高知県議会 > 2001-06-28 >
06月28日-02号

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  1. 高知県議会 2001-06-28
    06月28日-02号


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    最終取得日: 2023-06-16
    平成13年  6月 定例会(第262回)        平成13年6月28日 開議第2日出席議員       1番  武石利彦君       2番  中西 哲君       3番  西岡仁司君       4番  三石文隆君       5番  森田英二君       6番  川田雅敏君       7番  谷相勝二君       8番  浜田英宏君       9番  樋口秀洋君       11番  山本広明君       12番  植田壮一郎君       13番  森 雅宣君       14番  雨森広志君       15番  東川正弘君       16番  溝渕健夫君       17番  元木益樹君       18番  依光隆夫君       19番  土森正典君       20番  西森潮三君       21番  結城健輔君       22番  西岡寅八郎君       23番  小松 雅君       24番  黒岩正好君       25番  中内桂郎君       26番  佐竹紀夫君       27番  朝比奈利広君       28番  岡崎俊一君       29番  池脇純一君       30番  中沢潤二君       31番  二神正三君       32番  田村輝雄君       33番  森田益子君       34番  川添義明君       35番  江渕征香君       36番  米田 稔君       37番  牧 義信君       38番  公文 豪君       39番  塚地佐智君       40番  梶原守光君       41番  田頭文吾郎君       42番  森 祥一君欠席議員       なし---------------------------------------説明のため出席した者  知事       橋本大二郎君  副知事      吉良正人君  出納長      島田一夫君  総務部長     池田憲治君  企画振興部長   池 誠機君  健康福祉部長   松岡寿子君  文化環境部長   松村勝喜君  商工労働部長   高橋淳一君  農林水産部長           武石 徹君  代理同部副部長  土木部長     安岡 健君  国体局長     西野秋美君  森林局長     池本武広君  海洋局長     星沢昭雄君  港湾空港局長   宍戸達行君  企業局長     山田英昭君  病院局長     猪野和孝君  教育委員長    宮地彌典君  教育長      大崎博澄君  人事委員長    上谷定生君  人事委員会           小松正典君  事務局長  公安委員長    竹村維早夫君  警察本部長    恵良道信君  代表監査委員   吉原 強君  監査委員           松岡召一君  事務局長---------------------------------------事務局職員出席者  事務局長     林 宏興君  事務局次長    山崎宣生君  議事課長     井上 健君  政務調査課長   樫谷幸男君  議事課長補佐   鍵山和司君  主幹       中岡由佳君  主査       湯川さほり君---------------------------------------議事日程(第2号)   平成13年6月28日午前10時開議第1 第1号 高知県高齢者円滑入居賃貸住宅登録手数料徴収条例議案 第2号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第3号 地方自治法第二百三条に規定する者の報酬、期末手当、費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例議案 第4号 半島振興対策実施地域における県税の不均一課税に関する条例の一部を改正する条例議案 第5号 高知県議会の議員及び高知県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用及びポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例議案 第6号 高知県立実践農業大学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 中高一貫教育校の設置に伴う関係条例の整備に関する条例議案 第8号 公立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県同和対策審議会条例を廃止する条例議案 第10号 高知県が当事者である訴えの提起に関する議案 第11号 中村市と大方町との境界の一部を変更する議案 第12号 県有財産(事務用機器)の取得に関する議案 第13号 ふるさと林道緊急整備事業松原中津川トンネル(松原工区)工事請負契約の締結に関する議案 第14号 高知県・高知市病院組合規約の一部変更に関する議案第2 一般質問   (3人)---------------------------------------   午前10時1分開議 ○議長(東川正弘君) これより本日の会議を開きます。--------------------------------------- △諸般の報告 ○議長(東川正弘君) 御報告いたします。 第7号議案及び第8号議案については、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき、人事委員会の意見を求めてありましたところ、適当である旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。   (回答書 巻末 136ページに掲載)--------------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(東川正弘君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「高知県高齢者円滑入居賃貸住宅登録手数料徴収条例議案」から第14号「高知県・高知市病院組合規約の一部変更に関する議案」まで、以上14件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 12番植田壮一郎君。   (12番植田壮一郎君登壇) ◆12番(植田壮一郎君) 皆さんおはようございます。自民党を代表しまして質問をさせていただきます。 初めに、やみ融資事件等に関連した一連の問題についてお伺いをいたします。この問題は、さきに開催されました臨時議会において、昨年3月25日に設置され同年4月6日から34回にわたる委員会の開催と延べ59人の証人を招致し真相究明に取り組んだ100条委員会のまとめが報告され、各議員からの緊急質問も行われたところであります。私は、100条委員会の一委員としてその調査に直接かかわり取り組んできた者でありますが、ゆがめられた同和事業への調査といったこともあり、かなり重い気持ちで委員を承諾したことが今では反省されます。だれもが踏み込めなかった領域への挑戦といったこともあり、当初はどこまで調査を掘り下げることができるか疑心暗鬼な気持ちでのスタートでした。メスを入れ切れないとの心配が先行してしまい、全貌を明らかにしたいとの思いで私見としては秘密会を提案した経過もありましたし、また告発についても慎重な姿勢で身構えた裏には職員への信頼がありましたが、今になってみると大きく裏切られ、また調査に関しての県庁内部の非協力な姿勢には大変残念で、憤りさえ感じる思いであります。 こうした中で進められたその調査の経過や100条委員会で明らかにされた事件の全貌は詳細に報道され、県下はもとより全国にも注目される、県行政の根幹を揺るがす大きな問題となっているのであります。また、モード・アバンセの専務理事の自殺など、その犠牲者まで発生するといった悲惨な事件となり、遺憾な思いでいっぱいであります。さらに、去る18日には吉良副知事の辞職問題が発生するなど、県行政における信頼の失墜ははかり知れない状況にあり、県政史上最大のピンチに置かれ、知事としてのその責任の重さは極限にあると思います。 さきの臨時議会では、やみ融資等における責任の処し方は知事みずからがとるべき問題であり、一方では関係者の再逮捕や証人尋問における出頭拒否での告発など事件の拡大進展も予想されることなどを踏まえ、議長声明を行い、議会の姿勢は保留としてきたところであります。その後、昭和62年、中内県政においてのやみ融資問題が報道されたり、吉良副知事の辞意の表明や平成4年には知事みずからが自筆で転がしへの決裁といった新たな事態が次々と発覚するなど、その疑惑は深まるばかりであります。 特にこの問題で重視された点は同和対策とした事業の背景でありましたが、高知新聞に連載されました「黒い陽炎」により、尾崎清光氏にまつわる県行政とのやりとりや昭和62年におけるやみ融資問題が発覚。モード・アバンセ闘犬センターへのやみ融資の原型とも言えるずさんきわまりない腐敗し切った県庁の顔が浮かび上がり、100条委員会の核心となった直貸し、転がしによるやみ融資の手法は橋本県政誕生の以前、すなわち橋本大二郎氏を高知に迎える前に既に県庁組織の中にしっかりとしたその土台が完成され、しかも今日まで継承し続けられてきたことが明らかにされたのであります。こうした背景を考えますと、やみ融資の問題は明らかに橋本県政以前からの問題でもあり、この問題ついては、県庁も議会もそれぞれの立場でみずからを検証してみることの必要な問題ではないかと考えます。 しかし、橋本県政10年の歩みを振り返って、過去のしがらみを断ち切ると言ってきた知事が一方では問題となった特定の運動団体の方々との親交を持ち、また一方では改革に取り組めなかったとする、そうした知事の姿勢は信頼に当たらないとの批判もあります。知事みずからも疑問に感じてきた同和行政へのメスをなぜ入れられなかったのか。臨時議会での答弁ではタブーへの挑戦といった思いを持ちながら実行できなかった悔しさを表明されましたが、知事の取り組もうとしたタブーへの挑戦とはどういった内容のものか、何をどう改革しようとしたものなのか、お伺いします。 また、庁内の議論の中でその項目を削除したとのことでありますが、なぜ落とすことになったのか。知事の答弁では、その改革に取り組みたくても取り組めなかった事情が県庁内部にあったやにも受け取れますが、改革に取り組めなかったのかあるいは取り組まなかったのか、その状況の詳細をお伺いします。 さらに、その後においても、カラ出張問題など幾度となくメスを入れなければならない必要があったにもかかわらず、その改革に取り組まなかったのはなぜか、またそのことの重さをどのように受けとめているのか、知事の御所見をお伺いします。 こうした背景を踏まえ、知事の責任の重さは極限にあると申し上げました。しかし、多くの県民から、知事のとるべき責任の第一は速やかに県行政の改革に取り組み県民の信頼を一日も早く取り戻すことにあり、議会と一丸となって崩壊しかけた県行政の再建に全力を注ぐべきであるとの意見が多く聞かれます。つきましては、こうした状況も踏まえ、ただすべきことはただし支えるべきことは支えるとした姿勢で、以下何点か質問をさせていただきます。 初めに、知事の責任についてであります。知事は、引き続き知事の座に踏みとどまって県政改革を力強いものにし、失われた県民の信頼の回復に全力で取り組むとの意思を表明され、みずからの処分については、任期満了までの29カ月間給料を20%カットする減給処分を明らかにしたところであります。このことは、知事自身、県政フォーラムなどで県民の意見を広く聞き、判断されたものだと思いますが、知事続投への判断を決断させた最も大きな要因は何であったのか、またどの時点での決断だったのか、お伺いします。 知事続投の決断はどの選択よりも厳しく重い、イバラの道を歩くがごとしだと思います。しかし、そうした決断をするに当たって、知事はみずからに課せられた責任のすべてを御理解されての決断だったのか、改めてお伺いしたいと思います。元副知事を初めとする職員逮捕やこのたび処分された職員への責任、吉良副知事の辞任への責任、26億円の焦げつきに対する責任など、それぞれの責任を知事はどのように受けとめているのかをお伺いするものであります。悪いことをした者が責任をとるのが当然であって、その処分をすることが知事の責任だと思っているのではないかとの指摘や、今回の処分についても、減給処分の短縮もあり得るとの表明をされたことに関して、まだ審議もされていない減給処分にその処分の短縮話は不謹慎だとの声が起こり、知事はこの責任の重さを真剣に受けとめているのかどうか疑問だとの声も聞かれますが、御所見をお伺いします。 また、20%の減給についても、知事自身も言われますように、地方公務員法では最も重い減給処分であっても特別職は対象外であります。地公法に倣っての最大の処分とするのはおかしいとの指摘や、また軽いとの声も聞かれます。特に、池川事件や商銀事件に伴う責任に対して今回の責任は重いとの意見が多く、知事の御所見をあわせお伺いいたします。 こうした背景の中、知事を支援する県民の中にも、一度出直した方が知事も県民もだれもがすっきりして仕事もしやすいのではないかとの意見も多く聞かれます。こうした県民の意見は、橋本知事に高知県をよい環境にしていただきたいとの強い願いと、元副知事を初め幹部職員の逮捕や現副知事の辞任問題など、全国の県政史上においても例を見ない重大な事件になったことからその責任の重さは辞職に値するとした一般的な判断が相まっての声であろうと思いますが、知事に期待する多くの県民のもう一つの声、すなわち出直し選挙をとの意見に対して知事はどうこたえるのか、お伺いします。できることなら一度すっきりさせた方がよいとの思いは知事に期待する県庁職員にも多く、続投を選択した知事の思いや理念をしっかりと職員にも県民にも理解していただくことができなければ真の県政改革は進められないと苦言をしておきたいと思います。 議会も一体となってその改革に取り組むことは申すまでもありませんが、橋本知事流の責任のとり方、またその理念や姿勢を理解していただけるような配慮と努力が一層求められるものと考えます。説明責任はもとより、インフォームド・コンセントといった知事の姿勢も問われているように考えますが、知事続投への決断をされたその思いや理念の理解を得るためにどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 また、改革に向けた今後の方針は冒頭の知事説明の中でもその一定の方向が示されましたが、問題はどう実現を図るかではないかと思います。第1になお一層開かれた県政の実現を挙げられておりますが、まず取り組むべきことはなぜ開かれた県政の実現が実を結ばなかったのか、その検証と反省ではないかと考えます。再スタートに当たり、まず開かなければならないのは知事御自身の姿勢であり、裸の王様ではその改革など期待できるはずもありません。まずは知事が胸襟を開く、そこからスタートすべきと考えますが、その御所見をお伺いいたします。 次に、副知事の辞任問題に関してであります。去る6月18日、吉良副知事の辞意が突然報道され、大きな衝撃を受けました。報道によれば、18日の午前中に知事に改めて辞意を伝えたとあり、知事もまた本人から初めて聞いたとのことでありましたが、副知事は以前から辞意をどなたかに相談されていた事実があったのかどうか。 吉良副知事は、「担当課長として融資に直接かかわり、こうした結果を招いた責任を痛感していた」、また一方では「県庁改革に取り組む責任もあった。その中で幹部としての責任のとり方として、いつ辞任すべきかをずっと思い悩んでいた」とコメントされておりますが、吉良副知事を迎えて1年、100条委員会と同時に就任し100条委員会とともに辞任するといった副知事の任期を考えると何か因縁めいたものを感じ、事件の責任を負うための就任だったように受け取れなくもないわけでありますが、辞任を決意されたその経過と真意を吉良副知事にお伺いします。 またこの一年、県議会は100条委員会に明け暮れたと言っても過言でない様相でしたが、全国でも例のない厳しい委員会の調査が行われる中で、知事を助け、支えてきた吉良副知事のその胸中はどうであったのか。この一連の問題に関した責任を理由に辞任すると表明をされておりますが、知事はそうした副知事の辞意をどのように受けとめたのか、お伺いいたします。 次に、高知新聞に連載された「黒い陽炎」に関連して何点かお伺いいたします。連載されました「黒い陽炎」は、取材班の粘り強い調査と評価するものですが、大変わかりやすく実名入りでの表現は県民の関心も高く、さまざまな御意見をいただきました。 そこでまず、「黒い陽炎」を読まれての知事の御感想をお伺いしておきたいと思います。県民からの反響も多く、「あきれてものが言えん」、「とことんこの機にやらないかんぜよ」、「信用できるがは知事だけじゃにゃ」、こんなおしかりを毎日いただいておりますが、100条委員会の評価が高いことにも驚いております。県民の多くは、この機会に県庁のうみは全部出し切って、新しく出直した方がいいとの声であります。一日も早く、すさんだ県庁の立て直しと二度と同じ過ちを起こさないための県政改革に取り組み、新たな県庁と元気な県政づくりに取り組まなければなりません。 さて、やみ融資が既に昭和62年の土佐闘犬センターへの融資手法となっていたことが紹介されましたが、このことは20日の産経委員会でも明らかにされたところであります。その概要は、昭和62年11月、観光資源保護育成対策貸付資金とする県単融資制度の要綱をひそかに作成し、貸付金は中小企業金融対策事業費の予算枠を使い、金融機関から一時借入金を借り入れて流用、年利4.9%で物的な担保は確保せず、公正証書と財団法人の理事を保証人として1億2,000万円を融資。返済は転がしで、毎年度末に商工労働部長名で金融機関へつなぎ融資の依頼文を提出していたというものであります。100条委員会で調査した闘犬センターへのやみ融資の原型が、同じ闘犬センターにおいて10年も以前に既に実施されていたとの事実であります。 また、県商工会連合会にも1億円から3億円を直貸しし、昭和58年度から平成5年度まで通算9年間にわたって転がしで融資を行っていたことも明らかにされました。こうした問題を含め、判明した県のやみ融資は5件となったわけでありますが、知事はこうした次から次に明らかにされる直貸しについてその内部調査を徹底されたのか。また、この機会に議会に説明のされていない単一企業に向けつくられた融資制度の状況や直貸しや転がし融資の実態をすべて明らかにしていただき、その原因や責任の所在、またその改善対策についてなど、県民に理解のいただける明確な知事の姿勢と取り組みをお伺いします。 一方、62年の闘犬センターへのやみ融資を裏づけた書類の存在について、この書類は知事が指示して探させたとのことでありますが、その存在の有無を知ったのはどういった経過でいつのことか、また入手された日やその書類の主な内容はどういったものか、詳細に記された闘犬センターへのやみ融資の資料を手にされて、100条委員会で調査されたやみ融資との兼ね合いや中内県政から引きずってきた古い体質の存在など知事はどう受けとめたか、率直な思いをお伺いします。 また、62年のやみ融資に携わった担当職員は、焦げついたら背任罪に問われても仕方ない危険なやり方だと話されていますが、弘瀬氏と県との癒着の構造やその原因究明にどう取り組まれているのか、お伺いします。当時の商工労働部長別役氏の話によれば、違法性の認識はあった、しかも選挙絡みの政治判断だったとの認識のもとに実行されたとの証言であります。このたびのモード・アバンセやみ融資事件の背景を考えますと、同じような意識が引き継がれているとの意見も聞かれますが、こうした職員の態度や今回の問題への連動性など知事はどう受けとめているのか、お伺いします。 一方、モード・アバンセの倒産により、当初から心配していた26億円の貸付金の回収が困難となりましたが、どれだけの回収が見込まれておるのか、その残額の補てん対策はどう対処されるお考えなのか、お伺いします。 また、62年の闘犬センターやみ融資において、商工労働部長名で返済期限の9年度までつなぎ融資の依頼文を提出されていたとのことであり、だれが書いてどういった方法で提出されていたのか、そうした調査はされたのか。 100条委員会であれだけ厳しい調査を行い、問題の究明に取り組んでいるにもかかわらず、だれからもそうした関連の証言は得られなかったのはまことに残念きわまりない思いでありますが、知事はこうした県庁職員の認識と姿勢についてどう考えるか。こうした状況も踏まえ、今後の改革のかなめとなる県庁職員の意識改革についての対策をお伺いいたします。 また、今回の問題で、知事や幹部職員にみずからの姿勢を反省して申し出た職員はいないか、またそうした呼びかけはされなかったのか、あわせお伺いをします。 さらに、県庁メモによる高知新港の一連の問題について、知事はその実態を調査されたのか。昨年4月には大崎教育長に弘瀬氏が放った「外洋港はだれのおかげで補償金も払わず造った。おれやないか。それでおれは4億もかぶったやないか」云々といった経過があったことが紹介されていますが、その実態をどう受けとめ、どう対処されたのか、お伺いします。弘瀬氏のこの言動に関係した物事の背景やその原因となっていることがあるのかどうか、今後、高知新港の開発事業に影響を及ぼす問題に発展する心配はないのかなど、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、決裁のあり方についてお伺いします。知事みずからの決裁に関して、平成4年4月における転がしで再融資した際に作成された支出負担行為の決議書は、商工政策課が作成し、副知事らが決裁して上がってきた決議書に橋本と名字を書かれて最終決裁されていたとの報道がありましたが、関連した一連の事実を明らかにしていただきたいと存じます。 報道による知事のコメントは、「全く記憶がない。内容を確認しないまま署名したのだろうが、もし、弘瀬氏の名前が目に付いていれば、間違いなく指摘していたはずだ」、さらに「内容の説明を受けた記憶もなく、たくさんの決裁書類の一つとして、内容を十分に確認しないまま決裁したのではないかと思う」との説明がされております。余りにも無責任な発言であると言わざるを得ませんが、そうした知事の姿勢は県庁職員に大きな影響を与えていると考えます。決裁することへの責任の重さを自覚しながら、組織の慣習に流されチェック機能が果たされていないことが今回も大きな問題となりましたが、ここに来て知事の姿勢が、内容を十分に確認しないまま決裁をしたなどとの発言は容認できるものではありません。その当時を振り返り、知事に初当選されて約4カ月後の決裁といった状況から判断しますと、たくさんの決裁書類の中から特に重要な事業や問題のある事業を区別してすべての決裁書類にチェックできたかどうか、あるいは現在にあってもできているのかどうかであります。 