次に、豚熱の
防疫措置の流れを説明いたします。
高
病原性鳥インフルエンザと大きく異なる点は、豚熱は全ての養豚場で
ワクチン接種を実施しているため、
制限区域が設定されないことです。また、
防疫措置の終了までの期間が
鳥インフルエンザは最短で21日ですが、豚熱は28日と1週間長くなっております。
資料24ページを御覧ください。
続いて、
発生農場や周辺での具体的な
防疫作業について説明いたします。
発生農場での
防疫作業は、大きく分けると消毒、殺処分、焼埋却の3つに分けられます。まず、
消毒作業については、農場の出入口や農場内外での消毒、
農場内道路や敷地全面への
消毒用消石灰の散布を行うとともに、殺処分後に畜舎内の全面消毒を行い、
発生農場からの
ウイルスの散逸を防止いたします。
次に殺処分の作業は、高
病原性鳥インフルエンザでは、ケージ等から生きた家禽を捕鳥し、ポリバケツに投入後、炭酸ガスを注入して安楽死させます。殺処分された家禽は、
ビニール袋に詰めた後、
フレコンバッグに投入します。また、卵や飼料、敷料、排せつ物なども汚染された物品として袋詰めを行います。
焼埋却作業は、殺処分後の家禽の死体や
汚染物品等の埋却、もしくは焼却を行います。埋却作業については殺処分作業と並行して行うようになりますが、近隣の埋却地に重機を用いて埋却する溝を掘削し、死体等を詰め込んだ
フレコンバッグを投入した後、埋め戻して覆土します。この埋却場所は3年間の発掘が禁止されます。なお、埋却ができない場合は焼却を行いますが、家禽の死体等を密閉容器に封入し、焼却施設に搬送して処分することになります。
農場外での作業としては、発生に伴い設定した
移動制限区域と
搬出制限区域の
幹線道路沿いに
消毒ポイントを設置し、
畜産関係車両の消毒を実施し、区域外への感染拡大を防止いたします。
資料25ページを御覧ください。
昨年度に本県で発生した高
病原性鳥インフルエンザの
防疫対応について説明いたします。
令和3年12月31日、西条市の養鶏場で1例目が発生し、令和4年1月4日に近接する2つの農場で2例目、3例目が発生したほか、3例目と管理者が同一であった今治市の1農場も
防疫措置の対象となり、約36万羽を殺処分するという大規模な発生となりました。
県では、直ちに
防疫対策本部を立ち上げ、殺処分や
消毒ポイントにおける
畜産関係車両の消毒を実施するなど、全庁体制で封じ込めに取り組み、1月18日、全ての農場での
防疫措置を完了し、2月9日に
移動制限を解除すると同時に
防疫対策本部を解散しています。この間の
防疫従事者は、県職員をはじめ、2例目、3例目と
発生規模が拡大したことから自衛隊に災害派遣を要請したほか、市職員や
中国四国農政局、
JAグループなど、多くの職員を動員し、延べ1万2,382名に上りました。
資料26ページを御覧ください。
昨年度、本県が経験した
防疫措置を検証した上で、
防疫対策マニュアル等の1つ目に、
発生現場を統括する
指揮機能の強化として、農場の近接地に設置する
仮設テントに農場内の総合的な現場対応を総括する
現場指揮所を設置するとともに責任者を配置し、2つ目に、
防疫従事者の受入れや資材の管理等の拠点となる集合施設の
指揮機能を強化するため、専任の責任者を配置、3つ目に、
県対策本部で
発生規模に応じた最大限の県動員者の確保や
現地対策本部の動員窓口の集約化などによる動員手順の円滑化、4つ目に、
防疫資機材を
県内最大飼養羽数、これは26万羽ですが、この2日間の
防疫対応が可能な備蓄資材に拡充するとともに、資料20ページでも御説明いたしましたが、
防疫初期活動に必ず必要となる2万羽分の
防疫資材をコンテナ内にパッケージ化して保管することで、誰もが機械的に搬出を可能としたこと、また、
防疫拠点に
資材管理者を選任することにより、迅速な
資材補給体制を整備しました。
5つ目に、農場内で殺処分や消毒等を実施する
防疫作業時間を8時間から6時間にして、休憩時間や引継ぎ時間をしっかり取ること、また、夜間作業でも明るい中で作業できるよう、投光器やリーダーの声が
作業者全員に伝達できるよう拡声器等の通信機器を備蓄いたしました。
6番目に、
民間防疫従事者を確保するため、今年度、
愛媛綜合警備保障株式会社と
消毒ポイントでの
車両消毒に係る協定を締結したほか、
家畜伝染病発生時の
支援協定以外にも
物資供給手段を拡充するため、県の災害時
応援協定締結団体、これはローソンやファミリーマート、
コメリ災害対策センターなどですが、これに対しても
鳥インフルエンザ発生時に支援を要請できるよう
民間団体の支援体制を強化しております。
これらの
具体的内容については、今年度10月に
県防疫対策マニュアルなどを改正いたしました。
資料27ページを御覧ください。
