愛媛県議会 2019-06-19
令和元年第364回定例会(第4号 6月19日)
令和元年第364回定例会(第4号 6月19日) 第364回
愛媛県議会定例会会議録 第4号
令和元年6月19日(水曜日)
〇
出席議員 47名
1番 中 野 泰 誠
2番 西 岡 新
3番 山 崎 洋 靖
4番 菅 森 実
5番 浅 湫 和 子
6番 角 田 智 恵
7番 中 田 晃太郎
8番 大 政 博 文
9番 新 田 泰 史
10番 黒 川 理惠子
11番 欠 番
12番 欠 番
13番 武 井 多佳子
14番 田 中 克 彦
15番 西 原 司
16番 塩 出 崇
17番 高 橋 英 行
18番 松 下 行 吉
19番 川 本 健 太
20番 帽 子 大 輔
21番 大 石 豪
22番 宇 高 英 治
23番 欠 番
24番 欠 番
25番 菊 池 伸 英
26番 古 川 拓 哉
27番 兵 頭 竜
28番 大 西 誠
29番 松 尾 和 久
30番 福 羅 浩 一
31番 三 宅 浩 正
32番 西 田 洋 一
33番 欠 番
34番 欠 番
35番 木 村 誉
36番 笹 岡 博 之
37番 鈴 木 俊 広
38番 石 川 稔
39番 梶 谷 大 治
40番 徳 永 繁 樹
41番 高 山 康 人
42番 渡 部 浩
43番 戒 能 潤之介
44番 欠 番
45番 欠 番
46番 越 智 忍
47番 横 田 弘 之
48番 毛 利 修 三
49番 赤 松 泰 伸
50番 本 宮 勇
51番 西 原 進 平
52番 中 畑 保 一
53番 明 比 昭 治
54番 岡 田 志 朗
55番 森 高 康 行
――――――――――
〇欠席議員 なし
――――――――――
〇欠 員 なし
――――――――――
〇
出席理事者
知事 中 村 時 広
副知事 神 野 一 仁
副知事 原 昌 史
公営企業管理者 兵 頭 昭 洋
総務部長 高 橋 正 浩
企画振興部長 金 子 浩 一
スポーツ・文化部長 高 石 淳
防災安全統括部長 福 井 琴 樹
県民環境部長 岸 本 憲 彦
保健福祉部長 山 口 真 司
営業本部長 八十島 一 幸
経済労働部長 田 中 英 樹
農林水産部長 田 所 竜 二
土木部長 杉 本 寧
会計管理者出納局長 菅 豊 正
教育長 三 好 伊佐夫
副教育長 武 智 俊 和
人事委員会委員長 宇都宮 嘉 忠
公安委員会委員 増 田 吉 利
警察本部長 松 下 整
監査委員 本 田 和 良
監査事務局長 山 本 亜紀子
――――――――――
〇
出席事務局職員
事務局長 東 野 政 隆
事務局次長 八 塚 洋
参事総務課長 松 本 賢 固
参事議事調査課長 西 田 洋 一
政務調査室長 入 舩 理
議事調査課主幹 二 神 裕 志
――――――――――
〇本日の会議に付した事件
定第64号議案ないし定第82号議案
午前10時 開議
○(
西田洋一議長) ただいまから、本日の会議を開きます。
本日の
会議録署名者に
高山康人議員、
石川稔議員を指名いたします。
―――――――――――――――――
○(
西田洋一議長) これから、定第64
号議案令和元年度愛媛県
一般会計補正予算ないし定第82号議案を一括議題とし、質疑を行います。
○(
岡田志朗議員) 議長
○(
西田洋一議長)
岡田志朗議員
〔
岡田志朗議員登壇〕
○(
岡田志朗議員) (拍手)おはようございます。
自民党の
岡田志朗です。
本県に甚大な被害をもたらした
西日本豪雨災害から1年がたとうとしております。被災地域では懸命な復旧・復興活動が進められていますが、災害の爪跡はいまだ大きく残っており、一日も早い復興を願わずにはいられません。被災された方々が一刻も早くもとの生活を取り戻し、
創造的復興がなされるよう県民が一丸となって協力し、支え合っていかなければならないとの思いを胸に、令和の御代における最初の一般質問に入らせていただきます。
まず初めに、
肱川流域の
治水対策についてお伺いします。
昨年の豪雨では、
県内各地で河川の氾濫や土砂崩れが発生し、県民の生活や県内の経済活動に大きな影響が出ました。とりわけ
肱川流域では、これまでに経験のない降雨によって広範囲の
浸水被害が発生し、大洲市や西予市で11名ものとうとい命が失われました。私の住む内子町でも、小田川の支流の鵜川や中山川支流の麓川などで氾濫が多数発生し、洪水の恐ろしさを改めて思い知らされました。
県は、この
豪雨災害を受け、
肱川水系河川整備計画に基づく
河川改修の完成目標を10年前倒し、令和5年度の完成を目指す
河川激甚災害対策特別緊急事業などを含む
肱川緊急治水対策に国と一体となって
取り組み、短期集中的に再度
災害防止を図ろうとされています。このことは、復興を進める
地域住民に対する強力な後押しになるものであり、大変ありがたく感じています。
今後、この対策を円滑に進めていくためには、国や市町など関係機関との協力の上、一層の推進を図ることが重要であり、あわせて、
山鳥坂ダムの早期完成に向けた国への要望活動にも全力で取り組んでいただきたいと思います。
さて、昨年の
豪雨災害の特徴として、土砂が河川に流れ込み河道が埋塞し、
浸水被害が発生した箇所が多くありました。
このため、県では、発災直後から数次の補正予算を措置し、
肱川流域の河川に堆積した土砂を速やかに取り除くなど、再度
災害防止に努められておりますが、流域全体では、まだまだ土砂が河川中に残っている箇所もあり、
地域住民の不安を少しでも和らげるためにも
河床掘削を継続して実施し、
治水機能を回復させる必要があると考えております。
そこで、お伺いいたします。
西日本豪雨災害から初めての出水期を迎えようとしておりますが、
肱川流域における
河床掘削の現状と今後の計画はどうか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
次に、
肱川水系河川整備計画の変更についてお伺いします。
肱川流域の
治水対策について、県では、平成16年度に策定した
肱川水系河川整備計画に基づき
取り組みを進めておりますが、同計画は、これまでの
肱川流域の戦後
最大洪水量を安全に流下させるため、堤防の整備などの
河川改修と
山鳥坂ダムの建設や鹿野川ダムの改造、
野村ダムを含めた3ダムの統合管理を実施し、河川の
流下能力向上と、河川に流れ込む流量の低減を図るというものであります。
一方、近年、
集中豪雨が全国各地で発生しており、一月の平均雨量に相当する雨が短期間で局地的に降るということも珍しいことではなくなりました。昨年の豪雨でも、
野村ダムの上流域では2日間に42ミリという、
発生確率に換算すると258年に1回に相当する猛烈な雨量を記録しており、昨年10月に開催された
肱川流域学識者会議でも、
西日本豪雨の
流量規模は、40年に1回という
発生確率に基づいて設定された現行計画の
目標流量を大きく上回っていたと指摘されております。
また、昨年の豪雨では、過去に浸水履歴がなく、堤防の
整備計画のなかった大川地区や野村地区の区間においても甚大な被害が発生しており、新たな
堤防整備等への
地域住民の要望はますます高まってきており、
肱川水系河川整備計画の変更が急務であると考えております。本来、大雨による越水に備えて堤防を整備する
外水対策と、雨水の排水等を行う
内水対策を並行して実施してこそ、万全な
治水対策であると言えると思います。
ここで、
内水対策の難しさの実例を挙げさせていただきます。大洲市消防団の
白滝分団長によりますと、旧長浜町の白滝地区では、本流の肱川の増水に伴い、支川の滝川への逆流を防ぐ樋門を操作するために
消防団員が出動。樋門を閉じようとしていたところ、瞬く間に滝川が増水し、一帯が内水により浸水。その後、
白滝大橋直下の暫定堤防からの越水で地区全体が浸水したとのことでした。
樋門の管理は、大洲市消防団が
業務委託契約を交わしており、登録された団員が国や県の要請により、おのおのの担当の樋門に出動する体制となっています。本流からの逆流を避けるためには樋門を閉じなければなりませんが、閉じると、せきとめられた内水で洪水となることも考えておかなくてはなりません。その判断を委ねられる
消防団員は、精神的に重圧を感じながらの作業となります。今回のケースでは、結果的に肱川の越流により地区が浸水しましたので、団員の責任が問われることはありませんでしたが、対応の難しさは浮き彫りになりました。
また、せっかく現場に用意してあった
排水ポンプは、樋門を完全に閉じてから電源を入れることとなっており、結局作動させることができなかったことや、この樋門の操作のために出動した団員2人は、増水し始めた7月6日夜半から、丸1日以上をこの樋門の場所で過ごすこととなってしまったことなども、今後の大きな課題だと考えます。
このように、ソフト面での課題も多い
内水対策ではありますが、肱川には474の支川がありますので、今後の県や市町の
内水対策への負担の拡大は必至であります。
一方、県の財政状況は厳しく、限られた財源を有効に活用するため、優先順位をつけて取り組んでいかなければなりません。そこで、
内水対策にも早期に取り組むために、まずは、現在進行中の
堤防整備をさらに
スピード感を増して進めていただきたいと思います。
さらに、想定を超える大規模な洪水に対しては、まず何よりも人命を守るための避難の重要性を再認識させられました。今後は、
流域住民の速やかな避難につながる
防災情報のさらなる充実・強化を図るなど、
ハード対策とあわせて
ソフト対策も一体的に進めていく必要があると思います。
そこで、お伺いします。
肱川流域の住民を洪水の被害から守るため、
肱川水系河川整備計画の変更に対する県の見解をお示しください。
また、逃げおくれゼロに向け、
地域住民の避難行動につながる河川の
防災情報の提供について、国や市町と連携してどのように取り組んでいくのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
次に、災害に強い
森林づくりについてお伺いします。
森林は木材の提供ばかりでなく、水源の涵養や
土砂災害の防止を初め、
生物多様性や地球環境の保全、さらには保健、文化に至るさまざまな公益的な機能を有しており、将来にわたって県民の安全・安心な暮らしを維持するためには、県土の約7割を占める森林を健全な姿で次世代へ引き継いでいくことが、我々に課された大きな使命であると考えます。
そのような中、昨年、本県の森林は、年明けからの豪雪と
西日本豪雨、そして、その後の台風により土石流や
山腹崩壊等のこれまでに経験したことのない甚大な被害が生じ、現在、関係者の懸命な努力により、復旧・復興への
取り組みが着実に推進されているところであります。
今回の
森林災害では、多くの渓流において土砂の崩壊により樹木が流れ出て、道路や橋梁、農地等の被害を拡大させました。私も、崩壊現場を内子町役場や森林組合の職員とともに、ドローンを活用しながら確認しましたが、不在村
森林所有者の増加や
担い手不足により放置された森林であったり、こんなところによく植林したなと思うような急峻な地形や脆弱な地盤の
条件不利地で発生しておりました。また、冬季の豪雪の折には、道路際の樹木が雪の重みに耐え切れず、たわんで道路を塞いだり、電線を切断して停電の原因となったケースも多く見られました。
このようなことから、今後は、災害の未然防止につながる
流木対策を含めた
森林整備を加速させ、特に手入れの行き届いていない森林を早急に手当てしていく必要があると考えます。予測できない異常気象のリスクが高まっている今日、県民の安全・安心な暮らしを支えていくため、森林の防災・減災対策は待ったなしで取り組むべき重要課題であると考えております。
そこで、お伺いいたします。
集中豪雨等の
気象災害が増加傾向にある中、今後、本県においては、災害に強い
森林づくりをどのように推進していくのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
次に、県産材の
安定供給体制の整備についてお伺いします。
森林の恵み豊かな本県では、戦後植栽された杉やヒノキが今まさに成熟期を迎えており、主伐可能な51年生以上の樹木が全体の約7割を占める状況となっております。
この再生産可能な
森林資源を循環利用し、山村地域に産業と雇用を生み出すことは、地方創生の観点からも大いに期待されており、県産材の需要の拡大と
