愛媛県議会 2018-10-23
平成30年農林水産委員会(10月23日)
〇
欠席委員[0人]
〇その他の出席者[0人]
〇
出席理事者[20人]
農林水産部長 田所 竜二
営業本部長 八十島 一幸
農政企画局長 大北 秀
農業振興局長 道菅 稔
農業振興局技術監 菊池 洋之
森林局長 佐々木 秀和
水産局長 馬越 史朗
農政課長 鶴村 幸弘
営業本部マネージャー 矢野 悌二
農地・
担い手対策室長 久保田 誠
農業経済課長 藤井 大輔
ブランド戦略課長 高岡 哲也
農地整備課長 小崎 勝次
農産園芸課長 山本 浩二
畜産課長 佐伯 拡三
林業政策課長 西浦 政隆
森林整備課長 尾花 充彦
漁政課長 芳我 保男
水産課長 前原 務
漁港課長 中川 新六
午前9時59分 開会
○(
松下行吉委員長) ただいまから、
農林水産委員会を開会いたします。
なお、
八木営業副本部長は都合により欠席する旨の連絡がありましたので、お知らせします。
これより議事に入ります。
本日の
会議録署名者に
森高康行委員、
菊池伸英委員を指名いたします。
本日の議題は、林業の
成長産業化についてであります。
議題について、理事者の説明を求めます。
○(
森林整備課長) それでは、お手元の資料に基づきまして説明いたします。
1ページを御覧ください。
本県の森林・林業・
木材産業の現状と課題について説明いたします。
森林は、
木材生産のみならず、
土砂災害防止や
水源涵養のほか、
二酸化炭素の吸収、
野生動植物の生息、大気の浄化、さらには保健・文化の場として、私たちが安全・安心で快適な暮らしを営む上で欠かせない
多面的機能を有しております。
また、林業は、
森林保全に重要な役割を果たしており、県内の
森林資源が充実する中、今後とも資源の
循環利用による林業の
成長産業化を促進し、
山村振興と森林の
多面的機能の高度発揮に貢献していくことが重要な課題となっております。
下段のグラフを御覧ください。
昨年3月の愛媛県政に関する世論調査の結果でございます。
県民の森林に期待する働きについて尋ねましたところ、山崩れなどの
災害防止が52.9%と最も高く、以下、
二酸化炭素吸収による
地球温暖化防止、洪水緩和や水資源を蓄える
水源涵養、住宅などの原材料となる
木材生産の順となっており、いずれも私たちの生活に密着した働きに期待していることがわかります。
2ページを御覧ください。
本県の
県土面積は56万8,000ha、
森林面積は40万1,000haであり、
県土面積の約7割を森林が占めております。また、国有林を除く民有林36万haのうち人工林は61%となっており、全国平均の46%を大きく上回っておりますのが特徴で、
樹種別面積は杉とヒノキが半分半分となっております。
下段の表を御覧ください。
本県の森林・林業・
木材産業の地位をまとめたものでございます。
先ほど説明いたしました民有林の
人工林面積は全国で10位、民有林の
人工林率は全国8位となっております。
素材生産量は60万6,000m3で全国10位ですが、ヒノキの
素材生産量については24万m3で全国1位の生産量を誇っております。また、
製材品出荷量は51万m3で全国5位となるなど、本県は
全国有数の林業県であり、なおかつ林産県であるということがわかります。
3ページを御覧ください。
これは、本県の民有林のうち人工林の
林齢別面積を
棒グラフであらわしたものでございます。
本県では、昭和30年代に盛んに植林され、その後、急激に減少した結果、56年から60年生の人工林の面積が最も多くなっておりまして全体の約2割を占めているなど、林齢の構成に大きな偏りが見られます。
また、本県では、51年生以上の主伐可能な杉、
ヒノキ林分が人工林の63%を占めるなど、資源が充実しております。特に将来的に
循環利用が可能な森林では、主伐による効率的な
木材生産を行うとともに、植林や育林の確実な実施により森林の若返りと
林齢構成の平準化を進め、持続可能な
森林経営を目指していくことが重要となっております。
下の図は、林業の主な施業を示しております。
主伐をした後、苗木を植栽いたします。その後、5年程度は植栽木に日光が当たるよう、雑草を刈り払う下刈りを行います。さらに、形質の悪い木や侵入した雑木を取り除く除伐を実施いたしまして、成長に応じて密度を調整する間伐を実施した後、また主伐による収穫を行います。植えてから主伐を行うまで数十年の長い歳月をかけて行われるのも林業の特徴でございます。