発生時には確実に実行できるよう、資料21ページでも御説明いたしましたが、今年度は県、市町、
関係団体、
自衛隊等を参集した
防疫演習を県並びに
地方局単位で実施するとともに、演習後は、各地方局で
実務担当者が各自の役割分担を再確認するための研修や実働訓練に努めています。
また、今年度新たに
関係団体、市町等で構成する連絡会議を設置し、埋却地の地形や規模、搬入路の状況等を詳細に把握した上で、焼埋却処分に必要な農場情報を共有するとともに、掘削や運搬に必要な重機等の確保と運用体制の再確認を行っています。
資料28ページを御覧ください。
現在、
家畜伝染病の
侵入リスクが過去にないほど高まっています。このため、今回新たに養鶏場に隣接した
ため池堤体での
消毒作業や
野生イノシシに
豚熱経口ワクチンの散布を行い、農場への
ウイルス侵入防止対策を強化することとしております。また、
家畜病性鑑定所に
野生イノシシ専用の
高度遺伝子機器を整備し、
野生イノシシ検査体制の強化を図ることとしております。
生産者においては、
予防対策の強化や
飼養衛生管理基準の徹底が求められており、日々様々な対策に経営努力の中で懸命に取り組んでおります。
県におきましても、
家畜伝染病の
予防対策や発生時の
蔓延防止対策に努めているところです。今後も引き続き、畜産農家が安心して経営に取り組み、安全・安心な食品の供給が図られるようさらなる
防疫体制の強化に取り組んでまいりますので、委員の皆様方におかれましても、引き続き御指導、御協力をよろしくお願いいたします。
以上で説明を終わります。
○(
松下行吉委員長) ありがとうございました。
以上で、理事者の説明が終わりました。画面同期を解除します。中央に「発表者が会議を終了しました」の表示が出ますので、その下のオーケーを押してください。これで同期は解除されました。
それでは、委員の皆さん、議題に関する質疑はありませんか。
○(西岡新委員) 昨年の
鳥インフルエンザの発生のときには、1万2,000人を超える
防疫作業人員が従事したということで、県職員の方々もかなり人海戦術で投入されて大変だったとお聞きしておるんですけれども、20ページの初動
防疫体制の構築では、この動員名簿をあらかじめ作っておくということですが、どういった人数の規模で、その内訳はどのようなものであるかを教えていただけますか。
○(
畜産課長) 動員につきましては、
発生規模によって殺処分など、
発生農場に入って作業する人数がどの程度必要か異なります。この名簿に記載された人が全て動員されるわけではなくて、例えば10人が各動員名簿に記載されていたら10人全員出すわけではありません。今回は各課で5名必要といった場合は最初のほうから5名に順番に連絡を取って、病気や出張などで不在の場合には、次の人に連絡する体制にしておりますので、名簿としては、県内最大飼養規模の農場で
鳥インフルエンザが発生した際最初の3日間の
防疫対応に必要な人数を想定して名簿を作成してもらっています。当然その名簿どおりにはいかないとは思いますが、そういう準備をするということで、各地方局や県庁などに動員名簿の作成に御協力をいただいております。
○(西岡新委員) 名簿に記載されている人数はどれぐらいになっていますか。
○(
畜産課長) すみません、名簿の人数全部は集計していないので、何名というのは今言えないんですけれども、各組織で3分の1の人数を最初に名簿に登録するようにお願いしております。
○(
松下行吉委員長) 西岡委員、よろしいですか。
○(西岡新委員) はい。
○(
松下行吉委員長) それでは、ほかに議題に関する質疑はありませんか。
○(戒能潤之介委員) 豚熱についてお伺いします。中四国の養豚業では愛媛県がナンバー1ということで力を入れていると思うんですけれども、説明いただきました17ページを見ていると、初回の
ワクチン接種は、肥育豚は一、二か月の間で打ちましょうということですが、ワクチンを接種する獣医師は問題なく確保できているということでいいんでしょうか。
○(
畜産課長) 今、
知事認定獣医師制度を設けていまして、すみません、すぐ数字は出てこないんですけれども、民間獣医師が接種を行っているところが半分近くあったと思います。それ以外の民間獣医師にお願いできないところは
家畜保健衛生所が全て打つということで、人員的には何とか確保できている体制です。
○(戒能潤之介委員) 何とか確保できているということですが、肥育豚は6か月での出荷ということで、
ワクチン接種が遅れてしまって滞りがあると具合悪いと思うので、獣医師の確保等大変だろうとは思うんですけれども、よろしくお願いしたいと思います。
それと、豚熱が発生した場合の埋却、殺処分について、既に市町やいろんな
