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03月07日-07号

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  1. 高知県議会 2017-03-07
    03月07日-07号


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    平成29年  2月 定例会(第339回)        平成29年3月7日(火曜日) 開議第7日-----------------------------------出席議員       1番  上田貢太郎君       2番  今城誠司君       3番  久保博道君       4番  田中 徹君       5番  土居 央君       6番  浜田豪太君       7番  横山文人君       8番  加藤 漠君       10番  坂本孝幸君       11番  西内 健君       12番  弘田兼一君       13番  明神健夫君       14番  依光晃一郎君       15番  梶原大介君       16番  桑名龍吾君       17番  武石利彦君       18番  三石文隆君       19番  浜田英宏君       20番  土森正典君       21番  西森雅和君       22番  黒岩正好君       23番  池脇純一君       24番  石井 孝君       25番  大野辰哉君       26番  橋本敏男君       27番  前田 強君       28番  高橋 徹君       29番  上田周五君       30番  坂本茂雄君       31番  中内桂郎君       32番  下村勝幸君       33番  野町雅樹君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君       38番  金岡佳時君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         尾崎正直君  副知事        岩城孝章君  総務部長       梶 元伸君  危機管理部長     酒井浩一君  健康政策部長     山本 治君  地域福祉部長     門田純一君  文化生活部長     岡崎順子君  産業振興推進部長   松尾晋次君  理事(中山間対策・運輸担当)             樋口毅彦君  商工労働部長     中澤一眞君  観光振興部長     伊藤博明君  農業振興部長     味元 毅君  林業振興・環境部長  田所 実君  水産振興部長     谷脇 明君  土木部長       福田敬大君  会計管理者      福田道則君  公営企業局長     井奥和男君  教育長        田村壮児君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  福島寛隆君  公安委員長      島田京子君  警察本部長      上野正史君  代表監査委員職務代理者             坂田和子君  監査委員事務局長   吉村和久君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       中島喜久夫君  事務局次長      弘田 均君  議事課長       横田 聡君  政策調査課長     西森達也君  議事課長補佐     宮本正彦君  主幹         浜田百賀里君  主事         溝渕夕騎君-----------------------------------議事日程(第7号)   平成29年3月7日午前10時開議第1 第1号 平成29年度高知県一般会計予算 第2号 平成29年度高知県収入証紙等管理特別会計予算 第3号 平成29年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第4号 平成29年度高知県旅費集中管理特別会計予算 第5号 平成29年度高知県用品等調達特別会計予算 第6号 平成29年度高知県会計事務集中管理特別会計予算 第7号 平成29年度高知県県債管理特別会計予算 第8号 平成29年度高知県土地取得事業特別会計予算 第9号 平成29年度高知県災害救助基金特別会計予算 第10号 平成29年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算 第11号 平成29年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第12号 平成29年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計予算 第13号 平成29年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第14号 平成29年度高知県県営林事業特別会計予算 第15号 平成29年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第16号 平成29年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第17号 平成29年度高知県流域下水道事業特別会計予算 第18号 平成29年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第19号 平成29年度高知県高等学校等奨学金特別会計予算 第20号 平成29年度高知県電気事業会計予算 第21号 平成29年度高知県工業用水道事業会計予算 第22号 平成29年度高知県病院事業会計予算 第23号 平成28年度高知県一般会計補正予算 第24号 平成28年度高知県収入証紙等管理特別会計補正予算 第25号 平成28年度高知県用品等調達特別会計補正予算 第26号 平成28年度高知県会計事務集中管理特別会計補正予算 第27号 平成28年度高知県県債管理特別会計補正予算 第28号 平成28年度高知県災害救助基金特別会計補正予算 第29号 平成28年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算 第30号 平成28年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第31号 平成28年度高知県農業改良資金助成事業特別会計補正予算 第32号 平成28年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第33号 平成28年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計補正予算 第34号 平成28年度高知県流域下水道事業特別会計補正予算 第35号 平成28年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第36号 平成28年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算 第37号 平成28年度高知県電気事業会計補正予算 第38号 平成28年度高知県病院事業会計補正予算 第39号 高知県債権管理条例議案 第40号 高知県国民健康保険運営協議会条例議案 第41号 高知県子ども食堂支援基金条例議案 第42号 高知県個人情報保護条例の一部を改正する条例議案 第43号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第44号 高知県部設置条例等の一部を改正する条例議案 第45号 職員の育児休業等に関する条例等の一部を改正する条例議案 第46号 高知県医師養成奨学貸付金等貸与条例の一部を改正する条例議案 第47号 高知県がん対策推進条例の一部を改正する条例議案 第48号 高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案 第49号 高知県指定障害児通所支援事業者等が行う障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第50号 高知県指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例及び高知県障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第51号 高知県立坂本龍馬記念館の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第52号 高知県特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例議案 第53号 高知県立林業学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県警察の設置及び定員に関する条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例議案 第58号 高知県宅地建物取引業審議会条例を廃止する条例議案 第59号 県有財産(高知県自然保護基金に属する土地)の処分に関する議案 第60号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第61号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第62号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第63号 和食ダム本体建設工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 議発第1号 高知県県産木材の供給及び利用の促進に関する条例議案第2 一般質問(一問一答形式による)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(武石利彦君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(武石利彦君) 御報告いたします。 知事から開会日に提出されました当初予算に係る高知県議会定例会議案説明書について訂正の申し出があり、その正誤表をお手元にお配りいたしてありますので、御了承願います。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(武石利彦君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「平成29年度高知県一般会計予算」から第63号「和食ダム本体建設工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで及び議発第1号「高知県県産木材の供給及び利用の促進に関する条例議案」、以上64件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 質疑並びに一般質問は一問一答形式によることといたします。 塚地佐智さんの持ち時間は35分です。 37番塚地佐智さん。 ◆37番(塚地佐智君) おはようございます。時間も少のうございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。 教員採用にかかわりまして、現場からの疑問の声なども含めまして、教育長に順次お伺いをさせていただきます。 平成29年度高知県立高等学校教員採用候補者特別選考審査がこの2月25日に実施をされました。3月1日に採用候補者も発表されています。この段階で質問させていただくことは、採用候補者個人を問題にしようなどとしているわけではなく、今後の教員採用制度に禍根を残さないよう経過も含めて伺うものです。 今回実施をされた特別選考審査Ⅰ・Ⅱは、県教育委員会が初めてスポーツ指導者を高校教諭として採用するために実施したものという理解でよろしいか、お伺いいたします。 ◎教育長(田村壮児君) そのとおりでございます。 ◆37番(塚地佐智君) 県政でも初めてという状況ですし、全国でも極めて事例の少ない課題だと思います。 この特別選考審査は、教育長が実施を公表したのが1月25日。願書の受け付けは1週間後の2月1日から8日まで。発表からわずか約2週間で締め切られ、しかも公募方法は教育委員会のホームページにアップをしただけで、特定の人にしか情報が届かない状況で採用選考が行われたこととなります。もっと早い段階から広く周知していれば、全国からさまざまな優秀な人材が応募できたと思います。 教育長は、スポーツ指導者の採用については2016年度から検討してきたと述べられていますが、なぜ周知期間がわずか約2週間という事態になったのか、お伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) すぐれた県外の人材を学校に採用することについては、平成27年3月に策定しましたスポーツ推進プロジェクト実施計画においても位置づけをされております。その後、計画の具体化に向けて検討してまいりましたけれども、昨年夏のリオデジャネイロオリンピックの出場者に本県出身者が一人もいなかったことですとか、あるいは国体の成績が3年連続で全国最下位であったといったことなどから危機感を持って、それから本格的に検討を始めたという経緯がございます。 検討に当たりましては、スポーツ強化校といった関連予算ともあわせて検討してきたといった経過もございまして、最終的に特別選考で採用していこうというふうに決めたのが1月になってからでございます。その選考の実施に当たっては、受審資格をどのように設定するかとか、そういった事務的なこともございまして、結果として1月25日に選考の発表をしたということがございます。その後の事務的な手続等を考えますと、どうしても8日間に、トータルで15日間ということになりますけれども、そういった短い期間にならざるを得なかったという事情がございます。 ◆37番(塚地佐智君) その期間では、本当に私は、短く周知も十分ではないと思います。 とりわけ周知方法も、地元紙に掲載するなど広く募集をかけなかったのはなぜなのか、お伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 県教委が実施する選考審査につきましては、教員採用選考審査のほかに、学校の実習助手あるいは寄宿舎指導員、土佐海援丸機関員の4つの種類がございます。そのうち、一般の教員採用選考審査につきましては、採用予定者数が200名を超え、広く全国に周知をする必要もあるということで、報道への投げ込みを行っているところでございます。それ以外の選考審査については、採用予定者数が数名程度ということで、これまでもホームページへの掲載のみで対応させていただいているということでございます。 今回の特別選考についても、人数も少ないということで同様の扱いとしたところでございますけれども、優秀な人材を広く募集するという観点からはもっと手を尽くすべきであったというふうに考えておりまして、今後はこういった際には、報道への投げ込みなど広く周知をしていきたいというふうに考えております。 ◆37番(塚地佐智君) 県政でも初めての事例を実施しようという状況から見ると、私は、極めて周知期間も周知方法も不十分だったということを指摘しておきたいというふうに思います。 この高等学校教員採用候補者特別選考審査の募集要項には、勤務条件として給与の記載はありますが、その他の条件は示されていませんし、スポーツ指導者という規定も記載をされてありません。あるのは受審資格として、1つ、国際規模の競技会であるオリンピック大会、世界選手権、アジア大会等に日本代表として出場した競技者またはこれらを指導、育成した実績を有する者。2つ、全国規模の競技会である国民体育大会、全日本選手権大会、全日本社会人選手権大会全日本学生選手権大会及びこれらに準ずる大会で、大学以降に優秀な成績をおさめた競技者またはこれらを指導、育成した実績を有する者。3つとして、スポーツ科学に関する修士または博士の学位またはそれと同等の知識及び能力を有する者、具体的にはアスリートを対象としたスポーツ科学支援業務に関する実務経験を有する者。この3点のいずれかに該当する者との記述で、スポーツを得意分野としている高校教員の募集であることは理解できます。しかし、スポーツ指導者などという規定はありません。 そこで、教育長に伺いますが、今回の特別選考で採用された高校教員はどのような身分、勤務形態になるのか、具体的にお示しください。 ◎教育長(田村壮児君) 今回採用を予定しております教員につきましては、基本的に一般の教員と同じ身分、勤務形態であるというふうに考えています。配置校におきまして、授業を担当し、自身が専門とする運動部活動の顧問も担当するということでございます。あわせまして、配置校全体の運動部活動を支援するとともに、競技団体とも連携をしながら、ジュニアから系統立った育成強化ができる体制づくりにも取り組むというふうにしております。したがいまして、勤務場所は配置校であり、配置校の校長が所属長ということになります。 初任者研修につきましても、教員免許保有者は当然行うということになりますし、特別免許状の所有者については初任者研修の対象者ではありませんけれども、県教育委員会としてそれと同等の研修を実施する計画でございます。免許更新手続につきましては、普通免許状と同様に必要と考えております。 ◆37番(塚地佐智君) 今のお話ですと、まさに高校教諭としての活動だと受けとめました。 それでは、スポーツ指導者という規定と一般の高校の教諭とどう違うのか、改めてお示しください。 ◎教育長(田村壮児君) 先ほども申しましたように、基本的には同じでございます。ただ、勤務の時間、授業を持つ時間ですとか、そういったところは、全体的にその学校の部活動あるいは県全体の競技力向上に寄与してもらうという面もございますので、一定の授業時間の軽減といったことはあるかと思っております。 ◆37番(塚地佐智君) 一定の授業時間の軽減というのはどの程度のことを指しておられるのか、具体的にお示しください。 ◎教育長(田村壮児君) 現時点ではっきりと言うことではございませんけれども、通常で25時間なり30時間ということかと思いますけれども、その半分程度にはなるかなというふうに思います。 ◆37番(塚地佐智君) ちょっと話を先に進めて、再度また伺いたいと思います。 通常の教員の採用審査、高校教諭の審査でもスポーツの実績は重く見られておりまして、10点から30点の加点制度があります。そのような優遇もされて、得意分野が生かされるという採用制度になっています。今回のスポーツ指導者の選考方法はどのようなものか、お示しください。 ◎教育長(田村壮児君) 今回の選考につきましては、一般の教員採用審査でも一定加点制度もございますけれども、特にそのスポーツ指導者としての活躍を期待しておりますので、世界大会ですとか、全国大会など、その大会規模に応じまして、競技実績や指導実績に大きなウエートを置いての選考をしております。もちろん教員としての採用でございますので、個別面接ですとか口頭試問によりまして、人物や教科の専門性についても評価を行っております。
    ◆37番(塚地佐智君) それでは、どのような審査が行われたのか、具体的にお示しください。 ◎教育長(田村壮児君) まず、競技実績なり指導実績については、それぞれの本人からの提出書類、当然証拠をつけた上での提出書類ですけれども、それに基づきまして、あらかじめ評価基準をつくった上で評価をいたしました。 それ以外に個別面接、口頭試問によりまして、加えての評価をさせていただく、競技実績あるいは指導実績については、全体100点満点のうちの60点のウエートを置いて評価をさせていただいたと、こういうことになっております。 ◆37番(塚地佐智君) 実際どういうふうに行われたかというと、今ありました実績表をみずから提出していただくということと、このA4、1枚の用紙に、いわゆる作文といいましょうか、自分自身がスポーツ指導者を希望する理由、また今後高知県におけるあなたのスポーツ指導者としての展望について記述してくださいと。これ1枚作文をして、面接は20分間で採用の審査をしているんじゃありませんか、確認をお願いいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 提出いただいた書類は、おっしゃるとおり、そういうものを提出していただいておりますし、面接の時間は20分ということもおっしゃるとおりでございます。 ◆37番(塚地佐智君) 最初からそういうふうに答弁してください。20分間の面接、そして作文、それで高校教諭として教育公務員としての身分で正式採用する。それが本当に県民の皆さんに納得のいく採用方法なのかということを、私は改めて指摘をしておきたいというふうに思います。 それで、今回の面接に当たった方々は、一般の審査では教育委員会内部だけでなく、民間の方々、PTA関係者の皆さん、そういった方々からの面接も行われるという状況ですが、面接員はどういった方だったのか、お聞かせください。 ◎教育長(田村壮児君) おっしゃるように、一般の教員採用審査におきましては、教科の専門性を評価する指導主事1名と、人物や教員としての資質を評価する民間の方を含めた事務局職員など3名の計4名で面接を行っております。今回の特別選考については、競技実績等の確認のため、それに加えてスポーツ健康教育課の職員1名を加えて実施をしております。 多面的に人物を評価するためには、保護者や民間の方を面接に加えるということはベストであろうとは思いますけれども、保護者の方には、スケジュールが確定している一般の採用審査であれば対応しやすいということがございますけれども、臨時に実施する場合はなかなか依頼が難しいということで、これまでも特別選考においては保護者や民間の方などが入るということはできておりません。こういったことで、教員としての社会性、人間性などについては、先ほど言った面接員で十分に対応できるものというふうに考えております。 ◆37番(塚地佐智君) 20分間の面接、1つの作文で審査をする、しかも教壇にも立つということになります。一般の審査では、審査結果について個人的に公表していただけるというシステムもございます。このことはまた後でお伺いをしたいと思いますけれども、それに本当に対応できるのかということを、私は考えます。ぜひ透明性を確保する改善ということは必要ですし、今回の採用が本当に県民の皆さんの納得がいくものなのかということは、改めて指摘をしておきたいと思います。 県内では、本来正式採用されるべき定数内の臨時教員が、劣悪な環境で働きながら本県教育を支え、採用を目指して必死で受審の勉強にも取り組んでいます。しかし、高校教諭の採用枠は極めて少なく、昨年は29名で競争倍率は約10倍にも上っています。 今回の高校教諭の採用枠は5名程度となっていますが、教職員定数の中にどのように位置づけられるのか、お伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 保健体育科の教員採用選考審査における採用予定者数は最近では、一、二名程度ということになっております。今回採用とします人材については、スポーツ振興ですとか競技力の向上ということでの期待でございまして、一般選考とは区別した選考で、配置校におきましては加配措置として配置をすることを考えております。したがいまして、一般の採用審査で募集する採用枠には基本的には影響はないというふうに考えております。 ◆37番(塚地佐智君) 今、基本的には影響はないというお答えでした。ぜひ一般の教員の採用枠に踏み込むことのないように、厳に要請をしておきたいと思います。 さて、今回の採用で、教員免許を持っていない方には、県の教育委員会が実施をする教育職員検定により、特別免許状が交付されることとなっています。この特別免許状については、県民も議会もよく理解をしておらず、教員免許の資格取得が無意味になるのではないかとの疑問も生じています。 どのような基準と方法で教員資格を持っていない人に特別免許状が与えられるのか、お伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 特別免許状制度は、社会人ですぐれた知識、経験や技能を有する人を学校に迎え入れ、学校教育の多様化とその活性化を図る観点から設けられた制度でございまして、文部科学省においてもこの制度の活用を推進しております。特別免許状を授与する条件は、教科に関する専門的な知識、経験または技能を有していること、そして社会的信望があり、かつ教員の職務を行うために必要な熱意と識見を持っていることの2点でございまして、特別免許状審査会による審査に合格をする必要がございます。その審査会の委員は、高知県におきましては高知大学教育学部長、特別免許状を授与しようとする校種の学校長で構成されている団体の長、学校教育に関し学識経験を有する者の3名ということになっております。 ◆37番(塚地佐智君) これまで、県の教育委員会は特別免許状を極めて厳格に取り扱ってこられたと思いますが、現在特別免許状で教壇に立っておられる方はどのような教科でそれぞれ何人おられるでしょうか。 ◎教育長(田村壮児君) 現在、本県で特別免許状で教壇に立っている教員は、看護科で8名、工業で2名、インテリア、デザイン、建築の3教科で1名、合計で11名でございます。 ◆37番(塚地佐智君) 授業内容が極めて特別で、教壇教員が確保できないという状況のみで特別免許状を与えてこられたというふうに認識をしています。しかも、この特別免許状を与えるに当たっても、審査内容は一般審査とほぼ同様に行われ、今回の特別免許状は一般審査も経ない異例な状況だと言わなくてはなりません。 文部科学省は、この特別免許状の交付の趣旨として、学校の教員として学校教育に貢献することのできるすぐれた知識、経験を有する者が授与対象者として、あくまで学校教育への貢献を重んじております。今回、先ほどのお話では、一般の教員とほぼ同等の教育活動を行うということでしたけれども、一方では競技力を高めるためにさまざまな競技団体との協議もするという役割も果たす、そういった教諭だという御説明だったと思います。 今回、文化生活スポーツ部、新たにそういう部を設置することとなりました。スポーツ指導者という立ち位置なら、この新たにできる文化生活スポーツ部に属するというたてりが本来的姿ではないのかというふうにも思いますが、そうした検討はなされなかったのか、お伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) まず、特別免許状の対象者としまして、文部科学省から示された資料の中でも、事例として体育のコーチといったことも挙げられております。先ほども申し上げましたとおり、今回特別選考で採用したかった教員は教科の授業を担当するほか、学校全体の運動部活動の競技力向上のために、他の運動部活動の顧問との連携を密にした取り組みを行うことになります。生徒の人格形成にかかわる教員という職だというふうに考えておりまして、知事部局での採用は考えておりません。 ◆37番(塚地佐智君) 今のお話でしたら、私はスポーツの加点も含めた一般審査の中で、しっかりと透明性を確保して採用すべきだったというふうに改めて指摘をしておきたいと思います。現場からは、この周知期間、周知方法、そしてこの簡易な採用審査のあり方、これははなから採用予定者があったのではないかという疑義が聞こえてまいります。そういう状況をつくり出した教育委員会の責任は重大だというふうに私は思っていますので、改めて指摘をしておきたいと思います。 さて、先日、ある県立高校の先生から、本当かどうか確認してほしいとの問い合わせがありました。その内容は、学生の募集に来た県外大学の担当者から、来年度から高知県の教員採用に当たって大学からの推薦制度が始まります、うちの大学もその対象となっている、ぜひ本学に生徒さんを送ってほしいとの話がなされた、全く知らないことなので驚いているというものでした。確認のために、県教委が1月31日に発表した高知県公立学校教員採用選考審査の主な変更点という文章も、2月2日に発表いたしました募集案内も見ましたが、大学推薦制度については全く記載をされていませんでした。 来年度の教員採用審査に大学推薦制度を導入することは決定事項なのでしょうか、お伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) この件について、募集要項として公表するのは今月の15日を予定しておりますが、既に大学側とも協議をしておりまして、内部的には決定をさせていただいているということでございます。 ◆37番(塚地佐智君) 内部的に決定しているものを、なぜ主な改善点に記していないのか、お伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) この採用については、特別選考という形で実施をさせていただくということで、別の募集ということになりますので、そこには入っていないということでございます。 ◆37番(塚地佐智君) 特別選考という新たな選考を設けるなら、当然そのことを事前に公表すべきだったのではないですか。 この大学推薦となった場合の審査は、一般の審査とどのような違いがあるのか、伺います。 ◎教育長(田村壮児君) 大学から推薦を受けました学生については、専門教養など筆記審査の第1次審査と、それから第2次審査のうち実技審査が免除されることになります。第2次審査につきましては、学習指導案の作成ですとか、口頭試問を含む模擬授業及び面接を行うことにしておりまして、実技審査を除いては一般の採用審査と同じということになります。 ◆37番(塚地佐智君) 新たに免除がされるという制度になります。特別枠と言わなくてはなりません。 その大学の担当者は、小学校教員が対象で8大学が推薦枠を持つことになり、うちの大学は1名の枠になっていると、極めて具体的な内容を示されたとのことです。そうした情報が既に大学側に具体的に示されているのか、お伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 各大学には、指名推薦していただきたい人数についてはお話をさせていただいております。指名していただく内容といたしましては、小学校、それから中山間地域の小学校・中学校、それから特別支援学校と、この3種類で枠を設定させていただいたということでございます。 ◆37番(塚地佐智君) 既に具体的に決まっているものでしたら、今具体的に大学名も含めてお示しいただけますでしょうか。 ◎教育長(田村壮児君) 大学名については、公表をいたしますと、指定されていないほかの大学のこともございますので、ここでは公表は差し控えさせていただけたらと思います。 ◆37番(塚地佐智君) 公表できないものを既に個別に大学側に通知してある、そんなおかしなことないですよね。そう思いませんか。 ◎教育長(田村壮児君) 指定させていただいた大学につきましては、過去5年のうちに本県での教員採用実績のある大学の中から選ばせていただいたということにしておりまして、そのこと自体は基本的に、ある意味、客観的な基準で選ばせていただいているというふうに考えております。 ◆37番(塚地佐智君) 客観的な基準というものがあって指定をすると、堂々としたそうしたものなら、しっかりと公表してもよろしいんじゃないですか、再度伺います。 ◎教育長(田村壮児君) 公表することをためらうということではないんですけれども、先ほども申しましたように、他の大学への配慮ということもございますので、あえてというふうには思っております。 ◆37番(塚地佐智君) この教員採用における大学推薦というのは、既に8都府県、5政令指定都市等で実施が公表されていると伺っております。今、本県では初めて実施されることを、正式に教育長からお伺いいたしました。しかし、先行実施しているところでもさまざまな課題が挙げられております。 大学では、どのような基準で推薦決定をするのかの基準が明確でないため、複数の推薦願があった場合の判断が困難なこと。教育委員会としては、大学側に特典を付与することともなり、どの大学を選定するかの基準や透明性をどうしていくのかなど、慎重な対応が必要なこと。導入をしていない教育委員会は、そもそも教育公務員の採用に特例を設けることで、特定の大学への利益供与につながる可能性も否定できないという判断もあると伺っております。 こうした問題点をどこで検討し、どのような結論に達したのか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) この制度を導入するに当たりまして、先行実施をしております3つの自治体に事務局から訪問をしてお話を伺っておりますけれども、ただいまの議員から御指摘のあった課題の話については特にございませんで、本制度に対する、むしろ優秀な人材を確保する上での有効な意義だというようなことでお伺いをしているところでございます。