高知県議会 > 2007-09-27 >
09月27日-03号

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  1. 高知県議会 2007-09-27
    09月27日-03号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成19年  9月 定例会(第294回)        平成19年9月27日(木曜日) 開議第3日---------------------------------------出席議員       1番  桑名龍吾君       2番  高野光二郎君       3番  武石利彦君       4番  中西 哲君       5番  三石文隆君       6番  森田英二君       7番  樋口秀洋君       8番  山本広明君       9番  溝渕健夫君       10番  元木益樹君       11番  土森正典君       12番  西森潮三君       13番  結城健輔君       14番  西岡寅八郎君       15番  清藤真司君       16番  ふぁーまー土居君       17番  梶原大介君       18番  横山浩一君       19番  上田周五君       20番  式地寛肇君       21番  黒岩直良君       22番  佐竹紀夫君       23番  中内桂郎君       24番  浜田英宏君       25番  植田壮一郎君       26番  西森雅和君       27番  黒岩正好君       28番  池脇純一君       29番  大石 宗君       30番  坂本茂雄君       31番  井上自由君       32番  田村輝雄君       33番  江渕征香君       34番  沖本年男君       35番  中根佐知君       36番  谷本敏明君       37番  米田 稔君       38番  塚地佐智君       39番  田頭文吾郎君欠席議員       なし---------------------------------------説明のため出席した者  知事       橋本大二郎君  副知事      中西穂高君  総務部長     中澤卓史君  政策企画部長   十河 清君  危機管理部長   中村文雄君  健康福祉部長   畠中伸介君  文化環境部長   長瀬順一君  商工労働部長   秋元厚志君  観光部長     浜口 収君  農業振興部長   川上 泰君  森林部長     千葉 健君  海洋部長     坂東隆志君  産業技術部長   西本昌弘君  土木部長     宮崎利博君  会計管理者    高橋淳一君  公営企業局長   中澤彰穂君  教育委員長           山崎章惠君  職務代理者  教育長      大崎博澄君  人事委員長    起塚昌明君  人事委員会           澤田 豊君  事務局長  公安委員長    竹内克之君  警察本部長    鈴木基久君  代表監査委員   奴田原 訂君  監査委員           嵐  護君  事務局長---------------------------------------事務局職員出席者  事務局長     岡村孝雄君  事務局次長    鍵山和司君  議事課長     森下幸彦君  政務調査課長   吉川 裕君  議事課長補佐   橋田博之君  主任       西森京子君  主任       杉本ゆかり君---------------------------------------議事日程(第3号)   平成19年9月27日午前10時開議第1 第1号 平成19年度高知県一般会計補正予算 第2号 平成19年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第3号 平成19年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第4号 平成19年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第5号 職員の育児休業等に関する条例及び企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例議案 第6号 職員の退隠料等に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県議会の議員及び高知県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用及びポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例議案 第8号 学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例議案 第9号 高知県介護保険法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県温泉法施行条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第12号 高知県都市計画法施行条例の一部を改正する条例議案 第13号 高知県建築基準法施行条例の一部を改正する条例議案 第14号 公平委員会の事務の受託に関する議案 第15号 県有財産(高知県宿毛湾港工業流通団地事業用地)の取得に関する議案 第16号 県有財産(高知県宿毛湾港工業流通団地)の処分に関する議案 第17号 高知県水産試験場漁業指導調査船建造工事請負契約の締結に関する議案 第18号 地域高規格(北川奈半利)道路改築(車瀬トンネル)工事請負契約の締結に関する議案 第19号 県道柏島二ツ石線地方道路交付金(一切トンネル)工事請負契約の締結に関する議案 第20号 中村警察署庁舎新築主体工事請負契約の締結に関する議案 第21号 県有財産(土地)の譲渡に関する議案 報第1号 平成18年度高知県電気事業会計決算 報第2号 平成18年度高知県工業用水道事業会計決算 報第3号 平成18年度高知県病院事業会計決算 報第4号 高知県が当事者である訴えの提起の専決処分報告 報第5号 高知県が当事者である訴えの提起の専決処分報告 報第6号 高知県が当事者である訴えの提起の専決処分報告 報第7号 高知県が当事者である訴えの提起の専決処分報告 報第8号 高知県が当事者である訴えの提起の専決処分報告 報第9号 高知県が当事者である民事調停の合意に関する専決処分報告第2 一般質問   (3人)---------------------------------------   午前10時1分開議 ○議長(山本広明君) これより本日の会議を開きます。--------------------------------------- △諸般の報告 ○議長(山本広明君) 御報告いたします。 教育委員長宮地彌典君から、所用のため本日の会議を欠席し、教育委員山崎章惠さんを職務代理者として出席させたい旨の届け出がありました。--------------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(山本広明君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「平成19年度高知県一般会計補正予算」から第21号「県有財産(土地)の譲渡に関する議案」まで及び報第1号「平成18年度高知県電気事業会計決算」から報第9号「高知県が当事者である民事調停の合意に関する専決処分報告」まで、以上30件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 36番谷本敏明君。   (36番谷本敏明君登壇) ◆36番(谷本敏明君) おはようございます。谷本でございます。お許しをいただきましたので、日本共産党と緑心会を代表し、順次質問をしてまいりたいと思います。よろしくお願いをいたします。 初めに、知事に対し何点かお伺いをいたしたいと思います。まず、1991年の知事選挙で、草の根、無党派の知事として、長く続いた自民党県政に終止符を打ってから16年間、改革派知事として情報公開、県民参加、情報化の推進、知名度の高さによる高知県の売り出し、そして減反問題、非核港湾条例問題、低空飛行訓練問題、地方分権、中山間地域の所得補償等、地方の立場に立って中央に対して言うべきは言う知事として、過去の県政とは大きな違いを生み出してきました。そのことの評価から、この間における知事選では橋本県政の継続と前進という立場で臨み、県議会では県民の立場に立った是々非々の立場で議論を重ねてきたところであります。橋本知事に対する最後となる質問に当たり、県政改革の意義と今後の県政の運営に当たっても堅持すべき内容、また課題についての質問であります。 まず最初に、さきの参議院選挙の結果にかかわって幾つか質問をいたしたいと思います。自民・公明政治に対する空前とも言える厳しい国民的批判がわき起こり、歴史的大敗に結びつき、ついに安倍首相が政権を投げ出す事態となりました。この要因は、第1に、暮らしにかかわって、小泉・安倍政権が進めた弱肉強食の構造改革路線--庶民への重税、社会保障の切り捨て、働くルールの破壊、地方切り捨てが重なり合って、貧困と格差が劇的に拡大したことへの厳しい審判が下されたことであります。第2に、平和と民主主義にかかわっては、安倍首相が、「戦後レジームからの脱却」をスローガンにして、過去の侵略戦争に無反省のまま憲法改定を最優先課題として国民に押しつけようとしたことが、多くの国民の強い危惧と批判を招いた結果にほかなりません。 安倍・自公政権が進めてきた構造改革路線、戦後レジームからの脱却という古い政治の枠組みが国民に拒否され、それにかわる新しい政治をどうつくっていくかが問われる新しい時代を迎えていると思います。選挙結果を受け、自民党内でも地方財源のあり方について、法人2税のあり方など、東京一極集中の是正を図る議論に着手せざるを得なくなっており、まさに地方から声を発信することがいよいよ大事になっているときだと考えます。私たちは、暮らしや地方を切り捨てる極端な大企業中心主義の政治を正し、貧困で苦しむ国民をなくし、貧困に落ち込む心配のない社会をつくること、アメリカの無法な戦争への加担や憲法9条の改悪策動に見られる戦争する国づくりを拒否し、貧困や環境問題の解決で真に国際的に役割を果たせる国づくりこそ大事だと考えております。 そこで、今回の参議院選挙の結果を知事選不出馬の一つの判断材料として言及されておりますが、選挙結果の意義、進むべき政治のあり方についてどう受けとめているのか、お伺いをいたします。 また、地方切り捨ての政治に審判が下った今こそ、地方政治の果たすべき役割が重要になったと考えております。16年間県民の暮らしを守るために奮闘してきた立場から、今後のことも含めどう決意をされているのか、御所見をお伺いいたしたいと思います。 次に、県政改革について質問をいたします。私たちは、農業への認識、教職員への成果主義の導入、県立大学改革、市町村合併問題など知事の姿勢を厳しく指摘し、時に激しい論戦も繰り返してまいりました。そうした中にあっても、特定の団体や勢力の影響力を排し、広く県民の声を聞き、だれが言おうとよいものはよいと取り入れる姿勢に変わったことが、自民党県政と違った県政改革の最も重要な柱だと考えております。その最大の転機は、自民党県政時代から続いてきた県政の最大のがんと言われたゆがんだ同和行政をきっぱり終結したことにあります。先ごろ、元副知事、元商工労働部長らの背任罪が問われたモード・アバンセ事件の最高裁への上告が棄却され、実刑が確定をいたしました。今回の最高裁の決定は、上告の条件があるのかどうか、判例違反があったかどうかという点で審理をされたものであり、内容については高裁の判決で決着がついていたものであります。 改めて、県やみ融資事件とは何だったのか。県は同和行政の一環として、平成8年、縫製業モード・アバンセに高度化資金14億円余りを融資しましたが、この融資はモード社側の詐欺により県をだまして借り入れたものでありました。これは有罪が確定をしています。ところが、高度化資金融資実行の翌月、操業直後のモード社は早くも倒産の危機に瀕し、県に対して10億円余りの追加融資を要請。県は、モード社を倒産させるわけにはいかないと県議会に隠し、審査会にもかけず、十分な担保もとらないままに特別の融資制度を新設。別予算を流用し、しかも異例の危険を伴う直貸しでひそかに10億円余りを融資。翌年、再びモード社が倒産の危機に陥ると、県は前回と同じ手法で2億円をやみ融資。それでもモード社は立ち直れず倒産し、県に約30億円の損害を与えたというものであります。 平成12年、県議会は、余りにもひどいやみ融資の実態について100条委員会をつくって徹底糾明し、詐欺、背任などで刑事告発を行いました。今回確定した高裁判決の内容は、同和行政の政策的判断であったこと等を強調し、一部無罪とした1審判決を破棄し、被告らの行為は、モード社が倒産すると14億円余りの金をだまし取られたことが明るみに出、厳しく責任を追及されることから、それを避けるために追加の融資を行ったとして、公金融資と民間融資の違いを考慮しても公務員の裁量権の限界を超えて背任罪になると認定したものであります。 この判決の示す教訓は、第1に、やみ融資は同和行政のゆがみで行政と一部の同和団体幹部との癒着を背景とし、それなくしては起こり得ないものだったことであり、特定勢力と癒着した県政の改革を求めるものでした。しかし、過去の同和行政の是正を求めたのは私たちの県議団以外にはなく、県議会もマスコミも黙認をしてきました。そういう状況であったからこそ、平成13年7月5日の特別決議は、「今回の事件の遠因は過去の県政にさかのぼり、県議会の対応にも問題があった」ことを議会としても確認し、知事に対しては、「今回の事件の原因となり背景となった古い体質を抜本的に改革し、県民に対する責任を果たす」ことを全会一致で求めたわけであります。その結果、同和行政の終結という大転換が実施をされました。 第2に、透明性の徹底であります。もし、一連の融資が政策目的によるものであるなら、何も議会に隠して違法ずくめの手法で行う必要は全くなく、公然と議会に相談して手続も合法的にやればよかったわけであります。それをあえて隠し秘密裏に非合法で行ったことが、公金融資と民間融資の違いを踏まえても、行政の裁量権を踏み越えた違法なものであると判断し、県議会は刑事告発をしました。そのことが司法によって裁かれたわけであります。しかし、前回の高裁判決のときも今回の判決のときも、今後の行政執行を萎縮させる心配がある旨の声がマスコミ等で報じられていたことは、事件の教訓を正しくつかんでいないのではないかと危惧せざるを得ません。要は、県民に隠して物事を進めるようなことがなければ問題がないわけであります。 その後県政は、働きかけ要領など、一部会派の激しい抵抗も受けながら、透明化の努力を続けてまいりました。また、議会との関係でも、執行部と議会が立場の違いを自覚し、活発な議論がされるようになりましたが、一方でこうした手法を是とせず、その後の道理のない100条委員会の設置など議会を政争の具に使う攻撃と闘う中での改革の実行でありました。 そこで知事は、今回の判決から導き出される教訓、そして県政改革の到達点をどう評価しているのか。また、マスコミのインタビューで、もとに戻る危険性もあると改革後退に警戒感を語っているが、なぜそう判断するのか。また、改革を後退させないために何が必要と考えているのか、あわせて御所見をお伺いいたします。 次に、高知県経済活性化に対する取り組みと課題に関してお伺いをいたします。国内経済は全体として緩やかな拡大基調にあると言われる中、高知県経済は依然として回復感に乏しく、近年国の三位一体改革の流れの中での行財政の厳しさが直接的に影を落とす形で地域経済全体が規模縮小の感であり、全国、四国との格差が拡大している現実があります。このような実態の中で、この8月土佐経済同友会から、高知県経済活性化の方向性と活性化策に関する提言が発表され、知事に対しても提出されたところであります。 まず、知事として本内容に関しどのようにとらえておられるのか、お伺いをいたします。 地域経済活性化委員会構成メンバーは、多種多様な領域の第一線で活躍をされておられる方々が検討されたものであります。全国における高知県の位置づけ、立場、状況等、実態に対して今後のあり方とその取り組みに対する提言となっております。特に、提言1として、「日本一の田舎を目指して」とあり、まず中途半端な都会ではなく、高知県が来訪者にとって都会人の非日常性を味わうことができる地域として存在することに価値があると言っており、地域自体のブランド化が必要でその方策として、地球環境問題に十分配慮され環境保全が図られていること、健康で安心・安全な生活が営まれること、伝統文化・精神文化が大切に守られ人間の心がいやされることとあり、キーワードは、「環境に優しい」、「健康によい」、「安心・安全」とすることが効果的となっています。取り組むべき分野は、第1次産業の再編とその周辺加工業の振興、健康サービス産業の振興、観光振興の3分野であるとなっております。 提言2は、「高知県にふさわしい効果的な経済活性化策」として、幅広く各分野の項目、課題別に具体的な提言がされております。全体的な提言の内容として、高知県の立地特性を生かした取り組みとあり方が示されている点を、私は高く評価するところであります。 そこでお伺いをしますが、県土における1次産業のあり方、特に果たすべき役割とその重要性にも踏み込んだ提言として受けとめるものであるが、それらを含めた今回の提言内容を具体化し、高知県全体の活性化を図らなければならないと思うが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、農業振興部長に農業分野における現状及び課題について順次質問をいたします。まず、平成19園芸年度に対し多様な課題山積の中でも、かかわる各関係機関と関係者の懸命の努力の結果が出ました。19園芸年度は、引き続く厳しい農業情勢下における結果として、概数ではありますけれども前年度対比99.4%で総額約621億円の実績となりました。 まず、この結果に関しての所見をお伺いいたします。 本県農業の基幹部門としての施設園芸に関し、加温用重油価格の値上がりに伴い、生産資材を含む生産コスト上昇への対応が大きな課題となっている。そこで、値上がり以前の16園芸年度の生産コストと19園芸年度における実績コストの比較は、概略でどのような結果となっているのか。また、施設園芸農家の経営への影響としてどのようにとらえているのか。さらに、この課題への対応、取り組みに対する方向づけと所見をあわせてお伺いいたします。 次に、引き続き厳しい本県農業と農産物の生産現場に対して多様な課題山積の中にあって、本年1月にこうち農業・農村振興指針が策定となりました。副題として、「まとまりと活力のある農業・農村を目指して」となっております。指針策定の趣旨として、農業は国民生活における絶対的不可欠要素である食糧の安定供給と国土や自然環境の保全、良好な景観の形成及び文化の継承、伝統等の多面的機能を持っているとし、特に高知県における地域経済や社会の基幹を支える産業として重要な位置と役割を担っているとし、今後においてその機能を持続的に発揮していけるように、農業・農村の振興を図っていくことが重要であるとなっております。 前回、平成13年3月に指針を策定し取り組んできた経過の中で、この間、農業・農村を取り巻く実情は一段と厳しさを増し、環境、状況ともに大きな変化となってきました。指摘のとおり、農業生産現場の実情は、厳しさの基調原因として国内外における産地間競争、消費者の意識変化、また流通構造の変化などにより農産物価格が低迷をしており、それらの要素の中で農業の担い手の減少や高齢化の進行により生産基盤の縮小、脆弱化が急激に進行しております。 そこでお伺いをしますが、このように社会構造の変化に伴う農業を取り巻く多様な課題に取り組む中で、本県農業の再生、発展を平成23年までのこの5年間でどのように確保するのか、部長としての基本的認識と決意をお伺いいたします。 また、当面の課題対応として、農業・農村の現状について実態確認が必要であります。本県における直接的に生産活動にかかわる主業農家数は10年間で約40%近く減少し、就業人口における年齢構成比率での高齢化率、これは65歳以上の比率が平成2年度26%であったものが、平成17年度で約2倍の53%となっております。伴う形で、主業販売農家数は、農業センサスでは平成7年1万1,600戸から平成17年では7,300戸に減少し、耕地面積は1970年約5万ヘクタールから2004年度2万8,000ヘクタールに減少、農地利用率も同じく急激に低下をしております。これに従う形で、農業産出額に関しても、平成2年1,371億円から平成17年990億円と、3割余り減少となっております。 そこでお伺いをいたしますが、これら指摘する現場状況についての所見と、個別課題に対する今後の取り組みについてどのようにとらえているのか。また、それらをどう乗り越えるかの方策について、この際お伺いをしておきます。 次に、本年度より実施となっております担い手経営安定新法に関してお伺いをいたします。政策の骨格として、品目横断的経営安定対策米政策改革推進対策、農地・水・環境保全向上対策の一連の政策推進に対する取り組み課題等に関し、昨年より議論をしてきたところであります。担い手経営安定新法については、地域実態、また現場にそぐわないという全国各地からの意見等に対し、その要望、改善を求める声や、一定の条件不利地を対象とした農家に対策加入条件条件不利地域に限って緩和する特例措置を定めることなどが行われ、また農地・水・環境保全向上対策の最大の懸案事項であった地方自治体の財政負担についても交付税措置が講じられるなどの改善がなされております。 そこで、農地・水・環境保全向上対策事業に関し、現状と今後の課題としてどのようにとらえているのか、お伺いをいたします。 また、農水省は来年度新規事業として、「みんなが参加できる集落営農推進事業」を立ち上げ予算要求をしております。現行集落営農への取り組みが進んでいない地域で、集落営農づくりがしたくてもできない地域を後押しするとのことだが、本県では平成19年8月現在、活動組織数で67となっているが、今後の政策整合性はどうなるのか、お伺いをいたします。 次に、政府として、世界的にも最低水準に低下した国内自給率40%を2015年度までに45%に確実に引き上げるという目標を掲げて取り組み、施行実施をしているところであります。先日、農水省発表の前年度食糧自給率速報値では前年対比1ポイントの低下となったと発表され、40%を割り込みました。 そこで、皮肉にも13年間横ばいで来ていた自給率が施行初年度に低下するという現実に直面し、現状政策での取り組みのもとにおける自給率向上目標の達成はこのままではおぼつかないと思われるが、どうか。また、政策の改善方向と課題をどのようにとらえているのかもあわせてお伺いをします。 次に、国内食糧自給率の大切さは今さら議論の余地はないところであり、内閣府の2006年末調査に関して、調査結果の発表によると、40%の自給率に対し不安を感じ日本の食糧自給率は低いと考え、将来の食糧供給に対して不安があると答えた人が77%を占めており、また望ましい自給率では50%以上とする人が約80%に達しております。さらに生産供給のあり方として、外国産より高くても国内でつくる方がよいとする人が87%、また安い外国産の方がよいは7.8%となっております。 このような結果に対して、部長の個人的見解を含めて所見をお伺いいたします。 今、国内農業を中心とした1次産業を取り巻く環境は、今までの歴史の経過の中でもかつてないほどの危機的重大な局面となってきました。1995年、WTO農業協定の受け入れ以後、自由化一辺倒の農産物を主体とする1次産品の輸入増大政策により、農業や農家の経営が厳しく、成り立たなくなってきた現実があります。そのような中で政府として今、日本農業に重大で決定的打撃をもたらす日豪EPA、2国間交渉を進める体制に入っております。本年5月、財界代表が中心となる経済財政諮問会議は、農産物関税の撤廃、削減、農地制度の解体等を求める報告をまとめております。 一方、農水省として、関税を撤廃すれば農業生産は3兆6,000億円減少し、米生産額は90%の減、約375万人の雇用が失われ、食糧自給率は40%から12%に低下するという衝撃的な試算を公表いたしております。今回の日豪EPA交渉の内容として、既に豪州からの輸入品のうちガス、石炭等に関して低関税による輸入となっており、関税の焦点は、我が国にとって極めて重要な1次産品、米、麦、牛肉、乳製品、砂糖などの品目の取り扱いとなるのは必至であります。 そこで、お伺いをいたします。交渉内容とその結果次第で、国内農業破滅への一直線の道のりとなります。これは、実質的に日本が農のない国となるだけでなく、国内で重要な役割としての農による多面的機能の維持・発揮ができなくなり、特に本県における1次産業が地域経済、社会に対して果たしている重要な役割からして、本県、社会、経済には決定的打撃となる予測が農業団体、農業関係者等の一致した見方であり、大変な危機感を持っているところであります。部長の所見とこの件に関しての今後の課題について、明確にお答えをいただきたいと思います。 次に、産業技術部長に木質バイオマスボイラー開発についてお尋ねをいたします。本課題に関し、中山間地域における森林バイオマス資源の有効利用技術開発事業として、平成15年度より取り組んできた経過があります。事業目的として、高知県における豊かな森林資源である森林バイオマスを石油代替エネルギーとして活用する仕組みをつくり、木材の有効利用による農林業の振興と雇用の確保、化石燃料の使用削減によるCO2 の排出を削減し、環境負荷の少ない循環型社会の構築を目指す取り組みであります。 経過として、この5年間、精力的に共同研究機関の取り組みが行われてきました。その取り組みとして、高知型ボイラーとしてのシステム開発の最終段階における課題として、燃焼灰から毒性の六価クロムが基準値を超えて検出をされ、その後の対応でもクリアが難しいとの結論となり、去る8月17日の産業経済委員会において現方式による実用化を断念することとなりました。しかしながら、事業目的としての課題に対する現場の要請度は、取り組み初年度よりさらに高まってきている実態があります。このことは、この5年間における事業取り組みに対する関係者の大きな期待がかかっていることがあります。この間における取り組みの経過と実情、その成果を今後の本事業推進に対し最大限に利活用して、よりよいシステム開発を急ぐべきと思うところであります。今後の事業推進に対して、素朴ではありますけれども、何点か申し上げたいと思います。 まず、高知型ボイラーの燃料としてのチップ材料の点についてでありますが、原材料としての原木からチップ加工までの過程で、まず大きなエネルギー負担の必要性があること。また、それを加工し需要現場への配送についても一定のエネルギーが必要となることから、大きなコストロスが生じること。その解決として、現場の経験で、山から切り出した原木を直接ボイラーに投入する方法が直接的に低コストにつながる原則となります。また、高知型としては完全自動運転方式を目指しての開発との話と聞いておりましたけれども、私は全自動の必要性はないと思っております。半自動型で従来の重油燃料との両用・併用型でよいと思われます。 