安定供給体制の確立が急務であります。
県では、これまで大洲市における大
規模製材工場の新設を初め、
県内各地の
製材工場における
規模拡大など、
生産性向上に向けた
施設整備を積極的に支援してきました。
さらに、昨年からは、県の積極的な支援のもと、全国でもトップクラスの規模と生産性を誇る集成材やCLTの製造拠点が西条市で稼働したほか、松山市や内子町では
木質バイオマス発電が開始されるなど、杉、ヒノキの低質材から優良材までを余すことなく県内で利用できる
体制づくりが進められており、安定した需要が確保されるとともに、木材価格の向上にもつながるものと大いに期待しているところであります。
しかしながら、こうした需要が増大する一方で、県産材の供給は近年伸び悩んでおり、特に昨年は、
県内各地の林道等が
西日本豪雨によって被災し、
林業生産活動に支障を来したことから、県内での原木の生産量は52万3,000立米となり、需要量に対し約9万立米が不足している状況となっています。
県の補助金を受けた大
規模製材工場においても、不足分を補うため県外からの原木移入がなされており、現実には高知県産材等に頼らざるを得ない状況となっているとのことであり、これでは愛媛県産材の価格向上につながるはずもなく、このままでは県の補助金は何のために支払われたのかと疑問に思ってしまいます。県内での木材の
需給バランスを整え、
加工施設等における需要の増大を県内の林業発展につなげるためには、県産木材の
供給体制の強化を早急に図ることが必要不可欠と考えます。
折しも、昨年12月の愛媛県木材の供給及び利用の促進に関する条例制定に際し、県産木材の供給を促進するため、主伐及び再造林の促進に関することを条文に盛り込んだ自民党の修正案が採択されました。この条例の理念でもある「木を伐採し、伐採した木を利用し、植林し、育林し、再び伐採する」という
森林資源の再生産を図る
取り組みが県全体に広がり、林業のさらなる発展につながることを切に願うものであります。
そこで、お伺いいたします。
県では、県内の豊富な
森林資源を活用して、県内の
製材工場等に対し県産材を安定して供給する体制の整備にどのように取り組んでいくのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
次に、
本県農業を支える担い手の確保と
経営強化についてお伺いします。
我が国の農業総産出額は、昭和59年の11兆7,000億円をピークに、米の消費減退などから長期的な減少傾向に入り、8兆円台にまで落ち込んでおりましたが、平成27年から増加に転じ、平成29年の農業総産出額は9兆2,742億円にまで回復しております。また、平成29年の1
経営体当たりの
農業所得も直近5年間で最高を記録するなど、
食料自給率向上や六次産業化の推進、海外への輸出促進など、近年の国や地方自治体、JA等の関係団体によるさまざまな
取り組みの効果が徐々にあらわれているものと思っております。
一方で、日本農業新聞が、ことし3月に全国の
集落営農法人等を対象に行った
景況感調査によりますと、昨年は、基幹産業である水稲の作柄低下、天候不順による野菜の不作や
自然災害の影響などもあって、前年より収益が低下した法人等が全体の約7割に及ぶなど、経営面積が大きい組織を中心に苦戦していることに加え、
規模拡大や設備投資に関心を強める一方で、高齢化や労働力不足といった組織運営の課題を抱えている法人等が多く存在することが浮き彫りになっております。
また、本県では、農業をなりわいとしている
基幹的農業従事者数が、平成27年の
農林業センサスでは約3万5,000人となっており、この20年ほどで約4割も減少しております。その内訳を見ても、65歳以上が全体の約7割を占めるなど、農業を取り巻く環境は、
担い手確保の面からも大変厳しいものがあると言わざるを得ません。
加えて、
西日本豪雨災害により、
南予地域を中心に農作物や農地・
農業用施設の甚大な被害が発生しており、被災地では復興に向けて前進しているものの、まだまだ道半ばの状況にあります。
私は、
農業従事者の高齢化や減少が続く中、愛媛のすぐれた農作物や産地をしっかりと守り、次世代に引き継いでいくためには、農業・農村を支える
担い手確保はもとより、各地域で核となる
認定農業者を初め、
集落営農組織が
経営規模の拡大や農地の集約、円滑な経営継承などに取り組むことが不可欠ではないかと考えるのであります。
こうした中、県では、平成29年度から、
地域農業の屋台骨であるJAを対象にした新たな
担い手確保の
取り組みをスタートさせているとのことであり、昨年度からは、
認定農業者への支援の強化や
農業経営にかかわる相談体制の整備など、
本県農業の維持・発展に向け、戦略的かつ精力的に事業を展開されており、まことに心強く感じております。
そこで、お伺いいたします。
県では、意欲ある農業の担い手の確保や
経営強化にどのように取り組んでいるのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
次に、県産品を活用した
機能性表示食品開発への
取り組みについてお伺いします。
我が国では、
健康食品や
機能性食品のニーズが高まる中、
健康志向食品市場の拡大が期待されており、国においても、
未来投資戦略2018の中で、食による健康増進を掲げています。
一口に
健康食品と申しましても、届け出が不要で、国が定めた表現によって機能性を表示することができる
栄養機能食品や、許可までに数年の期間と莫大な費用を要する
特定保健用食品、いわゆるトクホ、そして、トクホに比べて比較的安価でかつ短期間で届け出ることのできる
機能性表示食品の3種類があり、この
機能性表示食品は最も後発でありながら、平成27年に制度がスタートして以来、
市場規模は拡大を続けており、わずか4年足らずで年間2,000億円規模にまで急成長し、
届け出総数は2,000件を突破し、トクホを追い抜いたと聞いております。
本県におきましても、現在12件が受理されており、例えば、日本で初めて河内晩柑に含まれる
認知機能を維持するオーラプテンを活用した
えひめ飲料の
河内晩柑ジュースや、四国乳業の
口腔内環境を良好に保つ8020ヨーグルトは、これまでにない
機能性成分が評判となり、売り上げにも貢献していると伺っております。
この
機能性表示食品制度は、製品の付加価値を高め、販売増加に期待が持てることから、
食品メーカーには魅力的な反面、
消費者庁への届け出には、効能の検証や資料作成など費用も時間もかかり、加えて、全国の
大手食品メーカーが新商品を次々と投入し、競争は激化の一途をたどっていることから、なかなか参入に踏み切れないという
企業経営者も多いのではないかと思われます。
そこで、お伺いいたします。
南予地域にも多く立地している県内の
食品加工企業が、
機能性表示食品制度を活用した新たな商品開発を手続の煩雑さなどの理由で、ちゅうちょしたり諦めたりすることがないよう、県がしっかりとサポートすることが大切と考えます。県内企業による
機能性表示食品の開発をどのように支援していかれるのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
最後に、
松山空港の
機能強化に向けた
取り組みについてお伺いします。
知事は、本年は
インバウンド飛躍元年と述べられておりましたが、先日の報道によりますと、昨年度の
松山空港の
利用者数は、過去最高となる312万人を記録したとのことであります。
利用者が増加した要因としては、主要路線である羽田線や伊丹線が堅調であったことに加えて、平成29年11月に運航が再開したソウル線の搭乗率が80%台後半を維持するなど非常に好調であったことや、昨年3月に就航した札幌線や
台湾チャーター便の影響が大きかったものと伺っております。
現在、国内には、北海道から沖縄まで90を超える空港がありますが、地方空港の中で
利用者数が300万人を超えているのはわずか7空港のみであり、その一つである
松山空港は、広島空港などを上回る中四国随一の
利用者数を誇る空港として発展を続けております。
また、
松山空港では、
保安検査場の増設や
レストラン街のリニューアル、新
立体駐車場の整備などを進めるとともに、
外国人観光客の増加に対応するため、免税売店の拡張を行うなど、空港の利便性や魅力向上に向けて積極的に取り組まれているところであり、今後とも、本県の空の玄関口となる
松山空港が、国内外との交流の結節点として
機能拡充を図ることで、県内経済の活性化に大きく貢献することを期待するものであります。
しかしながら、
利用者数の増加に伴い、国内線の出発便が集中する朝夕の時間帯には、
保安検査場前の
出発ロビーや
搭乗待合室が混雑するとともに、国際線についても、
受付カウンターが1つしかないため、手続に時間を要するなどの声が聞かれるようになっております。
また、特に、駐
機用スペースであるスポットについては、昨日の兵頭議員への答弁で知事も述べられましたが、
松山空港と
利用者数が同規模の宮崎空港は10カ所、広島空港や熊本空港には9カ所設置されているのに対し、
松山空港は6カ所しかなく、近年、大幅な伸びを続けている国際線への対応を初め、今後、国内外の都市との間を結ぶ新規路線の開拓を図っていく上でも、スポットの増設は喫緊の課題となっております。
いよいよ来月18日には県民待望の台北線の定期便が就航いたしますが、拡大を続ける
インバウンド需要を積極的に取り込み、本県経済の活性化に結びつけていくためにも、
松山空港の
受け入れ環境の充実や強化は不可欠であると考えるのであります。
そこで、お伺いをいたします。
県では、
松山空港の
機能強化に向け、今後、どのように取り組んでいかれるのか、お考えをお聞かせください。
以上で質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
西田洋一議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
西田洋一議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事)
岡田議員に、私の方からは、
肱川流域の
治水対策河川整備計画に関する御質問にお答えをさせていただきます。
肱川では、
西日本豪雨により、現行の
河川整備計画の
計画規模を大きく上回る洪水となり、流域全体で甚大な
浸水被害が発生しましたことから、県としては、計画の変更が必要と考えており、昨年開催した
肱川流域学識者会議でも、早急に計画の変更を検討する必要があるとの意見をいただき、国と共同で変更作業を進めているところでございます。
変更に当たりましては、
目標流量の見直しを行うとともに、甚大な
浸水被害が発生した大洲市菅田町から西予市野村町の計画区間外の
河川改修や、
野村ダムにあらかじめより多くの容量を確保するため、放流能力の増強等の追加を検討しており、年内の変更を目指しているところでございます。
また、河川管理者である国や県と、住民の避難体制を構築する市町等で構成する減災対策協議会におきまして、大規模氾濫に備えた地域の
取り組みを推進することとしており、タイムラインの作成による情報共有や連携強化に努めるほか、新たに大洲市菅田地区や西予市野村地区等の肱川を水位周知河川に指定するとともに、国や市に水位情報を伝達する体制を整えるなど、住民が円滑・迅速に避難できるよう
ソフト対策を拡充することとしています。
今後とも、国や関係市町と連携し、
河川改修や河川情報の提供など、ハード・ソフトを組み合わせた
治水対策を推進し、
肱川流域住民の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいりたいと思います。
次に、意欲ある農業担い手の確保に関する御質問にお答えをいたします。
人口減少等に伴う労働力不足が全国的に顕在化する中で、
本県農業の発展を維持して、次世代へ確実に継承していくためには、その根幹となる農業人材の確保と成長が何より重要であり、県内外から新規就農者を確保し育成していくこととあわせ、
認定農業者や
集落営農組織など、現に今、愛媛農業を支えている中核的な農業者の
規模拡大や
