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令和 2年第367回定例会(第7号 3月 6日)

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  1. 愛媛県議会 2020-03-06
    令和 2年第367回定例会(第7号 3月 6日)


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    令和 2年第367回定例会(第7号 3月 6日) 第367回愛媛県議会定例会会議録  第7号 令和2年3月6日(金曜日)   〇出席議員 47名   1番  中 野 泰 誠   2番  西 岡   新   3番  山 崎 洋 靖   4番  菅   森 実   5番  浅 湫 和 子   6番  石 井 智 恵   7番  中 田 晃太郎   8番  大 政 博 文   9番  新 田 泰 史   10番  黒 川 理惠子   11番  欠     番   12番  欠     番   13番  武 井 多佳子   14番  田 中 克 彦   15番  西 原   司   16番  塩 出   崇
      17番  高 橋 英 行   18番  松 下 行 吉   19番  川 本 健 太   20番  帽 子 大 輔   21番  大 石   豪   22番  宇 高 英 治   23番  欠     番   24番  欠     番   25番  菊 池 伸 英   26番  古 川 拓 哉   27番  兵 頭   竜   28番  大 西   誠   29番  松 尾 和 久   30番  福 羅 浩 一   31番  三 宅 浩 正   32番  西 田 洋 一   33番  欠     番   34番  欠     番   35番  木 村   誉   36番  笹 岡 博 之   37番  鈴 木 俊 広   38番  石 川   稔   39番  梶 谷 大 治   40番  徳 永 繁 樹   41番  高 山 康 人   42番  渡 部   浩   43番  戒 能 潤之介   44番  欠     番   45番  欠     番   46番  越 智   忍   47番  横 田 弘 之   48番  毛 利 修 三   49番  赤 松 泰 伸   50番  本 宮   勇   51番  西 原 進 平   52番  中 畑 保 一   53番  明 比 昭 治   54番  岡 田 志 朗   55番  森 高 康 行   ―――――――――― 〇欠席議員 なし   ―――――――――― 〇欠  員 なし   ―――――――――― 〇出席理事者  副知事           神 野 一 仁  公営企業管理局長      佐 伯   隆  総務部行財政改革局長    三 谷 誠 一  企画振興部長        金 子 浩 一  スポーツ・文化部長     高 石   淳  防災安全統括部長      福 井 琴 樹  県民環境部長        岸 本 憲 彦  保健福祉部社会福祉医療局長 高 橋 敏 彦  営業本部長         八十島 一 幸  経済労働部長        田 中 英 樹  農林水産部長        田 所 竜 二  土木部長          杉 本   寧  会計管理者出納局長     菅   豊 正  副教育長          武 智 俊 和  人事委員会委員       山 本 惠 三  公安委員会委員長      曽我部 謙 一  警察本部長         篠 原 英 樹  監査委員          本 田 和 良  監査事務局長        山 本 亜紀子   ―――――――――― 〇出席事務局職員  事務局長          東 野 政 隆  事務局次長         八 塚   洋  参事総務課長        松 本 賢 固  参事議事調査課長      西 田 洋 一  政務調査室長        入 舩   理  議事調査課主幹       二 神 裕 志   ―――――――――― 〇本日の会議に付した事件  定第1号議案ないし定第19号議案、定第23号議案ないし定第64号議案  選挙管理委員及び補充員の選挙の件      午前10時 開議 ○(西田洋一議長) ただいまから本日の会議を開きます。  本日の会議録署名者大石豪議員高橋英行議員を指名いたします。    ――――――――――――――――― ○(西田洋一議長) これから、定第1号議案令和2年度愛媛県一般会計予算ないし定第19号議案及び定第23号議案ないし定第64号議案を一括議題とし、質疑を行います。 ○(石井智恵議員) 議長 ○(西田洋一議長) 石井智恵議員   〔石井智恵議員登壇〕 ○(石井智恵議員) (拍手)愛媛維新の会の石井智恵です。  このたびの質問では、9月議会に引き続きまして、私の政治理念である孤立しない社会づくりをテーマにするほか、さらなる地域活性化と次世代につなぐを加えた3つのテーマに沿って質問をさせていただきます。  まずは、1つ目のテーマである孤立しない社会づくりから3点質問をいたします。  初めに、子供の健全な育成に向けた里親等への委託についてお伺いいたします。  政府は、虐待を受けた子供などへの支援の充実を図るため、児童養護施設等に進学や就職等の自立支援や退所後のアフターケアを担う職員を配置するなど、退所前後の子供たちの自立に向けた、新たな施策を盛り込んだ来年度当初予算案を国会に提出し、現在、審議が行われています。  9月議会で質問させていただいた具体的な支援策が、ようやく動き出し、希望が持てるところではありますが、一方で、国が平成29年に発表した新しい社会的養育ビジョンにおいて、施設でなく、家庭で子供を養育しようとの観点から、施設養護から里親等への委託を推進する方向へと大きく転換することとなり、そのあり方について、全国の児童養護施設等から不安の声が上がっていると伺っております。  同ビジョンでは、家庭養育優先の原則に沿って、施設から里親やファミリーホームへの委託率の数値目標を、3歳未満の児童はおおむね5年以内に75%、3歳以上、就学前はおおむね7年以内に75%、学童期以降はおおむね10年以内に50%にしようという目標を立て、各都道府県においても、地域や子供の実情に合わせながら数値目標を設定するよう示されました。  しかし、家庭的な環境の中で子供が養育されることはよいことでありますが、数値目標の達成のみが目的化されることなく、真に子供の幸せにつながる里親等への委託が進む必要があると思います。また、虐待などの理由で家庭で暮らすことができない子供を、保護者にかわって養育してきた施設側には、小さなころから連続した関係性を築くとともに、退所後も引き続き、長期にわたり支援していきたいと願う声もあります。  このような中、県では、令和11年度における里親等への委託率を42%とする数値目標を盛り込んだ愛媛県社会的養育推進計画を今月中に策定するため、パブリックコメントを実施するなど、最終的な調整段階に入っていると伺っております。社会的養護の中でも特に、虐待を受けてきた子供などへは、専門的なケアや長期にわたる継続した支援、さらにはチームで対応する必要がありますが、何よりも子供の権利と最善の利益が保障されるよう、慎重に支援してほしいと思います。  そこで、お伺いいたします。  里親等への委託を進めるに当たり、児童養護施設等との連携や委託後の子供の実態把握を今後、どのように行っていかれるのかお教えください。  次に、依存症対策についてお伺いいたします。  ギャンブルや薬物、アルコールへの依存、さらには子供、若者に急速にふえているゲーム、インターネットへの依存など、いわゆる依存症が社会問題としてクローズアップされています。  依存症は孤独の病気と言われ、学校や職場、家庭内のトラブルによる、孤独感や不安感、焦りなどから引き起こされる場合も多く、本人がやめようと思っていても離脱症状などに苦しむことから、早い段階での治療が必要であります。  しかし、例えばギャンブル依存症については、回復プログラムを実施しているなどの要件を満たす専門医療機関は、昨年末時点で全国に54機関、県内には1機関のみと極端に少ない現状にあります。全国的に専門医療機関、専門医が不足している中、国は、各都道府県の依存症対策を推進するために、依存症対策総合支援事業を立ち上げ、相談、研修、普及啓発、情報発信のほか、依存症の治療、回復支援家族支援を行うなど、地域における支援体制づくりを進めていますが、これらのさらなる充実を図ることが必要と考えます。
     また、同じ悩みを抱える仲間とともに支え合うことも有効な回復法の一つであり、そのためのリハビリ専門施設など、現在、本県にあるさまざまな民間支援団体は、関係機関との勉強会を定期的に実施しています。  先日も、当事者の集まりであるえひめダルクや県内にある家族の会の方にお会いして、依存症の実態への理解や、多方面からのサポートの重要性についてお伺いしたところでありますが、依存症の根本的解決を図る上で重要となるのは、何よりもその予防に向けた重点的な取り組みであります。また、依存症は弱い人間がなるのだと決めつけることや、罪を犯してしまった場合に罰するだけで終わりにし、治療の開始をおくらせてしまうことが悪化を招く要因となるため、依存症への理解を広げていくことや、医療機関と地域、警察との連携も重要であり、依存症からの回復を社会全体で支えていく仕組みづくりが必要と考えます。  そこで、お伺いいたします。  予防教育や県民の理解促進などの依存症対策をどのような方針で進めていかれるのか。特に、県警や医療機関支援団体などとの連携をどのように図られるのか、お教えください。  次に、誰もが働き続けることができる社会を目指して、育児休業取得促進についてお伺いいたします。  育児休業取得促進に向けては、社会全体で取り組む必要性を感じております。私自身も、育児休業を職場で初めて取得し、1年間休業した経験がある者の一人として、その体験を踏まえ、育児休業についてお伺いいたします。  現在、育児休業は、1年間取得する人が多いようですが、1年もの間、職場から離れるということであり、子育てのために取得したいと思っても、職場に迷惑をかけるからとか、自分のキャリア形成への影響、職場復帰への不安などから、取得をためらう人がいまだ多くおります。  一方で、事業者側は、休業している間にかわりに働く人、いわゆる代替要員の確保の難しさや、制度がたびたび変わることによる手続の煩雑さなどもあり、休業制度を利用してもらいたいと思いながらも、その取り組みが進んでいない現状にあります。  特に、自分の仕事が、経験を要するものや資格を要するものであれば、代替要員の確保が困難であり、育児休業の取得はさらに難しくなります。私の場合も、そのケースでありました。私は、看護師のほかに視能訓練士という資格を取り働いておりましたが、この資格を持っている人は、当時、日本でもまだ少なく、私が働いていた病院では、私しか資格を持った人間がいなかったため、代替要員を確保することは非常に困難でありましたが、病院の事務の方が熱心に働きかけてくださり、結果的には、私の正職員ポストに2人のパートの方が入ってくださることになりました。しかし、代替要員が決まるまでの間は、いっそのこと育児休業をとるのはやめようかと悩んだ時期もありました。  育児休業の取得をためらわせない、育児休業を取得しやすい環境をつくるためには、かわりに働ける代替要員の確保や、各職場での業務分担の実施に加えて、休業期間中の定期的な面談や、復帰後の業務について、休業者と事業者とが十分に話し合う機会をつくるなどの対策が重要であり、そして何よりも、休業制度を利用しながら、誰もが働きやすい環境をつくっていこうとする社会全体の意識啓発が必要であると考えます。  そこで、お伺いいたします。  企業等における育児休業取得促進に向け、県ではどのような対策をとっておられるのかお教えください。  次に、2つ目のテーマである、さらなる地域活性化から3点質問いたします。  初めに、農業における女性の活躍推進についてお伺いいたします。  担い手不足や高齢化など、厳しい状況にある農業のさらなる成長のためには、基幹的農業従事者の約4割を占める女性の活躍を推進し、組織の政策や方針などの決定に女性の声をより反映させていくことが重要であります。  