平成28年 2月 定例会(第335回) 平成28年3月3日(木曜日) 開議第4日
-----------------------------------出席議員 1番 上田貢太郎君 2番 今城誠司君 3番 久保博道君 4番 田中 徹君 5番 土居 央君 6番 浜田豪太君 7番 横山文人君 8番 加藤 漠君 10番 坂本孝幸君 11番 西内 健君 12番 弘田兼一君 13番 明神健夫君 14番 依光晃一郎君 15番 梶原大介君 16番 桑名龍吾君 17番 武石利彦君 18番 三石文隆君 19番 浜田英宏君 20番 土森正典君 21番 西森雅和君 22番 黒岩正好君 23番 池脇純一君 24番 石井 孝君 25番 大野辰哉君 26番 橋本敏男君 27番 前田 強君 29番 上田周五君 30番 坂本茂雄君 31番 中内桂郎君 32番 下村勝幸君 33番 野町雅樹君 34番 中根佐知君 35番 吉良富彦君 36番 米田 稔君 37番 塚地佐智君 38番 金岡佳時君欠席議員 28番 高橋 徹君
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 尾崎正直君 副知事 岩城孝章君 総務部長 梶 元伸君 危機管理部長 野々村 毅君 健康政策部長 山本 治君 地域福祉部長 井奥和男君 文化生活部長 岡崎順子君 産業振興推進部長 中澤一眞君 理事(中山間対策・運輸担当) 金谷正文君 商工労働部長 原田 悟君 観光振興部長 伊藤博明君 農業振興部長 味元 毅君 林業振興・環境部長 大野靖紀君 水産振興部長 松尾晋次君 土木部長 福田敬大君 会計管理者 岡林美津夫君 公営企業局長 門田純一君 教育委員長 小島一久君 教育長 田村壮児君 人事委員長 秋元厚志君 人事委員会事務局長 福島寛隆君 公安委員長職務代理者 島田京子君 警察本部長 上野正史君 代表監査委員 田中克典君 監査委員事務局長 吉村和久君
-----------------------------------事務局職員出席者 事務局長 中島喜久夫君 事務局次長 川村文平君 議事課長 楠瀬 誠君 政策調査課長 西森達也君 議事課長補佐 小松一夫君 主任 沖 淑子君 主事 溝渕夕騎君
-----------------------------------議事日程(第4号) 平成28年3月3日午前10時開議第1 第1号 平成28年度高知県一般会計予算 第2号 平成28年度高知県
収入証紙等管理特別会計予算 第3号 平成28年度高知県
給与等集中管理特別会計予算 第4号 平成28年度高知県
旅費集中管理特別会計予算 第5号 平成28年度高知県
用品等調達特別会計予算 第6号 平成28年度高知県
会計事務集中管理特別会計予算 第7号 平成28年度高知県県債管理特別会計予算 第8号 平成28年度高知県
土地取得事業特別会計予算 第9号 平成28年度高知県
災害救助基金特別会計予算 第10号 平成28年度高知県
母子父子寡婦福祉資金特別会計予算 第11号 平成28年度高知県
中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第12号 平成28年度高知県流通団地及び
工業団地造成事業特別会計予算 第13号 平成28年度高知県
農業改良資金助成事業特別会計予算 第14号 平成28年度高知県
県営林事業特別会計予算 第15号 平成28年度高知県林業・
木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第16号 平成28年度高知県
沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第17号 平成28年度高知県
流域下水道事業特別会計予算 第18号 平成28年度高知県
港湾整備事業特別会計予算 第19号 平成28年度高知県
高等学校等奨学金特別会計予算 第20号 平成28年度高知県電気事業会計予算 第21号 平成28年度高知県
工業用水道事業会計予算 第22号 平成28年度高知県病院事業会計予算 第23号 平成27年度高知県一般会計補正予算 第24号 平成27年度高知県
収入証紙等管理特別会計補正予算 第25号 平成27年度高知県
給与等集中管理特別会計補正予算 第26号 平成27年度高知県
用品等調達特別会計補正予算 第27号 平成27年度高知県
会計事務集中管理特別会計補正予算 第28号 平成27年度高知県
県債管理特別会計補正予算 第29号 平成27年度高知県
災害救助基金特別会計補正予算 第30号 平成27年度高知県
母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算 第31号 平成27年度高知県
中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第32号 平成27年度高知県流通団地及び
工業団地造成事業特別会計補正予算 第33号 平成27年度高知県
農業改良資金助成事業特別会計補正予算 第34号 平成27年度高知県
県営林事業特別会計補正予算 第35号 平成27年度高知県
沿岸漁業改善資金助成事業特別会計補正予算 第36号 平成27年度高知県
流域下水道事業特別会計補正予算 第37号 平成27年度高知県
港湾整備事業特別会計補正予算 第38号 平成27年度高知県
高等学校等奨学金特別会計補正予算 第39号 平成27年度高知県電気事業会計補正予算 第40号 平成27年度高知県
工業用水道事業会計補正予算 第41号 平成27年度高知県病院事業会計補正予算 第42号 高知県
行政不服審査法関係手数料徴収条例議案 第43号 高知県職員の退職管理に関する条例議案 第44号 高知県
国民健康保険財政安定化基金条例議案 第45号 高知県
産業人材定着支援基金条例議案 第46号 高知県夢・
志チャレンジ基金条例議案 第47号 高知県
褐毛和種高知系受精卵移植用乳用牛貸付け条例議案 第48号 高知県情報公開条例等の一部を改正する条例議案 第49号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第51号 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案 第52号 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例議案 第53号 議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県職員等こころざし特例基金条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例議案 第58号 高知県南海トラフ地震による災害に強い地域社会づくり条例等の一部を改正する条例議案 第59号 高知県
地域医療再生臨時特例基金条例の一部を改正する条例議案 第60号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第61号 高知県
後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第62号 高知県興行場法施行条例の一部を改正する条例議案 第63号 高知県理容師法施行条例及び高知県美容師法施行条例の一部を改正する条例議案 第64号 高知県
介護保険法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第65号 高知県軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例及び高知県養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第66号 高知県特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第67号 高知県指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例及び高知県指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営等に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第68号 高知県
社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金条例の一部を改正する条例議案 第69号 高知県
指定障害児通所支援事業者等が行う障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例及び高知県指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第70号 高知県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第71号
高知県立消費生活センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第72号 高知県
職業能力開発促進法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第73号 高知県建築審査会条例の一部を改正する条例議案 第74号 高知県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例議案 第76号
高知県立図書館協議会条例の一部を改正する条例議案 第77号 高知県立武道館の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第78号 高知県警察の設置及び定員に関する条例の一部を改正する条例議案 第80号 公平委員会の事務の受託に関する議案 第81号 公平委員会の事務の受託に関する議案 第82号 公平委員会の事務の受託に関する議案 第83号 公平委員会の事務の受託に関する議案 第84号 公平委員会の事務の受託に関する議案 第85号 公平委員会の事務の受託の廃止に関する議案 第86号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第87号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第88号 県有財産((仮称)川谷刈谷第二工業団地)の処分に関する議案 第89号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第90号 消防防災航空隊・県警航空隊事務所及び
格納庫新築等建築主体工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第91号
和食ダム本体建設工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第92号 県道の路線の廃止に関する議案第2 一般質問 (3人)
----------------------------------- 午前10時開議
○議長(三石文隆君) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(三石文隆君) 御報告いたします。 議員高橋徹君から、病気のため本日の会議を欠席したい旨届け出がありました。 次に、公安委員長織田英正君から、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員島田京子さんを職務代理者として出席させたい旨の届け出がありました。
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△質疑並びに一般質問
○議長(三石文隆君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「平成28年度高知県一般会計予算」から第49号「知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案」まで、第51号「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案」から第74号「高知県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例議案」まで、第76号「
高知県立図書館協議会条例の一部を改正する条例議案」から第78号「高知県警察の設置及び定員に関する条例の一部を改正する条例議案」まで及び第80号「公平委員会の事務の受託に関する議案」から第92号「県道の路線の廃止に関する議案」まで、以上89件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 4番田中徹君。 (4番田中徹君登壇)
◆4番(田中徹君) 議長のお許しをいただき初登壇、初質疑をさせていただきます南国市選出の田中徹でございます。若輩で、未熟さは承知しておりますが、先輩議員の皆様の御指導もいただきながら精いっぱいの努力をし、県民の皆様の負託に応えてまいります。尾崎知事初め執行部の皆様方にも、今後何かと御教示を賜りますよう心からお願いを申し上げます。 質問に入ります前に、初めての機会をいただきましたので、私の思いを少し述べさせていただきます。 高知県に生まれ高知県で育った私にとって、ふるさとは誇りであり宝です。子供たちが、海、山、川に恵まれた自然の中で遊び学ぶ、新鮮で旬の感じられる食物を食べ成長する、近所のおじいちゃんもおばあちゃんも声をかけてくれる、たまには叱ってもくれる、そんな豊かな自然や人のぬくもりに囲まれて子供たちが成長できることこそ、高知県の一番の魅力ではないでしょうか。 さきの東日本大震災で、私たち日本人は改めて自然への畏敬の念を持つとともに、人間の無力さも痛感いたしました。海、山、川に恵まれたこの高知県で、豊かな自然環境のもとに生活できることを何事にもかえがたい豊かさであると知り、この環境を後世にしっかりと引き継ぐことを重要なテーマとしなければなりません。 今、そして未来の子供たちが高知県で住みたいと思い、住み続けることができる社会を構築することが私たちの使命であり責任であると考えます。住むなら高知県、豊かな環境の中で出産・子育てがしたい、そんな声が聞こえる魅力あふれる時代を皆さんとともに考え、ともにつくっていきたいと思っています。 それでは、順次質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 まず初めに、高知県の豊かさや魅力についてお伺いします。 社会情勢の変化とともに、人々の求める豊かさや幸福度は刻々と変化し続けています。戦後、我が国においての豊かさは、1960年代の高度経済成長期の三種の神器に代表される物資的な豊かさから、70年代の2度にわたる石油ショックや80年代のバブル景気、また90年代のバブル崩壊といった大きな社会経済情勢の変化とともに、人々の意識や価値観も多様化し、今日では心の豊かさを求める時代へと移り変わってきています。 先ほども私の思いの一端を述べさせていただきましたが、高知県の豊かさや魅力は、やはり恵まれた自然や食ではないかと思います。 先月開催されました第4回目となる高知龍馬マラソンに、私も、ある給水所でランナーの皆さんにおもてなしをさせていただきました。そのときに、トマトがおいしい、応援ありがとう、高知県最高といったランナーの皆さんの声をたくさんお聞きしました。 県内の豊かな自然と食を提供し、県民みんなが声援を送る、まさにこれは県内外の方々に高知県の豊かさや魅力を実感していただく最高の機会であると感じました。来年は、節目となる5回目の開催にもなりますので、ますますランナーの皆様に喜んでいただける高知龍馬マラソンになることを願っております。 そこで、やはり高知県の豊かさや魅力は何といっても恵まれた自然や食であると考えますが、この恵まれた自然や食について知事の御所見をお伺いします。また、灯台もと暗しの例えではありませんが、私はこの恵まれた自然や食を県民に実感してもらうことが重要と考えますが、あわせて知事の御所見をお伺いします。 次に、高知家プロモーションについてお伺いします。 昨年より、高知家プロモーション第3弾として、高知家ALL STARSの取り組みが展開されています。人の魅力を発信する高知家プロモーションは、非常にいい取り組みだと思っています。人懐っこさやおおらかさ、お酒を酌み交わしながら議論を交わし、最後は仲よくなるなど、温かい県民性は高知県の大きな魅力であります。そして、県民みずからが高知県の豊かさや魅力を実感し、それを発信することに大きな意義があると思っています。 そこで、開会日の提案説明でも触れられてはいましたが、改めて高知家ALL STARSの取り組みの成果について知事にお伺いします。またあわせて、高知家プロモーションの今後の展望についてもお伺いします。 次に、人口減少問題についてお伺いします。 先月26日、総務省より平成27年の国勢調査の速報値が公表されました。日本の人口は1億2,711万人で、調査を始めた1920年以降で初めて減少し、小規模市町村だけでなく政令市や県庁所在市といった地方の中核的な都市でも大幅に減らすケースが目立ち、人口減少の波が各地に押し寄せている現状が浮き彫りになりました。 高知県の人口は72万8,461人で、戦後最少を更新し、全市町村で減少となり、5年前の前回調査に比べ3万5,995人、4.7%減となりました。一定予想はしていたものの、改めて考えさせられる結果であったと思います。長期的な視野に立ち、さまざまな取り組みが必要と考えます。 また、県は昨年8月、2060年の高知県人口の将来展望を公表されました。その際、県が本県出身の県外大学生に対して実施された就職に関する意向調査の結果では、51%の県外学生が県内への就職を希望していることがわかっています。その上で、第3期産業振興計画では、この県外大学生の県内就職率を平成26年度の13.6%から、4年後の平成31年度に30%まで高める目標を立てられています。 人口減少問題に対応するためには、転出抑制はもとより転入促進の取り組みが重要と考えますが、県内に戻りたいと願う県外大学生の県内就職率を高める取り組みや、県出身者に対しての移住促進策について、現状や課題、また今後の取り組みを産業振興推進部長にお伺いします。 次に、3世代同居や近居の推進についてお伺いします。 近年、家族形態の変容に伴い、教育や福祉などさまざまな分野において、核家族化の進行による家庭の教育機能の低下や親子のコミュニケーションの希薄化、また地域コミュニティーの低下などが指摘されるようになりました。国においては、3世代同居に対応した良質な木造住宅の整備促進や3世代同居に係る税制上の軽減措置が検討されています。3世代同居は、人々の価値観によるもので、賛否の分かれる事柄でもありますが、私自身は推進すべきと考えます。 そこで、この3世代同居や近居の推進について知事に御所見をお伺いします。 次に、水道事業の広域化についてお伺いします。 2013年の新水道ビジョンでも示されましたように、経営基盤や技術基盤の強化という観点から、地域の実情に応じて、事業統合や共同経営だけでなく管理の一体化等の多様な形態による広域化が提唱され、推進されています。また、水需給の不均衡の解消や施設整備水準の平準化などに加え、経営及び技術両面での恒久的な事業運営に向けた運営基盤の強化が求められています。 平成25年度版の「高知県の水道」を見ますと、上水道事業において、給水人口2万人未満の事業数が72%に達するとともに、簡易水道事業では、給水人口1,000人に満たない事業数が84%を超え、困難な経営を強いられる小規模事業が数多く存在することがわかります。人口減少とともに給水人口が減少する中で、水道管の耐震化など地震対策も急がなければなりません。 そこで、新水道ビジョンで示された新しい概念も含めた本県での広域化に向けた検討状況について健康政策部長にお伺いします。また、今後の展望についてもあわせてお伺いします。 次に、消防行政についてお伺いします。 さきの水道事業と同じく、消防についても広域化が検討され、推進されています。総務省の市町村の消防の広域化に関する基本指針では、「小規模な消防本部においては、出動体制、保有する消防車両、専門要員の確保等に限界があることや、組織管理や財政運営面での厳しさが指摘されることがあるなど、消防の体制としては必ずしも十分でない場合」があり、「克服するためには、市町村の消防の広域化により、行財政上の様々なスケールメリットを実現することが極めて有効」であり、「消防力の強化による住民サービスの向上や消防に関する行財政運営の効率化と基盤の強化が期待される」と示されています。 近年の東日本大震災での教訓や、類い例を見ない大規模災害等の発生、また今後の災害リスクの高まりも指摘される状況を踏まえると、広域化や消防本部間の連携強化が必要になってくると思います。また、消防本部とともに地域の防災力の中核を担っている消防団員の役割はますます重要であり、住民の日常的な防災に関する学習や訓練など、地域の防災力の向上に対して住民からの期待も大きくなっていると思います。しかしながら、少子高齢化が進み、人口が減少している中、全国的に見ると消防団員数は年々減少しており、団員の確保が大きな課題であると思います。 そこで、近い将来、南海トラフ地震が想定され、人口減少が続く本県において、現在の消防団員の充足率と充足率向上に向けた取り組みについて危機管理部長にお伺いします。また、今後どのような支援を行っていくのか、展望もあわせてお伺いします。 次に、大きな項目3点目としまして、保育、教育についてお伺いします。 私の同級生や友人の中で、高校卒業後に県外の大学に進み、大学卒業後に本県に戻り仕事についた者の職種を調べてみますと、医師や看護師、薬剤師、そして公務員やシステムエンジニアなど、資格を有する者や仕事の場所が限定されない職種についている割合が高いように感じます。つまり、本県の教育水準や学力の向上を図ることは、結果的に、高知県に戻り仕事につくことができることにつながるのではないかと考えます。 また、私は現在、7歳と4歳になる2児の父親でもあり、子育て環境の整備や教育施策の充実に強い思い入れがあります。 本県では、戦後60有余年、子供たちの学力を向上させてほしいとの願いは、県民、保護者の悲願でありました。しかし、県教育行政と教職員組合との対立は長きにわたり、どちらが可でも非でもなく、学力の向上を阻み続けてきたことは歴史の事実であります。土佐の教育改革で、やっと学力向上について本気の取り組みが始まり、平成21年9月には、土佐の教育改革の成果と検証をもとに高知県教育振興基本計画が策定され、22年6月には緊急プランの第2次改定、そして24年3月には、今後4年間で重点的に取り組むべき具体的な施策等をまとめた高知県
教育振興基本計画重点プランが策定され、今年度は重点プランの最終年度であります。 今年度の全国学力・学習状況調査の結果を見てみますと、小学校においては、国語A問題・B問題、算数A問題では全国平均を超え、中学校では、国語、数学ともにB問題で全国との差が縮まるなど、一定の成果もあらわれています。しかしながら、中学校の国語、数学の総合点が全国平均を下回るなど、依然厳しい状況を脱していないことが明らかになっています。 そこで、この
