愛媛県議会 > 2020-01-31 >
令和 2年えひめICT未来創造特別委員会( 1月31日)

  • 行政実例(/)
ツイート シェア
  1. 愛媛県議会 2020-01-31
    令和 2年えひめICT未来創造特別委員会( 1月31日)


    取得元: 愛媛県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-05
    令和 2年えひめICT未来創造特別委員会( 1月31日) えひめICT未来創造特別委員会会議録   〇開催年月日  令和2年1月31日(金) 〇開会時刻   午前 9時59分 〇閉会時刻   午前 11時44分 〇場所     農林水産建設委員会室 〇審査・調査事項等  〇 ICT技術等を活用した広島県の取組みについて 〇出席委員[12人]  委員長    越智   忍  副委員長   木村   誉  委員     宇高  英治  委員     大石   豪  委員     菅   森実  委員     塩出   崇  委員     徳永  繁樹  委員     中田 晃太郎
     委員     中野  泰誠  委員     帽子  大輔  委員     本宮   勇  委員     渡部   浩 〇欠席委員[0人] 〇その他の出席者[1人]  参考人    中井  哲也 〇出席理事者[3人] (企画振興部)  情報政策課長       池野  光則 (経済労働部)  産業政策課長       客本  宗嗣  産業創出課長       大内  康夫               午前9時59分 開会 ○(越智忍委員長) ただいまから、えひめICT未来創造特別委員会を開会いたします。  初めに、本日、参考人としてお招きをいたしました広島県商工労働局中井哲也地域産業IoT等活用推進プロデューサーを御紹介いたします。 ○(中井参考人) おはようございます。  広島県商工労働局から参りました中井哲也でございます。  本日は、貴重な機会をいただきまして本当にありがとうございます。よろしくお願いいたします。 ○(越智忍委員長) 以上で参考人の紹介を終わります。  それでは、これより議事に入ります。  本日の会議録署名者徳永繁樹委員塩出崇委員を指名いたします。  本日の議題は、ICT技術等を活用した広島県の取り組みについてであります。  最初に参考人から御説明いただきまして、その後、質疑を行うことといたします。  それでは、中井さん、お願いします。 ○(中井参考人) ICT技術等を活用した広島県の取り組みひろしまサンドボックス」について説明させていただきます。  これがきょうのメニューになりますけれども、こういった流れで説明していきたいと思います。  最初に、3つの施策について説明をさせていただき、その中の柱であるひろしまサンドボックスについて、現在やっている取り組み及び具体的な実証プロジェクトの内容、お手元に詳細な内容のパンフレットもお配りしておりますけれども、その内容について御説明させていただき、最後に、ことしやっている新たな取り組みなどを御紹介させていただきたいと思っております。  まず、広島県はイノベーション立県を目標に掲げておりまして、イノベーションを生む施策として3つの取り組みを行っております。  1つ目は、左上にありますけれども、広島県ではイノベーション創出拠点として平成29年3月にイノベーション・ハブ・ひろしまCampsというものを中心地に構えました。  このCampsでは、人と人とのつながりを創出することを目的といたしまして、官民問わずさまざまなイベントをこの場で実施しております。開設以降、年間1万人以上の方々に来場していただきまして、イベント以外でもアクティブに100人以上の方々が常時ここをお使いいただいている状況です。  この取り組みを通じて、例えば県が主催するハッカソンに参加された方々が、新たにこういうアイデアを具体化していこうということで、NPO法人を設立したりとか、あとは広島を代表するお好み焼きのオタフクソースという会社がございますけれども、この会社がここで皆さんとディスカッションして得られた知見から、新たに7大アレルゲンフリーのお好み焼き粉を商品化しました。それが評判を得て、その後、永谷園や日本ハム、ハウス食品といった大手食品メーカーと一緒にコラボレーションして新たに食物アレルギー改良商品の普及とかレシピの共同開発情報発信を一緒にやるといったような活動にどんどん展開していくというような事例もございます。  また、昨年9月にはNTTドコモさんの御支援をいただいて、今話題の5Gの基地局をこちらのCampsの中に設置していただきまして、その最新の技術を先駆けて体験していただくことができるようになっております。  これらはほんの一例ですけれども、広島県では一つのつながりが新たなつながりをどんどん生み出して、次々とイノベーションが生まれていく好循環、イノベーションエコシステムと呼んでいますけれども、そういったことの構築を目標に掲げております。  2つ目は、ひろしまデジタルイノベーションセンターというものになります。  広島県は、ちょうどきのうで創立100周年を迎えられましたマツダ株式会社を中心とした製造業が比較的盛んな県として認知されております。そして、製造業を中核とした産業界ものづくり分野研究者が集積する広島大学もございます。  そういう強みを生かして、デジタル技術を活用して県内産業生産性向上や、付加価値増大を図るためのいろんな取り組みを実施しております。例えばスーパーコンピューター、高価なものですけれども、これを何時間幾らという形で中小企業の方々に使っていただける環境を提供したり、真ん中にMBDとございますけれども、これはモデルベースデザインの略でございまして、御存じのとおり、マツダはトヨタなど大手と比べると研究開発費がそれほど潤沢ではないという中で、トヨタは実際に車を何台もクラッシュさせてデータを得るということができるかもしれないですけれども、マツダは、できるだけコンピューターを使ってシミュレーションして短期間でいいものをつくっていくということに取り組んでいて、そのマツダに協力いただいて、この場でモデルベースデザイン人材育成といったこともやっております。  イノベーションに続く3つ目が、きょうメーンで御説明させていただきますひろしまサンドボックスです。  サンドボックスを始めるに当たって、どういう背景があったかというと、広島県には5,000を超える中小製造業があるのですが、新しいことをやっていくに当たってのコストや人材、スキルなどが備わっているかというと、なかなか難しい。ROIと書いておりますけれども、そういう新しい技術を使って何かやるといったときに、具体的にそれがどういうリターン、効果を生んでいくのかということが最初からちゃんとわかっているかというと、なかなか難しい面もあるということで、そういうことを後押しできる場としてひろしまサンドボックスを開始したという背景がございます。  概要ですけれども、広島県は、東京と比べるといろんな人材の豊富さという意味では、やはり難しい面がありますので、県外の企業の方々を広島の企業と引き合わせて、広島の地において一緒に競争して試行錯誤しながら、昨今注目されておりますAI、IoT、また、ビッグデータといった新しい技術を使って、新しいものをつくり出していくことを目指してやっていこうということで、国の予算には頼らず県の予算で、平成30年度から3年間で10億円を投じてやっているものでございます。  