高知県議会 > 1998-07-17 >
07月17日-02号

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  1. 高知県議会 1998-07-17
    07月17日-02号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成10年  7月 定例会(第247回) 平成十年七月十七日(金曜日)             開議第二日---------------------------------------出席議員 一番 川田雅敏君    二番 黒岩直良君 三番 浜田英宏君    四番 樋口秀洋君 五番 山本広明君    六番 植田壮一郎君 七番 門田盛一郎君   八番 武井啓平君 九番 中野善弘君   一〇番 藤戸 進君 一一番 森 雅宣君   一二番 雨森広志君 一三番 西尾一雄君   一四番 東川正弘君 一五番 溝渕健夫君   一六番 元木益樹君 一七番 依光隆夫君   一八番 土森正典君 一九番 西森潮三君   二一番 結城健輔君 二三番 西岡寅八郎君  二四番 小松 雅君 二五番 伊野部武男君  二六番 広田 一君 二七番 朝比奈利広君  二八番 池脇純一君 二九番 猪野茂行君   三〇番 中沢潤二君 三一番 米田 稔君   三二番 牧 義信君 三三番 塚地佐智君   三四番 梶原守光君 三五番 田頭文吾郎君  三六番 田村輝雄君 三七番 森田益子君   三八番 井上自由君 三九番 川添義明君   四〇番 市川精香君 四一番 江渕征香君   四二番 熊井一夫君欠席議員 なし---------------------------------------説明のため出席した者 知事      橋本大二郎君 副知事     河野八朗君 出納長     鍋島孝雄君 総務部長    高尾和彦君 企画振興部長  島田一夫君 健康福祉部長  山崎淳一君 文化環境部長  兵谷芳康君 商工労働部長  川村龍象君 農林水産部長  安部 望君 土木部長    井添健介君 国体準備局長  西本 浩君 森林局長    山本忠道君 海洋局長    森光 稔君 港湾空港局長  宍戸達行君 企業局長    若山 隆君 病院局長    須藤 明君 教育委員長   宮地彌典君 教育長     吉良正人君 人事委員長   上谷定生君 人事委員会        小松正典君 事務局長 公安委員長   濱田耕一君 警察本部長   大園猛志君 代表監査委員  山本正和君 監査委員        松岡召一君 事務局長 選挙管理委員長 中山晴雄君---------------------------------------事務局職員出席者 事務局長    林 宏興君 事務局次長        山崎宣生君 兼調査課長 議事課長    井上 健君 議事課長補佐        森岡満明君 兼記録班長 調査課長補佐  北 俊介君 主幹      浜口佐知君 主幹      佐竹あき君---------------------------------------議事日程(第2号)   平成10年7月17日午前10時開議第1 第1号 平成10年度高知県一般会計補正予算 第2号 県立大学の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第3号 地方自治法第二百三条に規定する者の報酬、期末手当、費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例議案 第4号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第5号 過疎地域等における県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例議案 第6号 選挙公報の発行に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県議会の議員及び高知県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用及びポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例議案 第8号 保健婦、助産婦、看護婦等養成奨学金貸付け条例の一部を改正する条例議案 第9号 改良普及員資格試験条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県収入証紙条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例議案 第12号 高知県有料道路料金徴収条例の一部を改正する条例議案 第13号 公立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第14号 公立学校職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案 第15号 高知県監査委員に関する条例の一部を改正する条例議案 第16号 高知市と南国市との境界の一部を変更する議案 第17号 公平委員会の事務の委託を受けることに関する議案 第18号 県有財産(事務用機器)の取得に関する議案 第19号 宿毛湾港整備工事請負契約の締結に関する議案 第20号 東洋町特定環境保全公共下水道甲浦浄化センター建設工事委託に関する基本協定の締結に関する議案 第21号 有料道路「高知桂浜道路」、有料道路「浦戸大橋」及び有料道路「仁淀川河口大橋」の事業の一部変更に関する議案 第22号 退職手当の額の決定に関する議案 第23号 退職手当の額の決定に関する議案 報第1号 平成9年度高知県一般会計補正予算専決処分報告 報第2号 高知県税条例の一部を改正する条例の専決処分報告第2 一般質問 (3人)--------------------------------------- 午前十時二分開議 ○議長(土森正典君) これより本日の会議を開きます。--------------------------------------- △諸般の報告 ○議長(土森正典君) 御報告いたします。 第十三号議案及び第十四号議案については、地方公務員法第五条第二項の規定に基づき、人事委員会の意見を求めてありましたところ、適当である旨の回答書が提出されました。その写しをお手元にお配りいたしてありますので、御了承願います。---------------------------------------                            10高人委第109号                            平成10年7月14日 高知県議会議長 土森正典様                  高知県人事委員会委員長 上谷定生[印]   地方公務員法第5条第2項の規定に基づく意見について(回答) 平成10年7月14日付け10高議議第27号で意見を求められた下記条例議案は適当なものと判断します。                 記第13号 公立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案第14号 公立学校職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案--------------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(土森正典君) これより日程に入ります。 日程第一、第一号から第二十三号まで、報第一号及び報第二号、以上二十五件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第二、一般質問をあわせて行います。 通告がありますので、順次発言を許します。 十三番西尾一雄君。 (十三番西尾一雄君登壇) ◆十三番(西尾一雄君) おはようございます。私は、自由民主党を代表いたしまして、当面する県政の諸課題並びにその方策等について、知事並びに関係部局長に順次お尋ねしていきたいと思います。 質問に先立ちまして、去る五月十三日思いもかけず急逝されました我が党の故中平和夫先輩議員に、謹んで生前の御功績をしのび、心から哀悼の意を表しますと同時に、安らかな御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。 さて、このたびの参院選の最大の争点は、何といっても景気対策でありました。この七月県議会の最大の論点も景気対策と財政問題だと思っております。先般の参院選の直前に地元の新聞社が実施しました県内の世論調査でも、争点にすべき重要課題は福祉、医療、年金など身近な事柄を大きく引き離して、景気対策が四四・八%でトップとなっておりました。県民の最大の関心事であります景気対策について、今年度から取り組んでおります県の財政構造改革との関連を踏まえ、十分な議論を尽くすことが県議会に課せられた責務であると認識いたしております。 その景気の現状でありますが、平成九年度の我が国の実質経済成長率はとうとうマイナス〇・七%と戦後最悪となってしまいました。バブル経済の崩壊後、現在に至りましてもなお金融機関の不良債権問題が未解決のままであり、その結果、金融機関の貸し渋りの状況が長引いて企業活動が停滞を余儀なくされております。また、高齢化・少子化の進行により、年金や医療、福祉への不安などから将来の生活設計に明るい展望が見出しにくい状況にあることに加え、消費税の引き上げなどによりまして、消費者心理が冷え込んで財布のひもがかたくなり、そのことが景気に悪影響を及ぼしております。こうした経済不況に対応して、企業が生き残るためにコストや設備投資の縮減を進め、それがまた景気回復の足を引っ張るという悪循環に陥っております。 このように、この不況は単なる景気循環の一局面ではなく、バブル経済の後遺症に構造的な問題が重なった長い停滞であり、単なる公共事業や減税といった従来型の景気対策では打開は困難であり、まさに歴史に残っておりますアメリカのニューディール政策のように、大胆に構造改革を急ぐべき事態であると考えております。 こうした我が国の危機的な経済状況を踏まえ、本年三月二十六日に、自由民主党を中心とする当時の与党三党は総合経済対策の基本方針を発表いたしました。政府においてはこれを踏まえ、財政構造改革法を改正し、一定の条件のもとに赤字国債の増発を認める弾力条項を設定した上で、総額十六兆円を超える過去最大の経済対策を実行するに至り、先般の通常国会において補正予算の成立を見たところであります。 一方、県内におきましても、商店や鉄工所、あるいはタクシーの運転手などの話を聞きましても、景気のいい話は聞こえてきません。そして、県単独の融資制度の経済変動対策融資経済対策小口資金に、苦しい資金繰りを余儀なくされている中小企業者の申し込みが殺到している状況が、本県の景気の現状を如実に物語っております。 こうして県は、国の政策に呼応して可能な限りの対策を実施することが必要であるとして、今回の補正予算を編成しようとしております。国の総合経済対策に関して、我々は、これを実行しなければ我が国の経済は完全に失速し、アジア経済も巻き込んで世界恐慌へと突入してしまうおそれがあり、地方自治体も同調して対策を講じるべきであると考えております。しかしながら、一方では、本県は本年度を初年度とする財政構造改革に着手したばかりでもあります。 景気対策と財政構造改革の整合性に関しましては、国は財政再建の期間を緊急避難的に延長して経済の早期立て直しを図ることを強調しております。これに対して本県は、今回の補正予算に係る副知事通達を見ましても、「財政の質的転換と量的なスリム化を図るべく財政構造改革に取り組んでいるところであり、今回の補正予算もこの方針を堅持しつつ編成する」としております。また、国の総合経済対策を受けて、知事も同趣旨の談話を発表したと報道されております。いずれも平成十年度当初からスタートしました県の財政構造改革路線、すなわち十年度から十二年度までの三カ年で県債依存度を一〇%以下に引き下げ、借金体質からの脱却という路線を堅持すると説明しております。 しかし、今回の補正予算で県債を追加で発行する結果、当初に計画したとおりの財政構造改革路線の堅持は非常に困難な情勢になるのではないかと思っております。つまり、財政構造改革を堅持するのか凍結するのか、あいまいで疑問が持たれる情勢になっております。これらを県民にきちんと説明し、理解を得る必要があります。その上で今後の県政の方向を見定め、将来に誤りなき対応を図っていくことが極めて重要と考えるものであり、こうした観点から、以下るるお尋ねいたします。 まず、本県の現在の景気の現状についてどのように認識されておられるのか。また、県の経済対策の柱は何であって、それは補正予算案にどのように反映されているのか、知事にお伺いします。 県の補正予算案は、経済対策が中心であることから、当然のこととして社会資本の整備のための事業を中心として編成されております。国においては、環境、新エネルギー特別対策など、二十一世紀を見据え豊かで活力のある経済社会の構築に向けて真に必要な社会資本の整備を図るとして、国、地方を合わせて七兆七千億円程度の事業を実施することとしました。しかし一方では、「総合経済対策の効果により秋口には景気は上向くと言っているが楽観的過ぎる」、あるいは「総合経済対策はそれなりに景気の下支え効果はあっても、一年か一年半後には息切れをして正念場を迎える」といった声も聞かれます。つまりこれは、現在の経済不況の構造から考えると、公共事業だけで景気が反転するということは難しく、本格的な回復には、不良債権問題の解決、税制の改革、規制緩和の推進など各種の構造改革と相まった対策が必要だということでございます。 ただ、そうかといいまして、公共事業の景気対策効果公共事業そのものを否定するかの論調には賛同できません。確かに、社会資本の整備が産業の活性化を促し、それがまた別の産業の活性化に波及するといった効果については以前に比べれば小さくなってきておりますが、カンフル剤的な効果は依然として高く、また、公共事業にかわって効果を発揮できるものは、本県などにおいては現状では見当たりません。 一方、本県の社会資本の整備の状況を見ますと、将来の発展の基軸となるであろう第二次・第三次産業の活動を支える高速道路を初めとする交通運輸体系などの基本的な社会資本は、他県に比べてまだまだ整備がおくれております。また、現在においても本県の基幹的な産業であります農林水産業を維持・振興していくための基盤整備も不十分であります。加えて、県民の生活基盤となります上下水道、あるいは国土保全や防災、さらには環境対策など、まだまだ多くの社会資本の整備が必要であります。 また、本県の産業は建設業の割合が高く、疲弊が進んでいる中山間地域では特にその傾向が顕著であり、公共事業なくしては地域の生計が成り立たない現状でもあります。このように、公共事業にはさまざまな側面、意味合いがありますので、その効果に疑問を投げかける物の見方を、本県のような県にそのまま当てはめるわけにはいかないと考えております。 そこで、今回の経済対策に係る国の社会資本の整備方針を受け、従来型の公共事業に対して疑問を投げかける声もある中で、県としてはどういった方針で公共事業について補正予算の編成を行ったのか、知事にお伺いいたします。 また、国の総合経済対策は、今後我が国の一年間の名目成長率を二%程度押し上げる効果があるとされておりますが、県の補正予算に係る公共事業が県内の経済に及ぼす効果はどれくらいあると見込んでいるのか、企画振興部長にお尋ねいたします。 次に、先ほど事例として申し上げました県単独の融資制度についてお尋ねいたします。今回の不況により、県単独融資制度の中で今年度に創設した無担保・無保証の経済対策小口資金に融資の申込者が殺到し、当初の融資枠では希望額に対して大幅に不足する事態となりました。当初の融資枠は十億円の計画でありましたが、資金需要が予測を上回ったため、今回予算の補正を行い、合計で百億円に融資枠を拡大して中小企業の資金需要に対応しようとしております。私は、このような不況下にこのような制度を創設し、かつその後においても経済の状況に応じ柔軟な対応を図っていることを高く評価いたしております。ただ、若干の心配もありますので、以下商工労働部長にお尋ねいたします。 融資希望者が殺到している経済対策小口資金について、今回の補正ではどのような考え方のもとに百億円の融資枠を設定したのか。また、県信用保証協会はこの不況下で無担保・無保証人で信用保証を行うことから、代位弁済率が高くなると同時に求償権の行使も困難になることが予想されますが、協会の経営基盤への影響はないのか、お尋ねいたします。 県の補正予算案の公共事業は、国庫補助事業を中心として計上しておりますが、財政状況が厳しいことから、配分される国庫補助事業のすべてを受け入れることができなかったと聞いております。このようなことは今までになかったと記憶いたしております。財政構造改革の期間中とはいえ、あるいはまた補正予算に係るものであるとはいえ、こうした対応をとらざるを得ないまでに本県の財政が窮乏してきたかと、少なからず衝撃を受けるとともに、国との信頼関係を損なうことになりはしないかと心配もいたすものでございます。 本県のおくれている社会資本の整備を図るため、国に対しては傾斜配分を要望しながら、配分される国庫補助事業を取捨選択することに矛盾も感じますが、知事の所見を伺います。 本年度を初年度とする県の財政構造改革は、その取り組みを始めたばかりのところでありますが、今回の補正予算は総額二百九十一億円余りとなり、過去の経済対策から見てもかなりの大型と思います。国においては、総合経済対策を推進する上で地方の負担を軽減させるために、地方交付税を四千億円増額するなどの措置を講じました。そうした国の地方財政対策がありながら、一部とはいえ公共事業を返上するなど、今回県は実に厳しい対応を図りました。 県は、今年度の当初予算編成に際し、財政構造改革への取り組み方針を定め、起債制限比率をピーク時の十六年度においても、危険水域は突破するものの起債発行の制限を受ける二〇%寸前の一九%台に抑えるとしていました。しかし、基金も底が見えるなど困窮してきておりますが、今回の予算の補正が県の財政にどのような影響を及ぼすのか、起債制限比率や基金の残高など、今後の県の財政の見通しはどうなっているのか、総務部長にお尋ねいたします。 次に、国においては、今回の総合経済対策の中で一兆五千億円程度の地方単独事業を見込んでおります。しかしながら、県の補正予算案には県単独事業はほとんど計上されておりません。特に、道路や河川などの主要な県単独の公共事業は全く計上されておりません。私自身、本県の財政事情を考えますと、本年度は主要な県単独の公共事業の補正を行うことは非常に厳しい状況にあるのではないかと思っております。 そこで、主要な県単独の公共事業は、九月補正で計上する予定であるのか、それとも対応するだけの財政的な余裕がないのか、九月補正予算に臨む基本的な考え方をはっきりしていただきたい。総務部長にお尋ねいたします。 政府は、我が国の現状を踏まえて、財政構造改革法を改正した上で総合経済対策を実行するに至りました。その後の状況を見ますと、景気の低迷を受け、法人税が大幅に歳入見込みを下回ったことなどから、平成九年度の国の一般会計の決算は一兆五千億円の大幅な歳入欠陥となりました。また、一方では、恒久減税についても検討されるなど歳入の確保が困難となることが見込まれ、財政構造改革を維持していくこと自体の難しさが明確になってきており、財政構造改革法の再改正が浮上することは必至の情勢であります。 こうした状況下にあっては、県も国に準拠して財政構造改革の見直しを行うことが自然のようにも思われます。特に、自主財源に乏しく、財源の大部分を国からの移転に依存している本県は、国の動向に大きく左右されることから、国と違った方針で独自に財政構造改革を進めていくことは事実上困難ではないかと思っております。加えまして、今後、国体の開催や高齢者対策など多額の財政負担が必要であります。 そこで、県としても今後とも財政構造改革路線を堅持していくのか、平成十二年度までとする財政構造改革推進期間を国のように延長することや、県債依存率を一〇%以下にするという目標数値の変更などを行う考えはないのか、知事にお伺いいたします。 公共事業のあり方につきましては、財政構造改革を踏まえ、効果・効率を高めるため、事業の重点化や連携・調整を図るとともに、入札制度の改善、コストの縮減などの取り組みを進めてきております。しかしながら、そうはいいましても、やはり事業費の削減は社会資本の整備の進捗をおくらせることになり、また、建設業への依存度が高く、これにかわり得る産業が見出せない本県の産業構造の実情を踏まえますと、公共事業費の削減の影響は大きく、できるだけ事業費を確保していく必要性があると考えております。百歩譲りまして、本県の財政事情がそれをどうしても許さないというのであれば、県単独の公共事業費の削減はある程度やむを得ないとしても、せめて国の財政措置の厚い国庫補助事業は可能な限り確保していくべきだと考えております。 国の概算要求の締め切りの時期が近づき、各省庁の作業は本格化してきており、既に県の公共事業所管部局とは協議が進められていると承知いたしております。平成十一年度の公共事業費に関しましては、財政改革法は明確な数値を示しておらず、前年度を下回るとだけ規定されており、政府は当初、対前年度五%程度を削減する構想を描いていたようであります。しかしながら、アメリカなどは我が国に対して次なる経済対策を求めており、政府においてもブリッジバンクの設立や恒久減税の方針を打ち出しました。加えて、今回の参院選においては、我が党の経済対策に対する厳しい審判が下ったわけでございます。 このような情勢を踏まえますと、来年度予算は景気刺激型の予算とする必要があり、したがって、公共事業費も前年度並みの積極的な予算を確保するなどの必要性が高まってきていると私は考えております。県としては、政府の当初の財政構造改革の意向を踏まえ、公共事業費については十年度から順次七%、五%、三%の割合で削減されることを前提として、今後数年間の財政の見通しを立て、それを踏まえた予算編成を行うことを考えていたのではないかと思います。 そこで、平成十一年度の予算編成について、この際お尋ねいたします。国が財政構造改革の期間を延長し、景気対策を図るために積極姿勢で予算編成を行う場合、本県としてはどういう対応をするつもりか、財政的にその余地はあるのか。知事の提案説明によりますと、「今回の予算の補正により、歳入に占めます県債の割合は上昇いたします。こうしたことから、公共事業の見直しを断行しますとともに、行政の効率化やスリム化を進めてまいります」と言い、公共事業の縮減ともとれる説明がありました。平成十一年度の予算編成において、国が公共事業費を削減しない場合、本県としてはどう対応するつもりなのか。十一年度の公共事業の予算編成に取り組む基本姿勢について、知事にお伺いいたします。 次に、行政改革への取り組みについてお尋ねいたします。本年度は、時代の変化に的確に対応した新しい行政改革大綱を策定し、従来の行政改革とは違う前向きの行政改革として、県行政の顧客である県民の満足度を高める視点で取り組むということで、大いに期待をいたしております。 本県は、るる申し上げましたように、自主財源の増加も見込めず、基金の底も見え、近い将来の財源見通しを立てることも困難で、おくれている社会資本の整備も思うに任せない状態であります。これはまさに行財政の危機と言っても過言ではないと思います。幾ら予算の質的な転換を図るといっても、工夫には限度があり、県民サービスの低下を招くことは必至ではないかと思います。こうしたときには、県民と痛みを分かち合う意味においても、徹底的な行政改革・スリム化を断固として実行することが当然の帰結であると思います。 私は、知事の提案説明にあります前向きの行政改革という理念、また県民の顧客満足度という尺度は大変重要であると思いますが、顧客満足度という名のもとに、従来の行財政のスリム化という視点がおろそかになってはいけないと考えておりますが、行政改革に取り組む知事の基本的な考えと決意をお伺いいたします。 次に、福祉問題についてお伺いします。このたびの経済不況は、国民の将来に対する不安、不信が消費の減退につながったのがその大きな原因と言われています。大企業の倒産と雇用の喪失、金融破綻といった状況の中で、消費者の将来への不安は大きく、昨年十一月の総務庁の家計調査では、サラリーマン世帯の消費への意欲が一九七〇年以降最低に落ち込みました。 こうした意味からすれば、高齢化・少子化が進行する中、福祉、医療など我々の生活に直結する分野で将来がどうなるのかを明らかにし、不安を取り除くことも広い意味での経済対策ではないかと思います。こうした問題は、第一義的には国の責任でありますが、県政上でも重要な課題でありますので、以下こうした観点から介護保険問題を中心に高齢者対策、少子化対策についてお尋ねいたします。 まず、高齢者対策、介護保険への対応についてでございます。介護保険につきましては、御承知のように、平成十二年四月からの実施に向け十一年十月から認定事務が始まるということで、準備期間も残り一年と少々で余り余裕のない状況であります。