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07月09日-03号

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  1. 高知県議会 2009-07-09
    07月09日-03号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成21年  7月 定例会(第303回)        平成21年7月9日(木曜日) 開議第3日-----------------------------------出席議員       1番  桑名龍吾君       2番  高野光二郎君       3番  武石利彦君       4番  中西 哲君       5番  三石文隆君       6番  森田英二君       7番  浜田英宏君       8番  樋口秀洋君       9番  山本広明君       11番  元木益樹君       12番  土森正典君       13番  西森潮三君       14番  結城健輔君       15番  西岡寅八郎君       16番  清藤真司君       17番  ふぁーまー土居君       18番  梶原大介君       19番  横山浩一君       20番  上田周五君       21番  式地寛肇君       22番  黒岩直良君       23番  佐竹紀夫君       24番  中内桂郎君       25番  植田壮一郎君       26番  西森雅和君       27番  黒岩正好君       28番  池脇純一君       29番  大石 宗君       30番  坂本茂雄君       31番  井上自由君       32番  田村輝雄君       33番  江渕征香君       34番  沖本年男君       35番  中根佐知君       36番  谷本敏明君       37番  米田 稔君       38番  塚地佐智君       39番  田頭文吾郎君欠席議員       10番  溝渕健夫君-----------------------------------説明のため出席した者  知事       尾崎正直君  副知事      十河 清君  総務部長     恩田 馨君  危機管理部長   森部慎之助君  健康政策部長   坂東隆志君  理事(医療           畠中伸介君  センター担当)  地域福祉部長   小田切泰禎君  文化生活部長   大崎富夫君  産業振興           岩城孝章君  推進部長  理事(交通           隅田 明君  運輸政策担当)  商工労働部長   高松清之君  観光振興部長   秋元厚志君  農業振興部長   田中正澄君  林業振興・           臼井裕昭君  環境部長  水産振興部長   杉本雅敏君  土木部長     石井一生君  会計管理者    吉岡和夫君  公営企業局長   長瀬順一君  教育委員長    宮地彌典君  教育長      中澤卓史君  人事委員長    起塚昌明君  人事委員会           中村文雄君  事務局長  公安委員長    西山昌男君  警察本部長    平井興宣君  代表監査委員   奴田原 訂君  監査委員           池田進助君  事務局長-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長     鍵山和司君  事務局次長    北 俊介君  議事課長     森下幸彦君  政務調査課長   野瀬孝志君  議事課長補佐   橋田博之君  主任       森沢 麻君  主任       杉本ゆかり君-----------------------------------議事日程(第3号)   平成20年7月9日午前10時開議第1 第1号 平成21年度高知県一般会計補正予算 第2号 平成21年度高知県用品等調達特別会計補正予算 第3号 平成21年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第4号 平成21年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第5号 平成21年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算 第6号 平成21年度高知県病院事業会計補正予算 第7号 高知県介護基盤緊急整備等臨時特例基金条例議案 第8号 高知県介護職員処遇改善等臨時特例基金条例議案 第9号 高知県地域自殺対策緊急強化基金条例議案 第10号 高知県森林整備加速化林業再生基金条例議案 第11号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第12号 過疎地域等における県税の課税免除に関する条例及び半島振興対策実施地域における県税の不均一課税に関する条例の一部を改正する条例議案 第13号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第14号 高知県障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例議案 第15号 高知県安心こども基金条例の一部を改正する条例議案 第16号 高知県流域下水道条例の一部を改正する条例議案 第17号 高知県警察の設置及び定員に関する条例の一部を改正する条例議案 第18号 南国と香美との境界の一部を変更する議案 第19号 浦戸湾東部流域下水道高須浄化センターの建設工事委託に関する協定の締結に関する議案 第20号 公立大学法人高知工科大学に係る中期目標の制定に関する議案第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時1分開議 ○議長(元木益樹君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(元木益樹君) 直ちに日程に入ります。 日程第1、第1号「平成21年度高知県一般会計補正予算」から第20号「公立大学法人高知工科大学に係る中期目標の制定に関する議案」まで、以上20件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 29番大石宗君。   (29番大石宗君登壇) ◆29番(大石宗君) おはようございます。県民クラブの大石宗でございます。議長のお許しをいただきましたので、会派を代表いたしまして質問を行いたいと思います。この県政において大変重要な時期に行われる議会におきまして、昨日も大変活発な議論が行われたところでございますが、本日は私がトップバッターとしての登壇でございます。さらに活発な議論の口火を切ることができればというふうに思っておりますので、知事以下執行部の皆様、何とぞよろしくお願いを申し上げます。 今議会は、国の13兆9,000億円という大型補正予算、緊急追加経済対策を受けて、我が高知県の編成した総額382億円という7月議会としては戦後最大の予算案を議論するものでございます。国の補正予算に関しては、国会でも議論がされたところでございますが、緊急経済対策が必要だとの考え方は同じくするものの、緊急と言いながら短期的な経済効果の見込めない基金の造成に多額の予算を計上したことや、米国オバマ政権が経済対策として行った個人や家庭への減税や補助をほとんどせずに、霞が関だけで巨額の予算の使い道を短期間で決めてしまったことは到底納得できるものではございませんし、体力の低下している地方の弱み、言いかえれば欲を見透かしたような予算のばらまきは、選挙対策の意図も見え隠れする卑劣なやり方だと考えます。政策の中身に関しても、明らかに議論不足のまま予算がついているものも多く、時間のない中で査定のプロである財務官僚の皆さんはさぞ御苦労をされたのではないかというふうに思います。 しかも、今回の補正予算の財源のほとんど、10兆8,190億円は国債を追加発行して構えたものであり、いわば将来を担う世代のクレジットカードを使って事業を行うという性質のものでございます。このクレジットカードの借金は、本年度だけで当初予算と合わせ44兆1,130億円にも上り、過去最大規模に膨らみました。だからこそ、真に必要な緊急経済対策を真摯に行うことと、いずれ返済をしなければならない将来を担う世代に対して説明責任のできる使い方をすること、この2つが政府に求められておりましたが、残念ながらこの点に関しては政府からの誠意ある答えはないままに、随分、昔の民意で得た議席を使った衆議院の優越によって予算が成立をしてしまいました。財政をつかさどる政治の責任であり、力量が問われるのは、あればあるだけ使うということではなく、いかに最低限度の支出で最高の効果を図るのかということでございますが、麻生首相は既にその責任を放棄したようにも思えてなりません。まさに国民不在、後世に不名誉な名を残す予算成立劇であったと思います。 そこで、知事にお伺いをさせていただきます。先ほど申し上げましたように、今回の国の補正予算の財源のほとんどが赤字国債を発行して成り立ったものであり、将来を担う世代に大きな負担を強いたことは否めません。もちろん、地方自治体の首長として、財源ができたことで思い入れのある事業が数多く進められる、そのこと自体は県勢の発展に向けて腕を振るえる場ができたと、知事が国を評価する側面もあることは当然のことかと思いますが、将来を担う世代からすれば今回の財政出動のあり方については一方では、不安もあるのが現実であると思います。 地方自治体の首長として、今回の国の補正予算のあり方に関して手放しで評価をしてよいのか、御所見をまずお伺いしたいと思います。 また、今回の国の補正予算に関連して、多額に積み上げられた基金事業は国の縛りが強く、使い勝手が悪いものが数多くございます。まさに補助金行政の復活であり、言いかえれば地方分権といった観点からは逆行をするものではないかというふうに思うところでございます。そういった中、最近は、公明党の皆さんとともに政権を担当する自由民主党の皆さんは、地方分権を掲げる東国原宮崎県知事を総裁候補または閣僚として迎え入れようとしているという報道がまことしやかになされるところでございますが、片や地方分権を掲げた人間を党の顔として招き入れる、片やそのスローガンからは逆行したような取り組みをするその姿勢に、片手で握手をしながらもう一方の手でびんたをするような、何か違和感を感じるところであります。 まずは、この基金事業のあり方に対して知事が地方分権の観点からどのような所感を持っておられるのか、お伺いいたします。 また、地方分権とは、人によってまだまだとらえ方が違うものであり、私たちの住む高知県にとっても、その中身によっては毒にも薬にもなるような性質のものでございます。この地方分権について知事はどのような考え方を持っておられるのか。また、東国原氏が総理もしくは総務大臣になる可能性があるということで、東国原氏の訴える地方分権の中身も非常に気になるところでございますが、残念ながらメディアを通じた情報では余り中身が理解をできません。 全国知事会等を通じて少なくとも我々よりは接触のある知事は、氏の地方分権論をどのように評価しているのか。そして、東国原氏が総理もしくは総務大臣として、その東国原流地方分権論を進めたときに我が高知県にはどのような未来が待っているのか、お答えできる範囲で構いませんので御所見をお伺いします。 これまで、国の補正予算の不十分さについてお話をさせていただきました。しかし、幾ら不十分であっても、一たん国の予算が成立した以上それを最大限に活用し県民の生活を向上させることが県の役割であり、そういった意味では国の補正予算成立後の我が高知県の取り組みは開会が例年よりもおくれたことも、時間がない中で綿密に予算査定をした結果であると思いますし、できるだけ国の補正の中身が出そろうことを待つ必要があったことも考えれば当然の判断であります。また、個々の事業に関しても、今まで本県にとってどうしても必要であった事業も多く、時間のない中で真摯に政策立案をされた姿勢については評価をしておるところでございます。 そういった中、先ほど述べさせていただいたように、国の財政状況も不安、将来を担う世代の未来についても、これだけ先行き不透明な時代において非常に重要になってくるのが、私は県庁職員の皆さんの仕事に対する取り組み方だと考えます。ちょうど5日の日曜日から、故城山三郎氏の小説「官僚たちの夏」がテレビドラマ化され、放映が始まったところでございます。原作は戦後間もない時代において、焼け野原になってしまった日本の再生に時代の変化に翻弄をされながらも夢と希望、責任感を持って立ち向かっていく通産官僚の姿を描いたものでございますが、私はちょうど半年ほど前にたまたま手にとって読んだことを覚えています。そのときに、当時の官僚の皆さんの息遣いが聞こえてくるような労作に、作者の城山氏に対して敬意を表する思いを抱いたとともに、苦悩しながらも大志を抱いてがむしゃらに働く登場人物が知事の姿に重なって見えたことを思い出しました。 今、政治改革に対する議論の中で注目をされておりますのは、先ほど申し上げました地方分権とともに官僚政治の打破というものでございますが、この本質はあくまでもシステムの問題であり、官僚の存在意義や、もちろん人格を否定するものではないと考えます。むしろ、特に都道府県のような二元代表制の政治構造におきましては、その政策立案機能に代表されるように、知事以下県職員の皆さんの存在、仕事ぶりは非常に重要であると考えます。 そこで、ちょうどこの4月から新規採用の新しい職員の皆さんも入庁をされたところでございますので、まずは知事がリーダーとして県庁職員の皆さんにどのような役割を期待しているのか、そして夢と希望と責任感を持って気持ちよく仕事ができる環境をつくるために何が必要だと考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。 続きまして、今7月議会で提出をされました個々の予算案に関して質問をさせていただきます。まず最初に、介護基金事業についてでございます。国の基金事業に対応して、県でも介護基盤緊急整備等臨時特例基金介護職員処遇改善等臨時特例基金が積み立てられ、今後、介護に携わる職員の処遇改善や介護施設の設備の充実などが図られることになっております。厳しい介護の現場の状況から、今までも支援の必要性が議論をされてきたところでございます。 今回の処遇改善措置に関しては3年という期間限定の取り組みであることや、対象施設や職種が限られることが想定をされることなど、現場の実態から考えるとその場しのぎであり不十分な政策になりかねないおそれがあると考えますが、このような実態をどのように考えておられるのか。また、今後、県として国の不十分な取り組みを踏まえた上でどのような取り組みを進めていこうとされるのか、地域福祉部長に御所見をお伺いいたします。 続きまして、公共交通政策に関連をいたしまして高知龍馬空港の発着路線維持について質問をさせていただきます。今議会で提出をされました補正予算案の中には、高知龍馬空港の発着路線維持のために、利用率の低下をしている伊丹線などの着陸料相当額を航空会社に補助するという内容が盛り込まれております。7日の高知新聞夕刊で関西空港路線が廃止の見通しという記事が掲載をされましたが、利用客の低下によって赤字路線の増加をしている我が高知県の航空路線の維持は、公共交通のあり方としても、観光客誘致に向けた取り組みを考えても喫緊の課題でございます。そういった中、国管理の空港でありながらこれほど踏み込んだ支援をするのは異例のことだと思いますが、先ほど申し上げましたような厳しい状況をかんがみますと、一定理解をするところでございます。 しかし、今回の方法は、ある意味で利用者がいてもいなくても補助をする制度であるために、航空会社の営業努力が鈍るのではないかということや、公共交通政策の本筋であります利用者促進につながるような政策ではないことが懸念をされるところでございます。航空機の利用を促進する手法は、航空会社への直接補助だけではなく、例えば航空券の購入に補助をすることで利用者にもメリットを明確にし航空機の利用を促すことも一つの方法ではないかと考えます。 このあたりの判断は今後の公共交通政策のあり方とも大きくかかわってくることだと思いますので、今回の支援策の検討内容とその効果について交通運輸政策担当理事にお伺いをいたします。 次に、本県の地産外商戦略に関連する質問をさせていただきます。まず最初に、本県のブランド化、イメージ戦略についてお聞きをしたいと思います。地産外商や観光客誘致に力を入れていくこれからの本県にとって非常に重要なのは、本県の魅力をいかにわかりやすく、また魅力的にアピールをしていくかということだと考えます。特に、近年、商標法の改正を契機に地産品のブランド化に対する関心が広まり、ひいては馬路村がとったように地域全体のブランド化を図る事例もあらわれてまいりました。私も含めまして高知県人というものは、高知は世界一有名だというふうに思っている節がございまして、何となくブランド力ということでいうと高知は全国でも上位にいるのではないかと思いがちでございますが、いろいろなリサーチ会社の指標を調べてみますと、実は下位をうろうろしているというのが現状のようでございます。 こういった現状を打破し、高知県としてのブランド力を高めはぐくんでいくためにも、高知県全体としてのブランド化、イメージ戦略が非常に重要になってくると考えますが、その手法について県としてはどのような取り組みを考えておられるのか、知事にお伺いしたいと思います。 次に、地産外商機能を担う新財団法人について産業振興推進部長に御質問をさせていただきます。まず、商品計画機構の解散に関連をする質問でございます。解散後、機構が行っていた卸売業務を財団が引き継がないことに関して、昨日中西議員、米田議員が取り上げた内容は私も当初から心配をしておりましたが、きのうのお二人との議論を通じまして県の考え方が一定理解をできた部分ともう少し確認をさせていただきたい部分、両方ございますので、きのうの議論の経過も踏まえまして何点か御質問をさせていただきたいと思います。 まず、商品計画機構が現在取得をしている百貨店との取引口座についてでございます。きのうの中西議員との議論の中で、取引口座がなくなることについて、財団がすべてを行うのではなく、県内の事業者の自主的な努力を引き出し、みずからが取引先に口座を開設できるような支援をすることが長い目で見て必要だとのお話があったように思います。考え方としては全くそのとおりであると思う反面、きのうの議論の中で出たように、小規模事業者が多い本県の状態を考えますと、現実的にはハードルが高いのではないかとも思います。特に百貨店の取引口座の取得はハードルが非常に高く、商品計画機構も手に入れるまでに随分御苦労をされたとの話も聞いておるところでございます。 この取引口座の取得に関して県はその実態をどのように把握をしているのか、お伺いいたします。 また、今度の財団の売りは、利益重視の株式会社では扱えなかった商品も手広く応援をするということでございますが、卸売機能を完全に民間に任せる以上、そういったある意味でリスクの高い商品はそもそも流通に乗りにくいのではないかというふうに考えます。その場合、アンテナショップ店頭での扱いが主になると思いますが、重要なポイントである消費者の動向の把握は店頭販売だけでつかめると考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、計画をしているアンテナショップの設置について、有力な候補地とされておる銀座、有楽町エリアには既にほかの自治体のアンテナショップが多数進出をしておりますが、このエリアに出店するとなれば、よほど独自性を出さないと埋没するおそれもあると考えます。具体的な戦略を現時点でお持ちなのか、あればその内容をお伺いさせていただきたいと思います。 次に、本県の未来を担う成長産業について順次質問をさせていただきます。今回の補正予算は、冒頭述べさせていただきましたように緊急経済危機対策ではありますが、赤字国債がその財源であるならば、将来を担う世代への投資であることも忘れてはならないというふうに思います。本県は、長らく公共事業依存型の産業構造であると言われてまいりました。今回の経済対策でも普通建設事業費が大幅に増加していることは、その一端であると思います。確かに知事のおっしゃるとおり、普通建設事業の経済波及効果は大きゅうございますし、おくれているインフラ整備を進める上でも大変に重要な取り組みであると思います。しかし、知事のお言葉をおかりいたしましたら、おくれている本県のインフラ整備との言葉どおり、長期的に見ればおくれがなくなった場合にはおのずと事業は減少をするものであり、やはり永続的に経済を回していけるシステムとしては不十分なのではないかと考えます。 そこで、本県の将来の産業構造を考えたときにやはり重要になってまいりますのは、変化の大きい時代に対応したリスクヘッジのあり方を踏まえ、特定の産業に依存するのではなく、一つ一つは大きくなくとも息が長く続く産業に目を向け、県としての将来ビジョンを描かなければならないときだと考えます。 知事は高知県のリーダーとして、将来にわたって高知県が生き残っていくためにはどのような産業に力を入れるべきか、またどのような産業にこれから成長の可能性があると感じておられるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、私の考える成長産業について幾つか御質問をさせていただきたいと思います。まず、クリエーティブ産業の育成についてでございます。中央集権から地方分権へ、この流れは最近もメディアを騒がせている大阪や宮崎の知事がお題目のように唱え、世間の注目を浴びておるところでございますが、両知事が取り上げるよりも随分前からいろいろと議論がなされてきたところでございます。法的には、2000年に国と地方の対等原則を盛り込んだ地方分権一括法が施行をされまして、今日地方分権改革の法的基礎となっております。こういった地方分権の流れ、そしてグローバリゼーションが進む世界情勢の中で、これまでの金太郎あめのような地域の創造から脱却し、わかりやすく言えば、違いをよしとする地域の創造が求められるようになりました。 そういった中で、これからはさらに地域の特性や個性を生かした社会を創造することが必要不可欠でございますが、そういった社会の創造のために、そして先ほど質問をさせていただきました県としてのブランド戦略を戦略的に進めていくためにも、クリエーティブ産業の育成というものが非常に有効ではないかという考え方のもとに、以下質問をさせていただきたいと思います。 クリエーティブ産業、聞きなれない言葉だと思いますが、これは現代文化と伝統文化双方を包括したコンテンツ、情報伝達媒体であるメディア、出版、広告、建築など、知的財産を活用する産業全般を一つの輪の中で考えていくという考え方でございます。我が国は、先述させていただいたものそれぞれが、経済産業省や文部科学省、総務省といったように所管が分かれており、それぞれ別々の戦略がとられておりますが、そもそも知的財産を活用する産業はそれぞれ非常に連関性が高いことを踏まえても、これでは縦割り行政の弊害を受けることはもちろん、スケールや相乗効果といった点を考えても、アプローチの手法としては不十分でないかと考えます。 クリエーティブ産業を国家の基幹産業の一つとして位置づけ、国家戦略として産業育成を図っているイギリスでは、1997年に首相に就任をしたトニー・ブレア氏が、クリエーティブ産業タスクフォースを組織、クリエーティブ産業の振興や国家ブランド戦略を協議した上でさまざまな施策を実行に移しました。その結果、現在はイギリス経済への貢献度で1位の金融、2位の食品・服飾産業に続いて第3位、GDPにおいて8.2%を占めるほど成長しております。また、観光を初め他産業への相乗効果も大きく、文化という地域独自のソフトを強化していくことで地域経済の活性化にもつながっているというふうに言われております。 そこで、我が高知県でございます。本県は、古くからある伝統文化と漫画を初めとする新しいコンテンツ文化の共存する芸術性の高い土地でございますし、土佐派の建築やサンゴ装飾、よさこい祭りなどのソフトも多種多様、豊富に残されている上に、全国でも例を見ない映画の自主上映イベントが成功裏に終わるなど、文化に対する思い入れも深い県民性を持っていると思います。こうした地域学的優位性や、産業振興計画でうたわれている県産品の販売や観光客誘致に対する相乗効果、独自の文化をはぐくむことで得られる地域の誇りというものを考えましても、このクリエーティブ産業を本県の基幹産業として認識し、産業振興を図り人材育成のシステムを構築し、知的財産に対する保護を強化していくことは本県にとって大いにメリットがあると考えます。ある意味で国の政策の先を行くような考え方でございますが、国よりも動きの軽い県だからこそできる、そして地域の独自性を図っていかなければならない県だからこそやらなければならない取り組みでございます。 知事の画期的な政治判断を期待しながら、このクリエーティブ産業育成の必要性に関して御所見をお伺いしたいと思います。 続きまして、クリエーティブ産業を構成する分野について何点かお伺いをさせていただきたいと思います。先日、徳島県に有名なアニメーションの制作会社が誘致をされました。早速阿波踊りなどのポスターのデザインなどで自治体とも連携をしているようでございますが、この会社が徳島県に事業所を設置したきっかけは社長が県出身だったということもありますが、大きな理由はネットインフラの発展によって都心に固まる必要性が薄れてきたこと、そして業界の慢性的な人材不足を解消するため、いまだ未開の地である地方進出に魅力を感じたこと、きれいな環境の中で制作をすることで生産性を上げることなどのねらいがあったように思います。この動きは今後加速するのではないかと考えます。 コンテンツ企業の誘致について、今後この分野に関しては、漫画王国土佐として日本でも有数の可能性を秘めている本県こそ積極的に誘致戦略に組み込んでいく必要があると考えますが、現在の取り組み状況と今後の展開について商工労働部長にお伺いをいたします。 次に、高知のシンボルでもあり、約70億円という経済効果、全国に対する宣伝効果ともに非常に大きいよさこい祭りについて質問をさせていただきます。現在、よさこい祭りは、準備から運営、踊り子が国内外へ高知県のPRも兼ねて踊りを披露しに行くことに至るまで、そのほとんどを民間の皆さんが担っております。そのような中、よさこい祭りによる地域への経済効果が大きいことは御承知のとおりだと思いますが、実はよさこいソーランの台頭や本県の厳しい経済状況などのあおりを受けて、年々県内チームの参加数は減少、衰退の傾向が顕著になっております。そういった状況だからこそ、高知のシンボルであるこのお祭りを守り育て、本家本元としての誇りを取り戻すことが本県にとって重要な課題だと思います。 行政が積極的な支援を行っていないスタンスが果たして今のままでよいのか、知事に御所見をお伺いしたいと思います。 関連をいたしまして、本年、よさこいをテーマにした映画が、東映株式会社を中心とした制作委員会によって朝日放送開局60周年記念映画として、来春の公開を目指し全編高知ロケで撮影をされることになったと聞いております。本県のシンボルでもあるよさこいをテーマにこうした映画が高知県で撮影をされることは、これまでにない高知の宣伝になると確信をしておるところでございます。これまで県としては、平成15年に撮影をされました「釣りバカ日誌」以外の映画については積極的な支援はしてきていないとのことでございます。 今回の映画は何より本県のシンボルを取り扱ったものであり、「釣りバカ日誌」のときと同等、いやむしろそれ以上の積極的な支援と、せっかくのその映画を活用していく、活用し切る姿勢が必要だと考えますが、知事に御所見をお伺いいたします。 また、関連をいたしますが、先ほど申し上げたよさこいの映画や「龍馬伝」などにより本県が注目をされる中で、観光コンベンションの中にあるフィルムコミッションの役割はますます重要なものになってくると考えておりますが、このフィルムコミッション、全国それぞれ取り組み状況に大変温度差があるというふうに言われております。先進県では年間100件以上の誘致実績もあるというふうに聞いておりますが、本県のこれまでの取り組みの総括と今後の展開について知事にお伺いをいたします。 最後に、本県の誇る地場産品、宝石サンゴについて質問をさせていただきます。現在世界で流通をしている宝石サンゴのほとんど、約80%が高知県での入札会で競りにかけられ原木の取引が行われておりますが、その大半、7割程度は国外の資本が買い付けることによって原木のまま輸出をされ、海外で加工をされております。「サンゴは三五、十五」という言葉がございますが、原木を加工し付加価値をつければ、加工する前の約15倍の値がつくというふうに言われております。 仮に本県で加工し流通させる量をふやしていく取り組みができれば、さらに大きな産業として育成することが可能でありますし、雇用創出にもつながるというふうに考えますが、商工労働部長のお考えをお伺いしたいと思います。 次に、成長産業に関する質問に移りたいと思います。まず、拡大を続けるインターネットコマース市場、以下省略してEC市場と呼ばせていただきますが、この分野に対する取り組みについてお伺いをいたします。EC市場とは、インターネットを経由した一般消費者向けの商品、サービス販売の市場のことであり、現在国内で約6兆円の市場がございます。この市場は現在大幅拡大を続けており、2012年度には市場規模10兆円を突破すると言われております。日本の家計の消費規模は現在約300兆円というふうに言われておりますが、今後このEC市場で流通する額がふえていくことは明白であります。しかし、現在、EC市場での取り扱いの大半が大手の民間業者が運営するサイトを通すことで成り立っており、ある意味では一部の大手業者のひとり勝ちといった状況が広がっております。 そういった中で、本県は今後の展開といたしまして、楽天市場に「まち楽」を開設するなど、大手企業の市場の中で存在感を高めようとしているように見受けられますが、ここを通すと結局手数料は大手業者に入るということや、全国ほとんどの自治体が同じように大手のサイトの中で存在感を高めようとしていることを考えると、この取り組みにはデメリットも多いのではないかというふうに考えます。何より、このまま一部の大手業者だけが膨張していくと、極端に言えば地元で購入できるものまでサイトを通して購入するといった事態が起こりかねません。いや、もう既に旅館業を含め本県に落ちるべきお金がこうした大手業者に随分落ちていると思われますが、そうした状況の中で今後もし対抗策を考えるとすれば、本県独自に、もしくは四国のほかの県と連携をし、インターネットモールを立ち上げるやり方もあるのではないかというふうに考えます。 現在、自治体がEC市場に参入するといった取り組みは国内ではほとんど例がございませんが、日本よりもIT技術に関して進んでいる韓国では、日本の県に当たる江原道が2002年に自治体のオンラインショッピングモールをオープンさせ、初年度の売り上げ3,600万ウォン、日本円で約460万円という厳しい状況から地道な取り組みを続けまして、昨年度の決算では売り上げを初年度の約66倍の24億ウォン、日本円で約3億円超まで伸ばしております。この成功事例を考えても、これからのEC市場の成長を考えても、一たんこの分野に関する対応を考えるべきでございますし、モールで県全体の商品を扱うとなりますと、行政以外にその取りまとめをできる立場の組織はないというふうに考えます。 