申すまでもなく、このたびのやみ融資事件における最も重要な問題点の1つがこの決裁のあり方であります。まさしく知事であってもチェックできない環境があるとするならば、いま一度当時を振り返り、どういった状況だったのか、なぜチェックができなかったのか、どうすればそのチェックが可能になると考えられるのか、その検証もあわせ、決裁における実情と今後の対策をお伺いいたします。 やみ融資に関連する最後の問題でありますが、高知流通情報サービスについてお伺いをいたします。知事が社長を務める高知流通情報サービスに対してのやみ融資ともとれる問題が報道されました。高知流通情報サービスは県や高知市、地元銀行などが出資する第三セクターで、昭和63年に資本金3億円で設立され、コンピューターシステムでの受発注サービス業務を行っていますが、設立直後から予定していた金融機関からの融資が受けられなくなり、県が同社のみを対象にした県単独の情報産業経営安定対策資金貸付制度の要綱をつくり平成2年4月に1億6,000万円を直貸しし、議会に説明のないまま8年度まで、元金分を丸ごと転がしの手法で融資を継続していたというものであります。報道によれば、「融資は単年度返済であり、「転がし」は想定していなかった」と当時の担当が証言しているとのことであります。知事は、「「転がし」のことは知らなかった。モード社へのやみ融資と同じ形態の融資先として担当課から聞いていたが、「問題はない」と報告を受けていた」とコメントされております。 どうしても理解できないのは、モード社へのやみ融資と同じ形態の融資先と聞いておきながら、なぜ問題をそのままにしたのかといった点であります。モード社の情報も少ない状況下とはいえ、なぜその時点で詳細な調査を行おうとしなかったのか。問題がないとの報告を知事がうのみにするとは考えられないのでありますが、高知流通情報サービスに関連した融資のあり方や経営状況など、その問題に関した一連の背景や今後の対策をお伺いいたします。 次に、小泉内閣の構造改革に関連してお伺いいたします。政府の経済財政諮問会議がまとめた、今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針が、去る26日閣議決定されました。この基本方針は、今後二、三年間を日本経済の集中経済期間と位置づけ、不良債権の最終処理を確実に実現すると公約するとともに公共事業や社会保障、地方財政などあらゆる分野で構造改革を推進し、民需主導による日本経済の再生を目指すという内容になっています。また、公表に際して小泉首相は、「改革なくして成長なし。ある程度の痛みには耐えないと明るい展望は開けない」と述べられ、当面は低成長を恐れず構造改革を断行する決意を表明しておりますが、この聖域なき構造改革に掲げられております改革のうち地方財政計画の歳出の徹底的な見直しや公共事業の削減、道路特定財源の見直しなどは本県へ大きな影響を与えることになると思われます。 ただ、基本方針の素案段階で前面に打ち出されておりました地方交付税制度の見直しについては、地方交付税が財源保障、財政調整という重要な機能を持っていることから、我が高知県でも地方交付税の財源保障機能の確保等を求める意見書を提出しましたように地方が猛反発したこともあり、最終の基本方針からは交付税の単純な削減のような表現は改められております。しかし今後、来年度の予算編成に向けて地方財政制度の改革についての議論が深められ、実質的にも地方の声が反映されるものになるか、予断を許さないところであります。 そこで、基本方針の中の地方財政に関する改革に関してお伺いします。まず初めに、地方交付税や道路特定財源の見直しを初め、小泉首相の主導のもと改革が急速な勢いで進められているわけですが、現在の国の取り組み姿勢やその手法についてどのような感想を持たれておるのか、知事にまずお伺いします。 また、本県では平成12年度から第2次財政構造改革に取り組んでいるところでありますが、その70億円の収支改善といった数値目標の達成のためにはかなり踏み込んだ改革を行わなければならない状況かと存じます。このような折、今回のような地方交付税を含めた地方財政制度の改革議論が行われ出したわけですが、第2次財政構造改革の目標を設定する際に今回のような見直しが行われることを想定されていたのか、また今後の財政構造改革の進め方にどのような影響を与えることになるのか、総務部長にお伺いします。 また、基本方針における地方交付税の見直しの記述の中で段階補正の見直しが示されております。その背景には、段階補正の見直しを通じて市町村の合併を進めていこうという考え方もうかがえるわけですが、こうした取り組みについての知事の御所見をお伺いします。 以上、基本方針の地方財政にかかわる部分についてお伺いしましたが、知事は地方財政制度の改革はどのような方向にあるべきとお考えか、御所見をお伺いします。 次に、道路特定財源についてでありますが、聖域なき構造改革の中において、道路等の特定財源は一定の合理性を持ち得るとしても、使途を特定することは資源の配分をゆがめ財政の硬直化を招く傾向があることから、そのあり方を見直すと示されました。知事も提案理由の説明において申されたとおり、地域間競争の時代に基盤整備が極めて不十分な地域があることの議論がされなければ地域の自立の芽は摘まれてしまうといった心配はだれもが持つことだと考えます。14年度予算編成の過程においてますます道路特定財源の見直し議論が活発化するものと考えますが、道路特定財源の合理性を幾ら論じても、地方の実態が理解されないと一方的な都市環境に偏った議論となります。都市と地方を対立の構図でとらえた議論の向きもありますが、都市と地方は決して対立ではなく、支え合い共生していかなければなりません。食糧の供給や国土の保全等の重要性など、地方の役割とその基盤整備のおくれなどをいかに理解させるかが問題点ではないかと考えます。 特に、本県における道路改良率は全国第46位と極めて低く、全国に倍してその取り組みが求められますが、道路特定財源の見直しについて知事の率直なお考えをお伺いしますとともに、この見直しの動きに対し今後高知県としてどのような取り組みが必要と考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、室戸海洋深層水についてお伺いいたします。本県は全国に先駆け10年も早く海洋深層水研究に取り組んだ最先端県でありますが、全国で進められる取水計画やそのプロジェクトは、都市圏に近い立地やユニークな事業計画など、本県にとっては大変な危機感であります。例えば、新たな取水が始まった三浦半島や年内に取水開始となる焼津、また千葉県農林水産部では鴨川沖の深層水を既に調査され、首都圏に最も近い立地優位性を生かして新しい海洋産業と位置づけ、PFI導入など視野に入れての取り組みが始まっております。さらに、本県に次いで研究をスタートさせた富山県では、深層水のエネルギー利用の研究に伴うその取水技術の工法実験に取り組まれるが、1日当たり100万トンクラスの取水を検討に入れるなど、深層水を取り巻く環境は急激に変化しております。 こうした深層水の全国各地で取り組まれるプロジェクトにどう対応していくのか、その基本的な方針を早急に明確にされるとともに強力なリーダーシップをお願いするものでありますが、知事に全国的な海洋深層水における御認識とその基本的な対策について御所見をお伺いします。 室戸海洋深層水を使った県内産の深層水商品の昨年の年間売上高が100億円を突破しました。その関連の企業や売り上げ状況はと申しますと、企業分水がスタートした平成8年には8社で1億9,000万円、9年が24社で13億2,000万円、10年が31社で26億5,000万円、11年が54社で39億円となり、昨年は74社で105億5,000万円との急成長であります。しかも、県外での生産商品を加えますと200億円に近い産業となっております。深層水事業における投資効果がこれだけ上がったのは、各企業の御奮闘はもとより県の推進されてきた深層水施策を評価するものであります。知事が先頭に立ってそのブランド化に取り組み、今では全国に誇る日本の川としてその人気と信頼を集めた清流四万十川の足元にやっと近づいたといった感じに受けとめております。 しかしながら現状を直視しますと、全国どこでも取水できる時代になったことや海洋深層水の魅力や効能が周知されたこと、また深層水商品があふれるくらい多くなってきたことやだれでも自由に海洋深層水を入手できる状況になったことなど、全国的な事業展開やフリーな深層水といった環境に大きく変化しました。こうした競争の時代にあって、他県との競合にどう戦略を立てるか。従来は海洋深層水を企業や消費者に売り込むことを重視し、今後はいかに室戸海洋深層水の特異性、ブランド性を強調し、そのことを売り込んでいく施策に方向転換をするかであります。 これまでは、海洋深層水の魅力とその商品のPRを主体に取り組んできました。こうした過程の中で作成された県のブランドマークも定着し、室戸海洋深層水の区別化も徐々に図られていますが、海洋深層水の研究とその利活用は領域のないすばらしい素材である一方、どのようにでも利用できる資源であることから、ややもすると深層水といったネームバリューを利用した便乗商品がはんらんしかねない状況にあります。こうした環境の中において、室戸海洋深層水の特異性とその魅力をどのように持ち出していくかであります。そのキーワードは、1つには取水場所の魅力的な環境、2つには正直で安心のできる商品、3つにはまがいものの排除ではないかと考えます。 具体的に申しますと、第1の環境面では、太平洋に突出した室戸岬は黒潮の恵みを産業として生活を営む昔ながらの漁師町で、工業地帯など汚染環境の全くないエリアであること、また全国で最も早く取水を始めた基地であり、多くの人材や技術を育てたメッカであること。こうした取水地の環境をPRするために、現地でのイベントや会議など開催をし、多くの人に来てもらい現場を見てもらうことでありますが、そうしたことを目的に、国際的な海洋深層水祭りに取り組んではどうか。このことで、深層水事業に取り組む世界の企業や研究者、自治体関係者など、世界を結ぶ深層水の拠点としての環境アピールにもなろうと思いますが、国際海洋深層水祭りについての知事の御所見をお伺いします。 第2に、正直で安心できる商品とまがいものの排除についてでありますが、清涼飲料水、酒類、塩干物など現在40品目にも上る商品づくりが行われていますし、これらの企業数は98社を数えるまでになっています。これらの商品の信頼性を高めていくことが室戸海洋深層水のブランド化を図ることになります。 そこで海洋局長にお尋ねしますが、こうした商品に対し県のブランドマークを付与する場合、どういった指導をしているのか、またブランドマークを付与した後どのような商品チェックを行っているのか、お伺いいたします。 また、現在の県の深層水マークは識別マークでありますが、さらにそのブランド性を高めるために、成分表示など基準を明確にした認証マークとしてその信頼性を高める必要性があると考えるが、その取り組みについてお伺いします。こうした取り組みを基本に、より広い分野における商品づくりを推進し、全国シェアをいかに高めていくかといったことが今後の勝負となります。ついては、海洋深層水の研究を病院や福祉施設、果樹や畜産などの試験場、森林総合センターなど行政機関も大いに活用するなど、より多くの新たな研究にも積極的に取り組み、フィールドへの持ち込みを全国に先駆け展開していくことが求められると思うわけでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、高知県立実践農業大学校に関係してお伺いします。高知県立実践農業大学校は、昭和47年に伊野町で開校され、昭和55年には中山間地域の農業後継者づくりを目指して窪川校を設置し、現在までに1,264名の卒業生を送り出しておりますが、少子化に伴う学生数の減少や農業大学校を取り巻く環境の変化など厳しい環境下にあります。このたびの条例改正は、昨年3月に設置された高知県立実践農業大学校あり方検討会の提言を受けてでありますが、新体制の構想は、実践農業大学校の養成部門を統合し、その定員の変更と、校名を高知県立農業大学校に改めるものであります。検討会の提言は、企業的経営や法人化を目指していく若い農業経営者を育成する必要性、また地域農業のリーダーを育成するための県の積極的な取り組みの堅持などが示されており、単に学生が減少したといった目先の対策を言っているのではなく、将来の高知県の農業を担う優秀な後継者を一人でも多く輩出するためのものであることは言うまでもありません。知事はこのようなあり方検討会の提言をどのように受けとめられ、新しい高知県立農業大学校の未来をどのように描こうとしているのか、その御所見をお伺いします。 また、名は体をあらわすと言われるように、校名は学生の誇りであり、その理念は校風としていつまでも培われるものですが、校名を高知県立農業大学校に改めるに当たってどういった議論が交わされ、どういった見解のもとにまとめられたのか、あわせてお伺いします。 また、実践農業大学校の現窪川校の土地利用についてでありますが、現在、実践農業大学校窪川校では学生を育成する養成部門と農業者等の生涯教育としての研修部門が実施されていますが、新体制下の窪川については研修部門の拠点として生まれ変わる方向であります。新体制への移行に伴い、現在の窪川校の土地利用については地元窪川町で委員会を立ち上げて年内を目途に計画をつくるとのことでありますが、県としてその活用についてどのようなスタンスで取り組んでいくのか、お伺いいたします。 最後に、ISO認証取得への取り組みについてお伺いをいたします。御案内のとおり、ISO 14001は国際標準化機構が定めた環境マネジメントシステムの国際規格で、その序文には「この規格は世界じゅうすべての地域のあらゆる種類と規模の組織に適用できる」とあります。したがって、この国際規格を認証取得しようとする組織は環境マネジメントシステムを構築し、その規格の要求事項を満たせばよいということになります。また、ISO 14001は環境活動に関する具体的な数値等を求めているわけではありません。各組織がみずから定めた環境方針を経済的、技術的に可能な範囲内で達成することによって、おのおのに独自の方法で環境負荷の低減に自主的に取り組むことを求めているものです。 既に県庁は昨年2月にISO 14001を取得されていますのでおさらいといったことにもなりますが、環境マネジメントシステムの概要を簡単に説明しますと、組織がみずから環境方針及び目的を定め、その実現のための計画を立て、それを実施及び運用し、その結果を点検及び是正しさらに次のステップを目指した見直しを行うという、1に計画、2に実施・運用、3に点検・是正、4に見直しといった4つのサイクルを確立し、そのことによって環境マネジメントシステムを継続的に向上させ、環境に与える有害な負荷を減少させることをねらいとしています。 さらに、ISO 14001認証取得は、組織の規模、職種などに全く限定されないことから、全国の自治体を初め企業や教育・研究機関、発電施設、廃棄物処理場、デパート、コンビニなどでその取得を進めており、業種は限りなく拡大されております。認証取得の効果としては、環境に配慮した物品の優先購入や業務のグリーン発注を通じて環境意識を市民や事業者にアピールすることや効率的な省資源、省エネルギーなどによるコストの低減、環境問題への迅速な対応、環境リスクの事前回避などが挙げられます。これらの効果を考えますと、環境がキーワードになっている21世紀において最も重要視して取り組むべき課題であると思います。 そこでまずお伺いしたいのは、既に取得されている県庁でのISO 14001認証における職員や県民の声はどうか、また意識改革やコスト削減の効果はどうか、文化環境部長にお伺いします。 また、本県におけるISO 14001の認証取得の状況は他県の状況と比較してどういった状況なのか、あわせてお伺いします。 地球的規模で環境の問題を考えますと、酸性雨やオゾン層破壊、また地球温暖化や海洋汚染、有害廃棄物の越境移動など、人類を初めとする生命体の生活を脅かしており、その解決には公平かつ透明で普遍性のある国際的なルールが必要であり、その意識の高揚が求められています。こうした視点に立ちましても、できる限り多くの自治体や企業、農林水産業などの職場やフィールド、公園や交通機関などあらゆるところでの取り組みを推進することにより、県民の意識も大きく改革されるものと考えられます。 しかし、ISO認証取得は申請書類の作成など煩雑多量な事務や経費の問題、さらには認証取得の維持など、一定の知識ある事務職員や費用の確保が求められ、だれでもどこでも始められるといった環境ではなく、これらが認証取得が進まない原因となっています。これらの課題を克服し、こうした取り組みを本県の新しい社会システムとして県下に広めていくためには、ISO 14001の趣旨を広く県民に啓発するとともに、個人事業者や小グループ単位であっても、環境保全に取り組む意欲があれば低コストかつマニュアル化した手続によって実行可能な本県独自の仕組みづくりや、生産から流通、販売間でのネットワークの構築など、具体的な取り組みも今後必要になってくるのではないかと考えます。 幸いにして、県環境保全型畑作振興センターがISO 14001を認証取得しており、この環保センターの取り組みを軸にして農業分野での具体的な取り組みが計画されているとお聞きしておりますが、この構想の内容と他の分野への波及を含めた今後の方向について知事の御所見をお伺いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 植田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、私の取り組もうとしたタブーへの挑戦の意味とそのことに当時取り組めなかった状況、またその後も今日に至るまでこの問題に十分取り組めなかったことなどにつきましてお尋ねがございました。あわせてお答えをさせていただきます。 タブーへの挑戦と申しましたときのタブーの意味は幾つかございましたが、同和対策に関しましては、同和団体、またその一部幹部の行き過ぎた行政への介入を改めていきますことが挑戦の意味でございました。ただ、私は従来からバランス感覚を重視いたしますので、この10年間も県内の現実とみずからの理想との調和を前提にさまざまな改革を進めてまいりました。このため、みずからの費やすエネルギーを考えましたとき、その時期にタブーに挑戦をいたしますことが全体として県のためになるかどうかを考えました結果、今申し上げましたバランス感覚の中でタブーへの挑戦という項目を削除することにいたしました。昨年の県の体育協会の会長の人事をめぐりましても、私みずから記者会見をしなければだれも口を開かないといった経験を振り返りましたとき、知事就任後間もない時期にタブーに挑戦をいたしましたときどのような状況が生まれたかは容易に想像できるような気がいたします。 こうした事情でございますので、タブーへの挑戦がおくれました責任はもちろん私にございますが、このような状況に気づきながら何十年にもわたってそれを許してきた多くの関係の方々にも責任の一端は感じていただかなければならないと思います。少なくとも私は、こうした反省に立ちまして、今回思い切った改革に乗り出しております。 次に、御質問の順番とは少し異なりますが、引き続き知事の座にとどまるとの判断をいたしました要因や時期、さらにはそのことの説明をどう進めていくのかとのお尋ねにあわせてお答えをいたします。先日の記者会見でも申し上げましたが、最後の最後まで思いは揺れ動きましたので、会見でそのことを口にいたしましたときがまさに最終的な決断のときに当たろうかと思います。またそのことを決意させました要因は、県民の皆様からのさまざまな声でございました。そうした声を受けまして、ここで知事の座を投げ出してしまうのはかえって無責任な態度につながると考えました。 また、これまでも、広く県民の皆様に参加を呼びかけました県政フォーラムを開きまして、今回の事件の経過やそれに対する県の対応、さらには自分自身のかかわりと責任の受けとめ方についてもお話をしてまいりました。こうしたフォーラムや議会での御議論など、私に寄せられましたさまざまな御意見を受けましてみずからの身の処し方を決めましたときにも、会見を開きまして記者の皆さん方の質問にもお答えをしております。さらに、今議会の提案理由の説明の中でも私の思いは述べさせていただきましたので、その点では一定の説明責任は果たせているのではないかと考えております。 続いて、元副知事を初めといたします関係者の逮捕や処分を受けた職員のこと、さらには副知事の辞任や多額の焦げつきなど、さまざまな責任をどう受けとめているのかとのお尋ねがございました。従来から申し上げておりますように、私は任命権者としての責任や管理監督の責任を負う立場にございますので、一つ一つのことを積み上げてみずからの責任を判断したわけではございません。 次に、今回の私の減給処分についてお尋ねがございました。今回の一連の問題に関しましては、当然のことながらみずからの責任は十分に痛感をしておりますし、県議会並びに県民の皆様方に対しましても申しわけない気持ちでいっぱいでございます。ただ、これまでの政治家の責任のとり方は過去の出来事に対しまして何らかの処分をしたらそれで終わりというのが当たり前でございましたが、今回は、今後いかに県政改革を進めていくかという将来への責任が大きな課題になっております。このため、処分をもって終わりという従来型の手法ではなく、今後の県政改革がどう進んでいくかを県民の皆様に見守っていただくといった新しい形の責任のとり方をお示ししたいと思いまして、こうした処分を選択いたしました。 次に、減給の幅に関しましてもお尋ねがございました。私の処分に対する受けとめ方はさまざまあろうかと思いますし、減給の幅も責任を推しはかる上では議論の大切なポイントの一つだと思いますが、それと同時に、多くの県民の皆様は、県政改革を今後どう進めていくのかという前向きな議論を今望んでおられるのではないかと思います。また、先ほども触れましたが、今回は過去に起きましたことの責任をとるという意味だけではなく、将来に向けて県庁を改革していくといった責任の重みを常に忘れないために、今の任期中この措置を続けることにしております。 続いて、なぜ出直し選挙という道を選ばなかったのかとのお尋ねがございました。このことに関しまして私は、先月開きました県政フォーラムなどの中でも、私が任命をし、ともに仕事をしてきた元職員らが拘留をされ取り調べを受けております中で、自分一人辞職をして出直しをしました、みそぎを済ませましたというのは自分の生き方には合わないといった思いを申し上げましたが、その状況は基本的には今も変わっておりません。また、今、失われました県民の皆様の県政への信頼を取り戻すための改革の取り組みは、長い空白を許さないほど緊急の課題ではないかと思います。実際のところ、今月1カ月は予定しておりました公務をキャンセルいたしまして、過去の県政の問題点の調査と検討や職員との意見交換に費やしましたが、そのことから今後の県政改革に向けまして多くのことを学ぶことができました。