次に、豪雨災害に対する住民への情報伝達と避難支援などの取り組みについてお伺いをします。
昨年7月の
西日本豪雨では、県内で河川の氾濫や土砂崩れなどが同時多発的に発生をし、これまでに
災害関連死を含め戦後最大となる33名の方がお亡くなりになられました。早いもので発災から1年が経過をしましたが、一日も早い復旧・復興に向けて、引き続き中村知事を先頭にチーム愛媛の力を結集し、今後生じるであろう新たなニーズや変化にも臨機に対応していただき、被災者の方々が前を向いて進むことができるような方策をしっかりと講じていただきたいと思っております。
さて、ことしもまた、全国で大雨による甚大な被害が相次いで発生をしております。中でも、先月末に
九州北部地域を襲った記録的な大雨では、福岡、佐賀、長崎県に
大雨特別警報が発令をされ、各地で浸水被害が発生をしました。少しでも雨が続けば、気象庁の
雨雲レーダーを見ながら、本県にも線状降水帯による雨雲が流れ込んでくるのではないかと心配するようになったのは、決して私だけではないと思います。今月に入っても、関東を直撃した台風15号が大規模な停電を引き起こしており、台風の接近、上陸の多い季節を迎える中、日ごろからの備えが大切だと肝に銘じるものであります。
西日本豪雨では、多くの災害が発生をした県内においても、災害への備えが功を奏した
地区もあり、自助・共助の重要性を改めて認識した一方、災害の発生予測が非常に困難なため、行政がタイムリーに防災情報を提供し、住民がその情報を十分理解して避難することの難しさを強く感じたところでもあります。
こうした中、気象庁では本年5月、大雨の際に出される防災情報から、住民がとるべき行動を直感的に理解しやすくなるように5段階の警戒レベルの運用を始めたところであります。例えば、先ほどの
大雨特別警報は、最も警戒すべきレベル5に相当し、何らかの災害が既に発生している可能性が極めて高い状況であり、命を守るための最善の行動をとるべきとされています。こうした取り組みが広く浸透をし、行政が発する情報の持つ意味が住民に効果的に届き、適切な避難行動につながっていくことを期待しております。
一方、県では、甚大な被害のあった肱川において、ことし5月に大洲市菅田
地区や西予市野村
地区などの
洪水浸水想定区域図を策定され、今後も引き続き、他の河川での策定を進めるなど、住民に向けた水害リスクの周知に一層取り組まれているとお聞きをしております。
また、降雨によって発生リスクが高まる土砂災害についても、ことし3月に取りまとめられた
土砂災害対策検討委員会の報告に基づき、より効果的な
情報伝達方法の検討などが進められていると承知をいたしております。
近年の異常気象の頻発化に伴いまして、大雨の傾向は今後も続くと見込まれております。県民の生命と財産を守り、甚大な被害の発生を防ぐためには、河川改修や
砂防堰堤整備などのハード対策を着実に進めていくことはもちろん必要ではありますが、計画規模を超えて発生する浸水被害や突発的に発生する土砂災害に対しては、命を守ることを最優先に、住民が確実に避難することが何よりも重要と考える次第であります。
そこで、お伺いいたします。
河川の氾濫による浸水被害や土砂災害から県民の命を守り、安全・安心を確保するため、県は今後、住民への情報伝達や避難支援などにどのように取り組んでいくのかお聞かせ願いたいと思います。
次に、先進技術を活用した働き方についてお伺いをします。
今月1日からの2日間にわたりまして、愛媛県では初となる大規模国際的な
ハイレベル会合、G20愛媛・
松山労働雇用大臣会合が開催をされました。本会合には、G20加盟国を初め、30の国・国際機関から約200名の方が参加をし、仕事の未来を全体テーマに議論がなされ、各国が今後取り組むべき
労働雇用政策の方向性を取りまとめた大臣宣言であります人間中心の仕事の未来の創出が採択をされたと承知しています。
この大臣宣言では、人口動態の変化への対応、ジェンダー平等への対応、新しい形態の働き方への対応などが盛り込まれており、余暇時間の長さや通勤時間の短さなどが
全国トップクラスである本県におきまして、このような世界の
労働雇用政策にかかわるハイレベルな議論が行われ、宣言が世界に発信されたことは大変意義深いものであると考えております。