この拡大を続けるEC市場に対する取り組みについて、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、観光産業についてお伺いをいたします。400万人観光を目指す本県の観光産業においては、県が観光行政に携わってきた中で、成功した部分も、難しいと思われた部分もあったのではないかというふうに考えますが、これまで観光行政に取り組んできたことの総括と、あわせて観光コンベンション協会や民間との役割分担、連携手法をどのように考えておられるのか、知事にお伺いをいたします。 次に、スポーツ産業についてでございます。今、全国各地でそれぞれの自治体がスポーツを生かした産業振興に取り組んでおりますが、本県においても先般予算委員会で議論させていただいたように、スポーツ産業が地域に根差していくためには総合的な産業育成のための戦略が必要であるというふうに考えます。そのためには、具体的な誘致戦略と、あわせて既存施設の利活用、マーケティング機能などを担う専門組織、スポーツコミッションが必要不可欠だと考えます。 予算委員会での御答弁では少し研究をしてみたいとのお答えでした。もし、その後検討されたことがあるならばお伺いをしておきたいと思います。 次に、新エネルギー産業についてでございます。新エネルギーといいましても多種多様なものがございますが、今回は、昨日黒岩議員が取り上げられましたメタンハイドレートについて少し議論をさせていただきたいと思います。このメタンハイドレートに関する技術的な問題は、今まで黒岩議員が積極的に行ってこられた議会質問で明らかになっておるところでございますが、私の質問では、今後産業を本県に取り込んでいくために必要であろう取り組みについてお伺いをさせていただきます。 まず、情報収集に関する質問でございます。このメタンハイドレートは、土佐沖を含む南海トラフ上に多く埋蔵されていると言われておりますが、この海域はいわゆる排他的経済水域であり、開発に当たっては国の鉱業法が適用されることになっております。そうすると、国の鉱業法に基づいて鉱業権を有している企業が開発に当たることとなりますので、そうした鉱業権を有した企業と情報を共有していかなければ、この資源開発に当たって何の権利もない本県は事業の意思決定などの段階から取り残されるのではないかというふうに考えます。 鉱業権を有している企業など、関連する情報が十分に収集できておられるのか、現状を文化生活部長にお伺いをしたいと思います。 また、関連して鉱区税について質問をさせていただきます。鉱業法において定められた鉱業権者は、都道府県に対し地方税法に基づく鉱区税を支払うことになっておりますが、現在の排他的経済水域は都道府県間の境界線がないため、もし賦課するとなると必要な境界線を取り決めていかなければなりません。メタンハイドレートに関して活発な議論を行っている和歌山県では、先日、議会答弁の中で、元経済産業省の官僚であり国のエネルギー政策に明るい仁坂知事が、この鉱区税の賦課について、課税できる、そのために今後境界線については議論をしていかなければならないとの見通しを示しておるところでございます。我が国日本は、国土面積は小さいものの、領海、排他的経済水域の広さでは世界第6位という海洋大国でございます。 今後、メタンハイドレート以外にも海洋エネルギー資源が開発をされることも予想されますので、地方分権論議とあわせて積極的に本県の権益を主張する発言をしていく必要があると考えますが、知事に御所見をお伺いいたします。 次に、教育政策についてお伺いをいたします。先般、高知県教育振興基本計画の中間取りまとめが発表をされました。今後10年間この計画をもとに本県の教育振興が図られるということでございますので大変に期待をして読ませていただきましたが、正直申しまして、きのうの中西議員の質問にもあったように、非常にあいまい、観念的で将来世代の抱える厳しい状況を我が事として認識しているように思えないというふうに感じました。以下、この計画について教育委員長にお伺いをしたいと思います。 計画の出だしから、厳しい社会経済状況というふうにうたっておられますが、すべて中身を見ると、現象の羅列だけでそこに本県が至った原因分析は全く書かれておりませんが、この部分をしっかり認識しなければ本県の将来世代にどのような教育が必要か議論をすることはできないというふうに考えます。なぜなら、教育の基本は自分の人生を自分でハンドリングできるよう手助けをするということだと思いますが、これはその時々の社会状況等によって大きく変わるという側面も持ち合わせているからでございます。 過去、現在、未来の姿を深く分析するということが、どのような教育が今必要とされているのかという議論の土台になるはずでございますが、この部分に関して取りまとめまでの間にどのような議論があったのか、まずお伺いをさせていただきます。 あわせて、3つの視点に基づく基本方針という項目の中に、明るい未来を担う人づくりという言葉がございますが、その「明るい」のいわんとするところは何なのか、御所見をお伺いいたします。 また、この計画には、全編を通じて強みを伸ばすということが盛んに出てくるように思います。いろいろと強みに関しては議論があったようでございますが、逆に弱みはどこにあるのか、このことについては計画の中には全く書かれておりませんが、重要なことでございますので議論の経過と考え方についてお伺いをいたします。 また、地域の産業政策と教育政策は連動すべきではないかというふうに考えますが、本県の産業振興計画を踏まえた上でこの計画の議論は行われたのか、議論の経過と考え方についてお伺いをいたします。 そもそもこの計画は、国の法改正によって計画を定めることになったということでございますが、これはあくまでも努力義務であり、多大な時間と労力を使って計画を作成するならば、この基本計画が策定されることによって求められる成果、そして費用対効果を明確にすべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。 最後に、教育振興計画のそもそものあり方についてでございます。最初に大変失礼ながら申し上げさせていただきましたように、今の計画は非常に抽象的であり、あいまいだというふうに感じております。教育に関しても地方分権がうたわれて久しいというふうに思いますが、この内容では教育政策に関して地方それぞれのやり方を真剣に議論しているとは到底言いがたいと感じます。社会情勢、世界の状況を勘案して将来世代に将来への生き方の道をある程度明確に示し、それぞれにどのような未来が待っているのかということをはっきりと伝えた上で、どこに進むのかということに関しては寄り添う姿勢が重要ではないかというふうに私は考えますが、今の計画では抽象的過ぎて将来を担う若い世代が計画を見ても何のことか理解できないし、何の魅力も感じないと思うのが本音のところではないかというふうに思います。 今の日本の子供たちは、本当に厳しい状況に立っております。日本国内では格差の問題が叫ばれておりますが、世界基準で見れば発展途上国の成長によって確実に日本の経済的優位性は失われつつあり、ある意味で格差は縮まっているのが現状でございます。そうした、大変に厳しく先の見えない時代において、将来を担う世代がどのような生き残り策を図っていくのか、そのためにどのような教育をするべきなのか、本県においては何が必要とされているのか、これはもっと真剣に、危機感を持って論ぜられるべき問題ではないでしょうか。私自身、学生のときから幾度となく海外に出かけてまいりましたが、そのたびに途上国と言われる国の若者の努力とモチベーション、そして生々し過ぎるぐらい生々しい、生きていくための教育政策に敬服し、そして危機感を覚えてまいりました。 今の教育振興計画というものは、全くもって、大変に失礼な言い方にはなりますが、経済発展が続いてきたこの国において、ある意味で安穏とした社会を生きてきた感覚を持った、教える側だけの都合でつくられ、世界の中で立ち位置をこれから探していかなければならない、教えられる、将来を担う世代の視点、感覚が欠落しているのではないかというふうに感じますが、そもそもの計画のあり方をどのように考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、教育委員会制度のこれからのあり方について質問をさせていただきます。まず、宮地教育委員長におきましては、この20日をもって委員長職を退任されるとのこと、本当に約12年半もの間、高知県の教育行政の最高責任者として奮闘されてこられたことを県民の一人として心より感謝、御礼を申し上げるところでございます。本当にお疲れさまでございました。そこで、最後に教育委員長として、教育委員会にかかわってこられた経験も踏まえて、これからの教育委員会制度のあり方について少しお聞かせいただければというふうに思います。現在、教育委員会制度は、地方分権論議とあわせていろいろな議論がなされておるところは御承知のとおりだと思います。制度を取り巻く今後の方向性としては、大まかに申しますと廃止・解体・縮小論と活性化論、この2つに二分をされている状況でございます。 高知県の教育行政は今後どのような方向に向かっていくべきなのか、これからの教育委員会制度のあり方についてどのような見解をお持ちなのか、この質問は知事、そして教育委員長それぞれにお伺いをさせていただきたいと思います。 最後に、社会保障政策について健康政策部長にお伺いをいたします。社会保障費の増大は、国でも、地方でも大変喫緊の課題でございますが、今後人口の多い都市部が高齢化社会を迎えることになりますので、国の財源の確保というものがこれまで以上に厳しくなるのは自明の理でございます。そのため、将来の本県の社会保障を考えると、医療費を抑制するための予防事業への積極的な取り組みと、効率的に医療を行うための県下医療機関のさらなる連携が大変重要でございます。しかし、そのためには、県の医療計画の中で県が主体的に県下の状況を把握していくということが必要不可欠でございます。そんな中、以前駐在保健婦制度というものが本県独自の事業として行われ、保健師が各地域に駐在し、細かく地区を担当、定期的に担当地域を巡回していたことがあったようでございます。調べてみますと、この制度が先ほど申し上げました予防事業にも県の情報収集にも大きな力を発揮していたのではないかというふうに感じます。 駐在保健婦制度は廃止された制度でございますが、学ぶべき点がたくさんあるのではないかというふうに感じます。この御所見を健康政策部長にお伺いをさせていただきます。 次に、地域医療再生基金事業についてでございます。今回の国の補正予算に対応いたしまして、地域の医師確保など地域医療の課題を解決するため地域医療再生基金が設置をされまして今後5年をかけて事業を行うようでございます。この事業を行うためには、都道府県が二次医療圏を単位として地域医療再生計画を、県保健医療計画や公立病院改革プラン、定住自立圏構想などほかの計画とも調和をさせた上で10月16日までに策定、国に提出をしなければならないということでございます。しかし、二次医療圏は全国に348カ所あることに対して、今回の国の地域医療再生基金は総額3,100億円であり、ハード事業100億円を上限に全国で10医療圏、ソフト事業30億円を上限に全国で70医療圏、合わせて80医療圏しか対象にならないとも聞いております。 そうすると早目早目の対応が求められるというふうに思いますが、いつ、どういう体制で、どのような流れで本県の計画は策定をされるのか、また想定する事業はどのような内容になるのか、あわせてお伺いをいたしまして、私の第1問を終わらせていただきます。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 大石議員の御質問にお答えをいたします。 まず、今回の補正予算のあり方について、手放しで評価していいのか、基金事業のあり方についてどう考えるのかというお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。もちろんのことながら、赤字国債残高の積み上がりということを思いますれば、それはもちろん手放しで喜んでいられる状況ではありません。ただ、常々申し上げておりますように、現在日本は、そしてまた世界は、100年に一度と言われる経済危機に直面をしている異例の事態であるということも踏まえなければならないというふうに思います。 このようなときに、仮にも小出し小出しに財政政策を打っていく、事態が悪化する、ますます長引く、やがてさらに大きな対策を打たなければならない、累計してみれば大きな財政負担になっていたという経験を1990年代後半から2000年代当初にかけて我が国は経験をしてきたところでございます。この反省を踏まえまして、今回のような経済危機に対しては早い段階からできるだけ思い切った形で経済対策を打っていくことがぜひとも重要ではないかというふうに思うわけでございます。今回国においてとられました対策、経済危機の段階、まだ実体経済に影響が及ぶ前の段階から速やかに経済危機対策を打ち始め、十分量、そして多くのメニューを設けての対策をとってきているということでございまして、私は、前回のあの1990年代後半から2000年代当初にかけての経験に十分配慮した対策ではなかったかと。そういうことにおいて私は、国の経済対策、経済運営というのは一定評価できるということを申し上げてきているというものでございます。 基金につきましては、今回の国の経済危機対策によりまして、子育て支援や雇用対策など130億円余りが本県に配分されることになっているわけでございます。御指摘のとおり、確かにその基金の中には要件が厳しいとか使い勝手に難があるものもありまして、私自身も、ふるさと雇用再生特別基金、これは非常に使い勝手がよくなかったものですから、知事会を代表して厚生労働省に申し入れをし具体的に改善を一部されましたけれど、そういうものもございましたし、また現在でも使い勝手について言えば、それは制約のあるものもあります。ただ、基金はある意味非常に画期的なところがありまして、補正予算でありますけれども複数年度にわたって使っていくことができるという特性がございます。補正予算でありますと、どうしても年度内に事業執行を終わらせなければならないという制約がある。結果として、具体的に予算にのっていても各自治体は結局それに踏み込めない、実際に実行できないという欠点があることが多いわけであります。 しかしながら、基金事業であれば複数年度続くということで、安心してこの事業に取り組むことができるという大きなメリットがあるというふうに思っておりますし、また一定額、一定額どころか、かなりの額が確保されているということも心強い限りであるというふうに思っています。デメリットもありますけれども、メリットもあるということではないかと思っていますが、いずれにいたしましても高知県の県内の経済状況というのは極めて厳しい状況にあるわけでございますので、私の立場として言わせていただきますれば、今あります貴重な財源をできる限り生かして、スピード感を持って経済対策を実施していくということが必要であると、そのように思っておるところであります。 次に、東国原知事の地方分権論への評価などについてお尋ねがございました。東国原知事の地方分権に関するお考えについて、私もそれほど詳しく御本人からお伺いしているわけではございませんけれども、ただ御本人の主張は、全国知事会の主張、これをいかにして通すかということ、それがために東国原知事の政治家としての御判断で行動しておられるものというふうに思っております。ただ、地方分権ということについて私自身どのように考えているのかということについて申し上げさせていただきますれば、やはり今日本におきましてはいろいろ置かれている基礎的な条件とかそういうものに大きな相違が、それぞれの県によって違っているところがあるんだろうというふうに思います。 特に、この高知県におりますれば、人口減少、高齢化が真っ先に進んでおる県ということでございまして、いわゆる全国の平均的な姿とされるものに比べると大変に違う状況にあるんだというふうに私は思っています。むしろこれから日本国全体が経験するであろう苦しみ、その最先端、そういう状況にあるんだと。人口減少、高齢化の進展という意味において、まさにそういうところにあるんだというふうに思っています。そういう県の首長として言わせていただきますれば、それはできる限り本県の実情に合った政策が打てるように地方分権をなし遂げてもらいたいというふうに思っておるところでございまして、こういう思いは多くの全国の首長さんが持っておられるのではないのかなというふうに思っています。やはり地方分権は徹底して進めていく。その目的は、地方の実情に合った行財政運営を行えるようにするためだということだと思っています。 ただ、他方で、第2に気をつけなければなりませんのは、よく安易な県の完全独立論であるとかそういう議論がなされることがございますけれども、財政単位などを考えましたときに、完全に県だけで独立できるという状況にはとてもではないけれどもありません。これは四国州になったとしても同じであります。必ず財源調整機能というものがどこかで働かされなければなりません。高知県の経済活動によって上がった税収は、例えば東京だとか大阪だとか、ああいうところに落ちてきているわけですから、それをまた高知県に戻してくるという仕組みがなければならない、そのように思うわけです。 でありますから、地方分権を徹底的に推し進めるとともに、あわせてこの財源調整機能というものもしっかり働かされるようなそういう仕組みづくり、片や自立していく、他方自立していくもの同士の財政を再分配を行っていくような仕組み、この2つがしっかり確保されていくことが今後の地方分権議論では非常に重要だというふうに思っています。全国知事会の提言の中にはこの2つの要素が盛り込まれているというふうに思っておりますけれども、ただ、まだまだこれからより詰めた議論といいますか、おのおのの関係はどうなのか、そういうことについてのより一層の議論が必要だというふうに思っています。 そして、第3点目ですが、今地方分権に関する議論がいろいろ行われていますけれども、私は一行政もしくは政治についての分権だとか自立だとかということに議論がとどまってしまっているんではないかということを少し危惧をいたしております。行政の地方分権、地方は国の奴隷だということを言われたりもいたしますけれども、それは何なのか。地方の行政が国の行政の奴隷だということなのか、高知県庁が国の霞が関の奴隷だということなのか。もちろんそれではいけない。そうではいけないので、高知県庁が独自性を発揮できるような制度改革が必要です。もっともっと進めていかなければならないと私は強烈に思っています。ただ、それよりもっと大事なことは、県民が、それぞれが自立した形で地域地域で住んでいけるようにすること。行政の自立ということではなくて、県経済が、県民生活の自立ということがより大切なことなのではないかと私は思っておるところです。 地方分権論というのは、往々にして行政論に小さく範囲が限定されてしまう、そういう危険があると思っています。必要なことは、県民生活の自立、その地域地域で住み続けられる、そのような形での県民生活の自立がなし遂げられることだと思うわけでございまして、そういう意味におきましては、必要なことは例えば経済的な体質の強化を図っていくための産業振興計画を図っていくことであります。そして、その地域で子供を教育できるような、そのような県としてのしっかりした教育視点を持つこと、そして高齢者の皆様方のケアをしっかりできるような、例えば高知型の福祉を進めていくこと、こういう趣旨の取り組みを現在県でやってきておるわけでございます。これらこそ、まさに真の意味で高知県が自立して暮らしていけるための取り組みだと私は思っております。決して行政論だけに小さく範囲を限定してしまう、そのような形での地方分権論というのはいかがなものかと私は思っておるところです。 次に、職員に期待する役割などについてお尋ねがございました。今年度は、県勢浮揚に向けての実行元年としてあらゆる面で本格的な取り組みを進めておるところでございますけれども、職員には、4月以降訓示などでも私申し上げさせていただいておりますが、まず第1に、掲げられた目的を達成するんだという姿勢を持って、スピード感を持って仕事をしていただきたいというふうに考えております。実際に目的は達成されなければならないのであって、その目的に向けて何らかのことをしておるからそれでもってよしという姿勢ではいけないとそのように思うところです。そして、それがためには、第2に、高知県のような県においては官民協働型の行政運営が求められております。みずから率先して県民の皆様とともに汗をかくという姿勢を持っていただきたいと思っておるところであります。 そして3番目に、それがゆえにもなおさら一層説明責任を果たすと、それぞれの立場でなぜこれをやるのか、もしくはやらないのかということについて説明責任を果たす、そういう姿勢を持ってもらいたいというふうに考えておるところでございます。実際、職員の皆さんがこういう形でもって、かつ夢と希望を持って仕事ができるようにするためにはどういうことが必要かと。一言で言えば、目標があって、それを上司も部下も皆が共有できることではないか。その中でそれぞれがそれぞれの自分の役割というものを自覚できるということではないかというふうに思います。そしてまた、それぞれの目的がある中で、その達成度合いについてそれぞれが確認をしていく。いわば自分の目標があって、そしてその目標の達成度合いについてそれぞれが達成感を味わうことができる、そのような職場環境になっていくということが一番大切なのではないのかなというふうに思っているところであります。 できる限り今それぞれの施策について、目標は重要となっており、各課、各係の任務、目的ははっきりしてきていると私は思っております。これがノルマと思われるのではなくて、それぞれの達成すべき目標だと思えるようになり、かつその進行状況が明らかになるにつれてそれぞれが達成感を味わってともに喜びを分かち合える、そういう職場にしていきたいと、そのように考えておるところであります。 次に、地産外商戦略に関連しまして、本県の魅力をわかりやすく、魅力的にアピールしていくための県としてのブランド化、イメージ戦略の手法についてお尋ねがありました。地産外商戦略につきましては、ものづくりの面から、マーケットインの視点から、商品開発、商品改良の各段階においてアドバイザーの派遣、助成を行う、こういう形で売れる商品づくりの支援を行っておりますし、また商談会の開催、見本市への出展などを通じましてさまざまな売り込みを行っているわけでありますが、御指摘のとおり、こうした地産外商を進めていくに当たって、県としてのブランド化、イメージ戦略を持つということは非常に重要なことだというふうに思っております。 このブランド化、イメージ戦略でございますけれども、ある意味これは高知県とは何かというふうに一意に定めるというやり方もあろうかとは思いますが、ただそれには一方で高知県の可能性をその一定のイメージだけに限定してしまうというデメリットも出てくるわけでございます。やはりそれぞれのシーン、それぞれのケースで使えるブランドというものも必要ではなかろうかとも思っておるところでございます。こういう点は、やはり今後新たに設置いたします一般財団法人が運営する、例えば首都圏アンテナショップで取り扱う商品とか、さらには財団法人が今後県内事業者の営業活動支援として取り組んでいく商品、こういうものとも関連をさせていきながら、ブランドとかイメージも含めた上でどういう売り込み方が全体としていいのかということを個々具体に考えていく中で、いわばその集合体としてそういうイメージっていうのが出てくるんじゃないかというふうに思っているところでございます。 今後、商品ラインナップとかということも含めまして地産外商推進協議会でも御意見をいただきながら、一般財団法人とも連携をして、そういう売り込み方ということは検討していくということかなというふうに思っています。しかしながら、今観光の面では明らかに土佐・龍馬であい博、龍馬ということではないのかなと思っておるわけでありまして、そういう時々もしくはシーン、シーンにおいてそこらあたりの売り込み方、ブランドイメージというのは変わってくるのかなと、そのように思っております。 次に、本県が将来にわたって生き残っていくために力を入れるべき産業、また成長の可能性があると考える産業についてお尋ねがございました。この御質問の点をまさに体系化したものが産業振興計画だと考えておるわけでございますけれども、そこでの考え方を総じて申し上げますれば、まず第1に、本県が持っております強みとなる産業を地産外商の推進等を通じて伸ばすというのが第1であります。第2が、これを基軸といたしまして県内の産業間での波及効果をより一層拡大していくということが第2であります。そして、さらに時代の趨勢を見据えて、今後伸びると考えられる産業分野のうち本県にシーズがあるものを育成していくと、これが第3だというふうに考えておるところでございまして、こうしたことに取り組んでいきますことで、あわせて日々の暮らしを支える産業インフラ、公共交通、医療なども含めた底上げにつなげていくということが、全体としての経済底上げのための大きな絵姿かというふうに考えております。 より具体に申しますれば、まずは本県の強みということでいけば、1次産業の分野を、潜在力をますます伸ばし、そして足腰を強めるという取り組み。そして、連携ということでいきますれば、この1次産業を基軸として最も連携が可能な分野として例えば食品加工分野、これを戦略産業とすると。そうすることにより、関連する物流、デザイン、卸売・小売、飲食などへの波及効果をねらっていきますとともに、あわせて加工機械などのものづくり支援、ものづくり支援も独自に行うとともに、第1次産業とものづくり産業とのマッチングを図っていくということを考えていく必要があると考えております。さらにもう一つ、1次産業を基軸としながら、関連する産業として言えば、非常に多数の産業にすそ野を広く持つ観光分野、こちらも戦略的に展開をしていくということが重要であるというふうに考えておるところでございます。 第3の点について申し上げさせていただきますれば、今後成長が期待できると思われます分野としましては、先ほど申し上げた食品の分野、これは安全・安心の観点、食料自給率向上の観点からも長期的に見ても伸びる分野だと思われます。さらには、天然素材、健康福祉、環境、これらの分野についても果敢にチャレンジしていく必要があります。こういうことで、こちらについてはテーマ別の研究会というものを設けまして、セミナー、研究会などということから始まって、最終的には事業計画、それに対する支援、それなども行っていきたいと考えているわけでございます。漫画などのコンテンツビジネス、こういうものにつきましても、新たに本県の強みを生かす、かつ伸びる分野ということなのではないかと考えているところでございます。こうした施策を産業間連携の方針のもとに進めていくことで、全体の経済効果が上がりますように努めてまいりたいと考えております。 次に、クリエーティブ産業の育成についてのお尋ねがございました。クリエーティブ産業は、デザインや映像などの知的資産を活用して所得や雇用を生み出す産業でありまして、今後世界的にも大きな成長が見込まれると認識をいたしております。このような状況の中で、我が国はアニメやゲームソフトなどの分野で海外からも注目される存在でありまして、クリエーティブ産業の振興や発展といった面では優位性があると考えられるものと思っておりますが、その中でも本県について考えてみますと、土佐和紙を初めとする伝統工芸、よさこい祭りなどの文化、漫画コンテンツといった豊かな地域資源があり、お話にもありましたように大きな可能性を秘めていると思っております。 これらの可能性を生かした新たな分野への挑戦の第一歩といたしまして、コンテンツ産業の振興を産業振興計画の産業成長戦略に掲げておりまして、高知県コンテンツ産業推進会議というものを立ち上げたところであります。今年度は、クリエーターのデータベースの構築に向けて実態調査を行うとともに、国の事業も導入しながらコンテンツビジネスの具体化を図るためのセミナー、ワークショップを開催、人材の育成、新たなビジネスモデルの創出ということを目指していっているわけでございますけれども、このコンテンツ産業については既に具体の一歩を踏み出しているところでありますが、今後とも本県の強みを生かすという観点から、クリエーティブ産業の育成という観点をも取り入れてこの件を進めていきたいと、そのように考えておるところでございます。 次に、よさこい祭りへの県の取り組みとスタンスについてお尋ねがありました。よさこい祭りは、高知市民の健康と商店街の振興を目的に、昭和29年に21チームからスタートし、ことしは182チームとなり、高い知名度を誇る夏の代表的なお祭りとして本県を全国にアピールする重要な観光資源に成長してきました。県としましては、これまでよさこい祭りの実施主体であります、よさこい祭振興会に対しまして運営補助を行うとともに、東京原宿で開催されますスーパーよさこいに参加する高知県チームへの支援など、よさこいの本家である高知を県外にアピールする取り組みを行ってきたところでありますが、さらにことしからは、観光客の皆様により楽しんでいただくため、高知城追手門内に設置いたします新しい演舞場の運営に対しまして県として支援をしていくこととしておるところであります。 よさこい祭りは、観光客の誘致による地域への大きな経済波及効果が期待できますことから、県としましては、「龍馬伝」もにらみ、地産外商戦略を展開していく中で、これまで以上に県外でのPR活動に取り組むなどといった形での取り組みをさらに進めていきたいと考えておるところでございますけれども、いずれにしてもよさこい祭りが全国に誇れる土佐の文化としてさらに発展していきますように、よさこい祭振興会や高知との連携のもとで、時々の新たな課題にも対応しながら官民一体となって取り組んでまいりたいとそのように考えております。 次に、よさこいをテーマにした映画への支援についてお尋ねがございました。この映画は、よさこい祭りを舞台にしたヒューマンラブストーリーで、本年の秋に本格的な撮影が行われた後、来年には全国公開される予定と伺っておりまして、よさこいの本家である高知をアピールできる絶好の機会と考えております。撮影に際しましては、観光コンベンション協会の中に設置しています高知フィルムコミッションが高知でのロケーションの窓口として、ロケ地情報の提供や施設使用の調整といった撮影を円滑に進めるためのワンストップサービスを提供するなど、積極的に支援することといたしております。 また、産業振興計画における高知の地域アクションプランで、映画を通じてよさこい発祥の地である高知をアピールし観光客の誘致に取り組むことを位置づけております。このプランは、高知市内を中心とした観光ルートにロケ地を組み込むことにより、観光客の増加につなげるといった視点で整理されており、実現しますと坂本龍馬や高知城などの観光資源に「よさこい」が加味され、周遊ルートの魅力アップにつながると考えております。このようなことから、事業主体となります高知と、地域アクションプランの枠組みの中で支援のあり方について協議を進めてまいりたいと、そのように考えておるところでございます。 次に、フィルムコミッションの取り組みについてお尋ねがございました。高知フィルムコミッションでは、先ほどお話ししましたように、ロケ地情報の提供を初め、施設利用などにおける各種許認可申請の協力、地元エキストラの紹介などの支援を行っております。