高知県議会 > 2001-10-02 >
10月02日-04号

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  1. 高知県議会 2001-10-02
    10月02日-04号


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    平成13年  9月 定例会(第263回)          平成13年10月2日(火曜日) 開議第4日出席議員       1番  武石利彦君       2番  中西 哲君       3番  西岡仁司君       4番  三石文隆君       5番  森田英二君       6番  川田雅敏君       7番  谷相勝二君       8番  浜田英宏君       9番  樋口秀洋君       11番  山本広明君       12番  植田壮一郎君       13番  森 雅宣君       14番  雨森広志君       15番  東川正弘君       16番  溝渕健夫君       17番  元木益樹君       18番  依光隆夫君       19番  土森正典君       20番  西森潮三君       21番  結城健輔君       22番  西岡寅八郎君       23番  小松 雅君       24番  中内桂郎君       25番  佐竹紀夫君       26番  岡崎俊一君       27番  黒岩正好君       28番  朝比奈利広君       29番  池脇純一君       30番  中沢潤二君       31番  二神正三君       32番  田村輝雄君       33番  森田益子君       34番  川添義明君       35番  江渕征香君       36番  米田 稔君       37番  牧 義信君       38番  公文 豪君       39番  塚地佐智君       40番  梶原守光君       41番  田頭文吾郎君       42番  森 祥一君欠席議員       なし---------------------------------------説明のため出席した者  知事      橋本大二郎君  出納長     島田一夫君  総務部長    池田憲治君  企画振興部長  池 誠機君  健康福祉部長  松岡寿子君  文化環境部長  松村勝喜君  商工労働部長  岡村章弘君  農林水産部長  山崎淳一君  土木部長    安岡 健君  国体局長    西野秋美君  森林局長    池本武広君  海洋局長    星沢昭雄君  港湾空港局長  善見政和君  企業局長    山田英昭君  病院局長    猪野和孝君  教育委員長   宮地彌典君  教育長     大崎博澄君  人事委員長   上谷定生君  人事委員会          小松正典君  事務局長  公安委員長          濱田松一君  職務代理者  警察本部長   恵良道信君  代表監査委員  吉原 強君  監査委員          松岡召一君  事務局長---------------------------------------事務局職員出席者  事務局長    林 宏興君  事務局次長   山崎宣生君  議事課長    井上 健君  政務調査課長  樫谷幸男君  議事課長補佐  鍵山和司君  主幹      中岡由佳君  主査      湯川さほり君---------------------------------------議事日程(第4号)   平成13年10月2日午前10時開議第1 第1号  平成13年度高知県一般会計補正予算 第2号  平成13年度高知県土地取得事業特別会計補正予算 第3号  平成13年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第4号  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第5号  高知県税条例の一部を改正する条例議案 第6号  高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第7号  障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための医師法等の一部を改正する法律等の施行に伴う関係条例の整理に関する条例議案 第8号  高知県港湾施設管理条例の一部を改正する条例議案 第9号  高知県立青少年センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第10号  公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例議案 第11号  安芸市と芸西村との境界の一部を変更する議案 第12号  公平委員会の事務の委託を受けることに関する議案 第13号  県有財産(事務用機器)の取得に関する議案 第14号  ふるさと林道緊急整備事業松原中津川トンネル(中津川工区)工事請負契約の締結に関する議案 第15号  国道381号道路改築(川平橋上部工工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第16号  退職手当の額の決定に関する議案 第17号  住民訴訟に係る弁護士報酬の負担に関する議案 第18号  住民訴訟に係る弁護士報酬の負担に関する議案 第19号  住民訴訟に係る弁護士報酬の負担に関する議案 第20号  高知県・高知市病院組合規約の一部変更に関する議案 報第1号 平成13年度高知県電気事業会計補正予算専決処分報告 報第2号 平成12年度高知県電気事業会計決算 報第3号 平成12年度高知県工業用水道事業会計決算 報第4号 平成12年度高知県病院事業会計決算第2 一般質問   (3人)---------------------------------------   午前10時開議 ○議長(東川正弘君) これより本日の会議を開きます。--------------------------------------- △諸般の報告 ○議長(東川正弘君) 御報告いたします。 開会日に、全国議長会の2001年秋季欧州地方行政視察団として3名の議員を派遣する旨御報告いたしましたが、全国議長会から国内外の情勢を勘案してその派遣を中止したとの連絡がありましたので、御報告いたします。--------------------------------------- △説明員の報告 ○議長(東川正弘君) 次に、教育長から、9月28日の塚地議員の質問に対する答弁の件で発言の申し出がありましたので、これを許します。 教育長大崎博澄君。   (教育長大崎博澄君登壇) ◎教育長(大崎博澄君) 貴重なお時間をいただきまして、まことに申しわけございません。 9月28日の塚地議員の再質問で、片島中学校元校長が宿毛署に出頭した際、同行した管理職等が当日年次休暇をとっていたのかというお尋ねがございまして、確認して御報告する旨お答えをいたしました。関係地教委に確認しましたところ、いずれも年次有給休暇の手続がとられておりましたので御報告をいたします。 以上でございます。--------------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(東川正弘君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「平成13年度高知県一般会計補正予算」から第20号「高知県・高知市病院組合規約の一部変更に関する議案」まで及び報第1号「平成13年度高知県電気事業会計補正予算専決処分報告」から報第4号「平成12年度高知県病院事業会計決算」まで、以上24件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 4番三石文隆君。   (4番三石文隆君登壇) ◆4番(三石文隆君) おはようございます。それでは、お許しをいただきましたので、教育問題を中心に質問をいたします。 質問に先立ちまして、このたびの西南豪雨で被災されました方々に心からお見舞い申し上げるとともに、一刻も早い復旧をお祈り申し上げます。 初めに、土佐の教育改革についてお伺いいたします。ことしは土佐の教育改革の取り組みがスタートして5年目という節目の年であり、本年度を検証、総括、方向づけの年と位置づけ、この間の教育改革の成果と課題を把握し今後の取り組みに生かしていくためのさまざまな検証と総括が行われており、学校や教育委員会の自己評価を初め県民世論調査などのアンケート調査結果も出そろい、これらをもとに土佐の教育改革フォローアップ委員会や第2期土佐の教育改革を考える会を中心に、今後の取り組みの方向づけを明らかにする取り組みがなされております。 知事は平成7年の2期目の選挙で土佐の教育改革を大きな公約として掲げられ、選挙後、土佐の教育改革を考える会を立ち上げられましたが、この5年間の土佐の教育改革のさまざまな取り組みについてどのような総括をされておられるのか、さらに今後の土佐の教育改革にかける知事の思いをお伺いいたします。 また、昨年の本会議におきまして、知事の思いがこども課において十分発揮されているのか、成果と課題について質問をいたしました。知事からは、成果と課題、そして「取り組みを積み重ねる中で、教育委員会から知事部局に至る関係の教員や職員一人一人がお互いの間の垣根や慣例などを乗り越えて、こども課をつくりました意味をもう一度しっかりと見詰め直してくれることを期待しております」との答弁をいただきましたが、その後、知事の思いがこども課において十分発揮されているのか、再度知事にお伺いいたします。 次に、県教委と市町村教委のあり方、また管理職の資質、能力の向上などについてお伺いいたします。平成9年11月に飲酒運転による服務違反には厳罰方針が打ち出された後も、教員による飲酒運転は後を絶たず、宿毛市では6月に中学校校長による飲酒運転事故が発生し、摘発されました。今回の検挙で、実に9件もの教員による飲酒運転が摘発されたことになります。しかも、その9件すべてが児童生徒の心身にとって最も影響力のある小中学校の教員であります。しかも、今回は学校を預かる最高責任者である校長が起こしております。 報道によりますと、大崎教育長は、中学校校長が飲酒運転で摘発されたのを受け、6月21日の県教委、地教連、小中学校長会との三者緊急会議の冒頭で、「なぜ小中学校で飲酒運転が続くのか。市町村教委の力量の差を実感している。漫然と反省を繰り返すだけで、教育改革を積み木崩しにしてはならない」と発言されておりますが、県教委の思いが必ずしも市町村教委を通じて市町村立学校に届かないというもどかしい思いを伝えようとしたとも私は受け取りました。教員による不祥事がこれ以上発生しないようにするためには、すべての教員に強い自覚を促していくほかありませんが、実際に服務を監督する市町村教委の自覚と指導力が非常に重要と考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 県教委と市町村教委の関係には市町村の独自性や地教行法といった法的な側面もありますが、教員の服務規律の厳正な確保という観点からも、もっと県教委がリーダーシップをとるべきだと考えます。この点、教育長はどのようにお考えなのか、お伺いいたします。 また、今回の飲酒運転事故による摘発は、これまで幾度となく指摘された管理職登用のあり方を浮き彫りにした形になりましたが、教育長は昨年、管理職登用面接をみずから行うことを約束しました。実際に面接審査を行ってみて、率直にどのような感想を持たれたのか、お伺いいたします。 この5年間、管理職登用の改善も一定進み、平成13年度の取り組みとして、管理職の登用については人事管理の在り方に関する検討委員会からの提言に示されているような視点に立って優秀な人材の確保に努め、時代に合った管理職像の明確化を図るとともに、学校長の民間人登用についても具体的な条件整備や適材、適任校の検討を引き続き行うことなどが挙げられておりますが、これらの取り組みの現状と今後について教育長にお伺いいたします。 さらに、勤務時間の内外を問わず高い倫理性が求められるとともに、勤務時間や職務専念義務など服務規律の遵守は基本的な教育公務員の要件であります。先日も、「県立校職員が無免許事故」と新聞でも報道されましたが、一部の不心得な者が引き起こした事例によって教育界全体の信頼を損なうことは、日々子供たちのために努力している多くの教員の頑張りを無にすることにつながります。県教委はこのことに真剣に思いをいたし、再発防止に努めていただきたいと思いますが、教育委員長の決意をお伺いいたします。 さて、平成11年6月から教職員の勤勉手当に成績率が導入され、はや今回で5回実施されました。私は昨年の9月議会におきましても教職員の勤勉手当に成績率が導入されましたことにつきまして、制度が導入された以上、努力した者が正当に評価されるというその制度の趣旨が生かされるような運用が必要と思いますが実際は年功序列、さらには順番制をとったりとか、およそ実績重視とは言いがたい不当な評価をしている学校長が多数いると聞きます。このような実態が実際にあるのかなどの質問もいたしましたが、いまだにこのような実態があると聞きますが、このことは事実か、教育長にお尋ねいたします。 また、資質、能力のない校長から評定されること自体この評定制度の欠陥であるとの声を現場の先生方から多く聞きます。評定は、教員個々の日々の勤務を的確に把握し、公正・公平に評価する必要があることは言うまでもありません。校長も日ごろから自己の能力を高めるために絶えず研さんに努めるとともに、職員の勤務状況を的確に把握し、公平な人事評価をしなくてはなりません。危惧するのは、自己の職責を軽んじ日ごろから職務に甘い校長から評価されることであります。 そこで、ただ評価の観点を示すだけでなく、校長の資質、能力をこれまで以上に高める手だても必要でありますが、管理職の資質向上の研修も踏まえ専門家による評価方法の研修など、どのように計画、実施されているのか。また、市町村教育長も単に調整者としての存在でなく、みずからが学校に出向き、各校の校長の学校経営や教員の勤務状況などの把握に努める必要があると考えますが、県教委はどのような指導、支援を行っているのか、教育長にお伺いいたします。 次に、市町村教育委員会に対する指導、助言、支援のあり方についてお伺いいたします。土佐の教育改革の検証のために実施された平成13年度の市町村教委アンケート調査結果を詳しく拝見させていただきました。 この調査は、県教委が53の市町村教育委員会と2つの学校組合を調査対象に実施されたものでありますが、教員の資質・指導力の向上に関しての問いで、「各学校で行われている校内研修について、貴市町村教育委員会としてどのような関わりを持っていますか。次のなかから該当する項目全てを選んでください」という欄があり、合計133に対しましてその内訳は、「各学校の主体性に任せている」と任せっ切りが43で32.3%、「計画や実施方法・内容等について学校と教育委員会が意思疎通を図っている」が20で、わずか15.0%であります。また、「取り組むべきテーマや方針等を教育委員会が示している」が8で6.0%、「各学校の校内研修に教育長や教育委員が参加している」が6で4.5%などとなっており、多くの市町村教育委員会は学校への任せ切りであるというのが実態であります。 さらに、「県教委では、教員の自己啓発研修のため、教職員で構成する自主研修グループに助成を行う教育研究奨励費補助金の制度を設けていますが、この制度を知っていますか」の問いに対して、何と「制度を知らない」と答えたところが3と出ており、これで本当に市町村教委としての機能を果たしているのだろうかと疑いたくなるような状況であります。 基礎学力の定着と学力向上についての項においても、「貴市町村教育委員会では、各学校で実施している到達度把握検査の集計・分析結果に基づき学力向上の手だてを講じていますか」の問いに対して、「集計・分析し、学力向上のための手だてを講じている」が26で47.3%、「集計・分析しているが、学力向上のための手だては講じていない」が10で18.2%、「集計しているが、分析していない。手だても講じていない」が7で12.7%、そして「集計すらしていない」が何と11で20.0%、無回答1という驚くべきアンケート調査結果が出ております。 これらを見たとき、本県が全力で取り組んできた土佐の教育改革だが、市町村教委間で意識、力量の差などに大きな格差があり、県教委の施策などが各市町村教委を通じ学校現場に十分浸透していないのではないか、また機能が十分果たされていない市町村教委が多くあるように思われますが、この点どのような御認識なのか。市町村立学校に対する指導、助言などは市町村教委を挟んで行わなければなりませんが、さきにも述べましたように、県教委として各市町村教委に対しての指導、助言、支援の取り組みが万事において余りにも不十分であると言わざるを得ません。今まで市町村教委に対し県教委は土佐の教育改革の取り組みをどのように指導、助言、支援をされてきたのか、また市町村教委間の意識、力量の格差是正のための取り組みや対応について今後どのような取り組みをされるおつもりなのか、教育長にお伺いいたします。 次に、地域教育指導主事の活用についてお伺いいたします。平成8年の土佐の教育改革を考える会での論議以降、県内各校においては地域との連携事業が盛んになり学校と地域との距離が近くなったという声を聞く反面、どうもイベント中心で、本当に開かれなくてはならない教員一人一人の意識は旧態依然としたままで何の変化も効果もないという意見があることもよく耳にします。 形として学校を開くことができても、教職員の意識が非常に重要で、開かれた学校がつくられるには仕組まれた行事の多さではなく、地域に貢献するという教員一人一人の強い使命感によって達成されるべきだと考えます。市町村に地域教育指導主事が派遣され、地域連携の体制は整いましたが、市町村によっては地域教育指導主事だけに推進を任せ切りにし、市町村の事務局体制のバックアップや各学校間の連携などがなかなかとれておらず、地域教育指導主事の役割が十分に発揮できていないところがあると聞きますが、そのような実態を把握されておられるのか。 地域連携はそれぞれの市町村教委の独自性が最も発揮される場であり、市町村自体が創意工夫して行うべきであります。そのためにも、教壇で活躍している教員だけを派遣するのではなく、民間人やボランティアの活用など、地域教育指導主事の活用方法はさらに改善の余地があると思いますが、これまでの派遣で明らかになっている問題点と、今後それらの問題点を踏まえどのような活用を考えておられるのか、教育長にお伺いいたします。 次に、教員採用についてお伺いいたします。公立小中学校における教員の採用は、児童数、学級数に基づく定数法により大きな縛りがある中、また財政状況の厳しい中において、教育改革枠を確保し、県単による採用枠の確保に特にこの5年間努力を払われたことは評価いたします。その中でも、長期社会体験研修地域教育推進、複式改善、情報、心の教育などに先行して加配措置を行ってきたことは全国的にも注視されてきたことであります。しかし、この5カ年計画も完了し、新たな県単による教員確保も非常に困難な状況において、本県の児童生徒や教員の年齢構成などを見ると、今後の高知県の教育の動向について大変憂慮いたします。 平成12年度の人口動態統計でも、本県の人口自然減は歯どめがかからず、11年連続自然減となりました。また、出生数は6,811人で、今春公立小学校に入学した児童数を300人余りも下回っております。また、出生率は全国45位にあり、戦後最低の水準を脱し切れず、児童生徒数減少の歯どめがまだかからない状況にあります。