昨年12月の農林水産省の農業における女性の活躍推進に関する資料によると、販売額の大きな経営体や経営の多角化に取り組む経営体は、女性が経営方針の決定に参画する傾向が強いとのことであり、農業の成長産業化のためには、積極的な取り組みが求められますが、既に本県では、平成28年度に、第一次産業に従事する女性や企業、大学生などによる一次産業女子ネットワーク・さくらひめという組織が結成され、メンバーは現在100名に達し、イベント開催や商品企画、さらには都心部での就農相談会にも出向き、担い手の確保・育成に一役買うなど活発な活動を続けており、今後のさらなる活躍を期待しているところであります。  さらに、昨年11月から12月にかけて開催された県外女性を対象にした農業体験ツアーに、さくらひめのメンバーとともに同行し、既に本県に移住し、農業等に従事している女性の方々とも意見交換を行い、また、先日は、県内からさくらひめの関係者約100名が集まった交流会にも出席しましたが、多くの方々から組合などでの意思決定の場において、女性の声が反映されにくいという現状について伺いました。一昨年における我が国の農業協同組合の役員に占める女性の割合はわずか8%であり、まだまだ女性の活躍が進んでいるとは言えない現状にあります。漁協、森林組合などにおいても同様であり、意識啓発を進めていく必要があると思われます。  県では、既に平成6年には、愛媛県農山漁村女性ビジョンを策定し、女性の経営参画促進などの目標を設定したほか、家族内における経営上の位置づけなどの取り決めを行う家族経営協定について、昨年度末時点で、中四国トップとなる1,170戸の家族で締結されるなど、女性就農者の地位の向上に向け、積極的に取り組まれております。  さらに、県では、担い手の確保・育成、生産物ブランド化の推進と販売拡大など、農業の活性化に向けた取り組みを進められておりますが、今後、女性が政策、方針にも積極的に参画することで、消費者目線での経営方針アイデア企画などの柔軟な発想も加わり、所得が向上するなど、さらなる発展が期待できるのではないかと考えます。  そこで、お伺いいたします。  農業における女性の担い手確保を初めとする活躍推進に向け、今後、どのように取り組んでいかれるのかお教えください。  次に、自転車新文化の今後の取り組みについてお伺いいたします。  自転車は環境に優しく、健康的、経済的であり、小さな道でも自由に行き来できるため、まちの商店街にも立ち寄りやすく、車社会がもたらした今の社会問題を解決できるものであり、今では全国的にも観光やまちづくりのツールとして活用されています。  中でも中村知事は、全国に先駆けて、自転車新文化という新しい概念を生み出し、自転車を通した健康や生きがい、友情づくりを積極的に進めてこられ、その発想力と行動力に敬意を表します。  さらに、中村知事は、国際サイクリング大会の開催を初め、四国一周サイクリングルートの設定など、国内外からの観光客の誘致やサイクリストおもてなし体制を整備するとともに、県民の自転車利用の促進や安全利用に資する自転車安全利用促進条例を制定するなどさまざまな施策を実施されており、最近、県外に行くと、愛媛県は自転車施策が進んでいますねというお声かけをいただく機会が多く、本県の取り組みは、他県の模範となっていることを実感しています。  私自身も、県内のサイクリング大会に参加させていただき、風を切って走る爽快感はもとより、終了後には参加者と互いに健闘をたたえ合うことで、生きがい、友情づくりなどを直接肌で実感したことを思い出します。  また、昨年、視察に訪れたフランスでは、大規模な自転車施策が進められていることを目の当たりにしました。かねてから、交通渋滞と大気汚染対策が課題であったパリ市では、2007年にコミュニティサイクル、ヴェリブを導入し、市内に約300m間隔で無人駐輪場を配置しています。24時間好きな場所でレンタルが可能となっており、観光客も含め、30分以内であれば、無料で利用できます。  導入以来、1日に5万台を超える自転車が利用され、2009年には近隣の30自治体に広がり、さらに2011年には、利用台数が1億台を突破したとのことですので、その規模の大きさがうかがえます。また、パリ市内には、サイクリストが集うサイクルカフェも多く、自転車が人々の居場所づくりにも寄与していました。  自転車がもたらすメリットは多く、スロージョギングの第一人者である福岡大学身体活動研究所の田中宏暁元所長によると、自転車は、ジョギングと同様に有酸素運動となり、前頭葉機能や認知機能が向上することから、仕事の効率化のほか、認知症や鬱病などの予防にもつながるとのことであります。このほか、自転車は、子供から高齢者まで誰でも気軽に乗れるため、イベント等を通じた多世代交流にも取り組みやすいのではないかと考えます。  県の自転車新文化の概念や施策は、広く浸透し成熟してきていると思いますが、今後、超少子高齢社会の到来に備え、健康づくりや多世代交流の場の提供など、さらに一歩進めた施策が必要になるのではないかと考えます。  そこで、お伺いいたします。  自転車新文化のさらなる拡大を図るための健康や生きがい、友情づくりに向け、今後、どのように取り組んでいかれるのかお教えください。  次に、農林水産物国際認証取得促進についてお伺いいたします。  ことし開催される東京オリンピックパラリンピックは、世界に対して、信頼される日本産品を提供する絶好の機会であり、現在、日本食材や食文化の魅力を発信する取り組みが行われています。  しかし、世界中から人が集まる選手村などで使う食材は、グローバルGAP等国際認証のほか、一定の要件をクリアしたGAP認証を取得した農産物しか使用できないといった高い基準が設けられたことから、政府は力を入れて認証取得を進めてきたものの、世界各国に比べると、国内事業者の取得数はいまだ少ない現状にあります。これでは、日本食材などの魅力を世界に発信する機会が失われることにもつながりかねません。  現在、国際認証にはグローバルGAPのほか、漁業ではMSCに加えて養殖に関するASC、林業ではFMに加えて加工流通に関するCoCなど、さまざまなものがあります。例えばグローバルGAP認証を取得するには、生産者が、栽培から出荷後の運搬に至るまでに守るべきルールとして、安全な農産物の供給、環境の保全、働く人の安全などの目的を示し、その目的達成のため、約200項目をチェックするとともに、農業生産に係る記録を残していかなければなりません。そのため、認証取得には多大な費用がかかるとともに、手続に膨大な労力を要し、県内の農林水産業者からも国際認証は取得しにくいとの声を伺っております。  しかしながら、国際認証を取得した農林水産物の価値が高く評価されることで、売上向上はもとより、環境や働く人を守ることになり、何よりも世界の信頼を得ることにもつながることから、まずは、消費者に認証までの審査プロセスや食の安全性確保などを広く知ってもらうとともに、生産者に対しては、取得に際しての費用や認証までの手続を支援する取り組みが必要です。  県内企業が開発した、IT活用によるGAP認証取得支援システムを実際に利用している農業高校にお話を伺ったところ、システムの利便性を実感しているとの話がありました。このようなシステムの利用を推奨していくことも、取得促進の後押しになるのではないかと考えます。  東京オリンピックパラリンピック後、国内市場が国際認証取得に係る取り組みを積極的に実施していく地域とそうでない地域とで、所得に格差が出てくることも予想され、今後、各自治体がどのような方針をとるのか、重要な岐路に立っているのではないでしょうか。  そこで、お伺いいたします。  農林水産物国際認証取得促進に向け、今後、どのように取り組んでいかれるのかお教えください。  次に、3つ目のテーマである、次世代につなぐから2点、質問いたします。  初めに、森林の多面的機能の回復等についてお伺いいたします。  森林は、我々の暮らしに必要な木材や食料の確保を初め、景観、信仰などの文化として人の心に潤いを与えるほか、生態系の生物の種を守り、大気を浄化し、水を確保し、さらには洪水、土砂崩れから守るなど多面的機能を持っています。また、落ち葉は腐葉土となり、分解されてできた有機物が川に流れ、海に注がれるため、山を守ることは、海を守ることにもつながります。  昨年は、本県でアコヤガイの大量へい死などが発生しましたが、海が悲鳴を上げていることと森林の機能低下との間に関係がないとは言えないと思います。現在の森林は、違法伐採や放置森林の増加、環境汚染により、本来の機能を失いつつあり、近年の異常な集中豪雨に耐え切れず、土砂が崩れ、ひいては地球の温暖化を招く要因ともなりかねず、また、川や海に必要な栄養分を供給できていない、いわば栄養失調の状態となっています。  こうした中、森林の機能回復を図るための取り組みが全国各地で行われており、例えば、久万高原町のNPO法人は、拾い集めたブナの種を使って苗木を育て、それを1本ずつ植え育てていくことで、半世紀前まで保守されていた奥山を復元するため、ブナの森づくりプロジェクトに取り組んでおり、時間や手間はかかりますが、次の世代のためにも、その取り組みの意義は大きいものと考えます。  現在、県では、林業躍進プロジェクトの第2期に入り、令和元年度からの5カ年計画で、スマート林業の導入による円滑な林業の体質強化を初め、木材需要とのマッチングの円滑化、林業や木材産業の担い手の確保・育成など、林業の成長産業化に取り組まれております。  また、愛媛県木材の供給及び利用の促進に関する条例の制定により、山地災害の防止、土壌、地球環境及び生物多様性の保全などを行っていくことを目的とした取り組みも進められており、森林の多面的機能の回復と向上のためには、林家の収益向上を図り、林業を維持・発展させることは必要不可欠であります。  特に台風、集中豪雨等による被害が頻発する中、雨水を吸収し、水源を保つとともに、河川の流量を調整し、水質の浄化が図れる水源涵養機能を高めることで、洪水を緩和するなど、山から海まで連動した環境整備が、今後は、より一層重要になってくるのではないかと考えます。  そこで、お伺いいたします。  森林の多面的機能の回復と向上に向け、今後、どのように取り組んでいかれるのかお教えください。  最後に、価値あるものを次世代につなぐという観点から、四国遍路世界遺産登録についてお伺いいたします。  世界遺産は、「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」というユネスコ創設の理念のもと、世界中の誰が見てもすばらしいと思える、顕著な普遍的価値のある遺産を世界が保護していこうとする動きの中、登録制度が始まりました。現在の登録件数は1,121件となり、そのうち日本にある世界遺産は23件でありますが、国内で世界遺産がないのは、地域区分で見ると、四国のみとなっております。  しかし、四国には、1,200年前から受け継がれてきた四国遍路があります。罪を犯したり、生活ができなくなった人が四国で遍路をし、お接待を受けながら、地域に情報を伝えるなど、相互の関係性を築くとともに、居場所をなくした人に生きる意欲を持たせ、亡くなった巡礼者には、地域住民が遍路墓を建てて弔うなど、そこには弱者救済や人間の尊厳と平等、相互の尊重という概念が存在していると感じております。  また、巡礼スタイルが、約300年の間、戦争がなかった江戸時代に、温暖な気候の四国の地で、庶民によって確立されていったこともまた、世界にも類のない長い平和の恩恵であり、私は世界遺産に登録されるにふさわしい文化と考えます。  巡礼文化では、これまでスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラや紀伊山地の霊場等が世界遺産登録されていますが、同行二人という大師信仰と周遊型の巡礼、さらには地域住民によるお接待文化の存在は、これらとは異なる価値があるものと考えます。  この四国遍路世界遺産登録に向けては、1998年に本県の仙遊寺が宣言文を作成し、署名活動が始まり、2007年に四国八十八箇所霊場と遍路道を暫定一覧表記載資産候補として、文化庁に提案したところ、生きている伝統をあらわす資産としては価値は高いとされたものの、候補とはならず、課題として、顕著な普遍的価値の証明や保護措置の改善と充実の取り組みが不可欠であるとの提示を受けました。  