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平成31年第362回定例会(第2号 2月26日)

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  1. 愛媛県議会 2019-02-26
    平成31年第362回定例会(第2号 2月26日)


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    平成31年第362回定例会(第2号 2月26日) 第362回愛媛県議会定例会会議録  第2号 平成31年2月26日(火曜日)   〇出席議員 41名   1番  武 井 多佳子   2番  田 中 克 彦   3番  松 井 宏 治   4番  塩 出   崇   5番  高 橋 英 行   6番  松 下 行 吉   7番  川 本 健 太   8番  帽 子 大 輔   9番  大 石   豪   10番  宇 高 英 治   11番  欠     番   12番  欠     番   13番  菊 池 伸 英   14番  福 田   剛   15番  中   政 勝   16番  逢 坂 節 子
      17番  古 川 拓 哉   18番  兵 頭   竜   19番  大 西   誠   20番  松 尾 和 久   21番  欠     番   22番  欠     番   23番  木 村   誉   24番  石 川   稔   25番  梶 谷 大 治   26番  西 田 洋 一   28番  大 西   渡   29番  福 羅 浩 一   30番  三 宅 浩 正   31番  欠     番   32番  欠     番   33番  欠     番   34番  欠     番   35番  欠     番   36番  笹 岡 博 之   37番  黒 川 洋 介   38番  毛 利 修 三   39番  徳 永 繁 樹   40番  高 山 康 人   41番  渡 部   浩   42番  戒 能 潤之介   43番  鈴 木 俊 広   44番  欠     番   45番  横 田 弘 之   46番  越 智   忍   47番  村 上   要   50番  欠     番   51番  西 原 進 平   52番  中 畑 保 一   53番  明 比 昭 治   54番  岡 田 志 朗   55番  森 高 康 行   ―――――――――― 〇欠席議員 3名   27番  中 田   廣   48番  赤 松 泰 伸   49番  本 宮   勇   ―――――――――― 〇欠  員 3名   ―――――――――― 〇出席理事者  知事          中 村 時 広  副知事         神 野 一 仁  副知事         原   昌 史  公営企業管理者     兵 頭 昭 洋  総務部長        菅   豊 正  企画振興部長      西 本 牧 史  スポーツ・文化部長   土 居 忠 博  防災安全統括部長    福 井 琴 樹  県民環境部長      金 子 浩 一  保健福祉部長      山 口 真 司  営業本部長       八十島 一 幸  経済労働部長      田 中 英 樹  農林水産部長      田 所 竜 二  土木部長        杉 本   寧  会計管理者出納局長   岸 本 憲 彦  教育長         三 好 伊佐夫  副教育長        武 智 俊 和  人事委員会委員     大 内 由 美  公安委員会委員     曽我部 謙 一  警察本部長       松 下   整  監査委員        永 井 一 平  監査事務局長      山 本 亜紀子   ―――――――――― 〇出席事務局職員  事務局長        内 田 万 美  事務局次長       山 田 裕 章  参事総務課長      北 川 謙 二  参事議事調査課長    松 本 賢 固  参事政務調査室長    西 田 洋 一  議事調査課主幹     井 原 重 喜   ―――――――――― 〇本日の会議に付した事件  定第4号議案ないし定第58号議案      午前10時30分 開議 ○(鈴木俊広議長) ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の会議録署名者岡田志朗議員、笹岡博之議員を指名いたします。   ――――――――――――――――― ○(鈴木俊広議長) これから、定第4号議案平成31年度愛媛県一般会計予算ないし定第58号議案を一括議題とし、質疑を行います。 ○(戒能潤之介議員) 議長 ○(鈴木俊広議長) 戒能潤之介議員   〔戒能潤之介議員登壇〕 ○(戒能潤之介議員) (拍手)おはようございます。  自由民主党の戒能潤之介です。  会派を代表して質問させていただきますので、知事初め、理事者の皆様方の建設的な御答弁をよろしくお願いいたします。  まず初めに、公約の実現に向けた第3ステージの取り組みについてお伺いいたします。  中村知事におかれては、これまで2期8年間、明確なビジョンのもと、圧倒的な行動力でふるさと愛媛のために尽力されてこられました。  昨年までの8年間、しまなみサイクリングに象徴される自転車新文化の推進、本県の基幹産業である農林水産業の強化、ブランド化に成功され、また、全国に先駆けて設置した営業本部による県関与成約額は100億円を突破するまでになり、記憶に新しいえひめ国体えひめ大会の成功のほか、医療福祉の分野においてはドクターヘリの運航、特別支援教育の充実、防災・減災の分野では南海トラフ地震対策、県立学校の耐震化完了など、さまざまな課題に全力で取り組まれてきたことを高く評価しております。特に公約の実現にこだわり、先頭に立って挑戦される姿に、我々議員も、県民の一人として非常に心強く感じている次第であります。  昨年は、愛媛県史上最大級の被害をもたらした西日本豪雨災害が発生し、災害関連死を含め31名のとうとい命が奪われ、特に被害の大きかった南予地域では、大規模な浸水や土砂崩れが多発したほか、生活に欠くことのできない水を初めとするライフラインへの甚大な被害に加え、柑橘樹園地が崩落するなど、基幹産業である農林水産業も深刻な被害を受けました。余りの被害の大きさに、被災した地域の方々からは生活再建への不安の声が多く聞かれ、希望を持って再び立ち上がる元気を失うのではないかと心を痛めておりました。  このような中、知事は当初、最優先とされた人命救助や水の確保、住宅環境の整備を短期間で実現されたのを初め、被災地にも何度も足を運び、被災された方々に対し、復旧・復興に県が責任を持ってしっかり対応するというメッセージを送り続けられました。その姿勢に励まされ、希望を持つことができたという方も多いとお聞きしております。  一方で、復興支援動画の配信やデジタルマーケティングの手法を用いた戦略的なプロモーション、地域経済の活性化による実需の追求に取り組まれるなど、新しい施策も進められております。  さきの選挙で県民からの信任を得て3期目のスタートを切った今後4年間、中村知事が掲げる公約の実現に向け、果敢にチャレンジされることが、愛媛の明るい未来の創造につながるものと期待しております。  我々も、豪雨災害からの復興はもとより、社会構造や経済情勢の変化に的確に対応していくために、中村知事とともにオール愛媛の体制で課題解決に精いっぱい努力する所存であります。  そこで、お伺いします。
     第3ステージの初年度として、公約の実現に向け、どのように取り組まれるのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。  次に、豪雨災害を踏まえた地域防災力の強化についてお伺いします。  県内各地に甚大な被害をもたらした西日本豪雨災害では、防災士を中心とした自主防災組織の迅速な警戒活動や誘導により、発災前に住民を安全な場所に避難させた地域や、洪水や土砂崩れが発生したにもかかわらず、一人の犠牲も出さなかった地域の事例が報道され、防災士を初めとする地域防災リーダー自主防災組織の活動の重要性が、改めてクローズアップされたところであります。  現在、検証作業中ではありますが、県の検証委員会が昨年12月にまとめた中間整理の中でも、効果のあった取り組みとして、このような自主防災組織等を中心とした地域ぐるみの活動が高く評価されているところです。  また、国の中央防災会議のワーキンググループが昨年12月に取りまとめた避難のあり方についての報告書においても、行政主導のハード・ソフト対策には限界があり、住民主体の防災対策に転換していくことが重要で、住民が主体となった避難に関する取り組みを強化すべきである。そのためには、各地域における自助・共助の取り組みの適切かつ継続的な実施に向け、防災の基本的な知見を有する地域防災リーダーの育成が必要と提言しているのであります。  県では、県民の安全・安心を守る防災・減災対策を県政の3本柱の一つに掲げ、特に地域防災力の強化については、防災意識の啓発はもとより、自主防災組織の結成支援や活性化、さらには地域防災のかなめとなる防災士の養成やスキルアップにも力を入れるなど、早くから地域住民主体取り組みを重層的に進めてこられたところです。  しかしながら、検証委員会の中間整理では、地域によって自主防災組織の活動に濃淡があった、市町と自主防災組織や防災士等の連携が不十分なところがあったなどの課題も指摘されており、多様な災害への備えとして、今後とも不断の改善や見直し、強化が欠かせないのではないかと感じております。  県におかれましては、このような課題の指摘も踏まえ、自主防災組織の活動を強化し、今回の豪雨災害での対応として効果のあった取り組みを県内全域に拡大するなど、地域の防災力向上を図るとともに、県民一人一人の自助・共助の意識を高め、災害時に一人の犠牲者も出さない地域づくりを目指した取り組みを進めていってほしいと切に希望するものであります。  そこで、お伺いします。  県では、豪雨災害を踏まえ、自主防災組織など住民が主体となった地域防災力の充実・強化に今後、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。  次に、肱川水系における治水対策についてお伺いします。  西日本豪雨では、肱川流域でも記録的な降水量となり、上流の野村ダムや鹿野川ダムでは、管理開始以降最大の流入量となったほか、国道56号の肱川橋地点では観測史上最高水位を記録するなど、これまで経験のないような洪水により、大洲市や西予市などにおいて、広範囲で甚大な浸水被害が発生しました。  この記録的な災害を受け、国と県は、共同で昨年9月に肱川緊急治水対策を策定され、緊急対応としての河床掘削のほか、整備計画を10年前倒しし、今後約5年間では、河川激甚災害対策特別緊急事業による堤防整備が示され、今後約10年間では、西日本豪雨と同規模の洪水を安全に流下させるためのさらなる河川整備と山鳥坂ダムの完成を示されました。  また、野村ダムと鹿野川ダムについて、より効果的なダム操作に関する検証が行われ、鹿野川ダム改造事業や下流の堤防整備の進捗により、両ダムを有効に活用できるよう操作規則を変更する方針も示されております。  そのほか、大洲市や西予市では、豪雨災害から市民の住まい、暮らし、日常を早急に取り戻し、将来世代にわたって安心して暮らせるまちづくりを目指す復興まちづくり計画の策定も進められており、国、県、市が連携し、それぞれの役割に応じて復旧・復興に向けた取り組み方針を打ち出したことは、流域住民の将来への不安を取り除くためにも大変ありがたいことであり、大いに期待しているところであります。  今後は、これらの取り組みを確実に実行していくことが重要となってきますが、とりわけ住民生活や経済活動の根幹である肱川水系の治水対策が復旧・復興の第一歩であることから、河川整備とダム整備の両輪で、一日も早く治水効果が発揮されることを切に望むものであります。  そこで、お伺いします。  肱川水系の治水対策について、今後、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。  次に、同じく防災・減災の観点から、伊方発電所安全対策及び防災対策についてお伺いします。  原子力発電所の安全規制については、原子炉等規制法などの法令に基づき国が行うこととなっていますが、愛媛県では、安全対策を国任せにすることなく、地元自治体として安全性を確認、追求していくため、伊方発電所1号機の運転開始に先立ち、昭和51年3月に愛媛県、伊方町及び四国電力で伊方原子力発電所周辺の安全確保及び環境保全に関する協定を締結しました。  昭和60年4月には、3号機の増設に伴い、協定内容をより具体化、明確化する改定を行うなど、県民の安全確保と周辺環境の保全に取り組んでこられました。  また、平成11年12月には、伊方発電所で発生した正常状態以外の全ての事態を県及び伊方町に通報連絡するよう安全協定の確認書を改定し、伊方発電所で発生したトラブルは全て県が公表する、いわゆる愛媛方式の徹底により、県民の信頼確保に努めてこられたところです。  そのような中、本年1月18日に、伊方発電所構内クレーンつきトラックが転倒する事故が発生し、県への通報連絡がおくれるという事態が生じました。  県では、四国電力に直ちに抗議するとともに、改めて社内で迅速な通報連絡を徹底するよう要請されました。これに対し、四国電力では、この通報連絡のおくれを非常に重く受けとめ、徹底した原因究明を行い、再発防止策を講じ、社長みずから二度と通報連絡のおくれを発生させないとのかたい決意を示されたと聞いております。  