平成27年 6月 定例会(第332回) 平成27年7月1日(水曜日) 開議第2日
-----------------------------------出席議員 1番 上田貢太郎君 2番 今城誠司君 3番 久保博道君 4番 田中 徹君 5番 土居 央君 6番 浜田豪太君 7番 横山文人君 8番 加藤 漠君 9番 川井喜久博君 10番 坂本孝幸君 11番 西内 健君 12番 弘田兼一君 13番 明神健夫君 14番 依光晃一郎君 15番 梶原大介君 16番 桑名龍吾君 17番 武石利彦君 18番 三石文隆君 19番 浜田英宏君 20番 土森正典君 21番 西森雅和君 22番 黒岩正好君 23番 池脇純一君 24番 石井 孝君 25番 大野辰哉君 26番 橋本敏男君 27番 前田 強君 28番 高橋 徹君 29番 上田周五君 30番 坂本茂雄君 31番 中内桂郎君 32番 下村勝幸君 33番 野町雅樹君 34番 中根佐知君 35番 吉良富彦君 36番 米田 稔君 37番 塚地佐智君欠席議員 なし
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 尾崎正直君 副知事 岩城孝章君 総務部長 梶 元伸君 危機管理部長 野々村 毅君 健康政策部長 山本 治君 地域福祉部長 井奥和男君 文化生活部長 岡崎順子君
産業振興推進部長 中澤一眞君 理事(中山間対策・運輸担当) 金谷正文君 商工労働部長 原田 悟君 観光振興部長 伊藤博明君 農業振興部長 味元 毅君 林業振興・環境部長 大野靖紀君 水産振興部長 松尾晋次君 土木部長 奥谷 正君 会計管理者 岡林美津夫君 公営企業局長 門田純一君 教育委員長 小島一久君 教育長 田村壮児君 人事委員長 秋元厚志君
人事委員会事務局長 福島寛隆君 公安委員長 織田英正君 警察本部長 國枝治男君 代表監査委員 田中克典君
監査委員事務局長 吉村和久君
選挙管理委員長 恒石好信君
-----------------------------------事務局職員出席者 事務局長 中島喜久夫君 事務局次長 川村文平君 議事課長 楠瀬 誠君 政策調査課長 西森達也君 議事課長補佐 小松一夫君 主任 沖 淑子君 主事 溝渕夕騎君
-----------------------------------議事日程(第2号) 平成27年7月1日午前10時開議第1 第1号 平成27年度高知県
一般会計補正予算 第2号
高知県立高知城歴史博物館の設置及び管理に関する条例議案 第3号 高知県
個人情報保護条例の一部を改正する条例議案 第4号 高知県
個人情報保護条例及び高知県
住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例議案 第5号 地方自治法第203条の2に規定する者の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例議案 第6号 職員の再任用に関する条例等の一部を改正する条例議案 第7号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第8号 過疎地域等における県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例議案 第9号
半島振興対策実施地域における県税の不均一課税に関する条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県
南海トラフ地震による災害に強い
地域社会づくり条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県
介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第12号 高知県
指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営等に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第13号 高知県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例議案 第14号 高知県が当事者である和解に関する議案 第15号 県が行う土木その他の建設事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第16号
保健衛生総合庁舎改築主体工事請負契約の締結に関する議案 第17号
高知県立室戸広域公園屋内運動施設建築主体工事請負契約の締結に関する議案 第18号 高知県公立大学法人に係る中期目標の一部変更に関する議案 報第1号 平成27年度高知県
病院事業会計補正予算の専決処分報告 報第2号 損害賠償の額の決定の専決処分報告 報第3号 損害賠償の額の決定の専決処分報告第2 一般質問 (3人)
----------------------------------- 午前10時開議
○議長(三石文隆君) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(三石文隆君) 御報告いたします。
議員川井喜久博君から、所用のため本日の会議を欠席したい旨届け出がありました。 次に、第6号議案については、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき人事委員会に意見を求めてありましたところ、法律の改正に伴うものであり、適当であると判断する旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。 〔
人事委員会回答書 巻末207ページに
掲載〕-----------------------------------
△質疑並びに一般質問
○議長(三石文隆君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「平成27年度高知県
一般会計補正予算」から第18号「高知県公立大学法人に係る中期目標の一部変更に関する議案」まで及び報第1号「平成27年度高知県
病院事業会計補正予算の専決処分報告」から報第3号「損害賠償の額の決定の専決処分報告」まで、以上21件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 19番浜田英宏君。 (19番浜田英宏君登壇)
◆19番(浜田英宏君) 皆さんおはようございます。私は自由民主党を代表して、当面する県政課題について知事並びに関係部局長や
選挙管理委員長に質問をいたします。 まず初めに、知事の政治姿勢についてお伺いをいたします。 尾崎知事は知事就任以来、本県の抱える根本的な課題に真正面から向き合い、県勢浮揚に向け粉骨砕身、県政運営に邁進をされてまいりました。とりわけ本県の最大の課題であります人口減少に対しては、負の連鎖を断ち切るために、経済の活性化や日本一の
健康長寿県づくりなど5つの基本政策と中山間対策などに積極果敢に取り組まれております。ことし3月にはこれまでの取り組みを土台にして、全国の都道府県の中では最も早く平成27年度版高知県まち・ひと・し
ごと創生総合戦略を策定し、全国に先駆けて
課題解決先進県として地方創生のための処方箋をお示しになられました。我々としても大いに誇らしく思うところであります。 こうした積極果敢な取り組みにより、例えば産業振興計画の柱である外商活動で見れば、平成21年度に立ち上げた地産外商公社の店舗売り上げと外商成約金額の合計額は20億円を超え、
産業振興センターに24年度に設置した外商部門の成約金額も27億円を超えるなど目覚ましい成果を上げており、今後さらなる拡大も期待できるところであります。 県内の雇用を見ても、4月には有効求人倍率が0.92倍になり、さらに5月には過去最高を更新し0.96倍になるなど、知事がよくおっしゃる求人倍率1.0も視野に入ってまいりました。また、法人事業税と法人県民税の法人二税についても、平成26年度は対前々年約143%と大きな伸びとなる見通しであります。これはまさに産業振興計画が功を奏している査証であります。さらには
普通建設事業費も11年ぶりに1,000億円台を確保し、中小建設業者の端境期対策として、いわゆるゼロ県債による6億円の事業発注を平準化するなど、県内の景気や雇用に最大限配慮をいただいております。 また、
南海トラフ地震対策では、東日本大震災を受けて最大津波高34メートルという衝撃の新想定が国から示され、多くの県民の皆様が避難を諦めかけていたときに、知事は素早く抜本的な対策を打ち出されました。今では県内各地に避難場所や避難タワーが設置をされ、県民の皆さんもその対策の進捗を実感するとともに、
南海トラフ地震に立ち向かう覚悟と勇気を持っていただけるようになったのではないでしょうか。 この間、知事は国に対して多くの政策提言をなされ、今般の地方創生においても国の総合戦略や地方創生先行型の交付金などに多くの本県提案の政策が取り入れられておりますし、全国知事会の
プロジェクトチームのリーダーとして訴えてこられました少子化対策についても、新たな税制上の措置が創設されるなど、大きく前進したところであります。さらに、
南海トラフ地震対策においても9県知事会議をいち早く立ち上げ、その対策を国策に位置づけさせるとともに、念願であった特措法も知事の御尽力により成立に至ったところであります。 こうした政策提言などにより、積極的に国を巻き込み国費も呼び込んだこともあって、7年連続で対前年度増の積極型予算を組む一方、知事就任時には約6,400億円あった県債残高も、今年度末には5,000億円を切ると見込まれるとともに、就任から数年で底をつくと予測されていた財政調整的な基金も昨年度末において300億円を超えるなど、経済の活性化や
南海トラフ地震対策などを加速し続けるとともに、就任当時の危機的な財政状況を立て直し、将来にわたって安定的な財政運営が見通せるようになってまいりました。 私は、このような知事の取り組み姿勢やその成果を高く評価するものであります。提案説明で知事は、これまでの取り組みを総括されましたが、就任以来どういう思いで県政に取り組んできたのか、改めて県勢浮揚にかける思いをお伺いしたいと存じます。 このように困難な課題に正面から向き合い、積極果敢に挑戦し、着実に成果を上げておられる知事を県民の皆様も大いに頼もしく思い、ことし1月の地元紙の県政世論調査でも、4分の3を超える県民の皆様が尾崎県政に満足であると回答しているのであります。これは、尾崎知事が県民との対話と実行の姿勢のもと、官民協働、市町村との連携、さらには我々県議会とも十分な政策論議を積み重ねながら、積極果敢に挑戦する県政運営の基本姿勢に多くの県民が共感をするとともに、これまで着実に積み上げてきた成果を大いに評価したものではないかと考えております。また、多くの県民から全国に誇れる自慢の知事なんだとの称賛の声がたびたび寄せられている事実によっても証明されているのであります。 ただ、一方で今後各県の地方創生の動きも本格化し、地域間競争もさらに激しくなると予想される中、本県を取り巻く環境は他県と比較しても格段に厳しく、人口の自然減も現在の人口の年齢構成を考えるとしばらくは避けがたい状況で、県勢浮揚をなし遂げるためにはなお大変な困難を伴うことが予想されます。このような状況のもとで、本県の将来を託すことができるのは、余人をもってかえがたし、私は尾崎正直知事しかいないと思っているのであります。実際、県内の自治体関係者や経済界など各方面からも尾崎知事の3期目続投を求める声が多く上がっていますし、多くの県民の皆様も私と同じ考えではないかと思っています。 そこで、私は知事の3期目に向けた決意表明を期待している多くの県民の皆様を代表して、任期満了を半年後に控えたこの際、知事の御決意をお伺いしておきたいと存じます。 次に、投票率や選挙制度についてお伺いをいたします。 さきの第18回統一地方選挙の結果を振り返ると、高知県選挙区の平均投票率は初の半数割れの49.84%となりました。全国的にも無投票当選が続出し、投票率は軒並み過去最低を記録いたしました。41都道府県のうち、ほぼ3分の1の選挙区で無投票となり、その数は総定数の21.9%を占める501人に達しました。38道府県で投票率が過去最低となり、28府県で投票率が50%を割りました。これは実に有権者の2人に1人以上が投票に行かなかったことになるのであります。 例えば、お隣の香川県の県議選の結果は、投票率48.64%で本県をさらに下回り、過半数を超える議員が無投票当選となりました。トピックは定数15の高松市選挙区の候補者全員が無投票当選したことであり、このことは本県の高知市選挙区では考えられない現象であります。ほかにも5期連続の無投票当選者もあらわれました。この結果、香川県の有権者82万人のうち6割に当たる50万人の投票の機会が失われることになったのであります。本県においてもこうした傾向は、人口減少により地方消滅の危機にさらされる自治体で強まる傾向にあります。 人口減少で疲弊する小さなコミュニティーの選挙区は、選挙戦を通して住民間の対立感情をあおることにつながるので、余り波風を立てたくない風潮もあり、面積で比較すれば高岡郡選挙区ぐらいしかない香川県選挙区も、無投票当選者の続出につながったのではないかと思っています。候補者にとってはまことにありがたいと思う一方で、多くのマスコミや評論家たちは、まさに地方自治の危機だと論評しています。 岩手県の元
知事増田寛也氏が座長を務める日本創成会議の
人口減少問題検討分科会がお示しになった896の
地方自治体消滅予測は、ややこけおどしの感があるものの、人口減少が深刻化している地域は大変多く、どの自治体も今地方創生の
総合戦略づくりという大きな課題を抱えている中で、本来地方選挙への関心が最も高まってもいいはずであったのにもかかわらず、こうも低調だったこの原因を、知事や
選挙管理委員長はどのように考え、11月の県知事選や高知市長選に向けた投票率のアップに取り組んでいかれるおつもりか、知事並びに
選挙管理委員長の御所見をお伺いいたします。 ところで、高知県議会は香川県と対照的に多くの新人の皆様が当選され、一定の世代交代が進みました。2期生が3列目に議席を得ることは従前では考えてもみなかったことであります。議員の平均年齢もことし4月末の任期満了時点で60.53歳であったものが、改選後若い新人の皆様の当選で53.57歳と一挙に7歳も若返りました。 志も新たに議員バッジを胸に、張り切っておられる新人の皆さんに知事はどんな期待を寄せておられるのか、改めて御所見をお伺いいたします。 さて、去る6月17日、
公職選挙法改正法案が国会を通過し、来年6月19日に施行されることから、7月に開催される参議院選挙は改正法が適用されます。各党も選挙権年齢の18歳以上への引き下げで新たに生まれる有権者の取り込みに頭を悩ませているのが実態であります。約240万人が参政権を得る見通しでありますが、高校生や大学生は組織化が難しく、支持を束ねる名案はなかなか浮かんでいません。来年7月に予定されている参議院選挙で新たに選挙権を得られる県内の私立高校9校に通う生徒の有権者数を推計すると、おおむね500人程度という推計になります。また、県内の公立高校及び特別支援学校の有権者数はおおむね1,200人程度と聞いております。 そこで、満18歳と19歳の新有権者数は県内全体でおおむねどのくらいの人数になるのか、
選挙管理委員長にお伺いをいたします。 240万人の有権者は影響力が大きいので、大学生だけでなく高校生にもアプローチする必要があるだろうと、我が自民党の谷垣禎一幹事長は、有権者としての自覚や知識を育む主権者教育のあり方に関する議論をスタートさせました。高齢者の投票率が高い、いわゆる
シルバー民主主義のやゆに終止符を打つべく、社会全体で若者の投票行動を支えるとともに、日本の未来を担っていく若者の投票率が上がり、政治が安定することが何よりも大切なのであります。そのためには、社会全体で若者の政治への関心を高めていかなくてはなりません。自民党本部は憲法改正の意義を解説する漫画の配布や、
写真シール印刷機、いわゆるプリクラの党本部への設置、さらにはフェイスブックやツイッターなどのソーシャルネットワークを通して、党の政策の浸透と若い世代に対するアピールを図っています。 一方、我々
自民党高知県連は、これまでも党員有資格者の年齢が満18歳以上だったので、大学生のインターンシップや政治学校を行ってまいりましたが、このたび改めて
依光晃一郎県議を学生部長に抜てきし、入党を強制しない形で新たに学生部の設置を行い、敷居を低く抑えながら門戸を広げた受け入れ体制で参加者を募り、若者への政治参加の意識啓発をすることになりました。このことにより、若者の投票率向上に資する党活動として社会に貢献したいと考えております。 今回の公職選挙法の改正ポイントは、未成年者による選挙違反の扱いをどうするかであり、厳しく刑事罰に処すべきとの意見もありましたが、現行の少年法の中で検察官送致、逆送という制度を運用することになりました。また、連座制が適用されるような悪質な選挙違反は刑事裁判の対象となるのが基本でありますが、それ以外は二十歳以上の成人と比べ罪状は軽くなる見通しのようであります。 県としても高校生に対する主権者教育を積極的に行っていくとともに、新有権者として選挙違反を出さないようにする指導も徹底していかなくてはならないと考えますが、どのような指導をお考えなのか、教育長に御所見をお伺いいたします。 また、県内の私学の取り組みでは、高知中央高校が先鞭をつけて見事な模擬投票のお手本を示してくれました。また、県立高校では山田高校も行っています。こうした取り組みを他の私学や県立高校に波及させるべきだと考えますが、文化生活部長並びに教育長の御所見をお伺いいたします。 次に、
次期参議院選挙に向けたもう一つの大きな課題は、被選挙権の定数問題であります。御案内のとおり全体で6増6減案に加え、新たに、隣接をする鳥取県と島根県、あるいは高知県と徳島県の合区案などが議論をされています。日本全体の人口減少が進む中にあっても、人口は依然として都市部一極集中であることから、都市と地方の1票の格差がますます顕著になっていることに端を発した議論であります。しかしながら、本来人口減少が進む地方こそ多くの政策課題を抱えているからこそ、今全国の津々浦々で地方創生の議論が活発に行われているのであって、そんな地方の声を代弁する地域代表を削減することは本末転倒の議論であり、時代に逆行していると言わざるを得ません。 21年前の中選挙区時代は、本県から5人の代議士を国政に送ることができていましたが、小選挙区制になった現在、たった2人になってしまいました。このたびの参議院選の合区案が成立すれば、最悪本県からは参議院議員を送ることができない可能性も懸念をされます。それどころか、やがて地方から国会議員を送ることができない
アーバン民主主義の時代がやってくるかもしれません。この問題について尾崎知事の御所見をお伺いしておきたいと存じます。 次に、4月26日に投開票された高知市議選の候補者のポスターが5月に入っても残っていたことは、掲示場のポスターは剥がさなくても構わないという高知市
選挙管理委員会の事前説明があったためだということであります。今回は2月の立候補予定者の説明会で、公選法には掲示場のポスターを撤去する義務はありませんと伝えていたということであります。各陣営にとってはまことにありがたい話であります。他の市町村選管でも県議選に続いて市町村議選が行われるために、ベニヤ板製の県議選掲示板を撤去し、新たに掲示箇所の多い市町村議選用のものに取りかえます。 掲示板がその都度廃棄をされるならば、剥がす労力は大きな無駄であると思いますので、高知県
選挙管理委員会として県下一円の全ての選挙区に対して、剥がさなくてもよい場合の張り方の条件をマニュアル化して統一した指導ができないものか、
選挙管理委員長に御所見をお伺いいたします。 次に、
地方創生総合戦略についてお伺いをいたします。 地方創生に向け、市町村は既に知事がお示しになりました県版の総合戦略とリンクしながら、市町村版の人口ビジョンや総合戦略の策定に鋭意取り組まれておられます。5カ年間の総合戦略は産官学金労言が連携した実行体制を整え、その進捗についてアウトカム指標を原則とした政策ごとの達成数値目標、いわゆるKPIを立てることや、そのKPIを四半期ごとに
PDCAサイクルを回して、政策の到達熟度や政策間の有機的な連携がとれているかどうかをチェック検証し、改善させながら進捗管理していくことで、県政全体の底上げを図るというところが肝であります。しかしながら、市町村ではそうした経験も乏しく、おまけに1人の職員が多くの仕事を抱え込む中で大変忙しく、総合戦略策定に手が回らないのが実態ではないでしょうか。 まち・ひと・しごと創生本部からは、安定した雇用の創出、新しい人の流れの創出、若者の結婚・出産・子育ての希望をかなえること、安心な暮らしを守り、地域同士が連携する時代に合った地域づくりを行うこと、この4つの基本目標に応じた多くの
政策パッケージや、数え切れない事例が示されており、さらには
地域経済分析システム--RESASも活用しながら戦略設計をしていけば、政策立案能力の乏しい市町村も何とか形ができそうなものの、首長が市町村議会に総合戦略の素案をお示しし、承認を得て国からの交付金を獲得するためには、今6月議会か遅くとも9月議会に議案を上程しなくては当初予算の計上に間に合わなくなってしまうという、タイトなスケジュールがネックになっています。 そこで、この市町村の総合戦略策定について、残念なことにコンサルに丸投げする自治体もあると仄聞しますが、国の
地方創生コンシェルジュが本県担当員として各省庁に40名配置をされているので、大いに活用すべきであります。
コンシェルジュやRESASは十分に活用されているのか、
産業振興推進部長にお伺いをいたします。 本県職員も
コンシェルジュと協力して、市町村にできるだけ寄り添う形でサポートする必要があります。現時点における市町村に対する支援体制や
総合戦略策定作業の進捗状況と今後の見込みや課題について、
産業振興推進部長に御所見をお伺いいたします。 また、
集落活動センターは国の総合戦略の施策として採用されるなど、国や全国の自治体をリードする取り組みとして今脚光を浴びています。しかし、現場ではセンターの将来に向けての維持・運営について心配する声も上がっています。運営面に関しては国や県の支援が数年間予定され、その後の継続的な財政支援については県においてもさまざまな検討がなされているものの、自立に向けた経済活動の充実強化が課題となっています。また、人的な面でも現在県等が支援していますが、地元でセンターの維持・運営に携わっている方々が高年齢となっているケースもあり、将来に向けての後継者の育成について懸念材料が残っていると思います。 これらの現状に対してどのように取り組んでいかれるおつもりか、中山間対策・運輸担当理事の御所見をお伺いいたします。 次に、
高知版CCRCの取り組みについてお伺いいたします。 日本創成会議は去る6月4日、東京圏の2025年問題に端を発した、いわゆる団塊の世代が一挙に75歳を迎えることで、後期高齢者が今後10年間で急増するという社会問題に対して、東京圏の高齢者の地方移住の提言を行い公表いたしました。地方の医療・介護のサービス分野で、他の地域から高齢者の移住を受け入れる余力があると判断した地方の候補地41地域を挙げ、その中で一般的な入院医療体制を整備している二次医療圏である地方都市型の候補地32地域をまとめ、公表しています。それによると、本県では医療レベル7、介護レベル5として、高知市、南国市、土佐市、香南市、香美市、本山町、大豊町、土佐町、大川村、いの町、仁淀川町、佐川町、越知町、日高村の14地域がその対象地域として公表されました。 昨年末、政府が地方に示した総合戦略の中にも、人口減対策として高齢者の地方移住の必要性は明記をされているのであります。高齢者がお元気なうちに移住されてくるなら地方の生産性も上がるが、要介護度の高い方々の受け入れは東京圏のためのうば捨て山と化し、受け入れ地域にとってはさらに大きな負担増も心配されると思います。現実問題として、本県でも特養待機者は在宅でも600名以上おられるのが実態です。これらの提言案は東京圏の論点からの政策でありますが、本来地方創生の基本は東京圏も地方もともにウイン・ウインの関係にならなければなりません。果たして東京圏のニーズと地方の医療・介護のポテンシャルの実態がマッチングをするのだろうか、疑問も感じております。 該当する地域を抱える本県としては、的を射た判断として受け入れられるのか、日本創成会議による今回の東京圏の高齢者の地方移住を促進する提言について知事の御所見をお伺いいたします。 高知県議会においては、かつて厚生労働省が杉並区民に住所地特例を認め、試行的に杉並区と静岡県南伊豆町との協働で特別養護老人ホームを運営する取り組みの実態を、危機管理文化厚生委員会が平成25年8月28日より3日間、杉並区と南伊豆町の両自治体を訪問、視察してまいりました。この制度の場合、東京都内の地価が高い上に広い土地が確保できない杉並区が、南伊豆町にもともとあった杉並区の保養施設の用途を転用し、新たに特別養護老人ホームを建設し、杉並区の待機者とともに南伊豆町の待機者も受け入れ、南伊豆町のマンパワーで運営される予定だとお聞きをしておりました。 今回の提言とは制度的にも若干異なると思いますが、本県としてはどのような条件なら移住受け入れを認めることができるのか、介護や医療の制度面での課題もあると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、県では都市部から高知県に移住するシニア世代の受け皿整備に向けて、
高知版CCRC研究会を立ち上げ構想を策定する予定だとお聞きいたしましたが、現在の検討状況についてもあわせてお伺いをいたします。 次に、仮称東部看護学校の設立についてお伺いをいたします。 本県の看護師不足を解消するために、高知市に新しく2つの民間の看護師養成所が開校いたしました。その目的は、昨今の医療の高度化に対応するため、医療の質や看護の質の向上が求められている制度改正に伴い、非常に多くの看護師が必要不可欠となってきたからであります。本県においては従前から看護師の高知市偏在による郡部の人材不足が大きな課題であり、県東部に限らず、県下的に看護師不足の悲鳴の声が上がっていました。それに対して、これまで各医療機関の自助努力で何とか対応してきたのが実態であります。 しかしながら、救急対応、災害対応、在宅医療・在宅看護への対応、さらには地方創生に資する人口減少対策としての若者の雇用創出と定住の促進、さらには地域経済活性化など、新たな分野での医療・看護が地域社会に貢献していく必要性が求められる中、医療機関の自助努力も限界が近づいてまいりました。人口減少や少子高齢化が全国より10年以上先行する本県において、在宅、施設両方のニーズを満たしつつ、これらのミッションをこなしながら
高知版CCRCにも対応するとなれば、マンパワーとしての看護師のニーズはますます多岐にわたってふえてまいります。 そこで、平成26年度に健康政策部が主催する高知県の看護を考える検討委員会が、県内を代表する医療機関の医師や看護部長などが参加のもとで3回開催をされましたが、多くの参加者から看護師不足の現状が報告され、中には諦めにも似た意見も出されたのであります。そこで、10年以上も続く毎年4割の新人看護師の県外流出を3割にとどめる目標を立て、離職防止対策、復職支援対策など、でき得ることは全てやっていこうという結論に達したのであります。また、最近では看護師不足に対して派遣業者を利用する医療機関も増加をしており、看護協会による、より有効なナースセンター機能の整備を求める意見も出されました。 二次医療圏である安芸保健医療圏の将来の人口推計は、引き続き全体人口が減っていく中で、全体に占める老年人口の減少割合は、若年層に比べると少ない推計であります。むしろ一番の課題は、高齢者の移動などを支える若年層の減少率が著しいことから、高齢者の移動能力は低下し、各医療機関の役割が今後ますます大きくなるだろうということであります。そうしたことを踏まえて、医師会から、県東部に看護師養成所がどうしても必要であることから現在準備中である旨の報告が去る2月19日になされました。 県東部の看護師不足の課題を県中央部の皆様に相談し協力を要請しても、それぞれの地域が課題を抱えている中でお互い迷惑をかけないように、東部のことは東部で解決しなくてはならないという姿勢のもと、早速安芸郡医師会の臼井会長から我々県議にも設立に向けた協力要請があったのです。 さきの2月定例会の予算委員会において、知事からは、安芸郡医師会が主導するこの仮称東部看護学校設立に向けた質問に対して、県として熱い思いを持って支援をしていきたい旨の前向きな答弁を賜りました。安芸郡医師会の呼びかけで我々東部の県議や東部9市町村の首長、県立あき総合病院の院長や看護部長の皆様がこれまでに3回の検討会を開催し、平成29年4月に1学年40名定員の看護学校を開校する目標を立て、引き続き鋭意準備会を開催しています。 看護学校の概要は、3年制看護師養成校で男女共学、受験資格は高卒以上、年齢制限なし、奨学金制度あり、建設予定地は安芸市内に確保できそうであります。建設費を含む設立までの設置予算はおおむね4億円必要であり、補助金やハード、ソフト両面からの東部の関係市町村や県の支援が不可欠であります。 資金面、生徒の確保、教員の確保、看護師養成所や専修学校の認可などタイトなスケジュールの中で課題は山積していますが、どのようにサポートしていかれるのか、健康政策部長の御所見をお伺いいたします。 また、平成26年度の病床数の速報値では、安芸医療圏が491床に対して中央医療圏は9,877床と圧倒的偏在であり、しかも中央医療圏ではその約半数が慢性期病床であります。2025年に向け、本県療養病床などの大幅な削減が予想される地域医療構想が大きな議論を呼びそうでありますが、医師会の看護師増員との整合性について健康政策部長の御所見をお伺いいたします。 次に、庭先質問でまことに恐縮でございますが、何点かお伺いいたします。 まず、奈半利川の清流復活についてお伺いをいたします。 本年3月31日は、J-POWER、電源開発株式会社が北川村において稼働させている奈半利川の魚梁瀬発電所、二又発電所、長山発電所の河川法第23条に基づく30年間の水利使用の許可期限でありました。J-POWERは、本年2月18日に河川管理者である高知県知事に対して平成47年3月31日までの20年間の更新願を提出しており、既に申請は受理をされています。知事は流域住民の意見を聞く中で、果たして今後何年間にわたり水利使用を認めるのか、そしてJ-POWERや県には奈半利町、田野町、北川村、馬路村、安田町の流域県民に対してどのような濁水対策を講じていただけるのかが流域県民の一大関心事であり、河川管理者である県にとっても大きな課題であります。 私は、これまでも本会議や予算委員会の質問において、たびたび奈半利川の濁水問題を取り上げ、時には声を荒げ、時には母なる川奈半利川の清き流れを尊崇する我が母校奈半利小学校の校歌までこの議場で歌い、住民の声を代弁させていただきました。一番の課題は、減水区間である平鍋ダムから長山発電所間は、奈半利川の総延長約50キロメートルの3分の1を占めますが、この区間も上流部と同様に発電用送水パイプによってバイパス化がされていますので、水量が乏しく減水区間と呼ばれています。そこで、この区間の川が枯れる心配から、ここに毎秒約0.5トンの魚梁瀬ダムの濁った水が維持流量として平鍋ダム直下から本流に供給されていますが、減水区間を十分に潤し、清流や生態系を復活させるに至っていないことが一番の課題でありました。 そこで、平鍋ダム上流の二又で本流と合流する支流、小川川からの清水バイパスを平鍋ダム直下まで整備し、従前どおりの毎秒約0.5トンの濁水を供給するのではなく、毎秒約1.0トン以上の清澄水を供給することで減水区間の水量を一定確保し、生態系が躍動できるビオトープを形成しようとするものであります。流域の県民にとってこの清水バイパスの整備は、水利権の許認可権者である高知県知事が国の指導による今後20年間の水利権更新を認めるかわりの必要最低限の交換条件の一つだと私は思っています。 清水バイパスの整備は、県の試算では約15億円かかると言われておりますが、北川村の平鍋ダム下流の小島地区は伏流水にまで濁りが浸透することもあるので、ライフラインの飲料水や生活用水まで濁りの影響を受け、結局は配給をされるペットボトル飲料水で生活を営んでいるのが実態であることから、清水バイパスの整備は流域県民の悲願であります。何としても速やかな整備をいただきたいと願っていますが、知事の御所見をお伺いいたします。 さらには、奈半利川の濁水や水温の低下は、内水面の奈半利川淡水組合や海面漁協や大敷組合などの水産業だけでなく、サンゴの生育や魚類の食物連鎖など海の生態系にまで影響することや、安田川から奈半利川への分水問題も絡んでおり、さまざまな要望に対する折衝を経て最終的に知事が判断するわけですが、どのような姿勢で対応されるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、四国8の字高速道路ネットワークの整備についてお伺いをします。 四国東南部と西南部の四国8の字高速道路ネットワークは、順次整備が進められてまいりました。