平成15年に設立して以来、これまで映画、テレビドラマ、CMなど58件の撮影を支援してまいりました。この中には、全国公開の映画や全国ネットで放送されるテレビドラマ、また若者に人気のテレビ番組などがあり、放送を通じて本県の観光情報の発信につながってきております。とりわけ昨年末から、本県が舞台となり、本県でロケを実施しました「私は貝になりたい」、「はりまや橋」、「いけちゃんとぼく」と3本の映画が順次全国公開され、映像を通じて本県の魅力が全国発信されるなど、大きな効果があったと考えております。 このため、今後とも、主要な映画関係者が集まります全国ロケ地フェアなどの場を通じて積極的なプロモーション活動を行うとともに、あらゆる機会をとらえてロケ地としての本県を情報発信することで観光客の誘致に努めてまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、まだ検討を重ねなければなりませんけれども、地産外商戦略の一環として活動を強化していくべき分野だと思っておるところでございます。 次に、eコマースについて、本県独自に、または四国の他の県と連携してサイトを立ち上げるやり方もあるのではないかとのお尋ねがありました。大消費地から遠距離にある本県にとりまして、距離のハンディキャップを克服できるeコマースは、県産品の販売を拡大するための有効なツールであり、産業振興計画でも地産外商戦略のこれからの対策としてeコマースへの支援を位置づけておるところであります。今年度は、eコマースサイトを運営する県内の事業者を育成・確保するためのセミナーの開催や、新しい県のポータルサイトの構築、運営などの取り組みを進めております。この県の新しいポータルサイトでございますが、本県の県産品や観光などのしゅんの情報を県外の消費者に一覧で見ていただくとともに、県産品に関しては県内の事業者が運営するeコマースサイトを商品別に一覧で表示し、これらのサイトでのお買い物を促進する機能も持たせたいと考えているところであります。 今後、県内の事業者の皆様により一層eコマースに参入していただく方策の一つとして、御提案のありました本県独自のサイトを立ち上げることも選択肢の一つだと考えていますので、本年度開設する県のポータルサイトの次のステップとして検討を進めていきたいと考えております。本県独自のサイトを立ち上げる場合には、県が商取引を行うことはできませんので、方法としては新しく設置します一般財団法人において立ち上げることが考えられます。新しい財団でeコマースサイトを立ち上げるか否かの検討に当たりましては、まずアクセス数の多い大手のeコマースサイトとの連携を進めることとの効果の比較が必要だと考えております。すなわち、大手のeコマースサイトは出店料や売り上げに応じた手数料などの負担があります一方で、例えば楽天市場には1日に360万人ものお買い物目的の消費者が訪れる。その販売額は年間で5,000億円を超えておるという状況でありまして、消費者が県内事業者のサイトへのアクセスを確保するという観点では有効な方法ではないのかなと考えております。 また、財団がeコマースサイトを立ち上げる場合、アンテナショップの物販などとの相乗効果が期待できるという一方で、消費者のアクセスを確保するための魅力あるサイトを構築し維持するためには、また商品の受発注や商品に対する責任やアフターケアなどを行うためには一定の経費や人的な体制が必要となってくると。運営収支への影響がどうかということなども十分踏まえていかなければなりません。いずれにしましても、県内の事業者の皆様がeコマースを通じて販路を広げ、新しい市場を獲得していただきますように、先ほど申し上げたような諸要素を勘案しながら検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、観光行政に取り組んできた総括と観光コンベンション協会や民間との役割分担などについてお尋ねがございました。観光は非常にすそ野が広いということとともに即効性があるという分野でございまして、非常に重点を置いて取り組みを進めていく、特にこの「龍馬伝」の機会を生かして重点的に取り組みを進めるべき分野だと考えております。私の就任前でありましたが、平成19年度には観光に特化した組織として観光部、現在の観光振興部が設置されたわけでございますけれども、私の就任以降でございますが、平成20年3月から本年2月までの間には花・人・土佐であい博を開催いたしたわけであります。去年はこの花・人・土佐であい博に注力をしておったわけですけれども、こちらは県内全域をパビリオンとしまして、官民が協働してそれぞれの地域の特性を生かした取り組みを行って97万人を超えるお客様に参加をいただき、県経済に85億1,000万円の波及効果をもたらしております。 ガソリンの高騰、景気の低迷ということで非常に厳しい逆風が吹いておった状況であったわけでございますけれども、宿泊者数では、全国平均が対前年比99%と減少する中で、本県は103.2%と増加、日帰り客の割合が減少する一方、2泊3日の割合が増加するということで、滞在型観光が一定進展するという結果を得たのかなとは思っております。そしてまた、現在は土佐・龍馬であい博に向けて急ピッチで受け入れ態勢づくりやPRに努めておるところでございます。ただ、こうした取り組みを進めていく中で、いろいろと課題も明らかになったというふうに思っております。本県の観光は、四国と近畿圏からの観光客が60%を占める非常に近隣地頼みの入り込みになっているということ、また日帰りと1泊が全体の75%を占めている、また1人当たりの観光消費額が伸び悩んでいるといった課題があるわけですけれども、その背景には、二次交通の脆弱性、観光産業と他産業との連携の余地がまだまだあるということ、さらにはPR不足、このような克服すべき課題があるものだと考えています。 こうしたことから、産業振興計画では、観光分野について観光八策ということで、これらの課題にそれぞれ正面から取り組む対応策を掲げているところでございます。これらを今後真正面から推進していかなければなりませんが、御指摘のとおり、この課題、行政から民間にかかわるものまでさまざまございますので、県、市町村、そしてコンベンション協会、地域地域の観光協会の皆様方、その役割分担を明確にするということとともに、その上でコーディネート機能というのをしっかり発揮していかなければなりません。当面は「龍馬伝」対応ということかと思いますが、そのコーディネート機能、幸い今は土佐・龍馬であい博推進協議会という形で、ほぼ関係されるすべての方が参加をしていただいている組織がございますので、こちらを縦横に生かしていきながら、このコーディネート機能のほうも発揮をしていきたいと、そのように考えております。 次に、本県のスポーツ産業が地域に根差していくためにはスポーツコミッションが必要ではないかとのお尋ねがございました。プロスポーツの誘致やスポーツイベントの開催などスポーツを活用したさまざまな取り組みは、青少年の健全育成や観光の振興はもちろんのこと、地域の活性化や産業振興にもつながるものと考えております。このスポーツコミッションにつきましては、本年2月議会でも御質問をいただいたところでございまして、その後、先進都府県の進捗状況などについて調査をいたしましたところ、東京都はスポーツ振興基本計画の中にコミッションの設立の検討を盛り込んでおりますし、また大阪府、埼玉県では設立について関心を示しているというふうにお聞きをいたしております。 本県では、四国・九州アイランドリーグやプロゴルフ大会、また昨年開催しました日本スポーツマスターズなどによりまして県民のスポーツへの関心が高まるとともに、大会開催による既存施設の有効利用や、交流人口の増加などに伴い経済面での効果もあらわれております。本県におきましても、専門的にスポーツイベントなどの誘致や企画、運営に当たるスポーツコミッションの意義は大きいと考えておりますので、今後は経済、観光、スポーツ関係者の方々との連携を深めて、高知県らしいスポーツコミッションのあり方について、先進都府県の状況を参考にしながら、検討を加速させてまいりたいと考えておるところでございます。 次に、メタンハイドレートに係る鉱区税の賦課についてお尋ねがございました。メタンハイドレートに関する国の開発計画におきましては、平成30年度までに技術的な問題、経済性、環境影響等を検証し将来の商業化を目指すことになっておりますが、その開発におきましては、海洋での連続生産をするための技術が世界に存在していないといったことから、まだまだ極めて解決困難な課題があると聞いております。鉱業権の設定の考え方や鉱区税の課税のあり方につきましてもまだ十分に整理できていない部分がありまして、今後明らかになっていく側面があります。 理論的には鉱業権の設定は排他的経済水域内であれば可能ということでありますので、鉱業権の設定が行われれば鉱区税の課税はできるものと考えております。しかしながら、メタンハイドレートが賦存するとされる海域は領海を越えた相当な沖合にありまして、海域における境界画定の方法など、鉱区税を課税するに当たっては今後さまざまな調整が必要になってくるものと思われます。いずれにしましても、まだまだ初期段階の話であります。逆に言えばいろいろな可能性があるということではないかというふうに思っております。今後も、メタンハイドレート開発計画や国の動向に十分注意しながら、引き続き積極的な情報収集に努めてまいりたいと、そのように考えておるところでございます。 最後に、これからの教育委員会のあり方についてどのような見解を持っているかとのお尋ねがございました。教育委員会のあり方につきましては、これまでにも規制改革や地方分権などさまざまな観点から制度改革や運用の改善が提言をされておりまして、現在では政府の教育再生懇談会などにおきまして同様のことが議論されているところでございます。私といたしましては、戦前の反省にもかんがみ、教育行政にはまず政治的中立性、継続性、安定性の確保が求められていると。そういう意味で、政治と一定の距離を置く教育委員会制度というのは必要ではないかと考えております。 ただ一方、その運用のあり方については、教育の一層の振興の観点から、首長と教育委員会との連携の強化を図ることは必要である。また、弾力的に事業の所管を考えることも必要である。地域の実情や個別の行政課題等に柔軟に対応できるような体制とする必要があると、そのように考えておるところでございます。さらに言えば、本県が抱えます教育の極めて厳しい現状を考えますと、その解決に向けて教育委員会の体制、そして何より政策立案機能を強化するということ、これによってより活性化に向けて取り組むことも重要ではないかと、そのように考えておるところでございます。 私からは以上でございます。   (地域福祉部長小田切泰禎君登壇) ◎地域福祉部長(小田切泰禎君) 7月補正予算について、介護基金事業での介護職員の処遇改善についてお尋ねがありました。 国の緊急経済対策による今回の処遇改善は、お話しのあったとおり、平成23年度までの時限措置となっています。また、その対象を介護職員としていますのは、少子高齢化が進行し介護ニーズが高まる中で、介護に従事する職員のおよそ75%を占めます介護職員の月額賃金が、全産業の平均はもとより、同じ職場の看護職員や介護支援専門員の方々と比較しても低いことから、まずはこの賃金格差を縮め、介護が確かな雇用の場としてさらに成長していくことを目指して行われるものです。県としましても、介護という大切な仕事を担う人材の確保は重要な課題でありますので、介護に携わる職員が働きがいや誇りを持って仕事に励んでいただくことのできるよう、こうした処遇の改善を進めていくことは必要であると考えております。 そのため、昨日中西議員にお答えいたしましたように、国に対して今回の処遇改善対策を一過性の措置ではなく継続的な制度として確立すること、またその際には利用者や被保険者の負担がふえることのないよう、国の責任において適切な財政措置を講じることを要望してまいります。   (交通運輸政策担当理事隅田明君登壇) ◎交通運輸政策担当理事(隅田明君) 高知龍馬空港の路線維持のための支援策に関しまして、検討内容とその効果についてお尋ねがありました。 高知龍馬空港の航空路線は、景気の悪化によるビジネス客の利用手控えなどによりまして利用者が急激に落ち込んでおります。全日空関係の高知-関西空港線では利用率が30%台で、全国的に厳しい関西空港関係路線の中でも特に低い利用率となっているとお聞きをしております。また、大阪関係では、伊丹線につきましても新型インフルエンザの影響もあり、本年5月の利用率は対前年同月比で5.6%の減となっておりますし、ジェット便の利用率は40%弱となっております。さらに、日本航空インターナショナル関係では、名古屋線と福岡線がともに数年前は60%を超える利用率であったものが、この4月には40%台にまで落ち込む状況となっております。一般的な採算ラインが利用率60ないし70%と言われておりますので、非常に厳しい数字であると受けとめております。 そして、こうした状況に加えまして、各航空会社は世界的な不況により厳しい経営状況にございます。経営改善のために一定の路線見直しは避けられない情勢にあると考えられますので、土佐・龍馬であい博を前にして、高知発着路線の維持自体が非常に憂慮される状況にあると言えます。現に、全日空側からは先日、会社として正式決定ではないものの、今回の路線見直しで高知-関西空港路線を2便とも休止したいと考えているというお話がございました。ただ同時に、高知発着便については、これまでの県からのお話もあるので、会社としても努力をし、休止のタイミングと時期は若干ずれますものの、伊丹便を1便増便する方向で検討するとのお話がございました。私のほうからは、土佐・龍馬であい博もございますので、なおもう一便ふやしていただけないかという要請を現在行っております。 これまでの例によりますと、毎年8月ごろには正式に秋の路線の見直し手続が行われますことから、両航空会社に対しまして今回はこのタイミングで直接支援を行うことがより効果的ではないかというふうに考えております。支援内容につきましても、インパクトのあるものにするといった考え方で、国の管理空港ではこれまで余り例はございませんが、一部路線の着陸料相当額の支援をするということで予算を計上させていただいております。既に両航空会社からは、こうした県の動きに対しまして、これが実現しますと大変ありがたく重く受けとめているといった御感想や、こうした支援まで考えていただくことは航空会社として非常に身の引き締まる思いであるといった反応もいただいております。 ただ一方で、お話にもありましたように、少しでも利用者をふやしていく取り組みというのが非常に大切です。これが基本だと思っておりますので、同時に進めていくことが欠かせないと考えております。これまでも、県や関係団体で構成します高知県航空利用促進協議会で利用者や旅行企画会社への助成を実施しておりますけれども、それを今年度はさらに充実していくことにいたしておりますほか、土佐・龍馬であい博に向けましたさまざまな呼び込みを航空会社の協力も得ながら行っていくことなどで一層の利用者の増加に結びつけていきたいと考えております。   (産業振興推進部長岩城孝章君登壇) ◎産業振興推進部長(岩城孝章君) 新財団に関して、口座取得に関する実態をどのように把握しているかとのお尋ねがありました。 口座を取得するということは、取引先である県外企業から正式の取引先として認められることですが、その口座を保有している県外企業は地域の企業を取りまとめ、納期や品質の管理の責任も負いながら取引先への窓口としての役割も担っております。そして、口座を取得するためには、取引先から商品や取引の内容だけでなく、経営状況も含め会社の総合的な審査を受けて登録、認定されることが必要であると聞いておりますので、口座取得には高いハードルがあるものと認識をしています。 新しい財団ではみずから口座を持つことは考えていませんが、これは卸売業務を行う民間企業と協働して営業活動を行うことで、幅広い県内の事業者の商品を対象に幅広く県外の取引先に売り込んでいくことができるようにとの考えからです。言いかえますと、財団が口座を持って扱うことができる量には限りがありますので、口座を有する県内外のたくさんの企業と連携することで、より多くの取引先を確保しようとするものです。こうした財団の取り組みによりまして、これまで以上に県外市場に挑戦しようとする事業者の皆様、また商品計画機構を活用して実績を上げてこられた事業者の皆様にお役に立てるものと考えていますので、新たな財団をぜひ積極的に利用していただきたいと思います。 次に、新財団に関して、アンテナショップの店頭だけで消費者の動向がつかめるか、その考えについてのお尋ねがありました。地産外商を担う新しい財団を設立し、首都圏にアンテナショップを設置することとしましたのは、国内最大の消費地である首都圏において売り場を確保することで、県内の事業者に首都圏でみずからの商品を販売するチャンスを常時提供することができるからです。アンテナショップの店頭で、年間を通じて市町村ごとのフェアや高知ならではの商品を売り出したフェアなどの各種の催しを活発に開催しますとともに、その際に事業者や生産者の皆様に店頭に立っていただき、みずから販売することを通じて直接首都圏の消費者の声を聞き、ニーズを感じ取り、商品開発のヒントを得ていただくことは本県の事業者にとって貴重な財産になると思います。 また、店頭でテストマーケティングを実施し、その結果を県内の事業者にフィードバックすることでさらに商品を磨き上げ、全国に通用する商品開発につなげていくことができることは、県内事業者にとっても大きなメリットになると考えております。新たな財団におきましては、アンテナショップの運営のほかにも、一般財団法人の職員であるという立場を生かし、県職員では難しかった個別の県内事業者や商品の売り込みを積極的に行うとともに、取引先との商談にも立ち会い、商品説明のアドバイスやフォロー、バイヤーの注文や質問への対応のフォローなど、成約に向けた営業活動への支援を積極的に行うとともに、取引先からの商品に対する意見や要望についても、事業者に確実にフィードバックをしてまいります。こうした財団でのさまざまな取り組みを通じまして、首都圏の数多くの消費者やバイヤーのニーズを事業者や生産者にフィードバックしてまいりたいというふうに考えております。 最後に、アンテナショップを設置する際の独自性を発揮する戦略についてのお尋ねがありました。現在、銀座、有楽町エリアには北海道や沖縄を初め15道県のアンテナショップが設置をされており、最近ではテレビや雑誌などマスコミで取り上げられる機会も多いことから、既に首都圏の消費者には地方のアンテナショップが集積しているエリアであることが浸透しているというふうに考えています。このため、複数のアンテナショップをめぐる多くの消費者の来店が見込まれることや、今後もマスコミを通じた情報発信が期待できることなど、集客の面で他のアンテナショップとの相乗効果が見込めるものと期待をしています。 反面、お話にもありましたように、このエリアに出店する際には本県ならではの独自性を発揮することが大切だと考えています。そのためには何よりもお客様を大事にすることが基本だと思いますので、接客マナーを徹底していきたいというふうに考えています。また、内外装などの店づくりに関しましては、例えば木材を初めとしたさまざまな本県の素材を使うなど、来店していただくだけで高知を体感していただける店づくりを行うことや、大画面のモニターによって本県の豊かな自然や多様な文化などを道行く消費者にアピールすることなどによりまして、高知の魅力を前面に出した店づくりに努めたいというふうに考えております。 そして、アンテナショップに人を呼び込むソフトの仕掛けといたしましては、県内の各地域の皆様、また高知に縁のある方々に御参加いただいてのイベントなどによってにぎわいを演出することが欠かせないというふうに考えております。さらに、高知県出身者のネットワークやダイレクトメールを活用したイベント等の告知、マスコミを対象とした試食会の企画など、さまざまな媒体やアイデアを組み合わせたプロモーションを、工夫を凝らして実施することで誘客に努めたいというふうに考えております。   (商工労働部長高松清之君登壇) ◎商工労働部長(高松清之君) クリエーティブ産業の育成に関する御質問にお答えします。 まず、コンテンツ企業の誘致についてお尋ねがございました。お話にありました徳島県のように首都圏などからアニメーションスタジオを誘致できますと、本県の個性ある文化や資源が作品の中に取り入れられて広く全国に情報が発信されましたり、県内在住のクリエーターの雇用につながるといった地域経済への効果が大きく期待をされます。本県におけるコンテンツ産業の振興につきましては、先ほど知事からお答えしましたように、先月高知県コンテンツ産業推進会議を立ち上げまして、人材育成やビジネスモデルの創出を目指した取り組みを開始したところであります。 御提案のありましたコンテンツ企業の誘致につきましては、まずは地域経済への波及効果がどういったものか、あるいは企業が進出に至った経緯や動機、さらには自治体としての支援策などにつきまして他県の先進事例の研究に取り組んでみたいと思います。こうした取り組みを進めていく中で、県内でのコンテンツビジネスを育成するということもできてきますし、あわせまして関連する企業の誘致も目指していきたいというふうに考えています。 次に、サンゴ産業の育成についてお尋ねがありました。サンゴ産業は、本県の地域資源を生かした重要な伝統産業であると認識しております。しかしながら、お話しのように国内産のほとんどの原木が取り扱われています本県の入札会では、その7割が台湾に輸出をされ、安価な労働力によって加工された上で、強い価格競争力を持った商品として海外市場で流通している現状にあります。また、こうした状況に加えまして、近年、消費者のライフスタイルや嗜好の変化に伴いまして、和装小物を中心にした従来のサンゴ製品の消費というのは縮小しつつあるといった厳しい市場の動向もありますが、県内の事業者の方々の中には、国の支援事業を活用しまして多様なアクセサリーの開発など、新たな分野への進出に積極的に取り組んでいる方々もおられます。 県といたしましても、市場ニーズに合ったサンゴ製品の開発、販路拡大に向けた展示会への出展などに意欲を持って取り組まれる事業者の皆様に対しましては、こうち産業振興基金などを活用し支援を行いますとともに、こうした制度がございますことを関係者の方々への周知ということにも努めますことで、本県のサンゴ産業の振興を図ってまいりたいというふうに考えております。   (文化生活部長大崎富夫君登壇) ◎文化生活部長(大崎富夫君) メタンハイドレートに関しまして、鉱業権を有している企業など関連する情報の収集についてお尋ねがございました。 国のメタンハイドレート開発計画では、平成19年度に海外での陸上産出試験において、6日間ではありますが、初めて連続生産試験が行われました。本年度から始まりましたフェーズⅡでは、この海外での陸上産出試験を継続するとともに、その上で日本近海での海洋産出試験が行われる予定となっております。国の開発計画はこのような段階でございますし、これまでの情報収集の限りではメタンハイドレートも含めまして、お話のありました南海トラフで鉱業権を有している企業は現在ないものと承知をしております。この開発計画にはまだ相当な時間を要するものと思われますので、今後も引き続き、お話のありましたことも含めまして、幅広く国や関係機関等の情報収集に努めてまいります。   (教育委員長宮地彌典君登壇) ◎教育委員長(宮地彌典君) 大石議員から教育振興基本計画中間取りまとめに関する質問のうち、まず厳しい社会経済状況などに至った原因分析が書かれていないが、中間取りまとめでどのような議論があったのかとのお尋ねがございました。 高知県教育振興基本計画検討委員会での議論におきまして、まず10年間土佐の教育改革に取り組んできたのに学力がなぜ成果として上がらなかったかということが一番の問題として提起され、そこからスタートをいたしました。このため検討委員会では、当初から学力などの教育課題の現状と分析に大きな時間が割かれ、そのことを集約、分析して第2章を設けてございます。そして、その後、課題の克服だけでなくて、高知県の強みを生かした教育振興も必要だという議論が後半になって起こりました。中間取りまとめのように、課題の克服と強みの活用という両面を記載いたしました。なお、本計画は教育の振興に関する計画ですので、本県の教育における現状につきましては詳細な分析を行いましたが、当検討委員会で社会経済状況の分析は行っておりません。 少し補足をさせていただきますと、教育行政を進めていく上におきまして、まず文科省から示されます学習指導要領がございます。これが一番の基本だと思います。そして、本県では、まだ中間取りまとめですが、教育振興基本計画を策定いたしました。そして、単年度計画としまして昨年度こういう(資料を示す)「学ぶ力を育み心に寄りそう緊急プラン」というのを策定いたしました。ですからこれは本年度で、2年度目でございます。そういったもので教育行政が進められておりますので、中間取りまとめのこの基本計画だけをごらんいただきますと、御指摘のとおり抽象的だと、わかりにくいというところがございますということはよくわかりますが、全体的なものとして御理解を賜ればと思います。 それともう一つ、あくまでも基本計画でございますので、余り社会情勢を近視眼的に見過ぎるということも、また間違いを起こすもとがあろうかと思います。一例を申しますと、ゆとり教育という言葉が言われた時期がございました。それを進めてみますと、国際的な学力調査などで日本の学力がどうも余り芳しくないということがわかってまいりまして、ゆとり教育への対応を随分変更してまいりました。例えば、3けたの掛け算は児童に負担が大きいので、円周率を3.14でなくて3でよろしいというようなことが行われたりした経過もございました。そういったことから、基本計画は余り近視眼的に対応するものではないというように私たちは考えております。 続きまして、3つの視点に基づく10の基本方針のうち、明るい未来を担う人づくりの「明るい」のいわんとするところについてのお尋ねがございました。教育は、一人一人の夢や希望を実現するものであると同時に、活力に満ちた豊かな社会を築く将来へのかけ橋です。教育振興基本計画の3つの視点の1番にございます明るい未来を担う人づくりの「明るい」とは、そのような思いを込めて記述したものです。また、本県は、人口が80万人を割る規模となりました。人口が少ない県だからこそ、県民一人一人が勤勉に学び、知力を高めることによって全国から見ても存在感のある県でありたいという願いを込めて、明るい未来という記述をいたしました。 次に、本県の教育における弱みについてのお尋ねがございました。本県教育の弱みは、全国最低水準にある中学生の学力や体力、全国に比べて厳しい家庭の状況、少子高齢化の進行や若者の県外流出、また生徒指導上の諸課題などがございます。検討委員会では、前半は弱みを指摘する議論が多く交わされましたが、後半は前向きな議論がふえ、そうした中で強みを伸ばそうという視点での議論がなされました。その取りまとめを第1章の3項に記載いたしました。教育に生かせる高知県の強みを明らかにすることによって、教育関係者が今後の教科研究などを通じて活用してくれるものと考えております。 次に、産業振興計画を踏まえた上で教育基本計画の議論は行われたのかとのお尋ねがございました。議員が地域の産業政策と教育政策は連動すべきだというお考えを述べられましたが、私の考えとは若干違いを感じますので、以下に簡単に述べさせていただきます。産業経済は文明活動の一部であるのに対しまして、教育は大きな文化活動だと考えております。文化が繁栄した地域に文明が生まれます。例えば、文化活動である教育が振興した地域や国においては、学術的な研究も活発となり、新しい素材の発明へつながることがあるでしょう。その新しい素材は産業を興し、経済を活発化させる可能性を持っています。つまり、文化活動である教育の振興が産業と経済を呼び起こすという因果関係にあるものだと私は考えてまいりました。 教育振興計画の検討におきましては、昨年11月の検討委員会の席に産業振興計画の中間取りまとめの資料を配付し、委員の皆さんで議論をしていただきました。また、この回に限らず、委員からは適宜、産業との連携について御意見をいただいております。具体的には、企業や農業出身の委員から、産業振興計画と連動した施策を明記すべきとか、大学も巻き込んだ産学官の連携などの御意見をいただいております。このような意見を踏まえまして、「学校給食における地産地消を進める食育の推進」や「希望の進路実現に向けた高校生の就職支援」などを計画の中に盛り込んでございます。 次に、基本計画の策定に関して、費用対効果を明確にすべきではないかとのお尋ねがございました。高知県の教育振興基本計画の策定の背景には、国の法改正の影響もございますが、根本的な策定の理由は、土佐の教育改革以降、本格的な教育計画が何よりも必要だと考えたからでございます。具体的には、高知県の教育行政の中に、追求すべき明確な目的と達成すべき具体的な目標を県民の皆様と教育関係者に明らかにするように努力をいたしました。計画策定に要する時間や労力につきましては、この計画を実行することで得られる教育効果からすればわずかなものであると考えております。そして、目標に対する成果とその費用対効果につきましては、毎年度行う点検評価を通じて明らかにしていこうと考えております。 次に、基本計画のあり方をどのように考えているかとのお尋ねがございました。教育は、人が行う高度な愛情の発露であると考えております。力のある人はさらに力を伸ばし、力が不足すると思われる人には寄り添ってより力をつけてもらう。愛情のあるしつけは教育であり、愛情のないしつけは虐待となります。このような観点から、昨年9月から、教育関係者と幅広く有識者に参加していただきまして、これまで8回の議論を重ねるとともに、私たち教育委員の間でも何度も取りまとめに当たっての方向性を真剣に協議してまいりました。今回の計画は、子供はもちろんのこと、大人も含め一人一人の成長と幸福を念頭に置いて策定されている行政計画でございます。 最後に、教育委員会制度のあり方についてどのような見解を持っているかとのお尋ねがございました。知事の答弁と若干重複しますが、お許しをいただきたいと思います。私は、ちょうど15年前に県の教育委員を拝命いたしました。好きで委員になったわけではございませんが、長年の経験をもとにして教育委員会の役割について振り返ると、次の3点から教育委員会制度が必要であると感じています。1つ、政治的中立性の確保、2つ、教育の連続性の確保、3つ、教育の安定性の確保、以上の点から、先ほど申し上げましたように、今後とも教育委員会制度は必要だろうというふうに考えております。 一方で、一般論として教育委員会は形骸化しているのではないかという指摘がございます。このことは、小規模の自治体において該当する機関があるのではないかと懸念をしております。議員からの御質問にありますように、これからの教育委員会のあり方につきましては、これら小規模自治体の教育委員会を活性化させる方策を構築することが最も重要な課題であると認識しております。特に、高知県には町村などに小規模の教育委員会がございます。実態としてなかなか行政を動かしにくい、力量の限られた教育委員会をどのようにして活性化させていくかということについて、これから一層の知恵を出していかなければならないというふうに感じております。 私からは以上でございます。   (健康政策部長坂東隆志君登壇) ◎健康政策部長(坂東隆志君) 社会保障政策についての御質問にお答えいたします。 