平成 7年 2月 定例会(第232回)平成七年三月七日(火曜日) 開議第五日
--------------------------------------- 出席議員 一番 植田壮一郎君 二番 岡崎俊一君 三番 門田盛一郎君 四番 武井啓平君 五番 中野善弘君 六番 藤戸 進君 七番 森 雅宣君 八番 長野泰啓君 九番 雨森広志君 一〇番 高村誠一君一一番 西尾一雄君 一二番 東川正弘君一三番 広田 勝君 一四番 溝渕健夫君一五番 元木益樹君 一六番 依光隆夫君一七番 梅原 一君 一八番 岡村聡次郎君一九番 土森正典君 二〇番 西森潮三君二一番 森下博之君 二二番 杉本菅夫君二三番 山本明司君 二四番 鈴木康夫君二五番 結城健輔君 二六番 中平和夫君二七番 西岡寅八郎君 二八番 小松 雅君三〇番 平山公敬君 三一番 熊井一夫君三二番 池脇純一君 三三番 猪野茂行君三四番 中沢潤二君 三五番 森田益子君三六番 市川精香君 三七番 川添義明君三八番 江渕征香君 三九番 塚地佐智君四〇番 梶原守光君 四一番 田頭文吾郎君四二番 萩野郷一君 欠席議員二九番 三石重行君
--------------------------------------- 説明のため出席した者 知事 橋本大二郎君 副知事 山本 卓君 出納長 岡林章夫君 理事 高橋敬雄君 理事 河野八朗君 総務部長 渡辺文雄君 企画部長 千頭信也君 福祉生活部長 川見義則君 保健環境部長 清田康之君 商工労働部長 安部 望君 農林水産部長 溝渕栄一郎君 土木部長 村岡憲司君 地域振興局長 鍋島孝雄君 林務局長 刈谷浩明君 水産局長 中西啓純君 港湾局長 笹嶋 博君 企業局長 佐竹紀夫君 病院局長 川村龍象君 教育委員長 寺尾好男君 教育長 山口勝己君 人事委員長 上谷定生君 公安委員長 濱田耕一君 警察本部長 末綱 隆君
--------------------------------------- 事務局職員出席者 事務局長 浅田昌男君 事務局次長 山崎聖彦君 兼調査課長 議事課長 林 宏興君 議事課長補佐 井上 健君 兼記録班長 調査課長補佐 岡林和由君 主監 岡林久美君 主幹 武市信彦君 主事 鍋嶋一志君
--------------------------------------- 議事日程(第5号) 平成7年3月7日午前10時開議第1 第1号 平成7年度高知県一般会計予算 第2号 平成7年度高知県
給与等集中管理特別会計予算 第3号 平成7年度高知県用品調達及び
自動車管理特別会計予算 第4号 平成7年度高知県
印刷事業特別会計予算 第5号 平成7年度高知県
土地取得事業特別会計予算 第6号 平成7年度高知県
災害救助基金特別会計予算 第7号 平成7年度高知県
母子寡婦福祉資金特別会計予算 第8号 平成7年度高知県
中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第9号 平成7年度高知県
流通団地造成事業特別会計予算 第10号 平成7年度高知県
農業改良資金助成事業特別会計予算 第11号 平成7年度高知県
県営林事業特別会計予算 第12号 平成7年度高知県林業改善資金及び
国産材産業振興資金助成事業特別会計予算 第13号 平成7年度高知県
沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第14号 平成7年度高知県
流域下水道事業特別会計予算 第15号 平成7年度高知県
港湾整備事業特別会計予算 第16号 平成7年度高知県
水産指導実習船特別会計予算 第17号 平成7年度高知県
電気事業会計予算 第18号 平成7年度高知県
工業用水道事業会計予算 第19号 平成7年度高知県
観光施設事業会計予算 第20号 平成7年度高知県
病院事業会計予算 第21号 平成6年度高知県
一般会計補正予算 第22号 平成6年度高知県
土地取得事業特別会計補正予算 第23号 平成6年度高知県
流通団地造成事業特別会計補正予算 第24号 平成6年度高知県
中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第25号 平成6年度高知県
県営林事業特別会計補正予算 第26号 平成6年度高知県
港湾整備事業特別会計補正予算 第27号 平成6年度高知県
流域下水道事業特別会計補正予算 第28号 平成6年度高知県
電気事業会計補正予算 第29号 平成6年度高知県
観光施設事業会計補正予算 第30号 平成6年度高知県
病院事業会計補正予算 第31号 行政改革を推進するための機構改革に伴う関係条例の整備に関する条例議案 第32号 高知県
国民体育大会施設整備基金条例議案 第33号 高知県立ふくし交流プラザの設置及び管理に関する条例議案 第34号 高知県動物の保護及び管理に関する条例議案 第35号
高知県立自然公園施設の設置及び管理に関する条例議案 第36号
高知県立紙産業技術センターの設置及び管理に関する条例議案 第37号
高知県立足摺海洋館ほか六施設における子供料金の無料化に伴う関係条例の整備に関する条例議案 第38号
高知県立学校授業料等徴収条例の一部を改正する条例議案 第39号 高知県職員定数条例の一部を改正する条例議案 第40号 地方自治法第二百三条に規定する者の報酬、期末手当、費用弁償等に関する条例及び職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第41号 職員の育児休業等に関する条例等の一部を改正する条例議案 第42号 職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案 第43号 職員の退職手当に関する条例及び企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例議案 第44号 職員の退隠料等に関する条例等の一部を改正する条例の一部を改正する条例議案 第45号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第46号 高知県議会の議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例及び選挙公報の発行に関する条例の一部を改正する条例議案 第47号
高知県立女性就業援助センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第48号
高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案 第49号 県営住宅の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第50号 高知県
港湾施設管理条例の一部を改正する条例議案 第51号 高知県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例議案 第52号 高知県
高等学校定時制課程及び
通信制課程修学奨励資金貸与条例の一部を改正する条例議案 第53号 公立学校職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県
地域改善対策奨学資金の貸与に関する条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県警察の設置及び定員に関する条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県警察の設置及び定員に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例議案 第57号 警察職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案 第58号 平成7年度当せん金付証票の発売総額に関する議案 第59号 県有財産(土地)の譲渡に関する議案 第60号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第61号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第62号 県が行う土木その他の建設事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第63号
広域基幹林道開設事業日見須大成川線(日見須隧道)工事請負契約の締結に関する議案 第64号
宿毛工業高校屋体改築主体工事請負契約の締結に関する議案 第65号 国道439号道路改良(古味口トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第66号
県道高知南環状線住宅宅地関連公共施設整備促進事業に関する委託契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第67号
鎌井谷ダム建設工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第68号 有料道路「高知桂浜道路」の事業の一部変更に関する議案 第69号 高知県収用委員会の予備委員の任命についての同意議案 第70号 高知県収用委員会の委員の任命についての同意議案第2 一般質問 (3人)
--------------------------------------- 午前十時三分 開議
○議長(岡村聡次郎君) これより本日の会議を開きます。---------------------------------------
△質疑並びに一般質問
○議長(岡村聡次郎君) 直ちに日程に入ります。 日程第一、第一号から第七十号まで、以上七十件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第二、一般質問をあわせて行います。 二十三番山本明司君。 (二十三番山本明司君登壇)
◆二十三番(山本明司君) 私は、過去四期十六年間、この県政の場において先輩同志諸氏よりいろいろと御指導を賜り、私なりにより理想で健全な県政を目指して努力いたしてまいりました。 私は、最も人生にとって基礎づくりの二十歳までは、これまた人類の不幸というか、避けて通れぬ繰り返す戦いの中に育ってまいりました。人だれしも争いを好むものはないはずですが、民族が子孫が生きてゆくためのあがきであり、情報の少ないゆえに理解と協調の場がなく、蛮力すなわち戦いによりみずからを守るという、今私たちに言わせますと大変恥ずかしい戦争の繰り返しでございました。 よく歴史に見てみると簡単に戦争とか侵略とかに片づけるような歴史ではありませんが、地球上に人類が生まれ、文化をはぐくみ、地域社会をつくり、また、未知の世界を探検し、みずからの旗を立て領有を宣言し、今をさかのぼることわずか五百年前、
欧州人コロンブスが
マルコポーロたちの「アジアの東に黄金文化の栄えているユートピア郷あり」と聞き--これは日本を指してでありますが、そのときコロンブスは、「地球は丸い。逆に西から行って先に黄金の国に旗を立てよう」と航海し、着いた所がアメリカ大陸。欧州人の世界制覇とも言える侵攻により、我々と同一民族と言われるインディアンが狩猟民族としてベーリング海峡を渡り、アメリカ大陸を南下し、先住民としてインカ帝国に見られるような一大文化を築いてきておりますのに、徳川三百年の
近視眼的鎖国政策のため、間宮林蔵や山田長政らの努力も日の目を見ず、ハワイやオーストラリアにも旗を立てられ、日本は細々と北海道のみをいただいて、限られた四島に人口はふえる。いよいよ徳川鎖国のツケが回され、今日のような世界流通経済に到達しておらず、日本民族が生きるためにやむにやまれず、背に腹はかえられぬと立ち上がったのは第二次大戦であります。いろいろ複雑な経過、見方はありますが、申し上げる時間がございませんが。 不幸にして、そんな我が国を取り巻く環境の中に私は育ってまいりました。そんな悪運の出会いの戦争も原子力爆弾の脅威・威力により物の見事に敗戦を迎え、原爆に対し論じられておりますが、亡くなった方、被爆者の方には人類の仕打ちとしてまことに遺憾に残念に思いますが、戦争がエスカレートして思い上がり行き詰まった日本にとっては不幸を転じて幸いとなるきっかけとはなりましたが、あの人類最悪の惨事を招いた我々日本人は未来永劫平和に徹すべきであります。 そんな中、私はあくまでも運が悪く、日ソ不可侵条約の中、関東軍は戦う意志もなければ兵器もない中、その不可侵条約を一方的に踏みにじり、昭和二十年八月八日、全満州にソ連軍の怒濤の進撃を受け、わずか一週間の一方的爆撃、戦車により全満州はめちゃくちゃとなり、無抵抗の日本将兵を全満州の物資略奪の使役として酷使し、あげくの果ては、「いよいよ帰る--ダモイ」と言って厳寒のシベリアに強制連行したのでございます。 国際法上、人道上、敗戦国の将兵は一日も早く祖国家庭に復帰させ平和な生活に返さねばならぬのを、無謀なる共産主義のソ連は、ポツダムにおいて日本の降伏の話し合いに--後から加わったのでございます、加わり、北海道をどうしてもとると、欲しいということで、それをですね、アメリカはどうしても渡さないと反対したものですから、それに腹を立てたスターリンは、長く続いた戦いに疲弊こんぱいの極に達しており、食うに食糧なく、住むにろくな家もないそのソ連の戦後復興に日本将兵を苦役として連れて行き、六十万中八万とも十万とも言われる我ら戦友が見るも無残、語るもむごくて言葉も出ない中に死んでいったのであります。あのソ連の非道きわまりなき仕打ちがなければ、あのむごたらしい中国の残留孤児の問題もなかったと思います。仮に、アメリカならば秩序正しく日本に引き揚げたと思います。そんな約一年半ぐらいの最もひどいこの世の地獄の中、ソ連に行ってから、田舎者である私は、貧乏したゆえか案外粘り強く九死に一生を得て生き延びました。 次は、折からのイデオロギーの闘い、これまた人類に最大の不幸をもたらした。ドイツ人のマルクスが商売に損をした怨恨により生まれた思想にエンゲルスが理論化し、折からツァー帝政の最悪環境に苦しんだロシアがその共産主義の実験地としての貧乏くじを引き、レーニンのこじつけ、スターリンの野蛮軍事力による血の粛清、弾圧の中、加えてソ連は気違いヒトラーとの闘いに勝ち誇り、いよいよ共産主義の亡者となり、我々捕虜にも「働かざるものは食うべからず」とバム鉄道工事に、伐採に、炭鉱に、死に放題酷使し、その上まことに情けない、みずからをインテリと自負する日本人が--日本人ですよ、積極的にソ連の思想教育、洗脳にみずからが飛び込み、ソ連のお先棒を担ぎ、戦友日本人の多くを反動だと決めつけ強制重労働に追い込み、そんなとき私もこの思想には興味を持ち理論と実際で勉強もしておりましたので、私がそのアクティブの連中に「ソ連の共産革命は、マルクス・エンゲルスの唯物弁証論によるものではなく、非民主的搾取の極に達したロシアによる民族を悪用・利用したに過ぎぬ」と言うものですから、その方々が「高知県の山本は大反動分子」と、つるし上げられまして壁新聞にたたかれ、ついに強制労働隊に出されることとなり、私はそのとき日本人の病院の責任者で、私がいないと病院の政ができないものですから、アカデミーの資料あるいは病床日誌、スチーナカジェタ、そういうものも私が全部原稿を書きました。ロシア語で私が書いております。そんなとき、病院側の政治部員にアブラーモクという非常に仲よしの政治部員がおりましたが、「山本をとられては困る、山本は強制労働隊に行くと死んでしまうかもしれん」と心配してくれ、私に「猫をかぶって共産主義者になれ」と、「ぜひ教育を受けて次の弁論大会に出て一席やってくれ」と頼まれ、一時期方向を変えボリシェヴィキの