その後、四国4県共同の推進協議会が設立され、本県でも、八十八カ所霊場の基礎調査、遍路道の史跡指定などが行われておりますが、私は、本年1月に愛媛大学で開催された四国遍路世界遺産登録に向けた国際シンポジウムに出席いたしました。その際、世界遺産登録の目的を踏まえ、国家間の境界を超越し、人類全体にとって現代及び将来世代に共通した重要性を持つような、傑出した文化的な意義、または自然的な価値である顕著な普遍的価値の証明をどうするかが最大の課題であるとのお話を伺いました。世界遺産に登録されるためには、顕著な普遍的価値を有する資産として保護することが必要であり、重要なポイントとして、四国遍路の歴史的な意味や影響をひもとくとともに、既に世界遺産に登録されているサンティアゴ・デ・コンポステーラや紀伊山地の霊場等だけではなく、国内外の同種資産との比較研究にも取り組んでいく必要があると考えます。  現在、2025年の大阪万博において、四国遍路の文化を発信しようとする動きがあると伺っており、それを一つの起爆剤として、世界遺産登録をさらに一歩進めていくこともできるのではないでしょうか。  そこで、お伺いいたします。  四国遍路世界遺産登録に向けた普遍的価値の研究などの進捗状況はどうか。また、今後、どのように取り組んでいかれるのかお教えください。  以上で質問を終わりますが、最後に一言申し上げます。  今議会の議場には、愛媛県が開発したデルフィニウムの新品種さくらひめが飾られております。さくらひめの花言葉は、可憐な乙女、君にほほ笑む、希望、そして、女性を応援するといった意味も込められていると聞いております。きょう、私もさくらひめのコサージュをつけ、登壇させていただきました。  今後とも、女性が生き生きと輝く社会づくりを進めていくとともに、愛媛県の美しい自然と歴史ある文化を次の世代につなげていくために、精いっぱい頑張ってまいりたいと思います。  以上で終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) ○(西田洋一議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(神野一仁副知事) 議長 ○(西田洋一議長) 神野副知事   〔神野一仁副知事登壇〕 ○(神野一仁副知事) 石井議員の御質問にお答えいたします。  まず、農業における女性の活躍推進についてでございますが、平成28年の日本政策金融公庫の調査では、女性が農業経営に関与する経営体は、そうでない経営体と比べ、経常利益の増加率が2倍を超えると報告されており、本県においても、農業経営や地域づくりへの女性の参画を進め、女性ならではの発想力や経営力、情報発信力等を生かして、農業の活性化を図っていくことが重要であると認識をいたしております。  このため県では、平成28年度に若手女性農業者等で組織する一次産業女子ネットワーク・さくらひめを立ち上げまして、メンバー間の相互交流の促進はもとより、地元企業等と連携した商品開発や特産品マルシェの開催など、多彩な活動機会を創出するほか、今年度からは都市部の女性をターゲットとした愛媛農業の魅力発信を初め、就業相談会の開催や就業体験ツアーの実施などの県事業にも主体的に参画していただくなど、活躍の場を広げ、地域農業を牽引する担い手としての意識高揚や成長を促しているところであります。  一方で、地域農業の核となるJAの運営への女性参画は、正組合員数に占める女性の割合25%以上など、JAグループみずからが掲げた目標に未到達の組合も多く、今後は、JA役員や農業委員への登用拡大など、関係団体の意識醸成も図りながら、女性が存分に活躍できる愛媛農業の実現を目指してまいりたいと考えております。  次に、自転車新文化の取り組みについてでございますが、県では、自転車新文化の普及・定着を図るため、シェア・ザ・ロードの精神に基づく自転車の安全利用の啓発に努めますとともに、県内全域を対象とした愛媛マルゴト自転車道の整備や、毎年11月に県下全市町で実施いたします愛媛サイクリングの日のイベント開催、さらにはサイクルオアシスの設置などを通じまして、県民の方々が県内のどこでもサイクリングを楽しみ、交流を深めることができる環境整備や機会の提供に努めております。  また、県民の皆さんの、より幅広い層にサイクリングに親しんでいただくきっかけづくりとして、親子による自転車教室のほか、女性やシニア向けのスポーツサイクル体験会や、障がい者の方々も楽しめるタンデム自転車体験イベント等を実施いたしますとともに、今年度から新たに、高校生がサイクリングを通して、地域の魅力を学び、発信する事業にも取り組んでいるところであります。  さらに、年齢や体力差にかかわらずサイクリングを楽しめるE-BIKEの普及についても、本年度のしまなみエリアから、来年度は佐田岬エリアへと拡大することといたしておりまして、今後ともサイクリングの裾野拡大を図り、幅広い世代間の交流を促進することで、県民誰もが健康、生きがい、友情づくりを実感できる環境整備に取り組みますとともに、実需の創出にもつなげていくことで地域経済の活性化を図ってまいりたいと考えております。  その他の問題につきましては、関係理事者の方から答弁させることといたします。 ○(高石淳スポーツ・文化部長) 議長 ○(西田洋一議長) 高石スポーツ・文化部長   〔高石淳スポーツ・文化部長登壇〕 ○(高石淳スポーツ・文化部長) 四国遍路世界遺産登録への取り組みに関する御質問にお答えいたします。  本県を初め、四国4県等で構成する「四国八十八箇所霊場と遍路道」世界遺産登録推進協議会では、登録の前提となる国の暫定一覧表への記載を目指し、文化庁から示された登録のための課題である、構成資産の保護措置と顕著な普遍的価値の証明に鋭意取り組んでいるところでございます。  このうち資産の保護措置については、関係市町と役割分担しながら、令和8年度完了を目途に札所の詳細調査や遍路道等の史跡指定を進めていますほか、普遍的価値の証明についても、ことし1月、海外専門家を招聘し、最新の知見による助言を得るとともに、愛媛大学四国遍路・世界の巡礼研究センターと協定を締結し、国内外の巡礼との比較等を通じ、学術的研究を深化させていくこととしております。  世界遺産登録の実現までには息の長い取り組みとなりますが、四国遍路が登録されることは、地域や県民の方々にとって大きな誇りであることから、本県独自に歴史文化博物館での四国遍路展や「「弘法大師空海」の世界 密●空と海−内海清美展」、遍路道ウオーキングイベントを開催し、さらなる機運醸成を図ることとしており、引き続き県内関係13市町を初め、四国が一体となって、2つの課題解決にスピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(高橋敏彦保健福祉部社会福祉医療局長) 議長 ○(西田洋一議長) 高橋社会福祉医療局長   〔高橋敏彦保健福祉部社会福祉医療局長登壇〕 ○(高橋敏彦保健福祉部社会福祉医療局長) 里親への委託に当たり、児童養護施設との連携状況等についてお答えいたします。  県では、子供の利益を最優先とした家庭養育を推進するため、児童相談所の里親支援担当職員が、児童養護施設等の里親支援専門相談員と連携して、里親の新規開拓を図るとともに、里親宅を訪問し、子供の養育状況の確認や相談支援を行っているほか、里親サロンでの相互交流などにより、子供の現状把握に努めているところでございます。  また、国の新しい社会的養育ビジョンを踏まえまして、今年度末までに、里親支援の強化などを盛り込んだ県社会的養育推進計画を策定し、各児童相談所に里親支援専任の児童福祉司を計画的に配置するとともに、児童養護施設や乳児院への里親支援専門相談員の配置を促進するなど、里親に対する支援体制の充実を図ることとしており、今後とも、社会的養護を必要とする子供一人一人に適した養育環境が提供できるように取り組んでまいりたいと考えております。  次に、依存症対策や、県警や医療機関支援団体などとの連携状況等についてお答えいたします。  本県では、昨年4月までにアルコール、薬物、ギャンブルの3つの依存症対策推進計画を策定し、依存症に対する正しい知識の普及啓発と、患者、家族を支える相談支援や医療提供体制の構築に取り組んでいるところでございます。  依存症対策には、まず、子供世代からの予防教育が重要であることから、児童生徒や教職員に対し、警察職員や医師、薬剤師等の専門職を講師として、薬物使用の危険性や依存症の健康リスク、依存症に対する治療などの具体的知識の普及啓発に努めているほか、えひめダルクなど民間支援団体と協力した啓発イベントを実施するなど、県民の理解促進に努めているところでございます。  また、依存症の相談支援や治療に当たる専門医療機関については、現在、分野ごとに、合わせて5病院を選定していますが、本年度中に2病院を追加することとしているほか、来年度は、県、県警、医療機関支援団体等との関係機関で構成する依存症対策推進委員会、仮称でございますが、を立ち上げ、各依存症対策推進計画の進捗評価や情報共有を図ることとしており、県としては、今後とも関係機関との連携を強化し、依存症対策の推進に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(田中英樹経済労働部長) 議長 ○(西田洋一議長) 田中経済労働部長   〔田中英樹経済労働部長登壇〕
    ○(田中英樹経済労働部長) 企業の育児休業取得促進に向けた対策についてお答えします。  県が平成29年に実施した調査によりますと、県内民間事業所のうち、8割を超える事業所で、女性が育児休業を取得していますが、個々の女性ベースで見ると、国の調査結果では、第1子出産を機に半数近くの女性が離職している現状にございます。  その理由として、離職女性の多くが、仕事と子育ての両立に自信がないことや、職場の支援制度が不十分で理解が得られないという理由を挙げておりますことから、県では、仕事と家庭の両立応援企業認証制度により、本年2月末までに、育児休業や短時間勤務の規定の整備、育児中の従業員に対するフォロー体制づくりなどに取り組む県内企業を累計で653社認証したほか、職場の上司の意識啓発を行うため、愛媛県版イクボス、ひめボス宣言事業所を885事業所まで拡大を図っているところであります。  また、育児休業規定の整備などの取り組みがおくれている小規模事業所等を中心に、代替要員の確保などにより、育児休業取得を支援した企業の取り組み事例紹介も行っております。  引き続き、育児休業を当たり前に取得し、安心して子育て及び継続就業ができる企業風土づくりや社会全体の機運の醸成に向けて、粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(田所竜二農林水産部長) 議長 ○(西田洋一議長) 田所農林水産部長   〔田所竜二農林水産部長登壇〕 ○(田所竜二農林水産部長) 初めに、国際認証取得促進についてお答えをいたします。  農林水産物に係る国際認証は、生産者がみずからの生産工程等を見直し、食品安全や労働安全、環境保全などの向上を図る契機となり、取引先や消費者の信頼性向上はもとより、国内外への販路拡大にもつながりますことから、県では、認証取得の拡大に向け、約50名の専門知識を有する指導員を育成し、生産者への啓発や指導を行うとともに、認証取得のための経費助成などにも取り組んできたところでございます。  その結果、県内での取得状況は、農産物では、グローバルGAPを農業法人や農業高校など15者が取得し、林産物では、森林管理等に係るFM認証を森林組合など20団体で構成する1グループが取得し、また、木材加工、流通に係るCoC認証を31事業者が取得しており、水産物では、昨年12月に国際認証として承認された新MEL認証を2事業者が取得しております。  県といたしましては、東京オリンピックパラリンピック大会の終了後も見据え、引き続き、認証の新規取得の拡大や、これまでに認証を取得した事業者への更新支援を行うとともに、来年度は、国内水準から国際水準へのステップアップを目指す事業者に対する指導、支援も行うこととしており、今後とも、販路拡大や有利販売を目指して、国際認証の取得等に取り組む生産者や団体、事業者などを強力にバックアップしてまいりたいと考えております。  次に、森林の多面的機能についてお答えをいたします。  