このサンドボックスコンセプトは、知事の湯崎も言っていることですけれども、新しいことにチャレンジして失敗してもいいですと、最初から成功することがわかっているというようなものではなくて、できるかできないかわからないけれども、いろんな方々がまじってここでチャレンジしてくださいというコンセプトでやっております。  サンドボックスというと、政府がやっている既成のサンドボックスという観点で見られるケースがよくあるんですけれども、ここは子供が砂の城をつくって壊して、また新しいものをつくるというような、新しいことにとにかくチャレンジするという意味を込めてサンドボックスという名前をつけております。  次に、推進体制についてです。  ひろしまサンドボックス推進協議会というものを設けておりまして、会員数が900者を超えました。左にございます広島県とパートナーになっていただくいろんな通信事業者等の組織が新たな企画を立てて、サンドボックス推進協議会の中から、右にございますいろんなコンソーシアムを組成していただいて、実証プロジェクトに公募してプロジェクトを立ち上げていくというような流れをとっております。  これは去年実施しました、ひろしまサンドボックス作戦会議というイベントです。定期的に協議会の会員の方々が集まって、防災、観光、医療などいろんなテーマについて、この場で一緒に議論していただくというようなことをやっております。  会員区分としてはここに5つ書いてございますけれども、私たちはこういうことを実際に実証実験でやっていきたいんだというプレイヤー、それを支えるパートナー、いろんな知見を持っているアドバイザー、投資家などのインベスター、あとオブザーバーという区分を設けておりまして、これは随時変更することが可能です。そういう方々に集まっていただいて、いろんなサポートメニュー人材育成の支援、情報交換マッチングによる新しいプロジェクトの創出、先ほどの交流の場もそうですけれどもマッチングイベントの開催であったり、SNSでそういった交流ができる場を用意しております。あとは一番下ですけれども、情報発信、PRにも力を入れてやっております。  次のページが、ひろしまサンドボックス推進協議会の930者の内訳です。県内、県外の区分で見ますと、7割が県内、3割が県外の方となっておりまして、業種で見るとやはり情報通信が多く、次に自治体の方が多い状況となっております。新たなパートナー企業の募集と書いてございますけれども、いろんな方々からお問い合わせをいただきます。こういうことを広島でやってみたいんだと言っていただける方もいらっしゃいますし、こういう技術は持っているので、地域の課題を把握して、それとリンクすることで何か新しいことを生み出したいということで、一緒にマッチングしてやるようなケースであったりとか、逆に、広島県の中では地域課題としてこういうものを解きたいんだけれども、これを解く技術の支援が欲しいとか、そういういろんな方々に入っていただいてそれをうまく結びつけるというようなことをやっている状況でございます。  取り組みステップですけれども、ステップ1と書かれているこの3年間では、個々のプロジェクトが抱える課題であったりビジネス化ということをIoT、AIの技術を使って解いていって、できるものは商用化市場化につなげていく。もちろん最初に申し上げたとおり、チャレンジしてくださいという場ですので、皆さん皆さん、うまく社会実証できるかというと、そうは思っていませんので、できるものから順次していくということになると思います。  一番右にございますステップ2では、個々のプロジェクトの課題を解決していくに当たって、AIやIoTの技術を使ってデータがたまっていきます。このデータをうまくいろんな分野間で流通、促進、交換していくことで、全く新しい分野のビジネスが起こってくるのではないかということを期待しています。  昨今、医療掛けるモビリティ、MaaSといったようなことは非常に親和性が高いとか言われていますけれども、いろんな分野間でデータを交換することで、本当に新しいビジネスが生まれてくるのではないか、それが地域の活性化につながっていくのではないかということを意図して、得られたデータ皆さんで使っていって新しいものをつくっていくということをステップ2で考えております。  それをイメージで書いたものが17ページになります。この後紹介させていただきますカキの養殖であったりレモンの栽培であったり医療のプロジェクト、いろんなプロジェクトが現在走っているわけですけれども、それらのデータが各IoTプラットフォームソフトバンクさんとかNTT西日本さん、エネルギア・コミュニケーションズさんなどのIoTプラットフォームの中にたまっていっています。  これをうまく流通するような仕掛けを、データ連携基盤というところで設けて、その上に書いてございます分野を超えた連携というところで新しい地域の課題を解くことで新しいビジネスをつくっていくことが今後の狙いになっています。  スケジュールについてです。ひろしまサンドボックスは平成30年5月17日に東京の渋谷で記者発表させていただきまして、それから平成30年度中に2回の公募をして9つのプロジェクトが採択されております。この9つのプロジェクト自由提案型で、テーマ皆さんが自分で持ち寄って応募していただいたんですけれども、今年度の取り組みの特徴としては、県が抱えるいろんな行政課題をどうやって解けばいいでしょうかということを皆さんに公募をかけて、それにいろんな方々から御提案をしていただいているところです。  それで、広島県では今、道路の維持管理に約140億円のコストがかかっています。これをいかに下げるかということで、道路ののり面の崩落予測についてデータをとっていくものであったり、あとは広島県の北部の方は雪が降るのですが、雪で見えないところを除雪車が誤って、下のマンホールを掘り起こしてしまったり、側道やいろんなものをシャベルで壊してしまうという問題を解決できないかというプロジェクトをしていたり、あとは道路の補修について、昨今いろんな方々が使っている車のドライブレコーダーから得られる情報とか、郵便配達員にカメラをつけて映像を撮ってもらうなどして、データをいろんな形で収集して、どこの道路の補修をしないといけないかということの調査にかけるコストを下げるなど、いかにメンテナンス代を下げていくかというようなことの公募をして、多くの方々に御提案いただいて、非常にいいアイデアが出てきている状況です。ちょうど今最終選定に入っています。  これが平成30年度の公募の状況です。第1次公募で38件、第2次公募で51件ということで、トータル約90件のうち9件が採択されたということで、約1割しか採択に至らなかったわけですけれども、この残りの約80件の御提案いただいたものも非常にきらっと光るものが多くて、この方々に今年度どう新たなチャレンジの機会を与えていくかというようなこともテーマに、今年度は取り組んでおります。  こちらの一覧が平成30年度に採択されました9つのプロジェクトです。分野を見ると産業、農林水産、観光、健康福祉、交通、交流連携基盤といったように、結果としていろんな分野に万遍なく散らばってプロジェクトが進んでおります。  簡単に御紹介させていただきたいと思います。  