歴史--教科書ですが、本も丸暗記するほど読んで生き延びてまいりました。 申し上げましたように、ソ連では、ゆえなき強制抑留され酷使され死んでいく日本人を同胞日本人みずからが侵略者・反動と決めつけ、死に追い打ちをかけたのでございます。それがいまだに尾を引き、帰国後の団体も真っ二つに分かれております。 片やソ連派は、「偉大なる
同志スターリン万歳。祖国ソ連のために働こう」と叫び続けてまいりました。 あるとき、たしかナホトカであったと思いますが、昔アクティブであった宇都宮さんに帰るときぽっかり会ったわけであります。その方は、
ハルピン工業大学の冶金部を出られておりましたが、私に「シベリアではすみませんでした。私は、その後の勉強で、理論によって共産革命が起きたのではないとよくわかりました」ということを言われたことをいまだに忘れておりません。 いよいよ日本に帰ってみて驚いたことは、当時のマスコミの中にも、学生、文化人を自称なされる方々にソ連の思想がそっくりと日本に上陸しざわめいており、これはどうしたことか。特に、本県高知県は左が強く、私は、帰国してすぐ農協の組合長、村会議員、村長として--村長のときは全国過疎対策の委員の任命を受けまして欧州へも四十日ほど行きましたが、県政の一部としても相当報告もいたしましたが、そのときに知事の取り組む空港、高知新港、高知駅高架・駅前再開発、原子力発電所、宿毛湾CTS・石油備蓄、教育問題、庁舎のOA化などなど、「革新」と唱える方々が戦争につながると一つ覚えでことごとく反対し、革新どころか、最もおくれた保守一徹の方々が多く、この本県で当時革新と思い込んでいた方々には大変な時代錯誤があり、坂本龍馬を中心とする明治維新と連動していたように思いますが、明治維新の背景は徳川三百年の封建制度、それに立ち上がった土佐維新の烈士であり、そんな気取りであったようでございます。反対にこの敗戦後手にした我々民主主義の中で、戦争は放棄し、いよいよ民主主義、平和、産業振興、福祉社会の建設へ急ピッチで進まねばならぬのをことごとく反対し、遅々として県政は進まず、常識ある多くの県民があれよあれよと嘆くうち、私はこれではいかぬと意を決して県議会に出てまいりました。 出てよりこの場で、空港の必要性、原子力の平和利用・発電所、石油のない我が国への備蓄の必要性、教育問題に私なりに勉強して取り組んでまいりました。私はその間あちこちに行きましたが特に感銘を受けたのは、二度行った愛媛県の菊間町で見学しました素掘りの岩盤地下に巨大な空洞をつくり石油備蓄をしているのに、本県では、宿毛の港に、地上に堅牢な備蓄基地も戦争につながると許されず、ついに中内知事は原子力発電所もCTSも腰を引きました。 随分長い道草を食い、税金のむだ遣いをしてしまいました。おくれおくれして、空港の一次と高知新港は着手できました。 私は、県議会に出て二期目に、あることから知事と職員組合の間に人事に関する協定書があることを突きとめ、大統領制の中の知事のだれにも侵されてはならない人事権を踏みにじられているのを聞き、同志議員と取り組みましたが、組合がえらく、知事がへっぴり腰で正常化できず、議員の一人としてふんまんやるかたなきとき、天も高知県を見捨てずか橋本知事の出現となり、知事は、何が正常か、何が県民の多数のためか冷静に判断し、決断し、二十余年にわたる県民不在と言われる不都合な行政について終止符を打ったのであります。 これが本県の行政、経済、教育すべてのおくれの原因だと多くの県民が悩んでおりましたが、その悪の根源が断ち切られ、私は、今までもどうも本県がひん曲がっているのは自民党先輩議員のお人よしの責任だと言ってまいりましたが、私もついにその中に入り、県会議員の一人としてすっきりしたことができずもどかしい毎日でしたが、いよいよ知事が断ち切ってくれたので、私の役割は終わったと思ってこれ限り県議には出ません。思いおくことはさらにないわけでございます。 いま一つ、世界で不安定な国と人民を恨み合わせ、戦い合わせてきた共産主義も七十三年の蛮力の試験の結果崩れ去り、知事は本県の天運を開いてくれた出会いのよい男と言えます。 ここで、知事の第一期の最後年度を本年に迎えるに当たり、予算についてみますと、あれほど職員の嫌がる情報化の取り組みに対して、二月二十一日の高新にも惜しげない賛辞を送っておりましたが、私も知事の説明中十一ぺージを開いて、実は驚くと同時によくこれまで取り組んだものだと感謝いたしておりますが、本年は中四国で初めて
ニューメディア祭を開催し、国際的に広く利用されておるインターネットに
県工業技術センター、教育センターを接続する。教育にミックスドメディアなどを取り入れるとすばらしい速さで人間能力の開発が促進されると言われております。 また、大変厳しい中山間農業に悲観的になると明るいものは何もないと言えるものを、絶えず住民に希望を持たせ、創意工夫を呼びかけ、やる気の地域、住民には土地問題、施設など、中でも小規模な土地改良など大変に喜んでおります。 橋本知事は、よそより高所から鳥瞰的、マクロ的に土佐を見て、工科系大学を初めやらねばならぬ思い切った政策を心に描き、公約し、着実に具現さすべく努力いたしております。 その政策の中、よく言葉に出る「文化」、このたびの政策説明の中にも最も重要なキーワードの一つは「文化」だと言われております。ここで、土佐文化の夜明けと言われております津野山郷について、これは若干手前みそにはなりますが全段御紹介して、中
山間地津野山郷の歴史、文化、観光、農業への関連について質問をいたします。 土佐の歴史について勉強してみますと、まず紹介されるのが「土佐日記」の紀貫之であります。その貫之より三十五年早く、中央の政変により今の津野山に家来や文化を連れて安住の地として落ち延び、隠れ住みついたのが藤原経高、そのとき改めて津野経高であります。大和、京、難波に栄えた文化が瀬戸内海を南下し、政変により、現在のように社会保障はなく、急遽隠れ住んだのが土佐の山奥であったと思われます。 土佐は、表は波高き太平洋で、難波よりの船の行き来は困難で、東部は剣山、中央は石鎚山と男性的な峻険な山に人を容易に寄せつけず、西は天狗高原、四国カルストは女性的高原と言われ、二億五千万年前は海で次第に隆起し、ドリーネやウバーレの侵食により準平原としてカルスト台地では世界一高く長いと言われておりますが、非常に美しい人の往来が容易な山となり、時の藤原家もこの地に落ちつき津野と改め、しばしの間政治的根拠地として四国を約半分ほど平定したのであります。 その津野家は、何と二十一代も続いたのでありますが、五百年ほどして入国してきた長宗我部元親に滅ぼされます。その津野家が入ってきて約三百年した正中二年--一三二五年に東津野村船戸に生まれた
義堂--管領足利基氏の政治顧問をされ、後足利義満を教えた名僧義堂周信と、同じく東津野村船戸に生まれ三十三才で中国に渡り文学と仏教を修めて帰国し将軍足利義満の政治顧問をした絶海中津。この二僧は、後人より室町文化の中心五山文化の双璧として伝えられ、日本文化史に大きな足跡を残しております。なお、この二人は夢窓国師と深い関係があり、津野山地方には国師の行動が随所に残っております。なお、京都南禅寺に義堂周信、天竜寺に絶海中津の等身大の木像が祭られております。 事ほどさように津野家の持ち込んだ文化の足跡は多く、津野山神楽に代表されるごとく、南方より漂着した民族と朝鮮半島を経路とした大陸関係の先住民がいずれも先陣争いをし、「我こそが」と語部に語り伝えてきた神話が神楽となり、まさに日本歴史に出る神話がそっくり描かれております。 それが雑文化の頻繁に通過する宮崎高千穂や島根出雲地方ではやつされ変形してきておりますが、草深い津野山には他の文化があまり通らない秘境なゆえに本物が生き残り、他に念仏堂の口明け、蒙古の来襲の伊勢踊り、花取り、庭払いなど、あまたの民俗芸能が残っており、神社、寺院、民家も木造として古い歴史を持つ長州大工が入り、その大きな家がいまだに残っており、重要有形文化財の回り舞台、それにまつわる江戸時代の歌舞伎や能の原型の姿、衣装装束なども残っており、今をときめく四万十川の源流地として四国山脈・山麓の特色ある民俗村として、あるいは歴史村として、大きな家は民宿に利用さすなど、知事は津野山地区を--別々にやらすとええかげんなことしますから、知事に指導してもろうて、関連ある開発をお願いするものでございます。 また、近ごろは、津野山へ奇人変人というか芸大、音楽大を出たやせた口ひげぼうぼうの若者が津野山に住みつき、あんまや、版画彫り、あるいは庭つきなど、あるいは祈祷、古い空き家、寺などに住みついておりますが、「あれば食う、なければ我慢」という「武士は食わねど高楊枝」の言葉を地でいく同類であります。 私の部落の旧寺地に間伐小径木を集めて六角の庵を建てており、中はギターの盛り場のようです。やはりこれも津野山の歴史に生きる人柄の里の魅力ではないか、土佐の維新の志士もあの包容力のある太っ腹の津野山人が道を開いて通してやったのであります。 当時、土佐四天王の一人、吉村虎太郎--この吉村虎太郎は私の村に生まれ、まさに維新の先導者、脱藩の道を開いた男ですが、早く行き過ぎて天誅組で討ち死にをするが、松山深蔵、上岡胆治、宮地宜蔵、いくらでも津野山には維新志士が多く出るものですから、土佐の文豪大町桂月氏が布施ヶ坂に上ってこんな詩を残しております。「羊腸の路は入る鳥声の間。訪わんと欲する勤皇豪傑の跡。車上身は閑なれど心閑ならず」--非常に羊腸の路を人力車で上がってきた、身は狭いけれども心は広々という維新の、この多く出ておる烈士のルートに驚嘆した歌でございます。 橋本知事の文化行政の生き手本として、津野山地域を、近代ハウス農業もある中に、日本山岳民俗の生きた化石というか、標本としての観光農業を指導・育成してもらいたい。また、知事ならできると思いますのでやってみてもらいたいと思います。県議会を去るに当たり、強くお願いをしておきます。なお、御見解を承りとうございます。 ちょっとつけ加えますが、民俗芸能の生き継ぐ観光山村として、まさに実りの秋、神楽殿に集まり独特なはやしの中、声を出してはしゃぎ熱気の中に芸は盛り上がり、さながらフランスのムーランルージュかリオのサンバのような雰囲気に包まれます。違うのは金がいらぬわけです。これは全部地元が持ち寄ってやるわけですので、知事も一度ぜひ来てもらいたいと思っております。 次に、四万十川、四国カルストを含む一帯の国定公園昇格について、これも工科大に取り組む勢いで知事がやる気を出せばたやすくできると思いますが。 その昔、私たち東津野村村政に取り組んでいたとき、天狗高原--今の四国カルストのあの美しい山を県立自然公園にと運動を起こしまして、当時愛媛大学にケイビングクラブといって龍ヶ洞を発見した山内先生を中心とするクラブがありましたが、その方を先生に迎えまして大変指導を受けて、できれば愛媛両県またがってと思いましたが、当時愛媛県に峯雲という大変難しい自然保護者がおられましたし、結果的に愛媛県とは同調できず、ついに梼原の一部をお願いして溝淵知事のとき、高知県立自然公園天狗高原と指定を賜り、そのとき、大変お世話になった先生方に、今の地質学者のやめられておりました高知大学の甲藤次郎先生、牧野植物園をやられておりました山脇哲臣先生など大変お世話になりました。そのほかに大勢の方を思い出しておりますけれども、--もう他界されておりますが。 その後ほどなく愛媛県と梼原が立ち上がり、「西の大野ヶ原、その北の大川嶺までを「愛媛県立自然公園四国カルスト」と名づけたい」と、梼原を通じて、「県溝淵知事に申し上げるよう協力してくれ」という申し込みがありました。私は溝淵知事に話しましたが、知事は大変嫌がって、そのときは何年か前ですから、「二、三年前には乗ってこずに、久松知事が、今ごろ立ち上がり名前まで変えさすとは虫がよすぎる」となかなか話がつかず、私の案として「四国カルスト天狗高原」と残すことで両県を納得させたのでありますが、そのとき私たちの条件として、「両県がやれば次は国定公園に」と下話はできておりましたが、石灰石採掘鉱区の設定で愛媛県が腰を引き、当時大野ヶ原に三井が大々的な石灰石の採掘を計画しておりました。私は、この山は高知県がリードをとるべきで、というのは、国定公園に取り組むにもこの四国カルストは、静岡から見た富士のように、やっぱり高知県から見た四国カルストはきれいで美しいわけでございます。ということで、愛媛県が力は入れんということで申し上げましたけれど、ついに力及ばずしてやめております。 愛媛県はやっぱり人気が高知県にとられると思った。それと同時に、申し上げますが、「国定公園足摺に宇和海をつけて国立公園」と猛運動をやったわけでございますが、それから早くも公園になりまして十数年経過いたしました。 その間、だれも予期していない四万十川が最後の清流として異常なほどにテレビ・マスコミが力を入れまして、カナダやスイスに行っても日本の四万十川は有名になりました。今度は、愛媛にあまり無理を頼まずに四万十川源流域・四国カルストを含め国定公園に昇格できると思いますので、ぜひ取り組んでもらいとうございます。 四万十川よりカルストを縦走する大規模林道も完全二車線で七年度--ことし中に東津野城川線も天狗までは完成いたします。