4ページを御覧ください。
上段の
折れ線グラフは、原木市場における杉、ヒノキの
木材価格の推移を示しております。
平成5年度のヒノキ1m3当たりの価格は4万241円、同様に杉は2万1,287円でしたが、その後、下落の一途をたどり、平成29年度にはヒノキは半分以下の1万4,845円、杉は約半分の1万731円となっております。
下段の
棒グラフは、県内の
素材生産量を示したものでございます。
昭和45年には87万3,000m3の
素材生産量があり、特徴といたしまして、松の生産量が多く、杉、ヒノキは全体の47%となっております。その後、
木材価格の下落とともに
素材生産量も減少し、平成14年には45万3,000m3まで減っておりますが、森林が成熟するに伴いまして、
搬出間伐が盛んとなり、さらに平成26年度からは主伐を計画的に推進する
林業躍進プロジェクトに取り組んだ結果、
素材生産量は増加し、平成29年には60万6,000m3となっております。
5ページを御覧ください。
林業の
成長産業化のイメージといたしましては、主伐や
搬出間伐を推進することで原木の増産を図り、
木材産業では原木をさまざまな
木材製品に加工しまして国内外の消費者への販売を促進し、その販売収益が林業者に還元されることで林業者の所得向上や雇用が確保され、ひいては山村地域が活性化することにあります。
また、産業としての林業の振興を図ることにより、森林の若返りや間伐など、
森林整備が適切に行われることになり、健全な森林が増加することで森林の持つ
多面的機能が高度に発揮されることになります。
6ページを御覧ください。
上段の
棒グラフは、30年前からの
森林資源の蓄積量の推移をあらわしたものでございます。
昭和62年には4,100万m3であったものが、平成29年には8,500万m3にもなっており、この30年間で2倍になっております。本県の
素材生産量は年間約60万m3であるのに対し、本県の森林は毎年約90万m3増加しており、1年間に純増する成長量にも満たない量しか利用されていないという現状でございます。
下の図を御覧ください。
森林資源は、化石燃料と違いまして、私たちの身近にある
循環利用が可能な、しかも環境に優しい資源でございます。「伐って、使って、植えて、育てて、また伐って」という
サイクルをバランスを保ちながら構築していくことが重要でございまして、林業の
成長産業化の鍵であると考えております。
7ページを御覧ください。
これから先ほどの伐って、使って、植えて、育てて、また伐ってという
サイクルについて、課題や
取り組みを紹介いたします。
まず、伐ってについて説明いたします。
これは木材の生産、収穫に当たります。課題といたしましては、
木材生産コストの削減と担い手の確保・育成でございます。
まず、主伐の推進ですが、林分全体を一度に伐採する主伐と間伐の生産性について、(1)を御覧ください。
主伐の生産性は1日当たり7.14m3、間伐は同じく3.85m3で、主伐は間伐に比べて生産性がよく、少ない人数でより多くの木材が生産可能でございます。このため、県では平成26年度から
林業躍進プロジェクトによりまして主伐の段階的な導入を図るとともに、
森林資源の
循環利用に向け、再造林や下刈り、
獣害対策施設に対する県独自の
上乗せ支援を実施してまいりました。
グラフを御覧ください。
主伐面積については、毎年度120ha増を目標としておりましたが、
プロジェクト創設以降も
木材価格は下落を続け、それに伴い、主伐自体の採算性が悪化したことから、主伐が見送られるケースが相次いだことを受けまして、平成29年度からは
条件不利地における主伐を支援するなど、さらなる主伐の推進に取り組んでおり、目下、目標の80%で推移してございます。
8ページを御覧ください。
林業は、重たい木材を取り扱う産業でございます。
生産コストを削減するためには、機械化の推進が重要でございます。ここで、県内に導入されている主な
高性能林業機械について簡単に御紹介いたします。
左上から、比較的広範囲の木材を架線で集めるタワーヤーダ、近距離の木材を架線で集めるスイングヤーダ、立ち木を伐採し、枝払い、玉切りまで行うことができるハーベスタ、枝払い、玉切りをするプロセッサ、林道まで木材を効率的に運搬するフォワーダでございます。
下段のグラフは、県内の
高性能林業機械の導入状況を示したものでございます。
