高知県議会 > 2004-07-21 >
07月21日-03号

  • 児童虐待(/)
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  1. 高知県議会 2004-07-21
    07月21日-03号


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    平成16年  7月 定例会(第279回)           第279回高知県議会定例会会議録---------------------------------------          平成16年7月21日(水曜日) 開議第3日---------------------------------------出席議員       1番  武石利彦君       2番  中西 哲君       3番  西岡仁司君       5番  森田英二君       6番  山本広明君       7番  森 雅宣君       8番  東川正弘君       9番  溝渕健夫君       10番  元木益樹君       11番  依光隆夫君       12番  土森正典君       13番  西森潮三君       14番  結城健輔君       15番  西岡寅八郎君       16番  浜田英宏君       17番  樋口秀洋君       18番  植田壮一郎君       19番  式地寛肇君       20番  高野光二郎君       21番  黒岩直良君       22番  佐竹紀夫君       23番  中内桂郎君       24番  二神正三君       25番  朝比奈利広君       26番  岡崎俊一君       27番  西森雅和君       28番  黒岩正好君       29番  池脇純一君       30番  坂本茂雄君       31番  浜田嘉彦君       32番  田村輝雄君       33番  江渕征香君       35番  森 祥一君       36番  吉良富彦君       37番  谷本敏明君       38番  米田 稔君       39番  牧 義信君       40番  塚地佐智君       41番  田頭文吾郎君欠席議員       4番  三石文隆君---------------------------------------説明のため出席した者  知事       橋本大二郎君  副知事      吉良史子君  出納長           植田紹春君  職務代理者  総務部長     池本武広君  理事           宮崎利博君  (危機管理担当)  企画振興部長   十河 清君  理事           山本俊二郎君  (政策推進担当)  理事(情報化           石川雄章君  戦略推進担当)  健康福祉部長   吉岡芳子君  文化環境部長   尾崎祐正君  商工労働部長   起塚昌明君  理事           上林 匡君  (産業技術担当)  農林水産部長   星沢昭雄君  理事           山崎隆章君  (競馬担当)  土木部長     見波 潔君  森林局長     村手 聡君  海洋局長     久保田寿一君  港湾空港局長   加藤久晶君  企業局長     嵐  護君  病院局長     田中 譲君  教育委員長    宮地彌典君  教育長      大崎博澄君  人事委員長    上谷定生君  人事委員会           阿部隆志君  事務局長  公安委員長           濱田松一君  職務代理者  警察本部長    黒木慶英君  代表監査委員   奴田原 訂君  監査委員           中岡宏昭君  事務局長---------------------------------------事務局職員出席者  事務局長     恒石好信君  事務局次長    井上 健君  議事課長     鍵山和司君  政務調査課長   竹内豊明君  議事課長補佐   野瀬孝志君  主幹       湯川さほり君  主査       中城知穂君---------------------------------------議事日程(第3号)   平成16年7月21日午前10時開議第1 第1号 平成16年度高知県一般会計補正予算 第2号 市町村の合併に伴う高知県議会の議員の選挙区の特例に関する条例議案 第3号 土佐郡本川村、吾川郡伊野町及び同郡吾北村の廃置分合に伴う関係条例の整理に関する条例議案 第4号 高知市、土佐郡鏡村及び同郡土佐山村の廃置分合に伴う関係条例の整理に関する条例議案 第5号 高岡郡東津野村及び同郡葉山村の廃置分合に伴う関係条例の整理に関する条例議案 第6号 保健所の位置、名称及び所管区域に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県福祉事務所設置条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県地域農業改良普及センター設置条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県土木事務所設置条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県道路占用料徴収条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第12号 過疎地域等における県税の課税免除に関する条例及び半島振興対策実施地域における県税の不均一課税に関する条例の一部を改正する条例議案 第13号 高知県立こどもの森の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第14号 高知県立高等技術学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第15号 高知県建設業法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第16号 高知県風致地区内における建築等の規制に関する条例の一部を改正する条例議案 第17号 高知県建築士法施行条例の一部を改正する条例議案 第18号 高知県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例議案 第19号 高知県が当事者である和解に関する議案 第20号 町村の廃置分合に関する議案 第21号 市村の廃置分合に関する議案 第22号 町村の廃置分合に関する議案 第23号 町の属すべき郡の区域に関する議案 第24号 公平委員会の事務の受託の廃止に関する議案 第25号 公平委員会の事務の受託の廃止に関する議案 第26号 公平委員会の事務の受託の廃止に関する議案 第27号 高知県立塩見記念青少年プラザの指定管理者の指定に関する議案 第28号 高知県病院事業欠損金の資本剰余金による処理に関する議案 第29号 県有財産(室戸広域公園事業用地)の取得に関する議案 第30号 高知県高速漁業取締船建造工事請負契約の締結に関する議案 第31号 浦戸湾東部流域下水道高須浄化センター水処理施設設備工事委託に関する契約の締結に関する議案 第32号 梼原町特定環境保全公共下水道根幹的施設建設工事委託に関する契約の締結に関する議案 議発第1号 あったか高知観光条例議案第2 一般質問   (3人)---------------------------------------   午前10時2分開議 ○議長(森雅宣君) これより本日の会議を開きます。--------------------------------------- △諸般の報告 ○議長(森雅宣君) 御報告いたします。 公安委員長鈴木朝夫君から、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員濱田松一君を職務代理者として出席させたい旨の届け出がありました。--------------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(森雅宣君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「平成16年度高知県一般会計補正予算」から第32号「梼原町特定環境保全公共下水道根幹的施設建設工事委託に関する契約の締結に関する議案」まで及び議発第1号「あったか高知観光条例議案」、以上33件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 30番坂本茂雄君。   (30番坂本茂雄君登壇) ◆30番(坂本茂雄君) おはようございます。お許しをいただきましたので、県民クラブを代表いたしまして、知事を初め執行部の皆様に御質問をさせていただきます。 まず、三位一体改革についてであります。既に議論されている部分も多くありますので、多少の重複はお許し願いたいと思います。まず、今行われている三位一体改革は、地方分権のためという本来のあり方を忘れた、国の財政的な失政のツケを国民と地方自治体に押しつけてきているものであるということは、多くの皆さんの共通する認識であろうかと思います。とりわけ今年度予算を編成するに当たっての、補助金削減分に遠く及ばない税源移譲、さらに地方交付税や臨時財政対策債の大幅削減など、極めて国みずからの都合のみを押しつけ、本県を初めとした各自治体に大変な混乱をもたらしました。 そこで私が危惧するのは、全国知事会を初めとした地方6団体に投げかけられた3兆円補助金削減の候補リストづくりにしても、3兆円削減ありきの国から地方への丸投げ切り捨てであり、真に県民の納得が得られる手法であるのだろうかということです。昨日知事が述べられたような、全国の知事間の納得と合意だけでよいのか。説得力のあるリストというのは、本来なら県民との間で合意してもらわなければならないし、県民に対して説得力を持ってもらわなければならないと思います。確かに、それぞれの補助金項目一つ一つに県民の了解を得なければリストづくりができないということではないかもしれませんが、中には大きな意味を持つ補助金もあるということです。とりわけ義務教育費国庫負担金は、その規模が大きいために、3兆円達成のため候補に挙げざるを得ないということで当初からやり玉に上がっていましたし、今現在、その存廃をめぐって全国知事会議でも合意に達せず、8月18日、19日の会議に先送りされている状況です。 しかし、本議会においても、昨年12月定例会において義務教育費国庫負担制度の根幹堅持に関する意見書議案の議決もしてきたところであり、本来、義務教育における国の責任は明確に果たされなければならないと考えるものです。その意味で、知事がよく口にされる、自由度が増すという一言では片づけられないと思います。国庫負担を廃止し、フラット税率による全額税源移譲をした場合には、全県で最大のマイナス45.8%というこの大きな減額幅をどう見るのかという問題もあります。その不足分は交付税措置がされるのではないかという見方もありますが、もしもその措置がなされなければ、高知県において教職員は3割から4割ほど削減されるということになるのではないでしょうか。知事の言う、財源が確実に確保されるならばという前提が担保されるためにはどうするのか。国から投げられた3兆円の税源を確実に確保すると言っても、高知県的には、税源は確保しても財源はどれだけ確保できるのか税制上の保障はないと思うのです。 その意味でも、日経新聞社のアンケートに態度保留と答えられている知事にお尋ねします。義務教育に対する国の責任を果たすという大きな枠組みでの国庫負担金による財源確保をしつつも、可能な限り地方の自由度を高めることへの制度改革を進めるべきとの意思表示をすべきだと考えますが、義務教育費の国庫負担金制度に対する考え方を明確に示していただきたいと思います。 さらに、その他の廃止補助金候補の列挙について、一般財源化されても事業を継続するのか、それとも事業そのものも廃止するのか、その取捨選択を県民とどのような形で合意するつもりなのか、お尋ねします。 また、三位一体改革のもとで足元の財政運営を抜本的に見直さざるを得ないとして、提案説明において、できればあった方がよいといったレベルのものは原則として断念するか凍結をした上で、県が行う仕事は県民生活の根幹を支えるもの、県の発展のために不可欠なものに限定するくらいの覚悟が必要だと考えているとのことですが、どのような基準でその区分をしていかれるおつもりなのか、あわせて知事の考え方をお聞かせください。 次に、提案説明におきまして、三位一体の改革のもとでの経費削減についてはさまざまな補助制度、施設の廃止も避けられないとの見通しを示した上で、県民にさらに痛みを求めるからには職員の人件費の一層の縮減も検討しなければならないと述べられました。一方で、所属長を前にした財政危機宣言の説明会では、人の力、知恵の力で仕事をする県庁を目指すとも述べられたようです。厳しい財政状況のもとで、なかなか事業費で仕事をすることができなくなっている現在、人の力、知恵の力で仕事をする県庁がこれから求められてくることには一定の理解もできるわけですが、ならば職員が仕事をすることで県民がサービスを受けているという実感を得られる県庁組織にしていくことが大切だと思います。そのためには、意識改革、意識改革と言うばかりでなく、職員の秘めたる意欲と能力を適材適所によって引き出す手だてを講ずることに力を注がなければならないと思うのです。 しかし、そのやさきに給与削減を意図する発言は、その意欲を後退させることになりかねません。これまでにも、1997年の昇任・昇格運用基準の見直しによる生涯賃金の大幅な削減を初め、人事院勧告における5年連続の期末勤勉手当の支給月数の削減、そして2年連続の給与月額の引き下げ、さらに来年1月から実施しようとしている2年連続の退職手当の引き下げなど、職員の生活設計に大きな変更をもたらす給与関係の見直しがされてきました。このことは、少なからず仕事への意欲をも後退させている面もあると思います。さらに、これまでに行われた職員の削減は、ピーク時と比較して知事部局では約12%の削減にも達しており、相当の人件費削減は達成されているはずだと考えます。さらにこれから5年間で10%の削減となれば、賃金低下による将来への不安と過密労働のダブルパンチで、人の力、知恵の力で仕事をするという意欲が後退することになるのではないかと心配をいたします。 そこで総務部長にお尋ねしますが、給与の見直しがドラスチックに始まる前年の1996年当時のモデル職員で想定される生涯賃金に対して、先ほど述べた給与の見直しや、人事院勧告による期末勤勉手当の支給月数の削減、給与月額の引き下げ、さらには2年連続の退職手当の引き下げなどを踏まえたときに、生涯賃金ベースでどれだけの減収額となっているのか、試算を示していただきたいと思います。その上で、さらに上乗せするかのような給与削減については慎重に対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。 そして、そのような状況のもとで、知事の言う、人の力、知恵の力で仕事をするイメージと、そのような県庁組織へと転換していくために職員の意欲を引き出す手だてとして考えられることは何があるのか、知事にお尋ねします。 昨日も山本議員、米田議員がお尋ねになりました業務のアウトソーシングについては、重複を避ける形で何点かお尋ねします。昨日からの執行部答弁をお聞きしておりまして、私も極めてその位置づけがあいまいなように思えてなりません。目標とする30から50%の根拠のあいまいさ、3分の1から4分の1のコスト削減は検討委員会メンバーの経験則であるなど、目標値が先にありきで走っており、コスト削減のみが優先されてしまうのではないかとの懸念を抱いているところです。そういう意味でも、ひたすらアウトソーシングを進めるということだけでよいのかと危惧する思いもあり、慎重な検討をしていただきたいという前提に立ちつつ、以下、総務部長にお尋ねします。 まず、過去にも事業一括であったり業務ベースであったり多くの民間委託が行われてきましたが、アウトソーシングによるサービス低下や、アウトソーシングすることでコスト高になった例はないのか、これまでのアウトソーシング、民間委託の総括を示していただきたいと思います。 そして、今後の検討を進める中で、アウトソーシングされようとする業務がアウトソーシングになじむのか、また委託先が受け皿としてふさわしいのかなどを懸念したとき、指定管理者制度のように議会チェックが必要ではないかと考えます。予算審議や決算審査のみでは不十分だと考えるのですが、どのようにお考えか、お尋ねします。 アウトソーシング進行ぐあいとセットで定員管理をすることになると思いますが、昨日の答弁によれば、取り組みの中で新たに人員削減が可能になるものも出てくることが見込まれたり、アウトソーシングによって生まれるマンパワーの一部を活用して、本来県が担うべき業務への重点的な対応や新たな行政ニーズに取り組む必要があるとの認識をされているようですので、単純に何%アウトソーシングをしたから何%職員を削減するということにはならないと思っています。さらに、生身の人間を業務量と同じように0.2人役、0.3人役というふうに積み上げて、1人役育ったので1人削減するなどという切り刻み積み上げ方式などによる人員削減は無理があると考えています。 3年スパンのアウトソーシング、5年スパンの定員削減、さらに2007年からの大量退職という状況の中で定員管理をどのようになさっていかれるのか、お考えをお聞きします。 この項で、知事に最後にお尋ねします。アウトソーシングをする際に、コスト論というのは切り離せない問題として起こってきます。コスト比較の中で常に犠牲を強いられるのは、そこに働く方々の人件費です。今後、委託業者や団体で働く労働者の労働条件への十分な配慮をしていただきたいと考えます。そのためにも、契約条約に労働諸法令の遵守を盛り込むとともに、ILO第94号条約-公契約における労働条項に関する条約に沿って同様な職種の平均賃金を下回らせないことなどを指導するつもりがあるのか、またそのチェックは可能なのか、お尋ねします。 次に、子供を取り巻く環境の改善についてお尋ねします。私は、こども条例議案が提案され審議される過程の中で、今の子供たちを取り巻いている環境がいかに厳しく、大人の向き合い方にも随分と問題があるのではないかと考えさせられることがありました。そして、継続審査中には、いろんな立場の方や県民の皆さんの意見も聞いてきたつもりです。4月に行った私の県政報告会の場でも、参加者から、子供が学校に行きたくても親が行かさないという家庭があることも知ってほしいという意見もいただいています。また、私が議会終了ごとに県民の方に御意見をいただく県政アンケートはがきには、「子供は人として尊ばれるべきである。このことに基づく人権感覚を県民一人一人が共有しなければならない命題だと考えます」と書かれているものもありました。 そこで、現在の子供を取り巻く環境の中でも、児童虐待という最も子供の人権が損なわれる事件や相談事例の増加に対して、1つでも2つでも改善できる方策がないのかという思いで質問をさせていただきます。昨年の12月定例会で、浜田英宏議員が乳幼児からの虐待防止ということの御提言をされました。浜田議員の質問に答えられて、健康福祉部長がモデル的に取り組む育児支援家庭訪問事業について述べられましたが、この事業も全国的には、市町村財政が厳しいために国の想定の13%しか事業費確保ができていないということも明らかになっています。しかし、相変わらず全国では痛ましい児童虐待事件が報道されています。また、全国の児童相談所で昨年度受け付けた児童虐待の相談は、過去最多の2万7,128件、前年度比2,874件増で、対応方針を決めた相談処理件数は2万6,573件、前年度比2,835件増というふうに、大変大きな数字になっています。その現実は、財政の厳しさを待ってくれないという状況にあるのではないでしょうか。 本県では、2001年の67件という処理件数をピークに若干の減少傾向を見せてはいますが、その分、困難な相談件数がふえていると聞いています。児童虐待問題をめぐっては、幅広い相談業務が児童相談所に集中し相談業務のあり方が課題となっている中で、ことしは教員や保健師を配置するなど体制の強化も図られてきましたが、今後ともの体制強化が求められます。また、中央児童相談所の敷地内に児童支援ホームが設置され、一組の夫婦がホームに住み込んで、ふれあいサポーターとして子供たちの心のケアをしています。全国で初めての試みでもあり、一時保護の延長として、虐待を受けた子供や非行、不登校などの問題を抱えている子供たちと最長3カ月の間、生活をともにしながら心のケアとあわせて親子関係の再統合を支援し、家庭復帰を目指すための取り組みにも効果を上げていると聞きます。 そのような状況のもとで、さまざまな事情で家庭での養育が困難な状態になった要保護児童児童養護施設、乳児院、里親などに入所もしくは委託されている中、家庭的な雰囲気の中での児童の自立を保障する制度として養育里親の制度が注目されていると聞きます。全国的には、2002年度、要保護児童3万5,471人のうち里親のもとで生活をしている子供は7.1%、2,517人ですが、本県においては、昨年の6月末現在で要保護児童のうち3.8%、14人となっています。施設の処遇の充実・向上はもちろんですが、施設と里親の連携などを含め、家庭的な雰囲気の中で要保護児童がいやされ成長していくための、児童の最善の利益を優先できるような対策を講じていただきたいと願うものです。 しかし、まだまだ養子制度と里親制度の混同や、制度の周知が図られていないこと、血縁関係を重視する余りの実親と里親の関係など、里親制度による措置が進みにくい面もあるのではないかと思います。一方、子供たちの多くは、再び実親と暮らすことを願っているだろうと思います。そのためにも、実親の抱える課題解決を図る間のサポートが必要なことは申すまでもありません。 そこで健康福祉部長に、県として今後一層の里親制度についての啓発や里親登録の促進を図るための対策をどのように講じていこうとされるのか、お聞きします。 また、虐待されている子供たちの多くは、みずからその事実を語れないで悩んでいる場合が多く、何らかの形でSOSを出そうとしたり、現実に出してはいるが周りが受けとめられないでいるという状況があろうかと思います。私たちは、そのような子供たちがもっとはっきりと意思表示ができるように、また私たちもその意思表示を受けとめられるようにすべきだと思います。そんな状態をつくり出すために、全国で御努力をされている方々がいることも知りました。それは、子供がさまざまな暴力やいじめから自分を守るためのプログラムであるCAPプログラムです。チャイルド・アソールト・プリベンションのそれぞれの頭文字をとってC、A、P-キャップと呼ばれています。日本語では子供への暴力防止プログラムと言われるもので、子供の自尊感情を高めた上で、嫌と言う、逃げる、相談するなどの暴力への対処法を身につけさせるとともに、保護者や教師の側にもそのことを受けとめることのできる力をつけさせるための有効なプログラムとして1985年に日本に紹介されて以降、定着しつつあります。 国内には現在約135のグループが活動しており、県内で活動する高知CAPも新聞紙上でその活躍ぶりが取り上げられましたので、御存じの方も多いかと思います。日本PTA全国協議会の調べでは、昨年PTAが行った児童虐待防止活動の中でもCAPのワークショップを実施し始めている学校がふえ、その効果が確認され始めています。本県においてもこのプログラムへのニーズが年々高まっているようですし、その効果も期待されているわけですが、現状では、資格を得るための研修の時間的、経費的負担の大きさなどから、学校からのニーズにこたえられるだけのスタッフの育成が追いついていないという課題も抱えていると聞きました。ことしは、文部科学省から家庭教育支援総合推進事業の委託も受けて、さらにその効果も期待されているところです。 そこで教育長にお尋ねしますが、CAPプログラムの効果などをどのように受けとめられているのか。また、来年度の予算編成に向けて、CAPを教育現場で活用していくための方策の強化と人材育成のための支援が検討できないものか、いかがでしょうか。 いずれにしましても、家庭や地域社会や学校、そしてそれらを取り巻く日本の社会においてもっと質の高い民主主義の実現をしていくしか、子供を取り巻く環境の抜本的な解決にはならないと思います。子供はもちろん、人間個々が違いを認め合い尊重し合いながら家庭や地域や学校や社会をつくり出していくこと、そしてそのプロセスに子供が主体的に参加していくこと、その中で子供の自己決定能力をはぐくんでいくことこそ、21世紀の子育てと教育にふさわしい原則となるのではないかと思います。あくまで子供を主人公として、保護者と教師と地域が自分たちの学校をみんなで創造的に立ち上げようとする意欲と力、そしてそのプロセスを重視しながら大人と子供の関係性を民主的に体現できる場として学校が息づくことが求められていると思います。 以上のことなどからも、私は現在継続審査となっているこども条例の制定については必要だと認識している立場を明らかにした上で、教育長に最後にお尋ねします。こども条例が継続審査になって以降、校長会や児童委員の集まり、民生委員の集まり、さらにはPTAの集まりなどでも説明会を開いてこられたとお聞きしました。 その場での皆さん方のこども条例案に対する受けとめはどのようなもので、また、継続審査となっていることにどのような反応を示されているのか、お聞かせください。 次に、本県の中長期的な最大の県政課題である南海地震対策についてお尋ねします。昨年も質問させていただきまして、その後県民の皆さんへの啓発のための予算化が図られたことなどに、まず感謝申し上げておきたいと思います。この課題も、昨日、岡崎議員によって議論がされましたが、私は、一概にすべてを評価できるわけではないと思いますけれども、防災力評価点が低いとか自主防災組織の組織化がおくれているとかという状況を見たとき、今は地震対策のための基礎体力をつけなければならない時期だと思っています。ただし、基礎体力をつけるにしても、ゼロからのスタートではなく、さまざまな経験や先進事例に学びながら、トレーニング方法も工夫しながら基礎体力をつけていくことができる時期です。しかし、そのためのトレーニング機械を買う自前のお金がない。また、国にお金を出してもらってそれに充てようと思っても、先行投資のためのお金は出せません、もし体力不足で被害をこうむったら体力回復のためのお金は出しましょうというような状況に置かれているのだと思います。 しかし、基礎体力がない限り被害は大きくなるばかりですので、県としての果たすべき役割、国に支援してもらう分野、県下の自治体の役割と連携、県民、民間事業所、団体などそれぞれの責務と連携などを明確にしつつ、お互いの協力で基礎体力を備えていきたいものだと思います。そんな中で、民間との連携が試される一つの取り組みは、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づき、1メートル以上浸水すると想定される地区の事業所が津波から顧客や従業員などを守るために東南海・南海地震防災対策計画を策定するというものでした。 取り組み期間が短期間のため県としても御苦労されてきたことは理解できますが、現状の策定状況がどのようになっており、未策定の事業所に対する働きかけは今後どのようにしていかれるのか。また、この計画は社会環境の変化、施設整備の強化などに応じ絶えず見直しを行い、実態に即したものとしておかなければならないということですが、どのように中身を伴ったものとさせていくのか、危機管理担当理事にお伺いします。 南海地震対策は、重点施策であるということから毎年の新規事業も多いわけですが、私に寄せられる県政アンケートはがきには南海地震対策の充実に期待する声が多くある一方で、「そんな先にどうなるかわからんようなことにお金を使うより、今せんといかんことがあるがやないか」という声が少なからずあるのも事実です。 そういう意味では、新規事業による効果などをより県民に理解してもらうことが今後の対策への予算化で必要になってくることだと思いますので、昨年手がけた新規事業の進捗状況が順調で成果の上がっている事業にはどのようなものがあるのか、危機管理担当理事にお尋ねします。 また、昨年の質問の際に、木造住宅の耐震補強などによる経済効果から、県内企業への優先的発注を初め産業振興面で防災対策にウエートを置くことで、県内経済への影響を高めていくことを提言させていただきました。今回は、耐震補強工事だけではなく、新聞報道などもされていますが地震対策のための防災施設、機器、装備、防災グッズなど、県として災害多発地域であることを逆手にとった防災産業の育成を図っていくということも重要かと思います。 県外防災関連企業と県内企業の連携で生産をするとか、既に県内企業にも防災分野で前進しようとしている企業もあるとのことですが、本県における防災産業の育成についての検討がされているのか、商工労働部長にお尋ねします。 昨年9月定例会での私の南海地震対策推進条例の提言に対して、知事は、「いきなりというわけにはまいりませんので、一定やはり住民の皆さん方の思いと活動のレベルが高まってきたところで、そういう活動だとか認識のレベルが落ちないように条例というものをつくって、さらに次のステップに進むと、そのような位置づけで条例化というものを前向きに考えていきたい」との考え方を示していただきました。 しかしその後、私自身が地震対策のための防災基本条例を制定している自治体のお話などを聞くにつけ、機が熟するのを待つというわけにはいかないのではないかと思うようになりました。