平成27年 12月 定例会(第334回) 平成27年12月15日(火曜日) 開議第2日
-----------------------------------出席議員 1番 上田貢太郎君 2番 今城誠司君 3番 久保博道君 4番 田中 徹君 5番 土居 央君 6番 浜田豪太君 7番 横山文人君 8番 加藤 漠君 10番 坂本孝幸君 11番 西内 健君 12番 弘田兼一君 13番 明神健夫君 14番 依光晃一郎君 15番 梶原大介君 16番 桑名龍吾君 17番 武石利彦君 18番 三石文隆君 19番 浜田英宏君 20番 土森正典君 21番 西森雅和君 22番 黒岩正好君 23番 池脇純一君 24番 石井 孝君 25番 大野辰哉君 26番 橋本敏男君 27番 前田 強君 28番 高橋 徹君 29番 上田周五君 30番 坂本茂雄君 31番 中内桂郎君 32番 下村勝幸君 33番 野町雅樹君 34番 中根佐知君 35番 吉良富彦君 36番 米田 稔君 37番 塚地佐智君欠席議員 9番 川井喜久博君
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 尾崎正直君 副知事 岩城孝章君 総務部長 梶 元伸君 危機管理部長 野々村 毅君 健康政策部長 山本 治君 地域福祉部長 井奥和男君 文化生活部長 岡崎順子君 産業振興推進部長 中澤一眞君 理事(中山間対策・運輸担当) 金谷正文君 商工労働部長 原田 悟君 観光振興部長 伊藤博明君 農業振興部長 味元 毅君 林業振興・環境部長 大野靖紀君 水産振興部長 松尾晋次君 土木部長 福田敬大君 会計管理者 岡林美津夫君 公営企業局長 門田純一君 教育委員長 小島一久君 教育長 田村壮児君 人事委員長 秋元厚志君 人事委員会事務局長 福島寛隆君 公安委員長 織田英正君 警察本部長 上野正史君 代表監査委員 田中克典君 監査委員事務局長 吉村和久君
-----------------------------------事務局職員出席者 事務局長 中島喜久夫君 事務局次長 川村文平君 議事課長 楠瀬 誠君 政策調査課長 西森達也君 議事課長補佐 小松一夫君 主任 沖 淑子君 主事 溝渕夕騎君
-----------------------------------議事日程(第2号) 平成27年12月15日午前10時開議第1 第1号 平成27年度高知県一般会計補正予算 第2号 高知県
行政不服審査会条例議案 第3号 高知県地方活力向上地域における県税の不均一課税に関する条例議案 第4号 高知県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例議案 第5号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第6号 高知県職員倫理条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県
看護師等養成奨学金貸付け条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県
助産師緊急確保対策奨学金貸付け条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県
医師養成奨学貸付金等貸与条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案 第12号 高知県婦人保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第13号
高知県立高等技術学校の設置及び管理に関する条例及び
高知県立高等技術学校が実施する普通職業訓練の基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第14号 高知県の管理する港湾の臨港地区内の分区における構築物の規制に関する条例等の一部を改正する条例議案 第15号 高知県警察の設置及び定員に関する条例の一部を改正する条例議案 第16号 高知県風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例議案 第17号 高知県警察手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第18号 高知県電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律施行条例を廃止する条例議案 第19号 高知県が当事者である訴えの提起に関する議案 第20号 高知県が当事者である和解に関する議案 第21号 平成28年度当せん金付証票の発売総額に関する議案 第22号 高知県立ふくし交流プラザの指定管理者の指定に関する議案 第23号
高知県立障害者スポーツセンターの指定管理者の指定に関する議案 第24号
高知県立高知城歴史博物館の指定管理者の指定に関する議案 第25号 高知県立牧野植物園の指定管理者の指定に関する議案 第26号
宇佐漁港プレジャーボート等保管施設の指定管理者の指定に関する議案 第27号 県有財産(建物等)の取得に関する議案 第28号
永国寺キャンパス図書館及び
体育館建築主体工事請負契約の締結に関する議案 第29号 国道197
号社会資本整備総合交付金(新野越トンネル)工事請負契約の締結に関する議案 報第1号 平成27年度高知県
病院事業会計補正予算の専決処分報告 報第2号 損害賠償の額の決定の専決処分報告第2 一般質問 (3人)
----------------------------------- 午前10時開議
○議長(三石文隆君) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(三石文隆君) 御報告いたします。 第6号議案については、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき人事委員会に意見を求めてありましたところ、法律の改正に伴うものであり、適当であると判断する旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。 〔人事委員会回答書 巻末267ページに
掲載〕-----------------------------------
△質疑並びに一般質問
○議長(三石文隆君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「平成27年度高知県一般会計補正予算」から第29号「国道197
号社会資本整備総合交付金(新野越トンネル)工事請負契約の締結に関する議案」まで並びに報第1号「平成27年度高知県
病院事業会計補正予算の専決処分報告」及び報第2号「損害賠償の額の決定の専決処分報告」、以上31件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 11番西内健君。 (11番西内健君登壇)
◆11番(西内健君) おはようございます。自由民主党会派の西内健でございます。議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。 まずは尾崎知事、全国で2例目の2期連続での無投票による3選目の当選、まことにおめでとうございました。我が会派の浜田議員がおっしゃるように、孫子の兵法、戦わずして勝つであります。高知を何としてもよくするんだという熱意や精力的な行動、実直さや誠実さを感じさせる人柄など、日ごろの知事を見ていますと、対抗馬が出てくる余地はないものと思われます。そして、それは高い支持率にもあらわれているように、県民の目にもはっきりと映っているのではないでしょうか。 1期目に実施した対話と実行座談会は累計75回、2期目には対話と実行行脚に切りかえ、283カ所を訪問し、多くの県民の皆様と意見を交わしながら、本県の実情と課題を把握されてまいりました。 知事が日ごろおっしゃるように、高知県は、人口減少のもたらす負のスパイラルにより経済が縮み、若者の都市部への流出、人口の自然減の加速、そしてそれらにより、さらに経済が縮小しています。これらの負のスパイラルから逃げずに真っ向から立ち向かい、県民一人一人の暮らしを守ることに知事は全力を傾けてまいりました。縮む経済に対しては地産外商戦略を柱とした産業振興計画の実行、過疎化・高齢化対策としては高知型福祉の取り組みを行ってきました。高知県が直面する課題に対し、2期8年間、5つの基本政策と2つの横断的な政策を間断なく実行してきたわけであります。 知事は、目指すべき高知県の姿として、経済面では「地産外商が進み、地域地域で若者が誇りと志を持って働くことのできる高知県」、福祉の面では「県民が健やかで心豊かに、支え合いながら生き生きと暮らすことができる高知県」を掲げてきました。また、南海トラフ地震対策を初めとした災害対策においても、国への積極的な提言を行い、県民が安心して暮らせる県土づくりを進めてまいりました。これらの取り組みも、成果がようやく出てきたところでありますが、御本人もまだまだやり残したことがあると思っているのではないでしょうか。 今後は、大型施設園芸団地の整備やCLTの普及などにより1次産業関連のクラスターをつくり上げ、拡大再生産につなげる方向性を示しています。その上で、2060年の高知県人口を55万7,000人とする人口ビジョン実現に向け、地域地域で若者の雇用を生み出すことができる高知県を目指すと述べ、若者の定着や出生率の向上を図る考えを示されました。 負の連鎖の克服に向けた高知県の取り組みは、国の地方創生においても多く取り入れられております。本県の抱える課題が近い将来、全国における共通の悩みとなることから、課題解決先進県となることを目標にしたこれまでの取り組みが、国においても大いに評価されたわけであります。 さて、飛躍への挑戦を掲げ、県勢浮揚に積極的に取り組んできた2期8年に続き、課題解決先進県としての高知の取り組みにかける意気込みを、尾崎知事にまずお伺いします。 次に、知事は、さまざまな形で厳しい環境に置かれている子供たちの支援を本年度から重点課題に挙げられています。教育、福祉の面からも、将来を担う子供たち、中でも厳しい環境にある子供たちへの支援として、子どもの貧困対策計画の策定を行うとのことであります。子供たちの教育や保護者に対する就労支援、生活や経済面での支援など、総合的な支援に取り組む姿勢を強調されています。11月10日には、
次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダーとして、子どもの貧困対策の抜本強化に向けた緊急提言を国に対して要請されました。 福祉・教育面などを初めとする子供の貧困対策に対する今後の取り組みの方向性について知事にお伺いします。 次に、ルネサス社の高知工場撤退に関してお伺いします。 三菱電機高知工場は、本県出身である岩崎弥太郎が創設した三菱グループにゆかりのある工場として、また本県では初めての全国的規模を誇る半導体工場の進出であったことから、雇用の面、産業、経済への貢献面など大変大きな期待を持って迎えられました。また県においては、誘致を成功させるために工業用水道の取水対策等における地元住民の方々との調整など、当時の職員の方々の多くの努力があったと聞いております。操業開始後の経済効果は大変大きく、ピーク時の平成7年には約1,000億円の製造品出荷額を誇り、関連企業を含めると約1,000人の雇用を有していたわけで、30年にわたり、本県経済において大きな効果や影響を与えた存在であったと言えます。近年、韓国や中国の台頭による半導体製造分野でのグローバルな競争のもと、国内半導体企業の弱体化が進んでいく中、高知工場の製造品出荷額や雇用される従業員数は減少してきましたが、本県製造業全体の規模から考えると、その存在はいまだ大きなものがあります。 しかしながら今回、工場閉鎖を伴う集約、高知からの撤退が決定されました。実際の工場閉鎖は2年から3年後だということですが、協力企業を含めた約360人の従業員の皆様、そしてその御家族の不安を考えますと、まことに残念で、今後の十分な雇用対策を通じ不安を取り除く必要があると考えます。そして、その思いは、県民の先頭に立って産業振興計画を推進し、県勢浮揚に邁進しておられる知事が一番強く感じているのではないかと思います。 そこで知事にお伺いします。まず、高知工場のこれまでの本県における効果、影響をどう捉えていらっしゃるのか、お伺いします。 また、今回の高知工場撤退の報を受け、今後どのように対応すべきと考えたのか、お伺いをいたします。 次に、撤退の発表までの経緯についてお伺いします。今回の撤退についての情報が県の担当部署にもたらされたのはことし3月末と伝えられていますが、そうしますと今回の発表までに8カ月という期間を要したことになります。 その間、県当局として、ルネサスサイドとの協議、交渉といったことが持たれたことは想像にかたくありませんが、どのような協議を行い、経緯はどうだったのか、知事にお伺いします。 今月1日にルネサス社から、高知工場の閉鎖を伴う集約の方針が正式に発表された後、
ルネサスエレクトロニクス社の鶴丸社長が県庁を訪問し、知事と今後の対応について協議を行い、その方向性が確認、合意されたと聞いております。その協議の場でのやりとり、また確認、合意された内容について知事にお伺いします。 また、今議会にその合意内容を和解議案として提案されているところですが、なぜ和解議案なのか、その理由を商工労働部長にお伺いします。 次に、三菱電機が第1工場に引き続き整備しようとしていた第2棟目の工場のために、県が多額の公費を投じて建設した香南工業用水道についてお伺いします。今回の撤退の発表は、これまで県が建設を要請してきた第2棟目の工場整備計画が正式に中止になったことの確認にもなっているわけであります。2棟目での半導体製造のための必要な水の確保に向け県が平成13年までに整備した香南工業用水道は、大部分が供用されることなく今回の発表に至ることになりました。県はこれまで、この整備に22億円以上を投じ、完成後も多額の維持管理経費を投じてきました。 弁護士との協議を行い見解を求めたようですが、今回の和解の内容がこれまで県が費やした整備費用等に見合っていると考えるのか、総務部長にお伺いします。 また、この点に関して、県と当時の三菱電機との間で、香南工業用水道整備に当たって契約が交わされていなかったという経緯があります。多額の県費を投じる事業を進めるに当たり契約を交わさなかったことに関し、行政上の瑕疵がなかったのか十分な説明が必要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。 さらに、今回の事案を整理、検証することが今後の政策運営にとって必要であると考えます。 今回のような大規模な企業誘致の際に、行政によるインフラ整備のあり方、今後の企業誘致のあり方をどう考えるのか、また改善すべき点があるならどのようにしていくのか、知事の御所見をお伺いします。 先ほど述べましたが、ルネサス社には協力企業を含めて約360人の従業員の方々がいらっしゃいます。これらの皆様方の不安を考えると、雇用の維持・継続を第一に取り組む必要があると考えます。雇用については、一義的にはルネサス社が責任を持って対応していく必要がありますが、県としてもルネサス社と連携し、雇用継続のために積極的な対応が求められると考えます。 そこで、県が今回の問題に対応するために設置した対策本部における今後の対応について、本部長である商工労働部長にお伺いします。 最後に、従業員の皆様の雇用継続に向けて、知事の決意をお伺いいたします。 次に、総合戦略における少子化対策についてお伺いします。 人口減少の負のスパイラル、経済規模の縮小、若者の県外流出、過疎化・高齢化の同時進行、中山間地域の衰退、少子化の加速といったこれまで同様の傾向が続けば、2060年には、高知県の総人口は39万人まで減少する見込みとされました。これに対し、高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、自然減の縮小や社会増に向けた一連の対策を講じることにより、2060年の総人口について55万7,000人の実現を目指しています。先ほどから述べているように、この負のスパイラルを断ち切るために、これまで5つの基本政策と2つの横断的政策を進めてきたわけであります。今回の国の地方創生の動きを追い風として、これまでの取り組みをさらに加速化していくために、この総合戦略を策定されました。この中で4つの基本目標として、1、地産外商による安定した雇用の創出、2、新しい人の流れづくり、3、若い世代の結婚・妊娠・出産・子育ての希望をかなえる、女性の活躍の場の拡大、4、コンパクトな中心部と小さな拠点との連携により人々のくらしを守るといったことを掲げています。 今後は、官民協働、市町村との連携協調のもとで、これらの目標達成に向け全力で取り組んでいくとのことであります。今月3日には、高知県
少子化対策推進県民会議の本年度第2回総会が開催され、少子化対策のこれまでの成果や今後の取り組みの方向性が議論されたと聞きました。 そこで、少子化対策の今後の取り組みについて知事にお伺いします。 あわせて、独身者を支援するためのマッチングシステムの取り組み状況について地域福祉部長にお伺いします。 次に、南海トラフ地震対策に関してお伺いします。 これまで県は、東日本大震災の教訓を踏まえ行動計画を策定し、死者数をゼロに近づけていくために全力を挙げて対策を推進してきました。避難場所・避難道路の整備や、公共施設や住宅の耐震化が進み、発災直後の命を守る対策は一定のめどが立ってきたと思われます。県では現在、第3期行動計画の策定を進めており、命を守る対策の完成度をより高めるとともに、命をつなぐ対策である避難所の確保や医療対策、応急期から復旧・復興期までを見据えた取り組みを進めていく方向であります。 第3期行動計画に位置づけられる命をつなぐ対策の今後の取り組みについて危機管理部長にお伺いします。 ことし9月、高知県として、統計史上初めて有効求人倍率が1倍を超え、全国の有効求人倍率の上昇トレンドに合わせて伸びています。都市部の大企業では、昨年前半には既に人材不足が予想され、人材の囲い込みが始まっていたとも言われています。このような傾向が今後も続くと考える中、尾崎知事が掲げる拡大再生産をなし遂げるに当たり、一番の課題が人材確保対策と言えます。産業振興計画の柱である1次産業や2次産業において、景況感の好転による他産業への人材流出が起きており、人材不足が顕著にあらわれています。これまでにおいても、さまざまな人材確保対策が講じられてきましたが、今まで以上に踏み込んだ対策が必要と考え、人材確保対策を中心に各部局に質問をさせていただきます。 まずは、農業振興部にお伺いいたします。 これまでも新規就農対策に取り組み、平成23年の調査では新規就農者数が200人を超え、平成27年の調査では269人となるなど、産業振興計画で掲げる年間280人に向けての取り組みを強化しています。昨年度は、実家が農家でないIターンの方や雇用就農の方の増加が全体を押し上げました。
こうちアグリスクールの県外でのPR活動や手厚くなった青年就農給付金制度などが、増加の一つの要因と考えられています。 また本年度より、就農に関する相談窓口として就農コンシェルジュを設置し、これまでわかりにくかった相談体制が一本化されることになりました。さらに、ことし2月より産地提案型の新規就農ガイドが作成され、市町村やJAが地域の特性に合わせた作物や就農形態、必要な費用、想定される農業所得などを提案し、きめ細かい対応を図ろうとしています。 幾つかの新たな取り組みが見られる中、今後の新規就農者確保の取り組みについて農業振興部長にお伺いします。 一方で、新規就農された方々の定着を図るには、技術面での支援や経営改善などの指導を行うとともに、就農者が地域に溶け込むと同時に地域が就農者を受け入れる仕組みづくりが必要と言われています。 経営支援や生活支援など、新規就農者の育成、定着に向けた取り組みについて農業振興部長にお伺いします。 また、新規就農者にとって課題である農地の確保について、あわせてお伺いします。 近年は、気候変動による集中豪雨などの多発のため、農業において、これまで以上の頻度で被害が発生をしております。10年に1度と言われるような大雨が連年で発生し、また山の保水力の低下のため土砂の流出がふえるなど、これらの課題に対し、既存の農業インフラの強化が待たれるところであります。 近年多発する災害への対処の観点から、排水路などの農業基盤整備の強化を考えるべきだと考えますが、農業振興部長にお伺いいたします。 次に、林業に関する人材確保についてお伺いします。 産業振興計画では、原木生産量の目標として、平成27年度72万立方メートル、平成33年度81万立方メートルを掲げています。平成25年に高知おおとよ製材が操業を開始し、また県内でバイオマス発電所が2カ所において操業を開始したことから、原木生産への需要は高まっています。平成15年より始まった緑の雇用制度により、20代、30代の林業従事者の増加が見られる反面、景気上昇による他産業への人材流出や高齢就業者の離職など、ここに来て林業就業者数は減少をしています。 高知県では、新規就業者の確保を図るため、ことし4月に林業学校を開校しました。既存の緑の雇用制度とあわせ、森林組合などへの雇用就業者の増加が期待されております。また、所得向上のためには、それぞれの生産性を向上させるための技能研修の充実が必要で、それによって新規就業者の定着につながっていきます。 新規就業者の確保、定着に向けて行っている技術指導など、林業学校の現状及び今後の課題について林業振興・環境部長にお伺いします。 今後、原木の増産が実現した場合、良質材である建築用材の出口戦略が重要になってくると考えます。平成26年には内航船を活用した販路開拓を実施しましたが、その目的と成果が明確であったとは言いがたく、今後はトレーラーなどを活用した定期輸送を行うものと聞いております。 今後は、既存製材工場の統合や大型化を含め、また県外販売事業者による市場形成なども視野に入れて販路強化を図るべきだと考えますが、林業振興・環境部長の御所見をお伺いします。 次に、水産業の人材確保に関してお伺いします。 新規担い手確保に向けて、国の行う漁業就業支援フェアにおける高知県の漁業PRや県のホームページなどでの情報発信を行うとともに、
漁業就業支援アドバイザーによる相談体制や受け入れ調整に取り組んでいます。そしてその後、漁業に関心を持った方々に対し、セミナーを通じての漁業体験などの短期研修、また技術習得を図る長期研修を行うプログラムを準備しています。平成12年から23年の間には、短期、長期とも平均で3名ほどの受講者や参加者でありましたが、平成26年度は短期研修受講者が35名、長期研修開始者が11名に増加し、平成24年から26年の3年間は平均で年37人の新規就業者を確保しています。 漁船漁業では、指導者の負担や漁業種類ごとの指導者の確保の難しさ、養殖漁業では実習に当たっての稚魚を初めとする生産コストの負担の大きさなどの課題が挙げられております。 今後の漁業就業者確保及び定着に向けての課題について水産振興部長の御所見をお伺いします。 あわせて、県が取り組んでまいりました都市圏での外商活動として、高知家の魚応援の店の登録店舗数が今年度目標の500店舗を既に達成したとのことでありますが、早期の目標達成の要因は何にあったとお考えか、水産振興部長にお伺いします。 次に、建設業における人材確保に関してお伺いします。 長年にわたる公共事業の減少や従事者の高齢化、経営環境の悪化などの要因から、建設業界において人材確保は、事業継続において大きな課題となっております。 県では、平成26年2月に高知県建設業活性化プランを策定し、これらの課題解決に向け取り組まれてきました。端境期対策としての工事発注の平準化や、一般管理費の改定などによる発注業務の適正化を行うなどして、公共工事の品質と担い手確保に努めています。また、利益確保のための施工力向上や新技術習得の研修などを行い、建設業活性化支援にも取り組んでおります。その他、建設業のイメージアップに資する取り組みへの支援も行ってまいりました。 活性化プランは平成27年3月に見直しがなされ、バージョンアップされたわけですが、これまでの取り組みの成果と今後の方向性について土木部長にお伺いします。 次に、商工労働振興に関してお伺いします。 まずは、2月の予算委員会において質問を行いました事業承継・人材確保センターについてお伺いします。 高知県においても全国同様、経営者の高齢化に伴う企業の休廃業が増加する中、後継者対策や経営者の相談体制整備などの観点から、ことし4月に事業承継・人材確保センターが開設されました。この背景には、近年景気の先行きが不透明なことから中小企業では親族内での後継者の割合が低下している点や、従業員などの企業内外での後継者候補の確保が難しいことがあります。 事業承継においては、後継者対策、企業の有する有形無形の資産、承継における資金対策を初め対応すべき多くの課題が存在します。また、センターでは、人材を確保したい企業と高知で働く希望を持った人材のマッチングも行っています。センター開設から相談件数も多数あるとお聞きしていますが、これまでに見えてきた課題も、あわせて多くあるものと思われます。 4月に事業承継・人材確保センターが開設しましたが、企業が求める人材のマッチングの現状やセンター立ち上げ後に見えてきた課題について商工労働部長にお伺いします。 次に、企業誘致に関連してお伺いします。 TPP交渉が、現地時間10月5日に大筋合意をいたしました。秘密交渉であったため、その詳細に関してはいまだ明確になっていませんが、自動車など製造品に関する原産地規則に関するルールが伝えられています。これはTPPにおいて、参加国で生産された輸出品が関税ゼロの優遇を受けるには、原材料まで含めた厳しい原産地証明を課されるとするものであります。このことは、中国などから調達した原材料が一定比率を超えれば、TPPの優遇関税が適用されないということになります。原産地規則が適用されるとなると、TPP加盟国への工場進出はあり得ますが、現在中国などに生産拠点を置く製造業の国内回帰の傾向が、今後ますます強まると思われます。 TPP合意により製造業の国内回帰が伝えられていますが、現状をどのように認識しているのか、またそれを受け今後の企業誘致活動をどのように行っていくのか、商工労働部長にお伺いします。 企業誘致や南海トラフ地震対策の一環として、県内企業の移転先確保のために、工業団地の整備を現在進めています。仮称高知一宮工業団地については、共有状態である土地の取得の問題を初め工場排水、開発用地が蛇紋岩を含むことなど、課題が多くありますが、用地取得に一定のめどが立ち、平成29年度中の工事完成を目指しています。また、仮称南国日章工業団地については、現在、調査、測量、実施設計を進めており、今後用地取得などを経て、平成30年度中の工事完成を目標としています。 それぞれの工業団地の現在の進捗状況及び産業集積を踏まえた企業誘致に向けての取り組み状況について商工労働部長にお伺いします。 人材確保に関して最後に、移住政策などを総括的に管轄する産業振興部にお伺いします。 平成26年度までに高知家プロモーションとの連動による情報発信や、移住・交流コンシェルジュの増員による相談体制の強化を行ってきました。本年度は、国が開設した移住・交流情報ガーデンとの連携や、ふるさと回帰支援センターへの相談窓口設置を行うことで、首都圏での移住に関する機能強化を図っています。 仕事や住宅の確保といった実際の移住に向けた高いハードルに対応するノウハウの蓄積もかなり進んだものと思われ、移住者の定着支援体制も充実してきました。高知県では、平成27年度の産業振興計画で掲げた移住目標500組の達成は確実で、今後は、より高い目標を目指していくものと考えます。 移住者の定着状況と、さらなる高みを目指すための今後の移住促進政策への取り組みについて産業振興部長にお伺いします。 次に、観光振興についてお伺いします。 400万人観光を達成し、平成33年度の目標を435万人に掲げています。平成29年度は大政奉還150年、平成30年は明治維新150年と、歴史イベントがめじろ押しであり、高知城歴史博物館や坂本龍馬記念館のオープンも控えています。歴史資源と食や自然を絡めた観光産業クラスターの構築を目指すとしていますが、これまで地域の観光人材育成や売れる観光商品づくりのため、土佐の観光創生塾を立ち上げて取り組んでおられます。 観光創生塾における人材育成の取り組みについて観光振興部長にお伺いします。 また、これらの歴史博覧会について、歴史資源の掘り起こしの現状及び他県との連携状況について、あわせて観光振興部長にお伺いします。 整備される高知城歴史博物館や既存の高知城など観光資源を抱える高知市中心部においてクルーズ船受け入れの増加などを考えますと、周遊ルートの設定や消費拡大に向けた取り組みが必要だと思われます。高知城から歴史博物館へと人の流れができると予想されることから、中心商店街での食事や土産物の販売などによる経済波及効果は大きく、まさに中心商店街そのものが観光産業クラスターになると予想されます。また、こうした仕組みづくりには高知市との連携が必要であります。 高知城周辺の観光戦略について観光振興部長の御所見をお伺いします。 次に、日ごろの活動を通じて私が最近感じているのは、産業振興計画などの政策を新たな段階に引き上げ拡大再生産につなげるに当たり、これらの政策が有効に機能するための基盤となる社会インフラや生活インフラが脆弱化していることであります。専門化が進み、それぞれの分野で分業化が確立されてきた現代社会においては、一つのパーツが欠けるとシステム全体が破綻してしまうといった脆弱性を有しています。地域社会を支えてきた一つの業種が廃れると地域の維持が困難になり、人々の生活が脅かされ、それによって人口流出がますます進んでいきます。新自由主義的な政策のもと、本来公共が担ってきた社会生活を支える医療や教育、建設、交通などの分野において規制緩和が進められ、経済性や効率性が過度に追及されてきたために、社会インフラが崩壊をしようとしています。 健康長寿県の実現に向け、これまでもさまざまな対策に取り組まれてきていますが、特に医療インフラに関連して質問をいたします。 高知県では、医師不足や医師の偏在対策として医師養成奨学貸付金制度を設けています。この制度は、将来医師として、県内の医師確保が必要な地域で勤務を予定する医学生に対しては修学貸付金として月額15万円、また修学貸付金貸与者のうち産婦人科、小児科、麻酔科、脳神経外科の特定診療科目の医師として指定医療機関で勤務する意思のある医学生に対しては、特定科目加算貸付金として8万円を加算するものであります。医師養成奨学貸付金制度を活用した医学生の県内病院での勤務が始まりました。若手医師としてキャリアパス形成の上で高度専門医療に関心を向けるといったことは当然のことで、幅広い臨床研修が提供できる体制の確保が必要であります。一方、今後の地域医療を担っていく人材として、地域医療やへき地医療の重要性を体得できる地域派遣システムの構築も、あわせて必要であります。 医師のキャリア形成支援と医師不足が顕著な地域への医師確保対策がどのように行われているのか、健康政策部長にお伺いします。 今議会で議案が提出されていますが、看護師や助産師の奨学金制度の改正が、それぞれの人材確保や地域偏在の解消につながるものと期待されています。また、子育て支援の充実強化対策として、助産師や保健師による市町村等への出張相談の取り組みも始まっています。 かつての高知県においては、保健師駐在制度のもと、県保健師が市町村の担当地区内に活動拠点を置き、赤ちゃんからお年寄りまで全ての住民の健康管理を担ってきた歴史を持っています。過疎・高齢化が進み、地域の見守りの力が弱くなっていると指摘される中、住民に寄り添いながら地域全体を見て活動する姿勢が大切ではないかと考えます。 保健師が今後地域でどのように活動していこうとするのか、健康政策部長にお伺いします。 薬剤師においても、地域の偏在や高齢化といった課題を抱えています。病院薬剤師や在宅訪問などのニーズが高まっている中、薬剤師確保対策が求められています。高知県内には薬学部がないため、毎年、県外薬学部に約80名が入学し、そのうち半数足らずの学生しか高知県内に帰ってきていない現状であります。薬剤師は女性の割合が高く、女性の社会進出にも大きく貢献するものであります。 薬学生の県内への就職を促すためにも、県内出身薬学生に対してのアプローチの強化が必要だと考えますが、薬剤師確保について健康政策部長にお伺いします。 身近で気軽に医薬品や健康に関する専門的な相談支援が受けられる総合的な健康情報拠点として、高知家健康づくり支援薬局が170件ほど整備されました。認定された薬局での高血圧や禁煙対策などの情報提供を通じて、県民が健康づくりに取り組みやすい環境を整えようとするものです。テレビ、ラジオなどの広報を積極的に行ってきましたが、まだまだ県民の認知度が低い現状であると思われます。 身近な健康づくり拠点として高知家健康づくり支援薬局の一層の認知度向上に取り組むべきと考えますが、健康政策部長にお伺いいたします。 次に、中山間対策に関してお伺いします。 2期目において、何もしなれば地域は終わってしまう、中山間地域の再生なくして県勢浮揚はなし得ないとの強い決意から、知事は県土の大部分を占める中山間地域の取り組みを重点化しました。 