高知県議会 > 1995-03-07 >
03月07日-05号

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  1. 高知県議会 1995-03-07
    03月07日-05号


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    平成 7年  2月 定例会(第232回)平成七年三月七日(火曜日)            開議第五日--------------------------------------- 出席議員 一番 植田壮一郎君   二番 岡崎俊一君 三番 門田盛一郎君   四番 武井啓平君 五番 中野善弘君    六番 藤戸 進君 七番 森 雅宣君    八番 長野泰啓君 九番 雨森広志君   一〇番 高村誠一君一一番 西尾一雄君   一二番 東川正弘君一三番 広田 勝君   一四番 溝渕健夫君一五番 元木益樹君   一六番 依光隆夫君一七番 梅原 一君   一八番 岡村聡次郎君一九番 土森正典君   二〇番 西森潮三君二一番 森下博之君   二二番 杉本菅夫君二三番 山本明司君   二四番 鈴木康夫君二五番 結城健輔君   二六番 中平和夫君二七番 西岡寅八郎君  二八番 小松 雅君三〇番 平山公敬君   三一番 熊井一夫君三二番 池脇純一君   三三番 猪野茂行君三四番 中沢潤二君   三五番 森田益子君三六番 市川精香君   三七番 川添義明君三八番 江渕征香君   三九番 塚地佐智君四〇番 梶原守光君   四一番 田頭文吾郎君四二番 萩野郷一君 欠席議員二九番 三石重行君--------------------------------------- 説明のため出席した者    知事       橋本大二郎君    副知事      山本 卓君    出納長      岡林章夫君    理事       高橋敬雄君    理事       河野八朗君    総務部長     渡辺文雄君    企画部長     千頭信也君    福祉生活部長   川見義則君    保健環境部長   清田康之君    商工労働部長   安部 望君    農林水産部長   溝渕栄一郎君    土木部長     村岡憲司君    地域振興局長   鍋島孝雄君    林務局長     刈谷浩明君    水産局長     中西啓純君    港湾局長     笹嶋 博君    企業局長     佐竹紀夫君    病院局長     川村龍象君    教育委員長    寺尾好男君    教育長      山口勝己君    人事委員長    上谷定生君    公安委員長    濱田耕一君    警察本部長    末綱 隆君--------------------------------------- 事務局職員出席者    事務局長        浅田昌男君    事務局次長                山崎聖彦君    兼調査課長    議事課長        林 宏興君    議事課長補佐                井上 健君    兼記録班長    調査課長補佐      岡林和由君    主監          岡林久美君    主幹          武市信彦君    主事          鍋嶋一志君--------------------------------------- 議事日程(第5号)  平成7年3月7日午前10時開議第1 第1号 平成7年度高知県一般会計予算 第2号 平成7年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第3号 平成7年度高知県用品調達及び自動車管理特別会計予算 第4号 平成7年度高知県印刷事業特別会計予算 第5号 平成7年度高知県土地取得事業特別会計予算 第6号 平成7年度高知県災害救助基金特別会計予算 第7号 平成7年度高知県母子寡婦福祉資金特別会計予算 第8号 平成7年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第9号 平成7年度高知県流通団地造成事業特別会計予算 第10号 平成7年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第11号 平成7年度高知県県営林事業特別会計予算 第12号 平成7年度高知県林業改善資金及び国産材産業振興資金助成事業特別会計予算 第13号 平成7年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第14号 平成7年度高知県流域下水道事業特別会計予算 第15号 平成7年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第16号 平成7年度高知県水産指導実習船特別会計予算 第17号 平成7年度高知県電気事業会計予算 第18号 平成7年度高知県工業用水道事業会計予算 第19号 平成7年度高知県観光施設事業会計予算 第20号 平成7年度高知県病院事業会計予算 第21号 平成6年度高知県一般会計補正予算 第22号 平成6年度高知県土地取得事業特別会計補正予算 第23号 平成6年度高知県流通団地造成事業特別会計補正予算 第24号 平成6年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第25号 平成6年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第26号 平成6年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第27号 平成6年度高知県流域下水道事業特別会計補正予算 第28号 平成6年度高知県電気事業会計補正予算 第29号 平成6年度高知県観光施設事業会計補正予算 第30号 平成6年度高知県病院事業会計補正予算 第31号 行政改革を推進するための機構改革に伴う関係条例の整備に関する条例議案 第32号 高知県国民体育大会施設整備基金条例議案 第33号 高知県立ふくし交流プラザの設置及び管理に関する条例議案 第34号 高知県動物の保護及び管理に関する条例議案 第35号 高知県立自然公園施設の設置及び管理に関する条例議案 第36号 高知県立紙産業技術センターの設置及び管理に関する条例議案 第37号 高知県立足摺海洋館ほか六施設における子供料金の無料化に伴う関係条例の整備に関する条例議案 第38号 高知県立学校授業料等徴収条例の一部を改正する条例議案 第39号 高知県職員定数条例の一部を改正する条例議案 第40号 地方自治法第二百三条に規定する者の報酬、期末手当、費用弁償等に関する条例及び職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第41号 職員の育児休業等に関する条例等の一部を改正する条例議案 第42号 職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案 第43号 職員の退職手当に関する条例及び企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例議案 第44号 職員の退隠料等に関する条例等の一部を改正する条例の一部を改正する条例議案 第45号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第46号 高知県議会の議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例及び選挙公報の発行に関する条例の一部を改正する条例議案 第47号 高知県立女性就業援助センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第48号 高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案 第49号 県営住宅の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第50号 高知県港湾施設管理条例の一部を改正する条例議案 第51号 高知県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例議案 第52号 高知県高等学校定時制課程及び通信制課程修学奨励資金貸与条例の一部を改正する条例議案 第53号 公立学校職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県地域改善対策奨学資金の貸与に関する条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県警察の設置及び定員に関する条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県警察の設置及び定員に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例議案 第57号 警察職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案 第58号 平成7年度当せん金付証票の発売総額に関する議案 第59号 県有財産(土地)の譲渡に関する議案 第60号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第61号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第62号 県が行う土木その他の建設事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第63号 広域基幹林道開設事業日見須大成川線(日見須隧道)工事請負契約の締結に関する議案 第64号 宿毛工業高校屋体改築主体工事請負契約の締結に関する議案 第65号 国道439号道路改良(古味口トンネル)工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第66号 県道高知南環状線住宅宅地関連公共施設整備促進事業に関する委託契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第67号 鎌井谷ダム建設工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第68号 有料道路「高知桂浜道路」の事業の一部変更に関する議案 第69号 高知県収用委員会の予備委員の任命についての同意議案 第70号 高知県収用委員会の委員の任命についての同意議案第2 一般質問 (3人)--------------------------------------- 午前十時三分 開議 ○議長(岡村聡次郎君) これより本日の会議を開きます。--------------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(岡村聡次郎君) 直ちに日程に入ります。 日程第一、第一号から第七十号まで、以上七十件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第二、一般質問をあわせて行います。 二十三番山本明司君。 (二十三番山本明司君登壇) ◆二十三番(山本明司君) 私は、過去四期十六年間、この県政の場において先輩同志諸氏よりいろいろと御指導を賜り、私なりにより理想で健全な県政を目指して努力いたしてまいりました。 私は、最も人生にとって基礎づくりの二十歳までは、これまた人類の不幸というか、避けて通れぬ繰り返す戦いの中に育ってまいりました。人だれしも争いを好むものはないはずですが、民族が子孫が生きてゆくためのあがきであり、情報の少ないゆえに理解と協調の場がなく、蛮力すなわち戦いによりみずからを守るという、今私たちに言わせますと大変恥ずかしい戦争の繰り返しでございました。 よく歴史に見てみると簡単に戦争とか侵略とかに片づけるような歴史ではありませんが、地球上に人類が生まれ、文化をはぐくみ、地域社会をつくり、また、未知の世界を探検し、みずからの旗を立て領有を宣言し、今をさかのぼることわずか五百年前、欧州人コロンブスマルコポーロたちの「アジアの東に黄金文化の栄えているユートピア郷あり」と聞き--これは日本を指してでありますが、そのときコロンブスは、「地球は丸い。逆に西から行って先に黄金の国に旗を立てよう」と航海し、着いた所がアメリカ大陸。欧州人の世界制覇とも言える侵攻により、我々と同一民族と言われるインディアンが狩猟民族としてベーリング海峡を渡り、アメリカ大陸を南下し、先住民としてインカ帝国に見られるような一大文化を築いてきておりますのに、徳川三百年の近視眼的鎖国政策のため、間宮林蔵や山田長政らの努力も日の目を見ず、ハワイやオーストラリアにも旗を立てられ、日本は細々と北海道のみをいただいて、限られた四島に人口はふえる。いよいよ徳川鎖国のツケが回され、今日のような世界流通経済に到達しておらず、日本民族が生きるためにやむにやまれず、背に腹はかえられぬと立ち上がったのは第二次大戦であります。いろいろ複雑な経過、見方はありますが、申し上げる時間がございませんが。 不幸にして、そんな我が国を取り巻く環境の中に私は育ってまいりました。そんな悪運の出会いの戦争も原子力爆弾の脅威・威力により物の見事に敗戦を迎え、原爆に対し論じられておりますが、亡くなった方、被爆者の方には人類の仕打ちとしてまことに遺憾に残念に思いますが、戦争がエスカレートして思い上がり行き詰まった日本にとっては不幸を転じて幸いとなるきっかけとはなりましたが、あの人類最悪の惨事を招いた我々日本人は未来永劫平和に徹すべきであります。 そんな中、私はあくまでも運が悪く、日ソ不可侵条約の中、関東軍は戦う意志もなければ兵器もない中、その不可侵条約を一方的に踏みにじり、昭和二十年八月八日、全満州にソ連軍の怒濤の進撃を受け、わずか一週間の一方的爆撃、戦車により全満州はめちゃくちゃとなり、無抵抗の日本将兵を全満州の物資略奪の使役として酷使し、あげくの果ては、「いよいよ帰る--ダモイ」と言って厳寒のシベリアに強制連行したのでございます。 国際法上、人道上、敗戦国の将兵は一日も早く祖国家庭に復帰させ平和な生活に返さねばならぬのを、無謀なる共産主義のソ連は、ポツダムにおいて日本の降伏の話し合いに--後から加わったのでございます、加わり、北海道をどうしてもとると、欲しいということで、それをですね、アメリカはどうしても渡さないと反対したものですから、それに腹を立てたスターリンは、長く続いた戦いに疲弊こんぱいの極に達しており、食うに食糧なく、住むにろくな家もないそのソ連の戦後復興に日本将兵を苦役として連れて行き、六十万中八万とも十万とも言われる我ら戦友が見るも無残、語るもむごくて言葉も出ない中に死んでいったのであります。あのソ連の非道きわまりなき仕打ちがなければ、あのむごたらしい中国の残留孤児の問題もなかったと思います。仮に、アメリカならば秩序正しく日本に引き揚げたと思います。そんな約一年半ぐらいの最もひどいこの世の地獄の中、ソ連に行ってから、田舎者である私は、貧乏したゆえか案外粘り強く九死に一生を得て生き延びました。 次は、折からのイデオロギーの闘い、これまた人類に最大の不幸をもたらした。ドイツ人のマルクスが商売に損をした怨恨により生まれた思想にエンゲルスが理論化し、折からツァー帝政の最悪環境に苦しんだロシアがその共産主義の実験地としての貧乏くじを引き、レーニンのこじつけ、スターリンの野蛮軍事力による血の粛清、弾圧の中、加えてソ連は気違いヒトラーとの闘いに勝ち誇り、いよいよ共産主義の亡者となり、我々捕虜にも「働かざるものは食うべからず」とバム鉄道工事に、伐採に、炭鉱に、死に放題酷使し、その上まことに情けない、みずからをインテリと自負する日本人が--日本人ですよ、積極的にソ連の思想教育、洗脳にみずからが飛び込み、ソ連のお先棒を担ぎ、戦友日本人の多くを反動だと決めつけ強制重労働に追い込み、そんなとき私もこの思想には興味を持ち理論と実際で勉強もしておりましたので、私がそのアクティブの連中に「ソ連の共産革命は、マルクス・エンゲルスの唯物弁証論によるものではなく、非民主的搾取の極に達したロシアによる民族を悪用・利用したに過ぎぬ」と言うものですから、その方々が「高知県の山本は大反動分子」と、つるし上げられまして壁新聞にたたかれ、ついに強制労働隊に出されることとなり、私はそのとき日本人の病院の責任者で、私がいないと病院の政ができないものですから、アカデミーの資料あるいは病床日誌、スチーナカジェタ、そういうものも私が全部原稿を書きました。ロシア語で私が書いております。そんなとき、病院側の政治部員にアブラーモクという非常に仲よしの政治部員がおりましたが、「山本をとられては困る、山本は強制労働隊に行くと死んでしまうかもしれん」と心配してくれ、私に「猫をかぶって共産主義者になれ」と、「ぜひ教育を受けて次の弁論大会に出て一席やってくれ」と頼まれ、一時期方向を変えボリシェヴィキの歴史--教科書ですが、本も丸暗記するほど読んで生き延びてまいりました。 申し上げましたように、ソ連では、ゆえなき強制抑留され酷使され死んでいく日本人を同胞日本人みずからが侵略者・反動と決めつけ、死に追い打ちをかけたのでございます。それがいまだに尾を引き、帰国後の団体も真っ二つに分かれております。 片やソ連派は、「偉大なる同志スターリン万歳。祖国ソ連のために働こう」と叫び続けてまいりました。 あるとき、たしかナホトカであったと思いますが、昔アクティブであった宇都宮さんに帰るときぽっかり会ったわけであります。その方は、ハルピン工業大学の冶金部を出られておりましたが、私に「シベリアではすみませんでした。私は、その後の勉強で、理論によって共産革命が起きたのではないとよくわかりました」ということを言われたことをいまだに忘れておりません。 いよいよ日本に帰ってみて驚いたことは、当時のマスコミの中にも、学生、文化人を自称なされる方々にソ連の思想がそっくりと日本に上陸しざわめいており、これはどうしたことか。特に、本県高知県は左が強く、私は、帰国してすぐ農協の組合長、村会議員、村長として--村長のときは全国過疎対策の委員の任命を受けまして欧州へも四十日ほど行きましたが、県政の一部としても相当報告もいたしましたが、そのときに知事の取り組む空港、高知新港、高知駅高架・駅前再開発、原子力発電所、宿毛湾CTS・石油備蓄、教育問題、庁舎のOA化などなど、「革新」と唱える方々が戦争につながると一つ覚えでことごとく反対し、革新どころか、最もおくれた保守一徹の方々が多く、この本県で当時革新と思い込んでいた方々には大変な時代錯誤があり、坂本龍馬を中心とする明治維新と連動していたように思いますが、明治維新の背景は徳川三百年の封建制度、それに立ち上がった土佐維新の烈士であり、そんな気取りであったようでございます。反対にこの敗戦後手にした我々民主主義の中で、戦争は放棄し、いよいよ民主主義、平和、産業振興、福祉社会の建設へ急ピッチで進まねばならぬのをことごとく反対し、遅々として県政は進まず、常識ある多くの県民があれよあれよと嘆くうち、私はこれではいかぬと意を決して県議会に出てまいりました。 出てよりこの場で、空港の必要性、原子力の平和利用・発電所、石油のない我が国への備蓄の必要性、教育問題に私なりに勉強して取り組んでまいりました。私はその間あちこちに行きましたが特に感銘を受けたのは、二度行った愛媛県の菊間町で見学しました素掘りの岩盤地下に巨大な空洞をつくり石油備蓄をしているのに、本県では、宿毛の港に、地上に堅牢な備蓄基地も戦争につながると許されず、ついに中内知事は原子力発電所もCTSも腰を引きました。 随分長い道草を食い、税金のむだ遣いをしてしまいました。おくれおくれして、空港の一次と高知新港は着手できました。 私は、県議会に出て二期目に、あることから知事と職員組合の間に人事に関する協定書があることを突きとめ、大統領制の中の知事のだれにも侵されてはならない人事権を踏みにじられているのを聞き、同志議員と取り組みましたが、組合がえらく、知事がへっぴり腰で正常化できず、議員の一人としてふんまんやるかたなきとき、天も高知県を見捨てずか橋本知事の出現となり、知事は、何が正常か、何が県民の多数のためか冷静に判断し、決断し、二十余年にわたる県民不在と言われる不都合な行政について終止符を打ったのであります。 これが本県の行政、経済、教育すべてのおくれの原因だと多くの県民が悩んでおりましたが、その悪の根源が断ち切られ、私は、今までもどうも本県がひん曲がっているのは自民党先輩議員のお人よしの責任だと言ってまいりましたが、私もついにその中に入り、県会議員の一人としてすっきりしたことができずもどかしい毎日でしたが、いよいよ知事が断ち切ってくれたので、私の役割は終わったと思ってこれ限り県議には出ません。思いおくことはさらにないわけでございます。 いま一つ、世界で不安定な国と人民を恨み合わせ、戦い合わせてきた共産主義も七十三年の蛮力の試験の結果崩れ去り、知事は本県の天運を開いてくれた出会いのよい男と言えます。 ここで、知事の第一期の最後年度を本年に迎えるに当たり、予算についてみますと、あれほど職員の嫌がる情報化の取り組みに対して、二月二十一日の高新にも惜しげない賛辞を送っておりましたが、私も知事の説明中十一ぺージを開いて、実は驚くと同時によくこれまで取り組んだものだと感謝いたしておりますが、本年は中四国で初めてニューメディア祭を開催し、国際的に広く利用されておるインターネットに県工業技術センター、教育センターを接続する。教育にミックスドメディアなどを取り入れるとすばらしい速さで人間能力の開発が促進されると言われております。 また、大変厳しい中山間農業に悲観的になると明るいものは何もないと言えるものを、絶えず住民に希望を持たせ、創意工夫を呼びかけ、やる気の地域、住民には土地問題、施設など、中でも小規模な土地改良など大変に喜んでおります。 橋本知事は、よそより高所から鳥瞰的、マクロ的に土佐を見て、工科系大学を初めやらねばならぬ思い切った政策を心に描き、公約し、着実に具現さすべく努力いたしております。 その政策の中、よく言葉に出る「文化」、このたびの政策説明の中にも最も重要なキーワードの一つは「文化」だと言われております。ここで、土佐文化の夜明けと言われております津野山郷について、これは若干手前みそにはなりますが全段御紹介して、中山間地津野山郷の歴史、文化、観光、農業への関連について質問をいたします。 土佐の歴史について勉強してみますと、まず紹介されるのが「土佐日記」の紀貫之であります。その貫之より三十五年早く、中央の政変により今の津野山に家来や文化を連れて安住の地として落ち延び、隠れ住みついたのが藤原経高、そのとき改めて津野経高であります。大和、京、難波に栄えた文化が瀬戸内海を南下し、政変により、現在のように社会保障はなく、急遽隠れ住んだのが土佐の山奥であったと思われます。 