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令和 2年第367回定例会(第4号 3月 3日)

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  1. 愛媛県議会 2020-03-03
    令和 2年第367回定例会(第4号 3月 3日)


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    令和 2年第367回定例会(第4号 3月 3日) 第367回愛媛県議会定例会会議録  第4号 令和2年3月3日(火曜日)   〇出席議員 47名   1番  中 野 泰 誠   2番  西 岡   新   3番  山  洋 靖   4番  菅   森 実   5番  浅 湫 和 子   6番  石 井 智 恵   7番  中 田 晃太郎   8番  大 政 博 文   9番  新 田 泰 史   10番  黒 川 理惠子   11番  欠     番   12番  欠     番   13番  武 井 多佳子   14番  田 中 克 彦   15番  西 原   司   16番  塩 出   崇
      17番  高 橋 英 行   18番  松 下 行 吉   19番  川 本 健 太   20番  帽 子 大 輔   21番  大 石   豪   22番  宇 高 英 治   23番  欠     番   24番  欠     番   25番  菊 池 伸 英   26番  古 川 拓 哉   27番  兵 頭   竜   28番  大 西   誠   29番  松 尾 和 久   30番  福 羅 浩 一   31番  三 宅 浩 正   32番  西 田 洋 一   33番  欠     番   34番  欠     番   35番  木 村   誉   36番  笹 岡 博 之   37番  鈴 木 俊 広   38番  石 川   稔   39番  梶 谷 大 治   40番  徳 永 繁 樹   41番  高 山 康 人   42番  渡 部   浩   43番  戒  潤之介   44番  欠     番   45番  欠     番   46番  越 智   忍   47番  横 田 弘 之   48番  毛 利 修 三   49番  赤 松 泰 伸   50番  本 宮   勇   51番  西 原 進 平   52番  中 畑 保 一   53番  明 比 昭 治   54番  岡 田 志 朗   55番  森 高 康 行   ―――――――――― 〇欠席議員 なし   ―――――――――― 〇欠  員 なし   ―――――――――― 〇出席理事者  知事          中 村 時 広  副知事         神 野 一 仁  副知事         八 矢   拓  公営企業管理者     兵 頭 昭 洋  総務部長        高 橋 正 浩  企画振興部長      金 子 浩 一  スポーツ・文化部長   高 石   淳  防災安全統括部長    福 井 琴 樹  県民環境部長      岸 本 憲 彦  保健福祉部長      山 口 真 司  営業本部長       八十島 一 幸  経済労働部長      田 中 英 樹  農林水産部長      田 所 竜 二  土木部長        杉 本   寧  会計管理者出納局長   菅   豊 正  教育長         三 好 伊佐夫  副教育長        武 智 俊 和  人事委員会委員     山 本 惠 三  公安委員会委員     渡 部 智磨子  警察本部長       篠 原 英 樹  監査委員        永 井 一 平  監査事務局長      山 本 亜紀子   ―――――――――― 〇出席事務局職員  事務局長        東 野 政 隆  事務局次長       八 塚   洋  参事総務課長      松 本 賢 固  参事議事調査課長    西 田 洋 一  政務調査室長      入 舩   理  議事調査課主幹     二 神 裕 志   ―――――――――― 〇本日の会議に付した事件  定第1号議案ないし定第19号議案、定第23号議案ないし定第64号議案      午前10時 開議 ○(西田洋一議長) ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の会議録署名者高山康人議員赤松泰伸議員を指名いたします。    ――――――――――――――――― ○(西田洋一議長) この際、報告いたします。  横田弘之議員から、3月2日の質問中、一部不適切な語句があったとの申し出がありましたので、議長において善処いたしたいと思いますから、御了承願います。    ――――――――――――――――― ○(西田洋一議長) これから、定第1号議案令和2年度愛媛県一般会計予算ないし定第19号議案及び定第23号議案ないし定第64号議案を一括議題とし、質疑を行います。 ○(本宮勇議員) 議長 ○(西田洋一議長) 本宮勇議員   〔本宮勇議員登壇〕 ○(本宮勇議員) (拍手)皆さん、おはようございます。  志士の会の本宮勇です。  一般質問トップバッターで質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。  まず最初に、サイクリングしまなみ2020についてお伺いをいたします。  ことし10月に、4回目となります、しまなみ海道を舞台とした国際サイクリング大会が開催される予定となっております。今大会の参加定員は、前回大会の半数である3,500人と、中規模大会との位置づけになると思われますけれども、私は、これから述べさせていただきます2つの点から、これまで以上に注目を集める大会になるのではないかと期待をいたしております。  1つ目は、しまなみ海道ナショナルサイクルルートに指定されたことであります。ナショナルサイクルルートは、御案内のとおり、自転車を通じてすぐれた観光資源を有機的に連携させたサイクルツーリズムの推進を図るため、ソフト・ハード両面で高い水準を満たすルートを国が指定する制度であり、昨年11月の指定により、しまなみ海道は、名実ともに日本を代表し、世界に誇れるサイクリングルートになったと感じております。また、今回の指定を機に、サイクリングしまなみも、これまで以上に世界中のサイクリストが憧れる大会へとさらなる成長を遂げていくことを願っております。  2つ目でありますけれども、東京オリンピックパラリンピックでの自転車競技の開催であります。特に、オリンピック開会式の翌日に実施をされるロードレースは、東京をスタートし富士山の麓にゴールをするという壮大かつ難易度の高いコースとなっており、私も今から楽しみにいたしております。今回、世界トップクラスの選手の力走や日本人選手の活躍のほか、トラックレース、マウンテンバイク、BMXなどの多様な種目の開催を通じて、この東京オリ・パラを契機とした国内での自転車への関心や、しまなみ海道のさらなる人気の高まりにつながるものと期待をしているところであります。  今後は、これらの追い風を最大限に活用しながら、これまで自転車に関心が低かった新たな層への参加の促進や大会の定期的な開催によって、国内外に雄大な来島海峡大橋などのしまなみ海道の魅力を強く発信し、他の地域とは圧倒的に格が違うサイクリストの聖地としての地位を一層確固たるものにするとともに、本県へのさらなる誘客により、地域活性化につなげていただきたいと願っております。  そこで、お伺いをいたします。  県では、本年10月に開催されるサイクリングしまなみ2020に向けて、今後、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
     次に、鉄道ネットワークについてお伺いをいたします。  御案内のとおり、鉄道は、定時性にすぐれ、大量輸送が可能という特性を持っており、通勤や通学などの住民の足としても欠かせないものでありますが、マイカーの普及や高速道路の延伸、さらには人口減少によりまして、公共交通機関の利用者は年々減少をいたしております。  このような中、四国における鉄道ネットワークのあり方について、平成29年度に四国4県等による懇談会が設置をされ、JR四国の厳しい経営状況を踏まえ、維持方策等について協議をされているとともに、県内においても、沿線市町や交通事業者などによって利用促進策の検討が進められているとお聞きいたしております。  県議会におきましても、公共交通の活性化を図ることを目的に、地域公共交通活性化促進議員連盟を組織しており、現在、私が会長を務めさせていただいております。この議連の活動といたしまして、JR四国の状況と予土線の実情を肌で感じて理解を深めたいとの思いから、昨年の12月19日と20日の2日間、会派を問わず20名を超える議員の御参加をいただき、JR四国本社との意見交換や予土線の鉄道ホビートレインへの乗車、視察を実施いたしました。  まず、初日のJR四国からの説明によりますと、四国内の線区では、本州と四国を結ぶ児島-宇多津間のみが黒字で、それ以外は全て赤字という厳しい状況にあるため、列車の高速化や利便性の向上等サービスの充実による収益の拡大やワンマン運転化、駅の無人化等による経費削減など、経営基盤の強化に努めている。  また、国鉄の分割民営化の際、鉄道営業の損失を補填するための経営安定基金が設置をされましたが、近年の低金利の中で、その運用益だけでは損失を補えず、国からの追加支援を受けているものの経営状況が厳しい。さらには、運転士等の人材確保の問題や今後の設備更新や大規模修繕の増加など、多くの課題を抱えているとのことでありました。  このような状況ではありますが、JR四国としては、今後、新幹線を骨格として、持続可能な公共交通ネットワークを構築して、四国の活力の維持向上を図りたいとの説明を受けました。  また、その翌日は、高知県の江川崎駅から宇和島駅の間を運行している鉄道ホビートレインに乗車をし、視察を行いました。平日にもかかわらず、鉄道ファンの方々や高齢者の御利用も多く、また、当日は、県立高校の終業式でもあったことから、大勢の高校生が乗車をして、車内は大変にぎわっておりました。1時間余りの乗車でありましたけれども、予土線が地域住民や高校生の生活に欠かせない存在であるとともに、青々とした自然の中を走り抜ける貴重な観光資源であることを改めて実感いたしました。  このような状況を踏まえ、予土線を初めとする四国の鉄道ネットワークを将来にわたって維持し、地域住民の生活の足を守っていくためには、まずは、JR四国の一層の自助努力が不可欠であるとともに、分割民営化をした国が責任を持って支援していく必要があると考えております。  その一方で、私たち県民一人一人も、公共交通機関の重要性や必要性を再認識し、公共交通機関を存続させていくために、さらなる積極的な利用や、JRや市町等の取り組みへの協力が大切であると今回の視察を通して強く感じたところであります。  そこで、お伺いをいたします。  県では、JR四国鉄道ネットワークの維持・活性化についてどう認識し、今後、どのように取り組みを進めていかれるのか、お伺いをいたします。  次に、県のデジタル戦略についてお伺いをいたします。  昨今のデジタル技術の急速な普及、進展を背景に、今、社会は第4次産業革命を迎えていると言われております。これは、軽工業の発展をもたらした第1次産業革命、重工業の発展をもたらした第2次産業革命、コンピュータやロボット技術の登場によりエレクトロニクス産業自動車産業の発展をもたらした第3次産業革命に続く新たな産業革命であります。  例えば、我が国を代表する自動車業界では、現在、100年に一度の大変革期を迎えていると言われ、これからの自動車業界には、接続性、自動運転、共有、電動化というキーワードが重要として、その頭文字を取ったCASEと呼ばれる言葉をよく耳にいたします。そして、今の社会変化や技術革新を背景に、もはや自動車メーカーのライバルは、GAFAに代表されるIT企業であるとさえ言われております。  