ただ、こうした現実的な理由だけでなく、私は、御質問にもありましたように、辞職に値すると判断したならばその者は潔く身を引くべきであって、出直しをしてまでその座にこだわるべきではないと考えております。 次に、再スタートに当たって、まずみずからの胸襟を開くべきだとのお尋ねがございました。そのお言葉は大変ありがたく受けとめさせていただきますし、知事である私にそこまで大きな期待をかけてくださるお気持ちにも心から感謝を申し上げます。これからもなお一層胸襟を開くように努めてまいりたいと思います。 次に、副知事の辞意をどのように受けとめたのかとのお尋ねがございました。昨年4月に吉良副知事に就任していただきまして以来、県政改革をともに進めていくという立場で大変多くの手助けをしていただきました。このため、今回辞任の申し出を聞きまして大変残念に思いましたし、当然のことながら強く慰留に努めました。しかし、同和対策から商工政策と今回の事件の背景や経過にかかわってきたという経歴から、一定の時期にけじめをつけたいという思いを強く持っておられましたし、辞意そのものも大変かたいものがございましたので、その意を受けとめることにいたしました。 次に、地元紙の連載記事につきましてその感想をお尋ねいただきましたが、知事という職責にございますことから、感想を申し上げる立場ではないと考えております。 次に、直貸しなどの手法によります県単独の融資についてお尋ねがございました。これまでの調査では、御質問にありましたいわゆるやみ融資と言われるような融資はこの5件以外に該当するものはございません。また、この5件は公益性の観点からはそれぞれ質の異なるものでございますが、いずれも議会や県民の皆様に説明ができていなかったという点では大いに反省すべきだと受けとめております。このため、今後は県が独自に企業に直接資金を貸し付けるようなことはしないことにしておりますし、情報公開の徹底によりまして二度とこのようなことが起きませんよう対応をしてまいりたいと思います。 続いて、62年のとさいぬ保存登録協会を経由いたしました融資についての一連の御質問にお答えをいたします。御質問にありました関連の書類は、詳しい日にちまでは覚えておりませんが、ことしの春ごろ、この融資に問題性を感じました時点で商工労働部から取り寄せました。その内容は、昭和62年当時の決裁文書や貸し付けの要綱などでございます。また、この書類を見て、これが今回の事件の一つのルーツだと思いましたし、こうした経過がありましたために闘犬センターから再度の貸し付けを求められる事態になったのではないかと感じました。 次に、弘瀬氏と県との癒着の構造やその原因の究明についてお尋ねがございました。先ほども申し上げましたが、その要綱などを見る限り、モード・アバンセへの融資は62年の融資の手法をそのまま踏襲しておりますので、その点ではルーツまたは原型と言えるのではないかと受けとめております。こうしたこともありまして、弘瀬氏と県とのかかわりにつきましては各部局に現在調査を指示しております。 次に、モード・アバンセに対します貸付金の回収についてお尋ねがございました。担保物件の価値がその現状からいたしまして債権額に比べて大幅に不足しておりますことや、連帯保証人の現在の資力からいたしまして全額の回収は厳しいものと認識をしておりますが、現時点では精いっぱいの債権回収に努めていきたいと考えております。 次に、つなぎ融資の依頼文についてお尋ねがございました。担当課からの報告によりますと、一部決裁内容が不明な時期もございますが、担当者が依頼文を起案いたしました後、商工労働部長もしくは所管の課長の決裁によります部長名の公文書で、平成8年度の末まで毎年つなぎ融資の依頼を行っております。 次に、職員の情報公開に対する姿勢と今後の意識改革についてお尋ねがございました。情報公開に関します職員の姿勢に対しましては、100条委員会の委員長報告でも厳しい御批判をいただいております。今後は、100条委員会といった特別な場合に限らず、日常の仕事の中で一人一人の職員が情報公開を当然のこととして受けとめますとともに、進んで情報提供に努められますよう意識改革を進めていきたいと思います。 次に、みずからの姿勢を反省して申し出た職員はいないか、またそうした呼びかけはしたのかとのお尋ねがございましたが、私からはそうした呼びかけは行っておりません。また、関係した職員はそれぞれの立場で与えられた仕事を懸命にこなしてきたと思いますが、今振り返ってみますと反省すべき点があったとそれぞれの職員が感じていると思いますし、そうした反省の声も聞いております。 次に、高知新港の建設と弘瀬氏との関係に対しまして御質問がございました。新聞の記事にございました4億円云々の話は初耳でございましたが、担当の部局が当時新港建設の業務に携わっておりました職員に聞き取り調査をしました結果でも、これまでのところその裏づけになるような話は聞けておりません。また、県といたしましては、新港の建設に関しまして弘瀬氏との間で何らかの約束があるとの認識はございませんので、このことが今後の新港の整備に影響を及ぼすことは現時点では考えられません。 次に、決裁のあり方についてお尋ねがございました。御質問にありました平成4年当時は、平成7年に事務処理規則が整備されます前でございましたので、今と比べますと格段に多くの決裁書類が私の手元に回ってきておりました。こうした中で、内容を十分に確認できないまま決裁をしたものと思いますが、その点は深く反省をしております。一方、これまでは内容に関係なく金額によって一律に定めておりましたものを内容によって知事決裁にいたしますなど、この4月に再び事務処理規則を改正いたしました。今後は、私の決裁権限も含めまして、庁内におけます権限と責任の一層の明確化に向けましてさらに検討を進めてまいります。 次に、高知流通情報サービスに対します直貸しについてお尋ねがございました。高知流通情報サービスの設立に際しましては、日本開発銀行からの無利子融資を受ける計画で進めておりましたが、土地が高知卸商センター協同組合の所有でございましたことから、担保不足を理由に最終的にはこの融資を受けられなくなったという経緯がございました。こうしたことから、県といたしましてもやむを得ず、平成2年度から単年度の返済によりまして1億 6,000万円の融資を行っております。この後この貸付金は、平成9年2月のホストコンピューターの更新と財務体質の改善のための増資を機会に全額県に返済されております。高知流通情報サービスの設立の趣旨からいたしましても、融資そのものは十分公益性があったと判断をしておりますが、議会や県民の皆様への説明責任が果たされていなかったという点につきましては、大いに問題があったと受けとめております。 次に、地方交付税や道路特定財源の見直しを初めといたします現在の国の取り組みの姿勢やその手法に関してお尋ねがございました。現在の財政状況を見ますと、国と地方を通じました負債の残高が本年度末には 666兆円にまで膨らむ見通しになりますなど、まさに危機的な状況に直面しております。このような状況の中で、思い切った財政構造の改革は避けて通れない課題となっております。こうした課題を解決していきますために、これまでの既得権益にとらわれずに抜本的に構造改革を進めようとしております現在の政府の姿勢には共感を覚える部分もございます。 しかし、地方交付税の見直しなどの議論を見ておりますと、地域の住民の生活に直接的な影響を及ぼす可能性が大きいにもかかわらず、そのことが十分に説明されないまま大上段からの改革論議がひとり歩きしているとの印象をぬぐい切れません。また、道路特定財源をめぐる議論を見ましても、本県を初め社会基盤の極めて脆弱な地域がまだ数多く残されているという現実を直視した議論をしていただきたいという思いを強くしております。今後、改革が本当の意味で地についたものになりますためには、国民に十分な説明がなされました上で議論が進められるべきだと思いますので、国に対しましてそのような働きかけをしてまいります。また、本県といたしましても、県民の皆様に一連の制度改革に伴う影響などに関しましてできるだけわかりやすく説明をしていきたいと考えております。 続いて、地方交付税の段階補正の見直しの議論の背景に市町村合併を進めていこうという考え方が見え隠れしているのではないかとのお尋ねがございました。段階補正の見直しは、そもそも地方財政制度の抜本改革に関します議論の中から出てきたものでございまして、本来市町村合併と関連づけて議論されるべきものではないと考えております。 次に、地方財政制度の改革についてお尋ねがございました。地方分権改革の積み残しの課題となっております税財源のあり方に関しましてその基本的な考え方は、まず住民のサービスと密接にかかわります仕事は地方に任せました上、それに必要な財源も思い切って地方に移譲することだと思います。それによって国は地方への関与に費やしてまいりましたコストを削減することができますし、地方も住民のニーズに応じました効率的で効果的な行政サービスの提供が可能になります。 また、税源を移譲いたします際には、税源が偏在をしておりますために地域間の格差が拡大することも考えられますので、どの地域でも適正な公共サービスの水準が保障されますよう、地方交付税のような財源調整の仕組みも引き続き欠かせないと考えております。もちろん、このように権限とその裏づけになります財源が移譲されますと、地方自治体に求められます説明責任はより大きなものになってまいります。そのため、意思形成の過程も含めまして住民により積極的に情報の提供を行いますような取り組みや事業評価などによりまして、財源の効果的な活用を客観的に証明していきますような取り組みなどがますます重要になるものと考えております。 次に、道路特定財源の見直しに対しての率直な考え方やこれに対する今後の取り組みについてお尋ねがございました。道路特定財源の制度は、長い歴史の中で全国の道路整備に大きな役割を果たしてきましたが、現時点で幅広い意味での見直しの論議は必要なことだと思います。しかし、この財源を一般財源化して全く違う事業の財源に使うというのならば、もともとの納税者との約束をたがえることになりますので、まず課税そのものを白紙に戻した上で税のあり方として議論するのが筋だと思います。 一方、今後道路の果たす役割を考えますと、大都市では渋滞解消といった課題がございますし、地方では高齢化が一層進みます中で、お年寄りの住宅と医療機関との時間距離の短縮といった切実な問題や中山間地域の生活や産業の支援、さらには国が進めようとしております市町村合併に向けたネットワークづくりなど、政策に占めます重みは決して現在より劣ることはないと思います。にもかかわらず、今回の見直しの議論があたかも大都市と地方との対立の構図かのように語られますことには大いに疑問を感じますし、このことは決して国民全体の利益につながることとは思えません。こうしたことから、今後はこのような議論の中に地方の意見を十分に反映させることができますよう、他の地方の知事とも連携をとっていきたいと考えております。 あわせまして、県や市町村といった役所からの意見だけではなく、実際に道路整備を必要としております地域の皆様方の声がこれからは大切になってくると考えております。例えば、地域の民間団体で組織されました四国のみちを考える会の北川大会のような活動も、地方の道路の必要性を訴えます上で重要な取り組みでございますので、県といたしましてもこのような地域からの声を生かしながら、国や大都市に向けましての情報を発信していきたいと考えております。 続いて、海洋深層水に対します認識や基本的な対策につきまして御質問がございました。お話のとおり、各県での取り組みに加えまして民間企業の取水施設も稼働し始めますなど、海洋深層水を取り巻く環境は大きく変化しようとしております。こうした中、他の地域との競争という点から見ますと確かに大きな消費地から遠いというハンディキャップを抱えておりますが、これまでの官民挙げての努力によりまして全国をリードしてきました結果、室戸海洋深層水の評価は着実に上がってきていると受けとめております。こうしたことから、今後は、1つには産学官の先端的な研究で機能の解明を進めることによりまして科学的に裏づけされたより高度な活用に結びつけていきますこと、また2つ目には室戸海洋深層水のブランドをさらにイメージアップすることによりまして他の地域との差別化を図っていきますことが大切だと考えております。 このためには、商品の信頼性の確保に関係者が努力することはもちろんでございますが、室戸が持つ自然環境を全国に発信していくことも欠かせない課題でございます。このような考え方に立ちまして、地元を初め関連する企業の皆様ともども、海洋深層水の先進県としての歩みを確かなものにしていきたいと考えております。 次に、取水地の室戸市をPRするために、国際的な海洋深層水祭りに取り組んではどうかとのお尋ねがございました。御提案のありましたイベントは、室戸市が海洋深層水のメッカに位置づけられますことにもつながりますし、そこから新たな交流が生まれることによりまして情報を広く発信していけるようになるのではないかと考えております。今後、国や関係団体はもとより地元の室戸市や立地されている企業などの御意見もお聞きをしながら、開催の可能性を探ってまいりたいと考えております。 次に、深層水の新たな研究についてお尋ねがございました。海洋深層水をさまざまな分野で活用してまいりますためには、海洋深層水の特性と機能を十分に把握しました上で、産業分野に応じました基礎研究と応用研究が大切だと考えております。このため、これまで産学官によります室戸海洋深層水の特性の把握と機能の解明や海洋深層水の活用システムの開発研究などに取り組んでまいりました。また、県単独の研究といたしましては、水産分野や食品分野のほか、野菜の生育の促進や牛の肉質の改善など農業分野での研究も行ってまいりました。その結果、栽培漁業での親魚の育成を初め深層水を利用しました清酒や清涼飲料水など、食品産業でも一定の成果があらわれております。 さらに、健康の分野での利用を進めますため、現在栄養学や保健医学の研究者によります産学官の研究グループの組織化を検討しております。今後は、室戸市高岡に整備しております共同研究施設を活用いたしまして、海洋深層水のミネラル調整技術の研究や海域肥沃化の研究など、幅広い視点で研究開発を積極的に進めていきたいと考えております。 続いて、新しい農業大学校の未来と学校名の決定の経過についてお尋ねがございました。実践農業大学校は創立後30年を経過しておりますので伊野、窪川両校ともに施設が老朽化しておりますし、学生数も減少をしております。こうした状況の中ですぐれた農業後継者の確保や育成を図りますためには、学生にとって魅力のある教育内容など根本的な見直しが必要になっております。 このため県といたしましては、あり方検討会の御提言を踏まえまして、関係の機関や地元の関係者の方々の御意見もいただきながら今回の具体的な提案をまとめました。その中で、今後養成部門を集中いたします伊野の校舎では、高い技術力と経営管理能力を持った担い手を育成いたしますために、ゼミの方式を中心としました自主的な学習システムの導入や、大学や試験研究機関との連携によります講師陣や教育内容の一層の充実などに取り組んでまいります。また、研修部門を中心的に担います窪川の校舎では、新規に就農を希望する方々への研修や農業者に対します生涯教育など、研修内容の充実を図ってまいります。こうした取り組みによりまして、経営感覚にすぐれた担い手をはぐくむことのできる教育機関になるものと考えております。 また、校名は、あり方検討会の中で、新しい出発を期するという意味からも検討する必要があるとの御提言をいただいております。これを受けまして、実践を重視しましたこれまでの教育から国際的な物の見方や企業的な経営感覚を持った担い手の育成に比重を移していくという視点で、今回校名を高知県立農業大学校へと変更する提案をさせていただいております。 また、今回の実践農業大学校の見直しに関しまして、窪川校の活用についてお尋ねがございました。窪川校の活用につきましては、農業大学校の研修部門としての活用とそれ以外での利用に関しまして、窪川校活用検討会で検討を行ってまいりました。このうち研修部門の活用は先ほどお答えをしましたとおりでございますが、それ以外の用地の活用につきましては、窪川町が今後新たに検討委員会を設置されると伺っております。このため、そこでの御意見もお聞きをしました上、地元とも十分な連携を図りながらよりよい活用方法を見出していきたいと考えております。 続いて、農業分野でのISOの構想と他の分野への波及を含めました今後の方向についてお尋ねがございました。環境に負荷の少ない資源循環型の社会づくりが求められます中で、農業におきましても環境に配慮した取り組みを積極的に進めていかなければなりません。このため昨年6月にISO 14001の認証を取得いたしました環境保全型畑作振興センターでは、環境に配慮した生産の行程を明らかにいたしますISOの考え方を農業分野に普及させますため、高知県園芸連など農業団体に取得の働きかけを行ってまいりました。その結果、ことし3月には園芸連が認証取得の意思を表明されまして、来年1月の取得を目指しておられます。 しかし、ISOを生産現場に広げますためには、御指摘のとおり、認証の取得に多額の費用がかかりますことや手続が煩雑なことなど幾つかの課題がございます。そこでこれらの課題を解消いたしますため、例えば個々の農家が認証を取得しなくても、農業生産に関するISOの実践計画について環境保全型畑作振興センターと協定を結ぶことによりましてISOを取得したのと同じ効果をもたらす仕組みができないかなどを検討しております。また、このような生産現場での取り組みとあわせまして、運送会社や市場にも認証取得を働きかけることによりまして、将来的には生産から流通、販売までをISOで結ぶ構想も検討しております。 今後、こうした取り組みを進めることによりまして本県農業のイメージアップを図りますとともに、消費者に選ばれる産地づくりを目指してまいります。また、このような考え方を畜産など他の分野にも波及することができれば、高知県の環境保全への取り組み姿勢を全国により強力にアピールすることができると考えております。 私からは以上でございます。   (副知事吉良正人君登壇) ◎副知事(吉良正人君) 御質問にお答えをする前に、一言おわびを申し上げます。昨年2月県議会におきまして議員の皆様から副知事として御同意をいただきながら、その職責を果たせないままこのたび辞任をさせていただくと、こういった事態に至りましたことを心から深くおわび申し上げます。 それでは、私が辞任を決意いたしました経過と真意などに関する2つの御質問にあわせてお答えをいたします。私が昨年4月に副知事に就任して以来、一連の融資問題に対する100条委員会の調査や司法当局の捜査が続けられてまいりました。そして、当初は想像もできなかった展開となりまして、現職職員の逮捕や元幹部職員の逮捕・起訴といった本当に心の痛む事態に至りました。私としましても、これまで同和対策の業務や高度化の融資の業務にかかわった者としまして、また現在副知事として、この事態を非常に重く受けとめをいたしました。どう責任を果たすべきか思い悩んでまいりました。こうした中で、胸のうちを親しい方に漏らしたことはございます。また、副部長昇任祝いの件につきましては、公務員として批判を免れないことでありまして、深くおわびを申し上げます。このことも辞任を決意いたしました誘因ではございますが、主な理由ではございません。 先ほども申し上げましたように、私は、これまで同和対策や商工政策の業務を通じまして団体の対応や融資にかかわってきたこと、また現在副知事として事務方の責任者であること、さらに時期といたしましては一連の融資に関しまして一定の区切りがつき今議会が節目の議会でありますこと、こういったことを考え合わせますとこの際けじめをつけるべきだと、そういった思いから私自身で辞任の決意をいたしました。大変困難な時期に御迷惑をおかけいたしまして心苦しい限りではございますが、何とぞ御理解を賜りますようお願いをいたします。 以上でございます。   (総務部長池田憲治君登壇) ◎総務部長(池田憲治君) 国で進められています構造改革と本県が取り組んでおります第2次財政構造改革との関係についてお尋ねがありました。 地方交付税制度に関しましては、国の交付税特別会計の借入金が急激に膨らみつつある状況などを背景にいたしまして、昨年の政府税制調査会での議論を初め、近年そのあり方をめぐる議論が活発に行われています。こうした地方財政全般をめぐる議論が本県の財政に与え得る影響ははかり知れませんので、昨年12月に取りまとめました第2次財政構造改革の取り組み方針にも、本県がみずからの行財政運営のあり方をまず見直し、その上で国に対しても制度のあり方について強く訴えかけていこうという思いを込めております。 ただし、地方交付税制度の見直しの結果がどのようなものになるかは現段階ではわかりませんので、財政収支の将来推計には具体的な形や数字では反映させていませんが、本県の本年度当初予算の36.2%が地方交付税であるということを考えますと制度の見直しによる影響は大きく、その方向いかんによってはこれまで想定していたよりも収支不足額が拡大するおそれもございます。本県といたしましては、予算のスリム化と質の向上に引き続き全力を傾けますとともに、国に対しましては制度改正をめぐる議論が地方の実情を踏まえたものとなりますよう強く働きかけてまいります。   (海洋局長星沢昭雄君登壇) ◎海洋局長(星沢昭雄君) 海洋深層水商品に対します県のブランドマーク、また認証マークにつきましての御質問にあわせてお答えをいたします。 ブランドマークの表示は、御指摘のとおり、消費者に室戸海洋深層水を使用した商品として識別していただくためのものでございます。このことを明確にいたしますため、商品ラベルなどに深層水をどういった製造工程に使用しているかを表示していることを確認の上、使用を許可しております。また、許可後におきましては、商品の発売に際しこうした条件のチェックをしておりますが、なお今後は深層水の適正使用を確認いたしますため、製造用の分水を行っております室戸市と連携いたしまして給水状況の把握に努めてまいります。 また、認証マークにとの御提案がございました。この認証制度は、消費者が品質などを確認できるよう目安となる基準を定め、これに適合した商品に対しマークなどを付与していくものでございます。一方、海洋深層水を使用した商品はさまざまな創意工夫により開発され、お話のとおり現在40品目に上っておりますが、同じ品目でも海洋深層水の使用量や使用方法などは独自の工夫がなされております。こうした実態から、海洋深層水を使った商品のための深層水に係る明確な基準を設けることは困難であると、このように考えております。 しかしながら、現在のブランドマークの信頼性を高めていくことは大変重要なことでございますので、今後関係法令で義務づけられています内容以上の成分表示のあり方といったことを製造企業で構成しています高知海洋深層水企業クラブに提案いたしまして検討していただきたいと、このように考えております。 以上でございます。   (文化環境部長松村勝喜君登壇) ◎文化環境部長(松村勝喜君) ISO 14001に関しまして2点御質問をいただきました。 