去る六月十六日の地元紙の県民調査結果で見ますと、「介護保険料が高ければ保険は必要ない」という答えが全体で三八・八%になるなど、どうも介護保険制度の導入に対して県民の不安感があることや、理解が不十分ではないかという点が気になります。知事も提案説明で、「県内の各地域を回り市町村長や地域の方々とお話をさせていただく中で、多くの方々が平成十二年四月にスタートします介護保険制度に対しまして、大きな不安を抱いておられることを痛感いたしました」と述べておられます。 そこで、健康福祉部長にお伺いします。まず、十二年四月に向けての市町村、県の事前準備作業のうち、主な取り組み課題と思われる点をお聞きします。具体的には、肝心の保険料は幾らになるのか、介護保険を受ける際の認定について公正性と迅速性を担保する体制、仕組みはどのようになるのか、現在の福祉と医療サービスを受けている高齢者のうち介護保険制度の対象とならない方が相当出てくると言われておりますが、そうした方には何らかの手だてが講じられるのか、といったことです。 県民の方々にこの制度の理解を求めるためには、現在やっております実態調査について、なるべく早く中間報告も出して、情報も提供していくべきだと考えております。その考えをお聞かせいただきたいと思います。 次に、サービスの供給体制の整備についてお伺いします。先ほど申し上げましたが、現在高齢者の実態調査、介護保険の利用意向調査が行われていると聞いております。現段階の概括的な把握で結構ですが、在宅福祉と施設福祉の分野それぞれについて、一定の水準に達しているものはどのようなサービスか、不足すると考えられるサービスはどのようなものがあるのか、お聞かせいただきたいと思います。 次に、介護保険の重視する在宅サービスの中心となりますホームヘルプサービスについてお尋ねいたします。県の高齢者保健福祉計画の進捗率を見ますと、平成九年度末五〇・一%という心細い状況にあります。介護保険制度になりますと、それぞれの地域に介護報酬をもらってきちんと介護保険の仕事ができる、少なくとも三級の資格を持ったホームヘルパーが整っていることが重要だと思います。そこで、ホームヘルパーの養成について、基本的にどう考えどう取り組んでいくのか、お伺いします。 次に、ホームヘルプサービスやデイサービスの効率的な供給体制についてお尋ねいたします。現在はほとんどが市町村の委託を受けて社会福祉法人が運営していると思います。これまでの国の補助制度は、人件費に対する補助方式でありましたのが、十年度からは全面的に見直しまして実績補助方式に変わって、相当のところで赤字が出ているのではないかと言われております。介護保険制度が始まる十二年度からは、運営費に係る収入は基本的に定められた単価の介護報酬に変わるわけですが、その単価は余り高くないと言われております。 そこで、本県の市町村社会福祉協議会が委託を受けているホームヘルプサービス事業の運営状況は、補助方式が変わってから、また変わらぬまでも、どのような状況になっているのか、お聞きいたしたいと思います。 さらに、介護報酬になれば、財政的にはより厳しい情勢になると思われます。特に効率の悪い中山間地域などでは、民間事業者の参入も難しく、社会福祉協議会を初め公的なセクションが中心とならざるを得ないと思っております。その際、公社方式など広域対応を初めいろいろな手法も考えられるわけですが、これも市町村や市町村社会福祉協議会に任せ切りでは余りに問題が大きいのではないかと思っております。県が指導性を持って取り組むべき問題だと思いますが、お考えをお聞きします。 介護保険制度の最後に、制度のPR、理解促進についてでございます。先ほど申しましたように、どうも県民にこの制度の中身がわかっていない、不安に思っているというような声が多いわけでございます。これらの県民への浸透をどう認識し、今後どのように周知に努めていくか、お聞きします。 続きまして、介護保険制度にも関連しますが、高齢者保健福祉計画の改訂について、健康福祉部長にお聞きします。介護保険制度により、介護に関するサービスも大幅に変わることから、県と市町村の高齢者保健福祉計画が改訂されると承知いたしております。そういう意味で、今回の見直しは言うまでもございませんが、単に現行のいろいろな整備目標数値を進捗に合わせて見直すということにとどまらず、こういう画期的な制度が取り入れられるときでございますので、サービスの内容等につきましても、住民の納得するよう抜本から見直す必要があるのではないかと考えております。 そこで、この改訂についてどのような方針で、どのような手順、日程で進めていかれるのか、お聞きいたします。 次に、少子化対策についてお尋ねいたします。全国的に少子問題がクローズアップされる中で、この六月に厚生省から平成九年人口動態調査の結果が発表されました。それによりますと、我が国全体の出生数は百十九万千六百八十一人で、前年より一万四千八百七十四人減少しました。また、一人の女性が一生涯に平均何人の子供を産むかの数値である合計特殊出生率も一・三九となり、前年の一・四三を下回りました。さらに、男女とも晩婚化、結婚十年未満の夫婦の平均子供数の減少などの傾向が一層鮮明になっております。 子供の数がふえない理由としては、「育児や教育にお金がかかる」といった回答が最も多く、次いで「家が狭い」などが挙がっています。ただ、こうした少子化の問題を生まれてくる子供数が少なくなるという点に着目して考えますと、子供を産む世代のことを抜きに考えるわけにはいきません。 特に、高齢化が進み、子供を産む世代の数が減っている本県のような地域においては、さらに深刻であります。先ほどの人口動態統計でも、本県の昨年の人口の自然減は、前年に比べて大幅にふえ、過去最大の一千百六十六人となっております。この数は、全国の減少数と比較しても極めて大きい数と受けとめる必要があると思われます。 こうした背景について、具体的な実例を挙げますと、例えば学校基本調査報告書で平成八年度の県内高等学校卒業者の進路状況を見ますと、就職者の三〇・四%、進学者では実に五三・一%が県外へ流出しているわけでございます。このように、高知県における少子化問題を考える場合には、子育て環境をより快適なものにしていくのはもちろんですが、子供を産む世代がどうすれば県内にとどまるかということも重要な視点ではないかと思われます。 もとより、抜本的な解決は一県では限界があり、国の施策によるところが大きいと思われます。しかし、そのような状況の中で、本県は既に全国的にもユニークな「こども課」を設立し、少なくなった子供たちを健やかに育てられるよりよい環境づくりに取り組んでいることは、今後に大いに期待を寄せているところであります。 そこで、健康福祉部長にお尋ねいたします。今後、少子化の流れの中で、家庭や子供の対策にどう取り組んでいかれるのか、具体的な事例を交えお答えいただきたいと思います。 次に、労働政策の観点も踏まえながら、商工労働部長にお尋ねいたします。まず、高等学校卒業者や県外の大学で学んだ高知で就職を希望する者が、より多く高知で働けるような環境をどのようにつくっていかれるのか。 また、先般経済企画庁の「豊かさ指標」で、高知県は女性の働きやすさが日本一というデータが示されましたが、その後、県内の金融機関の調査では、県内主婦の八割はこの調査結果に「ノー」という感じを受けているというデータが出ております。そこで、働く女性や保育所などが多い本県において、女性の働きやすさという点についてどのように受けとめておられるのか。また、今後よりよい労働環境づくりをどのように推進していくおつもりか、お伺いいたします。 次に、よさこい高知国体についてお尋ねいたします。平成十四年の国体まであと四年となりました。競技施設の整備、あわせて競技の運営や宿泊・輸送対策にも力を入れなければならない時期になっております。このような時期に知事は、「日本体育協会加盟の競技団体が、施設の規模や広さについて細かく注文をつける。そのために市町村は何十億円というお金が必要となる」、「このようなことは即刻やめるべきだ。地域のサイズに合わせた国体にすればよい」など、現在の国体を厳しく批判し、このことから去る六月十日には日体協の帖佐国体委員長との会談が行われたところでございます。 知事の発言に対して、私の聞くところでは、「開催申請書の提出順序が了解される時点や開催申請を行う時点で、競技施設の整備や大会の準備・運営のために必要となる膨大な経費に対して認識が甘かったのではないか」、また「県から開催申請を行って国体の開催が内定しているこの時期に」という声もないわけではありません。 しかし、知事のこの発言は、中央政府に対し平素提案型の要望を行っていることと同様に、地方の声を生かして改革を進めていこうという知事の基本姿勢に沿ったものでしょうし、その姿勢を私たちも評価しているところでございます。この姿勢が、本県のみならず、国体を控えた各県に波紋を投げかけているのも事実でございますし、知事が地方のオピニオンリーダーと評されるゆえんでもあるところでございます。 県によれば、競技施設整備には総額六百二十億円、準備・運営のために市町村が百二十五億円、県が九十億円程度の経費が必要であると試算しております。これに対して、国体のための助成はほとんどなく、わずかに運営費に対して国から三億六千万円、日体協から二千万円程度があるのみでございます。これらの経費は、さきの開催県の事例を参考にしているというものの、県や市町村が負担しなければならない経費は余りにも大きく、多くの市町村はその捻出に苦労しているところでございます。 県においても、厳しい財政状況のもと、十年度当初予算の予算規模を圧縮し、単独事業を対前年度比一四・五%も削減するなど、思い切った財政構造改革を進めてきているのであります。このような中で、従来のように膨大な費用をかけて国体を開催する考えは、県民には受け入れられないのではないか、財政構造改革の努力も水泡に帰するのではないかと危惧するところであります。こうした観点からも、国体の改革は積極的に推し進めていくべきであると考えております。 また、現在の国体では、大会役員や招待者への度を過ぎた記念品や土産品の配布、会場の休憩所での無料飲食物の提供、前夜祭や懇親会が行われるなど、現時点でも縮小、見直しをすべきものが多くあるように思われます。極力むだなものは省いていく必要がありますし、地元紙が実施した県民世論調査におきましても、八四%が国体の簡素化を求めるなど、県民の意識もその方向にあるところでございます。 そこで、国体準備局長にお伺いいたします。知事と日体協の帖佐国体委員長の会談では、国体の秋季大会の一部競技を夏季大会に移行するなど、国体改革の総論では共通意見も多かったわけですが、国体委員長と競技団体の立場には違いがあると聞いております。この会談を踏まえ、具体的にどのような事項について改革していこうとされているのか、お伺いいたします。 なお、国体の簡素化を進めることによって、国体の盛り上がりに欠けることは避けなければなりません。国体を盛り上げるためには、何といっても多くの県民に国体にかかわってもらわなくてはなりません。そのために、県民参加をよさこい高知国体の一つの目標として掲げておりますが、その実現に向けてどう取り組んでいかれるのか、お伺いします。 県の試算によりますと、先ほど申し上げましたように、施設整備、準備・運営等で県、市町村合わせますと合計八百三十五億円に上る金額になり、これに関連道路の整備などを加えますと、国体関連経費は優に一千億円を超えるのではないかと思われるところでございます。これらの数字から考えますと、国体の改革によりむだを省くとしても、よさこい高知国体にはなお大きな経費が投入されるわけでございます。 去る六月二十五日の新聞報道によりますと、大阪五輪が行われますと、二千二百五十億円の公的資金が支出され、これに対して大阪市内だけで五千三百億円、約二・三倍の経済波及効果があると報道されております。その他にも、大阪の知名度の向上やスポーツ関連事業の集積、企業育成などお金に換算できない波及効果も期待できるとのことでございます。 オリンピックのようにはいかないかもしれませんが、よさこい高知国体の経済波及効果について県の経済界も期待をいたしておると思います。果たしてどの程度の効果が見込まれるのか、お尋ねいたします。 次に、競技力向上対策についてであります。本県においては、平成七年に競技力向上対策本部を設置し、移入選手に頼らず、手づくりの戦力で持続的な競技力の向上を目指して選手の育成強化を図っているとのことでございます。高知国体では、本県選手の活躍があってこそ県民に感動と喜びを与えるものと大いに期待いたしております。しかしながら、現状では指導者や選手層の薄い未普及の競技を含めて、まだまだ全国レベルに達していない競技も多く、近年本県が国体の総合成績で下位に低迷している大きな要因であります。 県内の一部の企業でありますが、選手の雇用や育成強化の動きも出ている模様であります。しかし、本県出身で優秀な選手が郷里での就職を希望しても受け入れ企業がなく、やむなく他県で競技を続けているケースもよく聞きます。高い競技レベルで鍛えられた選手が郷里に帰っても十分な鍛錬と活躍ができ、やがては指導者として育っていける、そのような環境がぜひ必要ではないかと思われます。 本県が高知国体において開催県にふさわしい成績をおさめるためには、このほか各学校の運動部活動の活発化等による小・中・高を通じての系統立った選手の育成強化を図ることが必要だと思います。企業や地域社会の協力も得まして、県民総参加の取り組みにより一層の競技力の向上を図らなければならないと思われます。 高知国体まであと四年となりましたが、国体開催を契機として、本県地域スポーツの普及・振興と県民生涯スポーツの推進を図るため、早急に有効な対策を立てなければならないと思うのでありますが、本部長であります教育長の御所見をお聞きいたします。 次に、本県現職教員の高知大学大学院教育学研究科への派遣問題について、教育長にお尋ねいたします。このことにつきましては、去る三月議会におきまして、同研究科が本県が期待する研修内容や派遣教員の研究テーマにこたえられる指導体制が不十分であることから、現職教員の派遣は行わないよう求める決議を可決したところです。しかし、この派遣中止の決議について疑問、反論が新聞紙上等で取り上げられておりますが、六月十五日に同大学教育学部長が、現時点で指導体制が整っているか判断しかねる部分もあるとして、本年八月に行われる教育学研究科の大学院入試では県教委に教員の派遣要請は行わないことを表明したと新聞報道されております。 こうしたことからしても、この決議が高知大学大学院教育学研究科の現状を正しく認識したものであることは明らかであり、疑問、反論は当を得たものではないと言わざるを得ないと私たちは考えております。 ところで、本県の教育を考えるとき、地元大学において優秀な教員が養成され、さらに現職教員が地元大学を利用して生涯を通じて教員としての資質・指導力を一層向上させることができる体制を整えることが極めて重要であります。また、国の教育職員養成審議会大学院等特別委員会においても、大学院修士課程を積極的に活用した現職教員の再教育の必要性が指摘されております。そのためには、地元大学が地域社会の抱える教育課題を的確に受けとめ、その課題解決のための研究指導体制が充実・整備されていることが不可欠であり、我が自由民主党はもちろんのこと、県民も一日も早くそうなることを期待しているところでございます。 そこで教育長に、現在の高知大学大学院教育学研究科の体制整備について、大学側から県教委に対しどのような接触があっているのか、また県教委として現状をどう把握しているのか、お伺いいたします。 最後に、土木部長に、入札・契約制度の改善と建設業の育成についてお伺いいたします。今回の国の総合経済対策でも公共事業が核となっておりますが、景気への効果に疑問が出されるなど、公共事業を取り巻く環境は厳しさを増しております。欧米に比べ二、三割割高かと言われるコスト縮減、また加えて投資効果や優先度などが問われております。しかも、談合や汚職といった社会悪の温床となっているとの批判も御承知のとおりです。税金を有効に使い、不明朗な事件を排除するため、入札・契約制度の改革は不可欠であります。 県では、昨年度来、入札・契約制度の改善に、あるいは建設業の経営改善を促進する取り組みを具体化してきております。今後、国の中央建設業審議会の建議などに沿って新しい制度の試行や実施が検討されることになろうと思いますが、建設業界からは、現在の厳しい経済状況にあって、制度への対応に不安の声も上がっております。こうした現状に対しては、建設業者みずからの努力が求められることは当然のことではありますが、建設業の持つ雇用拡大への期待や中山間地域での基幹産業として所得維持の役割等を考えますと、業界の意見も十分反映した展開が望まれる次第でございます。 特に、先ごろ行われました宿毛湾港整備工事での低入札価格調査制度の試行については、その入札結果に関して、設計金額と落札金額の差が余りにも大きく、過度の競争を生み、適正な企業利益を得ることを妨げ経営面で支障を生ずるのではないか、また適正な工事の履行が果たせるのか、さらには価格設定のあり方に対する疑問も出てくるのではないかなど、いろいろと懸念されております。せんだっての高知工科大の建設工事の問題においても、巷間、予定価格と契約価格の差が遠因で裁判という形で表に噴出したと言われております。 既に、国におきましては低入札価格調査制度が定着しており、他県においても導入、移行されてはおりますが、これらの不安や問題点を整理し、理解を得た上で実施に移していくべきと考えますが、どのような方向で取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、協業化の促進など建設業界の構造改善への期待がされている経常JV制度については、今月から三十二共同企業体が登録、スタートしております。今後、この制度の成果を上げていくためには環境づくりが必要ではないかと思うものでありますが、どのような指導、取り組みをしていかれるのか、それぞれ土木部長にお伺いいたします。 以上をもちまして、私の全部の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手) (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 西尾議員の御質問にお答えをいたします。 まず、本県の景気の現状をどのように認識しているかとのお尋ねがございました。六月末に日銀高知支店から発表されました本県の金融経済概況によりますと、観光面の一部に明るい動きが見られますものの、個人消費や住宅投資は引き続き低い水準で推移をしておりますし、企業の生産活動も弱含みで、県内の景気は全般的に低迷を続けているとされております。また、帝国データバンク高知支店がまとめました資料によりますと、県内の企業倒産の件数は、ことしの一月から五月までの累計で、去年の同じ時期に比べまして十二件の増となっております。 こうした長引く景気低迷の影響で、県内の雇用の状況も深刻な局面を迎えておりまして、ことし五月の有効求人倍率は〇・三七となっております。これを去年の同じ月と比べてみますと〇・一五ポイントの減で、九カ月連続の前年割れになりますなど、大変厳しい状況にあると考えております。 次に、経済対策の柱とその補正予算案への反映の状況についてお尋ねがございました。今回の県の経済対策は、当初予算に計上をいたしました公共事業の前倒し発注や個人県民税の特別減税の追加、さらには公共事業など社会資本整備の追加や中小企業への金融対策などを中心にしております。これに伴いまして、補正予算案では、特別減税を追加して実施することによりまして県税収入をおよそ十億円減額いたしますとともに、公共事業などの追加といたしましておよそ二百七十億円、また中小企業への金融対策といたしましておよそ十九億円を計上しております。 続いて、補正予算のうち公共事業についてお尋ねがございました。本県は、平成十二年度までを期間といたします財政構造改革に取り組んでおりまして、財政の状況は非常に厳しいものがございますが、依然として低迷を続けております県内の経済情勢を考えますと、国の施策に呼応しまして可能な限りの対策を実施することが必要だと判断をいたしました。このうち、公共事業につきましては、国体関連の施設整備や高知駅周辺の整備など今後数年間で集中的に取り組む必要があるもの、情報化や福祉など二十一世紀に向けて整備が急がれるもの、また工事が完了することによって効果が早くあらわれるもの、さらには緊急に防災対策を実施しなければならないものなどを優先しまして、事業の内容をこれまで以上に重視して予算編成を行いました。 続いて、国庫補助事業を取捨選択することについてお尋ねがございました。地方分権の時代に向けまして、他県と共通のスタートラインに立ちますためにも、本県ではおくれております社会資本の整備が急がれております。また、自主財源が乏しい本県では、国庫補助事業を有効に活用することによりまして、その整備を進めていくことが基本的な姿勢でございます。同時に、地方分権の時代の公共事業のあり方といたしましては、地方の実情に即しましたより効果的な投資を行うことが重要でございますし、その際には地方の主体性がより一層重視されるべきだと考えております。 今回の補正予算の編成に当たりましても、このような考え方に立ちまして、先ほど申し上げました基準に基づいて事業を選択いたしました。これからの公共事業は、国の一方的な配分を待つのではなく、実施主体であります県の考え方を十分に理解した上で必要な事業を採択していただくことが重要でございますし、そうしたことが可能になるような国と県との関係を築いていくことが今求められていると思います。 次に、県として今後とも財政構造改革の路線を堅持していくのかというお尋ねがございました。今回の補正予算は、本県の厳しい景気の現状を踏まえまして、緊急の対応を図ったものでございますが、自主財源に乏しい本県にとりましては、財政の健全化が重要な課題であることに変わりはございません。さらに、今後は福祉や環境などの課題に対します需要がますます高まってまいります。これらの課題に的確に対応してまいりますためには、公共事業や事務事業の見直しなど、量的な面だけではなく、むしろ質的な面からの行財政改革を徹底して行うことが必要だと考えておりますので、財政構造改革はその期間や目標数値も含めまして、従来どおり推進をしてまいります。 続いて、平成十一年度の国の公共事業に対する本県の対応についてお尋ねがございました。平成十一年度の本県の公共事業に関する予算編成の方針は、現在の県の財政状況をもとに、国の概算要求の内容や県内の景気の動向などを見きわめながら、県単独の公共事業の取り扱いとあわせましてこれから検討をしてまいります。 次に、行政改革に取り組みます基本的な考え方についてお尋ねがございました。御質問の趣旨は、顧客満足度を県の行政の目安にいたしました場合、県民の個々の要望にこたえようとする余り、かえって組織の肥大化が進むのではないかという御心配ではないかと思いますが、私が顧客満足度と申し上げておりますのは、事業の計画から実施に至るプロセスにおきまして、行政が積極的に情報を公開し、十分な説明をしながら事業への住民の参加を進めることによりまして、県民の皆様にとって県行政をより身近なものにして満足度を高めていただきたいという趣旨でございます。 このことによりまして、行政の考え方や現在の行政の仕組みに対する住民の理解が深まる中で、さまざまな事業に関しまして、本来行政が担うべき役割かどうかといった議論も芽生えてまいりますし、またそのことが結果として組織のスリム化につながることも期待できるのではないかと思います。 もちろん、こうした流れを待つまでもなく、組織のスリム化や定員の適正化は行政改革の基本となるものでございますので、組織内の権限の移譲や情報のネットワーク化、さらには事業量に応じた弾力的な職員の配置など新たな取り組みも含めまして、現在行政改革推進委員会で御検討をいただいております。 私からは、以上でございます。 (企画振興部長島田一夫君登壇) ◎企画振興部長(島田一夫君) 補正予算に係ります公共事業の県内の経済に及ぼす効果についてのお尋ねにお答えをいたします。 今回の公共事業関係の補正予算のうち、用地買収や公共補償などを除きまして、県が産業に対して直接支出をいたします委託料及び工事請負費は、およそ百九十八億五千万円でございます。これが県内経済に及ぼす影響としまして、おおむね一年間の生産誘発額を、高知県産業連関表及び建設省の建設部門分析用産業連関表を用いて試算をいたしますと、直接効果と間接一次効果、そして間接二次効果までの合計で、直接支出額のおよそ一・六五倍、額にしまして三百二十六億九千万円が見込まれます。 また、この生産誘発額から産業ごとの就業者数を試算しますと、三千六百四十五人分の雇用効果が発生するものと見込まれます。 以上でございます。 (商工労働部長川村龍象君登壇) ◎商工労働部長(川村龍象君) 西尾議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、経済対策と補正予算についての御質問のうち、経済対策小口資金についての百億円の融資枠を設定した考え方と、そのことが信用保証協会の経営基盤に与える影響についての御質問でございます。