さらに、AIやIoTの技術の進展は、デジタルと現実社会を融合させ、産業や経済分野だけではなく、教育や医療、福祉、文化など、生活の基本となる多くの分野に大きな影響を与えると言われておりまして、まさしく今後、国と地方を挙げて取り組むべき重要な課題であると思うのであります。  折しもことしは、東京オリンピックパラリンピックの開催を目前に控え、ICTを支える次世代の通信基盤である5Gの商用サービスが春から順次開始されることとなっており、我が国にとって、デジタル技術によって新たな社会に変革をしていくターニングポイントになると考えられます。  この新たな社会とは、いわゆるSociety5.0と呼ばれるものであり、第4次産業革命で生まれる技術革新をあらゆる産業や社会生活に取り入れることで、どこからでも世界につながり、どこにいても高度なサービスを受けられ、地方でも都会と同じように暮らし働くことが可能となる社会であり、生活や経済分野のみならず、多くの社会的課題を解決することが期待をされております。  このような中、本県が持続的な発展を遂げていくためには、県みずからがデジタル技術の積極的な導入や活用を図り、来るデジタル時代における活力と魅力のある地域づくりに向けた戦略的な取り組みを進める必要があると考えるのであります。  そこで、お伺いをいたします。  AIやIoTなどのデジタル技術が急激に進展をする中で、本県のデジタル戦略の推進にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。  次に、地域農業についてお伺いをいたします。  我が国は、世界に先駆けて、人口減少・超高齢社会を迎え、農業分野においても、平成27年の農林業センサスによりますと、本県の基幹的農業従事者は約3万5,000人と、平成7年に比べて約4割も減少し、加えて、65歳以上の割合が約7割を占めるなど、急速に高齢化が進んでおります。このため、担い手による農地利用と農産物の安定生産に向けた持続可能な地域農業づくりが、まさに喫緊の課題であると考えております。  また、農林水産省が昨年12月に公表をした平成30年の本県の荒廃農地面積は1万4,224haとなっており、再生利用が困難な農地が年々増加をしておりますが、このような状況が続けば、全国に誇る果樹産地を初め、すぐれた愛媛農業の活力低下に拍車がかかることは間違いないと思うのであります。  こうした中、県では、地域農業の屋台骨であるJA等と連携をし、実効性のある担い手確保対策に取り組むとともに、経営拡大を目指す認定農業者集落営農組織への支援を強化するなど、攻めの支援策を積極的に展開されており、その成果に大いに期待をいたしております。  一方、国においては、市町村が農業者との話し合いに基づき、地域の中心的な役割を果たすことが期待される農業者と農地をマッチングさせるなど、地域農業の将来方針を描いた人・農地プランについて、昨年5月に関係法令を改正し、担い手への農地集積を加速化させるよう、その実質化を目指して見直しに着手したところであります。  これを受けまして、本県においても、全市町が農業委員会と連携をし、後継者の有無や将来の農地管理方針を聞く農業者へのアンケートの実施や、アンケート結果を地図に落とし込み、話し合いに活用しているとお聞きしており、地域の農業を守るため、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。  また、本県は、中山間地域が全体の7割に達し、分散をした小規模農地が多いなど、他県と比べ農地集積を進めにくい状況にあることに加え、過疎化の進行により、地域農業を支える若い担い手が決定的に不足している集落も数多く存在すると聞いておりまして、地域において、全ての農地を守っていくことは困難な状況にあると考えるのであります。  そこで、お伺いをいたします。  県では、荒廃農地を減らし、優良な農地を守るためにどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。  次に、県立今治病院についてお伺いをいたします。  私は、昨年の2月に1カ月余りの間、県立今治病院に手術、リハビリ等のため入院をしておりました。実際に入院をしてみて、医師や看護師等の業務は大変ハードなものであることを間近で感じ、また、病院では、患者本位の医療の提供が行われていることを身をもって体験いたしました。ここに改めて病院スタッフの皆様の日々の努力に感謝を申し上げますとともに、地域において良質な医療が受けられるという中核病院としての県立今治病院の重要性を痛感したのであります。  さて、その県立今治病院の将来を考える上で避けて通れない課題が少子高齢化問題であります。国立社会保障人口問題研究所の日本の地域別将来推計人口によると、今治圏域においても、2040年には生産年齢人口は減少するという厳しい状況が示されております。先般、2019年の全国における出生数の推計が86.4万人となったことが話題となりましたが、これは、当初の見込みよりも2年も早く、想定を上回るペースで少子化が進んでいることのあらわれであり、それに伴う年齢構成の変化は、疾病構造の変化に結びつき、将来の今治圏域における医療需要の動向を左右する大きな指標になると思うのであります。  また、近年は、災害時における病院機能の維持も社会的要請となっております。県立今治病院は、災害拠点病院に指定をされ、災害発生時にも継続して医療の提供を行いながら、被災をされた傷病者等も受け入れるという地域にとって重要な役目を果たす施設であります。しかし、敷地内にヘリポートがないことから、災害時には、道路の寸断等により、患者搬送や物資の受け入れ等に支障を来すのではないかと懸念もいたしております。  このように、病院として求められる役割や機能は時代とともに変化をしており、新たな医療機器の開発や大型化、医療の高度化等に伴う空間の確保、プライバシーの確保や患者のアメニティーの向上の面からも、現在の県立今治病院は、機能的に限界に近づいているのではないかと危惧をいたしております。現在の県立病院中期経営戦略において、県立今治病院は、建てかえを含めた施設の老朽化対策を検討するとされておりますが、早期に具体的な検討に着手していただきたいと思っております。  そこで、お伺いをいたします。  以上のような課題を踏まえ、今後の県立今治病院の機能や役割についてどう考えておられるのか、お伺いをいたします。  次に、今治地区工業用水道事業についてお伺いをいたします。  平成の大合併により、私の地元今治市においても、平成17年1月、12市町村が合併をし、現在の今治市が誕生をいたしました。そして、今治市域は、山間部から島嶼部まで広がる広範囲なものとなりましたが、例えば、生活や産業に不可欠な水資源においては、地域によって小規模なものがあるなど、市内での不均衡が生じ、今治市では、その安定的確保に大変苦慮をいたしております。  また、今治市は、過去にたびたび渇水に見舞われており、平成6年の大渇水を初め、最近では、昨年夏にも渇水となりました。その際には、25日間の長期にわたり取水制限が実施をされ、市民生活や企業の生産活動に大きな影響を与えました。  このように、今治市は、渇水のリスクを抱えながらも、高縄山系を源流とする蒼社川の伏流水などの極めて重金属が少なく、硬度成分も低いさらしや染めに適した良質の水に恵まれ、古くから繊維・タオル産地として発展をしてまいりました。特に今治タオルは、一時は安価な外国製品に押されたこともありましたが、佐藤可士和氏をブランディングプロデューサーに迎え、独自の品質基準で高品質を追求したことと、地元企業の真摯なものづくりへの情熱により、現在は、そのクオリティーの高さから、国内外で揺るぎない今治タオルブランドを確立し、今治市の産業発展の牽引役となっております。  この今治市の産業発展の基礎となっているものの一つに、工業用水の安定供給があります。県が運営をする3つの工業用水道事業のうち、今治地区工業用水道事業は、古くから市内の繊維・タオル関連企業石油精製工場など地元企業工業用水を供給し、今治市の産業発展の一助となってきました。経営的には黒字が維持をされておりますが、これは、計画給水量の一部を地元今治市が責任を持って財政負担をしていることで、その経営が支えられていることを忘れてはならないと思うのであります。  その今治地区工業用水道の基幹施設である小泉浄水場は、県が運営をする工業用水道と今治市が運営をする上水道の共同施設として、昭和46年度から運営をされてきました。しかし、今治市は、小泉浄水場の老朽化などを理由として、今治市単独で高橋浄水場への移転整備を計画し、平成29年度に着工、令和3年度末に移転完了予定で工事が進んでおります。  そのような中、今年度、県監査委員からも、今治地区工業用水道事業の今治市への譲渡について、引き続き今治市と協議を進められたいとの意見がなされております。今治地区工業用水道事業を市へ譲渡することにより、水源や取水堰等を同じくする工業用水道事業上水道事業の一体的な運営や、渇水時において、市の裁量による円滑な水量調整が可能となるほか、産業施策と連携をしたマネジメントも可能となるなど、今治市はもちろん、市民や地元企業にとってもメリットが大きいものですので、私自身も速やかに譲渡をしていくべきだと考えております。  そこで、お伺いをいたします。  今治地区工業用水道事業の今治市への譲渡に関するこれまでの経緯と協議の進捗状況について、お伺いをいたします。  最後に、交通安全対策取り組みについてお伺いをいたします。  本県における交通事故の発生状況を見てみますと、昨年中の発生件数は2,811件、負傷者数は3,168人と、双方とも平成17年以降15年連続して減少をしており、交通事故死者数は、前年と比べて17人減少し、その結果42人となったことで、ついに平成25年から取り組んできた交通死亡事故抑止アンダー50を達成することができました。  また、昨年の人口10万人当たりの交通事故死者数で見てみますと、他の四国3県が全てワースト5位以内に入っているのに対しまして、本県は全国ワースト27位と、平成29年にワースト2位を記録して以来、大幅な改善がなされました。これは、県警はもちろん、県や関係機関・民間団体等が一体となって交通事故防止対策に取り組んできた成果でありまして、御尽力をされた方々に敬意を表する次第であります。  県警では、これまで交通事故を防止するため、交通安全教育交通取り締まりのほか、集中的な交通安全施設の整備などのきめ細やかな対策を行うなど、積極的に交通安全対策を推進してこられました。中でも、横断歩道や一時停止線などの交通安全施設の整備は、交通弱者である歩行者を車などから守り、また、車両同士の事故の抑止にも効果的であったことは言うまでもありません。しかし、県内においては、いまだ車の通行量が多い場所では標示が摩耗し、消えかかっているものが散見されます。  交通事故は、被害者やその家族はもちろん、加害者も含めた多くの人の人生を一瞬にして奪ってしまう悲劇であります。昨年は、アンダー50を達成いたしましたが、いまだ42人の方が交通事故によりお亡くなりになられているのも事実であります。県警におかれましては、引き続き、県民の安全・安心を確保するため、交通安全施設の常日ごろからの計画的な点検や整備に努めていただきたいと思うのであります。  そこで、お伺いをいたします。  県警では、交通死亡事故のさらなる減少に向けて、交通安全施設の整備を初めとする交通安全対策にどのような方針を持って取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。  以上で質問は終わらせていただきますけれども、一言述べさせていただきたいと思います。  私は、先ほどお話をしたとおり、昨年2月中旬に足のけがで入院をしてしまいました。担当の医師からは、最短でも入院は2カ月、治療にも1年はかかるとの診断がなされまして、さらに厳しい状況になる可能性が高いとも言われてしまいました。その上、院内にインフルエンザが蔓延していたこともあり、病院では、20日間以上面会謝絶で家族とも会えないという状況でありました。  