世界経済の不思議で、米中対立などにより世界経済が不安定化すると、比較的安全資産とされる円が買われ急激な円高が進行し、輸出企業にも悪影響を及ぼす影響があることに注意していかなければならないと思うわけです。
そこで、お伺いします。
米中貿易摩擦で影響を受けている県内企業も多くあると聞きますが、
米中貿易摩擦に伴う県内企業への影響をどのように認識しておられるのでしょうか。
また、業績が悪化した企業の支援にどのように取り組んでいかれるか、お考えをお聞かせいただけたらと思います。
次に、ソウル線の維持拡大と
インバウンドの充実についてを伺います。
来年のオリンピックに向け、海外からの
お客様インバウンドは毎年増加し、来年には政府が目標とする
年間訪日外国人4,000万人の達成を目指して一層取り組みを強化するようです。
日本政府観光局がまとめたデータによりますと、昨年の
訪日外客数は3,119万人となっており、国と地域別では中国からが838万人、続いて韓国が754万人と上々の
訪日外客数でしたが、ことしに入り、韓国文在寅大統領の反日姿勢の強化の結果、ことし上半期の
訪日外客数は3.8%減っております。平成26年以来5年ぶりの減少となっています。
また、大韓航空は日韓関係の悪化を理由に、需要の減少している
釜山-札幌の運航を今月3日から停止しており、大韓航空のLCC部門は、
反日ムードが続き、予約率に影響が出るようならば、日本路線を調整する可能性を排除できないとコメントしています。
近代の
韓国大統領は在任中に糾弾を受け、退任後に逮捕、収監などされるという末路を迎える例が極めて多く、我々日本の政治と比較すれば、韓国では国家元首の権限も大きいかわりに命がけの仕事となっているようです。このため、文大統領は、反日を一つのキーワードに国内の支持率を上げているのは事実のようであり、令和4年5月までのあと3年間の任期中は、日本への悪影響が続くと予想されます。
また、今月に入って曹国法相の任命に対する賛否や大統領への支持は韓国国内でも大きく分かれており、まだまだ混迷しそうな様相を呈しております。
昨年までは、
訪日外国人の中で韓国人が多くを占めていました。日韓関係の悪化は国と国との外交問題であり、地方の立場からはいかんともしがたい部分があると思いますが、韓国から日本への観光客の現状把握や新たな対応策も必要と思われます。
昨年度の松山空港における
ソウル線利用者数は年間7万2,600人であり、
松山空港利用者全体の2%強となっています。また、昨年の松山市における
韓国人観光客は約2万3,000人と推定されており、県内の
インバウンドの影響も少なくないと思われます。本県を訪れる
韓国人観光客は、
松山空港利用者以外にも多いのですが、近年、新たに苦労して就航にこぎつけた愛媛と韓国の
直行便チェジュ航空の航空路線を閉ざすわけにはいきません。
そこで、お伺いします。
日韓政府関係が悪化する中、県は、今後どのようにソウル線の維持、拡大を図るとともに、
インバウンドを充実していかれるのかお考えをお聞かせください。
次に、松山空港の利用促進などについて伺います。
松山空港は昨年の札幌線に続き、ことし7月には県民待望の台北線が開設されたことで、国内外合わせて12路線が就航し、利用者数が年間300万人を超える中四国で最大の利用者数を誇る空港となっています。松山市の市街地から近く、
松山外環状道路インター線の開通により
松山インターからのアクセスが向上し、さらに空港線や
インター東線の整備が進められているなど、県民にとってますます利用しやすい松山空港へと進化し続けています。
平成の時代以降、全ての地方空港は生き残りをかけて経営の見直しに取り組んでおり、地方空港間での競争も激化していますが、今後も各種施策を繰り出していくことで競争に打ち勝ってほしいと思います。
さて、私の地元であります四国中央市では、ことし7月より
西讃観光バス、本社は香川県観音寺市にありますが、ここの
バス停留所を開設しました。このバスはお隣の香川県にある高松空港を発着する7番目の
空港連絡バスとして運行が開始されたものであり、丸亀、善通寺、観音寺の各停留所を経由して、四国中央市停留所に達する終点までの所要時間が1時間15分の路線となっております。また、毎日5往復と便数も充実しており、始発に合わせて午前5時27分からの対応となっております。停留所の近くには自家用車の駐車場が設置され、運賃も片道2,000円と手ごろなことから、利用状況も堅調な様子であります。
高松空港は昨年4月に運営が民営化された空港であります。年間の
国内線利用者数は175万人、
国際線利用者数は31万8,000人、松山空港の約3倍となります。国内線3路線に加え、国際線4路線が乗り入れており、
東日本大震災後は順調に利用客数を伸ばしています。そんな高松空港は、本県の東予東部の利用者にとりましても、空港までの移動時間、そして、
東アジア地域への直行便数などさまざまな面において利用しやすい空港となっており、民営化によってそのポテンシャルを大きく伸ばそうとしております。競合する松山空港を何とかもっと利用してもらう手だてはないものかと考えております。
また、瀬戸内海を渡ったお隣の
岡山桃太郎空港は、新幹線という強力なライバルに加え、高松空港の台頭により苦戦を強いられています。しかしながら、年間158万人の利用者がおり、そのうち
国際線利用者は30万7,000人と
国際線利用者もしっかり確保しています。国内線は3路線、国際線は4路線が乗り入れています。関西圏との距離が近く、
関西国際空港に比べて着陸料金が安いことから、
国際貨物チャーター便の運航という副産物も生まれているようです。また、空港前の第1駐車場296台を除く3つの駐車場が無料化されており、3,000台に上る駐車総台数は空港を選ぶ大きなポイントになります。
隣の広島空港でも、年間299万人の利用者のうち、国際線の利用者数は35万人となっており、国内線は5路線、国際線は6路線に加えて、今後、タイの
バンコク線が就航予定ということであり、就航地の数と便数の豊富さが魅力的であります。広島空港も令和3年からの運営の民営化が予定されており、道路などの
インフラ整備も進められているようであります。
国際線の路線がふえますと海外での空港を経由して旅行や仕事で世界各地に行けるようになります。これまでは成田や
関西国際空港を経由するのが当たり前でしたが、選択の幅が広がることで、より海外が安く早く身近になるのではないかと思います。松山空港の国際線の利用者は年間10万人であり、さらなる利用者の拡大に取り組んでほしいと思います。
そこで、お伺いします。
隣接する香川、岡山、広島の各空港では利用者の取り込みを図るため、
空港連絡バスの運行や駐車場の無料確保、就航先の便数の拡充に取り組んでいますが、松山空港では利用者の維持拡大に向けてどのように取り組んでおられるかをお聞かせください。
また、松山空港の利用者にとっては、
松山インターチェンジからの
アクセス向上や駐車場の拡張など歓迎できる状況にあります。しかしながら、国内線が9路線、国際線が3路線就航する松山空港のエプロンには、現在、6スポットが設定されておりますが、近隣の地方空港に比べると
スポット数が少なく、余裕がない状況にあります。ことし7月には台北線が就航するなど、県では国際線の強化に取り組む中、新たに
国際線スポットを増設していくことが急務であると考えております。また、安心して松山空港を利用してもらうためには、護岸の補強など空港施設の
耐震化対策についても着実に推進していく必要があると考えております。
そこで、お伺いします。
空港施設の拡充や耐震化などの
インフラ整備に、今後、どのように取り組んでいかれるかお聞かせください。
次に、海外からの労働力の確保についてをお伺いします。
政府は、
少子高齢化による急激な人手不足に対応するため、定年の延長、結婚、出産後の
女性労働力の職場復帰のアシスト、そして、海外からの
労働力受け入れの拡大に取り組んでいます。そのような中、昨年暮れに国会を通過した新
在留資格特定技能を盛り込んだ
改正出入国管理法がことし4月に施行されました。
政府は、即戦力を限定的に受け入れるとしていますが、技能を測定する試験を早期に実施するのは一部の業種のみであり、業界団体や業種によって大きく対応は異なっています。当面は、既に国内で経験を積んでいる
技能実習生からの移行が中心になりそうですが、これまで問題点として指摘されてきた大都市への外国人材の集中をどう防ぐかということも明らかになっておりません。
政府は、介護、建設、造船など14の分野で、今後5年間に34万5,000人の
特定技能者の確保を見込んでいますが、ことし8月末時点で認定された方は、全国で
技能実習生からの移行など205人しかおらず、
人材不足解消の効果がどのくらい発現するのか疑問視されています。
今後、これまで
技能実習生を送り出してきた
東南アジアや東アジアなどからの
特定技能者の獲得に大いに期待すると同時に、
受け入れ国日本として、国家間の対応として、
悪質ブローカーを締め出す対策も必要になると思います。
また、働く環境整備の一環として、11カ国語以上に対応した相談や手続ができる
ワンストップセンター、近隣の医療機関と連携するなど
外国人患者に24時間対応可能な医療機関、
受け入れ団体、受け入れを支援する地方自治体、
