理が求められ、主食用米と比較をして栽培技術の確立に課題があるとのことであります。 平成27年9月定例会で、我が自由民主党の土居議員から、高知県の酒造好適米の品質向上とオリジナルな酒造好適米の開発促進について質問がありました。執行部からは、農業技術センターにおいて、栽培しやすく品質、酒造好適性がすぐれた新たな品種の育成とともに、こうした酒米を使用した土佐酒のブランド化による、輸出拡大に向けて取り組むことが示されました。 現在、酒造好適米の栽培に向け、土佐市の農家グループが試行錯誤されているとのことでありますが、酒造好適米の栽培技術の確立、品質の向上、新たな品種の育成に向け、当該農家グループとのかかわりも含め、県としてどのように取り組みを進めているのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 また、酒米を中山間地域における有望品目として、集落営農組織や集落活動センターを中心とする産地化を進め、安定的な供給体制の構築に取り組んではどうかと考えますが、その可能性について農業振興部長にお聞きをいたします。 清酒の輸出は伸びていますが、フランスのワイン輸出額が何と年間1兆円に迫る規模であることを踏まえれば、今後海外市場における日本酒の消費はさらに拡大する可能性を秘めており、オリジナルな酒米づくり、清酒のブランド化は将来性のある取り組みであると考えます。 土佐のおきゃくは酒と食に浸る高知県の一大イベントとして定着をしてきましたが、酒の聖地宣言とあわせて、高知の酒文化と高知ブランドのお酒を広く情報発信し、土佐酒の輸出拡大とあわせて、さらなる国際観光の推進を目指してはどうかと考えますが、これは産業振興推進部長観光振興部長に御所見をお聞きいたします。 次に、農業振興と新規就農者の受け皿づくりについてであります。 県勢の浮揚に向けまして、基幹産業となる農業分野において、地域で暮らし稼げる農業を目指し、生産力の向上と高付加価値化、中山間地域の農業を支える仕組みづくり、担い手の確保・育成、農業クラスターの形成を主な戦略に掲げ、取り組みが進められております。 高知県の農業産出額は、昭和60年に約1,417億円となっており、それ以降、長期にわたりまして1,000億円を割り込みましたが、計画的な農業振興策の推進によりまして、平成27年には1,018億円となり、回復の兆しが見えてきております。 農業従事者の高齢化が著しい中で、この流れをより力強いものとするためには、若い世代を中心とする新規就農者、担い手の確保が絶対条件となります。本県では、各産地が具体的な就農条件を示してアプローチをする産地提案型の担い手確保対策が成果を上げておりまして、平成28年度の新規就農者は過去最多の276人となっております。提案書によって就農希望者が具体的に農業をイメージしやすいことが、この大きな要因になっているとのことであります。新規就農者の確保には、こうしたことに加えまして、新規就農者が単独で農業を始めるのは難しいことから、正社員として通年雇用される形態の拡充が重要であると考えます。 農業生産法人や農業分野に進出する企業がその受け皿の役割を果たすものと考えますが、本県における新規就農者の雇用の形態、新たな農業生産法人の設立、企業の農業分野への参入の状況はそれぞれどのようになっているのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 兵庫県養父市では、中山間農業改革特区の指定を受けまして、耕作放棄地等の生産農地への再生、6次産業化による付加価値の高い新たな農産物・食品の開発、農業と観光、歴史文化の一体的な展開による地域振興を目標に、民間業者との連携のもと農業モデル地域として取り組みが進められています。この国家戦略特区における規制改革には、農地法の特例として、農業生産法人の設立に関して、従来の役員の農作業要件が農業に従事する役員を1人以上置けばよいこととする内容も含まれておりまして、こうした農業法人を特例農業法人として農業生産法人と同様に扱うこととしています。 平成28年4月には、農業の成長産業化を図るため、農地を所有する法人の要件の緩和とあわせまして、農業生産法人の名称を農地所有適格法人に変更することなどを内容とした、農地法の改正法が施行されました。このことによりまして、企業の農地取得が進み、農業の6次産業化の一層の促進が期待をされます。 こうした規制緩和に伴って企業の農業分野への参入が進めば、新たな形の農業振興につながっていくのではないかと考えますが、この規制緩和をどのように受けとめられているのか、また今回の農地法の改正以降、農業分野への企業の参入に動きはあるのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 本県では、県内各地域において地域産業クラスター化の取り組みが進められており、企業などと連携した農業クラスターの形成も進められています。集落活動センターや集落営農組織と企業とが連携する農業生産法人の設立によって、農産物の生産、新たな農産物の加工、食品の開発ができるのではないかと考えます。 農業の担い手の受け皿の拡充、耕作放棄地の解消はもとより、地域の活力の復活にもつながるものと考えますが、企業の農業参入について知事の御所見をお聞きしておきます。 次に、医療ツーリズムについてであります。 高知県への観光客の入り込み数は、平成28年、424万3,000人と推計をされ、4年連続で400万人超えを達成しております。同年の外国人の延べ宿泊者数は個人旅行者の増加に伴い7万5,400人となり、大型クルーズ客船の寄港の急増にもよりまして外国人観光客の入り込み数が伸びております。また、2020年の東京オリンピックによる外国人観光客の増加が予想されます。 このような中、外国の富裕層、中間層を顧客として、地元の観光資源に健康診断や治療などの関連サービスを連携させる医療観光、いわゆる医療ツーリズムの動きが注目をされております。 大阪府と泉佐野市では、近年の外国人観光客の急増の追い風を受けまして、関西空港対岸のりんくうタウンにおいて観光と先端医療をセットにして旅行客を呼び込む医療ツーリズムの拠点を整備しており、りんくう総合医療センターには医療通訳を配した国内初の国際外来が開設をされているとのことであります。 