まず、駐在保健婦制度に学ぶべき点があるのではないかとのお尋ねがございました。全国的にも注目されました本県の駐在保健婦制度は、県の保健師が地域に駐在し、赤ちゃんからお年寄りまですべての住民を対象に予防活動や保健指導などを行い、県民の保健衛生の向上に大きな役割を果たしてきたと認識をしております。しかし、保健福祉サービスが多様化、高度化するとともに、住民に身近な保健福祉サービスは市町村が行うとの流れの中で地域保健法が制定されましたことから、平成8年度をもって駐在保健婦制度を廃止いたしました。これに伴い、身近なサービスを担う市町村と、広域的・専門技術的なサービスを担う県が、二人三脚でサービスを提供する新たな体制となりました。 しかし、近年、市町村の保健福祉業務が急速に拡大してきたことや、市町村の地域活動の取り組みに差が生じてきたこと、さらには福祉や介護などのサービスが多様化してきたことから、関係機関が連携して切れ目のないサービスを提供する仕組みづくりが求められてきております。このため県では、保健所と福祉事務所を統合し、市町村の保健福祉を一体的に支援できる体制を整えますとともに、福祉保健所への地域支援室の設置や地域保健医療福祉推進会議の活用など、地域の関係者や住民とともにそれぞれの地域の特性に応じた、地域ならではのサービスの仕組みづくりを推進しております。あわせまして、駐在保健婦制度が果たしてきました地域に根差した保健活動のよいところを継承していけますよう、市町村保健師等の人材育成や地域をマネジメントする機能の強化などを支援しております。県といたしましては、こうしたことを通じまして、市町村が積極的な予防活動など地域に根差した保健活動を推進していけるよう、引き続き支援をしてまいります。 次に、地域医療再生基金に係る事業について、いつどういう体制で、どのような流れで策定するのか、また本県において想定する事業はどのような内容かとのお尋ねがございました。地域医療再生臨時特例交付金につきましては、医師の地域偏在、診療科偏在が著しい本県の現状を改善するまたとないチャンスであり、精力的に取り組んでいきたいと考えております。この地域医療再生臨時特例交付金による事業は、都道府県が地域医療の課題の解決を図るために必要な取り組みを盛り込んだ地域医療再生計画を策定し、国に申請することとされています。計画が採択されますと、国から交付金の交付を受けて基金を創設した上で、原則5年間で基金を取り崩しながら計画された事業を行うものです。 国の説明によりますと、病院等の再編などのハード事業を伴います100億円の地域医療再生計画につきましては、10月16日までに国に申請した上で、国の有識者による協議会におきまして全国で10の計画に絞られること。また、ソフト事業が中心となります30億円に係ります地域医療再生計画につきましては、各都道府県みずからが計画に優先順位をつけた上で、国に随時申請することなどとなっております。本県では、この地域医療再生臨時特例交付金に関します情報を早くから入手し、これまで国との意見交換などを行いますとともに、国からのアドバイスなども受けてまいりました。 これらのことも踏まえまして、医師確保の上で重要な役割を担います高知大学や地域医療の担い手であります医師会等医療関係者の方々の御意見を伺いながら、現在、庁内で医師確保対策や小児・周産期医療、救急医療や在宅医療等の充実を内容といたします計画について検討をいたしておるところでございます。計画策定に当たりましては、県保健医療計画や公立病院改革ガイドラインとの整合性や、定住自立圏等民間投資促進交付金によります事業との調整も図りますとともに、国とも適宜、事前の協議をすることといたしております。その上で県としての計画案を策定し、医療審議会の御意見を伺った上で、国に提出したいと考えております。 ◆29番(大石宗君) 済みません。それぞれ御答弁本当にありがとうございました。 第2問、まず知事から少しお聞きをしたいと思うんですが、地方分権に関する考え方をお伺いいたしました。一政治的な動き、一行政的な動きだけにとらわれずにやっていかなければならないという思いは、私も同じ思いをしたところでございますが、そういった中で財政調整機能だけはしっかりと確保しないといけないというお話があったように思います。けさもテレビをつけましたら、きのう中西議員からもありましたが、2人の知事が大騒ぎをしまして、我々民主党の幹部もへえへえして、何かこの国をあの2人が握っているような感覚に大変違和感を覚えておりますが、ああいう状況がある限り地方分権というものはこれから動きが加速化をしていくようなことも考えられるというふうに思います。 そういった中で、全国知事会の中では、都道府県によって財政調整機能に対する考え方というものは当然温度差があると思いますが、まずはどういった議論が知事会の中でなされているのか。この財政調整機能を担保できるという見通しがあるのか、お伺いをしたいと思います。 それと、交通政策に関してですが、済みません、関連で知事に少しお伺いをしたいんですが、理事のおっしゃった今後の筋といいますか、交通政策の筋は大変によくわかるところでございます。そういった中で、航空路線に関してなんですが、いわゆる地方の空港はもうすべて航空路線が今だめなわけです。もう、ほとんどこれから厳しい状況になってくる中で、今よりも小型の飛行機を連携して飛ばそうとか、そういった動きも出てくるように思いますが、関連しますので、知事会の中でそういった議論があるのかどうか、知事はどういうふうに思われるのか、お聞きをしたいと思います。 それから続きまして、よさこいの映画に関連してフィルムコミッションを利用するという御答弁がありました。フィルムコミッションについては、いろいろ実績もお話をいただいたところでございますが、多分高知県のフィルムコミッション、今実績のお話をいただいたのもフィルムコミッションが主体的に誘致をしたというよりも、たまたま高知に来ていただいた映画とかドラマのほうが多いように思います。これはあくまでも私の私見でございますが。そういった中で、これから活動を強化していくというお話がありましたが、まさにこの分野こそ、もちはもち屋といいますか、本当の意味で例えば映画を愛している方にこういった事業を任せるとか、高知県はとにかく自主上映サークルなんかもたくさんありますし、いろいろな素地がありますので、そういったことも今後の展開として見ることができないかということ。 そして、インターネットコマース市場についてなんですが、大手との比較をこれからしていくということでございますが、巨大な大手の市場に対してなかなか本県独自で対抗していくというのは難しいかもしれませんが、ただこの市場はまだまだ黎明期でございますし可能性も秘めておるところでございます。本県らしいあり方は独立独歩でやっていくと、それを一番先にやっていくということも本県の誇りを取り戻すということでも大事ではないかと思いますので、前向きに検討をいただきたいと思います。 それから、観光についてなんですが、観光行政、コーディネート機能というものが重要だというふうにお答えをいただいたところでございますが、この観光こそ、非常にセンスといいますか、どういった取り組みをしていくかというものを、民間でできるものは民間にできるだけやっていただくということが大事だと思いますので、そういった中でじゃあ行政は最低限何をしなければならないのか、このあたりを整理する必要があると思いますが、どういうふうに考えるのか、少しお伺いをしたいと思います。知事については以上です。 地域福祉部長に続いてお伺いをします。国に要請をしていくという御答弁、きのう中西議員の中でもありましたが、県としてはどういうふうな取り組みをしていくつもりがあるのか。それから、国に要請していくその展望としてはどういうふうに考えられておるのか、あわせてお伺いをします。 それから、産業振興推進部長、口座の取得は難しいという答弁がありました。それから、国内最大の消費地である銀座、有楽町エリアに売り場をつくることは非常に有効なことであるということでありましたが、確かに重要なところでございますが、あくまでもただ1店舗でございます。広がりを持たせるためには、いわゆる流通機能も持たせるということも大事ではないかと思いますが、そういう意味では今お話しした口座ですね、これを財団が持って、リスクを持つ商品を扱うということですから、卸業に乗らない、流通に乗らないようなものをそこで最初扱って、いずれ卒業をしてもらうというふうな形は考えられないか、部長にお聞きをします。 それからアンテナショップ、どうやって独自性を出すのかというところでいろいろお話をいただきました。イベント、接客マナー、外観、モニター、ネットワーク、マスコミへのプロモーション、これは他の17都道府県多分ほとんどもう既にやっていることではないかと思いますが、そのあたりどういうふうに思われているでしょうか、お伺いをします。 それから次に、商工労働部長にお伺いをいたします。サンゴ産業についてですが、国の施策を活用してという言葉がありました。多分JAPANブランド育成支援事業のことだと思いますが、実はこれ余りうまくいっていないというふうなことも聞きますが、そのあたりはどうでしょうか、お伺いをします。 それから、文化生活部長、メタン、鉱業権を有している企業がないと言い切ったお話でございましたが、あるといううわさも聞くところでございますが、これは本当に確実な情報なのか、もう一度お聞きをしておきます。 それから、教育委員長、済みません、お聞きをいたします。細かいことはもう省いて、教育は文化であり、産業政策は文明であるというお言葉をいただきました。文明であるからこそ教育を大事にしなければならない、この考え方は非常に理解をするところでございますが、しかしこれも私はバランスではないかというふうに思います。そういった意味では、今までは余りにも文明のほうに偏り過ぎて、ある意味で生々しい情報がなさ過ぎてあいまいになってきたという側面もあるんではないかというふうに思いますが、もう一度御所見をお伺いしたいと思います。 それから最後に、健康政策部長にお伺いしますが、駐在保健婦制度についてのいろいろなメリット、学ばなければいけない点というものをお話しいただきました。今市町村で対応がそれぞればらばらになっているという難しい課題があると思いますが、とにかくこれからの予防医療に関しましては、特に医療費の高いうつ病とか糖尿病、こういったものは地域の方にどんどん訪問をしていくことで随分軽減をされるもんではないかと思います。今度あったかふれあいセンター事業が県下でやられるわけでございますが、これはあくまでも来ていただくという考え方でございますが、ここにどんどんどんどん訪問していくという機能も新たにつけ加えてはどうかというふうに考えますが、御所見をお伺いしまして、2問目とさしていただきます。 ◎知事(尾崎正直君) お答えをいたします。 まず第1点に、地方分権の関係で知事会などについて、御指摘のとおりだと思います。この財源調整機能の必要性についての温度差が、非常に都会の地方と、地方の中の地方というような地方、ここで温度差があるんだというふうに考えておるところでございまして、いろいろな地方分権関係の議論につきましては、我々としては常に財源の再分配が行われるかどうかという、こちらについて見逃してはいけない、非常に大切にしていかなければならないと思っています。 幸い、今の知事会の議論、こちらがおおむね知事会の掲げておる資料、主張をまとめておるものでございますが、そん中にも権限移譲の推進でありますとか税源配分の5対5の実現でありますとかということに加え、地方交付税の復元・増額、地方の共有財源の明確化ということで、そん中にも地方交付税増額、財源調整・保障機能の強化とかという主張もされておるところでございまして、そこの主張も入っているんだと思います。ただ、先ほど私答弁で申し上げましたように、こういう言葉は入っておりますが、どのような制度設計をしていくかによって全然変わってくるわけでございまして、そこらあたりの詰めた議論、これが今後必要となってくるかなと。大いに主張すべきは主張していかなけりゃいけないと、そのように思っております。 それと、航空路線の問題でありますが、知事会では現在、議論は行われていないそうでございます。ただ、路線を維持していくということでいけば、例えば小型化することによる対応などということもあるのだろうというふうに思います。実際今、高知から出ている発着便についても小型機であるからもっているというところもあるわけでございますので、いろいろなあらゆるオプションは今後も検討していくことが必要かなというふうに思っています。現実問題としては、小型であったとしてもやはり飛行機一つ飛ばすということになると相当の経費もかかってくるということでございまして、小型だからすべて解決するというわけではないようでありますが、ただあらゆる可能性というのは模索することが大切だと思っております。 それから3番目、映画の誘致についてということですね。フィルムコミッションを利用していろいろと、ロケの協力をするということも申し上げましたが、何よりこれは高知の地域アクションプランの中に設けられているものでございますから、単に映画をどうするかというだけではなくて、これを生かしてどうやって大きな波及効果をもたらす観光振興、地域振興につなげていくかという視点、これで全体としての制度設計をしたいということでアクションプランにも載っているものですんで、アクションプランとしてしっかり育てていっていただくということが重要かなと思いますとともに、フィルムコミッションのことについていえば、先ほど申し上げましたように、やはり地産外商戦略の一環として映像をどう引っ張ってくるかということも非常に重要な観点ではないかと思っています。活動を強化すべき分野ではないかと思っていますが、ただ正直なところまだまだ検討の初期の初期の段階でありますから、これから検討を重ねさしていただきたいと、そのように思っております。 それから、eコマースについてでありますけれども、まずはことし、第一歩としてポータルサイトを開いて高知県関係のeコマース関係情報の一元化ということを図っていくということをしたいと思っています。大手の楽天さんの「まち楽」でも、いろんなもともとあったeコマースを一つに一元化しただけで2割ぐらい売り上げがぽんと伸びたということもありますので、要するにSEO対策、これは順番が上がる、そういう大きな効果もあるんだというふうに思っています。まずこれから始めたいと思いますが、ただ実際直営するということになりますと、事実上、バーチャルな世界とは言いながら、店を1店舗、2店舗持っていくというのと同じことをすることになるわけでございますので、やっぱり相当大変な検討を重ねていかないといけないところかなと思っています。いろいろメリット、デメリットもあろうかと思います。そこはよく検討さしてもらいたいと、そのように思います。 最後に、観光について。コーディネートが重要であるということです。民に任せるは民に任せなければならないということだが、じゃあ行政は何をするのかというお話でございますが、何より今行政が定めていますのは、高知県観光の課題をあぶり出して、その上でこれに対する対応策の方向性と具体の政策を定めた観光八策がありますけれども、こういう形で全体として何をすべきなのかということをしっかり定めていくことだというふうに思います。個々個別の対応策について言えば、それは役割分担はさまざまではないかと。例えば、二次交通の整備ということになりましても、観光タクシー、こういうのをやっていきませんかと慫慂するのは行政の役割でしょうが、具体に運営するのは民間タクシーの会社の皆様ということになるわけでございます。 ただ、しかしながら複数の事業者さん同士の連携を図っていくときに、最初に行政として呼びかけをして一つのテーブルに着いてもらうことで連携を進めるといったこともあろうかというふうに思います。具体的に言えば、観光八策を進めていくということ、その全体の進行調整をしていくということ、そん中での役割分担、これはケース・バイ・ケースですので、それぞれにおいて役割を果たしていきたい、そういうふうに思っておるところであります。 ◎地域福祉部長(小田切泰禎君) 介護職員の処遇改善について2点あったと思います。 まず1点、県としてどういうふうに取り組んでいくのかということだったと思います。今回の経済対策で国からこういう施策が出てきたわけでございますので、これから県内の介護施設の協議会等がございますので、そちらのほうでのこの事業の取り扱いに対する御意見、介護職員だけでいいのか。実を言いますと、例えば平成19年の全国調査によりますと、特別養護老人ホームなんかでは、介護関係職員が77%、そのほか看護の職員が11%、ソーシャルワーカーが約5%、理学療法士、作業療法士いわゆるPT、OTが約1%と、その他の専門職種もたくさんおられますので、それぞれの賃金の状況がございます。その中でも、先ほど言いましたように介護職員の方々の賃金が低いレベルにあるということで、今回最も割合の大きい介護職員の方々の賃金を改善しようというのが今回の措置でございますんで、この措置だけでいいのか、その他の職員も今後上げていくべきかということは、県内のそれぞれの施設の皆さんの御意見もお聞きをして県として考えていきたいというふうに思っております。 国への要望につきまして2点目にございました。国の社会保障審議会の介護給付費分科会においても、介護はチームプレーなので介護職員だけ上げることについては他の職員との間に問題が生じるのではないかという御意見も出ております。そういったことも指摘をされておりますので、今後の国の動向にも留意をしながら、県内の実情もお聞きをして、国に対してそれらを踏まえて要望していきたいというふうに考えております。 ◎産業振興推進部長(岩城孝章君) 2点ほどあったと思います。 1点目が、財団が小規模事業者のために口座を持ったらということでございます。仮に財団が口座を持ったとしても、口座を持った財団が取り扱っている商品がすべてフリーパスで、例えば百貨店とかそういうところで扱っていただけるということにはなっておりません。それぞれの百貨店が、その品質であるとか、それからいろんなことを審査をして、いわば目にかなった、売れ筋として見込みがあるというような完成度の高い商品というのが求められております。そうした意味で、財団の役割としてはそういった商品をいろんなところに磨き上げ、例えば売り込みであるとかブラッシュアップをして磨き上げていくという役割が財団の一つの役割だというふうに考えております。 それともう一点、アンテナショップの独自性ということでいろんな案をいただいておりますし、それから職員の中でもこうすれば、ああすればというような、まあ突拍子もない案もございますが、そうした案の中で、財団が設立をされてアンテナショップ開設までの間に、高知らしい、本当にインパクトのある、効果のあるような、独自性、どういったものがあるか、それを考えていきたいというふうに考えております。 ◎商工労働部長(高松清之君) サンゴ産業に対する国のほうの支援事業うまくいってないんじゃないかと。議員のお話のあったとおり、JAPANブランド育成支援事業というのを導入して、今、研究といいますか、宝石サンゴの市場調査あるいは今後の戦略策定ということでこれを複数年で行っていこうということで、20年度に採択を受けて続けていっておるというふうに承知をしております。議員のほうからうまくいっていないんじゃないかというお話、私どものほうには現時点ではそういったものは入ってきておりませんでしたが、きょうそういったことをお聞きもしました。 この事業を進めるスキームとしまして、商工会議所を事業実施者、そしてそのもとに現在ですと県内の16のサンゴの事業者の方々が参加をして一緒になって進めていっている、そういったスキームだと思います。当然、私ども日常の業務の中で、商工会議所はもちろんですし、サンゴの関係の方々とのお話をする機会というのもありますので、そういったところで現在の状況というものもお聞きをしてみたいし、お聞きをした上で県として何か対応すべき点というのがあれば、また御相談にも乗っていきたいなというふうに思います。 ◎文化生活部長(大崎富夫君) メタンハイドレートに関する鉱業権の件でございますが、鉱業権は試掘権と採掘権とで構成をされております。かつて研究機関が調査研究に当たって試掘権を得たのではないかというお話は聞いておりますが、確認はできておりません。現在の時点につきましては、関係機関へ問い合わせ等情報収集した結果におきましては鉱業権を与えられているものはございませんと、そういうお話を聞いております。 以上でございます。 ◎教育委員長(宮地彌典君) 議員お話しのとおり、文明が発達すると産業が興り、経済が活発になりますので皆大歓迎をいたします。ところが、文明が発達をし過ぎると社会がどうもおかしくなってくるということも言われます。一例を挙げますと、携帯電話は文明が生んだ大変便利なものですけれども、あれは場合によったら社会を難しくしているということもあります。ちょっと適切な例かどうかわかりませんが、そういったことで文明が発達することは経済を豊かにしますので大歓迎ですけれども、偏り過ぎると社会が難しくなる。文化が発達すると人の暮らしは豊かになるというふうに私は勉強してきた中でそう考えてまいりました。ただ、文化というとすぐに絵画とか彫刻とか音楽とかということが連想されますが、それは文化の中でも頂点の部分でございまして、大事なことは庶民の生活文化あるいは教育といった根差した文化を育てていくということが大変大事だというふうに考えております。 以上です。
    ◎健康政策部長(坂東隆志君) 駐在保健婦制度に絡んでの御質問にお答えします。 お話にありましたように今後医療費が増嵩していくという中で、県民の健康づくりあるいは予防対策といったことに力を入れていく、非常にそれは大事なことだというふうに思っております。そういうことで、市町村の保健師はいろんな業務が入ってきてかなり忙しくなってなかなか現場に足を運べないといったような実態もあるわけでございますけれども、できるだけ住民のほうに出向いていただいて住民のお話を聞く、あるいは指導していただく、そういったことをしていただきたいなというふうに思っております。お話にありましたあったかふれあいセンターのほうへ出向くということも一つの有効な方策だというふうに思います。ただ、市町村の保健師が若いとか、あるいは市町村によっては取り組みに温度差があるとかそんなこともありますので、県の福祉保健所のほうからもそういったことに向けての指導をしていきたいと思っております。 以上でございます。 ◆29番(大石宗君) 済みません、それぞれありがとうございました。 ちょっとまだまだお話をしたいこともたくさんあるんですが、もう時間もありませんので、地方分権についてのさっきの財源調整の話、知事にいただきました。テレビで今行われているような軽い首長連合ではなくて、これから先は地方の首長が連合してしっかりとそのことを知事会の中で話し合っていくということも重要だと思いますので、ぜひ知事を先頭に全国に向けて発信していただければというふうに要請をします。 それから最後に、蛇足でございますが、今度の補正予算はとにかくいろいろな、ほかの自治体では余りにも巨額な予算がおりてきたために使い道について困ったというところもあったように思います。そんな中で、いわゆる備品の購入とか、こういったものは少し問題になった市町村、それから都道府県もありますが、私もこの県の予算を見まして、備品調達のお金、去年決算が3億円なのにことし30億円という、これは何か突っ込むところがあるんじゃないかと思って正直全部もう一回見直しました。ところが、我が高知県は、知事以下財政課の皆さんが本当に丁寧にしつこく査定をしておりまして、一点の曇りもございませんでした。そして、残念ながら質問することができませんでしたが、ただその備品購入たくさんしている中には、産業振興計画に伴う研究機関の試験研究用の備品の購入がたくさんございます。 とにかく、将来を担う世代にという言葉を本日はたくさん使わしていただきましたが、そのためにも、本当に必要なものをせっかく買えたんですから、これをいかにこれから有効活用していくかということをしっかり考えていただきたいということをお願い申し上げまして、一切の質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(元木益樹君) 暫時休憩いたします。   午後0時20分休憩-----------------------------------   午後1時21分再開 ○副議長(森田英二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 26番西森雅和君。   (26番西森雅和君登壇) ◆26番(西森雅和君) 公明党を代表して、通告に従い順次質問をいたします。 初めに、知事の政治姿勢についてお伺いをいたします。政府が発表した6月の月例経済報告では、「景気は厳しい状況にあるものの、一部に持ち直しの動きが見られる」として、昨年12月以来続いた「悪化」の表現を7カ月ぶりに削除し、与謝野財務・金融・経済財政政策担当大臣は、底を打ったと強く推定できるとして、事実上、景気の底打ちを宣言いたしました。四国では、四国経済連合会がまとめた4月から6月期の四国の景気動向調査によると、四国の景気は依然厳しい状況が続いているものの、一部に下げどまりの兆しもうかがえるとしています。さて、高知県はといいますと、高知新聞で報道された四銀キャピタルリサーチの県内企業の景況アンケート結果のまとめでは、4月から6月期までの景況判断指数は1月から3月期を8ポイント上回り、3期ぶりに改善したとなっています。そして、来期はさらに12ポイント改善の見込みがあるとの報道がされておりました。 こうしたことからすると、景況感は最悪期を脱しつつあるのではないかと思われます。しかし、雇用においてはまだまだ厳しい状況が続いております。昨年の9月以来、世界的な経済危機というあらしが吹き荒れる中で、政府・与党は昨年12月からことし3月まで、2008年度第1次補正予算と第2次補正予算、そして本年度予算として総額75兆円の景気刺激策、いわゆる3段ロケットを実施いたしました。さらに、今回56兆8,000億円の新経済対策を盛り込んだ国の補正予算も成立し、需要拡大へ政府・与党は連続して政策を打ち続けております。こうした政府・与党の切れ目ない政策が、景気の下げどまりをもたらしたものと思われます。中でも、総額2兆円の定額給付金につきましては、県民の皆様に伺ってみますと、「本当にうれしい」、「助かります」、また「もう使いました」などなど、歓迎の声が相次いでおりました。 家計への緊急支援と消費の喚起策として始まったこの定額給付金が、街角景気の上昇にも大きく寄与しているものと思われます。そして、何よりもこの定額給付金によって、家庭や町に明るさが戻ってきているように感じます。我が家におきましても、定額給付金が決まるまで、小学生の子供たちが、「お父さん、定額給付金はいつもらえるが」、「幾らもらえるが」と、ふだんはアニメしか見ない子供たちがテレビのニュースを毎日のように気にしていました。そして、定額給付金の法案が通ったときは子供たちも大いに喜んでおりました。その間、我が家では、定額給付金がもらえたらあれを買おうかこれを買おうか、家族の中で、自転車がいいんじゃない、地デジ対応のテレビがいいんじゃない、いやいやみんなで焼き肉を食べに行こうなどなど、会話にいろいろと花が咲きました。こんな家庭が県内のあちこちにあったのではないかと思います。景気は気分とも言います。公明党が推進したこの定額給付金が、消費と景気回復の呼び水になっていることは間違いないと思います。 そこで、知事にお伺いしたいと思いますが、県内においてこの定額給付金の申請件数がどれくらいあったのか。県内の定額給付金に連動したプレミアムつき商品券の発行状況とあわせて、定額給付金に対する知事の評価をお伺いしたいと思います。 そして、景気刺激策として忘れてはならないのが高速道路料金の値下げであります。土日の高速道路料金の値下げが始まって間もなく、その効果を確かめるため調査に行きました。土曜日の朝、高松から高知に向けて高速道路に乗ると、車の台数の多いこと多いこと。豊浜サービスエリアに入ると、朝8時過ぎという時間にもかかわらず駐車場は満杯状態で、ガードマンの方が車を誘導しているという状況でした。とまっている車はといいますと、岡山、神戸、鳥取などの県外ナンバーがずらり、サービスエリアの食堂はうどんを食べる人でごった返していました。サービスエリアを出て一路、車は西へ、松山自動車道と徳島・高知自動車道への分岐点では愛媛県に向かう車が多くありました。続いて車は南へ、徳島道と高知道との分岐点、高知道に入る車より徳島に向かう車のほうが多かったように思います。高知も頑張らんといかん、そんな思いをして帰ってまいりました。 そこで、知事にお伺いをいたします。3月から高速道路料金の値下げで高知県内にどれほどの経済効果が上がっているのか。また、あわせて今後の県内への400万人観光、誘客に向けた知事の決意をお聞かせいただければと思います。 次に、今回の国の追加経済対策を受けた県の補正予算につきまして、今後の県の取り組みとあわせてお伺いしたいと思います。今回提出されました一般会計補正予算案は、6、7月補正としては戦後最大ということであります。そこで、順次お伺いをいたします。初めに、新型インフルエンザ対策についてであります。今回の補正予算案では、対策費としてエアテントの購入費など2億1,100万円を計上しています。新型インフルエンザは7月6日現在、世界では135カ国、9万人以上にまで広がり、国内でも46都道府県、1,998人の感染が確認されております。本県におきましても、6月28日に県内初の感染が確認され、現在6人目の感染が確認されております。今回の新型インフルエンザは、感染力は強いが毒性は弱い性質のインフルエンザであると言われております。国内の感染者の多くは軽症のまま回復しているということであります。 しかし、海外では、糖尿病やアレルギーなど基礎疾患を持っている場合、重症になる例も報告されており、現に死者も400人を超えています。基礎疾患を持っている人は細心の注意が必要ですし、弱毒性だからといって油断をしてはなりません。また、妊婦の方々も注意が必要であります。そして、何よりも心配なのは秋から冬にかけて第2波としての再度の流行であります。冬に差しかかったオーストラリアなど南半球の多くの国では、さらに感染が広がっているということであります。日本においても、秋から冬にかけて再度新型インフルエンザが流行したときに、ウイルスの毒性が強まり治療薬が効かなくなる可能性も心配するところであります。治療薬が効かなくなると、ワクチンで予防する以外になくなってきます。 そこで、健康政策部長にお伺いいたしますが、県内においてワクチンの確保は大丈夫なのか、伺っておきたいと思います。 先月19日、厚生労働省は新型インフルエンザの第2波の流行への対策として新しい運用指針を示しました。そこでは、患者の大発生を見越して、医療体制の外来部門はすべての医療機関で受診できるようにするとしています。秋、冬までといってもあっという間にやってきます。早急に体制を整えなければなりません。すべての医療機関での診療といっても、一般患者と発熱患者の待合場所の分離や診療時間の延長、さらに入院病床の確保など、体制整備のための医療機関の負担は大きいものがあります。今後、国や自治体のさらなる具体的な支援も必要になってくると思います。また、県の支援のあり方について、医療提供側との具体的な協議も早急に進めなければならないと思います。今回、新型インフルエンザ対策として2億1,100万円の補正予算案が出ていますが、先ほど申し上げましたように国の指針として新たな動きが出てきている中で、今回の補正予算だけで対応できるのか、十分な対策ができるのか、不安な面もあります。 