土佐は、表は波高き太平洋で、難波よりの船の行き来は困難で、東部は剣山、中央は石鎚山と男性的な峻険な山に人を容易に寄せつけず、西は天狗高原、四国カルストは女性的高原と言われ、二億五千万年前は海で次第に隆起し、ドリーネやウバーレの侵食により準平原としてカルスト台地では世界一高く長いと言われておりますが、非常に美しい人の往来が容易な山となり、時の藤原家もこの地に落ちつき津野と改め、しばしの間政治的根拠地として四国を約半分ほど平定したのであります。 その津野家は、何と二十一代も続いたのでありますが、五百年ほどして入国してきた長宗我部元親に滅ぼされます。その津野家が入ってきて約三百年した正中二年--一三二五年に東津野村船戸に生まれた義堂--管領足利基氏の政治顧問をされ、後足利義満を教えた名僧義堂周信と、同じく東津野村船戸に生まれ三十三才で中国に渡り文学と仏教を修めて帰国し将軍足利義満の政治顧問をした絶海中津。この二僧は、後人より室町文化の中心五山文化の双璧として伝えられ、日本文化史に大きな足跡を残しております。なお、この二人は夢窓国師と深い関係があり、津野山地方には国師の行動が随所に残っております。なお、京都南禅寺に義堂周信、天竜寺に絶海中津の等身大の木像が祭られております。 事ほどさように津野家の持ち込んだ文化の足跡は多く、津野山神楽に代表されるごとく、南方より漂着した民族と朝鮮半島を経路とした大陸関係の先住民がいずれも先陣争いをし、「我こそが」と語部に語り伝えてきた神話が神楽となり、まさに日本歴史に出る神話がそっくり描かれております。 それが雑文化の頻繁に通過する宮崎高千穂や島根出雲地方ではやつされ変形してきておりますが、草深い津野山には他の文化があまり通らない秘境なゆえに本物が生き残り、他に念仏堂の口明け、蒙古の来襲の伊勢踊り、花取り、庭払いなど、あまたの民俗芸能が残っており、神社、寺院、民家も木造として古い歴史を持つ長州大工が入り、その大きな家がいまだに残っており、重要有形文化財の回り舞台、それにまつわる江戸時代の歌舞伎や能の原型の姿、衣装装束なども残っており、今をときめく四万十川の源流地として四国山脈・山麓の特色ある民俗村として、あるいは歴史村として、大きな家は民宿に利用さすなど、知事は津野山地区を--別々にやらすとええかげんなことしますから、知事に指導してもろうて、関連ある開発をお願いするものでございます。 また、近ごろは、津野山へ奇人変人というか芸大、音楽大を出たやせた口ひげぼうぼうの若者が津野山に住みつき、あんまや、版画彫り、あるいは庭つきなど、あるいは祈祷、古い空き家、寺などに住みついておりますが、「あれば食う、なければ我慢」という「武士は食わねど高楊枝」の言葉を地でいく同類であります。 私の部落の旧寺地に間伐小径木を集めて六角の庵を建てており、中はギターの盛り場のようです。やはりこれも津野山の歴史に生きる人柄の里の魅力ではないか、土佐の維新の志士もあの包容力のある太っ腹の津野山人が道を開いて通してやったのであります。 当時、土佐四天王の一人、吉村虎太郎--この吉村虎太郎は私の村に生まれ、まさに維新の先導者、脱藩の道を開いた男ですが、早く行き過ぎて天誅組で討ち死にをするが、松山深蔵、上岡胆治、宮地宜蔵、いくらでも津野山には維新志士が多く出るものですから、土佐の文豪大町桂月氏が布施ヶ坂に上ってこんな詩を残しております。「羊腸の路は入る鳥声の間。訪わんと欲する勤皇豪傑の跡。車上身は閑なれど心閑ならず」--非常に羊腸の路を人力車で上がってきた、身は狭いけれども心は広々という維新の、この多く出ておる烈士のルートに驚嘆した歌でございます。 橋本知事の文化行政の生き手本として、津野山地域を、近代ハウス農業もある中に、日本山岳民俗の生きた化石というか、標本としての観光農業を指導・育成してもらいたい。また、知事ならできると思いますのでやってみてもらいたいと思います。県議会を去るに当たり、強くお願いをしておきます。なお、御見解を承りとうございます。 ちょっとつけ加えますが、民俗芸能の生き継ぐ観光山村として、まさに実りの秋、神楽殿に集まり独特なはやしの中、声を出してはしゃぎ熱気の中に芸は盛り上がり、さながらフランスのムーランルージュかリオのサンバのような雰囲気に包まれます。違うのは金がいらぬわけです。これは全部地元が持ち寄ってやるわけですので、知事も一度ぜひ来てもらいたいと思っております。 次に、四万十川、四国カルストを含む一帯の国定公園昇格について、これも工科大に取り組む勢いで知事がやる気を出せばたやすくできると思いますが。 その昔、私たち東津野村村政に取り組んでいたとき、天狗高原--今の四国カルストのあの美しい山を県立自然公園にと運動を起こしまして、当時愛媛大学にケイビングクラブといって龍ヶ洞を発見した山内先生を中心とするクラブがありましたが、その方を先生に迎えまして大変指導を受けて、できれば愛媛両県またがってと思いましたが、当時愛媛県に峯雲という大変難しい自然保護者がおられましたし、結果的に愛媛県とは同調できず、ついに梼原の一部をお願いして溝淵知事のとき、高知県立自然公園天狗高原と指定を賜り、そのとき、大変お世話になった先生方に、今の地質学者のやめられておりました高知大学の甲藤次郎先生、牧野植物園をやられておりました山脇哲臣先生など大変お世話になりました。そのほかに大勢の方を思い出しておりますけれども、--もう他界されておりますが。 その後ほどなく愛媛県と梼原が立ち上がり、「西の大野ヶ原、その北の大川嶺までを「愛媛県立自然公園四国カルスト」と名づけたい」と、梼原を通じて、「県溝淵知事に申し上げるよう協力してくれ」という申し込みがありました。私は溝淵知事に話しましたが、知事は大変嫌がって、そのときは何年か前ですから、「二、三年前には乗ってこずに、久松知事が、今ごろ立ち上がり名前まで変えさすとは虫がよすぎる」となかなか話がつかず、私の案として「四国カルスト天狗高原」と残すことで両県を納得させたのでありますが、そのとき私たちの条件として、「両県がやれば次は国定公園に」と下話はできておりましたが、石灰石採掘鉱区の設定で愛媛県が腰を引き、当時大野ヶ原に三井が大々的な石灰石の採掘を計画しておりました。私は、この山は高知県がリードをとるべきで、というのは、国定公園に取り組むにもこの四国カルストは、静岡から見た富士のように、やっぱり高知県から見た四国カルストはきれいで美しいわけでございます。ということで、愛媛県が力は入れんということで申し上げましたけれど、ついに力及ばずしてやめております。 愛媛県はやっぱり人気が高知県にとられると思った。それと同時に、申し上げますが、「国定公園足摺に宇和海をつけて国立公園」と猛運動をやったわけでございますが、それから早くも公園になりまして十数年経過いたしました。 その間、だれも予期していない四万十川が最後の清流として異常なほどにテレビ・マスコミが力を入れまして、カナダやスイスに行っても日本の四万十川は有名になりました。今度は、愛媛にあまり無理を頼まずに四万十川源流域・四国カルストを含め国定公園に昇格できると思いますので、ぜひ取り組んでもらいとうございます。 四万十川よりカルストを縦走する大規模林道も完全二車線で七年度--ことし中に東津野城川線も天狗までは完成いたします。えらいもんで知事が初めて天狗に来られて、ツルの一声、見にくい電線も埋め県道の部分も拡幅してもらい、この大規模林道には私も、歌舞伎の寿司屋じゃございませんが--若干いがみのごん太も思い出はございますが、大変よくできましたことを関係者に心から感謝申しております。ここだけが国道百九十七号線からの登山口となっております。 あのカルスト台地の東の方に大引割、小引割、ドリーネ群、ウバーレ洞窟すべてがありますので、県の学術文化財の指定も呼びかけておりましたが、これもやまっております。 なお、西の景観のよい大野ヶ原は、梼原町と愛媛県のたびたびの境界争いがあり、今は愛媛県が勝っております。ここで橋本知事にぜひよろしくお願いして、本県でのみ国定公園にしていただきとうございますので、お願いをして御見解を承っておきたいと思います。 次に、沿道修景美化について質問いたします。私は、昭和四十七年、村長のとき全国過疎の対策委員として選ばれ、欧州八カ国を四十数日調査して勉強してまいりましたが、そのときスイスや西ドイツのバイエルン州の道路を見て、その美しさに圧倒されました。山どめの石垣にはその水はけの穴を大きくとり、それにことごとく花を添え、民家の窓、ベランダ、手すりにもそれぞれ美しい花が彩られ、さながら国土全体が公園・ロードパークとの感を強く受け、深く印象に残っております。 私は、県議会に出て何回か、沿道を美しく景を修復し、あるいは景を添えて、全国に先駆けて全県土が公園化するよう呼びかけてまいりましたが、その後県の道路行政も思い切った取り組みをして、近ごろは、道路によっては花木を植え、地域の方々も競い合って四季の花を鉢等で飾り、美しい道となり、すがすがしい心でドライブができます。 ただただ不愉快な思いをさすのが、空き缶の投げ捨て、タバコの吸い殻の投げ捨て、廃車の道端放置の問題であります。私は、全国都道府県議長会の特に老人福祉関係の調査団として一昨年アメリカに十五日ほど、主として行政関係を調査しましたが、日本のような飲料水などの自動販売機は一台もなく、スーパーの中あるいは会社の中にぽつぽつありましたが、事務所に行ってもどんな県庁へ行っても茶酌みはおらず、飲みたければみずからが廊下に出てコックを押して飲んでくる仕組みになっております。私がアメリカでお土産にもらった物は、ほとんどが小さい缶に水を持っていて管を押し込んで飲むという容器--小さいストローのついた水入れで、飲みたい茶水は持っていけというわけです。だから、道端に空き缶が投げ出されておらずに、健康上も、缶の中には防腐剤が入っておりますから蓄積すると身体をむしばみ、健康には必ずよくありません。 本県もできれば自動販売機の禁止はできないものか--これは難しいでしょうが、車からポイした人を見たら各運転手にメモカードを送り、ナンバーを書いて回収し、たび重なる人には注意するとか、いろいろあると思いますが、県で取り締まりの姿勢を宣言するだけでも相当な効果はあると思います。 次に、一番大事なことは廃車の問題です。これは初めより有料なりそのほか何かあると思いますが、メーカーに引き取らすような取り組みをすべきと思いますが、農機具も廃船も同じように取り組むべきであると思いますが、美しい県土を守ってもらいたいがゆえに、部長の積極的な取り組み、答弁をお願いしておきます。 次に、シベリア抑留者に応分の事務費を、県費助成をもらいたくお願いの質問をいたします。第二次大戦終戦後、海外に出兵していた日本将兵は、敗戦戦場より帰国の途につき船に乗るまでの間、アメリカ、イギリス、中国等においてその滞在の証明書をもらえば日本政府は金を出しております。 我々ソ連関係者は、日本に返すどころか、先般申し上げたように、無謀にも厳寒のシベリアに強制連行し、衣食住最悪の条件下、しかも降伏した将兵、丸腰の関東軍は戦う意志も条件もなくただただ家に帰れると信じきっておるものを、こんなむごたらしい仕打ちは歴史上ありませんし、またあってはなりません。その我々抑留者は、三年、五年と労働酷使されて八万とも十万とも言われる死者を出し、残りの者が二十三年、四年と帰国いたしましたが、政府は見舞い金もくれず。私たちは、一人五千円ずつの会費を出して政府に補償要求を二十年間余り運動してまいりましたが、世論も政府もこのシベリア関係者には不思議に冷たく、先般申し上げましたように、特にマスコミの中には日本侵略の結果だと早合点した者、片や、「おまえたちは、ソ連のために働いたのだからソ連に請求をせよ」など、私たち情けなく、開いた口がふさがらぬとはこのことでございますが、中には心ある先生方もおられます。名前は申しませんが、ある有名な大学の教授は、「原子爆弾であれほどマスコミは騒ぎ、国を挙げて補償し取り組んでいるのに、これはいずれも戦時中の日本人だれしも何かの犠牲を受けているのに、ただただシベリアの関係者は戦わず、しかも終戦後にあの仕打ちで、何とか政府も補償すべき」と言われております。 私なりに考えてみますと、六十万、余りにも数が多すぎる。政府も金の量を考えて何だと思いますが、マスコミもソ連の態度にはほおかぶり、政府もこれ幸いと逃げてきたと思います。 そんな中で、運動がやっと認められまして基金として二百億円を調達することになり、やっと一人に十万円と杯です。一人十万円ですよ、私ら何百万もらうかと思った。竹下首相の簡単な慰めの書状で打ち切られてしまいました。この上は、政府は「ソ連に請求をせよ」と矛先を変えているときソ連はなくなり、私たちはその二百億の果実で墓参・遺骨収集に取り組んでおりますが、何としても金がなく、私は、財団の法人抑留者協会の補償要求連合の日本の十五名の役員理事を務めております--その四国代表でございますが、その責任上二度シベリアに墓参いたしましたが、約百万円自費を出しております。私は、足腰の立つうち、自分の責任で埋葬している九十柱を掘り起こし、慰霊をせねば死に切れぬ気持ちでございます。 私は、一昨々年墓を捜しに行きましたら、スターリンの命令で山の病院跡は焼き払われ跡形もなく、連れがとめるのを奥へ奥へと進んで、大木が異常に太っているところに病院の便所の跡を見つけ--これ日本の捕虜の糞便でちっとは栄養もあったと思いますが、太って、そこで病院も墓場もわかりましたが、ロシアも主として日本人のシベリアの墓地は全く無視しております。 そんな折り昨年五月、外務省より私が指名を受けまして、ドイツ、イタリア、ルーマニア、フランス、イギリス、オーストリア、ポーランド、日本と八カ国が、モスクワの南約五百キロの地点にタンボフという市がありそこに集まり、その近く、マルシャンスクという第二次大戦で一番ロシアが戦ったところでございます、そこに戦後、捕虜の墓を集めて慰霊碑を建てるということで--これはロシアは既に建っております。ロシアはもう全部の名前を刻んで建っておりますが、立派なのが。それにその各国が集まってそれを村につくるということで立派な見本・計画を持ってまいりましたが、ここには日本人将校の墓が五十七人、これは非常によく祭られております、一人ずつ。その隣奥には、ドイツ人の墓が五人ずつ。したがって、そこらからもドイツに対する--これは戦った国ですから、あったかと思いますが、日本の将兵に同行した兵士の墓もあります。いずれもきれいになって祭られておりますが、ドイツを初め各国からは毎年青年が主となってボランティアですね、墓の清掃と墓参りに来ております。 三日間の国際セミナーで、日本とドイツを除く他の国は大賛成で、私は、日本外務省が横におって御機嫌斜めでしたが、日本はシベリアでの本当の墓を捜しだし、その遺骨を集め、慰霊が先で、ロシアは全く金がなければ北方領土を日本に売り、おりたい者はおってもええじゃないかと。その金でにせ墓でなく本物の墓をつくれ、と。そしてその墓には、日本文字で氏名--今ならまだわかりますから、氏名を書き、全部はわかりませんよ。けど、その死んだ名簿はありますから。そして、そうすれば、墓参りも来れば、相当観光収入に回るということを申し上げました。 それから、モスクワに「土佐藩」といって高知の「土佐藩」が行って大きな料亭をやっているんですが、そこにキリケエンコウ--東洋研究所で、元はゲーペーウーの偉い人ですが、を招きまして、このことも話ししなきゃと。おもしろい案じゃということでしたが、ここでもドイツ人の気骨を見せつけられました。「ドイツ人は戦いにロシアに負けても魂まではつつかさん」と怒って、三日目の晩方その会をけって帰りました。三日間の会を終えて私たちもモスクワに夜汽車で帰りまして、モスクワ大使館の公使二人に立派な日本料亭に昼食を招かれまして、「私たち、今まで日本将兵の立場の苦しみを知らず、外交上ソ連の顔を気にし過ぎていた」と謝りともとれる慰めの言葉がありました。 このような中で、本県全抑協の事務局に二人出て事務処理をしておりますが、給料というものはほとんどありません。私たちのわずか千円の会費ですが、いろいろ金がいるものですから気の毒で耐えられず、まだこれから墓参り・遺骨収集にも行かねばなりません。そういうことで、県には他の関連する団体に入っておられますが、私たちも直接、間接恩恵に感謝しておりますが、その点をひとつさらに考え直していただくよう要請をいたしておきます。 去る本年一月十七日午前五時四十六分、阪神大震災、一瞬にして五千四百余名の生命を奪い、何十万の被害者に対し心より慎んでお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興と犠牲者の御冥福を祈るものであります。 私はかねてより、国際的経済社会の仕組みの中で、物流に安い海--太平洋沿岸が経済のベルト地帯にできることは、これは自然の成り行きでもあろうが、今までは過疎対策は過疎化対策となり、過密対策は過密化対策となってまいりました。 私は、「こんな手法では、万一の天災のとき連鎖大災害を惹起するのだ」と言ってまいりました。まず都市に人が入りにくい、ならば、道路を二階にし、三階にし、地下にと、空間は飛行機で。東京を見ても、東京湾岸道路・東京湾横断道路、とどまるところを知らぬ技術と資材をもてあそんでおります。生活住宅は、ビル・マンション化してとどまるところを知らないわけでございますが、片方、その工事のため過疎地より人夫は駆り出され、やがてはその人夫が定住し、定住したからまた病院が足らない、学校が足らない、その建設にまた過疎地より人夫が駆り集められる。次は水が足らぬ、また、大々的な工事に人が集められる。こんな政策では、人は都市に集められ定住し、過疎地は医者が成り立たぬ、学校は廃校、もちろん商売も成り立たず、部落は廃虚となり老人ばかりが残り、やがては消えていくであろう運命にあります。 このおびただしい都市への社会資本の掘り返し・再重投資をいいかげんにやめて、第三次元の世界というか空間の広い地方に、通信は問題ない、通信、これはもう瞬時にいきますが、流れのよい道路を抜き工場の分散を図っていくべきと思いますが、今、本県も工業団地も計画いたしておりますが--本県もやってます、相当やってる、神戸の方々に「土佐に来て靴をつくってくれませんか。住宅を初め工場には十分な対応をしますが」と呼びかけてみてはどうでしょうか。「打たぬ太鼓は鳴らぬ」と言われておりますが、けさもテレビで、後始末に相当トラブルが起きております。被災地で高層マンションに入った生活では、頭の上の便所が、取り合いに重なるわけですから、また被害に遭えば、腐れば、これは健康やトラブルのもとになるわけでございますので、この点積極的な考えをお願いしてみます。 次、いじめの問題です。この問題はいろいろ論議が尽くされましたが、この問題は難しいことはありません。修身教育・道徳教育の不足によりであります。 人間も動物であり、だれしも本能的なことは相通ずる面が多かろうと思いますが、万物の霊長と言われる人間は、教育により理性、人間社会人としての自覚・協調、人の人格を尊重することにより、人間らしい平和な社会を維持してゆく義務があります。それを教えるのが学校であり、家庭であり、社会であります。それを「修身教育・道徳教育は戦争につながる。そんな上の言うことは聞くな、反動だ」と言いふらすものですから、戦後の教育を受けた方々はこんがらがって、基本的人づくりを教える自信を失っておるのではないかと思われます。それが、金が欲しければそれ強盗、それ誘拐と短絡につながっていくのじゃないかと思います。生徒には毎日、この行動は、今の行動は人に迷惑をかけぬか、父母に兄弟に心配はかけないのか、人の立場を侵してはいないか、みずから絶えず判断し、みずからを律していく教育を繰り返し繰り返し徹することであると思います。 教育長は、このことはどう思われますか、お伺いをいたします。 最後に、公選知事の顕彰について、私は外国もいろいろ見ますので、どこに行ってもどんな国に行っても知事たる者の写真、胸像がいっぱいございますが、本県ではどこにも胸像を見たことがありません。公選知事は川村和嘉治、溝淵増巳、中内力、橋本現知事ですが、せめて大統領制公選となってからの知事だけでも、千年たっても変形も変色もしない焼けもしないセラミックス--銅板焼きつけの写真で、メインとなる知事応接室や玄関、県民広場などに顕彰すべきと思うが、外国には胸像も多くありますが、家の狭い日本では仰々しく感じますので、かなり大型のセラミックス写真をつくり、本県の歴史の顔を県内外人にすっと見せて思い出し想像できるようすべきと思いますが、総務部長に聞きます。 総務部長さんは、過去の公選知事のバトンタッチの劇をあまり知らないと思いますが、それが原因で写真も上げていないと思う節もございます。橋本知事のとき、今顕彰を初める最もよい時期と思いますので思い切ってやってもらいたく、これに対しては積極的な御返答をお待ちをいたしております。 いよいよ議員各位、執行部の皆様、そしてマスコミの方、長い間いろいろお世話になりました。再度立たれる議員の方々は油断なく戦って当選され、内外歴史的大変革の大事なこのとき、名知事とともに県政の躍進へ各位の御健勝、御健闘を心から祈りまして、すべての質問を終わりごあいさつにかえさせていただきます。 今日はどうもありがとうございました。(拍手) (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 山本議員の御質問にお答えをいたします。 まず、津野山地域の歴史と文化についてお尋ねがございました。高岡郡の東津野村と梼原町にまたがる地域は、古くから津野山郷という呼び名で知られておりまして、国指定の無形民俗文化財「津野山神楽」や同じく国指定の有形民俗文化財「高野の舞台」など、土佐の山の民の温かい心を受け継ぐ数多くの貴重な文化遺産を今に伝えております。私自身その幾つかを直接拝見しておりますが、いずれも本当にすばらしいものばかりだと感じております。 これらの文化遺産は、地理的に隔絶されていたがゆえに古い純粋な形を残すことができたとも言えると思いますが、過疎化や高齢化といった時代の流れの中で、その心と形を次の世代にどう伝えていくかがこれからの大きな課題でございます。 幸い、津野山神楽につきましては、地元の高校生を中心に若い人たちが熱心にその伝承に取り組んでくれておりますし、先年修復されました高野の回り舞台では、久々に農村歌舞伎が復活をしたとお聞きをしております。 また、千枚田のオーナー制度の試みにも見られますように、お話のありました観光農業の面でも可能性の多い地域だと感じております。 県といたしましても、このような地域の動きをできる限り支援することによりまして、これらの文化遺産をこれからの県づくりに生かしていきたいと考えております。 続いて、四万十川とその源流域である四国カルストの国定公園への昇格に向けて、本県のみで取り組む考えはないかとのお尋ねがございました。 四国カルストは、本県と愛媛県の県境に沿って広がります標高千四百メートル前後のカルスト台地で、カーレンやドリーネ群が点在をした県内でもまれに見るすぐれた景観を持っております。このため、昭和三十六年に県立自然公園に指定されております。 また、四万十川は、四国カルストの不入山を源流に、蛇行を繰り返しながら太平洋へと注ぎ込んでおります。今では「日本最後の清流」と言われ、その流域には木々の緑と清流に抱かれた雄大な自然が残されております。 