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  1. 愛媛県議会 2019-01-30
    平成31年農林水産委員会( 1月30日)


    取得元: 愛媛県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-05
    平成31年農林水産委員会( 1月30日) 農林水産委員会会議録   〇開催年月日  平成31年1月30日(水) 〇開会時刻   午前   9時58分 〇閉会時刻   午前   11時37分 〇場所     農林水産委員会室 〇審査・調査事項等  〇 今後の漁港・海岸整備について 〇出席委員[7人]  委員長     松下  行吉  副委員長    塩出   崇  委員      菊池  伸英  委員      徳永  繁樹  委員      中   政勝  委員      村上   要  委員      森高  康行
    欠席委員[0人] 〇その他の出席者[0人] 〇出席理事者[19人]  農林水産部長      田所  竜二  農政企画局長      大北   秀  営業副本部長      八木  一成  農業振興局長      道菅   稔  農業振興局技術監    菊池  洋之  森林局長        佐々木 秀和  水産局長        馬越  史朗  農政課長        鶴村  幸弘  農地・担い手対策室長  久保田  誠  農業経済課長      藤井  大輔  ブランド戦略課長    高岡  哲也  農地整備課長      小崎  勝次  農産園芸課長      山本  浩二  畜産課長        佐伯  拡三  林業政策課長      西浦  政隆  森林整備課長      尾花  充彦  漁政課長        芳我  保男  水産課長        前原   務  漁港課長        中川  新六               午前9時58分 開会 ○(松下行吉委員長) ただいまから、農林水産委員会を開会いたします。  八十島営業本部長及び矢野営業本部マネージャーは、本日、経済企業委員会に出席しておりますことをお知らせいたします。  これより議事に入ります。  本日の会議録署名者徳永繁樹委員菊池伸英委員を指名いたします。  本日の議題は、今後の漁港・海岸整備についてであります。  議題について、理事者の説明を求めます。 ○(漁港課長) それでは、お手元の資料に基づきまして、今後の漁港・海岸整備について御説明します。  目次を御覧ください。  今回は漁港及び海岸の整備のうち、地震・津波対策長寿命化対策について御説明します。  資料1ページを御覧ください。  初めに、漁港及び漁港海岸の現状についてです。  この図は、県内の漁港位置図です。  小さな丸印は、各漁港を示しています。本県は、島嶼部やリアス式海岸の津々浦々に多くの漁港が点在しておりまして、漁港数は全国3位の195漁港あります。内訳は、地元漁港である第1種漁港が168港、周辺地域利用漁港であります第2種漁港が22港、全国的な漁港である第3種漁港が3港、避難港である第4種漁港が2港となっております。このうち、県管理漁港は第4種漁港のみで、伊方町の佐田岬漁港と宇和島市の離島にある本浦漁港の2漁港となります。  右側の表が海岸線延長です。  本県は全国第5位となる延長約1,700㎞の海岸線を有しており、このうち、背後に保全すべき漁業集落がある海岸保全区域の総延長は全国3位の約390㎞に及び、沿岸部には人口や産業基盤が集積しています。  資料2ページを御覧ください。  上段の表は、本県の水産業における生産量と生産額です。  平成28年の生産量は、漁船漁業と養殖業を合わせまして、全国8位の約15万t、生産額は全国3位の913億円となっています。  中段の表は漁港における漁船数であり、登録漁船数は平成28年で約9,000隻と、平成15年の約7割に減少しています。  下段の表は、漁港における属地陸揚げであり、属地陸揚げ量は平成28年で約8万6,000tと、平成15年の約9割となっています。  水産基盤の整備におきましては、これら漁船数及び属地陸揚げ量等をもとに、当該漁港における利用状況の実態を把握し、整備を行っています。  資料3ページを御覧ください。  漁港及び漁港海岸における課題について説明します。  平成23年3月11日の東日本大震災で発生した沿岸部における甚大な津波被害は、記憶に深く刻まれていると思います。西日本では近い将来発生が予想されます南海トラフ地震により甚大な被害が発生するおそれがあり、改めて災害に対する事前の備えとして、漁港施設及び海岸保全施設における地震・津波対策が急務となっております。  2つ目の課題としまして、近年、老朽化に伴い更新を必要とする施設が増加しています。これまでは壊れてから直す事後保全型の維持管理でしたが、施設の機能を適切に維持していくためには、各施設の機能診断を実施し、計画的に維持管理する予防保全の考えを取り入れた戦略的な維持管理に移行する必要があります。  これにより施設の長寿命化を図るとともに、保全対策コスト縮減や予算の平準化を図ることが可能となります。当課では、地震・津波対策長寿命化対策重点課題として取り組んでいます。  これらの課題のうち、まず地震・津波対策について説明します。  資料4ページを御覧ください。  南海トラフ地震についてです。  過去の地震の発生状況を見ますと、おおむね90年から150年ごとに大規模な地震・津波が発生しており、現在、直近の昭和南海地震から既に72年が経過しています。このため、政府の地震調査委員会では、今後30年以内に70%から80%の確率で発生すると報告されています。  資料5ページを御覧ください。  地震に伴い発生する津波についてです。  東日本大震災における甚大な津波被害を受け、平成23年9月に、内閣府中央防災会議におきまして、新たな津波対策の考え方が示されました。  新たな津波対策の考え方は、L2津波とL1津波の2つのレベルに分けています。L2津波は、数百年から1,000年の頻度で発生するような最大クラスの津波であり、住民避難を軸としたソフト対策を中心に、減災の考え方に基づく対策を実施します。L1津波は、数十年から百数十年の頻度で発生するような比較的発生頻度が高い津波であり、この津波に対しては、施設の整備により対策します。  資料6ページを御覧ください。  県内沿岸におけるL2津波についてです。  南海トラフ地震の想定は、県内全域最大震度6強から7の揺れの後、宇和海沿岸では10mを超えるL2津波が、また、瀬戸内海沿岸でも3mから4mのL2津波が押し寄せ、県内沿岸で約1万2,000haもの浸水が予想されています。  資料7ページを御覧ください。  県内沿岸におけるL1津波についてです。  本県の沿岸は、燧灘沿岸伊予灘沿岸豊後水道東沿岸の3つの沿岸に区分されますが、これらをさらに分割し、それぞれのL1津波水位を設定しています。  