したがいまして、お話のあった課題ということについての検討は行っておりません。 先ほどもお答えいたしましたとおり、受審者に対しましては、1次審査、2次審査の実技審査を免除いたしますけれども、2次審査については、学習指導案の作成ですとか、口頭試問を含む模擬授業、面接ということで一般の審査と同様に実施をいたしまして、最終選考を行うということで、必ず採用するということを約束している制度ではございませんので、お話のあった大学への利益供与ということではないと思っております。教員の大量退職、大量採用の真っただ中の状況で、優秀な学生に、他県に先んじて優先的に本県の採用審査を受審していただくように促すという制度であると考えまして、導入をさせていただいたということでございます。 ◆37番(塚地佐智君) 現に、この県立学校に訪れられました県外私立大学の学生募集担当の方は、こういった枠が設けられたと、だからうちの大学に来てほしい、オープンキャンパスにも来てほしいと、県内の県立の複数校に出向いてお話をなさっています。明らかに、その大学を受験するそういう動機づけになるということではないですか。利益供与にもなる可能性もあるというのは当然で、先ほど教育長もお話しになったとおり、指定を出していない他の大学に、この問題で気を使わなくちゃならない状況をつくっているじゃありませんか。そうした問題をやっぱり真摯に真剣に議論して明らかにして、透明感ある受審制度にしなくてはいけないというふうに、私は思っております。 そして、今、優秀な人材の確保というふうに言われましたけれど、学校は教育機関であり研究機関ではありません。子供たちに寄り添い発達を保障し保護者と向き合い、教職員の集団の中で困難を一つ一つ乗り越えながら教員として成長していくものです。現在、高知県内には全く正職と遜色なく、日々の教育実践でも熱意を持ち、そして多忙な校務分掌も引き受けて教育を支えている、いわゆる試され済みの多くの臨時教員が今年度も定数内で500人を超えています。高知県の教育の現場を支えている貴重な存在です。 その熱意と頑張りを正当に評価するシステムこそ真剣に構築し、正式採用に道を開くことが、今教育委員会がなすべきことではないかと思いますけれども、伺います。 ◎教育長(田村壮児君) まず、指定大学からお話があったということについて、指定した大学には、学外に公表しないようにということで依頼をしておりまして、事実ということであれば、再度依頼もしていきたいというふうに思っております。 それから、現在の臨時教員につきましての対応でございますけれども、前年度の1次審査を合格し、2次審査を全て受審した者については、翌年度の第1次審査を免除しております。また、一定の期間、本県の臨時教員として勤務した場合は、第1次審査における教職一般教養の受審を免除する優遇措置をとっております。こうした措置は、臨時的任用は正式任用に際していかなる優先権を与えるものではないとの地方公務員法の制約の中で、ぎりぎりのものというふうに判断をしておりまして、今以上の優遇措置はなかなか難しいのではないかというふうに考えております。 ◆37番(塚地佐智君) 今以上の優遇措置を、私は検討すべきだというふうに思います。法のぎりぎりのラインをさらに掘り起こして、しっかりと今の高知県の教育を支えている臨時教員の皆さんの採用に道を開く、真剣な検討を改めて要望しておきたいと思います。 今回の質問で、私は2つの事例を取り上げさせていただきました。教員採用における先ほどの特別審査の不透明さ、そして今、大学推薦を学外には公表しないようにというふうに言わなくてはならない不透明さ。教員採用における信頼性の確保は教育行政の根幹とも言えるものです。 確かに、採用の権限は教育長に委ねられています。しかし、それはあくまで教育公務員を採用するという県民から負託されたものであり、説明責任を果たせる慎重な検討が重ねられたものでなくてはなりません。知事部局においては人事委員会が存在をし、執行部とは独立した組織で採用の透明性を確保しています。教育委員会においても、少なくとも教育委員会の審議にかけ、議事録をとり検証ができるものにすること、採用審査の制度の変更に当たっては、事前に議会への報告を求めるものですが、今後の対応をお伺いいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 教員の採用につきまして、透明性、信頼性、また公平性というのが大事なことは改めて言うまでもございません。 一方で、教員の選考につきましては、お話にもございましたけれども、採用審査などの過程も含めまして、教育公務員特例法におきまして教育長に直接委ねられた法定事項でございまして、教育委員会への付議といったことにはなじまないというふうに考えております。また、採用審査の変更等についても、重要なものについては教育委員のほうに御説明をさせていただいていますので、議会にも御報告はさせていただきたいというふうに思います。 事前ということにつきましては、大量退職、大量採用のときを迎えまして、教員の確保が困難な状況の中で、質の高い人材をどのように確保するかといったような大きな方向性については、今後御説明し御意見もいただきたいと思いますが、採用に関する個別具体的なことにつきましては、教育長に委ねられた人事に関するということなので、慎重に考えさせていただきたいというふうに思っております。 ○議長(武石利彦君) 以上をもって、塚地佐智さんの質問は終わりました。 ここで10時40分まで休憩いたします。   午前10時37分休憩-----------------------------------   午前10時40分再開 ○議長(武石利彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 久保博道君の持ち時間は50分です。 3番久保博道君。 ◆3番(久保博道君) 自由民主党の久保博道です。議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきたいと思います。 私は、県議会議員としての議席をいただきまして、この4月で2年になります。その間に多くの方にお会いをさせていただいて、いろんな御意見をお伺いしようというふうなことを常に思ってまいりました。そして、いろんなお仕事をする方、そしてまたいろんな世代の方とお会いをして御意見をお伺いして、県行政に対する御要望、そして御提案、アドバイス、苦情、不安、いろんなことをお伺いしました。その中から自分自身で、これは今本当に大事なことだというふうなことにつきまして、3点に絞って御質問をさせていただきたいと思います。 まず、昨年の6月県議会でも御質問をさせていただきました、スポーツ行政の知事部局への一元化についてでございます。 早いもので、日本勢が活躍しました昨年のリオデジャネイロのオリンピック・パラリンピックも既に半年がたちまして、もう我々は2020年の次の東京オリンピック・パラリンピックに気持ちが移っているのも正直なところです。そして、昨年の10月には岩手県で国体、全国障害者スポーツ大会が開催されまして、閉幕から既に4カ月がたってございます。 そういうふうな中、私は、先ほど申しましたようにスポーツによって高知県をもっと振興していこう、もっと元気にしていこうというふうなことで、先進県の事例も聞きながら、スポーツ行政の知事部局での一元化について御質問をさせていただきました。そして、そのときに、あわせまして、ちょうど2年前、平成27年3月に教育委員会のほうで策定をしましたスポーツ推進プロジェクト実施計画、本当に内容はすばらしいものだと思いますし、そのことについて触れながら何点か御質問もさせていただきました。そして、尾崎知事のほうからは、スポーツ行政の知事部局の一元化につきましては、スポーツ組織の再編を行った都道府県もあると承知しており、これらの都道府県の取り組み状況をしっかりと研究していきたいとの御答弁をいただきました。 そこで、まず昨年の6月県議会以降、スポーツ行政の知事部局での一元化についてどのような研究をされてきたのか、総務部長にお伺いいたします。 ◎総務部長(梶元伸君) まず、知事部局においてスポーツ行政を一元化している6つの都県のうち5県に対しまして、一元化に至った理由、一元化によるメリットやデメリット、一元化後の教育委員会を初めとする関係部署との連携のあり方について調査を行っております。また、その調査結果やスポーツ行政が置かれている現状、課題等を踏まえまして、関係部とも協議をしながらスポーツ振興の目的、それを達成するために必要な組織体制のあり方、一元化の必要性や課題、その対応などについて検討してきたところでございます。 ◆3番(久保博道君) どうもありがとうございます。本当に各方面から研究をしていただいているということで、感謝申し上げます。 次に、組織の一元化に向けた研究の中で見えてきました本県のスポーツ行政の課題とはどういうものがあったのか、総務部長にお聞きします。 ◎総務部長(梶元伸君) 他県への調査ですとか組織のあり方についての検討の中で、競技力の向上、スポーツに親しむことのできる環境づくり、スポーツを通じた経済の活性化への貢献など、幅広い観点からスポーツ振興に取り組むことがますます求められているということを認識したところでございます。 他方で、現在スポーツ行政を中心となって担っております教育委員会スポーツ健康教育課では、高知龍馬マラソンの開催、施設整備の要望への対応、スポーツツーリズムの展開やスポーツの拠点整備など、知事部局との連携が必要な業務が増加をしておりまして、同課の守備範囲が学校教育の分野を相当超えたものになっているのではないかという現状にあったわけでございます。 このため、現在の体制ではこれまで以上に県民の皆様にスポーツを深く浸透させ、またスポーツを通じたさまざまな効果を広く県民の皆様にもたらすためには、マンパワーの観点からも、組織のあり方の観点からも限界があるのではないかということを考えるに至ったところでございます。 ◆3番(久保博道君) どうもありがとうございます。確かに、今総務部長がおっしゃるように、連携ですとかこれからスポーツを含めていろんな守備範囲が広くなってきているというふうなこと、本当におっしゃるとおりだと思います。 そこで、私は同じ思いを持つ仲間たちと一緒に、昨年まず鳥取県、そして佐賀県のそれぞれの県庁にお伺いをしまして、その両県はスポーツ課というものがあるわけですけれども、勉強してまいりました。そのときに両県の担当の方がおっしゃったのが、本当に印象に残っておるんですけれども、スポーツ課をつくることによって、県民の方が大変スポーツということに対してアクセスしやすくなったといいますか、親しみをより一層持てるようになったというふうなことで、いろんな問い合わせが一挙にふえてきた、そしてまたスポーツのイベントに参加をする方、スポーツを始める方なんかが顕著にふえてきたというふうにおっしゃっていました。そして、それは何も健常者の方だけではなくて、障害をお持ちの方もそうですし、子供さんからお年寄りまでそういうふうだとおっしゃっていたのが、すごく印象に残っているんです。 それと同時に、実は事前に期待をしておったことがありまして、そういうスポーツ課なりワンストップサービスの課をつくってやれば、スポーツの競技力も一挙に向上するんじゃないかなと。一挙というのは少し乱暴ですけれども、向上するんではないかなというふうなところも期待はしておったんですけれども、そのことにつきまして両県の方にお伺いしたら、まだ残念ながらスポーツ課という一元化の組織ができてから間もないということで、国体の順位を見てもそれほどは上がっていないということでございました。 そこで、このスポーツ行政の知事部局での一元化、すなわちワンストップサービス化によって県民がスポーツを身近に感じて、スポーツイベントに参加する人やスポーツを始める人が格段にふえたとの両県のことについて、総務部長はどのように思われるのか、御見解をお願いします。 ◎総務部長(梶元伸君) 先行された両県でスポーツに親しむ方がふえたということでありますれば、来年度スポーツ行政の一元化に取り組む本県としても大変心強いことと認識をしております。本県でも一元化後の取り組みにより、来年度以降、より多くの県民の皆様が日常的にスポーツに親しんでいただくとともに、スポーツを支える機運が高まり、先日の高知龍馬マラソンに代表されるように、スポーツとかかわりを持つ県民の皆様の裾野がこれまで以上に広がっていくということを期待しております。 ◆3番(久保博道君) どうもありがとうございます。私もそのとおりだと思います。 次に、スポーツ行政の知事部局での一元化の目的の一つに、スポーツの競技力の向上というものがございます。これにつきましては少し残念なことを言わざるを得ないんですけれども、知事も再々いろんな御挨拶の中でも触れられていることです。昨年のリオのオリンピック・パラリンピックは、パラリンピックにつきましては、本県出身の車椅子ラグビーの池選手、キャプテンでございますけれども、大変活躍されて銅メダルもとられております。しかし一方、オリンピックのほうは、御承知のとおり残念ながら47都道府県のうち本県だけ選手が出場できておりません。 また、国体に関しましては、昨年の岩手国体、これも本当に残念といいますか、寂しいといいますか、過去3年間順位が最下位に終わっていますし、過去10年間をとりましたら6年最下位、本当に残念なことになっております。もっと言えば、入賞する回数につきましても一昨年と比べまして昨年は半分以下になってございます。そしてまた、岩手国体に出るための四国予選の突破率、これも平成14年高知国体以降、最低の数値となっております。 そして、その要因は何なのかと考えたときに、高知県のこの少ない人口というふうなこともあろうかと思いますし、また財政力ということももちろんあろうかと思います。ただ、人口が少ないからということだけを、何か自分たちの要因といいますか、原因にするのも少し私は寂しい気がします。 少し多いんですけれども大体同じ人口規模、84万人の人口の山梨県を見たときに、スポーツの観戦率ですとか実施率は全国の上位にございます。そして、残念ながら、そのスポーツの観戦率、実施率とも本県は下位のほうにあるわけですけれども、この山梨県はそういうふうな同じ84万人の人口においても、国体の順位は常に30位前後におります。そして、昨年は23位と健闘をしているところでございます。 そこで、済みません、1つ質問を飛ばさせていただきまして、まず教育長にお伺いをさせていただきます。今後、教育委員会に所管の運動活動、いわゆるクラブ活動ですとか体育の時間を残して、それ以外のスポーツ行政が知事部局で一元化されると、学校のこれらの運動活動と選手の強化が引き離されるんではないかという不安がありますが、そのことの対策について教育長にお願いします。 ◎教育長(田村壮児君) 選手の強化につきましては、ジュニアからの系統立った育成のために、学校の体育授業や運動部活動と競技団体を中心とした選手強化とを関連づけた対策を実施していくことが重要だと考えております。そのために、新しい体制となるに当たりましては、競技力向上を所管する知事部局と学校体育を所管する教育委員会の連携を担保するために、スポーツに従事する職員相互に併任を発令する予定でございます。 加えまして、知事部局と教育委員会のスポーツ関係課が定期的に協議する場を設けることによりまして、日常的に意思疎通や情報共有を図りまして、競技団体等における選手強化と学校の運動部活動が連携したものとなるように取り組んでまいりたいと考えています。 ◆3番(久保博道君) どうもありがとうございます。きちっと対策をしていただけるということで安心をしております。 次に、トップ選手の育成と受け入れ体制について御質問をさせていただきたいと思います。まず、育成についてですけれども、本県の場合は、御承知のとおり中学生までは大変素質もあって実績を残す選手もおいでになりますけれども、高校生になると優秀な選手が残念ながら県外に流出するという事実もございます。 この理由としましては、その優秀な子供さんが将来はオリンピックに出たい、そしてプロになりたい、実業団で活躍したいというふうなことで、高校につきましてはやはり全国に名前の通っている強豪の高校に入学したいということが考えられます。また、そういう高校は大体が私立高校でして、入試につきましてもスポーツ推薦、そしてまた授業料につきましても免除、そして給付制度もあるということが多いということをお聞きしています。そして、何よりもそういう高校におきましては、これが一番大事かもわかりませんけれども、指導者の方が大変熱心でそして技術もある、その結果全国大会にも出場できると、そういう可能性が高いんだというふうなことをよくお聞きします。そういうときに、県内の高校に進学をされると大変厳しい、それらのことに打ち勝つのは大変だと思います。 来年度からは、これまでのジュニアを対象とした各競技のプログラムづくり支援に加えまして、県立高等学校の中からスポーツ強化校を指定して、優秀な指導者、これが大変大事だと私は思いますけれども、優秀な指導者を配置して重点的に選手の育成強化を図ることとしておるということでございます。このことにつきまして、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでの育成スケジュールをどのように考えているのか、教育長にお願いします。 ◎教育長(田村壮児君) 競技団体の作成します選手育成プログラムには、2020年をターゲットイヤーとして短期の育成計画が組み込まれておりまして、県といたしましても、それまでの3年余りを重点強化の期間と考えております。 オリンピック・パラリンピックを狙える選手については、特別強化選手に新たな高いレベルの指定区分を設定いたしまして、まずはオリンピック・パラリンピックの最終選考が行われる2019年を目指しまして重点的な強化を進め、めでたく出場が決まりましたら、さらなる対応といったことも必要になるかと思います。 また、ジュニア選手の中で、高い競技実績があるものの、年齢的に東京大会には間に合わないといった選手につきましては、2020年の段階で同世代における全国トップクラスといったところを目指して強化を進めてまいります。また、それ以外の有力な選手につきましては、2020年段階での国民体育大会など全国的な大会で多くの選手が活躍できることを目指して、効果的な支援を行ってまいります。 このような取り組みに当たりましては、高等学校におけますスポーツ強化校でありますとか、先ほども質問にございましたけれども、優秀な指導者の招聘といったようなことも、あわせて取り組んでまいりたいということでございます。 ◆3番(久保博道君) ありがとうございます。この育成スケジュールは、東京オリンピックだけではなくて、いろんな大会に向けてきちっと目標を立ててPDCAを回していただきたいと思います。 次に、トップ選手、主に成人のトップ選手なんですけれども、その受け入れ体制についてですが、県外からIターン、Uターンをしたくても受け入れる職場ですとか就業環境が少ない状況についてどのように思われているのか、教育長にお伺いをさせていただきます。 ◎教育長(田村壮児君) お話のありましたように、本県出身の優秀な選手には、地元に戻り選手として、また指導者として活躍していただきたいというふうに思っておりますけれども、本県の成人のスポーツ競技力は残念ながら脆弱でございまして、受け入れる環境が十分でないということかと思っております。 今後は、来年立ち上げる予定のスポーツ振興を多分野の関係者で協議する場におきまして、優秀な選手の本県への受け入れについて、民間企業などにも御協力を求めるなどそういった効果的な対策についての検討をさせていただくというふうに考えております。 ◆3番(久保博道君) どうもありがとうございます。やはり雇用といいますのは本当に大切だと思います。 次に、指導者不足についてお聞きします。このことは本県のスポーツのお話をするときに必ずと言っていいほど出る話題だと思いますし、高知県のスポーツを強く、競技力の向上という意味では、この指導者というのは最も重要な課題ではないかと思います。 そして、このことは先ほどの県立のスポーツ強化校を指定して、優秀な指導者を配置するということに大いに関係をすると思いますけれども、県内外の方にかかわらず指導者になっていただきたい方がおいでになっても、就業の場がないばかりにトップアスリートや経験者が県内にとどまれなかったり帰高できなかったり、また移住してこれなかったりすることがあるとお聞きをしますが、一貫して指導できる人材の育成プランや研修機会はどのようになっているのか、教育長にお聞きします。 ◎教育長(田村壮児君) 指導者につきましても、先ほどの選手と同様に県内への受け入れ環境ということは十分でございませんので、今後スポーツ団体とか企業に協力を求めながら、受け入れ体制を強化させていただきたいというふうに考えております。また、教育委員会といたしましては、先ほども触れましたけれども、優秀なスポーツ指導者を受け入れるために、本年度スポーツの分野ですぐれた競技実績を有する人材を既に3名、一応採用候補として選んだところでございまして、今後も一定の採用はしていきたいというふうに考えております。 一方、指導者の育成については、県内指導者の資質向上を目的に、コーチングに必要な内容を学ぶアカデミーの開催や指導者資格の取得を支援するなど行っておりまして、こうしたことをベースに引き続き研修機会の拡充を図ってまいりたいと考えております。 ◆3番(久保博道君) ありがとうございます。教員の採用の方ももちろんでしょうけれども、またこういう指導者の雇用につきましては、教育長もおっしゃいましたように、企業の方との連携ということも私は重要だと思います。 次に、指導団体であります公益財団法人の高知県体育協会の組織強化の必要性についてお聞きをします。このことも雇用の場、就業の場ということにも大いに私は関係をするんではないかと思います。体育協会、いわゆる県体協とスポーツ団体との連携、また影響力を発揮する上からも、スポーツ行政の知事部局での一元化と歩調を合わせまして、スポーツ行政の指導・実行組織である高知県体育協会の組織を強化するのも一つ大事ではないかなと思いますけれども、教育長にお伺いします。 ◎教育長(田村壮児君) 来年度、官民協働の新しい体制でスポーツ振興に取り組むといった中で、高知県体育協会にもその一翼を担って、青少年のスポーツ活動の充実ですとか、競技力の向上、あるいは地域におけるスポーツ活動の推進などにこれまで以上の役割を果たしてもらうことが必要であるというふうに思っておりまして、そのためには組織体制の強化が不可欠だと思っております。 県体育協会は、事務局の人員の不足ですとか、加盟競技団体に事務的な負担がかかるといったようなことで、他県に比べまして組織体制が弱く、体制の強化に向けては、県としても支援をしていく必要があるものではないかというふうに考えております。 ◆3番(久保博道君) どうもありがとうございます。 次に、スポーツの競技力向上に向けまして、行政と民間企業の協働体制につきまして知事にお伺いをさせていただきます。先日も私、県内の主要な企業のトップの方とお会いをさせていただきまして、本県のスポーツの現状をお話しした上で、企業の方も高知家の一員として、また企業のCSRの一環としまして、ぜひ企業の中にスポーツのクラブチームを設置したり、また社員さんとして雇用契約やスポンサー契約等につきましてはできないんでしょうかというお話をさせていただいたところでございます。ちょうど新聞で、本県の行政の中の知事部局にスポーツ課ができるというふうなことを、その企業の方なんかも承知しておったころでございますので、県がそれほど本気になってやるんだったら自分たちもできる範囲で精いっぱい協力をしますというふうにお話をいただきまして、大変私も意を強くしたところでございます。 そこで、スポーツによって高知県をより一層元気にするためにも、このような民間企業の御協力は必要不可欠であると思います。そのことに対する今後の取り組みについて知事の御所見をお伺いします。 ◎知事(尾崎正直君) 一言で言いますと、産学官民連携の体制をしいて、このスポーツ行政を推進していく必要があるだろうと、そのように思っています。国体の順位がずっと最下位であったりとか、本当にじくじたる思いがするわけでありますけれども、ただ事は非常に根本的なところにかかわっているところがあるということをよく見据えて対応していく必要があるんだと思っています。 そもそも平成20年のときの全国体力テストはどうであったのか、小学校男子・女子、中学校男子・女子ともに全国最下位クラス、最下位と言ってもいい、そういう状況でした。そういう大きな背景があって、今のスポーツの低迷ということにつながってきているということなのだろうと、そのように思います。ですから、このスポーツの振興を行っていくためには、教育面での対応というのも引き続き重要でしょう。幸いこの体力について言えば、ほぼ全国平均並みに今、回復をしてきている。そういう状況の中で、いよいよこれからは例えば競技力も含めた対応ということも、次のステップに進める段階に今来ているんだろうと、そのように考えております。 ですから、これから進んでいくわけですが、引き続きその根本のところにあるそういう教育の問題にもしっかり対応していかないといけません。さらに言えば、その上に立って競技力の向上を図っていくなどなどということも、もっと言うと土台としての生涯スポーツを振興することなんかも、引き続きしっかり進めていくということも大事になるんでしょう。さらに言えば、スポーツツーリズムなどを進めることによって、県民とトップ選手との交流が常に図られるという状況をつくっていくことも大事だと思います。 こういうことをトータルとして進めていくためには、やっぱり産学官民連携をしていって、教育界とも連携をして対応していく体制が必要だと。そういうことで来年度になりましたら、産学官民連携でスポーツ行政を進めていくための協議会を県の中でつくらせていただいて、そこを通じてPDCAサイクルをしっかり回して、このスポーツ行政の推進をさせていただければなと、そのように考えています。 その産の中でも特に企業に、個別事項の中でも特に期待する点として言えば、例えばトップアスリートとかトップの指導者の皆さんを雇っていただくだとか、また何らかの形で支えていただくだとか、そういうことも大変期待をできるところですが、事はそれだけにとどまらず、県全体として進めていくべきことということなのだろうと、そのように思っています。 ◆3番(久保博道君) どうもありがとうございます。今、知事のおっしゃったように、教育の面で基礎体力をまずはつけるというのは、本当におっしゃるとおりだと私も思います。そういう意味で全体として、今ここに来ては企業の方なんかの御協力もという、私も同感でございます。 次に、障害者の方々のスポーツ振興についてお聞きをさせていただきます。先ほど申しましたように、私は昨年の秋に鳥取県庁と佐賀県庁にお伺いをしました。そこで本当に、正直言いましてショックを受けました。健常者のスポーツと障害者のスポーツを全く同等に扱っておられました。そして、両県ともに障害者の競技団体を統括する一般社団法人の障害者スポーツ協会が設置をされており、その障害者の方の自立ですとか社会参加、また競技力の向上に向けて支援をされていました。 翻って、本県の障害者スポーツ協会を見たときに、平成4年に、一度は財団法人高知県障害者スポーツ振興協会が設立され、平成8年には春野町内ノ谷、私が住んでいるところのすぐ近所ですけれども、高知県立障害者スポーツセンター内にその振興協会の事務局が置かれたという経緯はございます。ただ、その後平成20年度からは、他の福祉関係の2団体と一緒に高知県社会福祉協議会、いわゆる県社協に統合されています。 しかし、さきに私が触れましたスポーツ推進プロジェクト実施計画の中にも、障害者のスポーツの充実に向けた取り組むべき対策の真っ先に組織体制の充実がうたわれており、体制整備というような言葉もあります。やはり、健常者の団体を統括する協会がありますように、私は障害者のためのスポーツ協会も必要ではないかと思います。統合された経緯と引き継がれた機能が十分に継続をされていると思いますけれども、今後の展開について地域福祉部長にお伺いをさせていただきます。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 経緯から申し上げますと、障害者スポーツ振興協会につきましては、平成17年3月に当時の公社等外郭団体は原則廃止、民営化するとの基本方針のもとで、平成18年度をめどに事務局職員が兼務をし、障害者スポーツセンターの指定管理者でもあった高知県ふくし交流財団と統合する、また高知県社会福祉協議会、県社協との統合も含めて組織のあり方を検討するという基本的な方向を定めました。その検討の結果、人材、情報、事業ノウハウを一体的に運営し、県民のニーズに沿った多様な事業を効率的、効果的に実施するという観点から、20年4月に県社協に再編統合されております。全国障害者スポーツ大会派遣事業や各種スポーツ教室など、障害者スポーツ振興協会が担ってきました業務は県社協が引き継ぎますとともに、障害者スポーツセンターの指定管理者として、その運営管理と一体的に県の障害者スポーツ大会へ参加する市町村の拡大など、障害者スポーツの振興に関する事業を実施してきております。 今後も、こうした業務に県社協とともにしっかり取り組みますとともに、来年度からは教育委員会で所管をしておりますパラリンピックなどに向けた障害者スポーツの競技力向上も一元化された組織となりますので、その中で、これまで十分には取り組めてこなかった優秀な選手や指導者の発掘、育成など含めまして、組織の充実についてさらに検討を深めていく必要があると考えております。 ◆3番(久保博道君) どうも御丁寧な御答弁ありがとうございます。私も当時執行部におりましたので、事情はよく承知はしております。そして、現在も機能が継続されているというところにつきまして、なお十分に継続されるようにお願いをしたいと思いますし、来年度に向けて新たな展開というふうなことですので、よろしくお願いをいたします。 もう一つ、今回のスポーツ行政の一元化の中で、私が障害者の方々のことで危惧をすることは、まさにスポーツを媒体として社会参加を目指している方でございます。いわゆるパラリンピックを頂点として、そういう大会なんかに出場できない、また出場することも考えていないような方々が大変多く、その方が大半なわけですけれども、その方なんかはリハビリの運動を継続して行うことによって、健常者の方と比べて時間を本当に要した上で、五感の刺激を養い成功体験を積み重ねていくことによって、やっと社会参加ができるようになるというふうにお聞きをしました。 それらの方々の活動も今後は新たな組織、いわゆるスポーツ課に移るわけですけれども、福祉とスポーツの二面性を持つ障害者スポーツの特性から、スポーツ行政の知事部局での一元化の陰でこの方たちが埋没しないか不安が残りますけれども、地域福祉部長に御所見をお伺いします。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 障害者スポーツが持ちます機能回復や健康維持といった役割や、障害のある方が身近な地域でスポーツを楽しむことができるよう社会参加の取り組みを進めるという福祉の視点は大事だと考えております。新しい組織に移管されました後も、障害のある方のスポーツ活動の機会を大幅に拡大する取り組みなどに、障害者福祉の担当部局として、障害の特性や具体的なサポート方法に関する相談などにはきちんと対応いたしますとともに、障害者団体に積極的に協力を求めていくなど、しっかりとかかわっていきたいと考えております。 ◆3番(久保博道君) どうもありがとうございます。 次に、地域スポーツコミッションについてお聞きをさせていただきます。御存じのように、国のほうではスポーツ庁、観光庁、そして文化庁が包括的な連携協定を結びまして、日本の文化ですとかスポーツイベントですとか、そういうものを世界に向けて売り出していこうというふうなことをされています。そして、一方、地方でもこのような動きが出てきまして、スポーツコミッションですとか総合型のスポーツクラブ等が活動を行っており、それに対して国のほうも積極的に支援をしていこうというふうな動きがございます。そして、この検討状況ですとか支援の内容についてお聞きをしようと思っておりましたけれども、申しわけございません、少し時間が足らなくなりましたので、ここは割愛させていただいて1点だけ、観光コンベンションについてお聞きをさせていただきたいと思います。 御承知のとおり、高知県観光コンベンション協会は、地域コミッションという位置づけではないんですけれども、スポーツツーリズムについて大変頑張ってやられていて、実績も一定出てきているんではないかと思います。今後、こういう国の動き、文化ですとかスポーツ、観光、これが連携して動いていく中において、このコンベンション協会の特にスポーツ部についても組織の強化が求められるんではないかと思いますけれども、観光コンベンション協会の会長でもあります副知事に御所見をお伺いします。 ◎副知事(岩城孝章君) 現在の観光コンベンション協会のスポーツ部の役割としましては、プロの野球やサッカー、ラグビーのキャンプの誘致であるとか受け入れ、またゴルフトーナメントの開催の支援であるとか、またアマチュア競技、ラグビーとかそうした合宿の誘致、受け入れ、それと新たに地域でスポーツイベント、そうしたことの開催支援等を行っております。 基本的にスポーツ一元化をしたといいましても、その基本的な役割というのは変わることはないとは思ってはおりますが、今回この一元化を契機に、例えば新たにできるスポーツ課であるとか、これまでも連携をとってまいりました観光振興部とか、さらに役割分担を明確に決めて、それをしっかりとコンベンション協会としては果たしていくということが重要だというふうに思っております。 さらに言いますと、こうしたスポーツ一元化をしていくについて、新たな課題というのが出てくる可能性も十分ございます。そうした場合は、コンベンション協会としては臨機応変にスピード感を持ってその役割を果たしていく、そういうことが重要だというふうに思っております。 ◆3番(久保博道君) どうか柔軟な対応をよろしくお願いします。 次に、先ほど来、私が何度も申し上げますスポーツ推進プロジェクト実施計画なんですけれども、これは平成27年度にできて、東京オリンピック・パラリンピックが開催されます32年度までの6年間の計画でございます。ちょうど中間年といいますか、この1カ月後の29年度から見直しの時期に来ておりますけれども、この見直しをするときに、いろんな御意見、御要望をお持ちの方、例えば企業の方なんかにもぜひ参画をしていただいて、見直しをしていただきたいというふうに思います。この質問につきましては、済みません、割愛をさせていただきます。 このスポーツにつきまして、最後ですけれども、スポーツ振興に向けた条例制定について知事にお伺いをさせていただきます。今回のスポーツ行政の知事部局での一元化の機会に、私は、県民の皆様ですとか民間の企業、またスポーツ団体も一緒になって、県内のスポーツ機運を盛り上げる、そして県民運動となるように、その作成、過程過程を大事にしながら条例をつくったらどうかなというふうに思います。 全ての県民の方が、障害の有無やその程度にかかわらず、いつでもどこでも気軽にスポーツを楽しみ心身ともに健康で暮らせると同時に、競技力の向上やスポーツによる地域振興を目指す内容の条例を制定してはどうかと思いますけれども、知事の御所見をお伺いします。 ◎知事(尾崎正直君) 条例にするかどうかというのは、例えば産業振興計画、こちらも別に条例化しているわけではありません。しかしながら、しっかり計画として定め、そして結局これは予算という形で、議会にしっかりお諮りし、徹底的に御審議いただいて、御指導もいただきながら実行させていただいているわけであります。 大事なことは、このスポーツ推進についてしっかりとした計画づくりができるか、そしてそれをしっかりPDCAサイクルを回しながら実行していける体制がつくれるかどうかというところ、まずこれをしっかりすることが大事だろうなと、そのように思っております。 スポーツを知事部局への一元化とさせていただくことになりますれば、新年度においてこのスポーツの振興を図るための本部会議というのを、部局横断的な会議として庁内に設置し、私自身が本部長となって、その新たなプランづくり、こちらに取り組んでまいりたいと、そのように考えております。その上で、先ほど申し上げた産学官民連携の、また教育界の皆さんとも一緒に取り組ませていただく、そういう会議、県民の会議というのを立ち上げさせていただいて、そこで私どものプランについてもいろいろ御意見をいただいて、そしてまた案を定めた後もPDCAサイクルをともに回させていただく。そういうことでもって取り組みを進めさせていただければなと、そういう形でしっかりとしたプランづくり、これを産学官民連携でもってPDCAサイクルを回していく、そのような体制づくり、まずこういうところから着手をさせていただきたいと、そのように思います。 ◆3番(久保博道君) よくわかりました。ぜひお願いをいたします。 次に、民泊問題についてお聞きをさせていただきます。 私は、昨年6月県議会におきましてこのことを取り上げました。そして、その後厚生労働省と観光庁の共同で開催をしています民泊サービスのあり方に関する検討会から最終報告書が出されました。その中で幾つかの基本的な制度設計が示されまして、これまでの既存の旅館業法とは別の法制度を整備することが適当であるというふうにされています。そして、その結果、民泊新法なる住宅宿泊事業法案が近日中に国会に提出をされる予定となっております。 そこで、私、事前に御質問を考えておりましたけれども、いわゆる平成14年の高知国体の民泊とその旅館業法との関係ですとか、また黒潮町で盛んな漁家民泊ですとか農家民泊と旅館業法との関係、そして体験を伴う教育旅行の宿泊と旅館業法との関係をお聞きしようと思っていましたけれど、これにつきましてはもう事実がどうですというふうなことですんで、割愛させていただきまして、本題に入らせていただきます。 ここからがポイントなんですけれども、政府が提出をします民泊新法、いわゆる住宅宿泊事業法案ですけれども、概要は民泊サービスを行う家主を都道府県への届け出制として、新規の参入を促しております。また、近隣とのトラブルを防止するため、苦情への対応を義務づけるなど宿泊事業者としての責任を明確にもしております。かつ、行政側が民泊の実態を把握、監督しやすい仕組みとされています。その中で一番課題といいますのは、年間の提供日数、これが180日以内というふうなことになろうかとしております。そして、都市計画法上の立地要件も、住居専用地域、いわゆる住専でも営業を認めるということで緩和をされております。 一方、民泊の解禁が騒音など生活環境の悪化を招く場合は、条例で定めるところにより、区域を定めて日数を制限できるというふうな仕組みとなると、それが近日中に法案として国会に提出されるというふうに聞いております。 翻って本県の実情を考えたときに、既存の宿泊施設が一定集積され、よさこい祭りやゴールデンウイーク等の期間にのみ宿泊施設が不足する高知市を初めとする都市部と、中山間地域のように既存の旅館やホテル等が少ない地域では、おのずと民泊のニーズも違ってくると思いますけれども、本県の場合、条例での制限を市町村との連携も含めてどのように考えているのか、健康政策部長にお伺いします。 ◎健康政策部長(山本治君) 条例での規制について、都市部と中山間地域といった地域によって差を設けるという考え方は、これまで保健衛生の確保という観点からはありませんでしたが、今回の法整備を本県の観光振興に生かしていくという発想は大切だと思います。 条例で宿泊日数に制限を設けることが可能な、生活環境の悪化を招く場合の定義については、省令で定められるとの報道もありましたので、法案の具体的内容が明らかになれば市町村などの意見も十分お聞きしながら、条例制定の可否も含めてしっかり議論する必要があると考えております。 ◆3番(久保博道君) 健康政策部では、多分御答弁はそのところまでしか言えないと私も承知はしております。今後は、多分本当に法案が通って条例をどうするんだというふうなことになりましたら、庁内で健康政策部、そしてまた観光振興部等とも、そして現在の実際に御商売されている旅館、ホテルの方、そして民泊をやろうとしている方なんかと一緒にきちっと協議をしていただいて、高知県の観光として何が一番いいのかをその条例でも制定できるというふうなことになりますので、今後きっちりとよろしくお願いをいたします。 最後に、障害をお持ちの方の歯科診療についてお聞きをします。 先日、県歯科医師連盟の方たちと勉強会を持たせてもらいました。そのときには、歯科診療の制度や予算のこと、また歯科衛生士さんが不足をしているというふうなことをお聞きしまして、私も歯科に再々行かせてもらいますし歯科衛生士さんにお世話になっていますので、他人事ではなかったわけです。また、お口の健康といいますのは、日本一の健康長寿県構想の中にもありますんで、大変このことについてふだんから自分自身気になっておったんですけれども、そのときに障害者の方の歯科診療についてお聞きをしました。私は直感的に大変だろうなと、自分たちも歯医者さんに行って診療されるときは大変なのに、障害者の方って本当に大変じゃないかなというふうに思いまして、知り合いの歯科医師の方に聞いたら、毎週土曜日に総合あんしんセンター内の歯科保健センターで診療されているということでしたので、ぜひ一度見させていただきたいということで行ってまいりました。 そこで、まず本県における障害のある方の歯科診療の経緯について、患者数を軸に時系列で地域福祉部長に簡潔によろしくお願いします。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 障害者の歯科診療につきましては、平成12年度から歯科医師会が実施主体となり、県が補助する形でやっておりまして、その年の患者数は737名となっております。また、幡多に歯科診療の拠点を設けました平成17年度は1,470名、平成22年度にはお話のありました高知市総合あんしんセンター内に移転をいたしまして、診療体制などが充実されたことを受けまして2,064名、その後もふえ続けておりまして、平成27年度につきましては幡多と高知を合わせまして2,594名ということになっております。 ◆3番(久保博道君) どうもありがとうございます。 そういうものを受けまして、現在では実は歯科保健センターでは、県外から歯科医師においでになっていただいて主にその方がメーンになって治療なんかもされておりますけれども、歯科医師、歯科衛生士の養成事業を行っており、これからは、歯科保健センターでも、また地域の御自分で運営されている歯科診療所でも、そういう診療、治療が可能にだんだんとなってくるんではないかと思います。そのための歯科医師、歯科衛生士を養成している事業をぜひこれからも継続をお願いしたいと思いまして、この項の質問を割愛させていただきます。 そして私は、これからは地域地域の御自分で運営する歯科医院で、相談ですとか定期健診をして、また簡単な治療は済ませて、歯科保健センターでは、地域の歯科医院では難しい処置のみ行って、その後大丈夫になったら定期健診も含めて地域へ戻ると、そういうふうなことが大切じゃないかなと。そうしましたら、高知市にあります歯科保健センター、幡多にもありますけれども、県内各地からおいでになる、例えば室戸から来る方なんかもおりますんで、随分とそういう患者さん、御家族が楽になるんじゃないかなと思います。その形態について地域福祉部長の御所見をお伺いします。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 地域の歯科医院と歯科保健センターが役割分担をしていくことは大変重要なことだと考えています。ただ、現在の県内における障害者歯科の状況を見た場合には、地域の診療が大きくは広がっていない状況でございます。そのため、先ほどお話にありました歯科医療技術者養成研修を歯科医師会と連携いたしまして引き続き実施することで、障害特性に対応した知識や技術を持っている歯科医師や歯科衛生士をふやしていく必要があると、そのように考えています。 ◆3番(久保博道君) どうもありがとうございます。私も今、部長がおっしゃるとおりだと思います。そういう意味では、いましばらくは障害のある方の歯科診療に対する県の支援ですとか、障害者の方々の歯科診療のための歯科医師、歯科衛生士の養成が並行して必要だというふうに思っています。 そして、私は最終的な望ましい形としましては、重い障害をお持ちの方に対する専門歯科医と、それをバックアップする多岐にわたる大学病院等の高次医療機関、またその地域地域にある協力医、担当医などの一般の歯科診療所が連携をするお互いに補填するということではないかなというふうに思いますけれども、地域福祉部長に御所見をお願いします。 ◎地域福祉部長(門田純一君) お話のありました連携は私も必要だと考えております。ぜひその連携の仕組みをつくっていきたい、そのように思っております。地域で障害のある方を診療していただける歯科医師の数をふやしていく、それとともに、その歯科医師を認定協力医として登録いたしまして、対応できる患者さんの障害の程度や治療の範囲などを広く県民の皆様に情報提供して地域で担っていただく、それから歯科保健センターは地域の歯科医師では難しい診療に特化していく、さらに高度な医療が必要になれば大学病院等で診療していただく。そうした連携の仕組みの構築に向けまして、歯科医師会を初めとします関係機関の皆様とともに検討を進めていきたい、そのように考えております。 ◆3番(久保博道君) 力強い部長の御答弁を、どうもありがとうございました。 先ほど申しましたように、私も、先日総合あんしんセンターの中にあります歯科保健センターのほうに行かせていただいて、そこで障害者の方の治療、診療に当たる歯科医師、そしてまた歯科衛生士さんの対応を見せていただいて、本当に感銘を受けました。といいますのが、そこにいらっしゃいます患者さん、そしてまた御家族の方が本当に満面の笑みで、大げさではなくて満面の笑みで治療を受けていました。これもひとえにその方たちが一生懸命頑張られているということだと思います。まさにそういう、患者さんに寄り添うという言葉が私はちょうどの言葉というふうに感じました。必要なときにはアンケート調査も再々やられています。そして、その後いろいろ、メールも電話もいただきまして、本当に感銘を受けたところでございます。これからもよろしくお願いします。 以上で、私の一切の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(武石利彦君) 以上をもって、久保博道君の質問は終わりました。 ここで11時35分まで休憩といたします。   午前11時30分休憩-----------------------------------   午前11時35分再開 ○議長(武石利彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 橋本敏男君の持ち時間は30分です。 26番橋本敏男君。 ◆26番(橋本敏男君) 県民の会の橋本敏男でございます。早速質問展開に移らせていただきたいと思います。 昨年、ワシントン条約締約国会議、COP17が南アフリカのヨハネスブルクで開催され、ワシントン条約、すなわちCITES附属書提案は免れたものの、資源や取引の状況に関する調査を実施することが採択されました。 本県選出の山本農林水産大臣は、記者会見において、宝石サンゴに関する米国の提案につきましては、資源管理に資するとの観点から一定の意義があると考えており、現地の協議の中で内容が変わっていく可能性もありますので、適切に対応してまいりたいと思っておりますと、米国主張を一定容認する会見があったところでございます。 COP17で決定された、資源や取引の状況に関する調査とは、具体的にどのように高知県の宝石サンゴ漁にかかわってくるのか、水産振興部長の答弁を求めます。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 水産庁によりますと、間もなくワシントン条約の事務局から、我が国を含む関係国に対して、資源量や管理の状況、国際取引などについての調査が行われる予定とお伺いしております。現時点では、水産庁に調査依頼が届いておりませんので、具体的な調査項目は不明ですが、この調査を通じまして、本県の資源管理の取り組み状況などをしっかりと伝えていきたいと考えております。 ◆26番(橋本敏男君) 現時点では、調査に関することについては水産庁から示されていないということのようでございます。私は、漁獲制限とか漁獲時期がもっと強化されるおそれがあるのではないかというふうに思っていまして、非常にそれが危惧されるところです。 この調査は、次回スリランカで開催予定のCOP18に向き合うためのものですが、そのCITES附属書掲載提案の展望について水産振興部長の答弁を求めたいと思います。 ◎水産振興部長(谷脇明君) ワシントン条約の事務局が行います調査結果をもとに、国連食糧農業機関や、ワシントン条約に基づき設置された委員会において議論がなされ、国際取引の規制を求める勧告がされることが今懸念をされています。勧告がなされますと、次回の締約国会議において附属書への掲載が提案される可能性が高いことから、先ほど申し上げました今回の調査が大変重要になってくると考えております。 ◆26番(橋本敏男君) 勧告がなされれば、非常に危険な事態が起こる可能性もあるというふうな答弁でありました。 たらればの話になって失礼なんですが、スリランカで開催予定のCOP18でCITES附属書掲載ともなれば、無論輸出規制を受け、宝石サンゴ漁への影響ははかり知れないものと想像ができます。米国などは、COP17での提案を踏まえて、COP18においてCITES附属書Ⅱへの掲載に向けての動きを見せており、既に外堀を埋めているやにも聞いております。 CITES附属書Ⅱに掲載された場合における宝石サンゴ漁への影響について水産振興部長はどのように認識されているのか、答弁を求めたいと思います。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 附属書Ⅱに掲載された場合、原則として国際取引が禁止となることや、風評被害によって宝飾店が宝石サンゴを扱わなくなることで需要が減り、宝石サンゴの産地価格が下落することが予想されています。ただし、経済産業省が発給する輸出許可書があれば国際取引が可能となりますが、この輸出許可書の発給に当たっては、種の存続に悪影響を与えないとする、水産庁が発行する無害証明というものが必要となっております。これが発行されるかどうか、現時点では全く不明でございます。 ◆26番(橋本敏男君) 附属書Ⅱに掲載されれば非常に大きな影響を受けるだろうということが想定をされると思います。ただし、このCITESの附属書Ⅱに掲載された時点で原則禁止なんですけれども、特別に、無害証明があればその道が開かれるという答弁だったというふうに思います。 国内における宝石サンゴ漁は、本県を初め6都県で行われており、各都県それぞれで、水産資源保護法に基づく漁業調整規則と海区漁業調整委員会指示によって規制され、漁獲可能量や禁漁時期などの規制内容は各自治体によって大きく異なってきます。本県は、国際的な動向や資源減少の現実をリアルに受けとめ、操業時間や海域を決め宝石サンゴ漁を厳しく制限。県漁業管理課は、漁が成り立つぎりぎりまで規制を強化しているとの見解を示しております。 しかしながら、CITES附属書掲載に対する国際世論に向き合うためには、本県だけの対応では限定的であり、他の都県とも緊密に連携をとりながら、COP17での決定事項、資源や取引の状況に関する調査に対応しなければならないというふうに思います。 そのためには、主産地である高知県が他の都県に呼びかけ、資源保護やCOP18の対応及び国際的な違反操業、国への要請、国際機関への働きかけなどを行う、危機的で予断を許さない宝石サンゴ漁に対する協議の場づくりの必要性について知事の答弁を求めたいと思います。 ◎知事(尾崎正直君) これまでも、締約国会議に対する対応という観点からいけば、この各都県の皆さんと連携をして取り組みをしてまいりました。また、国においても水産庁を中心として、オールジャパンの方向で取り組みを進めています。政策提言なども既に調整してきているところでありますから、新たに、いわゆる協議の場づくりをする必要まではないのではないかと思いますけれども、御指摘の趣旨にありますような各県との連携が極めて重要ではないかということはおっしゃるとおりだと思っていますので、さらに連携を密にしてまいりたいと、そのように考えております。 ◆26番(橋本敏男君) 今までもオールジャパンでの取り組みをしっかりしているというふうな答弁がございました。しかしながら、ある一定発信力という面では、要は6都県の知事がトップ会談でもして、姿勢を示すことについては、国内にも、国際的にも非常に大きなアピールになるのではないかというふうに思っています。そういうことが現実にできるかどうかは別にして、ぜひともそのことに対して前向きに取り組んでいただければありがたいなというふうに思います。 サンゴ漁の形態は、本県のような伝統的な漁法と、鹿児島県、沖縄県など、深海で採捕可能とする潜水艇を使用する近代化された漁業に分けられ、生産者には漁獲成績報告書の提出が義務づけられています。その本県サンゴ漁漁獲成績報告書の取りまとめ結果によると、生木の漁獲は、平成24年の418.1キログラムをピークに年々減少しており、平成28年では194.5キログラムまで落ち込み、資源の枯渇化が尋常ではないことを物語っています。ちなみに、高知県の生木漁獲制限は750キログラムがマックスとされていますが、もはや漁獲制限を超えるような資源は皆無と言っても過言ではないというふうに思います。特に、高値で取引されるアカサンゴについては、平成24年の368.2キログラムから平成28年には161.1キログラムと大きく減少しています。 普通、漁獲量は経営世帯数の減少と比例をするもので、経営世帯数は変わっていないにもかかわらず生木の漁獲量が大きく減ることは、その海域に資源が乏しくなっていることを意味するものだというふうに思います。サンゴ漁師に聞きますと、生木はとり尽くして、今の水揚げのほとんどが落ち木で、落ちた枯れ木を岩の間や底から拾っているような漁だとのことです。 このような現状を、県として、どのように受けとめ、サンゴ漁師409名の生活と伝統の宝石サンゴ漁を守るため、どのように向き合っていくのか、水産振興部長の答弁を求めたいと思います。 ◎水産振興部長(谷脇明君) お話にありましたとおり、宝石サンゴ資源を将来にわたって持続的に利用するためには生木の保護が重要だと考えております。これまでも、平成24年、28年と禁漁区域の拡大や禁漁期間の延長など、厳しい規制も設けてまいりましたし、漁業者や加工流通業者みずからも移植試験などを行ってきた経緯もございます。今後、規制の強化も含めて、漁業者の方々、関係者の方々と丁寧に協議を重ねてまいりたいと考えています。 ◆26番(橋本敏男君) 宝石サンゴ漁を守るための、県としての考え方がある一定示されたと思います。資源が乏しい、だからこの資源を守っていくためには、ある程度制限もやむなしということだというふうに思います。水産振興部長のほうからも話がありましたけれども、生産者の皆さんとしっかりとやっぱり話し合われて、その上で決断をしていただきたいというふうにも思います。 国際動向と資源減少により危機的な状況に立たされている本県サンゴ漁ですが、明治時代から高知県を代表する伝統的な産業であり、今では、宝石サンゴ許可漁協管区内においては大きな稼ぎ頭になっています。具体的には、土佐清水市管内では総水揚げ額39億円の約60%が、宿毛では32億円の約53%、室戸では30億円の44%がサンゴで占められ、魚より宝石サンゴへの依存度が圧倒的に大きく膨らんでいます。 このことは、宝石サンゴ漁に何かあれば、サンゴ漁師409名の生活は無論ですが、漁協の経営にも大きくかかわる問題であり、このままでは、カツオとともに生きるではなく、サンゴとともに死ぬことにもなるのではないかと心配をしています。 資源の枯渇化が進み、今後さらにCITESで取引が制限されれば、先ほども言っておりますように、サンゴ価格の暴落が予想され、宝石サンゴ業界はもとより、漁業全体に大きなダメージをもたらすことは火を見るよりも明らかであります。 本県水産業全体と大きくかかわるこの難題に知事はどのように立ち向かうのか、答弁を求めたいと思います。 ◎知事(尾崎正直君) まず、宝石サンゴ漁業でありますけれども、これまでもお話がありましたように、ワシントン条約に係る国際的な動向も含めまして大変厳しい状況にあると考えております。引き続き、宝石サンゴ資源の適切な管理を進めますとともに、国や他県との情報共有によりまして、次回の締約国会議に向けた対応をしっかり進めていきたい、何とかサンゴを守っていきたいと、そのように考えているところです。 その上で、あわせまして、いわゆる沿岸漁業全体のしっかりとした振興を図っていくということも極めて大事だろうと、そのように考えております。この点については、今、第3期の産業振興計画の中で4つの柱に基づいて対応を図っているところであります。 まず第1に、黒潮牧場の15基体制をしっかりと堅持し、さらにそこからいろいろ有益なデータをとれるようにするということ、そして第2に、遊休漁場を活用した定置網の新規参入等の推進をしっかり図っていこうとしているということ、そして第3に、クロマグロを初めとした養殖業の生産拡大をしっかり図ろうということ、そして第4に、高齢者に対応した地先漁場の整備を図るという、その取り組みなどもスタートをしているところです。 その上で、やはり漁村全体として活性化していくということも極めて大事であるわけでありまして、ある意味これが最終的な目的ということになろうかと思います。そのためにも、このような沿岸漁業振興策を進めていきながら、これをぜひクラスター化していくような取り組みにもしっかり取り組みたいと考えております。それがゆえに、輸出も視野に入れた養殖魚の加工の推進をすること、そしてもう一つ、6番目の柱ということになりますけれども、いわゆる漁村にサービス業をしっかり展開していこうという発想のもと、遊漁や体験漁業の振興を図っていくような取り組みもしっかり行っていく。こういう全体として、沿岸漁業振興のための4つの柱、さらにはクラスター化していくための2つの柱、これをしっかりと組み合わせて行っていくことでもって漁村全体の振興を図っていく、この取り組みもしっかり進めていきたいと思います。 もとよりこのサンゴの問題、しっかり国際会議に立ち向かっていかなければなりません。しっかり対応します。 ◆26番(橋本敏男君) 知事から、この難題に向かう、ある意味しっかりとしたお話があったというふうに思います。産業振興計画のおかげで、高知の魚はどんどんどんどん売れているんです。しかし、現場に行くと魚がない、だから商売にならないという仲買人の声をかなり聞きます。それもそのはずです。清水や室戸や宿毛なんかは、水揚げの本当に50%以上がサンゴになっちゃっているんです。20年前と今の漁獲高って余り変わっていない、変わったのはその中身なんです。だから、その辺も含めてしっかりと対応してほしいものだというふうに思います。 次に、本県沿岸域におけるサメ対策についてお伺いをしていきたいというふうに思います。 土佐清水漁業指導所が、サメの被害の発生状況についてサバ立て縄漁業者に聞き取り調査を行い、土佐清水市の漁業におけるサメの食害率と被害額の推定が示されました。その聞き取り調査は、清水サバを水揚げしている立て縄・毛針漁業者15名に、被害を受けた操業回数と漁具数など、直近1年程度の状況を個別に聞き取りしたもので、その結果、針にかかった魚については全員が全ての操業時に被害に遭っており、漁具の被害は、少ない漁業者で投入漁具数の2割程度、全ての漁具で被害を受けた漁業者は5名ということです。食害率については、針にかかった魚のうちサメの食害を受けた魚の割合は、少ない漁業者で4%、多い漁業者では67%、15名の平均では41%となっており、半分までは行かないまでも予想以上の食害率となっています。また、具体的な推定被害金額は約4,000万円で、水揚げ量320トンに対し被害水揚げ量を換算すると222トン、漁業者1人当たりの被害額を算定すると約130万円にも上ります。 この調査は立て縄・毛針漁業者だけに聞き取りをしたものですが、釣りブリ漁やひき縄、メジカ、定置網、小網、養殖などの被害額を合わせると大変な額に膨らむことが想像できます。特に、土佐清水市の伝統漁業である釣りブリ漁は危機的な状況にあるというふうに聞いています。この釣りブリ漁は、餌づけをしてブリを寄せる漁法でありますが、その餌づけをした場所にサメが出没するため漁ができない状態が続いており、ブリを寄せるための餌づけのはずがサメを餌づけしているようなものと、組合長は嘆いていました。 土佐清水市の沿岸域での現状は漁業指導所の調査のとおりですが、高知県全体の沿岸域におけるサメの被害の現状について水産振興部長に示していただきたいというふうに思います。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 漁業指導所の調査によりますと、室戸地区では、お話のあった清水地区と同様に、サバの立て縄や毛針釣りで被害があるとお聞きしております。中央地区ではタイ地びき網や定置網において、また宿毛地区では養殖業や中型まき網漁業において、サメに網を破られる被害がありますけれども、その被害額は、土佐清水や室戸に比べては大きくないと報告を受けております。 ◆26番(橋本敏男君) 清水や室戸が大変なサメの被害を受けているという認識はあるようでございますが、実被害については部長がおっしゃるとおりであるというふうに思います。しかしながら、私は、その認識については、ある意味短絡的であると言わざるを得ないというふうに思っておりまして、実被害についてはいわば氷山の一角なわけでございます。 実は、もっともっと深刻な問題が、サメのおる海域というのは網代なんです。その網代に漁師が仕掛けを落とせない、それは何でかというと、サメがおるからです。サメの被害があるから、その網代をよけて、漁師はそこで漁業をするしかないんです。今そんな実態になっている。清水サバというのは大サバ、中サバ、小サバとあるんです。今、大サバを見ることがないです。1キロを超えるやつが大サバ、その大サバはそういうサメのいる網代に行かなければ釣れない、そんな今の実態なんです。そういうこともあわせて、もう一度水産振興部長の認識を確認しておきたいと思います。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 今、お話をお伺いいたしました。改めてサメ被害は、非常に深刻なものであると認識をしておりますし、いろいろ県としても、市町村とか漁業指導所と一緒になって対策を考えていかなければならないと考えております。 ◆26番(橋本敏男君) ありがとうございます。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。 今でも土佐清水市や室戸市においてはシャークハントを行っておりますが、サメの被害に駆除が追いついていかないのが現実であります。仕方なく、出漁をやめて漁業者みずから自前でサメ駆除を実施していますが、船が小型で電気ショッカーやウインチなどの設備も整っておらず、極めて危険な環境での駆除を強いられているのが実情です。高知新聞に連載されていた「カツオと生きていく 持続への挑戦」ではありませんが、漁業者にとっては死活問題で、あらがえぬ現実を突きつけられています。県や市町村がサメを駆除したとき、直近での漁獲は上がってもその効果は限定的で、永続的なものではありません。 そこで、1つ提案ですが、陸上でのイノシシや鹿などの鳥獣被害対策のように、海においてもサメやオニヒトデなどの有害海洋生物に対する報償金制度を導入することで、その問題を解決できないか、水産振興部長の見解を求めたいと思います。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 我が国では、国連食糧農業機関、サメ類の保存管理のための国際行動計画に基づき国内での行動計画を定め、合理的なサメ類資源の保存と持続的利用を図っております。また、国際自然保護連合のリストでは絶滅危惧種に指定されている種が多く、希少生物の保護の機運が今後も高まっていく中で、高知県が、サメ、希少生物の一斉駆除を奨励するような受けとめをされるこの駆除に対して、報償金を支払うといった手法をとることは適切ではないと考えております。 ◆26番(橋本敏男君) 絶滅危惧種というんですか、レッドリストに載せられておりますので、報償金として駆除だけを目的にするというのは大変な違和感があるんだろうというふうに想像はできるところなんです。しかし、わかっていただきたいのは、実は海の中は陸と一緒なんです。畑がイノシシや鹿に荒らされて作物がつくれない、海の中でも同じことが起こっているのが現実です。そのことを理解はしてほしいというふうに思います。 高知県沿岸域に生息するサメのほとんどが、先ほど言ったようにレッドリストへ掲載されており、中には採捕禁止と規制されている種もあるというふうに聞いています。サメ問題に大きな影響を持つのが保護団体で、駆除することに特化した事業展開を図ると、レッドリストへの掲載を盾にした行動が想像され、事を難しくするというふうに思われます。 したがいまして、駆除するだけではなく、サメの個体を利活用する仕組みをつくることで、サメによる食害の低減が図られ、新たな収入源となるサメ漁業の展開や加工などの商業化を行うことが一番の解決策でもあり、県は本腰を入れ取り組むべきだというふうに思いますが、水産振興部長の答弁を求めたいと思います。 ◎水産振興部長(谷脇明君) 産地で、サメの切り身加工や丁寧な内蔵の除去まですれば、取引できる加工業者とか卸売業者はおるとお伺いしております。