高知県議会 > 2016-06-13 >
06月13日-02号

  • "要員数"(/)
ツイート シェア
  1. 高知県議会 2016-06-13
    06月13日-02号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成28年  6月 定例会(第336回)        平成28年6月13日(月曜日) 開議第2日-----------------------------------出席議員       1番  上田貢太郎君       2番  今城誠司君       3番  久保博道君       4番  田中 徹君       5番  土居 央君       6番  浜田豪太君       7番  横山文人君       8番  加藤 漠君       10番  坂本孝幸君       11番  西内 健君       12番  弘田兼一君       13番  明神健夫君       14番  依光晃一郎君       15番  梶原大介君       16番  桑名龍吾君       17番  武石利彦君       18番  三石文隆君       19番  浜田英宏君       20番  土森正典君       21番  西森雅和君       22番  黒岩正好君       24番  石井 孝君       25番  大野辰哉君       26番  橋本敏男君       27番  前田 強君       29番  上田周五君       30番  坂本茂雄君       31番  中内桂郎君       32番  下村勝幸君       33番  野町雅樹君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君       38番  金岡佳時君欠席議員       23番  池脇純一君       28番  高橋 徹君-----------------------------------説明のため出席した者  知事         尾崎正直君  副知事        岩城孝章君  総務部長       梶 元伸君  危機管理部長     酒井浩一君  健康政策部長     山本 治君  地域福祉部長     門田純一君  文化生活部長     岡崎順子君  産業振興推進部長   松尾晋次君  理事(中山間対策・運輸担当)             樋口毅彦君  商工労働部長     中澤一眞君  観光振興部長     伊藤博明君  農業振興部長     味元 毅君  林業振興・環境部長  田所 実君  水産振興部長     谷脇 明君  土木部長       福田敬大君  会計管理者      福田道則君  公営企業局長     井奥和男君  教育長        田村壮児君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  福島寛隆君  公安委員長      島田京子君  警察本部長      上野正史君  代表監査委員     田中克典君  監査委員事務局長   吉村和久君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       中島喜久夫君  事務局次長      弘田 均君  議事課長       横田 聡君  政策調査課長     西森達也君  議事課長補佐     宮本正彦君  主幹         浜田百賀里君  主事         溝渕夕騎君-----------------------------------議事日程(第2号)   平成28年6月13日午前10時開議第1 第1号 平成28年度高知県一般会計補正予算 第2号 平成28年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第3号 職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例及び警察職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案 第4号 職員の退隠料等に関する条例の一部を改正する条例議案 第5号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第6号 高知県地方活力向上地域における県税の不均一課税に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県議会の議員及び高知県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用並びにビラ及びポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県住民基本台帳法施行条例及び高知県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県立幡多看護専門学校の設置及び管理に関する条例等の一部を改正する条例議案 第10号 高知県認定こども園条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第12号 県有財産((仮称)南国日章工業団地造成事業用地)の取得に関する議案 第13号 県道春野赤岡線(浦戸大橋1-2工区)防災・安全交付金工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第14号 新図書館等複合施設建築主体工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第15号 新図書館等複合施設電気設備工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第16号 新図書館等複合施設空調設備工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 報第1号 平成27年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第2号 高知県税条例等の一部を改正する条例の専決処分報告 報第3号 損害賠償の額の決定の専決処分報告第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(武石利彦君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(武石利彦君) 御報告いたします。 議員池脇純一君、同高橋徹君から、病気のため本日の会議を欠席したい旨届け出がありました。 次に、第3号議案については、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき人事委員会に意見を求めてありましたところ、法律等の改正を考慮したものであり、適当であると判断する旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。   〔人事委員会回答書 巻末220ページに掲載〕----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(武石利彦君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「平成28年度高知県一般会計補正予算」から第16号「新図書館等複合施設空調設備工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで及び報第1号「平成27年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」から報第3号「損害賠償の額の決定の専決処分報告」まで、以上19件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 19番浜田英宏君。   (19番浜田英宏君登壇) ◆19番(浜田英宏君) おはようございます。安芸郡選出の浜田英宏でございます。私は自民党を代表して、当面する県政課題について知事並びに関係部局長に質問させていただきます。何とぞ適切な御答弁を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 初めに、東日本大震災より丸5年、その悲惨な記憶がさめやらない去る4月14日の21時26分、今度は九州熊本地方を中心とするマグニチュード6.5、震度7の地震、いわゆる前震が発生いたしました。その28時間後の16日1時25分には、エネルギー換算で前震の約16倍のマグニチュード7.3、震度7の本震がほぼ同じ震源域で再び発生をいたしました。それ以降、この2カ月間絶え間なく続く余震は、けさ7時現在で1,728回、被災者の心身を極限まで憔悴させるような、これまでに経験したことがないタイプの大きな地震となりました。その被害はまことに甚大であり、お亡くなりになられた方々の御冥福と被災地域の一日も早い復旧・復興を心からお祈り申し上げます。 また、危機管理文化厚生委員会の加藤漠委員長、野町雅樹副委員長を初め上田貢太郎議員、田中徹議員、下村勝幸議員らも被災地に赴き、被災状況を踏査するとともに災害ボランティアとして活動されました。また、高知県より派遣されました災害対策支援チームの皆様の御労苦もあわせてねぎらいたいと存じます。皆様まことに御苦労さまでございました。 さて、我が国は世界有数の地震大国でありますが、このたびの熊本地震は南海トラフ地震の前兆ではないか、そして中央構造線断層帯直下型地震への連鎖の可能性を秘めているのではないか、さらには、日本列島全体が長期的な視点で地震の活動期に入ったのではないかなど、県民の不安も高まる一方であります。 そこで、第3期南海トラフ地震対策行動計画の見直し等についてお伺いをいたします。まず、前震、本震と最大震度7が2回も発生した熊本地震から、発災期と応急期の対策が並列する時期がある可能性について示されました。 こうした熊本地震の教訓から何を学び、それを南海トラフ地震対策としてどのように第3期行動計画に反映させ、バージョンアップを図るのか、まずは知事にお伺いをしたいと思います。 次に、我々は南海トラフ地震の大きな揺れや、黒潮町に代表される34メートルの津波想定ばかりに神経をとがらせてまいりましたが、このたびの内陸直下型である熊本地震の発生分布から、近い将来、中央構造線断層帯直下型地震へと連鎖をする可能性について、新たな知見の必要性に迫られています。県当局はどのような情報を収集し、分析をされておられるのか、危機管理部長にお伺いをいたします。 特に被害が大きかった益城町の最大加速度は1,580ガルを記録していることから、四国電力伊方発電所の安全性については、沖合の活断層に対する最大加速度のシミュレーション値がまだまだ低いのではないかとの学識者の指摘もございました。四国電力からはどのような報告を受け、それをどのように分析しておられるのか、知事にお伺いをいたします。 また、南海トラフ地震の前兆の可能性はあるのか、さらには日本列島全体が地震の活動期に突入したのではないかなど多くの県民の不安にどう応えるのか、危機管理部長にお伺いをいたします。 また、被災者の生の声として、災害対策関連マニュアルは全くと言ってよいほど役に立たなかったとの報告を聞き愕然といたしましたが、発災期や応急期に生かせるマニュアルづくりとは何なのか、これを改めて考えさせられました。本県はこの声にどう対応していくのか、危機管理部長の御所見をお伺いいたします。 さて、熊本地震では、住宅の倒壊により多くの命が失われ、住宅の耐震化の重要性を再認識させられました。本県は第3期行動計画で、住宅の耐震化率を現在の77%から82%に向上させることを目指していますが、改めて住宅の耐震対策の加速化に向けた取り組みについて土木部長にお伺いをいたします。 今回の地震により、益城町では震度7の揺れに立て続けに襲われました。現在の耐震基準は震度7の揺れに対して立て続けに襲われることを想定しておらず、新耐震基準で建築された住宅も一部で倒壊するなど大きな被害が出ています。熊本地震を教訓として、本県の住宅耐震対策にどのように生かしていくのか、土木部長にお伺いをいたします。 また、盛り土造成地に建てられた家屋の倒壊が顕著であったことから、盛り土造成地の公表を行い、自分の土地に対する認識を見直し、液状化対策や耐震強化を喚起することが大切であると高知大学現地調査団が報告をしています。しかし、地盤改良など個人の資産に税金を投入することは困難だと思いますが、本県はどのような対策を進めるのか、お伺いをいたします。 一方で、一たび南海トラフ地震が発生すれば、津波などにより一定の住宅が失われることは避けられません。熊本では地震発生から2カ月してようやく応急仮設住宅への入居が始まりました。避難所での生活は1カ月が限界でありまして、応急仮設住宅はできるだけ早く供給する必要があります。そのためには、今から建設候補地を確保しておく必要があると考えますが、本県における応急仮設住宅の建設候補地の確保の状況について土木部長にお伺いをいたします。 また、応急仮設住宅はプレハブ形式が一般的でありますが、林産県である本県では、木造の応急仮設住宅も検討しておくべきであると思います。本県の民間コンソーシアムが開発したシングルウッドパネル、いわゆるSWPを活用すれば、短い施工期間で応急仮設住宅を供給することが可能であり、林業振興にも寄与できると考えます。そこで、量産できる生産体制が整うことを前提に、SWPの応急仮設住宅への活用に向けた取り組みについて土木部長にお伺いをいたします。 また、罹災証明書の発行のおくれなどから、みなし仮設住宅に入れない、解体の補助金が申請できない等の問題が発生いたしましたが、罹災証明書の速やかな発行に向けたマンパワーの確保体制など、事前にどのような対策が考えられるのか、総務部長にお伺いをいたします。 また、黒潮町は車での避難を検討していますが、熊本地震においても余震が長く続き、家の中では落ちついて寝られないので、車中泊避難が多く発生し、エコノミークラス症候群への対応も迫られました。本県においても、浸水エリア以外では車中泊避難への対応を考えておかなくてはならないと思うが、危機管理部長に御所見をお伺いいたします。 また、熊本地震では、余震が長く続くことにより、長期の避難所生活や前述の車中泊避難を迫られ、こうした不自由な生活から来る精神的なストレスへの対応も必要となりました。本県においても対応を考えておく必要があると思うが、地域福祉部長に御所見をお伺いいたします。 また、国連が11月5日を世界津波の日に定めたことを受けて、来る11月25日から26日にかけて黒潮町において、世界各国の高校生などが集い、「世界津波の日」高校生サミットが開かれますが、その目的と意義について知事に御所見をお伺いいたします。 また、阿蘇山は世界的に有名な観光地ゆえ、地震発生時における外国人観光客の対応に特に御苦労されたと伺いましたが、本県はどのような対応が考えられるのか、観光振興部長にお伺いをいたします。 次に、南海トラフ地震対策として高知新港から浦戸湾にかけて三重防護体制が国の高知港海岸直轄海岸整備事業としてスタートすることになりましたが、事業計画概要について、その具体策と計画進捗の工程をお示しいただき、結果的に人口密集地の県都周辺がどのように強化をされていくのか、土木部長にお伺いをいたします。 次に、我々はかねてから無数の震災瓦れきが浮遊する長期浸水エリアにおける救命救護活動において、船舶の喫水線以下に推進装置がないエアボートの必要性を訴え、このたび全国の自治体のトップを切って高知県警察本部が導入することになりました。警察本部長の御英断を高く評価するものであります。 そこで、このたび導入するエアボートの仕様や配備先や運搬方法、導入予定時期や訓練計画について警察本部長にお伺いをいたします。 また、将来的には県内東西の警察署や消防本部にも配備の必要性を感じていますが、今後の配備について危機管理部長と警察本部長におのおの所見をお伺いいたします。 また、カメラを搭載したドローンによる被災現場の状況調査や孤立地域への医薬品や食料などの搬送に加え、重量物の搬送にはモーターパラグライダーを活用することも有効であると思うが、これらの活用を考えてはどうか、本県の現状と対策について危機管理部長の御所見をお伺いいたします。 また、警察犬の強化は本県の懸案でありましたし、災害救助犬の検討も他県では進んでいますが、この点につきましても、本県の現状と対策について警察本部長の御所見をお伺いいたします。 次に、マスコミ報道のあり方については、さきの常総市の鬼怒川洪水の折、自衛隊の救助ヘリコプターに手を振って助けを求める要救助者のスクープ映像を撮影するために報道ヘリコプターがそこに割って入り、近距離から撮影を続けた結果、自衛隊のヘリコプターがしばらく現場に近づけず救出がおくれた事例や、熊本地震の避難所でも避難者の気持ちを逆なでするような行き過ぎた撮影や脚色された報道も見受けられました。 そこで、発災後の航空管制や報道のあり方についても事前の災害時報道協定が必要と思うが、危機管理部長に御所見をお伺いいたします。 また、大規模災害発災後の給油可能ガソリンスタンドには、我先にと押しかける被災者に対して警察官を配置し、混乱を解消すべきだと思います。そして、避難した後の空き巣や事務所荒らし等による略奪対策については、政府も厳罰化の方向で検討をしていますが、それだけでは歯どめにならないと思います。しかも警察官も被災者になる可能性がある中、どのような対応が考えられるのか、警察本部長に御所見をお伺いいたします。 また、中央防災会議は、南海トラフ地震発生時、最大3,440万人が断水に遭い、3日間で食料3,200万食が不足すると推計していますが、本県の推計値はどうか、またそれに対する備蓄は十分なのか、危機管理部長にお伺いをいたします。 実態として、発災後4日目からが地獄の始まりであると表現されるように、被災者の飢えを満たし、喉の渇きを潤すためには、海水や防火水槽やプールの水を逆浸透膜浄水装置を通してろ過し、避難所などで安心・安全な食料とともに飲料水や生活用水として確保し、タイムリーに提供することは県行政の使命であります。 県内の各地域本部管内には最低1台ずつは必ず配備をしておく必要があると思うが、各地域本部管内の現時点の保有台数と今後の導入予定について危機管理部長に御所見をお伺いいたします。 次に、緊急事態条項の必要性についてお伺いいたします。 これまで我が国は、災害が発生するたびに個別対応を繰り返し、その場をしのいでまいりましたが、今こそ私たちの想定をはるかに超えた大規模災害や無差別テロに対する万全の法整備の必要性があると思うのであります。 パリの銃撃テロ事件は記憶に新しいし、このたびの熊本地震も中央構造線断層帯直下型地震に連鎖波及をすれば、まさに国家的緊急事態になったかもしれません。この後の憲法改正の質問でも述べますが、国民を守る精神がない憲法を持つ我が日本は、国の総力を挙げて国民の平和と安全を守る体制がとれないでいるのが実態であります。 そこで、大規模災害やテロ攻撃など、想定外の緊急事態の発生に対し、今の憲法で国民の命と暮らしを守り切れるとお考えなのか、知事にお伺いをいたします。これについては、我が党の桑名龍吾議員が2月議会において、緊急事態条項の必要性について質問され、知事からはかなり踏み込んだ御答弁を賜りましたが、その後、熊本地震の発生や同盟国であるアメリカの大統領選挙において共和党候補として、ドナルド・トランプ氏の指名が確定された今、彼の日本やアジアに対する考え方について、特に駐留米軍の費用負担や撤退問題、そして日韓の核兵器配備発言等日米安全保障関連の公式発言は、日米双方にナーバスな物議を醸しています。しかも、オバマ大統領の、アメリカはもはや世界の警察ではないとの発言と一定の整合性もあります。彼の安保ただ乗り反対論やブラフ、いわゆるはったりとも思える戦法は、それでも米国民のナショナリズムやポピュリズムを喚起させることで功を奏し、11月の本選に向けた選挙情勢は実に混沌としてまいりましたし、日本も対岸の火事として見過ごせない状況であると思います。 知事は、核のボタンを掌握する可能性のあるトランプ氏の持つ日米安全保障に関する認識をどう評価されておられるのか、お伺いをいたします。 さて、伊勢志摩サミットは、幸いにも要人に対するテロ攻撃もなく、現職アメリカ大統領としてオバマ氏が初めて被爆地広島を訪れ、核兵器廃絶の所感を述べるなど、無事に幕を閉じることができました。この際、高知県警機動隊のG7派遣部隊の任務達成に敬意と感謝を申し上げます。まことに御苦労さまでございました。 そこで、今回のG7伊勢志摩サミットの評価と残した課題について知事の御所見をお伺いいたします。 さて先般、北朝鮮労働党委員長に就任した金正恩は、久方ぶりに開かれた党大会で、東方の核大国として輝かせていくと、聞き捨てならない決意表明をいたしました。また、無差別大量テロ攻撃を想定すると、2020オリンピックやパラリンピックは、万全の態勢でテロ攻撃を阻止できるように備えておかなくてはなりません。そのためには、アメリカのCIAや英国のMI6と対等に情報交換ができる対外情報機関が政府の中に必要と考えています。現在は、公安調査庁等もありますが、とても対等とは言えません。 日本版中央情報局の必要性について、今後4,000万人のインバウンドが地方にも押し寄せる時代にあって、地方でもテロの起きる可能性は否定できません。地方からも国に対して進言すべきではないのか、知事の御所見をお伺いいたします。 さて、東日本大震災のとき、憲法第29条で保障された財産権の壁に阻まれ、瓦れきの処理がおくれ、復興の大きな障害となりました。 また、震災直後にライフラインで深刻な問題となった1つが、燃料不足でありました。当時の民主党政府は、国民の権利義務を大きく制限することになるという理由で、災害緊急事態の宣言を見送り、被災地向け燃料を確保するため、必要以上の買いだめを禁止するといった強制力のある緊急政令も出しませんでした。そのため、災害対策基本法で認められている緊急時の被災者救済のための物資の統制が全く行われませんでした。例えば電源喪失の中、辛うじて給油可能であったガソリンスタンドでは、燃料の争奪をめぐる小競り合いが県職員と県民との間で勃発しましたが、これには警察も仲裁に入れず、結局、緊急公用車より県民の私有車が我先にと給油した結果、本来届けられるべき避難所に燃料は供給されず、発災後3カ月時点の震災関連死は1,324名、現在まで約3,400名を記録するに至ったのであります。 さらには、釜石市や南三陸町など多くの自治体が行政機能を喪失し、地方自治体が中心となって災害に対処するという災害対策基本法の前提そのものが現実に崩れ去ってしまいました。この時点において、ほとんどの首長が緊急事態条項という言葉すら知らない中で、共同通信の事後のアンケートに対して、緊急事態条項がなくても支障がなかったという答えが多く返って当たり前の話ではないでしょうか。報道側に緊急事態条項に反対する意図的な世論操作の目的があるように思えてなりません。 また、福島原発のメルトダウン事故当日、大阪に出張していた東京電力社長を緊急事態として自衛隊の航空機で埼玉県入間基地まで送ろうとしたとき、当時の菅内閣の北澤防衛大臣は事前に被災者を優先せよとしていたが、既に飛び立っていたため戻らざるを得なくなり、結局新幹線を利用したことで原発事故対応におくれをとったことも緊急事態時のプライオリティーの判断について今後の大きな課題となりました。 南海トラフ地震首都直下型地震など32万人の犠牲者や700万人の被災者に対して、わずか5万人の自衛隊員が被災地に赴き、残りの5万人の自衛隊員が後方支援に回り最大10万人体制で対応するとしても、発災後に災害対策基本法で対応し切れない場合は、急いで新しい法律をつくるために一体何人の国会議員が召集できるかもわからない中で、国の意思決定がなかなか定まらず生存の目安となる72時間は瞬く間に経過し、犠牲者は増すばかりだと思います。ですから、事前の法整備が必要なのであります。 首都直下型地震がまさにそうであり、今の憲法には総理大臣が欠けた場合に誰がそのかわりをするのかという規定すらありません。日本の中枢機能はたちまち麻痺し、いわば脳梗塞状態となり、その応急期の対応で防衛が手薄になった間隙を突いて他国からの侵略が起きる可能性も否定できません。 これらの災害対策やテロ対策を円滑に進めるためには、日本国憲法に緊急事態条項を新設し、あくまでも現地現場主義に徹した上での意思決定において、政府に一時的に権限を集中させ、しかも権力者の恣意的な判断で濫用されない規定を設け、その上で場合によっては国民個人の権利を一部制限してでも、率先して被災者やテロに遭遇した人々の命を最優先で救うのが緊急事態条項であり、世界のほとんどの国の憲法に備わっているのであります。 さて、立憲主義は中世ヨーロッパの封建時代の王制で、やりたい放題の暴君を貴族たちが集まってマグナカルタ等でその権力を縛ったころから始まり、その中で緊急事態条項も時代とともに変わってきているのに、マスコミや護憲派はその条文の内容がずさんきわまりない史上最悪だったワイマール憲法時代の緊急事態条項である第48条に焦点を当てて批判し、安倍政治と無理やり重ね合わせて、安倍晋三はヒトラーの再来だ、ナチスだ、安倍政治を許さないとレッテル張りを行い、安倍政治は国民の自由と権利を奪いに来るぞ、みんな気をつけろと国民をおどかし、鬼の首をとったように批判していますが、戦後の西ドイツはその反省に立ってワイマール憲法を否定し、権力者の恣意的な判断で濫用できない細分化された立派な緊急事態条項に改正がなされているのであります。ここにも報道側の、緊急事態条項など安倍政治を批判し反対する意図的な世論操作の目的が見てとれます。 また、国連総会が採択し、日本も加わっている国際人権規約、いわゆるB規約も認めているのに、緊急事態条項をナチスといったレッテル張りで反対をする護憲派の論法は、明らかに誤ったこじつけであり、時代錯誤も甚だしいと強く反論をしておきます。 緊急事態条項は、明治憲法では第8条の緊急勅令に相当いたしますが、ワイマール憲法と比較しても、また国民の自由と権利をことごとく奪い去ったフランス革命の後にできたフランス憲法よりもはるかに立憲主義的であると言われているのであります。 マスコミの論説は各社いろいろの考えがあって当然ですが、受けとめる側の国民、県民が複数の論説に耳を傾ける努力をしないと、知らず知らずのうちに洗脳され、世論操作の餌食になってしまうことを我々県民は肝に銘ずるべきであります。 以上をしんしゃくいただいた上で、この機に憲法に緊急事態条項を新設する必要性について再度知事の御見解をただしておきたいと思います。 次に、立憲主義と憲法改正についてお伺いいたします。 大東亜戦争敗戦後のアメリカの占領政策のもと、GHQがわずか9日間で日本国憲法草案を仕上げ、日本が永久におとなしく二度とアメリカに刃向かえないよう日本人としての国家観を消滅せしめるために、昭和20年12月8日に大東亜戦争を太平洋戦争と表現を改めさせ、国旗日の丸、国歌君が代を否定させ、間違った戦争を日本はしたのだと、徹底的に愛国心を奪い、自虐史観をすり込み、あげくの果てに日本の無力化政策の総仕上げとしてアメリカが押しつけた憲法が今の日本国憲法であります。その結果、戦後の教育現場では教育勅語や修身が廃止され、教科書の内容が厳しく検閲され、日本の伝統的精神基盤を破壊するために、国旗・国歌は徹底的に無視されてきたのであります。 これらを下支えしてきたのが日本国憲法の前文による規定であり、特に問題と思う文言は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」というくだりでございます。これは、日本人の安全のみならず生存までも、つまり命までも外国人の公正と信義に委ねるということでありますから、まさに驚きと言わざるを得ません。この前文の意味を果たしてどれだけの国民が理解をしているのでありましょうか。 言いかえれば、泥棒さん、我が家はいつも鍵をかけていませんが、あなたを信用していますから、泥棒に入らないでねと、玄関に張り紙をするようなものであります。ならば、金正恩や習近平が日本人の安全や生存を保障してくれるのでしょうか、南海トラフ地震が起きれば日本を助けてくれるのでありましょうか。ましてや、同盟国のオバマ大統領は、国防費を2012年から2021年の10年間で日本の年間防衛費の10倍に相当する約50兆円強も削減し、兵力は10万2,000人も削減するという連邦議会の決定を受けて、もはやアメリカ合衆国は世界の警察ではない、よって日本のより一層の共同防衛の必要性に言及いたしました。このオバマ発言が集団的自衛権の議論の出発点になったのであります。 その途端習近平は、環太平洋地域はアメリカと中国で警察権を二分してもなおあり余る広さがあるとして、一方的に南シナ海の岩礁を埋め立て、3,000メートル級の滑走路を整備し、対空ミサイルまで配備し、軍事基地化を進めているではありませんか。 中国の軍備拡大は、アメリカと異なり、とどまることを知りません。たとえマイナス成長が続いたとしても、軍備拡張予算は決して削減しないと公言しているんであります。これはまさに脅威であります。 本来、干潮時に辛うじて水面に顔を出す岩礁や水面下に常時あるリーフ等は、国際法でも領土と認められないのは当然でありますが、仮に百歩譲って、そこから12海里を領海と主張するならまだかわいいが、何と南シナ海のほとんどが昔から領海だと主張する中国は、無理も通せば道理となるという徹底した覇権主義であり、あまつさえ4日前には尖閣諸島の接続水域にとうとう軍艦を航行させるなど、東シナ海や沖縄県までも中国の領土であり、これは中国4000年の歴史上の史実だと主張しているではありませんか。こんな身勝手な中華風の国際法は絶対に認めるわけにはまいりません。 国際的には、中華人民共和国の建国記念日は66年前の毛沢東時代の1949年、昭和24年10月1日なのであります。建国66年の中国が4000年の歴史を主張するならば、我が日本国は天皇家一家で神武天皇が即位されて現在の今上天皇で125代目であり、紀元2676年の史実に基づけば、中国に対して主張したいことは幾らだってあります。習近平に対して、憲法9条の出だしの文言である「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」、この文言を、この言葉を突きつけてやりたい気分であります。 なお、この9条の出だしの部分は、通常我々は何げなく読み流していますが、実は当時の旧社会党国会議員団の修正動議が採択されて憲法9条に盛り込まれた大変重たい文言なのであります。 さらには、北朝鮮は日本列島からグアム島のアメリカ基地まで射程に入るミサイルをあちこちに配備し、東方の核大国を標榜していますし、ロシアも北方領土の軍事基地化を進めています。 このように、今や大きな国際状況の変化の中で、とてもじゃないですが、幾ら憲法の前文の定めたこととはいえ、中国や北朝鮮に我々の安全と生存を預けられたものではありません。 安倍総理は、平成19年1月の内閣総理大臣施政方針演説で、戦後レジームからの脱却を宣言いたしました。憲法を頂点とした行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交、安全保障など、基本的な枠組みの多くが21世紀の時代の大きな変化についていけなくなっていることは、もはや明らかになったからであります。戦後レジームからの脱却をなし遂げるためには憲法改正が不可欠であります。 昭和30年に我が自由民主党が結成をされ60年が経過いたしましたが、その原点は自主憲法の制定であり、これは今もなお、我が党の党是であります。 そんな中、これまで憲法改正の問題が放置をされてきたのは、まことに残念でありますが、国民投票法の成立によって今大きな一歩を踏み出しました。