教育振興基本計画重点プランをどう総括し、次期計画にどう反映していくのか、教育長にお伺いします。 次に、学校と地域の連携・協働についてお伺いします。 近年、家族形態の変容、価値観やライフスタイルの多様化等を背景とした地域社会のつながりや支え合いの希薄化によって、地域の学校、地域ぐるみで子供を育てるといった考え方が次第に失われてきているように感じます。教育は単に学校だけで行われるものではなく、家庭や地域社会が教育の場として十分な機能を発揮することがなければ子供たちの健やかな成長はあり得ないと考えます。 家庭をめぐる状況の変化や地域社会の教育力の低下に伴い、子供の教育に関する当事者意識が失われていくことで、学校だけにさまざまな課題や責任が課される事態になっている現状も認識しています。家庭や地域社会での教育の充実を図るとともに社会の幅広い教育機能を活性化していくことは喫緊の課題となっています。 これまで国においては、学校と地域の連携に関する施策として、学校支援地域本部や放課後子ども教室、また放課後児童クラブなどが推進されてきました。本県においても、来年度は学校支援地域本部を小中学校のみならず県立高校まで拡大し、32市町村125校、61の地域本部で実施される計画になっています。 しかしながら、学校と地域の連携・協働のためには、中央教育審議会の「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」の答申にて示されましたように、学校支援地域本部とともにコミュニティ・スクールの積極的な導入を図り、その一体的な取り組みの推進が求められています。このコミュニティ・スクール事業は、保護者や地域の方々の意見を学校運営に反映させることができ、自分たちの力で学校をよりよいものにしていこうとする意識が高まり、継続的、持続的に、地域とともにある特色ある学校づくりを進めることができる取り組みです。また、保護者や地域住民などから構成される学校運営協議会を設置し、学校運営の基本方針を承認したり教育活動などについて意見を述べることにより、地域と学校の連携がより深まり、教職員の意識改革や学力向上、生徒指導の課題解決においても成果が期待できます。 そこで、本県での学校支援地域本部とコミュニティ・スクールとの一体的な取り組みについて教育長に御所見をお伺いします。 また、昨年12月には、山口県で開催された平成27年度地域とともにある学校づくり推進フォーラムに私も参加させていただきました。フォーラムの中で、山口県は来年度、全ての小中学校にコミュニティ・スクールを導入し、県内100%の小中学校での実施を目指すとの発表があり、私も大変驚きました。 また、こうした動きは全国的に活発化しているとお聞きしています。一方、本県では、平成27年4月現在で小学校16校、中学校15校、合計31校での実施であり、さらなる取り組みの推進が必要であると感じています。 そこで、コミュニティ・スクール導入に向けた今後の取り組みについて展望を教育長にお伺いします。 また、「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」の答申において、従来の個別の活動の充実、総合化、ネットワーク化を図り、支援から連携・協働を目指す新たな体制として、地域学校協働本部を整備することが示されました。学校支援地域本部からの移行について、スケジュールも含めた今後の取り組みの展望を教育長にお伺いします。 次に、給食や食育についてお伺いします。 私の地元である南国市は、知・徳・体の3領域のど真ん中に食を位置づけ、食育を大きな核とし、取り組みが進められてきました。地元でとれた棚田米を家庭用電気炊飯器を用いてクラスごとに炊き上げる小学校給食は、スタートして既に20年近くがたっていますが、今なお全国から熱い注目を浴びています。 しかしながら、近年、社会全体では、地産地消といった言葉を耳にする機会も少なくなったように感じます。学校給食を通じて、いま一度、社会全体で地産地消や食育の推進に取り組むことが重要ではないかと考えます。 そこでまず、学校での食育の取り組みについて、現状と今後の展望について教育長にお伺いします。 次に、学校給食における地場産物の活用についてお伺いします。 国では、来年度から平成32年度までの第3次食育推進基本計画において、学校給食における地場産物の活用割合を、平成26年度の26.9%から平成32年度の目標値を30%以上に設定しようとしています。一方、本県では、第2期高知県食育推進計画において、平成29年度の目標値が50%に設定されています。 国の目標値に対し高く設定され、取り組みが充実されていることは承知していますが、改めて現在の取り組み状況を教育長にお伺いします。また、市町村間での取り組みに差異があると思われますが、これも含め今後どのような具体的施策を展開するのか、あわせて教育長にお伺いします。 また、国は新年度予算において、社会的課題に対応するための学校給食の活用事業を新規に計画しています。事業概要は、学校給食には、適切な栄養の摂取による健康の保持増進や食に関する指導での活用に加え、食品ロスの削減、地産地消の推進、伝統的な食文化の継承など社会的な課題、要請への対応が求められているので、学校給食の活用を通して課題の解決に資するとお聞きしています。 本県ではこの事業に対してどのように対応していくのか、教育長に御所見をお伺いします。 次に、保育所での給食についてお伺いします。 本県では、保育所に通う3歳児から5歳児の主食については、現在多くの自治体の保育所で家庭から主食を持参しています。これは、保育所運営費に当たる公定価格の算定上、給食に要する材料費に3歳以上児の主食給食費が含まれていないことが最たる要因であると思います。また、完全給食を実施した場合、主食費を徴収する際の事務処理の煩雑さも要因の一つに考えられます。 全国での実施状況を調べてみますと、方法は万別ですが、東京23区を初め都市部ほど保育所で完全給食を実施している自治体が多い傾向にあります。 幼児期は、意欲や態度、基本的生活習慣など生涯にわたる人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期であり、食育の視点からも、温かい炊きたての御飯を提供してあげたいと思うのは私だけでしょうか。早い時間に通所する児童は、6時半から7時ごろにお弁当箱に入れた御飯を持参し、昼には冷たくなった御飯を夏も冬も一年を通して食べています。 そこで、実施主体である市町村が完全給食に移行する場合に、県として調理室の改修や調理器具の購入を補助する制度を創設することはできないか、教育長にお伺いします。 また、国に対して、主食も含めた公定価格の改正についての働きかけを行っていただきたいと考えますが、知事の御所見をお伺いします。 次に、スーパー食育スクール事業についてお伺いします。 このスーパー食育スクール事業は、学校が大学や企業、生産者、関係機関等と連携し、食育を通じた学力向上、健康増進、地産地消の推進、食文化理解など食育の多角的効果について科学的データに基づいて検証を行い、その成果をわかりやすく示し普及啓発することで、食育のより一層の充実を図るものです。本県では、昨年度は香美市立大宮小学校が指定を受け、今年度は南国市立十市小学校が指定を受け実施しています。 今年度実施の十市小学校では、食と学力を取り組みテーマの中心に位置づけ、食育の実践から言葉の力を高めるという研究主題のもとに進められています。私も、先月9日に行われた研究発表会に参加させていただき、多くの成果を共有することができました。中でも特に、生活習慣の改善が学力向上に結びつくことが実証されたことは、今後につながる意義深い研究であったと思います。 また、会の終わりには、学校長が、食育は栄養教諭が中心となりチーム学校で取り組まなければならないと述べられていました。私も同じ思いを持ち続けていますが、実際に実践できている学校は少ないのではないでしょうか。 そこで、このスーパー食育スクール事業の成果をどのように分析され、今後の施策に生かしていくのか、教育長にお伺いします。 また、学校における食育の推進は、通常、学校給食を通して取り組まれることが多いと思います。しかしながら、全国的な課題でもありますが、本県においても全ての学校に栄養教諭が配置されているわけではありません。また近年では、給食をセンターで一括して調理し配送する、いわゆるセンター方式を導入する自治体もふえており、栄養教諭や学校栄養職員が常勤していない学校もあります。 そこで、学校においての食育を推進するためには栄養教諭の配置拡大が望まれますが、今後の配置について展望を教育長にお伺いします。 最後に、業務の品質確保や生産性向上に向けた取り組みについてお伺いします。 本県では、土木工事や建築工事、建設コンサルタント、またそれらにかかわる関連業者や資材業者は、就業人口も多く、本県経済を支える大きな役割を担っていると思います。また、経済対策や景気の回復により、工事や業務の発注量が増加傾向であるからこそ、計画的な発注が求められています。 しかしながら現状では、公共工事のみならず業務全般において、入札や開札、また打ち合わせ協議等の日程がゴールデンウイーク期間中の平日やお盆期間、年末年始、そして高知県の代表的な祭事であるよさこい祭り開催期間中などに設定されることもあり、受注者側の負担が重い事例をお聞きしています。入札に参加する業者は、事前に金額等の検討を始め、受注すれば契約書類を作成し提出するなど、入札や開札日だけでなく前後にも一定時間を要します。 そこで、入札や開札、また打ち合わせ協議等の日程についての現状と、今後は改善されるのかという点について、公共工事等について土木部長に、その他の委託業務について会計管理者にそれぞれお伺いします。 また、国土交通省北陸地方整備局において、昨年度よりウイークリースタンスの取り組みが試行されています。ウイークリースタンスとは、1週間における受発注者間相互のルールや約束事をスタンスとして定め、計画的に業務を履行することにより業務環境等を改善し、魅力ある仕事、現場の創造に資する取り組みです。具体的には、月曜日は依頼日の期限日としない、水曜日は定時の帰宅に心がける、金曜日は業務の依頼日としないというような内容です。また、取り組みの効果として、資料提出期限に余裕を持った工程となり十分な検討が可能になった、納期に余裕を持った依頼、指示により従業員に無理をさせずに済んだなどが挙げられます。昨今、技術職の人手不足が深刻な問題になっている建設やコンサルティング業界においては、労働環境の改善も求められています。 そこで、このウイークリースタンスの取り組みについて、本県においてはまず公共工事等から導入されることを提言します。土木部長に御所見をお伺いし、1問といたします。 (知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君) 田中議員の御質問にお答えをいたします。 まず、高知県の豊かさや魅力に関して、恵まれた自然や食についての所見、また恵まれた自然や食を県民に実感してもらうことが重要と考えるがどうかとのお尋ねがありました。 私も、本県の豊かさ、魅力の一つに恵まれた自然や食があり、こうした本県の強みの源泉は地域地域にあると考えております。ゆえに、中山間対策が極めて重要だとも考えるところであります。 本県は、輝く太陽のもと、黒潮打ち寄せる変化に富んだ海岸線を初め、四万十川に代表される清流や緑深い山々など、山、川、海が全てそろっている美しく豊かな自然に恵まれております。また、そうした自然や気候条件などから生み出されます食も、他の地域と差別化を図ることができる本県固有の大きな財産、魅力であると考えておりまして、大手旅行雑誌の調査、地元ならではのおいしい食べ物が多かったランキングにおいて過去10年間で6度も第1位を獲得していることからも、県外の皆様からも客観的にも高く評価されていると思っております。こうした地域地域の持つ自然や食の強み、魅力に気づき、それをさらに磨き上げ、観光や地産外商、移住促進などさまざまな形で生かせてこそ、目指す将来像である、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県の実現につながると考えております。 そのため、産業振興計画においてはこれまで、恵まれた自然から生み出された第1次産業の生産物やその加工品などを県外へ売り出す地産外商、自然や食を売りとして県外から観光客を呼び込む観光振興などによって、この強みを最大限に生かそうとする戦略をとってまいりました。現在策定を進めております第3期計画においては、これまでの取り組みをバージョンアップし、地域に根差した第1次産業を核とした地域産業クラスターを地域地域に形成していくことや、歴史や食を一体的に連動させた戦略的な観光地づくりを推進していくことなど、本県の強みを生かした取り組みをさらに強力に展開してまいることとしております。 こうした他の地域にはない魅力を県民の皆様に実感していただきますことは、本県の自然や環境を守っていくことや地産地消の推進につながりますほか、県外の方にも食してもらいたい、見てもらいたいとの思いから、県外への食の売り込みや県外観光客の誘致、移住の促進など地産外商の推進にもつながりますし、さらにはUターンの動機づけにもなるのではないかと思っております。 いずれにいたしましても、ややもすれば我々は身近にある魅力というものはわかりにくいものであります。恵まれた自然や食を初め身近にある本県の魅力を県民の皆様にもまた実感していただくという視点は、議員御指摘のとおり大事にしていかなければならないと考えております。 次に、高知家ALL STARSの取り組みの成果と高知家プロモーションの今後の展望についてお尋ねがございました。 高知家プロモーションは、温かい県民性を背景に高知県を一つの大家族に例え、本県の認知度向上と地産外商や観光の振興、移住促進につなげることを目的としております。 3年目の取り組みとなります高知家ALL STARSでは、本県の一番の魅力である人をさらに前面に大きく打ち出す新しいプロモーションを展開しております。この高知家ALL STARSの狙いは、できるだけ多くの県民の皆さんにプロモーションに直接参加をいただいて、高知家のスターお一人お一人がその個性と多彩な情報を発信していただくことで、高知家の魅力のアピールについて、量と多様性、両方確保していきたいと、そういう思いで実施をしているということであります。これまでに高知家スターとして、目標の1,000人を超える1,543人の方々に3月1日時点で登録をいただいておりまして、県民参加の輪が大きく広がりつつあるものと受けとめております。 スターによる発信の面では、県が制作するプロモーション動画やウエブサイト上でのバナー広告に、実際に県産品を生産されている方や観光と移住などの分野で活躍されているスターの方々に数多く出演いただいております。また、御自身のブログやホームページでの発信数が300件を超えるなど、さまざまな形で御協力をいただいております。 こうした取り組みにより、テレビにおけるニュース報道などの広告換算効果は、3年目は3月1日時点で6億7,000万円を超えております。また、昨年9月の首都圏や関西圏における高知家の認知度調査では、30%を超える方が高知家を認知していただいており、この認知度の向上が本県に対する好感度や行きたい度、住みたい度の向上などにつながっているものと考えています。このような成果は、多くの県民の皆様が高知家プロモーションに積極的に御参加いただいたからこその成果でありますので、皆様に本当に心から感謝を申し上げたいと思っております。 先月26日に、高知家ALL STARSの新たな企画といたしまして、高知家の家族の力で日本を元気にしていこうというNIPPON POSITIVE PROJECTをスタートさせ、前向きな県民性を前面に押し出した動画を発表いたしました。今後は、この第1弾の動画に続く一般からの動画募集を行い、これを順次公開していくことでこのプロジェクトに対する共感をさらに広め、高知家の認知度向上と県民参加の輪をさらに広げることにつなげていきたいと考えています。 4年目となります来年度は、引き続き高知家ALL STARSの取り組みを継続しながら、これまでに積み上げました高知家の認知度や好感度などの成果をもとに、新たな展開を図ってまいりたいと考えております。具体的には、マスメディアによる露出の費用を一定負担するペイドパブリシティーという手法も新たに採用したいと考えております。これにより、外商、観光、移住などの告知を本県が期待する適切な時期に発信することができますので、メディアに露出するタイミングに合わせて個別品目の販売促進活動の取り組みを連動させて展開することで相乗効果を生み出し、地産外商、観光誘客、移住促進の成果の上積みにつなげてまいりたいと、そのように考えております。 次に、人々の生き方や暮らし方が多様化している中で、3世代同居や近居を推進すべきではないかとのお尋ねがありました。 本県では、共働きの世帯率が高くなっている一方で、核家族化の進行などもあり、平成25年の国民生活基礎調査の結果によれば、全世帯に占める3世代同居の割合は全国平均を下回っております。また、昨年度の県民世論調査では、地域の支え合いの力が弱まっていると答えられた方が45.7%と、前回調査の55.8%からは減少したものの、近所づき合いが薄いと感じられている方が6割程度を占めるという結果になっています。こうしたこともあり、家庭の子育て力や介護力、さらには地域社会の見守り機能の低下などといったことが指摘をされているところであります。 このため、これまでの取り組みにも増して、子育てや介護などを世代間を超えて支え合うといった視点を重視し、子供たちや高齢者を地域社会全体で見守り支え合う仕組みづくりなどに積極的に取り組むことといたしました。具体的には、子育てにおいて、有償ボランティアの皆様が子供たちの預かりや保育所への送迎などといった役割を担うファミリー・サポート・センター事業の県内全域への普及、定着に向け、市町村への思い切った支援策を創設したところであります。さらには、就学前の幼児から高齢者までの多世代が利用するあったかふれあいセンターにおいて、介護予防や子育て支援などのサービスを複合的に提供する際の施設整備への支援制度なども創設をいたしました。 世代間による支え合いの施策を強化していくことは必要だと考えておりますが、議員からお話のありました3世代同居や近居につきましては、社会全体の価値観にもかかわる事柄でありますので、まずは今後の国の施策の動向などを注視してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、議員御指摘の趣旨にあります地域コミュニティーにおける支え合いの力を強化させるような施策群を一連のものとして積極的に講じてまいりたいと、そのように考えております。 最後に、保育所の給食について、国に対して制度改正をするよう働きかけを行ってはどうかとのお尋ねがございました。 保育所へ通う3歳以上児に提供する給食を、主食も加えた完全給食にすることは、食育の視点に加えて、厳しい経済状況にある子供の割合がふえていることから、私としては必要ではないかという思いがあります。 しかし一方で、保育の実施主体である市町村の一部からは、主食を持参することは家庭で食事をつくることにつながり、乳幼児期から基本的な生活習慣を定着させていくためにも望ましいのではないかといった御意見もお伺いをしております。また、子ども・子育て支援新制度がスタートするに当たり、国の子ども・子育て会議において、3歳以上児の主食費を保育所の公定価格に含むことについて、国において新たな財源措置が必要になることや保護者の負担額がふえることなどの議論がなされ、結果として見送られたという経緯もございます。 このため、保育所の給食において3歳以上児の主食の提供については、市町村の意向もお伺いしながら、その必要性や課題を十分に検討した上で、国に対してどういった政策提言を行っていくことが適当か検討を続けていきたいと、そのように考えております。 私からは以上でございます。 (産業振興推進部長中澤一眞君登壇)
◎産業振興推進部長(中澤一眞君) 県外大学生の県内就職率を高める取り組みや本県出身者に対する移住促進策についてお尋ねがありました。 まず、県外の大学に進学した学生の県内就職率を高める取り組みにつきましては、就職支援の協定を結んでいる大学の学生への県内企業や就職に関する情報提供のほか、民間企業が実施するガイダンスへの出展などを実施しております。今年度は初めての試みとして、就職活動が本格化する前の学生を対象に、本県の仕事のやりがいや暮らしの豊かさを伝えるようなセミナーも実施をいたしたところでございます。 こうした取り組みを実施する上で、個人情報の問題から、そもそもこうした催しの情報自体を直接御本人に届ける手段が限られているという課題があります。また、セミナーに参加した学生から、世界に通用する企業があることを知ることができたとか、ネガティブなイメージを覆してもらえたといったような感想が聞かれたことが示しますように、県内にもさまざまな企業があることが余り知られていないことも明らかになりました。 このため、現在、高校卒業後も保護者等を通じて県内の就職に関する情報を継続的にお届けできる仕組みづくりに取り組んでおります。また、来年度からは、就職活動を開始する前の段階での
企業参加型セミナーを新たに実施しますとともに、学生と企業との交流会の開催など、県外大学生に県内企業の情報を知ってもらう機会そのものをふやすこととしております。 次に、県外で既に社会人となっている本県出身者のUターンを促す取り組みについては、高知暮らしフェアなどの移住相談会を年間30回以上実施しております。そのうち、昨年12月には東京と大阪で、このフェアにあわせて、県内企業の参加も得て合同就職相談会を開催しております。 課題としましては、本県を出て相当年数がたっている方の所在を追うことが難しいこと、また県からアプローチできる方の中にも、県内には働く場が少ないといった固定的なイメージをお持ちの方が少なからずいらっしゃるということが挙げられます。 このため、高知家プロモーションなど不特定多数に向けた移住の呼びかけを強化していくとともに、県内の御家族や御友人からお声がけをいただくことを期待しまして、県内向けの広報にも力を入れてまいります。また、県からアプローチできる方に対しましては、事業承継・人材確保センターとも連携して、県内のさまざまな企業や事業者が人材を求めているといった情報をしっかりとお知らせしてまいります。 以上のような取り組みによりまして、県外大学生や社会人の一層の転入促進を目指してまいります。 (健康政策部長山本治君登壇)
◎健康政策部長(山本治君) 水道事業の広域化に向けた検討状況と今後の展望についてお尋ねがありました。 水道の広域化については、人口減少に伴う給水収益の減少、施設の老朽化に伴う大量更新、対応する職員の不足などにより事業の継続が困難となる可能性がある中、市町村が水道事業を単独で考えるのではなく広域的視点に立って検討する時期に来ていると考えます。 高知県では、山間地域が多く、人口の多い地域が分散し、施設の連結が困難かつ非効率であることから、ハード面での広域化のメリットは少ないと考えられます。また、昨年7月、県内上水道事業体向けに広域化の課題などについてアンケートを実施したところ、料金体系、財政状況など事業者間の格差を挙げ、健全な事業運営を持続するためには、広域化のメリットを認めながらも実施は難しいという回答が多くありました。 県としては、施設の統合や事業統合に限らず、人材の派遣、事務的な協力の実施など多様な形態の広域連携について検討していく必要があることから、まずは水道事業者間の協議の場を設定していきたいと考えています。 (危機管理部長野々村毅君登壇)
◎危機管理部長(野々村毅君) 消防団員の充足率とその向上に向けた取り組みや今後の支援についてお尋ねがございました。 消防団員は、消火や水防の活動、また地域住民への防火に関する啓発や防災訓練の指導など、地域の防災力のかなめとして活動を行っています。さらに、南海トラフ地震が発生した際には、津波からの避難誘導、倒壊家屋や土砂崩れなどからの救助救出など、重要な役割を担うこととなります。 本県の消防団は、平成27年4月1日現在、団員数は8,256人、充足率は93.6%となっています。このうち5つの消防団では充足率が100%に達していますが、最も低いところは84.2%にとどまっており、充足率の向上に向けた取り組みがまだまだ必要であると考えております。 そのため県は、充足率の低い市町村を中心に、消防団や市町村、地元企業の方と一緒になって住民の方々への勧誘を行い、入団を促す取り組みを行っています。その結果、全国的に見ると団員数が毎年減少している中、本県の団員数は、取り組みを始めた平成19年からの8年間で見ますと、人口減少が進む中、わずかではありますが年々増加し続けており、トータルでは153名増加しています。 一方、消防団は、近年の社会環境の変化から、団員の高齢化問題に加え、いわゆるサラリーマン団員が増加し、本県においても56%に達しており、日中に出動できる団員が少なくなるといった課題にも直面しています。こうしたことから、国においては、消防団活動の充実強化を図るため、平成25年に新たな法律を制定しております。これを受けて、市町村では、団員の報酬や出動手当を増額する処遇改善を行っております。また、県では独自に装備品の整備に対する補助を行うなど、消防団の充実強化に努めてまいりました。 消防団は、地域防災力の中核として、その対応力の維持・向上を図っていかなければなりません。今後も市町村や消防団と連携し、団員確保につきましては引き続きしっかりと取り組んでまいります。あわせて、将来に目を向けて、子供たちに消防団活動への興味を持っていただく取り組みにも力を入れていきたいと思っております。 (教育長田村壮児君登壇)