経営強化を促進することが必要と認識します。
このため、県では、JA組織と一体となり、新規就農者の受け入れから就農定着に至るまで一貫した支援システムを構築し、この2年間で52名の就農研修生を養成したほか、国内最大手の農業スクールと連携した就農体験ツアーの開催や、一次産業女子ネットワーク・さくらひめとコラボした首都圏女性への就農募集など、農業を志す若者を全国から集め、育て上げるための各種施策を展開しているところでございます。
また、昨年度には、えひめ
農業経営サポートセンターを全国に先駆けて設置しまして、
規模拡大や法人化等に挑戦する中核的な農業者への支援体制を強化したほか、機械や施設を導入する場合は、一定の
規模拡大に応じて補助率を上乗せ措置する補助制度も創設したところであり、今後とも、新規就農者の養成と中核的な農業者の発展を車の両輪として、それぞれのニーズに応じたきめ細かな支援策を積極的に展開し、
本県農業の持続的な発展につなげてまいりたいと思います。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(金子浩一
企画振興部長) 議長
○(
西田洋一議長) 金子
企画振興部長
〔金子浩一
企画振興部長登壇〕
○(金子浩一
企画振興部長)
松山空港の
機能強化に関する御質問にお答えします。
松山空港は、LCCの参入や札幌便の就航に加え、好調な
インバウンド需要を背景に利用者の増加が続く国際線などが牽引役となり、昨年度の
利用者数は、過去最高となる312万人に達し、中四国有数の空港となっておりますが、他の空港に比べ駐機スポットが少なく、旅客ターミナルビルも狭隘化するなどの課題を抱えております。
このような中、来月18日に台北線が就航するほか、ソウル線についてもデイリー化が見込まれており、今後、さらなる増加が想定される訪日外国人等の本県との交流人口を拡大し、県内経済を一層活性化させるためには、
松山空港の
受け入れ環境の充実・強化を図る必要があると考えております。
このため、今月初めに実施した国への要望活動において、知事から国土交通大臣に対し、
松山空港の国際線スポットの早期増設を強く働きかけたところであり、ターミナルビルについても、長期的な視点で利便性の向上を図る観点から、現在、将来の需要予測に基づく
整備計画案の検討を進めているところであります。
今後とも、国を初め松山市など関係機関と緊密に連携して、
松山空港の
機能強化を着実に進めるとともに、国際線を初めとする路線誘致に積極的に
取り組み、県内経済の発展につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(田中英樹
経済労働部長) 議長
○(
西田洋一議長) 田中
経済労働部長
〔田中英樹
経済労働部長登壇〕
○(田中英樹
経済労働部長)
機能性表示食品についての御質問にお答えいたします。
多くの食品ジャンルにおきまして、消費者の支持を得るためには、おいしさと安全性に加え、機能性をアピールすることが重要でありますことから、県では、
消費者庁への届け出手続と
機能性食品素材の発掘、研究の両面から、県内企業による
機能性表示食品の開発を支援しているところでございます。
届け出については、何度も受理されないケースもあることから、食品産業技術センター内にワンストップ相談窓口を設置するとともに、全国に先駆けまして、外部専門家とコンサルティング契約を結ぶなど総合的な支援を行っており、これまでに4社8商品の届け出受理を実現するとともに、現在も4社5商品の支援を実施しております。
また、機能性素材の発掘についても、愛媛大学や松山大学等と連携し、県産柑橘の搾汁残渣の中に含まれるオーラプテン以外の
機能性成分の分析や評価に力を入れており、
機能性成分を高感度に検査・測定できる最新機器の購入経費を6月補正予算案に計上させていただいているところでございます。
今後とも、継続的な届け出手続の支援や新たな
機能性食品素材の研究に取り組むとともに、消費者の心をつかむストーリーづくり等もサポートすることによりまして、県内企業による売れる
機能性表示食品の開発を促進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(田所竜二
農林水産部長) 議長
○(
西田洋一議長) 田所
農林水産部長
〔田所竜二
農林水産部長登壇〕
○(田所竜二
農林水産部長) まず、災害に強い
森林づくりについてお答えをいたします。
近年頻発する異常気象が引き起こす大規模な山地災害では、森林から流れ出た立ち木が土砂をせきとめ、その後、河川や渓流の崩壊を助長するケースも数多く見られましたことから、今後は、森林の持つ山地
災害防止や土壌保全などの機能をより強化することが、県民の安全・安心な暮らしや財産を守る上で重要な課題と認識いたしております。
県では、森林の場所や地形などに応じて
森林整備のイメージ別に、倒れない、崩れない、流れないの3つのパターンに分類した森づくりに取り組んでおりますが、昨年の豪雨被災地のうち、渓流沿いの復旧に当たっては、林内に低木や草が生い茂り保水力が維持されるような森林施業に加えまして、成長の早いエリートツリーやセンダンなどの早生樹を植栽することで、森林の生成を急ぎます流れない森づくりを重点的に進めることといたしております。
さらに、本年度から新たな森林管理システムの運用が開始され、これまで手入れが行き届かなかった森林についても、今後は市町主導のもとで適切な森林管理が進められますことから、県としても、これを強力に支援するとともに、
森林整備事業や治山事業などを効果的に組み合わせるなど十分な連携を図りつつ、災害に強い
森林づくりを加速させてまいりたいと考えております。
次に、県産材の
安定供給体制の整備についてお答えをいたします。
近年のCLT製造工場や
木質バイオマス発電所の整備などにより、県内産原木の需要が拡大する中、従来からの木材価格の長期低迷や林業労働力の不足に加えまして、昨年の豪雨や台風による林道被害等により、県産材の需要増に供給量の確保が追いついていない現状があり、さらなる増産体制の構築は喫緊の課題であると認識をいたしております。
このため、県では、木材搬出に影響の大きい林道被害の早期復旧を図るとともに、昨年の災害等で52万3,000立方メートルにまで落ち込んだ年間の原木生産量を、5年後には70万立方メートルにまで増産する目標を掲げた第2期林業躍進プロジェクトを本年4月からスタートさせたところでございます。
今回のプロジェクトでは、第1期で取り組んできた主伐推進の勢いを加速させ、県産材のさらなる増産を目指し、急峻な山間部からの搬出を容易にする最新の架線系機械など次世代型林業作業システムの導入促進、また、新たな森林管理システムの円滑な運用による意欲と能力のある林業事業体への森林経営の集約化、さらに、ICT等先端技術を活用した
森林資源や原木生産などの情報共有化と木材流通の円滑化などに取り組むこととしておりまして、川上から川下まで業界全体の連携を強化しながら、県産材の
安定供給体制を構築し、本県林業の成長産業化につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(杉本寧土木部長) 議長
○(
西田洋一議長) 杉本土木部長
〔杉本寧土木部長登壇〕
○(杉本寧土木部長)
肱川流域の
治水対策のうち、
河床掘削に関する御質問にお答えをいたします。
県では、昨年度、
西日本豪雨の
異常出水により土砂が著しく堆積した箇所について、再度
災害防止の観点から、国の予備費などを活用するとともに県単独予算を編成し、
河床掘削を集中的に実施しており、大洲市や西予市の肱川を中心に29カ所で、また、国においても、肱川、矢落川の12カ所で緊急的な対応を行ったところでございます。
今年度は、地元市町の要望に対応するため、当初予算において支川11カ所で
河床掘削を実施するとともに、昨年度の豪雨を踏まえた緊急点検により、氾濫の可能性が高い箇所において、国の防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策などの予算を活用し、内子町の小田川や大洲市の嵩富川など6カ所の
河床掘削について、今議会に補正予算を提案し、氾濫の危険性の解消に取り組むこととしております。
来年度以降も、国の3か年緊急対策などの予算を活用して土砂の堆積状況を的確に把握し、即効性の高い
河床掘削を積極的に実施することとしており、今後とも、肱川の治水安全度の向上を図り、
流域住民の安全・安心確保に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(
西田洋一議長) 暫時休憩いたします。
午前10時46分 休憩
―――――――――――――――――
午前11時5分 再開
○(
西田洋一議長) 再開いたします。
質疑を続けます。
○(松下行吉議員) 議長
○(
西田洋一議長) 松下行吉議員
〔松下行吉議員登壇〕
○(松下行吉議員) (拍手)おはようございます。
志士の会の松下行吉です。
令和になって初の定例議会で、早々にこの壇上に立たせていただきますことに感謝を申し上げます。
また、昨夜、新潟県、山形県では、震度6を超える地震に見舞われました。被害の状況はまだわかっておりませんけれども、この場でお見舞いを申し上げまして、質問に入らせていただきます。
まず初めに、
西日本豪雨災害におけるグループ補助金の現状と今後の
取り組みについてお伺いします。
昨年、
南予地域を中心に未曽有の被害をもたらした
豪雨災害から、間もなく1年が経過しようとしています。被災各地では、今でこそ復旧・復興の兆しが見え始め、元気を取り戻しつつありますが、発災当初は、高齢化や人口減少などの要因に加え、豪雨がもたらした大きな傷跡が地域活力の低下を招くのではないかと懸念しておりました。
しかしながら、県におきましては、知事の力強いリーダーシップのもと、これまで東日本大震災や熊本地震のみを対象としていたグループ補助金の適用を国に強く要請し実現されたことは、本県産業の復興に向けての大きな弾みとなり、被災事業者の事業継続意欲の維持、向上にもつながったと感じております。
特に、知事のグループ補助金が被災地域の経済復興の鍵を握るとの明確な意思のもと、被災事業者の多くが補助金の申請にふなれであり、証拠となる設備や書類等が流失し、交付申請書の作成が困難であることなどを踏まえ、大洲市、宇和島市及び西予市に被災事業者に寄り添う現地オフィスとして産業復興支援室を設置し、また、現場の生の声を受けて国に強く交渉し、申請手続の簡素化など補助要件の緩和を実現するほか、行政書士を活用した審査、支援体制の構築を図るなど、本県独特の
取り組みを進め、一刻も早い復興に向け力強く後押しをしていただいており、大変感謝を申し上げます。
ここで、グループ補助金を活用した事例を申し上げさせていただきますと、これまでもマスコミ等で大きく取り上げられ、復興のシンボルとなっている東大洲地区オズメッセ21のAコープおおずは、今年3月にはリニューアルオープンを果たし、また、県内唯一の牛、豚の食肉処理施設のアイパックスにおいても、昨年10月に通常操業にこぎつけたほか、宇和島市吉田町の旭醤油醸造場など、地域に根づき愛されている多くの事業者においても、再スタートが切れるまでに復旧しております。このように各地域で甚大な被害を受けながら懸命に努力されている事業者の皆様に対しまして、深く敬意を表します。
これまでも知事の言葉どおり、地域の主力産業である一次産業とその関連産業などの復興が見える形となり、多くの被災事業者に復興に取り組む勇気を与えてくれておりますが、一方では、いまだ補助金の交付申請に至っていない事業者もおり、地域経済の復興を確実に達成するためには、さらなる支援が必要と考えております。
そこで、お伺いします。
発災から間もなく1年が経過する中、グループ補助金の現状はどうか。また、今後、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
次に、砂防事業についてお伺いします。
昨年は、6月の大阪府北部地震、7月の
西日本豪雨、9月の北海道胆振東部地震と
自然災害が多発しました。今年も、はや沖縄県与那国町と鹿児島県屋久島町で、50年に一度という記録的な大雨、また、冒頭申しましたが、昨夜は新潟県、山形県でも震度6の地震が発生しております。