受け入れ団体などを指導する
出入国在留管理庁などの役割が重要となります。一方、それぞれの役割が複雑に絡み合っており、
受け入れ環境の整備には時間を要するから、残された時間は余り多くないと思われます。
県内の中小企業でも人手不足は深刻な問題となっており、県内経済の
担い手不足を憂う声を多く聞いています。小規模な企業ほどみずからの力のみで
特定技能者を受け入れることは困難であり、県からの積極的な情報提供や関係機関との仲介などのサポートが欠かせないと感じております。
そこで、お伺いします。
ことし4月に新たな
外国人労働者の
受け入れ制度特定技能制度が開始されましたが、県内企業の特定技能への
取り組み状況と
特定技能者の受け入れの促進に向けた県の取り組みについてお聞かせ願いたいと思います。
次に、高機能素材を活用した産業創出の取り組みについてを伺います。
近年、
地球温暖化による異常気象や
プラスチックごみによる海洋汚染など環境問題の関心は、これまでになく高まっており、自動車や航空機など軽量化に欠かせない炭素繊維や、
ポスト炭素繊維と言われ環境に優しい天然素材のセルロースナノファイバー、いわゆるCNFは、脱
プラスチック、脱炭素社会の実現といった社会課題を解決する切り札の一つとして大きな期待が寄せられているところであり、幸いにも本県には、炭素繊維の
世界トップブランドで
航空機向けの炭素繊維の
一大供給基地となっている
東レ愛媛工場や、世界初となる
自動車メーカー向け炭素繊維複合材料の
パイロットプラントを有する
帝人松山事業所のほか、国内有数の
総合製紙メーカーでCNFの大
規模実験プラントを稼働させている大王製紙が立地するなど、炭素繊維とCNFの
一大生産研究施設などが集中しており、この強みを生かした地域産業の活性化への取り組みは極めて重要であります。
そうした中、県では、平成26年3月に
えひめ炭素繊維関連産業創出ビジョン、ことし3月には
愛媛CNF関連産業振興ビジョンを策定し、県内の参入企業の発掘や製品・技術開発の支援、人材育成など産学官が連携して取り組まれ、既存産業の高
付加価値化や新事業の創出を目指しておられることを大変頼もしく感じているところです。
その成果が、最近、
マスコミ報道などで数多く目にするようになりました。例えば、
県内製紙会社が
県内ものづくり企業と共同開発したCNFが、
バタフライブランドで
世界トップシェアを誇る
卓球用品メーカーのラケットの部材に採用されたことや、米国の
電気自動車レースでボンネットや
後部座席ドアに初めてCNFが採用され、大幅な軽量化により好成績をおさめたことなどが報道されました。これはまさに夢の新素材が事業化に向け動き始めたと実感したところであります。
また、県内の
ものづくり企業が世界で初めて
消防自動車の水槽を炭素繊維で開発し、大幅な軽量化を実現したとの報道もあり、顧客ニーズをうまく取り込み、付加価値の高い製品化に成功した事例ではないかと思うのです。
このように、高機能素材の製造から商品開発まで一貫して担える本県の優位性を生かした取り組みをさらに強化し、拠点性を高め、高
機能素材関連産業が将来、本県経済を牽引するような産業に大きく成長してほしいと念願する次第であります。
そこで、お伺いします。
高機能素材を活用した産業創出に向けたこれまでの成果はどうか。また、県では関連産業の更なる集積化にどのように取り組んでいくかをお聞かせください。
さて、最後、地域の
子育て支援についてを伺います。
先ほども述べましたが、
少子高齢化は、日本の社会構造の随所に影響を与えています。結婚や出産を経験した女性の社会復帰を応援することも、
若手労働不足を補う
少子化対策の一つです。つい先ごろまで
保育所不足、就学前の子供の預かり先の不足を発信し続けてきた政党も、政府与党の
本格的取り組みが進むにつれ、だんだん声が小さくなってきています。
しかし、問題は保育所の数をふやしたことで解決されたわけではなく、保育所の子供たちが小学生になったことで、今度は小学校で児童の
放課後受け入れ施設が不足しているという新たな問題が
子育て世帯の中で発生しています。
現在、
学童クラブや
放課後児童クラブと呼ばれている
放課後受け入れ施設は全国に2万5,000カ所ほどあり、小学校の数は2万校ほどあります。一つの小学校に一つ以上はある計算になりますが、地域によっては待機児童が発生しているのが現状です。
また、小学校の運営が
文部科学省管轄であるのに対して、
学童クラブは厚生労働省の管轄であることも問題をややこしくしている一因ではないかと思われます。
学校と地域住民などで運営されているコミュニティ・スクールの中でも、重要な放課後の受け皿問題として認識されつつも、踏み込んでの協議はなされていません。その理由としては、学校運営に直接かかわる問題ではないこと、市町ごとに対応が異なること、公営と民営で内容が異なる場合がある、また、全ての児童が対象でないため
PTA管轄とも異なることが挙げられています。
文部科学省所管の
放課後子ども教室と連携した動きもあると認識していますが、今の時代に合わせた抜本的対策が求められています。
私の住む東予地域は、商工業の元気な地域です。紙、機械、電気、電子機器、造船、繊維加工のどれもが人手を必要とする産業です。地域の
お母さんたちも、子育てが一区切りすると現場復帰は当たり前な地域だけに、児童をしっかり見守ってくれる施設と人が必要だと思うのであります。今は3世代が同居しておじいちゃんやおばあちゃんが子守をする時代でもありません。
子育て世帯の親が子供を安心して預けて現場復帰できるようにするため、児童の
放課後受け入れ施設の充実が欠かせません。また、専門的な研修を受け、子供に寄り添った見守りができる
放課後児童支援員の役割は、今後、ますます大きくなると思います。
そこで、伺います。
子供たちの放課後をどう守るか、
学童クラブ、
放課後児童クラブの充実を所管省庁にすみ分けではなく、
子供省的発想から柔軟に対応してほしいと思いますが、
放課後児童支援員の認定状況とその充実に向けた
取り組み方針をお聞かせいただきたいと思います。
次に、児童虐待についてを伺います。
昨年3月の東京都目黒区や先月の鹿児島県出水市で発生した事件では、虐待で幼い女児が命を落としており、大人の身勝手さと小さな命と成長の営みに対する大人の心の欠如に深い憤りを禁じ得ません。
昨年度、全国の
児童相談所が受けた虐待の相談件数は過去最多の15万9,850件となり、一般国民の児童虐待を問題視する意識の高まりを感じています。
児童虐待防止法は、虐待や疑わしい事案を発見した場合は
児童相談所などに通告する義務を全国民に課しています。ただし、家族内や家庭内の閉鎖空間で起こる虐待に対して、通告に踏み切るのは容易でないのも事実のようです。
私自身の経験談ですが、子供を
児童相談所に保護されたが、早急に引き取りたいので相談に乗ってほしいと再婚した父親と子供の実の母親から相談を受けました。学校や
児童相談所に赴き事情を伺うと同時に、相談してきた両親にも話を伺いましたが、その家庭には独自のルールが存在し、そのルールが一般家庭と違っていることにその夫婦は気づいておらず、夫婦のちょっとした会話の中に、このずれがやがて大きな事件になることもあるのかなと感じました。
とにかく一生懸命子育てをしていたその夫婦には、少し誤った子育てになりかけていたことを周囲から教えてもらうことで、子育てを見直すいい機会になったようでありまして、それから1年以上がたちましたが、今ではその夫婦も少し余裕を持って子育てをしておられます。
さて、そのとき
児童相談所で強く感じたのは、失敗が許されない重い責任感の中で、子供を守るをモットーに取り組んでおられる所長以下職員の皆さんの姿であり、教育委員会や市町の福祉担当、警察などとの情報共有など業務内容は多岐にわたる上、短時間での判断や対応を要する大変な仕事だと思いました。
最近の
マスコミ報道やネット動画では、起こった事件や事故から逆確認作業をして、関係した管理者や担当者が追及される場面を見ることがありますが、こんな風潮が続けば、
児童相談所の職員になりたいと思う人はいなくなるかもしれません。
児童相談所が設置され始めた昭和の時代と比べると、核家族化やモンスターペアレントの出現、結婚観の変化、シングルマザーやファーザーの増加など、子供を取り巻く環境は大きく変わっています。
そこで、お伺いします。
時代や事案の状況に合った
児童相談所の対応や子供を守るために学校や警察との連携が重要であると考えますが、県の
取り組み状況についてお聞かせいただけたらと思います。
以上で、本日の私の質問を終わらせていただきます。
長時間にわたり御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○(
西田洋一議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
西田洋一議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 私の方から、まず、松山空港の利用者の維持、拡大についての御質問にお答えをさせていただきます。