ここで、本県の
労働雇用情勢について目を向けますと、直近の
雇用失業情勢によれば、7月の
有効求人倍率は1.60倍となっており、依然として求人が求職を大幅に上回って推移している状況にあります。まさに県内は深刻な人手不足の状況であります。
また、将来に目を向けてみますと、本県の
労働力人口は、平成30年の
労働力調査のモデル推計によれば69万3,000人となっておりますが、
独立行政法人労働政策研究・研修機構が平成27年に行った推計によれば、2030年には56万2,000人にまで減少するという結果が出ています。あくまでこれは経済がゼロ成長で、若者、女性、高齢者などの労働参加が現状と同じと仮定した場合の推計でありまして、実質2%程度の経済成長が実現をし、女性や高齢者などの労働参加が進んだ場合には、同じ2030年で
労働力人口は62万1,000人になると推計をされています。ただ、いずれにせよ言えることは、本県経済を担う
労働力人口は、今後、必ず減っていくということであります。
こうした中、本会合の
同時開催イベントとして実施をされましたえひめ未来のしごと博・
えひめITフェア2019においては、AIやロボット、5Gなど、業務改善や働き方改革を可能にするさまざまな技術が展示、紹介をされ、2,000名近くの来場者や大臣会合の代表団が、未来の仕事を体感したと聞いています。
労働力人口の減少が見込まれる中、本県経済が持続的発展を続けていくためには、AIやIoTなどの先進技術を活用した自動化、ロボット化や、時間や場所にとらわれない新しい働き方の推進により、一人一人の
労働生産性、収益性の向上を図っていくことが必要になってくると考えます。
家電機器を初め、インターネットや
スマートフォンなど我々の生活に身近なものだけでも、技術の進歩が日進月歩であることがわかります。我が国では、高齢化が進み対応すべき課題は山積をいたしておりますが、寿命が延伸していること自体は医療技術の進歩や福祉の向上のたまものでもありますし、今後、さまざまな分野でのさらなる技術の進歩に期待をしたいと思います。
そこで、お伺いをします。
労働力不足という深刻な課題に対して、県内企業において先進技術を活用した業務改善、働き方改革を進めるため、県ではどのように取り組まれているのかお聞かせください。
次に、
海洋プラスチックごみ対策についてお伺いいたします。
プラスチックは、金属などに比べて軽量で扱いやすく、耐久性にすぐれている上に、製造にかかるコストも安いことから幅広い用途に利用されており、今や私たちの生活は
プラスチックに大きく依存をしております。
しかしながら、最近、
ホテルチェーンや
大手レストランチェーン、コンビニエンスストアなどにおいて、
プラスチックストローの使用を廃止したり、
大手衣料品販売企業がレジ袋を紙製に切りかえたりするなど、
使い捨てプラスチック製品の削減に向けての取り組みが広がっているというようなニュースが、テレビや新聞等でよく取り上げられております。
こうした動きの背景の一つには、大量に消費、廃棄されました
プラスチックごみによる海洋汚染問題があります。私
自身海岸沿いの道を通行している際に、ポイ捨てされたのでしょうかコンビニのレジ袋や食品の容器などが波間に漂っている光景を頻繁に目にいたします。
また、昨年には神奈川県の鎌倉市において、ことしに入ってもフィリピンにおいて、浜辺に打ち上げられた鯨の胃の中から大量の
ビニール袋などが出てきたという報道がありました。海に漂流する
ビニール袋をクラゲなどの餌と間違えて食べてしまい、それらが消化されないままに胃の中がいっぱいになってしまったため、本来の餌を食べられなくなり死んだものと考えられており、このような例は魚や鳥などを含めて、枚挙にいとまがない状況であります。ことしの環境白書では、世界全体で毎年約800万トンの
プラスチックごみが海へ流れ込み、2050年には海洋中の
プラスチックごみの量が魚の重量を超えるという試算も示されております。
また、海洋に流出したレジ袋やペットボトルといった
プラスチックごみは、紫外線や波の力で劣化をし、直径5ミリ以下のいわゆる
マイクロプラスチックとしても海に広がっており、北極や南極でも観測されたとの報告もされております。この