経済対策小口資金につきましては、長引く景気の停滞によりまして、体力を消耗し担保力や信用力の弱まっている中小企業者が、中長期的に見れば業績の回復が見込まれる場合、速やかに一定の運転資金の調達ができる制度といたしまして創設したものでございます。今回、最終融資枠を百億円に拡大することによりまして、約二千五百の企業が利用可能となり、信用保証協会が現在保証しています中小企業者の二割を超えることとなりますので、緊急対策としての当制度の所期の目的がほぼ達成されるものと考えております。 高知県信用保証協会は、協会みずからの努力による代位弁済率の低下や、県や関係機関からの財務支援によりまして自己資本が充実してきましたことなどから、全国的に見ましても経営基盤が比較的安定したものとなっております。今後におきましても、一定代位弁済の発生を想定はいたしておりますが、今回の融資枠の決定に当たりましては、信用保証協会とも協議を重ねてきたところでございまして、それらを見込んだ上で、現在の財務状況などから対応していけるものと考えておるところでございます。 続きまして、少子化対策についての御質問のうち、子供を産む若い世代が県内に就職しやすい環境づくりをどのようにしていくのかという御質問でございます。平成九年度の県内の中学校卒業から大学卒業までの新規学卒者の就職状況を見ますと、全体の約四割が県外へ就職しているという調査結果が出ております。このため県といたしましては、子育てを支援するための各種制度の一層の普及・定着や、労働時間の短縮を初め労働条件の改善など魅力ある職場づくりを推進いたしますとともに、企業誘致や新しい産業の創出、地域中小企業の振興などによります若者に魅力のある就労の場の拡大を図ってまいります。 また、引き続き、若者を郷土に定着させるための「就職フォーラムこうち」の開催や新規大卒等就職面接会を行うなど、若者の県内就職対策を講じてまいります。 続きまして、少子化対策のうち、「豊かさ指標」についての御質問でございます。豊かさ指標で全国一女性の働きやすい県ということになっているが、女性の働きやすさについてどのように受けとめているか、また、今後女性がより働きやすい環境づくりをどのように促進するのかという御質問でございます。 去る五月、経済企画庁が発表いたしました豊かさ指標の中の女性の働きやすさ指標で本県が第一位となりましたが、県内の他の調査ではそういった実感がないといった声があることも承知をいたしております。今後、女性の働きやすい環境を整備いたしますため、事業主に対しまして男女雇用機会均等法の周知徹底や育児休業制度の定着促進などを図ってまいります。 また、「女性だから、男性だから」といった固定的な役割分担意識を解消いたしますため、男性の役割について学ぶための「いまを生きる男性セミナー」などといった各種講座の開催や、女性のための情報誌として「ステップアップ」の発行などにより、企業を初め勤労者、また広く県民の皆様に働きかけを行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 (総務部長高尾和彦君登壇) ◎総務部長(高尾和彦君) 財政問題に関連して二点お答えを申し上げます。 まず、今回の補正予算の県財政への影響と今後の財政見通しについてのお尋ねがございました。今回の補正予算案では、県債の発行を九十二億円余り見込んでおりまして、これにより歳入に占める県債の割合は、当初予算の時点において一二・〇%であったものが一二・九%となり、県債残高の見込みも六千九百七十八億円となります。また、基金につきましては、財政調整基金からおよそ十一億円、施設等整備基金からおよそ八億円の繰り入れを新たに見込んでおりまして、これにより財政調整基金の残高は十六億円、施設等整備基金の残高はゼロとなります。 今後の財政見通しでございますが、将来の起債制限比率のピークについて、当初予算の編成時には平成十五年度に一八・二%になると見込んでおりましたが、前提条件の見直しなどを行って新たに試算をいたしますと、平成十六年度に一九・二%と推計され、一ポイント上昇をいたします。 また、平成十一年度の収支の見通しでございますが、現時点ではまだ国の予算や地方財政対策の動向などが不明確ではございますが、仮に補助公共事業を五%カット、県単独の公共事業を一〇%カットするなどの縮減をするといたしまして試算をいたしますと、およそ九十億円程度の財源不足が生じるものと推計されております。さらに、基金の取り崩しが必要となるなど、財政運営上極めて厳しい状況に直面するものと考えております。 次に、九月補正予算における県単公共事業の扱いに関してお尋ねがございました。県単独の公共事業の計上につきましては、今年度の県税収入や今後追加が見込まれます他の経費など今後の歳入歳出の見通し及び既に予算化した公共事業の執行状況や執行体制、さらには県の景気--経済の動向、こういったものを総合的に検討した上で判断をしていきたいと考えております。 以上でございます。 (健康福祉部長山崎淳一君登壇) ◎健康福祉部長(山崎淳一君) 西尾議員の御質問にお答えをいたします。 まず、介護保険への対応についてのうち、介護保険制度導入に当たっての課題について、保険料がどうなるのかというお尋ねでございます。保険料につきましては、六十五歳以上の第一号被保険者と四十歳から六十四歳までの第二号被保険者とで算定方法が異なっております。第一号被保険者につきましては、基本的には市町村ごとに介護にかかった総費用の一七%を六十五歳以上の高齢者の数で割った額となります。このため、六十五歳以上の高齢者一人当たりの介護に要した費用によりまして、市町村ごとの保険料の算定のもとになります基準額が異なってまいります。 昨年十二月議会で月額約五千三百円とお答えをいたしましたが、この金額は、平成七年度の老人医療費の伸びを二・四倍とするなどの国の考え方に基づき試算したものでございます。今回、こうした国の考え方でなく、本県の実態に沿ってサービス供給の見込みなど一定の仮定のもとに試算を行いますと、県平均で三千八百円程度になります。ただ、在宅に比べて経費のかかる施設の利用が多い市町村などでは、これよりも高くなってまいります。 また、第二号被保険者の保険料につきましては、全国の介護に要する総費用の三三%を全国の四十歳から六十四歳までの人口で割った額を基準として算定をされますので、住む所によって保険料が変わるものではございません。いずれにいたしましても、保険料がどうなるかにつきましては、本年度から策定作業に入っております市町村介護保険事業計画の中で明らかになってまいります。 次に、認定の公正性・迅速性の確保についてのお尋ねでございます。公正で迅速な介護認定の体制を確保するためには、客観的な調査ができる調査員や専門的な判定ができる審査会委員の確保とその資質の向上、また申請者が多い市町村での審査会の複数設置や運用の効率化、さらには一次判定の事務処理の省力化などを図っていく必要がございます。このため、本年度県下十九のブロックで実施をいたします介護認定のモデル事業を通じまして、調査員の研修や二次判定マニュアルの徹底、またかかりつけ医制度の周知などさまざまな課題のチェックを行い、来年度にはすべての市町村において適切な介護認定の体制が確保されるよう取り組みを進めてまいります。 次に、介護保険制度の対象とならない方への対策についてのお尋ねでございます。介護保険制度の実施によりまして、現在の福祉や医療のサービスを受けておられる高齢者の方々の中で比較的元気な高齢者につきましては、制度の対象とならない方が生じてくるものと予想されております。このため、今年度は高齢者の社会参加や生きがいづくりの場となる高齢者リフレッシュサロン事業や、居宅での生活を可能とする住宅の改造事業を創設したところでございます。 今後におきましても、地域においてこのような高齢者の方々が安心して暮らしていけるように、現在実施しております実態調査の結果も踏まえながら、次期の高齢者保健福祉計画を作成する中で、地域で支え合うシステムづくりなどを重点に検討してまいります。 次に、実態調査等の情報提供についてのお尋ねでございます。現在、介護保険事業計画などを策定するための基礎となる調査を行っておりますが、平成十一年度予算編成の時期までには一定の取りまとめを行い、課題を整理し、中間報告として情報の提供を行ってまいります。 次に、介護サービス提供体制の水準についてのお尋ねでございます。介護保険制度で求められているサービス水準につきましては、国において近々示されることになっておりますが、想定されるサービス水準を本県に当てはめてみますと、要介護者おおむね二万五千八百人のうち、六千四百人が施設利用、一万九千四百人が在宅利用になるものと考えております。ただ、本県の現状を申し上げますと、施設を利用できる定数が一万一千五百人に達しております。したがいまして、施設サービスは充足をしておりますが、その反面、ホームヘルプサービスなどを中心に、在宅サービスは不足している状況でございます。 次に、ホームヘルパーの養成についてのお尋ねでございます。県におきましては、これまで、市町村における在宅福祉サービスの中心となるホームヘルプサービスが円滑に実施されますよう、ヘルパーの研修を県社会福祉協議会に委託するなど養成に努めてまいりました。 今後、介護保険制度の導入を控えまして、各地域にバランスよくヘルパーを養成することにより、介護保険に必要な人材を確保するとともに、これらの方々を中心として地域における保健福祉の向上を図っていくことが必要であると考えております。このため、本年度は従来からの研修に加えまして、新たに市町村が地域においてきめ細かく実施をいたします三級ヘルパーの養成研修を積極的に支援してまいります。 次に、市町村社会福祉協議会の収支状況についてのお尋ねでございます。市町村社会福祉協議会では、市町村からホームヘルプサービスやデイサービスの事業の委託を受け、サービスの提供を行っておりますが、多くの市町村では、事業に要する経費として国や県の補助金に継ぎ足しを行い、委託している状況でございます。本年度から人件費補助方式が事業費補助方式に全面的に変わりましたが、この補助方式は中山間地域が多く、訪問先が点在する本県にとりましては、移動時間の算定方法などから、市町村によりましては補助金収入が結果として落ち込むことも予測をされます。 次に、サービス提供のあり方に対する県の考え方についてのお尋ねでございます。介護保険制度では、サービスに要する費用が住民の負担に直接反映されることになりますので、サービスは公的機関が担うよりも、むしろ民間活力の活用が基本になるものと考えております。ただ、民間参入が難しい、条件的に不利な地域において、引き続き社会福祉協議会などの公的機関がサービスを担っていく場合や、新たなサービス供給主体と連携・協力しながら地域の介護を担っていく場合もあろうかと思われますが、その場合にも組織体制や運営について効率化が図られるよう県としても取り組んでまいります。 次に、介護保険制度の浸透度と周知についてのお尋ねでございます。介護保険制度につきましては、これまでも周知に努めてまいりましたが、県民の皆様に最も関心の高いサービス利用のあり方や保険料の負担などにつきまして明確にお示しできなかったということなどから、県民の皆様に十分理解されていないのではないかと認識をしております。このため県といたしましては、今後、保険料などを初め県民の方々の関心の高い点につきまして、明確にお示しできない場合であっても、一定の仮定を置いた上での見込みをお示しするなど、可能な限りその内容を明らかにしていきたいと考えております。 また、新聞やテレビ、パンフレットなどの広報媒体を通じ、わかりやすい表現で制度のPRに引き続き努めますとともに、地域単位で座談会形式の説明会を開催するなど、よりきめ細かく周知に努めてまいります。 次に、高齢者保健福祉計画の改訂についてのお尋ねでございます。十二年四月から始まります次期の高齢者保健福祉計画につきましては、現行計画の「安心して暮らすことのできる社会づくり」といった理念を基本的に受け継いでまいります。この計画は、介護保険の給付対象となるサービスを含め、高齢者の日常生活の支援対策や生きがい対策、また予防対策などを柱として、高齢者の保健福祉に関する総合計画として作成をしてまいります。また、手順などにつきましては、本年度高齢者の実態調査を行いますとともに、作成委員会を設置し、関係の方々から御意見をお伺いしながら、地域の実態に応じた計画として平成十一年度末までに作成する予定でございます。 最後に、少子化対策についてのうち、家庭や子供の対策についてのお尋ねでございます。少子化問題につきましては、社会保障や雇用のあり方などの制度面の施策の充実や固定的な男女の役割分業の意識の見直しが必要でありまして、基本的には国で取り組むべき課題であると思います。人口の自然減が続く本県におきましては、子供を持ちたいと思う方々が安心して子供を産み育てる環境づくり対策や、少なくなった子供たちを大切に育てるための施策に積極的に取り組むことが必要と考え、そのための総合計画として高知県エンゼルプランを策定いたしました。 このプランに基づきまして、安心して子供を産み育てるためには、仕事と育児の両立ができる環境づくりが必要であり、そのため、時間延長保育推進事業や年度途中入所円滑化事業、乳幼児健康支援デイサービス事業などに取り組んでおります。また、育児に不安を抱かれている方々のために、保育所や保健所で各種の相談に応じ、育児情報の提供を行うほか、保育所での育児サークルの育成・交流を行う地域子育て支援センター事業などを実施してまいります。 子供への対策につきましては、少なくなった子供たちを大切に、心豊かに育てることが大事だと考えております。このため、子供たちから五百三十八件もの応募がありましたこどもの夢応援事業や、本物の芸術文化に触れる機会を提供いたします21世紀子どもの文化浴事業など、子供の感性や創造力をはぐくむ事業に取り組んでおります。 また、六月に発足をいたしました「こうちの子育てを語る会」などでの御意見もいただきながら、人格形成期の子供たちの豊かな心を育てる施策に取り組んでまいります。 以上でございます。 (国体準備局長西本浩君登壇) ◎国体準備局長(西本浩君) 西尾議員の、よさこい高知国体についての御質問にお答えします。 まず最初に、国体改革についてどのような事項について改革していこうとしているのかについてでございます。よさこい高知国体は、その運営に万全を期すよう諸準備を進めておりますが、本県並びに市町村を取り巻く厳しい財政事情や本県の実情を踏まえまして、簡素な中にも高知らしさあふれる国体として成功させていくために、現在の国体と照らし合わし問題・課題を整理する中で、帖佐国体委員長との会談において、知事から幾つかの提言をさせていただきました。 その中でも特に、秋季大会--秋の大会に集中する競技種目の一部を夏季大会に移行し、できないのか、この提言の趣旨、背景で申し上げますと、現在の秋季大会は正式競技三十一競技が開催されることになっておりますが、この開催のピーク時における県外の競技選手、役員等の御来高と県内の移動と宿泊対応等で、その絶対の宿泊容量、交通輸送容量を大きく上回ることになりまして、これへの対応について具体の手だてを講ずる必要がございます。この秋季大会の一部競技種目を夏へ移行することによって、ピーク時の絶対数を削減、下回るという状況をつくり出すことによって諸準備が円滑にいきますし、なおかつそのことに伴います県民の日常生活、あるいは県内の産業経済活動に加えまして、県外からお越しになる選手、競技役員の方々が持たれるであろう不満や不快さ、そういったものを取り除くために移行問題は避けて通れないという趣旨で提言を行ったところでございます。 二点目としまして、施設整備のあり方について各般から問題提起もなされておりますが、国体競技を有効に成立さすために必要となる競技公平性の確保や競技上生ずる安全性に配慮した、地域の実情に合った有効な施設利用と国体後の有効活用を念頭に、施設整備基準の弾力的運用等について日本体育協会の方で指導・調整を図られないのかという点と、三点目につきましては、国体開催前に開催予定の市町村主体のリハーサル大会の実施規模等につきまして、市町村の意向が最大尊重されるようなリハーサル大会実施について日本体育協会の方で指導・調整を図っていただきたい、という三点が主な項目でございます。 この項目を具体化していくためには、これまでの国体の長い歴史と伝統、国体に寄せる多くの方々の熱き思い、毎年持ち回りで開催される各県の実情、さらには国体開催までに残された時間的制約など多くの困難と曲折が予想されますが、本県のただいま申し上げました実情を踏まえますと、避けて通れない課題と認識しておりまして、精いっぱい取り組んでまいりたいと考えております。 また、これらの改革の実現につきましては、関係する機関や団体はもとよりですが、とりわけ競技団体の理解と協力が不可欠となります。このため、今後とも高知県体育協会や日本体育協会にも調整をお願いしながら、一つ一つの課題について具体的に本県の実情や問題点、課題の解決方法をお示しし、その実現に向けて最大限の努力を行ってまいります。 次に、県民参加の国体実現に向けての取り組みについてでございます。よさこい高知国体を成功させるためには、県民の皆様に選手、役員や観客として参加していただくことはもとよりでございますが、国体を支える会場の係員やまちの美化運動、民泊への協力など、多くの方々にボランティアとして参加していただくことが不可欠でございます。その機運の盛り上げを図っていくことが大切であると認識しております。 このため、今年度は、二千二名の高知国体推進リーダーの方々に地域における広報活動やボランティア活動の中心となっていただくため、県下各地で研修会の開催や、一般県民の方々には新しく作成する広報誌や県民運動ハンドブックでよさこい高知国体の概要やボランティア活動を紹介するなど、広報活動の充実と県民運動の推進に取り組んでまいることにしております。 また、県民参加の一つの方法として、この七月から市町村や金融機関などの窓口に募金箱を設置することに協力いただきまして、広く県民の皆様に国体募金という形で国体へ参加していただくお願いをしているところでございます。今後とも、市町村、競技団体と一体となりまして、あらゆる機会をとらえ、県民の国体に対する理解と関心を深めていただけるよう参加意識の着実な盛り上げを図ってまいりたいと考えております。 次に、国体の経済波及効果についての御質問にお答えします。よさこい高知国体の開催のため、議員のお話にもありましたように、施設整備や関連道路の整備費及び準備・運営経費に対しまして、県の関係部局や市町村を含めますと、総額一千億円以上の支出が見込まれているところでございます。 この支出に対する経済波及効果は、県の関係部局での産業連関表による試算を行っていただいておりますが、その内容は、競技施設や関連道路の整備が及ぼすいわゆる投資的経済波及効果、また国体の開催や準備経費の支出に伴う消費的効果、あるいは選手、役員などの県内における消費支出に対する効果を算出したものでございまして、その結果としまして、想定されます見込み支出総額一千百十九億円に対しまして一千八百五十億円、約一・六五倍の経済波及効果が見込まれているところでございます。 以上でございます。 (教育長吉良正人君登壇) ◎教育長(吉良正人君) よさこい高知国体の競技力向上対策についてのお尋ねにお答えいたします。 よさこい高知国体の競技力の向上対策につきましては、平成七年度に県、市町村、県体育協会、競技団体などの参加によりまして競技力向上対策本部を設置いたしまして、基本計画及び年次計画を策定いたしました。この計画に基づきまして、関係機関・団体などとの緊密な連携のもとに競技力の向上に努めているところでございます。特にこの対策の一つとしまして、国体開催時の選手の中心となります中学生、高校生の強化を図りますため、平成八年度から中学校、高等学校の運動部の活動や選手を指定いたしまして、その育成強化に努めております。 また、本年二月には高知県小・中・高スポーツ連絡協議会を設立いたしまして、小学校・中学校・高等学校の系統立った中長期的なジュニア選手の育成強化を図っているところでございます。そして、本年四月には、県内企業三十社の御協力をいただきまして、高知県企業スポーツ推進協議会が設立をされました。今後は、より多くの企業の方々に参加をお願いいたしまして、本県出身者などの優秀な指導者や選手の雇用促進と企業などにおけるスポーツの普及・振興を図ってまいります。 さらに、指導者の養成のために研修会や中央コーチ招聘事業を計画的に開催いたしまして、指導者の確保と資質の向上に努めております。このような取り組みによりまして、よさこい高知国体では、本県選手が開催県にふさわしい成績をおさめますとともに、この国体を契機といたしまして、本県スポーツの長期的・継続的な競技力の向上に努め、各市町村における地域スポーツの普及・振興を初めとする県民の生涯スポーツの振興を図ってまいりたいと考えております。 次に、現職教員の高知大学大学院教育学研究科への派遣問題についてお答えをいたします。高知大学では、去る三月県議会の現職教員の派遣中止に関する決議を厳粛に受けとめまして、地域の教育課題にこたえられる研究指導体制の整備・確立に努めていると伺っております。 その内容は、まず教官配置につきましては、道徳教育と生徒指導を担当する教官が平成十年六月一日に着任をされ、また生徒指導と教育相談を担当するもう一名の教官が十月一日に着任する予定であること、また、教育学部の中に緊急対策委員会を設置いたしまして、教育学研究科を含めましたさまざまな改革など研究指導体制の整備充実に向けた検討がなされていると聞いております。しかしながら、大学側は本年度の現職教員の派遣につきましては、現時点では受け入れ体制の整備が事実として確認される状況に至っていないとの判断のもと、この八月に行われます大学院入学試験に係る現職教員の派遣要請を見送っております。 県教委といたしましては、大学の研究指導体制が十分に整備充実されまして、県議会の理解も得られた上で、できるだけ早期に現職教員の派遣が再開できるようになることを望んでおります。 以上でございます。 (土木部長井添健介君登壇) ◎土木部長(井添健介君) 西尾議員の、入札・契約制度の改善と建設業の育成についての御質問にお答えいたします。 まず、低入札価格調査制度への移行は、適正な工事の履行の確保など課題の整理とともに、建設業者の理解を得た上で実施に移すべきとのお尋ねについてであります。公共工事の入札・契約制度につきましては、手続の透明性、客観性を高め、同時に品質の確保とコスト縮減などの観点から、技術力による競争性を高めていくことのできるシステムへの改革が求められております。 低入札価格調査制度の導入も、そうした取り組みの一つでありまして、一定の基準価格を下回る入札額については無条件で失格とし、排除いたしておりますこれまでの最低制限価格制度に比べますと、基準額未満の入札でありましても、入札内容を審査いたしまして、契約内容に適合した履行が可能と判断できる場合には落札決定を行う点におきまして、民間の技術力を活用した、より競争性の高い入札・契約制度と言えます。こうしたことから、本年三月三十一日に閣議決定されました規制緩和三カ年計画におきましては、低入札価格調査制度への移行を地方自治体に要請することとしておりまして、建設省、自治省からの指導要請が四月一日付でなされております。 この制度は、国を初め既に十六の都府県で実施をされておりますが、制度の導入に当たりましては、入札価格の妥当性の審査と、手抜き工事や下請業者等への不当なしわ寄せに対応するための監督や検査の体制を整える必要がありますし、また、無秩序な競争の激化は業界の混乱を招き、秩序ある業界の発展にそごを来すおそれもあります。このため、移行に当たっての課題、問題点を多角的な視点から点検・検証するため、本年度から試行を行うことといたしました。 これまでに六件の試行を行ってまいりましたが、今後も試行を重ねまして、問題点の整理を行った上で、第三者機関であります高知県入札・契約制度検討委員会の意見もお聞きをし、取り組みを進めてまいります。 次に、経常JV制度の成果を上げるためにどのような指導、取り組みをしていくかとのお尋ねについてでございます。建設業を取り巻く最近の状況を見てみますと、建設投資が低迷をしている中での建設業者数の増加、入札・契約制度の改革や公共工事のコスト縮減の推進、さらには国際化による規制緩和や競争の激化など大きな変化があり、建設業は大変厳しい経営環境に直面をするなど、今後建設市場の構造の再編が迫られる可能性が高まっております。 こうした中で、経常JV制度につきましては、技術力、経営力の充実などに向けて企業みずからが行うことができる有効な戦略であり、また発注者である県にとりましてもメリットがあることから、その積極的な活用、推進に大きな期待を持っているところでございます。 今回三十二の企業体が結成されましたことは、この制度がスムーズに受け入れられたものと考えておりまして、今後とも発注ロットの適正化による受注機会の確保や工事の箇所づけ公表による情報提供など、制度の活用拡大への環境づくりを進めますとともに、さらに本年度の経常JV制度の活用状況や結果を踏まえた上で、建設業界への指導や制度の改善方策も検討いたしまして、業界の構造改善に取り組んでまいります。 以上でございます。 ○議長(土森正典君) 暫時休憩いたします。 