中山間対策を3層構造の取り組みで進めていく中、成長戦略や地域アクションプランの取り組みが届きにくい地域として、3層目として位置づけているものが集落活動センターであります。現在県内では、集落活動センターが18カ所立ち上がっており、経済活動や生活支援など、集落の暮らしを守る拠点としての機能を充実させる支援を行っています。将来的に、県内全域で130カ所程度の整備の方向でありますが、経済主体や福祉主体として機能させていくために今後取り組むべき課題が多くあると考えます。 集落活動センターの現状の課題をどのように受けとめ、今後の整備に向けての戦略をどのように考えているのか、中山間対策・運輸担当理事にお伺いします。 次に、公共交通についてお伺いします。 土電と県交通の統合によるとさでん交通誕生から1年が経過しました。路線バスの番号制や各種割引制度の導入、積極的な営業活動など、利用促進に向けた取り組みがなされてまいりました。統合3年目の単年度黒字化を果たすには、利便性の向上を行うとともに、利用していない県民の需要を掘り起こす必要があります。今後は、路線バスの抜本的な再編を行い、乗客へのサービス向上が図られるものと思われます。 誕生より1年を迎えたとさでん交通の現状及びこの1年の取り組みについて中山間対策・運輸担当理事にお伺いいたします。 また、3年目の単年度黒字化に向けての見通しについて中山間対策・運輸担当理事にお伺いいたします。 公共交通の人材確保に関しては、高齢化によるバス運転手の離職が増加しており、バス運転手の確保が全国的な課題となっています。40歳以下の大型2種免許取得者が減少し、免許保有者のうち60歳以上が大半を占める中、運転手確保に関しては、給与など待遇面で全国的に競合状態であると伝えられています。 バス運転手の確保に対し、県としても何らかの支援対策を講じる必要があると考えますが、中山間対策・運輸担当理事にお伺いします。 次に、教育に関してお伺いします。 今回私は、小学校低学年における論語の素読の導入を提案させていただきます。 ことし9月に、安岡正篤氏の孫である安岡定子氏が開催するこども論語塾を視察しました。論語の素読を行っている教室では、大勢の子供たちが一緒に声を出すことで教室に一体感が生まれていました。素読の大きな効果の一つは、聞く力を育てることであります。子供たちにとって意味がわからないため、言葉に出す前に注意深く聞くことで、聞く力が育つわけであります。聞く力を育てることは、きれいな言葉でしゃべる力を育て、考える力を育て、相手の気持ちを理解する力を育てることにつながります。要するに、まず最初に聞く力があるわけです。 聡明という言葉がありますが、その意味は、聡という字はよく聞くこと、明はよく見えることであり、物事の理解が早く賢いことを意味します。聡明な人間を育てるのに、過去において素読は大きな効果を果たしてきたわけであります。そして論語は、人としての生き方を学ぶため、時代に関係なく読み継がれてきたすぐれた古典であります。子供のころにはわからなくても、素読を通して論語の章に述べられていることを覚えておけば、将来大人になってから経験を積み理解することで、個人の内的規範を身につけることができます。 現代社会は、憲法において個人の思想、信条、表現などの自由が尊重されており、国が個人の内面に干渉することはできません。戦前の教育勅語のように国民の内面に道徳などを強制することができないわけであります。言いかえれば、国が干渉できるのは個人の外にあらわれた行為だけであり、内面には一切干渉ができないということであります。 近年、動機が理解しがたい事件が多発していますが、国が干渉できるのはその事件が起こった後で、事前にその行為をとめることが不可能であります。それらの行為をとめることができるのは個人の内的規範だけであり、その規範を形成することが、現代社会における大きな課題であると思われます。 近年は、インターネット等の発達とともに物があふれ、簡単に入手できるようになり、他者に依存せずに個人で完結できる時代となりました。そういった時代であるからこそ、社会に共通の価値や個人の内的規範を再度つくり上げることが必要であると考え、日本人に長く親しまれた論語を今回取り上げさせていただきました。 県内小学校の低学年段階において、論語の素読の時間を設けることを提案いたしますが、教育長の御所見をお伺いします。 最後に、庭先質問であります須崎高校と須崎工業高校との統合について教育長にお伺いします。 県は、高校再編振興計画のもとで、須崎高校と須崎工業高校の統合を進めてまいりました。地元説明会の中で、新たな通学路兼避難道の整備を進めることとしていますが、新たな高校としてスタートする平成31年までには整備のめどが立っていない状況であるとお聞きしています。新学校体制になれば、計画どおりなら現在の須崎工業高校の生徒数の2倍を誇る学校となるため、新通学路整備だけでなく既存の通学路を含めた整備が必要だと考えております。 新たな通学路整備などの課題を含めた統合に向けての現在の進捗状況について教育長にお伺いしまして、私の1問目とします。 (知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君) 西内議員の御質問にお答えをいたします。 まず、課題解決先進県としての取り組みにかける意気込みについてお尋ねがございました。 平成19年、知事に就任させていただいて以来、私は、本県の抱える2つの根本的な課題、すなわち人口減少のもたらす負のスパイラルとの戦い、そして南海トラフ地震を初めとする数々の自然災害から県民の皆様の命と暮らしを守る戦いに、全力を挙げてまいりました。この根本課題に正面から向き合わずして高知の再生はないとのかたい決意を持って、対話と実行の姿勢のもと、経済の活性化や日本一の健康長寿県づくり、南海トラフ地震対策などの政策を全力で実行してまいったところであります。 これまでの取り組みを通じて、長らく0.5倍前後であった有効求人倍率が1.0倍に達する、また高知型福祉の拠点となるあったかふれあいセンターの整備が県内各地に広がるなど、多くの県民の皆様の御協力を得て、一部には手応えが感じられるものも出てまいりました。しかしながら、正規の有効求人倍率は、高知としては過去最高とはいえ、いまだ0.5倍程度にすぎず、また過疎化、高齢化のより進む中山間地域においては福祉や医療サービスの提供も厳しい状況にあるなど、各分野でまだまだ多くの課題が残されております。 このため、これまでの5つの基本政策と2つの横断的な政策について、その方向性を維持した上でさらなるバージョンアップを図り、県勢浮揚の実現に向けて実効性の高い施策を、スピード感を持って展開してまいりたいと考えております。 具体的には、まず経済面では産業振興計画をバージョンアップし、地産外商のさらなる強化に加えてその成果を拡大再生産の好循環につなげていく取り組みを進める、その際中山間地域に特に手厚く対応することにより、高知の本来の強みの源泉を将来にわたり生かし、本県経済の持続的な発展へとつなげてまいりたいと考えております。こうした取り組みを通じて、私は、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県の実現を目指してまいりたいと考えているところです。また、こうした高知県を実現することは、福祉の面から見れば、住みなれた地域で住み続けることのできる高知県につながってまいります。日本一の健康長寿県構想などをバージョンアップし、地域地域の医療や福祉の充実をあわせて行うことにより、こうした高知県を目指していきたいと考えているところでございます。 地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県、住みなれた地域で住み続けることのできる高知県、これらの実現は、大変ハードルの高い目標ではないかと思います。しかしながら、何としてもなし遂げていきたい課題でもございます。引き続き、県民の皆様や市町村の皆様との対話を積み重ねながら、実現に向けて県庁を挙げて取り組んでまいります。 次に、子供の貧困対策の今後の取り組みの方向性についてのお尋ねがありました。 本年度から、厳しい環境に置かれた子供たちへの支援策を県政の重要な政策課題と位置づけ、取り組みを強化しているところですが、来年度に向けましては、もう一段の取り組みの強化を図っていく必要があるものと考えております。このため、現在策定中の子どもの貧困対策計画につきましては、厳しい環境に置かれた子供たちの発達・成長段階に応じて、きめ細やかな切れ目のない支援策が子供たちや保護者等に総合的に講じられたものとなりますよう、策定作業を進めているところでございます。 具体的には、ひとり親家庭や児童養護施設などといった特に厳しい環境に置かれた子供たちへの支援策を強化するとともに、教育や保育などを受ける機会が損なわれることにならないように、学びの場の確保などを中心に子供たちが安全・安心に成長できる環境整備に向け、放課後の居場所づくりや就職面への支援などを含めて取り組みを強化してまいります。あわせて、保護者等への就労促進や養育力の育成・確保などといった面からの支援策の充実を図ることなどにより、現在の子供たちを取り巻く厳しい環境を改善し窮状から救うとともに、さらには貧困の世代間連鎖を断ち切り、結果として子供たちの貧困問題の解消へとつなげてまいりたいと考えているところであります。 その際には、厳しい環境に置かれた子供たちの問題を社会全体の問題として捉え、教育、福祉を初めとする関係する支援機関がしっかりと連携を図るのはもちろんのこと、民生・児童委員やNPOなどを初めとする地域の皆様方とのきずなのネットワークを構築することなどにより、社会全体で子供たちを見守り育んでいく体制を整備していく必要があるものと考えています。 あわせて、こうした取り組みを進めるに当たりましては、国としても責任を持ってしっかりとした対応をしていただく必要があり、先月には全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして、子どもの貧困対策の抜本強化に向けた緊急提言を取りまとめ、地方の取り組みをしっかりと後押しするための新たな交付金の創設などの政策提言を行ってまいりました。今後とも、国と地方がしっかりと連携した上で地域の実情に応じた取り組みが進められますよう、全国知事会などとも連携を図りながら、国への政策提言などにも努めてまいりたいと考えております。 次に、ルネサス社の高知工場の撤退についての一連の御質問にお答えをいたします。 まず、高知工場の本県における効果、影響をどう捉えているのか、撤退の知らせを受け、今後どのように対応すべきと考えたのかとのお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。 お話にありましたように、ルネサス高知工場は、昭和61年の操業開始以来ピーク時には約1,000人の雇用と本県の製造品出荷額等の約15%に当たる約1,000億円を計上するなど、これまで約30年間という長きにわたり、多くの県民の雇用や製造業の振興を通じて本県経済に大きな貢献をしてきていただいております。近年は規模が減少しており、製造品出荷額等はピーク時の10分の1の約100億円となっていますが、それでも従業員数は約360人と、いまだに本県における大きな雇用の場となっております。 また、高知工場はこれまで、こうした生産活動のみならず地域に根差したシンボルとして、地元の方々との交流なども通じ、地域の活性化にも貢献していただいており、2年から3年後の工場閉鎖を伴う集約という今回の決定は、まことに残念であります。 本年3月末、ルネサス社が高知工場の集約または譲渡やその公表について検討しているという非公式な情報に接した際、真っ先に脳裏に浮かびましたのは、従業員の皆様とその御家族のことであります。県として、何としても従業員の皆様の雇用を守ることが最重要事項であり、その対応に最善を尽くす必要があると考えました。また、高知工場については、第2棟建設を前提に香南工業用水道を整備したといった特別な事情があり、雇用の確保に向けてルネサス社の誠実な対応を引き出すためにも、ルネサス社には過去の経緯を十分に理解いただく必要があると思いました。ただ同時に、そのための交渉は前途多難であることが予想され、暗たんたる思いもいたしたところであります。 このため、直ちにルネサス社に対し、集約方針の再検討を強く要請するとともに、香南工業用水道の整備経過を含め、十分な検討、協議の期間を確保していただくよう求めることとしたところでございます。 次に、これまでのルネサス社との協議の内容と経緯についてお尋ねがありました。 本年3月末に非公式に情報を入手した後、県としては従業員の皆様の雇用を守ることが第一と考え、4月に入り、直ちに同社に対し、集約の方針の再検討を強く申し入れました。あわせて、どうしても集約が避けられない場合は、早期に高知工場の譲渡先を確保するとともに、長期にわたり未活用であった第2棟用地の活用策を見出す必要がある旨も申し入れたところです。その際、これらの事柄についてルネサス社の誠実な対応を引き出すためにも、県が第2棟建設を前提に香南工業用水道を整備したという複雑な経緯や事情についてルネサス社に深く理解していただく必要があることにも鑑み、同社に対し十分な検討、協議の期間を確保していただくよう申し入れました。その結果、5月にルネサス社から、遅くとも12月1日に公表すること、それまでに県と協議を行っていく旨の回答を得て、同社との協議のテーブルに着くことができました。 その後、香南工業用水道に係る事実関係について、弁護士の力もおかりして、当時の関係者からの聞き取りを行いながら10年以上前にさかのぼって精査、整理をいたしました。その内容が整いました7月から8月にかけまして、ルネサス社に対し、過去の経緯を詳細に繰り返し説明しながら、重ねて高知工場集約の方針の再検討を申し入れました。あわせて、どうしても集約が避けられない場合は、高知工場の譲渡先の確保と、第2棟用地の本県の産業振興策への活用に向けた協力、加えて香南工業用水道の整備費用等についての応分の負担を求めてまいりました。9月には、弁護士とも協議の上、集約の方針の再検討を繰り返し求めながらも、集約が避けられない場合は第2棟用地を県営の指定工業団地として活用するため、県に無償で譲渡するよう申し入れたところです。あわせて、高知工場の譲渡先の早期確保を図るためにも、9月議会で今後の対応等を説明できるよう本件について早期に妥結し、かつ公表するよう申し入れたところです。 しかしながら、この県からの申し入れに対しルネサス社からは、9月から10月にかけて、県に第2棟用地を無償譲渡することについては、金融機関など多くのステークホルダーを抱える中で大きな決断を要することであり容易なことではない旨の反論があり、また顧客対応などのために十分な準備を行う必要がある旨の主張がなされたところであります。 その後、申し入れ内容について粘り強く断続的に協議が続けられたところですが、用地の無償譲渡の要求は通したものの、残念ながら集約の方針の撤回には至らず、ルネサス社は、11月27日に高知工場の集約を決定し、12月1日に公表しました。それを受け、同日にルネサス社の鶴丸社長と私が面談を行い、高知工場の集約の方針を踏まえた今後の対応について確認したところであります。 次に、ルネサス社の鶴丸社長との協議内容についてお尋ねがありました。 12月1日の協議では、まず鶴丸社長からは、高知工場を集約しなくてはならなくなったことはまことに遺憾であり、生産量の減少に対応するための合理化や新しい事業を立ち上げるなどの取り組みに手を尽くしてきたけれども、予想以上の減少となったことで集約せざるを得なかったとの説明がありました。またあわせて、従業員の雇用の維持に全力を挙げていきたいので県の協力もお願いしたい、第2棟用地については県に無償で譲渡したいとのお話がありました。私からは、従業員の雇用の維持に最大限の努力をお願いしたい、そのためにも高知工場の譲渡先の確保と第2棟用地への企業立地について、県も一緒に取り組みたいとのお話をしました。 その上で、協力企業を含めて約360名の雇用を守ることを最大の目的としまして、ルネサス社は高知工場の譲渡先の確保に努め、県はこれに協力すること、ルネサス社は第2棟用地を県に無償で譲渡すること、県は第2棟用地を県指定の工業団地とし企業立地に努力すること、ルネサス社と県はこれらを通じて高知工場の従業員の雇用継続に努力すること、これらの進捗状況を確認するため定期的に協議の場を持つことなどについて同社と確認したところであります。その内容について最終的にルネサス社と合意するため、今回和解議案を提案させていただきました。 次に、香南工業用水道の整備について県と当時の三菱電機との間で契約が交わされていなかったことに関して、行政上の瑕疵はなかったのかとのお尋ねがありました。 県が平成8年より香南工業用水道の整備に着手するに当たって、県と三菱電機株式会社との間には、御指摘の契約を結ぶことが現実的には困難な3つの事情があったと考えています。 まず第1に、三菱電機は、新たな工場の建設先として高知県だけではなく、水が豊富にあり同社の製造拠点のある他県への立地も視野に入れておりました。熾烈な地域間競争である企業立地において、企業の撤退時に立地自治体が支出した費用を負担する内容を含む契約等を締結することは一般的ではなく、契約の締結を三菱電機に要求すれば他県との競争に敗れ、そもそも本県への誘致話そのものが解消してしまう可能性さえ否定できなかったものと承知しております。 第2に、高知工場が従業員約1,000人を雇用し、ピーク時の平成7年には1,000億円の製造品出荷額を誇るなど順調な稼働を続けていたこと、三菱電機が第2棟の従業員用として120世帯の社員寮の用地を既に取得していたこと、県と三菱電機が香南工業用水道の水量などについて事務レベルで合意形成していたことなど、当時県が三菱電機による第2棟の整備が確実であると考えるに至るだけの十分なコミットメントがあったものと考えられます。結果として第2棟の整備がかなわなかったのは、その後の半導体市場の世界規模での大きな変動によるものと考えています。 第3に、現実問題として、契約を結ぶこととなれば、一方が一方に要求するだけの片務的なものではなく、双方が互いに要求を突きつける双務的な内容を盛り込んだものとなります。仮に、当方が第2棟を建設しない場合の三菱電機の費用負担について契約を結ぼうとすれば、先方からは香南工業用水道の整備がおくれた場合の損失補償を求められる可能性がありました。香南工業用水道の整備について、当時、地元調整に多大な時間を要する見込みであったことに鑑みれば、多額の損失補償を負担せざるを得なくなるリスクは十分にあり、このような契約を締結すること自体が大きなリスクであったことが想像されるところです。 以上のように、第1に、熾烈な地域間競争があったこと、第2に、三菱電機の第2工場の整備を信じるに足るコミットメントがあったこと、第3に、契約を締結するならば双方が義務を負う双務契約となり、県も相当のリスクを負うおそれがあったことから、当時契約を締結しなかったことは、相当な理由があって、やむを得なかったものであり、行政手続上の瑕疵には当たらないと考えるところであります。 次に、今回のような大規模な企業誘致における行政のインフラ整備や企業誘致のあり方、また改善すべき点があるならどのようにしていくのかについてお尋ねがありました。 企業誘致は、県民の雇用の場の確保と地域経済の活性化、また税収の確保による県民の福祉の向上を図る重要な取り組みでありますので、今後も積極的に推進していく必要があると考えております。 その際、企業誘致の性質に鑑みて、留意しなければならないことが3つあると考えています。第1に、立地企業との信頼関係が重要であることであります。企業誘致は地域間競争の側面があり、各自治体とも企業立地に関する優遇制度を用意しておりますが、結果としまして、誘致活動を通じて相互の信頼関係を築けたところに立地が実現しているのが実態であります。第2に、企業誘致は個別性が強いということであります。誘致が実現した場合の経済効果、他の自治体との競合関係、関係業界の将来性、企業が自治体に求めるニーズなど、案件ごとに異なっており、企業誘致の際は、一律の対応ではなく、個別の企業ごとにきめ細かく対応する必要があります。第3に、企業誘致にはリスクが伴うことであります。立地企業は、刻一刻と変化する市場の動向への対応や従業員の確保などについてリスクを抱えており、立地自治体は、企業誘致を前提としたインフラ整備等の財政負担についてリスクを抱えています。 今回のルネサス社の事例は、特定の企業の立地のために工業用水道といった大規模なインフラを整備するという点において特殊な事例であります。現時点で、こうした特殊な事例は想定しておりませんが、今後こうした事例については、立地企業との信頼関係を確保しつつ、案件ごとに企業誘致に関する県のリスクをできるだけ減少させるための対応を行ってまいりたいと考えています。 具体的には、現在においても取り組んでいることでありますが、今後一層改善していく点として3点ございます。第1に、企業との協議の進展に応じ、本県への立地に対するコミットメントを節目節目で確認してまいります。企業訪問を重ねることはもちろんのこと、例えば誘致が具体化した初期の段階で相互の協力内容を具体的に明記する協定を締結するなど、節目節目において双方のコミットメントを明確に確認していくよう努めてまいりたいと考えております。第2に、今回のようなケースでは、ことし庁内に新たに立ち上げました企業立地推進会議などの場を通じて、関係部局が共同して、企業誘致の視点だけでなく法律的な評価や関係する業界の動向など、多角的な視点からの検討を行っていくようにしなければならないと考えております。第3に、こうした事例の取り組みでは、何より県民の皆様への説明責任を果たすことが重要と考えますので、企業機密事項にも留意しつつ、企業誘致の進捗状況に応じて速やかに県議会に報告し、議員の皆様の御意見もお伺いしながら適切に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 最後に、従業員の皆様の雇用継続に向けた決意についてお尋ねがございました。 高知工場の工場閉鎖に伴う集約は2年から3年後となっており、時間は限られております。この間に、高知工場及び協力企業の従業員の皆様を初め、その御家族の生活をしっかり守っていかなければなりません。 県では今月2日、商工労働部にルネサス高知工場集約対策本部を設置しました。この本部では、ルネサス社はもとより、香南市を初めとする関係者とも連携・協力し、高知工場の譲渡先の確保と第2棟用地への企業立地の早期実現により、雇用の維持・継続を図ることにしています。従業員の皆様、御家族の皆様には一日でも早く安心して生活を送っていただけますよう、私自身先頭に立って全力で取り組んでまいります。 次に、2060年の総人口55万7,000人の実現に向けた少子化対策の今後の取り組みについてのお尋ねがありました。 本年8月に改定した高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略では、2060年に政府推計より4割多い総人口55万7,000人の維持を目指して取り組んでいくこととしておりますが、このためには、若者の定着、増加を図ることとともに出生率の向上を果たすとの2つの点を、経済、福祉等にわたる総合的な取り組みを通じて実現していく必要があります。 このため、まず若者の定着、増加、これを図るため、産業振興計画を推進して県内に雇用を創出するとともに、移住の促進や人材誘致に取り組んでまいります。さらには出生率の向上、これを目指して、特に出生率の高い中山間地域において産業創出等の取り組みを手厚く行い若者の定着、増加を目指しますとともに、いわゆる少子化対策、すなわち県民の皆様の結婚・出産・子育ての希望をかなえる取り組みを進めていくこととしております。このように、目標とする人口を達成するための取り組みは極めて広範囲にわたるものであり、今後とも県政全般を挙げて、その取り組みを強化してまいります。 その中で、この少子化対策についても、もう一段の抜本強化を図ることが必要だと考えております。このため、第1に、ライフステージの各段階に応じた対策のもう一段の充実強化を図るのはもちろんのこと、第2に、官民協働による県民運動の取り組みへと進展させていくことに努めてまいりたいと考えております。 具体的には、まず第1のライフステージの各段階に応じた対策の強化につきましては、マッチングシステムや婚活サポーターなどによる職場などの身近な場所での出会いの機会の創出や、若いころからライフプランを意識していただく学習機会の提供などの結婚支援に取り組んでまいります。また、多様な働き方を可能とする保育サービスの充実などによる切れ目のない子育て支援策の強化や、家庭内での家事、育児の適切な役割分担に向けた啓発、さらには女性が安心して結婚し、子育てをしながら働き続けられる職場環境づくりを支援するなど、ワーク・ライフ・バランスの取り組みなども推進してまいります。 次に、官民協働による県民運動に進展させていくための取り組みに関しては、新たに高知家の出会い・結婚・子育て応援団を創設し、これまでの市町村との連携した取り組みに加えて、これまで働きかけが十分ではなかった民間企業等の皆様と協働した取り組みを推進してまいります。その上で、今後、高知家の出会い・結婚・子育て応援団と体制が強化された高知県
少子化対策推進県民会議、高知家の出会い・結婚・子育て応援コーナーなどが強固なネットワークを構築し、少子化対策を県民運動として県内の隅々にまで広げていくことができるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。 私からは以上でございます。 (商工労働部長原田悟君登壇)
◎商工労働部長(原田悟君) まず、ルネサス社との合意内容を和解議案としたことの理由についてお尋ねがありました。 地方自治法第96条第1項第12号では、地方公共団体が当事者である和解に関することは、議会の議決事項と定められております。この和解は、裁判上の和解だけではなく、裁判外の和解、いわゆる示談も含むと解釈されています。 今回のルネサス社との合意は、高知工場の譲渡先の確保に向けた努力、第2棟用地の無償譲渡などを確認し、これにより、今後は県とルネサス社が高知工場の従業員の皆様の雇用継続に協力していこうという内容です。言いかえれば、高知工場の閉鎖を伴う集約や香南工業用水道の整備費用の負担などについて、お互いが今後争うことがないこと、すなわち本件についてお互いに、これ以上に債権債務がないことを確認することとなるものです。 このように、ルネサス社と県との間で争いを解決させ、今後連携して従業員の雇用の継続に努めていくことは、裁判外での和解に該当いたしますことから、今回和解議案として提案させていただきました。御承認いただけましたなら、県としましても、協力企業も含めた従業員の皆様の雇用維持に全力で取り組んでまいります。 次に、高知工場の集約の発表を受け設置しました対策本部における今後の対応についてお尋ねがありました。 12月1日のルネサス社高知工場集約の発表を受けまして、翌2日に、高知工場の譲渡先の確保と第2棟用地を活用した工業用地への企業立地を早期に実現させ、高知工場と協力企業の従業員の皆様の雇用の維持・継続を図るため、ルネサス高知工場集約対策本部を設置いたしました。 対策本部では、まず、譲渡先の確保につきましては、ルネサス社との連携・協議の場を密に持ちながら情報把握に努めますとともに、県の立地支援策の活用も視野に、ルネサス社と共同の誘致活動に取り組み、早期の実現を図ってまいります。また、第2棟用地につきましては、今議会に提案しています議案の承認が得られましたら、ルネサス社から譲渡を受け、第2棟用地への早期の企業立地が可能となるよう手続を進めていく予定です。あわせて、対策本部では、従業員の皆様や関連企業からの御相談についてもしっかり対応してまいります。この本部は、立ち上げにおいては県庁内の組織としていますが、今後の状況によりまして地元香南市や国の機関などの関係機関にも参画いただくなど、しっかり連携していきたいと考えています。いずれにしましても、スピード感を持って、従業員の皆様の雇用の維持・継続に全力で取り組んでまいります。 次に、事業承継・人材確保センターにおける、企業が求める人材のマッチングの現状と立ち上げ後の課題についてお尋ねがございました。 本年4月に開設しました事業承継・人材確保センターでは、これまでさまざまな機会を活用しまして事業者の皆様にその取り組みの周知を図ってまいりました。その結果、センターには、11月末までに事業承継に関する相談が78件、人材確保に関する相談が80件、合わせて158件の相談をいただいております。 事業承継に関する相談につきましては、後継者に事業を譲るに当たっての事業承継計画の策定や事業拡大に向けたMアンドAの相談などが寄せられております。相談のあった案件につきましては、現在、専門のスタッフと税理士、公認会計士等の専門家や金融機関などから成る支援チームが、相談者の状況に応じまして、適切な解決に向け順次対応を進めておりまして、これまでに2件の事業承継が完了しております。 人材に関する相談につきましては、生産管理から営業に至るまで、高度で専門的な知識や技術を有する中核人材など、多種多様な人材にかかわるものとなっております。こうした相談に対しましては、専門スタッフが事業者を訪問し、求める人材の経験や技術はもとより相談に至った背景や経営者の思いなどをきめ細かく把握し、ニーズに合った人材を紹介していく中で、これまでに6件の採用につながっております。 しかしながら、今後も人手不足の状況や中核人材に対するニーズの増加が見込まれる中で、事業者の皆様のニーズにしっかりと応えていくためには、県内外の中核人材に関する情報をさらに蓄積し、より多くのマッチングにつなげていくことが必要となっています。このため12月から、首都圏での人材情報などを収集する求職コーディネーターを新たに東京事務所に配置したところです。 今後も、センターがそれぞれの事業者のニーズにしっかりと応え、金融機関や専門家とも連携し、次なる事業展開や拡大再生産の取り組みにつなげていけますよう全力で取り組んでまいります。 次に、TPP合意による製造業の国内回帰への現状の認識と、今後の企業誘致活動についてお尋ねがありました。 TPP協定の大筋合意では、日本から他の参加11カ国に輸出される工業製品について、品目数では86.9%、貿易額では76.6%に当たる関税が、協定発効後即時に撤廃されることになっています。 県では、この大筋合意の発表を受け、TPP協定による影響などについて県内の企業や商工団体にアンケート調査などを行いましたところ、現在では具体的な情報がないということのために、現時点においてはメリット、デメリットについて判断はできないといった声を多くいただいておりますが、輸出関連の企業などからは、受注がふえるといった、今回の合意をビジネスチャンスと捉えた御意見もお聞きしています。また、海外に生産拠点を持つ企業からは、関税撤廃は国内回帰への要因の一つになるといった御意見も伺っています。 全国的には、円安や海外での生産コストの上昇などで、日本への製品供給が多い電気機械などの分野において国内での生産を増加させる動きもある中、議員のお話にもありましたように、今後TPPによる海外に立地する企業の国内回帰の動きも期待されるところでございます。 県としましては、今後TPPに関する全国的な企業の動向も注視しながら、全国トップレベルの企業誘致支援制度や充実したアフターフォロー体制など本県の強みをさらにPRすることで、一社でも多くの企業の立地につなげてまいりたいと考えています。 最後に、工業団地の整備の状況、産業集積を踏まえた企業誘致の取り組み状況についてお尋ねがありました。 まず、高知市一宮の団地につきましては、高知市との共同開発により分譲予定面積約4.8ヘクタールの工業団地として、平成29年度中の完成を目指し整備を進めております。現時点で約9割の用地契約が完了しており、残る共有地につきましても近く取得できる見込みであり、工事につきましても本年度中に着手することとしています。また、南国市日章の団地につきましては、これも市との共同開発でございますが、分譲予定面積約11ヘクタールの工業団地として、平成30年度中の完成を目指し整備を進めております。これまで用地調査や実施設計とあわせ地元説明会を進めておりまして、来年度には用地取得に着手する予定です。いずれの団地とも、県内、県外の企業の新たな立地や増設などのニーズに応えられるよう、早期の完成に向け全力で取り組んでまいります。 また、企業誘致につきましては、これまでの誘致の取り組みに加え、本県の強みであり地域の基幹産業でもある第1次産業分野等と連携した幅広い視点からの企業立地を推進するほか、地方に拠点を設置する、いわゆるニアショア志向の高まりにも対応した、若者の就職希望が多い事務系職場の集積を目指すなど、部局連携を強化しまして、全庁が一丸となって取り組んでいきたいと考えております。 (総務部長梶元伸君登壇)