まず、認証取得についての職員や県民の反響と意識改革やコスト削減の効果についてでございます。本県では、平成10年7月に高知県環境保全率先行動計画を策定いたしまして、県みずからが率先をして環境保全への取り組みを始めました。出先機関を含めまして数値目標を設定し、エコオフィス活動として取り組んでまいりましたが、平成12年2月に本庁舎、西庁舎、北庁舎につきまして環境に関する国際規格でありますISO 14001の認証を取得し、さらに徹底した取り組みを進めているところでございます。認証取得当初は職員から、ISOのために面倒くさいことをやらされているといった声もありましたし、昼休みに部屋の照明を消したりコピー用紙は裏面も使用するなど具体的な取り組みにつきまして問い合わせや不満もございました。また、県民の皆様からも、来庁された際に廊下の照明が暗いといった御指摘もいただきました。 しかしながら、認証取得から1年余り経過した現在では、環境保全のために率先して取り組んでいこうという意識は職員の間に浸透、定着していると考えておりますし、県民の御理解も徐々にいただくことができまして、今はこうした取り組みがさらに市町村にまで広がっていくことを望む声もいただいております。コスト削減等の効果につきましては、率先行動計画などがまだ策定されていなかった平成9年度とISOの認証取得後約1年経過いたしました平成12年度とを比較してみますと、一定の効果が見られます。例えば、コピー用紙購入量で見ますと約33%の削減、水道使用量で見ますと約20%の減、電気使用量では約15%の削減となっております。金額ベースで換算いたしますと全体で4,000万円近くのコスト削減という結果が出ておりまして、環境保全の取り組みが経費の節減にもつながっていると考えております。 次に、本県のISO 14001の認証取得状況について他県と比較してどうかというお尋ねがございました。ISO 14001の認証取得状況につきましては、財団法人日本適合性認定協会がホームページで全国の状況を公開しております。実態は必ずしも取得件数をすべて把握したものとはなっていないようでございますが、それによりますと、ISO 14001の認証取得件数は本年6月20日現在で全国で5,419件となっております。そのうち高知県内の認証取得数は県庁も含めまして17件でございまして、他の四国3県で見ますと徳島県が11件、香川県が28件、愛媛県が33件となっております。ISOの認証取得とその維持管理にはかなりの経費と手間がかかりますことから、県内におきましても、三菱電機高知工場や高知カシオ、NTT西日本など全国的な大企業やニッポン高度紙工業、司牡丹酒造といった地場の企業でも比較的体力のある、また環境保全に対する意識の高い企業が取得しているという状況でございます。 また、全国都道府県の庁舎につきましては同じく6月20日現在、全国の約半分でございます24の都道府県が認証取得をしておりまして、四国では本県に次いで徳島県が取得しております。 以上でございます。 ○議長(東川正弘君) 暫時休憩いたします。   午前11時35分休憩---------------------------------------   午後1時1分開議 ○副議長(森雅宣君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 25番中内桂郎君。   (25番中内桂郎君登壇) ◆25番(中内桂郎君) 議長のお許しをいただきましたので、清流会・公明を代表いたしまして通告順に質問をさせていただきます。 今、県政を取り巻く状況は極めて厳しいときであり、質問も辛口の質問があるかもわかりませんけれども、御理解をいただきたいと思います。 まず最初に、知事の政治姿勢についてお伺いをいたします。私は、今議会の橋本知事の所信表明を重視してまいりました。知事はみずからの進退について、引き続き知事の座に踏みとどまって県政改革を力強いものにしたい思いを強調され、続投を表明されました。思えば昨年2月定例会でやみ融資問題が取り上げられ、その解明のため地方自治法100条による特定の協業組合に対する融資問題等調査特別委員会が設置され、1年余にわたるその調査結果が去る5月30日に臨時県議会に報告をされました。改めて御苦労されました委員の皆さんに深甚の敬意を表したいと思います。 この報告を受けて議会においては、「やみ融資事件について知事の責任を問う」、「問題の根本悪を断て」、「部落解放同盟の圧力に屈服、迎合した県の姿勢に根本問題がある」、「執行部の責任で真相究明を図るべき」等々、知事の責任問題と改革の対応について臨時議会では結論はできず、議長声明で幕を閉じました。この6月定例会の知事の意思表示の所信表明に期待し、その動向に心を注いでまいりました。やはり、臨時議会で議会人として何らかの決議が必要だったと私は反省をいたしております。だからこうした経過から、知事の続投表明は一定の評価をせざるにはいかないと思うのであります。 しかし、一定の評価は評価としても、所信表明を聞いて素直なところ私はがっくりいたしました。余りにもクール過ぎて、本当に反省の念に立った心なのか、議会や職員や県民に続投への思いが伝わらなかったように思うのであります。県民の信頼回復へのスタートにしては期待を裏切られた内容で、まことに残念に思ったのは単に私だけではなかったと思うのであります。知事として決断に至るまでには随分と苦悩された日々だったと思います。だから余計に、みずからの心情をも語ってほしかったし、知事として政治家としての判断はここにあったと、その根拠を県民に対して納得がいく語りが欲しかったとも思いました。何よりも、やみ融資の債権回収策には一言も触れずじまいだった。26億円余の回収策は、県民が、議会が一番注視した焦点だったからであります。 さて、その身の処し方は、県民サイドからは続投、辞任、出直し等の声もたくさん聞かされてまいりました。私自身は、知事みずから辞して県民に信を問うべきことが一番よかったのではないかと思っておりました。また、私どもの会派は、辞職勧告が正当だと一致した考えでありましたが、質問戦を終えてから会派としての対応を検討することといたしております。 ところで、知事は、一連の問題責任を重く受けとめて、給料減額による続投が多くの県民の皆様の思いにおこたえできる道であると決断を力強くしたが、一方では幾つかの反省点も挙げております。その中で、問題の最大の反省点は説明責任が徹底されていなかったことを指摘していますが、私は一番反省されなければならないのは、融資行政、とりわけ貸付業務の正常なシステム化の欠如が最大要因であると考えるのであります。また、知事が指摘をする「過去のしがらみに決別して」とありますけれども、そのことに対してもどう対応していくのか具体的決意をもってしかるべきだったと思うのであります。所信表明は全体的に総花的な内容表現でありますが、知事の続投への強い思いは私なりに真摯に受けとめるべきだと思っております。 しかし、県民の中には、知事の責任のとり方には疑念を持つ人たちもたくさんおります。例えば、「政治家としての判断は別にあったと思う。けじめをつけて県民の審判を受けるべきだ」とか、「公務員は考えが甘いが、知事が一番甘いではないか。教職員の飲酒事件には厳しいが、知事は軽過ぎはしないか」、また「商銀事件と比較すべきである」、「余りにも県庁不在が多いではないか」等々たくさんの厳しい生の声を聞かされてまいりました。反面、「改革は現知事に託してさらに前進させよ」、「知事をいじめるな。知事に頑張れと伝えてくれ」とか、「県議会もちゃんと政治判断をせよ」等々よく聞かされてまいりましたことも事実でございます。 そこで、知事にお伺いをいたします。まず、みずからの身の処し方として給料20%カットで29カ月の減給処分で続投は甘い処分とも受け取れるが、辞職を選択しなかった最大の要因は何であったのかをお聞きしたいと思います。 また、この処分は副知事がやめて知事が続投の図式だが、このことが処分判断に影響しなかったかどうか。商銀事件と今回のやみ融資事件との重みは格差が大きいが、どう考えるのか。続投することの懸念が職員や県民にあると思うが、どう理解をしてもらうのか。職員の意識や士気の低下の回復策、職員の裁量権問題が与える影響、不協和音にある県職員組合との関係打開は、等々についてどう考え対応するのか、お聞きをいたします。 何よりも、県民に与えた行政不信への信頼回復は、よほどの覚悟と強いリーダーシップが求められるが、その決意はどうか。これらのことについて知事の見解とその決意をお伺いいたします。 ところで、知事は所信表明の中で、県政への信頼回復を基本とした県庁改革に取り組む決意も強調されました。事件の反省として、積極的な情報公開の推進、県庁の意思決定のプロセスの公開、情報公開度を県民にチェックしてもらう、融資制度や人事制度の抜本的な見直し等の改善策を具体化していくことを表明されました。人間として、あるいは組織として絶体絶命のピンチに追い込まれたとき、そこで逃げるか挑むか、どう立ち上がるか、自分の憶病との闘いであったと思います。知事は毎日のように悩まれ苦しんだと思いますが、厚い壁はよそにあると思っていたことが、いざ決意してみると自分にあったことに気づかれたのではないかと思います。 そこで、知事がそうした思いの中で勇気を出されておると思いますから、あえて私はここで幾つかの提言や改革についてお伺いをさせていただきます。 まず最初に、やみ融資の債権回収については、県民も心配し関心も高いのにもかかわらず、冒頭での説明で一言も対応策等を示さなかったのはなぜなのか。 また、行政処分が及ばない退職者28人の元職員に対しても責任を十分に受けとめてもらえるような対応をしていくと呼びかけているが、このことはいずれ債権回収にもかかわるものと理解してもよいか、知事の所見をお伺いいたします。 2点目に、融資制度については改革が最優先される課題だと思っております。特に金額の大きくなる融資は商工労働部、農業経済課、林業振興課、水産振興課であるが、知事は所信表明で今後県の単独融資は行わない方針を示したが、制度融資は続行するものと私は理解をしたところでございます。特に、高額の融資を取り扱う商工労働部について多額の不良債権が発生したが、今後このような事故を起こさないためにどうするか、これをまず最初に聞きたいと思います。これは単に情報公開するだけで解決されるものではないと確信をいたしておるところでございます。 近年、社会環境が大きく変化している中で、ましてモラルハザード--倫理観欠如の時代と言われますが、そうした上に立って、融資行政のあり方や融資規定について基本的に見直すことが求められる必要性があるが、どうか。特にその原因を分析すると、第1に、商工労働部の中に行政推進、調査・診断、審査体制という融資を決定する3つの決定要素が一つの部内に併存したために、相互牽制機能が発揮されなかったことが原因と思われるのであります。往々にして行政推進が優位の立場で進行させる嫌いがあるものと思うのであります。少なくとも大口融資の決定に当たっては外部機関に審査を委託するとか、その体制づくりが急がれる必然性を指摘したいと思うのであります。また、それぞれから提出された書類結果に基づいて最終決裁者が判断し、可否を決裁することが最も大切だと確信するが、どう思われますか。 また、適正な融資をするに当たっては、初動調査が重要であることは言うまでもありません。どのような動機によって融資申し込みとなったか明確に記録されていることがまず肝要だと私は信じておりますが、どうですか。 さらに、融資の細部の視点からすると、稟議書の作成によって首尾一貫した記録がされていること。それは、担当者が交代しても記録は連綿として続くものであり、融資先に対しての稟議書は戸籍のごとき証拠書類となるものであります。 次に、不動産購入に係る融資についても、その価格は公平を期するためにも不動産鑑定士の評価、あるいはそれに準ずる評価証明を徴求することが必須条件であろうかと思います。そして、融資後の担保物件の再評価並びに債権管理が適正であるかどうかと思うのであります。 以上、融資制度について基本的な提言をいたしました。これに対する知事の見解をお伺いいたします。なお、以上のことがまず完全履行されて初めて情報公開される手順でいいと私は思います。 また、この際、一定金額の融資先への監査についてでありますが、融資先には商法上の監査役が定められておりますが、その監査は適正に行われているかについて、監査委員による調査は可能だと私は認識をしております。したがいまして、その融資した金がどのように使われているのか、またその効果はどうか、そして返済は順調かについて立入調査はできると解釈もいたしております。これは極めて専門分野になります。したがいまして、外部監査人制度が発足して3年目を迎えますので、私の要望として、外部監査人の活用などによって貸付先の立入調査をすることが今後の融資行政に生かされるものと思いますので、あえてここで提言をさせていただきます。 そして3つ目には、知事の責任のとり方について、県民やあなたの支持者の方々の中には辞任して選挙すべき、これでよいとのグループに分断されたことについてどう思われますか。また、辞任して選挙をすべきとのグループの方々に今後どう理解を進めていかれますか。 4点目に、副知事問題についてであります。心配していたとおり、やみ融資の手段は過去から行われていたことが明らかになりましたが、これが県庁内部では通常の政策となっていたことも明らかになりました。そして、この最も大事なことが、知事の腹心である3代にわたる副知事から何の相談もなかったことについては、まことに残念に思います。 そこで、本当の改革がスタートするときに、知事としてどのような副知事を選ばれますか、お伺いをいたします。 次に、人事制度の見直しであります。過日の臨時議会では、派閥人事、解同人事が問題になりました。また、職員からの声では、「管理的立場の幹部が多いのでは」、「現場を知らない管理者が多い」、「知事の価値観が組織の価値観として浸透していない」、「一度異論を唱えれば、人材であっても正しいことであっても、本庁には帰ることができない」、「酒を飲まない、つき合いをしない人は一生だめ」等々さまざまな意見を聞かされます。知事の価値観が全職員に伝わり、気持ちよく仕事ができ、県民に奉仕できる人事制度とすべきでありますが、具体的にどのような人事制度をつくり上げるか、お尋ねをいたします。 6つ目に、職員の資質の向上についてであります。公務員は、県庁に採用になれば規約に触れない限り免職にはならないし、給料も賃金体系に従って高くなります。教育委員会では、再教育の必要な先生を再教育して、それでもだめなら退職を勧告する制度を実施しています。県庁の一般職の中にも優秀な人、普通の人、だめな人がいます。 そこで、教育委員会で思い切ったことを実施しているが、一般職で何もしないのは不公平ではないかと思いますが、新たな制度をつくり管理職の研修を実施し、全職員のレベルアップを考えるべきではないか。さらには、新規採用の年齢を高くして、民間経験者で優秀な人をもっと採用すべきではないかと思うのであります。 7つ目に、職員が相談できる体制づくりについてであります。自分が何をすべきか判断に迷うときはだれしもあることであります。そのとき相談できる尊敬すべき先輩がいればよいが、全職員とまではいかないと思います。職員の満足度を向上させるために職員の相談窓口が必要と考えるが、いかがなものか、お伺いをいたします。 8つ目に、前知事を初めとする県幹部がなぜ危険を承知でやみ融資にかかわったのか、長年にわたる同和団体と県との特異な関係を抜きにしては全体像が見えてきません。あるいは4代にわたる副知事がこの問題に関与し知事に隠し通してきたか、問題の本質が明らかになりません。やはり、これを解明しなければ本当の飛躍ができないと思います。 そこで、知事は関係した副知事と意を決して対話し、本当の原因を県民に知らすべきであると考えますので、知事の決意をお伺いします。 9点目には、県の外郭団体は土地開発公社や住宅供給公社などたくさんありますが、時代の変化の中で存在価値等を考慮するとき、整理統合の機構改革をすべきだと私は思います。また、県信用保証協会等への県職OBの天下りを禁止あるいは制約する条例の制定を提言いたしますが、これら2つのことについても知事の考えをお伺いいたします。 以上、知事の政治姿勢について多々お尋ねをいたしました。本来の一般質問とは異なる項目の多い質問となりましたが、私どもの会派はこの答弁内容で知事の責任問題を検討することになっておりますので、御理解を賜りたいと思います。過去にこだわる者は未来はないと言われます。知事の、この政治における改革は私でなければできないという強い思いのお話を賜りたいと思うのであります。私どもの会派が知事の続投に頑張れ橋本と力強いエールを送れるような、明快な御答弁を御期待いたします。 続いて、波介川河口導流事業についてでございます。土佐市100年の大計として取り組んでまいりました波介川河口導流事業が大きく前進をいたしました。去る6月6日に事業容認の調印が、国土交通省四国地方整備局、高知県、土佐市、新居を守る会の4者による大きな意義のある調印式でありました。改めて地元新居地区の皆さんに心からまことのお礼を申し上げます。また、昭和42年の計画決定から実に33年余の間一歩も交渉が進展しないとき、県の温かい仲介役をいただき、大きな存在で御尽力をいただきました関係の県職員の皆さんに心から敬意をささげるものであります。 私も、新居の住民として最初から携わってまいりました一人として感慨深いものを抱くとともに、反面、過去を振り返ると複雑な気持ちでもあります。それも地区を二分する反対、賛成の激しい闘い。市議としての苦悩の毎日。布団をかぶって泣いた夜もありました。建設省の歴代の高知所長との大声の口論、地元の村八分問題、地区の不和、行政不信等々いろいろありましたが、決して忘れてはならないのは事業に対し苦しい決断を強いられた住民の心情だと思います。事業容認を大局的判断いただいたことは、私にとりましては人に言いあらわせない感慨無量の心境であります。計画された事業は、川のないところに川をつくるという百害あって一利なしの計画でもあります。だから、この川は単なる水だけが流れるだけの川であってはならないと思います。そこには人のとうとい心が流れる思い出川になってほしいと心から願っておるものでございます。 その計画のために、土佐市の上流地区の浸水被害を守るために新居地区の優良農地を貫流させるその地区が、また浸水被害を受けました。全く皮肉なことであります。本年5月2日の豪雨により新居地区では洪水に見舞われ、県の基幹産業であるハウス園芸作物のメロンやスイカなど6億円余の大打撃を受け、平成10年の高知豪雨に匹敵するほどの浸水被害が発生し、生活再建などが非常に厳しい状況の実態でございます。 この状況の中6月6日には、浸水被害を受けた直後ではあるが、工事着手を前提とした事業の容認に対する覚書の調印が行われたことはまさに地元の英断と言うほかはないと、ただただ感謝をいたしております。調印式には国土交通省四国地方整備局長が異例の出席をしてくれたことが、新居地区の皆さんに長年にわたる感謝とこの事業の重大さを強く物語っているものと改めて認識をさせられました。また、県は、地元への推進交渉に何度となく足を運んでいただき、積極的で適切な対応をしてくれました。そして、平成11年9月議会、平成12年2月議会での私のそれぞれの質問に対しても知事は、新居地区の地域振興策について全庁的な取り組みを行うとともに、財政的な支援や指導に積極的かつ最大限の努力をして河口導流事業の円滑な推進に努めるとの回答もいただいておりますが、事業容認が得られた今、地元の高度な理解をいただいて調印したことに対し知事の考え方はどうでありますか。 そして、最も厳しい財政難であることも十分承知をしておりますが、重要課題と認識されるこの事業が早期着工実現に向けての新たな第一歩として事業容認の調印を受けて、県の果たす役割とその姿勢に過去の御答弁よりさらに強く踏み込んだ大きな答弁を期待しておるところでございます。そのことで、地元の人々に県としての熱意が、心が伝わる考え方をいただきたく思うわけでございます。知事として、この波介川河口導流事業に対する決意を改めてお伺いいたします。 次に、土木部長に2点ほどお伺いをいたします。事業容認により、早期着工への布石がしかれました。しかし、覚書、確認書にもありますように、新居地区の地域振興策の要望に対する取り組みの結果が重要視されるものと思います。県下のどこよりも後継者にも恵まれ比較的温暖で農業に適した地域で、立地条件を生かし、農業基盤整備事業による整備も90%と県下でも屈指の施設園芸地帯でもあります。こうした恵まれた環境の地でもありますので、それだけに地域振興の要望もはかり知れないものかもしれません。調印した行政3者は、地域振興策に対して、地域と一体となって実現に誠意を持って努めてほしいと強くお願いをいたします。地域振興策について今後継続して検討、整理すべき事項が多いが、どのような手順によって詰めていくのか、安岡土木部長にお尋ねをいたします。 次に、平成10年9月と平成13年5月2日のいずれも豪雨により、県管理の一級河川の新堀川がはんらんして例を見ない被害を受けました。たび重なる浸水被害について、地元では農業経営などに不安な日々が続き、安定した生活が送れない状況となっております。特に農家にとっては、農業経営の存続問題にまで発展をしておるところでございます。県管理の一級河川新堀川は、以前より抜本的改修の要望を強く陳情してきた経過がありますが、その改修は局部改良として計画され、計画部分は完了されたと聞いているが、上流部の計画は全くなく、昭和54年から57年にかけ農林水産省の県営排水対策特別事業において改修されたがまだまだ断面は小さく、中流部を横断する県道新居中島線の橋梁断面は著しく狭く、平成10年9月の豪雨においては排水できず県道を越流するとともに、上流地区は湖と化したものであります。 また、去る5月2日の集中豪雨では、海の潮位に左右される新堀川は時間的に満潮と一時的に重なった経緯もあり、自然排水ができない最悪の状態でありました。また、昭和49年から52年に設置された県営かんがい排水事業は新堀川排水の唯一の施設でありますが、53年に土佐市に移管されたが建設から24年の経過で老朽化し、その機能発揮ができず、新堀川がはんらんし大きな被害を受けたことは前述したとおりであります。これから台風シーズンを迎え、再び同じことの繰り返しをしたくない思いから、一日も早く対策を講じてほしいと願う毎日であります。 今回、地域として波介川河口導流事業容認を受け入れるに当たり、地域振興策について実施可能な部分から取り組むとされているが、県は実施可能な部分として新堀川のしゅんせつ、排水機場の移管について明言をされておりますが、確認に基づく新堀川の排水機場の移管はいつか、そしてまた排水機の増設の見通し等について、ぜひ明確な考え方を安岡土木部長にお尋ねいたします。 次に、財政問題でございますが、まず最初に、聖域なき構造改革についてお尋ねをいたします。厳しい景気の低迷が続き、日本経済はまさに重度の成人病にかかっていると言っても過言ではないと思います。例に漏れず高知県も同じ経済現象の構図であると思うのであります。財政基盤の弱い本県にあっては、財政収支の見通し等を念頭に第2次財政構造改革に積極的に対応しておることは高く評価すべきだと思うのであります。 