マイクロプラスチックは有害物質などを吸着する性質を持つため、これらを吸収することによっても海洋生物に悪影響を及ぼすことが懸念されているなど、
海洋プラスチック対策は、世界全体の課題として早急に対応する必要があるとの警鐘がなされております。
こうしたことから、世界各国で
プラスチックごみの排出抑制に向けた取り組みが加速をしており、ことし3月にはEU議会で、
使い捨てプラスチック製品を2021年から禁止する規制案が可決をされました。我が国においても、ことし5月に、
プラスチックごみの排出を2030年までに25%削減することなどを柱とした
プラスチック資源循環戦略が策定をされ、6月に大阪で開催をされましたG20首脳会合では、日本の対策を各国に発信し、新興国をも巻き込んだグローバルで実効性のある取り組みを推進するため、2050年までに
プラスチックごみによる新たな海洋汚染をゼロにするという目標が採択をされました。
私も今後、地球規模で
海洋プラスチックごみの削減対策が進むことを期待してやみませんが、四方を海に囲まれ、世界有数の
海洋資源国家でもある我が国にとって、また、とりわけ
しまなみエリアの島々を含む
瀬戸内海国立公園や
足摺宇和海国立公園などの風光明媚な自然景観を有するとともに、全国で5番目の長さの海岸線のもと、海面養殖業を初めとする水産業を基幹産業とする本県にとりまして、
プラスチックごみによる
海洋汚染対策は極めて重要な喫緊の課題であり、地域に暮らす私たち一人一人がこの問題をもっと真剣に捉え、一歩一歩着実に取り組みを進め、この美しく豊かな愛媛の海を将来に引き継いでいかなければならないと考えるのであります。
そこで、お尋ねをします。
プラスチックごみによる海洋汚染問題について、今後、県としてどのように取り組んでいくのかお聞かせください。
次に、新たな
森林管理システムの円滑な運用に向けた
取り組み状況についてお伺いをします。
私の地元今治市は、山崩れの起こりやすい真砂土に覆われており、大雨のたびに多くの土砂が蒼社川に堆積をし、明治の時代から、降れば洪水というほどに災害に頻繁に見舞われてきた地域であります。こうした災害を未然に防止するため、先人たちは明治24年に流域の14町村で2,500haの山林を取得し森林整備を進めるなど、古くから森林を守ってまいりました。
森林は、生物多様性や地球環境の保全、土砂災害の防止、水源の涵養、保健・レクリエーションの場の提供など多様で重要な機能を有しており、我々の日々の暮らしと深いかかわりがあることは御案内のとおりであります。
昨年、本県に甚大な被害を及ぼした
西日本豪雨災害を初めとして、私たちがこれまで経験したことがなかった災害が全国各地で頻発する今こそ、森林の持つ防災機能を十二分に発揮をさせるため、先人たちの知恵に学び、森林の適正管理の重要性を社会全体で再認識すべきときであると痛感をいたしております。
本県は、県土の約7割が森林で覆われており、そのうち約6割を杉やヒノキといった人工林が占め、平成30年の素材生産量は、杉が全国14位、ヒノキは全国3位であり、全国有数の森林県であります。これらの森林は、多くの先人たちのたゆまぬ努力により育まれたものであり、この人工林の多くは木材資源として十分に活用できるまでに成長をいたしております。
私は、この森林を将来にわたり適正に管理し、そこで育った木材資源を余すところなく有効に利用し、そして安全で安心な生活環境を守っていくことが、今を生きる私たちに課された大きな使命であると認識しております。
一方、森林を支えてきた山村地域では、過疎化や高齢化が急速に進んでいます。森林の所有者が地域外に転出をしていたり、相続による世代交代や境界が不明となっている森林の増加のほか、木材価格の長期低迷も相まって、経営に対する意欲の減退等の問題が顕在化をしており、手入れの行き届かない森林が増加することで、
土砂災害防止等の公益的な機能が急速に低下をしているのではないかと危惧をしているところであります。
このような中、本年4月に
森林経営管理法が施行され、市町村が
森林所有者の意向を酌んで森林の適正管理を行う新たな
森林管理システムの運用が開始をされるとともに、これを財政面で支えていく