また、四国電力幹部原子力規制委員会における発言に端を発した定期検査の間隔延長の問題については、四国電力では、具体的な計画はないとのことでしたが、安全協定に基づく事前協議の対象に含まれていなかったことから、知事みずからがその改定を提案され、去る2月4日、県、伊方町、四国電力の3者により、安全協定の改定が速やかに行われたところです。  いずれも事案発生後、県が、速やかに四国電力に対し迅速な対応を要請し、四国電力も真摯に対応したものであり、県が伊方発電所の安全確保に全力で取り組んでいただいているものと大変心強く感じているところですが、今後とも、決して事故を起こさせないとの強い決意のもと、伊方発電所安全対策により一層万全を期していただきたいと考えております。  一方で、何事にも絶対はないことから、万が一の原子力災害に備えた防災対策につきましても、安全対策と同様に充実・強化を図っていく必要があります。  昨年12月に伊方発電所を視察された原田原子力防災担当大臣からは、県が全国に先駆けて取り組んできたドローンを活用したリアルタイムでの情報収集体制の整備について、非常に有効であるとの評価をいただいたとお聞きしていますが、今後も、訓練と検証を繰り返すとともに、新たな技術を積極的に取り入れながら、伊方発電所防災対策の一層の充実・強化を図っていただきたいと考えております。  そこで、お伺いします。  伊方発電所安全対策及び防災対策の一層の充実・強化に向け、今後、どのように取り組んでいくのか、お聞かせ願います。  次に、新たな施策であるデジタルマーケティングについてお伺いします。  2020年の東京オリンピックまで、残すところあと1年余りとなりました。世界の人口の約半分、30億人以上が視聴するとも言われるオリンピックは、単なるスポーツの祭典にとどまらず、テレビやインターネットなどさまざまなメディアを通じて、開催国の魅力を全世界に発信するまたとない機会であり、外国人観光客の増加につながる大きな契機になると期待されています。  このような中、国においては、2020年の訪日外国人旅行者数を2017年の2,869万人から4,000万人へと大幅に増加させることを目標とし、ビザの緩和や民泊サービスの拡充など、さまざまな誘客促進事業を展開しているところです。  とりわけ近年、スマートフォンの急激な普及に伴い、より簡便にインターネットを利用することが可能となり、旅行先の情報収集や検討をスマートフォンを通じて行うことが全世界で主流となってきたことから、国においても、デジタルマーケティングの活用による訪日外国人獲得に向けた取り組みを強化しているところです。  デジタルマーケティングは、インターネット上に蓄積されたデータをもとに、関心を持っている人々へ的確に情報を届け、視聴傾向等を分析の上、実際に消費行動を起こさせる効果的な事業展開へつなげていくものであり、デジタル化が飛躍的に進んだ現在、外国人旅行者を呼び込む手法としても非常に有効なものと言われています。  県においても、他の自治体に先駆け、昨年4月に専担部署を設け、デジタルマーケティングを各施策に導入する取り組みを進めており、今年度は、9月補正予算でインバウンドを切り口としたモデル事業を実施しているところであります。  今後、訪日外国人が確実に増加すると見込まれる中、東京等を経由した愛媛への来訪のみならず、直行便のさらなる利用を促進させるためにも、今回のモデル事業は時宜を得た効果的な取り組みであり、その成果を期待しているところです。  また、デジタルマーケティングは、インバウンドのみならず、他の分野の施策でも活用していくことができる手法であり、県においても、今後、全庁的に導入促進を図っていくものと聞いております。全国的に見ても余り例のない、さまざまな行政施策への導入を着実に進めていくためにも、今回のモデル事業で得られた知見や情報は貴重な財産になったのではないかと思います。  そこで、お伺いします。  今年度実施したモデル事業の成果はどうか。また、各施策への導入に向け、今後、どう取り組まれるのか、お聞かせ願います。  次に、自転車新文化の取り組みについてお伺いします。  知事が全国に先駆けて、健康、生きがい、友情を育むという自転車新文化を提唱して、約7年が経過いたしました。その間には、しまなみ海道において国際サイクリング大会定期開催等により、国内外における認知度を飛躍的に向上させ、また、多くのサイクリストが鮮やかなウエアで行き交う場所へと成長させるなど、日本国内だけでなく、世界的にもサイクリストの聖地として認められたのではないかと感じております。  また、愛媛マルゴト自転車道の設定やブルーライン敷設等の環境整備、裾野の拡大に向けたシニアや女性、子供向けの振興策の展開に加え、ヘルメット着用の励行やシェア・ザ・ロードの精神の普及などの安全対策により、今や幅広い層において、サイクリングを楽しむ方々がふえてきており、サイクリングパラダイス愛媛の実現が目に見える形となってきております。  さらに、現在取り組まれている四国一周チャレンジ1000㎞プロジェクトでは、開始から1年余りで約1,200名が登録するなど、参加者の広がりを見せる中で、四国4県の連携が進み、国や民間企業等を巻き込んださまざまな施策も展開され始めたと聞いております。  知事の強いリーダーシップのもと、サイクリングアイランド四国を目指して、まいた種が花開き、四国遍路に続く新たな誘客のコンテンツとして結実することを大いに期待しているところです。  このように、自転車新文化の推進において、知事は着実に実績を積み重ねてこられ、斬新なアイデアとチャレンジ精神、そして何よりスピード感を持った行動力により、日本における自転車施策フロントランナーとしての地位を確立したことは、大いに評価に値するものと感じております。  一方で、将来に目を向けますと、いよいよ平成が終わりを告げ、新たな時代が幕あけするわけですが、本県でも、急速に進む人口減少や少子高齢化による経済規模の縮小が懸念され、地域間競争が激しさを増す中で、愛媛の魅力や強みを高めて、新しい道を切り開く取り組みが必要であります。  そのような中、自転車は、健康増進、環境保全、観光振興等さまざまな分野に関係し、今後、さらなる地域活性化の起爆剤として活用が期待されるツールであり、国内の自転車施策を牽引する気概で、これまでの取り組みを踏まえつつ、中長期的な展望を視野に入れた自転車の活用策に取り組んでいただきたいと思います。  折しも国においては、昨年6月に自転車活用推進計画が閣議決定され、愛媛県においても、地方版自転車活用推進計画の策定に向け、検討を進められているところですが、中村県政3期目において、自転車新文化のさらなる拡大に向けて、今後、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。  次に、松山-台北線の安定運航に向けた取り組みについてお伺いします。  長年にわたり誘致を進めてきた念願の台湾との定期航空路線が、いよいよ本年7月から、台湾の大手航空会社エバー航空により開設されることとなりました。  中村知事におかれましては、これまで松山市長時代から10年以上にわたり、夢の実現に向け粘り強く取り組んでこられたところであり、改めて敬意を表する次第であります。  台湾との定期航空路線開設に向けては、一昨年6月に、本県を中心に開催された日台観光サミットエバー航空の副社長が出席され、道後温泉やしまなみ海道、祭り、食といった愛媛の魅力や温かいおもてなしを高く評価されたことがきっかけとなり、同社と連携して、これまでに約40往復のチャーター便運航や誘客促進に向けたプロモーションなどに取り組んでこられました。  エバー航空といえば、海外の格付会社が発表する世界で安全な航空会社やファイブスターエアラインとして常に上位にランクインされるなど、安全性やサービスの質の高い航空会社として、安心、快適な空の旅が提供されております。このように、世界的に高く評価されている航空会社に、松山-台北線を運航いただけることは大変うれしい限りであります。  既に台湾は、平成29年の本県への延べ宿泊者数が約5万2,000人と全体の約3割を占める、本県にとって最大の誘客市場となっておりますが、定期便の就航により、台湾からの観光客が飛躍的に増加し、地域経済の活性化につながることはもちろん、相互往来の利便性の向上を通じて、台北市や台中市との自治体間交流を初め、温泉やサイクリング、学校など、これまで積み重ねてきた幅広い分野での交流の一層の拡大が図られるほか、愛媛と台湾がより身近になることで、新たな交流が生まれることも期待しているところであります。  こうした中、先般の県商工会議所連合会による台湾経済交流ミッション中村知事も参加され、本県の産業や柑橘、観光等の幅広い魅力についてトップセールスを行われるとともに、各界要人と精力的に面談されるなど、いち早く定期便就航後を見据えた種まきを行われたと聞いており、大変頼もしく感じているところであります。  現在、松山空港国際線は、ソウル線と上海線の2路線が運航されていますが、松山空港開港以来初となる国際線3路線を長期的に維持していくためには、インバウンドアウトバウンド両面での安定的な利用が不可欠であります。  そこで、お伺いします。  松山-台北線の安定運航に向けて、今後、どのような利用促進を図っていくのか、お聞かせください。  次に、ことしの4月から11月にかけて、新居浜市、西条市、四国中央市の3市で開催される東予東部圏域振興イベントえひめさんさん物語についてお伺いします。  御案内のとおり、東予東部地域は、国内有数のものづくり産業一大集積地であります。また、目の前には穏やかな瀬戸内海が広がるとともに、振り返ると西日本最高峰の石鎚山を初め、赤石山系や赤星山など、それぞれに違う魅力のある山々が連なっております。さらに特徴的なのは、これらの山々は、市街地から日帰りで訪れることができる距離にあるという点です。  このように、働く場所があり、すぐ近くに遊べる自然もあるという、全国的に見ても、非常に恵まれた環境にある地域なのではないかと感じております。  えひめさんさん物語の公式ホームページを拝見いたしますと、「三都を巡る、きらめくモノ・コトさがし」のキャッチコピーのもと、このエリアに新しい風を吹き込み、未来に向かう新しい価値創造に向けた挑戦として、地域資産とアートやアクティビティーを融合させることで、このエリアならではの物語を紡いでいきますとうたわれています。  アクティビティーについては、南予地域で開催したいやし博や南予博でも成果を上げたように、豊かな自然の魅力を発信するための有効な手段であることは言うまでもありませんが、私が注目するのは、地域資産とアートの融合という点であります。  今年度、松山市で開催された道後オンセナートを初め、近年、各地でアートフェスティバルやアートプロジェクトが開催されていますが、私は、アートには作品としての魅力だけではなく、地域資産を見える化する力があると思うのであります。  アーティストが、地域の特産品やその場所ならではの素材等を活用して作品を制作することで、それを見る人にとっては、アートを媒介として地域資産を見ることになり、それまで当たり前のように思われていたものが地域の新たな魅力として再認識されるという効果が期待できるのであります。  東予東部地域で初めて開催される広域振興イベントえひめさんさん物語で、ものづくり産業を初めとした地域の資産が、アートと融合してどのような魅力を生み出すのか、今から楽しみにしております。  そこで、お伺いします。  残り2カ月を切り、開幕が目前に迫っておりますが、えひめさんさん物語の成功に向け、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。  最後に、県立高校におけるエアコンの整備についてお伺いします。  昨年夏の記録的な猛暑は記憶に新しく、東京都青梅市や埼玉県熊谷市など各地で40℃超えを観測したほか、最高気温35℃以上の猛暑日、最低気温25℃以上の熱帯夜が多発したところです。  気象庁のデータによると、本県でも、県内各地の7月の平均気温は30年前と比べ、松山市では26.5℃から28.3℃と1.8℃上昇、西条市や大洲市では2℃、宇和島市では2.3℃、四国中央市にいたっては実に2.7℃も上昇しており、非常に厳しい、まさに酷暑であったことがわかります。  こうした近年の気象状況は、我々が学校に通っていた一昔前とは全く異なり、気象庁が、昨年夏の猛暑を一つの災害と表現し、暑さによる命の危険があることを強く訴えたように、今やエアコン設備は児童生徒の命を守るため、学校には絶対必要なものであると考えております。  また、学校保健安全法では、学校設置者は、学校環境衛生基準に照らして学校の適切な環境維持に努めることとされ、文部科学省がその基準を定めています。  その基準が、近年の気象状況の変化を踏まえ、昨年4月に大幅に見直され、教室の温度については、従来の10℃以上30℃以下が望ましいとの基準から、17℃以上28℃以下が望ましい温度とされたところです。  このような中、国においては、教室へのエアコン整備を加速させるため、今年度補正予算において交付金制度を新たに創設し、来年度当初予算案ではそれを大幅に増額するなど、自治体の取り組みを強力に後押ししており、これにより、本県を含め、全国的に公立小中学校へのエアコン整備が加速している状況にあると伺っております。  一方で、県立高校については交付金制度の対象となっていませんが、生徒が安心して学習に励み、それぞれの能力を存分に発揮して充実した学校生活を送るためには、小中学校と同様に、エアコンの整備が欠かせないことは言うまでもありません。  そこで、お伺いします。  県立高校のエアコン整備を今後どのように進めていくのか、お聞かせください。  以上で質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) ○(鈴木俊広議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(中村時広知事) 議長 ○(鈴木俊広議長) 中村知事   〔中村時広知事登壇〕 ○(中村時広知事) 戒能議員に、まず、公約の実現に向けての心構えについての御質問にお答えをさせていただきます。  