森林は、木材供給のほか、水源の涵養や国土の保全、地球温暖化の防止といった多面的機能を有しておりますが、近年、西日本豪雨災害を初めとした大規模災害が頻発する中、災害に強い森林づくりは一層その重要性を増してきており、豊かな海づくりにつなげるためにも、健全な森林を積極的に育成していく必要があると考えております。  県では、今年度から第2期林業躍進プロジェクトをスタートさせ、県産材の安定供給体制の構築による林業の成長産業化を目指した森林整備を進める一方で、地域住民などが協力して行う、里山の保全や竹林整備活動への支援、環境教育や木工教室など、森林の多面的機能に関する県民の自発的な各種啓発活動の促進、伐採跡地への広葉樹の植栽、さらには、官民協働によります企業の森づくり活動にも積極的に取り組んでいるところでございます。  また、昨年4月にスタートした新たな森林経営管理制度のもとで、市町と連携した放置森林の解消や、公益的な機能の増進を図る環境林の整備にも取り組んでおり、今後とも、関係団体はもとより、森林所有者や地域住民、企業等と一体となって、多様な森林づくりを進めることで、多面的機能の回復と向上に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(西田洋一議長) 暫時、休憩いたします。      午前10時49分 休憩    ―――――――――――――――――      午前11時5分 再開 ○(西田洋一議長) 再開いたします。  質疑を続けます。 ○(毛利修三議員) 議長 ○(西田洋一議長) 毛利修三議員   〔毛利修三議員登壇〕 ○(毛利修三議員) (拍手)志士の会の毛利でございます。  早速質問に入ります。  今、宇和島市では、私の住んでおります住宅地においてですが、毎日のように小学校の近くでイノシシが目撃されております。イノシシに遭遇したときは、大声を出すなど刺激するようなことはせず、静かにイノシシから遠ざかってくださいとの有線放送が流れております。数年前には、松山市の大街道商店街をイノシシが疾走する衝撃的な映像が流れました。奥山の森に住むはずのイノシシが安住の地を失い、人間の領域、市街地にまで出没し、私たちの生活の安全をも脅かすことが現実となっております。  私は22年前、第257回県議会において、四国山地の生き物を結ぶ道、森の回廊構想について質問をいたしました。この構想の柱は、愛媛県の石鎚山系と徳島県の剣山系を結ぶ幅1キロ以上の保護樹林帯をつくり、動物たちの回廊と保護地域とし、野生動物の保護と野生動物と人間の共生の場としようとするものであり、200年がかりの壮大な構想であります。平成12年には、林野庁が国有林の一部を回廊に設定する緑の回廊へとつながり、現在、四国では、石鎚山と剣山の2地区が設定されております。  御案内のとおり、四国山間部の森林は大部分が人工林で、原生林はわずか1%足らず、主に杉、ヒノキなどの針葉樹が植林されております。動物が生きるために必要な広葉樹は、植林が進むにつれて減少し、その上、近年は林業を取り巻く厳しい状況が長きにわたって続いたことから、放置林は増加し、多くの人工林が荒廃し、灌木は減り、草地は失われ、動物は餌場を失い、すみかを追われていったのであります。  その結果、野生動物全体の生態系が崩れ、ある種の動物は激減し絶滅寸前となり、一方では、奥山に生息するはずの野生動物が食べ物を求めて人里近くにおりてきて、そこを生息地域とするようになり、ただでさえ人口減少が進み、高齢化、過疎化が進行して地域の維持が困難となっている中山間地域の集落においては、この野生動物による農作物被害が極めて深刻な問題となっております。  県においては、被害額がますます増加し、被害地域も拡大してきた中で、駆除はもちろん、防御柵の設置や里山の整備などさまざまな対策を懸命に講じられておられますものの、平成21年度の被害額は3億1,000万円、昨年度の被害も4億円を超え、厳しい状況が相変わらず続いております。  確かに息の長い話ではありますが、この森の回廊構想が推し進められ、広葉樹林が増加し自然林が回復していけば、野生動物は自然と彼らの本来の領域である奥山の森に帰り、かつてのような人と野生動物のすみ分けができ、野生動物もおのずと減少していくものと思っております。  そこで、お伺いをいたします。  私は、この回廊構想は、将来の子供たちに夢つなぐものであり、また、自然の恩恵を受け、現在の幸せを享受している私たちには、崩れた生態系を回復させる責務があると思っております。国では、緑の回廊構想を進められておりますが、県では、森づくりをどのように進めていかれるのか、お聞かせ願いたいのであります。  次に、ミカン王国愛媛の誇りを持ってお尋ねいたします。樹園地の再編復旧についてであります。  平成30年7月、県内各地で多数の柑橘園地が崩落するなど、未曽有の被害をもたらした西日本豪雨災害から、はや1年8カ月が経過し、被災後2度目の収穫を終えようとしております。  今期も収穫量の減少が懸念されておりましたが、日本一のミカン産地のプライドをかけた生産者の頑張りによりまして、令和元年度産の温州ミカンは、例年以上の出荷量が確保されたと聞いており、特に被害が大きかった私の地元宇和島市吉田町においても、天候に恵まれたこともあり、出荷量が被災前に近い水準まで回復したとのことでありました。  これまで産地の再建に全力を注いでこられた若い後継者を中心とした生産者の皆さんの御努力に敬意を表しますとともに、スプリンクラーやモノレールなどの迅速な復旧を初め、炎天下での土のうづくりなど奮闘された関係者の皆様、多くのボランティアの皆様に、私からも重ねて心からお礼を申し上げたいと思います。  このような中、園地の傾斜を緩やかにし作業効率を高めるなど、被災農家から大きな期待が寄せられている再編復旧については、県が市町やJAなどと連携し、何度も地域に足を運び、農家の方々の声を丁寧に酌み取りながら夢のある将来の青写真を描き、合意形成を後押ししていただいたおかげで、吉田町玉津地区を初め県内3地区で合意が整い、先日、早期の事業着手にめどが立ったとの発表がありました。さらに、吉田町白井谷地区などでも、事業化に向けた検討が進んでいるとのことであり、大変心強く感じております。  また、若手農家が中心になった早期成園化の取り組みやアルバイターの確保など、産地力の底上げを目指したさまざまな取り組みを頼もしく思うとともに、新しくなった園地に県が導入を支援しようとしている期待の新品種紅プリンセスなど、高収益が見込める優良品種の産地化にも、ぜひ挑戦していただきたいと願っております。  私は、農家の皆さんとともに、大きく生まれ変わった自慢の園地に、オレンジ色に輝く世界一の紅プリンセスがたわわに実ったとき、真の復興は成ったと胸を張って宣言できると思っておりまして、その日が一日も早く訪れることを心から待ちわびております。県におかれては、これからも戦略的な発想のもと、粘り強い御支援をお願いしたいと強く思うものであります。  そこで、お伺いをいたします。  知事は、事あるごとに、柑橘王国愛媛の威信にかけて、復興をなし遂げると言っていただいておりますが、西日本豪雨災害からの創造的復興に向け、樹園地の再編復旧に今後、どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。  続いては、水産問題であります。本県における漁業就業者、担い手の現状と対策についてお伺いいたします。  日本の漁業は今、高齢化や後継者不足、漁村地域の過疎化により深刻な人手不足に直面しております。国の漁業センサスによりますと、平成30年の全国の漁業就業者数は約15万2,000人で、20年前に比べると約45%減少し、65歳以上の割合は約38%となっております。  本県では、漁業就業者数は6,186人で、全国を上回る約54%減少するとともに、65歳以上の割合も約40%となるなど、担い手の減少と高齢化が全国に先んじて進んでおります。まさに我が県は、マダイ養殖で29年、真珠養殖で10年、そして、魚類養殖全体では41年連続日本一を誇る水産県であり、特に南予においては、水産業は果樹産業とともに地域を支える重要な基幹産業であるだけに、この漁業の担い手不足や高齢化は極めて重要な問題であります。  昨今の漁業を取り巻く状況は、大きく変化しております。水産資源の減少や国内の水産物消費の伸び悩みによる販売価格の低迷、養殖用飼料のほか、燃油や資材単価の高どまりなどにより、漁家は長年にわたり厳しい経営環境に置かれております上に、それに伴う後継者不足が将来に向けての大きな課題となっております。  また、海の上での作業は一瞬たりとも気を抜くことができず、熟練した技術が必要なことも、現在の漁業就業者の減少、高齢化につながっているとも言われております。  しかし、一方で、漁業は自然の中で自然を活用して食料を得る持続可能な産業であり、個人個人が一国一城の主として未来を切り開くことのできる、非常にやりがいのある魅力的な仕事でもあります。  いずれにしても、今や担い手対策は、一次産業全てに共通する古くて新しい課題であります。漁業、農業、林業、どの分野においても、課題は山積、一朝一夕に解決できるものではありませんが、長期的な展望に立っての地道な取り組みを粘り強く続けることが、ひいては地方にとってかけがえのない農林水産業の保護に必ずつながることと信じ、県におかれては、本県の優位性を生かした愛媛ならではの取り組みによって、漁業の担い手の減少や高齢化に歯どめをかけ、しっかりと愛媛の基幹産業を守っていただきたいと願うのであります。  そこで、お伺いいたします。  本県における漁業の担い手の確保や育成にどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。  次に、媛スマの生産拡大に向けた取り組みについてお伺いいたします。  県と愛媛大学は、全身がトロのような味わいを持ち、天然では入手が困難な高級魚スマに目を向け、平成25年から連携して養殖技術の開発を進め、平成28年に世界で初めて商業ベースでの完全養殖に成功いたしました。私は、魚類養殖日本一を誇る本県において、産地間の競争が激化する中、スマが本県の魚類養殖を牽引する重要な魚種となることを大いに期待しておりますが、養殖の安定化には多くの課題を抱えていると聞いております。  これまで、愛媛県産養殖スマは、魚体重12.5キロ、脂質25%以上などの一定の基準を満たしたものが、トップブランドの伊予の媛貴海として販売されておりました。一方で、基準を満たさないものは単にスマとして取り扱われており、生産者や販売元などの関係者から、他産地との差別化を図り、高値販売につながる愛媛県産養殖スマを包括する新たなネーミングを考えたらどうかとの声が高まったことから、県では昨年11月、新たに媛スマという名称を決定されました。  また、計画的かつ安定的な生産体制の構築に向け、産学官が連携して、まさにオール愛媛での普及促進を図るため、県、愛南町、愛媛大学、愛南漁協、そして、生産者が構成員となって、媛スマ普及促進協議会を設立したところであります。  また、これまでスマは、県外の一部の高級店でしか購入できず、県内では、まさしく幻の魚となっておりましたが、量産体制が整ったこともあり、昨年11月末の初出荷を皮切りに、松山市内の大型スーパーや県内の小売店、飲食店でも媛スマを目にするようになり、より多くの県民の皆さんにも味わってもらえる次なるステージに歩みを進めたと実感しております。  しかしながら、媛スマは、愛南町など水温の高い海域でなければ、いまだ養殖が難しく、今後、さらなる生産拡大を図るためには、養殖技術の高度化はもちろん、養殖できる海域の拡大など、安定供給体制を整えることが必要不可欠であると考えております。  そこで、お伺いいたします。  媛スマの生産拡大に向け、今後、どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。  次は、県立高校の再編整備に向けた取り組みについてであります。  文部科学省が公表しております令和元年度の学校基本調査の結果によりますと、県内にある66の国公立及び私立の高等学校に在籍する生徒数は、平成25年度の約3万6,000人から令和元年度には約3万3,000人と、約3,000人減少いたしました。また、在籍者数から、今後5年間で中学校を卒業する生徒は約1,000人減少する見込みであり、高等学校の生徒数の減少傾向は、今後も続くものと予想されております。  