また、新たに完全新タイプのシステム開発等による必要性はなく、従来型のボイラーの原型に今ある部材等を利活用すれば、実用化はそれほど難しい要素はなく、県内の既存の技術力で十分対応可能であると思います。その取り組みとして、簡易型タイプで操作が簡単、しかもでき得る限り低コストで一定の耐久性のあるボイラーを開発し、その普及を目指す必要性があります。このシステムが実用化し普及をすれば、導入農家の経費節減と同時に高知県の山林資源の利活用に大きな方向づけが生まれ、除間伐による森林環境の整備育成等により新たな雇用が生まれ、働く場所が拡大される可能性があります。システム完成によるプラス効果に大きな期待がかかるところであります。 そこで産業技術部長にお伺いをいたしますが、庁内各関係部局機関との連携により、引き続き早期にバイオマスボイラー開発に取り組み、一日でも早い試作機の作製と実証、普及に取り組む必要性があると思うが、今後の見通し及び取り組み等についての所見をお伺いいたします。 次に、海洋部長にお伺いをいたします。漁業に関して数多くの課題山積の中で、当面の課題、県1漁協構想に関してお伺いをいたします。本課題について、去る8月25日に県内海面42漁協を対象として、県1漁協構想の是非を問う臨時総会が県下各漁協で一斉に開催をされ、結果として19組合が合併を可決し、総会自体を開催しなかった1組合を含め計23組合は否決をいたしました。 まず、このことの結果についての所感をお伺いいたします。 次に、可決した組合の組合員数は全体の過半数となり、また取扱高として養殖を除いても約60%を占めており、その後の19可決組合長会が28日に開催をされ、合併推進の合意が確認、決定されました。今回の結果として、否決組合の中で、合併賛成が組合員の過半数を占めた組合や賛否が拮抗していた組合に対して、10月までに再度、参加を説得することを合併推進本部として確認しております。海洋部として、以前の議論の中で県1の課題に関し、どうしても通らなければならない一里塚であると述べている中で、しかし合併への参加は決して強要できるものではなく、当事者の議論の中でそれぞれの漁協として主体的に判断していただきたいと述べております。 そこで、お伺いをします。県行政として、合併推進本部の10月をめどとして再度、合併参加推進に対する取り組みで、どのような役割を担い、また果たすべき課題にどう対応していくのか。また、このことに対する見通しをどのようにとらえているのか、あわせてお伺いをいたします。 合併可決の理由として、小規模では組合、組織の維持の見通しが立たないという現実的な第一の理由があり、否決の組合員の中には合併のメリットが見えず漁協単位における個々の努力が地元に還元されにくくなる等の懸念があったとも言われております。いずれにしても本課題として、来年4月新組合設立へ向かっての新たな段階に入った局面となりました。今後は、新組合発足後の取り組みが焦点となります。漁業環境の現状の厳しさに対する多様な課題山積の中で、特に近年における漁業資源の減少、魚価の低迷、燃料価格の上昇、就業者の高齢化とも連動する形での後継者の不足等、大変深刻な事態が進行しております。 そこで、お伺いをします。合併参加、不参加のいずれの道のりを歩むにしても、高知県における漁業基盤の確立による漁業振興と活性化は大きな県政課題であると思うが、部長の所見と決意をお伺いしておきます。 次に、高知県林業に関する課題について森林部長にお尋ねをします。全国第1位の森林面積率の本県は、森林に対し当面そして今後についても多くの課題があります。それらの対応に県行政として、昨年3月、木の産業づくりと森の再生プランを策定し、現在取り組みを進めているところであります。策定趣旨として、高知の森づくりと木の産業づくりに関する考え方の基本や取り組みの方向を明らかにして、県民や林業関係者、行政機関などの主体的な参画により理念実現のため、それぞれに期待される役割や取り組みの方向を示しております。 そこで、5年間の取り組みの中で、目指す目標の実現に対しての今日までの現状と経過、その取り組みはどのようになっているのか、お伺いをいたします。 次に、森林環境税に関しお伺いをいたします。森林・林業・木材産業などを取り巻く環境は引き続き厳しい現状であり、森林所有者や林業事業体の努力だけでは課題推進は難しいし、加えて行財政も厳しい現状の中での取り組みであるが、森林の持つ公益的、多面的な機能へ果たす役割の大切さへの期待は次第に高まってきております。森林の荒廃は、水源涵養機能の低下や土壌の流出による、森だけでなく川や海の生態系に対しても悪影響が出、私たちの生活環境悪化に直接的につながります。本県は全国に先駆けて平成15年度に森林環境税を導入し、その後全国的にも本年9月までで23県が導入、今検討しているところも北海道、青森県等18道県となっているなど大きく取り組みが全国的に広がっております。去る9月7日に、次期森林環境税検討プロジェクトチームの報告書が発表となり、それによると2008年度から5年間森林環境税の継続方針の方向性となっております。 そこで、まずこの5年間の同税導入に対する実績と評価をどのようにとらえておるのか。さらに、今後5年間の導入に対する課題としてどのようなことがあるのか、現行取り組みに対しよりよき方向での改正も必要であると思われるが、その点もあわせてお伺いをいたします。 また、県民の自主的な森づくり等の活動も始まっており、心の安らぎや生活の安心・安全、心のいやしとしての効果ある環境等、森林の特性やその価値観に対する意識が育ってきております。税継続後の課題推進に関し、森林・林業・木材産業等にかかわる人々の主体的な取り組みと同時に、多くの県民の理解と協力も得ながら、ともに課題推進に取り組む必要があると思うが、この点に関する所見もあわせてこの際お伺いをしておきます。 次に、当面の大きな課題として山林施業、管理道の整備に関してであります。現状として、平成18年度までの県内林内路網密度はヘクタール当たり24.2メートルであります。森林・林業基本計画における望ましい路網密度の目安で示されておりますヘクタール当たり50メートルの50%以下の水準となっており、今後林業のコスト下げ、生産効率性、収益性を高める基本的要素としての林内路網整備は当面の大きな課題でありますが、どのように進めるのか、お伺いをいたします。 また、事業推進中の森の工場を中心として課題推進を行っているところでありますが、この取り組みに対しての今日までの評価と今後の課題をどのようにとらえているのかも、あわせてお伺いをしておきます。 次に、林業従事者後継者の確保と林業・木材産業の活性化への道のりの出発点として、再生産につながる木材価格の確保が重要な要素となります。現状の木材価格安の第一の原因として、大量の輸入木材による国産材への需要圧迫があります。国内年間総需要量、これはパルプを含みますけれども、8,700万立米のうち国産材比率は約20%であり、近年の統計もある中、国内木材年間成長量が年間需要量を上回っている現実があるとも言われており、このことは現状国内需要は純国産材で対応可能な時代が来ている実態であるとも言われています。 国内林業活性化への取り組みの重要な柱として、国産材の需要拡大への今後のあり方に対する所感と、またどのような課題があるのか、お伺いをします。 この項最後に、今、バイオマスエネルギーへの関心が高まってきており、近年、木材を石油等の代替エネルギーに活用する機運が生まれてきております。現時点におけるそのような流れに対する取り組みが今後は必要であると思うが、この際所見をお伺いしておきます。 次に、教育長に学校現場における食育に関してお伺いをいたします。平成17年6月に成立し、同年7月より施行となった食育基本法の目的として、基本法の前文は、「21世紀における我が国の発展のためには、子供たちが健全な心と体を培い、未来や国際社会に向かって羽ばたくことができるようにするとともに、すべての国民が心身の健康を確保し、生涯にわたって生き生きと暮らすことができるようにすることが大切である。子供たちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身につけていくためには、何よりも食が重要である。今、改めて、食育を、生きる上での基本であり、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置づけ、あらゆる世代の国民に必要なものであるが、特に子供たちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものである」とあります。つまり、私たちの心も体も、食という基盤の上に成り立っているとはっきり言い切っており、当然のことであります。 そこでまず、この基本法の理念と内容に対しましてどのようにとらえているのか、お伺いをいたします。 食育基本法施行を受けて、政府はその後昨年3月に食育推進基本計画をつくり、国民運動として食育に取り組んでいるところであります。この運動が成果を上げるには、状況を検証し、課題と成果を分析し、次の取り組みに生かすことが重要となります。 政府の食育推進基本計画は、学校給食における地場産品の使用割合を2004年度の21%から2010年度までに30%に引き上げるとしているが、実践としてどのように取り組んでいるのか、また課題としてどのようにとらえているのかもお伺いをいたします。 次に、児童生徒の食事についての調査結果として、朝食抜きや簡単なパン食等で済ます朝食の家庭がふえてきており、従来よりの米飯の食事の率合いが下がってきている傾向が、昨今発表されております。政府の食育白書は、しっかりと朝食を食べない子供は、疲れる、いらいらするなどを感じる割合が高く、テストの得点も低くなる傾向があると指摘をしており、私たちの経験では米飯を中心とし、しっかりとした食事を正しくとることの大切さは議論の余地の全くないところであります。子供の世代は大人への体づくりと将来への成長、充実した体づくりの基礎土台としての大事な時期であり、そのため子供のときに御飯の味になじみ、しっかり覚えていくことが大切であります。 今、飽食とか崩食とかの食の乱れが言われていて、脂肪過多などで子供のアトピーや生活習慣病などで大変深刻な状況があります。その原因の根幹として食のアメリカ化、米離れがあると言われており、現に今、アメリカを中心として本来の日本食が健康面から評価をされ、広まっている現実があると言われております。本県の学校給食として、本格的な米飯給食の取り組みが南国市から始まり、実施して10年の実績となりました。電気炊飯器を使用してのあつあつの米飯給食は、今、週に5回と全国トップの部類の取り組みであります。地産地消としての地元の食材の活用を図りながら、大きな広がりとなりました。 そこで、お伺いをします。高知県における子供の食育の充実に関して、南国市での取り組みに対する評価をどのようにとらえているのか。また、県下の学校給食の方向として、南国市方式について一斉に導入できないでしょうか。導入できないとしても、順次取り組みを進めていくべきと思うが、どうでしょうか。また、現行のパン食として新たに米粉パンへの取り組みの可能性についても所見と、課題としてどのようなことがあるのかも、あわせてお伺いをいたしておきます。 次に、公共土木事業の現状と課題について土木部長にお伺いをします。近年、高知県における公共工事発注量は、過去のピーク時の当初予算、平成10年度3,757億円との比較として平成19年度は1,108億円、29.4%の水準まで落ち込んできました。この現状は、今後においても急激な発注量の回復は見込めず、さらに厳しい状況が続く予測であります。 そこでお伺いをしますが、中山間地域の経済特性として公共土木事業への経済依存が大きい実態があります。関連事業従事者の他産業転職への取り組みについて、県、市町村行政とも検討されていると聞いております。同時に私は、行政の努力と工夫により発注事業量の確保に県行政としてまず全力を挙げること、そのことが社会資本の整備が進むことに直接的につながることとなり、少しでも一つでもの思いで取り組むことが重要であると思うが、所見をお伺いいたします。 次に、本県における建設工事にかかわる施工業者として県内登録業者を、また市町村の入札参加資格者に仕事の機会を少しでも多くする必要があると思うが、その点の所見とその現状及び取り組みについてお伺いをいたします。 また、このような中で、県下各市町村の土木建設業者の経営実態は御承知のとおり一段と厳しい状況となってきました。そこでお伺いをしますが、本年を含むこの5年間における県下の業者実数の推移や経営実態の概要はどのようになっているのか、業者の各ランクづけ別の内容をお伺いいたします。 次に、県下における公共事業発注の事業量に対して、業者数の適正数をどのようにとらえているのかもお伺いをいたします。 また、本課題に関し事業者の組合等協業化等の指導も県行政として取り組んでいると聞いておりますが、その現状とほかに取り組み等があれば、あわせてお伺いをいたしておきます。 次に、事業発注における請負業者選定に関しお伺いをいたします。県発注工事については、工事事業規模に準ずる形で応札業者のランクづけ等、一定の入札資格要件の中で発注契約が行われております。県内公共工事の減少で、施工業者としての懸命の努力と頑張りで工事量確保に取り組んでいる姿がここにはあります。 高知県として、本格的に本年度より取り組んでいる総合評価方式による一般競争入札で落札者決定をしているところでありますが、この方式による取り組み実績としての経過、またどのように評価しているのか、さらに課題としてどのようなことがあるのかをお伺いいたしておきます。 次に、総合評価方式の実施に当たり、工事特性に応じて簡易型、標準型、高度技術提案型とし、総合評価方式を選定しているが、落札施工業者決定に関する公平性、透明性に関し、その確保は必要であると思うが、実態はどのようになっているのか、お伺いをいたします。 また、取り組みに対する現状の中で、技術提案に関する機密の保持として実施要領第9条に、その取り扱いに留意するものとなっており、一方第11条では、落札者を決定したときは入札者ごとの入札価格及び評価値等を公表するとなっているが、提案の内容とその評価内容が公表されなければ不透明さが残るのではないかと思われるが、その点はどうか、お伺いをいたします。 この項最後に、工事現場に工事施工管理に伴う現場での資格技術者として現場代理人、主任技術者、監理技術者等が必要であり、これらの人材配置に関し常駐、専任が原則となっており、身分についてもパート、レンタル技術者を認めないとなっております。登録業者の経営実態として常用雇用体制の確保・維持が大変厳しい現実が出ているが、何らかの柔軟な対応が必要でないか。臨時雇用、派遣等での対応を検討する必要があると思うが、このことに関してお伺いをし、以上で質問を終わらせていただきます。(拍手)   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 谷本議員の御質問にお答えをします。 まず、今回の参議院選挙の意義と進むべき政治のあり方、さらには私の今後の進路についてお尋ねがありました。提案説明でも申し上げましたように、国は自由競争や効率性を重視した政策を進める一方で、地方が独自の知恵と力で自由に競い合っていくための基盤となる地方分権改革をなおざりにしたまま、地方の暮らしを支えるのに欠かせない地方交付税などを一方的に削減してきました。このため、社会のさまざまな分野に格差が生じていますので、そのことに対する国民の怒りや不満が参議院選挙の結果にあらわれたと受けとめています。ですから、この結果を受けて、行き過ぎた競争至上主義を見直すとともに、本当の意味での地方分権を進めることが今求められていると思います。 ところが、現在の与野党の動きを見ますと、もっと地方への配慮が必要だとの声はありますものの、その中身は国から地方への補助金の増額など地方の主体性を無視した従来型の対応にとどまっています。それでは何も変わりません。また、このように国が地方を支配する関係に構造的な変化が生まれないまま道州制の名のもとに単なる都道府県合併が進められれば、高知県は地理的にも経済的にも辺境の地としての位置づけから抜け出せなくなるおそれがあります。知事として長年私を育ててくださった高知県をそのような状況に陥らさないためにも、今後は知事としての経験を生かしながら新しい立場で力を尽くしていきたいと考えています。 次に、県政改革についてお尋ねがありました。モード・アバンセにかかわる問題への反省から、外部との話し合いをオープンにする取り組みを推進することや意思形成の過程を県民に明らかにすること、さらには情報公開を徹底することなど行政の透明化を目指した県政改革の6項目を取りまとめました上、それをもとに県政改革に取り組んできました。こうした取り組みの結果、県政の透明性が高まりましたし、職員の意識も仕事の仕方も大きく変わってきていますので、二度とこうした誤りが起こる土壌は今の高知県にはないと自信を持って県民の皆様に申し上げることができます。 ただその一方で、県政改革への思いが時間の経過とともに薄らいで風化しがちになることへの懸念もあります。言うまでもなく、県政改革は一定の方針やルールをつくればそれで事足りるというものではありません。また、行政の透明化は今後とも決して後戻りすることのないよう継続していかなくてはなりません。そのためには、何よりも職員一人一人が改革に向けての思いを持ち続けることが大切ですし、そのことが県政改革を後退させない道だと確信をしています。 次に、土佐経済同友会からの提言をどのようにとらえているのか、またそれをどう具体化していくのかとのお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをします。この提言の内容は本県の地域特性を踏まえた、示唆に富んだものですし、これから本県が目指していく方向とも一致した提案だと受けとめています。中でも本県の1次産業は、温暖な気候など恵まれた自然の条件に加えて、高度な技術の蓄積と進取の気性に富む人材に支えられながら基幹産業として発展してきました。それだけに、今後も将来にわたって持続できる産業として振興を図っていかなくてはなりません。 改めて提言を見ますと、そこに盛り込まれました環境と健康、それに安全・安心の3つのキーワードは、まさにこれからの1次産業が進んでいくべき方向です。こうしたことから、この提言も踏まえまして、1次産業の再生とそれによる雇用の創出に積極的に取り組んでいきたいと考えています。 私からは以上です。   (農業振興部長川上泰君登壇) ◎農業振興部長(川上泰君) 農業の現状と課題についての一連の御質問にお答えをいたします。 まず、平成19園芸年度の系統販売の結果に関してのお尋ねでございます。議員言われますように、平成19園芸年度の高知県園芸連の販売実績につきましてはほぼ前年並みの販売額となる見込みでございます。しかしながら、農産物価格が低迷する中で、原油高騰による重油や生産資材の価格の上昇、野菜等の消費の減少傾向によるマーケットの縮小など園芸農業を取り巻く環境は一層厳しさを増しております。こうした厳しい状況の中で、19園芸年度を振り返り20園芸年度を展望したとき、主力品目のナスでは、生産者がまとまることの戦略的意義の理解が広がりつつあり、出荷量の増加につながってきてはいるものの、まだまだ産地としての力を築き上げるまでには至っていないことや、本県が全国70%のシェアを持つミョウガにつきましても、生産出荷量の増加に伴い販売価格が大幅に下落してきており、需要期を見据えた作型の調整や需要拡大につながる新たな販路の開拓が必要となっていることなど、今後産地として取り組むべき課題は新たな課題も含めて多岐にわたってきております。 こうした生産から流通に至る課題の解決を図るため、県としましては引き続き園芸戦略推進会議を軸といたしまして、産地のまとまりの形成を基本に生産者や農業団体と力を合わせて消費・流通構造の変化に対応できる産地づくりを目指して、総力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、生産コストの上昇と園芸農家への影響、その対応策についての御質問でございます。主要な生産資材の価格を平成16園芸年度と19園芸年度で比較すると、園芸用施設鋼材74%、重油72%、ビニール14%など肥料、農薬を含めまして多くの生産資材が値上がりをしています。このような急激な値上がりに伴う生産コスト上昇の影響について両園芸年度間で比較をしますと、暖房用重油を多く使用する品目を中心に概算で10アール当たり、メロンで83万円、ミョウガで64万円、シシトウで57万円のコスト増となるなど、施設園芸農家の経営はさらに厳しい状況にあると考えています。 こうした施設園芸農家における生産コスト上昇への対応策としましては、コスト低減対策として、省エネ暖房機の導入や二重から三重といったハウス被覆の多層化などの普及、民間による木質バイオマスを利用した暖房機の開発、実証への支援、シシトウの耐低温性品種の開発、レンタルハウス事業の活用による低コストハウスの普及とともに、コストを吸収します収量・品質の向上対策として、ミョウガの養液栽培やシシトウの新しい品種「土佐じしスリム」の普及など、生産者や農業団体、試験研究機関など関係機関と連携をいたしまして、国の施策も有効に活用しながら総合的な取り組みを進めてまいります。 次に、本県農業の再生、発展の確保に関する基本認識と決意についてのお尋ねがございます。議員御指摘のとおり、本県農業の厳しい状況に対して県は、生産者や農協等農業団体とともに本県農業の課題を解決し、本県農業の発展に向けて力を合わせて取り組んでいかなければなりません。流通関係者や消費者に信頼され選ばれる産地になるためには、まず産地のまとまりを形成することが大切です。それは、生産者のまとまりであり、生産者と農協等農業団体とのまとまりでございます。 生産者や農協等農業団体とともに、今後5年あるいは10年先を見据えて本県農業が進むべき基本方向を目指して、その取り組みを進めていくことが大切でございます。近年の消費者の安全・安心志向の高まりにしっかりと対応するために、環境保全型農業を総合的、計画的に進めていくことによって、全国のトップランナーを目指すことが本県農業の進むべき基本方向であると確信をしております。トップランナーとしての評価を得ることで本県農産物のブランド性を高め、農業所得の向上と本県農業全体の利益につながり、ひいては本県農業が魅力ある農業として次世代に引き継がれていくと考えております。 中山間地域では過疎化、高齢化が進行し、農業の担い手の減少と集落機能が減退をしてきております。集落を維持・発展させていくためには、集落で生活ができる仕組みの実現に向けて全力で取り組んでいかなければならないと考えております。こうした政策や目標を生産者や農協等農業団体、市町村と共有いたしまして一体となった取り組みがなければ実現に至りませんので、関係者が力を合わせて強い意志で取り組んでまいります。 次に、現場状況についての所見と個別課題に対する取り組みについてお尋ねがございました。議員御指摘のとおり、農家戸数や農業産出額など本県農業の指標は低落傾向にあります。このことが本県の農業現場では、生産者の農協離れが進行してきており、生産者の分散化による生産流通戦略が弱体化をしています。また、園芸用ハウスの減少と老朽化が進んでおり、生産力が低下をしてきています。さらに、重油価格の高騰などによる農業コストの上昇等により農業利益が減少し、経営不振農家が増加している状況など、多くの課題となってあらわれてきております。 こうした課題に対しまして、生産流通戦略の弱体化に対する取り組みとしましては、園芸戦略推進会議を軸に、農業団体の主体性を誘導しながら生産流通戦略を共有する産地のまとまりをつくり、生産から流通までを見通した魅力ある研究会活動等によって栽培技術等の高位平準化を進め、産地としての力を形成してまいります。生産力の低下に対しましては、レンタルハウス整備事業や国の交付金制度等の活用によるハウス面積の確保に努めてまいります。経営不振農家に対しましては、経営改善に向けて農業団体と一体となった生産性の向上や経費削減対策等を行っています。本県農業をめぐるかつてない厳しい状況に対応していくためには、生産者、農業団体、行政等の関係者が知恵と力を合わせて課題の解決に取り組んでいくことが重要ですので、県としましても全力で取り組んでまいります。 次に、農地・水・環境保全向上対策に関する現状と今後の課題についてのお尋ねがございました。本対策は、過疎化や混住化の進行などにより集落機能が低下し、適切な保全管理が困難になってきました農業用水路や排水路あるいは農道などを、農業者だけでなく地域住民とともに集落ぐるみで保全管理する共同活動を支援するもので、さらに減農薬・減化学肥料栽培に取り組む営農活動を一定のまとまりを持って実施すれば上乗せの支援があるものでございます。県では、こうした集落ぐるみでの取り組みが将来的には集落営農の育成にもつながっていくことが期待されることもあり、これまで市町村や関係団体と連携をいたしまして施策の普及・啓発に取り組んでまいりました。その結果、共同活動については南国市や四万十市など25市町村で141の活動組織が立ち上がり、4,000ヘクタール余りの農用地を対象に実施することになりました。また、営農活動につきましては5集落で57ヘクタール余りとなっております。 今後の課題といたしましては、共同活動については、事業終了後も集落ぐるみでの共同活動を維持継続していける組織を育成することが重要であると認識しております。また、営農活動の対象となる減農薬・減化学肥料栽培については、本県が環境保全型農業のトップランナーを目指す中で、より多くの集落が、事業要件であります集落全体に占める3割以上の農業者が2割以上の面積で取り組むこと、あるいは集落で同じ品目を栽培している農業者のおおむね5割以上が取り組むことの要件を満たすことができるよう、集落でのまとまりを確保していくことが重要でございます。 このため、県としましては今後とも市町村や関係団体との連携を密にいたしまして、活動組織の代表者との意見交換や活動状況のフォローアップなどに取り組み、共同活動を維持継続できる組織づくりを支援していくとともに、集落の営農実態に応じた技術的な指導などにも取り組み、環境に配慮した営農活動を推進していきたいと考えております。 次に、国の新規事業に関連してのお尋ねでございます。国の「みんなが参加できる集落営農推進事業」は、集落営農への取り組みが進んでいない地域を中心に小規模農家を対象として、集落営農へ参加することのメリットの周知とともに集落営農への参加に対する不安感などを払拭するための意識醸成や合意形成などの取り組みを支援するものでございます。このことは、集落単位で力を合わせ営農に取り組むという政策目標において県が進めている方向と同じでありまして、本県の集落営農を進める上での課題となっております集落営農に参加することへの不安や集落にリーダーがいないことで地域の話し合いが十分行われないといったことなどへの対応策として有効に活用できると考えております。 次に、食糧自給率向上の目標達成、政策の改善方向と課題についてお尋ねがございました。我が国の食糧自給率は平成10年度以降40%で横ばいの状況が続いておりましたが、平成18年度の自給率が39%であることが先月公表をされました。食生活が変化をし、農畜産物などの輸入が増大する一方で、米や野菜などの国産農産物の需要が減少したことが自給率低下の主な要因だと思います。国は、食糧消費面では食育の推進と国産農産物の消費拡大や地産地消の推進、また農業生産面では輸入にシェアを奪われている加工・業務用需要にこたえる野菜の産地づくりなどの行動計画を定めまして、食糧自給率向上のための取り組みを進めております。 例えば、野菜の消費量について見ますと、国民栄養調査では国民の1日1人当たりの野菜類の摂取量は、平成14年の270グラムが平成16年には254グラムと16グラムも減少しています。