場合によっては追加の対策費用も必要になってくるのではないかと思いますが、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、事業継続計画について知事にお伺いいたします。新型インフルエンザ対策を初め、災害時などの対策として3つの段階があると思います。まず1つ目に、平時からの予防措置、2つ目に、有事の対応策の策定、そして第3段階として事業継続計画の策定、ビジネス・コンティニュイティー・プラン、いわゆるBCPの策定ということであります。危機管理対策としてはこれら3つのステップが不可欠であります。県庁における3つ目の事業継続計画とは、県民の生命、財産の保護や県内の生活、経済機能の維持といった目標を明確にし、県庁の業務を洗い出し、非常時に優先すべき業務を選び出し、必要性の高い業務をいち早く復旧し継続していくための計画であります。 この事業継続計画、いわゆるBCPを県としても早急に策定しておく必要があると思いますが、知事のお考えをお伺いしたいと思います。 次に、地球温暖化対策についてお伺いをいたします。今回の補正予算案では、地球温暖化対策として太陽光発電設備設置事業費2億3,700万円、太陽光発電導入促進事業費補助金として7,500万円が計上されています。この太陽光エネルギーの利用につきましては、私は昨年の7月議会の一般質問におきまして、本県が日本一の日照時間を持っているという特性を生かして高知県を太陽光エネルギーの導入や利用の先進県にしてはどうか、そして今後はすべての県有施設において、側面緑化や屋上緑化、高反射率塗料や太陽光発電などを利用して環境を意識した県施設や学校づくりを計画的に進めることができればとの提案をさせていただきました。その後、この1年間で自然エネルギーへの期待はますます大きくなってきていると感じます。 特に、昨年の秋以降、世界各国では世界的な経済危機を乗り越える道としても環境対策に光を当て、地球環境に優しい低炭素社会を目指した環境分野への集中投資が始まろうとしています。今や、環境対策と経済対策が同時に進み出しています。アメリカではオバマ大統領が、太陽光など新エネルギー開発に1,500億ドルを投入し500万人の雇用創出を目指すことや、プラグインハイブリッド車を2015年までに100万台導入することなどを柱としてグリーン・ニューディール政策を掲げました。また、ドイツでは、新エネルギー産業の就業者数を現在の25万人から、自動車産業を上回る約90万人規模に拡大する方針を発表しました。加えて、イギリスや韓国なども矢継ぎ早に独自策を打ち出すなど、まさに低炭素化に向けた経済活動が世界の潮流となってきています。 こうした中、日本では、我が公明党の斉藤環境大臣が、4月20日に環境重視の経済活性化策「緑の経済と社会の変革」、いわゆる日本版グリーン・ニューディール構想を発表いたしました。この日本版グリーン・ニューディール構想は、日本にとって必要とする環境対策を思い切って実行することによって、直面する環境問題に対処するとともに、現在の経済危機をも克服して将来の経済社会を強化しようとするものであります。環境省の試算によりますと、この政策が実現すれば、2020年には環境ビジネスの市場規模が2006年の70兆円から120兆円程度に拡大するとされています。また、雇用規模も140万人から2倍の280万人程度に増加すると期待されております。 具体的には、学校や公共施設に太陽光発電パネルを設置することや、コンパクトで人と環境に優しいまちづくりを進める緑の社会資本への変革に取り組むとともに、環境対応車いわゆるエコカーへの買いかえ支援や、エコポイントを活用して省エネ家電の普及促進を図る緑の消費への変革などにも取り組むとしています。そして、これらは政府・与党の新経済対策にも盛り込まれ、動き始めました。こうした中、我が高知県に目を向けてみますと、協働の森事業の協定やカーボンオフセット取引の契約など、頑張ってはいますが県としてまだまだ環境対策に対する意識が低いように感じます。例えば、このたびつくられる高知駅前の情報発信館や牧野植物園の温室に太陽光発電を導入してもよかったのではと感じるのは、私一人ではないと思います。今議会の補正予算案で太陽光発電施設の設置が県立高校5校ということでありますが、これもちょっと寂しいように思います。 学校施設への太陽光発電の設置が、生徒たちへの環境問題の意識啓発につながることや、災害時の避難所となった場合の電力確保にも役立つことを考えれば、この太陽光発電の設置をもっと積極的にスピード感を持って県立学校へ導入すべきだと思いますが、教育長のお考えをお伺いいたします。 また、同じく今議会の補正予算案で、公共的な団体などが整備する太陽光発電設備への助成として7,500万円を計上しています。これも少ないように感じます。麻生総理は先月、日本の2020年までの温室効果ガス削減の中期目標を2005年比で15%減らすとする方針を決定しました。そして、その目標の達成に必要な施策の一つとして、2020年に太陽光発電を現在の20倍程度とすることを掲げました。今後、この温室効果ガス削減のポイントとなるのは、一般家庭での太陽光発電システムの一層の普及であります。7月1日、国会では、一般家庭において太陽光発電の設置コストを10年程度で回収できるようにするために、余剰電力の買い取り価格を現行の1キロワット24円程度から2倍程度引き上げるとするエネルギー供給構造高度化法が成立いたしました。住宅向けの太陽光発電システムの設置は、新たな成長市場としても大きな期待が持たれております。 そこで、文化生活部長にお伺いいたしますが、現在県内の一般住宅における太陽光発電システムの設置状況の実態がどのようになっているのか、お伺いをいたします。 2009年度環境白書では、不況克服や新たな経済成長分野の育成、持続可能な社会の構築を実現するために、環境対策と経済対策とを両立させた政策に大きくかじを切る必要があると訴えております。経済産業省資源エネルギー庁では、太陽光発電システム設置のための人材育成支援に乗り出すとしています。中小の工務店や電気工事店の従業員のほか、離職者や学生などに対して講習などを実施し、中小企業の成長市場への参入支援や離職者の就職支援に力を入れるというものであります。今後、住宅向けの太陽光発電システムの設置は、地元の工務店や建築関係者への具体的な経済対策となることは間違いありません。 そこで、知事にお伺いいたします。今回の補正予算案で計上しています太陽光発電設備への助成金7,500万円は、公共的な団体などが整備する太陽光発電設備への助成となっていますが、これを一般家庭の太陽光発電設備への助成にも使えるようにして今後さらに予算をふやしていくべきではないか。もしくは、一般家庭用の太陽光発電システムの新たな補助制度を県としてもつくるべきではないかと考えますが、御所見をお伺いできればと思います。 先ほど申し上げました今年度版の環境白書では、環境対策が地域経済にもたらす経済、雇用への効果として、高知県を自然エネルギーの潜在量が非常に高い県として紹介し、我が県をモデルとした試算が出されております。この試算では、2020年までに約3割の温室効果ガスを削減するため、我が県において太陽光発電などの導入や住宅の省エネ化などの対策に350億円を投入した場合、需要が生まれることによる個人の所得や企業収入の増加のほか、光熱費の抑制や温室効果ガスの排出権取引による売却益などで合わせて、投資を大きく上回る469億円もの経済効果が見込まれるとしております。まさに、高知県内において環境への投資が進められることによってもたらされる地域の経済効果に対して、環境省がお墨つきを出しているわけであります。今、高知県に必要なことは、環境対策においてしっかりとしたビジョンを持つことであると思います。ことし、高知県は産業振興計画の実施元年として動き始めました。 そこで私は、この産業振興計画と連動した形で、今こそ自然エネルギーの導入と利用を促進するため、県として新エネルギーへのビジョンや高知県版グリーン・ニューディール構想をつくるべきではないか。そして、それに基づく高知県の新エネルギー振興計画をつくり、新エネルギーの振興を図っていくべきではないかと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、高知医療センターについてお伺いいたします。高知医療センターにつきましては、PFI事業の契約解除に向けた協議という急展開を見せております。高知医療センターの病院PFI事業は、病院の建設、維持管理及び運営などに民間の資金や経営、運営面でのノウハウを活用するというPFI手法を全国で初めて導入し、大幅なコスト削減が図られるということがメリットとされてきました。しかし、実際ふたをあけてみると当初期待していた効果は上がらず、かえって企業団が直接事業を行った場合のほうがコストを安く抑えられるのではないかということが指摘されてきたところであります。 2005年の開院以来、医療センターの病院経営を圧迫している原因とされるのが、医業収益に占める材料費比率ということであります。病院企業団とSPCの間で結ばれた契約書の中で、SPC側が提案した材料費比率は23.4%以下。この23.4%以下というのは契約期間の平均の数値ということであります。そこで、年度別でSPCが提案した医業収益に占める材料費比率と実績とを比較してみると、これも開院の初年度からSPC側が提案していた数値と大きくかけ離れて推移してきております。SPC側は、この材料費比率が契約を大きく上回っている要因として、医療の高度化などによって当初の想定から医療環境が大きく変化したとしています。 しかし、その考えには大きな疑問を持ちます。材料費比率は開院の初年度から既に30%を超えてきており、SPC側の年度ごとの提案と実績との差は、初年度から昨年度まで、少ないときでも5.83%、多いときは9.87%出てきております。言ってみれば、医療センターの材料費に関しては開院当初からずっと契約が破られていると見ることができます。こうしたことからすると、SPC側が言う当初の想定から医療環境が大きく変化したということは全く当てはまらず、明らかにSPC側の債務の不履行が開院当初から続いていたということになってくると思います。 SPCの債務不履行による契約の早期終了について、契約書の中には「SPCが本契約に違反し、その違反により本契約の目的を達することができないと認められるとき」と書いております。私が思うのにSPC側の契約の不履行は明らかで、契約書で言うところの「SPCが本契約に違反し、その違反により本契約の目的を達することができないと認められるとき」に、今まさに来ていると思います。私は、SPC側に明らかに契約違反があったと思っています。そして、SPC側に契約の不履行がある中で契約解除をする場合は、契約書にもあるとおり、SPC側が県・病院企業団に対して当然違約金が発生するものと考えております。県民の皆さんの中にも私と同じような考えを持っている人も少なからずいると思います。 そこで、医療センター担当理事にお伺いいたします。このように契約違反があり、違約金が発生するのではないかとする声に対してどのように説明をするのか。あわせて、今後のSPC側との協議につきましてはどのような考えで協議に臨まれるのか、お伺いしたいと思います。 次に、高知競馬についてお伺いをいたします。私は、一昨年の12月議会産業経済委員会において、高知競馬のインターネットの売り上げを伸ばすためにも、土日に開催しているJRAの発売時間を避けて、高知競馬をナイターで開催してはどうかという提案をさせていただきました。そのナイター競馬が、いよいよこの7月24日から始まることとなりました。ナイター競馬は、全国では大井競馬、川崎競馬、そして北海道の門別に続いて4番目ということでありますが、冬場も開催するところは高知競馬が初めてということであります。高知競馬は、2003年に約88億円の累積赤字を設置者の高知県と高知が負担し、存続が決定しました。その後、県費を投入しないということで、職員の削減や賞典奨励費の削減など、関係者の身を削るような努力の中で運営がなされてきているわけであります。 こうした中、今回のナイター競馬の開催が起死回生の施策として決定をいたしました。競馬ファンにかけてもらう立場の高知競馬が、まさになけなしの金をはたいて最後のかけに出た、こんな思いをしていますし、何とか継続をしていってもらいたいと願うところであります。競馬組合では、今回のナイター開催によって、年間のインターネットの売り上げの伸びを約17億円見込んでいるということであります。このインターネット投票は聞くところによりますと、インターネット会社への手数料が高く、競馬組合へ入ってくる粗利益は売り上げの約10%と聞いております。 そこで、伺いたいと思いますが、この委託料の割合は一律に決まっているものなのか。収益の割合を高知競馬に少しでも有利なように変更することはできないものか、農業振興部長にお聞きいたします。 今後さらにインターネットの売り上げを伸ばすには、高知競馬のインターネット投票のシステムをできるだけ多くの人に知ってもらうということが大事であると思います。インターネットでの買い方がわからないという人もたくさんいます。都会の若者の間では、携帯電話で競馬の投票を行う人もふえているということであります。パソコンや携帯電話でのインターネット投票の仕方をより多くの人が知れば、さらに売り上げは伸びるものと思われます。 そこで、農業振興部長にお伺いいたしますが、今後、インターネットでの買い方を含めた高知競馬のPRや、人口の多い首都圏や関西圏への高知競馬のPRをどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。 ナイター競馬の開催は、騎手を初め調教師や馬主の皆さんなどにとっても少なからず不安があるのではないかと思います。レースは晴れの日ばかりではありませんし、視界が悪い中での競馬もあります。何よりも安全第一でなければならないと思いますが、安全対策は万全か、農業振興部長にお伺いをいたします。 次に、安全・安心の土木行政について土木部長にお伺いをいたします。洪水ハザードマップの質問を1つする予定を入れておりましたけれども、ちょっと時間の関係で省略をさせていただければと思います。またの機会にさせていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。 河川のヨシ対策についてであります。近年、山の荒廃などにより県管理河川に大量の土砂が流れ込んで堆積し、河川の断面を阻害している状況が見受けられます。さらに、ヨシが大量に群生し、ヨシ自体による河川断面の阻害はもとより、そのヨシに流木などがひっかかりさらに断面を阻害している河川が多くあります。県議会の企画建設委員会では、毎年5月から6月にかけて県の出先機関の業務概要の調査を行っておりますが、その際、県内の各市町村から県に対する要望も受けております。 ことし市町村からの要望の中で最も多かったものが、道路の改良、改修とこのヨシ対策であります。このままの状態が続くと、河川断面は侵され続け、多くの地域での浸水被害も心配するところであります。県として、このヨシ対策に予算も組んでいますが、なかなか進んでいないという実態がありますし、予算が少ないように感じます。災害対策は当然として、経済対策、また雇用対策としてもこのヨシ対策にもっと予算をつけるべきではないかと思います。県は現在、産業振興計画を立て高知県の浮揚を図ろうとしています。県民の皆さんからは、県が産業振興に取り組もうとしているし、それも大事であるが、足元の対策についてももっとしっかりと行ってもらいたいという多くの声を聞きます。 そこで、土木部長にお伺いしますが、県としてこのヨシ対策についてどのような認識を持っているのか。また、ヨシ対策にしっかり取り組んでもらいたいと思いますが、今後どのような計画で取り組みをしようとしているのか、お伺いをいたします。 次に、2月議会の予算委員会でも取り上げさせていただきましたが、エコサイクルセンターにつきましてお伺いをいたします。産業廃棄物処理施設につきましては、あらゆる面からより高い安全性が求められております。中でも、産業廃棄物処理施設の心臓部とも言うべき遮水シートにつきましては、1992年の東京都日の出町の処分場遮水シートの破損事故以来、さまざまな分野で技術の向上を目指した研究が重ねられているところであります。日高村の最終処分場におきましても、安全が何よりも最優先して確保されなければなりませんし、しっかりとした施設をつくらなければなりません。こうした思いから、2月議会に引き続いて、この件に関する質問をエコサイクルセンターの理事長でもある副知事にさせていただきたいと思います。 初めに、日高のエコサイクルセンターの安全性ということに関してどのような考えを持っているのか、副知事の基本的な考えを伺っておきたいと思います。 次に、遮水シートそのものの安全性についてであります。仕様書に書いてある遮水シートの材質は、FPAであります。私の調査では、どうも調べていくと仕様書に明記した材質のFPAについて、エコサイクルセンターの見解が明らかに変更されたことをまず指摘しておきたいと思います。当初、エコサイクルセンターは、FPAシートを製造している会社らが集まってつくっているFPA研究会、このFPA研究会に属する幾つかの会社が研究を重ねて製造したシート自体を仕様書に書いてあるFPAと認識していた。それは、ことし3月にこのFPA研究会から財団法人エコサイクルセンターに対して提出された文書により証明されます。それには次のようにあります。プロジェクトの土木工事特記仕様書において、主要資材の材質をわざわざ熱融着重合ゴム(FPA)というように、当研究会固有の製品名称であるFPAが明記されていることからも、当研究会の研究成果並びに製品性能が評価された結果と考えておりますと、エコサイクルセンターのFPAについての認識が明確に書かれています。 ところが、エコサイクルセンターからもらった建設物価・積算資料等単価集計表には次のように書かれている。それは、遮水シートの規格について、「FPAシート1.5ミリメートル同等品」と「同等品」という言葉がつけ加えられているのであります。要するに、当初エコサイクルセンターは、性能や実績からしてFPAシート研究会で研究が重ねられてきた安全性の高いシート自体をFPAとして仕様書にうたい込んでいた。それを、ある地点から、建設物価・積算資料等単価集計表にもあるように、同等品でもよいということに変更した。しかし、そうなると仕様書には同等品と書いていないため仕様書と合わなくなってくる。そのため、FPAシートのベース樹脂が同じであればFPAのシートであるという拡大解釈をもって仕様書との整合性を図ろうとしたのであります。 そこで、副知事にお伺いしたいと思いますが、FPA研究会に属している幾つかの会社で製造されているFPAシート以外で、FPAの樹脂を使ったシートを使用している処分場の例があるのか、お示しいただきたいと思います。 この事業で最も大事なことは、日高村の最終処分場において使用されようとしている遮水シートが、安全性の確保された製品かどうかということであります。そこで、エコサイクルセンターが承認しようとしている遮水シートには疑義があります。今回エコサイクルセンターの建設を受注した請負業者は、遮水シートについてのノウハウを持っていません。そこで、大阪に本社を置くKという会社にシートを依頼しています。しかし、このK社にはFPAシートをつくった実績も納入した実績もない。そこで、今度はこのK社は、東京に本社を置くHという会社、この会社は主にテントなどをつくっている会社でありますが、ここに製造を委託しています。だが、この委託されたH社でもこのFPAシートをつくる技術は持っていない。そこで、K社から依頼されたH社は、今度はHAという会社にこのシートの加工製造を依頼しています。 このHA社で製造された製品を、今回K社のTPO-PPライナーとして日高の最終処分場に使用するということであります。今申し上げたことは、私が東京に本社を置くH社に行って調査、確認したことであります。K社のTPO-PPライナーという遮水シートは、まだ一度も製品として世の中に出たことのないシートであります。言ってみれば試作品ということになります。試作品と製品とは当然違います。試作品を製品として使用することの危険性を私は強く指摘しておきたいと思います。 そこで、副知事にお伺いいたしますが、このTPO-PPライナーというシートはいつできたのか、また製品と認めて使わそうとするのか、御所見をお伺いしたいと思います。 さて、K社からシートを依頼された東京に本社を置くH社は、FPAのベース樹脂を使ったとする製品を納入した実績が過去に2件あると言っています。しかも、H社が言うところによると、その実績は1998年に102平方メートルと、2000年に1,840平方メートルということであります。102平米は、わずか10メートル掛ける10メートルの広さであり、1,840平方メートルといっても約30メートル掛ける60メートルといった広さであります。H社に行って確認したところ、102平米については現在どこで使用されているかわからない。また、1,840平米についてはどこかの貯水池に使われているということでありました。貯水池の場所は教えてもらえませんでした。今回、日高村の処分場で使用する遮水シートは3万平方メートルという、H社の納入実績と比べ物にならない膨大な量のシートを使うことになっています。単なる池のシートと違い、まさに処分場の心臓部となるべきシートであります。 特に、処分場の遮水シートの場合、品質が確保された製品という初期性能もさることながら、何よりも耐久性能が重要であると言われています。これを判断するには、実績があるかどうかで判断するというのが常識的な判断であります。一方、建設を請け負った企業にとってみれば、研究開発にお金のかかった実績のある製品より、これから製品としていくもののほうが安く手に入るといった考えがあるかもしれません。もし材料費を安く仕入れることができるというのであれば、その分建設費自体も当然減額しなければならないと思います。それよりも何よりも県民の安全が守られなければなりません。そこで、副知事にお伺いしたいと思います。昨年、請負業者である共同企業体からK社の遮水シートの材料の使用願が出てきて承諾をしているわけでありますが、今回使おうとしているK社のTPO-PPライナーという遮水シートは、先ほど指摘した課題を残しています。 本当に製造上で品質が確保された遮水シートなのか。また、遮水シートそのものの安全性が確保できるのか。さらに、安全性という観点からしたならば実績のないものを承認すべきではなかったのではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、遮水シートの施工についてお伺いいたします。管理型の廃棄物処理施設の場合、遮水シートの材質とあわせて大変重要視されているのが施工管理ということであります。最終処分場における遮水シートの安全性は、設計品質及び材料品質はもちろんでありますが、施工品質が確保されて初めてその機能が発揮され、安全性が保たれます。専門家に伺うと、材料品質は素材別製造工程管理において保証されなければならないが、施工品質は、工法とそれを現場で構築させる施工技術が伴わなければ保証できないということであります。さらに、工法は標準化できても、施工技術は施工者の技能によっても左右されるということであります。当然ながらシートによって張り方が違うわけであります。日本遮水工協会に話を伺うと、まさにシートを張る現場そのものが製造工場であるということでありました。 そこで、副知事に伺いたいと思いますが、H社及びHA社はシートをつくる会社でありますので、当然遮水シートを張る技術は持っておりません。請負業者及びK社は、納入実績もない、製造実績もない、施工実績もない中で、世の中に一度も出たことのないこのK社のTPO-PPライナーという遮水シートを施工する技術を持っているのでしょうか。また、安全な施工が確保できるのか、お伺いしたいと思います。 次に、遮水シートの維持管理についてであります。安全な遮水シートが安全に施工されることを何よりも願うものであります。そして、施工後は、さらなる安全対策が望まれるものであります。処分場が環境汚染の発生源になるようなことがあっては絶対になりません。1998年7月に、当時の環境庁は、地下水の水質モニタリングの実施要領を定めています。しかし、何かあった場合、地下水への影響が生じた段階では手おくれとなるケースも考えられます。このため、全国の処分場では、施工後の安全対策に万全を期しています。具体的には何かあったとき、地下水への影響が出る前の早い段階で汚染源を処置するよう、遮水の健全性をタイムリーに知るためのモニタリング、いわゆる監視に力を入れています。 そこで、最も有効な監視システムとして使われているのが、電気式の遮水シート破損検知システムであると言われています。このシステムは、遮水シートの上下にメッシュ状にワイヤーを張りめぐらせ、遮水シートが破損すると電流の流れによってタイムリーに損傷位置を検知できるシステムであります。私は、滋賀県と島根県を訪問し、それぞれ建設された管理型最終処分場について話を伺ってきましたが、滋賀県、島根県両県とも、この電気式の遮水シート破損検知システムを導入しておりました。 そこで、副知事にお伺いいたしますが、日高のエコサイクルセンターにおいても、施工後の安全をより確保するため、この電気式の遮水シート破損検知システムを導入しておく必要があると思いますが、副知事のお考えをお伺いいたしまして、第1問といたします。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 西森議員の御質問にお答えをいたします。 まず、県内市町村における定額給付金の申請状況や、連動してのプレミアム商品券の発行状況及び定額給付金の評価についてお尋ねがございました。県内における定額給付金の直近の状況に関しましては、先月下旬に国による調査が行われております。この調査では、申請件数は調査対象となっておりませんが、既に給付対象世帯総数の94%に当たる約33万世帯に対して、申請に基づいた給付決定が行われております。また、給付予定金総額約122億円の約96%に当たる約116億円が既に給付されております。次に、プレミアムつき商品券については、販売額に対し5%から25%を上乗せした額面額の商品券を23市町村で発行、または発行が予定されておりまして、発行総額は販売額9億3,200万円にプレミアム額1億300万円を加えました約10億3,500万円に及んでおるところであります。 私は、これまで公共事業を初めとしたさまざまな経済対策の中で、市中に一番スピード感を持ってお金を出せるのがこの定額給付金であり、また国民生活を下支えするために一定の効果が見込まれることや、経済対策として一定のカンフル剤になるのではないかということを申し上げてまいりましたけれども、加えましてこの給付予定金総額約122億円に対し、10億円を超えるプレミアムつき商品券が発行され、その金額が確実に地域での消費につながることなどを考えれば、高知県経済にプラスの効果をもたらしているものと考えているところでございます。 次に、高速道路料金値下げの経済効果と400万人観光の実現に向けた決意についてお尋ねがございました。高速道路の料金引き下げがスタートしました3月28日から5月10日までの間、ETC割引が適用される休日の主要観光施設の利用者調査を実施してまいりました。この結果、金融危機に端を発した世界的な同時不況など、観光を取り巻く環境が大変厳しい状況の中にあるにもかかわらず、利用者は前年比で15%、約4万人の増加となっておりまして、高速道路の料金引き下げの効果が見てとれるわけであります。この経済効果につきましては、精緻な計算は困難でございますが、仮にこの休日における施設の利用者の増加数に平成20年の観光客1人当たりの平均消費額2万5,459円を当てはめてみますと、料金引き下げの直接効果は対象となる22日間のみで約10億円となります。 こうしたことから、引き続き県外からの誘客を確保するため、家族客が増加する夏休みを見据えまして、7月19日から9月30日までの間、高速道路のETC割引に連動した観光キャンペーンを、ホテル旅館組合や高知の中心商店街、ゴルフ協会などの御協力により展開をしていきたいと考えております。具体的には、高速道路を利用した個人客を対象に、2,000円の商品券をプレゼントする宿泊キャンペーンや、ゴルフ客のプレー料金が割引される休日割引キャンペーン、また足摺岬などに宿泊した観光客に対してホエールウオッチング代金などが割引されるあしずりキャンペーンの3つから成っておるということであります。こうした取り組みに加えまして、二次交通の整備やきめ細やかな観光情報の発信、さらには来年の土佐・龍馬であい博を中心とした誘客活動につなげていくということによりまして、滞在型・体験型観光を推進し、観光分野の成長戦略の目標であります400万人観光、1,000億円産業の実現を目指して全力で取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。 次に、新型インフルエンザ対策について、今回の補正予算での対応のほかに、場合によっては対策費用の追加が必要ではないかとのお尋ねがありました。新型インフルエンザ対策につきましては、感染拡大の防止と適切な医療の確保が重要でありますので、これまで抗インフルエンザウイルス薬の備蓄や、入院協力医療機関が行う人工呼吸器や防護具などの医療資器材の購入への財政支援などを行ってまいりました。また、今回の補正予算におきましても、医療資器材等の整備や医療従事者に対する個人防護具の追加整備など、医療の確保のための対策を強化することとしていますし、加えて来年度には抗インフルエンザウイルス薬の追加備蓄を行いたいと考えています。 一方、国の運用指針の改定に伴い、新型インフルエンザに感染した患者が一般の医療機関を受診できることになりますが、現在、院内感染対策などについて医師会との協議を行っております。今後、協議を進めます中で、県として支援すべきことが具体化してまいりましたら、迅速に対応をしてまいりたいと考えております。また、新型インフルエンザはその毒性や感染力などまだまだ未知の部分もありますので、今後の国の動向や他県の状況なども見ながら、柔軟かつ迅速な対応をしていきたいと考えておるところでございます。 次に、危機管理対策として県の業務継続計画の早急な策定の必要性についてお尋ねがありました。大規模災害や新型インフルエンザなど危機事象が発生したときに、応急対策を進めながら県民生活を確保していくために必要な業務をいかに継続し、早期の復旧、復興につなげていくかは、県民の皆様の安全・安心の確保や社会機能の維持を図るためにも非常に重要で、早急な業務継続の計画の策定が必要と考えております。特に、南海地震の発生時には、交通の遮断や職員の被災など、限られた人員でさまざまな対応をしなければならない状況になることが想定されますので、本年度中に策定する高知県南海地震応急対策活動計画において、地震の発生直後に職員がどのように行動するかを整理した上で、県庁業務の業務継続計画をできるだけ早期にまとめたいと考えております。 また、強毒性の新型インフルエンザが発生した場合には、国では、全人口の25%が罹患するとともに、流行が約8週間続き勤務者の約4割が出勤できなくなると想定しております。この場合にも、限られた人員で活動も制限されながら長期間にわたる対応が必要となりますので、高知県新型インフルエンザ対策行動計画の中に業務継続計画を位置づけることとしており、本年度から既に策定作業に取りかかっておるところでございまして、御指摘を踏まえ、この作業の加速をしてまいりたいと、そのように考えておるところであります。 