森林環境税が国において創設されたところであり、国民全体で森林管理を担うフレームが整えられました。しかし、運営主体となる本県の市町の現状としては、このシステムを軌道に乗せて推進するための人材が極めて少なく、加えて専門知識や経験も不足をしている状況にあります。仏つくって魂入れずではありませんが、適正な森林管理を実現するためには、実効力のある取り組みが必要であります。
そこで、お伺いします。
新たな
森林管理システムの円滑な運用のためには、市町への県の指導や支援は不可欠であると考えますが、県はどのように取り組んでいるのかお聞かせ願いたいのであります。
最後に、本県における
あおり運転の現状と対策についてお尋ねをいたします。
先行する車両との車間距離を極端に短くし恐怖感を与える、いわゆる
あおり運転をめぐっては、平成29年6月、神奈川県内の東名高速道路において、
あおり運転の車が一家4人の乗車する車を道路を塞いで無理やり停車させたところ、後続のトラックに追突をされ夫婦が死亡、同乗をしていた子供2人が負傷するという大変悲惨な交通事故が発生をしました。亡くなられた御夫婦の無念さはもちろん、加害者の理不尽な行為を目の当たりにし恐怖を感じ、そして突然に両親を失うこととなってしまったお子さんの気持ちを思うと言葉がありません。加害者の浅はかで身勝手な判断と悪質で危険な行為に対して同情の余地はなく、一審では懲役18年の判決が出されており、今後の控訴審の行方も世間の注目を集めているところであります。
さて、この事件が連日大きく報道されたことは記憶に新しいところでありますが、この事故を契機として、
あおり運転に対する厳正な対処を望む国民の声が急速に高まりました。このため、警察庁では、全国の警察に対して通達を出し、あらゆる法令を適用した摘発や、悪質・危険な運転者を早期になくすための迅速な行政処分の執行、
運転免許更新時講習などにおける
あおり運転の危険性や違反行為の現状についての交通教育を実施するなど、
あおり運転などの悪質・危険な運転を抑止するための取り組みの強化を指示されたとお伺いしています。
しかしながら、このような取り組みを推進する中、本年8月に再び茨城県守谷市の
常磐自動車道において、
あおり運転を繰り返したあげく、またもや高速道路上に停車をさせた上で、相手の運転者に暴行を加えるという傷害事件が発生をし、その状況は
全国ニュースで何度も大きく報道されたところであります。また、この事件のほかにも、大阪府において、急ブレーキを繰り返すなどの
あおり運転をした運転者が暴行事件で検挙されるなど、最近、全国的に
あおり運転が相次いで発生をしております。これ以上ない悪質で悲惨な事故を受け、
あおり運転は悪であるとの認識が広まったはずである中、なぜこのような行為が何度も繰り返されてしまうのか、私には理解ができません。
改めて申し上げることもないことですが、
あおり運転は、極めて悪質で死亡事故などの重大事故にも直結する大変危険な行為であります。まさに安全で円滑な道路交通に対する大きな脅威であり、本県においても同種の事案が発生することに危機感を抱いているところであります。
あおり運転を未然に防止するためには、車間距離の不保持や急ブレーキ禁止違反等に対する積極的な交通指導取り締まりの強化や、
あおり運転を社会全体でなくしていくための取り組みが重要であると考えます。特に、県警による
あおり運転の抑止に向けたさまざまな取り組みを強化していただくことが必要であり、県民の期待は非常に大きいものがあると認識をいたしております。
また、ハンドルを握ると性格が変わるなどという言葉もあり、運転をする際には気が大きくなる方も中には見受けられるようであります。私は、ドライバー一人一人の意識を改めるだけでも随分と効果があると考えます。当たり前のことではありますが、誰もがゆとりや譲り合いの気持ちを持った運転を心がけ、
あおり運転が一日も早く根絶されることを願っております。
そこで、警察本部長にお伺いいたします。
本県における
あおり運転の現状と対策について、御所見をお聞かせください。
以上で質問は終わりますけれども、この際、質問の冒頭でも若干触れました日韓関係の悪化につきまして、私の所感を述べさせていただきたいと思っております。