◎総務部長(梶元伸君) ルネサス社高知工場の集約について、今回の和解の内容が、これまで県が費やした香南工業用水道の整備費用等に見合っていると考えるかとのお尋ねがございました。 まず、香南工業用水道は平成14年3月に完成し、その整備及び維持管理にこれまで要した費用は、整備費用22億4,600万円余り、維持管理費6億7,800万円余りの合計29億2,500万円余りでございます。このうち、ルネサス社との因果関係を認め得る費用の額については、まず土地代等は県の資産として残るため、これを除外する必要があり、次に工業用水は今後利用できることから、おおむね33年間利用可能な香南工業用水道について、第2棟建設計画のために利用できなかった14年間に見合うものとする必要があり、さらに香南工業用水道の給水能力の4分の3がルネサス社向けであることを考慮する必要があります。 このため、ルネサス社との因果関係を認め得るのは、整備費用が22億4,600万円余りのうち5億8,000万円余り、維持管理費が6億7,800万円余りのうちの4億4,000万円余りで、合計では29億2,500万円余りのうちの約10.2億円となります。この10.2億円については、第2棟を建設しない場合の費用負担を規定する契約が存在しないことから、仮にルネサス社に一定の信義則違反が認められるとしても、その全額をルネサス社に負担させることはできないと判断しております。 信義則違反を理由に損害賠償が認められた過去の裁判例では、信義則違反があった側の負担割合を1割から5割と認定しており、当時の半導体市場の急激な悪化が予測困難であったという事情も考慮すれば、仮に本件でルネサス社に信義則違反が認められたとしても、ルネサス社が負担すべき割合は、過去の裁判例と比較しても相当に低い負担割合にならざるを得ないと判断をしております。このため、ルネサス社に負担を求め得る額は、先ほど申し上げました10.2億円の半分の5.1億円を上回ることはないものと考えております。 一方、今回の和解により、県が無償譲渡を受けます第2棟用地の鑑定評価額は約6億円でございます。このため、第2棟用地の価値は、ルネサス社に負担を求め得る額を十分に超えているものと認識しております。なお、これまで申し上げてきた内容については、弁護士からも同様の意見を得ているところです。さらに、今回の和解は、このように金銭的に十分な成果を含んでいるだけではなく、ルネサス社との良好な協力関係を引き続き維持した上で、高知工場の譲渡先の確保や第2棟用地の活用に向けてスピード感を持って取り組めることなど、県にとってのメリットが大きい和解であると考えております。 (地域福祉部長井奥和男君登壇)
◎地域福祉部長(井奥和男君) 独身者の結婚の希望をかなえるためのマッチングシステムの取り組み状況についてのお尋ねがありました。 結婚を望むものの結婚できていない独身男女が適当な相手にめぐり会う出会いの機会を、より早く、より多く提供するためのマッチングシステムの導入につきましては、現在円滑な運営に向けた準備作業を進めているところです。 利用していただく独身者の相談窓口につきましては、高知市駅前町に来年1月12日からこうち出会いサポートセンターとしてオープンすることとしており、センターでは、高知家の出会い・結婚・子育て応援コーナーで行っているこれまでの結婚に関する相談業務などに加え、結婚を希望する独身者が会員となり、お引き合わせの申し込みなどを行う際の手続面でのサポートはもちろんのこと、お引き合わせに立ち会うボランティアの選定などを含め、出会いの機会をきめ細かく支援してまいります。 会員登録の手続につきましてはセンターオープンの1月12日から開始することとし、実際に希望するお相手の検索や閲覧が可能となるのは4月1日を予定しておりますが、現時点で100名を超える独身者の方々からの入会申し込みをいただいております。またあわせまして、独身者同士のお引き合わせへの立ち会いや、その後の交際を見守っていただくためのボランティアの養成も進めており、県主催による出会いのイベントなどで経験を積んでいただいているところです。 県としましても、結婚を望まれます独身者の希望の早期実現に向けましては多くの独身者の方々に会員になっていただくことが必要ですので、県内の企業や団体などへのさらなる周知、広報に努めてまいりますとともに、4月からのスムーズな運営に向けまして取り組みを加速してまいります。 (危機管理部長野々村毅君登壇)
◎危機管理部長(野々村毅君) 南海トラフ地震対策に関して、命をつなぐ対策の今後の取り組みについてお尋ねがございました。 南海トラフ地震対策は、ことしを最終年度とする第2期行動計画に基づき、命を守る対策を最優先とし、あわせて助かった命をつなぐ応急期の対策にも取り組みを進めてまいりました。この結果、1,560カ所の津波避難空間の整備が本年度末で約94%完了するなど、命を守る対策を中心に一定の成果が見えてきましたが、命を守る、命をつなぐ、それぞれのステージでまだまだ多くの課題があります。 現在策定中の第3期行動計画では、これら多くの課題に取り組んでいくこととしております。その中でも重点的に取り組む課題として、命を守る対策については2つ、住宅の耐震化の加速化と地域地域での津波避難対策の実効性の確保を、また議員からお話のありました命をつなぐ対策につきましては、5つの課題を位置づけることとしています。 具体的には、まず1つ目として、避難所の確保と運営体制の充実に取り組んでまいります。不足する避難所の確保に向けて、耐震化されていない避難所や集会所の耐震化と学校の教室利用を促進することで、全ての避難者が県内で避難生活を送ることができるように努めてまいります。あわせて、住民の皆様が中心となって避難所を迅速に立ち上げて、円滑に運営していただくためのマニュアルを作成する取り組みを、全ての避難所に広げてまいります。 次に、地域に支援物資等を届けるためのルートの確保の取り組みとして、現在検討中の道路啓開計画において、啓開に長期間を要することが想定される地域に対して、陸路のみならず海路や空路といったルートも活用できるようにすることを目指し、緊急用ヘリコプター離着陸場の整備などのハード整備や、道路啓開用の重機確保の拡大などのソフト対策を進めてまいります。 このほかに、応急期の活動に必要となる応急救助機関の活動拠点や仮設住宅の建設場所などの配置を事前に検討しておく計画の策定。被災地からの救急搬送が困難な中、より負傷者に近い場所で地域の総力を挙げて対応する前方展開型の医療救護体制の構築。高知市での長期浸水区域において、一人一人が確実に避難できるようにする地域の津波避難計画の見直しと、長期浸水区域からの救出についての検討といった取り組みも進めてまいります。 これら5つの重点的に取り組む課題を含めた命をつなぐ対策については、第3期行動計画の取り組みの柱として質・量ともに本格化させてまいります。 (農業振興部長味元毅君登壇)
◎農業振興部長(味元毅君) まず、今後の新規就農者の確保の取り組みについてお尋ねがございました。 新規就農者の確保につきましては、これまでの県内外での就農相談会やこうちアグリスクールの開催、またことしから取り組んでおります産地提案型の担い手確保対策の実施、さらには相談窓口の強化のための就農コンシェルジュの配置などによりまして、お話のございましたように、平成27年調査では過去最高の269人を確保することができたところでございます。しかしながら、本県農業の維持・発展に必要な新規就農者の確保目標であります280人には至っていないことから、さらなる対策の強化が必要であると考えております。 このため県では、まずは本県の農業に関心を持っていただく入り口対策として実施をいたしております
こうちアグリスクールにつきまして、激化する他県との競合に打ち勝ち、より多くの受講生を確保できるよう、民間企業のノウハウを活用するなど開催方法の見直し、拡充を検討してまいります。また、新規就農者の確保に有効であります産地提案型の担い手確保対策につきましては、産地の積極的な募集活動に対する支援を強化いたしますとともに、その取り組みを県内全域へ普及してまいります。このほか、移住対策と連携して取り組んでおります就農相談会の拡充など、就農コンシェルジュの活動をさらに強化いたしますとともに、県内外の大学生や高校生を対象とした本県農業のPRの強化など、将来の新規就農者の裾野の拡大につながる対策につきましても、新たに取り組んでまいります。 次に、新規就農者の育成、定着に向けた取り組みについてのお尋ねがございました。 これまで県では、農業担い手育成センターや各産地の指導農業士のもとでの技術研修、県の普及指導員による技術支援、さらには園芸用ハウスの整備への支援など、新規就農者の育成とその定着を目指してさまざまな取り組みを実施してまいりました。しかしながら、県の調査では、就農後5年以内の離農者が過去5カ年間の平均で年間23人おられることから、各産地が受け入れ体制をしっかりと整備をした上で、新規就農者をフォローしていく体制の強化が必要だと考えております。 このため県では、従来の取り組みに加えまして、新規就農者の育成と定着に向けた総合的な取り組みでもございます産地提案型担い手確保対策をさらに強固なものとするため、経営や生活支援も含めた各産地の受け入れ体制の整備や、産地が行う研修を強力に支援してまいりますとともに、この取り組みを県内全域に普及してまいります。また近年、Iターンの方を中心に増加傾向にあります雇用就農者の定着のためには、受け皿となります法人経営体の強化も必要でございます。このため、組織マネジメント力の強化や従業員育成などの研修を実施し、継続して雇用ができる環境の整備も図ってまいりたいと考えております。このような取り組みによりまして、新規就農者を確実に本県農業の担い手として育成し、定着できるよう努めてまいります。 次に、新規就農者の農地の確保についてのお尋ねがございました。 県が実施しました新規就農者へのアンケートでは、就農時に苦労した点や就農後5年以内の初期段階の課題として、農業技術の習得とともに農地の確保が挙げられておりますなど、新規就農者にとって農地の確保は大きな課題だと考えております。このため県では、新規就農者が安心して就農し、経営発展につなげていけますよう、その基礎となる農地の流動化の取り組みを強化していくこととしております。 具体的には、地域の実情をよく知っている産地みずからが就農に必要な農地の確保も含めて総合的に支援する産地提案型の取り組みをさらに強化いたしますとともに、この取り組みを県内全域に普及することにより、新規就農者のスムーズな農地の確保につなげていきたいと考えております。また、担い手への農地集積に取り組んでおります農地中間管理機構では、現在、地域の事情に詳しく、農業者に信頼の厚い人材を推進支援員や農地活用サポーターとして配置し、貸し出していただける農地の掘り起こしと新規就農者へのマッチングを進めております。今後、この取り組みをさらに拡大してまいります。こうした取り組みに加えまして、各市町村との連携を図りながら、地域地域に新規就農者や規模拡大農家のニーズに応えられる優良農地をあらかじめ準備しておく園芸団地の整備にも取り組んでまいります。 最後に、近年多発する集中豪雨などの災害への対処の観点から、排水路などの農業基盤整備を強化するべきではないかとのお尋ねがございました。 大雨による農業被害を防止し、安心して農業を続けていただくためには、良好な排水条件を確保することが何よりも重要でございます。このため県や市町村では、これまでに幹線的な排水路を170キロメートル余り整備するなど排水条件の改善に取り組んでまいりました。しかし、近年の集中豪雨では、水路の排水能力を超えることもあり、改修が必要な地域も出てきております。 こうした地域の課題に対応するため、国の補助事業を導入し、県営事業では四万十町越行地区で排水路を改修したほか、市町村事業では、この2年間で高知市や田野町など19の市町村で31カ所の改修を行いますなど、市町村と連携し、きめ細かく取り組んでいるところでございます。このように、規模の大きなものから小さなものまで対応できる補助事業もございますので、こうした事業をうまく活用しながら、引き続き市町村とともに災害に強い農業基盤整備を進め、農業被害の防止に取り組んでまいります。 (林業振興・環境部長大野靖紀君登壇)
◎林業振興・環境部長(大野靖紀君) まず、林業に関する人材確保についての現状や課題についてお尋ねがございました。 県では、林業の担い手対策の一環として、これまで現場作業で必要となるチェーンソーや車両系、高性能林業機械などの技術講習を行っており、平成26年度の受講者数は延べ1,894人となっています。あわせて、国の緑の雇用制度の活用や、林業労働力確保支援センターにアドバイザーを配置し、雇用情報の収集、提供や林業就業相談会、林業体験講習、林業職場のPR活動などを行い、新規就業者の確保に努めてまいりました。それに加えて、今年4月からは、即戦力となる担い手から将来の本県の林業界を担う人材まで幅広い人材を育成するため、林業学校を創設いたしました。現在、15名の1期生が、現場で必要となる資格の取得や伐木造材など現場実習、県内事業体でのインターンシップを行い、来年春の林業事業体への就職に向けて頑張っているところでございます。 今後の課題でございますが、人口が減少する中で、県内だけで担い手を確保していくことは困難であることから、移住者も含めて林業就業者を確保していく必要がございますし、受け皿となります林業事業体の就労環境を改善して、魅力ある職場としていく必要があります。そのため、移住促進と連携した取り組みを進めてまいりますとともに、平成30年4月には林業学校に高度で専門的な担い手を育成する専攻課程を開講し、全国から多くの人材が集まるよう魅力あふれた学校づくりに向け、準備を進めているところです。あわせて、安全防具や林業退職金共済の掛金に対する支援や高性能林業機械の導入支援、生産性向上に向けた効率的な作業システムの提案などにより、林業事業体の経営改善を図ることで職場環境を改善し、担い手の確保と定着率の向上に努めてまいります。 次に、県外販売事業者による市場形成なども視野に入れた販売強化についてお尋ねがございました。 平成26年度に実施しました内航船を使用した大量輸送は、大消費地である関東地方等への低コスト輸送と販売拡大を図る目的で取り組み、従来の陸送に比べて木材1立方メートル当たり1,800円程度のコストの優位性が実証されました。そのため、再度の実施を検討しておりましたが、内航船のチャーター料が高どまりしていたことや、消費税増税により需要が低迷している時期に一度に大量の製品を持ち込むことについて荷受け事業者から難色が示されたことなどによって事業を見直すこととし、平成27年度からは出荷者が共同し、フェリーとトレーラーを使用して関東地方への輸送コストを低減する取り組みを進めているところです。当初、月3便を目標に設定しておりましたが、従来の陸送に比べて木材1立方メートル当たり1,200円程度のコストダウンが図られましたことや小口取引先への輸送の利便性が向上したことなどから、現在は月当たり8便出荷するなど順調に取引が拡大しております。 今後一層の販売拡大を図るためには価格競争力のある製品を供給する必要があることから、製造コストの削減のため、規模拡大などによる製材工場の大型化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。また、県外の木材市場やプレカット工場などと提携して設置しました販売拡大拠点の活用や、県外で土佐材のPR活動を行っていただく工務店や設計士などのパートナー企業と連携し、消費者ニーズを把握しながら市場にマッチした製品の供給に努めてまいります。加えて、これまでの関東地方だけでなく、東海・関西地方へも低コスト輸送や販売拡大の取り組みを強化するとともに、海外において、県産材の販売拡大が見込まれる国への輸出にも取り組んでまいります。 (水産振興部長松尾晋次君登壇)
◎水産振興部長(松尾晋次君) まず、漁業の新規就業者の確保及び定着についてお尋ねがありました。 漁業の担い手の確保につきましては、産業振興計画の中でも重点課題として位置づけ、漁業就業を支援するアドバイザーの配置やセミナーの開催、県外での就業支援フェアへの参加などにより、積極的に就業希望者を掘り起こしてまいりました。こういった取り組みに加え、漁業に参入するための本格的な技術を身につける長期研修について、研修生の対象年齢や対象の漁業種類を拡大するなど、研修参加への間口を広げてきたところです。この結果、研修希望者や研修生は大幅に増加してまいりましたが、それに伴い指導者の不足など受け入れ体制の強化が課題として浮かび上がってまいりました。こうしたことから、漁業指導所が中心となって、1人の研修生に複数で対応できる指導者のグループ化を関係漁業者に働きかけるなど、新たな指導者の確保に努めてきたところです。 一方、ブランド養殖マダイの生産者の減少やメジカ加工品の原料不足などが喫緊の課題として生じてきたことから、本年10月には、関連する民間企業などが研修生を雇用して計画的に担い手を育成する新たな制度を創設し、メジカひき縄漁業やマダイ養殖業など、これらを対象に取り組みを開始してきたところです。 こうした取り組みを通じまして、浜の受け入れ体制の充実を図るとともに、就業時の初期投資の負担の軽減や、研修を希望する段階から研修修了後までの一貫したきめ細やかなフォローを行うことで、新規就業者の確保と定着を促進したいと考えております。 次に、高知家の魚応援の店の今年度の登録目標である500店舗を早期に達成できた要因についてお尋ねがありました。 高知家の魚応援店制度は、本県の少量多品種の水揚げという特性を踏まえ、まとまった量の取引に適した市場流通とは異なる新たな販路を開拓し、産地の所得の向上を図ることを目的に、昨年度取り組みを開始しました。既に11月末時点で、関東や関西を中心に目標を上回る565の飲食店に登録をいただきました。 このように登録店舗数の目標を早期に達成できた要因は、日ごろから大都市圏の飲食店とつき合いのある東京、大阪、名古屋の県外事務所や地産外商公社との連携、飲食店とネットワークがある大手グルメサイトの活用、さらには県内の参画事業者の協力など、県のみならず民間と一体となった取り組みができたことが挙げられます。こうした取り組みに加え、本県の自然が豊かで漁業が盛んといったイメージや、通常の市場流通では入手が難しい特徴のある水産物を調達できるといったことが、大都市圏の飲食店のニーズにマッチしたことなどが考えられます。 また、応援の店との取引に関心のある産地買い受け人や加工事業者などの県内の参画事業者数も78に上っており、本年9月に実施したアンケート調査によりますと、応援の店との年間の取引額は1億円を上回るものと見込まれます。 今後は、さらなる取引の拡大を目指し、商談会や産地見学会などによる応援の店と県内の参画事業者とのマッチング機会を拡充するとともに、温度管理の徹底による商品力の向上など応援の店のニーズに適切に応えることができるよう、産地対応力の強化を図ってまいります。 (土木部長福田敬大君登壇)
◎土木部長(福田敬大君) 高知県建設業活性化プランのこれまでの取り組みの成果と今後の方向性についてお尋ねがございました。 高知県建設業活性化プランにつきましては、昨年6月に改正された公共工事の品質確保の促進に関する法律の趣旨を踏まえ、それまでの課題を整理した上で本年3月にバージョンアップを行い、コンプライアンスの確立、公共工事の品質と担い手の確保、県内建設業の活性化への支援の3つの柱に基づく取り組みを進めてまいりました。 まず、コンプライアンスの確立につきましては、このことを活性化プランの全ての取り組みの大前提として位置づけており、発注者と受注者の双方がしっかりと取り組むこととしております。建設業協会などの業界団体においても積極的に取り組んでいただいており、県主催で開催した研修会には1,000人を超える皆様に御参加いただいたところです。 次に、公共工事の品質と担い手の確保につきましては、具体的な取り組みとして、繰越制度の柔軟な活用などにより端境期の事業量の確保に取り組んでおり、本年4月末時点で土木部発注工事における建設事業者の手持ち工事量は110億円を上回るものとなっております。本年11月に行いました建設業協会会員企業へのアンケート調査においても、端境期の事業量については一定確保できたと評価をいただいております。来年度に向けましては、既に9月議会において132億円余りの繰越事業費を認めていただいており、今議会においても71億円余り、合計203億円余りの繰越事業費を計上させていただいております。 次に、県内建設業の活性化への支援につきましては、各種の研修会を実施しており、施工力の向上やインフラ点検技術の習得、本年度から新たに実施しています若者の入職・定着促進に向けた雇用環境改善の研修など、延べ1,000人以上の経営者や技術者の皆様に御参加いただいております。また、個々の企業の課題解決に向けたアドバイザー派遣制度についても、これまで10の企業やグループが活用され、工程管理などの指導・助言を受けておるところでございます。 さらに、建設業のイメージアップに向けた取り組みも支援しており、高知県建設業協会が主催したこうち防災フェスタ2015には、昨年を約1,000人上回る約5,000人の県民の皆様に御来場いただきました。 県としましては、こうした活性化プランの方向性は今後とも堅持してまいりたいと考えております。現在、高知県建設業協会の各支部との意見交換会を開催しており、こうした機会を通じて関係団体や建設業者の皆様の御意見も伺いながら、活性化プランのブラッシュアップを図り、取り組みがより実効性のあるものとなるよう努めてまいります。 (産業振興推進部長中澤一眞君登壇)
◎産業振興推進部長(中澤一眞君) まず、移住者の定着状況についてお尋ねがありました。 本県に移住していただいた方々の定着状況について、昨年度、市町村や民間の移住支援団体を通じて調査しましたところ、少数ではありますが、仕事や地域になじめなかったという理由から移住後に転出をされた事例がございました。このため、今年度からは市町村や移住支援団体等とも連携をして、事前の相談の段階から十分な地域の情報を提供するなど、移住希望者との間でより丁寧なコミュニケーションを図るよう留意し、こうした残念なケースが発生しないよう努めているところでございます。 また現在、市町村の協力を得て、平成24年度と25年度に移住された方のその後の定着状況やミスマッチの事例についての調査を実施しており、年度内には取りまとめることとしております。この調査結果も参考にしながら、次期産業振興計画においては、定着状況に関するKPIを新たに設定するとともにミスマッチの防止や定住の促進に向けた施策を強化するなど、移住された方が地域の担い手として活躍し続けていただける環境をより一層整えてまいりたいと考えております。 次に、さらなる高みを目指すための今後の移住促進の取り組みについてお尋ねがありました。 本年10月末時点での移住の実績は289組となっており、本年度の目標達成に向けておおむね順調に推移しているものと考えております。しかしながら、第3期の産業振興計画において、これまでの取り組みの成果を基礎に拡大再生産につなげていくための担い手を確保していくには、現在の目標である年間500組を上回る水準を目指していく必要があります。このため、次期計画においては、次の3つの視点を中心に施策を強化したいと考えております。 第1は、移住の入り口となる相談件数をさらにふやすことです。本県への移住の大きな端緒となっているホームページへのアクセスを分析した結果、これまでメーンターゲットと想定しておりました高知に好感を持つ方だけでなく、地方での暮らしに関心を持つ潜在的な移住関心層からのアクセスも相当数あることがうかがえましたので、高知家プロモーションとの連携に加えて、こうした移住関心層に対する情報発信の強化を検討したいと考えております。 第2は、移住、定住に至るステップごとの施策及び施策を実施する関係機関相互の連携をさらに密にして、相談から移住、定住に至る割合を高めることです。人材の受け手である各産業分野において担い手確保策が整う一方で、首都圏においては、昨年の移住・交流コンシェルジュに加え、この12月からは事業承継・人材確保センターの求職コーディネーターも配置されるなど、人材確保の施策とその実施機関が多様化をしてまいりました。このため、都市部の人材と県内の人材ニーズを県全体で的確にマッチングできるよう、機能や体制を整えたいと考えております。 第3には、これまで以上に民間との協働を深めることです。本県では、民間の移住支援団体を初めとする企業や団体の皆様が積極的に移住促進の取り組みに参画をいただいております。これらの方々の活動は本県の大きな強みであり、力となっておりますので、次期計画ではこうした方々に、これまで以上に広く深くかかわっていただき、民間の発想や行動力を大いに発揮いただけるようにしていきたいと思っております。 こうした視点から移住促進策を強化することで、移住者のさらなる増加とともに、各産業分野の担い手確保策と連動させた志移住を、一層推進してまいりたいと考えております。 (観光振興部長伊藤博明君登壇)
◎観光振興部長(伊藤博明君) まず、土佐の観光創生塾における人材育成の取り組みについてお尋ねがありました。 今年度から、県内の中央・東部地域と西部地域の2つのブロックで開催している土佐の観光創生塾は、マーケットニーズを踏まえた売れる商品づくりや情報発信、販売などのノウハウの習得を通じて、地域地域の戦略的な観光地づくりにつなげることを目的としております。 このため、観光業界のトレンドや先進的な取り組み事例を学ぶとともに、旅行会社の商品造成責任者も交えたグループワークを重視した内容としております。さらに、それぞれのブロックに旅行商品づくりを広くアドバイスできる地域コーディネーターを配置し、受講生の方々を直接訪問して個々の課題解決に向けたフォローを行うなど、これまでの人材育成の取り組みからはより踏み込んだ実践的な事業として実施しているところです。 今年度は、これまでの取り組みにより、12月現在で43件の旅行商品の造成、磨き上げが行われ、そのうち20件の商品が旅行会社のパンフレットやインターネットの販売サイトへの掲載につながる見込みであり、また人材育成面でも、事業者の商品造成に対する課題解決力が向上するなど、一定の成果が見えてきたところでございます。 地域の観光を担う方々のスキルアップは継続的な観光地づくりを行っていく上で大変重要でございますので、こうした成果や受講生からいただいた御意見なども踏まえ、事業者の規模拡大や事業者間の連携強化にもつながるよう、創生塾の一層の充実に向けて今後検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、歴史資源の掘り起こしの現状と他県との連携状況についてお尋ねがありました。 まず、歴史資源につきましては、土佐・龍馬であい博、志国高知龍馬ふるさと博の2つの博覧会において、サテライト会場として整備した9カ所の施設とその展示物、さらに博覧会を通じて紹介した幕末の志士たちのゆかりの史跡などの歴史資源があります。今後、高知城歴史博物館、坂本龍馬記念館といった本物を感じられる施設が完成を迎えますことから、専門家の力もおかりしながら市町村とも連携し、先ほど申し上げました9カ所の施設や史跡などに加えて、地域地域のまだ余り知られていない歴史資源を掘り起こし、本物が感じられるものに磨き上げてまいりたいと考えております。 次に、他県との連携につきましては、明治維新150年に向けて、この8月末に鹿児島県、山口県、高知県、佐賀県による平成の薩長土肥連合を立ち上げ、東京や京都での4県合同による物産展や観光プロモーションを展開しているところです。今後、さらに4県による旅行会社へのセールス活動や4県を周遊するスタンプラリー、航空会社とのタイアップによる情報発信などを予定しており、こうした4県での連携はもとより国内のさまざまな地域と連携することで、歴史的に大きな意義がある年に開催する本県の博覧会が大きく盛り上がるよう取り組んでまいりたいと考えております。 次に、高知城周辺の観光戦略についてお尋ねがありました。 高知城やはりまや橋を有する高知市中心部は、高知城懐徳館の入場者だけでも年間25万人以上の観光客が訪れる観光地であり、本県観光の中心的なエリアだと考えております。平成29年3月に予定されている高知城歴史博物館のオープンに伴い、今後このエリアにさらなる誘客も期待されますので、中心部全域をいかに周遊させ、消費の拡大につなげていくかが重要になってまいります。高知市中心部には、食事する場所や土産物屋も数多く、観光クラスターとしての要件が整っておりますし、外国クルーズ客船の寄港増加に対応するため、来年4月までには、中心商店街での多言語案内表示や消費税の免税手続一括カウンターの整備など、外国人観光客の受け入れ体制も整ってまいります。 今後、中心商店街の方々や高知市とも十分連携し、今議会で補正予算をお願いしております、スマートフォンなどで使える高知県観光のサポートアプリケーションを活用した周辺の食などの情報発信や、さらに大政奉還150年、明治維新150年に合わせて高知城歴史博物館、高知城と周辺の史跡を結ぶ周遊コースの設定などについても検討を進め、周遊の促進と消費の拡大につなげてまいりたいと考えております。 (健康政策部長山本治君登壇)
◎健康政策部長(山本治君) まず、医師のキャリア形成支援と医師不足地域の医師確保についてお尋ねがありました。 医師としてのキャリア形成は、大学卒業後2年間の臨床研修、各基本的な診療科に分かれての3年間から5年間の専門医研修、さらに、より専門分化した診療領域の研修など長期間にわたります。平成29年度からは、日本専門医機構が策定した統一的な専門医養成理念に基づく新しい専門医制度が開始されることから、若手医師の専門医に対する関心は一層高まっていくものと考えています。 高知県では、医師のキャリア形成支援環境のよしあしが若手医師の県内定着に大きく影響するとの認識のもと、平成23年度から、専門医資格や指導医資格を取得するために必要となる経費や、国内外への留学に係る経費、また若手医師による研修会開催に係る経費などに対して、高知医療再生機構を通じて支援してきました。この結果、今年4月に県内で初期臨床研修を開始した医師は58名、来年4月の採用の候補者はこれまでで最高の64名と増加するなど、これまでの取り組みに対しては一定評価をいただいていると考えています。 平成29年度からの新専門医制度の開始を踏まえ、県の医師養成奨学金の貸与を受けた医師が、県中央部と医師不足が顕著な郡部の医療機関をローテーションする中で希望する専門医資格を取得できるよう、今議会で医師養成奨学金制度に係る条例改正を提案させていただいており、引き続き医師のキャリア形成支援の充実を図っていきます。加えて、新たな専門医制度で追加される総合診療医は、主に地域を支える医療機関で全人的な医療の提供が期待される資格ですので、この研修プログラムの中で、地域の中核的な医療機関などに勤務しながら専門医の資格取得を目指していただくことで、医師不足地域における医師の確保にもつなげていきたいと考えています。 次に、保健師の今後の活動についてお尋ねがありました。 保健師が担う業務は、保健・福祉・介護など広範にわたり、また児童虐待や健康危機管理などの新たな健康課題への対応が求められるなど、複雑多様化しています。こうしたことを踏まえ、厚生労働省が平成25年に示した保健師の活動指針では、地区活動の強化や地区分担の推進など、より地域に密着した保健師活動が求められています。加えて、医療と介護、住まい、生活支援までが一体に提供される地域包括ケアを今後推進していく上でも、地域の実情を把握してコーディネートする保健師の役割はますます重要となっています。 議員御指摘のとおり、住民に寄り添いながら地域全体を見て活動する保健師の姿は、駐在保健婦制度の時代より本県が目指してきた保健師像であり、この理念に基づき、高知県保健師人材育成ガイドラインを本年3月に改定し、保健師の人材育成に取り組んでいるところです。地域地域で安心して住み続けられる県づくりを推進するため、地域ニーズを的確に把握し、保健師が地域を見て、つないで、動かす活動をしていけるよう、市町村との人事交流を初め、ステージや分野別の研修などを充実していきます。 次に、薬剤師の確保についてお尋ねがありました。 薬剤師に求められる業務の多様化などにより、全国的に薬剤師の求人が増加していることから、県内の医療機関や薬局への就職希望者が少なく、その結果県内で薬剤師が不足している状況にあります。昨年度、県内出身の薬学生などを対象とした実態調査を行ったところ、高知県内の就職先が少ないと感じたという回答が多くありました。これは、都市部を中心とした多くの就職情報の中から県内の情報を個別に検索しなければならず、また情報を提供していない医療機関や薬局もあり、情報提供が十分でないことが、高知県内での新規薬剤師の就職が進んでいない原因の一つであると考えています。 このため、県と高知県薬剤師会、高知県病院薬剤師会が協働して、県内出身者が多い大学薬学部を中心に、大学の就職担当教授を訪問するとともに、就職説明会では薬学生に対して直接、県内の就職情報を提供するなどの取り組みを行っています。また、県内で実務実習をする薬学生には先輩薬剤師が県内の病院、薬局で働くことの魅力を伝えるなど、一人でも多くの薬学生に高知県で働きたいと思っていただけるようなアプローチの強化に努めています。 さらに、高知県薬剤師会のホームページ内に県内の医療機関や薬局の就職情報を一元的に掲載し、さまざまな就職先を紹介することで、薬学生や県内への就職を希望する薬剤師が簡単に情報収集できるようにしていきます。今後は、高校生などへの職業紹介によって薬剤師に興味を持ってもらうことや、子育てなどで現在未就業の薬剤師の就職支援を行うなど、関係機関と連携し高知県内での薬剤師確保に取り組んでいきたいと考えています。 次に、高知家健康づくり支援薬局の認知度向上への取り組みについてお尋ねがありました。 高齢化の進展や県民の健康志向が高まる中、県民が身近で気軽に健康などの専門的な相談や支援が受けられる総合的な健康情報拠点として、地域の薬局を高知家健康づくり支援薬局に認定する取り組みを、高知県薬剤師会の御協力のもと、昨年9月から開始しました。 現在、高知家健康づくり支援薬局として認定している166薬局では、日々の健康づくりに加え、特定健診やがん検診、乳幼児健診の受診勧奨などの活動を行っていただいています。また、市町村で開催される健康まつりや、いきいき百歳大交流大会など県民の集まる場を活用してお薬相談会を実施するなど、薬局内外でさまざまな取り組みを行いながら県民の健康づくりに積極的にかかわっていただいています。このような取り組みを行う中で、支援薬局を利用された方からは、健康や家族の介護のことまで幅広く相談ができるようになったなどの評価をいただいているところですが、議員御指摘のとおり、県全体での認知度はいま一歩という状態です。 国としても、来年度から病気の予防や健康づくりに貢献する薬局を整備していくことから、本県としても、県や市町村の広報紙なども活用して、支援薬局の取り組みを一層周知することで県民の認識を高めるとともに、薬局の外からでも支援薬局であることが認識できるなど、より県民が利用しやすくなるような掲示を行っていきます。また、県民のさまざまな相談に対応するため、薬剤師への研修を充実しスキルアップを図っていくとともに、在宅医療への参画や飲み残した薬への対策など、関係団体と連携して高知家健康づくり支援薬局の取り組みを発展させていきたいと考えています。 (中山間対策・運輸担当理事金谷正文君登壇)