その方は、「県が条例をつくることによって、県下の自治体の長の姿勢も変わってくるし、事業所や県民の意識も変わってきます。取り組みの積み重ねや県民の意識が高揚した段階で条例化というのは、逆だと思いますよ。高知はさまざまな防災対策の大きな試みができる県であって、全国の地震対策のリーダー県になれる可能性を持っているんです」と励まされました。そして、「いずれにしても、防災対策、地震対策は首長のやる気がポイントだ」ともつけ加えられました。消防研究所の室崎理事長が指摘する、被災したつもりで地震の前に投資し安全な町をつくるという事前復興の重要さという考え方も、南海地震対策推進条例に盛り込んでいく必要があろうと考えます。 さらに、ことしに入ってから本県は条例等の立法指針を策定し、条例化の推進を図り、条例を政策実現の有効な手段として、より積極的に活用しようとしています。私は、その指針に照らしたとき、南海地震対策推進条例こそ「県の行う政策が、県民の生活に直接影響を及ぼすような重要な事項であり、かつ継続性を有する場合で、条例の意義に照らし条例化の実効性が期待される場合」に当たると思っています。また、条例の意義としては、「県としての意思を県民に明確に示す」、「県政への県民の関心を喚起し、幅広い参加を促す」意義を持つものであると考えます。そして、条例化のメリットが期待される政策の類型のうち、「自治体の重点政策に関するもののうち、実施のルールを明確にする必要があるもの」として位置づけられるものと理解されることからも、条例化は必然ではないかと考えます。 南海地震対策の条例化は、一定のレベルの高まりを待つのではなく、今こそ条例を柱に基礎体力を備え、さまざまな対策を打ち出すべき時期だと思います。そして、その策定過程には市町村代表、事業所代表、自主防災組織代表、高齢者、障害者などを含む県民代表などが参加していくことによって、条例ができたときには条例そのものが県民のものになっている、そういうぐらいの気持ちで手がけるとすれば、今からでも遅過ぎるぐらいだと思います。 そこで、改めて現時点での条例化に取り組む姿勢について知事の決意をお伺いします。 次に、中央病院の跡地利用を初めとした県有財産の有効活用についてお尋ねいたします。県有財産には行政財産と普通財産がありますが、遊休財産の多くは普通財産の場合が多いということを念頭に置きながら質問をさせていただきます。普通財産は、それぞれ目的や性質をさまざま異にしておりますので、その管理や処分については一様にいかない面があろうかと思います。場所的なもの、現況地目、広さ的なもの、形状、価格的なもの、そして何よりも、長引く不況などさまざまな要因によって利用されていない県有財産の処分が計画的に進んでいないというのが現状だと思います。 これまで行財政改革のもとで出先機関の統廃合を進めてくる中、それに伴い職員宿舎の老朽化、入居者減による廃止など県下に散在している遊休財産の現状を見たとき、県民には、何にも使っていない庁舎、一体この更地はどうなっているのかというふうに映っている遊休財産が多くなっているのではないかと思います。特に、財政危機宣言までしなければならない状況となれば、なおさら遊休財産に対する県民の目は厳しくならざるを得ないでしょう。2000年度の14件、3億3,800万円余をピークに、処分実績は思うように進んでいません。向こう3年間の処分計画も、策定はされていますが、思うように進むのかどうか不安な面もあろうかと思います。 そこで、知事にお尋ねします。現状の遊休財産の処分計画が順調に進んではいないという状況の中で、知事の言う今後積極的に進められるであろう施設の廃止との関係でいけば、今後さらに他の施設への転用とか処分をしなければならなくなるわけで、その際には、廃止の先にある地域・県民ニーズにこたえる有効な利活用また有効な処分計画をも持ちつつ廃止検討をすべきと考えますが、そのようなことをあわせ考えた上で廃止の判断をなさるのでしょうか、お伺いします。 次に、来年3月をもって廃止となる県立中央病院の跡地利用は、県民が最も注目している県有財産の行方ということになります。駐車場敷地なども含めれば1万1,000平米を超す極めて広大な面積を市内中心部に有しており、都市計画道路も近々整備されることになっております。そして、その行く末については、高知市及び市議会、市民などからの要望もあり、県としてどのような処分をするのか関心が持たれています。2月定例会でも東川議員が質問をされておりますので、重複は避けた形で質問と要望をしておきたいと思います。 県としては、跡地を売却の上、病院の性格上、自力での一時借入金の解消が困難な芸陽病院のために、売却収入をそれに充てるというお考えであることは承知していますし、それもやむを得ざる措置ではないかとも思います。しかし、この中央病院跡地は、その利用のされ方一つでまちづくりなどにおいて大きな意味合いを持つもので、売却してしまえばどのように利用されるのかについては県としても知らぬ存ぜぬということにはならないのではないでしょうか。実は私にも描いた夢はありましたが、今の県と高知市の財政状況を考えれば、そんなことは口にしない方がよいとの御助言もいただきました。しかし今でも、その跡地を中心に環境、福祉、子供、防災というコンセプトのいやしと安全のゾーンができないものだろうかとも思ったりしています。多分、県としては、高知市や市民の思い、その一方で市として施設整備計画を持ち得ないという現状を受けとめた上で、それでも売却しかないということだとは思います。しかし、この跡地利用には、高知西武やシキボウの跡地利用と並んで行政的にも知恵を出さなければならない、あるいは後々に後悔をしないような利活用または処分がなされるべきではないかと考えます。 ここは病院局任せではなく、一時借入金返済のことは念頭に置きつつも、県として責任を持って県民のための有効な利活用または有効処分を図る姿勢を持たなければならないと考えますが、どうでしょうか。そして、場合によってはそのことを検討する場の設置も必要ではないかと思いますが、知事のお考えをお伺いします。 次に、中国残留日本人孤児を初めとした中国帰国者への支援策について質問をさせていただきます。この課題につきましては、2月定例会予算委員会で我が会派の浜田嘉彦県議が取り上げ、中国帰国者に対する支援について知事から、「財政的な支援、例えば一時金を差し上げるというような趣旨であれば、さまざまな事情で厳しく難しいのではないか。しかし、何らかの支援を県としても手を差し伸べるべきではないかという趣旨は浜田議員と同じ思い」として、「関係の皆様方にまずはどういうニーズがあるのかということをきめ細かくお伺いをした上で、今の県の財政状況等の中で何ができるのかということを十分検討させていただきたい」と答弁されました。知事も、県内在住の中国残留日本人孤児の皆さん45名によって国を相手に損害賠償請求の訴訟が行われていることは御承知だと思います。 本県においては、訴訟を支援する会にも超党派の国会議員あるいは県会議員が参加するに至っています。日本政府は中国残留日本人孤児らに対して、国策により中国東北地区-旧満州に移民させた日本国民を、終戦時、中国に遺棄したこと。そして、中国残留日本人孤児をそのまま長年にわたり祖国への帰還の措置をとらなかったこと。さらに、辛苦の末、帰国を果たした中国残留邦人に対し、十分な定着自立、生活保障などの施策を講じないでいるという3回の棄民政策をとってきたと言われています。1936年8月、日本国内で大量移民実施のため、各県指導のもとに各町村でその分村として、旧満州、内蒙古に集団移民の送出計画を遂行することとなりました。結果的に、1945年5月時点において旧満州、内蒙古における開拓団は16万7,091人、青少年義勇軍は5万8,494人に上りました。その際、高知県満州開拓史によると、本県は全国でも10番目に多い1万82人の開拓民送出計画を策定し、県を挙げて開拓民の送出に奔走したことが記されています。 1945年、関東軍は本土防衛のためということでこの地域の防衛及び邦人の保護を放棄し、旧満州、内蒙古の開拓団には老幼婦女子のみしか残らず、突然のソ連軍の侵攻にさらされ多大の犠牲者が続出する中、避難を開始し始めました。後の残留婦人、残留孤児は、この混乱の中、生き残るために現地中国人にもらわれたり中国人と結婚したり転々とした末、中国人家庭に入ることを選択せざるを得なかったのです。終戦後の引き揚げ政策は混乱を極め、中国との国交断絶などによって引き揚げ中断を余儀なくされるなど民間ボランティアにゆだねられた引き揚げに頼り、日中国交正常化以降も帰国策は遅々としたものでした。そして、困難な帰国手続を経て帰国した後も、祖国に待ち受けていた苦労は住宅問題から始まって、母国語である日本語の習得、生活習慣への戸惑い、そして就労という過程をたどる自立への道は、本人にしかわからない筆舌に尽くしがたい艱難辛苦の道のりだったに違いありません。まさにこのことは、戦争において国家は国民を守らないという本質をあらわしたものだと思います。 その帰国者たちに、本県としても国の支援策を基本とした上で、可能な支援策を講じてきたことは一定理解をしています。しかし、高齢となった帰国者たちに対して、祖国日本、ふるさと高知に帰ってきてよかったと言える生活保障、特に老後保障を行っていくということは、県を挙げて送出計画を遂行してきた本県の抱える戦後補償問題でもあると思うのです。国民年金については、1994年の中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律第13条によって、国庫負担分3分の1相当が支給されるようになりましたが、最高額で年間26万円です。そして厚生年金は、孤児の大半が1980年代半ば以降に帰国していることから、苦労をしながら一生懸命に働いてきた結果が、せいぜい月額3万円から5万円となっています。これが苦労の末に帰国して行き着いた最後なのかと思うと、本人たちは腹立たしいに違いありません。 国家賠償請求訴訟は、長期に及ぶことになると思います。しかし、中国帰国者たちにとっては時間との争いの生活が続くのです。財政状況が厳しいことは百も承知ですし、知事のお考えも浜田議員への答弁としてお聞きしています。それでも私は、毎回の口頭弁論を傍聴するたびに本県としてできることは何なのかということを思わざるを得ず、執行部にも真剣に考えていただきたいという思いでお尋ねします。 まず、2月定例会で知事が答弁された、関係者の意見、ニーズを聞くということは、新年度になって余り時間もたっておらず特別の進捗状況は見られないかもわかりませんが、現状はどうなっているのでしょうか。また、今後どのように進めていく予定なのでしょうか、健康福祉部長にお尋ねします。 次に、長野県では今年度から、県単独事業として中国帰国者愛心使者事業ということで、帰国者本人に対して特別な慰謝を行うための給付金として、1人月額3万円を給付し始めました。このような経済的援助も中国帰国者への支援策の一つの選択肢として検討願えないものか、知事にお尋ねします。 最後に、知事の政治姿勢と県政運営についてお尋ねします。知事は、これまでの間、常に、しがらみのない自分だからこそ県政改革を行ってこれたということをおっしゃっています。そして、多くの県民が求めているものは、第三者的な目で組織を指揮できるリーダーではないかと感じるようになったともおっしゃってこられました。しかし、そのようなスタンスをとっていることも含めて、県政運営において、またみずからの政治姿勢において責任のとり方があいまいだと受けとめざるを得ないことが続いているように思います。今回のグリーンピア土佐横浪の破産問題につきましても、知事の姿勢には責任を感じることができません。知事の言うしがらみは断ち切ってこられたかもしれませんが、新たなしがらみができているという県民の声もあることを忘れずにいただきたいと思います。朝日新聞の知事支持率調査では、当選4回以上の多選組では、橋本知事も含めて7人中4人が不支持率上位10位にランクインしていると報道され、橋本知事は不支持率第7位となっています。そのような結果を見たとき、私が昨年指摘しました多選の弊害を県民、有権者が受けとめつつあるのではないかとも考えていますので、まずそのことを述べておきたいと思います。 さて、知事が議会の質問日程を変更してまで臨んだ全国知事会議で、知事はなぜ三位一体改革の議論で一言も発言しなかったのか疑問に感じていたところ、知事みずからのホームページで、「僕はこの問題では加戸知事とは少し異なる考え方を持っているのですが、加戸さんには日ごろから四国の知事仲間として公私ともに大変お世話になっていますので、お隣の席で熱弁を振るう加戸さんの姿を見ていて物が言いにくい感じになってしまったのでした」というようなことが書かれていました。2月予算委員会でも、我が県民クラブの浜田議員が、「三位一体で切り捨てられようとしている地方の者として、そういうわけにはいかない、そんなことは許さないぞということで、一揆とは言わないけれど行動を起こすべきだ」と指摘もしましたし、知事もこの間、折に触れて三位一体改革の趣旨に反する今の政府のやり方に問題提起をしてきたし、昨日も三位一体改革に関する考え方をさまざま披瀝されているわけです。 それが、行動を起こすどころか、愛媛県知事が隣に座っていたということが理由で何も発言せずに傍観していたということは、事実なのでしょうか。そして、その理由が事実だとすれば、県民に対して責任を感じるようなことはないのか、お伺いします。 次に、現在、坂本ダム等に関する調査特別委員会の調査活動も終盤を迎え、8月5日には知事本人にも証人として出席を願うこととなっていますので、詳細はそこでお尋ねすることとしまして、6月中旬に公表されました地元新聞社による100条委員会調査に関する世論調査についてお尋ねします。この中で、100条委員会調査に関する知事の姿勢を尋ねたところ、「説明責任を果たすべき」との回答が53.6%、「何らかの結果責任をとるべき」との回答が14.5%で、「知事に責任はなく妥当な姿勢」と「昔のことなので知事の姿勢は仕方がない」という容認姿勢は2割足らずであったという結果が出ています。このような結果に対する定例記者会見での知事のコメントは、あたかもアンケートの設問に問題があるかのような、極めて第三者的で知事という責任のある者のコメントではないように思いますので、改めてお聞きいたします。 まず、100条委員会の場で質問に答えることは説明責任を果たすことにはならないとみずからおっしゃっていますが、そうであれば、8月5日を前後していつの時期にどういう形で説明責任を果たされようと考えているのか、お聞きします。 また、いずれにしても、説明責任を果たすためには、みずからも調査することがなければ説明責任を果たせないと思いますが、みずからの調査なしに説明責任を果たせるとお考えなのか、お尋ねします。 次に、知事部局対象の、人事に関するアンケートについてお尋ねします。このアンケート結果が公表されたとき、知事はみずからのホームページで、「今の仕事のやりがいに対して、やりがいを感じる、または、どちらかといえば感じると答えた人が合わせて65.8%で、割と率が高いなというのが正直な印象だ」と感想を述べられています。一方、総務部長は総務委員会において、「3割がやりがいを感じていないことは、組織として大きな問題を抱えていると受けとめている」と述べられました。 これから人の力、知恵の力で仕事をしていこうというときに、知事のような認識でよいのでしょうか、お尋ねします。 しかも、やりがいを感じているという回答層で全体よりも肯定的回答が多いのは管理職層であるということにも、現在の組織のあり方に問題を感じます。一方で、今の県庁組織で、管理職が余り責任をとらない、県民や職員の方を見ずに上ばかり見ている管理職が多いという声が出ていることにも思いをはせることが必要だと思います。いずれにしましても、3割の職員に、ましてや中堅事務職という層に意欲が感じられていないとしたら、どこに問題があると受けとめているのか、お尋ねします。 また、みずからのリーダーシップに問題はないのかと自省している点はないのか、お尋ねいたします。その上で、単なる意識改革という言葉ではなく具体的に、仕事にやりがいが感じられるような県庁組織にするための改革をどのように進めていくのか、お尋ねをいたしまして、第1問を終わります。   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 坂本議員の御質問にお答えをします。 まず、義務教育費の国庫負担金に対する姿勢と廃止される補助金の取捨選択についてお尋ねがありました。あわせてお答えをします。政府が求めています地方からの補助金の削減案に義務教育費の国庫負担金を含めるかどうかの議論は、先週行われました全国知事会議でも賛否両論がありましたので、8月18日と19日に改めて会議を開いて最終の案をまとめることになりました。これに対する私の立場は、昨年の吉良議員への、また昨日の米田議員への答弁の中でも述べましたとおり、国が財源を保障する限り、一般財源化された方が地域の実情に合った、より柔軟で質の高い教育を実現できるはずだという考え方で一貫をしています。ただ、その一方で、いかにすればこの財源の保障が確保されるのかは、国という相手のある問題ですし、特に小規模校や加配の教員の数が多い本県にとりましては、特に慎重な見きわめが必要です。 また、いわゆる標準法の枠組みの堅持など、国に対して財源の保障の約束を決してほごにさせないだけの確かな条件づけが必要だと考えています。とはいいましても、今回の3兆円の税源移譲という国からの投げかけは、税財源の地方分権を進めます千載一遇のチャンスですので、地方として責任ある国庫補助負担金の改革案をまとめ上げますことを念頭に、次の知事会議に臨みたいと考えています。 次に、一般財源化された事業を継続するか廃止するかの判断に関しまして、その取捨選択をどのような形で県民と合意するのかとのお尋ねがありました。危機的な財政状況をも踏まえますと、基本的な姿勢としては、一たんすべての事業をゼロベースで検討しました上、県として引き続き実施すべきものは、内容を県独自の視点で見直した上で実施をすべきだと考えています。また、このことは予算に関連する問題ですので、県議会に提案します際には説明責任を果たす工夫を考えていきたいと思います。 次に、提案理由で申し述べました意味での断念または凍結する事業と、なお継続する事業との間に判断の基準を設けるのかとのお尋ねがありました。初めに、少し長くなりますが、このような考え方に至りました背景を御説明します。平成16年度の当初予算では、三位一体の改革に伴う地方交付税などの削減によりまして236億円の財源の不足額が生じています。このため、地方交付税などに偏った改革をあるべき姿に戻す努力は続けなければいけませんが、今後も地方交付税などの見通しは予断を許しませんので、現実の問題として同じ程度か、あるいはそれ以上の財源不足が毎年続くことを覚悟しておく必要があります。 また、今回の236億円という財源不足の額は、16年度の当初予算で使われる予定の一般財源2,971億円のうち7.9%に相当します。一方で、これまで部局の判断にゆだねてきました予算や、4つの重要課題への取り組みに充ててきました予算など、ある程度裁量可能な経費に充てている一般財源は520億円、一般財源全体の17.5%にすぎません。すなわち、236億円の財源不足を裁量可能な経費だけで解消しようとしますと、その半分近くを削減しなければなりません。しかし、現実の問題として、それは非常に困難なことです。言いかえますと、本来削減が難しいと考えられてきた義務的な経費にも踏み込まざるを得ないほどの危機的な状態ということになります。 このため、先週、所属長を集めた会議の場でも、前年度をベースに予算を考えるのではなくて、すべての事業を一たんゼロにしてみた上で、必要なものだけを積み上げ直すという発想で取り組んでほしいと指示をしました。また、これまで義務的な経費として扱ってきたものも、本当に見直す余地がないのかといった点まで踏み込んで見直しを進めなくてはなりません。ですから、あらかじめ何らかの基準を設けて既存の一つ一つの事業を分類するといったやり方は考えていません。むしろ、それぞれの分野ごとに県民生活の根幹を支えるものや県の発展に不可欠なものは何かといったことを改めて議論することを通じて、新たな予算の姿が見えてくるものと考えています。 続いて、人の力や知恵の力で仕事をすることのイメージや職員の意欲を引き出すための手だてについてお尋ねがありました。これまでの県庁の仕事は、予算がなければ何もできないというのが常識でしたが、これからは地域の皆さんのマンパワーや発想と知恵を生かして、さまざまな支え合いの仕組みや新しい公共サービスをつくり出していく仕事が大切になります。そのためにも、いかにして住民力を引き出していくかがかぎになりますが、その一つの手法として、地域に配置をする職員を大幅にふやすことで地域の皆様とともに新しい仕組みづくりに取り組んでいます。このように、住民力を引き出して仕事をすることや、その前提として県民の皆さんと徹底して向き合って仕事をすることが、人の力と知恵の力で仕事をすることの一つのイメージです。 また、先日、財政危機について職員に話をしましたときには、各分野での規制緩和の取り組みや、逆に新たな規制を県内産業の育成につなげる手法などを、知恵の力で仕事をする事例として紹介しました。また、そうした組織にしていくために、これまでの行政の経営品質の取り組みを通じて、自分たちの仕事の目的は何か、また県庁にとってのお客様はだれかといったことを改めて認識してきました。このため、このことを土台にしながら、人事評価のシステムや任用の制度、さらには研修の制度を、人材の育成や職員の意欲の向上の視点から見直すことにしています。 次に、アウトソーシングに関連をして、委託をする企業や団体に働く方々の労働条件への配慮についてお尋ねがありました。現在県が行っています本庁舎の警備や清掃などの委託契約でも、委託先に対しましては労働基準法や労働安全衛生法など法令上のすべての責任を負って取り組むことを条文に盛り込んでいます。ですから、今回のアウトソーシングに関連しましても、契約の際にこうした条文を定めるよう検討していきたいと考えています。一方、そこに働く方々の賃金は、その方の能力や経験、技術などによりまして使用者との間の契約で決定されるのが原則ですので、行政による指導やチェックは困難だと考えています。 続いて、南海地震対策の条例化についてお尋ねがありました。南海地震が起きますと、すべての県民に被害が及ぶおそれがあります。このため、南海地震に立ち向かいますには、行政はもとより県民や企業など各種の団体の皆様にも、それぞれの立場で取り組んでいただく必要があります。また、そうした取り組みの基本となります条例の必要性や、県民や企業の参加のもとでその条例をつくり上げていくことの意義は、よく理解できます。ただ、それを実効性のある条例にするためには、まずは自主防災組織の活動や企業の防災活動などを通じて地震対策に関する課題や問題点を認識していただくことが大事だと考えています。 といいますのも、これもお話の中に御指摘がございましたが、例えば本県は自主防災組織の組織率もまだ全国平均を下回るという現状ですので、住民の皆さんに条例づくりに参加をしていただくとしても、体験に基づいた議論が進まないおそれがあると思うからです。ですから、いましばらく準備期間を置いた後に条例の制定に向けての取り組みをしていきますことが、よりよい条例づくりにつながる道だと考えています。 次に、県が運営する施設の廃止や県有財産の有効活用についてお尋ねがありました。先ほどの御質問にもありましたが、危機的な財政状況の中では、県が行う仕事は県民生活の根幹を支えるものや県の発展のために不可欠なものに限定するくらいの覚悟を持って業務を見直す必要があります。その中で、県が運営していますさまざまな施設も、ニーズの変化や時代の要請を的確に把握しながら、県が持ち続けていくことが本当に望ましいのかどうかの検討を加えていかなければなりません。そうした検討の結果、廃止が決まった施設のその後の利用についても、県民の皆様のニーズや県の財政運営を考慮して総合的に判断していく必要がありますが、まず第一には施設の必要性の検討が最も重要だと考えています。 続いて、中央病院の跡地の活用についてお尋ねがありました。中央病院の土地を保有しています病院事業は、多額の借入金を、つまりは広く県民の皆様に対する負債を背負っていますので、この2月議会で病院局長が答弁をしましたとおり、跡地は借入金の処理のために売却をすることにしています。 次に、中国からの帰国者への支援策として長野県が行っているような経済的な援助はできないかとのお尋ねがありました。長野県は、全国でも最も多くの満州への開拓団を送り出した県として、中国から帰国をされた方々への特別ないたわりの気持ちをあらわすために、今年度から御指摘のような給付金の支給を始めたとお聞きをしています。また、中国からの帰国者の方々が言葉や文化の問題、あるいは経済的な問題など今なお厳しい状況にあることは承知をしていますが、戦争の被害者である帰国者への経済的な支援は基本的には国の責任で行われるべきものだと考えています。こうした中、お尋ねの給付金は長野県だけが実施しているものですし、本県の危機的な財政状況もあわせて考えますと、本県での実施は難しいと考えています。 一方、県では、これまでも日本語の習得や就労についての相談や支援を行ってきましたが、その中で、医療や介護のサービスを受けるときに制度がよくわからないとか、言葉が通じなくて不安があるといった声を数多くお聞きするようになってきています。こうしたニーズに対応しますため、国では帰国者の方々に、ホームヘルパーの資格を取るための通信教育や受講の費用を助成する取り組みを実施しています。しかし、本県ではこの制度を利用されている方がまだいらっしゃいませんので、再度制度についてのお知らせもして、帰国2世や3世の方々がヘルパーの資格を取れるように支援をしていきます。あわせて、中国語に対応できる医療機関や介護サービスの機関についての情報を収集して提供しますとともに、医療や福祉の制度についてわかりやすく説明をした中国語版のパンフレットを作成しますなど、本県の実情に即した支援をしていきたいと考えています。 次に、先日の全国知事会議で私が発言をしなかった理由についてお尋ねがありました。あの会議では、議論に入る前から改めて来月に意見集約のための会議を開催することが決められていましたので、当日の会議は結論にかかわりなくそれぞれが意見を出し合う場になりました。そうした中で、さまざまな論点について積極的な意見が出されましたが、私と同じ考え方も数多く出されていましたので、時間の制約があることも考えて、あえて同じ意見を繰り返すことは避けました。その際、義務教育費の国庫負担金の問題に関して、お隣におられた加戸知事の熱い思いに自分なりの心遣いをしたことは確かですが、そのために言うべきことを言わなかったということではありません。会議を通じて出席されたそれぞれの知事の思いや全体の雰囲気は十分に感じ取ることができましたので、意見の集約に向けて県民の皆様の代表として十分な役割を果たしていきたいと思います。 次に、100条委員会の調査に対する世論調査の受けとめ方や説明責任の果たし方についてお尋ねがありました。あわせてお答えをします。お尋ねの世論調査は、説明責任と結果責任という全く性質の異なるものを一くくりにする形になっていましたので、少々無理のあるまとめ方ではないかと思いましたし、そのことを会見の席でも申し上げました。また、その世論調査では53.6%の方が説明責任を果たすべきだと回答されていましたが、私はこれまでも、機会を見て県民の皆様に説明責任を果たしていきたいと申し上げていますので、自分の思いにも沿った結果だと受けとめています。ただ、説明責任を果たすべき時期や方法は、まだ具体的には決めていません。 一方、指摘されています問題は何分にも13年近くも昔のことですので、関係者の記憶も極めてあいまいになっていますし、逆に今になって当時のことを語ろうとされる方の中には、さまざまな思惑が重なってくることも否定できません。ですから、言われるような調査といったこととは別に、自分なりにできるだけの説明責任を果たしていきたいと考えています。 最後に、職員のやる気や私のリーダーシップ、さらには組織の改革についての一連の御質問にあわせてお答えをします。私のリーダーシップに問題がなかったのか、またみずから反省をしないのかというお話もありましたが、私は常に県民の皆様の側に軸足を置いて仕事を進めてきましたし、職員にも常に県民の皆さんの視点に立って仕事をするようにと語ってきました。65.8%を高いと思うか低いと思うかにはいろいろな御意見があると思いますが、およそ3割がやりがいを感じていないという結果は現実として受けとめて、少しでもこの数字を減らすように努力をしていかなければならないと考えています。 また、アンケートの結果を詳しく見てみますと、余りやりがいを感じていない事務の職員、中でも中堅や若手に当たる職員の多くが、仕事の成果や実績が上がらないので達成感がないとか、仕事の内容がサービスの対象者に喜ばれていないといったことをその理由として挙げています。考えてみますと、事務の仕事には、庶務や経理のように県民の皆様と直接に向き合うことのない仕事や、許認可事務など法令に基づいて確実にこなしていくことが求められる仕事が幾つもあります。ですから、そのような仕事に対しましても職員がやりがいを感じられるようにすることが大切ですし、そのためにはそれをなし遂げたことを適正に評価するだけでなく、その評価を職員にきちんとフィードバックしていかなければなりません。 また、一方で、希望しない仕事や自分に向かない仕事をしていることをやりがいが感じられない理由に挙げている職員も少なくありませんでした。このため、評価の仕組みだけではなく、人事に関する職員とのコミュニケーションのあり方なども含めまして、先ほどお答えをしました人事制度の見直しを進めます中で職員のやりがいを高めるための工夫をしていきたいと考えています。