もとより韓国は日本と非常に近い国でありまして、古来から人の往来、文化の交流等さまざまな面で非常に密接な関係にございました。
長い年月の間には、いろんな衝突もあった経緯もございますけれども、そうした中、約400年ぐらい前になりますけれども、豊臣秀吉の命を受けて村上水軍が韓国南西部の珍島の方に攻め入ったこともございます。大きな海戦がありまして、たくさんの村上水軍もそこで戦死をいたしました。その中で、流れ着いた村上水軍の兵士たちを地元の方たちが丁寧に弔って小高い丘にお墓をつくって、400年以上経過した今までも大切にお祭りをしていただいている、そういった交流もございます。
10年ほど前ですけれども、来島保存顕彰会の方たちと一緒に私も韓国南西部珍島を訪れて、そのお礼に伺ったこともございます。その中で、毎年そこで行われておりますお祭りに合わせて参加をしたんですけれども、珍島郡が属しておる全羅南道の知事さんがそこへ来ていただいて、一緒に昼食をとったことがございました。非常に親日の方で日本語も大変流暢な方でございました。そこでいろいろとお話をさせていただきながら過ごしたことをきのうのように思い出すわけでございますけれども、そういった中で、韓国大統領が今何かと話題の文さんにかわりました。そして、大統領のもと首相も交代をいたしましたけれども、その首相の顔を見た瞬間にどこかで見たことがあると思ったらば、そのときの全羅南道の知事さんでありました。あれだけ親日で日本語も達者で日本が好きな方だったんですけれども、発言等々を見ておりますと、やはり大統領のもとでの首相という立場があるんでしょうか、GSOMIAに関しても、日本が見直せばもう一度韓国も見直す用意があるとか、ちょっと厳しい発言等も続いております。
国関係の政治というレベルでの建前と本音の世界もあるのかもしれませんけれども、何はともあれ、質問中にも述べましたように、今後とも、民間あるいは地方間同士での交流が進んで、一日も早く日韓関係が改善をし、そしてまた、友好な隣国として、これからもお互いに発展していくことを心から願いつつ、質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
西田洋一議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
西田洋一議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 越智議員に、まず、ソウル線に関する御質問にお答えをさせていただきます。
韓国最大のLCC
チェジュ航空による松山−ソウル線は、これまで全体の約7割を占める韓国からのインバウンド需要に支えられまして、各月の搭乗率は常に8割以上を維持してまいりましたが、日韓関係の悪化の影響を受け、8月の搭乗率が初めて8割を切り、9月以降も韓国側の新規予約が極めて低調であるなど、予断を許さない状況にあります。
このような中で、7月下旬に
チェジュ航空の李社長が愛媛県の県庁を訪問されまして、将来的なデイリー化の方針にいささかも変わりがないことなどを報告いただきましたが、先日、副知事を韓国に派遣し、
チェジュ航空としては、他路線が減便される中、松山路線を維持するため、ことしの冬ダイヤは当面、現行の週3便で運航するが、状況が改善されれば、冬ダイヤ中でも週5便への増便を行いたいという意向が示され、その一番厳しいときを相互の信頼、協力で乗り越えていく意思の確認を改めて行ったところでございます。
このため、県では、当面アウトバウンドの強化対策として、既にソウルでの乗り継ぎ利用による旅行商品の造成や
チェジュ航空専用ラウンジの無料キャンペーンの実施、県内外でのプロモーションの強化、リピーター向けの利用促進策などに積極的に取り組んでいるところでございます。
また、今後は、報道のような現地の雰囲気、それはもう議員おっしゃるとおり本当にありません。国との問題は盛んに報道されていますけれども、一般の国民は双方ともに極めて冷静で、観光客を快く迎えるような空気があるということ、こうした旅行者の声など、ソウルの安全性を正確に伝える取り組みも行っていきたいと考えております。