午前十一時四十五分休憩--------------------------------------- 午後一時一分開議 ○副議長(東川正弘君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 三十九番川添義明君。 (三十九番川添義明君登壇) ◆三十九番(川添義明君) 私は、県民クラブを代表しまして、知事以下執行部の皆さんに質問をいたします。 まず冒頭に、去る五月十三日逝去されました故中平和夫先輩議員に対しまして、心より御冥福をお祈りいたします。 質問の第一は、知事の政治姿勢についてお伺いをいたします。戦後最大の不況の中で実施されました第十八回参議院議員選挙は、事前の大方の予想を覆して自民党の惨敗、橋本龍太郎首相の退陣、民主党、共産党の躍進という結果で終わりました。とりわけ県内選挙区におきましては、全国的に数少ない自民党公認候補の中で、私たち県議会で席を同じくした森下博之さんが当選をされました。県議時代も政策の勉強を熱心にされていましたけれども、激動の中央情勢の中でさらに政策立案能力に磨きをかけて、県民の幸せと県勢発展のために御活躍されますように期待をするものでございます。 また、なぜこのような結果になったのかという理由はたくさんあると思いますが、まず第一は、投票率が高くなったということでございます。第二は、橋本総理の政権運営がまずかったということよりも、長い間自民党政権が続き、官僚主導政権がまかり通り国民の声を無視し続けたこと。第三は、政治に無関心と言われている無党派の人々の、このままの日本の政治でよいのかという危機感から、自民党への怒りが爆発し野党へ票が流れたことなどが挙げられると思います。 とりわけ、民主党や共産党を積極的に支持したということではないことを、私たちは強く認識しなければいけないと思います。自民党批判をこれからの政治の中に、自分たちの側にどう引きつけていくかという努力をしなければならないと考えております。 自民党は現在、衆議院で過半数を超えていますが、選挙の審判で得た過半数ではありません。それは選挙後に強引に勧誘し数合わせをしただけのことです。自民党長期政権が崩壊した一九九三年の衆議院選挙、九五年の参議院選挙、九六年の衆議院選挙、今回の参議院選挙でも国民は自民党に過半数を与えず不信任を突きつけたわけであります。日本経済の動き、とりわけ景気対策は喫緊の課題でございます。衆議院、参議院でともに国民の信任を受けていない政党では何もできません。早急に衆議院を解散し総選挙を行うことが、国の内外の厳しい日本を見詰めていることへの誠意を具体的に示すことにつながると考えます。 今、自民党は総裁選びを行っていますが、いずれにしても総裁はイコール総理になる前提があります。政策、政治手法はこう行うということを国民の前に明らかにして総裁選びをしてほしいものです。また、今の時代がリーダーに求める最も重要な要素は、既得権の集団とのしがらみがなく、国民と同じ目線でものが見られる人物でなくてはならないと思います。しがらみのない人でないと、現状の厳しい中での転換は果たすことができないと思います。 野党においても、今回の選挙で支持を得たことだけに満足することなく、国民と約束した政策を早期に実現するために何をなすべきかということを最も重視して対応することが大切でございます。その方法は従来の方法ではなく、野党としてまとまってできることは誠意を持って対応し、国民のいやしくもひんしゅくを受けるようなことをすれば、次の衆議院選挙では厳罰を受けることは必至です。日本の現在の危機を解決するために全力で努力しなければならないと考えています。 そこで、知事にお伺いをいたします。その第一は、今回の選挙結果をどのように分析し、これからの日本の政治のあり方についてどのような所見を持っておられるのか。 第二は、知事はこれまで地方分権、人権を中心として外国人に対する支援策、国民体育大会の新しいあり方の提言など、これまでのしがらみから脱皮する発言を多くしてまいりました。その姿勢からすれば、今回の激動する流れをどのように感じ、今後の発言をなされようとしているのか。 第三に、私も今回の選挙で県下を回らせていただいたわけでございますけれども、県民の声の第一は、「県内でも景気がよくなる対策を早く実行してほしい」。そして、先行き不安な世の中であるために、老後のことを思えば孫にも買い物ができるわけではありません。したがいまして、「消費税はどこにどう使われているのかわからぬ」という声がたくさん寄せられたわけであります。日常生活を営む上での不安と不信が、消費が伸びない大きな要因となっていることはだれしもが認めるところでございます。 知事として、このような県民の声も聞いていると思いますが、今後の県政運営にどのように反映をさせていくのか。また、補正予算編成時にどのような思いを寄せて作業を行ったのか。県民にわかる率直な言葉で知事の御所見をお伺いいたします。 次は、総合経済対策についてでございます。我が国の経済情勢については、昨年来、景気の低迷状態を脱し切れず、ことしの年明け以降はさらに減速傾向が顕著となり、経済デフレ危機の入り口に立ち至っているという認識が今や一般的でございます。これを裏づけるように、日本銀行高知支店が六月二十九日に発表した企業短期経済観測調査による業況判断でも、製造業が受注減少などから大幅に悪化したほか、非製造業も消費マインドの慎重化や競争激化を背景に判断を後退させたために全産業が悪化拡大したとされ、景気動向は先行きも悪化が予想されているところでございます。 こうした原因には、昨年度に消費税率が五%に引き上げられたことや、社会保険料の引き上げなど公的な負担が増加したこと、また、昨年の秋以来続いている金融システムの不安による貸し渋りなどが企業活動に大きな影響を与えていることが考えられます。さらに、あえて言えば、自民党政府が掲げた財政構造改革や行政改革など六つの構造改革が全くと言ってよいほど進まず、二十一世紀への展望が見えないことにあると言えるのではないでしょうか。 その結果が今回の参議院選挙に国民の判断として示され、現在の社会経済の不況や閉塞感の高まりに対して政策不況ということで、審判である有権者が自民党の政治手法にレッドカードを突きつけたのであります。しかしながら、こうしたこと以上に、厳しい現在の経済情勢に対しては、十六兆円を超える過去最高となった国の総合経済対策が有効に発動、機能され、期待にこたえていくことが急務であろうという考えでございます。 ただ、その中身については、例えば公共事業投資の考え方において情報インフラなど新社会資本型の整備よりも、従来型、ばらまき型を内容とした予算追加となっていると言わざるを得ないのであり、私が前段に述べたような構造的な不況の中で本当に有効な対策となり景気の回復が果たせるのか、懸念されているところでございます。この点は、知事の提案理由説明を見ましても、また午前中の答弁の中でも、単に国に追随することのないよう、あるいは投資効果や県の独自性の確保などの面で相当な御苦労をされたことがうかがい知れるところでありますので、その実効性の確保については大いに期待をいたしておるわけでございます。 また、同時に、関連した大きな問題として、今回の総合経済対策の趣旨を受けて提案をされました補正予算については、本年度にスタートした県版財政構造改革の基本方針とは二律背反することは明らかであり、今後の財政運営のあり方に及ぶ問題がありますが、午前中の質疑の中において、来年度の予算編成に対する取り組みなど基本姿勢が示されましたので、重複を避けたいと思います。今後十分な議論を踏まえ、県民の理解が得られるよう、このための取り組みについて注視をしてまいりたいと考えております。 公共事業のあり方については、財政の悪化もあってメリット・デメリットのさまざまな論議があっていることは御承知のとおりでありますが、これまでの公共事業予算は、社会資本の名のもとに新規投資の段階でメンテナンス費用や運営費用などの経費の議論が不十分であったり、投資効果の面で疑問のある消化型の公共事業などへの反省があると同時に、国の省庁の縦割りによる補助金行政の弊害も指摘されるところであります。 しかしながら、特に社会資本整備のおくれている本県の場合にあっては、インフラ整備に欠かすことができない、あるいは地域経済の中でも大きなウエートを占めており、その積極的な導入への期待感が強いことが前提としてあり、私もこれを否定するものではありません。ましてや今回の経済対策については、大部分をなす公共事業の投資効果や波及効果が、企業倒産の増加や失業率の上昇などに対しての有効な抑制策となることへの強い期待を持つものであります。 このためには、公共事業予算の実効性を確保するため、事業量の確保とあわせて、県においても発注の前倒しや事業資金の円滑化などの取り組みに積極的に取り組んでいく必要がありますので、一般公共事業について当初予算では六二・五%、今回の補正予算では七三・七%を占め、公共事業の大部分の執行に当たっている土木部長にお伺いをいたします。 その第一は、公共事業の前倒しについてでありますが、本県では過去最高の八二・三%の発注計画を立てております。本年度も企画建設委員会の各土木事務所調査を行いましたが、工事の施行状況は例年事業の繰り越しが多く、それぞれ担当職員が相当頑張っても、用地買収や事業の年度内消化がスムーズにできているのかという心配が残っているところでございます。この計画達成には土木部の大きな責任がありますが、現在の進捗状況などはどうなっているのか、達成できるのか。 第二は、景気対策の効果の拡大ということで、公共事業には地場産業の活性化など多方面への誘発効果が期待されてくるのでありますが、そのような取り組みに努めているのかどうか。 第三は、工事請負代金の支払いに関してでございます。あらゆる企業の人々から資金繰りに困惑しているとの声をお聞きしております。今回の中小企業金融対策の追加補正は大変時宜を得た取り組みとして評価されるものでございますが、建設業も厳しい経営環境に直面し、企業倒産、建設労働者の雇用や地域経済など幅広い分野に悪影響を及ぼすおそれがあり、国の方でも建設業の改善に関する対策の一環として、公共事業代金の早期支払いが要請されているところであります。 本県の場合、前払い金制度は請負額の一億円以下が四〇%、これを超える部分が三〇%で、支払い限度額は一億円となっており、これは全国的に見ましても低い水準にあります。また、受注者に対する的確な時期の請負代金の支払いという点でも、出来高払い、精算払いについて建設工事請負契約書で定めるそれぞれ所定の十五日、四十日の日数の早い時期の支払いを可能とするよう迅速な事務処理が要請されているところでございますが、前払い金制度の改善など公共事業代金の早期支払いにどのような取り組みを進めているのか、お伺いをいたします。 さらに、商工労働部長にお尋ねをいたします。本県の企業を見ると、他県と比べ下請型の中小零細企業が多く、不況による企業や雇用への影響は一層深刻ではないかと考えられます。報道によれば、全国的に不況が厳しさを増す中で、本県でも企業倒産件数が六月一カ月だけで二十一件に達し、上半期累計でもここ十年間で件数、負債額とも最悪とされるなど、企業倒産が急増しております。また、現下の雇用情勢は、全国の五月の完全失業率が四・一%であるなど厳しい情勢が続いており、企業倒産の状況などから今後ますますその深刻さを増してくるのではないかと考えられますが、これを受けて商工労働部門としてどのような対策、取り組みを実施しておられるのか、お伺いをいたします。 次は、地方分権の推進についてお尋ねをいたします。去る五月末に、政府は地方分権推進計画を閣議決定いたしました。この地方分権計画は、国と地方を主従関係ととらえている機関委任事務を廃止することを初め、国の地方公共団体に対する関与の新たなルール、国から県へ、また県から市町村への権限移譲の推進、地方公共団体における各種必置規制の見直しなど、国と地方公共団体の新しい関係の構築を目指したものとなっております。また、国庫補助金・負担金の整理合理化と地方財源の充実・確保や、県と市町村との新しい関係、さらには地方公共団体の自己決定権と自己責任の拡大を踏まえた行政体制の整備・確立を図るなど、広範に今後の地方分権の方向を明らかにした、まことに画期的な計画内容になっております。 県においても、本年度の機構改革で市町村行財政に対応するセクションを企画振興部に一元化するとともに、市町村活性化総合補助金を活用して市町村の自立と活性化を図る取り組みを推進するなど、来るべき分権型社会に対応すべく準備を進めております。また、庁内に新たな検討チームを発足させ、地方分権を円滑に推進するための実務的な調整や検討を開始するとともに、県と市町村の間でも協議会をつくり、この問題を協議していくということですが、この際、地方分権の推進に関して企画振興部長にお伺いをいたします。 まず、地方分権の基本的な考え方として、住民に身近な行政サービスはできるだけ身近な自治体が行うこととされており、そうしたことからも、これからの市町村の果たすべき役割はますます重要となります。しかしながら、本県では人口や行財政規模の小さい市町村が多く、期待される役割を十分果たしていけるのかどうか危惧されるところでございます。平成十一年度の通常国会には、分権関連の改正法案の提出が予定されており、まさに地方分権が目の前に迫った今、その受け皿となる市町村の機能を強化していく必要がございます。 地方分権計画の中では、市町村合併も視野に入れた対応が必要だ、また広域行政の推進のため広域連合制度の活用が重要だといったことも言われておりまして、本県でもこの七月、県下初の中芸広域連合が発足したところであります。広域連合の発足に向けて県もさまざまな支援をされてきたところですが、今後分権に耐え得る市町村の体制整備について、県としてどのようなお考えを持っておられるのか。 また、地方分権のメリットを享受するのは住民であり、地域住民のための分権でなければならないと考えております。地方分権に対する住民の関心や理解は十分に高まっているとは言えない状況にありまして、地方分権は住民の方々の理解と共感のもとに推進すべきであるが、今後住民の皆さんの理解を高めていくためどのような取り組みをなされるのか、お伺いをいたします。 次に、環境ホルモンの問題に関して文化環境部長にお尋ねをいたします。最近、外因性内分泌攪乱化学物質、非常に難しい言葉ですけれども、いわゆる環境ホルモンによる生物への影響が大きく報道され、県民の不安も高まっているところでございます。この環境ホルモンの問題は、従来の化学物質による環境汚染と異なり多くの難しい問題を抱えております。 例えば、環境ホルモンの疑いがあるとされている約七十の物質についても、これが生物にどのように影響しているのか、またどのようなレベルで影響を与えているのかなど、原因物質と生物への影響の因果関係や異常が発生するメカニズムが十分明らかにされていないところでございます。あるいは、母乳汚染のように--母乳というのは母親のお乳ですけれども、ダイオキシンが含まれていることが明らかにされていながらも対応策が明確に打ち出せないことなど、いずれもこれまでのような環境問題の延長では答えの出せない事柄であると思います。 このようなことから、国民の不安も大きく、これを解消するため、国や県において環境汚染の実態の把握や正確な情報の提供など、早急な対応が求められていると考えます。 環境庁では、環境汚染の状況や野生動植物等への影響についての実態調査、研究体制の整備、国民にこの問題を理解してもらうための情報提供など具体的な対応をとろうとしております。また、厚生省においては、今年度中に食品や容器、おもちゃなどに含まれる環境ホルモンの量や体内摂取量などの調査を、建設省においても河川や下水道中の環境ホルモンの実態調査を実施するなど、まさに各省挙げて環境ホルモンへの取り組みが進められているところでございます。 さらに、地方自治体においても、東京都や岐阜県においては庁内の検討組織を設け、対応策を検討し始めたと聞いております。このような国や地方自治体の動きの中で、本県に当てはめた場合に、県民の不安を解消するため県としてこの問題にどのような関心を持ち取り組んでいこうとされているのか、特に関連の深い文化環境部長にお尋ねをするわけでございます。 環境ホルモンの中でも特にダイオキシン類は、有機塩素化合物の生成過程や廃棄物の焼却過程等で非意図的に生成する化学物質であり、その発生源は多岐にわたっております。また、毒性が強く、その環境汚染が大きな社会問題となっており、野放し状態からその排出を抑制する対策が日本でようやく始まったところでございます。しかし、一九八〇年代に相次いで規制を設けた欧米に比べて五年から十年も遅いと言われており、その背景には産業振興に軸足を置いてきた国の政策と自治体の環境マインドの低さがあります。 ダイオキシン類の各種発生源からの排出状況は必ずしも明らかではありませんが、ごみ焼却炉からの排出がダイオキシン類の総排出量の八ないし九割を占めているとの報告がなされております。ごみ焼却施設から排出されるダイオキシン類には、不完全燃焼によって生成するものと、排ガス処理等の施設で排ガスが三百度前後の温度になった際に、ダスト表面における触媒作用によって合成されるものがあると言われております。 環境庁が全国二十一カ所で行った調査によりますと、京浜、阪神などの工業地帯で大気一立方メートル当たり平均〇・六三ピコグラム、首都圏など大都市で〇・三七ピコグラムのダイオキシンが検出され、欧米では同じ都市部でもアメリカの〇・〇九ピコグラム、スウェーデン〇・〇二ピコグラム、ドイツ〇・一二ピコグラムなど日本の半分以下となっており、諸外国と比較して我が国の一般大気中のダイオキシン類濃度は高水準であり、ごみ焼却施設からのダイオキシン類の排出削減は緊急の課題となっております。 ダイオキシン対策を実施していくためには、ごみの排出抑制、リサイクル、燃焼方式の改善、さらにはこれらを有機的に結びつける広域的な処理など、ごみ処理全般に係る総合的な観点が必要であると考えます。 そこでお尋ねいたしますが、ダイオキシン類の多くは、先ほど御説明したように、市町村の一般廃棄物の焼却過程で発生していると言われておりますが、県下の市町村の焼却施設の現状をお伺いいたします。 また、市町村においては、今後も当面は現在の焼却施設においてごみ処理を行っていかなければなりませんが、既に設けている炉の発生抑制対策として具体的にどういった取り組みを指導していくのか、お伺いをいたします。 さらに、国においては、財源の効率的利用、リサイクル社会への転換、高度なダイオキシン対策などの観点から、今後新設する焼却施設については補助採択基準を一日百トン以上の焼却能力を有する全連続式の焼却施設といたしました。これを受けて本県市町村が施設整備を進めていくためには、現在以上の広域的取り組みが必要だと考えます。そのため、県においては市町村ごみ処理広域化計画の策定に取り組んでおられますが、取り組みの現状と計画策定のめどをお伺いいたします。 次に、「人権教育のための国連十年」高知県行動計画についてお伺いをいたします。ことしは、一九四八年に国連で世界人権宣言が採択されてから五十年目を迎える節目の年でございます。この世界人権宣言では、「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」とうたわれ、すべての人がいかなる事由による差別をも受けることなく、これらの人権を享有できるようにすべきであるという人権尊重の理念が示されております。 この宣言が出されました後、国連では、人種差別撤廃条約、女子差別撤廃条約、児童の権利に関する条約など各種の人権に関します条約などにより国際的な人権の基準を示しています。しかしながら、今なお世界の至るところで人種や民族間の対立や偏見など差別に起因すると思われる地域間紛争が発生し、たくさんの人命が犠牲となっている現状でございます。我々は、「平和のないところに人権は存在し得ない」、「人権のないところに平和は存在し得ない」という大きな教訓を得ましたし、人権尊重が平和の基礎であるということが今や世界の共通認識になりつつあると言えると思います。 こうした中で、一九九四年、国連において、一九九五年から二〇〇四年までを「人権教育のための国連十年」とする決議が行われ、昨年七月に、我が国においても「人権教育のための国連十年」に関する国内行動計画が策定されました。その中では、今後の我が国の人権教育の基本方向が示されるとともに、各地方公共団体においての自主的な取り組みが期待されているところでございます。 このように国内外で人権尊重の機運が高まる中、本県におきましては、さきの三月議会で高知県人権尊重の社会づくり条例が制定されました。このことは、このような世界の動きを視野に入れ、さらに国内の人権に関する方向と合致しているものであり、人権の世紀と言われる二十一世紀に向かってまことに時宜を得たことであると考えております。この条例は、全国的に見ますと、人権尊重の条例としましては五番目になりますが、その内容におきましては、知事は人権意識の高揚を図るため県内における人権に関する実態について定期的に公表することなど、本県の独自性が色濃く出ているものと考えます。 ところで、知事の提案説明にもありましたが、県ではこのほど「人権教育のための国連十年」高知県行動計画を策定し、この条例とあわせて人権が尊重される社会づくりに取り組んでいくための具体的な施策を打ち出されました。この行動計画につきましては、昨年の九月県議会における西尾議員の質問に対し、副知事が「この計画では同和問題を初めとして女性や子供、高齢者などの七項目の人権について、だれにもわかりやすく、実践的な計画を示したい」と答弁されておりますが、そのような内容になっており、人権尊重の社会づくり条例の実行性という点において大いに期待が持てるのではないかと考えております。 そこで、この計画に関係する同和対策本部長や、女性、障害者などの推進本部長につかれている副知事にお伺いをいたします。このような行動計画につきまして私が調べたところによりますと、検討中が二十一県、策定済みが五県となっており、本県は全国で六番目の策定となります。先進的な取り組みであることを評価するわけですが、本県の計画の特徴的な内容はどのようなところにあるのか、また、この計画を今後どのように推進していくのか、お伺いをいたします。 最後の項目になりますけれども、よさこい祭りについて文化環境部長と県警本部長にお伺いをいたします。夏の高知のシンボルとも言えるよさこい祭りが近づいてまいりました。ことしで四十五回目を迎えるよさこい祭りは、近年、国内はもとより海外においても注目されるようになっております。よさこい祭りに心酔した北海道大学のある学生が、自分たちの住む札幌を舞台に生み出したYOSAKOIソーラン祭りが今や本家の高知をしのぐ勢いで成長しているのを初め、石川県七尾市のYOSAKOIかいかい祭、埼玉県朝霞市の朝霞市民まつり、静岡県沼津市のぬまずワールドダンスフェスタ、さらには仙台市のみちのくYOSAKOI祭りなど、全国の多くのまちで若者たちによってよさこい祭りの輪が広がりつつあります。 また、こうした動きは、海外にも及ぼうとしております。ことし二月には、シンガポール最大のお祭りであるチンゲイパレードによさこい鳴子踊りが招待されました。一般的には、このチンゲイパレードに参加するには参加希望者側が主催者側に働きかけるということですが、よさこいの場合は、シンガポールの主催者側がたまたま大阪の御堂筋パレードでよさこい踊りを見まして一目で気に入ったということで、ぜひとも参加をということで招待したという経緯があったと聞いております。このことは、外国の人たちから見ても、いかによさこい鳴子踊りが魅力的であるかを示すものであると思います。 このチンゲイパレードは、単にシンガポールで開かれる最大のお祭りであるというだけでなく、祭りの様子は衛星放送を使って世界じゅうのさまざまな国に放送されており、二千万人を超える人々が見られているようでありますので、ことし二月には世界で二千万人を超える人たちが本県のよさこい踊りをごらんになったということになるわけでございます。 さらに、ことしのよさこい祭りには東京ディズニーランドがやってきます。地元の小学生百五十人も参加して、ディズニーランドチームが編成されると聞いております。ミッキーマウスやミニーマウスなど多くのキャラクターと一緒によさこいを踊ることのできる子供たちにとっては、大きな楽しみであることはもちろんでありますが、ディズニーランドチームがどんなパレードの車で登場し、どんな衣装でどんなダンスを披露してくれるのか、お年寄りも若者にも、男女問わず多くの観客にとって期待が大きく膨らむのではないでしょうか。 夢を提供する東京ディズニーランドがよさこい祭りに参加することは、まさによさこい祭りが夢の祭りとして認知されたことだと思います。このようによさこい祭りは、日本各地、海外、そして夢を提供する企業からも大いに評価され、注目されているのであります。 そこで、文化環境部長にお伺いをいたします。よさこい祭りをここまで育て発展させてきたのは、無論、高知市民や商工業者、商工団体など民間の活動でありますが、今後本県にとっても貴重な観光資源でもあるこの祭りをさらに発展させていくためには、単に高知市の祭りにとどまらせることなく、高知県の、そして高知県民の祭りとして位置づけた上で、将来を見据えた確かな方針や戦略が必要であると思いますが、どうか。 また、よさこい祭りをキーワードとして高知県を全国に売り出していくことが、今後の観光振興、交流の拡大を図る上で有効な手法であると思うが、その取り組みをどのように進めていくのか。 