関係団体と支援体制の話ができていると思うんですけれども、特に養豚は一頭一頭が重たいということもありますし、迅速に殺処分して、穴を掘って、袋詰めして埋却するということで、大変な作業になると思いますが、遠いところへ相当な数の重たいものを運んでいくことは効率が悪いと思いますので、そういった埋却場所の確保や
建設業協会など誰がどういう体制に入るといったことは既にマニュアル化されているという理解でいいでしょうか。
○(
畜産課長) 養豚の場合は、焼却がなかなかできないものですから、埋却地の確保は非常に重要となっております。養豚農家の申告で、現在埋却地を確保しているところが県内の90%、そのうちの大規模養豚場につきましては93%が確保しております。ただ場所によっては埋却できない場所も当然あります。
養鶏農家については今年度、
建設業協会の協力を得て埋却地の確認を行っているところですが、引き続き、養豚農家についても埋却地がきちんと使えるかどうか確認したいと思っております。
また、豚と鶏で、やはり埋却が第一選択肢となり、埋却するための工程は鶏も豚も変わりません。そのため、殺処分して、その殺処分した豚を埋却地まで運んで、埋却地で掘削して埋める作業は、
鳥インフルエンザで体制ができていますので、豚熱でも同じように使えると思います。
あと一つ、どうしても埋却地がなかったら焼却という選択肢もありますが、豚の場合はサイズが大きく、焼却炉の投入口にそのまま投入することができません。こういった場合は、国が移動式のレンダリング装置を用意しています。それを借りて、現地で豚を粉々にして、殺菌して、粉々にしたものを密閉容器に入れて焼却することとしておりますので、もし埋却地がないようなところで発生した場合には直ちに借りるようなシミュレーション等は行っているところです。
○(戒能潤之介委員) あと、豚を出荷して、屠殺場で処理をされていく過程の中で、当然だと思いますが、豚熱にかかっているかどうかのチェックをすると思うんですけれども、何回ぐらいチェックをするのか。
狂牛病では、以前屠殺場を視察したときに、何重にもフィルターをかけてチェックし、狂牛病に感染した牛肉が市場に出ることは100%ありませんということを、現場を見させていただきながら確認させてもらったんですけれども、豚に関しても同じようなプロセスで、豚熱にかかっているかどうか何回もチェックしながら市場に出荷する体制ができているということでいいんでしょうか。
○(
畜産課長) 豚熱にかかっているかどうかですが、まず豚熱にかかっている場合はかなり早期から症状が出ますので、農場から出荷する際には必ず健康な豚でなければ出荷しない。そして、屠畜場に着いても、屠畜場に着いたらそのまますぐ屠畜するのではなく、屠畜検査員が1頭1頭臨床症状を確認して、異常がないことを確認した豚を屠畜するようになっています。そのため、屠畜検査員が病気にかかっていないと判断した豚のみが食肉流通していく状況となります。
あと、これは補足ですが、豚熱は人には一切かかりません。
○(
松下行吉委員長) ほかに、議題に関する質疑はありませんか。
○(福羅浩一委員) 何といっても初動態勢が大切かなというところで、去年も県職員の方々の頑張りを地元で見ていて本当にありがたいと思ったんですけれども、去年のいろんな体制を見返してみて、大変だった部分、あるいは強化しなければいけない部分が洗い出されていると思いますが、県や
関係団体だけではできない部分で、民間との協定をいろいろ結ばれているとお見受けしますが、これら
支援協定について少し御説明いただいたらと思います。
○(
畜産課長)
支援協定につきましては、例えば
建設業協会が一番典型ですけれども、県職員だけではできない専門的な作業はもう専門家にお願いするしかないという考え方で、
建設業協会には殺処分家畜の埋却、えひめ産業資源循環協会は、万が一埋却できなかったときには焼却処分をお願いしなければならないので、焼却に関して支援してもらえるようになっています。愛媛県ペストコントロール協会は、消毒の専門会社が集合した協会ですので、
消毒ポイントでの消毒をお願いする
支援協定を結ばせていただいています。愛媛県バス協会は、昨年度も
防疫作業者を県庁や地方局に集めて、そこから集合施設まで運ぶため多くのバスが必要だったんですけれども、これらの差配をお願する協定を結んでおります。
また、鶏の殺処分には必ず炭酸ガスを使って安楽死させるんですけれども、急に大量に集めようとしても難しいので、日本産業・医療ガス協会と協定を結びまして、万が一発生したときは、お願いして集めてもらう体制にしています。
あと、先ほど説明いたしましたが、今年から
愛媛綜合警備保障株式会社とも
消毒ポイントでの人員を出してもらえるよう協定を結びました。
消毒ポイントは
発生農場の
防疫措置完了後も長く続きますので、
消毒ポイントを任せられる
支援協定を結んでいる状況です。