しかしながら、高知県の整備率は四国で最もおくれており、いまだ50%台であります。尾崎知事はこのたび全高速、いわゆる全国高速道路建設協議会の会長にめでたく御就任されました。まことにおめでとうございます。懸案の阿南安芸地域高規格道路などは、全高速の当初の目標である全国1万4,000キロメートルの整備計画には含まれておりませんが、この際全国の中でも整備進捗がおくれている県から選ばれた全高速の会長として、命の道である高速道路建設にかける決意をお伺いしておきたいと思います。 さて、徳島県県南から安芸市を結ぶ阿南安芸地域高規格道路や、黒潮町佐賀から四万十市まで、また宿毛市から愛媛県愛南町内海まではミッシングリンクとして残っていましたが、この4月9日に国の平成27年度予算が成立したことを受け、徳島県牟岐町から東洋町野根までの区間と奈半利町から安芸市までの区間、黒潮町佐賀から四万十市までの区間、宿毛市から愛媛県愛南町内海までの区間、これらのミッシングリンクが事業化に向けて一定動き始めたことは大きな朗報でありました。県当局の御尽力に改めて感謝と敬意を表する次第でございます。 現在、宿毛-内海間は計画段階評価中で、牟岐-野根間や佐賀-四万十間は既に計画段階評価が終了いたしました。そこで、一番気になることは、8の字高速道路ネットワークの整備箇所の中で一番の難所だと言われておる東洋町野根から北川村安倉を結ぶ9キロメートル工区については、国と県とが力を合わせて整備をすることまでは確認がとれておりますが、今回計画段階評価の終了に至らなかったことはいかんともしがたいのであります。 ここに直轄代行の道筋をつけることが今後の最大の課題であります。どう取り組むのか、お伺いをしたいと思います。あわせて、それぞれの工区の現状と課題の克服について土木部長の御所見をお伺いしておきます。 市町村が総合戦略を策定する上で、国土強靭化に向けた防災や南海地震対策の視点も欠くことはできません。そこで、国土交通省四国整備局土佐国道事務所は、現時点において奈半利町から安芸間の全体の法線はお示しができなくても、せめてインターチェンジの位置ぐらいは先行してお示しをいただければ、市町村の防災計画もよりきめ細かな計画ができるというものであります。何とかならないものだろうか、土木部長にお伺いをいたします。 今年度中にはなんこく南インターチェンジから高知龍馬空港インターチェンジ間が開通をします。土佐国道事務所は、この次には高知ジャンクションから高知南インターチェンジの整備を先行させる計画であります。美術館通りの高架橋や新たに掘削する五台山トンネルの工期も相当かかると思われますが、完成の目途はいつごろなのか、土木部長にお伺いをいたします。 この間、香南のいちインターチェンジから物部川を渡り高知龍馬空港インターチェンジまでの工区は、全く手つかずの状態で放置をされるとしたら東部の県民は浮かばれません。特に香南市のこのエリアには平成27年度中に津波避難タワー1基が整備される予定ですが、残りの3基分の候補地については、土盛りの高規格道路が避難場所に利用できることを想定しているためなのか、建設の着手は未定であります。そのことを考慮すれば、なおさら命の道としての香南のいちインターチェンジから高知龍馬空港インターチェンジ間の整備を急ぐ必要があると思うが、土木部長の御所見をお伺いいたします。 また、開通間もない大山道路は、L2クラスの地震津波では浸水することから、バイパスの状態でとめ置き、新たにルートを計画するのか、あわせて土木部長の御所見をお伺いいたします。 次に、災害に強い地域づくりについてお伺いします。 昨今の異常気象で特に思うことは、それは温暖化等の影響で気候も変化し、年々猛威を増して襲ってくる風水害に対して、単なる原形復旧工事では耐え切れないということであります。土木業者は再び仕事にありつけ好都合かもしれませんが、税金を払う国民、県民の立場に立てば予算の無駄遣いであります。原形復旧プラスアルファの改良復旧などを含めて、国土の強靱化を図る上で工法を工夫していくべきではないでしょうか、土木部長の御所見をお伺いいたします。 また、最近では頭首工と魚道が併設されている、例えば奈半利川の田野頭首工のような農業関連施設が再々被害に遭っており、改良復旧の必要性は明らかであります。年々勢いを増す水害から魚道を守るためにはどのような改良復旧を進めるのか、農業振興部長の御所見をお伺いいたします。 また、昨今の気候変動の心配もあわせて考えれば、改めて森林整備事業に対応する森林吸収源対策の財源不足を一番危惧するところであります。そこで、森林、環境、木質バイオマス発電、野生鳥獣対策についてお伺いいたします。 今、全ての原子力発電が停止する中、代替エネルギーの確保は既存の火力発電に大きく依存し、その化石燃料コストは1日当たり実に100億円とも言われ、膨大な額に及んでいます。言いかえれば、毎日100億円の温室効果ガスが大気中にばらまかれていると言っても過言ではありません。これが地球温暖化の大きな原因となり、ひいては異常気象、気候変動の一因にもなっているものと大変危惧するところであります。 去年の台風第12号、第11号や広島市の豪雨は、中国・四国地方に特に甚大な被害を与え、30年間に一度の異常気象と結論づけられましたが、降水量では全国トップクラスの高知県における過去10年間のアメダスのデータを調査してみれば、時間雨量50ミリを超えて観測された強い雨、いわゆる強雨の発生回数は30年前の162回から、この10年間では258回と実に100回近くふえているのであります。一方で、雨が全く観測されなかった日も45回から82回へと増加傾向にあり、雨が降るときにはまとまってどかんと降る傾向にあります。また、特別警報の対象となるような時間雨量100ミリ程度の豪雨は、今や日本列島のどこでも発生し得る時代になってまいりました。 地球上に存在する約30通りの気象パターンを調査研究する気候変動に関する政府間パネル--IPCCは、産業革命以降の地球の平均気温がプラス2度を超すとポイント・オブ・ノーリターン、後戻りができない、いわゆる異常気象がどんどん加速化され、台風もさらに大型化すると発表しておりますが、日本列島の平均気温は100年当たり摂氏1.14度の割合で上昇し、桜前線の到達が日本一早い高知県では既に1.45度上昇するなど、徐々にプラス2度に近づいてまいりました。高知城三の丸にあるソメイヨシノの標本木の開花は平均3月22日が基準日でありますが、長期的に見ると50年当たり5.7日の割合で早期化をしているのです。このように明らかに温暖化は進行し、今やCO2の削減は待ったなしの大きな課題であります。二酸化炭素を吸収し、気候変動を安定化させるためには、森林整備を加速化するしかありません。 戦後の拡大造林政策で大きく成長した森林資源を、CLT工法や木質バイオマス発電を導入し、良質材から低質材まで余すことなく有効かつダイナミックに活用し、産業や雇用を活性化させ、地方の創生に努めると同時に、再造林と野生鳥獣による食害対策を徹底することで、高齢化した森林の若返りを図り、森林によるCO2の吸収能力を高める、いわゆる森林吸収源対策を強力に推進していかなくてはなりません。 政府は、今こそ森林整備に向けた安定的な財源確保の観点から、森林整備加速化・林業再生基金の延長や温暖化対策税の森林整備への税源移譲を真剣に考えるべきであります。知事は国に対してどのように汗をかいていかれるおつもりか、お伺いをいたします。 また、このたび最大出力2,000キロワット程度の小型木質バイオマス発電の固定価格買い取りが40円程度と、大変有利な制度が示されました。仁井田、宿毛両発電所を軌道に乗せた後、木材生産量も年間80万立方メートルから100万立方メートルになっていけば、県内の自治体もぜひ取り組んでみたいという期待を膨らませております。 そうしたことを前提にすれば、県東部地域でも小型発電所の可能性が考えられると思うが、林業振興・環境部長の御所見をお伺いいたします。 また、とさでん交通の路面電車の動力源に仁井田の木質バイオマス発電所の電力が流用できれば、まさにエネルギーの地産地消であり、高知の電車は地元産の木質バイオマスエネルギーで動いているんだよとのコンパクトシティーの理念を全国にアピールできると思うが、路面電車への木質バイオマス電力流用の可能性を検討してはどうかと思いますが、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。 また、野生鳥獣による食害対策も大変重要です。昨今は猟銃による狩猟が減る一方、わなによる捕獲は増加の傾向です。県は、民間が開発した高性能、高効率のくくりわなを本県のモデル発注制度の認定商品に定め、全国に先駆けて要望のあった県内市町村に大量に無料配付して功を奏していると聞きますが、その捕獲実績を中山間対策・運輸担当理事にお伺いいたします。 また、今後商品としてのくくりわなを広く全国にしっかりと宣伝し、地産外商に資するべきと考えますが、商工労働部長に御所見をお伺いいたします。 最後に、昨年12月に香南市で起こりました虐待による児童虐待死亡事例検証委員会の報告書についてお伺いをいたします。 県と高知市の合同設置による検証委員会において、児童相談所等の関係する支援機関の対応のあり方などについて、さまざまな角度から徹底した検証が行われ、昨日委員長から知事と高知市長に対し、検証結果と再発防止に向けた提言などを取りまとめた報告書が提出をされました。今回の事案は、平成20年に南国市で起こりました虐待による児童の死亡事件を受け、虐待対応のための体制の充実と運営の強化を図ってきた中での大変痛ましい事案でありました。 関係機関との連携体制の構築などを含めて、二度とこのような事件が起こることのないよう取り組みを進めていくことが求められていると考えておりますが、知事として検証委員会からの報告をどのように受けとめ、提言に対して今後どのように取り組んでいかれるのか、あわせて御所見をお伺いいたしまして、私の第1問といたします。 (知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君) 浜田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、県勢浮揚にかける思いについてお尋ねがございました。 振り返りますと、平成19年、私は最初の知事選挙におきまして、全国的な景気回復の流れから取り残されている高知の窮状を何とかしたい、ふるさと高知に活力を取り戻すため、私の全てをささげたいとの思いで、県内の地域を回らせていただきました。限られた期間ではありましたが、人口減少やそれに伴う地域経済の低迷に悩む中山間地域を初めとした県内各地域の現状に触れ、その厳しさに心が痛んだことをよく覚えております。 さらに、知事に就任して以降、より地域の実情を把握し、多くの皆様の御意見を踏まえて対策を練り上げていかなければならないとの思いから、対話と実行座談会を開催させていただくこととし、これまでの間これを75回開催し、約6,800人の皆様と意見交換を行わさせていただきました。加えて、対策が本格的な実行段階に入った2期目からは、この姿勢が一層重要になっているとの考えのもと、対話と実行行脚の取り組みを始めさせていただき、2期目を通じて県内全ての市町村、283地域を訪問させていただきました。この地域の皆様との対話そのものが私の現在の知事としての、政治家としての基礎となっております。 こうした対話と実行の姿勢のもと、人口減少などの根本的な課題に真正面から取り組むため、多くの皆様から御協力を得て、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想などを策定し、毎年度バージョンアップを図りながら、数々の施策に目的意識を持って全力で挑戦し続けてまいりました。 こうした中、1期目の最後の年となる平成23年3月には東日本大震災が発生し、あすは我が身との思いで、翌月被災地を訪れました。無力感を覚えるほどの惨状を目の当たりにし、高知県民の皆様の命をこの自然の猛威から何とかして守り抜かなければならない、これが私の使命だと痛感したところでございます。このため、
南海トラフ地震対策を抜本的に強化し、東日本大震災を教訓としつつ、地震による死者数を限りなくゼロに近づけていくため、全速力で命を守る対策や、助かった命をつなぐ対策に取り組んでまいりました。 このように知事就任以来、県民の皆様との対話や県議会の皆様との活発な政策論議を通じてお知恵を賜りながら、取り組みを進めました結果、地産外商が一定進むとともに、高知型福祉のネットワークも広がってまいりましたし、避難路・避難場所や津波避難タワーの完成にも一定のめどが立ってまいりました。 しかしながら、これらの取り組みが前に進んだがゆえに、また新たな課題にも直面しているものと認識いたしております。地産外商の成果を新たな雇用の創出に力強くつなげていくためには、担い手の不足という新たな壁を克服することが必要でありますし、
南海トラフ地震対策についても命を守る対策の一層の徹底を図る必要があるとともに、命をつなぐ対策をより深く掘り下げ、かつ具体化していく必要もあります。 このように、県民の皆様が将来に希望を持てる県づくりを実現するためには、まだまだ多くの課題が残されております。今、私はこれまでの取り組みを土台として、県勢浮揚に向けた歩みを確かなものとするため、さらなる努力を重ねてまいりたいとの強い思いを持っているところであります。 次に、私の3期目に向けた決意につきましてお尋ねがございました。 まずは、これまでの私の県政運営に関しまして、数々の身に余るお言葉を頂戴いたしました。恐縮至極に存じます。 この7年余り、私はさまざまな県政課題に対し県民の皆様との対話を重ねながら、全身全霊を傾け、常に進取果敢でありたいとの信念を持って取り組んでまいりました。先ほどお話もいただきましたが、この間産業振興計画や日本一の健康長寿県構想、さらには
南海トラフ地震対策などの取り組みを進めてきた結果、一定の手応えを感じているのも確かであります。しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、こうした取り組みが進むにつれ、例えば産業振興計画につきましては、担い手確保の必要性といった新たな課題にも直面しておりますし、
南海トラフ地震対策につきましては、応急期の対策などまだまだ課題が残っており、こうした課題を解決するためには、より一層の努力が求められる状況であります。 こうした状況を踏まえ、私は今ふるさと高知の県勢浮揚に向けた動きを確たるものとすることを目指し、ぜひともこの秋の県知事選挙に立候補させていただきたいとの考えであります。そして、県民の皆様のお許しをいただけるのであれば、次の4年間も引き続き高知県知事として全力を挙げて県政運営に携わらせていただきたい、強くそのように考えているところでございます。 次に、統一地方選挙の投票率が低調だった原因と、今後の選挙の投票率アップに向けた取り組みについてお尋ねがありました。 4月の統一地方選挙では41の道府県議会議員選挙が行われ、議員からお話がありましたように、本県を含む38の道府県で投票率が過去最低となりました。投票率が低い原因についてはいろいろなことが考えられ、地域ごとにさまざまな状況がありますので、一概に申し上げることは困難ですが、過去の国政選挙の投票率でいえば、その時々の選挙の構図などにも影響され、争点があるときは投票率が上がり、そうでないときは下がる傾向にあります。ただ、いずれにしても投票率の右肩下がりの状況は、有権者の政治に対する関心が低下していることのあらわれであると思われ、深刻に受けとめなければならないと考えております。 選挙は、民主主義の根底をなすものであります。政治によって生活が変わり得るということを有権者の皆様にわかりやすくお伝えし、より多くの民意を政治に反映していくことが地域の発展のため、さらには有権者御自身の暮らしの向上のためにも大変重要であります。 県としましても、県民の皆様に県政や地域の課題に十分な関心を持っていただけるよう、県の基本政策や重要な取り組みなどを、県民の皆様によりわかりやすくお伝えする工夫を徹底していくとともに、さまざまな機会を通じて県民の皆様から県政への御意見をお伺いするなど、広報広聴をきめ細かく徹底することで、政治は我が事であるとの思いを喚起するよう努めてまいりたいと考えているところでございます。 次に、新たに県議会議員になられた皆様への期待についてお尋ねがございました。 今回の県議会議員選挙によりまして、新たに13人の皆様が県議会議員になられました。お若い方も多く、またその御経歴もさまざまであり、まずは新しい視点からさまざまな御提案や御質問がいただけるのではないか、さらにこのことにより、より一層政策論議が活発に展開されることになるのではないかと期待いたしているところであります。 今回の選挙では、特に人口減少が進行する中で、どのように地域を活性化していくのかが主たる論点になったのではないかと考えております。この困難な課題について、議員の皆様は新しく議員になられた皆様に限らず、選挙戦などを通じて多くの県民の声を聞かれ、議論を交わされたことと思います。そうした中で得られた率直な声、御意見をぜひ県議会の場などを通じて、私ども執行部に対してお聞かせいただきたいと考えております。また、このような県民のお声とともに、それぞれがこれまで培われた御経験をもとに、さまざまな政策提言も御教示賜りますようお願いを申し上げます。 他方、議会と私ども執行部が活発な政策論議を行うためには、私ども執行部の姿勢も問われるところであります。従前より行ってまいりましたが、引き続き県としてどういう政策を実行しようとしているのか、丁寧かつ詳細に御説明することを徹底していかなければなりません。こうした執行部の丁寧かつ詳細な説明と、その上に立った県議会でのより高度な政策論議が繰り返され、県政全体としての質が向上していければと考えているところでございます。 次に、参議院議員の選挙制度についてお尋ねがございました。 平成25年7月の参議院議員通常選挙における1票の格差に関する訴訟におきましては、昨年11月に最高裁判所から違憲状態の判決が出されたところであり、1票の格差の問題は非常に重要な問題であると認識しております。しかし、単に人口の多い地域ほど国会議員の数が多くなるという選挙制度では、大都市など人口の集中する地域ほど有利な政策が展開され続けることにつながり、結果ますますそうした地域への過度の人口集中を招くことになりはしないかと懸念されるところであります。 さらに、議員のお話にもありましたように、人口減少や少子高齢化といった我が国が抱える極めて構造的な問題に対処するためにも、東京一極集中を是正し、地方の活性化を図らなければならないのであり、国全体のことを考えても、また本県のような地域の切実な声が国政に十分に生かされなければなりません。 こうした考えから、既存の枠組みの中で単に選挙区間の人口の均衡を図ることのみを重視した合区案には反対であると機会を捉えて申し上げてきたところであり、各都道府県から少なくとも1名は選出できる制度としていただきたいと考えております。この点は、先日15日の衆議院憲法審査会高知地方公聴会でも、今後の論点として議論していただくよう主張したところであります。 次に、日本創成会議による東京圏の高齢者の地方移住を促進する提言についての所見と、移住を受け入れるに当たっての課題などについてのお尋ねがありました。関連をいたしますので、あわせてお答えをいたします。 今回の東京圏の高齢者の地方への移住を促進する提言につきましては、都市部の高齢者などが本人の希望に応じて、健康なときから地方に移住することを前提としており、特定の地域への居住を強制するものでもありませんし、またもちろん希望しない地方に高齢者の受け入れを要請するといった内容のものでもないものと理解をいたしております。 また、今後全国に10年ほど先行して高齢化が進んでいる本県では、65歳以上の高齢者の推計人口が2020年をピークに減少に転じること、さらには日本一の健康長寿県構想の推進などによる健康寿命の延びや、今後の在宅医療と介護などのサービス基盤の整備などによりまして、ある程度の余力が先々において生じてくる可能性もあるものと考えております。 こうしたことを前提にいたしますと、今回の日本創成会議による高齢者の地方への移住を促す提言につきましては、本県にとりましても人口増加による消費需要の喚起、ひいては若者の雇用機会の創出など、今後の地域の活性化といった面からは一定の効果が見込まれ得るものと考えております。 しかしながら、こうした効果を十分に生み出していくためには、さまざまな前提条件が満たされる必要があるものと考えております。第1に、医療や介護保険制度における費用負担の問題がございます。この点については、将来生じる可能性のある過度の地方負担を防ぐための住所地特例制度などの拡充といった対応が必要になってまいります。 第2には、医療や介護サービスの確保の面で、現状では直ちに受け入れられる確たる余力があるという状況にはない中で、いずれ県内の医療・介護ニーズが高齢者の減少に伴い減っていくとはいえ、移住者からのニーズにうまくマッチングできるのか、さらにはそもそも移住を見越した上での全体のサービス確保にめどが立てられるのかといった点などについて、しっかりとした検証がなされる必要があるものと考えております。 いずれにいたしましても、今回の日本創成会議の提言につきましては、今後慎重に精査をしていくべき点はありますものの、うまく生かしていけば、今後の地域の活性化、ひいては人口減少問題の改善などへとつながり得るものであると考えているところでございます。 次に、
高知版CCRC構想の現在の検討状況についてお尋ねがありました。 いわゆるCCRCは高齢者向けのコミュニティーで、既にアメリカには2,000カ所以上あると言われています。我が国でも東京圏を初めとする都市部の高齢者が、みずからの希望に応じて地方に移り住み、地域社会において健康でアクティブな生活を送るとともに、医療・介護が必要なときには継続的なケアを受けることができるような地域づくりを目指して、日本版CCRC構想が検討されているところです。県外から健康で活動的な高齢者を受け入れることは、本県にとりましても経済波及効果や安定した雇用の確保などにつながるものと期待できます。他方、受け入れに際しては、医療・介護の負担の問題などクリアしなければならない課題があります。 こうしたことから、5月11日に高知県産学官民連携センターをプラットホームとして、CCRCに関心がある県内の企業、高等教育機関、市町村などによる研究会を立ち上げ、約50名の方々に参加していただいております。これまで開催した研究会ではCCRCについての共通認識、国の有識者会議における検討状況の共有のほか、先進事例の調査、高知県での導入可能性についての意見交換等を行ってきております。参加者からは、Uターン者を主なターゲットにしてはどうか、新しい施設を建設するのではなく既存の住宅や病院、高等教育機関等を活用する方法もあるのではないかといったさまざまな意見があり、こうした意見も踏まえながら、年内には
高知版CCRC構想として取りまとめる予定であります。 取りまとめに当たりましては、5W1Hを明確にするとともに、消費の喚起や若者の雇用創出、さらには移り住まれた方々のさまざまな知識と経験を地域課題の解決に生かしていただくなど、トータルとして地方創生に資する構想となるよう議論を進めていただきたいと考えております。あわせまして、CCRCの狙いや仕組みについての関係者の理解と協力を求め、実現に向け官民協働で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 次に、奈半利川における清水バイパスの整備についてお尋ねがありました。 濁水対策を含めた河川環境の改善は、奈半利川の大きな課題の一つであると認識しています。議員お話しの清水バイパスは、平鍋ダム上流の支川である小川川の清水をバイパスさせ、ダムの下流に直接放流する施設で、河川環境の改善に大きな効果が期待できると考えており、また地元の皆様からの強い要望もお聞きしています。 こうしたことから、これまで事業効果や効率的な施工方法などさまざまな検討を実施しており、昨年度末までにバイパス管路や取水放流設備といった主要な設備の設計が完了しております。また、昨年11月には発電事業者である電源開発株式会社から事業参加の意向を得ており、本年度中に建設工事に関する費用負担の割合等を定めた基本協定が締結できるよう協議を進めているところでございます。 さらに、河川整備基本方針や河川整備計画への位置づけといった河川法上の手続についても、本年度中の完了を目指して取り組んでおります。今後は、こうした取り組みを進め、清水バイパスが早期に整備できるよう、事業化に向け国と協議を行ってまいりたいと考えております。 次に、奈半利川の水利権更新申請の許可についてお尋ねがありました。 魚梁瀬、二又及び長山の3カ所の発電所について、水利使用許可の更新申請が本年2月18日に電源開発株式会社からありました。現在、河川法に基づく書類審査が完了したことから、関係町村に意見聴取を行っているところです。お話のありました許可期間については、国の通達に基づき20年とし、10年目に維持流量の放流状況等についての報告を義務づけ、河川環境に与える影響等を検証することとしております。 今後は、関係町村からの回答が得られ次第、経済産業大臣への意見聴取及び国土交通大臣への協議を行い、各大臣からの回答内容を検討した上で許可の判断をしたいと考えております。なお、関係町村からは今後20年間の水利使用に関してさまざまな要望をいただいており、皆様の思いをしっかり受けとめ、関係機関や電源開発株式会社と調整を進めるなどの対応を引き続き行ってまいります。 次に、全国の中でも整備進捗がおくれている県から選ばれた全高速の会長として、命の道である高速道路建設にかける決意についてお尋ねがありました。 全高速の横内正明前会長からの御指名と、常任世話人の国会議員の皆様の御推挙を経て、本年5月、正副会長会で御承認をいただき、第7代目の会長に就任させていただきました。これからは全高速の会長として、大規模災害時の相互支援や地域間交流による地方創生を進めていくための高速道路の整備促進に向けて、会員であります全国46団体の皆様とともに力を合わせて、全力で取り組んでいく所存でございます。 本県においても、高速道路は商業圏域の拡大や進出企業の増加など地域の経済活動を支える基盤として、また
南海トラフ地震など災害時の命の道として極めて重要な社会資本であり、これまでもその整備促進に積極的に取り組んでまいりました。今後は、全高速会長として、国に対しまして高速道路網の整備効果を具体的に示しながら、その重要性を強く訴えていくことにより、必要な全国の道路予算を確保し、あわせて四国8の字ネットワークの整備の加速化にもつなげ、その早期完成に向けて全力で取り組んでまいる所存でございます。 次に、森林整備に向けた安定的な財源確保についてお尋ねがございました。 森林整備のための安定的な財源確保については、森林資源を余すことなく活用して、雇用の創出や所得の向上を図り地方創生を実現する上でも、また森林資源を活用した後に再び植栽や間伐等を行いCO2の吸収力を高めるなど森林吸収源対策を推進していく上でも極めて重要であります。 そうした中、これまでも国に対し、「税金の使途がエネルギー起源の二酸化炭素の排出抑制対策に限定されている地球温暖化対策のための税の使途を森林吸収源対策にも拡大をすること」、「二酸化炭素の吸収や水源の涵養など森林が有する多面的機能の維持と森林整備に必要な財源を国民全体の負担で支える仕組みについて検討をすること」、また「間伐等を推進するために必要な路網の整備や高性能林業機械の導入を支援する上で貴重な財源となっている森林整備加速化・林業再生基金を継続・拡充すること」につきまして政策提言を行ってまいりました。あわせて、四国知事会や全国知事会などを通じて同様に国への要望を行っております。 今後も、私みずからが関係省庁に赴き、森林吸収源対策に要する安定的な税財源を確保するよう提言を行ってまいりますとともに、全国知事会など関係機関とも連携を図りながら、さまざまな機会を捉え国への働きかけを行ってまいります。 最後に、高知県・高知市児童虐待死亡事例検証委員会からの報告書についての受けとめと今後の取り組みについてのお尋ねがありました。 昨年の12月に起きました児童虐待死亡事例につきましては、県と高知市の合同設置による検証委員会において、関係する支援機関の対応の妥当性などについて徹底した検証作業を行っていただき、昨日報告書を提出していただきました。報告書では、県と高知市のそれぞれが深いかかわりを持ちながらも、事件の発生を未然に防ぐことができなかった事案として、県と高知市において子供の安全と最善の利益を最優先に、今後の取り組むべき方向性について真摯に考える契機としなければならないと指摘されており、大変重く受けとめております。 報告書の中では、県と高知市に対しましてさまざまな御提言をいただいております。県に対しましては、関係する支援機関との連携や情報共有のあり方、さらには要保護児童対策地域協議会に対する積極的な支援の必要性などについて、高知市との連携のあり方などを含めまして大変有意義な御提言を多数いただきました。また、高知市に対しても、人員体制の強化や職員の専門性の確保、さらには地域の支援機関などを巻き込んだ要保護児童対策地域協議会の充実強化などに向けた提言がありました。 県としましても、今回の提言に基づき必要な再発防止策をスピード感を持って実行することにより、児童虐待問題への対応力のもう一段の充実強化を図ってまいりたいと考えております。 具体的には、まずは高知市を含めた関係する支援機関との連携による効果を十分に発揮させることが必要でありますので、児童相談所が措置解除等の意思決定を行う際には事前に関係者間で意見交換を行い、その内容を意思決定に反映できる仕組みを早急に構築してまいります。次に、市町村の要保護児童対策地域協議会への積極的な支援につきましては、ケースの進行管理のあり方への助言や市町村内での連携体制の確立等について、中央児童相談所に配置をいたしました専門職を中心に支援に努めてまいります。特に、高知市につきましては両者で課題意識の共有を図りながら、しっかりとした取り組みを進めていく必要があるものと考えております。 また、今回の事案につきましては、いずれの支援機関におきましても身体的虐待を見抜くことができなかったケースとして、行政機関だけでの子供の見守りには限界があることも報告書では指摘をされています。このため県としましても、市町村とともに、地域の関係者を含めた支援機関などとも連携した見守りの仕組みづくりなどにも取り組んでいかなければならないと考えているところであります。 今後、一定期間の後には、今回の提言を受けた県市の取り組みの進捗状況につきまして検証委員の皆様に検証を行っていただくなど、
PDCAサイクルの徹底を図ってまいります。また、協力が可能な委員の皆様には、中央児童相談所が対応しておりますそのほかのケースについても検証していただき、報告書では明らかになっていない問題点などの改善にもつなげてまいりたいと考えているところでございます。 いずれにいたしましても、児童相談所や市町村を中心とする全ての支援機関が、子供の命を守るという責任の重さを改めて自覚した上で、子供の安全と最善の利益を最優先に取り組むという基本姿勢を徹底し、このようなことが二度と起きることがないよう全力を挙げて取り組んでまいります。 私からは以上でございます。 (
選挙管理委員長恒石好信君登壇)
◎
選挙管理委員長(恒石好信君) 初めに、統一地方選挙の投票率が低調だった原因と今後の選挙の投票率アップに向けた取り組みについてお尋ねがありました。 議員御指摘のとおり、さきの統一地方選挙における県議会議員選挙の本県の平均投票率は、補欠選挙を除けば過去最低となり、残念な結果となりました。県議会議員選挙の投票率は長期的に見て低下傾向であり、このことは県民の皆様の政治や選挙への関心が薄れてきたことの一つのあらわれではないかと受けとめております。 年齢別投票率を見てみますと、これまでの各種選挙の傾向とほぼ同様に、二十歳代前半の投票率が著しく低く、年代が上がるにつれて高くなっておりますが、60代後半以降の投票率が低くなっており、若い方々に向けた重点的な取り組みはもとより、高齢の方々の投票率向上に向けた取り組みも重要であると改めて認識をしたところでございます。 こうした状況の中、県
選挙管理委員会では若者が政治、選挙を身近に感じ、関心が高まるよう、これまで高知県明るい選挙推進協議会などと連携しながら、小学生から大学生までを対象に模擬選挙などを取り入れた出前授業を実施するとともに、若者と議員の座談会を開催するなどの取り組みを実施してまいりましたが、残念ながら若者の投票率の向上にまではつながっていないのが現状でございます。 しかしながら、投票率向上のための特効薬となる妙案が見当たらない状況の中で、こうした出前授業などの取り組みは主権者を育てるためには非常に大切なことだと考えております。また、選挙権年齢の引き下げを契機として、若者の政治、選挙に対する関心が高まっている状況でもありますので、重点的に高校や大学での学習の裾野を広げながら、しっかりと粘り強く取り組んでまいりたいと考えています。 加えまして、高齢者や障害のある方などの投票環境を充実させるため、不在者投票ができる病院や老人ホームなどの指定基準の見直しを行ったり、選挙公報の点字版や音声版の配布を行うなど、有権者の便宜を考慮した改善の取り組みも行ってきたところでございます。この秋には県知事選挙に加え、高知市を初めとする4つの市と村で市長選挙や村長選挙も予定されておりますので、中山間地域における高齢者などの投票所までの移動手段の確保や大学、量販店への期日前投票所の設置など、投票環境の向上についても各市町村