また、全国に広がりつつあるよさこいの輪を活用した各地域の連携、ネットワーク化をどのようにつくり上げていこうとしているのか、お尋ねいたします。 そして、県警本部長には、今後よさこい祭りをさらに活性化させるためには、キャパシティーに限界があり、手狭となってきた追手筋の本部競演場を電車通りに移してはという声を以前から聞くところでありますが、これを実施する上での交通面での課題とその解決策について、どのように検討、把握されているのかをお伺いいたします。 これで、第一問を終わります。 (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 川添議員の御質問にお答えをいたします。 まず初めに、参議院選挙の結果の分析と今後の激動する時代の流れへの対応などについてお尋ねがございました。二つの御質問にあわせてお答えをさせていただきます。今回の選挙の結果につきましては、さまざまな論評がございますが、当たり前のことながら、その結果は民意の適切な判断として厳粛に受けとめなければなりません。結果的には自由民主党の議席が減少をいたしましたが、その背景には、国民の皆様が期待されるような有効な経済対策が十分に打ち出されていないと受けとめられたことや、なかなか方向の見えない行財政改革の行方など、今の政治に対する大きな不信感があったと思います。 しかし、このことをもう少し考えてみますと、今の我が国が抱えます問題の本質は、戦後日本が築き上げてまいりましたこれまでのシステムが、現状の変化に十分に適合しなくなっているという現実に集約をされるのではないかと思います。この課題を克服いたしますためには、まず何よりも政治の強力なリーダーシップが必要だと思います。つまりは思い切った改革に果敢に挑戦をし、それを実現していく力でございます。 その意味では、御指摘にもありましたが、これまでのように政党が批判し合い、対立をし合うという従来の構図から抜け出して、それぞれの政党が個別の課題に対して代案を示すと同時に、決定をした後は一定のスピード感を持って、それを確実に実現していくことが必要ではないかと思います。 私としましては、そうしたことをこれからの政治に期待したいと思いますし、同時に、分権の時代にふさわしく、地方で判断できることは主体的に考えながら、県民の皆様の期待されるようなさまざまな改革に取り組んでいきたいと思います。あわせまして、国に対しましてもこの変革の時期にふさわしい地方の声を届けることによりまして、地方から国を変えていくという意気込みを示すことができればと考えております。 次に、県民の皆様が感じておられる不安などを今後の県政にどのように反映させるのか、また、補正予算の編成に当たってどのような思いを寄せて作業を行ったのかというお尋ねがございました。最近の社会情勢を見ますと、少子化や高齢化の進行に景気の低迷が重なりましたため、将来に対する不安が広がっているという感じがいたします。こうした状況を考えますと、景気を回復させるための施策はもちろん必要でございますが、少子化や高齢化という現状を踏まえまして、県民の皆様の生活の視点をより重視したきめ細かな施策の展開が求められていると考えております。 また、県内の各地域を回ります中で、地域の方々から景気対策についての御意見を初め、介護保険制度に対して抱いておられる不安などを聞かせていただきました。こうしたことから、今回の補正予算の編成に当たりましては、景気への刺激策としまして公共事業を追加いたしましたほか、中小企業の資金繰りを緩和するための金融対策、また介護保険の体制づくりに当たりまして地域の実態を正確に踏まえますための実態調査や、ホームヘルパーの養成研修などの予算を計上することにいたしました。 さらに、今後は県民の皆様に予算づくりの中に参加をしていただくといった試みも取り入れますなど、県民の皆様の顧客満足度という視点を基本に県政運営に取り組んでいきたいと思います。 私からは、以上でございます。 (土木部長井添健介君登壇) ◎土木部長(井添健介君) 川添議員の、総合経済対策についての一連の御質問にお答えをいたします。 まず、公共事業の前倒し発注に関しまして、現在の進捗状況についてのお尋ねがありました。国の経済対策に呼応いたしまして公共事業の施行促進を図るため、県におきましては八二・三%の上半期の発注計画を策定いたしておりますが、このうち土木部、港湾空港局におきましては、上半期でおよそ一千八十億円の発注を行うことといたしております。三カ月が経過をいたしました第一・四半期の発注状況につきましては、およそ五百五十二億円でありまして、上半期の発注目標のおよそ五一%の達成を見たところでございます。 引き続き目標の達成に向け最大限の努力をしてまいりますが、具体の発注におきましては、率や額のみにこだわるのではなく、災害復旧事業や単独事業といった小規模な事業など、中山間地域も念頭に置きながらバランスのとれたきめ細かな事業の実施に努めてまいります。また、今後補正予算の執行とあわせて年間を通じた事業実施の平準化に努めまして、切れ目のない事業の実施に取り組んでまいります。 次に、公共事業には地場産業の活性化など多方面への誘発効果が期待されているが、どのような取り組みを進めているかについてでございます。公共事業に係る地域経済への波及効果を高めるための具体的な取り組みといたしましては、地域において施工可能な工事につきましては、極力地元業者の受注機会の確保を図ることに努めております。また、大型工事につきましては地元業者を下請に活用すること、作業員等の地元優先雇用、さらには各現場で使用いたします資材につきましては県内建設資材の優先使用と県内商社を通じた調達などについて、これまでも各業界・団体への協力要請を行いますとともに、監督職員を通じまして個々の業者へも協力要請を実施いたしております。 このような取り組みを進めることによりまして、限られた投資を最大限に波及させ、地域経済の活性化に努めておるところでございます。 最後に、業界の資金繰りの悪化など厳しい経営環境に関連をいたしまして、前払い金制度の改善など、公共事業代金の早期支払いにどのように取り組みを進めるかについてでございます。前払い金につきましては、建設工事に伴う資材の調達や労務費用に必要な経費として制度化されているものでございますが、平成七年四月に改正をいたしました現行の取り扱いでは、発注ロットの拡大や大型工事の増加に伴い、業者の資金繰りに十分対応できないという問題が生じております。特に、現在建設業が厳しい経営環境に直面しておりますことからも、健全な経営のための資金繰りと経営改善のためには、前払い金制度のさらなる拡大が必要だと考えておりまして、現在、改善案につきまして具体の詰めを進めておるところでございます。 一方、工事請負代金の早期の支払いにつきましても、これまでの工事完成時の請求・支払い事務手続の簡素化・迅速化につきまして抜本的な見直しを検討しているところでございまして、本年度から早期の支払いができるよう改めてまいります。 以上でございます。 (商工労働部長川村龍象君登壇)
    商工労働部長(川村龍象君) 総合経済対策についての御質問のうち、現下の雇用情勢を受けての対策、取り組みについての御質問でございます。 最近の県内の雇用情勢は、その状況を端的にあらわします有効求人倍率で見てみますと、昨年六月の〇・五一倍から減少傾向で推移いたしまして、この四月、五月と連続して〇・三七倍まで落ち込み、円高・構造不況期と言われました昭和六十二年十二月以来の低水準となり、厳しい状況が続いておるところでございます。県といたしましては、このような状況に対応いたしますため、庁内横断的な緊急対策会議を既に設置いたしまして、各種施策に取り組んでいるところでございます。 雇用対策関連の具体的な取り組みといたしましては、経済団体、事業主団体等に対します求人確保の要請を行いますとともに、各公共職業安定所では特別求人開拓班を編成いたしまして、企業訪問による求人開拓を実施しているところでございます。さらに、県主催の新規大卒等就職面接会を従来より大幅に前倒しをして実施することとしまして、本日開催をしているところでございます。今後につきましても、このような状況に対応いたしますため、雇用情勢に対応した経済・雇用対策の円滑な推進を図ってまいる所存でございます。 以上でございます。 (企画振興部長島田一夫君登壇) ◎企画振興部長(島田一夫君) 地方分権につきまして二つのお尋ねをいただきました。 まず、市町村の体制整備につきましてお答えをいたします。地方分権の推進は、住民に身近な行政をできる限り身近な地方公共団体において処理することを基本としておりますので、その担い手でございます市町村における行財政体制全般の整備が必要となります。中でも、自治体職員みずからの政策形成能力の向上を図るなど人材育成に努めることが重要ですので、県としましても、本年三月に人材育成のマニュアルを作成し、市町村に対して人材育成の目的や方法等を明らかにした基本方針を策定するよう働きかけを行っております。 また、人口や行財政規模の小さい市町村が多い本県では、行政の広域化を進めていくことによりまして、行財政運営の効率化を図り、多様化・高度化する住民ニーズに的確に対応できる体制を確立していくことが重要となってきております。行政の広域化を進めていく上でどのような制度、手段を活用するかは地域における自主的な選択が基本となりますが、お話にありました県と市町村との協議会を十月を目途に設けまして、広域行政のあり方や権限移譲を初め、分権時代における市町村のあり方について検討をしてまいることといたしております。 次に、住民の理解を高めていくための取り組みについてでございます。地方分権を推進するためには、地方公共団体が住民への情報提供を積極的に行い、住民の意向を把握した上で行政に反映させていくことが重要と考えています。ただ、地方分権につきましては、行政の事務執行に係る事項が多く、またその内容も広範多岐にわたっており、住民へのPRが難しい面もあり、その理解も十分でないことは御指摘のとおりであると思います。そのため、住民の方々の御理解を得るためにはどういった手法が有効か、庁内に設置いたしました検討会や、先ほど申し上げました市町村との協議会で研究をしていきたいと考えております。 以上でございます。 (文化環境部長兵谷芳康君登壇) ◎文化環境部長(兵谷芳康君) 環境及び観光についての御質問にお答えをいたします。 まず、環境ホルモンの問題への取り組みについてのお尋ねがございました。いわゆる環境ホルモンについては、御指摘のございましたように、生物への影響の因果関係や異常が発生するメカニズムなど科学的には未解明な点が多く残されておりますが、生物生存の基本的条件にかかわるものであり、世代を越えた深刻な影響をもたらすおそれがあるため、重要な問題となっております。このため、国においても、その実態調査を行うとともに、環境ホルモンが生物に影響を及ぼすメカニズムを明らかにするための試験研究体制の整備などを行っております。実態調査については、環境庁が全国約二百四十カ所で環境ホルモンに関する調査を行う予定であり、本県においても河川の水質や生物、さらには大気、土壌などにおける環境ホルモンの濃度が測定されます。 県としても、今月初めに環境ホルモン問題庁内連絡会を組織し、庁内の関係各課の連携を図るため情報交換や協議を行ったところですが、今後とも、国等の調査結果や各種の研究成果など環境ホルモンに関する情報を積極的に収集するとともに、講演会を開催するなど県民への情報提供に努めてまいりたいと考えております。 次に、ダイオキシン対策についてお尋ねがございました。まず、県下の市町村の焼却施設の現状についてですが、県下の一般廃棄物焼却施設のうち現在稼働中のものは、比較的小型の間欠運転炉が九カ所、機械化された間欠運転炉が二十カ所、准連続の運転炉が一カ所、そして全連続の運転炉が二カ所の合計三十二カ所となっております。このうち本年十月に廃止する予定の小型焼却施設二カ所を除きますすべての施設について、平成八年度、九年度の両年度にダイオキシン類の測定調査を実施しております。その結果、国の定める排ガス中の暫定排出基準、すなわち毒性等量に換算いたしまして一立米当たり八十ナノグラム以内という基準ですが、それに対して最高で六十六ナノグラムとなったところが一カ所あったものの、すべてその基準以内となっております。 次に、既設炉の発生抑制対策についてのお尋ねですが、既存の焼却施設におけるダイオキシン類の発生を抑制するには、燃焼温度を常時八百度以上に維持するとともに、一酸化炭素濃度を常時測定しその発生量を低く抑えるなど、焼却施設を適正に運転することが重要となります。そのため、市町村に対して燃焼管理の適正化を指導いたしますとともに、各市町村が策定した分別収集計画に基づいてごみの分別収集を徹底することによりリサイクルを促進し、焼却量そのものを減少させるような取り組みを行ってまいります。 次に、市町村ごみ処理広域化計画策定への取り組みの現状と計画策定のめどについてのお尋ねがございました。面積に比べて人口が相対的に少なく、財政力の脆弱な団体が多い本県の市町村におきましては、ダイオキシン対策に加えまして最終処分場の確保の困難さやリサイクルの一層の推進ということを考慮すれば、一般廃棄物の処理の広域化はぜひとも進めなければならない課題でございます。そのため、県としては、平成九年度に広域化のための素案としてまとめました計画案をもとに、現在、市町村で組織しております環境行政連絡協議会において、広域的な取り組みに向けた合意形成が図られるよう協議を進めております。今後この各地区での協議をさらに続けて、合意ができたところから順次計画を固めていくことにより、年度内には全体の計画をまとめたいと考えております。 次に、よさこい祭りについてお尋ねがございました。まず、よさこい祭りのさらなる発展に向けて県民の祭りとしての位置づけや方針についてのお尋ねでございます。よさこい祭りは、これまで高知市の商工団体や観光関係団体、さらには各地区の商店街の方々を中心として組織するよさこい祭振興会のもとで、参加する人たちの主体性が尊重される民間主導の祭りとして発展をしてまいりました。よさこい祭りについては、本県の観光振興を図る上でも大きな力となるものでございますので、今後ともそうした基本的なコンセプトを大切にしながら、高知県を代表する祭りとしてふさわしいものとなるよう、県としても積極的に努力してまいりたいと考えております。 次に、観光振興、交流の拡大を図るため、よさこい祭りをキーワードにしての取り組みについてお尋ねがございました。よさこい祭りは、坂本龍馬や四万十川と並んで今や本県を代表する観光資源の一つでございます。県では、この祭りを通じて本県のPRをするため、平成八年度より各地のイベントによさこい鳴子踊りのチームやインストラクターの派遣を支援するなど、全国各地のイベントへのよさこいの普及・定着に努めています。また、市町村や観光関連団体とも連携して、東京の大銀座まつりや大阪の御堂筋パレードにも参加し、よさこいを通じた高知のイメージアップや誘客宣伝に努めております。 本年度は、こうした取り組みに加え、新たに航空三社の機内誌によさこい祭りを使った観光宣伝を出したほか、衛星放送のチャンネルを使い、よさこい祭りをメーンに観光を宣伝する独自の番組を制作し、全国に情報発信をすることとしております。今後とも、よさこい祭りを核として、交流の拡大がますます盛んになるよう取り組んでまいります。 最後に、よさこいの輪を活用した各地域の連携、ネットワーク化についてお尋ねがございました。よさこいが全国に取り入れられ、盛り上がりが見られることは大変喜ばしいことでございます。県としては、これらの地域の方々にも本場のよさこい祭りに参加していただくとともに、これを契機として、観光はもとより文化や産業面においても交流が一層活発化し、ネットワーク化が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。 そのため、高知市、よさこい祭振興会を初め県内外のよさこいを支える人々と連携をとり、協力体制を築きながら、記念となります第五十回にはよさこいの全国大会を実現したいと考えております。 以上でございます。 (副知事河野八朗君登壇) ◎副知事(河野八朗君) 川添議員さんの、「人権教育のための国連十年」高知県行動計画についての御質問にお答えいたします。 まず、一点目の行動計画の特徴でございますが、この行動計画は、県民の皆様にかかわりが深く、身近な人権問題である同和問題を初め、女性、子供、高齢者、障害者、外国人、HIV感染者等の人権につきまして、本県の現状と課題を明らかにするとともに、人権尊重の取り組みや人権侵害の事例をお示しすることにより、県民の皆様に身近な差別の存在に気づいていただきたいと考えております。また、県や市町村が人権教育や人権啓発を積極的に推進することとあわせて、企業や県民の皆様がそれぞれの立場で、人権が尊重される社会を築いていくための自主的な取り組みを進めていただくことを目的といたしております。そのため、企業とか県民の皆様に期待する取り組みについてもお示しをいたしております。 このように、本県の行動計画の特徴としては、単に人権教育・啓発の計画というだけでなくて、それぞれの人権について、現状と課題や具体的な事例をあわせてわかりやすくまとめておるというところでございます。また、全体としても、あるいはまた七つの課題項目ごとに取り出しましても、それぞれに啓発の資料として活用できるような形にいたしております。 二点目の、この行動計画を今後どう進めるかでございますが、知事の提案説明でも申し上げましたところですが、この計画を推進するために設置しました国連人権教育高知県推進委員会につきましては、知事を委員長といたしまして、メンバーは庁議の構成員でございます。今後この行動計画をこの推進委員会を通じまして、より一層総合的、効果的に推進することにいたしております。今後、学校教育や社会教育はもちろんのこと、講演会、研修会の開催などによる啓発、またあらゆる場におきますいろいろな人権教育、人権啓発について、市町村や関係機関とも連携をしながら取り組みをしてまいりたいと思います。 さらに、県民の皆様に読みやすいよう工夫いたしましたこの計画の普及版も作成いたしまして、啓発資料として活用するなど広報活動にも力を入れてまいりたいと存じます。 以上でございます。 (警察本部長大園猛志君登壇) ◎警察本部長(大園猛志君) 川添議員の質問にお答えいたしたいと思います。 御質問のよさこい踊りの本部競演場を電車通りに移して実施する上での交通面の課題でありますけれども、電車通りは高知市内の主要幹線道路となっておりまして、平日でも交通量が大変多くございまして、たとえ片側車線でも踊りのため車両の通行どめをした場合には、著しい交通渋滞が予想されること、またバス、電車等の公共輸送機関への影響が極めて大きいこと等によりまして、市民生活に与える影響が大きいことから、現状では困難であると、こういうふうに考えております。 その解消策といたしましては、電車通りにかわる迂回道路が整備されることが先決でありまして、これらの迂回道路が整備され、初めに申し上げました交通事情が解消される状況になりましたら、改めてその時点で検討させていただきたいと、かように考えております。 以上でございます。 (三十九番川添義明君登壇) ◆三十九番(川添義明君) 再質問をさせていただきます。 知事の方から、それぞれ景気対策も含めて補正予算を組むに当たっての悩み、そして判断をしたということの答弁がございました。それはそれとして認めますけれど、国もそうですけれども、緊急避難的に景気対策をしていくということで国債あるいは県債を発行しなければいけない、ここのところはわかるわけです。しかし将来的に、県の場合は財政構造計画をこの三月議会で打ち出したわけですから、何年にはこういうふうになるという数字も明らかになったわけですけれど、そこのところをどう県民の皆さんに、具体的に景気の動向、今後推移してくると思いますが、そういうときには的確に情報開示というものも大事だし、予算編成に当たって県民の皆さんにも参加してもらうという知事答弁がございましたが、それだけ積極的に情報も明らかにして県民も同じように予算編成の中に参加したということになれば、これは他の都道府県あるいは市町村を含めて非常に画期的なことになるのではないかと思います。 ただ、その県民参加の予算編成ということをどのような形で、どういうメンバーを想定されているのか、この時期にわかれば、もう少し知事の方から説明をしていただきたいと思います。 それから、二つ目でございますけれど、地方分権がこれからどんどん進んでいくと思います。企画振興部長からも答弁がありました。高知県の場合、五十三市町村、中山間では人口二千人を切っていくというのが目前に迫っているわけですから、そういう場合いろんな問題点が出てくるのは必至です。これはいろんな施策をするとしても、一つの自治体が独立をして施策の実行ができるということが非常に難しい、困難な状況になってくる。あわせて、分権もおりてくると二つのことを一気に解決していかなければいけないという状況になると思います。 ですから、知事も地方分権の推進論者としてまだまだ理念はわかっておっても、そういう事態に直面をしたときに大胆に、例えば広域連合は中芸で一つ実験をしているわけですけれども、町村合併というものを真剣に考えていく時期というのはそんなに遠くないときにやってくるのではないか。ですから、地方分権と町村合併と、それからいろんな施策の具体的な実行をどうやっていくのかという視点がこれから大切になってくると思います。そういう意味で、知事の考え方を少しお聞きしたいと思います。 それから、土木部長から景気対策の問題についてのお答えがございました。公共事業の繰り越し、毎年度繰り越しをして、その分が一・四半期で用地交渉、あるいは市町村との話し合いもして早期発注と、こういうことが例年繰り返して出ているわけです。ことしは、特に先ほども説明があったように、この議会で大幅な公共事業の上積みということになりましたから、果たして年度内の発注で到達できるのか。あるいは、九月になったときにもうひとつ補正予算が膨らんでくるのではないかという予想もできるわけです。 そういう現状の中で、年度内の前倒し発注について、到達目標の答弁もありましたけれど、本当にでき得るかということをもっと具体的に、庁内で発注できる状況をつくるためにはどういうところで協力をしてもらわなきゃいけないのか。例えば、技術公社の方の協力体制というのをどこまで組むことができるか、そういうところについて部長の方から明らかにしていただきたい。 もう一つは、公共事業代金の早期支払いですけれど、これは中小企業の融資と同時に建設業に行ったならば、そこに働く皆さんにもお金は回ってくるわけですから、年度内に結論を出そうということですけれど、来年に入っては遅いですから、ことし中に早期支払いの方法も含めてもう少し具体的に、できる時期、それを明らかにしていただきたいと思います。 文化環境部長には、厚生省もけさからテレビ、新聞など報道がずっとされておりますが、県内の焼却炉についても、無論ごみ焼却場と、それからもう一つは医療廃棄物の問題もあります。それから、産業廃棄物も当然出てくるわけですけれど、今朝倉の方も土佐山の方もこの近辺では、あるいは全県的に不法投棄が多い現実。この現実をどうしていくかということは、これは喫緊の課題なのです。地下水に潜っていって、地下水を飲んだ人、ここでダイオキシンが発生して環境ホルモンのあれをつくっていくというようなことにもつながっていくわけで、余り時間を置くわけにはいきません。ですから、そういう迅速な対応をどういうふうに考えていくのか。 無論、ごみ焼却場の計画的なところは明らかになりましたから、それを基準にして市町村のごみ焼却場の建設、あるいは広域でいくのか。厚生省の示している日産百トンで焼却していくのかといっても、人口がこれだけ少ない中で日産百トンの炉をつくっても、これは二十四時間稼働できません。では日産五十トンにしていくのか。そういう選択の方は市町村にも情報提供して、十分実態に合うような焼却施設の建設というものも必要だと思いますから、ぜひそういう計画の中で市町村とも話をする場合には、技術的なことも提供するような議論をぜひやっていただきたいと思いますが、その点は検討のときにも出されたと思いますから、部長にお伺いをしておきたいと思います。 よさこいの方も御答弁がありましたから、知事に一つお伺いしたいと思います。知事も北海道まで行かれてましたが、あの札幌の熱いエネルギー、若者のエネルギー、高知も夏のよさこいのときにはそれだけのエネルギーがあります。これをなるだけ持続するための、本当に若い人があの祭りのときだけどこにおるのかと思うぐらい高知市に集まってくるわけですが、若者のエネルギーというものを、これを県の全体に持っていく、この踊りを通じてどういうふうに拡大をしていくのかということも大切なことだと思います。これは知事にひとつ感想も含めてお聞きをしたいと思います。 以上で、すべての私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手) (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 川添議員の再質問にお答えをいたします。 