御質問のありましたように、国に対しまして、これらの地域をまとめて国定公園に昇格するよう要望するに当たりましては、指定に伴いましてさまざまな規制が加わってまいりますので、地元の市町村あるいは関係の機関との調整を図る必要がございます。また、四国カルストは、本県と愛媛県の両県にまたがっておりますことから、本県だけで国定公園の指定を受けることは難しく、愛媛県と同一歩調をとる必要がございます。 したがいまして、国定公園への昇格の取り組みに当たりましては、愛媛県を含めました関係の機関や地元の市町村の御意見も聞きながら、その可能性を検討していくことになりますが、御提言の趣旨を十分に生かしまして強い決意で取り組んでまいりたいと考えております。 これで私からの御答弁を終わりますが、山本議員には、御地元の津野山地域を初め県内の各地域の発展につきまして、大変熱い思いをたびたびこの議場でいただきました。心から感謝を申し上げます。 長い間、本当にありがとうございました。 (保健環境部長清田康之君登壇) ◎保健環境部長(清田康之君) 沿道修景についての御質問のうち、まず、飲料水などの自動販売機の設置禁止への取り組みについてのお尋ねですが、空き缶等の散乱の問題については、県土の環境美化や資源の有効利用の面からも対応が必要であり、これまで環境月間の全県的な一斉清掃の実施などによる県民への啓発や、リサイクルの促進のためのごみ減量化・再生利用広域推進計画の策定、空き缶圧縮機の設置助成等による市町村への指導等を行ってまいりました。その結果、県民の関心が高まり、学校や婦人会等による自主的な空き缶回収運動が拡大するなど、一定の成果を上げております。 散乱防止の観点からは自動販売機の規制を求める声があることも確かですが、一方で、ポイ捨て等の散乱防止については、自動販売機の規制だけでは限界があるのではないかとの声もあります。また、自動販売機の設置者や消費者の十分なコンセンサスを得る必要もあります。 そこで、県といたしましては、県民、行政、事業者等の責務を明らかにした上で、一体となって環境保全に取り組んでいくための基本となる環境基本条例の制定に現在取り組んでおりますけれども、空き缶等のポイ捨て対策についてもその一環のものとして、市町村等とも十分協議しながら検討してまいりたいと考えております。 続いて、自動車、農機具等を廃棄する際のメーカー引き取りについてのお尋ねにお答えいたします。廃棄自動車については、既に平成三年七月に廃棄物処理法施行規則の一部改正により、路上放棄車両の未然防止のための販売店、メーカー引き取りの原則と事業者団体からなる路上放棄車処理協力会による市町村処理への協力が定められ、一定の効果を上げてきてはおります。 しかしながら、大量の放置車両や農機具等の処理困難な状態は御指摘のとおり解決を急ぐ問題であると考えており、いろいろな製品を製造・販売事業者に引き取らせるような形での取り扱いは、単に廃棄物処理の制度のみならず、全国的なレベルでの社会経済システムの転換、リサイクルシステムの構築を必要とするものと認識しております。 現在、国においては、瓶、缶やペットボトル等の包装系廃棄物の事業者の引き取り、再生利用の制度について法制化を進めております。さらに今後、自動車、農機具等包装系廃棄物以外の廃棄物についても事業者責任を明確化し、実効性のある制度の構築が検討されようとしています。 このような動向も十分に見ながら、本県の実情を国に伝え、実効性ある制度の構築について要望してまいります。また、県としても、大量に放置された廃棄自動車等が地域の景観を著しく損なっている場合には、環境保全の立場から何か適切な処置が講ぜられないか、現在、研究しているところであります。 (商工労働部長安部望君登壇) ◎商工労働部長(安部望君) 阪神大震災で被災した工場の本県への誘致についてのお尋ねにお答えを申し上げます。 このたびの大震災では、鉄鋼関連、化学関連の工場の被害が大きく、中でも地場産業でありますケミカルシューズ関連の中小企業は大きな痛手を受けております。 このうち、大手企業におきましては、近畿圏を初めとした自社の関連工場に生産ラインを移すなどの対応によりまして、徐々に生産体制を回復しつつあります。中小の企業では、兵庫県の公的団体の調査によりますと、「現在地で再建をしたい」と回答した企業が大半でございます。しかしながら、今後の復興の状況次第では、県外への工場等の移転を進めざるを得ない企業も出てくるのではないかと考えられます。 このため、現在、大阪事務所や兵庫工業会など関西の経済団体を通じまして、企業の情報収集に努めておりますとともに本県の工場用地などの情報を提供しております。 県内には、現在、企業を受け入れることができます大規模な工業団地はございませんが、市町村の既存の工場用地の中には、移転を検討している企業の条件にもよりますが、受け入れ可能な工場用地もありますので、今後、被災工場の本県への誘致につきまして、さらに取り組みを進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 (教育長山口勝己君登壇) ◎教育長(山口勝己君) いじめの問題についてお答えをいたします。 いじめの問題につきましては、さまざまな要因が影響していると思われますが、善悪を判断する力が弱いこと、また、他人への思いやりや弱者をいたわる心が弱いことなど、いじめの抑止力となる子供の道徳性が十分育っていないことも大きな要因であると考えます。 また、平成五年度教育世論調査においても、家庭でのしつけや教育力の低下などから、学校教育における道徳教育に大きな期待が寄せられていることがうかがわれます。しかし、学校教育におきましては、道徳教育に対する取り組みが不十分で、県民の期待にこたえられていない状況にあります。 子供が学校や家庭、地域の人々とのかかわり合いの中で、御指摘のような道徳性を身につけ、みずから判断し、みずから律していくことのできる人間として成長するよう、道徳教育の一層の充実に努めてまいります。 以上でございます。 (総務部長渡辺文雄君登壇) ◎総務部長(渡辺文雄君) セラミックスの写真で知事を顕彰すべきと思うがどうかとの御質問にお答えをいたします。 知事は、そのときどきの社会的、経済的な背景や県民の意思を反映して県政の運営に当たっており、これを象徴するものが本県に、また、県民の心の中に、有形また無形の形で引き継がれていくものであると考えております。 御指摘のような顕彰の方法もあろうかとは思いますが、自然に県民の心に残り、語られるような形が望ましいのではないかと考えております。 以上でございます。 ○議長(岡村聡次郎君) 暫時休憩いたします。 午前十一時九分休憩--------------------------------------- 午後一時二分開議 ○副議長(西尾一雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 三十九番塚地佐智君。 (三十九番塚地佐智君登壇) ◆三十九番(塚地佐智君) お許しをいただきまして、知事並びに関係各部局長に質問をさせていただきます。 質問に先立ちまして、阪神・淡路大震災によりましてとうとい命をなくされた皆さんに深く哀悼の意を表し、そして被災者の皆さんに心よりお見舞いを申し上げたいと思います。 私も先日、救援のために現地に参りまして、救援活動を行ってまいりました。この中では、あの瓦礫の山の中で、私たちが炊き出した温かい雑炊などに手を合わせて喜んでくださる疲れ切った被災者の方々を目の当たりにし、一刻も早い復旧と救援活動を強めること、万全の防災体制を築く必要性を痛感し、決意も新たにしてきたところです。県といたしても、そうした体制を、万全を尽くされるように要請をしておきたいと思います。 そして、今回の震災でも明らかになりましたとおり、公的な病院が分散して存在していることが緊急時にどれほど大きな役割を果たすのか、この点も明らかになっています。そうした立場から、病院の統合問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。 県立中央病院、高知市立市民病院の統合問題について、まず知事にお伺いをいたします。以下、中央病院、市民病院と略します。中央病院も市民病院も県都の中心部にあり、長い間県民に信頼され親しまれてきた病院です。それだけに、知事が「統合整備の方が県民に対する医療面での貢献が大きく、望ましい」という見解を示され、「年内をめどに統合の可否を判断したい」という姿勢で事を進めようとしておられることに、多くの県民は、「医療が県民から遠のくのではないか」との強い不安を抱いています。知事は世論調査も行うとお答えでしたが、十分な情報の提供なしに世論がミスリードされては、適切な可否判断はできないものと思われます。 以下、両病院の利用者の立場から、検討委員会報告の内容について、幾つか質問をいたします。 第一は、病院機能の変化により、県民、利用者から、かかりやすい公立病院が奪われてしまうという点です。まず、統合により病院の性格が変わり、外来受診が極めて困難になると思われます。医療機関を患者が自由に選べる、お医者さんへのかかりやすさは、これまでの日本医療の長所であったと言えます。新しい総合病院は高機能・後方支援病院と規定をされており、外来については、紹介外来、専門外来にするとしています。紹介状がなければ目の前の病院にもかかれない、強いてかかれば多額な自己負担が必要となってまいります。 また、市内中心部に二つあった公立病院が一つになることによる利便性の低下、しかも池地区という立地条件による利便性の低下は、利用者にとって見過ごすことのできない問題です。現在、両病院とも一割を超える高知市以西の外来患者、三割近い六十五歳以上の患者が利用をしていますが、公共交通機関が利用しにくい池地区では通院できなくなる人も当然出てまいります。現在の両病院の外来数と統合後の病院の外来想定数を単純に比べても八百人以上が、実際には、現在両病院を利用している外来患者で統合病院を利用できなくなる人の数はそれを大きく上回るものと思われますが、この八百人以上の通院外来患者を締め出す結果になるということについてどのようにお考えでしょうか。 このように、患者にとって大問題である利便性が二重に低下し、徒歩やバスなどの利用者は来なくて結構と言わんばかりの姿勢は許されないと思います。 次に、統合病院は短期急性を対象としており、ベッド回転の効率化を目指しています。検討委員会の報告は、入院日数が全国平均より長いことを問題視し改善を求めています。短期間で退院を求められた患者はどこへ行けばよいのでしょうか。医療機関の倒産や無床化--ベットをなくす方向が進む医療をめぐる状況の厳しさ、医療と福祉の連携ができていない条件のもとでどうなっていくのか、この問題も検討がされておりません。受け皿は当然民間病院となってまいりますが、報告の中でも、「民間病院は小規模であり、医師、看護婦体制も不十分だ」とされています。現在、県内の一般病院の医師の充足状況はどうなっているのか。医療法の基準に対する医師の充足状況を明らかにしていただきたいと思います。 さらにそのことは、統合の可否の判断の資料として広く県民に知らせるべきだと思いますが、対応をお聞かせいただきたいと思います。 第二に、統合は中核的医療の後退をもたらすという問題です。今回の最終報告も、地域医療計画も、「県内に不足しているのは三次医療、二次医療は量的に満たされている」と単純に結論づけています。しかし、現状は決してそうではありません。全国平均と比べた病床規模別病院比率、基準看護別病院比率、一病床当たり職員数はいずれも下回っており、一病床当たり医師は四十六位、看護婦は四十七位と最低位にあることは周知の事実です。地域の医療を中核として担う二次医療機関の整備・拡充も県内では急がれ求められている課題です。両病院に今求められているのは、地域の病院、診療所と連携を深めながら地域医療の下支えをしつつ高度医療も担うという点ではないかと思いますが、この点、お考えを伺いたいと思います。 ところが、中核的医療機関から公立の二つの病院がなくなり、病床数においても二百床程度減少をする、マンパワーも百名を超えて削減をされてまいりますから、地域の中核的医療の大後退となることは明らかです。二次医療は満たされているという前提は誤っていると考えます。三次医療の不足と同時に、二次医療の質の不十分さが県内の医療供給体制が抱えている大きな問題の一つであると思います。県下の二次医療についての現状認識をお聞かせください。 二つの中核的病院を統合をし一つにしてしまいながら、地域医療は後退しないとなぜ言えるのか、明らかにしていただきたいと思います。 第三に、高度医療の充実はだれしも望んでいるところです。ただ、「高度化」の言葉だけがひとり歩きするならば、統合可否の判断を誤ることになりかねないと思います。今でも、高度医療機器の保有率は全国平均を上回っていますが、利用率が低いことが問題になっています。CCUやNICUなど、特定の領域の三次医療機能が十分でないからと、両病院の統合の必要性を導くのは論理の飛躍であるのではないかと思います。どうお考えになるか、お伺いをいたします。 また、高度化の内容も、何がどのように必要なのかを県内の実際から出発して明らかにしていただきたいと思います。 第四に、赤字と人員削減問題です。両病院の累積赤字が統合を選ぶ大きな理由とされていますが、赤字をつくり出した主な原因はこの中で解明がされていません。赤字の基本的原因は政府の低医療費政策、低診療報酬政策ですが、これに対する批判的観点は全く欠落をしています。この弱点をどうお考えか、お伺いをいたします。 また、統合をして赤字がなくなるとお考えなのか、お答えください。 統合を契機に、人員削減を柱とする合理化を進めようとしていますが、医療の場合、職員の処遇問題にとどまらず、患者の医療・看護を受ける権利の侵害として深刻な問題となってまいります。我が国の医療費は、国民総生産対比で一九九一年資料ではアメリカの半分以下、国民一人当たりの医療費は、OECD諸国中九〇年資料でも第十六位、百床当たり病院職員はアメリカの半分以下となっています。 我が国医療の効率のよさは、医療労働者の高密度労働と献身、犠牲によって支えられています。政府の政策を受け入れ経営効果第一主義で合理化を進めることは、今でさえ、中央病院でも市民病院でも、看護婦さんは走り回り患者さんが声をかけるのも気の毒といった状態が一層深刻化し、患者サービスの低下はもとより、安全さえも危惧されることとなってまいります。 このような問題を引き起こす合理化は強行すべきでないと考えますが、御所見をお伺いをいたします。 第五に、県立病院の地域医療に果たすべき役割、市民病院の役割についての御所見をお伺いいたします。統合病院の機能は県立病院の機能が中心になっています。市民病院の基本調査では、高齢化社会を展望し、老人保健施設、ホスピス、在宅支援施設、健康管理センターの併設も提言をしていますが、今回の報告では、「高度医療機関にはなじまない」とのことで切り捨てられています。そういう点でも、今回の統合計画は事実上の市民病院の廃止に等しいと考えますが、御所見をお伺いいたします。 県立病院、市民病院の果たすべき役割と内容は異なるのであり、それぞれの役割に応じて充実させることこそが求められていると思いますが、お伺いをいたします。 中央病院の移転・新築は長い間の懸案であり、県民が待ちかねているところです。統合に当たってはクリアすべき課題は多く、統合にこだわるならば病院の移転整備が先送りされることが懸念されます。中央病院の設備・機能は既に限界に来ており、単独での速やかな移転・充実に踏み切るべきだと思いますが、お伺いをいたします。 最後に、梶原議員の質問でも指摘をしたとおり、これまでの手続は極めて不十分であり、県民参加の検討はこれからがスタートだと言えます。強行的手段は絶対にとらないようお約束をしていただきたいと思います。既に、社会保障推進協議会が批判声明を出しておりますけれど、医療関係団体、患者団体も招き円卓会議で意見をよく聞くべきだと思いますが、どうお考えでしょうか。 次に、この検討委員会の報告と関連をして、国立病院の統廃合問題についてお伺いをいたします。報告書は、「医療の進歩などに対応するため、十分な敷地の確保が必要である」としています。ところが、国立病院の統廃合が計画されている敷地は、十分な広さがない上、敷地拡張の可能性もなく、患者駐車場の確保さえ現在危ぶまれています。 また、報告書は、高度医療を担う施設として統廃合後の国立病院も対象に上げていますが、計画では、一般病床は二百二十床にすぎず、高度医療は絵にかいたもちになるか療養所機能の切り捨てになるか、どちらかと言えます。報告書の分析の観点からしても、国立病院の統廃合計画は見直すべきであると思いますが、お伺いをいたします。 また、現在拡張地の造成に入ろうとしていますが、朝倉の国立高知病院の入院患者さんには何らの説明も合意の取りつけもなされていません。建築に入ればもちろん、土地の造成段階でも、患者さんの療養に重大な影響を与えることは、県立安芸病院の増改築工事で証明済みとなっています。少なくとも、入院患者さんとの話し合い、合意が得られるまでは造成に入るべきではないと考えますが、造成の一方の当事者として責任ある回答をお伺いいたします。 次に、教員採用制度の問題についてお伺いをいたします。教育力向上に欠かすことのできない教員について、高知県は免許外教員、二種免許教員、臨時教員の比率が全国トップクラスであり、子供たちに行き届いた教育を保障する観点での教育条件が極めて不十分と言わねばなりません。地元紙の社説は、「こうした状況を打開する責任はやはり県教委にある。広く県民の意見を聞いた上で、長期計画を策定するぐらいの取り組みがほしい」と、教育委員会の責任を指摘をしています。 しかし、ここ十年以上にわたり、本議場においても、また、県民世論としても教員構成の改善を県教委に求めてきましたが、免許外担当の解消以外は一向に改善をされず今日に至っています。こうした状況のもと、子供や親からも信頼されてきた実力を持つ臨時教員が年齢制限で教員の道を断たれたり、また、昨年度の県立学校の筆記審査では、受審者の指摘によって初めて出題ミスが明らかにされるなどという事態が起こっています。 昨年の二月議会において、私は、一方で臨教経験もあり父母や子供から信頼されている着任待機者がありながら、免許も持っていない人物を着任させ、学級が混乱した問題を取り上げて、臨時教員の着任をめぐっての県教委の不公正な実態について指摘をいたしました。しかし、今日なお、なぜこの人が着任できないのかとの事例が後を断ちません。 四年制大学の教育学部を卒業し着任希望を出しているのに一向に話はなく、一度は直接校長先生から着任してほしいと話があり、面談の上合意し、教育事務所に願書を提出していたにもかかわらず、その後すぐ取り消されて着任できなかったというケースもあります。こうした中、高知大学の中では、学生自治会執行部に入ると教員採用されないとのうわさまで広がり、教授みずからそう発言する人も出るなどという事態も起こっています。 このような状況をつくり出した県教委の責任は重大であり、以上挙げた事例は、着任における思想差別の具体的あらわれであり許されないと思いますが、教育長の見解をお伺いしたいと思います。 こういう状況がある中では、教員の採用における情実などのさまざまな憶測やうわさが生じることは避けられず、子供を託す先生としてどんな人が採用になるのかといった教員選考事業がかつてなく注目されるようになっています。 九一年一月に、徳島県の前教育長が、教員の人事異動、採用をめぐり収賄容疑で逮捕をされ、懲役一年六カ月の有罪判決を受けたことや、その前年、山口県においても、教員採用をめぐって関係者から金品を受けていたとして、徳山教育事務所長、元県教委課長補佐らが逮捕をされるという事件が起こり、教育界に大きな衝撃が走りました。 双方の事件とも、試験結果の集計書類を改ざんをして依頼者の成績のかさ上げをしたり、あるいは、選考に携わるのはわずかな者だけで、公正さを確保するためのチェック機能も働くようになっていないという点が指摘をされています。 これは刑事事件として明らかになったものですが、採用をめぐり情実や不公正な慣行が行なわれているという声は広く高知県民の中にもあり、地元紙の「読者のひろば」や連載シリーズの中でさえも取り上げられています。 子どもと教育を守る高知県連絡会の皆さんが、昨年十一月より、各市町村の首長、教育長、議会議長等と直接面談をし、教育問題について意見交換をする「全県キャラバン」を実施をいたしました。その中では、情実採用のうわさが周りにあることや有能であった臨時教員が採用にならず不信に感じたことがあったなど、採用に関する率直な意見が市町村側からも出されたことが報告をされています。 その後、昨年の十二月市町村議会において、「子どもたちにゆきとどいた教育を保障するための高知県教員採用制度の改善を求める意見書」が二市八町三村の十三市町村で可決をされ、県に提出をされています。意見書の要望事項は各自治体で若干異なってはいるものの、一つ、教員採用の選考基準を公開すること、二つ、教員採用審査問題と解答の公開をすること、三つ、受審年齢制限の緩和をすること、四つ、学識経験者、文化人、教育関係者などによって構成される「教員採用制度検討委員会」を設置し、広く県民の意見を反映し公正な教員採用制度を確立することというものです。十三市町村のほかにも十四市町村では継続審査となっています。 そこで、教育長並びに教育委員長にお尋ねしますが、最も公正さが要求される教員採用制度に対して、このように多くの議会からの改善を求める声が上がっていることについてどう受けとめておられるのか。このことは、いかに現行の教員採用制度に県民が強い不信感を抱いているのかのあらわれであると思いますが、それぞれの見解をお伺いいたします。 このように、県民の中からも採用制度の明確化、採用試験問題と解答の公開を求める声が高まる中、二月一日、県公文書開示審査会は、教員選考に関する資料の公開に関する答申を発表いたしました。答申は、県教委が公開を拒否した内容のうち一部は公開を指示しましたが、試験問題の内容や解答、面接審査基準などの部分は非公開とするのが妥当としました。しかしながら、答申の最後に審査会要望として、「県民の教育への関心の高さなども考え合わせ、筆記審査問題及び解答例の公開の可能性について、検討されたい」としています。つまり、公開する方が望ましいのであり、公表できるようにしなさいとの要望と言えます。教育長は、審査会のこの要望についてどのように受けとめられたか、お伺いをいたします。 公文書開示審査会という至って重要な機関から出された要望であり、直ちにその可能性について検討をすべきと思いますが、どう対応されるのか、検討する部署、決定する機関はどこか、お示しください。 また、どうすれば公開できるようになるかという可能性についての検討内容は公開されるべきだと思いますが、どのような措置をとられるのか、お尋ねをいたします。 また、この答申の中では、「個々人の選考資料集計表の開示について、県立高校関係にはおのおのの項目に配点が記されているため、教育長の総合判断行為の具体的選考指針が明らかになる」とし、選考の基準とも言える配点表があることを示しています。しかし、一方、義務関係にはこの配点がないことも明らかになっているところです。義務関係の選考資料集計表におのおのの項目に配点が記されていないのはなぜなのか。