◎教育長(田村壮児君) まず、高知県
教育振興基本計画重点プランの総括と次期計画への反映についてお尋ねがありました。 県教育委員会では、平成24年に
教育振興基本計画重点プランを策定し、知の分野では、学力を小学校は全国上位に、中学校は全国平均まで引き上げることを目標に、学校経営力の向上、教員の資質・指導力の向上を目指した取り組みを推進してきました。その結果、お話にもありましたように、小学校国語においては、基礎知識を問うA問題で全国平均正答率を3.4ポイント上回るなど、全国上位に入るという目標を達成することができております。 一方、中学校においては、活用力を問うB問題も含め、国語は2.7ポイント、数学は5ポイント、全国平均を下回る結果となっており、中学生の学力はまだ厳しい状況にあります。また、思考力、判断力、表現力の育成の面では、小中学校ともに課題が残るところです。 小学校が成果を上げたことの要因としては、中期的な達成目標と取り組みの方向性を盛り込んだ学校経営計画を全職員が参加して作成することにより、全員が目標を共有し、ベクトルを合わせて取り組むようになったこと、県が作成してきた学習シートなどが授業や家庭学習の中で効果的に活用されてきたことにより、児童の基礎学力の定着が図られたことなどが挙げられ、これらは重点プランの取り組みによる効果であると考えております。 一方、中学校においては、校内研修の実施回数が大幅に伸びるなど、授業改善についての意識は高まってきているものの、これまでのところ学力の向上にはつながっておりません。こういったことを含め、中学校の学力の改善が踊り場から脱することができていない要因としては、まず組織マネジメントの弱さにより、目的達成に向けたPDCAがうまく回っていないことが挙げられます。また、思考力等を高めるための授業改善が進んでいないことや、学習面で課題を抱える生徒に対する対応が十分でないこともございます。 このような学力の課題を解決するため、次期教育振興基本計画では、まず教員同士がチームを組み、組織的に取り組みを進めるチーム学校の仕組みを構築します。また、児童生徒の思考力等を育むために、主体的、協働的に学ぶ、探求的な授業づくりを推進してまいります。さらに、学習内容が十分定着していない児童生徒一人一人のつまずきに応じた指導が行えるよう、学校の補充学習の支援を充実してまいります。 これらの取り組みを市町村教育委員会や家庭、地域と一体となって推進し、次代を担う子供たちに夢や志を持って将来をたくましく羽ばたく力を育ててまいりたいと考えております。 次に、本県における学校支援地域本部とコミュニティ・スクールの一体的な取り組みについての所見と、今後のコミュニティ・スクール事業導入に向けた展望についてのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。 社会がますます多様化し、子供を取り巻く環境も大きく変化する中で、学校が抱える複雑・困難化した課題を解決するとともに、子供たちに生きる力を育むためには、保護者や地域住民等の参画を得た学校運営を行っていくことが求められております。このため、教育の大綱や次期教育振興基本計画の案にも、地域との連携・協働を柱の一つとして掲げているところです。保護者や地域住民等が学校運営に主体的に参画し地域の力を学校運営に生かすコミュニティ・スクールの制度や、学校の教育活動を地域の方々が組織的に支援する学校支援地域本部は、このような時代の要請に沿うものであり、これらを一体的に推進していくことにより、一層教育効果が高まるものと考えます。 県教育委員会ではこれまでも、市町村教育委員会や学校に対して学校支援地域本部やコミュニティ・スクールに関する情報提供を行うとともに、各教育事務所に学校と家庭や地域との連携を推進する指導主事を配置してきました。また、コミュニティ・スクールの制度を導入する学校に対しては、ケースにより加配教員を時限的に配置するなど、それぞれの学校や地域の取り組みを支援してまいりました。 その結果、本県のコミュニティ・スクールは年々増加をし、現在33校となっており、平成30年度には49校まで増加する予定です。このうちの36校は、来年度、学校支援地域本部事業に取り組む予定であり、コミュニティ・スクールと学校支援地域本部の一体的な取り組みも徐々に進んできております。 現在、国においては、学校の設置主体である市町村教育委員会がコミュニティ・スクールの導入に積極的に取り組むことを後押しするための制度のあり方について検討しているところでございます。県としましては、国の動向を踏まえ、コミュニティ・スクールについての周知啓発を積極的に行ってまいります。 次に、学校支援地域本部から地域学校協働本部への移行の展望についてお尋ねがございました。 議員からお話のありました中央教育審議会の答申におきましては、従来の学校支援地域本部等の活動をベースに、新たな体制としての地域学校協働本部へ発展させていくことが必要であるとの提言がなされたものと承知をしております。これは、地域から学校への一方的な支援にとどまらず、学校と地域とが対等なパートナーとして連携・協働していく必要があること、学校支援地域本部や放課後子ども教室といった個別の活動を総合化、ネットワーク化していくことが必要であることといった趣旨から提言されたものであり、国においては今後、地域学校協働活動の実施に関するガイドラインの策定などに取り組まれるものと承知をしております。 本県においては、子供たちを地域とともに見守り育てる観点から、学校支援地域本部の取り組みを積極的に推進しているところです。学校支援地域本部の活動を持続的なものとし、さらなる活動内容の充実を図るためには、答申で提言された地域学校協働本部へと学校支援地域本部の取り組みを発展させていくことも重要であると考えております。 国の予算事業における地域学校協働本部の取り扱いについては現時点では明らかになっておりませんが、どのような呼称によって取り組みを行うかにかかわらず、答申で提言された地域学校協働本部の趣旨を反映した取り組みは行うことができるものであり、現在行っております学校支援地域本部の活動についても順次その趣旨を反映させていきたいと考えております。 今後とも、地域学校協働本部に関する国の動向も踏まえつつ、本県における学校と地域との連携・協働活動を充実してまいりたいと考えております。 次に、学校における食育の取り組みに関し、現状と今後の展望についてのお尋ねがございました。 学校における食育については、児童生徒が食に関する知識や望ましい食習慣を身につけることができるよう、学校教育活動全体を通じて総合的に行うことが重要であると考えております。 本県では、学校における食育を推進するため、学校給食への地場産物の活用や、食育を学校全体で組織的に進めるための計画づくり、給食の時間における指導の充実、また食育推進の中核となる栄養教諭の配置や研修の実施などに取り組んでおります。これらの取り組みにより、お話にありました南国市のように学校給食への地場産物の活用が進み、地域の生産者等と連携した食の体験学習が活発に行われているところもふえておりますが、一方で、地場産物の活用や学校における食育の推進体制に地域差が生じているという課題もございます。 このため、今後、食育や学校給食を推進する栄養教諭、地域の生産者、学識経験者等から成るワーキングチームを新たに設置し、これまでの取り組みをさらに充実することとあわせて、体制整備におくれがある地域や学校には重点的に改善に向けた情報提供や助言などを行ってまいります。さらに、国の事業であるスーパー食育スクール事業を活用し、本県の健康課題の解決につながるモデルづくりを進めるとともに、その成果を広く県内に普及し、本県の食育の底上げを図ってまいります。 次に、学校給食における地場産物の活用に関し、本県の取り組み状況と市町村間での取り組みの差異を踏まえた今後の具体的な施策についてお尋ねがございました。 学校給食における地場産物の活用は、高知の伝統的食文化の継承や子供たちの食べ物への感謝の気持ちを育むことにつながるなど、豊かな食文化を営む知識や態度を養うことができる重要な取り組みです。このため本県においては、さらに活用が高まることを目指し、活用割合を50%とすることを目標に掲げて取り組みを進めております。 平成26年度の地場産物の活用に関する調査では、本県の食品数ベースの地場産物活用割合は35.7%であり、全国平均を8.8ポイント上回っているものの、先ほど申しました目標には達しておりません。その要因といたしましては、学校給食に地場産物を活用するための関係者間での情報共有が十分には行われていないため、供給体制が不安定であることや、関係者間の相互理解が十分進んでいないことなどが考えられます。 そこで、先ほどお話しいたしましたワーキングチームの中に学校給食普及・充実チームを立ち上げ、活用が不十分な地域には、先進的な地域の取り組みや協力体制を構築するためのノウハウを普及するなど、関係者の意識の向上や連携強化が図られるよう重点的に支援してまいります。また、引き続き、学校における地場産物を活用した学校給食用レシピ集の活用や、地場産物の活用割合が50%以上となる献立を毎月1回以上実施する取り組みなどについて、学校給食関係者の研修会等で具体例を示し、日常の実践を促してまいります。 こうした取り組みを通して、学校給食への地場産物のさらなる活用が県全体に広がるよう、目標達成に向けて取り組んでまいります。 次に、社会的課題に対応するための学校給食の活用事業について、どのように対応していくのかとのお尋ねがございました。 本県では、社会的課題に対応するための学校給食の活用事業のテーマの一つである地産地消の推進について、高知県食育推進計画に基づき、学校給食への地場産物の活用や地場産物を教材とした体験学習等の取り組みを進めてきております。 本事業につきましては、学校だけでなく地域の関係機関と連携した取り組み体制が求められておりますので、来年度直ちに取り組むことは難しいと考えておりますが、この事業のテーマであります地場産物の活用、食品ロスの削減、伝統的な食文化の継承については本県においても重要な課題だと思っておりますので、関係機関との調整を行いながら、平成29年度には実施できるよう準備をしていきたいと考えております。 次に、保育所の給食について、市町村が完全給食に移行する場合に調理室の改修や調理器具の購入を補助する制度を創設できないかとのお尋ねがございました。 保育所の給食については、議員のお話にありましたように、国が定める公定価格の中に、3歳未満児は主食費と副食費が含まれていますが、3歳以上児は副食費のみとなっております。このため、基本的には3歳以上児は家庭から主食を持参しております。 3歳以上児の完全給食の実施状況について、中核市である高知市以外の保育所、認定こども園等を調査したところ、11市町村37施設で完全給食を実施しており、そのうち6市町村15施設は保護者の負担なしという状況でございます。また、3歳以上児への完全給食の導入の意向とその際の調理室の改修等の初期投資に関する県への要望について調査をいたしましたところ、新たに完全給食を実施する意向があったのは2市町のみであり、初期投資に関する財政支援の要望額も事業費ベースで約80万円と少額の状況となっております。 このため、給食施設等に関する補助制度の創設については見送らせていただいたところですが、厳しい環境にある子供たちへの支援の視点も持ちながら、将来的な検討課題とさせていただきたいと考えております。 次に、スーパー食育スクール事業の成果をどのように分析し今後の施策に生かしていくのかとのお尋ねがございました。 本県では、食育を通して児童生徒の健康課題の解決に向け、スーパー食育スクール事業に2年間取り組んでまいりました。平成26年度は香美市立大宮小学校において、塩分摂取に着目した食生活習慣改善をテーマに、食育ノートの開発や指導体制の整備を行い、多くの児童が保護者と一緒になって減塩を意識した食生活の改善に取り組むことができました。本年度は南国市立十市小学校において、食育の実践から言葉の力を高める授業改善をテーマに、独自で開発した食育カリキュラムを活用し、食育を通して伝える力や考える力を高める授業の研究を進めることができました。 これらの2年間の取り組みを通して、大学等の研究機関や関係団体の協力を得て、子供の意識の高まりによる塩分摂取の変化や、食生活を含めた生活習慣と学力との相関などの基礎的データが得られたこと、また学校全体で組織的に取り組む実践ができたことなどが本事業の大きな成果であると考えております。今後は、本事業の取り組みで得られたデータの分析をさらに深めるとともに、その成果を研修会等で県内に普及してまいります。 最後に、栄養教諭の配置について、今後の展望についてのお尋ねがありました。 近年、食生活の乱れや食物アレルギーのある児童生徒が増加するなど、食に関する問題等が顕在化し、学校給食の役割はますます重要になっております。そうした状況の中、国において、学校における食育を充実させるため、平成17年度に栄養教諭制度が創設をされました。本県においても、児童生徒の肥満や生活習慣の乱れなどの問題が増加傾向にあり、食育を推進することが重要であるとの考えから、同年度から栄養教諭の配置を行ってきております。 栄養教諭及び学校栄養職員の定数については、法令により、食数の規模に応じて定められており、本県においては75人となっております。このように数に限りのある栄養教諭等の配置に関しては、その有効な活用策として、市町村教育委員会とも協議し、栄養教諭等にできるだけ多くの学校にかかわってもらうために、近隣学校との兼務発令を行うなどの措置を講じているところです。 また、児童生徒の食の問題への対応や食育の推進については、栄養教諭等のみが行うものではなく、管理職の指揮のもと、全ての教職員が参加して取り組んでいく必要があるものと考えています。このため県教育委員会としましては、食育やアレルギーに対する研修を実施し、学校全体での食育の推進や健康管理に対するスキルアップに取り組んでいるところです。 栄養教諭等の必要性はますます高まっていくものと考えており、今後とも国の動向に留意しつつ、全国都道府県教育長協議会と連携するなどにより、国に対して栄養教諭等の配置の充実を要望していきたいと考えております。 (土木部長福田敬大君登壇)
◎土木部長(福田敬大君) 入札や開札、打ち合わせ協議などの日程に関する現状と今後の改善の有無についてお尋ねがございました。また、ウイークリースタンスの公共工事などへの導入についてお尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えいたします。 近年、建設業やコンサルティング業界では、従事者の高齢化とともに入職者が減少するなど、中長期的な担い手の確保が大きな課題となっており、特に若手技術者等の確保に向けては、休日の確保など労働環境の改善が求められております。こうした課題には、発注者と受注者が協力して取り組んでいかなければなりません。 このため、公共工事や委託業務の実施に当たっては、年末年始やお盆、ゴールデンウイーク期間中の入札を避けるといった配慮のほか、受注者が週休2日を取得しやすいよう余裕のある工期の設定や、受注者から受けた質疑に1日で回答するワンデーレスポンスの取り組みなども行ってきたところです。 しかしながら、入札の日程などについては、受注者の立場に立ってさらに改善すべきところがあると考えておりますので、今後は年末年始やお盆等の期間に加えて、よさこい祭り期間中の入札も避けることとし、入札に伴う打ち合わせ協議等についても日程の配慮に努めてまいります。また、御提案のございました北陸地方整備局のウイークリースタンスの導入につきましては、若手技術者等の確保に向けた取り組みの一つと承知しており、関係する業界団体の意見も聞きながら検討してまいります。 今後とも、発注者としてのさまざまな取り組みを通じて、受注者の労働環境の改善に努めてまいります。 (会計管理者岡林美津夫君登壇)
◎会計管理者(岡林美津夫君) 入札や開札、打ち合わせ協議などの日程について、現状と今後の改善に関するお尋ねがございました。 建設工事関係を除く委託業務等、いわゆる非公共部門におきましても、入札による競争性をより発揮するためには、多くの業者が参加しやすい環境下で行うということが重要であり、その日程の設定も大きな要素だと考えております。 お話のありました期間中の状況を調査しました結果、何件かの入札におきまして、その日程設定に関し改善が可能と思われる事例がございました。 今後におきましては、ゴールデンウイーク期間中の平日やお盆期間、またよさこい祭り開催期間中などには可能な限り入札を行わない、さらには、その前後についても期間を十分にとるなどの意を用いますよう各所属に周知しますとともに、出先機関に配置しております会計専門員の巡回指導や会計検査を通じて徹底をしてまいります。
◆4番(田中徹君) それぞれに御丁寧な前向きな答弁をいただいたと思っております。ありがとうございました。 質問ではありませんけれども、何点かお願いをしておきたいと思います。 私も、3年間という短い期間ではありましたけれども、市議会議員という立場も経験をさせていただきました。そのときに感じたことは、今、財源もマンパワーも不足している市町村にあって、やはり頼りになるのは県ではないかというような思いがしております。そういったことで引き続き市町村の声に耳を傾けていただきまして、連携・協調していただき、取り組んでいただきたいということを、少し時間も余っておりますけれどもお願い申し上げまして、私の一切の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(三石文隆君) 暫時休憩いたします。 午前11時21分休憩
----------------------------------- 午後1時再開
○副議長(西森雅和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 25番大野辰哉君。 (25番大野辰哉君登壇)
◆25番(大野辰哉君) 県民の会の大野辰哉でございます。議長にお許しをいただきましたので、初めての一般質問をさせていただきたいと思います。 私は、奇跡の清流と言われる水質日本一の仁淀川、日本最後の清流四万十川、黒潮香る太平洋、そして四国カルストという全国、世界に誇れる美しい山、川、海という自然を有し、そして何より温かで人情あふれる高岡郡より選出いただき、昨年より県議会議員として活動させていただいております。これまで県民の皆様を初め、先輩・同僚議員の皆様、尾崎知事を初め県庁執行部の皆様など多くの方々に大変お世話になり、活動させていただいておりますことに改めて感謝を申し上げるものでございます。 昨年暮れに、私と同じ山間部出身で柔道家でもあられた川井喜久博議員がお亡くなりになりました。お会いするたびに、私のような新参者にも優しく声をかけていただき、颯爽と高級車で県議会に来られる姿は、山でも稼げること、森林が宝の山にもなることを身をもって教えてくれていたように思います。山間地域に暮らす若い世代にとっても、山への夢と希望を与えてくれる心優しい先生でした。川井議員の山間地域への思いをしっかり受け継いでいくことをお誓い申し上げ、心から御冥福をお祈りしたいと思います。 さて、質問に入ります前に、何分新人でございます。また、初めての一般質問の場でもあり、少しだけ私の県政に対する思いを述べさせていただきたいと思います。 私は、高知県の中西部の山間地域、旧吾川村で生まれ、当時は児童館と言っておりましたが、名野川保育所に始まり、名野川小学校、全国制覇2度のソフトボールの名門吾川中学校、そして母なる清流仁淀川のほとりにありました県立仁淀高等学校と、全て地元の学校で学ばせていただき、高校卒業と同時に地元自治体の吾川村役場へ奉職以降、一昨年の8月の退職まで28年間にわたり、山間地域の自治体、役場の職員として、産業、健康福祉、教育、税などさまざまな業務を経験させていただきました。その間、役場の事務は、パーソナルコンピューター、インターネット、電子メールなどの普及により劇的に変化し、またふるさと創生事業、介護保険制度の創設、三位一体改革、町村合併などさまざまな施策によっても、自治体行政の姿、現場は大きく変化してまいりました。また、地域に存在した地方法務局や農業改良普及所などといった国や県の出先機関なども統廃合され、さらには、地域住民の交通を支えてきた国鉄やユニバーサルサービスを担ってきた郵便局も民営化されるなど、そうした時代の流れ、国策などとも連動するように、地域からは人も流れ、人口の減少が進みました。 地域の人々も行政もさまざまな取り組みを行うなど一生懸命頑張ってきましたが、その流れをとめることは大変厳しく、私の生まれ育った吾川村は10年前の町村合併により仁淀川町という新しい町に引き継がれ、その歴史に幕をおろしました。また、地元の全ての思い出の学びやは、地域の過疎化、人口の減少とともに次々と廃校などとなってしまいました。また就職後、働きながら学んだ夜間の県立高知短期大学も、発展的にとはいえその役目を終えるということで、保育園を含め私自身の卒業した学校が一つもなくなるという非常に悲しい事態となってしまいました。母校を全て失うということは想像以上につらいものであり、時代の流れや地域の過疎化によりやむを得ないことではありますが、生まれ育ったふるさとや学校というものは人々の心のよりどころであり、心が帰るところでもあります。私も小学生の子供を持つ親でありますが、これから先、未来の高知県で、これ以上私のような思いをする子供たちができるだけ少なくなることを願っております。 そうした経験などから私は、田舎であろうが都会であろうが、どこに住んでいても、誰もが毎日を安心・安全に心豊かに暮らし学ぶことができる社会や生活環境、特に教育や福祉に社会のセーフティーネットをしっかりつくることが、行政や政治の大きな役目であると思っています。 中山間・奥山間地域では、まだまだ多くの人々が、人口減少、自然災害だけでなく、時には猿やイノシシなどの鳥獣とも戦いながら田畑を守り、山や川など美しい自然や景観を守り、命の水を守り、そして伝統を守り、何よりその地域を守るために支え合い、助け合いながら頑張っています。そうした厳しい状況の中で頑張っておられる皆様の声を、現場の姿を、県政に、政治に伝えることで、人口減少や縮む経済など多くの課題を抱える本県の課題の解決のお役に立ちたい、また弱肉強食、格差の拡大する競争社会から、支え合い、助け合いの優しい共生社会への一助になりたいとの強い思いを持って、この高知県議会の議場に立たせていただいております。私自身、大変微力でありますが、県民の皆様の福祉と生活の向上を目指して、与えられたこの任期を精いっぱい頑張ってまいりたいと思っておりますので、皆様の御指導、御鞭撻をどうかよろしくお願いいたします。 さて、尾崎知事におかれましては、昨年10月に、2期連続の無投票で3選を果たしました。これは全国の知事選では戦後2人目ということで、これまで対話と実行を基本姿勢として尾崎知事が果たしてきた南海トラフ地震対策や産業振興計画、人口減少、中山間対策、日本一の健康長寿県構想などの施策に対して、県民がそれらを高く評価していることのあらわれだと思っています。