このような状況では中山間地域における学校統合も加速されるのではないかと予想されますが、今後5年、10年後の学校数や教員採用数はどのように推移するのか、教育長にお伺いいたします。 また、本年度の県教委発行の資料によりますと、本県小中学校教員の年齢構成は、50歳代が少なく、35歳後半から40歳代前半が突出して多くなっております。また、男女比で見ますと、小学校においては3対7で女性教員の占める割合が極端に高く、男女比6対4で推移していた中学校においても女性教員が徐々にふえる傾向にあり、著しくバランスを欠いております。本県は、過去、定数法に頼る教員採用方法しかとらなかったため、教員の年齢構成上非常にいびつな状態が続いており、20年から25年前には大量の退職者、採用者を生むというサイクルに陥り、その結果、現在の40歳代が突出した形となってあらわれております。このことは、単に年齢上の問題だけでなく、教員の資質や学校の活動といった点においても、子供たちの学力形成、本県の公教育の質に極めて重大な影響を与えていると考えますが、教育長の御認識をお伺いいたします。 また、平成13年4月1日より年金支給年齢の引き上げが段階を追って行われることになりました。このことにより、平成13年3月末に退職を迎えた方々は年金の満額支給が1年先送りとなり、満額支給が開始されるまでの措置として、本県では本年度から、全国に先駆けて再任用制度が年金支給年齢の引き上げと並行して実施されております。教職員関係を見てみますと、平成13年度は、この再任用制度により高等学校において7人の方が教諭として再任用されております。この制度自体は、年金の満額支給年までの退職者の生活の保障ということを考えますと歓迎できる制度であります。しかしながら、この再任用制度は新規採用者の枠内で行われており、教職を目指す若者にとって極めて深刻なものとなっております。 ことしの夏も1,329人がその採用審査に挑んでいますが、審査の対象となる職及び教科などを見てみますと、採用予定数は小学校においては過去最少の人数が続いており、中・高等学校においてはそのほとんどが1名から若干名であり、極めて厳しい状況であります。そして、その枠の中に再任用者が入ってくるわけであり、今後年金支給開始年の引き上げのみならず段階的な支給額の引き下げも同時進行してまいるこのような状況下において、将来的には再任用を希望する者の増加も予想され、教職を目指す若者の新規採用枠もますます狭められていくことは必至であります。 今後40歳代の教員が大量に退職する15年から20年後、再び大量採用を行い、悪循環を繰り返すのか、国の定数改善措置が望めない現状においても、財政当局の理解と支援を得て県単による一定数の教員確保を継続的に行っていくのか。まさに土佐の教育改革5カ年採用計画完了の今、改めて問われている重要な課題であると思いますが、教育長の御見解をお聞きいたします。 次に、中高一貫教育についてお伺いいたします。本県では平成13年度から、嶺北、津野山、大正・十和の3地域で連携型中高一貫教育がスタートいたしました。私は昨年の本会議におきまして幾つかの課題を質問いたしましたが、教育長からは、「平成13年度から連携型の中高一貫教育校になることが決まったことで、教員の意識も高まり、課題も一定解消されるのではないか」との答弁をいただきましたが、その後、連携型移行に伴い、学校全体としての組織的な取り組みの推進や連携校間での指導の充実、また6年間を見通した一貫性のある教育活動の充実や簡便な入試を踏まえた学力向上対策にどう取り組んでこられたのか、教育長にお伺いいたします。 次に、平成14年度からの県立中学校開校への準備状況についてお伺いいたします。平成12年9月議会におきまして、安芸、高知南、中村が候補校として公表され、平成13年6月議会で正式に安芸、高知南、中村の県立中学校の設置が承認されました。そして、平成14年4月の開校に向けて準備が着々と進んでおりますが、中学校の総合的な学習の時間の実施、部活動、中学校側と高校側の給料表の適用を含めた教職員の所属など、校内運営体制などの確立はなされているのか。 また、中高一貫教育の趣旨は受験競争を助長しないものと理解しておりますが、もし私立中学校の受験日と異なった場合は新たな受験競争が懸念されますが、このことに対する対応はどうされるおつもりなのか。さらに、高知南には高知学区以外の高吾学区の小学校からも出願することができ、自宅から通学することが不可能な生徒が出てくることも予想されます。このことは安芸、中村においても同様であり、新しく寮を設置するか充実させるなど何らかの対応が必要と考えますが、どうか。 また、県教委は8月22日、具体的な県立中学校の募集要項を発表し、学校説明会なども開いておりますが、入学決定方法、具体的な教育内容の保護者、児童への周知など、現状と今後の取り組みについて教育長にお伺いいたします。 次に、県立高等学校における定員内不合格についてお伺いいたします。平成13年度の県内公立高校の定員内不合格者数は昨年度の606人に対し244人で、2次募集の定員内不合格者の推移を見ましても、昨年365人に対し本年度は140人と激減いたしました。このことは、県教委が、高校教育が極めて義務教育に近い状況にある中で定員内不合格者を出すことは大きな課題との認識を示し、県教委からの高校に対する強引ともとれるような定員内不合格防止の要請の結果であると思われます。新聞などでも、「高校は苦悩の末の決断 中学校は門戸拡大を歓迎」と大きく報道がなされましたが、私は、高校へ入学はしたものの本当に一定レベルの授業についていけるだけの基礎学力が身についているのか、大変疑問に思っております。 ある高等学校の昨年度と本年度の1年次1学期の成績の実態を調査いたしました。その結果、平成12年度生徒数230人に対し、1科目でも赤点科目のある成績不振者は84人で35%、進級できないおそれのある原級留置対象者が22人で9.5%、不振科目延べ数206人で85%であったものが、本年度は生徒数257人に対し成績不振者100人で39%、原級留置対象者は約40人で15.5%、不振科目延べ330人で128%という大変残念な結果が出てまいりました。 この高校におきましても基礎学力を上げるために補習などを実施しておりますが、掛け算や分数がわかっていない生徒もおり、中学校の授業内容のやり直しをしなければならなかったり、小学校段階まで授業内容を下げなければならない場合もあるとのことであります。また、平常授業におきましても、基礎的な学力がついていない生徒の多くは授業についていくことができず、居眠りや仲間と私語をしたりして授業自体が成り立たず、現場は大変な状態だとの教員の声を耳にいたします。このような実態が実際にあるのか。 また、県立高等学校全日制の中途退学者は、平成11年が371人で、4月から7月までに退学した者が69人、平成12年には437人で、4月から7月までの退学者が72人、平成13年度に4月から7月までに退学した者は既に83人となっております。各学校においても、中途退学者防止や基礎学力の定着に向けたさまざまな取り組みがなされてはおりますが、高校に入学したものの基礎学力が定着していないため一定レベルの授業についていけなかったり、目的意識などがないために高校生活になじめないとの理由などで、今後さらに中途退学者が増加することも予想されます。この現状について教育長の御認識をお伺いいたします。 また、小中学校で実施されている到達度把握検査の集計、分析すら十分にできていない市町村教委や学校現場の現状と、平成13年度県立高等学校入学者選抜のための学力検査結果分析や過去のデータなどを見たときに、決して基礎学力の定着や学力の向上に向けた取り組みが前進しているとは思えません。生徒を送り出す中学校側は、できるだけ生徒、保護者の願いにこたえるという責務がありますが、一方、受け取る高校側にとっては、一定の基礎学力が備わっていなければ生徒、保護者、県民の期待になかなかこたえることができないと相当苦慮しております。 県教委は、定員内不合格者防止を単なるかけ声や数字合わせともとれるような安易な取り組みで終わらせないためにも、今後、小中学校では基礎学力の一層の定着と生徒一人一人の特性に合った進路指導について、また高校では生徒の将来を見据え、義務教育で身につけた基礎、基本をどのように充実させていく取り組みをなされるおつもりなのか、教育長にお伺いいたします。 次に、30人学級についてお伺いいたします。先日、塚地議員から30人学級に関する質問がありましたが、国は現在の40人学級の枠を変えずに、特定の教科において少人数での指導が可能となるような教員の配置を本年から5年計画でスタートさせました。本県においては、土佐の教育改革の取り組みの中で、小中学校の多人数学級を複数の教員で指導するための教員配置を12年度から導入し、本年度はそれをさらに拡大していると聞いております。30人学級の実施に当たっては、財政的な面から考えても県単独での措置はかなり難しい側面があると思いますが、県教委としてどのような形で取り組んでいかれるのか、教育長にお伺いいたします。 次に、よさこい高知国体における学校への協力要請などについてお伺いいたします。来年の第57回国民体育大会の夏季・秋季大会の成功に向け準備が着々と進んでおりますが、そんな中、宿泊施設不足などの理由で陸上競技が前倒し開催となり来年10月21日から24日まで開催され、開会式やその他の競技を同26日から31日まで開くことが決定されました。また、高知国体のリハーサルを兼ねた全国教員柔道大会や全日本教員バスケットボール大会などが宿毛市や南国市、伊野町などの各会場で開催され、民泊、輸送、駐車場対策など、各市町村によって準備状況にばらつきがあるなど多くの課題が出されました。 また、春野陸上競技場で8月25日開幕した四国陸上選手権大会では、照明設備はあるものの住民の合意がないために点灯されず、最終競技が真っ暗やみの中で行われた点や、機械の調子が悪く2位、3位の計測に不備があった点が新聞などで報道されましたが、この春野運動公園陸上競技場の照明は、国体時はもちろん国体終了後も有効活用ができるのか、土木部長にお伺いいたします。 また、高知国体や全スポ大会には、県教委や開催地の市町村教委を通して多くの児童生徒、教職員にも、音楽、演技、アトラクション、そして競技補助員などへの参加協力要請がありますが、具体的な業務の内容、編成、日程、依頼事務手続などの準備は県教委や市町村教委と十分な連携をとりながら進められているのか、取り組みの進捗状況を国体局長並びに健康福祉部長にお伺いいたします。 さらに、陸上競技の日程変更により、一層学校の授業日などへの影響が心配され、現場の教員からも、混乱を来すことになるので早目にビジョンを示してもらいたいなどの声を多く聞きますが、陸上競技の日程変更に合わせた国体開催に向けての取り組みや計画が学校現場に十分浸透されているのか。また、国体には選手や競技補助員、競技役員などとして多くの生徒や教職員が参加いたしますが、参加する生徒や教職員の取り扱いや授業への影響など、それらに対する具体的な対応を教育長にお伺いいたします。 次に、健康日本21の本県における取り組み状況についてお伺いいたします。近年、国民の生活環境が改善され、また医学、薬学などの科学技術が進歩したことなどから、我が国は今や世界有数の長寿国になりました。本県における平均寿命におきましても、平成2年は男性75.44歳、女性82.44歳であったものが、平成15年には男性77.65歳、女性84.45歳にまで平均寿命が延びることが予想されております。このような人口の急速な高齢化とともに、食生活の乱れや運動不足などを原因とする生活習慣病に伴い、痴呆や寝たきりなどの要介護状態になってしまう人々の増加は深刻な社会問題ともなっております。少子高齢社会では、疾病の治療やこれらを支える人々の負担の増大も予想されます。 こうした中、昨年国においては、生活習慣病やその原因となる生活習慣などの国民の保健医療対策上、重要となる課題について目標などを提示する「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」が策定されました。これは、21世紀をすべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とするため、壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸や生活の質の向上を実現することを目的としております。この運動を効果的に推進するためには、各地域などにおいて住民や健康に関連する多様な関係機関及び関係団体などの参加を得て、地域などの実情に応じた健康づくりの推進に関する具体的な計画をつくることとされております。 そこで、本県における取り組み状況を健康福祉部長にお伺いいたします。 健康日本21の報告書では、各論の項目の一つとしてたばこが取り上げられており、禁煙、節煙を希望する者に対する禁煙支援プログラムを、行政サービスとしてのみならずかかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬局などによる医療サービスの場を活用してすべての市町村で受けられるようにするとあり、禁煙支援を推進していく上でかかりつけ薬局の役割が期待されております。また、同じく各論で取り上げられている糖尿病、循環器病についても、生活習慣改善による発病予防に加えて、ハイリスクの方に対する服薬指導を含めた疾患管理の必要性も指摘されており、かかりつけ医、かかりつけ薬局の果たす役割は非常に重要と考えられます。 このように、かかりつけ医に加えて、身近な保健医療資源としてかかりつけ薬局などいろいろな機関が考えられますが、県版健康日本21の策定の過程においてどのような期待をされているのか、健康福祉部長にお伺いいたしまして、質問を終わります。(拍手)   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 三石議員の御質問にお答えをいたします。 まず、土佐の教育改革のこれまでの総括と今後の思いについてお尋ねがございました。私は、21世紀の高知県を担う子供たちをたくましく、それでいて感性や創造性の豊かな人間に育てたいと考えまして、土佐の教育改革をスタートさせました。また、その中で、開かれた学校づくりや授業評価システム、さらには教員の長期社会体験研修など、全国に先駆けた取り組みを進めてまいりました。その結果、子供たちや保護者を初め地域の方々の声を学校教育に生かしてまいります中で、地域ぐるみで子供を育てていくという仕組みがつくられましたし、主体的な動きも広がりつつございます。 一方、土佐の教育改革フォローアップ委員会での御議論や県民の皆様への教育世論調査では、教育改革の取り組みに対しまして一定の評価をいただきましたものの、まだまだ十分な成果があらわれるには至っていないとの御意見も出されております。特に保護者の方を中心に、基礎学力の定着に向けました指導の充実を求めます声や、学校の教育方針や課題などにつきましてより一層の情報の提供を望む声が強いことが明らかになりますなど、県民の皆様の御期待にまだ十分にはおこたえできていないと感じております。 このため、先月スタートいたしました第2期土佐の教育改革を考える会での議論を踏まえまして、今後の教育改革の方向づけを行うことにしております。こうした方向づけのもと、これからも21世紀を担います子供たちの将来のために、引き続き県民の皆様の御参加をいただきながら土佐の教育改革に全力で取り組んでいきたいと考えております。 次に、こども課の取り組みに関しまして、知事の思いが十分発揮されているのかとのお尋ねがございました。先ほどの教育改革への取り組みともかかわりますが、豊かな感性や優しい人間性を持った人に成長いたしますためには、人間としての自我が育つと言われます10歳ぐらいまでの間に感性や想像力を身につけることが大切だと考えております。このため、例えば子供たちがいろいろな体験をすることによりまして感性や想像力をはぐくむことのできるプログラムなど、子供たちの育ちのための環境づくりを保育所や幼稚園、さらには学校といった垣根を取り払って取り組みたいと思いまして、こども課を設置いたしました。これまで、教育委員会などと連携をしながら、こどもの夢応援事業や本物の芸術に触れることができるこどもの文化浴事業など、子供たちにさまざまな体験の機会をつくるための事業に取り組んでまいりました。 ただ、その一方で、児童虐待への対応など、子供たちを取り巻きます新たな課題も次々と生じてきております。また、子育ての支援といった家庭や地域ごとに個別的な対応が必要となります課題に取り組んでまいります場合には、これらすべてを包括的にこども課が担うのではなく、地域の住民により身近な市町村や県の機関と役割を分担しながら仕事を進めていきますことも課題ではないかと考えております。 こうした状況の中で、現在取り組んでおりますこども条例づくりにおきましては、まず当初から県が主導して行うといった従来の手法を改めまして、徹底した県民参加のもと、県民の皆様や子供たちの手によります条例づくりを進めております。また、あわせまして、この議論の中には職員も加わっておりますし、学校の先生方にも参加をしていただいております。こうした取り組みを重ねますことで、行政の内外にございますさまざまな垣根を越えた取り組みの必要性が改めて認識されますとともに、子供たちの育ちのためのよりよい環境づくりが進んでいきますよう取り組んでいきたいと考えております。 私からは以上でございます。   (教育長大崎博澄君登壇) ◎教育長(大崎博澄君) 教育問題に関する御質問にお答えをいたします。 まず、教員の不祥事の防止に関しまして、市町村教育委員会の指導力、県教育委員会のリーダーシップなどについての御質問にあわせてお答えをいたします。教職員の不祥事を防ぐためには、教員としてふさわしい資質を持った教員の採用、そしてしっかりした育成システムを確立することがまず大切だと思います。同時に、服務監督の立場にあります市町村教育委員会が学校訪問等を通して直接学校長や教職員の声を聞き、学校や職員の個々の状況を把握し、我が町、我が村の子供を育てていこうとする意識を持っていただくことが大切であると考えています。 そのため、昨年連続して不祥事が発生しました折も、各市町村教育長が教育委員と一緒になって学校現場に出向いて各学校の現状やそれぞれの学校が抱える課題を把握していただいて、その中で教職員の服務のありようも指導していただくことを要請してまいりました。地方分権の流れの中で、県教委と市町村教育委員会は対等の立場で新たな協力関係を築いていかなければならないわけですが、そのためにも市町村教育委員会の指導力の向上が必要であり、県教委といたしましても一歩踏み込んだ支援をしてまいりたいと考えております。 次に、管理職登用審査の面接を行っての感想と時代に合った管理職像などについての御質問にあわせてお答えをいたします。昨年の管理職登用審査の面接では、直接本人と話をすることによりまして、人柄や教育に対する考え方、情熱などを確認する上で大きな意義があったと思います。しかしながら、一度の面接だけで校長としての資質、適性を完全に見抜くことは難しい、それを補うために多面的に情報を集め、評価することが大切であることも痛感しました。 時代に合った管理職像としましては、子供を理解し、子供の立場に立って学校経営ができることはもとよりですが、人間的な魅力を持ったリーダー性、教育に対するビジョン、時代を見る先見性、教職員の意欲を引き出せる指導力、包容力、そういったものが求められていると考えております。校長への民間人登用につきましては、学校の活性化、新たな教育課題への対応、特色ある学校づくりなどを進める上で効果が大きいのではないかと考えております。登用の方法や勤務条件、適材を得る方法などについて現在検討を進めております。 次に、勤勉手当の成績率についての校長からの内申の実態についての御質問にお答えをいたします。