次に、一般家庭用の太陽光発電システムの導入を進めていくための制度についてお尋ねがございました。太陽光発電の導入を促進するためには、一般家庭用などの小規模な施設を積み上げる、つまり数の力を大切にしていくこともこれからの普及の上で大きな柱になると考えております。国におきましても、一般家庭用の太陽光発電の導入に対する補助制度の再開など、思い切った助成制度の充実を図っております。また、一般家庭用の整備が進みますことで、お話にありましたように、中小企業等への具体的な経済対策にもつながるものと考えております。さらには、今後の大量生産による設備価格の低下も期待されます。こうしたことも踏まえまして、一般家庭の太陽光発電システムの導入を進めていくためには、本県の立地条件を生かしてどのようなことができるのか、その手法も含めて検討してまいりたいと考えております。 次に、県として新エネルギーに関するビジョンや振興計画を策定するべきではないかとのお尋ねがありました。県では、平成8年度に、日照時間や風況などの地域特性を生かした新エネルギーの活用を図り、地球温暖化の防止対策や産業振興、さらには資源循環型の社会形成に向けた取り組みを進めるため、高知県地域新エネルギービジョンを策定しております。このビジョン策定後、京都議定書の批准や原油価格の高騰、新エネや省エネ技術の進展、さらには環境に対する国民の意識の高まりなど、新エネルギーをめぐる環境は大きく変化しております。特に、ことしに入りましては、地球温暖化防止対策として低炭素社会の実現を強力に進めるため、太陽光発電の推進を初めとする新エネルギーに関する国の取り組みが急激に加速されたところでございます。 一方、本県では、地域の特性を生かした先進的な環境対策にも取り組んでまいりました。現在のビジョンの策定は平成8年度ということでございますから、それから年月が経過をいたしております。地球温暖化対策との整合を図りながら、産業振興も念頭に置き、今後の新エネルギー推進のための方針を検討してまいりたいと、そのように考えております。 私からは以上でございます。   (健康政策部長坂東隆志君登壇) ◎健康政策部長(坂東隆志君) 県内における新型インフルエンザパンデミックワクチンの確保についてのお尋ねにお答えいたします。 新型インフルエンザのワクチンにつきましては、WHO事務局長声明を受け、国は季節性ワクチンから新型ワクチンへ製造を切りかえる方針を示しております。しかし、現在のところ、各県に対する配分割合や配付の時期及びワクチン接種の法的な位置づけなどにつきましては決定されておらず、現在国において検討が進められているとお聞きしております。   (教育長中澤卓史君登壇) ◎教育長(中澤卓史君) 太陽光発電の設置についてもっと積極的に県立学校へ導入すべきではないかとのお尋ねがございました。 政府におきましては、本年4月に取りまとめました経済危機対策においてスクール・ニューディール構想を提唱し、21世紀の学校にふさわしい教育環境の抜本的充実を図ることとし、中でも太陽光発電の導入拡大を強力に推進することとしています。このため、文部科学省は、本年度から公立学校への太陽光発電設備の導入に対する補助制度を創設するとともに、今回の国の補正予算において臨時交付金の活用を盛り込むなど、地方負担の大幅な軽減が図られることになりましたので、このような国の有利な制度を活用して、モデル的に県立学校5校への導入を補正予算でお願いしているところでございます。今後の県立学校への太陽光発電の導入につきましては、文部科学省の補助制度において、補助対象が特別支援学校や工業高校などの産業教育を行う学校に限定をされ、普通高校は補助対象となっていないことから、すべての県立学校に早急に太陽光発電設備を設置することは財政的にも困難な状況にございます。 しかしながら、議員御指摘のとおり、太陽光発電は地球温暖化対策はもとより、環境教育への活用や学校の電気代の削減などに効果が期待できますことから、まずは国庫補助制度の対象校での導入拡大を検討してまいります。   (文化生活部長大崎富夫君登壇) ◎文化生活部長(大崎富夫君) 県内の一般住宅における太陽光発電システムの設置状況についてお尋ねがございました。 県内の一般住宅用の設置状況は、財団法人新エネルギー財団の調査によりますと、国の助成制度が始まりました平成6年度から平成19年度までの間で、件数では2,496件、発電出力では9,993キロワットの設備が整備されております。また、平成19年度の世帯数に占める設置世帯の割合は、四国経済産業局の調べによりますと、高知県は0.80%でございます。この割合は、四国平均の1.13%は下回りますが、全国平均の0.77%とほぼ並ぶ設置状況でございます。なお、ことし1月から再開されました国の助成制度への県内での申込件数は、この6月末までに356件となっております。半年間で平成19年度の年間設置数を上回るような申し込み状況でございまして、この勢いは余剰電力の買い取り制度の導入などがその弾みとなっているものと考えております。   (医療センター担当理事畠中伸介君登壇) ◎医療センター担当理事(畠中伸介君) 高知医療センターにおけるPFI事業契約の終了に向けた今後の協議について、SPC側には違約金が発生するものと考える県民の声にどのように説明していくのか、また今後の協議にどのような考えで臨むのかとのお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えいたします。 高知医療センターの経営改善につきましては、本年度に入り、病院企業団とSPCとがPFI事業の根本に立ち返り協議を進めてまいりました。そうした中、高知医療センターのPFI事業契約につきましては、SPCからの提案を受け、今後は契約の終了に向けて企業団とSPCとが協議を進めることになりました。これから始まる協議に当たりましては、知事が昨日の中西議員への答弁で申し上げましたように、県民の皆様の医療の確保のことを第一に考え、経営改善につながるようにしっかりと協議するように知事から指示を受けております。 議員御指摘のありました、材料費が提案より高い比率で調達されているといったことなど今回の協議を始めることとなった経緯や、これまでの県議会を初め病院企業団議会、高知市議会での議論や決議を十分に踏まえまして、SPCに対し主張すべきことは主張してまいりたいと考えております。この件は、今後の医療の確保や、お話にありましたような材料費問題など、県民の皆さんの関心も高いものがありますので、その点を十分に踏まえ、企業団、高知とも密に連携をとりながら全力で取り組んでまいります。   (農業振興部長田中正澄君登壇) ◎農業振興部長(田中正澄君) 高知競馬の御質問にお答えをいたします。 まず、インターネット発売に関する収益割合についてのお尋ねがございました。現在、インターネットの販売を行っております会社は複数ございまして、高知県競馬組合も全国の地方競馬場と同様、これらの会社に販売を委託しておるところでございます。インターネットの販売形態は複数にわたっておりまして、議員お尋ねの収益の割合を左右いたします委託料率は、その販売形態ごとに11.5%から17.05%と相当高い率が設定をされておるところでございます。これは、インターネット発売会社の初期投資分が含まれていることなどによるものでございますが、この委託料率は各地方競馬におきましても一律の取り扱いとなっております。 今後、夜さ恋ナイターの開始に伴いまして、さらにインターネット販売額を伸ばしていきたい高知競馬といたしましては、インターネット発売会社への委託料率は引き下げていただき収益性を高めまして、少しでも収支の改善につながることが必要であると考えております。全国すべての地方競馬場におきまして、総売上額に占めるインターネット発売額のシェアが年々高まってきております現状からいたしましても、委託料率の引き下げは、高知競馬だけではなく、どこの競馬場にとりましても喫緊の課題となっておるところでございます。この件に関しましては、これまでも高知競馬独自で引き下げ要請をしてきたところでございますが、単独での交渉には限界があること、またこの課題が地方競馬全体にとっても重要な課題でありますことから、各地方競馬で組織します地方競馬全国協会が主体となりまして、インターネット発売会社と積極的に折衝を続けておるところでございますので、その推移を注視してまいります。 次に、インターネット投票の仕方や首都圏、関西圏への高知競馬のPRについてお尋ねがございました。今後高知競馬の売り上げを向上させてまいりますためには、新たにスタートします夜さ恋ナイターのPRを積極的に行いまして、直接競馬場に足を運んでいただくことはもちろんのことでございますが、インターネットで高知競馬を楽しんでいただくことがますます重要になってきております。インターネットの売り上げを伸ばしますためには、議員御指摘のとおり、インターネット投票のやり方を若者からお年寄りまで多くの方々に知っていただく必要がございます。そのためには、わかりやすい形での広報が重要となりますので、インターネット購入手引書の配布だけではなく、高知競馬場におきましてキャンペーンを実施いたしますなど、今後もインターネット発売会社と緊密に連携をとりながら、ともに効果的なPRを展開していく予定でございます。 また、インターネット購入者は、競馬ファンの多い都市部に集中しているのが現状でございます。このため、特に都市圏をターゲットとした効果的なPR手法といたしまして、新たに大手スポーツ新聞に高知競馬のレース予想を掲載いたしますことや、CS放送を利用した高知競馬の実況中継を行うこととしておりまして、今後は高知競馬のファン拡大をねらって重点的かつ積極的にPRを行っていく予定でございます。県といたしましても、あらゆる機会や広報媒体を利用しましてでき得る限りのPRを行ってまいりたいと考えております。 最後に、ナイター競馬の安全対策についてのお尋ねがございました。競馬の実施に際しましては、何より騎手を初めとする関係者の安全対策に万全を期するということが最も重要であると認識をしております。言うまでもなく、ナイター競馬は高知県競馬組合にとりまして初めての取り組みでもあり、当初からこの点には特に留意をして対応してきております。具体的には、ハード面では、コース外側に加えコース内側にも照明設備を設置するなど安全性を拡充いたしましたこと、ソフト面では、騎手等厩舎関係者との綿密な事前協議を重ねながら、先進事例を参考とした講習会なども行うなど、ナイター競馬開催に向け周到な準備を進めてきております。とりわけナイター開催には、騎手を初めとする関係者がナイター走行にもなれ、万全の体制でレースに臨むことが肝要でございますことから、ナイター開始を当初の7月10日から7月24日に変更し、さらにあした10日と18日は模擬レースを実施いたしますなど、本番までに十分な習熟の機会を確保しておるところでございます。また、ナイター開始以降につきましても、騎手を初め競馬関係者等と密に意見交換をいたしますなど、定期的な検証を行いながら安全性の向上に努めることとしております。   (土木部長石井一生君登壇) ◎土木部長(石井一生君) 河川のヨシ対策についての認識と、今後どのような計画で取り組むのかとのお尋ねがございました。 議員のお話にもございましたとおり、河床掘削を含めたヨシ対策に関する要望は、地域の皆様から土木部にも数多く寄せられておるところでございます。ヨシが大量に群生いたしますと、土砂の堆積と相まって川の流れを阻害することになりまして、河川を管理していく上で大きな課題であると認識しておるところでございます。このため、ヨシの繁茂の状況や土砂の堆積状況を把握し、治水上の支障がある場合などには、土木事務所長の裁量で実施しております地域の安全安心推進事業や、住民との協働による、いわゆる川支え合い事業などで対応してまいったところでございます。これらの事業での過去3年間の実績を平均いたしますと、1年当たり草刈り面積で約66万平方メートル、事業費で約3,000万円となってございます。 今年度は、これまでの取り組みに加えまして、緊急雇用創出臨時特例基金事業や、今議会で提案してございます経済危機対策臨時交付金事業での河床掘削によるヨシ対策などを含め、合わせて約1億円を活用いたしまして適正な維持管理に積極的に取り組むことにしてございます。今後とも、必要な財源の確保に努め、維持管理の充実を図ってまいる所存でございます。   (副知事十河清君登壇) ◎副知事(十河清君) エコサイクルセンターに関する御質問にお答えをいたします。 まず、安全性に関しての基本的な考えにつきましてお尋ねがございました。エコサイクルセンターの整備に当たりましては、安全と安心を次の世代へ引き継ぐために、自然環境や生活環境の保全を図り、安全性を確保することを第一の柱として取り組んでいます。このため、施設の基本となる設計に当たりましては、環境化学や廃棄物処理工学、防災水工学などの専門家から成る高知県産業廃棄物処理施設技術専門委員会を設置し、安全性の確保について検討をしてまいりました。この中で、多重の遮水構造や処理水の無放流化、屋根つきの施設とすることなどの方向づけをいただき、これをもとに安全性を確保するためのさまざまな対策を講じているところでございます。 次に、FPA研究会に属している会社以外でFPAの樹脂を使ったシートを使用している処分場の例はあるのかとのお尋ねがございました。全国の処分場で使用されている遮水シートの材質とメーカーに関する統計がありませんので、6社以外についての例はあるのかとのお尋ねに正確にお答えすることは困難ですが、当該の納入予定業者から委託を受けて製造する企業が、FPAの樹脂を使用したシートの実績2件のうち1件は、お話にもありましたように、貯水池の工事に用いられたということを聞いております。 次に、納入予定業者の遮水シートはいつできたものなのか、また製品と認めて使用させるのかとのお尋ねがございました。納入予定業者からは、遮水シートはその納入が決まった後に、具体の施工作業工程を踏まえた上で製造を開始すると聞いています。今般の遮水シートは平成16年より製品として発売を開始していると聞いておりますが、これまで納入実績はございません。このため、性能や安全性の試験を行っていますが、さらに施工に際しては、製品が納入される時点でも改めて同様の試験を行うこととしております。 次に、製造上で品質が確保された遮水シートなのか、安全性が確保できるのか、また実績のないものを承認すべきではなかったのではないかとのお尋ねがございました。先ほども申し上げましたように、遮水シートの安全性の確保は最も重要なことだと考えています。このため、納入予定業者はこれまで数多くの遮水シートの納入実績があるものの、今回使用するFPAを用いた遮水シートそのものの納入実績がなかったことから、念には念を入れて安全性を確認するため、特記仕様書の4項目も含めて、改めて性能や安全性の標準として一般的に用いられている日本遮水工協会の定める11の項目などについての試験を行うこととしたものでございます。現在、長時間を要する1項目の試験結果を待っているところですが、最終的にはすべての検査結果が出そろった段階で、改めて大学教授など専門家の御意見もいただくこととしておりまして、徹底した安全性の確保を行うこととしています。 次に、遮水シートの施工につきまして、その技術を持っているのか、安全な施工が確保できるのかとのお尋ねがございました。納入予定業者は、50件を超える遮水シートの納入実績があり、また製造につきましても実績のある企業が受け持つこととなっています。さらに、お尋ねの現場での施工は、FPAを材質とする遮水シートの施工実績を有する業者が当たることになっていると聞いておりますので、技術的な面におきましても、その経験を生かした安全な施工がなされるものと受けとめています。 最後に、電気式の遮水シート破損検知システムの導入につきましてお尋ねがございました。国が定める一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令では、遮水のための構造として、1つには、一定の厚さ以上の粘土層の表面に遮水シートが敷設されていること、もしくは一定の厚さ以上のコンクリートなどの表面に遮水シートが敷設されていること、3つ目に、または二重の遮水シートが敷設されていることというこの3つの基準が設けられております。このいずれかの遮水層を有することと省令では定められているわけでございます。 エコサイクルセンターの遮水構造につきましては、先ほど申し上げました環境化学や廃棄物処理工学の専門家などから成る高知県産業廃棄物処理施設技術専門委員会で御検討いただきまして、国の基準の3つのうち2つの項目を組み合わせ、粘土層の上に二重の遮水シートを張ることにしておりまして、より安全性の高い構造にしています。また、屋根つきの施設でございますので、直接の日射や大雨による遮水シートへの負担も除くこともできます。万が一遮水シートから漏水があった場合の検知のシステムにつきましては、お話のありました電気式の検知や圧力による検知または水質調査による検知の方法がありますが、エコサイクルセンターでは水質調査による検知システムを採用することとしています。 ◆26番(西森雅和君) それぞれ御答弁をいただきましてありがとうございました。 再度質問をさせていただきます。エコサイクルについてです。安全性の確保が第一、これで取り組んでいくという副知事の答弁がございました。県民の安全を守るのに、チャレンジ精神は私は必要ないというふうに思います。確かに、行政としてチャレンジが必要な分野もあると思います。しかし、安全を最優先する事業にチャレンジ精神は全く必要ないということを言わせていただきたいと思います。 それで、先ほど、FPAの樹脂を使用している処分場、これわからないということを言われました。ことしの2月議会で池脇議員が、特記仕様書でうたわれている遮水シートがほかのものと比べてすぐれている点はと聞いたことに対しまして、副知事は、全国での使用実例なども踏まえ総合的に判断し特記仕様書に指定したと答弁しております。先ほどの答弁では、FPA研究会に属する幾つかの会社で製造しているFPAシート以外、FPAの樹脂を使ったシートを使用している処分場はわからないと。例がないのに、わからないのに、全国の使用実例などを踏まえて総合的に判断し特記仕様書に指定したと言っていること自体が、私は、当初仕様書に書いたFPAがまさにFPA研究会に属している何社かが研究を重ねて製造したシート自体のことを言っているというふうに思うわけであります。 あと、先ほど副知事に資料をお渡しさせていただきました。承諾が出た後に検査をした資料であります。8月の資料があるわけであります。副知事も、先ほど4項目をきちっと守っていくという話がありました。このシートの厚みは1.5ミリメートルであるということは、まさに仕様書に書かれているとおりであります。この資料の1を見ていただければと思いますけれども、これは昨年の8月にエコサイクルセンターからいただいた資料であります。括弧が右の上のほうにあります。H20.8月分、この文字は専務理事が書いた字ですけれども、この下のところに四角に囲んだところがあります。資料1の括弧で囲んだところの下から2段目、ディプスという文字が書かれておりますけれども、これは日本語にすると厚さということです。そこに何て書いてあるのか。ちょっとこれまた副知事、後で言っていただければと思います。 次に、資料2、3、これもことしの3月9日の化学物質評価研究機構の検査資料です。ことしの4月16日に請負業者からエコサイクルセンターに出てきて私がいただいたものであります。ここにも、専務理事、担当課長、担当の判とサインがあります。2と3も同じく、囲んだ下から2段目、ディプスと書いてあります。 副知事にこの資料の1、2、3ともに何て書いてあるのかということをちょっと言っていただければと思います。 その前に、これがその遮水シートなんです。(現物を示す)これ日付は5月28日と書いておりまして、TPO-PPライナーとなっております。ちょうど1カ月ぐらい前にエコサイクルセンターからいただいたものであります。先日、私、布師田の県工業技術センターに行って厚さをはかってきました。今はすごい便利なんですね。1000分の1まではかれるんですね。この小さなA4の大きさですけれども、10カ所測定をいたしました。そのうちの7カ所で1.5ミリメートルを下回っておりました。これはどういうことなのか。 材質もそうですけれども、副知事にちょっとそこの数値を言っていただきたいと思いますけれども、仕様書の基準をクリアしておる数値なのかどうか、そのことを第2問としてお伺いしたいと思います。 ◎副知事(十河清君) 今お尋ねのお渡しいただきました資料で、資料1の20年8月分と書かれておる下から2段目の厚さの部分では、1.490ミリメートルと記載がございます。それから、お渡しいただきました4月16日の資料で資料2と附せんが張られてあるところの厚さは、1.490ミリメートルが資料2でございまして、資料3では1.480ミリメートル、資料4では1.480ミリメートルでございます。 ◆26番(西森雅和君) 先ほども申し上げましたけれども、この仕様書ではシートの厚さは1.5ミリメートルということが明確に書かれてあります。ずっと私、材質のことも言わせていただきましたけども、この厚さ。先ほど副知事は、平成16年に製品としてできておると言われました。2月の予算委員会でも、知事、製品としてはできているということを聞いておるという話を言っておりました。この仕様書でうたわれている数値をクリアできていないその製品を本当に使おうとされるのか。まさに、仕様書でうたっておるのに製品としてそれをクリアできていないということは、それは製品として製品管理がきちっとできていない製品だということが言えるのではないかというふうに思います。 もう時間があと1分ちょっとでありますけれども、今回のこのシート、3万平方メートルであります。幅にして見させていただいたら2メートル、それを3万平方メートル敷くとなると15キロの長さになります。15キロメートルですね。この15キロメートルが一様のきちっとした製品として本当につくり上げていくことができる技術を持っておるのか、非常に疑問を感じるところであります。いずれにしても、仕様書に当てはまっていないものを幾ら検査しても、それはだめだということですよ。 最後に、私は、この最終処分場を余りにも軽く見過ぎているんじゃないかというふうに思います。最も安全性が確保されなければならない最終処分場の建設が、これほどまでにセーフティーが働かない状態で進められているということが信じられません。さっきの資料は、全部エコサイクルセンターからいただいた資料であります。数字がだめだったらその時点ではねないといけないというふうに私は思うわけであります。技術的なサポートや助言をもらえるところをきちっと入れるべきだと思います。そうでないと、業者の言いなりで最終処分場の建設が進められるということになります。そう考えると、今からでもアドバイスを受けるコンサルタントを入れるべきだというふうに思います。 それも業者とつながりのあるコンサルタントではなしに、第三者機関でしっかりしたところ、例えば財団法人日本環境衛生センターのようなところを入れるべきだと思いますけれども、副知事にこのことをお伺いいたしまして、私の一切の質問を終わります。 ◎副知事(十河清君) 議員の言われましたように、この施設につきましては安全にも安全を徹底してやっていくということが何よりも肝要でございますので、我々といたしましては、高知県産業廃棄物処理施設技術専門委員会という専門家の方々から成る学者の皆さんにお集まりいただいたところで判断をしていきたいというふうに思っております。 ○副議長(森田英二君) 暫時休憩いたします。   午後2時48分休憩-----------------------------------   午後3時11分再開 ○議長(元木益樹君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 7番浜田英宏君。   (7番浜田英宏君登壇) ◆7番(浜田英宏君) それでは、お許しをいただきましたので、早速質問に入りたいと思います。 議員1期目のころを振り返れば、日林労出身で県民クラブ所属の熊井一夫先輩がノー原稿で林業の質問をとうとうとされた姿が特に印象深かったせいもあって、林業問題の質問は、熊井先生に敬意を表し一歩譲っていたように思います。しかし、最近では、議員提案による高知県緊急間伐推進条例の制定やCO2 ±0宣言も可決されるなど、林業問題や環境問題にも林活議連やエコ議連が連携をして活発に活動しており、先般はその様子が全国紙に写真入りで大きく報道されました。今、日本一の森林県高知からの情報発信や提案は全国が注目をする中、森林環境税や協働の森づくりへの取り組み、またCO2 の排出権取引など、本県は環境というカテゴリーにおいてもまさに全国のトップランナーに位置づけられているのです。しかし、全国一の森林県であっても、全国一の林業県かと尋ねられると言葉に窮してしまうのです。 そこで、林業や木材産業や環境をテーマに幾つか質問をいたします。まずは木材市況でありますが、高知県森林組合連合会の共販所の資料により、平成8年から平成20年までのヒノキと杉の平均単価の推移を調べると、平成8年にヒノキ1立方メートルが約4万4,280円でしたが、12年経過した平成20年は1万4,898円と3分の1まで下がりました。また、杉においては1万9,720円でしたが、半分以下の9,269円まで下落しているのです。また、昨年の4月からことしの5月までの同共販所の市場価格の月別単価の推移を見てみますと、ヒノキのピークが昨年9月に1万7,486円でしたが、本年5月には1万1,919円と32%の暴落。一方、杉もピークが昨年9月に9,934円でしたが、ことし5月には6,625円と33%の暴落です。全国では大分県に次ぐ大暴落です。 例えば、現在の杉の市場価格1立方メートル当たり6,625円から、市場の手数料8.2%、543円と、トラックからフォークリフトで木材をおろし、樹種や長さ、曲がりか直かなど木材の選別を行う椪立料1,050円との合計1,593円を差し引くと5,032円残ります。そこから運搬料2,000円を引くと手元に3,032円しか残らないのです。林地における立木の切り出しコストもでき得る限り合理化をしていますが、それにも限度があり3,032円では切り出しの経費の足しにもならず、補助金をさらに突っ込んで施業をしても、切り出せば切り出すほど赤字がかさむことになるのです。さらには、森林組合などが林家から間伐のために必要な作業道の開設を請け負うに当たり、支障木の売却代金を林家の32%の負担金の一部に還元して負担軽減を図りながら間伐計画を立てていますが、これほどまでも材価が暴落すると計画倒れも危惧されてまいります。 この暴落の原因は、昨年秋口ごろまではユーロが比較的高値の166円以上で推移をしており、為替リスクを回避するために国産材にも一定の追い風が吹きつつあったのですが、アメリカのリーマン・ブラザーズやサブプライムローンの破綻以降、100年に一度と言われる世界同時不況が取りざたをされ、景気の先行きに不透明感が漂う中、製品市場の景況感が一挙に悪化、ユーロも下がり始めたのです。また、国外へは輸出をしないとしていたロシア材の輸出関税も、80%以上の高関税をことしの1月1日から設定すると報道されましたが、依然据え置きの状態であり国産材には再び逆風が吹き始めたのです。国内においても、大手輸出関連産業の景気の急激な後退や姉歯の耐震偽装問題に端を発した建築基準法の改正も相まって、全国的に新築着工件数も激減しており、本県においてもことしの1月から4月までの新設住宅着工戸数は、前年同期比より18%も減少をしているのです。 このように木材製品の需要が急速に減少する中で、徳島県の大手合板メーカー住友林業フォレストが本県における原木の買い付けを一切中止、また大豊町に誘致を進めていました岡山県の銘建工業も、一足早く熊本に進出した間柱材工場が需要減少のため在庫も過剰ぎみで、価格もかなり下落している状況だと仄聞しています。結局、行き場を失った間伐材が一挙に市場になだれ込み、市場価格全体を押し下げて昨今の大暴落を招いているのです。 こんな中、我が国の森林整備に係る予算は、平成20年度の1次補正と2次補正に21年度当初予算、さらには緊急経済対策の21年度1次補正予算の4段ロケットで合計すると、本県の21年度当初予算4,186億円を上回る予算が配分されていることになるのです。国としてはかつてないほどの潤沢な森林整備予算を構えたので、地方は何が何でも食え食えと無理無体に川上へ押し込まれても、川下の木材流通がただいまお話ししたような重症のふん詰まりの便秘状態の中で、さらに材価の下落が進行中とあれば、このたびの大型補正予算によってますます消化不良を起こして瀕死の重傷になることを国は理解すべきであり、これでは民有林の間伐に対するインセンティブにもなり得ないことは火を見るより明らかであります。まさに笛吹けど踊らずの状況なのです。そこで、このたびの森林整備に係る大型補正予算等に対応するための基本的な施政方針を知事にお伺いいたします。 本県に残された最大の財産である森林を生かした産業振興は、今最も重要な政策の一つでありますが、材価低迷からの脱却の見通しをどう判断しているのか。また、県知事として、森林・林業・木材産業の振興にかける思いをお聞かせ願いたい。あわせて、私はかねてから、産業振興計画の基本コンセプトは環境共生型の産業振興を目指すべきだと主張してまいりましたが、どう思われるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、各論として以下何点か質問をいたします。まず初めに、産業振興計画では、平成30年を目途に原木生産を20万立方メートル増産し65万立方メートルに、担い手を200人ふやして1,700人に、林業雇用労働者の平均賃金を400万円に、製材品の生産量を35万5,000立方メートルに、乾燥材の生産量を倍増の11万9,000立方メートルに等々の中長期の目標を掲げています。 前述の材価暴落の状況に現実問題として直面をする中でさらに下落が続くならば、計画の見直しや修正も必要と思うがどうか、知事にお伺いいたします。 次に、木材価格を安定させる一つの方策として供給側での生産調整が考えられると思います。すなわち、原木市場に原木があふれるような状態にあるために価格の下落を抑えられないということがあるならば、一定期間市場へ流入する木材の生産量を調整し、価格の立て直しを図ろうとする考え方です。この考え方には原木の生産者側、需要者側で賛否両論があると思いますし、閉鎖された市場でもないことを考えれば限られた範囲での実施には疑問もありますが、実際に国有林における伐採の発注を先送りするなどの動きが出始めています。今後はその経過も十分に注視していく必要があると思いますが、この流れが民有林にも及ぶとしたら、本県の地球温暖化対策地域推進計画に基づく温室効果ガス削減目標にも少なからず影響が出てくるのではないか、そんな懸念も出てまいります。 本県の削減目標は、CO2 トン換算で2010年までに149万2,000トンであり、その大部分は本県の森林全体60万ヘクタールの森林吸収量122万9,000トンに依存をしています。しかし、民有林の間伐のペースは、近年約1万1,000ヘクタール弱まで落ち込んでいるので、このままだと民有林の森林吸収量101万2,000トンは2010年までに達成できないものと思われます。