また、国においては、異常とも思われる小泉人気のもとに、聖域なき構造改革を公約として経済財政運営の基本方針が策定、発表されました。確かに、日本の将来には大きく思い切った改革だと存じます。しかし、この小泉改革がすべて国民に迎合されるだろうか、疑問にも思います。特に、財政力の弱い高知県を初めとする地方自治体には、改革断行のための痛みへの理解はかなり難しいものだと思います。余りにも地方の実情を無視した道路財源等には強く反発し、都市対地方の構図を浮き彫りにし、地方の切り捨てだと声を大にしたいものであります。地域格差をさらに拡大するように思ってならないのであります。骨太の方針に不安を覚える。これはまさに小泉人気の背景は、構造改革への期待のためだと思うのであります。国民が期待する改革は、政治家の資質や政治そのものを改革してもらいたい現実味の願いかもしれません。 橋本知事も、全国に先駆けて断行してきた本県における変革、改革は高く評価できるものであります。小泉内閣の聖域なき構造改革は、地方自治体の自立の道への具体像は厳しいと私は思う。不良債権問題、道路財源、公共投資削減、郵政問題、特殊法人の民営化、そして地方財政の地方交付税制度の見直しや地方税等の税源移譲問題などはこれまでタブー視されてきた問題であっただけにさらに大きなテーマだと思いますし、地方の目線、視点に立った具体策が必要だと私は強く思うのであります。特に、地方自立につながると言われる税源移譲を含め国と地方の配分を見直すとの財政問題は、税源の乏しい高知県は大きな影響を受けることが必至であると思うのであります。地方行政の基本的な社会資本整備や社会保障などの財源をみずから賄える仕組みが必要であるが、本県においてはなかなか困難だと思います。だから、地域振興、産業振興も遠い存在感を持つのであります。 そこで、知事にお尋ねをいたします。まず、小泉改革の聖域なき構造改革は全体的に地方自治体に厳しい内容だと思うが、知事の率直な見解をお聞きしたく思います。また、税源移譲も含めた税源配分の見直しで、果たして本県の財政運営の自立はできるのか、そして知事が求めようとしている行政改革はこのことによってさらに進むか、その見解をお尋ねいたします。 時間配分でちょっと早く申し上げます。 次に、同じ財政問題で、道路特定財源についてお尋ねをいたします。聖域のない改革の一環として、道路特定財源の使途の拡大や一般財源化が大きく報道されております。これこそまさに我が高知県にとっては重大な財政問題であります。私は、声を大にして「めっそう、わやにするな」と小泉総理に申し上げたい心境であります。その報道の中で、地方の道路整備は終わっている、また地方の道路整備はむだな公共事業など、地方の道路整備を標的にし、地方の実情を知らないマスコミや評論家がセンセーショナルに世論をかき立て、非常に偏った議論がなされていると考えるのであります。 5月から企画建設委員会は県下一円の現地調査を行ってきましたが、ほとんどの市町村から、産業の振興や福祉、また近い将来の市町村合併に関して必要となる道路整備への切実な要望をたくさんいただいてきたところでございます。高知県のように地形条件や自然条件が厳しいところでは、道路の建設単価も高くなかなか道路整備が進まなかったし、これまでの公共事業でも災害対策等に主力を置かざるを得なかったことなどから、道路は大分よくなったとはいえまだまだ必要な道路がたくさんあるのが現実だと私は思います。道路は地域生活の支援や地域産業の安定的な発展のための最も重要な社会資本であり、道路整備の進んでいない地方ではこれからも積極的に進めていかなければ、ますます都市への集中が進み、地方で都市を支えている人たちの生活の基盤が失われていくのではないかと非常に危惧をするところであります。 今、国じゅうで議論となっています道路の整備を行うための道路特定財源制度は、道路の利用者から利用に応じてその整備に対する費用を負担していただくという非常に合理的で公平性に富む制度であると私は考えております。都市の理論と地方が対立し、道路特定財源をもてあそぶような議論は、国全体の利益を失うものであります。都市と地方は一方だけで成り立つものでしょうか。国全体として、都市や地方のあり方を十分に議論してその使い道を考えなくてはならないと私は強く考えるところであります。国全体で約5兆8,000億円、地方分が2兆3,000億円と言われる道路特定財源が、もし一般財源化されたり使途の拡大で環境等の施策に使われることになると、地方にとって、とりわけ高知県にとってどのような影響があるのか大変気になっておるのは私だけではないと思うのであります。 新聞報道では、知事もこのような影響を国が明確に示して議論すべきだという意見も言われておりますが、骨太の方針を出して参議院選挙後に詳細な議論をしていくという国の方針があり、その影響はなかなかつかめない状況でありますが、現時点で道路特定財源の見直しが本県に与える影響をお尋ねします。 まず、本県に歳入として入ってくる地方分の道路特定財源は幾らあるか、また国からの補助金等で来るものは幾らか。その上で、道路特定財源の見直しが高知県の財政に与える影響をどのようにとらえているか、今後どのように対処していくかを総務部長にお伺いいたします。 また、この見直しが高知県の道路整備に与える影響をどのようにとらえているのか、土木部長として今後どのように取り組んでいくのか、土木部長にお伺いをいたします。 さて、この際、第2次財政構造改革に一言触れておきたいと思います。と申しますのは、構造改革の基本は、歳出の削減に重点を置いた公共投資の見直しとか人件費等の経費を重視したものであると思います。しかし、本来は歳入あっての財政運営が基本理念だと私は確信するところであります。自己財源に乏しい依存型財源の本県にあっては、歳出削減重視の改革には一定の理解もいたします。県民サイドから見れば、財政構造改革で収支均衡の財政運営そのものの評価よりも、今回問題提起された一連の融資行政に対する金融システムの欠陥が、行政不信へと厳しい批判を受けている現状だと思います。やみ融資事件に並行して貸付事務のずさんさも厳しく指摘され、中でも、直貸しや転がしなど財政運営に疑念を持ち、それを慣例にして対応してきたことに対しても大きな問題があると私は思うのであります。このことは、貸し付け、融資の初歩的なことだと考えられます。 一方、財政構造改革には、歳入の確保に向けた取り組みとして遊休財産の処分、滞納整理の取り組み強化、収入未済額の縮減等々を挙げているが、残念なことに貸付金の回収については一言も触れてはおりません。特に、中小企業高度化資金を初め高知県自治福祉振興資金などの特別会計貸付金の残高、また転がし運転などについては、財政課で確かな整理がされ債権管理事務が適切に運用されておるのかその実態を明らかにすべきだと思うが、前述の指摘項目別に現在の実態をお伺いいたします。 またあわせて、自主財源である個人県民税、自動車税、その他県税の平成10年から平成12年度の収入率、収入未済額の推移の実態をも総務部長にお尋ねいたします。 続きまして、教育問題に移らせていただきます。 土佐の教育改革の仕上げとしまして、特に今回は教員の人事管理についてお伺いいたします。県教育委員会は、第2期土佐の教育改革を考える会を今夏にも立ち上げるのではないかと、3月2日の高知新聞の夕刊で報じていました。私ども清流会・公明といたしましても、足かけこの5年間の実績と経過を踏まえ、その方向性については了とするところであります。また、その経過の中で指摘された課題についても独自性を発揮した県単独事業を施策化して、全国に先駆けて教育改革の実施に踏み切った英断につきましても敬意を払うものであります。 そして、過日、事務局からいただきました教育改革資料を精読いたしましたが、その課題につきましても、事務局案としては積極的な姿勢がうかがわれ、多くの御期待を申し上げるところでございます。特に、人事管理の在り方に関する提言、指導を要する教員に対する課題は、65ページにわたる冊子で労作であると拝察いたしました。1期5年にわたる掘り起こし課題を2期に継続させなければならないと考えさせられました。この人事管理の在り方に関する提言の内容は、3章30項目にわたってその展望と方策を明らかにしたものであります。一口で言えば、不適格教員対策マニュアルとも言えるものだと理解をしております。この問題は、人権問題とリンクした問題で、取り扱いについては慎重の上にも慎重に扱われなくてはならないと指摘されており、私といたしましても全く同感とするところであります。 そこで思い出されるのが、昨年6月15日に幡多地区への総務委員会の出先機関の視察のときに、私の質問に対し答えをしてくださった所属長の答えであります。私は、行政改革の一環として5教育事務所を3教育事務所に統合再編したことは了とするものですが、人事を教職員課に一元化することには一抹の心配をしている者でございます。管理主事が教育事務所にいなくなってどうかという私の質問に対し所属長は、「1つには、市町村の教育長の足が遠くなりました。2つ目には、市町村の教育長と教育課題について話し合う機会が減りました」と答えております。これに対し県の教職員課長は、「一元化についてはメリット、デメリットがある。デメリットのカバーについて努力をしたい」と申しております。一方、市町村の教育長サイドで言えば、「適材適所と言うが、異動が荒くなった。もとに戻せとは言わないが、何らかの対応は要る。3つ目に、このことについて、人事の反省として地教連は物を言ってきている」と不満を言っておるのでございます。 この3者の現状認識に人事管理の在り方に関する提言の内容をオーバーラップしてみると、とてもじゃないが慎重な上に慎重に事を運ぶことは難しいと心配するものです。一口で言えば、人事情報の疎密の問題であります。不適格教員の復帰プログラムや転職指導が含まれる2期の立ち上げには、このことに配慮した考えが県教委事務局に具体的にあってしかるべきだと考えています。つまりは、人事の一元化を補強するシステム化が必要であると思われますので、具体的な考え方を教育長にお伺いいたします。 また、土佐の教育改革三本柱の一つに教員の指導力と資質の向上があり、中でも人事管理のあり方はその中核に座る問題であります。今から四半世紀前、約26年前の県の教育長に、国の中央省庁から出向してきた岩田さんという方がおいでになったようでございます。この人の言葉で、「高知県の教員は10人に1人の割合で問題教員がいる」と発言されたことを当時の関係者が記憶していて聞かされたことがあります。現在の県下の状況ではないが、過去の実態を物語るエピソードであると思います。しかし、人事管理の在り方に関する提言を読ませていただいて、具体的な数字は憶測の域を出ないが、相当深刻な実態であるのではないかと考えさせられました。 また、ある元校長は6年前に、「教育改革は問題教員にやめていただいたら解決する」と言ったとも言われております。また、ある市町村の教育長は、「問題教員を受け入れしたら、1人加配を県費でつけてくれた」とも言っています。現在の話ではなく過去にあった話と聞いております。だが、実態に即した異動をしなければ、子供に迷惑のかかる話であります。だからといって、むだな県費の投入が許されるものではないと思います。原因は、問題教員の自覚の一言に尽きる。民間であればもちろん通用しない話であることもつけ加えておきたいと思います。その意味で、現在でも相当数の問題教員を抱えているのではないかと思われます。小・中・高合わせて3けたの人数がカウントされるのではないかと言われている。ちょうど3けたといえば2%強の実態があるのではないか。そうでないと、あのような人事管理の在り方に関する提言は出てこないと思うのであります。 この議論は守秘義務を伴い、人権問題とリンクすることもあるが、広く県民に実態を公開する責務もあることから、構わない範囲内で2期の土佐の教育改革の立ち上げに先立ち情報公開をいただきたい。教育長の所見をお伺いいたします。 次に、校長の飲酒運転についてでございます。6月22日の高知新聞夕刊には、「人事の在り方問題視」という見出しで、県教委、地教連、県公立小中学校長会の三者が緊急会議を持ったことが報じられていました。この記事の中で目を引くのは、1つに、「市町村教委の力量の差」という県教育長のあいさつ発言、2番目に、「県教委が何を管理職登用の基準にしているか疑問。見直しが必要」という記事でございました。新聞記事は要点を簡潔につまんでいるので、その席に臨んでおいでだった県教育長の説明と、管理職登用の基準の見直しという指摘に対する考え方を教育長にお聞きしたく思います。 次に、開かれた学校づくりと学校の安全でございますが、この問題も最近の話題であります。大阪教育大学附属小学校の児童殺傷事件であります。改めて、亡くなられました子供さんに哀悼の意をささげ、そして心も体も傷つかれました児童の皆さん方の一日も早い回復を祈るところでございます。 こうしたことを受けて、県下各地教委での取り組みが新聞紙上に報道されております。全国紙にも各地域での取り組みの具体例が掲載され、参考になるものがたくさんあります。この実例報道は大別して3通りに分けられると私は思います。1つは地域連携型、2つは警備専門依頼型、3つは学校教職員による自衛型であると思います。いずれの実例もこの3つの組み合わせでありますが、6月18日の読売、朝日が実例を挙げ、地域連携型と学校教職員による自衛型の組み合わせで報道を締めくくっていることが印象的でございました。 そこで、県下市町村の対応実態についてお聞きしたいのと、県としてどのような現場指導を行ったかを教育長にお尋ねいたします。 最後に、今回条例提案をしております実践農業大学の統合問題についてお尋ねをいたします。県立実践農業大学の統合問題について、提案も含め、数点知事の御所見等をお伺いいたします。 御存じのように、県立農業大学校は、昭和47年伊野町に、そして中山間地域の農業後継者づくりを目指して同55年に窪川校を設置し、これまで1,300名近い卒業生を送り出してきた歴史があります。が、新しい時代に即応できる農業後継者に必要な教育内容と指導体制の充実、施設整備を考えますとき、昨年9月に提言されたあり方検討会の示した養成部門の基本的方向、つまり集中体制を進める上での留意事項は、交通の利便性、他機関との交流の利便性にウエートを置く余り、実習農場わずか2.3ヘクタール、敷地全体でも5.6ヘクタールという伊野校への統合選択を示唆したものとなっております。私ども会派が昨年秋に見学したお隣の宮崎県立農業大学校は、県庁から車で約1時間の広大な田園地帯にあり、実習農場46ヘクタール、運動場4.5ヘクタール、施設用地15ヘクタールという規模で、1学年65名の学生たちはゆとりあるキャンパスで農業へのチャレンジ精神と先進技術を学んでいるとの説明をいただきました。 余りにも大学校を取り巻く環境のギャップが大き過ぎますし、新世紀の農業・農村を担うべき学生や若者たちの意見、ニーズも広く酌み取りながら、いま少し時間をかけて慎重に検討すべき課題であり問題だと私は思いますが、知事の御所見をお伺いするものであります。 また、あり方検討会の提言は、研修部門の体制整備として、広就農を促進し担い手を確保するためにも実践的な技術習得のできる体験研修の場の整備拡充の必要性を強調され、さらには農業者の生涯学習の拠点として、消費者、県民に開かれた農業教育の場として多様な研修コースの設定、食農教育の重視、広く消費者や県民が学び体験していける場を提供することが必要だとしています。ところが、施設整備や配置計画では、現有施設の修繕、加温ハウス、体験実習室の整備程度で、ゆとりある広さの体験圃場もなければ宮崎県のような農業科学公園もない計画案でございます。 そこでお伺いしますが、提案された担い手育成や技術、経営能力向上等、多彩な農業生涯研修カリキュラムの実効性を上げていく指導体制はどのようなものとなるか。また、現行の12人体制から新たにどう充実が図られることとなるのかを知事にお伺いいたします。 あわせて、地元窪川町から要望のありました農業・健康文化公園構想は、宮崎県のルピナスパークに学びながら、16ヘクタールはともかく、消費者、県民の学習、体験、交流の場として、せめて宮崎県の3分の1程度は広く県民に開かれた農業教育の場として整備していく方向で、学童農園も含め計画の見直しを求めるが、知事の見解をお伺いいたします。 さて、統合問題で窪川校の存続、充実を昨年来県に要望してきた地元では、県のたび重なる統合への理解要望に、真に不本意ながらとしつつも、2つの前提となる支援要請を条件に県の方針に余儀なく理解を示す状況となっていると関係者よりお聞きをいたしております。その一つが農業大学校生涯研修センターの充実強化であり、いま一つはくぼかわ・農業ベンチャー育成センター構想への支援要請ということで、理解に傾いたともお聞きをしております。 そこで、県が提案してきた某企業との契約栽培を行う受け皿母体として設立準備中の町農業公社に対し、必要な一定面積を町の要望に沿って無償もしくは減額貸与できることと言っておりますけれども、これが事実できるかどうか。 また、農地保有合理化法人である町農業公社は、中間保有はともかく、生鮮野菜等の生産のための大型ハウスを建てて生産物の企業への販売事業を行うべく町当局と計画してきたようだが、農業経営基盤強化促進法や農業公社の寄附行為に照らして可能と考えているのか、あわせて農林水産部副部長に見解をお伺いいたします。 いずれにいたしましても、厳しい指摘かもわかりませんが、あり方検討会の提言を金甌無欠として統合を急ぐ行政手法に疑問なしと結論した条例議案かと疑問を抱きお尋ねをしたことを一言申し添えておきたいと思います。 以上をもちまして私の質問を終わります。ありがとうございます。(拍手)   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 中内議員の御質問にお答えをいたします。 まず、辞職を選択しなかった最大の要因は何だったのかとのお尋ねがございました。引き続き知事の座にとどまりますことは私にとりましては最も苦しく厳しい選択でございましたが、先ほど植田議員にもお答えをいたしましたように、改革半ばのこの時点で投げ出してしまいますことはかえって無責任な態度につながるのではないかと考えまして、今回の決断をいたしました。同時に、あえて御質問の中にございましたお言葉をおかりすれば、私をおいて今県政改革を進めていける者はいないとの自負を持っておりますし、そうした強い決意をもとにみずからに課せられた責任を果たしてまいりたいと考えております。 次に、副知事の辞任が私の処分の判断に影響しなかったのかとのお尋ねがございました。私の処分は、今回の一連の問題に関します知事としての任命責任や管理監督の責任を広く、また重く受けとめまして決断をしたものでございます。 次に、前回の事件に対します処分との比較についてお尋ねがございました。植田議員の御質問にもお答えをいたしましたように、私の処分に対する受けとめ方はさまざまあろうかと思いますが、あえて比較ということで申し上げれば、今回の場合は、過去の出来事に何らかの処分をしてけじめをつけるという従来型の考え方ではなく、将来にわたって県政改革の責任を負うという形で一連の事件の重みをより強く受けとめていきたいと考えております。 次に、引き続き知事の座にとどまることについての懸念や信頼回復への決意についてお尋ねがございましたが、あわせてお答えをさせていただきます。御指摘のような懸念の声もございますと思いますが、その一方で、引き続き知事として改革に取り組むことを期待され、また励ましてくださる方の声も数多くいただいております。もちろん、今後県民の皆様の県政への信頼を回復してまいりますことは並大抵のことではございませんので、持てる限りの力を傾けまして県庁の改革に取り組んでいきたいと思います。 続いて、職員の意識や士気の低下などに対します対応策についてお尋ねがございました。今回の一連の問題で、職員の中にはこれからの仕事の進め方に不安や動揺を感じている者が数多くいることも確かでございますので、今後こうした不安を取り除いて仕事のしやすい環境をつくっていきますことが大切な課題でございます。このため、職員が仕事を進めます際に感じました不安や疑問が意思決定のプロセスに反映をされますような取り組みや、県民の皆様の目線から公益性の判断が行えますような仕組みづくりが必要だと考えております。また、情報公開を徹底しまして隠し事のない県政を実現いたしますことによりまして、特定の団体などによります不当な圧力も排除できると考えております。一方、職員団体との関係につきましても、県民の視点から見まして適切な関係の構築に努めていきたいと考えております。 続いて、債権回収の対応策に冒頭の説明で一言も触れなかったのはなぜかとのお尋ねがございました。債権の回収につきましては、既に5月の臨時議会でもお答えをいたしましたように、抵当権の行使とともに連帯保証人に保証債務の履行を求めていくことにしております。先ほど植田議員にもお答えをいたしましたように、担保物件の価値が債権額に比べまして大幅に不足しておりますことなどから債権の回収は厳しいものと認識をしておりますが、精いっぱい努力していきたいと思います。 次に、退職者への対応についてお尋ねがございました。既に退職しております元職員は、制度上、処分の対象にはなりませんが、今回の問題にかかわったことへの責任を十分に受けとめてもらえますよう対応をしていきたいと考えております。ただ、こうした対応は、あくまでも一連の事件に職員としてかかわったことの責任をそれぞれに受けとめていただくことが趣旨でございますので、御質問にありましたような債権の回収とは別の問題ではないかと思います。 次に、融資制度は改革が最優先される課題だとのお尋ねがございました。御指摘のように融資制度の見直しは緊急の課題でございますので、高度化資金制度に関しましては、現在規則や要綱などの改正作業を進めております。具体的には、貸付審査会や診断に当たりましては外部の専門家の力をおかりしますことや、事業の妥当性の評価を行います検討会議や貸付審査会の場で貸し付けの申請者から直接事業計画の説明を受けることなどの改正を予定しております。また、節目節目の意思決定の段階で、それぞれの意見が適切に引き継がれていきますよう、事務処理のマニュアル化を図ってまいります。 次に、私の責任のとり方について県民の皆様の御意見が分かれていることに対しまして、今後どのように対応していくのかとのお尋ねがございました。先ほども申し上げましたとおり、私にとりましては最も苦しく厳しい選択をいたしましたが、引き続き県政の改革に取り組むことによりまして県民の皆様の県政に対する信頼を回復してまいりますことが、やがては今回の決断を御理解いただく道につながるのではないかと考えております。 次に、今後どのような副知事を選ぶのかとのお尋ねがございました。新しい副知事は、県政の出直しにふさわしい方に、また県民の皆様がそのように受けとめてくださるような方にお願いをしたいと考えております。 次に、今後の人事制度に関するお尋ねにまとめてお答えをいたします。これまでは、法律や制度の枠組みの中で、事務処理を確実に積み上げる力や関係機関や団体との調整をこなしていく能力を重視する傾向にございましたが、地方分権の時代に地方の独自性を持った行政を進めてまいりますためには、みずからの考えで企画し実行していける職員が求められますので、人事のあり方もその方向で改革していかなければなりません。