勤勉手当の成績率は、小中学校では校長及び市町村教育長の、また県立学校では校長の、それぞれの内申を受けて、最終的には任命権者であります県教委で決定をいたしております。これまでの県内すべての校長からの内申を見ますと、年齢幅や職種も多岐にわたっております。また、内申をうのみにするのではなくて、個別に入念なヒアリングも行っており、制度の趣旨が生かされているものと考えております。校長からの適正な成績率の内申は、勤勉手当制度の根幹をなすものでありますので、今後も指導を徹底してまいります。 成績率に関して、評価の方法の研修、また市町村教育長に対する指導についての御質問にあわせてお答えをいたします。お話にありますように、管理職の評価能力を高めることが大変重要だと思います。毎年、専門の講師を招いて評価に関する研修に取り組んできており、受講者からも参考になったという声を聞いております。研修の内容は、適正な評価の手法や管理監督能力の向上を図る研修、また学校評価の総合的な視点を養い学校経営能力の向上を図る研修、リーダーシップのあり方などでございます。 市町村立学校におきましては、服務監督権者である市町村教育委員会が各学校に足を運び、学校や教職員の状況把握をすることが大切です。県教委といたしましても、市町村教育委員会の学校訪問を促しますとともに、県教委自身も管理主事の学校訪問を通じて各学校の実態を把握し、市町村教育委員会との情報交換も密にしながら支援をしてまいります。 次に、市町村教育委員会の現状についての認識と県教育委員会としての支援や今後の取り組みについてあわせてお答えをいたします。本県の市町村教育委員会の現状を見ますと、専門のスタッフや教育予算が非常に少ない小規模な市町村が多い、また教育改革に対する意識や取り組みに格差が見られる、こういった課題があると認識しております。土佐の教育改革を実りあるものとするためには、それぞれの市町村教育委員会が我が町、我が村の教育改革をどう進めるかというビジョンのもとに、主体性を持って取り組んでいただくことが大切です。 このため、県教委といたしましては、市町村教育委員会の委員や教育長さんと教育改革をテーマに研修会や意見交換の機会を持ち、理解を深め合ってまいりました。また、市町村教育委員会や学校、地域の方々の独自の発想に基づいた取り組みを支援していくために、教育改革総合支援事業による財政的な支援や地域教育指導主事の派遣、教育課題を抱えている学校への教員の加配など人的な支援もあわせて行ってまいりました。第2期土佐の教育改革を考える会におきましても、市町村教育委員会の活性化が重要な論点の一つに位置づけられております。その議論を踏まえて、市町村教育委員会が主体性を持って教育改革に取り組んでいただける環境づくりを支援していきたいと考えております。 次に、市町村教育委員会に派遣している地域教育指導主事の活動の実態と、その問題点や今後の活用についてあわせてお答えをいたします。各市町村の教育改革の取り組みの実態を把握しますため、市町村教育長地域教育指導主事と、教育改革の検証と総括をテーマに意見交換を行っております。その中で、地域教育指導主事の活躍によって、学校・家庭・地域の連携が深まるなど教育改革の取り組みが進んでいる、また地域教育指導主事の経験は異動となって学校に帰った後でも開かれた学校づくりやPTA活動に生かされているという声がある一方で、地域ぐるみ教育を推進する体制が不十分なために、地域教育指導主事が孤軍奮闘しなければならない市町村があることなども課題として明らかになっております。これまで教員を地域教育指導主事として派遣してまいりましたのは、学校に軸足を置きながら学校と家庭、地域をつなぐ取り組みを進めるため、また地域教育指導主事の経験が教員としての視野を広げ、教員の資質の向上につながるといった面を考慮しておったものでございます。 県教委といたしましては、今後は地域教育指導主事を教育改革全般の推進役として位置づけ、当面は教員の派遣を継続していきたいと考えており、第2期土佐の教育改革を考える会での議論を踏まえまして、市町村教育委員会ともども地域教育指導主事が活動しやすい環境づくりに取り組んでまいります。地域連携のコーディネーターとして民間人やボランティアを活用するという御提案につきましては、教育改革のすそ野を広げるためにも大きな意味があると思いますので、各市町村で積極的に活用の方向を探っていただきたいと考えております。 次に、教員採用についての御質問にあわせてお答えをいたします。小中学校の児童生徒数は今後も引き続き減少傾向にあり、平成13年度は約6万4,000人の児童生徒が今後5年間に毎年約1,000人程度ずつ減少し、平成18年にはおよそ5万9,000人となり、その後は横ばいの状態が続くと予測をしています。学校の統廃合につきましては、各市町村の政策的な判断もあり予想が困難ですが、都市部と比較して中山間地域で児童生徒数の減少が大きいために、学校の統廃合が進み、教員の総数も減ることが予想されます。しかしながら、小・中・高で状況に差がありますが、小学校においては12年から16年後に、中学校におきましては14年から18年後に大量に退職する時期を迎え、児童生徒数の減少を考え合わせましても相当数の教職員を確保する必要が生じると予想されます。 教員の年齢構成につきましては、各年代ごとに平均された状態が活力のある学校経営のために理想的であると思います。これまでも教育改革の中で取り組んできましたが、今後も若年退職優遇制度や国の定数改善などの制度を最大限活用し、年齢構成の是正を図りながら、長期的な視点に立った採用に全力を尽くしてまいります。 次に、連携型中高一貫教育校の開設後の具体的な取り組みについてのお尋ねにお答えをいたします。6年間のゆとりの中で子供たちの個性や創造性を伸ばすことを目指す中高一貫教育を進めるに当たりましては、地域や学校での一体的な取り組みが大切です。そのため、関係する中学校、高等学校及び市町村教育委員会による推進協議会を組織し、推進組織の中で教科部会を明確に位置づけ、中高の全教職員が各教科部会に所属し、6年間の一貫した教育課程の研究を深めたり、中高教員の相互交流などが行われており、教員の意識も高まっております。また、イントラネットを整備し、例えば事前の授業の打ち合わせなどの連携校間の連絡調整が緊密にとれるような体制づくりも年内には行うこととしています。 簡便な方法による入試を導入するに当たって、学習意欲が低下するのではないかという心配が指摘されていますが、地域の実態に応じて中学校共通の実力テスト、中高教員による習熟度別学習指導やチームティーチング、中高の教員が共同で作成したつなぎ教材の活用など、地域ごとに具体的な基礎学力の定着を図る取り組みを行い、成果も上がってきていると考えています。 次に、県立中学校開校に向けて、校内運営体制などについてのお尋ねにお答えいたします。併設型中高一貫教育校では、各教科や総合的な学習の時間、生徒指導や部活動などでの6年間一貫性のある指導、また中高の職員室の一体化、中高合同の職員会や教科会、授業交流の実施など、中高一体となった校内運営体制の構築を行い、教育活動全般にわたって併設型のメリットを最大限に生かし、中高間のさまざまな壁を取り払い、実態としては一つの学校として機能していくような校内体制づくりを進めています。そうした取り組みを行う中で、将来の進路に対する目的意識を養うこと、プレゼンテーション能力を高めること、長期的な視野に立ったきめ細かな生徒指導、異なる年齢集団による交流を通じた人間性の育成などが図られるものと考えております。なお、給料表につきましては、給与条例上、本務とする中学校と高等学校を区分し、それぞれの給料表を適用することとなります。 次に、併設型中高一貫教育校の受験日、自宅から通学できない生徒への対応、保護者、児童への募集要項の周知などについてのお尋ねにあわせてお答えをいたします。来年度スタートする県立中学校の入学者選抜の実施日程や入学者の決定方法などを盛り込んだ入学者募集要項につきましては、保護者の皆様に早くお知らせする必要があることや一貫教育の全体像をお示しするため、8月22日に公表しました。御指摘の受験日につきましては、県立中学校を第1希望に考える児童に入学してほしいとの考えから、昨年度の国立、私立の受験日に当たる2月の第4土曜日としています。 また、自宅からの通学が困難な生徒への対策としましては、高知南中学校では下宿に関する情報提供、安芸、中村両中学校につきましては現在ある高等学校の寮の活用や下宿などのお世話も含め対応を検討いたします。 募集要項の通知につきましては、8月末に県内すべての公立小学校などに配布、9月の中旬に県内5ブロックで小学校の教員を対象とした説明会を実施しましたほか、9月24日の県立中村中学校を皮切りに、保護者、児童を対象とした学校説明会を順次実施していきます。また、県の広報媒体のテレビ、ラジオ番組や広報紙などを活用して周知が図られるよう努めてまいります。 次に、高校の授業の実態や中途退学の現状等についてのお尋ねにお答えをいたします。高等学校進学率が高まる中で、目的意識の不足、基礎学力の定着や基本的な生活習慣の確立が不十分な生徒が増加しており、このことへの対応が高等学校教育の大きな課題となってきています。このため高等学校では、中学校から高等学校へ学習がスムーズに移行できますように、つなぎ教材を作成したり補習を行うなどの個に応じた指導を行っております。また、議員のお話のように一部の学校や教科において授業が成り立ちにくい実態がありますことは事実ですし、私も機会を見つけて学校訪問を続けておりますが、特に定時制においては厳しい状況にあると認識しています。 高等学校では、中途退学を防止するため習熟度別授業を行ったり、教科の選択幅の拡大や魅力のある教育課程の編成を通じて基礎学力の定着や目的意識を高める努力をしてまいりました。その結果、平成11年度、公立全日制高校の中途退学率は全国平均と同率となり、一定の前進はありましたが、中途退学が大きく減少するという結果には至っておりません。中途退学の主な要因としましては、基礎学力や基本的な生活習慣の問題が挙げられます。基礎学力の問題につきましては、学校が責任を持って解決していかなければならないものと考えています。基本的な生活習慣につきましては、家庭にも責任を持っていただかなければならないと考えています。このため、学校と家庭がそれぞれの役割を分担し合いながら取り組んでいける体制づくりを進めたいと思います。 次に、小中学校での基礎学力の定着と進路指導、また高校で義務教育で身につけた基礎、基本をどのように充実させていくかというお尋ねにお答えをいたします。小中学校で基礎学力の定着を図りますためには、子供たち一人一人のわかりたい、学びたいという願いを大切にした授業が展開されなければなりません。また、課題を次の学年に先送りせず、その年度内できちんと身につけさせることが大切だと思います。そのため、習熟度別学習の導入などの学習集団の工夫や補充指導の充実、また家庭学習の習慣化などを進めてまいります。 小中学校における進路指導につきましては、子供たちの相談に応じられる組織的な指導体制の整備、小中学校を通じた職場体験などによって、できるだけ早くから主体的に自分の将来を考える力を育てていきたいと考えています。こうした小中学校の取り組みの上に立って、高等学校では、子供たちの進路の特性に応じた弾力的な教育課程の編成を行いますとともに、単位制や総合学科など制度面での整備を進めていきたいと考えております。 次に、30人学級に関する御質問にお答えをします。教員の加配措置につきましては、厳しい県財政のもとではありますが、子供たちへのきめ細かな指導をするため、昨年度から多人数学級対応のための教員配置を行いました。本年度は1クラス36人以上の多人数学級を対象として、きめ細かな学習指導や生活指導をするため、小学校の低学年と中学校3年生を重点に50名の教員を配置しました。配置した学校におきましては、国語、数学、英語など基本となる教科の学習指導を複数の教員で行うチームティーチングや習熟度別・教科別少人数学習を実施し、基礎、基本の定着に成果が上がっております。また、いじめの防止、学級崩壊の芽を摘むなど、落ちついた学級指導も可能になってきたとの報告も数多く上がってきております。 学級編制や教員の配置は、多くのクラスメートとの触れ合いや担任以外の先生との出会いなど、人間形成や学習効果の上で子供たちにとってどういう形が一番よいのか、その視点から判断することが大切であり、一律に学級の規模を決めるよりも、教科の特性やそれぞれの学校が抱えている課題さらには子供たちの学習の状況など、生活の実態に見合った弾力的な指導体制がとれるようにしていきたいと考えています。 最後に、高知国体への対応についてのお尋ねにお答えをいたします。陸上競技の日程変更に係る対応につきましては、競技補助員の派遣人数や派遣日数など、詳細は実施主体の市町村から各学校に12月末ごろ示されるようになっております。具体的な対応につきましては、義務教育関係では、国体を視野に入れた年間教育計画を立て、授業時数を確保しながら国体に向けて協力できるよう、市町村教育委員会や学校を指導してまいります。県立学校では、夏季休業中に授業を行い、国体開催期間中は夏季休業と振りかえて休業日とするよう指導しています。また、教職員が競技役員や選手として活躍、参加する場合には、公務または職務専念義務免除として取り扱うことにしております。 以上でございます。   (教育委員長宮地彌典君登壇) ◎教育委員長(宮地彌典君) 管理職が起こしました不祥事件の再発防止についてお答えをいたします。 今回の中学校校長による飲酒運転事件に対処してみまして一番悔やまれますことは、あのような資質を持った人物であることを登用の判定の際に見抜けなかったことです。また、このたびの県立学校事務職員の無免許運転事故につきましても同様のことが言えると思います。見抜けなかったというより、見抜こうとする機能が組み込まれないままに教職員の採用と登用が行われてきたところに不十分さがあったと思います。これは教職員だけの問題ではなく、一般的な人事の採用、また民間企業においても同じような方法がとられてきました。 では、今まで何を合否の判定にしてきたかといいますと、能力、意欲、人柄などを把握して判定が行われてきました。そのうち、能力はペーパーテストや小論文、実技などで測定をします。意欲と人柄は主に面接試験で把握をします。管理職登用の場合には、これに校長などからの内申書による情報が判断材料に付加されます。以上のような方法で合否の判定がなされてきましたので、その人物の資質を把握する機能が十分でなかったことがおわかりいただけると思います。人の資質は生まれ持ったものであり、後の研修などでは改善できにくいものですから、採用のときに十分に審査されるべき非常に重要な事項です。 今後は、該当者の資質が教職員としてふさわしいか、管理職としてふさわしい資質を持っている人物であるかどうかを十分に把握して合否の判定ができるよう、人事制度に関する専門家などの指導を仰ぎ、改善を加えてまいります。一方、既に在職している教職員に関しましては、市町村教育委員会と協力して、資質の確保と能力の向上によって再発の防止に努めてまいります。 最後にもう一つだけ発言をお許し願いたいと思いますが、教育現場では児童生徒に、名前を呼ばれたら「はい」と答えなさいと教えております。本議会でも今回から議長、副議長が私たちの名前を呼んでいただけるようになりましたので、私たち教育関係者2人は「はい」と答えることにいたしますので、議員の皆様方、執行部の皆様方の御協力と御理解をよろしくお願いいたします。 以上でございます。   (土木部長安岡健君登壇) ◎土木部長(安岡健君) 春野総合運動公園陸上競技場の照明施設についてのお尋ねにお答えをいたします。 春野総合運動公園陸上競技場の照明施設につきましては、事前に地元の関係者の方と点灯試験を行った調査をもとに協議を行うとの覚書を交わしまして、昨年の4月に工事に着手をし、本年の3月に完了をいたしました。その後、本年5月7日と8日の2日間にわたりまして、地元関係者の方々にも参加をいただき照明の点灯試験を行いました結果、遮光フェンスや電球へのカバーの設置など必要な対策工事を実施することで点灯についての基本的な合意を得ておりますので、国体開催時や国体後の使用に当たりましても支障はございません。 ただ、国体後の恒常的な使用につきましては、地元の一部の方の意見に農作物への影響を懸念する声もありますので、耕作状況の実態調査や学識者の意見などを踏まえまして、その運用についての協議を進めております。今後は、地元の方々との協議を精力的に実施しまして、スムーズな運用が図られるように努めてまいります。 なお、お話にございました去る8月の四国陸上選手権大会での照明施設の点灯問題は、当日の競技会主催者の進行上の問題や会場管理者との連絡調整が不十分であったために生じたことでございますので、今後はこのようなことのないように十分な連絡調整を行ってまいります。 以上でございます。   (国体局長西野秋美君登壇) ◎国体局長(西野秋美君) 国体に参加協力していただく児童生徒、教職員の皆さんに対する取り組みにつきましてお尋ねがございました。 国体の開会式、閉会式関係では、高知市とその周辺校で吹奏楽、合唱、集団演技等に多くの児童生徒、教職員の協力が必要でございます。このため、これまで県教育委員会市町村教育委員会の協力を得て調整を行ってまいりました。その結果、開・閉会式関係では、各学校の協力が得られ、既に編成作業を終えています。 一方、競技補助員につきましては、審判員等競技役員の補助として直接競技会の運営に携わります。その編成は、競技団体の協力を得て会場地市町村が行います。編成の中核として県内全域の中・高校生の協力が必要不可欠ですが、本県の場合、先催県と比較して生徒の絶対数が少なく、特に高等学校が高知市とその周辺に多いため、競技補助員の編成は学校現場との十分な調整が必要です。こうしたことを踏まえ、昨年来、県立学校長会等で協力を要請いたしますとともに、特定の学校に集中することのないように県において広域的な調整を行っております。 今後、国体本番に向けまして、式典演技及び音楽の講習会や練習会、また競技補助員の養成講習会や打ち合わせ等への参加をたびたびお願いすることになりますので、県教育委員会市町村教育委員会、さらには市町村と具体的な業務の内容や編成、日程など情報交換を密にし、参加していただく児童生徒、教職員の皆さんの習熟が円滑に図れるよう取り組んでまいります。 以上でございます。   (健康福祉部長松岡寿子君登壇) ◎健康福祉部長(松岡寿子君) よさこい高知国体に関連いたしまして、全スポ大会への児童生徒、教職員の参加につきまして、県教委や市町村教委との連携、取り組みの進捗状況についてお尋ねがございました。 第2回全国障害者スポーツ大会、よさこいピック高知には、障害への理解を深めるという大きな目的がございます。これからの新しい世紀を担います児童生徒の皆さんには、さまざまな形で大会に参加をしていただき、障害のある方との交流や触れ合いを通じまして、お互いを認め合い思いやる心をはぐくんでいただきたいと思っております。 学校への協力のお願いに関しましては、県教委や市町村教委、そして国体局と連携し、校長会などの場を通じ、大会開催の趣旨とあわせまして参加につきましての御協力をお願いし、御理解をいただいてまいりました。競技の補助員につきましては、会場地に近い中央部の高等学校の生徒さんを中心に編成することとし、今後は各学校と人員や日程などにつきまして調整に入ることになっております。また、県下の中・高校生や一般の方々で編成されます式典音楽隊につきましては、国体に引き続いて出演をいただくことになっております。既に練習も始められております。 このほかにも、盲・聾・養護学校の児童生徒の皆さんには鼓隊と楽隊の編成をお願いしております。あわせまして、障害児学級の皆さんにも参加をしていただきます集団演技を計画しております。鼓隊、楽隊は出演学校に委嘱状の交付も行い、本格的な練習を開始しておりますし、集団演技は心のバリアフリーを体現するミュージカルの上演に向けまして、現在参加校の先生方を中心に台本などの作成を進めているところでございます。