高校と義務とではなぜこのように違うのか。配点がなければ、選考方針が不明確であり不透明な選考方法になると思われますが、それぞれ教育長の見解をお伺いいたします。 市町村議会から上げられてきた意見書の中にもあるとおり、教育委員会事務局内のみの検討会ではなく、学識経験者、文化人、教育関係者などによって構成される「教員採用制度検討委員会」を設置すべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。 次に、教育委員会のあり方について教育委員長にお伺いをいたします。今日、いじめ問題を初め教育にかかわる課題はかつてなく重大になっています。行政を開かれたものにしていく上で、教育行政への市民参加をさまざまな形で実現することが求められています。中でも、教育の中立性と安定性を確保するため自治体の他の機関から独立した合議制の執行機関である教育委員会の会議が、県民に開かれ、県民に密着したものになるよう要望する声が大きくなっています。 県教委も、各地での懇談会を持つなどそうした努力を進めつつあるようです。しかし、正式な会議の場での審査が公開をされ、また、その場に直接県民が声を届けることのできるシステムにしていくことが重要であると考えます。 この間、県教委の会議を傍聴した県民からは、「議事のほとんどが人事案件であり、重要なことは委員協議会や秘密会によって進められており、何もわからない」との声が寄せられています。 先日、昨年六月から本年二月十四日までの九カ月間の教育委員会会議録を調査したところ、付議事件のうち六五%が秘密会で審議されており、人事案件以外の議事の中でも、その四割が協議会もしくは秘密会で審議をされています。県民の前に公開されたものはまさにわずかなものにすぎません。中でも、若草養護学校、土佐希望の家分室の請願の処理に関する議案や高校の通学区改変等、県民に関心の高いものが秘密会、協議会扱いになっていることも重大だと考えます。 そこで、教育委員長に伺いますが、どういう基準で協議会並びに秘密会扱いとされるのか、お示しください。 委員協議会や秘密会は極力少なくし、審議内容が最大限県民に明らかになるようにすべきだと思いますが、御所見と今後の対応についてお答えいただきたいと思います。 次に、教育委員会への請願と意見陳述についてお伺いをいたします。私たち国民は基本的な権利の一つとして請願権を持っており、そのことは日本国憲法第十六条にもうたわれています。国会法や地方自治法の前に制定された請願法には、官公署に対し請願ができるとし、その第五条には、「官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない。」と誠実対応義務をも課しています。したがって、本県教育委員会にも当然請願受理の義務が生じています。教育委員会への請願とその陳述ができることは、一九五六年六月に成立した後の市町村教育委員会会議規則準則案の第十二条に請願者陳述の規定があることからも明らかです。 現在、県教育委員会段階でも、愛知県、京都府等一府十四県で教育委員会会議規則に「請願・陳情をしようとする者は、委員長の許可する時間内において事情を述べることができる」と明確に請願者陳述権が記されていますし、何らかの規定を行なっているところを含めば一府二十四県に上ります。現行の高知県教育委員会会議規則には、この請願と陳述についての規定がありません。 そこで、教育委員長に伺いますが、教育委員会への請願権は、開かれた委員会にしていく上で大いに行使されるべきものであり、この際、会議規則を改め請願者陳述権の明文化をすべきだと思いますが、御所見と提案されるおつもりはないか、お伺いをいたします。 また、請願の内容が十分教育委員会で審議されるための「請願処理規則」を持つべきだと思いますが、教育委員長にお伺いをいたします。 また、私が教育委員会会議録を調査した時期は、ちょうど大河内君のいじめによる自殺事件があり本県教育にも大きな問題点を投げかけていたときを含んでいます。しかし、会議録によれば、一言もその問題の論議がなされていません。県教委として取り組むべき最大の課題だけに理解に苦しむところですが、正式な会議の中でいじめ問題は論議をされていないのか。これでは、県民の声が反映された委員会とは言えないと思いますが、委員長の答弁を求めたいと思います。 次に、教員定数に関する問題について質問をいたします。まず、小学校の複式学級の問題についてお伺いいたします。県内の過疎化が進む中、小学校の複式化は一層深刻なものになっています。複式学級において、教員一人当たりの生徒数は少ないものの、子供たちにとって教科内容を教わる時間は単純に言えば半分になります。例えば算数の時間なら、同じ教室で、一年生が足し算を習っている間二年生は自習、二年生が掛け算を習っている間一年生は自習といったような状況です。 基礎学力の向上は父母、子供たちの切なる願いであり、中山間地域の振興対策としても、山間地において充実した教育環境をつくり出していくことが若者の定住のかなめの一つでもあります。メディア等の活用なども工夫をされているようですが、町村教委の会や各教科研修、重複している校務分掌の校外における会など、小規模校独自の忙しさが教員にあることは変わらず、一層の人的充実が求められています。 県は、本年度、複式改善のための県単独の措置をとられましたが、それでもなお、小学校一年生の段階で複式からスタートとなったのが八十六校、飛び複式も九校残っています。一年生は学校生活への入り口として最も重要な時期であり、保護者からも、「一年生の複式については一刻も早く解消してほしい」との要望も強いものがあります。第六次定数改善計画では、一年生を含む場合の基準は八名となっていますが、昨年、土佐清水市のある小学校でも、父母、学校側からの要望があったにもかかわらず、一年生を含み十名の複式学級ができるなど不十分なものでした。 そこで、教育長に伺いますが、来年度、一年生を含む飛び複式についてはすべて解消できるようにすべきと思いますが、見通しと決意を伺いたい。 来年度は、一年生は単式でスタートできる配置をすべきだと思いますが、どのように対応されるおつもりか、その計画についてもお伺いをいたします。 次に、定数内臨時教員の問題について伺います。高知県の臨時教員比率が全国平均の約三倍であり突出したワーストワンであることは県民も周知のところとなり、教育の質的向上のためにも、その改善を求める声は日増しに強くなっています。県教委は、その理由をこれまで、「高知は女性教員が多く、産休、育休をとるため」としてきました。しかし、公立小学校における二十歳から三十九歳までの女性教員の割合は、平成五年五月一日現在で、愛媛県七一・二%、高知県六三・七%であり、愛媛県の方が比率が相当高くなっています。ところが、臨時教員の比率は、愛媛県は二・六%であり、高知は八%、三分の一にすぎません。愛媛の実態を見るとき、県教委の「女性教員が多いから」という理由では全く説明になっていないと思いますが、どうか。なぜ、こうした歴然とした違いが出ていると考えられるか、教育長にお尋ねをいたします。 さらに、高知県の臨時教員配置で特徴的な問題は、各学校の運営上必要最小限の人数として文部省基準により各都道府県が定めている教員定数の中にまで数多くの臨時教員が配置をされている点です。この臨時教員は「定数内講師」と呼ばれています。この問題は、私も本議場でたびたび指摘をしてきたところですが、現在、定数内への臨時教員の配置は何人になっているのか、小、中、高、養護学校別に明確にお答えをいただきたいと思います。 一九九三年度の文部省調査によれば、本県の講師比率は全国一位で七・七六%に及んでいます。東京や愛媛などは、こうした定数内への臨時教員はあってはならないこととして配置をしていないか、わずか二%程度に抑えています。なぜ、本来学校運営にとって最小限必要とされている文部省の定数内にまで臨時教員を配置をされるのか、その理由を明らかにされたい。 この間、県教委は、「児童減少期になれば定数が減り、人員整理の危険性があるからだ」としてきましたが、将来の県教委の対応が困るからと、現在の子供たちの安定した教育を受ける権利と教員希望者を臨時任用のままで置くなどということはあってはならないと思いますが、教育長と教育委員長の御所見を伺います。 生徒減少は、高知県のみに起きる現象ではなく全国に共通したものであり、当然、今後は国全体で対応し、例えば三十五人学級による定数増を行うなどの方策が講じられるべきものです。定数内への臨時教員の配置は直ちに見送り、正式採用配置を行なうべきだと思いますが、教育長の見解と今後どう対応されるおつもりか、お伺いをいたします。 また、寺尾教育委員長は、地元紙に「小・中の学力向上に向けては、多い臨時教員、免許外教科の改善が必要だろう。」とコメントをされていますが、どのような取り組みをされるおつもりか、お伺いをいたします。 以上、定数問題にかかわって質問をしてまいりましたが、定数内臨時配置等を見たとき、本県教育予算の比率が他県に比して大変低いという問題に突き当たらざるを得ません。一般会計に占める教育予算の割合は、本年度予算で、先に例を引いた愛媛県は二四・〇%、本県は一七・三%で、愛媛より六・七%低くなっています。五年度決算比較でも、全国平均は二四%、高知は一七・三%と、全国平均を七%近く下回っています。しかも、ここ数年低下し続けているところです。これまでも、「比率は低いが、生徒一人当たり予算はトップクラスだ」との答弁をされてきましたが、小学校の四割、中学校の一割が複式学級を持つ小規模校という現状からすれば、一人当たりの教育費が高くなるのは当然であります。 本県教育の現状の免許外担当、臨時教員配置率、高校進学率、中退率等、いずれもワーストクラスという中で、一般会計に占める教育予算比率がこのように低いという点について、知事並びに教育長はどう考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。 県民が強く要望する安心して学ぶことのできる教育条件整備のために、教育予算を大幅に増額すべきと思いますが、知事の決意を伺っておきます。 次に、県立学校現業職員の問題についてお伺いをいたします。県教育委員会が来年度より県立学校の現業職員の新規採用を中止するとの方針を示された点について質問をいたします。学校で働く現業職員には、用務、事務補助、守衛、定時制給食調理、障害児学校介助、給食調理、農場管理の職種があり、おのおの学校教育に重要な役割を果たしています。こうした現業職の方々の作業内容は、校舎内外の清掃、花壇や植木の手入れ、施設・設備の営繕、維持管理等々、多岐にわたっています。 しかし、それだけではなく、学校内にいながら教員でないという立場であり、生徒にとって身近で安心感を持って接することができる存在として相談を持ちかけられたり、作業中にいじめや喫煙の現場を発見するケースも多く、教育の一環としての重要な役割を担っている職種でもあります。 九三年四月二十一日の衆議院文教委員会での山原健二郎衆議院議員の質問に対し、当時の森山文部大臣も井上孝美教育助成局長も、現場におきましても学校運営上も重要な役割を果たしている職員であるとの認識を示しています。したがって、学校教育法の五十条「技術職員その他必要な職員を置くことができる。」という規定に基づき、地方交付税の単位費用の積算基礎において配置基準を設け、交付税措置を行ってきています。 そこで、まず教育長に伺いますが、県立学校における現業職員の果たしている役割についてどう認識をされておられるか、伺います。 しかし、高知県においては、自治省の配置基準に対し年々配置率は低下し、一九七九年に七八・一%あったものが九一年には五七・四%と、二〇%も低くなっています。この間、学校現場は多忙化をきわめ、学校全体からゆとりが奪われています。しかも、現在、県下の百三十三名のうち、この三月には四校四名の退職者が予定され、その後新規採用をしないとのことです。今後現業職員の退職補充を行われなければ、学校現場では、今まで現業職員が行っていた仕事を当然だれかが請け負わねばならず、教員、事務職員への過重負担となり、ますます多忙化することになると思いますが、この点をどう認識をされているか、これまでの仕事を今後だれに、どのようにさせるおつもりなのか、お伺いをいたします。 京都では、学校は教員の意見だけではだめになる、それ以外の職員の意見が必要だとし、現業職員の職員会への参加を行ったり、青森でも、校務分掌の保健部に位置づけ、生活の場としての学校・教育環境を整える現業職員の重要な役割を学校教育に生かしています。人間性あふれる学校を築く上で、こうした視点は今後ますます重要になると思いますが、教育長は、こうした教育上の現業職員の位置づけについてどう考えておられるか、ゆとりと魅力ある学校づくりの上で必要な観点だと思いますが、御所見を伺います。 人を育てる教育の場には一定のゆとりが必要であることは言うまでもありません。それは人であり、時間であり、空間としても必要です。今回の現業職員の合理化案は、答申「改革の提言」を受け、「職員配置のスクラップ・アンド・ビルド」と称して現業職を廃止し、民間委託していく方向に沿ったものであることは明らかです。学校現場における現業職員は重要な教育的役割を担うものであり、民間委託は許されないと思いますが、教育長の御所見を伺います。 むしろ、自治省の措置基準並みに引き上げるよう充実すべきだと思いますが、お伺いをいたします。 他の現業職の重要性も去ることながら、教育現場への効率化の持ち込み、必要職種の切り捨ては認められません。知事自身も、いろいろなところで、「教育・福祉に安易に効率性を持ち込むものではない」との発言を繰り返されています。現在のこの措置は、明らかに学校をもリストラの対象とするものであり、許されないと思いますが、知事の見解をお伺いいたします。 最後に、女性行政の改善と充実について伺います。一九七五年の国際婦人年から二十年、第四回世界女性会議も開かれる節目に当たり、全分野で女性問題への取り組みの強化が求められています。特に、リーダーシップを発揮すべき女性行政の改善・充実が急がれているところです。そこで、幾つかの問題について伺います。 まず、女性行政の組織体制についてお尋ねをいたします。提出をされています行政機構の改組についての条例議案によりますと、女性問題担当の生活女性課は文化環境部に属するとされています。もともと女性問題は県政のあらゆる分野に関連している問題ですから、担当課は企画調整機能を持つ総務または企画部門に設置するのが合理的ではないかと考えます。 また、「生活女性課」という名称も、生活と女性とのかかわりを強調し、女性問題を狭くとらえている弱点を示すものだと思います。この点については、先日開催された県主催のこうち女性プラン推進会議の講師として来高された目黒依子教授も指摘をされ、「機構改革が進められているようなので、考えてみてはどうか」と問いかけられています。 私たちも、女性問題対策を全庁的、総合的な取り組みにする上で改善を求めてきたところですが、今回の改組に当たり、「生活女性課」という名称についてどう検討されたのか、なぜ、文化環境部に配置をされたのか、女性問題に対する知事の見識を示す問題でもありますので、お答えいただきたいと思います。 次に、知事の諮問機関、女性問題懇話会のあり方について伺います。この懇話会は、七七年開設以来、女性問題を県政の重要課題として位置づけ、女性問題推進に貢献をしてきたところですが、委員からの要望もあるのに開催回数が少なくなっています。 また、懇話会は、行動計画の推進をチェックする機能を持ち、推進状況についての必要な提言、建議を行うことが必要だと考えます。予算編成に生かされる時期に開き、委員の意見をよく聞き、委員相互の論議も深める機会を設けるべきではないかと考えますが、今後どう対応をされるのか。 さらに、懇話会の位置づけを明確化するために、この際条例設置とすべきと思いますが、お考えをお示しいただきたいと思います。 次に、政策決定への女性の参加の促進について伺います。審議会への女性委員の参加は年々前進をしていますが、九四年度の到達点は、地方自治法を初め法令、条例に根拠を持つ機関では一二・一%で、今年度の目標一五%に到達するにはかなりの努力が必要と思われます。また、女性委員空白の機関がなお三十も残されており格段の努力が必要です。どう対処なさるおつもりか、計画をお示しください。 次に、女性教育委員の選任がおくれていることについて知事のお考えを伺います。地方自治法百八十条の五に基づく行政委員会の中で、女性委員が占める比率の高いのは教育委員会となっています。それでも、都道府県教育委員会でいまだ一八%台ですから納得できるものではありません。しかし、他の分野と比べて、教育と女性のかかわりの深さを示しています。 高知の場合も、義務も高校も女性教員の比率が高く、PTA活動を初め社会教育、家庭教育でも母親が主なる担い手であり、文化活動においても女性の活躍は目覚ましいものがあります。また、女性の教育・文化の要求も強く、当然経験豊かな人々の中に教育委員の適任者は数多くおられるところです。 特に、最近の子供を取り巻く状況から、どの子も大切にされ伸び伸びと育つ学校教育への母親の要求は痛切なものがあります。こうした母親の願い、女性の視点が県教委の論議の中に生かされることが、教育行政のあり方を変化させ、教育の向上・前進に貢献することになると考えます。任命権者である知事は、女性教育委員の必要性をどう認識しておられるのか、お伺いをいたします。 公選制時代には女性委員があり、任命制になってからも、長い空白の時期はありましたが、国際婦人年以来の要求を反映し、八五年から二期女性委員が選任をされていました。ところが、橋本知事になられて女性委員は交代し、その後二回あった機会にも女性は選ばれませんでした。平成五年九月議会の私の質問に、知事は、「教育委員への女性の任命につきましても、今後検討させていただく」とお答えになったのですが、なぜ女性の任命を見送られているのか、今後どうなさるのか、お伺いをいたします。 県庁の女性職員の幹部登用についてお伺いをいたします。女性行政の充実にとって女性幹部の果たす役割が大きいことは言うまでもありません。九四年四月一日現在、知事部局、課長同等職以上への登用状況の全国比較を見ますと、高知県は六名、四・三%で、六・六七%の京都をトップに、沖縄、岡山、静岡に続いて第五位です。かつて全国一位だったこともあり、テンポが落ちたことは残念でなりません。さらに、高知は六人とも課長同等職であり、部局長クラスを持つ京都、沖縄、神奈川等々、また、次長クラスに進出をしている沖縄、東京、埼玉、福井等々と比べ、内容的に大いに改善の必要があると思います。 女性参政権獲得から五十年、国際婦人年から二十年という時点でなお庁議のレギュラーメンバーに女性が一人もいない、議会答弁に立つ権限を持つ女性幹部が皆無という事態について知事はどうお考えなのか、御認識をお示しください。 ちょうど定期異動の時期でもあり、適任者は多いのですから、思い切った女性幹部の登用を行うよう要請をし、知事の決意をお伺いしたいと思います。 以上で、私の第一問を終わります。 (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 塚地議員の御質問にお答えをいたします。 まず、県立中央病院と高知市立市民病院の統合問題について御質問がございましたが、この二つの病院はともに県民、市民になじみの深い病院でございますので、その統合を考えるのに当たりましてさまざまな御意見があるのは当然のことだと思います。御質問のありました幾つかの点は今後論議される課題だと思いますので、私からは主に報告書の視点に立ってお答えをいたしたいと思います。 まず、統合によって外来患者を締め出す結果になりはしないかという御質問がございましたが、新しい病院が後方支援型病院などの性格と機能を持つ病院として整備されたといたしましても、外来で来られる患者さんが紹介状がなければ診療が受けられないといったことはあり得ません。 また、患者さんの側から見れば、二つの病院が一つになることは確かに選択の幅が狭まることを意味します。しかし、その分、患者さんのお近くにある民間の医療機関と連携を強めることによって、また、これまで県内では十分には受けられなかった高度の医療サービスを提供することによって、二十年後、三十年後を見通した全体的な医療の充実を考えてはどうでしょうか、というのが今回の統合に向けての考え方でございます。 次に、県内の一般病院の医師の充足状況についてお尋ねがございました。高知県では、昨年の十月一日現在で、お尋ねのありました充足率が八〇%以上の病院が全体の七三・二%となっております。これに対して全国では、充足率が八〇%以上の病院が全体のおよそ六八%と聞いておりますので、我が県は全国の状況を上回っているものと考えております。 また、この資料に限ったことではございませんが、県民、市民の御意見を伺う際には十分な情報提供が必要なことは言うまでもございません。 また、両病院に今求められているのは、地域の病院や診療所と連携を深めながら地域医療の下支えをしつつ高度医療も担うということではないかとのお尋ねがございました。地域医療の下支えとおっしゃる意味がいま一つよくわかりませんが、地域の病院や診療所と連携を深めながら高度医療も担う病院として整備しようというのが統合を考える基本になっております。 次に、県内の二次医療の現状についてお尋ねがございました。御質問の趣旨は二次医療の充実の方が優先課題ではないかという意味だと受けとめましたので、その趣旨でお答えをいたします。両病院がございます中央保健医療圏の二次医療は、量的にも質的にも一定の水準にあると考えております。こうした状況の中で、統合病院は高度な三次医療の役割をも担おうとしておりますが、その前提は一定の二次医療の上に立っておりますので、二次医療を後退させることにはならないと思います。 次に、本県の三次医療の機能は、冠状動脈疾患集中治療管理室いわゆるCCUを初め、新生児集中治療管理室や周産期集中治療管理室、それに無菌治療室など施設の整備が全国平均をかなり下回っております。また、高度な医療機器の保有率は全国平均に比べて高くなっておりますが、その利用率が低いため全体としては三次医療の機能が十分に発揮されておりません。その理由としましては、一つの病院の病床数が限られていますため特定の疾患の患者さんと接する機会が少なく、そのために医療機器が十分利用もされなければ、また技術も向上しないといった点が指摘をされております。 このため検討委員会では、統合をすることによりまして一定の規模の病床を確保することができれば高度の医療機器の利用も促進されますので、単独で整備するよりははるかに効果が大きいと判断をしております。 次に、医療の高度化の内容についてお尋ねがございましたが、何をもって高度医療とするかは必ずしも明確な定義があるわけではございません。ただ、両病院を統合した場合に求められます高度医療といたしましては、がんの分野ではがんセンター的に専門的な医療を、また、心臓疾患の分野では、バイパスや弁の置きかえ手術、それに先天性心疾患の手術などを行う心臓血管外科の整備、さらに、脳血管疾患の分野では、特に緊急を要する脳卒中に対する医療などが重要だとされております。