土石流対策などの砂防事業は、国、地方を問わず、災害に強い社会をつくっていく上で重要な課題となっています。
土砂災害は、地震や豪雨などさまざまな要因により発生するものですが、我が国は平地が少なく、国土の中央を背骨のように山々が連なっている地形であることから、全国で
土砂災害が発生するおそれのある箇所は、約53万カ所もあります。中でも本県は、土石流危険渓流、急傾斜地崩壊危険箇所及び地すべり危険箇所を合わせた
土砂災害危険箇所が1万5,190カ所と全国14番目、人家5戸以上に影響のある危険箇所に限っても約6,800カ所と全国8番目の多さとなっています。
土砂災害に対する備えは、県にとって最も急を要する災害対策の一つであり、従来、砂防堰堤などのハード面の整備を進めてこられたところであります。しかし、
土砂災害のおそれのある箇所全てについてハード整備を進めるためには、多くの時間と費用が必要となります。このため、県におかれましては、
ハード対策に加え
ソフト対策を積極的に展開されております。
このうち、
土砂災害のおそれのある区域を明らかにする基礎調査については、平成26年の土砂
災害防止法の改正を契機に、実施箇所数をふやすなど強化に努められ、今年度で全ての箇所の調査を終える予定とお聞きしておりますが、引き続き調査結果の公表や区域指定作業を行う必要があります。自分の住んでいるところにどんな危険があるのか知っておけば、万一のときの避難が迅速に行えます。区域指定は地価にも影響することから、関係者との調整も必要となり機械的には進められないと思いますが、命に直結するだけに
スピード感を持った対応を強くお願いしたいと考えます。
また、
西日本豪雨を受け、昨年10月、県が設置した警戒避難体制強化のための
土砂災害対策検討委員会の報告書においても、区域指定の早期完了を含め、
ソフト対策の方向性が示されており、今後の
ソフト対策をより実効性のあるものとするためには、自治体と住民、関係機関等が災害を我が事として捉え、それぞれが連携し、地域の防災力の向上や未然の防止策に全力で取り組むことが重要と考えております。その意味において、県におかれましては、住民のかけがえのない命を守ることを最優先とし、わかりやすく、そして、住民みずからが判断できるような情報伝達等の
ソフト対策を今まで以上に強力に推し進めることが求められていると思うのであります。
そこで、お伺いします。
土砂災害対策における
ソフト対策に、今後、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
次に、果樹農業振興のための普及指導活動の充実についてお伺いします。
農林水産省の発表によると、本県の2018年産温州ミカンの収穫量は全国第3位と、14年間維持してきた2位から順位を1つ下げております。もちろん
西日本豪雨の被害もあってこの結果となったわけでございまして、原因ははっきりしております。2位との差はわずかですので、今後、挽回は可能かと思われます。
ただ気にかかるのは樹園地のことです。報道によると、2018年に県下で実をつけた結果樹面積は5,590haで、前年より220ha減少しています。例年の減少幅は、高齢化による離農だけでなく、他品種への転換などを加えても100ha前後とのことでしたので、減少幅の大きさが気にかかります。今後、災害により離農に拍車がかかり、被災園地が耕作放棄されてしまうことが心配されます。
この耕作放棄地、担い手の問題を考えるとき、まず樹園地のありようが重要です。県下の樹園地の多くは傾斜がきつく、機械化、省力化に向かない場所にあり、担い手が減少しております。園地改造による緩傾斜化を図りながら、園地の集約・再編を中心に考えた生産基盤整備が必要と思います。そして、これらを土台として、各地域において、新たな品種や技術を積極的に取り込みながら、持続的に発展していける魅力的な果樹経営の姿を描き、若い担い手を引き込む戦略的な産地づくりを進めることが不可欠です。
しかし、産地づくりを進めようとしても、個々の農家の考えには当然ずれがありますし、往々にして小さなずれから
取り組みが進まなくなることがあります。このため、JA関係者、市町、土地改良区などの各方面との連携や、何より個々の農家から信頼される、農家の立場に立って調整できる第三者が必要です。
私は、この第三者とは農業普及員、今は普及指導員と呼ばれる国家資格を持った県の農業技術者の皆さんであり、その役割がますます重要になってきていると思います。改めて申すまでもありませんが、普及指導員は、農業改良助長法を根拠法とし、国家資格を持つ県の職員です。その業務は、直接農業者に接して農業技術の指導を行ったり、経営の相談に乗ったり、農業に関する情報を提供したりすることで、特に県内農業では、果樹農業の振興に大きな役割を担っており、県には、今年4月時点で145人の普及指導員がいると聞きましたが、減少傾向にあるようです。
そこで、お伺いします。
愛媛の果樹農業を守る上で、普及指導員の存在は欠かせないものと認識しておりますが、普及指導員の育成など、果樹産地づくりを牽引する普及指導活動の充実に、今後、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
次に、森林・林業の担い手育成と労働力確保についてお伺いします。
現在、県内の民有林における
森林資源は毎年100万立方メートル増加し、主伐可能な51年生以上の杉やヒノキの人工林は約7割を占めており、
森林資源が充実し供給能力は十分であります。今後10年ほどが愛媛の林業にとって非常に重要な時期になると思います。
森林の状況を地球規模で見ると、森林面積は、2010年から2015年までの5年間に、中国やオーストラリアを初め、植林等により大幅に増加させた国がある一方、ブラジルやインドネシアなどにおける熱帯林等の減少により、全体として年平均で331万ha減少しています。地球環境にとって危機的な状況が続いており、多くの国が森林伐採を制限せざるを得ない環境にあります。
国内では、安い輸入木材が入りにくく、国産材への期待が高まっている。また、国産材は、輸出にも勝機が出てきているなどの声が出てきております。
愛媛の林業に目を向けると、中国四国農政局が発表した2017年の林業産出額は、前年比5.6%増の81億6,000万円、過去10年間で最高でした。シイタケの生産量は減っておりますが、杉、ヒノキが住宅需要の伸びなどから増加しています。1989年の203億9,000万円には遠く及びませんが、2012年に53億3,000万円まで落ち込んだところから徐々に回復してきました。
こういった林業を取り巻く環境の中で、来年度を最終年度とする県の森林・林業振興プランでは、年間の素材生産量67万立方メートル、
森林整備面積9,200haを目標としています。県は、目標達成には年85人以上の新規参入者が必要と試算して、外国人労働者の就労についても積極的に取り組んでいると聞きます。建築現場での国産材需要の伸び、西条市で稼働した原木の製材から製造までを一貫して行える全国初のCLT工場、松山市での
木質バイオマス発電所の稼働など、県産木材の需要は高まっており、林業就業者が確保できれば、森林・林業振興プランの目標は達成できると思います。
そこで、お伺いします。
林業の成長産業化に欠かせない森林・林業の担い手育成と労働力確保の
取り組み状況はどうか、お聞かせください。
次に、人に優しいまちづくりの
取り組みについてお伺いします。
平成の時代で私が最も評価をすることは、障がいを持った人や高齢者などの外出を支える環境整備が急速に進展したことです。このように感じるのは、私だけではないと思います。昭和の時代の社会福祉は、箱物整備が中心であり、このような環境整備が追いついていなかったように思います。障がいを持った人が、ごく普通に一人の人間として家庭や社会で生活できることこそが本来の社会の姿であり、そのためのまちづくりを進める考えは早くからありました。1950年代初め、北欧から世界に広がったノーマライゼーションが有名です。国内でも、1960年代の終わりには
取り組みが始まっていますが、残念ながら主流となることはありませんでした。
この動きは平成の時代、1990年代に入って活発になります。国内では、1994年に高齢者や身体障がい者の方々が円滑に利用できる建築物の建築を促進するための法律、通称ハートビル法が制定され、この法律は2006年のバリアフリー新法へと発展していきます。世界では、2006年に障害者権利条約が国連で採択され、日本は障害者基本法の改正や障害者差別解消法の制定を行い、国内の法律が条例の求める水準に達したとして、2014年にこの条例を批准しています。
このような動きと相まって、障がいを持った人たちの中からも、社会の各方面で活躍する方が出るようになりました。その人たちは障がいをどのように捉えているのか。例えば、当事者という立場から盲人史研究に取り組む国立民族学博物館准教授の広瀬浩二郎氏は、著書「目に見えない世界を歩く」の中で、「知的生産の技術」を著した梅棹忠夫氏が65歳のときに失明、亡くなるまでの四半世紀を視覚障がい者として過ごし、その中で「夜はまだあけぬか」という本を著したことを例に、本の題名のように夜が明けることをひたすら願いながら、夜、全盲の世界を生きた梅棹氏に対して、みずからは明けぬ夜を歓迎する人生を選んだと言い、目に見えない世界、明けぬ夜を歩き続ける、その魅力を発信していきたいと語っています。みずからの障がいを個性と捉え、社会の第一線で活躍する姿がそこにあります。
県内の動きを見ると、県はハートビル法の趣旨を踏まえ、1996年に人にやさしいまちづくり条例を制定し、県内の公共建築物を初め、道路や公園、民間の宿泊施設などでエレベーターやスロープ、多機能トイレなど、高齢者や障がい者の方々が利用しやすく、安心して外出できるようになる施設の整備を進めています。このような重要な
取り組みと、パソコンやスマホなど電子機器の進歩が相まって、障がいを持った人がごく普通に一人の人間として暮らせる社会の実現が目の前まで来ているように思います。
そこで、お伺いします。
高齢者、障がい者が安心して外出できる社会づくりについて、これまでの
取り組み状況はどうか。また、今後、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
次に、窯業技術センターのオープンに伴う支援機能の強化についてお伺いします。
築後50年以上が経過し老朽化が著しい窯業技術センターも、本年夏ごろのオープンに向け、砥部町伝統産業会館西隣りへの移転新築工事が順調に進んでいると聞いており、地元県議として一日も早い完成を心待ちにしているところですが、現在の窯業を取り巻く環境は非常に厳しいことも認識しております。
御案内のとおり、個人消費の低迷や消費者の趣向の多様化、ライフスタイルの変化などにより、
市場規模は急速に縮小しており、関係団体等によりますと、砥部焼の製造品出荷額はこの10年間で約6分の5に、菊間瓦では約5分の1にまで落ち込んでいるとのことで、これに比例するように、事業所数も5分の3に減少しています。
窯業技術センターあり方検討報告書では、研究機能の強化や地元との連携強化のほか、将来を見据えた本気のブランド戦略の構築や産地と市場をつなぐ仕組みづくりなど産地存続をかけた、危機感を持った
取り組みが不可欠とされています。また、提案力の高い研究員や伝統技能を継承する若手作家の育成など、次代の産地を担う人材の重要性についてもまとめられています。
一方、他県に目を向けますと、長崎県の波佐見町は、長く有田焼を下請で製造していたところ、現代のライフスタイルに合った焼き物を目指し、積極的に外部デザイナー等と連携した焼き物づくりを展開した結果、モダンでおしゃれなデザインが人気を集め、波佐見焼のブランド化に成功しております。
本県においても、スターバックスコーヒーとコラボした砥部焼のマグカップや菊間瓦製の食器類は、職人の技術に裏づけされた確かな品質と高いデザイン性を持ち合わせており、これらの作品からは可能性を感じます。また、センターと若手窯元が共同で開発した自助食器は、砥部焼の厚みや丸み、重み、丈夫さを生かして、体が不自由な高齢者や障がいを持った人たちが食事しやすいように形状を工夫し、好評を博しております。