今後、保護者の方々にも参加を呼びかけながら、来年度から各学校での練習を開始することにしております。 平成14年5月のリハーサル大会や11月の本大会に向けまして、練習会や講習会などの回数もふえてまいりますが、教育委員会や学校長、そして現場の先生方とさらにきめ細かく連携を図りながら、ともに生きるすばらしさを共感し合える大会となりますよう取り組んでまいりたいと考えております。 次に、健康日本21の本県における取り組み状況についてお尋ねがございました。国が策定いたしました健康日本21は、第3次の国民健康づくり運動といたしまして、がん、心臓病、脳卒中などの生活習慣病やその原因となります栄養や運動など9項目につきまして、2010年度までの改善目標を提示しております。あわせまして、それぞれの地域の実情に合わせました県版の健康日本21の策定を求めているものでございます。 このため、本年4月に策定委員会を設けまして、現在御議論をいただいているところでございます。これまで開催いたしました3回の委員会では、本県の課題であります中年期の男性の死亡率の高さやアルコールの摂取量が多いこと、また子供の健康問題などにつきまして御議論がございました。こうした議論の概要につきましては、県民の皆様からの幅広い御意見や御提言をいただきますため、健康政策課のホームページに掲載しているところでございます。 最後に、かかりつけ薬局など身近な保健医療資源に対して、県版の健康日本21の策定の過程においてどのような期待をしているのかとのお尋ねがございました。県版の健康日本21を策定いたしますため、学識経験者や保健医療関係者、また健康づくり関係団体などで構成する委員会を設けているところでございますが、日ごろから県民の皆様の健康に深くかかわっておられる団体からも積極的な御意見や御提言をいただきたいと考えております。 例えば、議員が例に挙げられました生活習慣病に関します薬の飲み方や効用の説明、また日常生活上の注意など、身近なところで相談に応じておられますかかりつけ薬局の薬剤師さんを初めといたしまして、地域にはそれぞれの立場で健康づくりに関します活動をされている方がたくさんおられます。こうしたいろんな分野で活動されておられます方々や県民の皆様から幅広い御意見をいただけますよう、健康政策課のホームページに策定委員会の審議の概要を公開しております。この審議概要なども参考にして、積極的な御意見や御提言をいただけますよう期待しております。 なお、いただきました御意見や御提言につきましては、計画を策定いたします過程の中で積極的に取り入れまして、県民の皆様に親しみやすくまた実行しやすい計画にしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(東川正弘君) 暫時休憩いたします。   午前11時26分休憩---------------------------------------   午後1時1分開議 ○副議長(森雅宣君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 3番西岡仁司君。   (3番西岡仁司君登壇) ◆3番(西岡仁司君) それでは、時間をいただきましたのでこれから一般質問に入るわけでございますけれども、その前に、先月の6日には県西南部におきまして局地豪雨がございまして、地元の方々は大変な災害をこうむられたわけでございますが、まず心からお見舞いを申し上げる次第でございます。 なお、復旧へ向けましての取り組みも着々と進んでおりますけれども、一日も早い復旧がなされますことを心からお祈り申し上げる次第でございます。 それでは、通告に従いまして順次質問を申し上げてみたいと思います。 まず初めに、山の管理のことで幾つか議題はあるわけでございますけれども、林地の所有者境界問題についてを取り上げてみたいと思います。林業を取り巻く状況は、山村の過疎化、高齢化による労働力の減少、長期にわたる木材価格の低迷、さらには木材需要の減退など、ますます厳しい状況下にあります。かつての昭和30年代から40年代にかけましては県産の木材を大量に生産供給するとともに、30万ヘクタールに及ぶ人工造林の達成にも極めて大きな役割を果たすなど、本県の森林の管理、林業を実質的に担ってきたのはまさに山村でありました。その山村が今日、過疎・高齢化のために既に消滅した集落、追って消滅しつつある集落、そして今後数年で消滅が予想される集落など極めて厳しい現実に直面し、これまで果たしてきた山村の役割を放棄せざるを得ない状態にまで疲弊しています。 こうした状況の中で、昨今、国民や県民の森林に対する多様なニーズに的確に対応するため、森林を幾つかの機能別にゾーニングし、それぞれの目的に応じて適正に管理を図っていくという取り組みが国や県において進められておりますが、ゾーニングやその後の施策展開の基本となります林地の所有界や所有権について懸念される問題が現実化しつつあります。現在、県下大半の市町村では国土調査法に基づく地籍調査が実施されていますが、その進捗率は県全体で35%程度と低調に推移しており、既に完了の町村もあるようですが、反面、未着手の市町村も多く残されている状況にあります。国土の根幹となるこうした調査は極力早い時期に完了されることを望むところでありますが、予算面や各自治体の実行体制の面など早期の完了に向けたハードルは高く、現状のペースでは県下すべての国土調査が完了するまでに数十年を要するものとさえ予想されております。 とりわけ林地の所有界の問題につきましては、従来から、山村にあっては生活を営む過程の中で、造林作業などのために頻繁に山に入り林地を利活用していたことから所有者の記憶に頼りながら境界確認を行う手法がとられ続けてまいりました。そのため、境界ぐいなどはほとんど設置されず、現場であり合わせの岩石を初め木株、その他目印などを利用した隣地の所有者同士の了解の中で境界が確認されてきたのが実態であり、当事者以外の第三者の立場からはその判別は極めて難しい状況に置かれてきました。 本来、所有界の確認、確定は、当然のことながら隣接所有者同士の立ち会いの中で確定すべきものでありますが、林地の境界確認については不在地主の問題が大きく立ちふさがっていることに加え、境界を知る在住地主の高齢化も著しく進行し、都市部などに在住している後継者、子供などへの相続などによる不在地主化が進むなど、正確な境界の把握は年々困難な状況になってきております。こうした事態にさらに拍車をかけているのが昨今の林業不振であり、森林の整備が十分に行われないだけではなく、相続に伴う所有権の移転登記を放置する事例さえ数多く見られる事態となってまいりました。このままでは将来へ禍根を残すことになりはしないかと強く懸念しておりますのは、決して私ひとりではないと考えております。 こうした森林・林業を取り巻く厳しい環境の中で、現在、香北町では、山村における現地境界の確認作業など業務の一部を森林組合に委託して実施する調査地域と、市町村職員が現地境界の確認作業を行う調査区域とを併用した調査手法によりまして、国土調査の推進に努めているとお聞きしております。現在、多くの市町村では、市町村職員だけで現地境界の確認作業等を行い調査を進めているのが実態だと思いますが、特に山林地域の境界確認作業に苦慮している状況にあると聞いております。そうした点から考えますと、一定体制が整っている森林組合であることが必要な条件にはなりますが、土地所有者や現地での境界など地域の森林に関し知識と情報を豊富に蓄積している地元の森林組合に委託して実施している香北町の取り組みは、山林地域での境界確認作業に苦慮している他の町村にとりましても大いに参考になると考えるところであります。 中山間地域が大多数を占める本県においては、こうした取り組みを広げるなどにより調査作業のスピードアップを図っていくべきだと考えますが、所管土木部長の所見をお伺いいたします。 次に、同じく山の管理の中で、道路沿線、そして里山人工林の間伐促進のことについて取り上げてみたいと思います。戦後の昭和30年代から40年代にかけましては我が国全体が敗戦から復興へと力強い経済成長を続けていく時代でありましたが、中でも国産材である杉、ヒノキはまさに引っ張りだこの状況にあり、生活に密着した建築材として国民生活の向上にも大きな貢献を果たしてきました。こうした旺盛な木材需要を背景に、当然ながら木材価格は高価で推移し、山村や木材業界は好景気に沸いた時代でもありました。反面、当時伐採時期を迎えていた杉やヒノキの大半は裸山になるほどの乱伐が進み、山の地肌が随所に見られるような光景が広がったものであります。 このような山林景気に刺激される中で造林熱も年々高まりを見せ、山村の人々は将来に夢を託しながら、杉、ヒノキの植林可能な山では、雑木林であっても杉やヒノキの人工造林への転換を図り続けてきました。また、国や県においても造林事業を山村や林業振興のための奨励補助事業として位置づけ、積極的な促進策を講じてまいりました。 多くの山林所有者は、こうした補助事業で苗木代を賄いながら営々と労力をつぎ込み、杉で37ないし38年、ヒノキで42ないし43年の適齢伐期を目標にしながら現在の人工林を育ててまいりました。現在その大半は伐期を迎え、あるいはそれを超える林齢となっていることは既に御案内のとおりであります。しかし、昭和40年代後半からは輸入材等が年々増加し、自来長期にわたる価格の低落、低迷が続き、現状では全く採算の合わない状況になっております。多くの者が山を持つことへの希望を失い、山の整備にも力が入らないのが現状であり、今こそ先人が営々と築き成熟の途にある森林資源が無にならないための施策が必要な時期を迎えております。 この対策の一環として最も急がれる課題が適切な間伐によるすぐれた森林資源の育成でありますが、この件に関しては一昨年の9月議会の一般質問でも取り上げたところでもあります。専門筋によりますと、現状の人工林をさらに今後20年、30年延長の長期伐期へと転換するとき、現況の2分の1に間伐するのが理想だと言われており、また山林の公益的機能発揮への環境づくりのためにも効果があると言われております。国においては、現況に対する間伐対策の必要性を認めた上で緊急間伐5カ年対策を樹立するなど、集中的な間伐実施を強力に支援することとしておりますし、また県においても、財政の厳しい時期にもかかわらず、国のこうした施策に呼応しながら、現場の実態を踏まえた対策として間伐施業のモデル団地造成のための県単独事業を打ち出すなど積極的な取り組みが今まさに行われておりますが、私自身、国や県の間伐促進にかける取り組み姿勢を高く評価しております。 しかしながら、まことに残念なことではありますが、現実の間伐の実施状況を見てみますと、県内の国道、県道あるいは市町村道の沿線、さらには山中にある林道沿いにあっても、間伐など手入れが行き届いた理想的な森林をほとんど見かけることがありません。密植過密で、なお虚弱な立木、林分、そして下草植生の少ない薄暗く林地の荒廃した森林が目につきます。 こうした状況の中で、一方では水資源の涵養や山地災害の防止など森林の持つ多面的な機能に対する期待が高まり、森林の公益性に対する国民や県民の理解も年々深まってまいりました。県下の各流域におきましても、最近では新聞やテレビなどを通じてさまざまな森林ボランティア活動などを目にすることがふえてまいりましたが、そうした市民の方々の森林に対する理解と認識を深め、その活動をより活発化させていくためには、市民の方々に手入れの行き届いた健全な森林のあるべき姿を理解していただけるような取り組みをするのが必要ではないでしょうか。林業が産業として自立しにくくなっている今日、多面的な機能を発揮できる健全な森づくりを進めるためには、一般市民の理解と協力、そして資金面も含めた支援が不可欠であり、そのためにはだれにでもわかりやすい、そして効果の確認できるような身近な場所での間伐の実施こそ重要な課題だと思います。 近年の集中豪雨災害などの実態などから考えますと、喫緊の課題として防災面を最重視し、森林ボランティアなどの支援も得ながら道路沿いの人工造林や集落周辺の里山林の整備を優先的に実施していくべきだと考えますが、所管局の森林局長の御所見をお伺いいたします。 次に、話がいろいろ変わりますけれども、魚道の設置等について課題として取り上げてみたいと思います。四国総合開発の名のもとに、昭和49年、吉野川上流域に建設されました四国の命、早明浦ダムも稼働を開始し、自来30年近い歳月が流れました。その間、この水の利活用による下流域における地域発展は多大なものがあり、四国の水がめとして大きく貢献していることは大変喜ばしいことであります。 しかしながら、一方、上流域においては予想だにしなかったダム建設による弊害がいろんな形で発生することとなりました。昭和50年、51年と続いた台風のときには、直下流域にあってはダムの異常放流等に起因する甚大な被害をもたらし、またダムへの土砂流入は長期にわたっての河川濁水等、流域住民の生活を揺るがすようなさまざまな問題を引き起こし、ダム建設前には山紫水明を誇り、魚影は濃く、子供は川遊びに興じ、母なる川としての吉野川の清流も往時の姿とは比べようもない、まさに死の川へと変貌いたしました。 その後、対策に向けて、流域町村を初め国、県のたび重なる検討・協議により、方策としてダム操作規程の改善、選択取水施設の設置などが施され、濁水問題、放流水量の問題などにも多少の改善の兆しが見え始めてはおりますが、まだまだ従前のような水量と水質の確保にはほど遠い状況であり、河川環境の悪化により在来の魚族の生態系にも変化が生じております。特にアユなどについては、下流域に建設されています池田調整ダムの操業開始以来、自然遡上物が激減し、最近では人工養殖の稚魚を組合員負担をもって地域の漁業組合で放流し遊漁者へのサービスを図っている状態であり、組合員数の減少によりその対応も限度があり、抜本的な解決には至っておりません。 魚族の天然遡上を阻害している原因が下流ダムにあることは言をまつまでもない事実であり、昭和47年に早明浦ダム下流11キロメートルの地点に、この場所は本山町字山崎という場所になりますが、併設をされました水量調整ダムもその一つであります。このダムの概況は、高さ10メートル、幅250メートル規模で、早明浦ダムからの放水などに対応するための水量調整の機能が図られております。 また、当該ダム建設に伴います漁業補償などについては、当該河川区域に漁業権を持っております嶺北漁協が早明浦ダムの全体的な補償契約の中で昭和43年に了解、締結されております。しかし、補償交渉に当たられた関係者の話では、当時このダムに対する電源開発株式会社の見解は、当該ダムはゲート式であり、操作のためゲートをたびたびあけて放水するためアユなどの遡上に対してはほとんど影響がないとのことであったため、魚道の設置について特に条件をつけずに補償契約に応じたとのことであります。 ダム建設後のゲートの操作状況、アユの遡上状況を見ますと、平常時はゲートを閉め、豊水時にはダムから水をオーバーフローさせ、さらに増水期にはこのゲートをあけ一気に放水するため、その水の勢いによりアユはほとんど上れない状況となっております。このため、ダムの上流の本支流については放流されたアユがほとんどで、魚道のある徳島県側の池田ダムを遡上してきた天然アユはこのダムで遮られ、ここから上流にはほとんどいないという状況が30年近く続き、漁場としての価値が下がっております。 魚道設置の必要性、必然性でありますが、このゲート式のダムにつきましては、県内では、今年4月に大きな物議を醸しまして全国的な注目の中、水利権を更新した四万十川の家地川調整ダム、高さ8メートルが記憶に新しいところであります。当ダムは、戦前の昭和12年、今から60年前に建設された古いダムですが、階段式の立派な魚道が設置されており、天然アユが自由に遡上しております。また、平成4年度に吉野川が建設省の魚がのぼりやすい川づくり推進モデル河川に指定され、四国地方建設局、電源開発など、ダム管理者、徳島県、高知県の行政担当者及び学識経験者などで組織された吉野川の魚がのぼりやすい川づくり推進検討委員会において十分な検討がなされた結果、平成6年度の取りまとめにおいて山崎ダムの魚道整備を盛り込んだ方針が示され、建設省が認定しております。 ダムなどによる環境破壊が叫ばれている今日、幾分でも自然の機能を取り戻すための工夫があってしかるべきだと思います。また、このような問題にかかわる行政の対応、そして配慮のなさが国民の不信、不満を招き、各地で起きておりますダムの新設を初め水利権の更新に反対する大きな原因になっております。現在、嶺北漁協等が中心となりまして、ダム管理者である電源開発株式会社に魚道設置の要望をしておりますが、漁協などの関係者の働きかけにもかかわらず電源開発側からの対応は不十分で、前進がないとのことであります。県においては、こうした地元住民の不満、ダムによる河川環境への影響などを踏まえ、両者の話し合いが円滑に推進していくよう、協議の場の設定を含め電源開発など関係者への働きかけをお願いしたいと思います。 以上、県においては趣旨を十分承知されまして、当該事項が早期に解決されるよう努力をお願いいたします。これは要望として申し上げたいと思います。 また、川のことにちなんで、最近魚族に流行しつつある冷水病のことでお聞きしたいと思います。一昨年の初夏の時期でしたが、かなり成長した放流アユが大量に死んで流れるというような現象が起こり、当時は原因が一体何なのかわからず、その後いろいろな情報が飛び交う中で冷水病によるものだと聞き及んでおります。 なお、この流行病はアユにとどまらず他の魚族にも伝染し始めているという事実があり、在来の魚族を守るための心配事にもなっていますが、県にあっても冷水病に関する情報は把握していると思いますので、その実態と今後の対応について海洋局長の御所見をお聞かせいただきたいと思います。 次に、山間地における医療、福祉の課題について取り上げてみます。このことについては、全国的にも高齢化率の高い高知県、その中にあって特にこの現象の先行しております嶺北地区の実態について、自治体などの意見聴取をしながら課題として取り上げてみました。 山間地における人口動態は、かつては地域外への転出等、社会動態が主因を占めておりましたが、近年、高齢者の死亡等、自然動態による人口減少が顕著となっております。地方分権の柱である住民参加型あるいは住民主導型の地域づくりが提唱されている今日、山間地においては地域全体が高齢化しており、理想の社会づくりに向けての取り組みの中で極めて深刻な状況になってきました。また、高齢化が進むということは、一方、医療、保健その他福祉に対するニーズの高まりを現出しております。こうしたニーズにこたえるための中間的世話役あるいは指導役を果たしている地域の民生委員、あるいは行政連絡員としての区長制度を設けておりますが、それを担当できる人材も非常に少なくなってまいりました。また、それぞれの地域の福祉などを補助的に支えておりますボランティア活動グループの高齢化等、いずれをとりましても将来の見えない深刻さが広がりつつあります。 行政としても、保健婦やヘルパーなどの独居老人所帯への巡回、訪問などを繰り返すことの必要性が高くなっております。しかしながら、専門スタッフで対応するには財政面での問題もあり、ホームヘルプの事業所にあっては採算性のある訪問先を優先するなど、対象者の立場から見ると大変不公平な扱いになっているのも事実であります。独居老人、また75歳を超える後期高齢者の増加している昨今、高年齢に起因する物忘れ、あるいは虚弱体質など介護保険対象の一歩手前の状況にある者は、日常生活の中で精神的にも肉体的にも随分と不安を感じていることと推察されます。 医療面にあっても、市街地等専門医の充足されたところ、また交通の便においても恵まれた条件の地域と比較すると、宿命的とはいえ想像以上に厳しい環境の中での生活を強いられております。