また徳島県では、長年、人口当たりの糖尿病死亡率全国ワースト1位を記録しておりますが、この不名誉な記録を改善すべく、糖尿病予防と検査の普及に取り組んだ経験を生かしまして、中国人観光客の誘致に結びつけるために、上海において糖尿病検診と阿波踊りなどの観光資源をセットにした医療観光に関するフォーラムを開催し、高い関心が示されているとのことであります。 このように今、自治体や医療機関で外国人患者の受け入れ体制の整備や環境づくりが検討されておりますが、医療通訳、生活習慣、法制度の違いなどクリアすべき課題が多いことも指摘をされています。 本県への外国人観光客の入り込みの絶対数はまだ多くはないのでありますが、こうした医療ツーリズムの動きをどのように捉えているのか、健康政策部長観光振興部長に御所見をお聞きいたします。 医療ツーリズムには、高度な治療を目的とするものと人間ドックのような健診を目的とするものがあるとのことであります。健康志向が高まる中、国内外の観光客を対象に、食、自然、歴史を楽しむ観光をメーンとしつつ、その中に人間ドックやがん検診などをセットにした健康をキーワードにする旅行商品を企画してはどうかと思っています。 本県には室戸市に、海洋深層水を用いて人間の自然の治癒力を高める健康増進施設、タラソテラピーホテルなど健康づくりを目的とする観光施設もありますが、新たな観光のスタイルとして、健康パスポートの活用も含め、人間ドック、検診を組み込んだ医療ツーリズムが検討できないのか、健康政策部長観光振興部長に御所見をお聞きいたします。 次に、家族愛、地元愛、郷土愛を育む教育の推進について教育長にお聞きをいたします。 産業振興計画では、4年後の人口社会増減ゼロを掲げ、また6年後、10年後は社会増減のプラスを定着させることとしておりますが、若者の県外流出に歯どめをかける取り組みは極めて重要であります。若者が県外へ出ていく主なタイミングとしては、高校生の県外企業への就職や大学進学、また大学卒業後における就職などが挙げられています。 こうした中、若者が誇りと志を持って働くことのできる各産業の強化や新産業の創出とともに、地元企業と学生をつなぐための交流会、出前講座、セミナーなど、企業と高校、大学、行政が協働し、まさに官民を挙げた取り組みが進められております。これらの取り組みの重要性は論ずるまでもありませんが、改めて、郷土への愛着と誇りを大切にする心、すなわち高知県の将来を担う子供たちの家族、地元、郷土を愛する心を育んでいくことがこれまで以上に求められ、大事な視点ではないかと感じています。 第2期高知県教育振興基本計画では、目指すべき人間像を、郷土への愛着と誇り、高い志を持って日本や高知の未来を切り拓いていく人材とし、その育成を基本理念としています。基本理念の追求には、本県の誇れる自然、食べ物、歴史文化、祭りや行事など、五感に訴えるフィールドでの生きた教材を通した教育の推進が重要であると思っています。こうした教育活動において、子供たちが家庭や学校、地域の人々に守られ大切にされていることを感じながら成長していくことは、人間形成に大きな影響を与え、一生にわたる精神的な支えになるものであります。 来年度から始まる道徳の教科化を踏まえ、子供たちの家族、地元、郷土を愛する心を育む取り組みをどのように推進していかれるのか、お聞きをいたします。 知事は、人口の東京一極集中が進行する中、幕末期に地方の若者が時代を動かしたように、日本の将来にとって強い地方の復活が何よりも重要であることを常々述べられております。私もまさに同様の思いであります。冒頭に紹介をいたしました、時事通信での提言の最後は、次のように締めさせていただきました。 京都の東寺を訪れ大日如来を拝見した際、そばにろうそく、線香、花が飾られてあったのを見た。お寺の方から、ろうそくは知恵を、線香は最後までやり遂げる強い意志を、花は優しさを、すなわち知、情、意をあらわすものと説明を受けました。人間のあるべき姿を示している。この不透明な時代にあって、いにしえの教えに思いをいたしながら、全国における地方の位置づけを考え、行動することも必要ではないかと思うでありました。 まさに、全国の自治体をリードする形で、国に対してさまざまな政策提言を行う知事の行動そのものであり、感慨深いものがあります。尾崎知事には、今後とも国に対して、地方の知恵を発信していただくよう申し上げまして、私の1問とさせていただきます。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 土森議員の御質問にお答えをいたします。 まず、平成28年度の集落調査の結果をどのように受けとめ、中山間地域における今後の施策にどのように生かしていくのか、お尋ねがございました。 昨年度実施いたしました集落調査は、国勢調査のデータを活用して、平成27年まで5年ごとの集落単位の人口等の動向を分析したものであります。過疎地域では、依然、全体として人口の減少が続いており、高齢化率もこの5年間で4.4%上昇して41.7%となり、高齢化がさらに進み、人口減少と相まって集落の小規模化が進んでいることから、待ったなしの状況にあるものと受けとめています。 一方で、こうした厳しい状況にある過疎地域にあっても、この5年間に人口が増加した過疎地域の集落が184集落あり、産業振興計画の取り組みや集落の維持・再生のための集落活動センターの取り組みなどの効果があらわれてきているのではないかと思われる事例も一部に見られます。 こうした状況を踏まえますと、今後はさらなるスピード感を持って、あらわれてきた成果の兆しを、これまで進めてきた取り組みを土台としてさらに大きな流れとしていくことが重要だと考えております。その際には、県内各地に広がってきております集落活動センターやあったかふれあいセンターのネットワークなどを生かし、生活を守る施策と産業をつくる施策をさらに強化していかなければならないと、そのように考えます。 具体的には、まず生活を守る取り組みについては、高知版地域包括ケアシステムの構築に向けて、不足する生活支援サービスなどの確保にあったかふれあいセンターと集落活動センターが連携して取り組むなど、中山間地域で安心して暮らし続けることができる仕組みを意図的かつ政策的に構築していく取り組みを加速したいと考えています。 また、産業をつくる取り組みとしては、中山間地域の基幹産業である農業や林業、地域の魅力を生かした観光拠点整備などの取り組みをさらに強化していくとともに、こうした産業振興計画の産業成長戦略や地域資源を生かした地域アクションプランと集落活動センターの経済活動を連携させ、ステップアップさせていく3層構造の取り組みを進めてまいります。