このことからも、私は、今後、砥部焼など本県窯業を維持、発展させていくためには、手づくりの味わいを大切にしながらも、慣習にとらわれない商品開発や、最新のニーズ、情報を創作活動に生かせるシステムづくり、柔軟な発想を持った若い人材の育成が非常に重要であり、このことが将来を見据えたブランド戦略の構築につながるものと考えております。
窯業技術センターは、産地立地型の試験研究機関として、地元産地の抱える技術的課題に対応した試験研究や技術支援などに取り組んでおりますが、今後は、本県窯業のものづくり機能の高度化を先導する役割をこれまで以上に強化していただきたいと思うのであります。
そこで、お伺いします。
新窯業技術センターを拠点として、どのように本県窯業の振興を図っていくのか、お聞かせください。
最後に、行政改革の
取り組み方針についてお伺いします。
21世紀に入って、地方の時代というかけ声のもとで行われた行政改革、特に、小泉政権下での三位一体改革は、平成14年の骨太の方針2002で閣議決定され、平成18年度に所得税から個人住民税への税源移譲が行われて、一応の終了を見ました。国庫補助負担金改革、地方交付税削減、税源移譲の結果、地方にとっては大きなマイナスとなって決着したと記憶しております。このような難局を乗り切るため、県では、最大限に知恵を絞り、行政改革に全力で取り組まれてきました。
時は流れて令和の時代、国の2019年度地方財政対策では、地方税が増収となる中で、地方交付税について、前年度を上回る16兆2,000億円を確保、地方の一般財源総額でも前年度を上回る62兆7,000億円を確保する一方で、臨時財政対策債は前年度から7,000億円抑制されており、一定の評価ができるものであると思います。
しかしながら、先月、財務省の財政制度等審議会の分科会で地方財政について議論されましたが、資料などからは、慎重な言い回しながら、地方の一般行政職員の大幅な削減、地方財政計画と決算額との恒常的な乖離や基金残高などを問題として、地方財源を圧縮する流れをつくろうとしているようにもうかがえ、地方にとっては予断を許さない状況に変わりはないと認識しております。
地方では、これまでも積極的な市町村合併の推進により、特別職や地方議員の大幅削減を図るとともに、国を上回る水準での職員定数の削減や給与カットを断行するなど、血のにじむような努力を積み重ねてきました。国が問題視している基金は、これらの努力の結果として積み上げられてきたもので、
西日本豪雨災害への対応しかり、有事の際に発生する膨大な財政需要への備えなど、重要な機能を有しています。このような実態を顧みることなく、行政改革に終わりなしの姿勢を貫き不断の努力を続ける地方に対し、表面だけを捉えた批判を繰り広げる一部の論調には残念な感情を覚えますが、知事におかれましては、ぜひともこれに屈することなく、将来を見据えた行政改革を推し進めていただきたいと期待しております。
また、さきの財政制度等審議会の分科会における地方公務員削減に関する議論の背景には、昨今急速に開発が進むAIやRPAを活用した業務の効率化があります。県が策定を進める次期行政改革大綱の骨子案においても、AI等の最新技術の活用が盛り込まれており、働き方改革の旗のもと、行政改革は新たな局面を迎えているのではないでしょうか。行政改革の推進に当たっては、不断の
取り組みに加え、社会情勢の変動や最新技術等に即応していくことが不可欠であると考えます。
そこで、お伺いします。
急速に変動する社会情勢の中、どのような方針をもって今後の行政改革に取り組んでいくのか、お聞かせください。
以上で質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
西田洋一議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
西田洋一議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 松下議員に、まず、グループ補助金についての御質問にお答えをさせていただきます。
発災直後から、グループ補助金が被災地の経済復興の鍵を握ると考え、国に強く働きかけ、
豪雨災害としては初の適用が実現しましたことから、速やかに臨時の現地オフィスを設置して申請手続を支援する体制を構築してまいりました。その結果、多くの事業者から補助金活用の意向が示され、地域のにぎわいやコミュニティが少しずつ回復してきている現状に安堵をしています。
補助金の交付要件となるグループ認定につきましては、6月28日を締め切りとし、最終的に認定数を60と見込んでおりますが、5月末現在で95%に当たる57グループを認定済みであり、ほぼめどがついたのではないかと考えます。
一方、補助金の交付申請につきましては、最終的に590事業者と見込んでおり、締め切りを原則8月19日に設定するとともに、証拠書類の散失などにより時間的な配慮が必要な事業者等につきましては9月末まで延長しており、現在の申請件数は約48%に当たる281事業者となっています。
このため、申請に至っていない事業者の手続が加速化するよう、行政書士等の専任チームを組織しまして、夜間、休日も含めた個別訪問や地域、グループへの集中的支援を行っております。年度内での一日も早い補助金支払いの完了に努めるなど、引き続き被災事業者に寄り添いながら、地域産業の
創造的復興を全力で支援してまいりたいと思います。
次に、新窯業技術センターについての御質問でございます。
砥部焼や菊間瓦などの小規模事業者が、国内市場の縮小が進む中で売り上げを伸ばしていくためには、良質な原料を安定確保した上で、他産地ではできない手づくりのよさを生かした商品企画や
インバウンド需要等も視野に入れた斬新なデザイン開発などのチャレンジが重要となっていますことから、新センターでは、その先導的な役割を積極的に果たしていきたいと考えているところでございます。
具体的には、砥部焼のオーダーメード型洋食器への展開を支援するため、薄くて軽い食器製作の技術開発に取り組むとともに、東京大学と共同で色鮮やかな赤色絵の具を研究することとしているほか、砥部町やえひめ産業振興財団と協力して欧州の若手陶芸家を招待し、滞在型創作活動や技術交流会等を通して、デザイン力を生かし、人の感性に訴える商品開発の支援にも取り組んでいきたいと思っております。
さらに、砥部焼や菊間瓦の個々の事業者ごとの情報発信力や営業力を強化するため、8月からSNSを活用したマーケティングや商品の撮影技術などのスキルアップ研修も実施することとしており、今後、新センターを拠点として、新商品開発や販路開拓、産地の未来を担う人材の育成など、産地が抱えるさまざまな問題解決の支援に全力で取り組むことで、本県窯業のさらなる振興と地域経済の活性化に努めてまいりたいと思います。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(高橋正浩総務部長) 議長
○(
西田洋一議長) 高橋総務部長
〔高橋正浩総務部長登壇〕
○(高橋正浩総務部長) 行政改革についての御質問にお答えをいたします。
地方では、御指摘のとおり、従来より行政改革に真摯に取り組んできたところであり、三位一体改革以降の15年程度で、長期債務残高については、国が493兆円から915兆円へと85%増加したのに対し、地方は198兆円から192兆円へと3%減少しております。また、職員数については、国の3%減に対し、地方は18%も削減しており、この実態を見れば、地方が国を上回る行革努力を断行していることは明白であると考えております。
本県におきましても、身を切る改革に取り組んでまいりましたが、昨年の
豪雨災害対応のため、昨年12月の補正予算時点では、財政調整基金が267億円から38億円へと86%も減少した状況を鑑みますと、今後、社会保障関係経費の増嵩など県財政がより一層厳しくなる中にあって、復興をなし遂げ、防災・減災対策、人口減少対策、地域経済の活性化の3本柱を推進していくためには、より足腰の強い行財政基盤の構築に向け、不断の改革が必要であると考えております。
このため、現在策定中の次期行政改革大綱では、引き続き、無駄を排し財政健全化を推進するとともに、最新IT技術等を活用した行政のクオリティー向上により、限られた時間で最大のパフォーマンスを発揮できる組織づくりや働き方改革を通じた政策立案能力のさらなる向上等に取り組むことを通じて、行政サービスのより一層の充実とスリムで効率的な行政組織の充実を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(山口真司
保健福祉部長) 議長
○(
西田洋一議長) 山口
保健福祉部長
〔山口真司
保健福祉部長登壇〕
○(山口真司
保健福祉部長) 安心して外出できる社会づくりについてお答えをいたします。
高齢者や障がい者が安心して外出できるようにするためには、バリアフリー化等のハード面の整備に加え、誰もが住みやすい地域社会を目指す、人に優しいまちづくりに向けて、県民の理解と協力を得て取り組むことが重要と認識をしております。
このため、県では、人にやさしいまちづくり条例に基づく施設のバリアフリー化の促進とともに、パーキングパーミット制度の普及により公共施設や商業施設等での専用駐車スペースを確保するほか、平成29年度の全国障害者スポーツ大会の本県開催を機に、外見ではわかりにくい障がいのある方の外出を支援するため、周囲に配慮の必要性を示すヘルプマークの普及に取り組んでおります。
また、今年度、新たにヘルプマーク普及パートナーシップ制度を創設いたしまして、民間事業者と連携した普及活動の展開により、ヘルプマークの一層の認知度の向上を図りますとともに、引き続き、地域や学校等への出前講座などさまざまな機会を捉えて、県民の理解、協力の拡大に向けた啓発に取り組むこととしておりまして、今後とも、高齢者や障がい者の自立と社会活動への参加が促進されるよう、安心して外出できる社会づくりに努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(田所竜二
農林水産部長) 議長
○(
西田洋一議長) 田所
農林水産部長
〔田所竜二
農林水産部長登壇〕
○(田所竜二
農林水産部長) まず、果樹産地づくりを牽引する普及指導活動の充実についてお答えをいたします。
本県農業が担い手の減少による産地力の低下や人口減少等に伴う国内マーケットの縮小など内外に課題を抱える中、柑橘王国として揺るぎない地位を築いている果樹農業が今後も発展を続けていくためには、園地の緩傾斜化や樹形改良など省力化につながる生産基盤の整備や高収益が期待できる新品種や先端技術の導入など、常に一歩先を見据えた不断の革新が求められており、これを先導することが普及指導員の重要な役割であると認識いたしております。
このため、県では、昨年度から生産者の先頭に立って産地づくりに取り組む攻める普及指導活動への転換を目指し、普及指導計画や組織体制を抜本的に見直すとともに、オリーブやフィンガーライムなど有望品目の導入、柑橘産地の高度化、クリ、梅、柿の産地再生など、地域特性にかなった36の果樹の戦略目標を掲げ、最新の栽培技術や販売戦略を取り入れながら、組織を挙げてその実現に邁進しているところでございます。
また、普及組織が先導する革新的技術の導入実証事業を創設いたしましたほか、先進的農家での最先端技術研修や量販店での流通・販売研修など、若手普及指導員の研修カリキュラムを大きく見直し、職員の資質や意識の向上にも取り組んでおりまして、今後、普及組織が高い技術力と先見力をもとに県内の生産者や関係団体を先導することで、強い果樹産地が県内一円に数多く創出されるよう、力を尽くしてまいりたいと考えております。
次に、森林・林業の担い手育成と労働力確保の
取り組みについてお答えをいたします。
本県の林業就業者は、長期減少傾向が続いてきた中、ここ5年間は、低水準ながらも現状の1,000人ラインを維持し、新規参入者も毎年50名前後を確保してまいりましたが、将来にわたり、森林の適正管理と
林業生産活動を継続するためには、年間85人の新規就業者が必要とされておりまして、林業の
担い手確保は愛媛林業の振興に不可欠な課題と認識いたしております。