我々自民党は、勇気を持って日本国民の平和的生存権を憲法に確立するために、今後も憲法改正に向けて全力で取り組んでまいります。 そこで、日本国憲法の成立について、特に憲法9条がなぜできたのかをもう一度振り返ってみたいと思います。 日本国憲法は、まず憲法の成立過程に大きな問題がありました。それは日本が占領下にあったとき、GHQ司令部から憲法草案をつくるようにと指示が出て、当時の松本烝治国務大臣のもと、起草委員会が草案づくりに取り組んでいました。ところが、その憲法原案が、事もあろうに昭和21年2月1日に毎日新聞によってスクープされ、その記事と内容を知ったマッカーサー司令官が激怒して、日本人にはもう任すことはできないと、マッカーサーの分身との異名を持つコートニー・ホイットニー民政局長に対してメモ、俗に言うマッカーサーノートを手渡し、GHQ自身が憲法草案をつくるように命令したのであります。 草案づくりには憲法学者も入っておらず、国際法に通じた専門家も加わっていない中で、法律の知識が希薄なGHQ将校らは、1週間の猶予しかなかったため、結局アメリカ合衆国憲法の前文をパクって日本国憲法の前文をつくったのであります。その前文には、どこの国の憲法にも当たり前にある、正義を樹立し、国内の平穏を保障し、共同の防衛に備えるという、この3項目がすっぽりと抜け落ちていたのであります。 これら3項目は、アメリカ合衆国憲法の立憲主義の根幹をなす部分であり、権力を縛る以前の重要な部分でありました。ところが、この3項目を日本国憲法の前文に入れることで、日本人の愛国心や武力を再び助長することを危惧したマッカーサーは、自身が書いたノートで事前に禁止をしていたのであります。そのノートにはこう記されていました。日本は、紛争解決のための手段としての戦争及び安全を保持するための手段としてのそれも放棄する。日本は、その防衛と保護を、今や世界を動かしつつある崇高な理想に委ねる。いかなる日本陸海空軍も決して許されないし、いかなる交戦者の権利も日本軍には決して与えてはならないと。その内容は日本人が外国人に命を預けることにあわせて自衛権までも否定されたメモでありました。 このマッカーサーノートの内容には、絶対に手を加えてはならないと記されていたにもかかわらず、自衛権まで剥奪する内容のくだりである、自己の安全を保持するための戦争も放棄するの文言は、余りにも非現実的であるとした起草メンバーの一人であったチャールズ・L・ケーディスが独断でカットしたことを日本テレビのインタビューに本人がそう答えているのであります。 ケーディスの賢明な判断のおかげで、自衛権までは剥奪されませんでしたが、日本が侵略のための戦争を放棄し、日本人の安全のみならず、生存権まで、つまり命まで外国人に委ねるという前文ができ、このノートが基本となり、こうしてわずか9日間で憲法第9条第1項及び第2項ができたのであります。 こうして、日本国憲法前文には肝心かなめの「日本国民は、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼しつつ、われらの総力を挙げて国家の存立を確保し、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と、本来ならば、こう盛り込まれるべき日本国民の確固たる意志が取り除かれたため、日本国憲法はただ単に国民の自由と権利と福祉を希求するだけの不十分、不完全な憲法で終わっているのであります。要するに、立憲主義の大前提となる国の自由と独立と主権の確立、国内の平穏と国民の統合による生命や財産を守り、国家を維持していこうとする決意が全く示されていない憲法であり、ただ単に政府の権力を縛り、国民の権利と自由を保護するという立憲主義論に終わった結果、現在でもさまざまな問題を生じさせているのが実態なのであります。 護憲派の皆さんは、何十年も前の冷戦期にできた憲法解釈に固執する余り、集団的自衛権の限定行使を認めた平和安全法制を戦争法とやゆし、憲法違反だと声高に叫んで反対していますが、これは明らかに間違いであります。正しくは戦争抑止法制であり、既に世界61カ国から賛同と称賛の声をいただいているのであります。 平和安全法制は、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、このことにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命と自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態が起きた場合と限定しているではありませんか。これは従前の専守防衛の範囲と全く変わらないのであります。しかも、他国の防衛のためではなく、我が国を防衛するときに限って、ほかに適当な手段がない場合、必要最小限にとどめることを前提に、限定的に自衛権が行使できるようにしたものなのであります。この文言を中谷元防衛大臣は果たして何回答弁させられたことでありましょうか。 かつて昭和21年6月28日の第90回帝国議会の衆議院本会議の憲法草案審議において、日本共産党の野坂参三先生は、侵略戦争を悪い戦争であると否定し、逆に侵略された場合の自由を守る自衛のための戦争は正しい戦争だとし、正当防衛の自衛権を了としているのです。私は速記録を読みながら、思わず日本共産党の先見の明に感心させられた次第であります。 一方、答弁に立った本県選出の国務大臣吉田茂先生は、GHQの憲法草案に配慮してか、正当防衛である自衛権の行使であっても、新たな戦争を誘発するおそれがあり、自衛権は新憲法第9条第2項に抵触することを述べ、無防備、無抵抗の構えとしているのであります。しかし、今現在では双方が全く真逆であり、このように政党の考え方も時代とともに変化をしてまいりました。法律も制度であり、時代の変化とともに考え方も変わり、ほころびも出てまいります。そのほころびを繕うときが今来ているのではないでしょうか。 今日の立憲主義は、政府の権力を縛れという考え方だけではやっていけない時代であります。こうした緊急事態にもきちんと対応できる最低限の権能は政府に保持させないと、国民のとうとい生命や財産は守り切れないと思います。東日本大震災のときの民主党政府の混乱ぶりを思い出していただければ、御理解をいただけるのではないでしょうか。 護憲派の先生方は、この紋どころが目に入らぬかと、折に触れて立憲主義を振りかざすが、その立憲主義が果たして日本の平和と安定に寄与する正しい立憲主義であるかどうか疑問は持ったことがないのでしょうか。憲法に平和的生存権を希求する我々から言わせれば、あなた方の立憲主義は平和の敵と言わざるを得ません。護憲派の皆さんは、いいかげんに抑止力を否定するような空想的平和主義に終止符を打つべきであります。 憲法とは、国民を主権者としていますが、国民がみずからの生存を預けるために権力者と結ぶ基本契約であり、これが立憲主義であります。ならば、国民の生存を傷つけるような憲法解釈があってはなりませんし、国民を守る憲法が国民を犠牲にしてまで平和主義を守ることを求めているとは思えません。それは立憲主義の本旨に反するからであります。憲法は平和を守ることを求めているのであって、国民を犠牲にしてまで平和主義を守ることを求めているわけではありません。これが我々自民党の考える立憲主義論であります。 この考え方の裏づけとなったのは、昭和37年12月の砂川事件の最高裁判決であり、その判決文の一部を紹介すると、「わが国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、わが憲法の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではないのである。わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない」、つまり自衛隊の存在は憲法違反ではないという判断が最高裁で示された瞬間でありました。 立憲主義を端的に説明すれば、憲法を大切にするということなのでしょう。しかし、それはただ憲法を守ってさえいればいいという立場ではない。護憲派の皆さんは憲法解釈を変えないことが立憲主義だと思っているんですか。憲法を尊重することの中には、改憲や解釈の変更も含まれていることを決して忘れてはならないと思うのであります。 知事の考える立憲主義とは何か、御所見をお伺いいたしておきます。 さて、そもそも国際法では、講和条約が締結されるまでは、占領という状態は戦争中の一過程であり、占領軍と関係国は、その国の基本的な法律や制度、慣習を尊重しなくてはならないと規定をされております。ですから、戦勝国が敗戦国に対して都合のよい憲法を押しつけることは、明らかに国際法違反なのであります。当時起草に参加したGHQのメンバーですら、一回も改正なしに今まで現行憲法を使っている日本に驚いており、彼らは暫定的な憲法としてつくったつもりなのにとあきれているのであります。 我が国は、アメリカがつくった国際法違反の憲法をまるで聖典のように、神棚に祭り上げあがめてまいりました。しかし、憲法は宝物や神様ではなく法律であり、不備があれば是正していくのが当たり前であります。世界の多くの国は、既に何十回も改正を行っているのです。70年も経過した制度がいつまでも原形をとどめることなど本来あり得ないのであります。 我々は、憲法第9条第1項の平和主義は絶対に堅持すべきだと考えています。しかし、条文の中で「国際紛争を解決する手段としては」のこの文言の解釈は、侵略目的の意味における戦争は永久に放棄をしても、他国から逆に侵略された場合に、自衛権までは否定していないと解釈しているのはさきにも述べたとおりであります。 そして、現行自衛隊の実態と矛盾し、自衛隊活動の足かせとなっている第9条第2項を改正しないと、第1項と第2項がともにけんかをして打ち消し合った9条全体の条文になっているではないですか。打ち消し合っているがゆえに、第9条第2項も生きなければ、第9条第1項も生きないことになります。第9条第2項を生かすことは、全く無防備平和中立になることであり、これでは現実問題として平和は守られません。しかし、一番大切な第1項の立場に立てば、第2項は矛盾してしまうのです。 そこで、憲法第13条では、国民の幸福追求の権利は国政上最大に尊重しなければならないとされていることから、憲法前文と第9条第1項と第13条を総合的に勘案解釈すれば、確かに軍隊は持てないが、軍隊ではなくて国民の生命と財産を守るためのものは持てるはずでありますし、また持てないとやっていけないねというのが政府の解釈であり、砂川最高裁判決の論理であります。したがって、まことに苦しいことですが、北朝鮮に対する海上警備行動等有事における自衛隊の活動は、警察官職務執行法の延長線上に担保されているのであります。ですから、最初に自衛隊側に犠牲が出ないと正当防衛としての阻止行動はとれない規定になっています。こんな軍隊は、世界広しといえど日本だけなのであります。 日本が本来持ち得る防衛力を法律が最大限に担保して内外に抑止力をアピールすることで、名実ともに侵略国につけ入るすきを与えない、決して攻め込まれない体制を確立すべきだと我々は主張してまいりました。日本国民なら誰だって戦争はしたくありませんし、巻き込まれたくもありません。しかし、万一起きた有事の後で、あのとき憲法を改正しておけばよかったと1万回悔やんでも悔やみきれません。 そこで、我々は全体の最適の中に我が身を置いて考える必要があります。今、私たちは自家用車に自賠責保険のみならず、過失により相手を死亡させてしまう心配から誰もが任意保険も上乗せして不慮の事故に備えることは、全体の最適を考えると当たり前の時代であります。いわばこの保険のようなものであります。 交通事故による死亡が戦争に巻き込まれて亡くなる可能性よりはるかに高い時代でありますが、今やボタン一つで何万人も犠牲者が出るこれからの戦争を想像したら、抑止力を高めるための憲法改正や生命の危機に瀕した国民を救う緊急事態条項の新設は、決して高い保険ではないと思うのであります。 我々自民党は、責任政党としてこの保険を無視するわけにはまいりません。我々が進める孫子の兵法、これすなわち戦わずして勝つは、習近平の兵法、無理も通せば道理となるよりはるかに理にかなった兵法だと思いませんか。これは中国4000年の歴史が証明しているのであります。 来る参議院選挙は、憲法改正やアベノミクスの評価も争点であり、同時に日本人の良識が問われる選挙でもあります。選挙区の合区解消についても、尾崎知事が全国知事会の先頭で動いていただき感謝いたしております。その合区解消の成否も憲法改正が絡んでまいります。我々の錦の御旗も「合区解消は、自民党。」であります。 改めて、憲法改正も含めた知事の合区解消に向けた決意についてお伺いいたします。 また、今回の参議院選挙の争点となるアベノミクスの評価や、安倍首相が消費税アップの延期を決断したことへの評価についてもあわせて知事の御所見をお伺いいたします。 次に、税外未収金対策についてお伺いいたします。 昨年度、高知県包括外部監査人は、本県の平成26年度決算において約52億4,500万円に及ぶ税外未収金に焦点を当て外部監査を行い、知事や議長や監査委員に報告並びに政策提言をされました。平成26年度決算において、本県の一般会計と特別会計を合わせた未収金合計は約64億600万円です。そのうち県税関係の未収金は約11億6,100万円ですが、県税関係は租税債権管理機構が組織をされ、回収は一定功を奏しています。残りの約52億4,500万円の未収金のほとんどが税外未収金の私債権であります。 そのうち額の大きいのは、闇融資とやゆされ高知県政を震撼させた商工労働部関係の協業組合モード・アバンセの産業パワーアップ融資約11億7,990万円と中小企業高度化資金約13億2,273万円の合計約25億267万円であります。 もう一つは、安芸市にある協同組合サンモールの中小企業高度化資金の約10億9,724万円であり、これらの合計約36億円は税外未収金全体の約69%を占め、今もなお回収に困難をきわめていますが、現在の状況と今後の対応策について商工労働部長に御所見をお伺いいたします。 また、生活弱者に対する児童福祉や高齢者福祉や障害者福祉や人権教育に絡んだ小口の債権が積み上がって大きな収入未済額になっているのが実態であります。中でも、地域改善対策進学奨励資金貸付金の未償還分が約4億9,400万円と一番大きく、生活保護費返還金約9,440万円、高等学校等奨学金約9,320万円、施設入所児童保護者等負担金約3,392万円、児童扶養手当返納金約1,350万円と続いています。福祉関係以外では県営住宅の家賃滞納分などは約2億5,000万円もあります。 これらの債権は、公債権の場合は5年の時効期間が経過すれば直ちに、私債権の場合はそれぞれ法律等により規定される時効期間が経過した後に時効についての意思表示があれば債権消滅してしまい、不納欠損処理をせざるを得なくなり、結局は納税者である県民の負担になってまいります。 出先機関に対しては、本課からの滞納者に対する指導を徹底するよう要請するなど、回収に御努力をいただいていることも承知をしています。 また、本庁においても税外未収金対策チームを組織した上、税外債権を所管する各課も回収に努められており、双方の回収の御努力は評価をいたしますが、回収困難と判断されるような不良債権にいつまでもエネルギーを注ぐよりも、新規の滞納に早期に対応する方向に、そしてそもそも滞納させない方向にエネルギーを注ぐほうがはるかに合理的であります。 そこで、小口不良債権については、債権回収を外部の専門家に委託し、それでも回収が困難なものについては、債権放棄の基準などを条例で明文化し、議会の判断を一々仰がなくても処理できるようにすべきだと思うが、外部委託や債権管理のための条例についてどのように検討されておられるのか、総務部長の御所見をお伺いいたします。 最後に、CLTとSWPについてお伺いいたします。 SWP、いわゆるシングルウッドパネルは、本県の民間コンソーシアムである一般社団法人こうち健康・省エネ住宅推進協議会が企画し、県が国の補助金を活用し耐火検査をクリアさせ大臣認定証の取得を後押しした本県林業振興の隠し玉であります。CLTに比較すると、1枚が30キログラム程度と非常に軽く、施工が早く、しかも安く仕上がります。減価償却を20年ほどと考えることで、災害復興の支援にもなりますし、解体やリサイクルまで考えると環境にも優しい木材製品であります。 県下のサプライチェーンをブロックで完結する方法も考えられ、ローカル産業としての新たな雇用を生む可能性も高く、しかも設備投資も安価で済むので本県の産業振興に寄与できると思います。 さらに、SWPに断熱材をセットにしていくことで、本県が弱点としてきた健康と省エネ・エコ住宅の両面で優位となる点も忘れてはなりません。 また、将来CLTとSWPのハイブリッド工法も有望であると思いますが、この点どうなのか、そしてSWPをこれからどのように表舞台に上げるのか、あわせて林業振興・環境部長の御所見をお伺いいたしまして、私の第1問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 浜田英宏議員の御質問にお答えをいたします。 まず、熊本地震の教訓から何を学び、それを南海トラフ地震対策としてどのように第3期行動計画に反映させ、バージョンアップを図るのかとのお尋ねがございました。 熊本地震に関しては、4月14日の前震の直後に私からまず、南海トラフ地震への影響がないとは必ずしも言い切れないことから、市町村に対して注意喚起を行い警戒度を上げること、第2に、被災地の応援要請にしっかり対応すること、第3に、被災地の様子を見ながらプッシュ型の支援を行うことを指示いたしますとともに、4月16日の本震後には、まずは人的支援を初め被災地の支援をしっかり行うこと、引き続き警戒度を上げること、また熊本地震から見えてきた教訓を南海トラフ地震対策に生かすため課題の洗い出しを行うこと、これらについて指示をいたしました。 さらに、5月9日の南海トラフ地震対策推進本部会議では、実際に被災地の支援を行った職員からの報告と、現地の被災状況とその対応について積極的に収集した情報をもとに、その時点で熊本地震から見えてきた課題の整理を行いました。その中でも、住宅や市町村役場などの防災拠点施設が複数回の揺れにより被害を受けたこと、大きな余震が続いたことで屋内にとどまることを恐れ車で寝泊まりする避難者が相次いだこと、避難所や福祉避難所がマンパワーや資機材の不足により十分に機能しなかったこと、配送ルートの寸断や物資集積拠点のマンパワー不足により支援物資が避難所まで十分に届かなかったことについては、特にこれまで以上に掘り下げて検討分析し、本県の対策に生かしていかなければならないと考えたところであります。 こうしたことを踏まえ、5月25日には臨時の本部会議を開催し、これらの課題について今後の具体的な取り組みを定めたところであります。特に次の3つの項目、第1に、繰り返す揺れへの対応として、住宅や避難所、防災拠点施設の耐震化について、第2に、車中で避難する方々や要配慮者の方々への対応を含めた避難所の運営体制の充実について、第3に、支援物資等の円滑な配送のための物資配送計画に今回の熊本地震の教訓を盛り込むことについて、これらについては重点的に取り組むことといたしたところであります。今後、大きな揺れが続く中で応急期の対策を進めるといったことなど、より厳しい条件を設定し、行動計画全般をさらに見直すことといたしております。 加えて熊本地震の検証が進む中で、新たな課題や知見が明らかになってくることもございますので、それらも踏まえ随時見直しを行い、第3期行動計画のバージョンアップを図ってまいりたいと考えております。 次に、四国電力伊方発電所の安全性について、四国電力からどのような報告を受け、それをどのように分析しているのかとのお尋ねがありました。 4月に発生した熊本地震において、益城町で記録された最大加速度は、地表の軟弱な地盤に設置された地震計では、4月14日の前震で1,580ガル、4月16日の本震では1,362ガルでしたが、同じ観測点の地下のかたい岩盤に設置された地震計では、前震、本震いずれも200ガル程度でありました。 このように地震における揺れの大きさは、地盤のかたさによって大きく異なり、一般的には地盤がかたいほど揺れが小さくなります。 四国電力からは、伊方発電所の原子炉建屋が設置されている地盤は、益城町のこの地下の岩盤と同程度のかたい岩盤であることから、仮に伊方で今回の地震と同じような規模の地震が起こった場合、伊方発電所での最大加速度は200ガル程度が想定されるとの説明を受けております。 伊方発電所の基準地震動は、中央構造線断層帯が一度に動くことまで想定して650ガルとしており、200ガルを大きく上回る値となっていることから、伊方発電所の安全上重要な施設や設備は、今回の熊本地震のような地震に対して十分な耐震性を有していると聞いております。 より厳しい検証として、基準地震動に相当する揺れが繰り返し起こった場合については、まず基準地震動は蓄えられたエネルギーが一度にほとんど放出される場合を想定しており、これが複数回起こることは理論上考えがたいとのことでありますが、万が一仮にも基準地震動に相当する揺れが繰り返し起こった場合についても、安全上重要な施設や設備のほとんどは弾性の範囲内にとどまることから、揺れによる力を受けて変形してももとの形状に戻りダメージを受けないこと、また一部の設備や部位については、ひずみが残る可能性もあり、詳細について四国電力にさらに確認しておりますが、破壊に至るまでには十分余裕を持った設計を行っていることから、機能を喪失することはないとの説明を受けております。 このように、熊本地震と同様の地震が発生した場合でも安全上重要な機能を喪失することはないこと、さらには中央構造線断層帯が一度に動く場合の揺れをも想定して耐震対策を行っており、十分な耐震性を有していること、また極めて厳しいケースとして、こうした揺れが繰り返し起こった場合でも耐えられる設計となっていることを確認できたことから、施設の安全性は確保されていると考えております。 しかしながら、今後さらに詳細な確認を続けますとともに、専門家などによる熊本地震の詳細な分析が進み、安全対策上考慮すべき、また新たな知見が出てきた場合などには、四国電力に対して勉強会などを通じて疑問点をただし、さらなる安全対策の徹底を求めていかなければならないと、そのように考えておるところでございます。 次に、高校生サミットの開催の目的と意義についてお尋ねがございました。 日本では、津波対策の推進に関する法律により、11月5日が津波防災の日として定められるなど、国民の間に広く津波対策についての理解と関心を深めるための取り組みが行われております。 昨年の12月には、国連総会において日本を初め142カ国が共同提案し、11月5日が世界津波の日として制定され、世界中で津波の脅威についての関心が高まり、その対策が進むことが期待されているところであります。 そうした中、世界津波の日にちなんだ普及啓発活動の一環として、国内及び国外24カ国の高校生が集い、高校生サミットを黒潮町で開催する運びとなりました。これは黒潮町の皆様の防災の先進的な取り組みが世界に認められた結果であり、非常にうれしく思います。 高校生サミットは、津波を初め自然災害の脅威や防災に関する知見を共有し、自然災害から生命や財産を守る防災分野で活躍する将来のリーダーを育成することを目的として、今回初めて開催されるものです。 サミットでは、自然災害から生き抜くために次世代を担う私たちができることをテーマに、分科会やフィールドワークが行われます。分科会では、国内外の高校生がグループごとに自分たちの地域の取り組みの発表とディスカッションを行います。さらに、全員が集まって分科会の各グループの代表者がそれぞれディスカッションの結果を報告し、それらがサミットの宣言として取りまとめられる予定となっております。 また、フィールドワークでは、津波避難タワーを見学していただくとともに、国外では余り行われていない津波避難訓練を体験していただくことも予定をしているところであります。 このような世界規模のサミットが本県で開催されますことについては、次のような意義があると考えています。 まず、参加される高校生においては、将来の防災リーダーとしての活躍を期待することに加え、各国の高校生と交流することによってできるつながりの輪が広がっていくことを期待しております。次に、サミットには高校生の随行者や各国の大使館関係者などさまざまな分野の皆様にも多くお越しいただくと予想しております。34メートルの津波という厳しい条件にも決して諦めることなく、住民の皆様の命を守る対策を最優先に進めている本県の取り組みを知っていただき、それぞれの国や地域での取り組みの参考にしていただけるものと思いますし、また我々もさまざまなお知恵を賜ることができるのではないかと期待をいたしております。 さらに、本県の歴史や文化を知っていただくとともに、自慢の食を御堪能いただく絶好のチャンスでありますので、これを機に今後も本県を訪れていただけるよう、高知県観光の魅力を積極的にPRしてまいります。 世界で初めて開催される高校生サミットの成功を目指して、外務省や内閣府、文部科学省など国の支援のもと、黒潮町と協力してしっかりと準備を進めてまいりたいと考えております。 次に、トランプ氏の日米安全保障に関する認識をどう評価しているか、お尋ねがございました。 我が国の安全保障を取り巻く環境がますます厳しさを増している中、日米安全保障条約に基づく安保体制は、我が国の安全保障はもとより、アジア太平洋地域の安定化にとって極めて重要であると考えております。 現在行われている米国の大統領予備選挙において、トランプ候補の発言として報道されている日米安全保障に関する米軍駐留経費や核兵器保有の考え方については、これまでの日米両国政府の考え方と異なるところもあると思います。次の米国大統領がどなたになるにせよ、日米両国のために、またアジア太平洋や世界の平和と繁栄のために、日本政府には今後とも米国と緊密に連携していただきたいと考えておりますし、また日本政府もそうした考え方だと認識いたしております。 次に、今回のG7伊勢志摩サミットの評価と残した課題についてお尋ねがございました。 まず、政治・外交分野では、G7テロ・暴力的過激主義対策行動計画への合意や、海洋安全保障に係る国際法に基づく主張や平和的手段による紛争解決の確認などがなされたところです。各国とも連携・協調して取り組むべき課題について共通認識に立って前進し、国際秩序の維持に向けた姿勢を世界に発信できたものと考えております。 また、世界経済への対応についても、世界経済の下方リスクが高まっているとの共通認識のもと、G7が結束して経済成長を目指し、各国が金融政策、財政政策、構造改革を進めていくことが合意されたことは、世界経済の安定的成長につながるとともに、日本経済にとってもよい方向に働くものと考えております。 残された課題について強いて挙げるならば、今回のG7の協議を受けて発出された首脳宣言における各課題について、G7のみならず、いかに多くの国々と共有し同じ方向に向かって行動できるのかが課題となると考えております。今後、多くの国の賛同を得て実効性のある取り組みとなることを期待しております。 いずれにしましても、今回のG7では大きな混乱もなく閉会することができ、議長国としてその責務を果たされたものと考えております。 加えて、今回のG7にあわせてオバマ大統領が現職のアメリカ大統領として初めて広島を訪問し、被爆地から核兵器のない世界の実現に向けた決意を表明されました。この歴史的な訪問が日米間のみならず、世界平和への大きな弾みとなることを心から願うものであります。 次に、日本版CIAの必要性について、地方からも国に対して進言すべきではないかとのお尋ねがございました。 テロ行為は国民の生命、財産を奪うとともに、観光などの産業にも大きな打撃を与え、多くの人々を苦しめる行為で、決して許されるものではありません。 近年、昨年11月に発生したフランスでの同時多発テロなど国際テロが多発しており、今後2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、訪日外国人もふえる中、我が国においても国際テロ対策を強化していく必要性が増している状況にあるのではないかと考えております。 こうした中、政府においては、パリの同時多発テロを受け、昨年12月に防衛省や警察庁、公安調査庁などからメンバーを集め、国際テロ情報収集ユニットを発足させるなど、官邸が司令塔となってテロの未然防止対策の強化を進められていると伺っております。 テロ対策におきましては、議員のお話にもありましたように、各国との連携を強化した幅広い情報収集と的確な情報分析をしっかりと行うことなどが重要であり、そのためには人員増による在外公館の体制強化や、情報の受け皿や分析の主体となる組織の機能強化などが必要ではないかと思っているところです。 いずれにいたしましても、国においてしっかりと各国との連携のあり方や機能、組織の強化などについて、引き続き検討し必要な対応を行っていただきたいと考えているところでございます。 次に、憲法に緊急事態条項を新設する必要性についてお尋ねがありました。 私は国民の生命、財産を守るために危機管理上の観点から、可能な限り災害や危機事象発生時の状況というのをリアルに想定し、対策を検討しておくことが必要だと考えております。 南海トラフ地震が発生した場合は、最悪で死者数約32万人、避難者数約950万人、経済被害約220兆円に上り、死者数では東日本大震災の約16倍、経済被害では国の予算の2倍を超えることが内閣府の被害想定で示されており、国家の存亡にかかわる緊急事態となります。 このような極めて重大な緊急事態においては、応急対策を行うための速やかな法整備と予算措置、また応急救助活動の際に必要になる私権の制限という2つの対応が特に重要な検討課題ではないかと考えております。 30都府県にわたり広範囲に被害が及ぶと想定されています南海トラフ地震の発生時には、参議院の緊急集会を含め、定足数を満たす国会の開催が可能なのか憂慮しております。このため、国会議員の任期や選挙期日の特例、さらには緊急時に法律制定や補正予算決定と同等の効果を有する権限を政府に付与するための根拠規定を憲法に規定する必要があるのではないかと考えております。 また、国民の生命や身体を守るために、一刻を争う状況になっている現場においては、憲法上の財産権、居住、移転の自由といった私権を制限してでも、迅速な応急救助活動を行って生命の保持を図る、そのような事態も想定をされます。 他方、権力の濫用はあってはならないことは当然でありますので、緊急時に名をかりた過剰な人権制限を防ぐ必要があることにも鑑みれば、大規模災害時に制限できる人権やその期間の制限を憲法に限定列挙して規定することを検討していくべきではないかと考えているところでございます。 いずれの観点からも、憲法における緊急事態条項について、諸外国の現にある緊急事態条項や権力の濫用に係る歴史的な教訓をよくよく研究しながら、国会で徹底的に議論していただくとともに、国民的な議論につながることを期待したいと考えているところでございます。 次に、立憲主義とは何かについてお尋ねがございました。 立憲主義は、憲法により国家権力を拘束することにより、国家権力の恣意的な行使を制限し、国民の権利、自由を保障するという考え方、原理であり、長い歴史の中で発展、展開してきた考え方であると理解しております。 言うまでもなく、国家権力の恣意的な行使から国民の権利、自由を守ることは極めて重要であることからすれば、立憲主義の考え方は徹底して尊重されなければなりません。 しかしながら、立憲主義を尊重することが憲法解釈の変更や憲法改正を許容しないというものではないと考えております。