産地での前処理加工の体制を整え、より低い加工で手間をかけずに商品化するといった方法も考えられると思いますし、昔アクションプランでサメのものを取り上げておりました。当時開発した商品とか販売方法にこだわることなく、より幅広の視点で事業化について検討する必要もあると考えております。土佐清水にはそうした核となる事業者もおりますので、そうした方々とともに今後の取り組みを考えていきたいと考えております。 ◆26番(橋本敏男君) サメの商業化に向けた水産振興部長の答弁をいただきました。先ほどお話があったように、平成22年、アクションプランに載せて、サメの商業化、商品化に向けた開発を、マーケティングも含めて県はやっているんですね。しかしながら、1年こっきり、それから後に続いて、3業者に委託はしたんです。頑張ってやっている節納屋の方だけがやってきたんですが、いかんせん事情があって倒産をしてしまった、それでやまっているんです。そのときに、サメの商品化について、マーケティングも商品開発も含めて何とか軌道に乗りそうなところまで行ったんです。 逆転の発想ではないですけれども、そういうふうな事業展開を何とか県もしていただきたい。確かに言われるような状況はあると思います。原料となるサメが恒常的にとれないというのも確かにあるかもわからない。しかしながら、ある一定の冷凍技術があって工夫をすれば、そういう状態も緩和できるかもわからないので、ぜひともそういう問題にもしっかり向き合っていただきたいというふうに思うところでございます。 サメ被害は、漁業だけにとどまることはなく、観光振興上においても大きな問題となることを知っておかなければならないというふうに思います。フェイスブックにアップされた動画の中に、足摺岬のいそで釣りをしている目の前で数匹のサメが回遊している映像や、竜串の見残しに渡るグラスボートからハンマーヘッドシャーク、シュモクザメを目撃したとの情報もあり、サメの恐怖はすぐそこに迫っています。黒潮町入野の水深たった50センチですよ、その浅瀬でサーファーがシャークアタックを受け、海水浴場2カ所が遊泳禁止になったというふうにマスコミに大きく取り上げられたことは記憶に新しいと思います。海水浴やいそ遊びを初め、スキューバダイビング、シュノーケリング、いそ釣りなどのアクティビティーは、シャークアタックの危険性をはらんでいるというふうに思います。 サメの問題は、漁業振興上だけではなくて観光振興上にも大きくかかわってくる問題であると思いますけれども、観光振興部長はどのように認識をしているのか、答弁をいただきたいというふうに思います。 ◎観光振興部長(伊藤博明君) サメが人に対して危害を加えたり、危害を加えるおそれが生じた場合は、人に対する安全確保が最優先となりますので、自治体や、海洋施設を管理する観光事業者は、安全確保に向けて早急な対応が求められることになります。このため観光客などが海水浴場やさまざまな海洋レジャーで楽しむ機会が減ることになりますので、収入減に加え、安全対策に要する経費負担が発生するなど、経済面での影響も出てくると認識しております。 ◆26番(橋本敏男君) 観光振興部長のほうから、さまざまな影響も出てくるというふうな話であったと思います。サメが1回出没すれば風評被害--本当にそこは安全なんだけれども、サメが来たから海水浴も釣りもやめよう、そんなような状況がもし起こってしまうと、大きく経済効果にも響いてくるのではないかなというふうに思います。高知県全体のイメージも非常に没落をしていく。もしそういうふうな状況があれば、ある一定の形で速やかに、各自治体へ県のほうから知らせる仕組みもぜひとも考えていただければありがたい、多分しているんだろうなというふうに思いますけれども、どうかよろしくお願いしたいと思います。 サメ問題は、もはや県政の課題として、私は、看過できない問題でもあり、水産・観光振興上においても何らかの対策が必要ではないかというふうに思います。今までの水産振興部長や観光振興部長とのやりとりを聞いていただいて、サメ問題に向き合う知事の姿勢を示していただければありがたいというふうに思います。 ◎知事(尾崎正直君) 御指摘のように、本当にサメの被害が深刻になってきていると思います。加工されてしっかりお金になるからこそ、ゆえにもってして多くの人がサメを一生懸命とろうとされる。そういうインセンティブが働いていく体制にするべく、少し前回苦労した経験がありますけれども、このサメの加工が復活できないか、ちょっとよく検討してみたいと思います。 また、観光上の風評被害も御指摘のとおりだと思います。しっかりとした情報伝達体制を今しいておりますけれども、この点、より一層徹底できるようにしてまいりたいと、そのように思います。 ◆26番(橋本敏男君) 最後に、知事として守ることがたくさんあろうと思います。資源も守らなければならないし、伝統的な産業や今からの形をしっかりつくっていくことも大事だと思いますし、何よりも、県民の皆さんの暮らしを守るということは大事なことだろうというふうに思います。そういう意味で、今回のサンゴやサメの問題も、県内だけ、国全体でも解決する問題ではなくて、国際的に解決しなければならない問題が多数やっぱり発生していると思います。これだけではないと思います。多分、ウナギもそれからカツオもマグロも、全てのものがそういう方向に動いていくんだろうというふうに思います。 やっぱり知事の姿勢によって、大きく県民の皆さんというのは勇気づけられますし、そこに果敢にチャレンジをしていくという気持ちも湧いてくると思います。ぜひともそういう気持ちを持って、今後も果敢に、要は向き合っていただければありがたいというふうなことを申し添えて、エールを送りまして、私の一切の質問を終了いたします。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(武石利彦君) 以上をもって、橋本敏男君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。   午後0時5分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(梶原大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 横山文人君の持ち時間は55分です。 7番横山文人君。
    ◆7番(横山文人君) 自由民主党の横山文人です。議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入ります。 まず、防災関連予算と組織改革についてお聞きいたします。 平成29年度当初予算案は4,592億円と前年度より微減しました。これは全国的な傾向である中、本県は、平成28年度経済対策で公共事業費を大幅に確保するなど、15カ月予算ベースで4,700億円後半と大きな伸びを見せており、こうした積極型予算編成は9年連続となります。一方、当初予算微減については全国防災事業の終了によるものであります。 尾崎知事におかれましては、国のナショナル・レジリエンス懇談会の委員にもなられ、防災・減災関係に御尽力されてきました。また、この全国防災事業を活用し、津波を防ぐための河川や海岸の地震・津波対策、排水機場の耐震化などを実施し、県民の安心・安全の向上につながり、本県としても大変有意義な事業であったと思われます。 そこで、この全国防災事業を積極的に用いて、本県も防災・減災に関する河川や海岸のハード整備を進めてきたものと思いますが、これまでの総括を知事にお聞きいたします。 ◎知事(尾崎正直君) この全国防災事業でありますけれども、東日本大震災を契機に創設されたもので、平成23年度から27年度までの5年間の事業であったわけであります。この間で、国、県の分、合わせて506億円の予算配分を受けることができ、結果として、この5年間でさまざまな河川、海岸堤防の整備などについて10年分相当の仕事ができたと、そのように考えています。 箇所的に言えば、新居とか仁ノとかの海岸堤防、いわゆる高知海岸の堤防の整備について、大変スピード感を持って進めることができたということが第1。さらには、この浦戸湾の内部におきましても、鏡川、国分川、江ノ口川に囲まれた、まさにここらあたりのエリアについて、いわゆる耐震化、長期浸水対策という観点から極めて重要になる一連の工事をおおむね完成させることができたということであります。 この全国防災事業は、本当に南海トラフ地震に対する事前防災を進める上において大変有意義な事業であったし、本県としてはこれを十分に生かし切ったということだと、そのように思っています。 ◆7番(横山文人君) しかしながら、今般終了となりました全国防災事業終了後の対応と今後の見通しについて知事にお聞きいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 今回、9県知事会議の皆さんなどとも連動し、また全国知事会とも連動して、防災関係で2つ訴えてきました。緊急防災・減災事業債の継続と全国防災事業にかわる事業の創設ということを求めてきたわけでありますが、緊急防災・減災事業債については延長になりましたけれども、この全国防災事業については27年度までで終了ということになってしまったわけであります。 しかしながら、本県の場合は、今後の防災対応に必要な事業についてしっかりと箇所づけをかち取ることができておると、そのように考えておりまして、典型的なものが浦戸湾の三重防護事業ということかと思います。まずは、この事業の箇所づけをしっかりやって、それに後から予算はついてくるということになるわけなのでありまして、全国的な制度の創設には至っていませんが、本県としては、それぞれかなめとなる事業についてしっかりと展開を図ることができる、そういう形での事業採択を受けておると思っています。 ただ、毎年度の予算配分によってそれぞれの事業の進捗が変わってくるわけでありますから、今後は予算の獲得に、政策提言もしっかりやって努めてまいりたいと考えております。この間、議会の皆様にも大変お力をいただいてきたわけでありますけれども、一緒に連携をして、ぜひこちらの取り組みをさらに進めさせていただければと、そのように思っております。 ◆7番(横山文人君) 先ほど知事もおっしゃられましたように、このたび、地方における防災整備の重要かつ有利な起債であります緊急防災・減災事業債が延長になりました。これは、自治体にとっては大変ありがたく、防災・減災施策の最前線に立つ首長としての尾崎知事の御尽力によるところが大変に大きいと、深く敬意を表する次第であります。 また、河川、海岸の整備はもとより、今後は、山間部でも、移住促進や住みなれた地域で誰もが安心して暮らしを享受できるように、土砂災害から身を守る対策も加速化しなければなりません。加えまして、中山間地域では、山林の荒廃により、大雨による被害とともに転石被害の危険性が高まっております。 そこで、山間部の土砂災害対策費は実質的にふえてきているのか、その金額と箇所数の推移を土木部長にお聞きします。 ◎土木部長(福田敬大君) 土砂災害対策は、ハード対策とソフト対策を一体的にあわせて進めております。このハードとソフトを合わせた当初予算は増大を続けております。特に、ソフト対策につきましては、県民の皆様に危険箇所を周知することを最優先にして進めておりまして、基礎調査の平成29年度予算につきましては、広島の大規模土砂災害の前と比べまして、大幅に増額して、4倍強の予算を計上させていただいておるところでございます。 また、交付金によりますハード整備の箇所数につきましては、ここ5年では年間90から100カ所程度で継続をしております。 ◆7番(横山文人君) そこで、山間部の少人数集落においては、土砂災害のハード対策を進める上で支障も多いと考えますが、現状の認識につきまして土木部長にお聞きします。 ◎土木部長(福田敬大君) 中山間地の活性化なくして高知県の発展はないという考えのもと、中山間に安心して住んでいただくために土砂災害対策を推進しております。 他方、中山間部では、急傾斜地崩壊対策事業の採択基準であります保全対象住家10戸以上に該当しない少人数の集落も多数ございます。このことについて、全国の都道府県とともに、全国地すべりがけ崩れ対策協議会として、国に採択基準の緩和を要望しております。あわせて、住家1戸から対象となります、市町村事業のがけくずれ住家防災対策事業に対して補助をするなど、きめ細かな対応も行っております。 中山間部には土砂災害対策が必要な箇所が多数ございます。当初予算だけではなく国の補正予算の機会などを捉えて、ハード対策を含めた土砂災害対策の予算確保に、引き続き努力してまいります。 ◆7番(横山文人君) そこで、今後どのように取り組むのか、土木部長にお聞きします。 ◎土木部長(福田敬大君) 多数、この対策が必要な箇所がございまして、我々としても、優先度をしっかりと把握して、かつそこの予算をしっかりと確保することに努めてまいりたいと考えております。 ◆7番(横山文人君) 現在、ソフト・ハード一体となった取り組みをもって土砂災害対策を行っておりますが、根源的に盾となるハード整備の充実が、高齢化が進む中山間地域への移住、定住にとって必要不可欠でありますので、さらなる加速化を要請いたします。 次に、このたびの組織改革についてお聞きいたします。 私が今回注目するのは、中山間地域の活性化なくして本県の活性はないと、知事が積極的に推進する中山間対策について、担当理事を廃止し部を設置することであります。 本県では、知事みずからがトップマネジメントを発揮することにより、全国に先駆けて成果があらわれ始めております。私は、この組織改革の背景には、中山間対策における知事の並々ならぬ強い思いがあると考えております。かつて、知事は、政策判断として中山間対策はやらないという判断もあるが、でも何もやらなければ地域は終わる、だからやるんだ、県庁は地域を全力でサポートすると述べており、同時にさまざまな施策を先駆的に手がける中で、また実際に足を運ぶ中で、その思いがさらに強くなったのではないかと考えます。 昨年は、いの町本川地域の最奥、越裏門・寺川地区に集落活動センター氷室の里が立ち上がりました。私は、センター落成の折に出席させていただきましたが、そのとき中山間地域に光が差したと感じました。よって、今回の中山間対策における組織改革では、さらなる成果と前進が見られるよう期待するものであります。 そこで、これまでの中山間対策における組織の変遷を踏まえて、このたびの部設置の狙い、思いについて知事の御所見をお聞きいたします。 ◎知事(尾崎正直君) この中山間対策については、平成7年度に高知県中山間総合対策本部が設置をされて、取り組みを進めてきたということであります。そういう中において、私も2期目になります平成24年度のスタートのときに、この中山間対策本部の本部長はそれまで副知事が務めておりましたけれども、私自身が本部長となって取り組みを進めようとしたところであります。 その際に、特命担当理事ということで中山間対策・運輸担当理事、こちらを新たに設けさせていただいたところでありますけれども、この取り組みも5年間続いてきている取り組みとなってきているわけであります。そしてまた、今後の中山間対策の重要性に鑑みても、これはもう特命事項というよりも恒久的な政策として取り組んでいかなければならんと、そういうことでありますので、引き続きこの中山間対策本部、私自身本部長を務めさせていただきながら取り組んでいきますとともに、特命担当理事ではなくて恒久的な仕事をするところとして、このたび部として設置をさせていただきたいと、そのように提案をさせていただいているところです。 ◆7番(横山文人君) そこで、組織論的に言えば、組織は人々の活動が組織の目的とビジョンによって調整されたときに成り立つとされますが、中山間総合対策本部長としての組織マネジメントと、全庁挙げての推進体制に関する御所見を知事にお聞きいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 中山間対策については、いわゆる中山間における産業を興していく取り組みとともに、生活を守る取り組み、これらが必要となってきます。そういう意味において、県庁各部各課が大いに関係をする、さらに言えば県庁の出先機関も大変に関係をしてくるということでありまして、これらの所属それぞれがばらばらに取り組むんではなくて、しっかりと連動して、相乗効果をもたらすような形で取り組みを進めていくことが大事だと、そのように考えております。 そういうことから、この中山間総合対策本部においては、各部局からメンバーとして副部長クラスが参加をいたしますとともに、主管となるところについては部長が参加をすると、さらに地方についても地域産業振興監、さらにその総括支援員、彼らにも参加していただいて、本部会議として取り組みを進めてまいりました。その本部会議においては、まず第1に、中山間の再生なくして高知県の再生はないと、もっと言えば、高知の中長期的な発展のためにも本来の強みの源泉であるこの中山間地域を大事にしなければならんという思い、理念というのをまず共有する。さらには、その年間を通しての具体的なプランについて、みんなで共有をしてPDCAサイクルをともに回していくと、連携の前提となる情報の共有ということについて、まずしっかりと取り組んでいるところです。 その上で、例えば産業をつくっていく取り組みなどについても、非常に相互の連携ということが大事だというふうに思っています。よく産業について3層構造で取り組むと言っておりますが、第1層で成長戦略の取り組み、第2層で地域アクションプランの取り組み、そしてこれらの一翼を担う形で、例えば集落活動センターに取り組んでいただくということによって、それぞれの経済政策の効果を県内の全域に広げていくことができればということで取り組んでいます。そういうことでありますので、集落活動センターの取り組みを、成長戦略を担う、例えば各部局のほうで共有することは大事ですし、各部局の取り組みをうちのほうでも生かせるんじゃないかという形でもってして、地域の産業振興監が、集落活動センターの取り組みに生かすべく、しっかりと話を聞いてそのチャンスを狙うと、そういうことなどもともに大事なんだろうと、そのように思っています。 そういう形となるように会議の運営をしてきているわけでありまして、現実問題として、御指摘の氷室の里において、特用林産物の取り組みを取り入れていくことで一つのなりわい化をしていこうということをもくろんでいるわけです。これなどは、集落活動センターの振興のために、むしろ成長戦略としては一旦終了しかかっていた特用林産物の育成という、こちらを新たに振興しようとし始めたものなのでありまして、まさに連携して取り組みが進んできているものです。さらに、今後複合経営拠点、農業のですね、こちらを起点とした集落活動センターをつくっていこうという取り組みも出てくるはずなのでありますが、こちらなんかは成長戦略起点で、そちらから、その取り組みをベースとして集落活動センターを掘り起こしていこうとする取り組みなどであるわけであります。 こういう形で、成長戦略、地域アクションプラン、集落活動センターの取り組み、これを相互に連携させていくということが大事であります。理念と情報の共有とともに、こういう形で相互の施策を連携させるように、あえて意図的にこの会議の運営の中で取り組んでいき、結果として相乗効果をもたらすような、そういう中山間対策を行うことができればなと、そのように考えています。 ◆7番(横山文人君) これら知事の御答弁を受けまして、新たな部としての意気込みはどうか、中山間対策・運輸担当理事にお聞きします。 ◎中山間対策・運輸担当理事(樋口毅彦君) 中山間地域の課題と対策は多岐にわたりますので、新たな部におきましても、引き続き直接担当いたします集落活動センターなどの施策の総合的な推進に加えまして、部局連携の事務方のかなめとして、全庁的な施策の企画及び調整の役割をしっかりと果たしていきたいと考えております。また、理事という特命的な職から、条例に定められるいわば恒久的な組織になるということでございますので、腰を据えて、対策の実効性がより高まりますよう、粘り強く継続的に部全体として取り組んでまいりたいと考えております。 ◆7番(横山文人君) 次に、林業施策と議員提案条例等についてお聞きします。 先ほど申し上げましたように、現在中山間地域の小さな拠点づくりは、集落活動センターを展開するなど、今まさに成果があらわれているところでありますが、やはり山間部におきましては、豊富な森林資源を生かした林業施策のさらなる発展を目指していかなければなりません。そのような中で、第3期産業振興計画の林業分野では、将来の目指す姿として、山で若者が働く、全国有数の国産材産地を掲げ、木材・木製品製造品等出荷額並びに原木生産量の拡大に取り組んでおります。 私は、先日地元吾川郡の仁淀川町における林業の取り組みについて視察に出向きました。仁淀川町においては、森林面積が約90%を占め、昔から林業や製材業が盛んであり、豊富な山林資源を生かしたさまざまな施策を展開しております。特筆すべきは、先日の知事との意見交換会でも申したように、林業研修生を移住政策とマッチングして受け入れ、地元の事業体にて研修した後は、施業者として町内林業の担い手となるよう、地方創生交付金を活用しながら、町を挙げて担い手の確保・育成に取り組んでいることであります。 この仁淀川町での取り組みは、知事が掲げる林業分野の展開イメージそのものであり、仁淀川町の林業活性化が本県の林業分野におけるベンチマークとなると言っても過言ではありません。そこで、この取り組みについての御所見を林業振興・環境部長にお聞きします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 昨年からスタートしております仁淀川町の研修生制度につきましては、現在5名の研修生が技術の習得に取り組んでおられると承知しておりまして、県外からも2名来られておるということで、移住施策とも連携し、地域林業の担い手を確実に確保していくという点で大変意欲的な取り組みであるというふうに思っております。 今後、こういった担い手確保の取り組みが県内の市町村に広がることを期待しますとともに、県におきましても、市町村との連携を深め、担い手の確保・育成に取り組んでいきたいと考えております。 ◆7番(横山文人君) 当日の意見交換会で、町の林業活性化における課題として提示されたものは、森林経営計画の策定に資する森林資源情報の整備、路網の整備、担い手の確保、高性能林業機械の確保、また集材センターの高度化と拡充でありました。どれも町単独では厳しいこともあり、ぜひとも御支援のほうを要請いたします。 また、森林、林業を担う事業体や行政の方々と議論する中で、林業の活性化イコール生産性の向上であり、それに不可欠な、林道を含む路網の整備と高性能林業機械の確保等について、県としてどう臨むのかがポイントになってまいります。特に、路網の整備においては、厳しい財源の中で作業道を抜くなど鋭意取り組んでおりますが、ヘクタール当たりの路網を林業先進国と比較すると、オーストリア89メートル、ドイツ118メートルに対して、日本は20メートルと、幾ら高性能林業機械や切り出しの担い手を育成しても、路網が整備されていない、もしくは狭隘となると、その効果は発揮されないことになります。つまり、文字どおりのボトルネックになっていると考えられます。 そのような中で、先日行われた知事と林業関係者との対話と実行座談会においても、路網整備については多くの意見が出たとお聞きしています。 そこで、林道の整備に関する知事の御所見と意気込みをお聞きいたします。 ◎知事(尾崎正直君) やはり、この林道整備について、非常に大事だなと思われる経験を近年2つしているわけであります。1つは、御指摘のように、昨年12月の対話と実行座談会でありますが、ここで、森林組合など林業事業体の方々と、原木の増産と安定供給体制の構築についてというテーマで座談会を持たせていただきました。やはり、多くの参加者の皆様方から、共通したこととして、この林道の整備、もっと言いますと、路網密度をもっと上げていくことが大事だと、そういう話をいただきました。原木生産に取り組んでいて、まずはとりやすいところから切っていったけれども、だんだん奥地になってきていると、そうなるとやはり道がないとなかなか対応できないのだというお話などなど、たくさんいただいたところであります。 さらに、もう一つは、今年度から県内6つの森林組合において、伐採から搬出に至る作業工程を細かく調査分析して生産性向上のためのボトルネックを洗い出すという、そういう取り組みをしています。これも生産性向上のためにということでやっている事業でありますが、この中でも、やはり狭隘な林道、路網、これが生産性向上のためのボトルネックになっているという例がたくさん出てきているということです。 そういうこともございまして、来年度県の各林業事務所に協議会を新たに設置したいと、そのように考えております。その中で、関係する市町村や林業事業体と、林道などの路網整備のあり方について協議を開始させていただきたいと、そのように考えております。 生産工程の分析、生産性向上のための一連の取り組みに合わせて、どの林道、路網をうまく整備していけば、ボトルネックの解消にもなったりして劇的に生産性が上がるのか、できれば最も効果の高いところにそれぞれ取り組んでいければありがたいわけであります。それが見きわめられれば、例えば、国の補助事業の申請だとか、県としても応援させていただくだとか、そういう具体的な取り組みに進んでいくことができればなと、そのように思っております。 ◆7番(横山文人君) 先ほど知事より力強い御答弁をいただきました。 近年、公共工事における設計単価等が引き上げられ、このことは、建設産業にとって就業環境の改善につながるなど歓迎すべきことであります。一方、それに伴い、林道開設の単価は、平成20年のメーター当たり22万2,000円から平成27年の29万3,000円へと増加しており、したがって同じ予算でも整備できる距離が短くなっております。 今後、限られた予算の中、林道整備に関するこのような課題を克服するために、技術的な観点からどう取り組むのか、林業振興・環境部長にお聞きします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 林道には、擁壁、のり面にコンクリート構造物などを使った一般的な林道のほかに、地形に沿った線形で構造物を極力使わない林業専用道というものがございます。林業専用道は、1メートル当たり7万円程度と、一般的な林道と比べて4分の1程度の経費で開設できますし、構造物が少ないということから分岐する作業道をつけやすいという利点もございます。また、既設の作業道を、大型トラックや高性能林業機械が活用できる幅員に広げるように改修、いわゆるリバイスしまして、林道に格上げしていくということも効果的な方法であるというふうに考えております。 限られた予算の中で林道の整備を促進していくには、これらは有効な手段であり、県としても、推進していきたいというふうに考えておりますので、市町村や林業事業体の方々とも調整を図りながら、より効果的で効率的な林道整備を進めていきたいというふうに考えております。 あわせまして、こうした取り組みを推進していくためには、県職員自身に、効果的な企画提案や適切な設計積算ができる知識、技術が必要でございますので、職員の育成にもしっかりと取り組んでまいります。 ◆7番(横山文人君) そのような工法の工夫であったり作業道のリバイスと同時に、林道整備に関しては出発点となる基礎的自治体、すなわち市町村の森林・林業政策や技術に関するマンパワー不足、構造的な不足もカバーしていかなければなりません。 市町村の森林行政に対するサポート体制の充実と支援について林業振興・環境部長にお聞きします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 林道事業におきましては、市町村が行う林道開設工事の設計審査を通しまして、工法を初めとした技術支援を行っております。また、新規路線の要望時におきましては、市町村の職員に同行して、現地で林道の起点、終点や線形の選定などについてアドバイスをしますとともに、採択に必要な書類作成の支援を行っておるところでございます。災害復旧事業につきましても、市町村の職員を対象に、林道災害時の復旧工法や申請に関する研修を、県が主体となって実施しておるというところでございます。そのほかにも、県や高知県山林協会が主催します市町村担当者会において、設計積算時の留意すべき点などについても説明をしておるところでございます。 来年度は、協議会を設置しまして、林道などの路網整備のあり方について市町村などと協議していくこととしております。その中で具体的な林道開設の要望というものが出てきますれば、ワーキンググループを立ち上げまして、集約化に向けた森林の情報提供や路線の決定など、効果的な林道計画についてのアドバイス、また採択に向けた資料作成や技術支援も含めまして、県としてしっかりと支援をしていくことを考えております。 ◆7番(横山文人君) 現在、仁淀川町へ、県のほうから林業担当職員が出向してきてくれております。また、御活躍をしてくれています。今後も、市町村政との連携が不可欠な林業政策に、県として積極的なサポートと育成をお願いいたします。 また、このような林業分野を取り巻く諸課題について、知事初め県執行部、仁淀川町などの県内各市町村も鋭意取り組まれておりますが、これを議会としてもサポートすべく、今般、高知県県産木材の供給及び利用の促進に関する条例議案を議員提案にて上程しています。これは、高知県議会森林・林業・林産業活性化推進議員連盟会長の浜田英宏議員が座長となり、自民党プロジェクトチームにて、昨年1月の勉強会発足を皮切りに約1年間をかけて議論を行ってきたもので、本会議初日には提案者を代表して説明を行っていただきました。 確かに、本県では、産業振興計画をもとに林業分野で着実な成果を上げておりますが、本条例では、他県の類似した条例よりさらに踏み込み、多く見られる環境面のみから条例を考えるのではなく、環境面はもとより経済面にも重きを置くことで、経済と環境双方の相乗効果として、関係事業者の持続可能性と県産木材の好循環が達成されること、すなわち、川上、川中、川下それぞれの責務と役割をいま一度明確化し、官民一丸となった施策の展開をうたっております。したがって、このような目的と理念を持って、政策執行者である県執行部にも実りある議員提案条例となるよう、鋭意取り組んだものであります。 そこで、この高知県県産木材の供給及び利用の促進に関する条例案の評価について知事にお聞きいたします。 ◎知事(尾崎正直君) まさに非常に有意義な条例案だと、そのように思わさせていただいております。具体的に言えば、県が進めております産業振興計画における林業分野の取り組みについて、こういう方向に進んでいくべきだという形での導きをいただく、そういう形の条例だと考えているところであります。今後、県の取り組みを推進する上での大きなよりどころとなる、そういう意味において大変心強く、ありがたいものだと考えています。 そして、もう一つは、今回の条例案において定められておりますのは、県の責務や県民、林業事業者、木材産業事業者などの皆様の役割になっています。まさにこの条例の制定によって、官民協働で県を挙げて林業振興に取り組んでいこうと、そういう取り組み。これは、県民の皆様とともにそういう形での体制が明示をされ、促していくこととなるのだろうと、そのように考えておりまして、県民参画を促すという観点からも極めて有意義な条例だと考えているところでございます。 ◆7番(横山文人君) ありがとうございます。 そのような本条例が可決された場合は、条例を、県民や関係機関に対し広く啓発することが必要と考えますが、林業振興・環境部長にお聞きします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) この条例は、官民一体となって県産木材の供給及び利用の促進に取り組もうとするものでございますので、広く周知することが必要であるというふうに考えております。このため市町村や関係団体に文書等で周知しますとともに、関係団体から傘下の会員に対しまして、会報なども活用して周知をいただくようお願いをしていきたいというふうに考えております。 また、県民の皆様に対しましても、県のホームページや広報紙への掲載はもとより、ラジオの県の広報番組を活用することですとか、10月が県産木材利用推進月間というふうにされておりますので、そちらで開催されるイベントなどでのPR、そういったことによりまして周知をしっかり図っていきたいというふうに考えております。 ◆7番(横山文人君) もし、今議会で可決いただいたならば、有意義な条例となりますように、運用と啓発の双方をあわせてお願いいたします。ただいま、知事から我々の政策条例に関する一定の評価をいただき感謝申し上げます。私は、この政策条例の究極の目的は林業の自立であると思っております。 他方約60年前、昭和30年の全国の立木価格並びに労務単価の推移を現在と比較すると、杉の立木価格が約3分の2に落ち込む一方で、労務単価は30倍に膨れているという厳しい実態があります。