◎中山間対策・運輸担当理事(金谷正文君) 中山間対策について、集落活動センターの現状の課題と今後の整備に向けた戦略についてお尋ねがありました。 集落活動センターは、本年度末に30カ所程度の開設を目指し、取り組みを進めております。また、全体の動きとしましては、小さな拠点の取り組みとして各市町村の総合戦略に位置づけられるなど、各地で新たな検討も進められているところです。一方で、活動面での課題としましては、リーダー役や活動従事者の高齢化などによって全体として担い手が不足している実態がありますし、センターの活動を支える経済活動も、規模が小さくて、しっかりとした経営基盤が整うまでには至っていないということがございます。 今後におきましては、地域の特色に応じた運営面のアドバイスや、人材育成といったソフト面での支援を強化することで、センターがそれぞれの地域のニーズに合った持続できる仕組みとなるように努めてまいります。他方で、条件面が整うところでは、中山間対策の取り組みの1層目に当たる成長戦略や、2層目の取り組みであります地域アクションプランなどと組み合わせることで、経済的な活動基盤の強化を図っていきたいと考えております。また、その際には、成長戦略や地域アクションプランと連動した幾つかのロールモデルを取り組みの手順などと一緒にお示しすることで、それぞれの地域の資源を活用して、こうすればできるといったことを地域の方々に具体的にイメージしていただけるように進めてまいりたいというふうに考えております。 こうした取り組みにあわせまして、あったかふれあいセンターの取り組みなどとも連携した暮らしを支える拠点としての機能を充実させることで、全県的な広がりにつなげてまいります。 次に、公共交通に関して、とさでん交通の現状及びこの1年の取り組みと、3年目の黒字化に向けての見通しについてお尋ねがありました。関連いたしますので、あわせてお答えいたします。 持続可能な中央地域の公共交通の実現を目指し、多くの関係者の御理解と御協力のもと、とさでん交通が設立されまして1年余りが経過いたしました。この間とさでん交通では、事業再生計画の達成とよりよい公共交通の実現に向けての取り組みが進められております。これまでには、定量的なデータ分析に基づく経営管理手法の導入や接遇の向上、高齢者や障害者割引の拡大といった新しいサービスの実施など、目に見えた形で改善が図られつつあり、今後のさらなるサービスの向上を県としても期待しているところです。 事業再生計画の進捗状況につきましては、四半期ごとに会社から報告を受けており、この間の経営状況は、公共交通部門では、統合により人件費や借入利息など構造面での改善がなされたことに加えまして、軽油の価格が低位で推移したことなどによりまして経費の縮減がなされていること。また、利用面でも、路線バス、路面電車ともに、減少幅に縮小傾向が見られるなど堅調に推移していること。その他の事業部門でも、おおむね計画に沿った形で事業が展開されておりますことから、会社全体としては、現在のところ事業再生計画を上回る形で推移しているとの報告を受けております。 とさでん交通では、来年10月の桟橋本社へのバス拠点の集約を機に、バス路線の抜本的な再編を行うこととしております。現在、利便性の確保に配慮しつつ適正なサービス水準を見出すべく、関係市町村を交えた検討を進めております。バス路線の再編による経営の効率化など、さらなる構造的な課題の改善が進められることを考えれば、事業再生計画にある3年目の黒字化の達成は可能ではないかと受けとめております。 最後に、バス運転手の確保に対し、県として何らかの支援対策を講じる必要があると考えるがどうかとのお尋ねがありました。 お話にございましたように、バスの運転手不足は全国的な問題となっております。その背景としては、利用者の減少などによる厳しい経営状況に起因する労働条件の悪化や、大型2種免許取得者の減少、高齢化などがあると言われており、本県でも、本年11月に県が実施した調査に対して、県内の乗り合いバス事業者10社中6社から、運転手が不足をしているとの回答があったところです。 国においては、昨年度から、自社養成体制の充実や大型2種免許の取得環境の改善といった、事業者が取り組むべき方向性を示し、運輸支局に相談窓口を設置しております。また、日本バス協会においては、バス運転手の確保に向けた支援策を現在検討中とのことであり、高知県バス協会としても、その制度化を待って具体的な対応を検討していく方向であるとお聞きをしております。 県としましては、全国的な動向も見ながら、高知県バス協会が行うサービス向上や安全・環境対策などの事業への支援を通して、バス事業者が経営環境の充実強化に取り組むことができるように引き続き支援してまいりたいと考えております。 (教育長田村壮児君登壇)
◎教育長(田村壮児君) まず、県内小学校の低学年段階において、論語の素読の時間を設けてはどうかとのお尋ねがございました。 論語を学ぶことは、議員御指摘のとおり、言語感覚を磨いたり、またその中に含まれている普遍的な徳や規範を学び、みずからの生き方を考えていくことにもつながるものと思います。私も、読みかじり程度ではございますが、年を重ねるごとに、書かれていることの意味も味わいが深まっていくように感じております。論語を、時代を超えた価値ある教材として学習する意義は大変大きいものと考えます。 現在小学校では、国語科において、言語感覚を養い、国語に対する関心を深め、国語を尊重する態度を育てるために、昔話や神話に触れたり古文や漢文などの古典を学習したりすることが行われています。そして論語については、小学校高学年の教材として取り上げる教科書もあり、これを教材として音読や暗唱をし、また先人の物の見方や感じ方を知るといった学習が行われております。また、本県では、こうした国語の学習にとどまらず、平成25年度に県教育委員会で作成した家庭版道徳教育ハンドブック、高知の道徳にも論語を取り上げ、道徳を学ぶ際の貴重な教材としております。そのほか、学校によっては、言葉のリズムに親しみ、古典への興味、関心を深めるため、朝の短時間学習などの中で、論語を学級全員で音読するところもございます。 このように、本県においては論語を教材とした学習が各小学校で行われているところですが、さらに児童生徒の発達の段階や学習の目的を勘案しつつ、学習教材としての価値を捉えて効果的に活用していくことが重要と考えており、指導主事等による学校訪問を通してアドバイスなどもしていきたいと考えております。 次に、須崎高校と須崎工業高校の統合に関し、通学路の整備などの課題を含めた進捗状況についてお尋ねがございました。 両校の平成31年度の統合に向けて、現在、平成29年度に入学する新入生から対象となります学科改編について検討するとともに、統合による生徒増に対応するための施設整備につきましても平成30年度中のできるだけ早期の完成を目指し、新しい校舎や体育館の建築などに係る基本設計の作業を進めております。 また、通学路につきましては、統合後の学校においても立地場所となる現在の須崎工業高校の通学路を引き続き利用することになりますが、当該道路は須崎市の市道ですので、その改良につきましては、まず須崎市と相談させていただきたいと思います。 また、可能性調査を進めている新たな通学路につきましては、1月中には調査が終了する予定です。この新しい通学路につきましては、南海トラフ地震の際の避難路としての機能を果たすとともに、学校を避難所や避難場所として活用していくための道路ともなりますので、可能性調査の結果を踏まえ、須崎市の御協力もいただきながら、早期の整備に向けてさらに検討を進めてまいりたいと考えております。
◆11番(西内健君) それぞれ御丁寧な御答弁ありがとうございました。それでは、2問目に入りたいと思います。 ルネサスに関連して一連の質問をさせていただきました。企業誘致は、やはり知事の掲げる産業振興計画においても本当に重要な位置づけになると考えております。南海トラフ地震対策という本県の企業誘致にとって大きなハンデがある中、知事はもとより、企業誘致にかかわっている職員の皆さんの苦労は大変なものがあるんだと想像しています。また、香南工業用水道などの整備に関しても、先ほども述べましたが、当時の職員の方々の苦労が多々あったと聞いております。企業誘致は、やっぱり本県の雇用の場の確保や活性化に向けて非常に重要な政策であります。今回のルネサスの一件は、やっぱり教訓とする必要もあろうと思いますが、ぜひ部長を初め職員の方はこれに臆することなく、これまで以上に奮闘して頑張っていただきたいと思います。これに関しては、質問というより要請という形でお願いしたいと思います。 また次に、健康政策部長に1つお伺いします。 保健婦駐在制度が、かつて高知県で非常に有効に機能していた。地域のさまざまな医療であったり介護であったり、児童虐待、そういった情報が一括に集中されて、それが各方面に情報共有されていたんだと思いますが、今、保健師さんの現状を聞きますと、本来業務である地域の見回りよりも、やはり事務、パソコンに向かう時間がふえたりとか、本当に地域を回る時間が減っているんですという声をよく聞きます。そういうものを保健師人材育成ガイドラインの中で、どういうふうに方向づけているのかというのをお答えいただきたいと思います。
◎健康政策部長(山本治君) 今おっしゃっていただいたように、以前は県の保健婦が駐在して、本当に地域に入って活動していましたけれども、制度が市町村と県の事業にかわったということで、そこで市町村の保健師さんの力をつけていただく。県については、基本的には支援をする。危機管理、いわゆる食中毒とかいろんな部分で県が直接やる部分もありますけれども、基本的には支援側に回っているという実態があります。 ただ、現状として、やはり県の保健師が地域を知らなくては、支援をすると言ってもできませんので、そこについてはできるだけ市町村の実務がわかるように、県と市町村との保健師の人材交流をできるだけ進めていきたいというふうに考えていますし、それから市町村の保健師さんも含めた保健師の人材育成の考え方ですんで、研修も一緒にやるということで、県と市町村が協働して、人材育成も含めて地域に入っていけるような体制をとっていきたいということで、人材育成のガイドラインをつくっております。
◆11番(西内健君) ぜひ今まで以上の積極的な取り組みをお願いしたいと思います。 最後になりますが、今回私は、一つの柱として公共インフラの整備というものを掲げさせていただきました。本当に、地域を回ってみますと、建設業の疲弊であったりとか、先ほどもありましたが、看護師さんの高齢化、こういった本当に経済の活動を支える土台の部分というものが非常に脆弱化をしてきているんだと感じております。植物に例えますと、やっぱり地中にある根っこがしっかりしていないと上に伸びている枝葉というのはひょろひょろになって徒長していくばかりであって、そこに栄養を与えてもなかなか育たないというところがあろうと思います。 知事は、やはり普通建設事業費の増加であったりとかそういったもののバランスをとりながら県政運営を図っていると思いますので、今後も長期的な視点に立った県政運営をお願いいたしまして、私からの一切の質問といたします。(拍手)
○議長(三石文隆君) 暫時休憩いたします。 午後0時30分休憩
----------------------------------- 午後1時30分再開
○副議長(西森雅和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 28番高橋徹君。 (28番高橋徹君登壇)
◆28番(高橋徹君) 12月定例会で質問の機会をいただきました。50分でございますが、県民の会の高橋でございます。通告をしてございますので、知事並びに関係部長に質問をいたします。なお、午前中質問に立った西内議員さんと質問がかなり重複となっている部分がございますが、通告もしてございますので、大変申しわけございませんが、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。 まず、任期満了に伴う第20回高知県知事選挙において3期目、しかも2期連続無投票での当選、まことにおめでとうございます。尾崎知事としては、街頭に立って2期8年の評価を県民に問い、信任をいただくこともまた大いに励みにもなり、政治に参加する者は誰もが思うところではなかったかと存じますが、しかし県民の期待度を投票という形でお示しいただくことができなかったことは、残念な思いもいたします。投票率が大きく低下し、若者も含めて政治離れがますます進む中、高知県政のリーダーとして広く県民の方々の声をお聞きし、そして間違いのない県政運営を行い、高齢化、少子化、厳しい財政状況の中にあって大変御苦労はあると思いますが、ますます御活躍いただきたいと願っております。 さて、去る12月7日、我々県民の会は、尾崎知事に、平成28年度一般会計当初予算等に係る会派要望を取りまとめ、提出をさせていただきました。内容については、1番目、経済の活性化について4項目、2番目、南海地震対策について6項目、3番目、農林漁業対策について4項目、4番目、保健・医療・福祉対策について8項目、5番目、教育対策について5項目、6番目、エネルギー対策について1項目、7番目、社会基盤対策について3項目、8番目、財政対策について3項目、9番目、その他について4項目の要望書となっております。 その際、知事から1時間程度でございましたが、内容の要望事項に対しまして説明がございました。会派として取りまとめたことでもございますので、これらに関連する項目について、何点かもう少し詳しく御説明をお聞きしたいと存じます。 まず、産業人材の確保については、各産業分野の担い手が依然として減少している状況の中、農林漁業の各分野で担い手の確保に向けた取り組みの拡充について、知事からは、ポイントとして考えているとの御説明がありましたが、この点について知事にお聞きをいたします。 次に、保健・医療・福祉対策の中で、医療過疎地域の解消を図るための人材確保と医療体制の構築を確立することを求めております。知事からは、医師の確保については制度の見直しについて言及されておりましたが、この点についても知事にお聞きをいたします。 また、少子化対策を図るための環境整備のため、医療・福祉、雇用の面から、出産条件と子育て支援の拡充も求めております。知事からは、何か県民運動として取り組むことについても言及されましたが、この点について知事にお聞きをいたします。 最後に、社会基盤対策等について、地元選出の同僚議員から御提案がございましたが、国道33号越知道路2工区の早期完成と越知町から仁淀川町間の早期事業化についての要望と、国道494号佐川・吾桑バイパスの早期改良の促進の要望がございました。この点についても、取り組み状況について知事にお聞きをいたします。 次に、ルネサス高知工場の集約についてでございます。 先ほども御質問があったところでございますが、私の記憶では、高知市の南ノ丸に、以前神戸製鋼所という会社がございました。そして東孕に東京製鐵、そして数年前に、太平洋セメントの孕の工場がございましたが、いずれも工場を閉鎖してしまいました。輸送コストなど地理的ハンデを抱える高知県、企業誘致の際の土地もさほど安価ではございません。ルネサス社もカシオも、高知県とゆかりのある関係から招致に至ったと思います。 昭和61年から約30年、ルネサス社も苦渋の選択であったと思うが、本県の大きな雇用の受け皿となっていただけに、まことに残念でなりません。高知県とルネサス社とを含む関係者で、今後の従業員の雇用に万全を尽くしてほしい。 さて、そこで何点かお伺いをいたします。まず知事に、香南工業用水道整備事業費29億2,500万円、最も慎重に支出計画を立てなければならない公金の支出を企業と契約書を交わさずに行っているが、当時の誰がどのような理由で行ったのか明らかにしてほしい。 前記の整備費用のうち、ルネサス社との因果関係を認め得る範囲は約10億円であるとの説明が商工農林水産委員会でございました。県民感情としては納得できる説明とはなっておりません。この件についても総務部長の説明を求めます。 また、新聞紙上にもありましたが、弁護士との相談とありました。東京の弁護士事務所で、県交通と土佐電鉄の合併の際にも聞いたことのある事務所で、大変お世話になっているようでございますが、この弁護士事務所との関係、つまりいつから相談し始めたのかなど詳しくお聞きをいたします。また、今回の件で相談料等はどうなっているのか、総務部長にお聞きをいたします。 次に、今月1日に高知工場の集約を公表しておりますが、ルネサス社の高知工場の経営状況は、この二、三年は大変厳しい状況であったことがうかがわれます。高知県のトップとしての知事の動向はどうであったのか、お聞きをいたします。 また、この期に及んで仕方のないお話ではありますが、執行部だけで情報を共有しているので、県民の代表である議会としての働き場も全くないまま終わってしまったような気がいたします。執行部と議会、ともにかかわり企業存続の道を探ることができなかったのか、このことについても残念な思いがいたします。今後のこともございますので、この点についても知事に説明をお聞きしたいと思います。 続きまして、新規狩猟者の確保についてお聞きをいたします。 新規狩猟者を確保する目的で、狩猟フォーラムが平成25年度に環境省主催で行われました。その後、平成26年、27年と、高知県が主催して開催をされています。 このフォーラムは、鹿による森林破壊の実情の紹介から始まり、銃の操作方法や、わなのかけ方の実演、またジビエの試食が行われるなど、バラエティーに富んだ内容になっております。多くの方に狩猟に関する社会的な意義や魅力を知っていただく、大変有意義な取り組みだと感じております。 また、高知県猟友会も共催している関係で、役員が講師となり御協力させていただいておりましたが、11月3日に高知工科大学で開催をされたことしのフォーラムには、多くの一般参加者があり、特に若い方や女性の方が目立ちました。そうした方々が熱心に質問をしている姿を目の当たりにして、彼らの関心の高さと同時に喜びも感じたところでございました。 全国的に狩猟者が減少する中で、本県では新規狩猟者の確保を重点課題に取り組んでおりますが、特に若い方にいかに関心を持ってもらうか、またそういった機会をいかに提供できるか、行政の役割はますます重要になっていると考えております。 そこで、狩猟フォーラムは新規狩猟者、特に若者の狩猟者対策に大きな効果をもたらしていると見ていますが、現状と今後について中山間対策・運輸担当理事の御所見をお聞かせください。 次に、射撃場の施設整備についてお聞きいたします。 高知県には、西から、四万十市、四万十町、佐川町、南国市、香美市、芸西村と6つの射撃場がございますが、施設は老朽化しています。例えば、水道施設やトイレ、待合室が機能しなくなった施設がございます。御案内のように、新規狩猟者は射撃の実技考査、猟銃の更新時にも射撃が義務づけられております。また、高知県は独自に、事故、違反のない狩猟行政を目的に、県下で120名の狩猟指導員制度を実施し、射撃も含めた講習修了者には、尾崎知事名での修了証の発行もしていただいております。このように、狩猟者には必ず射撃を義務づけ、事故のない、特に矢先の確認等をしっかりと行うこととしております。 狩猟者は県下で1万5,000人いた時期もございましたが、そのときは、射撃場もそれなりの運営ができておったものと思いますが、近年は激減をし、平成27年度は銃猟者が2,200人程度となっております。我々猟友会は、安全第一の狩猟現場をつくり上げていくためにも、年に1度の射撃教習を義務づける必要を強く感じているところであります。ことしの8月末には隣県の徳島県でも、ベテラン猟師が隣人を矢先の不確認で死亡させる事故も起きております。我々も危機感を持って対応しなければならないと思っております。 6つの射撃場、情報では間もなく閉鎖となる射撃場。2つの射撃場は猟期前に会員で古い機械を修理しながら使用している。早い時期に手だてが必要でございます。 そこで御提案でございますが、今年度顧問の先生方から御提案がございました森林環境税の活用について調査いたしました。この制度については、ハード事業は間伐など森林保全に直接的に活用する用途に限られ、射撃場の設備修繕への制度利用については不可能でありました。しかし、鹿、イノシシなどの有害駆除は森林を守ることになり、制度の見直しについて検討していただきたく、あえて御提案を申し上げる次第でございます。全額の補助等は全く考えておりません。早急に調査研究してくださることについて林業振興・環境部長にお伺いをいたします。 続きまして、認定鳥獣捕獲等事業者制度についてお聞きをいたします。 国は、近年のニホンジカやイノシシ等による生態系、農林水産業、生活環境への被害が深刻化する中、さまざまな対策を講じてまいりました。これまでの対策だけでは限界もあり、例えば農作物の被害額は年間200億円前後で推移をしております。 こうした状況を踏まえて、国は、ニホンジカ、イノシシの個体数を10年後までに半減するという目標の実現に向け、平成26年に鳥獣法を改正し、法の目的に鳥獣の管理、すなわち増加し過ぎた鳥獣を適正に減らすことを位置づけ、積極的な個体群管理を行うために、都道府県等が捕獲を行う事業--指定管理鳥獣捕獲等事業を創設いたしました。この改正鳥獣法が本年5月29日から施行され、都道府県が行う捕獲事業が適切に実施されるよう、環境省の交付金事業も開始され、さらに鳥獣の捕獲の担い手の育成・確保を目指し、認定鳥獣捕獲等事業者制度を新たに導入いたしました。 高知県におきましても、近年の農林水産物の被害は約3億円に上り、特にニホンジカ、イノシシによる被害は8割に達しています。このため県は、ニホンジカの捕獲報償金制度など有害鳥獣駆除に対する報償金制度を導入するとともに、猟銃免許取得者の確保を促進するため、高知県猟友会が行う初心者講習会受講者へのさまざまな取り組みを行い、平成26年度の捕獲数はニホンジカ、イノシシとも5年前の約2倍となっております。この捕獲数の大部分は、猟友会の会員である狩猟者が猟銃やわなで捕獲したもので、ニホンジカが2万1,000頭、イノシシが1万6,000頭と膨大な数に上っております。高知県猟友会を預かる者として、会員の皆様の努力には頭の下がる思いでございます。 今回の認定鳥獣捕獲等事業者制度は、法人格を有し一定の条件さえあれば認定されると聞いております。高知県猟友会においては、会員の高齢化や会員数の減少が進む中、若者や女性の新規確保に取り組み、一定の成果も上がっており、一方では、今までの長年にわたる農林作物被害から農林家等を守ってきた社会的貢献と実績を持って、高知県猟友会の矜持として、近々県に認定申請を行う予定です。県内には、法人格を取得し認定申請を準備している者もいると仄聞しております。県としての認定に対するお考えを、中山間対策・運輸担当理事にお聞きいたします。 次に、土木行政について土木部長にお聞きをいたします。 昨日、高知市議会で、連携してこの問題に取り組んでいる自民党所属の戸田二郎議員さんから、これから申し上げる問題についての質問をし、岡崎市長から問題点についての取り組み姿勢について答弁がございまして、高知新聞に御紹介がございましたが、通告をしてございますので、質問をさせていただきたいと思います。 国道33号の道路整備についてお聞きいたします。 旭町1丁目から鏡川橋に至る1.5キロの区間、昨年の2月議会でも高知市における最重要課題であるとの認識で申し上げたのですが、その際の答弁の中に、境界が未確定な土地が多数あり、用地取得が最大の課題となっているとの認識を示されました。その詳しい内容とその後の進捗状況についてもお聞きをいたします。 次に、県道高知本山線、つまり秦地区から正蓮寺峠までの区間の県道整備についてお聞きをいたします。 毎年、集中豪雨等によって路肩の崩壊、上部からの土砂流出による崩壊が見受けられます。この道路は、正蓮寺地区並びに土佐山地区の生活道となっており、大変重要な路線でございます。これまでにも毎年、いや年に数回、壊れるたびに全面通行どめとし、数日間で復旧はいたしますが、長い間片側通行となるなど、県民に大きな負担となっている道路であります。 そこで提案でございますが、早目早目にもう少し手を入れて崩落箇所の改善をされてはと思いますが、土木部長の御所見をお聞きいたします。 次に、この件とも関係いたしますが、道路、河川の維持管理予算について増額することを求めるものでございます。県民からの要望の中で、道路の草刈りなどを含む維持管理費、河川のしゅんせつ費・維持管理費等が現状に合っておりません。そのため、県民要望に大きな差が生じておりますので、このことについても改善を求めたいと思いますが、土木部長の御所見をお聞きいたします。 次に、公共工事における入札不調について申し上げます。 近年、市場での物価の高騰や、企業の技術者や作業員の不足が主な原因でありますが、本県における平成27年度についての状況をお聞かせください。また、不調となった物件についての対策、その後の状況についても土木部長にお聞きをいたします。 次に、工事発注後、積算間違い等で再入札や落札業者の見直し等がたびたび起こっております。このことに関して再発防止の改善を行っておりますが、内容等についても土木部長にお聞きをいたします。 次に、河川工事について説明を受ける機会がありました。この件について申し上げます。 この工事は河川堤防が、河川底部の土砂が吸い出し、あるいは押し出しによって崩壊しているところであります。アユの生息する川で親しみ、川を愛する者からすれば、なるべく濁水が発生しないように工事方法について研究をしてほしいところでございます。そのことに留意していただいているものと思っておりました。 工事箇所には、作業ヤードが確保できないことから、対岸から土砂を河川に投入し、河川の中に対岸まで工事用道路を建設する。実は昨年も同じような工事を行っておりますが、川の水深、流速などの調査が十分でなく、大量の濁りが長く発生し、アユの遡上期に影響を与え、周辺住民から多くの非難の声が上がったところでございます。 そこでことしは、去年の反省から十分調査の上の計画と思っておりましたが、ことしも工事区域の水深も調査をせずに計画を立てておりますので、工事に取りかかることができません。特に、河川の水深が思いのほかありますので、河川の中につくる工事用道路の土砂は、ざっと計画の10倍近く必要ではないかと思いました。我々もそんなに詳しくはありませんが、工事関係者と漁協役員ともども、県職員の技術力を疑うほかありませんでした。 工事発注に関しては十分な調査と研究が求められますが、今回のケースなどは論外であります。各土木事務所でこのようなケースがなくなるよう、管理職の方々には現場管理と県職員の技術力向上に努めることを求めます。土木部長の御見解がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。 次に、都市計画法の見直しについて、高台移転等の土地利用について推し進めるための提案をしてみたいと思います。 我が国は、近年著しい人口減に伴い、あらゆる法改正が進められてきました。もちろん、都市計画行政も例外ではありません。都市計画法は、コンパクトシティーを念頭に改正され、市街化調整区域の大規模な開発や市街化を抑制するため、さらに厳格に運用されていると思われます。 一例を紹介いたしますが、高知市では、この改正が施行される前は、市街地に隣接する土地利用の中で5ヘクタールから20ヘクタール未満の住宅地としての許可となり、平成18年にぎりぎりで最後の許可となって、工事期間は3年ほどで平成25年に完成をし、そして一般への売り出しは3年足らずで完売となっております。内容は住宅戸数が200区画で、皆さん東日本の津波の状況を目の当たりにしておりますので、高台での住宅地を求める方々が殊のほか多く、完売となっております。 さて、高知県も、都市計画法は同様の取り扱いがされていると思います。しかし、今高知県にとって最も重要な課題は、近い将来必ず起こり得ると想定して取り組んでいる、南海トラフ大地震等による津波から県民の命と財産を守ることにあります。現在予想されております津波浸水被害地域から高台移転を希望する個人、企業はたくさんあります。本県の現状を見てみますと、高台のほとんどが農地あるいは山地であります。 平成21年度の制度改正で農地法の運用は、農作業効率の高い集団的な優良農地の確保を図るため、第1種農地の規模が20ヘクタールから10ヘクタール以上の面積とするなどして集団性基準の厳格化がされてきました。したがって、都市計画法及び農地法の両面から高知県は、高台移転はほとんど不可能に近い状態となっております。つけ加えるなら、国の法改正については、東日本大震災の前に同法の改正を行いコンパクトシティーを目指したものであります。 以上の点について、県民の命と財産を守る権利を侵害している今の都市計画法の見直しを提案する次第でございます。土木部長に見解をお聞きいたします。 次に、鏡ダムについて申し上げます。 鏡ダムは、昭和35年4月に実施調査に着手をし、昭和38年4月本工事着手、昭和42年1月竣工、約7年の歳月で完成の運びとなっております。重力式のコンクリートダム、洪水調節、各種用水、発電と多目的ダムであります。 きょうは、ダム下流域における濁水の軽減対策、アユ冷水病対策とアユの成育への影響等について述べ、そして改善を求めたいと思います。 まず、近年建設されたダムは、ほとんどが選択取水施設としておりますが、鏡ダムはそうなっていないとお聞きをいたしました。そこでお聞きをいたしましたところ、比較的規模が小さいのでということでございました。以前からこのことに対して改善を求めてきた経過もあるようでございますので、我々は調査を行いました。先日、早明浦ダムに行ってきましたが、説明書きの大きな看板に、早明浦ダムは選択取水施設を採用とあり、内容についての説明がありました。「ふだんは表面の温かくきれいな水を流します。洪水時や渇水時にダムが濁ったら、貯水池の濁りの状況を見て、下流の影響を少なくするように取水位置を選択して放流します」と説明がありました。 公共工事というものは、人にも自然にも、最も優しく配慮しなければなりません。鏡ダムはそうなっておりません。それでどのような影響があるのか。下流域で少しでも透明度の高い水を放流することができていない、アユの冷水病へのリスクが大きい、つまり1から2度水温の高い水を下流域へ放流することができるのに、それもできない。冷水病は水温が低いと発生します。そのリスクが軽減できない。そのため、毎年下流域で冷水病が発生している。 次に、水温の低下によるアユの友釣りに対する影響についても調査をいたしました。平成26年5月18日特別採捕の結果でございますが、支流小川口、友釣り約20匹、毛針釣りが50匹、水温は19度。本流川口--ダムとの合流点の下流でございますが、友釣りはゼロ、水温は16度。鏡川漁協前、友釣り10匹、毛針釣り12匹、水温19度。以上の結果は、水温3度の差によってアユの持つ習性、縄張りが極端に小さくなる。餌を求める行動も小さくなることがうかがわれます。したがって、水温が低い状態が続けば、アユの成育にも当然影響してくることがうかがわれます。 以上のように、選択取水することによって大きなメリットが生まれます。今後において、研究する必要があると思いますので提案いたしますが、土木部長の御所見をお伺いいたします。 なお、高知市において環境部所管で鏡川流域の調査を行っておりますので、このことについても話題になるかと思いますが、申し添えておきます。 次に、仁ノ地区の浸水被害対策について。 県道春野赤岡線に面した地域で、以前にも質問をいたしましたが、この地域は、県道上に個人の土地が残る等、境界を確定しようにも地図混乱地域となっております。この県道に沿って北には、個人の、境界もはっきりしない土地が複数存在しております。以前は、この土地はカモなどの水鳥が多く飛来し、自然環境豊かな自然の水辺公園となっておりました。しかし、時代の流れとともに、産業廃棄物や土砂等の処分場として利活用され、遊水地帯となっていた大部分が土砂で埋め尽くされてしまった。