といいますのも、立憲主義は近代においては、憲法により国家権力をできるだけ抑制し、国民の自由権を保障するという考え方が主でありましたが、資本主義の高度化に伴い、社会的弱者、経済的弱者の人権を実質的に守るために、憲法に基づき国家の介入を求める社会権も認めてきたといったように、立憲主義の考え方自体が変容してきております。 さらに、現行憲法もみずからその改正手続を規定しておりますことから、立憲主義の立場からも憲法改正は予定されているものと考えております。 現在、我が国では人口減少や少子高齢化が進む一方、東京一極集中の是正が望まれる中、1票の格差是正のため合区制度が導入されるなど、多様な各地域の声が国政に反映されにくい状況になっていきつつあるのではないか。また、東日本大震災をはるかに上回る被害が見込まれる南海トラフ地震の発生が予測される中、国の存立も危ぶまれる緊急事態が生じた場合、国民の生命や財産を守れるかなど、現行憲法では必ずしも十分な対応ができないおそれがあるのではないかと思われるさまざまな問題や状況が生じております。このため、こうした状況に対して、現行の憲法で対応できるのか、国会での議論はもちろんのこと、国民的な議論が大いになされ、積み重ねられていくことが重要であると考えるものであります。 次に、参議院議員選挙区の合区の解消についてお尋ねがありました。 参議院議員選挙区における合区制度は、選挙区間の人口の均衡を重視したものですが、人口の多い地域ほど国会議員の数が多くなるという選挙制度では、大都市など人口の集中する地域ほど有利な政策が展開され続けることにつながり、地方は不利な条件に置かれ、結果としてさらに大都市に人口が集中するという負のスパイラルに陥ることが懸念されます。 人口減少や少子高齢化といった我が国が抱える極めて構造的な問題に対処するためにも、東京一極集中を是正し、地方の活性化を図らなければならず、国全体のことを考えても本県のような地域の切実な声が国政に最大限に反映されなければなりません。 他方、1票の価値の平等を図ることも重要であり、尊重すべきであることは言うまでもありません。このため、国会議員全体としては、人口比例によって民意を反映する衆議院、地域代表として各地域の多様な意見を反映する参議院という2つの側面をあわせ持つ選挙制度であるべきだと考えております。 全国知事会の憲法と地方自治研究会が平成28年3月に行った中間報告でも、都道府県単位の代表制を維持していく意義は国民の理解が得られるとされており、憲法改正の議論の中で引き続き参議院の合区の解消や地域代表制について議論を深めていく必要があると考えています。 ただ、憲法改正には時間がかかることから、現行憲法下での対応として、公職選挙法の改正などによる具体的な合区解消方策の議論も並行して行う必要がございます。このため、夏の参議院議員選挙に向けた公約に、合区解消を盛り込むよう全国知事会を通じ各政党に働きかけてまいりました。来る参議院議員選挙において、憲法改正と関連して合区解消についても議論されることを期待しております。 あわせて、夏の全国知事会議において、合区解消の必要性について多くの知事と認識を共有することができるよう議論してまいりたいと考えておるところでございます。 最後に、アベノミクスの評価や消費増税延期の決断への評価についてお尋ねがございました。 政府においては、安倍総理の強力なリーダーシップのもと、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略のアベノミクス3本の矢を放ち、長引くデフレからの早期脱却と低迷する我が国の経済の再生を目指して積極的な施策の展開を図ってこられました。 こうした結果、安倍政権発足前と比べますと、名目GDPが472.7兆円から503.2兆円に上昇し、全国の有効求人倍率も平成24年11月の0.82倍から本年4月には1.34倍と、24年5カ月ぶりの高水準を記録するなど、各経済指標に成果としてあらわれてきているものと考えております。 本県においても、かつては生産年齢人口の減少に並行して縮んでいた経済という状況から、地産外商の取り組みなどにより製造品出荷額等が上昇傾向に転ずるなど、生産年齢人口が減少しても縮まない経済、さらには拡大していく経済へと構造的に転換しつつある状況にあります。この経済構造の転換には大変大きなエネルギーが必要であり、アベノミクスには産業振興計画推進の追い風として大変大きな力をいただいてきたものと考えております。 しかしながら、こうした成果が上がっている一方で、個人消費については、おおむね横ばいの状況にあるなど、まだ道半ばと言える状況にもあります。今回、総理は消費増税について2年半の延長を表明されましたが、こうした現行の国内の経済状況に加え、世界経済の見通しに対する下方リスクが高まってきているとの認識を踏まえますと、延長の判断は一定やむを得ないものではないかと考えているところであります。 ただ一方で、従来から申し上げてまいりましたように、我が国には社会保障や少子化対策、財政の健全化などの課題が山積していることも事実であり、増税という苦い薬を飲むことは避けては通れないことと考えております。このため、平成31年10月には増税を再延期することなく、必ず実施していく必要があるものと考えております。 県としても、引き続き国の施策をしっかりと追い風とし、私が先頭に立って汗を流していくことで、産業振興計画などのさまざまな施策をさらに加速させてまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。   (危機管理部長酒井浩一君登壇) ◎危機管理部長(酒井浩一君) 南海トラフ地震対策について、まず熊本地震の発生分布から中央構造線断層帯直下型地震へと連鎖する可能性について県がどのような情報を収集し、分析しているかとのお尋ねがございました。 今回の熊本地震は、まず熊本県熊本地方でマグニチュード6.5の最初の大きな地震が発生し、次に2日後にこの震源域付近でマグニチュード7.3のさらに大きな地震が発生しました。その直後にこの地震に誘発されて大分県でもマグニチュード5.4という地震が発生しました。 こうした西から東へと震源域が広がっている状況を見て、今後さらに東の中央構造線断層帯へ震源域が広がり地震が発生した場合は、本県でも山間部では強い揺れが予想されるほか、伊方原発への影響もあることを懸念いたしました。そのため、震源域の広がりについて気象庁へ問い合わせた結果、中央構造線断層帯への誘発に伴う震源域の広がりについては、今後注視が必要との見解が示されました。また、専門家の、地震の影響が大分から東に進んだ場合、中央構造線沿いの地域などで大地震が起こる可能性が十分に考えられるといった見解もありましたので、県としましても緊張感を持って九州の地震活動を注視しておりました。 そうした中、6月9日に気象庁から、全体的な地震活動は減衰傾向にあるが、今後おおむね1カ月程度、熊本県熊本地方及び阿蘇地方ではマグニチュード5程度の余震の発生に十分注意が必要であること、また大分県中部では現状程度の余震活動は当分の間続くが、マグニチュード5程度の余震が発生する可能性は低下したとの見解が示されました。 このことから、大分県における地震の影響が東に進む可能性は低下したものではないかと考えておりますが、なお今後も引き続き情報収集に努めますとともに、本県に影響を及ぼすような地震活動に注視を続けてまいります。 次に、熊本地震が南海トラフ地震の前兆ではないかといった多くの県民の皆様の不安にどのように応えるのかとのお尋ねがございました。 熊本地震と南海トラフ地震との関連性につきましては、5月13日に国の地震調査研究推進本部から熊本地震の一連の活動によって南海トラフ沿いのプレート境界での地震発生確率が高まったとは言えないが、もともと地震のリスクが高い地域であり、注意を怠るべきではないとの見解が示されております。また、専門家からは、今回の地震が南海トラフ地震を誘発する可能性は余り考えられない、距離が離れている上今回の地震はマグニチュード7級と相対的に規模が小さく、影響は非常に小さいと見られるとお聞きしております。 こうしたことから、熊本地震による南海トラフ地震への直接的な影響は少ないと考えておりますが、県といたしましては、熊本地震の教訓を踏まえ、第3期行動計画をバージョンアップさせ、県民の皆様の命を守ることを第一とし、南海トラフ地震にしっかり取り組んでまいります。また、県民の皆様には、今までどおり、いたずらに怖がることなく、かといって油断することなく、今後も引き続き南海トラフ地震への備えを進めていただきたいと考えております。 次に、熊本地震では、災害対策関連マニュアルは全く役に立たなかったとの被災者の声にどのように対応していくかとのお尋ねがございました。 災害対応を迅速かつ的確に行うためには、まず事前に考え得るさまざまな事態を想定し、何をどのタイミングで誰がどのように行動するかといった対応の手順を、抜け漏れがないよう整理し、マニュアル化しておくことが重要と考えております。そして、作成したマニュアルに基づく訓練を繰り返し行い、マニュアルどおりに行動できなかった場合には、職員の習熟度の問題なのか、あるいはマニュアル自体に問題があるのかなど、しっかりと原因を検証した上で適宜マニュアルを見直していく必要があると考えております。 ただ、実際の災害時には、マニュアル作成時には想定していないことが起きることも考えておかなければなりません。そういった状況にも臨機応変に対応できる能力を身につけるなど、災害対応力をステップアップさせることも大切です。そのため、訓練や研修はもちろん、例えば実際に気象警報が発表された配備の際には、今後どんな事象が起こるかという想像力を働かせ、その対応についてイメージするなど、さまざまな方法で災害対応能力の向上に取り組むことが必要だと考えております。 こうした考えのもと、訓練や研修はもとより、実際の災害においても、OJTといった形で対応能力のレベルアップを図ってまいりたいと考えております。 次に、車中泊避難への対応についてお尋ねがございました。 阪神・淡路大震災や中越地震など過去の大規模な地震において、避難所の収容能力が不足したことなどから車中泊を強いられた避難者が見られました。特に中越地震をきっかけに、長時間の車中泊避難が原因と見られるエコノミークラス症候群が避難生活における留意点の一つとして認識され始めました。 本県では、南海トラフ地震が発生した場合、避難所での避難を前提としていますが、津波による浸水区域外の地域では、車中で避難をされる方も一定出てくるものと想定しておりました。 現在、県内の避難所において住民の皆様がみずから避難所を運営していただくためのマニュアルづくりを進めていますが、この中でも車中泊避難を想定した対応を盛り込んでいます。 こうした中、4月に発生しました熊本地震では、大きな揺れを伴う余震が続いたことで屋内にとどまることへの不安があったことなどにより、車中泊での避難が想像以上に多数発生しました。 避難所運営マニュアルの中には、このような状況への対応が十分には想定されておらず、熊本地震で課題となった車中で避難される方の把握や避難生活のルールの周知などへの対応を追加する必要があると考えています。今後は熊本地震での事例も参考にマニュアルを作成する中で、このような課題への対応について検討していくとともに、車中泊避難の避難者にも避難所運営にかかわっていただけるような仕組みづくりも検討していきたいと考えています。 次に、エアボートの今後の普及についてお尋ねがございました。 南海トラフ地震が発生しますと、地盤沈降により長期的に浸水する地域が幾つか発生します。その浸水エリアと対象となる人口が最大となる高知市では、約2,800ヘクタールにおよそ6万人もの方が取り残されることが想定されています。 こうした方々を救助する場合、ボートが主な手段となりますが、船外機を備えた通常のボートでは、スクリューに水中の瓦れきを巻き込み、自力で動けなくなることも考えられます。 一方、お話にありましたエアボートにつきましては、ボート上にあるプロペラで進むため、瓦れきがある中でも救助活動ができると考えております。 本年度、警察本部でエアボートを導入することとなっており、導入後は定期的に訓練を実施していくと伺っております。その際には、実際にボートを使って救助に当たる消防本部や自衛隊にも見学していただき、ボートの浸水域への移動やボート自体の操作性を初め、さまざまな視点からの御意見をお聞きしたいと思っております。 次に、ドローンやモーターパラグライダーの活用について、現状と対策についてお尋ねがございました。 まず、ドローンにつきましては、災害時に情報収集を行うためのツールとしては、既に実用化されており、一昨年の広島の土砂災害や今回の熊本地震の被災現場でも活用されています。 県内では、高知市消防局、県土木部の6カ所の出先事務所が導入しており、それぞれ火災の延焼状況の把握や砂防ダムにどれくらい土砂がたまっているかといった調査に使用されています。また、モーターパラグライダーにつきましては、ドローンよりも航続距離がすぐれているという点を生かし、物資輸送訓練が昨年県内で実施されています。このようにドローン、モーターパラグライダーとも災害時に有効であるとは考えております。 一方、災害時にこれらを使用する場合、応急救助機関のヘリコプターなどの活動の支障とならないよう、飛行区域の調整を行い、相互が安全に活動できるようにしておく必要がありますため、応急救助機関と安全な運用について協議していきたいと考えています。 特にドローンにつきましては、災害時に活用するとした場合、どのような点に課題があるのかということについては、既に導入している消防や県の出先事務所に御意見をお聞きしたいと思っております。また、今後操作性や安全性などの技術開発も次々と進むものと思いますので、その開発状況につきまして注視していきたいと考えています。なお、モーターパラグライダーにつきましては、まずは実際に県内で活動されている方から災害時の活用についてお話をお聞きしたいと思います。 次に、発災後の航空管制や報道のあり方について、災害時報道協定が必要ではないかとのお尋ねがございました。 災害時において応急救助機関のヘリコプターなどが被災地上空で安全に活動を行うためには、被災地の取材を行っている報道機関のヘリコプターが支障とならないよう、航空管制を行う必要があると考えています。このため、県から航空管制を行っている国の機関に対し、報道機関のヘリコプターの飛行を自粛していただくエリアや高度の設定について情報提供を行うことにより、報道機関に対しこのことを周知していただくこととしております。加えて、県からも直接報道機関に協力要請を行うこととしています。 また、避難所など被災地での報道対応につきましては、被災された方のお気持ちに配慮した取材を心がけていただくことや、災害対応の妨げとなる車の利用などは行わないなど、節度を持った取材をしていただくようあらかじめ報道機関に対して要請しておくことが必要と考えます。 本県では、県及び全ての市町村と県内の報道機関による災害に関する連絡会を設置しています。お話にありました協定という形ではありませんが、この連絡会の中で発災後の航空管制や被災者に配慮した取材、報道のあり方について協議してまいりたいと考えております。 次に、本県での備蓄の状況についてお尋ねがございました。 南海トラフ地震が発生した場合、本県では水や食料が約30万人分不足することを想定しますが、こうした不足への対応につきましては、基本的に市町村でしていただくことにしております。その方法は、発災後1日目の分は水や食料自体を備蓄し、2日目から3日目分は市町村内の流通備蓄で賄い、4日目以降は県外からの支援で対応することとしております。 発災後1日分の備蓄の目標は、平成25年5月に県が算定しました被害想定に基づき、水約89万1,000リットル、食料約106万食としています。現在の備蓄の状況は、水29.5%、食料51.3%の充足率となっております。 市町村におきましては、まだまだ目標数量に対して不足している状況であるため、目標を早期に達成していただくよう働きかけてまいります。 最後に、浄水装置の保有台数と今後の導入予定についてお尋ねがございました。 災害発生時において飲料水の確保は極めて重要であり、現在、市町村には備蓄の促進とあわせて避難所において井戸水や谷水を活用するための浄水装置の配備も進めていただいているところです。 地域本部管内の市町村での配備状況につきましては、平成27年度末現在で安芸地域で20台、中央東地域で9台、中央西地域で3台、須崎地域で8台、幡多地域で14台、さらに高知市で2台の計56台を配備しております。 県では、緊急時の市町村への貸出用として、県工業技術センターに1台、県青少年センターに1台、また避難所の飲料水用として県立高知農業高校に1台の計3台を配備している状況です。 個々の避難所への導入は、それぞれの市町村に取り組んでいただくことになりますが、県への配備につきましては、大規模災害時において市町村で飲料水の確保ができない場合、県としてどのような支援が効果的で実効性があるのか、まずは検討する必要があると考えております。   (土木部長福田敬大君登壇) ◎土木部長(福田敬大君) まず、住宅の耐震対策の加速化に向けた本県の取り組みにつきましてお尋ねがございました。 住宅の耐震対策の加速化については、第3期南海トラフ地震対策行動計画の重点課題に位置づけ、毎年1,500棟の耐震改修を行うという目標を掲げて取り組んでおります。これは過去最高だった昨年度実績の約2倍のペースとなっております。このため、全市町村における戸別訪問の実施、耐震設計の費用負担軽減について必要な予算を確保するとともに、段階的耐震改修への支援制度を創設し、全ての市町村を訪問して、これらの取り組みの実施を市町村長等に直接働きかけてまいりました。 その結果、今年度は25市町村が戸別訪問を実施する予定であるほか、耐震設計の上乗せ補助を行う市町村が4から22へと昨年度の約5倍にふえております。新規事業であります段階的耐震改修への支援につきましては、既に3町村が開始をしております。 また、熊本地震以降、住宅の耐震対策に関する問い合わせや補助の申込件数がふえるなど、県民の皆様の関心も高まっております。特に耐震診断につきましては、5月末現在で昨年度同時期の約2倍に当たります1,000件を超える申し込みを受け付けております。今後も戸別訪問等による耐震診断の勧奨を継続するとともに、耐震性が不足すると診断された住宅が着実に耐震改修されるよう取り組んでまいります。 次に、熊本地震の教訓を本県における住宅の耐震対策にどのように生かしていくのかとのお尋ねがございました。 複数回の大きな揺れへの対応については、最初の揺れに耐えられるよう住宅の耐震対策を進めるとともに、最初の揺れによって少しでも被害が見られた場合は、安全性が確認されるまで自宅に戻らないことの啓発が必要と考えます。このため、テレビ、ラジオなどのマスメディアを活用した広報を予定しているほか、今年度中に全戸配布を予定しております冊子「南海トラフ地震に備えちょき」の改訂版等を活用した周知の徹底を図ってまいります。 また、議員お話しのとおり、熊本地震では新耐震基準で建築されたと推定される木造住宅の被害が確認されていますが、一方で築年数がおおむね40年を超えると推定される木造住宅が多数倒壊していることから、まずは旧耐震基準の木造住宅への対応を優先的に進めていく必要があると考えております。 先月末には、熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会が国土交通省に設置され、今後地域別、構造別の被害状況の傾向や、特に新耐震基準の導入以降に建築された木造住宅被害の要因分析等が進められると聞いております。 県といたしましては、この委員会の分析結果を踏まえた国の動向を注視し、対応を検討してまいります。 次に、地盤改良など個人の資産に税金を投入することは困難であると思うが、本県はどのような対策を進めるのかとのお尋ねがございました。 熊本地震では、谷や沢を埋め立てた盛り土造成地において宅地の被害が多く、また建物は使用できても擁壁の崩壊や液状化などにより、宅地が危険と判断された例もあったと聞いております。 また、過去の震災では、大規模盛り土造成地で多数の被害が発生したことから、それらの位置や規模を把握する調査や、道路や河川などの公共施設に被害が想定される場合には、盛り土の崩壊や液状化の対策工事に対して国から助成が受けられる制度が設けられております。県では、昨年度からその制度を活用し、大規模盛り土造成地に関する調査に取り組んでおり、今年度末にはそれらの範囲を示したマップを作成し、公表する予定でございます。これにより、県民の皆様に大規模盛り土造成地の位置や規模を知っていただくことで、防災意識の向上につながるものと考えております。 なお、宅地の耐震対策工事への対応については、事業主体や費用負担などの課題があることから、今後国の動向を注視し、市町村の意見を聞きながら検討してまいります。 次に、本県における応急仮設住宅の建設候補地の確保の状況についてお尋ねがございました。 議員御指摘のとおり、応急仮設住宅の早期供給のためには、あらかじめ建設候補地を確保しておくことが重要でございます。このため、県では市町村から情報提供いただいた土地の中から、ライフライン等の状況等を踏まえ、建設に適したものを建設候補地としてリスト化し、建設可能戸数を試算しております。 全ての建設候補地で応急仮設住宅を建設した場合、発生頻度の高い一定程度の地震、いわゆるL1クラスの場合で約1万7,000戸、発生し得る最大クラスの地震、いわゆるL2クラスの場合で約1万5,000戸の建設が可能であると考えております。一方で、応急仮設住宅の必要戸数を県の被害想定から試算いたしますと、L1クラスの場合で約2万2,000戸、L2クラスの場合で約7万7,000戸でありまして、特にこのL2クラスの場合は、現段階では大幅に不足している状況です。 このため、応急期機能配置計画の策定を通じて建設候補地の精査と掘り起こしを継続するとともに、民間賃貸住宅を応急仮設住宅として借り上げる仕組みの準備にも取り組んでおります。加えて本年度からは、空き家を応急仮設住宅として活用するための仕組みについても検討することとしております。今後も供給可能戸数のさらなる確保に向けて取り組みを継続してまいります。 次に、シングルウッドパネルの応急仮設住宅への活用に向けた取り組みについてお尋ねがございました。 南海トラフ地震が発生した場合、他県における応急仮設住宅需要や輸送ルートの被災等により、県外からの資材調達が困難となることが想定されます。そのため、地元で調達可能な建築資材である木材の活用を念頭に、木造応急仮設住宅の標準設計を策定しております。 シングルウッドパネルは、量産できる体制が整えば、県内で資材を調達でき、建設工期の短縮も図れることから、応急仮設住宅の早期供給に寄与すると考えております。そのため、今後シングルウッドパネルの活用をこの標準設計に位置づけてまいりたいと考えております。 最後に、浦戸湾の三重防護の具体策と計画の工程はどのようになっているのか、また結果的に人口密集地の県都周辺がどのように強化されるのかとのお尋ねがございました。 三重防護は、県人口が集中し、社会基盤が集積している県中央部の津波による浸水被害を最小化するため、浦戸湾の地震・津波対策として3つのラインで防護するものでございます。 第1ラインとして、高知新港沖にございます防波堤の延伸と粘り強い構造への改良を行い、津波のエネルギーを減衰させます。第2ラインとして、浦戸湾入り口の津波防波堤の整備と外海に面した海岸堤防の液状化対策、かさ上げ等を行い、湾内への津波の浸入を低減させます。第3ラインとして、浦戸湾内の海岸堤防の液状化対策、かさ上げ等を行い、背後地への浸水を防ぎます。 これらの三重防護の対策によって発生頻度が高い津波、いわゆるレベル1津波に対しましては、想定される浸水面積1,600ヘクタールが解消されます。 また、発生し得る最大クラスの津波、いわゆるレベル2津波に対しましても、津波が到達する時間をおくらせ、避難する時間を稼ぐことで人命を守り、さらに浸水面積や浸水の深さを低減させることで、資産や経済基盤の被害を小さくすることができます。 この海岸整備事業は、平成43年度の完成を目標に、国と県を合わせた総事業費600億円で整備を行うものです。 本年度は、直轄事業において土質調査、用地測量、実施設計を行うと聞いており、県事業では平成24年度から着手しております若松町地区の海岸堤防を引き続き整備してまいります。今後は国、県、市の連携をより密にし、地元の皆様に事業内容についてしっかり説明を行い、スピード感を持って取り組んでまいります。   (総務部長梶元伸君登壇) ◎総務部長(梶元伸君) まず、罹災証明書の速やかな発行に向けたマンパワーの確保体制などの事前対応についてお尋ねがございました。 罹災証明書は、災害による住家の被害の程度を証明するために市町村が発行するもので、被災された皆さんへの各種の支援措置の適用の判断材料として幅広く活用され、被災者支援の円滑な実施を図る上で極めて重要な役割を果たすものであります。 しかしながら、熊本地震では職員の不足で住家の被害認定の調査が進まないケースがあったと承知をしております。また、住家の被害認定の調査への支援といたしまして、本県職員を熊本県の甲佐町に派遣いたしましたが、派遣した職員からは、被災認定のための手引、マニュアルが共有されておらず、限られた時間内での正確な評価に苦労したこと、役場職員のマンパワー不足から調査済みデータの管理や職員間の情報共有などの運営面に若干の混乱が見られたことから、スムーズな被害認定には平時からの備えが必要であると感じたとの報告がありました。 これらの熊本地震における課題につきましては、南海トラフ地震対策への教訓としなければなりません。 まず、当面の急がれる応急活動に必要な市町村の人員確保について、災害発生後速やかに全国に応援要請できるよう、東日本大震災や熊本地震などの先例に学び、対応が必要となる業務や人員体制についてパターン化しておくことに取り組んでみたいと考えております。 また、住家の被害認定調査は、内閣府の定める災害の被害認定基準に基づき行われるものであり、事前に準備することができますので、今後、熊本地震での教訓とあわせて職員に研修するよう市町村の皆様に周知してまいりたいと考えております。 次に、税外未収金対策として、外部委託や債権管理のための条例についてどのように検討を行っているかとのお尋ねがありました。 税外債権の未収金対策については、昨年度の包括外部監査において、「私債権の回収実績及び管理の効率化を上げるために、業務の外部委託を進めること」や、「管理を徹底し、債権回収を強化した上で回収困難な税外未収金については債権管理条例を制定して整理の促進を図ること」などの提言をいただいております。 このうち、業務の外部委託につきましては、本年度新たに外部の専門家である4名の弁護士と債権調査回収業務の委託契約を締結し、債権回収の強化を図ったところであります。 また、債権管理のための条例につきましては、主な債権を所管する7つの課で構成する庁内の検討組織を立ち上げまして、適正な債権管理及び債権放棄を含む債権の整理を促進するための条例制定に向けて検討を行っております。債権管理条例は、既に9つの都府県で制定されておりますので、条例制定後の運用実績等もお聞きした上で、本年度内の条例議案の提案に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。   (地域福祉部長門田純一君登壇) ◎地域福祉部長(門田純一君) 南海トラフ地震に関し、地震発生による長期の避難所生活や車中泊避難における精神的なストレスへの対応についてのお尋ねがございました。 東日本大震災におきましても、避難生活の長期化に伴う精神的なストレスへの対応など被災者の心のケアは大きな課題となりました。本県からも公的病院や民間病院の御協力をいただき、24チーム延べ89名の心のケアチームを被災地へ派遣し、現地での活動の経験などを踏まえ、大規模災害の発災直後から心のケア活動を行うことができるよう、チームの活動内容や関係機関の役割などを定めました災害時の心のケアマニュアルを平成25年3月に大幅に改訂いたしました。 その後、第2期南海トラフ地震対策行動計画に基づき、発災時に心のケア活動にかかわる市町村の保健師や医療機関の職員などを対象に3年間で延べ287名に研修を行うなど、心のケア活動を実践できる人材の育成に取り組みますとともに、新たに国において整備されました災害派遣精神医療チーム--DPATの仕組みへの対応を県内の精神科医療機関など関係機関と検討してきたところでございます。 こうした中で、今回の熊本地震におきましても、官民の医療機関に御協力をいただき、熊本県から国を通じて要請のあったDPATの派遣に迅速に対応することができ、4月22日から約1カ月間、7チーム延べ21名の派遣を行ってまいりました。被災地では、他県から派遣された保健活動チームなどとの連携による、避難所における被災者の診察や相談対応、被災者支援を行う行政機関職員等のメンタルヘルスへの支援などの活動は十分に行えたものと考えておりますが、これまでも課題として検討してまいりました活動拠点本部の動き方や指揮命令の徹底などの難しさも実感をしてきたところでございます。 今後、今回の経験を踏まえ、第3期南海トラフ地震対策行動計画に基づき、DPATの受け入れ体制の充実、また避難所や車中に避難されている方などの健康管理を行う保健活動チームとの連携のさらなる強化が図られますよう、災害時の心のケアマニュアルを改訂するとともに、引き続き活動を担う人材の養成にも取り組み、南海トラフ地震発災時の心のケア体制の充実に取り組んでまいります。   (観光振興部長伊藤博明君登壇) ◎観光振興部長(伊藤博明君) 地震発生時の外国人観光客の対応についてお尋ねがありました。 観光分野におきましては、第2期南海トラフ地震対策行動計画の中で、津波浸水想定区域内にある全ての旅館、ホテルにおいて、津波防災対策マニュアルと外国人観光客にも対応した災害時初動対応マニュアルを整備するとともに、高知県観光ガイド連絡協議会と連携し、主なガイドコース上の避難路及び避難場所の設定や、外国人観光客との現場でのコミュニケーション対応に関する研修を実施してまいりました。 今年度からの第3期行動計画では、旅館、ホテルの事業継続計画の策定を推進し、第2期行動計画で整備したマニュアルの実効性を高めるための訓練を各旅館・ホテルで実施するとともに、県において多言語の誘導案内シートなどを作成して、各施設で活用していただくこととしております。 あわせて、沿岸部の主要な観光スポットへの多言語の津波避難案内板の設置や、観光ガイド団体による避難路や避難場所への誘導訓練を実施することとしております。 お話にございましたさきの熊本地震の発生時には、宿泊事業者から、外国人対応のマニュアルがなく十分な避難誘導ができなかったというお話や、外国人観光客から、避難誘導が日本語であったため理解できなかったといった声が寄せられたとお聞きしております。このため、こうした状況も踏まえまして、5月25日に開催されました南海トラフ地震対策推進本部会議において、第3期行動計画の観光分野の取り組みを加速化、拡充するとともに、新たに発災時における外国人も含めた観光客への情報提供体制も検討していくことといたしております。今後も新しい知見が得られるたびに、観光分野での見直しを行い、より実効性のある対策を講じてまいります。   (警察本部長上野正史君登壇) ◎警察本部長(上野正史君) まず、本年度県警察が導入する予定のエアボートの仕様、配備先等、また今後の整備方針についてお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えいたします。 エアボートは、南海トラフ地震等の大規模災害発生時における長期浸水エリアでの救出救助活動や行方不明者の捜索等災害警備活動に使用できる小型のボートです。