当時、私は、4月に選挙を控えていたこともあり、病院のベッドの上で今後のことについていろいろな思いをめぐらせておりました。そんな弱気になっていたときに、私を勇気づけ奮い立たせてくれたのは、同僚の毛利議員が2007年12月議会の一般質問で述べられた言葉でありました。その一部を紹介させていただきたいと思います。  「強者と弱者があるならば、弱者に光を当てるのが政治、恵まれない地域があるならば、その地域を守るのが政治、おくれた地域があるならば、その地域にこそ力を注ぐのが政治。政治の光を求めている人のため、地域のために自分の全てをささげるとの思いを強くしている」と述べられております。  私は、決意を新たにし、再びこの政治の場で活動させていただいていることに感謝をしながら、この言葉を胸に刻み、いま一度原点に立ち返って、県民のために愛顔あふれる愛媛県づくりに向けて、皆さんと一緒に頑張ってまいりたいというふうに思っております。  以上で質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) ○(西田洋一議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(中村時広知事) 議長 ○(西田洋一議長) 中村知事   〔中村時広知事登壇〕 ○(中村時広知事) 本宮議員に、まず、サイクリングしまなみ2020についての御質問にお答えをさせていただきます。  本年10月25日に開催予定していますサイクリングしまなみ2020は、いよいよ来月からエントリー受け付けを開始することとしていますが、今回は、ナショナルサイクルルートに指定されて初となる大会であり、東京オリ・パラを契機としたスポーツ熱の高まりも後押しに、世界中から多くのサイクリストに御参加いただき、国内で唯一、供用中の高速道路を走行できるプレミアム感を存分に堪能していただきたいと願っています。  今大会は、中規模大会ながらレベルに応じて楽しめる5つのコースを設定するとともに、今回新たに、E-BIKEで大島の亀老山展望公園に登り、来島海峡の絶景を楽しむガイドつきコース枠を設けることで、女性や中高年など、新たにサイクリングにチャレンジする層の拡大も図ることとしており、開催に向けて、安全かつおもてなしあふれる大会運営となるよう、関係機関と連携し万全の準備を進めたいと思います。  引き続き、サイクリストの聖地しまなみ海道随一の雄大な景観を誇る来島海峡大橋の魅力をSNS等、さまざまな手法で広く世界に発信し、一層の誘客を図るほか、現在、県と今治市で地域未来投資促進法に基づく基本計画を国に申請中であり、本計画に沿って、しまなみ海道等の地域資源を活用した事業を展開することで関連投資を促進するなど、サイクリングを通じた地域経済の活性化につなげてまいりたいと思います。  次に、デジタル戦略についての御質問でございます。  人口減少や経済のグローバル化の進展等により、本県を取り巻く環境が大きく変化する中、AIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術は、さまざまな地域課題を解決する上で大きな可能性を秘めており、今後の県政運営においても積極的な活用を図り、その効果を最大限発揮する取り組みを戦略的に進めることが不可欠であると認識しています。  このため、県では、来年度新たに、デジタル施策展開の指令塔となるデジタル総合戦略本部を立ち上げ、産業や医療、教育、防災など分野ごとの戦略的な活用方策を初め、行政サービスのデジタル化やデータ活用、セキュリティー対策など共通課題の解決のための方針等について検討を行い、来年度末には、これらを取りまとめたデジタル総合戦略を策定し、技術の進展や社会ニーズに即応した施策を積極的に展開していきたいと考えています。  また、最新の技術動向や活用方策等に精通した外部人材をデジタルコーディネーターとして配置し、先進的で独自性のある施策の具体化を図るほか、県職員のデジタルスキルの向上など人材育成にも取り組むこととしており、今後、県内の市町や企業、大学等との連携のもと、地域社会全体のデジタルシフトを加速させることで、活力と魅力あるふるさと愛媛の創造を図ってまいりたいと思います。  その他の御質問については、関係理事者の方から答弁させていただきます。 ○(兵頭昭洋公営企業管理者) 議長 ○(西田洋一議長) 兵頭公営企業管理者   〔兵頭昭洋公営企業管理者登壇〕 ○(兵頭昭洋公営企業管理者) まず、県立今治病院に関する御質問にお答え申し上げます。  県立今治病院は、公的中核病院として、地域の皆様に信頼される良質な医療の提供を基本理念に、従来から、救急医療や小児救急医療、周産期医療、災害医療などの採算性が低く、民間の医療機関では実施が困難な政策的医療を担いながら、今治圏域で総合的な機能を有する中核医療機関としての役割を果たしてきたところでございます。  少子高齢化が進み、国の医療制度改革や新たな医療技術の出現など、医療を取り巻く環境が大きく変化する中、今治圏域は、小規模な病院が多く、100床以上の一般病床を有する病院が3つにとどまるという特徴がございますほか、島嶼部住民への医療確保といった課題もあり、今後の今治病院を考えるに当たっては、現在の機能や役割を基本としつつ、これらの地域事情を十分に考慮する必要がございます。  特に、医療の専門分化、医師の偏在化や働き方改革などの変化へ対応するためには、これまでのように単独の医療機関で完結するのではなく、地域内の医療施設・設備の連携利用や医療人材の相互交流といった新たな取り組みも進める必要があると考えておりまして、来年度策定予定の次期県立病院中期経営戦略におきまして、今治病院が持つべき機能や果たすべき役割を適切に位置づけまして、将来の今治病院の運営強化と地域医療の充実につなげてまいりたいと考えております。  続きまして、今治地区工業用水道に関する御質問にお答え申し上げます。  今治地区工業用水道事業は、昭和41年度に今治市が上水道事業とあわせて計画したものでございますが、当時、事業範囲が複数市町にまたがることや市の財政上の問題もあったことから、工業用水道については、市の要望を受け県事業として実施いたしますとともに、両事業の共同施設につきましても、県が運営管理を行ってきたものでございます。  しかしながら、工業用水道事業は、既に市町村合併により事業範囲が市内で完結し、経営的にも毎年1億円程度の黒字を計上するなど安定しており、工業用水道と上水道の一体運営により、渇水時における円滑な水量調整や産業施策と連携した水資源の総合的マネジメントが今治市主導で可能となるなど、市にとってメリットが大きいため、平成23年度から事業譲渡について市と協議を続けてきたところでございます。  こうした中、平成30年11月に、令和3年度末を譲渡目標とした今治地区工業用水道事業の譲渡に関する覚書を締結いたしまして、その後、事務レベルの協議を重ね、資産や企業債の取り扱いなどの譲渡条件等を煮詰めているところでございます。  県としましては、引き続き協議を進めまして、今治市の新しい上水道施設が、同市高橋地区に完成、移転する令和3年度末を目途に、円滑に譲渡ができるよう取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(金子浩一企画振興部長) 議長 ○(西田洋一議長) 金子企画振興部長   〔金子浩一企画振興部長登壇〕 ○(金子浩一企画振興部長) 鉄道ネットワークに関する御質問にお答えします。  四国の鉄道ネットワークは、都市間の広域的な移動手段としてのみならず、地域の学生や高齢者等の生活の足としても不可欠なものであり、その維持・活性化に向けては、JR四国の自助努力はもちろんのこと、四国4県を初め関係自治体においても、住民の理解と参画を得ながら利用促進等に取り組むことが必要であると認識しております。  このため、県ではこれまで、沿線市町とも連携し、予讃線や予土線を活用した企画列車の運行や各種イベント等を開催するとともに、鉄道施設の老朽化対策や主要駅のバリアフリー化へも助成を行ってきたところであり、さらに、昨年6月には、沿線市町や交通事業者等で構成する検討会を設置し、ウエブサイトでの乗りかえ情報等の発信や観光イベントと連携した企画切符の造成、交通機関相互のダイヤ調整など、新たな利用促進策の検討を進めており、来年度以降、具体化を図りたいと考えております。  また、四国4県や経済団体等では、国鉄の分割民営化を主導した国に対し、長期的な視点に立ったJR四国への支援や、経営基盤の強化にも資する四国新幹線導入について働きかけを強めているところであり、今後とも、オール四国の体制で四国の鉄道ネットワークの維持・活性化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(田所竜二農林水産部長) 議長 ○(西田洋一議長) 田所農林水産部長   〔田所竜二農林水産部長登壇〕 ○(田所竜二農林水産部長) 優良農地を守るための取り組みについてお答えをいたします。  農地は一旦耕作が放棄されますと、わずか数年で荒廃化が進み、その再生が極めて困難になりますことから、優良農地の存続を図るためには、耕作放棄や荒廃化が進む前に、耕作を受け継ぐ中心経営体への農地集積や新規就農者の確保など、耕作継続の将来構想を集落全体で話し合い、実行していくことが不可欠と考えております。  このため、県では、市町が地域農業の経営継承方針を集落ごとに取りまとめた人・農地プランに基づく事業支援、いわゆる実質化支援に着手し、農地集積や経営拡大を目指す認定農業者等への優先的支援や、耕作放棄地等の再生によります新規就農者向けの農地確保などに取り組んできたほか、今年度からは、プランの実質化を主導する市町や農業委員会等の取り組みを手助けするコーディネーターの派遣も開始したところでございます。
     来年度からは、優良農地を持ちながら将来の担い手が不足し、集積も進まない地区を選定し、JA等で研修を終えた新規就農者への経営継承や集落営農法人の設立による農地集積の促進などの対策を重点的に支援したいと考えており、今後とも、集落合意のもとで担い手確保と農地継承を一体的に推進しながら、後世に必ず残すべき優良農地をしっかりと守り抜けるよう、市町や関係団体等との連携のもと、全力で取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(篠原英樹警察本部長) 議長 ○(西田洋一議長) 篠原警察本部長   〔篠原英樹警察本部長登壇〕 ○(篠原英樹警察本部長) 交通死亡事故のさらなる減少に向けた交通安全対策に関する御質問にお答えいたします。  昨年は、県警と関係機関・団体が総ぐるみで交通安全対策に取り組んだ結果、交通事故死者数は42人と前年より17人減少し、アンダー50を達成いたしました。しかし、その一方で、歩行者中の死者は前年よりも半減したものの、依然として全死者の3分の1を占めているほか、車両相互の事故も前年に比べ増加するなど課題が明確となりました。  県警では、これらの課題を解消するため、交通事故分析に基づき、歩行者保護対策、速度抑制対策等を強化しているところであります。また、歩行者事故や車両相互の事故を防止するため、交通事故多発箇所や通学路等において、定期的に道路管理者等関係機関・団体との合同点検を実施するなど、危険箇所を中心に、交通安全施設の整備を計画的に行っております。  今後も、事故多発路線等における指導取り締まりや県民総ぐるみによる広報、安全教育を徹底するほか、事故多発箇所における横断歩道や交差点の高輝度化、カラー舗装化を計画的に実施するなど、ソフト・ハード両面での交通安全対策を推進し、交通死亡事故のさらなる減少に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(西田洋一議長) 暫時休憩いたします。      午前10時46分 休憩    ―――――――――――――――――      午前11時4分 再開 ○(西田洋一議長) 再開いたします。  質疑を続けます。 ○(三宅浩正議員) 議長 ○(西田洋一議長) 三宅浩正議員   〔三宅浩正議員登壇〕 ○(三宅浩正議員) (拍手)おはようございます。  自由民主党の三宅浩正でございます。  本県を含め、国の内外で新型コロナウイルスの感染者が確認をされております。お亡くなりになられた方々、また、御遺族の皆様に、謹んで哀悼の意を表しますとともに、発症の有無にかかわらず感染が確認された方々の苦しみ、心労はいかばかりかとお察しを申し上げます。心よりお見舞いを申し上げたいと思います。ウイルスとの闘いは厳しいものになるかもしれませんが、総力を挙げてこの困難を克服しなければなりません。一層の緊張感を持って、微力を尽くしてまいりたいと思います。  新型コロナウイルスによる感染症への対策について、我が国政府のチャーター機の第1便で武漢市から帰国された方々のうち、お二人が検査を拒否して御自宅に向かわれたとお聞きし、感染の拡大阻止が最優先ではないのかと大変大きな衝撃を受けました。  百地章国士舘大学特任教授は、検査や強制入院については、その後、政府が新型肺炎を検疫感染症及び指定感染症に指定したことから可能になったが、発症していない感染者は対象外であり、一時的な隔離にしても、現行法では強制できない。感染者が出た大型客船では、乗客・乗員が14日間も船内待機を要請されたが、法律上強制的隔離はできない。そこで、検疫法に基づき、診察のための停留という形をとったようだ。となると、施設や船を離れようとする人が出たとしても、現在の法律では、それを阻止できず、もし強制的に隔離を続けようとすれば、憲法の保障する居住・移転の自由や、人身の自由との関係が問われようと警鐘を鳴らされております。米国では、即座に緊急事態が宣言され、自国民に対する強制隔離など厳格な措置が迅速にとられたと聞きました。  御案内のとおり、世界の国々では、憲法上の緊急権が認められており、非常事態における、政府や議会のとり得る例外的な権限等が、憲法を根拠に明らかにされていますが、我が国の憲法にはございません。災害対策基本法と警察法に緊急事態の布告があり、いずれも内閣総理大臣が発することとなっておりますが、憲法に明確な根拠を置いた布告ではなく、東日本大震災のような未曽有の大災害においてでさえ、布告されることはありませんでした。  復興庁の東日本大震災における震災関連死に関する報告によりますと、救命・医療活動について、一般病院や施設の機能停止が大きな死亡要因となった。これは、長期間のライフラインの停止、物資や人の支援がおくれたためであり、背景にガソリン不足があると結論づけています。もし、我が国政府が他国同様に、迅速に緊急権を発動できていれば、被災地にガソリンを優先的に供給でき、多くの命が失われずに済んだことは明白であります。国民・県民の安全・安心を守るため、一日も早い憲法の改正が待たれるのであります。  このたびの新型コロナウイルス対策に最前線で昼夜分かたず対応に当たっておられます医療関係者、民間企業等の方々、自衛隊員、本県職員初め自治体、政府関係者の方々など、御関係の皆様に心から敬意と感謝の意を表し、質問に入ります。  初めに、南海トラフ地震の臨時情報を活用した防災対応の強化についてお伺いします。  昨年3月、国は、地方公共団体や企業等が、南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合にとるべき防災対応を検討する際の参考として、南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン(第1版)を公表しました。続いて、同年5月31日、同ガイドラインに基づき、国が南海トラフ地震に対する防災対策の基本的方針等を定めた南海トラフ地震防災対策推進基本計画を変更。同時にガイドラインも一部修正するとともに、同日より南海トラフ地震臨時情報等の提供を開始し、県・市町に防災対応の検討及び令和2年度中の実質的な防災対応の運用開始を求めたところでありました。  平成26年に策定した基本計画を修正したのは初めてであり、東西に長い震源域の片側で大地震がある場合、残る側での事前避難など、後発地震への警戒措置に関して、緊急災害対策本部長である内閣総理大臣が地方公共団体に指示を出すことが明記されるとともに、最悪の場合に33万人超としていた死者数は、住民意識や耐震化率の向上で27%減少するとの推計が示されました。  国の動きを受け、県の地域防災計画が修正され、県は、巨大地震警戒の臨時情報が発表された場合、地震発生から1週間は、災害対策本部体制で厳重な警戒を行うことや、市町は、後発地震発生後では、地域住民の避難が完了しないおそれがある地域を事前避難対象地域としてあらかじめ定めること、また、県及び市町が県民に対し、臨時情報が発表された場合に具体的にとるべき行動に関する知識を普及するなど、防災対応の見直しが行われるとともに、市町においては、浸水や土砂災害など、各地域の実情等を踏まえた適切な防災対策の検討を進めており、特に、人的被害を最小限に抑えるため、住民の迅速かつ適正な避難行動を促す根拠となる事前避難対象地域の設定に向けた取り組みに注力しておられるとお聞きをしております。  新聞報道によれば、南海トラフ地震が続けて発生する確率が高まったとして、気象庁が臨時情報を発表した場合には、約1週間の事前避難が必要となる地域が、少なくとも10市町以上に上るとされております。約1週間の事前避難という、前例のない対応によって社会がどのような状況になるのか、病院はどうなのか、学校は、会社は、公共交通はどうなるのか。県民にとってイメージしがたく、今後、いかにわかりやすく説明できるかが重要であるとともに、制度への認知度が低い現状にあることを踏まえた取り組みが求められております。  そこで、お伺いします。  県は、国が提供する南海トラフ地震の臨時情報を活用した防災対応の強化にどう取り組まれるのか、お聞かせください。  次に、災害ボランティアについてお伺いします。  本県に未曽有の災害をもたらした一昨年7月の西日本豪雨から、はや1年7カ月余りが経過しましたが、被災された多くの方々が、今なお仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされており、まだまだ復興は道半ばである中、昨年は、6月末に梅雨入りして以降、南予地域を中心に、幾度となく避難準備や避難勧告が発令されるような大雨に見舞われるとともに、梅雨明け後も台風の接近や上陸が続き、復興途中での新たな災害発生が懸念される状況が続きました。  また、県外に目を向けますと、佐賀県、福岡県、長崎県を中心とした8月の集中豪雨、千葉県を中心に甚大な被害をもたらした9月の台風15号に続き、14都県に災害救助法が適用され、東北、関東の広範な地域において未曽有の被害をもたらした10月の台風19号に至るまで、全国各地で大規模災害が多発している状況であります。災害大国と言われる日本においても、過去に例のない異常な事態になっていることを鑑みると、いつ何どき発生するかわからない大規模災害に備えた体制づくりが、これまで以上に重要になってくるものと考えております。  一昨年の西日本豪雨の際には、本県においても、2万9,000人を超える災害ボランティアの方々に支援をいただきましたが、災害時に被災者から寄せられる多種多様なニーズに寄り添い、行政の手の届きにくい分野において、それぞれが有する強みを生かした支援活動を行うボランティアやNPO等の役割が、近年、大きくクローズアップされるとともに、行政や社会福祉協議会が、こうした方々や団体等と連携、協働し、より効果的な被災者支援につなげることの重要性が増しております。  このような中、本県では、西日本豪雨発災直後から、県外のNPO等の協力も得て、県と県社会福祉協議会、NPO等による協議体制を整備され、情報共有会議を定期的に開催されますとともに、市町でも同様の取り組みが行われ、被災者ニーズの把握や各団体の活動状況の情報共有等による効果的な被災者支援につなげられたと聞いております。近い将来の発生が懸念されている南海トラフ巨大地震を初めとする、さまざまな自然災害への備えとして、発災時に、迅速かつ円滑にボランティアやNPO等が効果的な被災者支援活動を行うためには、一昨年の取り組みを通じて得られた経験やノウハウ、連携、協働の必要性や効果などを県内で広く共有し、それぞれの地域において、平時からの体制づくりを進めておくことが重要と考えるのであります。  そこで、お伺いします。  今後、災害ボランティア等との連携強化に向け、県としてどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。  次に、伊方発電所についてお伺いします。  伊方発電所3号機の再起動について、県議会では、平成27年9月の定例会において、賛否両論による議論を尽くし、安全性は、国及び県によって厳正に審査、確認されていることを踏まえた上で、県民の暮らしや産業活動に必須である、電力の安定かつ安価な供給を確固としたものとするため、さらには、国のエネルギー情勢や地球温暖化対策等を踏まえ、再起動の必要性が認められるという決議を可決いたしました。そしてその際、知事に対して、伊方発電所の安全管理のさらなる徹底を指導することなどを求めるとともに、四国電力に対しても、安全対策のさらなる充実を求めたところであります。  知事は、伊方発電所の安全対策を国任せにすることなく、地元の視点から、県独自の対策を四国電力や国に求め続けるなど、伊方発電所に正面から向き合ってこられ、四国電力におかれても、安全確保を最優先に取り組んでこられた結果、平成28年8月の再起動以降、昨年末に再起動後2回目となる定期検査を開始するまで、伊方発電所3号機は安全に運転、管理されてきました。  しかしながら、今回の定期点検において、1月12日に核分裂反応をコントロールするための制御棒を1体引き抜いてしまう事象が発生し、20日には、燃料集合体を点検する際に、点検用ラックの枠に乗り上げてしまう事象が発生しました。これらは、安全上の問題には至りませんでしたが、安全上重要な設備に係るトラブルが立て続けに発生した事態に、私だけでなく、多くの県民が不安を覚えたものと思います。  ところが、それから間もない25日には、所内電源の一時喪失という福島第一原発事故をほうふつさせる事象が発生しました。今回は、非常用ディーゼル発電機など予備電源に自動で切りかえられたほか、その他複数の予備電源も直ちに起動できる体制が整えられていたことから、安全は確保されていましたが、年明け以降の重大なトラブルの続発が、四国電力に対する信頼を根底から揺るがしたことは間違いのないところであろうと思うのです。  四国電力社長は27日に県庁を訪れ、知事に謝罪するとともに、知事からの厳しい指摘と要請を踏まえ、緊急措置として、伊方発電所に常駐させる原子力本部長の指揮のもと、原因を究明し、再発防止対策を検討することを約束されましたが、県民の信頼を回復するには、経営陣が陣頭に立って徹底的に原因を究明し、再発防止対策をしっかりと講じることはもとより、情報公開を徹底し、県民にわかりやすく、丁寧に説明することが必要だと考えております。県には、県民の安全・安心を確保するため、四国電力の再発防止に係る取り組みをしっかり確認、指導していただきたいと考えております。  また、今回の一連のトラブルでは、全ての異常を隠さず公表するという、全国に例を見ないえひめ方式による通報連絡は適切になされており、県民との信頼関係の根幹であるえひめ方式を、今後とも徹底していくことが重要であります。  そこで、お伺いします。  今回の一連のトラブルを踏まえ、県は、伊方発電所の安全確保とえひめ方式の徹底に向け、今後、どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。  次に、地球温暖化対策についてお伺いします。  昨年の夏は、欧州では激しい熱波に見舞われ、パリでは、7月の最高気温を塗りかえる42.6℃を記録したほか、北米大陸では、ハリケーンが各地で猛威を振るいました。  我が国においても、台風15号、19号といった大型台風に襲われ、千葉県を中心に大規模な停電や断水が発生したほか、関東地方を中心に、堤防の決壊や護岸の崩壊、土砂災害が発生するなど、甚大な被害が発生しました。  