瀬戸内海に面する燧灘沿岸伊予灘沿岸では、L1津波の水位は最大3m程度で、堤防等が不足する高さは1m程度ですが、宇和海に面する豊後水道東沿岸愛南地域では、L1津波の水位、堤防等の不足高とも5mを超える箇所があります。  下のグラフは、所管ごと海岸保全区域延長における堤防高不足延長の割合を示しています。水産庁所管については66%と非常に多くなっています。  資料8ページを御覧ください。  先ほどの現状を踏まえまして、各沿岸における地震・津波対策の課題と対応を説明します。  瀬戸内海に面する燧灘沿岸伊予灘沿岸では、地盤の液状化の影響により堤防不足高は最大3.8m程度まで増大し、地震直後の浸水による逃げおくれや浸水の長期化による産業活動への影響が懸念されます。このため、堤防等の液状化等に対する耐震対策とともに、津波や高潮に対する堤防高を確保することとしています。  資料9ページを御覧ください。  豊後水道東沿岸における津波についてです。  宇和海に面する豊後水道東沿岸では津波高が大きく、堤防不足高は最大5.5m程度と予測され、最短30分程度の短時間で津波が到達し、初期地盤変動による沈下も大きいため、津波からの逃げおくれや大規模な浸水被害が懸念されます。このため、現況堤防高と比較して津波水位が高い場合は、津波からの避難時間を稼ぐために必要な高さでの堤防整備を行います。  資料10ページを御覧ください。  漁港施設の地震・津波対策についてです。  水産庁では、5年を1期として漁港漁場整備長期計画を策定しています。平成29年度からの第4次長期計画では、世界的な水産物需要の増加、地球温暖化に伴う気候変動、自然災害の激甚化、本格的な人口減少社会の到来など、現下の水産業を取り巻く情勢に的確に対応するため、4つの重点課題に取り組むこととしています。  このうち漁港課では、地震・津波対策については重点課題3、長寿命化対策については重点課題4に基づき取り組んでいます。  資料11ページを御覧ください。  長期計画重点課題3についてです。  南海トラフ地震等に対し、漁港施設の安全を確保するため、まず防災拠点漁港及び流通拠点漁港における主要施設安全確保を推進するとともに、流通拠点漁港では事業継続計画、いわゆるBCPの策定を図ることとしています。  資料12ページを御覧ください。  漁港における地震・津波対策取り組みについてです。  下の表は、県内の各圏域において中心となる漁港を抽出した一覧表です。  南海トラフ地震等に備え、県内195漁港のうち、防災上及び水産物の生産・流通上重要な19漁港におきまして、地震・津波対策に取り組むこととしています。これまでの実施状況につきましては、7漁港において事業に着手しており、うち2漁港は対策工事を完了しています。  資料13ページを御覧ください。  愛媛県海岸保全基本計画についてです。  新たな津波対策の考え方を盛り込み、平成27年9月に改定しました愛媛県海岸保全基本計画は、人も自然も愛顔あふれるえひめの海岸づくり基本理念とし、おおむね20年間を計画期間として、海岸保全に関する方針や基本的事項を定めたものでありまして、本県における海岸整備の基本となるものです。  資料14ページを御覧ください。  本計画における整備対象海岸についてです。  整備の必要な海岸として、堤防高が不足している箇所のうち、背後地に人家等の保全対象のある箇所を整備対象海岸として抽出しました。整備対象海岸は、県全体で約340㎞になります。  次に、重点整備海岸についてです。  整備対象海岸のうち、以下の3条件全てに該当する箇所を重点整備海岸として抽出しました。これは県全体で約130㎞になります。  下の表は、整備対象海岸重点整備海岸を所管別に集計したものです。  水産庁所管重点整備海岸は、県管理の1海岸及び市町管理の29海岸で、合わせて30海岸、約26㎞となっています。  資料15ページを御覧ください。  水産庁所管重点整備海岸の一覧表です。  重点整備海岸は、地震・津波や高潮対策の緊急性が特に高いAランクが多数あり、事業の進捗状況につきましては、水産庁所管重点整備海岸30海岸のうち8海岸で事業着手しており、今年度は継続して4海岸について整備を進めています。  続きまして、2番目の課題であります長寿命化対策について説明します。  資料16ページを御覧ください。
     長寿命化対策につきましては、平成26年に水産庁が策定しましたインフラ長寿命化計画に基づき進めています。漁港施設及び海岸保全施設について、施設ごとに点検・診断を行い、それらをもとに対策方法や対策時期を検討した機能保全計画を策定します。その後、その計画に基づき、適切な時期に保全対策工事を行っています。なお、機能保全計画の策定は、平成32年度までに完了する予定です。  資料17ページを御覧ください。  第4次漁港漁場整備長期計画重点課題4についてです。  重点課題4では、老朽化対策、施設のバリアフリー化既存施設有効活用を行うこととしています。近年、施設の老朽化により更新を必要とする施設が増加しており、長寿命化対策の推進が重要となります。  資料18ページを御覧ください。  施設の老朽化状況についてです。  上の表が本県における漁港施設老朽化状況です。  漁港施設については、県下全漁港の防波堤と岸壁及び物揚げ場の総延長が約110㎞あり、そのうち老朽化の目安となる建設から50年を超える施設の割合が平成40年度末には39.2%、平成50年度末には66.2%となる見込みです。  真ん中の表が海岸保全施設老朽化状況です。  本県における漁港海岸の堤防、護岸、胸壁の総延長は約182㎞あり、そのうち50年を超える施設の割合は平成37年度末には58.5%、平成47年度末には71.9%となる見込みです。  下段のグラフは、予防保全対策によるコスト縮減のイメージです。  青色のケース1は事後保全型を、赤色のケース2は予防保全型を示しており、ケース2の方が施設の機能保全レベルが高く、供用期間内における保全対策コストは低いという結果になります。  資料19ページを御覧ください。  漁港における長寿命化対策取り組みについてです。  白丸が機能保全計画の策定、黒丸が保全対策工事の着手、矢印が工事の実施状況を示しています。  県内195漁港のうち、国の補助事業の採択要件を満たす135漁港におきまして機能保全計画の策定を全て完了しており、順次、保全対策工事に取り組んでいます。  資料20ページから21ページにかけて御覧ください。  海岸保全施設における長寿命化対策取り組みについてです。  白三角が機能診断、二重丸と丸が長寿命化計画の策定、黒丸が初回工事着手を示しています。白三角のみの箇所と空欄の箇所は、平成32年度までに長寿命化計画を策定する予定となっています。  県内195海岸のうち、海岸保全施設がある海岸が190海岸ありまして、このうち長寿命化計画策定に着手しているのは145海岸で、初回工事に着手しているのは1海岸です。今後は老朽化対策を計画的に推進し、海岸保全施設の機能が十分に発揮されるよう、適切な維持管理に取り組むこととしています。  資料22ページを御覧ください。  事業費の推移についてです。  