○(福羅浩一委員) いろんな経験を基に、資機材の備蓄なども含めて、いろんな想定をしながら訓練をされているということですけれども、訓練の状況について、どういった形でやられているのか、こういったところが今後の取組に必要だといったことをお聞かせいただければと思います。
○(
畜産課長) 訓練につきましては、
防疫演習を毎年実施しております。実働訓練では、県や市町、
建設業協会等の
防疫作業経験のない職員を対象に、生きた鶏の捕鳥や防疫服の着脱、埋却作業、動力噴霧器の取扱いや
消毒ポイントの運営等の訓練を行っています。
消毒ポイントに関係する方が動力噴霧器の使い方が分からないということがあってはいけませんし、
車両消毒をする場合も、こういうところを注意して消毒しなければいけないというポイントがありますし、また、鶏を捕まえることが実は物すごく大変なので、どれだけ大変なのかやってもらうことなどを実際にやっています。
また、図上訓練では、県内のどこかの農場で発生した場合を想定し、
県対策本部や
現地対策本部がどのように動いたらいいのかをシミュレーションしながら、指揮命令系統や情報伝達がうまくいくかどうかの確認を行っています。
さらに、実際に発生した場合は、各地方局や県庁のそれぞれの担当課にグループや班の運営を任せることになりますので、毎年、関係各課に発生時の対応の研修会を開催しております。
家畜保健衛生所や畜産課の獣医師が直接指揮できれば、そこまでする必要ないと思うんですけれども、いざ発生したときには、獣医師や畜産関係者はどうしても獣医師などでなければできない専門的な業務に集中するため、獣医師がいなくても十分動いていただけるように
作業内容の事前研修を重ねている状況です。
○(
松下行吉委員長) ほかに、議題に関する質疑はありませんか。
○(
梶谷大治委員) 2点お聞きしたいと思います。
鳥インフルエンザの発生により卵の価格が結構高騰しているという情報が入ってきているんですが、卵の価格は愛媛県内でどういうような影響があるかということを御説明いただければありがたいと思います。
○(
畜産課長) 卵につきましては、実はウクライナ侵攻に伴う飼料価格の高騰が背景にありまして、餌代が高くて経営が苦しいという全国的な流れで飼っている羽数を極力減らしていたところに、今回
鳥インフルエンザでどんどん採卵鶏が殺処分されるということで、今までにないような卸値価格になっております。この12月には過去最高の300円がつきました。例年の動きとして1月は一番需要が少なく卵価は物すごく下がってしまうんですけれども、それがあまり下がらずに高卵価で推移しており、先日は12月の300円を超える305円という卵価をつけるなど、ちょっと異常なほどの価格になっております。
これに対する影響ですが、生産者にとっては当然、収入が増えるのでとてもいいことです。消費者にとってはなかなか厳しいものがあるとは思いますが、一番困ることが、卵自体が足りなくなって、欲しくても手に入らないという状況になることであり、影響が大きいとは思うんですけれども、県内大手の卸売業者によると、今のところは、逼迫はしているけれども不足してはいないということを確認しております。
○(
梶谷大治委員) ロシアのウクライナ侵攻の結果、飼料価格が高騰したということであって、決して
鳥インフルエンザが価格高騰の影響ではないということでいいんですかね。
○(
畜産課長) すみません、ちょっと説明が悪かったんですけれども、配合飼料価格が高騰しているために飼養羽数が抑えられている。全国に十分量の卵が出回っているのではなくて、ぎりぎりの卵量の需要になるように飼養羽数を減らしていたということがあり、そのぎりぎりのところに
鳥インフルエンザの発生により、国内の飼養羽数の6%から7%ぐらいの採卵鶏が殺処分されたことで、流出在庫の量がいきなり物すごく減ったため相場が上がっている状況であり、配合飼料価格の高騰が直接卵価に影響したわけではなくて、そういう背景があって、
鳥インフルエンザの影響で卵価が上がったと考えております。
○(
梶谷大治委員) よく分かりました。ありがとうございます。
それでは、もう一点お聞きしたいと思います。豚熱のことについての御説明をいただいたんですが、豚熱の発生によって豚肉価格への影響はございますか。
○(
畜産課長) 一度に大量の殺処分が行われたら、ある程度相場の価格にも影響すると思うんですけれども、豚熱の発生によって豚価が上がったという話は聞いていません。豚の場合はもともと輸入豚肉が結構量がありまして、そのために豚価がなかなか上がらないでいたんですけれども、今回、円安が物すごく進んだこと、コロナの影響で海外での屠畜場が機能不全になったことで、輸入豚肉の価格が高くなったことから、国内在庫が少なくなり、昨年度も非常にいい豚価をつけておりまして、この豚熱の発生が豚価に影響したということは聞いたことはない状況です。