このように、近年、日本を初め世界各地で見られる気温の上昇や大雨の増加は、長期的な地球温暖化と関係しているとされており、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、現在のペースで温暖化が進むと、2030年ごろには、産業革命以前と比較して1.5℃気温が上昇し、豪雨や猛暑日の発生頻度が増加すると予測しています。  こうした地球温暖化に対処するため、2015年12月に合意された地球温暖化対策の新たな国際枠組みであるパリ協定が、ことしから本格運用されます。パリ協定では、産業革命以降の世界全体の平均気温の上昇幅を2℃未満とし、さらに、1.5℃まで抑える努力を追求すること、そのためには、今世紀後半に人為的な温室効果ガス排出実質ゼロを目指し、先進国と途上国が共通のルールのもとで温室効果ガスの削減に取り組むこととされております。  このパリ協定を受けて、我が国では、平成28年に地球温暖化対策計画を策定し、中期目標として、温室効果ガスを2030年までに2013年度比で26%削減することを定めるとともに、昨年6月には、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略を閣議決定し、長期的なビジョンとして脱炭素社会を掲げ、今世紀後半のできるだけ早期の実現に向けて、脱炭素化技術等の開発・普及等に取り組む方針が示されました。  また、一昨年12月には、気候変動適応法が施行され、地球温暖化などの気候変動の影響による被害の回避・軽減を図るための適応策の推進が定められました。本県におきましても、一昨年の西日本豪雨を初め、地球温暖化の影響は、県民生活や産業活動などの多くの分野に及んでおり、昨年8月に実施された県民アンケート調査においても、地球温暖化問題は、環境分野で最も関心のある事項となっております。今後、従来の温室効果ガスの排出削減に加え、気候変動への適応につきましても、長期的かつ総合的に取り組んでいかなければなりません。  県におかれましては、これまでも温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組んでこられましたが、さらに先般、将来的に脱炭素社会を目指す長期目標や、適応策などを盛り込んだ地球温暖化対策実行計画を新たに策定されたとお聞きし、本県における地球温暖化対策の推進に大いに期待しているところであります。  そこで、お伺いします。  県は、新たな地球温暖化対策実行計画に基づき、今後、地球温暖化対策にどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。  次に、とべ動物園の魅力向上についてお伺いします。  動物園は、楽しく過ごしながら命の大切さなどを感じ取ることのできるレクリエーションの場であることはもとより、野生動物の保全への貢献や飼育展示動物の福祉向上への取り組み、動物の生態を理解し、野生動物が住むことのできる場所が年々減少していることを知るなど、今後、人間がどうすればいいのかを考えるきっかけとなる教育の場としての機能など、大変重要な社会的役割を担っております。  現在、とべ動物園を含む約150施設の動物園等が日本動物園水族館協会に加盟しており、来場者数は加盟園館全体で年間8,000万人を超えるなど、この5年間、増加傾向にあり、動物園等に対する国民の関心や期待が高まっていることがうかがえます。  このような中、とべ動物園では、平成29年度にハード・ソフト両面から魅力向上に向けた戦略をまとめられ、30年度からは、具体的な事業について、県統一のコンセプトに即応しながら積極的に取り組んでおられ、開園30周年を迎えられた平成30年度は、ソフト面では、グランピングやイルミネーション、キャラクターAWARDなどの話題性のあるイベントを実施されるとともに、ハード面では、えひめFreeWi-Fiを整備され、また、魅力的な施設整備に向けて、アシカ舎改修の詳細設計を行われたほか、札幌市円山動物園からのブリーディングローンによるボルネオオランウータンの導入と、アメリカなどからのフタコブラクダの購入により、魅力的な動物の確保にも取り組んでこられました。その結果、7月の豪雨災害や8月の猛暑の影響で来園者は一時的に落ち込んだものの、最終的には、前年度並みの約46万人となりました。  今年度は、4月のとべ動物園魅力向上戦略検討委員会において、とべ動物園まじめ行動計画(第1期)を策定され、県統一のコンセプトに沿った計画に基づき、ソフト面では、グランピングやイルミネーションの継続実施に加え、俳句イベント、秋の読書週間とのコラボや動物との触れ合いの拡充、Wi-Fiを活用した多言語対応情報のプッシュ型配信などに取り組まれ、ハード面では、アクリル板を用いることにより、水中遊泳が見られるアシカ舎の改修工事を実施されるほか、動物園本来の魅力を高める展示動物等を継続的に導入することにより、とべ動物園の魅力向上に一層努められました。来年度は、えひめこどもの城ジップライン整備と連携した周遊促進企画を実施される御予定とお聞きしており、大変期待しているところであります。  今後を見通す中で、動物の高齢化や人口の減少など、全国の動物園は厳しい環境にはあると思います。とべ動物園が、動物園の重要な社会的役割を、今後とも力強く果たしていくには、より多くの皆様に御来場いただけるよう、魅力向上に一層取り組んでいただく必要があります。  そこで、お伺いします。  県は、とべ動物園の魅力向上にどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。  次に、一日も早く動物愛護センターが、犬や猫を殺処分する施設から動物を守る施設となることを切に願い、犬猫殺処分数の早期抑制についてお伺いします。  近年、動物虐待容疑での逮捕、書類送検が、過去最多を更新したというショッキングなニュースや、残忍な動物虐待の数多くの事案を耳にします。例を挙げるなら、終生飼養の覚悟も決めずに、安易にかわいいからといって子犬や子猫を飼い始め、大きくなったらかわいくなくなったからと物のように捨てたり、行政に引き取りを求めたりする人々の事例や、たくさんの動物を狭いケージに閉じ込め、体が壊れるまで出産させ続け、病気になっても治療せず、大きく成長して売れなくなった動物には餌を与えないなどして殺す、あるいは行政に引き取りを求めるという悪質きわまりない繁殖業者の事例などであります。  このような動物に対する犯罪が全国的に急増する中、昨年6月、動物愛護管理法が改正されました。主な改正点としては、動物の所有者等が遵守すべき責務規定が明確にされたこと、動物の殺傷については懲役5年、虐待については懲役1年とするなど、動物虐待に対する罰則が引き上げられたこと、立入検査等の権限が都道府県知事に付与されたこと、早い時期に親から離された子犬、子猫は、異常行動や生育不良が出てしまう傾向があるため、出生後56日を経過しない犬または猫の販売等を制限するなど、販売開始時期が延長されたことや、犬猫等販売業者にマイクロチップの装着・登録を義務づけるとともに、登録を受けた犬猫を所有した方には、変更届出が義務づけられたことなどが挙げられます。大変厳しい罰則を設けているイギリスの制度や、動物は物ではないとするドイツの制度などと比べると、まだ改善の余地はあるものの、今回の改正点は、犬猫の殺処分減少にもつながることから、改正法の趣旨が、一日も早く社会に浸透することを願っております。  猫の殺処分を減少させる取り組みの一つに、地域猫活動があります。従来の野良猫対策は、敷地内への侵入を防ぐことや、野良猫へ餌を与えている方への指導など、地域からの排除が中心でありました。しかし、残された猫が新たな餌場を見つけることによって、もとの状態に戻るばかりか、それらの猫が多くの子猫を産むことによって、以前よりも野良猫が増加する可能性もあります。地域猫活動とは、飼い主のいない野良猫を地域住民が中心となって餌やりやトイレ管理など、ルールに基づいて管理を行い、不妊・去勢手術を実施して、これ以上数をふやさないよう、最後まで世話をすることで野良猫の数を減らしていく活動のことであります。  地域住民でこれらの取り組みを行うことによって、周辺環境の美化、野良猫の減少につながることから、猫が嫌いな方にも好きな方にもメリットがある取り組みと言えますが、課題もあります。それは、不妊・去勢手術に要する費用負担が、1頭当たり2万円から4万円と高額であり、地域猫活動推進に当たっての大きな壁になっていることであります。  そこで、お伺いします。  県は、犬猫殺処分数の早期抑制のため、動物愛護管理法の改正を機に、県民に対する動物の適正飼養の啓発及び地域猫活動等にどのように取り組まれるのか、お聞かせください。  以上で質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) ○(西田洋一議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(中村時広知事) 議長 ○(西田洋一議長) 中村知事   〔中村時広知事登壇〕 ○(中村時広知事) 三宅議員の御質問の中で、まず、伊方発電所に関する御質問にお答えをさせていただきます。  県では、これまで伊方発電所につきましては、国の規準を上回る電源対策や揺れ対策等のアディショナルな安全対策を県独自で四国電力に求めるとともに、決して隠し事はしない、させないというえひめ方式による通報連絡など、こうした独自の取り組みにより、県民の安全・安心の確保に努めてはまいりましたが、今回の定期検査において重大なトラブルが続発し、県民にかつてない大きな不安と不信感を抱かせたことはまことに遺憾であります。  また、社長から、定期検査を中断した上で、再発防止策の検討に総力を挙げて取り組むとの報告がなされた際、私の方からは、トラブルの発生原因に加えて、その背景も徹底的に調査した上で、実効性のある再発防止策が講じられるまでは、次のステップは到底容認できないことを言明させていただきました。今回の一連の事態に萎縮をしてしまい、トラブルをもし仮に隠蔽すれば、信頼関係は失われることを重ねて申し伝えたところでございます。  県としては、四国電力から報告される原因と再発防止策を原子力安全専門部会でしっかり確認していただき、安全上必要な対策を厳正に求めるとともに、信頼関係の源であるえひめ方式の意義、重要性を関係者一人一人の意識に浸透させ、その運用を徹底するよう機会あるごとに強く要請するなど、今後とも、安全性と透明性を行政の立場から徹底的に追求することにより、県民の安全・安心の確保に努めてまいりたいと思います。  次に、地球温暖化対策についての御質問にお答えをさせていただきます。  地球温暖化対策は地球規模での喫緊の課題であり、本県でも、西日本豪雨災害を初め、大型台風や夏の猛暑など、県民生活や産業等に深刻な影響が生じており、国を上回る温室効果ガスの削減目標や、地球温暖化に伴う気候変動による被害を回避、軽減する適応策等を盛り込んだ新たな県地球温暖化対策実行計画を先月策定したところでございます。  同計画では、先進的な長期目標として、2050年に温室効果ガス排出実質ゼロの脱炭素社会を目指すことを初めて掲げまして、まずは中期目標である2030年度に2013年度比27%削減を達成するため、自転車や温泉等を活用した本県独自のクールチョイスの推進を初め、ゼロエネルギー住宅や蓄電池等の普及拡大への支援や再生可能エネルギーの導入促進のほか、二酸化炭素の吸収源である森林の整備等、温室効果ガス削減を図る緩和策をさらに推進していく所存でございます。  また、温暖化への適応策としては、気候変動の影響や適応に関する調査研究や市町等への助言等を行うため、来年度から新たに体制を整備するとともに、ひめの凜に代表される高温耐性品種等の開発など、農林水産分野での取り組みや防災・減災対策のほか、動植物のモニタリング調査等を一層進めるなど、対策の充実強化を図ることとしており、今後とも、緩和と適応を両輪に、環境先進県えひめの実現を目指して、オール愛媛による取り組みを推進してまいりたいと思います。  