棒グラフの左側が漁港整備事業で、右側が海岸整備事業となっています。  漁港整備の事業費のピークは平成5年度の約132億円で、平成29年度は約16億円とピーク時の約12%まで減少しています。また、海岸整備の事業費のピークは平成13年度の約30億円で、平成29年度は約9億円とピーク時の約30%まで減少しています。  また、グラフの緑色は漁港整備新設事業、水色は海岸整備の地震・津波対策、赤色は長寿命化対策オレンジ色は漁港の地震・津波対策を示しています。  平成29年度の漁港事業は約16億円、うち長寿命化対策は約9億円、地震・津波対策は約4億円です。同年度の海岸事業は約9億円、うち長寿命化対策が約2億円となっています。  下の図は、地震・津波対策及び長寿命化対策における主な施工事例です。  最近の漁港整備事業の事例について御紹介します。  資料23ページを御覧ください。  佐田岬漁港における地震・津波対策についてです。  佐田岬漁港は、全長50㎞に及ぶ佐田岬半島のほぼ先端に位置している県管理の第4種漁港で、周辺漁港の避難港となっています。  地震・津波対策としては、防波堤の上部工及び本体工の拡幅強化を行っておりまして、平成26年度に着手し、平成32年度完成の見込みとなっています。  資料24ページを御覧ください。  愛南町の深浦漁港における地震・津波対策についてです。  深浦漁港は、愛媛県最南端に位置している愛南町管理の第3種漁港で、県内唯一カツオ一本釣り漁業の基地となっています。  地震・津波対策としては、岸壁の基礎工の地盤液状化対策及びアンカーによる本体工の耐震化補強を行っておりまして、平成26年度に着手し、平成33年度完成の見込みです。  右下の写真は、地盤改良のための削孔を行っている状況で、この後モルタルを注入し、地盤の補強を行います。  次に、漁港海岸整備事業の事例について紹介します。  資料25ページを御覧ください。  深浦漁港海岸における地震・津波対策です。  深浦漁港海岸では、既設の石積み護岸の老朽化が著しく、護岸の高さが不足しているため、護岸のかさ上げ及び消波ブロックを設置し、平成28年度に完成いたしました。これにより、昨年の台風21号や24号においても、被害は発生しませんでした。  資料26ページを御覧ください。  四国中央市の蕪崎漁港海岸における高潮対策です。  蕪崎漁港海岸では、高潮による護岸の高さが不足している箇所があるため、護岸のかさ上げ及び消波ブロックを設置し、平成29年度に完成いたしました。  資料27ページを御覧ください。  今後、漁港課では地震・津波対策長寿命化対策を主体に事業を推進してまいりますが、さらなる検討課題について説明します。  まず1つ目は、漁港における既存施設有効活用です。  防波堤内側の水域を増養殖場として有効活用するほか、漁港施設用地に直売所を誘致するなど、利用されなくなった既存施設有効活用が水産庁から提案されておりまして、本県では一部地域においてニジマス養殖などの事例はありますが、今後はさらなる有効活用を図り、漁村のにぎわいの創出に努める必要があると考えています。  2つ目は、女性、高齢者にとって働きやすい漁港整備です。  これまでも干満差の大きな漁港におきまして、浮体式物揚げ場など、バリアフリー化に努めてまいりましたが、今後は女性の参入や漁業者の高齢化に伴い、さらなる就労環境生活環境の改善を図ることが必要と考えています。  3つ目は、漁港・海岸事業のさらなる財源確保です。  地震・津波対策事業は早急な整備が必要ですが、整備が大幅におくれているため、さらなる財源確保が必要となります。特に海岸事業は、南海トラフ地震に対応した海岸保全施設整備促進を国への提案・要望としており、一層の財源確保に努める必要があります。  今後とも、本県漁港の地震・津波対策及び長寿命化対策の推進に皆様の御支援を賜りますようお願い申し上げまして、説明を終わらせていただきます。 ○(松下行吉委員長) ありがとうございました。  以上で理事者の説明が終わりました。  委員の皆さん、議題に関する質疑はありませんか。 ○(徳永繁樹委員) 説明ありがとうございました。  最後にお示しをしてくださった漁港における既存施設有効利用なんですけれども、以前からなかなか利活用ができていないのかなという認識を持っていました。  今治市のことですけれども、合併して公の施設がいっぱいあって、例えば小中学校もそうなんですけれども、統廃合した跡地を有効利用しながら、文部科学省では若干の目的外使用を認めるというような話もいただいていて、その利用を加速させようとしているんですが、一方で、水産庁の考え方が鈍いのではないかというふうなことを地元漁業協同組合並びに今治市あたりから聞いているんですけれども、このあたりはいかがなんでしょうか。 ○(漁港課長) 漁港における既存施設有効活用については、水産庁でも、近年の漁業者や漁船数の減少に伴いまして、活用されなくなった用地や水域についてはどんどん利用するように指導をされているところでございます。特に、今治地域におきましては、最近の事例としまして、大浜漁港において、漁港内の余った泊地を整備して、そちらに遊漁船を置いていただけるというような事業も推進しているところでございます。 ○(徳永繁樹委員) 個別具体的な話で大変恐縮なんですけれども、例えば今治市吉海町にいきいき館という道の駅がございますが、野積み場を駐車場に使いたい。また、今治市桜井の中間育成施設はもう全く使っておりません。こういうふうなものを漁業者の視点に立った六次産業化に資するための施設として再利用したいなんていうふうなことを、地域のあちらこちらから提案をいただいているんですけれども、漁業者の生業に資するというような観点であるならば、未利用地、未活用地、遊休資産を再利用できるという考え方でよろしいですか。 ○(漁港課長) 漁港整備におきましては、これまで国の補助金を随分入れてまいりました。ですから、補助金適正化法に基づきまして、いろんな制限がかかっておるわけでございますが、長期的には、今後の水産業の振興に資するとか、地域の発展に寄与するというものについては、補助金適正化法の制限もクリアしながら、そういうところの利用を広めてまいりたいと考えております。 ○(徳永繁樹委員) 農業、林業、さまざまな一次産業以上に漁業の担い手の減少というのはすごくあって、いろんな形でなりわいの後押しをしていかなければならないという観点で、全国的に遊休資産を使ってこういうふうに利活用し、それがプラスになっているよというような情報も集めていただいて、漁業者の方にも落とし込んでいただいて、中川課長がおっしゃるように、補助金適正化法の問題があるということは十分認識をしておりますので、そんな中で、一つ一つ成功事例をつくっていけるように指導していただきますようお願いしておきたいと思います。要望です。 ○(松下行吉委員長) 要望ということでお願いいたします。  そのほかにございませんか。 ○(菊池伸英委員) 13ページの海岸保全基本計画のところに、海岸法第2条の3の規定により、国が定めた海岸保全基本方針に基づき、都道府県知事が定める海岸保全に関する基本計画というふうに書いているんですけれども、これは海岸法第2条の3の規定に準じて愛媛県が進めていくということなんですけれども、今、県の方が定めている海岸保全基本計画は、結局は国の基準に合った形でしか計画を立てることができないということなんですかね。まずは、そこをちょっと確認させていただきたいと思うんですけれども。 ○(漁港課長) 時代とともに海岸基本計画を策定する意味も変わってきております。特に今回、計画を変更いたしましたのは、平成23年の東日本大震災を受けまして、これまでに加えて地震・津波に対する対策を前向きに進めていく必要があるということで、愛媛県の海岸基本計画を平成27年9月に改正したわけでございます。  海岸法自体は変わっておりませんで、従来から地震・津波対策というのは盛り込まれておりましたので、その基本方針に従って、時代の流れに沿って、県の海岸基本計画を変えていくというのが県のスタンスでございます。 ○(菊池伸英委員) わかりました。  でも、時代の流れに沿って県が計画を見直すときに、今までの流れだったら、新しいことに取り組めないんじゃないかと思うんですよ。だから、そのあたりを県が国にもっと要望して、今のままでは我が県に合った計画というか、現場の声が形にならないということを伝えていかなくちゃいけないのではないかと思うんですけれども、どうなんですか。 ○(漁港課長) 海岸基本計画を各県で策定しまして、その計画に基づきまして海岸事業を推進していくわけでございますが、事業の推進に当たっては、その事業の内容等を国に説明して、その方針に従って国に事業要望をかけていくというような形をとっておりますので、十分伝わっていると考えております。 ○(松下行吉委員長) ちょっとお聞きしますけれども、この県が策定した保全計画については、国への報告でしょうか、それとも国からの承認とか、そういう手続のあるものなんでしょうか。  まずは計画の位置づけが必要かと思いますので、後ほど報告していただいたらと思います。よろしくお願いいたします。 ○(菊池伸英委員) では、次なんですけれども、重点課題という形で、17ページに漁港ストックの最大限の活用と漁村のにぎわいの創出とありますけれども、他県での成功事例というのはあるんですか。 ○(漁港課長) 漁港ストック有効活用についての他県での成功事例ですが、17ページの右下に、漁港区域内での静穏水域スペースを増養殖場に活用している写真を載せております。この写真は、北海道の漁港におきまして、漁港におりました大型漁船を他の漁港に移しまして、小型漁船のみとして、小型漁船であれば水深は浅くて済むということで、その水域の中で、ナマコを養殖しておるという事例でございます。小型漁船はワカメ等の漁業に使われるもので、ナマコ等を養殖しておっても漁業活動には特段支障はないということで、有効活用されているという事例でございます。  また、左側の漁港のバリアフリー化の写真につきましては、漁船への乗りおりを高齢者や女性等がスムーズにできるよう、浮体式のポンツーンを岸壁の前に置きまして、漁業活動に活用されているという事例でございます。この事例につきましては、愛媛県でも干満差の大きい地域等におきまして、ポンツーンを整備して実施しておりますが、今後もさらにふやしていきたいと考えているところでございます。 ○(菊池伸英委員) よくわかりました。  他県のことはわかったんですけれども、では、愛媛県で具体的にどこをどういうふうにして、にぎわいの創出のモデル港にしようと考えているのか、わかったら教えてください。 ○(漁港課長) 現在まで、にぎわいの拠点となるようなモデル港は、私の記憶で2カ所ございます。  1カ所は、今治市の宮窪漁港におきまして、港内でニジマス等を養殖して、漁協が運営する食堂でそれを提供しているという事例でございます。あとは先ほど申し上げましたが、同じく今治市の大浜漁港におきまして、遊漁船等を水域を利用して停泊させ、さらに陸側には駐車場や漁協女性部が運営しております潮里という海産物直販所等を整備して、地域のにぎわいの創出施設となっているという事例がございます。 ○(松下行吉委員長) そのほかございませんでしょうか。 ○(森高康行委員) 22ページのグラフを見たときに、これはもうお金が入っていない、衰退しておる産業ではないかという危惧を持つわけですけれども、委員長、愛媛県における漁業者及び漁船の数の推移みたいなものの資料を、ぜひ提供してもらえたらと思うんですが。 ○(松下行吉委員長) 中川課長、どうでしょうか。 ○(漁港課長) 今回御説明しました資料の2ページには、漁船数の推移しかございませんので、漁業者の推移等についての資料を御提供させていただきます。 ○(松下行吉委員長) 森高委員、よろしいですか。 ○(森高康行委員) わかりました。  投資額を見たら、恐らく激減しておる現状ではないかと思いますし、私の地元でも、漁家でもうけておる人は余りおらぬなというのを正直感じるんです。将来どうするつもりなのかというのが長期計画でしょうけれども、災害が来るから金を入れる、しかし、施設が完成したころに人がおらぬということになったときに、何をしよったんかというような批判も受けるわけですが、そこらあたりはどうなんでしょうか。愛媛県において、漁業者の推移をどうしようとしているのかということが問われてきているんではないかという気がしますが、お答えはありますか。 ○(水産局長) 愛媛県の今後の水産業のあり方という御質問かと思いますが、水産業は確かに就業者数が減ってきておりますけれども、本県の特に南予地域にとっては、主要な産業の一つであると認識しております。  そういう中で、愛顔のえひめ水産振興プランというものを立てまして、現状で900億円ぐらいの生産額がございますが、この生産額を維持していこうということで、現在取り組んでおるところでございまして、そのためには当然基盤整備も必要でございますので、これまでのように事業費はかけられませんけれども、今の施設の長寿命化を図って、今後も水産振興に取り組んでいきたいと考えております。 ○(森高康行委員) そういう答弁になるとは思っていたんですが、この間、静岡県の焼津さかなセンターに委員会で視察に行かせてもらいました。私は興味があって、道の駅をいろいろと自分なりに研究しておるんですけれども、やはり道の駅の経営なんかと圧倒的に感覚が違うというのを肌で感じました。  だから、人を寄せる、金を落とすという発想をもっと、中村知事の言う実需の創出みたいなところがスマだったりするのかなという感じがしますけれども、そこらあたり、営業本部にお答えいただきたいと思います。 ○(営業副本部長) 水産物につきましては、営業本部が取り組んでおります成約実績についても、昨年度分で全体の35%、今年度も上半期分で30%、特に海外については占める割合が非常に大きい。そういう意味でも、本県の主要産品という位置づけに間違いないと思います。  国内、国外問わず、本県の水産物に対するお問い合わせは非常に多いので、県内で海外や県外から来られたお客さんに提供できる場所をどうやって確保するかといった課題もあろうかと思いますけれども、本県の営業においては主要産品という位置づけで我々は捉えております。 ○(森高康行委員) 最後に、スーパーなんかに行くと、ノルウエー産の魚が多いんですよね。養殖が成功した国の代表的な事例だということも聞いたことがありますし、そういう面ではやはりノルウエーの漁業なんかにも学びながら、私の地元でも、漁港を見たら、もう使われていない施設だらけなんですよ。あれを見ていたら、新しく漁業に入っていこうかというような若者が生まれぬのは当然で、やはり若者が入ってくるような産業として、ノルウエーのように投資したお金に十分見合うものになっていくんだみたいなところの発想も、養殖なんかで要るんじゃないかと思いますが、何か報告できることがあるなら、ぜひ聞かせてください。 ○(水産局長) ノルウエーの養殖に関しましては、我々も関心を持っておりまして、実は、いろいろと研究もさせていただいております。ただノルウエーの場合、養殖といいましてもサーモン、単一魚種というところでございまして、単一魚種について国が全面的にバックアップして、特に輸出に力を入れているという状況でございます。  それと比較しますと、日本の場合は、養殖に関しましても魚種が多様で、それぞれの養殖業者が独自の工夫をしてやられている。そういったところが逆に強みになっているところもございまして、ノルウエーのやり方をそのまま取り込んでくることはなかなか難しいかと思っております。ただし、いいところは取り込むような形で、今後、考えていきたいと思っております。 ○(漁港課長) 先ほど森高委員から御質問がありました漁業就業者数のデータでございますが、本県の漁港背後集落におけます現状把握のための実態調査を実施した結果、平成28年度の漁業就業者数は約6,900人でございまして、平成17年度の55%に減少しておるという現状でございます。また、全国では、平成28年度の漁業就業者数は約16万人で、同じく平成17年度の72%と、本県の方が減少率はちょっと高いという状況でございます。  漁港における属地陸揚げ金額は、資料の2ページにお示しいたしておりますが、平成15年が約610億円、平成28年が約582億円で対15年比95%と、漁業者の減少に対して、漁港における属地陸揚げ金額はそう変化していないというのをお知りおきいただきたいと思います。 ○(松下行吉委員長) 森高委員、よろしいでしょうか。 ○(森高康行委員) はい。
    ○(松下行吉委員長) そのほかございませんでしょうか。 ○(徳永繁樹委員) きょうの議題に関連すると思って質問させてもらいたいんですけれども、海岸整備というふうな拡大解釈の中で、津波対策としては陸閘があると思うんですよね。きょうの資料にはお示しをされておりませんけれども、地域住民の間では陸閘の管理ということに非常に関心が高いと認識しております。愛媛県の中でどれぐらいの陸閘を管理なさっていて、例えば角落としがどれぐらいあるとか、鉄製のゲートがどれぐらいあって、もう完全に閉めてしまっているものもあると思うんですけれども、このあたりの基本的なことについてちょっとお示しをいただきたいんですけれども。 ○(漁港課長) 県全体では、土木部所管とか、ほかの所管がありますので、その辺のデータについては御容赦願いたいんですが、漁港海岸保全施設の水門等の施設数は1,288基でございます。このうち水門は21基、樋門は11基、お尋ねの陸閘につきましては644基、さらに角落としにつきましては612基でございます。  県管理の本浦漁港におきましては、保有施設の管理を漁港海岸陸閘等管理要綱に基づいて、地元自治会と委託契約を締結しまして、安全で適切な操作に努めております。県内の市町では、八幡浜市が操作規則等を策定しておりまして、他の市町におきましても、引き続き操作規則等を策定する予定と聞いております。今後とも効率的、効果的な管理運営体制の構築等につきまして、助言、指導を行ってまいりたいと考えております。  材質につきましては、陸閘は鋼製にしておりますが、角落としは木製になっておりますので、今後、木製の角落としを鋼製に変えていくとか、利用しなくなったところについて閉塞するとかについては、海岸保全事業の中で検討してまいりたいと考えております。 ○(徳永繁樹委員) ありがとうございました。  東日本大震災では、陸閘そのものが倒壊や流出、そして停電によって遠隔操作ができない、閉鎖作業に当たった消防団員が作業に手間取って殉職をした等々で、先ほど中川課長に御答弁していただいたように、八幡浜市においては運用マニュアルをつくっているということなんですけれども、地域に分け入って伺いますと、操作の委託をしているけれども、委託を受けている方が御高齢で、ほとんど機能していないとは言いませんが、これからはなかなかそれができないんではなかろうかという声があるように思うんですよね。  きょうは農林水産部でありますけれども、県として、恐らく部局を横断して検討していくテーマだと思いますので、今後はどういうふうにしていこうと認識されているのかということをお示しいただきたいんですけれども。 ○(漁港課長) 東日本大震災では、地震のすぐ後に消防団員が陸閘を閉めに行って、多くの方が亡くなられたと伺っております。国の方から、消防団員等が危険の中で閉めに行かなくてもいいような方策を検討するようにという話が出ている中で、今後、陸閘、水門等について自動化を図れないかというような話も出ております。県におきましても、大規模な陸閘等につきましては、今後の所管を横断した協議の中で、そういうことも含めて検討してまいりたいと考えております。 ○(徳永繁樹委員) ありがとうございます。  30年以内というか、来てほしくはないんですけれども、東南海・南海地震がやってくる。それによって津波が発生する、高潮も出てくるというようなことで、今、中川課長がおっしゃったようなお話を、部局を横断して協議してもらって、チーム愛媛の中で、例えば松山のここの陸閘だったらどういうふうにするということを個別具体的に運用マニュアルを策定して、地域住民の中に落とし込んで、命を守るという観点でやっていただきたいなと思って、要望させていただきたいと思います。 ○(松下行吉委員長) 要望ということでお願いします。  ここで休憩に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。             〔「はい」と呼ぶ者あり〕 ○(松下行吉委員長) では、11時再開といたします。               午前10時50分 休憩            ――――――――――――――                午前11時 再開 ○(松下行吉委員長) 再開いたします。質疑を続けます。  委員の皆さん、質問はありませんか。 ○(村上要委員) 説明をお聞きしまして、私の感想を言えば、ちょっと気が遠くなるかなというような、そんな感じがするんです。20年間で耐震化、長寿命化に取り組んでいくということで、取りかかっているところが重点整備海岸30海岸のうち8海岸あるんですが、開始から5年間で事業費がどれぐらい要ると農林水産部では想定されているのか。