北側には仁ノ部落150世帯の住宅があり、当然高齢化も進んでいる地域であります。そこで問題なのは、近年の集中豪雨のたびに、以前調整池の機能を持っていた池がほとんど埋め立てられたため、畑はもちろんのこと、市道や住宅地が冠水するようになった。住民の方々は悲鳴を上げている。もちろん、ポンプによる排水対策は整備されていますが、全く能力不足となっている。本来、住民の生活環境は年々よくなっていかなければならないのだが、その逆の年々住環境が悪くなっている原因は、個人の土地利用による埋め立てであることには間違いない。 これらの行為に関する法律は、廃棄物処理法や建設リサイクル法あるいは農地法などが考えられますが、まずは現場の実態調査をするよう強く要請をしておきたいと思います。 次に、時間外勤務手当について総務部長にお聞きをいたします。 尾崎県政になって職員の事務量も増大し、時間外勤務手当もふえておりました。ただ、部署によっては、例えば財政課、観光課など、やむを得ず時間外業務で対応しなければならない業務もございます。しかしながら、仕事の工夫や職員のやる気と質の向上によって改善できる点があると思います。そのため、県民感情からすると、時間内できちっと仕事をしてほしいと思います。また、職員の健康面もありますし、1時間当たり割り増しの賃金も支払わなければなりません。 そこで、知事部局の時間外勤務手当、平成24年度は約10億3,700万円でございましたが、25年度、26年度はそれぞれ総額で幾らになっているのかをお聞きいたします。また、時間外勤務時間と手当の多い職員の時間数と金額についてもお聞かせください。 さて、12月5日の高知新聞に、「高知県職員が時間外虚偽申告」との見出しで記事が掲載をされておりましたが、まことに残念というより、けしからん問題であります。この件についても、もう少し詳しく説明をお願いしたいと思います。 次に、治安情勢について、警察本部長にお伺いをいたします。 まず、特殊詐欺についてお伺いをいたします。 組織犯罪は、警察による取り締まりを逃れつつ、より巧妙かつ効率的に経済的利益を得るため、社会経済の発展等に応じて常に変化しています。その撲滅を図るためには、犯罪組織実態、活動実態や犯罪組織の態様についての情報収集、分析を行い、その変化を的確に捉えて効果的な対策を講じることが重要であります。 警察では従来から、暴力団犯罪、薬物・銃器犯罪、来日外国人犯罪グループなどによる犯罪等に重点を置いて組織犯罪対策を進める一方で、新たな脅威として出現する組織犯罪に対し、関係部門が緊密に連携をして、警察の総合力を発揮した戦略的な対策を実施しているものと思います。 特に、近年被害が急増している特殊詐欺については、巧妙に組織されたグループにより敢行されている状況が見られることなどから、警察では、これを新たな脅威となっている組織犯罪と位置づけ、警察全体で情報収集を行い実態を解明するなど、犯行グループそのものの撲滅に向けた取り組みを、総合力を挙げて推進しているものと思います。 そこで、全国及び本県の特殊詐欺の現状についてお聞かせください。また、本県における検挙の状況、今後の対策についてもあわせてお聞かせください。 次に、地域における交番、駐在所と地域住民との連携についてお聞きをいたします。 交番、駐在所の警察官は、パトロールや巡回連絡等のさまざまな活動を通じて地域住民の意見、要望等に応えるべく、管轄する地域の実態を把握し、その実態に即した活動を行っております。また、昼夜を分かたず勤務し、さまざまな警察事象に即応する活動を行うことにより、地域住民の安全と安心のよりどころとなり、県民の身近な不安を解消する機能を果たしております。 私の住んでいる高知市では、各地域や町内会等の地区ごとに地域安全推進協議会やこどもを守る会等を組織し、地域ごとの情報交換や啓発パレードを行い、住民が一丸となって安全・安心なまちづくりに努めているところでございます。 先日は、あさひのこどもを守る会のパレードに高知署の署長さんも参加していただき、高知署としての各種犯罪への取り組みや住民の皆様の防犯意識の向上についての御挨拶もいただいており、大変心強く思った次第であります。旭地区では、交番員を交えて地元の地域安全活動を行う方々と意見交換会を開催する予定になっております。 このように、安全・安心のまちづくりには交番と駐在所と地域住民の連携が不可欠であり、特に犯罪発生状況等の情報発信が重要と考えますが、警察本部長の御所見をお伺いいたします。 次に、自転車のマナー向上などについてお聞きをいたします。 11月9日、四国管区内公安委員会連絡会議が行われ、そこで高校生の自転車通学時のヘルメット着用についても協議がなされております。県内の郡部の中学校では既に実行されております。議題となった背景としては、学生の自転車マナーの悪さや、依然として自転車の関係する事故が後を絶たないことなどが挙げられると思います。県内におきましても、高校生の自転車乗りによる死亡事故も発生するなど、自転車マナーの向上は喫緊の課題と思います。 そこで、県内の自転車の関係する事故の状況についてお聞きいたします。また、自転車マナー向上に向け、県警察としてどのような取り組みをされているのか、お聞きをいたします。 最後でございます。自動車道の下りの南国サービスエリアに、半年以上になると思いますが、県外ナンバーの普通乗用車、男女お二人の年配の方が常駐いたしております。地区は南国市でございますが、高速道路サービスの拠点でもございますので、誰かが説得をしてでも何とかしなければいけない問題ではないかと思います。見た目にもよくありませんし、お二人の健康上の問題も考慮しなければなりません。あえてこの機会に申し上げて、早期の改善を求めるものでございます。 以上、第1問とさせていただきます。 (知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君) 高橋議員の御質問にお答えをいたします。 まず、農林漁業分野での担い手確保に向けた取り組みの拡充についてのお尋ねがございました。 農林漁業の担い手に関しましては、これまで研修時における技術習得への支援や就業時における経済的負担の軽減策など、就業希望者のニーズに応えられるよう順次対策を強化し、その確保に努めてきたところであります。その結果、農業では新規就農者が平成20年の114人から平成27年には269人となりましたし、水産業では直近の3年間の年平均で37人の新規漁業者が生まれるなど、一定の成果が見られるところであります。 これまでの取り組みにより、大きく進んでまいりました地産外商の成果を、拡大再生産につなげていくためには、何といっても担い手の確保が不可欠であります。これまで以上に一層強力に進めていくことが重要と考えております。 この担い手の確保の強化に当たっては、次の3つがポイントとなると考えております。 第1は、新たな担い手の方々がより参入しやすくなるよう取り組みを進めることであります。例えば農業では、施設園芸に参入しやすくするための研修用ハウス制度のさらなる充実を検討しておりますし、林業では、大規模な投資をしなくても林業に従事できるよう、小規模林業に従事しようとする方々への支援を強化してまいるなどしてまいりたいと考えているところであります。 第2は、人材育成を充実させることであります。担い手の裾野をさらに広げていくためにも、これまでの人材育成の取り組みを一層充実させていきたいと考えています。例えば、より専門的な人材を育成する農業担い手育成センターや林業学校のさらなる強化を検討しておりますし、法人などが行う漁業の担い手確保への支援も進めてまいりたいと考えております。 第3は、担い手確保対策と移住施策との連携を図ることであります。例えば、移住関心層の志に訴える、いわゆる志移住のさらなる推進や、県内の高校生や県内外の大学生への第1次産業分野での就労の働きかけの強化など、よりターゲットを明確にした上で積極的なアプローチを展開してまいりたいと考えております。 こうした担い手確保対策は、第1次産業にとどまらず、商工業や食品加工などさまざまな分野で一層重要となりますことから、第3期計画の4年間を通じて企業の中核人材の確保対策も含め、さらにバージョンアップさせながら全力で取り組んでまいります。 次に、医療過疎地域の解消を図るための医師確保についてお尋ねがありました。 県民が住みなれた地域で安心して暮らし続けていける医療提供体制の構築に向けましては、これまで奨学金制度やキャリア形成支援などにより、若手医師の県内定着の促進に取り組んでまいりました。その結果、本県の医療機関で採用された初期研修医が、平成21年度の36人から来年4月の採用予定者は64人と大幅に増加し、また現在奨学金の貸与を受けている医学生が183人になるなど、県全体としての医師不足の改善が期待できる状況となってまいりました。 さらに、平成29年度からの新専門医制度の開始を踏まえ、県の医師養成奨学金の貸与を受けた医師が、県中央部と郡部の医療機関をローテーションする中で希望する専門医資格を取得できるよう、今議会で医師養成奨学金制度に係る条例改正を提案するなど、引き続き医師のキャリア形成支援の充実を図ることで、若手医師の県内定着を促進してまいりたいと考えているところであります。 さらに、人口の少ない、いわゆるへき地における医師の確保につきましては、へき地診療所などに対して自治医科大学卒業医師を派遣しておりますが、医師の専門医志向の強まりなどもあり、定着については厳しさを増しております。こうした中、義務年限終了後も強い志を持って地域の医療を支えていただいている自治医科大学卒業医師には、大変感謝をしているところであります。へき地診療所などに対しては、医師を派遣するだけでなく、現在勤務いただいている医師への支援が重要との観点から、へき地医療拠点病院などから診療所に対する外来診療応援とともに、学会への参加などで休暇が必要な場合の代診医の派遣、情報システムを活用しての画像診断などの診療支援を行ってまいりました。 今後はさらに、新たな専門医制度の総合診療医研修プログラムにおきまして、へき地を初めとする医師不足地域の医療機関に勤務しながら専門医の資格取得を目指していただく体制の構築に努めるなど、高知大学医学部を初めとする関係機関と連携をし、医師確保に向けた取り組みを強力に推進することで、県民が住みなれた地域地域で安心して暮らし続けていくために欠かせない医師の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。 次に、少子化対策を県民運動として取り組むことについてのお尋ねがありました。 県民の皆様の結婚・出産・子育ての希望をかなえていくためには、安心して妊娠・出産のできる環境整備を進めてまいりますとともに、結婚・出産・子育てなどに伴い仕事を断念することのない職場環境づくりなどに向け、ライフステージの各段階に応じた切れ目のない支援策の強化に取り組んでいくことも重要であります。 また、こうした取り組みは、社会全体で取り組むことで初めてその効果がもたらされるものでありますことから、少子化対策をいかにして官民協働の県民運動へと強化を図ることができるかが重要なポイントになるものと考えております。このため、まずは民間企業の皆様に参画いただく高知家の出会い・結婚・子育て応援団を創設し、企業や団体内での結婚や子育て支援の推進に取り組んでいただくことを考えております。 あわせて今後は、以上のような取り組みを県内の各界各層の皆様と一体となって、官民協働で力強く推進していく必要があり、高知県
少子化対策推進県民会議におきまして、結婚支援、子育て支援、ワーク・ライフ・バランス推進などといった新たな部会を設置していただき、各部会において官民が協働して、実践活動やPDCAサイクルを通じた進捗管理などに取り組んでいくこととなったところであります。 今後は、高知家の出会い・結婚・子育て応援団と体制が強化された高知県
少子化対策推進県民会議、高知家の出会い・結婚・子育て応援コーナーなどが強固なネットワークを構築し、少子化対策を県民運動として県内の隅々にまで広げてまいりますことで、県民の皆様の希望を実現してまいりたいと、そのような考えでございます。 次に、国道33号越知道路2工区の早期完成と越知町から仁淀川町間の早期事業化、国道494号佐川・吾桑バイパスの早期改良促進の取り組み状況についてお尋ねがありました。 国が管理する国道33号は、高知市と松山市を結ぶ主要幹線道路であるとともに、大規模災害時には、越知町や仁淀川町の住民の皆様にとって命の道となる道路です。このため、越知道路などのバイパス整備や防災対策により、通行の安全性や信頼性を高めることが極めて重要であると認識しております。 越知道路の2工区につきましては、平成19年度に完成した野老山工区に続き、平成20年度に事業化し、本年度は設計や用地買収を進めるとともに、のり面対策などの工事を進めると聞いているところであります。また、越知道路に続く仁淀川町までの区間につきましては、越知道路2工区の整備に一定のめどが立った時点で、国に対して事業化の要望を行っていきたいと考えております。 一方、県が管理する国道494号佐川・吾桑バイパスは、地域の生活道路としてだけでなく、南海トラフ地震時には、国道33号と国道56号を結ぶ緊急輸送道路となる重要なルートであります。このため、平成6年度から整備を進めておりまして、計画延長5.9キロメートルのうち、これまでに2.5キロメートルが完成しています。残る斗賀野トンネルから国道56号までの3.4キロメートルの区間については、課題となっていました用地取得に一定のめどが立ったことから、重点的な投資を行い、平成30年代半ばの完成に向けて整備を進めてまいりたいと考えております。 次に、ルネサス社の高知工場の集約についての一連の御質問にお答えをいたします。 まず、香南工業用水道に関する支出を、契約書を交わさずに、当時の誰がどのような理由で行ったのかとのお尋ねがありました。 午前中の西内議員の御質問にお答えしましたが、当時、三菱電機は、新たな工場の建設先として、高知県だけではなく同社の製造拠点のある他県への立地も視野に入れておりましたので、契約の締結を三菱電機に要求すれば、そもそも本県への誘致話そのものが解消してしまう可能性さえ否定できなかったと思われます。また、三菱電機が第2棟の従業員用として社員寮の用地を取得するなど、県が第2棟の整備は確実であると考えるに足る十分なコミットメントがありました。さらに、契約を結ぶということは、双方が互いに要求を突きつける双務的な内容を盛り込んだものとなりますので、香南工業用水道の整備がおくれた場合の損失補償を負担せざるを得なくなるリスクが十分にあり、このような契約を締結すること自体、県にとって大きなリスクがあったことが想像されるところであります。 なお、お尋ねのありました香南工業用水道の整備を判断した主体について、当時、本件は商工労働部、企業局を初め庁内全体を挙げた一大プロジェクトだったものと理解をいたしているところであります。 いずれにいたしましても、第1に、熾烈な地域間競争があったこと、第2に、三菱電機の第2工場の整備を信じるに足るコミットメントがあったこと、第3に、契約を締結するならば、双方に義務を負う双務契約となり、県も相当のリスクを負うおそれがあったことから、当時、契約を締結しなかったことは相当な理由があって、やむを得なかったものであり、行政手続上の瑕疵には当たらないと考えるところでございます。 次に、ルネサス社の高知工場に関して、この二、三年の私の動きについてお尋ねがありました。 知事就任以来、県経済に大きな貢献をいただいている高知工場については、常に関心を払ってまいりました。 ここ数年について言えば、平成24年7月にルネサス社から、国内生産拠点の再編を含む抜本的な経営合理化策で、高知工場は生産能力を縮小し、適正体格で運営を継続すると発表がされたときにも、すぐに本社に赴き、高知工場の操業継続とあわせて、県としてできることは全てやっていくので、新たな投資もお願いしたい旨の申し入れも行いました。 その後も、産業革新機構の資本参加、国内生産拠点の再編など、ルネサス社については目まぐるしい動きがありましたので、私自身も危機感を持って、毎年直接工場長に会い、現況の意見交換を行ってまいりました。また、私のほか、副知事も毎年工場に出向き、半導体市況や工場の稼働状況などについて、直接工場長からお話をお聞きするなどしてきたところであります。 こうした中で、私としては、ルネサス社の高知工場の存続を図るためには、高知工場の設備が常に更新され、さらには新規事業にチャレンジしていくことなどにより、ルネサス社の全国の工場の中における高知工場の重要度を高めることが大事だと考え、この旨の指示を関係部局に行ってきたところであります。このため、私自身も含め県として、ルネサス社に対し、新たな設備投資やさらには新たな事業についてもその実現に向けて支援を惜しまない旨明確にするとともに、新事業のパートナー企業とも緊密に連携し、また庁内の部内会議等でもその動向等をフォローアップしてきたところであります。 12月1日の協議の場で鶴丸社長から、生産量の減少に対応するための合理化や新しい事業を立ち上げるなどの取り組みに手を尽くしてきたけれども、予想以上の減少となったことで集約せざるを得なかったとの説明がありましたとおり、こうした努力によっても、結果として撤退をとめることにはなりませんでした。 しかしながら、こうした緊密な関係があったからこそ、事前に高知工場の集約やその公表時期等を検討しているとの情報を非公式に入手でき、従業員の皆様の雇用継続に向けた取り組みなど、ルネサス社とのさまざまな協議ができたものと考えているところでございます。 最後に、執行部だけで情報を共有していたことに対し、どう考えるのかとのお尋ねがありました。 高知工場の集約に関する情報は、本年3月末にルネサス社から非公式に入手し、12月1日までの間、同社と協議を重ねてまいりました。この間、協議が一定進展した後には、ルネサス社に対し、早期に交渉妥結し公表を早期化するよう申し入れを行うといった努力もいたしましたが、協議が難航したことや先方の顧客対応等の理由により、実現できませんでした。 高知工場の集約に関する情報は、民間企業でありますルネサス社の企業機密事項です。このため、県が勝手に公表することは許されず、同社による公表を待つしかありませんでした。 以上のことから、残念ながら12月に至るまで議会で御説明できなかったものですが、今後とも、同旨の案件につきましても、相手があることではありますが、できる限り早く情報共有できるよう努めてまいります。さらに、今議会で議員の皆様からいただいた御意見を、今後の対応に十分に生かしてまいりたいと考えているところでございます。 私からは以上でございます。 (総務部長梶元伸君登壇)
◎総務部長(梶元伸君) ルネサス社高知工場の集約について、まず、香南工業用水道の整備費用のうちルネサス社との因果関係を認め得る範囲について、県民感情としては納得できるものとなっておらず、この件について説明を求めるとのお尋ねがございました。 午前中の西内議員の御質問にお答えしましたが、香南工業用水道は平成14年3月に完成し、その整備及び維持管理にこれまで要した費用の合計29億2,500万円余りの内訳は、整備費用が22億4,600万円余り、維持管理費が6億7,800万円余りであります。このうち、ルネサス社との因果関係を認め得る費用の額については、まず土地代等は県の資産として残るため除外する必要があり、次に工業用水は今後利用できることから、おおむね33年間利用可能な香南工業用水道について、第2棟建設計画のために利用できなかった14年間に見合うものとする必要があり、さらに香南工業用水道の給水能力の4分の3がルネサス社向けであることを考慮する必要があります。 具体的に申し上げますと、整備費用については、県の資産として残る土地代などを控除した上で、施設全体の耐用年数33年のうち、第2棟建設計画のためにこれまで工業用水を利用できなかった期間である14年分に相当する額とします。また、維持管理費については、将来の金利分を控除した額とします。そうしますと、この結果、整備費用が22億4,600万円余りのうちの7億7,300万円余り、維持管理費が6億7,800万円余りのうちの5億8,800万円余りで、合計では29億2,500万円余りのうちの約13.6億円となります。さらに、香南工業用水道の給水能力の4分の3がルネサス社向けであることを加味した結果、整備費用が7億7,300万円余りのうちの5億8,000万円余り、維持管理費が5億8,800万円余りのうちの4億4,000万円余りで、合計では、約13.6億円のうちの約10.2億円となります。 なお、これらの内容については、弁護士からも同様の意見を得ているところであります。 次に、今回の件について相談している弁護士事務所に関して、相談を始めた時期、相談料等についてのお尋ねがございました。 高知工場については、第2棟建設を前提に香南工業用水道を整備したという特別な事情がありますことから、県としては、ルネサス社との協議に向けて、中立公正な立場で過去の経緯の調査や法律上の評価をしていただく必要があると考えました。その際、第1に、ルネサス社が社内に法務部門を有し、社員として多数の弁護士を雇用していること、第2に、その法務部門の構成の中心が最大株主である産業革新機構からの派遣者で、企業再生に詳しい専門集団であること、第3に、ルネサス社が香南工業用水道の整備の経過などについてほとんど認識していなかったこと、第4に、ルネサス社の責任を明示した契約は存在せず、信義則違反による賠償請求にならざるを得ないことなどから、ルネサス社との交渉は極めて困難なものになることが予想されました。 このため、大企業を含めた企業法務に精通するとともに、企業の行動様式などについて専門的な知識を有し、高知の事情にも明るい東京の弁護士事務所に相談することとし、ルネサス社から高知工場の集約について非公式に情報を入手した翌月の4月から事前相談を始めました。 5月には、ルネサス社と検討協議のテーブルに着くことができることとなりましたので、6月1日に弁護士事務所との間で、ルネサス社との協議についての助言等を内容とする委任契約書を締結いたしました。契約締結以降は弁護士事務所から、過去の経緯の調査や法律上の評価、ルネサス社との協議等についての助言をいただいてまいりました。 弁護士にお支払いする委託料については、委託契約書において、弁護士事務所の報酬基準に基づき事務処理の実績に応じて積算することとしておりますが、委託料の額は、業務が継続中でありますので、現在のところ確定しておりません。今後、弁護士事務所から事務処理の実績を聴取した上で、その内容を適正に審査し委託料の額を確定してまいります。 次に、時間外勤務手当についてお尋ねがございました。 知事部局の時間外勤務手当の平成25年度の総額は約10億7,800万円、平成26年度の総額は約12億5,300万円となっています。平成26年度に増加いたしましたのは、8月の台風災害及びその後の災害復旧への対応などによりまして、土木部が38.7%、農業振興部が31.0%、それぞれ前年度から比較して増加したことなどによるものでございます。 次に、年間の時間外勤務が最も多い職員の時間数は、平成25年度は1,200時間台で、時間外勤務手当等の額は約370万円、平成26年度は1,600時間台で、約330万円となっております。 これまでも事務の簡素化や業務配分の見直しなどを行ってまいりましたが、引き続き職員の心と体の健康の保持や公務能率の向上の観点からも、時間外勤務の縮減に取り組んでいきたいと考えております。 次に、今月5日に新聞報道されました県職員の時間外勤務手当等の不適正受給についてお尋ねがございました。この事案の内容を御説明いたします。 手当を不適正に受給いたしました職員は、商工労働部に所属するチーフ級の職員であります。この職員は、仕事上必要な専門知識を身につけ、効果的な取り組みを行いたいと考えておりましたが、自宅で作業したほうが集中でき、作業がはかどるとの理由から、上司に相談することなく仕事を自宅へ持ち帰り、自宅での担当業務に係る思案や勉強に要した時間、勤務公署と自宅との行き来に要した時間を、時間外勤務命令を受けた時間の実績に含めて申告したことによりまして、平成26年6月から同年11月までの間の土日、祝日、19日分に係る時間外勤務手当及び休日勤務手当21万4,058円を不適正に受給したものであります。不適正に受給した時間外勤務手当等については、既にこの職員から全額県に返納されております。 このたび、この職員を12月4日付で6カ月間給料月額の10分の1を減給する懲戒処分といたしました。そして、この職員を昨年度管理監督する立場にあった職員に対して、同日付で文書注意による措置を行いました。 今回の県職員の不祥事によりまして、県民の皆様の県政への信頼を損なうことになったことにつきまして、深くおわびを申し上げます。 いま一度、職員を管理監督する立場にある職員が時間外勤務等を命令する際に、事前命令や事後確認を徹底していくとともに、職員一人一人が率先して法令を遵守すべき県職員としての自覚を新たにし、県民の皆様からの県政に対する信頼を回復するよう努めてまいります。 (中山間対策・運輸担当理事金谷正文君登壇)
◎中山間対策・運輸担当理事(金谷正文君) 新規狩猟者確保対策としての狩猟フォーラムの効果、現状と今後についてお尋ねがありました。 狩猟フォーラムにつきましては、鳥獣被害の実情を県民の皆様に広く知っていただくとともに、狩猟の魅力や社会的な意義を理解していただくことで、若い方にも狩猟に取り組んでいただけるように開催をしているものです。 フォーラムは、ことしで3年目となりますが、参加者も年々ふえ、ことしは200名を超える方々に参加をいただきました。参加者の年齢も40歳未満の若い方が半数近くを占め、終了後の感想では、「狩猟に対するイメージがよくなった」、「狩猟免許を取得したい」といった声も寄せられるなど、一定の成果は上がっているものと考えております。 こうした取り組みの成果もあって、全国的に狩猟者が減少傾向にある中で、本県では、その減少傾向に一定の歯どめをかけることもできておりますし、ここ数年は40歳未満の方を毎年80人規模で確保するなど、若い狩猟者の参画によって、徐々にではありますが、若返りも図られつつあります。 今後につきましても、より多くの方々が関心を持ち、参加したいと思える狩猟フォーラムを開催することで、引き続き若い方を含む狩猟者の確保に努めてまいりたいと考えております。 次に、認定鳥獣捕獲等事業者制度についてお尋ねがありました。 この制度は、全国的に有害鳥獣の捕獲の担い手となる狩猟者の減少、高齢化が進む中で、これまでの対策だけでは捕獲の強化を図ることが難しいとの考えのもとに、標高の高い山岳地などの捕獲困難地域や狩猟者が少ない地域で効果的な捕獲を実施していくために、国が新たに設けた制度であり、公的な捕獲等の事業を担える団体を認定し、確保していこうとするものでございます。 この制度では、県の認定を受けた法人、またはそれと同等以上の技能、知識、安全管理を図るための体制を有していると認められた法人は、県の指定する地域で、県または国の事業を受託することができる資格を有することになります。認定要件は、国の施行規則で定められておりますので、認定に際しては、規則に照らして適切に判断することになります。 (林業振興・環境部長大野靖紀君登壇)
◎林業振興・環境部長(大野靖紀君) 射撃場の設備修繕に森林環境税を活用できるよう制度の見直しを検討できないかとのお尋ねがございました。 森林環境税は、森林の荒廃を県民の生活環境の問題として捉え、県民挙げて森林保全に取り組むことを目標に、平成15年から全国に先駆けて導入いたしました。 これまで森林環境税を活用して、森林環境の保全を進めるための間伐や、森林を鹿などによる食害から防ぐための防護ネットの設置などのハード事業と、県民の皆様の森林への理解とかかわりを広めるための森林環境教育や、県民が参加する森林ボランティア活動への支援などのソフト事業の両面で行ってまいりました。 こうした森林環境税を活用した事業を実施するためには、まずは事業の目的や効果等について十分検討し、実施することが必要であると判断された事業については有識者で構成する森林環境保全基金運営委員会にお諮りし、事業実施の可否について審議をいただくことになっています。 森林環境税は、制度創設当時から、税収自体を目的とするのではなく、広く薄い負担によって、森や山の重要性を認識し、県民みんなで森を守っていくとの趣旨で、県民税均等割に500円を上乗せして県民の皆様から御負担いただいており、年間の税収は約1億7,000万円となっています。 そのため、この限りある森林環境税を活用して森林環境の保全のために行う鳥獣被害対策として、現在は防護ネットの設置や、くくりわなの配布などによる直接的な捕獲を支援しておりますが、今後、射撃場の整備等も視野に入れて検討をしてまいります。 (土木部長福田敬大君登壇)
◎土木部長(福田敬大君) まず、昨年2月議会でも取り上げた国道33号旭町1丁目から鏡川橋に至る1.5キロメートル区間のその後の整備の進捗状況についてお尋ねがございました。 国道33号の旭町1丁目から鏡川橋までの1.5キロメートル区間については、片側2車線の正規の幅員が確保されておらず、歩道も狭いことなどから、歩行者や自転車交通への安全が十分に確保されていない状況にあります。 この区間においては、国道と民地の境界ですら3割程度しか確定されておりません。これら用地境界の不確定な箇所が多くあることが、事業化に向けた最大の課題であると認識をしております。 このため、国、県、市の3者で協議を重ね、整備手法や事業化へ向けた取り組み内容などについて検討してまいりました。その結果、高知市が境界の確定など、事業化の前提となる環境整備を行うことが確認できましたことから、今後はこれらの市の取り組みを踏まえ、連携して国に要望してまいります。 次に、県道高知本山線の崩落防止対策についてお尋ねがございました。 県では、台風や豪雨等の災害に強い道路整備のために、平成8年度に行った防災総点検をもとに、順次防災対策工事を実施しております。県道高知本山線の泰地区から正蓮寺峠までの区間においては、10カ所の対策の必要な箇所を抽出しており、そのうち危険度の高い4カ所については対策工事が完了し、2カ所については現在対策工事を実施中です。 一方で、県内には非常に多くの対策の必要な箇所が残されており、計画的な対策工の実施が求められているところです。このため現在、南海トラフ地震対策として、緊急輸送道路におけるのり面の再調査を進めております。県道高知本山線も、その結果を踏まえ、優先順位の再検討も行いながら予防的な対策にも取り組んでいきたいと考えております。 次に、草刈りなどを含めた道路の維持管理や、河川のしゅんせつ・維持管理の予算の増額についてお尋ねがございました。 県民の皆様の日常生活の安全・安心を確保していくためには、整備された社会基盤を適切に維持していく必要があると認識をしております。 このため、洪水の流下を阻害する堆積土砂の撤去や通行どめへの応急対応など、安全・安心の確保のために必要な維持管理については、限られた予算の中で適切に行っております。しかしながら、施設の機能確保に大きな支障とならないケースについては、十分に対応できていないことも認識しております。 また、県内各地で災害が多発いたしました昨年の8月豪雨では、流出土砂の撤去や土のうの設置など、維持管理で対応すべき工事が増加したことから、多額の予算が必要となりました。このため、昨年の9月議会において、道路、河川、海岸など土木施設全般の維持管理費として、約11億円の補正予算を認めていただいたところです。 今後とも、安全・安心の面から緊急度や重要度を見きわめながら優先順位を明確にし、限りある予算の有効活用に努めるとともに、美化意識の高揚につながる清掃や草刈りについては、住民の皆様の力もおかりしながら効果的かつ効率的に対応してまいります。 次に、平成27年度の入札の状況及び不調となった物件への対策とその後の状況についてお尋ねがございました。 本年度に土木部が発注した土木工事におきましては、4月から10月末までに入札を実施した1,151件のうち、129件が入札不調または不落となっております。 入札が不調となった場合には、その後の対応の参考とするため、入札を辞退された事業者の方から可能な範囲で聞き取りを行うなど、状況の把握に努めているところです。この中で事業者の方からは、受注状況から技術者や作業員に余裕がなく、新しい案件を受注することが難しいといった御意見などがあり、そのことが不調、不落の増加の主な要因となっているものと考えております。 不調、不落となった案件については、それぞれの状況に応じて発注時期や工期、入札参加条件や入札方法の見直し、場合によっては複数の工事を合わせた発注を行うなどの対応をとっております。また、市場価格を反映した労務単価や諸経費率の引き上げなど、適正な予定価格の設定にも努めておりますが、予定価格と入札額との乖離により不調、不落となったと見られる案件については、設計、積算を見直すなどの対応もとっております。こうした対応の結果、まだ現在対応中のものもございますが、本年度に不調、不落となったもののうち、8割近くは既に契約済みとなっております。 今後とも、年間を通じた工事の平準化や余裕を持った工期の設定、現場代理人の常駐義務の緩和など、引き続き円滑な発注に向けて適切な条件設定に努めてまいります。 次に、積算間違いなどで工事発注後の再入札が起こっていることの再発防止策についてお尋ねがございました。 設計積算等のミス防止につきましては、本年度、大型工事で積算ミスが判明したことを契機に、積算ミスを起こさないためのチェック体制の強化と、積算ミスが発覚しやすい環境の整備の2つを柱として、ミス防止に向けた取り組みを強化したところでございます。 チェック体制の強化に向けた取り組みにつきましては、過去のミスの発生事例を参考に、チェックリストを充実させました。また、大規模な工事等の重要案件については、高知県建設技術公社に積算照査を委託することといたしました。あわせて、担当者の積算能力の向上を図るため、研修の充実強化も実施しております。 積算ミスの発覚しやすい環境の整備については、積算金額を示した事後公表設計書の公表を、これまでの、契約後から落札決定後に前倒しし、入札参加者が早期に積算内容を確認できるようにするなどの対応を行いました。今後も、一定期間ごとにミスの事例をモニタリングしながら、これらの対策の効果検証を行ってまいります。 次に、現場管理と職員の技術力向上についてお尋ねがございました。 御指摘のありました河川災害復旧工事については、昨年8月に被災を受けた河川護岸を早期に復旧するため、本年1月に工事の発注を行ったものです。 工事用道路につきましては、当初、工事箇所に近い堤防から進入する予定でしたが、道路下に位置する水路の強度に問題があることが判明したため、対岸から進入用の道路を設置せざるを得なくなったもので、現在その工事用道路を設置しているところです。また、被災箇所周辺の水深が当初に比べて深くなっていたことから、現場条件に即した復旧工法になるよう見直しも行っております。 このように、これまでも現地で施工条件の変化に臨機に対応してまいりましたが、今後も職員の、現場条件を見きわめる技術力、不測の事態に的確に対応できる判断力、関係者や受注者に対して円滑に対応する能力などを、より一層向上させ、適切な現場管理を行うことができるよう指導してまいります。 次に、都市計画法の見直しについてお尋ねがございました。 市街化調整区域における一定規模以上の開発につきましては、地域の実情に応じたまちづくりの方針と、その整備計画を地区計画として都市計画決定することにより、開発を行うことができます。現在、高知市や南国市では地区計画を活用し、大規模な産業・工業系の開発が行われており、県といたしましては、市や町が行う都市計画手続が円滑に進むよう支援をしているところです。 また、県においては、個人の住宅の高台移転につきましても、発災時にみずから避難することが困難であるなど一定の要件を満たす方については、津波浸水予測区域からの転居を認める開発許可の規制緩和を昨年10月から行っております。こうしたことから、津波浸水予測区域から市街化調整区域への高台移転につきましては、都市計画法における地区計画の活用や開発許可の規制緩和などにより、一定の対応はできているものと考えております。 このように、開発行為などの規制が定められている都市計画法は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的としたものであり、議員御指摘の課題につきましては、現在の法律の運用で一定の対応はできるものと考えております。 最後に、鏡ダムにおける選択取水のメリットについてお尋ねがございました。 平常時の鏡ダムからの放流水は、ダム本体に固定した取水口から取り込んでおり、この放流水の温度は過去の調査結果によりますと、貯水池へ流入する河川の水温とほぼ同じとなっております。このことから、放流水の水温については自然に近いものであると考えております。 一方で、4月から6月の間の貯水池表層の水温は、取水口付近の水温より5度程度高く、また濁度は10度程度低くなる傾向があります。このため、4月から6月の比較的水温が高く、澄んだ表層水を放流できる選択取水が、アユの成育等にどのような効果があるのかなど、今後、発電用の取水口を管理する四国電力を初めとする利水関係者とも協議しながら、調査検討をしてまいります。 (警察本部長上野正史君登壇)