えらいもんで知事が初めて天狗に来られて、ツルの一声、見にくい電線も埋め県道の部分も拡幅してもらい、この大規模林道には私も、歌舞伎の寿司屋じゃございませんが--若干いがみのごん太も思い出はございますが、大変よくできましたことを関係者に心から感謝申しております。ここだけが国道百九十七号線からの登山口となっております。 あのカルスト台地の東の方に大引割、小引割、ドリーネ群、ウバーレ洞窟すべてがありますので、県の学術文化財の指定も呼びかけておりましたが、これもやまっております。 なお、西の景観のよい大野ヶ原は、梼原町と愛媛県のたびたびの境界争いがあり、今は愛媛県が勝っております。ここで橋本知事にぜひよろしくお願いして、本県でのみ国定公園にしていただきとうございますので、お願いをして御見解を承っておきたいと思います。 次に、沿道修景美化について質問いたします。私は、昭和四十七年、村長のとき全国過疎の対策委員として選ばれ、欧州八カ国を四十数日調査して勉強してまいりましたが、そのときスイスや西ドイツのバイエルン州の道路を見て、その美しさに圧倒されました。山どめの石垣にはその水はけの穴を大きくとり、それにことごとく花を添え、民家の窓、ベランダ、手すりにもそれぞれ美しい花が彩られ、さながら国土全体が公園・ロードパークとの感を強く受け、深く印象に残っております。 私は、県議会に出て何回か、沿道を美しく景を修復し、あるいは景を添えて、全国に先駆けて全県土が公園化するよう呼びかけてまいりましたが、その後県の道路行政も思い切った取り組みをして、近ごろは、道路によっては花木を植え、地域の方々も競い合って四季の花を鉢等で飾り、美しい道となり、すがすがしい心でドライブができます。 ただただ不愉快な思いをさすのが、空き缶の投げ捨て、タバコの吸い殻の投げ捨て、廃車の道端放置の問題であります。私は、全国都道府県議長会の特に老人福祉関係の調査団として一昨年アメリカに十五日ほど、主として行政関係を調査しましたが、日本のような飲料水などの自動販売機は一台もなく、スーパーの中あるいは会社の中にぽつぽつありましたが、事務所に行ってもどんな県庁へ行っても茶酌みはおらず、飲みたければみずからが廊下に出てコックを押して飲んでくる仕組みになっております。私がアメリカでお土産にもらった物は、ほとんどが小さい缶に水を持っていて管を押し込んで飲むという容器--小さいストローのついた水入れで、飲みたい茶水は持っていけというわけです。だから、道端に空き缶が投げ出されておらずに、健康上も、缶の中には防腐剤が入っておりますから蓄積すると身体をむしばみ、健康には必ずよくありません。 本県もできれば自動販売機の禁止はできないものか--これは難しいでしょうが、車からポイした人を見たら各運転手にメモカードを送り、ナンバーを書いて回収し、たび重なる人には注意するとか、いろいろあると思いますが、県で取り締まりの姿勢を宣言するだけでも相当な効果はあると思います。 次に、一番大事なことは廃車の問題です。これは初めより有料なりそのほか何かあると思いますが、メーカーに引き取らすような取り組みをすべきと思いますが、農機具も廃船も同じように取り組むべきであると思いますが、美しい県土を守ってもらいたいがゆえに、部長の積極的な取り組み、答弁をお願いしておきます。 次に、シベリア抑留者に応分の事務費を、県費助成をもらいたくお願いの質問をいたします。第二次大戦終戦後、海外に出兵していた日本将兵は、敗戦戦場より帰国の途につき船に乗るまでの間、アメリカ、イギリス、中国等においてその滞在の証明書をもらえば日本政府は金を出しております。 我々ソ連関係者は、日本に返すどころか、先般申し上げたように、無謀にも厳寒のシベリアに強制連行し、衣食住最悪の条件下、しかも降伏した将兵、丸腰の関東軍は戦う意志も条件もなくただただ家に帰れると信じきっておるものを、こんなむごたらしい仕打ちは歴史上ありませんし、またあってはなりません。その我々抑留者は、三年、五年と労働酷使されて八万とも十万とも言われる死者を出し、残りの者が二十三年、四年と帰国いたしましたが、政府は見舞い金もくれず。私たちは、一人五千円ずつの会費を出して政府に補償要求を二十年間余り運動してまいりましたが、世論も政府もこのシベリア関係者には不思議に冷たく、先般申し上げましたように、特にマスコミの中には日本侵略の結果だと早合点した者、片や、「おまえたちは、ソ連のために働いたのだからソ連に請求をせよ」など、私たち情けなく、開いた口がふさがらぬとはこのことでございますが、中には心ある先生方もおられます。名前は申しませんが、ある有名な大学の教授は、「原子爆弾であれほどマスコミは騒ぎ、国を挙げて補償し取り組んでいるのに、これはいずれも戦時中の日本人だれしも何かの犠牲を受けているのに、ただただシベリアの関係者は戦わず、しかも終戦後にあの仕打ちで、何とか政府も補償すべき」と言われております。 私なりに考えてみますと、六十万、余りにも数が多すぎる。政府も金の量を考えて何だと思いますが、マスコミもソ連の態度にはほおかぶり、政府もこれ幸いと逃げてきたと思います。 そんな中で、運動がやっと認められまして基金として二百億円を調達することになり、やっと一人に十万円と杯です。一人十万円ですよ、私ら何百万もらうかと思った。竹下首相の簡単な慰めの書状で打ち切られてしまいました。この上は、政府は「ソ連に請求をせよ」と矛先を変えているときソ連はなくなり、私たちはその二百億の果実で墓参・遺骨収集に取り組んでおりますが、何としても金がなく、私は、財団の法人抑留者協会の補償要求連合の日本の十五名の役員理事を務めております--その四国代表でございますが、その責任上二度シベリアに墓参いたしましたが、約百万円自費を出しております。私は、足腰の立つうち、自分の責任で埋葬している九十柱を掘り起こし、慰霊をせねば死に切れぬ気持ちでございます。 私は、一昨々年墓を捜しに行きましたら、スターリンの命令で山の病院跡は焼き払われ跡形もなく、連れがとめるのを奥へ奥へと進んで、大木が異常に太っているところに病院の便所の跡を見つけ--これ日本の捕虜の糞便でちっとは栄養もあったと思いますが、太って、そこで病院も墓場もわかりましたが、ロシアも主として日本人のシベリアの墓地は全く無視しております。 そんな折り昨年五月、外務省より私が指名を受けまして、ドイツ、イタリア、ルーマニア、フランス、イギリス、オーストリア、ポーランド、日本と八カ国が、モスクワの南約五百キロの地点にタンボフという市がありそこに集まり、その近く、マルシャンスクという第二次大戦で一番ロシアが戦ったところでございます、そこに戦後、捕虜の墓を集めて慰霊碑を建てるということで--これはロシアは既に建っております。ロシアはもう全部の名前を刻んで建っておりますが、立派なのが。それにその各国が集まってそれを村につくるということで立派な見本・計画を持ってまいりましたが、ここには日本人将校の墓が五十七人、これは非常によく祭られております、一人ずつ。その隣奥には、ドイツ人の墓が五人ずつ。したがって、そこらからもドイツに対する--これは戦った国ですから、あったかと思いますが、日本の将兵に同行した兵士の墓もあります。いずれもきれいになって祭られておりますが、ドイツを初め各国からは毎年青年が主となってボランティアですね、墓の清掃と墓参りに来ております。 三日間の国際セミナーで、日本とドイツを除く他の国は大賛成で、私は、日本外務省が横におって御機嫌斜めでしたが、日本はシベリアでの本当の墓を捜しだし、その遺骨を集め、慰霊が先で、ロシアは全く金がなければ北方領土を日本に売り、おりたい者はおってもええじゃないかと。その金でにせ墓でなく本物の墓をつくれ、と。そしてその墓には、日本文字で氏名--今ならまだわかりますから、氏名を書き、全部はわかりませんよ。けど、その死んだ名簿はありますから。そして、そうすれば、墓参りも来れば、相当観光収入に回るということを申し上げました。 それから、モスクワに「土佐藩」といって高知の「土佐藩」が行って大きな料亭をやっているんですが、そこにキリケエンコウ--東洋研究所で、元はゲーペーウーの偉い人ですが、を招きまして、このことも話ししなきゃと。おもしろい案じゃということでしたが、ここでもドイツ人の気骨を見せつけられました。「ドイツ人は戦いにロシアに負けても魂まではつつかさん」と怒って、三日目の晩方その会をけって帰りました。三日間の会を終えて私たちもモスクワに夜汽車で帰りまして、モスクワ大使館の公使二人に立派な日本料亭に昼食を招かれまして、「私たち、今まで日本将兵の立場の苦しみを知らず、外交上ソ連の顔を気にし過ぎていた」と謝りともとれる慰めの言葉がありました。 このような中で、本県全抑協の事務局に二人出て事務処理をしておりますが、給料というものはほとんどありません。私たちのわずか千円の会費ですが、いろいろ金がいるものですから気の毒で耐えられず、まだこれから墓参り・遺骨収集にも行かねばなりません。そういうことで、県には他の関連する団体に入っておられますが、私たちも直接、間接恩恵に感謝しておりますが、その点をひとつさらに考え直していただくよう要請をいたしておきます。 去る本年一月十七日午前五時四十六分、阪神大震災、一瞬にして五千四百余名の生命を奪い、何十万の被害者に対し心より慎んでお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興と犠牲者の御冥福を祈るものであります。 私はかねてより、国際的経済社会の仕組みの中で、物流に安い海--太平洋沿岸が経済のベルト地帯にできることは、これは自然の成り行きでもあろうが、今までは過疎対策は過疎化対策となり、過密対策は過密化対策となってまいりました。 私は、「こんな手法では、万一の天災のとき連鎖大災害を惹起するのだ」と言ってまいりました。まず都市に人が入りにくい、ならば、道路を二階にし、三階にし、地下にと、空間は飛行機で。東京を見ても、東京湾岸道路・東京湾横断道路、とどまるところを知らぬ技術と資材をもてあそんでおります。生活住宅は、ビル・マンション化してとどまるところを知らないわけでございますが、片方、その工事のため過疎地より人夫は駆り出され、やがてはその人夫が定住し、定住したからまた病院が足らない、学校が足らない、その建設にまた過疎地より人夫が駆り集められる。次は水が足らぬ、また、大々的な工事に人が集められる。こんな政策では、人は都市に集められ定住し、過疎地は医者が成り立たぬ、学校は廃校、もちろん商売も成り立たず、部落は廃虚となり老人ばかりが残り、やがては消えていくであろう運命にあります。 このおびただしい都市への社会資本の掘り返し・再重投資をいいかげんにやめて、第三次元の世界というか空間の広い地方に、通信は問題ない、通信、これはもう瞬時にいきますが、流れのよい道路を抜き工場の分散を図っていくべきと思いますが、今、本県も工業団地も計画いたしておりますが--本県もやってます、相当やってる、神戸の方々に「土佐に来て靴をつくってくれませんか。住宅を初め工場には十分な対応をしますが」と呼びかけてみてはどうでしょうか。「打たぬ太鼓は鳴らぬ」と言われておりますが、けさもテレビで、後始末に相当トラブルが起きております。被災地で高層マンションに入った生活では、頭の上の便所が、取り合いに重なるわけですから、また被害に遭えば、腐れば、これは健康やトラブルのもとになるわけでございますので、この点積極的な考えをお願いしてみます。 次、いじめの問題です。この問題はいろいろ論議が尽くされましたが、この問題は難しいことはありません。修身教育・道徳教育の不足によりであります。 人間も動物であり、だれしも本能的なことは相通ずる面が多かろうと思いますが、万物の霊長と言われる人間は、教育により理性、人間社会人としての自覚・協調、人の人格を尊重することにより、人間らしい平和な社会を維持してゆく義務があります。それを教えるのが学校であり、家庭であり、社会であります。それを「修身教育・道徳教育は戦争につながる。そんな上の言うことは聞くな、反動だ」と言いふらすものですから、戦後の教育を受けた方々はこんがらがって、基本的人づくりを教える自信を失っておるのではないかと思われます。それが、金が欲しければそれ強盗、それ誘拐と短絡につながっていくのじゃないかと思います。生徒には毎日、この行動は、今の行動は人に迷惑をかけぬか、父母に兄弟に心配はかけないのか、人の立場を侵してはいないか、みずから絶えず判断し、みずからを律していく教育を繰り返し繰り返し徹することであると思います。 教育長は、このことはどう思われますか、お伺いをいたします。 最後に、公選知事の顕彰について、私は外国もいろいろ見ますので、どこに行ってもどんな国に行っても知事たる者の写真、胸像がいっぱいございますが、本県ではどこにも胸像を見たことがありません。公選知事は川村和嘉治、溝淵増巳、中内力、橋本現知事ですが、せめて大統領制公選となってからの知事だけでも、千年たっても変形も変色もしない焼けもしないセラミックス--銅板焼きつけの写真で、メインとなる知事応接室や玄関、県民広場などに顕彰すべきと思うが、外国には胸像も多くありますが、家の狭い日本では仰々しく感じますので、かなり大型のセラミックス写真をつくり、本県の歴史の顔を県内外人にすっと見せて思い出し想像できるようすべきと思いますが、総務部長に聞きます。 総務部長さんは、過去の公選知事のバトンタッチの劇をあまり知らないと思いますが、それが原因で写真も上げていないと思う節もございます。橋本知事のとき、今顕彰を初める最もよい時期と思いますので思い切ってやってもらいたく、これに対しては積極的な御返答をお待ちをいたしております。 いよいよ議員各位、執行部の皆様、そしてマスコミの方、長い間いろいろお世話になりました。再度立たれる議員の方々は油断なく戦って当選され、内外歴史的大変革の大事なこのとき、名知事とともに県政の躍進へ各位の御健勝、御健闘を心から祈りまして、すべての質問を終わりごあいさつにかえさせていただきます。 今日はどうもありがとうございました。(拍手) (知事橋本大二郎君登壇)