前のこの委員会で森高委員の方から、農林水産部の予算がうんと減っておるんではないかという指摘があって、いただいた資料でも、決算ベースでいえば相当減っておるんですよね。そういう状況の中で、いかに整備していくのか。  例えば生名橋をつくったときに、1.5車線化というような知恵を絞ったりして、防災力が落ちたらいかぬのですけれども、何か知恵を絞らんかったらできないのではないかと思ったりするんですが、必要なものはやるという前提の中で、予算とそういった取り組みについての県の基本的な考え方をお聞きできたらと思うんですけれども。 ○(漁港課長) 地震・津波対策を進めていく上で、やはりおっしゃられるとおり、今後、非常に多くの予算が必要になってくるだろうと思われます。しかしながら、御存じのとおり、限られた財源で事業を進めていく上で、県としては、やはり効率化・重点化を図ってまいりたいと考えているところでございます。  特に、漁港施設につきましては、流通・生産・防災等の拠点となる漁港等に対して震災対策を進める、海岸施設につきましては、背後地に重要施設等がありますところを選定して進めていく、そこからまず始めていくというような形で進めていくこととしております。 ○(村上要委員) 抽象的決意で、スローガン的に言えばわかるんですけれども、先ほど私が申し上げたように、やはり限られた予算の中でどうしていくのかということと、この委員会でも可決した漁業信用基金協会の合併の問題で、欠損金の解消のために払い戻し請求権を放棄するということでやりましたが、漁業者はそれぞれの生活圏の中で漁業活動をやっておられるわけですから、一概に我々がどうこうと言えないわけですけれども、一方で、漁協の合併の問題があったりします。近隣漁港の中で、これは漁業者の声じゃなく市民の感想ですが、そこらあたりを一体的に機能させるような方策、先ほど徳永委員からもありましたが、既存施設有効利用ということも含めて、やはり何かそういう知恵を絞っていかなければならない。7月豪雨災害で原形復旧、改良復旧、再編復旧ということであったんですが、漁港についてもやはりそういう視点がなければ、予算との関係もできにくいんじゃないかなと、そんな思いがしますので、今の段階では、この委員会でそのことが焦点ではないわけですから、全てをお聞きしてお答えいただけることはできないと思いますけれども、こういう状況の中での県の決意というものを示していただけたらと思うので、もう少し踏み込んでお答えいただけますか。 ○(水産局長) 県内の漁港数は全国3位の195港ということで多いんですが、昭和25年から利用漁船20隻以上ということで指定してきたんですけれども、それを切っている、20隻未満になっている港も出てきています。  もう一つ、国の機能保全事業の採択要件が利用漁船50隻以上ということなんですけれども、それに乗っかっていないところもあります。乗っかっていないところは、結局事業ができないと、少なくとも国のお金をいただいての事業はできないというようなこともございます。  そういった中で、今後の話として、いろいろ条件はあるんですが、漁港の統合ということも考えていかないといけないと思います。ただ実際問題として、長い海岸線の津々浦々に漁港があり、それぞれのところに漁業者の方々がお住まいになっているという実態もございますので、そのあたりとの兼ねあいを考えていかなければいけないと思っております。 ○(松下行吉委員長) そのほか。 ○(漁港課長) 先ほど委員長から御質問がありました海岸保全基本計画の策定に関する基本的な話としまして、国の示す海岸の方針と県の基本計画との関係について、ちょっと御説明したいと思います。  海岸法では、国がまず定めるべき基本的な事項を示すという形をとります。主幹となる基本方針が示されるわけなんですけれども、それに対して各県が計画を策定してまいります。  これまでは、従前の方針に基づきまして、計画の整備を進めてきたわけなんですけれども、平成23年の東日本大震災を契機に、南海トラフ地震に備えた地震・津波対策に関する方針について位置づける必要が生じたと。国からの方針も東日本大震災の後で示されたということで、それを受けて、県もそれについて考えて、計画をつくったということでございます。  学識経験者等で構成する愛媛県海岸保全基本計画検討委員会というものをつくりまして、委員会での意見を踏まえ、関係市町と調整を図った上で、改正計画を策定し、公表しておるという経緯になります。  国に対しては、法律で決まっておりますが報告です。また、事業等につきましては、その計画の中でこういうふうな方向でやっていくという海岸につきまして、各事業を年度ごとに国に要望して、実施していくという形になってございます。 ○(松下行吉委員長) 菊池委員、県の主体性があるということで、御理解いただけたでしょうか。 ○(菊池伸英委員) わかりました。 ○(松下行吉委員長) それでは、せっかくの機会でございますので、所管事項も含めて質問はございませんでしょうか。 ○(菊池伸英委員) 議題の関連なんですけれども、2ページの水産業の概要で、生産量が出ているんですけれども、漁船漁業の生産量は全国12位、生産額は全国10位ということですが、養殖業の生産量と生産額はそれぞれ7位と1位なんですよね。この漁船漁業の順位を上げるために、僕はいろんなことを自分なりに調べていますが、稚魚を今どんどんとり過ぎていることに、ちょっと問題があるんじゃないかというようなことも聞くんですけれども、そのことに関して、わかる範囲で教えていただければと思うんですけれども。 ○(水産課長) 委員御指摘のように、瀬戸内海の場合、小型の機船底引き網漁業であるとか、船引き網漁業、いわゆるパッチ網漁でチリメンをとる、そういった漁船漁業が盛んです。そういったものについては、選択して魚をとれないという事情がありまして、どうしても小さい魚が入ってしまう。そこら辺については、非常に問題があると。  後になれば当然大きくなって、価値のある魚がたくさんとれるという状況ではあるんですけれども、チリメンであるとか、そういった小さい魚を食べる食文化も瀬戸内海には古くからあります。わざわざ小さい魚をとっているわけではないですけれども、とれた魚を有効に食べる文化がもともと瀬戸内海にあって、いまだに小さい魚に対する需要もあるということですが、資源が減って、漁獲量も減ってきている現状でありますので、魚をふやすために、水産分野では稚魚の放流をかなり昔から行っていますし、最近はそういったものを守るために、資源管理や資源回復のための取り組みを漁業者みずからがやっております。  また、一部の魚種ですけれども、小さい魚をとらないという取り組みも今始まっておりますので、それがいろんな魚種、漁船漁業全体に広がるように、県として普及・啓発を行っているという状況です。  そういったソフト面もですけれども、稚魚を守るための増殖場であるとか、そういったハード整備も含めて、稚魚が守り育てられるような環境整備を同時に進めている状況です。 ○(菊池伸英委員) ちょっと答えにくい質問なんですけれども、これ、そちらからいただいた愛媛の旬の魚という資料を持ってきたんですが、僕は松山出身で地域の漁師さんとかに話を聞くと、実際のところ、稚魚をとるために、佐田岬から瀬戸内海の内側に魚がなかなか来ないので、こういった魚がとりにくくなってきていると。原因はというと、今みたいな形で稚魚をどんどんとることによって大きな魚が出ない。稚魚をとることについて、漁師さんにそれを指導しても、今までの歴史や文化があって、それを食べていた瀬戸内海の風土があるから難しいというと、漁船漁業の順位はなかなか上がりづらいですよね。  全国豊かな海づくり大会で天皇陛下が来県されたときに、「県の魚 まだひの稚魚を人々と 共に放しぬ伊予の海辺に」というのでマダイの稚魚まで放流して、豊かな海を守らなくちゃいけないとやっているのに、ちょっと矛盾しておるというか、難しいなと。真剣に行政の方も考えなくちゃいけない時期が来ているんじゃないかなと思うんですけれども、なかなか答えづらいですよね。 ○(水産課長) いろいろお察しいただいてありがとうございます。  ただこれは、もう長い歴史をかけて、稚魚の放流をやってまいりました。マダイを御紹介いただきましたけれども、マダイだけではなくて、ヒラメであるとか、サワラであるとか、トラフグであるとか。特に資源が減って、漁獲量が極端に減っているものについては、愛媛県だけではなくて、周辺県や全国規模で何とかふやそうということで、稚魚の放流を行い、資源の管理も行って、将来の漁獲量をふやす努力を、行政と漁業者が一体になって今進めているところでございます。  全ての魚種をふやすというのはなかなか難しいところがありますので、値打ちがあると言うと語弊がありますが、高価格で流通されるような価値のあるマダイであるとか、ヒラメであるとか、キジハタであるとか、サワラであるとか、そういった魚を中心に今のところ進めている状況でございまして、すぐに資源がふえて漁獲量が回復するということはなかなか難しいかもしれませんけれども、ここは普及・啓蒙を続けまして、ふえるんだという実感が得られれば、漁業者も一気に動くかなと思うので、そこは少し時間をいただきながら進めたいと思っています。 ○(菊池伸英委員) はい、わかりました。 ○(森高康行委員) 関連ですが、気候変動期であるがゆえに、魚が減ったという見方がある。瀬戸内海に橋をかけてから魚が減ったということを言う人もおる。それから、清水に魚棲まずで、浄化し過ぎて、し尿なんかから出るところのリンが瀬戸内海に入らぬようになったことで魚がとれぬのじゃというような説も聞くし、もう一つは中国が入り口で根こそぎとってしまうからイリコなんかがとれぬということも聞きます。いろんな俗説はあるんですけれども、どんなことが影響しとるというのが今の通説ですかね。 ○(水産課長) 一概には言えないと考えています。  委員御指摘のように、少し環境が変わってきているんじゃないかというお話も確かにありますが、水温でいえば、そんなに極端に上がっているわけではございませんで、瀬戸内海、宇和海のいずれも、ここ50年で1℃も上がるような状況ではない。ただ昔に比べると、いろんな南の魚が入ってきたなということで、やはり海も暖かくなってきたんだなという実感を漁業者は持たれておりますが、それが影響して魚が減ったかどうかというところは、なかなか難しい問題でして、結論には至っていないのかなと思います。  海の豊かさで申しますと、かつて瀬戸内海は豊穣の海と言われる豊かな海でしたけれども、最近では魚も減っておりまして、干潟でいえばアサリも随分少なくなっていますし、エビやカニも随分減ったということで、瀬戸内海でいえば、栄養塩が減ったんだろうというのが大きな理由として上げられていて、その対策はいろいろお話が上がっていますけれども、かつてのように汚くしようということを言える状況でもありませんし、ちょっと漠然とではありますけれども、何とか豊かさが戻るような方策を検討していかないといけないのかなというふうに思っています。  ただ海域の栄養塩をふやすということは、逆に赤潮が発生する可能性もあるので、そこら辺のバランスを考えながら、豊かさを求めていきたいと考えております。 ○(森高康行委員) ありがとうございました。 ○(徳永繁樹委員) 今のお二方の委員の質問に関連なんですけれども、育てるということともに、管理の視点がなければならないと思っています。  先般、陸上での鳥獣害対策を御説明いただいて、4億3,000万円ほどの被害額が出ているということなんですけれども、海においてもカワウというんですか、ウの問題があると思うんですね。小部漁協とかいろんなところで話をすると、なかなか駆除しにくいんだと。一昨年あたりから熱心に取り組んでいただいていると思うんですけれども、このあたりの被害額というのが出るのかどうなのかということとともに、その対策の取り組み状況についてお聞かせいただきたいんですけれども。 ○(水産課長) カワウに関しましては、近年目立ってふえてきまして、特に内水面の方では、6月1日の解禁に向けたアユの放流直後に大量飛来して、放流したアユをぱくぱく食べるということで、被害が大きいと言われています。いろいろ調べてみますと、各地にねぐらがあったり、移動も激しく、夏場は川で川魚を食べていますけれども、冬場になると川魚が少なくなるので、海に行って海のものを食べるというようなことで、県内にずっと居座っている状況です。  被害額について、内水面につきましては、放流した稚アユがどのくらい食べられているかというちょっとした調査を内水面漁協が行いまして、600万円程度の数字が出ています。  ただ海面の方は、いろいろお話を聞くと、食べている実態はあるんだけれども、天然の魚を食べているケース、例えば今時分だとコノシロとか、そういうものを食べているらしいんですけれども、それはカワウにとっては生きていく上での営みで、漁業被害としてはちょっと拾いにくい面がありまして、今のところ海における漁業被害の数字は上げられていません。  今後の調査にもよりますが、放流した稚魚が食べられているとか、中間育成中の稚魚が食べられているとか、そういった人がかかわっている部分の被害が直接数字としてとれるんであれば、拾ってみる必要があると思いますけれども、カワウが天然の魚をとる分については、漁業被害としての把握はなかなか難しい面があると思います。 ○(徳永繁樹委員) 海の資源が枯渇に向かっているという課題は、お二方の委員の質問からもありましたように、やはりみんなが認識していることですので、いろんなものを駆使しながら育てて、適正に管理をする、そして先ほどは食物連鎖の一環のように私には聞こえましたけれども、被害額を抑えるという観点においても、さまざまな取り組みを加速してもらいたいと要望しておきたいと思います。  それともう一点、7月豪雨の後で、前原課長にもお世話になって、流木の現地調査をさせていただきました。国の制度としては、漂着物については制度があるが、漂流物についてはない。漂着物も1,000m3以上だったら予算化ができるということで、それを受けて、私どもも国に向けて、制度化してくださいねという話を何度もしに行っています。  