と同時に、行政を取り巻く厳しい環境の中で職員にもさまざまな不安があると思いますので、所属長には職員が気楽に相談ができるような風通しのいい職場の環境づくりに努めてほしいと思います。 さらに、仕事にやりがいを感じられるような県庁組織にするために改革をどう進めるのかとのお尋ねもありました。今後は、職員一人一人が住民の目線と立場に立ってみずから考えて行動をすることが、一層求められてくると思います。このため、県庁という組織として職員をどのように育てていくのか、またどのような人材を育成していくのかが重要だと思いますので、先ほど申し上げました人事制度の見直しの中であわせて具体的な検討をしていきたいと思います。 私からは以上です。   (総務部長池本武広君登壇) ◎総務部長(池本武広君) まず、平成9年の職員給与の見直しなどによる減収額と職員給与の削減についてお尋ねがございました。 職員給与の見直しに伴います減収額につきましては、行政職の昇給モデルで申しますと、退職手当を含めました生涯の給与でおよそ900万円と試算をしております。また、人事委員会の給与勧告に沿ったものではございますが、平成11年からの5年間における給与改定に伴います行政職の職員の平均年収額はおよそ51万円の減収となっていますし、昨年の官民の格差を反映した退職手当の支給割合の引き下げによりまして、退職手当額は平均でおよそ150万円の減になると試算をしております。 一方、県の財政はさらに厳しさを増しておりまして、三位一体の改革に伴う地方交付税の縮減などによりまして、このままでは財政再建団体に転落する可能性があります。この危機的な状況を乗り越えていくためには、事務事業の廃止、凍結や職員の給与を含めました人件費の一層の縮減など、すべての歳出についてさまざまな方策を検討していかなければならないと考えています。 次に、これまで取り組んできましたアウトソーシングの総括についてのお尋ねがございました。これまでも、行政改革大綱の考え方に沿って、新しい官民の役割分担を考慮し、民間活力の活用を行ってきました。その際には、最小の経費で最大の効果を上げるという行政の責任を念頭に、県民サービスの向上や費用対効果も十分に検討し、実施してまいりました。すべての委託業務や民間移管について詳細な調査ができているわけではありませんが、最近の例で言いますと、この4月から渡船の運航業務の民間委託を行いましたところ、県が当初予想した以上にコスト面でのメリットが出てきております。また、県民サービスの点でも、養護老人ホームを民間移管した際に入所者の方々からもよい評価をいただいたと聞いておりまして、おおむねサービスの面でもコストの面でも期待した効果が出てきているのではないかと考えております。 今後とも、こうした県民サービスや費用対効果といった点に十分留意してアウトソーシングを進めていきますが、民間のすぐれた知恵や技術を活用するという点にもこれまで以上に力を入れていきたいと考えています。 次に、委託する業務などに対する議会のチェックに関するお尋ねがありました。委託を行う場合には、その事業の内容等に関しましては、法令に基づき予算案を審議いただく場などで説明させていただくことになります。ただ、今後本格的なアウトソーシングを進める際には、県の業務の流れを大幅に見直すことになりますので、その内容や改善効果、事業者との役割分担などについて十分にお示しをしまして、議論をいただくことが必要だと考えています。また、委託する業務を履行する能力を有する事業者を適切に選別していくことが必要だと考えていますので、そのための受け皿の審査要件や発注の際の資格要件といった基本的な方針につきましても、その都度、議会に御説明していきたいと考えています。 次に、アウトソーシングと定員管理との関係についてお尋ねがありました。業務のアウトソーシングを行いますことで新たな職員定数の削減も可能になると考えられますが、一方で、その委託業務のマネジメントも含め県に残った業務を円滑に進める必要がありますし、本来的に県が担うべき業務への重点的な対応や新たな行政ニーズに取り組む必要もありますので、単純に定数を削減するということではなく、それぞれの業務に支障のない配置を基本に考えていく必要があります。今後、具体的なアウトソーシングの状況を見きわめながら、さらなるスリム化の検討も含め、状況に応じました適切な定員管理を行っていきたいと考えています。 以上でございます。   (健康福祉部長岡芳子君登壇) ◎健康福祉部長(吉岡芳子君) 子供を取り巻く環境の改善についてのお尋ねのうち、里親制度の啓発と里親登録の促進策についてのお尋ねがありました。 子供が心身ともに健やかに成長しますためには、家庭の中で愛情に包まれて育つことが大切であることは申し上げるまでもありません。虐待などを初めとしまして、さまざまな事情によりましてこうした環境がかなえられなくなった子供を保護者にかわって養育していただくために、里親制度が設けられております。現在、県内には43名の方々が里親として登録してくださっており、7名の里親の方に子供を愛情豊かに育てていただいております。我が子を育てるのも大変な今日において保護者にかわって子供を育ててまいりますのは、豊かな愛情と熱意が要るとても大変なことであると思います。その崇高なお心と御努力に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。また、里親として子供を育ててこられた方々からは、苦労した思い出とともに、子育ての喜びを味わうことができたとのお話もお聞きをしております。 これまで、里親制度の広報につきましては冊子やポスターなどで行ってまいりましたが、こうした里親さんの御苦労や喜びの経験を許される範囲でさまざまな機会をとらえて語っていただきますことも、里親になっていただける方をふやしていくために有効な方法の一つではないかと思っています。今後は、そうした場づくりの検討に加えまして、マスメディアや民生・児童委員、さらには子ども支援ネットワークの皆さんなど地域のさまざまな方々の御協力をいただきますことで、広く県民の皆様に里親制度についてお知らせをしてまいります。 次に、中国残留孤児問題についてのお尋ねの中で、関係者の御意見やニーズを聞くことと今後の取り組みについてのお尋ねがございました。中国からの帰国者の方々の御意見やニーズにつきましては、来庁されました帰国者の方々から直接お話をお伺いしますとともに、県が設置をしています就労生活相談室の相談員や中国帰国者の会の方にお話をお聞きしてまいりました。その中では、就労や日本語の習得、住宅の確保などに加えまして、最近では特に医療や介護といった高齢化に伴います生活不安の声が多く寄せられています。このため今後は、従来の相談に加えまして、帰国者の方々の会合などに直接出向くなどしまして、さらによりきめ細かにお話を聞かせていただき、先ほど知事からお答え申し上げました中国語版の医療や福祉のパンフレットづくりなど、今後の具体の取り組みに生かしていきたいと考えております。 以上でございます。   (教育長大崎博澄君登壇) ◎教育長(大崎博澄君) 子供を取り巻く環境の改善についての御質問のうち、CAPのプログラムの効果の受けとめと、それを教育現場で活用していくための方策、人材育成のための支援が検討できないかとのお尋ねにお答えをいたします。 子供たちへの虐待や暴力は深刻な社会問題です。子供たちがみずからの意志で暴力への対処法を身につけるCAPのプログラムは、県内の学校でも既に数校で取り組まれており、こうした問題を解決するための有効な手段の一つではないかと強い関心を持っています。県教委では、現在改訂作業を行っております人権教育指導資料学校教育編の作成委員に高知CAPの代表者の方に入っていただき、御意見をいただいています。また、本年度は、議員のお話にもありましたように、高知CAPに文部科学省の委託事業である家庭教育支援総合推進事業をお願いし、高知市を中心に保護者や児童生徒に対しまして暴力防止の知識や技術の普及に御協力をいただいています。人材の育成が今後の大きな課題でございますが、厳しい財政事情もありますので、本年度の委託事業の実績なども参考にしながら、これからの取り組み方を研究させていただきたいと思います。 次に、高知県こども条例議案について、4月以降のPTAなどへの説明会での条例案に対する受けとめや、継続審査となっていることへの反応などについてのお尋ねがございました。高知県こども条例案の作成につきましては、子供を取り巻く環境を少しでもよいものにしていきたいと願う県民の皆様を中心に、ワークショップなどを重ねて広く地域の声を集め、県民と県の協働で平成12年度から4年間取り組んでまいりました。こうしてでき上がった条例案でございますが、県民の皆様にまだまだ十分に知られていないという御意見もいただきましたことから、できるだけ多くの皆様にこども条例のことを知っていただくために、4月以降、PTAや児童委員の研修会などさまざまな機会をとらえて説明を行ってまいりました。 その中では、こども条例への理解がまだ十分とは言えないという御意見や権利の乱用を懸念する御意見もございましたが、子供たちを取り巻く深刻な状況を憂慮して、条例を制定し県民全体で子供を育てていく機運を高め環境づくりを進めることが必要である、理念を広めるだけでなく条例の中に定められている推進計画を作成することにより、実効性のある取り組みが急がれるなどの御意見が多かったと受けとめています。継続審査となっていることにつきましては、一部に早く決着し課題に取り組むべきとの御意見がございました。こうした御意見や反応から、多くの県民の皆様は、子供たちを取り巻く環境の厳しさを踏まえ、高知県のすべての子供たちが健やかに育つための取り組みが一日も早く進んでいくことを期待しておられると受けとめています。 以上でございます。   (危機管理担当理事宮崎利博君登壇) ◎危機管理担当理事(宮崎利博君) 南海地震対策についての御質問にお答えします。 まず、対策計画の策定状況と今後の対応についてお尋ねがありました。東南海・南海地震に関する特別措置法で義務づけられました対策計画は、津波により1メートル以上の浸水のおそれがある事業所や学校などにおいて津波から避難するための計画です。この計画は、6月16日までに県内2,049の対象事業所や学校ごとに策定し、消防本部や国、県といった受付機関に提出することになっています。6月16日現在では、1,296事業所、63.3%、7月8日現在では1,486事業所、72.5%の事業所において策定されています。 まだ策定されていない事業者の皆さんに対しては、引き続きそれぞれの受付機関から個別に訪問し、計画の意義や策定方法を説明することなどにより策定していただきたいと考えています。また、既に計画を策定した事業者の皆さんには、まずは避難訓練を行っていただきたいと考えています。避難訓練を行うことにより、さまざまな課題や問題点が把握できると思いますので、そのことを計画に反映することで中身を充実させていただきたいと考えています。 次に、昨年度の事業の成果についてお尋ねがありました。平成15年度の南海地震対策は、今後の取り組みの土台固めとして、地震に関する基礎的な調査や、自助、共助を支える自主防災組織の育成、個人住宅や県有の建築物の耐震診断などに取り組みました。幾つかの主な事業の成果について御説明します。基礎的な調査としては、地震動や津波による物的、人的な被害の想定と詳細な浸水予測に取り組みました。浸水予測につきましては、平成15、16年度の2カ年で実施するものです。こうした調査により、今年度には、県内での被害や沿岸域での津波の挙動など、次の南海地震による揺れや津波による影響の全体像が明らかになります。 次に、自主防災組織の育成としては、この1年間で128組織が増加しましたが、そのうち総合補助金を活用して新たに87の自主防災組織が結成され、8つの市と町、24地区で避難地や避難路の整備、また12の市と町で484基の避難標識の整備が進むなど、避難体制の充実が図られました。さらに、個人住宅の耐震診断につきましては、高知市、南国市、香北町で事業を実施したところ予定していた対象戸数200戸を上回る要望があり、急遽320戸に対象をふやしました。そのことの上に立って、今年度は対象戸数を1,800戸に設定し、実施を予定している市町村も34市町村と見込まれています。 以上でございます。   (商工労働部長起塚昌明君登壇) ◎商工労働部長(起塚昌明君) 南海地震対策のうち、防災産業の育成についての御質問にお答えいたします。 南海地震は、今後30年間に40%程度の確率で発生すると言われておりますが、県としての大切な役割は、こうした災害から県民の生命や財産を守ることだと考えております。と同時に、県内産業が防災の分野でビジネスチャンスを広げていくことが、本県の産業振興や災害に対する県民意識の啓発に貢献できるものと考えております。既に本県におきましても、地震発生による停電時の避難誘導に役立つ光る建材を製造している企業や、地震による津波などにも対応できる街路灯を製造している企業などがございます。また、最近では、県内の企業の数社が県外企業と連携し、防災関連の製品を製造していこうという取り組みも始まっております。こうした活動などを通じまして本県の産業の振興が図られますよう、産業振興センターなどの関係機関と連携しながら取り組んでまいります。 以上でございます。 ◆30番(坂本茂雄君) それぞれお答えをいただきましたけれども、幾つかの点について再質問をさせていただきたいと思います。 まず一つは、給与の見直しについて。総務部長の方から一定の試算が示されておりますけれども、例えば人勧に伴う削減部分などにつきましては、これは将来にわたっての影響ということの額にはなっていないんではないかというふうに思います。私が言いたかったのは、例えば1997年に昇任・昇格運用基準の見直しをした際に、それが将来にわたってどれだけの損失になるかというと、モデルで900万円というふうに言われました。人勧においては、この5年間の見直し、期末勤勉手当の部分やあるいは給与月額本体の見直しによって、それが将来にわたってどれだけの減額になるかということでいえば、相当の規模の額になっているというふうに私は思っています。 ただ、いろんな今の財政状況の中で、踏み込まざるを得ないというふうなことでお答えがありました。いずれにいたしましても、この間これまでのこういった見直しをする際に職員団体との間で話し合いもされてきておりますけれども、十分な話し合いがされないままに結局、時間が来たので打ち切りというふうな形で進めてこられたケースが多かったように思います。そういう意味では、今後こういった痛みを伴わすようなことをする際には、十分職員団体との間での話し合いもしながら、お互いが理解と納得をして、そして人の力でまさに仕事ができるような県庁組織として進めていくべきだろうというふうに思いますので、その点について職員団体と十分な話し合いをするというつもりを持たれておるのか、まず総務部長に1点お伺いしておきたいと思います。 それと、アウトソーシング等につきまして知事に幾つか再質問をさせていただきたいと思います。委託業者あるいは団体等に対して、労働法令の部分でいえば、そういったことを盛り込んでいくということで御回答があったわけですけれども、一方、その団体、団体といいますか事業所や団体などにおける雇用主と労働者の関係でいきますと、そこの部分については県として、言えば口を差し挟むことができないというふうなお話がありました。しかし、これまでも県がさまざまな形でアウトソーシングや民間委託をされてきている中で、その部分において大変ゆゆしい事態も起こっているように聞いております。例えば、極めて長時間の拘束時間の中で働かしていたりとか、あるいは人件費の算定根拠の額からいうと大幅に低い賃金で雇用されていたりとか、そういうことでまさにこのアウトソーシングや民間委託が劣悪な労働条件の垂れ流し、そういうふうなことになることを私たちは懸念しておるわけで、そういう意味でそういったことのないような指導をしていくべきだというふうに考えております。 それは民間の労使の関係の問題だ、委託先の労使の関係の問題だということで切って捨てるのではなくて、今言いましたようなことを踏まえて対応できないのかどうか、もう一度お伺いしておきたいと思います。 それと、南海地震対策推進条例につきましては、先ほど知事の方からお答えをいただきましたが、昨年御答弁いただいたところと余り変わっていないように思いました。しかし、先ほどの民間事業所などにおける対策計画の策定などにも見られるように、やはりまだまだお互いが、県民も含めてこの地震対策の問題が我がことのようになっていない。そういう意味で、この地震対策の推進条例を打ち出すことでそこの意識喚起をしていくということは、私はどうしても必要ではないかと。先ほど知事が例として言われましたが、例えば自主防災組織の組織率が低いとか、そういうふうな状況では、そういうところでの経験が盛り込めないと。それが、もう少し自主防災組織なども広く組織されてそこで豊かな経験を積んできたときに、そういった経験者の方が条例策定に参加していくと経験も生かされるんではないかと。しかし、それは、私は逆ではないかと。 ここのところがどうしても、去年の議論以降、続いている部分なんですけれども、ぜひ私は、いろんな地震対策などに先進的に取り組んでおられる自治体のお話を聞くにつけ、やはり高知県としてはこの地震対策の推進条例というのは前面に打ち出していくべきではないかというふうに考えておりますので、その点について再度知事にお考えをお聞きしたいというふうに思います。 それと、中国残留日本人孤児の関係ですが、確かに財政的に厳しいという状況の中ですから、極めて明確なお答えで、検討できないということだったわけです。それは、一つには国の責任という部分もあるかと思います。ただ、私が言いましたように、一方で、国の命を受けて県がその送出計画を策定し、県としてそれに奔走してきた、送り出すことに奔走してきたというふうな状況があります。実は私の母も旧満州で生まれ育って、引き揚げてくる際に一歩間違えば同じような立場になった人間でありました。そういう者からもいろいろ話を聞く中で、さらに私は県庁在職時代にこの仕事に4年間携わらしていただきまして、本当にこの方たちが高知に帰ってきてよかったと、そういうふうに言えるようになってほしいというふうに思っております。ぜひこの点についても、また今後御検討いただきたいと思いますが、一つだけちょっと御提言をしておきたいと思います。 実は、こういった方々が帰国してくるのは昭和49年が一つの節目なわけですけれども、それ以前にもし帰ってきていたとしたら、1人当たりどれだけの県予算支出を受けることができていたのか。そういうふうに計算していくと、約4億9,000万円の県予算でのサービスを受けることができていたはずだと。それを例えば財源にした形で考えれば、これから20年にわたって現在高知県に在住している68人の方に月3万円を支給していくということも可能だというふうに、勝手な試算を私はしました。結局、引き揚げてこれなかったために受けれなかった県のサービスを、今からそれを給付していくという考え方に立てないのかなというふうにも思ったりしております。これは要望ですので、ぜひ、切って捨てるのではなく、また今後の検討の材料にしていただきたいというふうに思います。 それと、100条委員会の調査アンケートに関しまして、説明責任を果たすための調査というのは、もうしないでいいというふうに考えておられるのかどうか、そのことについてだけ御答弁をもう一度お願いしたいと思います。 時間が来ましたので、ほかにも言いたい部分はありますけれども、一応今の点についてお答え願いたいと思います。(拍手) ◎総務部長(池本武広君) 職員給与の見直しに関しまして、職員団体ときちんと話し合いをするのかというお尋ねがございました。 当然、職員給与の見直しを行う場合には職員組合とも十分なお話し合いをしていかなければならないという認識でおります。これまでも、お話のありました給与適正化等々の中でお話し合いもしまして、職員の皆さんの御協力もいただいてまいりました。 ただ、説明してまいりましたように、三位一体改革に伴う交付税の縮減などによりまして、さらにもう一段危機的な状況となっております。このままでは財政再建団体に転落する可能性もある中で、それだけは何としても避けなければなりませんので、事業の廃止や凍結など県民の皆様にはさらに痛みを求めざるを得ない、そういった見直しも検討せざるを得ない状況となっております。そうした状況も十分御説明をしながら、話し合いをしていきたいと考えております。 以上です。 ◎知事(橋本大二郎君) 坂本議員の再質問にお答えをいたします。 まず一つは、アウトソーシングをする際に、その委託を受けてくださる企業や団体に働かれる方の労働条件についてでございました。お話にございましたように、余りにも長時間、また余りにも低い賃金でということが労働基準法や最賃法に触れるということであれば、また別の問題でございますので、当然その視点から対処をしなければいけないことだと思います。そうした法に触れるようなということは別にいたしまして、一般的に、県のさまざまな職場の労働条件に比べて今議員が御指摘のような劣悪な条件というようなことがあってはならないと思いますので、指導という言葉の意味合いのとり方はまた別でございますけれども、そういう場合に何らかの形で県としてかかわっていくということは否定できないことだと思います。 それから、南海地震の条例について重ねて御質問がございました。先ほど御質問の中で御紹介をいただきました先進地の事例、またそこでの有識者の声ということは十分参考にさせていただきたいと思います。一方、私がお答えをしたことは、本県で現場で取り組んでいる職員の実感をもとにしたものでございます。決して条例化を否定しているわけではございませんし、現場の職員も条例化を目指していきたいということを明言しております。私もそうあるべきだと思っています。ただ、今の時点は少し早過ぎるのではないかという現場の職員の実感というものも大切にしたいと思って、先ほどのような御答弁をいたしました。今後、鶏が先か卵が先かということよりも、もうちょっと具体的にどの程度に熟度が進んでいるかということも考えながら、できるだけ早く坂本議員がおっしゃるような条例化に向けての取り組みが進むように、部内での、庁内での検討を進めていきたいと思います。 また、御質問ではございませんでしたけれども、中国残留孤児の方々への問題は、十分その思いを受けとめて、また何ができるかどうか検討をさしていただきたいと思います。 そして最後に、100条委員会に関連をしまして、説明責任を果たすということは調査をしなくていいということかという御質問がございました。調査をしなくていいというような意味合いではなく、13年近くも前のことですので、調査をしようと思ってもできないような、また極めてあいまいになっているような事実が多いという趣旨を申し上げました。 私からは以上でございます。 ○議長(森雅宣君) 暫時休憩いたします。   午前11時37分休憩---------------------------------------   午後1時1分再開 ○副議長(池脇純一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 27番西森雅和君。   (27番西森雅和君登壇) ◆27番(西森雅和君) 公明党を代表して、知事及び関係部局長に質問をいたします。 初めに、知事の政治姿勢について伺います。去る6月4日、政府では経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004が閣議決定されました。昨年の三位一体の改革では、地方交付税と臨時財政対策債が合わせて2兆9,000億円削減され、国の補助金も1兆円が削減されました。これに比べ国から地方への税源移譲は6,500億円しかされず、このことにより地方財政は一気に厳しい状況となりました。本県でも平成16年度の地方交付税と臨時財政対策債が195億円削減され、236億円の財源が不足しました。このように本県初め地方の不満が広がる中で、今回の基本方針2004が閣議決定されました。今回の決定では国から地方へのおおむね3兆円規模の税源移譲がやっと盛り込まれ、ようやく三位一体改革の筋道がつけられたように思います。 また、これとあわせて、政府は基本方針の中で、税源移譲の前提として地方公共団体に対し国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめるように要請をしています。政府は、当面3年間で4兆円の補助金削減を掲げています。そして、本年度に1兆円を削減し、残りの3兆円の具体的な事業名を全国知事会など地方6団体に決めてほしいとしています。言ってみれば、国は地方にボールを投げてきたわけであります。これを受け、全国知事会など地方6団体では、どの補助金を削るのか既に検討が始まっています。この補助金の削減の問題、自主財源が少ない本県などは公共事業の補助金に頼る場合も多くあり、どの補助金を削減するのか都道府県の足並みをそろえるのは、なかなか難しいように思われます。先週開催された全国知事会議でも、国庫補助負担金改革の具体案づくりに向けて活発な議論がなされたことと思います。 そこで、知事にお伺いいたします。先週の全国知事会議に出席するに当たって、高知県として具体的にどの補助金の削減を考えて、どのような決意で臨まれたのか、伺いたいと思います。 また、国に対して全国知事会としての働きかけとは別に、今後県内の市長会、町村会などとの調整をどのように図り、県として国へ具体的にどのように働きかけをしていこうとされているのか、あわせて伺いたいと思います。 次に、市町村合併について伺います。今、県内の各市町村では、三位一体改革の影響などもあり、どの市町村も大幅な財源不足に陥っており、市町村合併は避けて通ることができない状況にあります。このような中、高知県内では現在3つのグループの8市町村から合併申請が出される一方で、5月16日には佐賀町における住民投票で、また6月には田野町の住民アンケートにおいて合併反対との意見が過半数を上回るという結果となり、合併協議を終えた後に枠組みが崩れるというところも出てきています。こうした現状を踏まえ、知事は最近、事ここに至っては合併をより強く促すといったアクセルを踏むとかの判断をせざるを得なくなってきたと発言をされました。この発言に対して、知事の発言の影響力を考えたとき、なぜもっと早くこのような発言をしなかったのかと率直な感想を持ったのは私一人ではないと思います。 県は平成12年に、県民や自治体関係者を対象に市町村合併に関するアンケートを実施しています。この調査の結果として、県民や自治体関係者の大半の方々が広域行政の推進の必要性を認めており、県民のおよそ5割、また自治体関係者ではおよそ7割を超える方が、合併が必要、あるいは、合併の検討は必要と答えております。また、県に対する県民の皆さんの要望として、合併に関する情報の提供や、市町村や民間が行う合併の研究などへの支援などの項目が多くなっていました。 知事は、平成12年6月議会における提案理由の説明の中で、市町村合併について次のような発言をしていました。それは、「過疎化の進行や財政状況の悪化などといった市町村の厳しい実情からいたしますと、広域行政の推進は避けて通ることのできない課題でございます。そのため、設置いたしました市町村合併・広域行政検討委員会では、合併の効果や課題なども含めまして本県の実情に即した広域行政のあり方を御議論いただくことになっておりますので、そこでの御提言を踏まえまして、広域行政を一層推進してまいります」というものでありました。そして、この市町村合併・広域行政検討委員会の提言がどういうものであったのか、平成13年1月に市町村合併・広域行政検討委員会より報告書が提出されています。 この提言では、県に対して、市町村同士で検討できる場の設定など合併に関する議論の活性化に向けて強力なリーダーシップを発揮すべきであるという考え方が示されています。振り返って、平成12年6月議会の知事の提案理由の説明を見てみると、提言を踏まえて広域行政を一層推進してまいりますとの知事の発言は、私には市町村合併、広域行政をより一層進めますと言っているように映るのであります。であるならば、そのときから県はもっと積極的に市町村合併を進めるべきであったと思います。しかし、実際は、それぞれの地域の皆さんが自主的に選択するものとのスタンスのもと、全くもって消極的でありました。 そこで、知事に伺います。提言を踏まえて広域行政を一層推進しますと平成12年に言っておりながら、なぜ今まで提言に反して知事はリーダーシップをおとりにならなかったのか、伺いたいと思います。 市町村合併は、最終的には地域の住民の皆さんが合併をどうするのか決定するのは当たり前のことであると思います。今まで県として合併に関する情報の提供などもっと積極的にかかわっておれば、県内の市町村合併の推進状況も大きく変わっていたと思いますが、知事のお考えを伺います。 次に、新合併特例法では、知事が市町村の組み合わせなどを盛り込んだ合併構想を定め、構想対象の市町村に対して合併協議の推進などを勧告できるとなっていますが、このことに関する知事の御所見を伺います。 次に、知的障害者グループホームで起きた横領事件について伺います。ことし4月、知的障害者が共同で生活している高知市大津のグループホームの元世話人が、利用者の預金を着服したとして逮捕されました。知的障害者なので気づかないだろう、元世話人はこのように考え犯行に及んだのであります。障害者の人権を踏みにじった行動に、私は憤りさえ覚えました。人は身近で支えてくれる人を信頼します。その信頼関係を踏みにじり、悪用した犯行。逮捕された世話人は、このグループホームに勤務し始めた直後の平成7年7月から平成14年の7年間にわたり、入居者が一生懸命に働いて仕事先から振り込まれた給料や、入居者が障害年金をこつこつためた預金を着服していたわけあります。許すことのできない犯罪であります。 