◎知事(橋本大二郎君) 山本議員の御質問にお答えをいたします。 まず、津野山地域の歴史と文化についてお尋ねがございました。高岡郡の東津野村と梼原町にまたがる地域は、古くから津野山郷という呼び名で知られておりまして、国指定の無形民俗文化財「津野山神楽」や同じく国指定の有形民俗文化財「高野の舞台」など、土佐の山の民の温かい心を受け継ぐ数多くの貴重な文化遺産を今に伝えております。私自身その幾つかを直接拝見しておりますが、いずれも本当にすばらしいものばかりだと感じております。 これらの文化遺産は、地理的に隔絶されていたがゆえに古い純粋な形を残すことができたとも言えると思いますが、過疎化や高齢化といった時代の流れの中で、その心と形を次の世代にどう伝えていくかがこれからの大きな課題でございます。 幸い、津野山神楽につきましては、地元の高校生を中心に若い人たちが熱心にその伝承に取り組んでくれておりますし、先年修復されました高野の回り舞台では、久々に農村歌舞伎が復活をしたとお聞きをしております。 また、千枚田のオーナー制度の試みにも見られますように、お話のありました観光農業の面でも可能性の多い地域だと感じております。 県といたしましても、このような地域の動きをできる限り支援することによりまして、これらの文化遺産をこれからの県づくりに生かしていきたいと考えております。 続いて、四万十川とその源流域である四国カルストの国定公園への昇格に向けて、本県のみで取り組む考えはないかとのお尋ねがございました。 四国カルストは、本県と愛媛県の県境に沿って広がります標高千四百メートル前後のカルスト台地で、カーレンやドリーネ群が点在をした県内でもまれに見るすぐれた景観を持っております。このため、昭和三十六年に県立自然公園に指定されております。 また、四万十川は、四国カルストの不入山を源流に、蛇行を繰り返しながら太平洋へと注ぎ込んでおります。今では「日本最後の清流」と言われ、その流域には木々の緑と清流に抱かれた雄大な自然が残されております。 御質問のありましたように、国に対しまして、これらの地域をまとめて国定公園に昇格するよう要望するに当たりましては、指定に伴いましてさまざまな規制が加わってまいりますので、地元の市町村あるいは関係の機関との調整を図る必要がございます。また、四国カルストは、本県と愛媛県の両県にまたがっておりますことから、本県だけで国定公園の指定を受けることは難しく、愛媛県と同一歩調をとる必要がございます。 したがいまして、国定公園への昇格の取り組みに当たりましては、愛媛県を含めました関係の機関や地元の市町村の御意見も聞きながら、その可能性を検討していくことになりますが、御提言の趣旨を十分に生かしまして強い決意で取り組んでまいりたいと考えております。 これで私からの御答弁を終わりますが、山本議員には、御地元の津野山地域を初め県内の各地域の発展につきまして、大変熱い思いをたびたびこの議場でいただきました。心から感謝を申し上げます。 長い間、本当にありがとうございました。 (保健環境部長清田康之君登壇)
◎保健環境部長(清田康之君) 沿道修景についての御質問のうち、まず、飲料水などの自動販売機の設置禁止への取り組みについてのお尋ねですが、空き缶等の散乱の問題については、県土の環境美化や資源の有効利用の面からも対応が必要であり、これまで環境月間の全県的な一斉清掃の実施などによる県民への啓発や、リサイクルの促進のためのごみ減量化・再生利用広域推進計画の策定、空き缶圧縮機の設置助成等による市町村への指導等を行ってまいりました。その結果、県民の関心が高まり、学校や婦人会等による自主的な空き缶回収運動が拡大するなど、一定の成果を上げております。 散乱防止の観点からは自動販売機の規制を求める声があることも確かですが、一方で、ポイ捨て等の散乱防止については、自動販売機の規制だけでは限界があるのではないかとの声もあります。また、自動販売機の設置者や消費者の十分なコンセンサスを得る必要もあります。 そこで、県といたしましては、県民、行政、事業者等の責務を明らかにした上で、一体となって環境保全に取り組んでいくための基本となる環境基本条例の制定に現在取り組んでおりますけれども、空き缶等のポイ捨て対策についてもその一環のものとして、市町村等とも十分協議しながら検討してまいりたいと考えております。 続いて、自動車、農機具等を廃棄する際のメーカー引き取りについてのお尋ねにお答えいたします。廃棄自動車については、既に平成三年七月に廃棄物処理法施行規則の一部改正により、路上放棄車両の未然防止のための販売店、メーカー引き取りの原則と事業者団体からなる路上放棄車処理協力会による市町村処理への協力が定められ、一定の効果を上げてきてはおります。 しかしながら、大量の放置車両や農機具等の処理困難な状態は御指摘のとおり解決を急ぐ問題であると考えており、いろいろな製品を製造・販売事業者に引き取らせるような形での取り扱いは、単に廃棄物処理の制度のみならず、全国的なレベルでの社会経済システムの転換、リサイクルシステムの構築を必要とするものと認識しております。 現在、国においては、瓶、缶やペットボトル等の包装系廃棄物の事業者の引き取り、再生利用の制度について法制化を進めております。さらに今後、自動車、農機具等包装系廃棄物以外の廃棄物についても事業者責任を明確化し、実効性のある制度の構築が検討されようとしています。 このような動向も十分に見ながら、本県の実情を国に伝え、実効性ある制度の構築について要望してまいります。また、県としても、大量に放置された廃棄自動車等が地域の景観を著しく損なっている場合には、環境保全の立場から何か適切な処置が講ぜられないか、現在、研究しているところであります。 (商工労働部長安部望君登壇)
◎商工労働部長(安部望君) 阪神大震災で被災した工場の本県への誘致についてのお尋ねにお答えを申し上げます。 このたびの大震災では、鉄鋼関連、化学関連の工場の被害が大きく、中でも地場産業でありますケミカルシューズ関連の中小企業は大きな痛手を受けております。 このうち、大手企業におきましては、近畿圏を初めとした自社の関連工場に生産ラインを移すなどの対応によりまして、徐々に生産体制を回復しつつあります。中小の企業では、兵庫県の公的団体の調査によりますと、「現在地で再建をしたい」と回答した企業が大半でございます。しかしながら、今後の復興の状況次第では、県外への工場等の移転を進めざるを得ない企業も出てくるのではないかと考えられます。 このため、現在、大阪事務所や兵庫工業会など関西の経済団体を通じまして、企業の情報収集に努めておりますとともに本県の工場用地などの情報を提供しております。 県内には、現在、企業を受け入れることができます大規模な工業団地はございませんが、市町村の既存の工場用地の中には、移転を検討している企業の条件にもよりますが、受け入れ可能な工場用地もありますので、今後、被災工場の本県への誘致につきまして、さらに取り組みを進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 (教育長山口勝己君登壇)
◎教育長(山口勝己君) いじめの問題についてお答えをいたします。 いじめの問題につきましては、さまざまな要因が影響していると思われますが、善悪を判断する力が弱いこと、また、他人への思いやりや弱者をいたわる心が弱いことなど、いじめの抑止力となる子供の道徳性が十分育っていないことも大きな要因であると考えます。 また、平成五年度教育世論調査においても、家庭でのしつけや教育力の低下などから、学校教育における道徳教育に大きな期待が寄せられていることがうかがわれます。しかし、学校教育におきましては、道徳教育に対する取り組みが不十分で、県民の期待にこたえられていない状況にあります。 子供が学校や家庭、地域の人々とのかかわり合いの中で、御指摘のような道徳性を身につけ、みずから判断し、みずから律していくことのできる人間として成長するよう、道徳教育の一層の充実に努めてまいります。 以上でございます。 (総務部長渡辺文雄君登壇)
◎総務部長(渡辺文雄君) セラミックスの写真で知事を顕彰すべきと思うがどうかとの御質問にお答えをいたします。 知事は、そのときどきの社会的、経済的な背景や県民の意思を反映して県政の運営に当たっており、これを象徴するものが本県に、また、県民の心の中に、有形また無形の形で引き継がれていくものであると考えております。 御指摘のような顕彰の方法もあろうかとは思いますが、自然に県民の心に残り、語られるような形が望ましいのではないかと考えております。 以上でございます。
○議長(岡村聡次郎君) 暫時休憩いたします。 午前十一時九分休憩
--------------------------------------- 午後一時二分開議
○副議長(西尾一雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 三十九番塚地佐智君。 (三十九番塚地佐智君登壇)
◆三十九番(塚地佐智君) お許しをいただきまして、知事並びに関係各部局長に質問をさせていただきます。 質問に先立ちまして、阪神・淡路大震災によりましてとうとい命をなくされた皆さんに深く哀悼の意を表し、そして被災者の皆さんに心よりお見舞いを申し上げたいと思います。 私も先日、救援のために現地に参りまして、救援活動を行ってまいりました。この中では、あの瓦礫の山の中で、私たちが炊き出した温かい雑炊などに手を合わせて喜んでくださる疲れ切った被災者の方々を目の当たりにし、一刻も早い復旧と救援活動を強めること、万全の防災体制を築く必要性を痛感し、決意も新たにしてきたところです。県といたしても、そうした体制を、万全を尽くされるように要請をしておきたいと思います。 そして、今回の震災でも明らかになりましたとおり、公的な病院が分散して存在していることが緊急時にどれほど大きな役割を果たすのか、この点も明らかになっています。そうした立場から、病院の統合問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。 県立中央病院、高知市立市民病院の統合問題について、まず知事にお伺いをいたします。以下、中央病院、市民病院と略します。中央病院も市民病院も県都の中心部にあり、長い間県民に信頼され親しまれてきた病院です。それだけに、知事が「統合整備の方が県民に対する医療面での貢献が大きく、望ましい」という見解を示され、「年内をめどに統合の可否を判断したい」という姿勢で事を進めようとしておられることに、多くの県民は、「医療が県民から遠のくのではないか」との強い不安を抱いています。知事は世論調査も行うとお答えでしたが、十分な情報の提供なしに世論がミスリードされては、適切な可否判断はできないものと思われます。 以下、両病院の利用者の立場から、検討委員会報告の内容について、幾つか質問をいたします。 第一は、病院機能の変化により、県民、利用者から、かかりやすい公立病院が奪われてしまうという点です。まず、統合により病院の性格が変わり、外来受診が極めて困難になると思われます。医療機関を患者が自由に選べる、お医者さんへのかかりやすさは、これまでの日本医療の長所であったと言えます。新しい総合病院は高機能・後方支援病院と規定をされており、外来については、紹介外来、専門外来にするとしています。紹介状がなければ目の前の病院にもかかれない、強いてかかれば多額な自己負担が必要となってまいります。 また、市内中心部に二つあった公立病院が一つになることによる利便性の低下、しかも池地区という立地条件による利便性の低下は、利用者にとって見過ごすことのできない問題です。現在、両病院とも一割を超える高知市以西の外来患者、三割近い六十五歳以上の患者が利用をしていますが、公共交通機関が利用しにくい池地区では通院できなくなる人も当然出てまいります。現在の両病院の外来数と統合後の病院の外来想定数を単純に比べても八百人以上が、実際には、現在両病院を利用している外来患者で統合病院を利用できなくなる人の数はそれを大きく上回るものと思われますが、この八百人以上の通院外来患者を締め出す結果になるということについてどのようにお考えでしょうか。 このように、患者にとって大問題である利便性が二重に低下し、徒歩やバスなどの利用者は来なくて結構と言わんばかりの姿勢は許されないと思います。 次に、統合病院は短期急性を対象としており、ベッド回転の効率化を目指しています。検討委員会の報告は、入院日数が全国平均より長いことを問題視し改善を求めています。短期間で退院を求められた患者はどこへ行けばよいのでしょうか。医療機関の倒産や無床化--ベットをなくす方向が進む医療をめぐる状況の厳しさ、医療と福祉の連携ができていない条件のもとでどうなっていくのか、この問題も検討がされておりません。受け皿は当然民間病院となってまいりますが、報告の中でも、「民間病院は小規模であり、医師、看護婦体制も不十分だ」とされています。現在、県内の一般病院の医師の充足状況はどうなっているのか。医療法の基準に対する医師の充足状況を明らかにしていただきたいと思います。 さらにそのことは、統合の可否の判断の資料として広く県民に知らせるべきだと思いますが、対応をお聞かせいただきたいと思います。 第二に、統合は中核的医療の後退をもたらすという問題です。今回の最終報告も、地域医療計画も、「県内に不足しているのは三次医療、二次医療は量的に満たされている」と単純に結論づけています。しかし、現状は決してそうではありません。全国平均と比べた病床規模別病院比率、基準看護別病院比率、一病床当たり職員数はいずれも下回っており、一病床当たり医師は四十六位、看護婦は四十七位と最低位にあることは周知の事実です。地域の医療を中核として担う二次医療機関の整備・拡充も県内では急がれ求められている課題です。両病院に今求められているのは、地域の病院、診療所と連携を深めながら地域医療の下支えをしつつ高度医療も担うという点ではないかと思いますが、この点、お考えを伺いたいと思います。 ところが、中核的医療機関から公立の二つの病院がなくなり、病床数においても二百床程度減少をする、マンパワーも百名を超えて削減をされてまいりますから、地域の中核的医療の大後退となることは明らかです。二次医療は満たされているという前提は誤っていると考えます。三次医療の不足と同時に、二次医療の質の不十分さが県内の医療供給体制が抱えている大きな問題の一つであると思います。県下の二次医療についての現状認識をお聞かせください。 二つの中核的病院を統合をし一つにしてしまいながら、地域医療は後退しないとなぜ言えるのか、明らかにしていただきたいと思います。 第三に、高度医療の充実はだれしも望んでいるところです。ただ、「高度化」の言葉だけがひとり歩きするならば、統合可否の判断を誤ることになりかねないと思います。