選挙管理委員会などと知恵を絞りながら取り組んでまいりたいと考えております。 次に、公職選挙法の改正に伴い、新たに有権者となる満18歳及び19歳の人数についてお尋ねがございました。 来年夏に予定される参議院議員通常選挙において、県内で新たに有権者となる満18歳及び19歳の方々の人数は、現時点で正確に把握することはできませんが、総務部が行いました本年1月1日現在の年齢別の住民基本台帳人口の調べによれば、およそ1万4,000人前後の方々が県内で新たな有権者となるものと推測をしております。 次に、選挙運動用ポスターの撤去に関してお尋ねがございました。 選挙運動のために使用するポスターについては、公職選挙法上、掲示した者に選挙の期日後速やかに撤去すべき義務が課せられていますが、ポスター掲示場に掲示されているポスターにつきましては、撤去すべき義務からは除外されております。現在、県内各市町村では、高知市など4団体で
選挙管理委員会が撤去をしております。あと30団体では候補者の皆さんに撤去いただいておる状況となってございます。 今回、議員から統一した指導ができないのかとのお話がございましたが、統一地方選挙など複数の選挙の期日が近接している場合にはポスター掲示場を撤去せず、そのまま引き続いて使用することなどもありますし、撤去費用の問題もございますことから、市町村
選挙管理委員会ごとに諸事情を考慮した上で、対応を判断していただくことが適当ではないかと考えています。 このことにつきまして、県
選挙管理委員会としましては公職選挙法の規定や、市町村
選挙管理委員会が撤去するに当たり、あらかじめ候補者に同意を得ておく必要がないかといった注意が必要と考えられる点など、市町村が検討するに当たって参考となる事項について取りまとめてみたいというふうに考えております。 (教育長田村壮児君登壇)
◎教育長(田村壮児君) 高校生に対する主権者教育を積極的に行っていくとともに、選挙違反を出さないようにする指導も徹底する必要があるのではないか、また模擬投票の取り組みを県立高等学校にもっと広げるべきではないかとのお尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えいたします。 主権者としての自覚と社会参画の力を育む教育につきましては、中学校の社会科で学んだ基礎的な学習内容の上に、高等学校では公民科で望ましい政治のあり方や主権者としての政治参加のあり方について考察するといった学習を、学習指導要領に基づいて行っております。 今回の選挙権年齢を満18歳以上に引き下げる公職選挙法の改正に伴い、高校生の中に新たに選挙権を有する生徒が出てくることから、今後さらに主権者教育の充実を図る必要があると考えております。その際には、お話にもありました模擬投票の取り組みを
選挙管理委員会と連携して広げることや、次期学習指導要領での導入が検討されている主権者教育を重視した新しい科目への適切な対応にも心してまいりたいと考えております。あわせて、国が作成を進めております生徒対象の副教材や教員向けの指導資料が今後提供されると聞いておりますので、こうしたものを効果的に活用して進めてまいります。 一方で、同じ高等学校の中で選挙権を有する生徒とそうでない生徒が出てくる状況も生まれてまいりますので、その双方に選挙違反の防止を含めた選挙のルールや政治活動のあり方などについて、しっかりと理解させる必要があります。そのため、選挙のルールについては、
選挙管理委員会を初めとする関係機関とも連携を密にして指導してまいります。 また、高校生の政治活動については、これまで文部科学省の通達に沿って、望ましくないということでの指導を行っておりますが、今回の選挙年齢の引き下げに伴い、その扱いが国で再検討されていると聞いておりますので、その結果に基づいて適切に指導してまいりたいと考えております。 (文化生活部長岡崎順子君登壇)
◎文化生活部長(岡崎順子君) 主権者教育について、今後私立の高等学校にどのように取り組みを促していくのかとのお尋ねがございました。 ことし5月に模擬投票を実施しました高知中央高校では、成果として生徒の投票に対する意識の向上につながったとお聞きをしておりまして、こうした取り組みは若年層の政治や選挙に対する関心を高めていく上では効果があるものと考えます。 私立学校におきましては、主権者教育も学習指導要領に沿って各学校で自主的に実施されるものではありますが、県としましても
選挙管理委員会による出前授業や講演会の開催など、効果的な取り組みについて積極的に情報提供してまいりますので、各学校で創意工夫をして取り組んでいただきたいと考えております。 (
産業振興推進部長中澤一眞君登壇)
◎
産業振興推進部長(中澤一眞君) 市町村の総合戦略策定について、国の
地方創生コンシェルジュや地域経済分析システム、いわゆるRESASは十分に活用されているのかとのお尋ねがございました。 まず、
地方創生コンシェルジュにつきましては、既に県内の市町村から国の支援制度や先行型交付金の活用などについて御相談をした事例もありますものの、お互いが出会う機会がなかったということもあり、まだ県内全ての市町村が使いこなすといった状況には至っておりません。 そのため、去る6月17日、東京におきまして
地方創生コンシェルジュと県内の市町村長との意見交換会を、石破地方創生担当大臣もお招きして開催いたしました。当日は13名の
コンシェルジュの皆様と16名の市町村長にも御参加をいただき、直接交流を深めていただいたところです。
コンシェルジュの人となりに触れることで、お互いの距離が縮まるよい機会であったというふうに思いますので、今後
コンシェルジュの皆様に御活躍をいただく機会がふえるものと期待をしております。 次に、RESASにつきましては、総合戦略の策定にとって、地域の人口や産業の現状を把握し、基本目標等を設定する際に活用できる有効なツールだと考えております。本年4月以降に順次実施をしております地方創生に関する市町村との勉強会の中で、活用方法がわからず十分に活用できていないとの声が多かったことも踏まえまして、6月3日には県や市町村の職員を対象とするRESASの説明会を国とともに開催いたしました。その後、地方経済産業局に設置をされましたRESASの相談に対応するシステムマスターを独自に招聘して、分析等に協力をいただいた市町村も出てまいりますなど、徐々に活用が進んでおります。 県におきましても、例えばRESASの企業間取引の状況や平日、休日の人口動態の情報をもとに仮説を立てて、中核事業者への重点支援や観光プロモーションの展開などに活用することを検討したいと考えております。今後、県内外を問わずRESASを活用した好事例などの積極的な情報収集に努めますとともに、これらを市町村とも共有することでさらなる活用を働きかけてまいります。 次に、現時点における市町村に対する本県の支援体制や
総合戦略策定作業の進捗状況と、今後の見込みや課題についてのお尋ねがございました。 市町村の総合戦略につきましては、今年度中の策定が求められていますが、国の地方創生先行型交付金を活用する場合には、本年10月までに策定をする必要があります。現状では、県内の34市町村の全てが年度内に総合戦略を策定する予定であり、そのうち31市町村が本年10月までに策定する予定であると聞いております。 こうした市町村の総合戦略の策定作業を県として支援する上での最大の課題は、お話にありましたように、明確な数値目標の設定と
PDCAサイクルを確立して、成果につながる戦略となるよう、いかにサポートをするかということであろうというふうに考えております。 このため、産業振興推進部内に総合戦略を担当するチームを配置するとともに、産業振興推進地域本部を市町村に対するワンストップの支援窓口に位置づけいたしました。地域本部では、市町村の進捗度合いに応じて、草案作成の段階から御相談に応じますとともに、外部委員で構成する総合戦略の検討組織に地域産業振興監が参画するなどしてサポートに努めております。 また、産業振興推進部におきましても、本年4月から市町村ごとに首長との意見交換、担当課長や担当職員との意見交換会あるいはブロック単位での勉強会を順次実施しておりますし、市町村議会等から求められた説明会等への出席要請もこれまで9回に上っております。こうした機会を通じまして、県と連携協調した取り組みを重ねてお願いいたしますとともに、目標の設定や
PDCAサイクルの回し方、また総合戦略の検討組織や人口ビジョンなどについての具体的な御質問や御要望に対しても、できるだけきめ細かなアドバイスや情報提供を行うよう努めております。 これまでに10の市と町で外部の検討組織を立ち上げるなど、各市町村において具体的な検討が始まっており、今後さらに策定作業が本格化してまいります。引き続き、国の動向や他県の参考事例などについて積極的に情報共有をするとともに、地域本部を中心にできるだけきめ細かなサポートをしてまいります。 (中山間対策・運輸担当理事金谷正文君登壇)
◎中山間対策・運輸担当理事(金谷正文君)
集落活動センターの経済活動の充実強化と後継者育成の課題についてお尋ねがありました。 中山間地域を活力ある地域として維持・再生し、県土全体の底上げを図っていくためには、国の地方創生の動きも追い風に、地域の活性化や支え合いの仕組みづくりの拠点となる
集落活動センターをさらに県内各地へ普及拡大させるとともに、その活動をもう一段力強いものとする必要があると考えております。 このため、今年度から
集落活動センターが取り組む経済活動の新たな展開や事業の拡大を支援する補助メニューを追加するなど、支援策を充実させますとともに、部局連携のもと、産業振興施策や福祉関連施策などとの連携をさらに強化することで、具体的なビジネスプランづくりや、その実践をより効果的に支援し、
集落活動センターの経済基盤の強化を図ってまいりたいと考えております。 また、お話にございましたように、将来に向けた後継者の確保・育成といった課題もございます。このため、地域づくりを実践するリーダーを招いた研修会の開催やアドバイザーの派遣、地域外からの人材の積極的な受け入れなどを通して、地域のリーダーの育成はもとより、その後継者となり得る人材や
集落活動センターの行うさまざまな活動の中心となる人材の確保・育成にも取り組んでいるところです。こうした取り組みによりまして、
集落活動センターが暮らしの安心を守る拠点として継続、発展できますように、引き続き市町村や地域の皆様とともに取り組んでまいりたいと考えております。 次に、鳥獣対策に関し、県が配付しておりますくくりわなの捕獲実績についてのお尋ねがありました。 県では、深刻化する鳥獣被害に対応するため、平成24年度から対策を抜本強化し、有害鳥獣の捕獲と防護柵の設置による防除に力を入れております。お話にございましたくくりわなの配付事業は、捕獲対策の一環として、地域ぐるみで捕獲に取り組んでいただくことを奨励するために、被害を受けている集落に無償で配付しているものでございます。配付するくくりわなの開発、製造に当たりましては、初心者や女性でも扱いやすい安全なわなであることを要件とするとともに、新たなビジネスチャンスをつくるという意図も込めて、県内の製造業者に限定して公募により選定をいたしました。 狩猟者の負担の軽減を図ることを目的の一つとしたこの事業は、平成25年度からの3カ年事業でありまして、これまでに希望のあった県内のおよそ1,000集落に9,000個を配付し、配付の際には捕獲効率を高めるために、わな猟の名人による技術講習会もあわせて行ってきております。 昨年度の銃猟も含めた県全体の捕獲数は、鹿が過去最高の2万1,124頭、イノシシが1万6,429頭で、対策を強化して以降、年間の捕獲頭数は対策強化前の23年度と比べて約4割、1万647頭増加しております。くくりわなの配付を始めた25年度からの2年間での捕獲頭数の伸びを見てみますと、鹿、イノシシ合わせて7,050頭の増加となっております。そのうち配付したくくりわなでの捕獲実績は鹿、イノシシ合わせて2,614頭ですので、この2年間捕獲数がふえた分のうち、約3分の1は配付したくくりわなで捕獲されたことになります。捕獲頭数の増加にはさまざまな要因があろうかと思いますが、くくりわなの配付も全体としての捕獲数の底上げの一助になったものと考えております。なお、今年度も3,800個の配付を予定しており、引き続き効果的な捕獲に努め、農林業被害の軽減に努めてまいります。 (健康政策部長山本治君登壇)
◎健康政策部長(山本治君) 安芸郡医師会の看護学校設立に県としてどのようにサポートしていくのかとのお尋ねがありました。 安芸郡医師会からは、昨年秋ごろから看護師養成所の設置について御相談を受けており、議員のお話にありました設立準備会に県職員もオブザーバーとして出席するなど、設置に当たっての助言や情報提供を行ってきたところです。看護師養成所を設置するためには、保健師助産師看護師法に基づき県知事の指定を受ける必要があり、入所の資格、修業年限、教育内容その他の事項に関し厚生労働省令に定める基準に従い、施設・設備の整備状況、管理及び維持経営の方法が確実であること、さらに専任教員や実習施設の確保といった要件を満たす必要があります。また、安芸郡医師会では、同時に専修学校の認可を受けることも検討されていると伺っており、学校教育法に基づく要件を満たすことも必要となります。 看護学校設置後の安定的な運営のためには、当面の収支計画やその裏づけとなる学生の確保の見通しが特に重要であると考えており、実現可能性やそのための方策について十分にお話を伺う必要があります。平成29年4月開校の場合には、まず本年12月までに看護師養成所設置計画書を提出していただく必要がありますので、県として引き続き必要な助言と情報提供を続けてまいりたいと考えております。 次に、地域医療構想と安芸郡医師会の看護学校設立計画との整合性についてのお尋ねがありました。 地域医療構想は、今後の人口推移や全国の診療実績のデータなどを踏まえて、2025年における医療需要を推計して病床機能ごとの必要病床数を算定し、それにふさわしい医療提供体制を構築するための方策を策定していくものです。 6月15日に政府の社会保障制度改革推進本部の専門調査会が公表した医療機能別病床数の将来推計では、3つのパターンで県全体では現状よりおおむね25%から38%少ない病床数が示されました。本県においては医療審議会にワーキンググループを設置し、本県の実情を踏まえて地域医療構想の策定を議論していくことになりますが、仮に国の試算を当てはめますと、在宅医療や介護の分野での需要増を想定しても、看護職員の必要数に一定の影響があるものと見込まれます。 安芸郡医師会の看護学校の設置計画は重要な課題となっています東部地域の看護師確保に向けた取り組みですので、先ほど申し上げた収支計画や学生確保などの論点に加え、地域医療構想における将来の人口や医療需要の推移も見据え、安芸郡医師会において十分に検討を行っていただきたいと考えています。県としてもしっかりとサポートをしてまいります。 (土木部長奥谷正君登壇)
◎土木部長(奥谷正君) まず、直轄代行の道筋をつけることに対してどう取り組むのか、またミッシングリンクそれぞれの工区の現状と課題の克服についてお尋ねがありました。 本県の四国8の字ネットワークにおけるミッシングリンクの未事業化区間は全部で6区間、延長にして約70キロメートルが残っている状況です。そのうち、阿南安芸自動車道の奈半利から安芸の区間と、四国横断自動車道の宿毛から愛媛県愛南町内海の区間においては、本年度から事業化に向けた最初のステップとなる計画段階評価のための調査がスタートいたしました。今後、国においてアンケートやヒアリング調査により地域の皆様の御意見をお聞きし、地域の課題やそれぞれの道路に求められる役割などを抽出した上で、ルート帯やインターチェンジのおよその位置を決めていくと聞いております。 また、阿南安芸自動車道の徳島県牟岐町から東洋町野根の区間と、四国横断自動車道の黒潮町佐賀から四万十市の区間においては、平成25年度から計画段階評価のための調査を進め、社会資本整備審議会道路分科会の四国地方小委員会の審議を経て、本年4月、ルート帯やインターチェンジのおよその位置が決まりました。今後は、県が主体となって都市計画決定などの手続を速やかに行うよう努めてまいります。 一方、阿南安芸自動車道の東洋町野根から北川村安倉の区間については、平成25年度から県が国に協力して計画段階評価のための調査が進められており、また北川村安倉から和田の区間については、県が概略ルートを検討するための調査を行っています。しかしながら、昨年8月に北川村小島地区において大規模なのり面崩壊が発生したことなどにより、改めて道路のあり方や地域の課題などを整理する必要が生じました。今後は、地域の皆様の御意見をお聞きしながら、道路のあり方を再整理した上で、直轄代行の道筋をつけるためにも国と協力してこれらの調査を進めてまいります。 次に、奈半利から安芸間のインターチェンジの位置を先行して示すことができないか、またこの区間にある大山道路についてお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えいたします。 先ほどお答えいたしましたとおり、阿南安芸自動車道の奈半利から安芸の区間については、地域の皆様の御意見をお聞きしながら、そのルート帯やインターチェンジのおよその位置を検討する計画段階評価が行われることとなりましたので、できるだけ早く計画段階評価が完了するよう、引き続き国に対し政策提言を行ってまいります。 また、大山道路については、その扱いも含め、奈半利から安芸の区間における計画段階評価の手続の中で検討していくと聞いております。 次に、高知ジャンクションから高知南インターチェンジ間の完成のめど、また高知龍馬空港インターチェンジから香南のいちインターチェンジ間の整備に向けた所見についてお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えいたします。 高知ジャンクションから高知南インターチェンジ間においては、平成25年度から工事に着手しており、本年5月に国土交通省より平成32年度の開通見通しが発表されたところです。一方、高知龍馬空港インターチェンジから香南のいちインターチェンジ間につきましては、昨年度から一部工事に着手しておりますが、まだ未買収地が残っている状況です。このため県としましても、地元説明会などを重ねながら、国の全面的な工事着手につながるよう引き続き努力してまいります。 これらの区間の開通により、
南海トラフ地震時には、高知大学医学部附属病院や高知医療センターへ長期浸水の影響を受けることなくアクセス可能となりますことから、東部地域にとっての命の道にもなります。さらに、高規格道路の盛り土部は津波避難にも利用できますので、一日も早い完成に向けて、引き続き国に対して要望してまいります。 最後に、災害復旧工事について、単なる原形復旧工事ではなく工法に工夫をするべきではないかとのお尋ねがありました。 災害復旧事業は被災箇所の機能復旧を目的としており、復旧に当たっては、例えば川底が深く掘られて河川の護岸が被災した場合は基礎を深い位置に変更し、また道路の自然斜面が崩壊した場合はのり枠を設置するなど、被災前と機能が同等であっても、より災害が生じにくくなるよう施設を整備してまいりました。 今後とも被災状況や被災原因を明らかにした上で、同程度の災害を引き起こす現象が再び発生した場合でも災害が生じにくくなるように、構造物の形状や材質、構造の改良も含めて、復旧に最も適した設計や工法の工夫をしてまいります。 (農業振興部長味元毅君登壇)
◎農業振興部長(味元毅君) 魚道が併設された頭首工の改良復旧についてのお尋ねがございました。 頭首工は、県内には仁淀川の八田堰のように延長が300メートルを超えるものから2メートル程度のものまで、大小合わせて5,300カ所余りに設置をされ、市町村や水利組合などが管理をしております。また、堰上げの高い頭首工には、魚の遡上に支障を来さないよう魚道も設置をされております。 しかし、頭首工の多くは建設後40年以上を経過し、老朽化の進行や近年のたび重なる豪雨により、被災される件数が多くなってきております。また、議員御指摘のように、田野頭首工では平成23年度に被災した魚道が昨年の台風11号でも再度被災するなど、改良復旧の検討が必要な施設も出てきております。 魚道の改良復旧につきましては、災害関連事業をあわせて導入すれば、現状よりも流れの緩い場所に変更することなども可能なことから、田野町でも災害復旧の申請に当たり検討を行ったところ、魚道の場所の変更について申請期限までに地元関係者の意見などを取りまとめることが困難であったことや、現状の場所でも特に魚の遡上に支障を来していないこと、また原状復旧でも新旧のコンクリートをより強固に接合する工法を採用することで再発防止が可能であることなどから、最終的には原形復旧で工事を実施することにしたというふうにお聞きをいたしております。 県といたしましては、今後とも原形復旧では再発のおそれがある場合には災害関連事業を導入し、改良復旧を行うよう市町村に対して助言をしてまいります。また、施設の機能を維持していくための長寿命化対策につきましても、市町村と協議をしながら計画的に進めてまいりたいと考えております。 (林業振興・環境部長大野靖紀君登壇)
◎林業振興・環境部長(大野靖紀君) 東部地域での小型木質バイオマス発電所の可能性についてお尋ねがございました。 県内の木質バイオマス利用の取り組みは、施設園芸を中心としたボイラーによる熱利用と、セメント工場での石炭との混焼による発電に加え、今年から高知市と宿毛市の2カ所において木質バイオマス専焼による発電が始まったことから、大量の低質材が必要となっています。 県では、増大する需要にしっかりと対応し、産業振興計画の平成27年度の原木増産目標を達成するために、林業関係者と連携しながら、原木が安定的に供給できる体制づくりを懸命に行っているところです。まずはこうした体制を整えることが重要でございますが、県内には十分な森林資源がございますので、将来的には各地域ごとに木質バイオマス発電によるエネルギーの地産地消が一層進むよう取り組んでいく必要があると考えています。 お話のありました東部地域での小型発電所の整備につきましては、今後発電を行う事業体や原木供給を担っていただける方々の御意見を聞きながら検討してまいりたいと考えています。 次に、路面電車の動力源に木質バイオマス発電所からの電気を活用してはどうかとのお尋ねがございました。 高知市仁井田で木質バイオマス発電に取り組んでいます土佐グリーンパワー株式会社は、森林再生による地域の活性化や再生可能エネルギーによる環境への貢献を目的に、出光興産、とさでん交通株式会社、高知県森林組合連合会の出資により設立した会社です。とさでん交通株式会社は、出資に当たってこの木質バイオマス発電による電気を路面電車に利用し、電力の地産地消を進めることにより、地域活性化にも貢献できるとの考えで参画したと伺っています。 路面電車には安定した電気の供給が必要となりますが、土佐グリーンパワー株式会社は本年度が発電初年度であることから、定期的に運転をとめて点検を小まめに行うという運用を行っています。このため、とさでん交通株式会社では、年間を通して発電所から安定した電気の供給ができる見込みが立った段階で、電気の買い取り価格などを見ながら、グリーン電力により電車を運行する会社として企業価値を高めていきたいとの意向であると伺っています。 (商工労働部長原田悟君登壇)
◎商工労働部長(原田悟君) 県内企業が開発したくくりわなの外商の取り組みについてお尋ねがございました。 産業振興計画を推進する中で、くくりわなのように地域のニーズや課題に対応した新たな製品、技術が生まれつつあります。こうした取り組みをさらに県内で広げていきますとともに、しっかりと外商につなげていくことが、本県経済の活性化を図っていく上で重要であると考えています。このため、昨年度
産業振興センターに設置したものづくり地産地消・外商センターにおいて、製品の企画段階から開発、改良、販路拡大まで専任の担当者を中心に、一貫したサポートを行っているところです。 お話のありましたくくりわなにつきましても、このセンターが被害に悩む県外の自治体や狩猟団体などへの営業に同行しますことや、東京などで開催されます多くの農業関係者が集まる見本市への出展サポートなどを行っているところです。その際にも、この商品の本県での活用状況や捕獲実績などの情報も紹介させていただいております。こうした取り組みの結果、例えば昨年度初めて参加した県外見本市では成約が37件となり約350個の販売につながっております。 このくくりわなにつきましては、高齢者や狩猟の初心者でも安全で簡単に設置できるように配慮されていることなどが評価され、全国紙に取り上げられておりますし、今年度も専門誌において御紹介いただけると伺っておるところでございます。今後、見本市への出展回数を増加させるなど外商活動を強化していく予定となっておりますことから、県内外での評価をしっかりと情報発信していきますことなど、引き続き成約件数の増加に向けたサポートを行ってまいります。
◆19番(浜田英宏君) それぞれ丁寧かつ前向きな御答弁を賜りまして、まことにありがとうございました。 2問を行いたいと思います。 CCRCについてでございますが、我々危機管理文化厚生委員会が25年に杉並区、南伊豆町、両方視察しましたときには、せっかくこの南伊豆町に特養に入った方が後期高齢者になると杉並区に帰されるということで、これだったらCCRCにつながっていかないなということを思っておりました。このCCRCを進める上で大きなネックでありました75歳以上の後期高齢者の医療保険制度において、住所地特例の年齢制限が平成30年4月から撤廃をされるということを伺っております。これはまことに朗報だなと、このCCRCに向けて大きな後押しになっていくんじゃないかと考えております。 今、年金を支える若い方々の減少から、都会で暮らされておる高齢者の皆様も漠然とした老後の不安というものがございまして、なかなか貯蓄を崩さないと、こういう方が多いようでございます。そこで、高齢者の貯蓄を消費拡大にいざなうことが、日本経済が低迷から抜け出す一つの秘策だと言われておるわけでございます。CCRCの一つの狙いは、ここにもあるのではないかと思っております。 そうなってまいりますと、リバースモーゲージ制度に再度光が当たってくると思いますが、リバースモーゲージ制度の潜在的市場規模は180兆円とも200兆円とも言われております。しかし、バブル以降の地価の下落で担保価値が下がったことによって、制度の活用が低迷をしておったんですが、本県においてリバースモーゲージの実績はあるのか、あるとすればどのくらいあるのか、そしてまた普及拡大に当たっての課題などを井奥地域福祉部長にお伺いいたします。 以上、2問です。
◎地域福祉部長(井奥和男君) 本県でのリバースモーゲージの実績につきましては、公的機関が関与するものといたしまして、高知県社会福祉協議会によります不動産担保型の生活福祉資金貸付制度と、住宅金融支援機構によります高齢者向けの融資などがございます。 平成25年度末の貸付実績で申し上げますと、高知県社会福祉協議会の貸付制度につきましては17件、総額9,600万円余りとなっておりまして、制度の発足から間もない平成16年度の700万円程度の事業実績からしますと、順調に利用実績が拡大しているんじゃないかと、そのように考えております。 今後の制度の拡大に向けました課題といたしましては、融資を行う側に不動産価格の下落、金利の上昇、利用者の長寿といった3つの要素に伴う担保割れリスクが生じることなどが大きなネックになっているというふうに伺っております。このため、昨年度少子化対策の抜本強化に向けました世代間の支え合いの仕組みづくりといたしまして、高齢者から子、孫の世代へ子育て費用に係る資金をリバースモーゲージを活用して融資する際の公的保険による補償制度の創設などについて、知事がチームリーダーを務めます全国知事会の次世代育成支援対策
プロジェクトチームから政策提言を行ったところです。
◆19番(浜田英宏君) 3問、最後を行います。 日本が導入したこの担保型のリバースモーゲージですが、住みなれた都会を離れて地方に移住して、そこでついの住みかとしてのCCRCを選択するとなれば、いわゆるフランス型ビアジエに代表されるような所有権移転型のリバースモーゲージ、これと住所地特例をセットにCCRCの制度設計をする、こうした工夫が必要不可欠と私は思っておりました。日本の先進的なモデルとしてシェア金沢というのはとっても有名でございますが、こちらはどちらかといえばセレブ向けのタイプだと私は思いましたが、資産の多寡にかかわらず、低所得者の方々にも配慮したタイプを考えていくということも大事ではないかと思いますので、このような考え方も含めて、今後
高知版CCRCを検討していただきたいということを要請しておきたいと思います。 さて次に、質問ではございませんが、尾崎知事は、北川村でも私は申しましたが、孫子の兵法をよく学んでおられると思います。孫子の兵法、その極意とはすなわち戦わずして勝つということであります。つまり現職の知事として実績を積み重ね、高い県民からの支持率を得ると、これがおのずと知事御自身の抑止力になってまいります。そして、いろいろな団体や政党からも知事を支援することで、その抑止力はさらに高まっていく、いわゆる戦わずして勝つということにつながる。ある意味、集団的安全保障や集団的自衛権と似通った兵法かもしれません。 安倍総理や中谷元防衛大臣は、誰よりも戦争をしたくない方々だから、孫子の兵法でもって友好国と力を合わせ、協調抑止力でもってそれを高めて、戦わずして勝つ努力をされているのであります。野党の皆さん方もそのことを内心よくわかっているはずなのに、やたらと戦争するための戦争法案、戦争法案とやゆし、軽く一蹴されてしまう。戦争法案とはまことに不適切な表現であると同時に、まことに遺憾だと私は思っているわけでございまして、論議がかみ合わず全く残念な話でございますが、常識で考えても来年の参議院選を控えて、政府・自民党が進んで戦争する法案なんかつくるわけがないでしょう。私は孫子のお国の習近平さんのほうがよっぽど安倍さんのことをよく理解しているんじゃないかと思っているんであります。 さて、尾崎知事もきょう3選を表明いたしました。尾崎知事と安倍総理は孫子の兵法相通じるところがあります。そんな尾崎知事の3選を全力で支援することをお誓い申し上げまして、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(三石文隆君) 暫時休憩いたします。 午後0時2分休憩
----------------------------------- 午後1時再開
○副議長(西森雅和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 29番上田周五君。 (29番上田周五君登壇)