これらの医療は、いずれも早期発見、早期治療が大切ですので、手術などの体制と同時に、高度の診断と治療が行える体制も整備が必要だとされております。 また、腎臓、骨髄、角膜などの移植や先ほども一部申し上げました周産期の高度医療体制の整備、さらには高度な救急医療につきましても、他の病院との機能分担と連携を図りながら、これを実施していく必要があるとされております。 次に、両病院が抱えております累積赤字との関連についてお尋ねがございました。統合問題の検討は、これからの医療のあり方を考えたとき両病院は今後どうあるべきかという観点から行われてきたものでございますから、累積赤字が統合の理由ではございません。 また、両病院がともに大きな累積赤字を抱えておりますことは事実でございますが、両病院を統合した場合にも経営的には厳しいと予想されております。このため、医療の実態に即した診療報酬体系の充実につきましては、今後も国など関係の機関に対しまして強く要望をしてまいります。 また、両病院を統合して整備することになりました場合には、その施設の規模や機能に応じて適正な人員配置にすることが必要だとされております。ただ、このことが患者さんの権利の侵害になるとは考えておりません。 続いて、両病院の統合の計画は事実上市民病院の廃止に等しいのではないか、また、両病院の役割は異なるのではないかとのお尋ねがございました。両病院を統合しました場合には、新しい病院と地域の医療機関との機能分担や連携のシステムを強化することによりまして、現在二つの病院が担っております一次医療のかなりの部分と二次医療の一部を地域の医療機関にゆだねるべきだとされております。その結果、市民の皆さんは、日常的には市内にある豊富な医療機関を活用することによって、また、必要なときには高度な医療に重点化した新しい病院を迅速に利用できることによって、活用できる医療サービスの幅が大きく広がるというのが統合の考え方です。 また、中央病院の整備を単独で急ぐべきではないかとのお尋ねがございました。これまでも申し上げてまいりましたように、統合の可否につきましての行政としての判断を年内をめどに行いますので、その上で御審議をいただきたいと考えております。 また、手続論についてお尋ねがございましたが、現在は医療の専門家の立場から御検討をいただいた段階でございます。今後、議会での御議論はもちろんのことでございますが、世論調査などを通じて県民、市民の御意見を伺いながら検討を進めてまいります。 続いて、国立病院の統合計画についてお尋ねがございました。このことに関しましては、統合に必要な敷地の面積が確保されていると考えております。また、機能面では、限られた病床の中ではございますが、より充実した二次医療を基盤といたしまして、ほかの公的な病院と役割を分担しながら高度医療の一定の分野を担っていただけるものと受けとめております。 また、この国立病院の統合に関連しまして、造成や建築工事が入院の患者さんに重大な影響を与えるとのお尋ねがございました。この点に関しまして、事業主体でございます厚生省は、造成工事は既存の病院の敷地の外で施行しますため、現在の造成工事の段階では患者さんへの悪影響はないと考えております。また、建築工事に入ります際には、そのときに影響を受ける、つまりその時点で入院をされている患者さんには御説明をして御理解をいただくとのことでございます。 続いて、教育関係の予算についてお尋ねがございましたが、教育の充実を図りますために必要な予算は確保できていると考えております。また、本県の財政状況は依然として厳しいものがございますが、教育条件の向上を図るための予算は、そうした中でも最重点の課題の一つだと受けとめております。 次に、県立学校の現業の職場についてお尋ねがございましたが、学校も組織である以上、時代の変化に対応した見直しが必要な場合もあると考えております。 続いて、女性行政についての一連の御質問にお答えをいたします。まず、生活女性課について御質問がございました。女性行政はこれまで、消費者問題などのほか母子家庭への医療費の助成など、母子の福祉に関する事務等を合わせまして福祉生活部で所管してまいりました。 しかし、これからの女性行政は、これまでのように社会的に弱い立場にある女性を支援するいわゆる対策行政だけではなく、そこから一歩踏み出して、地域社会を支える主役の一人としての女性を対象にした幅広い施策を進めていくことが必要だと考えております。その際、生活女性課の業務の内容がすべての面では文化環境部になじまない面もあるかもしれません。しかし、文化を自然環境や産業それに生活環境など県民の暮らしに関する幅広い視点でとらえましたとき、生活や女性の問題はこの分野に含めるのが適切ではないかと判断をいたしました。 また、名称につきましては、組織のあり方も含めまして今後の課題として検討をさせていただきます。 次に、女性問題懇話会は、女性関係の行政を効果的に推進いたしますため、本県が抱えております女性問題やその関係施策につきまして各界の有識者の方々から御意見をいただきますとともに、委員の皆様が広く意見を交換する場という性格もあわせ持っております。このように、女性行政を進めます上で重要な役割をお願いをしております。こうした懇話会の趣旨を踏まえまして、今後は、御提言の趣旨も踏まえて開催の時期や回数を検討いたしますなど、運営面での充実と強化に努めてまいります。 また、この懇話会を条例で設置してはどうかとの御提言がございましたが、先ほども申し上げましたように、女性問題について各界の有識者の方から広く意見をお聞ききする場と位置づけておりますので、むしろ形式にとらわれることなく十分に機能させることが大切だと考えております。 次に、審議会などへの女性委員の参加についてお尋ねがございました。昨年の五月一日現在で県の各種審議会等への女性の委員の参加の状況を見ますと、地方自治法に根拠を持つもの、その他法令や条例に基づくもの、さらに要綱や要領によって設置されたものを含めまして、全体では一三・一%となっております。これを前回の調査と比較しますと一ポイントの上昇になっております。 しかし、部門別に見ますと、土木、林業、水産、商工関係などの審議会や委員会では女性の参加が依然として低い水準にございます。この点では、各関係の団体の皆様の意識改革も必要だと思いますが、引き続き御理解と御協力をいただきながらさらに積極的な登用に努めてまいります。それによりまして、来年度末までには目標としております一五%を達成したいと考えております。 続いて、女性の教育委員の選任についてお尋ねがございました。教育の分野で女性が果たしておられる役割の大きさは十分に認識をしております。また、どの分野に限らず、女性の能力を十分に発揮していただくことが社会の発展にとって欠かせないことは言うまでもございません。 一方、教育委員の選任に当たりましては、現在の教育行政が抱えるさまざまな課題や委員の構成あるいは御本人の識見などを総合的に検討させていただきながら、その時点で最も適任と考えられる方を選任させていただいております。教育委員への女性の選任は一つの課題として今後とも検討させていただきます。 続いて、県の庁議メンバーに女性が一人もいないことをどう思うかとのお尋ねがございました。このことは、我が国全体の問題として男女の役割分担といった意識が根強く残っておりましたため、過去において女性職員の職場の配置や仕事のあり方に偏りが見られたことの結果ではないかと思います。昨年の四月現在で事務職員に占める女性の職員の割合は二八・三%となっておりますが、これからもますますふえていくものと考えております。このため、今後は、広範な行政分野での行政経験を積ませながら、積極的な養成に努めてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 (教育長山口勝己君登壇) ◎教育長(山口勝己君) 教育に関する一連の御質問に順次お答えをいたします。 まず、臨時教員の採用について県教委の責任は重大であるとのお尋ねがありました。臨時教員の採用につきましては、公立学校臨時教員募集要項により志願者として受付している方の中から個々に面接を行い採用をしているところです。臨時教員を希望されるすべての方が必ず採用されるというものではありませんが、代替教員を必要とする学校には適材を適所に配置するよう努めております。 なお、着任における思想差別ではないかという御意見ですが、そのようなことはございません。 次に、教員採用制度に関する市町村議会の意見書について御質問がありました。十三市町村議会から教員採用制度に関する意見書が提出されたことは承知をいたしております。教員採用選考審査につきましては、教員としての資質・能力を持ち、本県の教育課題解決のために努力を惜しまない人物を厳正、公正に選考しております。また、本県の行っている教員採用制度につきましては、全国的に見ても標準的なものと認識をいたしております。したがいまして、このようなことを御理解いただけるよう願っております。 次に、公文書審査会の要望に関してお答えをいたします。公文書審査会からの御要望ではありますが、問題及び解答例の公開は現在全国的にも行われておらず、極めて難しい問題であると受けとめております。 次に、要望を受けての検討についてお尋ねがございました。審査会の要望事項は実際問題として非常に困難な課題でありますので、今後慎重に検討してまいりたいと存じます。 次に、検討内容を公表すべきというお尋ねがございましたが、先ほどお答えしたとおり、今後慎重に検討してまいりますので、公表ということは現時点では考えておりません。 次に、選考資料集計表に関して御質問がありました。義務関係の選考資料集計表には配点の記載はされておりませんが、あらかじめ一定の配点を決めて審査を行っております。このように、単に様式上の記載がないだけであって、この点について義務関係と県立学校で何ら異なるところはありません。 次に、教員採用制度検討委員会の設置について御提言がございました。教員選考審査のあり方につきましては、事務局内に高知県公立学校教員選考審査方法研究委員会を設置し、教員採用制度について絶えず研究を行い改善に努めておりますので、お話のような教員採用制度検討委員会の設置は考えておりません。 続いて、教員定数問題について御質問がございましたが、まず第一に、一年生を含む飛び複式の解消についてお答えをいたします。一年生を含むいわゆる飛び複式学級については、平成五年度からスタートした第六次教職員配置改善計画において、一方の学年が四人を超える場合には複式学級を編制しないこととなっております。しかし、来年度直ちにすべての飛び複式学級を改善するには至りません。 次に、一年生は単式でスタートできる配置をすべきというお尋ねがありました。教職員配置改善計画は三年目でありますので、一年生の複式学級すべてを改善することはできないところです。なお、複式学級改善のため、平成六年度から県単で前倒しの措置を行っているところであり、来年度も同様の措置を講ずることにしております。 次に、臨時教員の配置についてお答えをいたします。他県の状況の詳細はよくわかりませんが、本県では産休や育休、病休などの取得者が多いほか、児童・生徒減少期の中で、各学校において児童・生徒数の減少により学級数が減となることによる定数オーバーの状況を避けることや教科の調整などから臨時教員で調整する場合もございます。 次に、定数内の臨時教員の配置数についてお尋ねがありました。制度的には定数内臨時教員という概念はありませんが、小、中学校においては、例えばある学校について、正規の教員が県教育委員会の定めている学級編制基準の数に満たない場合の臨時教員の数は、平成六年で小学校三十六名、中学校五十六名となっております。県立学校におきましては、例えば教育課程の工夫による講座編成の都合などから臨時教員を充てることはありますが、小、中学校と同じような意味での臨時教員はほとんどおりません。 次に、文部省の定数内にまでなぜ臨時教員を配置するのかというお尋ねがありました。通常の学級編制に応じて配置される教員数については、すべて正規の教員を配置することを原則としておりますが、実際の配置の上では、教科の調整や学級の増減に伴う配置等の事情により、学校単位で見た場合、必ずしもこの原則どおりとはならない場合もございます。 次に、臨時教員のこのような状況はあってはならないという御意見でございます。先ほどお答えしましたように、臨時教員を配置せざるを得ないような事情もありますが、さらに適切な教員配置に努めるとともに、将来の児童・生徒数の減少や退職教員数などを勘案の上、できるだけ教員採用を行うことにより臨時教員を減少させていくよう努めております。 次に、正式採用配置を行うべきとのお尋ねがありました。平成七年度採用教員選考審査におきましては、現在見込める可能な限りの名簿登載を行いましたが、今後も、将来の児童・生徒数の減少や退職教員数などを勘案の上、できるだけ教員採用に努めてまいります。 次に、教育予算についてお答えをいたします。教育予算につきましては、これまで学校教育の充実や施設整備の推進など必要な予算額の確保に努めてきたところです。県予算全体に占める割合につきましては、いろいろな要因による結果としての数値であると受けとめております。 次に、県立学校の現業職員についての御質問にお答えをいたします。まず、役割についての認識のお尋ねがございました。県立学校における技能員は、学校の環境整備等の業務、農場の管理、作物の栽培の業務、守衛、調理の業務に従事しておりますが、それぞれの業務は学校運営に必要なものであると考えます。 次に、退職補充についてお答えをいたします。平成七年度においては、県全体の異動の中でできるだけ退職補充をしたいと考えていますが、仮に退職補充ができない場合でも、教員、事務職員への負担増とならないよう配慮していきたいと考えています。 次に、人間性あふれる学校を築く上での現業職員の位置づけというお尋ねがございました。魅力ある学校づくりを行うためには、技能員のみならず全教職員がそれぞれの職責を果たし、学校運営が円滑に営まれることが必要であると考えております。 最後に、民間委託と配置の充実についてお尋ねがございました。技能員の業務は、直接児童・生徒を指導する教員とは異なり、仕事の内容によっては民間委託の方がより効果的な場合もあります。 また、技能員の配置につきましては、それぞれの学校の実態に応じて検討してまいります。 以上でございます。 (教育委員長寺尾好男君登壇) ◎教育委員長(寺尾好男君) 私に対します教育問題につきまして、順次お答えを申し上げたいと思います。 まず、教員採用制度の問題でございますが、先ほど教育長がお答えいたしましたように、教員採用選考審査につきましては、あくまでも公正に行っているところでございます。また、教員採用制度につきましては、絶えず研究し改善に努めているところでございます。 次に、教育委員会のあり方につきましてお答えをいたします。まず第一点は、協議会、秘密会の取り扱いに関するお尋ねでございますが、教育委員会の会議は、毎月一回招集される定例会と必要に応じて招集されます臨時会との二つがありますが、これらの会議とは別に、教育委員会として調査研究等を必要とする場合には、随時、委員協議会を開催をいたしております。 秘密会につきましては、職員の任免その他人事に関する案件などその時点で公表できないものについて、委員会の議決により秘密会としております。 次に、委員協議会や秘密会は極力少なくすべきではないかということでございますが、教育委員会の会議は、人事に関する案件等秘密会にするものを除き、公開とすることで運営をいたしております。なお、実際問題として、人事に関する案件が多いことから、結果として秘密会が多くなることはやむを得ないものと考えております。 次に、教育委員会のあり方について、請願者陳述権の明文化、さらには、それを十分審議するための請願処理規則を持つべきであるというお尋ねでございますが、教育委員会といたしましては、県民の教育に対する要望や課題を把握するため、例えば、有識者や専門家あるいは教育関係者を交えてへき地教育や水産教育というテーマで調査研究をする教育委員懇話会や、市町村教育委員会との交流推進事業などを実施をいたしております。 一方、事務局といたしましても、教育長がみずから現地に出向き、県民から直接意見を聞く一日教育懇談会を実施するなど、県民要望の把握に努めているところでございます。 これまで御質問の教育委員会に対する請願陳述に関する具体的な要請はございませんでしたが、御意見のように、他県には、その内容はともかくとして例もございます。ただ、四国の他の三県には現在のところございません。したがって、そういった他県の状況などを十分研究をいたしますとともに、議会との関係など今後研究課題であると思っております。 次に、会議録によればいじめ問題の論議がなされてないというお尋ねでございますが、教育委員会の会議につきましては、教育委員会事務委任規則で教育長に委任していない教育行政執行上重要な案件について審議し決定をいたしております。いじめの問題に関しましては、重要な事柄ではありますが、審議し決定するといった案件としては本年度教育委員会には付議されていません。 しかしながら、いじめ問題は緊急に対応すべき重要な課題でありますので、委員協議会において研究協議も行い、教育委員としても、文部省のいじめ対策緊急会議の座長であります千葉大学の坂本昇一先生をお招きをし、市町村教育委員の皆さんとともに研修をさせていただきました。今後とも、いじめ問題の解決に向けまして行政、学校、家庭、地域が一体となって取り組みがなされますよう、積極的に対応を図ってまいりたいと思っております。 続きまして、教員定数の問題でございますが、先ほど教育長がお答えしましたように、教員の配置につきましては、教科の調整や学級の増減などの事情によりやむを得ず臨時教員を配置しなければならない場合もありますが、なるべく臨時教員を減少させていくよう努めてまいります。 最後に、私のコメントに関してのお尋ねがございましたが、免許外教科担任の改善につきましては、県民の要望も大きいところでございますし、改善に努める必要があると思います。今年度は相当の改善も図られたところでございますが、今後もさらに改善のための指導の徹底を図っていきたいと考えております。 また、臨時教員につきましては、先ほどからお答えをしておりますように、できるだけ教員採用に努め、臨時教員の減少に努力してまいります。 以上でございます。 (三十九番塚地佐智君登壇) ◆三十九番(塚地佐智君) それぞれ御答弁をいただきましたが、時間がございませんので簡潔に何点か再質問をさせていただきたいと思います。 まず、教育問題につきましてお伺いをいたします。教員採用制度の問題につきましても、「あくまで公正に行っている、絶えず研究・改善をしている」という御答弁でしたけれども、あくまで公正に行っているならば、十三市町村からまでもこうした公正な対応を求めるような意見書が上がってくるはずがないわけです。そこのところの認識は余りに甘く、しかも県民の声に耳を傾けない姿勢のあらわれだと私は思います。その点に関しまして何点か質問をさせていただきます。 まず、教員採用の先ほどの教育長の御答弁の中で、公文書開示審査会の方から開示の要望がございましたが、その点について、出された要望は難しいと、困難であるということはおっしゃいましたが、その結論を、私は検討する部署はどこなのか、その可能性について決定する機関はどこかということを具体的にお伺いをしています。その点は答弁がございませんでしたので、そういう結論を出されるところを明確にお答えいただきたいと思います。 もう一点、採用問題についてお伺いをいたしますが、私は、選考資料集計表の問題に関しまして、高校の場合には配点が記されていると、しかし、義務の方には配点がされてないという質問をいたしました。そのことについて教育長は、「あらかじめ別に配点を定めています」という御答弁をされておりますので、配点を定めているという様式があると受け取りました。配点の内容さえわからなければ、公文書の開示のこの答申の中でも、これは公表して構わない資料だと思いますので、あらかじめ別に配点を定めている資料については公開をぜひしていただきたいと、そのことを要望しておきまして、そうするかどうかという点の御答弁を今ここでいただきたいと思います。 それから、教育委員長にお伺いをいたしますが、教育委員長の方から、教育委員会の会議は教育委員会事務局の方から付議されたものを論議をし、そして決定するのだというお話でした。県民としては、教育委員会の正式会議というのはそれしかしていないのかという、これは驚きになると思います。教育委員会の正式な会議で重要問題が論議をされていないという実態は、私は本当にショックと言いあらわしていいと思いますが、教育委員会の協議会の方で重要問題を論議をされているというのなら、それこそ公開に値すべき会議だと思います。 いじめ問題の協議がいつされたのか、どの協議会でされたのか、その内容を明らかにされるかどうか、この点、教育委員長にお伺いをしたいと思います。 それと、知事ですけれども、現業職員の方のリストラの課題にかかわりまして、学校も組織の一つである以上、見直しがあることも当然だというお話でした。現業職員の削減を容認する立場であって、大変重要な発言だったと思いますし、学校自体も効率化の中の一環としてとらえるのかという点では、知事の姿勢が出された答弁だと思います。現業職の役割と位置づけの認識も含めまして、先ほどの御答弁の真意を知事にお伺いをしたいと思います。 病院問題ですけれども、現在の医療の流れは、患者自身高度医療の中では紹介制度が重視をされてまいりまして、かかりやすい公的病院という点から言うと、性格的に明らかに後退するものになるわけです。三十万市民を抱えている市の、かかりやすい信頼できる公立病院がなくなるという視点は変わらないものだと私は考えておりますので、この点は、二つの公立病院を一つにして高度化する中で、市民にとって身近でかかりやすい医療が遠ざかるという点については、何ら納得のいくものでなかったということは申し述べておきたいと思います。 以上、再答弁お願いをいたします。 (教育長山口勝己君登壇) ◎教育長(山口勝己君) 再質問にお答えをいたします。 まず第一の、審査会の要望についてどこで検討するのかというお尋ねでございますが、今後検討をするということをお答えしましたけれども、検討するとすれば、高知県公立学校教員選考審査方法研究委員会というのがございますので、そこで検討することになると思いますが、いずれにいたしましても事務局内部の検討ということになります。 それから、決定する機関はどこかというお尋ねでございますが、教員採用に係る選考は教育長の権限ということに定められておりますので、最終的な決定ということになれば、教育長の決定ということになろうかと思います。 それから、集計表に関して義務関係で配点を決めているような何か文書があるのかというお尋ねでございますが、公開するような文書はございません。 以上でございます。 (教育委員長寺尾好男君登壇) ◎教育委員長(寺尾好男君) 再質問にお答えいたします。 日時をということでございますが、十二月の二十二日にいじめ問題協議会として研究・協議をいたしております。 以上でございます。 (「内容は公開していませんね」と言う者あり) 内容は公開しておりません。 (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 塚地議員の再質問にお答えをいたします。 県立学校の現業の職員の方の役割につきましては、先ほど教育長から御答弁をしたとおりでございます。また、その職場の見直しにつきましても、教員や事務職員の方々の負担増にならないように配慮しなければなりません。 ただ、学校も組織である以上、先ほども申し上げましたように、時代の変化に対応した見直しが必要な場合もあると考えております。 以上でございます。 (三十九番塚地佐智君登壇)