これを国民全体の消費量に置きかえますと年間約70万トンの減少となり、高知県園芸連が全国に販売を展開している年間出荷量約10万トンの7倍に相当します。わずか2年の間でそれだけの野菜のマーケットが縮小していることになります。国産農産物の需要の拡大を図ることが食糧自給率の向上につながるため、米を中心とした日本型食生活の実践など国産農産物の消費拡大策を国民運動として展開していくことが重要であると考えております。 次に、食糧の供給に関する特別世論調査の結果についてお尋ねがございます。食糧自給率の向上は、今後世界的な人口増加や発展途上国の経済発展に伴う穀物需要の増大が見込まれることや、世界的な気候変動によって世界規模の食糧不足が生じたとき国民に必要な食糧をどう確保するのかという食糧安全保障という観点からも、日本の農業振興上も重要であると考えます。また、最近では中国などの食品問題もあり、消費者の安全・安心への高まりから輸入農産物に対する不安はより強くなってきております。 食糧自給率を向上させるためには、先ほど申し上げましたように国産農産物の消費拡大を図ることが重要でございます。また、この特別世論調査で明らかになりましたように、消費者の高くても国内でつくる方がよいという意識を食糧自給率に関する関心の高まりにつなげていくことで、積極的に国産農産物を選んでいただくことが大切であると考えておりますので、本県におきましても安全・安心で高品質な農産物の生産供給体制を確保いたしまして、消費者に選ばれる産地となることが大切だと考えております。 次に、日豪EPA交渉などに関するお尋ねでございます。議員御指摘のとおり、国境措置としての関税を撤廃した場合、国内農業だけでなく関連産業や地域経済が崩壊してしまうおそれがあり、本県でも重大な影響が予測されますので、日豪EPA交渉において米、牛肉、乳製品などの重要品目の関税が撤廃されることのないよう、本年6月知事が政府に要望を行いました。日豪EPA交渉に当たっては、我が国の重要品目について関税撤廃の例外措置が認められない場合は交渉の中断も含めて厳しい判断をもって臨む姿勢を堅持いたしまして、他の交渉においても国内農業への重大な影響を十分踏まえ、守るべきものは守るという強い姿勢で取り組んでいただくことが大切だと考えています。県としましては、今後の交渉の行方をしっかりと注視いたしまして、必要に応じて政府に要望していきたいと考えております。 以上でございます。   (産業技術部長西本昌弘君登壇) ◎産業技術部長(西本昌弘君) 木質バイオマスボイラーの開発について、今後の見通しや取り組み等についてお尋ねがありました。 お話にもありましたように、平成17年度に開発した高知型ボイラーにつきましては、燃焼灰に六価クロムが混入するという問題が解決できず、実用化を断念せざるを得ませんでした。しかしながら、木質バイオマスエネルギーの活用は、高騰する重油の代替エネルギーとして、また林地残材の有効活用による林業振興や地球温暖化防止の観点からも、今後とも取り組むべき重要な課題と考えております。御提案のありました燃料として原木と重油を併用できるボイラーにつきましては、過去に課題となっていました煙やばいじんなどの対策について、現在工業技術センターがこのボイラーを開発している企業に対して技術的な支援を行いましてほぼ解決のめどがついております。 また、ほかにも県内で、民間企業によるペレットを燃料とする新たなボイラーの開発や全農高知県本部によるペレットボイラーの実証試験が予定されています。今後は、このような動きに対しまして、これまでの研究で得られた温度管理などのノウハウを生かし、関係部局と連携しながらできるだけ早い実用化に向けて支援をしてまいります。 以上でございます。   (海洋部長坂東隆志君登壇) ◎海洋部長(坂東隆志君) 漁業課題に関する御質問にお答えします。 まず、県1漁協構想に関する合併臨時総会の結果についてお尋ねがありました。県1漁協への参画を決定しました漁協は19組合にとどまりましたが、組合員数や販売取扱額においては県全体の半数を上回っており、本県の漁業をリードできる漁協としての経営基盤は確保されたと考えています。また、今回の投票結果を県全体で見ますと、投票された組合員全体の約52%の方々が合併に賛成をされております。漁業を取り巻く厳しい経営環境の中での県1漁協構想の意義や必要性などについて、着実に理解が深まってきていると考えています。 次に、10月を目途とした再度の合併推進への取り組みに対する県の役割と課題及び見通しについてお尋ねがありました。合併臨時総会で組合員の過半数の賛成を得ながら否決となった漁協を中心に、10月末を目途にもう一度組合員総会を開催していただくよう、系統団体と連携をとりながら漁協の理事会などで要請を行ってきました。その結果、5つの漁協で10月20日に再度臨時総会を開催する見通しとなりました。これを受けて、現在各漁協に応じた財務の状況や将来の見通しなどについて、より詳しいデータをお示ししながら、県1漁協への参画の必要性やこの9月県議会で御提案を申し上げております県の支援策の内容などを中心に、各組合員に説明を行っています。 その際、合併後の漁業権や出資金の取り扱いに不安を持たれている組合員も少なくありませんので、この点について県1漁協への参画後もこれまでの取り扱いが尊重されることを説明し、また発足初年度から、新しくできる組合の経営は黒字基調で推移する見通しであることなども説明をしております。その上で率直な意見交換を行い、理解を深めていただいております。こうしたことを通じまして、一つでも多くの漁協で合併が可決されますよう取り組んでまいります。 最後に、漁業振興と活性化に関しての所見と決意についてお尋ねがありました。お話にありましたように、本県の漁業は長引く魚価の低迷や燃油の高騰などが漁家経営を圧迫し、漁業就業者の減少や高齢化を招くとともに、漁協の経営においても赤字体質が改善できない非常に厳しい状況にあります。このような事態を打開するため、平成18年2月に今後の本県水産業の方向性を示す、新・水産業振興指針を策定いたしました。その中で、県1漁協構想の実現と新たな流通・販売への挑戦を最優先に取り組むこととしています。この県1漁協合併の取り組みは、単なる漁協の財務改善にとどまらず、最終的に漁業者の所得の向上を図り漁村を活性化していくためのものであり、避けては通れない課題だと考えています。 このため、昨日黒岩議員の御質問にもお答えしましたように、県1漁協がしっかりとした経営基盤を確立できますよう必要な支援を行いますとともに、今後取り組む新たな流通販売事業につきましてもできるだけの支援を行ってまいります。 以上でございます。   (森林部長千葉健君登壇) ◎森林部長(千葉健君) 林業に関する課題についての一連の御質問にお答えいたします。 まず、木の産業づくりと森の再生プランに対する現状と経過、取り組み状況についてのお尋ねがありました。このプランは、平成18年度から5年間の高知の森づくりと木の産業づくりに関する県としての基本的な考え方や取り組みの方向を示したもので、多面的な機能を発揮できる多様で健全な森づくりを進めることなど3つの基本的な方向と、生産性が高く、若い人が働ける森をつくるなど8つの重点的に取り組む目標を定めています。また、あわせて林業関係者を初め、県民の皆様や行政機関などの主体的な参画のもとでプランを実現していくために、それぞれに期待される役割も示しております。これまで、県民の皆様方を初め関係する方々とプランの理念や目標を共有し取り組めますよう、林業事務所ごとに地域での意見交換会を行いますなどその周知に力を入れてきました。 そうした中で、初年度の取り組みとしましては、間伐の推進では、間伐推進対策本部のもと各林業事務所ごとにチームを置いてきめ細かな取り組みを続けてきました結果、ほぼ目標どおりの面積の間伐を行うことができました。また、県産材の利用の面では、公共施設や公共工事で積極的に利用するよう全庁的に取り組みを進めました。さらには、森林への理解を深める取り組みでは、森林環境税の活用などにより森林ボランティア団体の育成が進むなど、その成果があらわれつつあります。このように、初年度の取り組みではおおむね目標どおりに進んではいますが、一方でやりやすい場所から間伐を進めてきましたので、今後は間伐を進めるための施業地の確保がだんだんと難しくなっていくことや、高齢者が今後大量にリタイアをされますので新規就業者の確保に努めてもなお林業の担い手の不足が懸念されるなどといった課題も明らかになってきています。 今後は、こうした課題に対応することで、このプランに沿った取り組みを着実に進めていきたいと考えております。 次に、森林環境税について、これまでの実績と評価、さらには今後の課題と継続後の取り組みなどについて御質問がありました。関連しますので、あわせてお答えをします。森林環境税は、環境問題の重視と地方分権の推進を背景に、県民参加による森林保全の機運を高めますとともに、公益上重要で緊急に整備する必要のある森林の環境面での機能を保全することを目的に、5年間の期限をつけて設けたものです。本年度でその最終年を迎えますが、その間にダム上流域における水源涵養などのため、約2,500ヘクタールの森林を整備することができました。また、県民参加という点では、延べ125の学校で1万人近くの児童生徒が森林環境学習に取り組みましたし、森林環境税を活用する森林ボランティア団体も当初4団体100人程度から27団体約900人と大きく増加しますなど、森林への理解と積極的な参加も進みました。さらに、こうち山の日の取り組みが四国山の日に発展したことや、同様の独自課税の取り組みが全国に広がっていることも成果の一つと考えております。 こうした取り組みに対しましては、県民アンケートなどからもおおむね肯定的な評価をいただくことができましたし、税の延長についても大方の賛同が得られています。ただ、その一方で、税がどこに使われているのか見えにくいといった御意見や、ダムの上流部などに限っている対象の森林を、産業利用している森林にも拡大してはどうかとか、森、川、海のつながりを視点に入れてはどうか、さらには鳥獣被害への対応も含めてはどうかなどさまざまな御提案もいただいています。 こうした御意見や御提案とあわせて、京都議定書を着実に実行し環境問題に貢献をする県を目指すという観点から、庁内のプロジェクトチームで今後の税の使い道や負担のあり方について検討を行いました。ここでは、ハード事業として、森林環境税を国の森林整備の補助制度にあわせて活用することで、二酸化炭素の吸収量が多いにもかかわらず経済的な面から整備が進みにくい7齢級、35年生以下の森林をこれまでの10倍に当たる2万5,000ヘクタール整備すること、ソフト事業では、森、川、海の連携・交流による県民活動の支援や、持続可能な山の暮らしを支える森づくりなどの視点から事業の充実を図ることなどが提案されています。現在、この案に対する県民の皆様方の御意見を伺うパブリックコメントを行っていますので、これに寄せられる御意見とあわせて民間の有識者の方々などから成る森林環境保全基金運営委員会で検討を進めていただき、その結果をまとめました上で議会にお諮りをすることにしています。 税の継続をお認めいただきました場合は、新たな使い道に沿って着実に事業を進めていきますが、その際には公募型で行う事業を含め広く実施内容をお知らせするなどしまして、森林・林業・木材産業関係者はもとより、都市に住む方々を含む多くの県民の皆様の御理解と御協力をいただきながら取り組みを進めていきたいと考えております。 次に、路網の整備と森の工場についてお尋ねがありました。作業道などの路網整備は、森林の適正な管理や高性能林業機械の活用による生産性の向上、林業労働者の就労環境の改善など、効率的で安定的な林業経営を進める上で重要な基盤です。森林の所有規模が零細な本県では、いわゆる自伐林家の方々が作業道を整備して小規模の間伐などを行うケースから、森林組合などが林地を集団化し重点的な整備を進めるために大きな規模で作業道を整備するケースまでさまざまなものがあります。また、地形や作業形態によっても必要な作業道の密度は異なりますので、それぞれの特性に合わせた路網整備が進むよう今後とも積極的な支援を行っていきます。 ただ、今後の林業振興に向けましては、需要に応じて安定的に大量の木材を生産していく必要がありますので、そうした中でもおおむね150ヘクタール以上の規模となる森の工場のようにまとまった生産のできる効率性の高い林業の普及を重点的に進めることが必要だと考えています。このため、森の工場の取り組みに対しましては作業道の整備も含め支援策の優先配分を行いますなど力を入れて取り組んでいきます。 その森の工場では、これまでに31カ所、約1万4,600ヘクタールを設定していますが、これら森の工場の目標路網密度は平均でヘクタール当たり52メートルとなっており、それぞれ着手してから5年以内に達成できるよう進めています。また、ここでは今年度に約3万7,000立方メートルの素材生産と約160人の就業が見込まれています。このように、所期の目的である計画的な生産や安定雇用といった面でも確かな成果が出始めています。森の工場づくりを進めます上では何よりも森林所有者の合意形成が課題になりますので、森林組合などの事業体に現地の診断や施業の費用見積もりなどを示して、所有者の理解を得るためのよりきめ細かなアプローチを進めるよう指導しています。また、木材の価格が依然として低い基調にある中でも採算ラインを確保するために、事業体の労働生産性の向上を図ることや全体のマネジメント能力の底上げ、さらには県有林を活用して利用可能な森林エリアを広げる取り組みもあわせて進めますなど、森の工場の設置をさらに推進していきたいと考えています。 次に、国産材の需要を拡大するための今後のあり方と課題についてお尋ねがありました。御質問にもありましたように、戦後営々と育ててきました我が国の森林は、今や年間の成長量が需要量に見合うほどに充実してきています。エネルギー、食糧など生活に必要なものの多くを海外に依存しています我が国にとって、木材は数少ない自給可能な資源です。しかしながら、品質や価格面などで外材に押され、国産材の占めるシェアはお話のようにわずか20%にとどまっています。このため、国産材の需要を拡大するためには、まず外材に対抗できる価格と品質で安定した供給を確保できるような生産・加工・流通の仕組みを構築することが必要です。 このため山では、森の工場のように団地化、集団化に取り組むことで効率化を図り、生産コストの低減と安定供給に取り組みます。加工の分野では、乾燥や表面仕上げなどによる品質の向上と製材の規模拡大などによる加工コストの低減を進め、また流通の分野では、大口需要先である大規模な製材工場や合板工場などと提携して直送システムによるコストの削減に取り組むことで、外材に対抗できる生産体制づくりを進めていくことにしています。また、その一方で、消費者の求める良質で安心な木材による家づくりにこたえるために、森林認証材の活用を含めて地域の木材を使ういわゆる顔の見える木材での家づくりといった取り組みや、県内の製材企業と一緒になって県外で商談会を実施するといったことなども引き続き進めていく必要があります。 このように、豊富にある森林資源を活用して国産材の需要を拡大していくことは、地域の木材産業の振興を通じて雇用の拡大や経済の活性化にもつながりますので、積極的に取り組んでまいります。 最後に、木質バイオマスの取り組みについてお尋ねがありました。木質バイオマスは、高騰する石油などにかわる燃料として期待されるとともに、地球温暖化防止にも貢献するものであることなど環境に優しい資源であることから、その活用に向けた取り組みが世界的に進められています。県でも、昨年の3月に高知県木質バイオマス活用プランを策定し、地域で発生する木質バイオマスの有効利用の取り組みを市町村を初め地域の関係者の方々と連携しながら進めています。具体的な取り組みとしましては、仁淀川町において木質バイオマスを利用したガス化発電や木材を利用したペレットの製造と、その運用コストの検証などの実証実験を進めています。また、須崎市ではこのほど木質バイオマスと石炭との混合燃料を使った火力発電が始まっています。このほか、関係機関においても木質バイオマスを活用したさまざまな研究が進められています。 現在は、まだコスト面や利便性の問題など実用化に向けて解決しなければならない課題が数多くありますが、地球環境の将来を見据えれば温暖化を促進してきた化石燃料にかわるものですので、温暖化対策に要する経費を削減できることも含め多少高くなっても活用していく努力をしていかなければならないと考えています。既に先進国では、このため炭素税といった制度もできていますし、我が国でも環境税の検討が進められています。こうした動きを注視しながら、本県としても製材施設などへの木くずだきボイラーへの導入支援を進めますとともに、林地残材を低コストで収集する仕組みづくりなど実用化と普及に向けてできることから積極的に取り組んでいきたいと考えています。 以上でございます。   (教育長大崎博澄君登壇) ◎教育長(大崎博澄君) 食育についての御質問にお答えをいたします。 まず、食育基本法の理念と内容についてお尋ねがございました。近年、朝御飯を食べないで登校する児童生徒が増加するなど子供たちの食生活の乱れが大きな社会問題となっています。また、このことは、学力問題を初めとするさまざまな教育課題を解決する上でも重要な意味を持つものと考えられます。食育基本法はこうした社会的背景のもとに制定されたものであり、その趣旨の実現は国民全体の急がれる課題であると受けとめています。 次に、学校給食における地場産物の使用割合を引き上げる取り組みと課題についてお尋ねがございました。本県の学校給食における地場産物の食品数ベースの使用割合、献立に使用する食材の数の使用割合でございますが、これにつきましては平成17年度が33%と全国平均の23.7%を大きく上回っている状況でございます。また、高知県食育推進計画では、平成23年度までに食品数ベースの使用割合を40%以上とする目標を設定し、それぞれの地域や学校におきまして、学校と生産者が連携した学校給食における地場産物の活用の促進、米飯給食の推進、地場産物を活用した魅力のある献立づくりなどの取り組みを行っています。課題としましては、学校給食は大量調理でありますことから、地域によっては食材の量がそろわないことや価格面で調達が難しいこともあり、地域の実態に応じた取り組みの工夫が必要だと考えています。 次に、南国市での米飯給食の取り組みの評価と南国市方式の県内の学校への導入、また米粉パンへの取り組みの可能性についてお尋ねがございました。南国市では、地域で生産されたお米を学校給食に取り入れ、学級ごとに置かれた炊飯器を使用して炊きたての御飯が食べられることで全国的にも高い評価をいただいており、食べ残しが少なくなるなど食育推進の観点からも大変よい取り組みだと思います。今後も、こうした米飯給食のよい取り組みを機会あるごとに県内の各学校に紹介させていただき、それぞれの地域や学校の実態に即した取り組みの普及を支援していきたいと考えています。 学校給食への米粉パンの導入につきましては、高知県の米飯給食の実施回数が週平均3.6回で全国1位であり、パンそのものの使用が減少しているという状況が一つございます。また、学校給食で米粉パンを導入するとすれば、米粉の供給量の問題や加工に手間がかかるといったことから、価格の問題が生じることが見込まれます。あわせて、子供の嗜好の問題もありますので、普及には少し時間がかかるのではないかと考えています。 以上でございます。   (土木部長宮崎利博君登壇) ◎土木部長(宮崎利博君) 公共事業の現状と課題に関します一連の御質問にお答えします。 まず、発注事業量の確保についてお尋ねがありました。公共事業は、県民の皆様の生活や産業活動の基盤となる社会資本を整備し維持するために実施しています。特に本県では、南海地震などの自然災害から生命や財産を守るための施設や、企業誘致や市町村合併を支援する道路など、まだまだ整備がおくれているため、少しでも多くの予算が必要です。しかしながら、今の県の厳しい財政状況では、すぐにそれらの施設をすべて整備することは難しく、優先順位や地域特性を考えながら整備していかざるを得ない現状にあります。一方で、中山間地域においては建設業が地域の経済を支えているという面もあり、公共事業の急激な減少は結果として地域の経済に大きな影響を与えています。そのため、厳しい財政状況のもとでもコスト縮減の取り組みや国の補助事業の積極的な導入、また有利な起債事業の活用に努めまして、少しでも多くの事業量を確保できるように取り組んでいきます。 次に、県内業者や地元業者の受注機会の確保と業者数の推移や経営実態についてお尋ねがありました。公共工事の発注に際しては、雇用の確保や県経済への波及のため、県内業者へ優先的に工事を発注することを基本にしています。県内業者では施工できない専門性の高い橋梁工事などに限って県外業者に発注しています。昨年度の実績は、件数ではおおよそ97%、金額ではおおよそ92%を県内業者に発注しています。また、出先機関では、基本的には土木事務所の区域内の業者を選定することにしています。 本年4月1日現在で建設業の許可を受けている県内の業者数は3,523社で、そのうち土木工事業は1,498社となっており、5年前との比較ではそれぞれおおむね8%の減少となっています。いわゆるランク別の業者数については、この間に格付基準の見直しを行っていますのでランクごとに業者数を比較することはできませんが、本年度の土木工事の入札参加資格者は1,147社で、5年前との比較では9%程度減少しています。業者の方々の経営実態については一概に申し上げることはできません。しかし、この5年間で業者数は9%程度の減少にとどまっているものの、県内の公共事業費は半減していることや本年度に入ってAランクの業者でも相次いで倒産したことなどから見ても、大変厳しい経営環境にあると認識をしています。 次に、適正な業者数や協業化に対する取り組みなどについてのお尋ねがありました。県内の公共事業はピーク時の3割程度にまで落ち込んでいます。それに対して業者数の減少割合は少ないことから、建設業は供給が過多の状況にあります。しかしながら、こうした状況の是正は市場での競争の中で行われるべき問題であると認識していますので、県としては適正な業者数を示すことはできないと考えています。ただ、このような中でも技術力と経営力にすぐれた企業が生き残れることが望ましいと考えており、平成10年度からは合併に取り組む企業に対して総合点数の特例加算を行っています。また、来年度からは協業組合の設立を支援するため、総合点数の加点や下位ランクにも入札への参加ができる新たな特例措置を設けることにしました。そのほか、全庁的な取り組みとして商工労働部に建設業の経営相談の窓口を設置したほか、地域中小企業応援ファンドにおいても建設業の新分野への進出等を支援することにしています。 次に、総合評価方式への取り組みについてお尋ねがありました。総合評価落札方式は、平成18年度に13件を試行しました。本年度からは、原則として請負対象金額が7,500万円以上の建設工事に適用することとし、2,500万円以上7,500万円未満の工事についても試行的に適用しています。8月末現在で40件、年間では70件程度になると見込んでいます。この方式の特徴は、入札参加者の技術的能力と価格を総合的に評価して落札者を決定することにあります。これまでに実施しています簡易型では、工事ごとの施工計画を事前に評価することで工事の品質確保が図られるとともに、建設業者の技術力の向上や不良・不適格業者の排除にも役立っていると考えています。 課題としては、発注者、入札参加者ともこれまでの入札に比べて事務量が増大することや、入札金額に対して技術力をどの程度評価するのかなどが挙げられますが、本格実施を始めて間もないことから、今後とも検証を行いながらよりよい制度になるよう改善に努めていきます。 次に、総合評価方式における公平性、透明性の確保についてと、技術提案の内容と評価を公表することについてお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えします。総合評価落札方式では、公平な評価を確保するため学識経験者への意見聴取が法令上も義務づけられています。このため、土木部においては大学の教授や国土交通省の所長などで構成される総合評価委員会を設置し、案件ごとの評価の内容について2人以上の委員の意見を聞くことにしています。透明性の確保については、入札後に入札参加者の評価項目ごとの評価点、入札価格及び評価点と入札価格から算定される評価値を公表しています。ただ、公共工事の品質確保の促進に関する法律に基づいて国が定めた方針では、入札参加者の技術提案は提案者の知的財産であり、提案内容に関する事項が他者に知られることのないようにすることとされていますので、県でも公表していません。 最後に、資格を要する技術者についてのお尋ねがありました。厳しい経営状況から技術者の確保が難しくなっているといった声もあることは承知していますが、建設業法では建設工事の適正な施工を確保するため、監理技術者などについては建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要だとされています。このことは良質な社会資本整備を担う建設業者の施工技術を確保するために必要なものであり、法令に定められたものですので派遣技術者を認めることはできません。 以上でございます。 ○議長(山本広明君) 暫時休憩いたします。   午前11時48分休憩---------------------------------------   午後1時再開 ○副議長(中西哲君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 27番黒岩正好君。   (27番黒岩正好君登壇) ◆27番(黒岩正好君) 「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」。タヒチを愛したフランスの画家ポール・ゴーギャンは、タヒチの人々が自然の中で豊かに生活する姿を描くことにより、人類の行く末を訴えています。このように過去、現代、未来を見据え、課題山積の高知県政をこれからいかに進めていったらよいか、しっかりとした議論を深めていかなければならないと思います。それでは、知事並びに関係部長に公明党を代表いたしまして質問をいたしたいと思います。 初めに、知事の不出馬について伺いたいと思います。知事は、国と地方の壁を越えられない限界を感じるようになったと語り、4期目の今期限りで不出馬の意向を明らかにしました。その上で、立場を変え、別の手段で国と地方の形を変えるための活動を始め、高知のために役立っていきたいとも所信を述べられております。 そこで、3点について伺いたいと思います。第1点目は、今議会が最後の議会となりますが、昨日も4期16年間の総括について議論がありましたが、特に県民に言い残しておきたいことがあればお伺いをしておきたいと思います。 第2点目は、新聞報道によりますと、私を16年間育ててくれた高知と縁を切ることは絶対にない、評論家や大学教授になる気は全くない、何らかの形で高知のために役立ちたいと言われておりますけれども、高知のためとの思いは具体的にどのような行動をされるおつもりでございましょうか。 第3点目は、公設民営で創設された高知工科大学の理事長職に知事がつくことは適当でないとする文部科学省の助言があったと聞いておりますが、そうであれば速やかに理事長職を辞退するべきではないでしょうか、所見を伺いたいと思います。 次に、やみ融資判決について伺います。