その場合、民有林で不足する部分を、目標森林吸収量が21万7,000トンで多少余裕のある国有林に補ってもらいたいと思っても、国有林の生産調整の規模が大きく、また長引くようならそれも期待できず、結局平成24年度を目標とした産業振興計画の民有林における間伐のペースを毎年1万5,000ヘクタール以上にスピードアップをしなければCO2 削減に向けた地域推進計画の目標値すら達成できない。 どのように取り組むのか、林業振興・環境部長にお伺いいたします。 次に、2013年以降2020年までの削減の新たな枠組み、いわゆるポスト京都の数値目標を決める締約国会議--COP15が、この12月にコペンハーゲンで開催されます。我が国の2020年までの温室効果ガス削減に向けた中期目標は、2005年比15%削減と発表されましたが、この値は1990年比で8%削減、つまりこれを真水と考えて、CDM1.6%に森林吸収量の上限3.8%を足しても13.4%削減であり、斉藤鉄夫環境大臣の提唱する21%から30%削減と大きくかけ離れた結果となりました。世界に冠たる日本の環境技術力をもってすれば経済開発と両立できるはずなのに、これではCOP15において日本はイニシアチブはとれないと思います。また、過去のサミットにおける安倍元総理や福田元総理のイニシアチブ発言ともバランスがとれず、まことに残念に思っておる次第であります。 本県は、京都議定書の数値目標を達成し得る日本で唯一の県だと私は確信しているし、先般発表された環境白書においても、本県の持つ自然エネルギーのポテンシャルの高さを例に挙げ、温室効果ガス削減がもたらす経済波及効果を試算し、また評価もしています。本県は、全国に先駆けて京都議定書を遵守する県を標榜しましたが、マイナス6%、その達成のために林活議連やエコ議連の要請で立ち上がった、知事が会長を務める高知県地球温暖化防止県民会議で削減に向けた検討が鋭意なされているところであります。 国は、平成20年6月に、地球温暖化対策の推進に関する法律いわゆる温対法の改正を行い、都道府県や政令市、中核、特例に対して、従来の地方公共団体実行計画を拡充し、地域推進計画に相当する内容の区域全体の自然的、社会的条件に応じた施策に関する事項を盛り込んだ新しい地方公共団体実行計画の策定を義務づけましたが、現在この新実行計画または従来の地域推進計画を策定している市町村は高知と香南だけで、香美と中土佐町が今年度中に策定をすると聞いています。国は、市町村に対してこの新実行計画の策定を義務づけしてはいないが、さらに厳しいポスト京都の数値目標に対応していくためには、本県として京都議定書の段階から早い取り組みが肝要だと思います。 そこで、中核と同等の新実行計画を市町村に義務づけてはどうでしょうか。また、市町村の新実行計画策定の促進に向けどう対応していくのか、林業振興・環境部長にお伺いいたします。 次に、材価暴落という林業の厳しい経営環境から判断すれば、間伐は搬出間伐から切り捨て間伐へ大幅にシフトし、搬出間伐に注ぐエネルギーは、これからの林業の明るい未来に希望を託して、今は林道や作業道の開設に力を入れる時期だと思います。 また、当然切り捨て間伐は収入を生まないので、仮称山村雇用緊急対策として切り捨て間伐とセットになった作業道の開設事業については全額国費による助成対象とすべきと考えるが、国に対して要請してはどうでしょうか。部長にお伺いいたします。 次に、木材需要、木材価格が下落をする中で、市場の閉塞感を打開するためには、県民こぞって県産材を使ってもらえるように、利用拡大に向けたインセンティブとなる政策の実行が今求められています。最も県民に身近な木材の需要先といえば、何といっても住宅であろうと思います。現在、本県においてはこうち安心の木の住まいづくり助成事業を実施中で、大変好評を博していると承知しています。この制度は、県産材を一定割合以上使った新築住宅の施主には最大40万円の助成、その上、木造専用団地であればさらに20万円の助成が上乗せされて、最大60万円の助成を受けることができるというものであります。昨年度は、199件の実績があったとお聞きしていますが、需要の落ち込みが厳しい今こそ、この制度をさらに拡充すべきではないでしょうか。今回の補正予算では、岐阜県や鳥取県、岡山県など全国各地で住宅建築を後押しする追加的な施策が講じられているやにお聞きしますが、森林県高知としても他県におくれをとることなく、需要拡大に思い切った対策を打ち出されることを切望いたします。 ここは今、関係業界の皆様が最も期待をしている部分だと思いますが、この思いにどうこたえられるおつもりか、知事にお尋ねしたいと思います。 ところで、京都議定書に掲げられた温室効果ガス削減目標6%は、締約国間で批准されたものであり、地方が決めたものではありません。よって削減の実行についても、国のより主体的な行動を期待したいと思っています。例えば、昨年末の税制改正時に検討された炭素固定住宅資材等減税のように、木材利用を進めることで温室効果ガスの抑制につながるという考え方もありますので、ぜひ住宅や公共建築物の木造化をこれまで以上に国に積極的に支援をしていただきたいと願っています。これは高知県だけの努力では木材の需要拡大対策が十分に進んでいかないだろうという思いから申し上げているのでありまして、機会をとらえて、国に対してより積極的な対応を働きかけていただくように知事と部長に強く要請をしておきます。 さて、私はかねがね、森林環境税の使途として、木材の需要拡大という分野をより積極的に考えるべきではないかと、そう考えてまいりました。森林の健全化を目的とした森林環境税ですが、今は木材が売れにくいことがまさに森林管理を疎放化させる原因となっているわけですので、本当に実効の上がる対策を打っていくという観点からは、需要拡大の部分をタブー視するべきではないと考えるからであります。需要拡大の中でも、個人の住宅を考えてみますと、確かに個人資産の形成の色が濃くなり、このことが森林環境税の理念に照らしていかがなものかという御意見もあろうかと思います。 ただ、エコカーの購入支援、いわゆるエコカー減税を例に考えてみますと、現在はハイブリッドカーなど排ガス基準を一定以上満たした環境に優しい車は、自動車重量税や自動車取得税が免除または軽減されており、さらには13年以上愛用した車を廃車することを条件に買いかえをした場合25万円の助成が受けられ、例えばトヨタのプリウスの場合、グレードによって多少違いがあるものの、取得税5%で8万7,800円、3年間の重量税5万6,700円を加えると40万円前後の助成が受けられることになっています。これは環境対策や経済対策を緊急に進めなければならないという事情のもとでの対策であり、公益を得る方策を講じた結果、一部、個人の資産形成に資するも是とする例であります。 県産材を使った住宅を建てることによって森林環境を保全するという側面からも、高い公益を得ることができるなら、これも森林環境税の使途として決して不適切とは言えないのではないかと思いますが、この点について知事の御所見をお伺いいたします。 次に、この森林環境税の使途に関して、一番中心となるのは森林整備事業であります。21年度の当初予算には未整備森林緊急整備事業として、また21年度1次補正では森林整備加速化事業として全額国費の間伐事業がメニュー化をされました。 そこで、森林環境税による定額補助の間伐事業とのさび分けを今後どのように考えていくのか、林業振興・環境部長の御所見をお伺いします。 次に、昨今の新築住宅の傾向として、和室は1カ所でテレビと畳さえあればそれでいい、長押やかもいや回り縁などはあってもなくてもどうでもよい、とにかくデザインや機能のみを重視して和室の形態には特にこだわらないという施主が多く、こうした昨今の事情から新建材を多く使うハウスメーカーの家ばかりが建築され、県産材の利用拡大にはつながっていないのが実態であります。 また、軸組み工法の経験が少ない都会の大工さんにプレカットされた、れいほくスケルトンが好評を博していますが、県としてもっと支援し県産材の地産外商に力を入れていくべきではないでしょうか。同時に、プレカットの増加が若手大工さんの減少も招いているという側面もありますので、在来工法でいわゆる土佐派の家と呼べるような100年以上住めるような家を建てる伝統軸組み工法の技術を伝承、継承して大工さんの後継者を育てていくことも大切と思うのですが、いかがでしょうか。林業振興・環境部長にあわせて御所見をお伺いいたします。 次に、林業雇用労働者の賃金は建設雇用労働者並みとなっているようでありますが、林業は建設と比較しても危険で重労働も多いのに危険手当もなく、安いと言われています。こうした状況の中で、県は産業振興計画に掲げた目標である林業雇用労働者の年収400万円を確保するためには、一人頭の生産性をどのくらい見込み、そのためには逆算して木材単価がどのくらいであればバランスがとれるのか。その見込みを部長にお伺いいたします。 次に、平成24年度から中学校の教育課程で武道が必修科目となります。そこで、新しく武道場を建設する自治体もあるようですが、現在どのくらいの自治体が予定しているのでしょうか。また、県産材をフルに使ったものでは中芸高校の武道場というすばらしいお手本もあるので、これを参考にして何が何でも県産材を使って武道場を建設するよう要請すべきだと思うが、教育長に御所見をお伺いいたします。 ところで、高知工科大学の物質環境工学の先生の話によると、森林の大切さを工科大学に入って初めて知ったという学生が結構多いのに驚かされたそうですが、やはり子供のころからの環境教育は、武道を必修にする以上に大切なことだろうと思います。それなのに、県立高校の教育の森の予算がいつの間にか削除されたのは一体なぜなのか。高知県地球温暖化防止県民会議の森林吸収部会のワーキング会議において、教育の森の予算を何としても復活すべきという意見が相次いでいるのですが、これをどう考えるか、あわせて教育長に御所見をお伺いいたします。 さらに関連して、教育の森、これは分収林の制度ですが、国有林の分収育林制度の契約満了に伴う緑のオーナーに対する利益配分の元本割れが、詐欺同然だと物議を醸し、訴訟まで起こっています。県行造林や森林整備公社営林も分収の制度ですが、長伐期化に向けた施業転換資金への借りかえをする中で、あわせて分収割合等の見直しを地主等と協議していると聞いていますが、この交渉は混乱なく進んでいるのか、部長にお伺いをいたします。 ところで、前述の状況から県内のチップ工場のストックヤードは木材であふれ、トン当たり3,000円と値を下げています。住友大阪セメントにおける火力発電事業で化石燃料の代替としてチップや建築廃材が使われ、カーボンオフセット事業として削減されたCO2 がルミネに1トン当たり3,600円で約900トン売却された事例が、J-VER制度におけるオフセット・クレジットの日本初の二酸化炭素排出量取引モデルとなりましたが、ルミネへの販売価格は、日本初ということでお祝儀相場もあったのかもしれません。 ただ、このインセンティブ効果もあったとみえて、本県のCO2 保有量に引き合いが相次いでいると聞いていますが、どのくらいの引き合いがあるのか。また、オフセット・クレジットの保有量はどのくらいを確保しているのか、林業振興・環境部長にお伺いします。 また、ユーロのCO2 取引価格が1トン当たり1,000円から1,500円まで安値で推移しているために、ユーロ価格を引き合いに値段をたたかれる可能性があるが、3,000円以下ではペイしないと思うので、安売りしないようにすべきだと思うが、どうか、部長にお伺いします。 次に、徳島県は、温室効果ガスの発生が多い企業を特定事業者として地球温暖化対策計画書の策定を義務づけ、計画を策定しない特定事業者に対して罰則規定を付した徳島県地球温暖化対策推進条例を制定しています。本県の排出量の半分を占め、最も排出量の多い企業は、複数の火力発電所を持つ住友大阪セメントや太平洋セメントになるのですが、太平洋セメントにもカーボンオフセット事業の協力を要請してみてはどうか、部長にお伺いいたします。 次に、魚梁瀬森林鉄道が歴史的文化遺産として国の重要文化財に指定されることになったことは地域にとっても朗報であります。私は、県東部の観光振興の最大の目玉としてこの機を逃してはならないと、関係者の皆様とコンテンツの充実に向け胸躍る思いで構想を描いていますが、県はこうした地域活動の取り組みをどのような形で支援、育成していくおつもりか、観光振興部長にお伺いいたします。 また、東部の観光に関連して、土佐・龍馬であい博のサテライト事業は北川村が不採択になり、まことに残念でありました。中岡慎太郎館のリニューアルやモネの庭の整備充実、そして室戸ジオパークとの連携が、今後の県東部の観光の核となることは論をまちません。土佐・龍馬であい博の成功に向けた中岡慎太郎館の充実を県は今後どのような姿勢で応援していくのか、観光振興部長に御所見をお伺いいたします。 さらに関連して、坂本龍馬や中岡慎太郎や板垣退助など維新の立て役者の先生方の銅像がそれぞれ県内の景勝地に建立され、本県の観光振興の一翼を担っています。一方、吉田茂先生の銅像は、高知龍馬空港ターミナルから少し離れた空港緑の広場に建立されているが、立地場所が悪く訪れる観光客もほとんどいないことから、多くの県民や観光客にとってもより親しみやすい場所への早期の移設を行い、建立に携わった方々の願いが真に報われるようにしようと、吉田茂元内閣総理大臣の銅像移設に関する決議が昨年12月18日の本会議で可決されました。 その後、半年が経過をする中で、県内の吉田茂先生ゆかりの幡多地域や県内交通の結節点である高知駅周辺への移設の要望もある中で、県としてはこうした県民の声にいかなる構想を持って移設の進捗を図っていくのか。特に、県議会の決議では早期に実現と付されてありまして、土佐・龍馬であい博で多くの観光客が来高するこの機を逃してはならないと思いますが、交通運輸政策担当理事に基本的な考え方をお聞かせ願いたい。 次に、救命救急医療体制の構築とドクターヘリの導入、ヘリポートの整備についてお伺いします。ドクターヘリの導入については、国会の法案成立後、運航経費1億7,000万円の2分の1程度の地方負担で全国的に導入が検討されていましたが、思いのほか進まず、本年の3月に総務省がさらに2分の1の交付税措置を決定したことで、県負担は年間4,500万円ほどの運航経費で済むことから、本県においても導入の是非についての検討会が先般開かれ、10月をめどに中間取りまとめを行うための議論がなされています。 まず初めに、今回の検討会はドクターヘリ導入ありきで進めてはならないと思いますが、どうか。ドクターヘリ導入を含めた救命救急の医療体制の構築について基本的な考え方はどうなのか、健康政策部長の御所見をお伺いいたします。 次に、一番大きな課題として、航空法上認可されたものか緊急用かは別として、ヘリポートの整備が喫緊の課題であります。今、県内各地で県民の御協力により、患者や負傷者を送り出す側のヘリポートは徐々にふえつつありますが、受け入れる側の救急病院では、高知医療センター以外は屋上にヘリポートがない現状を考えると、ドクターヘリの導入を急ぐよりヘリポートを用意することが優先されるべき課題だと思いますが、どう取り組むのか、健康政策部長の御所見をお伺いいたします。 次の課題として、消防防災ヘリ「りょうま」による救急搬送先のほとんどが医療センターであり、救急車搬送も含めると医療センターへの負担が増加傾向にある中、今後の受け入れ態勢にも限度が出てくることを考えると、幡多けんみん病院や安芸病院の救急医療機能を充実させ、医療センターへの一極集中を分散させて負担軽減を図ることがドクターヘリ導入の議論より先行すべきだと思うのです。さらには、安芸病院には大規模災害における県東部の災害拠点病院の位置づけもあり、救急医療の充実と災害時の対応も一般診療科目の充実とあわせ大切な課題であります。 現安芸病院の医師不足は解消されつつあるのか。特に、二次救急医療体制の充実をどうするのか。また、新安芸病院のスタートに向けいかに医師を確保していくのか、公営企業局長の御所見をお伺いいたします。 ところで、新安芸病院には当然ながら屋上にヘリポートが計画されなければならないが、プロポーザルで採用された予想図にはヘリポートがないが、どう対応するのか。新安芸病院の駐車場にヘリポートを整備する場合、周囲の高圧線や高圧鉄塔、ごめん・なはり線の高架や土手、さらにはそれより高い位置にある電線や電柱がヘリ進入の妨げになるのは火を見るより明らかである。 航空法上のヘリポートの要件を満たさずとも、屋上緊急離着陸場として安芸病院の屋上に整備をするよう基本設計に盛り込むことを強く要望いたしますが、いかがでしょうか、公営企業局長の御所見をお伺いいたします。 次に、近森病院や愛宕病院や高知日赤病院においても、本来ならばヘリコプターで救急搬送されるべき症例が多々あると思いますが、その件数は救急搬送全体のどのくらいを占めるのか、健康政策部長の御所見をお伺いいたします。 また、今後、近森病院、愛宕病院、高知日赤病院へのヘリコプターによる救急搬送を迅速化させることで医療センターへの集中を分散させるためには、高知消防署の出動が前提となる高須浄化センターグラウンドをヘリポートとして利用することではだめだと思うのです。最善策はこれらの救急病院が集中する高知駅周辺の再開発で浮上した県の複合施設ビルの屋上へのヘリポートの整備だったのです。 残念ながら構想を断念したので、残るはこれから高知駅北側に建設が予定されている国の合同庁舎ビルの屋上や、これから建設が予定されるであろう民間ビルの屋上にエレベーターつきのヘリポートを整備することへの協力を求めることが大切と考えますが、どう対応していくのか、健康政策部長の御所見をお伺いいたします。 次に、こうした整備が不可能ならば、免震構造が施された県警本部庁舎の屋上には本県一の立派なヘリポートが整備されていますが、私はヘリの離着陸を一度も見たことがありませんし、これをもっと利用しない手はないと思います。しかし、残念なことにヘリポート面にせり上がり式エレベーターの整備もなく、ストレッチャーを移動させるスロープもない状況の中で、災害対応には全くなっていないのです。大規模災害や大事故で負傷者が多く発生した場合、救急病院に一番近いこのヘリポートが威力を発揮します。 この県警本部ヘリポートを宝の持ち腐れにしないためにも、ヘリポートへの階段の改修の可能性を早急に検討すべきだと思うのですが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、県警にもぜひとも御協力を願いたいが、警察本部長の御所見をお伺いいたします。 現在、医療センターの医師ピックアップ方式でドクターヘリの代替機能を果たしている消防防災航空隊の出動回数は、東京都に次ぐ全国第2位で、年間333回であり、私もその活動を高く評価しております。そして、このノウハウの蓄積は本県の救命救急の大きな財産であり、これはドクターヘリを導入しても直ちにまねができるものではありません。また、防災ヘリ「りょうま」はエンジンや機体も大きくスピードが出ますし、常備搭載している救急医療用具に不足している薬剤等を携行したドクターさえ乗り込めばたちまち少し大き目のドクターヘリに早変わりする、まさに救命救急と防災を兼ねた多機能多用途型スーパーヘリと呼んでも過言ではありません。また、防災ヘリ「りょうま」が法で定められた定期耐空検査のためドック入りの運休期間中は、県警のヘリ「くろしお」もドクターヘリとしての役割を一定果たしているので、欲を言えば新しいドクターヘリもあってもよいが、わざわざ導入しなくても、ドクターヘリよりはずっと大きく使い勝手がよい防災ヘリがあるので、当面はこの方式でも本県は十分だと思うのです。 しかしながら、このたびのドクターヘリ導入に際する手厚い国の支援は確かに魅力的であり、四国4県の手持ちの防災ヘリが定期の耐空検査のためドック入りし運航できない期間の代替機として、4県持ち回りで共同運航できれば安くつくのですが、愛媛県や香川県は高い四国山脈を挟む高知県より瀬戸内を挟んだ岡山県や広島県との連携を希望しているようだし、南海地震を想定した連携を考えれば徳島の日赤病院となら半年ずつ交代で運航できる可能性はあると思う。 徳島県も和歌山県との連携を模索しているなど課題も多いが、徳島県側と協議をしてみたのか、健康政策部長にお伺いいたします。 一方、県警本部は、平成23年に県警のヘリ「くろしお」をドクターヘリ並みの大きさであらゆる性能を向上させた最新鋭機に更新することが決定されており、「りょうま」と「新くろしお」の連携により本県のドクターヘリの代替機能はさらに強化されることになります。こうした既存の2機のヘリコプター、この県の機材と手のあいた医師をうまく活用すれば、医師確保が多難な時代にドクターヘリ専属の医師の確保も考えなくてはならない中であえてドクターヘリ導入の必要もないのではないかと思います。 ドクターヘリでは、急行する現場の近くに着陸可能な広場が多い都市部と違って、山間部の多い本県においては、患者や負傷者を乗せた担架ごと機上に巻き上げ収容する昇降ウインチ、いわゆるホイストの装備もなく、ドクターヘリが着陸できる場所まで外傷患者等を事前に移動させておくことが前提となり、移動時の患者への負担も多くなります。事故発生から30分以内の処置が生死を大きく分けるそうですので、例えば事故現場の山の斜面にドクターが直接ホイストで降下し、外傷者の処置に当たっているのが本県のすばらしい実例です。これは防災ヘリだからなし得るわざであり、ドクターヘリではできません。当然災害対応にも限界があるのです。したがって、ドクターヘリは防災ヘリの役割までは果たし得ません。しかし、防災ヘリは救助を兼ねた救急に早変わりもできる。つまりドクターヘリにプラスアルファの役割までこなしてしまうのです。ならば医師が搭乗した時点でドクターヘリの役割も兼ねる防災ヘリが2機体制で運航できれば、まさに鬼に金棒ということになるのです。 室戸高校の窓から転落した生徒の救急出動にドクターを乗せた防災ヘリ「りょうま」が現場へ急行しましたが、あのとき飛んできた防災ヘリ「りょうま」がドクターヘリだったら生徒の命が救えていたという地元の方々の指摘は明らかに間違った認識であり、商標としての「ドクターヘリ」というネーミングに天下無敵のスーパーマン的イメージがオーバーラップした結果、間違った認識やイメージを県民に与えてしまった。つまり、ドクターヘリの名前に由来する期待度や信頼度が過度にひとり歩きしている傾向にあると思うのです。 ところで、ことしの奈半利港における県総合防災訓練は、今あるロケーションをそのまま生かした、まさに実践さながらの訓練ができたことで大変意義深かったが、防災ヘリ「りょうま」は去年の宿毛に続き、ことしの奈半利町もドック入りのため参加をできていません。いざ有事本番の際にドック入り時期と重なる可能性は十分に考えられ、その場合、他県からの広域応援のヘリを要請しても、東南海地震、南海地震の同時発生の可能性も指摘される中、広域体制では支援が各地に分散し、十分な態勢が整うまでに最低半日はかかると思うのです。それまでの間に一体どのくらいの県民の命が失われるのかを考えたことがあるのでしょうか。想像しただけでもぞっとします。700キロメートル以上あると言われる広い海岸線と、県土の84%が森林に覆われ、しかも急峻な山々が多く、ドクターヘリでは着陸できない山間部での事故の頻度が高い昨今、こんな本県のロケーションにおいては圧倒的にドクターヘリの機能も果たす防災ヘリが威力を発揮するのです。ヘリコプターによる救急搬送はなくてはならないものでありますが、もう一歩下がって防災、つまり県民保護という視点からヘリコプターの追加を考えることも必要ではないでしょうか。 今世紀前半にも確実に発生すると言われている南海地震や台風等の被害を想定すれば、79万県民にとって本当に必要なのは新たな防災ヘリ「しんたろう」の追加整備であり、ドクターヘリの代替機能も十分にこなしている防災ヘリ「りょうま」と「しんたろう」の2機の運航体制にして有事に備えることこそ、真に県民の負託にこたえる防災体制と言えると思うが、危機管理部長の御所見をお伺いいたしまして、1問目を終わります。   (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 浜田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、森林・林業・木材産業の振興についての一連の御質問の中で、材価低迷からの脱却の見通しと森林・林業・木材産業の振興にかける思い、環境共生型の産業振興に対する所見についてのお尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えをいたします。材価低迷からの脱却の見通しにつきましては、住宅着工戸数の減少などにより木材需要が低迷し、大変厳しい状況が続いておりますので、需要が回復するには一定の時間がかかると考えております。そのため、今回国が追加経済対策として打ち出しました補正予算などを積極的に活用しながら、川上対策として保育間伐や作業道など将来に向けた基盤の整備や、川下対策では公共施設の木造化や県産木造住宅への支援の強化など、木材需要の掘り起こしや拡大に重点を置きながら取り組んでまいります。 森林・林業・木材産業の振興につきましては、「対話と実行」座談会で県内を回っております中、中山間地域の方々が頑張っておられる姿を拝見するとともに、林業に対する皆様の期待の大きさをひしひしと感じているところであります。本県には、成熟しつつある貴重な森林資源が多くございます。これを有効に活用することにより、雇用の創出など地域の活性化につなげることが重要と考えております。そのため、産業振興計画に盛り込みました具体的な施策をスピード感を持って着実に実行してまいります。環境共生型の産業振興を目指すべきとの議員の御提案には、私も同じ思いでございます。県では、これまでも協働の森やオフセット・クレジットなどに取り組んでまいりましたが、林業行政と環境行政を一体的に進め、より相乗効果を高めるために、ことし4月に林業振興・環境部を新たに設置いたしました。今後は、低炭素社会のトッププランナーとして、常に新しい視点を持って豊かな森林資源を生かした産業の振興に取り組んでまいります。 次に、木材価格の下落がさらに続くなら計画の見直しや修正が必要ではないかとのお尋ねがございました。議員御指摘のとおり、林業・木材産業を取り巻く環境は非常に厳しい状況にありますが、本県の森林資源を生かし地域の振興につなげていくために、産業振興計画の林業分野で目指しておりますところの森林の集約化や効率化といった方向性に狂いはないものと考えております。しかしながら、この厳しい状況の中で計画を着実に実行していくためには、PDCAサイクルの中で、計画の中の多様な施策の中で、より優先すべき対策は何かを常にチェックしていくということ、さらには追加的な需要拡大策など必要な見直しを行い、最善の方法で計画を実行していきたいと、そのように考えておるところであります。さまざまな施策がラインナップとして上っておりますけれども、その施策のうちどちらのほうをスピードアップし、どちらのほうをややスピードを落としていくのか。そういう調整もしていかなければならない、そういうきめ細かい対応策を図っていきたいと思っております。 次に、県産材を使った木造住宅への支援の拡充と森林環境税の活用についてお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。木造住宅の建築促進は、木材需要を拡大し経済波及効果を発揮させるため有効な対策だと考えております。そのため、今回の補正予算では、県産材を使った住宅建築に助成をする新たな制度を立ち上げることにいたしました。これまでも木造住宅の建築を後押しするためにこうち安心の木の住まいづくり助成事業を制度化していますが、ことしに入りまして住宅建築の落ち込みが著しいことから、緊急に追加対策を講じることにしたものであります。具体的には、県産の乾燥材の使用量に応じて助成するものでございまして、こうち安心の木の住まいづくり助成事業と併用することで、最大では1棟当たり100万円の助成を行うこととなります。これによりまして、住宅建築の前倒しや新規着工へのインセンティブにつなげていきたいと考えております。 また、森林環境税は、森林の保全や県民の森林への理解とかかわりを広げることを目的として、通常の県民税に加えて一律に御負担いただいております税であります。住宅への支援については、果たして財源として妥当かどうか森林環境保全基金運営委員会の御意見も伺いながら、よくよく検討をしてまいりたいと、そのように考えておるところであります。 次に、大規模災害や大事故に備えて県警本部のヘリポートへの階段の改修の可能性を早急に検討すべきとのお尋ねがありました。南海地震などの大規模災害を想定した場合、県内で広範囲に発生します多数の負傷者や危険地域、孤立地域に残された人々を迅速に救助、救出するためには、ヘリコプターの活用が大変重要となります。現在、県では、南海地震を想定し自衛隊や消防機関など県外からの応急救助機関の応援を円滑に受け入れるため、高知県広域受援計画の基本計画を本年度中をめどに策定することとしておるわけでございますけれども、平成22年度以降には、順次この基本計画に基づいた救助、消火活動、医療活動、物資調達などについて、分野ごとに詳細なマニュアルを策定いたします。その中で、消防防災ヘリコプターを初め自衛隊など応急救助機関のヘリコプターの役割分担を明確にするとともに、緊急時に離着陸可能な場所を選定し、利用方法などを整理してまいります。 お尋ねのありました県警本部の屋上ヘリポートは、市街地では唯一の屋上ヘリポートでありまして、大規模災害時には政府などからの災害対策要員の受け入れや応急救助などを行う上で重要な施設の一つであると考えております。このことから、広域受援計画の詳細マニュアルを作成する中で、具体的な利用方法やそれに沿った改修などにつきまして県警本部と協議してまいります。 私からは以上でございます。   (林業振興・環境部長臼井裕昭君登壇) ◎林業振興・環境部長(臼井裕昭君) 森林・林業・木材産業の振興及び環境対策についての一連の御質問にお答えいたします。 まず、地球温暖化対策地域推進計画における森林吸収の目標達成に向けての取り組みについてお尋ねがありました。これまで間伐の促進のため、施業地の集約による効率的な施業と低コスト化を図る森の工場の整備や、森林組合と建設業者等とのジョイントによる労働力の確保対策など、さまざまな対策に取り組んでまいりました。しかしながら、近年の木材需要の減少による木材価格の低迷、森林所有者の施業に対する意欲の減退や労働力不足など、間伐が進みにくい状況になっています。このような中、今回国の追加経済対策において、森林所有者の負担の要らない間伐や作業道の定額補助事業が打ち出されましたので、これらをうまく組み合わせ有効に活用することで、間伐の目標達成に向けて全力で取り組んでまいります。 次に、新たな市町村実行計画の策定を義務づけてはどうか、また計画策定の促進に向けどう対応していくのかとのお尋ねがありました。お話にありましたように、昨年6月にいわゆる温対法が改正され、温室効果ガスの排出削減等に関する地方公共団体実行計画の充実が図られました。この実行計画の中で、県及び中核は、みずからの事務事業だけでなく、その区域の自然的、社会的条件に応じた自然エネルギーの利用促進など、温室効果ガスの排出抑制等のための施策に関する事項についても定めることとされました。中核以外の市町村では、実行計画の中に自然エネルギーの導入促進などの項目を盛り込むことを義務づけられてはいませんので、御提案のありましたように市町村へ一律に義務づけることは難しいと考えております。 しかしながら、温暖化対策を推進していく上では、地域地域で計画を策定し主体的に取り組む必要があると考えておりますので、国の策定マニュアル等を参考にしながら、地域特性に応じた市町村の実行計画の策定を支援してまいります。