この取り組みの中では、集落活動センターの収益源となる経済活動のメーンエンジンを育て、さらにはこれが地域の産業のメーンエンジンとなっていくようステップアップしていくことを意図しており、そのための施策のさらなる強化も現在検討しているところです。 こうした取り組みを基本に、市町村との連携協調のもと全庁を挙げて総合対策に取り組むことによりまして、中山間地域の振興、発展につなげてまいります。 次に、中山間地域などの人々の声をどのように受けとめ、どのような思いを持って取り組むのかについてお尋ねがありました。 私は、県民の皆様との対話を通じて地域の実情を学ばさせていただくとともに、さまざまなお知恵を賜り、賜ったお知恵をもとに具体的に練り上げた政策をスピード感を持って実行するという対話と実行、これを県政運営の基本姿勢として取り組んでまいりました。 これまで全ての市町村を訪問させていただく中で、中山間地域の大変厳しい現状を目の当たりにするとともに、それに打ちかとうと懸命に頑張っておられる地域の皆様にお会いし、地域を元気にしたいという皆様の熱意を直接お聞かせいただきました。また同時に、こうした皆様が過疎地域においてもたくさんいらっしゃることに、大いに希望を覚えました。地域を訪れるたびに、こうした皆様方の地域に対する熱い思いに応えたい、応えなければならないという思いを強くしているところであります。 本県の中山間地域は、農業や林業といった第1次産業はもとより、豊かな自然や歴史、文化といった観光の面でも貴重な資源を有しております。これは、これまで中山間地域で暮らしてこられた皆様方が、先祖代々、現在まで大変厳しい状況にありながらも、しっかりと守り続けてこられたからこそであります。こうした皆様によって守られてきた中山間地域を将来にわたって守り、再生していくことは、私たちに与えられた使命であると考えております。そして、この中山間地域に存するものこそ、本県が全国に誇るべきものであり、高知の強みであります。この潜在力を生かし切る取り組みを進めることで中山間地域の振興を図り、もって県勢浮揚をなし遂げてまいりたいと考えております。こうした思いを持って、今後とも不断の努力を重ねてまいります。 次に、今後の政府関係機関の地方移転について県はどのように対応していくのか、お尋ねがございました。 政府関係機関の地方移転については、東京圏から地方への人の流れを大きなうねりとするため、また地方拠点を核とした地域イノベーションの創出や研究成果の地域産業などへの波及効果を得るためにも、大変重要な取り組みであると認識しております。加えて、今後発生が予想されます南海トラフ地震や首都直下地震といった大災害から人命を守り、経済社会への被害が致命的なものにならず迅速に回復するよう、国土の強靱化を図る観点からも必要なものと考えております。 現在、全国的に、文化庁の京都府への全面的な移転を初め、消費者庁による徳島県への調査研究などの新たな拠点の開設、研究機関や研修機関などの地方への拠点の設置、地方との共同研究の実施といった取り組みが進められております。本県においても、国立研究開発法人海洋研究開発機構の協力のもと、高知大学において海底微生物に関する研究などが進められております。また、お話のありました省庁のサテライトオフィスの地方設置に向けた実証実験の一つが本県で行われたところであり、今後他の地域の結果とあわせて検証を行うとお聞きしております。 こうした取り組みが行われていることは一定評価しておりますものの、先ほど申し上げました点からすると、その質・量ともに十分なものではなく、今後、より大きな流れとする必要があると考えております。 このため、まず本県として現在取り組んでおります、研究機関と連携した研究や省庁のサテライトオフィスの設置に向けた協力を引き続き強力に進めてまいります。その上で、本県のみならず、文化庁の移転する京都府や消費者庁の新たな拠点が開設される徳島県などの取り組みを検証、分析し、そのメリットを明らかにした上で、国にさらなる政府関係機関の移転を促していきたいと考えております。その際には、政治主導でしっかりと目標値を定めるべきことなどをあわせて訴えてまいりたいと考えております。以上のことを全国知事会などとも連携し、粘り強く訴えてまいります。 そもそも本県においては、既に12社のIT・コンテンツ企業が立地をしているところです。高度な情報を取り扱うIT・コンテンツ企業が遠隔地間をつないで業務ができるのであれば、政府関係機関ができないはずはないと考えているところでございます。 次に、さらなる移住促進にかける決意についてお尋ねがありました。 人口減少や担い手の不足が続く本県において、地域の活性化を図るためには、地産外商により新たな仕事を生み出し、若者の県内定着を図ることに加え、県外からの移住を促進し、本県に人材を呼び込んでくることが不可欠であります。このため平成25年度に移住促進策を抜本強化し、高知家プロモーションの展開や県外での移住相談会の拡充、市町村の相談体制の充実、さらには官民協働による高知県移住推進協議会を立ち上げ、移住促進策の検討と実践に取り組んでまいりました。 こうした取り組みの結果、本県への移住者は、抜本強化以前の平成24年度に121組であったものが、平成28年度には約6倍の683組となるなど大幅に増加してまいりました。今年度も11月末時点で、昨年同期と比較して23%増の552組となるなど順調に推移しております。 しかしながら、今や全国のほとんどの自治体が移住促進に取り組む中、本県人口の社会増減の均衡を図るためには、これまで以上に取り組みを強化する必要があります。このため今年度、県、市町村及び産業関係団体などの参画によるオール高知の体制のもと、高知県移住促進・人材確保センターを立ち上げ、地域のさまざまな人材ニーズを掘り起こし、それらを一元的に集約するとともに、半農半Xといった多様な仕事の組み合わせを提案するなど、移住希望者とのマッチングに取り組んでいるところです。 今後、まずはこのセンターの取り組みを着実に進めていくことが重要となりますが、移住者1,000組の達成と定常化のためには、大きく3つの点で施策をさらに強化していく必要があると考えています。 第1に、志を感じていただけるような魅力的な仕事をいかに掘り起こして、かつ的確に提案できるかということが極めて重要であります。