松山空港の利用者が年々増加する中で、県ではこれまで、国や松山空港ビル株式会社等と連携しながら、松山外環状道路の延伸や駐車場の増設によるアクセスの向上、保安検査場の増設や手荷物検査エリアの改修による混雑緩和など、利便性向上に向けた取り組みを積極的に進めてきたところでございます。
特に国際線につきましては、多言語案内や休憩スペースの設置、免税店の拡充等の
インバウンド対策や海外旅行商品の造成、民間駐車場の料金割引、パスポートの取得支援などアウトバウンド対策に取り組んでいるほか、7月の台北線就航に合わせ、新たに四国中央市在住者等を対象にした駐車場割引の拡大や台北線利用者のパスポート取得支援の要件緩和など、一層の利用促進に向けた取り組みも開始したところであります。
さらに、高速バス事業者の協力のもと、来月1日からは、三島川之江インターチェンジと松山市内を結ぶバスを1日10便増便するほか、新たに高知から同インターチェンジを経由して松山空港へ直接乗り入れるバスを週2便運行することとしており、県境エリアからのさらなる
アクセス向上にも努めることとしています。
今後とも、松山空港が厳しい地域間競争の中で中四国随一の空港としての地位を揺るぎないものにしていくため、引き続き、国内外への積極的なエアポートセールスを展開し、新規路線の開設や既存路線の増便に取り組むとともに、空港施設の設備充実を初め、利用者目線に立ったきめ細かいサービスの提供や広域的な利用促進策もあわせて講じることで、松山空港の利用者の一層の拡大を図ってまいりたいと思います。
ただ一方で、空港の問題を考えるときに、特に国際線の場合、これまでもこうした発言、議論をしてきましたが、国際線開設及び維持のためにどれだけの税金を投入しているのかという視点、あるいは地理的なハンディ、インフラのハンディ、人口規模のハンディ、これをどう捉えるかという視点、また、民営化等々のお話がございましたけれども、国の義務で行うべき基盤整備が民営化によって削減され、地域にその財源が転嫁されるリスクをどう捉えるかという視点等々さまざまな視点で考えていく必要があろうかと思いますので、ただ単に利用者だけに目を捉えるような対策ではなく、そうした視点も織り込みながら進めていきたいというふうに思っております。
次に、高機能素材を生かした産業創出の成果についての御質問にお答えをさせていただきます。
県では、炭素繊維やセルロースナノファイバーを生産するマザー工場等が立地し、さらには各素材について、元
東レ愛媛工場長や愛媛大学紙産業イノベーションセンター長などのキーパーソンが存在する強みを生かし、高
機能素材関連産業の創出に産学官で取り組んでおり、特に6年目を迎えた炭素繊維については、炭素繊維補強水槽を搭載した日本初となる
消防自動車の開発など、県内企業44社が製品化を行い、累計で約34億円の成約につながっているところであります。
また、セルロースナノファイバーについても、県内企業25社が事業参入し、県内の大手製紙会社と中小企業が共同開発したシート状成形体が卓球のラケットに採用されるなど既に3件の製品化につながっており、現在も、県内企業2社によるセルロースナノファイバーを安価で効率よく製造できる機器開発や3次元形状が一体成形できる技術開発などに対しまして、今年度創設した新成長
ものづくり企業補助金などにより、強力に支援しているところでございます。
このほか、付加価値の高い新商品開発を促進するため、県産業技術研究所にセルロースナノファイバーを活用した高機能紙の試作に必要な機器等を整備する経費も、今回の補正予算案に計上しており、今後とも、県産業技術研究所を含む産学官連携を一層強化し、さらなる参入企業の掘り起こしや技術マッチングのほか、専門人材の育成や高度な技術案件にも対応できる支援体制づくりを進め、ニッチトップ企業の育成と集積化を図り、本県経済の活性化につなげてまいりたいと思います。
その他の御質問については、担当理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(金子浩一
企画振興部長) 議長
○(
西田洋一議長) 金子
企画振興部長
〔金子浩一
企画振興部長登壇〕
○(金子浩一
企画振興部長) 松山空港に関する御質問のうち、空港施設の
インフラ整備についてお答えします。
松山空港は、昨年度の利用者数が中四国で最多となる一方で、近隣の同規模空港に比べ駐機スポットが少なく、旅客ビルが狭隘化しつつあるなど、さらなる路線拡充や利便性の向上を図る上で課題を抱えているほか、大規模災害時の利用者の安全や緊急輸送拠点としての機能を確保するために、施設の耐震化が強く求められているところであります。
このため、ことし6月、知事から国土交通大臣に
国際線スポットの増設を強く働きかけたところ、前向きに検討する旨の回答をいただいたところであり、現在、県では、今後のスポット増設も見据えながら、旅客ビルの整備について、松山空港の将来の需要予測に基づく複数の配置計画案を検討しているところでありまして、今後、国や関係機関と具体化に向けた協議を進めてまいりたいと考えております。
また、耐震化につきましては、緊急輸送拠点として最低限必要な滑走路の陸側2,000m区間は完了したものの、護岸を含む海側500m区間は未耐震であるため、国に対し、耐震化事業の早期実施を強く要望しているところであり、今後とも、国や松山市等と連携しながら松山空港の
インフラ整備を着実に進めることで、利用者の利便性の向上や安全・安心の確保等につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(山口真司
保健福祉部長) 議長
○(
西田洋一議長) 山口
保健福祉部長
〔山口真司
保健福祉部長登壇〕
○(山口真司
保健福祉部長)
子育て支援に関する御質問のうち、まず、
放課後児童支援員についてお答えをいたします。
放課後児童クラブは、本年5月現在、県内全ての市町に327カ所設置をされ、1万4,451人の児童が登録、利用するなど、放課後の遊びや生活の場として、児童の健全な育成に重要な役割を担っておりますが、利用ニーズが年々高まり、395人の待機児童が発生をしております。
放課後児童支援員は、全ての
放課後児童クラブへの配置が義務づけられておりまして、市町による児童クラブの設置を促進するためには、支援員の養成が不可欠でありますことから、県では、平成27年度からその資格認定に必要な研修を実施しており、昨年度までに1,120人が認定をされ、今年度は186人が認定を目指し受講をしております。
また、登録児童数の増加に加えまして、開設時間の延長や障がい児の受け入れなどさまざまな利用ニーズに対応をするため、
放課後児童支援員の補助者としてクラブの運営に従事する
子育て支援員を養成するとともに、
放課後児童支援員等の資質向上のための研修を実施するなど、質の高い人材の確保に努めておりまして、引き続き、市町と連携し待機児童の解消に努めるとともに、希望する児童や保護者が安心して利用することができる
放課後児童クラブの充実に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、
児童相談所の対応等に関する御質問にお答えをいたします。
本県の
児童相談所では、昨年度、児童虐待相談の対応件数が890件と過去最多となりましたほか、一時保護の件数が660件と5年前と比べて倍増するなど、身体的虐待やネグレクト等の直ちに子供の安全を確保すべき事案も増加をしております。
このため県では、教員や福祉職、警察官等の専門職を
児童相談所に配置拡充いたしますとともに、児童福祉司に対する対応困難事例の研修会や警察との合同対応訓練の実施、学校等での要保護児童の把握、警察との確認書の締結による情報共有の促進等に努めておりますほか、これら関係機関で構成する市町の要保護児童対策地域協議会において個別事案の支援策の検討を行うなど、関係機関との連携強化を図っているところであります。
また、本年6月の児童福祉法の改正等も踏まえまして、国の定める配置基準に応じた児童福祉司等の計画的な増員や、一時保護と保護者への指導を効果的に行うための介入と支援の機能分離など、
児童相談所のさらなる体制強化を図ることとしておりまして、今後とも、子供の安全確保を最優先に児童虐待の早期発見、早期対応に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(田中英樹
経済労働部長) 議長
○(
西田洋一議長) 田中
経済労働部長
〔田中英樹
経済労働部長登壇〕
○(田中英樹
経済労働部長) まず、
米中貿易摩擦に伴う県内企業への影響等に関する御質問にお答えをいたします。
2カ国で世界のGDPの約4割を占める米国と中国の貿易摩擦は、両国間の貿易取引量の減少はもとより、国際分業体制に組み込まれた我が国を含む世界各国にも大きな影響を及ぼしており、売り上げ減少等による県内企業の業績悪化が懸念されるところであります。
県が9月上旬に県内主要企業に対して行いました
米中貿易摩擦による業績への影響調査では、返答のあった62社のうち、約27%に当たる17社から悪影響があるとの回答があり、電子部品や金属製品、石油化学製品を中心に、中国向け輸出の減少や製造業での設備投資の減少などの影響が出ているところであります。