県のやみ融資事件で実刑判決を受けた山本元副知事らの上告を棄却した最高裁決定を受け、県の損害に対する知事自身の責任について、住民訴訟が係争中なので司法の判断を待ちたいと述べ、現時点での退職金の返還などの引責措置をとる考えがないことを表明しております。また、これ以上の責任をとる必要はないとも報道をされています。 しかし、知事が任命した元部下が行政の裁量権を否定された形でこのような判決を受けたことに対して、県の最高責任者であり任命権者として道義的責任はどう感じているのか、お伺いをしたいと思います。 また、この事件を通して行政の裁量権についてどのような教訓を得たのか、見解を伺います。 また、山本元副知事、川村元商工労働部長の上告棄却を受けて、知事は職員の退職手当に関する条例の規定に基づきこれら2人の退職金6,900万円の返還を求めています。同条例の規定では、退職者が在職期間中の刑事事件で禁錮刑以上に処せられた場合、任命権者の知事は退職金を返納させることができるとしています。ただ、この裁判で注目されたのは行政の裁量権の問題であったと認識をしています。 その意味で、いわゆる贈収賄等の刑事事件とは違うものと考えますが、知事はどのような見解で退職金返還の処分決定をされたのか、伺いたいと思います。 次に、財政運営について6点伺います。地方公共団体の財政の健全化に関する法律が成立したことにより財政健全化団体となる可能性があるので、県財政は今後示される具体的な基準値を見きわめながらトータルに判断すべきと、6月議会で高知女子大学整備に関する費用を除く、補正予算の修正案が賛成多数で可決をされました。 そこで伺いますが、第1点目は、6月議会での議会判断をどのように受けとめているのか、また今議会、再度女子大学整備費に係る補正予算案を提出する背景にはどのような状況の変化があったのか、伺いたいと思います。 第2点目は、今回執行部が示した財政運営の見通しでは平成26年度までに423億円の財源不足が生ずるとしています。その解消策として財政調整的な基金、特定目的基金の取り崩し、県有財産の売却等を行い、さらに不足する財源を確保するために給与カットなどを検討しているとのことでありますが、このような危機的な財政状況の中でいずれの大規模事業も重要なものであるだけに、新しい知事のもとで実施の是非や実施時期について議論すべきではないのか、お伺いをしたいと思います。 第3点目は、基金の取り崩し等の財源不足を解消する手だてを示しておりますが、なおかつ130億円の財源不足が見込まれております。財源不足解消のために職員給与のカットを検討するとのことでありますが、財源不足が解消されるまで継続をするのか、またこれが職員の士気の低下にもつながるのではないかと危惧をいたしますが、所見を伺いたいと思います。 第4点目は、遊休財産の処分計画が出されていますが、実際の処分見通しやこれまでの実績はどうか、またさらなる財産処分とは具体的に何を意味しているのか、総務部長にお伺いをしたいと思います。 第5点目は、新しい財政健全化法を受けてどのような予算編成方針を打ち出すのか。財政健全化団体に陥らないための収支予測に終始しているように思われるけれども、県民の福祉、県民生活の向上といった観点から事業をどのように展開していく考えなのか。また、経常経費、普通建設事業費のさらなる削減が検討されていますが、このことによる県経済、福祉等に与える影響はどう予測しているのか、知事にお伺いします。 また、平成18年度の県債残高が7,889億円になっておりますが、それに伴う利子は幾らか、総務部長にお伺いをしたいと思います。 第6点目は、新聞報道によりますと、どういうやりくりをしても赤字転落から逃れられそうもないという危機的状況ではないと知事は強調されておりますが、基金の取り崩し、遊休財産の売却等、さらにはいざというときのとらの子とも言うべき保有株式の売却をするなど、このようなやりくりをしなければならない状況こそ危機的な状況と言えるのではないかと私は思っております。 知事の言う危機的状況ではないという根拠は何なのか。また、今後も財政規律を維持すれば破綻は回避できると言われておりますが、具体的にどういうことか、お聞きをしたいと思います。 次に、ポスト経営方針について伺います。平成15年に、県の行財政運営全体の基本的な方針として経営方針が策定されました。この経営方針は本年度を目標年次としていますが、この5年間の経営方針をどのように総括されるのか、伺いたいと思います。 次に、観光ビジョンについて伺います。ことしの前半は東国原宮崎県知事が連日マスコミに登場するなど、毎日が東国原フィーバーとも言える報道の数々でありました。夏場は、知事見たさで宮崎県庁には毎日1,500人もの観光客等が押し寄せ、4月から8月までで10万人が訪問したと言われています。まさに宮崎県庁が観光地化したのではないかとの錯覚をするほどの東国原フィーバーによる経済効果ははかり知れないものと思われます。 さて、2月定例会の知事提案説明において、新年度から新しくおもてなし課を設置するに際して、おもてなし日本一を標榜されている宮崎県に絶対に負けないと言われましたが、同じ知事として東国原フィーバーに対してどのような感想をお持ちでしょうか。 また、おもてなしに対して本年どのような取り組みがなされてきたのか。また、おもてなし県民会議において、観光客の満足度向上のために実施する県民運動の具体的な展開を内容とするアクションプランを策定するとしておりますが、どのような内容の検討がされているのか、観光部長に伺いたいと思います。 次に、図書館整備について伺います。高知市議会9月定例会で、県、市の図書館の合同整備について岡崎市長は、「追手前小学校の敷地内に、幅広い年齢層が利用可能な情報のメディアセンターと生涯学習の機能もあわせ持つ、多くの県民、市民の皆様が幅広く利用できる新しい合同図書館として整備していきたいとの構想を持っています。今後、こうした考え方に立って県との具体的な協議を進めていきたい」と答弁をされています。本年1月22日に県、市のトップ会談で協議が行われています。もともと、高知市は図書館の場所に関して思いがあり、県、市合同に積極的ではなかったと認識をしています。 知事からの申し出で態度を変えたものとは察しますが、市長にどのような申し出をされたのか。また現在、実務者レベルで既に6回の協議がなされています。この協議は一緒にやれるかどうかについて機能面のチェックから始めていると言われておりますが、知事は県、市合同の図書館構想の実現を目指しているのか、あわせて伺いたいと思います。 次に、環境問題について伺います。 2020年、今日生まれた子どもが中学校に通う頃、大陸部では水不足が深刻化し、沿岸部では洪水が続発する。その子がハタチを過ぎる頃、海面上昇によって多くの人が難民化する。やがて、その子の子どもの時代には地球の気候のゆらぎが一層激しさを増し、気候帯の移動によって生態系が変わり、多くの人の暮らしが奪われてしまう。そんな未来を想像させるひとつのシミュレーションがある。地球の平均気温が+2℃を超え、上昇し続ける、これから100年の未来。シミュレーション通りに進むか否か、私たちは今、その分かれ道にいる。あなたがこれから生きて行く世界、あなたの次の世代、あるいはその次の世代が生きて行く世界が気候変動の脅威にさらされる前に、できることはたくさんある。変えていけることは、たくさんある。未来は常に、あらゆる可能性を持っている。未来は今日、あなたが知ること、感じること、選ぶものや決めることで、変わっていく。 これは、環境問題の世界的権威である山本良一東京大学生産技術研究所教授の「気候変動+2℃」という地球温暖化ビジュアルブックの中にある「過去から現在、そして未来へと向かう分かれ道」の一節であります。地球温暖化という言葉は既になじみ深い言葉にはなったものの、普通に生活している中には実生活と結びつかず切迫感がない人もいると思います。異常気象と温暖化との関係はいまだ十分解明されておりませんが、温暖化が問題なのは予測を超える規模の気象現象が起こる可能性が指摘されていることであります。その予測を超える規模の気象現象は、近年世界的に頻発している大型の台風やハリケーン、竜巻、山火事、干ばつ、洪水、熱波などとなって起こっております。 ことし8月には国内2カ所で40.9度を記録し、最高気温が74年ぶりに更新され、国民に衝撃を与えました。夏場の暑さは年々強まる傾向を見せており、日常生活への悪影響が心配されています。これらの原因について山本教授は、「人間が現在の温暖化の直接の原因を負っていると言わざるを得ません。炭酸ガスだけで人類は280億トン排出しているとされ、そのすべては森林や海に吸収されておりません。排出された炭酸ガスのうち152億トンが空気中にたまっており、20%は消えずに数千年は空気中に漂っていると言われています。さらに、この地球温暖化を食いとめるためには、環境に優しい社会システムを構築していかなければならない」とも発言をされています。 去る8月6日に高知エコデザイン地方議員連盟の主催で、「高知県の産業振興をエコデザインの視点で考える」地球温暖化防止シンポジウムを開催し、その席上で、「高知からCO2 ±0宣言」を行いました。これには山本良一教授を迎え、「地球のためにいま日本ができること」とのタイトルで講演をしていただきました。山本良一教授は講演の中で、地球の平均気温が産業革命以前より2度上がると洪水やマラリア、飢餓、水不足にさらされる人口が急増する、何もしなければ20年もすると温暖化の動きが暴走しかねないと指摘をしています。まさに、地球温暖化対策は国民こぞって取り組むべき喫緊の課題であります。 6月のサミットでは、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量を2050年までに全世界で半減させることを真剣に検討することが合意されました。6月定例会での知事の提案説明では、サミットの結果を受けて京都議定書の内容を遵守する県を目指したいと、他県に先駆け表明をされました。また、それらの背景に、本県は全国に先駆けて森林環境税の創設、環境先進企業との協働の森づくり事業、排出権取引に関する調査研究、緊急間伐推進条例の制定等、高知独自の政策を展開してまいりました。聞くところによりますと、滋賀県では11月に、2030年までに炭素中立県を目指すとともに、環琵琶湖環境産業ゾーンを設け環境成長経済を実現する宣言を予定しているとのことであります。 そこで、今こそ全国に先駆けて環境先進県高知を全国にアピールするためにも今議会において、「高知からCO2 ±0宣言」を行うべきと思いますが、知事の所見を伺います。 また、京都議定書を遵守するためにも、各市町村の温暖化防止への行動計画の策定と促進や、県民の民生部門、産業部門等での取り組みなどをさらに推し進める必要があるのではないかと思いますが、どのようなロードマップを考えているのか、文化環境部長に伺います。 次に、教育問題について伺います。先日、ある県民の方から1通の手紙が届きました。それを御紹介させていただきます。 小学校2年生の男の子を持つ母親です。子供が、月曜日の朝になると学校へ行きたくないとぐずるのです。子供のこの言葉を聞くだけで、自分自身の忌まわしい記憶がよみがえってくるのです。私は中山間部で生まれ育ちました。今まで自分自身でも理由ははっきりとはわからないのですが、小学校5年生の夏休み明けから、私は不登校になったのです。親や先生、友達から、サボりとか、怠けとか、根性が足りないなど、ひきょう者呼ばわりをされました。結局、小学校6年生から中学校を卒業するまでの4年間、学校へは全然行きませんでした。その間、たまに一学期に一度くらい先生が様子を見に来るぐらいで、特に学校から何かをしてもらったという覚えはありません。そして、私は引きこもった状態のまま中学校の卒業を迎えました。自宅で卒業証書を受け取ったときは、何か監獄から釈放されたような気持ちがしたのを今でも覚えています。 その後、親戚の口添えで大阪に出て就職をし、結婚もして、今は高知に帰って住んでいます。自分の小中学校時代は暗黒の時間でした。毎日、天気は曇りか雨だったような記憶しかありません。生まれ故郷には帰りたくもありません。当時の先生や級友を恨んでいるわけではありませんが、教師や学校のことは本心からは信じることはできません。我が子を不登校にしたくないけれど、はっきり言って私は教員や学校の対応について信じることはできません。自分の子供は自分で守らなくてはならないと思っています。今の状態では、学校を信じ安心して子供を通わすことができません。私と同じように、小中学校時代、不登校になっても何もしてもらえなかった人たちが、まだまだたくさんいるのではないでしょうか。私と同じ気持ちの母親がほかにもきっといると思います。 以上の内容でございました。 本年8月に文部科学省から出されました学校基本調査によりますと、本県の不登校児童生徒の発生率は全国で2番目に高いという結果が出ております。御承知のとおり、平成18年度、本県では小中学校合わせて956名が不登校となっています。これまでも、不登校発生率では全国で1位から7位の間を推移してきました。いずれにしても、全国平均を大きく上回る不登校の発生率が続いています。先ほどの手紙は、自分自身が小学校高学年から中学校を卒業するまで不登校で、学校や教師、行政からも十分な支援が受けられず、暗黒の日々を送ってこられたというものでした。そして、自分が親となり我が子が登校を渋り出したとき、教師や学校が信じられず、安心して学校へ通わすことができなくなっているという内容のものであります。不登校であっても子供たちは義務教育を受ける権利があり、行政は何らかの手だてを打たなければならないと思います。本県が不登校の発生率が高いということは、この事例と同様の方が多くいる可能性があるということではないでしょうか。 不登校経験者の中には、先日の高知新聞にも紹介されていました子供たちのように、教育支援センターに通うことにより徐々に自立していき、高知大学へ合格したり、社会人として立派に生活しているという事例も多くあると聞いています。しかし反面、学校からも行政からも十分に支援されずに卒業していっている子供たちがいることも事実であります。その子供たちの人生はどうなっていくのでしょうか。そして、その家族の苦労はいかばかりのものかと考えると心が痛んでなりません。そのような意味では、教育支援センターの存在は本県において重要な役割を担っていると言えます。先日、心の教育センターを訪ねた際お聞きしましたところによると、不登校の児童生徒のうち教育支援センターがかかわっているのは3割程度、それでも全国平均よりは多い方だとのことでありました。 不登校問題は、本県の重要な教育課題に位置づけられております。私は、不登校対策として何よりも重要なのはいかに人材を育成するかにかかっていると思っています。しかし私は、本県の不登校対策については、人材の育成という観点から見た場合、残念ながら計画的に育成されているとは言いがたい現状があると考えております。不登校の子供たちや保護者から一番学ぶことのできるのは、不登校の子供たちを支援している教育支援センターだと思っています。しかし、その最前線で勤務しているのは非常勤の方ばかりです。非常勤の相談員の中にはすばらしい方も多くいらっしゃいます。しかし、長くて5年、短くて1年で交代をしています。せっかくさまざまなノウハウを身につけ、関係機関との連携もとれ始めたころに退職しています。教育支援センターでの実践経験が継続、蓄積されることなく失われていっているのではないでしょうか。 そこで、不登校対策について4点、教育長にお伺いをいたします。第1点目は、教育支援センターの充実強化と人材育成システムの構築について伺います。本県は不登校の発生率がずっと高いのに、教育支援センターでのさまざまな経験と実践研究が学校現場に生かされることなく失われていっていることが、本県の不登校対策のおくれを招いている一つの要因ではないかと思いますが、どのような認識を持っているのか。そして、その改善のためには、教育支援センターに教職員を配置することにより、将来にわたり計画的な人材育成のシステムを構築すべきではないかと思いますが、あわせて伺います。 第2点目は、高校生の不登校対策について伺います。子供たちの人生において、自分の履歴書に高校卒業と書けるのか、高校中退と書かなければならないのか、それはその子にとって大きな違いとなっていきます。保護者の立場としても、希望して入学した高校を卒業してほしいとはだれでも考えています。高校への進学率が96%を超え、ほぼ全員が高校へ進学するようになっている現実を考えた場合、いじめや人間関係、そしてさまざまな心理的要因により、勉強はしたいが高校へは登校できないという不登校状態の生徒も当然出てくることと思います。本県の不登校者で中途退学をしている生徒の割合は31.1%と聞いています。しかも高校1年生が一番多く、3年生になると不登校生徒が減少しています。すなわち、高校1年生ないし2年生の時点で不登校状態になった生徒は、出席日数の不足により留年が確定し、退学していくケースが少なくないということであります。高校3年生まで何とか頑張れたケースでは、卒業まで頑張れる可能性が高いということが言えます。 そこで提案ですが、高校生の不登校支援について、教育センター分館や心の教育センターに県立の教育支援センターを設置してはどうかということであります。心の教育センターには高校の免許を持った教員も配置されていると聞いています。近隣の高校から教員の支援を仰ぐことも可能かもわかりません。 心の教育センターで相談を受け、学校へ登校したいがいじめや心理的要因で登校できないケースのみを対象として支援をしていく、また義務教育と同じように学習した時間や内容について、単位の認定をしていくような制度はできないものか。全国に先駆けた、高校生を対象とした教育支援センターの設置を望むものですが、教育長の所見を伺います。 第3点目は、若者サポートステーションの充実について伺います。本年、ふくし交流プラザに開設されましたこうち若者サポートステーションは、不登校発生率の高い本県にとりましてすばらしい取り組みだと思います。しかし、せっかくの若者サポートステーションは、スペース的に引きこもりの青年たちの居場所としては不十分ではないでしょうか。引きこもっていた青年たちが徐々に自立に向かって動き出そうとするとき、一緒に音楽を楽しんだり、料理をつくったり、絵をかいたり、スポーツを楽しんだり、学習をしたり、自然体験に行ったりというような環境が大切なのではないかと考えます。現在の施設では、それら自立へのステップとしての居場所機能が十分とは言えないのではないでしょうか。 そこで、さきに提案しました県立の教育支援センターと若者サポートステーションを教育センター分館や心の教育センター内に設置することにより、義務教育終了後から青年までの不登校及び引きこもりの青年のトータル的な総合支援センターのような機能を持たすことが可能になると思います。教育センター分館には体育館、美術室、家庭科室、音楽室等が設置されており、夏季休業中は教職員研修に活用されていますが、授業日には使われていない教室もかなりあるのではないかと思います。 それら分館の施設を有効に活用するなど機能的な総合支援センターの設置について教育長の所見を伺います。 第4点目は、不登校児童生徒のための家庭訪問システムについて伺います。不登校の子供たちは、自分の評価にかかわる学校の教員の家庭訪問については抵抗感があるが、学校外の相談機関などの相談員等の家庭訪問であれば受け入れるということはよく知られているところです。高知市教育研究所では、不登校児童生徒の自宅へ相談員が家庭訪問を実施し、信頼関係を築いた上で教育支援センターへ誘い出す方法をとり、全国平均を大きく上回る3割近い通所率を上げていると聞いています。県内には、教育支援センターさえ設置されていない市町村もまだまだあります。相談機関から家庭訪問に出向いているケースは、心の教育センターが研究的に行っているふれあいサポーターだけだと聞いています。しかし、この心の教育センターのふれあいサポーターの訪問により、教育支援センターのない地域の不登校生徒が何人か自宅から出る勇気をもらい、高校へ進学したり、学校へ復帰するなどの実績を上げていると聞いています。 そこで、これらの事例がもっと多く実現するためには、心の教育センターだけの取り組みでは限界があります。東西に広い本県において、東部と西部の両教育事務所に不登校の相談場所の核として心の教育センターと同様の相談機能を充実させるとともに、訪問相談員を配置することができればと思います。東部と西部の両教育事務所にこれらの機能が充実すれば、教育支援センターが設置されていない市町村の不登校児童生徒の相談や家庭訪問の実施が可能となり、学校との連携も容易になると思います。 そのことにより、これらの児童生徒や保護者は大きな期待や希望を持てるのではないかと考えますが、教育長の所見を伺います。 次に、特別支援教育支援員の拡充について伺います。特別支援教育は、昨年6月に学校教育法が改正され、小中学校等に在籍する、教育上特別の支援を必要とする障害のある児童生徒に対して、障害による困難を克服するための教育を行うことと法律上明確に位置づけられました。法改正により、従来の特殊教育で対象としていた盲、聾、知的障害などに加え、発達障害も特別支援教育の対象として位置づけられた点は、関係者からも高く評価されています。子供一人一人のニーズに応じた教育をするべきとの観点から、障害を持つ児童生徒への支援教育の推進を図るために、該当児童生徒に対して日常生活動作の介助と学習上のサポートを行う特別支援教育支援員の計画的配置が行われることになりました。特別支援教育において、特に重要なのは人的体制の整備であります。 国では、平成19年度に250億円、2万人程度の特別支援教育支援員を小中学校に配置するための地方財政措置が図られておりますが、本県の取り組みはどうか、教育長に伺います。 次に、産業振興と雇用対策について商工労働部長に伺います。日本経済の緩やかな持ち直しに比べ本県経済の状況は依然として回復感に乏しく、全国や四国の3県と比べても大きく格差が拡大しております。また、雇用環境を見ても、有効求人倍率が全国の半数以下にとどまっている状況にあります。土佐経済同友会は、これら高知県の抱える経済構造問題に起因していると言われているものとして、第1次産業の衰退、公共支出依存体質、将来的な労働の担い手不足の3点を挙げており、今後の県経済活性化の方向性と活性化策に関する提言がされるなど、高知県の抱える経済の構造的な課題を真っ正面からとらえて粘り強く取り組んでいかなければなりません。 さて、2月議会での予算委員会で私は、「求人の実数が全国で一番少ないので、いかにこの受け皿の求人数をふやすのか、そのためには平成19年度の予算を活用して何名の雇用をふやすのか等の具体的な数値目標を示すべきではないか」と質問をいたしました。知事は、「気持ちとしてはそのように取り組んでいくが、何人という目標は難しい」と答弁をされました。 今議会の提案説明で、今後の産業振興と雇用対策の取り組みについて一定の説明がされましたが、やはり受け皿の求人数をふやすためにも新たにできた雇用対策本部でその取り組む目標数値を明確にしてはどうかと思いますが、見解を伺います。 また今回、こうち産業振興基金が創設され、運用益を活用して中小企業等に対する経営革新や販路の開拓、研究開発などに支援を行っていくことになっておりますが、公募の状況などの現状や見通しはどうか、伺います。 次に、10月から、募集・採用時の年齢制限を禁じた改正雇用対策法が施行されます。例えば、若者向け商品の販売員として30歳以下を募集とか、長距離トラックの運転手として45歳以下の人を求めていますなどといった求人広告ができなくなりました。厚生労働省によると、ハローワークにおける年齢不問の求人の割合は年々増加傾向にあるとはいえ、まだ5割程度にとどまっています。その理由としては、求人の年齢制限禁止が努力義務とされていることや例外規定が多いことが挙げられます。このため改正法では、努力義務にとどめていた年齢制限の禁止を事業主に義務づけるとともに、例外規定も大幅に削減されています。今回の改正により、年齢制限禁止の義務づけが中高年層、年長フリーターや子育て後の女性の雇用促進に向けての大きな突破口、推進力となるようにしなければなりません。 今後、県として取り組んでいく上での課題や問題点はどうか、商工労働部長に伺います。 次に、中山間地域対策について中山間対策本部長の副知事に伺います。中山間地域は人口減少、高齢化の進展により、過疎地域の集落では冠婚葬祭や耕作に支障を来すところもふえています。国土交通省がまとめた過疎地域の集落状況調査によると、過疎地域を抱える市町村の中で、今後消滅する可能性のある集落やこうした機能を維持することが困難になっている集落は全国で2,900以上に上ると言われています。本県においても、国勢調査をもとに集計した集落調査で、中山間地域からの急激な人口流出がデータとしてあらわれており、小規模集落が拡大し過疎化の進行がうかがえる調査結果となっています。人口構成の変化とともに所得の低下や財政力の低迷で、小中学校や病床数の減少など教育、医療・福祉の面でも大きな不便を強いられている地域は少なくありません。 過疎に伴う生活の不便や行政サービスの低下が新たな過疎を生むという悪循環に歯どめをかけなければ、中山間地域の活力は減退していきます。過疎の進行に歯どめをかけるため、政府は産業振興や生活基盤の整備など多方面の対策を進めています。都市住民と田舎との出会いや観光など、グリーンツーリズムが脚光を浴びております。 そこで、本県の現状を踏まえ、中山間地域対策や集落へのケア対策など、今後県としてどのような取り組みを進めていかれるのか、伺います。 また、中山間地域の1次産業振興とビジネス育成をテーマに議論がされてきておりますが、今後の方向性についてどのような検討がされているのか、あわせて伺います。 次に、指定管理者制度について総務部長に伺います。平成16年度から指定管理者制度がスタートいたしました。言うまでもなく、制度の目的は、多様化する住民ニーズに、より効果的、効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ることにあります。対象となる124施設のうち、現在34施設が導入されております。 公の施設の指定管理者制度に関する運用指針では、積極的に活用するものとすると県の考え方が示されていますが、導入が見送られている施設については現在どのような検討がなされているのか。 次に、制度の目的とされている住民サービスの向上、経費の節減はどのような効果や評価がされているのか。 次に、「指定管理者による適正な管理運営の確保に関する基本方針」のもとに、業務の執行状況を適切に把握、評価を行っています。評価は各課室の責任で実施し、最終的にAからDの総合評価をホームページに掲載しておりますが、各課室の担当者の判断で評価の違いが生じるのではないかと考えますが、どうか。また、利用者へのアンケート調査等を行うとしておりますが、業務状況評価ではアンケート調査等を実施していない指定管理者もあるなど利用者の満足度が十分なされているのかどうか。 次に、それぞれの評価に対して、制度の所管課の行政管理課としてのチェックや全庁的な調整を図るなど、制度の有効活用の取り組みを進める必要があると考えるが、どうか。 次に、「施設の専門性、特殊性等の観点から、適切に評価を行うためには有識者等から意見を聞くことが望ましいと認められる場合は、外部の有識者等で構成する委員会を設置し、その意見をもとに評価を行うこととする」としております。どのような場合に行われるのか。 次に、岩手県盛岡市では、指定管理者制度を導入している施設の運営等について第三者評価を実施する団体を募集するなど、利用者へのサービスについて第三者による客観的な点検評価を行うなどの取り組みがされておりますが、本県においては今後このような取り組みや検討がされるのか、お伺いをいたしまして、第1問を終わります。   