平成に入りまして、県内に第三
セクター方式の
林業会社が組織されたころから徐々にふえてまいりまして、平成21年度に国の
補助事業が拡充されて以降、
林業事業体でも多くの
高性能林業機械が導入されたことから、木材の生産性が大幅に向上しております。
9ページを御覧ください。
上段のグラフは、本県における
林業就業者の推移をあらわしたものでございます。
森林を適切に管理し、
森林資源を有効活用していくためには、林業の担い手の確保が重要でございますが、林業の就業者は平成29年度末で1,006人と、平成7年度の2,034人と比べまして約半数にまで減少しております。
このため、県では、若者の林業への
就業促進、担い手の育成・定着、新たな労働力の活用を3つの柱といたしまして、各種施策を推進しているところでございます。
具体的には、若者の林業への
就業促進といたしまして、県内の
農林業学科を持つ高校を対象に、より実践的な
林業体験研修の実施や、
林業就業希望者を対象とした県内での
就業ガイダンスの開催等を行っております。
また、担い手の育成・
定着対策といたしまして、
林業研究センターを核として、
新規就業者に対する
OJT研修や
林業機械操作、資格習得など、基礎から高度なものまで段階に応じた
技術者研修の実施、
林業就業者に対する防護服の購入や
研修費用等の助成を行っております。
また、新たな労働力の活用といたしまして、農家や女性、
シルバー人材など、潜在的な担い手を対象に
チェーンソー使用等の研修を開催し、農山村におけるワークシェアリングを推進するほか、
外国人技能実習生の活用に向けて、トライアル的にベトナムから5名の
短期実習生を招き、下刈りや間伐等の研修を実施することで、
受け入れ態勢の整備に努めているところでございます。
10ページを御覧ください。
続いて、使ってについて説明いたします。
ここでは、切った木をフル活用することを課題としております。そのイメージといたしまして、一番下にありますA材と呼ばれる通直な木材は製材品として、主に
住宅用部材に、下から2番目のB材と呼ばれる曲がり材や小径材は集成材やCLTとして、主に住宅の構造用材に、その上のC材と呼ばれる枝条や大曲がり材はチップに加工され、紙の原料や
バイオマス燃料として使用されています。
11ページを御覧ください。
公共施設や住宅への県産材の
利用推進について説明いたします。
本県では、
公共施設への
木材利用を通じて、人と環境に配慮した
施設づくりを推進するため、全国に先駆け、平成13年に
公共施設等木材利用推進方針を策定するとともに、副知事を会長として、
部局横断的組織であります
公共施設等木材利用推進連絡会議を立ち上げ、全庁的に
公共施設の木造化、木質化に取り組んでおります。
また、平成22年に施行された
公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づく方針を県と県内全市町で樹立いたしまして、積極的に木造化を推進した結果、平成13年から今年度までに県が建設または補助した
公共施設の
木造化実績は、木造化が可能な低層の
公共施設691施設のうち約97%に当たる669施設が木造で建設されています。
また、
一般住宅への県産材の利用を推進するため、県産材の普及啓発や一般県民からの
木造住宅に関する問い合わせに対応する木と暮らしの相談窓口を設置するとともに、県産材を使用して住宅を建設する場合の
柱材プレゼントや、住宅や店舗をリフォームする場合の支援など、施主の県産材利用の意欲を喚起し、
一般住宅における県産材の使用割合を高めているところでございます。
12ページを御覧ください。
県産材の
販路拡大の
取り組みについて説明いたします。
本県は、
全国有数の林産県ですが、その約6割が首都圏などの大消費地に向けて出荷されております。しかしながら、他産地との競争が激化しており、この競争に勝ち抜いていくためには、品質・性能のすぐれた製材品を安定的に供給していくことが不可欠でございます。
このため県では、品質・性能のすぐれた県産材の
ブランド化により国内への
販路拡大を図るため、平成24年度に
JAS規格を基本とする品質基準を定めまして、媛すぎ・媛ひのきと命名するとともに、安定供給、
品質管理、多様な製品をキーワードに、
首都圏等大都市を
ターゲットとしたさまざまな
営業活動に取り組んでいるところでございます。
具体的には、県内の