このエアボートは、推進部や操舵部が水面下にないため、水中の障害物の影響を受けず、高速走行が可能であるという特徴を持っており、災害警備活動に相当の効果が期待できることから本年度当初予算で措置していただいたところです。 今回、県警察が導入しようとしているエアボートは、市街地の長期浸水地域での使用を想定しています。このため、乗船人員は五、六人程度で小回りのきくもの、また後に述べますように、陸上での移動がトラック等で行えるような大きさのものを念頭に置き、現在具体的な仕様について検討をしております。 このエアボートは、本来は高知市中心部を管轄し長期浸水エリア内に位置する高知警察署に配備することが最適ではありますが、同署は近く建てかえ工事が始められることから、当面は市中心部の浸水域の救出救助活動に即座に対応可能な高知東警察署に配備することを予定しています。この場合、実際にエアボートを出動させるには、車両運搬用のトラックにエアボートを積載して水際まで運搬するといった方法をとることを想定しています。 県警察では、今回導入するエアボートが災害時に大いに活躍することを期待しております。このため、仕様等を確定した後、できるだけ早い時期にその導入を図ってまいりますとともに、導入後はこれを操船する機動隊員等による習熟訓練を定期的に行い、発災時にその効果を最大限発揮できるよう努めてまいります。 次に、今後のエアボートの整備方針につきましては、まずは今回予算措置をされた1艇を早期に導入し、各種訓練等を通じてその実際の効用をつぶさに検証してまいります。その結果を踏まえた上で、財政事情をも勘案し、来年度以降のさらなるエアボートの導入について検討していきたいと考えております。 次に、本県の警察犬の現状と災害救助犬の導入についてお尋ねがありました。 犯罪捜査や高齢者等の行方不明事案の捜索活動に従事する警察犬は、現在県警察が所有する直轄犬として1頭を運用しているほか、民間の方が所有している犬を嘱託犬として6頭指定しております。 御指摘の災害救助犬は、ただいま申し上げた警察犬とは別に、災害現場における生存者の発見活動に従事する犬です。この災害救助犬は、警察では一部の大規模都道府県警察で保有しているものと承知しておりますが、当県警察では現在保有をしておりません。 災害救助犬は、災害現場での捜索に有用であるとは認識しておりますが、他方これを県警察が保有し運用するとなると、その飼育や訓練担当員の確保、運用経費などの課題も多いことから、現時点では当県警察で導入する具体的な計画は立てておりません。 なお、今後本県で大規模災害が発生し、捜索救助活動に災害救助犬を必要とする場合は、災害救助犬を保有している都道府県警察から応援を受けて運用することを考えております。 最後に、大規模災害発災時の混乱や窃盗被害への対策についてお尋ねがありました。 大規模災害発災時には、議員御指摘のとおり、警察官も被災者になる可能性がありますが、県警察は、まずは招集できた人員を最大限に用いて人命救助に全力を挙げて取り組むこととなります。同時に、物資を求める人たちが殺到することによる混乱や避難地域での空き巣などの被害の発生も懸念されることから、これらに対しても、優先順位を的確に見きわめつつ対応する必要があります。 従来より警察では、大規模な災害が発生したときには、被災県の要請を受け、他の都道府県警察から緊急援助部隊のほか、警戒・警ら活動等に従事する部隊が応援派遣されることとなっています。これに加え、警察官OBから成る警察支援活動員が、交番などにおいて事件、事故等の発生時における連絡役を務めるなど警察活動の支援を行います。 さらには、自主防犯・防災組織の方々にも、必要に応じて御協力を呼びかけるなどして、できる限りの要員を確保し、被災地の治安の確保に努めてまいります。   (商工労働部長中澤一眞君登壇) ◎商工労働部長(中澤一眞君) 税外未収金のうち、協業組合モード・アバンセと協同組合サンモールに対する未収金の現在の状況と今後の対応策についてお尋ねがありました。 これら2件の貸付金に関しましては、これまで担保物件の処分や連帯保証人への請求のほか、詐害行為の取り消し請求などの法的措置も行いながら、回収に努めてきております。 平成28年5月末現在の残高は、モード・アバンセが高度化資金の13億2,069万円とパワーアップ融資資金の11億7,988万円を合わせた25億57万円、サンモールが高度化資金の10億9,711万円となっております。 両組合とも、担保物件は全て処分をされ、現在は連帯保証人からの回収のみとなっております。その人数も、自己破産や連帯保証人の死亡による相続人の相続放棄により、モード・アバンセについては4名、サンモールについては3名となっております。 こうした状況から、債権の回収は極めて厳しい状況ではありますが、今後も定期的に連帯保証人を訪問しての、本人からの聞き取りや公的機関からの通知書などにより、収入や資産の状況を確認しながら、適切な債権管理を行い可能な限りの回収に取り組んでまいります。   (林業振興・環境部長田所実君登壇) ◎林業振興・環境部長(田所実君) 将来的にCLTとシングルウッドパネルのハイブリッド工法も有望であると思うがどうか、またシングルウッドパネルをこれからどのように表舞台に上げるのかとのお尋ねがございました。 シングルウッドパネルは、板材を横方向に接着したパネル状の木質建材であり、こうち健康・省エネ住宅推進協議会が県の支援により平成25年度に開発し、翌年度防火に関する国土交通大臣の認定を取得した製品でございます。本年度は強度に関する大臣認定を間もなく取得できる見込みであると同協議会からお聞きをしております。 シングルウッドパネルのメリットとしましては、木が見える形で活用でき、木のぬくもりを感じる建物の建築が可能となること、また施工性が高く工期短縮によるトータルコストの低減が期待できることなどがあります。さらに、従来の工法と比較して、木材の使用量が増加することから、木材の需要拡大にもつながるものと考えています。シングルウッドパネルの用途としましては、一般の木造住宅に加え、防火の制限を受ける都市部などの建築物や、迅速な対応が必要となる災害時の応急仮設住宅などへの活用が期待できます。また、CLTの高い強度性能やシングルウッドパネルの軽さなど、それぞれの特徴を生かしたハイブリッドによる建築についても有望であると考えています。 他方、シングルウッドパネルには、開発されて間もない製品であるため、広く知られていない、また需要が少なく注文に応じた生産となるためパネル自体の価格が高いといった課題がありますが、先ほど申し上げました強度に関する大臣認定を取得することにより、いよいよシングルウッドパネルの普及拡大に向けた環境が整ってくるものと考えています。 このため、まずは認知度の向上と需要の拡大に向け、設計士や工務店の方々を対象にした講習会の開催や住宅展示会への出展、シングルウッドパネルを活用した建物のPRなどの取り組みを行うことが重要であると考えております。また、コスト低減に向け、シングルウッドパネルの効率的な生産体制を構築していくことも重要になってくると考えています。 県としましては、知事を本部長とする県産材利用推進本部や、市町村、建築事業者が参加する県産材利用地域推進会議などを通じて、シングルウッドパネルを活用した工法のメリットを周知することなどにより、公共建築物等への活用促進に取り組んでまいります。 あわせて、こうち健康・省エネ住宅推進協議会と連携を図りつつ、同協議会が進めるシングルウッドパネルの普及や木材加工事業者が行う生産施設の整備などの取り組みをしっかりと支援してまいります。こうしたことにより、本県の木材需要のさらなる拡大につなげてまいります。 ◆19番(浜田英宏君) それぞれ御丁寧な御答弁を賜りまして、本当にありがとうございました。危機管理部長と土木部長に再質問をさせていただきます。 今、危機管理部長の御答弁で明らかになりましたことは、浄水装置、非常に県内一円で偏在性があるということが明らかになりました。とりわけ高知市がたったの2台ということは、これはいかがなものかと思いますが、高知市の危機管理部は一体どのような考えでしているかなと。これは県が指導するというわけにはいかんのでしょうけれども、30万都市、県都ですから、ここにたったの2台というのはどう考えてもおかしいと思います。これを何とかしていただきたいということに対する御答弁をまずいただきたい。 それから土木部長におかれましては、浦戸湾三重防護の御答弁ありがとうございました。新港と浦戸湾入り口とその奥のほうは、いま若松町の海岸堤防もというお話が出ましたけれども、やっぱり浦戸湾の入り口をがっちりとめるというプライオリティーが必要だと思いますが、その答弁をよろしくお願いいたします。 以上2問です。 ◎危機管理部長(酒井浩一君) 高知市が浄水器が少ないというのは事実でございます。まず、浄水器の以前に水源としてどれだけ水を高知市が確保しているかということになってくるかと思いますので、まずは水源、どういうふうに今後確保していくか、それにあわせて浄水器をどうするかということにつきましては、これからちょっと高知市とお話をさせていただきたいと思っております。 ◎土木部長(福田敬大君) 今お話がございました浦戸湾の入り口の整備につきましては、これ国の今直轄事業におきまして、津波の浸入を低減できる第2ラインであります外海に面した海岸堤防の部分を優先的に着手したいというふうに聞いておるところでございますので、県としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えます。 ◆19番(浜田英宏君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 これは質問ではございませんが、いよいよ間もなく参議院選がスタートいたします。野党の皆さん方は同床異夢状態の選挙協力体制で、仮に自公政権を倒したとしても、その先一体どうするのか、それで果たして日本の政治が安定するのか、それが問われる選挙でもあるんです。もっと言うならば、国民が保守政治を選択するのか、それとも革新政治を選択するのか、まさに天下分け目の戦いでございます。お互い余りレッテル張りを行わないように、正々堂々と戦っていこうではありませんか。 以上で私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(武石利彦君) 暫時休憩いたします。   午後0時7分休憩-----------------------------------   午後1時10分再開 ○副議長(梶原大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 29番上田周五君。   (29番上田周五君登壇) ◆29番(上田周五君) 県民の会の上田でございます。議長のお許しをいただきました。会派を代表しまして質問をさせていただきます。 初めに、熊本県を中心にした一連の地震は発生から明日でちょうど2カ月となります。改めまして熊本地震でお亡くなりになられた皆様に謹んで哀悼の意を表します。また、被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興を強く願っております。 それでは、安全保障関連法についてお聞きをいたします。歴代政権が憲法9条のもとで禁じてきた集団的自衛権行使を解禁する安全保障関連法が3月29日に施行されました。他国軍への後方支援など、自衛隊の海外活動は地球規模に広がる、新しく駆けつけ警護などの任務を与えられる可能性のある自衛隊員にはテロの標的になるおそれが出てくるとして、リスクの議論が不十分ではとの不満も聞かれております。防衛省では、自衛隊が参加している南スーダンの国連平和維持活動PKOに11月から陸上自衛隊第5普通科連隊、青森市を中心とする部隊を11次隊として派遣する方向で調整していることが先月25日までにわかっております。政府は安全保障関連法に基づく駆けつけ警護などの新任務を検討しているのです。このように、ことし3月に施行された安全保障関連法の一つである改正国連平和維持活動--PKO協力法では、自衛隊の武器使用の緩和、武装集団に襲われている国連要員や他国部隊、非政府組織、NGO関係者のいる離れた場所まで向かい、武器を使って助ける駆けつけ警護や宿営地の共同防衛が可能となりました。この安全保障関連法の施行について、中部アフリカのルワンダ、アフガニスタン、旧ユーゴスラビアなど世界の紛争地に赴き、兵士の武装解除や平和構築の活動に取り組んできた日本紛争予防センター理事長の瀬谷ルミ子氏は、中東やアフリカで欧米諸国の軍事行動に協力するとなるとリスクの種類が違う、自衛隊の紛争地での経験はまだ乏しく危険にさらされる確率が高いとおっしゃられています。瀬谷氏は続けて、NGOも国連機関も軍事組織と一線を画し、現地の人々の信頼を得ることで安全を確保している、自衛隊と連動しているとの誤解が広がれば逆にリスクが高まる場合もあると言われています。こうした中、共同通信社が3月26、27日に実施した全国電話調査では、安保法を「評価しない」が49.9%で、「評価する」の39.0%を上回った。安倍首相はこの結果、つまり安保法に国民の反発が根強い現状を重く受けとめるべきだと存じます。 また、5月13日から15日にかけて高知新聞社などが参院選を前に実施した合同世論調査でも、集団的自衛権の行使などを可能にした安全保障関連法について、高知県民の49.5%が反対し、賛成の32.7%を大きく上回る結果が出ております。本県もおおむね全国と同様の傾向を見せた。安保法への県民の懸念が根強く残っています。知事はこうした現実をどのように受けとめているのか、まずお聞きをいたします。 次に、消費税率の10%への引き上げを2年半延期するとしたことについてお聞きをいたします。消費税の増税はもともと2015年10月に引き上げの予定であったものが、2017年4月に変更されていました。予定どおり増税を実施するのか、先送りするのか、安倍首相がいつ、どう判断するのかに関心が集まっていましたが、伊勢志摩サミットで世界経済の危機回避の必要性を共有したことを踏まえ、増税2年半再延期を決めました。首相の判断や延期理由として挙げた、世界経済が大きなリスクに直面しているとの説明に対し、複数の全国紙が電話による全国世論調査を実施していますが、首相の判断を「評価する」が56から60%に上っており、また理由として挙げた世界経済が大きなリスクに直面しているとの説明には「納得しない」との回答がおよそ60%ありました。10%引き上げについては、首相が今回判断する前の世論調査で、反対が約65%に上っていました。調査結果が示すように、消費税増税には基本的に反対の国民が多いのが現実の姿であります。しかしながら、保育所をふやしたり、介護職の待遇を改善したりするためには議論の余地はあるものと考えます。このたびの消費税増税の延期で社会保障政策に支障が出ることを「懸念している」との回答は50%を超えており、増収分は社会保障費に全額充てられる予定だっただけに、影響が生じることに不安を感じている人が少なくないようでございます。もとより社会保障と税の一体改革の枠組みによれば、消費税率5%引き上げ時増収分約14兆円は全て社会保障の充実、安定化に充てられることとされています。しかしながら、多くの国民は国家財政が多額の借金を抱える中で、本当に全額社会保障に充当されるのか、これまでの経過からしても非常にわかりづらく、その上明確な説明もないことから、非常に不安を持っているのです。政府は、平成27年3月31日に成立した所得税法等の一部を改正する法律等により、消費税率の10%への引き上げ時期が平成27年10月から平成29年4月に変更されたことにより、消費税率は平成29年4月より10%になりますとし、内閣官房、内閣府、総務省、財務省、厚生労働省の合同で、国民向けに「社会保障と税の一体改革」という冊子を策定しています。この中で、消費税率引き上げによる増収分については、全て社会保障に充て、国民みんなが安心して生活できる活気ある社会の流れをつくっていくと宣言をしております。このことを受け、全国の自治体は消費税率10%のうち2.2%は地方消費税分となることから、それぞれの町の中長期にわたる将来プランを描く中で、それぞれに交付されます地方消費税を貴重な財源として見込んでいるものと推測をいたします。それらへの影響も心配されるところでございます。安倍首相には、消費増税の再延期による代替財源の確保策を示す責務があると存じます。 そこでお聞きをします。今回の消費税増税の延期で少なからず本県や県内市町村の今後の行財政運営にも影響が生じると考えますが、知事にお考えをお聞きいたします。 次に、人口減少問題に対する取り組みについてでございます。昨年10月に実施された平成27年国勢調査の人口速報値が発表されました。それによると、高知県の総人口は5年前の平成22年と比べ3万5,995人の減、率にして4.7%減の72万8,461人となりました。一定の人口減は予測されていたものの、改めて厳しい現実を突きつけられたと思います。特に県内34市町村の中で中山間地域を多く抱える自治体では、その減少率が10%を超え、20%近い自治体もございました。また、この5年間で4,000人を割る、いわゆる小規模自治体が4団体もふえ、13団体となりました。そうした現状の中で尾崎県政3期目、実質的な初年度である28年度がスタートし、1四半期の後半に差しかかっております。28年度は対前年度比0.9%増の4,625億円という積極型予算で5つの基本政策と2つの横断的な政策のさらなるバージョンアップを図り、県勢浮揚の実現に向けて実効性の高い施策をスピード感を持って展開されるとしております。 そこでお聞きをいたします。本県が直面する最大の課題である人口減少問題を克服し、人口減による県民の将来不安を払拭する意味からも、この人口減少問題にどのように取り組んでいくのか、知事にお聞きをいたします。 この項の最後に、新たな地方自治のあり方について知事のお考えをお聞きします。市町村は住民向けに行政サービスを提供し、その区域の発展のために事業を実施する、これが地方自治の大原則でございます。そんな地方自治の大原則を破り、広域的な発展を目指す動きが広がっております。人口20万人以上で政令指定都市に準じた権限を都道府県から移譲されている中核市など、財政力のある市が事業費とマンパワーを負担し、近隣の市町村を巻き込んで観光振興、産業育成、医療・福祉の提供、公共交通網の整備などなど、人口減少と東京一極集中に立ち向かうには、1市単独の力では限界がある。だが、自治体の枠を超えて取り組めば、発展の可能性は大きく広がるという考え方でございます。人口減少と高齢化が進んで財政が逼迫する今後の日本では、全ての市町村が単独でフルセットのサービス機能を維持することは不可能と思います。広域連携はそんな現状において発想された地方の生き残り策だと考えます。総務省によると広域連携は、岡山県倉敷市を初め兵庫県姫路市、福岡県久留米市、宮崎市などの中核市が中心となって進んでおり、こうした広域連携の動きについて総務省は、人口減少社会に有効な新たな地方自治の手法だと位置づけ、平成27年度から中心となる自治体に平均2億円の交付税を配分、近隣市町村にも事業費を負担したら最大1,500万円の特別交付税を配分するなど、後押しを始めています。また、東日本では人口約3万人の長野県大町市は中核市でないものの、県の財政支援を受けて近隣4市町村との連携を進めております。こうした実例もございます。 そこで、高齢化が全国より15年先行している本県の実情を考えたとき、県内では高知市が県内市町村と連携中枢都市圏の形成を目指す協議を進めていくと表明したところで期待もするところでございますが、県としてどう受けとめ、どのようにかかわっていくおつもりなのか、知事の御所見をお聞きいたします。 次は、南海トラフ地震対策でございます。 まず、住宅耐震化の推進を図る観点からお聞きをいたします。熊本地震による死者は49人、報道によれば49人のうち家屋倒壊による死亡が36人、安否不明が1人、ほか19人について関連死の可能性があるとされています。また、住宅被害は10万棟を超えています。今回の熊本地震では家屋の耐震補強がいかに重要であるかを改めて認識させられました。建築基準法と耐震基準については、1978年の宮城県沖地震を契機に、1981年に建築基準法が改正、必要な壁の量をふやし、極めてまれな地震、震度6強から7級で建物が倒壊しない水準を求めるなど、大幅に耐震基準が引き上げられました。その後、1995年の阪神大震災で多大な木造家屋の被害が出たため、2000年の改正で木造の柱と土台を接合する金具や壁の配置に関する規定を厳格化し、耐震性がさらに強化されました。にもかかわらず、今回の地震では1981年の建築基準法改正以前の家屋倒壊のほかに、1981年から2000年までの木造家屋でも筋交いや壁の量が少ない建物で倒壊が目立ち、また耐震基準が厳しくなった2000年以降に建てられたと見られる木造家屋の全壊が51棟もあることがわかっております。 こうした中、本県においては南海トラフ地震による揺れから命を守る対策の一丁目一番地に住宅耐震化の促進を掲げ、段階的耐震改修への支援制度を創設するなど取り組みを強化しておりますけれども、住宅所有者の負担軽減のためには、土佐町のように耐震改修工事への思い切った補助金上乗せも効果があると考えるところでございます。このような取り組みを県内に広げていくお考えはないのか、土木部長にお聞きをいたします。 次に、県の木造住宅耐震化促進事業についてお聞きをします。本事業は市町村、県、国が一緒になって耐震化を必要とする住宅の所有者を支援する事業です。本事業の対象となる昭和56年5月31日以前に建てられた木造住宅は、耐震性の有無にかかわらず、県内に約10万戸あると推定されています。一方で、本事業は県に登録された設計事務所や工務店に設計や工事を行ってもらうことが条件となっており、誰にお願いすればよいのかわからないという声も聞こえてきます。また、地震・津波に対する県民意識調査の結果を見ると、52.7%の県民がそもそも住宅の耐震改修に対する補助事業の存在を知らないという状況であり、本事業が県民に浸透し切れていないのが実情であると考えます。 県は今後3年で4,500棟の耐震化を進めていくとの目標を立てておりますが、本事業の周知に向けてどのように取り組むのか、土木部長にお聞きをいたします。 次に、地震火災対策についてお聞きをします。さきの熊本地震においても、住宅火災が発生し、そのことが原因でとうとい命が失われました。本県は昭和46年10月に高知広域都市計画区域が設定され、昭和40年代後半から昭和50年代初めにかけて県都高知市の近郊で住宅開発が進み、多くの団地が造成されました。その団地も40年余りが経過した今、昭和56年5月1日以前に建てられた木造住宅が多く、建物が老朽化し、おひとり住まいの高齢者世帯がふえるなど、一たび地震による住宅火災が発生すると大火につながる危険性をはらんでおります。また、私の住まういの町では、古くから市街地が形成されており、製紙工場と個人住宅が混在、密集する地域が多く、地震による火災が非常に心配されております。他の自治体でもいの町と同様な地域が多くあると思っております。 こうしたことから南海地震対策への取り組みとして、地震火災対策は大変重要な課題だと考えますが、現在の取り組み状況について危機管理部長にお聞きをいたします。 次に、高知県津波警報システムについてお聞きをします。本県では東日本大震災の教訓を踏まえ、地震による津波から命を守る対策の一環として、高知県津波警報システム検討会を立ち上げています。この検討会は高知県沖合で操業する漁業者の生命及び漁船を守るため、地震・津波の発生等を漁業者に対し24時間体制で迅速に伝えるための最適な津波警報システム案の検討を目的としています。現在の高知県の漁船数などの現状は、海面動力漁船は約7,500隻で、そのうち漁業無線を装備している漁船は約1,500隻であり、トン数の大きい漁船は漁業無線を装備する比率が高くなっています。また、今回本県が検討している地震や津波の発生を陸上側から操業中の漁船に知らせる仕組みは見当たらないということでございます。 そこでお聞きをします。この検討会は本年4月に設置され、平成28年度末までに津波警報システム案の決定を目指しておりますが、システムの構築に向けた現状と課題及び期待される効果などについて水産振興部長にお聞きをします。 次に、先日南海トラフに関し、海上保安庁の研究チームが巨大地震発生が懸念される南海トラフに沿って、地震の引き金となるひずみの大きい場所が四国や静岡県、愛知県の沖合に分布しているとの研究成果をまとめ、その論文が5月24日付のイギリスの科学誌ネイチャーに掲載されております。海底の動きから推定した初めてのひずみの分布図で、詳しい被害想定などに役立つとされています。静岡県沖から四国沖に伸びる南海トラフでは、海側のプレートが陸側のプレートの下に沈み込んでいる。これに伴い陸側のプレートでは北西方向に引っ張られてひずみがたまり、耐え切れなくなるとプレート境界がずれ動いて地震が起こります。海上保安庁は南海トラフ沿いの海底の15カ所に観測点を設置し、年数回、船上から音波を発信して、その位置を測定してきました。2006年度から2015年度にかけては、年間2ないし5.5センチメートル北西に動いていた。静岡県沖から愛知県沖や四国沖などは特に動きが大きく、周囲よりもひずみがたまっている可能性が高いと言われています。いよいよ南海トラフ地震に対する不安、心配が増幅してまいります。こうした中、先月25日に開かれた南海トラフ地震対策推進本部会議では、熊本地震で浮き彫りになった課題について協議がされています。このうち、2度の大きな揺れに対する建物の耐震化についてとの議題では、住宅、大規模避難所、防災拠点施設、そして医療施設、要配慮者施設の4種類についての検討がされています。 そこでお聞きをいたします。私は以前から住宅の耐震化の必要性と同時に、配慮が必要な乳幼児を預かる保育所や幼稚園の耐震化の重要性を訴えてまいりましたが、これらの施設の耐震化の現状と今後の取り組みについて教育長にお聞きをいたします。 この項の最後でございますが、南海トラフ地震対策の抜本強化が5つの基本政策に位置づけられた平成24年度以降、5年間で地震対策関連予算額は、総額で約1,600億円に上ります。いかに本県が地震対策に力を入れているのかがわかります。そこで、高知城の耐震化についてお聞きをいたします。 熊本地震では、熊本城のやぐらや阿蘇神社の楼門など国重要文化財の建造物38棟で被害が出ました。文化財建造物の耐震補強については、文科省は1995年の阪神大震災をきっかけに技術的な指針づくりを進め所有者や自治体に耐震補強を呼びかけてきました。しかしながら、全国の国宝及び重文建造物約4,800棟のうち工事が完了したのは約330棟、また2009年から2014年度に木造の約3,000棟で耐震予備診断を行ったところ、約1,700棟で対策が必要との結果が出ております。重文建造物などの耐震補強には多額の費用がかかることから、木造天守が現存する全国12城で耐震補強を終えているのは平成27年に平成の大修理を終えた姫路城だけでございます。 そこでお聞きをします。国の重要文化財建造物に指定されている高知城ですが、耐震予備診断を行っているのか、行っているとしたらその結果はどうだったのか、そして高知城の耐震化の必要性はないのか、教育長にお聞きをいたします。 インフラの充実についてお聞きをいたします。 まず、道路問題に関してでございます。本県の平成25年度末の道路改良率は47.0%で全国第44位であります。全国平均は61.3%ですので、全国水準から大きく立ちおくれております。そのため県民の安全・安心の確保と地域経済の活性化につながる道路整備の促進に重点的に取り組むことは論をまたないのでございます。こうしたことから、県においては地域の実情を踏まえ、必要性や緊急性の高いインフラ整備に取り組んできました。いわゆる命の道として必要不可欠な四国8の字ネットワーク整備促進については、これまで南海トラフ地震対策の最優先課題として早期の整備を目指して取り組んでおり、県内の供用延長は平成19年度末の88キロメートルから138キロメートルに延び、観光客の増加につながるなど、一定の効果が見られています。しかしながら、依然として東部や西南部にミッシングリンクがあり、整備率は53%にとどまっています。今後さらなる整備の促進に取り組んでいかなければなりません。そして、中山間地域の道路整備でございます。私は平成28年度産業振興土木委員会に所属し、出先機関の業務概要調査を行いました。各土木事務所長から道路整備などの現状の説明及び関係市町村長からの切実な要望などをお聞きしました。未改良部分が多く残されていること、市街地部と比べ大きく道路改良率が低い現状など、その整備促進の必要性を改めて強く感じました。 中山間地域の再生には言うまでもなく、道路整備の促進は欠かせません。道路利用者の安全・安心確保と中山間地域の活性化を支援する意味からも、未改良部分の整備が急がれていると思います。1.5車線的道路整備の今後の取り組みについて土木部長にお聞きをいたします。 次に、中山間地域の1.5車線的道路整備とあわせ、地域と地域を結ぶ緊急輸送道路整備の促進も急務であります。南海トラフ地震時の孤立解消や避難路の確保など、復旧・復興のために重要な役割を担う道路でございます。今後の整備促進や地震対策の取り組みについて土木部長にお聞きをいたします。 次に、土砂災害防止対策の整備促進に関してでございます。土砂災害から人命を守るための対策が急がれていると思います。熊本地震の死者は49人、うち土砂崩れによる死亡は9人でございました。このため南海トラフ地震対策の一環として、地域住民の安全・安心を確保するための砂防、急傾斜地崩壊対策及び地すべり対策並びに土砂災害のおそれのある区域を明らかにし、土砂災害警戒区域等の指定を進めるための砂防等基礎調査の推進などが必要だと考えますが、今後の土砂災害防止対策について土木部長にお聞きをいたします。 この項の最後に高知県民、特に高知市以西、国道33号沿線沿いの県民の皆様が待望久しかった国道33号高知西バイパス枝川-天神インターチェンジが去る3月5日に開通しました。私は長い間いの町役場で執行部の経験がありまして、高知西バイパス事業に直接かかわった者として、この瞬間のためにこれまで多くの犠牲があって今日があるということを強く感じたことでございました。この枝川-天神インターチェンジ間2.9キロの開通で高知西バイパス9.8キロメートルの9割近くが完成し、いの町の国道33号を迂回できるようになり、慢性的な交通渋滞が解消されました。この一大プロジェクトを少し振り返ってみます。 国道33号の交通渋滞の解消を図るため、西バイパス計画は昭和49年に計画されました。そして、昭和50年9月高知県議会定例会で私の郷里の大先輩であり、師と仰ぐ田上繁利元県議がこの課題を取り上げ、その必要性を訴えました。以来四十有余年という長い歴史と歳月の中で紆余曲折もありましたが、国及び県の御協力のもと、多くの地権者及び地元の関係者の御理解、そして歴代の伊野町長を初めとする行政関係者の並々ならぬ努力、そして犠牲の上に今日こうして開通の運びとなったことを今現在、本事業に携わる行政関係者は決して忘れてはならないと強く思っております。 さて、冒頭申し上げましたように、いの町内の交通渋滞は解消されましたが、鎌田インターチェンジから県道いの土佐線を経由し、国道33号と交差する箇所では、朝夕のラッシュ時にはしばしば渋滞が発生しています。このため沿線の住民は残る鎌田-波川間の一日も早い完成を切望しています。全線開通の暁には、日高村を初め仁淀川流域の町村では、高知市への通勤圏となることはもちろん、過疎対策の面でも大いに期待されます。 もちろん、本事業は国直轄事業ではございますけれども、県としましても、先ほど申し上げましたように、過去の経緯を踏まえた上で残された鎌田-波川間1.5キロメートルの早期完成に取り組んでいただきたいと存じますが、土木部長にお聞きをいたします。 