3期目は、特に人口減少への挑戦として、中山間対策をもう1歩2歩思い切って前へ進めていただきたい、私も少しでもそのお役に立てればと思うものであります。その尾崎知事にこうして県議会という場で質問をさせていただくという機会を与えていただきました多くの皆様に心から感謝しながら、最初の質問をさせていただきたいと思います。 まず、市町村の現状についてお伺いしたいと思います。 高度経済成長とともに、社会が経済や効率化を優先させ、都市部は勝ち組、地方は負け組という価値観が知らぬ間に植えつけられ、子供たちや若者の多くが都市部の学校、企業へと進みました。そうしたことにより、この国は目覚ましい発展を遂げてきた面もありますが、その代償として、地方から働き手や担い手が極端に少なくなってしまいました。 近年では、地方に残って頑張ってきた人たちの安心・安全を支えてきた公共サービスも、行財政改革などにより、縮小、減少が進んできました。今後もさまざまな要因から人口の減少はますます進むことが予想されますが、人も財源も少ない、そのような地域、エリアでいかに行政サービス、公共サービスを維持・確保・継続していくのかが問われる時代になってきているように思います。 小泉政権時代から、国際競争時代に対応するために、雇用規制の緩和、法人税の減税、東京の大規模インフラ整備などといった東京一極集中の強化策が進められてきた一方で、聖域なき構造改革により、地方は国の財政削減の対象となりました。市町村合併や地方交付税の削減、指定管理者制度の導入、公共事業の縮小などさまざまな改革が行われてきました。いわゆる平成の大合併から10年過ぎましたが、本県では市町村数が53市町村から34市町村となり、面積的にも大小さまざまな自治体が混在することとなりました。また、この10年間で廃校、休校となった公立学校は県内で80校以上にもなり、国勢調査による人口でも6万7,000人余りが減少しています。 そうした現状、今後の基礎自治体のあり方なども踏まえ、平成の市町村合併など、いわゆる小泉構造改革による地方自治体改革の検証を行うことが必要と考えますが、尾崎知事の御所見をお伺いしたいと思います。 現在の安倍政権においては、東京オリンピックの誘致、TPP対策など、東京の国際的競争力の強化は進めながらも、地方の強化策として、国主導による地方創生の取り組みが行われています。地方創生は、過疎・高齢化が進む地方への配慮とも言える政策でありますが、地方版総合戦略づくりについては、国が全国の自治体を競わせるような上から目線的な計画策定には少し違和感を覚えますが、それぞれ各自治体は限られた時間の中で懸命に策定作業を行っています。また、国の経済財政諮問会議においては、歳出削減を進めた自治体の経費水準を地方交付税算定に反映させる新たな仕組み、トップランナー方式の導入が重点課題とされ、行政コストの見える化などによるさらなる地方の行財政改革が進められようとしています。 そうした状況下で、さまざまな権限が地方へ移管され、業務も多様化、複雑化する中、厳しい財政状況や限られた人員で福祉や防災など地域の公共サービスの維持・拡充に取り組みながら地方版総合戦略の策定にも取り組んでいる市町村の姿、現状について尾崎知事の目にはどのように映っているのか、お伺いしたいと思います。 次に、雇用と県経済についてお伺いします。 平成28年度は、本県が進めるさまざまな施策がバージョンアップをしていく年度であり、産業振興計画については、課題解決に向けて第2期から第3期へさらなるバージョンアップをする、ホップ・ステップ・ジャンプでいえば最後のジャンプの踏み出しのタイミング、最も大切なタイミングの年度になると思われます。 第3期産業振興計画では、地産外商の取り組みをさらに強化し、その成果をより力強く拡大再生産の好循環につなげ、経済の活性化を図るとのことですが、四万十町などにおいて進める1次産業を核とした産業クラスターの取り組みなどは1次産業に新たな価値を生み出す大きな可能性があり、各地でこうした取り組みが広がることが期待されます。また、これまでの産業振興計画による地域資源の掘り起こしや、まるごと高知、地産外商公社の頑張りなどにより、製造品出荷額の伸びなど各種の指標にも経済効果があらわれてきていると思います。 しかしながら、県民所得の底上げ、安定した雇用の場の創出など、全体的な経済の底上げにはまだまだ至っておらず、課題が多いのではないかと考えます。また、いわゆるアベノミクスによる景気回復についても、本県では余り実感がないのが現状ではないかと考えますが、そうした本県の経済状況について尾崎知事の御所見をお伺いしたいと思います。 本県の有効求人倍率が昨年1倍を超えるなど、県内の雇用情勢は一定上昇傾向にあると理解しています。しかしながら、正社員に限った有効求人倍率は0.6倍程度で、さらに事務系の求人倍率に関してはパートを含めても0.3倍弱ということであり、改善されているとはいえ、地域間での格差、非正規や医療・介護などへの求人の偏りなど、求人と求職のミスマッチが強まっている現状もあります。さらに、労働力人口はこの10年間で1割減少し、県内の求職者数自体も下がり続けています。最低賃金も全国最下位であり、高知におりたいけれど県外に行かざるを得ない若者がまだまだ多いのも事実であります。 そうした中、佐川町においては、兵庫県の東証一部上場優良企業グローリーの100%子会社であるグローリープロダクツが、今月に50人程度の雇用による工場の操業を行うこととなり、2年後のフル操業時には200人規模の雇用を目指すとのことであります。雇用の創出、拡大に地元住民も大変期待しており、関係者の御尽力に改めて感謝とお礼を申し上げるものでございます。 県内にそうした雇用がさらに生まれてほしいと思うものでありますが、今後の企業立地の方針と見通しについて原田商工労働部長にお伺いしたいと思います。 昨年末、香南市のルネサス高知工場の閉鎖計画の報道には、多くの県民が衝撃を受けました。特に、関係する従業員の皆様におかれましては、今後の生活にも大きな不安を抱えることになり、県もルネサス社とともに従業員の雇用対策に取り組んでおられると思いますが、ルネサス高知工場の集約に対する現在の取り組みについて原田商工労働部長にお伺いしたいと思います。 次に、あったかふれあいセンターについてお伺いいたします。 あったかふれあいセンターは、日本一の健康長寿県構想、高知型福祉の取り組みの一つとして、地域のニーズや課題に応じた小規模多機能支援拠点としての活動を行っています。 今後、訪問事業や通所介護サービス、認知症カフェ、リハビリテーションを取り入れた介護予防サービスの提供など、介護保険制度とも連携しながらさらなる機能の強化を図っていくということであり、運営を担う社会福祉法人や団体そしてスタッフへの負担の増大を危惧していますが、あったかふれあいセンターを支える人材の育成・確保など運営団体への支援について井奥地域福祉部長にお伺いしたいと思います。 また、あったかふれあいセンターに関しては、県内で整備が進む集落活動センターとの連携や役割分担も課題となっています。地域住民にとって、両センターの違いがわかりにくいといった声や、高齢化が進んだ地域では集落活動センターの運営を担う人材がいないといった現実もあります。高齢化や過疎化が進み、経済活動主体の集落活動センターの運営さえも困難となった地域やエリアでは、あったかふれあいセンターにおいて、庭先集荷の支援や、高齢者の技術やたくみ、手芸などミクロな経済活動を行いながら生きがいづくり、健康づくりなどにつなげる、いわゆる産業福祉を主体とした取り組みが有効ではないかと考えるものですが、集落活動センターとの連携の状況と今後の方向性について井奥地域福祉部長にお伺いしたいと思います。 あったかふれあいセンターの事業は、本県においてはなくてはならない取り組みとなっており、今後さらなる高齢化の進行とともに、全国的にも広がっていく事業になると思われます。本県の平成28年度予算案においては、新たに施設整備への予算も計上されていますが、今後、地域の安心・安全を確保するためには、あったかふれあいセンター事業の安定と継続的な運営のため、恒久財源の確保や事業に対する交付金などが期待されますが、そうしたことに向けた国への要望、提言について尾崎知事にお伺いしたいと思います。 次に、介護従事者の処遇改善など離職防止の取り組みについてお伺いします。 本県の特に高齢化が進む山間地域では、要介護者も介護従事者も人口に占める割合が高く、介護の仕事は役場などの公務サービスと並んで地域の重要な就業先ともなっています。山間過疎など条件不利地域での介護や福祉現場を支える人材の確保は、住みなれた地域で安心して暮らし続けられるための基礎となるものでもあり、今後、東京などの都市部で介護人材の需要が高まり、特に若年層、女性の介護人材の流出が進むと言われる中、人口減少や定住対策ともあわせて考える必要があると思います。 平成27年度の介護報酬の改定において、処遇改善加算の新設により、介護職員の賃金が平均月額で1万2,000円引き上げられましたが、一方で、介護サービスを提供する事業者へ支払う介護報酬は2.27%引き下げられたことにより、事業者の多くが減収となり、サービスの低下や、減収分が給与の引き下げにつながるとの指摘もあります。介護職員処遇改善加算は、同じ介護事業所内でも介護従事者以外の事務職などの職員には加算がとれないため、事務の煩雑さともあわせ、不公平感があるとの声もあります。 また、介護職の現場では、膨らみ続ける社会保障費の抑制や人材の確保策などのため、介護保険などの制度や報酬などの改定がたびたび行われ、仕事が煩雑化し混乱が生じています。事業所加算などさまざまな加算が報酬改定のたびに追加され、加算がとれなければ経営に響くことから、事業者は無理をして加算をとり、その事務作業により業務はますます煩雑になり、ストレスなどにより仕事をやめてしまう職員が出てくる、職員がやめれば求人を出しますが、なかなか働き手が来ないし、いない、残った職員はますます忙しくなるといった負のスパイラルの実態があるともお聞きします。また、事業所や施設における事故や職員による高齢者への虐待も社会問題となっています。 安倍政権は、一億総活躍社会の施策の一つとして、介護のために仕事をやめるいわゆる介護離職ゼロの取り組みを進めています。介護離職ゼロの取り組みはよい方向ではあると思いますが、単に施設をたくさん建てるだとか経済優先の取り組みだけになってしまえば、一億総活躍社会で言われるような介護離職者のゼロは困難だと思います。介護福祉職場の現場に寄り添った施策、対策をしない限り離職者はふえ、介護を支える人材の確保は困難だと思います。介護離職ゼロの実現には、先に介護従事者の離職者のゼロを目指すことが大事ではないかと思います。 また、本県にとって、介護従事者の人材不足は深刻な問題であり、全国一律の処遇改善による介護報酬の改定だけでは、県内の介護の働き手不足の解消、人材の流出防止、定住にはつながりにくいのではないかと考えますが、処遇改善加算の上乗せなど介護従事者の処遇改善策に向けた県独自での取り組みについて、また制度が複雑化し事務作業が煩雑化している介護福祉サービス事業者への支援や指導監査の強化が必要と考えますが、あわせて井奥地域福祉部長に御所見をお伺いしたいと思います。 次に、厳しい環境にある子供たちへの支援についてお伺いいたします。 全国的に、児童虐待や非行などの問題、発達障害など、子供や家庭を取り巻く問題が複雑化、多様化している中、尾崎知事におかれましては、全国知事会における次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして、国に対して子どもの貧困対策の抜本強化に向けた緊急提言を行うなど、子供の貧困解消対策に力を入れておられます。国の本年度の補正予算においても、そうした取り組みの成果により、地域の実情に応じた子供の貧困対策強化費として25億円が新規事業として計上され、また本県の平成28年度予算案においても、教育現場、施設、親、子供、地域など、それぞれにさまざまな支援策が計上されています。 日本の子供の6人に1人が厳しい経済環境の中で育っていると言われる現状と子供の貧困解消対策について尾崎知事にお伺いしたいと思います。 本県では、子供に関する相談支援機能や体制強化を図るため、療育福祉センターと中央児童相談所を一体とした、仮称高知県子ども総合センターの合築整備が進められ、平成28年度予算案においては、児童虐待防止対策コーディネーターの配置や、児童相談所の体制の抜本強化や、主任児童委員などによる地域での見守り活動の強化策が計上されるなど、福祉や教育など関係部局が連携した児童虐待防止の取り組みがされております。また、オレンジリボン運動など、地域での見守り活動が行われています。 そうした取り組みがあるにもかかわらず、大変残念なことでありますが、本県においても虐待による児童の死亡事件が発生しており、潜在的な虐待の問題も含め、深刻な状況が続く児童虐待、子供たちの命を守るための対策が課題となっています。 塩崎厚生労働大臣は、児童相談所への弁護士の常駐を検討する考えを示すとともに、警察や行政、学校が連携する要保護児童対策地域協議会の設置を全市町村に義務づける考えを示されておりますが、本県における児童虐待防止に対する取り組みについて井奥地域福祉部長にお伺いしたいと思います。 昨年度の本県におけるいじめ認知件数は716件となり、認知件数としては過去最大とのことでありますが、スマートフォンなどの普及によるいわゆるネットいじめが社会問題となっています。ネットいじめは、水面下で見えにくく、保護者や先生なども気づきにくいといった問題点があります。スマートフォンや通信機能つきゲーム機によるコミュニケーションが当たり前となった現代においては、そうしたツールでの疎外やいじめは当事者にとって大きなウエートを占める問題であり、子供たちの心の傷も深く、事件などへ進展することもあります。 本県におけるいじめの認知件数のうち、いわゆるネットいじめの認知件数とその対応策について田村教育長にお伺いしたいと思います。 また、これまでいじめに関して保護者や当事者がその悩みを相談する場所やツールがわかりにくいという声がありましたが、ワンストップの相談先として心の教育センターにおいて支援体制を構築されるとのことです。 子供も保護者も相談しやすい、本当の意味で県民に開かれた相談窓口になってほしいと願うものでありますが、心の教育センターにおけるワンストップ相談先の具体的な支援体制について田村教育長にお伺いしたいと思います。 次に、障害者差別解消の取り組みについてお伺いいたします。 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法が2013年6月に成立し、本年4月から施行されることとなりました。障害者差別解消法は、「全ての障害者が等しく基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的」として、障害当事者の長年の願いの実現に向けて大きな一歩が踏み出されたものであります。同法の制定までに、2006年12月に国連総会において障害者権利条約が採択されたのを受け、日本でも各地で障害者差別禁止条例の制定運動が展開され、名称はさまざまですが、多くの地方公共団体で障害者差別禁止条例が制定されています。 本県における障害者に対する差別や偏見を禁止、解消するための具体的な取り組みと、障害者が安心して暮らすことのできる施策拡充の取り組みについて井奥地域福祉部長にお伺いしたいと思います。また、昨年2月県議会の予算委員会において、田村輝雄委員の質問に対し井奥部長から、「県の事務や事業を実施する上で職員が適切に対応ができるよう、障害のある方や関係団体の皆様などから具体的な御提案などを含めて幅広く意見をお聞きして対応要領の策定を行う」との答弁がなされ、現在策定作業が進んでいる障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領の策定の現状について井奥地域福祉部長にあわせてお伺いしたいと思います。 次に、愛媛県の伊方原子力発電所3号機の再稼働についてお伺いいたします。 昨年10月、尾崎知事は、愛媛県伊方原子力発電所3号機の再稼働について、愛媛県知事の再稼働同意に対して、高知県知事として現時点での再稼働はやむを得ないとの立場を表明し、現在もその姿勢は変わられていないと理解しております。知事は、将来的には脱原子力発電の方向性を明確にされているとも理解していますし、私もその考えは同じであります。知事は、これまでの四国電力との勉強会において、安全対策を確認された上で現時点では再稼働はやむを得ないとの判断に至っておるとも理解しておりますが、尾崎知事はたびたび、現時点での再稼働はやむを得ないと、現時点という言葉を強調し、おっしゃられているように私は感じていますが、将来、伊方原子力発電所3号機の再稼働を容認しないとする状況にはどのような状況を想定されているのか、尾崎知事にお伺いしたいと思います。 知事が再稼働を容認した昨年10月以降、梼原町を初め県内で8つの市町村議会で伊方原子力発電所再稼働の中止や同様の意見書が可決され、これまで県内の多くの市町村においても再稼働についてノーという意見書などが出されています。中でも、小水力や太陽光など再生可能エネルギーの推進に取り組むなど町を挙げて脱原子力発電所に取り組んでこられた、伊方原子力発電所から50キロ圏内に位置する高岡郡梼原町では、その危機感は強いものがあります。 この質問の機会に、昨年梼原町議会で可決された意見書の一部を紹介させていただき、知事の御所見をお伺いしたいと思います。 「人の命は山よりも高く海よりも深い、さらに地球よりも重い」という言葉がある。私たち国民は、この言葉を深く心に刻み、命の尊さを忘れてはならない。東日本大震災による福島第一原発事故が発生してから、福島県及び隣接県では大量に放出された放射性物質によって生命への脅威、子ども達をはじめ住民の健康への不安を感じながらの生活を強いられている。また、1次産業をはじめ事業活動ができない多くの方々も過酷な状況に置かれている。進まない除染、賠償問題、帰還困難、地域再生の見通しも立たず、被災地では今なお過酷な避難生活を余儀なくされている。 われわれの暮らしている梼原町は、伊方原発から50km圏域に位置し、日本最後の清流といわれている四万十川の源流域であり、1100年の歴史の中で豊かな自然と協調し共生をはかってきた。その先人の教えを守り、後世に引き継ぐ重要な責務がある。その自然や地域資源を活用し、風力、水力、太陽光、地中熱など再生可能エネルギーの推進に取り組んできたことにより、環境モデル都市の認定をうけて全国に発信しているところである。 生まれ育ったふるさとが、より安全で安心して生活できる町であることを願うのは誰しも同じであり、これから先も将来にわたって同じである。多くの生命と財産を一時で失った3.11原発事故を教訓とし、これ以上尊い生命、そして財産を失うことが決してあってはならない。同時に、今育っている子ども達、これから生まれてくる未来の子ども達のために、再生可能エネルギー社会へ歩を進めながら原発依存から脱する機会は、今しかない。 以上、昨年、梼原町議会で可決された意見書の一部であります。 梼原町のみならず近隣の仁淀川町議会などでも同様の意見書が可決されていますが、いずれの自治体においても、福島第一原発事故を教訓に、命のとうとさ、未来の子供たちのために原発依存からの脱却を強く訴えているものであります。もし万が一再稼働後に事故が起これば、日本でも有数な美しい川、四万十川と仁淀川が放射能に汚染される川となってしまうのではないかとの不安もあります。 そうした県内で多くの自治体、特に伊方から近く、万が一事故が起こったときに影響を受ける可能性が高い自治体議会において、伊方原子力発電所3号機の再稼働についてノーとする意見書などが可決されている現状について、尾崎知事の御所見をお伺いしたいと思います。 次に、スポーツ振興についてお伺いします。 四国で唯一、サッカーJリーグチームのない本県でありますが、これまでしのぎを削ってきた県内の強豪2チーム、アイゴッソ高知とUトラスターが、近い将来のJリーグ入りを目指し、この1月に大同団結、統合し、新たに高知ユナイテッドスポーツクラブが発足しました。県内の強豪2チームの合体によるレベルの高い新たなサッカーチームの誕生に、サッカーファンのみならず多くの県民も高知県でのJリーグチームの誕生に期待が高まっているところであります。新たに発足した高知ユナイテッドスポーツクラブは、新チームになって初めての練習試合でJ1チームと対戦し引き分けるなど、既にJ1のチームと互角の戦いを見せ、その強さを存分にアピールしています。高知県から夢のJリーグチームの実現は、県内において多くの子供たちに本物を生で見られる環境をつくることを初め、県民の夢と希望でもあります。 JFL入りを目指すおらんくサッカーチーム高知ユナイテッドスポーツクラブへの官民挙げての支援が期待されていますが、伊藤観光振興部長にお伺いしたいと思います。 全国のプロ野球ファンに球春の到来を告げる春の風物詩でもあり、古くは阪急阪神定期戦とも呼ばれる黄金カードや最強時代の西武ライオンズ戦などが行われ、近年ではプレシーズンマッチとして50年にわたり多くの県民を楽しませてきたプロ野球春の1軍戦は、ことしは見られませんでした。唯一の1軍戦を見る機会を失った多くの県民はがっかりし、また1億円から2億円程度とも試算された経済効果にも影響が出ているとのことでありますが、一昨日の桑名議員の質問とも重複しますので特に答弁は求めませんが、私のほうからも、プロ野球春の1軍戦の早期の復活により、野球王国と言われた本県において、特に子供たちに少しでも夢を見せられる場、機会を取り戻していただきますよう要請させていただきますとともに、今後プロ野球1軍公式戦も招致・開催可能な環境整備の検討もあわせて要請をさせていただいておきたいと思います。 次に、県産材の販売促進に対する取り組みについてお伺いします。 2020年東京オリンピック・パラリンピックのメーンスタジアム新国立競技場のデザインを手がける建築家の隈研吾氏が、先般ゆかりのある梼原町へと来高され、新国立競技場の建設に県産材を活用したいとの考えを表明されました。隈氏は、梼原町の雲の上のホテル、レストランを初め、梼原町総合庁舎やまちの駅ゆすはらなどを設計され、ゆすはら未来大使も務めておられ、今回の新国立競技場の建築デザインに関して、梼原町で学んだ木を大事に生きるという哲学が基本になった、梼原との出会いがなかったら国立のデザインもなかった、高知の木、梼原の木を新国立競技場に活用したいと述べられています。梼原町の森林は、2000年に、団体としては全国で初めて国際的な森林認証FSCも取得しており、新国立競技場への採用も夢ではないと思います。 新国立競技場に高知県産材が採用されることは、今後、海外への木材輸出も進める本県にとって県産材を世界に発信する絶好の機会、大きなチャンスになるのではないかと期待されますが、大野林業振興・環境部長にお伺いしたいと思います。 次に、奥四万十博についてお伺いします。 いよいよ四万十の日4月10日から、須崎市、津野町、梼原町、中土佐町、四万十町の5市町の高幡地域を会場に奥四万十博が開幕します。12月25日までの約9カ月間にわたって、四万十川源流域の山や川から黒潮香る太平洋の海まで、奥四万十地域には豊かな自然と人情あふれる人々、そして地場の多くの特産物や食文化、自然が、全国から多くの観光客を癒やし、もてなすこととなります。 奥四万十地域には、四国カルスト高原、ホビー館、農家民泊、カツオのタタキ、鍋焼きや窪川のおいしいラーメン、森林セラピー、クリ焼酎などなど、枚挙にいとまがないほどの観光資源があります。さらに、昨年暮れのNHK紅白歌合戦に出場を果たした本県出身の演歌歌手三山ひろしさんが、先月、清流四万十川をテーマとした新曲を発表されました。四万十川を人生になぞらえた歌詞には、「いまは大河の四万十川(しまんと)だけど、もとは山から湧いた水」という、まさに奥四万十のことを歌っているかのようなフレーズもあり、今や全国的な人気歌手となったビタミンボイス三山ひろしさんの新曲「四万十川」と奥四万十博との相乗効果にも期待がされています。 開幕が間近に迫る奥四万十博への期待と支援について伊藤観光振興部長にお伺いいたします。 