そして、今回事件の起きたグループホームを運営する社会福祉法人県知的障害者育成会では、平成12年にも世話人による横領事件が起きていました。また、この平成12年といえば、これらのグループホームをバックアップし、グループホームの世話人の指導などをする立場の県立大津寮の指導員が、グループホーム利用者の口座から預金をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕されています。今回逮捕された元世話人は、これら2件の事件が発覚し世話人や指導員が逮捕されるという真っただ中で、同じ犯罪を繰り返していたわけであります。 そこで、健康福祉部長に伺います。県立大津寮を中心としたこれらの一連の事件、なぜこのような犯罪が引き起こされたのか。そして、なぜこれらの犯行を防ぐことができなかったのか、伺っておきたいと思います。 今回の事件は平成14年9月に発覚し、社会福祉法人が同年12月に刑事告発しています。事件後の平成15年12月から平成16年1月まで、県は県内のグループホームの入居者や世話人、そしてバックアップ施設の職員に預かり金の管理状況を聞き取り調査したとなっていますが、平成14年の発覚から平成15年12月の聞き取り調査開始まで1年数カ月の時間が経過しています。 そこで、知事にお伺いいたします。スピードを大変大事にする知事ですが、余りにも時間がかかり過ぎているように思うのですが、最高責任者として事件発覚直後どのような対応策を指示されたのか。そして、調査開始までなぜこれほど時間がかかったのか、あわせて伺います。 今回のこれらの事件を受けて、県は預かり金管理のあり方を関係者で検討する委員会をこの7月13日に立ち上げました。また、今後、県主導の世話人研修を実施していくということを決めたということであります。私は、この預かり金管理の問題は、チェック体制とあわせて世話人の資質によるところも非常に大きいと思います。このたびの事件も、罪を犯したバックアップ施設の指導員や元世話人の知的障害者に対する人権意識の低さのあらわれではないかと思います。 そこで、健康福祉部長に伺います。知的障害者グループホームの世話人になるには、どんな資格が必要なのでしょうか。そして、現在高知県に何名の世話人の方がいるのか、伺いたいと思います。 県は、今後の世話人研修について、県主導で人権擁護意識の向上と専門的知識の習得を柱にして実施するということですが、私はぜひ県内で働いていらっしゃる世話人の方が全員受けられるような研修にしていただきたいと思いますが、健康福祉部長のお考えを伺います。 最後に、私はこの事件により、知的障害者のグループホーム全体のイメージが下がり、信頼が損なわれないかと心配しています。施設から在宅へ、今障害者の皆さんが生き生きと生活していくために欠かすことのできないグループホームの存在は、これからもますます重要になってくると思います。しかし、今回の事件で、施設からグループホームへの移行を考えていらっしゃる障害者御自身や障害者の御家族の皆さんの中に、グループホームはちょっと心配だなと思われた人もいるかもしれません。また、今回の事件で、一生懸命働いていらっしゃる世話人の皆さんの中で嫌な思いをされた方がいたかもしれません。 そこで、健康福祉部長に伺います。今後、県としてグループホーム全体の信頼回復とイメージアップをどのように図られていくのか、お伺いいたします。 次に、医療と介護の問題についてお伺いいたします。現在、日本における平均寿命は男性が78.4歳で、女性は85.3歳で世界第1位であります。そして、今後ますます日本の高齢化は世界でも類例を見ないほどのスピードで進み、10年後の2015年には65歳以上の高齢者数は3,300万人に達すると予想されています。これは、日本の全人口の4人に1人が65歳以上になるわけであります。10年後の2015年といえば、現在50歳代半ばのいわゆる戦後のベビーブームで誕生した団塊の世代と言われる方々が高齢者になる時代であります。10年後の2015年、医療の分野においては、この団塊の世代ががんにかかりやすい年齢に達することから、がん患者数はピークを迎え、放射線治療を受ける患者数が現在より大幅にふえる事態となる2015年問題として、専門医や専門スタッフの不足が懸念されています。そして、安全に治療できる体制の不備や専門医、専門スタッフの不足から、対応のおくれや医療事故の発生などの心配もされています。 そこで、健康福祉部長と病院局長に伺います。放射線治療における専門医の養成や治療計画を立てる医学物理士などのスタッフの育成など、新病院並びに県立病院における2015年問題への対応をどのように考えているのか、伺いたいと思います。 この2015年の問題は、医療以外の介護の分野においても大きな課題であると思います。高知県は既に、2004年4月、ことしの4月現在で65歳以上の人口は25.3%、4人に1人が高齢者に達しているわけであります。言ってみれば、高齢化の先進県として日本の10年後の姿を示しているわけであります。私は、高知県においてますます高齢化が進む中、県民の皆さんが長寿であるということとあわせて、高齢者が元気で長生きすることに力点を置いた健康長寿の県づくりを今こそ進めなければならないと思います。平成12年度に始まった介護保険制度は、ことしで5年目を迎えました。今、4年が経過し、介護が必要な高齢者の急激な増加が予想されていることに加えて、要介護者の介護度の重度化が懸念されています。特に、軽度の要介護者の重度化は、介護サービスが必ずしも高齢者の生活機能や身体機能の維持・改善に結びついていない場合があるとの指摘もあります。今後は、要介護者の増加や悪化を防ぐための介護予防、この介護予防の充実が急務であると思います。 県内の市町村の中には、介護予防への取り組みとして、高齢者がトレーニング機器等を使ったいわゆるパワーリハビリ、筋力トレーニングを取り入れて成果を出している市町村もあります。厚生労働省は、来年の介護保険の制度改革でサービスを再編することになっております。この中で、比較的軽い「要支援」と「要介護1」の人向けに、筋力強化や食事改善指導など介護予防のためのメニューを新設するとも言われています。いよいよ厚生労働省も、積極的に介護予防に取り組み始めました。 そこで、健康福祉部長に伺います。県として介護予防に対してどのような基本的な認識を持っているのか、また今後県として介護予防にどのように取り組んでいくお考えなのか、伺いたいと思います。 次に、高知県痴呆介護研修事業について伺います。今、高知県では、高齢者が介護を必要とする状態になってもできる限り住みなれた地域や家庭で自立した生活が続けられるよう在宅介護サービスの充実を図ることとあわせて、痴呆性高齢者グループホームでの痴呆対応型共同生活介護や、特定施設入所者の生活介護の充実に向けた基盤整備が進められています。こうした中、本県では高知県痴呆介護研修を実施しています。この研修は、高齢者介護の実務者を対象として、痴呆介護の技術の向上と痴呆性高齢者に対する介護サービスの充実を図ることを目的に行われる研修であると聞いています。本年度も1回当たり40名の定数で3回、合計120名の受講定数となっており、多くの応募が見込まれているようです。 そこで、健康福祉部長に伺います。この研修会の具体的内容と平成15年度における定数と応募人数、そして受講者の人選をどのようにしているのか、お伺いしたいと思います。 そして、この研修は、各介護保険サービスの事業者や養護老人ホームの施設長、また痴呆性高齢者グループホーム開設予定者などに実施要領を送付し、申し込みを受け付けることになっているということですが、一つの事業者や施設から複数の人が研修を受けられないとも聞いています。 ニーズがあるにもかかわらず、なぜそのニーズにこたえられないのか、健康福祉部長にお伺いいたします。 私は、高知県全体の介護レベルの向上を考えたとき、このような痴呆介護研修は、受けたいと言う人については全員受けていただくというくらい垣根を低くしていくことが大切であると思いますが、健康福祉部長のお考えを伺いたいと思います。 次に、父子家庭の医療費の助成についてお伺いいたします。2カ月ほど前、ある若いお父さんと会いました。お父さんといっても30代前半の青年です。そのお父さんは、奥さんと離婚、現在小学校1年生になる娘さんと2人で生活をしています。その方は、2年前に体調を崩し、仕事をやめてしまいました。しかし、今ではもうすっかり元気になり、自分で事業も始めています。その方からこんな話を聞きました。「昨年、収入がない中、病院にかからなければならなくなり、本当に苦しかった。そのとき、父子家庭に医療費の助成があればなと、どれほど思ったことか」というものでした。所得税の非課税世帯において、母子家庭には医療費の助成制度があるのに、父子家庭は助成の対象になっていないのであります。そして、その若いお父さんは、「僕はもう大丈夫です。しかし、父子家庭の方で、今後さまざまな状況で収入が少なくなってしまい、父親や子供さんが病院にかからなければならなくなったとき、助成する制度があればその人とその子供さんは本当に助かると思います」と実感を込めて語っていました。 母子福祉においては、母子及び寡婦福祉法に基づき、経済的に不安定な立場にありがちな母子家庭や寡婦の生活の安定と向上を図るため、経済的支援を中心に施策の推進を図ってきました。これに対し、父子家庭にはそうした施策は対象外でありました。しかし、平成15年度、昨年度から、母子及び寡婦福祉法では母子家庭等という表現が使われるようになりました。この母子家庭等とは、母子家庭及び父子家庭をいうわけであります。このことにより、父子家庭に対しても母子及び寡婦福祉法の福祉の対象に位置づけられたのであります。母子福祉資金の貸し付けや母子家庭自立支援給付金など、まだまだ母子家庭と父子家庭とでは差別の残っている部分もありますが、昨年父子家庭が母子及び寡婦福祉法の福祉の対象に位置づけられたことは大きな前進であったと思います。 そこで、健康福祉部長に伺います。この医療費の助成制度において、父子家庭が外れて母子家庭に限っている法的根拠はあるのでしょうか。また、実際に県内に父子家庭の方がどれくらいおり、その中に所得税の非課税世帯がどれくらいあるのか、あわせて伺います。 高知県では、昨年12月に男女共同参画社会づくり条例が策定され、男女差別のない社会へのさらなる取り組みが進められています。私は、男女差別のない平等な社会を考えたとき、所得税の非課税世帯という線引きがされているわけでありますので、母子家庭であれ父子家庭であれ医療費の助成の対象にすべきであると考えますが、知事の御所見を伺います。 次に、高知県の生活排水処理構想についてお伺いいたします。私は数年前、あるオーストラリアの青年に、日本においてすばらしいところはどんなところですかと尋ねたことがありました。その青年は、高知県の清流の美しさに感動しますと言っていました。私も、高知県が世界に誇る最もすばらしいものの一つとして、河川や海の美しさが挙げられると思っています。そして今、その美しさをいかに守っていくことができるのか、このことは高知県における大きな課題であると思います。 高知県では、平成9年度に高知県全県域生活排水処理構想を策定し、生活排水処理施設の整備を推進してきました。生活排水処理施設の整備は、水環境の保全とともに、一方では人が快適で衛生的な暮らしをするために欠かせない生活基盤整備でもあります。平成9年度に策定した生活排水処理構想から約5年、近年の経済情勢の変化を受け、公共事業の再評価や生活排水処理施設整備事業間の調整の徹底や処理区の設定方法についての検討などが求められるようになり、より計画的、効率的かつ適正に整備を実施していくために、昨年7月にこの生活排水処理構想の見直しが行われました。高知県では、この見直しに先立ち、公共下水道、農業集落排水、浄化槽の各事業の窓口が下水道課に一元化するなど、機構改革にも取り組んできています。このことは、日本の汚水処理が国土交通省、農林水産省、環境省の3省で行われている中にあって、地域の実情を考えたものであると私は高く評価したいと思っています。言うまでもなく、汚水処理施設の整備は、下水道、集落排水、浄化槽の各事業が経済的、効率的に適正に推進されなければなりません。 さて、昨年見直されたこの生活排水処理構想を私も見せていただきました。そこで率直に感じたことがありました。それは、目標年次である平成32年度に向けて、公共下水道と集落排水施設、いわゆる集合処理に依存する割合が高過ぎるということであります。私は、県内各市町村の今の財政力と財政状況、そして人口や面積を考えたとき、これからの高知県では集合処理より安くて早く設置できる浄化槽をできるだけ積極的に取り入れるべきではないかと考えます。そのためにも、個人設置型の浄化槽設置事業や市町村設置型の浄化槽市町村整備推進事業がもっともっとふえなければならないと感じています。 国においても、ここ二、三年こうした浄化槽の設置を推進する大きな流れが出てきています。環境省の浄化槽整備事業費の予算が、平成15年度には前年度比134%の211億円、また平成16年度予算では前年度比121%の256億円と、ほとんどの公共事業費が抑えられる中で大幅にアップしていることはその象徴であると思います。中でも市町村設置型の浄化槽は、今まで対象地域として水源地域や過疎地域、山村振興地域という限られた地域での制度であったものが、平成15年度から汚水処理が経済的、効率的な地域として環境大臣が認める地域という項目が加わったことで自治体の関心も高まり、予算額も平成16年度は対前年度比164%に拡充されたのであります。 そこで、土木部長にお伺いいたします。この生活排水処理構想では、平成13年度の浄化槽市町村整備推進事業の整備状況は2町村となっていますが、17年後の目標年次である平成32年度でも、わずか5市町村増加の7市町村ということになっています。この目標についてどのような考えを持っておられるのか、お伺いいたします。 今後、下水道から浄化槽への転換という流れは、さらに大きく広がっていくように思われます。特に、人口がまばらな中山間地域では浄化槽の方が経済的なことは火を見るより明らかですし、一般的な傾向として少子高齢化の中で人口が減っていくということを考えたとき、明らかに下水道は過剰投資になるおそれがあります。ある町で、これは県内の町ではありませんが、最大限の国庫補助を受け整備を進めることを前提に下水道と浄化槽の町費負担の比較を試算したものがありましたので見てみました。この町は人口約1万4,000人、面積20平方キロメートル、標高4.3メートル、高知県でいえば野市町を少し小さくしたような町です。 この町で下水道基本構想をもとに公共下水道などで整備した場合、町費負担が約51億8,000万円であったのに対し、市町村設置型の浄化槽だけで行う特定地域生活排水事業で試算すると約12億円となっていました。試算では差が歴然と出ていました。約52億円と約12億円、まさに4倍以上の違いがあったのであります。これは総事業費ではなく、町の持ち出し負担の比較としてであります。未整備のところへ浄化槽をただでつけても、まだたくさんのおつりが来るわけであります。こういった状況は、高知県のほとんどの市町村に当てはまるのではないかと思います。ちなみに、この町は下水道計画を浄化槽計画に見直したそうであります。 高知県全県域生活排水処理構想によりますと、高知県の生活排水の未整備地域を整備した場合の残事業費は約4,711億円が見込まれています。これは、当初の構想における平成14年度以降の残事業費に比べると約1,283億円、約21%が削減されたことになっています。このことはある程度評価できると思いますが、しかし私は、浄化槽の設置をより一層推進していくならば、まだまだこの費用は削減できると考えます。 そこで、土木部長に伺います。極端かもしれませんが、高知県の生活排水の未整備地域を浄化槽ですべて整備した場合、総予算として試算がどのようになるのか、伺いたいと思います。 今後、下水道計画を浄化槽の計画へと転換することによって、予算的にも随分助かると思います。このことにより公共事業がますますなくなると言う人がいるかもしれませんが、決してそんなことはないと思います。捻出された予算は、別の有効な公共事業に使うべきであると考えます。 次に、住民の負担について土木部長に伺います。汚水処理事業は住民にとっても多額の費用が必要になってきますが、下水道と浄化槽の設置時の受益者負担はどのようになっているのか、伺いたいと思います。 そして、これからは経済コストや時間コストの観点に照らし、自治体や住民の皆さんが事業を比較した上で主体的に選択できるような基準づくりと住民への情報公開システムの具体化が必要であると思いますが、県の今後の取り組みを土木部長にお伺いいたします。 下水道事業では、整備された地域において生活排水を公共下水道に引き込まない世帯も結構あり、このことがさらに市町村の財政を圧迫していると言われていますが、県内の市町村において公共下水道に対して最も接続率の高い市町村と低い市町村の現状、そして引き込まない原因がどこにあると思われるのか、土木部長に伺いたいと思います。 下水道と浄化槽。私は、経済性の面とあわせて、もう一つ考えなくてはならない側面があるように思います。それは震災への対応ということです。次の南海地震を考えたとき、下水道と浄化槽、どちらが震災に強いのか。阪神大震災のとき、下水道の大部分が破壊されてしまったと言われています。一方、浄化槽がどうであったのか。全く破損がなかったと言われています。地下に埋設されている下水管は、地震の力に弾力的な対応ができない構造になっています。それに比べて浄化槽は震災に強いと言えます。もし震災が夏場などに起こり伝染病が蔓延したら、それこそ大変なことになってしまいます。 最後に、知事にお伺いいたします。基準年次を平成13年度としている今回の高知県全県域生活排水処理構想ですが、市町村の財政状況もここ一、二年で大きく変わってきています。今の各市町村の財政状況を見たとき、市町村が計画している生活排水の整備は非常に厳しい状況にあるのではないかと思います。そこで、構想が絵にかいたもちに終わらないように、県として市町村の生活排水の計画に対して見直しの働きかけをすることも必要ではないかと思います。そして、県の高知県全県域生活排水処理構想についても、昨年見直したばかりで恐縮ですが、再度見直しも必要になってくるのではないかと思いますが、お考えをお伺いいたします。 次に、海上交通についてお伺いいたします。高知県は海に開かれた県であります。過去から現在に至るまで、本県における海上交通は人的交流や物的流通を盛んにし、高知県の産業の発展や観光振興などに大変大きな役割を果たしています。しかし、近年、高速道路の整備が進んだことや本州と四国に3つの橋がかかったことなどによって、人は船より列車や高速バスを利用することが多くなり、物はトラック輸送を利用するというケースが非常にふえてまいりました。 こうした状況の中で、海上交通としては、平成13年10月に高知と首都圏を結ぶブルーハイウェイラインさんふらわあが廃止となり、同じく13年12月には室戸汽船から甲浦と大阪の航路を引き継いだ高知シーラインが運行を停止いたしました。そして、記憶も新しい本年1月、宿毛と九州佐伯を結ぶ宿毛観光汽船が破産をいたしました。これらにかわって、便数減となったものの首都圏航路がマリンエキスプレスによって何とか復活し、そして来月からは大阪高知特急フェリーが甲浦港への寄港を予定しています。しかし、依然として本県の海上交通が非常に厳しい状況に立たされていることに変わりはありません。また、宿毛-佐伯航路については先々月、新会社が設立をされましたが、航路再開については不透明な部分もあるように聞きます。 そこで、港湾空港局長にお伺いいたします。宿毛-佐伯航路の再開に関して、現状と今後の対応について伺いたいと思います。 海上交通は、陸路の整備が進んだとはいえ、本県の主要産品である園芸作物の輸送面で市場との距離のハンディのある本県にとって、物流コストが比較的安く、重要な輸送手段であります。また、観光面においては、関東や大阪の学校関係者が体験型の修学旅行先として高知県を注目しているとも伺っています。その背景として、修学旅行で沖縄に行こうとすると予算がオーバーしてしまうことや、都会の生徒や先生たちがホエールウオッチングやスキューバダイビング、四万十川でのカヌー体験など自然との触れ合いに大きな魅力を感じているということが挙げられるそうであります。いずれにしましても、高知県の発展にとって海上交通は欠かすことのできないものであります。 そこで、港湾空港局長に伺います。現在運行している首都圏航路と大阪航路の海上交通において、それぞれどれくらいの経済効果が上がっているのか、伺いたいと思います。また、もし万が一これらの航路がなくなるようなことがあれば、高知県にとってどのようなダメージが考えられるのか、あわせて伺いたいと思います。 今まで県は、海上交通への支援として、運送業者など関係業界の方々が積極的に海上交通を利用するためのモーダルシフトへの補助金支援や、岸壁使用料の減免などの支援も行ってきています。そして、企業側も一生懸命に経営努力を重ねています。にもかかわらず、撤退してしまわなければならないという厳しい現状があるわけであります。これからの高知県の発展、そして基幹産業である農業の振興や観光振興を考えたとき、今の海上交通をなくすわけにはいかないと思います。そのためにも県は、海上交通を行うフェリー会社に対して、公共交通機関としてのしっかりとした位置づけをする必要があると思いますし、さらなる支援策が必要であると思います。 そこで、港湾空港局長に伺います。海上交通における人や物の流れをさらに発展、拡大していくために県として必要な施策は何であると思われるのか、御所見を伺います。 例えば県として、海上交通に対して誘客運動への支援など間接支援とは別に、航路維持への直接支援も必要だと思いますが、あわせて御所見をお伺いいたします。 次に、観光振興についてお伺いいたします。ことし5月、男子プロゴルフのメジャートーナメントの日本プロゴルフ選手権が芸西村の黒潮カントリークラブで行われました。この大会の開催は、高知県では初めてということでありました。四国での開催も16年ぶりだったそうであります。本県初のメジャートーナメントの成功に向け御尽力された関係者の皆様に敬意を表したいと思います。大会は悪天候の中、156人のプロゴルファーが熱戦を繰り広げました。大会3日間のギャラリーの合計は1万3,417人で、昨年の大会4日間の1万3,068人を上回っていたそうであります。過去に日本プロゴルフ選手権を開催した会場は、その後、来場者も増加しているということであります。 今回の大会は、今後県外のゴルフ客の皆さんに、より一層高知県のゴルフ場に来ていただけるきっかけになったのではないかと思いますし、また今回の開催は高知県の観光振興、経済効果ということでは大きな役割を果たしたのではないかと思っています。経済効果ということでいえば、昨年5月、松竹映画「釣りバカ日誌14」のロケが県西部や高知市で行われ、県内への経済効果として約28億円あったと推計されています。 そこで、商工労働部長にお伺いいたします。これらのイベントに対して県としてどのような支援をしたのか。また、このように高知県で開催される大きなイベントに対して県として支援の基準というものがあるのか、伺いたいと思います。 次に、携帯用防犯ブザーについてお伺いいたします。ことしの2月議会では、子供たちを連れ去りや痴漢などから守るために携帯用防犯ブザーの貸与や補助制度の創設を求める請願が、全会一致で採択されました。それを受け、今議会において県として補正予算案1,026万7,000円が計上されました。最近も子供たちがさまざまな事件に巻き込まれるニュースが後を絶ちませんし、ますますふえてきているように思われます。私は、親が子供を守り、また地域が子供たちを守ることは当たり前のことであると思います。それとあわせて、行政として何ができるのか。このたび高知県が県内の児童生徒をさまざまな危険から守るため携帯用防犯ブザーの貸与の予算措置を決定したことは、都道府県としては全国で初めてのことであり高く評価したいと思います。そしてまた、今回の高知県としての施策の決定は、犯罪への予防と抑止力になってくるものと確信をいたします。 そこで、1つだけ伺っておきたいと思います。今回の補正予算案は教育委員会の予算となっていますが、私立の小中学校に対してはどのようになるのか、企画振興部長にお伺いいたします。 次に、県民への行政サービスについて伺いたいと思います。私は、県庁は県内最大のサービス業であると思います。県が、県のオーナーであり大切な顧客である県民の皆さんに対して、いかに満足度の高い行政サービスを提供することができるのか、そして喜んでいただけるのか。もし県庁全体が一つの会社であったならば、県民というお客さんに対して、お客さんの側に立ったサービスを徹底していかなければなりません。そうしなければ、その会社はつぶれてしまいます。一つ一つの事業の提供もそうですし、また接客、窓口サービスにおいてもお客さんの側に立った経営が求められます。 経営時間においても、お客さんに合わせた時間の設定も必要かもしれません。例えば、県がたくさんの負担金を出している文化財団の施設の経営時間なども、お客さんが利用しやすいように曜日によっては夜8時とか9時まであけておくとか、またパスポートの申請窓口などは土日も営業するなどの努力も必要かもしれません。私も経験がありますが、県民の皆さんは平日に仕事を休んで県庁の窓口までパスポートを取りに来られるのです。もし土日にこの窓口があいていたら、この不景気の中、県民の皆さんはあえて仕事を休まなくても済むわけです。そこには、職員のフレックスタイム制や代休での対応などの柔軟な勤務体制の確立も必要なのかもしれません。知事は、昨年の秋、県庁全体を徹底して県民に向き合う組織に変えていくことが4期目の最も大切な目標ですとおっしゃっていますし、また、日々の仕事のあり方に至るまで、すべてにわたって県庁改革のコペルニクス的転回が必要ですとも言われています。 そこで、総務部長にお伺いいたします。県民サービスという観点に立ったとき、県庁においても夜間や休日の窓口サービスの充実が必要と考えますが、総務部長のお考えをお伺いいたします。 以上で、第1問を終わります。   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 西森議員の御質問にお答えをします。 まず、全国知事会議にどのような決意で臨んだのか、また県内の市長会や町村会などとの調整についてもお尋ねがありました。あわせてお答えをします。まず、全国知事会議へ出席しました際のスタンスなどですが、今回は基本的な方針のすり合わせの会議でしたので、お尋ねにありましたような具体的な削減のリストを持って臨んだわけではありません。ただ、私なりの最低限の目標としまして、国から地方に投げかけられています3兆円の税源移譲につながる補助金の改革案をつくり上げることを念頭に置いていました。会長の御意向もありまして、最終的な結論は8月の会議に持ち越されていますが、最後には必ず地方としての案をまとめるという決意は多くの知事が持っておられたように感じています。 また、平成16年度の改革が各省の利害にとらわれたつじつま合わせになってしまった苦い経験も踏まえますと、地方の自由裁量の拡大や着実な税源移譲をどのようにしてかち取るかを十分な戦略を持って取り組んでいく必要があると考えています。この点についても、案を示した後に国との協議機関を設置してはどうかといった提案が出されていますが、8月に再度行われます知事会議では、まさに地方として乾坤一てきの案を示さなくてはいけませんので、ただいま申し上げましたようなスタンスを基本にしながら、強い決意で臨みたいと思っています。 また、県内の市長会や町村会などとの調整に関しましては、県と市、また町村とではそれぞれに担当する事務の範囲も異なりますので、基本的にはそれぞれが行います全国組織との調整を尊重したいと考えています。ただ、今月前半には関係の部長が町村会と市長会の代表の方々とそれぞれ面会をして御意見を伺っていますので、先日の知事会議にはその報告も踏まえて臨みました。今後も、具体的な御要望があれば、こうした意思疎通を図った上で対応していきたいと考えています。 次に、市町村合併に関しまして、まず平成12年の6月議会で広域行政を一層推進すると発言をしたのに、なぜ市町村合併でリーダーシップをとらなかったのかとのお尋ねがありました。お話にありましたように、平成13年1月に、県民の皆さんにも御参加をいただきました市町村合併・広域行政検討委員会から市町村合併に関する御提言をいただきました。その中では、分権時代にふさわしい自治と行政の仕組みを地域住民が自主自立の精神で前向きに議論していくことが今最も必要とされているとの基本認識のもとに、市町村合併については、「ややもすると地域の狭い利害が出やすい合併問題について、行政、議会、住民が互いの利害得失を超えて真に地域のために何をすべきかを議論し、結論を出す取り組みが大切となっている」とされています。その上で、県が果たすべき役割としては、「市町村同士で検討できる場の設定など、合併に関する議論の活性化に向けて強力なリーダーシップを発揮していくことが求められる」と、議論の活性化に向けての努力が県のリーダーシップとして位置づけられています。 さらに提言では、「このことは、合併を強力に推し進めよという意味ではなく、市町村と連携をしながら地域住民に十分な情報と議論の場を提供することで、地域住民が住民自治の視点で結論を出すことができる状況をつくり上げるということである」とも述べられています。県としましては、この提言を受けまして、県が果たすべきリーダーシップは、各地域で合併についての議論が深まって地域の皆様が自主的に御判断いただけますよう積極的に支援をしていくことだと位置づけました。その上で、これまで、幅広い情報の提供と助言を初め、合併協議への人的、財政的な支援、さらには市町村間の調整といったことに努めてきました。 