木材業界と連携した大手商社や、
住宅メーカーなどへの知事の
トップセールスや
マッチング商談会の開催、
建材関係展示会への出展など、精力的に
営業活動を展開しております。
また、国内の
木材需要は、人口減に伴う
住宅着工数の減少により、将来は縮小していくと予想されていることから、
海外販路の拡大など、新たな
販路拡大にも取り組んでおり、経済発展が著しい中国やヒノキへの関心が高い韓国、ベトナムなどを
ターゲットに、展示会への出展や
現地営業担当者の配置、有力企業への売り込みなど、人脈を生かしたきめ細かな
営業活動を展開しております。
特に、
ジャパンブランドといたしまして、高品質な
戸建て住宅が注目されております韓国では、昨年度建築いたしました県産
材モデルハウスをベースといたしまして、
木造軸組住宅をPRすることで、本県が得意とする杉、
ヒノキ構造材の
販路開拓を目指しているところでございます。
さらに、市場規模が大きく、住宅用の
杉フェンス材を中心に大口の受注が見込まれるアメリカでも
市場調査を行いまして、将来の
販路拡大につなげていくこととしております。
13ページを御覧ください。
新たな
木材需要の創出について説明いたします。
上段の図を御覧ください。
縦軸が建物の階層で、下から1階、2階、3階、4階、5階というふうに御覧ください。横軸が床面積となっております。そして、木造の面積を緑で、非木造の面積をオレンジであらわしております。
これによりますと、3階以下の建築物では住宅の8割が木造である一方、非住宅は圧倒的に鉄骨造になっており、4階以上の
中高層建築物に至っては木造は皆無という状況でございます。
今後は
住宅建築の減少が推測される中、さらなる
木材需要の拡大を図っていくためには、非
住宅建築物や
中高層建築物の木造化が鍵となっております。
こうした中、新たな木質建材として注目されている
直交集成板、いわゆるCLTは、これまで木材が使われてこなかった非住宅や
中高層建築物の木造化が可能になり、飛躍的な県産材の
需要拡大につながると期待しているところでございます。本県でも、ことし4月から
CLT生産工場が稼動し、県産CLTの供給が可能となったところでございます。
今後は設計や建築に携わる技術者の育成を図るとともに、
CLT建築物の建設や設計に対する支援により、CLTの
需要拡大を図っていくこととしています。
また、ことし1月から松山市において
木質バイオマス発電の
営業運転が開始されておりまして、これにより、採算が合わず林内に放置されていた低質材の新たな需要が創出されまして、
林業収入の下支えになるとともに、これに携わる
関連産業や雇用の創出にもつながると期待しているところでございます。
これらのさまざまな
取り組みにより、
循環利用サイクルの使ってを積極的に推進しているところでございます。
14ページを御覧ください。
続いて、植えてについて説明いたします。
ここでは、主伐後の確実な再造林の確保、植栽作業の効率化を課題としておりますが、低
コスト化に向けまして近年導入されつつある伐採と造林の
一貫作業システムについて説明いたします。
下の図を御覧ください。
通常の
作業方法といたしまして、木材を搬出した後、春になってからの作業といたしまして、地ごしらえと植栽を分けて行っておりましたが、
一貫作業システムでは、木材の伐採・搬出に使った機械をそのまま使いまして苗木の運搬を行うとともに、
コンテナ苗木という1年を通じていつでも植栽ができる苗木を導入することで、再造林に係るコストの縮減が可能となったもので、県内においても
一貫作業システムの普及を図っているところでございます。
15ページを御覧ください。
コンテナ苗木について説明いたします。
従来の苗木は裸苗と呼ばれ、水田や畑で育成されてまいりましたが、天候による影響が大きく、日照りが続くと枯れる苗も多くございました。根が四方によく張った苗木がよい苗とされまして、急な斜面では、くわによりまして大きな穴を掘って植栽する必要がありました。
一方、4年前から県内で生産が始まった
コンテナ苗木は、
プラスチック製の容器に入れられまして、
かん水設備のある施設にて育成されております。また、根鉢つきの苗木であるため、1年を通して植栽が可能であり、専用の器具で穴をあけるだけで植えつけができるため、特別な技術も必要とせず、現場においては労働力の大幅な軽減が図られております。
16ページを御覧ください。