このため、人事制度の根幹でございます人事の評価の基準を変えますとともに、それに基づきました職員の登用や配置のできる制度に切りかえてまいりたいと思います。 一方、こうしたことの具体的な取り組みといたしまして、今年度から県民本位の行政執行や意識改革の必要性を基本に置きましたコンピテンシー型と呼ばれます能力開発の研修の試行に取り組んでおります。今後は、こうした新しい能力開発の研修を管理職のみならず補佐、次長や班長などの職にも幅広く導入することによりまして、新しい時代にふさわしい職員の育成を図りますとともに、県庁の職員全体の資質の向上に努めてまいります。 続いて、民間からの人材の登用についてお尋ねがございました。民間からの人材の登用に関しましては、専門的な知識や経験などを持ちます民間の人材を国家公務員に採用することのできる制度が昨年11月に導入されております。現在、地方公務員につきましても同様の検討が進められておりますので、今後これらの検討状況も見ながら対応をしていきたいと思います。また、御指摘にありました職員の採用年齢も、今後の検討課題の一つだと受けとめております。 次に、職員の相談窓口についてお尋ねがございました。お話にありました相談窓口につきましては、職員グループとの話し合いの中でも提案がございましたが、その内容は2通りございます。その一つは、担当の職員が不安や疑問を感じながら上司に相談できないような場合、そしてもう一つは、法律的な問題や会計上の取り扱いなど専門的な知識を必要とする場合でございます。いずれの場合も、職員が判断に迷ったときに相談をしていける体制を考えていきたいと思いますが、具体的な内容は今後早急に検討をしてまいります。 次に、歴代の副知事との対話をして、本当の原因を県民に知らすべきだとの御質問がございました。昭和62年の融資やモード・アバンセに対します融資に関しましては、これまでも可能な限り関係者から事情を聞いてまいりました。その中で、これらの融資の背景や原因は一定つかめているつもりでございます。また、このことは、これまでにも県政フォーラムなどを通じまして県民の皆様にも説明をしてきております。 次に、外郭団体の改革についてお尋ねがございました。この点に関しましては、平成9年度から10年度にかけまして県が25%以上出資しております団体のうち株式会社を除くものにつきまして、統廃合も含めました抜本的な改革案を取りまとめました。また、これを受けまして、平成10年度に1つ、11年度に2つ、さらに12年度には3つの団体を類似のものとの統合を含めまして廃止いたしました。また、今年度も、第2次財政構造改革の取り組みの一環といたしまして、高知県広報センターの廃止を決定しております。今後も、社会経済情勢の変化に合わせまして外郭団体をスリムで質の高いものにいたしますため、さらなる統廃合の検討も含めまして、その事業のあり方や組織の見直しに取り組んでまいります。 続いて、県の行政執行の上で関係のある団体への職員の再就職についてお尋ねがございました。職員の再就職は、それぞれの人材の適性にかかわることでございますので、直ちに条例で一律に規制することは難しいのではないかと考えております。ただ、公社などの執行部へは、既に現職の職員を派遣する方針に切りかえております。また、県行政との関係で県民の皆様が疑念を抱かれるような形での天下りが行われますことは適当なことではございませんので、今後そうした事例につきましては、そのことへの県行政のかかわりも含めまして検討をしてまいりたいと考えております。 続いて、波介川河口の導流事業に関しまして、事業容認の調印を受けましての県の果たす役割とその取り組み姿勢についてお尋ねがございました。波介川河口導流事業は、昭和50年の浸水被害を思い出すまでもなく土佐市の抜本的な治水対策として極めて重要な事業でございますので、県といたしましても地元住民の方々と国土交通省との間で仲介に努めてまいりました。その結果、今回、新居地区の住民の代表でございます新居を守る会との間でこの事業を容認する覚書を締結できましたことは、土佐市の防災対策の上でも画期的なことでございますし、国土交通省におきましても、事業の実施に向けまして大きなハードルを越したことになります。あわせまして、県にとりましても、重要課題の解決に向けましての大きな一歩だと受けとめております。改めて新居地区の住民の皆様の御決断に心から感謝を申し上げます。 また、この覚書のもう一つの柱でございます地域振興策は、防災から産業振興まで幅広い分野にわたっておりますが、この実現のためには庁内の多くの部局での取り組みが必要だと認識をしております。このため、部局調整会議などで整理をしながら具体的な検討協議を進めますなど、全庁的な取り組みを行ってまいりたいと思います。 続いて、小泉内閣の聖域なき構造改革に対します私の見解についてお尋ねがございました。国と地方の財政状況が逼迫をいたします中、地方交付税を初めといたします地方財政制度のあり方も聖域化することがあってはなりません。しかし、現在のように国による歳出や事務事業の義務づけなどが依然として多数存在いたします中で、地方交付税の総額の削減論のみがひとり歩きいたしますと、教育や福祉などに関しますきめ細かな住民サービスですとか、工科大学を初めといたします本県の自立に向けました種まきの事業など、これまで地方が独自に行ってまいりました取り組みに真っ先にしわ寄せがいくことになってしまいます。 このため、先ほど植田議員にもお答えをいたしましたように、地方の自立を本当に目指すのであれば、まず地方に任せるべき仕事は地方に任せました上で、それに必要な財源も思い切って移譲することが基本に据えられなければなりません。さらに、本県のようにもともと税源の脆弱な地域では、税源の移譲の効果にも限界がございますので、それぞれの地域にふさわしい水準の公共サービスを保障いたします地方交付税のような制度も引き続き欠かせないと思います。ですから、地方交付税の削減が地方の自立を促すかのような議論には強い疑問を感じております。 さらに、小泉内閣の構造改革の進め方を見ておりまして一つ気になりますことは、一連の改革が国民の実生活に与えます影響につきまして具体的でわかりやすい形での説明が十分にはなされていない点でございます。今回の見直しの結果がどのようなものになるかは現段階ではわかりませんが、税源の乏しい本県にとりまして、行財政運営に与えます影響ははかり知れません。このため、本県が予算のスリム化と質の向上に引き続き全力を傾けまして行財政の構造改革を進めていかなければならないことは言うまでもございませんが、あわせまして国に対しまして、制度改正をめぐります議論が地方の実情を踏まえたものとなりますとともに、国がこれまで以上に説明責任を果たしながら議論を進めていきますよう強く訴えていきたいと考えております。 続いて、農業大学校の見直しについて、もう少し時間をかけて慎重に検討すべきではないかとのお尋ねがございました。先ほど植田議員にもお答えをいたしましたように、伊野、窪川両校ともに施設の老朽化が進んでおりまして、その改修が急がれております。また、学生数も減少しておりますので、農業後継者の確保と育成を図りますため、学生に魅力ある教育内容など早急な見直しが求められております。このため、あり方検討会で議論をしていただきました上、農業大学校の今後の方向につきまして提言をいただきました。あわせまして、地元の御意見をお聞きするために窪川校活用検討会を立ち上げまして、検討をしてまいりました。さらには、本県の財政の現状も踏まえましてさまざまな選択肢を検討いたしました結果、養成部門は伊野に集中させますとともに、窪川では研修部門を中心に行うことにいたしました。また、研修部門で利用いたします以外の土地につきましては、地元の御希望もお聞きをしながら、それをどのように活用していくかを検討していきたいと考えております。 また、新しい研修部門の指導体制と、県民に開かれた窪川校の活用についてのお尋ねにあわせてお答えをいたします。御質問にありましたように、窪川では、農業体験もできますような県民に開かれた研修を目指していきたいと考えております。具体的な研修メニューといたしましては、従来の研修内容を充実させますほか、新規就農者を対象といたしました一定期間の宿泊研修や、認定農業者など現役の農業者を対象といたしました環境保全型農業などのゼミ活動や加工・流通の研修、さらには子供や一般の社会人など広く県民の皆様を対象といたしました農産加工の体験や家庭菜園講座などを考えております。さらに、農業者や関係機関の御意見をいただきながら研修内容の充実を図りまして、平成15年4月からのスタートを目指していきたいと考えております。また、これらのことと並行をいたしまして、こうした研修を実施していきますための適切な体制が確保できますよう取り組みを進めていきたいと思います。 私からは以上でございます。   (土木部長安岡健君登壇) ◎土木部長(安岡健君) 中内議員の質問にお答えをいたします。 まず初めに、波介川河口導流事業について、地域振興策をどのような手順で進めていくのかお尋ねがございました。先ほど知事がお答えをいたしました覚書をより具体化したものとしまして、土木部長名で確認書を締結いたしました。この確認書では、地域振興策をその熟度などによって、新堀川のしゅんせつなど実施可能な項目や、土佐市から春野町の間の連絡橋など実施不可能な項目、そして用水の確保など今後継続して整理検討する項目の3つに分類をいたしまして、これらに関係をいたします新居を守る会、国土交通省、高知県、そして土佐市の4者でそれぞれ確認をしたところでございます。 この確認書の中の今後継続をして整理検討する項目の中には、新居を守る会の内部でさらに議論をしていただく必要のあるものや、関係機関で具体的もしくは詳細な検討が必要なものもございます。このために継続的に打合会を実施してまいりますが、必要なものにつきましてはそれぞれの関係機関で適宜部会を設置しまして、具体的にその整理を行ってまいります。 続きまして、排水機場の移管についての取り組み状況のお尋ねがございました。この排水機場は、お話にもございましたように、昭和52年度に県営土地改良事業によりまして湛水防除を目的として設置をされました。その後、平成元年度に県営畑地帯総合土地改良事業により増設をされ、現在は土佐市が維持管理を行っています。この施設は、県の管理河川である一級河川新堀川の流水を仁淀川に排水する機能を果たしておりまして、河川管理施設としての役割も担っております。特に、近年の98年高知豪雨や本年5月の集中豪雨の実態から見ましても、新堀川流域の治水施設としての重要性が増しております。 このために、河川管理施設とするように農林水産省と協議を行っておりまして、確認書に基づき、でき得れば本年度内にも移管ができるように取り組んでまいります。また、その移管後は、河川管理施設として機能的に十分かどうかの検討を行いまして、排水能力の向上につきましても取り組んでまいります。 次に、財政問題につきまして、道路特定財源の見直しによる高知県の道路整備に与える影響と今後の取り組みについてのお尋ねがございました。県では、高規格幹線道路、国道、そして主要県道を中心とした基本的な幹線道路ネットワーク、また地域の生活を支援するふるさと幹線ネットワークを計画しまして、これまで精力的にその整備に取り組んでまいりました。しかし、地形条件や自然条件が厳しいことから建設単価も高く、いまだその成果があらわれていない状況でございます。道路特定財源の見直しによりまして、仮にこの財源が道路以外の投資に使われるとするならば、道路整備に必要な予算は一定減少することが想定をされます。このような事態になれば、現在取り組んでおります地域間で競い合っていくための共通のスタートラインである幹線道路ネットワークの完成の時期や、あるいは中山間地域の生活・産業支援、さらに市町村合併に必要な道路整備など、その進捗のおくれが懸念をされるところでございます。 県としましては、政府や国土交通省の動向を注意深く見きわめながら、道路整備の効率化を図りますためにより一層工法の見直しなどによるコストの縮減を図り、また地域の実情に応じた1.5車線的な整備など従来からの手法を進めますとともに、地域産業と連携のとれた整備など、新しい道路整備のあり方を提案してまいります。また同時に、現在進めております幹線道路ネットワークの完成に向けましては、権限の移譲された国土交通省四国地方整備局と連携を深めまして、道路整備に必要な財源の確保に最大限の努力を行ってまいります。 以上でございます。   (総務部長池田憲治君登壇) ◎総務部長(池田憲治君) 財政問題についての御質問にお答えいたします。 まず、道路特定財源の見直しによる影響についてのお尋ねがありました。以下、本県の本年度の当初予算ベースで申し上げますと、道路課所管の一般公共事業を初め普通建設事業としては約380億円を予算に計上しておりまして、これは基盤整備に係る歳出の中でも大きな割合を占めております。この道路整備事業には道路特定財源が充てられますが、その金額は約230億円を見込んでいます。この内訳でございますが、県税などとして受け入れるものは軽油引取税、地方道路譲与税などであり、約103億円を見込んでおります。また、国税である自動車重量税、揮発油税などとして徴収され道路整備に係る国庫補助金として県に交付されるものは、道路課所管では130億円を見込んでいます。 現時点では見直しの内容がまだ明らかになっておりませんので、財政に与える影響を具体にとらえることはできませんが、仮に十分な財源の議論がされず見直しがされた場合には、財政基盤が弱い中で道路事業を今後とも推進することが必要であるという本県の実情からいたしますと、本県が自立していくために必要な生活や産業の基盤の整備に大きな影響が出るものと考えられます。今後とも、関係する自治体と連携をとりながら、道路特定財源をめぐります議論が地方の実情を踏まえたものとなりますよう国に働きかけてまいります。 次に、第2次財政構造改革の歳入確保の対策に関連して御質問がございました。まとめましてお答えいたしますので、若干長くなりますことを御了承願います。 まず、遊休財産の処分に関しましては、平成10年度から12年度までの3カ年の処分計画に基づき、38件の遊休地を総額約13億円で処分いたしました。平成13年度以降も37件、台帳価格で6億円余りの処分計画を立てておりますが、その達成を目指すために処分予定地を公表しておりますし、また本年度からは、一般競争入札を行い不調不落になりました物件につきましては宅地建物取引業者に仲介を依頼して処分を進めています。 次に、貸付金などの債権管理に関してです。まず、貸付金の残高ですが、平成12年度末で中小企業高度化資金や自治福祉振興資金なども含めまして、総額でおよそ471億円となっております。このうち、その時点で返済期限が到来していながら返済されていない貸付金は、中小企業近代化資金や地域改善対策進学奨学金貸付金などでおよそ29億円ございます。このほか、県営住宅の家賃を初めといたします貸付金以外の未収金はおよそ3億円となっております。こうした未収金債権に関しましては、それぞれの担当課で文書や口頭での督促を行い、また一括で返済することが困難な場合には履行延期の特約を行い分割して返済させますほか、例えば県営住宅の家賃につきましては必要に応じて訴訟を提起するなど回収に努めておりまして、今後とも引き続き努力してまいります。 また、必要な資金を一定の金利または無利子で貸し付け、年度内に償還させるという形による貸付金は、平成13年度予算で公共用地先行取得貸付金や中小企業制度金融貸付金など25の貸付金で、総額でおよそ614億円を計上しております。 続きまして、県税に関し、税目別の収入率、収入未済額のここ3年間の状況について御説明いたします。まず、個人県民税の収入率は91%程度で、この間若干上昇しておりますが、収入未済額は10億円前後で、若干増加をしております。自動車税の収入率でございますが、92%前後、収入未済額が7億5,000万円程度でございまして、収入率の低下に伴い収入未済額が増加をしております。その他の県税の収入率は98%程度、収入未済額は8億円弱であり、収入率の向上に伴いまして収入未済額が減少する傾向となっております。 県税の収入確保につきましては、平成10年2月に庁内に県税徴収確保対策推進委員会を設置し、徴収目標と対策を定め滞納の整理に取り組んでまいりました。また、昨年4月には税務課内に特別徴収チームを設置し、高額困難案件の滞納整理を直接行うなど徴収の強化に努めております。これまでの収入未済額の推移を見ますと、平成元年度には約15億円であったものが平成9年度には約25億円まで増加を続けてまいりましたが、さきに御説明申し上げました対策をとった結果10年度以降は一応の歯どめをかけることができましたが、厳しい経済状況もございまして収入未済額の縮減には至っておりません。今後、これまでの取り組みの実績を踏まえまして新しい徴収目標と対策を立てまして、県税収入未済額の縮減への取り組みを強めてまいります。 以上でございます。   (教育長大崎博澄君登壇) ◎教育長(大崎博澄君) 教育問題についての御質問にお答えをいたします。 まず、教職員課への人事の一元化を補強するシステムについてのお尋ねでございます。現在の県教育委員会の事務局体制は、土佐の教育改革を考える会の論議の中で、教育効果を第一義に県教育委員会の権限と責任のもとに実効ある交流を推進するよう検討すべきという御提言をいただいたことを踏まえて整備をしたものでございます。教育改革がスタートしてからの5年間で、教職員の人事上の課題であった広域交流は延べ1,800人を超えております。この人数は小中学校教職員の4分の1以上に当たり、停滞していた交流人事も軌道に乗せることができ、教職員の意識改革、全県的な人材の活用などの観点からも一定の効果を発揮していると考えております。 一方、人事管理におきまして、きめ細かな対応や配慮に欠けるのではないかという御指摘もいただいておりますし、指導を要する教職員対策という課題もございます。そのため、まず第一に人事を担当する管理主事の力量の向上を図りますとともに、市町村との風通しをよくしますために、教職員課内の職務遂行上のシステムの改善に努めていかなければならないと考えております。また、今年度から教職員課の管理主事を2名増員いたしました。これまで以上に市町村教育委員会訪問や学校訪問の回数をふやし、市町村教育長や校長との連携を深め協力関係を築きながら、より多くの正確な人事情報を集めて適切な人事管理ができるよう努めます。さらに、よりよい人事管理システムを構築していきますためには、学校、市町村教育委員会、県教育委員会の3者がそれぞれの立場で役割分担をし、責任を果たし合うということが基本となりますので、そうした体制づくりに取り組んでまいります。 次に、指導力と資質に問題のある教員の実態の情報公開についてのお尋ねでございます。指導を要する教職員のとらえ方につきましてはさまざまな見方があり、それを客観的に判断するためには一定の基準が必要でありますことから、今回、分析・分類表や認定基準を作成して、それに基づいて14名の指導を要する教職員の認定を行いました。今後におきましても、この基準に基づき課題のある教職員の把握に努め、認定した教職員の実数などにつきましては公表していきたいと考えておりますが、この認定は教壇への復帰を支援することを基本としておりますので、その実態についての情報公開には一定の限界がありますことを御理解いただきたいと思います。 また、認定には至らないまでも課題のある教職員につきましては、学校長、市町村教育委員会と十分連携をとり、専門的な立場から御意見をいただくために設置しております資質・指導力向上調査研究会議などの御意見もいただきながら、適切な指導や助言を行っていきたいと考えております。 次に、校長の飲酒運転を受けて開かれました緊急会議での私の発言の趣旨と、管理職登用の見直しについてのお尋ねでございます。今回の緊急会議では、小中学校に集中してなぜ飲酒運転が続くのか本音の話し合いをしなければならないという思いから、私自身が教育改革総合支援事業のヒアリングにおいて実感をしました市町村教育委員会ごとの事業熟度の大きな格差、あるいはまた昨年不祥事が連続をしましたとき市町村の教育委員にも学校訪問をお願いしたことに対する対応の温度差、こういったところにも一因があるのではないかという思いを率直に申し上げましたところでございます。今回の不祥事は指導すべき立場にあります管理職によるものであり、県民の皆様、県議会の皆様に心よりおわびを申し上げます。 管理職登用の基準の見直しが必要という御指摘につきましては、私自身も引き続き管理職登用審査の面接に直接加わってまいりますし、子供たちが主人公という土佐の教育改革の原点に立って、子供の立場に立って汗をかく人、教育に関するビジョンや使命感、時代を見る先見性や課題発見能力、教職員の意欲を引き出せる指導力や包容力、こういった視点を大切にして管理職にふさわしい人材を見きわめ、登用するように努めてまいります。 次に、大阪府での児童殺傷事件を踏まえ、県が行った指導及び県内市町村の対応の実態についてのお尋ねでございます。今回の事件は多数の児童や教職員が殺傷されるというまことに痛ましいものであり、子供たちが安心して学べる場であるべき学校におきましてこのような事件が起きましたことに大きな衝撃を受けております。関係者は全力を挙げて子供たちの安全確保、学校の安全管理に取り組んでいかなければならないと考えております。 県では、この事件の発生後、直ちに市町村教育委員会を通じて各学校に対しまして来訪者の確認、不審者情報に係る関係機関との連携など、文部科学省通知に沿った再点検を行うとともに、緊急に講じるべき対策に取り組むよう指導をいたしました。各市町村、学校では、教職員による校内の巡回、来校者への声かけ、ガードマンによる巡回警備、警察や少年補導育成センター等の関係機関による巡回パトロール、PTAや地域住民の皆様の協力による登下校時の安全確保、こども110番の家など緊急避難場所の周知、こういった対策を講じております。 また、県教育委員会といたしましては、警察など関係機関による学校の安全管理に関する連絡協議会を緊急に開催しまして、日常あるいは緊急時に取り組むべき事項等を協議いたしました。これを受けまして臨時教育委員会を開催し、開かれた学校づくりなど地域との連携を今後一層深めていくことを確認いたしますとともに、教職員の危機管理研修の充実、防犯設備の設置の促進、警察等関係機関との連携による地域における安全システムづくり等の対応方針をまとめました。今後、この対応方針に沿って、関係部局や市町村教育委員会と連携して安全対策を進めてまいります。 以上でございます。   (農林水産部副部長武石徹君登壇) ◎農林水産部副部長(武石徹君) 実践農業大学校に関連する窪川町の農業公社への土地貸与と事業活動についてのお尋ねにあわせてお答えします。 御質問にありました企業との契約栽培につきましては、窪川町より受け入れの可能性を検討したいとの申し出がありましたので、県としては企業との協議の場を設けるなどの対応をいたしておりますが、実現には多くの課題があると認識しております。県有地の貸与につきましては、高知県財産条例により、公共的な団体がその設立の趣旨に基づいて実施する公益事業に利用する場合には、県の所有する土地を無償もしくは減額貸与することができることとなっております。しかし、現段階では窪川町から土地利用についての具体的な計画が示されておりませんので、そのような場合に該当するかどうか判断することは難しいと考えております。 また、農地保有合理化法人は御質問のような販売事業を行うことは法律上できませんが、今後町から農業公社の設立などについて具体的なお話があれば、事業の内容をお聞きした上で適切に対応してまいります。 以上でございます。