第3ステージでは、さきの知事選挙で掲げさせていただきました公約を、まず、県庁職員と共有し、挑戦、実行、現場主義、オール愛媛の基本姿勢のもと、西日本豪雨災害からの復旧・復興を最優先課題に位置づけ、豪雨災害の検証内容を先取りした防災機能の強化を図るとともに、柑橘農家の営農継続への支援や柑橘園地の再編復旧を進めるほか、グループ補助金の円滑な交付に向けたきめ細かな支援を継続し、地域経済の基盤となる中小企業や商店街の再建に、引き続き全力で取り組んでまいりたいと思います。  また、公約の3本柱である防災・減災対策、人口減少対策、地域経済の活性化の具現化につきましては、ドローンを活用した複合災害への対応力強化や、子育て世帯への支援等を官民共同で実施するためのファンドの創設準備、すご味、すごモノサイトを活用した戦略的な営業活動を展開するなど、一層取り組みを深化させ、社会環境の変化にも臨機応変に対応してまいりたいと思います。  さらに、新たなチャレンジとして、4月から東予3市で開催されるえひめさんさん物語を皮切りに、5月の大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの初寄港と、7月には長年切望してきた台湾定期便の就航、9月にはG20愛媛・松山労働雇用大臣会合、10月の日中韓3か国地方政府交流会議に続き、西日本では初めてになるフルスペック映画祭となります愛媛国際映画祭を開催するなど、第3ステージの初年度となる来年度予算案には、新規施策を積極的に盛り込んだところであり、公約の実現に向けて、県庁組織が一丸となって愛顔あふれる故郷づくりに邁進してまいりたいと思います。  次に、地域の防災力の充実・強化についての御質問にお答えをさせていただきます。  県では、市町と連携のもと、自主防災組織の育成支援や、その中核となる防災士の養成に積極的に取り組んでまいりました。現在、県内の防災士数は約1万2,000人で、東京都に次ぐ全国第2位、自主防災組織結成率は約93%で第10位となるなど、地域における自助・共助の取り組みは着実に進んでいるものと思います。  西日本豪雨では、県内でも、土砂崩れや浸水等による災害が広域に発生した中で、防災士を中心とした自主防災組織が住民を避難に導き、犠牲者を出さなかった事例や高齢者の安否確認、炊き出し等を行った事例などが報告されており、これまでの取り組みの成果があらわれたものと認識しています。  一方で、現状では、自主防災組織等の活動レベルに差があるのも事実であり、このような効果のあった取り組みを県下全域に広げ、自主防災組織等の活動の強化につなげていくため、豪雨災害対応の検証内容を今回先取りしまして、防災士数全国1位を目指し、企業や福祉施設等の職員を新たに対象とするなど防災士養成の加速、自主防災組織が地域の実情に応じて実施する防災訓練や地区防災計画の策定等への支援、避難行動や避難誘導のノウハウ、自主防災組織の先進的取り組みなどを映像化したDVDの制作などに速やかに取り組むほか、防災士等を対象とする地域防災リーダーの養成にも引き続き力を入れることとしており、今後も市町等と緊密に連携して、県全体の地域防災力の充実・強化に努めてまいりたいと思います。  次に、伊方原発に関する御質問についてお答えをさせていただきます。  県では、四国電力に、国の基準を上回る電源対策や揺れ対策等のアディショナルな安全対策を求めるとともに、迅速な情報公開を徹底するなど、独自に伊方発電所の安全性を追求してまいりましたが、県民との信頼関係を揺るがしかねない事案が連続して発生したことは、まことに遺憾であります。  このため、私の方から、同社社長に対しまして、報告連絡体制愛媛方式の徹底こそが信頼関係の源であることを再認識し、トップマネジメントにより再発防止策を確実かつ継続的に実施するよう強く要請するとともに、お話のあった事前協議の対象に定期検査の間隔延長を追加する等、安全協定のさらなる充実に向け、改定を行ったところでございます。  また、万が一の事態に備える防災対策につきましても、全国初めてとなる複数ドローンの自律運航による情報収集体制を構築するとともに、関係機関と連携した訓練を積み重ねており、来年度当初予算案にドローンを活用した複合災害時の物資搬送などの実証実験や、初動対応に特化した実践的な訓練の実施など新たな取り組みを進める経費を計上し、実効性のさらなる向上を図ることとしています。  今後とも、安全対策防災対策に終わりはないとの信念のもと、最新の科学的、技術的知見に基づく安全対策の不断の見直しなど、必要と思われることは四国電力や国に対応を求めるとともに、愛媛方式をより一層徹底するほか、訓練による検証と改善を積み重ねて、防災対策の充実・強化を図ることにより、県民の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいりたいと思います。  次に、デジタルマーケティングの御質問についてお答えをさせていただきます。  昨年2月に、東京のIT関係の会社2社を訪問させていただきました。そこで最新のデジタルマーケティング等々のレクチャーを私みずから受けてきたところでございますが、そのときにすぐさま答えは見えなかったんだけれども、いち早く取り組みを始めなければ必ず時代に取り残されてしまうという危機感を持ちました。
     そこで、昨年4月に、全国では初めてとなる専担部署を設置しまして、スピード感を持って取り組んだインバウンド誘客促進モデル事業では、昨年末から3週間にわたりまして、韓国、台湾、欧米豪等の7カ国を対象に、外国人目線で本県を紹介する動画を配信させていただきました。目標を大幅に上回ります2,076万回、2,000万回以上の再生回数を達成したところであります。この再生回数が全てではありません。ここから得られるデータをどのように分析し、今後に活用するか、そして、それをいかに実需に結びつけていくかが今後の課題になってまいります。  動画の視聴傾向や本県の国際観光サイトの閲覧状況等を詳細に分析した結果、視聴率の高かった分野はサイクリング、そして遍路文化でございました。このコンテンツが世界に通用する有力な地域資源であることを再認識したこと、また、国別でいいますと、台湾や欧米が特に再生回数が多く、関心が高い国であることが明らかになるなど、今後のインバウンド施策の充実に向けた有効なデータを得ることができておりまして、改めてデジタルマーケティングの有効性を実感したところであります。  今回の成果を踏まえまして、来年度は、インバウンド分野でさらなる認知拡大を図り、本県への旅行へと結びつけていくよう取り組みを深化させるほか、営業分野を初め、自転車や移住、国内観光といった新たな分野にも戦略的にデジタルマーケティングの導入を広げていきたいと考えております。  さらに、各施策で得られます視聴者の属性や嗜好といったデータを蓄積、リスト化をしまして、さまざまな施策でターゲティングデータとして活用する全国初の仕組み、データマネジメントプラットフォームを構築するほか、3月下旬策定予定の基本戦略をもとに、セミナー開催など職員全体のリテラシーの向上を図ることとしており、引き続き効果的なデジタルマーケティングの導入に取り組み、さらなる実需の創出につなげてまいりたいと思います。  次に、自転車新文化についての御質問にお答えをさせていただきます。  本県では、自転車を活用した地域振興を図るため、全国に先駆けて、健康、生きがい、友情を育む自転車新文化を提唱し、しまなみ海道を舞台とした国際サイクリング大会の開催や愛媛マルゴト自転車道の整備、サイクルオアシスの設置など、受け入れ環境の充実のほか、シェア・ザ・ロードの精神に基づく自転車の安全利用等に取り組んでいるところでございます。  こうした中、自転車施策フロントランナーとして、自転車新文化の取り組みを加速させるため、自転車活用推進法に基づく愛媛県自転車新文化推進計画を今年度中に策定し、これまでの施策の拡充を図るとともに、新たに国が創設予定の世界に誇り得るナショナルサイクルルートへのしまなみ海道の指定を目指すほか、年齢や体力差に関係なくサイクリングを楽しめるスポーツ型電動アシスト付自転車、通称E-BIKEの普及によるサイクリストの裾野の拡大や、先ほどのデジタルマーケティングの手法を用いた誘客促進なども盛り込んでいきたいと考えております。  今後とも、市町、民間企業と連携して、オール愛媛の体制で自転車新文化の拡大、深化を図り、県民の皆さんに自転車を活用した新たなライフスタイルを提案するとともに、四国4県や国等との連携強化によるサイクリングアイランド四国の実現など広域的な取り組みを発展させ、交流人口の拡大による実需の創出につなげてまいりたいと思います。  次に、台北便の御質問についてお答えをさせていただきます。  台湾定期航空路線は、幅広い分野での交流実績を積み上げながら、私個人的にも長年追い求めてきた路線であり、夢の実現、10年以上の月日がかかりましたが、大変うれしく思うとともに、就航を決断いただいたエバー航空と緊密に連携しながら、安定運航をオール愛媛体制で支え、観光、交流のみならず、ビジネス路線としても大きく育てていきたいと考えております。  そのため、アウトバウンド対策では、メディア広告等により定期便就航を県内外に広くPRするとともに、初めて海外旅行をする愛媛の若者への旅行商品の割引や、空港駐車場の料金助成などの各種キャンペーンの周知拡大、また、台湾に進出している県内企業等への利用の働きかけ等を積極的に行うこととしているところでございます。  また、インバウンド対策につきましても、デジタルマーケティングを活用した観光情報の発信を初め、台湾での旅番組の制作、放映や交通広告等により、本県の認知度向上に取り組むとともに、修学旅行も含めた現地旅行会社による旅行商品の造成、販売を支援し、本県への誘客拡大を図りたいと考えております。  さらには、県内での周遊、滞在を促進するための方策や受け入れ態勢の準備などについて、愛媛DMOや、これは県内20の市町に呼びかける必要があると考えておりますので、全市町等との協議、連携する体制も整えたいと考えており、今後とも、台湾とのさらなる交流拡大を図りながら、その実績の先に将来の増便が待っていると思いますので、それを視野に入れた松山-台北便の利用促進に全力で取り組んでまいりたいと思います。  その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。 ○(田中英樹経済労働部長) 議長 ○(鈴木俊広議長) 田中経済労働部長   〔田中英樹経済労働部長登壇〕 ○(田中英樹経済労働部長) えひめさんさん物語についての御質問にお答えいたします。  えひめさんさん物語では、東予東部圏域の観光地としての知名度向上と自立的なまちづくりにつなげるため、アートやアクティビティーとの融合で地域資産の新たな魅力を発信するコアプログラムの展開と、住民団体等がみずから企画運営するチャレンジプログラムの組成に力を入れてきたところでございます。  特にコアプログラムでは、昨年のプレイベントでも、伊予水引を使った白一色の結納セット等が注目を集め、高い技術力の発信にもつながったアーティストinファクトリーを5月に12企業で実施するほか、工場そのものを舞台にした映像野外劇を3カ所で開催するなど、アートの力で地域ものづくり産業の魅力を全国発信したいと考えております。  また、チャレンジプログラムも、工場の夜景を楽しむクルージングやE-BIKEでの石鎚山系サイクリングツアーなど、既に74件を認定し、さらなる上積みを目指しており、イベント後も、持続的に地域へ人を呼び込む集客コンテンツに育つことを大いに期待しているところでございます。  今後は、既に開始しているキャラバン隊のPR活動やウエブマガジンの配信に加え、人気旅行誌と連携したガイドブック発行や旅行会社とのタイアップ等によりまして、県内外への魅力発信や誘客対策を強化し、イベント後の交流人口の拡大はもとより、移住・定住促進による産業人材の確保にもつなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(杉本寧土木部長) 議長 ○(鈴木俊広議長) 杉本土木部長   〔杉本寧土木部長登壇〕 ○(杉本寧土木部長) 肱川水系の治水対策の御質問にお答えをさせていただきます。  県では、昨年7月の豪雨災害を受け、再度災害防止を図るため、国とともに肱川緊急治水対策を策定し、河川とダムの整備を加速することとしており、昨年12月には着工式を行ったところでございます。  河川整備については、引き続き河床掘削を実施するとともに、整備計画の10年前倒しにより、大洲市菅田地区を初めとする堤防整備をおおむね5年間で集中的に実施するほか、菅田地区より上流地域についても、現在、整備計画に追加する見直しを進めているところでございます。  また、国が実施するダム整備では、鹿野川ダム改造が今年度末に完成を迎え、山鳥坂ダム建設においては、水没地域の家屋移転が完了し、つけかえ県道工事が本格化するなど、平成38年度の完成に向け、着実に事業が進められているところでございます。  31年度春には、鹿野川ダムで増強される治水容量を活用したダムの運用が開始される予定であり、今後も堤防整備の進捗に合わせ、より効果的な運用に見直されることとなっているところでございます。  県としては、国や地元大洲市、西予市とも連携し、流域住民の安全・安心を確保するため、肱川流域の治水対策に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(三好伊佐夫教育長) 議長 ○(鈴木俊広議長) 三好教育長   〔三好伊佐夫教育長登壇〕 ○(三好伊佐夫教育長) 県立高校のエアコン整備についてお答えいたします。  