以上、私からの第1問とさせていただきます。 (知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君) 大野議員の御質問にお答えをいたします。 まず、今後の基礎自治体のあり方や地方自治体改革についてお尋ねがありました。 一連の小泉構造改革につきましては、日本経済の停滞、デフレの継続が経済活動と国民生活に大きな不安を与えていた時代背景の中で、財政や社会保障制度の維持可能性の確保などへの対応策として行われたものと承知しております。 平成の市町村合併も、こうした改革の一つとして行われたもので、本県においても一定合併が進んだりしたところであります。しかし、少子高齢化、人口減少といった根本的な課題が進行していく中、厳しい行財政状況のもとで、合併、非合併を問わず全ての市町村において、それぞれの地域で大変な御苦労があり、そしてそれぞれ精いっぱいその解決に向けて取り組んでこられたというのがこの間の推移かと認識をいたしております。 三位一体改革では、地方の自主財源の充実は不十分に終わった一方で、地方交付税が大幅に削減され、地方交付税の持つ財源保障機能と財源調整機能が弱体化したことにより、都市と地方の財政の格差が拡大しました。ただなお、その後、本県を初めとする条件不利地域からの政策提言等により、地方法人税の創設など、都市と地方の財政の格差を縮小するための取り組みが行われてきているところであります。 いずれにしましても、市町村は住民の皆さんに最も身近な基礎自治体として、生活インフラの整備、保健・福祉サービスの提供、産業振興や特色のあるまちづくりを行うことなどの役割を担っております。近年はそれらに加えて、南海トラフ地震対策への取り組み、人口減少による負の連鎖の克服といった地方創生の取り組みなど、地域の課題解決のための大きな役割を担っておられます。 他方、合併なども含めさまざまな要因により、市町村がマンパワー的にも余裕があるかというと、決してそうではないと思います。過去における各自治体の厳しい局面等もよく検討し、念頭に置いて対応してまいりたいと考えております。そして何より、県としては、市町村がこれらの役割を果たしていけるよう、市町村政との連携・協調の考え方のもとで徹底してバックアップをさせていただきたい、そのように考えているところでございます。 次に、総合戦略づくりなどのさまざまな課題に取り組んでいる市町村政の姿、現状についてお尋ねがありました。 市町村は、先ほどお答えしましたとおり、住民の皆様に最も身近な基礎自治体としての役割を担っておられますが、一方で財源や人員が限られていることも確かであります。さまざまな地域の課題に対しまして、知恵と工夫を凝らして必死に取り組んでおられるものと認識をしております。特に本県の市町村の場合は、地理的な特性など客観条件が厳しい中での御苦労もまた加わってくるということかと思います。こうした点から、私は、県政と市町村政が一体となって取り組みを進めていくことが大事だと考えており、これまでも5つの基本政策やそれらに横断的にかかわる2つの政策などのさまざまな分野においてベクトルを合わせた取り組みを行ってきたところでありまして、徐々に徐々にそのようなベクトルの合った取り組みがふえてきているという状況ではなかろうかと考えています。お尋ねの市町村版総合戦略の策定についても、県版総合戦略を全国で最も早く策定した上で、各地域本部が県版総合戦略の考え方をお示ししつつ、ワンストップサービスで市町村の総合戦略の策定を支援させていただいているところであります。 そのほかの分野でも、マンパワーの点も含め市町村を応援させていただいており、例えば先ほど申しました市町村版総合戦略の策定のほか、地域アクションプランの推進や、避難経路の点検などの南海トラフ地震対策、集落活動センターの設置などについて、ともに取り組んでいるところであります。 このように、県政の抱えるさまざまな課題を解決し県勢浮揚につなげていくためには、市町村政との連携・協調が重要であり、県と市町村がベクトルを合わせ、相乗効果が発揮できるよう、引き続き各分野において財政面のみならずマンパワーの面も含め支援を行いつつ連携を強化してまいりたい、そのように考えております。 次に、本県の経済状況についてお尋ねがございました。 2月29日に公表いたしました平成25年度高知県県民経済計算の名目経済成長率は、全国のプラス1.8%に対しプラス3.1%、物価変動を除いた実質では全国のプラス2.1%に対しプラス3.4%、1人当たり県民所得も全国のプラス3.0%に対しプラス5.2%となっており、いずれも全国平均を上回る経済成長となりました。直近の経済データを見ましても、日本銀行高知支店が3カ月ごとに公表している日銀短観では、企業の自社の業況判断を示すDIが昨年12月公表分まで9四半期連続でプラスとなり、引き続き高水準を維持しています。 また、雇用の面では、有効求人倍率が、産業振興計画に取り組む前までは全国の動きと連動できずに0.5倍程度で推移しておりましたが、昨年11月には本県の悲願であった1.0倍を超え、本年1月には過去最高の1.05倍に達しました。賃金の面でも、雇用者の給与の動向を示す現金給与総額指数が、昨年2月以降ほぼ年間を通じて前年を上回る状況で推移するなど、経済全体としてはよい方向に向かっていると感じております。 私は、こうしたよい方向に向かってきている背景には、次のような構造変化があるものと考えております。かつては生産年齢人口の減少に伴って各産業分野の産出額などがパラレルに減少する傾向にありました。こうした時期においては、本県の有効求人倍率や業況判断DIは、全国がどれだけよくなっても上昇することはございませんでした。しかし、産業振興計画の効果も一部にはあり、地産外商が大きく進み、生産年齢人口が減少を続ける中にあっても、各産業分野の産出額などが明確に上昇傾向に転じております。すなわち、生産年齢人口の減少と並行的に経済が縮んでいた時代から、生産年齢人口の減少にもかかわらず経済が拡大傾向に転ずるという、そういう構造変化があると言えるのではなかろうかと、そのように思います。このことがGDPや有効求人倍率や業況判断DIの上昇など各種経済データにもしっかりとあらわれてきているということではなかろうかと、そのように思っています。 しかしながら、そうだとはいっても、正社員の有効求人倍率は5カ月連続で過去最高値を更新しているものの、いまだ0.6倍にとどまっており、全国最下位水準であります。最下位ではありませんけれども、最も低い部類の水準であります。地域間の求人状況の格差も大きいなどの課題があります。また、大型小売店舗の販売額などを見ても、個人消費は力強さに欠けている状態で推移をしており、まだまだ多くの県民の皆様が景気回復を実感できるまでには至っていないと考えているところです。さらに、本県の人口の社会減は、過去の景気回復局面に比して2分の1程度に縮小しているものの、いまだ人口減少の負のスパイラルは続いております。こうしたことから、本県経済の活性化を図っていくための取り組みをさらに強化していかなければならないと、そのように考えております。 第3期の産業振興計画では、全体目標として新たに具体的な雇用創出数を掲げるとともに、統計上の制約などから目標としては掲げないものの、県民所得についても着実な伸びを目指すこととしております。その達成に向け、地産と外商をさらに強化する施策を盛り込むとともに、その流れを力強い拡大再生産の好循環につなげるための施策群を抜本強化することといたしております。 今後も、計画に目指す将来像として掲げた地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県を実現し、より多くの県民の皆様に景気回復を実感いただけるよう全力で取り組んでまいります。 次に、あったかふれあいセンター事業の恒久財源の確保に向けた国への要望、提言についてのお尋ねがありました。 本県が独自に整備を進めてまいりました、小規模多機能な福祉サービスを提供するあったかふれあいセンターは、県民の誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続けることのできる高知型福祉推進の中核を担うものであり、国からの財政支援の有無にかかわらず、今後とも県として確実に財源を措置し、事業の継続を支援してまいります。その上で、財源を安定的に確保するためには、国からの恒久的な財政支援があることがより望ましいことから、これまで国や全国に対し、あったかふれあいセンターの取り組みに関する情報発信に努めてまいりますとともに、支援制度の創設と恒久化に向けた政策提言活動などを積極的に行ってまいりました。 その結果、国の平成27年度補正予算において、地方創生加速化交付金の小さな拠点のメニューにあったかふれあいセンターや集落活動センターがモデル事業として盛り込まれたところであります。さらには平成28年度から、地方創生推進交付金が、改正予定の地域再生法に位置づけられる見込みとなっており、あったかふれあいセンターなどの取り組みに充当可能な恒久的な財源の確保につながるものと大いに期待をいたしておるところであります。あわせて、昨年4月の介護保険法の一部改正に伴い市町村が実施することとなった地域支援事業についても、あったかふれあいセンターについて、介護予防・日常生活支援サービスなどの提供を行う際には財源として活用することが可能になっております。 今後とも引き続き、地域地域で安心して住み続けられる県づくりに向け、国の動向にも留意しながら、必要に応じて政策提言活動などに取り組んでまいりたいと考えております。 次に、子供の貧困の現状と子供の貧困解消対策についてのお尋ねがありました。 平成25年の国民生活基礎調査の結果、平成24年の子供の貧困率が16.3%となる中、ひとり親家庭に限れば過半数の54.6%に上るなど、非常に厳しい状況となっています。本県におきましても、生活の困窮という経済的な要因のみならず、家庭の教育力や地域社会の見守り機能の低下などを背景として、一定数の子供たちが学力の未定着や虐待、非行、いじめなどにより困難な状況に直面しています。 このため、現在策定中の子どもの貧困対策計画においては、子供たちの発達や成長段階に応じて、幼少期には、保護者への子育てや就労面での手厚い支援策などを中心に、学齢を重ねるに従って、学校をプラットホームとした学びの場や居場所づくりなどの子供たちを見守り育てるための支援策を中心にしていく形で、支援策の抜本強化を図ってまいりたいと考えております。その際には、全ての子供たちを対象とする一般施策を基本とし、支援を必要とする緊急度の高い子供たちへの支援策については特別な施策を追加的に講ずるという形での対応を図りたいと考えています。 具体的な例を申せば、例えば虐待死亡事例の数多くを占めます乳幼児期までの子供たちの命の安全・安心を守るため、市町村の母子保健と児童福祉が連携を強化して取り組む地域での見守り体制の構築等を支援してまいります。さらには、進学率や就職率などで厳しい状況にある児童養護施設の子供たちに学習や自立支援などのサポートを行う職員等の配置などを支援することとしております。また、スクールカウンセラーの増員や放課後の学習支援や高知家の子ども見守りプランの取り組みなどもそれぞれさらに充実させていくこととしているところであります。 こうした取り組みなどを進めていく中で、毎年のPDCAサイクルによる検証作業などを通じて関連施策のバージョンアップを図ることにより、厳しい環境にある子供たちがその努力の及ばない不利な環境により将来が閉ざされることのないよう、貧困の連鎖を断ち切る強い決意を持って取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。 次に、伊方原発再稼働に関する一連の御質問にお答えをいたします。 まず、伊方発電所の再稼働を容認しないとする状況にはどのような状況を想定しているのかとのお尋ねがありました。 伊方発電所3号機につきましては、昨年7月15日に原子力規制委員会から設置変更許可を受けたところでありますが、再稼働までには、工事計画や保安規定の認可、使用前検査などの手続が残っております。そもそも安全対策に終わりはなく、常に最新の知見をもって万全の対策を講じていく必要がありますことから、今後も節目節目で安全対策について確認をしていく必要があると考えております。こうした過程で、安全対策の取り組みが不十分なことが明白になりましたら、当然のことながら再稼働を容認できないこととなります。また、再稼働の必要性につきましても、これまでの勉強会での四国電力の説明には合理性があると判断いたしましたが、今後、節電や蓄電の技術の発達や新エネルギーなどの代替エネルギーの開発、普及によって、原発によらずとも十分に安定的な電源が確保できるようになれば、そのときは原発の必要性はなくなるものと考えております。 しかしながら、そうした原発に依存しない社会がどれだけの期間で実現できるのかは、今後の科学技術の発達や社会システムの構築のスピードいかんであり、現段階では不明であります。いずれにしても、こうした科学技術の発達や社会システムの構築に向けて努力していくことが大事だと思っております。 最後に、伊方原子力発電所から近く、万が一事故が起こったときに影響を受ける可能性が高い自治体の議会において、伊方原子力発電所3号機の再稼働についてノーとする意見書などが可決されている現状をどう考えるかとのお尋ねがありました。 議員御指摘のとおり、昨年10月に私が意見表明して以降、県内13の市町村議会におきまして伊方発電所3号機の再稼働に反対する趣旨の意見書や請願が提出されておりまして、うち8の市町村で意見書が可決されております。市町村に対しましては、これまでも、勉強会の状況などについて折に触れて情報提供をしてまいりましたし、伊方発電所3号機の再稼働についての私の考えを発表した後も、職員が県内市町村を訪問し、再稼働に対する県の考えや四国電力との勉強会の内容などについて説明をしてまいりました。 いずれにしましても、8つの市町村議会で意見書が可決されましたことは重く受けとめなければならないものと考えております。この重みを受けとめ、今後とも四国電力との勉強会を開催して、安全対策などについて徹底的に確認を続けていきたいと考えております。あわせて、危機管理の観点からは、万が一事故が発生した場合に備えての避難計画につきまして、伊方発電所から最も近い四万十市及び梼原町の避難計画策定に向けて、両自治体と具体的な協議を進めておりまして、できれば再稼働までに、遅くとも再稼働後の早い時期までに策定が完了できるよう取り組んでいるところであります。 今後も、県民の皆様の不安や疑問にお答えするためにも、四国電力との勉強会を再稼働に向けたプロセスの節目節目で開催し、県民の皆様からいただきました疑問も含めて、納得できるまで四国電力に説明を求めてまいります。 私からは以上でございます。 (商工労働部長原田悟君登壇)
◎商工労働部長(原田悟君) まず、今後の企業立地の方針と見通しについてのお尋ねがありました。 県では、さまざまなルートを活用し、立地可能な企業の掘り起こしを行い、継続的に訪問活動をしながら、市町村との連携によるきめ細かな提案等を行い、立地の実現に努めているところです。議員からお話のありましたグローリープロダクツの場合も、本県に立地する際に最も重要な要素であった人材の確保の面において、県と地元佐川町やハローワークが一体となって取り組む姿勢を高く評価していただき、実現に至ったものと考えています。 企業立地に当たりましては、製造業の立地促進はもとより、特に若者や女性からニーズの多い事務系職場や、本県の強みであります農業を初め第1次産業分野への県内外の企業の参入に取り組むことで、県内各地域への多様な雇用の場の確保を図っていくことにしております。そうしたことにより、平成28年度からスタートする第3期産業振興計画におきましては、県外からの新たな立地とあわせて、徹底したアフターフォローによる県内事業者の新たな設備投資を進めることにより、毎年10件以上の企業立地と200人以上の雇用の場の創出を目標に取り組むこととしております。 県内各地域での多様な雇用の場の確保に向け、市町村や関係機関と密接に連携し、全力で取り組んでまいります。 次に、ルネサス高知工場の集約への対応に関する現在の取り組みについてのお尋ねがありました。 昨年12月のルネサス社の集約方針の発表後、直ちに庁内にルネサス高知工場集約対策本部を立ち上げ、これまでに本部会議を定期的に4回開催しております。その中で、現状や今後の対応について随時確認しながら、ルネサス社が社内に立ち上げましたプロジェクトチームと、承継企業の確保に向けて具体的な協議を進めているところです。 そうした中、本年1月には、知事がルネサス本社を訪問し、同社のトップに対し、高知工場の承継企業の確保と従業員の雇用の維持・継続を再度強く要請したところでございます。高知工場の承継に向けた動きは、民間企業同士の機密情報でありますことから、ルネサス社を中心とした水面下での活動となってはいますが、県としても独自のルートで候補となる企業の調査をしており、県とルネサス社が互いに情報を共有しながら、引き続き早期の実現に向け取り組んでまいります。また、ルネサス社から無償で譲り受けた第2棟用地の活用につきましては、現在、県内外に向けさまざまな機会を通じて工場用地の情報を発信しているところであり、今議会に提案しています財産処分に関する議案の承認が得られましたなら、分譲先の公募に向けた準備を進めてまいりたいと考えております。 今後引き続き、高知工場の承継企業の確保と第2棟用地への企業立地による雇用の維持・継続に全力で取り組んでまいります。 (地域福祉部長井奥和男君登壇)
◎地域福祉部長(井奥和男君) まず、あったかふれあいセンターを支える人材の育成・確保など、運営団体への支援についてのお尋ねがありました。 あったかふれあいセンターについては今後、介護予防サービスの提供や認知症カフェの設置、子育て支援などといった複合的なサービスの提供などを通じて機能強化を図ることとしており、こうした取り組みを進めていく際には運営体制の強化といったことも課題となってまいります。このため県では、運営を担う団体への総合的な福祉サービスを提供する際におけるノウハウの提供や、職員を対象とした専門研修の実施などによる人材育成面での支援などに取り組んでいるところです。 現在、あったかふれあいセンターの職員のうち、旧ホームヘルパー2級研修修了者を含め何らかの資格保有者は延べ人数で8割程度を占めておりますが、より専門的なサービスを提供するためには、理学療法士、保育士などの国家資格を有する従事者も必要になってまいります。このため、リハビリテーション専門職の派遣や訪問看護師による健康相談などのほか、福祉研修センターや人材センターなどとも連携し、人材の確保や資格取得の支援などに積極的に取り組むこととしております。あわせて、事業計画時のヒアリングなどを通じまして、職員の勤務条件等につきましても実情を把握いたしますとともに、国の支援制度などを活用した非正規職員の正規職員化などの可能性を含め、必要な情報提供などに努めてまいりたいと考えております。 次に、あったかふれあいセンターと集落活動センターとの連携の状況と今後の方向性についてのお尋ねがありました。 議員のお話にもありますように、元気な高齢者の皆様が経済的な活動などを行うことを通じて健康や生きがいづくりにつなげていくことは、健康寿命を延ばしていく上で重要な視点であり、県としましても、あったかふれあいセンターにおけるこうした取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。 他方で、地域の活性化に向けた仕組みづくりなどを担います集落活動センターは、そのスタート時点から、生活を支える機能と産業を活性化させる機能との両方をオールインワンで担う姿を理想として出発したものであり、こうした観点からも、既存の集落活動センターとあったかふれあいセンターができるだけ連携を図る必要があります。現在、あったかふれあいセンターと集落活動センターが連携した取り組みといたしましては、集落活動センターにあったかふれあいセンターのサテライトを開設し、介護予防の取り組みや交流の場づくりなどを実施している事例などがございます。さらには現在、あったかふれあいセンターと集落活動センターとの一体的な整備に向けた検討が進められている地域もあり、県としましても、こうした取り組みへの積極的な支援に取り組んでいるところです。 今後とも、県内の地域地域において、地域住民の皆様の在宅生活の希望をかなえるためのあったかふれあいセンターの機能強化を進めていくのはもちろんですが、その際には、地域の活性化に向けた仕組みづくりなどを担います集落活動センターとの連携した取り組みを積極的に支援してまいります。 次に、介護従事者の処遇改善に向けた取り組みと介護サービス事業者への指導監査についてのお尋ねがありました。 介護職員の処遇改善に関しましては、これまで処遇改善加算の継続と対象職種の拡大などについての政策提言を行ってまいりました結果、昨年4月の介護報酬の改定では、これまでの職員1人当たり月額1万5,000円相当の加算に1万2,000円相当分を上乗せすることが可能となっております。 昨年10月時点で、こうした加算制度を活用している事業所は940の事業所で、県内の加算対象事業所の約8割を占めておりますが、そのうち新たな上乗せ加算を実施している事業所は半数程度の645の事業所にとどまっております。このため、できるだけ多くの事業所において本制度の積極的な活用を図っていただけますよう周知に努めますとともに、本制度の恒久化などに向けまして、全国知事会などとも連携し政策提言活動を行ってまいりたいと考えております。あわせて、第3期日本一の健康長寿県構想では、介護人材の安定確保に向けた取り組みの抜本強化を図ることとしており、人材の定着促進と離職防止に向けた取り組みといたしまして、職員の処遇改善につながる福祉研修センターでの専門研修やキャリアパス制度の導入などによるキャリアアップを支援しているところです。あわせて、身体的負担を軽減するため、福祉機器や介護ロボットの導入を支援するなど、職場環境の改善などにも積極的に取り組むことといたしております。 他方、議員のお話にもありました介護職場における事務従事者を含めた負担の軽減に向けましては、介護事業者への指導監査を行う際に、処遇改善加算の支給要件ともなっております職場環境の改善状況についての十分な内容確認を行っているところです。さらには、研修会方式の集団指導の場において、実地指導で指摘が多かったことなどで注意すべき点や制度の改正点などについてのわかりやすい説明を心がけますとともに、介護保険担当課のホームページには国の通知や関連する様式などを掲載し、電話、メール等での質問への迅速な対応に努めているところです。 こうした取り組みなどを通じまして、介護職場からの離職防止と職場への定着を促し、サービスの安定確保へと確実につなげてまいります。 次に、児童虐待防止に対する取り組みについてのお尋ねがありました。 本県における児童虐待防止に向けた取り組みにつきましては、昨年6月の検証委員会の提言により、児童相談所と関係する支援機関との連携のあり方や、職員の専門性の確保に向けた取り組みのさらなる充実強化のほか、市町村の要保護児童対策地域協議会への積極的な支援に取り組むことなどが求められております。 このため、まずは児童相談所の相談支援体制の抜本強化に向け、人員体制を大幅に拡充いたしますとともに、管理職員の体制強化によるリスクマネジメント力の強化を図りますほか、外部専門家の招聘による職員の専門性の確保に向けたスーパーバイズ機能の向上などを図ってまいります。次に、市町村における児童家庭相談支援体制の抜本強化に向け、市町村支援の専門官等による要保護児童対策地域協議会の運営などへの支援体制を強化してまいります。あわせて来年度からは、出生から乳幼児期にかけての児童虐待を未然に防ぎ、子供たちの命の安全と安心をしっかりと守るため、市町村における母子保健と児童福祉の連携強化を支援してまいります。