このため、県では、業績が悪化した中小企業の資金繰りを支援するために設けております緊急経済対策特別支援資金について、資金需要への対応に万全を期すため、今回の補正予算案において融資枠をさらに50億円拡大し、合計430億円の新規融資枠を設けたところでございまして、今後とも、県内企業への定期的な影響調査を継続しながら各種動向を注視し、金融支援を初めとしたきめ細かな支援に努めてまいりたいと考えております。
次に、ソウル線の維持、拡大等に関する御質問にお答えをいたします。
松山-ソウル線は、日韓関係の悪化に伴い、ことし8月の搭乗率がチェジュ航空就航後初めて8割を切り、
インバウンドの比率も約7割から約4割まで減少した反面、1便当たりのアウトバウンドの利用者数が過去最高を記録し、搭乗率を下支えしている状況であります。今後も、韓国側の新規予約が低調と見込まれる中、路線維持を図るためには、当面、アウトバウンド対策に力点を置いて取り組む必要がございます。
このため、既にチェジュ航空や県内旅行会社と連携して、さらに低廉な旅行商品の造成やチェジュ航空専用ラウンジの無料キャンペーンの実施、リピーター向け旅行商品の割引などに積極的に取り組みますとともに、県内外でのプロモーションを強化しているところであり、あわせて県内の大手企業、団体に対して、大口の視察研修旅行等での利用促進についても働きかけを行っております。
また、現在の情勢では、韓国側での効果的なプロモーションは困難である中、
インバウンド観光客の回復に向けて、韓国旅行会社による個人向け旅行商品造成への支援の拡充や、韓国人有名ブロガーによる観光資源の掘り起こし、発信などにも粘り強く取り組んでいるところでございます。引き続き、チェジュ航空との信頼、協力を一層強化し、路線維持はもとより、将来の増便、デイリー化につなげてまいりたいと考えております。
次に、県内企業による
特定技能者の受け入れ促進に関する御質問にお答えをいたします。
県では、県内企業による
特定技能者の受け入れ拡大等に向け、本年4月に始まった新制度の概要や課題の情報共有を図るため、5月に高松出入国在留管理局や関係団体等と県外国人材雇用・共生推進連絡協議会を設立し、8月には企業向けのシンポジウムを開催したところであります。
また、
特定技能者と直接雇用契約を結ぶことになる中小企業等の手続代行や受け入れ後のサポートを行う登録支援機関が必要となるため、並行して県中小企業団体中央会を通じ、県内の
技能実習生受け入れ監理団体に対し、登録支援機関になるための申請を働きかけたところでございます。
この結果、8月末現在で県内の約50の
技能実習生受け入れ監理団体等の大半が申請を済ませ、うち12機関は登録が完了しましたことから、今後は、技能実習からの移行や国内外での技能試験の実施が決まった職種を中心に、県内企業による
特定技能者の受け入れも徐々にふえていくものと考えております。
引き続き、県としましては、我が国が円滑かつ適正な送り出し、受け入れに係る協力覚書を締結しました9カ国を対象に、駐日大使館等と連携して、送り出し国側の手続を学ぶ企業向けセミナーを開催するなど、質・量ともに充実した
特定技能者の受け入れが促進されるよう支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(
西田洋一議長) 暫時休憩いたします。
午前10時46分 休憩
―――――――――――――――――
午前11時4分 再開
○(
西田洋一議長) 再開いたします。
質疑を続けます。
○(田中克彦議員) 議長
○(
西田洋一議長) 田中克彦議員
〔田中克彦議員登壇〕
○(田中克彦議員) (拍手)日本共産党の田中克彦です。
早速質問に入らせていただきます。
まず、松山東警察署による誤認逮捕と県警のその後の対応にかかわって質問をさせていただきます。
ことし1月に発生した窃盗事件で誤認逮捕された女性は、5月27日と6月4日の2日間、それぞれ約3時間任意での事情聴取をされ、容疑を否認し続けました。警察は否認を裏づける捜査をせず、逆に証拠隠滅のおそれがあるなどとして、7月5日に逮捕状を請求し、8日には窃盗容疑で逮捕、家宅捜索も行われました。勾留請求が認められなかったために10日に釈放。任意で捜査を続ける中で、女性がタクシーに乗っていないことが判明し、誤認逮捕だということが明らかになりました。
7月29日付の誤認逮捕された女性の手記では、自白を執拗に強要された旨のことが具体的に指摘されております。
誤認逮捕と県警が認め、謝罪してから既に2カ月以上が経過をしています。県警が県民に対して説明したとされるのは、7月22日の記者発表と8月6日の県警本部長の委員会での謝罪の2回だけにとどまっております。調査の具体的な内容や検証、再発防止策の報告が10月になるのは余りにも遅いと指摘せざるを得ません。
こうした状況を踏まえ、県警本部長にお伺いします。
まず、誤認逮捕が明らかになって2カ月以上、県民に具体的な説明がありません。本来、明らかになった部分からでも具体的に説明を尽くすのが当然だと考えます。どういった内部調査に時間を要したからなのか、第三者機関による調査をどうして検討されなかったのでしょうか、認識をお聞かせください。
執拗な自白の強要があったのかどうか、誤認逮捕された女性の手記の内容に照らし、具体的に御説明をください。
県警による7月22日の発表で、思い込みとチェック機能の甘さが誤認逮捕の原因とコメントされています。この時点で東署から報告を受けて県警として誤認逮捕の原因の判断を一定示されたものと考えますが、その判断材料は何だったのかお聞かせください。
また、思い込みが原因であると判断されたのであれば、いつどの時点からどういう思い込み捜査が始まったのか、さらには、警察署としてのチェック機能が甘くなったのはどういう理由からなのか御説明ください。
女性は手記で、指紋採取やポリグラフ検査、3D画像撮影などにも任意で応じてきたとされています。任意の時点でポリグラフ検査や3D画像など求めること自体適切なことなのか、私は疑問を感じております。思い込み捜査がそうさせたのではないかとも考えられます。認識をお聞かせください。また、任意で協力された女性のポリグラフ検査や3D画像は、逮捕状請求の際、どういう取り扱いになっていたのかお聞かせください。
県内警察署でも、同様の窃盗案件の任意捜査の場合、これらの検査が行われるのが当たり前なのでしょうか。昨年度から今年度における窃盗案件のうち、何人に任意の段階で同様の検査を実施されたのか、それぞれ具体的な数字をお示しください。
誤認逮捕となってしまったこのケースのみが異例の思い込み捜査だったのか、現段階で私にはわかりませんが、思い込み捜査がほかの事案でもまかり通っているようなことがないのか、率直に申し上げて危惧しております。そうではないと明確に示していただかないと県民は安心できません。県内警察署の窃盗事案では、客観的な証拠の収集や裏づけ捜査など多角的なチェックがどのように行われているのか、具体的な説明をお聞かせください。
この項の最後に、公安委員会にお伺いします。
公安委員会が誤認逮捕があったと一報を受けたのはいつで、公安委員会としてどういった御指導をされたのでしょうか。きょうまでに県警から具体的な調査報告を受けておられるのでしょうか。また、報告内容の検証によって、第三者委員会による再調査も含め検討し、指導される考えがないかお聞かせをいただきたいと思います。
次に、10月からの幼児教育・保育の無償化についてお伺いします。
幼児教育・保育の無償化が10月から実施されます。無償化となるのは、保育所、幼稚園、認定こども園、地域型保育事業所や企業主導型保育施設などに入所されている3歳から5歳児、ゼロから2歳児は住民税非課税世帯に限られています。入所待ちの子供さんを抱えている世帯では、入所できるめども見えなければ、無償化のメリットもありません。その財源を消費税増税としていることには、私は厳しく抗議するものでありますし、同時に、無償化であって無料ではありません。
確かに保育料は無料となりますが、無償化の対象から給食費が外されています。3歳から5歳児を持つ年収360万円相当以上の世帯では、第3子以降を除き、これまで保育料に含めてきたおかずやおやつなどの副食材料費は実費徴収となります。国の基準では月額4,500円と見込まれておりますが、保護者の皆さんに十分な説明がされてきたのかということもありますが、実費徴収する側の保育所などにも業務量がふえ、多大な負担がかかってくるのではと危惧する声もあります。
こうした中、低所得世帯で保育料と副食費の逆転現象が起きないようにすることや、東京都世田谷区では、免除する収入基準を760万円未満として国基準より引き上げを図るなど、自治体独自での負担軽減策もとられております。
秋田県では、県と市町村が2分の1の割合で副食材費について月額上限4,500円を補助することにされております。約8,300万円の予算とお伺いしています。また、9月補正予算案で、兵庫県明石市や高砂市など独自助成を行い、所得制限なしに全ての世帯を無料とする提案をしている自治体もあるようです。
これまで多くの市町では、
子育て支援策として保育料の負担軽減などに取り組んできたことなどを踏まえ、お伺いをいたします。
給食の副食費が実費徴収となりますが、県下市町で教育・保育認定を受けた3歳から5歳の子供のうち、実費徴収の対象となるのは何人でしょうか。保護者負担の軽減など、新たな助成措置をとる市町はあるのでしょうか。また、県としても必要な対応を検討する考えがあるのかお聞かせください。