今でも、高度医療機器の保有率は全国平均を上回っていますが、利用率が低いことが問題になっています。CCUやNICUなど、特定の領域の三次医療機能が十分でないからと、両病院の統合の必要性を導くのは論理の飛躍であるのではないかと思います。どうお考えになるか、お伺いをいたします。 また、高度化の内容も、何がどのように必要なのかを県内の実際から出発して明らかにしていただきたいと思います。 第四に、赤字と人員削減問題です。両病院の累積赤字が統合を選ぶ大きな理由とされていますが、赤字をつくり出した主な原因はこの中で解明がされていません。赤字の基本的原因は政府の低医療費政策、低診療報酬政策ですが、これに対する批判的観点は全く欠落をしています。この弱点をどうお考えか、お伺いをいたします。 また、統合をして赤字がなくなるとお考えなのか、お答えください。 統合を契機に、人員削減を柱とする合理化を進めようとしていますが、医療の場合、職員の処遇問題にとどまらず、患者の医療・看護を受ける権利の侵害として深刻な問題となってまいります。我が国の医療費は、国民総生産対比で一九九一年資料ではアメリカの半分以下、国民一人当たりの医療費は、OECD諸国中九〇年資料でも第十六位、百床当たり病院職員はアメリカの半分以下となっています。 我が国医療の効率のよさは、医療労働者の高密度労働と献身、犠牲によって支えられています。政府の政策を受け入れ経営効果第一主義で合理化を進めることは、今でさえ、中央病院でも市民病院でも、看護婦さんは走り回り患者さんが声をかけるのも気の毒といった状態が一層深刻化し、患者サービスの低下はもとより、安全さえも危惧されることとなってまいります。 このような問題を引き起こす合理化は強行すべきでないと考えますが、御所見をお伺いをいたします。 第五に、県立病院の地域医療に果たすべき役割、市民病院の役割についての御所見をお伺いいたします。統合病院の機能は県立病院の機能が中心になっています。市民病院の基本調査では、高齢化社会を展望し、老人保健施設、ホスピス、在宅支援施設、健康管理センターの併設も提言をしていますが、今回の報告では、「高度医療機関にはなじまない」とのことで切り捨てられています。そういう点でも、今回の統合計画は事実上の市民病院の廃止に等しいと考えますが、御所見をお伺いいたします。 県立病院、市民病院の果たすべき役割と内容は異なるのであり、それぞれの役割に応じて充実させることこそが求められていると思いますが、お伺いをいたします。 中央病院の移転・新築は長い間の懸案であり、県民が待ちかねているところです。統合に当たってはクリアすべき課題は多く、統合にこだわるならば病院の移転整備が先送りされることが懸念されます。中央病院の設備・機能は既に限界に来ており、単独での速やかな移転・充実に踏み切るべきだと思いますが、お伺いをいたします。 最後に、梶原議員の質問でも指摘をしたとおり、これまでの手続は極めて不十分であり、県民参加の検討はこれからがスタートだと言えます。強行的手段は絶対にとらないようお約束をしていただきたいと思います。既に、社会保障推進協議会が批判声明を出しておりますけれど、医療関係団体、患者団体も招き円卓会議で意見をよく聞くべきだと思いますが、どうお考えでしょうか。 次に、この検討委員会の報告と関連をして、国立病院の統廃合問題についてお伺いをいたします。報告書は、「医療の進歩などに対応するため、十分な敷地の確保が必要である」としています。ところが、国立病院の統廃合が計画されている敷地は、十分な広さがない上、敷地拡張の可能性もなく、患者駐車場の確保さえ現在危ぶまれています。 また、報告書は、高度医療を担う施設として統廃合後の国立病院も対象に上げていますが、計画では、一般病床は二百二十床にすぎず、高度医療は絵にかいたもちになるか療養所機能の切り捨てになるか、どちらかと言えます。報告書の分析の観点からしても、国立病院の統廃合計画は見直すべきであると思いますが、お伺いをいたします。 また、現在拡張地の造成に入ろうとしていますが、朝倉の国立高知病院の入院患者さんには何らの説明も合意の取りつけもなされていません。建築に入ればもちろん、土地の造成段階でも、患者さんの療養に重大な影響を与えることは、県立安芸病院の増改築工事で証明済みとなっています。少なくとも、入院患者さんとの話し合い、合意が得られるまでは造成に入るべきではないと考えますが、造成の一方の当事者として責任ある回答をお伺いいたします。 次に、教員採用制度の問題についてお伺いをいたします。教育力向上に欠かすことのできない教員について、高知県は免許外教員、二種免許教員、臨時教員の比率が全国トップクラスであり、子供たちに行き届いた教育を保障する観点での教育条件が極めて不十分と言わねばなりません。地元紙の社説は、「こうした状況を打開する責任はやはり県教委にある。広く県民の意見を聞いた上で、長期計画を策定するぐらいの取り組みがほしい」と、教育委員会の責任を指摘をしています。 しかし、ここ十年以上にわたり、本議場においても、また、県民世論としても教員構成の改善を県教委に求めてきましたが、免許外担当の解消以外は一向に改善をされず今日に至っています。こうした状況のもと、子供や親からも信頼されてきた実力を持つ臨時教員が年齢制限で教員の道を断たれたり、また、昨年度の県立学校の筆記審査では、受審者の指摘によって初めて出題ミスが明らかにされるなどという事態が起こっています。 昨年の二月議会において、私は、一方で臨教経験もあり父母や子供から信頼されている着任待機者がありながら、免許も持っていない人物を着任させ、学級が混乱した問題を取り上げて、臨時教員の着任をめぐっての県教委の不公正な実態について指摘をいたしました。しかし、今日なお、なぜこの人が着任できないのかとの事例が後を断ちません。 四年制大学の教育学部を卒業し着任希望を出しているのに一向に話はなく、一度は直接校長先生から着任してほしいと話があり、面談の上合意し、教育事務所に願書を提出していたにもかかわらず、その後すぐ取り消されて着任できなかったというケースもあります。こうした中、高知大学の中では、学生自治会執行部に入ると教員採用されないとのうわさまで広がり、教授みずからそう発言する人も出るなどという事態も起こっています。 このような状況をつくり出した県教委の責任は重大であり、以上挙げた事例は、着任における思想差別の具体的あらわれであり許されないと思いますが、教育長の見解をお伺いしたいと思います。 こういう状況がある中では、教員の採用における情実などのさまざまな憶測やうわさが生じることは避けられず、子供を託す先生としてどんな人が採用になるのかといった教員選考事業がかつてなく注目されるようになっています。 九一年一月に、徳島県の前教育長が、教員の人事異動、採用をめぐり収賄容疑で逮捕をされ、懲役一年六カ月の有罪判決を受けたことや、その前年、山口県においても、教員採用をめぐって関係者から金品を受けていたとして、徳山教育事務所長、元県教委課長補佐らが逮捕をされるという事件が起こり、教育界に大きな衝撃が走りました。 双方の事件とも、試験結果の集計書類を改ざんをして依頼者の成績のかさ上げをしたり、あるいは、選考に携わるのはわずかな者だけで、公正さを確保するためのチェック機能も働くようになっていないという点が指摘をされています。 これは刑事事件として明らかになったものですが、採用をめぐり情実や不公正な慣行が行なわれているという声は広く高知県民の中にもあり、地元紙の「読者のひろば」や連載シリーズの中でさえも取り上げられています。 子どもと教育を守る高知県連絡会の皆さんが、昨年十一月より、各市町村の首長、教育長、議会議長等と直接面談をし、教育問題について意見交換をする「全県キャラバン」を実施をいたしました。その中では、情実採用のうわさが周りにあることや有能であった臨時教員が採用にならず不信に感じたことがあったなど、採用に関する率直な意見が市町村側からも出されたことが報告をされています。 その後、昨年の十二月市町村議会において、「子どもたちにゆきとどいた教育を保障するための高知県教員採用制度の改善を求める意見書」が二市八町三村の十三市町村で可決をされ、県に提出をされています。意見書の要望事項は各自治体で若干異なってはいるものの、一つ、教員採用の選考基準を公開すること、二つ、教員採用審査問題と解答の公開をすること、三つ、受審年齢制限の緩和をすること、四つ、学識経験者、文化人、教育関係者などによって構成される「教員採用制度検討委員会」を設置し、広く県民の意見を反映し公正な教員採用制度を確立することというものです。十三市町村のほかにも十四市町村では継続審査となっています。 そこで、教育長並びに教育委員長にお尋ねしますが、最も公正さが要求される教員採用制度に対して、このように多くの議会からの改善を求める声が上がっていることについてどう受けとめておられるのか。このことは、いかに現行の教員採用制度に県民が強い不信感を抱いているのかのあらわれであると思いますが、それぞれの見解をお伺いいたします。 このように、県民の中からも採用制度の明確化、採用試験問題と解答の公開を求める声が高まる中、二月一日、県公文書開示審査会は、教員選考に関する資料の公開に関する答申を発表いたしました。答申は、県教委が公開を拒否した内容のうち一部は公開を指示しましたが、試験問題の内容や解答、面接審査基準などの部分は非公開とするのが妥当としました。しかしながら、答申の最後に審査会要望として、「県民の教育への関心の高さなども考え合わせ、筆記審査問題及び解答例の公開の可能性について、検討されたい」としています。つまり、公開する方が望ましいのであり、公表できるようにしなさいとの要望と言えます。教育長は、審査会のこの要望についてどのように受けとめられたか、お伺いをいたします。 公文書開示審査会という至って重要な機関から出された要望であり、直ちにその可能性について検討をすべきと思いますが、どう対応されるのか、検討する部署、決定する機関はどこか、お示しください。 また、どうすれば公開できるようになるかという可能性についての検討内容は公開されるべきだと思いますが、どのような措置をとられるのか、お尋ねをいたします。 また、この答申の中では、「個々人の選考資料集計表の開示について、県立高校関係にはおのおのの項目に配点が記されているため、教育長の総合判断行為の具体的選考指針が明らかになる」とし、選考の基準とも言える配点表があることを示しています。しかし、一方、義務関係にはこの配点がないことも明らかになっているところです。義務関係の選考資料集計表におのおのの項目に配点が記されていないのはなぜなのか。高校と義務とではなぜこのように違うのか。配点がなければ、選考方針が不明確であり不透明な選考方法になると思われますが、それぞれ教育長の見解をお伺いいたします。 市町村議会から上げられてきた意見書の中にもあるとおり、教育委員会事務局内のみの検討会ではなく、学識経験者、文化人、教育関係者などによって構成される「教員採用制度検討委員会」を設置すべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。 次に、教育委員会のあり方について教育委員長にお伺いをいたします。今日、いじめ問題を初め教育にかかわる課題はかつてなく重大になっています。行政を開かれたものにしていく上で、教育行政への市民参加をさまざまな形で実現することが求められています。中でも、教育の中立性と安定性を確保するため自治体の他の機関から独立した合議制の執行機関である教育委員会の会議が、県民に開かれ、県民に密着したものになるよう要望する声が大きくなっています。 県教委も、各地での懇談会を持つなどそうした努力を進めつつあるようです。しかし、正式な会議の場での審査が公開をされ、また、その場に直接県民が声を届けることのできるシステムにしていくことが重要であると考えます。 この間、県教委の会議を傍聴した県民からは、「議事のほとんどが人事案件であり、重要なことは委員協議会や秘密会によって進められており、何もわからない」との声が寄せられています。 先日、昨年六月から本年二月十四日までの九カ月間の教育委員会会議録を調査したところ、付議事件のうち六五%が秘密会で審議されており、人事案件以外の議事の中でも、その四割が協議会もしくは秘密会で審議をされています。県民の前に公開されたものはまさにわずかなものにすぎません。中でも、若草養護学校、土佐希望の家分室の請願の処理に関する議案や高校の通学区改変等、県民に関心の高いものが秘密会、協議会扱いになっていることも重大だと考えます。 そこで、教育委員長に伺いますが、どういう基準で協議会並びに秘密会扱いとされるのか、お示しください。 委員協議会や秘密会は極力少なくし、審議内容が最大限県民に明らかになるようにすべきだと思いますが、御所見と今後の対応についてお答えいただきたいと思います。 次に、教育委員会への請願と意見陳述についてお伺いをいたします。私たち国民は基本的な権利の一つとして請願権を持っており、そのことは日本国憲法第十六条にもうたわれています。国会法や地方自治法の前に制定された請願法には、官公署に対し請願ができるとし、その第五条には、「官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない。」と誠実対応義務をも課しています。したがって、本県教育委員会にも当然請願受理の義務が生じています。教育委員会への請願とその陳述ができることは、一九五六年六月に成立した後の市町村教育委員会会議規則準則案の第十二条に請願者陳述の規定があることからも明らかです。 現在、県教育委員会段階でも、愛知県、京都府等一府十四県で教育委員会会議規則に「請願・陳情をしようとする者は、委員長の許可する時間内において事情を述べることができる」と明確に請願者陳述権が記されていますし、何らかの規定を行なっているところを含めば一府二十四県に上ります。現行の高知県教育委員会会議規則には、この請願と陳述についての規定がありません。 そこで、教育委員長に伺いますが、教育委員会への請願権は、開かれた委員会にしていく上で大いに行使されるべきものであり、この際、会議規則を改め請願者陳述権の明文化をすべきだと思いますが、御所見と提案されるおつもりはないか、お伺いをいたします。 また、請願の内容が十分教育委員会で審議されるための「請願処理規則」を持つべきだと思いますが、教育委員長にお伺いをいたします。 