県立高校及び中等教育学校のエアコン整備につきましては、災害級の猛暑といった近年の気象状況などを踏まえ、生徒の健康への配慮や快適な学習環境の確保の観点から、まずは多くの生徒が長時間利用する普通教室を優先して整備することといたしまして、今回の当初予算案に必要経費を計上し、来年度中に全ての普通教室にエアコンを設置することとしております。  具体的な整備方法としましては、県立高校など56校のうち、エアコン未設置17校155教室については、設置からメンテナンスまでを一括して行うサービス提供型の契約、いわゆる空調サービスの利用により整備しますとともに、既にPTA会計により設置している39校773教室については、空調サービス契約の切りかえなどにより対応するほか、これら全ての教室に係る電気料金等についても県が負担することとしており、今後、可能な限り早期の執行に努めたいと考えております。  こうした取り組みにより、昨年9月時点で76.4%であった普通教室のエアコン設置率は来年度以降100%となりますが、今後とも、生徒が安心して活動できる教育環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(鈴木俊広議長) 休憩いたします。  午後1時から再開いたします。      午前11時26分 休憩   ―――――――――――――――      午後1時 再開 ○(鈴木俊広議長) 再開いたします。  質疑を続けます。 ○(西原進平議員) 議長 ○(鈴木俊広議長) 西原進平議員   〔西原進平議員登壇〕 ○(西原進平議員) (拍手)西原進平です。  自民党志士の会・無所属の会を代表して質問を行います。  まず、私どもの思いでもあります愛媛の未来づくりについてであります。  知事は、就任以来、多様な県政課題に直面する中、徹底した職員の意識改革や政策立案型行政への転換を進めるとともに、本県が誇る特徴を最大限生かした個性あふれる取り組みに努められ、その成果として、営業本部による県関与成約額100億円の突破に、また、自転車新文化の推進、愛媛あかね和牛や伊予の媛貴海などの開発による愛媛ブランドの底上げや県内企業とタイアップした紙おむつ購入支援、中学生による職場体験の充実と防災士の積極的な養成、そして、えひめ国体えひめ大会の成功など、結果を着実に積み上げました。  こうしたさなか、昨年7月、本県は、西日本豪雨に襲われました。深い傷跡を残した未曽有の災害に対し、知事は、何よりもスピードを大事にされ、災害発生直後から数次にわたる専決・補正予算を初め、矢継ぎ早に必要な施策を展開するなど、最優先の目標とした水と住居の確保を大幅に予定を短縮して達成しました。そして、大規模災害に備えた事業の前倒し実施に向け、臨時議会を招集して、早期執行の道筋をつけるなど、県政のかじ取り役として力強いリーダーシップを最大限発揮されました。  第3ステージの公約では、引き続き、挑戦、実行、現場主義、オール愛媛の基本姿勢を堅持し、西日本豪雨災害からの復旧・復興に最優先で取り組むとされています。それには、まず、被災者みずからが希望を持って前を向いて歩める土台づくりや環境整備が重要となります。  県では、来年度の当初予算案において、被災地域の実情に応じて、被災前よりもより安全でよりよいものとなるよう提案されております。  そして、肱川の治水対策の前倒し実施を初め、甚大な被害が発生した地域の砂防施設整備や被災中小企業や担い手への支援など、全力で復旧・復興に取り組むとしています。  また、第2ステージで柱に据え重点を置いて取り組んできた防災・減災対策、人口減少対策、地域経済の活性化についても、愛媛の魅力や底力にしっかりと目を向けながら、さらに深化させるため、ITを活用した戦略的な営業活動、東予東部地域の魅力が詰まったえひめさんさん物語の展開など、工夫を凝らした施策の展開を図ることとしています。  私たちは、愛媛を元気にするため、知事と志を同じくする者として、一緒に汗をかき、県政の主役である県民の声に正面から向き合って、県民の幸せとふるさと愛媛の発展のため、全力を尽くす覚悟であります。  そこで、お伺いします。  豪雨災害からの復興なくして愛媛の未来づくりはないと考えますが、第3ステージのスタートとなる来年度において、愛媛の未来づくりをどう進めるのか、お示しください。  次に、被災された方々に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げつつ、西日本豪雨災害を踏まえた防災・減災対策の充実・強化についてであります。  我が国では、線状降水帯という用語が頻繁に用いられるきっかけとなった平成26年の広島土砂災害から鬼怒川の堤防決壊などの被害をもたらした平成27年の関東・東北豪雨災害に、台風10号が東北地方から北海道を縦断し、高齢者施設の浸水により多くの入居者が死亡した平成28年の豪雨災害や、さらに29年の九州北部豪雨と、毎年のように大雨による被害が発生しております。  そして、本県でも、昨年7月に発生した豪雨災害により、災害による直接死が27名、関連死が4名、合わせて31人もの犠牲者が出たほか、全・半壊や床上・床下浸水等により6,600棟以上の住家が被災し、断水は最大で12市町、断水人口は6万4,000人近くにも上りました。  また、発災直後には、最大で約4,300人おられた避難者は、9月30日にはゼロとなりましたが、今もなお400世帯を超える約1,000人の方々が自宅に帰ることがかなわず、仮設住宅などでの暮らしを余儀なくされていると聞いております。  県は、防災・減災対策を県政の主要施策に掲げ、国の防災基本計画の改正や他県の災害対応から得られた教訓を踏まえ、県地域防災計画を見直すとともに、毎年、防災訓練を市町、防災関係機関と連携して実施し、課題があれば改善するなど、防災・減災対策のレベルアップに取り組んでいます。  甚大な被害が発生した今回の豪雨災害においても、避難情報の住民への伝達や罹災証明書の交付など、初動・応急対応の中でさまざまな課題が浮かび上がってきていると思いますが、それをしっかり検証して、今後、いつ発生するかわからない大規模災害に備え、対策に取り入れていくことが大切であると考えております。  現在、県では、防災の専門家や防災関係機関などによる7月豪雨災害対応検証委員会を設置し、昨年12月には、県災害対策本部の対応と課題、また、初動・応急対応などの取り組みと課題についての中間整理を取りまとめ、1月以降は、各市町や防災関係機関、発災時に協力をいただいた団体や企業、また、被災地の住民に対するアンケート調査やヒアリングを実施し、今回の豪雨災害での初動・応急対応など課題や改善の方向性について、さらなる検証を進めていると聞いておりますが、何とぞ豪雨災害の教訓を生かし、防災・減災対策を強化していただきたいと願っております。  そこで、お伺いします。  県では、西日本豪雨災害を踏まえた今後の防災・減災対策の充実・強化にどのように取り組んでいくのか、お示しください。  次に、いっときも早い復興を願いつつ、グループ補助金の進捗状況と今後の取り組みについてであります。  県では、西日本豪雨災害からの復興に向けて、地域を守るということは、人、生活、産業を守ることという視点に立ち、さまざまな取り組みを実施しております。  知事は、発災後直ちに国に赴き、本県の状況を訴え、被災者の産業復興の鍵を握るグループ補助金の適用を実現するとともに、被災3市に本県独自となるサテライトオフィスを設置するなど、類いまれな行動力と判断力を遺憾なく発揮し、これまで復旧・復興に全力で取り組んでこられました。  特に、サテライトオフィスでは、事務手続にふなれな被災事業者に寄り添うことに主眼を置き、関係機関と連携し、一人一人の事業者と向き合いながら真摯に取り組んでおります。  補助金申請の相談に際しても、何時間もかけて、今後の事業再開への不安や疑問に懇切丁寧に対応してもらった、また、近隣に被災事業者がいないなどグループの形成が難しい事業者には、商工団体や金融機関等から積極的にグループへの加入のお誘いがあったなど、当初、将来を悲観し、事業の継続に悩まれていた方々から、これらのきめ細かな対応によって希望の光を見出すことができたとの感謝の声もお聞きをしております。  さらに、県では、豪雨災害関連対策資金の融資枠を確保するとともに、その保証料を全額補助するほか、本県独自の取り組みであるクラウドファンディングを活用した資金調達の支援を行うなど、地域産業の復興に向け、スピード感を持ってあらゆる手だてを講じております。  知事は、愛顔あふれる愛媛県第3ステージにおいて、最優先課題として豪雨災害からの復興を掲げておりますが、こうした中小企業や商店街の店舗に対する支援は、被災事業者の生活基盤の回復はもとより、地域コミュニティの復旧につながる大変重要な取り組みであり、被災地域の方々の今後の復旧・復興に向けた意を一層強くするものと考えます。とりわけグループ補助金が果たす役割は大きく、今後は、引き続き被災事業者に寄り添った支援を行っていただくとともに、補助金の早期交付に向け取り組んでいただきたいと思っております。  そこで、お伺いします。  被災地の産業復興の鍵を握るグループ補助金の進捗状況はどうか。また、今後、どのように取り組んでいくのか、お示しください。  次に、柑橘王国愛媛の意地からも、柑橘産地の復旧・復興に向けた取り組み状況についてであります。  急峻な樹園地の至るところで山肌があらわになり、景色が一変した7月の豪雨から、はや7カ月が経過いたしました。甚大な被害の発生により、特にJAえひめ南管内では、出荷量の大幅な落ち込みが懸念されておりましたが、JAの最終予測によると、30年産温州ミカンの出荷量は29年産比9%増の約1万3,000tとなり、また、販売総額は4%増の約32億8,000万円となるとのことであり、ひとまず安堵しております。  厳しい状況の中で、前年を上回る結果となったのも、農家の皆さんが、発災直後に折れそうになった心を奮い立たせて前を向き、できる限りの収穫を行うため、農道やモノレールの復旧、園地の土砂撤去、摘果や防除などに昼夜を問わず懸命に取り組まれたことが実を結んだものであり、心から敬意を表するものであります。  また、宇和島市吉田町では、かたい決意を持った若手農家10人が、被災園地への復旧作業や商品開発、雇用創出などに取り組む株式会社玉津柑橘倶楽部を設立するなど、自立的な動きも生まれてきており、まさに地域が一丸となって立ちどまることなく復旧・復興への歩みを進めていることは、まことに頼もしい限りであります。  そして、この間、県でも、損壊した施設等の復旧支援はもとより、ボランティアやアルバイターの確保など人的支援にも全力を注いでいただき、農家の大きな支えとなったことはありがたく、深く感謝を申し上げる次第であります。  さて、今期の温州ミカンの収穫が終わるなど、短期的な対策に一応のめどがついた今、これからは被災園地の本格的な再建に向け、原形、改良、再編の3つの手法による復旧を進めるとともに、被災農家の収入確保や産地力の底上げを図るなど、産地復旧への動きをしっかりと支え続けていただきたいと願うものであります。  急傾斜樹園地の復旧は、全国的にも例が少なく、中でも大規模な区画整理を行う再編復旧は、工事期間中の減収を不安に思う声もあると聞いております。その道のりは、安易なものではないと思うのであります。しかしながら、将来にわたって夢と希望を持てる、災害に強い産地に生まれ変わるためにも、何としてもなし遂げていただきたいと強く願っております。  そこで、お伺いいたします。  被災した柑橘産地の復旧・復興に、今後、どのように取り組んでいくのかお示しください。  次に、我が会派の最重要要望でもあります本県の子育て支援のための官民共同ファンドの創設についてであります。  昨年12月に厚生労働省が公表した2018年の人口動態統計年間推計値によると、我が国の出生数は92万1,000人で、1899年の統計開始から最少だった2017年よりもさらに2万5,000人減少しており、3年連続で100万人を割り込む見通しであるほか、死亡数から出生数を差し引いた人口の自然減は過去最大の44万8,000人となり、少子化に伴う人口減が一層顕著になっております。  また、本県では、2016年以降、年間の出生数が1万人を割り込み、1人の女性が一生の間に産む子供の数である合計特殊出生率は、2017年で1.54、全国20位と、全国平均の1.43を上回ってはいるものの、愛媛県版まち・ひと・しごと創生総合戦略で定める2019年数値目標の1.58を実現するには、さらなる取り組みの強化が必要と考えます。  政府は、一昨年12月の新しい経済政策パッケージや、昨年6月の経済財政運営と改革の基本方針2018の柱に人づくり革命を掲げ、少子高齢化という難題に立ち向かうため、本年10月の消費税率10%への引き上げによる財源を活用し、幼児教育の無償化や待機児童の解消に向けた保育の受け皿整備、保育人材の確保等の施策を打ち出しております。  されど、国難とも言われる少子化の問題は、核家族化や地域におけるつながりの希薄化等により、仕事と子育ての両立の難しさ、加えて、子育て中の孤立感や負担感あるいは教育費等の経済的負担や生活困窮家庭の子供や若者の将来に対する不安感など、さまざまな要因が複雑に絡み合って生じております。  少子化に歯どめをかけるためには、これら国レベルの対策に加え、県としても、子育て世代の不安を解消し、子供たちの希望を将来につなぐことのできる、地域に根差した実効性のある対策を講じるとともに、地域全体で子育てや子供を支える仕組みの構築が急務であると思うのであります。  こうした中、県では、昨年度から、全国有数の紙産業の集積地である本県の強みを生かし、市町及び県内紙おむつメーカーとの協働による愛媛オリジナルの愛顔の子育て応援事業に取り組まれております。オール愛媛の子育て支援策として、その成果に大きな期待を寄せているところであります。  知事の3期目の公約には、協働をさらに発展させた子育て支援策として、官民共同ファンドの創設が盛り込まれ、来年度は、ファンドの創設に向けた子育て応援県民会議の設置等に取り組むとされており、大変心強く、大いに期待するものであります。  そこで、お伺いします。  子育て支援の官民共同ファンドはどのようなものか。また、ファンドの創設に向け、どのように取り組んでいくのかお示しください。