仁淀川流域の治水対策についてお聞きをいたします。 まず、一級河川仁淀川の河川整備についてでございます。高知西バイパスいの大橋の下流から支川の宇治川排水機場の樋門はけ口付近にかけては、近年特に堤外に立木、樹木が生い茂り現場はまるで密林のごとくの状態になっております。 このため洪水時における本川流下能力の低下や支川の宇治川排水ポンプの排水能力の低下の心配に加え、河川が平常時に戻ったときも洪水時に樹木にかかったちりあくたなどがそのままの状態で景観的にもよろしくなく、樹木の伐採などの地元要望が絶えません。執行部におかれても、一度現地調査を行いしかるべき対策を講じるべきだと考えますが、土木部長にお聞きをいたします。 次に、仁淀川の支川、一級河川宇治川流域の浸水対策でございます。 宇治川流域に開けるいの町枝川地区は、奥に行くほど地形的に低くなっております。このため大雨のたびに河川の氾濫により、周辺住家の浸水や国道33号の冠水で通勤、通学、さらにはいの町内等の工業活動に支障を来し、県民生活が一時麻痺する事態を繰り返してきました。平成26年8月の記録的大雨による浸水被害は記憶に新しいところでございます。こうしたことから、歴代の伊野町長は、宇治川流域の治水問題を町の最重要課題の一つに掲げ、その対策に力を注いでまいりました。小さな河川だった宇治川を一級河川に昇格させ、国、県の御指導のもと、宇治川の河川改修工事や排水機場のポンプ設置など治水対策を飛躍的に進めた井上長英元町長、そしてその流れを引き継ぎ一旦事業の進捗が危ぶまれた仁淀川床上浸水対策特別緊急事業・新宇治川放水路事業を完成まで導いた伊藤建男元町長、この2人のもとで仕えた私は、いつも雨季になりますと当時のことを思い出します。私もこれまでの経験をもとに、平成18年2月の予算委員会で当時の久保田土木部長に、宇治川支川の県管理河川、天神ヶ谷川河川災害復旧助成事業の進捗状況とその上流部の改修の必要性と今後の改修への取り組みについて質問したところ、部長は天神ヶ谷川の上流部では国直轄事業の国道33号高知西バイパス事業が進んでいる。御指摘の上流部の改修については、バイパス事業と一体的に整備することが不可欠だ。このバイパス事業の進捗状況を見ながら、西バイパスが影響する区間については、下流と同じ断面で同時期に施工したいと考えている。当時大変前向きな御答弁をいただきました。その答弁どおり、現在宇治川流域では、県におかれましては、高知西バイパスの進捗に合わせまして、天神ヶ谷川上流部の河道掘削・河川改修工事を急ピッチで進めてくれております。また、国におかれましては、宇治川排水機場の排水ポンプ増設工事を施工いただいております。工事の箇所が国道33号に沿っていることから、いの町民のみならず、多くの県民の皆様がこの工事の進捗状況について大変注目をしておりますし、一日も早い完工を願っております。 そこで、天神ヶ谷川の改修工事の進捗状況はどうなっているのか、土木部長にお聞きをいたします。 この項の最後に、先月30日に国土交通省は過去最大の降雨実績などをもとに設定した想定最大規模降雨で仁淀川や四万十川などの大規模河川が氾濫した場合の浸水域や家屋倒壊が発生する範囲を公表しました。それによりますと、各地で堤防が同時に決壊した場合に、仁淀川流域では約700ヘクタール、四万十川などの流域では約1,200ヘクタールのエリアで家屋倒壊のおそれがあるという内容でございます。また、高知河川国道事務所によりますと、仁淀川流域で想定最大規模降雨48時間の総雨量が904ミリメートルがあった場合、高知市、土佐市、いの町、佐川町、日高村の5市町村で約4,800ヘクタールが浸水するというものでございます。この内容に驚いたのは私だけでしょうか。一体治水対策はどこまで進めたらよいのでしょうか。これまでの治水対策が根本から変わるような気がしてなりません。 そこでお聞きをいたします。今後、国土交通省、気象庁、関係自治体などでつくる協議会で減災対策を検討するとされていますが、どのように取り組んでいくのか、土木部長にお聞きをいたします。 次に、「志国高知 幕末維新博」についてお聞きをいたします。 まず初めに、坂本龍馬記念館増築・改修工事の入札不調についてお聞きをいたします。先月、坂本龍馬記念館工事の入札が不調になったことで、「志国高知 幕末維新博」の第2幕の開幕が当初の予定から3カ月おくれ、2018年4月の開幕になるとお聞きをしています。4月の開館ということであれば、旅行会社における旅行商品づくりなど博覧会への影響は少ないとは思いますが、これ以上開館がおくれることがないようしっかりと対応をしていく必要があると思います。 今回の入札不調の原因がどこにあるのかについて文化生活部長にまずお聞きをいたします。 次に、県内の20の地域会場についてですが、今回の博覧会は県内に存在する歴史資源を磨き上げ、その歴史資源や地域の食、自然などを一体的に周遊できるコースを整え、多くの誘客を図るとともに、国際観光にも対応できる観光振興につなげていくことを目的とし、その関連予算も歴史観光資源等強化事業費補助金5億4,000万円として計上されております。 歴史博が盛り上がるかどうか、20の地域会場の充実強化が一つのキーポイントになると考えます。スケジュールがタイトな中で、開幕に向け万全な準備が必要となりますが、どのように取り組んでいくのか、観光振興部長にお聞きをいたします。 次に、第1幕のメーン会場となる高知城歴史博物館ですが、期間中10万人の来館者を見込んでおられます。受け入れ対策、特に駐車場対策が課題となろうかと存じますが、その対策について、また高知城周辺の環境整備も必要かと存じますが、あわせて観光振興部長にお聞きをいたします。 この項の最後に、県と観光コンベンション協会との連携によるプロモーションの取り組みについてでございます。今回の歴史博では、プロモーション事業の一環として全国のさまざまな地域との連携をコンセプトに、平成の薩長土肥連合が他県で開催するイベントとの連携を初め、幕末・明治維新に関係の深い地域と連携したプロモーション展開を図っていくとしています。関係が深い地域といえば、北海道が挙げられます。そして、北海道と関係が深い人物といえば、坂本龍馬をおじに持つ坂本直寛です。直寛は幕末から明治にかけて活躍し、明治30年、1897年に北海道北見に一族挙げて移住し、現在の北見市開拓の先駆者となった人物です。ここで少し直寛の人物像とその足跡を紹介します。 直寛は嘉永6年、土佐の国安芸郡安田村に高松順蔵・千鶴夫妻の次男として生まれ、千鶴さんは龍馬の一番上の姉です。17歳のとき、坂本権平の養子となって南海男を名乗り、1876年には立志学舎において西洋の学問を修め、自由民権運動に参加し、1884年に高知県議会議員に当選。翌1885年に高知基督教会設立に伴って、武市安哉や片岡健吉、板垣鉾太郎らとキリスト教会に入信して、1887年に南海男から直寛に改名しております。そして、1897年にはさきに述べましたように北海道に移住し現在の北見市開拓の先駆者となっております。そして、1911年、札幌で永眠するまで約13年間にわたり北見教会などを設立して、旭川師団の軍人に対する伝道などに務められております。 以上、坂本直寛を紹介しましたが、このように本県には幕末から明治にかけて北海道に渡り開拓に取り組んだゆかりの人物がおいでます。 そこで提案をさせていただきますが、今回の歴史博プロモーション事業に北海道との連携も加えることを検討されてはと存じますが、観光振興部長にお聞きいたしまして、この項を終わります。 高知県の教育大綱についてでございます。 この大綱は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の規定に基づき、本県の教育及び文化等の振興に関する基本理念や基本目標を明らかにした上で、それを実現するための施策について定められたものでございます。期間は平成28年度から平成31年度までの4年間となっており、その進捗管理は県の総合教育会議において協議、確認を行うとされております。この大綱に定める施策等については、国の教育改革の動向や施策の進捗を勘案し、適宜見直しするとされています。私はこの大綱は教育版の総合計画であるとの認識に立っております。 具体的には、向かう4年間でこの目標に向かって取り組んでいくわけですが、一番大切なのは、大綱を策定する過程で県教育委員会と市町村教育委員会との間で本県教育の現状や課題を洗い出し、県の大綱に定めようとする施策の基本方向などについて、どこまで連携・協働されたのかどうかであります。この点について、まず教育長にお聞きをいたします。 次に、大綱では、目指すべき人間像として、1つ目の基本理念を学ぶ意欲にあふれ、心豊かでたくましく夢に向かって羽ばたく子どもたちの育成とし、郷土への愛着と誇りを持ち、高い志を掲げ、日本や高知の未来を切り拓く人材の育成を2つ目の基本理念としています。そして、2つの基本理念の実現に向けた取り組みの目標として、知・徳・体の3つの分野で数値目標を設定し、PDCAサイクルに基づく進捗管理を徹底していくとされております。基本理念や基本目標を実現していくために、教育等に携わる全ての人に日常的に意識していただくための取り組みの方向性として、チーム学校の構築など5つの取り組みの方向性と10項目にわたる施策の基本方向を定めております。 この取り組みの方向性と10項目の基本方向に基づき、具体的な取り組みを今後展開していくわけですが、基本理念が実現するためには、いわゆる実施計画とも言われます10項目の施策の基本方向がそれぞれにかみ合う必要があろうかと思っております。それには県と市町村教育委員会の連携はもちろんですが、私は家庭や地域と学校、教育行政等との信頼と協調をどこまで図れるのかが最大のポイントになろうかと存じますが、教育長の御所見をお聞きいたします。 次に、基本理念やその目標を実現していくための具体的な取り組みの展開です。私は以前から小学校における教育・保育環境と保育所等での教育・保育環境とは随分違いがあることから、子供たちが戸惑わないように就学前の教育の充実、いわゆる幼児・家庭教育の重要性、必要性を訴えてきました。例えば就学前と小学校の教育・保育環境の違いが保護者を含め保育者や教員に十分認識されておらず、このことが原因で小学校に入学後に集団行動ができない、授業中に歩き回るなどといった、いわゆる小1プロブレムにもつながっていると考えるところです。そのため大綱では、基本方向として「就学前の子どもたちの教育・保育環境の整備を進め「生きる力」の基礎をつくる」とありますが、全く同感でございます。 そこでお聞きをいたします。ここで言う教育・保育環境の整備の具体的な取り組みについて教育長にお聞きをいたします。 この項の最後に、厳しい環境にある子供たちへの支援についてでございます。我が国においては、大きな社会問題となっています子供の貧困ですが、本県においてはさらに深刻でございます。数字的には、日本における子供の貧困率は、平成24年には16.3%であり、これは子供の約6人に1人の割合でございます。生活保護被保護率や就学援助率、ひとり親世帯比率が全国平均を大きく上回る本県では、家庭が厳しい状況にある子供の割合はさらに高いことが推測されます。 そのため施策の基本方向では、「厳しい環境にある子どもたちの貧困の世代間連鎖を教育によって断ち切る支援策を徹底する」とありますが、その具体的な取り組みについて教育長にお聞きをいたします。 最後に、買い物支援を初めとした高齢者の生活支援についてでございます。 住民の高齢化や地元小売業の廃業などで買い物弱者がふえています。スーパーなどが遠く、食料品の購入に不便を感じている、いわゆる買い物弱者が増加しています。本県においては、近年中山間地域のみならず、市街地部においてもこうした現象が多く見られるようになってまいりました。ひとり住まいの高齢者など外出が困難な人が県内にふえています。車などの移動手段を持たない高齢者にとっては、日常の暮らしをする上で切実な問題となっています。こうした中、県においては、条件不利地域である中山間地域に限って生活を守る視点から、生活用品確保等支援事業において、地域内で生活用品を確保するための移動販売に使用する車両購入費などを補助対象とし、中山間地域で暮らす方々の生活支援をしています。しかしながら、先ほど申し上げましたように、都市部においても地元商店街の衰退等により、これまでの地域に根づいてきました小売業の廃業が相次ぎ、買い物弱者が急増しています。こうした中、県では今年度、中山間対策・運輸担当理事所管において、県内全市町村を対象に管内における買い物代行や移動販売車の運行状況について実態調査を実施するとお聞きをしておりますけれども、こうした調査結果を踏まえ、県の施策の充実強化に役立てていただきたいと存じます。 さらに、今後の高齢化のさらなる進行を見据えたとき、従来の対策に加え、買い物支援を初めとして配食、見守りなど、高齢者に対するさまざまな生活支援の充実強化を図るべきと考えますが、地域福祉部長にお聞きをいたしまして、私の1回目の質問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 上田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、安全保障関連法への県民の懸念が根強く残っていることへの受けとめについてお尋ねがありました。 私は従前から、安全保障上の問題が多様化し、厳しさを増す中、いずれの国も一国のみではみずからの平和と安全を守ることができない状況に鑑みれば、新しい安全保障に関する法制度が必要だと申し上げてまいりました。そうした中、本年3月、安全保障関連法が施行されましたが、御指摘のように直近の世論調査結果では、安全保障関連法に反対と答えている方が県民の中に50%近くいる状況にあります。こうした世論の背景には、法律の施行により、御指摘のように自衛隊員に新たな任務が加わることになり、それに伴う新たなリスクが想定されることや、将来の政権が法律を恣意的に運用し、暴走してしまうのではないかといったことを心配されている県民の方も多いということがあるのではないかと思われます。 政府においては、法律の施行後においてもこういった世論がある状況を踏まえ、自衛隊員の安全確保のための具体的な仕組みの整備や安全に任務を遂行するための必要な教育や訓練など十分な準備を行うとともに、恣意性を排除するための個別具体的な議論を積み重ねながら、安全保障関連法について国民の皆様に丁寧に説明をしていただきたいと考えております。 次に、消費税増税の延期による本県及び県内市町村の今後の行財政運営への影響についてお尋ねがございました。 消費税増税の延期による行財政運営への影響としては、消費税増税分を充当する予定であった社会保障施策の充実への影響や財政運営への影響が考えられます。 まず、社会保障施策への影響につきましては、消費税の増税分を充当して、子ども・子育て支援や医療・介護など社会保障の充実を図ることとされておりましたが、今回の延期により優先順位をつけて対応せざるを得なくなったものと認識をしております。安倍総理は社会保障の充実について、保育や介護などを優先的に先行実施する考え方を示され、事業の優先順位をつけて最大限に取り組むことを表明されておりますものの、どの事業から充実を図っていくかという具体的な内容については、今後議論を要するものと認識をいたしております。 次に、今後の財政運営への影響につきましては、今回の延期により昨年9月にお示しした中期的な財政収支の見通しに比して税収が減少することが見込まれます。しかしながら、昨年閣議決定された国の経済・財政再生計画において、地方の一般財源総額については、平成30年度までにおいて、平成27年度と実質的に同水準を確保するとされているように、税収が減少したとしても、地方交付税等を通じた調整により一般財源総額は確保されるべきものと考えております。 この経済・財政再生計画によることとなれば、増税の延期が直ちに今後の本県及び県内市町村の安定的な財政運営に支障を及ぼすことはないものと認識しておりますが、今後も国の動向をしっかりと注視しながら、引き続き本県の直面する課題に迅速に対応するとともに、必要な政策提言も行い、安定的な行政運営を期してまいりたいと、そのように考えております。 次に、本県の人口減少問題にどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがありました。 私は、人口減少による負のスパイラルを克服することが南海トラフ地震対策に並ぶ県政運営上の最大の課題であると考え、経済の活性化など5つの基本政策と少子化対策や中山間対策の抜本強化など2つの横断的な政策を掲げて挑戦を続けてまいりました。 これまでの取り組みによりまして、例えば本年4月の有効求人倍率が過去最高の1.07倍となるなど、本県経済は全体としてはよい方向に向かっており、これに伴い人口の社会減も過去の景気回復局面に比して2分の1程度に縮小するなど、一部では手応えを感じてはいます。しかしながら、いまだ人口減少の負のスパイラルは続いている状況にあります。 こうした中で、本県人口は2060年には約39万人まで減少するとする国の推計も出されておりますが、本県としましては、これを約55万7,000人に踏みとどまらせ、将来的な人口の若返りと人口増への転換によって、活力ある持続可能な高知県を目指す高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定いたしました。さらに、この3月には第3期となる産業振興計画や日本一の健康長寿県構想などを反映した施策を盛り込んだ平成28年度版の総合戦略へとバージョンアップをしたところであります。 この総合戦略では、目標を実現するため、若者のさらなる県内定着や増加と出生率の向上を目指し、次の4つの施策を連続的に講じていくことを打ち出しまして、年度当初から全速力で取り組みを進めているところでございます。 4つの施策、そのうちの第1の施策は、地産や外商の取り組みを一層強化し、その成果をさらに力強く拡大再生産の好循環につなげることで安定した雇用を創出することであります。既にこの4月から第3期産業振興計画に基づく、それぞれの取り組みがスタートしております。例えば地産の強化では、四万十町に県内のトップモデルとなる次世代型施設園芸団地が完成しており、栽培の始まる来月から70名を超える方が雇用されるとお聞きをしております。また、外商の強化では、ものづくり地産地消・外商センターの東京営業本部を4月にオープンし、首都圏での営業活動を開始したところであります。 さらに、拡大再生産の推進に向けまして、地域地域に多様な仕事を生み出す地域産業クラスターの形成を目指して、庁内にコーディネーターを配置するとともに、地域産業クラスター化推進チームを立ち上げ、クラスタープロジェクトごとに事業化につなげる体制を整えました。まずは、16のクラスタープロジェクトの充実と着実な推進に向けて取り組んでまいります。 第2の施策は、このように地産外商による働く場の創出により、若者の県外流出を防止するとともに、平成31年度に県外からの移住者数を年間1,000組とするという高い目標を掲げて移住促進などに取り組むことであります。例えば移住施策では、今年度から特に都市部の志のある方々を本県に呼び込むアクティブな取り組みとして、担い手を求めている県内の産地や事業体をめぐるツアーを大幅に拡充することとし、今月末から本格的に実施をしてまいります。また、移住希望者の受け皿を広げるため、市町村と連携し、移住者向け住宅の確保などに取り組むとともに、今後高知版CCRCについても具体化を進めていくこととしております。 第3の施策は、第1と第2の施策を中山間地域において重点的に取り組むとともに、あわせて集落活動センターなどの小さな拠点づくりの取り組みなども行うことであります。こうした取り組みによって、都市部に比べて相対的に出生率が高い中山間地域における若者の増加につなげてまいります。 第4の施策は、県民の皆様の結婚・妊娠・出産・子育ての希望をかなえることができるよう、ライフステージの各段階に応じた切れ目のない少子化対策をもう一段強化するとともに、女性の活躍の場の拡大に向けて、働きながら子育てできる環境づくりに取り組むことであります。例えば少子化対策につきましては、官民協働の取り組みとして、本年3月に高知家の出会い・結婚・子育て応援団を創設し、先月末までに138の企業、団体に登録いただくとともに、会員制のマッチングシステムも4月からスタートし、先月末時点で436人の方に登録をいただいて、お引き合わせも始まっているところであります。 第1と第2の施策によって、若者の定着と増加を図り、第3と第4の施策により出生率の向上を図るとともに、この4つの施策が好循環を生み出し、人口の社会増と自然減の緩和につながることを目指しているところであります。今後ともPDCAサイクルの徹底と官民協働、市町村政との連携・協調のもと、この4つの施策に全力で取り組んでまいりたいと考えております。 最後に、高知市を中心とした連携中枢都市圏について県としてどう受けとめ、どうかかわっていくかについてお尋ねがございました。 連携中枢都市圏は、新たな広域連携の形として、相当の規模と中核性を備える圏域において市町村が連携し、人口減少・少子高齢化社会においても、一定の圏域人口を有し、活力ある社会経済を維持するための拠点を形成しようとするものであり、本県では高知市が県内全市町村を圏域とした都市圏の形成に向け、県内の市町村と連携事業などについて協議を始めたところであります。 県としましても、地産外商が進み、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県の実現のためには、県人口の約46%を有する高知市に、他の市町村をさらに力強く牽引していただくことが大変有効であると考えております。 その際、仮に高知市が周辺市町村のみと連携中枢都市圏を形成することとなれば、高知市及び周辺部への一極集中がさらに進み、中山間地域のさらなる衰退を招くという懸念があります。このため県としましては、県内全市町村を圏域とした連携中枢都市圏を形成することが有意義と考え、高知市ともこうした考えを共有させていただいたところであります。 連携中枢都市圏の取り組みを推進するに当たっては、県の各産業振興推進地域本部が高知市と各市町村のパイプ役となって、地域での意見集約や市町村役場との調整を行うとともに、本庁においても連携事業の磨き上げやその後の進捗管理を高知市とともに行います。このことなどにより、連携中枢都市圏の取り組みが県勢浮揚に向けたより効果的なものとなるよう努めてまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。   (土木部長福田敬大君登壇) ◎土木部長(福田敬大君) まず、耐震改修工事への補助金の上乗せの取り組みを県内に広げていく考えはないかとのお尋ねがございました。 耐震改修工事については、これまで92万5,000円を上限とし、その4分の3を国と県が負担する補助を実施しております。さらに、平成27年度からは市町村が独自に補助金を上乗せする場合も、その4分の3を国と県で負担することで市町村の取り組みを促しております。 現在15市町村において耐震改修工事に対する補助金の上乗せを実施しており、最も大きいところで上限額は152万5,000円となっております。補助金の上乗せは住宅所有者の経済的負担を軽減し、住宅の耐震化を加速させる効果が高いことから、今後も市町村に対して普及に努めてまいります。 次に、木造住宅耐震化促進事業の周知にどのように取り組むのかとのお尋ねがございました。 この事業の周知については、住宅所有者を個別に訪問し、直接制度の内容を伝えることが効果的であります。このため、市町村が行う戸別訪問に要する費用について、平成26年9月補正予算から支援の対象としており、今年度は25市町村で戸別訪問が実施される予定です。 戸別訪問の取り組みが進んでいる市町村においては、耐震改修がふえる傾向が見られることから、全ての市町村が戸別訪問を行うように取り組みを進めています。戸別訪問の際には、耐震化の必要性や代理受領制度を含む事業の内容を御説明するとともに、地域の登録事業者のリストなど、事業の着手に必要な情報も提供いたします。 さらに、テレビ、ラジオなどのマスメディアを活用した広報を予定しているほか、今年度中に全戸配布を予定しておる冊子「南海トラフ地震に備えちょき」の改訂版等を活用して事業のPRも行ってまいります。 これらの取り組みにより、住宅所有者に対して事業の周知の徹底を図り、より一層耐震化を促してまいります。 次に、インフラの充実について、中山間地域における1.5車線的道路整備の今後の取り組みについてお尋ねがございました。 中山間地域の集落の維持・再生のために道路は重要なインフラであると認識をしております。しかしながら、本県の道路整備は急峻な地形を縫うように走る道路が多く、整備に要するコストが高くなることなどから、全国に比べて大きく立ちおくれております。このため、住民生活や経済活動など地域の実情を踏まえ、少ないコストで道路の整備効果を早期に発現できる1.5車線的道路整備に積極的に取り組んでおり、地元の皆様方から一定の評価をいただいていると認識をしております。今後も引き続き中山間地域の安全・安心の確保と産業振興を支援するために、集落活動センターと地域の拠点を結ぶ道路などにおいて、1.5車線的道路整備を着実に進めることとしており、今年度は58路線で事業を実施してまいります。 次に、緊急輸送道路の今後の整備促進や地震対策の取り組みについてお尋ねがございました。 緊急輸送道路は、南海トラフ地震発生直後から負傷者の救助や救援物資の輸送など重要な役割を果たす道路であることから、これまでも重点的に整備を行ってきたところです。しかしながら、緊急輸送道路に指定されている県管理道路の改良率は63%にとどまっており、まだまだ整備を促進する必要があると認識をしております。 また、県が管理する緊急輸送道路で耐震補強が必要な橋梁では、約9割の耐震対策が完了しており、残る橋梁についても全て対策工事に着手をしております。現在、平成30年度の完了に向けて取り組んでいるところでございます。今後も引き続き緊急輸送道路の整備に重点的に取り組むとともに、緊急輸送道路上の橋梁の耐震化など、地震対策についても着実に進めてまいります。 次に、今後の土砂災害防止対策についてお尋ねがございました。 これまでも命を守るための土砂災害防止対策として、住民の避難体制を支援するソフト対策と砂防施設を整備するハード対策を一体的に推進してまいりました。 ソフト対策としては、住民に危険な箇所を周知し、土砂災害に対する防災意識を高めて、適切な避難を図ることが重要でございます。そのための対策として、土砂災害のおそれのある箇所を明らかにするため、砂防等基礎調査を加速し、平成31年度の土砂災害警戒区域の指定完了を目指しております。また、防災意識の向上を図るために、自主防災組織や小中学校を対象とした土砂災害に関する防災学習会に力を入れており、本年度は120回以上の開催を目標にしております。さらに、土砂災害による河道閉塞を想定した大規模な土砂災害の避難訓練を実施しております。本年度はいの町吾北地区など計5カ所での実施を予定しております。 ハード対策としては、避難所や避難路及び要配慮者利用施設などの保全を優先して砂防堰堤や山どめ擁壁を整備しております。今後も土砂災害による犠牲者ゼロの実現を目指して、これらの対策を推進してまいります。 次に、国道33号高知西バイパスの鎌田-波川間の早期完成に向けた取り組みについてお尋ねがございました。 高知西バイパスについては、国道33号の交通渋滞の緩和などを目的として整備が進められており、平成24年度に天神インターチェンジから鎌田インターチェンジ間が、本年3月には枝川インターチェンジから天神インターチェンジ間が開通いたしました。 この結果、バイパスへ交通が分散し、長年地域の大きな課題であった市街地の渋滞が緩和され、また生活道路の安全性が向上するなど、その整備効果が確実にあらわれております。しかしながら、国道33号の波川交差点では朝夕に渋滞が発生することもあり、これを解消するためにも、残る鎌田インターチェンジから波川間を早期に整備する必要があると認識をしております。このため国においては、本年度、鎌田インターチェンジ付近の橋梁工事などを推進し、早期開通に向けて取り組んでいくと聞いております。 県といたしましても、当該区間が開通することによって、仁淀川流域へのアクセスがさらに向上し、地域の産業振興や交流人口の拡大などにも寄与すると期待されますことから、早期開通に向け引き続き国と連携して取り組んでまいります。 次に、洪水時の流下能力の低下などが心配されることから、仁淀川の高知西バイパスいの大橋下流から宇治川排水機場付近の堤外の樹木について対策を講じるべきではないかとのお尋ねがございました。 仁淀川河川整備計画では、流下能力が不足する区間において、河川内の樹木の伐採や掘削を行い、必要な河川断面を確保することとしております。現在、国において土佐市新居地区や用石地区で流下能力を確保する事業が実施されており、今年度は新居地区で掘削などを行うと聞いております。 御指摘のありましたいの町音竹付近では、現時点では流下能力が確保されていることから、掘削などの計画はありませんが、河川内の樹木が大きくなってくれば対策が必要となることから、早目早目の対応を行うなど、適正な管理を国に要請してまいります。 次に、天神ヶ谷川の河川改修工事の進捗状況についてお尋ねがございました。 天神ヶ谷川は、一昨年8月の台風による浸水被害を契機とし、再度災害を防止するため、床上浸水対策特別緊急事業の新規採択を受けました。総事業費は約38億円、平成27年度からの5年間で延長600メートルの河川改修工事を実施するものでございます。これまでに、高知西バイパス周辺の護岸工事やその上流の用地買収を進めており、現時点での進捗率は事業費ベースで約23%となっております。 本年度は引き続き用地買収を進めるとともに、上流の河道拡幅や護岸工事に着手する予定でございます。今後も国やいの町と連携し、平成31年度の完成を目指し鋭意取り組んでまいります。 最後に、国土交通省が公表した想定最大規模降雨による浸水想定などに対して、協議会で減災対策にどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 お話にありましたように、四万十川、仁淀川、物部川、それぞれの河川において国、県、流域市町村で構成する、大規模氾濫に関する減災対策協議会が新たに設立されたところです。 この協議会は、想定最大規模の降雨によって大規模な氾濫が発生した場合にも、水害からの逃げおくれゼロ、社会経済被害の最小化を目指し、社会全体でどのように備えていくのかについて検討をしていくものでございます。今後は越水した場合でも、決壊までの時間を引き延ばすようなハード対策や円滑な避難行動のための周知方法、避難体制の確立、適切な水防活動の取り組みなど、住民の視点に立ったソフト対策について協議を行う予定となっております。 これらのソフト対策を実効性のあるものとするためには、市町村の取り組みが大変重要となることから、県として全力で支援を行ってまいります。あわせて、全国的に取り組む課題であるため、国に対して積極的な支援をお願いしてまいります。   (危機管理部長酒井浩一君登壇) ◎危機管理部長(酒井浩一君) 南海トラフ地震対策における地震火災対策の現在の取り組み状況についてお尋ねがございました。 南海トラフ地震が発生し、木造住宅が密集している市街地で火災が発生しますと、消火が間に合わず延焼が拡大し、大きな被害が発生することが予想されます。そのため、平成26年度に火災の専門家による検討会を立ち上げ、本格的に地震火災対策に取り組むことといたしました。 