最初は島嶼部傾斜地農業に向けたAI/IoT実証事業で、こちらはレモンの栽培です。愛媛県は柑橘王国として非常に広く知られていますけれども、広島県はレモン生産量が今日本一でございます。ただやはり非常に高齢化が進んでおり、高齢の生産者による勘と経験で栽培されているという現状です。また、高齢化で農園がどんどんなくなっており、レモンの生産が追いついていない状況の中で、どういうふうに農業知識がない方であってもレモン栽培をしていくか、AI、IoTを使って素人の方でも生産できないかという課題に取り組んでいるプロジェクトです。  内容としては、下に写真がございますけれども、MCICとか竹中工務店さんが建設現場で使っている、収穫したレモンをかごに入れると自動的に集配所まで往復してくれるようなロボットを使ったり、また、ドローンを使って空から画像を撮って、なぜこの斜面だけレモンがたくさんとれるのかということから、土の温度であったり水分量であったり、いろんなデータをとって因果関係を追跡していくようなこと、あとはレモン木一つ一つQRコードをつけて木を特定して、GPSを使って空からの位置を特定するなど、あらゆるデータをとっています。  このチームは、エネルギア・コミュニケーションズさんにも入っていただいていて、データを使った精密農業のパッケージとして、海外にもそれを売っていこうということまで視野に入れて、レモン生産のみならずいろんな分野に展開していけるように、国内外を問わず積極的に取り組んでもらっています。  2つ目は観光のプロジェクトです。宮島は外国人観光客がふえておりますけれども、渋滞や混雑がひどいということで、観光客に与えているストレスを解決しようとしているプロジェクトです。  カメラを使って、どういう観光客が宮島の中を周遊されているのかというデータをとったり、あとはトイレの空き状況とか混雑状況を、LINEアプリケーションをつくって可視化して、観光客皆さんに使っていただく。あとは、宮島の中には弥山という山に登っていくロープウエーがあるんですけれども、乗り場が非常に混雑しているということで、そのロープウエー事前予約LINEアプリケーションを使ってできるということも好評を得ておりまして、そういった観光客ストレスフリーと、今後の狙いとしては、宮島に行った後、広島は原爆ドームも有名ですし、ほかのところにもどんどん観光客に周遊していただけるような誘導を図っていくということを目指してやっております。  3つ目は、広島大学にリーダーになっていただいている医療のプロジェクトです。昨今、PHR、パーソナルヘルスケアレコードの略ですけれども、あとEHRという言葉が言われますけれども、今は個人の医療データがいろんなところに散らばっている状態です。例えば自治体の中に国保のデータがあったり、レセプトデータはどこどこにあったり、各医療診断の結果は各病院にあったり、あるいは個人で複数の病院にかかっている場合、そういうデータがいろんなところにあるという中で、個人起点で見た場合、それを一つに名寄せして時系列で見ることができれば、個人の健康意識が高まってくる。昨今、情報銀行という言葉をお聞きになられたことがあるかもしれませんけれども、個人のデータを売買するということが普通に起こってきています。  この広島大学プロジェクトの中では、個人のレセプトデータから糖尿病になる重症化予測をして、この方は糖尿病になりそうだという前の段階で保健師さんがうまく介在して、重症化を食いとめるということで医療費を削減するという実証された取り組み、これを呉モデルと呼んでいまして、医療費削減につながったという実例があります。  今後、政府のマイナポータルや、いろんなところで個人のデータが取り出せるような状況が、どんどん改善されていくと思います。例えば国保のデータは、現在は基礎自治体に保管されています。広島県は基礎自治体ではございませんので、いろんな県内の基礎自治体の方々にも御協力いただいて、この取り組みを展開していくことを進めております。  4つ目の異なるプラットフォーム間でのデータ結合というのは、ソフトバンクさんと地場の広島銀行、エネルギア中国電力さん、ゆめタウンという小売業の方々が一緒になって取り組んでいただいているもので、先ほど申し上げました、いろんなところでデータがとれたものをうまく掛け算することで新しい分野のビジネスを創出していけるのではないかという、データ基盤をつくって実証していただいているプロジェクトになります。  次の5番ですけれども、こちらは中小製造業でスマートファクトリーに取り組んでいるプロジェクトです。昨今、インダストリー4.0、第4次産業革命の中でも製造業の新しいイノベーションということが叫ばれていますけれども、中小製造業はなかなかこういった新しいことをやっていくことが難しい中で、まずはできるところからやっていこうというプロジェクトになります。  具体的には、いろんな生産ラインで製造する機器がありますけれども、それの稼働状況データをとることで、この機器は何時間後に故障する可能性が高いとかそういったことがわかってきます。そういうことで、いかに生産稼働率を高めるかという取り組みをやっていますが、そうはいっても、そこまでいくにはかなり時間がかかりますので、例えば、製造業試験機械とかいろんな道具がございます。それを見えるように一元化して、いろんな中小製造業の間でシェアしていく仕組みをつくっていったりするなど、今できることから取り組んでいるというプロジェクトになります。  次はカキの養殖です。これは江田島でやられているんですけれども、広島県はカキの生産日本一です。現状・課題のところに書いてございますように、カキの養殖の一番の鍵は、カキの赤ちゃんが生まれてきたときに、採苗と申しますけれども、ホタテガイの貝にそれを定着させて養殖していきますが、そこの過程がうまくできないと、約25億円のコストが発生してしまい、カキの生産量が減ってしまうということになります。そこでこのプロジェクトでは、カキの赤ちゃんが生まれるときには海水が白く濁るという現象をドローンで画像的に捉えてデータをとって、そこにうまくカキイカダを移動させたり、あとは赤潮が出た場合、カキは全滅してしまいますので、カキイカダにぶら下がっているカキの5メーターごとの水温をとったり、プランクトンの濃度などを測定するなどして、発生要因が起こったときにどういうアクション、対策をしていけばいいのかということに取り組んでいます。こちらもいろんなメディアで取り上げていただいて注目されております。  次の7つ目ですけれども、瀬戸内海には、大型船舶やいろんな定期観光船、個人が所有するプレジャーボートなど、いろんな船が行き来しており、いろんな事故が起こっています。その事故を防ぐための取り組みとして、このプロジェクトでは、自動的に船舶を認識して安全航行するためのマップをつくっています。大型観光船はいろんな方々と情報をやりとりしていますけれども、それ以外の船、プレジャーボートなども安全航行していくために必要な情報を提供して、事故のない瀬戸内海となるように活動されています。  ビジネスとしては、ウーバーというアメリカのタクシーの配車システムの会社がございますけれども、これの海版で、海のウーバーというようなものをこのプロジェクトでは考えております。御存じのとおり、昨年、アメリカニューヨークタイムズが2019年に行くべき52カ所という中で瀬戸内の島々が取り上げられて、非常に外国人観光客もふえてきております。