     次に、障がい者に向き合う心を持って、障がい者芸術文化祭の開催についてであります。  来年に開催が迫った東京オリンピック・パラリンピックは、その大会ビジョンの中に、世界中の人々が多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会を育む契機となるような大会とするとうたわれています。この大会を契機として、全ての人がスポーツや文化芸術に親しみ、一人一人の個性に応じた活躍の場が確保され、障がい者の社会参加が一層促進されることが期待をされております。  そして、大会を盛り上げようと、現在、全国各地で障がい者スポーツの競技力向上と普及強化への取り組みはもとより、障がい者の文化芸術活動への支援活動も全国で推進、強化されてきております。  また、昨年6月に公布、施行された障害者文化芸術推進法では、文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であるとの理念に基づき、障がい者による文化芸術活動の推進を国や地方自治体の責務と位置づけ、障がい者の鑑賞や創造の機会の拡大、作品の発表機会の確保、相談支援体制の整備などを行うこととされています。  障がい者の文化芸術活動を支援することにより、障がい者が個性と能力を発揮し、社会参加の実現を図るとともに、多くの方に障がい者の創作作品に接する機会を提供することにより理解の向上につなげていくことは、共生社会の実現に向けて、大きな意義があるものと考えております。  こうした中、県では、平成27年度から毎年、県美術館で障がい者アート展を開催されており、年々応募がふえていると聞き及んでおります。加えて、障がい者アートを活用して商品化につなげるイベントを開催されるなど、障がい者の芸術文化活動の推進に尽力されており、大変心強く思っております。  また、国内外の公募展で何度も入賞し、全国で個展を開催している新居浜市の石村嘉成さんを初め、創造性の高いすぐれた作品を創作される方々もおり、より多くの県民に障がい者アートの魅力を広めるためには、こうした才能の発掘や芸術文化活動の発表機会の拡充にも力を入れるべきだと考えます。  知事は、3期目の公約に、障がい者の芸術文化祭の開催を掲げられ、来年度当初予算案にその開催経費が盛り込まれていることは、大変時宜を得たものであると高く評価をするものであります。  そこで、お伺いいたします。  県は、障がい者芸術文化祭の開催に、今後、どう取り組んでいくのかお示しをください。  次に、愛媛を全国に、世界に発信する機会とするべく、愛媛国際映画祭についてであります。  いよいよ来月15日から3日間の日程で開催される愛媛国際映画祭プレイベントの開幕が間近に迫り、私を含め、多くの県民の皆さんが、初めて体験する本格的な映画祭に期待に胸を躍らせています。  本県と映画の関係は大変深く、日本映画の黎明期に活躍し、時代劇映画の父と言われている宇和島出身の伊藤大輔氏、また、伊藤氏の勧めで映画界に入った松山市出身の伊丹万作氏、その御長男で数々の名作を残された伊丹十三氏、北条出身の作家、脚本家で「花へんろ」などのヒット作を持つ早坂暁氏、久万高原町出身で、「Shall we ダンス?」、「がんばっていきまっしょい」などのヒット作品を生み出したプロデューサーの桝井省志氏と、本県出身の映画人を語り始めますと枚挙にいとまがありません。  このように、映画と深いつながりを持つ本県において国際映画祭が開催されますことは、多くの県民の皆さんに映画に接する機会が提供され、文化芸術活動への理解促進が図られるとともに、映画関係者や映画ファンの来県による交流人口の拡大、さらには、情報発信を通じた本県の知名度向上や地域活性化につながるもので、大変意義深いと思っております。  間もなく開幕する映画祭は、プレイベントと銘打ってはおりますが、新作の招待映画や愛媛にゆかりのある映画の上映会はもちろんのこと、初日には、映画祭の華とも言えるレッドカーペットを県庁本館で実施するほか、松山市民会館では、開会式やコンサートが開催されます。  また、愛媛ゆかりの映画監督を招いてのパネルディスカッションや子供を対象としたアニメ制作やVR映像体験などの映画関連イベントに加え、未発表作品や海外映画祭などからえりすぐった優秀な作品によるコンペを実施するなど、充実した内容で実施すると伺っており、県民の皆さんに映画祭というものを知ってもらう絶好の機会になると期待をいたしております。  そこで、お伺いいたします。  間もなく開幕する愛媛国際映画祭プレイベントの準備状況はどうか。また、来年度の本格開催に向け、どのように取り組んでいくのか、お示しください。  次に、愛媛の魅力を世界に知らしめたい思いで、外国人旅行者の誘致拡大についてであります。  国が明日の日本を支える観光ビジョンの目標年に定める2020年を目前に控え、日本政府観光局の発表によると、2018年の訪日外国人旅行者が、前年比8.7%増の3,119万2,000人に達し、過去最高を記録しました。昨年7月の豪雨災害を初め、夏から秋にかけて発生した台風や地震などの一連の災害の影響により、東アジア市場を中心に、訪日旅行控えが見られる中、観光需要の回復に向けた取り組みや継続的な訪日旅行プロモーション、好調なクルーズ船需要等が奏功し、個別の集計対象である20市場のうち、香港を除く19市場で過去最高を記録したとのことで、2020年に4,000万人という目標達成も射程に入ってきたのではないかと期待を強めているところであります。  本県でも、好調が続く上海線、ソウル線の強みを生かした中国、韓国のみならず、本年7月に念願の定期便就航が決まった台湾からの一層の誘客に期待ができる状況であるほか、昨年10月のサイクリングしまなみ2018の成功や、5月、6月の大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの寄港、アメリカの有力紙ニューヨークタイムズの2019年に行くべき場所での瀬戸内の島々の選出など、アジア圏はもとより、欧米豪における今後の一層の認知度向上や誘客拡大に向けた大きな追い風が吹いていることを本当にうれしく思っております。  一方で、2020年はゴールではなく、あくまで通過点にすぎないことに加え、いまだ大都市圏に偏っていると言われる訪日外国人旅行者を地方へ誘導し、インバウンド拡大の効果をしっかりと本県に波及させるためには、4,000万人という目標達成が射程に入ってきた今こそ、その先を見据えた戦略を持ち、取り組みを進めていく必要があると思います。  そこで、お伺いいたします。  2020年とその先を見据え、外国人旅行者の誘致拡大に向け、今後、どのような取り組みを進めていくのか、お示しください。  最後に、新たな森林経営管理制度の運営に伴う市町等への支援についてであります。  本県の県土の7割は森林であり、そのほとんどが、戦後植栽された杉、ヒノキの人工林であります。この森林は、先人たちが利用される日を夢見て、急な斜面を登りおりして苗木を植え、育んできたもので、木材生産のみならず、地球温暖化防止や水源涵養など多面的な機能を有しており、広く県民に恩恵をもたらしております。  しかし、近年、長期にわたる木材価格の低迷で経営意識が減退しており、森林所有者の高齢化や転出の加速とも相まって、林野庁が行ったアンケートによると、全国の約8割の市町村が、管内の人工林は手入れ不足と回答するなど、管理が行き届かない森林が増加している実態が明らかとなりました。  間伐などの管理がなされていない、いわゆる放置森林では、樹木の成長が阻害され、気象災害に弱い森林になると言われます。近年、想定をはるかに超える異常気象が頻発する中、森林の持つ土砂災害防止等の公益的機能を維持、増進し、県民の安全・安心な暮らしを守る観点からすれば、適正な森林整備を推進することは極めて重要な課題であると思うのです。  こうした中、国は、森林所有者みずからが経営管理できない森林について、市町が森林所有者から経営管理の委託を受け、適正な森林環境の整備を図る新たな森林経営管理制度をことし4月から運用することとし、その財源を確保するため、森林環境税に関する法律を今国会に提出しております。この制度を適正に運用するためには、推進母体である市町を中心に、地域の林業関係者が連携して、的確な森林情報に基づいた適正な管理体制を構築することが重要であり、森林の経営管理に関する経験が豊富な県による市町職員の育成など、多方面からのサポートが欠かせないものと考えます。  そこで、お伺いいたします。  県は、この新たな森林経営管理制度の適切な運用に向け、市町等に対し、どのように支援していくのか、お示しをください。  以上で、志士の会・無所属の会の代表質問を終えます。  ありがとうございました。(拍手) ○(鈴木俊広議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(中村時広知事) 議長 ○(鈴木俊広議長) 中村知事   〔中村時広知事登壇〕 ○(中村時広知事) 西原議員に、まず、第3ステージのスタートとなる来年度、未来づくりについてどう考えるかという質問にお答えをさせていただきます。  来年度は、第3ステージのスタートを切る重要な年であり、豪雨災害からの復旧・復興に最優先で取り組むとともに、第2ステージの防災・減災対策、人口減少対策、地域経済の活性化の3本柱を深化させ、愛顔あふれる愛媛の未来づくりに全身全霊を傾けてまいる覚悟でございます。  最優先課題である豪雨災害からの復旧・復興につきましては、グループ補助金をフル活用し、中小企業へのきめ細かい支援を引き続き全力で行うとともに、南予の柑橘農業の日本農業遺産認定も追い風にして、柑橘王国愛媛の威信にかけて、園地の再編復旧や営農の継続を支援し、産地復活につなげていきたいと思います。  さらに、肱川の治水対策の前倒し実施など、集中的に社会基盤の復旧等に取り組むほか、被災児童生徒の修学支援などにも努め、近い将来には南予の復興イベントを開催できるよう、被災者が前を向いて進むために必要な方策をしっかりと講じてまいりたいと思います。  また、第3ステージの公約実現に向けた取り組みに本格的に着手し、全国1位を目指した防災士の養成、官民共同の子育て応援ファンドの創設準備、デジタルマーケティングを活用した営業活動、各種イベントや国際会議の開催を通じた実需の創出、人手不足が深刻な介護、農林分野への外国人材の受け入れ促進など、芽出しを含む新規施策を積極的に展開していきたいと考えております。  今後とも、ふるさと愛媛の発展のため、公約の実現に徹底的にこだわり、夢を追い求める気概と情熱を忘れることなく、引き続きみずからが先頭に立って突き進む所存であり、県政の主役である県民の皆さんの切実な声をしっかり受けとめ、オール愛媛の体制で新たなステージに積極果敢に挑んでまいりたいと思います。  次に、豪雨災害を踏まえた今後の防災・減災対策についての御質問にお答えをさせていただきます。  本県に甚大な被害をもたらしました西日本豪雨災害に対しましては、人を守り、生活を守り、産業を守ることで初めて地域が守れるという認識を関係者が共有し、初動・応急対策、復旧・復興対策に全力で取り組んでまいりましたが、全国各地で頻発する豪雨災害や、近い将来に発生が懸念されております南海トラフ地震などの大規模災害に備えますため、今回の豪雨災害で明らかになった教訓や課題を防災の専門家や防災関係機関等で構成する検証委員会において、現在、検証していただいているところであり、可能なものからスピード感を持って対策を講じていく必要があると認識しています。  このため、検証内容を積極的に先取りすることとしまして、住民への災害情報の伝達手段や方法を改善するための高性能屋外放送設備や戸別受信機の導入支援、市町による避難勧告等の早期発令や被害情報の収集、分析機能の強化など災害情報システムの高度化、被災者の生活再建の第一歩となります罹災証明書の迅速な発行を可能とする県内統一システムの導入、災害廃棄物処理の実効性を高めるため、自治体職員のスキルアップを図る図上訓練の実施等の経費を来年度当初予算案に計上し、速やかに取り組んでまいりたいと考えております。  さらに、今年度末に取りまとめられる検証結果を踏まえて、地域防災計画の修正や災害対策本部体制の強化などの取り組みを進めるとともに、市町や防災関係機関等との連携を深め、オール愛媛による防災・減災対策の一層の充実・強化に取り組んでまいりたいと思います。  次に、グループ補助金の進捗状況についてお答えをさせていただきます。  被災地の経済、雇用の早期回復の鍵を握るグループ補助金につきましては、本県独自に設置しました現地オフィスにおいて、市町や商工団体、金融機関等と連携し、被災事業者の洗い出しと補助金申請の前提となりますグループ組成の支援に全力を挙げて取り組み、これまでに596事業者で構成されます52グループを認定しました。補助金要望額は、現時点で約87億円に達しているところでございます。  このほか、引き続き30近くのグループに対して、グループ認定申請の支援を継続しているところでありますが、新たなグループ組成の動きはおおむね見通しが立ってきつつありますことから、ことしの秋ごろを目途に認定作業は完了させ、個々の事業者の補助金交付申請の支援に全力を傾けられるようにしていきたいと考えております。  補助金の交付につきましては、これまでに48事業者に対して約4億7,000万円の交付を決定し、今年度末時点で約160事業者に約20億円の交付決定を見込んでおりますが、グループ認定は受けたものの、多忙などの理由で、申請に必要な証拠書類の探索、収集など、交付申請手続に手が回らない事業者も多い状況にあります。  