きょうはそれではなくて、また一つ問題があるのは、海洋プラスチックごみの話です。12月から3月ぐらいまで、県にも財政的に支援していただきながら、それぞれの漁業組合にごみをとってきてよと。とってきたら、そこに幾らかのお金を上げますよというような形でやっているんですけれども、とってもとってもごみはいっぱいあるわけです。このあたり、海洋プラスチックごみの処理について、県としては基本的にどういうふうに考えておられるのか。これは環境の問題ともリンクすると思うんですけれども、海をなりわいとしている方々にとっても非常に大きな問題の一つになりつつありますので、このあたりの考え方をお示しいただきたいんですけれども。 ○(水産課長) 漁場環境については、適切に保全されていることが重要ということで、漂着したごみについては、そこの海岸管理者にとっていただいたりしていますけれども、漂流あるいは海底に沈んでいるごみについては、水産課所管の漁場環境保全事業というのがありまして、漂流しているプラスチックごみ向けにというわけではないですけれども、漁業者が操業中にごみを集めるためのごみ袋を補助し、それに詰め込んだごみの処理は市町にお任せしております。  委員がおっしゃるように、とってもとっても切りがないというところは確かにあるんですけれども、それを一気に解決できるという手だてもないので、今のところ水産課としては、そういった操業中に収集できたごみを持ち帰って、市町に処理してもらいましょうというようなことで、事業を組み立てさせていただいております。大量なもの、あるいは国際的に対処が必要なものについては、うちの方で対応できる事業はないのが現状です。環境部局と協議しながら進めてまいりたいと思います。 ○(徳永繁樹委員) おっしゃるとおりなんだろうなと思いますが、漁業者の負担になっていることは事実なんですよね。予算として50万円を補助していただいていて、大変ありがたいんですけれども、基礎自治体としてはそれではとてもやっていけない状況だということも、公の場で改めて意見表明をしておきたいと思いますし、前原課長からもお話がありましたように、鳥獣害対策でも農林水産部ばかりではなくて、いろんな部局と連携して取り組んでいただいていますので、このあたり環境の問題ということも捉えていただきながら、部局横断的に全庁を挙げて取り組んでいただきますようにお願いしておきたいと思います。 ○(松下行吉委員長) 要望ということでよろしくお願いいたします。  そのほかございませんでしょうか。 ○(塩出崇委員) なかなか厳しい水産業の姿というのが議論されておりまして、若干沈んだ気持ちになっておりますけれども、先ほど営業本部の方から、成約額の30%から35%という率が示されました。そういうふうな形で、現在の水産物の成約状況、また、明るい見通し等がありましたら、お示し願えたらと思います。 ○(営業副本部長) 確定値で御報告できるのは平成29年度分ですけれども、成約額113億円のうちの水産物は約38億円ということで、35%に近い割合になっております。これまで水産局も一緒になって取り組んできた愛育フィッシュのプロモーションの成果もあって、国内、それから国外も含めて、本県の水産物に対する期待は非常に大きいものがあります。  先ほど申し上げたように、今後とも本県の営業本部の活動にとりまして、水産物は主力の商品になるということで取り組みも深めておりまして、先般、発表がありましたように、例えばチョコブリとか循環フィッシュといったような環境に配慮した取り組みでありますとか、品質を高めるような取り組みを進めておりますので、そうしたこれまでに培ってきたノウハウとか技術も駆使しながら、ますます本県の水産物が高値で取引されて、漁家の皆さんの手元にお金が残るような形に持っていきたいと考えております。 ○(塩出崇委員) 成約額は順調に伸びておるんですか。 ○(営業副本部長) 成約額は年々増加傾向にありまして、特に、海外に向けた輸出の関係がふえている傾向です。今後も期待されると思います。 ○(塩出崇委員) 要望ですけれども、先ほど申しましたように、どうも沈んだ気持ちになるような水産業ですけれども、ぜひとも海外への販路開拓等を積極的に進めていただけたらと思っております。 ○(松下行吉委員長) そのほかございませんでしょうか。 ○(森高康行委員) 本県出身の片男波親方のまな弟子である玉鷲関が大相撲の初場所で優勝したということで、何か送ってやろう思って甘平を送ったら、大変おいしいというメールがきょう返ってきておりました。  柑橘の方は豪雨災害もあって心配されることもありましたが、どんな状況なのか、相場なども含めて報告していただきたいと思いますが。 ○(農産園芸課長) 今年度の柑橘の販売状況でございますが、温州ミカンにつきましては、12月10日時点での生産予想量は昨年比99%となっております。果実の肥大は平年並みでございまして、7月の豪雨と9月の秋雨や台風以外は、天候が比較的乾燥傾向であったことから、糖度が高くて酸が低い、非常においしい果実に仕上がっているところでございます。  温州ミカンの品種別の販売状況につきましては、京浜市場における累計平均価格がございまして、極わせが11月下旬までで前年比111%、わせ温州が1月中旬までで前年比100%、普通温州が同じく1月中旬までで前年比91%という状況となっております。  中晩柑類につきましては、紅まどんなが11月17日から販売を開始しておりまして、こちらは着色がちょっと早く、温州ミカンと同じく酸抜けのよい、味のよい果実になっております。全市場における12月下旬までの累計平均価格は前年比94%で、752円という状況になっております。生産予想量は、全農えひめによりますと、前年比107%という見込みとなっております。  伊予カンも同じく味のいい果実ということでございますが、12月上旬の若干の高温と降雨等の影響で果皮障害が少し見られておりまして、京浜市場における1月中旬までの累計平均価格は前年比89%という状況でございます。  先ほどのお話にありました甘平につきましては、昨年、非常に着果量が多かったこともございまして、若干隔年結果の傾向になっております。あわせて9月の降雨で裂果が多かったことから、全農えひめによる生産見込み量は前年比92%と、昨年より少ない見込みとなっています。  また、ブランド産品の愛媛Queenスプラッシュにつきましては、甘平の生産量が減少するという中ではございますが、ことしは非常に着色が良好で、外観も比較的よいということと、昨年見られましたような低温による障害が今のところないことから、出荷量は昨年よりも若干ふえるのではないかと予想しているところでございます。 ○(森高康行委員) はい、わかりました。 ○(松下行吉委員長) そのほかにございませんでしょうか。             〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ○(松下行吉委員長) それでは、質問もないようですので、質疑を終了いたします。  以上をもちまして、農林水産委員会を閉会いたします。               午前11時37分 閉会...