この検討会では、出火防止、延焼防止、安全な避難という3つの視点で、住民や行政が行うべき取り組みや地震火災対策を重点的に進める地区の検討を行い、平成27年度には検討結果を取りまとめた地震火災対策指針を策定いたしました。重点的に対策を進める地区は、11市町19地区となっており、指針策定後、県とこれらの市町で連絡会を設置し、連携して地震火災対策を進めております。 また、昭和の南海地震において、火災で大きな被害を受けた四万十市中村地区では、他の地区のモデルとして先行した取り組みを進めていただいております。昨年度、四万十市は出火防止対策として、揺れにより電気を遮断する感震ブレーカーをこの地区の全戸に配布いたしました。今年度からは延焼防止や安全な避難についても具体的な取り組みを進めていただくこととしております。 他の市町につきましては、今年度から四万十市の取り組みを参考に、それぞれ具体的な対策に着手していただくこととしております。また、感震ブレーカーの配布につきましては、全ての地区で平成31年度には完了する予定です。 地震時の火災対策につきましては、具体的に検討すべき課題が多く残されておりますが、今後とも市町村と連携し、しっかりと進めてまいります。   (水産振興部長谷脇明君登壇) ◎水産振興部長(谷脇明君) 高知県津波警報システムの構築に向けた現状と課題及び期待される効果などについてお尋ねがございました。 高知県津波警報システム検討会は、本県の沖合で操業中の漁船に対して24時間体制で地震と津波の発生などを迅速に伝えるシステムの構築を目的として本年度に設置いたしました。 この5月に行われた第1回検討会では、システム構築の基本的な方向として、まず津波を伴うことが想定される大規模な地震が発生したことを迅速に伝達すること、次に県内の全ての漁船への情報伝達を目指すこと、そのためには漁業無線の活用をするとともに、携帯電話やラジオなども含めてより確実に情報を伝達することなどを確認いたしました。 また、今後の検討課題といたしましては、24時間体制で通報する仕組みや双方向での通信の必要性、あるいは伝えるべき情報の選択、システム整備と運用に係る費用負担のあり方などが考えられます。加えまして、地域ごとに漁業無線で複数の周波数を使用している個々の漁船に対して、迅速かつ確実に情報を伝えるための漁船相互のネットワークづくりなど、ソフト面での対応も必要かつ重要になってまいります。 この検討会は、漁業関係者、学識経験者、気象庁、関係市町村などで構成されておりまして、具体的なシステム検討においては、より幅広い観点からこれらの課題の解決策を検討いただくことで、最適なシステムとなるよう取り組みを進めてまいります。 システムの構築によりまして、漁業者の命と漁船、財産を守ることができるとともに、家で待つ御家族の方々の不安を少しでも軽減することにつながると考えています。あわせて、被害を免れた漁業者及び漁船は、被災後の海上からの物資輸送や漁業復興に大きく貢献することが期待されると考えております。   (教育長田村壮児君登壇) ◎教育長(田村壮児君) 南海トラフ地震対策に関連して、まず保育所、幼稚園の耐震化の現状と今後の取り組みについてお尋ねがございました。 みずからの身を守る能力が低い乳幼児の生命を南海トラフ地震から守るために、保育所や幼稚園等の施設の耐震化を重要課題として取り組んでまいりました。その結果、平成28年3月末現在の耐震診断の実施率は89.2%で、耐震化率は88.1%となっております。今後、市町村立の保育所や幼稚園等においては、施設の統廃合や高台への移転改築を予定している施設以外は、平成30年度末には耐震化が終了する予定です。 一方、民間の保育所や幼稚園等においては、ほとんどの施設が平成30年度末には耐震化が終了する見込みですが、5施設については経費の確保が困難などの理由により耐震化のめどが立っておりません。 県といたしましては、耐震化の計画がある施設に対しては、確実に実行していただくよう要請するとともに、計画が立てられていない施設に対しましては、引き続き耐震化に向けて働きかけるとともに、必要な財政支援についての情報提供等を行ってまいります。 また、子供たちの安全確保については、施設の耐震化とともに津波浸水区域にある施設の高台への移転が重要だと考えております。 県といたしましては、平成26年度から市町村や施設の方々とのヒアリング等を通じて、早期に高台移転が必要な施設を20園選定しております。その中で、既に6園については統廃合も含めて移転を終了し、今年度中には5園が移転改築を予定しております。残りの施設につきましても、移転先の候補地が決定するなど具体的に進んでいるところもあり、準備が整い次第、整備が進むよう財政支援や助言等を行ってまいります。 次に、高知城の耐震予備診断の実施の有無や耐震化の必要性についてお尋ねがございました。 高知城につきましては、平成21年度に文化庁が耐震予備診断を実施したところ、9つある建造物のほとんどは耐震性を確保しているという結果が出ましたが、本丸の西にある黒鉄門のみ基礎の石積みに変形が見られ、建造物に影響を与えているという判定を受けました。そこで、この黒鉄門につきましては、平成24年度に高知県文化財建造物耐震対策検討委員会で検討の上、平成26年度に蛇籠を設置し、石積みの補強を行いました結果、平成27年度に改めて行った調査において、石積みは安定したことが確認をされております。 このように対策を実施しました結果、現状では高知城は耐震性をある程度確保していると判断しておりますが、このたびの熊本地震で熊本城のやぐらなどが甚大な被害を受けたことを踏まえまして、第3期南海トラフ地震対策行動計画に高知城の防災対策を追加し、より詳細な耐震診断を実施した上で、診断結果に基づく耐震対策や建造物の健全性を維持するための計画的な修繕を行うとともに、石垣の調査や計画的な修理にも取り組んでいきたいと考えております。 次に、高知県教育大綱についての一連の御質問のうち、まず大綱を策定する過程で施策の基本方向などを定めるに当たって、県教育委員会と市町村教育委員会がどこまで連携・協働したのかについてお尋ねがございました。 教育大綱に基づく施策、とりわけ義務教育段階の取り組みを効果的に推進していくためには、小中学校等の設置、管理などの役割を担う市町村教育委員会との連携・協働が不可欠であると認識しております。 これまでも市町村教育委員会とは教育長会議などの場において、本県の教育の現状と課題について継続的に協議をしてまいりました。さらに、県の教育大綱を策定する過程においては、県内各ブロックの教育長会などと個別に意見交換する機会を設けたところであり、その場においても教育大綱の方向性に御賛同もいただいたところでございます。 このようにして策定された教育大綱は、県内の市町村教育委員会と方向性を共有できているものと認識をしております。また、本年度初めに県内の市町村教育長が集まるさまざまな場においても、県の教育大綱ができたことで各市町村が本年度の取り組みをスタートさせる上で弾みになっているといった声も多く伺うことができ、意を強くしたところでございます。 教育大綱においては、県と市町村教育委員会との連携・協働の充実強化を図るということを基本方向の一つとして挙げておりますので、引き続き市町村教育委員会と方向性を合わせた取り組みを進めてまいりたいと考えております。 次に、家庭、地域、学校、教育行政等の信頼と協調の重要性への認識についてお尋ねがございました。 従来、子供たちの成長を支えていた家庭や地域の教育力が核家族化や地域コミュニティーの希薄化などに伴い低下しているとともに、子供たちにかかわる課題は多様化、複雑化しており、学校にはこれらの対応が強く求められるようになっております。特に家庭の貧困など厳しい環境にある子供たちへの支援については、学校にプラットホームとしての役割が期待されているものの、学校だけでの対応には限界がございます。このため、地域の方々にも子供たちのことを知ってもらい、子供たちも地域の方々を知っているという関係をつくりながら、地域と学校とが力を合わせて子供たちを支え、育んでいただくことがますます求められておりますことから、教育大綱及び第2期教育振興基本計画に、学校と地域との連携・協働を取り組みの柱に位置づけ、家庭、地域、学校が相互理解と協調により一体となって進める仕組みを県内全域に構築していくこととしております。 この取り組みの中心となるのが、地域ぐるみで子供を見守り、育てる仕組みである学校支援地域本部でございます。昨年度の43本部92校から本年度は68本部134校へと取り組みが広がってきており、今後もより多くの学校にこの仕組みが広がり、さらに活動内容が充実されるように取り組んでまいります。 また、学校によっては、学校支援地域本部の取り組みをさらに高め、地域の実情を踏まえた特色ある学校づくりを進めるために、保護者や地域の方々が学校運営に参画するコミュニティ・スクールの仕組みを組み合わせることも有効であり、この制度の周知、啓発にも取り組んでまいります。 加えまして、県民の皆様が教育大綱の内容を理解し、積極的に御協力いただけるよう、市町村や教育関係者はもとより、PTAや社会教育関係団体などにさまざまな機会を捉えて説明を行い、周知をしてまいりました。家庭、地域、学校、教育行政がともに難しい課題に真正面から向き合い、取り組みを一緒に進めることによって、これまで以上に信頼を高め、協調を強化し、成果へとつなげてまいります。 次に、就学前の教育・保育環境の整備の具体的な取り組みについてお尋ねがございました。 就学前教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培うとともに、義務教育及びその後の教育の基礎を培う重要な時期であり、知・徳・体の調和のとれた健全な成長のためには、専門的で高度な知見に基づいた質の高い教育、保育を全ての保育所、幼稚園等で受けることができるような環境の整備が必要であると考えております。 しかしながら、就学前の教育、保育については、具体的な指導方法などが明確に示されていないことや、大部分が個々の保育者の裁量や力量に委ねられる傾向にあったことなどから、質の高い実践が余り普及しておりません。また、お話にもありましたように、就学前と小学校の教育の内容や指導方法の違いが教員や保育者に十分に認識されておらず、いわゆる小1プロブレムが発生する大きな要因の一つになっております。 このことから、まず質の高い教育、保育の実践を行うよりどころとするために、具体的な指導方法や保護者支援のあり方などを示したガイドラインを策定し、全ての園で適切に活用されるよう取り組みます。 また、初任者、中堅者、管理職といったキャリアステージごとに身につけるべき力を示した指標を作成し、それを踏まえて研修の体系を見直し、内容を充実させることによって、保育者の資質・指導力の向上を図ります。その上で管理職を中心とした組織的な園運営が行われるよう組織マネジメント力も強化をしてまいります。 さらに、幼児期の学びを小学校教育につなげ、小学校の生活や学習にスムーズに適応できるようにするために必要な保・幼・小の接続期カリキュラムが保育所、幼稚園等と小学校の双方で作成されるよう助言を行うとともに、適切に実践されるよう支援を行ってまいります。 こうした取り組みにより、全ての保育所、幼稚園等で質の高い教育、保育を受けることができる環境を整備していきたいと考えております。 最後に、厳しい環境にある子供たちの貧困の世代間連鎖を教育によって断ち切るための具体的な取り組みについてお尋ねがございました。 教育大綱では、厳しい環境にある子供たちへの支援を取り組みの方向性の一つとして位置づけ、就学前から高等学校までの各段階に応じて切れ目のない施策を講じることとしております。 まず、就学前の子供たちへの支援については、保護者の皆様に子供を育てる力を高めていただくとともに、厳しい環境にある幼児とその保護者に対して個別の支援を行うことなどにより、子供たちが健やかに育つことのできる環境づくりを進めることとしております。 また、就学後は子供たちの学習機会を確保するため、放課後などにおける学習支援の取り組みを強化しております。加えまして、放課後の子供たちの安全・安心な居場所と学びの場の充実を図るため、小学校における放課後児童クラブや放課後子ども教室の設置を促進してまいります。 さらに、厳しい環境にあるがゆえに、不安や悩みを抱える子供たちや保護者への対応をさらに強化するため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置を拡充しております。 また、心の教育センターについては、いじめや不登校などの子供たちに関する相談を一元的に受理するとともに、悩みや状況に応じて関係機関と連携しながら解決するまで相談者に寄り添う、ワンストップかつトータルな支援体制を構築するため、本年度より体制を強化しております。 加えまして、地域の方々に学校と力を合わせて子供たちを育んでいただくため、学校支援地域本部の設置拡大や活動の充実に取り組んでおります。また、その活動により多くの地域の方々に参画していただくことによって、地域で子供たちを見守り育てる体制づくりを進めてまいります。 ただいま申しました多くの取り組みを総合的に進めることにより、貧困の世代間連鎖を教育によって断ち切ることを目指してまいります。   (文化生活部長岡崎順子君登壇) ◎文化生活部長(岡崎順子君) 坂本龍馬記念館増築・改修工事の入札不調の原因についてお尋ねがございました。 今回整備を行います坂本龍馬記念館の新館は、貴重な文化財を展示、収蔵する博物館仕様となっておりますことから、一般的な建築物では用いない工法や材料を部分的に採用しており、その部分で県と業者との価格の考え方に相違があったことが要因ではないかと考えております。 また、近年全国的にも建築需要が大変多い状況が続いている中で、建築物の工事価格が高い水準で推移していることの影響のほか、建築工事にかかわる技術者や職人が不足しているとの声も聞いております。今後、これらの要因を踏まえた上で、必要な設計の見直しを行い、次回の入札に向けた準備をしっかりと進めてまいります。   (観光振興部長伊藤博明君登壇) ◎観光振興部長(伊藤博明君) まず、県内20の地域会場の充実強化に関し、スケジュールがタイトな中で、博覧会開幕に向けてどのように取り組んでいくかについてお尋ねがありました。 博覧会の開催に当たりましては、1月7日の市町村向け説明会を皮切りに、地域会場を初めとする歴史資源などの磨き上げ、地域の食や自然などと一体となった観光クラスターを整備していく方針や開幕までのスケジュールなどを市町村等とも共有しながら準備を進めているところです。 歴史資源の磨き上げに当たっては、市町村において地域会場ごとに主たるテーマを設定し、そのテーマに沿った展示内容や解説の充実を初め、周辺のゆかりの資源の掘り起こしや会場内外を案内できるガイド態勢の強化のほか、外国人観光客向けの多言語表示などの検討を進めております。 また、地域会場を中心とした観光クラスターの形成につきましても、各地で市町村が事務局となってクラスター協議会を順次立ち上げ、地域の観光事業者が連携して観光消費の拡大につながる周遊コースづくりに向けた検討を進めております。 今後は7月末をめどに策定する博覧会の実施計画にあわせて、各市町村が博覧会開催期間中に実施する歴史資源の磨き上げや観光クラスター形成に係る整備計画案を取りまとめ、開幕までに必要な整備を進めていくこととしております。 県としましては、新たな補助制度による財政支援や全国的な知見を有するアドバイザーの派遣などにより、広域観光組織とも連携しながら、市町村が実施する歴史資源の磨き上げや観光クラスター形成の取り組みをしっかりと支援してまいります。さらに、博覧会開催期間を通じてこれらの取り組みを継続することで、より魅力的な観光基盤づくりを進めてまいります。 次に、高知城歴史博物館の駐車場対策や高知城周辺の環境整備についてお尋ねがありました。 高知城歴史博物館周辺の道路は、これまでもゴールデンウイークなどの多客期において、駐車場への入庫待ちの車列による渋滞が発生しやすい状況にありますことから、博覧会期間中の駐車場対策や渋滞対策は重要な課題であると認識しております。 高知城歴史博物館が一般にオープンとなる来年3月4日に同博物館をメーン会場とする博覧会が開幕となりますので、開幕当初や多客期には大変多くの観光客が訪れることが予想されます。このため、信号待ちの車への駐車場マップの配布や空き駐車場の案内などといったこれまでの取り組みに加え、駐車スペースの確保など、新たな対策を講じる必要があります。 特に日曜日は、高知城歴史博物館へのバスの出入り口が南側のみとなりますので、周辺を通行する車の動線確保や駐車場対策、歩行者の安全対策などについても博覧会の開幕に向け、関係者としっかりと協議し、対策を講じてまいります。 また、観光客の満足度を高めるためには、こうした対策に加えて、高知公園内のトイレの改修や高知城天守が博物館から見渡せるように樹木の剪定を行うなど、周辺の環境整備も重要となりますことから、関係部署と連携しながら取り組みを進めてまいります。 次に、「志国高知 幕末維新博」のプロモーション事業における北海道との連携についてお尋ねがありました。 北海道は、議員のお話にありましたように、明治の初期から多くの高知県人が移住しており、道内には7つの高知県人会と県人会連合会が組織され、県内の7つの市町が道内の市町と姉妹都市や友好都市として交流をしております。加えて、北海道坂本龍馬記念館や坂本直行記念館などもあり、本県とは関係の深い地域であることから、北海道でのプロモーションは他県に比べても効果が高いというふうに認識しております。 こうしたことから、県では北海道高知県人会連合会に御協力いただいて、道内における本県観光のPRや外商活動の推進に取り組んでいただいておりますし、高知県観光コンベンション協会では、北見市において高知の観光と物産展を30年連続で開催してまいりました。 「志国高知 幕末維新博」の開催に当たりましては、これまで築いてきました北海道とのネットワークを十分に活用し、首都圏にあります北海道のアンテナショップなども含めて、ゆかりの施設や団体などと連携したプロモーションを実施したいと考えております。 具体的なプロモーション事業につきましては、今後「志国高知 幕末維新博」推進協議会の専門部会において御意見や御提案をいただきながら企画をしてまいります。   (地域福祉部長門田純一君登壇) ◎地域福祉部長(門田純一君) 買い物支援を初めとした高齢者の生活支援対策について充実強化を図るべきではないかとのお尋ねがありました。 ことし2月に策定いたしました第3期日本一の健康長寿県構想におきまして、県民の誰もが住みなれた地域で、安心して暮らし続けることのできる高知県を目指し、地域地域の実情に応じたさまざまな資源を活用することにより、買い物支援などの生活支援サービスについても、高齢者や障害のある方などに必要なサービスが提供されるよう取り組んでいるところです。 これまでも、中山間地域におきましては、あったかふれあいセンターの送迎機能を生かした買い物支援、また市街地におきましては、民間企業やNPOなどによる買い物代行や配食など、地域の実情に応じたサービスが行われてまいりました。 そうした中、高齢者に関しましては、平成27年の介護保険法の改正により、介護だけでなく、医療や予防、生活支援、住まいが一体的に確保される地域包括ケアシステムの構築を目指して、市町村が買い物支援を初めとした生活支援サービスの充実にも取り組んでいくこととなりました。 このため、県といたしましても、お話にありました実態調査の結果も市町村と共有しながら、必要なサービスが市街地も含め地域地域で提供されますよう、担い手の養成やあったかふれあいセンターの機能強化のほか、サービス確保に向けた市町村の検討の場へ県職員が参加するとともに、今回の介護保険制度の改正にもかかわった専門家であるアドバイザーを派遣することなどを通じまして、積極的に市町村を支援してまいります。 ◆29番(上田周五君) 知事初めそれぞれ御丁寧な御答弁ありがとうございました。少し再質問をさせていただきます。 まず、知事にお願いしたいことですが、先ほどの連携中枢都市圏のことでございます。高知市は当初、県中央部での連携ということでございましたが、知事が県内全域でということでございます。その中で私も以前から広域連携の考え方を提案もしておりましたが--先ほど人口減少のところで申し上げましたが、4,000人を割る自治体もふえていまして、近い将来、この考え方というか、避けて通れないかなあという認識でおります。知事の先ほどの答弁の中に、高知市と地域本部との連携のお話もございましたが、これ結構県が果たす役割は大きいと思うんです。そういう意味で、もう一度県の推進体制、例えば窓口をどこに置くかとか、そういうことを知事が今現在考えておられるようでしたら、御答弁をお聞かせいただきたいと思います。 それから、地域福祉部長、買い物弱者対策の件ですが、実はこれ昨年11月から12月にかけて農林水産省がアンケートをしています。その中で全国の回答のあった自治体の約8割が、買い物弱者対策が必要と、こういう結果が出ているようです。実態調査の中で移動販売車の運行状況も調査されるということで少し細かくなって申しわけないですが、ぜひ高知市内で運行している移動販売車へ県の担当の方とかが時間をとって、実際同乗して調査するのも一つの考え方ではないかというふうな思いがします。そのあたりのことを御答弁いただきたいと思います。 2問目を終わります。 ◎知事(尾崎正直君) 高知県においての課題、これは全国の地方の県でもそうだと思いますけれども、やはり高知市周辺部に若者を含め非常に人口が集中しておると。本来ならば子だくさんで出生率の高い中山間地域ほど若者が減少すると、ゆえに自然減がさらに進行すると、そういう状況になっている。ここが大きな課題だと思いますし、さらにもっと言いますと、高知のような県、自然を生かしてさまざまな産業振興をしてきた県においては、中山間地域にこそ本来の本県の強みというものがあるということなのだろうと思います。 長期的な成長を確保するためにも、そして人口の自然減、そういう状態を少しでも緩和していくためにも、やはり中山間地域の振興ということは極めて重要でございます。そういう意味で、総合戦略におきましても、産業振興や移住促進の取り組みについて、中山間地域において特に重点的に取り組むという方向性を示しているわけでございます。 連携中枢都市圏構想において、仮に高知市とその周辺市町村のみでこの連携中枢都市圏を構成するということになりますと、ますます高知市周辺部への集中が進むということとなって、先ほど申し上げたような、本県にとって本来進むべき方向と逆の方向になってしまうのではないかということを懸念いたしまして、この点について真摯にお話し合いをさせていただいて、高知市もその点について御理解を示していただいて、ぜひ全域でやりましょうということでお話をいただいているところでございます。ぜひやるべきだと思いますが、確かに、全域でやっていくということになりますと県がしっかりと役割を果たしていかないといけない。我々もある意味プレーヤーとして、同じ連携をする者として取り組みを進めていくことが大事だろうと、そのように考えておるところでございます。 現在はまだモデル事業から本事業に向けていろいろ国との折衝などもする、いわゆるモデルの構築というような段階でございますから、市町村振興課のほうで窓口となって対応いたしておりますけれども、実際これが連携が進んでくるということになりますと、産業振興計画における枠組みを通じた連携、さらには長寿県構想を通じた連携などという形になっていくんだろうと思います。恐らく関係各部において、それぞれの仕組みを通じてしっかりと、何といいますか、形の上だけでの連携ではなくて、本当にともに歩むという形での連携を進めていくことが大事になってくるだろうと思います。既に産業振興推進地域本部がありますなど、そういう形での仕組みというのは十分あると考えておりますので、具体的にどうするかはまだ決めておりませんけれども、そういう仕組みを十分に生かし切っていきたいと、そういうふうに思います。 ◎地域福祉部長(門田純一君) 先ほど農林水産省のアンケートとか、経済産業省においてもいわゆる買い物難民のアンケートはされているようですので、それらを参考にしながら福祉サイドとしても高知市に御意見をお聞きはしたいと思っております。また、調査自体は中山間・運輸担当理事のほうで所管しておりますので、あわせて理事とも検討いたしたいと思っております。 ◆29番(上田周五君) どうも御丁寧にありがとうございます。 最後に、要請的なことになりますけれども、水産振興部長、この高知県津波警報システム、本当に全国で例がなくて画期的なものになろうかと思います。ぜひ成功というか、仕上げていただきたいと思います。検討委員さんに先ほどの答弁でもありましたが、すばらしい先生がおいでます。高知高専の無線の権威の今井教授、それから室戸沖にありますGPSの波浪計、津波計では本当に日本で有数の寺田高知高専客員教授初めたくさんの専門家がおいでますので、ぜひこれを立派なものに仕上げていただきたいということを要請いたしまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(梶原大介君) 暫時休憩いたします。   午後2時55分休憩-----------------------------------   午後3時10分再開 ○議長(武石利彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 34番中根佐知さん。   (34番中根佐知君登壇) ◆34番(中根佐知君) 日本共産党を代表いたしまして質問をいたします。 まず、憲法について知事にお伺いをいたします。安倍首相は3月1日の衆議院予算委員会で、将来には改憲による集団的自衛権の全面的な容認が必要だと答弁をいたしました。全面的な集団的自衛権の行使となれば、国際紛争に武力で対応することになります。戦後70年余りにわたって一人の戦死者も出していない、平和国家としての日本の歩みを覆すものです。 知事はこれまでも憲法の平和主義について、「日本国憲法前文の中で、世界平和を理念とする平和国家を表明した我が国において、憲法第9条はこれまでの平和の維持や発展に大きく貢献してきたと認識しております。これをしっかり守ることが必要である。立脚すべき立場である」と重ねて答弁をしておられます。海外で活動するNGOからも、9条があるから活動できると高く評価されています。 改憲して集団的自衛権を全面解禁することは平和国家の根幹を破壊するものと思いますが、お聞きをいたします。 次に、TPPについて知事に伺います。2月県議会で私たちは、欧米がどれほど食料自給を国の独立の問題と捉えて支えているのか、実態を示しました。国民の暮らしへの影響、健康と命にかかわる問題なのに全容がわからないということが、TPPの功罪を議論する以前に、この協定の最大の問題です。秘密保持契約の内容がどのようなものだったのかという点まで秘密にしています。国会質疑の中で政府は、今回のTPP交渉のような秘密保持契約を交わした前例は、これまでの通商協定では、なかったことを認めています。さらに、重要農産物のうち関税の撤廃は170品目にとどまり、残り424品目は関税を残したので国益を守ったと強弁をしてきましたが、農水大臣は424品目のうち関税維持したものは155品目だが、国家貿易の枠外で民間が輸入する際の関税、枠外税率などを含めれば、変更しなかったものはなかったと、無傷なものはゼロであるということを認めました。 重要5品目で無傷なものはゼロということは、国民、県民へのこれまでの説明とまるで違ったものではありませんか、どうお思いかお聞きをいたします。 ノーベル経済学賞受賞者でアメリカ・コロンビア大学のスティグリッツ教授は、政府の国際金融経済分析会合で、TPPは悪い協定、新しい差別をもたらすと述べ、同日の別の会合でも、国民の利益にはならず、企業を利するだけ、不公正を拡大し環境を壊す、大きな製薬会社だけがもうかる仕組みになっており国民の健康が損なわれると厳しく批判をしています。クリントン政権で労働長官を務めたライシュ氏も、TPPのようなグローバルな貿易協定はウォール街の金融機関や大企業の利益を押し上げ上位1%の富裕層を一層富ませる、そうしたものとして警告をしています。1%の富裕層のための協定であり、だからこそ国民には詳細が明らかにできないというのが真相です。国民には知らせない一方、アメリカでは商工会議所や企業幹部など約700人もの民間人が政府の諮問委員を務めて情報に接し、交渉に関与をしています。しかし、日本ではその具体的内容は明らかになっていません。こんなことでどうして判断できるでしょうか。 国民に内容を説明できないような協定は、国民主権と相入れず、撤回以外にないと思いますが、お聞きをいたします。 次に、原発について知事に伺います。想定外の動きを見せる熊本地震を前にして、改めて原発の安全対策への懸念が強まっています。これまでも基準地震動の設定は、スケーリング則で平均像を導き出されたもので過小になっていることを指摘してきました。今回の熊本地震は、基準地震動に対する設計方針の根幹部分の限界を明らかにしました。今までの基準地震動の考え方は、単一の大きな地震動に原子力施設が耐えればよいという考え方に立っているという問題です。 耐震設計上の重要度の一番高いSクラスを満たすことを義務づけられた設備は、基準地震動によって設備が変形し完全にもとに戻らない状態が生じても、機器、配管などが破損して安全機能を失わなければよいとされています。 今回の熊本地震は、強い地震が繰り返し起きています。おのおのの地震動が弾性範囲、地震力が除去されればもとの状態に戻る範囲にとどまれば、それが数回程度襲来しても耐えられるかもしれませんが、基準地震動未満でも弾性範囲を超える地震動に繰り返しさらされれば、施設の安全機能が損なわれるおそれがあります。ところが、原発の耐震性に関する評価ガイドは、基準地震動に対して弾性範囲であることを求めていません。ガイドは、基準地震動の半分を下回らないようにと定める地震動に対して、おおむね弾性状態にとどまる範囲で耐えることを求めているにすぎないのです。 5月12日に県と四国電力が行った勉強会の席で、熊本地震で震度7が2回来たことを受け、650ガルに複数回耐えることができるのかとの県側の質問に対し、四国電力は、複数回の揺れは想定しておらず、データがなくわからないと認めながら、恐らく壊れないだろうという無責任な回答を行っています。 熊本地震で1回目の地震動に耐えても、2回目以降の地震動で倒壊した建物は少なくありません。それと同様のことが原子炉施設でも起こり得る、その危険性については全く検証がされていないわけです。 知事は、今議会の提案説明の中で、四国電力との勉強会で「熊本地震のような揺れに対する安全性については、まずは今般と同様の地震が発生した場合でも安全上重要な機能を喪失することはないこと、さらには中央構造線断層帯が一度に動く場合の揺れをも想定して耐震対策を行っており十分な耐震性を有していること、またこうした揺れが繰り返し起こった場合でも耐えられる設計となっていることなどを確認いたしました」と述べました。いつどのような形で何をもって安全性を確認したと判断したのか、新たなデータが提出されたのか、お聞きをいたします。 熊本地震を教訓とするなら、再稼働する状態にはなく中止を求めるべきと考えますが、いかがですか。 また、連続する基準地震動に耐えられるよう基準を改善すべきと思うが、お聞きをいたします。 2月議会で、免震重要棟建設の計画を四国電力が撤回、修正した問題を取り上げました。県の答弁は四電の主張をうのみにした伝達でしかなく、そこに県自身の判断は示されていません。 福島原発事故で対策の拠点となった免震重要棟は、行政が全く情報から疎外されたという中越地震の教訓に立って泉田新潟県知事の強い提案で建設されたもので、完成は福島事故の8カ月前でした。