    ○副議長(森雅宣君) 暫時休憩いたします。   午後2時31分休憩---------------------------------------   午後2時52分開議 ○議長(東川正弘君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 40番梶原守光君。   (40番梶原守光君登壇) ◆40番(梶原守光君) 私は、日本共産党を代表いたしまして、以下やみ融資問題と知事の責任問題を中心に質問をいたします。 当面する県政課題は多岐にわたっておりますが、何といいましても今議会の課題は、この1年数カ月間県政を揺るがし続けてきたいわゆるやみ融資事件について最終的な議論を行い、知事の責任問題に結論を出し、かつこの事件の深刻な教訓に深く学び、今後の県政改革への展望を明確にすることであると思うのであります。ところで、このやみ融資事件については、去る2月議会と先月の臨時議会において基本論議は終わっておりますので、その重複を避けて、残された問題の詰めの議論を行っておきたいと思います。 まず最初に、100条委員会の調査に対する県の対応についてであります。この点については遅きに失したとはいえ、知事から一定の反省が示されました。しかし、私が2月議会で3点にわたり問題点を指摘したそのうちの一つ、100条委員会がその調査の上で必要不可欠な資料として、地方自治法第100条第1項の規定に基づきまして提出を求めた資料について、極めて非協力的であったことについては改めて議論をしておきたいと思います。2月議会で私は、県の態度について、「最初は、資料の重要なところはほとんど黒塗り、調査の決め手になる書類は提出拒否か秘密会の要求、これだけの大事件を起こして調査をされている企業の名前すら明らかにしない始末。職務上の守秘義務や企業秘密もあることは我々も百も承知。問題は、行政執行をチェックすることを重要な使命として県民から選ばれた議会という公的機関が、しかも地方自治法が特別の必要性を認めて、特別の強力な調査権、準司法的権限まで与えた100条委員会に対して、一般県民が情報公開を求める次元にも届かないような対応をするとは一体何事か」と指摘したわけであります。 ところが、これに対し知事は、「資料の提出に関しましては、当初から情報公開条例にのっとった判断をしてまいりましたが、その後、事実関係が判明してまいりますに従いまして、できる限りの情報の提供に努めてまいりました」と極めて簡単で的外れの答弁を行ったのであります。この答弁には2つの重大な矛盾があります。一つは、県議会が地方自治法第100条に基づき特別の強力な権限を与えられた調査特別委員会を設置して、同法第100条第1項の資料の提出権に基づいて提出を求めているのに、一般県民が情報の公開を求める情報公開条例に基づいて提出の可否を判断していること。もう一つは、この資料の提出は事実関係を明らかにするために求めているのに、事実関係が明らかになったのでその後は情報提供に努力をしたということ。これはいずれも、地方自治法第100条の議会の権限の基本認識を誤っていると言わざるを得ません。 法律が議会にこの強力な権限を与えたのは、議会の果たす重要な役割にかんがみ、議会がその任務を十分果たすために欠かせない権限として最後の生命線として与えたもの、いわば議会の伝家の宝刀なのであります。したがって、同法第100条は関係人の出頭、証言、記録の提出を求める権限を刑罰による制裁の裏づけをもって保障しており、公務員がその地位において知り得た事実であって職務上の秘密に属するものと考える場合であっても、公の利益を害する声明を強制され、県民の批判を受けなければならないことになっているのであります。 しかも、今回100条委員会が提出を求めた決算書等の資料は、重大な問題を起こして調査されている企業の作成したものであり、かつ数年前の決算書等であって現在の企業活動にはほとんど影響がなく、しかも事件の真相究明には欠かせない重要な資料であったのであります。そのような資料まで提出を拒否することは、議会と行政執行機関との関係を規定する基本法たる地方自治法上の議会の権限を無視するものであり、真相究明への協力を拒否するものであって、到底容認することはできないのであります。 なぜ私がこの問題を重視するかといえば、このような執行部の対応や答弁を放置することは、全国の自治体の議会と執行部との基本的権限関係、あり方を左右し、議会の生命線とも言える権限を大きく制限し、地方自治法第100条の死文化につながる重大な先例を残すことになるからであります。私は、執行部は当初、事件の深刻さを知っているだけに何とかこの問題が重大化しないように隠そうとしていたと思っております。ここに、知事が言う情報公開と職員の意識改革の間に大きなずれがあります。いずれにしても、知事はこの職員の情報公開に逆行する意見に引きずられたか、情報公開が本格的に機能していなかった過去の文献や見解に引きずられて今回のような答弁になったと思われるが、情報公開が劇的に進み、地方議会の地位と役割が急速に高まっている今日、地方自治法第100条が議会に与えた権限の基本的な認識、考え方を改めるべきだと思うが、知事の見解を伺います。 次に、最近明らかになった問題について伺います。 まず、昭和62年のとさいぬ保存登録協会への1億2,000万円のやみ融資事件であります。まず、このケースは弘瀬勝氏から経営支援の要請が来て、当時の中内知事が別役部長に支援策の検討を指示したことが発端となっております。中内前知事の指示を受けた別役元部長は同社の経営状態等を調査し、中内前知事に「金を貸せる状態ではない」と報告した。しかし、中内前知事は、「何とかしてやってくれ」と重ねて指示した旨報道されているが、これは事実か。 さらに、所管の中小企業指導課は、同社の財務内容を見て融資不能と判断し、財政課も別役元部長に「融資はできない」と言ったと報道されているが、それは事実か。また、別役元部長は、融資が前に進まないので、当時の松尾徹人総務部長に事の経緯を説明し善後策を依頼し、松尾氏は財政課の担当に「融資するいい方法はないか」と相談した旨の報道もあるが、県の調査結果ではどうか、それぞれお答え願いたい。 さらに、その他にも何件かのやみ融資事件が表面化しており、相当以前からやみ融資が繰り返され、それを隠すための金融機関へのつなぎ融資の要請と転がしと言われる手法がずっと継続してやられていたことが明らかになったと思われるが、この事態を知事はどう受けとめているか。また、これらの事実を知事が知ったのはいつか、お答え願いたい。 私は、この昭和62年のやみ融資事件の発覚に強い衝撃を受けたのであります。この事件の場合は、弘瀬氏の要請により中内前知事みずからが商工労働部長に弘瀬氏救済の指示をし、同部長が関係課に貸し付け検討を指示し、企業の実態は貸せる状態ではないことが明らかであったのにそれを承知の上で、中内前知事の強い指示で進めたようであります。しかも、対象企業は貸せる状況ではないので、休眠状態となっていたとさいぬ保存登録協会の名前をかり、かつ融資のための形を整えるために法人登記を行い、そこに直貸しをしたことにして弘瀬氏に転貸しする形で資金を還流させるというまことに手の込んだ策まで弄して貸しているのであります。そして、中内前知事自身が支出負担行為について決裁し、その後毎年10回にわたってつなぎ融資や転がし融資を商工労働部長名で四国銀行に要請して、このやみ融資を隠し続けております。 そしてこの10年間、この融資のための要綱制定や支出負担行為、銀行へのつなぎ・転がし融資の要請などに歴代の副知事以下幹部や職員が決裁や合議等の形でずらりと加わっており、この段階で今回の別件やみ融資事件を引き起こす基盤、人的な体制や体質ができ上がってしまっているのであります。しかも、このやみ融資が中内前知事の選挙絡みであったとも言われていることから見ても、中内前知事と弘瀬氏の深い関係が推測されるわけであり、このようなやみ融資や転がしの先例をみずから主導してつくった中内前知事の責任はまことに大きいと言わなければなりません。 結局、これでつくられた体制と体質が原型となり、そのまま今回の別件やみ融資に引き継がれたのであります。しかも、今回の高度化融資、やみ融資の背景となった同和行政のゆがみを決定的に進める組織ぐるみの人的体制も体質も、この中内知事時代の16年間でがんじがらめにつくり上げられてきており、これもまた、それがそのまま今回の事件の原因となり背景となっていることを考えると、中内前知事の責任はなおさら大きいと言わなければなりません。 以上、要するに今回のようなやみ融資事件は相当古くから繰り返されており、今回たまたま発覚しただけであって、その過去のあしき遺産の後始末を今、知事も議会も捜査当局もやらされているだけだと言っても過言ではありません。そして、議会も知事もその間無視され続けてきたということであります。知事が無視されることは行政組織内部の問題であり、これを教訓に情報共有等への根本的な改革をしなければなりませんが、県民の代表機関である県議会に対して一貫して隠しだまし続けてきたことはまことに深刻な事態と言わなければなりません。それは、地方公共団体の議会と執行機関との権限に関する基本ルールを定めた地方自治法そのものを無視し、議会制民主主義の否定につながる重大な行為であります。 知事はこの、議会を軽視し無視する根深い県行政の組織的体質をどう受けとめ、どう改革していく考えか、伺います。 今振り返ってみると、橋本知事も大変な所に来て知事になったものだなあと私はつくづく思うわけであります。これまで見てきたように、高知県の行政組織の中枢は、30年以上にわたって部落解放同盟の圧力に屈して主体性を失い、ゆがんだ同和行政のしがらみの中にあり、また特定人物に弱く、癒着し、異常な体質になってしまっておりました。そこへ、そんな実態とは知らず東京から舞いおりてきたわけであります。そして、知事が信頼し、頼りにしていた元副知事や元海洋局次長などほとんどの幹部が多かれ少なかれこの古い体質に侵されていて、次々と信頼を裏切られる事件を起こし、過度の信頼という言葉が有名になったのであります。そして、知事はそのたびごとにみずからを処分しなければならない羽目になったのであります。 今回の事件の経過を注意深く見るならば、以上のようなしがらみを持っていない中央から出向してきた幹部の多くは、今回の一連の事件の中でも批判的意見を述べ、別件やみ融資事件では強く反対しております。中央から来ていた幹部の一人は高知を離れて間もなく事故で死亡されましたが、その遠因は県庁内の古いしがらみへの抵抗だったのではないかとも言われています。中央から高知に赴任するとき、高知での同和行政の難しさについて先輩から注意されたという話も聞くわけであります。そのような中で、知事はこれまで実に多くの改革を実行したし、今回の別件やみ融資事件では実情を知ったとき反対してとめておる。県体協の会長人事では、まさに孤軍奮闘で正常化させました。一番おくれていた同和行政のゆがみの是正も、知事が高知に来て二、三年ごろ、年頭所感でタブーへの挑戦として改革に乗り出そうとしていたことが明らかになりました。今回の一連の事件で知事の管理監督責任が厳しく問われることは組織の長である以上当然でありますが、以上の経過と実態を冷静に見て、知事の責任の程度と責任のとり方を判断しなければならないと思うのであります。 そこで知事に伺いますが、あなたは高知県の知事の道を選んだこと、そしてこれまでの10年間知事として歩んでこられたことを今振り返ってみてどういう思いを持っておられるか、率直な心境をお聞かせ願いたい。 次に、今回の事件に至った経過を振り返り、県議会の責任はどうなのかということもこの際しっかりと見ておく必要があります。今回の100条委員会は、立場や考え方の違いを超えて全員一致で真相の究明に取り組み、行政の古い体質にメスを入れてまいりました。この努力は、県民の目から見ても、一定議会の責任を果たしたと評価されていると思うのであります。また、今回の事件を議会が早く発見できなかったことについても、これだけ手の込んだ隠し方をされると、なかなか発見は困難であったと言えると思います。 しかし、今回の事件の背景となった同和行政のゆがみや特定人物との癒着体質の是正については、議会も責任があると言わなければなりません。30年来続いてきた同和行政のゆがみについても、私どもは一貫して厳しい指摘を行ってまいりましたが、このことが議会として取り上げられたのは決算委員会の報告で行政の主体性を守ること、県民の理解を得ることの指摘意見をつけたことだけであり、具体的なチェックや検証はなされないままでありました。特定人物との癒着の問題についても、私は昭和58年ごろ花月が現在の場所に移る際厳しい対応をした経験がありますが、議会として具体的に取り組んだという記憶はないのであります。したがって、今回までの一連のやみ融資事件については議会にも一定の責任があり、そのことも強く自覚しなければならず、そのことを横に置いて知事の責任のみを追及することはできないと思うのであります。 ところで、今回の一連の事件に対する知事の責任のとり方については、一方では今回の事件の内容が極めて重大であり県民の被害も大きいことを考えると、知事の管理監督責任、結果責任が厳しく問われることは当然であります。他方、今回の事件の背景には過去の県政の責任が根底にあり、議会の責任もあり、また知事自身は今回の事件には直接関与しておらず、事情を知ったケースでは反対をしております。この両側面を見たとき、なかなか難しい判断を迫られるのであります。したがって、知事は一たん責任をとって辞任し、県民の審判を仰いで出直したらどうかとの意見もあり、その方法は筋論からいえばわかりやすいが問題がないわけではありません。 そこで知事に伺いますが、知事自身も責任のとり方について随分迷われたと思いますが、最終的には一たん辞任して出直し選挙に出る道を選ばなかった理由、心境は何だったのか、お聞かせいただきたい。また、続投の道を選択した理由についても一定答弁がありましたが、お聞かせを願いたいと思います。 さて次に、いろいろと話題になった知事の進退問題について触れておきたいと思います。私どもは、 100条委員会での取り組みに当たっては、橋本県政に対する評価と真相究明とを絡ませたら間違いを起こす、議会の責任を果たせない、橋本県政の評価は各人違うがそれは完全に横に置いて、真実の究明と事件の背景、原因にメスを入れ、新しい民主的県政への発展を目指す、そのことが県議会の責任であるとの立場から取り組みました。特に、調査を通じて、この事件の背景となっていた同和行政のゆがみ、特定人物と行政の癒着など行政の古い遺産の根深さ、行政の私物化や裁量権の乱用のひどさ、組織ぐるみの隠ぺい体質、目に余る偽証等々を目の当たりにして、大手術なくして行政の民主化なしという思いを強くして、大規模な刑事告発を含む厳しい姿勢で臨んだわけであります。その判断は正しかったし、県民からも一定の評価をいただいたと思っております。 さて、その調査の結果を受けて、今度は知事の責任と責任のとり方を判断する基準は何かという大変難しい判断を迫られました。その判断基準は大きく分けて、一つは責任に応じたけじめはしっかりとつけてもらう、いま一つは、この県政の改革と再建をだれにゆだねることが県民の利益につながるかということでありました。まずけじめについて言えば、選挙で選ばれた政治家の知事、行政組織のトップとしての知事が責任に応じたけじめをつけなければ県民も納得しないし、社会のルール、規律も守れません。しかし、他方、今後の県政をだれにゆだねることが県民の利益につながるかとの判断を抜きにしたけじめ論は、筋は通るが、それが真に県民に対する責任ある対応かといえば必ずしもそうではない。結局、私どもは、この両方の基準の兼ね合わせの中で総合的に判断する道を選びました。 まず、責任に応じたけじめの判断では、今回の一連の事件の内容の重大性、元副知事以下の県の幹部が組織的に関与していたことの重大性、県民に与えた不信と損害の大きさ等からして組織の長としての管理監督責任、結果責任は極めて大きく、しかるべきけじめをつけなければ納得できない。しかし、事件が重大であるからといって知事の責任に帰せしめ得ないものまで知事の責任を問うてはなりません。そういう観点で見てみますと、今回の事件の責任については、過去の県政の責任、議会の責任もあり、かつ知事自身が事件に直接関与しておらず、関知したケースでは反対してとめており、特定人物については毅然とした対応もしている。知事には数々の改革への実績もある。これらのことも総合的に判断して知事の責任を考えるべきだとの立場に立ちました。 次に、今後の県政をだれにゆだねることが県民の利益につながるかという判断では、まず、県行政に広く深く根づいている古い構造的体質を抜本的に改革するためには、その実情を最もよく知り、かつ過去の県政へのしがらみもなく、過去のしがらみからの脱却を掲げて既にその改革に着手している改革派の橋本知事が最もふさわしいのではないか。また、知事の改革の実績と姿勢、すぐれた能力、高い知名度と影響力等からして高知県には得がたい人物であり、この知事を失うことは県民にとって大きな損失であるとの認識が県民の中に広くあること。そして今、県政はまさに崩壊寸前にあるとき、知事と副知事が同時に辞任すれば県政の大きな混乱と空白は避けられないし、橋本知事にまさる人材のめども全くない状況を考えると、橋本知事の続投を認めることが県民の利益につながるのではないかとも考えたわけであります。 さらに、知事の責任のとり方としても、やめて済む問題かということもあります。確かに、辞任すれば知事個人としては責任をとったことになるし、この知事なら再就職にも心配はありません。しかし、大混乱した県政をそのままにして去っていけば、まことに無責任な対応、身勝手な対応と批判されることにもなるのではないか。知事という役職と身の処し方は、知事個人の身の処し方だけを考えれば済む問題ではなく、県民全体にどう責任をとるのかという極めて公的性格の強い問題であります。したがって、知事に責任をとってやめろと迫ることは一見厳しい責任をとらせ、けじめをつける対応のように見えるが、事はさほど単純ではないのであります。やはり、先ほど申し上げた、知事がやめることが県政にとって県民にとって利益か損失かという面もあわせて考える必要があると思うのであります。 そういう中で、以上の両側面の接点として、知事は一たん辞任し、再度県民の審判を受けて出直しの道を選ぶというのも一つの選択肢だったとも考えます。これならけじめもつくし、県民の信任を背景に引き続き県政を担当できるだろうと思うからであります。ただ、この選択にも問題がないわけではありません。知事が議会で不信任になってそれが納得いかない場合に再出馬することはありますが、今回のように不祥事で責任をとって辞任した者が再選挙に出馬することは原則的にはおかしいわけでありますし、そういう矛盾と道義的責任の問題がございます。2つ目は、事件で県民に損害を与えた上に、選挙になれば数億円の費用がかかるし、市町村はもちろん全県民に大きな手間と負担をかけることになる。それは民主主義の経費だといえばそれまでですが、この厳しい財政状況の中では無視することもできないし、県政の空白も大きい。責任をとる知事の出直しのためにこんな負担を県民にかけてよいのかという声も、県民の中にはあるのであります。 特に、県民にとって有力な選択肢となる候補者のめどがあれば選挙も大いに意味があり、民主主義のルールでもありますが、現状では有力な選択肢となる人材の出現は期待できず、ほとんど無風状態で橋本知事が再選される展望の中ではなおさら問題であります。いずれにしても、橋本知事はそこまでして知事の職にとどまる考えはないと言っております。そうなれば、結局辞任だけが残り、橋本県政は終わりとなり、再び、やめることが県民との関係で適切かという問題に返ってくるのであります。 以上のとおり、大変難しい判断を迫られるわけでありますが、知事が今回みずからに課したけじめが責任に見合う十分なものかどうかは意見が分かれるにしても、前例のない相当重いけじめであることは事実であり、それに、前述した橋本知事が続投することの県民にとっての利益とを総合的に判断すれば、結論としては知事の続投を支持したいと思うのであります。 そこで、知事が引き続き県政を担当されるとして、何点か伺っておきたいと思います。まず、今度の100条委員会の調査を通じて痛感したことは、県民の税金をいとも簡単に特定のところに違法に貸し付ける、この公金の私物化の体質の強さ、憲法や地方公務員法等で明確にされております公務員の原点である全体の奉仕者の自覚が大きく欠けている。不公正、不透明なことを組織的に行っていることであります。この傾向は相当長期にわたって県行政の組織の中に沈殿し定着していると思われるが、この点の知事の認識と改革への決意を伺いたい。 また、知事は情報公開制度、開かれた県政等、制度面の整備は進めてまいりましたが、その成果が今回の事件で発揮されず、100条委員会の調査に対する極めて消極的な対応や、その後も隠されたやみ融資事件が次々に発覚するなど、情報公開に関する県職員の意識、感覚が旧態依然、非常におくれていることを思い知らされました。制度を整備することも非常に大事ですが、その制度を運用する職員の意識改革が伴わなければ制度が死んでしまうというのが今回の教訓であります。むしろ、情報公開が不十分だったということではなく、組織ぐるみで隠ぺいしたというのが100条委員会の実感であります。この制度や知事のスローガンと現実との間の大きなギャップをどう埋めるのかが重要な課題でありますが、知事はどう認識し、どう改革していくつもりか、決意を伺いたい。 いま一つは、知事には自然発生的な根強い人気があります。したがって、選挙の洗礼でも地をはう苦労は比較的少ないように思います。しかも、職務は極めて多忙であります。したがって限界はありますが、今後より一層、厳しい環境の中で苦労して頑張っている県民の生の声、県職員の中の声なき声に耳を傾けることが県政の発展にも生きるし、県民にも県職員にも根をおろし、信頼をより深めることになります。また、今回のような事件の再発を防止し、県政改革を進めるためにも有意義であると思うが、知事の認識とお考えを伺いたい。 最後に、今回の事件の大きな背景、原因となった同和行政の見直しについてどういう考えを持っているか、伺っておきたいと思います。同和行政は、長期にわたる特別対策により、いまだ一部に差別意識が残っているとはいえ格差と差別の解消は大きく進み、本年度末をもって特別対策の根拠法はなくなり、今後は全国的に、一般対策の中で地区内外を問わず同じ行政施策、一般教育行政によって対応していくという新しい時代を迎えようとしているのであります。したがって、このような発展段階、歴史認識に立って、同和と名のつくすべての施策、教育、啓発をやめ、何の分け隔てもない共通の施策、教育に切りかえるべきだと思うが、知事の考え方をお聞きしておきたいと思います。 