続いて、育ててについて説明いたします。
課題といたしましては、
下刈り作業の省力化、
間伐作業の効率化、新たな
管理技術の導入や獣害の防止が挙げられます。
左上の写真を御覧ください。
これは、国の
育種センター内で育成されている5年生の杉の木でございます。
写真のように成長がよいと、下刈りは植栽後2年ほどで終了となります。今の品種は5年程度の下刈りが必要ですから、成長のよい
エリートツリーを植栽することで大幅な
下刈り費用の軽減が期待できます。県では、これらの苗木を普及するため、親木から種を取る採種園の造成に着手しておりまして、5年後の
苗木供給を目指しているところでございます。
下段を御覧ください。
国民の3割が罹患していると言われます花粉症は、社会的・経済的に大きな影響を及ぼしております。こうした中、県の
林業研究センターでは、県内で選抜された精英樹との
掛け合わせにより、成長や材質がすぐれた上に花粉を全く発生させない愛媛県オリジナルの無
花粉杉品種の開発に着手しております。
現在は、
DNA分析によりまして性能の確認試験を行っている段階で、6年後の実用化、品種登録を目指しており、将来的には、こうした品種の普及によりまして、
杉花粉症の軽減に寄与するものと考えております。
17ページを御覧ください。
間伐の推進について説明いたします。
間伐とは、森林における間引きのことでございまして、また、主伐までの間に木材を収穫するためにも行われます。従来は間伐する木も若く、
利用価値も低かったことから、切った木をそのままにしておく
切り捨て間伐が主流でしたが、木の高齢化により収益が見込まれるようになったため、
搬出間伐が行えるようになりました。
上段は、
切り捨て間伐と
搬出間伐の割合の推移をグラフにしたものです。
5年前の平成25年度まではおおむね半分半分だったものが、昨年度では3分の2の間伐材が搬出されるようになりました。また、収益のある
搬出間伐を進めるには、最初に
対象森林の集約化により施業面積を広げること、2番目に路網の整備を行い効率的な
搬出経路を確保すること、3番目に
高性能林業機械により効率よく木材の
伐採搬出を行うことが重要でございます。
18ページを御覧ください。
情報通信技術、いわゆるICTの技術を使った
森林管理について説明いたします。
今年度、愛媛県下全域において、航空機による林地の
レーザー計測が実施されます。
航空レーザー計測は、短期間で傾斜や路網等の詳細な地理、地形情報や
森林資源情報の把握が可能でございます。これらの情報を活用することで、
森林資源量や傾斜・標高・路網等の細かい条件を考慮した機能別の
森林区分を把握できるとともに、机上での詳細な
路網開設の検討や、
森林資源量の正確な予測が可能となり、
森林管理コストの大幅な縮減に期待が持たれております。
また、ド
ローン等による現地の詳細なデータと組み合わせることで、より正確な立木評価と生産性の高い伐採計画を立てることが可能となり、
森林所有者に主伐、再造林を提案し、山元に利益を還元できるような
仕組みづくりもあわせて進めているところでございます。
下段を御覧ください。
野生鳥獣の個体数の増加や分布域の拡大が進んでおります。林業においては鹿による被害がひどく、植栽苗木の食害や皮剥ぎによる被害が目立つ地域においては
森林資源の
循環利用サイクルが寸断されるなど、
林業経営に深刻な影響が出ております。
これまで本県の
鹿被害対策は、
有害鳥獣捕獲を促進する攻めと、
被害防除を促進する守りを柱に取り組んでまいりましたが、効果的な対策を進めるには、新たな技術の導入にも取り組んでいくことが必要となっております。
このため、平成28年度から国のシカによる
森林被害緊急対策事業を活用いたしまして、入り口に
センサーカメラを設置し、遠隔操作により自宅の
パソコン画面を見ながら捕獲が可能な
大型囲いわなや、1人でも簡単に運搬設置が可能な
小型囲いわななど、これまで本県では普及していない新たな手法についてモデル的に
取り組みまして、今後の効果的な鹿対策につなげていきたいと考えております。
19ページを御覧ください。
循環利用サイクルの育てての中では、県民の森林に期待する働き第1位となっています
山地災害の防止も考えていく必要がございます。
近年、台風や集中豪雨などの
自然災害は多発化、甚大化する傾向にございます。林業の
成長産業化を進めていく上で、災害のたびに生業が後退する速度を少しでも鈍化させるべく、災害に強い森林を育ててまいります。