また、私が教育委員会会議録を調査した時期は、ちょうど大河内君のいじめによる自殺事件があり本県教育にも大きな問題点を投げかけていたときを含んでいます。しかし、会議録によれば、一言もその問題の論議がなされていません。県教委として取り組むべき最大の課題だけに理解に苦しむところですが、正式な会議の中でいじめ問題は論議をされていないのか。これでは、県民の声が反映された委員会とは言えないと思いますが、委員長の答弁を求めたいと思います。 次に、教員定数に関する問題について質問をいたします。まず、小学校の複式学級の問題についてお伺いいたします。県内の過疎化が進む中、小学校の複式化は一層深刻なものになっています。複式学級において、教員一人当たりの生徒数は少ないものの、子供たちにとって教科内容を教わる時間は単純に言えば半分になります。例えば算数の時間なら、同じ教室で、一年生が足し算を習っている間二年生は自習、二年生が掛け算を習っている間一年生は自習といったような状況です。 基礎学力の向上は父母、子供たちの切なる願いであり、中山間地域の振興対策としても、山間地において充実した教育環境をつくり出していくことが若者の定住のかなめの一つでもあります。メディア等の活用なども工夫をされているようですが、町村教委の会や各教科研修、重複している校務分掌の校外における会など、小規模校独自の忙しさが教員にあることは変わらず、一層の人的充実が求められています。 県は、本年度、複式改善のための県単独の措置をとられましたが、それでもなお、小学校一年生の段階で複式からスタートとなったのが八十六校、飛び複式も九校残っています。一年生は学校生活への入り口として最も重要な時期であり、保護者からも、「一年生の複式については一刻も早く解消してほしい」との要望も強いものがあります。第六次定数改善計画では、一年生を含む場合の基準は八名となっていますが、昨年、土佐清水市のある小学校でも、父母、学校側からの要望があったにもかかわらず、一年生を含み十名の複式学級ができるなど不十分なものでした。 そこで、教育長に伺いますが、来年度、一年生を含む飛び複式についてはすべて解消できるようにすべきと思いますが、見通しと決意を伺いたい。 来年度は、一年生は単式でスタートできる配置をすべきだと思いますが、どのように対応されるおつもりか、その計画についてもお伺いをいたします。 次に、定数内臨時教員の問題について伺います。高知県の臨時教員比率が全国平均の約三倍であり突出したワーストワンであることは県民も周知のところとなり、教育の質的向上のためにも、その改善を求める声は日増しに強くなっています。県教委は、その理由をこれまで、「高知は女性教員が多く、産休、育休をとるため」としてきました。しかし、公立小学校における二十歳から三十九歳までの女性教員の割合は、平成五年五月一日現在で、愛媛県七一・二%、高知県六三・七%であり、愛媛県の方が比率が相当高くなっています。ところが、臨時教員の比率は、愛媛県は二・六%であり、高知は八%、三分の一にすぎません。愛媛の実態を見るとき、県教委の「女性教員が多いから」という理由では全く説明になっていないと思いますが、どうか。なぜ、こうした歴然とした違いが出ていると考えられるか、教育長にお尋ねをいたします。 さらに、高知県の臨時教員配置で特徴的な問題は、各学校の運営上必要最小限の人数として文部省基準により各都道府県が定めている教員定数の中にまで数多くの臨時教員が配置をされている点です。この臨時教員は「定数内講師」と呼ばれています。この問題は、私も本議場でたびたび指摘をしてきたところですが、現在、定数内への臨時教員の配置は何人になっているのか、小、中、高、養護学校別に明確にお答えをいただきたいと思います。 一九九三年度の文部省調査によれば、本県の講師比率は全国一位で七・七六%に及んでいます。東京や愛媛などは、こうした定数内への臨時教員はあってはならないこととして配置をしていないか、わずか二%程度に抑えています。なぜ、本来学校運営にとって最小限必要とされている文部省の定数内にまで臨時教員を配置をされるのか、その理由を明らかにされたい。 この間、県教委は、「児童減少期になれば定数が減り、人員整理の危険性があるからだ」としてきましたが、将来の県教委の対応が困るからと、現在の子供たちの安定した教育を受ける権利と教員希望者を臨時任用のままで置くなどということはあってはならないと思いますが、教育長と教育委員長の御所見を伺います。 生徒減少は、高知県のみに起きる現象ではなく全国に共通したものであり、当然、今後は国全体で対応し、例えば三十五人学級による定数増を行うなどの方策が講じられるべきものです。定数内への臨時教員の配置は直ちに見送り、正式採用配置を行なうべきだと思いますが、教育長の見解と今後どう対応されるおつもりか、お伺いをいたします。 また、寺尾教育委員長は、地元紙に「小・中の学力向上に向けては、多い臨時教員、免許外教科の改善が必要だろう。」とコメントをされていますが、どのような取り組みをされるおつもりか、お伺いをいたします。 以上、定数問題にかかわって質問をしてまいりましたが、定数内臨時配置等を見たとき、本県教育予算の比率が他県に比して大変低いという問題に突き当たらざるを得ません。一般会計に占める教育予算の割合は、本年度予算で、先に例を引いた愛媛県は二四・〇%、本県は一七・三%で、愛媛より六・七%低くなっています。五年度決算比較でも、全国平均は二四%、高知は一七・三%と、全国平均を七%近く下回っています。しかも、ここ数年低下し続けているところです。これまでも、「比率は低いが、生徒一人当たり予算はトップクラスだ」との答弁をされてきましたが、小学校の四割、中学校の一割が複式学級を持つ小規模校という現状からすれば、一人当たりの教育費が高くなるのは当然であります。 本県教育の現状の免許外担当、臨時教員配置率、高校進学率、中退率等、いずれもワーストクラスという中で、一般会計に占める教育予算比率がこのように低いという点について、知事並びに教育長はどう考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。 県民が強く要望する安心して学ぶことのできる教育条件整備のために、教育予算を大幅に増額すべきと思いますが、知事の決意を伺っておきます。 次に、県立学校現業職員の問題についてお伺いをいたします。県教育委員会が来年度より県立学校の現業職員の新規採用を中止するとの方針を示された点について質問をいたします。学校で働く現業職員には、用務、事務補助、守衛、定時制給食調理、障害児学校介助、給食調理、農場管理の職種があり、おのおの学校教育に重要な役割を果たしています。こうした現業職の方々の作業内容は、校舎内外の清掃、花壇や植木の手入れ、施設・設備の営繕、維持管理等々、多岐にわたっています。 しかし、それだけではなく、学校内にいながら教員でないという立場であり、生徒にとって身近で安心感を持って接することができる存在として相談を持ちかけられたり、作業中にいじめや喫煙の現場を発見するケースも多く、教育の一環としての重要な役割を担っている職種でもあります。 九三年四月二十一日の衆議院文教委員会での山原健二郎衆議院議員の質問に対し、当時の森山文部大臣も井上孝美教育助成局長も、現場におきましても学校運営上も重要な役割を果たしている職員であるとの認識を示しています。したがって、学校教育法の五十条「技術職員その他必要な職員を置くことができる。」という規定に基づき、地方交付税の単位費用の積算基礎において配置基準を設け、交付税措置を行ってきています。 そこで、まず教育長に伺いますが、県立学校における現業職員の果たしている役割についてどう認識をされておられるか、伺います。 しかし、高知県においては、自治省の配置基準に対し年々配置率は低下し、一九七九年に七八・一%あったものが九一年には五七・四%と、二〇%も低くなっています。この間、学校現場は多忙化をきわめ、学校全体からゆとりが奪われています。しかも、現在、県下の百三十三名のうち、この三月には四校四名の退職者が予定され、その後新規採用をしないとのことです。今後現業職員の退職補充を行われなければ、学校現場では、今まで現業職員が行っていた仕事を当然だれかが請け負わねばならず、教員、事務職員への過重負担となり、ますます多忙化することになると思いますが、この点をどう認識をされているか、これまでの仕事を今後だれに、どのようにさせるおつもりなのか、お伺いをいたします。 京都では、学校は教員の意見だけではだめになる、それ以外の職員の意見が必要だとし、現業職員の職員会への参加を行ったり、青森でも、校務分掌の保健部に位置づけ、生活の場としての学校・教育環境を整える現業職員の重要な役割を学校教育に生かしています。人間性あふれる学校を築く上で、こうした視点は今後ますます重要になると思いますが、教育長は、こうした教育上の現業職員の位置づけについてどう考えておられるか、ゆとりと魅力ある学校づくりの上で必要な観点だと思いますが、御所見を伺います。 人を育てる教育の場には一定のゆとりが必要であることは言うまでもありません。それは人であり、時間であり、空間としても必要です。今回の現業職員の合理化案は、答申「改革の提言」を受け、「職員配置のスクラップ・アンド・ビルド」と称して現業職を廃止し、民間委託していく方向に沿ったものであることは明らかです。学校現場における現業職員は重要な教育的役割を担うものであり、民間委託は許されないと思いますが、教育長の御所見を伺います。 むしろ、自治省の措置基準並みに引き上げるよう充実すべきだと思いますが、お伺いをいたします。 他の現業職の重要性も去ることながら、教育現場への効率化の持ち込み、必要職種の切り捨ては認められません。知事自身も、いろいろなところで、「教育・福祉に安易に効率性を持ち込むものではない」との発言を繰り返されています。現在のこの措置は、明らかに学校をもリストラの対象とするものであり、許されないと思いますが、知事の見解をお伺いいたします。 最後に、女性行政の改善と充実について伺います。一九七五年の国際婦人年から二十年、第四回世界女性会議も開かれる節目に当たり、全分野で女性問題への取り組みの強化が求められています。特に、リーダーシップを発揮すべき女性行政の改善・充実が急がれているところです。そこで、幾つかの問題について伺います。 まず、女性行政の組織体制についてお尋ねをいたします。提出をされています行政機構の改組についての条例議案によりますと、女性問題担当の生活女性課は文化環境部に属するとされています。もともと女性問題は県政のあらゆる分野に関連している問題ですから、担当課は企画調整機能を持つ総務または企画部門に設置するのが合理的ではないかと考えます。 また、「生活女性課」という名称も、生活と女性とのかかわりを強調し、女性問題を狭くとらえている弱点を示すものだと思います。この点については、先日開催された県主催のこうち女性プラン推進会議の講師として来高された目黒依子教授も指摘をされ、「機構改革が進められているようなので、考えてみてはどうか」と問いかけられています。 私たちも、女性問題対策を全庁的、総合的な取り組みにする上で改善を求めてきたところですが、今回の改組に当たり、「生活女性課」という名称についてどう検討されたのか、なぜ、文化環境部に配置をされたのか、女性問題に対する知事の見識を示す問題でもありますので、お答えいただきたいと思います。 次に、知事の諮問機関、女性問題懇話会のあり方について伺います。この懇話会は、七七年開設以来、女性問題を県政の重要課題として位置づけ、女性問題推進に貢献をしてきたところですが、委員からの要望もあるのに開催回数が少なくなっています。 また、懇話会は、行動計画の推進をチェックする機能を持ち、推進状況についての必要な提言、建議を行うことが必要だと考えます。予算編成に生かされる時期に開き、委員の意見をよく聞き、委員相互の論議も深める機会を設けるべきではないかと考えますが、今後どう対応をされるのか。 さらに、懇話会の位置づけを明確化するために、この際条例設置とすべきと思いますが、お考えをお示しいただきたいと思います。 次に、政策決定への女性の参加の促進について伺います。審議会への女性委員の参加は年々前進をしていますが、九四年度の到達点は、地方自治法を初め法令、条例に根拠を持つ機関では一二・一%で、今年度の目標一五%に到達するにはかなりの努力が必要と思われます。また、女性委員空白の機関がなお三十も残されており格段の努力が必要です。どう対処なさるおつもりか、計画をお示しください。 次に、女性教育委員の選任がおくれていることについて知事のお考えを伺います。地方自治法百八十条の五に基づく行政委員会の中で、女性委員が占める比率の高いのは教育委員会となっています。それでも、都道府県教育委員会でいまだ一八%台ですから納得できるものではありません。しかし、他の分野と比べて、教育と女性のかかわりの深さを示しています。 高知の場合も、義務も高校も女性教員の比率が高く、PTA活動を初め社会教育、家庭教育でも母親が主なる担い手であり、文化活動においても女性の活躍は目覚ましいものがあります。また、女性の教育・文化の要求も強く、当然経験豊かな人々の中に教育委員の適任者は数多くおられるところです。 特に、最近の子供を取り巻く状況から、どの子も大切にされ伸び伸びと育つ学校教育への母親の要求は痛切なものがあります。こうした母親の願い、女性の視点が県教委の論議の中に生かされることが、教育行政のあり方を変化させ、教育の向上・前進に貢献することになると考えます。任命権者である知事は、女性教育委員の必要性をどう認識しておられるのか、お伺いをいたします。 公選制時代には女性委員があり、任命制になってからも、長い空白の時期はありましたが、国際婦人年以来の要求を反映し、八五年から二期女性委員が選任をされていました。ところが、橋本知事になられて女性委員は交代し、その後二回あった機会にも女性は選ばれませんでした。平成五年九月議会の私の質問に、知事は、「教育委員への女性の任命につきましても、今後検討させていただく」とお答えになったのですが、なぜ女性の任命を見送られているのか、今後どうなさるのか、お伺いをいたします。 県庁の女性職員の幹部登用についてお伺いをいたします。女性行政の充実にとって女性幹部の果たす役割が大きいことは言うまでもありません。九四年四月一日現在、知事部局、課長同等職以上への登用状況の全国比較を見ますと、高知県は六名、四・三%で、六・六七%の京都をトップに、沖縄、岡山、静岡に続いて第五位です。かつて全国一位だったこともあり、テンポが落ちたことは残念でなりません。さらに、高知は六人とも課長同等職であり、部局長クラスを持つ京都、沖縄、神奈川等々、また、次長クラスに進出をしている沖縄、東京、埼玉、福井等々と比べ、内容的に大いに改善の必要があると思います。 女性参政権獲得から五十年、国際婦人年から二十年という時点でなお庁議のレギュラーメンバーに女性が一人もいない、議会答弁に立つ権限を持つ女性幹部が皆無という事態について知事はどうお考えなのか、御認識をお示しください。 ちょうど定期異動の時期でもあり、適任者は多いのですから、思い切った女性幹部の登用を行うよう要請をし、知事の決意をお伺いしたいと思います。 以上で、私の第一問を終わります。 (知事橋本大二郎君登壇)