このような中で、いかに観光客が思い立ったときに、自由にいろんな島に行ける交通手段を与えられるかということで、個人が持っているプレジャーボートを借りるような形、いわゆるウーバーのモデルですけれども、そういったこともビジネスとして考えています。  次に、保育現場プロジェクトです。これは株式会社アイグランという保育施設を運用管理している広島の会社です。この会社の特徴は、子供ができたとかいろんな理由で今保育士としては働いていないという待機保育士の方々に、もう一回保育現場に戻っていただきたいということで、自分のお子さんも一緒に連れて働きに来てくださいというような仕組みをうまくつくって、成長している保育施設運用会社です。今、保育現場でどういう課題が起こっているかというと、預かっている子供の死因の一番は窒息死ということで、そのために保育士の方々は5分に1回、寝ている子供たちを見回っているという状況があるわけですけれども、人手不足の中で、保育士もそれだけに非常に労力をとられているということで、子供たちIoTのセンサーをつけて、これは胸に張るパッチ、シールみたいなものですけれども、それで子供がちゃんと息をしているかどうかということをデータ化することに取り組んでいます。また、それ以外にも、子供がより快適にそこで生活していくためにいろんなデータをとって、サービスの改善につなげようということを行っていらっしゃいます。  最後に9つ目です。松山市にも路面電車がございますけれども、広島市にも路面電車が走っております。路面電車と一般自動車や歩行者などの接触事故はなくなっておりません。そういう中で、いかにそういった事故を減らしていくか、あるいは路面電車がほかの輸送手段と比べるとちょっと遅いということもありますので、いかに効率よく運行していけるかということを広島県警とも一緒になって、信号の切りかわるタイミングや、信号からとれるいろんな情報、例えばここを右折する車がいるとか、カメラで撮っている映像、そういったものと路面電車との間で情報交換をすることで事故を減らし、効率的な運行をしていくことが図れないかということをやっているプロジェクトです。  ニュースでも取り上げられましたけれども、路面電車が走っている線路の中を、バスが自動運転で追随していくというようなことで、公共交通をできるだけ優先する形で渋滞を減らす、また、ある程度の渋滞下であっても公共交通が優先されて、市民の皆さんの移動が効率的になっていくということにも取り組んでおります。  以上の9つのプロジェクトは費用も非常に潤沢でして、3年間で1件当たり1億円の予算が割り当てられているプロジェクトでございます。最初に申し上げましたが、3年で10億円ということなので、残り1億円しか残っていないという中で、新たな取り組みを行っております。  会員の方々の県に対する要望は、お金が必要ですということが上位を占めるんですけれども、意外と、自分たちではできない方々と出会って一緒にやっていくというマッチング、そういう場をどんどんつくってほしいという意見もあります。事業化していけるアイデアは持っているのでお金を出してくれるインベスターの方々と出会う場が欲しいとか、いろんな方々の足りないピースの部分をうまくはめていって、最終的には自分たちで自走していただくためのサポートがいろいろできるのではないかということで取り組んでいるものが、今年度の新たなサポートメニューと呼んでいるものです。  この9つのプロジェクトの反省点は、最低4つの企業が一つのチームを組んで、そのうちの一つは広島県内の地場の企業であることを条件にしていたんですけれども、結果として結構大手の方々しか選ばれませんでした。ですので、今年度は個人の方でもアイデアを持っている方は参画いただけるといった、本当に裾野を広げていろんな個々のニーズに対応できるようなメニューを設定しております。  パートナー企業とここに書いてございますけれども、お金がない中でいろんな大手の企業が、我々はこういうサービスをやりたいんだけれども地域の課題がわからないとか、実際そういうフィールドがないということで協力してくださる企業も出てきておりまして、そういう方々にある意味資金的なところはかなり負担いただいてやっているというのも今年度の特徴でございます。  具体的には、ここにございます8つのテーマです。今、進んでいるものとまだ選定が終わっていないもの、いろんなものがございますけれども、大体今年度はこれで30から40社ぐらいの方々に新たにプロジェクトを起こしてやっていただくような形になっています。  その中で、上から2つ目のアカデミア・チャレンジと書かれているものは、これは中国総合通信局と中国経済産業局に御協力いただいて、霞が関の新しい動きや広島県以外でのいろんな研究成果、そういうものと先ほど申し上げました落選した80件のプロジェクトとのマッチングを図って、国の補助制度を活用して新たにチャレンジしていただくという取り組みです。具体的にこれで、今幾つかのマッチングが成功して、次年度の政府の実証実験の予算を使ったものが生まれてきている状況です。  その次のPITCH TRIALというのはNTTドコモさんに5Gの環境を御提供いただいて、その上でいろんなビジネスアイデアを募集して進めているものです。  一番下のスタートアップ・チャレンジというのは、クルーさんというスタートアップ支援の会社が東京にございます。その会社と一緒になって、また、広島銀行さんにもベンチャーキャピタルとして御支援いただいて、広島の企業が抱える課題を東京のスタートアップ企業とうまくマッチングさせて新たなビジネスを生んでいくというプロジェクトをやっています。今回手を上げていただいたのが洋服の青山の青山商事さん、マツダさん、広島ガスさん、エネルギア・コミュニケーションズさん、あとダイクレさんという広島にある会社ですが、そういう方々が私たちの会社は将来こういう会社になっていきたい、あるいはこういう課題を解きたいということを東京で発表いただきまして、多くのスタートアップ企業がそれを聞いて、私たちこういうアイデアができますということで、173社の東京のベンチャー、スタートアップの方々が応募をしてくださいました。その中でこれは一緒にやっていけるというものが今選定されているところですけれども、その選定を受けたら、マツダさんだったり広島ガスさんが事業化のために予算化をして、東京のベンチャーの方々と一緒にビジネスをつくっていくということをやっております。  こちらの右下の写真は、非常に遅延が少ないということが特徴の5Gを使って、先ほどのひろしまCampsというイノベーション施設と渋谷のスタジオを結んでおります。渋谷などの大都会には非常に有名なダンスの先生がたくさんいらっしゃって、ダンスレッスンを生で受けられるわけですけれども、地域ではそういうことが難しいので、5Gで渋谷と広島を結んで、広島のアクターズスクールの子供たちが一緒にダンスレッスンをやっているという写真でございます。  右上は昨年、シーテックという東京のイベントの中で知事が講演する機会をいただきまして、そこでの発表シーンです。  それ以外はいろんな方々が集まってアイデアを出し合って、課題は何か、それを解く手段は何かということを徹底的に議論して新しいものをつくり上げているという様子の写真です。  こちらは、AI人材育成「ひろしまQuest」というものをやっております。