    ◆三十九番(塚地佐智君) それぞれ御答弁をいただきましたが、先ほどの教育長、教育委員長の答弁は、高知県民が今教育委員会に抱いている本当に大きな期待をまさに正面から裏切るものだというふうに思っています。今、教育委員会の秘密主義を解いて、公開の中で、県民の参加でこの高知県の教育問題をしっかりと論じていこうというそうした大きなうねりもできているところです。そうしたものを受け入れながら開かれたものに変えていく、このことにこそ教育委員会が今力を注がなくてはならないのではないかと思います。 ○副議長(西尾一雄君) 塚地議員に申し上げます。時間が来ましたので、御協力をお願いしたいと思います。 ◆三十九番(塚地佐智君) そのために当然請願陳述権も明文化すべきのが当たり前なのに、それすら研究して遠ざけようとする姿勢、これに今教育委員会の姿勢があると思いますし、知事の御答弁の中では、教育の場にも合理化を持ち込むとの姿勢が明らかになった点を私は強く指摘をし、教育を本当に子供たちが健やかに育つものにする、はぐくむという姿勢で、知事がさらに教育予算も大幅にふやす姿勢をこれから貫かれるように要望をいたしまして、私の一切の質問といたします。 ありがとうございました。(拍手) ○副議長(西尾一雄君) 暫時休憩いたします。 午後二時三十二分休憩--------------------------------------- 午後二時五十二分開議 ○議長(岡村聡次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 二十四番鈴木康夫君。 (二十四番鈴木康夫君登壇) ◆二十四番(鈴木康夫君) 四年に一度の節目となります今二月定例会の一般質問で一問一答方式を除きますと最後の質問者となりました。私自身平成三年七月の質問以来久しぶりの登壇であり、県議会議員として最後の登壇となりました。そのゆえをもちまして平常の質問のパターンとは少しはずれることもあるかもわかりませんが、お許しをいただきたいと思います。 まず、去る一月十七日に発生しました阪神・淡路大震災においては数多くのとうとい人命を失いました。亡くなられた方々に心から御冥福をお祈りいたします。また、けがをされた方々の一日も早い全快と被災された方々の立ち直り、そして町の復興を祈る次第であります。 さて、ことしはあの忌まわしい戦争が終わって五十年という大きな節目の年でございます。太平洋戦争の千三百四十七日間に軍民あわせ約三百三万人のとうとい生命をなくしておられます。そして、その最後の二十日間に一三%に上る人命が失われたのでございます。ポツダム宣言が発せられました昭和二十年七月二十六日から八月十五日までの間、陸軍はあくまでも本土決戦を主張しました。政府は表向きこれに何らの対応もできず、二度の原爆の被爆を受け、ソ連の参戦等も含め聖断に至るまでの二十日間で多くの人を亡くしたのであります。国家護持とは何であったか、悲劇の二十日間は何のために空費されたか、五十年を経過しまして風化しつつあるあの戦争を改めて検証しなければならないときにあると思うのであります。 また、私たち世代は戦後教育として「あたらしい憲法のはなし」や民主主義に関する教育を受け、「主権在民」、「恒久平和」の思想は私どもの体内奥深く入っておるわけでございます。しっかりとこの憲法を守っていくのだという気持ちを今新たにしているところでございます。 私は、海外から引揚者の一人として着のみ着のままで日本に帰ってきましたが、文字どおり焦土と化した国土に茫然と立ち尽くし、我が祖国はどうなるかという暗然たる思いがかすかながらよぎった日のことを私ごとながらまるで昨日のように思い起こします。思い出してもつらく厳しい時代でありました。しかし、それから半世紀、我が国はだれもが想像だにしなかったほどのすばらしい発展を遂げました。東洋の奇跡は文字どおり世界の奇跡を起こしたわけでございます。面積で世界のたった〇・三%、人口で二・二%という条件の中で日本経済は文字どおり右肩上がりの力強い上昇カーブを描き、この極東の小さな国は世界のGNPの一五%を超えるパワーを持つまでになったわけであります。 一方、政治の世界を見ますと、一九五五年の左右社会党の統一、保守合同による自由民主党の結成といういわゆる五五年体制の枠組みができて以来、「保守」、「革新」というイデオロギーの対立がさまざまな形であらわれました。しかし、それさえも一つの発展のエネルギーとしてこの半世紀の成長を支えてきた要因と言えるのではないかと思います。 歴史的に見ましても、この半世紀の我が国の成長は再び実現させようとしても恐らく実現不可能な「成長と繁栄の時代」と位置づけられるのではないかと思います。 しかし、この長く続いた繁栄と成長も、五十年という歳月を経てさすがに一つの壁に突き当たったかの感がございます。それはまさに戦後の世界を二分してきた東西の対決の終結を契機とするものであり、このインパクトはこれまでの世界の歴史の数十年分に匹敵するほど大きくかつ衝撃的なものでありました。恐らく後世の歴史家は一九九〇年代の初頭のこの数年間を「世界史における一大分水嶺であった」と記すに違いありません。 これを我が国の政治の世界に照らし合わせてみますと、一九五五年以来相反するイデオロギーとして対立してまいりました自民党と社会党がまさかの連立政権を組むという、およそ数年前までは予想だにできなかった事態が余り違和感もなく実現しましたことに象徴されますように、これまでの価値観に大きな転換を迫りました。それまでのイデオロギーや政党のあり方を根底から覆すこの出来事は、まさにパラダイム--枠組みの転換として大きな問題を投げかけており、我が国を逃れようのない大きな変革の時代へと陥れたのでございます。そして、現在の我が国の政治の状況は依然としてこの混迷の中にあり、霧の向こうにどのような世界があるかいまだ定かでないというのが現状の図式ではないかと思います。 もちろん、この隘路を打開するためにただ手をこまねいていただけではございません。そうした霧を取り払う有力な手段としてさまざまな取り組みが行われておりますが、中でも現在中心的に取り組んでおりますものの一つは政治改革であり規制緩和でございます。もとより、これらの改革によって次の時代が開けるというほど現在の事象が単純かつ容易なものではございませんが、当面この改革が重要であることは論をまたないと思います。 特に、政治改革は焦眉の急であり、曲がりなりにもさきの国会において関連法が成立したことは御承知のとおりでありますが、もう一つの大きな課題は地方分権でございます。村山内閣もこの点について、次の重要課題は地方分権であるということを明確にされておりますし、各自治体もその実現に向けていろいろな取り組みを始めています。 橋本知事も地方自治のリーダーのお一人として各方面から意見を求められております。しかし、私なりにいろいろな点から判断する限り、知事自身は分権にはその前提条件としてまださまざまな課題があるということを明言されているように見えます。私も地方分権については基本的には推進しなければならないと思っておりますが、現在の分権論議を見ますと、総論はほとんどの者が賛成しているにもかかわらず、各論になると途端にそれは鈍くなってまいります。つまり、分権と言いながらも、一体何を実施するのか、そして分権すればどのようなメリットがあるのかがよくわからないまま議論されているのではないかと思います。もしかすると、かつての「地方の時代」という言葉のようにムード先行で実態が伴わないことになるのではないかと心配するのであります。地方分権のあり方、また具体的な推進方策についてまず知事の基本的な考え方をお聞きいたしたいと思います。 分権についての二番目の質問は、県独自の取り組みについてでございます。分権の推進方策につきましては、先月の九日総務庁におきまして分権を進めるための地方分権推進法案の素案が取りまとめられました。内容につきましても、分権推進のかぎを握ると見られる推進委員会が具体的な指針の報告や計画の実施状況について監視をするというように、比較的強い権限を与える内容となっております。 しかし、この権限につきましては各省庁からの反発も予想されており、既に国会提出までの紆余曲折に見られますように、さきに骨抜きにされた特殊法人の統合と同じくほとんど実質的な効果がないということになるのではないかと私は憂慮いたしております。私は、この問題につきましては、国の取り組みを待つという姿勢よりも、地方みずからが動き国を動かしていくというぐらいの気構えがないとなかなか地方の実態に見合った改革はできないのではないかと思っております。 県の分権の進め方に関する対応としましては、既に庁内にワーキンググループをつくり検討されているともお聞きいたしました。大分県では平松知事が先頭に立って昨年末に県の事務三百三十二項目を市町村や地方機関に権限移譲することを明確にするなど先導的な試みを展開しておりますし、群馬県や熊本県などでも市町村などへの権限移譲を検討されているとお伺いいたしました。県は庁内で行ったワーキンググループの研究の結果をどのように総括されているのか、また、今後市町村への分権などについて県として積極的に取り組むおつもりはないか、お聞きいたしたいと存じます。 次に、国際化の問題について二点ほどお尋ねいたします。まず第一点目は、国際友好交流についてであります。昨年は懸案でありました中国安徽省との友好提携が行われ、日中友好の推進に関係してきました者の一人として率直に喜んでいるところであります。私はフィリピンのベンゲット州との提携調印にも同席させていただきましたし、今回の安徽省との調印にも立ち会うことができました。両州省とも経済的発展のレベルはこれからという段階にあることから提携によるメリットを云々される方もいますが、私は、友好提携を生かすか殺すかはひとえに交流に対する考え方、交流のやり方にかかっていると思うのであります。 例えば、ケナフという紙の原料になる植物がありますが、ケナフは一年草で数カ月で背丈が四、五メートルに育ち、太さも直径五センチ前後になり、成長が大変早いのが特徴で、非木材系の紙の原料として日本でも近年大変注目され、大手の製紙会社でもその商品化の研究が行われております。安徽省はそのケナフの一大産地で、中国の約四分の一の生産量を誇っており、既に愛媛県の製紙会社では安徽省の工場でケナフパルプの生産を開始することに決めています。今回の友好提携を背景に、ケナフを本県の製紙にも利用する方法の検討など安徽省との交流の中で経済面でも相互にメリットのある交流の展開も考えていくべきだと思います。ケナフは一例ですが、こういった可能性は幾らでもあるのではないかと思うのであります。 中国は今改革開放政策の中で工業化を急速に進めており、それに伴う公害がひどく、上海など都市の上空は灰色の雲に覆われており、大気汚染には大変なものがありますが、これは住民の健康に影響を与えるだけでなく酸性雨や地球環境の悪化の原因になると言われております。また、ベンゲット周辺では無計画な森林の伐採で自然破壊が進み至るところで山地の崩壊が起こるなど、森林の再生、環境保護、自然保全が大きな問題となっているということも聞きます。 こうした問題に対して広島県では、友好提携を行っている四川省との間で四川省の環境汚染防止のため環境保護調査団の派遣や技術研修生の受け入れと専門家の派遣、あるいは酸性雨に関する共同研究などの取り組みを行っていると聞いております。 このように友好交流は、文化交流、スポーツ交流にとどまらず経済交流、国際交流といった面からの取り組みも大事だと考えますが、ベンゲット州とはことしで二十周年目を迎え、安徽省とはことしから新たな交流が始まるわけですが、ベンゲット州、安徽省とは今後どのような交流を進めていこうとお考えなのか、知事にお伺いいたしたいと思います。 次に、工業の振興に関する質問をいたします。私は、常々県の産業振興政策についていろいろな視点から機会あるごとに申し上げてまいりました。この七年度の予算も確かに現状のさまざまな条件では最善の予算と思うわけであります。しかし、まだまだ基盤整備や文化施設等に思い切った投資ができていないというか、できないというか、そんな感じもいたします。そして、その原因は、御承知のように産業構造から県税収入が一割しかないという産業の弱さに起因しているということであります。とすれば、何に重点を入れなければならないのか。付加価値の高い工業の振興にもっと力を入れなければならないことは明らかであります。それは今や県民多くの方々の共通の認識であると思います。 知事は、平成四年度に産業政策として工業に重点を置く工業振興計画を策定し、さらに五年度には「自立と挑戦」をテーマにした県計画を策定しました。まさに状況を変化させていく視点として的を得たものであろうと思います。確かに、地域独自の文化を有した住みやすい地域を形成していくためには地域の経済を自立化させていくことが必要であります。そのためには、県も県民も企業と同様絶えず生き残っていくために挑戦していく姿勢が大事なことだと思います。 本県の工業実態を見てみると、特徴として一つに、中小零細企業が多い、二つに、下請企業が多い、この二つのために、また労働環境、福利厚生条件が十分でない中、人材の確保等に苦労している企業が多い現状にあります。ところが、このようなこれら本県を支え大多数の地元中小企業に対する支援施策がまだまだ不十分ではないかという声もお聞きするわけであります。 そこで、商工労働部長にお伺いしたいのですが、平成七年度には工業振興計画を見直していくとのことですが、本県製造業の現状をどうとらえ、今後どういう方向にもっていこうとしているのか、まずお尋ねをいたします。 次に、現在の産業を取り巻く状況の中で「技術」というものをどう考えているのか、お伺いいたします。昨今の産業を取り巻く変化は、一ドル九十円台の為替や東アジアの急速な経済成長、それに伴う産業の空洞化等著しいものがあります。このことは、単に国内ばかりでなく世界を見通した視点で物事を考えることに迫られていると言えます。既に単純な量産化の工業はほとんど海外に進出し、冷蔵庫のような電気製品でさえ我が国は輸入品が半分を超える事態を迎えております。 そうすると、本県においても、産業振興を考えるときには、ひしひしと迫ってくる東アジアの製品に追いつかれないよう製品をつくり出す技術というものをいかに高度化していくかが問われているのではないかと考えます。そのことは本県の技術力を高めていく体制がどうなのかということです。知事も選挙公約の中で「工科大学の創設による人材育成と教育費負担の軽減を図り技術立県につなげます」とおっしゃっておられますが、技術力をもっと底上げしていくべきではないかと思います。 そこで考えてみますと、本県において技術振興の中核拠点は何といいましても工業技術センターであります。これまで工業に対する産業政策上の位置づけが弱かったばかりに、工業系の公設試験研究機関は工業技術センターと紙業試験場とあわせてやっと五十人でありまして、もっと充実していくべきだと思います。 他県の資料を先ほど渡してありますが、本県の製造業者は中小零細が多いのです。技術が高度化することによってますます細分化される中、これら企業の底上げのために支援しなければならないのです。真に工業振興を図っていこうとするならば、今後ますます求められる技術課題にきちっとこたえられる体制の整備が必要なのではないでしょうか。 そこで、商工労働部長に伺いますが、この工業技術センターを産業振興上どう位置づけ、どのようにもっていこうとしているのか、お尋ねいたします。 次に、工業の総合的な支援のあり方についてお伺いいたします。中小企業の方から「もっとこんな分野に研究員を配置してほしい」とか「こういう設備を入れてくれないか」との声を伺いますが、本県のような厳しい財政の県にとって徐々に進めていかざるを得ないことも理解します。そうだとするならば、研究開発段階において地域の学術研究機関を有機的に連携させながらもっと活用する手段が講じられないかということです。既に本県には高知大学、高知医科大学、高知高専、ポリテクカレッジ等が存在します。これらには理工系の学部・学科が存在するのに、どうもうまく使われていないように思えます。その辺の産・学・官の連携は非常に重要だと思います。 ところで、製造業が事業として展開していくには、開発、製造、販売という段階を踏みます。つまり、この三段階における課題を解決していって初めて事業化ということなのです。現在、研究開発段階から生産工程まで工業技術センター等の技術支援がありますが、製造業の一部分での支援となっております。また、幾らよい製品をつくっても販売できなければ商品とは言えません。商品とならない限り工業振興とはならないのです。言いかえれば、売れる製品、顧客の必要とする品物をいかに製品化するかということでございます。そこに創業という芽も出てくるわけであります。 そのような課題が存在した特産品の分野につきましては、商品計画機構が設立され解決しつつあります。ところが、機械金属製品のようなものは商品の性格上流通のあり方が異なります。しかし、参考になる事例があります。青森県、秋田県、北海道等で行っているビジネスサポート事業です。その事業は、県内製造業者の販売を支援するために東京に安い家賃で入居できるような共同事務所を設け、地域内で生産したものの販売拠点としている支援事業です。しかも入居期間には制限があり、成功すれば独自に営業所を設置する必要ができてきますし、失敗すれば撤退すればいいというわけであります。いわば開発のベンチャー支援から一歩踏み出した販売のベンチャー支援です。 そこで、商工労働部長にお伺いしますが、製造業の振興には開発から製造、販売までを一体的に支援する必要があると思うが、御所見をお伺いいたします。 次に、県内中小企業の方からよく聞く話として、すぐれた技術力を有した成長しそうな企業の卵があるものの資金確保や経営に不可欠な人材を確保できない等の障害から大きく羽ばたけていない現状があります。この点への対応として、平成七年度新規事業としてベンチャー企業総合支援事業に取り組むことは評価をいたしたいと思います。 中小企業白書でも創業率が低下しているとの指摘がありますが、本県でも機械金属への新規創業が少なくなっているように思えます。創業というのは新しくつくる創業でありますが、このことは工業を取り巻く環境の変化が製造業への参入を困難にしており、それを打開するための取り組みが求められていると言えます。 そこでお伺いしたいのは、そのような成長が期待される企業に人的な支援ができないかということです。商工労働部長の御所見をお尋ねいたします。 次に、農業問題についてお伺いします。我が国日本は「瑞穂の国」と言われてきました。稲穂が黄金に輝く風景は豊かさの象徴として、少なくとも我々までの世代には美しい日本の原風景として深く心に刻まれております。また、水田は二千年に及ぶ我が国の文化の源泉でもあります。わずか三十年前にはこうした文化と風景がだれにでもわかる形で私たち日本人の生活の中に息づいていたように思います。 稲作を中心にした農村社会はこの三十年間に大きな変貌を遂げてきました。変化が何よりも顕著でありますのは人口の流れであります。三十五年当時には国民の五六%が農村地域に住んでおりました。それが平成二年には三七%しか農村地域にはいないという結果になっているのであります。この三十年間に人口の構成比で農村地域は二〇ポイントも都市部に人を奪われた形になっております。そして、農業集落や農業人口、そして農地面積も減少が著しいわけであります。また、農村地域では高齢化も進んでおります。 こうしたことの背景には若者が地元に残らないということがあるわけでありますが、本県の場合、全国に比べ新規に就農する人数は比較的多いということはあるにしましても、これまで本県の農業を担ってきた昭和一けた生まれの担い手が高齢化に伴って今後リタイアすることを考え合わせますと、担い手の不足は深刻であります。 また、先日発表されたところによりますと、食糧の自給率はカロリーベースで三七%まで低下しております。これは国民一人が一日にとるカロリーの六三%までが外国産の食糧に依存しているということになります。 このように見てきますと、社会構造としての農業の位置が急速に低下してきていることと農業構造が弱体化してきていることが歴然としてくるのがおわかりいただけると思います。こうした農業・農村の地盤沈下が進んできますと、農業・農村を国民は身近なものに感じなくなるのではないかと危惧するものであります。都市住民が増大する一方で、農村地域から都市に移住した人口の代がわりもあり、農業・農村を知らない国民が大多数を占めてまいります。先ほども述べましたように、食糧の自給率が低下してきますと食糧を供給してまいりました農業の役割が評価を受けにくくなってまいります。守るべきものとして認識しなくなっているのではないかと心配をいたしております。 かつて母親は子供に「お百姓さんが汗水垂らしてつくったお米だから、感謝してむだにせずに食べなさい」と教えました。食べ物の大切さとそれをつくり供給する農業の重要性を家庭や社会が教えてきました。こうしたことは最近では農村においても見られなくなったように思います。もう一度農業と農村の役割を考え直してみる必要があるように思うのであります。 今日までこの農村社会を支えてまいりました農業の状況を考えますと、日本の文化も農村社会も根こそぎなくなってしまうのではないかという危惧の念さえ抱かずにはいられないほど農業と農村はせっぱ詰まった状況に追い詰められているように思うのであります。 国におきましては、こうした状況への対策として平成四年に新政策を発表いたしました。ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の進展や輸入野菜の増加など急速な国際化の流れを背景としながら、三十年前と基本的に変わらない零細な農家が圧倒的に多い農業構造であるとか農業につく若者が減り過ぎて農業・農村の担い手が足りない現状、あるいは低下傾向に歯どめがかからない食糧自給率の問題などに対し、農業基本法の理念や政策手段では有効に対応し切れないということが指摘されていたのであります。 それから今日まで御存じのように農業を取り巻く状況は急転してまいっております。ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の合意、戦後最悪の米の凶作、それに続くまた逆に大豊作等々、農業は翻弄され続けてまいったのであります。この間、農政審議会の場でガット・ウルグアイ・ラウンド後の国内対策をどうするのか検討がなされまして、昨年八月「新たな国際環境に対応した農政の展開方向」として対策の方向が取りまとめられたのは記憶に新しいところであります。