給食費の滞納などの問題は、保育所の運営そのものにかかわってくることや徴収業務が新たにふえることによる保育士のさらなる多忙化などが、今後も心配されます。待機児童解消を初めとした課題もある中で、保育士の確保や保育所運営への支援に今後、どう取り組んでいくお考えかお聞かせください。
次に、来年度からとなる第2期えひめ・未来・子育てプラン(後期計画)策定についてお聞きします。
第2期えひめ・未来・子育てプランの前期計画が今年度までとなっており、今年度中に後期計画を策定する予定とお聞きします。子供たちをめぐる状況は、依然として厳しいものがあります。親などが貧困の状態にある家庭で育つ18歳未満の子供の割合を示す日本の子供の貧困率は、御承知のように約7人に1人、ひとり親世帯での貧困率は50.8%です。
ことし、子ども貧困対策推進法も改正され、その目的として、現在の子供の生活改善のためにも力を入れることがより明確になりました。これまで答弁されてきたように、子供の将来が生まれ育った環境によって左右されることなく、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、取り組みを強めていくということでは共通認識だと考えます。加えて、法律の改正が進んでも、残念ですが、児童虐待による死亡事件は後を絶ちません。県内での相談件数も増加傾向にあります。
国連子どもの権利条約には、第3条で、児童の最善の利益が主として考慮されるものとされ、第6条では、子供たちの生存権や発達の権利を保障し、27条では、子供の身体的、精神的、道徳的、社会的な発達のために相当な水準についての権利がうたわれています。
こうした点も踏まえ、子供たちに健康で文化的な生活を、そして、暮らしと育児を支援する具体的な対策がさらに進むよう、後期計画策定に当たっていただきたいと考えます。
前期計画の状況について、県としてはどう分析し、どういった課題があると考えておられるのか。また、来年度からとなる第2期えひめ・未来・子育てプラン(後期計画)策定に向けて、現在実施されている子供の生活実態調査や子どもの愛顔応援ファンドの活用など含め、どういった課題を中心に、どういう方向性で策定されていくのかお聞かせください。
次に、要配慮者利用施設の避難確保計画にかかわってお聞きします。
昨年7月の豪雨災害からの復興については、県政が取り組むべき最優先の課題であるというのは共通認識です。被災者の生活再建、園地の復興を初め、引き続き被災者に寄り添った対応をお願いしたいと思います。
さて、国が2017年に改正した水防法や土砂災害防止法によって、浸水想定区域や土砂災害警戒区域に立地する福祉施設や医療機関、学校などいわゆる要配慮者利用施設のうち、市町地域防災計画に位置づけられた施設では、避難確保計画をつくることが義務づけられています。8月の九州北部豪雨でも、佐賀県大町町で病院が孤立する事態になるなど、依然として、医療機関や福祉施設の災害への対応、避難準備など大変難しいものがあると痛感します。施設関係者の皆さんも災害への備えの重要性はわかっていても、避難確保計画をつくるのは容易ではないと考えます。
そこで、お伺いいたします。
浸水想定区域及び土砂災害警戒区域にあり、市町の地域防災計画に位置づけられた要配慮者利用施設はそれぞれどれほどあり、実際に避難確保計画を策定できた施設はどの程度となっているのでしょうか。また、計画策定が進んでいないのはどういったことが要因となっていると考えておられるのか。こうした施設が避難確保計画をつくれるようにするための具体的な支援についてお聞かせください。
次に、LGBT初め性的マイノリティーの皆さんに対する取り組みについてお伺いします。
多様性ある社会、一人一人が尊厳を持って生きることができる社会をつくっていくことは、大きな流れとして共通項になってきているように思います。
国では、選択的夫婦別性を初め、ジェンダー平等社会をどうつくっていくのかも大きな課題です。個人の尊厳という点で、性的マイノリティーの方々をめぐっては、当事者がカミングアウトしなければ事態が表面化しないために、肩身の狭い思い、ありのままの自分を肯定できない状況が続いてきたと言われてきました。ようやく性の多様性を認め合い、個人の尊厳が尊重される社会の実現を求める流れが広がりつつあります。
2019年2月、日本で生活する13組の同性カップルが、同性婚を認められないことは問題だと違憲性を問い、各地で一斉に提訴し、注目を集めております。
御承知のように、同性婚を認めるのは、世界の流れともなっています。1989年デンマークで登録パートナーシップ制度ができ、2001年にはオランダで同性婚が実現し、ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニア地域など25カ国で同性婚が可能になっています。
国会には、野党共同で性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案を提出し、行政機関や事業者における差別的取り扱いの禁止を定めることなどを提起しています。また、性的指向にかかわらず、婚姻の平等を実現するための法案も提出しています。継続審議となっておりますが、国会での真摯な議論を期待するものです。
こうした中、パートナーシップ制度を取り入れる自治体が広がっています。東京23区内の世田谷、中野など。大阪市、福岡、熊本など政令指定都市。那覇市、宮崎市、長崎市など県庁所在地にも広がっています。また、ことし7月からは、都道府県レベルでは初めて、茨城県でパートナーシップ宣誓制度が始まっています。
そこで、お伺いいたします。
多様性ある社会をつくっていくことは重要な課題だと考えますが、県として、今後、当事者の皆さんからさらに意見を聞かれることや、相談窓口の設置、周知などを含めどのように取り組まれていくお考えでしょうか。また、パートナーシップ制度など、地方自治体から権利を保障する動きが広がっていることについて、どう認識されているのかお伺いいたします。
このことに関して教育委員会にお聞きします。
県立学校の2020年度入試から性同一性障害の生徒への配慮として、入学願書の性別欄をなくすと発表されました。このことは歓迎をいたします。ぜひ入学願書の配慮にとどまらず、教育現場での対応を進めていただきたいと考え、4点お尋ねいたします。
まず、NPOなどの調査によりますと、学校でのいじめ、言葉の暴力などで自己肯定感が持てなかった、自殺も考えたなど、当事者からの意見が寄せられています。LGBTを初め性の多様性について、学校現場での知識不足は否めないと考えます。正確な理解を深めるために、先生や養護教諭に向けた研修会や講義を広く実施していくことが重要だと考えますが、学校現場における現状と今後の方向性についてお聞かせください。
2点目、福岡県糸島市教育委員会では、LGBT教育のための手引書を作成し、小中学校に配布、今年度から授業に導入されています。8月の西日本新聞の報道によりますと、2018年度に性の多様性を授業で取り扱った割合は、福岡市の小学校で100%、中学校で60%、熊本県でも小学校18.8%、中学校では28.9%などと報道されています。試行錯誤しながらの取り組みが進んでいます。代表質問での御答弁では、県も手引を作成されたとのことでしたが、いじめをなくす、個人の尊厳を尊重することへの深い理解を進めるためにも重要だと考えます。
県内の公立学校における授業での現在の
取り組み状況と、今後のあり方をどう考えておられるのかお聞かせください。
国も、性同一性障害を含むLGBTの子供たちへの適切な配慮が必要だとしています。学校施設であればトイレなど、学校行事などで見れば、健康診断、修学旅行などでも配慮が実際に必要になってくると思われます。こうした環境面での対応をどう進めておられますか。
4点目、急がれると思うのは校則です。ブラック校則と言われるようなさまざまな問題はありますが、校則一般については柔軟に見直していくと、以前からの教育長答弁にもあったと記憶しています。特に中学・高校の校則で制服を定め、男子はズボン、女子はスカートとしています。この際、校則で決めた制服の廃止あるいは選択制とすることなど、速やかに検討されることが必要と考えますが、見解をお聞かせください。
最後に、教員の多忙化解消にかかわって質問します。
文科省は、中央教育審議会の答申を受け、各教育委員会に公立学校の教師の勤務時間の上限に関する方針などの策定を求めています。上限の目安は月45時間、年360時間とされています。
せんだって、平成29年に続く平成30年11月の本県の勤務実態の抽出調査結果が示されました。それを見ますと、教諭1週間当たりの学内勤務時間が、小学校、中学校、特別支援学校では、平成29年調査と比較し、平成30年の勤務時間が長くなっているとの結果になっています。県立高校もほぼ同水準です。
これは、小学校で約4割、中学校で約7割、高校で約6割の教諭が過労死ラインと言われる時間外勤務月80時間に相当しているということになってきます。
教員の長時間労働解消が叫ばれ、さまざまな取り組みも始まってはおりますが、この抽出調査では十分に多忙化解消の道筋に至っていないと思います。この調査も11月ということですから、教員の皆さんにとって多忙な4月や5月あるいは9月などは、これを上回るのではと思います。