○(
梶谷大治委員) 最近もうとにかく価格が高騰しており、御家庭の奥さん方は、スーパーへ行っても、どこへ行っても、価格上昇に驚いているというような状況があります。そういう中で、国あるいは県に何とかして価格を下げる努力をしてもらいたいという要望が結構、私の耳にも入ってくるんですけれども、今回の例えば卵や豚肉の価格について、家庭の主婦の皆さんが安心して買物ができるように、県としてすべきことをきちんとやっていただく努力をしていただきたいと要望しておきたいと思うんですが、何かあれば。
○(
畜産課長) 今、餌価格だけでなく、資材全体が高騰していまして、食品の値段の上昇は、もう致し方ないというか、どうしようもないような状況だと思います。ただ私たちは当然、消費者のことも考えなくてはいけないんですけれども、生産者のことを第一に考えなくてはいけないと思っていまして、生産者にとって今、餌代や資材代、燃料・燃油代、それが相当高騰して生産費が物すごく上がっています。それに比べて、卸売価格はそんなには上がっていない。これでは再生産ができないのではないかという畜産農家がいまして、そういう声を聞きます。ですから、確かに消費者にとっては大変だと思うんですけれども、生産者が少なくとも再生産できる卸売価格になるように望んでいる状況です。
○(
松下行吉委員長) ほかにございませんか。
○(戒能潤之介委員) 11ページについてお聞きしたいんですけれども、
鳥インフルエンザにしても、豚熱にしても、感染して殺処分せざるを得なくなった場合については総殺処分数などに対しての支援がありますよということは前にお聞きしたんですが、発症を防ぐためのふだんからの
防疫措置、消石灰などいろんな資材も必要であるし、何ページかに出ていた柵やネットの設置などいろいろあったと思うんです。そういう対策に対して、国の財政支援や県の補助があるのか、自助努力でやるのか、施設を全部柵で覆うとかネットを設置すると、かなりの費用負担が出てくると思いますが、補助体制はどのような感じになっているのでしょうか。
○(
畜産課長) 豚熱対策での柵の設置などにつきましては、バイオセキュリティ向上対策事業といいまして、早急に設置しなければいけないところに対して国からの補助がありました。現在では、全農家が柵を設置しているということで、その事業は採択しておりません。
また、
飼養衛生管理基準をきちんと守ろうとしたら、シャワー室や更衣室などまで新設しなければならない農家も出てくるかと思います。そういった場合には、使える補助事業がありますので、希望があれば紹介したいと思っています。
消毒につきましては、基本的には農家自らがやるべきものということで、ふだんの消毒に対する支援というのはありません。ただ今回のように
鳥インフルエンザの
発生リスクが高く、知事命令等で全員に消毒しなさいというような場合は、県が消石灰を確保し、無料配布している状況です。
○(
松下行吉委員長) よろしいでしょうか。
ほかに。
○(西岡新委員) 岡山理科大学の獣医学部が創設されて、まだ獣医師の有資格者は輩出されていませんけれども、今どのような形で連携しているのか、今後の期待することや活用も含めて教えていただければと思います。
○(
畜産課長) 岡山理科大学につきましては、今年度、獣医学部初の入学生は5回生となっていますが、愛媛県は獣医師不足のため、多くの卒業生に愛媛県を受験していただけるよう、公務員獣医師がどういう仕事をしているか紹介を行うなど、機会を捉えて積極的にPR活動を実施しております。
岡山理科大学との連携につきましては、令和元年度に岡山理科大学と
家畜保健衛生所、畜産課等のメンバーが集まり連絡会議を設置し、
家畜伝染病等に関する情報交換を行っております。
岡山理科大学に一番期待したいことにつきましては、県の試験研究機関は現場に即した課題解決の研究がメインになり、基礎研究がなかなかできなくなることから、基礎研究分野の強化を図るため、岡山理科大学と連携して研究を進めることを模索しているほか、業績発表会や研修会等の講師で岡山理科大学の先生に来ていただいて、最新の情報を共有するなど連携を図っているところでございます。
○(
松下行吉委員長) ほかにありませんか。
それでは、せっかくの機会ですので、所管事項も含めて質問はありませんか。
○(
毛利修三委員) 今季は寒波の到来が何度もありました。この間は久万で人的被害の痛ましい話もありました。昨年来の大雪も含めて農業全体への被害状況をお聞かせ願いたいんですが。
○(
農産園芸課長) 先般1月24日、25日に寒波がございました。強風も伴いまして、新聞報道にもありましたとおり、三瓶町の柑橘ビニールハウスが残念ながら破損するなど、県内で数件の施設被害が発生しております。