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 黒岩議員の御質問にお答えをします。 まず、県民の皆様に言い残しておきたいことはないかとのお尋ねがありました。私は知事を退きました後も高知と縁を切ることなく高知との関係を大切にしていきたいと考えていますので、言い残すという表現はふさわしくはありませんが、間もなく知事の座を去るに当たって県民の皆様にはまず心からお礼を申し上げたいと思います。知事としての16年の間には、うれしいことはもちろん、つらいことや悲しいことなどさまざまなことがありました。県民の皆様には、励ましやお褒めの言葉、また反対におしかりや御批判など、さまざまな形で支えていただきました。今はこのことへの感謝の気持ちでいっぱいです。 また、話は少しそれますが、8月に発表されました全国1万人余りの宿泊旅行者を対象にしたアンケートでは、地元ならではのおいしい食べ物が多かったという項目で高知県は全国1位、また地元の方々の温かいもてなしを感じたという項目でも全国4位にランクされています。このように高知には自然や人などすばらしい財産がたくさんありますので、これからも郷土に誇りと自信を持ってこうした財産に磨きをかけられることで、さらに発展をしていただきたいと願っています。また、私も別の立場でそのお手伝いをしたいと考えています。 次に、私が知事を退きました後の活動についてお尋ねがありました。私はこれまで知事として、高知県のために国に対してもいろいろと物を言ってきましたが、国と地方との関係を根本から変えるような地方分権の改革は進みませんでした。それどころか、逆に地方交付税の大幅な削減などによって地方はますます苦しい立場に追いやられています。それでも、国に対する地方の位置づけや権限が憲法を初めとする法律で明確に規定されていない現状では、圧倒的な情報と権限を握っている国に対して地方は具体的に対抗する手段を持ちません。ですから、現在の、国が地方を支配する関係を見直すためには、それに取り組む新しい力が必要になります。このため、私は今後そうした取り組みに挑戦することで高知県のお役に立ちたいと考えました。ただ、まだ具体的なことは何も決めていません。 続いて、高知工科大学の理事長職についてお尋ねがありました。昨年、文部科学省の実地調査の際に学校法人運営調査委員からは、法人を代表する理事長が常勤でないことに関して日常の業務執行に係る権限委譲などをどのようにしているのかとの御質問がありました。このため、理事長職についた経緯のほか、常勤の副理事長を置いて権限を委譲していることや、毎月業務運営理事会に出席して大学運営の協議を行っていることなどを御説明しました。これに対しては特段の御指摘もありませんでしたので、御理解をいただけたと受けとめています。また、高知工科大学と同じ公設民営の大学の中でも、静岡文化芸術大学では知事が、また東北公益文科大学では副知事が、それぞれ理事長に就任されていますし、そのほかにも非常勤の理事長が就任している大学があります。あわせて、高知県内の学校法人には常勤の理事長はおられません。こうしたことから、理事長職に知事がつくことが適当ではないとの見解ではないと理解をしています。 次に、モード・アバンセへの融資に関する最高裁の決定を受けて任命権者として道義的責任をどのように感じているのか、またこの事件を通じて行政の裁量権についてどのような教訓を得たのかとのお尋ねがありました。昨日もお答えをしましたように、最高責任者としての私の責任は道義的な責任も含めて免れるものではありません。このため、この事件にかかわった職員が起訴されました後の平成13年6月に私自身を処分しました上、その後の県政改革に取り組んできました。これらのことを通じて、その責任は果たしていると考えています。 一方、裁量権についての教訓を考えてみますと、この事件の以前には県が何か新しい事業や仕事を行おうとするときには、その内容が県民の皆様の役に立つかどうかといった公益性の判断はすべて行政の側にゆだねられているという前提で検討を進めていました。しかし、この事件を通じて、県民の皆様に情報を公開した上、きちんとした説明ができなければ事業を進めてはならないという大きな教訓を得ました。このため、より一層の情報公開の徹底を柱に職員の意識改革と県政改革に取り組んできましたので、現在ではこうしたことは二度と起きないと確信をしています。 次に、モード・アバンセ事件で有罪が確定した元職員の退職手当の返納についてお尋ねがありました。在職中の行為に係る刑事事件に関して禁錮以上の刑に処せられたことで、地方公務員法第16条の欠格条項に該当した元職員に対しては、条例に基づいて退職手当の返納を求めることになります。この欠格条項に該当した者に対する処分は、職務に関連した犯罪には限定されず、刑事事件全般を対象に禁錮以上の刑が確定した者すべてに一律に適用されるものですので、個々の刑事事件の性質や内容の軽重によってその処分を左右することにはなりません。 次に、今議会に再度県立大学整備の補正予算案を提出した背景にどんな変化があったのかとのお尋ねがありました。さきの議会では、県立大学の整備費に関する審議の中で、今後の財政運営の見通しや新たな社会科学系学部の見通し、さらには事業費などについて多くの議論をいただきました。県財政の今後の見通しには万全の注意を払っていかなければなりませんが、そうした中でも県立大学の改革を初め県として進めるべき政策には、その実現に向けて最大限の努力を傾ける必要があります。 このため、この夏の政策協議の場などで県立大学の整備など重要な政策を今後進めていくための対応策を検討しました結果、当面の厳しい財政状況を乗り切れるめどが立ちました。あわせまして、議論のありました社会科学系の学部は、さまざまな角度から協議を深めて構想をまとめました上で改めてお示しすることにしました。と同時に、急がれます既存学部の再編と統合に関しましては、事業費を可能な限り見直しました上で、今回改めて提案をさせていただいています。 次に、今後見込まれます大規模な事業は新しい知事のもとで議論を進めるべきではないかとのお尋ねがありました。今後予定しています大規模な事業は、いずれも財政収支の試算の中でそれぞれ必要な事業費を見込んでいますし、これらを予定どおりに実施しましても財政収支の均衡は確保できると判断しています。また、これらの事業はいずれも本県にとっては必要性の高いものですので、予定どおりに進めていくべきだと考えています。ただ、一般論として申し上げれば、新しい知事のもとでそれぞれの事業を取り巻く状況に変化が生じれば、その都度柔軟に見直しを行っていくことは、これもまた当然のことだと思います。 次に、職員の給与カットの継続についてお尋ねがありました。国の三位一体の改革などに伴って一般財源が大幅に減少します中でも必要な県民サービスは維持していかなければなりませんので、職員の給与カットの継続もやむを得ない状況にあると考えています。しかし、実際にカットを行うかどうかや行う場合の期間などは、新しい知事が判断をされた上で職員団体と話し合いをして議会にお諮りをすることになります。職員の皆さんには3年間で給与のカットを終了することができ得ない状況になりましたことを大変申しわけなく思っていますが、現実の問題として、本県だけでなく多くの県で給与のカットに取り組まざるを得ない財政状況にあることはぜひ御理解をいただきたいと思います。 次に、新しい財政健全化法を受けてどのような予算編成の方針を打ち出すのか、また予算のさらなる削減が経済や福祉などに与える影響についてお尋ねがありました。新しい財政健全化法では4つの指標をもとに財政状況が評価されることになりますが、本県の場合、財政収支に関する指標である実質赤字比率と連結実質赤字比率の悪化が懸念されますので、予算編成を初め今後の財政運営を行います上では財政収支の均衡を図ることを最大の目標として取り組んでいく必要があります。こうしたことから、今後見込まれます一般財源の減少に対しまして引き続き歳出の規模を抑制していかざるを得ない状況ですが、財産処分などの財源の活用によりましてできるだけ歳出の削減の幅を抑えますことで、県経済や県民生活に影響が生じることがないように努めていきます。と同時に、経済の基盤づくりや県民が安心して暮らせる地域づくりなど本県にとって重要な政策は、財政の健全化を進めていきます中でも、予算や人員を重点的に配分しますことでさらに充実を図っていきたいと考えています。 次に、県の財政が赤字転落から逃れられるとする根拠や財政破綻は回避できるとしていることについてお尋ねがありました。国の歳出・歳入一体改革によって一般財源の減少が見込まれますので、何らの対策も講じなければ本県の財政収支は赤字に転じる上、年々悪化することが見込まれます。このため、対応策を検討しました結果、事務事業の見直しや行政のスリム化を初め基金の取り崩しや遊休財産の処分、さらには職員の給与カットを継続することなどによりまして、今後財政収支が赤字に転じることは避けられると判断しています。今後の財政運営では、こうした取り組みを着実に進めていきますことで財政破綻を回避するように取り組んでいきます。 次に、県の経営方針についてお尋ねがありました。経営方針は、平成19年度までの中期的な行財政運営の基本的な方針として、平成15年に策定をしました。その中では、みずからの力で歩む高知をつくるため、県民と正面から向き合う県政を進めることを経営の理念として位置づけまして、地域で支え合う仕組みづくりの推進や仕事の進め方の転換などを基本姿勢としています。この間に、例えば地域支援企画員の活動に見られますように、職員が地域に入って県民のニーズを踏まえたさまざまな支え合いの仕組みづくりを進めますなど、職員の意識や仕事の進め方には変化が出てきたと受けとめています。一方、政策の方針としましては、南海地震への備えや産業の育成など4つの重要課題への対応を最優先に取り組んできました。ただ、財政的な制約などから十分な成果に至っていないものもありますが、こうした重要課題は、本県を取り巻く状況を考えますと、今後も引き続き県として力を入れて取り組むべきテーマだと考えています。 また、これを受けての次の経営方針は新たな知事のもとで検討をいただくことになります。ただ、県内の状況を考えますと、どなたが知事になられましても、先ほどの重要課題に加えまして、市町村合併推進構想でも触れましたような県民全体で教育や保健・医療・福祉を支えていく新たな仕組みづくりや、中山間地域の1次産業の再生を通じていかにして地域を守っていくのかといった視点を中心に経営方針が取りまとめられるのではないかと考えています。 次に、観光ビジョンに関連をして、宮崎県の東国原知事のフィーバーをどう見ているのかとのお尋ねがありました。タレント出身という経歴を生かして、観光はもとよりさまざまな分野で宮崎県を全国に発信されていることはすばらしいことだと思います。また、観光を元気づけていく上では、このように一つの話題やブームをつくり上げていくことも大切な視点です。しかし、その一方で、観光客の皆様から高い評価を受けているカツオのタタキに代表されますような食べ物や魅力のある特産品など本県ならではの資源を生かしながら、県民一人一人がきめ細やかな心配りで観光客に接することも観光を盛り上げる大事な要素です。 このため、高知県ではこうした取り組みの積み重ねによって、多くの観光客に、また高知に行ってみたいと思っていただくことをおもてなし日本一の目標にしたいと考えています。このように、派手さはなくても地域に根差した息の長い取り組みを県民運動として実践していきますことで、本県の観光を将来にわたって持続的に発展させていきたいと考えています。 次に、図書館の整備に関しまして、ことし1月22日の県と市のトップ会談で高知市長にどのような申し出をしたのか、また県としては県、市の合同図書館構想の実現を目指しているのかとのお尋ねがありました。県立図書館は狭隘化が深刻ですので、このままでは図書館としての機能そのものが失われかねない状況です。また、高知市でも市民図書館が改築の時期を迎えています。あわせて、県も市もともに厳しい財政状況ですので、県と市が何らかの形で手を携えた図書館づくりができないだろうかと私から投げかけました結果、実務者レベルでの協議を高知市長に了解していただきました。 これを受けて、現在進めています実務者レベルの協議では、県と市それぞれの図書館が抱えています課題の整理や業務の洗い出しとあわせて市民図書館の分館や分室の見学を行いますなど、相互理解に努めています。現時点では協議が十分には詰まっていませんので、県と市の図書館が一緒になるかどうかを判断できる段階ではありませんが、私からは一緒になるために乗り越えなければならない課題とその解決方法を積極的に検討するように指示をしています。 続いて、CO2 ±0宣言についてお尋ねがありました。本県では、これまで全国に先駆けて森林環境税を導入しますなど、地球温暖化対策につながる本県独自のさまざまな取り組みをしてきました。さらに、この6月議会では、温暖化対策をさらに推し進めますため、京都議定書の内容を遵守する県を目指すとの所信を表明しました。御提案のありましたCO2 ±0宣言も、地球温暖化問題の深刻さを多くの方々に認識していただくきっかけになりますので、その考え方には基本的に賛成です。 しかし、現実に目を向けてみますと、環境省のガイドラインに基づいた試算で、2010年の時点での県内の二酸化炭素の排出量は年間900万トンを超えると推計されています。これに対して、現在進めています森林整備が順調に進みましても、それによる二酸化炭素の吸収量は100トン(注)程度ですので、排出量との間には大きな乖離があります。このため、CO2 ±0の実現には数十年にわたる長期の取り組みか、さもなければ画期的な技術革新が必要になります。そこで、まずは京都議定書の内容を遵守する県を目指すという目標に向けまして、年度内に新たな二酸化炭素の削減目標を定めまして一歩ずつ着実に対策を進めていきたいと考えています。 (注)119ページに訂正発言有り 失礼いたしました。最後の御質問に対するCO2 ±0宣言のところで、森林整備に基づく二酸化炭素の吸収量を100トンと申し上げたかもしれませんが、100万トン程度でございます。訂正させていただきます。 私からは以上です。   (総務部長中澤卓史君登壇) ◎総務部長(中澤卓史君) 黒岩議員の御質問にお答えをします。 最初に、遊休財産の処分についてお尋ねがありました。これまでの実績は、平成16年度からの3年間で35の物件、およそ61億円となっております。本年度からの3年間の新たな処分計画では41の物件、台帳価格でおよそ13億8,000万円分の売却を予定しておりますし、今後の財政運営の見通しにはそのほかに総合看護専門学校の跡地の売却も見込んでいます。売却の促進を図るため、最低売却額の公表など入札制度を見直すとともに、住宅情報誌の利用やホームページの充実などに取り組んでまいります。また、今後見込まれます財源不足に対応するために、さらなる財産処分も選択肢として視野に入れています。具体的には、遊休財産だけでなく利用率が低い職員住宅などについても必要に応じてその処分の可能性について検討したいと考えていますし、既存の流通団地や工業団地の売却も進めていくことで財源を確保していきたいと考えています。 次に、平成18年度の決算で県債の利子が幾らになっているかとのお尋ねがございました。平成18年度の普通会計の決算では、地方債の償還などに係る公債費は838億円余りですが、そのうち利子分はおよそ155億円になっています。 次に、指定管理者制度に関する一連の御質問にお答えします。まず、制度の導入が見送られている施設についてどのような検討がされているのかとのお尋ねがございました。現在、指定管理者を導入していない公の施設は90施設あります。そのうち63施設が県営住宅でして、これらについては現在住宅供給公社がいわゆる管理代行制度によりその管理を行っておりますが、住宅供給公社の廃止時には指定管理者制度に移行する方針です。また、流域下水道処理施設は委託の方式も可能とされており、現在の委託方式を継続しながら、性能発注を前提として包括委託とするか指定管理者制度を導入するかの検討を行っています。 残る26施設が直営の施設ですが、それらの大半は民間移管や廃止を予定している施設、また県立病院、試験研究機関、職業訓練学校など指定管理者制度になじまないと考えられる施設及び無料開放型の公園で、指定管理者制度に移行するメリットがないと考えられるものです。ただ、一部には指定管理者制度になじむのではないかと思われる文教施設や観光施設もありまして、これらについては所管部などと連携しながら引き続き制度の導入の可否について検討していきたいと考えています。 次に、住民サービスの向上や経費の節減についてお尋ねがありました。指定管理者に関する評価は、各所管部において本年3月に策定しました「指定管理者による適正な管理運営の確保に関する基本方針」に基づき、それぞれの施設から事業報告書の提出を受けて行っており、これらの評価結果は順次県のホームページに掲載しています。評価の結果を見ますと、住民サービスの面では、施設の休館日の廃止や縮小、利用時間の延長など利用機会の拡大といった目に見える点を初め、ボランティアや地域とのネットワークの拡大、広報活動の充実といった工夫も見られます。また、経費の節減効果は、昨年度に各施設の所管課で整理した削減効果を集約しますと2億8,000万円弱の効果となっており、制度導入の効果は上がっているものと考えています。 次に、指定管理者の評価に関して、担当者による評価の違いが生じるおそれとアンケート調査結果の活用についてお尋ねがありました。指定管理者の評価は施設を所管する部が施設の状況に応じて主体的に行うことにしていますが、その際には標準的な項目や様式を定めて対応しています。評価基準についても、それぞれの施設でばらばらにならないよう仕様書等に示された業務内容が確実に行われているかどうかを目安として4段階評価に統一していますので、客観的な評価は確保できるのではないかと考えています。ただ、施設の状況はさまざまであり指定管理者に求められる内容や水準も異なっていますので、評価基準を参考としながらも施設の所管部において施設の状況に応じた適切な判断をすることが必要であると考えています。 また、指定管理者による施設の適切な管理を確保するためには、利用者や県民の皆様の意見を反映することは大切なことです。そのため、平成18年7月に策定した指定管理者制度の運用指針では、利用者へのアンケート調査やホームページ上での意見募集などを行い利用者ニーズの把握に努めることにしており、また評価に関する基本方針では、指定管理者の評価の際はこれらの情報を活用することにしています。その中でも、利用者の声を直接知ることのできるアンケート調査は有効な手法ですので、これらの取り組みがより進みますよう施設の所管部への投げかけを行ってまいります。 次に、評価に対するチェックや全庁的な調整など制度の有効活用に関するお尋ねがありました。今後、指定管理者制度を有効に活用していくためには、指定管理者の業務のチェックや評価、これに基づく指導が重要と考えています。そのため、総務部として評価に関する基本方針を策定するなど全庁的な調整を行ってきました。指定管理者制度は創設から日も浅い状況にありますので、今後とも所管部局との協議を行いながら改善に努め制度のよりよい活用に取り組んでまいります。 次に、有識者などから意見を聞くことが望ましいと認められる場合についてお尋ねがございました。評価に関する基本方針においては、専門性や特殊性などの観点から必要が認められる場合は外部の有識者などで構成する委員会を設置することにしております。具体的には、美術館や歴史民俗資料館、文学館などといった文教施設や牧野植物園などで、外部委員で構成する評価委員会を設置して評価を行っています。これらのほかにも、施設の専門性などの観点から外部委員による評価を取り入れたらどうかと考えられる施設もございますので、所管部と協議をしていきたいと考えています。 最後に、第三者による客観的な点検評価についてお尋ねがありました。盛岡市の事例は第三者評価を実施する団体を公募するなどの取り組みであると承知をしていますが、指定管理者の行う事業に関する最終の評価とその責任は施設の設置目的や状況などを把握している所管の部にあるものと考えます。一方、アンケート結果の活用に関するお尋ねにもお答えしましたように、指定管理者の評価に当たっては利用者や県民の皆様の意見を反映することは重要なことであり、また施設の管理に専門知識などが求められる場合もございますので、状況に応じて外部の意見を聞く仕組みを取り入れることは積極的に検討していくべきと考えています。 私からは以上でございます。   (観光部長浜口収君登壇) ◎観光部長(浜口収君) おもてなしに対するこれまでの取り組みとおもてなし県民会議において策定されるアクションプランの内容についてお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えいたします。 おもてなし日本一を目指した取り組みといたしましては、本年度新たにおもてなし課を設置いたしまして、観光客の皆様に高知を訪れてよかった、また機会をつくって再度訪れてみたいと思っていただける環境づくりを進めるため、アンケート調査による観光地の美化や観光案内標識などに対する観光客の皆様の満足度指数を2年後には80%以上とする目標の設定を行い、達成に向けて取り組んでおります。本年度のこれまでの取り組みといたしましては、ゴールデンウイークやよさこい祭りなど観光シーズン時の臨時観光案内所の設置や、花・人・土佐であい博の開催に向けた県下4ブロックでの観光ガイド養成のための研修会の実施、国土交通省四国地方整備局などが主催する四国地域の一斉美化活動に市町村の観光所管課や観光施設の方々とともに参画をしたこと、さらにはアンケート調査で観光客の皆様からの評価の低い観光案内標識の整備などに精力的に取り組んできました。 また、観光客の皆様の満足度を向上させるためのおもてなしアクションプランの策定とあわせて、プランを実行する組織として8月28日に観光関係業界や国、市町村、一般県民の方々にも参画いただき、高知県おもてなし県民会議を立ち上げました。これから年度末に向けて開催します県民会議では、接客サービスの向上をテーマにした接客部会、県民参加によるおもてなしの取り組みをテーマにした県民運動部会、観光客に対する観光案内や観光情報の提供をテーマにした観光部会の3つの部会に分かれて委員の方々に議論していただくことにしております。会議では、本県の観光客の受け入れ態勢の現状や他県での先進的な取り組みの情報も紹介しながら、それぞれの部会で議論をいただき何をだれがいつまでにやるのかといった具体的な取り組みを決定していただいて、おもてなしアクションプランに反映させたいと考えております。 以上でございます。   (文化環境部長長瀬順一君登壇)
    文化環境部長(長瀬順一君) 京都議定書を遵守していくためのロードマップについてお尋ねがございました。 本県では、平成16年に高知県地球温暖化対策地域推進計画を策定し、県全体の温室効果ガスの削減目標を定めましたが、その時点では国から削減目標の基礎となる二酸化炭素の排出量の算定方法が示されていませんでしたので、県が独自の方法で排出量を推計いたしました。この3月に改定されました国の地球温暖化対策地域推進計画策定ガイドラインの中で新たに数値の算定方法が示されましたので、それに基づき現在数値を全面的に見直しております。また、京都議定書の内容を遵守する県を目指して新たな目標を設定し、業務部門や家庭部門といった部門ごとに期限を定めて具体的な削減目標の数値を設ける予定でございます。年度内には、この数値目標とともに今後の新たな取り組み方針をお示しすることができると思いますので、これに沿って市町村や地域の企業などとともに温暖化対策に積極的に取り組んでまいります。 以上でございます。   (教育長大崎博澄君登壇) ◎教育長(大崎博澄君) 教育問題に関する一連の御質問のうち、まず不登校対策に関しまして教育支援センターの実践研究の活用と不登校問題に対応する人材育成システムの構築についてのお尋ねがございました。 胸を打たれるお手紙を御紹介いただきました。月曜日の朝、学校へ行きたくないというお子様の姿を見たときの、不登校を経験されたお母さんの不安や心配のお気持ちは、不登校で苦しんだ子を持つ親として、特にどこからも支援の手を差し伸べていただけなかった親子として痛いほど伝わってまいります。私は教育長に就任以来、格別の思いを持って不登校対策に取り組んでまいりました。学校における弱い立場にある子供たちへの心のこもった支援や教職員の意識の醸成のための取り組みには特に力を入れてまいりました。また、教育相談や子供たちの心の居場所としての役割を果たす心の教育センターの活動の支援、スクールカウンセラーや心の教育アドバイザーの配置、市町村に設置されている教育支援センターへの支援などに取り組みました。 その結果としまして、長い期間学校を休んでいる児童生徒に家庭訪問などによる支援など、さまざまな形で教職員がかかわっている割合は全国で高知県が最も高いというデータもございますし、不登校生への気づきが数日間おくれたという理由でみずからの処分を申し出てきた県立学校長もおります。不登校問題に対する学校の意識は確実に向上しており、現在は不登校についての意識や対策が全国に比べて大きくおくれているとは思っていません。ただ、このようにさまざまな手を打ってきたにもかかわらず、改善の見通しを持ち得ないことには強く責任を感じています。 教育支援センターは、国の委託事業や県の助成、市町村の単独予算で運営をされており、現在の財政事情のもとでは飛躍的な機能の充実や常勤の教職員の配置は大変厳しい状況にあると言わざるを得ません。しかし、議員の御指摘のとおり、不登校の子供たちに対応する専門性の高い教職員の育成は重要な課題であり、人材育成システムの構築についての御提案は貴重な御意見として受けとめ研究させていただきたいと思います。 次に、高校生を対象とした教育支援センターの設置及びそこでの学習内容を単位認定する制度についてのお尋ねがございました。高校生の不登校は、小中学校の不登校とは別の意味で大変深刻な問題であると考えています。高等学校における教員の不登校問題に対する意識は、従前は義務教育に比べてやや低いのではないかと考えていましたが、子供たちが主人公をスローガンに掲げました土佐の教育改革を通じて、学校によって温度差はまだありますが、全体としては大きく高まってきていると感じています。 また、学習の場としましては、中央地域のほかに西部、東部地域にも単位制の拠点校をつくり、中学時代に不登校であった生徒やさまざまな事情により中途退学をした高校生の再チャレンジの場をつくっています。スクールカウンセラーあるいは心の教育アドバイザーを県立高等学校24校に配置し、校内での教育相談体制の整備も進めております。心の教育センターでは教育相談や心の居場所づくりに取り組んでおり、来所相談に占める高校生の割合は34%で、教育相談や居場所づくりの面では心の教育センターが高校生対象の教育支援センターの機能を果たしていると言えるとも思います。 御提案のありました高校生を対象とした教育支援センターのような場での学習内容の単位認定につきましては、高等学校では学習指導要領により各学校で定めている教育課程に基づき、授業に出席して学習することがそれぞれの教科、科目の単位認定の要件となっておりますので、現行制度のもとでは困難だと思います。