私は、そもそも国自身が責任を持って教員の多忙化解消の方針を持ち、根本的には教員をいつまでにどれだけふやすのか、あるいは子供の成長や基礎学力向上を中心にして、学力テストの廃止などに踏み込んでいくことなど必要だとは考えておりますが、こうした実態も踏まえつつ3点お尋ねいたします。
勤務実態調査結果を県教育委員会としてはどう受けとめ、どういったことが長時間労働の短縮に結びついていない要因だと考えておられますか。
2点目、4月から県立学校では、統合型校務支援システムが全校で稼働し、デジタルで客観的な出退勤の管理が行えるようになっているとお伺いします。部活動指導なども含めた実際の勤務時間管理はどこまでできるようになったのでしょうか。
また、支援システムの実績で、一月の勤務時間は翌月には示せるものだと思いますが、教員一人一人の健康状態の把握や業務改善などに結びつけていくような議論が各学校でも進むようなものとなっているのか、現状をお聞かせください。
県教育委員会では、愛媛県学校における働き方改革推進本部も設置されたとお伺いします。学校関係者や保護者、地域などの方々の意見を聞くことも含まれておりますが、限られた会議の時間に出席して意見を聞くだけの狭いものにせず、若手の教員、教員OBの方、保護者初め広く意見を聞くなど、そのあり方も含め、今後、検討いただきたいと考えます。広く意見を寄せてもらうことが、その後の地域社会や保護者へのメッセージ発信にもつながるのではないかと考えます。
推進本部でどう実効性ある方策を進めていかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
西田洋一議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
西田洋一議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 田中議員に、まず、私の方からは、第2期えひめ・未来・子育てプランについての御質問にお答えをさせていただきます。
県では、第2期プランの基本理念の一つに、子供が大切にされ、心身ともに健やかに成長できる愛媛づくりを掲げ、子供の貧困対策やひとり親家庭の自立支援等に取り組んでおり、ファミリーホームの設置数や養育里親の登録数などは目標を上回って増加しているところでありますが、児童虐待相談対応件数が毎年過去最多を更新するなど、子供を取り巻く環境は依然厳しいと認識しており、後期計画の策定について協議する子ども・子育て会議でも、複雑な家庭環境にある子供により効果的な支援を届けることが重要な課題であるとされたところであります。
このため、現在実施中の子供の生活実態調査により
子育て世帯が抱える不安やニーズ等を把握・分析して、市町と連携した対策を検討するとともに、貧困等の問題を抱える子供や
子育て世帯等を官民共同で支援する子どもの愛顔応援ファンドの活用を初め、新たな対策も織り込みながら、より実効性の高い施策展開に向け、後期計画を策定することとしているところであります。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(岸本憲彦
県民環境部長) 議長
○(
西田洋一議長) 岸本
県民環境部長
以上でございます。
○(篠原英樹
警察本部長) 議長
○(
西田洋一議長) 篠原
警察本部長
〔篠原英樹
警察本部長登壇〕
○(篠原英樹
警察本部長) 再質問にお答えいたします。
問い1の(1)についてでございます。
公安委員会は、警察行政の民主的運営と政治的中立の確保を目的に設置されたものと承知しております。警察組織と利害関係もなく、公平・公正な立場で調査結果を判断されるという組織だと認識しておりますので、当初より公安委員会に管理して報告をしようというふうに考えていたところでございます。
問い1の(2)についてでございます。
県警としては、現在、総合的に調査を続けております。取り調べの観点についても、総合的に誤認逮捕に至った経過等の関連も含め、しっかりと調査しているところでございます。ですので、取りまとめた上で御報告させていただきたいというふうに考えているところでございます。
問い1(5)でございます。
窃盗犯捜査を含めて、これまでこのような誤認逮捕に至ったような不適正な捜査があったという報告は受けておりません。
以上でございます。
○(
西田洋一議長) 休憩いたします。
午後1時から再開いたします。
午前11時58分 休憩
―――――――――――――――――
午後1時 再開
○(
西田洋一議長) 再開いたします。
質疑を続けます。
○(菊池伸英議員) 議長
○(
西田洋一議長) 菊池伸英議員
〔菊池伸英議員登壇〕
○(菊池伸英議員) (拍手)菊池伸英です。
質問に入ります。
平成28年に無電柱化の推進に関する法律が施行され、3年が経過しようとしています。
この法律は、災害時の安全な交通の確保や電線のない良好な景観の形成を主たる目的としています。まず、災害時の安全な交通の確保という目的は、昨年の西日本豪雨災害や千葉県を襲った台風15号及び17号の災害状況を鑑みると、その必要性を否定する方はいないのではないかと思います。そして、次に、良好な景観の形成という目的については、愛媛県内の観光地を訪れる観光客のためだけでなく、県民の日々の暮らしにおいても重要な意味を持つ施策であると思っています。
この法律において、地方公共団体は、無電柱化の推進に関する計画を策定するよう努めることとなっています。
全国的に、戦後多く建てられてきた電柱が、今となっては歩行者や車椅子利用者の妨げとなっており、これは愛媛県においても同様で、過密な住宅地や市街地において、電柱が歩行者の妨げになっている状況です。場所によっては、自転車や歩行者が車道に出て歩行、走行する必要があるような大変危険な箇所も多く見受けられます。
また、大規模地震などの自然災害では、電柱倒壊による道路封鎖等により、避難や救急活動の防災の面でも多大な支障が生じるなどの事例は枚挙にいとまがありません。
国土交通省四国地方整備局の発表している四国
地区無電柱化推進計画に、愛媛
地区における整備の考え方が記載されています。当該部分だけを抜粋しますと、1、都市景観の向上及び防災対策の観点から、まちなかの緊急輸送道路を重点的に整備する。2、くらしのみちゾーンに指定している道後温泉街の景観整備とともに、そのアクセス道となるJR松山駅から道後温泉間を愛媛の顔となるような路線と位置づけ、優先的に推進する。3、松山城周辺、宇和島城周辺、今治駅周辺、新居浜駅周辺を圏域中心都市の顔となる路線と位置づけ、優先的に推進する。4、今治新都市関連、坂の上の雲まちづくりプロジェクト関連等、都市の再生に資する路線を優先的に推進すると明記されています。そして、この当時の
地区選定の方針どおり、該当
地区における無電柱化は、目に見えて整備されていると思います。
愛媛県が、平成31年2月に示した社会資本総合整備計画では、今年度から5年計画で松山市中央の松山港線、六軒家石手線が予定されており、令和5年度内に完了する予定になっています。
市街地の無電柱化は非常に意義がある事業であると思いますが、この事業にもメリット、デメリットがあり、特にデメリットの面では、経済的な負担や課題が多く挙げられており、よい面ばかりを重視し、全ての緊急輸送道路を整備するわけにはいかないでしょうし、地域の合意形成があってこその整備計画であると理解をしています。緊急輸送道路にも指定されていない道路であれば、なおさらではないでしょうか。しかしながら、大型医療施設の周辺道路などは、防災の観点から最優先となるものと考えます。
以上を踏まえた上で、観光地には該当しないような
地区であっても、防災対策の観点から、重要となる
地区における無電柱化の方針についてお尋ねをいたします。
あわせて、国土強靱化施策、防災・減災対策として重要視されている道路陥没問題への愛媛県の対策についてお尋ねします。
平成28年、福岡市博多駅前で発生した大規模陥没事故は比較的記憶に新しいと思います。この事故は、早朝に発生したため人的被害はなかったものの、電気、ガスなどのライフラインはもとより、近隣建設物、空港、金融機関などの都市機能が広範囲に麻痺し、市民生活や経済活動に甚大な影響を与えました。こうしたことがないよう、平素の維持管理は危機管理意識を持って路面下空洞対策に積極的に取り組むべきであります。
政府の目指す強靱な国土、経済社会システムとは、私たちの国土や経済、暮らしが、災害や事故などにより致命的な被害を負わない強さと速やかに回復するしなやかさを持つことを目的としています。
愛媛県では、いつ起こるかわからない南海トラフ巨大地震等の広域災害が発生した場合に、迅速な救援・救助活動を支え、復旧体制を構築するため、緊急輸送道路を主体とする道路ネットワークを早期に確保し、被災状況に即応して道路啓開ができるよう、愛媛県道路啓開計画を平成29年3月に改定し取り組んでおられます。
さきに述べた防災対策の観点から重要となる道路の無電柱化とあわせて、それら基幹道路を中心とした路面下空洞対策にも早急に取り組むべきだと考えますが、無電柱化を推進している道路における路面下空洞調査の実施状況と今後の見通しについて、見解をお聞かせください。