あと、柑橘類につきましては、果皮障害などが心配されますが、時間がたたないと分からないところがあり、1週間から2週間程度を要することから、現在経過観察しているところでございます。
○(
毛利修三委員) 施設被害が発生したことは悲しいことだと思います。
もう一つ、柑橘被害については、言われるとおり2週間程度たたないと分からないということですが、昨年末の雪に関しての被害はどうですか。この間の雪はまだ被害の状況はつかめていないということですが、年末の大雪の被害状況はどうですか。
○(
農産園芸課長) 失礼いたしました。昨年末の大雪もございました。同じように施設について、トマトのハウスなどが破損する被害が発生しています。柑橘類につきましては先ほどの寒波のように果皮障害などが心配されたんですけれども、今のところ大きな被害があったとは聞いていないところでございます。
○(
毛利修三委員) 当然被害額のことは考えなければならないと思うんですが、特に被害額がどうこうという被害ではなかったということでしょうか。特に年末の雪では、ポンカンをはじめ晩柑などは取り入れをしていない時期だったもので、結構被害が出ているという話を聞きますけれども、被害額はつかんではいませんか。
○(
農産園芸課長) 年末の大雪までに収穫できていない柑橘は、主にポンカンといった果実になろうかと思います。寒害につきましては、柑橘にもよりますけれども、一般的にはマイナス3度の状態が数時間継続すると影響が出てくると言われております。
そうした中で、ポンカンなどにつきましては、被害額が報告されるほどの被害があったとは聞いてはおりません。若干焼けなどが発生したようですが、それらについては家庭選別の中で対応し、厳選収穫しながら出荷がなされていると聞いております。
○(
毛利修三委員) 先ほども言いましたように、農家によっては、うちは半分やられたという話も聞きますので、そこらにも目を配っていただくというか、アンテナを張っていただきたいと思います。
それから、林業のほうは、久万がああいう大雪だったんですが、被害はありませんでしたか。
○(
森林整備課長) 林業については、年末の大雪で久万高原町では76cmの積雪が記録されまして、山の木を伐採する現場に行けないなどの話を非常に多く聞いております。重たい雪で木が倒れたとか、一部そういう被害等があったものの、被害額として報告されるほどの被害状況は把握しておりません。
○(
松下行吉委員長) ほかに質問はありませんか。
○(菅森実委員) 御説明いただきました
防疫体制の中で、埋却される資材は3年間埋めておく必要があるとのことでしたが、その資材は3年後、どのようになるんでしょうか。例えば、今プラスチックなども、地球に返りますということをうたっているものもありますけれども。
○(
畜産課長) 埋却地を3年間、発掘禁止にするということは
家畜伝染病予防法で規定されています。法律ができたときには、殺処分した鶏や家畜は土の中に埋却して3年間置いておけば土に返るという考え方でつくられました。ただ近年では、埋却地から汚水が流れ出したり、有害ガスが吹き出したりということがあったら周りに迷惑をかけますので、現在は防水のビニールシートを敷いた上に死体や鶏ふんなどを埋却して置いておきます。その後どうなるかについては、埋却後掘り起こした事例は聞いたことがなく、例えば上は畑だったら畑として使えますので、申し訳ないですが、把握はしていない状況です。
○(菅森実委員) 承知しました。
そのビニールシートが3年間、死骸などを入れて置いておいて、そのまま地下に残っている状況なのかどうか、掘り起こしていないから分からないですよね。ぜひ、行く行くは土に返っていくような素材の研究など、議論を進めていただけるとありがたいなと思います。お願いします。
○(
松下行吉委員長) 今後の推移を見るということで。
ほかに質問はありませんか。
○(西岡新委員) 今年、知事がインドネシアに訪問されていらっしゃいましたけれども、インドネシアは人口が3億人近くいて、イスラム教徒が多い国でもありますが、今後、本県の農林水産品の輸出について、どういった戦略を描いて取り組んでいくのかを教えていただけますでしょうか。
○(
ブランド戦略課長) 私ども柑橘の輸出を中心にやっておりますが、インドネシアは、柑橘類は輸出不可となっておりますので、ターゲットに入っていない状況です。
○(
林業政策課長) 林産物について御説明いたします。
木材は、アジアでは中国、韓国、台湾、ベトナムに輸出しておりますが、まだインドネシアは実績がございません。情報を収集していく段階でございます。
○(漁政課長) 水産物については、マレーシア、シンガポール、中国、韓国などへ、オレンジウェーブと連携して輸出促進に取り組んでおりますけれども、インドネシアへの輸出実績はまだございません。ただ中には、国ごとの設定ということでマレーシアのハラール認証を取得している事業者もおりますので、今後、市場の状況などを把握してまいりたいと考えております。