例えば、後継者がいなくて存続を諦めている優良事業者の方々や高齢化により優良農地を手放そうとしている農業者の方々もおられます。こうした潜在的な人材ニーズをいかに顕在化させ、都市部の若者の志を満たす仕事として提案できるかが大きなポイントだと考えています。 第2に、こうした仕事を初めとする本県の魅力が都市部の方々の心に届くよう、発信する情報の質や量を一層高めるとともに、プロモーションの仕方についてもおのおのの関心層に応じた発信をするなど、さらにきめ細やかな工夫をすることが必要であります。 そして第3に、毎年度1,000組の移住者を受け入れ続けていくためには、地域地域の受け入れ体制を整備することも重要だと考えています。この点、本県では、各市町村に移住相談員が配置されるとともに、移住者を支援する民間の団体がそれぞれの地域で積極的に活動するなど、受け入れ体制面での本県の大きな強みとなっております。ただし、今後移住促進のボトルネックとなる可能性が高いのは住宅をいかに確保していくかということでありますので、住宅確保対策の抜本強化に向けて現在検討を進めているところでございます。 こうした一連の移住促進の取り組みを強化することで、地域間競争が激化する中でも本県が存在感を示し、移住といえば高知県と思っていただけるよう、引き続き私が先頭に立って全力で取り組んでまいります。 最後に、地域の活力の復活にも資する企業の農業参入についてお尋ねがございました。 本県におけます企業の農業参入につきましては、地域に根差した産地の強化につながる形での参入を目指して取り組んでおりまして、これまでに四万十次世代モデルプロジェクトや日高村トマト産地拡大プロジェクトなどにおきまして、それぞれの地域で生産の拡大と雇用の増加につながる、企業と連携した農業クラスターの形成が進んでいるところであります。また、本県の大半を占める中山間地域の将来を見据えますと、さらなる企業の農業参入や企業と地域との多様な分野での連携がますます重要になってくるものと考えております。 議員からお話のありました兵庫県養父市での取り組みは、国家戦略特区の規制緩和を生かし、小規模から大規模までの企業と地域とが連携して地域おこしに取り組んでいるものであり、企業の農業参入の新たな形として大変参考になる事例であると思っております。 本県でも、産業振興計画の取り組みを進める中で、例えば四万十市においては、これまで自家用として栽培されてきたぶしゅかんの加工品開発や販売を地元の企業が担うことにより、新たな雇用と付加価値が創出をされています。このように、企業が地域の農業の新たな担い手として、生産はもとより6次産業化や流通販売等のさまざまな分野で連携・協働する取り組みは、地域活力の再生につながるものと大いに期待をしております。 今後、こうした企業の参入をさらに進めていく上では、地域と企業が持つお互いのニーズ、シーズをいかにマッチングできるかが課題となってまいります。このため、新規就農者の確保に成果を上げております産地提案書の手法を活用し、地域地域で企業向けの地域提案書を作成することにより、企業と地域とをマッチングさせる新たな仕組みを充実強化してまいりたいと考えているところであります。 こうした取り組みを通じまして、中山間地域における企業と地域とのさらなる融合を図り、それぞれの強みやノウハウを生かしながら、若者が暮らし稼げるなりわいを生み出していくことにより、地域地域の活力の再生と自立的な発展につなげてまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。   (産業振興推進部長松尾晋次君登壇) ◎産業振興推進部長(松尾晋次君) まず、安田町で行われましたサテライトオフィスの実証実験について、経緯と評価、分析についてのお尋ねがございました。 サテライトオフィスにつきましては、昨年12月に閣議決定されました、国のまち・ひと・しごと創生総合戦略の改訂版において、地方に中央省庁のサテライトオフィスを設置して本省業務の一部を執行することの可能性についての実証、試行を進めることが示されました。 この取り組みの第一弾として、内閣府において、交付金事業のフォローアップや現場実態の把握、さらには働き方改革の観点から、西日本、東日本のそれぞれ1カ所で実証実験が行われることになり、本県に対しては、中山間地域におけるサテライトオフィスの適地について問い合わせがございました。 本県からは、IT環境が一定整備され、テレビ会議が可能となるオフィスについて複数の提案をする中で、自然の山や川に囲まれ、地元の受け入れ体制も整った安田町のシェアオフィスが選定されたものです。安田町には、6月5日から16日までの12日間オフィスが設置され、その間、派遣された職員の方々による、市町村に出向いての地方創生関連の事業説明や意見交換、相談対応が行われるとともに、テレビ会議などを活用したテレワークの実証実験も行われ、中山間地域における業務執行の可能性も感じられたのではないかと考えております。また、働き方改革の観点からも、派遣された職員の方々からは、豊かな自然やおいしい食なども満喫でき、リフレッシュした気持ちで執務できたといった声も聞かれております。 このように、この12日間を通じて、国においては、こうした取り組みの意義や重要性が従来にも増してより一層強く認識されたものと考えております。 次に、移住促進・人材確保センターにおける現在の取り組み状況についてお尋ねがございました。 まず、人材ニーズにつきましては、センターが本格稼働する以前から各産業分野において、関係団体との連携によるニーズの掘り起こしに取り組んでまいりました。その結果、10月末現在で有効な求人数は、企業系で333件、農林水産業系で113件となっており、これらの情報をデータベースにより、一元的に集約しております。このほか、ハローワークが持つ約5,300件の求人情報についても、1月末の集約に向けて作業を進めております。 また、空き家や住宅情報につきましては、市町村の空き家バンクによる物件を約300件、民間の不動産団体の賃貸物件を約1,000件把握しております。 これらの情報につきましては、センターが運営する、高知求人ネットや移住ポータルサイト「高知家で暮らす。」