◆29番(上田周五君) 県民の会の上田でございます。議長のお許しをいただきました。よろしくお願いをいたします。 去る5月1日に8名の議員で新しい会派、県民の会を立ち上げました。会派結成以来、初めての定例会に臨んでおります。会派結成に当たり、8名の議員がそれぞれ得意とする分野を結集し、お互いを尊重する中で日々研さんを重ねながら、県民に寄り添う身近で温かな県政をつくるために、平和憲法を尊重し、脱原発の方向を目指し、県民生活の向上と県勢発展に全力を尽くすことなどを基本姿勢としております。県民の会は、民意、対話、実践を念頭に積極的に地域に入り、県民の皆様の声を県政に届けてまいります。 また、これは個人的な思いですが、市町村役場出身の若手議員が複数誕生したことも心強く、またうれしく思っております。うれしいといえば喜ばしいことでもございますが、先月17日、神戸市三宮の繁華街に、JR三ノ宮駅から徒歩3分のところでございますが、土佐清水産の食材を前面に出した郷土居酒屋、土佐清水ワールドがオープンしました。神戸市で居酒屋を展開する株式会社ワールド・ワンが土佐清水市との連携協定を結び、アンテナショップ居酒屋としてオープンしたものでございます。土佐清水市はもちろんのこと、本県の観光PRや誘客にも協力いただけるということでございます。私も先月18日にお邪魔をいたしましたが、平日にもかかわらず54席ある店は満席となり、50人ほどのお客様が店外で列をつくり待つほどの盛況ぶりでございました。本県観光産業の発展に大きく寄与していただけるものだと感じました。知事も関西方面に出張等の際にはぜひ立ち寄っていただきたいと思います。 それでは、質問に入ります。 まず、与野党が真っ向から対立しております安全保障関連法案についてお聞きをいたします。 私ども県民の会は、昨年6月定例会で集団的自衛権の行使を容認しないことを求める意見書議案に賛成の立場でございます。そもそもこの問題は、安倍首相が国会への法案提出前の4月末に米議会で今夏の成立を国際公約したことが発端となりました。首相は高い内閣支持率と多数の議会勢力を考えての判断がこの発言となったものだと推察いたします。 ところが、ここに来て法案に対する多くの国民の不安や不信などが一気に高まってきております。これを象徴するかのように安保法案に関しては県内市町村において、これまでに大豊町、本山町、四万十町、田野町、芸西村、馬路村、土佐市、大月町及び香南市の9市町村で、廃案や制定中止を求める意見書が可決されております。まさに地方議会においても思想、信条を超えた国民的議論となっています。 この間の政府・与党議員の発言も気になるところでございます。岩屋代議士の「自衛隊のリスクが高まる可能性は事実だ」、また元行政改革担当相の村上代議士は、党内で法案への異論がほとんど出ないことに対し、「心の中でおかしいと思っていても口には出せなくなってしまっている」とし、「立憲主義も危うくなる」と発言されています。また、法案には170名を超える多くの憲法学者が憲法違反の声明を出し、自民党OBの政治家も、憲法解釈を一内閣の恣意によって変更することは認めがたいと非難の声を上げています。 私は、自衛隊のリスクについては、後方支援はこれまでの非戦闘地域から現に戦闘が行われている以外の地域に拡大されることから、いわゆるすき間がなくなり、リスクは高まるものだと考えております。また、国会などのやりとりを聞いておりますと、これまでのPKOの時代、海外派遣から海外派兵、つまり軍隊を派遣するという表現に変わってきているのが少し気がかりでございます。 そうした中、憲法の解釈を必ずしも変えてはならないと考えているわけではないとの前提に立たれる阪田雅裕第61代内閣法制局長官は、「ただし、その場合は合理的な理由、根拠がなくてはならない。それを安全保障環境が変わったという一言で片づけてしまっていいのか」とおっしゃっています。 知事は先日の地方公聴会で、「現代の実情というものも踏まえた解釈の変更ということは一定容認されるべきだ。旧3要件の精神に基づいて連続的かつ合理的な範囲内での解釈の変更というのは認められるのではないか。その新3要件に基づいて法律をつくっているということは一定容認される」という発言をされておりますが、その際の合理的理由・根拠はいかなるものと考えられるのか、またこの発言を踏まえたとき、知事はこれらの安保関連2法案については違憲性はないと確信されているのか、お聞きをします。また、しばしばテーマになる自衛隊のリスクについてどのように思っておられるのか、また県内市町村議会の動きについてどのように見ているのか、あわせてお聞きをいたします。 次に、国が重要政策に掲げております
地方創生総合戦略についてお聞きをいたします。 日本総合研究所は去る4月21日、共同通信社が1月から2月にかけて実施した地方創生に関する全国首長アンケートの分析を公表しています。それによりますと、地方版総合戦略の策定が自由度の高い交付金の条件となっていることに対し、既存の計画と重複することへの疑問や、地域の実情に合わない計画づくりを強いられているとの不安が多いことが指摘をされております。アンケートには全体の99.3%に当たる1,776自治体が回答しています。政府が来年3月までの地方版総合戦略策定を交付金配分の条件としたことに関し、50.5%が賛成する一方、45.7%がどちらとも言えないと慎重姿勢を見せ評価が分かれております。このように地方創生に関する全国首長アンケート結果で、多くの自治体首長から不安の声が上がっています。 また、国が配分する地方創生先行型交付金の上乗せ交付は、ことし10月までの戦略策定が条件とされていることから、現場からは将来を方向づける戦略なのに時間が少な過ぎるとの声も上がっていますが、知事はこうした今回の国の手法をどのように受けとめているのか、お聞きをいたします。 次に、慎重や反対の立場としての理由は、各自治体には総合計画など類似の計画があり、申請に向けた策定作業は新たな負担になるとの意見が、特に職員数の少ない小規模自治体で目立っております。また、政府の施策の方向性と異なる事業の切り捨てや、配分事業や事業規模が十分に示されていないことへの懸念も多かった。そして、賛成する多くの自治体からは、明確な目標と具体的な指標により、政策の成果や効果を検証することが不可欠という見解が示されています。 先ほど申し上げましたが、市町村には、その地域における総合的かつ計画的な行政運営を図るために基本構想を定めた総合計画といった最上位計画がございます。これとの整合性ももちろん必要ですし、加えて県版総合戦略との整合性も必要となります。本来は来年3月とされている戦略策定時期が、交付金の条件によって実質的に繰り上げられている。こうした期間が限られている中で市町村は対応していかなければならないが、県としてきめ細かな支援、助言をするように知事に、ここは特に要請をしておきます。午前中の浜田議員の分と重複いたしますので。 次に、地方創生を生かし、それぞれの地域を住みやすくするためには、市町村ごとの取り組みと歩調を合わせ、広域単位で取り組むことが重要ではないかと考えます。地方創生で期待することは地方の中小企業やベンチャー企業への支援など、雇用対策や地場産業育成を求める声が多くなっています。こうした要望を踏まえ、地方版総合戦略を進めるに当たっては、自治体の枠組みを超えた広域の産業戦略が必要だと考えます。 そこで、安芸地域を初め高知県産業振興推進地域本部が設置されている県内の7つのブロックごとに連携協調し、それぞれの施策の展開を図っていくべきだと考えますが、知事にお聞きをいたします。 次に、政府が進める職業教育の高等機関創設についてお聞きをいたします。 政府は経済成長に向けた人材育成策の一環として、実社会のニーズに合わせた制度を創設し、学校間の競争を促すために、職業教育を行う新たな高等教育機関の創設を成長戦略に盛り込みました。来年にも関連法を改正し、2019年度の開校を目指すとされています。この背景には、既存の大学では企業が求める実務的な教育が十分行われておらず、企業側も従業員の教育に充てる時間が不足している現実問題がございます。新教育機関は、産業界と協力してカリキュラムを編成し、急速に進歩するIT分野など経済の変化に対応するための専門知識を教えるとされています。 そこで、政府のこうした動きに呼応し、新たな高等教育機関を本県に誘致してはと提案いたしますが、知事にお考えをお聞きいたします。 次に、大都市高齢者の移住推進についてお聞きをします。 先月4日、民間団体日本創成会議は、団塊の世代全てが75歳以上の高齢者となる2025年には、東京など1都3県の東京圏の介護需要が45%ふえて、施設と人材不足が深刻になるとの推計を発表した。対策としてこの会議が提言したのが、医療・介護施設などに余裕がある高知市を含む41の地方都市への移住でございます。この提言を受ける形で、先月下旬、まち・ひと・しごと創生会議で政府の地方創生施策に関する2016年度予算に、東京圏など大都市から地方への高齢者の移住推進を明記し、受け入れ拠点整備に向けたモデル事業を2016年度に始める自治体を新型交付金で支援する方向性が示されました。 自治体からは、元気な高齢者に地域活性化に一役買ってもらいたいという期待がある一方、それぞれの地域で在宅介護や在宅医療を充実させるべきだ、負担の押しつけになるという声も上がっています。全国的に賛否両論がございますけれども、私は団塊の世代の一人としまして、本県にとりましても近い将来避けては通れない大きな課題だと認識をしております。これから議論が進む中で、市町村によって、いわゆるアクティブシニア層の受け入れに前向きなところもあるでしょうし、またそうでないところも出てくるでしょう。そこで、この課題は県全体のものだとの認識のもと、この都会からの地方への高齢者の移住推進について、早急に県と市町村の間で検討協議会を設け対応していくべきだと考えますが、
産業振興推進部長にお聞きをいたします。 次に、18歳選挙権についてお聞きをします。 選挙年齢を18歳以上に引き下げる改正公選法が成立し、来年夏の参院選から適用されるのがほぼ確実となりました。18歳選挙権については、その導入の背景に、近年高齢者が急激に増加したため、世代ごとの数のバランスをとるために選挙権の年齢の引き下げが必要ではないのか、また選挙権の年齢の引き下げが、若い世代が政治に関心を持つきっかけになることが期待されることなどがありました。 こうした中、私は近年、将来を担う若者の政治離れが深刻化しており、大変危機感を持っております。今回の18歳選挙権の導入を契機に若い世代に政治への関心を持っていただき、若者の社会参加を促すことが求められております。現在の社会保障制度の中で支えられる側の65歳以上がふえる一方、支える側の二十歳から64歳が少子化の影響で減っております。1990年には1人の高齢者を5.1人が、2012年には2.4人が支えていたものが、2025年には1.8人で支えなければなりません。こうした現実を見たとき、若い世代の政治への意識を高めていくことが必要なことだと考えます。 同時に、高校生の一部が有権者となりますので、いかに学校教育で政治への意識を高めていくのか、この視点も重要だと考えます。中学・高校教育で政治への参加意識を身につけるには、地域の小さな課題に向き合う住民教育を通し、自分の言動が社会に影響を与えるという効力感を養うことが大切だと考えております。何のために投票するのかという政治参加の動機づけが何より必要だと思います。ESD的な視点を推進し、主権者教育を充実することも必要ではないでしょうか。 そこで、主権者教育の一環として、知事みずからが中学生を対象に政治と経済について講義をされてはどうかと考えますが、御所見をお聞きいたします。 次に、国と地方の関係の中で高知県の財政を少し考えます。国にその多くの財源を依存している本県の財政事情を考えるとき、常に国の財政状況に注意をしておくことが必要だと考えます。国家財政は今瀕死の状態でございます。このままでは国家破綻につながりかねないと危惧さえいたしております。2015年3月末の国の借金がこれまでの最高となる1,053兆3,572億円となりました。ことし4月1日時点の推計人口1億2,691万人で割ると、国民1人当たり約830万円の借金を抱えていることになります。高齢化に伴い増加する社会保障費の財源不足を借金に頼っていることが大きな要因となっています。 財務省は今後も新規に国債を発行することなどから、国の借金が2016年3月末には約1,167兆円に達する見通しを示されております。また、国はこうした厳しい財政事情の中で、地方交付税の算定方法を2016年度から見直す方針も固めておりますし、リーマンショック後の税収減を補うための地方自治体への特別な財政支援--地方交付税の上乗せ分でございますが、これも2018年度までに終了するとの方針も固めております。 そうした中で日本国債が格下げとなりました。欧米格付会社フィッチ・レーティングスは去る4月27日、日本国債の格付を2012年5月以来、21段階あるうち上から5番目のAプラスからAに1段階引き下げました。日本政府が2015年度に続き2016年度も法人減税を実施する意向であることや、2014年度の税収の上振れ分を同年度補正予算の財源に使ってしまった点などを指摘し、安倍政権が昨年11月に消費税率引き上げ延期を決めた後も、2015年度予算に税収の落ち込みを補う措置が含まれなかったことなどを格下げの理由に挙げております。また、こうした日本政府の対応は、財政再建に対する政治的なコミットメントをめぐる不透明感を増大させるものとしております。 国際格付とは、国が発行する債券が確実に償還されるかどうか、借金をきちんと返済できるかという信用力でございますが、これは投資家が判断するための指標で、その国の信用力を示すものでございます。格付会社が国の財政状況を点検し、アルファベットや数字を使った記号で示すもので、市場への影響力が大きいと言われています。知事は、今回の日本国債格下げをどう見ているのか、お聞きをいたします。 次に、臨時財政対策債についてお聞きをいたします。 臨時財政対策債は、本来は国が地方交付税として交付すべきものであるが、地方交付税の原資である所得税や法人税などの一定割合が不足していることから、それを補うために発行しているわけでございます。通常の地方債--公共事業債や過疎債などの地方債と違って、いわゆる赤字地方債であります。そして、臨時財政対策債の債務者は起債した地方自治体であることも認識しておく必要があると考えます。 県のこの臨時財政対策債の発行額がここ数年300億円前後で推移しており、その残高は増大の一途をたどっています。平成27年度末の推計では約3,600億円と、もうすぐ予算総額に匹敵するぐらいに近づいております。この償還に当たっては、地方交付税で100%措置されるということだが、これくらい膨らんでくると将来本当に大丈夫かなと心配になってきます。臨時財政対策債に対する知事のお考えをお聞きいたします。 次に、財政基盤が脆弱な本県においては、将来にわたる安定的な財政運営を実現するための財源を確保することが極めて重要でございます。特に、自主財源の確保がますます重要となっています。 平成26年度の一般会計決算概要がそろそろ発表されると思いますけれども、平成26年度の県税について、収入済額、不納欠損額、収入未済額の決算見込みはどのようになっているのか、総務部長にお聞きをいたします。また、平成27年度の県税収入をどのように見込み、その確保に取り組んでいくのか、あわせて総務部長にお聞きをいたします。 次に、税外未収金についてお聞きをいたします。 貸付金や使用料、奨学金など税以外で納期を過ぎた税外未収金の平成26年度末の残高見込みはどのようになっているのか、またその解消に向けてどのように取り組んでいくのか、総務部長にお聞きをします。 次に、遊休財産の処分についてお聞きをいたします。 処分に時間を要する遊休財産などについては、賃貸などを含めた有効活用策の検討を行うとの方針でございますが、具体的にどのように取り組んでいくのか、総務部長にお聞きをいたします。 次に、高齢者保健福祉計画・第6期介護保険事業支援計画についてお聞きをします。 本年3月、高齢者が住みなれた地域で安心して、ともに支え合いながら生き生きと暮らせる高知型福祉の実現を目指して、高齢者保健福祉計画・第6期介護保険事業支援計画が策定されました。計画期間は2015年度から2017年度までの3年間となっています。今期計画の特徴の一つは、国から示された第6期介護保険事業計画の基本指針を受け、団塊の世代が後期高齢者となる2025年を見据えて、県が初めて2025年度の介護需要等の将来推計をしたことであります。それによると、県内の要支援・要介護認定者及び介護給付費とも大幅な伸びが示されました。 2025年度までの要介護認定者の推計は、計画期間以降も伸び続け、計画期間の最終年度である2017年度と2025年度を比較すると3,460人増加する見込みであり、また介護給付費も2015年度と2025年度を比較すると80億円増加する見込みであります。こうした社会的な負担の増大が避けられない状況の中で、県は高齢者が医療や介護が必要な状態になっても自宅や住まいで生活ができるよう支える体制、地域包括ケアシステムの実現に向け、介護保険の運営主体である市町村の支援を推進することをうたっております。 そこで、地域包括ケアシステムの構築に向けての今後の取り組みについてでございますが、計画では地域ケア会議を大変重視しております。市町村での設置や取り組みを促すため、職員研修やリーダー育成を手がける方針を示されていますが、具体的にどのように取り組んでいくのか、地域福祉部長にお聞きをします。 また、生活支援サービスの体制整備も重点的に取り組むとされ、生活支援コーディネーターの養成に力を入れていくとされているが、具体的にどのような支援を考えているのか、地域福祉部長にお聞きをします。 次に、とりわけ急がれる認知症施策の推進として、認知症初期集中支援チームと認知症地域支援推進員の配置に向けて、連携体制構築への支援や人材育成などの支援を行うとしておりますが、より具体的な目標を掲げて認知症対策に取り組むべきだと考えるが、地域福祉部長にお聞きをします。 この項の最後に、今後ますます高齢者のひとり暮らしがふえ続けることが予想される中、介護保険制度を持続していくためには、地域の人材を総動員して、高齢者を在宅や小規模な地域単位で支えていく仕組みを構築する必要があると思うが、地域福祉部長にお聞きをいたします。 次に、少子化の問題についてお聞きをします。 日本社会が直面する少子化の問題についてでございますが、先々月こどもの日に合わせ、総務省が4月1日現在、15歳未満の子供の推計人口を発表しました。それによりますと総数は前年比16万人減の1,617万人であります。減少は34年連続で、比較が可能な1950年以降、最少を更新しています。また、総人口1億2,691万人に占める子供の割合は前年比0.1ポイント減の12.7%、41年連続で低下し、最低を更新しています。都道府県別の子供の割合ですが、本県の現状は前年比2,000人減の8万6,000人で、その割合は11.7%で、秋田、東京、北海道、青森に次ぐ全国43番目の低さとなっています。また、議会初日の知事の提案説明にもございましたが、昨年の合計特殊出生率が1.45となり、20歳代後半の合計特殊出生率の落ち込みが大きかったことなどが主な要因となり、前年比0.02ポイント悪化しています。 少子化による人口減は全国自治体の心配事でございますが、安心して子供を産み育てられる環境づくりに町を挙げた施策で取り組み、子供がふえた自治体の例もございます。鹿児島県徳之島の伊仙町と石川県の川北町でございます。自治体が知恵を絞り、汗をかいて本気で対策に取り組めば、徐々に成果が出ることをこの2つの町は示しております。 本県においてもこうした先行事例を参考にしながら、地域の特性を生かしていけば、子供の減少を食いとめられるものと考えますが、地域福祉部長にお聞きをいたします。 次に、少子化問題を早い段階から学校教育で取り上げてはと考えますが、教育長にお聞きをします。 昭和30年代から40年代の前半にかけては、親子3代10人家族の世帯が珍しくなく、老後の病気や介護の不安も感じなかった時代でございました。しかしながら、時代の流れとともに核家族化、個人を中心とした考え方などが進み、人々を取り巻く生活環境が大きく変化する中で、自由や気楽さを失いたくないと結婚を望まない人がふえたと感じております。そうしたことが少子化に歯どめがかからない一つの要因となっております。 そこで、人口が少ないと社会が成り立たない、社会の中で子供を産み育てることの大切さなどを早い段階から学校教育で、性に関する指導とともに取り上げてはと考えますが、教育長にお聞きをいたします。 この項の最後に、少子化を加速させている大きな要因となっているのが、出生率が際立って低い東京などの大都市部に人口が流入していることがあると考えます。そのため政府は地方創生を生かし、全国の自治体を巻き込み包括的な人口減少対策と地方活性化策に乗り出しております。子育て支援にとどまらず、長時間労働の解消、地方での雇用創出など幅広い施策を打ち出しております。 本県においてもこうした国の施策の方向性の中で、地域特性を出しながら少子化対策に取り組む必要があると思うが、地域福祉部長にお聞きをいたします。 次に、農業行政について何点かお聞きをいたします。 まず、新たな担い手の確保・育成と経営体の強化についてお聞きします。 生産資材の高騰や農産物価格の低迷など、本県の農業を取り巻く環境が非常に厳しい状況の中で、地域農業を支えていくには早急な担い手の確保に努めていくことが強く求められていると考えます。 県においては、現在地域で暮らし稼げる農業の実現を目指し、産業振興計画において本県農産物の高付加価値化など3つの戦略を柱に掲げ、取り組んでおります。この3つの戦略の一つに、新たな担い手の確保・育成と経営体の強化がありますが、これまでの取り組み状況はどうなっているのか、今後の課題はどんなところにあるのか、農業振興部長にお聞きをします。 次に、最近農家出身でない女性が農地を借りるなどして新規就農する例が目立っております。農水省によると、農家出身でない女性の新規就農者は年間2,000から3,000人台で推移しています。消費者目線を販売に生かせる強みもあり、女性のいる農家は売り上げが上がるなど、データ上で女性の農業への貢献度は高くなっております。女性の就農が農業活性化につながると国も期待を寄せ、昨年度から輝く女性農業経営者育成事業を開始し、後押しをしております。 本県における農家出身でない女性の新規就農状況はどうなっているのか、またどういった取り組みをしていくのか、農業振興部長にお聞きをします。 この項の最後に、本年度から担い手確保の加速化を図るため、条件不利地域で小規模な就農を目指す研修生への支援に取り組むとされているが、その現状について農業振興部長にお聞きをいたします。 次に、銀座アンテナショップまるごと高知の経営状況についてお聞きします。 このたび平成26年度の経営状況が報告されました。来店者数は前年度より4万7,000人減の64万7,000人となり、目標の75万人にも届いておりません。また、売上高は前年度比1,800万円増の4億4,000万円となっているものの、物販部門の店舗売り上げが400万円ほど落ち込み苦戦をしています。 県地産外商公社は、周辺に新たな商業施設ができて人の流れが減ったことなどをマイナス要因に挙げておりますが、営業展開そのものに課題がありはしないか、
産業振興推進部長にお聞きします。あわせて、目標達成に向けた新たな営業戦略について
産業振興推進部長にお聞きをいたします。 次に、まるごと高知はことし8月、開店以来5周年を迎えますが、このアンテナショップには多額の県費が投入されております。例えば平成26年度は建物の家賃負担など一般財源投入額が2億7,200万円となっています。こうした状況を改めて認識した上で、さらなる営業努力が必要だと考えますが、
産業振興推進部長にお聞きをいたします。 次に、中山間対策についてお聞きをします。 ここでは
集落活動センターについてでございます。中山間地域の維持・再生に向け、非常に有効な取り組みであると考えます。県は2015年度末に30カ所、そして2012年度から10年間でおおむね130カ所の設置を目標にしていますが、さらなる拡大に向けては、今般の国の地方創生の動きを生かし、市町村との連携協調を図っていくことが必要となってくると考えます。 そこで、これまで進めてきた
集落活動センターの取り組みの現状や課題を踏まえ、今後どのように
集落活動センターの拡大につなげていくのか、中山間対策・運輸担当理事にお聞きをいたします。 次に、中山間総合対策本部は本年度の重点テーマとして、生活を守る視点から生活用品を容易に確保できる仕組みづくりとして、地域の商店や移動販売への支援を強化する方針を掲げていますが、具体的にどういった支援強化を考えているのか、また関連する予算措置はどうなっているのか、中山間対策・運輸担当理事にお聞きをいたします。 次に、生涯現役社会の実現に向けた取り組みについてでございますが、生産年齢人口が減少する中で、高齢者は今後急増することが予想されます。高齢者は就業意欲が高く、経験や知識を備えている社会的資産でもございます。これからの社会を支える人材と見る視点が重要だと考えます。 ところで、生涯現役社会の実現に向け、大いにその役割を果たしているのが、社会参加の輪を広げ地域に貢献しようを合い言葉に活動しているシルバー人材センターの高齢者でございます。シルバー人材センターは退職した高齢者らを登録し、仕事を提供する公益法人等で、昨年3月末で全国に1,268法人あり、会員は約73万人に上ります。県内は20団体あり、平成26年度の会員は4,549人となっていますが、近年は減少傾向にございます。 シルバー人材センターは元気な高齢者の格好の働く場所となっています。そうした中で現役世代の雇用に配慮し、民間企業を圧迫しないようにと、厚労省が原則として労働時間が週20時間を超えないことや、労働日数が月10日以内になるように指導しているため、利用しにくいという高齢者もおられます。しかしながら、介護や農作業といった現場には、若い人材が集まりにくい現状も一方でございます。全国の人材センターへの調査では、約6割が就労時間や業務内容の条件の緩和や撤廃を求めています。 こうした中、国は国家戦略特区の認定区域において、派遣事業に限ってではございますが、週20時間を週40時間へと延長するための法案を提出しており、今国会で審議されているところでございます。年々ふえる高齢者に働きやすい環境を整え、人手不足の中、活用したいという自治体などの要望に応えた形となっています。また、65歳の定年後も働き続けたいという人も多く、65歳以上にも雇用保険を適用することや、高齢者を雇う企業への支援策の充実も検討していくこととしています。特に、基準の見直しを強く求めていた自治体は、規制緩和の動きはありがたい、元気な高齢者に支える側で活躍してもらうことが、高齢社会を乗り越える鍵になると歓迎されております。まさに同感でございます。 日本一の
健康長寿県づくりを目指している本県こそ、この規制緩和の見直し等を国に要望すべきと考えますが、商工労働部長にお聞きをいたします。 次に、土木行政についてお聞きをします。 県内の老朽インフラの総点検についてでございますが、橋やトンネルの点検義務化については、2012年12月の山梨県中央自動車道笹子トンネル、天井板崩落事故を受け、2014年7月改正の道路法施行規則で定められました。長さ2メートル以上の橋、全てのトンネルと歩道橋を、統一基準に沿って5年に1度点検しなければなりません。 こうしたことから県と市町村は、昨年度末までに管轄施設の総点検を行う5カ年計画を策定しておりますが、県と市町村が管理する道路インフラはどれくらいあるのか、まず土木部長にお聞きをします。 また、橋の老朽点検をするに当たり、技術職員の少ない市町村の負担を軽減するための方策として、県などによる点検業者に一括発注する仕組みを取り入れて点検を推進していくとしておられますが、5カ年計画の中で具体的にどのように取り組んでいくのか、土木部長にお聞きをします。 次に、老朽インフラの点検後には、当然維持管理や更新費用の問題で、財源の捻出が大きな課題となってこようかと思います。市町村からは、管理する橋が多く改修などにどれくらい費用がかかるか不安だ、補修する橋が多く改修などにどれくらい費用がかかるか不安だ、補助金のかさ上げを検討してほしい等々要望がたくさんあるようでございますが、県としてこうした課題にどのように取り組んでいくのか、土木部長にお聞きをいたします。 次に、教育行政についてお聞きをします。 まず、英語教育の推進についてお聞きをします。グローバル化が急速に進展する現代社会では、今を生きる子供たちが将来にわたって国際人として通用していくには、好むと好まざるにかかわらず語学力、特に国際共通語である英語力を身につけさせておかねばならないと考えます。そのためにも、小中学校及び高等学校での英語教育の重要性や必要性が高まってきています。国においては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、新たな英語教育が本格展開できるように、グローバル化に対応した英語教育改革実施計画に基づき、体制整備等を含め2014年度から随時改革を推進しています。小学校高学年における英語の教科化もその一環であります。 こうした環境の中で、本県においても英語教育の充実強化が強く求められているところですが、その現状と課題、そして今後の取り組みの展開について教育長にお伺いをいたします。 次に、小中学生の健康及び体力づくりについてお聞きをします。 小学生の健康及び体力づくりにおいては、1つには学校給食の充実が欠かせません。その意味で学校給食での新鮮な地場産物の使用割合を高めることが求められていると考えます。学校給食は食育の生きた教材であり、地元食材を多く使うことにより、子供たちが地域の食文化に触れるよい機会にもなると考えます。 近年、教育現場では食育が進んでおります。その効果を科学的に検証する文科省のスーパー食育スクールに、2014年度は香美市の大宮小学校、2015年度は南国市の十市小学校が指定されております。また、県内各市町村においては、生産者との連携などにより学校給食の地産地消が推進されています。こうした努力の結果、文科省調べの県内学校給食における地場産物の活用状況調査では、本県は平成25年度で39.9%となっており、全国平均より14.1ポイントも高くなっております。今後も使用割合を高めるための努力を続けていただきたいと思います。 同時に、健康及び体力づくりには、子供のころからの健康的な生活習慣の定着が重要だと考えます。文部科学省の学校保健統計調査では、裸眼視力が1.0未満の県内小学生の割合は2014年度に28.8%、中学生は47.8%となっています。ちなみに全国平均は小学生30.16%、中学生53.04%でございます。こういった視力低下の背景には、スマートフォンやゲームの長時間利用などが影響しているのではないかと推測しますが、この際スマートフォンやゲームの適切な利用なども含めて、子供たちの健康にとって望ましい生活習慣を確立することが必要だと思いますが、そのための取り組みについて教育長にお聞きをいたします。 次に、子供の運動、スポーツの充実についてお聞きをします。 文科省が2012年に策定したスポーツ基本計画は、子供のスポーツを「健康や体力の基礎を培い、人間形成に重要な役割を果たすもの」と定義をしています。最近は、社会保障費抑制の観点からも、運動、スポーツの重要性がより高まっています。そうした中で、運動、スポーツを予防医療の一環として位置づけるべきだとし、子供のころのスポーツで骨や筋肉が丈夫になる、大人になってからでは遅い、また生活習慣病だけでなく女性に多い骨粗鬆症などは、発育期の運動で予防できるとしています。 こうしたことから、高齢期に備えた体の基礎づくりとして、小学校体育を充実させるべきだとの声が多くあります。また、朝の授業前に運動することや、放課後運動教室に参加し地道に体を動かすことで脳が活性化し学力アップにつながる、こうした例もございます。 高知の子供を日本一元気な子供にするための運動、スポーツの充実への取り組みについて教育長にお聞きをしまして、第1問といたします。 (知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君) 上田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、安全保障関連法案に関して、憲法解釈の変更が認められる際の合理的な理由と根拠についてお尋ねがございました。 6月15日の衆議院憲法審査会地方公聴会では、私は県議会で今までも申し上げてきましたとおり、憲法9条のもとであくまでも自衛の目的に限定した形であれば、集団的自衛権の行使も一定容認されるべきであるという考え方を述べさせていただきました。集団的自衛権の行使については、一定の解釈変更による対応はあり得るにしても、あくまで憲法9条のもとでの武力の行使の旧3要件の範囲内に実質的におさまることが必要であるとの考えであります。 例えば、旧3要件のうちの第1である、我が国に対する急迫不正の侵害があることということにつきましては、これまでは我が国が直接攻撃を受ける事態に限定されていたわけでありますが、直接攻撃を受ける事態ではないものの、他国への攻撃であるAという事態が発生したとき、Aが起こると我が国に対する直接攻撃であるBという事態、すなわち急迫不正の侵害が起こるという連鎖が見込まれるのであれば、他国への攻撃であるAという事態も、我が国への急迫不正の侵害とみなしてよいと考えられる場合もあるのではないかということであります。 科学技術の発達により、兵器の破壊力やスピード、精密化などあらゆる点での性能の向上により、予測不可能な攻撃がさまざまな形態で遠隔地からでも瞬時に加えられるといった、我が国の平和と安全に影響を及ぼし得る、以前なら考えられない事態が十分起こり得るという事実があり、このため我が国の安全は我が国一国では守ることができず、国際協調によらなければならないという状況にあります。国際協調により我が国の安全が守られるということは、他国への攻撃が我が国への攻撃につながり得る可能性も十分にあるということであります。 こうしたことから、集団的自衛権にもよらなければ、我が国の安全は守られないという場合もあると考えます。ただし、そうであっても、あくまでも憲法9条の範囲内、すなわち旧3要件から連続的かつ合理的な範囲内にとどまることが必要であり、この点は厳に堅持しなくてはならないとの考えであります。 次に、安全保障関連2法案についての違憲性についてお尋ねがございました。 先ほどもお答えしましたとおり、私は集団的自衛権の行使に関しては、武力行使の旧3要件から連続的かつ合理的に展開できる範囲内におさまるものであれば、憲法9条に照らして合憲であると思っております。この点、例えば他国に対する攻撃であっても、我が国に対する急迫不正の侵害と実質的にみなせることが必要だと考えます。政府としても違憲となることのない範囲内で安全保障関連法案の策定を意図しているものと考えますが、まだ国民の中に懸念の声があることも事実であります。最新の世論調査では、81%の方が安全保障関連法案について、政府は十分に説明していないとの回答をしているところであります。 私としては、改めてこの法案が憲法9条のもとで許される旧3要件の範囲内に実質的におさまっているかどうかについて、国会の場で個別事例に即して徹底して議論を行っていただきたいとの考えであります。例えば、他国に対する攻撃が我が国に対する急迫不正の侵害と実質的にみなせるか否かは、個別事例に即して判断されるべきものであります。また、自衛隊の後方支援活動についても、憲法9条で許されない他国の武力行使との一体化に当たらない範囲にとどまるよう、個別事例に即した議論をしていただきたいとの考えでございます。 次に、自衛隊のリスクについてのお尋ねがございました。 自衛隊員は従前より防衛やPKO、災害派遣等に際しさまざまなリスクを負って任務を遂行してきてこられております。安全保障関連法案では、自衛隊に新たな業務が加わることになりますが、これを行うことになれば当然に隊員の任務がふえ、それに伴う新たなリスクも想定されるところであります。 したがって、これまで以上に安全対策を整える必要がありますが、この点、政府は自衛隊を派遣するに当たり法案の条文や運用面において、海外派遣の際には国会承認により歯どめをかけること、後方支援の際には隊員の安全確保のため、戦闘行為が発生した場合、直ちに活動を休止、中断する仕組みを整備することといった安全確保の仕組みを設けることとしています。さらに、隊員が任務を遂行するに当たっては、新たな業務に対応する訓練や教育を事前に行うこととしているところであります。 このような政府における工夫、仕組みが盛り込まれているものでありますが、これらが自衛隊員の安全を確保する対策として十分かどうか、国会の場で十分に議論をお願いしたいと思うところであります。 次に、県内市町村議会の動きについてどのように見ているかとのお尋ねがございました。 御指摘のように、県内市町村議会の中には安全保障関連法案に関し、廃案や慎重審議を求める意見書が可決されているところがあることは事実であります。こうした同法案に対する懸念の背景としては、いまだに同法案についての説明や議論が十分でないことが挙げられるのではないかと思われ、事実、先ほども申し上げましたとおり、最新の世論調査では81%の方が安全保障関連法案について、政府は十分に説明していないとの趣旨の回答をされているところであります。 政府や国会においては、こういった意見や調査結果があることを重く受けとめ、国会において同法案に関し丁寧な説明とともに徹底した審議をしていただきたいと思います。とりわけ我が国の安全保障環境の改善に十分に資することとともに、合憲であることを両立させることが大事なポイントであり、この点は個別事例に照らした徹底した議論が求められるところであると考えているところであります。 次に、地方創生先行型交付金の上乗せ交付は、本年10月までの総合戦略策定が条件のため、現場から時間が少な過ぎるという声もあるが、こうした国の手法に対する受けとめについてお尋ねがございました。 本県は、全国に先行した人口減少による経済の縮みが、若者の県外流出と、特に中山間地域の衰退を招き、さらに経済が縮むことで県民の皆様の暮らしが一層厳しくなるという、人口減少がもたらす負のスパイラルによる痛みを既に経験しています。課題解決の先進県を目指して、その克服に向けた取り組みを進めているところでございます。 急速に人口減少、少子高齢化が進む我が国において、その克服に向けた対策は待ったなしの課題であり、対策を講じることがおくれればおくれるほど、その克服に向けた道のりが険しくなることは必定であります。こうしたことから、国が地方創生先行型交付金の上乗せ交付について、10月までの戦略策定を条件とするタイプを設け、各自治体にできるだけ早期に総合戦略に基づく実効的な対策を講じてほしいと意図することは、一定理解できるものだと考えております。 県内の状況を見てみますと、県内34市町村の全てが年度内に総合戦略の策定を予定しております。そのうち31市町村が10月までの策定を目指しており、その意欲と御努力に心から敬意を表するものであります。他方、各市町村とも非常にタイトなスケジュールで策定作業を進めなければならないこともまた事実であります。このため、県としても各市町村の取り組みをしっかりとサポートしていきたいと考えております。 そもそも産業振興計画や日本一の健康長寿県構想など、これまでの取り組みを土台とした県の総合戦略をこの3月に全国の都道府県の中で最も早く策定し、県の考え方をお示しいたしましたのも、市町村における早期の総合戦略の策定に役立てていただくことを意図したものであります。さらに、ワンストップの支援窓口として位置づけました産業振興推進地域本部を中心に、引き続き全力でサポートすることで、具体的な数値目標の設定や、政策や事業の