ただ、単位認定について正面突破をすることは困難ですが、高等学校卒業程度認定試験の合格科目やボランティア活動、就業体験など学校外での学習を単位として認定することや通信制との併修など、教育課程の弾力的な運用が次第にできるようになってきており、現在県内でもこういった単位を認定する動きが広まりつつありますので、こうした方法も含め当事者の立場に立った支援を推し進めていきたいと思います。 こうしたこれまでの取り組み、単位認定など制度面でのハードルを考えますと、御提案の高校生を対象とした教育支援センターの設置につきましては今直ちに具体化することは難しいと考えますが、高等学校に約200名の不登校生徒がいるという現状を重く受けとめ、今後もさまざまな視点から不登校生への支援に取り組んでいきたいと考えております。 次に、不登校の生徒や引きこもり青年などの総合支援センターの設置についてお尋ねがありました。本県では、高知県社会福祉協議会と協働でこうち若者サポートステーションを設置しまして、おおむね15歳から34歳までのニートや引きこもりの若者の支援に取り組んでいます。御指摘いただきました居場所機能につきましては、ふくし交流プラザ内にあります調理室や図書室、運動施設も十分に活用していきますとともに、心の教育センターが実施する体験活動プログラムへの参加やふれんどるーむ・CoCoに通っている子供たちと交流するなど、今後もより一層、引きこもりがちであった青少年にさまざまな体験活動を提供できる環境の充実に取り組んでいきたいと考えています。 また、不登校等で引きこもりがちとなり教育機関の支援が届かなくなった青少年に対して社会的自立に向けての具体的な支援を行うためには、学校現場や教育行政のみにとどまらず、福祉や労働などの関係機関との連携が欠かせないと考えます。このようなことから、当面はサポートステーションを協働で運営している県社協が持つ福祉のネットワークを最大限に活用して、各地域に出向いて行う相談会や家庭訪問の実施、また就労支援に向けたジョブカフェやハローワークと連携した取り組みなど、教育、福祉・医療、労働の関係機関や民間団体の持つ専門性や機能性を生かして実効性のある支援の仕組みをつくり、実質的な総合支援センターの役割を果たすソフト面の充実に取り組んでまいりたいと考えています。 次に、東部と西部の両教育事務所の支援機能の充実についてのお尋ねがありました。東部と西部の両教育事務所にも心の教育センターのような支援機能の充実をとの御提案は、私にも望ましいことと思えます。ただ、不登校への対応のすべてを県教育委員会で引き受けることは県の現在の体力からいっても困難ですし、不登校問題に対応する体制づくりの点でもベストだとは言えないと思います。不登校問題への対応は、家庭訪問にしましても教育相談にしましても一つ一つのケースにきめ細かく対処していく必要があり、また学校・家庭・地域、市町村や関係機関が持つそれぞれの機能や役割を発揮し、連携して取り組むことで実効が上がるものと思います。 こうしたことから、今後の方向性としましては、市町村教育委員会の広域化による教育委員会機能の強化や専門性の充実、また心の教育センターと市町村とのネットワークのさらなる強化などを進めて、幅広い力を結集して不登校問題に取り組んでまいりたいと考えています。 次に、特別支援教育支援員の本県の実態についてお尋ねがありました。本県における特別支援教育支援員は、現在、県内35市町村2学校組合のうち、16市町村1学校組合において64校に66人が既に配置されているか、あるいはこの10月から配置されるという状況でございます。このほかにも今後の配置を検討しているという市町村が12あり、人材の確保や研修の実施などといった課題がある中で、昨年までの3市町24校に24人が配置されているという状況に比べまして大幅に増加しており、地方財政措置の趣旨は一定浸透していると考えています。国は平成20年度にはこの予算措置を拡充していく予定であると聞いておりますので、今後におきましてもこの制度の積極的な活用につきまして市町村に周知徹底していきたいと思います。 以上でございます。   (商工労働部長秋元厚志君登壇) ◎商工労働部長(秋元厚志君) 産業振興と雇用対策についての御質問にお答えいたします。 まず、雇用対策本部の取り組む目標数値についてお尋ねがありました。雇用対策本部では県全体の雇用の目標値は設定していませんが、厳しい雇用情勢に対応する各部局の取り組みの中で、働く場の確保と創出に効果の大きいもの、また即効性のあるものを取り出して、その具体的な取り組みについてそれぞれの内容に応じてできる限り数値目標を設定して取り組んでいます。例えば、アウトソーシングでは今年度追加して15人役程度の業務を外に出していくことにしています。また、県有林の活用では今年度から短期の方6人を含めて3カ年で62人を、企業誘致では企業立地促進法によります平成23年度までの基本計画に基づき、フル操業時に2,000人をといった雇用の目標数値を設定しています。こうした庁内各部局での取り組みを推進することで、県内の雇用の創出や拡大を図っていきます。 次に、こうち産業振興基金の現状や見通しについてお尋ねがありました。6月議会で御承認をいただきましたこうち産業振興基金事業につきましては、関係機関との調整を終え産業振興センターで事業を開始することになりました。事業者の皆様への助成事業につきましては、産業振興センターにおきまして9月18日から10月19日の期間で公募を行っておりまして、11月初旬には申請者に対する審査を行うこととしています。現在、産業振興センターには6件の応募についての御相談が来ていますが、商工労働部でも企業への個別訪問などによりまして基金の助成事業の説明やPRを行っています。特に建設事業者の皆様には、建設業協会とも連携をしまして基金事業のお知らせの文書を送付するなど、広く事業の周知に努めています。今後も、こうした活動を行いながら企業の皆様方の積極的なチャレンジを呼びかけますとともに、事業の成果ができる限り早くあらわれますよう産業振興センターと一体となって取り組みます。 次に、改正雇用対策法について、その施行に当たっての課題や問題点についてお尋ねがありました。労働者の募集及び採用に係る年齢制限については、雇用対策法の改正によりこの10月1日から原則禁止されます。これによりまして、例えばフリーターではその年齢が高くなるにつれて正社員としての雇用機会が少なくなる傾向が見られますので、今回の法の改正によって年齢制限の禁止が義務づけられますことは、こうした方々の就業機会を確保する観点からも有益なことだと考えています。この改正を実効性のあるものにするには、求職者の年齢ではなく能力や適性に基づいた採用が行われることが必要です。そのためには、事業主の皆さんに今回の法改正の趣旨を正しく理解していただくことが課題となりますので、国などと連携して周知に取り組んでいかなければならないと考えています。あわせまして、就職者に対しては円滑なマッチングが進むよう企業のニーズに対応した能力開発の機会の提供に努めていきます。 以上でございます。   (副知事中西穂高君登壇) ◎副知事(中西穂高君) 黒岩議員の中山間地域対策についての質問にお答えいたします。 まず、中山間地域の集落のケア対策についてのお尋ねがありました。中山間地域の集落、とりわけ山間地域の集落は、過疎化、高齢化がますます進むなど依然として厳しい状況が続いております。こうした集落への危機感から、県では本年4月に中山間地域で暮らす高齢者の方々などの生活を支援していくために地域生活支援チームを設置しました。現在このチームでは、食料品や日用生活用品を地域の中で購入できる仕組みや、通院や買い物のための移動手段を確保する仕組みなどを幅広く検討し、可能性のあるさまざまな仕組みのメニューづくりを行うことにしています。そうしたメニューをできるだけ多く用意し、各市町村などにお示しして、それぞれの地域にとって一番ふさわしいものを選んでいただいた上、県もその具体化に向けできるだけお手伝いをしていくことにしています。 また、中山間地域の高齢者の皆様にとっては、健康や生きがいづくり、あるいは保健・福祉のサービスなども重要です。そのため県では、健康づくりや介護予防の体制整備、サービスの充実などに向けて市町村への支援を行っています。あわせて、これまで培ってきた人と人とのつながりを大切にし、それを生かした支え合い活動を進めるため、地域支え合い推進チームや福祉保健所の地域支援室が市町村と連携して支援を行っています。こうしたきめ細かな支援の取り組みが、少子高齢化、過疎化の進む中山間地域にとっては今後とも重要になってくると考えております。 次に、中山間地域の1次産業の振興とビジネスの育成についてのお尋ねがございました。中山間地域にお住まいの皆さんが一番望まれている、それぞれ生まれ育った地域で生活をし子供を産み育てていくことを実現するためには、その地域で一定の所得を確保することがどうしても必要です。中山間地域対策を考えていくためには、先ほど御説明しました生活面や福祉の分野での支援にあわせて、地域に根差した産業の振興や新たな産業の仕組みづくりをどう進めていくかということが課題になっています。中山間総合対策本部では、関係する部局が連携しながら新たな視点での産業振興に向けて取り組んでいくことにしています。 地域に根差した1次産業の再生に向けた取り組みといたしましては、まず農業分野の例を挙げますと、ショウガやニラといった地域特性に応じた有望品目等の産地化を図る進化した集落営農政策を進めることで農業所得の向上を目指します。このため、今後県内に集落営農モデル集落を10カ所程度選定しまして成功事例をつくり上げていきたいと考えています。次に、林業の分野では、国産材の木材需要の拡大に対応するため、新生産システムを推進する中で森の工場など拠点となって安定的に木材が供給できる体制づくりに取り組みます。また、新たな取り組みとして、県有林をフィールドとして提供することで雇用を創出する仕組みづくりにも着手しました。水産業の分野では、漁業者グループなどによる地域の振興や水産物のブランド化を支援していますほか、漁業者の所得の向上を目指した新たな流通・販売事業などを行おうとする県1漁協の取り組みを支援しています。 また、こうした1次産業の関係以外にも、中山間地域ではグリーンツーリズムや特産品づくり、さらにはテレワークを活用したアウトソーシングの受け皿といった集落や地域の皆様などによる新たなビジネスの芽が育ち始めています。このような取り組みをより広範なエリアに拡大することによって、雇用の創出や所得の向上につながるビジネスとして育てていきたいと考えています。また、そういった取り組みを発展させ、将来的には耕作地管理あるいは福祉関係といったほかの分野も含めた地域を総合的に支えていく中核となる組織づくりができないかといったことも検討していきたいと考えています。 さきにお答えしましたきめ細かな対策と今申し上げました所得につながる新たな視点での産業振興の両面で、県としても総合的に地域支援ができるよう努めてまいります。 私からは以上でございます。 ◆27番(黒岩正好君) それぞれ御答弁をありがとうございました。 まず、知事にお伺いをしたいと思います。この4月1日から向こう2年間、高知工科大学の理事長ということで再任をされておりますが、知事をやめられた後も平成21年3月31日まで理事長職を続けられるお気持ちなのか、それをまずお伺いしたいと思います。 それから、元幹部の退職金返還の処分決定のことなんですけれども、これはいつどういうメンバーでこの決定をされたのか、まずお聞きしたいと思います。 それと、これは総務部長がえいかもわかりませんが、2人に返還請求をして以降その返還に対する状況はどうか、総務部長にお伺いしたいと思います。 それで今、民事訴訟が審理中であるわけですが、市民オンブズマンからの訴訟が行われているわけですけれども、それぞれ恐らくしばらく時間もかかるでしょうし、知事がやめられた後でその結果が出るかと思うんです。もし、民事訴訟で県側が勝訴した場合、刑事と民事とでは違う判決が出る場合もあるというようなことも言われておりますので、もし刑事の方と逆転の、民事訴訟で勝訴した場合、今恐らく資金回収困難とされている25億円、この25億円について知事はどういう責任を持たれるのか、そのあたりの見解をお伺いしたいと思います。 それから、県の財政は破綻をしない、危機的状況でないということで答弁もされておるわけです。確かに、それぞれやりくりをして取り組んでいくということのようでございますが、知事は一方で借金の負担の割合の大きい今後四、五年が正念場だと、こういう言い方もされておるわけです。ですので、大変やりくりをしながら厳しい状況の中で取り組んでいる現状から考えたら、知事も言われているように四、五年待って借金状況がもう少し楽になる時点であらゆる大きな事業を考えてもいいんじゃないかなと、こういう思いもするんですが、そのあたりの見解をお伺いしたいと思います。 それから、総務部長、先ほど県債残高が838億円と言いましたが、平成18年度普通会計の決算見込みでお示しされているのは7,889億円の県債残高ということになっているんです。この年利子はどれぐらいか、お示しをいただきたいと思います。 それと、図書館の件ですが、知事にお伺いします。高知市長は追手前小学校の敷地内につくりたいというようなことを言われているんですけれども、もし今後検討がされていって県、市合同の図書館をつくるというような方向になった場合に、知事も場所については高知市長と同じように追手前小学校の敷地内がベターと考えていらっしゃるのかどうか、それをお伺いしたいと思います。 それから、図書館の件で教育長に伺いたいんですが、県立図書館として基本的なコンセプトがあると思います。そういう意味で、例えば郡部の図書館との互換性の問題とか、本来県立図書館の果たす役割とかというのがあろうかと思います。そのあたりを考えたときに、基本的に例えば県、市合同の図書館でいいのかどうか、教育委員会としての基本的な考え方、スタンスというものはどうなのか、そこの見解をまず伺っておきたいと思います。 それから、商工労働部長ですが、私は2月議会の予算委員会で知事に19年度予算の中で雇用の目標を示すようにということで、知事からはそういう気持ちでやっていくけれども具体的な目標はなかなか難しいという答弁がありましたし、あえてきょうもそういうことを引用して言わしていただきました。しかし先ほどは、それぞれ何名目標をとってやっていますという答弁もあったわけです。であれば、2月議会の予算委員会で知事からはこういうふうに大変数値を出すのは難しいというふうに答弁があったけれども、努力をしてこういう分野についてはこういう目標数値でやっていますと、こういう分野についてまだまだ厳しいということをもうちょっと丁寧に答弁していただかないと、努力されていることはわかるんですけれど、予算委員会での答弁と全然かみ合わないわけです。そのあたりも含めて、きちっとした答弁を願いたいと思いますので、あわせてお願いしたいと思います。 以上、2問を終わります。 ◎知事(橋本大二郎君) 黒岩議員の再質問にお答えをいたします。 まず、高知工科大学の理事長の件でございますが、工科大学そのものが、私が最初に知事選に出馬をする際に公約の一つとして掲げた事業でございますので、自分としても思い入れを持っておりますし、そういう思い入れを持って理事長として仕事をしてまいりました。また、知事を退いた後も高知のためにお役に立ちたいということを申し上げておりますが、そのことは工科大学への思いということも含んででございます。ただ、理事長職を引き続き続けていくかどうかということは、これは理事会で決めていただかなければいけないことですので、私がどうこうできるというものではございません。また、前回の理事会でもそのようなことを私の方から理事会の方に投げかけてございます。 次に、モード・アバンセ事件に関しまして、元職員に対する退職金の返還をいつどんな形で決定したのかということでございますが、これは大きく何か協議の場を開いて、私が入って議論をして決めたというものではございません。先ほども申し上げましたように、地方公務員法の欠格事項に基づいた条例の条文解釈として決定をしていることでございますので、その意味では事務的な手続として決定をしたということになります。 3つ目は、モード・アバンセの事件に関して、民事裁判で県側が勝訴した場合どう責任をとるのかというお話でございました。責任ということには広くさまざまな意味がございますが、昨日以来お答えをしておりますように、既にとるべき責任は私は果たしていると思います。民事のことにつきましては、お話にございました住民訴訟の結果を待たなければいけませんので、今の時点でそれがどうなったときというような仮定の御質問にはお答えのしようがございません。 次に、財政が厳しい中、四、五年待って見通しがついてから大きな事業に取りかかってはどうかという御質問がございました。今、県が進めております財政構造改革につきましても、財政構造改革というものが本来、手段なのに目的化しているのではないかという御批判がございます。このさまざまな大きな事業をどう進めていくかということを考えるときにも、財政の収支の均衡を保っていくということは、まさにそういう事業を運営していくための手段であってそれ自体が目的ではございません。にもかかわらず、事業の優先性、県民にとっての必要性ということを議論がなされないまま財政の問題だけでさまざまな議論が進むことは、まさに財政構造改革というものが手段ではなくて目的になってしまうことになろうと思います。私は、高知女子大の問題も含めて、今県民にとって必要かどうかということを十分議論して進めていかれるべきだと思いますし、そのときに財政上の見通しは十分に対応が可能であるということを繰り返し申し上げております。 次に、図書館の問題について、追手前小学校の跡地を、合同の図書館ができると仮定をした場合に、その土地としてベターだと判断をするのかというお話がございました。まだ県、市が合同で図書館ができるかどうかということも全くわかりません。また、県立図書館の今後がどういう形で改善をするのか、整備をするのかということも全く決まっておりませんので、今の段階で何とも決定的なことを申し上げるわけにはいきませんけれども、追手前小学校が統合されるということを前提にいたしましたときには、その跡地というものも選択肢の一つではあると考えています。 私からは以上でございます。 ◎総務部長(中澤卓史君) 黒岩議員の再質問にお答えいたします。 モード・アバンセの判決の確定に伴いまして、2人の退職金の返還状況ということでございましたけれども、元副知事からは既に全額返納されております。元部長は既に家族等のために消費をしておりまして、一度に返納が困難ですので分納をしたいという申し出があっておりまして、現在協議中でございます。 それからもう一点、県債の利子でございますが、私は先ほど平成18年度の公債費が838億円余りで、そのうちに利子が占めますのが155億円と申し上げました。つまり、公債費というのは議員御指摘のように、約7,800億円余りの県債残高に係る18年度の元金分と利子分と公債費の事務取扱手数料、これが公債費でございます。これが838億円、そのうちで利子分が155億円ということでございますので、今言われました7,800億円余りの県債残高に占めます利子分が155億円ということでございます。 以上でございます。 ◎教育長(大崎博澄君) 再質問にお答えいたします。 県立図書館の機能として、市町村立図書館の支援など県下全体の読書活動の支援というのは非常に重要な機能ですので、これはどういう形になろうとも堅持しなければならないというふうに思っております。その上で、現在単独で建設をするという見通しが全く立たない状況の中でございますので、合同の図書館の建設も選択肢の一つというふうに考えております。 ◎商工労働部長(秋元厚志君) お答えいたします。 2月議会の予算委員会につきましては、大変厳しい雇用状況の中で県全体で何名の雇用を増していくかという目標数値を設定して取り組むべきではないかという御質問でございました。それに対しまして、知事からはきちっと数字を積み上げての目標をお示しするのは難しいというお答えをさしていただいております。先ほど私が答弁さしていただきましたのは、今年度新たに雇用対策本部を立ち上げる中で、それぞれの部局に共通する全庁のミッションとして雇用の創出を各部局のそれぞれ取り組みの中で抜き出して、そこに一定の数値目標を掲げた取り組みをしていこうということで今現在取り組んでおりまして、その中には目標数値をきちっと設定ができないような事項もございますけれども、設定ができるものについて幾つか例として示したものでございます。これをもって、県全体の雇用の目標を示したということではございませんので、御理解をいただきたいというふうに思います。 ◆27番(黒岩正好君) 私どもとしては、今回提案されている女子大の予算等についても、基本ベースとして医療センターとの連携による医療、介護、福祉等については取り組んでいかないかん重要な問題であるということはよく認識をしております。しかしながら、先ほど申しましたとおり、やはり今県財政が逼迫をし大変危機的な状況の中でやりくりを本当に四苦八苦している中で、もう一度立ちどまって今の状況を考えていくならば、知事も総務部長も言われているように四、五年が大きな山だという状況であるならば、一つ一つやはりもう一回、時期的な問題等々も含めて見直すべきじゃないかという指摘を最後はさしていただいて、質問を終わりたいと思います。(拍手) ○副議長(中西哲君) 暫時休憩いたします。   午後2時52分休憩---------------------------------------   午後3時15分再開 ○議長(山本広明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 3番武石利彦君。   (3番武石利彦君登壇) ◆3番(武石利彦君) お許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。 知事は、本定例会冒頭の提案理由説明の中で、「この16年の間、一貫して取り組んできましたことは、職員の意識改革と県民参加による県民の目線に立った県政の実現でした」と、みずからの政治姿勢を振り返られました。また、「議会と執行部との関係や議会活動の形も大きく変わってきました」と、本会議での議員の再質問をする姿勢や議員提案条例が積極的に提出されるようになった例をひもとき、「議会と執行部との関係では、県民の皆様に御心配をかけた面もありますが、こうしてよりよい緊張感が生まれましたことは、地方自治の姿として肯定的にとらえるべきだと考えています」と述べられました。 私は、そこで知事に、職員の意識改革、県民参加、県民の目線といった点と、議会と執行部の関係について御所見をお伺いしたいと思います。執行部では、高知県政への県民参加の促進に関する条例、仮称でありますが、これを策定中であります。これが、これまで知事が取り組んできた政治姿勢の取りまとめなのだろうかと思ったりもいたします。素案では、県民参加の方法として公聴会やワークショップ、公募した委員を含む審議会などが想定されています。県が、県民に対し情報公開や説明責任を果たし、誠意を持って向き合う姿勢を持つことや、県職員が県民の目線に立つことは評価できますし、一方で県民が県政に積極的にかかわっていくことの重要性も理解できます。 しかし、理念と現実の間のギャップを抱えたままでこのような条例が運用されるとしたら、私は大きな懸念を抱かざるを得ません。県民にも、いろんなタイプの県民が存在するからであります。県民の声や目線を大切にする理念はよいのですが、また大局から意見を言っていただけるのであればよいのですが、大半は特定の立場や特定の視点に立っての意見が出されるのではないでしょうか。県民の意見は賛否両論、また多様な意見に分かれるものなどさまざまございます。重要なことは、それらの意見を県がどのように見きわめられるかということであります。単に数の多い少ないで判断するのでしょうか。単にさまざまな県民の声を集めるのであれば、アンケートをとることと何ら変わりはございません。 要は、意見を受けとめる側の県職員の意識とか力量とかが問われる問題だと思いますが、この点、知事に御所見をお伺いいたします。 次に、議会での議論や採決は議事録に記録されます。その意味で、議員はみずからの言動に責任を持つことになります。県民が県に対して意見を言う場合、意見に責任を持つといった意識が必要なのではないでしょうか。素案からはそこが読み取れないと思います。この点は、条例の中で明確にすべきではないかと思いますが、この点についてもお聞きをいたします。 また、パブリックコメント、ワークショップ、公聴会による県民参加は既に県で行われている手法でありますし、県民世論調査なども行っております。あえてここで、県民参加を条例化することに至った理由をお伺いいたします。 次に、知事からは職員の意識改革という言葉も随分とお聞きをしました。県民の目線に立つ意識を持てというのが、知事の意識改革ではないかと思います。しかし、私から見ると、県民の方を向かずに、知事の方を見て仕事をしている職員もふえたような気がいたしております。 知事が評価しそうな好みそうな事業を提案し積極的に進めようとすると言いかえてもよいかもしれませんが、この点どうお思いになりますでしょうか、お聞きをいたします。 また、事業としては、全国に先駆けてといったたぐいのものが多いように感じます。本定例会の知事の提案理由説明の中にも、全国に先駆けてとか全国で初めてという言葉が幾つか使われております。 知事に、全国に先駆けるということに積極的に取り組んできた御所見をお伺いいたします。また、それらの取り組みの結果をどう御認識されているのか、あわせてお聞きをいたします。 新旅費システムなどは、本県が、全国に先駆けて開発しなければならないようなシステムだったのでしょうか。汎用システムが開発された後に、それを購入するといった方法もあったのではないかと思います。このシステムに対する知事の御所見をお聞きいたします。 あわせて、このシステムが稼働した後の対象となった職員の1人当たりの平均旅費額と、システムのランニングコストを1人当たりに換算すると幾らになるのか、会計管理者にお聞きをいたします。 次に、私は、県議会は全体最適を判断すべき機関であると思っております。そうした観点から、現時点で高知女子大学移転統合の判断はすべきでないし、できないと考えております。その理由は、少子化が進む中で大学経営の見通しについて議会でも十分議論されているとは思えませんし、財政健全化法に基づく財政の見通しも十分見えてきておりません。社会科学系学部も、昨日から本日のやりとりをお聞きいたしましても不確定、決まっておりませんし、大学の全体計画もできておりません。また、県内の各大学との連携をどう図り得るのか、またそれらが大学のあり方に与える影響も全く不透明であります。 また、県が今後取り組まなくてはならない他の大型事業もたくさん控えております。先ほど、公明党の黒岩議員が指摘したとおりであります。それらの事業も含めた優先順位についても、県民を巻き込んだ議論がなされておりませんし、女子大を優先することに県民の納得が得られているとはとても思えません。県は、今後の財政計画を精査した結果、事業を進めていくための財源は十分確保できる見通しとの見解を示しております。しかし、財源不足の解消策として、33億円もの保有株式を売却したり、遊休財産処分として20億円を見込んだりしております。 保有株式の売却などは、背に腹はかえられないといった思惑が見えますし、むしろ後世に残すべきものではないのでしょうか。我々の世代で使ってしまってよいものでしょうか。疑問がありますので、知事に御所見をお聞きいたします。 また、遊休財産処分で本当に20億円が見込めるのか不透明でありますし、歳出増加も一定見通しでは見込んでいるものの、隠れ借金が表面化した場合の処理など大幅な変動要因も含まれていると見受けられます。