そのような中、山元は、少しでも利益を得たいという思いから、搬出条件のよい森林を選んで皆伐しても1ヘクタール当たり50万円程度の利益にしかならず、これでは、1ヘクタール当たり150万円は必要とする再造林から5年目までの下刈り費用の捻出もできないことになります。つまり、山元は、刈れば刈るほど赤字になりますから、生活費の補填にもならず、原木生産には消極的にならざるを得ないのであります。 本県においても、数年前40万立方メートルで低迷した時代から、現在60万立方メートルまで増産拡大できたことは実に画期的であり、これは、県初め森林組合、素材生産業者など、関係団体の御努力に尽きると敬意を表する一方で、その陰に多くの山元の御労苦があったこともこれまた事実であります。 そこで、この山元の現状についてどのような理解を示すのか、林業振興・環境部長にお聞きします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 原木価格が、ピーク時の昭和55年と比べますと3分の1以下に低下しておるという一方で、伐採、搬出などの、原木1立方メートル当たりの生産経費につきましては、機械化による労務費の縮減などにより一定下がってはきていますものの、原木価格に比べてその下がりぐあいが小さいことから山元の収益は減少しており、厳しい状況にあるというふうに認識してございます。 また、そうした状況から、森林所有者の皆様が再造林への意欲をなくしていくのではないかというふうな懸念をしているところでございます。 ◆7番(横山文人君) そのように御理解、御認識いただいた上で、今後産業振興計画において70万から90万立方メートルを目標とする中、山元へのインセンティブをどうするか、このことが今後の原木増産、最大の課題の一つと考えますが、どのように取り組むのか、林業振興・環境部長にお聞きします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 原木価格が低迷する中で山元の収益を確保するためには、原木生産に係るコストをさらに下げていく必要があるというふうに考えております。そのため高性能林業機械と路網を組み合わせた効率的な生産システムの導入を促進しますとともに、森林組合を対象とした、工程分析による生産性の改善の取り組みを支援しますほか、本県の急峻な地形に適した林業機械の開発などにも取り組んでいくこととしておるところでございます。 あわせまして、今まで林内に放置されていた未利用材の利用促進など、森林資源を余すことなく利用することによって、山元により多くの収益を還元できるよう取り組んでまいります。 ◆7番(横山文人君) やはり、林業の現状は、国や県からの補助金に頼りながらようやく仕事が回り、事業者、施業者が生活できておりますが、その補助金が、生産コストや施業コストに大きく割かれ、山元に回っていない現状から、皆伐に対する補助金が必要、再造林の補助だけでなく、その後の育林費用も対象とすべきとの山元の声が多いのですが、県としてどう応えるのか、林業振興・環境部長にお聞きします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 皆伐につきましては、作業道の開設や集材架線の設置などに対しまして、県独自での支援を行っております。また、皆伐後の再造林はもとより、下刈りや保育期間などの育林作業につきましても、国の補助制度に加えまして、県としても補助金を上乗せして支援を行っているところでございます。 今後は、コンテナ苗の活用や、伐採と再造林を連続して行う一貫作業システム、下刈りの回数を減らす隔年下刈りの導入促進など、低コスト化に取り組むことによりまして、山元の負担軽減につなげていきたいと考えております。 ◆7番(横山文人君) ぜひとも山元へも恩恵がしっかり届くような支援をお願いいたします。 先ほどまで御答弁いただきました林業施策について、まずもって必要不可欠なのは予算であることは言うまでもありません。他方、林業における予算確保は依然厳しい状況にあります。 そのような中で、本県は、平成21年より、国の経済対策によって森林整備加速化・林業再生事業費補助金の交付を受け、高知県森林整備加速化・林業再生基金を造成し、森林整備の加速化と、森林資源を活用した林業・木材産業等の再生を図ってきたところであります。この基金造成のおかげで、間伐や林内路網整備、高性能林業機械の導入、木質バイオマス利用施設、CLT等の新技術研究やその建築、木造公共施設の建設など、平成21年度から平成27年度までの7年間で、112億円もの質・量ともに充実した事業の執行を行ってきました。しかしながら、元来、時限的な措置であるために、基金を活用した事業が今年度で終了することになります。 そこで、この基金がなくなることにより、今後の林業施策への影響はどうか、林業振興・環境部長にお聞きします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 基金につきましては、これまで大型製材施設や木質バイオマス発電施設の整備などの大型プロジェクトを進める上で、有効に活用することができましたし、CLT建築や木造公共施設の整備、また間伐や路網整備の促進などにも幅広く活用することができました。 この基金が終了しますと、国の補助制度等を活用することとなり、国の予算枠の関係で、希望する全ての事業が採択されて実施できるということが難しくなったり、これまでより補助率が下がったりといった影響などが出てくるということがございます。 ◆7番(横山文人君) そこで、具体的にどのように対応していくのか、林業振興・環境部長にお聞きします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 基金は終了となりますが、来年度におきましては、国の補助制度等を活用するとともに、それらへの上乗せ補助や県単独事業として一般財源を活用することにより、必要な事業を実施するための予算を確保しているところでございます。 今後におきましても、しっかりと予算を確保してまいりますとともに、モデル的、先進的な事業につきましては、国に対して政策提言を行い、国の支援を得て事業の展開を図っていきたいというふうに考えてございます。 ◆7番(横山文人君) ぜひとも財源の確保に取り組んでいただきたいと思います。 また、そこで我々林活議連は、加速化基金にかわる新たな財源として、地球温暖化対策税の財源を森林吸収源対策に移譲するよう法律改正を求めるとともに、全国森林組合連合会等と連携して、国税としての森林環境税を提唱してきました。国のほうでも森林環境税導入について議論が行われ、昨年12月、与党税制調査会が与党税制大綱に、平成30年度改正で結論を得ると明記することで一致しました。 このような新たな税制が導入されることにより、全国1位の森林率を保有する本県にとっても、また森林・林業政策のさらなる推進においても追い風になると思われる一方で、本県のように既に独自に導入している自治体との重複や、地方の独自性が失われるようでは本末転倒となりかねません。 現在、全国37府県で森林環境税がスタートしており、新たに国税としての森林環境税が上乗せされることに対して、県税への便乗値上げで県民の負担増だという懸念の声もあるようですが、知事のお考えはどうか、お聞きいたします。 ◎知事(尾崎正直君) この森林環境税については、やはり森林の整備ということが、地球温暖化の防止、さらには中山間の振興などなどという形で全国的な公益的効果をもたらすということに鑑みれば、国税として、国民全般に負担を求めるような形で創設されていくということについて、これはやはり、我々としてはぜひ進めていただきたいものだなと、そのように考えているところです。 そういう中で、与党の平成29年度税制改正大綱において、平成30年度税制改正において結論を得ると明記をされたということは、税制創設に向けての大きな一歩だと、そのように考えております。ただその際、我々高知県のように先行して森林環境税を整備している県との、ある意味、どのような形で両者役割分担を負っていくのかなどということについて、よくよく調整をしていく必要があるということもまた確かだろうと、そのように思います。ぜひ創設をしてもらう、その上で役割分担も含めてしっかりと調整もしてもらうと、そういう形を求めていきたいと、そういうふうに思っています。 ◆7番(横山文人君) また、その解決策の一つとしましては、森林環境税の国と県との二重取りの批判を国民から払拭するためには、温暖化対策税の財源使途については排出元に還元するという法律を改正し、森林吸収源対策に税源移譲することが一つの案と考えますが、経済産業省と環境省に理解を得るよう働きかけるおつもりはないか、林業振興・環境部長にお聞きします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 県では、これまで地球温暖化対策税の使途を森林吸収源対策にも拡大するよう、国に対し政策提言を行ってまいりました。平成27年12月に決定された与党の平成28年度税制改正大綱において、森林吸収源対策の安定的な財源の確保に向けた措置として、地球温暖化対策税については、木質バイオマスエネルギー利用の本格的な普及などへの活用の充実を図ることとし、森林環境税については、市町村による森林整備等の財源に充てる税制等の新たな仕組みとして検討することとされました。その後、平成29年度税制改正大綱において、森林環境税の創設に向けて総合的に検討し、平成30年度税制改正において結論を得ると明記され、現在国において森林環境税の導入に向けて検討が行われておることから、県としましてはその早期実現に向けて働きかけていきたいというふうに考えております。 ◆7番(横山文人君) そこで、もし国税としての森林環境税が導入されたならば、本県としてはどのような効果が期待できるのか、林業振興・環境部長にお聞きします。 ◎林業振興・環境部長(田所実君) 国の森林環境税につきましては、今後税額や具体的な制度設計が決定されることになりますが、与党の平成29年度税制改正大綱によれば、市町村が主体となって実施する、森林整備等に必要な財源に充てられるとされております。市町村が、この財源を活用して、森林所有者に対し間伐を行うよう要請したり、所有者にかわって間伐を実施するなど、市町村主体による森林整備等が可能となりますことから、現行の補助制度では、森林所有者等による自発的な間伐等が見込めない、自然的、社会的条件が不利な森林についても間伐等の整備が進むことなどを期待しておりますし、森林面積が広大な本県にとって、そうした効果がさらに大きいものとなることも期待をしておるところでございます。 ◆7番(横山文人君) これにて林業施策に関する質問は終わりますが、中山間はもとより、県勢浮揚に欠かすことのできない林業活性化へのさらなる御尽力と御支援を賜りますようお願いいたします。 次に、土木行政と仁淀川流域のインフラ整備について御質問いたします。 このたびの組織改革案にもありましたように、インフラ整備の全庁的な推進体制を強化するため、庁内に社会資本整備推進本部会議が設置されます。そこで、いま一度インフラ整備の概念、その意義というものについて整理する必要があるのではないかと感じております。 私は、これまでに地域建設業の存在意義についてや、改正建設業法の適正な運用、土木職員の技術力確保と継承など、登壇させていただくたびに、業界の出身者としても声を上げてきた次第でありますが、ここでは大きな視点から、インフラ整備における新たなパラダイムと申しましょうか、ひところは大変な批判にさらされた、この社会資本整備における現在の物の見方をお聞きしたいと思っております。 インフラ整備、いわゆる公共工事に関しては、従前工事等に投下される資金により、建設産業を初めとする関係業界に仕事が回り、企業の活性化による経済効果や、これらに従事する人々の雇用促進の効果、いわゆるフロー効果が取り上げられてまいりました。しかしながら、この効果は事業実施中に限られ、事業が終わると、また新たな事業を行わない限り次の効果があらわれないことから、フロー効果を求めるために必要のない事業を行っているという、いわゆる無駄な公共投資論が絶えないところでありました。 これに対し、近年インフラの整備後、そのインフラによってもたらされるさまざまな経済効果、いわゆるストック効果が注目され始めてまいりましたが、このような傾向について土木部長の御所見をお聞きします。 ◎土木部長(福田敬大君) インフラがもたらす効果につきましては、事業実施により経済活動が活発化するなどのフロー効果と、整備されたインフラが発揮しますストック効果に大別されます。このうち、このストック効果が近年、より重視される傾向にございます。 インフラは、その整備によりまして生産性の向上、それから交流人口の拡大、経済活動の発展など、さまざまなストック効果をもたらすことから、これらを積極的にPRし、インフラ整備に関する国民、県民の皆様の理解をいただくことが極めて重要と考えております。 ◆7番(横山文人君) そのようなインフラのストック効果には、交通渋滞の緩和による移動時間の短縮など、定量的にはかれるものがある一方で、南海トラフ地震が発生したときの救急救援ルートの確保等、県民生活の安心・安全につながるものの、定量的にははかれないものもあります。 これらの定量的にはかれない効果も非常に重要であると思いますが、こうした効果をどのように評価していくのか、土木部長にお聞きします。 ◎土木部長(福田敬大君) 現在、新規に事業を行う際に検討されます評価の指標といたしまして、移動時間の短縮や交通事故の低減など、定量的にはかることができるものを集計し、投資費用と比較する手法が取り入れられております。しかしながら、インフラ整備によります効果は、これら以外にも例えば、落石や通行どめのリスクを低減し、大規模災害が発生したときには緊急救援ルートを確保するなど、定量的に示すことが難しいものの、非常に重要な効果もございます。 また、近年国におきまして、区間ごとだけではなく、広域ネットワークとして発現するさまざまな効果を適切に評価する議論も始まっておりまして、県としても、これらについてしっかりと勉強してまいりたいと考えております。 さらに、関係部局も参加いたします社会資本整備推進本部会議を新たに設置し、産業、医療、福祉などの視点から、間接的効果も含めたストック効果の議論を深めてまいりたいと考えております。 ◆7番(横山文人君) このように、地方にとり、重要かつ意義のあるストック効果を持つインフラ整備を広くアピールすることで、社会資本整備の重要性について認識が刷新され、それに伴い、建設産業の存在意義も高まり、官民ともに担い手や若手入職者もふえるのではないかと考えますので、積極的なPRを要請いたします。 そこで、そのような新たなパラダイムを持って整備促進を図らねばならない重要なインフラでありますが、インフラ整備は、発注者である自治体だけでは完成できず、受注者、すなわち実際に施工管理を担う建設産業の健全な発展と持続可能性が不可欠であります。私が一昨年の9月にも質問をしました、土木部と建設業協会との意見交換会の継続と有効活用は、建設産業における官民連携のベースとなるものではないかと考えております。 そこで、まず御留意いただきたいのは、地域の建設産業は、長らく地域と密着し、有事の際のみならず、平時からあらゆる面で地元に貢献する大変重要な存在であり、従来の事業費激減による業者淘汰・選別の時代から、疲弊する地方のあらゆる担い手として、また先のストック効果発現の担い手としても、地域地域に多くの健全な建設事業者がしっかりと存続していくことが重要であると考えます。知事の御努力により多くの公共事業費を獲得している本県であるからこそ、真面目に頑張る地域の建設事業者が持続可能性を獲得できるような施策の反映が重要であると考えます。 そのようなところ、我々県議会自民党政務調査会も、建設業協会との意見交換会、ヒアリングを行っており、地域の建設事業者への配慮を求める声や、さまざまな諸条件の改善要望を多く聞かせていただき、そのときの意見も踏まえた土木部との勉強会を先日行ったところであります。 そこで、建設業協会各支部との意見交換会や政務調査会との勉強会も踏まえ、具体的に改善する点、配慮する点とはどのようなものか、土木部長にお聞きします。 ◎土木部長(福田敬大君) 建設業協会などとの意見交換会では、入札・契約制度や設計積算、施工管理に関するものなど、県発注工事に対するさまざまな御意見をいただいたところです。中でも、発注に当たりまして、地域の建設事業者への配慮を求める声が多く、実績の少ない小規模な事業者にも受注機会が与えられるよう、入札・契約制度の見直しを求める意見が多く聞かれました。 こうした御意見を踏まえて、来年に向けては、総合評価方式の入札における入札評価方式を見直し、施工実績の評価において、これまで加点対象となっていなかった1件のみの実績を加点対象とすること、工事の成績評定の評価を従来の4段階評価から7段階評価に細分化すること、優良工事表彰に関する評価の配点を引き下げ、評価対象期間を5年から3年に短縮することなど、地域の小規模な事業者に配慮する方向での改正を予定しております。また、適正な予定価格の設定や、適切な発注時期と余裕ある工期の設定、状況に応じた多様な入札方法の選択、現場状況に応じた設計変更の柔軟な対応などにつきましても、地域の建設業に配慮しながら、これまで以上にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆7番(横山文人君) ありがとうございます。先ほど申し上げましたように、地域とともに長らく真面目に頑張る地元建設事業者の多くが安定受注を図れること、これはすなわち、改正公共工事品確法のポイントの一つ、地元に明るい中小事業者の安定受注でありますので、各地域の土木事務所における官民の連携がしっかりなされるよう、主管課等におけるチェック体制を要請しておきます。 一連の質問の最後に、仁淀川流域の大動脈である国道33号の早期整備について質問をいたしたいと思います。この33号においては、仁淀川流域の沿線市町村の生活と産業、また観光振興、交流の基盤として、まさに命の道、言うなれば未来への道であります。先日、国の代行事業により行われた大渡ダム大橋の修繕工事が無事完了し、大変ありがたい限りであります。他方、33号本線については、大雨などの異常気象時に、事前通行規制区間で全面通行どめとなり、通勤、通学を初め地域の経済活動にも支障を来し、住民の安心・安全の確保にはほど遠い状況であります。つまり、その重要性に反し、強靱性が付与されていない状態となっております。 そのような中で、昨年の9月には、合議体としての仁淀川町議会の意思として、一般国道33号地域高規格道路早期整備促進を求める要望書を全会一致で可決し、町の議会としても積極的に要望活動を展開するという、新たな動きも出てきております。このような、中山間地域の議会と住民全体の意思を反映すべく、従来以上の意気込みを持って国へ働きかけてもらいたいと思うところであります。 そこで、国道33号に対する現状認識について土木部長にお聞きします。 ◎土木部長(福田敬大君) この一般国道33号は、地元の市町村にとりまして、日常生活や地域の産業振興を支える非常に重要な社会基盤でございます。今、御指摘のありましたとおり、延長25キロメートルが事前通行規制区間に指定されており、この解消が重要な課題であると認識しております。現在、国土交通省では、越知道路や橘防災によります、この事前通行規制区間の短縮に向けた取り組みを進めておるところでございまして、今後も引き続き、住民の皆様方が安心してこの路線を利用していただけるよう、事前通行規制区間の解消に向けた早期整備を国にしっかりと働きかけてまいりたいと考えております。 ○副議長(梶原大介君) 以上をもって、横山文人君の質問は終わりました。 ここで午後2時まで休憩といたします。   午後1時55分休憩-----------------------------------   午後2時再開 ○副議長(梶原大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 前田強君の持ち時間は30分です。 27番前田強君。 ◆27番(前田強君) 質問のお許しをいただきました県民の会の前田強でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。 まずは、南海トラフ地震対策についてお伺いをいたします。 高知県では耐震工事を実施する場合、平成17年度から工事費60万円の補助を開始し、その後設計費への補助の追加、そして消費税への対応などなど制度の拡充に努めてまいりまして、現在では設計費と工事費込みで113万円を上限とする補助金制度となりました。このうち2分の1は国の補助金となっております。その結果、耐震改修の件数も補助を開始した当初は10棟、昨年度では822棟まで増加し、第3期南海トラフ地震対策行動計画での目標数は3年間で4,500棟となっております。 しかし、平成28年2月17日に国が会計検査院から指摘を受けたことによって、平成31年3月31日をもって現在のような国から手厚い補助を受ける、このようなことができなくなってしまいます。今後、高知県としてどのような対応をしていくのか、土木部長の福田敬大さんにお伺いをいたします。 ◎土木部長(福田敬大君) 住宅の耐震改修を進める上での課題は、住宅所有者の経済的な負担の大きさでございます。これを軽減するための現在の手厚い補助制度の果たす役割は非常に大きいと考えております。少なくともこの平成30年度まで第3期南海トラフ地震対策行動計画期間中は、この手厚い補助を活用することが可能であるため、積極的に活用してまいりたいと考えております。 他方、この住宅の耐震改修が進むことで、発災後の復旧・復興などに要しますトータルでの公費支出を縮減できると考えておりまして、この点を国にしっかりと説明しながら、31年度以降もこの国の手厚い補助を継続していただけるよう、国に対して政策提言を行ってまいりたいと考えております。 ◆27番(前田強君) まさしくこの施策、国からの補助金というものは大変大きなウエートを占めておりまして、御答弁のとおり、この第3期の行動計画の期間内は確かにこの補助金を使うことができます。しかし、この後ももし仮に、国への提言を続けながらではございますが、年間1,500棟という目標を継続してやっていこうということになった場合、国からの補助金がなくなりますと、県、市町村合わせて年間8.5億円程度の負担増となってしまうことになります。 耐震化の必要な残りの家屋の数というものは、まだまだ7万戸を超えておりまして、1年間当たり1,500棟で計算しますと、10年かかってもまだ1万5,000棟しか進まないということでございます。 少なくとも今現状、まだ2年間ほどはこの補助金制度が使えるということは事実でございますので、その後のことはもちろん提言をしていかなければなりませんが、あくまでも2年間あるこの制度の期間内に耐震化をどんどん進めていただけるように、県からも発信をしていただきたいと思うわけでございますが、その点、土木部長いかがでしょうか。 ◎土木部長(福田敬大君) 高知県では、まだまだ耐震改修が必要なところがございますので、このニーズもしっかりと国に訴えていき、手厚い補助が継続されるように政策提言を行ってまいりたいと考えます。 ◆27番(前田強君) ぜひとも国への提言と、県民へのメッセージ発信もあわせてお願いを申し上げます。 続きまして、直近のさまざまな県民へのアンケート結果等を見てみますと、津波から早期に避難をする意識率が74%となっておりまして、県民の防災意識が徐々に高まってまいりました。自宅や勤務先の近くにございます大規模な建築物は避難先として想定されている方もたくさんいらっしゃいます。まさしくこの近隣の方々等の立場に立って考えますと、いざ地震が起きたときに避難場所としての安心感、そして全く真逆の、いざというときに倒壊をしてしまい、近隣家屋等への被害や避難道路などがまさしく封鎖されてしまうのではないかなどの不安感、この両極端の2つの思いもあるんではないでしょうか。 そこで、新耐震基準が適用されていない、昭和56年5月以前に建てられました高知県内のマンションやアパートなど共同住宅に対するこの耐震診断費や工事費等を支援する補助金制度は課題がたくさんあると思いますけれども、一体どのようなものがあるのか、土木部長の福田敬大さんにお伺いいたします。 ◎土木部長(福田敬大君) 木造戸建て住宅と同様に、鉄筋コンクリートづくりのマンションなどにつきましても耐震化を促していく必要があり、県としては一定の限度はございますけれども、補助の対象にしております。現在、県内24市町村で補助の対象となっておりますが、残りの10市町村ではまだ対象となっていないため、まずはそれらの市町村に対して補助制度の整備を働きかけてまいりたいと考えます。 ◆27番(前田強君) 34市町村のうちまだ10市町村がということでございますけれども、特にそのような共同住宅、マンション、アパートというものは、恐らくですけれども、高知市が非常に多いのが現実だと思います。 高知市は、その10市町村に含まれている、つまり先ほどおっしゃられた課題の中に含まれていると思うんですが、そういう点に対しましてどのように対応されていくのか、土木部長の福田敬大さん、よろしくお願い申し上げます。 ◎土木部長(福田敬大君) 御指摘のありました高知市につきましては、共同住宅への補助制度が整備されていない市町村の一つでございます。共同住宅が多い高知市においてこの制度をぜひ導入していただけるように、整備を強く働きかけてまいりたいと思います。 ◆27番(前田強君) 高知市の制度化されていないという問題は大分前からだと思うんですけれども、まさしくさまざまな形での県知事、市長含め、県市連携の取り組みの中で、実際にこういう課題というものはどういうふうな話し合いがなされてきたのかなと、すごく疑問に思うわけでございます。どうか土木部長、この高知市に圧倒的に共同住宅が多いわけですので、何とかこの制度を早く構えていただいて、県市連携して共同住宅の耐震化を進めていっていただきますようにお願いを申し上げます。 続きまして、地震発生時でございますけれども、津波避難ビルなどに避難をしなきゃいけないわけでございますが、橋を渡る必要性のある住民というのは少なくありません。地震が起きたらこの橋は大丈夫ながやろうかと心配する声が、まさしくさまざまな自主防災組織等からも、また住民の皆さんからも寄せられているわけでございます。 そこで、緊急輸送道路などの大規模な橋の耐震化は進んでいるということでございますが、いわゆる生活道などの比較的小規模な橋について落橋の危険性や可能性は一体どうなっているのか、土木部長の福田敬大さんにお伺いをいたします。 ◎土木部長(福田敬大君) 南海トラフ地震などの大規模災害時には、救援物資の輸送などが極めて重要になります。県では、その役割を担います緊急輸送道路におけます落橋対策を優先で進めており、平成30年度末の完了に向けて取り組んでおるところでございます。 一方で、御質問のありました生活道などの比較的小規模な橋梁、橋の長さが短くまた橋脚のない単純な構造がほとんどでございまして、こういった橋については落橋の危険性は極めて低いと考えております。 ◆27番(前田強君) では、過去にさまざまな大規模な地震等があったわけでございますけれど、そのときの、こういう先ほどお話にありました比較的小規模な生活道にある橋の落橋の被害は一体どのようなものであったのか、土木部長にお伺いいたします。 ◎土木部長(福田敬大君) 昨年4月に発生いたしました熊本地震におきまして、橋脚がない比較的小規模な橋梁が落橋した事例は報告されておりません。また、全国的に見ましても、過去の大規模地震においてこのような橋梁が落橋した事例はほとんど報告されておりません。 ◆27番(前田強君) 比較的小規模な橋、生活道の橋が落橋された報告はないということでございますが、例えばこの南海トラフ地震が発生した場合、対策本部が県庁に置かれることになっております。そして、同時にこの県庁の本庁舎は津波避難ビルにも指定されておりまして、高知県の防災マップ等を見てみますと、収容可能人数が屋上を含めまして2,681人となっております。県庁の南側、つまり電車通り側から県庁内に避難をしようとしますと、お堀がありますので橋を渡る必要がございます。私が確認してみますと、東側の橋、この議会棟の前にある橋でございますけれども、土台部分のコンクリート等は剥がれ落ちておりまして、西側にある橋の土台部分にはれんがが見えております。 何事も想定外をなくしていくという点から申し上げますけれども、万が一地震発生によって落橋した場合、お堀沿いに西へ進んでいって裁判所の角を右へ曲がって、そして県庁の敷地内に入っていくという、こういうルートを県は想定しているということでございますが、一体何人の県民の皆さんが、そんなルートが設定されているというのを知っているのかなと、僕なんか疑問に思ったわけでございます。 避難経路というものを示していく案内板、これを橋のたもとなどに設置する等の必要性があるんじゃないかなと。それはなぜかというと、避難者目線というところが私は大変重要な観点じゃないかなと思うわけでございますけれども、この防災・減災対策、避難者目線という点を踏まえまして、総務部長の梶元伸さんにお伺いをいたします。 ◎総務部長(梶元伸君) 御指摘をいただきました2カ所の橋につきまして、一般的には小規模な橋は落下の危険性は低いと承知はしておりますけれども、南海トラフ地震が発生した際に落橋することも想定いたしまして、本庁舎の耐震改修工事を過去やりました。その際に、橋を渡らずにも行ける県庁舎の北西入り口の南側に広い開口部を設けて車両が出入りできるようにして、可動式の簡易な柵を整備しております。 このように、議員御指摘いただいたとおり、落橋した場合は県庁舎の北西入り口から入っていただくということなんですけれども、御指摘いただいたような案内板を橋のたもとに設置するということについては、そもそもの落下の危険性が低いということから、必要はないのではないかと考えておりまして、2点について対応したいと思っております。 1点目は、現在避難経路については、高知市がホームページ上で進入ルートを掲載しているんですけれども、この橋を渡らないルート、県庁舎の北西入り口からのルートについては掲載されておりませんので、高知市に対して進入ルートとして追加をしていただくように依頼をしたいと思っております。また、万が一落橋した場合に備えまして、発災時に住民の皆様を速やかに県庁舎の北西入り口へと誘導できるように、必要な体制を準備していきたいと考えております。 ◆27番(前田強君) そうですね。あの橋が、そもそも論としていつかけられたのかとか、結構古い橋でございまして、実際本当に落橋するのかしないのかというのは、起きてみなきゃわからない部分も確かにあると思います。先ほどの御答弁にございましたように、広く周知をしていく、この案内板も含めましてですけれども、この避難者目線でというところが大変私は重要であると思いますので、ぜひとも先ほどの2点の対策も含めまして進めていただきますようにお願いを申し上げます。 次に、高知県の広報のあり方等について御質問をさせていただきたいと思います。 高知県内全戸配布を基本としております広報物というのは幾つかございまして、その中でも毎月1回、年間で12回発行されております、さんSUN高知について、その配布率等を34市町村ごとに調べてみました。平成28年9月時点で配布率が100%の市町村は安田町、三原村となっております。また、配布率が残念ながら最も少ない市町村は香美市でございまして、67.7%となっております。さらに、市町村への配布の委託ができずに、新聞折り込み等での配布となっているのが5町村でございまして、平均の配布率は62%となっているわけでございます。 高知県全体で見てみますと、さんSUN高知の平均配布率というものは90.3%、これは大変すばらしい配布率でございますけれども、一方で市町村ごとの配布率というものに大きな隔たりが出ているということは、よろしいことではないというふうに思うわけでございます。 また、この新聞折り込み対応の5町村でございますけれども、単価を見てみますと、1部7.02円がかかっているということでございます。これは各新聞社に支払われているわけでございます。ほかの29市町村の配布単価を見てみますと、高知市と南国市が税込み9.1円となっておりまして、ほかの残りの27市町村は6.48円となっているわけでございます。その差は1.4倍となっております。さらに、この配布手数料の単価の差というものは、平成8年に高知市のほうから単価の引き上げの協議を受けるような形になりまして、価格差が発生したというような経緯があり、それから約20年を超える間、配布単価は高知市のみが高かったというような状況が続いておりました。昨年からは南国市も新聞折り込みで対応していたものを、南国市内の全戸配布のほうに切りかえていただいたわけでございますが、そのときの単価設定は高知市と同じ税込み9.1円という形になっております。 