において発信するとともに、センターの相談窓口で移住相談者の方々の希望をお聞きしながら、半農半Xといった多様な働き方や、住まいを初めとする生活関連情報を組み合わせたライフスタイルの紹介など、きめ細かな移住プランを提案し、マッチングを進めております。 また、移住希望者の多様なニーズに対応し、確実に移住に結びつけていくためには、これらの情報量をふやすことに加え、センターのスタッフが市町村や事業者の方々の状況を深く理解し、連携した取り組みを進めることが必要となります。このため、移住・交流コンシェルジュを地域担当制とし、担当する市町村との連携を一層深めるとともに、人材確保スタッフも、関係機関との連携のもと県内事業者の方々を訪問し、新たな人材ニーズを掘り起こしながら、事業者の方々との関係強化に努めております。 こうした一連の取り組みをオール高知の体制で進めることにより、本県へのさらなる移住促進につなげてまいります。 次に、土佐酒の輸出の状況と今後の輸出拡大に向けた取り組みについてのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。 土佐酒の輸出に向けた取り組みとしましては、これまでの酒造メーカーへの個別支援に加えて、平成27年度からは世界的なアルコールの情報発信地であるロンドンにおいて、3年連続でその魅力を伝えるセミナーや試飲会、商談会などのプロモーション活動を展開し、高い評価をいただいております。こうした取り組みなどを通じて、土佐酒の輸出額は、平成26年の1億円から、平成28年には1億7,000万円余りとなり、量的にも99キロリットルから156キロリットルへと着実に増加しております。 本年度は、ロンドンでの評価を他の地域に拡大していくため、酒造メーカーや農業団体、学識経験者が参加して設立されました土佐酒振興プラットフォームとも連携し、パリや香港において試飲会や商談会を開催したところです。 今後は、海外における日本酒ブームといった追い風も生かしながら、土佐酒振興プラットフォームとも連携し、EUなどの世界的な情報発信地における、土佐酒のさらなる認知度の向上を図るためのプロモーション活動を継続して行ってまいります。あわせて、日本酒の大きな市場と見込まれるアジアやアメリカを中心に、これまで培ってきた現地の商社とのつながりやノウハウを生かし、販路拡大を図るとともに、新たな有望市場の開拓にも取り組み、土佐酒のさらなる輸出拡大を目指してまいります。   (商工労働部長中澤一眞君登壇)
    ◎商工労働部長(中澤一眞君) まず、地方への企業の本社機能移転などを加速化するための、国における具体策の検討状況について、情報は得られているのか、また県として、地方への本社移転に対しどのようなスタンスをとっていくのかとのお尋ねがありました。 議員のお話にありましたように、平成27年に地域再生法に基づき、企業の地方移転や地方拠点の強化を促進するための税制措置が創設されたところですが、これまでにこの税制が適用される東京23区から地方に移転をした実績は、全国で18件にとどまっております。 こうした状況を踏まえて、本県としても全国知事会や地方6団体等を通じて制度の要件緩和や拡充の要望を行ってきたところでございます。現在、国において審議され、また本日取りまとめられる予定となっております来年度の税制改正大綱の改正要望として、当該税制の適用についての要件緩和などが盛り込まれているとの情報を得ております。 改正案の内容は、移転先の従業員が10人以上から5人以上になるなどの雇用要件の緩和や、支援対象施設として本社機能だけでなく一定の要件を満たす工場や物流拠点等が追加されるとお聞きをしておりますので、改正案が実現すれば、地方への本社機能の移転をより後押しするものになると思っております。 本県では、これまでのところ当該税制を活用した立地の事例はありませんが、経理部門や社内向けヘルプデスクといった、いわゆる本社機能が県内に移転した実績が複数ございます。また、東京23区内の企業を訪問する中で、グループ企業における総務部門などの共通的な業務の集約や、社内の情報システム部門などの本社機能の一部は、必ずしも都市部である必要がないといったお声を企業の方からもお聞きしております。 こうしたことから、今後は本県の全国トップクラスの助成制度など本県独自の支援策に加えまして、当該税制によるメリットもセールスポイントとして提示をしながら、都市部からの本社機能の移転に取り組んでいきたいと考えております。 次に、今後の企業誘致の戦略と展望についてお尋ねがありました。 本県の企業誘致の取り組みにつきましては、全国的な産業の動向や雇用環境の変化、また何より本県における産業振興計画の進捗に伴う状況の変化を踏まえまして、本年度、お話のありましたような本県の強みを生かすとともに、立地しようとする企業にとってのメリットを訴求し得る分野といった観点から、3つの分野を重点的なターゲットとする新たな企業立地戦略を定め、現在県庁全体で取り組みを進めているところでございます。 この戦略の1つ目の柱は、地域産業クラスターを構成する企業の立地でございます。地域産業クラスターの取り組みは、県内に数多く存在する特産品などの地域固有の資源の強みを生かして、これを核として第1次産業から第3次産業までの多様な産業の集積を図ろうとするものであり、これまでに四万十町の次世代施設園芸団地への種苗会社の立地や日高村でのトマト生産などへの企業参入が実現をしております。今後、県内各地で動き始めております19のクラスターのそれぞれの特性に合わせて、生産物の加工施設や使用する資材、設備の生産工場などの立地に取り組み、さらなる企業の集積を目指してまいります。 2つ目の柱は、県内製造業の取引の拡大や生産性の高いものづくりの集積につながる企業の立地でございます。ものづくり分野の立地は、これまで本県の製造品出荷額を引き上げる原動力となってきましたけれども、新しい戦略においては、特に県内企業の資材の調達先であるなど県内企業との取引関係にある企業や、既に本県に拠点がありその工場をマザー拠点として県内で継続的な投資を行うことに合理性がある企業など、本県に立地することに一定の動機やメリットがあると考えられる企業に重点を置いて取り組んでまいります。これらの企業は、県内企業の取引の増加や新たな設備投資を喚起し、県内企業の生産性向上に寄与するとともに、ものづくりクラスターの形成にもつながることが期待をされます。 3つ目の柱は、IT・コンテンツ分野や防災産業など、本県ならではの新産業に関連する企業であります。