○(
営業本部マネージャー) 営業本部といたしましても、現在、インドネシアに関しましては本格的には取り組んでいませんが、周辺のシンガポール、香港、マレーシアなどとは、現地の提携を結んでおります事業者と連携して輸出拡大を図っているところですので、インドネシアにつきましても今後、現地の方々と意見交換を行いながら、できることを取り組んでいきたいとは考えております。
○(
ブランド戦略課長) すみません、補足です。インドネシアは現在輸出不可という状況ですので、令和元年から、残留農薬検査品目リストに柑橘も加えてもらい輸出できるようにインドネシア政府へ働きかける旨の重要要望を国に対して行っているところでございます。
○(
松下行吉委員長) ほかに質問ございませんか。
○(
梶谷大治委員) せっかくの機会でございますので、魚のことについて質問をさせてもらえたらと思います。八幡浜では、1月5日に初競りがありました。初競りのときには、極めて海が荒くしけていたこともあって、魚が本当に少ないなと驚いたんですけれども、2月1日に十日えびすという式典がございました。そのときには魚が捕れて、にぎやかな魚市になっておりました。
そこでお聞きしたいんですけれども、魚価がどうなっているかを教えていただければありがたいんですが。魚の値段に何か最近変化があったかどうかをお聞きしたい。
○(漁政課長) 魚の値段でございますけれども、養殖魚につきましては、コロナ禍の外食産業における需要が回復してきたというところもあって、おおむね値段が回復してきています。そして、特にブリは在池尾数がかなり少ないということで、上昇傾向にあります。
あと、天然魚につきましては、八幡浜は特に代表的なタイの価格動向を見ていますと、昨年ぐらいまでは前年比3割から5割下落というようなところがありましたけれども、最近はかなり回復してきて、キロ850円程度にまで戻ってきている印象を持っております。
○(
松下行吉委員長) ほかにございませんか。
○(
毛利修三委員) せっかく梶谷委員が海の話を出していただきましたので、海の恵みという意味では漁船漁業も本来と言えるのではないかと思うんですが、従来は漁船が中心であったわけで。現在、漁船漁業の売上高、生産高はどういう状態になっておりますか。
○(
水産課長) 漁船漁業は、確かにすごく減っており、養殖が盛んになる前は漁船漁業が当然メインでした。たしか昭和59年が漁船漁業のピークの年だったように記憶しております。その頃は量もかなりあって、いわゆる沖合漁業で、大中まきなどがよその地区、もしくは海外で捕った魚も愛媛県の漁業者が愛媛県に水揚げした場合、愛媛県の水揚げとしてカウントされていた時代があり、今より何倍もありました。
令和2年の統計では、漁船漁業の生産量が約8万1,000tで、多分その当時の何分の1かにはなっていると思います。生産額が約170億円で、金額も多分その当時に比べたら何分の1かにはなっていると思います。漁船も漁業者も減っている中で、この最近は、その減り具合が比較的穏やかになっているという印象は持っています。というのが、やはり昔のいいときは、海外などいろんなところで捕ってきた水揚げの割合が非常に高かったんですけれども、今そういう大規模な漁業が非常に少なくなっている関係で減ってはいるんですけれども、減り具合は非常に緩やかになってきたという印象を受けております。
養殖業を含めた愛媛県全体の漁業産出額がおおむね800億円であり、そのうちの約170億円を漁船漁業が占めています。どうしても愛媛県の場合は養殖業が金額的には多くなっておりまして、漁船漁業が少ないというのが実態です。
○(
毛利修三委員) そのとおりというか、梶谷委員が取り上げた八幡浜でも、沖トロの基地として全国的にも有名で、最盛期には二十何統あったが、今は1統だけ。
それで、結局は資源保護の話になろうかと思うんですが、どうなんですか。サワラの話などは聞きますが、資源保護という点で県の取り組んでいることがあったらお聞かせ願いたい。
○(
水産課長) 資源保護はいろんな考え方があろうかと思います。サワラを言われましたので例に取りますと、瀬戸内海の11府県で、小さい魚は捕らないように漁業者の使う網目の制限や、春や秋など休漁期間を設けることを取り組んでやりました。結果的に、サワラは一時すごく減っていたんですけれども、そのときに比べると若干今、増えつつあります。国の解析でも、資源量は高い区分に近いところにまで回復してきていると聞いております。
それ以外の魚も、例えばマダイの小さいのを捕らないようにしましょう、メバルの小さいのを捕らないようにしましょうということは、愛媛県の漁業調整規則の中で定めがあります。漁業者だけではなくて一般の方も含めて、規則の中でそういう資源保護の取組はやっております。