この中で農業基本法の見直しや食糧管理法にかわる新たな米管理システムの構築が提案されたのであります。新食糧法は、世界貿易機関--WTOの批准とあわせ既に昨年十二月法の制定がされております。 こうした中で、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱が政府においてまとめられ、この考え方をもとに、ウルグアイ・ラウンド農業合意の内容がWTO--世界貿易機関の場で見直される六年後の平成十二年度までの緊急的な対策として総事業費六兆百億円の投資を行うことが決まったということであります。世上では、六兆百億円につきましてはとかく「ばらまき予算」であるかのように言われておりますが、危機的な状況にある我が国の農業にとりましては新たな国際環境に耐え得るような農業構造をつくり上げるための最後のチャンスでもあるわけですから、今後関係者が英知を出し合い効果が着実に生まれるような執行を心から願うものであります。 また、県では、一昨年度から策定に取り組んでおりました農業基本計画が、昨年はこのウルグアイ・ラウンド農業合意のこともありまして継続審議という形で中間答申にとどまっておりましたが、ことしの一月に最終答申を受けたということであります。これまでるる述べてまいりました農業を取り巻く情勢や農業の構造的な課題を踏まえまして質問をさせていただきたいと思います。 まず、農林水産部長にお伺いいたします。農業の現場では高齢化が進み後継者が確保しにくい現状にあることは先ほど申し上げたとおりであります。本県の農業にとりましても、農業就業人口の減少や高齢化など抱えております課題は同じであります。そうした中で、これからの農業を維持・発展させていくために担い手をどのように確保していくかが大きな課題であろうと考えます。農家の後継者を育てていくことはもとより、新規の就農者を確保することも重要であります。個別の農家の力を強める対策を積極的に進めていくことも求められておるわけですが、一方で、個々の農家に期待するだけではどうしようもない農業の実態もあるわけです。 そこでお伺いしたいのは、県として農業構造の面からこの地域農業の担い手対策をどのように考えているのか、農林水産部長にお伺いいたします。 そして、この項の最後になりますが、農業の置かれている状況や本県農業の現状を踏まえまして、農業の役割をどのように評価されているのか、また、農業を振興するに際しての県の役割をどのように考えておるのか、知事の御所見をお伺いいたしたいと思います。 次に、精神障害者対策についてお伺いいたします。私はこれまで精神障害者の家族会の組織育成に携わり、多くの御家族の方々からお話を伺ってまいりました。精神障害者及びその家族に対する支援施策は充実されてきてはいるものの、社会活動の場が少ないことや病気に対する誤解や偏見、また家族の高齢化に伴う家庭介護力の低下などさまざまな問題があり、精神障害者を取り巻く環境は依然として厳しいものがあります。 本県における入院患者について見ますと、患者数は減少してきておりますが、昨年の六月末では約三千八百人となっており、これを人口単位当たりの全国平均と比較しますと一・七倍多い状況であります。一方、通院患者は増加しており、昨年度に公費負担の利用者は約三千五百人となっており、全国平均と比較しますと一・五倍多い状況であります。こうした数値を見ますと、本県は全国と比べ精神障害者の比率が高く、また入院医療から通院医療へと変化してきており、この点からも今後は地域で温かく受け入れ、生活を支援していく体制の充実が求められております。 国におきましては昭和六十二年に精神衛生法を精神保健法に改正しましたが、その改正点の大きな柱が生活や作業の訓練施設を整備することを内容とする社会復帰対策の新たな位置づけでありました。しかしながら、他の障害者にはそれぞれ福祉法が制定されているように、社会復帰対策だけでは十分な日常生活及び社会生活を営むことが困難であるため福祉面の充実が不可欠でありました。本議会においては、社会復帰、福祉対策の充実を求める意見書を平成三年九月議会で全会一致で可決し政府に要望したところであります。 このような状況を背景として平成五年十二月障害者基本法が議員立法のもとに成立し、精神障害者も障害者として明確に位置づけられ、自立と社会参加に必要な各種の援助が受けられる福祉の対象者となったことは御存じのとおりであります。また、昨年六月に成立しました地域保健法により、社会復帰対策などのうち身近で利用頻度の高い保健サービスについては市町村も実施する方向づけがなされたところであります。 障害者基本法と地域保健法の成立により精神障害者の保健・福祉両面にわたる制度改正が要請されているわけですが、先月精神保健法から精神保健及び精神障害者福祉に関する法律への改正案が国会に提出されております。この改正法によりますと、手帳制度の創設などの福祉対策を位置づけるとともに、地域における保健・福祉対策を総合的に実施するため保健所や精神保健センターにおいても福祉に関する相談・指導を行い、また市町村も普及・啓発や保健・福祉の相談・指導を行う内容となっております。 このような動きを踏まえまして、精神障害者に対する行政サービスの第一線機関であります保健所や技術中核機関であります精神保健センターについて、その機能をどのように強化していくのか、また、市町村の役割発揮についてどのように進めていくのか、今後の取り組みについて保健環境部長にお伺いいたします。 精神障害者の社会復帰・社会参加の促進を図るためには、本人及び家族に対する直接的な支援に加えまして地域の方々の理解と支援も不可欠であります。多くの県民は精神障害者に対して善意で接していかなければならないと考えているものの、精神障害者に対する理解が十分でなくどのように接してよいか戸惑っているのが現状であります。また一方では、精神障害者に対する偏見も根強く残っていると思います。 精神障害者に対する誤解や偏見を是正し解消するためには、精神障害者に関する正しい知識を普及させる広報活動を積極的に行うとともに、精神障害者の本当の姿を見てもらうための地域住民の方々との交流を図ることも必要であります。精神に障害を持つ方々が地域で自立し生活していくためには、地域の方々の理解と支援のための普及・啓発活動はぜひとも進めなければならない重要な課題であると思いますが、今後啓発・普及にどのように取り組んでいくのか、保健環境部長にお伺いをいたします。 次に、今議会に提案されております高知県動物の保護及び管理に関する条例について保健環境部長にお尋ねいたします。さきの阪神大震災におきましては、一瞬にして多くのとうとい人命が失われ、避難した人々も家族や住む家も失い心が深く傷ついているものと思われます。経済的な復興はもとよりでありますが、被災された人々の心の傷をいやす取り組みが今後非常に重要になってくると言われております。 被災地についての新聞報道の中に、避難場所の片隅でしっかりと愛犬を抱きしめているお年寄りの姿や焼け跡に飼い主を探して焦燥した犬の姿、また彼らを保護し新たな里親を探すボランティアたちの活動も数多く見られました。あのような大震災の中、人命が失われ、住む家もなく飲食にも事欠く状況の中で人と動物たちの深いきずなを見るとき、ペット動物が飼い主の心の安らぎや傷ついた心をいやす上で大きな位置を占めていることを痛切に感じたところであります。 しかしながら、ただ「かわいい」等の理由で正しい飼い方を学ばずに動物を飼い始めた結果、不適正な飼育が原因で近隣に迷惑をかけ動物嫌いの人をふやすなどの事例が後を絶たず、その結果、原因は飼い主にあるにもかかわらず面倒を見切れず動物を処分せざるを得なくなるなど、飼い主の身勝手なしわ寄せが罪のない動物たちにきてしまうなど非常に残念な現実のあることも事実であります。 これらの問題解決のためには、動物の適正飼育等について粘り強く普及・啓発し動物と人間が共存できる社会を築くことが大切と考えます。今議会に動物の保護及び管理に関する条例が提案されておりますが、人と動物のかかわりにおいて本条例の意図するところをお伺いいたしたいと存じます。 次に、環境問題についてお伺いいたします。昨年九月二日、行政改革検討委員会から「明日の高知県のために」との行政改革への提言がなされておりますが、その中で「高知らしさ」あふれる地域文化のある県づくりのための体制整備として新年度から文化環境部の設置が提案され、現在そのための作業が進行しております。まことに時宜を得たものと大いに期待をする者の一人であります。 自然その他の地域環境、生活環境とさまざまな文化は密接不可分の関係として環境に変化を来せばおのずから文化も変遷し、雪国には雪国の、多雨地帯には多雨地帯のそれぞれの文化が芽生え、さまざまな芸術、伝統工芸、食生活、生産活動、生活様式などそれぞれの地域性を持った文化が花開いてきたのであります。また、別の見方をすれば、時の文化が環境に影響を与えると言うこともできます。 さらに、自然環境や生活環境は私たちの健康と密接に連動していることも見逃せません。小ブナやメダカなどをとった川、水泳ができた川などがいろいろの要因により汚染が広がり、人口密集地ではとてもそれを実行することは不可能になっており、いわば昔の懐かしい文化となっております。昨年の九月議会で御説明のありました木の香る道づくり事業もしかりでありますが、最近河川の工法として近自然工法や多自然型工法により昔の自然を取り戻す工夫が全国的に展開されてきております。しかし、幾ら全国に誇り得る自然環境が保全されたとしても、そこに親しむ手段がなければ県民と自然が一体となった文化と環境行政の展開は期待できないと考えます。 そこで、今回提案されております文化環境部を県行政の土台として推進できるような理念とそれを実行できる組織体制として発足いただき、本県の文化と環境を全国に誇れるもの、いわば「文化・環境立県」として大いにアピールしていくべきだと考えます。産業立地のおくれた後進性はある意味では環境破壊の少なかったことであり、県土の八四%を占める森林、四万十川、新荘川ほかに代表される美しい川、周囲を取り巻く海は本県の誇り得るものであります。まさに、今やその後進性に価値観が認められようとしております。 しかしながら、生活排水の汚濁や廃棄物の増大、従前になかった新しいタイプの廃棄物などの生活型公害対策は緒についたばかりで、今後の対応が期待されているところであります。一昨年十一月十九日に公布、施行されました環境基本法は、環境問題を総合的にとらえるとともに地球サミットでの合意を世界に先駆けて法制化したものであります。この環境基本法の理念を受け既に各県も環境基本条例の制定に取り組んでおりますが、埼玉県などでは、県の施策を決定・実施する際、環境保全のための調整を優先させる「環境優先」を基本理念とする条例が検討されております。本県においても、去る九月十九日の環境審議会で知事から環境基本条例の制定について諮問され、着々とその準備が進められておりますが、県民がよりよい自然環境や生活環境、地域文化等を享受できることが何よりも肝要かと存じます。執行部からは、今環境問題が殊のほか重要であり、その対策は県行政の柱であるとの説明等を伺ってまいりましたし、まさに県民からも求められているものであります。 そこでまず、新たな県行政の出発に際し、本県に残された豊かな環境を保全するため従来にも増して環境への負荷に最大限配慮するとともに快適な環境の創造に配慮した施策を推進していく必要があると思うがどうか、知事にお伺いをいたします。 ちょっと時間がないものですから、はしょりまして大変恐縮ですけれど。生活排水処理とともに水洗化による生活の質的向上、これは非常に大切であると思います。この必要性に対して本県各市町村においても、大きくは公共下水道事業、農業集落排水事業などの集合処理方式から最近の合併処理浄化槽の個別排水処理方式、また、全国に先駆けての「四万十川方式」と言われる汚濁水路浄化施設などさまざまなシステムで取り組まれておりますが、これまで公共下水道事業を初めとして生活排水処理対策、あるいは住民生活の向上対策の取り組みにより全国の比較の中で本県の現状がどうなっているのか、保健環境部長にお伺いをいたします。 それから三つ目に、昭和六十三年度に国庫補助事業を導入して以来県下全市町村におきまして整備されてきておりますこの合併処理浄化槽でありますが、今後より一層の合併処理浄化槽の整備を図るためにどのような方策を講じていくか、考えをお伺いをいたしたいと存じます。 また、この維持管理というものが大変環境問題と密接な関係にありますが、今後個人責任とされる維持管理をいかに確保していくか、合併処理浄化槽は生活排水対策の上で有効な社会資本と位置づけられる中でどのような対策を考えておるのか、お伺いをいたしたいと存じます。 提言を用意しておりましたけど、ちょっと時間がございませんので、大変恐縮ですけど、これは後でまた文書でお回ししますので、知事さんごらんになっていただきたいと思います。 次に、治安関係について警察本部長にお尋ねいたします。我が国の治安水準の高さは世界に冠たるものがあると言われております。私は、治安は社会の各般の生活、政治、経済、文化等いろいろな社会活動の基盤を支える仕事と思っております。したがって、治安が揺らげば各種の社会活動が衰退すると言っても過言ではないと思うのであります。 治安の根幹をなす薬物・銃器問題は、今対応がおくれれば二十一世紀における日本の治安の最大の脅威になるだろうと言われております。数日前のニュースで平成六年一月から今年一月まで日本で起こった発砲事件が二百六十一件と報じておりました。改めてかなり多い数だと思ったわけであります。高知県は積極的な取り締まりで最近は鎮静化いたしておるものの、かつて全国ニュースのトップとなり全国の人々に悪印象を与えたことがあったのもいまだ記憶に新しいところであります。 一昨日の新聞に出ておりましたが、去る四日に総理府が発表した社会意識に関する世論調査結果によりますと、世界に誇ってきた日本の治安のよさに不安を持つ人がふえております。「悪い方向に向かっているもの」への回答で「治安」が二九・二%、「教育」の三一・九%と並んで突出した増加率を示したとありました。治安というものは空気や水と同じく平素余りその大切さを感じませんが、いざ兵庫県南部地震やさきの誘拐事件に接しましたとき改めてその重要性を痛感するものであります。 また、大変前後しますけど、去る二月二十四日に宿毛市で発生しました身の代金目的の誘拐事件につきましては、事件発生から七時間という短時間のうちに被害者の未左希ちゃんを無事保護し犯人を逮捕されましたことにつきまして、警察本部長ほか捜査に当たられた職員の皆様方の御苦労に敬意を表しますとともに、日ごろから培われた県警察の捜査技術の水準の高さに県民とともに称賛を送るものでございます。 そこで、ことし当初、県警察は「たくましい警察」ということを平成七年の運営方針として掲げられてこられました。本県の治安の責任を負われておられます県警本部長さんに二点お尋ねをいたします。まず第一点は、最近の治安情勢はけん銃使用犯罪や来日外国人犯罪の増加、また交通事故の増加や暴力団の動向など予断を許さない状況にあると思いますが、二十一世紀に向けての本県の治安対策を進める上の基本的な考えを示していただきたいと存じます。 二点目は、治安は社会基盤の原点であり県民生活において最も大切なものでありますが、その拠点となる新しい警察本部庁舎は、二十一世紀の「たくましい警察」にふさわしい機能を有し、また今回の兵庫県南部地震程度の地震にも耐えられるものでなければと考えますが、どこにどのようなものを建設されるのか、お尋ねをいたします。 さて、私の質問時間も残りわずかとなってまいりました。思い起こしますと昭和五十年四月三十日、春の名残は日ごとに遠のき新緑の季節がめぐり来ようとする時期、はしなくも高知県議会の末席を汚すことができました。以来二十年間、県議会議員の職責一筋に自分なりに身命を賭す覚悟で今日まで勤めてまいりました。その間なし得たことはまことにわずかであり、省みて内心じくじたる思いを禁じ得ません。しかし、私なりに精いっぱい頑張ってきたというさわやかな満足感が今私の心の中を去来いたしております。 省みますと、この間私自身の未熟さゆえに多くの先輩初め同僚諸氏、さらには執行部の皆様方に何かと御迷惑をかけてまいりました。また、若げの至りでいろいろなあつれきを生じたことも一再ならずあったと思います。しかし、そうした心に残る苦い思い出は今すべて恩讐のかなたに消え去り、私はただ心の赴くまますべての方々に心から感謝の言葉を申し上げたいと思います。 「散るべき時を知ってこそ世の中の花は花であり、人は人である」という言葉がございます。私は今議会を期に二十年にわたる政治活動に決別をする決意でございますが、今何のてらいも気負いもなくこの言葉を申し上げることができる心境であります。本当に感謝を申し上げます。 特に任期最後のこの四年間は、橋本知事という全国に誇ることのできる知事とともに県勢発展のために努力してこれましたことは、私の無上の喜びとするところでございます。政治の不信が叫ばれて久しくなりますが、私ども高知県民はこのように信頼感の持てる知事を抱いておりますことを本当に幸せなことだと改めて思います。今議会冒頭の質疑におきまして知事は再選への強い意欲を示されました。この三年数カ月、県政の各般にわたりまして着実な実績を積まれてまいりましたが、全体的には知事自身が申されますようにまだ播種--種まきが終わった段階でございます。今後、すばらしい収穫を得られますためには、さらに十分な経験を積まれまして立派な花を咲かせてほしいと願っております。 そうした観点から、ぜひ最後にお聞かせ願いたいと思いますのは、二期目の四年間をにらんだ知事自身のビションでございます。前回の知事選挙に当たって橋本知事は、人口問題などを初めとする土佐の国づくり五つの基本構想と四国の新時代を切り開く七つの政策について基本的な考えを示されました。その公約の多くがこの四年間に達成されようとしておりますことを率直に評価いたしますが、県民は、知事が種をまいたこれらの事業の上にさらにどのような花を咲かすのか、あるいは次の四年間にどういう県づくりを目指していくのか、強い関心を抱いていると思います。抽象的な質問になって大変恐縮でありますけど、知事の二期目の県政の推進にかける思いを率直にお聞かせいただければ幸いでございます。 さて、厳しい冬はようやく終わりを告げ、うららかな陽光とともに間もなく桜の季節を迎えます。同僚の皆様方には四年に一度の県民の審判を仰ぐ統一地方選挙の時期となりました。中央政界の混迷、先行き不透明感の漂う経済などまさに混沌としたかつてない状況の中での選挙と言われております。国民の無関心も大いに懸念されております。しかし、戦後五十年の発展を支えてきたものは紛れもなく政治の力であったと私は確信しておりますし、よくもあしくもこの半世紀、あらゆる分野にわたって前進の意思を捨てなかったということが今日の我が国の発展を支えてきたと私は固く信じております。 「興隆の要因となったものと同じものが衰退の要因になる」とさる賢者は喝破しておりますが、我が国の繁栄を支えてきた政治が衰退の要因となってはなりません。政治の信頼の回復のためにも皆様方に課せられた責務はかつてなく重く厳しいものだということをもう一度深く銘記されまして、この選挙戦に臨まれることを願っております。 先輩、同僚を初め執行部の皆様方には重ねて御礼を申し上げますとともに、高知県勢の限りない発展を心から祈念いたしまして、私の質問をすべて終了させていただきたいと存じます。 どうもありがとうございました。(拍手) (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 鈴木議員の御質問にお答えをいたします。 まず、地方分権に対する基本的な考え方などについてお尋ねがございました。地方分権とは、国と地方の関係を見直すことによりまして地方がそれぞれの知恵と企画力によって個性を生かした地域づくりを主体的に進めることができるような環境を整えることだと思います。そのためには、まずそれぞれの地方が同じスタートラインに立って競争ができるように基盤整備などの条件を整えますとともに、権限、財源、それにマンパワー--人的資源の三位一体となった整備が必要だと思います。 一方、地方の側も地方のことはみずからの責任と権限で行うという自覚を持つことが大切でございます。このため、職員の意識改革や行政改革、それに事務・事業の見直しなどを通じまして分権を使いこなせる自立できる地方としての力の向上に努めてまいりました。このことが分権に備えて地方でまず取り組んでおかなくてはいけない課題だと考えております。 一方、国との関係で見てみますと、現在地方分権推進法案が国会に提案をされております。この法案によって政府が義務づけられております地方分権推進計画の作成の中で権限と財源、それにマンパワーなどの措置が明確にされると思いますので、この法案の動向を見きわめながら対応してまいりたいと考えております。 次に、地方分権に関連しました庁内のワーキンググループでは、これまで現状の行財政制度の問題点の検討などのほか、地方分権に関する市町村長のアンケートや県民の意識調査などを実施してまいりました。その結果、地方分権に対する県民の関心が低いことなど地方分権を進める上での幾つかの課題を整理しております。 また、市町村への分権につきましては、サービスを受ける住民の側にも分権の受け皿としての市町村の力に対する不安がございますし、多くの市町村長の側にも財政基盤の弱さなどへの不安があることがわかりました。このため、地方分権を進めるに当たりましては、市町村の実情に即して自主的で自律的な行財政運営ができるような人的、財政的な条件整備が前提となります。今後は、県民に対する啓発を行いますとともに市町村のマンパワーや財源の面での条件整備の状況を見ながら市町村への分権を検討していきたいと考えております。 続いて、国際交流の推進についてお尋ねがございました。姉妹友好交流の目的は、当初は親善交流でございましても、それをだんだんと人材の交流や技術、経済の交流へと質的に高めていくことによりまして、お互いがその効果を分かち合い、それぞれの発展に生かしていくことが大切だと思います。また、これからの国際交流は、世界の中の日本や高知といった視点から多くの国々、特に近隣のアジアの国々とともに繁栄していくといった姿勢が大切ではないかと考えております。 このうち、ベンゲット州と安徽省はともに農業を基幹産業とする地域でございますので、これまでの交流を通じまして本県で農林業の技術を学んだ方も多く、こうした方々が始められたベンゲット州のお茶やかんきつ類の栽培などは現在地域のプロジェクトとして成果を上げつつございます。また、ベンゲット州、安徽省ともに近年目覚ましい発展を遂げているとはいいましても、経済的には発展途上にございます。ただ、御指摘のありましたケナフを初め多くの資源や地場産業を有しておりますので、今後経済交流の可能性は十分にあると考えております。 来年度は、このような視点から、例えば安徽省では実務レベルでの経済交流の調査を行う予定でございますし、ベンゲット州には姉妹提携の締結から二十周年を記念いたします民間の訪問団とともに私も現地に伺いまして、農業を初めとする交流の方策について話し合いをしてまいりたいと考えております。 