PDCAサイクルがしっかり組み立てられた総合戦略が全ての市町村で策定されるよう支援してまいりたいとの考えでございます。 次に、産業戦略を進めるに当たって、県内7ブロックごとに連携強調し、施策の展開を図ることについてお尋ねがございました。 産業政策を進めるに当たり、複数の市町村が広域的に連携した取り組みを進めることは、効果的な役割分担や相乗効果の実現という点で極めて有効であると考えます。第2期産業振興計画では、現在253の地域アクションプランが実施されておりますが、この中でも既にブロック単位で複数の市町村が連携した取り組みが進んでおります。例えば、観光分野では、幡多地域の市町村が連携して一昨年に開催した「楽しまんと!はた博」が対前年度の116%に相当する146万人の集客を達成しました。また、現在安芸地域の市町村が連携して実施している「高知家・まるごと東部博」も盛り上がりを見せており、今後の成果が期待をされます。さらに、移住促進に関しては、嶺北地域の町村と民間団体とが連携して取り組みを進めており、着実な移住者の増加につながっております。 これらの実績からも、複数の市町村が連携した取り組みは大きな効果が得られると考えられますので、今後各市町村が策定される総合戦略においても、7つのブロックごとに、あるいはブロックを越えて連携する取り組みを積極的に位置づけ、実行していただきたいと考えております。また、県の産業振興計画もこうしたブロック単位などでの市町村間の連携した取り組みの土台として、積極的にコーディネート役を果たし得るものとなっていると考えているところです。 既に各市町村におきましては、総合戦略を策定する議論の中で、各観光分野を中心に広域連携に取り組む検討が進められております。また、国も従来の縦割りを排除し、広域で連携する自治体の取り組みを積極的に後押しする方針を示しているところでございます。県としましても市町村間の連絡調整に積極的な役割を果たすなど、引き続きサポートしてまいりたいと考えているところでございます。 次に、職業教育を行う新たな高等教育機関の誘致についてお尋ねがありました。 我が国の経済社会が国際的な競争にさらされる中、経済再生を果たし持続的に発展していくためには、専門的かつ実践的な知識の進化にも対応でき、新しい変化をつくり出せるプロフェッショナルな人材を育てていくことが重要であります。そのためには、大学を中心とする高等教育機関の学術研究をもとにした現在の教育とともに、企業等と連携しながら実務に基づく知識や技術を学ぶことができる、実践的な職業教育の充実も必要であると考えております。また、こうしたことについては、委員を務めさせていただいている国の教育再生実行会議の場においてもこれまで主張してきたところであります。 現在、国の中央教育審議会におきまして、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化についての検討が始まっております。これから具体的な制度設計が行われる段階でありますが、高等教育機関として、その教育内容や方法、国際的に通用する学位の授与、必要となる教員の数や資格、施設や設備の要件など教育の質を保証するためのさまざまな課題もございます。 県としましても、県勢浮揚を図るために産業人材の育成確保は重要な課題であります。こうした新たな高等教育機関は、質の高い職業人の育成はもとより、今後ますますニーズが高まる社会人の学び直しの機会の拡大につながるものであり、大いに期待もしているところであります。今後、どういった運営主体がその受け皿になるのかも含め、まずは国による制度化の動向を注視するとともに、機会があれば誘致もしたいと考えているところでございます。 次に、主権者教育の一環として、中学生を対象に講義をしてはどうかとのお尋ねがございました。 我が国の将来を担う中学生には、まず民主政治の仕組みや議会制民主主義の意義、政治参加の重要性や選挙の意義などを学校でしっかりと学び、市民、国民として行動する上で必要とされる知識や能力を身につけてもらうことが肝要であると考えます。その過程において、地方自治の発展に寄与しようとする住民としての自治意識の基礎を育てることも重要なことであり、その際には地域の人々と一緒に身の回りの課題について考え、いろいろな世代の人々とともに解決に向けて行動するという経験や学習を重ねることも効果的であると考えます。私自身も若者と社会を結びつける、若者の政治参加や自治意識を育てるといった観点からも、御提案のようなことも考えさせていただきたいと、そのように考えます。 次に、今回の日本国債の格下げをどう見ているのかについてお尋ねがありました。 議員御指摘のとおり、去る4月にフィッチ・レーティングスにより財政再建に対する政治的なコミットメントが不十分であるとして、日本国債の格付がシングルAプラスからシングルAに1段階引き下げられました。 債券相場は、さまざまな要因が複合的に絡み合って影響を及ぼしているため、今回の格付の引き下げが現状で直ちに日本国債や地方債に影響を及ぼすものではないと考えていますが、いずれにしましても、国が財政再建に向けた確固たる意思を示すことは重要であると考えております。 こうした中、政府は経済・財政一体改革を行うこととし、昨日骨太方針を閣議決定いたしました。この中では経済・財政再生計画のもと、デフレ脱却・経済再生、歳出改革、歳入改革の3本柱の改革を成果指標を用いた進捗管理を通じて着実に進めることで、2020年度にプライマリーバランスの黒字化を実現することとされております。こうした今回の骨太方針の内容は、財政健全化への政府の意思を明確に示したものであり、私としてもこのような取り組みにより国の財政健全化が前進するよう期待するところであります。 最後に、臨時財政対策債についてのお尋ねがありました。 臨時財政対策債につきましては、国の厳しい財政事情によって、本来地方交付税で措置されるべき地方公共団体の財源不足を補填するために、特例的に発行している地方債であります。この地方交付税の代替財源という性格から、議員御指摘のとおり、その元利償還金の全額が地方交付税で措置されることとなっており、県債残高においても実質的な借金ではないものとして取り扱っているところであります。地方が地域の実情に即した取り組みを進めるための一般財源総額の一部が、国の事情によって臨時財政対策債として確保されているところでありますが、本来このような特例措置に依存することは望ましくないものと考えております。 こうした中、平成27年度の地方財政計画では、一般財源の総額を前年度比1.2兆円増額して確保する一方で、臨時財政対策債は1.1兆円圧縮をし、特例措置に依存しない、持続可能な制度の確立に向けた一歩が踏み出されたのではないかと考えているところであります。今後も地方の一般財源総額の確保と、地方交付税の法定率の見直しや臨時財政対策債の縮減などに向け、全国知事会などを通じて提言を行ってまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。 (
産業振興推進部長中澤一眞君登壇)
◎
産業振興推進部長(中澤一眞君) まず、高齢者の移住促進に関して、県と市町村との間で検討協議会を設けることについてお尋ねがありました。 都市部の企業などで長年活躍をされ、さまざまな分野のスキルやノウハウを持ったシニア層の中には、リタイア後も地域や社会へ貢献したいと望んでおられる元気な方、いわゆるアクティブシニアが大勢いらっしゃいます。こうした方々は、県経済や地域の活性化に取り組む本県にとりまして大きな戦力になっていただけるものと考えております。また、アクティブシニアの方々が移住をすることで、消費等による経済波及効果も見込まれますし、2020年をピークに65歳以上の高齢者数が減少に転じる本県では、その時点で医療や介護などのサービス基盤を有効に活用できる可能性もあるのではないかと考えております。 現在国で検討されているCCRCは、地域社会において健康で活動的な生活を送るとともに、医療や介護が必要なときには継続的なケアを受けることができる地域づくりを目指すもので、アクティブシニアの方々の将来の医療や介護に対する不安を和らげる効果もあることから、その仕組みが整っていくことは移住促進にも有効だと考えています。 一方で、CCRCの実現のためには社会保障費の負担や福祉人材の確保の問題など、さまざまな条件をクリアしていく必要もあります。そのため、本県では産学官民連携センターをプラットホームとした研究会を5月に立ち上げまして、
高知版CCRCの検討を進めており、県内企業や大学、県のほか関心を持つ幾つかの市町村もこれに参加をしております。 今後、この研究会において、年内には
高知版CCRC構想が取りまとめられる予定ですので、これを踏まえて県の平成28年度版の総合戦略に、移住者にとっても、また地域にとってもメリットがある
高知版CCRCの取り組みを、プロジェクトの一つとして位置づけることができればと考えております。その際には、市町村と連携協調して進めることが不可欠でありますので、
高知版CCRCに関心を持つ市町村との間で、総合戦略の策定過程を通じて具体的な協議を進めていきたいと考えております。 次に、まるごと高知の営業展開の課題及び目標達成に向けた営業戦略についてお尋ねがございました。 言うまでもなく、まるごと高知を設置しました狙いは、首都圏で県産品の売り場を常時確保するとともに、店頭での販売にとどまらず、プロモーション、外商、店舗の各部門の活動が相乗効果を上げることにあります。このため、店舗をショールーム的に、あるいは商談の場としてフルに活用しての外商活動、高知の食文化や観光などの情報発信、テストマーケティングなどの商品の磨き上げの拠点としながら、各部門が一体となって活動することで、県経済の底上げにつなげる成果を目指してまいりました。設置以来、全体の売り上げは順調に伸び、外商活動による成果も大きく伸びておりますので、その役割は十分に果たしつつあるものと考えております。 しかしながら、昨年度は消費増税の駆け込み需要の反動が大きく、東京地区のほとんどの百貨店で売り上げが減少する中、まるごと高知もお話にありましたとおり、来店者数や物販店舗での売り上げが前年度を下回る結果となりました。昨年度もリピーターや新たな来店者を呼び込むべく、売れ筋ランキングの掲示を初め、商品陳列の工夫や試食販売の実施、メディアへの情報発信などさまざまな集客の努力を重ねてまいりましたが、消費増税に加えて、近隣のエリアに大規模な商業施設がオープンしたことによる銀座周辺の客足の減少、また入居しているビルの外装工事の影響というマイナス要因もありまして、結果としてこうした努力が及ばなかったものと分析をしております。 本年度は、4月にビル全体が明るく開放的な外観にリニューアルをしたことに合わせて、入り口から店舗内が見渡せるよう内装の工夫をいたしました。また、近隣の商店街や他県のアンテナショップと連携した集客につながるイベント販売なども行いました結果、4月から6月の物販店舗の売り上げは昨年度を約9%上回っております。4月からはプレミアムつき商品券を発行しまして、より多くのお客様を呼び込むとともに、5周年を記念した催事の実施に合わせて、地下売り場の商品構成の見直しを行うこととしております。また、開放的になった店舗前でのイベントを企画して、これをプロモーション部門がタイムリーに情報発信するなど、各部門の相乗効果を発揮しながら、店舗への一層の集客と売り上げの確保につなげてまいります。 次に、まるごと高知に多額の県費が投入されていることを踏まえた営業努力についてお尋ねがありました。 先ほど申し上げましたとおり、アンテナショップは実店舗を拠点としつつ、店舗運営、外商活動、情報発信という3つの機能の相乗効果を発揮させながら、県経済に寄与することを目的に、県産品の認知度向上、事業者の販路拡大を精力的に支援してまいりました。その結果、提案説明で知事からも申し上げましたように、地産外商公社の仲介、あっせんによる成約の件数と金額が年を追うごとに大きく伸びるなど、まるごと高知を拠点とする公社の活動は着実に成果が上がっているものと考えております。 この公社の活動を費用対効果で見てみますと、平成26年度には建物の家賃や公社の外商活動に対する補助金、県派遣職員の人件費など合計で2億7,200万円を投入しております。一方で、昨年度の外商の成約金額や店舗での売上原価などをもとに算出した年間の経済波及効果は約35億円と、投入額の13倍近くに達しております。また、本県や県産品がテレビなどに取り上げられたことによる広告換算効果は約52億円に上っておりますので、まるごと高知を拠点とする公社活動への投資は十分な効果をもたらしているものと考えております。 さらに、店舗におきましては、バイヤーとの商談の場などとして外商活動を支援する機能や、テストマーケティングなどの商品の磨き上げを支援する機能、さらに情報発信の機能を果たしており、これらを活用することで、外商に意欲的に取り組まれる事業者も年々ふえてきております。こうした効果は経済効果として数字であらわすことはできませんが、まるごと高知がその設置目的にかなう役割を果たした結果であると考えております。 一方、本年度からは家賃の上昇と外商活動を全国展開するための体制強化に伴い、投入額を大幅にふやしております。このため、これまでの成果に決して満足することなく、先ほど申し上げました店舗での取り組みに加えまして、公社がこれまで培ってきた外商のノウハウやネットワークを活用して全国規模で外商活動を展開することなどによりまして、本年度の投資に見合う、より大きな成果を目指して公社とともに努力を重ねてまいります。 (総務部長梶元伸君登壇)
◎総務部長(梶元伸君) まず、平成26年度の県税の収入済額、不納欠損額及び収入未済額の決算見込みにつきまして、また平成27年度の県税収入の見込みと確保につきましてお尋ねがございました。 平成26年度の県税の決算見込みは、581億5,300万円の調定額に対し、収入済額は569億2,600万円、収入率は97.9%で、平成25年度決算と比較いたしますと約29億7,700万円の収入増となっております。また、不納欠損額は9,200万円で、これらの結果、収入未済額は前年度より1億9,100万円圧縮いたしました11億3,500万円を見込んでおります。 次に、平成27年度の県税収入の見積もりにつきましては、消費税率引き上げに伴う反動減の影響を考慮しながらも、その後は緩やかに景気回復が見られたこと、地方消費税引き上げの影響が平年度化することなどを踏まえ、平成26年度決算見込み額よりも6.7%、約38億円増の607億3,500万円を見込んでおります。 この県税収入の確保に向けましては、産業振興計画の推進等により税源の涵養を図るとともに、収入率を向上させる必要があると考えております。収入率の向上のためには、新たな滞納を発生させないことが重要です。特に滞納件数の多い自動車税におきまして、納期内納付の周知に向けた広報活動に取り組んでおり、6月1日が納期限でありました本年度の自動車税の納期内納付率は、件数ベースで前年度より0.9ポイント増の80.1%となりました。なお、残念ながら滞納となった場合は、県税収入の確保や公平性の確保のため、滞納処分の執行を含め引き続き適切に対処してまいります。 次に、税外未収金の平成26年度末の残高見込みと、その解消に向けた取り組みについてお尋ねがございました。 税外未収金の平成26年度末の残高見込みは精査中でございますが、現在のところ約52億4,000万円となっております。この税外未収金に対しては、誠実に納付をしていただいている他の多くの債務者との公平の観点から、早期の支払いを求め、必要に応じ法的措置にも訴えて回収を進めてまいります。 一方で、適正な債権管理の観点も重要であり、回収不能になった税外未収金については一定の整理が必要であると考えております。このため、回収の可能性をもとに引き続き回収を進めるべき事案かどうか、個別慎重に判断を行い、支払いの猶予や債権放棄を行うことも含め、適正な債権管理に努めてまいります。 次に、処分に時間を要する遊休財産などの有効活用策の取り組みについてお尋ねがございました。 遊休財産の処分については、平成16年度以降、3カ年ごとの遊休財産処分計画を策定し、積極的な売却に取り組んでまいりました結果、平成26年度までの累計で135件、約79億3,900万円の売却を行ってまいりました。また、処分に当たって県のホームページや現地看板の設置などにより対象物件の情報を提供した結果、県が処分するまでの間、工事作業員の駐車場や資材置き場などに利用したいといった御要望があり、期限を定めて有償にて貸し付けを行うという事例がございました。今後ともこうした取り組みによりまして財源確保に努めてまいりたいと考えております。 (地域福祉部長井奥和男君登壇)
◎地域福祉部長(井奥和男君) まず、高齢者保健福祉計画・第6期介護保険事業支援計画に関して、地域包括ケアシステムの構築に向け、市町村に地域ケア会議の設置などを促す具体的な取り組みについてのお尋ねがありました。 今回の介護保険法の改正で法定化されました地域ケア会議につきましては、保健・医療・介護などの多職種が協働し、支援を必要とする高齢者が抱えます個別課題の解決を図りますとともに、地域の課題を解決するための住民ニーズに応える新たなサービスの確保を目指すなど、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らしていく上で大変重要な役割を担うものだと認識をいたしております。このため、県といたしましても市町村による会議の早期設置に向けまして、平成23年度からモデル事業の実施や、会議をコーディネートする人材育成などに積極的に取り組んでまいりました結果、今年度中に28の保険者が会議を設置する予定となっております。 こうした中、これまで会議の開催に取り組んでまいりました市町村からは、地域で不足していたサービスが明らかになり、新たなサービスの確保につながったといった成果の一方で、会議の円滑な運営や構成員となりますリハビリ専門職の確保などといった面で課題が生じていることもお聞きをいたしております。このため、県では具体的な会議の運営方法などを解説した県版の運営マニュアルを作成し、会議を主催する地域包括支援センターの職員を対象に実践的な研修を実施いたしますとともに、会議においてリハビリ専門職の助言が得られるよう、県理学療法士会などとも連携の上、アドバイザーの派遣を行うなど、効果的な会議の運営に向けまして市町村を積極的に支援していくことといたしております。 次に、生活支援コーディネーターの養成に向けた具体的な支援策についてのお尋ねがありました。 今後の高齢化の進行とともに、ひとり暮らしの高齢者などといった支援や配慮を必要とする高齢者の増加が見込まれており、地域での見守り体制や、家事や外出などの際の生活支援、さらには運動機能などの維持・向上に向けた介護予防の取り組みなどの充実強化といったことが、今後ますます必要とされてまいります。このため、今回の介護保険制度の見直しでは、高齢者の一人一人のニーズに応じたこうしたサービスの確保に向けて、担い手の養成やサービスを調整する役割などを担う生活支援コーディネーターを、平成30年4月までに全ての市町村で配置することが義務づけられております。 県では、こうした重要な役割を担う生活支援コーディネーターを養成するため、今年度から地域福祉活動などの経験を有し市町村の推薦を受けた方々を対象に、地域住民が主体となったサービス提供体制の整備方法などについての実践的な研修を実施することといたしております。あわせまして、県としましても地域の実情に応じた介護予防や日常生活支援サービスなどの確保に向けまして、高知県老人クラブ連合会や高知県シルバー人材センター連合会などとも連携し、サービス提供の担い手ともなります人材の育成に取り組みますとともに、あったかふれあいセンターや
集落活動センターなどを活用したサービス提供拠点の整備などに取り組む市町村を積極的に支援してまいります。 次に、認知症対策に関して、より具体的な目標を掲げた取り組みが必要ではないかとのお尋ねがありました。 認知症対策につきましては、日本一の健康長寿県構想の重点施策として位置づけ、早期の診断と治療に向けた医療体制の充実強化を初め、医療と介護の連携体制の構築や認知症への理解を深めるための普及啓発の推進、さらには御家族の介護負担の軽減につながる支援策などに取り組んでいるところです。平成24年度から27年度までを第2期とする構想の中では、認知症疾患医療センターを県下に5カ所設置することや認知症サポーターを3万人以上養成すること、さらには認知症患者を介護する家族の集いを全ての市町村などにおいて開催することを具体的な数値目標として定めております。 構想に掲げました目標のうち、認知症疾患医療センターの設置及び認知症サポーターの養成につきましては既に目標を達成しておりますが、家族の集いの開催は24市町村での開催にとどまっている状況にあります。このため、今後はあったかふれあいセンターなどを活用した、認知症の方と家族の居場所となります認知症カフェの設置などに取り組み、地域住民をも巻き込んだ支援の場の拡大を通じまして、御家族などの介護負担の軽減へとつなげてまいりたいと考えております。今後とも、こうした取り組みなどを通じまして、認知症の方が住みなれた地域で、その御家族と安心して暮らし続けられる支援体制づくりを目指してまいります。 あわせて、初期の段階からの診断と対応がその後の進行を大幅におくらせることも可能だと言われております認知症患者を、地域で見守り、支えていくためには、国の認知症施策推進総合戦略に掲げられました数値目標や、取り組みの最終年度に入りました第2期構想のこれまでの取り組みの成果と課題なども踏まえまして、必要となります人材の養成や確保などといった分野における新たな数値目標の検討なども必要になってくるものと考えております。 次に、ひとり暮らしの高齢者などを、在宅や小規模な地域単位で支えていくための仕組みづくりについてのお尋ねがありました。 地域における支え合いのきずなの力が弱まる中で、ひとり暮らしの高齢者などが住みなれた地域において安心して暮らし続けていくためには、在宅医療・介護・福祉、住まいの整備などによる包括的なネットワークを地域住民と一体となってつくり出していく、高知型福祉の実現に向けた取り組みのなお一層の充実強化を図る必要があります。その際には、これまで本県が独自に整備を進めてまいりましたあったかふれあいセンターなどを、地域の創意と工夫を生かしながらうまく活用することなどを通じまして、医療・介護・福祉制度などに基づく既存のサービスとの新たなネットワークを構築することなどにより、高知型福祉の新しい形を地域地域でつくり出していくといった取り組みが欠かせないものと考えています。 具体的には、6月補正予算案にも盛り込みました、あったかふれあいセンターなどを活用した認知症カフェの設置や、リハビリテーションの視点を取り入れた新たな介護予防サービスなどの提供、さらには今年度から取り組んでおります配慮が必要な高齢者の住まいの確保に向けた市町村の取り組みなどにつきまして、県としても積極的に支援することなどを通じまして、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らせることができるよう、全力を挙げて取り組みを進めてまいります。 こうした地域における支え合いのネットワークを意図的、政策的につくり出していく取り組みを推進していくことが、結果として介護保険制度の見直しを初めとする国の社会保障制度改革への柔軟な対応を可能にいたしますし、そして何よりも雇用の創出と社会保障負担の軽減などを通じまして、中山間地域などの活性化へとつながっていくものと考えています。 次に、少子化の問題に関して、他県の先行事例などを参考に地域の特性を生かした取り組みを展開することが、子供の減少を食いとめることにつながるのではないかとのお尋ねがありました。 議員からのお話にもありましたように、全国の自治体の中には少子化による人口減少の流れに歯どめをかけるため、地域の創意と工夫を生かした独自の対策を講ずることにより、その成果を上げている自治体もございます。 国におきましても、本県知事がチームリーダーを務めます次世代育成支援対策
プロジェクトチームが中心となった全国知事会の提言などを受け、平成25年度、26年度の補正予算におきまして、こうした地方の取り組みを支援していくための地域少子化対策強化交付金を創設いたしております。結婚から妊娠、出産、育児に至るまでの切れ目のない支援を目的に、これまで自治体が踏み出せなかった先駆的な取り組みを後押しする上で大きな役割を果たしており、平成26年度は47都道府県の244市町村で活用されたと伺っております。 本県におきましても、全国に比べ生涯未婚率や平均初婚年齢が高い状況にあること、さらには妊娠期からの切れ目のない子育て支援策の充実強化といった課題などに対応するため、交付金を活用し、結婚を希望する方への総合的な支援策や出会いから子育てまでのライフステージの各段階に応じたきめ細かな取り組みを展開しているところです。 交付金の活用事例は実施主体となる自治体が、また好事例などについては内閣府がホームページなどで公表することとなっており、こうした取り組み事例が県下の市町村のお手本ともなり、積極的に利活用されることで少子化の克服へとつながっていくことが大いに期待もされるところです。このため、5月にはこうした支援制度の財源確保と恒久化に向けまして、本県知事が全国知事会を代表して国への緊急提言を行ってまいりました。 最後に、国の地方創生に向けた包括的な施策の方向性を踏まえ、少子化対策に取り組む必要があるのではないかとのお尋ねがありました。 少子化対策の取り組みにつきましては、国と地方との適切な役割分担のもと、子育て家庭に対する支援策の充実強化はもちろんのこと、ライフステージに応じた多様な働き方が可能となる就労環境の整備や、未婚化・晩婚化対策への集中した取り組みなど、地域の実情に応じた総合的な対策が欠かせないものと考えております。この点、新たに策定をされました少子化社会対策大綱におきましても、これまでのややもすれば子育て支援に重点が置かれてきた少子化対策について、従来の枠組みにとらわれることなく、結婚や子育てのしやすい環境づくりに向け、社会全体の仕組みを見直す方向での充実を図ることとされております。 生涯未婚率や平均初婚年齢が全国でも上位にある本県におきまして、独身の方が希望の時期に結婚の望みをかなえるためには、独身者の実情に応じたきめ細かな総合的な支援策が必要になりますし、一方で仕事と育児の両立などでお悩みの御家庭の皆様には、多様な保育サービスの提供や職場環境の改善を通じたワーク・ライフ・バランスの推進などに取り組み、理想とする子供の数に現実の姿を近づけていくといった取り組みが今後ますます重要になってまいります。 このため、新たに策定をいたしました高知家の少子化対策総合プランでは、誰もが希望の時期に次代を担う高知の子供を産み育てやすい環境づくりに向けまして、成果目標などを定めて取り組みを進めているところです。あわせて、県版のまち・ひと・し
ごと創生総合戦略におきましても、基本目標の一つに若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望をかなえることを掲げ、これまで以上に他の施策との連携も図りながら、本県の地域特性を踏まえた少子化対策を推進していくこととしています。 (教育長田村壮児君登壇)