次に、県がもっと積極的にかかわっていれば進捗状況も変わっていたのではないかとのお尋ねがありました。これまでもお答えをしてきましたように、県内ではすべての市町村で何らかの形で合併議論がなされてきましたし、法定協議会も7割を超える市町村で設置されることになりました。また、法定協議会の設置を望みながら枠組みに加わることができなかった市町村も相当数ありますので、合併に向けての県としての役割は一定果たせてきたと考えています。あわせて、一連の過程の中で住民の皆様からの提案によってアンケートや住民投票がなされた事例もありますので、合併問題に対する住民の皆様の関心も呼び起こすことができたと考えています。 ただ、最近になって、合併協議の最終の段階で破綻するケースが出てきましたし、その一方で、三位一体の改革を受けての地方交付税の大幅な削減といった情勢の大きな変化も起きています。また、県内の各地域では、これから最終の判断に向かう地域や、逆にこれから新たな枠組みを立ち上げようとする地域もあります。そのため、県としましては、引き続き全力を挙げて支援に努めますとともに、私自身も合併問題への理解を深めていただくため積極的に地域に出向いていきたいと考えています。 次に、新しい合併特例法に盛り込まれました合併構想の策定や、それに基づく勧告についてお尋ねがありました。平成17年4月からの新しい合併特例法の特色の一つとして、都道府県は必要に応じて合併の推進に関する構想の策定ができることや、その構想をもとに知事は合併協議会の設置の勧告やあっせんを行うことができることが条文の中に盛り込まれています。その構想を作成するに当たっての要件になっています、必要に応じてという文言の中身については、今後国が指針を示すことになっていますが、地方制度調査会などこれまでの国の動きの中では人口規模が1万人未満の町村を対象にするといった考え方が出されています。こうした人口規模だけを基準に一律に合併に向けての動きを促そうとする手法に対しては、私はいささかの疑問を感じています。 ただ、そうは言いましても、県内には合併を望みながら合併協議の枠組みに参加できなかった市町村もありますし、合併協議が最終の段階で破綻したことによって単独での運営を余儀なくされる市町村が出てくることも想定されます。一方、さまざまな情勢の変化によって住民の皆様から新たな動きが出てくる地域も考えられます。こうしたそれぞれの地域の思いや市町村の関係の方々からの御要請を受けて県が勧告やあっせんをすることで、合併議論に向けての後押しになる、あるいはきっかけづくりになるということであれば、そうしたことも選択肢の一つだと考えています。このことに関しましては、来年度に入りましたら国から具体的な指針が公表されることになっていますので、今後の県内の合併の動向なども踏まえながら、来年度に具体的な点を検討していくことになります。 続いて、知的障害者のグループホームで起きた横領事件に関しまして、事件が発覚した後に対応策の指示をしたのか、また調査の開始までなぜ時間がかかったのかとのお尋ねがありました。この事件は、入居されている方が最も信頼をしている元世話人による犯罪ですので、障害福祉全体の信用にかかわる重大な事件だと受けとめています。また、事件への対応策を私から直接指示したことはありませんが、障害福祉の推進に当たりましては常に御本人や御家族の思いを大切にして取り組みを進めるようにと指示をしています。ですから、担当の健康福祉部も、決して事件から1年以上も手をこまぬいていたわけではなく、事件発覚直後の平成14年の暮れから2回にわたって、同様のグループホームを設置している施設の施設長に預かり金に関する自己点検を指示しましたが、このときは不適切な事例の報告はありませんでした。 なぜこうした措置をとったのかといいますと、本県ではこれまでにも62カ所、268人分のグループホームが設置されていまして、施設からグループホームに移行した方からは継続して地域での生活を続けたいとの希望が上がっていますし、現在施設に入所している方の多くも施設より地域での生活を希望されているという実態があるからです。また、こうした御本人の希望を実現するために、新しい高知県障害者計画では今後5年間に新たに200人分のグループホームを整備することにしていますが、こうした背景を受けて今回改めて実地調査をしました。 しかし、今回の実地調査は、事件直後の調査とは違って再発防止のために単に預かり金の管理を強化するといった目的だけではありませんので、一人一人の自立の度合いに応じた支援はどうあるべきかや、世話人とバックアップの施設との役割分担はどうあるべきかなど、グループホーム本来の支援のあり方を検討するための実態調査になっています。今後は、その結果を関係の施設と共有しました上、預かり金の管理のガイドラインも含めまして、入居される方に望まれるグループホームのあり方を検討していきたいと考えています。 次に、父子家庭への医療費の助成についてお尋ねがありました。母子家庭の方々への医療費の助成制度は昭和51年から実施をしています。当時の背景としては、母子家庭の方々が子育てをしながら就職をしようとしても仕事が見つからないとか、就職をしても賃金格差があって経済的に自立することが難しいといった厳しい社会的な状況がありました。こうしたことは現在でも基本的には変わっていないと思いますが、お話のように、所得税が非課税という経済面に絞って考えてみますと、父子家庭も母子家庭もともに経済的に苦しいということには変わりはないと思います。そうした意味からは、お話のありました父子家庭への助成の必要性を否定するだけの合理的な理由を見つけることはできませんが、現在の県の財政状況を考えますと、この場で父子家庭を医療費助成の対象にしますとお答えすることは難しいと言わざるを得ません。 続いて、各市町村の生活排水の処理計画や県の処理構想の見直しが必要になるのではないかとのお尋ねがありました。各市町村では、生活排水の処理に関して経済性や地域の特性を考慮した効率的な整備の手法を選定して、それぞれの生活排水処理構想を策定しています。これに広域的な環境保全や事業投資額など総合的な視点を加味して、県の処理構想を策定しています。しかし、その後、国の三位一体の改革や市町村合併など国と地方の関係や社会情勢が大きく変化してきています。このため、これらの状況の変化が各市町村にどのように影響するのかを見きわめました上で市町村に相談をしまして、処理構想の見直しの必要性を判断していきたいと考えています。 私からは以上です。   (健康福祉部長岡芳子君登壇)
    健康福祉部長(吉岡芳子君) 知的障害者グループホームで起きた横領事件についてのお尋ねのうち、事件が起きました原因など関連しますので、あわせてお答えをさせていただきます。 知的障害者のグループホームは、障害のある人が地域で普通に暮らすことを目的に設けられた制度で、数人の方が地域にある住宅やアパートなどで専属の世話人さんと一緒に共同生活を営むとともに、バックアップ施設の職員が必要な支援を行っております。こうしたグループホームが現在県内には62カ所ありまして、67人の世話人さんが従事をされております。世話人の要件につきましては、知的障害のある人のよき理解者であること、食事の提供や健康管理、金銭の出し入れなどについて継続してサポートを行うことができることとなっておりまして、特に資格を必要とするものではございません。 今回の事件が発生しました原因は、元世話人の倫理観の欠如に加えまして、設置法人において定めました財産管理システムのチェック機能が働いていなかったことが最大の要因であると考えております。ただ、知的障害のある方への支援は、本人の持てる能力を生かし、一人一人の状況に応じた支援をしていくことが求められます。このため、管理やチェックを強化することと自立の度合いを大切に支援することとは、相反する面もございます。特に金銭管理面等においては、こうしたことの課題も残るところでございます。しかし、入居者がともに暮らし一番信頼していた世話人による今回の事件は、グループホームの家庭的なよい面を悪用した、入居者の信頼を裏切る犯罪であり、昼夜を問わず献身的に支援をされておられます多くの世話人の方や障害福祉に真摯に取り組んでおられる方々の信用をも損なうことになりました。私自身も議員同様に強い憤りを感じています。 入居者の方々の財産管理は各法人の主体的な取り組みにより行われていますが、今回の事件を重く受けとめまして、県が主導で再発防止の取り組みを進めることとしました。1つは、世話人の方の研修でございます。一連の事件に心を痛めておられる世話人の方も多いと思います。研修は、入居者の方々の人権擁護や支援に当たって悩んでいることなどを出し合っていただき、解決の方法を参加者で考えるような内容としまして、全員の方に参加をいただいて、世話人の業務に自信と誇りを持っていただけるようにしたいと考えています。2つ目に、県と関係の法人で預かり金管理のガイドラインづくりを含め、グループホームを利用されている方々への支援のあり方について検討を始めております。さらに、サービスの自己評価や今後導入をされます第三者評価を積極的に進め、サービスの質の向上に努めてまいります。 グループホームは、知的障害のある人の地域生活の場として大きな役割を担っておりますし、多くの方が施設よりも地域での生活を望んでおられます。これまで申し上げてまいりました取り組みを通じまして、信頼の回復に努めてまいります。 医療と介護についてのお尋ねのうち、高知医療センターにおける放射線治療の専門スタッフの育成についての御質問がございました。高知医療センターでは、各診療科の医師や医療技術者がチームを組んで行うがんの診断と、内科的、外科的、放射線治療などの高度で専門的な医療を提供することによりまして、がんセンター的な機能を発揮することとしています。そのため、医療に携わる個々のスタッフの専門的な知識と技術のレベルアップに努めますとともに、各種の認定資格を取得できる環境づくりを行っていくと聞いております。 次に、介護予防に対する認識と今後の取り組みについてのお尋ねがありました。生涯にわたって健康で生き生きとした生活を送りますことは、すべての県民の願いでございます。そのためには、脳卒中などの生活習慣病の予防とともに、虚弱な高齢者を要介護にさせない、また要介護高齢者の介護度を悪化させない、さらには自立度を上げていくといった介護予防の取り組みがとても大切であると認識をしています。現在、国では介護保険制度の見直しが行われております。この中では、軽度の認定者に対して筋力向上トレーニングや痴呆予防などの介護予防給付を行うことが検討されていますが、健康福祉部におきましては介護予防対策を部の最重要施策の一つと位置づけまして、これまで市町村とともに虚弱な高齢者を要介護状態とさせないことに主眼を置いた介護予防の取り組みを進めてきました。 具体的には、平成14年度から部内に地域保健福祉戦略会議を設置しますとともに、その重点的な取り組みの一つとして、介護予防に先導的に取り組んでいる市町村と協働しながら事業の検証を行ってきました。そうした中で、先導的な取り組みのノウハウを学びます一方で、事業の目的が不明確であったり、対象者とサービスが余りマッチしていないといった課題も明らかになってまいりました。こうしたことから、本年度は部内の関係課などの横断的なメンバーで構成します介護予防推進チームを設置しまして、市町村が効果的な介護予防対策に主体的かつ効果的に取り組むことができますよう、技術的な支援や適切な助言を行うための体制を整えました。 また、保健所におきましても、所内横断的なチームを編成しまして11の重点推進市町村と協働した取り組みを進めております。具体的には、虚弱高齢者の生活機能の低下度を客観的に把握するための高齢者健診や、パワーリハビリ、転倒予防教室などの効果的なサービスモデルづくりを進めております。また、こうした取り組みを実践するに当たりまして、市町村がサービスを必要とする人の把握から、個々の状態に応じた効果的なサービスの提供、さらにはサービス実施後の評価までの一貫した取り組みを効果的に実施できますよう、その仕組みづくりや体制づくりの支援もしております。現在、国で検討されています軽度の認定者への介護予防給付につきましては、その見直しの状況を見きわめながら、これまで虚弱高齢者を対象に取り組んできましたノウハウも生かしながら、適切に対応していきたいと考えております。 次に、高知県痴呆介護研修事業についての一連のお尋ねに、関連しますのでまとめてお答えをさせていただきます。議員御質問の研修は、痴呆介護実務者研修の基礎課程のことかと思います。この研修は、痴呆性高齢者の介護に従事する施設や事業所の実務者を対象に、基本的な理念や知識を習得していただくために3日間で講義とグループ討議などの演習を計20時間行うものであります。昨年度の研修は1回40名の定員で3回行いましたが、定員の2倍を超える255名の方から応募がありました。このため、応募者の選考につきましては、1つの施設や事業所は原則として1名とすること、グループホームの開設の要件となっている事業所の職員を優先すること、初めて受講を希望する施設や事業所を優先することなどを基準といたしました。 今後、ますます後期高齢者の増加とともに痴呆性高齢者が増加しますこと、また現在でも介護保険施設に入所されている方のおよそ8割に痴呆の症状が見られていますこと、さらには、こうした痴呆性高齢者に適切なケアサービスを提供いたしますためには従事者に専門的な知識と技術が求められますことなどをあわせ考えますと、痴呆ケアのための実務者研修はとても大切であると考えております。その研修を実施するに当たりましては高い専門性を有した講師が必要でありますことから、県では平成13年度から仙台で実施をされております指導者養成研修に介護福祉士や看護師などを派遣し、これまでに9名の指導者を養成してきました。 ただ、これらの方々は施設などで実務につかれておりますこともございまして、現状では今以上に研修の定員や回数をふやすことが難しい状況にあります。このため今後は、県内の大学や福祉系の専門学校などの専門家も含めて、より幅広い分野での講師の確保に努めるなどさまざまな工夫をいたしまして、一人でも多くの方に研修を受けていただけますよう努力していきたいと考えています。 最後に、父子家庭の医療費助成についてのお尋ねのうち、対象を母子家庭に限っている法的な根拠と父子家庭の現状についてのお尋ねがございました。母子家庭への医療費の助成制度は、法律に基づくものではなく、県の単独事業として母子家庭を支援するために実施をしているものでございます。本県の父子家庭の世帯数は、ことしの4月現在で2,381世帯となっております。その中の非課税世帯の割合につきましては、県の調査に回答をいただいた47の市町村では36%でございました。この割合から県全体を推計しますと、約860世帯が非課税世帯であると考えられます。 以上でございます。   (病院局長田中譲君登壇) ◎病院局長(田中譲君) 県立病院における2015年問題への対応についてお尋ねがありました。 医療の分野における2015年問題は、増加をし続け2015年にピークを迎えるがん患者の治療体制をどうとっていくかということで、そのための課題といたしましては、放射線治療を行う専門医の養成や治療計画を立てる医学物理士、化学療法に当たる専門の薬剤師などの育成だと言われております。県立病院では、今後の患者数の推移や疾病構造の変化の状況を見ながら、専門医や必要な医療スタッフの確保と育成に努めていきます。   (土木部長見波潔君登壇) ◎土木部長(見波潔君) 高知県全県域生活排水処理構想に関する一連の御質問にお答えをいたします。 まず、浄化槽市町村整備推進事業の目標についてお尋ねがありました。浄化槽市町村整備推進事業は、浄化槽の維持管理の適正化や住民負担の軽減を目的としたものですが、処理構想策定以降、国のこの事業に対する予算の大幅な増額や採択要件の拡充など整備環境が変化してきましたので、このことを市町村に理解していただく必要があると考えています。このため、本年度から国や全国の浄化槽を普及促進する団体などの有識者を招いて、市町村に対して研修を行っていきます。 次に、高知県の生活排水の未整備地区を浄化槽で整備した場合の試算についてお尋ねがありました。生活排水処理施設の選定は、建設費だけでなく、維持管理費や施設の耐用年数を踏まえ総合的に経済比較を行う必要があります。特に浄化槽は、設置に当たって必要な駐車場1台分の用地が確保できない住宅密集地にある家屋や、集合処理でしか対応できないアパートやマンションなど、地形条件、住宅条件により制約を受けます。市町村は、これらを検討した上で、集合処理と個別処理を組み合わせて最も効率的な処理構想を主体的に作成しています。このため、単に未整備地区をすべて浄化槽で整備することを前提とすることは、余りにも市町村の実態とかけ離れたものとなりますので現実的ではないと考えます。しかし、今後、市町村が財政状況の変化などにより、排水処理方法をより詳細に見直した場合は、県の処理構想へ反映していきたいと思います。 次に、下水道と浄化槽の設置時の受益者負担についてお尋ねがありました。県内の下水道は16市町村が供用開始していますが、受益者負担金は市町村の条例によって決められています。その算定方法には、大きく分けて2通りがあります。1つ目は、土地の面積に単価を乗じて負担していただく方法で、9市町で実施しており、1平方メートル当たり220円から500円の負担となっています。2つ目は、定額方式で、7町村で実施しており、1戸当たり5万円から13万円の負担となっています。一方、浄化槽の受益者負担は、個人設置型の場合、5人槽1基当たりの設置費を90万円と仮定しますと、およそ6割の54万円が個人負担で、残りを市町村、県、国でそれぞれ3分の1を負担します。市町村設置型の浄化槽の場合、設置費の1割の9万円が個人負担で、国が3分の1の30万円を負担し、残りの51万円を市町村が負担します。 次に、自治体や住民の方々が主体的に事業手法が選択できるための取り組みについてお尋ねがありました。処理構想の見直しのときに、県は経済比較の方法などを示した構想策定マニュアルを作成しています。市町村は、このマニュアルに基づき、地域の状況に応じ主体的に整備方針を定めています。県では処理構想を県民室で公開するとともに、概要版をホームページに掲載するなど情報発信をしてきました。今後、市町村が財政状況の変化などによりこの処理構想を見直す際は、今以上に市町村が広報紙などにより地域住民の方々に周知するとともに、意見を十分聞くよう指導していきます。 続きまして、公共下水道の接続率の状況についてお尋ねがありました。県内で接続率が一番高い市町村は80.8%、一番低い市町村は37.2%です。市町村では接続率の向上のためにアンケート調査を実施しており、これによりますと、接続されていない原因の主なものとして、高齢者などの家庭で設置時の経済的負担が重いこと、既に浄化槽を設置していること、家屋の建てかえまで待って接続したいなどとなっています。今後は、このような状況を踏まえ、整備促進と接続率の向上のため住民の皆さんの環境への意識を向上していただくよう、新たな啓発活動にも市町村とともに取り組んでいきます。 以上でございます。   (港湾空港局長加藤久晶君登壇) ◎港湾空港局長(加藤久晶君) 宿毛-佐伯航路の再開に関して、現状と今後の対応についてお尋ねがありました。 5月26日の第6回の判事・管財人協議の場において、洞海マリンシステムズ株式会社の社長がニューあしずりを使って航路再開する旨の表明をされました。この航路は、本年1月に航路が停止して以来、一日も早い再開を願っていただけに、大変ありがたい決断をいただいたと感じた次第でございます。その後、宿毛市に土佐・佐伯フェリー株式会社を設立し、新たに従業員も雇用し、航路の許可申請などの準備が進んでいました。そうした一連の作業の中で、船舶の購入手続や事業資金についての具体的な会社の対応が見えてこないことから、本日21日を期限に文書による回答を会社側に要請しました。今後の対応はこの回答を待ってからとなりますが、内容によりましては、ニューあしずりの処分の期限も8月末から9月に迫っていることでもあり、市町村や地元関係者の方々などとも早急に協議した上で他の引受会社を探すという選択もせざるを得ないと考えています。 次に、首都圏や大阪とを結ぶ海上交通の経済効果と、その航路がなくなった場合に考えられるダメージについてお尋ねがありました。平成15年の調査では、2つの航路が就航している高知港の公共岸壁で取り扱われている国内貨物量366万トンのおよそ56%がフェリーで運ばれていますし、県外からの観光客約3万1,000人も含め年間9万6,000人余りの方々が利用しています。具体的には、本県の基幹産業である園芸農作物の約30%がこの2つの航路を利用して主に関東、東北方面へ輸送されています。と同時に、県内で生産される炭酸カルシウムや農機具部品、輸入材を加工した製材、活魚などの水産品、四万十の水や深層水飲料などの県産品の移出、さらにはショウガなどの食料品を初め養殖のえさや肥料、中古自動車などのほか、県民生活を支える生活必需品などの移入にも利用されています。 したがいまして、この2つの航路は、県の1次産業や2次産業を支えることはもとより、観光の振興や県民の足として重要な役割を果たしており、その経済効果は県内の各方面に波及していると考えております。また、本四3架橋の完成や高速道路の整備が進みました今日でも、陸上輸送に比べてコストが安く環境負荷が少ない物流ルートとして大変重要な輸送手段であると考えています。このようなことから、仮にこれらの航路がなくなりますと輸送コストが上昇し、本県の産業や県民の生活に大きな打撃となりますし、2次産業ではフェリー航路の利用を前提とした企業の高知県からの撤退など、はかり知れない影響が出るものと考えられます。 次に、海上交通をさらに発展、拡大していくために必要な施策についてお尋ねがありました。まずは、地域の交通手段を地域で支え守るといった意識づくりが何よりも必要と考えます。このためには、みずからの足としてフェリーを利用していくこと、さらにはフェリーの特性を生かした観光客の呼び込みや利用促進のためのPR活動など、官民一体となった取り組みも必要であると考えています。また、物流面では、大型車の速度制限や大都市圏でのディーゼル車の乗り入れ規制などが強化されつつあり、陸上輸送から海上輸送へ転換を図るモーダルシフトへの取り組みが必要と考えます。既に九州の宮崎県では、コスト削減を目指してJA宮崎経済連が荷主みずからクールコンテナを使った海上無人化輸送への取り組みを初めています。県としましても、このような取り組みができますよう情報の発信に努めます。 次に、海上交通に対して航路維持への直接支援についてのお尋ねがありました。県としては、トラック輸送を環境負荷の低減などに効果の高い海上輸送への転換を進める、いわゆるモーダルシフトの補助金制度による間接的な支援を引き続き行うとともに、フェリー事業者にも経営努力を促していきます。また、今回予算提案していますように、航路誘致のインセンティブとなる補助制度に加え、港湾施設の使用料の減額などによりまして、フェリー航路を維持するための支援を行っていきます。なお、税金の使われ方として、航路維持のための赤字補てんといった直接的な経営支援は今のところ困難と考えています。 以上でございます。   (商工労働部長起塚昌明君登壇) ◎商工労働部長(起塚昌明君) 高知県で開催されるイベントへの支援につきましてお尋ねがございました。 大きなイベントに対する支援の基準は特に決めておりませんが、基本的には興行及び営利を目的としたイベントに対する助成金の支援は行っておりません。御質問にございました「釣りバカ日誌14」につきましては、民間企業や民間支援団体、また関係する市町村で高知ロケ支援委員会が結成されましたので、県としても他県の例を参考にしながら、観光コンベンション協会を通じて2,000万円の支援を行いました。 また、日本プロゴルフ選手権につきましては、観光面で本県のPR効果が大きいという趣旨から、観光案内所の設置や歓迎看板の設置、また後援などを行いました。また、経済効果の大きいプロ野球キャンプにつきましては、他県との誘致競争に負けないよう1球団1,000万円の支援を行っております。このほか、コンベンション協会を通じて、コンベンション事業やスポーツコンベンション事業の宿泊数に応じた助成やサービスなどを実施しております。 以上でございます。   (企画振興部長十河清君登壇) ◎企画振興部長(十河清君) 携帯用防犯ブザーに関しまして、今回の補正予算は教育委員会の予算になっているが、私立の小中学校に対してはどうなるのかとのお尋ねがございました。 私立学校に関しましては、運営費への補助制度がありますので、児童生徒の防犯ブザーの携帯を促進するために、交付基準の中に新たにメニューを設けまして対応することといたしております。具体的には、私立の小中学校、養護学校の中学部が児童生徒に貸与するための携帯用防犯ブザーを購入する場合、その購入経費に対しまして公立の小中学校に対します補助額と同額の1人当たり200円を補助金に加算いたすことといたしております。 以上でございます。   (総務部長池本武広君登壇) ◎総務部長(池本武広君) 県庁の窓口業務の充実についてお尋ねがありました。 県庁の仕事は、お話にもありましたように、顧客である県民の皆様方に行政サービスを提供するサービス業であり、満足いただけるサービスを第一に考え、職員一人一人が業務に当たっているところでございます。窓口業務につきましては、パスポートの交付や県税に関する事務を昼休みの時間帯にも行うなど、県民の皆さんの利便性の向上に努めてまいりました。今後におきましても、県民の皆さんのニーズを把握し、行政サービスに要するコストも考え合わせながら窓口業務の充実について検討していきたいと考えています。 以上でございます。 ◆27番(西森雅和君) ありがとうございました。 再質問させていただきたいと思います。まず、市町村合併についてでございますけれども、先ほど知事のお話の中に、県として幅広い情報の提供や助言などに努めてきたという答弁がございました。しかし、果たして本当にそうであったのかなというふうに思っている部分もあるんです。といいますのも、実はこれは昨年であったと思うんですけれども、春野町のある町会議員さんが市町村合併支援室の方に春野町の合併協議に向けてのパンフレットを持ってこられました。その内容について教えていただきたいということで、具体的には交付税の計算の仕方とか、そういう内容であったかと思うんですけれども、それに対しましてその合併支援室の方は、「いやいや、もうそれは町の方でされていることですから」ということで、その資料を見ようともしないというか、そんなことがあったんです。 それと、その何カ月か後だったと思うんですけれども、越知町の住民の方がまたいらっしゃいました。越知町の、今は合併協議会、もうあそこは終わってしまったわけなんですけれども、そこの住民説明会で使われた資料を持ってこられていました。それはB4のペーパー数枚の、越知町が単独で生き残っていくための財政の推計という、そんなペーパーであったんですけれども、そのペーパーについて合併支援室の方に「これはどういう見方をしていいかわからんので、分析をちょっとしてもらえないでしょうか」という、そういう形で来られました。私もその場に立ち会いをさせていただいたんですけれども、そのときにその合併支援室の方は、「いやいや、もうそれは町の方でされていることですから」ということで、やはり同じくその資料に目を通されなかったという状況がございました。 わざわざ春野町、また越知町から来ていただいておるのに、本当に何かこれは知事からそんな指示が出ておるのかな、なんていうことを思ったりしたわけなんです。けれども、今の知事の御答弁によりますと、幅広い情報の提供や助言などに努めてきたというふうに言われているわけですが、現実に行われていたことは、そういうこととは何か随分かけ離れているなというのを感じました。 ちょっとお伺いしたいんですけれども、知事は合併についてそうした情報提供をということを言ったにもかかわらず、その担当の方が知事の指示に従わなかったのか、もしくはそうしたことに対して知事が何か指示をされておったのかということについてお伺いをしたいと思います。御存じのように、越知町も春野町もそのとき合併破綻という形になってしまったわけです。 次に、知的障害者のグループホームで起きた事件の件でございますけれども、健康福祉部長にお伺いしたいと思います。県内で67名の世話人の方がいらっしゃると、それと新たに世話人になる方には何ら資格とかそういうものは必要ないというふうに申されましたけれども、やはり私はそれなりに知識と見識が、そうしたお仕事に携わる上においては必要ではないかなというふうに思います。だから今後、世話人の方の研修とあわせて、そして世話人に今後なろうとされる方に対しても、何らかのそうした研修なりが必要ではないかなというふうに考えております。その辺に関しましての部長のお考えをお聞かせいただければというふうに思います。 あと、介護予防の件でございます。市町村においてさまざまな取り組みをしておるということでございますけれども、なかなか、そうして集まっての介護予防、パワーリハビリのような形でやって、そこに来られる方はいいんですけれども、来れない方に対しての介護予防をどういうふうに推し進めていくのかというのも一つ大事な部分ではないかなというふうに思います。そうした面では、県として、例えば家にいても何か運動といいますか、そういうのができるようなパンフレットなり、またビデオとなったらちょっと高額になるかもしれんですけれども、そうしたものもつくっていただいて、県民の皆さんに介護予防に対しての意識を高めていただくというようなことも大事なのかなというふうに思います。それもあわせて健康福祉部長にお伺いしたいと思います。 あと、生活排水でございますけれども、まだまだ私、県自体が下水道に対して偏重しているというような、そんな傾向があるのかなというふうに思います。