このため、県では、林業就業相談会の開催やインターンシップ制度の導入、県内の高校生等を対象とした実践的な体験研修など、若者をターゲットとした就業希望者の掘り起こしに努めますとともに、就業後の基礎教育はもとより、高度な架線作業や最先端機械の操作技術等の習得までを一貫して支援する段階的な研修制度も業界団体と一体的に整備しておりまして、就業者の定着促進にも取り組んでいるところでございます。
また、新たな労働力として期待できます農家や女性、シルバー人材を対象に、チェーンソー等の資格取得を支援し、農閑期等に従事していただくワークシェアリングを推進するほか、平成29年度から、林業分野では全国で初めて技能実習制度を活用したベトナムからの実習生受け入れを開始するなど、外国人材活用のための環境整備にも努めておりまして、今後とも業界団体や林業事業体と連携しながら、多彩な手法を駆使した林業労働力の確保に努め、林業の成長産業化につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(杉本寧土木部長) 議長
○(
西田洋一議長) 杉本土木部長
〔杉本寧土木部長登壇〕
○(杉本寧土木部長)
土砂災害対策における
ソフト対策に関する御質問にお答えをいたします。
西日本豪雨による甚大な被害を受けまして、県が設置した
土砂災害対策検討委員会では、ことし3月、地域特性に合った警戒避難体制の強化に係る報告書を取りまとめ、その中で強化すべき
ソフト対策として、危険箇所の周知、切迫した危険度の周知、防災意識の向上の3つの柱が示されたところでございます。
このため、県では、危険箇所の周知として基礎調査結果の公表や区域指定を加速させ、身近にある
土砂災害の危険を認識してもらうとともに、今後、市町と連携して、県下全域で指定区域の周知看板の設置を検討しているところでございます。
また、危険度の周知については、情報をわかりやすく伝え、確実に届けるため、年度内に
土砂災害警戒情報の緊急速報メールによる配信を行うこととしております。
さらに、防災意識の向上に係る
取り組みとして、砂防学習会の対象者の拡充や実施回数をふやすほか、自助・共助による自発的な地域防災活動を促すため、新たにモデル地区を選定し、住民主体の
土砂災害に関するタイムラインの作成を検討しているところでございます。
今後とも、住民の命を守ることを最優先に、
土砂災害による人的被害ゼロを目指して、早目の避難につながる
ソフト対策の一層の充実を図り、警戒避難体制の強化や地域防災力の向上に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(
西田洋一議長) 休憩いたします。
午後1時から再開いたします。
午前11時51分 休憩
―――――――――――――――――
午後1時 再開
○(
西田洋一議長) 再開いたします。
質疑を続けます。
○(古川拓哉議員) 議長
○(
西田洋一議長) 古川拓哉議員
〔古川拓哉議員登壇〕
○(古川拓哉議員) (拍手)愛媛維新の会の古川拓哉です。
地方自治法に基づく戦後最初の第1回愛媛県議会定例会は昭和22年5月22日に招集され、今定例会で364回を数えます。輝かしい歴史と伝統の上にさらなる英知と創意を重ね、愛媛県の限りない発展へと尽力された多くの先輩方によって築かれ継承されたこの愛媛県議会の場に立てることを誇りに感じるとともに、県民から寄せられました多くの負託に応えるべく全力を傾注してまいる決意でございます。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず、四国への新幹線導入に向けた
取り組みについてお伺いします。
去る5月16日、JR東日本は、次世代型新幹線の試験車両ALFA−Xの試験走行の様子を報道関係者に初めて公開しました。この車両は、運転時速360キロを目指して開発されたもので、2022年3月まで東北新幹線の仙台−新青森間で試験走行が行われるとのことであります。
また、数日後、JR東海は、来年夏から営業運転予定の新型車両N700Sが米原−京都間で時速360キロを達成したと発表いたしました。さらに、同社が着々と整備を進めているリニア中央新幹線が予定どおり8年後に開通すれば、東京−名古屋間がわずか40分で結ばれることとなります。
国土交通省がまとめた新幹線の開業効果に関する資料によりますと、お隣の九州では、平成23年の九州新幹線全線開業により、それまで2時間12分を要していた博多−鹿児島間が1時間19分に短縮され、鉄道利用者の大幅な増加をもたらすとともに、開業後の鹿児島県の宿泊客数は前年比約20%増、主要観光施設の来場者数についても前年比約30%増と大幅な伸びとなっております。さらには、九州各県の観光消費額が前年度比で約10%の増加となるなど、新幹線の開業が極めて広範囲にわたり地域の活性化に波及効果をもたらしていることは明らかであります。このため、全国各地の基本計画路線を抱える地域では、
整備計画への格上げを求める動きが活発化しております。
御案内のとおり、四国の新幹線については、平成26年に4県や四国経済連合会等が公表した調査において、費用対効果が1を超えるなど、フル規格の新幹線を整備することの妥当性は明らかにされております。しかしながら、国の予算では、北陸や北海道新幹線の延伸、九州新幹線の長崎ルートといった現在建設中である路線の完成が最優先とされ、四国への導入については、残念ながらめどが立っていないのが実情であります。
こうした中で、地方の活性化策などを提言している日本プロジェクト産業協議会が提唱する単線方式による四国への新幹線整備手法については、整備コストを3分の2程度に抑えられることや、四国には単線運行の技術的な蓄積があること、さらには、経済界を中心にインフラ輸出の競争力強化につながるとの期待があることなどから注目を集めております。
4月に開催された県や市町、経済団体などで構成する愛媛県新幹線導入促進期成同盟会の今年度総会においても、単線方式での整備に係る講演会を実施されたと聞いております。
このような新たな発想での整備手法なども視野に入れながら、地元住民を初めとする県全体が新幹線の必要性を理解するためのPR活動により、さらなる機運醸成を図り、今こそ四国新幹線の早期実現を一丸となって、これまで以上に声を大にして強く訴えていくべきであります。鉄道高速化に向けた動きが激しくなる中、このままでは唯一の新幹線空白地帯である四国は、民間の経済活動や国内外の観光促進等の地域間競争の面でも、さらなるハンディキャップを背負うのではないかと強い危機感を抱いているところです。
そこで、お伺いします。
四国への新幹線導入に向けて、県では、今後、どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。
次に、中国経済交流ミッションについてお伺いします。
今年度は、大型クルーズ線ダイヤモンド・プリンセスの松山港初寄港に始まり、7月の松山−台北定期航空路線の新規就航、9月のG20愛媛労働雇用大臣会合や10月の日中韓3か国地方政府交流会議、12月の愛媛国際映画祭の開催と続く本県にとりまして、インバウンドあるいは国際交流の飛躍元年とでも言うべき年であります。
去る5月24日から26日まで、中村知事におかれては、経済交流協定を締結して、それぞれ24周年、25周年となる遼寧省及び大連市を梶谷県議会副議長や松山市、商工観光団体の代表者とともに訪問され、新たな友好協力関係協定を締結されました。遼寧省は、シンガポールなどを超えるGDPを持ち、また、4,000万人を超える人口を抱えておりますが、大連市はそのうち約600万人もの人口を抱えております。
昨年6月に、日中友好促進愛媛県議会議員連盟のメンバーとして大連市を訪問した我が会派議員3名からは、道路や高速鉄道、地下鉄、空港、港湾などが整備され、林立する高層ビル群など活気にあふれた町並みが続き、想像を超える高い経済成長を続ける中国経済の力強さを感じたと聞いております。
また、ジェトロ大連事務所によると、もともと大連市を含む遼寧省は、中国南部の省などに比べると日本企業の進出を積極的に歓迎してくれる土地柄であり、日本企業がビジネスをやりやすいことや、近年は、ITや電子情報機器関連の産業集積化が進み、日本企業との新たな連携を望んでいるとのことであります。
一方で、今回訪問した梶谷県議会副議長からは、遼寧省と大連市の両書記や大連市長との会見で、遼寧省は、高齢化率が中国国内で第3位と高く、今後、日本を上回るスピードで高齢化が進むことが見込まれており、介護人材の育成が大きな課題となっているとのお話もあったと聞いております。
折しも2017年11月に、日本で介護分野の技能実習が解禁となったことを受け、言語の壁があり、介護人材の確保が困難だと言われる中で、愛媛県の介護施設では、遼寧省の省都瀋陽市にある看護学校を卒業し、大連市の人材送り出し機関でN4レベルの日本語を学んだ人を技能実習生として受け入れる
取り組みを開始しており、今回の訪問メンバーは、日本に出発する直前の生徒の方々と面会をされました。日本での介護福祉士資格の取得を考慮した場合、漢字圏からの受け入れは有望であり、事実、その介護施設の関係者によると、既に大連市及び西安市から受け入れた介護分野の技能実習生は16名にも上り、入居者からの評判も上々とのことで、今後も、受け入れ拡大を予定していると聞き及んでおります。
前回の協定締結からおよそ四半世紀が過ぎ、双方の社会経済構造が大きく変化する中で、私は、企業同士のビジネスマッチングなどの経済分野はもとより、介護分野の人材育成、交流を通じたきめ細かな地域間交流をさらに推し進めるなど、双方の課題解決に向けた新たな
取り組みに関する連携を深めていくことが、本県と遼寧省及び大連市がともに発展していくことに大きくつながると期待をしております。
そこで、お伺いします。
先月、知事が訪問した中国遼寧省及び大連市への経済交流ミッションの成果と今後の
取り組みについてお聞かせください。
次に、子供医療費助成制度についてお伺いします。
かつて昭和の終わりごろに、日本は1億総中流社会とされ、世界一格差のない国だと言われていたと伺ったことがあります。しかしながら、現代における深刻な経済的格差の拡大は、子供を取り巻く環境にもさまざまな影響を与えているところであります。少子化が進む中において、これまで以上に子供たちを社会全体で支え合う必要があり、夢と希望に満ちあふれた社会を築くためには、我々の未来そのものと言っても過言ではない子供たちを大切に育てていかなければなりません。
そのために不可欠な子供の医療について、これまで各自治体が住民サービス向上の一環として独自の支援拡充を進めてきたところですが、現代の少子化問題を考えると、やはり全国どこでも同じように受けられるべきであり、地域格差があってはならず、国が責任を持って全国一律の助成制度を創設すべきであります。これまでも中村知事が幾度となく要望しても、国は財源面での懸念から制度の創設に消極的ですが、当然の要望であり、これからも国に対し要望を続けていただきたいと思います。
そうした中、本県では、就学前の乳幼児医療費助成制度を設け、その上に各市町が独自に上乗せ助成することにより、ほとんどの市町で中学卒業までの子供への医療費助成が行われていますが、松山市では、通院医療費の無料化が就学前までにとどまっている状況であります。
当然ながら、子供たちは自分が生まれ育つ環境、場所を選べません。松山市は、中学生以下の子供の数が県全体の約4割を占めている中、子を持つ親として、松山市に住んでいるということで子供がけがや病気になったときに病院にかかる際、他市町との違いがあるということについて理解を得ることは難しいと思われます。
幸い松山市は、来年1月からの医療費助成制度の拡充に向け取り組むこととなり、県も、松山市、県議会等からの要望を受け支援を拡充することとし、今回、補正予算案に計上されたところであります。甚大な被害があった
西日本豪雨災害からの復興を最優先に掲げ、県の財政状況が厳しい中ではありますが、まさに知事の英断であると考えます。
そこで、お伺いします。
私も、子供医療費助成制度の拡充について、本会議で質問、要望をさせていただいたところですが、国による全国一律の制度が創設されない中、今回、松山市への県の乳幼児医療費助成事業の補助率引き上げを判断することに至った知事の思いについて、改めてお聞かせください。