具体的には、子育て世代包括支援センターの設置や児童虐待防止対策コーディネーターの配置などとあわせて、要保護児童対策地域協議会を中心とした地域での見守り体制の構築に向けた取り組みなどを積極的に支援してまいります。 こうした取り組みなどを通じまして、県と市町村、民生委員、児童委員などを含めました各支援機関などが連携を強化し、切れ目のない総合的な支援体制を構築することにより、子供たちの命の安全と安心をしっかり守ってまいります。 次に、障害者に対する差別や偏見を禁止、解消するための具体的な取り組みと、障害者が安心して暮らすことのできる施策の拡充に向けた取り組みについてのお尋ねがありました。 県では、障害の有無により分け隔てられることのない共生社会の実現を目指し、県民の皆様の障害や障害のある人への理解の促進に向け取り組みを進めているところです。これまでも、障害者週間の集いや障害者美術展の開催などによる県民の皆様への啓発活動などに積極的に取り組み、障害者美術展の応募者数は平成9年第1回の253人から平成27年には768人へと増加するなど、障害者の方の社会参加の促進といった面での広がりが見られております。 また、障害者雇用促進法の趣旨を広く民間企業に浸透させるため、毎年500社以上の企業訪問を重ねてまいりました結果、障害のある方の就職者数は平成18年度の235人から平成26年度は469人へと倍増するなど、雇用面でも障害のある方に対する理解が一定進んできているものと考えております。あわせて、公共的施設などのバリアフリー化を推進いたしますとともに、あったかパーキング制度の利用促進やタウンモビリティーの推進、さらには手話通訳者の養成など、社会的障壁と言われる垣根をなくしていく取り組みなどにも積極的に取り組んでいるところです。 議員のお話にもありました障害のある人に対する差別の禁止に関する条例につきましては、障害者差別解消法の施行後の状況や他県の取り組み状況なども見ながら検討を深めてまいりたいと考えております。 こうした中、来年度からスタートいたします第3期日本一の健康長寿県構想では、障害児を見守り育てる地域づくりに向け、発達障害のある子供とその保護者に対するサービスの提供を担う専門人材を育成することにより、地域における早期からの発達支援が可能となる体制整備を推進していくことといたしております。また、改正障害者雇用促進法の4月からの施行をもにらみ、在宅障害者などの一般就労への移行を支援するため、障害者職業訓練コーディネーターを配置した、お仕事体験拠点施設の整備などに取り組むなど、障害の特性などに応じて安心して働ける体制整備などにも取り組んでまいります。 こうした取り組みなどを通じまして、障害のある方の自立を促し、安心して生活のできる地域づくりを目指してまいりたいと考えております。 最後に、障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領の策定状況についてのお尋ねがありました。 障害者差別解消法では、行政機関などに、障害を理由とする不当な差別的取り扱いの禁止と合理的配慮の提供が義務づけられますとともに、地方公共団体などについては、職員が適切に対応するために必要な要領を定めることが努力義務とされております。 県では、法の趣旨を踏まえ、各行政委員会事務局や県警察本部などとともに、障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領を策定することとし、法を所管します内閣府の対応要領を参考としながら、障害を理由とする不当な差別的取り扱いと合理的配慮の提供に関する基本的な考え方や具体例、相談体制の整備、職員の研修、啓発といった内容を盛り込むことといたしております。また、対応要領の策定に当たりましては、障害者団体などの意見を反映させるための必要な措置を講じることが求められており、県では、高知県障害者施策推進協議会での御意見を伺いながら作業を進めますとともに、パブリックコメントや関係する団体からいただいた御意見などを参考に、最終案の取りまとめを行っているところです。 今後は、障害者への差別の解消に向け、職員が対応要領に基づき適切な対応ができるよう、新規採用職員や所属長研修、階層別研修のカリキュラムに、障害のある人への配慮を加え、研修に努めてまいりますとともに、障害者差別解消法の施行初年度となります来年度は、全庁の職員を対象とした研修を予定いたしております。 (教育長田村壮児君登壇)
◎教育長(田村壮児君) まず、ネットいじめの認知件数とその対応策についてお尋ねがございました。 文部科学省の調査によりますと、平成26年度の本県におけるいじめの認知件数は716件であり、そのうち携帯電話やスマートフォンなどによるメールやコミュニケーションツールを使った誹謗中傷の認知件数は44件となっています。 県教育委員会では、各学校でのいじめアンケートの実施や、ネット上で誹謗中傷の書き込み等が行われていないかを監視する学校ネットパトロールを通じて、ネットいじめの早期発見、早期対応に努めているところです。学校等においてネットいじめを発見した場合は、速やかに事実確認を行うとともに、児童生徒や保護者に迅速に対応することにより問題の深刻化を防ぎ、早期の解決につなげております。 しかしながら、お話のありましたように、ネットいじめは見えにくいという特徴があり、認知件数は氷山の一角であるということも想定されますので、対策としては何よりもまず、いじめそのものを未然防止していくことが重要となります。そのため、学校では児童生徒に対して、全ての教育活動を通して、いじめは絶対に許されないという意識を高め、自他を大切にする心を育む教育に取り組んでおり、今後も徹底してまいります。さらに、ネットいじめに関しては、道徳の時間や特別活動などを通して、日常生活でしてはいけないことはネット上でもしてはいけないということを徹底するための情報モラル教育を推進してまいります。 また、ネットいじめやネット依存などのネット問題については、本年度の高知県いじめ問題対策連絡協議会でも大きなテーマとなったところです。検討の中では、ブロック別に開催する児童会・生徒会交流集会において、ネット問題やいじめの防止について話し合った上で、地域や家庭でのルールづくりを進めていくことなどが打ち出されました。こうした取り組みを進めていく中でも、ネットいじめの防止につなげてまいります。 次に、心の教育センターにおけるワンストップ相談の具体的な支援体制についてお尋ねがございました。 学校では、いじめや不登校を初めとするさまざまな問題に、担任やその他の教職員が子供やその保護者に真摯に向き合って解決に努めております。しかし、子供や保護者が教員や学校などに相談できずに、あるいは相談しても対応が不十分であったがために、問題が深刻化、長期化する事例もございます。そのため、学校以外でも子供や保護者が心理的負担を覚えず相談できるとともに、その相談に対し、より専門的な見地から支援することができる相談支援体制が求められております。 こうしたことを受け、本年度の高知県いじめ問題対策連絡協議会において、相談支援体制のあり方をテーマとして議論を行った結果、県内の教育相談機関の中核である心の教育センターにおいて、ワンストップかつトータルな支援体制を構築することといたしました。具体的には、心理や福祉の専門家であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを常駐させ、いじめや不登校など多様な相談を一元的に受理し、適切に対応できる体制を整えます。特に、緊急性のある事案や深刻な問題に対しても解決に向けた助言ができるよう、スクールカウンセラーの中でもより専門性の高いスーパーバイザーを配置することにしています。これにより、必要に応じて学校や関係機関とも連携しながら、解決するまで相談者に寄り添うワンストップかつトータルな支援を行ってまいります。あわせまして、学校からの求めに応じ、センターのスクールカウンセラー等が校内支援会に参加することや支援チームを派遣することなどにより、学校において、課題を抱える子供に対する適切な対応が図られるよう支援してまいります。 今後は、県内の小学校から高校までの全ての子供たちに、心の教育センターとともに連携先となる各種の相談窓口の連絡先も記載したカードを配付するとともに、保護者や県民の皆様がいつでもセンターの存在を目にすることができるようチラシを量販店やコンビニなどに設置するなど、センターの周知を図り、幅広く利用していただけるよう努めてまいります。 (観光振興部長伊藤博明君登壇)
◎観光振興部長(伊藤博明君) まず、高知ユナイテッドスポーツクラブへの官民挙げての支援についてお尋ねがありました。 高知Uトラスターとアイゴッソ高知という、これまでJリーグ入りを目指してきた県内の2つのチームがこの2月に統合し、新たに高知ユナイテッドスポーツクラブが誕生したことで、県内の強豪選手の分散が避けられることになりましたし、チームの経営基盤の安定化にもつながるものと考えており、県内にJリーグクラブを誕生させたいという多くの県民の夢にまた一歩近づいたものと思っております。 本県にJリーグクラブが誕生しますと、サッカー競技に取り組む子供たちなどが県内で身近に本物のプロの技術を見る機会がふえ、技術の向上につながるといった、スポーツ振興面での効果が期待できます。さらに、ホームゲームには県外から対戦相手のサポーターが数多く本県を訪れることになりますことから、交流人口の拡大にもつながるといった観光面での効果も期待できます。 このため、県としましてもできる限りユナイテッドスポーツクラブのJリーグ入りを目指した活動に協力をしてまいりたいと考えております。Jリーグ入りをするためには、県外の強豪チームに勝ち抜いて、アマチュアリーグであるJFLに昇格し、さらにJFLでベスト4になることなどが必要であり、ユナイテッドスポーツクラブからは、まずは練習環境として試合会場と同じように芝が整備された施設の安定した確保が重要であると伺っております。こうしたことから、県としましては、まず県内の施設管理者と連携しながら、芝の練習施設を安定的に確保できるよう支援してまいりたいと考えております。さらに、官民挙げた応援体制をしっかりと構築していくためには、ユナイテッドスポーツクラブの県内での認知度をさらに上げていくことも必要だと考えておりますので、試合情報や活動状況の広報などにも積極的に協力してまいります。 次に、開幕が間近に迫る奥四万十博への期待と支援についてお尋ねがありました。 4月10日に開幕します2016奥四万十博につきましては、これまで奥四万十博推進協議会を中心に、全国的にも知名度の高い四万十川や四国カルストなどの雄大な自然を生かし、市町村ごとにイベントや体験プログラムの造成、磨き上げを進め、地域の食と土産物などを組み合わせた周遊コースづくりや、市町村間をつなぐ公共交通やタクシープランづくりを進めてまいりました。この2月に発行しました公式ガイドブックの春夏号では、200を超えるさまざまなメニューが提供されております。 さらに、誘客に向けたセールスプロモーション活動では、各市町の魅力的な景観、食などを紹介するプロモーションビデオを制作するとともに、旅行会社などへの精力的な営業活動により、既に大手旅行会社7社のパンフレットへの観光情報の掲載や、奥四万十博をテーマとした全国でのテレビ番組の放送などにつながっております。また、2月末現在で637名の地域の住民の皆様と396の企業、団体が奥四万十博サポーターとなり、博覧会のPRや観光客の皆様へのおもてなしなどの取り組みが始められており、高幡地域の大きな盛り上がりにもつながっていると感じております。こうしたことから、多くの観光客の皆様にお越しいただけるものと大きく期待しておりますし、お話にありました高知県観光特使でもある三山ひろしさんの新曲もその追い風になるものと期待をしているところです。 県といたしましては、博覧会の準備段階から県職員を推進協議会に事務局長として派遣するとともに、観光商品の造成や受け入れ体制づくりを支援し、さらに首都圏や関西圏の旅行会社を対象にセールス活動を展開してまいりました。今後も、県観光コンベンション協会などとも連携し、こうした取り組みを継続するとともに、広域観光を推進する仕組みが地域に根づいていくよう、推進協議会の運営面、体制面についてもしっかりと応援してまいりたいと考えております。 (林業振興・環境部長大野靖紀君登壇)
◎林業振興・環境部長(大野靖紀君) 新国立競技場に高知県産材が採用されることが県産材を世界に発信する大きなチャンスになるのではないかとのお尋ねがございました。 新国立競技場につきましては、昨年12月に建築家隈研吾氏の設計による整備が決定されました直後に、隈氏と関係の深い梼原町長が直接出向いて高知県産材の採用を積極的に働きかけ、その後1月には隈氏本人が来高され、梼原町の状況を視察していただいております。 県では平成26年2月以降、2020年の東京オリンピック・パラリンピック関連施設へのCLTを初めとする木材利用について、国や東京都、競技大会組織委員会などに対して積極的に政策提言を行ってまいりました。こうした本県を初めとする自治体や木材関連団体の積極的な働きかけの結果、新国立競技場整備事業の業務要求水準書などにおきまして、木材を積極的に利用することが盛り込まれたものと考えております。 新国立競技場を初めとするオリンピック関連施設につきましては、これまでの例から見て、森林認証制度に基づく木材の採用が予測されております。このため県では、本県における森林認証材の供給可能量の調査を行いますとともに、県内に森林認証材を有する団体や加工事業者と、その供給体制の整備についての協議を始めているところです。 東京オリンピック・パラリンピック関連施設に高知県産材が採用されますことは、国内外に向けて非常に大きなアピールになると考えております。このため、今後は、認証森林からの原木を適切に加工できる事業体の育成に努め、森林認証制度に基づく木材製品の供給能力を向上させてまいります。また、隈研吾氏とかかわりの深い梼原町などと連携しまして、新国立競技場を初めとするオリンピック・パラリンピック関連施設への県産材の採用を働きかけてまいります。
◆25番(大野辰哉君) それぞれ丁寧な御答弁本当にありがとうございました。 特に、冒頭の市町村の現状に対する尾崎知事の御答弁は、厳しい状況の中で頑張っている市町村へのエールになったのではないかなと思っております。本当にありがとうございました。今後、県と市町村ががっちり連携してさまざまな取り組みが行われることを期待しています。 特に回答は求めませんけれども、私のほうから3点ほど要請させていただいて質問を終わりたいと思います。 まず第1に、介護従事者の処遇改善についてですけれども、処遇改善加算の県単とかの上乗せもぜひ将来は御検討いただければと思っています。 それと、障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領の策定の取り組みについては、障害者権利条約とか障害者差別解消法の趣旨を十分に踏まえていただいて、障害当事者とか団体などの意見も十分にお聞きした上での制定をお願いして、あわせてそれと市町村に対しても適切な策定の支援もお願いしたいなというふうに思っています。 最後に、実は尾崎知事と私は同学年でございまして、同学年とはいいましても、先ほど申しましたように学や学歴は全然違いまして、私たちの子供の時代は受験戦争とも言われた、そういう言葉ができたぐらい、高校にしても大学にしても本当に、偏差値の高い、競争率の高い学校へ行くのは困難な時代でした。そんな時代に、そうした苛酷な競争に打ち勝って、県内そして国内最高峰の学校へ行かれた尾崎知事は本当に当時並大抵なことじゃなかった大変な努力をされたのではないかなと推察します。 卒業後は財務省というこの国の中枢で活躍をされて、そしてふるさと高知に帰ってきていただいて、そしてこれまでの取り組み、大活躍を見たときに、同世代として同学年として誇りに思います。本当に誇りに思っています。将来は、我々の世代、そして田舎もんの代表として、ぜひこの国のリーダーを目指してほしい、なっていただきたいと思うものでございます。 このことに対しても御答弁はお聞きしませんけれども、尾崎知事を初め執行部の皆様にこうして県議会の場で質問をさせていただき丁寧な御答弁をいただきましたことに改めて身が引き締まる思いがしました。この場に立たせていただいた多くの皆様に改めて感謝を申し上げ、私の初めての質問の一切を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(西森雅和君) 暫時休憩いたします。 午後2時27分休憩
----------------------------------- 午後2時50分再開
○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 6番浜田豪太君。 (6番浜田豪太君登壇)
◆6番(浜田豪太君) 自由民主党の浜田豪太でございます。議長よりお許しをいただきましたので、これより初めての一般質問をさせていただきます。 昨年4月の統一地方選挙から、はや11カ月が過ぎました。今年度最後の議会、そして初当選組の中で最後の質問者ということとなり、大変緊張しております。私が政治活動を始めて約1年間、そして県議会議員に当選させていただきまして約1年間の県政に対する2年越しの思いを、初めて街頭演説に立ったときより掲げております真っすぐにという姿勢で、本日この議場にてお伝えしたいと思います。 しかしながら、あくまでも新人でございます。至らぬところなど多々あるかと存じますが、先輩、同僚議員の皆様、そして知事並びに県職員の皆様の御協力を得ながら、県民の皆様の声なき声をしっかりと届けていく決意をしております。何とぞよろしくお願いいたします。 それでは、最初の質問に入らせていただきます。この教育についての質問は、私が政治家を志す直接のきっかけになりましたことでございますので、あえて第1問目にいたしました。 平成18年に第1次安倍内閣が発足しました。その最重要課題として教育再生が掲げられ、全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストが実施されました。 初めて行われました平成19年度の結果、本県は小学校が37位、中学校は46位でした。そして、今年度平成27年度の調査において、小学校では12位、中学校では平成19年度と同じく46位でした。 この結果に一喜一憂し、順位が上がる下がるで学校現場に混乱が生じることや、学校の序列化や過当競争を招き、地域への偏見をあおりかねないといった懸念を抱く方がおられることは重々承知しております。しかしながら、この結果は保護者にとってわかりやすい指標であり、その結果について保護者に関心を持っていただき、保護者として何ができるのかを考えるきっかけにつながるものと私は考えます。 また、高知県の公立中学校の教育について、私は香南市選出の県議会議員として、高知市以外で子育てをしている保護者の切実な願いをお話しさせていただきます。 高知市以外で子育てをしておりますと、多くの御家庭が小学校までは地元の公立小学校に通いますが、子供が高学年になりますと進学塾に通い始めます。多くの保護者が共働きで、かつ高知市内に職場は集中している中、帰宅すると子供を塾へと送り迎えをすることになります。 その結果、高知市内の私立中学校に入学しましても、その後は朝晩、駅や学校への送り迎えをし、さらに高い交通費を支払うことになり、時間とお金が必要になります。つまり、高知市以外に暮らす保護者にとって、地元の公立中学校の教育の質を高めて、規範意識というものをしっかり学べる環境を確保し望んで通わせたい中学校にすることが、多くの保護者にとって切実な願いであると私は感じております。 そこで、今年度の全国学力・学習状況調査の結果をどのように受けとめられたのか、そして中学校の学力向上につきましてどのようにお考えであるか、知事の御所見をお伺いします。 次に、今年度から新制度として始まりました総合教育会議についてお伺いします。 一昨年、教育委員会制度を見直し、首長の権限を強化する改正地方教育行政法が成立しました。教育行政の責任者を明確化するため、教育長と教育委員長を一本化し、新しい教育長を置くほか、自治体の首長が主宰する総合教育会議を地方自治体に設けることとなりました。 そもそもこのような大幅な制度改正のきっかけは、平成23年に滋賀県大津市で起きた中学生のいじめ自殺事件の中で、教育委員会の対応が後手に回るなどの批判が相次いだ結果、教育委員会制度そのものに問題があるとの声が高まり、教育委員会だけではなく首長も責任を持って教育行政を進められるようにするためのものであります。 これまで政治家は、政治的中立性の確保という観点から、教育問題についてなかなか踏み込めなかったのではないかと思います。私は、この総合教育会議の場を、これまでのように政治の介入といった視点ではなく、むしろ政治が教育環境を力強くサポートするための重要なツールとして使えるようにしていただきたいと考えます。 そこで、今年度よりスタートしました総合教育会議について、会議そのものの意義と手応え、そして今後、総合教育会議を高知県の子供たちのためにどのように活用していかれるのか、知事の御所見をお伺いします。 次に、県立青少年センター陸上競技場の改修についてお伺いします。 先月、県立山田高校女子陸上部の全国高等学校駅伝競走大会7位入賞を祝う会が開かれました。何と山田高校女子陸上部は第1回から27年連続出場を果たしております。また、昨年開催されました全国中学校駅伝大会男子の部にて、私の地元香南市立香我美中学校が第6位という、これまたすばらしい成績をおさめました。さらに、本年1月には高知県市町村対抗駅伝競走が開催され、香南市Aチームが優勝し、大会連勝記録に並ぶ6連覇を達成しました。2位には南国市Aチーム、4位に香南市Bチーム、6位に香南市Cチームが入賞しました。 このように、物部川流域にある香南市、南国市、香美市は、高知県の中で最も陸上が強くて盛んな地域であります。しかしながら、その3市のほぼ中央にあります県立青少年センター陸上競技場は、老朽化に伴いフィールド内の芝生が剥離しており、あわせて公認陸上競技場の要件を満たしていないことから、地区の陸上競技大会や記録会などが開催できません。 本来は、物部川流域3市のみならず高知県東部地域のスポーツ拠点施設でありながら、陸上競技やサッカー、ラグビーなどに十分な競技環境を提供できていない状況にあります。このため、2019年ラグビーワールドカップの事前合宿誘致や2020年東京オリンピック・パラリンピックを見据えた競技力向上のために十分な役割を果たせておりません。 そこで、青少年センター陸上競技場の改修についてどのように考えておられるのか、教育長にお伺いします。 次に、子育て支援政策について質問いたします。 知事は、昨年12月議会の提案説明の中で2期8年間を振り返られた中で、人口減少のもたらす負のスパイラルとの戦いを挙げられました。私は、この戦いの中で最も助けを必要としている分野が子育て支援政策ではないかと感じております。 本県が推進しております産業振興計画を各分野で実際に実行し、日本一の健康長寿県づくりの中で、迫りくる親世代の介護に悩み、家庭内では子供の教育に時間とお金をかけ、南海トラフ地震から家族の命と財産を守らなければならない、まさに県政の抱える全ての課題の当事者である30代、40代のいわゆる子育て世代をいかに応援し、やる気にさせることができるのかが、直面する人口減少のもたらす負のスパイラルに勝利するために最も重要だと私は考えます。 そこでまず、昨年4月よりスタートしました子ども・子育て支援新制度について教育長にお聞きします。この新制度のスタートに先立ちまして、待機児童解消加速化プラン、保育士確保プラン、放課後子ども総合プランが実施されております。 本県において数字として上がっている待機児童の数と、待機児童解消に向けてどのように取り組まれているのか、そして例えば、保育所に預けられるなら仕事をしたいけれども、あきがなく入所できないので仕方なく仕事をしていないというような潜在的な待機児童についてどのように把握しておられるのか、お聞きします。 また、保育士確保プラン並びに放課後子ども総合プランについて、その取り組み状況とその成果と課題についてもあわせて教育長にお聞きします。 