◎教育長(田村壮児君) まず、少子化問題に関連して、子供を産み育てることの大切さなどを早い段階から学校教育で取り上げることについてお尋ねがございました。 将来、家庭を築き、社会の一員としての責任を担うこととなる児童生徒が、子供を産み育てることの意義などについて主体的に考えることができる力を身につけることは大変重要です。これまで出産や子育てに関する学習は、性に関する指導を含めて関連する教科、道徳、特別活動等において学校教育活動全体を通して進めてまいりました。 少子化が深刻な社会問題となっている現状から、学校教育において子供を産み育てる意義や喜び、生命が世代をつないで受け継がれていくことの大切さなどについて、議員の御指摘のとおり早期から学ぶことが重要と考えております。このため、発達段階に十分配慮しながら医師や助産師、保健師による講話や乳幼児との触れ合い体験、妊婦体験等を通して命のとうとさを学び、人に対する思いやりの心を育むなど、より充実した学習ができるよう努めてまいります。 次に、本県における英語教育の現状と課題、今後の取り組みについてお尋ねがございました。 英語教育については、高知県教育振興基本計画重点プランに基づき、小学校と中学校が連携して、外国語活動や英語教育を研究していく学校を指定するとともに、学習教材として開発したライティングシートや基礎英単語集を活用することなどにより、授業の改善を図ってまいりました。 一方で、本県の児童生徒の英語の学力については、小中学生の英語学習への興味関心が全国平均と比較して低いことや、中学生の英語で文章を書く力に弱さが見られることなども明らかとなっております。これらの要因の一つには、英語担当教員の指導方法にも課題があるのではないかと考えております。 こうした課題に対応するため、小学校高学年の英語の教科化がスタートする平成32年度までの達成目標を定めた高知県英語教育推進のためのガイドラインを策定したところでございます。これに沿って、小・中・高等学校を通じて子供が意欲的に英語を学ぶための教材を作成し、英語教員の授業力の向上を目指した研修の充実や中核教員の育成を図るとともに、特に小学校においては、英語の教科化に向けたカリキュラムや指導方法の研究開発などを計画的に進めてまいります。このような取り組みにより、それぞれの段階に求められる聞くこと、話すこと、読むこと、書くことといった英語の4技能をしっかりと身につけさせてまいりたいと考えております。 次に、スマートフォンやゲームの適切な利用なども含めて、子供たちの健康にとって望ましい生活習慣を確立するための取り組みについてお尋ねがございました。 平成26年度の全国学力・学習状況調査結果では、携帯電話やスマートフォンの使用時間について、平日に2時間以上使用している高知県の児童生徒の割合は、小学6年生で8.3%、中学3年生で31.6%となっております。また、同じく平日に2時間以上ゲームをしている割合は、小学6年生で29.2%、中学3年生で36.2%となっております。小中学生が携帯電話やスマートフォン、ゲームを使用する時間は総じてふえてきており、睡眠時間の減少や朝食をとらないなどといった生活リズムの乱れから、視力の低下や疲労の蓄積など健康面への悪影響が心配されます。 子供たちの健康的な生活習慣の確立について、県では小・中・高校生を対象にした健康に関する副読本等の活用や、学校保健委員会による学校、家庭、地域が協働した取り組みのほか、「早ね 早おき 朝ごはん」県民運動を推進しているところでございます。 そうした中で、特に携帯電話やスマートフォンの利用に関しては、子供たちの健康面への影響のみならず、ネット犯罪やネットいじめなど、子供たちを取り巻くネットトラブルの増加など、さまざまな問題が深刻化しつつありますので、早急に総合的な観点からの対策を講ずる必要があると考えております。 これまでも学校での情報モラル教育を推進することで、児童生徒に正しく安全に携帯電話やスマートフォンを使う力を身につけさせるように取り組んできましたが、利用時間の制限など適切な利用ルールを徹底していくためには、保護者を巻き込んでの取り組みが不可欠でございます。このため、PTA研修の場などさまざまな機会を通じて、ネットの適切な利用に関する家庭でのルールづくりを促しているところです。また、この秋には子供と保護者や教育関係者が参加する全県的なネットフォーラムを開催し、ネットの適切な利用が県民運動として広がるよう取り組んでまいります。 最後に、高知の子供を日本一元気な子供にするための運動、スポーツの充実への取り組みについてお尋ねがございました。 本県の子供の体力が向上して、運動やスポーツを通じて元気に活動することができるようになるためには、学校体育を充実させることに加えて、家庭や地域において日常的に体を動かす習慣や健康的な生活習慣の定着が必要です。そのため、保護者と幼児を対象とした運動遊び教室の開催や、幼稚園、保育所に運動遊びの専門指導者を派遣する取り組みなどにより、幼児期から家庭や幼稚園などで体を動かすことの楽しさを味わうことができる機会の充実を図っております。 また、運動やスポーツが好きな子供がふえることを目指して、学校全体で取り組む体制が不十分といった体育学習の課題の解決と健康教育の充実に向けて、体育・健康アドバイザーの増員や担当指導主事の新たな配置により、きめ細かな指導、助言を行うとともに、授業の質的向上に向けて副読本を活用した取り組みもさらに進めてまいります。 さらに中山間地域などでは、指導者の不足や身近で日常的に参加できる活動が少ないなど、運動やスポーツの機会が十分でない地域がありますので、これらの課題に対して複数の市町村や地域スポーツクラブなどが連携して、指導者の共有や合同イベントを開催するなどの取り組みを支援しています。これにより、子供たちが身近な地域において、学校や年代の枠を超えて運動やスポーツを楽しむことができる環境づくりを推進してまいります。 子供の運動、スポーツ活動の充実は、昨年度策定いたしました本県のスポーツ振興を抜本的に強化するスポーツ推進プロジェクト実施計画に重点項目として位置づけており、これに基づいて全ての地域で子供たちがスポーツに親しみ、夢や志を育むことができる環境の整備に努めてまいります。 (農業振興部長味元毅君登壇)
◎農業振興部長(味元毅君) まず、農業分野での新たな担い手の確保・育成の取り組み状況と今後の課題についてのお尋ねがございました。 県ではこれまで新たな担い手確保・育成を最重要課題の一つとして位置づけ、就農希望者を確保するためのこうちアグリスクールの開催や、就農希望者を対象とした実践研修への支援などに取り組んでまいりました。その結果、平成26年の新規就農者数は261人と一定の水準を維持しているものの、目標の280人の確保には至っていないことから、さらなる取り組みの強化が必要と考えております。 目標達成に向けましては、県内外から本県に就農を希望される方を今以上にふやしていく入り口対策と、就農を希望される方を産地や地域での就農に結びつける出口対策をさらに強化していくことが大きな課題であると考えております。 このうち、入り口対策としては、今年度から就農相談の窓口である県農業会議に就農
コンシェルジュを2名配置しました。県内外で開かれる移住や就農に関する全ての相談会に出席して相談に応じるとともに、具体の相談内容を産地と情報共有する仕組みを構築するなど、就農希望者に対してきめ細かいフォローアップを行ってまいります。 また、出口対策としては、受け入れ側である産地や地域が従来の受け身であった姿勢を転換しまして、みずからが受け入れ体制を整備した上で、魅力ある提案を作成して就農希望者を募集する、そして確実に担い手へと育成していく産地提案型の担い手確保に取り組んでまいります。ことし2月からこの取り組みを開始しましたところ、現在19の市町村やJAなどが提案書を作成し、みずからが県外での相談会に出向くなど、積極的な確保対策につながりつつあります。このような市町村や関係する農業団体などと一体となった取り組みの強化により、さらなる担い手の確保・育成につなげてまいります。 次に、農家出身でない女性の新規就農の状況と今後の取り組みについてのお尋ねがございました。 議員のお話にございました農家出身でないにほぼ該当すると思われるIターンにより就農した女性農業者は、県の新規就農者調査によりますと、平成20年が14人、21年が13人、近年では平成25年が20人、26年が27人と増加傾向になっておりますが、全体に占める女性の割合を見てみますと、過去5年平均では14%と比較的少ない状況となっております。また、過去5年間における女性の就農形態を見ますと、66%が自営就農、34%が法人等への雇用就農となっており、雇用就農の比率が男性の21%に比べて高くなっています。 議員御指摘のとおり、県内においても企業的な農業経営を実践され、新規就農者を複数雇用されている女性経営者がいらっしゃいますし、農産物加工など6次産業化には多くの女性が積極的に取り組んでおられます。このように女性は本県農業の活性化の原動力になっておりますことから、女性の就農を増加させるとともに、その能力を最大限に生かし、活躍できるような環境を整備することが必要だと考えております。そのため、女性就農者を増加させる視点では、雇用の受け皿となる法人の育成や、新規就農者の相談役となる女性農業委員の登用拡大などにより、女性が就農しやすい環境の整備に努めてまいります。 また、女性の能力を十分に発揮できるようにするという視点では、6次産業化など新たな取り組みにチャレンジする方を対象とした農業創造セミナーなどへの参加を誘導してまいります。あわせて、農村女性リーダーや女性農業委員による活動への支援を行うことで、活躍の場を広げるとともに、農業施策に女性の視点を反映させるなど、女性の能力を十分に発揮できる環境の整備にも努めてまいります。 最後に、条件不利地域で小規模な農業経営を目指す研修生への支援の状況についてお尋ねがございました。 県ではこれまで主に専業農家を目指して研修を受けられる方を対象に、最長2年間、農業の技術習得に係る費用を支援するという事業に取り組んでまいりました。しかしながら、中山間地域など条件不利地域におきましては、兼業農家が地域農業を支えているという実態があるものの、十分な所得目標を立てることができない場合が多いことから、この事業を活用しづらい状況にございました。そのため、本年度からはこの事業を拡充し、条件不利地域において小規模な農業経営を目指す方も支援対象とし、地域の担い手として育成することといたしました。 これまで土佐町など4つの町が本事業の活用を想定してホームページへの掲載のほか、就農や移住に向けた県外の相談会で対象者の募集活動を行っているところでございます。例えば、仁淀川町ではお茶とシキミなどを生産しながら、介護士などの兼業でも必要な現金収入を得る兼業就農者の確保に取り組んでおります。現在、このような方々を募集するための提案書が作成をされ、6月には大阪で開催された移住イベントの
高知暮らしフェアで、町みずからが募集活動を行っております。その結果、2名の方が実際に現地視察を行い、定住に向けて検討中であるというふうにお聞きをいたしております。 県としましては、このような取り組みを多くの市町村に広めていくことが大変重要であると考えておりますので、現在全市町村を巡回し、先進事例の紹介や潜在的な現場ニーズの掘り起こしによって取り組みの拡大を図っているところでございます。また、就農相談会はもとより、移住関係の相談会にも常に参加するなど、県内外での積極的な人材確保に向けた取り組みを強化し、就農者の確保につなげてまいります。 (中山間対策・運輸担当理事金谷正文君登壇)
◎中山間対策・運輸担当理事(金谷正文君) 今後どのようにして
集落活動センターの拡大につなげていくのかとのお尋ねがありました。 平成24年度から中山間対策の核となる取り組みとして、全庁を挙げて推進しております
集落活動センターは、先月末の時点で18カ所となり、現在ほかの地域においても立ち上げに向けた準備が着実に進められております。今後、
集落活動センターの取り組みを普及拡大させるためには、お話にもございましたように国の地方再生の動きを最大限に生かし、さらなる市町村との連携協調のもとで取り組みを進めていく必要があります。 そのためにも、まずは国の総合戦略に位置づけられております、県の総合戦略の基本目標の一つに掲げております小さな拠点の形成を、市町村の総合戦略においても位置づけていただくことが重要になってまいります。市町村の総合戦略の策定には、地域産業振興監を初め、地域本部もいろいろな形でかかわりを持たせていただいておりますので、そうした中で
集落活動センターの取り組みの方向性やスケジュール感を市町村と共有しながら、取り組みを進めていきたいと考えております。 普及拡大に向けましての具体的な進め方としましては、地域住民の皆様の話し合いの場への参画、活動内容や計画の検討の際の助言など、地域の動きに合わせてサポートをするこれまでの取り組みに加えまして、産業成長戦略や地域アクションプランなどにより経済的活動の取り組みが進んでいる地域や活動の主体が、新たな
集落活動センターのエリアや担い手となることの可能性などについて、市町村とも協議をしながら掘り下げていってみたいというふうに考えております。そうした取り組みを絡めながら、
集落活動センターのさらなる普及拡大に取り組んでまいります。 次に、地域の商店や移動販売への具体的な支援強化策と、関連する予算措置についてお尋ねがありました。 全国に先行して過疎・高齢化が進んだ本県の中山間地域では、域内人口の減少や経営者の高齢化などにより、地域に商店がなくなるなどのケースが増加し、日常生活に必要な食料品等を調達する仕組みづくりが地域の大きな課題の一つとなっております。こうした課題にいち早く対応するため、県では平成20年度から生活用品確保対策などに取り組み、これまでに県内27市町村で地域商店の店舗整備や移動販売車両の購入、さらには宅配事業者と連携した買い物代行などの新たな取り組みに対しても支援を行ってまいりました。 高齢化の進行により、今後状況はさらに厳しくなると予想されますこと、また国においても過疎地等における持続可能な物流ネットワークの構築に向けた検討がなされておりますことなどから、中山間総合対策本部におきましては、今年度から改めて生活用品確保対策も新たな重点テーマの一つとして位置づけたところでございます。 関連予算につきましては、市町村からの要望に可能な限り対応するとの方針のもと、平成24年度から昨年度までの3年間で、補助額ベースでおよそ1億1,000万円余りの事業を執行してきており、今年度につきましても当初予算でおよそ5,500万円を計上しております。予算的には規模、組み方ともにこれまでと大きく変わるものではございませんが、最近では買い物を目的とした市町村域外への移動手段確保を求める声なども出てきておりますので、そうした声にも対応が可能となりますように、運用面において柔軟に対応してまいりたいというふうに考えております。 (商工労働部長原田悟君登壇)
◎商工労働部長(原田悟君) 高齢者の就労に関しまして、その規制緩和の見直しなどの国への要望についてお尋ねがありました。 シルバー人材センターは、軽易な作業等を希望する高年齢者に対して、地域の日常生活に密着した仕事を提供する団体であります。県内には20団体が設置されており、県全体で平成26年度の会員数は、前年度に比べ108人減の4,549人となっていますが、事業の契約件数は対前年比5.2%増の3万4,107件、また契約金額は対前年比5.4%増の16億800万円となっており、高年齢者の方の今後の生きがいの充実と福祉の増進を図る上で、その役割はますます重要になってくるものと考えています。 議員のお話にもありましたように、シルバー人材センターの業務に当たっての就労につきましては、臨時的かつ短期的な業務でおおむね月10日以内、また軽易な業務でおおむね週20時間を超えないといった制限が設けられております。 そうした中で、国の高齢者の多様な就労形態について検討する有識者会議において、シルバー人材センターの機能強化の検討もなされ、この月10日、週20時間という就労要件の緩和などについても議論がなされております。先月には報告書が出されており、その中でこの要件については民業圧迫の懸念を念頭に置きながらも、緩和等の可能性を検討することとされております。 国においては、出されました報告書に基づき、今後具体的な検討に入っていくとお聞きしていますので、こうした国の動向も注視していきますとともに、県内関係者の方の声もお聞きしながら、国への要望についても検討していきたいと思っております。 (土木部長奥谷正君登壇)
◎土木部長(奥谷正君) まず、道路インフラの老朽化対策について、県と市町村が管理する道路インフラはどれぐらいあるのかとのお尋ねがありました。 道路法施行規則に基づき定められた点検要領では、橋梁、トンネル、洞門、横断歩道橋、門型標識が点検対象となっています。また、県は国道と県道合わせて約2,800キロメートルの道路を管理しており、市町村は約1万800キロメートルの道路を管理しております。これらの道路には県と市町村が点検すべき主な道路インフラとして、橋梁が県には2,588橋、市町村には1万135橋、トンネルが県には199本、市町村には85本、また横断歩道橋が県には10橋、市町村には4橋あります。 次に、市町村の負担を軽減するための方策について、5カ年の点検計画の中で具体的にどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがありました。 県では、複数の市町村の点検業務を公益社団法人高知県建設技術公社が受託した上で、民間コンサルタントに一括で発注し、その業務管理も行う支援体制を構築しております。本年度は15市町村がその仕組みを活用することとなっており、点検車両の共同利用による点検の効率化や、市町村職員の事務量軽減を期待しております。 また、昨年7月には国と県が連携して市町村が抱える人員不足、技術力不足などの課題に対応するため、高知県道路メンテナンス会議を設立いたしました。この会議では、一括発注の利用促進を初め、点検を行う施設の優先順位の考え方や点検方法など最新の情報を共有するとともに、市町村職員などの点検技術向上を目的とした研修会を開催しております。 一方、県では高知県建設業活性化プランに基づき、建設事業者の技術者を対象に、維持管理技術に関する研修による人材育成を昨年度から行っており、将来的には市町村の行う老朽化対策の効率化の一助となるよう取り組んでいるところです。県としましては、技術職員の少ない市町村の負担を軽減するために、引き続きこのような取り組みを進めてまいります。 最後に、道路インフラの老朽化対策に関する予算確保にどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがありました。 老朽化対策を円滑かつ継続的に進めていくためには、多額の予算の確保が課題であると考えております。とりわけ市町村が管理する橋梁は1万135橋と非常に多く、効率的、計画的な予算の執行が求められています。市町村の財政負担を軽減させるためには、中長期的に必要な修繕・更新コストの縮減を図ることが重要です。そのためには点検結果に基づき、これまでの長寿命化修繕計画を適宜見直し、より適切な時期に効果的な維持修繕を行うことが必要となります。この長寿命化修繕計画に基づく修繕や更新を確実に行うための必要な予算については、今後とも所要額が確保できるよう市町村とも連携しながら、国への要望を積極的に行ってまいります。 また、高度な技術力が必要な橋梁については、国がその事業を代行する直轄診断・修繕代行制度が平成25年度に創設されました。昨年度は仁淀川町の大渡ダム大橋で全国初となる直轄診断が実施され、本年度からは直轄修繕代行事業が実施されることとなりました。 さらに、国による地方公共団体への支援策の一つとして、大規模修繕や更新を複数年にわたり集中的に実施するための大規模修繕・更新補助事業が本年度創設されました。この制度を有効に活用することも市町村の財政負担の軽減につながるものと考えております。今後も予算確保とあわせ、市町村の抱える人材不足、技術力不足などの課題解決に向け、道路メンテナンス会議の場などを通じて議論を深めてまいります。
◆29番(上田周五君) それぞれ御答弁ありがとうございました。少し時間がございますので、2つか3つ再質問させていただきます。 まず、地方創生の件でございますが、知事に今回のこの国の手法ということでお聞きをいたしましたが、今回ちょっと
産業振興推進部長にお聞きをいたしたいと思います。 このベースになっている財源、当然国が持たれていますので、国主導というか、今回そういった時間のない中で戦略を策定ということが求められています。本当に各市町村、特に1問目で言いましたが、小規模な自治体、大変でございます。そういった現状がありますが、そうはいってもそういう動きの中で早急に策定をしていかなければなりません。 県の説明で、県版の、特に人口ビジョンを策定しなければならないというのが一方でございますが、その人口ビジョンを策定して、県版を平成27年度に改定するのに、8月末までと時間もないかもわかりませんが、県議会を初め有識者とか市町村等々で、いわゆるパブコメですね、そういう意見を聴取する場を設けようとしているのかどうかというがを1点お伺いしたいと思います。 それから続けてまるごと高知ですが、部長の御答弁のとおり、確かに地産外商で、外商の部門は成果は上がっております。しかしながら、平成27年度で7,500万円から2,500万円アップということで家賃負担も大幅に3割ですか、上がっている状況の中で、これは8月で丸5年を迎えますけれども、当初出発した時点、一つの数字の目標として基本計画、来店者数100万人という数字を挙げていますよね。そういう中で今70万人を切っているという事実がございます。 アンテナショップは近くに沖縄のわしたショップもございますし、北海道は別格としても、やはり本当に近隣にそういう100万を超している現実もございますので、ぜひそういったところとも連携をして何とか100万人、やっぱり目標にしていますので。 それともう一点は、やっぱり商売ですから利潤利益、もうけなければならないと思います。そういった観点からやはりそういう100万人という大きな目標を立てていますので、外商は当然私らも理解していますが、やっぱりプラスして本来に返って物販部門もさらなる充実というか、営業展開をぜひ図っていただきたいがですが、そういった観点で部長に再質問をさせていただきます。 それと、土木部長ですが、御答弁ありがとうございました。先日の33号の期成同盟会のときにもこの話題が各首長さんから出ていまして、今お聞きしますと、全体で1万4,000ぐらい道路橋梁、歩道橋という数字を挙げていただきました。これを5年というのでカバーしろと国が申しているわけですが、やはりそれはなかなか物理的に難しいというお話も昨日の同盟会でございました。おおむね5年とかという具体的な話もございましたが、国との接触する機会において、そういった本県の実情も訴えて、5年に限らず頑張ってやっていくけれどもうちょっと延ばしてくれんろうかとか、そういう交渉もしていただきたいと思いますが、以上で2問目を終わります。よろしくお願いします。
◎
産業振興推進部長(中澤一眞君) まず、
地方創生総合戦略のパブリックコメントに関してでございますけれども、これはパブリックコメントは当然でございます。その予定をしておりますし、それから今回改定を予定しておりますのは、新たな精緻な人口展望をお示しするということで現在作業をしておりますので、その分は新たな計画といいますか中身になりますので、その点議会のほうにも御説明をし、パブリックコメントもさせていただく、そのような日程で今、進めたいと思っております。 それから、まるごと高知につきまして、御指摘の当初の100万人目標、これは最初の計画でありましたものですし、それから年々の数値目標、来店数の目標も持って努力をしているところでございます。それに達してないというのは全く御指摘のとおりでございますので、お話にありましたお隣のわしたショップ、それの学ぶべきところは学び、集客についての努力というのは現在も店長同士、非常に良好な関係で情報交換しながらやっておりますので、それをさらに、わしたに限らず、ほかの店舗のよいところを積極的に学ばせていただくという姿勢で臨んでまいりたいと思っております。 それから、商売だからということでございますけれども、確かにそのとおりでございます。一方で、これはやはりこれも当初の目標として、先ほど答弁で申し上げましたけれども、やはり外商と情報発信と店舗、それを三位一体で活用していくことで、最終的に県内事業者の皆様方の利益に還元をしていくというのが狙いでございます。そういった意味で、例えばですけれども、全体のアイテム数、今、年間で言いますと2,700ぐらい採用しております。そのうち瞬間風速といいますか、単月でとるとその半分ぐらいなんです。それだけ入れかえをしている、事業者の皆様の登竜門として使いやすいというようなことを、一方で事業者の皆様の利便を考えながら商売をしていくというような性格であるという点についても、また御理解をいただければなというふうに思います。努力するのは当然であると思っております。
○副議長(西森雅和君) 上田議員、先ほどの土木行政は質問ということでよろしいですか。 (29番上田周五君「はい」と言う)
◎土木部長(奥谷正君) 議員が御指摘のとおり、市町村におきましては昨年は約500橋弱点検いたしました。ことし平成27年度は約2,400橋とかなり数が多くなっております。5年間これぐらいの数でやらないと1万橋にならないわけでございます。その中でこの点検方法でございますけれども、これは道路法施行規則の中で記述がございまして、近接目視により5年に1回の頻度で行うことを基本とすることというような書きぶりがございます。市町村からも5年に1回はちょっと苦しいんじゃないかと。絶対5年でやるという書きぶりではないということではあるんですけれど、基本とするとなっていますので、市町村のこういった状況、それからことし行います約2,400橋ぐらい、これの進捗状況を見ながら、この中でやはり問題を具体的に抽出した上で、国にもちょっと相談に行くというようなことにしたいと考えてございます。
◆29番(上田周五君) ありがとうございました。それぞれ御答弁済みませんでした。 これ、質問にはしませんけれど、知事ですが、安保関連法案です。今、国のほうでは大きな2つのテーマになっている一つに、自衛隊のリスクが高まるという話がございますが、先ほど知事答弁で、自衛隊の活動の拡大によって新しいリスクを背負うというふうな趣旨の御答弁がありましたが、実はそれと並行して市町村議会でこの問題が思想、信条を超えてというお話を私、1問目でさせていただきましたが、それのもとになっているのは、やはり今、戦争を経験した九十四、五歳の方とか、それから小さい子供さんを持っておる親御さん、特にお母さん方ですが、そういった方々の率直な意見がダイレクトに市町村議会へ反映されて、そういった議論になっているということをぜひおわかりいただきたいと思います。 最後ですが、午前中の浜田議員に答えて、3期目の出馬ということを知事が表明しました。ぜひ、あと5カ月ありますが、引き続き県民の福祉の向上、県勢浮揚に向けて3期目頑張ってやっていただきたいと思いますので、エールを送りまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(西森雅和君) 暫時休憩いたします。 午後3時4分休憩
----------------------------------- 午後3時25分再開
○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 37番塚地佐智さん。 (37番塚地佐智君登壇)
◆37番(塚地佐智君) 私は、日本共産党を代表いたしまして、以下質問をいたします。 まず、知事の政治姿勢について伺います。 集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈の根本的変更に基づき、平和安全保障関連法案、実質的には戦争法案が国会で審議をされています。この法案は、平和国家の歩みを否定し、日本をアメリカの戦争にいつでもどこでも参戦できる仕組みにしようとする戦後最悪の法案と言わなくてはなりません。同法案については、ほとんどの憲法学者が憲法違反と評しています。時事通信の調査では8割を超える国民が今国会での成立に反対し、共同通信の調査では、同法案を違憲とする回答は56.7%に上り、反対の回答は58.7%で、この3週間で11.1ポイントも上昇をしています。県内でも11の議会で廃止、慎重審議の意見書が上がるなど、国民、県民の反対、不安の声は日増しに高まっています。県民の中には少なくない自衛隊員や御家族がおられ、県民の命にも直結する問題です。以下、同法案の認識について知事に質問をいたします。 同法案は、集団的自衛権を容認する解釈変更とともに、国際活動において、従来の、戦闘地域には行かない、武力行使はしない、武器、弾薬の提供、輸送はしないという歯どめをなくすことが柱となっています。国会審議では、その憲法違反の実態が明らかになっています。 まず、国際活動の問題ですが、第1に、アメリカが世界のどこであれ、アフガニスタン戦争、イラク戦争のような戦争に乗り出した際に、自衛隊がこれまで戦闘地域とされてきた地域にまで行って、弾薬の補給、武器の輸送など軍事行動である兵たん活動を行うことです。戦闘地域での兵たんは相手方から攻撃目標とされ、武力行使に道を開くこととなります。 第2に、PKO法改正では、PKOとは関係のないアメリカ主導の活動へも参加できる仕掛けが盛り込まれました。形式上は停戦の合意が続いていても戦乱が続いているようなところに自衛隊を派兵し、治安維持活動--任務遂行のための武器の使用を認める枠組みを新たに持ち込むことです。安倍首相は、アフガンに展開し3,500人もの戦死者を出しているNATO主導のISAF--国際治安支援部隊のような活動への参加を否定しませんでした。ISAFの活動は、掃討作戦を目的としない治安維持の活動ですが、戦闘状態となり多くの犠牲者が既に出ています。 政府は、海外で戦争する国に踏み出すことをごまかすために、世界的に通用しない説明を繰り返しています。1つは後方支援、これは日本政府だけの造語です。戦闘部隊に対する補給、輸送などの兵たんが武力の行使と一体不可分であり、戦争行為の不可欠な一部であることは世界の常識であり、軍事の常識とも言えるものです。2つは、武器の使用という概念です。安倍首相は、戦闘地域での自衛隊が兵たんを行う際に、攻撃されたら武器の使用をすることを認めました。しかし、それを武力行使と認めれば直ちに憲法違反になるので、武器の使用はするが武力の行使には当たらないと強弁し続けています。しかし、国会審議で外務省は、武力行使と別に、国際法上は武力行使と区別された武器の使用という概念がないことを認めました。まさに世界のどこにも通用しない概念です。 知事は、同法案について、防衛目的を逸脱することがあってはならないと主張を先ほどもされましたが、国際協力活動の分野で従来の歯どめをなくし、自衛隊員のリスク--殺し殺される危険性が格段に増加をしていくのが同法案の特徴となっています。国際的な協力活動の相手となるアメリカは、数々の無法な先制攻撃をこれまでも行ってきました。国連総会での非難決議が上がったグレナダ侵略、リビア爆撃、パナマ侵略の事例、トンキン湾事件や大量破壊兵器の存在など事実をねじ曲げて開始をされたベトナム戦争、イラク戦争なども含め、日本政府は戦後アメリカの戦争に一度も反対したことはありません。 同法案によって、アメリカの無法な戦争に自衛隊員、日本の若者が動員される危険が現実化をしています。イラク派兵を官邸で統括をされてきた柳澤協二氏は、今までは憲法9条があるので武力行使はできないと拒否できたが、同法案が成立すれば、今度はイラク戦争への軍事的行動は断れない、今度は必ず犠牲者が出ると語っています。そんな事態は絶対に許してはならないと思いますが、知事の御所見を伺います。 集団的自衛権発動について、政府はその要件として、密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされることを挙げています。そして、政府はこうした変更を行った唯一最大の理由として、国際情勢における根本的変容が起こったからだと説明しています。 しかし、国際情勢の根本的変容というが、そうした変化のもとで、他国に対する武力攻撃によって存立危機事態に陥った国が世界に一つでもあるのかとの我が党の国会質問に、政府は実例を挙げるのは困難だと、ただの一つも示せませんでした。集団的自衛権行使の例として唯一言及しているホルムズ海峡の機雷封鎖も、イランとアメリカの関係は改善の方向に進んでおり、防衛大臣も直ちに危険があるわけではないと認められました。 同法案の必要性を示す立法事実が示されていないと思いますが、お伺いをいたします。 その空想的な存立危機事態の判断は、政府に白紙委任されています。しかも、日本に軍事危機が全く発生しない場合にも自衛隊の戦争出撃を認める内容となっています。安倍首相は、我々が直ちに攻撃されることではなく、武力攻撃が発生し、それに起因する災いが発生することだと、経済的な災いによっても発動を可能とすると明言をいたしました。阪田元内閣法制局長官が、満蒙は日本の生命線と言って自衛を叫んだのと同じ理屈だと批判をされているように、日本を先制攻撃する国に変質させる重大な中身となっています。 知事は、集団的自衛権については、諸外国への攻撃でもほぼ連鎖して我が国への急迫不正の侵害につながり得るなら、連続的、合理的な範囲で自衛権の発動ができるとの解釈が成り立ち得ると述べられていますが、国会審議ではつながり得る事態も示せていませんし、同法案はそのことに限定した規定もありませんし、ほぼ連鎖してという時間的概念もありません。急迫不正の侵害、武力攻撃でなくても、政府の総合的判断で発動できる内容となっています。 同法案は、集団的自衛権の行使を限定する仕組みとはなっていないと思いますが、改めてお考えをお聞きします。 いわゆる戦争法案は、日本の若者、自衛隊員を殺し殺される状況にさらし、紛争当事者となることで、海外で活動する日本人やNGOがテロの標的となるリスクを拡大し、また日本国内でのテロのリスクを拡大します。そして、「海外で戦争しない」と、民生支援を軸にこの70年築いてきた平和国家のブランドを失うという亡国の法案と言えます。また、立憲主義を否定し、憲法の規範性を揺るがす暴挙です。日本共産党は、多くの国民、県民との共同を広げ、日本を侵略国の仲間入りにさせる、いわゆる戦争法案の廃案に向け全力で取り組む決意を表明して、次の質問に移ります。 次に、伊方原発の再稼働問題について知事に伺います。 