まず、予算編成への住民参加として具体的にどんなことを考えているかという御質問がございました。これは直接の住民の参加ではございませんが、県と市町村の関係も予算編成の中で考えていかなくてはいけないことがあるのではないかと思います。といいますのは、現在市町村長さんへの予算の説明というのは、年が明けてもうほぼ予算の内容が固まった後で御理解をいただくという形の説明会でございます。そうではなく、市町村長さんもそれぞれの地域の住民の代表であられるわけですから、予算編成の前に市町村長さんに集まっていただいて、地域の課題というだけではなくて、県全体として、また中山間地域として、都市部としてこういうことをやったらどうかというような意見を出していただく、そんなことが市町村長さんにとっても説明責任ということが伴う、それだけその責任を持って議論に参加をされるきっかけになるのではないかと思いますし、またえんきょく的な意味で、住民参加の予算編成にもつながっていくのではないかと、ひとつ思っております。 また、もう少し直接の住民参加ということでは、一つは住民の皆さんから、これは個人個人ではなくてさまざまな団体でもいいわけですけれども、いろんな予算編成についてのアイデアをいただくということを、県の職員に対しては三億円お年玉という形をやってみましたけれども、同様のことを県民の皆さんに呼びかけてみるというのも一つの手法ではないかと思います。 また、これは私がまだ頭の中で考えていることですが、例えば各ブロックごと、幾つかのブロックに分けて、それぞれの地域で十人の委員を、五人の方は年代別にアトランダムに選び、そしてあとの五人の方は地域で選んでいただくというふうな形で委員の方を選んで、そこで各ブロックごとの県民税の収入の数%になるかどうかわかりません--計算してませんので〇・何%かもしれませんが、それを一つの予算の額としてお示しをして、それを使うことを皆さんに考えていただく。そんなことから予算編成というものをまず知っていただき、学んでいただくということが第一歩ではないかなということも感じております。 全体の県の予算編成について、住民の意見をもう少し反映させ方向性を明確にしていくということは将来的には必要なことだと思いますが、すぐにはなかなかこれはできることではございませんので、その点に関しては、先ほど川添議員のお話にもありましたような、情報の開示を的確にしていく、そして説明責任--アカウンタビリティというものを県が果たしていく中で、県民の参加ということを間接的に進めていくということが第一歩かなというふうに思っております。 次に、地方分権に関連をして、将来的には市町村合併ということをひとつ頭に入れてやっていかざるを得ない時期が来るのではないかという御質問がございました。この点に関しては、今のさまざまな制度の中で、また今の現状の中で、各市町村の地域に住んでいらっしゃる方々に、今合併をしたらこれだけ皆さんの生活が変わって、また便利になり有利になりますよと自信を持って御説明できるだけのものがございません。 また、今の制度からいいましても、小規模な市町村が一緒になる場合にも、大規模な都市が一緒になる場合にも全く同じ制度の上に乗っております。そうしますと、規模のメリットといいましても、本県のように人口の少ない町村が一緒になったときに本当にそのような規模のメリットが出るのだろうかという疑問もありますし、そういう質問を受けたときに、なかなか明確に答えるだけの、これも自信がありません。 ということで、私は、現状では市町村合併というものをまず前提にして話を進めるべきではない、しかし、先ほどお話にございましたごみの問題にしろ、介護保険の問題にしろ、さまざまな課題で広域的な行政というものが必要になっておりますので、中芸で始まりました広域連合ということを県としても存分に支援をする中で、ああした形を県内に普及させていくということをまず心がけていきたいと思っています。 三つ目のよさこい、特にYOSAKOIソーランを見ての感想ということでございますが、先ほど川添議員の御質問にもありましたように、このよさこい祭りというものを高知市だけのお祭りではなくて県を挙げてのお祭りにしていくということは、私も同じ思いでございます。五十三市町村を挙げて、子供からお年寄りまで参加できるような幅の広い、そしてエネルギーのあるお祭りにぜひしていきたいと思います。 けれども、そういうお話をしますと、それでは県が直接前に出てとか、県がさまざまな面を仕切ってというようなお話が必ず出てきますが、このことには疑問を感じます。というのは、このYOSAKOIソーランにしても、先ほどお話がありましたように若い人たちのエネルギーと力で動かされているものですし、あれも二百を超える道の市町村がほとんど参加をしておりますが、北海道庁が直接仕切っている、また運営をしているお祭りではありません。 そんなYOSAKOIソーランから、ぜひ高知のよさこい祭りにかかわっている方々もそのノウハウなり、また力、知恵というものを学んでいただきたいと思いますし、特にその若い人たちの力をどう生かしていくかということを学んでいただければ、先ほど御質問にありましたように、八月だけに若いエネルギーが爆発をするのではなくて、そういう人たちの力を何かシステムの中に取り込んでいけば、日常の中にその若い人たちの力が生きるような地域づくりができるのではないか、そんなことを思っております。 私からは、以上でございます。 (土木部長井添健介君登壇) ◎土木部長(井添健介君) 二点再質問をいただきました。 まず、公共事業の前倒し執行につきましては、先ほど御答弁を申し上げましたとおり、ただいま庁内挙げて取り組んでおるところでございますけれども、今後補正予算の執行も含めまして、例えば用地取得につきましては土地開発公社、また工事の設計調査等につきましては技術公社を活用するなど、こうした協力もいただきながら計画の目標を達成いたしたいというふうに思っております。 二点目の、公共事業の代金の早期支払いの問題でございますが、先ほどもお答えをいたしましたように、建設業が非常に厳しい経営環境に直面をしているということからも、現在進めております作業は早急に取り組まなければならないというふうに思っております。前払い金制度の改善、それから出来高の支払いにつきましても、具体案につきましては現在庁内で協議を進めておるところでございますが、何とか九月分からの執行については間に合わせるということで作業を急ぎたいというふうに思っております。 以上でございます。 (文化環境部長兵谷芳康君登壇) ◎文化環境部長(兵谷芳康君) 再質問にお答えいたします。 ごみ処理の問題は、お話にもございましたように、まさに待ったなしの話でございます。不法投棄が多いということも事実でございますし、その対策のためには排出責任の問題など法の整備、あるいは適正な処理体制、処分場の確保といったことが必要になると思いますが、その中でも一般廃棄物につきましては、先ほど申し上げました広域的な処理ということが避けて通れない課題だと思っております。 そのための計画をつくるためには各市町村が合意をするという、合意が前提となるわけですけれども、各地域の実態に合うような計画となるよう、私どもとしても精力的に取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(東川正弘君) 暫時休憩いたします。 午後二時二十五分休憩--------------------------------------- 午後二時四十六分開議 ○議長(土森正典君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 二十五番伊野部武男君。 (二十五番伊野部武男君登壇) ◆二十五番(伊野部武男君) 第二百四十七回定例会に当たりまして、未来会の立場から質問させていただきます前に、去る五月十三日亡くなられました故中平和夫先輩議員に対しまして、心から哀悼の意を表させていただきます。 私たち未来会は、現在の政治不信は一人一人の人間を大切にしない政治に原因があるとの立場から、人と人とがお互いに尊重し合える社会づくりを願い、今忘れかけられておりますヒューマニズム、すなわち人間主義を基本に、県民の皆様が安心して暮らしていくための政策づくりをしていこうという考えから発足した会派でございます。したがいまして、今回提案されております各議案につきましても、そういう立場で判断し行動してまいりたいと存じますので、よろしくお願いしたいと思います。 現在の日本の不況は、不況というより未曾有の経済危機の感がますます増大しておりまして、倒産企業の増加、失業率の悪化はますますひどくなり、国民は今後の生活に大きな不安を持って今政治を見守っておられます。本定例会直前に行われました参議院議員選挙での自民党の全国的な大敗は、当然といえば当然のことでございまして、自民党の幹部の方でさえ党の無策が今回の大敗を招いたと発言するありさまでございます。 金融機関の相次ぐ破綻は、国民生活に大きな心理的影響を及ぼしておりますが、何ら経営責任をとらないままでの公的資金、つまり国民の貴重な税金を投入するということに国民は憤っております。中小企業はつぶれても知らない顔で、金融機関には情報公開もろくすっぽ行われていないにもかかわらず公的資金を投入する、こういう姿勢こそ今問われなければなりません。 本県でも、高齢化がますます進み、年金に生活を頼らなくてはならない多くのお年寄りは、政府・日銀の長期にわたります低金利政策や医療費の負担増で、大変不安を持った生活を強いられております。このような状況下、本県の発展を願う立場から、以下質問及び私なりの考えを述べさせていただきます。若干、前に質問された議員さんとダブる面がございますが、お許しいただきたいと思います。 まず最初に、財政問題でございます。国の総額四兆六千四百五十五億円の九八年度補正予算が成立いたしまして、国もやっと景気対策に本腰を入れ始めました。本当に国民の声を聞こうとしない失政の結果が現在のこの大不況となっているわけでございますが、このことに対するおわびもないままの政策転換に、国民の政治不信はますます増長されると思います。 本県ではどうかと申しますと、平成五年度一般会計決算で歳入に占める県債の比率一一・四%が県税の比率九・七%を上回った時点で、いずれ借金で生活が行き詰まることはわかっておりました。にもかかわらず、国の政策誘導もございまして、県債は平成九年度当初予算では八百九十八億円、平成十年度当初予算だけでも七百三十億円に上ります。それに今回の補正分九十二億円が加わり、総額八百二十二億円となります。 もちろん本県の特殊な事情、すなわち道路整備等インフラの整備が他の都道府県に比べまして非常におくれていまして、県単独で整備しなければならなかった事情はわかるにいたしましても、工科大学に対しまして起債、利子を含めまして二百億円以上をつぎ込み、またほかにも紙産業技術センターや高知女子大学など大型の箱物の整備が単独で行われております。これも大きな県民の負担として県財政にのしかかってまいります。 県債を増発した時期、財政当局は「後年度に国の交付税措置のある優良起債を活用しており問題ない」と主張され続けてまいりましたが、幾ら有利とは申しましても借金には変わりございません。国が財政再建を言い出した途端、財政構造を転換いたしまして県債依存度を平成三年度以前の水準に三年間で戻そうというのは、余りにも虫のいい話ではないでしょうか。 今後、高知駅周辺整備や港湾の整備などの重要プロジェクト、それからまた二〇〇二年の高知国体だけでも県、市町村の施設整備費は六百二十億円、関連工事を含むと一千億円以上という数字が先ほど発表されましたが、これぐらい見込まれております。このしわ寄せはどこに求めるのかといった問題も議論し合わなければなりませんし、そして、平成七年度市町村経済統計によりますと、県下五十三市町村のうち二十六市町村で産業構成比トップであり、三位以内ですと四十五市町村にも上ります建設業につきましても国体後どうなっていくのか、すなわち公共事業だけに依存しない産業構造への転換をどのように進めていくかといったことも含めた議論も現在行われているようでございますが、早急な対策が必要となってきております。 国も同じでございますが、県も、今は苦しいが未来には明るい展望の持てる財政にしなくてはなりません。そういうことからも、今回の補正予算に対する取り組みは非常に重要なものになってきております。今回の補正予算は総額二百九十一億円余りが計上されておりますが、以下何点かお伺いいたします。 まず、今回の補正によりまして、県債依存度は〇・九%アップして一二・九%ということになるわけでございますが、今後の状況判断、これは人によってそれぞれ違うと思いますが、私は来年もそう急激な景気の回復は見込めないと思います。そうなれば、政府も当然本年同様の景気回復対策として大型補正をするとか、法人税や市町村民税の減税を行ってくるのではないでしょうか。そうなった場合、本年度からスタートいたしました財政構造改革との整合性はどうなるのか。 現在のところ、平成十二年度、すなわち西暦二〇〇〇年の県債の構成比を一〇%以下とする財政構造改革への取り組み方針は堅持するということを重ねておっしゃっておりますが、実際はなかなか難しいことではないでしょうか。変な意地を張って後で謝るより、この際未曾有の不況下、一時凍結してでも景気浮揚のため、県債依存度は上がりますがまず県民の生活維持のため大型の補正をしますと言った方が、県民にも理解が得られやすいのではないかと思います。 大体、今回の県の財政構造改革取り組み方針は、西暦二〇〇〇年を目標年次といたしておりますが、これは現在の知事の任期を越えたものでございます。私は、財政構造改革のこの数字というものは、この任期中を設定すべきではないかと思うわけでございます。いかがお考えか、知事にまずお伺いいたしたいと思います。 次に、補正額の七六%を占めます公共事業費についてでございますが、先ほど申しましたとおり、本県にとって公共事業が必要なことは私なりに十分承知はいたしておるつもりでございますが、今回の補正が本県経済浮揚にどれだけつながっていくかといえば疑問が残ります。バブルがはじけて以後だけでもかなりの額を公共事業につぎ込んでまいりましたが、効果が思うように上がらなかったからこそ、今回もこのような補正を行うことを考えればわかると思います。 現在の不況は、過去の不況のように公共事業を多く出せば景気が回復するといった単純なものではないことは知事は十分理解されていると思いますが、なぜ今回、貴重な財政調整基金や施設等整備基金を取り崩してまで公共事業主体の補正予算を計上されたのか。 また、今回の補正の内容を精査いたしてみますと、都市計画街路関係で十七億四千五百万円が補正されておりますが、そのうち用地買収費に八億四千万、移転補償費に六億四千万、計十四億八千万となり、事業費のうち実に九〇%が用地買収及び移転補償費となっております。都市公園事業費でも一六%が用地買収費、空港関連事業費につきましても全額が用地買収や移転補償費となっておりまして、少なく見積もりましても今回の補正のうち約二十五億は個人を相手にしたもので、事業効果からいえば実効性が少ないと思いますが、このことを含め知事にお伺いいたします。 次に、今回実施予定の公共事業の内容を見ますと、平成十一年度で予定されている事業を前倒ししたものが多く見受けられます。今ほど事業の厳選が求められているときはありません。昨年ぐらいからだと思いますけれど、建設省などでは事業の評価システムを導入し、事業の厳しい選別あるいは優先順位づけを行っていると聞きますが、県でも本日の新聞によりますとシステムづくりに取りかかられるということでございます。 事業の選別、優先順位の見直しが必要な今、また今のは事前の評価だと思いますけれど、私は今後の公共事業をより有意義なものにしていくためには、どうしても事業が終わった後にも事後の評価をもう一度やりまして、事前の評価と事後の評価を比較しながら、期待どおりの成果が得られているのか、得られていない場合にはどこに問題があったのか検証することにより、次の事業に生かしていく必要があろうと思います。このことにつきましても、現在までの取り組みにつきまして知事にお伺いいたします。 また、県税収入の増加が見込めない今、あらゆる行財政改革に取り組まなければならないことは論をまちませんが、県が出資しております第三セクターにつきましても、順調に稼働しているものにつきましてはもう民間に任せ、長年にわたり負債を抱えているものにつきましては撤退するなどして、身軽な県政にしなければならないと思います。これに対する御所見と、県が四分の一以上出資している株式会社数及び出資総額につきまして、企画振興部長にお尋ねいたします。 次に、新聞報道によりますと、知事は五月下旬、東京へ重要要望活動を行った際、平成十一年度税制改正の焦点の一つとなっております法人事業税への外形標準課税導入に賛成の意向を表明されております。また、「雑談の中で口走ったという程度だが、敏感な反応に重要な政治課題なのだとあらためて認識した。前向きに検討してはどうかという提言の意味合いもあった」と話されております。これも新聞の報道でございます。 外形標準は企業の所得以外の別の指標を導入しようとするもので、全体に薄く広く課税するもので、いわば県版の消費税となるものであります。こういった考え方は法人事業税率、これは現行の一一%を引き下げることがほぼ決まっての考え、つまり減収分の補てんの意味を持つものと考えますが、現在の景気の動向からいたしまして、こういうことを言われますと、中小企業の経営者に対してどういう影響を与えるのか考えて言われたのか疑問に思います。タブーなしに議論することの必要性は認めますが、私はいかにもタイミングが悪過ぎたと思います。 ここで改めまして知事の真意と、現在の県経済の状況認識につきましては西尾議員への答弁で大変厳しいという認識であることがわかりましたのでお伺いいたしませんが、もし外形標準が導入された場合の増収見込み額についてお伺いいたします。 続きまして、公共事業の手法についてお伺いいたします。公共事業につきましては、今議会でも大変話題になっておりますが、県も各市町村もせっかく予算化しておきながら、地元との協議が調わず、繰り越ししたり、場合によっては事業そのものが長期間執行できないケースが見受けられます。今回の補正予算の知事説明要旨の中で、公共事業の見直しを断行すると決意を述べられておりますが、事業を厳選することはもちろんでございます。私は、ある一定の事業は予算化する前年に地元へ入り、あらかじめ地元の皆さんに事業概要を説明し、ある程度理解を得た後予算化するような手法を用いるべきだと思います。そうすれば、むだな繰り越しも少なくなるでしょうし、事業も順調に進むのではないでしょうか。 三月議会で東川議員も取り上げられましたが、高知市の朝倉を流れます前田川の改修におきましても、本年早々地元に提示された案は、現在の堤防を兼ねた通学路でもある生活道路を一挙に一・一メーターもかさ上げし、河床も掘り下げるため、落差が現在の二メーター足らずが四メーターにもなるということでした。改修の必要性は大多数の方々も認められておりますが、自分の家の前が一・一メートル上がったら出入りがまずできません。当然のことながら、住民は大反対をしております。現在計画は見直し中と聞きますが、最初の計画が本当に住民の立場に立ったものか大きな疑問が残り、これでは住民が怒るのも当然でしょう。 従来型の、地元に対して公共事業をやってやるのだから少々は我慢しなさいという手法は、もはや通用いたしません。箱物の建築につきましては、ワークショップ方式が最近取り入れられておりますし、知事も予算編成に県民が参加できるシステムづくりを言われております。予算をむだにしないためにも、地元に影響の大きく出る大規模な街路工事や河川改修の際にも、計画段階から住民の代表が参加できないか考えることも必要ではないでしょうか。この件につきましては土木部長にお伺いいたします。 次に、道路工事等で用地を取得した際のことですが、一部ではあろうと思いますが、不適正な事例が見られます。特に地図混乱地域に見られる事例ですが、現地と公図が合わないため、後々の事業に影響が出てきております。 これも例を挙げますが、春野の広域農道、もう開通して十数年になろうと思いますが、歩道設置の陳情が地元からあり、もう四、五年前に高知市議会でも採択されております。しかしながら、市の調査では、さっき申しました事情により、といいますのは地図混乱地域でありますので、歩道用地を買収できない状態が続いております。公図と現地を合わすためには公図を直す必要が生じ、そのための費用は、市の調査では約三千万かかるということでございます。もちろん高知市もそういう費用は出るわけはなく、その陳情もそのままの状態で放置されております。当該道路は坂道の上、私立の中高生が自転車通学に毎日利用しており、いつ重大事故が起こってもおかしくない状況にあります。 例を申しましたが、用地取得の際には、やはり時間がかかっても県民の大切な財産でありますので、すっきりした形で買収すべきでないでしょうか。今申しましたことを含め、土木部長にお伺いいたします。 それから、この問題の最後にもう一点お伺いいたします。昭和四十六年の都市計画法改正時に決められました都計街路で、手つかずの路線がまだまだ残っております。しかし、その間、道路構造令の改正によりまして、計画幅員では施行できない路線が出てまいりました。また、改正によりまして新たに隅切りがゆったりとられるとか、歩道を車いすでも対面通行できるとかによりまして、一度公共事業により家を引きましたけれど、それではまだ足りなくてもう一度引かされるケースがよく出てまいっております。 住民には長い間私の権限--私権を制限しておきながら、事業実施段階で計画幅員ではだめでは、なかなか住民の皆様には納得していただけるものではございません。見直すならばいつやるのか、土木部長のお考えをお伺いいたします。 続きまして、高知市中心部の再開発についてお伺いいたします。高知市中心部におきましては、市の周辺部へのスプロール化に伴いまして、非常に高齢化が進みつつあります。高知市は高知県の中心都市として発展を続けてまいりましたが、周辺部へ大型店舗等が進出したこともあり、かつてのにぎわいはなくなってきているように思います。 国の方でも、五月下旬に、地盤沈下の進む中心市街地の再生を目指すため、中心市街地活性化法を成立させ、総額一兆円をかけ、今後全国百五十市町村で基本計画策定に向け取り組みを始めました。本県におきましては、高知市と南国市が補助採択を得られそうですが、中心部におきまして過去幾つかの民間の再開発計画が持ち上がっておりますがなかなかうまくいっておりません。理由はたくさんあろうと思いますが、何といいましても一番大きな理由は建設費の償還問題にあると思います。 すなわち、地権者が開発計画を立て、それぞれが応分の負担をしながらやっていかなければなりませんが、とても全額を負担することはできることではなく、一般に保留床というのをとりまして、それを処分して建設費に充てられるわけです。この保留床を処分するめどがなかなか立たないため進んでおりません。私は、こういうときこそ行政が目に見える形で参加していくべきだと思います。つまり保留床の一部または全部を県や市で取得いたしまして、若者向けの安価な公営住宅を建設してみたらどうでしょうか。 今までこういう話をすると、ややもして何とか文化ホールとかそういう話にしかなりませんでしたが、そうではなくて、政策的に家賃も低目に設定し、子育て真っ最中の方々に提供していく、こういう姿勢が必要だろうと思います。そうすれば、土曜、日曜だけでなく、平日も子供連れの若夫婦が歩いている活気のある街になりはしないでしょうか。それに、中心部の学校の生徒が著しく減少している今、全市的に見てもバランスがとれてくることにもなりますし、何よりも行政が直接参加するということで、地権者もある程度安心して開発計画を立てることができると思います。 県や市が直接ということではなく、住宅供給公社を活用する方法もあろうかと思います。住宅供給公社につきましては、本年三月、見直し案が公社等改革推進会議から出されております。その内容は、従来の大規模な一般住宅供給や宅地分譲主体の業務からは撤退し、中山間対策や高齢者対策など、県及び市町村の施策と連携した住宅対策へ転換するというものですが、先ほど申しましたとおり、高知市中心部におきましては若者が住みにくい環境となっている今、若者定住対策として住宅供給公社にその使命を与えるのも一つの策と思いますが、その辺も含めまして土木部長にお考えをお聞かせいただきたいと思います。 また、関連いたしまして、中心部の公共施設、土地の配置についてお伺いいたします。中心部には県、市それぞれ相当面積の土地を所有しておりますが、それぞれ庁舎は分散化を余儀なくされておりますし、また老朽化も著しくなってきております。現在高知市におきましては、追手前小を初めとする中心部小学校の見直しが行われており、また、今回の県立中央病院、市立市民病院の統合問題を機にいたしまして、高知市と中心部の土地についての連絡協議会みたいなものを設置し、県民、市民へのサービス向上のため、その配置等につきまして協議し合う場を設けるおつもりはないのか、企画振興部長にお伺いいたします。 また、平成七年度に出されました財団法人高知県政策総研のレポートで、「高知市都心部での公共施設の配置の検討」ということで三つの案が出されております。