なお、今年度新たに造成を予定しております地域グリーンニューディール基金では、市町村がこの基金を利用して事業を実施する場合に、みずから行う事業を市町村の実行計画に位置づける必要がありますので、そうしたこともPRしながら実行計画の策定を促進してまいりたいと考えております。 次に、切り捨て間伐とセットになった全額国費の作業道開設事業を国に要請してはどうかとのお尋ねがありました。お話にありましたように、木材価格の下落が続く現在は、将来に向けた条件整備として作業道などの基盤整備に力を入れることが必要だと考えております。作業道開設の同意を森林所有者からいただく際には周辺の間伐も実施していただくよう、まさにセットの考え方で取り組む必要がありますので、今回の全額国費による間伐と作業道開設の定額補助事業を有効に活用するなど、工夫しながら進めていきたいと考えております。御提案のありましたことにつきましては、間伐を進めるだけでなく、山村の雇用対策としても有効であるというふうに考えますので、国に対しましても引き続き森林整備対策の拡充強化や制度の提案について要請してまいります。 次に、全額国費の間伐事業と森林環境税による定額補助との今後のさび分けについてのお尋ねがありました。森林吸収効果の高い若齢林の整備を目的として、森林環境税を活用したみどりの環境整備支援事業を創設、実施してまいりましたが、お話のありましたように、今回の国の補正により全額国費の間伐事業がメニュー化されましたので、みどりの環境整備支援事業で実施するかなりの部分が国の事業の対象となってまいります。しかしながら、国の定額補助事業では自伐林家等の個人が実施する間伐は対象となりませんので、みどりの環境整備支援事業で引き続き支援することは一定必要だというふうに考えております。このため、これらの2つの事業を有効かつ効率的に使いながら総合的に間伐を推進してまいります。 次に、れいほくスケルトンなど県産材の地産外商と伝統的な木造住宅の技術を持った後継者育成への支援についてのお尋ねがありました。れいほくスケルトンは、品質の確かな嶺北杉の規格材をプレカットし、住宅用構造材としてパッケージ販売するすぐれた取り組みであり、都市部でのニーズにマッチして売り上げを伸ばしております。県では、県産材の地産外商を推進していく上で、こうした取り組みを広げていくことが産業成長戦略上の有効な手段の一つであるとの考えから積極的に推進をしているところです。また、県外の販売拡大対策としましては、高知県産材を使用して建築する住宅等への助成を行うとともに、新たに部内に設置しました販売促進チームと県の県外事務所との連携強化やアンテナショップの活用等も含め、県の信用力を生かした販路開拓を行うなど、関係企業とともに販売活動を強化していきたいと考えています。 一方、御指摘のように、木造住宅の建築を促進するためにはすぐれた大工さんの育成が必要だと考えております。現在は、県立中村高等技術学校において毎年10名を募集し、木造建築の基礎知識や技能を習得していただいております。また、国土交通省の支援を受けて財団法人住宅産業研修財団が実施をしております大工育成塾でも毎年100名の研修生を募集しておりますので、この制度なんかもPRをしながら、希望者については入塾の御紹介をさせていただきたいというふうに思っております。 次に、林業雇用労働者の年収400万円を確保するために必要な生産性と木材価格についてのお尋ねがありました。産業振興計画の策定した時点では、県下の優良な森林組合などの事業体が採用している木材の生産方式で年収400万円を確保するには、1人当たり年間約1,000立方メートルを生産するなどとして試算しますと、労働生産性は1人1日当たり4.8立方メーター、杉、ヒノキの平均価格で申しますと1立方メートル当たり1万2,000円となります。しかしながら、御質問にもありましたように、木材価格が計画時には想定できないほど下落をしており、採算性の確保が非常に難しい状況にあると言わざるを得ません。こうした状況に対応するため、材価が一定回復するまでの間、例えば作業道などの周辺に特化して木材を搬出するなどの工夫によって採算性の確保に取り組むことも必要だと考えております。また、先ほどお答えしました定額補助金などを有効に活用した作業道の開設や切り捨て間伐の実施などにより、将来の木材生産に備えた基盤整備を行っていくことも重要だと考えております。 次に、県行造林や森林整備公社営林の長伐期化や分収割合等の見直しに関する土地所有者との協議の状況についてのお尋ねがありました。県や森林整備公社では、国が推進する長伐期施業等に転換するための契約延長や、それに伴う分収割合の見直しについて、現在土地所有者との話し合いを行っており、契約延長につきましては一定の同意を得ているものと考えております。ただ、分収割合の見直しにつきましては、木材価格の低下等の社会経済情勢の変化により、分収林事業の収支状況が厳しいことは理解をしていただいておりますが、まだ多くの土地所有者からは同意を得るまでに至っておりません。このように分収林事業経営は厳しい状況にありますので、経費削減や効率的な施業など経営改善に向けた努力を続けてまいりますとともに、土地所有者の皆さんに対しましても十分に御意向もお伺いしながら、できるだけ多くの方から分収割合の見直しの同意が得られますよう努力をしてまいります。 次に、本県のCO2 ストックの引き合いの状況とオフセット・クレジットの保有量についてのお尋ねがありました。本県が排出量取引モデル事業で創出しましたオフセット・クレジット--CO2 のストックですけれども、に関しましては、6月末現在で企業やプロバイダーなどから6件のお問い合わせが来ております。また、現在検証され発行されているクレジットの保有量、いわゆるストックでございますが、2008年度の上半期分で約1,000CO2 トンとなっております。今後は、2008年度下半期分として約1,000CO2 トン、2009年度分として約3,300CO2 トンのクレジットが創出される予定でございます。 次に、オフセット・クレジット価格についてのお尋ねがありました。御指摘のように、本県が排出量取引モデル事業で創出したオフセット・クレジットは、株式会社ルミネに1CO2 トン当たり約3,600円で売却をしておりますが、この価格の設定に関しましては、クレジットの創出に要した認証手数料や委託料などの必要経費の相当額を考慮したものとなっております。今後も、オフセット・クレジットの価格につきましては、クレジット創出に要する必要経費が回収できる適正な価格設定に努めますとともに、本県の低炭素社会づくりの取り組みを理解していただける環境先進企業への重点的な販売活動を行うなど、環境ビジネスとして推進をしてまいります。 最後に、カーボンオフセットに関する協力要請についてのお尋ねがありました。県では、住友大阪セメント高知工場において、未利用林地残材を石炭の代替燃料として活用し、CO2 を削減する木質資源エネルギー活用事業を推進する中で、CO2 の排出削減量についてオフセット・クレジット制度の認証を受けましたが、こうした事業は、本県におけるCO2 を削減する上で非常に有効な事業であると認識をしております。お話のありましたように、本県の温室効果ガスの排出量が多いのはセメント会社でございますが、先日太平洋セメントの方々と意見交換をする機会がありましたので、カーボンオフセット事業への協力要請を行うとともに、今後事業を進めていく上での課題を整理しながら協議を行っていくことを確認できましたので、今後具体的な打ち合わせ等を行っていきたいというふうに思っております。   (教育長中澤卓史君登壇) ◎教育長(中澤卓史君) 武道場の建設を予定している自治体がどのくらいあるのか、また県産材を使っての武道場建設を要請すべきではないかとのお尋ねがございました。 現在、2つのが武道場の建設を検討しておりまして、この2つのに対しましては既に県産材を使用するよう要請をいたしております。県教育委員会としましては、今後新たに武道場の建設を計画する市町村があれば、県で進めております高知県産材利用推進方針に基づきまして、県産材の使用について積極的に要請を行ってまいります。 次に、県立高校の教育の森の予算が削除された理由と予算の復活についてお尋ねがございました。教育の森は、青少年の自然への理解と郷土愛の精神を養うことをねらいとして昭和43年に発足して以来、生徒たちが下刈りや枝打ち、間伐などの体験学習を通じて当初の目的を果たしてきたと思っています。しかしながら、樹齢が高くなったことで枝打ちや間伐に危険を伴うようになったことや、低床バスの普及により入山できる輸送バスが確保できないなどの状況から、森林整備公社の協力によりまして、学校の近くの森林に変更して体験学習を実施してまいりました。このようなことから、実施校は平成7年度には36校であったものが、平成19年度には17校と減少しておりました。また、学校の近くの森林を確保することには限界がある上、このような森林においても樹齢が高くなり枝打ちや間伐などの体験活動が難しく、教育効果が上がらないことから、平成20年度以降、事業を休止いたしております。 このような状況にありますので、教育の森としての予算復活は難しいと考えていますが、例えば四万十高校の四万十川の環境を考える若武者プロジェクト、あるいは窪川高校の四万十よんでんの森での森林整備体験、安芸桜ケ丘高校の安芸市内の3河川の水質調査や植物栽培によるグリーンカーテンの作成など、各校では森林だけでなく、広く環境に関する学習を行っておりまして、これまで取り組んでまいりました教育の森での学習のねらいは一定達成できるものと考えておりますので、今後もこのような環境学習の充実に努めてまいります。   (観光振興部長秋元厚志君登壇) ◎観光振興部長(秋元厚志君) 観光振興についての御質問のうち、まず魚梁瀬森林鉄道の地域活動への支援についてお答えいたします。 このたびの、魚梁瀬森林鉄道の歴史的価値が高く評価をされ国の重要文化財に指定されることとなりましたことは、地域の自然環境や伝統文化などを活用した体験型観光を推進する上でも大きな意味を持つものと受けとめています。高知県での国の重要文化財建造物の指定は、魚梁瀬森林鉄道を含め20件となりますが、複数の自治体にまたがる広域での指定は全国でも初めてであり、関係します中芸5町村が指定に向けて一体となって取り組まれた成果として、大変意義深いことだと考えています。 県では、これまで重要文化財の指定に向けて地域の皆さんと一緒に取り組んできましたし、産業振興計画の地域アクションプランにも位置づけをしていますので、引き続き観光客誘致をするためのガイドブックの作成や観光ガイドの育成研修などに加え、専門家のアドバイスもいただくなど、地域の皆様の活動を支援してまいります。さらに、今回の魚梁瀬森林鉄道の重要文化財指定を契機に、吉良川や奈半利の町並み散策やモネの庭などの中芸地域の観光資源とも連携した広域観光ルートづくりなど、交流人口の拡大や地域の活性化に向け、地元の市町村や関係団体とともに取り組んでいきます。 次に、中岡慎太郎館の充実に向けた県の支援についてのお尋ねがありました。NHK大河ドラマ「龍馬伝」の放送を最大限に生かし県内全域への誘客を図っていく上で、中岡慎太郎館は東部地域の核となる施設であり、広域的な周遊ルートづくりを進めていく上でも、その魅力の向上が重要と考えています。北川村の取り組みに関しましては、これまで全国各地で体験型観光の実績をお持ちの土佐・龍馬であい博の総合アドバイザーに現地に入っていただき、体験メニューづくりや土産品づくりに関するアドバイスや意見交換を行っていただくことや、大手旅行業者を招聘しましたモニターツアーに組み込みますなど、旅行商品としての磨き上げの支援も行ってきたところでございます。 お話のありました中岡慎太郎館の改修につきましては、慎太郎を紹介するモニターやパネルのリニューアル、新たに「龍馬伝」コーナーを設置することが計画をされています。また、慎太郎グッズや慎太郎弁当などといった関連商品の売り場の整備やゆかりの地を訪ねる向学の道ウオーキングの開催などの準備も進められています。県といたしましても、こうした取り組みに際しまして、地域アクションプランの位置づけのもと、できる限りの支援を行いますとともに、お話にございましたように、東部全域での広域的な連携と観光PRなどを通じまして多くの観光客の誘致につながるよう取り組んでまいります。   (交通運輸政策担当理事隅田明君登壇) ◎交通運輸政策担当理事(隅田明君) 吉田茂元内閣総理大臣の銅像移設に関しまして、昨年の12月県議会での決議を受け、県としてどう移設を進めていくのか、観光面も含めこの機会を逃さず早期実現を目指すべきではないかとのお尋ねがございました。 昨年12月県議会の決議では、本県の知名度アップや観光振興に一役を担っていただき、そして何よりも多くの方々にふるさとの偉人と触れ合う機会を多く持っていただくために、より親しみのある場所への移設を求めるとされております。この銅像は、御案内のように、昭和59年に県内各界の団体で構成されます銅像建立期成会が広く募金を募った上で制作し、県に寄附をいただいたものでございます。こうした経緯がありますことから、これまで当時の期成会の主要な構成団体であります市長会や町村会あるいは高知県商工会議所連合会などの方々から移設に関する御意見を伺ったり、庁内関係部との協議などを行ってまいりました。その中では、移設経費の捻出方法も話題となりましたが、移設先についてはさまざまな御意見がありましたし、また宿毛の方々からは、ゆかりの宿毛への移設が考えられないかといった声も出てきているとお聞きしています。 こうしたことから、まず経費面を考慮し、県有地を中心に事務レベルで幅広く候補地のリストアップを行った上で、期成会の主要団体や有識者などで構成します検討委員会を立ち上げたいと考えております。その委員会で県民の皆様の御意見を広く聞く手法も検討しながら、絞り込みを進めていただくのが適切ではないかと考えております。また、課題となります経費捻出につきましても、その委員会で御議論をいただくとともに、候補地選定と密接に関連します移設の時期についてもあわせて御検討をいただきたいと考えております。   (健康政策部長坂東隆志君登壇) ◎健康政策部長(坂東隆志君) 救命救急医療体制の構築とドクターヘリの導入についての御質問にお答えをいたします。 まず、ドクターヘリの導入の検討に当たっての考え方や救命救急医療体制の構築についての基本的な考え方についてお尋ねがございました。本県は、東西に長く山間部も多い上に、道路事情に恵まれていないこと、医師不足による郡部における救急医療機関の厳しい現状や高知に救急医療機関が集中していることなどから、救急医療にヘリコプターを活用することの効果は大きいものと考えています。そうした背景もあって、本県ではこれまで消防防災ヘリをドクターヘリ的に活用し、平成20年度の出動件数333件のうち、救急医療活動に277件も出動するなど、点検期間を除きますとほぼ毎日の出動状態にございます。一方で、消防防災ヘリでの搬送以外、すなわち救急車で搬送された事例の中にも、本来ヘリコプターによる搬送、もしくは医師の現場出動が望ましかったと判断される症例が相当数存在するのではないかと考えられます。これらを総合的に考えました場合、現在の消防防災ヘリのドクターヘリ的運用に加え、新たに救急医療に活用できるヘリコプターの導入を検討すべき時期にあると考えています。 このため、今年度、行政、医療、消防の関係者並びにドクターヘリ事業に精通した医師や航空事業者などで構成しますドクターヘリ導入検討委員会を6月に設置したところでございます。この検討委員会では、ヘリ搬送もしくは医師の現場への出動が望ましかったと判断される症例に関します調査結果なども踏まえ、専門的見地から救急医療に活用できる新たなヘリコプターの導入の必要性について検討を行い、秋を目途に意見を取りまとめていただきたいと考えております。こうした前提のもとで、お尋ねがございました本県の救急医療体制につきましては、さきに申し上げましたように、地理的特性や医療資源の偏在に伴う課題などを踏まえ、救急医療を担う医師の確保を含めた救命救急センターにおける受け入れ態勢の確保や二次救急医療機関との連携を図りますとともに、救急医療に活用できるヘリコプターを使い、救急現場における救命救急や郡部における救急医療体制への支援などを通じまして構築をしてまいりたいと考えております。 次に、ドクターヘリ導入を急ぐよりもヘリポートを用意することが優先すべき課題ではないか、また高知駅周辺で今後建設が予定されるビルの屋上にヘリポートを整備することへの協力を求めることが大切ではないかとのお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えいたします。ヘリコプターを救急医療に活用するに当たりましては、患者を送る側、受け入れる側それぞれにヘリポートの整備が必要ですし、また大事な課題であると考えております。特に、患者を受け入れる側の医療機関等へのヘリポートの整備につきましては、周辺住民への騒音の問題や敷地確保の問題など多くの課題がありますことから、高知中心部へのヘリポートの確保が大きな課題だと認識をしておりますし、当然のことながらヘリコプターとヘリポートの両方が確保されなければ機能しないものと考えております。そのため、病院を含めた民間ビルの屋上へのヘリポート整備について協力要請を行いますことは、一つの有効な方法だと思っております。 なお、議員からお話のありました高知駅北側に建設予定の国の合同庁舎につきましては、国土交通省四国地方整備局に確認をいたしましたところ、既に工事の発注が終了しており、庁舎屋上のヘリポート整備への協力要請につきましては無理な状況にあるとお聞きをいたしております。 次に、高知中心部の医療機関への救急搬送患者のうち、ヘリで救急搬送されるべき患者はどの程度占めるのかとのお尋ねがございました。救急医療に活用できるヘリコプターの導入の検討に当たりましては、まずはヘリ搬送もしくは医師の現場への出動が望ましいと判断されます潜在的な患者数についての把握が必要と考えています。そのため、現在ドクターヘリ導入検討委員会において、高知医療センター、高知赤十字病院、近森病院の3つの医療機関及び県内の消防機関に対して、ヘリ搬送もしくは医師の現場への出動が望ましいと判断される重症患者に関する調査を行っているところです。その調査結果をもとに、次回以降の検討委員会におきまして専門的な見地からの分析を行うこととしています。 次に、ドクターヘリについて徳島県との共同運航の可能性について協議をしたのかとのお尋ねがございました。昨年度、四国4県連携事業の中で事務的にドクターヘリの共同運航の可能性について協議をしてまいりましたが、それぞれの県に新たな通信基地の整備が必要になることや、各県それぞれに個別の事情もあり、四国4県での持ち回りによる共同運航は現実的には難しいと考えております。お話にありましたように、徳島県は、昨年度から消防防災ヘリのドクターヘリ的な活用を開始しますとともに、本年3月には和歌山県と応援協定を結び、和歌山県立医科大学のドクターヘリとの連携を開始したところであると聞いております。本県といたしましては、まずは救われるはずであった高知県の県民の命を救うということを最優先に、ドクターヘリ導入検討委員会において、先ほど申し上げました潜在的な患者数に関します調査結果などを踏まえまして、救急医療に活用するための新たなヘリコプターの導入の必要性や、あるいはそのヘリコプターを使った他県との連携のあり方、そうしたことについて検討をしていきたいと考えております。   (公営企業局長長瀬順一君登壇) ◎公営企業局長(長瀬順一君) 現在の安芸病院の医師不足の状況、二次救急医療体制の充実と新病院のスタートに向けた医師確保についてお尋ねがございました。 新病院は、救急医療を初めとする一般的な急性期医療に対応するなど、地域で必要とされる医療をほぼ完結できる、地域の中核的な病院として整備することとしております。これらを実現するためには、医師の確保が最も重要な課題でありますので、医師の派遣元であります高知大学にはこれまでも学長や病院長などに対して理解を求めてまいりましたし、大学からは、新病院の開院に向けて医師の派遣について最大限の努力をするとのお答えをいただいております。しかしながら、現時点では、大学の医局の個別の事情もあり、安芸病院の医師不足につきましては解消には至っておりません。 また、現在の安芸病院の救急医療体制につきましても、麻酔科などの常勤医師が不在であることなどから、緊急手術が必要な重篤な患者さんについては、高知医療センターなどの中央部の医療機関に依存せざるを得ない状況となっております。こうした中でも、院長を先頭に、今できることとして救急患者の受け入れに関して安芸消防本部と定期的な協議を行うとともに、職員に対しまして救命処置や蘇生処置などの救急医療に関する研修を実施するなどの取り組みを進めております。その結果、一つの指標ではございますが、昨年度の救急車搬送の受け入れ件数は887件と、19年度に比べまして135件増加してきております。 新病院に向けた医師確保対策につきましては、高知大学医学部附属病院の病院長には、昨年度の新病院の医療機能などを検討するための整備検討会に引き続き、本年度におきましても基本設計業務に係るプロポーザルの審査委員として参加をいただきましたし、医師の派遣をお願いする各診療科の教授に対しましても、今般プロポーザルで選定された提案の概要を御説明申し上げ、新しい病院の必要性と役割に対する御理解もいただいておるところでございます。新病院の整備に当たっては、医療機能はもちろんのこと、医師にとって働きやすく魅力のある病院づくりが欠かせませんので、引き続き高知大学や健康政策部とも今まで以上に密接に連携をとりながら、医師の確保に全力で取り組んでまいります。 次に、新病院の屋上にヘリポートを整備してはどうかとのお尋ねがございました。新病院は、引き続き災害拠点病院として、災害時におけます地域の医療活動の中心的な役割を担ってまいります。災害拠点病院におけるヘリポートの整備については、国の基準で原則として病院敷地内にヘリコプターの離発着場を有すること。やむなく病院敷地内に離発着場の確保が困難な場合は、病院近接地に非常時にも使用可能な離発着場を確保することと定められております。このようなことから、新病院の整備の基本方針でも、災害時におけるヘリコプターの緊急離発着は駐車場の活用を検討するとしておりますし、今回の基本設計業務に係るプロポーザルにおいて採用された企業からも、駐車場を災害時のヘリポートとして活用する案が提案されております。 一方、現在、健康政策部においてドクターヘリの導入について検討が進められており、10月をめどに中間報告がなされると聞いておりますので、その議論の内容によっては、新病院のヘリポートは災害時だけでなく幅広い活用が期待されることとなります。このため、お話のありました屋上ヘリポートの整備も含めた新病院のヘリポート整備のあり方については、費用対効果や全体の建物の配置などの検証とあわせまして、健康政策部での議論も十分に考慮した上で、今年度に作成する基本設計において判断していくことといたしております。   (警察本部長平井興宣君登壇) ◎警察本部長(平井興宣君) 警察本部のヘリポートへの階段の改修の可能性を早急に検討すべきとの御質問にお答えします。 先ほど知事がお答えしたように、県警本部屋上ヘリポートは市街地では唯一の屋上ヘリポートであり、大規模災害時には、県外からの災害対策要員の受け入れ、情報収集、救出、救助などの災害警備活動を行う上で重要な施設であります。県警察としましては、今後県が広域受援計画の詳細マニュアルを作成する過程で、大規模災害時のヘリポートの利用方法や施設改修の可能性について県と協議してまいりたいと考えております。   (危機管理部長森部慎之助君登壇) ◎危機管理部長(森部慎之助君) 南海地震や台風等の有事に備えるため消防防災ヘリを2機体制にしてはどうかとのお尋ねがございました。 県の消防防災ヘリ「りょうま」の出動件数は、昨年度には消火活動や救急搬送等の出動で333件となっており、他県と比べましても非常に高い稼働率になっております。しかしながら、お話にもございましたように、ヘリコプターは法律で定められた機体の検査を毎年受けることが義務づけられております。「りょうま」は5月から6月にかけまして約1カ月半の間ドック入りをしています。この間は、高知県警のヘリや四国の他の3県との応援協定により対応を行っているところでございます。また、災害発生時には、到着が少しおくれる可能性はありますが、被災地以外の都道府県が航空隊を初め消防隊や救助隊等の緊急消防援助隊を編成し被災地に派遣することとなっていますし、国の東南海・南海地震応急対策活動要領では、自衛隊や警察、海上保安庁等からヘリを含みます応援部隊が派遣され、本格的な救助活動に当たる計画となっております。このような計画や最近の災害事例を見ましても、大規模な災害が発生した場合には、迅速な被災の状況の調査や救命、救助にはヘリコプター等の航空機の出動は欠かせないものと考えております。 御提案のように消防防災ヘリの2機による運航となれば、大災害が発生したときの即座の対応や、年間を通じた消防防災ヘリの運航が可能となりますが、一方で新たな機体の購入や運航体制の確保、機体等の維持管理には多額の経費が要ることなど、多くの課題もあると考えます。このため、消防防災ヘリの体制につきましては、消防庁が目指しております24時間運航体制の消防防災ヘリに求められる役割やその動向、またドクターヘリ導入検討委員会の検討結果、さらには現在運航しております「りょうま」の更新の時期等も踏まえながら、どういった体制が最も望ましいのか、今後検討をしていく必要があると考えております。 ◆7番(浜田英宏君) それぞれ前向きな御答弁をいただきましてありがとうございました。 特に、森林、林業問題におきましては、こうち安心の木の住まいづくり事業、これに追加的な施策が講じられることによって1件当たり最大100万円の補助がいただけると。これは本当にすばらしい、大きな朗報であります。去年は199件ということでございまして、私は目標としてはもうその倍、400件ぐらいやりたいなという、これが本音なんです。ですから、今回の追加の補正3,300万円ありがたいんですが、もう少し欲を言うと、もうちょっと欲しかった。そこはですね森林環境税が、おととしで大体6,000万円ぐらい残っていたんです。恐らく、去年も同じぐらいかなというようなことを思いますと大体想像できると思うんですが。国の定額助成の事業等が重なってきましたので、それから若齢級の木も随分少なくなっております。そんなことからますます残っていく傾向にあるんじゃないかと思っておりますので、ぜひともこれをですね、木材の需要拡大に向けた施策にお使いをいただきたいと、そんなふうに思っておりますので、ぜひとも検討委員会に議会でこういう議論があったということをお伝え願いたいと思います。 それと、危機管理部長、健康政策部長にお尋ねしますけれども、私はこの1年間防災ヘリとかドクターヘリについて調査をしたんです。実際にヘリにも乗りました。私は、ドクターヘリを頭から否定するつもりは全くありません。ただ、本県にとって全体の最適を考えた場合にどんなヘリコプターを導入するのが県民にとって一番幸せなのか、その議論を抜きにしてドクターヘリの導入の是非だけ語ることは、木を見て森全体を見ないと同じことでありまして、この際、十分な全体の最適という議論を検討会で行っていただくように要請をしておきたいと思います。 なぜなら、南海地震と東南海地震の両方が同時発生した場合、これと「りょうま」のドック入りが重なった場合、このとき消防防災ヘリ「りょうま」が出なかった場合はどうするんだと。さっき部長の答弁がありましたけれども、やっぱり700キロメートルの沿岸に漂流する方々を真っ先に助けるっていうのが最初のミッションになるわけで、そのとき、「りょうま」がおらんからといって、ホイストもついていないドクターヘリに助けに行けと言っても助けられるのかどうか、僕は疑問であります。 これ助けられるかどうか、イエスかノーでお答えいただきたいんですが、もし危機管理部長がノーと答えるんだったら、その代替策はあるのかどうか、それも含めて健康政策部長とお二人にお伺いします。2問です。 ◎健康政策部長(坂東隆志君) お答えします。 ヘリコプターにはそれぞれ、防災ヘリは防災ヘリとしての役割があると思います。それから、ドクターヘリは救命救急医療という役割を持っています。したがいまして、ドクターヘリがホイストで上げるといったようなことはできないというふうに思います。 ◎危機管理部長(森部慎之助君) ホイストクレーンの装備でありますとか、またそのクレーンを操作する乗員が乗っていないヘリコプターについては、ホイストクレーンによる救出とかといったことはできないというふうに思っております。できない場合の代替案というのを持ってるかという御質問等がございましたが、現段階でそれの代案というのは私どもでは持っておりませんけれども、ヘリコプターにつきましては、災害時に果たす役割は数多くあるというふうに思っております。現在、南海地震に備えまして応急対策活動計画を策定しております。この中でヘリの機能を考慮した配置や役割分担というものを考えていくこととしております。この結果や、先ほど申しましたようにさまざまな検討する要素というのがございますので、今後ですね、こういった観点からヘリの機能や役割分担を考えていく必要があると考えております。 ◆7番(浜田英宏君) ありがとうございました。3問を行いたいと思います。 南海、東南海のような広域のこういう災害が発生した場合は、広域体制をとるのに最低半日はかかると言われていますんで、結局、津波で流された人たちは2回目の津波でもうやられてしまってほとんど亡くなってしまうという、そんなことが考えられるわけなんです。ですから、「りょうま」がいない場合、ドクターヘリができることといったら上から救命浮き輪を落としてあげる、それぐらいしかできないと思うんです。ですから、防災ヘリの2機体制というのは本当に真剣に考えていただきたいと思っておるところです。 平成16年8月17日の台風で大川村が孤立した。160名以上が孤立して、これを「りょうま」は149名助けています。これは「りょうま」の機体が非常に大きかった、安定感もある、それから地元のロケーションにも精通しておったということがありました。やっぱり大は小を兼ねるということがありますので、ぜひともできるだけ大きいヘリを。 そこで、知事と県警本部長に要望しておきたいんですが、まずドクターヘリを導入するなら、運航する会社に対して、ホイストを装備した「りょうま」クラスのものをぜひともお願いしたい。それが第1点。そして第2点として、それが不可能ならば、防災ヘリ「りょうま」が耐空検査でドック入りの間、ホイストを装備した同型機を代替機としてレンタルすることを提案したい。そして3点目として、それも不可能ならば、「りょうま」クラスの新しい防災ヘリの2機体制にしていただきたい。そして、それもだめならば、県警本部長にお願いしますが、今度の双発ヘリ「くろしお」、これを「りょうま」クラスのやつにぜひとも大きくしていただきたい。これを考えてください、ぜひ、県警としては。それをお願いをいたしまして、時間が来ましたので、すべての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(元木益樹君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明10日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時45分散会...