次に、愛媛県における消防団及び各種団体との受援に関する施策についてお尋ねします。
まず、消防団の関連施策についてですが、平成25年に施行された消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律では、消防団を将来にわたり地域防災の中核として欠くことのできない代替性のない存在と規定し、地方公共団体に消防団員の加入促進を図るため、必要な措置を講じることを義務づけています。
これを受け、本県でも、平成27年度から消防団員確保対策緊急支援事業に取り組み、消防団員確保キャラバン事業や女性消防団員加入促進アピール大会の開催をしてきたほか、平成29年度からは、地元消防団員が高校を訪問して、消防団の必要性や魅力をPRする未来の消防団加入促進事業、地域の実情に応じた機能別消防団員制度の創設や団員の加入促進を目的とした機能別消防団員等確保対策事業をそれぞれ着実に実施しておられますことに敬意を表します。
本県における消防団員の現状と課題を見てみますと、事業全体の成果が県全体の減少の実態に追いついていないのではないかと思われます。
消防団員数は、年々減少傾向にあり、過去10年間で約900人減少しています。さらに、サラリーマン団員比率は、平成28年から平成30年にかけて69.4%、69.8%、70.2%と推移し、やや増加傾向にあります。平成30年における70.2%は、全国平均の73.5%と比較するとやや低い水準ではありますが、四国では一番高い数字となっています。全国的に、そもそもの消防団員の減少と、他方で、サラリーマン団員率の増加は一長一短の状況であり、本県におきましても同様の傾向が見られるわけですが、結果、昼間人口の少ない地域にとっては、日中の有事の際の対応が困難になっていると言わざるを得ません。
一方、女性消防団員数は増加傾向にあり、10年間で100人強増加しています。また、機能別団員数も増加傾向にあり、平成28年から平成29年にかけて38人増加、平成29年から平成30年にかけて20人増加となっています。これらは、女性消防団員加入促進や機能別消防団確保対策の取り組みによって、一定の成果があらわれた結果だと思われます。
しかしながら、これらにつきましても、幾つかの課題があると考えます。平成30年の女性消防団員比率は3.1%であり、これは、全国平均と同じ水準となっています。一方、平成29年度目標値であった女性消防団員数1,092人には、平成30年時点においても460人不足しています。機能別消防団員における女性消防団員数につきましても、機能別消防団員等確保対策事業に取り組む以前である平成28年の方が平成29年より2人多く、減少しているという現状があります。
以上を踏まえ、以下、質問をさせていただきます。
これまで本県としては、消防団加入促進の事業を精力的に行ってきましたが、いまだに消防団員数は年々減少を続けているという現状や、女性消防団員数の目標値に達していないという現状がございます。今後、これらの結果を打開するためには、より一層の工夫が求められると思います。
これまでの事業を踏まえ、県として現状をどのように受けとめ、分析しているのか。また、目標に向けて、今後はどのような方策で臨まれるのかお聞かせください。
続いて、ガイドラインを踏まえた受援計画の策定についてお尋ねします。
国では、
東日本大震災を受け、平成24年6月に災害対策基本法の改正を行いました。そこでは、第40条第3項及び第42条第4項において、地方公共団体は地域防災計画を定めるに当たり、円滑に他の者の応援を受け、または他の者を応援できるよう配慮するものと規定されています。
さらに、平成24年9月には防災基本計画も修正され、応援・受援に関する規定が整理されました。防災基本計画第2編第1章第6節には、地域防災計画に受援計画を位置づけるよう努めるものとの記載がなされています。
また、平成28年に発生した熊本地震では、広域的な応援・受援に具体的な運用方法、役割分担がいまだ確立していないこと、応援の受け入れに当たり、県と市町村の役割分担が明確でなかったことなど、被災地方公共団体における受援体制が十分に整備されていなかったことから、多くの混乱が見られました。
これを受けて、平成29年3月に内閣府から、地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドラインが地方公共団体に示されました。このガイドラインには、応援・受援の基本的な考え方と現状を示した上で、円滑な応援・受援のためにとるべき体制やあらかじめ知っておくべき基礎知識、平時から取り組むべきことについて記載されています。
本県におきましては、受援計画にかかわるものとして、主に四国4県での連携に関する危機事象発生時の四国4県広域応援に関する基本協定に基づく支援・受援マニュアルと県内での連携に関する愛媛県広域防災活動要領があると認識をしています。危機事象発生時の四国4県広域応援に関する基本協定に基づく支援・受援マニュアルは、平成27年11月に作成され、平成29年3月に改定が行われました。また、愛媛県広域防災活動要領は、平成27年3月に策定され、全国から派遣される自衛隊、消防、警察などの救助機関の受け入れや、食料や飲料水などの支援物資をいかに愛媛県内に円滑に受け入れるかについて、基本的な体制や手順を定めているものだと理解をしています。
しかし、熊本地震を受け、平成29年に内閣府から地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドラインが示されたことを踏まえると、平成27年に作成された愛媛県広域防災活動要領には、その時点において考慮されていなかった事項が散見されることから、早急な改定が必要であると考えます。具体的には、ガイドラインに記載されている応援・受援の役割を組織に位置づけること、必要資源を把握し、資源の管理に必要な情報項目を整理すること、応援・受援の対象となる義務とその具体的内容を明らかにすることなどを盛り込む必要があるように思われますが、今後、地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドラインの内容を踏まえ、愛媛県広域防災活動要領を改定する予定はありますでしょうか。
また、平成30年の西日本豪雨では、南予地域の市職員がマスコミの取材に対し、事前に受援計画があれば混乱は避けられたかもしれないと述べていたことから、県として、早急に県内の自治体が受援計画を策定できるよう協力することが求められると思われます。
現在、県内市町での受援計画策定はどのような状況にありますか。また、県としては、県内市町と今後どのような連携、協力をしていくつもりかお聞かせください。
次に、愛媛県の若者投票率向上にかかわる施策についてお尋ねします。
平成27年、選挙権年齢を18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が成立して以降、若年層の投票の動向に世の注目が集まっています。
本県におきましても、平成28年から高校生を対象に、政治や選挙に対する関心を高め、政治的教養を育むための主権者教育推進事業に取り組んできました。
また、昨年の愛媛県知事選挙に向けては、NPO法人NEXT CONEXIONと愛媛県選挙管理委員会が協働で県内の高校生を対象に選挙啓発を行う事業を実施し、約半年間の実施期間内に計54校で授業を行ったと伺っています。そのかいあってか、このNPO法人の報告書によると、昨年の愛媛県知事選挙の全体投票率は、最低の39.05%となる中、高校3年生相当の学生、生徒の投票率は47.93%でした。これは、世代別投票率の中でも70歳代に次ぐ高さであるといいます。18歳有権者全体の投票率は37.81%と低い水準でしたが、これを現役高校生に限定すると、投票率は他の世代と比較しても高い水準であり、本県における高校生を対象とした主権者教育や選挙啓発の取り組みが一定の成果を上げたものだと捉えることができます。
また、本県では、明るい選挙を推進するために、適正な選挙の執行と啓発という施策名のもと、常に啓発事業を実施していると認識しています。予算施策評価表では、この施策の成果指標として、当該年度に実施された国政、知事、県議、その他県管理の各選挙の平均投票率を上げており、平成26年度以降は平均投票率60%を目標値としていますが、残念ながら平成28年の参院選では56%、平成29年の衆院選では50%、ことし4月の県議選では40%、ことし7月の参院選では52%と、近年行われた選挙は投票率60%に達していません。
全国に目を向けますと、投票率が60%を超えているのは、平成28年の参院選では、長野県、山形県、島根県、秋田県の4県だけであり、ことし7月の参院選においては山形県のみとなっています。これらの結果を踏まえますと、いかなる選挙においても、平均投票率60%を達成するのは決して容易なことではないということになります。
そこで、お伺いします。
今後、愛媛県内全体の投票率の底上げを図るためにどのような取り組みを考えているのか。また、投票率60%を達成するために、県としてどのような施策をお考えでしょうか。
さらに、高校生世代以外の投票率が低い若年層、すなわち20代、30代の投票率向上が求められると考えますが、この世代の投票率を向上させるための工夫、新しい事業の方向性についてもあわせてお聞かせください。