なお、最後に県警本部長に一言伺いますが、今回の一連の事件に対する捜査当局の大変な御努力に敬意を表し、その労をねぎらうものでありますが、この事件に対する県民の関心は極めて高く、私どもが告発した事件はもちろんのこと、詐取された金の行方にも注目が集まっておりますので、その点もしっかりと解明し立件されるよう強く要請すると同時に、本部長の決意を伺っておきます。 次に、ハンセン病問題について伺います。 去る5月11日、熊本地方裁判所は、ハンセン病国家賠償事件について原告全面勝訴判決を言い渡しました。その内容は、過去90年にわたるハンセン病隔離政策によってハンセン病に対する恐怖心、嫌悪感をいたずらに駆り立て、新たな差別、偏見をつくり出したと認定し、厚生大臣は遅くとも昭和35年には隔離政策等の抜本的転換をすべきであった。国会議員については、らい予防法の隔離規定が存続することによる人権侵害の重大性等を考えれば、遅くとも昭和40年以降この法律を改廃しなかった立法上の不作為は違憲、違法であると断定したのであります。まさに、人権史上の記念碑とも言える判決であります。明治40年、癩予防に関する件の制定を出発点として、ハンセン病は強い感染力を持ち不治の病であるかのごとく宣伝され、国策として強制隔離政策が進められ、戦前・戦後、強制的に療養所に送り込まれ、数十年に及ぶ隔離された生活を強要され、人間の尊厳を奪い続けてこられたわけであります。 私は先日、高知県出身の入所者が最も多くおられる香川県の大島青松園を訪ね、県出身で原告団協議会会長の曽我野一美さんを初め6名の方々とお会いし、高知県も国の隔離政策に積極的に協力していた歴史があり、また先日の判決が出るまで私自身この重大な人権侵害に気づかず、何の対応もできなかったことについて本当に恥ずかしく思うし、まことに申しわけない旨のおわびを申し上げ、懇談をしてまいりました。その際、入所されたときの生々しい話もお聞きしてきたわけであります。 例えば、16歳のとき、人目につかないように夜中に村を追い立てられるように出され、汽車も貨物車の中に入れられ、船にも乗船できず、船の後ろに伝馬船をロープで引っ張り、それに乗せられた。療養所に着いても職員とは居場所を有刺鉄線で区分され、郵便物まで消毒された。入所後は強制労働させられ、子供は堕胎され、男性もパイプカットで断種された。全国の納骨には2万3,500柱が眠っておられ、そのうち何と堕胎された水子のが3,500柱に及んでいる。以来、半世紀以上にわたって郷里や肉親から引き裂かれた等々の話を聞き、大きな衝撃を受けました。今回の訴訟の原告団の中には、強制入所させられたときわずか8歳の子供であった方もおられるわけであります。 先日知事も明らかにしたように、このような残酷さを伴う国の隔離政策に従って高知県もいわゆる無らい県運動に積極的に協力しており、県としても県議会としてもその責任を認め、謝罪と償いに精いっぱいのことをする責任があると思うわけであります。私は今回、県に対する要望もお聞きしてまいりましたので、ぜひ実現していただきたいと思います。 まず一つは、ハンセン病に対する正しい知識と偏見解消の努力をあらゆる機会を通じて積極的に行ってほしいということであります。今日においてもハンセン病に対する偏見と差別観念は非常に強く、親の墓参りに帰っても、身内の者すら周囲の目を気にするため実家で泊まれなかったり、こっそりと帰らなければならない。自分の遺骨の引き取りすらちゅうちょする状況もある。もう余生も少ないので、早く郷里が快く迎えてくれ、公然と帰れるようにしてほしい。この偏見と差別観念を解消することが、今後のすべての対応の出発点、基本になると訴えておられます。県として今後どう取り組むか、考えを伺いたい。 2つ目は、里帰りの支援の継続や、県との交流を一層深めてほしいとの強い要望がありました。この点をどう進める考えか、部長に伺います。 3つ目は、療養所への入所者の平均年齢は74歳と言われ、毎年多くの方が死亡されております。そのため、近い将来入所者が少なくなり、療養所の統廃合も含め将来像が模索され、入所者の不安も大きくなっています。また、あと10年ないし20年で入所者がいなくなることも予想され、療養所内の納骨の管理や祭り事ができなくなり、事実上の無縁仏となることが心配されています。そのため、今から各県において、その県の出身者の遺骨をまとめて納めることのできる納骨を県につくってほしいという意見も出されております。いずれにしても、入所者は今、残された人生をどう生きるか、死亡した後のことまで真剣に考えておられます。しかし、これらの問題は、各人考え方の違いも予想されます。したがって、県の方で入所者との交流を深め、じっくりと入所者の胸のうちを聞き出し、その要望に沿って必要な対応を積極的に進めるべきだと思いますが、部長の考えを伺います。 最後に、知事は、先日のハンセン病を正しく理解してもらうための集会で、療養所を訪問して謝罪と交流をしたいとの意思表明をされましたし、今月末までに香川、愛媛の知事も訪問されると聞いております。一日も早く各療養所を訪問され、県民の代表として過去の誤った国の隔離政策への協力を謝罪し、今後の県の対応方針、考え方も伝え、要望を聞いてもらいたいと思いますが、どう考えておられるか、お聞きをいたします。 以上で私の第1問を終わります。   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 梶原議員の御質問にお答えをいたします。 まず、 100条委員会の権限についての認識や考え方を改めるべきではないかとのお尋ねがございました。これからの時代の地方自治のあり方を考えますとき、 100条委員会には情報公開条例の枠を超えて情報開示の権能が与えられていると受けとめるべきではないかと現在は考え方を改めております。ただ、そうした情報の開示が委員会という公開の場で行われることによります影響は、なお課題として残るのではないかと思います。 次に、昭和62年のとさいぬ保存登録協会への融資に関しまして、中内前知事から当時の別役商工労働部長への指示の内容についてお尋ねがございました。当時の関係者の話によりますと、中内前知事からの指示で弘瀬氏が融資を受けられる方法を商工労働部で検討しました結果、一たんは適当な方法がないという報告をしたと聞いております。また、その後、中内前知事から重ねて検討するよう指示があったということでございました。 次に、その際の中小企業指導課と財政課の判断についてお尋ねがございました。所管の中小企業指導課は、この事業者の経営状況のほか金融機関との取引状況や保証協会の保証の状況などを見ました結果、融資が受けられる適当な方法はないといったことを別役元部長に報告したと聞いております。こうしたことから、県による直貸しの方法を検討することになったと受けとめております。ただ、これに対しまして財政課の担当者は、先ほど申し上げました状況に加えまして県の直貸しにつきましても、財政秩序の面から、制度がないので融資はできないと答えたということでございます。 次に、当時の松尾総務部長が財政課の担当者に相談したとの報道についてお尋ねがございました。別役元部長は、この件をめぐりまして「予算の面で当時の松尾部長と協議をしたような記憶がある」と話しております。また、当時の財政課の担当者は、「松尾部長から予算の面で何か工夫できる方法があるかといった投げかけを受けた」と話しております。これに対しまして松尾市長は、「職務上、私が全く知らないということはないと思うが、決裁をしていないということもあって具体的なことは覚えていない。また、県の財政を預かる当時の立場からすれば、積極的に後押しをしたということはないと思う」と話されております。 次に、議会に説明をしないまま行う融資が相当以前から繰り返されていたことをどう受けとめるのかとの御質問がございました。今回明らかにいたしました融資に関しましての最大の問題点は、議会を初め県民の皆様への説明責任が果たされていなかったということでございます。また、公益性の点では、とさいぬ保存登録協会への融資は論外といたしましても、例えば宿毛商銀に対します融資は、信用不安を防ぎますために当時の大蔵省や政府系の銀行、さらには県内の銀行などとともに支援のための仕組みをつくりまして、その中で県としての役割を果たしてきたという経緯がございます。つまり、この件に関しましては、公表をいたしますと取りつけ騒ぎなどの信用不安を招くおそれがございましたため、議会に対しまして十分な御説明を行っておりませんでした。 ですから、当時の状況からすれば、宿毛商銀の件のようにあえて議会に詳しい御説明をしないという判断もあり得たのかもしれませんが、現在の価値基準、つまり県民の皆様にきちんと説明できないことは行政としてやってはいけないという基準で考えますと、議会に御説明をしないような融資制度は今後はあり得ないと考えております。 また、これらの事実をいつ知ったのかとのお尋ねがございましたが、今御説明をいたしました宿毛商銀に対します支援の融資の件は平成6年3月に知りましたし、その他の融資に関しましては、モード・アバンセのほかにも県単独の直貸しがあるといった説明を去年の3月に受けております。 次に、県行政の組織の体質の改革についてお尋ねがございました。議会に対して説明責任を果たしていない従来の体質は、情報公開や住民自治、ひいては民主主義の視点からも大いに問題がございますし、不明朗で安易な考え方であったと思います。このため、今回こうした一連の問題をきっかけといたしまして、情報の公開や説明責任をきちんと果たしていきますことが行政の大原則だということを職員全員が意識できますよう、さらなる県政改革に取り組んでいきたいと考えております。 次に、この10年間知事として歩んできたことを今振り返ってみてどういう思いを持っているのかとのお尋ねがございました。私は10年前初めて知事に選んでいただきましたときに感想を求められまして、「私は知事になるために高知に来たのではなく、知事として仕事をさせてもらうために高知に来ました」といったことを申し上げました。その思いは今も変わりはありませんし、知事に就任しまして以来、私を捨てて仕事に打ち込んでまいりました。また、10年前多くの県民の皆様が私に寄せられました思いは県政の流れを変えることにあったと思いますので、特に県政の改革には力を入れて取り組んでまいりました。ただ、午前中植田議員にもお答えをいたしましたように、生来のバランス感覚が働きました結果、思い切った改革に踏み込めなかったという反省点もございますが、その一方で、ようやく本当の意味での改革の入り口にたどり着けたとの思いもございます。 こうしたことから、この10年間の私の仕事ぶりとその成果に対しましては当然さまざまな受けとめ方や御評価があろうかと思いますが、私といたしましては、自分の力から見ましてこれ以上はできないというくらい全力を尽くしてきたと感じております。 次に、出直しを選ばなかった理由と、引き続き知事の座にとどまることを選択した理由についてお尋ねがございました。確かに、何人かの方からは直接出直しを考えてはどうかとのアドバイスをいただきました。その際には、県民の皆さんにとってその方がわかりやすく受け入れやすいとか、その方が職員への求心力が保てるのではないかといった理由をお聞きいたしました。このように、私のこと、ひいては県政の将来のことを考えてくださっている方が何人もおられますことをとてもありがたく心強く思いましたが、午前中に植田議員にお答えをしましたような思いから、出直しという選択はとれませんでした。その一方で、辞職や続投を求めます数多くの声をいただきましたけれども、こうした声を受けとめます中で、先ほども申し上げましたように、せっかく本当の意味での改革の入り口にたどり着いたところで、職をなげうってしまいますことはむしろ無責任な態度につながるのではないかと思いまして、あえて自分にとりましては苦しく、また厳しい道を選択いたしました。 次に、税金としていただいた公金への感覚など、職員の意識に関するお尋ねがございました。御指摘の点は、一つには、特定の団体や個人とのつながりを断ち切れていなかったというこれまでの県行政の体質に起因をしていると思います。また、このことにもかかわりますが、業務を執行していく過程で、公益性の判断がややもすれば県民の目線からずれる面があったことも否定できないと思います。あわせまして、時代の変化とともに、この公益性をはかる物差しそのものも変化をしていかざるを得ません。こうしたことから、一連の問題をきっかけにもう一度公務の原点に立ち返りまして、本当の意味での県民の皆様のための行政が浸透をいたしますよう、職員の先頭に立って改革を進めていきたいと思います。 また、情報公開に関しまして、今後の改革にどう取り組むのかとの御質問がございました。開かれた県政の実現は、私が知事に就任しまして以来最も力を入れて取り組んできたことの一つでございます。このため、情報公開に関しましては、全国に先駆けまして食糧費の相手方の氏名を公開いたしますなど、先進的な仕組みづくりに取り組んでまいりました。しかしながら、今回の事件を振り返りましたとき、そうした制度への理解や県民の皆様に説明責任を果たしていくという意識が県庁の中に十分には浸透していなかったことを率直に反省せざるを得ません。こうした反省に立ちまして、現在非開示とされております情報の見直しを含めまして、より透明性の高い制度となりますよう、情報公開条例の改正などに向けまして具体的な検討を進めてまいります。 あわせまして、公文書の開示、非開示の判断に部局間でのばらつきがないよう庁内での共通の認識を確立いたしますことや、情報公開の取り組みの状況を職員が県民の皆様方と一緒になって評価することによりまして、情報公開に対します県民の皆さんの思いを職員に実感してもらうような仕組みをつくることなども取り組んでいきたいと考えております。こうしたことによりまして、一人一人の職員が情報公開を当然のこととして受けとめますとともに、進んで情報提供に努めることができますよう意識改革を進めてまいります。 続いて、県民や県職員の生の声に耳を傾けるべきではないかとのお尋ねがございました。一連の事件を受けまして、県内6カ所で県政フォーラムを開催いたしまして県民の皆様に直接おわびを申し上げますとともに、こうした事件が起こりました背景と経過、また、こうしたことを二度と起こさないための県政改革の方向性などについて御説明をしてまいりました。その際、多くの県民の皆様方から厳しい御批判や励ましの声をいただきましたし、その後もメールや手紙、電話などで県政改革を望む多くの御意見をいただいております。こうした経験から、県民の皆様の率直な御意見をお聞きいたしますことは開かれた県政を実現いたしますための基本だとの思いを再認識しておりますので、今後ともさまざまな声に耳を傾けていきたいと考えております。 また、庁内でも、日々の仕事の中での問題点や県庁の改革などにつきまして、職員のグループとひざを交えた意見交換を行っております。その中では、私の思いや考え方、またせっかくつくった制度や仕組みの趣旨が現場の第一線の職員まで伝わっていないといった多くの指摘もございました。そうしたことから、今後もさまざまな機会をとらえまして、職員との意思疎通も図っていきたいと考えております。 続いて、同和行政の見直しに関しまして、今後は同和と名のつく施策をやめて分け隔てのない施策に切りかえるべきだとのお尋ねがございました。これまでにも申し上げてまいりましたように、地域改善対策のための特別措置法が本年度末をもって期限切れになりますので、同和地区やその関係者に対象を限定いたしました特別対策は今年度限りで終了をいたします。しかし、差別や偏見は現在も根深く、しかも厳然と残っておりますし、同和問題は歴史的な見地から見ましても、また社会的な見地から見ましても、本県にとりましては引き続き人権問題の大きな柱の一つでございますので、今後は一般対策の中で人権対策として取り組んでいきたいと思います。 続いて、ハンセン病に対します偏見と差別の解消に向けましての取り組みについてお尋ねがございました。御質問の中にもございましたが、本県でも国の隔離政策の一翼を担いまして療養所への入所を進めました結果、偏見や差別の土壌をつくってきたという苦い歴史がございます。こうした政策によって形づくられましたハンセン病に対します差別や偏見をなくしてまいりますためには、過去の誤った歴史の教訓を生かしながら、県民の皆様にハンセン病を正しく理解していただくことがまず何よりも大切なことでございますし、そのことが県としての責務でもあると考えております。このため、人権の視点を十分に踏まえまして、啓発活動などに積極的に取り組んでまいります。 今年度は、さんSUN高知や新聞などでの広報を行いますとともに、人権に関します研修会の中にハンセン病を取り上げることにしております。また、入所者の方にも御協力をいただきながら、安芸地区と幡多地区でも啓発のフォーラムを開催する予定でございます。このほかにも、県政概要や、高知県警察史・昭和編などの書籍の中に、無らい県運動の推進や強制隔離の徹底を行政の実績であるかのように記述した箇所がございますので、こうした取り組み自体が過ちであったことを明らかにしました訂正の記述をその書籍に挟み込むなどいたしまして、正しく理解していただけますよう努めてまいります。 続いて、療養所への訪問と謝罪についてお尋ねがございました。6月22日に高知市のふくし交流プラザでハンセン病を正しく理解するフォーラムが開催をされました。その際のごあいさつの中でも、おわびの気持ちとともに療養所への訪問の意志のあることに触れましたが、フォーラムの前に大島青松園の入所者の方々と意見交換をする機会がございましたので、その席でも施設への訪問をお約束しております。といいましても、すべての施設に出かけることはできないかもしれませんが、早い時期に訪問をいたしまして、入所者の方々に直接おわびを申し上げたいと考えております。また、それとあわせまして、入所者の皆様方の御意見、御希望をお伺いいたしますとともに、亡くなられた方のお参りもさせていただきたいと考えております。 私からは以上でございます。   (警察本部長恵良道信君登壇) ◎警察本部長(恵良道信君) いわゆるやみ融資問題で告発した事件の立件、解明及び詐取された金の行方についても同様の立件、解明の要請がございました。並びに私の……。 (「何言いよるやらわからん、はっきり言わにゃ」、「明確に」と言う者あり) 失礼しました。いわゆるやみ融資問題で告発した事件についての立件、解明及び詐取された金の行方についての解明、さらには私の事件についての決意についての御質問がございましたので、それについてお答えいたします。 県の融資をめぐる一連の事件につきましては、昨年9月25日付で捜査本部を設置して以来、県警の総力を挙げて捜査に取り組んでまいったところであり、その間、詐欺及び背任により元副知事等関係被疑者を逮捕して所要の捜査を行った結果、主要被疑者が起訴されたところであります。 なお、関連事件について引き続き捜査中でありますが、今後とも県民の期待と信頼にこたえるべく、詐取された金の行方はもとより、一連の事件の全容解明に全力で取り組んでまいる所存であります。 以上でございます。   (健康福祉部長松岡寿子君登壇) ◎健康福祉部長(松岡寿子君) ハンセン病に関しまして、入所者への支援などのお尋ねがございました。 県ではこれまで、入所者の方々に対しまして里帰りの支援や療養所への訪問などの交流を行ってまいりました。今後とも、入所者の方々の御意見や御要望を伺いながら、里帰りなどの支援を継続して進めてまいります。 また、先日高知市で開かれましたハンセン病を正しく理解するフォーラムの中で、日々の生活をよく理解していただくために多くの方に療養所を訪れてほしいという要望がございました。特に、これまで交流の少なかった小中学生などの訪問を望む声もございました。こうした声を大切にしながら、今後の取り組みを進めてまいります。 次に、入所者の胸のうちを聞き、その上での積極的な対応についてのお尋ねがございました。先日、入所者の方々にお会いする機会がございました。9歳で入所され、以来50年余りにわたっての療養所内での厳しい生活についてのお話や、父親が危篤のとき病室への見舞いを兄弟から断られたお話など、非人道的な強制隔離やいわれなき偏見や差別などを受けてこられた体験をお聞きし、胸に迫るものがございました。言葉では言い尽くせない過酷な人生を送ってこられ、いやすことのできない痛みを持ち続けておられると思います。 これからの生活につきましては、原告の全面勝訴などを受けまして国と入所者の方々との間でお話し合いが進み、新たな対応がとられると思います。これまでも、県からお訪ねし、お話を伺うなど交流を行ってまいりましたが、このような状況の中での皆様方の思いも重ねて聞かせていただきまして取り組みを進めてまいります。 以上でございます。   (40番梶原守光君登壇) ◆40番(梶原守光君) 以上、今回の一連の事件について、知事にはどこまでの責任があるのか、その責任のとり方、進退問題について私どもの判断を示しました。しかし、この判断をするまでには大変複雑な要素と総合的な判断を求められました。事件そのものはかつてない重大な事件でありましたが、しかしそうかといって同時にその中で知事自身に責任を帰せしめ得る要素がどこまであるのか、責任に応じたけじめをつけながら真に県民に対する責任ある対応とは何かなどについて検討を重ねてきたところであります。いずれにしても大変重要な判断であり、責任ある判断でありますから、県民の皆さんに私どもの判断の内容と過程を詳しく説明する責任があると考えまして、多少長くなった嫌いはありますが、以上できる限り詳しく申し上げたところであります。 今回私どもは、結論としては知事の続投を支持いたしましたが、これで知事を免責するつもりは全くありません。知事自身も将来に向けてどう県政改革を進めるかという将来の責任を強調されておりますが、私どもの判断も、知事の残任期中の県政改革の実績を見て最終的な判断をするという意味を含む、いわば執行猶予つきの判決であります。これまで知事は、情報公開や説明責任など開かれた県政に向けた改革に努力してまいりましたが、知事の足元はそれと相入れない古い体質で固まっていたがために、知事の努力は空振りに終わった感がいたします。特に、同和行政・同和教育分野における県と関係団体との余りにも深い関係、人的なつながりはもちろん、考え方そのものが同化しているのではないかと思われるこの深い関係からして、その改革はそう生易しいものではないと考えております。同和問題をタブー視する傾向もすぐに消えるとは思えないのであります。 知事は、県民の中にいろいろ議論のある中であえて続投の腹を決めた以上、今度こそ県政が生まれ変わったと言われるような県政をつくる責任があると考えております。知事自身もそのための強い決意を持っておられるように伺いましたが、今回の事件について県民に対する責任を果たしたと言えるような県政の前進を、そして続投を選んでよかったと県民から評価されるような結果となることを心から期待いたしまして、私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(東川正弘君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明29日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後3時54分散会...