というのも、3つの下水道、集落排水、そして合併浄化槽、一元化したとはいえ課の名称もまだ下水道課という、そういう名前になっています。やはり、本当にそうした部分で考えていけば、生活排水課とか、そういう名前も今後検討していかれたらどうなのかなというふうにも思います。 ちょっと時間がなくなりましたので、再質問とさせていただきます。 ◎知事(橋本大二郎君) 西森議員の再質問にお答えをいたします。 私には市町村合併に対する県の対応について御質問がございました。事例として挙げられました2件のことは、私が事実関係をつかんでいるわけではございません。また、対応した職員にはそれぞれの判断なり、また言い分なりもあろうと思いますので、この場でそのことについてコメントをすることはできません。けれども、御質問にございました、何かそういう問い合わせが来たときには応じるなというような指示を知事が出したのかということは、決してそのようなことはございませんし、さまざまな情報の提供を求められたときには十分対応していくようにということを言っております。 県としては、これまでも、先ほどの御答弁で申し上げましたように積極的に情報提供なり御相談なりということにあずかってきたと思っておりますし、そうしたことが7割以上の市町村が法定協議会をつくられたということにもつながっていると思っています。 私からは以上でございます。 ◎健康福祉部長(岡芳子君) 再質問にお答えをいたします。 まず、知的障害者のグループホームの世話人さんの件についてでございます。ここしばらくは毎年研修をやっていく予定にいたしておりますので、新たになられる方につきましても、その中で対応ができるかというふうに考えております。また、必要だというふうに思っております。 それから、2点目の介護予防についてでございます。出てこれない人にどうするのかということでございました。そして、パンフレット、ビデオ等をつくってという御提言もいただいたところでございます。ただいまのところ、介護予防に関しましては、本当に自宅で身体機能の低下のためにその場に出てこられない方を対象というふうには、そこまでは進んでおりません。少し体の弱った方を一層その介護が要る状態にさせないようにというような取り組みに主眼を置いているところでございます。さらに、そういう事業を今回、前段御説明申し上げました事業をやる中で、こういうことも課題になってこようかと思います。一つには、そういう方の移動の手段と、そしてパワーリハビリなり、あるいは転倒予防教室の場に来ていただけるための移動の手段ということなども今後は課題になろうかと思います。そういうことをやって、これからの事業を進めていく中での一つの課題とさせていただきたいというふうに思うところでございます。 ◎土木部長(見波潔君) 下水道課の名称に関する御提言だったというふうに受けとめましたが、利用者であります県民の方々から見ますと、下水道といいますと、トイレの水洗化ですとか、公共用水の水質保全機能を持っているものというふうな認識を持たれている方が多いのではないかというふうに思います。そういった意味からしますと、農業集落排水施設や浄化槽も広い意味で下水道というふうな認識をされている方も多いのではないかというふうに考え、現在下水道課という名称にさしていただいております。 以上でございます。 ◆27番(西森雅和君) 最後に、新合併特例法では勧告できるということですけれども、知事は積極的にアクセルを踏むということでございますけれども、アクセルというても、ニュートラルのままでアクセル踏んでも前に進みません。しっかりとドライブにしていただいて、ガソリンも満タンに積んでいただいて、そして思いっ切りアクセルを踏んでいただきたいということをお願いいたしまして、すべての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(池脇純一君) 暫時休憩いたします。   午後2時38分休憩---------------------------------------   午後3時1分再開 ○議長(森雅宣君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 17番樋口秀洋君。   (17番樋口秀洋君登壇) ◆17番(樋口秀洋君) 諸先輩方が大きなテーマをされましたので、私は地域密着型の質問をしたいと思っております。 まず初めに、高知東部自動車道の進と遅延対策についてお聞きします。私は、安芸市周辺の国道55号の渋滞ぶりを、県議会毎に、片側1車線で日量1万8,000台、しかもバイパスのない国道と表現しております。阪神タイガースのキャンプ期間中のみならず日常的な飽和状態は、多くの経済的損失を生み、時には救急車が動けない重大なケースが多発しております。その抜本的対策として東部自動車道が計画されておりますが、ことしやっと夜須-芸西の3.9キロ区間でおくればせながら国の用地買収がスタートしました。ところが芸西村では、用地の買収単価が安過ぎるということで交渉が行き詰まっております。この問題ですが、平成16年4月に芸西村議会が全国初と言われる用地買収価格の適正化を求める決議をしました。大ざっぱに言えば、農地で反300坪当たりが、手結山を境にして西の夜須町は800万円、東の芸西村は450万円。幾ら宅地化への可能性に違いがあると評価されても、芸西村は国道直近の優良農地であり、余りにも安過ぎるとの抗議でありました。 まず、この決議に対する土木部の見解と、決議が今後の東部自動車道整備に与える影響、さらに、県として今後芸西村と地権者への支援策は何ができるのか。 そして、芸西村での用地交渉がつまずけば、代がえとして芸西-安芸間のほかの一部区間を整備路線化できないか。 さらに、安芸市の東側の高規格道路、大山道路の進捗が当初の計画より数年おくれているが、どうなっているのか、まずこの4点を土木部長にお聞きしたい。 さて、東部自動車道の建設が極めて順調に進んでも、この大混雑の安芸市街地を抜ける区間が完成するまで早くて20年、その過程で用地などで暗礁に当たると-早くも乗り上げましたが、ざっと30年は要すると見られています。このまま座して傍観しておれば、東部の大動脈の、しかも唯一の国道55号は、安芸市街地で向こう20年、30年間も狭く閉められたまま窒息状態になります。本来なら国道バイパスがあるべきですが、国会議員に力がないのか、東部はなぜかこれまで国費の投資が極めて薄く、安芸市周辺の国道55号は基本的には40年間近く改良されておりません。ちなみに、高速道路のインターチェンジが着工されている中土佐町の国道56号は、安芸市の半分の、日量1万台であります。さらに驚くことに、かつてもなかったし、また将来も安芸市街地の国道55号はバイパスの道路計画さえもありません。純粋に国道55号、一本主義なのです。 そこで、現在国道を挟んだ市街地の南側、つまり太平洋沿いに全長3キロメートルの狭い市道海岸線が走っており、その一部区間の1キロメートルが国体用に2車線化されました。これが拡張すれば、安芸橋から安芸漁港へと市街地約3キロメートルをずばり抜ける立派なバイパス道路となります。もちろん南海地震対策としても、県民の命を守るバイパスとなるのであります。それを容易にするように、道路予定地のほとんどが国、県、市の公用遊休地であります。しかし、起債制限比率が16%、財政破綻度が全国650市でワースト14位、県内9市で最悪との判定もある超貧乏の安芸市では、到底みずからが整備する体力はありません。 確かに、これはあくまで市道であります。だからといって、向こう20年、30年以上もバイパス、高規格道路ができない。県内を代表する大通行量地区を、県政上からも放置が許されるものでしょうか。これは安芸市だけの問題ではなく、私は県東部の経済活動と地震対策、緊急車両の走行、観光、生活などの視点から訴えているのです。国道55号のバイパスを市が建設しなければならないとは、まさに国の道路政策の不在、怠慢であります。片側1車線で日量1万8,000台、窒息状態にある東部経済の大動脈を早急に改良する必然に迫られております。 思い切った緊急手段として国か県が代行整備できないものか、土木部長にお聞きします。 平成15年度予算から、商工労働部には県産品ブランド化企画推進事業費補助金なる予算が組まれております。厳しい県単予算の中で、1件500万円のソフト事業という思い切った内容で、それなりの効果も生まれているようです。ただ、厳しく言わせてもらうと、実績づくりのためか、ぜいたくに使い過ぎではないかと思われます。例えば、1本250円のジュースの平成15年の売り上げ240万円の宣伝活動費に、2倍の414万円のブランド化補助金が出ております。 これは、知事の言う費用対効果からすれば、ぜいたくではないか、まず商工労働部長にお聞きしたい。 一方で、高知県には歴史的、また地理的にはぐくまれた全国的なブランドがあります。土佐清水市の足摺岬、中村市の四万十川、高知市の坂本龍馬とよさこい祭り、それに阪神タイガースのキャンプ地安芸市などです。安芸市のタイガースタウンは、全国ブランドでありながら、市営球場という宿命から、設備投資はほぼ市費負担で奮闘してきました。県の国体関連や総合支援事業の中で若干の整備などはしてきましたが、問題は、これ以上観客席の拡張が不可能な球場構造のため、県外から押し寄せあふれるファンや、よりよい施設を求める球団の不満に対応できない極限に来ています。このように、現在の球場の抜本的改修は、構造的、市費負担の両面で不可能であります。グラウンドと気候的条件には自信があるものの、猛烈な勢いでキャンプ地立県を目指す沖縄県や宮崎県に、安芸市は内心、日々恐々としております。また、追い打ちするように、阪神タイガースからは第2球場建設の要望が出ております。このまま球団の要望も実現できなければ、タイガースを引きとめるのも難しくなります。 そこで、県内9市中、ワーストワンの財政悪化の安芸市は、窮余の策として県営球場を要望しているのです。市営球場の近くに整備中の県立公園に早急に新球場を建設しなければ、激化する九州、沖縄との誘致競争におくれをとるとの危機感を募らせているのです。ただ、県では35キロ離れた室戸市に県営球場を整備中で、余力がないとの姿勢であります。プロ球団のキャンプ誘致は、球場以外に人脈、歴史、支援体制、繁華街、宿泊施設、交通網などあらゆる方面での総合戦力によってなし得るものなので、県も大局的かつ冷静に判断すべき決断の潮どきに来ております。 タイガースの安芸キャンプは、40年前から多くの関係者の情熱と汗と涙の歴史でした。タイガースも、長い安芸市民とのつながりをキャンプ継続において重視してきました。安芸市はナスの生産全国一の園芸立市ですが、もう一方で、タイガースブランドと温暖な地理的条件を生かしてキャンプ・スポーツ立市も戦略に入れております。もう1カ所球場があれば、タイガース2軍、社会人野球、外国球団、大学野球の誘致ができたのにとの悔しい思いは何度もありましたし、毎年、民間のキャンプの問い合わせも少なくありません。このまま市に任せて、市営球場の現状一本作戦で、あえて玉砕を前に孤軍奮闘させるのか。それとも、近くに県営球場を整備して、キャンプ・スポーツ立県の戦略のもと県がてこ入れして、他県に負けない万全の体制づくりに持っていくのか。これは安芸市だけの問題ではなく、県の観光、スポーツ立県のあり方を問う質問であります。 財政危機だから財政が好転するころに出直してこいなどとのんびり構えていたら、必死で走っていく他県にまたまた負けてしまいます。厳しい財政運営の折なので、県の戦略として知事にお聞きしたい。 さて、本来の全国ブランドに戻りますが、だれもが知っているこれらのビッグブランドを今後どのように生かすのか。ただ、予算を投入した新ブランドの開発も大事ですが、その一方でビッグブランドを改めて活用すべきです。 県はどのようにお考えか、各部局にわたりますので副知事に代表してお聞きしたい。 次は、コストダウンの質問です。公共工事の減少で厳しい受注合戦が行われ、赤字覚悟のくじ引き受注が昨年の県工事だけでも50件ありました。業界では、下値競争を「たたく」、談合破りを「ピストルを撃つ」と言います。最近はピストルを撃たなければ受注できないと隠語遊びをしていたら、先ごろ伊野署管内で手りゅう弾まで登場しました。動機などは警察が捜査中ですが、多くの関係者は公共工事をめぐる暴力団の利権闘争ではないかと話しております。 そこで、警察本部長にお聞きします。暴力団対策法によって資金源が細った暴力団が、大きな公共工事への介入を資金源にしていると言われますが、その現状をどのようにとらえているか。その暴力行使に、次はどこかと県民に不安が広がっております。 また、この5年間に本県で、暴力団員や準構成員が公共工事の指名、受注で県庁や出先機関に圧力をかけ、それを捜査したことがあるのか。 以前は、実力政治家が大型工事に関与すると言われましたが、最近はスピーカー、ピストル、手りゅう弾、果ては自動小銃を持った暴力団が暗躍するので、政治家のみならず警察や国税庁までが恐れて、この種の経済犯罪には積極的にタッチしないとまで言われております。外国特派員のベンジャミン・フルフォード氏が昨年発行した本、「ヤクザ・リセッション」には、行政への暴力団の介入、極言すれば日本は暴力団が裏で支配する国家だというレポートが赤裸々に描かれております。不良債権問題に思い切った治療ができない日本の金融危機を見ていると、まさにそのとおりなのです。同時に、本県もそのミニタイプではないかと、ひしひし感じております。組員個人には強いが、組織犯罪、経済犯罪に高知県警察は弱いという県民の声は根強いところです。 これら私の認識に対しての感想も警察本部長にお聞きしたい。 さて、身近な一例なので取り上げます。安芸広域市町村圏のごみ焼却場施設の敷地造成工事が、設計金額4億6,892万8,950円、最低価格3億1,820万1,000円で昨年6月に入札されました。落札価格は3億1,820万2,000円で、何と最低価格に上積みがたった1,000円という超精密な落札でした。また、指名8社のうち3社が張り切り過ぎて1,840万1,000円から6,080万1,000円も下回り、失格が続出。一方、2番札以下は、プラス83万8,000円、プラス1,004万9,000円など、比率では常識に近い入札でした。これらの造成工事の発注をめぐって県民から、4億7,000万円もの造成工事が最低価格のプラス1,000円とは聞いたことがないとの指摘がありました。関係者によると、最低価格の0.0000031%とゼロが6つも続く上積みは全国的にも極めて珍しいと言います。 安芸署に県民の声を届けたのですが、その後警察は一応のチェックは行ったのか。また、この受注に暴力団の介入、関与はないのか。 さらに、もし県警幹部がこの春からこの落札会社の関連会社役員についたとすれば、県議から落札チェックの依頼が出ているさなか、どう思うか。 県では、退職後2年間は県への営業活動を原則禁止していますが、県警はどこに就職してもよいのか。警察幹部の退職後の就職先が減少している厳しい現実は理解できますが、県民からこのような疑問が多数、私に届けられております。この点も警察本部長にお聞きしたい。 命がけの受注合戦の一方、県の発注は事務的で、コスト意識は低い。身近な例です。安芸市でも通行車が極めて少ないある県道ですが、この財政難に平成15、16年度合わせて1億円以上もかけ、長さ100メートルを1.5車線化しております。うち8,000万円が山を削る費用で、県民から「緊急度の高い危険な県道がほかにたくさんあるのに」、「山削りに大金を使った」、「美観が不要のところに、金のかかるのり面植栽をしている」、「特に重要な地点ではないのになぜ」、などの声が出ております。残土は3キロ離れた県道工事などの埋め立てに必要と言います。 改良するにこしたことはないが、もっと危険で通行量も多いほかの県道から血の出るような要望があるのに、どうしてこの土取りや景観に巨費を投じたのでしょうか。さらに驚くことは、ここは人家も通行車も極めて少なく、先は行き詰まりになっているにもかかわらず、1.5車線の予算が発表された昨年、何年かかるかは別として、安芸で最高の6億円の事業計画区間となっております。なぜでしょうか、土木部長にお聞きします。 また、安芸林業事務所では、平成10年から16年まで年度毎の連続繰り越し、1社連続受注が続きました。連続繰り越しは明らかに望ましくないため、15年度の発注を飛ばすことで、16年度から繰り越しのない工期に修正することになりました。連続受注は、指名競争入札で問題はないと県は言いますが、多くの県民が疑問を持っております。それは、予定価格に対する落札率が6年間平均で何と99.32%の超高率だからであります。その内訳は、平成10年度が99.38%、11年度が99.49%、12年度が99.16%、13年度は何と99.76%、14年度が99.10%、16年度99.03%という異常な数値でした。県発注の林道は、一般的になぜか落札率が高いのですが、それでも林道の県内平均落札率は平成14年度で95.28%、15年度で94.94%であります。私が指摘するこの安芸の林道は、1社連続落札で、ずっと県平均のおよそ4%も高値安定なのです。 平成12年度の会計検査院の決算検査報告では、農林水産省の工事を対象に、97%以上の落札率は競争性の確保からずばり高い落札率と断定しております。つまり、これは談合の温床になりかねないと指摘しているのです。要するに、平均97%以上での1社連続受注は、発注者側も対策を考えなさいという注意に違いありません。また、昨年は本県の監査委員から、県警察本部の信号機と標識の発注の落札率は、この林道の平均99.03%を下回る98.62%と97.32%にもかかわらず、談合の疑いが極めて高いと指摘されております。驚くのは、99.03%に何の問題意識もなく、当然のように正当化する県の感覚であります。コストダウン意識の全く欠如したこの甘い実績は、民間会社なら社長のげきりんに触れ、管理職の首が飛ぶケースではないでしょうか。 そこで、森林局長にお聞きします。このような異常な高率での落札が5年以上1社に連続した場合、指名業者の組みかえをすべきと思うが、いかがでしょうか。 公正な競争入札がされていない疑いがあるかもしれないし、異常に高い落札率を少しでも下げることは県民の税金を効率的に使うことであります。この手法は、公正取引委員会も指導しているようであります。 同様なケースは県庁のすべての部署で改善すべき課題と思いますが、コストダウンを絡めて、その意向を副知事にお聞きしたい。 公正取引委員会の指摘で3年前に入札制度を改善した北海道庁では、平均98%の落札率が平均94%に落ちました。これによって、全庁で100億円以上が浮いたと言われます。財政危機宣言が本気なら、口先だけでなくいいかげんに大胆なコストダウンが求められるのです。前例発想がある限り、真のコストダウンはあり得ません。知事は大胆に、過去の発想にとらわれない大幅なコストダウンを実現した職員を、二、三階級特進として大抜てきすべきです。そうしなければ、前年比マイナスの発想ばかりの職員では、危機を宣言しても脱却は不可能と私は言い切ります。もちろん、コストダウンと前年比マイナスでは意味が全く違います。コストダウンは、ほぼ同様の事業で予算のみカット、県民への痛みが少ない。片や前年比マイナスは、事業自体を削り、県民に痛みを強いるものなのです。複数の業者に聞きますと、「一概に言えないが、公共工事は95%で落札すれば、まず利益が出る」と言います。ですから、私の提案は低入札制度とは違い、決して業界いじめではありません。 知事には、コストダウン抜てきの意向をお聞きしたい。 次です。厳しい県予算の中、県内の中山間県道は、カメの歩みでありながらも徐々に整備されております。しかし、改良、災害、防災工事が始まれば、工期中は当然、通行制限となります。急峻な山間部の工事だけに、多くは10分通行で50分ストップですが、交互交通なので実質は5分県道であります。改良工事は歓迎される一方で、1日の活動時間が大きく制約され、地域経済や利便性が著しく阻害されております。加えて、工期に対する県の認識にも問題があります。ごく一例ですが、安芸土木事務所では平成12、13、14年度と、迂回路のない唯一の同じ県道整備でそれぞれ3カ月、2カ月、1カ月の工期延期がありました。14年度は、ユズの出荷最盛期に突然延期となり、住民や温泉利用の観光客から抗議が相次ぎました。できないことを承知で工期を短く表示して、次々と延期していたようです。また、近くの別の県道でも16年3月までの工期が6月までとなり、今度はその工期が突然、2期工事という名称で11月まで延期されています。 住民にすれば、表示された工期が工期であり、その日を待つから問題が起きるのです。なぜ、唯一の道路で毎年、連続延期があるのか。 また、県内では、いわゆる10分通行の現場で年間何件くらいの工期延期があり、その理由の上位3点は何か。さらに、突然の工期延長、そして2期工事の手法は、県民に不親切ではないか、土木部長にお聞きします。ちなみに、15年度の県内の通行制限は県道工事で351カ所でした。 通行制限の改善には、大きくいえば2つの手法があると思います。一つは、ソフト面であります。これも身近な一例ですが、安芸土木事務所では、道路幅が2.5メートルの狭い県道で、16年1月から3月まで、続いて5月まで2カ所の待避所工事が行われ、そのさなかの3月から7月まで、そのわずか50メートル先で別の待避所の1期工事を行い、これが終わると続いて7月から11月下旬まで、この2期工事で通行制限が行われます。200メートル間で、3つの小さな工事が連続11カ月。それもわずか長さ30メートルの別の待避所工事に、1期、2期で延べ8カ月も要します。全部同じ業者に発注するからだと、私には多くの苦情が寄せられています。 この場合、一括発注か、既に受注した会社を外して同時発注をすれば、多分延べ11カ月の長い通行制限は不要でした。県民生活と利便性を少しでも考慮すれば、少額予算で接近している同種工事はソフト面で対処できるはずです。その一方で、平成11年には安芸市の河川工事で、何と4キロも離れた現場を一括発注しております。私の少ない記憶だけでも、何件もの一貫性のない発注があります。ひどいのになると、安芸土木事務所は、橋をかけるので技術力のあるAランクで組んだと説明。信用したまま、後日完成した橋を見ると、小さな遊園地用の木造の橋でした。これでは、特定ランク業者を優遇させる変則発注と指摘されても仕方ありません。また、いつも同じ業者が公認されたように繰り返す工期延期が土木行政への不信を生み、「県は何をしよらあ」と県議会、県庁、知事批判につながっていくのです。 もう一つは、ハード面です。技術的に失笑されるかもわかりませんが、通行制限が不要の工法はないでしょうか。私は、8年前の産業経済委員会で深層水を園芸の促成栽培に使えないかと提案したら、あれは海水ですよと執行部に笑われました。今では深層水は園芸に使われ、成果を上げております。前例主義のお役人にすれば、厳しい予算を使っているから我慢は当然だとの発想は変わらないと思います。しかし、知事の常套語の県民サービスを言うなら、改善へ努力すべきであります。通行制限不要の工法があれば、日常の利便性は余り変わらないので、県民がインチキ表示の工期を心待ちにしなくて済みます。 この2つの手法について、土木部長にお聞きしたい。 ハウスの問題へ行きます。県内の系統野菜販売額は、この10年間でざっと25%の大幅減となりましたが、15園芸年度は500億円台が何とかキープできました。しかし、県農政の重要課題である系統崩れは、危機的状態にあります。その主因は農協ですが、県や園芸連、そして農家にも問題がないわけではありません。園芸再生への課題の一つとして農林水産部が力を入れているのが農協の活性化とくれば、情けないとしか言いようがありません。本来なら、民間企業である農協みずからが血と汗を流し、不屈の精神で切り開くべきだと、過去私は県議会で何度も訴えてきました。それでも、例えば安芸方面では、せっかくの県の農家支援策、農家への緊急融資、国の低コストハウス、環境保全型農業への補助金などが農協のチェック段階で堅固な関所に阻止され、十分に生かされておりません。農協にはもちろん、健全経営の命題があります。しかし農家には、農協が補助金の蛇口を締め過ぎているという不満がうっせきしております。 これらの問題に対して、県は本年度から土佐あき農協と組合員の意思疎通を重点指導としたのですが、その過程においてどのような問題点が浮き彫りにされたのか。また、それらに対してどのような解決策があり、それぞれ短・中・長期的に解決できる問題点はどういうことか。 また、県内のほかの農協と中央会にも農家との精神的距離はないのか。あれば、どこが問題なのかも農林水産部長にお聞きします。 さて、私なりに農家に元気がない問題点を挙げますと、行き着くところは当然、収入減であります。その最大原因は、単価低迷であります。県内のハウス野菜出荷額トップのナスは、減農薬栽培によって生産量が減少。単価と生産量が落ち、平均農家の年収はハチ受粉前と比べ80%に激減、経費ばかり要する苦しい農家が続出しております。園芸を広域産業と位置づけ、連合戦線を組んで生産から販売まで高度のシステム化を目指す九州、沖縄県には、残念ながら総合戦力で数歩もおくれをとってしまいました。高知県が市場リーダーになるためには、いっそのこと減農薬栽培をやめて、以前のようにリーフと農薬での大量生産で勝負すべきとの極端な助言をする市場関係者もおります。生活が苦しいゆえ、またぞろ、農家の間で、ハチ受粉のナスは品質が悪いとの、ためにする悪評が流れ始めております。このような時代に逆行しないためには、他県と共同してでも減農薬野菜、つまりエコ栽培ブランドの高付加価値を都会の消費者に理解、納得させなければなりません。 最近の専門誌「現代農業」に、安芸のハチと天敵栽培が驚きの記事で取り上げられ、300戸の先進技術が称賛されておりました。この全国的な安全野菜に5年間も付加価値をつけなかったのは、農協と県の怠慢ではないでしょうか。市場関係者は、今は減農薬が常識で消費者はそれを評価しない、だから単価アップは難しいと説明しますが、その言葉をうのみにしていては、単価アップはいつまでも不可能ではないでしょうか。現に宮崎県では、エコ野菜の積極セールスで二、三割の単価アップに成功しました。同県では、量販店にターゲットを絞って営業に相当な努力をしたと話しております。相当な努力を力説するところに苦労の跡がうかがえます。数年後の今でも、エコ野菜の単価は高値推移しているそうです。例えば安芸市のナスだけでも、1割の単価アップで、ざっと5億円も売り上げが伸びます。これらの高付加価値セールスに対しては、関係者の相当な努力とアイデアが必要でありますが、過去の例から、農協や園芸連が結果を生む汗を流し市場を開拓することは期待できません。 そういう状況で、県は高付加価値化にどのような見解を持ち、また農協や園芸連にどのような指導をしているのでしょうか。営業は、靴底がちびてこそ営業であります。担当者や農協は、予算規模ではなく、どれくらい実際の汗をかいたのでしょうか。 2つ目の問題点は、後継者不足ではないでしょうか。十分な後継者がいてこそ、地域は活気づきます。農業青年の集いに行くと、ほとんどが50歳以上です。定年後世代が頑張っているのが、幻の園芸王国なのです。労働の割に収入が少ない反面、自分の技術が直接評価され収入につながる仕事であります。小学生や中学生が、農家を継ぎたい、農業を仕事にしたいと夢を広げることができる、活力ある園芸にしなければなりません。生産量や販売額とは別の観点で、若者や子供たちが夢を持てる園芸産地をどのようにつくろうと思っているのでしょうか。 3点目は、やはり次なる時代に備えて次期戦略品目づくりです。安芸市が生き残れたのも、ナスへの転換でした。戦略品目でも、本県のライバルである九州、沖縄などは逆に先導的な立場になってきました。単価アップや世代継承、そして次期戦略など厳しい技術競争を勝ち抜くとの決意も込めて、本県園芸5年先の展望を、さきの3点とともに農林水産部長にお聞きしたい。 生命をはぐくむ森林と地球環境を守ろうと、平成15年度から森林環境税が施行されました。県民がこの新税を認め、17年度から新たな負担が認められるのも、この税金が森を守るために真剣に、また大切に使われると、県に託したからであります。その15年度決算を見ますと、徴収された約1億1,500万円の使途は、こうち山の日推進事業費に2,900万円、森づくりへの理解と参加を促す広報事業費に2,300万円で、いわゆる広報、イベント予算がざっと半分を占めております。16年度もほぼ同様の編成であります。森林の重要さを知らしめる広報とイベントの大切さは、十分にわかります。しかし、県民の目線に立てば、自分たちが納めた500円のうちおよそ250円が、直接的な山林の保全や水源涵養機能の育成ではなく企業に流れることに、若干の抵抗を持たざるを得ないようです。 また、5,200万円もの広報関連予算を使いながら、県民アンケートでも森林環境税の認知度が低いことは、県職員がアイデアを絞らず、簡単に発注できるプロポーザル方式で企業に丸投げした、反省すべき課題ではないでしょうか。それは、そのほとんどの事業が随意契約であることからわかります。県職員が懸命に企画を絞り、一般入札後に企業と練り合えば、安い事業費で深い内容になると思います。森林環境税自体が少額の税金なので、その観点から指摘します。 まず、15年度の広報ビデオ制作の発注ですが、1,060万円も投じた番組づくりの随意契約は、十分に検討された上で、応募各社に公平に知らせ、発注されたのか。 次に、16年度予算です。この番組を学校教材用に400本のビデオにダビングする内容ですが、この予算は当初123万円と高いので産業経済委員会で指摘すると、県からはおかしくないとの答弁でしたが、この7月の契約では105万円まで値下げとなりました。強く指摘されるまで見直さない森林局の姿勢は、税金の垂れ流しと批判されても仕方ありません。