第一案と申しますのは、東西軸強化案ということで、現在の城西公園を含む城西ゾーンを国、県の「一団地の官公庁施設」地区として集約・整備し、九反田周辺に市役所を持っていくというような、大ざっぱに言えばそういう計画でございます。第二案というのは、城北・城南二核案といいまして、国家公務員宿舎跡地に加え、隣接する丸の内高校などに県庁を持っていく。それで、市役所は現在地で再整備し、九反田地区は文化・交流の施設とする。第三案は、南北軸成長案でございまして、高知駅周辺に県庁を持っていき、九反田周辺に市役所を持っていくという、この三つの案が出されております。 これにこだわる必要はないと思いますが、そして庁舎建設基金も残り四十億ぐらいだそうですので議論するのもどうかとは思いますが、現在のこの本庁舎の敷地が国の指定史跡の中にあり、増改築や建てかえが困難であることや、建築後三十年以上経過し、庁舎が分散化していることを考えますと、高知駅周辺整備計画に大きな、この第三案でも、ウエートを持っております県庁の移転というものは行うのか行わないのか、もう決める時期に来ていると思いますが、いつごろ決断されるのかにつきましても知事にお伺いいたしておきます。 次に、少子化対策についてお伺いいたします。今回の補欠選挙に当たりまして、私は少子化対策を前面に出し戦ってまいりました。少子化対策を怠るということは日本の存亡にかかわることだと考えたからでございます。政府も大変おくれてではございますが、子育て減税とか基金に上積みを図るとかの政策に取り組み始めましたが、私は、今若い方々がなぜ子供を産まないのか、いや産めないのかという視点で政治的に何かお手伝いできることはないかとの思いから、以下数点お伺いさせていただきます。 本県でも、本年三月に高知県エンゼルプランが作成され、エンゼルプランを、安心して子供を産み育てることのできる環境づくりや、少なくなった子供たちを大切に育てていくための総合計画と定義いたしまして、いろいろな事業が打ち出されております。このプランの基本的視点は、子育ての親にやさしい環境の整備、感性に満ちたたくましい子供を育てるとともに子供参加型社会を目指すこと及び子育てにあったかい地域社会をつくることとされております。 まず、子育てにはお金がかかります。時間がかかります。そして労力がかかります。これらを敬遠して子供を多く産まない方々がふえております。まず、お金から申しますと、医療費の問題。ゼロ歳児につきましては無料化となっておりますが、ゼロ歳児は免疫力のせいでしょうか、余り病気にかかりません。かかるのは一歳を過ぎてからぐらいでしょうか。 また、本県は女性の労働力率で見ますと、平成七年の数字ですが、三十歳から三十四歳で全国平均より一四・四ポイント上回っておりまして、また二十五歳から二十九歳では昭和六十年との比較で六一・四%から七二・四%へ一一%も上昇するなど、共働きの世帯が増加し、多くの児童が保育所を利用しております。 その保育料ですが、所得によって分かれておりますが、国基準ですと、ゼロ、一、二歳の乳児ですと最高八万円、三、四、五歳の幼児ですと最高七万七千円、高知市の場合でいいますと三歳児未満五万七千円、三歳児以上ですと三万二千円の費用がかかります。幾ら共働きとはいえ、毎月これだけの負担をするということは大変なことです。現在国の制度では、三人以上同時に保育園に通園している場合には、二人目は半額、三人目以降は一割負担となっておりますが、私は同時に通園していない場合にも三人目以降の保育料は無料とすべきと思います。 香川県では、昨年より少子化対策の一環として、三歳未満であれば第三子以降何人でも保育料を公費負担にする支援事業を始めております。すなわち同時入所規定が制約となっているといたしまして、三歳未満の第三子以降は無条件で保育料の全額免除を決めたとしております。本県でも、世界の宝であります次代を背負う人材輩出のため、三人目以降の保育料をぜひとも無料化すべきと考えますが、その決意とその場合の負担増加額について、知事にお伺いいたします。 次に、特にゼロ・一歳児を持つ若いお母さん方は働きたくてもなかなか就労の場がないということが言われております。なかなか雇ってもらえないという現状があるわけでございます。それは、この時期の子供は、先ほど申しましたように病気になりやすく、特に一歳を過ぎて大変病気になりやすいのですが、仕事を休まなければならないケースが多くて、雇う側からいえば無理もないことかもしれませんが、なかなか雇用につながっておりません。保育園でも、子供がよほどの高い熱を出した場合など以外は極力仕事場への電話を控えるようにされているようでございますが、母親も、子供の病気が気になるは仕事は休めないはということで、精神的にもかなりこたえている方も多いと聞きます。 平成八年度から高知市におきまして、子供が病気のときに一時的に預かる乳幼児健康支援デイサービス事業が導入されておりますが、一カ所では到底足りるわけはなく、またその申し込み手続も案外煩雑でございます。申し込み手続の簡素化と今後の全県下での事業展開について、健康福祉部長にお伺いいたします。 また、子育てと仕事の両立について、特に子育て真っ最中の若いお母さん方の雇用につきまして、企業にも一定の理解を得るよう行政としても行うべきであろうと思いますが、商工労働部長の御所見をお伺いいたします。 それから、今延長保育の充実が叫ばれております。働く両親にとって本当に必要な制度ですので、私自身これからも拡充を望んでいる一人でございますが、例えば五時半に迎えに来られるのに来ない、六時半まであるいは七時まで見てくれるのだからと安易に利用するケースが本当にないのか。これは親のモラルの問題かもしれませんが、子供の気持ちはどうでしょうか。他の園児は次々に帰っていき残される気分、泣いてもまだ迎えに来てくれない。保母もこれが一番つらいことだと言っております。保育所に多様なサービスの提供を求めるのは時代の流れからいっても当然のことかもしれませんが、まずもう一度原点に立ち返り、子供自身はこの制度によりどうなるのかといった、子供の視線で見る必要があるのではないかと思うわけでございます。 私はやはり、親に対しましての教育も必要であろうと思います。寝る前の十分間本を読んであげる。これは大変大切なことだと講演会で聞きました。また、ジュースの飲み過ぎが子供の体にどういう悪い影響があるのかも聞きました。こういうことは昔はおばあちゃんから聞かされていたことですが、近年の核家族化の進行によりそれも失われつつあります。こういった子育てに基本的なことを教えていく必要性をますます感じてまいります。 行政としても、こういうことは一つの子育て文化の伝承と思いますが、積極的に取り組んでいただきたいし、このことについて特に答弁を求めませんが、延長保育につきましては、今私が申し上げましたことも十分御理解の上、今後取り組んでいただきたいと思います。 そして次、お年寄りのボランティアを活用した子育て支援事業について提案させていただきます。これは、北九州市で実際行われている「遠くの祖母より近くのグランマ」--英語でグランドマザー、おばあちゃんという意味でございますが、体調が悪いのに子供から手が離せずに病院に行けない、保育所にいる子供が熱を出したが職場を抜けられない、講演を聞きに行きたいけれども子連れでは無理といったとき、一時的に預かってくれる、いわば行政サービスを埋める子育ての手助けを、自分の時間に余裕のできたお年寄りのボランティア組織に依頼する事業でございます。 今まで問題となっておりましたけがをさせた場合の補償問題につきましては、双方が傷害保険や賠償保険に加入することでネックを解消したそうでございます。そして、預かっている間にお手玉とか折り紙とか、先ほど申しました文化の継承も行われ、遊びの幅も広がり、また、預かるおばあちゃんたちも、子育ての経験を生かし子や孫にできなかったいろいろなことも余裕を持ってでき、生きがいを改めて認識されたようです。 本来ならば行政がある程度やらなければならないことかもしれませんが、すべてをまた行政に求めるわけにもまいりません。みんながみんなを助け合う、そういう社会実現のため、その組織づくりに行政としても支援はすべきと思います。ちょうど先日新聞報道で、NPO支援へ県が乗り出されたとございましたが、これにつきまして健康福祉部長の御所見をお伺いいたします。 次に、教育問題でございます。土佐の教育改革を受けて、各学校でも開かれた学校づくりを中心に教育の改革に向け一歩一歩歩み始めましたが、先日総務委員会の業務視察で、県下の県立高校を見てまいりました。私といたしましては、ある程度予測はしていたものの、その現状に愕然となり、今回、今後の教育問題につきまして以下質問させていただきます。 まず、高校入学時の学力レベルですが、平成十年度の学力検査の応答分析によれば、一次募集受験者六千四百三十三人中、一科目でも零点の者が二十七名、過去三年間では百三十五名に上ります。また、五科目の合計二百五十点満点で平均点は百十八・七点でございます。百点満点に換算すると四十七・五点という低い点数となっており、全体の五四%の生徒が、いわゆる五十点がとれない、半分以下の点数しかとれていない実態がございます。さらに、三割以下の点数で見ますと、全体の一四・七%に当たる九百四十九人もおります。特に数学では、五十点満点で平均点が十八・二点という成績で、基礎学力の不足が著しいと思います。 各学校では、それぞれ学力向上対策が行われ、大部分の学校ではつなぎの教材を使用しているがなかなか成果があらわれず、現場の声を聞くと大変な苦労をされていることもよくわかりました。嶺北地方では、中学校と高等学校の連携がモデル地区として行われていて、教員相互の交流が積極的に行われておりますが、現状の数字から見れば、いまだ成果が数字としてあらわれてきておりません。もちろん、それほどすぐにあらわれるわけではないのでしょうが、今後の動向につきましては、我々といたしましても注意深く見守っていく必要があろうと思います。 私はこのような現状を見るとき、もはや中高連携では遅過ぎますので、二〇〇二年からの学校完全週五日制をにらみ、幼稚園、保育園・小学校・中学校・高等学校の一貫した教育の連携に真剣に取り組む時期に来ていると思います。折しも国でも公立中高の一貫教育の方針が示されましたが、本県での取り組みにつきまして、先ほど申しました学力向上対策を含めお伺いいたします。 次に、高校退学者、特に学業不振者対策についてお伺いいたします。私の調査の数字でございますが、調査二十五校中、平成九年度に六十八名もの生徒が学業不振者として中途退学を余儀なくされております。多い学校では、一年間に十名もの退学者が出ております。生徒たちは、入学時には高校の授業についていけると校長が判断し入学を許可した者であるにもかかわらず、学業不振で退学を余儀なくされるというのは何か釈然としないものを感じるのは私だけでしょうか。もう少し個々を大切にする取り組みができなかったのか、非常に残念に思います。 そこで、今後の学業不振者対策につきまして、教育長のお考えをお伺いしたいと思います。 また、先日の視察で幡多地区へ参りましたが、幡多管内小中学校の五四・二%がへき地にあり、しかも極小規模や変則複式などの問題を抱えております。へき地の学校は、地域には当然のことながら開かれた学校となっており、それなりのメリットはあるわけでございますが、競争相手不足や複式授業による学力低下が心配されております。 御承知のとおり、大規模校では科目により専科の先生がおりまして、個々の能力を伸ばすことに努力されております。また、興味のある生徒は、その道のいわばプロに習うことによりまして、ますますその能力を伸ばすことができるわけでございますが、そういう意味で不公平になっていないでしょうか。教育の機会均等は憲法のもとで保障された大切な権利であります。そういう観点からも、へき地教育につきまして今後の対応をお伺いいたします。 次に、教育事務所についてでございますが、県下の教育事務所を回らせていただきましたが、正直申しましていま一つその役割が私には理解できませんでした。各種研修や学校訪問や地教委への指導・助言はわかりますが、さてその役割はどういうことをやっているのかということが理解できなかったのです。私が思うのには、単に県教委から市町村教委への伝達機関と言えば言い過ぎになるかもしれませんが、そのような機関にすぎないのではないかとしか思えない部分が目につきました。学校訪問といいましても、何か形式的にすぎないし、義務教育に対する県のお目付役みたいな感触しか受けませんでした。 今、県は国に盛んに地方分権を訴えておりますが、県からの市町村への分権も必要なことであろうと思います。よく議論に上るのは、地方に任せてもできないのではないか、地方の役人にはそれほどの能力がないのではないかといった議論であります。そういう意味からも、県みずからが市町村に対して権限の一部を移譲してみてはどうでしょうか。研修一つとってみましても、今までの市町村の研修、教育事務所の研修、県教委の研修と、教職員には過重とも思える研修がほとんど義務的に行われているように見受けられますが、研修につきましてももっと義務的に行うものを少なくいたしまして、例えばコンピューター教育でありますとか、ニーズに合ったものにしていく必要があろうと思います。 今、土佐の教育改革を言うなれば、まず教育事務所業務について見直すべきところは見直し、また、現場に一番近いところにいるわけですから、現場の生の声をもとに教育行政への政策提言能力を高めるなど積極性をもっと発揮するべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、今回補正予算に計上されております心の教育推進費でございます。この事業は、いじめや不登校等の対策として、公立中学校に地域から募集した心の教室相談員を配置し、生徒の悩みの相談や家庭訪問を行うとされておりまして、県下六十二の中学校に配置する計画となっております。私は、現在保健室へ行っているような生徒が学校の先生に直接言えないことなどを人生の先輩たちに相談し、立ち直る手助けを行うことは大変重要なことであると思います。 相談員は地域の経験豊かな指導者とされておりますが、私は地域の若者でもいいと思います。年齢が近い方が話しやすいケースもあるからです。今回は国の全額負担により行われる予定ですが、今後先行して県単独でも行われてもよい事業であると私は思います。今後の取り組みにつきましてお伺いいたします。 最後に、選挙管理委員長にお尋ねいたします。今回の参議院選挙におきましては、県内の投票率は五〇・六四%から五六・二一%と五・五七ポイントアップいたしました。これは自民党に対する怒りはもちろんでございますが、公職選挙法の改正によりまして投票時間が延長されたことや、不在者投票の要件が緩和されたことによるものが大きいところだと思います。職員の皆様方には本当に夜遅くまで御苦労をおかけいたしましたが、民主主義の最大の民意の反映である選挙に多くの方々に参加していただくということはうれしい限りでございます。 今後も投票率アップのため、政治家自身も研さんに努めていくことはもちろんでございますが、投票所によっては、車が一台も置けないところや数台駐車できても進入路が狭いところ、あるいはお年寄りが歩いていくには遠過ぎるところ等、まだまだハード面での問題もたくさん残っております。私は、県の選管から各市町村の選管にお願いいたしまして、各投票所にそういった問題点はないのか調査し、不備な点は改善する必要があろうと思います。 一つの例を出しますが、これも地元のことで申しわけございませんが、朝倉に中央保育園という投票所がございます。有権者数五千七百四十八人で、今回の投票率は四四・六二%でした。全体の投票率からいえば約一二ポイント少ない数字です。ここは、道路の反対側に消防屯所があり、万一を考えた場合駐車はしてはなりませんし、また幅四メーターもない道路ですので少しの間も置けません。遠い所は朝倉の咥内地区から来なければなりません。こういう投票所も現にございます。 今、県民の皆様の目がせっかく政治に向きかけているところでございますので、総合的に見直しを行い、例えば場所を変更するとか投票所をもっと細かく分けるとかの対策を講じるべきだと思いますが、お考えをお聞かせください。 それからもう一点、これだけ情報化が進んでいる時代でございます。もう少し意識を転換して、大規模店舗の一部を借りてコンピューターの端末を置き、買い物ついでに投票できるとか、市内であればどこでもできるとか、投票をしようという人ができるよう、またできやすいように考えていくのが、私は選管の使命だと思います。県単独での取り組みは難しいことはわかりますが、研究は始めてもよいのではないでしょうか。お考えをお伺いいたしまして、第一問を終わります。 (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 伊野部議員の御質問にお答えをいたします。 まず、財政構造改革の推進期間の妥当性に関してお尋ねがございました。財政構造改革の推進は、来るべき二十一世紀に向けまして、県の財政の質的な転換と量的なスリム化を図ることが目的でございますので、ちょうど二十世紀と二十一世紀にまたがります平成十二年度を目標に三年間という期間を設定しております。ですから、知事の任期を考慮に入れて決めるといった性格のものではないと思います。また、このことは、県の総合計画を初め各種の県の計画に関しましても、すべて同様のことが言えるのではないかと思います。 次に、今回の補正予算はなぜ基金を取り崩してまで公共事業を主体に編成をしたのかとのお尋ねがございました。現在の不況は、過去の不況のように公共事業を多く出せば景気が回復するといった単純なものではないといった御指摘は、私もそのとおりだと思いますが、それは国というレベルでのマクロの経済対策により当てはまる御指摘であろうと思います。だからこそ、今回の政府の総合対策でも、社会資本の整備だけではなくて、減税や中小企業向けの金融対策、さらに民間活力を発揮させるための規制緩和や不良債権の処理の促進などがその内容になっております。 しかし、この中で地方公共団体が協力をできますものは、地方税の減税や公共事業、それに中小企業の金融対策などでございます。特に、公経済に依存する度合いの高い本県の経済にとりましては、公共事業がいわば景気のカンフル剤として一定の効果を持ちますことは間違いがございませんので、現在の厳しい経済状況にかんがみまして、緊急措置として追加を行うことにいたしました。 また、財政調整基金や施設等整備基金は、今回のような臨時の、また緊急の財政支出に備えて積み立てを行っているものでございますので、今回の取り崩しはその趣旨に沿った活用だと考えております。 続いて、用地買収費などの事業効果の実効性についてお尋ねがございました。公共事業を実施いたします際の用地買収や移転補償にも一定の波及効果は考えられますが、定量的な把握が困難でございますので、一般的にもその波及効果は算出をされておりません。また、今回の補正予算に計上いたしました公共事業は、これまでにも繰り返し申し上げておりますように、事業の優先度や事業の内容をこれまで以上に重視し、検討しました上で実施をすることにしておりますので、その際、用地買収費や移転補償費も当然の経費として計上をしております。つまり、用地買収の費用の比率といったことより以前に、事業の必要性また優先度そのものが大切なことではないかと思います。 続いて、公共事業の評価システムへの取り組みについてお尋ねがございました。限られた財源を有効に活用して効果的に公共事業を実施いたしますためには、事業を客観的に評価するシステムをつくる必要があると考えまして、ことし四月に行政システム改革室を設置いたしました。 事業評価のシステムは、事業の効果やコストを、指標を用いてできるだけ客観的に示しながら比較分析することによりまして、事業の優先順位の決定や選定を行う際の判断材料とするものでございます。現在、関連する文献の収集や有識者からの意見聴取、さらには先行して取り組んでおられます事例の調査など準備作業を進めている段階でございますが、お話のございました事後の評価や検証も評価システムの重要な要素でございますので、そうした仕組みも含めて検討をしてまいりたいと思います。 また、国では、事業が採択をされました後、一定の期間を経過しました公共事業を見直す取り組みを始めておりますので、本県でもこれに対応をいたしますため、現在関係の部局が連携をしまして、再評価システムの本年度からの導入に向けて準備を進めております。 次に、法人課税についてお尋ねがございました。法人課税につきましては、企業の活力の回復を図って国際競争力を強化するという目的から、実効税率を国際水準並みの四〇%程度に引き下げるとの方針が示されておりまして、これを受けまして法人事業税の税率の引き下げが検討をされております。この中で、御指摘の外形標準課税方式がクローズアップをされておりますが、この外形標準課税と申しますのは、現行の所得をベースとした課税から、法人の事業規模や活動量に着目をした課税方式に変えるものでございます。 これによりまして、地域でさまざまな公共的な便益を受けながら事業活動をされている事業所に対する、応分の負担をお願いするという意味での法人事業税の性格がより明確になりますし、都道府県の税収の安定化を図ることにもつながります。このように、この制度は地方の税財源の充実と安定化に寄与しますことから、全国知事会が長年要望をしてきた事柄でもございます。こうしたことを踏まえまして、私は、外形標準課税の導入は地方分権を推進しますためにも意義のあることだと考えております。 ただ、現在我が国の経済は、本県も含めまして非常に厳しい状況にございますので、もしこの制度を導入するということになりましたときにも、中小の法人に対する取り扱いや導入の時期などについては一定の配慮が必要ではないかと考えております。 また、外形標準課税を導入した場合の増収の見込み額について御質問がございましたが、政府の税制調査会の小委員会で検討が始まったばかりでございまして、税率も、また課税の基準そのものも決まってはおりませんので、税収の見込み額を現段階で推定をすることはできません。 続いて、県庁の移転問題に関してお尋ねがございました。御案内のとおり、この県庁舎は手狭でございますし、老朽化も進んでおりますので、県庁の移転はいずれは避けて通れない課題だと考えております。このため、平成五年度から六年度にかけまして内部で事務的に検討もいたしましたが、本県にはほかに優先すべき行政の課題が山積をしておりますし、現在の財政状況からいたしましても、多額の経費を要する県庁の移転は当面は無理だと考えております。また、昨年度取りまとめられました高知駅周辺の再開発の基本構想でも、県庁の移転は提案をされておりません。 続いて、少子化対策に関しまして、第三子以降の保育料を無料化すべきだとのお尋ねがございました。まず、御提案を実施しました場合、その費用が幾らぐらいになるかでございますが、中核市でございます高知市を除きますと、推計で県内の市町村合わせておよそ八億円となります。これは本県の今年度の特別保育対策費の二倍近い金額になりますので、事業の是非を考えるに当たりましては、かなりしっかりとした議論と検討が必要ではないかと思います。 例えば、香川県の例をお話になりましたが、特別保育の費用を県民一人当たりで比較いたしますと、香川県より本県の方が二倍余り多くなっておりますように、基礎的な条件や比較の仕方によっても評価は異なるのではないかと思います。ですから、どの県が何をしたといったことよりも、何のため、だれのために、どんな効果を目指してこの施策をとるのかということを考えることがまず大切ではないかと思います。 先ほど公共事業に対する事業評価のシステムづくりの重要性を指摘されましたが、ソフトの事業におきましても、同様に事業評価の基準が明確にされなければなりません。例えば、御提案の事業の目指すべき効果が子供の数をふやすこと、出生率を上げることにあるのであれば、平成三年度から第三子以降の保育料を無条件で無料化しております秋田県での制度導入以来の七年間の効果などを分析しなければいけません。また、御質問にありました次代を背負う人材を輩出するためという意味が、人材としての資質を高めるためという目的であるのであれば、八億円の予算の使い方は別にあるのではないかと私は思います。 こうしたことから、御質問の点に関しましては、だれのため、またどんな事業効果を目指すのかをもう少し詰めて議論することがまず先決ではないかと私は思います。 私からは、以上でございます。 (企画振興部長島田一夫君登壇) ◎企画振興部長(島田一夫君) 二点お尋ねをいただきました。 まず、第三セクターの見直しについてのお尋ねにお答えをいたします。産業集積が脆弱で公経済への依存度の高い本県におきましては、株式会社の形をとっております第三セクターは、地域の経済の活性化などのために一定の役割を果たしていると認識いたしております。これらの団体は営利法人でございまして、経営環境の変化には本来みずからの責任のもとで対応すべきでありますが、県も出資者といたしまして、官民の役割分担の明確化や経営の見直しなど必要な提案をしてまいりたいと考えております。 なお、県が四分の一以上出資している株式会社は、現在七社でございまして、その出資総額は十億七千百六十三万円でございます。 次に、中心部の土地について高知市と連絡協議会を設置し、その配置等について協議し合う場を設けるべきではないかとのお尋ねにお答えをいたします。