地域には整形外科、脳外科、眼科、精神科等の専門医がないために、受診、通院、入院は機関の充足されております市街地へと流れることになりますが、公共交通の手段もなくタクシーを借り上げるなど交通費の負担も大変大きくなっており、1回の通院費が往復で2万円を超える、こういったところも珍しくない実態であります。 次に、障害者に対する福祉対策を進める中で、身体、知的、精神など障害を持つ者の交流する機会が少なく、作業所を初め障害者交流の場の提供が求められております。現在、精神障害者に関しましては、小規模作業所「れいほくの里どんぐり」が嶺北5カ町村の協力で運営されておりますが、広範囲な嶺北に1カ所の作業所では利用者にとって絶対数も少なく、現有施設への交通手段についてもその確保に向けての取り組みが必要であります。 来年4月には、精神保健福祉に関する窓口業務の一部が市町村業務に移管されるようでありますが、年齢のばらつき、原因疾患の相違など多様な形態があり、中山間地域の町村の段階ではそれに対応する専門職の確保が難しいことが予想されます。また、身体障害、知的障害を持つ者は、家族、特に両親の支えによる、いわゆる親元での生活がほとんどであって、両親の高齢化、死亡が原因で生活援助に頼らなければならない状況も出ております。こうした経済面での援助があれば何とか生活が続けられる場合はよしとして、食事すらまともにできない対象者家庭もふえております。施設への入所もままならず、在宅サービスを受けても24時間体制でのサービスは不可能な環境の中での生活を余儀なくされております。こうした実態を認識する中、近い将来、かかる福祉業務も各自治体へ移管されることになると思いますが、弱体町村にあってはこうした取り組みへ向けた専門職員の確保など、今後大変厳しいことが予想されます。 以上、高齢化社会の問題点、あるいは医療、障害者福祉の問題点を、断片的でありますが今急がれる課題として提起いたしましたので、県執行部として今後どのような施策の展開を図られるのか、具体的な所見を健康福祉部長にお伺いしたいと思います。 次に、山間における介護保険の現状と問題点についてを取り上げます。介護保険制度がスタートして1年数カ月が経過しました。まだまだ経験の浅い制度であり、理想の福祉制度として住民にわかりやすく、そして利用しやすい形が定着するまでには相当の年月を要するものと思われます。この1年数カ月の経過の中で、県当局にあっては、それぞれ市街地と山間地のサービス利用の実態やそこに生じた格差等を把握されているとは思いますが、ここに現在までの山間地における介護保険の実態を、嶺北地区大豊町における現地の声を聞きながら整理してみたいと思います。 大豊町における介護認定者の総数は309人で、このうち205人、67%が介護制度適用上の何らかのサービスを受けておりますが、残り33%、104人にあっては全くサービスを受けていない状況であります。また、サービス利用の形態も、施設への入所、入院が58%、在宅での利用者42%、これは本年5月現在の数字でございますが、そういう数字になっております。サービスを受けることにならない背景には幾つかの理由がありますが、その一つとして、かなうなら住みなれた自宅におりたい、また、かたくなに自分のことは自分で解決したいという気持ちが強くて、他人に迷惑をかけたくないという意識の強い高齢者が山間地には多い傾向があります。 収入面でも、大半が国民年金でございますが、年金収入だけに頼る住民税非課税世帯が多く、措置制度の時代にはヘルプサービスなどの利用にあってはほとんどの人が無料で受けていたこともあり、従来の措置制度下でのヘルパー利用は最高1時間950円が身体介護にあって1時間463円と従前のほぼ半額の負担となったにもかかわらず、保険料に加えて自己負担が必要となったことが利用の伸びない一因となっております。 また、低所得者への配慮の中で、措置制度時代からのヘルパー利用者に対しては訪問介護利用者負担を10%から3%に減額、社会福祉法人のサービス提供者を利用する場合に、法人の減額制度により10%を5%に減額するなどの措置がとられてまいりました。また別途に、これは特養、デイサービス、ホームヘルプ、ショートステイ、離島等の措置でヘルパーに限られて10%を9%に減額できる制度がありますもののサービスが限られており、その他のサービスには適用されず今後の課題となっております。 次に、医療系のサービス機関がないことも深刻な問題の一つであります。大豊町では、訪問介護、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションなどのサービス提供に際しては、そうしたサービス提供のできる事業者がないために町外事業者に頼らざるを得ない環境があります。事例を挙げますと、脳梗塞などで半身麻痺など体に障害を持って退院した者がリハビリをしたいと希望を出しても、受け入れ事業者の都合に合わせなければ利用ができない。しかも、大豊町は御承知のように広範囲な中に集落が散在し、交通の便も悪く、リハビリ施設も遠隔の地に位置して不便を強いられております。 このような状況の解決には、訪問リハビリテーションサービス事業の提供者があれば利用希望も多くなると思われます。通所サービスを利用する場合、地域によっては片道の移動距離が25キロメートル、所要時間も40分というところもありますが、利用者にとってみれば移動時間が長過ぎて疲れるため、利用日数も少なくなってまいります。反面、サービス提供側からすると、送迎車によるサービスということになりますと人件費などを含め極めて効率が悪く、採算面でも問題となります。このような環境では民間としてのサービス提供者への期待もできず、したがって利用者もその介護度にかかわらず、施設への入院、入所の傾向が強くなってまいります。施設への依存度が強いにもかかわらず、嶺北地域には3カ所の公営、民営の特別養護老人ホームがありますが常時満床の状況で、入所申し込みをしても何年も待機しなければならない現状があります。 在宅介護にあっても、高齢化率が45%の現在、当然ながら老人世帯が非常に多くなっており、介護者が病気、負傷などで入院ともなりますと、介護対象者は生活もしにくいためにいわゆる社会的入院を余儀なくされております。また、介護事業の展開にあっては、ホームヘルパーの派遣なども当然の手法として考えられるところでありますが、利用者宅までの移動時間も長く、しかも広範囲な地域に散在し、効率が悪く大きな課題となっております。2級、3級ヘルパーの資格を持つ者は比較的多いようですが、現状では収入面で不安定であり、サービス提供事業者の必要とするパートを担当するヘルパー登録者は非常に少ないのが現状でもあります。 また、保険事業を進める中で、当事者間にトラブルの発生しないように契約によって介護のスタートをしているようですが、高齢者、そして痴呆症などにより介護実施日や時間などの設定を忘れたためにいろいろなトラブルが頻繁に起こっているのも事実であり、契約上はキャンセル料などを利用者に請求可能となってはいるものの、相手が高齢者でもあり、人情的にもそれができずに苦慮をしているようでもあります。 以上、山間地域における介護保険を取り巻く環境をるる述べてまいりましたが、県当局としてもこの実態を御認識いただき、現在山間地域の事業者が希望する在宅サービスの単価、そして利用者負担の実態に合った見直しの早期実施を強く要望しております。このことに対する今後の対応について健康福祉部長の御所見をお伺いいたします。 最後になりましたが、今後の中山間地域の道路整備について取り上げてみます。県西南部の豪雨災害の状況について、9月11、12日の2日間にわたりまして議会の企画建設委員会の現地調査が行われることになりまして、私もこれに参加いたしました。被害状況の特徴として、比較的小さな河川沿いで背景に急峻な山が迫った地形の中、集落が河川沿いに点在する地域が特に大きな災害を受けていることが印象づけられました。今回の災害に関して考えてみますと、道路の山手崩壊や道路決壊によって孤立した集落が目立ち、このことが食糧の調達や病院への通院を初め情報の交換、確認をするのにも随分時間を要したと聞いております。 さて、県下を見渡しますとき、同じような地域は随分多く、一たんこのような豪雨災害が発生しますと同じような被害を受ける可能性が極めて高いと思われます。こうしたことへの対策として、今後は中山間地域に点在する集落のライフラインを確保し、住民の生活を守っていくためには、災害に強い道路の整備を急がなければ中山間地域の生活安定を欠くことになり、集落を維持していくことが困難になってくると思います。今回の災害を見るとき、中山間の小さい集落が山林や農地を守り、将来にわたって生活を可能とするためには、河川の防災はもちろん、道路の整備こそ必要不可欠なところであると再認識をいたしました。 このような道路整備を進めていくに当たって、私も経験してきた中で、国、県の指導にいささかの疑問を持ったことでもありますが、総じてしゃくし定規的な指導が多く、道路構造令とか国の採択基準とかで一定の幅員や整備手法にこだわり、さもないと国の補助事業としての対象にならないといったケースが大半でした。また、地方自治体も、そのような指導のもとに潜在的にそれに整合するような取り組みであったと思います。しかし地域の実態として、道路改良にあっては待避所の設置であったり落石対策、あるいはその他の危険防止対策、局部改良的な道路線形の改良であったりと比較的規模の小さい要望が主であって、定型の改良でなくてもよい場合が多いのが現状であります。 しかしながら、基準を重要視いたしますと、結果的には大きな山切りや山切りから発生する崩壊を防ぐための構造物の設置も必要となり、大きな投資にもつながり、限られた財源対策では目的、効果が見えるのには余りにも時間と金がかかるということになっております。また、こうした進め方は地域、地元要望のすべてではないということでありまして、このような事例が公共事業にむだが多いのではないかという議論に発展している一因ではないでしょうか。 こうした中、最近国土交通省の幹部の方々のお話を伺っていますと、「道路整備に使われている道路構造令は北海道でも四国でも同じ基準のもとに道路づくりをしているが、地域ごとに自然条件や住民の要望レベルが違っており、例えばゴルフでいうゴルフ場ごとに決めているローカルルールのようなものをつくって、地域のニーズに最も適した道路整備を行うように検討を進めている」というふうに聞きました。これはまさに中山間地が抱える地域の実情や要望にできるだけ正確にこたえる施策であって、公共事業を効率的に進める有効な手だてであり、高知県の今後の道路整備にも大きな影響を与えるものだと強い関心を持った次第であります。 高知県でも、全国に先駆けて、交通量の比較的少ない県道では局部改良や待避所、また幅員5メートルの道路などを組み合わせて道路整備を進め、まず1.5車線的発想の整備を提案し、また一部では県の単独事業で行ってきたと聞いております。特に中山間地域では、すべての道路を2車線でということは、費用的にもまた時間的にも困難が伴うことは理解をしております。しかしながら、かかる地域の道路の現状を見ますと、車の対向ができにくく落石が心配されるなど、安全上その対策の必要な路線が非常に多くあります。 また、山間地では高齢化も進み、今の道路のままでは運転もままにならず、地域を離れるということにもつながると思います。中山間地域に住む住民が安心して地域に誇りを持ちながら生活を続けるためには、道路整備こそ欠くことのできない最優先の……。 ○副議長(森雅宣君) 西岡議員に申し上げます。 議会運営委員会の申し合わせ時間を超過いたしておりますので御協力をお願いします。
    ◆3番(西岡仁司君) はい。社会資本であり、急いで進めなければならないと認識しております。公共事業を改革し、より効果的な道路などの社会資本整備を進めていくためには、ローカルルールや1.5車線的発想の転換を行っていくことが、今、地域はもとより日本国民全体の願いでもあると思います。 先日、国土交通省四国地方整備局は、このような改革を進める中で、四国の特色を出した道路整備のあり方を構築する「四国21世紀の道ビジョン」、仮称でございますが、という計画を策定するという報道があり、素案が公表されたところであります。その中には地域の個性創出の必要性を挙げ、また高齢化、過疎化に対応する早期整備を課題とするなど、中山間地域で生活をしております私どもはこの計画の策定に大きな期待を寄せているところ……。 ○副議長(森雅宣君) 西岡議員に申し上げます。 議会運営委員会の申し合わせ時間を超過いたしておりますので御協力をお願いします。 ◆3番(西岡仁司君) もう少々、わずかですが、お許しをいただきたい。もう1分か2分で終わります。 この際、この示されております1.5車線的整備などの素案に対して、高知県としての実態を踏まえた考え方を積極的に国に対して伝え、こうした手法を十分に反映させていくことが大切だと考えます。 そこで、県として今後のこの計画づくりにどのようにかかわっていくのか、また地域の意見をどのように集め、この計画に反映させていくのか、現段階での考え方について土木部長の御所見をお伺いいたしまして、大変時間が過ぎて失礼をいたしましたが、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)   (土木部長安岡健君登壇) ◎土木部長(安岡健君) 西岡議員の質問にお答えをいたします。 初めに、林地の所有者境界問題についてのお尋ねがございました。お話しの地籍調査は、登記所の地図をもとに、土地所有者の立ち会いを得まして市町村職員が現地で地番境界を確認する作業でございますので、調査のスピードアップには調査主体となる個々の市町村の取り組みや、それに伴います人員の体制の整備が必要でございます。この地籍調査は、昭和26年の法の制定以来半世紀を迎えておりますが、本県におきます平成12年度末の進捗状況はお話にもございましたように35.2%と、全国平均の44%に比べまして低位の状況となっておりまして、その調査のスピードアップを図ってまいる必要がございます。このために市町村に対しましては、未着手・休止市町村との会議などを通じまして早期着手を図るなど、その進捗率の向上に努めておるところでございます。 また、平成12年度を初年度といたします第5次国土調査十箇年計画では、さらにその進捗率を向上させるために外部に委託できる制度が創設をされております。この制度を活用しまして、香北町では平成12年度から森林組合に業務の一部を委託してスピードアップを図り、調査の早期完了に努めておるところでございます。 お話の中にもありましたように、過疎化、高齢化などによりまして現地境界確認の困難性が増大をしておる山林地域の現状では、現地境界の確認作業などの業務を森林に関しての専門的な知識や情報を有しております森林組合へ委託いたしますことは効果的な手段の一つと考えておりますし、同時に、その他の外部機関へ委託することも視野に入れていくことも必要と考えております。したがいまして、この制度の導入に当たりましては受託する側の体制が整っておる必要がございますので、今後市町村の実情に応じた適切な助言を行いまして、調査のスピードアップに努めてまいります。 次に、今後の中山間地域の道路整備について、「四国21世紀の道ビジョン」、仮称でございますが、これへの県のかかわりについてのお尋ねがございました。国土交通省四国地方整備局では、平成13年8月、四国らしさを創出し自立する元気ある四国の実現を目指す「四国新世紀ビジョン2001」を策定し、公表しました。お尋ねの「四国21世紀の道ビジョン」は、この四国新世紀ビジョンを踏まえまして、根幹的な社会基盤である道路につきまして、限られた財源の中で、四国にふさわしいネットワークの計画的な整備と四国らしい道路空間のあり方の基本的な指針を策定するものでございます。 先般、この道ビジョン策定に向けまして、1点目に四国のローカルスペックの導入、ローカルスペックと申しますのは、いわゆる四国独自のルールづくりと理解をしていただければいいと思いますが、このローカルスペックの導入。そして2点目には地域との協働・連携による道づくり、さらに3点目にIT・独自技術の活用の3項目を柱とする素案が示されました。今後、国と四国4県がこの素案をもとに役割分担をしながら、平成13年度中に四国の道づくりの基本的な方向を示し、平成14年度中に新たな方向や技術基準などをまとめ上げることになります。 高知県では、この柱の一つでございます四国独自のルールづくりにつきまして、お話にもございました山地部における補助幹線道路の1.5車線的整備のルール化、また高規格道路と国道バイパスを兼用しての幹線道路ネットワークの効率的な整備、さらにはもう一つの柱でもございますIT・独自技術の活用につきまして、既存道路ストックの活用を促進するIT技術を用いた情報提供などのテーマを担当することとなりました。 いずれの項目も高知県の独自性を十分に発揮でき、今後の道路整備に活用できるチャンスでございますので、県ではホームページの活用や地域に精通をした市町村職員との意見交換を行いまして地域の意見を広く集め、これを反映しながら検討内容に取り組み、またビジョンの中間取りまとめの段階でもその内容を公表しましてさらに道路利用者などの意見をいただきながら、四国らしいビジョンの具体的なものを策定するよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。   (森林局長池本武広君登壇) ◎森林局長(池本武広君) 道路沿いの人工林や集落周辺の里山林の間伐の促進についてお尋ねがございました。 お話にありましたように、これまで営々と育成してきた森林資源を生かすことは林業振興や山村地域の活性化を図る上でも重要なことであり、また森林を健全に保ち多面的な機能を引き出していくことは森林・林業政策の重要な課題と認識しております。 しかし、木材価格の低迷などによる林業経営の採算性の著しい悪化や山村地域の過疎化・高齢化、森林所有者の世代交代の進行といった情勢の変化によりまして、森林所有者による林業生産活動のみによっては森林の適正な管理が危ぶまれる状況になってまいりました。こうした状況を踏まえまして、昨年度末に策定したこうちの森づくりと木の産業づくりプランでは、森林政策を林業振興を中心としたものから森林の多面的機能の発揮を中心とした県民全体で支える森づくりへと大きく転換したところでございます。 お話のありました道路沿いの人工林や集落周辺の里山林につきましては、間伐を促進することにより森林整備の効果を県民にわかりやすくアピールできますし、防災面からも適正な管理を行う必要性が高い箇所も多いと考えており、特にこれらの森林について適切な間伐が着実に実施されるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 あわせて、県民の皆様がボランティア活動等を通じた森づくりに積極的に参加いただけるよう情報提供に努めるとともに、ボランティア活動への支援策についても一層充実してまいります。 以上でございます。   (海洋局長星沢昭雄君登壇) ◎海洋局長(星沢昭雄君) 冷水病につきましてお尋ねがございました。 冷水病は細菌性の伝染病でありまして、名前のとおり摂氏16度から18度の低水温期に発生をいたしまして、出血、びらん、潰瘍等の穴あき症状を特徴としております。日本には20年ほど前に外国から侵入したとされておりまして、アユでは昭和62年徳島県の養殖場で発生し、その後全国の養殖場や天然河川に広がり、大きな問題となっております。 冷水病が全国に広がった原因といたしましては、琵琶湖産アユの保菌種苗の放流によると言われておりまして、本県では平成6年に河川のアユにおいて初めてこの細菌が確認をされました。お話しのとおり、一昨年来大きな被害が発生するとともに、県内の一部河川で全国同様ウグイ等在来種の感染が確認をされております。 水産庁におきましては、この問題を重視いたしまして平成10年度にアユ冷水病対策研究会を発足させ、3カ年をかけて冷水病対策に取り組んでまいりました。