その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えさせていただきます。 ○(福井琴樹防災安全統括部長) 議長 ○(西田洋一議長) 福井防災安全統括部長   〔福井琴樹防災安全統括部長登壇〕 ○(福井琴樹防災安全統括部長) 南海トラフ地震臨時情報を活用した防災対応に関する御質問にお答えいたします。  南海トラフ地震臨時情報に係る防災対応につきましては、特に南海トラフ東側で大規模地震が発生し、後発地震に備える巨大地震警戒情報が発表される半割れの場合、本県を含む南海トラフ西側地域では、市町が設定する事前避難対象地域の住民が、1週間の事前避難を求められるなど、社会生活に大きな影響が生じますことから、対象地域の速やかな設定と、これらの制度の住民等への理解促進が重要な課題と認識しております。  このため、県では、臨時情報が発表された際の県・市町等の基本的な防災対応方針を県の地域防災計画に位置づけるとともに、市町における事前避難対象地域の設定の考え方を示した県の指針を策定し、先進地域の取り組み事例も紹介しながら、市町が対象地域の設定など適切な防災体制を早期に構築できるよう、積極的に支援しているところでございます。  さらに、来年度当初予算案に、自主防災組織や防災士などを対象とした説明会開催による臨時情報の周知や、県、市町、防災関係機関による情報伝達訓練を実施するための経費を計上しておりまして、臨時情報が発表された場合に、住民の事前避難及び関係機関の防災対応が円滑、確実に実施できるよう、市町等と緊密に連携しながら、防災・減災対策の強化を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(山口真司保健福祉部長) 議長 ○(西田洋一議長) 山口保健福祉部長
      〔山口真司保健福祉部長登壇〕 ○(山口真司保健福祉部長) まず、災害ボランティアとの連携強化に関する御質問にお答えをいたします。  西日本豪雨災害では、行政、社会福祉協議会及び災害ボランティアの3者の連携を図るため、発災直後から情報共有会議を開催し、被災者ニーズの把握や、各団体の活動状況の情報共有を行いましたことが、効果的できめ細かな被災者支援を行う原動力になったと考えておりまして、今後の災害に備え、平時から災害ボランティアとの顔の見える関係を構築しておくことが重要と認識をしております。  このため、県地域防災計画に3者連携のための情報共有会議の開催等を明記いたしますとともに、昨年9月には、内閣府や松山市等と共催で、全国初となる市町レベルの3者連携の構築に向けた研修会を開催いたしましたほか、10月の県総合防災訓練では、鬼北町、松野町とともに、災害ボランティアとの連携・協働訓練を行うなど、平時から連携・協働する体制づくりに努めているところであります。  来年度はさらに、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク等の御協力もいただきまして、3者連携のマニュアルを作成し、実践的な研修や訓練等を通じて、市町の3者連携の体制づくりを促進することとしておりまして、今後とも、災害時により効果的に被災者支援を行えるよう、災害ボランティアとの連携体制の強化に努めてまいりたいと考えております。  次に、犬猫殺処分数の早期抑制に向けた取り組みについてお答えをいたします。  昨年6月の動物愛護管理法の改正によりまして、適正飼養が困難な所有者に対する繁殖防止の義務化や不適正飼養に対する指導の拡充など、適正飼養のための規制強化等が図られておりまして、県としては、法改正を機に殺処分頭数の一層の削減に向け、取り組みを強化する所存であります。  このため来年度から、新たに適正飼養の普及啓発や移動譲渡会等に協力をしていただける企業・団体を登録する動物愛護サポーター制度や、生後間もない犬猫を預かり、譲渡できる月齢まで飼育するミルクボランティア制度を導入いたしますほか、ペットの飼育放棄や無責任な餌やりなど不適切な飼育を注意喚起する動画を作成し、各種メディアで幅広く配信するなど、県民への周知機会を拡充するための事業費を来年度当初予算に計上しております。  また、飼い主のいない猫対策として、東・中・南予のモデル地区において、地域猫活動の中心となるグループやリーダーを育成いたしますとともに、県獣医師会や市町と連携して、不妊・去勢手術に対する助成も大幅に拡充をすることとしておりまして、これらの対策の強化により、犬猫の殺処分数の一層の削減につなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(杉本寧土木部長) 議長 ○(西田洋一議長) 杉本土木部長   〔杉本寧土木部長登壇〕 ○(杉本寧土木部長) とべ動物園の魅力向上に関する御質問にお答えをさせていただきます。  とべ動物園では、少子高齢化や施設の老朽化等に伴い、来園者数がピーク時から大幅に減少する中、多様な来園者ニーズや社会情勢の変化に対応するため、昨年4月にとべ動物園まじめ行動計画を策定し、従来からの野生動物の保存や環境学習等の拡充に加えまして、県内有数の集客観光施設として魅力向上に積極的に取り組んでいるところでございます。  計画初年度の今年度は、SNSを活用したウエブ広告による戦略的な情報発信や、句会ライブ等の話題性のあるイベントの開催によりまして認知度向上に努めてきたところであり、来年度は、これらに加えまして、夏場の夜の動物園にあわせ、水中遊泳がアクリル板越しに間近に見えるアシカ舎をオープンさせるとともに、えひめこどもの城との間のジップラインの整備を機に、若者やカップルなどもターゲットに、園内を楽しみながら周遊できるよう、動物をモチーフにしたトリックアートの設置などを計画しているところでございます。  今後は、こどもの城との連携を強め、両施設が一体となって、より多くの来園者を呼び込み、より長く滞在できるような仕掛けづくりに取り組むことで、何度も訪れたくなる魅力あふれる動物園の実現を目指してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(西田洋一議長) 休憩いたします。  午後1時から再開いたします。      午前11時46分 休憩    ―――――――――――――――――      午後1時 再開 ○(梶谷大治副議長) 再開いたします。  質疑を続けます。 ○(兵頭竜議員) 議長 ○(梶谷大治副議長) 兵頭竜議員   〔兵頭竜議員登壇〕 ○(兵頭竜議員) (拍手)愛媛維新の会、兵頭竜です。  まず初めに、災害時における正常性バイアスについてお伺いをします。  平成の最後の夏に、我が愛媛県が過去にない経験をした西日本豪雨災害から1年半余りが経過しました。失われたかけがえのない命や財産、大切な思い出は戻ってきませんが、少しずつ復旧・復興へと歩んでいくまちや人々の姿に勇気と元気をもらいながら、被災地は頑張っております。今後、恐らく時間をかけながらもとの姿に戻ったり、新たな姿をつくったりして、災害の傷跡は癒えていくのだと思います。  しかし、住民の負った心の傷は決して消えることはないと感じています。我々被災地住民にとって、あのときのショックは想像以上に大きく、これからも引きずりながら生きていくことになると思います。そのため、生活環境の変化やささやかな出来事に対する心のケアの必要性が高まっています。というのも、昨年の台風19号で大きな被害が出たとき、仮設住宅では被災地を思う気持ちが一番にあったことは間違いないのですが、西日本豪雨による被災がフラッシュバックするため、ニュース映像が見られなかったということ、また、この災害で自分たちが忘れられるのではないかという不安が募ったことなどがあり、目には見えないいろんな傷を負っていることを改めて思い知らされたからであります。  一方で、あの災害を冷静に振り返ってみると、非常時に際しての判断力が足りていなかったと感じています。実際、避難までに私がとった行動は、決して褒められたものではありませんでした。被災後、幾度となくこの議場でも当時のことを話しましたが、自分は大丈夫だろうという正常性バイアスが働いていたのは間違いありません。もっと危機感を持った行動がとれていればと悔やむことが、1年半以上経過した今でもたびたびあります。  昨年の台風15号、19号でも、各地で多くのものが失われました。報道を初めさまざまな媒体を通じて、ダムが緊急放流を行うこと、各自で命を守る行動をとることなど、過去の経験や気象予測に基づき、多くの情報が発信されていたように感じました。しかし、結果は御承知のとおりであり、私たちの犠牲が生かされず、教訓が伝わっていなかったと少し悲しい気持ちにもなりました。このことは、私たちと同様に、過去の災害で被害に遭われた方々も感じたのではないかと思います。  また、野村町をふるさとに持ち、関東に住む友人が、昨年の災害では、避難指示が出ていたにもかかわらず自宅待機という行動をとったということを聞きました。その友人は、西日本豪雨災害で実家が被災し、その現状を目の当たりにしていたのに、いざ自分がその立場に立たされてみると適切な行動がとれなかったと悔やんでいました。川端に住んでいましたが、幸いにして対岸の堤防のみが決壊し、自身の被害はなかったので事なきを得ましたが、この友人にも正常性バイアスが働いていたのではないかと思います。  このように、人は危機的状況に陥ったとき、適切な行動がとれる人ばかりではなく、とれない人もいると感じています。私たちに課せられた使命は、平時のうちにいかに危機感を伝えるかだと考えます。それができれば、まずは自分の身は自分で守るという自助の意識向上につながり、有事の際に多くの命や財産を守ることにつながっていくと思います。  また、これから時代は進み、社会は大きく変化すると言われていますが、5G等の通信技術が日々進歩する中、新時代に適応した危機管理能力の向上にも期待したいと思います。  そこで、お伺いします。  危機的状況に直面したときに、一人一人が適切な行動をとることが自助としての防災・減災対策の基本だと感じていますが、西日本豪雨災害の教訓を踏まえ、住民の避難行動を妨げる正常性バイアスの存在を認識した上で、早期避難対策にどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。  次に、海外視察を踏まえ、農業へのIT活用についてお伺いします。  昨年11月、ヨーロッパを訪れ7日間の視察研修を行い、オランダでは、ITを活用した先進農業を視察しました。御案内のとおり、オランダは北海に面し、国土が日本の九州と同じぐらいの面積で、その4分の1は海面よりも低い干拓地であります。至るところにクリークや水路があり、この水を利用し、特にハウスでの水耕農業が盛んに行われておりました。  現地では、花卉、トマト、パプリカの生産工場を見学しましたが、AIを初めとするITを活用した高度な環境制御技術や最新の栽培技術により、通常の数倍の生産量を実現し、効率的な経営がなされていることに感銘を受けるとともに、本県農業に生かすことができないものかとの思いが募りました。  また、オランダでは、地理的に陸・海・空の交通条件に恵まれていることから、積極的にEU各国へ輸出しており、農産物の輸出額がアメリカに次いで世界第2位であることに驚かされました。主としてEU加盟国への輸出が多いのですが、花卉類については、アフリカを初め世界各国から輸入したものを整備された市場で即刻競りにかけ、同国を経由して世界へ輸出する近代的な流通システムが整備されておりました。生産者は組合をつくって自主的に運営する手法をとっており、運営にうまく対応できない人は脱落していき、吸収統合により規模を大きくしていく人もいるとのことでありました。  オランダと本県では、地形、気候風土、地理的条件などが大きく異なるとは思いますが、限られた農地を最大限生かした植物工場での高度な生産システムや、生産者、研究機関などの強い結びつきと情報の共有が、こうしたイノベーションを支えている点は十分参考になるのではないかと考えます。  そこで、お伺いいたします。  