◎警察本部長(上野正史君) まず、全国及び本県の特殊詐欺の現状等についてのお尋ねがありました。 全国の被害状況ですが、本年1月から10月の間における認知件数は1万372件、被害額は384億6,000万円でした。これは昨年同期と比べ、認知件数では411件の増加、被害額では約71億2,000万円の減少となっております。 一方、本県の被害状況は、本年1月から11月の間における認知件数が47件、被害額は約1億2,600万円でした。これは過去最悪であった昨年の同期と比べ、認知件数で22件、被害額で約4億2,000万円、それぞれ減少しております。 次に、本県の検挙状況と今後の対策についてお答えいたします。昨年の特殊詐欺の検挙件数は15件、検挙人員は12名でしたが、本年は、だまされたふり作戦を積極的に展開し、1月から11月の間で18件、18名を検挙いたしております。さらに、この種の詐欺を助長する口座や携帯電話の不正取得についても、本年は11月までに53件、25名を検挙しております。 特殊詐欺事件に対しては、県警察では、捜査の徹底及び予防対策の推進の2点を大きな柱として取り組んでまいりました。 このうち、捜査に関しましては、特殊詐欺が巧妙に組織化されたグループにより広域に敢行されることを踏まえ、今後とも、検挙した末端の被疑者の供述や犯行に使用された携帯電話等の解析による突き上げ捜査を徹底してまいります。さらに、他の都道府県警察との連携を緊密に図り、犯行グループの組織実態や犯罪収益の移転ルート、さらには犯行ツールの供給ルート等に対する情報の収集、集約、分析を行うことにより、犯行グループの解明と壊滅に向けた捜査を実施してまいりたいと思っております。 また、抑止対策につきましては、高齢者の被害が大半を占めることから、各種イベント等を通じた被害防止啓発活動や高齢者に対する防犯指導を行っているほか、金融機関、宅配事業者などによる高齢者への積極的な声かけをお願いするなどの取り組みを行っております。 県警察としては、今後とも特殊詐欺の犯行グループの壊滅に向けた取り組みをさらに推進してまいります。 次に、安全・安心まちづくりに交番、駐在所と住民の連携が重要ではないかとのお尋ねがございました。 御指摘のとおり、地域の安全と平穏の確保は、警察のみによってなし遂げられるものではなく、地域住民の皆様との連携が不可欠であると考えております。このような考えのもと、県内各地において、地域住民による防犯パトロール、女性・子供の見守り活動、青色回転灯をつけた車両によるパトロールなどが行われております。このような安全で安心なまちづくりの活動を、交番や駐在所と地域住民が連携して行うに当たっては、犯罪発生状況等の情報に基づいてなされることが重要であり、また地域住民の皆様への注意喚起のためにも、情報発信活動は重要と考えております。 このため、県下の交番、駐在所では、毎月1回、地域の身近な話題を伝えるミニ広報紙を作成し、巡回連絡等を通じて御家庭や事業所に配布しております。また、特殊詐欺を初め連続発生が予想される犯罪等については、随時タイムリーな広報を行い、注意喚起を図っております。さらに、交番連絡協議会、駐在所連絡協議会などの組織を通じ、地域住民の皆様からの意見、要望をお聞きするとともに、警察から管内の犯罪発生状況をお知らせするなど、地域安全活動のための連携を図っております。 今後とも、安全で安心なまちづくりを推進するため、地域の交番、駐在所と地域住民の皆様との連携を強化し、情報発信活動に努めてまいります。 最後に、自転車事故の現状と自転車利用者のマナー向上のための取り組みについてお尋ねがございました。 まず、県内の自転車事故の現状ですが、本年11月末現在、発生件数が404件、死者数が6名、負傷者数が388名で、過去5年間の推移を見ますと、発生件数と負傷者数は年々減少し、5年前との比較では約3割減少しておりますが、死者数はほぼ横ばい状態であります。これらの事故の原因を見ますと、自転車利用者側の約8割に信号無視、一時停止違反など何らかの法令違反が認められるという実態にあります。また、中学・高校生が関係する自転車事故は、自転車事故全体の約24%に当たる96件が発生しており、このうち約9割には学生の側に信号無視など何らかの法令違反が認められ、学生の自転車運転マナーの悪さが指摘されるところであります。 次に、自転車利用者のマナー向上のための取り組みについてですが、広く県民に対して、1つは自転車シミュレーターを活用した交通安全講習会の開催や、自転車販売店と連携した啓発活動。それから、自転車安全利用五則の広報啓発と周知の徹底などを推進しております。また児童生徒に対しては、学校においてスケアードストレート方式の交通安全教室を開催する。また、県下の全ての中学校、高校へ、交通安全教育資料トラフィックセーフティーニュースを毎月配信するなどの交通安全対策にも取り組んでおります。 これらの施策とあわせ、県下に自転車指導啓発重点地区と路線を指定し、毎月15日の自転車指導取り締まり日を重点に、市町村やボランティアの方々と連携した街頭活動や指導・警告活動を行っているほか、信号無視やブレーキのない自転車等、悪質、危険な自転車の違反取り締まりも強化しているところです。 今後とも、これらの取り組みを継続的に実施することにより、自転車利用者のマナー向上に努めてまいります。
◆28番(高橋徹君) それぞれ御答弁をいただきました。ありがとうございました。少し時間が残ってございますので、第2問を質問申し上げたいと思います。 ルネサスとの関係でございますが、知事からも、そして総務部長からも、新たな詳しい情報をきょうはいただいたと思っています。それと、なるほどなというような思いで御答弁をお聞かせいただいたところでございますが、県民感情として、やはり30億円近い投資をして、そしてルネサス社を誘致するに当たって高知のこの厳しい企業誘致環境の中で、なし遂げるにはそれなりの理由があったということも、理解をさせていただいたところでございます。片方で率直に申し上げまして、執行部にも、うまく回答されたなという気もしないではありません。例えば、地域間競争の問題であったり、コミットメントの問題であったり、それから知事から議会への事前の協議について御案内もあったところでございますが、企業との義務が生じるというお話もありました。 ただ、我々議会も当然、企業誘致をするにはそれなりに情報も得ながら、それぞれ努力をしてきた経過があると思います。それと同時に、議会の全員にお話しするんじゃなくて、例えば代表者会、こういったものも形成をしているわけで、例えば知事から、この問題については企業との問題があるんで代表者会に説明をさせていただきますが、少しこの件については情報の開示は御容赦願いたいとか、そういったこともやっぱり議会に情報としていただく、かなりの時間がございましたのでそういった余裕がないわけではない。我々議会にかかわる者として--私自身、情報が欲しいとは思っていません。しかし、それぞれ会派には代表がおいででございます。ぜひそういったことも視野に入れてほしかったなという思いがしましたので、この問題の提起をさせていただいたところでございます。 それともう一つは、県と企業が一体となって雇用、そして香南工業用水の利活用、そして第2工業用地の有効利用、他のおいでていただける企業を見つけるというお話はいただいたのですが、しかし、この厳しい状況下にあって、おいでていただけるという保証は全くありません。ひょっとしたら、ここ10年、20年誰も来ないまま、そのままになるかもわかりません。そういったリスクも当然あるわけで、このことも、我々県民の代表としてここにいる以上はそういったことについても言及をしておきたいと、そう思いましてお話しをさせていただいたところでございます。 知事の県の行政に対する日々の行動から見てみましても、我々が厳しく申し上げるような状況ではございませんが、片方で厳しい県民の意見というのは当然あるわけでございまして、そういった意見を我々が県政、執行部にお届けをすると、御意見を申し上げるということでもございますので、そこは気持ちよくお聞きをいただけたらというふうに思いました。 それと顧問弁護士さん、当然、年間お支払いをしているかどうかわかりませんが、いろんな企業で顧問弁護士さんをお雇いになって、幾らかの顧問料もお支払いをしています。内容からいいますと、知事からもお話がございましたが、非常に多岐にわたるというところで、はっきり言うたら高知の弁護士さんでは力不足であるということで、東京の弁護士さんに御依頼をしたと思います。しかし、高知の弁護士さんでも優秀な弁護士さんは、たくさんおいででございます。そういった方々に一度は相談をされたのかどうなのか、そのことについて1点、総務部長にお聞きをしておきたいと思います。 それから森林環境税のところでございますが、きょうは、このペーパーに期待をしておりませんでした。どんな答えが出るかなと、楽しみだなというふうに書いておったんですが、我々も非常に苦慮しております。この問題については、自民党の浜田議員さんから御提案をいただいて、我々県の猟友会の理事21人で相談した中で、きょう、この問題を御提案させていただいたところでございます。現状については質問の中でお話しをしてございますので、どうぞ知恵を絞っていただいて、こういった射撃場の環境というものを整えていってほしいなと。若干時間がかかるようではございますが、なかなか頼るところがない。これだけ激減をしておりますので、きょうはあえてお話しを申し上げたところでございます。 それと、都市計画法の高台移転の問題でございますが、部長から御答弁いただきました。 高台移転、結構規制緩和なしで土地利用が図れますよという、簡単に言えばそういった御答弁であったと思う。なかなかそうじゃございません。せんだって課長補佐と課長とお話をしたんですが、お二人には非常に前向きにお話をしていただいたんですが、担当レベルでほとんどが潰れてしまうんです。 私が思うのは、1案は、これとこれとこれをクリアしたらこの事業についてはできますよとか、もう少し土地利用を図る上において、高台、非常に高知は狭隘な土地柄でございますので、そうようけあるわけじゃございません。ぜひそういった視点で、開発行政にかかわっている方々ともう少し膝を詰めてお話をしていただいて、安全・安心な高台があれば、そして周辺環境をそんなに壊すことのない土地利用であれば認めていき、そして有効利用を図れるように、ぜひ考えてほしいと思います。 まだまだ御質問したいところもあるんですが、それと鏡ダムの問題について、先ほど御答弁が部長からございましたが、人間の体感での1度は1度です。しかし、魚族、例えばアユにとって1度というのは、人間の体感で5度の温度差があるというのが現状でございます。まあ調査研究をしていただくということでございますので、ぜひその辺についても、お互い研究しながら--大きな財産をお預かりしているわけでございますので、いい関係をつくっていくということで努力をしていただきたいと思います。 私の一切の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。お世話でございました。(拍手)
◎総務部長(梶元伸君) 顧問弁護士とのかかわりについてお尋ねがございましたが、先ほどお答えしましたとおり、高知工場については、三菱電機株式会社の第2棟建設を前提に香南工業用水道をつくったという特別な事情がございますので、県としては、中立公正な立場で過去の経緯の調査、あるいは法律上の評価をしていただかなきゃいけないというふうに思っておりました。 そのために、3月末にルネサス社から非公式に情報を入手した直後に、県の顧問弁護士に対して、ルネサス社が全国的に生産拠点の再編を進めている中で、仮にということでありますけれども、高知工場が集約の対象となった場合の想定ということで法律相談を行いました。その際、顧問弁護士からは、ルネサス社に負担を求める法的根拠が非常に弱いなということですとか、あるいは立地企業との争いが企業立地政策に与える影響を鑑みると、これは相当困難な案件になるだろうというような御助言をいただいたところです。 その後にルネサス社との接触を重ねる中で、先ほど申し上げましたとおり、相手方が独立した法務部門を持っている、あるいは企業再生の専門集団である、あるいは過去の経緯を全然知らないというようなことが明らかになりましたので、顧問弁護士の御助言も踏まえまして、この案件は大変困難な事案だという認識を深めるに至りまして、先ほど申し上げましたとおり企業法務に精通をし、専門的な知識を有する東京の弁護士事務所に御相談をしたところでございます。 ルネサス社との協議をしている際は顧問弁護士への相談は控えておりますけれども、12月1日に集約の方針が公表されました後に、3月末に非公式に高知工場の集約の情報を入手していましたということも含めまして、これまでの経緯や県の対応につきまして顧問弁護士に報告をいたしました。その際、顧問弁護士からは、今回の案件の性格からすれば、東京の弁護士事務所に依頼したということは妥当だという御指摘をいただいたところであります。 以上です。
○副議長(西森雅和君) 暫時休憩いたします。 午後3時10分休憩
----------------------------------- 午後3時30分再開
○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 34番中根佐知さん。 (34番中根佐知君登壇)
◆34番(中根佐知君) 私は日本共産党を代表して、まず知事の政治姿勢についてお伺いをいたします。 自公政権が、TPP交渉の大筋合意を受けた総合的なTPP関連政策大綱を決めました。しかし、大筋合意したといっても、協定の全文も確定せず、参加各国の署名や批准の見通しもはっきりしません。そんな中で対策を打ち出したのは、中身が国民に知られないうちに、都合のよい宣伝で協定への署名や批准を進めやすくし、来年の参議院選挙も乗り切ろうという党利党略でしかありません。断じて許せません。 11月5日公開された英文テキストは、協定文書1,000ページ、附属書5,000ページから成り、今、各国は中身を分析し、その上で議会において批准するかどうかの議論の準備をしている最中です。これが当然の手続です。しかし、日本政府はわずか100ページの抄訳しか公表していません。ここにも、国民に中身を知らせたくないという政府の姿勢があらわれています。これは、国民への十分な情報提供を行い幅広い国民的議論を行うよう措置することを求めた、2013年の国会決議にも反しています。 情報を隠したまま対策なるものを打ち出す国民不在の進め方は許してはならないと思いますが、いかがでしょうか。 判明しているだけでも、TPPの影響は極めて広範かつ深刻です。農産物については、重要5項目の関税の3割が撤廃、それ以外の農産物は原則関税ゼロです。政府は、農林漁業分野でもTPPの影響は限定的と述べていますが、長野県農協が鈴木宣弘東大大学院教授に依頼した影響額の試算では、県全体の生産額の13.8%に当たる約392億円が減少。豚肉77%、牛肉63%、リンゴ43%、ブドウ32%が減少することとなり、関係者に衝撃を与えています。しかも、原則7年後から関税撤廃・削減の前倒しを含めた再協議に応じる合意がされており、影響は拡大し続けます。 政府の対策は、米については備蓄対策の改善、牛肉、豚肉については経営安定事業の補填率を引き上げるなど、当面の対策を打ち出しただけです。こうした対策をとること自体、被害の大きさを示していますが、5項目以外の関税撤廃品目や中山間地域の対策は無視または先送りです。輸出を2014年の6,100億円から1兆円にすると言いますが、農業の直接生産物では1,110億円しかふえず、2012年の農業総産出額の8兆5,250億円の1.3%にしかなりません。 政府の姿勢のひどさを示したのは、安倍首相の、日本茶にかかる20%もの関税がゼロになる、静岡や鹿児島が世界有数の茶どころとされる日も近いかもしれませんとの発言です。現在、お茶の輸出先の1位アメリカ、3位シンガポール、5位カナダは、既に関税はゼロです。首相の言う20%の関税をかけているのはメキシコであり、その輸出額はわずか197万円、お茶の輸出総額の78億円の0.03%です。こんな国民だましで進もうとしているのが実態です。 政府調達は、日本の開放基準額、さらに地方自治体まで及ぶのかどうか不明です。地方自治体も対象となれば、地産地消、地元発注など産業振興の取り組みにも重大な影響を及ぼします。また、サービス貿易や金融サービスの市場開放について、政府は、社会事業サービスや公的医療保険などを除外しているので、懸念は無用と説明をしていますけれども、国際協定のルールはネガティブリスト方式、つまりサービスの自由化を避けたい分野をあらかじめ挙げて合意をしておかなければ、それ以外は全て自由化となってしまいます。現時点での何をリストアップされたかは不明です。例えば、公的薬価制度を守るといっても、知的財産保護の分野で高薬価を担保するための制度の導入が合意されています。 さらに、日米並行協議による影響も検証しなくてはなりません。日本がTPP対象から除外をしている医療機器の規制について、TPPと同程度の水準を維持し、将来の薬価制度、薬価の決定ルールについて協議することを日米間の合意文書で確認しています。最新の新薬、医療技術は保険外になるか、極めて高額となり、公的医療制度が空洞化させられると各方面から指摘がされています。ISDの訴訟への防止対策も、従来この種の協定で示された内容にとどまっています。それでは全く防止策になっていないことは事実で明らかです。 政府が第一に行うことは、日本語訳の協定文書、附属書を全面公開し、その内容を国民各層が徹底して分析、検証できるようにすることだと思いますが、いかがですか、お聞きします。 県としても、全体を精査し県民への影響を十分検証できるまでは、政府に対し協定文書に署名するな、批准するなの立場をとること、また重大な影響がある場合は、協定から撤退を強く求めるという立場を貫くことが重要だと思いますが、お聞きをいたします。 次に、伊方原発再稼働についてお伺いいたします。 そもそも、新規制基準は極めて不十分なものです。再稼働前提とした基準であり、設計から根本的に見直しをするのではなく、最初から追加工事で足りるとするものです。 日本の原発は、格納容器は壊れないことを前提に、IAEA基準である被曝量、年100ミリシーベルトが原発敷地内におさまるとして、多数の住民が住む地域に立地を許してきました。福島原発事故は、その前提の虚構を明らかにしましたが、新基準は、敷地境界の被曝量を規制した原子炉立地審査指針を残しておいては原発が存在できないので、これを放棄しました。さらに、IAEA基準の深層防護の第5層、原子力防災の中核である避難計画は、本来は、原発周辺に広大な非居住区域、低人口地域を前提としたものであり、日本のように十数万人、地域によっては100万人もの人が30キロ圏内に住んでいることを想定していません。よって、日本では実効ある避難計画をつくることが不可能なので、規制基準から外したわけです。その立地条件は世界基準を全く満たしていません。その上、電力会社の申請内容をチェックする審査のあり方が問われている重大事態となっています。 東京電力柏崎刈羽原発で、安全設備関連のケーブルが新規制基準に反して分離されていなかった問題が発覚しました。類似のケースは福島第二原発、浜岡原発などでも見つかっていますが、重大なのは、規制委員会の審査や検査は書面だけで十分な現場確認が行われていないことです。規制庁は、現時点で加圧水型でもケーブルが混在している可能性がないとは言えないが、今後の対応は決まっていない、まずは東電の報告内容の分析を進めると発言しています。 少なくとも審査のあり方を点検し直し、再審査が完了するまでは再稼働すべきではないと思うが、お聞きをいたします。 今回の電力会社の再稼働について知事は、現時点でやむなしと判断した根拠に、老朽火力の故障による停電の危機として昨年12月の事例を挙げて説明をしています。その詳細に入る前に、現時点とは言いますが、四電は老朽化した伊方原発1号機、2号機の廃炉の方向も示していません。火力発電を置きかえるための計画も、原発再稼働を前提としているために小規模なものにとどまっています。これでは停電の危険を理由にし、1号機、2号機も再稼働が必要というレールに乗ってしまうことになりかねません。この点は厳しく指摘をしておきたいと思います。 また、再稼働する3号機は、高濃縮のステップ2燃料とMOX燃料を使う、他に例のない運転です。運用実績も1年しかありません。四国電力も県との勉強会で、プルサーマル運転は制御棒がききにくいということを認めています。また、燃料自体が高価で、発電効率が悪いこと、使用済み燃料の発熱量が通常の燃料より格段に大きく、処理に、より大きな困難を伴います。県民の不安、批判がより大きい方式を採用することは、やむなしではありません。 プルサーマル運転をやめるべきと明言すべきではありませんか、お聞きをいたします。 昨年12月の事例ですが、最大電力となった17日、確かに四国電力の供給能力535万キロワットに対し、余力は32万キロワットしかありませんでした。しかし、冬場で電力需要が高まることは明らかなのに、他社受電が132万キロワットしかありません。これは4月、6月に続き3番目に低く、9月の165万キロワット、前年12月の156万キロワットから大きく減少しています。他社受電を適切に確保していれば、逼迫するという事態は避けられたはずです。 ピーク時と火力発電の故障が重なったらと説明していますが、電力供給は需要を予測して、一定の余裕を持って発電施設を動かしています。故障したからといって、それ以外の動いていない火力発電で急に発電できるわけではありません。原発が動くことになっても、この理屈は同じです。緊急の場合は、本川の揚水発電がバックアップの役割を果たします。61万キロワットの発電を10時間継続運転できます。地域間連携で対応します。四国電力と関西電力で140万キロワット、四国電力と中国電力で120万キロワットの融通ができる送電線の容量となっています。当然、当該地域での安定供給を前提にして可能な範囲でということですが、全体として火力発電の老朽化が問題となっているなら、余力を多目にとるなどネットワークを生かした対応で再稼働を避けるための最大限の努力をすべきです。 電力供給は、地域連携、他社受電などで極めて複雑で専門的な分野です。専門家、研究者の力、全国的な知恵を生かして、再稼働を避ける手だてを徹底検証すべきだと思いますが、お聞きをいたします。 また、節電の努力は不安定だと言いますが、大きな流れは定着してきています。特に原発再稼働か節電かの選択が問われれば、住民の大きな協力が得られるはずです。節電の呼びかけもなしに再稼働やむなしとするのは、県民の再稼働反対の声に応えたものとは言えないと思いますが、どうか、お聞きをいたします。 次に、社会福祉法改悪についてお伺いします。 国会で今継続審議となっている社会福祉法等改定案の中心点は、社会福祉法人にいわゆる内部留保を活用して地域公益活動を行うことを義務化することと、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の公費助成対象から障害福祉分野を外す内容で、障害者団体などから強い批判の声が上がっています。 見直しの出発点は、民間企業の参入推進、社会保障費抑制のために、政府の規制改革論議に端を発したものです。一部の社会福祉法人が経営する特養ホームにいわゆる内部留保が多額に上っているとキャンペーンを張り、それを全ての社会福祉法人の問題にすりかえたものです。 まず、障害福祉、児童養護など県民の生存権を守る上で果たしている社会福祉法人の役割についてどう認識をしているのか、お伺いいたします。 そもそも、非営利の社会福祉法人が将来の事業などに備える資金と、営利優先の大企業の内部留保とは性格が違います。厚生労働省の調査でも、運転資金を考慮すると約7割の法人が運営困難となっています。本県の社会福祉法人は厳しい環境で運営していると思いますが、どうお考えか、お聞きいたします。 見直し案は、全ての社会福祉法人に、既に行っている社会福祉事業に加え、新たな無料・低額の福祉サービス提供、地域公益活動を行う積極的努力義務を求め、その財源に法人の余裕財産を充てることなどを義務づけています。 2014年7月政府の検討会がまとめた、社会福祉法人制度の在り方についてが、その狙いを語っています。その中では、介護保険制度、障害者総合支援制度が利用者の多様な生活上の困難の全てについて対応しているわけではない、制度上、さまざまな経営主体の参入が可能になっているものの、過疎地などには事業者の参入がなく、制度に基づくサービスについても提供が困難となっている場合があるとして、現在の契約制度や市場化の問題点を認めながら、それを改善するのではなくて、政府や市場の失敗を補完する機能が非営利組織にあるとして、採算のとれない事業を社会福祉法人に押しつけようとしているのです。 これは、高知県のような地方、中山間地は切り捨てるという発想ではありませんか。また、「国及び地方公共団体は、法律に基づくその責任を他の社会福祉事業を経営する者に転嫁し、又はこれらの者の財政的支援を求めないこと」と、社会保障の公的責任を定めた社会福祉法第61条第1項第1号に違反する考えだと思いますが、知事の認識をお聞きいたします。 ところが、見直しの前提となる社会福祉法人の内部留保の確定した定義も、余裕財産の算定方式も定まっていません。まさに、先に結論ありきの改悪です。その結果、算定式をいじるだけで、経営実態を無視して余裕があると判断され、新たな無償サービス実施を一律に押しつけられ、労働強化や経営難に追い込まれる懸念があります。 さらに、ガバナンスの強化として、評議員会の設置、計算書類、財産目録の公開、社会福祉実践残額の算出を義務化し、事務負担、支出増を強いる内容となっています。社会福祉法人の6割は30人未満の小規模事業所であり、事務負担とそのための支出増の影響は小さくありませんが、恒常的な助成策は検討もされていません。 本県の社会福祉法人へ重大な影響を与える内容が含まれていると思うが、認識をお聞きいたします。 福祉分野の担い手不足が大きな社会問題となっており、2014年には、介護・障害福祉従事者の処遇改善のための法律が全会一致で成立をしているんです。退職手当共済制度の障害分野における改悪は、処遇の低下によるさらなる人材不足を招くもので、福祉人材確保に逆行するものです。 退職手当共済制度は、公共性の高い福祉労働を担う民間福祉労働者の賃金水準や労働条件が、公務労働者と比べて余りにも低いことを国としても認めて、その改善に資するために1961年に導入されました。この制度では、民間福祉労働者の退職金の水準確保のために、掛金を国、都道府県、事業者が3分の1ずつを負担するものですが、2005年、民間企業との条件の同一化を理由に改悪され、まず介護保険分野が助成から外されました。そして、今回は障害福祉分野が俎上に上り、今後保育分野も廃止が検討されています。福祉現場の労働環境の劣悪化、担い手不足に拍車をかけるものです。 福祉の人不足解消、処遇改善に逆行すると思いますが、お聞きをいたします。 本来、公的な社会保障制度の拡充で対応すべき内容を、社会福祉法人の慈善事業に肩がわりさせることは、国の責任放棄にほかなりません。担い手不足をさらに深刻化させます。社会福祉法人が疲弊することで被害を受けるのは利用者である県民です。県が進める住み続けられる地域づくりにも、困難を持ち込む改悪です。 社会福祉法等の改悪は重大な懸念があり、反対すべきだと思いますが、お聞きをいたします。 次に、ルネサスの閉鎖の問題についてお聞きいたします。 12月1日に、ルネサスエレクトロニクス子会社の高知工場が、二、三年後をめどに閉鎖、撤退することが発表されました。県も対策本部を立ち上げ、関連企業を含めた360名の労働者の雇用確保に全力を挙げることを発表しました。雇用確保の点では、そもそもルネサスエレクトロニクスは、三菱電機、日立製作所、NECという大企業から分社化された会社です。2014年3月決算で、それぞれ5,405億円、2兆9,743億円、6,430億円という巨額の内部留保を持っており、雇用確保のために大企業としての社会的責任を果たすのは当然ではないでしょうか。 また、ルネサスエレクトロニクスは、官民ファンドの産業革新機構の支援を受けて経営再建を図っている最中でした。現在、同機構の持ち株比率は69.16%となっています。産業革新機構は、官民ファンドといいますけれど、3,000億円の出資金のうち政府が2,860億円を占めており、実質的には国有企業のような状況にあったわけで、政府も雇用問題の解決で力を尽くす責任があります。また、労働者の多くは30代、40代の子育て真っ最中の世代であり、生活上の不安など精神面も含めて、きめ細かい対応が必要です。 ルネサスエレクトロニクスの身勝手な撤退を許さず、雇用問題の解決に政府、親企業に責任を果たしてもらう必要があるのではないか、解決のための決意をお聞きいたします。 さて、今回の問題を、今後の企業誘致においてどう教訓化するかが問われていると思います。知事は、ことしの2月議会でビッグプロジェクトの誘致をという質問に対し、木に竹を接ぐような取り組みでは成功しないとして、大型の工場を誘致し、撤退して大変困っている地域がたくさんある、やはり地域に根づいていることが大事と、第1次産業由来の産業育成の重要性を強調する答弁をしています。極めて重大な視点だと思います。 改めて企業誘致に対する基本的視点についてどう教訓化するか、伺います。 県は、工場拡張計画を前提に、2001年度までに約22億円を投じて香南工業用水道を整備しました。