平成28年4月、公職選挙法の改正では、投票所に入ることのできる子供の範囲が拡大されました。従来は、投票所に入ることができる子供の範囲は幼児とされていましたが、幼児、児童、生徒、その他の18歳未満の者へと変更になりました。これを受けて、他県や他の自治体では、ホームページにこの変更点について記載したり、子供と一緒に選挙に行くことを推奨するキャンペーンを実施したりしています。愛媛県内でも、松山市選挙管理委員会が親子で参加する模擬投票イベントや小中学生と保護者向けのチラシ作成に取り組んでいます。
今後、愛媛県として、18歳未満の子供と一緒に選挙に行くことをさらに推進すべきだと考えますが、御所見をお聞かせください。
最後に、社会の多様化の現状を踏まえ、夜間中学の設置についてお伺いします。
平成29年に施行された義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、いわゆる教育機会確保法は、不登校児童生徒に対する教育機会の確保、夜間等において授業を行う学校における就学機会の提供、その他の義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等を総合的に推進することを目的とし、地方公共団体は、教育機会の確保等に関する施策について、国と協力しつつ地域の現状に応じた施策を策定し実施する責務を有するとし、さらに都道府県及び都道府県内の市町村は、都道府県及び市町村間の役割分担に関する協議や連絡調整を行うための協議会を組織することができると規定しています。
その法令に基づき、文部科学省では、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針を策定し、全ての都道府県に少なくとも一つは夜間中学等が設置されるよう、その設置を促進しており、高知県、徳島県においては、夜間中学開校の準備が進められています。
そのような中、本県では、本年3月に改定した愛媛県教育振興に関する大綱において、目指す方向として、不登校を初め生徒指導上の課題の速やかな解決と防止のため、相談活動や学校を支援する体制を充実させるほか、児童虐待の兆候を的確に察知するため、職員研修や地域啓発を進めるとともに、福祉、医療、警察など関係機関との連携を強化し、早期に取り組むなど、児童生徒の健全育成に取り組むとしており、不登校などの解決と防止に取り組んでいるかと思います。
それでは、実態としての本県における不登校の現状と課題はどうでしょうか。不登校児童生徒数は年々増加傾向にあり、平成25年度から29年度の過去5年間で、小学校では77人、中学校では70人増加しています。その間、全児童生徒数が、小学校では約3,600人減少し、中学校では約3,000人減少している中におきましては、事態は深刻です。全児童生徒数1,000人当たりの不登校児童生徒数で換算すると、小学校では、平成25年度に2.3であったものが、平成29年度には3.5に、中学校では、平成25年度に22.4であったものが、平成29年度には26.2と不登校児童生徒の割合が増加していることがわかります。
それらの状況を受け、本県では、いじめ、不登校、児童虐待への対応として、スクールカウンセラー活用事業やスクールソーシャルワーカー活用事業など複数の事業を行っており、外部専門家の参画による相談活動や学校を支援する体制の充実を図っていますが、依然、不登校児童生徒の解消に至っていないという現状があります。
また、県の総合教育センター不登校療育事業を見ると、不登校児童生徒の学校復帰及び社会的自立を支援、援助するための事業となっており、小中学校の不登校児童生徒にとっては、学校復帰以外の選択肢がないのが実情ではないでしょうか。
以上を踏まえまして、以下、質問をさせていただきます。
これまで本県としては、不登校に対する取り組みを精力的に行ってきました。今後、これらの児童生徒のセーフティーネットとするための一方策として、文部科学省の基本指針にあるとおり、県内に少なくとも一つは夜間中学を設置するよう進めていくべきと考えます。都道府県及び市町村間の役割分担に関する協議や連絡調整を行うための協議会を設置し、本県での夜間中学の設置主体や設置場所、設置する時期や広域行政を担う都道府県が果たすべき役割などの検討を行っていくべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
愛媛県の県土を想定すると、都市型の夜間中学とは違う地方都市ならではの事業の進め方が必要となり、インターネットの有効活用なども検討すべきかと考えます。加えて、夜間中学の存在が不登校児童生徒にとって、みずからを鼓舞し、再び立ち上がり、前へ向かって歩き始めるためのよりどころとなり得るのか、御所見をお聞かせください。
愛媛労働局が本年1月に発表した平成30年10月末現在の外国人の雇用状況は、前年同期と比べて564人多い8,376人でした。特に、製造業などで人手不足が深刻な状況にあり、地域では今治、規模では小規模企業、在留資格別に見ると、約7割が
技能実習生という傾向です。この傾向は、人手不足が解消されなければ今後も続いていくことが想定され、この方々を地域社会の一員として迎え入れるには、日本語学習が急務であります。
これらを考慮すると、さまざまな理由で義務教育を修了できなかった人や不登校等でほとんど学校に通えなかった人、また、本国で義務教育を修了していない外国籍の人などが学ぶ夜間中学の必要性は高まってきているとつけ加えさせていただき、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
西田洋一議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
西田洋一議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 菊池議員に、私の方からは、消防団及び受援に関する施策のうち、県内市町での計画の策定状況等についての御質問にお答えをさせていただきます。
県では、西日本豪雨による発災翌日から、国や応援協定締結企業等と連携し、市町の避難所へ水や食料、生活用品等のプッシュ型支援など、人的・物的支援に全力で取り組んだところでありますが、豪雨災害の検証報告では、一部の市町で受け入れ体制の未整備により混乱が生じたことから、市町の受援計画策定の必要性が提言をされたところでございます。
県内市町では、愛南町が物資の受援計画を策定しているほか、今年度中に3市が計画を策定する予定でありますが、提言内容を踏まえ、6月補正予算で市町の受援計画策定を支援する経費を計上したところでございます。
現在、県と市町で構成するワーキンググループで、豪雨災害時の応援・受援を経験した県のノウハウや、被災市町の教訓も反映しながら、市町計画のひな形となるモデル計画の作成に取り組んでおりまして、今後、計画策定手法に詳しい有識者による研修会を開催するなど、市町の受援計画の早期策定を強力に支援していきたいと考えております。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(高橋正浩総務部長) 議長
○(
西田洋一議長) 高橋総務部長
〔高橋正浩総務部長登壇〕
○(高橋正浩総務部長) 投票率向上に関する御質問のうち、まず、投票率の底上げを図るための取り組みについてお答えをいたします。
7月の参院選における本県の投票率は52.39%で、全国平均の48.80%は上回ったものの、近年、60%を下回る状況が続いております。もとより投票率は、候補者の顔ぶれや政策的な争点等によって大きく左右される面はありますが、投票率のさらなる向上を図るため、県民の投票参加を促す効果的な啓発活動とともに、誰もが投票しやすい投票環境の整備に取り組むことが重要であると認識をしております。
このため、県では、市町や選挙管理委員会と連携し、学校巡回や各種フォーラム開催等による啓発活動や選挙期間中のSNSなど各種媒体を活用した周知啓発のほか、投票の約4割を占め、増加傾向にあります期日前投票のさらなる利便性の向上や巡回バス等を活用した投票所への移動支援など、さまざまな取り組みを進めることとしております。
次に、若年層の投票率向上の取り組みについてお答えをいたします。
選挙への関心が薄いと言われる若年層の投票参加を促すため、高校や大学等で主権者教育を実施するとともに、選挙時には、若い世代に利用が広がっておりますツイッターやフェイスブック等のSNSを活用した情報発信を行うなど、さまざまな工夫を重ねているところでありまして、今後とも、若年層への訴求力がある、より効果的な対応策を実施し、政治参加意識の向上に努めることとしております。
次に、投票所への子供の同伴についてお答えをいたします。
投票所への子供の同伴は、将来の有権者である子供たちが投票の様子を間近に見ることで、選挙に対する意識啓発につながる有効な手段の一つであり、県としても、選挙ごとに開設する特設ホームページでの啓発や報道機関への啓発情報の提供等により周知に努めてきたところでありまして、今後とも、県民へのさらなる周知や子供連れでも投票しやすい投票所の環境整備などに努め、同伴での投票を促進することとしております。