◎知事(橋本大二郎君) 塚地議員の御質問にお答えをいたします。 まず、県立中央病院と高知市立市民病院の統合問題について御質問がございましたが、この二つの病院はともに県民、市民になじみの深い病院でございますので、その統合を考えるのに当たりましてさまざまな御意見があるのは当然のことだと思います。御質問のありました幾つかの点は今後論議される課題だと思いますので、私からは主に報告書の視点に立ってお答えをいたしたいと思います。 まず、統合によって外来患者を締め出す結果になりはしないかという御質問がございましたが、新しい病院が後方支援型病院などの性格と機能を持つ病院として整備されたといたしましても、外来で来られる患者さんが紹介状がなければ診療が受けられないといったことはあり得ません。 また、患者さんの側から見れば、二つの病院が一つになることは確かに選択の幅が狭まることを意味します。しかし、その分、患者さんのお近くにある民間の医療機関と連携を強めることによって、また、これまで県内では十分には受けられなかった高度の医療サービスを提供することによって、二十年後、三十年後を見通した全体的な医療の充実を考えてはどうでしょうか、というのが今回の統合に向けての考え方でございます。 次に、県内の一般病院の医師の充足状況についてお尋ねがございました。高知県では、昨年の十月一日現在で、お尋ねのありました充足率が八〇%以上の病院が全体の七三・二%となっております。これに対して全国では、充足率が八〇%以上の病院が全体のおよそ六八%と聞いておりますので、我が県は全国の状況を上回っているものと考えております。 また、この資料に限ったことではございませんが、県民、市民の御意見を伺う際には十分な情報提供が必要なことは言うまでもございません。 また、両病院に今求められているのは、地域の病院や診療所と連携を深めながら地域医療の下支えをしつつ高度医療も担うということではないかとのお尋ねがございました。地域医療の下支えとおっしゃる意味がいま一つよくわかりませんが、地域の病院や診療所と連携を深めながら高度医療も担う病院として整備しようというのが統合を考える基本になっております。 次に、県内の二次医療の現状についてお尋ねがございました。御質問の趣旨は二次医療の充実の方が優先課題ではないかという意味だと受けとめましたので、その趣旨でお答えをいたします。両病院がございます中央保健医療圏の二次医療は、量的にも質的にも一定の水準にあると考えております。こうした状況の中で、統合病院は高度な三次医療の役割をも担おうとしておりますが、その前提は一定の二次医療の上に立っておりますので、二次医療を後退させることにはならないと思います。 次に、本県の三次医療の機能は、冠状動脈疾患集中治療管理室いわゆるCCUを初め、新生児集中治療管理室や周産期集中治療管理室、それに無菌治療室など施設の整備が全国平均をかなり下回っております。また、高度な医療機器の保有率は全国平均に比べて高くなっておりますが、その利用率が低いため全体としては三次医療の機能が十分に発揮されておりません。その理由としましては、一つの病院の病床数が限られていますため特定の疾患の患者さんと接する機会が少なく、そのために医療機器が十分利用もされなければ、また技術も向上しないといった点が指摘をされております。 このため検討委員会では、統合をすることによりまして一定の規模の病床を確保することができれば高度の医療機器の利用も促進されますので、単独で整備するよりははるかに効果が大きいと判断をしております。 次に、医療の高度化の内容についてお尋ねがございましたが、何をもって高度医療とするかは必ずしも明確な定義があるわけではございません。ただ、両病院を統合した場合に求められます高度医療といたしましては、がんの分野ではがんセンター的に専門的な医療を、また、心臓疾患の分野では、バイパスや弁の置きかえ手術、それに先天性心疾患の手術などを行う心臓血管外科の整備、さらに、脳血管疾患の分野では、特に緊急を要する脳卒中に対する医療などが重要だとされております。これらの医療は、いずれも早期発見、早期治療が大切ですので、手術などの体制と同時に、高度の診断と治療が行える体制も整備が必要だとされております。 また、腎臓、骨髄、角膜などの移植や先ほども一部申し上げました周産期の高度医療体制の整備、さらには高度な救急医療につきましても、他の病院との機能分担と連携を図りながら、これを実施していく必要があるとされております。 次に、両病院が抱えております累積赤字との関連についてお尋ねがございました。統合問題の検討は、これからの医療のあり方を考えたとき両病院は今後どうあるべきかという観点から行われてきたものでございますから、累積赤字が統合の理由ではございません。 また、両病院がともに大きな累積赤字を抱えておりますことは事実でございますが、両病院を統合した場合にも経営的には厳しいと予想されております。このため、医療の実態に即した診療報酬体系の充実につきましては、今後も国など関係の機関に対しまして強く要望をしてまいります。 また、両病院を統合して整備することになりました場合には、その施設の規模や機能に応じて適正な人員配置にすることが必要だとされております。ただ、このことが患者さんの権利の侵害になるとは考えておりません。 続いて、両病院の統合の計画は事実上市民病院の廃止に等しいのではないか、また、両病院の役割は異なるのではないかとのお尋ねがございました。両病院を統合しました場合には、新しい病院と地域の医療機関との機能分担や連携のシステムを強化することによりまして、現在二つの病院が担っております一次医療のかなりの部分と二次医療の一部を地域の医療機関にゆだねるべきだとされております。その結果、市民の皆さんは、日常的には市内にある豊富な医療機関を活用することによって、また、必要なときには高度な医療に重点化した新しい病院を迅速に利用できることによって、活用できる医療サービスの幅が大きく広がるというのが統合の考え方です。 また、中央病院の整備を単独で急ぐべきではないかとのお尋ねがございました。これまでも申し上げてまいりましたように、統合の可否につきましての行政としての判断を年内をめどに行いますので、その上で御審議をいただきたいと考えております。 また、手続論についてお尋ねがございましたが、現在は医療の専門家の立場から御検討をいただいた段階でございます。今後、議会での御議論はもちろんのことでございますが、世論調査などを通じて県民、市民の御意見を伺いながら検討を進めてまいります。 続いて、国立病院の統合計画についてお尋ねがございました。このことに関しましては、統合に必要な敷地の面積が確保されていると考えております。また、機能面では、限られた病床の中ではございますが、より充実した二次医療を基盤といたしまして、ほかの公的な病院と役割を分担しながら高度医療の一定の分野を担っていただけるものと受けとめております。 また、この国立病院の統合に関連しまして、造成や建築工事が入院の患者さんに重大な影響を与えるとのお尋ねがございました。この点に関しまして、事業主体でございます厚生省は、造成工事は既存の病院の敷地の外で施行しますため、現在の造成工事の段階では患者さんへの悪影響はないと考えております。また、建築工事に入ります際には、そのときに影響を受ける、つまりその時点で入院をされている患者さんには御説明をして御理解をいただくとのことでございます。 続いて、教育関係の予算についてお尋ねがございましたが、教育の充実を図りますために必要な予算は確保できていると考えております。また、本県の財政状況は依然として厳しいものがございますが、教育条件の向上を図るための予算は、そうした中でも最重点の課題の一つだと受けとめております。 次に、県立学校の現業の職場についてお尋ねがございましたが、学校も組織である以上、時代の変化に対応した見直しが必要な場合もあると考えております。 続いて、女性行政についての一連の御質問にお答えをいたします。まず、生活女性課について御質問がございました。女性行政はこれまで、消費者問題などのほか母子家庭への医療費の助成など、母子の福祉に関する事務等を合わせまして福祉生活部で所管してまいりました。 しかし、これからの女性行政は、これまでのように社会的に弱い立場にある女性を支援するいわゆる対策行政だけではなく、そこから一歩踏み出して、地域社会を支える主役の一人としての女性を対象にした幅広い施策を進めていくことが必要だと考えております。その際、生活女性課の業務の内容がすべての面では文化環境部になじまない面もあるかもしれません。しかし、文化を自然環境や産業それに生活環境など県民の暮らしに関する幅広い視点でとらえましたとき、生活や女性の問題はこの分野に含めるのが適切ではないかと判断をいたしました。 また、名称につきましては、組織のあり方も含めまして今後の課題として検討をさせていただきます。 次に、女性問題懇話会は、女性関係の行政を効果的に推進いたしますため、本県が抱えております女性問題やその関係施策につきまして各界の有識者の方々から御意見をいただきますとともに、委員の皆様が広く意見を交換する場という性格もあわせ持っております。このように、女性行政を進めます上で重要な役割をお願いをしております。こうした懇話会の趣旨を踏まえまして、今後は、御提言の趣旨も踏まえて開催の時期や回数を検討いたしますなど、運営面での充実と強化に努めてまいります。 また、この懇話会を条例で設置してはどうかとの御提言がございましたが、先ほども申し上げましたように、女性問題について各界の有識者の方から広く意見をお聞ききする場と位置づけておりますので、むしろ形式にとらわれることなく十分に機能させることが大切だと考えております。 次に、審議会などへの女性委員の参加についてお尋ねがございました。昨年の五月一日現在で県の各種審議会等への女性の委員の参加の状況を見ますと、地方自治法に根拠を持つもの、その他法令や条例に基づくもの、さらに要綱や要領によって設置されたものを含めまして、全体では一三・一%となっております。これを前回の調査と比較しますと一ポイントの上昇になっております。 しかし、部門別に見ますと、土木、林業、水産、商工関係などの審議会や委員会では女性の参加が依然として低い水準にございます。この点では、各関係の団体の皆様の意識改革も必要だと思いますが、引き続き御理解と御協力をいただきながらさらに積極的な登用に努めてまいります。それによりまして、来年度末までには目標としております一五%を達成したいと考えております。 続いて、女性の教育委員の選任についてお尋ねがございました。教育の分野で女性が果たしておられる役割の大きさは十分に認識をしております。また、どの分野に限らず、女性の能力を十分に発揮していただくことが社会の発展にとって欠かせないことは言うまでもございません。 一方、教育委員の選任に当たりましては、現在の教育行政が抱えるさまざまな課題や委員の構成あるいは御本人の識見などを総合的に検討させていただきながら、その時点で最も適任と考えられる方を選任させていただいております。教育委員への女性の選任は一つの課題として今後とも検討させていただきます。 続いて、県の庁議メンバーに女性が一人もいないことをどう思うかとのお尋ねがございました。このことは、我が国全体の問題として男女の役割分担といった意識が根強く残っておりましたため、過去において女性職員の職場の配置や仕事のあり方に偏りが見られたことの結果ではないかと思います。昨年の四月現在で事務職員に占める女性の職員の割合は二八・三%となっておりますが、これからもますますふえていくものと考えております。このため、今後は、広範な行政分野での行政経験を積ませながら、積極的な養成に努めてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 (教育長山口勝己君登壇)