次に、障がい者の芸術文化活動への支援についてお伺いします。
障がい者アートへの
取り組みは、障がい者一人一人の新たな将来への可能性に光を当てるとともに、障がい者が創作した数々のすばらしい作品に出会うことで、私たち自身を取り巻く常識や偏見を大きく変えていく力を持っているものと考えます。
県では、今年度、中村知事が公約に掲げられた障がい者芸術文化祭を初めて開催すると伺っています。
一昨年に開催されたえひめ国体・えひめ大会においても、障がい者の芸術文化活動が文化プログラムとして行われ、私も実際に足を運ばせていただきましたが、会場となった中予の大型ショッピングセンターでは、アーティストが実際に県民の目の前で創作活動を行ったこともあり、多くの方が足をとめて、すばらしい作品の数々に感動している様子がうかがえました。
今年度の障がい者芸術文化祭におけるステージ発表やふれあい交流イベントについても、多くの方の理解を深めるには最適な場所である松山市の大街道商店街で開催されるとのことであります。作品を通じて、アーティストやその家族、支援者、さらにはボランティアなど多くの関係者の思いが、障がい福祉に対する社会全体の価値観や意識のさらなる変革へとつながっていくことを期待したいと思います。
また、平成27年度から始まった愛顔ひろがる障がい者アート展についても、今年度の障がい者芸術文化祭の中で、あわせて継続開催されるとお聞きしております。県は、同アート展の当初開催から現在まで発表機会の確保を初め、作品や作者の掘り起こしを熱心に進められてきた結果、絵画、デザイン、書道、陶芸などの応募作品が、当初は71点だったものが、昨年度は260点となるなど、年を追うごとに
取り組みの輪が広がりつつあります。
平成28年2月議会の質問で取り上げさせていただきましたように、私自身も大変関心の深いテーマでありますが、小規模で開催されていた当時の同アート展と比べ、随分とさま変わりをしていることに鑑み、この分野に対する関心の高まりを感じているところです。
県は、第4次愛媛県障害者計画において、障がいの有無にかかわらず誰もが生き生きと活躍できる共生社会の実現を掲げ、文化芸術活動を通じた障がい者の社会参加と障がいへの理解促進に取り組まれていることは承知しております。今後とも、県内における障がい者の芸術文化活動への支援を積極的に推進することで、障がいを持たれている方々が人生をより豊かで幸福に送るための生きがいづくりにつながることを心から願います。
そこで、お伺いします。
障がい者における芸術文化活動の発表の場として、今年度初めて開催される障がい者芸術文化祭を有意義なものとするため、県ではどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。
一方で、障がい者の芸術文化活動の振興を図る目的には、一人一人が持っている個性を大きく伸ばす中で、社会とのかかわり合いを創出するため、みずからの芸術作品や関連商品を販売し、その収益で創作活動を行うための原資を確保することや、将来的な経済的自立を促すことが挙げられます。そのことによって活動の幅がより広がりを見せるとともに、作品の価値を認めてもらうことが本人のさらなる生きがいにもつながっていくものと考えます。
平成26年6月議会の質問でも取り上げさせていただきましたが、生後間もない2歳児健診で重度の自閉症による発達障がいが判明した版画家石村嘉成さんは、アーティストとして目覚ましい活躍を遂げられております。
中でも、とべ動物園の入園ゲート前に設置されている大きな砥部焼モニュメントは、来園者が一目で見渡せないほどの迫力がありますが、動物を描いたそのデザイン画は、石村さんの創作活動における出発点となったとべ動物園での集大成となる作品と言えます。
また、昨年は、岡山県高梁市の歴史美術館から依頼を受けて開催された特別展が大変なにぎわいを見せ、同美術館開館以来最高となる入場者数を記録したとのことであり、現在も、新たな作品づくりに意欲的に取り組まれていますが、躍動感にあふれ優しさに包み込まれるような作品には、本人の人柄も相まって誰もが魅了されるところであります。
障がいを持つ有名アーティストの作品は、多くの方が感銘を受けて作品や関連商品を買い求めているとのことであり、私たちの想像を超える価格で取引されることも少なくありませんが、その背景として、御家族を初めとする多くの方々のサポートがあるからこそ作品等のブランド化がなされ、商品を販売することができているのだと考えます。
しかし、芸術作品を販売することは、著作権管理の問題など多くのハードルがあるとのことであり、企業や団体、または個人が障がい者が創作した作品の芸術性や価値を認め注目を集めてはいますが、埋もれている多くの作品を世に送り出し、正当な価値を生むことは誰もが容易にできることではありません。手探りで創作活動を行っている障がい者が、みずからの芸術文化活動に関する悩みや不安を安心して相談できる支援体制のさらなる充実も、また、肝要であると考えます。
そのような中、県は、今月7日に障がい者の芸術文化活動を総合的に支援する拠点として、愛媛県障がい者アートサポートセンターを設置されました。障がい者の芸術文化活動のさらなる振興を図る上でなくてはならないサポート機関であると感じており、多くの方が待ち望んでいたことと思います。ぜひとも同センターが芸術文化活動の支援に係る先導的な地域拠点として、専門的な知識やノウハウを持つ人材の育成、配置が十分に図られることはもとより、受け身ではなく、障がい者の心に寄り添った画期的なサポート機関へと発展していくことを期待しています。
そこで、お伺いします。
愛媛県障がい者アートサポートセンターにおいて、障がい者への支援や芸術文化活動を支える人材の育成等にどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。
最後に、児童虐待防止対策についてお伺いします。
昨年3月に東京都目黒区で、5歳の児童が父親からの虐待を受けて亡くなりました。大学ノートに残された「おねがい ゆるして」のメッセージに言葉を失いました。
また、ことし1月には千葉県野田市で小学4年生の児童が同じく父親からの虐待を受けて亡くなるなど、繰り返される児童虐待のニュースに目を覆い、耳を塞ぎたくなる人も多いのではないかと思います。
警察庁のまとめによると、児童虐待の疑いがあるとして、全国の警察が平成30年中に児童相談所に通告した18歳未満の児童数は、前年比1万4,821人、22.7%増の8万252人となり、過去最多を更新しました。増加する背景の一つには、たび重なる児童虐待に関連する悲惨な事件を受け、その未然防止に向けて国民意識が向上したこともあると思いますが、年々ふえ続けており、10年前の約13倍にも上っているとのことであります。
国では、この痛ましい現状を受けて、児童相談所における
機能強化を図るため、児童の安全確認や一時保護などの緊急措置が必要なケースに介入的対応を行う職員と、保護者との相談など信頼関係を再構築するために必要な支援を行う職員を分ける機能分化を進める動きがあり、特に、児童の安全確認などをちゅうちょなく行えるようにするための介入機能を強化したいとのことであります。
本県の児童相談所においては、今のところ、介入と支援の担当分けがなされていないとのことでありますが、担当を分けること、分けないことにはそれぞれ一長一短があるものの、今後、大きな流れとしては機能分化を図る方針とのことであります。
そのような中、児童虐待の未然防止と早期発見について、児童相談所だけがその責務を担うことは極めて難しく、地域における市町や警察、民間とのネットワークや連携づくりは幅広い対応をするためには欠かすことができない
取り組みと考えます。
国は、増加する児童虐待に対応して、児童の命が失われることがないよう、児童相談所間や自治体間はもとより、警察や学校、病院などの関係機関の間における情報共有を初めとする連携強化の徹底を促し、一体となって対策に取り組んでいくこととしております。
愛媛県でも、これまでに、県の担当課と警察本部の担当課との間で相互に提供する情報の内容や提供する時期、方法等に関する確認書を締結し、児童に重大な危害が及ぶおそれのある事案等については速やかに警察に情報提供するなど、緊密な連携体制が構築されていると伺っており、大変心強く感じます。
また、県内全ての市町に要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協が設置をされています。要対協は、保護児童等に関する情報交換や支援内容の協議を行う児童福祉法に基づく法定協議会であり、例えば児童相談所とのかかわりが必要と感じられる児童の発見とその対応は、要対協で話し合われることが多いと伺っています。特に、一時保護も含めたリスクが高いケースにおいては、保護者の思いやプライバシーなどの問題によって、より慎重にならざるを得ないことも多々あり、非常に高度な判断が要求されるものと考えられます。
児童を守るためには、児童相談所や市町を初めとする関係機関が分担しながら本来担う役割を適切に果たすことはもとより、切れ目のないきめ細かな支援を提供するためのさらなる連携強化が重要でありますが、特に児童虐待防止の最前線に立つと同時に、その最後のとりでとも言える児童相談所においては、児童虐待の根絶と未然防止に向け、相談体制整備や専門性の向上などのさらなる
機能強化が求められてくるのではないかと考えます。
そこで、お伺いします。
児童相談所における児童虐待防止に関する
取り組みの現状と今後の
機能強化について、どのように考えているのかお聞かせください。
また、県内の児童相談所は東・中・南予に合わせて3カ所ありますが、中予の中央児童相談所については、婦人や障がい者に係る他の相談所とともに移転集約がなされ、総合保健福祉センターとしてワンストップ化を実現し、保健福祉に関する
機能拡充や施設の老朽化、狭隘化といった問題を解決しました。
一方で、東・南予の児童相談所については、地方局の婦人相談員を移転配置することで、子ども・女性支援センターとして相談機能が強化されたものの、東予の同センターは従来の老朽化した施設を使っており、施設機能に関しては随分と劣っているとのことであります。
そこで、お伺いします。
東予子ども・女性支援センターの建てかえを含めた老朽化対策を図り、より多くの助けを必要とする県民が利用しやすい施設にするべきと考えますが、お考えをお聞かせください。
以上で質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
西田洋一議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
西田洋一議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 古川議員に、まず、中国のミッションについての御質問にお答えをさせていただきます。
今回のミッションでは、これまで経済交流協定を締結していた遼寧省及び大連市を訪問し、経済分野のみならず、介護分野での人材交流や観光、文化、スポーツなど幅広い分野での交流を促進する内容に格上げをしました友好協力関係協定を締結するとともに、県で開かれます日中韓3か国地方政府交流会議への参加要請も行い、快諾を得たところでございます。
協定締結にあわせて、それぞれの地方政府の事実上のトップである共産党委員会書記とも会見を行いましたが、本県との協定を大変重要視されており、遼寧省の高齢化率が国内第3位の高さであることなども踏まえ、介護人材の育成への協力について強い要望があったほか、環境や介護、農水産加工分野などでの県内ものづくり企業の進出や技術交流へ大きな期待が寄せられました。
介護人材に関しましては、既に県内企業が遼寧省瀋陽の看護学校や大連の人材送り出し機関と連携し、技能実習生等の受け入れを開始しており、その拡大は本県にとってもメリットが大きいことから、
取り組みを積極的に支援していきたいと思っております。
また、県内ものづくり企業と現地企業とのマッチングにつきましては、今回実施しました愛媛県起業技術セミナー等を通して、大連国際貿易促進委員会と精度の高い商談のサポート体制を築くことができましたが、一方で、米中貿易摩擦など難しい問題もありますので、国際関係の動向も十分見きわめながら取り組んでいきたいと考えているところでございます。