この単価設定の価格差というものを見たときに、実際に配布する側の立場に立って考えてみると、高知市のような住宅街で実際に配布する場合よりも、中山間地域のほうが時間やエネルギーというのが多くかかるわけでございまして、配布単価というものは、本来住宅街等の高知市よりは中山間地域のほうが高く設定されるべきなんじゃないかなというふうに、私は思うわけでございます。 そこで、次年度に関しましては、現在の単価設定等で各市町村の承諾というのは得られているとは思いますけれども、今後もし単価設定の協議等が県に対してありましたら、どのように対応していただけるのか、その点を総務部長の梶元伸さんにお伺いさせていただきます。 ◎総務部長(梶元伸君) 御指摘いただいたとおり、平成29年度の市町村の配布委託につきましては、既に対象の29市町村から単価について御承諾をいただいておりますので、その変更は想定をしておりませんが、一方現在高知市と南国市については、他の市町村よりも配布単価が高うございます。これは、引き上げによりまして、当該市町村における配布率の向上が、しかも大きな配布率の向上が見込まれたためでございます。仮に、両市以外の市町村から、平成30年度以降ということになろうと思いますが、配布単価について御協議の申し入れをいただいた場合には、その配送作業に係る経費の状況などをお聞きしながら、配布率の向上にどうつながるのかということを中心に協議をさせていただきたいと考えております。 ◆27番(前田強君) 配布率の向上、この点を重要視されているということは、私も本当にそのとおりだと思うわけでございます。 ただ、一方この6.48円という各市町村、27市町村あるわけでございますけれども、恐らく高知市と南国市が9.1円の設定になっているということを、もしかしたら担当の方って御存じなかった可能性も僕はあると思うんです。それだけれども、6.48円であったとして、中山間部で配りにくかったとしても、一生懸命、例えば100%の配布率をされているところもあるわけでございます。この点は、配布率がこれ以上向上しないから価格の部分には応じないんだというようなことではなくて、全体を広く考えたときに、県内全域に本当にお一人お一人が配っていらっしゃるわけでございますので、ちょっと柔軟にその辺は前向きに対応していただくよう要請をさせていただきたいと思います。 ここで、一例としてちょっと挙げさせていただきたいのは、県議会もこうち県議会だよりというものを年4回出しているわけでございますが、これも県内全戸配布になっております。この県議会だよりでございますけれども、これは逆に高知市や南国市は折り込み対応になっておりまして、さんSUN高知は高知市や南国市がまさしく全戸配布の対応になっているというところでございます。しかし、県議会だよりはやはり折り込み対応している関係がございまして、16万人ほどに、県内全域で実際に県議会だよりが届いていないというような現実がありまして、さらに高知市だけを見ますと、概算で14万人、市民の40%には県議会だよりが届いていないという現実があります。 話はさんSUN高知のほうに戻りますけれども、実際にこの配布をされている、とある高知市内の町内会長さんでございますけれども、県の広報紙だけじゃなくて高知市からも広報紙がさまざま来るわけでございます。市議会のお便りであったり水道局であったり、こういうふうなものを一緒に配布しなければなりません。そういう場合、1世帯当たりの配布物の重さやボリュームもどんどん大きくなってまいります。これでさらに、例えば県議会からも高知市の方にお願いをしますということで議会だよりを上乗せすると、またボリュームが大きくなってしまうというところで大変なことになるわけでございます。しかし、実際に配られている方のお話では、空き家とか、そして会社などの事業者には配らずに、お住まいになられている住宅をベースに工夫をしながら、1週間ほどで配布を完了するということでございます。 この地域地域でまさしく配布作業に当たってくださっている方、これは民生委員の方であったりとか児童委員の方とか社会福祉協議会の方とか、町内会長さんももちろんそうでございます。これ、さらに配布前に仕分け作業がございます。これもまた大変な作業でございまして、各市町村の職員さんがもう総動員でこの配布作業、手前の仕分け作業に当たってくださっている。それでも足りないときはシルバー人材センターの方にもお願いをしたりとか、これは本当に大変な作業をずっとやってくださっているわけでございます。私も一議員の立場からではございますが、この現状を踏まえまして、本当に心から感謝を申し上げる次第でございます。 この県の広報物は、さまざまございますけれども、配布方法、そして配布率、手数料等が異なる現状の中、お一人でも多くの県民の皆さんにお届けする、これは大前提でございます。その中、各市町村などにお願いをして配布率を向上させていく、それと同時に作業負担とのバランスというものは大変大きな難しい課題でございまして、さらに高年齢化もありますんで、配布するためのマンパワー不足も各市町村で起きているわけでございます。 そこで、尾崎正直知事におかれましては、この県の広報のあり方として、どのような方向を今後目指されていくのかという点をお伺いさせていただきます。 ◎知事(尾崎正直君) 前田強議員からの御指摘、極めて重要な点だと思います。正直なところ、県の広報物をいかに県民お一人お一人にしっかり届けていけるようにするかということは、本当に不断の努力、改善を要する課題だと考えております。しかも、マンパワー不足ということを考えたり、さらに中山間地域の御不便とか、そういうことも考えたときに、どうあるべきかということについて工夫をする必要があると思っています。 今、さんSUN高知ですね、市町村への委託とか新聞への折り込みによって3,200万円弱の経費で約90%の世帯に配布をさせていただいています。ほかの方法として、郵送を用いて全世帯に配布する方法もありますが、これですと安くても約2億円かかります。なかなかそうはいかないというところでございます。そういうことで、各世帯への配布に加えまして、県の出先機関とか市町村役場とかスーパー12店舗、コンビニ188店舗に配布していただくとか、また特に御希望がある場合には御家庭に毎月郵送させていただく、これ10名弱の方ですけれども、そういう方がいらっしゃればやらせていただいたりしているということでございます。また、ほかに広報手段の多様化として、紙媒体以外の配布にもSNSなどを使ったりなどという形で取り組むという工夫もしています。 御指摘のとおり、配布のためのマンパワー不足という課題がある中で、より少ない費用でどうやってより多くの県民の皆様にお届けできるか、このための努力をさらにしていく必要があると思います。例えば、中山間地域の集落活動センターとか、あったかふれあいセンターとか、こういう集いの場をうまく活用させていただく、そういう新たな工夫なども盛り込んでいきたい、またもっと言いますと、インターネット関係のより効果的な活用とか、こういうことにも工夫を凝らしていきたいと、そのように思います。 ◆27番(前田強君) ぜひともよろしくお願いを申し上げます。 次に、平成30年度におきまして国民健康保険の財政運営の責任主体が、現在の市町村から県へ移管されるとともに公費負担の拡充も行われることになっております。各市町村、国保財政さまざまな課題を抱えながらでございますけれども、市町村の中には一般会計から3億円も拠出してこの収支の赤字補填に充てているところもございます。 そこで、今回の国民健康保険の改革によりまして、県や市町村、また住民におけるさまざまなメリット・デメリットなども生じるとは思いますけれども、県としてどのようなことを想定されているのか、健康政策部長の山本治さんにお伺いいたします。 ◎健康政策部長(山本治君) 県、市町村、住民にとってのメリットは、毎年3,400億円の公費の拡充もあり、県と市町村が安定した国保財政の運営を行うことにより、将来においても県民の皆様が安心して医療を受けることができることで、それは国保制度改革の目的そのものであり、そうなるように市町村とともにしっかり取り組んでいきます。 また、全体的なデメリットはないものと考えていますが、制度が変わることから、市町村によっては保険料負担が増加することもあるため、急激に増加しないよう激変緩和策を講じる予定です。 ◆27番(前田強君) 昨日の高知新聞にもございましたように、実際に国保料ですが、いの町のほうでは年間6,000円弱ぐらいの負担増というようなことも報道されておりました。こういうふうにまだ責任主体は変わっておりませんけれども、自主的な努力を含めながらやっていらっしゃる市町村も多くあるわけでございます。 そんな中、ジェネリック医薬品についてお伺いをさせていただきたいと思います。 全国平均よりも、高知県はこの使用割合が下回っているわけでございますけれども、このジェネリック医薬品の使用割合は、34市町村全体で国保財政への貢献の伸びしろが一体どれぐらいあるのか、健康政策部長にお伺いいたします。 ◎健康政策部長(山本治君) 国保被保険者のレセプトが一月で約22万件ありまして、金額を算出するためにはレセプトを分析するシステムを新たに開発する必要があります。このため、条件を設定した上での概算とならざるを得ませんが、市町村がジェネリック医薬品の差額通知を行っている通院患者に限った場合で、仮に置きかえ可能な先発医薬品がジェネリック医薬品に全て置きかわったとした場合、年間にして約6億円の医療費の削減になるものと推計できます。 ◆27番(前田強君) 年間6億円ということでございますが、先ほど答弁にございましたように、恐らく実数値はもっと大きな伸びしろがある可能性がございます。今後、県がまさしくその責任主体という形になっていくということであれば、一定各市町村に対して指導的な立場も出てくるというふうに考えます。ぜひとも、このジェネリック医薬品だけではないですけれども、いわゆる各市町村との連携と、そしてさまざまな財政収支の健全化に向けて取り組んでいただきたいと思うわけでございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。 次に、よさこい世界大会についてお伺いをさせていただきます。 よさこい踊り、これを2020年東京オリンピック・パラリンピックを通じまして世界に発信していく、インバウンドの観光につなげていくということで取り組みをされておるわけでございます。ちょうど1年ほど前でございますけれども、久保博道議員の質問に答える形で尾崎知事は、よさこい世界大会、そういうようなものを開催できればいいなというふうにお答えをされたわけでございます。 その後の記者会見でも、オリンピックの閉会日がよさこい祭りの開幕日である8月9日と重なっておって、それによって選手団や関係者を招いておもてなしをしながら、秋口にということで世界大会を高知県で開催できればいいなということを発言されているわけでございます。 ぜひとも、できればいいなというところから、ぜひやりますと断言するくらいの意気込みを、このよさこいの世界大会、夢のある話でございますので、お伺いさせていただきたいと思います。 ◎知事(尾崎正直君) ぜひ頑張りたいと、そのように思っています。前段として、世界のチームとのネットワークをしっかりつくっていくということが大事だと、そのように思っておりまして、またことしはたしかアジアのチームをよさこいアンバサダーという形でお招きして、ネットワークの中に入っていただこうと、そういうことをしていこうとしているわけであります。この世界ネットワーク化の取り組みをしっかりと進めていって、よさこい世界大会ができるぐらいに頑張りたいものだと、そのように考えています。 ◆27番(前田強君) 高知県は台湾に事務所をつくるなど、さまざまな形のネットワークを持たれておりますので、ぜひともさまざまな形で、取り組んでいただきますようお願いを申し上げます。 そして、執行部の皆様、さまざまな答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。高知県政がほんの少しでも前へ強く進んでいくように、私も微力ながら尽力してまいりますことをお誓い申し上げまして、私の一切の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(梶原大介君) 以上をもって、前田強君の質問は終わりました。 ここで午後2時50分まで休憩といたします。   午後2時30分休憩-----------------------------------   午後2時50分再開 ○議長(武石利彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 弘田兼一君の持ち時間は55分です。 12番弘田兼一君。 ◆12番(弘田兼一君) 自民党の弘田です。議長のお許しをいただきましたので、質問をさせていただきます。 今回は、9月定例会に引き続き本年度2回目の質問ということになります。本日は、日ごろの私自身の活動の中で感じたことについて質問をさせていただきます。 ことしの1月15日、室戸岬一周駅伝競走が開催をされました。年々参加チームが増加し、ことしは68チームの参加となりました。記録を競うような大会ではないし、7区間、15.3キロの小さな大会ですが、高知銀行のマラソン部など室戸市外からの参加もあり、参加チームはそれぞれ楽しみながら完走を目指しています。2月19日には高知龍馬マラソンが開催をされました。県内はもちろん、北海道から沖縄まで、また海外からの参加もあり、1万人を超える選手が土佐路を駆け抜けました。大きい小さいにかかわらず、スポーツの大会は多くの人の流れをつくり出しますし、経済効果もつくり出すことができます。県内でもさまざまなスポーツの大会や合宿が開催されており、それぞれ地域の振興につながっていると思います。 県は来年度の組織改正で、スポーツに関しては競技力の向上、生涯スポーツの推進、スポーツツーリズムの振興などの関係施策を総合的かつ一体的に進めていくため、文化生活部の名称を文化生活スポーツ部に変更するとともに、同部において学校体育以外のスポーツ全般を一元的に所管すると提案説明をされました。県内でもさまざまなスポーツの大会や合宿が開催されており、それぞれ競技力の向上や地域の経済振興につながっていると思います。 そこで、知事にお伺いをいたします。今回の組織改正を競技力の向上や地域の振興にいかにつなげていくのか、お伺いをいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 今回、スポーツの振興を図っていく、その中で目指すところは3つでありまして、競技力の向上と生涯スポーツの推進と、そしてスポーツツーリズムの振興ということになります。これらを取り組んでいくに当たっては、従前のようないわゆるスポーツを通じた教育というカテゴリーを超えたさまざまな取り組みが必要になってくることから今回知事部局で対応させていただく、またそれぞれ非常に関連した施策であることから一元化をさせていただくと、そういうことで組織改正についての議案を出させていただいているところであります。 そういう新しい体制のもとで競技力の向上については主に6点、まず第1に、競技力向上のための連携体制を強化すると、そのために県体育協会や各種競技団体の組織力強化に取り組みたいというのが1つ。そして第2に、競技力向上のためのノウハウを取り込んでいくためにも、優秀な指導者を招聘及び育成していくことが大事だと思っています。そしてまた第3に、運動部活動強化校を指定して重点的に選手を育成強化する取り組みもまた大事。そして4点目でありますけれども、トップレベルの選手や指導者を確保するためにも企業スポーツや大学スポーツを振興することが大事。そして第5点目に、スポーツ医科学の視点を活用するため、スポーツ医科学の拠点を整備することが大事。そして第6点目といたしまして、競技者の学びや刺激を喚起するために、最高レベルの技術を体感できるプロスポーツ等の試合や合宿を誘致していくということが大事だろうと思っています。トータルとしてこういう方向で取り組みを進めたいと考えています。 また、地域の振興にスポーツを生かすという観点からは、やはり東京オリンピック・パラリンピック、こちらの大会もにらんでホストタウン構想を推進して、さまざまな世界大会の合宿誘致に取り組むことに加えまして、日ごろよりプロ・アマチュアから幅広く試合や合宿を誘致していくような取り組みを進めていきたい。 これら両者にかかわる点として、やはりさまざまな環境整備を行っていくということも大事だろうと、そのように考えているところでありまして、計画的にスポーツ施設の整備を行ったり、また県の自然を生かしたサイクリングコースとかマリンスポーツの拠点の整備とかにも取り組んでいきたいと、そのように考えているところでございます。 こういう形で競技力の振興を図っていく取り組みと、地域の振興を図っていく取り組みを並行的、両者がよい形で相乗効果をもたらすように取り組んでいきたいと思っています。これらは、産学官民連携でやらなければなし得ないところだろうと、そのように思いますので、産学官民連携で取り組む協議会のようなものをつくらせていただいて、その中でPDCAサイクルを回させていただければなと、そのように考えております。 ◆12番(弘田兼一君) スポーツの振興に関しては多くの議員から質問があったかと思います。少し重なる部分も出てきたんですけれど、しっかりとした取り組みを進めていただくことが、スポーツの競技力向上と、それから地域の振興にしっかりとつながっていくと思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。 ことしの、先ほど言いました室戸岬一周駅伝には私たちのチームも久しぶりに参加をいたしました。私たちのチームは、私が中学生のころですから大方50年前の話なんですが、室戸中学校の陸上部の仲間たちが中心となっています。チーム名には、当時の監督である井上先生の名前を冠しています。先生は、私たちが出場すれば毎回応援に駆けつけてくれますし、完走後の打ち上げも楽しみにされているということでございます。 井上先生は、室戸中学校が教員に採用されて初めての赴任地で、当時室戸中学校は大変荒れておりましたので、本当に忙しかったけれども、楽しいこともたくさんあったというふうに話をされておりました。そして、今の教員の皆さんには余裕が感じられない、これからの先生たちや学校教育が心配であるということを言っておられました。 全国公立学校教頭会の平成28年度調査で、副校長、教頭の8割以上が、1日当たり12時間以上勤務しており、勤務時間が年々増加しているだけでなく、1割弱は年次有給休暇を取得できていないことが明らかになったと、教育新聞に出ておりました。 教育長にお伺いをいたします。県内の教員の勤務状況をどのように捉えられているのか、お伺いをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) お話にありましたように、学校が抱える課題が複雑多様化している中で、全国的に教員の長時間労働ということが問題になっていると思っております。お話にありました教頭会のデータもございますけれども、平成25年に実施されました、中学校等の教員を対象にしたOECDの調査によりますと、日本の教員の1週間当たりの勤務時間は参加国中最長で、その中でも課外活動の指導時間や事務業務などの従事時間が長いという結果が出ております。本県においても同様の状況にあるというふうに考えております。 ◆12番(弘田兼一君) ありがとうございました。 この議会の知事提案説明では、教員の多忙化を解消するため、教員と事務職員の業務分担の見直しを進めることや、運動部活動について適切な練習時間の設定や外部指導者の配置拡充などを進めていくといった説明がありました。政府では働き方改革に関する議論もされています。 教員は、基本的には時間外勤務を命じないものとされており、時間外勤務手当は支給されませんが、自主的に時間外勤務をしている状況にあるとお聞きをしております。こうした中で、教員の長時間勤務を解消するためには、学校関係者の意識改革など大変な努力が必要となっていると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 多くの教員の皆さんは、子供のために時間外勤務をいとわないという思いで勤務してもらっておりまして、その頑張りには敬意を表したいというふうに思います。ただ、長時間勤務によります健康面でのリスクですとか、本来取り組むべき教育活動をもっと充実させていく必要があるということも考えますと、教員の長時間勤務解消にはしっかりと取り組んでいかなければならないというふうに考えております。 来年度からは、お話にもありましたように、県全体として実施することになります、運動部活動についての実効性のある新たな取り組みですとか、あるいは高知市を含めまして4つの中学校をモデルとして、教員と事務職員の効率的な業務分担のあり方について研究授業を実施することにしております。この中では、例えば学校独自の取り組みとして定時退校日を設けるといった、これまでの職場環境を変える取り組みも出てくるのではないかというふうに思っております。 県教育委員会といたしましては、従来からチーム学校として取り組んできました業務の効率化ですとか外部人材の活用といったことに加えまして、ただいま申しました取り組みを着実に実施することで、教員の意識改革につなげるとともに、多忙化の解消について実感を伴うような改善につなげていきたいというふうに考えております。 ◆12番(弘田兼一君) 私は、人間は適当な休息がないといけないと思っております。今、教育界とか知事部局とか、時々問題行動があったりするんですけれど、やっぱり適当に休みがあって、そしてあしたへの活力をその休みで醸成して次のステップに向かっていくと、そういったことが大切ではないかというふうに思っております。教育委員会だけではなく、知事部局、警察なども同様のことでありますので、ぜひ御配慮をお願いいたしたいというふうに思います。 次に移ります。 2月3日、室戸高校総合学科発表会が開催をされました。私も、毎年時間の許す限り出席をさせていただき、生徒たちの発表を聞くようにしています。この発表会で感じたことは、室戸高校の生徒たちは、先生とのコミュニケーションがよくとれているし、しっかりしているということです。1年生は、「産業社会と人間」という授業で考えた将来の目標と、その目標を達成するためには自分に何が足りないか、足りていないものを高校生活で克服していくということを発表していました。2年生は、「続・産業社会と人間」での職場体験や大学訪問で、将来の夢に向かって具体的にどう行動したいかを発表していました。3年生は、それぞれ自分たちの関心や興味のあることについて課題を設定し、研究の動機、その成果、反省と今後の課題を発表していました。 1年次の「産業社会と人間」で自分の夢を考え、2年次の「続・産業社会と人間」で社会とかかわることで自分の夢を再考し、3年次の「課題研究」で課題を達成するために仲間と試行錯誤することにより問題解決能力を養っていく。私は、この一連の学習活動は、若者が人間形成する上で非常に大切なことだと思いますし、総合学科だからこそできる学習活動だとも思います。 教育長にお伺いをいたします。室戸高校の総合学科は平成9年にスタートしました。高校教育に総合学科が取り入れられて20年近くになりましたが、これまでの総合学科の取り組みに対する評価をお伺いいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 総合学科は、生徒の能力や適性、興味、関心に応じまして、多様な進路希望に対応することを目的として設置をした学科でございまして、室戸高校を初めとして県内5校に設置をしております。これらの学校では、生徒がみずから設定したテーマについて調査研究を行います課題研究を地域と連携して行い、思考力や表現力を育成しております。例えば、室戸高校では地質学を初め地域の文化や歴史などを学ぶ学校設定科目のジオパーク学や、選択した科目の中からテーマを設定し研究を行い、その成果を地域の方々に発表し、お話のありましたように好評も得ているところでございます。 ただ、一方で生徒数が減少し、小規模化した学校におきましては、総合学科ならではの特徴である多様な進路希望に応えるだけのコースや選択科目を置くことが難しくなっていると、そういった現状もございます。 ◆12番(弘田兼一君) 総合学科は、大学のように生徒が授業を選択します。生徒自身がどの授業を受けるか選択するので、多くの科目と教員が必要になります。そのことから、先ほど教育長が答弁されましたように、生徒数が減少すれば教員の配分が難しくなり、総合学科としての学校運営が苦しくなるとお聞きをいたしております。 私自身は、総合学科の発表会で頑張っている生徒たちの姿を見れば、室戸高校に総合学科を取り入れてよかったと思うし、これからも総合学科の存続を願っているものです。 そこで、教育長にお伺いいたします。室戸高校など総合学科を取り入れている高校について、これからどのような学校経営を考えておられるのか、お伺いいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 次期学習指導要領におきましては、主体的・対話的で深い学びの視点から、学習方法の見直しですとか学校内外の物的、人的な資源を効果的に活用するといったことが重要視をされております。総合学科では、生徒が主体的に学習する課題研究ですとか、地域と連携・協働した体験型の学習に取り組むなど、いわば次期学習指導要領を先取りするという形で取り組みが行われてきたというふうに考えております。 このような総合学科のよさにさらに磨きをかけ、そのよさをPRするとともに、特に郡部校におきましては地域の特性を生かし、地域と連携しながら活力ある学校にしていくといったことが求められるんではないかというふうに考えております。 ◆12番(弘田兼一君) どうもありがとうございます。 室戸高校の例を出すんですけれど、本当に地域が支える学校ということがだんだんと定着してきたように考えております。今、高知県は人口減少が続いています。県内の過疎地域の高等学校では生徒集めに苦労しているというのが現実であります。 室戸高校には、公立高校では全国で唯一の女子硬式野球部があります。部員も30人ほどになり、出身も東北から九州までさまざまですし、学校や地域でも活発に活動しています。ことしも10人ほどの野球少女が室戸高校を目指しているということをお聞きいたしました。この3月1日には女子野球部の2期生3名が卒業しました。進路は、愛媛大学、高知県立大学、高知銀行です。彼女たちの出身地は、愛媛県、佐賀県、そして土佐清水市です。2年生のときに、出身地の愛媛大学で地域振興を、大好きになった高知県で英語を、地元の金融機関高知銀行へそれぞれの目標を立てました。そして、目指していた進路につくことができました。 私は、彼女たちの頑張りはもちろん、目標の達成をサポートされた室戸高校の先生たちにも敬意を表したいと思います。野球をしたくて集まってきた女の子たちが、クラブ活動だけではなく、生徒会活動や校内活動を引っ張っていく存在となっています。 県内公立高校の入学試験出願状況を見れば、郡部の学校が定員に届かず苦戦しています。知事提案説明では、高等学校においては、生徒の学力や進路希望の多様性を踏まえつつ、将来社会で必要とされる学力や社会性を生徒に身につけさせることができるよう、教育プログラムを強化すると説明されていました。私は、公立高校でも生き残っていくためには、もっと学校の特色を出すべきだと思っております。進学に力を入れる学校、外国語教育に力を入れる学校、野球に、サッカーに、陸上に、さまざまなパターンが考えられます。 現状でも、県教委は、進学や語学に重点を置いた学校づくりに取り組んでおられ、一定の成果も出ていると思いますが、さらなる特色を出すとなると、教員の配置などに今以上の配慮が必要となってくると思われます。教育長の御所見をお伺いいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 総合学科におきましては、小規模校におきましても習熟度別授業ですとか少人数授業などのきめ細かな指導ができるように、県単独での加配も含めまして相当手厚い教員配置を行っているところでございまして、数の面ではこれ以上の教員配置というのはなかなか難しいというふうに思っています。 ただ、そういった中にありましても、地域と連携し、地域の方々との協働を進めていくことですとか、あるいは学習支援員、部活動支援員など外部人材を積極的に活用するなどのチーム学校としての積極的な取り組みを支援することで、総合学科におけます教育の充実に努めていきたいというふうに考えております。 ◆12番(弘田兼一君) 私が室戸高校で女子野球の取り組みをスタートさせたのは、これはいつも話しをするんですけれど、当時室戸市全体で60人しか子供が生まれていないということからでありました。その子供たちが15年たったときに、室戸高校を受験してくれるかといえばそうではありません。当時、室戸高校を受験する子供たちがよくて4割、悪くて3割ということで、三六で18人しか室戸高校を受けてくれないとなると、これは存続の問題にかかわります。何とかほかの地域から子供たちを集めようということで、この取り組みをスタートさせて、6年目になりました。1学年大体10人ぐらい来てくれていますんで、室戸高校の中では50人のうち10人ぐらいですから、結構大きな勢力になってきました。 こういった取り組みをそれぞれの高校が進めることで、地域に学校を残す。地域の高校というのは本当に地域の活力の源と、私は思っておりますので、ぜひ取り組みを進めていってもらいたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。 今回の室戸高校の発表会で、「英語で伝えよう~東部の魅力~」という映像で発表した課題研究がありました。この課題に取り組んだ動機は、東部地域でも外国の方をお見かけするようになった、英語で日本を紹介する雑誌ロンリープラネットを見てもほとんど高知県の東部地区が紹介されていなかった、ならば自分たちでつくってみようと、そういったことだそうです。安芸の野良時計、武家屋敷、安芸城跡、田野の岡御殿、室戸市吉良川町の町並みを英語で紹介するもので、生徒たち本人が出演をされておりました。タイトルは、ブラこうちです。ウイットに富んだ作品に仕上がっていましたし、何より本人たちが楽しんでいると感じました。 今月4日には、「志国高知 幕末維新博」もスタートしました。来年度は、高知新港に大型クルーズ船がたくさん入港します。県もインバウンド対策についてはさまざまな準備をされているとお聞きをいたしましたが、高校生たちの若い感性を活用することも有効だと思いますが、御所見を観光振興部長にお伺いいたします。 ◎観光振興部長(伊藤博明君) 県内の高校生には、これまでクルーズ客船で来られた外国人観光客に対するおもてなしとして、高知市中心部において高校生らしい手づくりのボードでの歓迎や英語での町歩きサポート、また書道体験などのイベント支援などを行っていただき、外国人観光客からは道案内で何度も高校生に助けてもらったとか、楽しかったなど大変好評をいただいております。また、今月19日には世界で最も有名な豪華客船クイーン・エリザベスの寄港が予定されておりますが、乗船客の皆様に対する町歩きサポートに高校生にも参加していただけるよう、現在学校と調整を行っているところです。 加えまして、今月11日からは、県主催で高校生を対象とした高知城英語ガイドボランティアの体験講座を開催することとしており、県内8校から24名が参加予定で、クリーン・エリザベスが寄港する19日にはちょうど高知城においてフィールドワークを行うことにもなっております。 今後も、こうした体験講座などが継続されることで、外国人観光客の案内についても高校生の活躍が期待できると考えております。プロモーションのアイデアなどを含めて、若い世代にも協力いただき、国際観光の取り組みを推進していきたいと考えております。 ◆12番(弘田兼一君) どうもありがとうございます。高校生たちにとっても、外国人のネーティブイングリッシュに直接触れるということは本当にいい体験になりますし、勉強にもなると思いますんで、ぜひよろしくお願いをいたします。 それでは、次に移ります。 1月18日、海部郡安芸郡町村議長副議長会の研修会が東洋町で開催され、私も出席をさせていただきました。研修内容は道路インフラについてであります。講師は、四国地方整備局横地道路調査官です。演題は「四国の道路 最近の話題について」で、道路関係予算や四国8の字ネットワークの整備状況と効果、道路行政における最近の取り組みなど内容の濃い話をお伺いいたしました。 私たちが一番聞きたかったことは、何といっても阿南安芸自動車道の整備状況であります。奈半利-安芸間では、昨年12月13日に第2回四国地方小委員会が開催され、現在地域への意見聴取の準備中とのことでした。きょうの高知新聞にも四国8の字ネットワークの記事が載っておりました。この奈半利-安芸間の現在の取り組み状況について土木部長にお伺いをいたします。 ◎土木部長(福田敬大君) 阿南安芸自動車道の奈半利町から安芸市の区間につきましては、昨年12月に社会資本整備審議会道路分科会の四国地方小委員会が開催され、地域の現状と課題、そして今後の意見聴取の方法などについて審議されました。この中で現状の課題として、国道55号で豪雨や越波によります通行どめが発生していることや、55号周辺の道路が脆弱であるため迂回路がない状況などが報告されております。 この審議を受け、現在国におきまして意見聴取を行う対象や聴取する内容、調査票の配布方法などについて検討していると聞いております。 ◆12番(弘田兼一君) どうもありがとうございました。 そうした状況も踏まえ、この区間の今後の展開について土木部長にお伺いいたします。 ◎土木部長(福田敬大君) 今後、意見聴取の準備が整い次第、アンケートやヒアリングによりまして地域住民や道路利用者、沿線自治体などに地域の課題や期待する道路の役割などについて意見を伺う予定でございます。その後、これら意見聴取結果などを参考に、概略ルートやインターチェンジの位置などについて四国地方小委員会で検討されると聞いております。県といたしましても、当区間の計画段階評価を早期に完了できるよう、国が行ってまいります意見聴取などに協力してまいります。 ◆12番(弘田兼一君) ありがとうございました。 野根-安倉間では、平成25年、26年に計画段階評価のための社会資本整備審議会四国地方小委員会が開催をされました。しかし、平成26年8月の台風による地すべり災害を受けて、防災評価を実施中とのことであります。高い規格の道路は、事業化までにクリアしなければならないステップがあります。野根-安倉間も8の字ルートの一部となる地域高規格道路ですので、整備するためには次のステップに進まなければなりません。 そこで、この野根-安倉間の防災評価の結果を受けて、計画段階評価の四国地方小委員会が開催されると思いますが、現在の状況について土木部長にお伺いをいたします。