◎教育長(山口勝己君) 教育に関する一連の御質問に順次お答えをいたします。 まず、臨時教員の採用について県教委の責任は重大であるとのお尋ねがありました。臨時教員の採用につきましては、公立学校臨時教員募集要項により志願者として受付している方の中から個々に面接を行い採用をしているところです。臨時教員を希望されるすべての方が必ず採用されるというものではありませんが、代替教員を必要とする学校には適材を適所に配置するよう努めております。 なお、着任における思想差別ではないかという御意見ですが、そのようなことはございません。 次に、教員採用制度に関する市町村議会の意見書について御質問がありました。十三市町村議会から教員採用制度に関する意見書が提出されたことは承知をいたしております。教員採用選考審査につきましては、教員としての資質・能力を持ち、本県の教育課題解決のために努力を惜しまない人物を厳正、公正に選考しております。また、本県の行っている教員採用制度につきましては、全国的に見ても標準的なものと認識をいたしております。したがいまして、このようなことを御理解いただけるよう願っております。 次に、公文書審査会の要望に関してお答えをいたします。公文書審査会からの御要望ではありますが、問題及び解答例の公開は現在全国的にも行われておらず、極めて難しい問題であると受けとめております。 次に、要望を受けての検討についてお尋ねがございました。審査会の要望事項は実際問題として非常に困難な課題でありますので、今後慎重に検討してまいりたいと存じます。 次に、検討内容を公表すべきというお尋ねがございましたが、先ほどお答えしたとおり、今後慎重に検討してまいりますので、公表ということは現時点では考えておりません。 次に、選考資料集計表に関して御質問がありました。義務関係の選考資料集計表には配点の記載はされておりませんが、あらかじめ一定の配点を決めて審査を行っております。このように、単に様式上の記載がないだけであって、この点について義務関係と県立学校で何ら異なるところはありません。 次に、教員採用制度検討委員会の設置について御提言がございました。教員選考審査のあり方につきましては、事務局内に高知県公立学校教員選考審査方法研究委員会を設置し、教員採用制度について絶えず研究を行い改善に努めておりますので、お話のような教員採用制度検討委員会の設置は考えておりません。 続いて、教員定数問題について御質問がございましたが、まず第一に、一年生を含む飛び複式の解消についてお答えをいたします。一年生を含むいわゆる飛び複式学級については、平成五年度からスタートした第六次教職員配置改善計画において、一方の学年が四人を超える場合には複式学級を編制しないこととなっております。しかし、来年度直ちにすべての飛び複式学級を改善するには至りません。 次に、一年生は単式でスタートできる配置をすべきというお尋ねがありました。教職員配置改善計画は三年目でありますので、一年生の複式学級すべてを改善することはできないところです。なお、複式学級改善のため、平成六年度から県単で前倒しの措置を行っているところであり、来年度も同様の措置を講ずることにしております。 次に、臨時教員の配置についてお答えをいたします。他県の状況の詳細はよくわかりませんが、本県では産休や育休、病休などの取得者が多いほか、児童・生徒減少期の中で、各学校において児童・生徒数の減少により学級数が減となることによる定数オーバーの状況を避けることや教科の調整などから臨時教員で調整する場合もございます。 次に、定数内の臨時教員の配置数についてお尋ねがありました。制度的には定数内臨時教員という概念はありませんが、小、中学校においては、例えばある学校について、正規の教員が県教育委員会の定めている学級編制基準の数に満たない場合の臨時教員の数は、平成六年で小学校三十六名、中学校五十六名となっております。県立学校におきましては、例えば教育課程の工夫による講座編成の都合などから臨時教員を充てることはありますが、小、中学校と同じような意味での臨時教員はほとんどおりません。 次に、文部省の定数内にまでなぜ臨時教員を配置するのかというお尋ねがありました。通常の学級編制に応じて配置される教員数については、すべて正規の教員を配置することを原則としておりますが、実際の配置の上では、教科の調整や学級の増減に伴う配置等の事情により、学校単位で見た場合、必ずしもこの原則どおりとはならない場合もございます。 次に、臨時教員のこのような状況はあってはならないという御意見でございます。先ほどお答えしましたように、臨時教員を配置せざるを得ないような事情もありますが、さらに適切な教員配置に努めるとともに、将来の児童・生徒数の減少や退職教員数などを勘案の上、できるだけ教員採用を行うことにより臨時教員を減少させていくよう努めております。 次に、正式採用配置を行うべきとのお尋ねがありました。平成七年度採用教員選考審査におきましては、現在見込める可能な限りの名簿登載を行いましたが、今後も、将来の児童・生徒数の減少や退職教員数などを勘案の上、できるだけ教員採用に努めてまいります。 次に、教育予算についてお答えをいたします。教育予算につきましては、これまで学校教育の充実や施設整備の推進など必要な予算額の確保に努めてきたところです。県予算全体に占める割合につきましては、いろいろな要因による結果としての数値であると受けとめております。 次に、県立学校の現業職員についての御質問にお答えをいたします。まず、役割についての認識のお尋ねがございました。県立学校における技能員は、学校の環境整備等の業務、農場の管理、作物の栽培の業務、守衛、調理の業務に従事しておりますが、それぞれの業務は学校運営に必要なものであると考えます。 次に、退職補充についてお答えをいたします。平成七年度においては、県全体の異動の中でできるだけ退職補充をしたいと考えていますが、仮に退職補充ができない場合でも、教員、事務職員への負担増とならないよう配慮していきたいと考えています。 次に、人間性あふれる学校を築く上での現業職員の位置づけというお尋ねがございました。魅力ある学校づくりを行うためには、技能員のみならず全教職員がそれぞれの職責を果たし、学校運営が円滑に営まれることが必要であると考えております。 最後に、民間委託と配置の充実についてお尋ねがございました。技能員の業務は、直接児童・生徒を指導する教員とは異なり、仕事の内容によっては民間委託の方がより効果的な場合もあります。 また、技能員の配置につきましては、それぞれの学校の実態に応じて検討してまいります。 以上でございます。 (教育委員長寺尾好男君登壇)
◎教育委員長(寺尾好男君) 私に対します教育問題につきまして、順次お答えを申し上げたいと思います。 まず、教員採用制度の問題でございますが、先ほど教育長がお答えいたしましたように、教員採用選考審査につきましては、あくまでも公正に行っているところでございます。また、教員採用制度につきましては、絶えず研究し改善に努めているところでございます。 次に、教育委員会のあり方につきましてお答えをいたします。まず第一点は、協議会、秘密会の取り扱いに関するお尋ねでございますが、教育委員会の会議は、毎月一回招集される定例会と必要に応じて招集されます臨時会との二つがありますが、これらの会議とは別に、教育委員会として調査研究等を必要とする場合には、随時、委員協議会を開催をいたしております。 秘密会につきましては、職員の任免その他人事に関する案件などその時点で公表できないものについて、委員会の議決により秘密会としております。 次に、委員協議会や秘密会は極力少なくすべきではないかということでございますが、教育委員会の会議は、人事に関する案件等秘密会にするものを除き、公開とすることで運営をいたしております。なお、実際問題として、人事に関する案件が多いことから、結果として秘密会が多くなることはやむを得ないものと考えております。 次に、教育委員会のあり方について、請願者陳述権の明文化、さらには、それを十分審議するための請願処理規則を持つべきであるというお尋ねでございますが、教育委員会といたしましては、県民の教育に対する要望や課題を把握するため、例えば、有識者や専門家あるいは教育関係者を交えてへき地教育や水産教育というテーマで調査研究をする教育委員懇話会や、市町村教育委員会との交流推進事業などを実施をいたしております。 一方、事務局といたしましても、教育長がみずから現地に出向き、県民から直接意見を聞く一日教育懇談会を実施するなど、県民要望の把握に努めているところでございます。 これまで御質問の教育委員会に対する請願陳述に関する具体的な要請はございませんでしたが、御意見のように、他県には、その内容はともかくとして例もございます。ただ、四国の他の三県には現在のところございません。したがって、そういった他県の状況などを十分研究をいたしますとともに、議会との関係など今後研究課題であると思っております。 次に、会議録によればいじめ問題の論議がなされてないというお尋ねでございますが、教育委員会の会議につきましては、教育委員会事務委任規則で教育長に委任していない教育行政執行上重要な案件について審議し決定をいたしております。いじめの問題に関しましては、重要な事柄ではありますが、審議し決定するといった案件としては本年度教育委員会には付議されていません。 しかしながら、いじめ問題は緊急に対応すべき重要な課題でありますので、委員協議会において研究協議も行い、教育委員としても、文部省のいじめ対策緊急会議の座長であります千葉大学の坂本昇一先生をお招きをし、市町村教育委員の皆さんとともに研修をさせていただきました。今後とも、いじめ問題の解決に向けまして行政、学校、家庭、地域が一体となって取り組みがなされますよう、積極的に対応を図ってまいりたいと思っております。 続きまして、教員定数の問題でございますが、先ほど教育長がお答えしましたように、教員の配置につきましては、教科の調整や学級の増減などの事情によりやむを得ず臨時教員を配置しなければならない場合もありますが、なるべく臨時教員を減少させていくよう努めてまいります。 最後に、私のコメントに関してのお尋ねがございましたが、免許外教科担任の改善につきましては、県民の要望も大きいところでございますし、改善に努める必要があると思います。今年度は相当の改善も図られたところでございますが、今後もさらに改善のための指導の徹底を図っていきたいと考えております。 また、臨時教員につきましては、先ほどからお答えをしておりますように、できるだけ教員採用に努め、臨時教員の減少に努力してまいります。 以上でございます。 (三十九番塚地佐智君登壇)
◆三十九番(塚地佐智君) それぞれ御答弁をいただきましたが、時間がございませんので簡潔に何点か再質問をさせていただきたいと思います。 まず、教育問題につきましてお伺いをいたします。教員採用制度の問題につきましても、「あくまで公正に行っている、絶えず研究・改善をしている」という御答弁でしたけれども、あくまで公正に行っているならば、十三市町村からまでもこうした公正な対応を求めるような意見書が上がってくるはずがないわけです。そこのところの認識は余りに甘く、しかも県民の声に耳を傾けない姿勢のあらわれだと私は思います。その点に関しまして何点か質問をさせていただきます。 まず、教員採用の先ほどの教育長の御答弁の中で、公文書開示審査会の方から開示の要望がございましたが、その点について、出された要望は難しいと、困難であるということはおっしゃいましたが、その結論を、私は検討する部署はどこなのか、その可能性について決定する機関はどこかということを具体的にお伺いをしています。その点は答弁がございませんでしたので、そういう結論を出されるところを明確にお答えいただきたいと思います。 もう一点、採用問題についてお伺いをいたしますが、私は、選考資料集計表の問題に関しまして、高校の場合には配点が記されていると、しかし、義務の方には配点がされてないという質問をいたしました。そのことについて教育長は、「あらかじめ別に配点を定めています」という御答弁をされておりますので、配点を定めているという様式があると受け取りました。配点の内容さえわからなければ、公文書の開示のこの答申の中でも、これは公表して構わない資料だと思いますので、あらかじめ別に配点を定めている資料については公開をぜひしていただきたいと、そのことを要望しておきまして、そうするかどうかという点の御答弁を今ここでいただきたいと思います。 それから、教育委員長にお伺いをいたしますが、教育委員長の方から、教育委員会の会議は教育委員会事務局の方から付議されたものを論議をし、そして決定するのだというお話でした。県民としては、教育委員会の正式会議というのはそれしかしていないのかという、これは驚きになると思います。教育委員会の正式な会議で重要問題が論議をされていないという実態は、私は本当にショックと言いあらわしていいと思いますが、教育委員会の協議会の方で重要問題を論議をされているというのなら、それこそ公開に値すべき会議だと思います。 いじめ問題の協議がいつされたのか、どの協議会でされたのか、その内容を明らかにされるかどうか、この点、教育委員長にお伺いをしたいと思います。 それと、知事ですけれども、現業職員の方のリストラの課題にかかわりまして、学校も組織の一つである以上、見直しがあることも当然だというお話でした。現業職員の削減を容認する立場であって、大変重要な発言だったと思いますし、学校自体も効率化の中の一環としてとらえるのかという点では、知事の姿勢が出された答弁だと思います。現業職の役割と位置づけの認識も含めまして、先ほどの御答弁の真意を知事にお伺いをしたいと思います。 病院問題ですけれども、現在の医療の流れは、患者自身高度医療の中では紹介制度が重視をされてまいりまして、かかりやすい公的病院という点から言うと、性格的に明らかに後退するものになるわけです。三十万市民を抱えている市の、かかりやすい信頼できる公立病院がなくなるという視点は変わらないものだと私は考えておりますので、この点は、二つの公立病院を一つにして高度化する中で、市民にとって身近でかかりやすい医療が遠ざかるという点については、何ら納得のいくものでなかったということは申し述べておきたいと思います。 以上、再答弁お願いをいたします。 (教育長山口勝己君登壇)
◎教育長(山口勝己君) 再質問にお答えをいたします。 まず第一の、審査会の要望についてどこで検討するのかというお尋ねでございますが、今後検討をするということをお答えしましたけれども、検討するとすれば、高知県公立学校教員選考審査方法研究委員会というのがございますので、そこで検討することになると思いますが、いずれにいたしましても事務局内部の検討ということになります。 それから、決定する機関はどこかというお尋ねでございますが、教員採用に係る選考は教育長の権限ということに定められておりますので、最終的な決定ということになれば、教育長の決定ということになろうかと思います。 それから、集計表に関して義務関係で配点を決めているような何か文書があるのかというお尋ねでございますが、公開するような文書はございません。 以上でございます。 (教育委員長寺尾好男君登壇)
◎教育委員長(寺尾好男君) 再質問にお答えいたします。 日時をということでございますが、十二月の二十二日にいじめ問題協議会として研究・協議をいたしております。 以上でございます。 (「内容は公開していませんね」と言う者あり) 内容は公開しておりません。 (知事橋本大二郎君登壇)
◎知事(橋本大二郎君) 塚地議員の再質問にお答えをいたします。 県立学校の現業の職員の方の役割につきましては、先ほど教育長から御答弁をしたとおりでございます。また、その職場の見直しにつきましても、教員や事務職員の方々の負担増にならないように配慮しなければなりません。 ただ、学校も組織である以上、先ほども申し上げましたように、時代の変化に対応した見直しが必要な場合もあると考えております。 以上でございます。 (三十九番塚地佐智君登壇)