福島事故では、吉田所長ほか最大で五、六百人が昼夜を分かたずそこに詰め、対策に当たり何とか格納容器の破裂という最悪の事態、イメージは東日本壊滅、こういう事態を避けることができた対策の拠点です。しかし、伊方の再稼働に当たっては、免震重要棟の整備は撤回され、緊急時対策所は建屋内面積わずか160平方メートル約48坪という手狭なもので、とても福島事故のような対応ができる施設ではありません。 県は、この施設で事故対応が十分可能であり想定外の事態に対応できると考えているのか、お聞きします。 老朽火力の停止による停電の懸念という四電の主張に対し、2月議会ではそれが虚構であることを私たちは指摘しました。改めて地域間連系の問題について伺います。 電力の予備率は、気温や日照など天候に左右される分の調整として3%、事故などでの発電所の緊急停止などに備えた分を4から5%と設定し、一般的に適正な予備率を7から8%としています。しかし、100万キロワットの発電所が緊急停止した場合、最大需要が2,500万キロワットある中部電力と500万キロワットしかない四国電力では、その重みは全く違います。中部電力では4%の予備率で対応できますが、四国電力では20%にもなります。事故対応は保険と同じで、スケールメリットの働く地域間連系を生かした対応こそ、道理にかなった対応です。昨年4月から電力広域的運営推進機関、広域機関が機能を開始しました。同機関は、電力小売の自由化に対応したもので、発電事業者、送配電事業者、小売電気事業者で構成され、電気の送電網を全国ベースで系統運用する役割を持ち、地域ごとの営業エリアを超え、電力の過不足を調整して地域間で融通し合うようにするとともに、場合によっては電力のたき増しを発電会社に指示する権限を持っています。 四国電力は、地域間連系は当てにできないと言ってきましたが、12日の県との勉強会では、この1年も安定供給できたこと、想定外に気温が高くなり、電力不足となった日が1日あったが、同機関を使い問題なく対応できたことを説明しています。老朽火力による停電の懸念という四電の主張は、予備率の考え方や地域連携、広域機関運営の実態からも説明のつかない、原発再稼働を仕方がないと思わせる主張だったわけです。 現時点での再稼働はやむを得ないという県の立場を真剣に再検討すべきだと思いますが、お聞きをいたします。 次に、地震対策についてお聞きします。 熊本、大分を襲った地震は、最初の揺れより後揺れが強かったこと、震度7が2度観測されたこと、熊本市、阿蘇地域、大分県と震源地が広範囲に広がったことなどこれまでの想定を超えるもので、気象庁も過去に記録がなく、予測不可能と発表しています。しかし、私たちがある程度のデータを残している期間は100年ほどであり、地球の営みのスケールで見れば決して想定を超えるものではないという謙虚な姿勢が必要だと改めて痛感をいたしました。 まず、今回の地震を受けて、南海トラフ地震に対する認識をどう発展させたか、知事にお聞きをいたします。 被災者支援に県としても力を尽くすとともに、この災害から改めて本県の取り組みを見直すことが求められていると思います。今回の熊本地震では、住宅の耐震化の重要性が改めて浮き彫りになりました。 市町村における代理受領制度や段階的耐震改修への支援制度の普及状況と課題について土木部長にお聞きをいたします。 耐震基準は、阪神・淡路大震災、中越地震を経て改正が進んでいます。特に2000年の改正では、基礎の形状、柱などの接合方法、壁のバランス配置など仕様が具体的に示されており、1981年の改正に次ぐ大きな改定となっています。 1981年以前の木造住宅の耐震化の推進とともに、1981年6月から2000年5月着工の住宅についても耐震診断、耐震補強を推進する対策が必要ではありませんか、土木部長にお聞きをいたします。 熊本地震でも、飲料水、生活用水の確保の重要性が明らかになりました。エコノミークラス症候群などの身体的負担による熊本地震の震災関連死が4月20日時点、熊本県内で計11人に上っています。エコノミークラス症候群は、水分不足が大きく関係をしています。また、避難所での手洗いなど衛生管理にも生活用水は欠かせません。 高知県では、配水池の耐震化について、市町村の一般会計からの繰り出し分について2分の1は国が交付税措置しますが、残る市町村負担分を全額県が交付金で手当てする制度を新設しました。津波避難タワー、避難道の整備を一気に進めた県交付金と同様、積極的な対応だと評価をしています。2014年度末で耐震化は35.9%となっています。また、基幹管路の耐震化は22.8%、浄水施設は14.5%です。県として支援の対象を拡大していくことが必要となってくると思います。水道の耐震化は、避難タワーや避難道の整備と違って住民の目に見えにくく、対策がとられていないことが意識化されず、後回しにされやすいのではないかと懸念を持っています。 配水池の耐震化の計画の進捗状況、耐震化事業の見える化について健康政策部長にお聞きをいたします。 南海トラフ巨大地震は、その被災範囲が極めて広大になるため、支援の手がなかなか届かないこと、また県内では孤立する地域、集落が多数発生することが予想されており、災害時の飲料水、生活用水の確保策として、日常的な雨水利用を本格的に推進すべきです。 雨水の利用で、東京の墨田区が路地に井戸のようなためた雨水をくみ上げる施設、路地尊と言いますが、この路地尊を設置するなど先進的取り組みをしていることは有名です。その目的は、貴重な水資源である雨を有効活用すること、災害時には初期消火やトイレの流し水等に活用でき、煮沸やろ過をすることで緊急用の飲料水にもなること、ゲリラ豪雨などで雨水が一挙に下水道に流れ込むのを緩和し洪水を緩和すると位置づけ、条例を策定し、補助制度をつくり、推進をしています。高知県でも大いに生かすことができる内容だと思います。 こうした雨水や河川、池、学校プールの水を浄水装置で飲料水として活用できるようにすることも重要です。また、湯をためる形の給湯装置は、型によりますが、満タン時は400から500リットルが非常用生活水として活用でき、ろ過して飲料水にすれば、50人前後の3日間の飲料水にも活用できます。最近では、太陽熱を利用した簡易な浄水装置の研究開発も進んでいますが、県の防災産業としても重要だと思います。 雨水を災害時の生活用水、飲料用水として活用することを、まずは避難所となっている施設等、計画を持って推進すべきではないか、また民間住宅での雨水の利用も耐震化とあわせて大いに推進すべきだと思いますが、危機管理部長にお聞きをいたします。 次に、水道事業について健康政策部長にお聞きします。 国は簡易水道事業を上水道事業に統合するため、2016年度末を制度・財政上の期限とし、全国の自治体にその統合完了を促しています。しかし、統合することで簡易水道に対する元利償還にかかわる交付税措置のうち給水人口算定分がなくなるなど、国からの財政措置が大きく減少することが各地で大きな問題となっています。 人口減や節水意識の広がりもあり、上水道事業の経営は厳しくなっています。そこに簡易水道への財政措置カットが重なり、県内の自治体で水道料金の2割アップなど、負担増を余儀なくされる状況が生まれてきています。 県内の簡易水道に対して、減少する国の財政措置の影響額は幾らになるでしょうか、この事態をどう受けとめ、対応しようとしているのか、お聞きをいたします。 次に、国民健康保険制度の都道府県単位化について健康政策部長に伺います。 2018年度より国保の都道府県化という国保制度の大きな転換を迎えます。国保の賦課、徴収、給付や健診などの実務は従来どおり市町村ですが、都道府県が財政を担うことになります。4月28日には、都道府県国民健康保険運営方針策定要領、通称ガイドラインが公表されました。2017年度中に国保運営方針を市町村と協議の上で策定するなどのスケジュールや保険料率決定のための考え、手順などが示されています。 ガイドラインは技術的助言であり、法的な強制力があるものではありません。運営方針の策定に当たっての基本姿勢についてお伺いいたします。 ガイドラインは、国保の加入者は無職、低所得者が多いことから、保険料負担が極めて重いという国保の構造的問題について一切言及をしていません。この中心点を避けたガイドラインは極めて不十分であり、県の運営方針にはしっかり書き込むべきだと思いますが、お聞きをいたします。 さらに危惧するのは、ガイドラインの財政収支の改善に係る基本的な考え方では、決算補填等を目的とした法定外の一般会計繰り入れについて、解消または削減すべき対象と述べています。しかし、政府の国保への財政措置は、今後の分を含めても3,400億円で、全国の法定外繰り入れ、2013年度の3,900億円より少なく、法定外繰り入れをやめれば、保険料は低減どころか、今より高騰します。 国が財政措置を強化したのに、従前の市町村一般会計からの法定外繰り入れを解消、削減し、国保加入者の負担が増加するような対応は不適切だと思いますが、お聞きをいたします。 また、ガイドラインでは、統一保険料率にも踏み込んでいます。2月2日に開催された厚労省の市町村職員を対象とするセミナーで、報告に立った国保課課長補佐は、「医療費格差が大きい場合は、原則として医療費水準に応じた保険料率とならざるを得ないと思っている。ただし、将来的には地域の実情を踏まえつつ、都道府県で一本化した保険料率を目指すこととなる」と述べています。 高知県では、中央圏に医療機関が集中しており、1人当たりの医療給付の実績では、市町村間で大きな乖離があります。一本化した保険料率は、県内の実態に合っておらず、国に対しては、強制することはあってはならないことを強く求めるべきと思いますが、お聞きをいたします。 国保の広域化の真の目的は、医療介護総合確保推進法により、都道府県に医療供給体制の適正化を求めた地域医療構想と一体で、医療費抑制を進めることにあります。国保財政に2017年度から措置される1,700億円のうち、700から800億円は医療費削減に努力した自治体に優先配分される内容となっていることからも明らかです。 これまでも、私たちは国保の重い負担や無料低額診療の取り組みを例に、医療から排除された県民の実態を取り上げてきました。県はそのたびに医療が必要な人が必要な医療サービスを受けられない事態はあってはならないとの決意を語ってきました。 国保の運営方針の策定に当たっても、医療から排除される人をつくらない、このことを大きなテーマの一つとすべきと思いますが、お聞きをいたします。 あと、運営方針にかかわって、地方単独事業波及分、いわゆる窓口負担分の軽減に対するペナルティー分の扱いについてお聞きいたします。 これまでは県制度分も含めて国保の国庫負担金等の減額分は全て市町村が負担してきました。現在、子供の医療費のペナルティーについては政府でも議論をしていますが、県全体のペナルティー分は約4億円で、内訳はおよそ重度障害者分が4分の3、子供の医療費とひとり親の医療費軽減分が8分の1ずつであり、子供の医療費助成分のペナルティーがなくなっても、依然大きな国庫負担金等の減額が存在をいたします。この減額分はどう対応するつもりか、県も応分の負担をすべきと思いますが、お聞きをいたします。 次に、地域医療構想について健康政策部長に伺います。 2016年度前半に地域医療構想を策定するために行った療養病床実態調査結果がこの3月に公表されました。調査は昨年12月に県内89の病院・診療所計6,773床の入院患者5,374人について、望ましい療養環境を医療機関と患者・家族の双方に質問をしたものです。 医療機関側が望ましいとする形態は、療養病床63.4%、特養ホーム10%、自宅5.6%、老健施設3.3%となっており、圧倒的に入院、入所が望ましいとの回答となっています。患者側が希望する療養環境は、療養病床75.9%、特養ホーム5.4%、自宅5.3%、老健施設1.8%とここでも圧倒的に入院、入所であり、両回答とも自宅はわずか5%にすぎません。 患者の家庭環境、所得の状況の分析では、約半数がひとり暮らしか高齢夫婦のみの世帯であり、8割近くは日中、夜間とも介護してくれる人が不在、低所得層も6割前後となっています。低所得者やひとり暮らしの高齢者の多さ、また中山間地が多く、訪問サービスに限界があるなど、高知県の実態が現在の病床数となっていることを示したものと言えます。一方、政府が2025年時点で必要とされるとした必要病床数は、現状より4割近く少ない4,260床以下と報道がされましたが、昨年6月18日の通知では、機械的な試算による参考値であり、あくまで自主的な取り組みが基本であり、需要に応じた適切な医療供給体制となることを求めています。 まず、療養病床実態調査結果についての県の受けとめをお聞きいたします。 医療の供給体制を考える上で、2018年3月末で廃止が予定されている療養病床削減の影響は極めて深刻です。政府の療養病床の在り方等に関する検討会は、1月28日に新たな選択肢の整理案で、療養病床13万7,000床廃止の受け皿として新たな2類型を提示しました。新類型は、長期療養に対応したプライバシーの尊重など住まいの機能を強化しつつ医療機能を内包した施設系サービスと、医療を外から提供する居住スペースと医療機関の併設が柱となっています。前者は施設内に医師や看護職員が常駐する特養ホームのイメージで、後者は住宅と病院等が同じ敷地にあるイメージと説明されています。これで本当に行き場のない人が生まれないのでしょうか。 まず、利用者負担ですが、整理案は利用者にとって負担可能なものと記述されていますが、制度の詳細は決まっていません。現行の制度は補足給付といって、低所得者への食費、居住費に補助がなされていますが、厚労省は経過措置や可能性を考える必要があるとして、存続は明言していません。低所得者が利用できる施設は極めて限定されており、負担増になれば介護難民が大量に生まれることが危惧されます。 検討会で医師会の委員は、今後高所得者用の施設は幾らでもできるが、低所得者の受け皿の整備が必要と繰り返し求めています。低所得者が利用できる制度を整備することが重要だと思いますが、お聞きをいたします。 次に、重症・重度者の居場所の問題です。新類型は、医療区分1を中心とした利用者像を想定していますが、現在の利用実態は医療区分2、3の患者が医療療養25対1で56.4%、介護療養で20%前後います。これらの患者の大半を20対1の医療療養で対応するとなると大量の看護職員の確保が必要となりますが、一方国は地域医療構想との整合性を確保するとして医療供給を抑制する方向で検討しており、施設の整備が抑制され行き場がなくなることが懸念されるのです。 検討会では、日本医師会と四病協の連名で移行先となり得る選択肢の拡大は必要とする一方、あくまで現行制度の存続を第1選択肢として検討すべきと強調しています。現行制度の存続も視野に入れないと、医療・介護難民が出る危険性があると思いますが、対応についてお聞きします。 次に、子供の貧困問題について地域福祉部長に伺います。 4月14日、ユニセフが「先進諸国における子どもたちの幸福度の格差に関する順位表」というレポートを発表しました。調査はEUまたはOECDに加盟する41カ国において、底辺に置かれた子供たちが平均的な子供たちからどの程度取り残されているかに基づいて順位づけをしたものです。 報告書はこれを底辺の格差と呼び、所得、学習到達度、主観的な健康状態及び生活満足度に関してそれぞれ分析を行っています。 レポートは、日本について相対的所得に関する底辺の格差の順位では、41カ国中で下から、格差が大きいほうから8番目で、アメリカや韓国より格差が大きいこと、所得分布の下から10%に当たる子供の世帯所得は中央値に当たる子供の約40%しかないこと、学習到達度における底辺の格差の順位では、37カ国中、下から11番目となっています。 そして、レポートは子供たちの幸福度を高めるため、政府の取り組みを提言しています。その内容は、最も貧しい子供たちの世帯の所得を改善する。全ての子供たちに対して健康的な生活習慣を促進、支援する。主観的な幸福度を重視する。公平性を子供の幸福度の課題の中心に位置づける。不利な状況に置かれた子供たちの学習到達度を向上させるとなっています。 この調査のポイントは、平均的な子供たちからどの程度取り残されているかを調査している点です。子供の貧困をめぐっては、発展途上国や日本の終戦直後と比べて貧困と言えるのかという主張がなされますが、20世紀半ばにイギリス研究者のタウンゼントが、食うや食わずという貧困だけではなく、みんなが普通に持っているものがないとか、家族旅行や誕生会のプレゼントという経験がないとか、そうしたことで社会で居場所がないとか、自己肯定感が持ちにくいことなどを相対的剥奪として捉え、貧困の概念を大きく発展させました。 このレポートの提言とも一致する方向で県は学習・健康分野で厳しい環境にある子供への対策を強化していることは評価をしています。 日本財団による「子どもの貧困の社会的損失推計」レポートの第2弾は、各都道府県における課題の深刻度と対策がどれだけ行われているかの指標化を試みています。高知県は、貧困状態にある子供の割合は19.5%と全国第4位、課題対策度という予算支出の高さでは、東京、鳥取、島根、青森に次いで5位と厳しい財政状況の中で奮闘していることが示されています。また、沖縄に続いて子供の貧困率を指標として取り入れることを明確にしている都道府県の一つであることも東京新聞が報道しています。 その上で、提言が示している主観的な幸福度を重視する、公平性を子供の幸福度の課題の中心に位置づけるという点は、県の子どもの貧困対策推進計画にとっても極めて重要な視点だと思いますが、お聞きをいたします。 また、トップに挙げられた最も貧しい子供たちの世帯の所得を改善する点で極めて重要なのが就学援助制度です。県計画は、生活保護世帯や児童養護施設、ひとり親世帯をもとに、環境にある子供たちの18歳以下の子供たちに対する割合は、全国の8.0%に対し、本県では12.4%と厳しい状況にあるとしています。しかし、マーケットバスケット方式を採用して最低生計費を算出した仏教大学の金澤誠一氏の研究では、標準3人世帯の保護基準を1.4倍するとほぼ年収300万円となる。この生活水準は生活保護受給世帯とほぼ同一水準と見ることができると指摘をしています。生活保護受給世帯の場合には、税金や社会保険料、NHK受信料、現物支給される医療扶助相当額が免除され、働いている場合には勤労控除があり、実質的には保護基準以上の収入があるからです。 就学援助の県内の認定基準は、生活保護基準の1から1.3倍であり、2013年度の利用率は25.37%、要保護を除いた数字は22.78%となっています。 高知県内には実質的に生活保護基準以下で生活している多数の子供がいると思われます。そのことをきちんと視野に入れた対策、具体的には就学援助制度が生活保護基準以下で生活する子供を解消できるよう、改善、充実することが求められていると思いますが、教育長にお聞きをいたします。 次に、税務行政について総務部長に伺います。 下流老人、老後破産、子供の貧困、ワーキングプアなど、さまざまな角度から貧困問題が大きな社会問題となっているもとで、税金や保険料を払いたくても払えないという状況も広がっています。 これまでの質問でも、地方税滞納などを理由とした児童手当や年金の一方的な差し押さえの問題点を取り上げ、税務行政は親切な態度で接し、納税者の主張に十分に耳を傾け、一方的であるという批判を受けることがないよう細心の注意を払わなくてはならないとの立場を確認し、知事からも「生活が困窮しておられる滞納者の方については、生活の再建をしながら納税をしていただくという配慮が必要だと思います。生存権まで脅かすような税の徴収というのはあってはならない」、「そのような点、しっかりと徹底をしていくようにしたい」と明確な答弁をしていただいています。 税や公共料金の滞納している世帯をどう捉えるか、ここが重要だと思います。今行政としても、子供や高齢者への虐待や自殺の防止、多重債務など消費者行政、生活困窮者の自立支援などさまざまなリスクに対して積極的に介入して課題を解決していこうとしています。 そうした視点に立てば、滞納がある世帯というのは、経済的困窮を背景にさまざまなリスクがあらわれていると捉えて、積極的に介入していく、そして就学援助制度などが活用されているのか、介護認定を受けている方があれば、税の障害者控除を受けられる可能性があるとか、利用できるさまざまな制度などにつなげていく必要があると思います。また、ことし4月から地方税においても、納税者の申請に基づく換価の猶予制度というのが創設されました。納税したくても事業の継続が困難になったり、生活の維持が困難になったりした場合に、毎月の分割納付を条件に1年以内の期間、財産の換価を猶予するものとなっています。 貧困が広がるもとで、滞納に対して福祉の視点に立って対応することがますます重要になっていると思いますが、お聞きをいたします。 次に、障害者差別解消法にかかわって総務部長に伺います。 障害者差別解消法がこの4月に施行されました。解消法は、行政機関等は障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合、その実施に伴う負担が過重でないときは、合理的な配慮をしなければならないことを義務づけています。 基本方針では、法の対象となる障害者の範囲について、身体障害、知的障害、精神障害--発達障害を含む、その他の心身の機能の障害がある者としており、障害者が日常生活または社会生活において受ける制限は、心身の機能の障害のみに起因するものではなく、社会におけるさまざまな障壁と相対することによって生ずるものとの、いわゆる社会モデルの考え方を踏まえていると、障害者手帳の有無に限らない幅広い対応を求めています。 今回はこの問題で1点だけお聞きします。 職員採用において、高知県は全盲の若者など身体障害者の採用拡大に取り組んできたわけですが、今回、発達障害を含む精神障害も法の対象となりました。一方、障害者雇用促進法は、身体・知的と精神疾患のある障害者の雇用が義務づけられていますが、その対象には、発達障害や難病患者は含まれていないという問題点が存在します。兵庫県明石市は、今年度の職員採用試験から障害者の受験資格を発達障害や難病患者にも拡大しています。障害者差別解消法の施行を受けて、職員採用についてどのような改善を検討しているかお聞きします。 最後に、女性差別撤廃問題について知事に伺います。 この3月7日、国連女性差別撤廃委員会の日本政府審査の最終見解が発表されました。前回2009年の勧告でも、2003年の審査で勧告された問題を6年間放置し続け、あたかも条約など実行する必要のない口約束にすぎないような態度をとってきた日本政府の姿勢そのものを、厳しく問いただす内容となっていました。が、今回の勧告も、これまでの勧告がいまだ大きな進展を見ていないことから、条約の完全実施を求める強い勧告で始まっています。 最終見解には、日本の法律には条約が掲げる差別の定義がないことを初め、幾つもの課題で、前回勧告を繰り返す、前回勧告を想起し、と表現した上での指摘が目立つのも特徴の一つです。具体的に改善が求められた課題は多岐にわたります。賃金格差、管理職への登用、マタハラ、セクハラ、非正規雇用など雇用の場での平等、2020年までの政策意思決定の場での女性比率30%目標の達成、女性への暴力、マイノリティーなどの人権の問題、慰安婦問題の真の解決、貧困の解決など、どれも繰り返されてきたテーマです。こうした事態になる根本は、女性差別の定義がはっきりしていないからです。国連の差別撤廃委員会の指摘は、世界標準、グローバルスタンダードでと言うべき内容です。 国連の女性差別撤廃委員会の指摘を知事はどう認識されていますか。 男女共同参画の推進を掲げるのであれば、少なくとも知事を初め県の幹部職員がその指摘の内容を生かしていくためにも、国際的な動向について学ぶ仕組みが必要だと思いますが、いかがですか。お聞きをして、私の第1問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 中根議員の御質問にお答えをいたします。 まず、集団的自衛権を全面解禁することは、平和国家の根幹を破壊するものと思うがどうかとのお尋ねがありました。 我が国においては、日本国憲法のもとで政治、安全保障、経済、文化・人的交流など、あらゆる面で複層的な外交努力と国際貢献が行われてきたことで、戦後70年にわたってひたすらに平和国家としての道を歩んできたものと認識しており、これは今後も歩むべき道であると考えております。 一方、安全保障上の問題が多様化し、厳しさを増す中、いずれの国も一国のみではみずからの平和と安全を守ることができない状況にあることも、また認めざるを得ないところであります。 こうした中、安全保障関連法が成立し、現行憲法9条のもとであくまでも自衛の目的に限定した集団的自衛権の行使が容認されることとなりました。しかし、一言で集団的自衛権といっても、その内容には幅があり、国連憲章では国家の国際法上の権利として認められている、いわゆるフルスペックの集団的自衛権の行使は現行憲法9条のもとでは当然認められておりません。今後、仮にもフルスペックの集団的自衛権を認めるということになれば、我が国が戦後歩んできた専守防衛の枠組みを超えることとなります。そのことが我が国の防衛力の構成そのものの変更につながり、周辺諸国に大きな緊張を与え、その結果、諸外国の軍事力のさらなる増強を招くといったことにもつながりかねません。このため、フルスペックの集団的自衛権については、多方面から相当慎重に議論をしなければならない、あくまで将来的な検討課題だと考えているところでございます。 次に、TPPに関して、米、牛肉などの重要5品目で無傷なものはゼロということは、これまでの説明と違うものだと思うがとのお尋ねがございました。 お話にありました内容は、4月に開かれた衆議院のTPP特別委員会において、「重要5品目に着目したときに、関税の撤廃も削減も、税率の低下も何もしていない、従前どおりの無傷のものは幾つあるのか」との質問に対して、農林水産大臣が、米、牛肉など5つの大きな分類でいえば変更を加えていないものはない旨の答弁をされたものと承知をしております。 加えて、その翌日の答弁では、重要5品目の関税区分ごとの細目であるタリフラインで見ますと、594のタリフラインのうち、関税を従来のまま維持したものが155、関税割り当てを設定することにより無制限な輸入の増大を防止するものが158、関税削減などにとどめて関税を守ったものが95など、424のタリフラインについて関税撤廃の例外を確保したとの考え方が説明されております。 このような農林水産大臣の説明は、例えば米については国家貿易以外の民間輸入では現在の関税水準を維持していること、国家貿易では国別の輸入枠の設定にとどめていること、また牛肉などでは段階的に関税率は下げていくものの関税を守ったことなど、従来から政府が説明してきた内容と趣旨が変わるものではないと認識しているところであります。 現在、TPP協定承認案と関連法案については継続審議となっており、秋の臨時国会で議論される予定と聞いておりますので、国会において十分議論していただきたいと考えております。またあわせて、県としても今後も引き続き国の動向を注視してまいります。 次に、国民に内容を説明できないような協定は国民主権と相入れず、撤回以外にないと思うがどうかとのお尋ねがありました。 TPPについては、これまでも政策提言や四国知事会、全国知事会を通じまして交渉内容等に関する十分な情報の提供と丁寧な説明を求めてきたところです。 参加国との秘密保護の取り決めなどにより、全ての情報を開示することには一定の制約があることは承知しておりますが、今後、臨時国会においてTPP協定承認案と関連法案が継続審議される際には、政府において説明手法の工夫を行い、できる限り丁寧な説明を行っていただきたいと考えております。 あわせて、中山間地域を含め持続可能な農林水産業の確立に向けて十分かつ実効性のある対策を行っていただきたいと考えているところでございます。 次に、伊方発電所に関する一連の御質問にお答えをいたします。 まず、熊本地震のように繰り返し強い地震が発生した場合の安全性についてどのように確認したのか、熊本地震を教訓とするなら再稼働の中止を求めるべきではないか、また連続する基準地震動に耐えられるよう基準を改善すべきではないかとのお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。 熊本地震のように繰り返し強い地震が発生した場合の伊方発電所の安全性につきましては、先月12日に開催した四国電力との17回目の勉強会において、四国電力から熊本地震に関する気象庁や文部科学省の地震調査研究推進本部などのデータを掲載した資料をもとに説明を受け、疑問点をただしました。その後、さらに詳細について追加確認を行う中において安全性の確認をしてきたところであります。 基準地震動は、蓄えられた大きなエネルギーが一度にほとんど放出される場合を想定しており、これが複数回起きることは理論上考えがたいとのことでありますが、万が一仮にも基準地震動に相当する揺れが繰り返し起こった場合についても、国の基準では求められていないことでありますが、あえてその場合の安全性を問いただしております。その結果、万々が一仮にも基準地震動に相当する揺れが繰り返し起こった場合でも、伊方発電所の安全上重要な施設や設備のほとんどは、揺れによる力を受けて変形してももとの形状に戻り、ダメージを受けない弾性の範囲内にとどまることから、機能を喪失することがないことを確認いたしております。 一部の設備や部位については、基準地震動の揺れに対して弾性の範囲内にとどまらず、ひずみが残る可能性があり、四国電力に詳細を確認しているところではありますが、破壊に至るまでに十分余裕を持った設計を行っていることから、基準地震動に相当する揺れが繰り返し起こったとしても機能を喪失することはないとの説明を受けております。 このように伊方発電所の安全上重要な施設や設備は、基準地震動に相当する揺れが繰り返し起こっても機能を喪失することはないとの説明を受けており、今般の熊本地震を踏まえたとしても、伊方発電所の安全性は確保されていると考えておりますことから、現時点では伊方発電所3号機の再稼働をやむ得ないとしてきたこれまでの見解に変更はございません。 新規制基準について、原子力規制委員会は熊本地震を踏まえた上で基準を見直す必要はないとの見解を示していますが、今後熊本地震の詳細な調査が行われ分析が進んでまいりましたら、同委員会においてさらに議論を深めていただきたいと考えております。 いずれにしましても、原発の安全対策については終わりがなく、常に最新の知見をもって対策を講じていく必要がありますことから、今後とも疑問点が出てまいりましたら、勉強会の場などを通じて四国電力にさらにただしてまいりたいと考えております。 次に、伊方発電所の緊急時対策所は手狭なものであるが、県はこの施設で事故対応が十分可能であり想定外の事態に対応できると考えているのかとのお尋ねがありました。 伊方発電所では、新規制基準に基づき重大事故等が発生した場合においても当該重大事故等に対処するための適切な措置を講じることができるよう、緊急時対策所を設置しています。 四国電力からは、重大事故時において必要な人員を、事故に対処するために指示を行う災害対策本部員36名、放射性物質の拡散を抑制するための要員61名の合計97名と想定していることから、緊急時対策所では、その人員を念頭に置いて100名を収容できる広さを確保していると聞いております。 議員御指摘の福島第一原子力発電所の事故では、1号機から4号機までが相次いで事故を起こしたことから、緊急時対策所で多くの人員が活動する必要があったと考えられます。 他方、伊方発電所に設置されている緊急時対策所については、四国電力から1号機から3号機までの全てに対応するものではなく、3号機のシビアアクシデント対策のために設置したものであると聞いております。