原子力規制委員会は5月20日、四国電力伊方原発3号機の再稼働の前提となる原発の規制基準に適合したとする審査書案を了承し、再稼働への動きが進んでいます。しかし、規制委員会の田中委員長がリスクはゼロではないと繰り返し強調をしているとおり、安全性が担保されたわけではありません。愛媛新聞がこの2月から3月に行った世論調査では、再稼働に否定的な意見は69.3%と極めて高く、特に「再稼働すべきではない」は34.4%と、過去7回の調査から大幅に引き上がっています。安全性に関しても、「不安」、「やや不安」が計89.5%と9割に迫っています。高浜原発差しとめ仮処分の判決が、原発の耐震設計の根幹をなす基準地震動が著しく低く設定されていることを明らかにしたことで、原発への不信、不安はより大きくなっている状況です。 基準地震動とは、これを超える地震動は発生しないという耐震対策の基準をなす数値です。その計算方法は、強震動予測レシピ、設計者の名前をとって入倉レシピと呼ばれ、スケーリング則という方法がとられています。スケーリング則とは、地震現象や津波現象はその構造がよくはわからないため、多数の事象を集めてその平均像を求めるという方式ですから、必然的に大きな誤差が伴うのが特徴です。このスケーリング則を用いた耐震設計も、当然の帰結として大きな誤差が伴うこととなります。万が一にも事故にならない設計にするためには、必ず誤差評価を行い、ばらついたデータの中から既往最大の値をとることが最低限の責務だと思います。 この10年間で基準地震動を超える地震動が5度も発生したのは、平均像で設定をした方式に問題があったからではないのか、お伺いをいたします。 入倉レシピは9つのステップで構成をされており、どのステップも平均像で計算されています。特に地震動の大きさに決定的な影響を与えるステップ2では、震源断層面の面積から地震モーメントを導いています。破壊面積が大きくなれば地震モーメントが大きくなりますが、実際のデータではその関係は相当なばらつきがありますが、レシピはその平均値をとっています。実際の入倉氏のデータは、平均から最も離れた値は、ほぼ平均像の4倍となっています。また、日本土木学会が採用する武村式のデータを入倉レシピに落とせば、平均値の7倍に及ぶデータが存在すると指摘をされています。安全性に重きを置いた値にするならば、平均像の4倍、7倍の値が最低限必要です。高浜原発差しとめの福井地裁判決の決定文の肝は、まさにこの問題点の弁護団による指摘であったと思います。 過小評価された基準地震動による安全対策は全く不十分で、再稼働の条件はないと思いますが、お聞きをいたします。 政府、電力会社の原発回帰、原発固執が自然エネルギーの普及による地域の振興にも大きな障害となっています。昨年来、全国の電力会社による新規の自然エネルギーの売電契約の保留、停止が相次ぎ大きな問題となりました。この事態を受けて、経産省と電力会社は自然エネルギーの接続可能量を算出しましたが、信じられないような内容となっています。 四国電力の場合、3基全部の原発を稼働させることを前提に、その発電量を168万キロワットと設定し、その残りで自然エネルギーの接続可能量を算出しています。その結果、太陽光発電の接続可能量は257万キロワットにすぎず、既に設備認定された281万キロワットに届きません。風力発電も60万キロワットに対し、昨年夏の時点で34万キロワットを超えており、既に具体化している案件を含めると残りわずかになっています。老朽化し追加安全策の計画もない伊方1、2号機の再稼働を前提にし、自然エネルギーの普及に背を向ける態度は、知事のおっしゃられる徐々に原発依存を減らしていく、自然エネルギーを大いに普及するという方向に挑戦するかのような住民不在の姿勢です。 今、原発ゼロでも電気は足りており、自然エネルギーを思い切って普及するチャンスです。世界的にも2014年は風力発電と太陽光発電の年間導入量が過去最大となっており、このままでは日本は取り残されていくことになります。原発に固執し、自然エネルギー普及に消極的な政府、四国電力の姿勢を正す必要があると思いますが、お聞きをいたします。 次に、政治姿勢の最後に財政問題について伺います。 県政はこの7年間、全体として防災、産業振興など県民の願いに応える多くの施策を進め、連続して前年度比プラスの予算を組んできました。また、課題解決のために市町村支援を重視し、職員数も全国平均よりも多く配置をしてきました。同時に、地方債残高の削減など財政健全化も進めてきています。そこで、県の財政運営にかかわって基本的な点を確認したいと思います。 自治体の財政状況の指標に将来負担比率があります。自治体の借金、負担金、退職手当など自治体の今後の負担となる総額から地方債の交付税算入額、基金総額など充当可能財源を引いた額を財政規模で除したもので、自治体の正味の負担を示す数字です。2012年度の将来負担比率は全国平均は210.5%ですが、高知県は158.6%と全国8番目に低く、財政の健全性を示しています。特に、2012年度までの5年間の改善率は、全国平均の8.8ポイントに対し高知県は35ポイントとなっています。 率ではなく実際の額では、将来負担比率の分子の額ですが、高知県は2008年度から2012年度の間に511億4,500万円減少しています。年102億円の改善です。財政力が弱いので、不測の事態や大規模事業に備えてできるだけ身軽にするという方向性だと思いますが、積極予算を展開しながら、また財政状況が好転していることはこの数字からもわかります。 その要因として私たちは、1、県民に開かれた県政運営による真に必要な施策の絞り込み、無駄の排除、2、しっかりとした公務の役割発揮のもとで、民間、県民の力を生かすことでの効率性、3、積極的な政策提言による国の財源の活用--新年度でも自治体の取り組みを丸ごと支援する新型交付金、中山間地域の拠点づくりなど県の提案が反映をされています。これら3点にあると評価をしています。 積極的な施策展開をしながら財政の健全化も進めてきた要因、この間の創意工夫についてどう認識をされているか、お伺いをいたします。 将来負担比率にかかわって年102億円の改善がされていることを示しましたが、自治体の財政は言うまでもなく家計と違い、改善すればするほどよいというものではありません。例えば30年間使う施設なら、その間の住民が公平に負担するよう、あえて借金をし毎年返済していくことで、世代間の負担の公平性を担保するということになっています。その借金が身の丈以上に過大であることは当然問題ですが、少な過ぎることは、必要な施設整備をしていないか、必要なソフト事業をせずに借金返済に偏重しているかということになります。また、財政の急激な改善は、一時期の住民に過度の負担を強いるという問題にもなります。 この間の将来負担比率の改善をどのように評価されているか、また今後の方向性についてお伺いをいたします。 この財政状況から言えることは、子育て支援など県民の願いに応える思い切った施策の展開も可能だということだと考えます。例えば、年102億円の改善を1割ペースダウンすると、約10億円の財源が出てくることになります。そこで、幾つか提案をしたいと思います。 1つは、子供の医療費無料化の拡充です。子育て支援、子供の貧困対策としてその効果は証明済みです。2月県議会でも、県の姿勢を示す上で、中学校卒業までの医療費無料化に踏み切るべきだと提案をさせていただきました。既に多くの自治体が実施しており、財源が置きかわるだけだと、子供の貧困解消に強い思いを持つ尾崎知事らしくない答弁にとどまりました。 しかし、自治体数では多くても、子供の割合では県内の半数の子供が就学前の実施にとどまっています。また、県自身も国に対して子供の医療費の拡充を要望しています。既に全ての都道府県が国に先駆けて独自に努力をしていますが、財源が置きかわるだけなのでしょうか。県としては、国として実施すれば、さらに子育て施策を充実させることができると主張されるのではないでしょうか。県政においても、市町村との協議なども通じ、保育料の軽減など新たな子育て支援策に結びつける対応は可能だと考えます。 財源が置きかわるだけという説明は、県の立場とも矛盾するものだと思いますが、お聞きをいたします。 また、2014年度補正で計上された地方創生先行型の交付金は2016年度から本格実施をされますが、少子化対策として子供の医療費助成の前進に活用している自治体は、県内の3町を含め全国で74自治体あります。その場合、国保の国庫負担に係る減額調整を検討する必要があるとされており、この点も視野に入れ実施を検討すべきだと思います。 改めて、県として医療費無料化を拡充させ、子育て支援策をさらに前進させる必要性について知事にお伺いをいたします。 2つ目は、保育料の軽減策です。少子化対策として重要であり、県は第3子の無料化の助成制度を実施しています。しかし、中核市である高知市は助成の対象から除いています。本年度からスタートした子ども・子育て支援新制度では、保育料と一体である教育・保育給付の財源において、中核市に係る大都市特例が廃止となっています。 新制度との整合性を鑑み、第3子の保育料無料化の助成制度を高知市にも適用すべきと考えますが、この点は教育長にお伺いをいたします。 次に、教育行政について教育長に伺います。 まず、教員の未配置問題について伺います。 本年4月、年度当初から学校現場では、本来正規教員が配置されるべき定数内の学級担任に臨時教員が配置をされたり、ある学校では、その配置されるべき臨時教員6名のうち2名が未着任のままの状態が続いているなど、年度当初から教員の未配置の事態が生じていると学校現場から伝えられています。 この間、私たちはたびたびこの議場でも正規教員・臨時教員不足への取り組みを求めてまいりましたが、是正されるどころか悪化の一途をたどっているのではないかと思わざるを得ません。 いわゆる先生のいない教室、代替教員未配置が1カ月以上となる件数を昨年度36校、51件としていますが、今年度既に未配置の状況が何校で何件発生したと県教委は把握をされているか、お伺いをいたします。 教員の配置という教育行政の根幹をなす事業であるにもかかわらず、毎年繰り返される教員配置の不足による混乱に対し、決してあってはならない事態だという強い認識が、県教育委員会全体に欠如しているのではないかと思わざるを得ません。県民、そして現場教職員と児童生徒の思いを教育長はどのように受けとめておられるのか、お伺いをいたします。 定数内の教員確保のため正規教員の採用を計画的に行うべきとの私どもの質問に対し、できる限り定数内の臨時教員を正規教員に振りかえるように計画的な教員採用を行ってきた結果として、全国に比して臨時教員の比率は低いと答えられていますが、2014年度の定数内臨時は452名、本年度は489名と、生徒数減で学級数が減っているにもかかわらず逆に増大していることは問題だと考えます。 2018年度末の退職教員数の予測は、本年度末の224名から年々ふえ339名と一段とふえていきます。生徒数の減少、少人数学級枠の拡大などの相殺も含め、改めて採用人員数の精査を行い、まずは定数内の非正規教員数の早期解消を図るべきです。今後の採用計画の見通しと決意をお伺いいたします。 このように、まず正規教員の採用をふやし埋めることで、臨時、非常勤の安易な乱用がなくなると、臨時教員不足への対応がとりやすくなります。産休、育休、病休など本来の代替教員の配置数は本年度で360件程度です。本県の臨時教員志願者数は昨年度1,079名から本年度1,003名へと減少しています。 各県とも教員の奪い合いが進む中、まずはこの本県での教員を希望する方々をしっかりつなぎとめるためには、採用計画を明らかにすると同時に、採用審査結果における採用候補名簿登録者数を、定数及び代替教員数の予測から年度途中採用者数を含む人数とするなどの見直しが必要だと考えるものですが、お聞きをいたします。 さらには、免許所持を前提としていない地公法22条2項の臨時的任用と違い、教員免許を持った上で教育職としての経験を積んでいる臨時教員の教職経験を、今以上に正当に評価する採用制度としなければ、着任し現場で臨時教員をするよりも採用審査への対応が優先される傾向は否めません。1次審査を全部免除するなど、教職経験尊重の採用審査を実施している他県での取り組みを参考に検討するお考えはないか。 最後に、臨時教員の確保を図るためにも、現在学校現場で本県教育を支えている臨時教員の処遇の改善は急務です。この間、全国的に見ても極めて低い処遇にある本県臨時教員の処遇改善を求めてまいりましたが、本年度はどう改善されたのか、また来年度にはどのような処遇改善を図ろうとしているのか、お聞きをいたします。 教育問題の2点目、小中学校へのエアコン設置への県の助成について伺います。 地球環境の変化によって、近年これまでにない異常気象が私たちの目の前に広がってまいりました。中でも地球温暖化による気温の上昇は、夏場を問わず熱中症対策を考えなければならない状況です。文部科学省の学校環境衛生基準は、教室内の温度は10度以上、30度以下が望ましいとしていますが、エアコンのない教室の温度は30度を超え、扇風機を設置してあっても熱風をかきまぜるだけで、子供も先生も汗びっしょりの状況です。お弁当が腐っていた、病気の治療中で体温調節が十分できず、熱が出て熱中症のようになり驚いたなど、現場や保護者からの学ぶ環境を整えてほしいという声は多く聞かれます。また、湿度の多い梅雨の時期には、教室や廊下に水がたまって滑って危ないなどの例もあります。 文部科学省は3年に1度、「公立学校の空調(冷房)設備設置状況調査」を行っていますが、平成26年4月現在の調査発表によれば、全国の平均設置率は普通教室32.8%、特別教室27.3%で、特に普通教室は平成22年の調査では16%でしたから、2倍に広がっています。東京都は普通教室設置率99.9%、それに次いで香川県が81%、神奈川県71%、京都、沖縄60%台、群馬、福井、滋賀50%台、高知県はそれに比して13.8%と大変おくれた状況です。この高知県の整備状況をどのようにお考えか、伺います。 県立学校のエアコン設置は全ての学校に順次設置するよう、県教育委員会としても努力をされています。当然、小中学校へのエアコン設置で教育環境条件を整える時期が来ており、冷房のあるなしは今、自治体間の教育環境の格差をもたらしています。市町村の努力を財政的にも支援し、小中学校へのエアコン設置を積極的に推進する計画を県教育委員会としてもつくるべきだと思いますが、お伺いをいたします。 次に、今年度末までに県が策定を行うこととしている高知県地域医療構想について伺います。 昨年6月に強行された医療・介護総合推進法に基づき、政府は2013年現在の約134万7,000床のベッドを、10年後までに約16万から20万床削減して115万から119万床程度にすると発表、年約40兆円に上る国民医療費の抑制を図るとしています。その数字を目安に、各都道府県が2025年までにどのような医療体制をつくるのかの計画、地域医療構想づくりが進められています。 この構想を策定するに当たり、政府は都道府県ごとの望ましい病床数に関する報告書を発表いたしました。各病院を4つの機能別、1、高度急性期、2、急性期、3、回復期、4、慢性期に分類し、それぞれの病床数を示し、各都道府県の構想に反映させるというものです。本県は、総枠で1万6,200床から、その約3分の1の5,000床もの削減が示されました。 本県も、既に各病院がさきの4つのどの分類に位置づけるかの調査を実施されていますが、どのような状況なのか、また今回国から示された県の2025年の病床数との差はどのようになっているか、健康政策部長に伺います。 これまでも政府は、医療費削減を目的に病院の入院期間の短縮を迫る診療報酬の改定で誘導を図ってきました。そのため私たちのところへは、退院を迫られているが受け入れてくれる病院がないとの御相談が相次いでいます。今後、高齢化がさらに進行する中、慢性期病床の必要性は一層高まるものと考えますが、本県に政府から示された慢性期削減病床数は2,400から4,300床で、現在の療養病床との比較では最大60%もの削減となります。2030年までの5カ年の延長ができるものの、まさに衝撃的な数字で、医療・介護関係者などから懸念の声が上がっています。 県は、地域医療構想の策定に向け、今月にもワーキンググループで検討を始めますが、この政府が示した病床数の提示をどのように受けとめておられるか、健康政策部長に伺います。 これまでも、在宅医療の推進、24時間対応の訪問介護事業所の設置などの取り組みを進めてまいりましたが、本県の地域的状況や生活状況から、在宅への移行は進んでいないどころか特別養護老人ホームの入所待機者は2,500人を超えています。政府は2025年に向け、補助金や診療報酬で誘導し、介護サービスとの連携を強めるとしていますが、まず社会保障費、医療費の削減ありきでは、県民にとって必要な医療と介護の提供につながることは期待できるものではありません。 知事は、今回の政府の示した報告書をどのように受けとめられたか、12月議会で答弁をされた、必要な医療が受けられないことがあってはならないという地域構想とするため、国に対してどのような提案と行動を起こされるおつもりか、お伺いをいたします。 次に、農地の流動化、集積について農業振興部長にお伺いをいたします。 政府の規制改革会議が6月16日、農地中間管理機構における農地の集積、集約化を加速するとして、遊休農地等への課税強化、実績を上げた県等への施策の配慮等を求める答申を行い、これを受けて政府は6月30日、規制改革実施計画を閣議決定いたしました。 これに関して日本農業新聞では、強権で集積進まぬとして、次のように厳しく指摘、批判をしています。「遊休農地への課税強化では農地の出し手の不安解消という根本的な課題の解決はできない。農家の財産権の不当な侵害にもつながりかねず、極めて慎重な議論が求められる。農地は信用によって動くものだ。農家から農地を収奪するようなペナルティーではなく、関係機関が一体となり、出し手農家の理解を地道に得ていく努力が欠かせない。今後の政府・与党での議論は、農村での農地の貸し借りの実態をしっかり踏まえるべきだ」と述べています。各県の実績に基づく差別的な対応を含めて、まさに上からの強権的、また地方自治を脅かすやり方、農家、農村の実態を無視した押しつけは到底認められるものではありません。 今回の規制改革実施計画をどう受けとめられるか、また国に対して農家、地方の声を届けるべきだと考えますが、農業振興部長に御所見を伺います。 昨年から稼働した農地中間管理機構ですが、2014年度の貸し出し、売り渡し面積は全国で3.1万ヘクタール、政府目標14万ヘクタールの22%にとどまっています。高知県の実績、その評価、問題点について伺います。 今、後継者不足や高齢化などによる耕作放棄地の拡大は深刻で、その解決のためには、根本的には農業経営が成り立つ条件の整備が不可欠であることは言うまでもありません。同時に、遊休農地の再生、担い手の確保と農地の荒廃を防ぐ有効利用による、農村地域の環境を守ることが求められています。そのためには、当面受け手の見込みのない農地も農地中間管理機構の借り入れ対象にし受け手が見つかるまで管理や基盤整備を行う、貸出先は地域の担い手を優先し借り受け希望者の不足する場合には地域外の新規参入を進める仕組みにする、機構集積協力金を柔軟に運用するなどの改善、拡充が必要です。 これらを国に求めるとともに、それまで高知方式として独自の取り組みとして実施すべきと考えますが、将来にわたって農地をどのように守っていくべきかという観点から、農業振興部長にお伺いをいたします。 最後に、宿毛湾、宿毛湾港の利活用についてお伺いをいたします。 本県の重要港湾である宿毛湾港と宿毛湾は、物流においても漁業振興においても重要な役割を担っています。高知の海は、全国でも魚種が極めて豊富な漁場であり、その中でもすくも湾漁協は多くの漁法が許可され操業しており、全国有数の規模を誇る養殖漁業も宿毛湾。まさに宝の海、本県漁業振興の中核を担っており、産業振興計画の水産業の目標達成のためにも、さらなる振興策の展開が求められています。 まず、宿毛湾港と宿毛湾の産業振興の上での評価と位置づけをどのように考えておられるのか、知事にお伺いをいたします。 しかし、この宿毛湾港の利活用に重大な変更がもたらされる事態が生じています。宿毛市は平成27年2月24日付で、「重要港湾「宿毛湾港」等の利活用について」という要望書を宿毛市長、市議会議長、商工会議所会頭の連名で防衛省に提出をしています。2月23日には副市長、副議長、商工会議所会頭、商工会議所課長が上京、そこに高知県東京事務所所長、宿毛市選出の県会議員の方などが同行し、中谷防衛大臣を訪問、上記の要望を行っています。 その要望内容を少し長くなりますが紹介をいたします。「新防衛大綱において、統合運用能力評価の結果を踏まえ、『南西地域の防衛体制の強化を始め……海上優勢及び航空優勢の確実な維持に向けた防衛力整備を優先することとし、幅広い後方支援基盤の確立に配意しつつ、機動展開能力の整備も重視する』とされておりますところ、宿毛地域は、南西地域の「近からず、遠からずの後背地」としての地勢的条件を固有に備えており、物資の集積、装備品の整備、海上・航空・地上輸送や後送、事前の展開準備(部隊編成・訓練)などを行うための「(統合)近傍作戦根拠地」として、最適の候補地と思われます。つきましては、(中略)宿毛湾港をはじめとする当地域の活用について、自衛隊の格段のご配慮を賜りますようご要望申し上げます」というものです。 中谷防衛大臣は御自身のホームページに、「高知県と宿毛市の皆さんからの要望。」と題し、「海上自衛隊部隊誘致の要望を頂きました。新防衛大綱の統合機動防衛力の拠点として利用できるとのことです。宿毛市の宇須々木は連合艦隊の基地でした」と書かれています。 この要望書は、単なる自衛艦の寄港促進ではなく、事前の展開準備、部隊編成、訓練などを行うための誘致で、尖閣や南シナ海有事に即応できる軍事拠点、近傍作戦根拠地としての活用を要望していると思われます。単に自衛艦の寄港回数をふやしてほしいという水準のものではありません。2月25日付高知新聞は、「宿毛に自衛隊拠点を」の見出しで、「南西地域での防衛態勢強化のため、物資の集積や輸送、部隊編成や訓練を行う後方支援拠点として「宿毛地域は最適の候補地」と訴えている」と書かれています。 この陳情には東京事務所長も参加をしており、中谷防衛大臣もホームページに書かれているように、高知県も要望したとの受けとめとなっていますが、知事はこの要望内容を当時承知されておられたのか、お伺いをいたします。 要望書が誘致を求めた統合近傍作戦根拠地とは、県民には耳なれない言葉で、具体的にどのような機能がもたらされるものか判然といたしません。どのような規模のどのような機能を持つものか、改めて県民に具体的にわかる御説明をいただきたい。先日、私たち県議団は、宿毛市、大月町に調査に伺い、漁民の方にもお話を伺ってまいりました。ある漁協組合長さんは、初耳で全く知らないと言っておられましたし、私ども県議会にも全く説明はありません。 しかし、拠点化の要望の影響のあらわれと思われる動きが出ています。その一つが、海上自衛隊が実施した宿毛湾の海底調査です。6月4日付の高知新聞によりますと、「調査は5月14日~17日に宿毛湾港新港沖で実施。第101掃海隊の掃海管制艇「まえじま」「くめじま」の2隻に分かれ、水中無人機で海中を撮影し、海底の泥を採集した」、「泥の質を確認することで、海底に機雷を敷設された際に、機雷がどのくらい泥に沈むかが分かる」という記事を伝えています。「艦艇の安全確保に資するのが目的」という説明を加えてはいますが、宿毛湾港は県の管理する重要港湾です。 この調査にどのような説明を受け同意をされたのか、土木部長にお伺いをいたします。 この間の一連の動きは、県の重要港湾の利活用計画にとっても重要な変更がもたらされ、今日の政治状況のもと、県民生活にも大きくかかわる事柄であるにもかかわらず、県議会には今もって説明もされていません。こうした段階で、中谷防衛大臣が公式のホームページにも記されているように、高知県も要望したとされているのは看過できるものではありません。さきの要望内容は、宿毛市民はもとより宿毛湾で漁業を営んでいる方々にも、宿毛市議会の議論も経ていないもので、余りに住民無視であり、今地元でも問題になっています。 東京事務所長が同行したことで、県も要望したことにはならないと思いますが、知事は要望活動に参加したことをどのように位置づけられているのか、お伺いをいたします。 年間150億円の水揚げ高の恵まれた宿毛湾漁業をさらに発展させ、加工業、販売業、飲食店など漁業に深くかかわっている宿毛市民の生活を大切にすることにこそ力を注ぐべきです。 宿毛市は、環境、資源に恵まれていて、まだまだ地域産業づくりの可能性があると言われています。将来を見据えて、子供たちに豊かな宿毛湾漁業と宿毛湾港を商業港として発展させることこそ県政の課題だと考えますが、知事の御所見をお伺いいたしまして、私の第1問といたします。 (知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君) 塚地議員の御質問にお答えをいたします。 まず、安全保障関連法案に関して、犠牲者が出る事態を許してはならないと思うがどうかとのお尋ねがございました。 諸外国の無法な戦争に日本が巻き込まれることはあってはならないことであり、それによって自衛隊員の犠牲を出すようなことも決してあってはならないことです。あくまでも我が国の武力の行使は、憲法9条のもとで自衛の目的に厳に限定すべきものであり、実質的に我が国に対する急迫不正の侵害とみなされるものに限定されるべきものであります。また、海外での後方支援活動についても、他国の武力行使と一体化しない範囲を追求すべきであり、そのための歯どめが必要であると考えております。 私は、我が国の安全保障を確保するために、新たな法整備は必要だと考えておりますが、他方でこれは合憲であらねばならないとも考えます。ぜひとも個別事例に即した徹底審議を望むものであります。 次に、安全保障関連法案の必要性を示す立法事実についてのお尋ねがございました。 我が国の安全保障は、諸外国との協調なくして守れないという状況になっているものと私は認識しております。この背景には、発達し続ける科学技術により兵器の破壊力やスピード、精密化などあらゆる点での性能の向上、国際テロやサイバー攻撃などの新たな形態の脅威の増大など、予測不可能な攻撃がさまざまな形態で遠隔地からでも瞬時に加えられるといった、我が国の平和と安全に影響を及ぼし得る、以前なら考えられない事態が十分起こり得るという事実があるものと考えております。 現時点では、幸いにも我が国の平和と安全を直接脅かすといったことが現実には起こっていないのかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、今後起こり得るという事実は存在しており、日本の平和と安全を守ることを目的として、考え得るケースをあらかじめ想定し対応できるような法整備をしていくことは、国民の生命、財産を守るために必要であると考えております。 次に、安全保障関連法案は集団的自衛権の行使を限定する仕組みとはなっていないのではないかとのお尋ねがございました。 私は、集団的自衛権の行使は、憲法9条のもとに認められている武力行使の旧3要件から連続的かつ合理的に展開できる範囲内におさまっている必要があると考えており、例えばこれによる武力の行使は、他国への攻撃の中で実質的に我が国への急迫不正の侵害とみなし得る場合に限られるべきといった歯どめが必要だと考えています。 しかし、残念ながら最新の世論調査では、81%の方が安全保障関連法案について、政府は十分に説明していないと回答されている状況であります。安全保障関連法案などが審議されている通常国会は、過去最長の95日間の延長が決定をされております。国会においては、できる限り個別事例に即して、合憲性についての議論を積み重ねていただきたいと考えております。また、そうした議論を積み重ねることが後々の判断基準となり、集団的自衛権の行使を憲法の範囲内に限定することにつながるものと考えているところでございます。 次に、原発問題に関する一連の御質問にお答えをいたします。 この10年間で基準地震動を超える地震動が5度も発生したのは、平均像で設定した方式に問題があったからではないか、また過小評価された基準地震動による安全対策は全く不十分で、再稼働の条件はないのではないかとのお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。 御指摘のありましたように、過去に4つの原子力発電所で5回にわたり、想定されていた基準地震動を超える地震が観測されております。原子力規制委員会では、こうした過去の教訓を踏まえ、東日本大震災後に見直された新規制基準に基づき、最新の科学的知見に基づいた厳格な審議が行われていると認識しております。 基準地震動に関しては、地震の平均像として策定されているわけではなく、原子力発電所ごとに地震が起きるメカニズムや地質学的な調査を行い、不確かさも十分に考慮した上で、起こり得る最大級の地震として策定されております。加えて四国電力では、原子炉をとめ、冷やし、放射能を閉じ込める機能を担う安全上重要な施設については、650ガルの基準地震動を超える、おおむね1,000ガル程度の揺れを受けても機能を維持できる対策も行うと聞いているところです。 しかしながら、基準地震動は非常に重要なものでありますので、最大級の地震となっているのか、それに対して各施設の耐震余裕は十分あるのかなどについて、勉強会を通じてしっかりと確認をしているところであります。 いずれにしましても、四国電力に対しては、安全に絶対はないとの認識から、基準をクリアすればよしとするのではなく、新たな知見や問題には速やかに対応し、継続的に万全の安全対策を講じるよう要請してまいります。 次に、原発に固執し、自然エネルギーの普及に消極的な政府、四国電力の姿勢を正す必要があるのではないかとのお尋ねがありました。 従前より申し上げておりますとおり、原子力発電につきましては、脱原発に向けてその依存度を徐々に徐々に引き下げていくべきだと考えており、あわせて太陽光発電や木質バイオマス発電などの自然エネルギーの導入を進めていくべきだと考えております。そして、この自然エネルギーの導入を進めていくことは、自然エネルギーの宝庫である本県の利益にもかなうものと、そのように考えているところであります。 具体的に、脱原発の進展スピードがどうなるかということにつきましては、科学技術の発達の度合いなどにもよるものと思っておりますが、いずれにしても重要なことは、原発への依存度を徐々に減らしていくという方向性を維持し続け、そこに向けた具体的な努力をしていくということではないかと考えております。 そのため、県では国に対して、自然エネルギーの導入促進に向けて、全国規模で電力を融通するためのシステムの構築や地域の送電網の強化などについて提言してまいりました。また、四国電力に対しては、勉強会や株主総会の場で、脱原発の方向を維持していくべきであり、今後どのような対策を講じていくのかということについて説明を求めるとともに、自然エネルギーの導入促進に最大限の努力を払うよう要請をしているところであります。引き続き、国や四国電力に対してしっかりと提言や要請を行い、自然エネルギーの導入を進めていくための具体的な努力を求めてまいります。 次に、財政の健全化が進んだ要因とその工夫、また将来負担比率改善の評価と今後の方向性についてお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。 県の財政運営に当たりましては、財政規律をしっかりと維持し、県民サービスの確保と財政の健全化をともに実現することが重要だと考えております。そのような観点から、これまで予算編成などを通じ財政の健全性を確保し、引き続き安定的な財政運営を行っていくよう努めてきたところであります。 具体的に申し上げますと、まず歳入面では、県税徴収率の向上に向けた滞納処分の強化や遊休財産処分計画に基づく県有財産の積極的な売却など、自主財源の確保に向けた取り組みを徹底して進めてまいりました。あわせて、政策提言の強化を通じて、国のさまざまな制度設計が中山間地域を多く含む本県のような地域に配慮されたものとなるよう働きかけを行ってきたところであり、いわゆる地方創生先行型の交付金といった国の経済対策に伴う交付金や緊急防災・減災事業債など、有利な財源を一定活用することができたものと考えております。 また、歳出面では、定数削減などによる行政のスリム化を推進するとともに、徹底した事業の見直しを行うなど、歳出削減の取り組みを進める一方で、それにより生み出された財源や国の有利な財源を有効に活用し、
南海トラフ地震対策や経済の活性化などの課題解決に向け、5つの基本政策を初めとする重要施策への予算の重点化を図ってまいりました。その際には、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想など、本県の基本政策にかかわる各種計画については、
PDCAサイクルに基づく不断のチェックを行うことにより、毎年バージョンアップを図るとともに、事業のスクラップ・アンド・ビルドに徹底して取り組んでまいりました。 こうした歳入歳出それぞれの取り組みを進めた結果、本年度当初予算額は対前年度比で7年連続で増となり、
南海トラフ地震対策を含む