しかし、県は三菱側と当時、用水道整備の負担に関して契約も結んでいなかったため、今回その負担について信義則しか適用できず、6億円の第2棟計画用地の無償譲渡で和解するしかなかったわけです。我が党は以前に、企業誘致に当たり安易な撤退を防ぐために、補助金を出す条件として、雇用の維持や自治体が投資した財政負担への責任などを明確にした協定を結ぶことを提案したことがあります。 今回の事例から何を教訓とするのか、また改めて協定の必要性についてお伺いいたします。 次に、男女共同参画についてお伺いいたします。 国連の、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を日本が批准して、ことしでいよいよ30年になりました。そして、高知県では男女共同参画プランの見直し作業が進められ、今、来年度以降5年間の方向がつくられようとしています。男女共同参画の推進のために、意識を変える、場を広げる、環境を整えるといった3つのテーマで具体化を進めてきました。 男女共同参画計画がまだ策定されていない町村の数、今後の対応、県の審議会などの委員の構成や管理職の女性の登用比率、仕事と家庭の両立のための環境を整える問題など、取り組みは多岐にわたります。その進捗をどのように総括されているのか、また次期プランに生かす課題をどのように考えているのか、文化生活部長に伺います。 県がことし1月にとった県民アンケートを見ると、社会全体について男性が優遇されているという回答が、前回の64.9%を上回る66%で、家庭生活の分野では、妻が主に家事・育児を支えながら夫と共同で家計を支えている、こういう結果が出ています。いまだに、ともに支え合う男女平等を感じることのできない社会を変えるには、強いリーダーシップが必要です。 生き生きと暮らしていく社会を目指すために、まずは県の職場からと、この間も何度か、男女共同参画プランの中でも育児休業の取得を初めワーク・ライフ・バランスの具体化を求めてきました。いつまでも電気の消えない県庁や学校の職員室、妻が出産し産休をとっていても、制度はあるのに育児休業をとる男性職員はごく少数です。チーム県庁、チーム学校の中で、ともに働き子育てをし社会参加をしていく土台が、いつまでも男性の側に広がらない現実を変化させて社会全体に広げていくことが、今求められています。魅力ある、人間の命の成長に向き合える貴重な時期に、短い時間でもしっかり向き合うことは、仕事にもいい結果をつくり出すことにつながるし、バランスのある意識改革に通じると考えます。 具体的に、男性職員が育児休業をとる条件をしっかりつくり、思い切って推進するために力を尽くすべきだと考えますが、いかがでしょうか、総務部長、教育長にそれぞれ伺います。 次に、児童養護施設の課題について、以下、地域福祉部長に伺います。 ことし3月に、高知県家庭的養護推進計画が策定されました。これは、平成24年11月に厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知により、平成27年度を始期とする各都道府県の推進計画の策定が要請されたことによる、平成41年までの将来像と今後5年間の取り組みを定めたものです。国は計画として、施設が9割、里親が1割である現状を、十数年後に、本体施設、グループホーム、里親などの割合をそれぞれ3分の1ずつにしていくという目標を挙げています。 本県は、これまでも里親の委託率が低く、また施設が多いことから、その目標達成にはさまざまな課題があると思いますが、どのように家庭的養護を進めていくお考えなのか、お伺いをいたします。 この推進計画の中でも、社会的養護の課題が何点か挙げられています。その1つは、専門的ケアの充実です。この間、虐待を受けた子供や、発達障害や知的障害など何らかの障害を持った子供の入所がふえています。平成24年度の調査によれば、虐待経験者が約45%、障害を持っている子供が28%という状況です。こうした子供たちの心と体のケアと発達の専門的対応が必要です。平成24年からは、全ての施設に心理療法担当職員の配置が行われました。こうした専門職は、経験を生かしながら継続性による専門性の蓄積、実践交流による力量アップが図られなければなりません。 施設任せにすることなく、県としても支援策を講じるべきだと考えますが、お伺いいたします。 2点目の課題は、自立支援です。自立のために最低限必要と言える高校卒業資格をどう保障するかが鍵となります。通塾のための国の予算措置はされていますが、コミュニケーション力が不十分である子供たちにとっては、通塾も苦痛なものになります。この間、朝倉ゼミナールの先生方が施設に出向いてくださり、必ず高校に行けるようになるよと励ますことで、子供たちの目が輝き、熱心な取り組みによって自立に大きく踏み出した経験もつくられています。極めて貴重な取り組みです。ことしから国の制度で、集団学習になじむことが困難な子供に、家庭教師などによって個別指導を行うための措置費も、月2万5,000円という額ですが実現をしました。 各施設で積極的に活用するよう働きかけるべきだと考えますが、お伺いします。 また、自立のためには、就職できること、住居を構えることが重要です。どんな職業につきたいか、そのためにはどうすればいいか、心にきめ細かく寄り添う相談、指導が欠かせません。適切な住居を選択し、契約するといった一人一人への具体的な対応も必要です。しかし、現在の職員配置基準では、専門的にその援助・指導を行える体制にはなっていません。人口の多い自治体ではそうした事業を委託できるNPO団体がありますが、本県には存在していませんし、事業化するためには財政的基盤での点で困難な状況となっています。 県として、自立支援のために人的配置のできる支援が求められていると思いますが、お伺いいたします。 埼玉県では、退所後のアフターケアのあり方、自立支援に何が必要かを政策化するため、退所後の生活実態や自由記載欄を設けた退所者のアンケート調査を行っています。本県でも課題を明らかにするためにも、ぜひ調査を行うべきと考えますが、お伺いいたします。 次に、出産・子育て支援について伺います。 少子化対策、中でも出産・子育て支援について知事と健康政策部長に伺います。 近年、少子化に歯どめをかけることは国の重要課題です。人口自然減の高知県でも喫緊の課題だとの共通認識のもと、教育や婚活、お母さんと赤ちゃんの命を守る医療体制づくりなど努力を重ねてきましたが、いまだ十分だと言える状況ではありません。 全国でも、自治体の出産支援制度としてさまざまな施策が実施されています。妊娠20週を過ぎれば誕生準備手当4万5,000円が支給される千代田区や、1人出産につき8万円支給の渋谷区、港区では出産費助成が行われ、出産費用上限60万円から出産育児一時金の42万円を差し引いた全額を助成する制度も大変喜ばれています。出産は一人一人条件が違いますから、病院を退院するときにお金の心配をしなくてよい制度は産後ケアの大きな支えとなります。 また、世田谷区では、妊娠期から切れ目ない支援を掲げ、フィンランドでアドバイスの場を意味するネウボラと呼ばれる子育て支援制度を参考にしています。ネウボラおばさんと呼ばれる一人の保健師さんが、カップルが妊娠したときから学校に入るまでの間、かかりつけ保健師として相談に乗り、出産・育児に関するあらゆる手続もネウボラおばさんを通して行うものです。また、世田谷区では、武蔵野大学附属産後ケアセンターと連携して、出産後4カ月未満のお母さんが体調管理をしながら赤ちゃんとの生活ペースづくりをする、子育ての自立の場をつくっています。宿泊プランや日帰りプランがあり、最長利用期間は7日間までですが、子ども家庭支援センターが窓口になり、定員が上回った場合には抽せんとなっています。 県は昨年、産後ケア検討会を行い、ことしは福祉保健所単位で市町村と一緒に取り組みを強めようとしています。具体的にどう取り組みを進めているのか、健康政策部長に伺います。 こうした他の自治体の取り組みにも学びつつ、高知県でも若い夫婦を励まし、少子化に歯どめをかける施策が必要です。核家族化の広がる中、産後ケア事業の一つとして、せめて赤ちゃんの首の座る時期まで配食サービスを利用できないかとの声が上がっています。母乳で育てる間に食を大切にしたいと思っても、買い物に行くのもままならないのが産後の状況です。 市町村任せではなく、県が主導で子育てを応援する姿勢の一つとして配食サービスの制度をつくってはと思いますが、伺います。 また、子育ての中では、最大の悩みは高い教育費です。一連の中で、大学の給付型奨学金制度の導入を以前にも提案させていただきました。実現を望む声が強まる中、国の動きも具体化しつつありますが、県としてどのように取り組んでいくのか、これは知事に伺います。 安心・安全な出産を経験し、第3子以上の出産を決心できる環境をつくり出すことは容易ではありません。世界でも、出産率を上げていくためには思い切った政策をとる国々があります。中でも、少子高齢化が深刻化して日本と同じ状況にあったロシアでは、1999年に1.17だった合計特殊出生率が2013年には1.7に向上し、2014年の出生率は過去最高となり、人口が自然増に転じたとの報道がされています。 その秘策の一つが、2007年から始めた母親資本--マテリンスキー・カピタルという制度です。要は、子供を2人産んだ親に対して国が母親資金という一時金の支給をするというもので、金額はロシア人の年収の1.5倍に相当します。ただし、支給されるお金の用途は決まっていて、住宅の購入や修繕か子供の教育費となっています。大変思い切った施策ですが、家が買えるほどの大金を支給してでも解決しようとする国の姿が、転換点をつくり出しました。子供を産み育てる不安に、経済問題は大きなウエートを占めています。ここを社会全体で支える考え方と施策が強く求められていることを示した一つの実例がロシアです。 第3次安倍内閣は、一億総活躍社会というスローガンを掲げ、新3本の矢の一つに希望出生率1.8を掲げました。加えて、女性の時代を掲げて、女性の社会進出を打ち出しましたが、従来型の施策にとどまっています。 県としても努力をするのはもちろんですが、国に対しても少子化克服に思い切った財源投入を要望すべきだと考えますが、いかがでしょうか、知事にお聞きします。 次に、教職員の事務負担軽減について伺います。 教職員の長時間過密労働の解消に向けた取り組みについて教育長にお聞きします。 私たちは、さきの9月議会予算委員会でも、文部科学省の「学校現場における業務改善のためのガイドライン~子供と向き合う時間の確保を目指して~」の報告で、最も現場の負担感を増していると指摘されている、国や教育委員会からの調査、アンケートを例に、県教委の取り組みを実効性あるものにするよう求めました。 教育長は、「調査、アンケートに対する教育委員会のガイドラインを作成している。本県で既に取り組んでいるものも多く含まれている」とお答えになっていますが、問題は、その取り組みが現場の負担軽減に対し実効性を持っているかどうかです。 そこでお聞きします。PDCAサイクルを回すとよくおっしゃっていますが、効果を評価するためには現場サイドの実態を把握せねばなりません。既に作成しているガイドライン及び既に取り組んでいると言われている施策効果を、どのような手法、どのような機会を設けて把握されているのか、効果とあわせてお聞きいたします。 岐阜県では、「教職員の多忙化解消アクションプラン~教職員が元気に児童生徒と向き合う時間を確保するために~」を2012年に作成、1、各学校が自分の学校の現状を把握し、改善点を明確にして全教職員で取り組む、2、その取り組みを各市町村で交流し、自分の学校の実践に生かす、3、メンタルヘルス対策を管理職が先頭に立って推進するなど、現場での取り組みを励まし、トップダウンではなくボトムアップしていく取り組みを行っています。 各学校に配置された、多忙化解消に向けた学校セルフチェックシートの4項目めの「校内研究、研修の進め方の見直し~みんなで協力して~」では、研究発表会では、研究紀要は一枚物とし、指導案もA4、1枚に簡略化する、立派な冊子はつくらないとか、「部活動の見直し~先生も子どもも休める日を~」など、よい授業やすぐれた教育活動を際限なく求めてしまう学校現場、教員心理に自制を促すチェック点などを示して、改善を迫っています。また、総括安全衛生委員会に教組の代表も加えるなど、現場と一体になった具体的な取り組みを進めています。 本県でも、岐阜県の実践を参考にするなど、現場からの取り組みを促す具体的なプランを、そして岐阜県の総括安全衛生委員会のように労働安全衛生法で定められたものではありませんが、学校現場の意見を反映する機関を設置するといった、さらなる取り組みを行うべきだと考えるものですが、教育長のお考えをお聞きします。 次に、森林、環境の保全と開発について、林業振興・環境部長に伺います。 先日地元新聞に、「市有山林カット住民反発 南国市緑ヶ丘事前説明なし市長陳謝」との報道がされました。現場は、南国市の十市パークタウンの裏山で、高知市との境界付近の海抜40から50メートルほどの山林。隣接する北側の大半の土地を所有する土木建設会社が、市有山林約1万7,000平方メートルを対象に、十数メートルカットするなどの計画のもと、既に尾根部分を百数十メートルにわたって、高さ1から5メートルほど削られてしまった、こういう問題です。 市からも業者からも地元説明会はなく、工事に気づいた住民が猛反発し、工事中止と原状の回復を求めているものです。パークタウンの裏山は北風を防ぐなど団地の環境保全にとって貴重な緑地であり、急斜面の樹木の伐採は土砂災害を誘発しかねず、住民の反発と環境保全への願いは当然のことです。 山林の伐採、形状変更に関する許可申請にどういう対応をしたのか、また住民合意はなく住民生活にも重大な影響を与えることは必至であり、環境と森林の保全の立場から県としての指導が求められていると考えますが、あわせてお聞きします。 次に、高知市が進めている官民連携基盤整備推進事業、いわゆる道の駅・防災道路構想に関して伺います。 約30ヘクタールの構想で、調査エリアは、一人の地権者が約9割を所有するとともに、大正時代と言われていますが、古くから指定された森林法に基づく風致保安林が約8ヘクタール存在しています。浦戸湾の緑豊かな景観を醸し出すとともに、浦戸・長浜地域の自然を豊かにしています。また、浦戸湾、土佐湾の環境維持や風水害を軽減する役割をも果たしています。そして今日、浦戸城址の保存活用が注目される中で、当時の城下町をしのばせる町並みの重要な要素ともなっています。 今回の道の駅・防災道路構想は、こうしたかけがえのない役割を果たしている法に基づく風致保安林を壊すことになりかねません。しかし、保安林の解除、そして伐採の要件はもともと厳しいもので、指定理由の消滅、または公益上の理由以外は解除できないとされています。 代々守り続けてきた環境、自然を後世に残すことは行政の重要な使命であり、森林法と行政の使命に基づく対応を強く求めるものですが、御所見をお伺いして、私の第1問といたします。 (知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君) 中根議員の御質問にお答えをいたします。 まず、TPP交渉に関して、情報を隠したまま対策なるものを打ち出す国民不在の進め方は許してはならないと思うがどうかとのお尋ねがございました。 お話にありました総合的なTPP関連政策大綱は、経済効果分析や影響試算を前提としたものではございませんが、政府等において精力的な議論を行い、また地方説明会等で出された意見なども踏まえて取りまとめられたものだと受けとめております。 大綱は、TPPの効果を真に我が国の経済再生、地方創生に直結させるために必要な政策及びTPPの影響に関する国民の不安を払拭する政策の目標を明らかにしており、とりわけ農林水産業に関し基本的な考え方として、農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう、さらに農林水産業全体として成長産業としての力強い農林水産業をつくり上げるため万全の施策を講ずる必要がある、そのように述べ、また今後の対応として、農林水産分野の対策の財源については、既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保するとするなど、特に農林水産業に対する懸念、不安の声が多い中、少しでも早く政府としての強い意志を明確にしたものではないかと考えております。 また、大綱では、農林水産業の成長産業化を一層進めるために必要な戦略、さらに我が国産業の海外展開、事業拡大や生産性向上を一層進めるために必要となる政策については、平成28年秋をめどに具体的な内容を詰めることとされております。 さらに政府は、TPPについて国民に対する正確かつ丁寧な説明、情報発信に努め、TPPの影響に関する国民の不安、懸念を払拭することに万全を期すとともに、TPPの経済効果分析結果を年内に公表することとしております。いずれにいたしましても、県としましては、政府におきまして十分な情報提供と説明を行っていただきたいと考えております。 その上で、政府には、農林水産業に従事する方々の不安の声を真摯に受けとめ、大綱の方向性に沿った形で、十分かつ実効性のある対策を打ち出していただきたいと考えております。我々も、追加的な説明を通じて得られた知見などをもとに、さらに積極的な政策提言を行ってまいります。あわせまして、我々といたしまして、産業振興計画の推進を通じて、再生可能な農林水産業づくりにさらに尽力をしていかなければならないと、そのように考えておるところでございます。 次に、TPPに関して政府が第一に行うことは、日本語訳の協定文書などを全面公開し、国民各層が徹底して分析、検証できるようにすることではないか、また県としての立場についてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。 TPPの影響を深く知る上で、お話にありましたように日本語訳の協定文書などを全面公開し、分析、検証を行うことも必要なことだと思います。また、政府においても、国会への提出に向けて作業を行っているところではないかと思っております。 他方、できるだけ早く、わかりやすく、国民の多くの皆様に対して情報を提供することも重要な視点だと考えておりまして、政府においてもこうした点を考慮して、まず日本語訳のTPP協定の全章概要を公表したのではないかと考えております。先ほども申し上げましたように、政府におきましては、TPPの経済効果分析結果を年内に公表し、わかりやすく説明するとのことであり、しっかりと対応していただきたいと考えているところでございます。 次に、伊方原発再稼働に関する一連の御質問にお答えをいたします。 まず、原子力規制委員会の審査のあり方を点検し直し、再審査が完了するまでは再稼働すべきではないのではないかとのお尋ねがありました。 伊方原発3号機については、現在、原子力規制委員会において、設置変更許可後の工事計画の審査が続いているところであります。工事計画が認可された後に使用前検査が実施され、実際に現地において認可どおり設備の構造や機能などとなっているか確認することになります。また、伊方原発3号機では、設置変更許可の審査の過程においても、本年3月を含めて3回現地調査が実施されております。 新規制基準の適合性につきましては、議員御指摘のように、柏崎刈羽原発などにおいて過去に設備が不適切に設置されていたことも踏まえて、現在の原子力規制委員会では現地検査を含めた厳正な審査が実施されるものと認識しております。 県としましては、万全の安全対策が講じられますよう、引き続き国に対しても厳正なる審査を求めてまいりたいと考えております。また、今後も継続して行っていく四国電力と県との勉強会などにおいて、使用前検査などの再稼働までのプロセスの確認を行っていく、そのようなことも考えているところであります。 次に、プルサーマル運転をとめるべきと明言すべきではないかとのお尋ねがありました。 プルサーマル運転で使用されるMOX燃料は、使用済み核燃料から核分裂に使われなかったウランや新たに発生したプルトニウムを抽出し燃料として再利用するもので、ウラン燃料と比べて中性子を吸収しやすく、原子炉の制御が難しいとされており、使用済み燃料も使用済みウラン燃料と比べて発熱量が低下しにくい性質があるとされております。 このため、本県としましても、四国電力との勉強会において、プルサーマル運転における安全対策や使用済みMOX燃料の保管方法の安全性について特に取り上げ、確認をしてきたところであります。 四国電力からは、プルサーマル運転に当たっては、MOX燃料の特性を踏まえ、原子炉内のMOX燃料とウラン燃料を適切に配置したり1次冷却水のホウ酸水濃度を高めるなどの安全対策をとっていること。プルサーマル運転は、国内の複数の原子力発電所や諸外国においても豊富な運転実績があり、十分に確立された技術であること。使用済みMOX燃料の保管についても、その特性を考慮した上で、使用済み燃料ピットにおいて安全に冷却できることが国の審査により確認されていることから、安全であるとの説明をいただいているところでございます。 いずれにしましても、四国電力に対しては、原子力発電所の再稼働に当たって万全の安全対策を講じるよう、引き続き要請していきたい、また確認を重ねてまいりたいと考えているところであります。 次に、専門家、研究者の力、全国的な知恵を生かし、再稼働を避ける手だてを徹底検証すべきではないかとのお尋ねがありました。 四国電力の電力供給力に対し、管内の電力需要が大きくなることが見込まれる場合は、他の事業者からの受電や、他の地域の電力会社からの電力融通により対応することが考えられ、こうしたことについても四国電力の勉強会などを通じて確認を重ねてまいりました。 この中で、他の事業者からの受電は事業者の供給能力に左右され、他の地域の電力会社からの電力融通はおのおのの電力会社の需給状況に左右されることから、四国電力で電力の供給力不足になるおそれがあるときに確実に必要な電力供給を受けられる保証はなく、このため安定的な電力供給のためには、それぞれの電力会社でしっかりと供給力を確保する必要があるとの趣旨の回答を、定量的な説明も含めて得たところであります。 四国電力において、県民の生活や経済活動に不可欠な電力の安定供給を図るためには、これまでも申し上げてきましたとおり、現時点では伊方発電所3号機の再稼働はやむを得ないと考えております。 ただ、あわせて、今後四国電力に対しては、勉強会などを通じて原発の依存度の低減に向けた取り組みを求めてまいりますし、国に対しては、再生可能エネルギーのさらなる導入促進をするため、送電網整備などの全国的な課題の解決を求めてまいります。県としても、エネルギーの地産地消の仕組みづくりなどに取り組むなど、原発の依存度低減に向けた具体的努力を重ねてまいる所存であります。 次に、節電の呼びかけもなしに再稼働やむなしとするのは、県民の再稼働反対の声に応えたものとは言えないのではないかとのお尋ねがありました。 節電の呼びかけにつきましては、東日本大震災以降、毎年、夏季、冬季の電力需要が増加する時期に、国や電力会社から国民に対して行われております。本県としましても、国からの呼びかけも受け、全庁挙げて節電に取り組んでおりますほか、市町村に対して協力要請や関係機関への周知依頼を行っております。 四国電力の分析によりますと、四国電力管内における節電効果は、伊方発電所がまだ稼働していた平成23年度と全号機が停止した平成24年度以降で比較すると、夏季は平成23年度に16万キロワットであったものが約2.5倍の40万キロワット程度で推移しており、冬季は平成23年度に14万キロワットであったものが約2倍の30万キロワット程度で推移していることから、既に節電は全体的に相当程度行われており、これ以上の上積みについては確実性を担保できるものではないと考えます。 また、そもそも電力需要の逼迫が予想される事態に際して節電を呼びかけても、直ちに広域に行き渡らせることは困難である上に、どれだけ節電に取り組んでいただけるか不透明であることから、十分な電力需要の低下を担保する方法として確実なものとは言えません。この点からも、節電によらずとも、あらかじめ電力供給を十分に確保しておく必要があると言えるものと考えております。 こうしたことから、現時点でさらなる節電によって対応可能であるとは考えておりませんけれども、他方で、原発の依存度の低減のために節電や蓄電は重要な技術であると考えます。国を挙げて技術開発に取り組んでいくことは必要であり、引き続き本県からも政策提言を重ねていきたいと、そのように考える次第であります。 次に、社会福祉法人が果たしている役割と、県内法人の運営面での厳しい環境についてのお尋ねがありました。関連をいたしますので、あわせてお答えをいたします。 まず、社会福祉法人が果たしている役割につきましては、社会福祉法に基づく特別養護老人ホームや障害者支援施設、児童養護施設等の設置、運営などの社会福祉事業の実施を目的に設立された法人として、地域における福祉サービス提供の中心的な役割を担う存在であり、地域住民の皆様からは大きな社会的信頼を得ているものと理解をいたしております。また、多くの社会福祉法人には、要保護児童を施設入所させるケースや、介護保険制度や障害者総合支援制度などの利用が困難な方々を支援する際に、行政が措置委託する施設となっていただくなど、社会的・経済的弱者とされる方々の生活を見守り、支えていくための重要な役割も担っていただいております。 こうしたことから、福祉サービスを提供する際のノウハウや経験、さらには専門人材や施設設備などを数多く有した、地域における社会福祉事業の主たる担い手として、本県の地域福祉活動を支えていくためには、なくてはならない存在だと認識をいたしております。 次に、県内の社会福祉法人を取り巻く経営環境につきましては、現在県内において約200もの社会福祉法人が活動を展開されておりますが、その多くの法人において、今回の介護報酬の改定による経営面への影響や、中山間地域などで福祉サービスを提供していくための人材確保への対応などといった面で、厳しい環境のもとに置かれながらも、それぞれが独自の経営努力を重ねられることにより、本県の社会福祉事業の維持・継続が図られているものと承知をいたしております。 次に、今回の社会福祉法等の改正案は、本県のような地方を切り捨てるものであり、社会保障の公的責任を定めた社会福祉法の規定に違反するものではないかとのお尋ねと、本県の社会福祉法人に与える影響についてのお尋ねがありました。関連をいたしますので、あわせてお答えをいたします。 今回の法改正の趣旨は、高い公益性と非営利性を備えた社会福祉法人が、運営の透明性を確保するとともに、その能力を最大限に生かし、地域ニーズを踏まえた計画的な福祉サービスを提供することにより、地域社会への貢献をこれまで以上に促していくものであり、決して地方や中山間地域などの切り捨てといったことや、行政の役割を転嫁することを狙ったものではないものと理解をいたしております。 県といたしましては、社会福祉法人の皆様には今回の法改正の趣旨を最大限に生かす方向で、それぞれの地域において福祉活動の充実を図っていただくことを期待しております。加えて、本県の地域福祉活動の中心的な役割を担いますあったかふれあいセンターの機能強化などに向けて、その運営を担う社会福祉法人となります社会福祉協議会などとの連携強化を図ることにより、住みなれた地域地域で安心して暮らし続けることのできる高知型福祉の実現、強化を目指してまいりたいと考えております。 他方で、本県における福祉サービス提供の中核を担います社会福祉法人が、今回の法改正の趣旨に反するような形で影響を受け、今後のサービス提供に支障が生じるようなことはあってはならないことだと考えております。現時点では、新たな仕組みの実際の運用に当たりましての詳細については、いまだ明らかにはなっていない部分もあり、今後の国会における審議の状況などを注視いたしますとともに、関係者の方々の御意見などもお聞きいたしながら、必要に応じて全国知事会などとも連携を図り、適切な対応に努めてまいりたいと考えているところであります。 次に、障害分野における社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直しについてのお尋ねがありました。 今回の社会福祉施設職員等退職手当共済制度の改正案につきましては、近年、障害福祉サービスの提供主体がNPO法人や株式会社などの新規参入により多様化が進んだことなども踏まえ、介護保険施設等と同様に、他の経営主体との条件の同一化を図る観点から、社会福祉法人に対する公費助成の廃止が盛り込まれているものであります。 他方で、福祉人材の安定確保に向けまして、退職手当金の支給乗率を長期加入者に配慮したものへと改めますとともに、出産・育児・介護などの事由により退職した職員が再加入した際の加入期間を合算できる復帰までの期限について、2年から3年へと延長するといった内容も含まれているところであります。 こうした中、制度に加入している法人の皆様からは、今回の法改正により障害分野における法人の負担が増すこととなるため、経営に及ぼす影響などについての懸念の声もお聞きをいたしているところです。県としましても、職員の賃金の引き下げや法人の運営に深刻な影響を及ぼすことのないよう、今後の障害福祉サービス等の報酬改定の際には適切な見直しが行われる必要があるものと考えており、今後の国の動向には十分留意するとともに、必要がある場合には全国知事会や他県などとも連携を図りながら、国への必要な改善を要望していきたいと考えているところであります。 次に、今回の社会福祉法等の改正には重大な懸念があり、反対すべきではないかとのお尋ねがありました。 先ほども申し上げましたように、今回の法改正の趣旨は、高い公益性と非営利性を備えた社会福祉法人が、その能力を最大限に生かし計画的な福祉サービスを提供することにより、地域社会への貢献をこれまで以上に促していくものだと理解をいたしております。またあわせて、今回の改正案には、深刻な介護人材の安定確保を図る必要から、離職した介護福祉士の福祉人材センターへの届け出制の創設などといった、その成立が急がれる改正内容などがセットで提出され、審議されております。 いずれにしても、今回の改正案につきましては、衆議院で成立後、参議院での継続審議となっておりますことから、今後の動向を十分に注視いたしますとともに、議員の御指摘にもありますような、行政が対応すべき内容の福祉サービスの確保につきましては、公的責任の後退を招くことのないよう、県としても、しっかりとその責務を果たしてまいりたいと考えておりますし、必要に応じ、全国知事会とも連携をし、政策提言等を行っていかなければならん、そのように考えておるところです。 次に、ルネサス社の高知工場の撤退についての一連の御質問にお答えをいたします。 まず、雇用問題の解決に、政府、親企業に責任を果たしてもらう必要性や解決のための決意についてのお尋ねがありました。 高知工場の従業員の皆様の雇用継続については、まずは雇用主であるルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリング株式会社及び同社の親会社であるルネサスエレクトロニクス株式会社において最大限の努力を行っていただく必要があります。このため、両社との間で今後の雇用継続に向けた取り組みを確認しているところで、今後も親会社を含めてルネサス社に責任ある対応を求めてまいります。 また、県としては、協力企業を含む高知工場の従業員の皆様の雇用の継続を図ることが最優先であると考えており、今月2日には、商工労働部長を本部長とする対策本部を設置しました。さらに、雇用継続のため、ルネサス社との取り組み内容について最終的に合意するため、和解議案を提出させていただいております。議案について御承認いただければ、県としても、ルネサス社と協力して従業員の皆様の雇用継続に向け、高知工場の譲渡先の確保や第2棟用地への企業立地による雇用の創出に全力で取り組んでまいります。 なお、お話にありました産業革新機構は、ルネサスエレクトロニクス株式会社の筆頭株主ですが、官民の出資により設立された投資会社であり、支援企業の従業員の雇用についての当事者ではありません。あくまで高知工場の従業員の皆様の雇用の継続はルネサス社が当事者であり、同機構や同機構の株主である政府に対しての働きかけなどは行っておりません。また、統合前の三菱電機株式会社など3社については、一株主の存在であり、今回の高知工場の集約の見直しなどを申し入れる対象ではないと考えているところであります。以上の判断から、ルネサス社に対し、我々として交渉を行ってまいったということでございます。 次に、企業誘致に対する基本的視点についてどう教訓化するか、今回の事例を踏まえた協定の必要性についてお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。 企業誘致は、雇用の確保や地域経済の活性化等のための重要な取り組みであり、社会経済情勢の変化やこれまでの取り組みの成果に伴い、企業誘致に対する視点もバージョンアップしていく必要があると考えております。 このため、提案説明でも申し上げましたとおり、これまでの誘致の取り組みに加えまして、本県の強みであり地域に根差した産業である第1次産業を核とした関連産業群の集積や、本県の若者の就職希望が多く、また特性にもマッチしたコンテンツ産業や事務系職場の誘致など、新しい視点での企業誘致にも積極的に取り組むこととしているところであります。 午前中の西内議員の御質問にお答えしましたように、今回のルネサス社の事例は、特定の企業の立地のために工業用水道といった大規模なインフラを整備するといった特殊な事例であります。 今後、こうした事例について、第1に、企業との協議の進展に応じ、本県への立地に対するコミットメントを節目節目で確認すること。例えば、誘致が具体化した初期の段階で相互の協力内容を具体的に明記する協定を締結するといったことなどに努めてまいりたいと考えております。第2に、今回のようなケースでは、ことし新たに立ち上げました企業立地推進会議等におきまして、庁内関係部局を集め、企業誘致の視点だけでなく多角的な視点からの検討を行っていきたいと考えております。また第3に、こうした事例の取り組みでは、何より県民の皆様への説明責任、これを果たすことが重要と考えますので、企業機密事項にも留意しつつ企業誘致の進捗状況に応じて、そのメリット、リスクを含め、速やかに県議会に報告し、議員の皆様の御意見もお伺いしながら適切に取り組むなどの取り組みを進めさせていただきたいと、そのように考えるところでございます。 次に、大学の給付型奨学金制度の導入についてのお尋ねがございました。 家庭の経済状況にかかわらず、意欲ある全ての子供や若者たちが安心して教育を受けることのできる環境を整えることは非常に重要であり、我が国の将来の社会、経済、文化の発展を支える人材育成という観点からも、こうした学びを社会全体で支えることが必要であると考えています。本県においては、現在、高等教育段階での経済的支援として、高知県立大学や高知工科大学の授業料減免に対する支援の拡充や、無利子奨学金の貸与を行う土佐育英協会への補助など、大学生等の教育費負担の軽減を行っております。 他方、国においても、地方創生に向けた取り組みの中で、地域に就職、定着し、かつ地域の中核企業等を担うリーダー的人材を確保するため、日本学生支援機構の無利子奨学金の返還を支援する仕組みが国の特別交付税事業として新たに創設されています。県としても、この事業の活用に向けて、現在、対象者の要件や支援の内容等が本県の実情に合った制度となるよう、国と協議を進めているところでございます。 最後に、国に対して少子化の克服に向けた思い切った財源の投入を要望すべきではないかとのお尋ねがありました。 少子化の問題の克服に向けまして、県民の皆様の希望をかなえる水準まで出生率を回復させていくためには、御結婚された夫婦が理想とする子供の数の実現を目指していくといった観点からの取り組みも重要になってまいりますし、またより早く、より多くの方が結婚の希望をかなえることができる、そういう環境づくりも大事であります。 出生動向基本調査では、理想の子供の数2.42人に対して、予定している子供の数は2.07人となるなど、両者の間でギャップが生じており、その理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからといった経済的な理由が第1位に挙げられています。また、この調査結果では、子供の数が多くなるほど、子育てや教育に係る経済的な負担が重荷となって、子供を持つことをためらう方の割合が大幅にふえるということもわかっております。 こうした子育てに伴う経済的な負担の問題は、国家的な課題でもあり、国が責任を持って課題の解決に向けた対策を講じていく必要があるものと考えています。このため、本年7月の全国知事会において、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして、夫婦が理想とする子供の数の実現に向け、幼児教育・保育の無償化の実現や子供の医療費助成制度の創設、さらには教育費の負担軽減策などについての提言を取りまとめ、政策提言活動を行ったところであります。また、昨年には、結婚・出産・子育てなどに係る費用への贈与税の非課税制度の創設についての提言活動を行い、実現を見たところであります。 県としましても、子育てに伴う経済的負担の軽減に向けまして、引き続き国に対して強く働きかけてまいりますとともに、国の施策などとも連動した経済的負担の軽減策などについての検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。 私からは以上でございます。 (文化生活部長岡崎順子君登壇)