このため、来年度は、現地オフィスを中心に、行政書士や中小企業診断士等の専門家による個別支援を重点的に実施するなど現地サポート体制をさらに強化することとしており、今後とも、グループ補助金の早期交付による被災地域の産業復興に全力で取り組んでまいりたいと思います。  次に、柑橘産地の復旧・復興についての御質問でございます。  県では、災害を乗り越え、実った果実は全て収穫するとの決意を被災農家の皆さんと共有し、農業用施設の復旧や収穫、運搬のための労働力確保等に最優先で取り組んでまいりました。その結果、30年産の温州ミカンは、前年を上回る出荷量を確保するなど、被災による影響を最小限にとどめることができたのではないかと認識しており、今後は、生産者が産地の将来に明るい展望を抱けるよう、傷ついた園地の復旧に関係者が一丸となって取り組んでいかなければならないと考えております。  今回の災害で被災した樹園地は、県内で1,308カ所ありますが、このうち被害が大きく、条件に適合する517カ所につきましては、既に国の災害査定を全て完了しておりまして、原形復旧や改良復旧による再建が可能な園地から順次工事に着手し、平成32年度までの完了を目指してまいりたいと思います。  また、再編復旧については、県内10カ所のモデル地区全てで整備構想図を提示するなど、地元協議を進めておりますが、今般、その中の一つ、松山市興居島の由良地区では、事業実施に向けた地元合意が整いましたことから、計画策定事業の平成31年度採択を国に申請する方針を固めたところでございます。  残る地区につきましては、耕作しやすい園地として再生することに多くの期待の声が上がる一方で、長期にわたる未収益期間を懸念する慎重な意見も寄せられておりますことから、県では、代替園地の確保や大苗育苗による未収益期間の短縮、新品種や先進技術の優先的導入などの施策を戦略的に組み合わせながら、被災農家の不安を少しでも解消し、集落の合意形成を後押ししていきたいと考えており、柑橘王国愛媛を支える担い手の方々が、一日も早く笑顔を取り戻せるよう、産地の復旧・復興に全力で取り組んでまいりたいと思います。  次に、子育て支援のための官民共同ファンドについての御質問にお答えをさせていただきます。  子育て支援のための官民共同ファンドは、愛媛オリジナルの施策として、県内3社、紙おむつメーカーと協働で実施している愛顔の子育て応援事業をモデルに官民協働の仕組みを拡大、発展させ、市町や企業を初め、広く県民の皆さんの参画、協力を得て創設することを目指しているものでございます。  ファンドは、官民共同による本県独自の子育て支援策を展開するための基金とし、貧困等の問題を抱える子供の居場所づくりや西日本豪雨で被災した児童への支援など、子供を支える地域のさまざまなボランティア活動を応援する資金や物資等のバンクとしての役割も担うことで、県、市町、民間、ボランティア等が協働、連携して子育てを応援する仕組みを構築していきたいと考えております。  このため、来年度当初予算案にファンドのあり方や仕組みの具体化に向けた検討を行う、仮称でありますが、子育て応援県民会議の設置や、子育ての実態と子供の将来の希望等を調査する経費を計上するとともに、官民連携のモデル事業として、松山市では松山大学と、八幡浜市では地元企業や商店街と共同で、夏休み等の長期休暇中の子供にさまざまな体験を提供する休日子どもサポート事業を盛り込んだところでございます。  今後は、官民双方の資源や創意工夫を生かして、子育て世帯のニーズにきめ細かに対応した支援や子供の希望の実現の後押しにつなげられるよう、オール愛媛の応援体制の整備を図ってまいりたいと思います。  次に、障がい者芸術文化祭についての御質問でございます。  芸術文化活動は、ゆとりと生きがいのある充実した生活に不可欠であり、障がい者の社会参加の促進にも大きく寄与するものでありますことから、県では、平成27年度から継続的に障がい者アート展を開催するほか、29年度には、えひめ国体えひめ大会の文化プログラムとして活動発表会を開催するなど、障がい者の芸術文化活動の推進に努めてきたところでございます。  来年度は、これまでの取り組みを一層発展させ、障がい者の芸術文化活動を総合的に支援する拠点として、県障がい者アートサポートセンターを設置しまして、初めての取り組みとなります障がい者芸術文化祭を大街道商店街を中心に開催することとしており、歌や楽器演奏等のステージ発表やアート作品を活用した商品販売、創作活動を発表する触れ合い交流イベントなど、障がいのある方々が意欲的に参加し、多くの人と触れ合うことができる芸術文化祭にできればと考えております。  また、サポートセンターでは、作品の創作、販売等に関する相談対応や専門的な技術支援を行うとともに、活動を支える家族や施設職員等を対象とした研修の実施、活動情報の収集発信による新たな才能の発掘なども進めることとしており、芸術文化活動の支援の充実を図ることにより、障がい者芸術文化祭のさらなる拡充、発展にもつなげ、障がい者の皆さんの生きがいづくりと社会参加の一層の促進を図ってまいりたいと思います。  その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。 ○(土居忠博スポーツ・文化部長) 議長 ○(鈴木俊広議長) 土居スポーツ・文化部長   〔土居忠博スポーツ・文化部長登壇〕 ○(土居忠博スポーツ・文化部長) 愛媛国際映画祭の準備状況についてお答えさせていただきます。  全国で大小合わせて200以上の映画祭が開催されている中で、愛媛国際映画祭は、上映会や映画関連イベントだけでなく、海外映画祭との連携や作品コンペの実施、受賞作品に対する上映機会の提供といった要素をフルスペックで備えた映画祭として、東京、山形、札幌、熱海などに並ぶ全国有数の映画祭に育てることを目指しています。  今回のプレイベントは、国際映画祭というものを多くの皆様に実感していただけるよう、映画祭のエッセンスを詰め込んだ形で実施することとしておりまして、現在、愛媛ゆかりの映画やコンペ作品など15作品の上映会、舞台挨拶、県庁本館を活用したレッドカーペット、映画音楽コンサート、若者向け映像ワークショップなどの準備を進めているところであります。  また、本県と関係の深いハワイの国際映画祭との交流、連携、さらには愛媛DMOの助成制度を活用した愛媛国際映画祭観覧ツアーによる集客などにも取り組んでいます。  来年度の本格開催に当たっては、世界中からコンペ作品を募集いたしますとともに、愛顔感動ものがたりのエピソード部門優秀作品の映像化といった新しい展開、さらには事業規模を大幅に拡大して、県内各地でさまざまな映画祭イベントを実施するなど、新たな才能の発掘、本県のイメージアップ、さらには文化を通じた地域活性化などにもつながるよう取り組みを進めてまいりたいと思っております。  以上でございます。 ○(田中英樹経済労働部長) 議長 ○(鈴木俊広議長) 田中経済労働部長   〔田中英樹経済労働部長登壇〕 ○(田中英樹経済労働部長) 外国人旅行者の誘致拡大に向けた取り組みについてお答えします。  これまで、県では、外国人旅行者の誘致拡大に向け、基盤となる国際定期航空路線であるソウル線や上海線の維持、拡充と台北線の開設、さらには大型クルーズ船の誘致等に全力を挙げるとともに、それらを活用した商品造成に向けた海外旅行会社等へのプロモーションに重点的に取り組んできたところでございます。  一方、訪日外国人のリピーター率が6割、旅行の個人手配率が7割を超え、スマホを活用した旅行スタイルへと変化する中、個人旅行者向けのプロモーションも強化する必要が生じており、29年度に、スマホにも対応した多言語ホームページVisit Ehime Japanを開設したほか、今年度からは、ユーチューブ動画広告配信を通じた認知度向上とデータ分析等を行うデジタルマーケティングにも取り組んでいるところであります。  ことし開催されるG20労働雇用大臣会合や日中韓地方政府交流会議などを契機に、今後、多くの外国人旅行者の来県が見込まれることを踏まえ、動画広告配信を通じた宿泊予約などウエブ上の行動分析に加え、国際定期便等で来県した個人旅行者の県内周遊や消費動向の調査、分析等にも取り組むこととしており、それらの結果も最大限活用し、アジア圏のみならず、欧米豪を含む今後の外国人旅行者の誘致拡大と実需の創出につなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(田所竜二農林水産部長) 議長 ○(鈴木俊広議長) 田所農林水産部長   〔田所竜二農林水産部長登壇〕 ○(田所竜二農林水産部長) 新たな森林経営管理制度運用に向けました市町等への支援についてお答えをいたします。  この制度は、市町を主導的な役割を果たすべき主体に位置づけ、放置森林の解消など森林の適切な管理を県下全域に行き渡らせることで、水源涵養機能の維持増進や災害に強い森林づくり、さらには木材循環利用の促進につなげようとする革新的なシステムとなりますが、運用主体となる市町には、林業専門職員が極めて少なく、ノウハウも不足している状況の中、県としては、技術面や人材育成面での支援はもとより、市町主体の運用をサポートする地域連携体制を構築していく必要があると考えております。  このため、県では、来年度において、市町の事業支援や林業事業体の育成などを行う森林管理支援センターを設置するとともに、愛媛大学と連携した森林管理の担い手育成講座の開設、航空レーザーを活用した精度の高い森林情報の整備などの支援を行うこととし、国の森林環境譲与税等を活用した各種事業を今回の当初予算案に計上しているところでございます。  また、本制度の単独運用が難しい市町の実情を考慮し、県内5カ所に設置されている流域林業活性化センターの枠組みをベースとした市町連携によります広域的な推進体制の構築についても検討を進めておりまして、新制度の離陸から安定飛行に至るまで、市町や林業事業体を的確にサポートしながら、本県林業の成長産業化と森林資源の適正管理に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(鈴木俊広議長) 暫時休憩いたします。      午後2時 休憩   ―――――――――――――――      午後2時15分 再開 ○(鈴木俊広議長) 再開いたします。  質疑を続けます。 ○(横田弘之議員) 議長 ○(鈴木俊広議長) 横田弘之議員
      〔横田弘之議員登壇〕 ○(横田弘之議員) (拍手)愛媛維新の会の横田弘之であります。  代表質問をいたしますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  昨年11月の知事選挙において、中村知事は、得票数39万7,000票、得票率は実に89%と県民の圧倒的な支持を得て、引き続き県政のかじ取りを担われることとなりました。  今回の結果は、中村知事みずからが先頭に立って、愛顔あふれる愛媛県の実現を目指し、全力で取り組んでこられたことに対する県民の評価であり、また、これからの取り組みに対する期待であります。中村知事は、この結果をしっかりと受けとめ、さらなる愛媛県の発展のため、邁進されんことを希望いたすものであります。  また、昨年7月に本県を襲った西日本豪雨は、土砂災害や河川の氾濫などにより、広範囲で甚大な被害をもたらしました。発災直後から、知事を先頭に県では、国や市町、県警、自衛隊などと緊密に連携をとり、人命救助を最優先に、水の確保、住居の整備に総力を挙げて取り組まれ、約2カ月で第1段階の目標を達成されると、次は本格的な復興に向け、地域の産業、雇用を担う事業者の早急な再建が必要と、グループ補助金の積極的な活用に、また、柑橘園地の復活に総力を挙げて取り組まれておられます。被災された地域の復興にはまだ月日がかかると思いますが、被災者の方々それぞれに寄り添ったきめ細かな支援を引き続き行っていただきたいと思います。  さて、あと二月余りで平成の時代が終わります。私自身を顧みますと、思えば平成3年愛媛県議会に議席を得てから28年、さまざまなことがありました。自民党政権のもとに中央集権体制が地方を支配し、全国的に国民生活の基盤向上を図った時代、その下部組織として自民党に所属し、中央省庁の政策を受け、予算獲得に奔走したことを懐かしく思い出します。  しかし、バブルを頂点に世界経済の変化とともに、国民生活向上の一応の成果を得て、財源を国債などに依存する負の時代に入り、中央集権システムが機能不全に陥る中、今までの政治のあり方では新しい時代を乗り越えられないとの思いが強く感じられるようになりました。  時あたかも平成22年中村知事が誕生し、県内20市町の基礎自治体を基盤にチーム愛媛を結成し、地域主体の政治体系を目指したことは、時代の求めるものであると思いました。たまたま松山市長選で、自分の政治信条に照らし野志市長誕生にくみし自民党を除名されて以来、愛媛維新の会として、地域第一、政策中心、国政自由の考え方のもと、新しい地方の時代へ自主自立の精神を持って行動してまいりました。幸い同志も6名にふえ、中村県政の推進役の一翼を担うまでになりました。  一方、県議会では、自民党が分裂し自民党志士の会・無所属の会が結成され、新たな議会構成となったのも時代の流れではないでしょうか。旧来型の議会運営からの転換に向け、各会派の自覚と連携、協力が求められています。  間もなく今任期を終えるに当たり、4年間を振り返ると、新しい地方の時代を模索してきたことは間違っていなかったことを今改めて確信しています。平成の時代が終わり、新しい時代に入るときに当たり、これからさらに進むであろう地方主体の時代を、県民の声を政策に取り入れ提言し、議会の立場で努力していくことを強く思うものであります。  そこで、お伺いいたします。  中村知事は、自分の政治信念を実行に移し県民から絶大な信頼を受けられましたが、これからの新しい時代に、今後、どのような政治姿勢で臨まれるのか、意気込みをお聞かせください。  さて、改めて平成の時代を振り返ってみたいと思います。  