内閣府男女共同参画局が発表した平成26年度男女共同参画社会の形成の状況によりますと、昭和55年には、いわゆる専業主婦世帯が1,114万世帯、共働き世帯が614万世帯でした。平成26年には、いわゆる専業主婦世帯が720万世帯、共働き世帯が1,077万世帯となりました。現在、多様なライフスタイルと就労環境の大幅な変化により、夫婦共働き世帯が大半を占めております。 本県では、平成22年の国勢調査による雇用者の共働き世帯は5万2,081世帯であり、ひとり親家庭の世帯数は、母子家庭が6,423世帯、父子家庭が907世帯であります。その中で、働きながら子育てをしている世帯にとって、子供が病気にかかったとき、病気から治りかけたときに預けることができる病児と病後児の保育の環境が不足している現実があります。 現在、県内の病児と病後児の保育施設数は4市1村の8施設であります。預けている保育所で熱が出た子供を迎えに行きたくても行けない、熱は下がったが保育所や学校には行かせられず、仕事を休むこともできない、そのような保護者にとって、病児と病後児の保育施設はなくてはならない施設であります。 先日、私は、鳥取市で非施設型の病児保育事業を運営されているNPO代表の方の講演をお聞きしましたが、人口において本県よりも少ない鳥取県でも立派に運営されているお話に勇気をいただきました。大企業のない地方だからこそ中小企業の活力が必要であり、中小企業で働く子育て中の従業員の皆様が安心して働くことが地域の発展につながるとのことでした。 私は、県勢を浮揚させるためには、病児と病後児の保育のさらなる環境整備が必要であると考えますが、本県における病児保育事業の必要性の実態をどのように把握し、ふやすために支援策を考えておられるのか、教育長にお聞きします。 次に、福祉政策について質問いたします。 全国に先行して高齢化が進んでいる本県にとりましては、いわゆる団塊の世代の方々が75歳以上となる2025年に向けて、高齢者の皆様が住みなれた地域でできるだけ自立した生活を送れるように、医療や介護などの生活支援を切れ目なく提供する地域包括ケアシステムを構築していくことが喫緊の課題であると考えます。例えば買い物やごみ出しといったちょっとした日常作業にも苦労されている御高齢者に対して、自治会やボランティアなどが生活支援サービスを安価に提供できるような仕組みを地域の自主性や主体性に基づき構築していく上で、地元の市町村が第一義的な運営責任を担っております。そのような中で、運営する市町村には多くの課題が生じていると考えられます。 このような課題が山積している中で、地域包括ケアシステムの構築に向けて、県も市町村と連携し取り組みを支援していく必要がありますが、現在の本県市町村の取り組み状況と県による市町村への支援状況について地域福祉部長にお聞きします。 次に、南海トラフ地震対策について質問いたします。 ことしの1月23日、私は、自由民主党地震津波対策を考える都道府県議会議員連盟の勉強会と視察に参加するために、宮城県仙台市及び気仙沼市に行ってきました。東日本大震災から5年目を迎える宮城県の復興に向けた取り組みについて丁寧に御説明いただきました。 その後、気仙沼市選出のお二人の県議会議員に御案内いただきながら現地を視察させていただきました。仙台市から気仙沼市までの移動の車中、実際に震災で被災された後、復旧に携わられた県議お二人の話では、復旧に携わった多くの方が活動において多くの御遺体と遭遇された経験から、精神的に深いショックを受けられ、活動後も長い間、通常の心の状態を取り戻すのに大変御苦労されたと、時に涙を流しながらお話しくださいました。 このように、現実的に災害に直面し救出や救助活動に携わる方には、事前のメンタル面のトレーニングも必要だと考えられます。中でも警察官、消防職員、消防団員などの現場で救出や救助活動に携わる方々に対して今までどのように進めてこられたのか、今後どのように進めていかれるのかについて、警察本部長、危機管理部長にお聞きいたします。 次に、南海トラフ地震が発生したとき真っ先に現場に駆けつけるのは、日ごろから災害復旧にも活動しています建設業の方々だと思われます。県は、南海トラフ巨大地震を想定したBCPについて建設業界の指導等を行っているとお聞きしますが、現在の建設業におけるBCPの策定状況について土木部長にお聞きいたします。 また、東日本大震災発災後の避難所にて、ペットを飼っておられた方がペットとともに入所しようとして多数のトラブルが発生したとお聞きしました。現代では、ペットは家族の一員とお考えの方も多く、ペットを置いて逃げられず、一緒に避難所に入りたいと希望する方も多いと思います。実際に東日本大震災発災後に起こった事態を考えますと、しっかりと対策を立てておかないと現場が混乱するのは必至であります。 そこで、ペット同伴での避難所への入所問題についてどのようにお考えか、健康政策部長にお聞きします。 この項目の最後に、少し視点を変えた質問をさせていただきます。 東日本大震災発災時、宮城県気仙沼市などでは、漁業用の重油タンクなどが火災の被害を拡大させました。本県は園芸農業王国であり、そのための重油タンクが沿岸部に多数点在しており、南海トラフ地震発生時に同様の被害が懸念されております。 本県は、平成26年度の予算に向けた国等に対する政策提言の中で、南海トラフ地震ではこれまでにない強い揺れや津波が想定されており、園芸用ハウスの暖房燃料を貯蔵しているタンクが転倒し重油が流出することによって火災などの二次災害につながることが危惧され、リスク管理面での取り組みを求め、南海トラフ地震に備えた流出防止装置つきタンクの整備に係る支援制度を創設することを提言しました。その結果、農林水産省は、平成27年度予算より施設園芸産地防災実証モデル導入事業を実施し、本県も高知県燃料タンク対策事業費補助金として、南海トラフ地震による二次災害リスクの軽減を図るため、農業協同組合等が行う重油タンクの防災対策に要する経費について市町村が補助する事業に対し、予算の範囲内で補助金を交付する制度を開始しました。 例えば津波被害想定区域内で、隣同士並んだハウスのどちらか一方がタンクを新しい流出防止装置つきタンクに転換しても、隣が転換していなくては、発災し重油が漏れ出したら被害は同じであります。大切なことは、ある程度地区をブロックに分けて、農家の皆様に同時に重油タンクを新しいものに転換してもらわなくては効果がありません。 そこで、そもそも本県における重油タンクの数はどのくらいであり、これまでに燃料タンク対策事業などにより何基のタンクが転換されましたか。そして、今後どのように普及を図っていくのか、農業振興部長にお聞きします。 次に、農業政策、特に園芸農業の推進について質問いたします。 本県の農業生産額の約4分の3を占めている園芸農業は、温暖で多日照の気候条件を生かしながら、これまで先人が築いてこられたたくみのわざと科学的な見地に基づいた生産技術の発展に支えられてきました。現代の園芸農業を推進するためには高い専門性が必須であり、その上において、環境制御技術を用いた次世代型こうち新施設園芸システムの普及促進は大変有効な手段と考えられます。 私も、地元香南市において、農業者有志による炭酸ガス研究会といういわば園芸農業のスペシャリストの集う会合に参加させていただいておりますが、農家の皆様が品目をまたいで研究を重ねている姿を目の当たりにし、本県の目指す農業の産業クラスターの形成も夢ではないと感じております。 そこで、平成26年度の9月補正予算より、このシステムを整備するために環境制御技術導入加速化事業が始まりましたが、目標普及面積169ヘクタールに対して現在73ヘクタール、43%しか達成できていない現状があります。その原因と、目標普及面積を達成するために来年度どのような施策で取り組まれるのか、農業振興部長にお聞きします。 私は先日、本県園芸農業のトップランナーとして御活躍のお二人と意見交換をさせていただきました。お二人とも、さきに述べました次世代型こうち新施設園芸システムについて高い評価と期待をしておりました。その一方、農家の高齢化などによる戸数の減少や産地の縮小が進んでいる現状の中で、次世代型ハウスの整備をして法人化しても、実際に働いてもらう人材、従業員を確保できるのかということを心配しておりました。 これから次世代型こうち新施設園芸システムが普及するにつれ、企業や法人の社員として農業に従事する人材を確保しなければなりません。そこで、現在多くの園芸農業の現場で働いている外国人実習生の方々の役割が重要になります。 そんな中、現在国会において、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案として、この実習制度について、あくまでも技術移転が目的であり、外国人の技能実習制度の趣旨を理解しないで国内の人手不足を補う労働力としての不適正な運用を是正し、適正化を図るために制定されようとしております。確かにこの法案の趣旨は十分理解できますし、長時間労働や賃金未払いなどは技能実習生に対する人権侵害行為であり、禁止規定や罰則を設けるなどの措置は当然であります。その一方で、実習生制度の規制が強化されますと、本県の農業現場などの生産性が下がることが予想されます。 そこで、農業振興部長にお聞きします。現在、本県の農業現場での外国人技能実習生の労働実態をどのように把握しているのか、そして、今回の法案が成立した場合に本県の農業現場においてどのような影響が出ると想定し、その対策についてどのように考えておられるのか、お聞きします。 続きまして、ルネサスエレクトロニクス株式会社の高知工場の撤退について質問いたします。 昨年12月1日、ルネサスエレクトロニクス株式会社は、100%子会社であるルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリング高知工場を二、三年後をめどに閉鎖し撤退する方針を決定したと発表しました。 このルネサスエレクトロニクス高知工場の一連の問題につきましては、昨年の12月議会におきまして、本会議や委員会の場でさまざまな視点から議論し、和解議案が可決されたのは御承知のとおりであります。今後は、従業員の雇用の継続・維持のため、香南市や高知労働局及び各支援機関とも連携し、ルネサス社と定期的に協議しながら情報共有し、共同で誘致交渉を行い、ルネサス高知工場の譲渡先の確保を図るとともに、同工場第2棟用地への早期の企業誘致に全力で取り組んでいくため、商工労働部長が本部長となり、ルネサス高知工場集約対策本部を設置しました。 譲渡先確保などの最近の動きについては、先ほど大野議員への答弁がありましたので、私は、地元である香南市との連携についてお伺いします。 今回の件は、従業員の方を多く抱える香南市にとり重要な問題であり、県には香南市と密接な連携をお願いしたいと思います。そこで、商工労働部長に、香南市との連携についての現状と対応についてお聞きします。 また、私は、ことしに入りまして、現在ルネサス高知工場で働いておられる従業員の方とお話をさせていただきました。その中で、従業員の方より、県外にあるルネサス社工場や同業他社による工場閉鎖、譲渡の例を挙げられて、今多くの従業員が、ルネサス社及び高知県に対して、譲渡先を早く決めることにこだわり過ぎてしまい、例えば大手の人材派遣会社などへの譲渡をしてしまい、これまで正規で働いておられた方が派遣やパートといった待遇になってしまうということへの不安を抱えているとのお話を伺いました。民間企業の譲渡問題ですので、県ができることは限られていることは重々承知しておりますが、こうした話が広がることは決してよい結果につながるとは思いません。 約360人、家族を含めますと1,000人近い皆様の人生がかかっております。県とルネサス社との覚書を守る視点、従業員の不安をなくす観点からも、ルネサス社に対してなおしっかり対応するようにいま一度申し入れしていただきたいと思っております。これは要望しておきます。 最後に、LCC、いわゆる格安航空会社の高知龍馬空港への定期便の誘致について質問いたします。 私は、2月14日に開催されました高知龍馬マラソン2016に参加しました。2年前の大会にも参加しましたが、今回は過去最高の8,176人のランナーが参加され、全国各地からお越しのランナーとともに走りました。 ゴール後、春野総合運動公園陸上競技場から高知駅までのシャトルバスの中でも各地の方言が飛び交い、高知市内には中四国及び関西圏のナンバーの車が多く走っておりました。これこそスポーツツーリズムだと実感することができました。 知事の提案説明の中で、平成25年、26年と400万人観光が定着し、第3期産業振興計画では435万人という高い目標を掲げ観光政策を進めるとあります。そして、その早期達成に向けて、1つ目は、平成29年度に大政奉還150年、30年度には明治維新150年に合わせた博覧会を開催し、地域地域の観光クラスターをしっかりと整備し持続的な観光振興につなげていくこととあり、2つ目は、外国クルーズ客船の寄港の増加やそれに伴う受け入れ体制の充実や寄港の定着、外国人観光客への周遊観光ルートの造成などの国際観光を挙げております。 その2つの柱は、どちらも魅力的であり、期待できるものだと思います。その上で、その博覧会や周遊観光ルートにさらに多くの観光客に訪れていただくために即効性があり効果的であると考えられるものが、LCCを高知龍馬空港へ誘致することではないでしょうか。 LCCとはローコストキャリアの略称であり、効率的な運営により低価格の運賃で運航サービスを提供する、いわゆる格安航空会社であります。 高知龍馬空港と東京羽田空港の航空料金は、ANAとJALともに通常料金片道3万5,490円、往復割引で3万2,590円です。高知龍馬空港と大阪伊丹空港の航空料金は、ANAで通常料金片道1万9,600円で、往復割引で1万7,200円です。 現在、四国では、愛媛県の松山空港でジェットスターとピーチアビエーションの2社が就航しており、香川県の高松空港ではジェットスターが就航しております。松山空港から成田空港までLCCを使いますと片道約6,500円、松山空港から関西空港までは片道約3,250円です。高松空港から成田空港までは片道約6,000円です。まさに格安であります。 現在のところ、LCCを利用するには、首都圏では、昨年4月にオープンしました成田空港第3ターミナル発着、関西圏では関西国際空港への発着となります。成田空港と聞くと、県民の皆様は、遠くて時間とお金がかかるとイメージされると思いますが、私は昨年、成田空港から東京駅まで出ています、いわゆるLCCバスを利用しましたが、片道1,000円、約1時間、イメージとは随分違い、安く近く感じました。LCCを利用することにより、県外から来る方、外国からインバウンドで来る方が、これまでかかっていた費用で抑えられる部分とこれまで以上にお金をかけたい部分を選別することができるようになり、食事、宿泊、お土産、アクティビティーなどの選択肢がさらに広がります。 私は、LCCの一つであるバニラエアの石井社長とお話を昨年させていただきました。その中で、国内地方都市への路線拡大は大いに検討しているとのことでした。しかしながら、定期路線就航には採算性が見込めることが前提であり、単なる補助金や交付金だけでのサポートではなく、行政や民間、そして航空会社が一体となり搭乗率を上げていく努力が必要であるとお話しくださいました。ビジネスとして成り立つことが最重要であり、それができなければ撤退するということであります。 そこで、2期連続無投票という県民の絶大な後押しがある知事が、これまで以上に強いリーダーシップを発揮していただいてLCCの誘致に取り組んでくだされば、必ず県民は支持し、高知県のさらなる飛躍につながると私は確信しております。 愛媛県の中村知事は、昨年6月15日の記者会見の場で次のように述べられました。「平成26年度の松山空港の利用者数は、国内線が276万5,000人、国際線が4万人で、3年連続で増加し、過去最高となります計280万5,000人となりました。こうした背景、要因は、やはり平成25年度に就航いたしましたLCCの成田線、関西線が通年運航となり、利用者数が大きく伸びたことがまず第一の要因であります。また、もう一つ見逃せないのが、両路線と競合するであろう羽田線と伊丹線が堅調に推移しました。このことが過去最高につながった要因となっております。これは、LCCが、これまで航空機を利用していなかった若年層等を掘り起こすことに成功しまして、新たな航空需要が発生したものと分析しております。大手航空会社は、ビジネス客や団体旅行客が中心でありますが、両方のデータから、そうしたところとのすみ分けが図られているのではないかと考えています」と愛媛県の中村知事は記者発表されました。 また、高松空港では、徳島・高知ナンバーのお客様限定で高松成田線駐車無料キャンペーン実施中として、最大2泊3日分の駐車料金が無料となるキャンペーンを実施しております。さらに、国際線駐車場無料キャンペーンとして、高松空港発着の国際線を利用の方は、とあるパーキングに駐車される場合、駐車日数7泊8日を上限に無料で駐車いただけるキャンペーンが実施されております。 既に、高知県中部、東部にお住まいの方が高松空港からLCCを利用されております。また、幡多地域にお住まいの方は、松山空港からLCCを利用されて、それぞれ国内外に旅行されております。同時に、多くの観光客が、松山、高松両空港からLCCを利用して高知県内を訪れております。既に、LCCを利用し、その利便性を理解し求めている需要があります。 LCCは、世界各国から成田空港、関西空港を利用する外国人観光客を呼び込み、本県の掲げる観光クラスターの形成の鍵を握る役割を果たせるのではないでしょうか。29年度、30年度、幕末の博覧会があります。二、三年先に、LCCを利用して幕末のロマンを求めて本県を訪れる観光客の姿と、東京ディズニーランドか、はたまた大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンに笑顔で出かける県民の姿を見られることを私は強く望みます。 そこで、LCCの誘致について知事の御所見をお伺いいたしまして、私の第1問といたします。 (知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君) 浜田豪太議員の御質問にお答えをいたします。 まず、本年度の全国学力・学習状況調査の結果の受けとめと中学校の学力向上についてお尋ねがございました。 本年度の調査では、小学校の学力については全国上位クラスに向上するなどの成果があらわれてきていますが、思考力、判断力、表現力の育成の点では小中学校ともにまだ課題があります。また、中学校の学力については、全国との差は縮めてはきているものの、この3年間、改善状況は足踏み状態にあり、このことについては特に危機感を持って受けとめなければならないと考えております。 この中学校の学力問題については、総合教育会議において、原因を深く掘り下げ、教育委員会とも議論を重ねてきたところであります。その中で、本県の中学校は、授業が個々の教員の力量に任されていることが多く、組織的に授業力を高めていく体制が弱いこと、学習面で課題を抱える生徒への継続的な支援が十分ではないことなどの課題が改めて見えてまいりました。 これらの課題の解決に向け、第1に、チーム学校を構築すること、第2に、厳しい環境にある子供たちへの支援を充実、徹底すること、第3に、地域との連携・協働を進めること、この3つを大きな柱として対策を組み上げ、教育大綱の案に位置づけたところであります。 1つ目の、チーム学校につきましては、複数の教員が学年をまたがって同一教科を担当するいわゆる教科の縦持ちの仕組みを導入し、教員のチーム化を図ってまいります。これにより、日々の教科会などを通じて教員同士が切磋琢磨する機会が多く持たれ、授業改善が図られるとともに、特に若年教員の育成のための日常的なOJTも活性化されると考えております。 先日、就任3期目の初めてとなる対話と実行座談会を土佐市の高岡中学校で実施いたしました。同校は、教科の縦持ちを先行的に実施し研究している学校であります。教科会を実施している場面を見せていただいたところ、教員同士が本県の学力定着状況調査の結果をもとに授業づくりについて議論している場面や、先輩教員が授業のノウハウを若年教員に伝授している様子が見られ、教科の縦持ちが中学校の学力問題の解決に有効な手段となり得るとの手応えを感じました。他方で、同一教科の教員が1人しかいない中山間地域などの小規模校でも、教科の縦持ちの本質である日常的に教員同士が切磋琢磨する仕組みや、先輩が後輩を鍛えるOJTが機能する仕組みを研究していく必要も感じたところであります。 2つ目の、厳しい環境にある子供たちへの支援につきましては、学校が行う放課後や長期休業期間などの補充学習において、一人一人の課題に即したきめ細やかな学習が可能となるよう、学習支援員の配置を充実させます。 3つ目の、地域との連携・協働につきましては、生徒指導の面だけでなく学力問題の解決に向けても、学校と保護者、地域の連携した取り組みは不可欠であると考えられます。このため、家庭、地域、学校が一体となって地域ぐるみで子供たちを育てる仕組みである学校支援地域本部の設置を促進するとともに、活動の充実を図るなど、学校と地域との連携・協働を積極的に進めてまいります。 以上のような取り組みを、校長のリーダーシップのもとに全ての教職員が協働して進めていくことが大切であり、そのために学校の組織力やライン機能を高めていくことも必要と考えております。このように、中学校の学力向上に向けた取り組みを一層充実させることにより、本県の子供たち一人一人が夢や志をかなえるための学力をしっかりと身につけることができるよう、教育委員会とともに全力で取り組んでまいります。 次に、総合教育会議の意義と手応え、今後の活用のあり方についてお尋ねがございました。 今回の教育委員会制度改革は、教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保しつつ、地方教育行政における責任の明確化、迅速な危機管理体制の構築、首長との連携の強化などを図るために行われたものです。 私は、教育再生実行会議の委員としてこの制度改革の議論に直接かかわらせていただいた中で、教育の政治的中立性はしっかりと確保しながらも、住民による選挙で選ばれ自治体を代表する立場にある首長が教育に民意を反映させ住民の期待に応えていくことができる仕組みとすることが重要であることなどを発言してまいりました。今回の制度改革により、首長が総合教育会議という公開の場で教育委員会と協議、調整を行うなど、教育に関して連帯して責任を負う仕組みができたことは、教育の振興を図る上で大きな意義があるものと考えております。 本県では、本年度6回の会議を開催し、子供たちの知・徳・体の向上など本県教育の課題解決に向けた真に有効な対策を打ち出すための議論を積み重ねてまいりました。その中では、全国的に著名な県外の有識者をお招きし、高度な知見に基づいた教育政策の方向性などについてお聞きすることができましたし、教育委員の皆様とは時間をかけて深く突っ込んだ議論もできました。その上で、チーム学校の構築などの5つの取り組みの方向性とそれに沿った施策を盛り込んだ教育大綱の案を取りまとめることができたことは大変有意義であったと考えています。 来年度からの4年間は、年度内に策定予定の教育大綱に基づく施策の取り組み状況や成果などを総合教育会議において点検、検証しながら、PDCAサイクルに基づき施策の充実強化を図ってまいります。総合教育会議を、私と教育委員会が本県教育の振興について率直に議論する場とするとともに、教育に関する今日的な課題や施策の方向性について意識を共有する場とすることにより、子供たちの視点に立った真に有効な対策が迅速に講じられるよう取り組んでまいります。 最後に、LCCの高知龍馬空港への定期便の誘致についてお尋ねがありました。 高知龍馬空港へのLCCによる新規路線が実現した場合には、移動の選択肢が広がることから、県民の皆様の旅行やビジネスにおける利便性の向上が図られます。また、低廉な料金で本県を訪れることが可能となりますので、国の内外からの新たな観光客の増加も期待できますことから、LCCの誘致は本県の経済活性化や交流人口の拡大に大きく寄与するものであると考えております。 そのため、県ではこれまで、国内のLCC各社を幾度となく訪問し情報収集を行うとともに、旅客流動の実績や潜在的な航空需要、観光面の魅力などのデータも提供しながら、高知龍馬空港への誘致活動を行ってまいりました。しかし、LCCは、一般的に採算ラインとなる座席の利用率が80%以上、最低でも年間10万人を超える利用が必要であると言われており、高知龍馬空港の場合は後背地の人口が比較的少ないこともあって、継続的、安定的な需要の存在というビジネスの視点などから、現在のところ新規就航に対する厳しい見方を変えていただくまでには至っていないものと受けとめております。 県といたしましては、今後見込まれる高知龍馬空港インターチェンジの開通などインフラ整備の進展による県内外とのアクセス向上など、空港の利便性やポテンシャルの向上などのアピールを行いますとともに、新規就航に当たっての事業者の懸念事項について、さまざまな角度から対応策の協議を重ねながら、引き続き粘り強く誘致に取り組んでまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。 (教育長田村壮児君登壇)