◎文化生活部長(岡崎順子君) こうち男女共同参画プランの総括と次期プランに生かす課題についてお尋ねがございました。 こうち男女共同参画プランの取り組みにつきましては、次世代育成支援企業の認証数など着実に進んでいるものがある一方で、市町村の男女共同参画計画の策定や県の審議会委員の男女構成比など目標値に届いていないものもあり、全体として取り組みは進んでいるものの、まだ十分とは言えない状況でございます。 また、昨年度の県民意識調査の結果を見ますと、6割を超える方が社会全体についても男性が優遇をされていると回答されているほか、男性も家事、育児を分担することや、女性がライフステージの変化に応じて柔軟に働き方を選択できることを望む声、また職場での仕事と家庭生活の両立への理解を求める声を多くいただいております。こうした背景には、家庭生活を初め社会のさまざまな分野において、いまだ男女共同参画の意識が十分には浸透していないことや、女性の活躍を支える仕組みが整っていないことがあると考えております。とりわけ出産や育児、介護に直面する女性にとって、希望に沿った多様な生き方が選択できる環境の整備が課題であります。 このため、次期プランでは引き続き、意識を変える、場を広げる、環境を整えるをテーマに幅広く取り組みを進める中で、特に、希望する女性への就労支援を初め、企業に向けたワーク・ライフ・バランスや女性の登用への働きかけ、さらには子育て支援サービスの充実などの取り組みを強化してまいります。 (総務部長梶元伸君登壇)
◎総務部長(梶元伸君) 男性職員の育児休業についてお尋ねがございました。 知事部局において、平成26年度に新たに育児休業の取得が可能となった男性職員のうち、実際に育児休業を取得した方の割合は6.2%でございます。この数値は、国家公務員の5.5%や平成25年度の地方公共団体の平均1.5%を上回ってはおりますが、まだまだ低い状況でございます。 昨年度に実施いたしました職員アンケートにおきまして、育児休業を取得しなかった職員にその理由を尋ねましたところ、主な理由といたしましては、上司や同僚に迷惑をかけると思ったからなどが挙げられておりまして、この上司や同僚に迷惑をかけると思ったからという理由を解消して、男性職員による育児休業の取得を促進するためには、育児休業の取得を希望する職員がそのことを負担に感じないようにするということが重要ではないかと考えております。 そのためには、所属長が次世代育成支援の意識を持って職場をマネジメントしていくことが重要であり、本年3月に策定いたしました高知県職員子育てサポートプランに沿って取り組んでおります。具体的には、子供が生まれた、または生まれる予定の職員に対しまして、所属長等が子育てに関する休業制度などについて説明をし、育児休業の申し出があった場合は、業務分担の見直しなど業務をカバーする体制を整える配慮を行うという取り組みを行っております。加えて、新たに本年度からは、育児休業を取得する前や復帰する前の時点においても職員の意向を聞き取り、必要な措置を講ずることによりまして、職員が安心して育児休業を取得することができるよう丁寧な対応を行っているところであります。 今後も、こうした取り組みを徹底し、希望する職員全員が育児休業を取得できるといった子育てサポートプランの目標達成に向けまして、育児休業を取得しやすい職場環境づくりに努めますとともに、職員に対し、育児休業の取得の促進に向けた働きかけを行ってまいりたいと考えております。 (教育長田村壮児君登壇)
◎教育長(田村壮児君) まず、男性職員の育児休業の取得に関するお尋ねがございました。 公立学校における男性教職員の育児休業の取得状況は、小中学校、県立学校ともに例年1名から数名程度となっており、平成26年度は県立学校では4名と、ややふえておりますが、小中学校では1名と、依然として少ない状況にございます。しかしながら、男性教職員が育児休業の取得などにより積極的に育児にかかわることは、男女共同参画や次世代育成支援の観点からも、ますます強く求められているものと考えます。 このような状況を改善するため、教育委員会におきましても、知事部局と同様、本年3月に教職員子育てサポートプランを策定し、県立学校の教職員を対象として取り組みを進めているところです。具体的には、男性教職員に対して子育てに関する制度の周知や、職場全体で子育て中の教職員を支援していくための啓発、人事上や業務上の希望に対するできる限りの配慮などを行っているところです。 今後もこのような取り組みをさらに充実させながら、男女にかかわらず、希望する教職員全員による育児休業の取得といった教職員子育てサポートプランの目標達成に向けて、教職員が育児休業等を取得しやすい職場環境づくりに努めていきたいと考えております。また、小中学校の教職員の服務管理を所管する市町村教育委員会にも、次世代育成支援対策推進法の趣旨を踏まえ、県の取り組みを参考に取り組んでいただくようお願いしていきたいと考えております。 次に、教職員の負担軽減に向けた取り組みの効果とその把握方法についてお尋ねがございました。 県教育委員会が定めている調査・照会に関するガイドラインでは、事務負担を軽減するために、原則として教育委員会事務局で対応したり、調査項目を少なくするなど絶えず見直しを行っており、この成果としては、平成25年度から平成27年度までの間において、調査を廃止したものが16件、見直しをしたものが34件となっています。 また、このほかにも学校経営計画による組織力の向上、小中学校における学校事務の共同実施、県立学校における総務事務集中化や校務支援のシステムの導入による事務の効率化、学校支援地域本部事業等の学校を応援する体制づくりの強化など、負担軽減につながるさまざまな取り組みを進めているところでございます。 こうした取り組みの個別の効果として、例えばスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置により、学校現場が随分助けられているというような声もお聞きをしております。 取り組み全体の効果につきまして、まとまった形での調査を行っておりませんが、校長会や市町村教育委員会の皆さん、一般の教職員の皆様から話をお聞きしたりする中で、OECDや文部科学省による調査結果で指摘されている学校における多忙感、負担感の解消までには至っていないものと考えております。 このため、総合教育会議における大綱の議論の中でも、その重要性が指摘をされているチーム学校への取り組みを推進していくことで、教員の負担を軽減し、できるだけ子供と向き合う時間が確保できるよう、学校経営マネジメントの改善、外部専門人材の活用、地域による学校支援などに取り組んでいきたいと考えております。 次に、岐阜県の実践を参考にするなど、現場からの取り組みを促す具体的なプランや、学校現場の意見を反映する機関の設置といったさらなる取り組みを行うことについてお尋ねがございました。 先ほど申しましたとおり、本県においても、教職員の負担軽減につながるさまざまな取り組みを行ってまいりました。その取り組みの一つとして、平成25年度に校務分掌や行事の見直し、会議の改善、部活動指導の工夫といったポイントを示すとともに、教職員が心身ともに健康で生き生きと働くことができるよう、健康管理に向けた留意点や関係する制度等を紹介したパンフレット「活力ある学校づくり」を作成して、公立学校全ての教職員に配付するとともに、校長会等でこのパンフレットを活用した効率的な業務の遂行を働きかけてきたところです。 このパンフレットは、来年度、内容を見直すこととしておりますことから、岐阜県の取り組みも参考にしながら、より実効性を確保していくとともに、現場からの取り組みを促す内容としていきたいと考えております。 また、本県においては、毎年、県立学校の衛生管理者と衛生推進者を対象とした研修会を実施しているほか、各県立学校へ事務局職員が出向き、現場の課題や意見を聞き助言等を行うことで、全県立学校の安全衛生管理が適切に行われるよう努めております。このため、お話にありました岐阜県の総括安全衛生委員会のような全県立学校の課題等について全体で議論する機関を設置する考えを現時点では持っておりませんが、なお他県の状況もお伺いしていきたいと考えております。 (地域福祉部長井奥和男君登壇)
◎地域福祉部長(井奥和男君) まず、本県における家庭的養護の進め方についてのお尋ねがありました。 本県における社会的養護の現状につきましては、施設養育が中心となっており、里親への委託率は、近年高まってきてはおりますものの、全国に比べますと低位の状況にあります。しかしながら、児童養護施設などで生活する子供たちが、原則18歳までで退所を余儀なくされ、ひとり立ちを求められますことを考えますと、子供たちが可能な限り家庭的な養育環境のもとで愛情を受けて育つことは、子供たちがその後の自立した社会生活を送る上で大変貴重な経験ともなります。このため県としましても、里親やファミリーホームなどによる家庭的養護を推進していく必要があるものと考えております。 まず、里親制度については、その正しい理解を深め、新たに里親登録をしていただける方をふやすため、今年度は県内8カ所において里親制度の説明・相談会を開催いたしますとともに、児童相談所を初めとする関係する支援機関が、里親養育をサポートするための支援体制の整備などにも取り組んでいるところです。 次に、児童養護施設等につきまして、これまでの集団的な養育からできるだけ家庭的な養育環境へと近づけるため、小規模グループホームによる養育へと移行するよう積極的な働きかけを行っているところです。 今後とも、こうした取り組みなどを通じまして、社会的養護のもとで育つ子供たちの健やかな成長、発達に向け、養育環境の整備に努めてまいります。 次に、児童養護施設等に配置された心理療法担当職員に対する支援策についてのお尋ねがありました。 児童養護施設等に配置されている心理療法担当職員は、児童虐待などによって心理的に傷ついた子供たちへのカウンセリングを通じて心理面での専門的なケアを行い、安心・安全感の再形成や人とのつながりの修復を図ることなどが求められており、その専門性を維持・向上していく必要があります。 このため、県では、施設の心理療法担当職員と児童相談所の児童心理司との学習会の継続的な実施により、相互の心理療法技能の向上に努めておりますほか、外部の専門家などを招聘しての個別ケースへの対応に生かされる実践的な研修などにも取り組んでいるところです。今後とも、こうした取り組みなどを含めまして、児童養護施設などの心理療法担当職員の専門性の向上につながる積極的な支援に努めてまいります。 次に、集団学習になじめない中学生への個別指導を行う際の国の助成制度の積極的な活用についてのお尋ねがありました。 児童養護施設などで生活している中学生の中には、学校での授業におくれを生じている子供や、特別な学習支援を必要とする子供たちも一緒に生活をいたしております。このため、各施設では、こうした中学生へのボランティアによる学習支援を初めとする学びの場の確保などに取り組んでいただいているところです。 国の支援策では、従前より中学生の学習塾と集団学習指導に係る費用については対象といたしておりましたが、今年度からは、議員のお話にもありますように、特別な配慮を必要とする子供たちへの家庭教師などによるマンツーマン指導についても支援の対象とされております。 県としましても、子供たちが施設を退所し、自立した社会生活を送るためには、必要な教養を身につけさせておくことが欠かせないものと考えており、こうした個別指導を必要とする子供たちが学習支援を受けられるせっかくの機会を逸することのないよう、ニーズの掘り起こしなどを含めまして制度の積極的な活用を施設に働きかけてまいります。 次に、自立支援につながる専門人材の施設配置と、退所後の自立支援に効果的な施策を立案するための実態調査の必要性についてのお尋ねがありました。関連をいたしますので、あわせてお答えをいたします。 児童養護施設等に入所している子供たちには、過去の生育歴や家庭環境などから、ややもすれば自己肯定感も低くなってしまいがちな傾向が見られ、その進路を選択する際にみずからが断念してしまうケースが少なくないともお聞きをいたしております。他方で、施設の職員は複数の子供を交代で養育していることから、進路の問題や施設退所後の生活に関する相談などについては、子供たち一人一人へのきめ細かな支援といった面で、どうしても手が行き届きにくいといった状況にもあります。 こうした子供たちが、施設の退所後に自立した社会人としてスムーズな社会生活のスタートとその後の安定した日常生活を送るためには、子供たちの進学や就職、さらには退所後の相談支援などを専門に担当する職員を配置することが必要ではないかと考え、現在、施設への具体的な支援のあり方などについての検討を進めているところです。また、児童福祉法では、施設に入所できるのは必要に応じて延長が認められるものの、原則18歳までとなっており、退所後の経済的な問題などから、そのつまずくリスクが高いことが言われております。このため、施設退所後の支援の充実が喫緊の課題となっており、その実態を把握することも必要になってまいります。その際には、先ほど申し上げましたような職員が退所後のアフターケア活動などを通じまして、必要とされる支援策の具体的な検討を行うことも可能になってくるのではないかと考えております。 (健康政策部長山本治君登壇)
◎健康政策部長(山本治君) 産前・産後ケアの取り組みと配食サービスについてお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えいたします。 子供を安心して産み育てられる環境整備には、妊娠から出産・子育て期までの切れ目のない支援が必要であり、産前・産後ケアは、出産後の休息、育児への支援や母親の孤立化を防ぐために、非常に重要であると考えています。このため県では昨年度、専門家や市町村関係者、育児中のお母さんなどに参加していただき産後ケア検討会を開催するとともに、市町村の専門職の人材育成を図るなど、産前・産後ケアの取り組みを進めてきました。 今年度は、母子保健事業の実施主体である市町村がニーズ調査を行った上で、限られた資源を活用して、地域の実情とお母さんのニーズに応じたサービスの具体化が実践できるよう、県がアドバイザーを招聘し、福祉
保健所圏域ごとに1カ所ずつ、産前・産後ケアの体制づくりの取り組みを市町村と協働で進めています。 調査結果によりますと、お母さんのニーズとしては、親同士の仲間づくりの場や、育児や乳房ケアを教わる場、産後のデイケアなどのニーズが高くなっており、ニーズの高い優先するサービスから取り組みを進めていく予定ですが、議員から御提案のあった配食サービスについても、市町村がお母さんのニーズに応じて検討していくことになると思います。 産前・産後ケア事業には、妊産婦の状況を継続的に把握し、支援プランを作成するなど総合的な支援を実施していく母子保健コーディネーターの役割が重要ですので、国の交付金や補助金を活用するにはコーディネーターの配置が必須となっています。しかしながら、本県においては、人材の確保や育成がすぐには困難で、配置できない市町村が大部分ですので、来年度は県独自に、助産師などによる相談や訪問、ママサポーターなどの人材育成等に要する経費の助成を行い、市町村が産前・産後ケアサービスの充実を図ることができるよう支援を行っていきたいと考えています。 (林業振興・環境部長大野靖紀君登壇)
◎林業振興・環境部長(大野靖紀君) まず、南国市の山林の形状変更等についてどのような対応をしたか、また県としての指導についてお尋ねがございました。 南国市十市の市有林で防災道路の整備を目的に、民間事業者が行った今回の開発につきましては、森林法に係る林地開発の許可が必要でない森林であるため、事業者が地権者である南国市の同意を得て開発したものでございます。 この行為に対して、地域住民からお問い合わせがあり、現地を確認したところ、隣接する高知市の既に許可している林地開発現場において、許可条件として示した森林として残すべき部分が一部掘削されておりました。このため、現在事業者に対して、適切に原状回復等の対策を行うよう指導しているところです。原状回復に当たっては、現場が南国市の開発行為と一体となっていますので、南国市に対しても県の意見を伝え、適切に原状回復がなされるよう指導をしているところです。 次に、風致保安林の解除についてお尋ねがありました。 道の駅・防災道路構想に係る保安林の解除につきましては、高知市から解除申請等の具体的なお話をいただいておりませんので、一般的な保安林解除について説明をさせていただきます。 保安林を解除できる要件としましては、御指摘のとおり、指定理由が消滅したとき、または公益上の理由により必要が生じたときと、森林法で定められております。指定理由の消滅とは、自然災害などにより保安林が破壊され、復旧が困難な場合等を想定したものでございます。公益上の理由とは、例えば公共の道路の開設などですが、その場合であっても、その土地以外に適地を求めることができない場合であって、必要最小限の面積に限り保安林解除ができることとなっています。 こうした保安林解除の取り扱いにつきましては、国からの技術的助言として、保安林の転用に係る解除の取扱要領として示されておりますので、それに則して適切に対応すべきものと認識しております。
◆34番(中根佐知君) どうも、それぞれありがとうございました。 それでは、2問に入らせていただきます。 国がさまざまな法律の改定とかやっている中で、大変気になることがたくさんあって、知事に質問させていただきました。その中でTPPなんですけれども、私たちはこの高知県でこぞって、県も、それから農協も漁協も、さまざまな皆さんと、TPPは本当に困るんじゃないかと、大変なことになるんじゃないかと反対の声を上げてきた経過があります。 これがまだ決定ではない段階で、先ほど商工労働部長もおっしゃっていましたけれども、アンケートをしたときにも、これから先どうなるかよくわからないと、見通しを立てられないというふうな状況で事が進もうとしている。こういうことに対しては、知事も含めまして、やっぱり政府のあり方をきちんと注視して、求めるべきところはきちんと求めるべきだというふうに考えています。 ぜひそうした姿勢を、知事にもしっかりとっていただきたいということを2問とさせていただきます。 それから、原発の問題は、いつも私たち取り上げさせていただいていますけれども、やっぱり四国電力に、原発を廃炉にしていくという計画がいまだにないということは大変大きな問題だと考えています。まるで福島がなかったかのように、いろんな電力の供給状況を語り合う、こういう状況というのはやっぱり異常事態です。 私たちは廃炉にするために、原発に頼らないために、自然エネルギーの推進も含めて頑張っていくという高知県をつくっていきたいと思います。そのためには四国電力の側にも、いたし方ないという選択ではなくて、これまでもいろんな意見をおっしゃってきましたけれども、そこに、原発に頼らないという部分をしっかり入れていくという作業、そういう役割を高知県にもとっていただきたいというふうに思っていますが、毎度のことで申しわけないですが、知事に粘り強い交渉の中身への決意をお聞かせいただきたいと思います。 それから、きょうは男女共同参画や子育て支援、出産や産後のケアの問題なども取り上げさせていただきました。それぞれ本当に真面目に取り組めば取り組むほど、核家族化も進んで、そして要望したい中身というのはたくさんあるというふうに思いますが、やっぱり現場主義、県民の状態がどうであるかをしっかり見ていきたい。そのために意識を変えることがやっぱり大事になっていると。 きょうの答弁の中でも、例えば男性の育児休業のとり方、これはやっぱり意識の問題です。真面目であればあるほど、みんなに迷惑をかけてはならないということは以前からずっとあった話です。しかし、そこを超えてやっぱり男女共同参画、男女平等、一緒に子育てを、そして社会に還元していくという、この方向がいつまでたってもその真面目さで--県の職員が6.2%、国家公務員は5.5%、もう一つ1.何%というのがありましたけれど、これは余りにも低い数値だなと思わざるを得ません。 ぜひこれは総務部長に、超えた施策をするために力を尽くす決意を伺いたいと思いますし、教育長にもその点で、ぜひ子育て支援をもう一歩進めるよという思いを、学校現場の中で男性の先生方に認知していただくのかというあたりの工夫をどのようにしたいというふうに考えていらっしゃるのか、そのあたりをお聞かせください。 それから最後に、教職員の多忙化の問題ですけれども、これもやっぱり意識の問題です。真面目であればあるほど、よりよい教育をしたい、よりよい冊子をつくりたいということになっていくわけですから、この点で意識を変えるためには、中心になっている方たちだけを集めてもだめで、やっぱりそれが労働安全基準をしっかりつくっていく運動になっていかなければいけないというふうに思うんです。 そうした点では、各職場でこうした対応ができるような場をつくる必要がある。総務部門で今そういう場はつくられていて、机の置き方、椅子の配置の仕方、環境をどうやって整えようかということで、変化をつくっているという報告を委員会でいただいたことがありました。ぜひそういう点を頭に置いて、決意をお聞かせいただきたいと思います。 最後に知事に、全体として貧困の連鎖を断ち切っていくというさまざまな施策が進んでいますけれど、これに対して知事がどのように考えていらっしゃるか、お願いします。
◎知事(尾崎正直君) まず、TPPの問題についてであります。 TPPの問題については、1つ、その協定が結果どういうこととなっているのかということと、あわせてこの大綱でありますけれども、政府として総合的なTPP関連政策大綱を打ち出してきたわけでありますが、TPPについて、プラスの面もあればマイナスの面もある。そのマイナスの面をどう補っていくかということ、そういう大綱の各施策、この両方を勘案して、最終的な評価をしていくということにならなければならないのだろうと、そのように思います。 でありますので、まず第1に、先ほども申し上げましたが、その協定の内容について、わかりやすく影響分析も含めて、政府においてしっかり世の中に示していくということが第一に大事だと、そのように思います。もう一つは、この大綱に示された方向性に沿って、しっかりとした対応策がとられるということも、またこれ極めて大事だと、そのように考えているところです。 正直なところ、この大綱の内容については、思いのほか大胆に、中山間も含めて農家を守っていこうという方向で一定方向性としては打ち出されているのではないかというふうに見ているところではありますが、ただ現実問題として、じゃ予算がどうなるのかとか、それは本当に予算措置に基づいて、具体的な策として隅々まで行き渡るようにやるようになるのかどうかとか、今後まだまだ、しっかり我々としても政策提言も含め御意見を言わなければならないところも多いのかなと思っています。 正直ほっとしましたのは、当初想定したのに比べて、随分包括的な内容になって、かついろいろと配慮されている方向に来ているのかなということは、安心はしているんですけれども、しかしながら、まだまだしっかりとその対策が講じられるように、我々として注視していかなければならない点は多いのかなと、そのように思っています。 ぜひ、これから協定の内容についてしっかりと説明を求めていくとともに、この対策について、予算措置も含めてなんですが、これは非常に大事な点ですけれども、この点も含めてしっかりとした対策が講じられていくよう、引き続き政府に対してしっかりと政策提言も含め、働きかけもしていきたいと思います。 そしてもう一つ、県としての対応も極めて大事だと思っておりまして、産業振興計画、いろんな外的厳しい条件の中にあっても持続可能、若い人が継いでいける農業などを目指すということで取り組んでいますけれども、この取り組みもしっかり進めたいと、そのように考えているところです。 2問目の原発についてでありますけれども、四国電力に対しては、我々として原発の依存度低減に向けた具体的な努力ということを求めてきております。この点について、四国電力からは勉強会において、そういう趣旨の回答はいただいていないところでありまして、ここの点は見解が食い違う形になっています。でありますので、我々は勉強会等を通じて、引き続きその点について粘り強く求めていきたいと、そのように考えておるところであります。 3点目でありますが、貧困の連鎖を、子供の貧困対策についてということかと思いますけれども、これは本当に本県にとって極めて大事な政策だと考えていますので、引き続きその充実に向けて、さらに知恵を練っていきたいと考えておるところでありますけれども、これは軸が2つあると思っていまして、子供のライフステージに応じてということが1つ。そしてまた、保護者と子供と両面を見ていくことが大事だと考えています。特に幼年期においては、保護者に対する対策にどちらかというとウエートが置かれていくこととなりますでしょうし、年齢を重ねていけば、どちらかといえば子供本人に対する対策、これを重く講じていくということになるのではないかと考えていますが、現在、関係部局ともにこの政策を練り上げているところでございまして、何とか平成28年度から本格的実施に至るように、対策をさらに我々としての検討を重ねていきたいと、そのように考えています。
◎総務部長(梶元伸君) 男性職員の育児休業に関連しまして、1.5%といいますのは地方公共団体全体の平均でございます。議員の御指摘がありましたように、意識というのは大変重要だと思っております。 今、職場全体の意識がどうかといいますと、先ほどアンケートのことを申し上げましたが、男性職員の育児休業のことを周りがどう見ているかというのも、実はアンケートをとっております。男性職員が育児休業をとることについて、あなたの考えに近いのはどれですか。1番が、仕事で迷惑をかけるのはお互いさまだから協力する。2番が、仕事のことは気にせず育児に励んでほしいというような結果になっています。 じゃあ何が課題だろうというと、やはり上司の意識というのが大事ではないかと思っておりまして、先ほど申し上げましたように、上司のヒアリング調査、聞き取りを小まめに丁寧にやるというような取り組みをさせていただいております。また、夏にイクボス宣言ということで--育児を大事にする上司のことをイクボスといいます--夏に、知事にイクボス宣言をしていただいて、庁議の場で全部局長に指示をしていただいておりますし、また部局長が各所属長にイクボスになろうよということで周知をしております。 こういった意識改革の取り組みも十分進めることを通じまして、男性の育児休業がとりやすい組織の風土というものをつくっていきたいというふうに考えております。
◎教育長(田村壮児君) まず、男性教職員の育児休業に関することでございますけれども、正直申しまして、先ほど申しましたように教職員の子育てサポートプランもつくっておりまして、基本的に、知事部局と同じ取り組みをということにしておりますけれども、ただ書いていることが本当に現場できちっとできているかということについての詰めまではできていないというのが今の状況かなというふうに思っております。 今後は、このサポートプランに書いてある、例えば、知事部局ではもう既にやられていることですけれども、県立学校で言いますと、校長が取得対象になる職員に対してきちんと制度も説明し、あるいは支援の仕方についても説明を事前にし、また取得後についても、きちんと状況について本人から話も聞き、またその後の説明もしていくだとかというようなことをきちんとやっていくということが、実際の取得向上につながるのかなというふうに思っております。まずは、このサポートプランに書いてあることがきちっと実行できるようにということを今後徹底してまいりたいというふうに思っております。 それから、教職員の多忙化に関連して、各職場で職場環境の改善についての話し合いをということですけれども、制度的に言いますと、50人以上の県立学校においては衛生委員会を設置して、そういった健康面であったり、あるいは職場環境の問題であったりというふうなことを議論するということになっております。 そういったことの中で、いま一番テーマとして挙がっているのは、やっぱりメンタルヘルスも含めた健康問題ということですけれども、加えて、お話のあったような職場の安全性だとかといったようなことも、議論をされているということでございます。 こういったことについて、50人以上はそういうような会はございますけれども、50人以下の学校についてはそういった会はございません。衛生推進員が設置をされているような状況でございますけれども、いずれにいたしましても、学校全体で考えていく問題だというふうに思っておりますので、学校経営計画、これをつくっていくということになりますし、それをきちんと実行していくというようなこともございます。 そういった法定の会以外で、本来学校として経営計画をつくり、それをきちんとやっていくというようなことを話していく中で、職場の環境問題についても話もしていくように、校長会等を通じて話をしていきたいというふうに考えております。
○議長(三石文隆君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明16日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。 午後5時20分散会...