財政見通しの中で、こうした変動する可能性のあるものを挙げていただき、それをどう見込むのか、総務部長の御所見をお伺いいたします。 次に、すべてが財政見通しどおりの推移をしたとしても、まだ130億円が不足することになっております。職員の給与カットの継続などは避けられない見通しであるとお聞きをいたしておりますが、先ほど黒岩議員が指摘したとおり、安易に給与カットの継続をすべきではないと思いますが、改めて知事に御所見をお伺いいたします。 また、何よりも深刻なのは、この収支見通しが平成20年度から4年間にわたり毎年経常的経費を15%カット、普通建設事業費を5%ずつカットするとの前提条件に基づいていることであります。また、さらに知事部局の職員を26年度までに3,000人体制にすることも前提となっております。ぞうきんを絞ってももう水も出ない、そういった財政状況の中で、さらに絞り続けますよと言っているに等しい見通しをもって、財源は十分確保できる見通しとは甚だ理解に苦しみますし、県民を愚弄するにもいいかげんにしろと言わざるを得ないと思います。 これほどの事業予算削減を前提とした見通しをよしとするのならば、橋本知事は、後のことは知らん、後は野となれ山となれと言っているに等しいと言わざるを得ません。この点について、知事にお聞きいたします。 また、職員の給与カットにしましても、女子大のためにカットするとは言わないでしょうが、回り回ればそのためにカットされる面もあるわけで、職員の士気の低下は避けられないのではないでしょうか。かつては、国宝の高野切本を7億円で購入した時期と職員の給与カットの時期が重なり、高野切本を買うために我々の給与カットはしてほしくないといった職員の声もよく耳にいたしました。職員の給与カットをしなければならないほどの厳しい状況の一方で、7億円もする国宝を購入する県の姿勢に対して、県民からも多くの疑問と批判の声が上がったことでありました。 次に、職員を3,000人体制とした場合に、県民サービスが著しく低下するのではないかといったことが懸念されます。現在でも、組織の統廃合に伴い人員配置を見直しておりますが、随分、県民への対応がおろそかになっているケースが見受けられます。職員削減のツケが県民に回っている実態があるわけでございます。また、個々の職員の業務がふえるなどの弊害も表面化しつつあります。財政面からのみ職員数を算定すべきではなく、まずは県民サービスを前提にした県庁のコアになる部分を明確にした上で、必要な職員数を張りつけるべきであり、いきなり総定数ありきでは余りにも乱暴だと言わざるを得ません。努力目標として挙げるのならまだしも、財政の収支見通しの前提にするのはもはや無謀としか言いようがありません。 知事に御所見をお伺いいたします。 以上のことから、百歩譲っても、財源に見通しが立ったとの説明は、今後見込まれている大型事業の中で女子大が最優先される理由の説明にはなっておらず、単に早い者順、早い者勝ちと言っているにすぎません。看護学部などを平成21年4月に開学しようとする余り、巨額の県費を投入する女子大の移転統合を拙速に進めようとする県の姿勢には首をかしげざるを得ません。看護師不足は解消しなくてはならない課題でありますが、女子大の学部を開設すればすべてが解決するわけではないからであります。また、現計画は、既に整備されているグラウンドや調整池をつぶしてそこに校舎を建て、さらにずらせる形で新たにグラウンドや調整池を建設するという計画であります。これを、先が見えていないと言わずして何と言うのでありましょうか。この財政の厳しい中で、このような場当たり的なむだ遣いを県議会が了承すれば、県民から大きな批判が出ることは火を見るよりも明らかであります。 また、6月定例会において執行部から提出された議案が認められなかったとして、若干の経費を削減した形でこの9月定例会に提出してきたこと自体、6月時点での県の見積もりが甘かったということが証明されたと言えましょう。議会からの指摘で予算を削ってまたすぐ提出してくる、バナナのたたき売りのような執行部の姿勢に対し、私はあきれて物が言えません。県民にとっての全体最適を希求すべきであるにもかかわらず、執行部の姿勢は木を見て森を見ずと言わざるを得ません。6月定例会以降の執行部からの説明を聞いても、後づけの理屈にしか聞こえず、全く私の腹には入ってこないのであります。高知市の中心市街地の活性化に向けての取り組みとの整合性を図る必要があるにもかかわらず、具体的な検証もまだ十分されておりません。ここは、一度立ちどまって、計画に対する県民の意見に耳を傾けるべきではないでしょうか。 冒頭申しましたように、県政は県民の意見に耳を傾けるといったことを進めておるわけですので、ぜひそういうふうな取り組みをするべきではないかと思いますが、この私の指摘に対しての知事の御所見をお伺いいたします。 次に、教員の免許更新制度についてお聞きをいたします。教育3法が改正されました。制度の導入は平成21年度とされておりますが、制度上の問題をどのようにとらえ、条件整備に今後どのように取り組まれるのか、教育長に御所見をお伺いいたします。 あわせて、制度の具体的な内容は伝えられておりませんが、省令が示されるまでは動けないといったことになるとすれば、現場の教員が混乱するのではないかと思います。前もって、新しい制度を実践する学校や地方の教育委員会が混乱を招かないような配慮が必要であると考えますが、この点についての御所見をお伺いいたします。 次に、講習の開設者については、原則は教職課程の認定大学を含め、広く大学一般になるようでありますが、高知県内で講習の開設者になり得るのはどこだと想定されるのか、お聞きいたします。 また、県内で対象となる教員の人員と、年間に講習を受けなければならない教職員がどのぐらいになると想定されるのか、お聞きをいたします。 あわせて、県内の大学で対応が可能なのかどうか、また東西に長い我が県で、中央部に集中する大学に通うのは郡部の教員にとって負担が大きいのではないでしょうか。ましてや、県外の大学に講習に行こうものならなおさらであります。現段階での見通しをお聞きいたします。 また、国は更新制とあわせて、指導が不適正な教員に対する人事管理を徹底する方向性を示しておりますが、更新制に潜在的な不適格教員が浮かび上がってくるような効果を期待するとの意見も出されたようであります。このことについての教育長の御所見をお伺いいたします。 次に、学校に対する保護者からの理不尽な要求への対応、いわゆるモンスターペアレント対策についてお聞きをいたします。本年7月2日の官庁速報に、京都市教育委員会が、保護者の理不尽な要求に対応すべく、学校に弁護士や警察OB、医師から成る学校問題解決支援チームを設置するとの記事が載っておりました。また同月、政府の副大臣会議において、教育再生に関する各省庁の施策を提言にまとめられた中に、執拗なクレームなどで学校運営に支障を来す問題保護者、いわゆるモンスターペアレント対策として外部の弁護士を活用することが盛り込まれております。保護者の非常識なクレームといたしましては、「写真の中央に自分の子供が写っていない」、「休んだ1週間分の給食費を返してほしい」、「給食が必要だと言った覚えはないので給食費は払わない」、「登下校時に友達とトラブルになるので学校が送り迎えをしてほしい」、「クラスに気に入らない子がいる、その子を別のクラスにかえてほしい」、「参観日に授業を録音した親が、先生の授業はここがよくないと指摘」などの例があるようであります。 本県においても、教職員の負担感の要因の一つに保護者対応が挙げられることが意識調査などでも明らかにされており、その対応が深夜に及ぶケースもあるとお聞きをいたします。本県における実態はいかがでしょうか、教育長にお聞きをいたします。 また、このようなクレームに対して、組織的な対応がなされるよう県教委として何か手だてを講じているのか、あわせてお聞きをいたします。 次に、株式会社ソニアについてお聞きをいたします。9月14日の高知新聞朝刊に、仁淀川町議会のやりとりが掲載をされておりました。その中に、気になる点がありましたのでお聞きをいたします。株式会社ソニアの経営状況についてのやりとりであります。記事によると、株式会社ソニアは、平成18年6月1日から19年5月31日までの第14期決算で純損失が1億1,400万円余り、当期末の現金と預金残高は約7,700万円減の1億1,500万円であると藤崎町長が答弁されております。実に危機的な経営状況に陥っていると言えましょう。同社は佐川町、越知町、旧吾川村、旧仁淀村、旧池川町などが出資をし平成5年に設立をされましたが、同社に対し国、県は平成8年から機械設備に補助金を出しております。特に、18年度に同社の木材加工流通施設への補助金として9,600万円余りが目を引くところであります。ちなみに、その補助額のうち県費は2,700万円余りでございます。 県は、補助金の交付先のこのような経営状況に対しどのような見解を持っているのか、また関係する町とは何らかの協議をしているのか、また直接同社への経営指導などをする考えはないのか、この点について森林部長にお伺いいたします。 また、あわせて、補助金を出すに至った経緯とその効果についてどのように把握をされておるのか、お聞きをいたします。 また、県は高知工科大学に対し、新しい林業のビジネスモデルの研究を委託してきた経過があり、そのモデルを応用したのが同社であるとの話もお聞きをいたします。現在、同社取締役として工科大学の連携センター長が経営陣に参加しているともお聞きをいたしますが、同社の経営に工科大学はどういったかかわり方をしているのか、森林部長にお聞きをいたします。 また、同社が赤字基調である原因は、このビジネスモデルがうまく機能していないのでしょうか。理論と実践にそごを来しているのではないのか、この点について森林部長の具体的な説明を求めます。 次に、知事は同社に補助金を出しているお立場から、また工科大学の理事長といった立場から、この件をどのように把握されているのか、またどういった御所見をお持ちになっているのか、お聞きをいたします。 次に、緑資源幹線林道事業についてお聞きをいたします。林道整備をめぐる官製談合事件で元理事が2人起訴された農水省管轄の独立行政法人緑資源機構が本年度限りで廃止をされることに伴いまして、同機構の主要業務である幹線林道事業を平成20年度より都道府県に移管するとの農水省からの方針が報道をされております。当事業は、全国で2,000キロメートルを整備する計画で、既に1,300キロメートルが完成をしておりますが、残りの700キロメートルを農水省の補助対象となる都道府県事業にするとの方針のようであります。 そこでお聞きをいたしますが、本県における当事業の整備計画と整備状況及び今後の見通しについて、森林部長にお伺いいたします。 最後の項目でありますが、雇用問題と土木行政についてお聞きをいたします。本県は、従来から公共事業依存度が高かったわけですが、公共事業費はピーク時の約3分の1に落ち込み、最近では、大手建設会社の経営が行き詰まるケースが相次ぐなど、県内の雇用や経済にはかり知れない影響を及ぼしております。知事はこのような県内の状況に懸念を示し、6月定例会の提案理由説明で、「県では既に国と連携した離職者への対策などに取り組んでいますが、あわせて建設業界の再編や協業化、さらには新分野への進出などへの支援のスピードを早めていきます」と表明されたところであります。国勢調査の結果から、本県の建設業の就業者数を見ましても、平成12年度の約4万7,000人が平成17年度では3万8,000人に減少しております。実に2割減であります。 特に懸念されますのは、中山間地域の雇用への影響であります。都市部と比べ雇用の場が限定されており、農業や林業に従事しながら、それらの閑散期に建設業に従事して収入を得るといったケースが多いからであります。特に、子育て世代にとって収入の減少の影響は大きく、過疎化の進行、地域の高齢化率の上昇にもつながりかねません。公共事業依存体質からまだまだ脱却し切れない本県において、事業費の減少に伴うソフトランディングを図る上で、まず重要なことは雇用を安定させることであります。そのために、建設会社の安定的な経営環境を整えることが重要だと考えます。また、建設会社が県内各所に点在することは、地震などの防災対策にも必要不可欠だと思います。厳しい財政状況のもと、公共事業費を増大させるのは到底不可能でありますが、県として建設業の安定的な経営を図る施策を施す余地は随分と多いように感じますので、少し細かくなるかもしれませんが、幾つかの項目に分けて質問をさせていただきます。 まず、入札制度についてであります。県では、価格のみではなく技術力もあわせて競争する方法として、総合評価落札方式を取り入れております。従来の入札方法では、最低制限価格に入札価格が並び、くじ引きにより落札者が決定しているケースが多く見受けられます。よって、最低制限価格を事前に公表するのではなく、適正な積算価格による応札を促すためにも、事後公表とすべきではないかと以前より指摘をしてきたところであります。総合評価落札方式による入札の中にも、最近は最低制限価格に数社が並び、くじ引きにはならないものの技術評価点の差のみで落札者が決定しているケースが見受けられます。本来、総合評価落札方式は、予定価格も最低制限価格も公表されない中で各社が自社の技術評価点数を想定し、積算価格に照らして応札金額を決定し競い合うべきでありますが、予定価格や最低制限価格が公表されていることにより最低制限価格に数社が並ぶといったことは、適正な状態とはとても言えません。過当な競争を強いているだけになっており、このような状況が続くと建設業界全体の体力がどんどん衰退していくものと思われます。 制度本来の機能を回復し、適正な積算による適正な競争を促すためにも、これらの価格の事前公表は控えるべきだと思いますが、土木部長に御所見をお伺いいたします。 また、9月22日の高知新聞朝刊に、高知市議会の総務委員会において市執行部から、最低制限価格を早ければ平成20年1月にも3%から8%の範囲で引き上げる方針が報告されたとの記事が掲載をされておりました。その理由は、最低制限価格による受注がふえる中、企業の経営体力の弱体化への懸念、下請業者へのしわ寄せにより工事品質の低下につながりかねない懸念からだそうであります。長野県、栃木県、新潟県や宇都宮市などが5%程度の引き上げをした状況も踏まえ、現場労働者の賃金などを積算した現場管理費の引き上げなどで最低制限価格を見直すとのことであります。また、品質確保の観点から、事後公表にすることを検討することや、現在は最低制限価格を設定していない測量設計などの委託業務でも20年度中に取り組む考えも示されたようであります。 県においても早急に検討すべき課題だと考えますが、いかがでしょうか、土木部長にお聞きをいたします。 次に、厳しい経営状況を少しでも緩和するために不可欠なのは、管理資料などの簡素化であります。工事品質の確保は当然図らなくてはなりませんが、一方で重要度の低いものは思い切って簡素化を図りコストの削減につなげることが大切だと思いますが、いかがでしょうか、お聞きをいたします。 次に、入札参加資格に係る施工実績の要件の緩和の提案でございます。事業量の減少とともに、県内建設会社の施工実績は当然のごとく連動して減少をしております。このような中で、施工実績の要件を細かな工種に限定したり実績の期間を限定することは、入札参加者を極めて限定することにつながり、建設業界の体力をますます弱めることになると懸念をされます。不良不適格業者を排除しなくてはならないのは当然であるにしても、善良な業者の体力まで弱めてはいけません。 したがって、これらの要件を緩和する必要があると思いますが、いかがでしょうか、土木部長にお聞きをいたします。また、この要件の運用において県内でばらつきがあるのではないか、あわせてお聞きをいたします。 次に、県では建設業者のランクづけにおいて、加点項目設定をするなどISO取得を奨励しております。ISOの取得や維持にはコストもかかりますので、この際見直してはどうかと思いますが、この点についても土木部長にお聞きをいたします。 次に、県内の建設会社は総じて赤字基調の経営に陥りつつあります。いろんな要因がありますが、やはり人件費の占めるウエートが高いようであります。特に、受注工事がない期間でも、主任技術者を雇用しておかなくてはならないことは非常に経営を圧迫しております。受注工事が減る中でますます深刻になってきております。県では、主任技術者の要件として、請負者と直接的な雇用関係にあることと、恒常的な雇用関係の確認の中で基準日以前3カ月以上の期間の雇用を求めております。安定的な雇用を図ることの重要性は言うまでもありませんが、雇用できる健全な経営体があってのことが雇用の前提になることもこれまた当然のことであります。不良不適格業者の排除や安定した雇用を図りつつも、経営体の黒字基調への転換も考慮しなくてはなりません。 そこで提案をさせていただきますが、一定金額以下の発注工事においては、この3カ月以上とする条件を緩和してみてはどうかと思いますが、いかがでしょうか、土木部長にお聞きをいたします。 最後に、協業化についてでありますが、建設業界再編に向けて協業化が進むかどうかは未知数であります。例えば、生コンクリート会社であれば、年間出荷額などの見通しがある程度つけやすいために、共同経営になじみやすいのかと思いますが、建設業の場合、請負による受注産業であるがゆえ、上位ランクの入札に参加できることが受注計画に結びつくものではありません。 見通しがきかない会社経営に、リスクを負って飛び込んでいける建設会社がどのぐらいあるのか疑問を感じます。協業化に対する土木部長の御所見について、以上述べました点についてお聞きをいたします。 また、廃業寸前の建設会社を集めてきて形だけの協業化を図り、県の協業化に対する支援策が悪用されるといったおそれもあるのではないかと思います。この点についても土木部長にお聞きをいたしまして、私の第1問を終わります。ありがとうございました。   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 武石議員の御質問にお答えをします。 まず、高知県政への県民参加の促進に関する条例についてお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをします。知事として、この16年間一貫して取り組んできましたことの一つは、開かれた県政の実現、県民参加型の県政の実現でした。県民本位の県政を進めるための基本は、県の仕事を進めるに当たって行政だけで方向性を決めていくのではなく、県民の皆様とともにその方向性を決めていくことだと思います。そのためには、県民の皆様の幅広い意見を効果的に反映していくための基本的なルールづくりが必要だと考えました。これまでにも、森林環境税の導入やこども条例づくりなどに当たって、構想の段階から県民の皆様と県の職員が一緒に検討するワークショップやパブリックコメントといった手法を取り入れてきました。こうした取り組みの積み重ねが県政の透明性を高めてきましたし、職員の意識改革を通じて県民参加の県政を進める力が育ってきたと感じています。 こうした中で、県民参加の手続を統一的に進めますためにも、また行政の都合のいいように運用することのないよう法的な拘束力を持たせますためにも、基本的な考え方や取り扱いの基準などを定めます条例化が必要だと判断しました。この条例を制定して運用を進めていきます中で、さらに職員の意識の改革や県民参加の取り組みが進んでいくと思います。また、この条例の素案では、県民の皆様の御意見をいただく際には、高知県を構成する一員としての責任ある意見を求めますために、原則として氏名及び住所等を明記することとしています。確かに、条例の規定の中では意見に責任を持つといったことを明文化してはいませんが、この条例を運用していきます中で経験も積み重ねられますし、県民の皆様の間にもみずからが県政をよりよいものにしていこうという自覚が高まると思います。そのことによって、意見を言いっ放しにはしないという姿勢も持っていただけるものと考えています。 次に、職員の意識改革といっても、職員は県民よりも私の方を見て仕事をしているのではないかとのお尋ねがありました。この御質問に対する答えは極めて簡単明瞭だと思います。といいますのも、私自身が県民の皆さんの方を向いて仕事をしている限り、職員が私の方を見ることは、そのまま県民の皆さんの方を見ることにつながるからです。ですから、私の方を見ることと県民の皆様を見ることとは、何も矛盾をすることではありません。そもそも私は、知事に就任しまして以来、県民の皆さんの目線に立った県政を実現しますため、行政経営の品質向上の取り組みなどを通じまして職員の意識改革を積極的に進めてきました。そうした意識改革は、地域支援企画員やアウトソーシング、さらには県民参加の条例づくりといった取り組みの中に生かされていると思います。また、毎年職員によります県民の皆様の視点に立った取り組みを庁内で共有します、トライ&トライの発表を聞きます中で、職員の意識は着実に県民の皆様の方を向いてきているという強い手ごたえを感じています。 一方、御指摘のありました、知事が評価しそうな事業を進めようとする姿勢は、先ほども申し上げましたように、私が県民の皆様の目線に立って仕事をしている限りは何ら問題を生じることではありません。 次に、全国に先駆けた取り組みについてお尋ねがありました。これも自分の仕事を振り返る上でとてもありがたい御質問をいただいたと思います。私は、特に全国に先駆けることを意識して仕事に取り組んできたわけではありませんが、結果として全国に先駆ける取り組みが多くなりました背景には、仕事に取り組む姿勢として3つの点を挙げることができると思います。その1つは、全国一律の制度や仕組みが地域に合わない場合には、その基準にとらわれず何とか地域から変えていこう、地方の実情に合った仕事をしていこうという姿勢です。その結果が、国体の簡素化や1.5車線的な道路整備の提案につながりました。2つ目は、時代の流れを先取りして全国にアピールしていく姿勢です。こうした姿勢で新しい事業に果敢に挑戦しました結果、全国一の森林県という本県の特性を生かして森林環境税や協働の森づくり事業を立ち上げることができました。 3つ目は、新しい行政のあり方を模索していこうという姿勢です。その中で、情報公開の推進や国籍条項の撤廃、さらにはアウトソーシングの推進といったことに取り組みました。こうした、前例にとらわれない視点でさまざまな課題に取り組んできました結果、本県を全国にアピールすることができました。また、こうしたことは職員のモチベーションを高めますとともに、誇りを持って仕事に取り組むことにもつながったと考えています。 続いて、新しい旅費システムは全国に先駆けて開発しなければならないシステムだったのかとのお尋ねがありました。新旅費システムは、職員が出張します際、多くの時間をかけている旅費事務の処理を民間の旅行業者にアウトソーシングすることで、事務事業にかかっているコストを大幅に削減することを目指しています。その際全国に先駆けましたのは、現在の県の財政状況を考えますとき、旅費の事務といった内部の管理業務に係るコストの削減には早急に取り組む必要があると考えたからです。また、このシステムの開発に当たりましては、経済的で合理的な旅程の作成や旅費の計算、またそれに基づく効率的なチケットの手配に加えまして、旅費の特殊な調整や精算審査と支払いまでを一括してアウトソーシングする独自の仕組みで進めましたので、汎用システムを購入するという選択はしませんでした。 次に、財源不足の解消のために財産を処分することの是非についてお尋ねがありました。本県の財政は、毎年多額の財源不足が生じています上、今後、国の歳出・歳入一体改革によって一般財源のさらなる減少が見込まれますことから、これにあわせて歳出規模の抑制に取り組んでいく必要があります。今後、事務事業の見直しや行政のスリム化をさらに進めることによりまして、平成26年度ごろには収支の均衡がほぼ達成できると見込んでいますが、それまでの間に生じる財源不足に対しましては、基金の取り崩しや財産処分による財源を充てることなどで対応したいと考えています。御指摘のありました株式の売却ですが、減債基金で保有しています株式は、基金の取り崩しの一環として売却を行いたいと考えています。しかし、これとは別に普通財産として保有しています時価120億円程度の株式は、将来の不測の事態への備えとして今後とも保有を続けていくことにしています。 次に、職員の給与カットの継続についてお尋ねがありました。先ほど黒岩議員にもお答えをしましたとおり、国の三位一体の改革などに伴って一般財源が大幅に減少します中で、必要な県民サービスは維持していかなければなりませんので、職員の給与カットの継続もやむを得ない状況にあります。ただ、実際にカットを行うかどうかや行う場合の期間などは、新しい知事が判断された上、職員団体と話し合って議会にお諮りをすることになります。 次に、厳しいシーリングの設定についてお尋ねがありました。本県では、全国に先駆けて行財政の改革に取り組んできましたし、三位一体の改革によります地方交付税の大幅な削減に対応しますために厳しく歳出の削減を続けてきました。したがいまして、今後さらに経費を削減するためには相当な努力が必要になりますが、将来にわたって財政運営を維持していきますためには収支の均衡を実現しなければなりませんし、そのためには一層の経費の削減は避けて通れない課題です。このため、シーリングの設定などによって経費の削減を進めていくことにしていますが、政策的に重要な事業や削減が困難な経費はシーリングの対象外としますなど、経費の性質に応じたきめ細かな対応をしていきますことで目標を達成したいと考えています。また、本県が安定した財政運営を行いますためには、こうした内部でのやりくりだけでなくしっかりとした財政基盤を築くことが不可欠ですので、地方交付税の確保や地方税制の充実などについて国に強く求めていきます。 次に、財政の見通しに関連して、職員数の削減についてお尋ねがありました。財政規模が縮小します中で、県政の重要課題や県民の皆様のニーズに対応していきますためには、歳出の削減など県民の皆様に痛みをお願いする前に、まず、県みずからが人件費を初めとする内部の管理経費の縮減など行政のスリム化に汗を流す必要があります。また、その背景には、人口当たりの職員の数が47都道府県の中で3番目に多いという実態もあります。このような中で、知事部局の職員数を3,000人とする目標に向けて着実に職員数の削減に取り組んでいきますことは、避けては通れない課題だと考えています。 また、この取り組みに当たりましては、民間の団体や地域の住民との協働や全庁に共通する業務のアウトソーシングを推進しますとともに、従来の発想にとらわれず本庁での管理的な業務を含む仕事の進め方を大胆に見直すことによりまして、職員数の削減の影響が県民の皆様にできるだけ及ぶことのないよう、県庁全体で考えていく必要があると考えています。 次に、県立女子大学の移転統合に関しまして、一度立ちどまって県民の意見に耳を傾けるべきではないかとのお尋ねがありました。県立大学の改革に関しましては、平成15年に県立大学改革検討委員会を設置しまして以来、県民の皆様や関係者の御意見も聞きながら検討を進めてきました。この間、議会でもさまざまな議論をいただいてきました。そうした中で、昨年の9月議会では、既存の学部の再編統合に関する設計予算をお認めいただきましたので、その取り組みを進めてきました。さきの6月議会では、財政問題などから一たん立ちどまって検討すべきではないかなどの御意見から、造成に要する予算は修正という結果になりましたが、その後の検討で必要な予算は確保できるという財政見通しも得られました。