    ◎土木部長(福田敬大君) 四国8の字ネットワークを構成します阿南安芸自動車道の国道493号野根-安倉間につきましては、計画段階評価を進めるために、平成25年度から四国地方小委員会で審議が行われてまいりました。そうした中、平成26年8月の台風によりまして、北川村小島地区で大規模な地すべり災害が発生しました。この493号の沿線には、小島地区以外にも同様の地すべり地形が存在しておりますことから、これらの崩壊の可能性などを調査し、その結果を野根-安倉間の整備のあり方の検討に反映させる必要が生じました。このため、防災評価として落石危険箇所や地すべりが想定されます箇所の調査を実施し、必要な防災対策を検討したところでございます。 この結果、現在利用していただいています493号の現道におきまして、落石対策や地すべりの対策などの防災工事を行うためには、多額の費用が要することが判明をしております。現在、これら現道の防災対策を踏まえて、高規格道路の整備のあり方を検討しているところでございます。 ◆12番(弘田兼一君) そうした状況も踏まえて、この区間の今後の事業化に向けた展開について土木部長にお伺いいたします。 ◎土木部長(福田敬大君) 現道の防災対策を行うためには多額の費用を要します。新たに高規格道路を整備しながら、現道の防災対策も同時に実施するとなれば、これは莫大な費用が生じることになります。このため県といたしましては、現道の機能を兼ね備えた高規格道路のルート案を検討することが現実的であると考えております。今後、この案につきまして国と協議した上で、次回の四国地方小委員会にルート帯案を提案する予定であります。四国地方小委員会での審議を経てルート帯が決まり、計画段階評価が終了すれば、都市計画決定などの次のステップに進むことになると認識しております。 ◆12番(弘田兼一君) どうもありがとうございました。私たちの暮らすこの過疎地域は、例えば何をつくるにしても、BバイCの問題があったりしてなかなか前へ進んでいかないというのが現実であります。今、土木部長のおっしゃってくれましたことは、それを突き破る手法になってくるんじゃないかと、私は思っております。過疎地域は、私たちの暮らす高知県の東部地域だけではなくて、全国あちらこちらにいっぱいありますので、そういったところでも高規格道路ができるようにしっかりと協議をしていただいて、次のステップへ進めるようよろしくお願いをいたします。 それでは、次に移りたいと思います。 2月4日の徳島新聞に、徳島、高知両県などでつくるDMV導入協議会が、2020年7月の東京五輪開幕までにデュアル・モード・ビークルを阿佐東線に導入する方針を決定、DMV車両を3台製作するなど、概算事業費は約10億円である旨の記事が出されておりました。 私も平成24年2月と平成25年2月定例会の予算委員会で、県東部地域へのDMVの導入について質問をさせていただきました。知事からは、DMVには大いに期待している、室戸岬を回る逆Cルート型の観光振興につなげることができれば県全体の活性化につながる、最大限の努力をしていきたい旨の答弁をいただきました。今回、知事を初め執行部、関係する首長さんの御尽力により現実のものとなります。 知事にお伺いをいたします。阿佐東線に導入されるDMVを地域の活性化にどのように生かしていくお考えか、改めてお伺いをいたします。 ◎知事(尾崎正直君) このDMV自体が観光資源になるという期待もあります。さらに言えば、室戸ジオパークを初めとした一連の取り組みによって観光振興を図ろうとする東部地域において、さらなるそちらの観光資源の活性化、そのよき刺激にもなる可能性があるだろうと、そのように考えています。結果として、DMVも一つのツールとして、東回りの観光ルートの確立に近づいていくことができればなと、そういう思いでございます。 そういうことで、今後導入に向けた検討が進んでいくわけでありますが、その際には先ほど申し上げたような県東部地域の観光振興など地域経済の活性化、こちらに資するようにしていくためにはどう仕掛けていけばいいかということもよくよく検討していきながら、取り組みを進めていくことができればなと、そのように考えています。 ◆12番(弘田兼一君) ありがとうございます。阿佐東線は、なかなか距離も短くて収入が上がっていない線であります。後ほどやりますけれど、こういったDMVの導入というのは、地域の起爆剤になると私は考えておりますので、ぜひよろしくお願いをいたします。 DMV導入のための事業費は約10億円ということであります。現状では、駅の改築や車両購入のための補助制度がないとのことであります。阿佐東線を運営している阿佐海岸鉄道は、沿線人口が少ない上に距離も短いために運賃収入が少なく、非常に厳しい経営が続いております。事業費は、第三セクターの会社ですから、株主の県や沿線の町村が負担することになります。財政が非常に脆弱で規模も小さい沿線町村にとっては大きな負担となります。 過疎債などの制度はあるにしても、何らかの対策が必要と考えますが、どのような対応を考えておられるのか、中山間対策・運輸担当理事にお伺いをいたします。 ◎中山間対策・運輸担当理事(樋口毅彦君) DMVの導入に関する財政支援につきましては、これまでも国に対して補助制度の創設等の政策提言を行ってきましたが、現時点ではDMV導入に係る初期投資や補修費用などに活用できる補助制度は実現しておりません。 阿佐海岸鉄道が行う設備投資に対する自治体の負担割合のルールは、徳島県側が8割、高知県側が2割となっていますが、事業費の2割とはいえ、高知県側が負担する金額は大きな金額であることには変わりはないと考えております。このほど車両製作について一定のめどがつき、整備スケジュールも固まりましたので、これまで以上に国への提言活動を行っていきたいと考えています。 その際、DMVは利用者の少ない地方の鉄道を維持するための新たな公共交通のモデルともなり得ますし、また地域公共交通の活性化及び再生に関する法律には、DMVを念頭に置いた新たな効率的な運送サービス事業の推進を図るために、国は必要な資金の確保に努めるという規定もございますので、こうしたことも根拠にしながら、徳島県などとも連携し、支援制度の創設や拡充を強く求めていきたいと考えております。 ◆12番(弘田兼一君) 徳島県とタッグを組んで、ぜひ国に対して働きかけていっていただきたいというふうに思います。 平成6年ごろだったと思います。JR北海道でDMVの走行実験が行われているという記事を、私は読みました。そのとき、私は、東部地域にDMVを導入して鉄道の空白地帯が解消できたらいいなと、そういった夢を持ちました。その夢に一歩近づいたように感じています。 現実には越えなければならない多くの高いハードルがあると思います。奈半利-甲浦間にDMVを導入するためにはどのようなハードルが想定されるのか、中山間対策・運輸担当理事にお伺いをいたします。 ◎中山間対策・運輸担当理事(樋口毅彦君) 先日開催されましたDMV導入協議会では、平成32年の運行開始時に導入する車両3両のうち2両は現行の鉄道車両の更新として、残る1両は周遊観光などの観光用途として活用することとして、中長距離の路線バスなどの用途については、次のステップでの実施を目指すという方向性が示され、合意されたところでございます。そのため、甲浦から奈半利間など路線バスとしての運行の検討はもう少し先の話になりますが、現時点での想定ということでは、運行の形態としましては、阿佐海岸鉄道がみずから運行する場合と、地域のバス会社に運行をお願いする場合などが考えられます。 想定されるハードルとしましては、阿佐海岸鉄道が運行する場合には、新たに道路運送法に基づく乗り合いバス事業の許可を受ける必要がありますほか、大型二種免許を持った運転手の確保などが必要となります。一方、地域のバス会社に運行をお願いする場合でも、場合によっては運行管理のための新たな営業所の設置など、道路運送法にのっとった対応が必要となります。また、いずれの場合でも、路線バスとして一定の距離を反復的に運行することとなれば、DMVの台数をふやす必要がございます。さらに、奈半利から甲浦間は現在高知東部交通がバス路線を運行しておりまして、それとの調整も必要となるといったことが考えられます。 ◆12番(弘田兼一君) どうもありがとうございました。奈半利-甲浦間を走らせるとなると、非常に多くの努力が沿線の町村に必要ということであります。地元も頑張りたいと、私も頑張っていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。 それから、DMVは沿線地域住民の身近な足としての役割も果たす必要があります。そのためには、路線や運行時間を地域住民のニーズに合ったものにしなければいけないと考えますが、どのような運行を計画されているのか、中山間対策・運輸担当理事にお伺いをいたします。 ◎中山間対策・運輸担当理事(樋口毅彦君) DMVは線路と道路の両方を走行できますことから、例えば自宅近くのバス停で乗車し、駅で乗りかえをすることなく鉄道をバイパス的に経由して学校や病院等で降車するといったシームレスな運行が可能となりますことから、地域住民の方の移動の際の利便性が向上するものと期待をしております。 今後、運行の計画を考えていく中では、地域住民の皆様にとって使い勝手のよいものになるよう、DMV導入協議会の場などでしっかりと検討するようにしてまいります。 ◆12番(弘田兼一君) どうもありがとうございました。地域住民の足を守るためにもよろしくお願いをいたします。 1月21日、室戸広域公園屋内運動場の落成式が開催されました。当日は、中谷前防衛大臣や岩城副知事など多くの方々が出席され、盛大に式典が行われました。東部地域の広域の防災拠点として、またふだん使いは野球やフットサルの練習場として大いに活用されることが期待されます。私がこのような施設を室戸広域公園につくりたいと当時の公園下水道課長に相談したのは6年前であります。随分時間がかかりましたが、立派な施設が完成し、本当にうれしく思いますし、地域の振興に活用していきたいと考えています。 この施設の特徴は、何といってもドーム屋根の構造にあります。大阪大学大学院今井教授の開発によるもので、ハイブリッド木造スペースフレーム工法というものだそうです。普通の間伐材を使用できることと、トラス部分の建設費用は大断面集成材の半額程度で、鋼パイプ材によるスペースフレームと同程度の低コストであるとのことであります。トラス部材の金物は株式会社山崎機械製作所室戸工場で製作したものであり、トラス部材には地元室戸日南地区のヒノキを使用しています。まさに地産地消のよい事例だと思います。知事にも対話と実行行脚でこの施設を視察していただきました。 このような工法の活用で、新たな木材の需要を生み出すことができるし、地域の活性化につなげることができると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(尾崎正直君) 私も、先月8日に見させていただいて、すばらしい工法だなと思いましたし、でき上がった建物、これだけ大規模なものを木材でつくることができるということは、これが広がっていけば非常に木材需要の拡大につながるなということを実感させていただいたところです。 今、CLTの普及促進ということに取り組んでいますけれども、要するにCLTにとどまる話ではなくて、およそ木のさまざまな建材を全国的に普及拡大していきたい、そういう中においてCLTが先行してきているといいますか、特に大規模な構造材という形で対応できるということだろうと思います。CLTの普及についてしっかり進めていくとともに、その他の木を使った建材についても普及促進を図っていくというのが、私たちの方針であります。シングルウッドパネルなんかもまさにそうだと思っているんですが、いろいろな優良な工法、これをしっかり我々として把握して、そしてあわせて対外的にこういうものの需要促進を図っていくべく取り組んでまいりたいなと、そのように考えています。 ◆12番(弘田兼一君) どうもありがとうございます。ぜひ木材の利用促進のためにも、こういった工法も1つ活用の中に入れていただければ幸いであります。 この屋内運動場の完成で、室戸マリン球場は野球のキャンプ場としてのポテンシャルが大幅にアップをいたしました。15年ほど前になりますが、阪神タイガースの1軍が安芸市営球場、2軍が室戸マリン球場で春のキャンプを張ると、そういった時代がありました。 私は室戸マリン球場でのプロ野球春のキャンプを復活させたいと考えています。そのためには、球場のポテンシャルだけではなく、周りの環境が大切だと考えますが、観光振興部長にお伺いをいたします。室戸マリン球場に再びプロ野球を誘致するためには何が不足しているのか、お伺いをいたします。 ◎観光振興部長(伊藤博明君) プロ野球の春季キャンプを誘致するためには、練習施設と受け入れ体制の両面で競合する他地域より優位に立つ必要があると考えております。 室戸マリン球場においては、このたび屋内練習場が完成し、キャンプ誘致に必要な野球施設は整ったと考えておりますが、現在春のキャンプ時期には複数の大学硬式野球部の合宿により野球施設がフルに活用されておりますので、そうした大学との利用調整を行うことも必要です。 また、受け入れ体制の面では、キャンプ中における地元でのサポート体制など、球団に対する人的、財政的な支援策が求められますが、現在のところは地元において、まだこういった具体的な検討までは進んでいないのではないかと思われます。 ◆12番(弘田兼一君) ありがとうございました。高いハードルは予想されておりますんで、これからも地道に取り組んでいきたいというふうに思いますので、御指導のほどよろしくお願いいたします。 次の質問に移ります。 国会などで、よい意味での高知県の話を取り入れてくれるのは、県民にとってうれしいことだと思います。安倍首相は昨年の自民党大会で、高知県の有効求人倍率が1.0を超えたことと、現在開会中の通常国会の施政方針演説で、野中兼山がハマグリを放流した逸話を取り上げてくれました。私は、時の首相が高知県のことを取り上げてくれたことがうれしかったし、誇らしく感じました。 しかし、高知新聞の1月21日付、「高知はハマグリ乏しい 首相演説「今も兼山の恵み」ウソ!?」という記事を見て、私は非常に残念な気持ちになりましたし、またレッテル張りの記事かと思いました。 確かに、現在の高知県下のハマグリの水揚げ量は少ないかもしれません。しかし、この逸話の一番の肝となる部分は、自分たちの子供や孫のために、未来を開くために今何をするかというところにあります。野中兼山は私たちに多くのものを残してくれました。同僚の加藤漠議員は、野中兼山のつくった室津港が室戸台風から多くの地域住民の命を守ったことを紹介してくれました。そのほかにも、手結の港や室戸岬漁港などが兼山のつくったものであります。それらの港は、今も現役で地域の人たちに使われております。私たちは十分、野中兼山の恩恵を受けていると思います。 この件については、知事も既にいろんな場面で意見を述べられていると思いますが、いま一度知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(尾崎正直君) まさに総理の施政方針演説で、土佐の偉人が取り上げられた、野中兼山のことが取り上げられたというのは本当に誇らしいことでありまして、私としても大変うれしく思ったところであります。この演説のキーワードは、末代までの土産という言葉なのだろうと思います。今いっとき我慢しても将来のことを思って行動していく、そういう精神というのは非常に大事なことだと思いますし、まさに今求められていることを土佐の逸話としてお話をしていただいたということは、本当に我々として誇らしく、またありがたく思いました。ちょうど幕末維新博が始まろうとするときでありましたから、土佐の歴史に全国的な脚光が集まればいいなと、いい機会になったなと思って私も喜んだところでありました。 また、確かにハマグリの量、近年少なくなっているということではありますけれども、しかしながら、このハマグリを大事にしていこうとして、黒潮町の入野の浜では放流事業が行われ自然再生も視野に入ってきたという状況だと。この演説によって、僕はてっきり黒潮町のハマグリの話をどんと報道してくれて、全国で有名になって黒潮町の入野の皆さんが喜ばれると、ハマグリを放流していてよかったねという話になるんだろうと思っておりましただけに、残念でしたね。そのように思います。 ぜひ、末代までの土産、私たちはこのキーワードを改めて思い起こして、今後の政策展開なんかでも一つの旨としたいと思いますし、またこういう形で歴史を取り上げてもらったという逸話を、今度私たちもしっかりといろんなところでお話をしたいものだなと、そういうふうに思いました。 ◆12番(弘田兼一君) どうも知事、ありがとうございました。この記事を見て、野中兼山の功績がおとしめられたように感じたのは、私だけではないと思います。 この野中兼山のハマグリの逸話は、例えば南国市の小学校で学習する社会科の地域教材、南国市のくらしの中で取り扱われています。また、高知県人物読本、土佐の巨星の中でも紹介されています。 私は、子供たちに土佐の偉人の話を読み聞かせることは、子供たちの人格形成のためにとても大切なことだと思います。野中兼山のハマグリの逸話は、道徳的な価値も高く、また郷土を誇る心情を育てる上でもよい話であると思います。このようなことから、この話を本県の道徳教育の教材とすることを提案いたしますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 野中兼山は、お話にもありましたように、県内全域で後代に残るような大きな業績を残されたということで、本県を代表する偉人ということであろうと思っています。そういうこともございまして、現在も道徳教育用のハンドブック、高知の道徳に取り上げさせていただいております。来年度改訂を予定しておりますので、お話のあったことも含めて、どういった形で盛り込むかというようなことも検討させていただきたいと思っております。 ◆12番(弘田兼一君) ぜひよろしくお願いをいたします。 私が通告をさせていただいた質問は以上であります。 私は昭和32年生まれの60歳であります。執行部席に座っておられる方の中にも私の同級生がいて、最後の議会を迎えられておるということであります。味元部長、福田会計管理者、高校の同級生であります。長い間友人として県庁生活、あるいは私が議員になってからも友人としてつき合っていただきました。それから、岡崎部長、御苦労さまでした。福島局長、私が東京事務所時代に一緒に省庁を回った仲間であります。それから吉村局長、本当に御苦労さまでした。皆さん、次のステップに向かわれて、これまでの経験を生かされて、また残された後輩たちに知見を伝えていただいて、ますます高知の発展のために尽くしていただければ幸いであります。 これで、私の一切の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(武石利彦君) 以上をもって、弘田兼一君の質問は終わりました。 ここで午後3時50分まで休憩をいたします。   午後3時44分休憩-----------------------------------   午後3時50分再開 ○議長(武石利彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 依光晃一郎君の持ち時間は55分です。 14番依光晃一郎君。 ◆14番(依光晃一郎君) 質問者の最後であります。弘田議員にしっかり締めていただきまして、ある意味お呼びでない感もありますが、しっかりやらせていただきますので、よろしくお願いいたします。 本日は高知県、そして市町村のハード整備をテーマにして質問させていただきたいと思います。 そして、その前提として、まず私の市町村行政に関する考察を述べさせていただきます。戦後の復興期からバブル経済まで、日本の人口がふえていく局面では、行政の仕事は、時代時代の課題に対応する業務を追加しながら、使える予算、人員をふやしつつ、住民ニーズに最大限応えていくというような、今から考えれば比較的やりやすい仕事環境じゃなかったかと思います。また、政治家の役割は陳情処理型ということで、例えば、道路を整備してほしい、橋をかけてほしいという要望に対して、国や県に話をして事業を進めていけば、住民の思いに応えることができたのだと思います。 一方で、バブル経済崩壊後は、経済の落ち込みが人口の減少とも相まって、税収が拡大していくことは望めなくなり、限られた予算の中で優先順位をつけて事業を進めていくという時代となりました。さらに、産業構造の劇的な変化は人口の移動を促し、地方から都会へと人材を送り出しました。1次産業を主体とした山漁村の人々が、2次、3次産業が盛んな都会へ移り住むという人の流れです。 この人口の変化は、特に中山間地域の市町村においては、行政の仕事を大きく変えます。戦後の復興期の中山間地域は人口も多く、その人口が今後も続くことを前提にしてまちづくりが行われ、ハード整備も、今から考えれば過大な投資になっている場合もあります。例えば、廃校となった立派な校舎を持つ教育施設、狭地直しを行い立派な水路を整備した田畑が耕作放棄地となっている事例などです。 私はこういった積極的な投資を批判しているのではありません。当時の政治家、行政担当者は将来の地域の発展を見越して投資していたのであり、その当時においては妥当な判断であったと思います。むしろ、一見無駄に終わったように見える投資を、当時の行政担当者が人口構造の変化を見抜けなかったから悪いということで議論を終わらせるのではなく、当時の先人の思いを受け継いで、使えるものはさらなる投資をしてでも有効活用する、知恵を出して地域の発展を考えていくという意欲が重要だと思っています。私も含め、このような時代に仕事をしなければならない政治家は、陳情処理型ではもはや存在価値がなくなり、長期的な人口構造の変化、財政状況も見ながら知恵を出して、地域のビジョンをつくり上げる仕事が求められているのだと思います。 さて、市町村のハードに関する計画づくりという点では、平成26年4月に、総務省が公共施設等総合管理計画の策定を全国の自治体に要請しております。私は、この計画づくりは非常に重要なものであると考えています。なぜこの計画が重要であるかといえば、公共施設の建設というのは多大なお金がかかる事業であり、建てた後の運営経費、修繕費など、長期にわたり費用が発生し続けます。また、高度経済成長時代に建てられた建物が現在一斉に老朽化しており、市町村においては、将来の住民負担を過大にふやさないように、長期的な視点に立って、こういった施設をどうしていくのかという計画をつくらなければなりません。 高知県においても公共施設等総合管理計画の策定について取り組んでおられますが、高知県の現状の計画の進捗について総務部長にお聞きをいたします。 ◎総務部長(梶元伸君) お尋ねの公共施設等総合管理計画につきましては、現在執行部としての案を取りまとめたところでございます。 計画案の内容としては、まず公共施設等の現在の状況を整理した上で、国から示された単価を用いまして、今後30年間の更新費用の推計をしております。その上で、財政負担を軽減、平準化するとともに、公共施設等の最適な配置や有効活用の実現を目指すための全体の基本的方針、あるいは施設類型ごとの基本方針を定めております。その中で、計画の目標といたしまして、今後原則として、行政財産である建築物については、現在計画をしている事業による増加分を含む保有総量を上限として、それ以下に抑制することですとか、ライフサイクルコストを可能な限り最小化することという目標を掲げております。 この計画につきましては、今議会の総務委員会で御報告をさせていただいた後、パブリックコメントを実施し、議員の皆様、県民の皆様からいただいた御意見を踏まえまして、3月末までに策定をさせていただきたいと考えております。 ◆14番(依光晃一郎君) ありがとうございます。 同じように、現在の市町村の公共施設等総合管理計画策定状況について総務部長にお聞きをいたします。 ◎総務部長(梶元伸君) 最新の総務省の調査基準日でございます昨年10月1日現在で、高知市、南国市、田野町、佐川町において策定が完了しております。また、3月末までには全ての市町村で策定が完了するとお聞きをしております。 ◆14番(依光晃一郎君) ありがとうございます。本年度内に県内全ての市町村で公共施設等総合管理計画が策定される見込みということですが、公共施設等のマネジメントという面ではスタートラインにようやく立った状況ではないかと思います。 総合管理計画の中で、公共施設等の現状把握と、施設全体の管理の基本的方針は定めたとして、これから個別施設ごとに老朽化の度合いや利用の見込みを加味して、今後も維持するのか、統合や廃止をして壊すのかといった個別の検討が必要になります。壊すのか、維持するのかを考える際には、将来にわたって必要なのか、数年間は維持してその後壊すのかという決定をしなければなりません。さらに、維持するというのであれば大規模修繕するのか、建てかえるのかを考える必要があります。 市町村の御苦労には、技術的なことはもちろんですが、それ以上に心情的な難しさもあるのではと思います。学校施設の場合、子供の数が減っていく中であっても、学校の統合や休校というのは住民の理解が得られにくく、現実を見据えた将来像を示すということにはエネルギーが要ります。 高知県内では、高知市、南国市、田野町、佐川町で公共施設等総合管理計画が策定されているとのことですが、市町トップのリーダーシップによるところが大きいのではと感じます。公共施設等総合管理計画策定には、どうしても規模縮小が避けられないので、政治のリーダーシップが重要となります。また、市町村議会の議員が議論をリードして、住民を引っ張っていくようなことができれば、行政側の負担も軽減されるのではと思います。 国は、公共施設等総合管理計画策定についての支援ソフトを提供しています。建築後50年たった施設を建てかえが必要な建物として、施設の面積に単位面積当たり建築費を掛けて、棒グラフであらわすというものです。具体的に言えば、例えば、来年建築後50年の建物が香美市に1つ、再来年には1つあります。現在の面積を維持して建てかえるならば、来年は◯億円、再来年は◯億円予算が必要ですというように、今ある施設の数だけ、50年後までの建てかえ費用が明示されるようになります。つまり、今ある公共施設を今の規模で建てかえると、毎年どれだけの建設費が必要かということが見える化できます。 公共施設等総合管理計画を見れば、公共施設などへの投資に使える将来の年間予算というのは、過去の実績に基づいて自治体ごとにわかるので、とてもじゃないけれど全ての公共施設を同じ規模で建てかえることは不可能であるということが一目瞭然になります。 そこで、私は、この公共施設の規模縮小に向かわざるを得ない難しい課題に対して、議論のたたき台となる、各市町村の公共施設等総合管理計画及び個別施設計画を県のホームページ上で公表し、住民や各市町村議会議員の皆さんが見ることができるようにすべきと考えますが、総務部長にお聞きをいたします。 ◎総務部長(梶元伸君) 公共施設等総合管理計画は、住民サービスの提供拠点であります公共施設のマネジメントについて、その長期にわたる方針を定めたものでございます。このため議会はもちろん、広く住民に公開するということが適当と考えておりまして、各市町村に対しては計画策定後に公表するように助言をさせていただいております。 さらに、御指摘にありました県のホームページにおきましても、各市町村の公共施設等総合管理計画を一覧の形式で閲覧できるようにさせていただいておりまして、公開準備の整った市町村から順次掲載しております。今後、策定が進む個別施設計画についても、県のホームページから各市町村の計画を見られるようにしたいと考えております。 ◆14番(依光晃一郎君) 公共施設等総合管理計画、全ての市町村で計画ができるということなんですけれど、私の感覚では、本来は、個別の施設を統合するしないということが決まって、初めて数値目標が出るんだと思うんです。これからの議論は、逆に数値が先にできています。コンサルに結構丸投げもあるような話も聞きました。そのコンサルが出してきた数字に実態を合わせないといけないというのは、多分おかしい話だと思います。そういう意味でいくと、数値目標ではなくて、住民本位の前提で議員とかが議論できるようにということで、なかなか今までやったこともないところなので、そこら辺の議論をぜひとも、また県としても支援していただきたいと思います。 私は、公共施設等総合管理計画においては、議会のチェック機能が非常に重要であると思っています。しかし、現状は、議員定数の削減により、建築に精通した議員に関して心細い状況ではと思います。そういった状況の中で、これくらいの建物はこれくらいの設計費用であるというような、建物の適正単価の推計額がわかるような仕組みがつくれないかと思います。 さて、ここで香美市に起こった公共施設に関する出来事について御紹介をいたします。香美市土佐山田町にある鏡野中学校では、武道館とプールの建てかえを決めました。武道館は、現在グラウンドに単独の建物としてあり、プールは、中学校の敷地から歩いて数分の場所に屋外プールとして設置されています。特に、プールは道路に面しており、女子生徒さんが泳いでいるのが丸見えということが昔から指摘されておりました。 そこで、香美市教育委員会は、プールを屋内プールとして武道館と合築の方針を決定し、卓球場とあわせて整備することとしました。この建物の概算見積もりは5億6,414万8,000円、コンクリートの2階建てで、1階の床面積が1,620平方メートル、2階が1,267平方メートル、合計2,887平方メートル、坪単価に直すと、5億6,414万円を875坪で割って、坪約64万5,000円の建物です。この武道館、プール合築の建物が、詳細設計後に、昨年の香美市9月市議会にて増額補正が組まれました。内容は、設計監理委託料が218万円の増額補正、また本体に至っては5億4,714万円の補正予算となりました。5億6,000万円で建てようとした建物が、倍の11億1,129万円になったということになります。 香美市議会が通した予算ですし、私がとやかく言う筋合いではないかもしれませんが、将来の財政負担をコントロールするという、さきの公共施設マネジメントの考え方からいえば、年間予算約150億円の香美市において、5億6,000万円余の追加費用は大きな負担ですし、屋内プールの維持管理費用も考えれば、将来にわたって負担が発生するという点でも非常に残念に思います。もし、坪単価への基本的な基準があれば、もう少しチェック機能が働いたのではと思います。 建物の坪単価というものは、県内事例、県外事例をあわせれば、施設ごとの平均的な額は簡単に調べることができます。香美市の事例で言えば、武道館とプールという機能が全く違うものをくっつけたために、かえって平均的な坪単価よりも高くなったのではと思います。敷地の制約や工事の際の進入路の問題など、建物本体の工事とは別に発生する費用は除いて、純粋な建物だけの建設費について県内事例を集めた、県内平均坪単価というのは記録できるのではと思いました。