経済産業省のレポートによりますと、2020年でデータサイエンティスト、いわゆるAI人材が既に約4.8万人不足しているということです。今後は、それがどんどんふえていくのではないかということで、AI人材をどう育成していくか、しかもそれを地域においてどう育成し、ふやしていくかということに取り組んでいる施策です。  具体的には、オンラインのeラーニングでAIの勉強ができて、その後、実際にオフラインで皆さんが集まって何か一つお題を与えられて、AIを使って課題を解いていくというワークショップなどをやっております。キーワードとしては、やはりこれからの次世代を担っていく高専生であったり大学生であったり、いわゆるデジタルネイティブな人たちを対象としてやっていこうと力を入れているものです。  最後のページですが、これはちょっと宣伝になってしまうんですけれども、広島でこういうことをやっているということをある程度PRしていかないと、人が集まってくるという流れもなかなかできないということで、いろんなPRにも力を入れております。おかげさまでインプレスさんのデジタルトランスフォーメーションアワード2018年の自治体部門でグランプリを受賞して、さらに全体のグランプリということで取り上げていただきました。あとはForbesの雑誌でもこういった取り組みを取り上げていただいておりますほか、各プロジェクトの方々、本当に頑張っていただいていまして、このパンフレットでは個々の取り組んでいる方々の顔もわかるようなものにしておりますけれども、個々のプロジェクトは県を介さずいろんなメディアから取材を受けて取り上げられているという流れが、徐々にではございますけれども起こってきたと思っております。  以上、稚拙な説明になってしまいましたけれども、長時間にわたり御清聴いただきましてありがとうございました。 ○(越智忍委員長) ありがとうございました。  御説明が終わりましたけれども、時間も経過していますのでここで若干休憩をしたいと思います。11時から再開したいと思いますので、よろしくお願いします。               午前10時48分 休憩            ――――――――――――――                午前11時 再開 ○(越智忍委員長) それでは、再開をいたします。  議題に関する質疑がございましたらよろしくお願いします。
    ○(帽子大輔委員) 先進的な御説明ありがとうございました。  ひろしまサンドボックスデータ連携についてお伺いしたいのですが、例えば通勤時間であるとか、もしくは皆さんが移動時間にどれぐらいコストをかけているかということは、確かに潜在的にある程度見えていなくて、それを見える化することによって物すごく価値があるということがこれでわかったりして、いいことだなと思いました。松山市も通勤時間が短いことが住みやすさの一つの売りになっていることを考えると、多分こういうことはいろんなところで価値があるんだろうなと思います。  そこでお伺いしたいのが、実際にデータ連携をする中で、どういった価値を今見出しているのかということを教えてください。 ○(中井参考人) このプロジェクトは今、ソフトバンクさん、広島銀行さん、中国電力さん、あと地元の小売業のイズミさんと一緒になってやっているんですけれども、まずはソフトバンクさんが携帯事業者として持っている匿名化した人流データや、あとは小売業者が保有している、どういう年齢層の方々がどういうものをよく買っているのかとか、そういうデータを持ち寄っているところでして、どういう課題が解けるか、具体的な価値は何なのかというところまでは実はまだいけておりません。いろんなデータを重ねていろんな見方をするということを、今、ソフトバンクさんのIoTプラットフォームで工夫がなされていまして、その中でいろんな観点でその価値を加えていくことは、これからアイデアを出し合ってやっていかないといけないねという、正直言うとまだそういう状況です。  データのスコアリングという言い方がされるんですけれども、4者が個人情報を伏せた形でデータを出し合う中で、例えばこの地域は20代の独身の方が多くてこういう傾向があるということがわかってくるんですけれども、ではそこで何か新しいお店を出店したいといったときには、そういうデータが必要になったり、そこでこういう商売をやりたいという人が、そういうデータをもらった結果、出店がもっと活性化していったり、また、逆を言うと、そういうマーケティング情報が得られた状態で出店するので倒産しづらいとか、何かそういうことに活用していけるのかなという議論は起こっているんですけれども、まだ具体的な価値をどう皆さんに使っていただいてビジネスを生むかというところまでは、まだアイデアが足りない状況でございます。  答えになっていなくて申しわけありません。 ○(帽子大輔委員) ありがとうございます。  私も考えながら、例えばこのエリアは通勤時間は短いけれども、地価の相場からいうと非常に割安だと、それを首都圏と比較したときに、やはり地方にはこういう価値があるんだというような、いわゆる見える化を武器として持つとこれからもっと戦えるのかなといったことを思ったので、ちょっとお伺いをしました。  まだまだこれからということなんですけれども、例えばソフトバンクさんみたいな通信キャリアは非常に豊富なデータを持たれていて、ほかの中国電力さんやイズミさんが持たれているデータの価値からいったら、圧倒的にソフトバンクさんのデータの価値が、金銭的には高いのではないかなと思うんですけれども、その辺のバランスについては何か公表されているのですか。 ○(中井参考人) おっしゃるとおり、携帯事業者は個人の情報も含めてたくさんの情報を持っています。このプロジェクトに入ってもらっているソフトバンクさんの匿名化された人流データは、今は無償で提供してもらっています。ただ、よりその個人にひもづくような情報が、いろんな地域課題を解くに当たって必要となった場合には、ソフトバンクさんに限らず、ある程度お金を出せばそれは購入できるような状態にはなっておりまして、そこはどこまでの情報が欲しいかといった個別協議になると思います。 ○(中野泰誠委員) とても参考になるお話、ありがとうございました。  今回の9つの事例は、我々の地域でも瀬戸内の海上交通がありますので、参考になることがあると思うんですけれども、1事業1億円の予算を投入して持続可能な採算のとれるような事業に、現状見えてきているものがあるのかということと、来年度で終わりということですので、今後、広島県としてはどういった予算対応を考えているのかを教えていただきたいと思います。 ○(中井参考人) まず1点目の、今やっているプロジェクトが採算をとって自走していくのかということなんですけれども、9つのプロジェクトの中で具体的にどこがいい、悪いというのは言えませんが、やっている皆さん自身ももうビジネス化できるのではないかという自信を持っていらっしゃるものは幾つかありますし、ちょっとこれではビジネスとして成り立っていかないよねというものももちろんあります。  もともとのコンセプトが、何も恐れずにどんどんチャレンジしてくださいということでしたので、全部が全部うまくいくとは思っていませんでした。そこはいけるものからいってくださいという中で、二、三個はビジネスにつながっていくのではないかと個人的には思っています。  