また、平成21年4月の開設に向けまして国との協議も調いましたので、改めて今議会に予算を提案させていただきました。 県立大学の改革、中でもこの既存学部の再編統合は、少子高齢化が一層進みます中、県民の皆様の安全と安心を守るために、保健・医療・福祉を支えるすぐれた人材を育成しようとするものです。具体的には、看護師は、県の需給見通しでも県内で多くの看護師が不足すると推計されていますが、その上、医療制度改革の中で7対1の看護職員の配置基準が導入されますなど、看護師の不足はより深刻な状況にあります。このため、看護学部を拡充して、引き続き高度医療や急性期の医療に対応できる幅広い先端技術を身につけた看護師を養成しますとともに、看護職場をトータルにマネジメントできる将来の看護管理者を養成していきます。あわせて助産師の養成数をふやします。 また、管理栄養士は、高齢化社会の進展や健康志向の高まりによって、栄養指導のスペシャリストとして病院や学校、企業など幅広い分野で求められるようになっています。さらに、平成20年度からはメタボリックシンドロームに着目をした健診や保健指導が義務づけられます中で、保健指導を行う専門家として管理栄養士の役割はますます重要になってきますので、管理栄養士の養成数をふやしていきます。さらに、社会福祉士と精神保健福祉士のすぐれた養成実績を生かして社会福祉学部を拡充しますことで、新たに介護予防から終末期までの幅広いニーズにこたえられる質の高い介護福祉士の養成を始めます。こうした人材の育成は、先ほど申し上げましたように、本県の置かれています保健・医療・福祉の状況を考えましたとき、県民の負託を受けた県立大学としてその役割と責任を果たすために、今こそ取り組まなければならないことだと考えています。 次に、株式会社ソニアの経営状況などについてお尋ねがありました。県の林業や木材産業の発展のためには、生産から加工・流通に至る一連の取り組みを効率化して、生産性や収益性を高めていく必要があります。このため県では、新生産システムの地域指定を受けて、森の工場づくりや加工の高度化、さらには流通の合理化に積極的に取り組んでいます。株式会社ソニアもこのシステムの一翼を担う企業ですので、経営に直接タッチすることはできませんが、その取り組みが成功するように県としても支援や助言を行ってきました。一方、工科大学は、県の委託によって林業・木材産業の経営を刷新するビジネスモデルを研究します中で、実証研究の場を求めていましたところ、経営ビジョンを模索していたソニアのニーズと合致しましたことから、平成17年9月から平成18年5月までの間コンサルティング契約を結びますなどその経営にかかわってきました。 その後は、新生産システムの計画や管理を行うこととなりましたため、直接ソニアの経営にはかかわっていません。ただ、そうした中、ソニアから連携研究センター長を取締役にといった要請がありましたので、個人の資格で参加いただいています。現状では、会社の経営はモデルが示すようには順調に回っていませんが、モデルそのものに欠陥があるということではなく、それを着実に実行する上での体制など幾つかの課題が解決されないまま進んできたという、マネジメントの面に原因があるのではないかとの報告を受けています。あわせて、会社側でも改善計画を年内にまとめる予定だとのお話を伺っていますので、経営の改善に向けた取り組みが順調に進みますよう、関係の町とも連携をして引き続き支援と助言を行っていきたいと思います。 私からは以上です。   (会計管理者高橋淳一君登壇) ◎会計管理者(高橋淳一君) 新旅費システムが稼働した後の平均旅費額とランニングコストについてのお尋ねがございました。 平成19年度4月から8月分までの実績で申し上げますと、議員、職員など、この旅費システムを利用した旅行者1人当たりの平均旅費額は6,589円となっています。また、旅行者1人当たりのランニングコストは663円となっております。 以上でございます。   (総務部長中澤卓史君登壇) ◎総務部長(中澤卓史君) 武石議員の御質問にお答えします。 今後の財政見通しの中で、変動する可能性のあるものをどう見込むのかとのお尋ねがございました。今後の財政収支の試算では、現時点で想定される支出をすべて見込むことを基本としています。試算では、懸案の債務、いわゆる隠れ借金につきましても、例えば工業流通団地や工業用水、森林整備公社などの借入金の返済のほか、競馬事業の累積債務の解消や土地開発公社の債務処理などに要する経費も見込んでいます。こうした懸案債務の残高は着実に減少させていますし、また今後実施を予定する大規模事業に関しましても、平成26年度までの財政運営に大きな影響を与えないよう方針を固めていますので、歳出面で見込みを上回る大幅な増加が生じることは想定をいたしておりません。 しかしながら、歳入面では、今後地方交付税などが想定を超えて削減された場合には財政運営は困難になりますので、国に対しましては地方交付税の確保などを強く主張していくことで、そういう事態にならないよう努めていきたいと考えております。 以上でございます。   (教育長大崎博澄君登壇) ◎教育長(大崎博澄君) 教員の免許更新制度に関する一連の御質問にお答えをいたします。 まず、制度上の問題点及びそれへの対応についてお尋ねがございました。制度上の第1の課題としましては、今回の制度改正によりまして、県内の全教員の所有するすべての免許状の有効期間の管理を県教育委員会が行うこととなったことです。この免許管理を確実かつ円滑に行うことができますように、県内の教員ごとの免許データを管理する高知県版の管理システムの構築を図らなければならないと考えております。第2の課題としましては、県内の大学、短大が行うこととなる更新講習が、質的、量的に円滑に実施できるかどうかということでございます。県教育委員会としましては、更新講習の内容が充実したものとなりますように大学、短大と積極的に連携をしますとともに、例えば講師の人材に不足があるような場合には、事務局の指導主事等を派遣するといった支援措置も考えています。 次に、制度の実施により学校や市町村教育委員会が混乱を招かないような配慮についてのお尋ねがありました。免許更新制度の詳細は、今後、文部科学省令で定めることとされておりますが、県教育委員会としましては、これまで校長会や市町村教育長会におきまして、その時点時点でわかっている範囲で免許更新制度の説明を行ってまいりました。今後も引き続き、あらゆる機会を通じて周知を図ってまいります。また、その全体像が明らかになり次第、詳細を関係者に連絡し遺漏のない周知を図ってまいります。 次に、講習の開設者についてのお尋ねがありました。更新講習の開設者は、現在、文部科学省の認定を受けた教職課程を持つ大学を中心に検討されています。高知県内の教職課程を持つ大学につきましては、高知大学、高知女子大学、高知学園短期大学の3校がありますので、ここを想定しています。 次に、講習の対象者数についてお尋ねがありました。受講対象者は、現職の教員、教員採用内定者及び臨時教員応募者等が検討されていると聞いております。平成18年5月1日現在で、私立学校を含めました県内の幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の常勤の現職教員は約9,000名でありますので、10年間で単純に割り振りますと1年当たり900名程度となりますが、2年間の受講期間の前後の重なりや検討されている免除対象者の人数を考慮しますと、この900名を中心にして増減する可能性があると考えています。 次に、県内大学での講習実施の可能性と郡部の教員などに対する負担の軽減の見通しについてお尋ねがございました。1つの免許更新講習は30時間以上の講習が義務づけられておりますが、県内の3つの大学、短大を軸にして実施することは可能であると考えています。今後、制度の実施内容が明らかになり次第、3つの大学、短大と十分に連携しながら、実施方法について検討していく必要があると考えています。東西に長く中央部に大学が集中する本県では、受講の利便性が悪いことは御指摘のとおりでございます。このため、講習の機会を適切に確保するために、夜間や週末における講習やサテライト教室の設置あるいはインターネットを活用した遠隔教育、また通信教育の実施等も検討されています。 また、夏休み中に実施される更新講習について、大学、短大と連携しながら郡部の教員を優先して受け入れるといった方法も可能であると考えています。このように、さまざまな実施方法を検討しながら、郡部の教員にとって受講が大きな負担とならないよう配慮してまいります。 次に、更新制度の実施による不適格教員対策への影響についてのお尋ねがございました。新たに更新講習の受講が義務づけられたことによりまして、潜在的な不適格教員が浮かび上がる可能性はあるだろうと考えております。例えば、何度受講しても修了確認を受けられない者や、ぎりぎりで修了確認を受けることができた者についての情報が得られ、受講した結果が不適格教員の認定の一つの判断材料となるといったことは考えられます。また、免許更新制とあわせて、不適格教員への対応については教育公務員特例法の改正により新たに指導改善研修が義務づけられましたことから、本県において現在行っております研修のあり方の見直しも検討をしています。 次に、いわゆるモンスターペアレント対策について、本県の実態と県教育委員会としての対応についてお尋ねがありました。県教育委員会では、平成16年度に県内の小中学校と県立学校の教員600名を対象としまして、勤務に関する意識調査を行いました。その結果、43%の教員が保護者の対応において心理的な負担を感じると回答した実態がございます。本県ではこれまで、開かれた学校づくりを進め、保護者や地域の方々の力をかりながら学校の諸問題を解決する取り組みを進めてまいりました。また、学校において悩みを持つ児童生徒や保護者、さらに教職員への支援のためにスクールカウンセラーや心の教育アドバイザーを配置し、心のケアを図り問題の解決を行うための体制づくりにも努めてまいりました。しかし、保護者の学校に対する要望や不満に対応する教職員の負担感が増大している状況を改善し、教員が子供と向き合う時間を十分に確保するためにも、新たな対策が必要なときが来たと考えています。 そのため、現在、文部科学省において検討されている、教員の勤務負担軽減に関する調査研究事業や、他の都道府県における苦情対応への対策の取り組み状況を参考にしながら、第三者機関の設置も含め必要な対策を検討してまいります。 以上でございます。   (森林部長千葉健君登壇) ◎森林部長(千葉健君) 株式会社ソニアと緑資源幹線林道に関する御質問にお答えいたします。 まず、ソニアの経営状況と補助金を出すに至った経緯や効果などについてお尋ねがありました。ソニアの経営状況に関しましては、赤字基調で推移してきましたため、その改善に向けて昨年の3月、仁淀川町から相談がありました。このため、随時協議を持ちながら、少しでも赤字が減少するように意見交換を行い必要な助言を行ってまいりました。そうした中で、需要も多く価格も高い乾燥材の出荷割合をふやすため、木くずだきボイラーとともに乾燥施設を増設することが経営改善に効果があると見込まれましたため、会社側の意向に沿って助成を行いました。その効果につきましては、一つには同社の工場で発生する木の皮やプレーナーくずを燃料として使用するボイラーを設置したことにより、燃料費が大幅に削減されることにあります。さらには、乾燥を求められる商品は、ほぼ全量乾燥することができるようになりました。これにより品質が向上して販売単価がかなり上昇いたしましたので、乾燥機等の導入は同社の経営改善に一定寄与しているものと考えています。 ただ、そうした取り組みにもかかわらず、新聞にもありましたように大きな赤字を出していることについて、企業活動にかかわることでもありますので詳細なデータは把握できておりませんが、公表されました決算報告書を見る限り、製品の製造原価が売上高を上回っているということから、日々のコスト管理、生産管理などのマネジメントが十分できていないことが、赤字体質から脱却できない最も大きな原因ではないかと考えています。一方、会社からは、ここ数カ月は業績が上向いているといったお話もお聞きしていますし、現在、同社の社長である仁淀川町長が年内にも経営改善計画を策定すると言われています。県としましても、ソニアの経営改善には大きな関心を持っていますので、その計画作成を含めて関係の町の御意見もお聞きしながら、その御了解のもとに早期の改善に向けて支援、助言をしていきたいと考えています。 次に、株式会社ソニアと工科大学のかかわりについてのお尋ねがありました。先ほど知事からもお答えしましたように、工科大学が県から委託された、新しい林業・木材産業のビジネスモデルの策定に取り組む中で、ソニアをその実証研究の場とすることの合意が大学とソニアの間で成立しましたことから、工科大学では平成17年9月から18年5月までの間、同社の経営や生産管理に関する業務についてのコンサルティング契約を締結するに至ったと伺っています。その中で、工科大学に対してソニアから連携研究センター長を経営に参画させてほしいとの要望があったため、大学はそれを承認し、連携研究センター長が個人の立場で取締役として運営にかかわることとなったとお聞きしています。その後、工科大学としては、直接的にはソニアの経営から離れ、新生産システムの高知県嶺北仁淀東予地域の地域コンサルタントとして事業計画の策定、管理を行っています。 次に、株式会社ソニアが赤字基調である原因とビジネスモデルとの関係についてお尋ねがありました。ビジネスモデルの基本的な考え方は、山から製材、製材から消費者へと直送することによる流通コストの削減と、製材工場の稼働率を上げることで、生産コスト低減を図ろうとするものですので、現在、県が取り組んでいます新生産システムの考え方とほぼ同様のものだと理解しています。ただ、その進め方の上で、先ほども申し上げましたように日々のコスト管理や生産管理が十分できていないのではないかと考えています。加えて、関係の町などからは、管理を行うべき工場長が長期にわたって不在であることなども経営改善をうまく進められない要因となっているとのお話も伺っていますので、そうした体制の問題も原因の一つではないかと考えています。 次に、緑資源幹線林道事業に関するお尋ねがありました。緑資源機構の談合問題に端を発しまして、機構の廃止と、それに伴い機構で進められてきました緑資源幹線林道事業を地方の補助事業に移管する案が国から示されています。本県では、緑資源機構が実施をします緑資源幹線林道事業は県の中西部に4路線が計画されており、その総延長は185キロメートルとなっています。このうち、四国カルストへのアクセス道として利用されています東津野城川線の27キロメートルは平成8年度に完成していますが、残りの3路線は工事中であり、その整備率は約50%、残り約90キロが未整備の状況にあります。県としましては、これまで、いずれの路線も林業振興のために重要な路線として、その早期の整備を要望しておりますし、地元の期待も大変に大きいものがあると承知をしております。このため、林道の整備がおくれることのないように、引き続き国の責任において事業を継続すべきだとしまして、関係の14県とともに農林水産省や林野庁へ要請を行ってきました。 しかしながら、国では当初の案で示されたとおり、この事業を地方の補助事業とすることを既定路線とした検討が進められ、概算要求もこの内容に沿ったものになっています。現状で、国からは、移管に当たって、県がこれまでの事業の受益地やその周辺を対象に地元市町村等の意向を踏まえて新たに計画を策定することや、事業の継続のための一定の財源措置が行われることなどが示されていますが、まだ詳細は不明です。県としましては、計画の見直しをするにしても、具体の手続が明らかにされていない中では、負担のあり方を含めて市町村との協議ができない状況であること、また新たな人的、財政的負担がどの程度になるのか不明であること、さらには事業計画の策定などに向けて短期間でスケジュールを立てるのが困難であることなど、さまざまな課題が残っていることから、こうした問題の整理がされないまま、来年度から直ちに移管を受けるといったことは実務上困難だと国に対して強く主張しています。 今後は、引き続き市町村に情報を提供しますとともに、関係する県と共同してこれまでどおり国が事業を継続することを基本に主張をしていきますが、仮に移管が強行される場合でも、こうした課題に対する具体的な対応が明確になるよう求めますとともに、関係する地元の市町村に納得をいただけるよう国から説明していただくことを要請していきます。その上で、関係する市町村の御意見や他県の動向なども踏まえて判断をしていくことにしていますが、いずれにしましても、これまでの投資がむだにならないよう十分配慮していきます。 以上でございます。   (土木部長宮崎利博君登壇) ◎土木部長(宮崎利博君) 雇用問題と土木行政に関します一連の御質問にお答えします。 まず、予定価格と最低制限価格の公表のあり方、最低制限価格の引き上げ、さらに委託業務における最低制限価格の設定についてのお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えします。平成13年の、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の施行に伴って、入札・契約制度の透明性を確保するため県では、平成13年度から最低制限価格の事前公表を、平成17年度からは予定価格の事前公表を始めました。本来、入札参加者はみずからの積算に基づいて適切な価格で入札するべきものですが、公表された最低制限価格で安易に入札する問題や、最低制限価格で複数の者が入札し、くじ引きで落札するなどの問題が起こっています。これらのことにより建設業界全体が疲弊していくとすれば、まずは予定価格と最低制限価格の公表のあり方を検討していく必要があると考えています。 最低制限価格の引き上げについては、その後の動向を見きわめながらの検討課題とします。また、測量設計などの委託業務における最低制限価格の設定に関しましても、同様に今後の検討課題と考えています。 次に、工事管理資料の簡素化についてお尋ねがありました。工事に関連する提出書類については、これまでも工事日誌や使用材料の関係書類などの簡素化に努めてきました。一方、環境に関する法律などから、要請される書類が年々増加する傾向にあります。このため、このたび県と受注業者から成る検討委員会を設け、新たな視点で簡素化の検討に入ることとしており年度内に一定の結果を出したいと考えています。 次に、入札参加資格要件における施工実績に関するお尋ねがありました。入札参加資格としての施工実績は公共工事の品質を確保するためのもので、施工実績として認める期間は過去10年間としています。しかしながら、県内の公共工事の発注高がピーク時の3割程度に減少した現在では、建設業者の受注の機会も少なくなってきており、施工実績の確保が難しくなっています。こうしたことから、今後は期間の延長を検討することも必要ではないかと考えています。また、施工実績を判断する具体的な内容は、土木事務所ごとに設定してきましたが、その実績の蓄積もできたことから、今後はこうした蓄積を踏まえて施工実績の標準的な取り扱いを検討していきます。 次に、ISOを取得した企業に対する評価についてお尋ねがありました。入札参加資格の審査においては、全国的に統一された基準による経営事項審査の総合評定値に、県が独自に定めています地域点数を加えて業者のランクづけを行っています。ISOの取得は県独自の地域点数の加点要素として取り扱っていますが、社会情勢等を考慮しながら毎年度見直しを行っていますので、ISOの取得についても今後の検討課題としていきたいと考えています。 次に、建設工事において配置が必要な技術者の雇用条件に関してお尋ねがありました。県では、すべての工事において配置技術者の3カ月の継続雇用を求めていますが、国土交通省の定めたマニュアルでは、土木一式工事の場合では請負金額が2,500万円以上の工事に配置する専任技術者に限っています。国の基準と同様に配置技術者の雇用条件の緩和を図るかどうかについては、今後の検討課題とします。 建設工事の入札・契約制度については、一般競争入札の拡大や総合評価落札方式の本格導入など大きな制度改革を行いました。その一方では、公共事業費の減少に伴い、建設業界はかつてない厳しい経営環境下にあります。こうした状況を踏まえ、競争性と透明性の確保を原則としながら、御質問のありました一連の事項について検討していきたいと考えています。 最後に、建設業者の協業化についてお尋ねがありました。昨年来、宿毛地区において協業組合を設立する動きがあり、県では、これに対応する形で新たな支援策を設けることとしました。合併や協業化は企業の生き残りをかけた経営戦略の一つであり、成功するためには相当な覚悟で取り組む必要があると認識しています。また、協業組合に対する支援制度が悪用されるといったことがないよう、支援をする組合に対しては、組合員の4者以上が県の入札参加資格を継続して3年以上有していることなど一定の要件を課しております。それでもなお、制度の悪用といった事例が認められた場合には、その都度適切に対応していきたいと考えています。 以上でございます。 ◆3番(武石利彦君) それぞれ御答弁ありがとうございました。 まず、土木部長ですが、簡素化への方向で検討していただくということでありますが、その暁には県内でばらつきのないように一律の簡素化が早急に図られるようにお願いしたいと思います。それ以外については、随分今後の検討課題という答弁があったわけですけれど、冒頭から私が申し上げているように、公共事業依存から脱却できない限り……。やっぱり大事な部分なんですね、雇用の場として。だから検討してほしいと私は言っているわけで、ぜひ前向きに検討していただきたいというふうに思いますし、それから最後の協業化の話とか、それ以外にも異業種参入とか取り組みもしていただいていますけれど、それで本当に雇用とか県内の経済が支えれるのかどうか、単なるパフォーマンスにならないように腰を据えて、ぜひとも他の部とも連携してやっていただきたいというふうに要請をしておきます。 それから、知事ですが、こうやって議場で知事とやりとりできるのもこれで最後かなと思うと感慨深いものもございます。その中で、大変おもしろい御答弁をいただいたなというふうに思います。恐らく、橋本大二郎語録に残るんじゃないかというふうに思いますが、何かといいますと、職員が私を見て仕事をしているのは私が県民と一体だから当然だというような答弁があったわけですが、そうするとこの県庁というのは、各課の課員は課長の顔を見、課長は副部長あるいは部長の顔を見、部長は副知事や知事の顔を見というような組織であるのかどうか。あるいは、知事のおっしゃるのがそれが正しいと、理想だとすると、ほかの県でも知事の顔を見て知事の喜びそうな事業をやっていくというのが正解なんでしょうかね。民間企業でもどうしますか、社長の顔色を見て社員が。そんな会社が私は健全な会社とは思いませんし、学校においても校長先生の気に入ることばっかり現場の教師がやるんですかね。それと同じことを、私は、知事は言っているというふうにしか思いません。 とても理屈が通っている話とは思いません。知事は最も簡潔にお答えできるというふうにおっしゃいましたけれども、熟慮された答弁にしては余りにもあいた口がふさがらないという気がいたします。私がルールブックだと言っているのに等しい答弁だと思いますので、非常に理解に苦しみます。 それから、全国に先駆けてということでいくと、まず新旅費システムでありますが、会計管理者からも答弁がありましたように、この4月から8月まで1人当たりの職員の平均の旅費額が約6,500円ですね。そのうち旅費システムのランニングコストを月で割ったら幾らになるかと聞きますと、663円だと。つまり、1人当たり6,500円の旅費、そのうち旅費システムが占めるのが660円ということで、非常に高いウエートをランニングコストが占めておると。それだけの経費をつぎ込んで本当に有効に機能しておるかどうかというところは、指摘をさせていただきたいというふうに思います。 総務事務センターも稼働が近いわけでありますが、高知県のような胴の細いというかスケールの小さな県庁に、余り巨費を投じたシステムを導入してもその効果があらわれにくい、だから汎用性のあるものを購入してやったらどうかということを私は申し上げてきました。 女子大のことについてでありますが、けさの高知新聞にも出ましたね。文化学部が、移転を白紙にせよという決議をしたというのが出ました。これについては知事に御所見をお伺いしておきたいと思います。このように、県民もまだ納得できていない、肝心な大学がばらばらじゃないですか。我々、議案を審議しろ、あるいは採決しろと言われても、こんな荷崩れを起こした議案をよう議会へ持ってくるなというふうに思いますよ。もっと荷をちゃんとして、きちんとした形で議会に議案として提出して、説明をせないかんというふうに思います。いいかげんにしろというふうに思いますよ、本当に。 それから、知事にですが、知事はこれまで4期16年一生懸命やっていただいたと思います、非常に感謝も申し上げます。ただ、先ほど申し上げたように、私がルールブックみたいな答弁をされるのはやはり多選の弊害じゃないかと思います。それから、私思い出しますと、平成15年の12月議会で知事選挙を戦った松尾さんが挙げられたぬくもりのある県政という言葉の認識を知事に問いましたが、知事はこう答弁しています。「行政を進めていく中で、ぬくもりとか安らぎといった抽象的な表現は余り意味があるとは思っていません」ということであります。私は、ずっとその答弁にひっかかりを覚えて今日まで来ました。モード・アバンセでかつての部下がああいう状態になった中で、御本人とお会いになっていろんなお話をしたんでしょうか、知事は。法的にできないとしたら、御家族なんかはどうでしょうかね。行けないとしても、電話なんかはできるはずなんですけれども、私が言いたかったのはそういうのがぬくもりという意味であります。どうもありがとうございました。(拍手) ◎知事(橋本大二郎君) 数多くある中でどれが御質問だったかがよくつかみ切れませんでしたけれども……。   (3番武石利彦君「学校の質問……」と言う) はい、そのことだけですね。武石議員の再質問にお答えをいたします。 質問がどれかとお聞きした上で、質問じゃないことを答えて申しわけございませんが、顔色を見るとか気に入るということと、知事の顔を見て仕事をするというのは全く違うことだと思います。知事は公約というものを掲げて、それを支持を受けて知事に選出をされているわけですから、その知事の考え方、姿勢というものを見ながら全職員が仕事をしていくということは民主主義のルールとしても当然のことではないかと私は思います。御理解がいただけないのならば、それはいたし方ございません。 女子大のことで、文化学部の決議で大学がばらばらではないかというお話がございました。山根学長は、この既存の学部の移転統合というものは、既に大学の最高意思決定機関である評議会で決定済みのことであるので、この文化学部の決議というものは何ら大学の決定に影響を与えるものではない、大学としては従来の評議会の決定どおり移転統合に向けて取り組みを進めていくというふうに言われております。大学は、全くばらばらではございません。もうきちんと最高の意思決定機関で決議をされ、移転統合に向けて大学は取り組みを進めておられます。 以上でございます。 ○議長(山本広明君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明28日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時44分散会...