河川へのアユの種苗放流の場合の取りまとめといたしまして、第1には菌を持たない健康な種苗であること、2つ目には感染を防ぐため放流時の河川における低水温や濁りなどのストレスを避けることが有効とされております。一方、天然水域におけますウグイ、オイカワなどの在来種からの感染には不明な点が多うございまして、これら他魚種からの感染の防止または在来種における保菌魚の根絶につきましては、国におきましても有効な手段を見出せないでいるのが現状でございます。 なお、水産庁では、こうした状況から本年度新たに冷水病対策協議会を設置いたしまして、ワクチン開発等新たな冷水病予防のための研究をスタートさせていますので、その成果に期待をしたいと思っております。 本県におきましては、かねてより湖産アユの保菌リスクに注目をし、新たな保菌種苗を持ち込まないことが何よりも重要であるとの認識のもと、財団法人高知県内水面種苗センターの人工産アユの放流にいち早く取り組んでまいりましたし、今回新たに種苗出荷隔離施設の整備につきまして補正予算をお願いいたしております。しかしながら、ダム上流部など一部地域では、低水温でも成長がよいことや友釣りにかかりやすい、こういう理由で湖産アユの放流が行われております。 今後とも、人工アユへの転換を促しますとともに、学識経験者や内水面関係者で構成をいたします魚類防疫推進会議に新たに内水面部会を設置いたしまして、放流時のストレス軽減のため各地域で現実にどう取り組むべきか等、冷水病対策について総合的に検討を進めてまいります。 また、本県の在来種への影響についてでございますが、被害報告が少ない上、その感染防止策が見つかっていないため、全県下の河川の状況調査には至っておりません。今後の調査の必要性につきましても、さきに申し上げました内水面部会において協議をしてまいります。 以上でございます。   (健康福祉部長松岡寿子君登壇) ◎健康福祉部長(松岡寿子君) 山間地におけます医療、福祉の課題に関します一連の御質問に、少し長くなりますがあわせてお答えをいたします。 本県では、平成2年に全国で初めて人口が自然減になりましたし、特に山間地では若者が流出して高齢化に拍車がかかりますなど、大変厳しい過疎化の現状がございます。住みなれた地域で安心して暮らしていきたいと願っておられます方々にとりましては、地理的な条件の厳しさに加えまして過疎化と高齢化が日常生活のさまざまな不便や不安をもたらす要因となっております。こうしたことは、高齢者や障害のある方々にとりましてはなお一層厳しい現実となっているものと認識しております。 まず、山間地の高齢化社会の問題についてお答えいたします。山間地の町村では、高齢化率が約40%と、実に2.5人に1人が高齢者という状況も出てきております。このように高齢化が進みます中で、高齢者の方々が住みなれた地域で安心して生活してまいりますためには、介護保険による適切なサービスの提供はもとより住環境の改善、介護予防、また配食や外出などの生活支援、さらには日常生活の見守りなど多様な取り組みが求められております。さらに、これらの事業を進める上で、元気な高齢者を初め地域の人材を活用いたしまして、住民同士がお互いに支え合う地域づくりが必要と考えております。 県といたしましては、これまで市町村における各種事業の取り組みを支援いたしますとともに、地域の人材育成のため、お隣ヘルパーとしてのシルバー介護士や3級ヘルパーの養成を行ってまいりました。平成12年度からはこうした方々によります地域で支え合う仕組みづくりを進めまして、これまでに大豊町や土佐町など17の市町村で取り組まれてきております。 次に、障害者の福祉についてでございます。障害者につきましても、親が高齢化し在宅で暮らしていくことが困難になりますなど厳しい状況がございます。このため、ホームヘルプサービスやグループホームの充実によります生活の場の確保や、日中の活動の場としての小規模作業所や通所授産施設が大切でございます。お話にもございましたように、精神障害者の小規模作業所「れいほくの里どんぐり」が、地域の皆様の御支援によりまして本年4月、土佐町に開所したところでございます。県といたしましては、今後ともこうした生活の場の確保や、作業所を設置するための施設整備や運営費の助成などの支援を行ってまいります。 最後に、山間地域の医療についてでございます。山間地域では、専門医のいます医療機関が身近なところになく、また住宅が点在し、道路交通事情に恵まれていないことから、高齢者や障害のある方々の中には通院等の御不便や御負担を感じておられる方が多くおられます。このため、県では、へき地中核病院や過疎地の診療所などに勤務する医師の養成と確保に努めてまいりました。また、患者輸送車を市町村に整備いたしますとともに、医療画像をへき地の診療所から基幹病院に送り、専門医の助言を受けられます情報システムを構築いたしました。こうした専門医療機関との連携の仕組みをさらに推進いたしますことによりまして、へき地に住んでおりましても高度な医療を安心して受けることができますよう努めてまいります。今後とも、山間地で暮らすお年寄りや障害のある方々が住みなれた地域で安心して暮らすことができますよう、積極的な取り組みを進めてまいります。 次に、山間地域における介護保険の実態を踏まえての在宅サービスの単価と利用者負担の見直しについてお尋ねがございました。山間地域における介護保険を取り巻く環境につきましては、議員が御指摘されましたように、地理的な条件などから、サービスの利用はもとよりサービスを提供いたします事業者にとりましても厳しい状況にありますことは十分に承知いたしております。山間地域では在宅での介護は困難な状態があり、町村によりましては施設利用が多くなり、他の地域に比べまして保険料が高くなっている状況もございます。 現在、介護サービスの提供が効率的に行えない地域では、事業者に対しまして介護報酬の15%加算の配慮がなされておりますが、この報酬単価を上げますとさらに利用料や保険料を増加させるという悩ましい問題となってまいります。しかしながら、こうした地域の実情を考えますと現行の単価では利用者に十分なサービスが提供できなくなってしまうことも心配されますので、国に対してさらなる配慮をお願いしてまいります。 また、お話にもありましたようにさまざまな利用料の軽減措置が講じられておりますが、これらの措置はホームヘルプサービスやデイサービスなどに限定されておりますことや、法施行前のサービス利用の有無によりまして適用が異なりますなど、公平性の面からも不十分であると考えておりますので、引き続き国に対して改善を要望してまいります。 以上でございます。 ○副議長(森雅宣君) 暫時休憩いたします。   午後2時5分休憩---------------------------------------   午後2時23分開議 ○議長(東川正弘君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 36番米田稔君。   (36番米田稔君登壇) ◆36番(米田稔君) 私は、日本共産党の立場から以下質問いたします。 まず、同和行政の終結、同和教育の廃止についてです。来年、2002年3月末をもって、5年間の経過措置としてきた地対財特法が終結します。全国水平社が創立されてちょうど80年、そして昭和44年(1969年)に同和対策事業特別措置法ができて以来丸30年余、特別対策の推進、地区住民の自立への努力、戦後民主主義の前進によって、今まさに部落問題解決の最終段階という歴史的到達点を迎えています。一部に格差や部落差別は残っているものの、今日の到達段階に立って、部落問題の一日も早い解決のためにこそ同和行政を終結、同和教育を廃止することが必要であります。そして、人権施策、人権教育と、人権の名において事実上同和行政や同和教育を継続していくことをやめることが強く求められています。 ところが、今なお部落差別がある限り同和対策は続けるとか、人権教育の重要な柱として同和問題を扱うなどの考えがあります。また、県も確かに、やみ融資問題を契機とする同和行政の見直しの中で、14年度を待たず一般対策に移行すると言いながら、結果として同和地区、同和関係者に対象を限定した事実上の同和対策事業を継続しようとしているのではないかとの疑問を生じさせる動きがあることに、強い疑念を持たざるを得ません。 私は、部落問題の一日も早い解決を願うからこそ同和行政、同和教育はきっぱりと終結、廃止すること、そしていかなる形であろうとも同和と名のつく施策を継続しないことが求められているという立場から、以下知事の基本認識を伺います。 国は、ことし1月26日に、総務省自治行政局が主催し、全国都道府県企画担当課長会議を開き、総務省大臣官房地域改善対策室が今後の同和行政という資料に基づき、特別対策の終了、地方単独事業の見直しを説明し、その実施を求めています。資料では、「平成13年度末に地対財特法の有効期限が到来することにより、特別対策の法令上の根拠がなくなることから、平成14年度以降同和地区の施策ニーズに対しては、他の地域と同様に、地域の状況や事業の的確な把握に努めた上で、所要の一般対策を講じていくことによって対応する」と述べ、注釈として「一般対策とは同和地区・同和関係者に対象を限定しない通常の施策のこと」と明確に定義づけています。そして、特別対策を終了し一般対策に移行する主な理由として3点を挙げています。 その第1の理由は、「特別対策は、本来時限的なもの これまでの膨大な事業の実施によって同和地区を取り巻く状況は大きく変化した」というものであります。この指摘にあるように、もともと同和対策事業、同和行政は時限的なもので、国民の中にあった一部のひどい格差や差別の実態を解消するために、一般対策を補完して過渡的、特例的に実施した措置であります。すべての国民に公平・平等にサービスを提供するという行政の大原則の例外として実施されたものが、目標、目的を基本的に達成すれば事業を終結すべきであることは余りにも当然であります。 そして、その事業の結果、部落問題解決の到達はどうなっているのかという点でありますが、政府の1993年度の調査結果でも、格差の是正、解消は基本的に実現しています。その後の8年間にさらに前進し、「同和地区を取り巻く状況は大きく変化」と指摘しているのであります。よく高校や大学への進学率、不登校や中途退学などの若干の格差が指標として出されていますが、一概に部落差別の結果によるものとは言えません。すべての同和地区に共通して見られる現象ではなく、一部の地区や階層に見られる部分的、限定的な問題としてあらわれているからであります。 また、部落に対する偏見の問題でも、20代で70%以上が地区外との結婚という状況、被差別体験も過去において3人に2人はなく、ここ10年では10人に9人が体験がない状況など、着実に前進をしています。 もともと時限的なものである同和行政の性格から見ても、またこうした実態からも、今後は一般対策で対応すればよく、身分差別につながる同和地区、同和関係者等という区別を前提とした同和対策の推進は、問題解決に役立つどころか障害になることは明らかであります。「特別対策は、本来時限的なもの これまでの膨大な事業の実施によって同和地区を取り巻く状況は大きく変化した」という政府見解は極めて妥当なものだと思いますが、知事の認識はどうか。 政府は第2の理由として、「特別対策をなお続けていくことは、差別解消に必ずしも有効ではない」としています。つまり同和対策を継続することは、必然的に同和地区、同和関係者を引き続き限定し固定化することにならざるを得ないから、同和対策の継続は差別解消に有効ではないという極めて賢明、至当な判断であります。これまでは特別対策実施のためにやむを得なかったとしても、今日特別対策が終了するもとで、行政が同和地区の線引きを続けるということは許されません。 それはかえって地区内外の垣根を残すことになり、同和地区関係者とそれ以外の人々とを区別する傾向をも残すことになります。それは逆に国民融合と分け隔てのない自由な交流を阻害し、部落問題の解決に困難を持ち込むものになります。政府はこのことをはっきりと認識して一般行政への移行の必要性を打ち出しているのでありますが、「特別対策をなお続けていくことは、差別解消に必ずしも有効ではない」とする政府の認識を知事はどのように受けとめられるのか。 さらに政府は第3の理由として、「人口移動が激しい状況の中で、同和地区・同和関係者に対象を限定した施策を続けることは実務上困難」と、これも明快に述べています。この30年間の同和対策事業の取り組みは、巨費を投じて実態的差別を解消する課題に正面から取り組んできたわけで、それは決してむだなものではありませんでした。大都市や人口が集中する地方都市における旧同和地区は、著しい混住の進展によって、かつての同和地区や同和関係者を特定することを困難にするほど様相が変化しています。部分的に混住の進展度合いの低い地域を残しているとはいえ、全体として政府の指摘を裏づける地域の変化が生じ、差別解消の方向に前進してきたことは明らかであります。したがって、政府が指摘しているように同和地区、同和関係者に対象を限定して施策を続けることは実務上困難と思いますが、知事の認識はどうか。 今御紹介したように、国も特別対策としての同和対策を終結し、すべて一般対策で対応しようとしています。同和行政の到達点の認識は基本的に国、県同様のものであるはずでありますが、県もリアルに現状を認識して同和行政、同和対策事業の終結方針を明確にすべきと思いますが、知事の基本的な考え方をお聞きいたします。 今、全国的に同和事業の完了、終結を宣言した自治体がふえています。例えば10年前の91年3月に、「人権・福祉の町づくりと同和対策事業の終結をめざす町民集会」を開いた和歌山県南部町、人口1,000人の同和地区を持つ8,000人の町です。当日、500人を超す町民が参加されたそうですが、同和地区を代表してあいさつに立った区長さんは、「この区民の苦しみは多かれ少なかれ全町民の苦しみであるという立場から、町民と手を携えて町や県、国に対し生活改善のための要求闘争を続けてまいりました。それは、差別を絶対に許さない、差別を子供や孫の代まで続かせたくないという必死の願いからでありました。しかも、そうした運動は自分たちだけの要求を実現するというのではなく、同じように困っている町民の要求を一緒になって実現していこうといったものでありました」と述べています。 さまざまな困難を抱えながらも、こうした視点で同和対策事業に取り組んできたことを強調しています。そして、その時点での格差の基本的な解消を確認し、残された問題を全町民的な福祉、医療、教育の課題としてとらえ、それにふさわしい住民運動を発展させ、一般行政や一般教育で取り組んでいく中でこそ融合も進展し、偏見も解消し、部落差別が社会生活の上で受け入れられない状態がつくられていくとして、人権・福祉のまちづくりへの出発となる集会が開かれ、その営みが続いています。 また、一部不心得者のいわゆる差別落書きや発言などの差別事象が問題にされます。この解決をどう図っていくのか。基本的には個別の説得や啓発で対応すべきであるし、憲法や教育基本法の徹底、それを暮らしの中に生かすことが問題解決の力になるのは明らかであります。そのことは具体的には地域住民の共同の力によって克服するということでもあり、それは可能であるということを立派に証明している実例があります。 広島県君田村、ここは人口2,200人の村ですが、96年3月に同和行政の終結宣言をしています。この村では、圃場整備にしても火葬場整備にしても、同和対策事業を全村的な位置づけで取り組む、そして行政が行政懇談会をやって、部落問題に対する住民の合意と理解を高めながら事業を実施してきた。それが同和行政終結宣言として実を結んだのであります。ここではそういう取り組みを通じて、差別的な発言があったとしても自治会の中で自主的に解決するところまで到達しています。 まさにこれらの運動は、同和地区の問題を自分たちだけの問題としてとらえるのではなく、同じように困っている町民の要求もみんなで一緒になって実現していこうとするものであります。こうした地区内外の住民が協力して問題を解決していく努力こそ、同和問題に対する全住民の正しい理解を深め、偏見をなくし、住民相互の交流と融合を進め、同和問題の早期解決につながると思いますが、知事の受けとめ方をお聞きいたします。 また、県教委がよく持ち出してくる、同和地区の一部に進学率が低かったり中退率が高かったり等の解決すべき問題が残っているのであれば、それを一般対策でみんなで一緒になって考え解決していけばよく、それをわざわざ同和と名のつく教育や授業で垣根をつくってやることは同和問題の解決をおくらせることになると思うが、教育長の見解をお聞きいたします。 以上の指摘で明らかなとおり、差別の実態が残っている限り同和対策は続ける必要があるとの一部の考え方は、今、根本的な見直しを迫られていると思いますが、知事の見解を伺います。 次に、具体的に何点かお伺いいたします。 まず同和保育ですが、県同和保育基本方針についてです。我が党はこれまでもたびたび問題点を指摘し、廃棄を強く求めてきたところです。この基本方針は1977年、今から24年前に策定されたものであり、部落差別の実態に関する記述は当時でも問題がありましたが、現在の実態、県民の認識からは全くかけ離れています。同和保育の目的と内容の項では、「部落解放の資質を乳幼児から養う」とか、「すべての保育所において部落解放の思想と能力を養う」等とされておりますが、このようなことを保育の場に求めることは保育と保育所の目的、役割を全く逸脱するものであり、特定の考え方や運動を持ち込むものです。 同和保育という特別な内容の保育はないというのが県民の率直な思いではないでしょうか。今こそ同和保育という特別の保育はやめ、みんなが一緒になってすべての子供たちに心身ともに健全な発達を保障する内容を実施すべきと思いますが、健康福祉部長に御見解を伺います。また、県同和保育基本方針は現在見直しているとのことですが、直ちに廃棄すべきと思いますが、あわせてお聞きいたします。 次に、いわゆるこれまでの同和加配保母についてですが、現在一般対策として家庭支援推進保育事業という名前で保育士が加配されています。しかし、一般行政に移行したと言いながらも、実態はすべて同和保育所への保育士の加配であり、事実上、同和加配の継続ではありませんか。現在の国庫補助あるいは県や市町村単独の保育士加配状況についてお伺いいたします。 家庭支援推進保育事業は、名実ともに具体的な困難など実態を調査し、すべての保育所を対象に保育困難の解決に役立つ制度に見直すべきと考えますが、健康福祉部長の見解をお伺いいたします。 次に、同和教育の廃止についてお伺いいたします。まず、ことし2月議会でも少し紹介しましたが、和歌山県の同和教育研究協議会、和同教が昨年10月6日に解散をしました。1967年(昭和42年)、この和同教の結成大会に参加した方は、「同和教育と言わなくてもよい状況をつくるために同和教育に取り組むのだ」と言ったことが現実のものとなったと喜びと誇りを語っています。 和同教解散集会のアピールはこう語っています。「そもそも同和問題の解決とは、同和という言葉を死語にし、地域社会の中で使われない状況を生み出すことです。ところが、同和対策事業は、特定の地域を公的に同和の名で区分することによって成り立つ行政上の特別な施策です。それは、旧身分に対する差別をなくしていくために旧身分を特定するという二律背反とも言うべき深刻で重大な問題を持っています。今日では、旧身分を明らかにする代償として実施される同和という教育上の特別な手だてに何ら根拠はありません。同和教育を続けることは、今や旧身分による垣根を取り除く上での障害となっています。それゆえ、同和教育子供会の補助金返上や解散、同和加配教員の返上などが各地で進められているのです。部落問題を特殊化せず、憲法と教育基本法に基づく教育に積極的に取り組んでいくことこそが求められています。自主的に始めた同和教育は自主的に終結しなければなりません。