こうした状況を踏まえ、県教育委員会では、学校の適正規模・適正配置を図るための県立高校の再編整備について、分校化や募集停止等に係る一定の基準を設定するとともに、これまで、基準の弾力的な運用に努めておられると承知しております。  また、再編整備基準に該当した高校では、地域住民や地元市町、PTAなどの関係団体が連携して、就学支援や学習サポート、生徒の全国募集、地元産品を活用した生徒による商品開発など、いろいろな取り組みが行われるとともに、市町によっては、生徒に対する給食提供の支援や交通費の補助、学生寮の整備など、高校の維持・存続に向け地域を挙げて取り組んでおりますが、残念ながら、今年度から旧伯方高校が今治西高校の分校となり、さらに来年度からは、小田高校と三瓶高校が分校化されることになっております。  しかしながら、先ほど述べましたとおり、急速に進む少子化によって、これまで以上に生徒数が減少する中で、このまま手をこまねいておりますと、さらなる分校化を余儀なくされるばかりでなく、一つの地域で複数の学校が同時に募集停止となる場合や、募集停止により生徒の通学環境が著しく悪化する場合などが現実的に発生するのではないかと大変危惧しております。  県立高校は、地域の将来を支える人材育成の中核となる重要な教育機関であり、地域活性化の拠点としての役割も大いに期待されており、長浜高校の水族館部や宇和島水産高校のフィッシュガールなどの活動、今治北高校大三島分校における地域を盛り上げる取り組みなど、高校生みずからが真摯に、そして主体的に地域活動に取り組んでいる姿は、その地域の住民の皆さんに勇気と活力を与えるものであります。  そこで、お伺いをいたします。  今後の県立高校の再編整備に当たっては、適正規模などの数の論理だけではなく、地域の核となる県立高校のあり方として、魅力づくりの視点も取り入れた取り組みを進めていく必要があると思っておりますが、県教育委員会では、今後、県立高校の再編整備にどう取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いしたいのであります。  最後に、実需の創出、本県経済の活性化に向けて、さまざまな活動を展開されているえひめ営業本部についてお伺いいたします。  2月初旬夕方、何げなくテレビをつけますと、空飛ぶ天辺(てっぺん)みかんと名づけられたミカンが、北海道で販売されるとのニュースが流れました。何事かと見ておりましたら、今回初めて北海道の量販店で愛媛県フェアが開催されるに当たって、通常であれば消費者に届くまでに1週間以上かかるところを航空会社等との連携によって、収穫した翌日に店頭で販売することで、愛媛県産柑橘に新鮮かつ完熟といった新たな価値を加え、その品質のよさを味わってもらい、他産地との差別化を図っていこうという内容でありました。  県では、新品種の開発や県産ブランドのPR、品質の維持技術の開発等さまざまな取り組みに御尽力をされておりますが、消費者が実際に手にとる百貨店やスーパーなどといった売り場では、他県産柑橘との激しい競争にさらされているのが現状であり、消費者に選んでもらうためには、品質や価格のほかに他産地との差別化が重要だと思うのであります。  今日まで営業本部においては、創設以来、常に新しい取り組みにチャレンジしながら、設定された目標を着実にクリアされていることに敬意を表しておりますが、営業本部自体がこれまでの行政にはなかった組織であることからしても、今回の空飛ぶ天辺(てっぺん)みかんのような柔軟でかつ斬新な発想がなくては、なかなか成果には結びつかないのが現実と思っております。  もちろん、全てのチャレンジがうまくいったわけではないと思いますが、今後、県関与の年間成約額150億円の安定的確保といった新たな段階に入ろうとされている今、その達成のためには、従来からの取り組みを改善しながらいかに継続していくかに加え、これまで以上に思い切った発想による取り組みが重要かつ不可欠だと考えております。  知事は、西日本豪雨災害からの創造的復興を県政の最重要課題に掲げておられます。創造とは、広辞苑では「新しいものを造りはじめること」とありますが、まさに、これまでにはなかったような、被災地に夢と希望を与える新しい取り組みを通して、被災地の復興を目指していただきたいと願うものであり、同様に営業本部においても、愛媛に営業本部ありと言われるように、これからも大変ではありましょうが、気概を持って愛媛のために果敢に取り組んでいただきたいと思っております。  そこで、お伺いいたします。  今回の空飛ぶ天辺(てっぺん)みかんのような斬新な発想による営業活動に、今後、どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。  以上で私の質問を終わります。  御清聴本当にありがとうございました。(拍手) ○(西田洋一議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(神野一仁副知事) 議長 ○(西田洋一議長) 神野副知事   〔神野一仁副知事登壇〕 ○(神野一仁副知事) 毛利議員の御質問にお答えをいたします。  まず、樹園地の再編復旧についてでございますが、豪雨災害から立ち上がり、再編復旧を目指す地域では、若い担い手の皆さんや関係機関が一丸となって、被災前よりも数段進化した魅力あふれる柑橘産地に生まれ変わることを目指して、集落の合意形成や計画策定などに日々奮闘されておりまして、再編復旧にかける被災農家の皆さんの夢の実現を後押しすることは、県が必ずやなし遂げねばならない責務であると認識をいたしております。  再編復旧に取り組む4地区のうち、最も早く進捗している宇和島市玉津地区においては、既に計画策定を完了し、来年度の国の事業採択を申請しておりまして、令和3年度に工事に着手し、最速で令和6年には、一部園地での営農再開を目標に事業の進捗を図っていくこととしております。  また、松山市由良地区と今治市上浦地区は、ともに令和3年度の国の事業採択を目指して、高品質果実の生産拡大や新規就農者の育成・定着など、各地区の将来構想を具体化した計画作成等を進めますとともに、宇和島市白井谷など立間地区についても、合意形成に向けた構想づくりを丁寧にサポートしていきたいと考えております。  樹園地の再編復旧は、豪雨災害で大きな痛手を受けた愛媛農業の復興の象徴とも言うべき重要な事業でありまして、園地復旧のみならず、紅プリンセスなど収益性の高い品種の導入や高品質、省力栽培を可能にする施設等の整備を並行して支援し、近い将来、復旧がなった園地において、生産者の皆さんが最高品質の果実を収穫する喜びを全ての関係者が笑顔で分かち合えるその日を目指して、県としても総力を挙げて事業を推進してまいりたいと考えております。  次に、媛スマの生産拡大についてでありますが、媛スマは低水温に弱く、生餌を必要とするなど、生産の安定化に向けて養殖技術はいまだ発展途上にはございますが、まずは、年間1万尾以上の出荷を目標に、昨年11月末の初出荷以降、主要な出荷先である関東、関西方面に加え、県内での取扱量が伸びたこともありまして、2月末までに約3,000尾を出荷するなど順調な滑り出しを見せております。  生産面では、優良種苗の供給体制の充実を図るため、平成30年度に県水産研究センターに種苗生産施設を新たに整備し、今年度は、計画を上回る過去最高の2万8,500尾の稚魚生産に成功したところでありまして、令和4年度までに年間8万尾まで増産する計画を進めているところであります。  今後は、稚魚の増産に見合う生産体制を構築するため、現在は水温の高い愛南町に限定されている養殖海域を宇和島市にまで拡大できるよう、愛媛大学と連携して低水温に強いスマの選抜や養殖試験を実施いたしますとともに、身質の安定やコスト削減のため、生餌に変わるスマ用配合飼料の開発にも本格着手するなど、媛スマの生産拡大を後押しする養殖技術の高度化に取り組んでおりまして、今後とも、媛スマが愛媛を代表するブランド魚へと成長し、もうかる漁業の一翼を担えるよう、関係者が一丸となって生産振興に取り組んでまいりたいと考えております。  その他の問題につきましては、関係理事者の方から答弁させることといたします。 ○(八十島一幸営業本部長) 議長 ○(西田洋一議長) 八十島営業本部長   〔八十島一幸営業本部長登壇〕 ○(八十島一幸営業本部長) 斬新な発想による営業活動の取り組みについてお答えをいたします。  スピード感と消費者ニーズを意識した営業活動を展開する中で、今回の空飛ぶ天辺(てっぺん)みかんは、生産、流通、小売、そして航空会社等関係者の力を結集し、木で完熟させた柑橘を収穫日翌日には店頭で販売するという本県初の試みでありまして、北海道の消費者に驚きを与えるとともに品質の高さを示すことで、柑橘王国愛媛を強力にアピールすることができたと認識しており、消費者及び関係者からも高い評価をいただき、さらなる展開を検討しているところでございます。  これまでも、既存県産品の販路開拓にとどまらず、大手回転寿司店で業界初の残渣ゼロを目指した循環フィッシュプロジェクトや鮮度を長持ちさせるチョコブリの開発等に取り組みますとともに、さくらひめのイメージと商品とを互いに共鳴させ、ともに価値を高めるさくらひめプロジェクトなど、地域ブランドの確立にも努めてきたところでございます。
     引き続き、豪雨災害からの創造的復興を営業面でもしっかりと後押しをするとともに、今後、一層の県産品の競争力が求められる中で、愛媛ならではの独創性と時代の一歩先を行く気概を持って、デジタルマーケティングの活用や本県が誇る技術研究力を生かした商品開発、事業者間連携にも積極的にかかわり、県内事業者、生産者の補助エンジンとして、営業活動のさらなる深化に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(田所竜二農林水産部長) 議長 ○(西田洋一議長) 田所農林水産部長   〔田所竜二農林水産部長登壇〕 ○(田所竜二農林水産部長) 初めに、緑の回廊構想と県の森づくりについてお答えいたします。  平成9年から林野庁が取り組む緑の回廊構想は、野生生物の生息地を広葉樹林帯で面的につなぎ、動物の移動を可能とすることで生物多様性を確保する構想でありまして、四国では、平成15年に石鎚山系と剣山系の国有林を中心に面積1万7,000ha、総延長137キロのエリアが四国山地緑の回廊として設定されておりますが、これについては、現在も野生生物の移動実態の把握やその効果を検証中であると伺っております。  一方、本県では、県土の7割を占める広大な森林について、なりわいとしての林業を振興してまいりました結果、杉やヒノキなどの人工林がその6割を占め、その半数以上が主伐期を迎えておりますが、今後は、収益力を重要な物差しとして、伐採後も森林資源の循環利用を目指す経営林と公益的機能の増進を図る環境林とに大別するなど、めり張りをきかせた人工林の適正管理に取り組むこととしているところでございます。  このうち、環境林の整備につきましては、新たな森林経営管理制度のもとで、伐採跡地にクヌギやカシなど動物の餌となる実をつける広葉樹や、モミジやケヤキなど肥沃な土壌をつくる落葉広葉樹を植栽し、天然林と遜色のない多様性に富んだ森林づくりを積極的に進めることとしており、野生生物との共生にも目配りしながら、恵み豊かなえひめの森林づくりを着実に推進してまいりたいと考えております。  次に、漁業の担い手確保についてお答えいたします。  漁業への新規就業は、漁労や養殖の技術習得に時間を要することに加え、その間の収入が不安定なことや、漁船、漁具等の取得に多額の資金が必要なことが障害となっており、漁業定着に向けた環境づくりが重要と考えております。  このため、県では、国や県漁連などと連携し、就業促進のための相談会やセミナーを開催するほか、平成29年度から本県独自の取り組みとして、UIJターンを含むおおむね45歳未満の若者を対象に、就業準備のための各種免許の取得支援や漁具などの初期投資経費を補助する定住・定着支援を行っており、これまでに30名の若い漁業者が誕生しているところでございます。  