普通建設事業費についても、7年連続増の1,000億円となるなど、課題解決に向けて必要な予算をしっかりと確保するべく努めてきたところであります。一方で、平成20年度末には5,944億円であった臨時財政対策債を除く県債残高が、平成25年度末には5,044億円と大幅に減少したことなどにより、将来負担比率など財政の健全性を示す各指標は、全国平均を上回る良好な水準となっております。 しかしながら、歳入に占める地方交付税などの割合が高いことから、本県の財政運営は地方税財政に対する国の動向に大きく左右されるところであり、決して楽観はできないと考えております。したがいまして、今後におきましても課題解決に向けた必要な事業費を確保しつつ、安定的な財政運営に向けまして、中長期的な財政収支の展望をしっかりと持ちながら財政運営を行ってまいりたいと考えているところでございます。 次に、子供の医療費無料化に関する2月議会での答弁と拡充への考えについてお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。 子供の医療費につきまして、全国知事会等で新たな子供の医療費助成制度の創設の提言をしておりますが、これは子供が生まれ育った環境によって左右されず、全国どこでも治療費を心配することなく安心して医療を受けられるよう、社会全体で支えていくことが必要であり、子供の医療は、国の責任において全国一律に実施すべきであるとの考えによるものであります。 子供の医療費の助成制度は、現在多くの市町村で拡充に取り組まれており、中学校卒業まで医療費の無料化を実施している市町村は、所得制限等も含めますと本年4月時点で32カ所に拡充されました。子育て支援のための施策は非常に幅広い取り組みがございますが、母体管理や産前・産後ケアなど安心して子供を産み育てることができるための施策として、また少子化対策、子供の貧困対策として、どのような施策が最も効果的であるのか、県としても議論を重ねながら、限られた財源の中で実施をしているところであります。 特に本年度からは、厳しい環境にある子供たちへの支援を重点課題と位置づけ、福祉や教育分野などが連携して取り組みを進めているところであります。今後も県と市町村との役割分担をしっかりと踏まえ、市町村が先行して頑張っていただいている事業は市町村にお願いをしつつ、県としては子育て支援のための施策が全体としてさらに拡充し、より子育てしやすい環境となるよう全力で取り組んでまいりたいとの考えでございます。 次に、地域医療構想に関し国が示した報告書をどのように受けとめたのか、また国に対してどのような提案と行動を起こすのかとのお尋ねがありました。 6月15日に政府の社会保障制度改革本部の専門調査会が公表しました2025年における医療需要に対する本県の必要病床数の推計値は、国が策定した地域医療構想策定ガイドライン等に基づいて、一定の仮定のもとに機械的に推計したものでありますが、現状の病床数よりも大幅に少ないものとなっています。 必要病床数は、今後2025年におけるあるべき医療提供体制を構築するため、都道府県が地域の実情を踏まえて策定する地域医療構想において算定するものであると認識しておりますが、人口当たりの病床数が全国一多い本県においては、ある程度の減少は避けられないものと考えております。 しかしながら、本県における地域医療構想の策定に当たっては、特に多い療養病床に入院している方々の実態を把握しながら、医療と介護の適切な役割分担によりQOL--クオリティー・オブ・ライフを高めていけるような療養環境の確保とあわせて検討していく必要があります。このため、多くの関係者と現状をしっかりと共有し、理解を得ながら進めていくことが肝要であると考えております。 国においては、慢性期の医療・介護サービスについて、有識者による検討を始める予定とお聞きしていますが、その際には現に入院している方々の追い出しにつながらないよう、患者や利用者のQOLの向上にふさわしい受け皿のあり方について検討していただく必要があると考えております。あわせて、本県において在宅医療の普及や病床機能の転換を進めていくために、地域医療介護総合確保基金などの十分な財源を確保していただくよう、国に対し提言するなどしていきたいと考えているところであります。 次に、宿毛湾港と宿毛湾の産業振興の上での評価と位置づけ、また宿毛湾漁業と宿毛湾港の商業港としての発展についてお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。 宿毛湾では、ブリやマダイ、クロマグロなどの養殖業を初め、まき網や一本釣りなどさまざまな漁業が営まれております。その生産量は、本県の沿岸漁業生産量のおよそ4割を占めており、非常に重要な海域だと考えています。宿毛湾港につきましては、現在工業流通団地に進出している企業の原材料や養殖飼料、フェリーなどの物流拠点として、またクルーズ客船の寄港などの観光・交流拠点として利活用されており、地域の産業振興を支える重要なインフラであると認識しています。 今後とも、宿毛湾の漁業や宿毛湾港の発展に向けて、養殖生産量の拡大や加工・流通・販売などさまざまな漁業振興の取り組みを進めますとともに、企業誘致やポートセールスにより、西南地域における人や物が行き交う拠点として宿毛湾港の一層の利活用に努め、若者が誇りと志を持って働ける地域の実現につなげてまいりたいと考えているところであります。 最後に、宿毛市などが本年2月に防衛大臣に提出した要望書の内容を当時承知していたのか、また防衛大臣への要望活動に東京事務所長が同行したことをどのように位置づけているのかとのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。 宿毛市では、平成25年3月に宿毛商工会議所から提出された「宿毛湾港「海上自衛隊潜水部隊等」の誘致について」の請願を市議会において採択されており、これを受けて、市、議会、商工会議所が一体となって、防衛大綱の見直しなどに合わせて海上自衛隊の誘致に取り組んでおられることはよく存じております。御質問のあった本年2月の要望につきましても、その活動の一環と認識しているところであります。 自衛艦の寄港の誘致や災害支援については、地域経済の活性化や防災の観点から、県はこれまでも宿毛市と一緒に国への政策提言を行っています。宿毛市の要望にある近傍作戦根拠地については、その規模や機能などは明らかになっておりませんが、地域経済への波及効果や大規模災害時の防災支援の効果が期待される一方、実現に当たっては既存の港湾利用者との調整などさまざまな観点からの検討も必要になると考えています。 県としましても、宿毛市、宿毛市議会の意向を尊重し、また住民の皆様のさまざまな御意見も伺いながら、地元の取り組みをしっかりと支援してまいりたいとの考えでございます。 私からは以上でございます。 (教育長田村壮児君登壇)
◎教育長(田村壮児君) まず、第3子の保育料無料化の助成制度である多子世帯保育料軽減事業について、高知市にも適用すべきとのお尋ねがございました。 多子世帯保育料軽減事業については、少子化対策の一環として、子育てに係る保護者の経済的な負担軽減を図ることを目的に、同時入所を要件とする国の制度では対象外となる第3子の保育料の無料化について、独自に対応しようとする市町村に対して県が単独事業として支援を行っているものです。 高知市につきましては中核市であり、従来は保育行政に関して県と同等の立場でありましたので、県として保育料軽減に関する支援は行っておらず、そうした中で高知市が独自に第2子の保育料軽減・無料化に取り組み、現在の形になっているものと承知をしております。 今年度からスタートしました子ども・子育て支援新制度では、保育所などの運営経費に係る財源においては大都市特例が廃止となり、中核市である高知市に対しても他の市町村と同様に財源の一部を県が負担することとなりました。しかしながら、中核市は保育行政に関する認可及び監査等の権限について県と同等の立場であることは従来どおりでございますので、多子世帯保育料軽減事業についても現行のままで対応していきたいと考えておりますが、なお高知市のお考えもお聞きしていきたいと思います。 いずれにいたしましても、少子化対策については喫緊の課題であり、知事がチームリーダーを務める全国知事会の次世代育成支援対策
プロジェクトチームでは、多子世帯保育料軽減措置における同時入所要件の廃止や対象の拡大など、第3子以降への重点的な支援及び抜本強化を求める提言活動を行っております。引き続き国の動向を注視しつつ、多子世帯の負担軽減について国に働きかけてまいります。 次に、今年度の臨時教員の未配置が1カ月以上となる学校数と件数について、また県民、そして現場教職員と児童生徒の思いについてどう受けとめているのかお尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えいたします。 本年7月1日までに臨時教員を1カ月以上配置できていない学校の状況は、小学校で28校、32件、中学校で4校、4件、高等学校で2校、2件、特別支援学校で1校、4件の計35校、42件となっております。これは昨年の同時期と比べて34件の増加となっており、特に小中学校で厳しい状況にございます。 このような状況に至った大きな原因として、定年を迎え退職する小中学校の教員の数が急速に増加していることがございます。県教委といたしましては、退職者数の増加を踏まえ、新規採用者数も大きく伸ばしてきたところでございますが、教員の資質の確保や年齢構成の平準化など長期的な人員管理の面で、1年間に採用できる人数にはおのずから限界があるため、退職者の急増に見合うだけの採用がなかなかできないという事情がございます。その結果として、年度の当初から臨時教員で対応しなければならないケースが大きく増加をしてきております。 一方、それに対し臨時教員の志願者は大きく減少しておりますが、それはここ数年の採用者の増により採用待ちの教員志望者が減っていることや、少子化が進む中新たに教員を志望する者の数自体も減っていることなどによるものと思われます。また、このような状況を少しでも改善するように、退職教員の皆さんにできるだけ多く再任用での勤務や臨時教員として頑張っていただくようお願いしているところですが、教員不足の解消までには至っていない状況でございます。 本年度については、このようなことから、年度当初から小学校を中心に指導方法工夫改善等の加配教員や病休等の補充のための臨時教員を学校に配置できていない状況があり、市町村教委や学校はもちろん、児童生徒の皆さん、保護者の方々にも大変申しわけなく思っております。 なお、臨時教員が不足している中にあっても、少なくとも学級担任については欠員とならないような措置をとっており、また養護教諭につきましては、近隣校との兼務発令や看護師等の免許を持つ方に養護教員の臨時免許状を発行するなど、子供たちへの影響ができるだけ少なくなるように努めているところです。 さきに申し上げました状況を考えますと、本年度中に教員の未配置を全て解消するといったことは困難でございますが、今後少しでも未配置を減らすことができるよう、あらゆる手だてを講じてまいりたいと考えております。 次に、定数内の非正規教員の解消も含めた今後の採用計画の見通しと決意についてお尋ねがございました。 公立小中学校における教員採用者数は、児童生徒数や学級数に伴う教員定数に指導方法工夫改善等の加配定員を加えた数と退職教員数を考慮して算定しております。このうち定年退職教員数については、小学校では今後10年間で全教員の約半数に当たる1,500人余り、中学校では4割に当たる750人余りが見込まれております。このようなことから、児童生徒数や学級数に伴う教員定数の減少を考慮いたしましても、今後しばらくは毎年多くの教員を採用していくことが必要になってまいります。 一方で、先ほども申しましたとおり、長期的な人員管理の観点や、教員志望者が減少する中でも採用する教員の資質を確保しなければならないといった観点から、1年間に採用できる教員の数にはおのずと限界があり、教員定数の全てに正規教員を配置することを前提とした採用計画は現実論として不可能だと思います。 当然のことながら、来年度以降、今年度のような教員の未配置を繰り返してはなりません。そのためにも、県外会場での採用審査の実施や教職経験者を対象とした審査の一部免除の拡充、年齢制限の緩和など志願者をふやす工夫も行うことで、採用者の資質を維持しながら、採用数をしっかりと確保してまいりたいと考えております。また、定年退職する教員に対して、できるだけ多く、また長く再任用などで勤務してもらえるよう、その必要性について強く訴えてまいりますとともに、短時間での勤務にも柔軟に対応するなど、働き続けやすい条件整備にも努めてまいります。 当面は、こうしたことを初めあらゆる手だてを講じて教員の確保を図ってまいりますが、厳しい状況は今後10年程度続きますので、時期時期には教員確保のためのシミュレーションも行いながら、対策が手おくれとならないよう万全を期してまいりたいと思います。 次に、採用計画を明らかにすること、年度途中採用者数を見込むなど採用候補者名簿の見直しをすることについてお尋ねがございました。 さきにも述べましたように、今後10年間では全教員の約45%と多くの教員が定年退職を迎えることになりますので、その間必要な教員数を確保するためには、大量に採用せざるを得ない状況になると考えております。そのため、臨時教員や大学生などこれから教員を目指してほしい方には採用審査の勉強会や説明会などで、また高校生の保護者の方にはPTAの会合の場などでこういった現状をお伝えするとともに本県の教育への関心や理解を深めてもらうことで、教員への志望者数をふやす取り組みにつなげていきたいと考えております。 一方、各年度の具体的な採用計画については、必要となる教員定数をもとに、退職予定者数、再任用予定者数等を考慮しながら決定していますが、不確定な要素が多いことから、長期間を見通して採用計画を公表することは難しいと考えております。また、年度途中採用を見込んだ名簿登載につきましては、先ほど申し上げましたとおり、そもそも今後の大量退職から生ずる欠員の全てを新規採用者で補うことはできない状況にあり、年度途中での追加採用まで見込んで採用することは難しいと考えております。 次に、教職経験尊重の採用審査を実施している他県の取り組みを参考にして、審査方法を再検討することについてお尋ねがございました。 現在、教員採用選考審査においては、現職教員、臨時教員、元教員を対象に、第1次審査の免除や一部免除といった教職経験者を優遇する措置を講じているところです。今後も他県の取り組みも参考にしながら、先ほど申し上げました教職経験者に対する優遇措置の拡充や年齢制限の緩和など、優秀な教員を幅広く確保できるよう審査制度の改善を検討していきたいと思います。 次に、臨時教員の処遇改善についてのお尋ねがございました。 これまでは、臨時教員の業務の実態や必要性等を踏まえながら、任用期間の改善を図ってまいりました。本年度からは、これまで3月24日までの任用期間であったものを、小中学校にあっては原則3月26日まで、県立学校にあっては3月30日までそれぞれ延長することとしました。さらに、来年度からはこれまで4月2日からであった任用を4月1日からに前倒しいたします。4月1日からの任用となることにより、臨時教員には4月分の通勤手当、扶養手当、住居手当が支給されることとなります。また、全体の任用期間が延びることで、次の任用までの期間が短くなることから、次の年度も臨時教員として任用される予定であることが明らかになっている場合には、厚生年金保険及び健康保険が継続扱いとなります。以上のとおり、臨時教員の処遇については、できる限りの改善を図っているところでございます。 最後に、本県の小中学校のエアコンの整備状況をどのように考えているのか、また設置を積極的に推進する計画を県教育委員会としてつくるべきではないかとのお尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えいたします。 文部科学省による調査では、平成26年4月1日現在で小中学校の普通教室へのエアコン設置率は、御指摘のとおり全国で32.8%のところ本県は13.8%であり、47都道府県中29番目の整備率となっております。また、県内小中学校別の設置率につきましては、小学校が9.7%、中学校が24.7%と小学校で特に低い状況でございます。小中学校へのエアコンの設置が余り進まない要因の一つとして、現在本県においては、まずは耐震化などの緊急性の高い課題に取り組んでいるという実情があるものと考えております。 これまで県教育委員会といたしましても、夏休み等における子供たちの図書室の活用を進めるため、平成24年度からの3年間で県単独の補助制度を設けまして、小中学校の図書室へのエアコン設置を促進してまいりました。その結果、71校に設置をされております。一方、普通教室へのエアコン設置につきましては、各市町村がそれぞれの学校の状況に応じて、主体的に対応していただきたいと考えております。 県内における小中学校の耐震化も完了に近づいてまいりましたので、今後は市町村による普通教室へのエアコン設置等の学校環境改善対策も進んでいくものと期待しているところであり、県教育委員会といたしましても、引き続き国の支援策の活用も含め助言等を行ってまいりたいと思います。 (健康政策部長山本治君登壇)
◎健康政策部長(山本治君) 本県の病床機能報告における病床数と国が示した2025年の病床数との差についてお尋ねがありました。 本県の病床機能報告制度における平成26年7月1日現在の病床数は、高度急性期が1,531床、急性期が4,938床、回復期が1,571床、慢性期が6,892床、県合計で1万4,932床となっています。 一方、政府の専門調査会が公表した2025年の必要病床数の推計値は、高度急性期が800床、急性期が2,800床、回復期が3,300床であり、それぞれの差は高度急性期が731床、47.7%の減、急性期が2,138床、43.3%の減、回復期が1,729床、110.1%の増となっています。 また、専門調査会の推計値のうち、慢性期はパターンAからCまでの3種類にパターン分けがされていますが、入院受療率--人口10万人当たりの1日平均の入院患者数ですが--を全国最小値まで低下させるとするパターンAでは4,492床、65.2%の減、入院受療率を全国中央値レベルまで低下させるとするパターンBでは3,692床、53.6%の減、パターンBの推計年次を2030年まで5年間延長した場合における2025年時点の値を示したパターンCでは2,592床、37.6%の減となっています。高度急性期から慢性期までの4つの医療機能区分を合計した病床数の差は、パターンAが5,632床、37.7%の減、パターンBが4,832床、32.4%の減、パターンCが3,732床、25.0%の減となっています。 次に、国が示した病床数についてどのように受けとめているのかとのお尋ねがありました。 今回の推計値は、国が都道府県に対して示した地域医療構想策定ガイドラインにおける計算方法、すなわち高度急性期から回復期にあっては2025年の推計人口に2013年度の入院受療率を掛け合わせた医療需要を、慢性期にあっては入院受療率の地域差を解消させるための3つのパターンの減少比率によって算出した医療需要を、それぞれ病床稼働率で割り戻す計算方法によって機械的に算出されたものですが、そのまま適用されないとしても、人口当たりの病床数が全国一多い本県にとっては大変厳しい数字であると受けとめています。 本県における地域医療構想については、学識経験者や医療・介護の提供者、医療保険者、医療を受ける立場にある方々を委員とする地域医療構想策定ワーキンググループを今月設置し、検討に着手する予定です。ワーキンググループでは、構想区域の設定や医療需要に基づく必要病床数を踏まえた医療提供体制といった事項について検討していただきたいと考えています。 先ほど知事からの答弁にもありましたように、療養病床に入院している方々の実態を把握するため、体の状態や医療の内容、療養にふさわしい施設、サービスなどについての調査を行うなど、関係者の理解のもと、医療と介護の適切な役割分担により、県民個々人のQOLに適した療養環境を確保していくことがとりわけ重要であると考えています。 (農業振興部長味元毅君登壇)
◎農業振興部長(味元毅君) まず、農地中間管理事業に関する今回の規制改革実施計画をどう受けとめているのか、また国に対して農家、地方の声を届けるべきではないかとのお尋ねがございました。 6月30日に閣議決定されました規制改革実施計画については、今後詳細が決まっていくものと承知をしておりますが、例えばお話のあった遊休農地の課税強化につきましては、比較的営農条件のよくない土地であることが多い遊休農地が、仮に農地中間管理機構に貸し出されたとしても、条件のよい農地を希望する担い手への農地集積に対する効果は小さいのではないか、また実績を上げた県への予算の優先配分については、実績が低い県では本来積極的に支援するべき意欲的な担い手のやる気をそぐことになるのではないかといったことが考えられます。県といたしましては、本県農業の発展につながるような施策の見直しとなるよう、さまざまな機会を捉えて国に対して地域の実態を伝えてまいります。 次に、本県の農地中間管理機構の実績とその評価、問題点についてのお尋ねがございました。 本県では担い手への農地集積を今後10年間で2割から6割までふやすことを目標とし、昨年度は農地中間管理事業を活用して100ヘクタールの集積を目指してまいりました。農地の集積には農地所有者との信頼関係の構築が重要であることから、現地に入り込んで活動する推進支援員を農地中間管理機構に順次配置し、農地の権利関係の調査、出し手と受け手との合意形成などに取り組みました。その結果、昨年度は貸借で23.8ヘクタール、売買で3.9ヘクタール、合わせて27.7ヘクタールの農地が農地中間管理機構を通じて集積をされましたが、年間の集積目標には届いておりません。 こうした実績につきまして、外部委員から成る農地中間管理事業評価委員会から機構に対し、体制整備や取り組みはおおむね評価できるが、目標達成のためには一層の工夫と努力が必要との意見が出されています。そこで、本年度はこれまでの取り組みをさらに強化するために、推進支援員を増員するとともに、農地を借りたいという人が必要としている農地の具体的な条件を再度確認して地域を絞り込み、その地域の事情に詳しい農業委員等のより積極的な協力を得て、出し手の掘り起こしに努めてまいります。 最後に、農地中間管理事業の改善や、将来にわたって農地を守っていくための取り組みについてのお尋ねがございました。 御指摘のありました、受け手が見つかるまでの農地管理と地域の担い手を貸付者に選定することについては、本県では一定の条件のもと、既に対応できる仕組みとしているなど、事業のルールの範囲内ではございますが、地域の実情に即した運用に心がけているところでございます。 一方、機構集積協力金については、交付要件である貸借期間の短縮など、現場で柔軟な活用ができるよう、国に対して要件の見直しを提言しております。今後さらに効果的な事業を実施するためにも、今回いただきました御意見や現場の実情を踏まえ、さらなる改善につなげたいと考えております。 あわせて、将来にわたって地域の農地を守っていくためには、地域の農地をどうしていくかの明確なビジョンと合意のもとに、農地の担い手への集積などに取り組んでいく必要があると考えています。県といたしましては、市町村や農業委員会などと一体となって、地域農業の将来像についての話し合いを促すとともに、集落営農の推進や基盤整備など各種施策を組み合わせ、計画的な農地集積に取り組んでまいりたいと考えております。 (土木部長奥谷正君登壇)
◎土木部長(奥谷正君) 宿毛湾の海底調査について、どのような説明を受け同意をしたのかとのお尋ねがありました。 宿毛湾周辺での海底調査については、海上自衛隊から説明を受けておりません。また、調査を実施した場所は公表されていませんが、仮に港湾区域内でも新聞記事にあるような調査であれば、工事や占用に該当せず、また港湾の利用、保全、開発等に支障を与えるおそれがないことから、港湾法に基づく手続を行う必要はないと考えております。
◆37番(塚地佐智君) それぞれ答弁いただきましてありがとうございました。 それでは、2問を行わせていただきたいと思います。 まず、原発の再稼働問題で知事にお伺いをいたします。 基準地震動の問題は、これから勉強もして、大いに問題点も勉強会の中でさらに深めていただきたいということはお願いしておきたいと思うんですけれども、最後に御答弁をいただきました自然エネルギーへの転換ということで、ぜひ具体的にそういう方向を進めていただきたいと、具体的提言もしていきたいという御答弁をいただいたと思います。 その具体的な点が何かということで、ぜひこういう御提案をしていただきたいなと思っていることで、1つは2014年度の四国電力の決算が発表されまして、それを見させていただきますと、電気料金の値上げ等によって収入もふえまして、経常利益は194億円ということが計上されたわけです。一方、支出のほうでは発電をしていない原発を維持するために、これが48億円ふえて642億円という数字、私の調査ではそのような数字になっています。 また、電気事業の設備投資では、548億円のうち原発関連が269億円というふうに半分を占めておりまして、自然エネルギーの普及に必要な送電網の整備ですとか、効果を上げるための投資というのは45億円にとどまっているというような状況の数字を、私のほうでは調査をさせていただいているんですけれども、この間議会でもずっと提案をしてきたように、発電をしない老朽化した原発をそのまま維持するための維持経費というものが大変大きなウエートを占めている状況です。 やっぱりそこを改めさせていくということが、これから自然エネルギーへの転換も脱原発ということの具体化にとっても、非常に重要なポイントになるのではないかというふうに思いますので、ぜひ知事が先ほどおっしゃった具体的な提案をしていくということに--老朽化した原発の廃炉ですね、そのことに早急に取り組むべきではないかという具体的提案をぜひ行うべきではないかというふうに思っておりますので、その点1点伺いたいと思います。 それともう一点、宿毛湾の問題について知事に伺います。 私は先ほどの知事の答弁にちょっと驚いてしまいましたが、私が今回問題にいたしましたのは、統合近傍作戦根拠地というものが今回新たに提案をされたわけです。今回新たに提案をされた中身が、私たちは初耳だし、中身としてどんな規模になるのかもわからないし、書かれていることを見ると、訓練や部隊の再編も行うということが書かれてあります。これまで宿毛湾の活用でこういったことが行われるようになるということは、議会でも議論もしていません。 先ほど知事は御答弁で、規模や機能は明らかにはなっていないが、自衛隊の誘致はというふうにおっしゃいました。規模や機能が明らかになっていないのに、それを認めるという態度はいかがなものかと。しかも先ほどおっしゃったように、宿毛湾港を商業港として発展させる、宿毛湾の漁業を発展させると、そこにどんな矛盾が生じるのかという具体的な中身も示さなくて、これを推進していくということをただうのみにする発言でどうなのかという点は、もう一度、再度御答弁を求めたいと思います。 とりあえず2問をお願いいたします。
◎知事(尾崎正直君) まず原発について、御指摘のように老朽化した原発の廃炉を求めていくべきではないかというお話であります。 老朽化した原子力発電所についてどうするべきかということについて、我々もこの勉強会でも確認をしている中、平成28年に向けていろいろと検討を重ねていくというふうに、四国電力においても今のところは一般論的な回答をいただいているわけでありますけれども、今後少し議論を深めさせていただきたい論点だなと、そのように考えているところであります。 ただ、先ほど言われましたように、確かに発電をしていない原発が大きく経費を食っていることも確かでありましょうが、他方で廃炉ということになりましても、また膨大なお金がかかることは塚地議員も御存じのとおりでありまして、やはりそういうところのトータルのバランスも考えないといけない問題であるというところは、1点留意点として挙げさせていただきたいと、そのように思います。 ただもう一つ、私も脱原発という話を申し上げ、その方向を維持すべきだということを言っております。そして、その進展スピードそのものについては正直、科学技術及び社会のシステムいかんによるんだろうと、そのように考えています。10年後にできるようになるかもしれませんし、100年かかるかもしれません。ただ、いずれにしてもその方向性というのをいかに維持し続けるかということが非常に大事だと思いますし、その具体的な努力をしっかりし続けるということが非常に大事だと思います。 我々県としても、ささやかかもしれませんが、木質バイオマス発電所を初め、一つ一つの取り組みを進めていますし、それは私は県の利益にかなうと思っています。ぜひ、四国電力に対しても具体的な努力というのを求めていきたいと、そのように考えておるところであります。 それと、2点目の宿毛湾についての話でありまして、確かにそれはうのみをしてはいけないでしょうから、よくよく調べて対応も決定していくということになろうかと思いますが、ちょっと2点。 1点、先ほど私がちょっと言及もさせていただきましたけれども、宿毛市議会において、そもそも海上自衛隊潜水艦部隊及び掃海部隊の宿毛湾港誘致についてということで、市議会としての請願採択がされているわけであります。そして、御指摘のこの要望書につきましても、私コピーを持っておりますけれども、これによりますと、宿毛市長、それから市議会議長、そして商工会議所会頭、これが連名で要望されているというわけでありまして、それはやはり宿毛市として一定その関係者、しかも中心となられる方々が、議会も含めてこれはされた要望ということになるんだろうと思います。 市議会で採択された一定の方向感のもとにおいて、今回市長さんと市議会議長さんとそして商工会議所の会頭さんがそういう要望をされたという事実というのは、それは重いし、私は基本的に市町村が行っていこうとされていることについては、しっかり応援をさせていただきたいという立場でありますから、そのことを申し上げたわけであります。ただ御指摘のように、確かに近傍作戦根拠地という言葉が意味するところがどういうことであって、どういう影響があるか、広域的にもどういう影響があるかということについては、宿毛市の皆さんともよく議論をさせていただかなければいけないところは、それはあると思いますし、また住民の皆さんに懸念の声がある--それは私はきょう議会で議員に伺いましたけれども、ということであれば、そこにも耳を傾けなければならないことは確かだろうと思います。 ただ、こういう要望書が、こういう連名でもってなされているということ、そして過去の市議会での採択があるということ、この事実はそれはそれでまた重いのではないかなと、そのように思っています。
◆37番(塚地佐智君) 御答弁ありがとうございました。時間がございませんので。宿毛湾の問題は、自衛隊の基地の誘致は難しいと判断をして、今回こういう要望に変えたんだというのが市長のお話でございます。それは自衛隊の基地だと漁業に与える影響も大きい。で、これに変えたんだと。でも、その変えた中身は具体的には私たちにもわからないし、しかも漁業にどれだけの影響が与えられるかもわかっておりません。議会でもこの問題は議論はされていないというふうに私も伺っております。それは事実を確認していただいて、県がこの3名の連記が上がってきたから住民の合意なんだ、市議会の合意なんだというふうな受けとめでは、私は実態と誤っていると思いますので、よく調査をしていただいて、これからの対応を、宿毛湾港を商業港として、宿毛湾を本当に美しい漁場として守るというやっぱり知事の姿勢を、最初に示した姿勢を崩すことなく、それに影響があるならストップをかけるというぐらいの県の重要港湾と漁業を守る立場で、ぜひとも御尽力いただきたいということをお願いしておきたいと思います。 教育長、大変御苦労されている臨時教員問題、あえて聞きませんけれども、10年間の長期スパンを考えたときに、採用をするのはなかなか難しいんだというふうにおっしゃっています。10年先にどうするかという問題ではなく、やっぱり今この時点で、本当に目の前で子供たちが先生がいなくて困っているという状態は、まさに緊急事態で非常事態だということです。私はやっぱり非常事態宣言を発するぐらいの気持ちで、この問題の解決に全力で当たっていただきたいということをお願いしておきます。 そして最後に、もう時間がありませんが、知事、安保法制の関係は、やっぱり知事、もう少し認識を深めていただかなくてはなりません。国自身が立法事実を示さない中で、この立法事実がないと言われている状況で、知事が思いつきでおっしゃられても、これは納得がいかないということを申し上げて、私の一切の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(三石文隆君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明3日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。 午後5時3分散会...