私たちは、確信と誇りを持って同和教育を終結し、和同教を解散します」と宣言しているのであります。 そこで、まず知事に伺います。「同和問題の解決とは、同和という言葉を死語にする、地域社会の中で使われない状況を生み出すこと。同和対策事業は、旧身分に対する差別をなくしていくために旧身分を特定するという二律背反とも言うべき深刻で重大な問題を持つ」、この指摘をどう受けとめるのか、知事の見解をお伺いいたします。 次に教育長は、このアピールを全体としてどう受けとめられるのか、お伺いいたします。 また、「今日では、同和という教育上の特別な手だてに何も根拠はない。同和教育を続けることは、今や旧身分による垣根を取り除く上での障害となっている。部落問題を特殊化せず、憲法と教育基本法に基づく教育に積極的に取り組んでいくことこそが求められる」との指摘、また「同和教育と言わなくてもよい状況をつくるために同和教育に取り組んだ」という話をどう受けとめるのか、教育長にお聞きいたします。 和同教の解散にも学び、同和教育の廃止と高知県同和教育の基本方針の廃棄を明確にすべきと思いますが、教育長の御見解を伺います。 ことし2月議会で教育長は、「これからの人権教育の一環としての同和問題の取り組みということが大事ではないか」と答弁されました。しかし今、県下の学校では、これまで対象地域を擁していないということで直接的な同和の授業をやってこなかったところにも、逆に人権教育の名で同和問題を扱う、同和教育の推進を押しつけるという事態が起こっています。県教委の言う人権教育は、表紙は人権、中身は同和、まさに同和隠しをしながら同和残しを図るものと言わなければなりません。 そこでお伺いいたしますが、人権教育の名で同和問題を扱うということは具体的にどういうことなのか、明らかにしていただきたい。結局、これまでの同和教育の事実上の継続、強化になるのではないかと思うわけですが、教育長の御見解を伺います。 今日、教育の分野で同和問題を扱うということは結局、同和地区、地区関係者、同和地区の子供の存在を前提にしなければ成り立ちません。今日では存在していない旧身分を前提にした取り組みは、かえって部落問題の解決を阻害することになります。子供同士を分け隔てし、垣根をつくることになってしまいます。人権教育という新たな装いのもとで同和問題を扱う教育、これはやめて、当たり前の教育、憲法と教育基本法に基づく教育こそ求められているのではないか、教育長の見解を伺います。 次に県同教についてですが、最近、高知県人権教育研究協議会に名称を変更しました。しかし、実態は従来と変わるものではないと思うわけであります。ことしの見直しの中で県同教についても、今後、他の教育研究団体と同じような扱いとして検討していきたいと教育長は答弁されています。この基本的な方向で来年度からは研究生の派遣や特別の補助金は廃止すべきと思いますが、教育長の御見解を伺います。 次に、雇用・景気対策についてお伺いいたします。完全失業率がついに史上最悪の5%、330万人になりました。求職活動をあきらめているために統計上は完全失業者とみなされない人が、総務省の調査では420万人に上ります。合わせれば潜在失業率は10%を超えており、10人に1人以上が失業者という深刻な時代であります。さらにその上、自動車や電機、情報産業の大手30社だけでも16万人の人減らし計画などに見られるように、空前の人減らし、リストラのあらしが日本列島を吹き荒れています。 そうした中で、負債や失業などを理由にみずから命を絶つ人もふえ、3年連続3万人を超えるという不幸な事態までつくり出しています。日本共産党は、今、新たな失業者をつくらない政策への転換、雇用をふやす本腰入れた取り組み、失業者の生活保障の抜本的拡充を目指すとともに、大規模なリストラに反対し、雇用を守る国民的闘いを呼びかけ、その努力を強めているところです。雇用・経済問題での政府の果たす役割と責任は極めて大きいことはもちろんですが、今、自治体にとっても、地域経済と住民の暮らしを守り発展させるためにあらゆる手だてと努力が求められていると思うわけであります。 そこで、具体的なことについて何点かお聞きいたします。昨日、緊急雇用・経済対策本部なるものの設置を検討する旨の知事答弁がありました。全庁挙げての取り組みとともに、広く事業所や労働組合、県民の声を聞く機会も持って対策を強化されるよう要請しておきたいと思います。 この際お聞きしますが、全国では東京都墨田区や東大阪市などで、班長あるいは課長以上のすべての職員が区域のすべての事業所を分担して訪問し、実態・ニーズ調査を行い、地元企業や地域経済の振興を目指す共同を強める取り組みがされています。県でも、所管の課が毎年200件から300件の事業所への直接訪問を努力されているとのことですが、ぜひ出先機関や市町村とも協力して全事業所の実態調査の実施を検討していただきたいと思いますが、商工労働部長の御所見を伺います。 2つ目に、労働相談体制についてです。さきにマスコミ報道もされていますが、高知労働基準監督署によれば、賃金の不払いや時間外労働、解雇などをめぐって相談件数が急激にふえています。平成10年267件、11年430件、12年582件、そしてことし上半期半年間で389件に達しています。また、平成12年度に監督した事業所797件のうち、労働基準法や労働安全衛生法に違反している事業所が428件、53.7%にも上っています。 私が訪問したある労働組合でも、残業代や賃金の未払い、退職強要などの解雇問題の相談が昨年の2倍のペースで持ち込まれていると組合書記の方が語っていました。また、今回私がクレジット、サラ金被害の相談を受けた方ですが、「5年前の解雇で人生設計が狂ってしまった。夫が40歳を超えたとき、2人の子供もおり、一家を支える収入があったにもかかわらず、突然夫も含めベテラン5人が解雇された。直後に会社は新しい設備を購入したり、若い従業員を何人も雇った。会社はせっぱ詰まっていたわけでもなく、本当に悔しい思いをした。そのとき相談する先を知っていれば」と、本当に悔しそうな思いを語っていました。 県に設置している労働相談コーナーや今年度から実施しています地方労働委員会の個別紛争処理など、県としての労働相談や調整の実態や対応はどうなっているのか、また、体制を拡充するとともに働く者の駆け込み寺としての存在と役割を広く県民に知らせる必要があると思いますが、商工労働部長の見解を伺います。 3つ目に、ただ働き、サービス残業根絶の問題です。今、雇用が過剰だからリストラも仕方ないという議論がありますが、全く通用するものではありません。過剰なのは、ただ働き、サービス残業まではびこる労働時間です。例えば、電機産業ではドイツは労働時間年間1,600時間、日本は2,100時間と500時間も多く、その上サービス残業です。 こうした実態を受けて、ことし8月31日、国連の経済社会委員会が、「委員会は、締約国日本が公共・民間部門双方において過剰な労働時間を許していることに対し深い懸念を表明する」と指摘した上で、「労働時間を短縮するよう勧告する」という勧告書を提出しました。また、45歳以上の労働者が減給や一時解雇の危機にさらされていることへも懸念を表明し、その是正を求めているのであります。 サービス残業を廃止しすべての残業をなくせば90万人から260万人の雇用がふえると、財界系のシンクタンク社会経済生産性本部が試算していますが、労働時間の短縮を行えば新たな雇用の拡大になることは明白ではないでしょうか。 ことし4月6日、厚生労働省労働基準局長名の基発第339号通達、「労働時間の厳正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」が全国の労働局長に出されました。ただ働き、サービス残業は企業犯罪とも言われていますが、今回の通達はそれを撤廃していくよりどころとなるものであります。 第1、労働時間の把握、管理及び正確な記録の作成は労働基準法上の使用者の責務であることをはっきりと打ち出したこと。第2、各労働者の始業・終業時刻を労働日ごとに確認し記録する。その方法は使用者がみずから確認し記録する。この場合、該当労働者からの確認も望ましいとしており、もう一つはタイムカード、ICカード等の客観的な記録を根拠に記録することなど、使用者に労働時間の把握、管理の具体的な方法を明示、指示したこと。第3は、サービス残業蔓延の主な原因形態である自主申告制への具体的規制を明示していること。第4、通達を労働者、使用者に対し全国規模で集中的に周知することとしていること。第5、通達の実効性の担保措置を明確にしたことなど、画期的な内容と意義を持っているのであります。 このサービス残業の問題は、県庁の職場においても例外ではないと思うのであります。実際、終業時間の5時15分を過ぎても6時ごろまでは時間外はつけづらいという話、また、きょうはこれくらいにとみずから時間外勤務の労働時間を減らして報告したという話を直接耳にもします。また、時間外勤務手当支給の対象であるにもかかわらず申告せずにいる管理職、あるいは研究職場では途中で研究、観察をやめることができず、研究者としての思いもあって土、日曜日出勤が日常化しているという話も伺います。 これは直接県の話ではありませんが、ある公的な職場は時間外勤務の報告を鉛筆で書かせる、後で書きかえることができるようにということだと思うのですが、結局報告どおりの手当を支給されたことがないというのであります。ひどいサービス残業の驚くべき実態です。 さて、お伺いいたしますが、この国の通達は県や市町村にも適用されるものと思うが、どう受けとめているのか、また県庁の職場においても実態の把握をきちんと行い根絶すべきと思うのでありますが、県の対応について総務部長にお伺いいたします。 また、市町村にどう徹底されているのか、企画振興部長にお伺いいたします。 あわせて、時間外勤務について伺います。県庁知事部局だけでも年間総時間数が33万5,000時間余にも上っています。1人年間1,800労働時間に換算すれば約200人の職員数に相当します。そして、時間外勤務が多い部署の1人1カ月当たりの時間外勤務時間は、順番に51.4時間、48.2時間、34.6時間等となっており、あくまで平均でありますが、一番多い部署で年間600時間を超え、その部署の全職員が年間75日分残業していることになっています。職員の健康と家庭を守るためにこれらの改善を目指して、必要な職員の適正な人員の配置など対策を強めるべきと思いますが、総務部長の見解を伺います。 4つ目に、来春卒業予定の高校生の就職問題であります。高知労働局の調査では、8月末現在で有効求人倍率は0.65で、引き続き厳しい就職戦線になることが明らかになっています。青年の失業問題は、本人と家族にとって耐えがたい困難をもたらすものであるとともに、地域経済、日本経済にとっても重大な損失となる大きな社会問題であります。 そこで質問ですが、ことしの高校卒業生の未就職者の追跡調査の結果と、対策にどう生かされているのか、また知事を先頭に学校や関係機関とも協力して求人の開拓を図る必要がありますが、対応について知事並びに教育長にお伺いいたします。 また、未就職者に対する失業保険に見合う生活援助金の支給、就職できずにいる青年に対する公費による職業訓練など、新たな制度も検討すべきと思いますが、商工労働部長の見解をお伺いします。 5つ目に、離職者や青年向けの職業訓練、養成訓練について商工労働部長にお伺いいたします。このたび県立高知・中村高等技術学校の再編整備案が出されましたが、この方向は、今セーフティネットの拡充、職業訓練の拡充が求められている中で、逆行するものではないでしょうか。高知校にあるブロック建築科の廃止、もしくは中村校への左官・タイル施工科への組み入れ、また中村校にある自動車整備科の廃止と高知校への統合などは、この間の実績から見ても県民に負担と犠牲を押しつけ、職業訓練の機会を縮小するものになるのではないか。また、授業料の有料化についても、離職者の生活保障や地域産業の技能の継承という役割から見てもなじまないのではないかと思うわけですが、御見解を伺います。 そして、今回の再編整備案について卒業生や学校現場など広く県民の声を聞く機会をつくるべきだと思いますが、あわせてお聞きいたします。 認定職業訓練についてでありますが、それぞれ不況が深刻化し、生徒、訓練生が減少するなどの中でも、企業、事業主が社会的にも必要な技能訓練を続けています。しかし、国、県の補助を受けての事業でありますが、厳しい運営に直面しており、国に対して充実を求める、また県の支援を強化するなどすべきと思いますが、御見解を伺います。 以上で第1問とします。   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 米田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、同和対策事業に関連をいたしまして、特別対策を終了して一般対策に移行するに当たりまして国が挙げております3つの理由をどう認識しているのかとのお尋ねがございました。その1つ目は、特別対策は本来時限的なものであるという理由でございます。これまでの特別対策の実施によりまして、住宅や道路などの生活環境を中心に同和地区を取り巻きます状況は大きく改善をされたと考えております。その結果、教育や啓発など残された課題はございますものの、国が期限を区切って特別措置を実施してまいりました目的はほぼ達成されたと考えております。 続いて2つ目は、特別対策をなお続けていきますことは差別の解消に必ずしも有効ではないとしている点でございます。このことに関しましては、平成8年の地域改善対策協議会の意見具申でも、地区や住民を限定いたしました特別対策は、周辺の地域との一体性を欠いたことや啓発などソフト面の取り組みが不十分だったことなどによりまして、いわゆるねたみ意識を表面化させたことなどの問題点が指摘をされております。こうしたことから、国といたしましても、特別対策をなお続けていきますことは差別の解消に必ずしも有効ではないと判断をしたものと受けとめております。 もう一つ国が一般対策への移行の理由として挙げました3つ目の点は、人口移動が激しい状況の中では、同和関係者に対象を限定した施策を続けますことは実務上困難になっているということでございました。確かに、人口移動が激しい都市部の中には、実務上施策の対象を同和関係者に限定いたしますことが困難な地域も生じていると受けとめております。 次に、特別対策としての同和行政や同和対策事業の終結方針を明確にすべきだとのお尋ねがございました。私は、同和問題にかかわります差別はまだまだ根深く、しかも厳然と残っていると受けとめておりますし、本県にとりましては、社会的な見地から見ましても、また歴史的な見地から見ましても、人権問題の大きな柱の一つだと考えております。ですから、同和地区や同和関係者に対象を限定いたしました特別対策は本年度末をもちまして明確に終了をいたしますが、平成14年度以降も人権問題という位置づけのもとで、一般対策としましての教育や啓発などの事業に取り組んでいきたいと考えております。 続いて、地区内外の住民の方々が協力をして問題を解決していく努力こそが同和問題の早期解決につながるのではないかとのお尋ねがございました。地区内外の住民が協力をして問題解決の努力をしてまいりますことは、同和問題に対します住民の正しい理解を深めますので、そのことが同和問題の早期解決につながるというお考えは私も同感でございます。また、こうした取り組みは同和問題に限らずあらゆる人権問題の解決にとりまして大切な視点だと思いますので、県といたしましても、人権尊重の社会づくり条例や人権教育のための国連10年高知県行動計画などを定めまして、県民の皆様とともに人権が尊重されます社会づくりに取り組んでおります。 続いて、差別の実態が残っている限り同和対策は続ける必要があるとの一部の考え方は見直しを迫られていると思うがどうかとのお尋ねがございました。先ほども申し上げましたとおり、同和問題に対します差別や偏見はまだまだ根深く残っておりますので、本県にとりましては人権問題の大きな柱の一つだと考えております。また、このように差別の実態が残っております限り、その解消に向けて取り組みを進めますことは当然のことでございますので、今後も人権対策の一つとして取り組んでいきたいと考えております。 次に、同和問題の解決は同和という言葉を死語にすることだという指摘をどう受けとめるのかとのお尋ねがございました。私は、同和という言葉を使わなくすることで同和問題の解決が図れるとは思いません。といいますのも、差別の実態が残っております限りは、たとえ今使われております言葉を使わないようにいたしましても、また別の言葉が差別をあらわす言葉として使われるようになると思うからでございます。ですから、差別がある限りそれを解決するための対策をとり続けていく必要があると思いますし、このことは同和問題だけではなく、女性問題やハンセン病、さらにはHIVなどすべての人権問題に共通することではないかと思います。また、そうした取り組みの結果として、差別を意味する言葉がなくなり、やがてそれが歴史上の言葉となります日が一日も早く訪れますことを心から願っております。 続いて、ことしの春高校を卒業した方のうち就職をしていない人の状況と、そのための求人の開拓についてお尋ねがございました。県では、平成12年度から高知労働局と連携をいたしまして、就職フェアや雇用事業主への賃金の助成事業などを実施いたします一方、高知公共職業安定所に2名のアドバイザーを配置いたしまして、安定所の求人開拓員とともに企業訪問にも従事をさせますなど、就職を希望しながらそれを実現できておりません卒業生の就職を手助けいたしますための取り組みを進めております。この結果、ことしの高校卒業生でまだ就職できていなかったおよそ340名のうち、50名程度が8月末までに就職をすることができました。 ただ、今後とも高校生の就職は厳しい状況が予想されますので、昨日、高知労働局長と連名で、経済4団体に対しまして求人の確保につきましての要請を行っております。今後も、関係の機関と連携をとりながら、求人の開拓に向けましての取り組みを進めてまいりたいと思います。 私からは以上でございます。   (教育長大崎博澄君登壇) ◎教育長(大崎博澄君) 同和行政の終結についての御質問のうち、同和教育や関連する事業が同和問題の解決をおくらせるのではないかというお尋ねにお答えをいたします。 同和問題の解決は国民的課題でありますことから、国、県はもとよりすべての市町村で取り組まなければならない課題として、本県におきましても、すべての学校、地域で同和問題の学習の場を提供し、その結果、全県民による取り組みとして発展をし、同和問題の解決を促進してきたものと考えております。また、この間、対象地域の方々を初め関係者の努力によりまして大きな成果も上がっていると思います。しかしながら、現在なお高等学校や大学への進学率の格差や高等学校の中途退学率が高いことなど、解決されなければならない課題が残されております。これらの課題は、今後一般施策の中で対応していかなければならないと考えております。 同和教育の廃止についての御質問のうち、和歌山県同和教育研究協議会の解散集会のアピールに関するお尋ねにあわせてお答えをいたします。和歌山県同和教育研究協議会の解散に向けましてのアピールにつきましては、その背景や論議の模様などを詳しく存じておりませんので、文面を拝見しただけで感想を述べることは僣越でございますが、私といたしましても、同和問題が一日も早く解決をし、差別のない社会が訪れることを望んでおります。本県におきましては、これまで県政上の重要課題として同和問題の解決に向けた取り組みをしてまいりましたが、これからは人権教育として、人権教育のための国連10年高知県行動計画教育版などに沿って、同和問題を初めとする身近な人権課題に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、同和教育の廃止と高知県同和教育の基本方針に関するお尋ねがございました。