また、県水産研究センター等が有するスマやサケ類など新しい養殖魚種の生産や、みかんフィッシュなど養殖魚の高付加価値化、高品質ピース貝を使用した真珠品質の向上等に関する技術供与や普及指導、さらには青年漁業者グループが取り組むブランド化や販路開拓への支援などを通じ、もうかる漁業の実現を後押しするとともに、来年度から発足いたします愛媛県漁協が計画する担い手対策や技術指導体制の充実などの新たな強化策についても、その取り組みを全力で支援し、一人でも多くの意欲ある担い手が愛媛の海を舞台に明るい未来を描けるよう、サポートしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(武智俊和副教育長) 議長 ○(西田洋一議長) 武智副教育長   〔武智俊和副教育長登壇〕 ○(武智俊和副教育長) 県立高校の再編整備に向けた取り組みについてお答えいたします。  県教育委員会では、県立高校の適正な規模や配置を図るため、分校化や募集停止の区分ごとに必要入学生徒数を基準として設定し、これを下回った年度から3年間の猶予期間を設け、基準該当校の入学生増加を目指した地域連携による取り組みを支援し、多くの学校が基準をクリアしてきたところでございます。  しかしながら、昨年の伯方高校の分校化に続き、本年4月からは小田高校、三瓶高校が分校化されるなど、少子化の急速な進行に伴う生徒数の減少により、今後、複数の小規模校において分校化や募集停止が危惧され、再編論議は避けられない状況にあると認識しておりまして、魅力ある学校づくりと連動した長期的な戦略に基づく県立高校のあり方の議論を早急に開始する必要があり、来年度から、全県立高校等を対象に新たな学校振興計画の策定に取り組むこととしております。  計画の策定に当たりましては、県内8つの地区に地域協議会を設置し、地域住民や市長、町長等から要望や意見を丁寧に聴取した上で、学識経験者や産業界、学校関係者等で構成する計画検討委員会において、学校の適正規模や基準の柔軟な設定、特色ある学科の設置や改編、近隣校による統合やキャンパス制の導入、島嶼部などの小規模校の存続等の県立高校のあり方について協議し、令和5年度からのスタートを目指しておりますが、協議が整い次第、前倒しで実施するなど、スピード感を持って再編整備に取り組み、次代を担う高校生が誇りを持てる地域振興の核となる学校づくりを積極的に推進してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(西田洋一議長) 休憩いたします。  午後1時から再開いたします。      午前11時49分 休憩    ―――――――――――――――――      午後1時 再開 ○(西田洋一議長) 再開いたします。  質疑を続けます。 ○(森高康行議員) 議長 ○(西田洋一議長) 森高康行議員   〔森高康行議員登壇〕 ○(森高康行議員) (拍手)令和2年度当初予算案が上程され、本会議質問も最終日となり、一般質問のトリを務めさせていただきます自由民主党の森高康行です。  昨年4月の改選後、9期目の初の質問でもあり、激戦区であった地元課題も盛り込みながらの質問となりますが、理事者の皆様方には、明快な答弁を期待いたします。  質問の第1は、平成という時代についてであります。  昨年は、実に約200年ぶりとなる天皇陛下の御譲位があり、まさに歴史の節目の年でありました。平成の御代が平和に終わり、令和の新時代が静かに始まった年でもありました。私にとりましては、学生時代に取り組んだ元号法制化運動の時代と異なり、新元号である令和が、実に率直に各方面から受け入れられていることが新鮮でありました。このことは、上皇上皇后両陛下の30年にわたる平和の祈りと国民に寄り添うお姿がなさしめたものであり、御即位された天皇皇后両陛下の決意も深く、国民から歓迎されていることのあらわれであると思います。  さて、平成という時代を振り返ってみますと、私にとりましては、外すことができないテーマが災害であったと思います。  25年前の平成7年に発生した阪神・淡路大震災は、私にとって、大変衝撃的な出来事として胸に刻まれました。以来、県会議員としてのライフワークにもなりつつありますが、阪神・淡路大震災からの教訓を学ぶため、当時、兵庫県北淡町の消防団員であった米山さんを招き、地元消防団への研修を重ねるとともに、現地にも何度となく足を運ばせていただきました。平成17年に県議会議長に選出いただいた際には、防災議長と呼ばれたいと訴えて、当時新設された危機管理室と熱心に議論を交えたことを覚えております。  その後、平成23年には東日本大震災が、平成28年には熊本地震が発生しましたが、いずれも積極的に現地を訪問させていただきました。特に、東日本大震災においては、発災直後の5月に自民党県会議員の有志5名で現地を訪問して以来、公私合わせて16回の現地入りを重ね、私なりに被災地の皆さんの声や課題などを受けとめさせていただきました。そうした経験から、ことしで9回目を数えますが、毎年、地元の皆さんを対象とする防災セミナーを開催してまいりましたが、ことしはコロナ対策での延期をしておりますけれども、一昨年の西日本豪雨災害や発生が予想される南海トラフ地震など、大規模災害に備えるための地道な活動を続けてまいった次第です。  私にとって平成という時代は、災害に向き合い、地元を中心に災害への備えを訴えてきた時代だったと思うのであります。  明治は遠くなりにけり、大正はロマンに満ち、昭和は激動であったとも言われておりますけれども、知事は、平成の時代を振り返り、どう総括されるのか。また、令和の時代をどう展望されるのか。率直な見解をお聞かせ願いたいのであります。  質問の第2は、防災・減災対策における自衛隊との連携強化についてであります。  去る2月3日から5日まで、県議会防衛議員連盟の一員として、九州各地の自衛隊駐屯地をめぐりました。それに先立つ1月25日に、四国県議会防衛議員連盟の集いに参加して、元陸上幕僚長による大変興味深い講演を拝聴した上での現地訪問でありましたが、日ごろ、テレビや新聞等から知り得る情報とは異なり、我が国を取り巻く状況は変化し、想像以上に各国との緊張が高まっていることを知りました。そして、その中で自衛官の方々が大変な覚悟のもと、最前線で頑張っていてくれておるということを、改めて認識することができたのであります。参加された議員各位も同様の感想を持たれたであろうと思います。  こうした対外的緊張の中にありながらも、残念ながら国内では、相次ぐ豪雨や地震など、大規模災害による自衛隊の対応も毎年のこととなり、コロナ対応もそうでありますが、今や自衛隊は、防災・減災対策になくてはならない存在になっていると思います。  一昨年の西日本豪雨災害においては、人命救助はもとより、給水や入浴支援、防疫活動など、自衛隊には多岐にわたる方面から多大な御尽力をいただきました。防衛議連の視察では、西日本豪雨災害の際に、西予市野村町に派遣いただいた部隊に対し、厚くお礼を伝えさせていただきました。  近年、激甚化する災害が全国各地で頻発している中で、またいつ西日本豪雨災害のようなものが本県を襲うとも限りませんし、南海トラフ地震においては、西日本豪雨を超える甚大な被害が予想されています。県民の生命、財産を守る観点から、特に、初動対応における自衛隊の活動は必要不可欠であり、その重要性は一層高まっていると考えるのであります。  そこで、お伺いいたします。  大規模災害の発生に備え、自衛隊との連携をどのように強化していくのか、明らかにされたいのであります。  次からは、海外との経済交流にかかわる質問をさせていただきます。  質問の第3は、海外地方政府との提携による経済交流の促進についてであります。  潜在成長率の高い東南アジアへの日本企業の進出が加速する中、いよぎん地域経済研究センターが実施している県内企業の海外進出状況調査においても、製造拠点を中国から東南アジアへシフトさせている動きが続くとともに、販売拠点も、東南アジアを中心に増加しているとのことであり、県内企業にとって、東南アジアは最も魅力ある進出先となっております。  一方で、本年1月の日本経済新聞に、シンガポールのシンクタンクが行った、東南アジアの官民を対象とした意識調査で、同地域で経済的影響力を持つ国は中国であるとの回答が79.2%と最も多かったのに対し、日本はわずか3.9%であったとの報道がありました。また、現地に進出した県内企業からは、政府の強力な支援を受けて海外進出を進める中国や韓国の企業のアグレッシブさやしたたかさに、日本企業は完全に押されているといった声も耳にし、日本企業が東南アジアのビジネスで勝ち抜くためには、企業努力に加えて、国や自治体が相手国との緊密な関係を築き、現地での日本の存在感を高めていくことが重要であると思うのであります。  こうした中、県では、平成24年度から東南アジア、東アジアにおける県内経済団体の経済交流ミッションにあわせて、中村知事が先頭に立って、トップセールスやビジネス商談会を実施するなど、主に県内ものづくり企業の海外進出を後押ししてこられました。その結果、成約に至るまでに多くの時間と労力を要するものづくり分野において、さらには海外市場ならではのさまざまなハードルがある中にあって、県が関与した海外成約額は、累計で55億円を超えるなど、着実に成果を積み上げられています。  さらに近年は、東南アジア等における地方政府との提携を強化されており、昨年1月には、インドネシアの南スラウェシ州と人材の受け入れや水産加工など、幅広い分野で関係強化を図る趣意確認書を締結されたほか、昨年5月には、経済交流協定を締結して、それぞれ二十数年を迎える中国大連市及び遼寧省との間で、介護人材の交流育成の強化を含む友好交流関係の協定への格上げを行われました。また、本年1月には、カンボジアにおいて、県人の高山良二氏が、長年にわたり地雷除去などの活動を続けてきたバッタンバン州を訪問し、現地政府と友好交流・協力活動の構築に関する覚書を締結されたところであります。  急速なグローバル化により、県内中小企業においても、外国企業との競争が避けられない状況にある中、企業の海外展開や外国人材の確保を後押しするため、知事みずからが現地を訪問され、県と各国の地方政府がしっかり結びついた上で、県内企業の事業展開を支援していく取り組みは、企業の不安や障壁を解消する有効な手段として考えられ、大いに期待を寄せているところであります。  そこで、お伺いいたします。  県は、東南アジア等の地方政府との提携による経済交流の促進に今後、どのように取り組んでいくのか、明らかにされたいのであります。  質問の第4は、えひめ海外協力大使を委嘱している、青年海外協力隊員の活用についてであります。  先ほどの質問にも関係してきますが、東南アジアを中心とした海外地方政府との経済交流により、外国人材の受け入れを進められていることは、本県企業に必要な人材の確保や交流の面から大変重要であると考えております。その成果もあってか、本県で働く外国人は、確実に増加しており、本年1月に愛媛労働局が発表した愛媛県の外国人雇用状況の届出状況によると、令和元年10月末時点の本県における外国人労働者数は、前年同月比で1,408人増の9,784人となるとともに、外国人を雇用している事業者数も162カ所増の1,677カ所となっています。また、国別に見ても、最も多いベトナムを初め、中国やインドネシアのほか、数多くの国から受け入れを行っている状況にあります。  さて、本県では、毎年約10名程度、世界各国に青年海外協力隊員を派遣しているところでありますが、派遣された協力隊員は、現地の言葉のみならず、文化や習慣等に対して理解を深めており、その国との交流を進めていく上で有益な知識や経験を得て帰県されています。私自身、長年この青年海外協力隊にかかわってきた経験から、大変優秀な人材が多いことを実感している次第であります。こうした人材の活用に当たり、海外の地方政府との交流などを通じて、増加している外国人労働者を初めとした、本県在住の外国人のサポート役として活用することが効果的ではないかと考えるのであります。  帰県した青年海外協力隊員を活用できるような体制を整えることで、本県在住の外国人にとっては、自国のことを理解している人に相談等ができる安心材料にもなりますし、雇用している企業にとっても、そのサポートにより、働きやすい環境づくりができるなどといったメリットがあり、その効果は大きいと思うのであります。  そこで、お伺いいたします。  外国人労働者等へのサポートを含め、帰県した青年海外協力隊員の活用について、県としてどのように考えておられるのか、明らかにされたいのであります。  さて、ここからは、地元問題を中心に質問させていただきます。  