ちなみに、8月は日本から韓国へ訪韓した旅行者は前年比を大きく上回っておりまして、これはそうした安全性を知っている方々、そして、現在の円高ウォン安の状況で日本には行きやすい環境が整えられているというようなことを知っている方々が、積極的に訪韓されているという証左ではなかろうかというふうに思いますので、そうした空気を多くの方々に広めていきたいというふうに思っています。引き続き
チェジュ航空と緊密に情報を共有し、市町や関係団体と連携して、地方レベル、民間レベルでの交流促進にも努めながら、安定運航に向けて強力に取り組んでまいりたいと思います。
次に、河川氾濫による浸水被害や土砂災害に関する御質問にお答えをさせていただきます。
県ではこれまで、早目の避難につながるよう、防災情報を市町や県民に広く提供してきたところでありますが、
西日本豪雨災害を受けまして、県が独自に設置した
土砂災害対策検討委員会等では、警戒避難情報の伝達手段のほか、住民意識や避難行動のあり方が課題との報告があったことなどから、情報伝達や避難支援を一層強化する必要があるものと認識します。
このため、地域住民へよりきめ細かな情報を提供できるよう、県内一円に水位計や河川監視カメラを増設するとともに、
洪水浸水想定区域図の策定箇所を大幅に追加しまして、さらに、土砂災害警戒情報の緊急速報メール配信や、防災行政無線の高性能スピーカー及び戸別受信機の整備支援など、早期避難のきっかけとなる情報の充実や伝達手段の多様化に取り組むこととしています。
また、住民の防災意識の向上が確実な避難につながるという認識のもと、砂防学習会の開催数の増加や、水中歩行疑似体験などを行う水害学習会を新たに開催し、防災教育をさらに充実させるとともに、住民と協働して水害や土砂災害に関するタイムラインの作成を進めるなど、避難支援策の強化を図ることとしています。
今後とも、県民の命を守ることを最優先に、ハード対策を着実に推進するとともに、伝えるから伝わる、そして住民みずから行動する、これを意識した防災情報の発信や避難を促す支援策などソフト対策の充実・強化を図り、県民の安全・安心の確保に努めてまいりたいと思います。
次に、県内企業の先進技術活用、業務改善、働き方改革等についての御質問にお答えをさせていただきます。
人口減少・少子高齢化が進みまして、人手不足が深刻化しています。一方で、働き方改革による長時間労働の是正等も求められる中、県内企業におきましても、AI、IoT等の先進技術を活用し、1人当たりの
労働生産性や収益性の向上を図る取り組みが不可欠となってきておりますことから、県では、その導入を積極的に支援してきたところでございます。
具体的には、産学金官により昨年設置しましたえひめAI・IoT推進コンソーシアム、ここが中心となりまして、ベンダー企業と県内企業による導入マッチング相談会を2回開催し、今年度、96件の国のIT導入補助金の採択につながったほか、県中小企業団体中央会と連携し、ものづくり企業のIoT等を活用した現場改善の支援等を行っています。
また、愛媛労働局と共同で昨年開設しました働ナビえひめにおいて、生産性向上設備やテレワーク導入を支援する国の助成金活用等に向けた個別相談を実施しているほか、先般のG20労働雇用大臣会合に合わせて開催しましたえひめ未来のしごと博では、働き方を変革し得る先進技術活用の啓発を行ったところでございます。
このほか、5G技術を活用した造船所クレーンの遠隔運転による労働環境改善の実証実験にも参画することとしており、今後とも、先進技術を活用した県内企業の業務改善や働き方改革を促進し、本県経済の持続的発展につなげてまいりたいと思います。
次に、
森林管理システムについての御質問にお答えをさせていただきます。
近年、
森林所有者の経営意欲の減退や放置林化が進み、県内でも管理が行き届かない森林が13万5,000ha程度存在すると推定される中、本年4月から運用が開始されました新たな
森林管理システムは、所有者から森林の経営管理を委託された市町が、森林の持つ多面的な機能を守るとともに、森林管理を意欲と能力のある林業経営者に引き継ぎ、林業を次世代につながる産業へと育成するために不可欠な制度であり、円滑に運用し十分に活用していくことが極めて重要でございます。