このうちIT・コンテンツ産業は、地理的条件に左右されにくいことに加えて、首都圏に比べて本県では人材の確保が比較的容易であること、また近年本県への立地が急速に進みつつあり、立地した企業間のネットワークを活用することが可能となってまいりましたことから、メリットを訴求できる分野であると考えております。今後、本県への立地をさらに促進するためには、人材の確保が重要な鍵となりますので、来年度はIT・コンテンツ産業関連の人材の育成と確保をより強力に推進する仕組みを新たに構築することとしております。これにより、人材が豊富であることを強みとして積極的に打ち出しながら、誘致活動を一層加速させてまいりたいと考えております。 今後は、企業立地戦略に基づく企業誘致に全庁で取り組み、多様な雇用を地域地域に創出することで若者の県外流出の抑制とともに、県外からのUターン、Iターンの促進につなげてまいりたいと考えております。   (農業振興部長笹岡貴文君登壇) ◎農業振興部長(笹岡貴文君) まず、酒造好適米の品質向上や品種育成、農家グループへのかかわりなどの取り組みについてお尋ねがございました。 本県の酒造好適米の作付面積は、平成23年度の34ヘクタールから28年度には54ヘクタールとなるなど近年増加傾向にありますが、県内酒造メーカーの使用量に占める県産米の割合は約24%と依然として低い状況となっております。 酒造メーカーの要望量に応えた酒米の供給を行い、県産米のシェアを高めていくためには、酒造好適米の中で作付面積が最も大きい吟の夢の品質の向上と均一化、風鳴子にかわる高度精白に適した品種の育成など、クリアしなければならない課題がございます。 このため、吟の夢では、酒米品評会の上位入賞者の圃場で開催される現地検討会での高品質栽培技術の情報共有や、現地実証圃の設置などによります栽培技術の高位平準化に取り組んでおります。その結果、本年度の吟の夢の1等米比率は昨年度に比べ6%向上するなど、その成果もあらわれ始めているところです。 また、風鳴子にかわる新たな品種の育成につきましては、農業技術センターにおいて有望な1系統にまで絞り込みを進め、現在酒造メーカーでの試験醸造の段階にまで来ております。 議員のお話にございました土佐市の農家グループでは、市、JA、農業振興センターが一体となって酒米の郷づくりを目指した品質向上と作付拡大の取り組みを進めており、本年度は3戸で約5ヘクタールであった栽培面積が、来年度には7戸で約10ヘクタールにまで拡大するとお聞きしております。県としましては、酒造メーカーが地元産の酒米を使用できますよう、生産者と全農との調整を図っているところです。 今後につきましても、さらなる品質向上を図るための栽培技術の確立と普及に取り組み、生産者や酒造メーカー、全農との連携を強化し、県産酒米の生産振興に努めてまいります。 次に、中山間地域における酒米の安定的な供給体制の構築についてお尋ねがございました。 酒造好適米の主力品種、吟の夢は、農業技術センターにおいて本県の普通期栽培用として育成された、すぐれた醸造適性を持つ品種であり、昼夜の温度差が大きい中山間地域において、その能力がより発揮されます。 消費者の高級志向を背景としました酒造メーカーからの増産要望に応え、吟の夢を安定供給していくには、増産だけでなく品質の向上と均一化が重要な課題となっており、まとまった規模での栽培が可能で栽培方法を統一できる集落営農組織や集落活動センターへの作付推進は大変有効であると考えています。集落営農組織等での栽培は、生産側にとっては労力分散や機械の有効活用、規模拡大による収益アップにつながりますし、酒造メーカーにとりましてもより均一な酒米が確保できるといった生産者、実需者双方へのメリットも期待されるところです。加えまして、酒米は価格や取引先が安定している、いわば契約的な栽培ができる有望品目でもありますことから、例えば集落営農組織等で生産される酒米を地元の酒造メーカーで醸造して集落活動センターで販売するといった、新たな人と物の流れを生み、集落の経済的な核が生まれる可能性も秘めています。 今後、県といたしましては、集落営農組織や集落活動センターに酒米の導入を提案し、関心をお持ちの組織に対しましては、農業振興センターが栽培技術を指導してまいります。こうした取り組みによりまして、酒米の安定的な供給体制の構築と集落営農組織や集落活動センターの収益向上、さらには中山間地域の活性化につなげてまいります。 次に、新規就農者の雇用の形態、新たな農業生産法人の設立、企業の農業分野への参入状況についてお尋ねがございました。 平成28年度の新規就農者276名のうち、雇用就農者は105名と全体の約4割を占め、その数は毎年増加傾向にあります。御指摘いただきましたように、新規就農者が単独で農業を始めるのはなかなか難しい面もあることから、法人が新規就農を目指す方々の重要な受け皿の役割を果たしているところです。この雇用就農者105名は正規雇用であり、またその雇用先につきましては、施設などで野菜を生産する農業法人等が約7割、次いで果樹や畜産の農業法人等がそれぞれ約1割ずつとなっております。 次に、農地の所有や借り入れにより農業経営を行っている法人につきましては、市町村を通じた調査によれば、家族経営体や集落営農組織が法人化するなどにより、昨年度新たに23法人が加わり、174の法人が県内各地域において多様な園芸品目や水稲などの生産に取り組んでいるところです。 また、企業の農業分野への参入状況につきましては、地域に根差して産地の強化につながる形での立地を目指して取り組んでまいりましたところ、昨年度は四万十町の次世代施設園芸団地の3社と四万十あおぞらファームが、本年度は日高村のイチネン農園と安芸市のゆめファーム全農Nextこうちが、それぞれ新たに整備された次世代型ハウスで営農を開始しております。 最後に、農地法の改正による規制緩和と農地法改正以降の農業分野への企業参入の動きについてのお尋ねがございました。 農地を所有できる法人となるためには、売上高の過半を農業が占めることとする事業要件のほか、構成員・議決権要件、役員要件を満たす必要があり、国家戦略特区ではこのうちの役員要件が緩和されたところです。 他方、昨年の農地法の改正では、この役員要件に加えて構成員・議決権要件も緩和されており、農業関係者以外の構成員を法人と継続的な取引関係を有する関連事業者に限定していた要件を撤廃した上で、農業関係者以外が有することのできる議決権についても総議決権の4分の1以下から2分の1未満へと大幅に緩和されたところです。 