質問の第5は、三島川之江港におけるガントリークレーンの整備についてであります。  昨年、東予東部圏域の3市を中心に、219日間にわたって開催されたえひめさんさん物語は、11月24日、盛況のうちに閉会しました。地元の四国中央市では、製紙工場の煙突を使った工場のおしばいや紙の衣装をまとった舞台紙のサーカスなど、紙のまちならではのイベントが展開され、地元住民の方々も、改めてその魅力を再発見できたのではないかと思います。  この紙のまち四国中央市の北東部に位置する重要港湾三島川之江港は、県内で最も深い水深15mの岸壁を有しており、四国の大動脈であるエックスハイウェイの結節点に位置する地理的優位性を生かし、製紙関連産業の発展や、本県の経済を支える重要な物流拠点としての役割を担っています。近年、製紙関連企業の活発な経済活動により、原材料や紙製品の出荷数量が順調に伸びたことから、三島川之江港の平成30年のコンテナ取扱貨物量は11万個を超えるなど、13年連続で四国1位を維持し、一昨年の大手製紙会社の新工場完成などもあり、貨物量は今後、ますます増加すると見込まれております。  このような中、県におかれましては、金子地区国際物流ターミナルを整備し、コンテナと一般貨物の混在や、背後の荷さばき地不足の解消に取り組まれておりますが、ターミナル内には、平成24年10月に設置されたハーバークレーン1基しかなく、荷役機械の能力不足のため、貨物の積み残しやコンテナ船の沖待ちが発生している状況であります。  このため県では、昨年度の9月補正予算により、新たなガントリークレーン導入のための基本設計を官民連携で実施し、今年度からは国の補助事業を活用して整備を進め、来年度には整備が完了するものと認識しております。  そこで、お伺いいたします。  三島川之江港金子地区国際物流ターミナルのガントリークレーンの整備の進捗状況と整備による効果はどうか、明らかにされたいのであります。  質問の第6は、新居浜特別支援学校の分校開設についてであります。  近年、子供を取り巻く社会、教育環境は大きく変化しており、少子化の影響で義務教育段階での児童生徒数が減少する中、障がいのある子供たちについては、より専門的な教育を受けたいと望む声も多くなり、全国的に特別支援学校で学ぶ児童生徒は増加傾向にあります。  本県においてもその傾向は同様で、県内の特別支援学校の在籍者数は現在約1,500人と、この10年間で1.4倍に増加しており、その中でも特に、知的障がい者を対象とした特別支援学校における児童生徒数の増加が著しく、教室不足が年々深刻化している状況であります。  このため、県教育委員会におかれては、地域の実情等を踏まえ、平成23年度に新居浜特別支援学校を、平成24年度にはみなら特別支援学校松山城北分校を開設するとともに、今年度にはみなら特別支援学校に新校舎を建築するなど、教室不足の解消に精力的に取り組んでこられましたが、新居浜特別支援学校においては、想定を超える児童生徒数の増加により、教室数を確保するにも苦慮されていると伺っております。  こうした中、県と四国中央市では、平成30年5月の新居浜特別支援学校分校開設に係る基本協定に基づき、教室不足の解消や長時間通学の負担軽減を図るため、市立三島小学校の分校開設に向け、現在、三島小学校の児童が使用する北校舎と、主に分校の生徒が使用する東校舎の改修工事を進めておられます。地域の子供は地域で育てるという地元の思いや、住みなれた地元で教育を受けたいと願う子供たちや保護者の期待に応えるためにも、着実な教育環境の整備が望まれるところであります。  また、特別支援教育は、障がいのある子供たちへの教育にとどまらず、障がいの有無や特性の違いに関係なく、人々の多様なあり方を相互に認め合える社会を目指す重要な教育であります。平成27年度に新居浜西高等学校の敷地内に開設した新居浜特別支援学校川西分校では、両校の自然な形での交流が深まっていると聞いておりますが、今回開設する分校についても、両校の子供たちが自然に触れ合える環境をつくっていくことができるのではないかと期待が膨らむのであります。  そこで、お伺いします。  新居浜特別支援学校分校の開設に向けた進捗状況と、分校開設後に期待される教育効果はどうか、明らかにされたいのであります。  質問の第7は、県立土居高等学校についてであります。  私自身の母校であり、創立100周年の節目以来、同窓会長を務めさせていただいている県立土居高等学校は、令和3年度に創立120周年を迎える、県下で8番目に古い歴史と伝統ある、地元になくてはならない高等学校であります。  一昨年の平成30年8月には、神戸市で開催された第10回全国高等学校観光選手権大会、通称観光甲子園の訪日部門で、同校の情報科学部の生徒が提案したツアープランが、グランプリの観光庁長官賞に輝き、優勝旗が初めて四国に渡ることができました。この大会は、全国の高校生が観光ツアープランを競い合うもので、全国87校、227チームの応募の中からグランプリに選ばれるという快挙でございました。  受賞したツアープランは、「BONSAIの聖地へ タイムスリップ」と題したもので、地元特産品の赤石五葉松盆栽の実技体験を中心に、紙のまちの伝統工芸品である伊予の水引や書道、水石の関川石、新宮茶など、関連する地域文化体験も組み込んだ6泊7日の体験ツアーを提案したものでした。また、地元の赤石五葉松盆栽組合の協力を得るだけにとどまらず、他県の盆栽産地の生産者や関係機関からの協力も得て、広域的なツアープランとするアイデアも、評価された大きなポイントであったと思われます。この受賞を機に、昨年には日本初となる高校生主導の企画による広域連携型インバウンド盆栽ツアーの商品化を実現し、多くの報道機関から取り上げられたところであります。  さらに、この取り組みが評価され、日本政策金融公庫主催の第7回高校生ビジネスプラン・グランプリにおいて、3年連続3度目の全国入選を果たすとともに、大分大学などが主催する高校生なるほどアイデアコンテスト2019においても、2年ぶり2度目の全国入賞を果たすなど、その活躍を誇らしく思っております。  少子高齢化が進行し、地域の停滞が懸念される中、このような取り組みは、若い世代の地元への愛着の醸成や定着を促進させ、地域活性化にもつながるものとして大変重要であると考えるのであります。  そこで、お伺いいたします。  県教育委員会においては、県立土居高等学校をどのように評価し、今後、どのように発展させていかれるのか、明らかにされたいのであります。  質問の最後は、赤石五葉松盆栽の振興についてであります。  かつて、私の祖父、故森高七助県議は、昭和46年9月28日、第144回県議会定例会において一般質問に立ち、主として日常生活の中で見聞している地域の問題を中心にお尋ねしたいと述べ、稲作転換対策や林業不振対策として、赤石五葉松の振興対策について質問をいたしました。当時の質問を抜粋しますと、農民はでき得る限り、土地の力を利用して生活する。言いかえれば、生活でき得るよう、収入が土地から生まれるように指導するのが本当の農政でなければならない。そこで、私は、本県の特産品である赤石五葉松の特徴を知っていただき、関係者に実態を把握していただくことで協力をお願いしたい。全国のこの道の業者や愛好者が日本一と折り紙をつけた赤石五葉松は、石鎚山系から東、法皇山脈赤石山の標高1,700mに自生し、親木が県の天然記念物に指定されている。盆栽用語ではあるが、赤石五葉松は、非常に荒皮性に富み、芽吹きがよく、葉の緑が濃く、葉裏の銀線が鮮やかで霜が深いという特徴があり、他県が追従できない本県の特産物であることから、本県の花卉振興の素材として取り上げる考えはないかと質問いたしました。この質問に対し、当時の白石春樹知事は、私は大賛成です。今後、これを伸ばすためには、生産組織の強化が必要で、技術の改善と普及並びに販路の開拓に十分に力を入れ、振興に尽くしたいと力強く答弁されているのであります。  自来48年経過し、時代も移り変わり、グローバル化の進展により、訪日外国人客も右肩上がりに増加している中、EUを中心に、盆栽の海外での市場ニーズが高まってきております。9月補正予算に続いて、来年度当初予算案にも、赤石五葉松盆栽に係る経費が計上されておりますことは、大変心強く思いますが、国内市場における動きが鈍い中、海外ニーズを確実に取り込むことが産地の維持、発展のためには重要であり、さきの土居高等学校の取り組みなどとともに連携しながら、他県には追随できない赤石五葉松盆栽のブランド化や販路拡大に取り組んでいただきたいと望む次第であります。  そして、孫である私が、この問題で質問に立つことの喜びを実感しつつお伺いいたします。  赤石五葉松盆栽の海外販路拡大に向けた取り組み状況はどうか。また、今後、どのように取り組んでいかれるのか、明らかにされたいのであります。  以上で質問は終わりますが、コロナウイルスとの戦争と評する専門家の論評もありましたが、議会としても、そのことを最優先して、理事者に対して議会運営に協力をしております。  県民生活に対する悪影響は、はかり知れず拡大していることを憂慮せざるを得ません。経済への悪影響も底なし感を禁じ得ません。トイレットペーパーの争奪に見られる風評被害もあり、正しく恐れる対処は、お互いに求められているところと思います。関係各位とともに、一日も早い終息を願い、考え得る役割をともに果たしてまいりましょう。そして、花見の季節にはにぎやかに楽しみたいものです。  御清聴ありがとうございました。(拍手) ○(西田洋一議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(神野一仁副知事) 議長 ○(西田洋一議長) 神野副知事   〔神野一仁副知事登壇〕 ○(神野一仁副知事) 森高議員の御質問にお答えをいたします。
     まず、平成の総括と令和の展望についてのお尋ねでございました。  平成の約30年間、我が国は戦争の災禍こそ免れたものの、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、多くの大規模災害に見舞われるとともに、経済の長期低迷や人口減少の急速な進行、さらには社会保障経費の増加に伴う財政状況の悪化など、さまざまな困難に直面した時代であったと認識をいたしております。  この間、本県では、芸予地震や相次ぐ台風被害への対応を初め、地方の生き残りをかけた大規模な市町村合併や財政構造改革など、身を切る改革に取り組みますとともに、特に、中村知事就任後の県政運営におきましては、本県の自立的発展に向けて、さまざまな地域課題に、県みずからが責任と覚悟を持って取り組むという姿勢を強く打ち出し、防災・減災対策、人口減少対策、地域経済の活性化を県政の3本柱に位置づけまして、何よりも成果を重視しながら、地域資源等を生かした独自性のある施策を積極的に展開してまいりました。  令和の時代には、最優先の課題である西日本豪雨災害からの創造的復興はもとより、南海トラフ地震への備えや東京オリンピックパラリンピック大会後を見据えた経済対策、また、急速に進化するデジタル技術への対応など、待ったなしの課題にも向き合う必要があり、今後とも、県民の幸せと地域の発展を第一に考えながら、オール愛媛の体制でこれらの諸課題を克服していくことで、県民の皆さんが誇りと希望を持てる、ふるさと愛媛の実現に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、海外との経済交流について、東南アジア等の地方政府との提携に関する御質問がございました。  県内企業による東南アジア等への海外展開には、現地の行政手続の不透明さなどのリスクが依然として大きいことから、経済団体の海外ミッションに知事が同行して、政府機関へのトップセールスや現地企業との商談会等を実施してまいりましたが、昨年度からは、本県と縁の深い地方政府との協定を締結し、互恵的な友好関係を築いた上で、県内企業の販路開拓や人材確保等を後押しする取り組みを強化しているところであります。  議員のお話にもございましたが、昨年1月に趣意確認書を締結したインドネシア・南スラウェシ州との間では、県内企業が、現地で水産養殖・加工事業を行うため、現地責任者の養成を目的に同州の高度人材を雇用して、水産現場で研修を実施しておりますほか、食品加工を含むものづくりや建設分野などの技能実習生受け入れの仕組みづくりを協議しているところであります。  