加えて、3号機では福島第一原子力発電所の事故を踏まえて強化された新規制基準等に基づき、さまざまな安全対策を実施していることから、重大事故時における現在の対応要員数は適切であると聞いており、原子力規制委員会においても了承されたものと認識しております。こうしたことから、県としましては、伊方発電所の緊急時対策所は重大事故時の対処に必要な人員が確保できる機能を有しているものと考えているところでございます。 次に、現時点での再稼働はやむを得ないとの県の立場を再検討すべきではないかとのお尋ねがありました。 伊方発電所の全機運転停止以降、四国電力では火力発電の割合が8割を超えている状況にあり、稼働している火力発電所9基のうち、平成27年度末時点で7基が運転開始から40年程度以上経過するなど、火力発電所の老朽化が進んでいます。四国電力からは、電力需要が大幅に増加する夏季、冬季の電力需給の安定性を確保するため、火力発電所の定期検査の繰り延べや、通常運転よりも出力を上げて運転を行う過負荷運転を行っていることなどから、従前より不測のトラブルが起こるリスクが高まっている状況にあると聞いております。 こうした状況の中、例えば予備力が28万キロワットであった平成25年度の夏の最大需要時や予備力が32万キロワットであった平成26年度の冬の最大需要時などに供給力45万キロワットの老朽化している火力発電所の阿南3号機・4号機、坂出3号機などが不測のトラブルにより停止する事態が起こっていれば、電力の需給状況に深刻な影響を与える可能性があったと考えております。 こうした事態に備えることを目的の一つとして、電気事業法の認可法人電力広域的運営推進機関が平成27年4月に設立されております。この機関は、ある地域で電力需給が逼迫したときに他の地域の発電事業者に電力融通の指示を行うことになっていますが、発電事業者が融通できる量はその事業者が供給できる量とされております。このため、四国電力は他の事業者の需給状況によっては十分に融通を受けられる保証はないことから、管内の電力需要に対しては、四国電力自身の供給力で対応する必要があるとの考えであると聞いております。 なお、議員御指摘の四国電力が電力融通を受けた事例は、昨年9月26日に最大供給力よりも200万キロワット程度低い供給力353万キロワットを見込んでいたところ、予想以上の気温の上昇などにより需要340万キロワット、予備力13万キロワットが見込まれたため、電力広域的運営推進機関から最大50万キロワットの融通を受けるようにとの指示を受け、受電をしたというものでありました。四国電力からは、自社の休ませていた火力発電所を稼働するよりは、他社から受電したほうが効率的と判断し受電したものと聞いているところでございます。 この事例は、当日の予想外の気温の上昇など気候の影響による需要増加に事前に電力融通で対応できたものでありましたが、突然のトラブルによる火力発電所の停止などから起きる瞬時の供給力の低下には、電力融通では対応できない可能性があります。 また、各区域の送配電事業者は、電気事業法の中で電気料金の全面自由化後も区域内の最終的な供給保障を行うこととされているため、四国においては送配電事業者である四国電力が最終的な供給保障を行うこととなっております。こうしたことから、県民の生活や経済活動に不可欠な電力の安定供給のためには、現時点では伊方発電所3号機の再稼働はやむを得ないとの考えに変わりはございません。 次に、地震対策について熊本地震を受けて南海トラフ地震に対する認識をどう発展させたのかとのお尋ねがございました。 南海トラフ地震対策につきましては、東日本大震災の教訓を踏まえつつ、国が公表した全国でも最も厳しい震度や津波高の想定から逃げることなく、正面から立ち向かい、これまでの取り組みを抜本的に強化し、全力で進めてきたところであります。 今回の熊本地震では、複数回の強い揺れに襲われるなど、想定より厳しい事態が起こりました。改めて想定外の事態も起こり得ることを想定して、可能な限りの安全性を追求し、対策を積み重ねていかなければならないと認識したところであります。 これまでも南海トラフ地震対策では、大きな余震が起こり得ることを行動計画に位置づけていました。今後、応急期の活動時など、さまざまな場面での余震を想定するなど、より厳しい条件のもとに第3期行動計画のさらなる見直しを行ってまいります。繰り返す揺れへの対応や避難所の運営体制の充実、支援物資等の円滑な配送の3点については、特に重点的に全般的な見直しを行っていきたいと考えています。 これからもどのような厳しい条件が突きつけられようとも、この立ち向かう姿勢は崩さないことはもちろんのこと、また新たな知見が出てくれば、積極的に取り入れ、より効果的な対策となるよう取り組んでまいりたいと考えているところであります。 次に、国連の女性差別撤廃委員会の最終見解に対する認識についてお尋ねがありました。 今回の最終見解では、前回の勧告以降、国において行われた女性活躍推進法やストーカー規制法など多くの法律の制定、改正等の進展や第3次及び第4次男女共同参画基本計画の策定等の政策枠組みの強化について、肯定的な側面として評価されております。他方、女性だけの再婚禁止期間の廃止など民法の改正を初め、さまざまな分野に関して勧告がなされており、国際社会の視点から見て、我が国には男女共同参画に関する多くの課題が残っているものと認識しております。 この最終見解そのものに法的拘束力はないというのが国の見解ではありますが、男女共同参画の実現に向け国として取り組むべきものについては、引き続き着実に取り組んでいただきたいと考えております。 また、県としても、性別による固定観念や女性に対する暴力など、取り組むべき課題の解決に向け、昨年度改定したこうち男女共同参画プランや本年度改定を行う予定の高知県DV被害者支援計画などに基づき取り組みを進めてまいります。 最後に、県の幹部職員が国連の女性差別撤廃委員会の指摘内容を生かしていくためにも、国際的な動向について学ぶ仕組みが必要ではないかとのお尋ねがありました。 県では、各所属の業務に男女共同参画の視点を生かすことを目的として、毎年職員を対象に男女共同参画や女性問題に関する研修を実施しているところです。今後はこうした研修におきまして、また私が本部長を務める高知県男女共同参画推進本部会議などを通じまして、幹部職員に対しても国際的な動向を周知する機会を設け、男女共同参画の取り組みに生かしてまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。   (土木部長福田敬大君登壇) ◎土木部長(福田敬大君) まず、市町村におけます代理受領制度や段階的耐震改修の支援制度の普及状況とその課題についてお尋ねがございました。 耐震改修を実施する住宅所有者が設計や工事に要する費用の全額を一時的にでも用意する必要がなくなる代理受領制度については、現在類似のものも含めて22市町村で導入されております。引き続き導入されていない市町村に対し、導入を働きかけてまいります。 今年度創設した、倒壊しないレベルまでの耐震改修を一度に進めることができない場合に第1段階として行う一定レベルの改修を支援する段階的耐震改修制度につきましては、既に3町村で制度化がなされているところでございます。 他方、第1段階の工事が終わった時点で安心されてしまうのではないかという懸念等から、制度の導入に慎重な市町村もございますが、制度の趣旨を丁寧に説明し、普及に努めてまいります。 次に、1981年6月から2000年5月に着工した住宅についても、耐震診断、耐震補強を推進する必要があるのではないかとのお尋ねがございました。 現在、本県における住宅の耐震化に係る支援は、耐震基準が大幅に強化された1981年5月以前に着工された、いわゆる旧耐震基準によって建築された住宅を対象としております。 熊本地震では、築年数がおおむね40年を超えると推定される木造住宅が多数倒壊していることから、まずは旧耐震基準の木造住宅への対応を優先的に進めていく必要があると考えております。 1981年6月以降に着工された木造住宅については、現在国が設置した委員会におきまして、熊本地震の被害の要因分析等が進められていると聞いております。県といたしましては、この委員会の分析結果を踏まえた国の動向を注視し、対応を検討してまいります。   (健康政策部長山本治君登壇) ◎健康政策部長(山本治君) まず、配水池の耐震化計画の進捗状況と耐震化事業の見える化についてお尋ねがありました。 上水道事業の配水池の耐震化については、国の助成事業に一定の要件があり、水質がよく投資額の少ない県内上水道事業者は補助を受けることができていません。また、上水道事業は公営企業会計であるため、料金収入による独立採算の原則があり、県から水道事業者へ直接助成することは困難でした。 しかし、南海トラフ地震対策の観点において、配水池が災害時に応急給水の拠点となること、また配水池が被災してしまうと復旧に長期間を要することなどから、配水池の耐震化を何としても進めたいと考え、今年度から配水池の耐震化事業へ一般会計から繰り出しを行った市町村に対する新しい交付金制度を創設したところです。 今回の配水池の耐震化事業では、市や町が地震に備えて優先的に耐震化すべきとしている51基を対象としていますが、制度創設の初年度である今年度は3基の耐震工事にとどまっています。 見える化については、水道法において水道事業者は水道施設の耐震性能や耐震性の向上などを含む水道事業に関する情報を提供していくこととされています。効果的な情報発信に努めていただくよう働きかけていきますが、水道事業者に配水池の耐震化の重要性を認識していただき、できるだけ早期に取り組んでいただくことが何より大切だと考えています。 次に、簡易水道事業の上水道事業との統合による国の財政措置の影響についてお尋ねがありました。 簡易水道事業に対しては、給水人口を基礎とする建設改良に係る財政措置が講じられており、県内市町村の平成27年度の普通交付税の基準財政需要額の算定額は、およそ5億1,000万円程度となっています。このうち、上水道事業の要件を満たす給水人口5,001人以上の市町村には普通交付税措置がなくなることから、影響額はおよそ3億6,000万円程度となります。 簡易水道事業の上水道事業への統合により財政措置がなくなることについては、国へ要望した結果、統合の翌年から10年間は激変緩和措置が設けられることになりました。 水道は県民の皆様の生活や社会経済活動に欠くことのできない基幹施設であることから、県としては、安全で安定した水道事業が持続していくために、配水池の耐震化の支援を行うとともに、国の水道関係国庫補助の満額確保や補助要件の緩和などを引き続き国に対して要望していくことにしています。 また、市町村がそれぞれ水道事業を単独で考えるのではなく、広域的視点に立って検討する時期に来ていると考えますので、市町村とともに多様な広域連携についての検討を開始していくことにしています。 次に、国民健康保険制度改革による都道府県単位化に関するお尋ねがありました。 まず、運営方針の策定に当たっての基本姿勢と国保の構造的問題を運営方針に盛り込むことについてのお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをします。 国保は国民皆保険制度の重要な基盤であるにもかかわらず、被保険者には低所得者が多く、また病気になりがちな高齢者も多いことから、保険料負担が重いといった構造的な課題を抱えています。今回の国保制度改革は、公費による財政支援の拡充等を行うことにより、国保財政の安定的な運営を確保し、国民誰もが安心して必要な医療を受けられるよう、持続可能な医療保険制度を構築することを目的に行われるものです。 平成30年度以降、県は保険財政の責任主体となり市町村ともども国保を担っていきますが、国保を安定かつ円滑に運営していくためには、国保の置かれている現状や課題、また改革の目的を県と市町村がしっかり認識し、共有して取り組んでいくことが重要であると考えています。このため、国保を運営するための統一的な方針を定める運営方針の策定に当たっては、ガイドラインを参考としながら、県と市町村が緊密な連携のもと十分協議を行い、被保険者の方々が安心して必要な医療を受けられる国保制度の構築を目指して取り組んでまいります。 また、議員御指摘の国保の構造問題や策定に当たっての基本姿勢については、運営方針の策定の目的の項目でしっかりと記載することを考えています。 次に、国保運営における法定外の一般会計繰り入れの取り扱いについてお尋ねがありました。 一般会計からの法定外の繰り入れは、政策的経費を除き市町村が国保財政の赤字を回避するため、やむを得ず行ってきたものであり、今回の制度改革の協議において、この繰り入れを解消し、財政基盤を強化するための公費の拡充が大きな課題となったところです。その結果、一般会計からの法定外繰り入れ、総額3,900億円のうち、政策的経費である保健事業分などを除く約3,400億円の公費の拡充を行い、国保財政の安定化を図ることとされました。 今般示されました国のガイドラインでは、国保財政を安定的に運営していくために必要な支出は、保険料や国庫負担金などにより賄うことが重要であり、これ以外の決算補填等を目的とした法定外の一般会計繰入金については、解消または削減すべきであるとの考え方が示されていますが、解消、削減すべき繰入金の範囲は、現在国と地方とで協議中であり、明確にはなっていません。したがって、国における検討状況も見ながら、被保険者への影響なども考慮し、国保財政の安定した運営に向け市町村と十分検討を行っていきたいと考えています。 なお、平成26年度に行われた国の国保基盤強化協議会では、改革後の運営の状況を検証し、その結果に基づき所要の措置を講ずることとされていますので、県としても財政運営の状況などを踏まえながら、必要があれば、全国知事会を通じて国に対し財政措置のさらなる強化について要請していくことにしています。 次に、保険料率の一本化についてお尋ねがありました。 今回国において定められた国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率の算定方法では、保険料率については各市町村の医療費水準の違いを反映させ、市町村ごとに設定することを原則としています。 保険料水準の統一については、医療サービス水準の均質化などとともに今後の課題とはされていますが、統一する場合でも市町村の意見を十分踏まえることとされており、決して強制するものとはなっていません。市町村との協議において、保険料水準の統一についても十分御意見をお伺いしていきたいと考えています。 次に、医療から排除される人をつくらないことを大きなテーマとすべきではないかとのお尋ねがありました。 今回の国保制度改革の大きなテーマは、将来にわたって国民誰もが必要な医療を受けられる持続可能な医療保険制度を構築するために、国民皆保険制度の重要な基盤である国保財政の基盤強化を図ることだと考えています。このため、運営方針の策定や改革後の国保運営に当たっては、このテーマをしっかりと認識し、また市町村ともこの考えを共有しながら、誰もが安心して必要な医療が受けられるよう取り組んでまいります。 次に、地方単独の医療費助成事業による波及増分に対する国庫負担金等の減額分への対応についてお尋ねがありました。 国においては、子供の医療費助成などの地方単独事業により、医療費の窓口負担を軽減した場合、軽減しない場合と比べ医療費が増加し、医療費に対する国の負担も増加するとの考えから、限られた財源の中で公平に国費を配分するという理由により、国庫負担金の減額を行ってきています。 一方、全国知事会では、こうした地方単独事業は、本来であれば国が全国統一的に行うべき子育て・少子化対策や重度心身障害児・者への支援策を肩がわりするものであり、この減額措置は地方の独自施策の実施を制限するとともに、地方の努力に反し、地方にのみ責任を負わせるものであることから、廃止するよう国に求めてきたところです。このことについては、今回の国保制度改革の国保基盤強化協議会における国と地方との協議においても、議論が重ねられ、今後も引き続き議論していくことが確認されています。 本県としても、この減額調整は地方の取り組みを阻害する不合理なものであり、早急に廃止されることが重要ではないかと考えており、引き続き全国知事会を通じ、国に対して強く廃止を求めてまいります。 次に、地域医療構想についての一連の質問にお答えします。 まず、昨年度に実施した療養病床実態調査の調査結果に対する県の受けとめについてお尋ねがありました。 今回の調査結果において特徴的であった点としましては、介護療養病床において全国の値に比べ医療の必要度が低い患者の割合が22.3ポイント高く、介護の必要度が高い患者の割合が5ポイント高いこと、低所得に該当する患者が全体の約63%を占めていること、療養病床への入院が望ましいと考える割合が患者・家族側に約76%ある一方で、医療機関側は約63%と認識にずれが生じていることといったことが挙げられます。 この調査結果は、高齢化が進んだ中山間地域を抱え、独居高齢者が多く、家庭の介護力が脆弱であるといった背景から、長期療養の入院ニーズが高いという本県の特徴の一端を示しているものと考えます。したがって、単に病床を減らすのではなく、患者さんや利用者にふさわしいサービスが提供できる受け皿を確保すること、行き場のない入院患者を出さないことを前提として、住みなれた地域で療養が可能な体制を構築するよう今後の地域医療構想の策定に反映していきたいと考えています。 次に、低所得者が利用できるように制度を整備することが重要ではないかとのお尋ねがありました。 現行の公的医療保険、介護保険制度では、低所得者に対して所得に応じた保険料や自己負担額の減免の制度が設けられており、この考え方は制度の見直しにおいても維持されるべきものと考えています。 国の療養病床の在り方等に関する検討会で提案された内包型、併設型といった2つの類型の新たな選択肢では、それに求められる条件の一つとして、費用面から見て利用者にとって負担可能なものであることが挙げられています。これに対して検討会の構成員からは、新たな類型については、低所得者の受け皿となることが考えられるため、補足給付のような低所得者対策を認めることが必要、低所得者への住宅手当等の議論も含めて社会保障の中でどのように対応していくのか検討していくことが必要といった低所得者対策の必要性に関する意見も出されているところです。 新たな選択肢については、本年6月に設置された社会保障審議会療養病床の在り方等に関する特別部会において、年内の取りまとめを目指して具体的な制度設計が議論されることになっています。現行制度に準じた低所得者対策を講じていただくことが重要であり、注視していきたいと考えています。 最後に、医療・介護難民が出る危険性への対応についてお尋ねがありました。 平成29年度末に廃止となる療養病床に入院している患者のうち、在宅への移行が難しい医療区分2、3の方々については、引き続き残ることとなる現行の医療療養病床で療養を継続していただくことになります。 一方、医療の必要度が低い医療区分1の方々は、状態像に応じて介護保険施設や居住系サービス、あるいは介護療養病床等からの転換が見込まれる新たな類型での療養を選択していくことになりますが、現に入院しておられる医療区分1の方々が行き場をなくしてしまわないようにしていく必要があります。 療養病床からの移行を円滑に進めていくためには、施設基準のあり方や経過措置等が、本県のように高齢化と人口減少が進行し家庭での介護力が脆弱で地域で療養を続けることが困難な中山間地域を多く抱えているなどといった地方の実情を踏まえたものとなるよう、引き続き国に対して提言を行っていきたいと考えています。   (危機管理部長酒井浩一君登壇) ◎危機管理部長(酒井浩一君) 地震対策について、避難所での雨水の利用に関するお尋ねがございました。 災害発生時においては、飲料水の確保だけでなく生活用水の確保も重要と考えており、市町村において、水の備蓄に加え、避難所での井戸の整備や谷水の利用による水源確保に努めていただいているところです。 お話にありました雨水の活用につきましては、井戸の整備などが難しい避難所では、水源確保の有効な方法と考えております。 今年度から避難所の環境を整備する支援制度を創設しており、その中で雨水を利用するための設備の導入についても補助対象としておりますので、市町村には積極的に活用していただきたいと考えています。 また、民間住宅への雨水タンクの設置につきましては、個人で対応していただくこととなりますが、災害時の生活用水として利用できることから、飲料水の備蓄とあわせて雨水の利用についても啓発してまいりたいと考えています。   (地域福祉部長門田純一君登壇) ◎地域福祉部長(門田純一君) 子供の貧困問題に関して、ユニセフの報告書にある、主観的な幸福度を重視する、公平性を子供の幸福度の課題の中心に位置づけるという点は、本県での子どもの貧困対策推進計画においても重要な視点ではないかとのお尋ねがございました。 県では、この3月に高知家の子どもの貧困対策推進計画を策定し、生活の困窮という経済的な状況だけでなく、学力の未定着や虐待、非行、いじめなどといった子供たちの置かれたさまざまな困難な状況を踏まえ、出生前から就職に至るライフステージの各段階に応じた切れ目のない支援策を強化しております。 計画では、「全ての子どもたちが、子どもたち自身の努力の及ばない不利な環境により、将来への道を閉ざされることのないよう、夢と希望を持って、安心して育つことのできる県づくり」を基本理念として位置づけ、お話のありましたユニセフの報告書にある、主観的な幸福度を重視する、公平性を子供の幸福度の課題の中心に位置づけるという2つの視点も、同じく報告書にあるほかの、最も貧しい子供たちの世帯の所得を改善する、不利な状況に置かれた子供たちの学習到達度を向上させる、全ての子供たちに対して健康的な生活習慣を促進、支援するという3つの視点と同様に、大切な視点としてそれらを踏まえた計画になっているものと考えております。 さらに、本年度は子供の生活実態調査を実施することとしており、その中で、保護者だけでなく小・中・高校の子供たち自身へアンケートを行い、自分たちの置かれている状況や自己肯定感などを把握することとしております。 この調査結果をしっかりと分析し、計画のバージョンアップにつなげ、よりきめ細かく、実効性のある施策を関係部局と連携して進めてまいります。   (教育長田村壮児君登壇) ◎教育長(田村壮児君) 就学援助制度の改善、充実についてお尋ねがございました。 就学援助制度は、「経済的理由によつて、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない」という学校教育法の規定に基づいた国の制度であり、市町村が実施主体としてこの制度の運用を行っております。 また、国の財政支援の対象費目については、従来からの学校給食費、修学旅行費、学用品費などに加えて、平成22年度からはクラブ活動費、生徒会費、PTA会費が追加され、援助の拡充が図られております。 就学援助の実施状況につきましては、平成26年に国が全国の都道府県を対象に実施しました平成25年度就学援助実施状況等調査の結果から見ますと、本県の就学援助率は25.37%となっており、全国で最も高い割合となっております。このことは、本県においては経済的に厳しい状況にある世帯の児童生徒が多いことを反映しておりますが、一面では各市町村が就学援助に対して積極的に努めていることのあらわれとも受けとめております。 ただ、こうした制度があるにもかかわらず、就学援助の対象となる世帯の中には、制度そのものを認識していなかった等の理由から申請できていないケースがあるといったお話も聞いております。このため県としましては、就学援助制度がその趣旨に沿って有効に活用されるよう、市町村に対して対象世帯にしっかりと制度周知がなされるよう、さまざまな機会を通じて要請したところであり、その点につき今後とも努めてまいります。 また、市町村が安定的かつ充実した就学援助制度を運営していけるよう、全国都道府県教育長協議会等とともに、十分な財政措置が講じられるよう国に対する要望を続けていきたいと考えております。   (総務部長梶元伸君登壇) ◎総務部長(梶元伸君) まず、税務行政について、滞納者に対して福祉の視点に立った対応をすることが重要になるのではないかとのお尋ねがございました。 県税事務所では、自主財源である税収の確保に向けて公正で公平な賦課徴収に取り組んでおり、担税力がありながら納税に応じていただけない滞納者に対しては、財産の差し押さえなどの厳正な滞納処分を行っております。 一方で、生活が困窮している納税者の皆様については、生活の再建をしながら納税をしていただくという配慮が必要でございますので、生活実態に即した分割納付などの御相談もお受けをしているところでございます。そのような御相談の過程で、多重債務を抱えていることが判明した場合には、消費生活センターや法テラス等の窓口を紹介するなど、関係機関と連携した取り組みも行っております。 また、議員御指摘のとおり、納税について誠実な意思を有する納税者の方が県税を一時に納付することによりまして事業継続または生活維持を困難にするおそれがあるときは、納税者の申請に基づき既に差し押さえた財産の換価や新たな差し押さえを猶予するという制度も、本年4月から新たに創設されております。 現在のところ、この制度の申請はありませんが、ホームページにその内容を掲載するほか、今後県税事務所への配置を予定しておりますパンフレット「くらしと県税」において、制度の詳細を記載するなど、制度の周知に努めているところでございます。 もとより生存権まで脅かすような税の徴収というのは、あってはならないことでございますので、こうした制度も適切に運用しながら、税収の確保に取り組んでいく必要があると考えております。 次に、障害者差別解消法の施行を踏まえての職員採用についてお尋ねがございました。 知事部局における障害者の雇用については、平成19年度に身体障害者を対象とした採用試験を初めて実施し、これまでに19名を採用してきたところでございます。知事部局における障害者雇用率は、平成19年度に2.13%であったのに対し、平成27年は法定雇用率の2.3%を大きく上回る2.66%まで伸びておりまして、全都道府県でも第9位という上位に位置しているところでございます。 こういった状況のもと、本年度においても実施する身体障害者を対象とした採用試験では、自力による通勤ができること、口頭による試験に対応できることの要件を受験資格から取り除くこととしております。また、口頭による受験が難しい場合には、手話やパソコン表示を行う対応によりまして、受験の門戸をできる限り広げることとしたところであります。 お話のありました身体障害者以外の障害者の職員採用につきましては、先行して取り組みを行っている自治体の例に学びながら、本県においてどのような職務に従事していただくことが可能かということを、まずは研究してまいりたいと考えております。 ◆34番(中根佐知君) それぞれどうもありがとうございました。それでは第2問をさせていただきます。 1つは知事に、たびたびで恐縮ですが原発の問題です。本当に一旦事故が起こってしまえば大変なことになるという状況のもとで、また原発を稼働させるということは、そこに結局原発による負の遺産も出てくると、それをいかに処理していくのか、この点についても世界的な課題にやっぱりいまだになっているわけです。そんな中で伊方原発の再稼働というのは、本当に慎重に慎重を期すという、知事の想定外を想定するという考え方からすれば、もっともっと四国電力に対しても専門的知識を持ってお話し合いをすべきではないかというふうに思います。 2月の県議会で、吉良富彦県議が、四国電力が供給すべき電力は四国電力が責任持って供給力を確保する必要があるとの説明を受けておりますという県のほうの広域連携の問題で、そういう連携ができるのであれば、わざわざ原発を動かさなくてもいいのではないかというお話をしました。地域間連系を使えば、少々足りないときが年に1回、2回あったとしても乗り越えられるのではないかというふうに言ったときに、四国電力からのお話は、供給力を確保する必要がある、売るための供給力を確保する必要があるということだったのでやっぱり地域間連系を使うことはできないのですというふうなお話を県がされたんです。 ところが、今回の5月12日の四国電力とのお話では、いや、一時的に買うことによって乗り切っていますというふうにおっしゃられている。大変複雑なことがたくさんありますけれども、四国電力に対してこれまで県は、県民の目線でよりわかりやすい言葉で聞き、そしてお答えをいただいてお知らせをしていくというスタンスをとっていらっしゃいましたけれど、やっぱり専門的な知見を持っている方と県そのものがしっかりとまず学習をして四国電力と対話をするということが大変大事ではないかというふうに思っています。専門家を招聘しながら、県そのものも想定外を想定しながら、再稼働の根拠そのものが一体どうなのかをもう一度やっぱり考えるべきだというふうに私は強く思っています。 知事は今の時点ではさまざまな点から見て、再稼働はやむを得ないというふうにおっしゃいますけれども、県民にとって危険なものは要らないと、また原発は徐々に徐々に頼らない方向に持っていくという知事のスタンスからすれば、四国電力の言うことをそのまま受け取る今の状況よりも、もう少し専門家との知見をもとにした対話を推し進めてほしいという強い要請をしたいと思いますが、それについてお願いをいたします。 それからもう一つ、今度は知事ではなくて健康政策部長にお聞きします。 国保の問題、それから地域医療構想の問題、本当に大切な問題で、これまでずっと社会の中で生きて、そして終末を迎える高齢の方たちや、また本当にいろんな意味で弱い立場にいる人たちの生存権そのものにかかわる問題だと思います。先ほど来お話があったように、根拠そのものをしっかり示しながらガイドラインの中にも入れていっていただきたい、この要請をしておきたいと思います。さっき言ってくださいましたが、ぜひよろしくお願いします。 以上です。 ◎知事(尾崎正直君) 核の使用済み燃料の問題なども考えていけば、やはり本当に原発への依存度というのは徐々に徐々にではありますけれども、低減をさせていくということをしっかり進めなければならないだろうと、それは本当にそのとおりだと思っています。 そしてまた、安全性を確認するという意味においても、やはりかなり厳しい条件のもとでどうかということ、先ほどもおっしゃられましたし、私も後の答弁で申し上げましたが、想定外を想定するということも踏まえての対処は必要だろうと思います。そういうこともありますので、理論的にはあり得ることではなかなかないだろうということではありますけれども、基準地震動、これが2回生じたときにどうなのかというようなことなどについても、問いただす姿勢を徹底して行っているということでございます。 3点目として、四国電力の言うことをうのみにしないためにも、やっぱり専門家のアドバイスを受けて我々としての知見も高めていくべきではないかと、それはおっしゃるとおりだと、そのように思います。これまでもさまざまに専門家の皆様にもお話を伺ってきたつもりですし、職員も相当習熟してきておりますので、かなりの知識をためてきておることも確かかと思いますけれども、やはり我々自身として専門家のお力もかりながら知見を高めていくという方向での努力というのは引き続き続けてまいりたいと、そのように考えております。 ○議長(武石利彦君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明14日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時49分散会...