あと、漁業者自らがこの期間は捕らないようにするとか、あるいは、働き方改革という面もあるのかもしれないんですけれども、毎日毎日沖に行くことはやめようとか、2日行ったら1日休もうよということを漁業者自らが決めることで資源保護に取り組んでいるという状況です。
○(
毛利修三委員) 今、いみじくも課長言っていただいた規則ということですが、もう一つ、一番心配しているのはチリメンで、昔は随分、宇和海は盛んであったが、それも今はもうほとんど資源がないと。そのときに聞くことは、これは養殖漁業とも関係するわけですが、網を入れる区域が、今の区域ではもう全く入ってこなくて漁がないんですよ。それでは飯が食えんですということも聞きます。
そうしたら、それぞれの網の種類によって決まっている区域を見直す時期も来ているのではないかと。戦後から見直しはあまりなかった気がするので、どうして宇和海のチリメン漁はこうなったか、小型の底曳きはこうなったか、沖トロがこうなったかという基本的な見直しの下でもう一度やはり、もちろん資源保護やその資源を有効に使うための方法もありますが、あの辺りの場で最初に取り組むべきは、今のままの区域で成り立つかどうかを見直すことも大事じゃないかと思うんです。県の方向、方針としてぜひという思いがあるんですが、何かありますか。
○(
水産課長) 漁業者が今の操業区域の中では生活できないから操業区域を広げてほしいという話が少なからずあります。ただ海は、結局その漁業者のためだけにあるものではなくて、一部の漁業者のために区域を広げると、その広げたところで別の漁業者が操業しており、漁業調整上、非常に問題になる場合もありまして、一部の漁業者の要望だけで簡単に話が進まないというところもあって、全体の漁業調整というものの中で進めなければなりません。
やはり魚が減る中で、何であそこだけ区域を広げるのかという意見もありまして、なかなか一朝一夕に話が進んでいないという現状はあります。チリメンのお話が出ましたが、チリメンの方にとってみれば漁場を広げていただければありがたいんでしょうけれども、その結果、チリメンを捕るのが増えたら、ほかの漁業者が困ってしまうという、非常に難しい話になりますので、ここは慎重に対応しなければいけないと思っております。
○(
毛利修三委員) もうこれも言われる。網の関係の方らがおもしろおかしく言う。おまえらチリメンを小さいときに摘んで、資源がなくなってしまうんじゃと言うのがまき網漁業の方なんですよ。一般的な漁業者の方。そういう面ではよく言われるので、いろいろな考慮の対象になると言っているんです。全体を見て調整することが大事なので、その調整が規則だと思うんです。それで、規則の下にいろいろな漁業が成り立つようになるんじゃないかとやっておると。
言いたいのは、その状況が変わったんだと、その規則を決めた頃とは海の状況が変わったんだと。私は、その大きな原因というか、理由はやはり養殖が盛んで、これはありがたいことですが、湾内にいかだができたら、チリメンに行く船がなくなったということで、それは養殖を盛んにするためには、愛媛の漁業のためには必要なんですが、しかし、一方で問題がある。
そういう海の状況を踏まえて対処するということだと思うんです。課長の言われるのは本当に当然のことで、ただそれではそれぞれの網は成り立たないということなので、こういう話をさせてもらったんです。ぜひ海が変わったと、資源も変わったと、現状を踏まえて新たに本当に愛媛の漁船漁業をどうするかということを、私は聞きたいと思いますので、水産局長、何かありましたら。
○(水産局長) 委員おっしゃるとおり、漁船漁業につきましては、資源管理が非常に重要な部分もございます。温暖化で水温も上がっているという話もありますし、海流が曲がっていて、本当は愛媛で捕れなくてはならない魚が関東近辺で捕れているなど、いろんな状況があります。ただ今ある資源は大切な資源ですので守ることも大事です。漁業者も皆さんそれぞれ自分だけがもうけるというのがあるかも分かりませんけれども、ただ海はみんなの資源でもありますので、大切な資源を守りながら皆さんで漁業をして、愛媛県の水産業を発展させていただきたいと思っています。委員のおっしゃる話も十分分かりますし、いろんな検討をしながら今後、進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○(
松下行吉委員長) では、ほかに質問ないですか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○(
松下行吉委員長) それでは、質問もないようですので、質疑を終了いたします。
以上をもちまして、
農林水産委員会を閉会いたします。
午前11時28分 閉会...