平成は、史記、書経を出典として、地平らかにして天成る、内平らかにして外成るの意であり、国内外に平和が達成されるとの願いが込められた元号であります。  平成元年は、11月にドイツでベルリンの壁が崩壊し、それを受けて12月にはマルタ会談が行われ、米ソ冷戦の終結が宣言されるという歴史的な転換点でありました。その後、世界は、グローバル化に向け一気にかじを切るかと思われましたが、民族や宗教による紛争や対立がおさまることなく、最近では、自国第一主義に傾倒する米国や覇権主義を推し進める中国、核や弾道ミサイル開発を行う北朝鮮、さらに、元徴用工への賠償判決問題などで反日を強める韓国など、自国を優先し他国との協調を軽視する国々が台頭し、国際社会は、不安定の度を増し先行き不透明な状況にあります。  翻って日本では、平成元年は、バブル景気がピークに達し、日経平均株価が3万8,915円と史上最高値をつけた年であります。三菱地所が、アメリカの象徴とも言われたニューヨークのロックフェラーセンターを買収するなど、世界中でジャパンマネーが猛威を振るいましたが、やはりバブルはバブルであり間もなくして崩壊。失われた20年と呼ばれる長い低迷期に突入し、このデフレからの脱却には、財政出動に加え日銀による超のつく金融緩和が必要でありました。しかし、米中の貿易紛争など、景気の先行きには不安を持たざるを得ない状況であります。  また、消費税が初めて導入されたのも平成元年でありました。当時の大蔵省にとって、国民から広く薄く徴収する大型間接税の導入は、長年の悲願でありました。大平首相が、一般消費税構想を打ち上げて以来、竹下首相でようやく導入されたのでありますが、国民に人気のない政策であり、竹下首相は、後世の歴史家がきっと評価してくれると周囲に語っていたそうであります。我が国の状況を踏まえ、必要と判断したものは、不人気であっても国のためにやり遂げるとの気概があったからこそだと思います。目先のことばかり考える最近の政治家に聞かせてやりたいものであります。  平成5年に非自民勢力を結集した日本新党の細川内閣が発足し、自民党が昭和30年の結党以来、初めて野党に転落しました。いわゆる55年体制の崩壊であります。きっかけは金の問題でありました。解決するには、政治に金がかかり過ぎる現状を改める必要があり、政治改革が焦点となりました。しかし、政治改革は、政権交代可能な選挙制度に矮小化され、根本的な解決がなされないまま、衆議院の選挙制度を中選挙区制から小選挙区制に変更するなどの政治改革関連法が平成6年に成立。実際に政権交代が起きたのは、最初に小選挙区選挙を実施してから13年後の平成21年民主党政権の鳩山内閣でありました。民主党政権は、余りにも拙い政権運営の反動もあり、3人の首相を経てわずか3年で終了。24年に安倍内閣が発足し、安倍一強と言われる現在に続いているのであります。  その安倍首相が、先月、平成最後の施政方針演説において、少子高齢化を克服し、全世代型社会保障制度を築くためには安定的な財源が必要として、10月から消費税率を10%に引き上げることを明言いたしました。  平成は、少子高齢化が急速に進んだ時代でもあり、合計特殊出生率は、平成元年が1.57でしたが、17年には過去最低である1.26まで落ち込み、依然低いままで、一方、65歳以上の高齢者が占める割合は、平成2年の12.1%が30年には28.1%と急激に上がっております。  言うまでもなく、人口減少と高齢化は、社会保障制度に変革を迫るほか、市場規模の減少、担い手不足などによる経済規模の縮小を招くとともに、地域社会の活力減退など、我が国の社会経済に多大な影響があります。  しかし、高齢化といいますが、本来、長生きは、本人や家族にとって喜ばしいものであります。それが社会全体で見ると喜べない、課題だ、不安だというのは、国民が安心して暮らせる社会保障制度が構築されていないからではないでしょうか。  今回の消費税率引き上げに当たり、引き上げ分を医療、介護など社会保障の充実に加え、保育士の増員や幼児・高等教育の無償化など、子育て負担の軽減に振り向けました。しかし、これらの少子化対策に加え、今後、膨張が見込まれる社会保障関係費を安定的に賄うには、今回の引き上げだけでは困難と考えます。国の一般会計に占める社会保障関係費は、平成元年に11兆円弱であったものが、30年度は33兆円にまでなっており、さらなる拡大が見込まれています。国は、赤字国債を発行して財源不足を補っており、この負担は、将来世代へ先送りとなっているのであります。これ以上ツケを子、孫へと回さないためにも、今こそ国自身が身を切る改革を断行した上で、持続可能な社会保障制度の再構築に乗り出すべきときであります。  国は、子供から現役世代、お年寄りまで全ての世代が安心できる全世代型社会保障制度への転換を進めていますが、制度設計する国だけでなく、現場を担う地方も積極的に声を上げ、真に実効性のある制度に仕上げていく責務があると考えます。  そこで、お伺いをいたします。  県では、平成24年から、社会保障制度改革の提言を国に対して行っていますが、現場を担う地方の立場から、国民全てが安心して信頼できる社会保障制度をどうあるべきと考えているのか、御所見をお伺いいたします。  また、住民福祉の向上のためには、国による制度改革を待つだけでなく、サービスを運営、提供する地方みずからが、住民ニーズを把握し、自分たちでできることを行うことも必要であります。もちろん、国が地方の要望を踏まえてナショナルミニマムとして実施してくれればいいのですが、国も財政事情などを理由に地方の要望を簡単には受けてくれません。それならば、住民ニーズに応えるためには、地方独自で取り組むしかないのであります。  代表的な例が、子ども医療費の助成であります。この助成は、保護者の経済的負担を軽減し、必要な医療を提供することで、安心して子供を産み育てられる環境づくりを進めるもので、全国全ての都道府県で実施されており、県では、全国一律の制度として実施するよう国に要望しておりますが、いまだに認められておりません。  本県では、子育て世代の声を受けて、市町への助成事業を実施し、市町が独自に上乗せ助成をしておりますが、財政力が違い、助成対象者あるいは内容に差があります。私の地元松山市では、子供の数も多く、財政負担も大きいことから、通院費については助成対象者が就学前までとされており、拡充を求める市民の声は切実であります。  そこで、お伺いいたします。  松山市では、中学生までの医療費無料化の検討を進めておりますが、多額の経費の財源確保が課題と聞いております。松山市の子ども医療費助成制度の拡充を図るため、県の財政支援の拡充を図っていただきたいと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  さて、平成は、地方分権の時代でもありました。  平成5年に衆参両院で地方分権の推進に関する決議がなされ、平成7年に地方分権推進法が成立。地方分権推進委員会が発足し、5次にわたる勧告を経て11年には地方分権一括法が制定されます。この時期は、国と地方の関係を上下・主従の関係から対等・協力の関係へと改めるべく、機関委任事務制度の廃止、国の関与に係る基本ルールなど、地方分権の理念、基礎が形づくられた第1次地方分権改革と呼ばれる時期であります。その後、18年には、地方分権改革推進法が成立し、地方分権への規制の緩和や事務、権限の移譲を進める第2次地方分権改革が始まり、現在に至っております。  一連の改革により国と地方の関係が見直され、義務づけ、枠づけなどの廃止など、個別の地方に対する規制緩和や権限移譲は一定程度進んではおりますが、あくまでも現行制度の枠組みが前提であり、真に地方が望む改革につながっているとは言えません。  私は、地方分権改革は、国と地方の権限争いではなく、地方に住む住民が、改革による成果を実感できてこそ真の改革であると考えます。  明治維新以来の中央集権体制が、国力の増進と国民の福祉向上に成果を上げてきたことに異論はありませんが、地方の生活者の現場は抱える問題がそれぞれに違い、物の充足から心の充足が求められるようになってきている今、これまでの画一的な考え方、やり方だけで解決できるとは思いません。今こそ地方みずからがあるべき地方の姿を議論し、その実現のために地方の持てる知恵や財産を総動員して政策を立案し、みずから課題解決に当たる真の地方分権を目指す必要があります。  そこで、お伺いします。  転換期とも言える我が国において、国は、外交など本来の役割に集中し、地方が地域の実情に応じた独自の施策を展開できる真の地方分権が求められていると考えますが、御所見をお聞かせください。  次に、地方分権という器を整えるだけでは、地域の衰退をとめることはできません。その中身も大切になります。住民が減少し、高齢化が進み、地域の活力の減退が懸念される中、地域に元気を取り戻さなければなりません。そのためには、地域の担い手となる現役世代の方々を積極的に都市圏から呼び込むことが一つの解決策と考えます。  先月、総務企画委員会で、東京にあるふるさと回帰支援センターを視察しました。同センターは、地方暮らしやIターン、Jターン、Uターンなどを支援するために、道府県と連携して地域の情報を提供し橋渡しすることによって地域活性化を目指すNPO法人であります。今年度、1カ月当たりの移住相談件数が4,000件を超える月が12月までに5カ月もあったと聞き、こんなにも移住を希望する人がいるのかと驚きましたが、移住希望が多いのは、首都圏に近い長野県、山梨県、静岡県であり、4位広島県、5位新潟県と続いており、セミナーの開催やフォロー、相談、移住支援体制の強化などを行っているところは移住希望者が多いとのことでありました。また、以前は50歳代の方からの相談が多かったそうでありますが、最近は、20歳から40歳代で約7割を占めており、移住先選択に際して最も重視するのは、自然環境がよいことというのを抑えて、就労の場があることというお話を伺いました。  近年、若い世代を中心にライフスタイルや価値観の多様化が進み、移住への関心が高まっていることに加え、ICT化の進展により距離が問題とならない仕事もふえてきており、さまざまな就労の場を準備し手厚い支援体制を整えることができれば、現役世代を地方に呼び込む流れがつくれると考えます。  県では、東京はもちろん松山にも移住コンシェルジュを配置するなど、相談、フォローアップ体制を構築しているほか、他の地域に負けないための情報発信や住宅確保への補助など、手厚い移住者支援策を講じて移住の促進に力を入れておられます。  そこで、お伺いいたします。  地域活性化のため、本県への移住促進にどう取り組むのか、お聞かせ願いたいのであります。  最後に、江戸時代に我が愛媛県で行われたマラソンについて申し述べたいと思います。  来年は、待望の東京オリンピックが開催されます。  オリンピックでは、何といってもマラソンが大きな花となるでありましょう。時あたかもNHKで大河ドラマ「いだてん」が放映され、中村勘九郎が演じる金栗四三が話題を呼んでいます。金栗四三は、日本が初めてオリンピックに参加したストックホルムオリンピックでマラソンに出場し、完走はできませんでしたが、国民に大きな夢と希望をもたらした人物であります。  先日の愛媛マラソンでは、大勢の参加者が力走し、沿道で応援する人たちとすばらしいきずなをつくりました。中村知事も多忙な身を押して参加され、立派に完走されました。  そのマラソンに関連した質問をいたします。  幕末四賢侯と呼ばれた藩主の一人に、宇和島藩8代藩主伊達宗城がいます。宗城候と申します。その宗城候が、安政元年1854年に遠乗りと遠走を行ったとの記事が、宗城候の伝記資料稿本藍山公記にあると、伊達事務所及び宇和島藩幕末研究者の方からお伺いしました。  遠走は遠く走ることで、今のマラソンであるとのことであります。このとき、宗城候自身が、近臣の者らを従えて騎馬で走行し、同じ距離を走者である御徒、足軽、小人が従い、各自腰印を持たせて代官所及び番所で到着時間を記録させており、走者は鉢巻き、たすきがけで一刀を携えて駆け抜けたとあります。当時の注意書きを見ると、随分用意周到で、走者の食事、給水、医師まで手配をし、紛らわしい分かれ道のようなところには案内人を出し、馬の気つけ薬まで用意していました。  コースは、宇和島城下を起点として、北方は、現在の松野町の樫谷、西北方面は、三間から歯長峠を越えて宇和の東多田へ、宇和から笠置峠を越えて八幡浜へ行く3カ所でありました。供の走者は殿様におくれず走り抜けた者もいて褒美をとらせたとあります。  この話には驚きましたが、これより100年古く宝暦9年1759年に5代藩主村侯候のときにも、遠走を行ったとの記録があるとのことであります。  日本史上初のマラソンは、安政2年に、現在の群馬県安中市にあった安中藩藩主板倉勝明が、藩士を鍛えるために碓氷峠の熊野権現まで7里余りを徒歩競争させ、着順を記録させた安中安政遠足が始まりと言われておりますが、宇和島藩の方がこれより早かったということになります。  ただどちらが早かったかと無用の競争をする必要はありません。藍山公記では、遠走のことを健歩と称していることから、宇和島健歩大会とでも名づけて、宇和島市も歴史ある地で市民マラソンを始めてはいかがかと思います。さらに、安中市では、安政遠足と名づけたマラソン大会を開催しており、それを縁に姉妹都市提携をし、さまざまな交流ができればと夢は広がります。由緒あるマラソン大会の開催により、地域の人たちに誇りと一体感が生まれるとともに、スポーツに親しむ機会にもなります。大会参加者との交流に加え、飲食、観光、物販など地域産業にも好影響が及ぶほか、参加者の方の情報発信も期待できます。  これは何もマラソンに限った話ではなく、スポーツは、取り組む人の健康の保持、生きがいづくりにとどまらず、交流人口の拡大、地域経済への波及など、地域活性化にさまざまな効果をもたらすものであります。  そこで、お伺いいたします。  県では、今後、スポーツを通じた地域活性化にどのように取り組むのか、御所見をお聞かせ願いたいのであります。  