マスコミには日ごろから何かとお世話になっているので、少々のことは理解できるのですが、当初は内容には関係のないパッケージデザイン代に20万円も計上するなど、コストダウンへの意識はゼロに近いセンスです。ビデオテープは、180分の最高級品と普通品が市内の電気店で1本300円から200円、このテープを500円で何の疑問もなく計上する森林局の森林環境税のずさんな使い方にあきれます。平成14年度の木造住宅普及ビデオの委託でも15分テープを500円で計上するなど、実質何のチェックもしておりません。 私の知っているだけでも、平成8年に525万円をかけ四万十川対策室が河床・水中実態調査を行い、結果として1本3万円のビデオテープになりました。水深数メートルの水中撮影の人件費が1日3万円、それも水中はスチール写真がおよそ半分でした。私は、500円の森林環境税を少額と表現しておりますが、県予算に対する相対性を言っているのであって、不況の中、多くの県民にとっては大きな金額なのです。 森林局長は、私の3点の指摘はおかしいと思うのか、お聞きしたい。 また、県や教育委員会では、広報番組や調査の制作委託料の査定が余りにもルーズであります。16年度予算で高知県人権啓発センターが99万円で広告代理店に発注した広報番組づくりも、随意契約であります。これはなぜでしょうか。また、公平に受注の機会を与えたのでしょうか。聖域なしの標語のもとにばっさり切る財政課ですが、広報や調査委託予算については今後勉強してほしいと思います。私が広報予算の甘い査定を10年近く指摘しているのに、一向に垂れ流しがとまらないのはなぜでしょうか。 これらの点について、十分に査定した上で公正な発注を行ったのか、総務部長と企画振興部長にお聞きしたい。 近年の核家族化や扶養義務意識の希薄化、そして長引く不況によって、老後に住家がない高齢者や中高年離婚者がふえ、社会問題化しております。このような方々は必然的に収入が少なく、わずか5万円の国民年金で夫婦が困窮生活を送るケースが、私への相談でも目立っております。このような不況に伴う新しい傾向の低所得者への対応が、行政に求められているのであります。その解決策の一つは、出費の半分以上を占める借家の負担の軽減で、もう一つは積極的に生活保護を認定することではないでしょうか。例えば、地方の町でも借家は軽く4万円を超します。ほぼ全員が安い公営住宅に入居を希望しますが、不況のため空き室が出てきません。 安芸市には、県営と市営が692戸ありますが、この1年間の空き室はわずか延べ18戸、厳しい競争率となっております。また、県内3,973戸の県営住宅で、15年度は延べ235戸しか空き室がなく、7.6倍という高い競争率でした。勢い、生活苦の県民もあぶれるのであります。一方で、旧地域改善向け公営住宅の空き室は、これより低い競争率になっております。だれでも応募できますともっと広報すれば、厳しい競争も若干は緩和できるのではないでしょうか。また、高齢の低所得者向けの簡素な県営住宅か、既存の住宅の1戸当たりの面積を少なくして戸数をふやす工夫などをすべきことが課題であります。以上は、土木部長にお聞きします。 次に、生活保護であります。県内での保護率は、この5年間に15.3パーミルから19.5パーミルへ4.2ポイント増加。高齢者比率はおよそ52%で、生活不安は深刻化しております。しかし、実際の生活困窮者はもっと多いように思えますが、お世話になるとお国に迷惑がかかる、子供や親戚に申しわけないなどの我慢派がいる一方、誤解や情報不足から勝手にあきらめているお年寄りが少なくありません。その理由の一つは、相談者が窓口説明を十分に理解できないからです。私の調査では、窓口で国民年金の受給者はだめ、認定は家族の判こが必要、商売人はだめ、高いアパートに住むとだめと言われた、でした。また、家や田畑を持っていたら受給できない、受給中は働いてはいけないなど、多くの県民に大変な誤解があります。これらは、概していえば受給条件を満たしております。誤解したまま、拒否されたと思い込み、失望して「生きていけない。自殺する」との相談もありました。慌てて確認すると、受給資格はあったのでした。 窓口は多分正しい説明をしていると思われますが、実際は相談者が間違った受け取りをしたのです。このほかに、窓口でひどいことを言われたと泣きながらの相談もありました。生活保護は親族を含めたプライバシーに関する重大な相談ですから、私が直接かかわったケース以外の実情はわかりませんが、この6、7月に9市と各福祉事務所へ想定の相談で匿名の電話調査を試したところ、感じの悪い偉そうな市がある一方、大変優しい福祉事務所もありました。そしてやはり、受給資格があるのに誤解を招くような回答もありました。最近の、純粋に困った特にお年寄りの相談者は、心理的にも追い詰められ、また大変な恥ずかしい思いにさいなまれているはずです。だからこそ、相手の立場に立った優しい対応を心がけなければなりません。 また、生活保護費は、国費4分の3、県、市4分の1の負担割合ですが、最終的には地方交付税の算入もあって実質国費で100%以上の補てんとなります。地方基準の一例ですが、65歳での1カ月の支給は、1人6万3,000円に住宅費2万5,100円が加算され、8万8,100円。5万円の国民年金の生活者は、差し引き3万8,100円となります。それに、医療費無料や介護保険料の加算などを合算すると、大ざっぱに言えば月10万円相当となり、国民年金を5万円受給しておれば実質はおよそプラス5万円の支給になるのです。大胆な計算をすれば、県や市町村の負担ゼロで国から1人当たり10万円から5万円を引き出し、地域に2倍の経済効果が生まれることになります。 もともと、今回の不況は国の政策不況であります。その政策ミスを田舎切り捨てで帳消しにしようとする国に対し、生活保護を受ける条件、資格のある県民は、窓口が難しいことを言わずにぱんぱん認めるべきではないでしょうか。行政がサービス機関だとすれば、窓口は、町へ地域へ積極的に出て、生活に困っている人を救い上げる営業をやるべきだと思います。批判覚悟で言いますと、国が地方を見捨てる限り、生活保護の保護率こそ堂々と県民福祉のバロメーターにすべきであります。 県にすれば余り名誉な話でありませんが、憲法の精神にのっとり、生活保護の支給に優しくて積極的な県になる意向があるのか、健康福祉部長にお聞きしたい。 次は、アユ釣りと中山間の活性化についてお聞きします。アユの釣り人たちは、毎年のように言います。「ことしもアユがおらん、放流はどうなっちゅう」、ここ数年、アユファンの声は厳しくなっております。川を見ていると、ことしの魚影は意外にも薄いようであります。県内のアユ放流量は、平成7年の54トンから16年の39トンまで若干の増減はありますが、ことしは平年より10トンほど少ないようです。また、放流の中身に変化があり、例えば安芸市の芸陽漁協では平成7年が海産0.4トン、湖産2トン、人工産1.4トンの合計3.8トンでした。平成16年は、吉川村の内水面種苗センターで育てられた人工産の稚魚のみ3トン強となっております。全部人工産というのが苦情のポイントなのかはわかりません。しかし、毎年のように繰り返される、「ことしはアユはおらん」は本当なのでしょうか。また、アユファンの声は、「人工産は病弱だ」、「友釣りに向かない」、「湖産こそ病気持ちだ」、「そんなことはない」など、さまざまな声があります。 まず、不漁か否か。問題はどこにあるのか。そして、この量と質の2点の県民論争の決着を海洋局長にお聞きしたい。 いずれにせよ、県民はアユに極めて関心が高く、アユも県民の趣味や生活に大きな位置を占めているということなのです。また、群れ泳ぐ清流に県民が深い郷土愛と誇りを持っているからではないでしょうか。大手釣り具メーカーなどは、高知県の清流はいずれはアユの最後の生息地になるだろうと予測しております。それだけ高知の清流は期待され、全国的にも評価が上がっているのです。全国的にも評価の高い清流と元気なアユという屈指の資源を、観光釣り産業化して県民所得の向上に役立てないかと多くの県民が思っているはずです。林業がだめで、農業もだめで、ましてや企業誘致などあり得ない中山間部の現金収入は、清流をいかに生かすかだと思います。ちょうど北国の山間部が雪を活性化の素材にしてスキーに生きることをヒントに、山奥の清流で生きる方策を県も探ってやるべきではないでしょうか。 現在も時々県外の釣り人が訪れていますが、これは漁協の鑑札事業ではなく観光産業としてシステム的にできないかとの提案であります。定年後の長い人生や、趣味の多様化でアユ釣りに没頭したい人もおれば、一度は釣ってみたい人もいます。最近は体験シリーズがはやる中、都会人や女性グループにベテランが入門ガイドとなって指導するのです。山奥の小規模スキー場では、田舎のおじさんがにわか先生となり、日銭を稼いでおります。世界からサーモン釣りのファンが集まるカナダやアラスカの川では、リバーガイドという制度がポピュラーで、釣り人グループに1人つくことで地元雇用につながっているのです。初心者には手ぶらで釣れるを売り文句に1日アユ釣り体験、リッチな都会人には大名釣りのガイドとして、ベテランにはマル秘ポイントや大物アユのガイドとしてなどセールスできるはずです。そうすれば、山間部の雇用と現金収入につながるのではないでしょうか。 観光アユ釣りとグリーンツーリズムを組み合わせれば、利用客の増加も見込めます。山奥の廃校の利活用につながるかもわかりません。そのためには当然、安定した釣果が楽しめるように、予算的、技術的な問題をクリアする必要が生じてきます。ここが、初めの県民論争で指摘したところにつながります。シーズンものですが、アユ釣りを、限られた趣味人からだれでも楽しめる観光産業に広く発展できるに違いありません。 10年後も視野に入れた山のミニ産業としての可能性を商工労働部長にお聞きしたい。 地震対策です。近い将来予測される巨大地震対策について、低コストでの対応策をお聞きします。例えば、津波被害が予測される集落の安全確保でありますが、県は、まず逃げてくださいと啓発しております。巨費が必要な津波対策は、厳しい財源の中で10年、20年では完成しません。確かに、逃げるのが一番の合理的方法ですが、その前提に逃げることができるルートを確保しなければなりません。例えば、安芸市の日ノ出町や港町地区では高さ5メートルの津波で500戸以上の家屋が床上浸水となり、順調に避難しなければ多数のお年寄りの溺死が心配されております。地震後、逃げようとしても、平時に調べた安全なルートが維持されているとは限りません。先日、高知大学の教授が危険度を調査しました。そこで、同地区を東西に結ぶ3つの橋は、耐震性に欠けるためすべて落下する可能性ありとされ、県民に大変な不安が生まれております。いざというときに、3本の橋が落ちて流出、川は濁流であふれ、おぼれる水量となる。それが夜なら、一層不安になる。そんな状況で孤立すれば、パニックが増幅され思わぬ大被害に広がるおそれが指摘されております。 もちろん、県が逃げろと言うからには、逃げることができる安全なルートが必要です。安全なルートに自信がない場合、津波避難所があれば理想ですが、東洋町のように5億円もかけて県内各地に設置は、全く無理な話であります。私は平成16年3月の県議会予算委員会で、既存の鉄道高架を臨時避難所にと求めたところ、執行部は安いコストに乗り気でした。実現できれば、ほとんど新たに投資をしなくても、高さ6から8メートルの立派な津波避難所が延々とできるのです。実質孤立するケースは、県内の多くの地区で心配されますが、そこには低コストの避難タワーが設置されるべきではないでしょうか。また、これまでの対地震施設はその性格上、高価になっております。しかし、鉄骨を組み合わせるなどむき出し施設にすれば、コストは下がるはずです。現実に、県外では600万円から1,000万円程度で地区避難タワーが十分な強度で建設されております。そこで、私は今議会、コストダウンの質問ばかりしておりますが、地震施設ももっとコストを下げるべきであります。県は見積もりがこうなるからと説明しますが、説明におぼれてコストを下げる気概に欠けるように思うのは私一人でしょうか。 まず、安芸市の同地区のような危険地区は、何カ所県内にあるのか。また、河川が障害になる地区には橋の耐震強化や避難タワーの設置が必要だが、思い切った支援策が打てないか。 さらに、高知工科大と組んで低コストの避難施設などを開発する意向があるのか、危機管理担当理事にお聞きしたい。 最後ですが、漁港の安全対策です。太平洋に面した県内の漁港は、台風時に巨大波に見舞われ、その防波堤の耐波性とともに内港の安全確保が問題となっております。特に、砂浜に建設した安芸漁港は、漁港防波堤では全国一の高さを誇りますが、その壁を乗り越える波浪がよくあり、台風のたびに漁民は不安を隠せません。10年ほど前はトラックが沖へ流され、けが人が出ました。近くでは、平成15年8月の台風10号でも大波が軽々と防波堤を越え、内港に係留した漁船群が大揺れになり、港内背後地の作業場で被害が出ました。昨年、その波のすさまじさを県に訴えたところ、「今回は30年に一度の巨大な台風で、今後は簡単に越波はあり得ない。越波は県内のどこの漁港でもあります」と、危険性が理解されませんでした。ところが、県の説明ではめったにないはずの越波が、1年後のこの6月、台風6号でやすやすと高い防波堤を越したのでした。それも、県が保証しためったにないことが、一、二分に1回という異常な頻度で起きました。ここは周辺から漁船が逃げてくる県指定の避難港ですが、安全なはずの避難港の中でうろたえる漁民を見ていると、一体どこへ避難したらいいのかと思いました。 このように簡単に大波が越す危険な安芸漁港の現状をどのように考え、どのような越波対策を打つのか。ちなみに、水産庁は、県と市がやる気なら予算づけをする方針のようです。安芸市も、厳しい財政事情にもかかわらず予算化することを決定しました。危険性を認識した国、市が予算をつける意向の中で、県は逃げるのでしょうか。十分に越波の危険性を理解した上で海洋局長にお聞きしたい。 また、安芸漁港から西側の県管理の西浜海岸ですが、ここも台風ごとに堤防を越した大波に襲われ、被害が続いております。昨年の家屋被害に続き、この台風6号の大波でも家がめちゃくちゃになりました。御存知のように、ここの越波は国道55号にまで流れ、時には通行どめとなり、県管理の不手際が県東部の幹線国道を遮断しております。 さらに、西側の安芸市管理の穴内漁港海岸でも、浸食が進み、ほぼ台風ごとに石や波の直撃で家屋に被害が出ております。市管理だが、目前の危険性から県はどのように支援するのか。 この2点は港湾空港局長にお聞きしたい。 第1問はこれで終わります。   (土木部長見波潔君登壇) ◎土木部長(見波潔君) 安芸市のバイパスについての一連の御質問にお答えいたします。 まず、高知東部自動車道の用地買収価格に対する芸西村議会の決議に関しますお尋ねがありました。公共事業に伴う用地の買収単価は、事業主体が国であれ、県や市町村でも、近傍の売買事例や土地に関係する法令等を参考に土地鑑定評価を行い、それをもとに事業主体が決定しています。御質問の芸西村における用地単価も同じ手順で決定したと、国土交通省から聞いています。今後も引き続き、事業主体である国から地権者及び村に対して十分な説明を行い、提示された単価について地権者の御理解が早期に得られるよう最大限の努力をしていただきたいと思っています。また、決議が今後の高知東部自動車道の整備に与える影響についてのお尋ねですが、決議そのものが整備の進捗に大きな影響を与えるとは考えておりませんが、円滑に事業の促進が図られるよう、地権者の御理解を得るための努力をしていただくことが先決だと考えています。 次に、県の支援策に関しますお尋ねがありました。県としましては、国と村を含む関係者の話し合いが円滑に進むような機会を設定することや、要望があれば可能な範囲での周辺整備を検討していきます。また、代がえとして芸西-安芸間の一部区間を整備路線化できないのかとのお尋ねですが、高知東部自動車道の芸西村から安芸市に至る延長8.5キロメートルの区間に関しましては、現段階では整備計画区間に指定されていません。県としましては、四国の8の字ルートの早期完成を目指す観点から、これまでもこの区間の事業着手の要望を行ってきましたが、今後も南国-芸西間の整備の状況を見ながら整備計画区間の指定を要望していきます。加えて、国土交通省からは今後芸西-安芸間で整備計画区間の指定に向けた調査を行うと聞いており、県としましてもこれに協力していきたいと考えています。 次に、大山道路の進捗が当初の計画よりおくれているとのお尋ねがありました。大山道路は、昨年の9月に整備計画区間に指定されて以来、今年度内に地元の方々との協議ができるよう調査や設計作業を行うなど、順調に進んでいると国土交通省から聞いています。県としましては、大山道路の整備の緊急性や必要性は十分承知していますので、今後も引き続き、早期にこの道路が完成するよう国に対し強く要望していきます。 次に、国道55号の渋滞対策に関しますお尋ねがありました。安芸市街地内の国道55号では、国土交通省の最近の交通量調査でも渋滞が発生していることは承知しています。その渋滞解消の緊急手段として、市道海岸線をバイパス的に国か県が安芸市にかわって整備できないかとのお尋ねですが、国の直轄代行は市道は対象となりませんし、県代行についても将来国道か県道に昇格が見込まれるなどの条件が前提となりますので、市道海岸線を国か県が代行で整備することはできません。御指摘の安芸市街地内の交通渋滞を抜本的に解決するためには、地域高規格道路の阿南安芸自動車道の整備が必要ですが、その完成までには時間を要しますので、当面の効果的、効率的な渋滞対策にどのような手法があるのかを検討するために、国土交通省では渋滞の原因を詳細に調査する予定と聞いています。 次に、公共工事のコスト意識についての御質問のうち、県道の整備の必要性に関しますお尋ねがありました。安芸市内の山間部の県道は、いずれも地形が険しい上、行きどまりの路線が多く、降雨時の土砂崩壊によって孤立する集落が発生する可能性があることから、いずれの路線も何らかの整備が必要であると認識をしています。議員御指摘の県道の改良は、安芸物部線の下尾川工区と思いますが、この路線も他の路線と同様の状況で整備の必要があることから、事業に着手しました。御指摘の工区につきましては、現場の状況を見ますと、河川側への拡幅は河川などへの制約があり、山手側に拡幅を計画したものです。同時に、掘削土を安芸市内のほかの県道などの盛り土に利用することで、全体的なコスト縮減を図っています。また、のり面処理に関するお尋ねがありましたが、県としましては土質などの調査の上、可能な箇所につきましては間伐材を利用した木の香る道づくりを推進しており、当工事につきましてもこの工法を採用しています。 さらに、改良工事の事業計画に関するお尋ねがありましたが、道路の事業計画を立案する際には工区ごとの改良に必要な事業費を算出することとしています。当工区延長が680メートルですが、ここは前後の整備状況から連続した改良が必要と判断し、概算の全体事業費を6億円としました。 次に、県道の通行制限と工期の延期についての一連の御質問にお答えします。まず、工期の延期についてのお尋ねがありました。地形が急峻で幅員の狭い県道上で工事を行う場合には通行制限を伴うため、道路利用者や地域の皆様には大変な御不便をおかけしています。これらの工事で着手後にやむを得ない理由が生じた場合には、所定の手続を経て工期の延長を認めています。 次に、工期の延期件数とその理由に関するお尋ねがありました。平成15年度の県管理道路におけますいわゆる10分通行の時間制限を伴う工事は238件あり、そのうち工期を延長した件数は24件ありました。工期延長の主な理由としましては、天候の不良や関連工事との調整に加え、事業の繰り越しに伴うものです。また、突然の工期延長などの手法は県民に不親切ではないかとの御指摘につきましては、今後とも道路利用者や地域の皆様に対して、工事区間の施工内容やそれに伴う通行制限などについて御理解と御協力が得られるよう事前の周知に努めていきます。 続いて、通行制限を改善する手法に関するお尋ねがありました。同一路線内で近接して複数の工事を行う場合には、発注時期についても検討を行いますし、仮に同時期に発注する場合には、通行制限を極力少なくするために業者間で連携を図るよう指導していきます。今後は、事業内容を精査し、通行制限の改善に取り組んでいきます。 続いて、通行制限をしないような工法についてお尋ねがありましたが、迂回路のない狭い道路では、道路上での作業が伴うことから、通行車両などの安全を確保する上で全く通行制限をしない工法は考えられません。今後とも、地域の方々の御協力を得ながら、経済性や安全性、通行量などを考慮して、通行制限が比較的短い期間となるような工法の採用に努めていきます。 次に、県営住宅の空き家募集などに関しますお尋ねがありました。県営住宅においては、地対財特法の期間終了に伴い、平成14年度から旧地域改善向け住宅についても一般の住宅と同じように募集を行っています。空き家募集につきましては、住宅供給公社に管理を委託している団地は年4回、市町村に管理を委託している団地は随時、県や市町村の広報紙などを通じて募集を行っています。今後も引き続き広報活動に努めていきます。 また、高齢者向け住宅については、現在建てかえを行っている船岡団地や建てかえ計画のある介良団地で一定の戸数を確保することにしていますし、今後も既存住宅を改修する際には高齢者の方が生活しやすい住宅を考えていきます。 以上でございます。   (商工労働部長起塚昌明君登壇) ◎商工労働部長(起塚昌明君) ブランド活用政策についてのうち、ブランド化補助金の費用対効果について御質問がございました。 一般的に、ブランドとは単なるイメージではなく、顧客に対し信頼感と安心感を継続的に約束し提供する機能と言えますから、多くの方に満足していただきファンになっていただくことがブランド化のねらいだと思います。そのため、商品をブランド化していくためには、他の競合商品と比べすぐれた点を明らかにすること、また消費者のニーズにこたえていく継続的な商品の流れを方向づける企業活動、いわゆるマーケティング活動が必要となってまいります。そこで、平成15年度から始めました県産品ブランド化企画推進事業では、生産者が主体となって企画した商品開発とマーケティング事業の実践を支援するとともに、失敗部分も含めそのプロセスをモデルとして公開することで、広く県内の他の生産者の皆様がそれぞれの商品のマーケティング活動をする際に参考にしていただこうとするものでございます。 御指摘の事例のように、その年度だけで見れば補助金額を下回る販売実績の案件もございますが、ただ、その効果を見るには一定の期間が必要だと考えております。しかしながら、議員の御指摘のありましたとおり、費用対効果には細心の注意を払い、事業内容をよく検討、審査しながら今後事業を進めてまいりたいと考えております。 次に、アユ釣りの観光産業としての可能性について御質問がございました。アユがすむ河川を多く持つ本県では、こうした清流とともにアユ釣りも大切な観光資源の一つだと認識をいたしております。その一方で、アユは年々漁獲高が減少する中で限られた資源であり、地域の方々の生活の糧であると同時に地方色豊かな文化でもありますので、これを観光産業とすることについては地域の方々の思いを大切にしていかなければならないと考えております。現在、5年先を目標にした観光ビジョンを策定するため、県内を7つのブロックに分け、観光に軸足を置いた地域づくりの視点で地域の資源を生かす取り組みなどについて議論をしていただいているところです。こうした取り組みの中で、アユ釣りを地域の体験型観光として位置づけることができれば、将来的には山のミニ産業になり得る可能性はあるのではないかと考えております。 以上でございます。   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 樋口議員の御質問にお答えをします。 まず、タイガースタウンについてのお尋ねがありました。県の財政状況が極めて厳しい現状ですので、今すぐ新たな野球場の整備に取りかかることは、いかに戦略上の必要性が見込まれるとしましてもかなり難しい課題だと思います。ただ、タイガースタウンというブランドは、安芸市と安芸市民が長年はぐくんでこられた県を代表する地域ブランドですので、県としましてもタイガースのブランドを生かした取り組みなどソフトの戦略を地域の方々とともに考えていきたいと思いますし、その応援もしていきたいと思います。当面はこうした努力でタイガースタウンを支えていきますことも、一つの戦略ではないかと思います。 続いて、過去の発想にとらわれない大幅なコストダウンへの取り組みと、それを実現した職員の評価についてお尋ねがありました。財政危機宣言のさなかですので、お話にありましたような大幅なコストダウンを提案したり、それを実現したりした職員は、高く評価をしたいと思います。特に、前例や過去の発想にとらわれない取り組みは、改革志向の中でも重要な観点ですので、そのことが人事評価の中に反映をされるように努めていきたいと思います。ただ、抜てき人事といった対応のためには、それに加えて総合的な評価が求められることも言うまでもありません。 私からは以上です。   (副知事吉良史子君登壇) ◎副知事(吉良史子君) 樋口議員の御質問にお答えをいたします。 まず、本県のビッグブランドの活用策についてのお尋ねがありました。観光や地域の自然、文化などを含めた地域ブランドを築く取り組みが各地域で進められていますが、ブランド化を進めるためには、核となる地域の特産品や観光サービスなどの質を高めることが重要と考えています。例えば、四万十川は全国的に知名度も高く地域ブランドとして定着してきていますが、流域における環境や景観の保全、体験型の観光地づくりなどさまざまな取り組みを行ってきています。このようにブランドを維持・発展させていくためには、地域が一体となって総合的で継続的な取り組みが必要だと思います。今後も、本県の四万十川やよさこい鳴子踊り、またタイガースタウンなどのブランド情報を全国に発信するとともに、訪れる人々に満足していただけるように地域の取り組みを支援してまいります。 次に、県発注工事の適正な競争入札やコストダウンに関しますお尋ねがありました。議員お考えのように、予算を効率的に使うため公共工事のコストダウンを図ることは非常に重要なことであり、関係職員は効率的な発注方法や公正な入札を常に念頭に置きながら事業を行うことは当然のことだと思います。県が発注する建設工事の指名選定は、建設工事指名競争入札参加者の指名基準に基づき、工事の技術的適性や地理的条件を考慮して行われますが、発注に当たっては透明性や企業努力による公正な競争を確保することが重要と考えます。 お答えといたします。   (警察本部長黒木慶英君登壇) ◎警察本部長(黒木慶英君) 樋口議員の御質問にお答えいたします。 初めに、暴力団の公共工事への介入など資金源活動の現状に関する御質問についてでございます。いわゆる暴力団対策法の効果により、暴力団のみかじめ料の徴収を初めとする伝統的な資金源活動に一定の歯どめがかけられてはおります。しかしながら、暴力団の資金源全体から見ればそれはごく一部にすぎず、近年の暴力団は表の経済社会への進出を活発化させているところであります。全国的な状況を見ますと、金融業、産業廃棄物処理業、土木建設業等、各種の事業活動に参入して資金獲得を図るとか、地方自治体等の行政機関に対して不当な要求を繰り返すなど、暴力団の資金獲得活動が多様化しているのが現状であります。したがいまして、本県においても暴力団等が各種公共工事の本体受注に介入して、あるいは下請業者選定へ介入するなどにより公共工事を資金獲得活動のターゲットとする可能性は十分に考えられ、注意を要するところであります。 このような現状を踏まえ、警察としましては県下の各企業、これは土木建設業者に限っておりませんが、これらの各企業の担当者を対象に毎年暴力団不当要求防止責任者講習を実施し、暴力団等から不当な要求があった場合の対応要領等について指導してきているところであります。また、行政への圧力という観点から、行政対象暴力排除のために県の幹部職員や新任の班長、チーフを対象に同様の講習を実施しておりまして、本年もこれまでに3回にわたりまして134名の県職員に講習を行っております。今後とも、県と連携して行政対象暴力排除に取り組んでまいります。 また、県下の各自治体に対して、行政対象暴力に組織的に対応していくために、いわゆるコンプライアンス条例や不当要求防止要綱等の制定に向けた働きかけを行っており、これまでに春野町、大川村、日高村、中土佐町、葉山村、大野見村、佐賀町、大方町、西土佐村、土佐清水市の10の市町村におきまして行政対象暴力排除要綱あるいは要領が制定され、暴力団員等による圧力や不当要求に対して行政が組織的に対処する体制が整いつつあります。 次に、暴力団員等が公共工事の指名や受注に関し県庁や出先機関に圧力をかけたということで捜査をしたことはあるのかとの御質問でありますが、過去5年間におきまして、本県においては検挙に至るような事案は承知しておりません。 次に、組員には強いが組織犯罪、経済事件に高知県警察は弱いという県民の声が根強いがそれに対する見解をという御質問にお答えします。まず、高知県警察は組織犯罪にも経済事件にも決して弱いとは思っておりません。例えば、組織犯罪につきましては、平成15年1月14日発生の豪友会傘下組織組員によるパチンコ店に対する威力業務妨害事件で、組員3名を組織的犯罪処罰法違反等により検挙。平成15年3月10日発生の山口組山健組傘下組織組員による豪友会傘下組織組員に対するけん銃使用の殺人未遂事件で、本年6月21日までの間に山健組傘下組織による組織的犯行であることを解明し、組長以下14名の被疑者を組織的犯罪処罰法違反等により検挙しております。なお、組織的犯罪処罰法によりますと、例えば強要罪であれば通常刑法の罪は3年以下の懲役ですが、これが5年以下の懲役と重罰化されることとなっております。