ところでこの地域と愛媛県のつながりについて、2つばかり、議員の皆さんにも知っていただきたいことがございます。
一つは、大連市の金州区というところにある正岡子規の句碑の存在であります。この地域は、日清戦争時、従軍記者として正岡子規が足を運んだ場所でもありますが、当時滞在中に幾つかの句を詠まれていた歴史がございます。その句の一つを選定し、現地の方が句碑をつくって建立をしたんですけれども、終戦後、当然のことながらこれは取り壊されるであろうということで、現地の方がその句碑そのものを土中に埋めた経緯がございました。
今から十数年前、当時松山市長の立場でありましたけれども、この場所は小学校が建てられていたんですが、老朽化で取り壊すことになり工事が始まりました。その工事のさなかに、60年ぶりにこの句碑が土中から発見されたという一報が入ったわけであります。
当然のことながら、外国のことでありますから、中国では、個人のこうした句碑、あるいはましてや外国人のものは取り壊すという方向になるということでありましたけれども、松山市の代表的な先人であるということで、どんな形でもいいから残していただきたいという交渉を当時させていただきました。松山市民の思いが伝わりまして、この句碑は残すということに決まりまして、その後に建てられました金州区博物館の庭に置いていただけることになりました。今回、私は足を運べなかったんですけれども、金州区博物館の庭には今でもしっかりと正岡子規の句碑が残っているという報告を受けているところでございます。
いま一つは、これは中国の方から、今回の訪中時にお聞きしたんですけれども、愛媛県にはめったに中国から出すことのないシロマツがあるはずだというお話をいただきました。
これはちょっと調べてみましたら1977年、当時、松山市で日中平和友好促進県民大会という会が開催されています。実はこの会は、中国との友好関係が始まって間もないころですから、地方政府、県という立場が加わった全国初めての日中友好の催しであったそうであります。これを受けて、当時の中国は大使館を通じまして、そのお礼にということでめったに出すことのないシロマツを愛媛県に贈った経緯がございます。当時の知事は白石春樹知事さんでありまして、白石春樹知事と中国の大使館の方によって、県庁本館玄関横に記念植樹がなされているわけであります。
調べてみましたところ、他の県でも中国から贈られた植樹の形跡はあるんですが、全てクロマツ等でございまして、シロマツは今のところ一本も確認できていません。いわばとても貴重な存在であるというふうに考えます。
しかし、私も存じ上げておりませんでしたし、それを知っている方ももうほとんどいないんではないかと。これを受けまして、県庁の周りには12本の記念植樹がなされていますが、できれば議会の同意を得た中で、それぞれの経緯を刻んだ記録板のようなものを設置してみてはどうかなということを検討して、提案をいずれさせていただきたいなというふうに思っております。
以上、本当に語られなくなったら、あっという間に物事というのは忘れられてしまうといういい例ではないかと思いますので、皆さんと一緒に共有し、次世代にもつなげていきたいというふうに思います。
今後とも、遼寧省や大連市との間で、官民による定期的な交流を継続、深化させ、県内企業の現地での事業展開をしっかりと後押しし、本県経済の活性化につなげてまいりたいと思います。
次に、松山市への乳幼児医療費助成事業についての御質問でございます。
子供医療費助成制度は、子育て世帯の経済的負担の軽減や早期治療による子供の健全な成長促進など、子供を安心して産み育てることができる環境づくりのためには欠くことのできない支援策であり、本県では、県の乳幼児医療費助成に市町が独自に上乗せ助成を行い、県と市町の共同によって全県下で実施しているところでございます。
中学生までの子供の数が県全体の約4割を占める松山市が、県のバックアップを得て医療費助成制度を底上げしたいという思いは十分理解するところであり、1年ほど前には市議会の有志の皆さんも声を届けていただきました。今回、正式に松山市からの要請もございました。また、県議会でも幾度か質問で取り上げた課題でもあります。
しかし一方で、現在、県では、
西日本豪雨災害からの復旧・復興に最優先で取り組んでおり、財政調整基金も大幅に取り崩しをすることを余儀なくされました。この取り崩し金額につきましては、松山市の10倍近くの金額になっておりまして、双方の財政事情を鑑みますと、県は大変厳しい財政状況にあり、今回、こうしたことも考えて、現時点ででき得る最大限の財政支援として、補助率を4分の1から8分の3へ引き上げ、補助額を年間で約1億円強追加することにより、松山市の子供医療費無料化拡充の
取り組みを後押しすることといたしました。
しかしながら、地方自治体の財政力等により、子供の医療費の負担に格差が生じている現状は解消されなければならず、この問題は国がナショナルミニマムとして、子供医療費助成制度を創設すべきと言い続けてまいりましたし、その信念が揺らぐものではなく、全国知事会を初め、地方六団体と十分連携して、地方の総意として、国に今後とも強く要請し続けていきたいと考えております。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(金子浩一
企画振興部長) 議長
○(
西田洋一議長) 金子
企画振興部長
〔金子浩一
企画振興部長登壇〕
○(金子浩一
企画振興部長) 四国の新幹線に関する御質問にお答えします。
四国への新幹線導入は、交流人口の拡大や経済の活性化など地域振興に大きく寄与するのみならず、鉄道ネットワークの維持という困難な課題に直面しているJR四国の経営基盤の強化にも資するものであると考えておりまして、一日も早い実現を目指して、四国の総力を挙げて国や関係機関等への働きかけを行うことが重要であると認識しております。
このため、今月初めに、知事が国土交通大臣と面会し、
整備計画への格上げとJR松山駅への新幹線駅併設について強く要望したところであり、8月には、四国4県や経済団体等で組織する四国新幹線整備促進期成会が地元の熱意を全国にアピールする東京大会を3年連続で開催するとともに、関係省庁等への要望活動を実施することとしております。
また、新幹線導入の
取り組みをさらに強力に推進するためには、県民の方々に導入の必要性や効果について一層理解を深めていただくことが不可欠なことから、今年度も、テレビ番組など多様な媒体を活用した積極的なPR活動等を通じて機運の醸成に努めることとしており、全国各地で新幹線の整備が進み、次のルート選定の可能性が大きく膨らんでいる今を最大のチャンスと捉え、
整備計画への早期格上げに向け、引き続き、オール愛媛、オール四国の体制で新幹線導入に向けた道筋をつけてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(山口真司
保健福祉部長) 議長
○(
西田洋一議長) 山口
保健福祉部長
〔山口真司
保健福祉部長登壇〕
○(山口真司
保健福祉部長) 障がい者の芸術文化活動に関する御質問のうち、障がい者芸術文化祭についてお答えをいたします。
県では、平成27年度以降毎年度、障がい者アート展を開催するとともに、平成29年度には、えひめ国体・えひめ大会の文化プログラムとして活動発表会を開催するなど、障がい者の芸術文化活動の普及に努めてまいりましたが、今年度は、これまでの成果を踏まえ、幅広い活動発表の場として、初めて障がい者芸術文化祭を開催することとしております。
本年10月に2日間の日程で、大街道商店街で開催するイベントでは、障がい者とデザイナーがチームを組んでアート作品を商品化につなげるワークショップや楽器演奏、ダンス等のステージ発表、創作活動の実演や作品販売等を行うふれあい交流イベントを開催するなど、障がいのある方が積極的に参加し、多くの人と触れ合うことのできる機会にしたいと考えております。
また、12月に県美術館で行う障がい者アート展につきましても、日ごろの創作活動の成果を披露し交流する場にしたいと考えておりまして、今後とも、障がい者や御家族、支援者等の声を伺いながら、芸術文化祭をより充実発展させ、障がい者の生きがいづくりと社会参加の一層の促進を図ってまいりたいと考えております。
次に、障がい者アートサポートセンターについてお答えをいたします。
県障がい者アートサポートセンターは、障がい者アートを支援する人材の育成や、障がい者芸術文化祭の企画など、障がい者の芸術文化活動の振興拠点としての役割を担うこととしておりまして、とべ動物園の陶板モニュメントの原画を制作された石村氏のような県内外で活躍するアーティストの発掘にも努めることとしております。
センターでは、支援ノウハウを有する職員が芸術文化活動に関する助言や相談支援に当たりますほか、障がい者の御家族や福祉事業所の職員等を対象に、弁護士や商品開発のノウハウを持つ専門家を講師として、作品の著作権等の権利保護や二次利用に関する研修会を開催するなど、創作活動の支援はもとより、作品の商品化や販売等にも対応できる人材を育成するとともに、事業所等との意見交換やアンケート調査等によりニーズを把握し、活動の裾野拡大にも努めることとしております。
県といたしましては、今後とも、県障がい者アートサポートセンターを核として、障がい者や家族、支援者等に寄り添ったきめ細かな支援に努め、本県における障がい者芸術文化活動の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。
次に、児童虐待に関する御質問のうち、児童虐待防止の
取り組みについてお答えをいたします。
本県の児童相談所及び市町の児童虐待相談の対応件数は、昨年度1,792件と7年連続で過去最多を記録し、前年度比で37.2%増加するなど深刻な状況にございまして、児童虐待防止の核となる児童相談所の体制を強化することは喫緊の課題と認識をしております。
このため、県では、警察官、教員、福祉職等を配置拡充するとともに、弁護士から司法手続の助言等を随時受けられる体制の整備や職員の対応力を高める研修等により専門性の向上を図りますほか、虐待防止のネットワークである市町の要保護児童対策地域協議会への児童支援コーディネーターの派遣や、警察との確認書締結による情報共有の促進など関係機関との連携を強化し、虐待の早期発見・早期対応に努めているところであります。
また、今般の児童福祉法等の改正を踏まえまして、児童相談所における一時保護等の介入的対応と保護者支援の機能分化や国の配置基準に応じた児童福祉司等の専門職の計画的配置を進めるなど、児童相談所のさらなる
機能強化に
取り組み、関係機関との緊密な連携のもとで虐待の発生予防から子供の自立に至る切れ目のない支援に努めてまいりたいと考えております。
次に、東予子ども・女性支援センターに関する御質問にお答えをいたします。
東予子ども・女性支援センターにおいては、子供の相談や一時保護された児童の生活支援等に的確に対応するため、これまで、非行や虐待などのケースに応じた一時保護ができるよう施設を改修するなど、児童相談所の機能充実に向けて
施設整備を図ってきたところであります。
また、センターは、鉄筋コンクリートづくりで耐震基準を満たしておりますが、築後39年が経過をし、経年劣化の影響が生じつつありますため、屋上の防水工事など必要な修繕を適宜実施して、適切な施設の維持管理に努めているところであります。
センターは、支援を必要とする子供や保護者等が利用しやすい施設であることが重要であり、現在進めております児童福祉司等専門職の増員配置など体制強化の
取り組みを最優先で進めながら、県有施設全体の老朽化対策も踏まえて、東予子ども・女性支援センターのあり方について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
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○(
西田洋一議長) 以上で本日の日程を終了いたしました。
明20日は、午前10時から本会議を開きます。
日程は、全議案に対する審議の続行であります。
本日は、これをもって散会いたします。
午後1時49分 散会...