この法改正以降、県内で農業に参入した企業は先ほど申し上げた6社となり、これらは農地を借り入れての参入となっておりますが、既存の農業生産法人が法改正に伴い農地所有適格法人となった上で、規模拡大のために農地を取得する動きも県内各地で見られるところです。 このような規制の緩和は県内外のさまざまな企業の農業分野への参入を後押しするものであり、産業振興計画の農業分野の大きな柱であります、地域に根差した農業クラスターの形成を進めていく上において、参入企業が地域の新たな担い手として食品産業や流通・販売等のさまざまな分野を担うことで、地域の活力の再生につながると大いに期待しております。 この追い風を生かしながら、県としましては、産地提案書の手法を活用して各地域で企業向けの地域提案書を作成し、企業と地域とをマッチングさせる仕組みを充実していくことにより、農業分野へのさらなる企業の参入や、地域と企業との多様な分野での連携を推進し、地域地域で若者が暮らせる持続可能な農業の実現につなげてまいります。   (観光振興部長伊藤博明君登壇) ◎観光振興部長(伊藤博明君) 高知の酒文化と高知ブランドの酒を広く情報発信し、国際観光の推進を目指してはどうかとのお尋ねがありました。 民間マーケティング会社による欧米からの訪日外国人観光客への調査では、滞在中に日本酒を飲んだことがあるとの回答や酒蔵を目的に再訪したいと回答した割合がともに8割を超えるなど、日本酒は大変に高い関心や評価を得ており、外国人旅行者にも喜んでいただける有望な観光資源の一つであると認識しております。 本県でも、海外の旅行会社やメディアを対象としたモニターツアーにおいて、日本酒の製法や歴史、試飲などの学習、体験ができる酒蔵見学や高知の酒文化の一つでありますお座敷遊びなどは毎回大変な好評を得ております。また、本年9月には、韓国のワイン雑誌の記者が本県を訪れ、3カ所の酒蔵を取材し、土佐酒を特集記事として掲載するなど、今後ますます海外で日本酒がブームになってくるものと考えております。 こうしたことから、今月3日には香港において、産業振興推進部が一般消費者と現地メディアを対象に土佐酒のPRを目的に開催しました、高知うまいお酒めぐりの旅交流会にあわせまして、観光振興部でも高知の観光情報の特集記事を訪日旅行雑誌に掲載するなど、相互に連携したプロモーションを実施したところです。 今後とも、海外での日本酒ブームや土佐酒の輸出拡大と連携した効果的な観光プロモーションを展開し、海外の方々に酒蔵ツアーを初め酒の聖地宣言を行った土佐のおきゃくやお座敷遊びなどの体験プログラムを情報発信するとともに、推奨ルートに組み込むことなどにより誘客の拡大につなげていきたいと考えております。 次に、医療ツーリズムの動きをどのように捉えているか、また人間ドックと検診を組み込んだ医療ツーリズムが検討できないかとのお尋ねがありました。関連いたしますので、あわせてお答えをいたします。 医療ツーリズムは、外国人旅行者の大幅な増加を目指している本県にとりましても、特にアジアの富裕層をターゲットとした誘客手段として、将来において可能性のある分野の一つではないかと考えております。 訪日客が安心して人間ドックや検診を受けるには、訪日前から帰国後に至るまでの医療情報のやりとりのほかに、渡航手続や宿泊の確保など旅行会社にセットで手配や準備をお願いすることが一般的であり、また医療滞在ビザが必要な場合には申請に際して旅行会社等が作成する身元保証書も必要となりますことから、医療ツーリズムの実施には医療機関と旅行会社との連携が重要となってまいります。 大手旅行会社に現状をお尋ねしましたところ、中国のお客様を中心に首都圏など都市部での検診のニーズが高く、首都圏の医療機関と提携して年間約300件の取り扱いがある、今後地方への拡大も期待できるが、そのためには、海外での需要の喚起や医療機関の受け入れ体制の整備、医療専門用語を正確に通訳できる人材の確保などで時間を要するのではないかといった意見もいただきました。 こうしたことから県としましては、当面は受け入れ先となる県内医療機関の動向も注視しながら、首都圏での医療ツーリズムの取り組みの成果・課題の情報収集などを行っていきたいと考えております。 一方、議員の御指摘のとおり、本県には、海洋深層水を用いた健康増進施設を初め、清流や森林などの豊かな自然と新鮮な食材といった多彩な観光資源がございます。このことから、まずは四万十川のサイクリングやセラピーロードでのウオーキングなど、癒やしや健康をテーマにした体験プログラムを情報発信してまいりたいと考えております。   (健康政策部長山本治君登壇) ◎健康政策部長(山本治君) 医療ツーリズムの動きをどのように捉えているか、また健康パスポートの活用も含め人間ドック、検診を組み込んだ医療ツーリズムを検討できないかとのお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをさせていただきます。 近年急増している外国人観光客が急病時などに安心して医療を受けられるよう、外国人に対する診療が可能な医療機関として、観光庁のリストに現在県内の1つの施設が登録され、5つの施設が登録の申請中です。 一方、一般財団法人日本医療教育財団は、厚生労働省の支援のもと、平成24年度から外国人受け入れに関する体制基準を定めた外国人患者受入れ医療機関認証制度を実施しており、全国で30の医療機関が認定されているなど、外国人への医療提供を進めるための施策がとられていますが、残念ながら本県の認定医療機関はゼロという状況です。 いわゆる医療ツーリズムについては、議員御指摘の大阪府を初め愛知県などの医療資源が豊富にあり国際空港へのアクセスが容易といった都市部を中心として、外国人に対する先進的な医療や最先端の医療機器による検診の実施などにより、訪日外国人の誘客を進めていると承知しています。 医療ツーリズムとして、本県の医療や健康づくりを外国人観光客の誘致資源として活用するためには、まずは外国人観光客のニーズに見合った高度な診療機能に加え、会話や文書での多言語対応や、宗教、習慣の違いを考慮した対応など、外国人患者受入れ医療機関認証制度の基準を満たすような受け入れ体制の整備が必要と考えています。 