県教育委員会といたしましては、高知県人権施策基本方針や人権教育のための国連10年高知県行動計画及びその教育版に基づいて、人権教育としてこれから取り組んでまいりたいと考えております。このため、高知県同和教育の基本方針はこの流れに沿って、同和問題を初め、他の人権課題を含めた総合的な高知県人権教育基本方針として改定する予定でございます。 次に、人権教育の名で同和問題を扱うということは具体的にどういうことか、また憲法と教育基本法に基づく教育こそ求められているのではないかなどのお尋ねにあわせてお答えをいたします。同和問題につきましては、いまだ解決されていない課題が残されています。そのため、高知県人権施策基本方針や人権教育のための国連10年高知県行動計画及び教育版においても、同和問題は身近な人権課題として位置づけられています。今後は、国際的な人権教育の視点も取り入れながら、人権に対する知識を深め、一人一人の人権を認め合うための技術を身につけ、人権を守っていく態度を育てる人権教育を構築していきたいと考えております。このことは、基本的人権尊重の精神を具体化するものであり、憲法や教育基本法に沿うものであると考えています。 次に、人権教育協議会に関するお尋ねがございました。高知県同和教育研究協議会につきましては、平成13年2月に改革検討委員会を設け、組織のあり方や研究内容などの検討を進めてきたと聞いております。そして、本年5月の定期総会におきまして、今後の研究実践のあり方として、この会は部落問題を初めとして女性、子供、高齢者、障害児・者、HIV感染者等、外国人に対する人権侵害など、あらゆる人権侵害の課題を解決する教育の創造と人権文化の確立を目指し研究協議を行うという方向が決定をされました。また、9月の臨時総会では、名称も高知県同和教育研究協議会から高知県人権教育研究協議会へ変更がなされたと承知しております。 これからの人権問題への対応を考えますとき、平成11年7月に出されました人権擁護推進審議会答申では、「人権擁護の分野においては、公益法人やボランティア団体などが多種多様な活動を行っており、今後とも様々な分野で人権教育・啓発の実施主体として重要な一翼を担っていくことが期待される」と述べられております。今後、NPO、障害者団体、高知女性総合センターなど、関係機関や研究団体との連携も求められています。今後の高知県人権教育研究協議会への対応は、その組織や研究内容等を十分見きわめる必要がありますが、他の教育研究団体と同様の扱いで検討していきたいと考えております。 雇用対策についての御質問のうち、ことしの高校卒業生の未就職者の状況と求人開拓のお尋ねにお答えをいたします。平成13年3月の公立高等学校卒業者の就職状況は、厳しい経済情勢を反映しまして、就職内定率は全日制、定時制合わせて81.4%で、約340人の未就職者が生じました。この厳しい雇用状況に対応しますため、商工労働部、総務部と連携し、高校生就職促進緊急対策チームを発足させ、未就職者の雇用促進に取り組んでまいりました。その結果、知事からもお答えいたしましたが、そのうち約50名が就職できましたが相当数の方が現在も未就職の状態であると考えられ、憂慮しております。 この要因としましては、長引く不況による求人数の大幅減とともに企業が即戦力となる大学、短大卒業者を求めるようになったこと、就業構造が変化してパートや中途採用へ移行しつつあることなどから、高等学校卒業者に対する求人状況が一層厳しくなったことが考えられます。 県教育委員会では、労働関係機関と連携しまして、5月に県内外の3,200社の事業主に文書で求人の依頼をいたしました。7月には高知と中村の2会場で企業による求人事業所説明会、さらに11月には企業と高校生の就職面談会を開催することにしています。また、各学校がそれぞれこれまで築いた企業との関係をもとに求人確保に取り組んでおります。 また、早い段階から望ましい職業観や勤労観を育てて生徒たちが自分の将来についてしっかりと考えることができるように、進路指導の充実も図っていく必要があると思います。今後とも非常に厳しい状況にはありますが、労働関係機関と連携をし、さまざまな取り組みを通じて高校生が希望する職業につけますように最善の努力を尽くします。 以上でございます。   (健康福祉部長松岡寿子君登壇) ◎健康福祉部長(松岡寿子君) 同和保育と高知県同和保育基本方針に関するお尋ねがございました。 同和保育のよりどころとなっております高知県同和保育基本方針につきましては、地対財特法が期限切れとなります本年度末をもちまして廃止する予定でございます。したがいまして、同和保育という特別対策は終了し、今後は保育所保育指針や人権を大切にする心を育てる保育についてなどに基づきまして取り組むことになります。 次に、家庭支援推進保育事業について2問お尋ねがございました。関連いたしますのであわせてお答えさせていただきます。まず、家庭支援推進保育事業の加配保育士の状況ですが、現在、中核市を除きまして22市町村で36カ所の保育所に54名が配置されております。その内訳は国庫補助で42名、県単独で9名、市町村単独で3名となっております。 家庭支援推進保育事業は平成9年度から一般対策となりましたが、それまでの経過から地域改善対策特別保育事業を踏襲してまいりました。また、最近では両親が離婚したり虐待を受ける児童が増加するなど、保育を行う上で家庭環境等に配慮を要する児童が多く見受けられる状況になっております。このことから、この事業を本来の制度の趣旨でございます家庭環境等に配慮が必要とされる児童を対象に、すべての保育所が利用できますようにしていきたいと考えております。 なお、この見直しのため、現在、高知市を除きます全保育所において児童の家庭の状況やどういった配慮が必要か実態調査を行っているところでございます。 以上でございます。   (商工労働部長岡村章弘君登壇) ◎商工労働部長(岡村章弘君) 米田議員の御質問にお答えいたします。 まず、出先機関や市町村とも協力して全事業所の実態調査を検討してはどうかとのお尋ねがありました。全事業所の実態調査とまでは言えませんが、平成11年度に、当時はまだ県の組織でございました公共職業安定所を中心にして部内各課及び産業振興センターの職員も加えました景況・雇用状況の調査チームを編成いたしまして、県下7ブロックで166社を対象として調査活動を行いました。さらに、平成12年度には部内各課及び産業振興センターの職員の調査チームで200社を訪問いたしました。こうした活動は、データの収集自体はもちろんですが、部の職員として景気や雇用状況を肌で感じ取ることも極めて重要なことと考えておりますので、全事業所対象というわけにはまいりませんが、今後ともさまざまな取り組みで現場主義を徹底してまいりたいと考えております。 次に、労働相談体制について御質問がございました。現在、労働政策課に労働相談員を置くとともに、労働相談フリーダイヤルを設置して面談と電話による相談に応じております。本年度の相談件数は9月末現在で85件、そのうち賃金、退職金、解雇といった労働条件に関するものが62件、前年同期で31件プラスになっております。また、ことしの4月からは地方労働委員会でも個別的労使紛争の調整を開始したことにより、県の相談窓口がふえたことに加え、これまでに団体的労使紛争で培った経験とノウハウが生かせるなど、相談体制がより充実いたしました。9月末までの相談件数は34件となっています。 また、昨日10月1日から個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律が施行され、国の労働局長が個別労働関係紛争に関して情報提供や相談、助言、また指導、さらに紛争調整委員会にあっせんを行わせることができることとなり、国における体制もさらに充実してきております。雇用・失業情勢が厳しい折から、今後とも相談窓口を広く県民の皆様にお知らせし、御利用いただけるようにしたいと思っております。 次に、未就職者に対する失業保険に見合う生活援助金の支給や就職できない青年に対する公費による職業訓練など、新たな制度を検討すべきではないかというお尋ねがありました。学卒未就職者を含む若年層につきましても厳しい雇用情勢ではありますが、関係機関が緊密な連携の下に就職に向けての取り組みを行っていくことが現時点では必要なことではないかと考えております。 次に、県立高等技術学校の再編整備案についてお尋ねがございました。高等技術学校の行う職業訓練は、県内産業の基盤である建設業や製造業を支える技能労働者の養成を主な目的として実施しております。しかしながら、今の訓練体制では企業における即戦力の人材ニーズへの対応が困難なことや、高校進学率の上昇に伴う中卒入校生の減少、また建設業や製造業が持ついわゆる3Kイメージ等による若年者の技能労働離れなどの課題を抱えております。 このため、短期課程から普通課程への移行、両校で重複または類似する科の統廃合、一部訓練科の中卒者から高卒者対象への移行及び中村校への離転職者を対象とする短期6カ月の訓練科の新設等、訓練内容の充実、高度化と効果的な運営を行い、若年技能労働者の確保、養成を進めてまいりたいと考えております。 次に、授業料等の有料化につきましては、受益者負担の原則と民間における専修学校等との調整及び国や他県の動向を踏まえ、普通課程については有料化をしたいと考えております。 次に、再編整備案について広く県民の意見を聞くべきだとの御質問でございます。今回の再編を考えるに当たりまして、訓練校の就職先の企業、関係業界団体等への訪問調査により、御意見を参考にさせていただきました。また、学識経験者、労働者及び事業主代表委員等で構成されました高知県職業能力開発審議会でも熱心な審議と御意見をいただき、再編案としております。 次に、認定職業訓練についてお尋ねがございました。従業員に対する職業訓練は企業がみずから実施することが原則でありますが、中小企業においては、事業主が認定職業訓練校を設置する場合は国及び県で訓練に要した経費の3分の2を助成しております。県といたしましては、認定職業訓練校の果たす役割は地域産業の振興のために欠くことができないものと考えており、国に対し厳しい運営状況の説明と制度の充実を要望してまいりました。今後も、機会をとらえて国に働きかけてまいりたいと考えております。   (総務部長池田憲治君登壇) ◎総務部長(池田憲治君) 雇用対策に関連いたしまして、県の職員の時間外勤務についてのお尋ねがございました。 まず、本年度に厚生労働省が定めました基準につきましては、県といたしましても、この趣旨を踏まえた適切な勤務時間の管理が重要であると考えております。これまで本県では、管理職員に対しましては事前命令を行った上で業務に従事させることを基本にいたしまして、事前命令の徹底を機会あるごとに指導しておりますほか、職員に対しましては庁内広報紙などで時間外勤務命令のない場合は退庁するように周知徹底を図るなど、適切な勤務時間管理に努めております。また、時間外勤務に関する手当の予算も適正な計上に心がけております。 さらに、時間外勤務の事前命令が出された上で勤務がなされているかどうかについて抜き打ちの調査なども行ってきており、その結果からも時間外勤務命令は適正に行われているものと考えています。今後におきましても、現在取り組んでおります時間外勤務の事前命令の徹底などを図りますことで、一層の適切な勤務時間管理に努めてまいります。 続きまして、県職員の時間外勤務縮減対策についてお答えいたします。これまでも、毎週水曜日をノー残業デーに指定し、庁内放送により職員に退庁の呼びかけを行うなどの取り組みを行っております。さらに本年度からは、これまでは制限されておりませんでした本庁等の時間外勤務につきましては、災害などの緊急業務や予算編成業務などの他律的、みずから決めることができない業務を除きまして360時間の目安時間の設定を行いますとともに、週休日の振りかえ制度を活用するなど、縮減への取り組みを進めております。 なお、知事部局の全職員の時間外勤務の平均時間数でございますが、平成12年度の実績で1人1カ月当たり6.9時間となっております。この数字は漸減傾向にございますし、また全国的に見ますと最低水準、最も時間数が少ない水準となっております。公務職場の場合には、県民の皆様へのサービスを確保してまいります上で、繁忙期には一定の時間外勤務を命令することが必要となります。このため、県民の皆様へのサービスを確保しながら、最小の経費で最大の効果を上げるという基本の考え方に立ちまして、今後とも職員の適正な配置や仕事のむだを省き、効率的な業務の執行に努めてまいります。 以上でございます。   (企画振興部長池誠機君登壇) ◎企画振興部長(池誠機君) 厚生労働省の通知「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」を市町村にどう徹底しているのかというお尋ねがございました。 この件につきましては、総務省からの通知を受け、その趣旨に沿った適切な対応が図られるよう市町村にお願いをいたしました。現在、市町村では、国の地方公共団体における行政改革推進のための指針に基づきまして、行政改革大綱や定員適正化計画の策定などが順次進められております。その中で、事務事業や組織機構など行財政運営全般についての見直しを図るとともに、職員の勤務時間などにつきましても、その適正化に向けた取り組みが行われております。 県といたしましては、これらの取り組みに関する定期的なヒアリングや助役・総務課長会などを通じまして、市町村における労働時間の把握や管理など、勤務条件全般について適切な執行が行われますよう助言を行ってまいります。 以上でございます。   (36番米田稔君登壇) ◆36番(米田稔君) それぞれ御答弁いただきましてありがとうございました。 最初に知事にお伺いをしたいと思います。再質問を行わしていただきます。ちょっと私の聞き方が間違うちょったかどうかよくわかりませんが、今回の特別措置法の終了によって同和行政、同和対策事業は明確に終了したというふうに述べられたというふうに思います。間違いなければそれでいいと思うんですが、間違っておれば訂正をしていただきたいというふうに思います。 それと、今後、14年度からは人権問題という位置づけで取り組むというふうに今言われましたが、例えば去年からですか、高知県が人権尊重の社会づくり事業ということで、市町村やいろんな団体が学習や講演会やシンポジウムをやるときに、同和団体だけということではなくて広く事業費を補助するという制度ができていると思うんです。私は、行政がこういう人権施策に取り組むというのに当たっては、県民の自主的な運動や自主的活動に支援をしていくと、そういう条件整備に限定し、その支援に努力すべきだというふうに思うんですが、その点いかがでしょうか、知事の答弁を求めます。 もう一つは、時間がありませんから、いつも知事は今の特別対策事業でほぼ課題は達成されたというふうに言われますが、現状認識のところへ行くと一転をしてまだまだ根深く厳然と残っているというふうに言われているわけです。これは答弁要りませんが、ただ率直に言って、知事が理性的に何をもとにそういう話をするのか、そうではなくて知事が体験や感性で語っているのではないかというふうに思いますので、今後またこの点は論議をしたいというふうに思います。 教育長にお伺いいたします。結局、人権教育というふうに名前が変わったとしても、私たちが懸念をするのは、やっぱり同和教育が事実上継続、強化されているのではないかというふうに思うわけですね。県が平成10年に、人権教育のための国連10年高知県行動計画を策定されました。もともと国内の行動計画の中には重要課題への対応ということで女性や子供や高齢者、障害者、同和問題というふうに課題が並べられていますが、これは単に課題の実務的な順番ということではなくて、私は国の行動計画は対象人口の問題からこういう並べ方をしていると思うんですが、高知県の場合は一転して県の行動計画や人権施策、方針等を見ますと、とにかく同和問題ということをまず第一に持ってくると。私はそこには何ら合理的な理由がないと思います。それは非常に恣意的な意図を、また疑問を感じざるを得ないわけですが、もし全国的なそういうとらえ方と違う、わざわざ順番を変えたということが、理由があれば説明をいただきたいというふうに思います。 私はこういうやり方に、実際上、同和問題はやはり別格扱い、特殊化しているという姿があらわれているんではないかというふうに思います。 それから、県同教への問題ですが、内容や組織を見きわめて対応するというふうに言われています。これまで私たちが指摘をしてきましたが、狭山事件や部落民宣言、子供の立場宣言、こういうものを運動団体と一緒になって進めてきたような団体でありますから、名称は変わっても、この前の総会、臨時総会では、そのことに対する反省や是正も私は一切なされていないというふうに思うんです。そういう点からして、基本的な見直しの方針を、立場をぜひ貫いて、研究生の派遣と特別の補助金については廃止していただきたいということを再度求めますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。 第2問を終わります。   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 米田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、同和行政と同和対策事業について重ねてお尋ねがございました。先ほどもお答えをいたしましたが、特別対策としての同和行政や同和対策事業は今年度末をもって終了をいたします。その方針は明確にしております。 続いて、人権尊重の社会づくり事業につきまして、県民の皆さんの自主的な取り組みを支援すべきではないかとのお尋ねだったと思います。という趣旨であれば、そのとおりだと思います。ただ、現在、財政的な事情から十分それにおこたえできていないのかもしれませんけれども、少なくとも県民の皆さんの自主的な取り組みを支援するためにある事業だというふうに受けとめております。 私からは以上でございます。   (教育長大崎博澄君登壇) ◎教育長(大崎博澄君) 再質問にお答えをいたします。 まず、国と県の行動計画の中で人権課題の順番が違っておる、これが意図的なものであるかどうか、理由があるのかどうかという御質問でございます。私自身が行動計画の策定に直接携わったということではございませんので、つまびらかにはいたしませんが、同和問題にかかわる差別はまだまだ根深く、しかも厳然として残っているという本県の状況がございます。社会的な見地から見ましても歴史的な見地から見ましても人権問題の大きな柱である、そういう認識からこういう順番になったのではないかというふうに理解をいたしております。 それから、県同教に対する対応についてでございます。県同教は現在改革の途上にあるというふうに受けとめております。したがいまして、今後の組織のあり方や研究内容等を十分に見きわめた上で、他の教育研究団体と同じような扱いで検討をしていきたいというふうに先ほど申し上げたところでございます。 以上でございます。   (36番米田稔君登壇) ◆36番(米田稔君) それぞれ御答弁ありがとうございました。 先ほどの教育長の説明にありましたが、余り合理的な理由ではない。それほど今、県の行政、県の教育委員会、教育の分野で同和問題の特別化、特別視、やっぱり別格化が、特殊化が行われているというふうに思います。一日も早い同和問題解決のために県行政の大きな転換を強く求めて、すべての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(東川正弘君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明3日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後3時41分散会...