2点目の、3年間のサンドボックスプロジェクトが終わった後、これらをどう継続していくのかということに関しましては、令和2年度に検討していきたいと思っています。  ただ、サンドボックスをやっていく中で今、900者を超える企業が協議会に参画いただいていること、これそのものが資産だと思っています。みんながお金がない中で、県がお金を投じられなくても、協議会に行けば新しいことが生み出せて、自分を高められる、何かそういう人たちがいっぱい集まっている場だという認知のされ方をして、うまく協議会が存続していければ最高だなと思っていますし、そこが一番大切なところかなと思っています。企業誘致や起業をして新しいビジネスを立ち上げていただくという意味でも、地方にそういう元気な人たちが集まる場があるということが本当に大事だと思っていますので、そこは何とか存続させていきたいということをみんなで議論しているんですけれども、すぱっとやめることも一つの案で、いつかはやめなきゃいけない、ずっとやっていくというものでもないという議論もありますので、そこは県議会の皆様の御支援、アイデア、御示唆もいただきながらこの1年で結論を出していければと思っております。 ○(中野泰誠委員) ICTや5Gを調べていくと、このひろしまサンドボックスという言葉に当たることも多くて、PR的な効果も大きくすばらしい取り組みだと思いますし、瀬戸内海を挟んで、柑橘や海上交通とか、愛媛県でも何か導入できるものがあるかもしれないので、今後、ビジネス化も含めて成功モデルがあれば私もぜひ継続して見ていきたいと思います。 ○(中井参考人) その点について私、コメントを忘れていました。  このサンドボックスプロジェクトは、広島県のためだけに成果を使いたいとは全然思っていなくて、ここで失敗したさまも含めて、やってきたプロセスをできるだけオープンに皆さんに知っていただこうということを一つ掲げております。もちろん、愛媛県とは隣県でございますし、先ほど申し上げた瀬戸内の海のウーバーみたいな観光や、レジャーボートのシェアリング事業、あとは交通ITSの部分で路面電車があるというところでも共通する部分がありますし、あとレモンの栽培でも柑橘ということで一緒につながってこられる部分など多々あると思いますので、そういうことに御興味ある方とプロジェクトをやっている方とのマッチングみたいなこともぜひやらせていただきたいと思っていますので、県内で取り組まれている方々をどうぞ御紹介いただければ、お引き合わせしてそういう場をつくっていきたいと思っています。 ○(大石豪委員) 御説明本当にありがとうございます。  かなり斬新なことをやられて、おもしろいなと思っておりますが、9つのプロジェクトの中の7番のライドシェアは、ちょっと異色を放っているかなと思いましたけれども、全体的に見て、まず根本的なこととして広島県側のメリットをどう考えられているのかをお聞かせいただけたらと思います。 ○(中井参考人) 一般的によく言われています少子高齢化、人口減少の中で、何かをしていかない限り、その流れは変わらないだろうということで、産業振興施策としてサンドボックスを展開しておりますけれども、県内の企業にどれだけ新しい人材や企業を呼び込んでいけるかが狙いです。このままでいくと地方において、人材不足から本当に全ての産業が衰退していく中で、まずはいかにそういう人を呼び込んでくるか、行く行くは今ある企業が活性化していって、新しい企業がどんどんふえていってという流れをつくっていく入り口の取り組みを今まさに開始した段階だと思っています。まだ始めたばかりで具体的な成果にはつながっていないところが多々あるんですけれども、メリットというか、そこを意図してやっているということです。 ○(大石豪委員) 知事の肝いりかなと思うところもありますけれども、お話を聞いていると投資的な意味合いを持った上で人材の発掘、育成、そして先ほどおっしゃられたように優秀な人材、意欲のある企業関係の方を招集して、広島県に来たらこういうことができるよという発信をしていかれるのかなと思います。失敗データも含めて集積していくデータを生かすことで、後々売り出しにもいけるかなと思うところもありますので、そういったことも参考にさせていただければということと、広島県とは近隣ですのでシェアできるものもたくさんあると思いますので、今後、いろいろな面で御教授いただけたらと思っております。  そういった中で、先ほどのスコアリングについてですが、データ関係の今後の取り扱いについてお聞かせいただけたらと思います。 ○(中井参考人) データの取り扱いは非常に難しい問題でして、個人にひもづくような情報はもちろんですが、ある企業がとったデータを、競合他社に対して明かしたいとは絶対に思わない。そうはいっても住民のために、みんなでデータを共有して生活の質を上げるとか、効率化を図っていくためにはどういうことが必要かということで、ガイドラインやポリシーなどがいろんなところで議論されています。  経済産業省もデータマネジメントガイドラインというものを掲げていたり、世界経済フォーラムでも、DFFT、データ・フリー・フロー・ウィズ・トラストということを安倍首相が話していて、データのやりとりは国をまたいでもちゃんと安心できる環境の中でやっていかないといけないという議論がされていますが、やはり企業主導というか、住民抜きでいろんなデータをとって、勝手に二次利用するという言い方はよくないかもしれませんが、住民の賛同を得ていない状況でデータがやりとりされるということに、非常に危惧を感じていらっしゃる。企業主導の例として、グーグルがカナダのトロントでやっているスマートシティの取り組みを取り上げられることがありますけれども、グーグルが勝手に情報をとって、市民オンブズマンからそれに対してクレームが上がっているという状況があります。一方で、日本では会津若松市の例がよく挙げられますけれども、住民の方々を巻き込んで協議会の中でそのデータをどう使っていくのか議論して、一般社団法人を設立しまして、そこに自分のデータを積極的に提供していくというような流れができていまして、住民主導でのデータの扱い方のモデルになっていると思います。  このサンドボックスは産業振興施策としてやっているものですけれども、広島県では昨年、DX推進本部というものを立ち上げまして、基礎自治体の方々も一緒になってデジタル技術を使って、いろんな地域課題を解いていくことを目的としておりまして、その実施に当たってはルールづくりが非常に重要になってくるのではないかと思っています。 ○(大石豪委員) ありがとうございます。非常に参考になりました。  そういったルールづくりをすることによって、日本人の感情としてどういった方向性が向いているかといったら、やはり住民とともにつくっていくということが非常に向いていると思います。会津若松市やNECなどもいろいろな情報共有をされて取り組んでいると思いますので、そういったことを踏まえた上で御指導いただきたいと思います。 ○(宇高英治委員) 非常にわかりやすい説明ありがとうございました。  簡単に私の受けた感覚としては、電子的な情報データを地方色豊かな部分とか地方の個性、これを一つのデータとして整理整頓して、組織的に地元のメリットとして変えていくということがこのサンドボックスかなと感じました。テーマの中に人材育成と人材呼び込みということが一つあると思うのですが、もう一つ、県内外の企業や人材を呼び込むというテーマもあったと思います。  