また、中国大連市及び遼寧省とは、介護人材の県内養成施設への受け入れ拡大などを進めておりますほか、去る1月に覚書を締結したカンボジア・バッタンバン州とも、現地農産物を活用した食品加工の分野を柱に連携を進めることといたしております。  引き続き、各地方政府との協定締結が、県内企業によるビジネス創出から技能人材の受け入れまでを広く支援し、互いに経済的メリットを享受できるローカル・ツー・ローカルの戦略的な事業展開につながるよう、取り組んでまいりたいと考えております。  その他の問題につきましては、関係理事者の方から答弁させることといたします。 ○(福井琴樹防災安全統括部長) 議長 ○(西田洋一議長) 福井防災安全統括部長   〔福井琴樹防災安全統括部長登壇〕 ○(福井琴樹防災安全統括部長) 大規模災害に備えた自衛隊との連携強化についてお答えをいたします。  県では、大規模災害時の人命救助や入浴支援など、初動対応において中心的な役割を果たす自衛隊との連携が極めて重要であると認識し、総合防災訓練や原子力防災訓練等を通じて、平素から顔の見える関係構築に努めております。  一昨年の西日本豪雨では、発生直後から松山駐屯地を初め、全国各地から延べ2万人を超える隊員の方々が派遣され、多様な業務に従事いただき、改めて自衛隊の役割の大きさを痛感したところでございます。  このため、今後とも総合防災訓練等において、近年の大規模災害から得られた教訓を取り入れて、初動体制の構築を中心とした実践訓練を積み重ねますとともに、県内の約半数の市町で実施されている自衛隊と連携した防災訓練を他の市町にも実施するよう呼びかけますほか、防災関係機関が参加する会議や研修を通じて、自衛隊の役割等について理解促進を図るなど、オール愛媛で自衛隊とのさらなる連携強化に努めていくこととしております。  さらに、近い将来、南海トラフ地震の発生が危惧されます本県にとって、喫緊の課題であります松山駐屯地の拡張につきましても、防衛省への要望活動により、国の来年度予算案に用地取得費等が計上されましたことから、地元自治体と連携し、災害発生時の迅速な部隊展開のための東温スマートインターチェンジ方面へのアクセス道路整備も含めて早期実現を目指すなど、自衛隊との連携協力のもと、本県の防災・減災対策の充実強化に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(田中英樹経済労働部長) 議長 ○(西田洋一議長) 田中経済労働部長   〔田中英樹経済労働部長登壇〕 ○(田中英樹経済労働部長) 海外との経済交流に関する御質問のうち、帰県した青年海外協力隊員の活用についてお答えします。  本県からの青年海外協力隊員は、これまで四国4県で最多の651名が80カ国に派遣され、派遣国の環境や教育、スポーツなど、さまざまな分野で国づくりや人づくりに貢献いただいており、県では、隊員の出発、帰国時に激励、慰労するとともに、派遣国と本県との友好親善のかけ橋としてえひめ海外協力大使に委嘱しているところでございます。  帰国後は、隊員の大多数の方が、派遣前に在職した企業、団体に復職されたり、グローバルな視野を持った人材として、新たな企業等の社員として採用されておられますが、本県でも、さまざまな国から外国人労働者等の受け入れが拡大しておりますことから、帰国隊員が、堪能な語学力やコミュニケーションスキル等を活用し、外国人材の受け入れ・共生分野で活躍したいと希望される場合は、県としても、関連する県内企業・団体等への仲介など、その活動を積極的に支援したいと考えているところであります。  今後とも、JICAや県青年海外協力隊を育てる会、県青年海外協力協会、県国際交流協会等とも連携し、帰国隊員の意向も踏まえながら、その貴重な海外経験が最大限生かせるよう取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(田所竜二農林水産部長) 議長 ○(西田洋一議長) 田所農林水産部長   〔田所竜二農林水産部長登壇〕 ○(田所竜二農林水産部長) 赤石五葉松盆栽についてお答えをいたします。  日本三大五葉松に挙げられる赤石五葉松は、そのしなやかな枝ぶりや気品あるたたずまいから盆栽の女王とも呼ばれ、愛好者も多いですが、近年の住環境の変化や嗜好の多様化などにより、国内需要は低迷し、生産者の高齢化も進む中、本県が誇る貴重な地域資源として守り育てていくためには、新たな販路開拓によります需要の拡大と収益力の向上を図り、産地の活性化につなげていくことが必要と考えております。  このため県では、EUで広がる盆栽人気に着目し、海外輸出にチャレンジする生産者を後押しするため、活動母体となる赤石五葉松輸出振興組合の設立を初め、生産者向け研修会の実施、市場ニーズの現地調査、植物検疫のための土壌研究など、生産から販売に至る一連の取り組みを支援するほか、昨年10月のローマ教皇への謁見と盆栽贈呈や、現地インポーター向けの営業活動をサポートするなど、支援の幅を広げているところでございます。  来年度は、EUで開催される造園事業者向けの展示会に出展し、新たな販路の開拓に取り組みますとともに、現地でのアンテナショップの開設や、土居高校の活動内容も含めました産地紹介ホームページの作成など、多彩な事業展開を支援することで、赤石五葉松盆栽の輸出拡大を促進し、次世代にわたり継承される産地づくりを目指してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(杉本寧土木部長) 議長 ○(西田洋一議長) 杉本土木部長   〔杉本寧土木部長登壇〕 ○(杉本寧土木部長) 三島川之江港のガントリークレーンの整備に関する御質問にお答えをいたします。  三島川之江港のコンテナ取扱量は、活発な企業活動により、この10年で約2倍と大幅に増加し、慢性的な貨物の滞留が生じており、荷役効率の向上が急務でありますことから、県では、四国中央市や地元経済界からのガントリークレーン早期整備要望も踏まえまして、今年度、国の補助事業採択を受け、整備を進めているところでございます。  昨年10月には、製作据えつけ工事の契約を締結し、現在は詳細設計を終え、2月から、工場でクレーンのアームなど、主要部材の製作を進めており、来年度は、工場で本体の組み立てを完了させ、海上輸送の後、現地で据えつけを行い、令和2年度内の完成を目指しているところでございます。  ガントリークレーンの整備により、コンテナの荷役時間の短縮による物流の効率化、船舶の大型化による輸送コストや環境負荷の低減などの効果が見込まれるほか、企業の海外へのさらなる販路拡大による増産にも対応可能となるなど、その効果を最大限発揮し、地元製紙関連産業の競争力向上を後押しできるよう、引き続き、一日も早い完成に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(武智俊和副教育長) 議長 ○(西田洋一議長) 武智副教育長   〔武智俊和副教育長登壇〕 ○(武智俊和副教育長) まず、新居浜特別支援学校分校の開設に向けた進捗状況等についてお答えいたします。  四国中央市立三島小学校の東校舎に開設予定の新居浜特別支援学校の分校につきましては、知的障がいのある子供を対象とした小中学部を設置することとし、令和3年4月の開設を目指して、四国中央市では、昨年10月に工事に着手し、同校舎の1階から3階部分に普通教室17室や作業室、図書室、パソコン室等を整備するための改修を行っておりまして、この改修工事費の2分の1を県費負担することとして、今議会に予算計上しているところでございます。  また、児童生徒や保護者の通学負担を解消するためのスクールバス2台を配備するとともに、開設後の教育活動等に必要な備品等を整備することとしておりますほか、四国中央市在住の保護者や福祉関係者、特別支援学級担任等を対象とした説明会を実施し、施設設備や教育の内容、今後のスケジュール等についての情報提供を行うなど、児童生徒の受け入れに向けて、きめ細かく対応しているところでございます。  市町立小中学校を活用した県立特別支援学校の分校設置は、中四国では初めてであり、障がいのある子供とない子供がともに学ぶ共生社会の形成に向けたモデルとして、分校開設後は両校の児童生徒の日常的、継続的なかかわりの中から相互理解が深まり、豊かな人間性や多様性を尊重する心の育成など、大きな教育効果が期待されますことから、両校の緊密な連携・協力による教育活動の充実を図ってまいりたいと考えております。  次に、県立土居高校の評価等に関する御質問にお答えいたします。  土居高校につきましては、地域の活性化に資する多彩な活動の成果が各種コンテスト等での受賞につながるほか、昨年4月に就職した生徒のうち、8割を超える生徒が四国中央市内に就職するなど、将来、地域を支える人材が確実に地元に定着しており、県教育委員会としても高く評価しているところでございます。  同校では、教育課程に4種類のコースを設けて、生徒の多様な関心や進路希望に対応しており、特に、今年度開設した紙のまちづくりコースでは、日本一の紙のまち四国中央市を支える人材の育成を目指して、行政、研究機関と連携した体験学習や、企業と協働した水引細工の商品開発等の活動をさらに拡充し、製紙、紙加工から流通に至るまでの流れを深く学ぶこととしております。  また、学校の農場を活用した幼児との交流体験、地元企業等と連携したインターンシップ、老人保健施設への訪問など、地元のよさを学べる教育に力を注いでおり、同校の教育活動の成果を大いに期待しているところでございます。  県教育委員会といたしましては、少子化の進行を踏まえ、地域活性化の一翼を担う高校のあり方を議論していく中で、地域と密着した魅力ある学校づくりのモデルの一つとして、同校の取り組みを積極的に後押ししていきたいと考えております。  以上でございます。    ――――――――――――――――― ○(西田洋一議長) 以上で質疑を終局し、全議案をお手元に配付の委員会付託議案一覧表のとおり、また、請願につきましては、文書表のとおり、各委員会に付託いたします。  各委員会は、10日及び11日の2日間に付託議案及び請願について審査の上、18日の本会議で各委員長からその経過と結果を報告願うことにいたします。    ――――――――――――――――― ○(西田洋一議長) お諮りいたします。  この際、日程を変更追加して、選挙管理委員及び補充員の選挙を行うことに異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○(西田洋一議長) 異議ないものと認め、そのとおり決定いたします。  お諮りいたします。  選挙の方法はいずれも指名推選とし、議長から指名することに異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○(西田洋一議長) 異議ないものと認め、そのとおり決定いたします。  まず、選挙管理委員の選挙を行います。  選挙管理委員に土居英雄さん、大塚岩男さん、越智やよいさん、村上亮二さん、以上の方々を指名いたします。  お諮りいたします。  ただいま指名いたしましたとおり、それぞれ当選人と決定することに異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○(西田洋一議長) 異議ないものと認め、そのとおり決定いたします。  次に、補充員の選挙を行います。  補充員に武田秀治さん、高橋祐二さん、田中和彦さん、竹本道代さん、以上の方々を指名いたします。  お諮りいたします。  ただいま指名いたしましたとおり、それぞれ当選人と決定し、補充員の補欠の順序は指名の順序のとおりとすることに異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○(西田洋一議長) 異議ないものと認め、そのとおり決定いたします。    ――――――――――――――――― ○(西田洋一議長) 以上で本日の日程を終了いたしました。  明7日、8日、14日及び15日は休日のため、9日、12日、13日、16日及び17日は議案調査のため休会いたします。  10日及び11日は委員会が開かれますので、本会議はありません。  18日は、本会議を開きます。  日程は、全議案及び請願の審議であります。  本日は、これをもって散会いたします。      午後1時52分 散会...