加えて、本県においても高度な医療機能を備えている医療機関はありますが、いずれも本県医療の中核を担っており、まずは県民に対する医療提供体制をしっかりと確保した上で、医療ツーリズムへの対応については見きわめる必要があります。県内の主な検診機関や高度医療機関にお尋ねしたところ、現状は、人間ドックや、放射線同位元素を用いて全身のがんなどを一度に調べることができるPET-CTの稼働率は非常に高く、県内の医療需要で満たされている状況で、医療ツーリズムのお客様を受け入れすることは難しいとの回答でした。 したがって、こうした状況も踏まえ、例えば将来的な本県の患者数の減少を見越して新たな医療需要として捉えられないかなど中長期的な視点に立って、今後の医療ツーリズムの可能性などについて医療機関と意見交換をしていきたいと考えています。なお、医療ツーリズムの検討とあわせて健康パスポートなどのインセンティブ制度につきましても考えていきたいと思います。   (教育長田村壮児君登壇) ◎教育長(田村壮児君) 子供たちの家族、地元、郷土を愛する心を育む取り組みをどのように推進するのかとのお尋ねがございました。 少子高齢化や過疎化が進む本県においては、次代を担う子供たちへの教育に対する期待は大きく、ふるさと高知に対する愛着や誇りを持ち、その上に郷土や我が国の未来を担い、拓いていこうとする高い志を持つ人材を育成することが求められます。このため教育大綱や教育振興基本計画に、郷土への愛着と誇りを持ち、高い志を掲げ、日本や高知の未来を切り開く人材の育成を基本理念の柱の一つとして掲げ、キャリア教育や道徳教育、また総合的な学習の時間などの取り組みの充実を図っているところです。 具体的には、地域で働く人々の苦労をじかに体験し、仕事への情熱や家族に対する愛情、ふるさとに対する思いを肌で感じてもらう職場体験学習を行うとともに、総合的な学習の時間に、地域の産業や伝統文化を調査研究し、地域を支える人々の思いや先人の偉業について学ぶ取り組みを進めています。さらに、地域と学校が一緒になって子供たちの教育を推進していく学校支援地域本部を県内全域に拡大していくことにより、子供たちが地域の人々から期待され、大切に見守られていることを実感することが、大人への信頼と地域への愛着を育んでおります。 今後は、こうした取り組みをさらに充実させるとともに、道徳の時間が教科化されるに当たって、地域の伝統文化や偉人の生き方に学ぶために、現在地域の伝統や偉人を教材化した道徳教育ハンドブック、高知の道徳の改訂を進めているところです。このような地域教材を活用した道徳教育を、「志国高知 幕末維新博」や明治150年を記念する催しとも連動させ、高知城歴史博物館や地域にある歴史資料館などを有効利用した体験的な学習を推進していきたいと考えております。 このように、地域をフィールドにして地域のよさを学ぶ教育を、保護者や地域の方々と一緒になって推進することにより、家族への愛情や郷土への愛着と誇りを持って高知県や日本の未来を担う子供たちを育てていきたいと考えております。 ◆21番(土森正典君) 再質問はいたしません。 質問に対しまして、本当に御丁寧な御答弁をいただきました。心から感謝とお礼を申し上げたいと思います。 私は、冒頭恨み節からスタートいたしました。あのときになぜという思いを持っての質問のスタートでありましたが、当然今から地方も日本の国も大きく変わってくると思います。今ある現実を目の前にするのではなく、知事のように先目を見て、将来こうあるであろう、こうなるであろう、そういうときに対応ができる政策、またその政策をもとにした行政を推進していく、このことが、今から最も重要な時代を迎えてくるというふうに思っております。 国も大きく地方にかじをとりました。そのことを、今後も尾崎知事を先頭にいたしまして頑張っていただきたいというふうに思います。 私はよく中央に行きますが、尾崎知事の活躍そのものを、国の役人と話をするときに高い評価をしております。どうか、今後も高知県民だけではなしに日本の国民のために持てる力を十二分に発揮して仕事をしていただきますように、心からお願い申し上げまして、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(浜田英宏君) 以上をもって、議案に対する質疑並びに一般質問を終結いたします。----------------------------------- △議案の付託 ○議長(浜田英宏君) これより議案の付託をいたします。   (議案付託表及び請願文書表配付) ○議長(浜田英宏君) ただいま議題となっている第1号から第28号まで、以上28件の議案を、お手元にお配りいたしてあります議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。   〔議案付託表 巻末261ページに掲載〕----------------------------------- △請願の付託 ○議長(浜田英宏君) 御報告いたします。 請第1-1号「すべての子どもにゆきとどいた教育をすすめるための請願について」から請第3号「難病医療費助成制度における診断書料の公費助成制度創設を求める請願について」まで、以上5件の請願が提出され、その請願文書表をお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。 これらの請願は、請願文書表に記載のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。   〔請願文書表 巻末265ページに掲載〕----------------------------------- ○議長(浜田英宏君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 お諮りいたします。明15日から20日までの6日間は委員会審査等のため本会議を休会し、12月21日に会議を開きたいと存じますが御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(浜田英宏君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決しました。 12月21日の議事日程は、議案並びに請願の審議であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後2時34分散会...