香美市の例をとれば、武道館とプール、卓球場を合築で建てるということにしましたが、例えば、それぞれを単独に建てた場合の坪単価と維持経費、また合築した場合に削減できる坪単価と維持経費というようにシミュレーションができたなら、建設費が当初見積もりの2倍になるというような極端な事例は回避できたのではないかと思います。 高知県の市町村にとって、公共施設を建てるという業務は頻繁にあるわけではなく、行政職員が経験を積むということは非常に難しいことと思います。そういう意味では、県内にある公共施設の建設坪単価とメンテナンス費用がわかる情報一覧システムがあれば、住民、議員を入れた検討委員会を行う場合でも役に立ちますし、行政職員にとっても、今後の公共施設等総合管理計画をつくる際にも役立つと思います。 そこで、課題解決先進県である高知県が、国に先駆けて、類似公共施設の坪単価及び毎年かかるメンテナンス費用を公表する仕組みをつくるお考えはないか、総務部長にお聞きをいたします。 ◎総務部長(梶元伸君) 類似公共施設の面積当たりの単価につきましては、総務省が公開しております、先ほど議員の御指摘もありました更新費用試算ソフトの中で、例えば、市民文化系施設、スポーツレクリエーション系施設といった、公共施設等の大きな区分ごとに、建てかえ、大規模改修の1平方メートル当たりの単価、例えば市民文化系施設の建てかえですと、1平方メートル当たり40万円ということが示されておりますので、市町村の皆様にとって大まかな参考にできるのではないかと考えております。 一方で、御指摘いただいたメンテナンス費用については、国からの参考値はありません。このため県が作成する必要がありますけれども、仮に市町村の皆様からデータを提供していただいても、施設の事情に応じて同じ床面積でも大きく異なるということが想定されますので、なかなか標準的な費用を算出するための分析は難しいのではないかと思っております。必ずしも市町村の施設の標準ではないのかもしれませんが、県の施設を材料に、メンテナンス費用というのはこれぐらいかかるということを整理した上で市町村にお示しするということについて、研究をさせていただきたいと考えております。 ◆14番(依光晃一郎君) 前向きな答弁、ありがとうございます。県の施設の大体の坪単価というのは非常に参考になると思います。 それで、自分も、先ほど御紹介があったソフトの坪単価を見ましたときに、スポーツレクリエーション系施設というのが36万円、これが解体費を含むとなっています。香美市が60万円を超えていたということで、この時点で高いんですけれど、可能性として例えば、東京であったりとかだと、大手ゼネコンがあったりとか、技術力であるとか、建築資材の輸送コストであるとか、また人件費であるとかは、多分違うと思うんです。この計画自体が、全国一律の総務省のソフトということですけれど、高知県が先駆けてということであれば、多分地域ごとに建設業の力の差もあると思いますので、そこの辺もあわせて、ぜひ研究していただきたいと思います。 次に、建築、電気に関する行政人材の不足についてお聞きをいたします。市町村が発注する公共施設の発注業務を行う際には、公共施設ごとの市町村担当部局の職員さんが、建築に関する部署の協力を得て計画づくり、発注業務を行います。一方で、高知県内の市町村においては、発注業務に精通した職員さんをきちんと確保しているという自治体は少ないのではないかと思います。 まず前提として、行政技術職とか技術職員という際に、土木と建築、そして電気に関して明確に区別することは余りないと思います。これまでも、市町村の技術職の養成について、県議会でも議論がなされているところですが、この議論は、南海トラフ地震に備えたインフラ整備や建設業活性化の視点から、主に土木職に関する議論が多かったのだと思います。 一方で、私が今回取り上げさせていただきたいのは、建築、電気に関する技術職についてで、育成というよりは、技術職がいない前提でも行政事務が行えるような支援についてです。さきの香美市の事例の問題点は、香美市に建築に精通した職員がいないということであり、議会も、専門性が高い設計に関する部分のチェックはできなかったということだと思います。また、一般的に、建築物にはデザインと機能という2つの評価があって、このバランスをいかにとるかという視点が重要となります。デザイン的にはすぐれていても、実際に使う場面では使いづらいということがよくあります。また、デザイン的な特徴ゆえに、建設費用が増大したり、将来的なメンテナンス費用がふえたりということもあります。デザイン性と、メンテナンス費用を含む機能性のバランスをどうとるかということに関しては、素人では判断が難しく、専門家からのアドバイスを得られる仕組みができないかと考えるところです。 建築士さんに、個別の公共施設について意見を聞くと、少しの設計変更で建設費が大幅に下げられたこと、またメンテナンス費用を低く抑えられる工夫があったのにというような話があります。例えば、窓ガラスを考えた場合、足場を組まないと掃除できないのか、安全に外から掃除できる手段があるか、またそもそも窓ガラスが汚れないような建築上の工夫があるかなどという視点です。 現在では、詳細設計の入札が終われば、その設計士が全ての責任を負い、完成までは誰も口を出すことができません。しかし、新しい公共施設が建設された後になって、使う住民からの不満が出るというのはよくあることです。構想の立案、基本設計、詳細設計、工事発注後の微調整と、段階に応じて、参考にするしないは受注業者が最終判断をすることにした上で、設計士さんが物申すことができる仕組みをつくることは、住民のためにも、将来の業界の発展にも有益ではと思います。 そこで、今回の香美市の事例のような概算見積もりの誤りを防ぐために、状況によっては、日本建築家協会四国支部高知地域会や高知県建設技術公社など、専門的な外部チェック機能を活用することが必要となる場合もあろうかと思いますが、その前に、体制が脆弱な市町村において、同じような失敗を繰り返さないようにするためにも、市町村の建築に関する発注業務に関して、まずは県から十分なサポートを受けることができるような環境づくりをすることが必要であると思いますが、土木部長にお聞きをいたします。 ◎土木部長(福田敬大君) これまで、県におきまして相談窓口を設けて、市町村に対し、公共建築工事の積算基準や入札の不調、不落に関するアドバイス等を行ってきております。また、公共建築に関します市町村からの求めに応じて、調査の基本設計に関するプロポーザルの審査員や調査検討委員会のアドバイザー等も務めております。また、国におきましても、各地方整備局に公共建築相談窓口を設け、市町村等からの公共建築に関する相談に応じているところでございます。 今後は、これまでのこのような対応に加えまして、市町村の建築工事の発注に必要な情報収集を支援するために、営繕業務に関する県と市町村の担当者会議を開催したいと考えております。この担当者会議では、県からの、営繕業務に関する情報提供、事例の紹介のほか、担当者が自由に意見交換を行う場を設けるなど、失敗を未然に防止するための情報も含めて共有を図ってまいりたいと考えております。担当者会議を通じて、県と市町村の担当者の連携が深まり、市町村が県へ相談しやすい環境づくりも図ってまいりたいと考えます。 ◆14番(依光晃一郎君) 前向きな御答弁で、担当者会議というのは非常に重要だと思います。この香美市の事例で言いましたら、教育委員会が所管として発注したということですんで、例えば教育委員会の担当者の方も、建築課というところの職員さんだけじゃなくて関連するところも、ぜひ行っていただきたいと思います。 この問題は、香美市で地元ということで自分なりに調べさせてもらったんですけれど、結構いろんなところであるんだと思います。例えば、国のオリンピック、国立競技場もすごいデザインで、結局、変更になったというようなことから、国においてでさえやっぱり起こり得ることなんです。大きい建物を建てて、それが後から負の遺産にならないようにということで言えば、やっぱり、自分は、ある意味、業界内の取り組みとして、高知の建築士さんはそんなことは全くないというようなサポート体制まで行けばいいなと思っています。なかなかチェックとかというと難しいことだとは思うんですけれど、何か日々の情報交換とか、そういう発注を受けた前の段階とか、いろんなことで防いでいくしかないのかなと思いますので、またぜひとも担当者会議を成功させていただくように、よろしくお願いいたします。 次に、公共インフラのメンテナンスについてお聞きをいたします。県や市町村は、道路や河川などの公共インフラについても今年度末までに公共施設等総合管理計画を策定し、各施設管理者が、管理計画に基づき、橋梁やトンネルなど個別施設の長寿命化計画を平成32年度末までに策定することとされています。長寿命化計画の策定後は、各施設管理者が、計画に基づき、予防保全の観点から橋梁などの施設を計画的に修繕し、トータルコストの縮減に取り組むこととしております。このように、今後公共インフラは整備からメンテナンスに移行し、長寿命化計画に基づく施設の修繕業務が多くなると考えられますが、これらの業務を行う市町村の技術職員は、橋梁などのメンテナンス業務の経験が少ないのが実情です。 修繕業務を適正かつ効率的に実施するためには、メンテナンスに関する知識や技術の習得が必要と考えますが、市町村支援の今後の取り組みについて土木部長にお聞きをいたします。 ◎土木部長(福田敬大君) 県内に、市町村が管理をいたします橋梁は現在1万167橋、トンネルが84カ所ございます。これらの施設の長寿命化対策として、計画的な維持管理に努める必要があります。このため点検、診断、修繕を実施するメンテナンスサイクルをしっかりと回していくことが重要でございますが、議員御指摘のとおり、市町村において業務経験の少ない技術職員が多く、これを補うための専門知識や技術の習得が課題となっております。 これに対応するため、平成26年7月に国、県、市町村等で構成します高知県道路メンテナンス会議を設置いたしまして、長寿命化対策を実施するための課題の解決策等につきまして、関係者で情報を共有していく取り組みを行っております。このメンテナンス会議では、技術支援の一環といたしまして、市町村職員が橋梁の点検技術を習得できる研修会を開催し、これまでに28市町村から延べ約130人の方に受講していただいております。また、国や県それぞれが主体となりまして、この橋梁の修繕の工法を選定するための技術講習会も開催しておりまして、これにつきましては26市町村から延べ約350人の方々に受講していただいているところでございます。 今後は、トンネルなどの構造物につきましても、国が実施しますこの研修や県が行う点検・修繕業務に参加していただくなど、市町村職員が経験を積むことができる機会を積極的に設けて、メンテナンスに関する知識や技術の向上に努めてまいりたいと考えます。 ◆14番(依光晃一郎君) 踏み込んだ対応をやっていただいているということで、ありがとうございます。これからは、公共施設等総合管理計画との整合性というところも、またポイントになってくるかと思いますので、そういう点でもよろしくお願いします。 次に、指定管理者制度についてお聞きをいたします。高知県は、公共施設の運営に関して、行政コストの削減と利用者サービスの向上を目指した指定管理者制度について、改善の検討を進めていると聞いております。私も、指定管理者の公募について、現行の、管理者しか応募がないという事例が多くなっているというのは、民間の力を呼び込むための仕組みが弱くなっているのではと思い、危惧するところです。 県は、県内事業者と県外事業者がグループで応募できる仕組みづくりや、事業者が応募する際の事業計画の見込みが立てやすくなるように、現状の利用状況や管理状況、また収支状況を示し、あわせて施設運営に必要な人件費や管理費の参考となる管理代行料の上限額の積算根拠も掲載することなど、改善に向けた努力を行っております。また、応募者からの事業提案を受け入れ、すぐれた提案に関しては一定額を管理代行料に上乗せする仕組みも導入することを検討しているということで、私はこの一連の改革に期待をしております。 そこで、例えば、指定管理者を募集する際に、応募者から古くなった設備を新たに更新するなどの提案を受け付けることで、新たなお客さんを呼び込み、収益を上げて利用者の満足度も上げることができるのではないかと思いますが、県は、指定管理者募集の際に、応募者から、設備の更新も含め、より幅広く事業提案を受け入れるお考えはないか、総務部長にお聞きをいたします。 ◎総務部長(梶元伸君) 指定管理者の募集に当たりましては、できるだけ多くの事業者の皆様に応募をしていただきまして、さまざまな御提案を通じて県民サービスの向上につなげていくことが重要でありまして、今さまざまな見直し、改善に取り組んでいるところでございます。 一方、公の施設における施設や設備の更新については、設置者である県の役割でございます。県において、その必要性を判断し、管理代行料とは別に予算措置を講じるべきものでございます。指定管理者には、一定の管理代行料の範囲の中で、利用者によりよいサービスを提供していただくという役割を担っていただいておりますので、指定管理者の選定に当たりましては、現在の施設の効用を最大限発揮できるような管理運営についての御提案をいただいた上で、指定管理者の候補を選定することにしております。このことは、今後も変わりはないと考えております。 しかしながら、応募に当たってはもちろんのこと、指定管理期間開始後も、利用者サービス向上のために、設備の更新を含めてさまざまな御提案をいただくことは、設置者である県にとって有益であると考えております。指定管理者の候補者選定の審査における加点の要素とはならないんですけれども、応募に際して、設備の更新を含めて幅広く御提案をいただけるような工夫をしていきたいと考えております。 ◆14番(依光晃一郎君) 一連の工夫、改革によって利用者の便益が向上する、本当にいい施設が高知県にたくさんある状況をぜひとも知っていただきたいと思います。 次に、市町村にある県、市町村の教育関係施設の有効活用についてお聞きをいたします。私は、これまでも集落をどう残すのかということで議論させていただいておりますが、その集落の中心にある学校の施設に関して、もう少し知恵を絞れないかと考えております。国は、少子化に伴う児童生徒数の減少により生じた空き教室に関して、積極的な有効活用を自治体に要請しています。また、その中で、放課後児童クラブや保育所、社会教育施設等への活用事例を紹介しています。高知県においても「高知県地域による教育支援活動 運用の手引き/モデル事例集」を作成して、高知県内の先進事例を紹介し、学校支援地域本部事業や放課後子ども教室、放課後児童クラブなどの活動が活発化しております。 香美市においては、物部町の大栃保小中学校支援地域本部が紹介されており、平成29年度からは物部コミュニティ・スクールとしてさらにパワーアップをいたします。この学校と地域と家庭の3者を結ぶ取り組みは、昨年7月には知事にも、対話と実行行脚にて御視察いただいたところです。この頑張る大栃地域の保育園、小中学校の取り組みが地域の活性化につながればと願うところです。 一方で、昨年夏に、大栃中学校、小学校それぞれのPTA会長に大栃保育園の保護者会長、3名の連名によりまして、物部町・地域存続に関するアンケート調査が、保護者と地域住民それぞれを対象に行われました。そのアンケート用紙には、香美市人口ビジョンの推計結果を載せておりまして、2016年3月の物部町の人口2,016人が、2060年には367人になるという推計を示し、どうやって学校を残すかという問題意識を保護者が強く共有していることがわかります。そして、具体策として、高知市の土佐山学舎のような小中一貫校の設置や山村留学制度などについても聞いています。結果は、小中学校を必要とする保護者は72.6%、地域住民は67.14%ということで、若い世代のほうが残したいという意欲はありますが、地域住民に関してはもはや諦めている方も多いように感じました。 大栃小中学校存続に関しては、若い子育て世代にいかに物部町に住んでいただくかが大事であり、大栃小中学校の生徒さんの学力の高さや成長ぶりを見ていただいて、ぜひとも物部町に住みたいというような方々を呼び込むことができないかと考えるところです。理想を言えば、空き教室をシェアオフィスにして、お父さんは仕事、子供は教室で勉強というような、親子で人を呼び込めるような一歩踏み込んだことができないかと思います。子育てに関心を持つお父さんプログラマーの、子供と同じ建物で仕事をしたいというニーズをかなえる生徒募集の方法です。 また、文部科学省はプログラミング教育についても検討を始めていますが、プログラミング教育について実証実験を検討している民間企業を大栃小中学校の余裕教室に誘致して、プログラミング教育の実践校として、学校の生き残りをかけた取り組みができないかと考えるところです。 県は余裕教室の民間企業の利用についてどう考えるか、教育長にお聞きをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 学校の余裕教室を活用するに当たりましては、児童生徒などの安全及び教育環境の配慮が十分に行われることなど、学校教育の円滑な実施に支障が生じないということが前提でございまして、加えて地域の皆様の理解が得られるということが重要だと考えております。そういったことから、現在では放課後児童クラブなどの利用が多いというふうに承知をしております。 お話のありましたように、その地域の振興とか、あるいは学校教育との連携も行うということで、企業の利用ということは積極的に考えることができるというふうに思っておりますけれども、その際には、やはり先ほど申しました地域の皆さんの御理解をいただくということと、加えまして、児童生徒と出入り口を分けるなど、行き来を制限するような条件整備といったようなことは特に求められてくるというふうに思っております。 ◆14番(依光晃一郎君) ハードルが高いということやと思います。地域の理解であったりとか生徒の安全ということは一番重要なことであると思います。本当に、議論としては自分も続けていきたいというところで、やっぱり学校を残すために一歩踏み込んだというところでいったら--大栃小中学校を私も本当に残したいと思っていますし--そのときにそういう学力の高さと、プログラミング教育の実証というようなことで、例えばサテライトの部屋を使えるとか、来年度から、県も産業創造課というのをつくって、IT教育、コンテンツ産業の育成、プログラミング教育、ぜひそういうところでも、例えば大栃の生徒さんがそこで学んで、そして都会で勉強して、また大栃に戻ってくるという流れもできるんだと思います。だから、そういう意味でいったら、例えばそこで人脈づくりにもなったりとか、そういうところまで踏み込まんとだめかなというふうに思っています。 それとまた、利益を追求する企業ですから、わざわざ大栃小中学校に来るという企業はそれなりの思いを持ってくるような気もします。また、PTAに絶対参加してもらうこととか、そういうことをやれば、例えば学校地域協働本部事業でかかわってくれる香美市内、物部町の企業はあるわけですので、学校に対してすごく協力的な企業がたまたま学校の教室を使っているということであれば、そんなに違和感はないのかなと思います。ちょっと自分も提案ということですけれど、ハードルが高いこともよく承知していますが、またそういう思いで質問させていただきましたので、よろしくお願いします。 先ほどは民間企業の学校への入居事例ということでしたが、総合型地域スポーツクラブの入居はどうでしょうか。高知県は、来年度から、スポーツ課を新設し、競技力の向上、生涯スポーツの推進を目指し、あわせてスポーツツーリズムによる交流人口の拡大も目指しています。 私は、スポーツの普及に関して、県内でも設置が進んでいる総合型地域スポーツクラブについて期待するところです。例えば、体育館に総合型地域スポーツクラブが入り、土日と夕方の時間の体育館の利用についての管理や、学校が使っていない平日の時間帯に、高齢者の体操教室を空き教室や体育館で企画するなど、地域の方が気軽に学校に来れる体制をつくります。また、物部地域を例にすれば、塩の道という、赤岡までの山道を走るトレイルランニングやサイクリングイベントなど、地域のスポーツツーリズムを引っ張る存在になっていただきたいと思います。そして、スポーツツーリズムの事務所機能が学校にあることを知った子育て世代が、学校の取り組みにも興味を持ち、大栃小中学校に入学してくれるなど、親御さんとの接点をつくることもできるのではと思います。地域のスポーツへの取り組みを総合型地域スポーツクラブに位置づけ、地域の拠点である学校に事務所を設置していくことは、意義があることと思います。 そこで、総合型地域スポーツクラブを通じた地域活性化に対する期待について教育長にお聞きをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 総合型地域スポーツクラブは、全ての年代を対象として、多様な種目や、志向に応じたスポーツ活動を実施するとともに、スポーツとスポーツ以外の活動を組み合わせて企画を行うようなことなども含めまして、地域の事情に応じたさまざまな活動を行っております。こうした特徴を生かしまして、学校の施設を有効利用することができれば、中山間地域や過疎地域においても、交流人口の拡大につながるようなイベントや、生きがいづくりにつながるスポーツ教室など、地域の実情に応じた取り組みを実施することが可能であるというふうに思っております。 さらに、現在県が行っております、複数の市町村や総合型地域スポーツクラブが地域の枠を超えて連携をし、スポーツに関する課題を解決しようとする、スポーツを通じたエリアネットワーク事業などを通じて、総合型地域スポーツクラブの活動が広がり、地域の活性化につながるといったことも期待できるのではないかというふうに考えております。 ◆14番(依光晃一郎君) 済みません。確認ですけれど、このスポーツクラブが学校に事務所機能を置くということはできるのかできないのか、そこだけ端的にお願いします。 ◎教育長(田村壮児君) そのこと自体は可能だと思います。ただ、先ほど申しましたような形で、教育に支障がないという配慮が必要だというふうに思いますけれども。 ◆14番(依光晃一郎君) 入れるということで、民間企業ではないんで入れるのかなというところですが、自分、県外の事例とか見ていると、体育館の用具室を改造して、事務所機能があるというのを見ました。それができれば、よく学校と地域が一緒になってやるというところで、学校地域本部事業とかも見ますけれど、やっぱり何かがないといけないということで、学校側の先生とかが連絡をして、来てもらってというようなことで、逆に地域の住民の方も、呼ばれないとなかなか行けないというところもあると思います。 ただ、スポーツクラブであれば、いつ行ってもいいというか、入り口とかをどうするんかという安全面の配慮はあるかと思うんですけれど、会員さんは入れるとか、顔見知りというか、そういう方が入る分には全然問題ないかと思います。そういう意味でいくと、今教員の多忙化という話もあるかと思うんですけれど、例えばサッカークラブの事務所がそこにあって、生徒さんに夏休みとかでも教えてくれるとか、もしくは部活を手伝ってくれるとか、何か広がりがあるような世界があると思います。それと、なかなか総合型スポーツクラブ自体が運営がうまくいっていないところもあって、香美市にもあったんですけれどなかなかうまくいかずに、何かちょっと活動が停滞しているようなところもあるので、ここを学校に入れる前提で考え直すと、いろんなことが解消できるような気もします。地場の大栃の話をしましたけれど、そういうところが何か学校の魅力になったりとか、あとは体を動かす体験だったりとか、いろいろ可能性があるかと思いますので、この点はぜひ検討をお願いします。 次に、公立学校の廃校発生数についてお聞きをいたします。国は、公立学校の年度別廃校発生数をホームページに公表しておりまして、高知県においては平成14年度から平成27年度で、小学校が101校、中学校が18校、高校が5校となっております。 この計124校について、施設が現存している学校のうち、活用されているもの、いないもの、それぞれの数について教育長にお聞きをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 昨年5月1日現在で、124校のうち建物が残っているものは109校でございまして、そのうち利用されているものが79校、利用されていないものが30校ということになっております。 ◆14番(依光晃一郎君) ありがとうございました。現存している学校のうちの30の学校については利用されていないということがわかりました。 活用されているものに関してはどういった施設に活用されているのか、教育長にお聞きをいたします。 ◎教育長(田村壮児君) 代表的な例といたしましては、海洋堂ホビー館といったようなこともございますけれども、全体的に申しますと、体育館やグラウンドを活用した社会体育施設という活用が27校、それから公民館などの社会教育施設としての活用が18校、体験交流施設としての活用が15校、シェアオフィスなど企業の活用が14校、あとデイサービスなど老人福祉施設の活用が5校、集落活動センターとしての活用が7校などでございます。 ◆14番(依光晃一郎君) 廃校になった学校の有効活用について、ホビー館というのは本当にすばらしい観光の施設になったということで、本当に地域の方も喜んでいるんではないかなと思います。そのほかにも、集落活動センターやシェアオフィスなどの新たなコミュニティースペースなど、高知県では有効活用が本当に進んでいることがわかりました。 一方で、こういった施設の有効活用については、市町村がリーダーシップをとらなければ有効な利用方法の議論が進まないのではと思います。香美市の例で言えば、大栃高校の校舎利用について、現在有効な跡地利用の議論は進んでいません。私は、今後も適切な投資と管理をすれば、地域の発展に貢献できる施設だと思いますし、現状では、歴史民俗資料館の資料。体育館もあるので、こういった資産を有効に活用できる知恵を、民間の力で呼び込めないかと考えるところです。 例えば他県の事例では、静岡県掛川市が、掛川城と周辺施設の指定管理を、ホテル経営を主体とする民間企業に委託し、指定管理料を最終的にはゼロにできる提案を受けたという事例があります。この事例は、ホテルを経営する民間事業者が、観光客の掛川市での滞在時間を延ばすための提案を行い、宿泊者の増によって利益を確保するというモデルです。 廃校になった学校施設にこのモデルをそのまま用いることは難しいと思いますが、民間を呼び込むということでは、田舎に事業所を移したいと考えている企業が、シェアオフィスを開設している全国の自治体を調べて移るのではなく、移りたい理想のシェアオフィスを設計し、行政に整備してもらった上で自分の企業の事業所とするような新たな仕組みはできないでしょうか。企業は、自分の企業が理想とするシェアオフィスを造成して、自分の企業が入るということであり、自社所有の設備以外は、行政が建物の改修などの費用を負担する形なので、投資が少ないというメリットがあります。このアイデアは、施設を管理する県及び市町村にとっては、その施設の詳細な設備の状況や耐用年数などを開示すればよいだけであるので、提案がなければ現状維持ということで、本当に企業が来るのだろうかという不安も金銭的なリスクもありません。 使用目的を失った公共施設の有効活用を進めるための取り組みについてどうか、総務部長にお聞きをいたします。 ◎総務部長(梶元伸君) 使用目的を失った公共施設の有効活用というのは重要でございます。総合管理計画案でも、有効活用の推進方針について記載をしてございます。 御提案いただいた内容でございますけれども、あくまで公共施設の一般論として申し上げることになると思いますが、公募するとはいえ、特定の民間企業の御提案を踏まえて、県費で施設改修をするということになると思いますので、公共性や公益性という観点がある取り組みと言えるのか、あるいは改修に要した費用を当該企業からどの程度回収するのか、あるいは当該企業が撤退するリスクをどう考えるかなどの問題があるのではないかということが、一般論としてはそういうことではないかと思います。けれども、単に処分するという以外の有効活用について、民間から幅広いアイデアを募るということは大変有意義ではないかと考えております。 総合管理計画案においても、今後は使用目的を失った公共施設についての情報を積極的に公表するということを予定しておりまして、その際、有効活用の方法についての御提案をいただけるような工夫を考えたいと考えております。 ◆14番(依光晃一郎君) さっきも、30校がまだ使われていないということですけれど、これが宝の山になる可能性もあって、なかなか地元では、知恵を出すというのは本当に難しいことだと思います。そういう意味では、御答弁の中に、広くアイデアを募集するということがあって、やっぱり都会にいる方も、自分が理想とするところだったら移りたいというようなニーズもあるかと思うんです。だから、そういう意味でいったら、こういうところが理想ですよというようなところを教えてもらいながら、行政が勝手にこういうものだと思って改修して、来たいなと思ったけれど、何か違うなと思って変えるというのはもったいないと思うので、何かそういう工夫もあってもいいのかなと思います。 それと、大栃、大栃とずっと言っているんですけれど、大栃高校は平成18年9月定例会で廃校が決定しまして、平成21年7月より香美市主導の検討会議が設置され、3回の会議、その後県主導による検討会議でも3回検討して、平成23年1月に、産業施設か福祉施設として利活用する方針で、公募案を完成させたということでした。大栃高校の利活用については、1回公募まで検討が進んでいたという状況がありましたけれども、その当時の県教委から、歴史民俗資料館の資料の一時保管場所として利用したいということで、この活用自体が消えてしまったと。さらに、県立図書館の図書であるとか公文書も、大栃高校のほうに今保管されています。住民にとってみると、公募をやるところまで行って、やるぞというところが、出ばながくじかれた形になり、さらに倉庫かよというようなこともあったんです。 ただ、それはもうしょうがない話なんですけれど、これから図書館もできて、公文書館の議論も進んでということになると、スペースがあいてくるんです。ですから、このスペースのあいたところに、しっかり自分もいろんな知恵を出して、またいろんなハードルがあるかもしれないですけれど、やっぱりチャレンジしたいという思いがありますので、その点はぜひとも御協力いただきたいと思います。 きょうは自分、余り得意分野ではないんですけれど、公共施設について議論させてもらったんですけれど、やっぱり地方議員としてこれから絶対押さえておかんといかんというのが、市町村の総合戦略、そして人口ビジョン、それと公共施設等総合管理計画、この3つはある意味、地方議員が絶対踏まえておかんといかん三種の神器と自分は思っています。そういう意味で言うたら、政治も停滞しているんですけれども、やっぱり人がおらんところだからこそ議論せんといかんという、まさに分野だと思います。 そういう意味では、何か議員をどんどん減らしていかんといかんということですけれど、やっぱり人が減っているところの議員を残していただくというようなことも、ぜひとも同僚議員、先輩議員の皆さんとも一緒にやっていきたいと思いますし、そういう意味では、明るい未来をつくるためには、やっぱり議員の力が重要だということをきょうの締めにさせていただきまして、私の一切の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(武石利彦君) 以上をもって、依光晃一郎君の質問は終わりました。 以上で、議案に対する質疑並びに一般質問を終結いたします。----------------------------------- △議案の付託 ○議長(武石利彦君) これより議案の付託をいたします。   (議案付託表配付) ○議長(武石利彦君) ただいま議題となっている第1号から第63号まで及び議発第1号、以上64件の議案を、お手元にお配りいたしてあります議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。   〔議案付託表 巻末474ページに掲載〕----------------------------------- ○議長(武石利彦君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 お諮りいたします。明8日から16日までの9日間は委員会審査等のため本会議を休会し、3月17日に会議を開きたいと存じますが御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(武石利彦君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決しました。 3月17日の議事日程は、議案の審議であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時45分散会...