さて、改めて、平成は大規模な自然災害の多い時代でもありました。  平成7年1月に起きた阪神・淡路大震災は、関東大震災以来の未曽有の大地震でありました。また、23年3月に起きた東日本大震災では、巨大津波が、東北地方を中心とする東日本沿岸に押し寄せ、過去に例のない甚大な被害をもたらし、東京電力福島第一原子力発電所では、放射性物質が外部に漏出する深刻な事故を引き起こしました。その後も、28年4月の熊本地震、昨年には西日本豪雨、北海道胆振東部地震などもありました。我が国は、自然災害と隣り合わせの国であることを常に意識し、これまでの災害の教訓を生かし、取り組みを進めなければなりません。  こうして見ると、平成の時代は決して平らかとは言えない時代であったと思いますが、我々日本人にとって、心に一つの安寧、平和をもたらす象徴としての天皇像が確固としたものになった時代であったことに異論はないと思います。  日本国憲法第1条の日本国、日本国民統合の象徴としての天皇像につきましては、人によってさまざまな見方、考え方があったと思いますが、天皇陛下が皇后陛下とともに、地震、台風、豪雨など自然災害が発生すると被災地を直接訪問され、体育館の床に直接膝をつき、手をとってお話しされるお姿に私たち日本国民全ての思いを代表してお話しいただいている、まさに象徴であられるとの感慨を恐れながら感じました。  また、被災地に限らず、福祉施設や戦没者慰霊の地などでの国民に寄り添ったお姿は、いつの間にか当たり前の風景になってまいりました。沖縄やサイパンなど国内外の戦地への御訪問により、国民に対し、現在の我が国の平和と繁栄が多くの犠牲によって成り立っていることを、また、戦争のない平和な社会が大切であることを常に国民にお示しいただきました。天皇陛下は、日本国憲法に定める日本国民統合の象徴としての天皇像を確立されたのであります。  いつまでも御在位いただきたいと思うものでありますが、御在位30年、御年85歳を迎えられ、陛下御自身の公務への厳しいお考えから、御退位されるのは私どもにとっては悲しいことではありますが、陛下にとっても苦渋の御決断と拝察いたします。どうぞ、皇后陛下とともにごゆっくりされますことを国民挙げてお祈り申し上げるものであります。  そして、今後とも、天皇陛下が築いてこられた国民に寄り添った象徴天皇としてのお姿をしっかりと皇太子様に引き継いでいただきたいと念じるものであります。  最後に、政治の要諦は、百年の大計に立って未来を切り開く夢を描き、その実現に心血を注ぐことにあります。松山空港におり立つと、坊っちゃん列車が煙を吐いて待っていたという一地方議員の私の夢について、何としても花咲かせるよう全力で取り組んでまいります。人生100年の時代、まだまだ夢に向かって頑張ります。  以上で質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) ○(鈴木俊広議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(中村時広知事) 議長 ○(鈴木俊広議長) 中村知事   〔中村時広知事登壇〕 ○(中村時広知事) 横田議員に、まず、これからの新しい時代における政治姿勢についての御質問にお答えをさせていただきます。  今から32年前に愛媛県議会議員として、私は政治の世界に飛び込みました。その後、衆議院議員、松山市長を経験させていただき、現在は知事として県政のかじ取り役を担わせていただいておりますが、これまでの政治人生を振り返りますと、2度の落選が私を最も成長させ、この経験によって、自己保身にとらわれることなく、筋を曲げずに正しいことは正しいと貫いていく自身の信念や哲学を形成できたものではないかと考えています。  また、地域の声に真摯に耳を傾ける中で、何のために仕事を委ねられ、何を優先して行動すればよいかを常に心にとどめながら、責任と覚悟を持って、多くの困難な課題と対峙してまいりました。  知事就任以降、地方分権社会の実現や政策立案型行政への転換こそが魅力ある地域づくりに必要不可欠との認識のもと、一貫して、基礎自治体重視の政策展開や職員の意識改革などを進めてまいりました。また、国に対しては、権限や財源の大幅な移譲を強く提言してきたつもりですが、残念ながら、いまだ道半ばでございます。  本格的な地方分権時代を見据えて、地域第一、政策中心の基本姿勢で、常にニュートラルなポジションに身を置きながら、地域の課題を真正面から受けとめ、みずからが時代を切り開く気概と志を持つことが、地方政治家に強く求められているものと確信しています。新たな時代に向けて、引き続き135万県民の未来を背負う強い責任と使命を胸に刻んで、県民の皆さんの幸せと郷土の発展を何よりも最優先に考え、公約の実現に徹底的にこだわりながら、市町や企業、団体との連携によるオール愛媛の体制で、3期目の県政運営に誠心誠意突き進んでまいりたいと思います。  次に、社会保障の問題についての御質問でございます。  現在の社会保障制度は、少子高齢化に伴う人口構造の急激な変化により、国が消費税率の引き上げによる充実分を除いて約5,000億円、県でも約25億円のペースで毎年自動的に支出が増大するのが現在の姿であります。その一方で、負担の多くを将来世代に先送りする状態が続いており、持続可能性が大きな課題となっています。  国は、全世代型の社会保障への転換を方針には掲げていますが、将来世代への負担のつけ回しを軽減するための財源を、一部幼児教育の無償化等の給付面の拡充に振りかえるなど、国民の将来負担の増加リスクは一層高まっているのではないかと思われます。  現在の社会保障水準を維持するには、大幅な負担の引き上げが必要となり、社会経済活動の活力を失わせる懸念もあります。  また、逆の低福祉低負担という選択をすれば、社会的弱者の切り捨てにもつながりかねず、給付と負担をどのようにバランスさせるかは極めて重いテーマであるだけに、国の責任において、持続可能な社会保障制度の構築に向けた国民的議論を行い、これ以上難題を先送りすることなく、みずからも身を切る覚悟を持って、抜本的改革に取り組むことが強く望まれているのではなかろうかと思います。  現場を担う県の立場からすれば、社会保障制度は、世代間だけではなく、都市と地方の格差なく享受できるものであるべきであり、中央の視点による地方の実情に合わない制度とならないよう、全国知事会等あらゆる機会を通じて現場の声を上げ続け、県民にとって、効果が実感でき、安心、信頼できる社会保障制度改革が進められるよう、国に求めてまいりたいと思います。  次に、松山市の医療費助成制度に関する御質問でございます。  本県では、県の乳幼児医療費助成に市町が独自に上乗せ助成することにより、子育て世帯の医療費負担の軽減を図っているところでありますが、中核市である松山市に対する財政支援については、三位一体改革の影響により8分の1まで引き下げていた補助率、これを平成21年度には5分の1へ引き上げ、平成27年度にはさらに4分の1まで引き上げ、子ども医療費助成制度の底上げを図ってきたところでございます。  昨年6月には、県内で低位にある松山市の子ども医療費助成制度の拡充を目指す市議会議員有志から補助率引き上げの要望を受けたところであり、可能なバックアップを行う腹づもりはしているところでありますが、現在、松山市において、中学生までの医療費無料化に向けた制度設計の検討が進められていると聞いております。まだ正式な要請がございませんので、今後、松山市から正式に要望があれば、これまで助成制度の充実を後押ししてきた経緯を踏まえ、一方で、西日本豪雨災害からの復旧・復興に取り組む中、県の財政状況も勘案しながら、可能な範囲で支援を拡充することを検討してまいりたいと思います。  なお、地方自治体の財政状況によって、子供の医療費の負担に格差が生じている現状を解消するためには、国がナショナルミニマムとして、子ども医療費助成制度を創設すべきという基本姿勢は今後も変わるものではなく、地方の総意として言い続けなければならないのではなかろうかと思います。引き続き、全国知事会を初め、地方六団体が結束して、国に要請を続けてまいりたいと思います。  次に、スポーツを通じた地域活性化についての御質問でございます。  スポーツには、する、見る、応援する、支えるといったさまざまな楽しみ方があり、健康増進や生きがいづくり、さらには交流人口の拡大や地域活性化などにも寄与する多面的な力があるのではないでしょうか。  一昨年開催されましたえひめ国体えひめ大会でも、80万人を超える参加者があり、約660億円の経済波及効果が得られ、そして、何よりも県民の皆さん方の心のこもったおもてなしによって、全国に多くの愛媛ファンが誕生したのではないだろうかと思います。  幕末の宇和島藩主伊達宗城侯は、藩財政の立て直しを進める一方で、高野長英や大村益次郎を招いて藩の近代化にも尽力し、蒸気船の建造など新しいことにも積極的に取り組まれました。  県においても、えひめ国体えひめ大会のレガシーを最大限に活用しつつ、新たに、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿や各種スポーツ大会の誘致、野球王国愛媛をPRする愛・野球博、障がいの有無にかかわらず、ともに競うことのできるeスポーツなどに取り組んでいるところでございます。  加えて、東京オリンピック・パラリンピック直後の2020年9月18日から5日間実施するシニアの国体日本スポーツマスターズ2020愛媛大会、2020年のねんりんピックと、本県で大規模な大会が続きますことから、これまで以上に交流拡大やにぎわい創出、また、愛媛の物産や観光資源のPRにも注力していきたいと思います。  前回の東京オリンピックは、高度成長のはずみとなった大会でありましたが、2020年大会は、多様性と調和、未来への継承がテーマとなっており、本県においても、スポーツで県民が笑顔になり、それがふるさと愛媛の未来へとつながるよう、スポーツ立県えひめの実現に全力で取り組んでまいりたいと思います。  なお、宇和島健歩大会につきましては、私が呼びかけますと自身が出走しなければならなくなりますので、これ以上は無理でございます。実現の可能性につきましては、宇和島市さんに委ねさせていただきたいと思います。  その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えさせていただきます。 ○(菅豊正総務部長) 議長 ○(鈴木俊広議長) 菅総務部長   〔菅豊正総務部長登壇〕
    ○(菅豊正総務部長) 地方分権に関する御質問にお答えいたします。  四半世紀にわたる累次の地方分権改革の取り組みにより、地方の自主性、自立性は一定程度拡大してまいりましたが、権限や財源の移譲は十分とは言えず、地方が求める分権の姿にはほど遠いと感じております。  一方で、我が国を取り巻く環境は、人口減少や少子高齢化が進行する中、東京一極集中や地域間格差の拡大、さらには、IT技術の進化やグローバル化の進展なども相まって、この間、急速かつ劇的に変化しているところでございます。  こうした社会の変化に対応するためには、国と地方の役割分担の明確化を図り、国は、外交、防衛など、本来果たすべき役割に専念し、それ以外の権限や財源を大胆に地方に移譲することにより、地方がみずからの判断と責任のもと、地域の実情や特性に応じた自主的・自立的行政運営が行えるよう、真の地方分権を実現することが必要不可欠であると考えております。  県では、これまでも市町との協働による現場を担う地方視点の改革提言や行革甲子園を初めとするチーム愛媛の連携施策など、本県独自の取り組みを進めてきたところでありますが、今後とも、全国知事会等とも連携しながら、真の地方分権の実現に向け、国に対し、改革の実行を強く求め続けてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(西本牧史企画振興部長) 議長 ○(鈴木俊広議長) 西本企画振興部長   〔西本牧史企画振興部長登壇〕 ○(西本牧史企画振興部長) 移住促進の取り組みに関する御質問にお答えをいたします。  移住を希望する現役世代の方々が、移住先を決定する上で、就労の場の情報は極めて重要でありまして、移住コンシェルジュに昨年度寄せられた相談のうち、約半数が就職や就農に関するものとなっているほか、移住フェアの来場者へのアンケート結果でも、移住後の仕事についての関心度は高い状況にあります。  このため、今年度の新たな取り組みとして、6月に東京で開催したあのこの愛媛移住フェアでは、求人を募集している地元企業5社から移住後の仕事の情報を直接PRしたほか、6泊7日で本県の魅力を体感する地域滞在型ツアーでは、地元企業への訪問や柑橘の摘果作業体験などを通して、地域で必要とされている仕事の紹介を行っているところでございます。  来年度は、平成29年10月に全国に先駆けて開設した求人・移住総合情報サイト「あのこの愛媛」の機能強化を図り、移住希望者と県内事業者とのマッチングを促進するとともに、デジタルマーケティングの手法を活用して、潜在的な移住希望者に対し、効果的な情報発信を行いたいと考えております。  本県への移住者数は、昨年度初めて1,000人を超えるなど、本県への新しい人の流れが生まれてきていると感じておりまして、この流れを大切にしながら、今後とも、仕事や住まいの情報提供など、移住希望者に寄り添いつつ、市町や地元企業、関係団体との連携を一層密にして、オール愛媛の体制で移住者の呼び込みに全力で取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。   ――――――――――――――――― ○(鈴木俊広議長) 以上で本日の日程を終了いたしました。  明27日は、午前10時30分から本会議を開きます。  日程は、全議案に対する審議の続行であります。  本日は、これをもって散会いたします。      午後3時6分 散会...