全国の県とか市町村でこういう形で自分の個性をきれいに整理していったら、確かにわかりやすいのですが、その反面、これは非常に私ども地元でも困っているんですが、大手企業が参入してきて、地元のいいところを全部食い荒らしていって、結果的に地元企業が何もできなかったとか、チェーン店が入ってきたけれども結果的に売り上げが少なくてチェーン店が撤退し、地元にお店がなくなったという話などがあります。自分の持ち駒を全部見せてしまうと、そういう短期的な目的で進出する企業や団体が出てくるのではないかと思うのですが、そういった守りの部分をどう考えておられますか。 ○(中井参考人) 今回のサンドボックスでは、4者以上のコンソーシアムというチームで提案して、その中には必ず地元の企業が入っていないと無理ですよ、大手企業さんばかりで提案してもだめですよということを入れております。  あともう一つ、データ連携基盤みたいなものをプロジェクトの中でやっていて、いろんなデータを使った新しいビジネスが生まれるために、データは少なくともここにつないで提供してくださいというルールを最初から決めていたということが大きいかなと思います。  各企業が自社の利益を考えることは必要なことだと思いますけれども、それ以外に、公共の利益や地元住民、企業のために、ここまでは最低限守ってくださいということを最初の段階でうたった上で参加してもらって、それはできないという人は入ってこられないですし、そういう理念に共感をしてくれる方々とやっていく。大手企業は人材の宝庫で、新しい研究開発とかをやっておりますので、そういうものと組み合わせてやらないと地元の企業も難しい面があります。ですので、そこの線引きというか、最初に何を守ってもらうかということを明示しておくことが、かなり大事なのではないかなと感じています。 ○(宇高英治委員) 知り合いの話で申しわけないのですが、某国へ旅行に行ったとき、入国のときに荷物を置き引きされたらしいんですね。そしたら、そこの警備の人に、見ていないあなたが悪いだろうということを言われたそうです。  ネットは本当に全国どころか世界中つながっていますから、今言われた守りの部分を本当にしっかりしないといけないので、ぜひ今後、経験やデータもまた教えていただけたらと思います。ありがとうございました。 ○(塩出崇委員) このAIとかあるいはICTの取り組みは、とにかく脱兎のごとく、要はウサギがぴょんぴょんはねるように、とにかく1番にならないといけない。一方で、慎重にしなければならないという面もあると思うんです。そこで、今、御説明いただいた中でまず一つは、課題として見えてきたものが何かありましたら教えていただきたいと思います。 ○(中井参考人) まだ始めたばかりでして課題だらけなんですけれども、先ほども御質問がありましたように、セキュリティーというか住民のプライバシーや地域産業など守っていかないといけない部分はもちろんあろうかと思いますが、一方でこのまま地域だけだとやっていけないので、やはり変化していく、進化は変化なくして起こり得ませんので、そこをどうチャレンジしていくかということだと思います。  そういう意味でいうと課題は本当に山積しています。DXとかIoTとかAIによって既存の職が奪われていくのではないかといった議論もある一方で、過疎地、中山間地の医療や林業分野の人手不足が言われている中で、そういうところの問題を解く、そこにまさに課題があるという認識で広島県全体で取り組んでおります。お答えになっているかどうかわからないですけれども、法整備の問題、技術の問題、人材育成の問題、それを解決できる人たちをどう集めてくるかという問題、その後、それが具体的に進んでいく過程で持続的にお金がちゃんと回っていく仕組みをつくっていかないといけない。あらゆる問題が日本中で山積していて、いろんな取り組みが行われているわけですけれども、必ずしも違っていることをやっていない分野はあると思っています。そういったことを自治体間で共有してやっていくことも必要なのかなと思っています。 ○(塩出崇委員) 新しいビジネスを創造するというような文面もあるんですけれども、実は現在の企業が生き残るためにも取り組まざるを得ないというようなところもあるのではないかなと思います。広島県内には5,000社ぐらいの経営体があって、一部は積極的に取り組んでいる、ところが大部分は費用対効果に対する不安があって、取り組んでいない企業もあると思うんですけれども、そういう企業へのアプローチは、この取り組みが中心になっているのか、あるいはそれ以外の取り組みでアプローチをされているのですか。 ○(中井参考人) おっしゃるとおり、中小企業が生き残るために、新しいことをやっていかないといけないとか、こういう人材を育成していかないといけないと思ってくださっている経営者もいらっしゃいますし、そうではない方もいる中で、どう県全体の産業を上げていくかという観点でいうと、県としても人材育成の支援や経営者の方々の啓蒙活動、あるいはいろんな企業や団体が一緒になって勉強会をできる場をつくるなどの取り組みはやっております。まずはそれで、みんながそれに巻き込まれていくことが理想的だと思うんですけれども、そこはちょっとまだ難しい面もあってできていないことも多いです。 ○(塩出崇委員) 最後にレモンの栽培について、例えばB/Cなども含めてデータで何か検証されて、判明されているようなところがありましたら教えていただきたい。 ○(中井参考人) レモン実証プロジェクトは始まって1年が経過し、いろんなデータをとって、これからその分析をするという段階で、まだ具体的にどういう改善をしていけばいいかというところまでは行き着いておりません。今はデータ収集が進んでいる状況です。 ○(菅森実委員) 貴重な情報を教えていただきましてありがとうございました。これからの時代にすごく勉強になるなと思いました。ひろしまCampsは私もよく話を伺っておりまして、ぜひ一度行かせていただきたいなと思っていたところです。  サンドボックス取り組みの中で、道路のこととか除雪車のお話をいただきましたが、行政が抱えている課題を多くの方が共有して改善していこうということは、多くの人に関心を持っていただけるという意味でも本当に大事だなと感じました。  私も個人情報の取り扱いが気になったのですが、今いただいたお話の中できちんと守っていかれるように構築されているということで、学ばせていただいたところであるんですが、それぞれの実証プロジェクト取り組みに対して、広島県としてどういうふうにかかわられているのか。例えば、今教えていただいたスケジュールの合い間にも細かく情報の共有はされていて、それぞれの取り組みの中で進捗状況を含めて密に連携をとられているのか、それとも、もう任せたら次の報告までは任せ切りなのか、また、行政が抱える課題をどのように共有するのかということを教えてください。 ○(中井参考人) 今のプロジェクトは、まず月に1回は進捗状況の報告をお願いしておりまして、そこで計画どおり進んでいるのか、新たに出た課題、それは当然出てきてしかるべきだと思いますけれども、新たな課題が出てきて進まなくなったとか、それに対してどういうふうに修正していくのかなどということを報告していただいていまして、各プロジェクトのメンバーと一緒に議論しております。  