本県農業においても、一層の生産性向上を図るため、積極的にITなど最新の技術を取り込み、競争力強化を図ってはどうかと考えますが、御所見をお聞かせください。  次に、愛媛酪農の将来展望についてお伺いします。  私の地元西予市は、県内の酪農家105戸のうち51戸、また、乳用牛の飼養頭数5,490頭のうち2,580頭と、それぞれ約半数を擁する県内最大の酪農地帯です。  酪農は、国民の健康維持に必要な栄養価の高い牛乳・乳製品を安定供給するだけでなく、牧草利用による国土保全や里山の景観維持、堆肥を活用した資源循環型農業の下支えのほか、学校等と連携した子供たちへの食と命の教育など、重要な役割と多面的な機能を果たしています。  一方で、酪農、乳業を取り巻く環境変化は著しく、特に、北海道を除く都府県では、高齢化による離農や後継者不足等により、生乳生産の減少に歯どめがかからず、2020年度の需給見通しを見ると、全国の総生産量では前年度比1.5%増と2年連続で前年を上回るのに対し、都府県だけでは0.7%の減少と、減産傾向が続くとされております。  また、ハード系チーズの関税撤廃や、脱脂粉乳、バターの低関税輸入枠が設定されたTPP11を初め、日欧EPA、日米貿易協定と相次ぐ大型貿易協定の締結に伴い、今後の北海道における脱脂粉乳やバター、チーズなどに加工する需要の減少と、牛乳など飲用乳としての供給の増加、そのあおりを受けた都府県の飲用乳向けの減少と生乳生産量の大幅減少など、国内生産者や乳製品市場は深刻な打撃を受けることが予想されております。  このような情勢変化を踏まえ、国においては、我が国の酪農振興方針である酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針の改定作業が進められています。現行方針では、今年度の見通しとほぼ横ばいとなっている全国の生乳生産量の将来目標を乳製品の輸入増加が見込まれる中でどのように設定されるのかが、今後の都府県酪農の将来を左右する重要な焦点となっているのであります。  こうした中、全国の酪農乳業団体等で組織するJミルクは、昨年10月に次世代の後継者たちが夢と希望を持って明るい国内酪農や乳業に意欲的に従事できるよう、わが国酪農乳業の展望ある未来に向けた戦略ビジョンを取りまとめました。  この戦略ビジョンでは、今後の酪農、乳業の持続可能な発展のために、成長性、強靱性、社会性の3つの戦略ポイントを掲げて、まずは、家族経営型酪農の安定を基本に、規模や経営形態などさまざまなタイプの酪農経営がその特徴を発揮し、継続性のある安定した生産基盤を強化しながら国産生乳の増産を図ることとして、2030年度の生乳生産量の現行の約1割増となる大幅な増加目標を設定すべきだと提言しています。  こうした動きに呼応するように、国は、今年度補正予算に北海道以外の都府県酪農を対象にした乳用後継牛の増頭奨励金を計上し、北海道などから約7,000頭の後継牛の調達を支援し、離農に歯どめをかけ、中小経営の規模拡大を促すこととしています。また、畜産施設や機械の整備を支援する畜産クラスター事業について、中小規模の家族経営型の酪農家が利用しやすくなるよう対象規模などの要件を緩和しています。  さらに、酪農乳業関係団体も生産基盤強化に向けた取り組みを展開することとしており、Jミルクは家族経営型酪農の生産振興を目的として、来年度から5年間、25億円の基金を造成し、新規就農者の技術習得や酪農家のネットワークづくりを支援するほか、酪農家らで組織する中央酪農会議においても、来年度から新規就農者のための情報提供サービスや各種支援事業を展開することとしております。こうした動きにより、酪農関係者からは、当初の予想より早く都府県酪農が増産に転じる可能性が高くなったと期待する声も出ているところです。  そこで、お伺いします。  本県において、こうした国や各種団体の支援事業を活用した増産対策など、家族経営型酪農の生産基盤強化にどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。  また、この戦略ビジョンでは、持続可能な成長産業化を目指し、酪農経営への新規就農や廃業経営の資源を生かした第三者継承の推進、新規就農希望者と経営移譲酪農家とのマッチング、自立的な酪農家のネットワーク支援なども提言されております。  しかし、酪農分野における新規就農希望者は、他の一次産業分野に比べて極めて少ない現状にあります。その理由としましては、年間365日、毎日朝夕の搾乳作業や飼料の給与、深夜の対応も求められる分娩監視等の作業のため、ろくに休日もとれないとか、粗飼料の生産、調製作業や重量物の運搬などで体力的にきついといった、家族経営型酪農に対する苛酷な労働負担のイメージが挙げられ、これらが新規就農意欲の阻害要因の一つになっているのであります。  国においては、政府の最重要課題である働き方改革の趣旨を踏まえ、搾乳ロボットやパーラーなどの設備投資等による労働負担の軽減を幅広い生産者が実行できるよう、「楽酪」事業、これは楽しい酪農と書いて「らくらく」と読みますが、同事業により酪農家が将来への意欲を持って働くことのできる環境づくりや、新規就農者や後継者の確保につながる環境づくりに向けた地域の自主的な取り組みを促すための活動計画の作成、実践を応援するなど、楽しい酪農の実現に向けた取り組みを進めております。  これは、いわば、酪農家の働き方改革であり、地域の抱える課題を分析し、将来の明るい酪農に向けた目指すべき姿として、集合搾乳施設を整備し、搾乳作業を輪番で分担するなどの搾乳牛の集合管理システムや搾乳ロボット、ミルキングパーラー、分娩監視装置などの省力化機械の導入などにより労働負担を軽減し、新規就農者が敬遠しないような楽しくゆとりのある労働環境をつくろうとする重要な取り組みであり、従来の酪農のきついイメージを一変させることができると期待しています。  先日、酪農の労働環境について、若手後継者の声を聞いてみましたところ、酪農ヘルパーへの教育実習など人材養成の充実や、酪農ヘルパーの紹介システムの拡充など、労働負担の軽減や休日の確保につながる酪農ヘルパー制度の拡充に大きな期待が寄せられたほか、酪農を志す人材への情報発信や、廃業農家と就農希望者のマッチングシステムの充実など、新規就農が円滑化するような環境整備に関する要望も多く、若手酪農従事者たちが、自分たちに続く将来の酪農人材の確保について真剣に考えている現状に、大いに意を強くしたところであります。  そこで、お伺いします。  県において、いわゆる働き方改革による酪農家の労働負担の軽減など、酪農家が将来への意欲を持って働くことのできる環境づくりや新規参入者の確保につながるシステムづくりにどう取り組んでいくのか、お聞かせください。  次に、フリースクールと連携した不登校対策についてお伺いをします。  その日は突然やってきました。これは、子供が不登校になった保護者からいただいた手紙の冒頭です。中身を読み進めますと、高校2年の3月、親から見れば充実していた高校生活。何の前ぶれもなく、いつもと変わらない朝、しんどい、学校を休むと言った息子がその日から不登校。親は突然のことと思っていたものが、子供は10年間も悩んでいたこと、いろんなところに相談するも、あすへの希望が見えなかったことなど、何とも言えない葛藤が書かれていました。  このような内容がつづられた手紙の数々が私のもとに寄せられたのは、昨年の7月、松山市にあるNPO法人が運営するフリースクールを訪れたときのことでした。そこに通う生徒や保護者、卒業生の声、その施設のおかげで何とか救われた現状など、同年代の子供を持つ親としても、その悲痛な叫びは心に突き刺さりました。  このフリースクールは、昭和60年に個人がボランティアで開設し、開設当時は学校で起きたいじめの解決への支援が主な取り組みでした。現在は、いじめやその他の悩みで学校に行けなくなった子供を学校や社会に完全復帰できるまで支援しています。失いかけた自分の人生を取り戻したい子供の声にならないSOSを受けとめて、子供たちのケア、学習指導などに昼夜を問わず尽力されております。この施設に救われた子供や保護者は数多く、フリースクールの存在は非常に大きいと感じています。  しかし、施設運営において家庭から集める学費を高額にできるはずもなく、また、企業や個人の寄附等にも限界があるため、ボランティアの厚意に頼りながら何とか運営しているのが現状で、フリースクールの民間運営の難しさに直面している状態であります。  一方で、文部科学省の調べでは、平成30年度の小中学校と高校の不登校児童生徒数は、全国で21万7,000人にも上ります。社会も生活も多様化し、不登校となる原因もこれだと特定できる子供ばかりでなくなった今、フリースクール等の子供や保護者等に寄り添い、ともに歩む施設の重要性は増すばかりだと考えます。折しも、平成29年に教育機会確保法が施行され、地方公共団体には、不登校の児童生徒が通いやすい民間のフリースクールや公的な教育支援センターなどを含めて、学校以外の場における教育機会の確保が求められております。  そのような中、県におかれては、広く企業や県民の参画・協力を得て、官民共同による本県独自の子育て支援策を展開するため、昨年10月に子どもの愛顔応援ファンドを創設しました。このファンドに寄せられた寄附金等は、子育て世帯や西日本豪雨で被災した子供への支援、貧困等の問題を抱える子供の居場所づくりや子供を支える地域のさまざまな活動を資金や物資面から応援する事業に活用するとされており、本年1月に子どもの愛顔応援県民会議が開催され、ファンドの活用策が議論されたと聞いています。  ファンドに託した県民の思いがどのような形になるのか、愛媛の子供たちの明るい未来の一助になることを期待しているところでありますが、県は、来年度当初予算案にファンドを活用してフリースクールを支援する経費を盛り込まれており、時宜を得た取り組みを心強く感じています。経営が厳しいフリースクールを支援することにより、ぜひ一人でも多くの愛媛の子供たちの笑顔につなげてほしいと思います。  そこで、お伺いします。  不登校児童生徒の多様な教育機会を確保するためには、フリースクールの果たす役割が非常に大きいと考えますが、県は今後、フリースクールとの連携・協力にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお聞かせください。  最後に、誤認逮捕の再発防止に向けた取り組み状況についてお伺いします。  県警察では、「ともに築こう 安全・安心 明るい愛媛」をことしの運営指針に掲げ、チーム県警で犯罪や交通事故等を抑止するとともに、的確に事件・事故等に対処し、県民の安全・安心の向上を図るため、職員の皆様が日夜、各種活動に取り組んでいただいているところです。  県内の治安情勢については、令和元年中の刑法犯認知件数が7,446件となり、前年から1,180件減少し、戦後最少を6年連続で更新したほか、交通事故の発生件数が15年連続で減少し、年間の交通事故死者数50人未満のアンダー50を達成するなど、県民と県警察が一体となった取り組みが着実に成果を上げているものと承知しております。  しかし、その一方で、昨年7月には、事件と全く関係のない女性を誤認逮捕するという、決してあってはならない重大な人権侵害が起こりました。県警察が昨年9月の県議会スポーツ文教警察委員会で報告した調査結果により、犯人性や消極証拠に関する裏づけ捜査の欠如、鑑定結果に対する捜査員等の過大な評価、捜査幹部によるチェック機能や捜査指揮の欠如などの捜査における問題点のほか、取り調べを担当した捜査員の言葉遣いなど、取り調べにおける問題点も明らかになりました。今回の誤認逮捕によって、県民の県警察に対する期待と信頼が揺らいだことは極めて残念であります。  このような誤りを二度と繰り返さないため、県警察では、調査結果を踏まえて、誤認逮捕の再発防止策として、犯人性に関する捜査及び裏づけ捜査の徹底、捜査幹部によるチェック機能の強化、警察本部によるチェック機能の強化、指導・教養の徹底の4つの大きな柱を策定しましたが、今後も、緻密かつ適正な捜査の推進や、客観的証拠に基づく心情に配意した取り調べを徹底するための指導・教養を組織全体で確実に履行し、深化、定着させることが強く求められています。  