このため、県では、本システムの運営主体となる市町に、これまでの経過上、林業の専門職員が極めて少ない状況でございます。この現状を踏まえ、本年6月から愛媛大学と連携して市町職員等を対象とした専門講座を開講し、森林管理に必要な知識や技術等の習得支援に取り組むとともに、単独運用が難しい市町の実情を考慮して、本年度末を目途に県内5つの流域単位で広域的な推進体制を整備できるよう、現在、調整を進めているところでございます。
また、8月には、市町の事業支援や林業事業体の育成等を担う森林管理支援センターを県庁内に新設しましてサポート体制を強化するとともに、最先端技術である航空レーザー測量を活用した詳細な地形図や立体図、人工林の資源情報など、精度の高い県内の森林情報の整備も計画的に進めているところでありまして、これら重層的な支援を進めることで本システムの円滑な運用を図り、森林整備を通じた林業の成長産業化と森林資源の適正管理の両立に努めてまいりたいと思います。
その他の問題につきましては、
関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(岸本憲彦
県民環境部長) 議長
○(
西田洋一議長) 岸本
県民環境部長
〔岸本憲彦
県民環境部長登壇〕
○(岸本憲彦
県民環境部長)
プラスチックごみによる海洋汚染問題に対する取り組みについてお答えをいたします。
プラスチックは、私たちの生活に利便性と恩恵をもたらした一方で、
プラスチックごみによる海洋性汚染は、海洋環境や沿岸環境のみならず、水産業や観光業にも深刻な影響を及ぼしており、美しく豊かな海に恵まれた本県にとりましても、
海洋プラスチックごみ対策は重要な課題であると認識をしております。
このため、県におきましては、これまで愛媛県海岸漂着物対策推進地域計画に基づき、
プラスチックごみを含む海洋ごみを回収するとともに、小中学生を対象とした海洋ごみに関する体験型学習会を実施したほか、今年度、初めて海洋
プラスチック問題をテーマにシンポジウムを開催するなど、
海洋プラスチックごみ対策に積極的に取り組んでいるところでございます。
また、
プラスチックごみの発生削減対策として、紙製品等の
プラスチック代替製品の認知度向上を支援するイベントの開催、レジ袋削減やマイカップ等の利用促進に向けたキャンペーン等を通じ、県民の意識啓発等に努めているところでございます。
さらに、今年度末を目途に市町とともに策定を予定しておりますえひめ
プラスチック資源循環戦略、仮称でございますが、におきまして、
海洋プラスチックごみの実態把握や回収の徹底等による効果的な削減を目指していくこととしており、今後、本戦略をもとに、オール愛媛で美しく豊かな愛媛の海を次世代に引き継ぐための取り組みを加速してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(篠原英樹警察本部長) 議長
○(
西田洋一議長) 篠原警察本部長
〔篠原英樹警察本部長登壇〕
○(篠原英樹警察本部長) 本県の
あおり運転の現状と対策についての御質問にお答えいたします。
本県における
あおり運転についての110番通報は、本年8月末現在、230件であり、前年同期と比べ2倍に増加しております。被害発生の通報を受理したときには、直ちにパトカー等を急行させて通報者から状況聴取を行うとともに、容疑車両の捜査を行っているところであります。
県警では、
あおり運転が安全かつ円滑な道路交通の障害にとどまらず、意図的に危険を生じさせる悪質な行為であると認識しており、あらゆる法令を適用し厳正に対処しているところであります。特に悪質な行為については、暴行罪等を適用することとしており、昨年中は3件、本年は8月末現在で2件を検挙しております。さらに、本年9月を
あおり運転取り締まり強化月間と定め、県内各地で指導取り締まりを強化しているところであります。
引き続き、指導取り締まりを強化するとともに、関係機関・団体と連携して、
あおり運転をしない、させない、許さないことについての広報活動を徹底し、
あおり運転の排除と思いやり運転の浸透に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(
西田洋一議長) 休憩いたします。
午後1時から再開いたします。
午前11時19分 休憩