また、行政課題をどう共有しているかということに関しては、先ほどの道路の維持コストを140億円下げるという話は土木局でやっているんですけれども、サンドボックスをやっているのは私ども商工労働局でして、これまでの行政の調達は事細かに仕様を決めて、業者の方々に提案してくださいという形が一般的だったと思うんですけれども、今、この土木局がやっているような取り組みは、こういう課題があるんだけれどもそれをどう解いてやればいいかというところから一緒になって考えてくださいという形で皆さんを巻き込んでいって、やり方が固まってから正式に調達をかけていくという2段階で始めたことでして、ほかのいろんな局とも連携して行政課題を解決していくための新しいアプローチとして、アイデアを募る段階から、いろんな方々と一緒に解決していく場をまずつくってからやっていくということを始めた状況です。 ○(徳永繁樹委員) 御説明をいただきましてありがとうございます。  大変魅力的な取り組みだなと思いましたし、率直に非常にリスキーだなという思いも持ちました。本県であれば県内企業をどういうふうに底上げできるのか、自分たちがどういうふうな施策を打っていくことによって地域振興ができるのか、このアプローチの仕方はそれぞれの考え方があると思うんですね。本県の場合は、潜在しているさまざまな地域資源をブラッシュアップして、それを大手ではない小さいところばかりでありますから、愛媛県が営業本部をつくって、率先してそういう方々とともに情報発信をしていくという取り組みをやっているわけなんですよね。  本県は財政状況が非常に厳しいです。広島県の財政状況も確かに厳しいんだろうなと思うんですけれども、3年間で10億円というのは、愛媛県で考えたらとてつもない額なわけですね。この事業に込めた思いや、それを伺った県民や県議会の皆さんがどういうふうな御意見をし、期待をしてスタートしたのかというところをちょっと明らかにしていただきたいなと思います。 ○(中井参考人) 一番冒頭に申し上げた、やはりこのままだといろんな意味で県の産業が衰退していくのではないか、何かしら変化を起こさないといけないという中で、やはりそこに海外問わず人材をまず集めてこないといけない。それで地元企業と一緒に何か新しい取り組みをする中で、県内の企業が変わっていく。そういう企業が出てくれば広島で就職したいと思う人も出てきて、一つの循環が出てくるというようなことをやっていくために、まずは産業振興の部分で何かしら変化を起こさないといけない。また、もともと知事の湯崎はITベンチャー企業の社長であったということもあって、この予算が組まれ、県議会の御協力、御支援、御理解をいただいてできたものだと理解しております。  来年度で事業期間の3年が終わりますが、間違いなく10億円の効果があったのかという検証をされます。税金でやっているものの中でどれだけ効果があるのかということを、この1年かけて検証していって、皆さんの御意見も聞きながら継続するかどうかということを判断していくことになるんですけれども、今のところは、全てではないですけれども、おおむね県の施策に対しては前向きな御意見をいただくことの方が多いのかなと感じています。こういう新しいことをやっていって、それなりに企業誘致の話が幾つか進んでいるものもございます。実際、若い人たちが広島でイベントをやるとたくさん集まってきてくれて、いいアイデアがあったら、では、みんなで一緒に会社をつくろうかというアイデアも出てきたりしていまして、そこはまだわずかですけれども、ちょっとしたムーブメントというか流れが起きつつあるのかなという感じはします。  協議会の会員も、今930者と申しましたけれども、9億円をかけて9件のプロジェクトをやるということで二次公募したところ、協議会のメンバーが一気に500者ぐらいにふえて、それが終わったらぐっと減るだろうと思っていたところ、どんどんふえ続けているんですね。お金に期待はしていなくて、そういう場に行けば何か新しい人と出会えるとか、何か一緒にやれる人たちがいるという機運が徐々にできつつあるのかなということが、人数の増加及び皆さんのコメントからも感じていまして、どうお金をかけない形で持続していくかということが今後の課題だと思っています。 ○(徳永繁樹委員) きょうの説明を伺っておりまして、ふと頭にあったのが福岡市の、スタートアップをするんだったら福岡に来てよねという、市長室そのものがトップセールスをし、どんどんそういう方々が集まっているということで、なかなか難しい事業なんだろうと思いますけれども、ぜひ当初の効果、有形無形の効果が県民の皆さんにもたらされるように期待をしたいと思います。一方で、きょうの資料の中のサンドボックス協議会の状況で、いわゆる官公庁、行政と言われている方の入会が少ないのかなと思うのですけれども、県の事業、県の願いが市町になかなか行き届いていないのか、それともどうなのか、このあたりを少しお聞かせいただきたいと思います。 ○(中井参考人) 官公庁が少ないという御指摘でございますけれども、確かに少ないですし、十分巻き込めていないところはあると思います。産業施策としてやっているひろしまサンドボックスに加えて、去年立ち上げたDX推進本部、これは県全体でDXを推進していくというものですが、これらの取り組みによって、広島県にある23の基礎自治体との連携をどう図っていくか、また、広島県だけがこういうことをやっていても、ほかの自治体、県外の自治体とのデータの利活用も含めて、広島県だけが勝手なことをやってほかのところとつながらないということはあり得ませんので、国も含めてほかの自治体と、どうそのルールづくりから始めて基盤づくりをしていくのかということが課題だと思っていますので、これからそこは頑張っていかないといけないと改めて思います。 ○(徳永繁樹委員) 愛媛県の中村知事も、避けて通れないような潮流の中にいるというふうによく言われております。今、第4次産業改革という中で、きょう御示唆をいただいた取り組みは、フロントランナーとしての挑戦なんだろうなと思います。市町の皆さんを巻き込んで、もともと広域自治体というのは専門性と広域性というふうに言われておりますから、ぜひ頑張っていただきますようにエールを送っておきたいと思います。 ○(越智忍委員長) ほかに質問はございませんか。  それでは、特にないようですので、以上で質疑を終了いたします。  中井様にはお忙しい中、ありがとうございました。  次回の議題及び出席理事者等についてでありますが、私に御一任願うことで御異議ございませんか。            〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○(越智忍委員長) 御異議ないものと認め、そのとおりに決定をいたします。  次に、調査報告書についてであります。  本年度の当委員会の経過と概要につきましては、2月議会の最終日に文書で提出したいと思います。  なお、報告書の内容につきましては私に御一任願うということで御異議ございませんか。            〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○(越智忍委員長) 御異議ないものと認め、そのとおりに決定いたします。  以上をもちまして、えひめICT未来創造特別委員会を閉会いたします。               午前11時44分 閉会...