他方、そのためにはその団体の組織性や組織としての犯罪であることを立証しなければならず、立証にはかなりの困難が伴うことから高度の捜査能力が要求されるところであります。 しかしながら、全国的な傾向を見ると、組織犯罪や経済犯罪につきましては、暴力団等の組織実態や活動の不透明化、潜在化、資金獲得活動の多様化などによりその検挙が困難化しているのも事実であり、本県のみがそのような流れの外にあるわけではございません。特に、組織犯罪をめぐるこれからの捜査は、犯罪収益を断ち切るという財務的な側面へ、より重点を移行していかなければならないものと考えております。このような中で、平成15年1月28日には、豪友会本部組員1名を債権回収過程における競売入札妨害事件により検挙。平成15年6月18日には豪友会傘下組員によるヤミ金融事件を貸金業法違反、出資法違反により検挙。平成15年9月17日、同30日には豪友会傘下組織組員等3名によるいわゆる090金融事件を貸金業法違反、出資法違反で検挙しておりまして、これら経済事件の検挙は、資金源封圧という点から極めて大きな意義があります。今春の組織改編により、薬物銃器対策部門を刑事部に移管しましたところでありますが、今後も組織犯罪と戦っていくために組織犯罪に関する警察全体の関連情報の一元化を図り、戦略的かつ厳正に捜査を進めていく所存であります。 次に、安芸広域市町村圏事務組合のごみ焼却場の造成工事の落札に関する御質問にお答えします。お尋ねの件につきましては、本県工事の入札において不正な行為が行われたのではないかとの御質問だと思いますが、警察といたしましては、従来から、公共工事の入札をめぐっての不正行為が行われたといううわさや容疑情報等につきましては、強い関心を持って情報収集に努めているところであります。また、情報に基づき内偵捜査等の所要の捜査を行い、その結果、当該公共工事をめぐり不正行為が判明すれば、法と証拠に基づき厳正に対処してきているところであります。議員が通報されました工事につきましては、安芸署において所要の情報収集に当たりましたが、具体的な不正の事実、暴力団関与の事実の把握には至らなかったと承知しております。今後とも、警察といたしましては不正な行為や不法な行為につきましては厳正に対処していく方針であります。 次に、県警幹部の再就職に関する御質問であります。県警幹部の再就職は、本来本人の自由な選択にゆだねられるべきであることは当然ではありますが、他方、取り締まり機関という警察の特性上、再就職先の選択については一定の道義的制約があるものと考えています。例えば、現職時に習得したノウハウが悪用される可能性のある再就職先への就職など警察活動の廉直性を明らかに損なう場合には、やはり適切さを著しく欠くものと考えています。このため私どもも、そのようなことがないように退職予定者と再就職先についてさまざまな相談、意見交換を行っているところであります。 御指摘の点について、すなわち県警幹部が落札会社の関連会社に再就職することについてでありますが、不正の存在を示すような情報がない以上は、県警幹部が落札会社の関連会社に再就職をしたとしても、そのこと自体は適切さを欠くということにはならないと考えます。また、仮に警察幹部が再就職した会社において不正行為があった場合であっても、犯罪捜査を責務としている警察としましては、厳正な立場で事案の真相を究明するという当然の姿勢が何ら変わるものではないことは言うまでもありません。警察幹部が再就職した会社であるから捜査に手心を加える、あるいは捜査に消極的になるとか、ちゅうちょするということは全く考えられません。このことは、退職した県警幹部が一番よく知っているところだと思います。 次に、退職後の営業活動の自粛についてであります。現時点では、県警にはそのような取り決めはございませんが、いわゆる公務員制度改革大綱の中で再就職後の禁止行為についても明文化されるとのことでありますので、今後はそれらを踏まえ県の取り組みに準じた対応をしていく所存であります。 私からは以上であります。   (森林局長村手聡君登壇) ◎森林局長(村手聡君) 公共工事のコスト意識についての御質問のうち、安芸の林道工事における指名についてのお尋ねがありました。 公共工事の発注に当たりましては、透明性や企業努力による公正な競争を確保することが重要でございます。そのため、県では建設工事指名競争入札参加者の指名基準を定め、この基準に従って発注を行っております。御指摘の林道工事の指名業者の選定につきましても、この基準に基づきまして、各年度の建設工事指名競争入札参加資格者名簿に登載されました建設業者のうちから発注予定額、地理的条件なども考慮しまして適正に実施されてきたと考えています。特に、この工事は継続工事でありますので、指名メンバーの組みかえを行うなど工夫もしながら選定を行ってきております。しかし、結果として御指摘の状態にあるのも事実ですので、今後の林道工事の発注に当たりましては、入札・契約制度に関する検討委員会での議論も踏まえながら、より競争性が高い入札方法を関係部局と連携を密にして不断に研究しながら、県民の目線に立ち、さらに効率的で公正な事業執行に努めてまいります。 次に、森林環境税の使途等についての御質問がございました。まず、平成15年度の広報ビデオ制作に関する契約についてお尋ねがありました。昨年度の広報番組の制作及び放送についての発注に当たりまして、森林環境保全基金運営委員会の御論議もいただいて、森林環境税の性格上、発注者側ですべてを決めるのではなく、県で基本コンセプトと各回ごとの番組テーマを示した上で、その企画内容について民間の発想を生かした特色のある多様な提案を求めることとし、プロポーザル方式による契約といたしました。審査選定に当たりましては、県内民放3社に公平にお知らせをし、昨年6月23日に基金運営委員会の委員3名を含めます7名による審査委員会におきまして各社から直接提案の説明を受けた上で、企画の独自性や番組のコンセプトへの適合性などを総合的に審査し、選定しております。 次に、平成16年度の学校教材用ビデオ制作予算についてお尋ねがございました。先ほど答弁いたしましたテレビ番組は、昨年10月から12月にかけまして13回放送されました。その最高視聴率13%、平均視聴率11.8%を得たことは、一定の反響を得たものと受けとめております。このように放送が好評であったことから、森林環境教育の教材に活用するため16年度に県下の小中学校に配付する事業を予算化することといたしまして、放送会社からの概算見積もりをとって予算計上いたしましたが、ビデオ制作に関する標準的な単価などの知見も十分でなかったこともあり、委員会でも御指摘を受けましたとおり精査が十分でなかった点があったことは否めないと思っております。そのため、この予算の執行に当たりましては、再度見直しを実施することといたしました。森林環境税につきましては、特に県民の方々に超過課税をお願いし御負担いただいている税でございます。今後とも、透明性が高く効率的な使い方に一層努めていきたいと考えております。 以上でございます。   (農林水産部長星沢昭雄君登壇) ◎農林水産部長(星沢昭雄君) ハウス園芸の振興についての質問にお答えをいたします。 まず、土佐あき農協と組合員との意思疎通に関する問題点と解決策及びその他の農協と農家との関係についてお尋ねがございました。土佐あき農協におきましては、昨年9月に設置されました地域での園芸農業に関する課題に対応するための安芸地域園芸戦略推進会議におきまして、主にナス栽培農家の農協離れが進んでいることを地域にとって解決すべき大きな課題といたしております。この会議の中に、農協と園芸連とで構成をいたします系統率向上対策チームを設置いたしまして、既に、安芸集出荷場管内の農家と農協、園芸連との間にある問題点等について把握をいたしますため182戸の農家を個別訪問する取り組みを行いました。 この取り組みの中で、集出荷場に関する課題といたしましては、受け入れ時間など運営そのものへの不満、また機械選別に対する不信、出荷に係る経費負担への不満など。また、農協に関する課題といたしましては、職員教育、営農指導の充実の要望、個々の農家まで情報が伝わらないことや、販売代金について精算期間が長いこと、またレンタルハウス整備事業の金利負担への不満などが示されました。さらに、園芸連の販売体制に関する課題といたしましては、下級品の有利販売への要望など、さまざまな問題が浮き彫りになりました。これらの課題につきましては、近く予定しています系統率向上対策チームにおきまして、農協、園芸連が具体的な解決策を検討することにしております。こうした解決策をもとに、農協と農家とが真摯に向かい合い、協議を重ねますことにより、農家と信頼関係で結ばれた農協をみずから構築していかなければならないと考えております。 また、その他の農協に関しましても、農協により程度の差はございますものの、営農指導における相談機能の低下など、農家をフォローする体制の不十分さやコミュニケーション不足に起因をする問題があると考えております。そうした現状認識のもと、園芸戦略推進会議の場で、土佐あき農協の取り組みなどを参考にした農協離れに対する対策や、さらには営農指導強化対策などについて情報交換を図りながら、それぞれの農協において組合員との信頼関係を築いていくための主体的な取り組みを促してまいります。 次に、今後の本県園芸農業の再生に向けての取り組みについてお尋ねがございました。関連いたしますので、まとめてお答えをいたします。まず、園芸品の高付加価値化についてでございます。有利販売という点では、安全・安心で品質のよい品を市場の要請するロットで安定的に出荷できるシステムを可能といたします産地のまとまりが、まず必要でございます。その上に、今後の消費地市場、消費者に高い価値、信頼を持って受け入れられるためには、環境に負荷の少ない、言いかえれば極力農薬に頼らない園芸産品の生産が必要だと考えています。幸い本県におきましては、これまで環境保全型農業を推進してきた結果、この分野では全国トップレベルの技術を要する産地になりました。今後も引き続きこうした環境保全型農業に関する技術の普及拡大を図っていくとともに、さらに栽培履歴の記帳、公開、いわゆるトレーサビリティーへの取り組みを全国に先駆けて進めていく必要があると考えております。こうした取り組みをどのように進めていくかにつきましては、現在、高知県園芸戦略推進会議におきまして農協、園芸連、県等が一体的に協議を進めております。 次に、競合産地を一歩でも二歩でもリードしていくためには、有望な新規の園芸品の開発や消費者志向に合ったものへの改良への不断の努力が必要だと考えております。このため、御質問の次期戦略品目づくりに向けまして、農業技術センターにおきまして本県の主要野菜に成長し得る新しい品目、新しい作型を見出す研究を進めております。同時に、現在産地化が進んでいます主要品目につきましての新たな品種の開発等を行っています。例えば、ナスでは果形--実の形ですが、この果形の大型化に対応する県育成品種、高育交2号の現地適応性の調査や、ハチの受粉が必要ではない単為結果性ナス品種の試作を、また、キュウリでは消費者ニーズに対応したワックス系の新品種への転換などの取り組みを行っております。 次に、若者が夢を持てる園芸産地についてであります。まずは、みずからの才覚により農業経営を行い、経済的にも社会的にも自立できることが前提ですが、若者の夢という点では、今後さらに求められます環境保全型農業について引き続き先進的な取り組みを進めてまいることや、養液栽培などクリーンな栽培方法の普及により、これまでの農業のイメージを転換していくとともに、有望品目の開発・改良などによる元気の出る産地づくりを進めていくことが重要であると考えております。 最後に、本県園芸農業の5年先の展望についてでございます。消費の低迷、国内外の産地との競合、増大します量販店のバイイングパワーなど、園芸農業にとりましては今後とも厳しい状況が続くと思われます。加えまして、5年後には改正卸売市場法が完全実施され、産地間競争のさらなる激化が予想されます。こうした状況に打ち勝っていくため、さきに述べましたような取り組みとともに、生産者、農協、園芸連、言いかえれば生産と販売が一体となった系統共販体制の強化を図り、消費地に選ばれる産地としての地位の確立を目指していきたいと考えております。 以上でございます。   (企画振興部長十河清君登壇) ◎企画振興部長(十河清君) 人権啓発センターの広報に関してのお尋ねがございました。 平成14年度に実施しました県民意識調査からもテレビ、ラジオを通じた啓発が最も効果が高いという結果が出たことから、昨年度にラジオによる啓発事業を、今年度には人権啓発テレビ放送事業を人権啓発センターに委託して実施することにいたしました。今年度のこの広報番組の制作、発注に当たりましては、昨年度実施した啓発用のラジオコマーシャルが全日本シーエム放送連盟の賞を受けるなど評価が高かったことなどから、こうした実績を踏まえ、昨年度発注した広告代理店と随意契約をしたものと聞いております。テレビ放送による啓発コマーシャルは人権啓発センターとしては初めての事業であり、視聴エリアのみに着目して2つの民放局を選定して実施しましたが、今後の発注に当たりましては、より多くの皆様に見ていただき、より啓発効果の高いものとなるよう改善していくことといたしております。 以上でございます。   (総務部長池本武広君登壇) ◎総務部長(池本武広君) 広報予算に関する御質問にお答えいたします。 広報予算は、県の取り組みを県民の方にお伝えするとともに、これに対して県民の方からいただいたさまざまな御意見を次の取り組みに生かしていきますなど、県政を円滑に進めていく上でも大切な予算の一つです。平成16年度の予算編成からは、広報の担当窓口であります広報課と財政課が連携をとりながら、各課室から広報に関する予算の見積もりが出てきたものにつきまして通常の予算編成とは別に横断的にチェックを行う取り組みも始めたところでございます。しかし、なお不十分な点があったとの御指摘をいただきましたので、そうしたチェックをさらにしっかりやっていきたいと思います。今後、予算が非常に厳しくなります中で、予算を使った広報では最小の予算で最大の効果が得られますよう費用対効果の面を常に意識しながら行うとともに、あわせて記者クラブへの積極的な情報提供など、必ずしも予算に頼らない広報にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。 以上でございます。   (健康福祉部長岡芳子君登壇) ◎健康福祉部長(吉岡芳子君) 生活保護と住宅困難対策についてのお尋ねのうち、生活保護の支給に優しくて積極的な県になる意向はあるのかとのお尋ねがございました。 生活保護は、国民生活の最後のセーフティネットとして、とても大切な役割を果たしている制度でございます。病気で働けなくなったり、さまざまな事情で生活にお困りになったときなどには福祉事務所に申請していただくことになっていますが、相談や申請に来たことを人に知られたくないとか恥ずかしいといったつらい思いをしながら、やっとの思いで窓口に来られる方も多くいらっしゃると思います。また、生活保護の制度は国が細部にわたりまして基準を定めておりますので、特にお年寄りの方などには難しくてわかりにくいのではないかとも思います。こうしたことから、福祉事務所の職員には、相談や申請に来られた方々のつらい御心情や個別の状況などをお察しした上で、ぬくもりがあり、またわかりやすくかみ砕いた説明ができますよう、機会をとらえて周知をし、研修なども行っております。 しかしながら、中にはお話にもありましたような説明不足のために誤解を招いたり、つらい思いをさせてしまったりすることもあるのではないかと思いますので、なお一層わかりやすく心のこもった対応をするよう徹底してまいります。また、生活保護は御本人あるいは親族の方に申請していただくことになっていますが、制度がわからないために保護を必要とする方が申請できなくて困窮されるということは、あってはならないことでございます。そのため、地域の民生委員さんや町村の福祉担当職員などには、こうしたことが起こらないように日ごろからきめ細かな気配りをしていただくようにしておりますが、今後も十分に連携をすることによりまして円滑な相談や申請につながるよう努めてまいります。 以上でございます。   (海洋局長久保田寿一君登壇) ◎海洋局長(久保田寿一君) アユに関して不漁か否か、問題はどこにあるのかなどについての御質問にお答えをいたします。 ことしの県内のアユ漁を見ますと、安田川と物部川では解禁日から好調でしたが、他の河川では6月中ごろまで余り芳しいとは言えない漁模様でございました。しかし、6月下旬ごろから伊尾木川、鏡川なども好調となり、県内全般を見ますと現在は昨年度より良好な状況となっております。本県のアユの漁獲量は、平成6年までは1,000トンを超えておりましたが、その後年々減少し、平成15年にはおよそ260トンになっております。この原因としましては、河川環境の悪化を初め、冷水病の被害や、ブラックバスあるいはカワウによる食害などとともに、天然アユの遡上が十分でないためだと考えられております。このため、アユ産卵期の採捕禁止期間を延長しますとともに、内水面漁連が行いますブラックバス駆除の取り組みへの支援を初め、冷水病の発生を阻止するための研究、さらにはカワウの生態調査などを実施しております。 また、県内の各河川に種苗を供給しております内水面漁連では、平成14年度から冷水病菌を持ち込む可能性のある琵琶湖産種苗の放流を自粛しますとともに、人工種苗につきましても、冷水病菌を保有していないことを確認した上で種苗を配付するようにしています。さらに、遊漁者の一部にアユの人工種苗は追いが弱く友釣りに不向きであるという声もありますため、昨年から人工種苗と天然魚についての比較調査を行っており、今後一定の結果が出る予定でございます。お話にもありましたように、アユは本県にとって大切な川の資源でございますので、県としましてはこれらの調査研究を踏まえ、より良質な種苗を安定的に放流できる体制を堅持しますとともに、内水面漁連が四万十川を初め県内の5つの河川で行う産卵場整備の取り組みを支援するなど、天然アユ資源の回復に努めてまいりたいと考えております。 次に、安芸漁港の越波対策についてお尋ねがありました。安芸漁港の整備は、沖防波堤を除きましてほぼ概成しつつありますが、お尋ねにもありましたように昨年及びことしの台風の来襲時における防波堤からの越波など、まだ課題が残っていることは認識をいたしております。しかし、国の進めます三位一体の改革などにより、漁港の整備につきましても厳しい予算の環境にありますので、既に策定された計画でありましても、いま一度整備の進め方について検討する必要があると考えております。このため、安芸漁港ではこれまでの既定の計画どおりに沖防波堤の整備を進めるべきか、あるいはこれにかわる、例えば既設の防波堤の改良などにより経済性にすぐれながら一定の効果を発揮する施設の整備はできないかなどについて、今年度総合的な検討を行うことといたしました。今後は、この検討結果をもとに、安芸市や漁業関係者の皆様の意見もお聞きしながら、安芸漁港の越波対策に取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。   (危機管理担当理事宮崎利博君登壇) ◎危機管理担当理事(宮崎利博君) 津波避難に関して、危険箇所数や支援策、さらには高知工科大学と連携した避難施設などの開発についてのお尋ねがありました。 津波からの避難に関しては、まず浸水が予想される区域を明らかにし、それぞれの地域ごとに安全な避難路や避難地を決めることになります。本年度、県内のすべての沿岸地域での津波の河川上や時間的な広がりなどがわかる詳細な調査を行いますので、県内での津波の浸水状況が明らかになります。この結果をもとに、地域ごとに避難について検討していただくことにより、お話にありました危険箇所が明らかになるものと考えます。また、地域ごとに避難を検討することにより、避難路沿いの家屋やブロック塀の倒壊、橋の落下、がけ崩れなどの危険箇所が明らかになりますし、避難地についてもそれぞれの地域ごとに課題が出てきます。こうしたことを整理しながら、対策について検討することとなります。 次に、防災に関して、ソフト、ハードさまざまな分野で産学官で連携した取り組みが行われております。お話のありました低コストの避難施設等につきましても、高知工科大学と一度お話をしてみたいと考えています。 以上であります。   (港湾空港局長加藤久晶君登壇) ◎港湾空港局長(加藤久晶君) 西浜海岸や穴内漁港海岸の越波被害とその対策についてお尋ねがありました。 西浜海岸では、この6月21日の台風6号の高波で、背後の家屋に被害が生じました。越波のあった場所は離岸堤が未整備の区間で、防潮堤の上に設置した仮設の越波防止さくを越えた波により被害を受けたものです。このため、抜本的な対策として沖合で波を消波し越波被害を防止するよう、この区間の離岸堤の建設に平成17年度より着手し、できる限り短期間での整備に努めます。また、当面の対策として、現在設置している仮設の越波防止さくのかさ上げや、家屋の前に仮ブロックを設置するなど、家屋への被害が起こらないような対策を進めてまいります。さらに、このような越波を防止するためには前浜の確保も重要ですので、漁業関係者の御理解を得て河川の掘削土砂などを活用して養浜し、前浜の確保に努めます。 次に、安芸市が管理しています穴内漁港海岸でも、昨年の10号台風などで越波がありました。そのため、穴内川を境に東側では、高潮対策事業でこれまで離岸堤の基礎部をリーフ状に施工してまいりましたが、なお一層消波効果を高めるため、本年から離岸堤を完成断面にする整備を行っています。また、穴内川を境に西側でも、平成15年度から浸食対策事業を新たに導入して、人工リーフの建設に着手したところです。 次に、市の管理する穴内漁港海岸への県の支援に対するお尋ねがありました。海岸の越波や浸食などに対しては、それぞれの管理者が防災対策を講じています。県としましては、管理者である安芸市の要望に沿った予算が確保できるよう国に働きかけていくとともに、技術的支援を行ってまいります。 以上でございます。 ◆17番(樋口秀洋君) いろいろ答弁をいただきましたが、土木部長の答弁には非常にがっくりきました。まさに官僚の作文です。森林局長も、いろいろ言いたくはなかったと思うけれど、検討委員会の議論を踏まえてという前向きの答弁でした。総務部長もチェックをしてみるという答弁でした。土木部長は、680メートルを工事するのに6億円が要ると、そのような答弁ですね。そらあ道路を広げる、改良する、これはすばらしいことですよ、その予算をこちらに組んでくれたのも非常に監視しているんですが、そのほかに県道が何路線もある。家がいっぱいある、落石も多い、利用者も多い、そこを全部捨ててなぜここに一番金額を積まなければなりませんか。 私は、先ほどの質問でも聞いたんですが、通行量は極めて少ない、その先は行き詰まりですよ、行き詰まり。小さな2つの集落があって、そこに何人おると思いますか。平均年齢70歳以上のそこへ、この金のないときに6億円入れるのは、へいへいですか。これからもそんな道に使うんですか、お金を。土木部長に、ちょっとお聞きします。それが一つ。 それから、知事の答弁ですが、財政難で危機宣言した折、直近ですから知事も大変心を悩ましたんじゃないかと思いますが、それにしても、やはりすぐ知事から出てくる言葉はソフトです。何かハードができないからすぐソフトに言葉で逃げているような気もするんです。私だけじゃなくて県会議員のこちらにいらっしゃる方ほとんどが、以前は、予算は国体が終わるまで我慢してくれと、ぎっちり言われました。国体が終わったら、次は三位一体でだめだから我慢してくれと。いつも我慢、我慢で、国の政策もあるから苦しいとは思うんですが。 それで知事にお聞きしますが、それは急にきょうあすという話やないんですが、この第2球場に非常に政策的に関心がありますか、それとも関心はないのか。そして、予算的には厳しいが検討する価値はあると思いますか、ないと思いますか。それをまずお聞きします。 それから副知事にですが、ブランドの件です。ブランドの件は、地域の声を生かして全国に発信するなどしていきたいと言われたんですが、余りにもこれも作文的で、もう少し具体的な答弁がいただけないものでしょうか。こういうことはわかり切っています。私はこういうことをしなさいという質問をしているんだから、それに対して、その答弁でしたら実際内容の非常に浅い答弁です。そこを具体的にどのようにやるのか、ブランドをどのように具体的に生かすのか、その答弁をいただきたいと思います。 それから、農林水産部長にですが、高付加価値化を園芸戦略推進会議で進めていると、努力していると言ったんですが、もう他県は何年も前から営業をやっているんですよ、ターゲットを絞って。今努力しているといっても、具体的な努力はないですよ。小さなスーパーにはちょっと安芸は接触があるんですが、それは付加価値がつくほどのものじゃないです。ちょっと遅過ぎると思いますが、そこらあたりはどう考えていますか、それを農林水産部長にお聞きします。 とにかく、土木部長の余りにも官僚的な現実を知らない答弁には、はっきり言って驚いたとしか言いようがありません。 ◎土木部長(見波潔君) 再質問にお答えをいたします。 当該区間は、前後が2車線で整備をされているということで、その前後の改良の連続性の観点から、概算の全体事業費を現在のところ6億円とはじいているというふうに御答弁を申し上げました。その後、交通量などから見て1.5車線的道路整備でも十分であろうというような判断から、現在技術基準を含めた全体計画の見直しを行っているところでございます。なお、事業の実施に当たりましては、財政状況や緊急度、あるいは地元調整の状況を踏まえて対応していきたいというふうに考えております。 以上でございます。 ◎知事(橋本大二郎君) 樋口議員の再質問にお答えをいたします。 タイガースのための新たな球場をつくるということに関心があるかという再質問でございました。全県的な問題としてタイガースキャンプの引きとめのために全力を挙げるということには、当然関心がございますが、一方で、財政難を理由にするのはとおっしゃいますけれども、財政再建団体への転落が目前という中で、県民の生活を守るため、つまり今お話のございましたハードの事業そのものができるかできないかというところまで来ておりますので、そういうことも含めて、県民の生活を守るためには全体的なバランスの中で考えなければいけないことだと思っています。 ◎副知事(吉良史子君) 再質問にお答えをいたします。 ブランドと言いましても、それぞれ歴史と特色がございます。そういったことが違いますので一概には申し上げられませんけれども、そういった情報を全国に発信していくときに、そういったことも加味しながら行っていきたいというように思います。 お答えといたします。 ◎農林水産部長(星沢昭雄君) 高付加価値に関連して、具体的な努力が見えない、どう考えているのかという再質問でございます。 従前、日常の販売活動や量販店フェアにつきましては県としても支援をしてまいりましたし、ISOの取り組みをきっかけにして東京のマルエツや群馬県のフレッセイが安芸の農家と交流をいたしまして、その取り組みを高く評価していただいておるということは御案内のとおりです。ただ、本県の取り組みが十分消費地に浸透していない、知られていないということが大変問題ですので、本年度からは県としては、流通の関係者をターゲットに絞りまして消費地と産地で意見交換をしていただく、こういう中でバイヤーさんの意見も十分お聞きをして具体的な取り組みへ結びつけていきたいと。何よりもかによりも、最終の消費者より前に、売っていただく方に我々の取り組みを評価していただいて、信頼していただくということがまず大事だと思っておりますので、今年度はそういう取り組みを始めていきたいと考えております。 ◆17番(樋口秀洋君) 先ほどの土木部長の話にこだわりますが、これはここだけの話ではないんですよ、あなたのセンスを聞いているわけです。これは先ほど2車線と言いましたが、この道は30年から40年前に物部村へ抜けるという県の方針があったんです。ところが、県がいつの間にかその方針を捨てまして、それと同時に集落も疲弊いたしまして、住む人が少なくなってきた。非常な高齢人口であるという中で、物部村まで抜ける構想も全くないのに、どうしてこの地域にこれくらいの金を入れなければならないのかということを言っているわけです。 ほかにもいろいろ、血の出るような要望が安芸の中にもあるんですよ。どうしてここに……。安芸に県道が10路線くらいありますか、その中で最高金額が出ているんです。こんなところの拡張といったら、東京のテレビ局の完全なターゲットになるんじゃありませんか、集落も非常に少ないのに。通行量が多い、危険な、そして活力のある中山間集落、ほかの集落を捨ててここにお金を投入するわけをもう一度言ってくれませんか。なぜするんですか。 ◎土木部長(見波潔君) 県内の道路整備につきましては、昨今の社会情勢の変化とか財政状況等も勘案をしまして、必要最小限の道路ネットワーク策定を30年かけてやっていこうというような基本的な考え方で、現在、県内全体の道路整備を進めようといたしております。そういった中で、1.5車線的道路整備で進めるところ、あるいはしっかり2車線でつくっていくところを仕分けして、今後とも事業を進めていきたいというふうに思っておりまして、例えば安芸市内の道路整備につきましても、地域の方々の御意見を聞きながら今後の整備方針を立てていきたいというふうに考えております。 ○議長(森雅宣君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明22日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時46分散会...