警察本部長は、年頭の警察署長会議において、誤認逮捕の反省を胸に刻み、一丸となり県民の期待と信頼に応えねばならないとかたい決意を述べられましたが、県議会などさまざまな機会を通じて情報を発信し、県民に対する説明責任を果たすことも、県民の信頼回復に向けた重要な取り組みの一つであると考えます。  そこで、警察本部長にお伺いします。  誤認逮捕の再発防止に向けた取り組み状況と決意についてお聞かせください。  質問は以上で終わりますが、最後に一言申し上げます。  昨年の夏、母校が9年ぶりの甲子園出場を果たしました。久しぶりに見る後輩たちが甲子園で躍動する姿に何とも言えない感動を覚え、私自身、約20年ぶりのアルプススタンドでの応援に何度も鳥肌が立ちました。結果は、残念ながら初戦敗退になったものの、今後、これを糧に頑張ってくれるものと期待しております。  今回、9年ぶりの甲子園出場をかち取りましたが、愛媛県大会はノーシード、決して下馬評が高いチームではありませんでした。県大会の直前、4月から赴任した監督と話をする機会がありましたが、そこで彼が言ったのは、4月からの少ない時間で生徒に教えたことは、3年生は偉いということ、整理整頓をきちんとするということで、この2点を徹底的に言ってきたとのことでありました。要は、技術論を超えた大事なことがさまざまな場面で生きてくるということで、昔、私も徹底的に教えられたことを思い出し、懐かしく、そしてうれしくもありました。  今後、社会が急激に変化すると言われていますが、私自身も時代に対応する柔軟さはもちろんのこと、忘れてはいけないことを心に刻みながら、ふるさとのため、愛媛県のために微力を尽くしてまいりたいと思います。  御清聴ありがとうございました。(拍手) ○(梶谷大治副議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(中村時広知事) 議長 ○(梶谷大治副議長) 中村知事   〔中村時広知事登壇〕 ○(中村時広知事) 兵頭議員に、まず、早期避難対策に関する御質問にお答えをさせていただきます。  防災の専門家等が参画した検証委員会においても、災害など非常事態が起こった際に、先入観により自分は大丈夫だと思い込む、いわゆる正常性バイアスが指摘をされたところでありまして、これによる避難のおくれと、それに対する改善方策が示されましたことから、県では、自助・共助の一層の推進と避難情報の伝達に力点を置きまして、各種施策を展開してきたところでございます。  さらに、他県において、昨年の台風19号被害でも、避難のおくれから被害が拡大した状況を鑑み、住民避難対策のさらなる強化に取り組む必要性を痛感しています。  このため、来年度は、新たに作成しました豪雨災害時の避難行動啓発DVDによる5段階警戒レベルのさらなる広報・周知や、砂防、水害学習会等の防災教育の実施により、平時からの自助意識の向上に取り組むとともに、避難行動に重要な役割を果たす防災士の登録者数全国1位を目指した養成加速や、自主防災組織による防災訓練等への支援など、地域防災力の一層の充実を図りたいと考えています。  さらに、県民の皆さんが地域の防災リスクを理解し、的確な避難判断につなげていただくため、土砂災害警戒区域の早期指定や洪水浸水想定区域図の策定推進、防災行政無線の高性能スピーカー等の整備促進、さらには、AIを活用した情報収集や地図形式で避難情報を提供する災害情報システムの高度化など、早目の避難行動を支援する施策も積極的に展開する所存でございます。  今後とも、甚大な被害を二度と繰り返さないという強い決意を持って、市町や防災関係機関と緊密に連携し、県民の皆さんが正常性バイアスを払拭して、命を守る行動をためらうことなく行えるよう、早期避難対策に全力で取り組んでまいりたいと思います。  次に、不登校児童生徒とフリースクール関連の御質問にお答えをさせていただきます。  近年、増加し続けている不登校児童生徒への適切な対応を図るためには、学校や公設の機関だけでなく、民間のフリースクール等とも連携した多様な教育機会の提供が極めて重要と考えます。
     昨年8月に、NPO法人が運営するフリースクールを訪問させていただきました。そのフリースクールの設置者及び先生方、そして卒業生、さらにはその親御さん、現在通っているこういったところにも出てこられる子供たち、その親御さん、四、五十人と2時間ばかりいろんな話をやり取りさせていただきました。  そこで実感したのは、不登校児童生徒の状況をしっかりと把握して、一人一人の状況に応じて、焦らずに学校復帰させることを最大の目標にしたきめ細かな対応と、関係者の教育にかける情熱であり、学校現場の支援に限界があることを認識した上で、官民が協力して子供たちを支援する方向にかじを切るべきであるという思いに至りました。  このため、ことし1月開催の子どもの愛顔応援県民会議でも議論していただき、官民共同により昨年10月に創設させていただきました子ども子育て応援基金を活用して、本県独自の認定フリースクール制度を創設することとし、経営の透明性の高さや、政治的、宗教的な公平性、中立性、小中高校生までの対象年代の幅広さなどを有識者で審査認定した上で、教材費等の教育活動に要する経費や人件費などを対象に財政的支援を行うとともに、国の新規事業を活用して、学校とフリースクール等の関係機関との連携を図るコーディネーターを配置することとし、必要な経費を来年度当初予算案に計上させていただいたところでございます。  今後とも、官民共同による愛媛オリジナルの子育て支援事業の柱の一つとして、しっかりとした取り組みを行っているフリースクールを認定し、それを積極的に後押しし、一人でも多くの子供たちが学校復帰や社会的自立を果たし、未来に夢や希望を持つことができる、希望あふれる地域社会の実現に向けて、効果的かつ継続的な施策を展開してまいりたいと思います。  その他の質問につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。 ○(田所竜二農林水産部長) 議長 ○(梶谷大治副議長) 田所農林水産部長   〔田所竜二農林水産部長登壇〕 ○(田所竜二農林水産部長) まず、ITなど最新技術による競争力の強化についてお答えをいたします。  柑橘に代表される本県農業は、経験豊かな篤農家たちが培ってきた先進的農法や高い技術力をベースに、県試験研究機関の研究開発力や普及組織、JA等の指導力が組み合わさって高い競争力を確保してまいりましたが、今後、激しさを増す国内外での競争を勝ち抜くためには、ITなど最先端の技術を積極的に取り込み、より高いレベルの品質や生産性を実現していくことが重要と認識いたしております。  このため、県では、今年度から、先進農家と普及組織がタッグを組み、環境制御技術を活用したトマトの養液栽培や伐採跡地を利用した栗の大規模高収益栽培など、飛躍的な収量増大につながる革新的な栽培技術の実証を進めるとともに、LEDを利用し、低コストで高度な環境制御を実現する国内最大級の閉鎖型野菜育苗施設の導入を計画する民間企業への支援も行うこととしたところでございます。  来年度からは、5G通信網の普及を見据え、農家と普及組織や研究機関、JAなどが技術情報の交換等を機動的に行うためのネットワークシステムの開発に着手することとし、当初予算案に所要の経費を盛り込んだところであり、今後とも、常に将来を見据え、最新技術を生かしたもうかる農業の成功例を生み出し、県下に広く普及させながら本県農業の競争力強化を図ってまいりたいと考えております。  次に、酪農の将来展望についてのお尋ねのうち、まず、家族経営型酪農の生産基盤強化についてお答えいたします。  中山間地域における家族経営が主体の本県酪農は、担い手の高齢化等に加え、相次ぐ大型貿易協定発効による影響の不透明さも相まって、農家戸数や飼養頭数の減少が続いており、この状況に歯どめをかけるためには、経営拡大に意欲を持つ担い手や後継者を対象に、地域の関係者が一丸となり、優良な後継牛の確保や積極的な設備投資による攻めの経営を後押ししていくことが重要と考えております。  このため、県では、平成27年度から生産能力の高い乳用牛の増頭を促進するとともに、飼養作業を省力化する設備の高度化や施設改修等の支援に取り組むことで、3年間で1頭当たりの年間乳量が300㎏増加し、1戸当たりの飼養頭数も約1割増加する成果を上げており、今年度からは、性選別技術の導入による効率的な優良雌子牛の生産システムの構築も進めているところでございます。  今後は、3年後に標準的経営で年間約250万円の収益向上を目指し、国が来年度に創設する増頭奨励金など、中小規模経営の生産基盤強化のための支援策の積極的な活用や飼料コスト低減のための生産組織づくり、酪農ヘルパー組織の強化など、家族経営の持続的な発展を地域全体で支える体制の充実を図り、足腰の強い本県酪農の実現に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、働き方改革など酪農家の労働環境づくりについてお答えをいたします。  朝夕の搾乳や飼料生産などの作業が伴う酪農は、畜産業の中でも最も労働時間が長く、後継者の確保や新規参入を妨げる大きな要因となっており、本県酪農の持続的な発展のためには、高収益酪農経営の確立とあわせ、働き方改革により労働環境の改善を図ることが不可欠と認識いたしております。  このため、県では、酪農ヘルパー制度の活用によります酪農家の休日確保の推進や、飼料生産や給餌などを省力化する高性能機械の導入をこれまでに33件支援したほか、今年度から、雌牛の発情感知や分娩を監視するシステムなど、低コストで省力効果が大きい最新機器の普及に向け、酪農関係者による協議会を立ち上げ、経営規模に応じた最適モデルの検討を進めているところでございます。  また、新規参入には牛舎の新設など多額の初期投資が大きな壁となりますことから、来年度から国などが拡充する支援措置を活用して、リタイアする経営者からの施設継承や将来の経営継承を見越した計画的な牛舎整備等を進めるほか、県酪連を中心に空き牛舎情報などを共有するネットワークづくりや就農希望者への情報提供等を進め、地域ぐるみで支え合う愛媛酪農の魅力をアピールしながら、将来にわたり本県酪農を牽引する意欲あふれる担い手の育成・確保に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(篠原英樹警察本部長) 議長 ○(梶谷大治副議長) 篠原警察本部長   〔篠原英樹警察本部長登壇〕 ○(篠原英樹警察本部長) 誤認逮捕の再発防止に関する御質問にお答えいたします。  県警では、昨年10月以降、誤認逮捕事案の再発防止に向けた取り組みとして、犯人性に関する捜査及び裏づけ捜査の徹底、捜査幹部によるチェック機能の強化、警察本部によるチェック機能の強化、指導・教養の徹底の4点を推進しております。  具体的には、本年2月までに、各種会議、警察署に対する巡回指導、警察学校での教養等により、警察署長を初めとする捜査幹部及び捜査員に対し、緻密かつ適正な捜査の推進及び客観的証拠に基づく心情にも配意した適正な取り調べに関する指導・教養を行っております。  また、警察署の通常逮捕予定事件につきましては、各署から警察本部刑事企画課に全件報告させた上で事前審査を適切に行っており、鑑定に関する事前検討及び事後検討により、鑑定結果の趣旨等について正しく認識させるための指導を強化しているところであります。  県警では、今後、同種事案を二度と繰り返さないよう、公安委員会から適切な指導を受けながら、県警を挙げて再発防止に向けた取り組みを推進し、県民の安全・安心を確保するという強い決意のもと、しっかりと治安責任を果たしてまいりたいと考えております。  以上でございます。    ――――――――――――――――― ○(梶谷大治副議長) 以上で本日の日程を終了いたしました。  明4日は、午前10時から本会議を開きます。  日程は、全議案に対する審議の続行であります。  本日は、これをもって散会いたします。      午後1時46分 散会...