◎教育長(田村壮児君) まず、県立青少年センター陸上競技場の改修についてお尋ねがございました。 山田高校を初め香美・香南地区の陸上関係者が目覚ましい活躍を見せている中で、県東部地域において陸上競技大会や記録会などの開催が可能な公認陸上競技場が存在しない状況については、県としても課題であると認識をしております。 こうした中で、青少年センターの陸上競技場を改修し、東部地域の陸上競技拠点施設として整備することは、陸上競技環境の向上のみならず、サッカーやラグビーなどのさまざまな大会の開催にもつながるものであり、スポーツ推進プロジェクト実施計画を進める上でも、青少年センターの陸上競技場の改修は必要性が高いものと捉えております。さらに、オリンピック・パラリンピック東京大会の開催に向けて日本全体でスポーツ振興の機運が盛り上がろうとしているこの機を逃さず迅速に整備を行うことは、県内の青少年の競技力向上とともに、県外からのスポーツ合宿の誘致などにもつながるものと考えております。 こうした観点から、できるだけ早期の青少年センターの陸上競技場の改修に向けて、厳しい財政状況も踏まえつつ、どの程度の整備水準が必要とされるのかといった点などについて、関係する競技団体とも十分に調整を図りながら検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、保育所等における待機児童の数と待機児童の解消に向けた取り組み及び潜在的な待機児童の把握に関してお尋ねがございました。 平成27年4月現在の待機児童数は、高知市43人、香美市4人の合計47人となっておりますが、年度途中に産休や育休明けの入所希望者が加わるため、10月時点の推計では、高知市で約130人、その他3市で約20人の待機児童数となっております。 各市町村においては、待機児童の解消に向けて、子ども・子育て支援新制度の施行に合わせて策定した子ども・子育て支援事業計画に基づいて計画的に教育・保育施設を整備し、受け入れ体制の拡充を図っていくこととしています。しかしながら、保育所の施設整備にはどうしても一定の時間がかかることから、早急に待機児童を解消するためには、ゼロ歳から2歳児の少人数の保育に柔軟に対応できる地域型保育事業が効果的と考えており、特に待機児童の多い市にこの事業の実施に向けて検討していただいているところでございます。 また、年度途中に待機児童がふえることについては、産休や育休明けなどで年度途中に保育所の入所希望があった場合に、すぐには保育士の確保ができない等の理由により受け入れができないといった事情もございます。このため、県としましては、年度途中の乳児の受け入れに対応できるように、あらかじめ乳児の途中入所を見込み、基準を上回って保育士を配置した場合に補助する独自の制度も用意し、待機児童の解消に努めているところです。 今後も、市町村への個別訪問等により、地域型保育事業の実施や保育士確保に向けた助言を行うとともに、県としての財政支援も継続してまいります。 また、議員のお話にありました潜在的な待機児童、つまり入所の希望がありながらさまざまな理由で手続や入所申請に至っていない、または取りやめた児童については、正確な数を把握することは困難でございます。ただ、就学前の児童で保育所等に入所していない児童が8,000人近くおりますので、この中には一定数の潜在的な待機児童も含まれているものと推測されるところです。このため、県といたしましては、市町村においてこのような状況も踏まえながら、待機児童の解消に向けた子ども・子育て支援事業計画の見直しが行われるよう、必要な助言や支援を行ってまいります。 次に、保育士確保プランと放課後子ども総合プランの取り組み状況、成果及び課題についてお尋ねがございました。 保育士確保プランについては、国において、人材育成、就業継続支援、再就職支援、働く職場の環境改善を4本の柱として取り組んでおり、県としましては特に人材育成と再就職支援を中心に取り組んでおります。 人材育成では、将来の保育士確保のため、若者を対象に保育士等の魅力を伝え、保育士等を目指してもらえるように促すため、県内の高校生や県外も含めた指定保育士養成校等の学生を対象に、就職、進学の説明会を実施しております。 また、再就職支援では、高知県社会福祉協議会に保育士再就職コーディネーターを配置し、潜在保育士の復職支援を主眼に、求職者と雇用者のマッチング等に積極的に取り組んでいるところです。しかしながら、昨年12月末現在で、潜在保育士等の求職者数73人に対し求人数は90人となっていますが、勤務時間や給与等の勤務条件が折り合わないことなどから、実際に就職に至ったのは4月から12月までの間で9人にとどまっております。このため、コーディネーターが雇用者側に提供する、潜在保育士が希望する勤務条件等についての情報を充実し、きめ細やかなマッチングを進めることなどにより、潜在保育士の就職が増加するよう努めてまいります。加えて、来年度からは、潜在保育士の再就職のための準備金等の貸付制度などを始める予定であり、この制度の周知を図ることにより潜在保育士の就職を促進してまいります。 放課後子ども総合プランについては、市町村における放課後児童クラブと放課後子ども教室の運営を一体的に支援しており、本年度は151カ所の児童クラブと135カ所の子ども教室に対し運営費等の補助を行い、約9割の小学校に放課後の安全・安心な居場所や学びの場が設置をされております。 こうした中で、特に児童クラブに関する課題といたしましては、全ての希望する世帯の子供を受け入れるための量的な拡充、働く保護者のニーズを踏まえた開設時間の延長、生活困窮世帯でも利用しやすい利用料の軽減などと捉えておりまして、これらに対しては引き続き児童クラブの施設整備等に対する助成を行うとともに、平成28年度から新たに児童クラブの開設時間延長に対する支援を設けるなど、必要な対策を講ずることとしております。 最後に、病児保育事業の必要性をどのように把握し、ふやすための支援策をどのように考えているのかとのお尋ねがございました。 子育てをしながら働く家庭にとって、子供が病気になったときでも安心して預けることのできる病児保育事業は、希望する保護者が多いことから、必要性の高い事業となっております。市町村が策定した子ども・子育て支援事業計画においては、平成27年度の病児保育事業の利用希望数は県全体で1万2,022人日となっておりますが、これに対して受け入れ可能数は4,819人日であり、大きく不足している状況にございます。 病児保育事業への取り組みが進まない原因としては、感染症等の流行時期には利用者が集中するものの、そのほかの時期には少なく、利用者数の変動が大きいため安定的な経営が難しいこと、職員の配置について、看護師や保育士が必要であるものの人材の確保が難しいこと、さらには、連携が必要な小児科医等の医師が不足していることなどが挙げられます。中でも、連携する医師の不足は最大のネックとなっているため、これまで県では市町村と連携して、地域の医療機関等に対して病児保育事業の必要性や補助制度などについて説明し、実施に向けた働きかけもしてまいりましたが、なかなか実現には至っておりません。このため、今後は引き続き市町村と連携しながら、医師会等に対して組織的な対応についての御協力をお願いすることなどにより、病児保育事業の拡充に努めてまいります。 (地域福祉部長井奥和男君登壇)
◎地域福祉部長(井奥和男君) 地域包括ケアシステムの構築に向けた市町村の取り組みと県による支援の状況についてのお尋ねがありました。 昨年の介護保険制度の改正により、要支援者を対象とする訪問介護と通所介護について、平成29年4月までの新総合事業への移行が必要となり、県内では今年度中に11の市町村と1広域連合が、平成28年度中には14の市町村が移行を開始する予定であり、現在、事業実施に向けた要綱整備などの具体的な手続が進められているところです。 これまで県では、市町村長や担当課長を対象としたトップセミナーの開催を初め、先進的な自治体の取り組み事例などを紹介するセミナーの開催や福祉保健所での情報交換会、市町村単位でのヒアリングの実施などを通じまして、事業の趣旨と理解を深めるための取り組みを重ねてまいりました。あわせて、これまで本県が独自に整備を進めてまいりましたあったかふれあいセンターなどを地域の創意工夫でうまく活用することなどによりまして、新総合事業への移行やリハビリテーション専門職等の派遣による介護予防サービスの提供、さらには認知症カフェの設置の推進など、在宅生活を支えるための新たな介護予防サービスの提供に取り組む市町村を積極的に支援しているところです。また、来年度からは、あったかふれあいセンターや民間事業所などが介護や福祉などの小規模複合的なサービスを提供する施設を整備する際の支援などにも取り組むことといたしております。 こうした一連の取り組みを市町村と連携して進めてまいりますとともに、在宅医療と介護サービスなどの安定確保を図ることにより、地域包括ケア体制の整備へとつなげ、県民の皆様の在宅生活の質の向上を目指してまいりたいと考えております。 (警察本部長上野正史君登壇)
◎警察本部長(上野正史君) 災害救助活動に携わる警察官のメンタルトレーニングについてのお尋ねがありました。 大規模な災害や事故等の悲惨な場面に遭遇したときに起こるいわゆる惨事ストレスは、災害対策業務を遂行する警察職員にとって不可避ではありますが、その影響を最小限に抑えることは、職員の心身の健康や警察活動を維持していく上において重要であるというふうに認識しております。 事前の効果的な惨事ストレス対策としては、災害救助において直面する事態に対し、個々の職員があらかじめ正しい知識を得た上で適切な対処法を周知することが肝要であると考えられます。このため、県警察では、全所属において惨事ストレスの概要について研修を実施したほか、特に災害対策要員に対しては、東日本大震災での救助活動において陣頭指揮をとった当時の宮城県警察本部長や被災県の警察署長等を招聘し、その経験を直接伺う機会を設けました。さらに、大規模な災害救助に携わった職員の体験談を内容とした研修を行うとともに、その体験手記を全警察署へ配付するなどの取り組みを行っております。 また、被災地に派遣されることとなった職員に対しては、派遣前に現地の状況や惨事ストレスに対する心の準備などについて情報を提供するよう努めております。これらに加えて、災害救助現場での活動中や活動後も、過労を避け必要な休息をとる、職員相互に健康状態を確認するなど、惨事ストレスの軽減と早期回復に努める方策をとっています。 今後とも災害時の惨事ストレスへの対策を充実させ、職員が救助活動に全力を尽くすことができるよう努めてまいります。 (危機管理部長野々村毅君登壇)
◎危機管理部長(野々村毅君) 消防職員、消防団員に対するメンタル面のトレーニングを今までどのように進めてきたのか、また今後どのように進めていくのか、お尋ねがございました。 消防職員、消防団員は、火災や事故などの救助が必要な現場での出動で、結果として命を守れなかった場合の無力感などから心理的に負担を負うことがあります。このような災害対応による心理的負担、いわゆる惨事ストレスを受けると、身体や精神、行動にさまざまな障害を起こすことがあります。阪神・淡路大震災を初めとした大規模な災害などでも数多く見られており、東日本大震災後に行われた消防庁の調査によると、沿岸部の消防本部職員の35%が、また消防団員の43%が、心理的ストレスの高い状態や、さらには鬱病や不安障害が疑われる状態にあるとの結果が報告されております。 こうしたことから、県としても、南海トラフ地震のような大規模な災害への備えとして、惨事ストレスへの対策を進めてきております。具体的には、平成16年度から、消防学校における消防職員向けの教育課程の中で、一般職員に対しては、惨事ストレスの正しい理解と予防についての研修を、幹部職員に対しては、惨事ストレスを受けた職員のケアを行うための研修を行っております。さらに、県内の15消防本部で構成します消防長会におきまして、平成25年度から、各消防本部で惨事ストレス対策を推進するリーダーの研修を2年間かけて実施していただいております。また、消防団員に対しましては、消防学校におきまして、平成26年度から、幹部向け教育課程で惨事ストレスを正しく理解していただくための研修を始めたところです。 今後とも、消防学校における教育課程の中で惨事ストレスに対する研修をしっかり行っていくとともに、消防団員に対しては惨事ストレスに関する研修の充実を図ってまいります。 (土木部長福田敬大君登壇)
◎土木部長(福田敬大君) 建設業における事業継続計画、いわゆるBCPの策定状況についてお尋ねがございました。 南海トラフ地震などによる大規模災害時に応急・復旧作業のかなめとなります建設会社の事業継続性の確保は大変重要であると認識をしております。このため、県では平成24年度に、建設会社みずからが策定したBCPを認定する高知県建設業BCP認定制度を創設し、これまで高知大学や高知工科大学、高知県建設業協会と連携しながら、建設会社を対象とした研修会を年2回開催するなど、建設会社のBCPの策定を支援してまいりました。また、BCPの認定を受けた建設会社は総合評価方式の入札において企業の評価で加点対象とするなど、BCP策定の促進を図ってまいりました。 その結果、本年3月1日現在で、県入札参加資格のA等級及びB等級の建設会社275社のうち191社を認定しており、認定率は約7割となっております。また、本年度から、認定の対象をC等級まで拡大し、現在6社を認定しております。 今後とも、高知県建設業協会などの関係団体との連携を強化することで建設会社のBCP策定の促進を図り、地域の災害対応力の向上につなげてまいります。 (健康政策部長山本治君登壇)
◎健康政策部長(山本治君) ペット同伴での避難所への入所についてお尋ねがありました。 東日本大震災時には、ペット同行避難についてのルールがなかったため、避難所に入れず、飼い主がペットと一緒に車の中で過ごさなければならないケースが多くあったと聞いています。このため、環境省では平成25年6月に、ペット同行避難を原則とした災害時におけるペットの救護対策ガイドラインを策定し、避難所を管理する自治体に受け入れ対策を求めました。 これに基づき、県では、同行可能な避難所の設置を市町村地域防災計画に盛り込むよう働きかけてきましたが、まだ半数に至っていません。また、実際、鳴き声やにおいの問題、動物に対してアレルギーを持つ方と共同生活を送ることによるトラブルなど、多くの課題があります。 このため、市町村に対し、飼養スペースの確保やルールなどについて具体的にお示しすることで、ペット同行避難が可能な避難所の整備を支援していきたいと考えています。あわせて、飼い主の皆様方には、ペット同行避難ができるよう日ごろから準備をしていただくことが重要です。しつけや健康管理、迷子対策として役立つマイクロチップの装着など、適正な飼養をしていただくため、県としても講演会やしつけ方教室の開催などを通じて啓発をしてまいります。 飼い主にとってペットは家族同然であり、避難者の心の支えになるものです。今後とも、市町村を初め関係団体などと連携し、災害時のペット対策の充実に努めてまいります。 (農業振興部長味元毅君登壇)
◎農業振興部長(味元毅君) まず、園芸用ハウスの重油タンクの数と、重油の流出防止装置を備えたタンクへの転換の実績、今後の普及についてお尋ねがございました。 園芸用ハウスの重油タンクの数は、平成24年度の調査では県全体で9,313基、そのうち津波浸水区域には4,425基ございました。 県では、南海トラフ地震対策の一環として、津波浸水区域を中心に、流出防止装置を備えたタンクへの転換や、ヒートポンプへの切りかえなどによるタンクの削減に取り組んでまいりました。その結果、今年度末までに225基が流出防止装置を備えたタンクに転換され、またヒートポンプへの切りかえなどによって470基のタンクが撤去されたところでございます。 しかしながら、対策の必要なタンクは津波浸水区域を含めてまだまだ数多く残っております。また、地域ごとに見てみますと、一部には重点推進地域を定めるなど計画的な取り組みが始まっておりますものの、多くの地域では重点推進地域が定まっていないといった課題もございます。 そのため、来年度からは、流出防止装置を備えたタンクへの転換目標を年間300基に上方修正をし、転換を加速化していくこととしております。また、転換に当たりましては、お話にございましたように、一定の広がりを持った面的な対応が重要だと考えますので、農業振興センターがJAや市町村と協議をしながら早期に重点推進地域を定め、計画的に取り組みを進めてまいります。 あわせまして、タンクの低コスト化と供給体制の強化も課題でございますので、ものづくり地産地消・外商センターと連携しまして、タンクの供給体制の強化や低コスト化、また新たな製造メーカーの掘り起こしなどにも取り組んでまいります。 次に、環境制御技術の普及についてお尋ねがございました。 県では、施設園芸において、生産性の向上に即効性のある環境制御技術の導入を進め、収量アップによる所得の向上と経営の安定を図るとの戦略のもとに、補助事業も創設をいたしまして、その普及に部を挙げて取り組んできたところでございます。その結果、332戸の農家の皆様に補助事業を御活用いただき、自主的に導入された方も含めて主要7品目での導入面積は今年度末までに73ヘクタール、その他の7品目以外の野菜や花、果樹などを加えると95ヘクタールまで拡大する見通しでございます。 しかし残念ながら、お話にございましたように、当初設定した目標には達しておりません。その原因といたしましては、これまでは導入事例が少なかったことから、身近でその効果を実感していただける機会が持てなかったこと、また、採算性の高い技術ではありますものの、初期投資の負担感が導入をためらわせていることなどが考えられます。 そこで現在、これまでに補助事業を活用して機器を導入されたハウスを学び教えあう場として積極的に活用させていただき、品目ごと、地域ごとに検討会を重ねるなど、その効果を実感していただく取り組みを拡充しております。また、ハウス内の炭酸ガスの濃度の変化など、機器を入れたハウスと入れていないハウスのハウス内環境の違いを認識してもらうことがまず重要でございますので、県で簡易な測定器を購入し農家の皆様に貸し出しをするといった取り組みも行っております。 加えて来年度は、農業団体などからの御要望も踏まえまして、補助事業の対象機器の拡大や補助限度額の見直しなどによりまして、より使い勝手のよい事業にしたいと考えております。これらの取り組みによりまして、環境制御技術を一気に普及させていきたいと考えております。 次に、外国人技能実習制度の実態と、今回の制度改正による影響及びその対策についてのお尋ねがございました。 高知県中小企業団体中央会の調査によりますと、平成27年4月時点で、県内の監理団体が受け入れ、農家で実習をされている外国人技能実習生は375人おられ、主にニラやミョウガの生産や出荷作業などに携わっておられます。この技能実習制度につきましては、県外で賃金未払いなどの法令違反が発生をするなど、国内外からの批判が出ております一方、実習生の受け入れ側からは、制度の拡充に関する要望が寄せられております。 これらを踏まえ、現在、お話のありましたように、不適正な運用を是正するための管理監督体制の強化が前提となりますが、実習期間を現在の3年から5年に延長するなど、技能実習制度を拡充する内容の見直し案が国会に提出をされております。この案につきましては、これから国会で審議されますことから、具体的運用を定める省令などの詳細も決まっておらず、どのような影響が生じるのか、現時点では見通せない状況にあります。今後の国会審議を注視してまいりたいと考えております。 また、県内では適正に制度が運用されておりまして、不正事案は近年ほとんど発生していないとお聞きをいたしております。優良な監理団体及び受け入れ農家の皆様が制度改正後も実習生の受け入れを継続してできるよう、法案にある管理監督体制の強化の内容など情報を適宜収集いたしまして、関係者と情報共有を図ってまいりたいと考えております。 (商工労働部長原田悟君登壇)
◎商工労働部長(原田悟君) ルネサス高知工場の集約への対応に関する香南市との連携についてのお尋ねがありました。 高知工場の承継企業の確保と雇用の維持・継続に向けた取り組みは、従業員の多くが居住し、かつ地域にも大きな影響があることから、地元香南市にとって重要な問題であり、県としては、市と連携して取り組むことは大変大切なことであると考えています。 このため、この1月に知事がルネサス本社を訪問した際には、香南市長も同行され、ルネサス社トップと面談し、改めて地域の実情を踏まえて承継企業の確保と従業員の雇用の維持・継続を強く要請されたところです。また、県の高知工場集約対策本部においても、香南市にメンバーとして参画していただいておりますし、ルネサス社が社内に立ち上げておりますプロジェクトチームとの協議にも加わっていただくなど、連携して取り組んでいるところでございます。 今後も香南市とはしっかり連携を図り、高知工場の承継企業の確保と従業員の雇用の維持・継続に向け取り組んでまいります。 なお、ルネサス社との協議では、先ほど議員からいただきました従業員の皆様の不安といったお話もしっかりお伝えしたいと思いますし、また引き続き和解内容の実行も確認しながら臨んでまいりたいと思っております。
◆6番(浜田豪太君) それぞれ丁寧な御答弁まことにありがとうございます。 2問目を1つだけさせていただきたいのは、教育長にお伺いしたいんですが、保育士の確保の問題についてです。この2月に新しく、保育園、認定こども園等の保育士として働ける資格の制度が少し変わっていると聞いておるのですが、その辺のところを認識されておるのかどうか、ちょっとお伺いしたいんですが、おわかりですか。
◎教育長(田村壮児君) 保育士に関してそういった制度というのは、申しわけないです、私限りではお聞きしておりません。
◆6番(浜田豪太君) 失礼しました。質問がちょっと間違えておりまして、保育士として、本来は保育士しか働けなかった現場で、これから例えば小学校の教員や幼稚園の教員の免許を持った方が働けるような制度に変わるというふうな話が国のほうから出ているというふうに実際聞いておるんですが、その辺のことは把握をされておられるでしょうか。
◎教育長(田村壮児君) そういった制度ができておりますが、それを高知県で導入するかどうかにつきましては、今いろんな御意見がございますので、検討させていただいているというところでございます。
○議長(三石文隆君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明4日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。 午後4時10分散会...