高知市の都市機能の充実を図りますためには、県及び高知市が公共施設の整備等につきまして、相互に所有する土地の有効活用を図ることが重要と考えております。このため、県と高知市は、平成七年度に両者の計画部門と土地関連部門のメンバーで構成します土地有効活用検討会を設置しまして、百平米以上の将来の有効利用可能地などの基礎データを収集しますとともに、相互に情報交換ができるようデータの共有化を図ってまいりました。 また一方で、お話にございました病院統合など個別プロジェクトへの対応のためには、立地可能性を調査するための合同調査チームを設置するなど、両者の関連部門が十分に連携し調整を図ってまいりました。今後とも、県と高知市に共通する行政課題について、意見交換を行うために設けられております県・高知市幹部合同会議や、先ほど申し上げました土地有効活用検討会の場を活用するなど、高知市との綿密な連携及び調整を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 (土木部長井添健介君登壇) ◎土木部長(井添健介君) 伊野部議員の御質問にお答えをいたします。 まず、公共事業の取り組みに関する御質問のうち、地元に影響の大きく出る大規模な街路工事や河川改修の際に、計画段階から住民の代表が参加する仕組みづくりについてお尋ねがございました。今、国を挙げて公共事業のあり方についての議論がありますが、本県におきましても昨年度の県民世論調査の中で、公共事業にむだがあるという回答が三五・五%ありました。このことは、事業を実施する計画や企画の段階から情報を公開し、情報を県民と共有していく仕組みができていなかったことに大きな原因があるのではないかと反省いたしております。 事業の実施に当たりましては、その目的や必要性、いつまでにどのような効果を上げるかという整備目標を明らかにして、県民や地域住民の目標となるように、できるだけ身近に感じられるようなわかりやすい形で公表していくことが必要であります。また、計画策定段階から住民の参加を求め、行政と住民が共通の問題意識を持って地域づくりを考え、その中で社会資本をどのように整備していくべきかをともに考えることが重要であると考えております。 このため、すべての事業について一挙に取り組むことは困難でありますが、地域への影響度の大きいものや事業の性格に応じまして、最近各種事業で取り入れておりますワークショップやアンケート調査、フォーラム等さまざまな手法を導入するなど、情報の積極的な公開と県民の意見を広く聞く広聴機能の強化に努めまして、今後の施策に反映をさせてまいります。 なお、具体の事例としてお話のございました前田川につきましては、さきの三月議会で東川議員にお答えをいたしましたとおり、今後とも地元関係者の御意見もよくお聞きをする中で、河川整備に対する理解と協力を得てまいりたいと考えております。 次に、春野広域農道での事例を挙げられまして、現地と公図とが合わなくなり、後々の事業に影響が出ているような不適正な事例がある、用地取得の際には、時間がかかっても県民の財産であることから、すっきりした形で買収すべきと考えるがどうかとのお尋ねがございました。過去におきましては未登記のまま工事が行われたという事例もありましたが、現在ではその反省の上に立ちまして、平成元年の「公共用地取得事務の適正化について」の副知事通達に基づきまして、所有権移転登記未了のままでの用地買収は行わないこととしております。 地図混乱地域の用地買収に際しましては、時間と費用がかかりますが、まずエリアを定めて関係者に集まっていただき境界を確定し、現地の実地測量調査を行い、地図訂正を行った上で用地買収を行い所有権移転登記を実施しておりまして、御指摘のような事例の発生の防止に努めております。 次に、都市計画道路の見直しについてのお尋ねがございました。高知市の都市計画道路は、昭和四十四年の都市計画法の改正を受けまして、昭和四十六年十月に全面的な見直しを行いましたが、その後新規決定や計画の変更に伴い、現在七十一路線、百九十四キロメートルとなっておりまして、そのうち改良済みはおよそ五五%となっております。 現在未着手の路線の中には、交差点の隅切りや右折車線の設置等の変更の必要な箇所がございますが、この変更には実施設計並みの詳細な設計が必要となります。このことから、すべての路線について見直すのは多大の労力と費用が必要でございますし、また、その後においても事業着手までには長い年月も要することから、この間再度見直しが必要となる事例も生じてまいりますので、地権者に無用の混乱を招くことが懸念をされ、現時点における見直しは困難だと考えております。そのために、事業実施のめどが立った段階で、関係者の方々の御理解を得て、必要に応じて計画の見直しを行い事業実施を図ってまいりたいと考えております。 最後に、高知市中心部の再開発に関連をいたしまして、保留床の一部または全部を県や市で取得し、若者向けの安価な公営住宅を建設してはどうか、また、その際、住宅供給公社にその使命を与えてはどうかとのお尋ねにあわせてお答えをいたします。 まず、高知市中心部の再開発において公営住宅を活用してはどうかとの御質問についてでございますが、中心市街地における住宅の供給につきましては、利便性の面からは大変有利な状況でありますし、人口流失の傾向にある市街地におきましては、若者やファミリー世帯の居住による地域の活性化も期待できるものであります。反面、中心部であるがゆえに、住宅の分譲価格や賃貸住宅の家賃の高額化といった問題も考えられます。 一方、再開発や中心市街地の活性化の事業において、公営住宅を導入するかどうかにつきましては、市町村が中心となり、地域住民の意向を十分に考慮した上で決定されていくべきものであります。高知市におきましても、本年度より市の住宅政策のもととなります住宅マスタープランの策定に取り組む予定と聞いておりまして、今後の作業の中で中心市街地における公営住宅の供給につきましても検討されるものと存じます。県といたしましては、これらの策定が検討される中で、県の役割について高知市と積極的に協議してまいりたいと考えております。 次に、若者定住対策として住宅供給公社の活用をしてはどうかという御提案につきましては、本年三月、公社等外郭団体の改革において見直しが行われ、住宅供給公社は、今後は県及び市町村の施策と連携をした住宅対策へ転換することとなっております。したがいまして、公社は、県あるいは市の住宅施策に位置づけられた中心市街地再開発につきまして、事業の採算性も考慮をしながら積極的な取り組みをしていくものと認識をいたしております。県としましても、公社に対し、それらの取り組みが円滑に進むよう指導をいたしてまいります。 以上でございます。 (健康福祉部長山崎淳一君登壇) ◎健康福祉部長(山崎淳一君) 伊野部議員の、少子化対策についての御質問にお答えをいたします。 まず、乳幼児健康支援デイサービス事業について、手続の簡素化と全県下での事業展開についてのお尋ねでございます。乳幼児健康支援デイサービス事業につきましては、お話のように平成八年度から高知市で一カ所、国庫補助事業で実施をしておりますが、子育て中の方々から実施箇所をふやしてほしいとの要望も種々ございます。このため、今年度、国庫補助事業の施設基準などを緩和いたしました県単独の補助制度を新たに設けたところでございます。 この事業は、医療機関の協力が前提になるものでございますが、病気の回復期にある子供さんへのサービス分野は大切でございますので、今後とも制度の拡充に努めてまいりますとともに、申し込みの簡素化につきましては、当日の申し込みでもサービスが受けられるよう市町村などとともに検討をしてまいります。 次に、お年寄りのボランティアを活用した子育て支援についてのお尋ねでございます。お年寄りによります子育て支援につきましては、平成十年度から県単独の新規事業として、地域において高齢者が育児に関する援助活動を行うミニシルバー・ファミリーサポート事業を実施することとしておりますし、また、保育所におきまして、子供たちと高齢者の触れ合いや交流を進めるための保育所地域活動事業を実施しておるところでございます。 これからの地域社会では、元気な高齢者と子育てに手助けを求める若い世代がふえていく中で、高齢者の方々の豊富な知識や経験を子育て支援に生かせる施策が必要と考えております。また、このことが高齢者の社会参加や生きがいづくりにもつながるものでございます。このため、市町村や社会福祉協議会など関係機関と連携をしながら、お互いが支え合う地域社会づくりの核となるグループづくり、あるいはこのグループの活動と学校や保育所などとの橋渡しとなる仕組みづくりなどの条件づくりに取り組んでまいります。 以上でございます。 (商工労働部長川村龍象君登壇) ◎商工労働部長(川村龍象君) 少子化対策について、子育てと仕事の両立について企業の理解を得るための行政の取り組みについてお尋ねがございました。 県といたしましては、子育てと仕事の両立につきまして、働く女性のための情報誌の発行や各種セミナーの開催などによりまして、企業も含めました幅広い意識啓発を行いますとともに、公共職業安定所では求人を受け付ける場合、子供を持つ母親に対する不利益な取り扱いがないよう、企業に対して個別指導を行っておるところでございます。今後とも、企業の一層の理解と協力を得ることができますよう、機会をとらえて働きかけを行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 (教育長吉良正人君登壇) ◎教育長(吉良正人君) 教育問題につきましての一連の御質問にお答えを申し上げます。 まず、公立中高の一貫教育の本県での今後の取り組みと、また学力向上対策についてのお尋ねでございます。児童生徒の基礎学力の定着と学力の向上は、本県の教育の重要な課題でございまして、土佐の教育改革の重要な柱と位置づけをして取り組みを進めております。この一つの取り組みが、指導力の向上を図るための教員の研修の充実でございます。また、学習内容の習熟の程度を把握するための到達度把握事業、また子供の側から授業を評価する授業評価システムを実施いたしておりまして、わかりやすく楽しい授業づくりに向けた取り組みを推進しております。 さらに、本年度から、児童生徒の基礎学力の定着と学力の向上を図るためにはどのような方法をすればいいのかといったことなどにつきまして、高知工科大学と共同で研究を行っております。こうした取り組みに加えまして、系統的な学力向上を図るためには学校間の接続が大切であると思いまして、幼稚園、保育園と小学校、そして小学校・中学校、あるいは中学校・高等学校、こういった連携教育の実践研究も行っております。 特に、お話がございました中高一貫教育につきましては、本年度、文部省の中高一貫教育の推進にかかる実践研究事業の指定を受けまして、嶺北地域の三つの中学校と嶺北高校で、中高六年間を見通した特色ある教育課程や教科・科目、また部活動などの研究開発を行うこととしております。また、学識経験者、PTA関係者及び学校関係者などで構成をします中高一貫教育研究会議を設置しまして、本県における中高一貫教育のあり方について幅広く検討をしていくこととしております。 次に、高校の中途退学に関連をいたしまして、今後の学業不振者対策についてお答えをいたします。中途退学につきましてはさまざまな要因がございますが、その防止には、各学校段階で児童生徒が基礎学力を身につけることや目的意識を持つことなどが大切であると考えております。現在、高等学校では、極力就学の機会を与えようという方針で、できるだけ生徒を受け入れしておりまして、学力や生活実態の多様な生徒が入学をしております。そのために、生徒の実態に応じて多くの選択制を取り入れるなど、弾力的な教育課程の編成を行っております。 また、生徒の習熟の程度に沿った学習や実験・実習を重視した授業を行うなど、生徒に興味や関心を持たせる工夫も行っております。さらに、生徒のさまざまな悩みにこたえるために、教育相談体制を充実させまして、学校生活への適応を図るよう努力をしているところでございます。今後とも、こうした取り組みを進めるとともに、中学校と高等学校が連携をしながら学力向上と中途退学の防止に努めてまいりたいと考えております。 次に、へき地小規模校の教育についての御質問にお答えをいたします。地理的条件から本県では小規模校が多く、その振興は重要な教育課題でございます。小規模校は児童生徒の人数が少ないので、一人一人の学習状況を十分把握して、きめの細かい指導ができるといった小規模校ならではのよさがございます。一方、集団による学習や活動を行うことが困難であると、そういった面もございます。このため、近くの学校との合同授業、あるいは都市部の学校との交流学習などを行っております。 特に本県では、地理的条件や小規模校の置かれているハンディを克服するために、全国に先駆けましてインターネット環境や校内LANの整備をしております。こうしたことによりまして、インターネット上での交流や情報機器を活用した教科面での効果的な学習など、先進的な取り組みも始めているところでございます。また、県独自で複式学級の改善や指導方法などの実践研究も進めております。今後ともこうした取り組みによりまして、小規模校の教育の充実・振興に努めてまいりたいと考えております。 次に、教育事務所の見直しと現場職員の提言などについてのお尋ねにお答えをいたします。教育事務所のあり方につきましては、土佐の教育改革の論議や近年の交通・情報基盤の整備の進展などを踏まえまして、平成九年度から五つの事務所体制を現在三つの事務所体制に再編すると同時に、業務の見直しを行いました。 その一つは、これまで五つの教育事務所を中心に行われておりました教員の人事は、広域的な観点から交流人事をする必要があるということで教職員課に一元化をいたしまして、全県的に行うこととしております。管理主事は、ですから教育事務所には現在はいません。すべて本課でやっております。二つ目といたしまして、教員の指導力の向上を図りますために、各事務所に主要五教科の指導主事、あるいは情報担当の指導主事を配置するなど、学校現場や時代の要請にこたえる指導体制を整備しております。 この結果、特に各学校との連携を深めることが可能となりまして、これまで学校訪問というのは三年に一回程度しかできておりませんでしたが、平成九年度には全小中学校を平均二回の訪問指導することができるようになりました。こうした中で、授業改善などに向けた校内研修への支援、あるいは学校のニーズに応じた指導・助言などに力点を置きながら、授業評価システムの定着など教育改革の主要施策の推進に先頭に立って取り組んでおります。 お話もございましたように、地方分権の流れの中で、今後市町村の主体的な取り組みが求められておりますが、全県的な教育の向上を図っていくためには、教育事務所の果たすべき役割はまだまだ大きいものがあると考えております。 もう一点、お話がございました現場の提言につきましては、私も、第一線で市町村や学校現場とともに教育改革を推進しております事務所の指導主事との意見交換が大切だと考えまして、年度当初から三つの事務所の主事と直接意見交換を行っております。その際に、御指摘のございました教育行政への提言もしてほしいということでお話をしております。予算までにはそういった機会も設けていきたいと考えております。今後ともこうした取り組みを通じまして、県、市町村、学校現場が一体となった教育改革が推進できるように努めてまいりたいと考えております。 最後に、心の教室相談員に関するお尋ねにお答えをいたします。本県では、教育相談体制の充実を図りますために、これまで国のスクールカウンセラー事業、あるいは巡回教育相談事業に加えまして、県独自で電話相談事業や高等学校への心の教育アドバイザーの配置、あるいは教育センターにおきます教育相談事業などに取り組んでまいりました。このたび、国の事業を積極的に活用しまして、新たに子供たちの悩みや心配事を気軽に相談できる心の教室相談員を中学校に配置することといたしております。この相談員は、地域の経験豊かな方々などに幅広くお願いをしたいと考えておりまして、現在、市町村教育委員会と協議を進めているところでございます。 今後とも、こうした事業の推進とあわせまして、学校・家庭・地域社会が連携をして、子供たちが心のゆとりを持ち、健やかに成長していくことのできる環境づくりに努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 (選挙管理委員長中山晴雄君登壇) ◎選挙管理委員長(中山晴雄君) 伊野部議員さんの、投票率アップについて、最初に投票所に関するお尋ねでございます。 投票率は、候補者の主義主張や選挙の争点、有権者の政治的関心の度合いや天候などさまざまな要因に影響されるものであると思います。このたび公職選挙法が改正されまして、投票時間の延長や不在者投票事由の緩和などの有権者が投票しやすい環境づくりが行われておりまして、有権者の利便の向上、ライフスタイルの多様化などへの対応をすることにより、投票率の向上にも一定つながっているものと考えております。 投票所につきましては、有権者の便宜、投票の秘密の確保、選挙時に定期的に確保できる場所などの一定の条件に配慮しながら、市町村の選挙管理委員会が指定をしています。有権者の利便性を考慮しますとともに、投票所がたびたび変更になることもなく、有権者の混乱を招くことのない適切な施設の選定について、今後とも市町村選挙管理委員会を指導してまいります。 次に、大規模店舗等の一部を借りてコンピューターの端末を置き、買い物ついでに投票できるとかというお尋ねでございます。投票に関します手続は、公職選挙法で定めておりますが、御提案のございました投票システムは、現在の手続を大きく改正することが必要となります。しかしながら、公職選挙法が制定されてから半世紀近くが経過しておりまして、この間、情報化が一段と進展するなど社会情勢も大きく変化しておりますので、今後検討される課題ではないかと受けとめております。また、こういった方法につきましては有権者の関心も高まってくるものと思われますので、国の動向なども含め、勉強をしていきたいと考えております。 以上でございます。 (二十五番伊野部武男君登壇) ◆二十五番(伊野部武男君) それぞれ御答弁ありがとうございました。 第二問を行いますが、まず知事にお伺いしたいのですが、県債依存度の目標設定は、知事の任期にかかわらず二〇〇〇年という切りでやったということですが、今回補正で〇・九%上がります。最初から、〇・九%上がっても達成できるような計画だったのですか。計画を立てた段階から、それぐらい余裕のあった計画であったかどうか、お伺いいたします。 それから、橋本総理は財政改革か景気回復をとるかという選択から見れば、どっちかといえば財政改革、いわゆる行財政改革をとられたわけですが、とられてこういう結果になられています。橋本知事はどちらの方を優先するのか、これが県民の知りたいところだと思いますが、その辺についても明確な御答弁をいただきたいと思います。 それから、行政改革につきまして本気で取り組むのでありましたら、例えば、これも例を出して恐縮ですけれど、保育短大の保育園、残り少ない期間になっておりますが、園児が十八人で、兼職を除いて職員が十人いる。そのうち保母だけでも八人、こういう状況です。これは幾ら地元との約束、それからもうあとわずかで閉鎖されるという事情があっても、これに八千万も年間使っています。こういうのを見逃していていいのか。本気で取り組むのであれば、こういうのを一つ一つ見直してやっていく必要があると思いますが、これは特に答弁を求めませんが、こういう例があるということをよく頭に入れておいてください。 それから、子育て支援につきまして、保育単価の問題。知事から香川県の例で行くとということでありましたが、これは高知県は、特に高知市は保育天国と昔から言われていまして、公立の保育所が非常に充実されてきた。私も以前計算したことがあるのですけれど、高知市の市立と民間の場合とでは倍違うのです。公立の方が百二十万だったら民間の方が六十万で運営しているという、こういう状況もあるわけですから、よその県を出したのは私ですが、そういうことを頭に入れておいてください。 それと、先ほど言われましただれのための事業かということは、対象は若い、これから子供を産もうとする、また二番目、三番目を産みたい方でございます。どうしてかというと、高知県に明るい未来を築くためでございます。それで、目的、今さっきのどうしてということでありますけれど、人をふやすためであり、次代を担う人材を輩出するためでございます。そういうことを考えていただいて、この八億が高いものか--高いものかといいましょうか、県が負担してやるべきものでないのかということをもう一度お考えをお聞かせ願いたいと思います。 以上で、全質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 伊野部議員の再質問にお答えをいたします。 県債依存度の目標設定について、一二・〇から一二・九に上がったと、それくらいの余裕を見越しての計画であったのかという御質問でございます。私は、そのときそのときの財政政策というのは、その状況を考えながらやっていくべきものであって、絶えず固定した観念で取り組むべきものではないと思います。そのことからいえば、目標設定をしたときには三年間を通じての目標設定でございましたが、こうした景気の状況を考えて財政政策もしなければいけないという中で、今回の補正予算を計上し、また御提案をしているわけでございますから、そのことをお認めいただいたら、またそのことを前提に、この目標に向けて財政的な努力をしていく。そのことは、ただ単に財政支出を切り詰めるというだけではなくて、内部の行政システムの改革などによってむだを省くということも含めてでございますが、さらなる努力をしていくということでございます。 ですから、それぐらいの余裕のある計画だったかということについては、そうでは決してありません。このことを見越して余裕を持って立てた計画ではもちろんありませんという答えになります。 続いて、その景気対策と財政構造改革のどちらを優先するのかという御質問がございましたが、これも先ほど私が申し上げたとおりだろうと思います。景気対策だ、財政構造改革だといって二律背反--オール・オア・ナッシングで議論すべき問題ではないだろうと思います。 例えば、景気対策が大事だ、だから先ほどのお話にもありましたように財政構造改革を一たんやめよう、凍結をしようということになれば、この枠が外れてどんどん県債残高が膨らむということは目に見えています。そのとき、将来やはり高齢化、少子化ということに対して県単独でもさまざまな細かい事業をしなければいけないときに、歳出に占める公債費の比率がぐんと上がって財政が硬直化をし、そうした事業の足を引っ張るということも、これも目に見えているだろうと思います。やはりそのことを考えてあんばいをとっていくというのは、当然の仕事ではなかろうか。どちらかに決めて、それで県民が安心をされるという問題ではないだろうと私は思います。 続いて、子育ての問題につきまして、目標は明るい未来を築くためだということをおっしゃいました。明るい未来を築くというのは、政治的な標語としては私は結構だろうと思います。しかし、事業効果を考えるときの基準には、明るい未来を築くということは当たらないだろうと思います。つまり、明るい未来を築くというのは例えばどうやって数値化できるのか、どうやって基準化できるのか、公共事業の目標設定とそれは同じことであろうと思います。やはりもう少しきちんと事業評価が評価システムに乗っかるような目標を立てることが、これからの事業に必要なことではないか。 ということでいえば、先ほど子供をふやすということも一つの目標だとおっしゃいました。ですから、私は秋田県が平成三年度からなさっている、その効果も見なければいけないのではないかということを申し上げました。ざっとその数値を見ますと、合計特殊出生率は、平成三年度に秋田県が導入をされたときは秋田県で一・六一でございますが、七年度、八年度は一・五六、一・五二と落ちてきております。こういうものをどうやって評価するかということを考えていかなければなりません。 また、同じく医療費の無料化の問題にしても、三歳児以下無料化をしているところが決して子供の数がふえているわけでも、出生率がふえているわけでもございません。こういうことをどうやって評価していくかということを議論してから事業に取りかかるべきではないかということを申し上げているので、八億円が惜しいとか、その事業が全く無意味だということを申し上げているわけではありません。伊野部議員が繰り返しおっしゃいました公共事業などでのきちんとした目標設定、事業評価というものを、ソフトの事業でももっともっと考えていくべきではないかということを申し上げております。 私からは、以上でございます。 ○議長(土森正典君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明十八日から二十日までの三日間は休日でありますので、七月二十一日に会議を開くことといたします。 七月二十一日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前十時、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十分散会...