このように、今後はスポーツの交流や文化の交流だけでなく経済交流あるいは国際協力といった視点から双方にとりまして有益な関係を築くことができますように幅広い交流を進めてまいりたいと思います。 続いて、農業の果たしている役割をどう評価するのか、また、農業の振興に当たっての県の役割をどう考えているのかとのお尋ねがございました。農業は国民に安定的に食糧を供給するという重要な役割を果たしております。確かに、御指摘のように国内の食糧自給率は低下しておりますが、地球的な視野で眺めてみますと人口が急激に増加をする一方で耕地面積は横ばいの状況でございますから、生産技術の面でよほど革新的な改革がない限り食糧需給は逼迫してくるものと見られております。現に主な穀物の全生産量に占める貿易量の割合は年々減少してきておりますが、このことは貿易に回す余裕がだんだんなくなってきていることを意味しております。このような趨勢の中で、国内の食糧の自給力を高めますことは極めて大切なことでございまして、そのためにも農業の役割は二十一世紀に向けて今後ますます重要になると考えております。 また、農業はさまざまな役割と働きを持っております。食糧を供給することを通じて地域経済を支える産業としての役割はもちろんのことでございますが、地域のコミュニティーの維持や高齢者のなりわいとしての福祉的な役割、さらには国土保全的な機能や環境や景観を保全する働きなど、国民、県民の生活にとりましても大変重要な役割を果たしております。 しかし、こうした農業の多様な役割が国民に広く理解されているかといえば決してそうではございません。このことは今回のガット・ウルグアイ・ラウンドへの対応をめぐる論議の中でもうかがわれました。お話の中でも農業や農村を知らない国民がふえたのではないかとの御指摘がございましたが、大都市と地方との間では農業の果たしている役割に対する認識に大きなずれがあると感じております。そのため、農業者や農業団体でもこうした農業の果たす大きな役割について広く国民の理解、中でも大都市住民の理解が得られるような取り組みが必要だと思います。また、県でも、こうした認識のもとに地方からの情報を積極的に発信することによりまして、農業や農村の果たしている役割について理解を求めていきたいと思います。 その際、農業を振興するに当たりましての県の役割は今回初めて策定いたしました農業基本計画を着実に実行していくことだと考えております。この計画では園芸農業を柱にした振興策を示しておりますが、担い手の確保や生産基盤の整備などにつきましても、国の施策を積極的に導入しながら、農業者や農業団体の主体的な取り組みに対する支援と地域の特性を生かした自主性や創意工夫の重視などを基本にいたしまして総合的に対策を進めてまいります。 また、近年農業の分野でも急速に国際化が進んでおりまして、本県でも、ユズや畜産での韓国との交流やOECD農業局の環境課長の来県、あるいはショウガの競合産地になりつつあります中国との関係など外国との関係が重要になっております。このため、こうした国外の情報の把握や提供も国だけではなく県の役割であろうと考えております。 結論的に言えば、条件が厳しい中山間地域が大部分を占めております本県では、農業が果たす役割は非常に大きなものがございます。そのため、今後とも農業の振興に努めます中で、生産性の追求にとどまらず、先ほども申し上げましたような農業が持っておりますさまざまな役割や働きが生かされていきますように取り組んでまいります。 次に、新しい行政組織の発足に際して従来にも増して環境に配慮した取り組みが必要ではないかとのお尋ねがございました。国では、環境行政への国民の多様なニーズに対応いたしますため一昨年の十一月に環境基本法を制定し、昨年の十二月には環境基本計画を策定いたしました。本県でも、環境行政の新たな展開を図りますため、環境の保全と創造に関する基本理念や、県と市町村、それに事業者などの責務、さらには環境基本計画の策定などを内容といたします環境基本条例を来年度中に制定する方向で現在取り組みを進めております。 本県の財産でございます豊かな環境を保全しますとともに快適な環境を創造することによりまして、県民が安心して暮らせる環境を将来にわたって引き継いでまいりますことは県政の基本だと考えております。今回の文化環境部の設置をきっかけといたしまして、健全で恵み豊かな環境の保全と創造に関する施策をより一層充実させてまいりたいと考えております。 続いて、先日広田議員の御質問に対しまして二期目への考え方を申し述べました関係で、二期目にかける思いを聞くとのお尋ねがございました。この三年余りの間に、県民の皆様にお約束をいたしました種々の事業につきましては自分なりに精いっぱいの努力をしてまいりました。その評価は県民の皆様にお任せすべきことでございますが、全体といたしましては着実な歩みではなかったかと思っております。そこで、県民の皆様の力強い御支援をいただければという前提のもとで、引き続き県政の先頭に立って頑張りたいという思いを明らかにいたしました。 私が県政を担わせていただいて率直に感じましたことは、県民の意識の中に郷土に対する強い誇りがある一方、都市は豊かで便利だが我が県は不便で将来の展望もないといったようなあきらめにも似た気持ちが根強くあるのではないかということでございます。しかし、高知には大都市にはないよさと豊かさがございます。ですから、地方を預かる者といたしまして、地方と大都市との間の基盤的な格差を少しでも埋めるように努力することはもちろんのことでございますが、それと同時に、大都市にはない高知のよさを県民の皆さんとともに再認識することによりましてあきらめにも似た思いから抜け出し、「自立と挑戦」をキーワードとする県づくりを進めていきたいと思っております。 次の四年間は文字どおり二十一世紀の目前に当たりますが、先ほども触れましたように、本県の場合、大都市圏と比べまして交通基盤など基本的な条件整備が大変おくれていることが最大の課題でございます。このため、まず重点の二十一事業を中心に、現在進めておりますプロジェクトを着実に推進していくことが何よりも大切だと考えております。県民から負託されました県づくりのリーダーといたしまして、県民の先頭に立ち、幼いお子さんからお年寄りに至るまで皆さんが心豊かに満足感を持って暮らすことのできる県土づくりに挑戦するのが私に与えられた責務であると考えております。 これで私からの御答弁を終わりますが、鈴木議員には五期二十年にわたる御経験を踏まえました御提言とともに大変温かい御激励をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。今後とも御活躍を期待しております。 (商工労働部長安部望君登壇) ◎商工労働部長(安部望君) 工業の振興についての一連の御質問にお答えを申し上げます。 まず、本県の製造業の現状と今後の方向づけについてのお尋ねでございます。本県は、地理的な条件やそれに伴います基盤整備のおくれなどによりまして付加価値の高い加工組み立て型の産業の誘致が進まなかったことなどから下請型の中小零細企業が多く、しかも産業界をリードするような中核になる企業が少ない現状にあります。このため、本県の製造業は工業出荷額全国四十六位に見られますように低位に推移してまいりました。しかし、製造業の中には、規模は小さいが世界に通用する技術を持った企業や新技術の開発などによりまして新しい分野に進出し売り上げを伸ばしている企業も幾つか育っています。 こうした現状を踏まえまして、平成四年度に工業振興計画を策定し、第一次産業との融合化による新産業の創出と高度加工組み立て型の産業の集積を目指しまして、中核企業の育成、新しい産業の創出、地域中小企業の振興、人材の育成・確保に重点的に取り組んでまいりました。 また、今後ますます厳しくなると予想されます円高に伴う産業空洞化の進展や地域間競争の激化の中で本県の製造業が今後発展していくためには、これまでの取り組みに加えまして、異業種企業とのネットワークを築き、特徴ある技術、独自の技術を持ち、新しい分野へも果敢に挑戦し下請体質から脱却していくことにあると考えています。県といたしましては、このような体質転換を進めることによりまして、より付加価値の高い研究開発型企業の割合の高い製造業にしていきたいと考えております。 次に、工業技術センターの産業振興上の位置づけと今後の方向についてのお尋ねがございました。先ほど申し上げましたように、今後本県の産業の振興を図っていくためには高付加価値研究開発型の企業への脱却が必要であります。このためには本県の企業の技術力の向上は不可欠の要素であります。工業技術センターはその中心的役割を担っていかなければならないと考えています。 また、平成九年度には高知工科大学が開学するなど学術研究機関の充実も図られますことから、工科大学等の有する技術資源を企業へ移転するための橋渡し役としての重要な役割も期待されているところでございます。 工業技術センターの今後の方向といたしましては、本県の零細な中小企業の下請体質からの脱却のためにも新しい分野への対応と研究開発能力の向上を図りますとともに、企業ニーズに合った広く開かれた総合的な産業技術支援機関を目指したいと考えています。 具体的には、工業技術センターを学術系インターネットに接続し情報化を一層推進いたしますとともに、本県が早急に対応していかねばならない電子、ソフトウエア及び生産工程管理の技術分野の充実を初め、精密機械加工技術、バイオテクノロジー技術などの新たな分野についても充実していくことにしております。また、これまで十分でなかった産業界と大学等との共同研究を促進する産学連携のための支援機能の充実を図るとともに、将来的には、研究開発型企業の育成のためのインキュベータ施設の設置など工業技術センターを総合的な産業技術支援機関として充実強化していきたいと考えております。 次に、製造業に対します開発から製造、販売までの一体的な支援についてのお尋ねがございました。企業が開発、製造したものを販売に結びつけることが重要であるということは御指摘のとおりでございます。県といたしましては、これまで販売面が弱い本県の企業に対しましては下請あっせん、テクノフェアの開催等を通じ支援をしてまいりました。今後、空洞化の進展、地域間競争の広域化等新たな経済社会環境のもとではさらなる対応が必要であると考えております。 このため、既存の開発、製造面の支援に加えまして、平成七年度から商品化から販売面に至るまでの一体的な支援を行う、お話もございました「ベンチャー企業総合支援事業」をスタートさせることにしております。 また、御提言のありました共同事務所を設置するいわゆるビジネスサポートにつきましては、企業の販売活動に対するより効果的な支援策の一つであると認識しております。今後の検討課題として取り組んでいきたいと考えております。 最後に、成長が期待される企業に人的な支援ができないかとのお尋ねでございます。独創的な技術を持ち成長が期待される企業に対する人的支援は必要だと考えます。県では、これまで工業技術センターの職員や民間企業を中心とした技術アドバイザーによりまして企業の商品化や製造過程における課題解決について支援をしてまいりました。また、平成七年度から、大学教授などの客員研究員によります工業技術センター等の研究成果につきまして、企業に対して技術移転を行うことにしております。特に成長が期待されますベンチャー企業に対しましては、先ほども申し上げましたベンチャー企業総合支援事業によりまして金融面の支援に加えまして技術の開発から経営、販売に至るまで一貫した総合的な支援をしてまいる考えでございます。 以上でございます。 (農林水産部長溝渕栄一郎君登壇) ◎農林水産部長(溝渕栄一郎君) 鈴木議員の、農業の担い手対策に対する御質問にお答えをいたします。 担い手対策につきましては、有利な資金制度やレンタルハウスの導入など収益性の高い農業の実現に向けました支援策を講じておりますが、こういった施策に加えまして、認定農業者制度の活用など将来にわたって意欲的に農業に取り組もうとする農業者を関係機関・団体が連携して支援することが大切ではないかと考えております。また、最近の一つの流れといたしまして農家以外の方が新たに農業への参入を希望されることもございますので、高知県農業公社に青年農業者支援センターを設置し、そういった方々への支援も行ってまいります。 一方、中山間地域の多い本県では個々の農家の育成だけでは農業生産の維持が困難な面も多く、育苗施設やライスセンター等の共同利用施設の整備とあわせまして農業生産組織や市町村農業公社による農作業の受託、農作物の出荷作業などの体制づくりも進めてまいります。 いずれにしましても、本県の基幹産業であり、しかも単に生産面のみでなく数多くの役割を果たしております農業を守り育てていくという観点から、その担い手の確保は最も大切であると考えておりまして、全力を挙げて取り組んでまいります。 (保健環境部長清田康之君登壇) ◎保健環境部長(清田康之君) 精神障害者対策についての御質問のうち、まず法改正の動きを踏まえた県保健所や精神保健センターの機能強化、また、市町村の役割についてのお尋ねにお答えします。 今回の改正法案は、精神障害者対策に生活の援助や社会参加の促進のための援助といった福祉対策を位置づけるとともに、普及・啓発や相談活動などを新たに市町村の役割として明示し、地域における保健・福祉対策を充実強化する内容となっております。今後は県と市町村がそれぞれの役割を果たしながら一体的・総合的な精神障害者対策を推進する必要があり、そのための体制の整備が大きな課題であると受けとめております。 現在、本県の地域保健サービスのあり方について地域保健問題検討委員会で検討していただいておりますが、その中で精神保健業務の実施体制の充実強化も重要な検討課題であり、今後、今回の法改正の動きも踏まえ、保健所や精神保健センターの体制及び市町村との役割分担や連携方策について最終提言に向けて十分検討していただくこととしております。 本格的な体制整備は最終提言を踏まえての対応となりますが、新しい保健所体制では市町村や地域の医療施設などの関係機関と連携した取り組みが必要であることから、来年度からは地域のネットワークづくりを進めることとしております。また、市町村における担い手である保健婦及び担当職員の精神保健対策への対応のための研修事業を引き続き実施してまいります。 続いて、精神障害者対策のうち、今後啓発・普及にどう取り組むかとのお尋ねにお答えします。お話にもありましたように、精神障害者に対する誤解や偏見を是正し正しく理解していただくための啓発活動は重要な課題であると認識しております。このため、県としても、これまで普及・啓発講演会やボランティア講座の開催、精神障害者を取材したビデオの製作及びその活用、精神障害者自身の声を載せたパンフレットの作成・配布などに取り組んでまいりました。来年度は、従来の取り組みに加え、新聞広告やポスターキャンペーンの実施を計画しておりますが、その広報内容につきましては、広報関係者、一般県民及び精神障害者の方々に参加をお願いして企画するなど効果的な広報活動となるよう取り組んでまいります。 また、地域の方々との交流を図ることも重要でありますので、精神保健センターにおける地域講座を新設するとともに保健所で行うスポーツやレクリエーションなどの交流事業の拡充を図り、また、市町村が行う小規模作業所を核とした地域住民との交流事業に対しても新たに費用を助成することとしております。 精神障害に係る啓発・普及につきましては、このような取り組みの成果や関係団体、有識者の意見などを踏まえ今後ともさらに工夫を加え、効果的な活動を推進することにより県民の理解が一層深められるよう取り組んでまいります。 次に、今議会に提案いたしております動物の保護及び管理に関する条例の意図する点は何かとの御質問にお答えします。本県におきましては、高齢化、核家族化、少子化の進行に伴い、多種類のペット動物が従前の番犬、猟犬といった実用的な位置づけからコンパニオン・アニマルと呼ばれる人生の伴侶として数多く飼育されております。ペット動物が独居老人などの心の支えになっている反面、不適切な飼養も増加しており、保健所などに寄せられる苦情も悪臭、鳴き声など多岐にわたっております。昭和四十七年に制定いたしました高知県犬による危害防止条例によりまして放し飼いの防止等犬による危害の発生防止に努めてまいりましたが、これだけでは県民の多様な苦情あるいは要望に対応していくことが困難な状況となってきております。 このため、ペット動物全般にわたり動物による危害の防止のみならず動物愛護精神の高揚や動物の健康及び安全の保持、また適正な飼養管理の徹底等を目的とした新たな条例を制定し、行政と県民が一体となって総合的な動物愛護行政を推進していこうとするものであります。本条例の目的を達成していくことにより、人と動物が真に共存し、飼い主の心の安らぎはもとより生命の尊厳や弱者への慈しみといった慈愛に満ちた精神文化社会の創製に寄与することができるものと考えております。 続いて、環境問題についての御質問のうち、まず生活排水対策についての本県の現状についてお答えします。し尿及び生活雑排水の処理状況をあらわす指標は、総人口に占める水洗化人口の割合である水洗化率と、し尿以外の生活雑排水処理人口の割合である汚水衛生処理率であらわすこととなっております。一般廃棄物処理実態調査によりますと、平成三年度末の全国の水洗化率六七・九%に対し本県は三七・五%であり、また、汚水衛生処理率は全国四六・一%に対し一一・五%となっており、全国と比較して低位にございます。 次に、合併処理浄化槽の整備を進めるための方策についてのお尋ねにお答えします。地域の水質汚濁を防止し効果的な生活排水処理施設を整備していくためには、廃棄物処理法により市町村に策定が義務づけられている生活排水処理計画の策定とそれに基づいた計画的な事業実施が不可欠であります。この策定に当たりましては、地域ごとに公共下水道、農業集落排水事業等の集合処理システムと合併処理浄化槽による個別処理システムとを組み合わせて実効のある処理計画とする必要があります。このため、県といたしましても、市町村の計画策定に対して関係各課が今まで以上に連携した指導を行っていくことが必要と考えております。 この計画においてそれぞれの処理システムの整備区域として位置づけた地域につきましては、それぞれ具体的な年次計画に従った整備が必要であります。このため、事業の実施に当たってこうした観点からの指導を継続して行うとともに、合併処理浄化槽につきましても、その整備を促進させるため国に対し補助事業の拡充を強く要望するとともに、国費の確保に努めてまいります。 最後に、合併処理浄化槽の適正な維持管理の確保方策についてお答えいたします。合併処理浄化槽の適正な維持管理は生活排水対策の上から欠かせないものであります。このため、現在補助事業で設置する浄化槽について、その設置時に保守点検及び清掃委託契約書や法定検査申込書を添付させ維持管理の確保を図っております。この方法をすべての浄化槽の設置時に拡充する方向で検討していきたいと考えております。 また、より完全な維持管理ができるシステムづくりとして、市町村が関与した維持管理組合を設立するよう指導してまいります。 これらの方策を実現するためには、設置者はもとより浄化槽関係業界の協力が不可欠であり、関係団体への要請を継続してまいります。 以上でございます。 (警察本部長末綱隆君登壇) ◎警察本部長(末綱隆君) 鈴木議員の御質問にお答えいたします。 その前に、議員からもお話がありましたさきの身の代金目的誘拐事件につきましては、おかげさまでスピード解決ができました。報道関係の方々を初め御協力いただきました皆様方に心から厚くお礼を申し上げたいと思います。また、激励のお言葉などをいただきました多くの県民の皆様方にもこの場をおかりしまして深く感謝を申し上げます。 それでは、まず最初に、二十一世紀に向けて本県の治安対策を進める上での基本的な考え方についてお答えいたします。本県におきましても、全国的な例に漏れず今後も都市化の傾向が一層加速することが予測されます。都市化の進展は一面で地域住民の連帯意識の希薄化を招き地域の犯罪抑止機能を低下させるとともに、情報化の進展、交通体系の変貌などと相まって各種犯罪の量的な増加のほかボーダーレス化、スピード化、悪質化等の質的な変化をももたらすものと予測されます。 こうした都市化の反面、農漁村部においては、若年層の都市部あるいは県外への流出等により地域の過疎化・高齢化が急速に進み、高齢者のみの世帯あるいは独居老人世帯等が増加するものと予測されます。こうした都市化、過疎化の進展は、警察力の配分や犯罪を初めとする警察事象への対応にも大きな影響を及ぼすものになると考えられます。 そこで、県警察では昨年六月に「二十一世紀への高知県警察治安対策指針」を策定したところであります。その主な柱とするところは以下の五点でありまして、一に、地域社会との連携強化のための地域安全活動の推進、二に、県警察全体の捜査能力の向上による「事件に強い警察」の確立、三に、交通安全施設の整備、効果的な運転者対策、安全思想の普及等による高齢者にも優しい交通環境の創造、四に、県民を災害から守る初動救援活動等に万全を期するための体制や装備の充実・整備、最後に、犯罪の国際化、ボーダーレス化に対応した体制の確立であります。本指針を中心に今後とも県民に信頼される警察活動を充実強化していきたいと考えておりますので、県議会におかれましても今後とも御指導、御支援のほどをよろしくお願いをいたします。 次に、新しい警察本部庁舎の関係についてお答えいたします。建設場所につきましては、警察行政に関係の深い議会棟や行政棟に近いこと、警察活動に必要な面積が確保できること、県民の皆様の利用や警察活動に便利なこと等の条件を前提に選定してまいりました結果、これらの条件を満たす高知市丸ノ内の現警察官待機宿舎の敷地に建設することを考えております。 新しい警察本部庁舎は、現在別館等に分散しております十二所属も収容しますとともに大規模災害にも対応し得る施設とする必要があり、本年基本設計に入りますが、鉄骨鉄筋コンクリートづくり、地下二階、地上十階、屋上ヘリポートつきを予定しているところであります。また、県民の皆様にも防犯相談、少年相談、交通相談等に広く利用していただける施設とするとともに、周囲の景観にも配意したデザイン、色調としたいと考えております。 耐震強度につきましては、大規模災害時の県民の皆様の救援活動の拠点としての性格をも有することから、さきの兵庫県南部地震程度にも耐えるものとする必要があると考えております。 なお、平成七年度予算に地質調査、用地測量、庁舎基本設計等の必要経費を計上いたしておりますので、よろしくお願いをいたします。 以上でございます。 ○議長(岡村聡次郎君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明八日の議事日程は、一問一答による質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前十時、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十九分散会...