7月の豪雨では、県内各地において記録的な大雨が観測されたところでございます。写真は、
西予市宇和町明間における被害でございます。山腹崩壊により発生した土砂が直下の人家や市道にまで流出しており、
治山事業による復旧工事を実施することといたしております。
20ページを御覧ください。
最後に林業の
成長産業化の課題と政策と展望でございます。
林業、
木材産業、
木材利用に分けて課題を示しておりますが、県では、豊富な
森林資源を背景に、伐って、使って、植えて、育てて、また伐っての
循環利用と、人と収益の
サイクルを活発化させることで、
成長産業化の実現と地域活性化を図っていきたいと考えております。
長時間になりましたが、引き続き委員の皆様の御支援、御協力を賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
以上でございます。
○(
松下行吉委員長) 以上で理事者の説明が終わりました。
委員の皆さん、議題に関する質疑はありませんか。
○(塩出崇委員) 9ページになるんですけれども、若者の林業への
就業促進で、高校生等に対する
林業体験研修の実施というのがあるんですけれども、実際に参加された生徒さんについて、どういうふうな学校、普通科であるのか林業科であるのか、そのようなことは把握しておられますでしょうか。
○(
林業政策課長) 今回の研修につきましては、高校生を対象に、より実践に近い
林業体験研修を実施しております。昨年度は、農業系の高校を中心にということで、西条農業高校、伊予農業高校、大洲農業高校、上浮穴高校等に16回、延べ455人の生徒に対し研修を実施しております。これらの中で、林業への理解促進というものを進めまして、今回、高校を卒業した6名の就業につながっております。
○(塩出崇委員) 県内高等学校の林業科の設置状況と生徒数はどうでしょうか。
○(
林業政策課長) 現在、県内の高校には林業科というのはありませんが、上浮穴高校には森林環境科というものがありまして、生徒数は30名の定員には達していなくて、二十数名だったと記憶しております。
○(塩出崇委員) 定員に達していないような状況で、きちっと林業科を設けなさいというのはちょっと無理があるのかもわかりませんけれども、担い手をしっかり確保するためには、やはり県立高校に明確な科というのを設けて定着させる。例えば今治工業高校で新しい科が設置されたような形で、目的を持った生徒さんを育てていく、地元に定着していただくということは非常に大切だと思いますので、ちょっと検討していただいたらありがたいと思っております。これは要望です。
次、構いませんか。
○(
松下行吉委員長) どうぞ。
○(塩出崇委員) 18ページの、いわゆる鹿による被害について、猿とかイノシシとかいろいろおりますが、林業に関しては鹿の被害が一番多いと思うんですけれども、現在、県内における鹿の頭数は増加傾向にあるのでしょうか。これは予測になると思いますけれども、そのあたりの把握についてお伺いします。
○(
森林整備課長) 本県は、鹿による森林被害面積が全国で5番目でございます。現在、第3次愛媛県ニホンジカ適正管理計画におきまして1万1,000頭の捕獲を目標としております中、平成29年度は7,400頭を捕獲しておるといった状況でございます。
○(塩出崇委員) ちなみに、全国1位はどちらでしょうか。
○(
森林整備課長) 北海道でございます。次いで長崎県、熊本県となってございます。
○(塩出崇委員) 今から七、八年前だったと思うんですけれども、高知県や徳島県の方から鹿がどんどん移動してきているというような話がありまして、剣山あたりが大変な状況になったということがありました。いわゆる鹿が動いているというようなことについての把握はされておられますか。
○(
農産園芸課長) 委員お話のように、県境に接する市町など、境界一帯で地元の猟友会が猟をする場合に、県境を越えて猟をするというのはなかなか難しい。鹿は県境に関係なく逃げていきますけれども、人の方が県境を越えられないというようなことがございます。そうしたことから、捕獲をするために連携捕獲ということで、近隣の市町、もしくは県であれば高知県や徳島県と協力をいたしまして、鹿の捕獲を進めておるところでございまして、この10月が鳥獣害防止対策強調月間になっているところでございます。
お話のあった頭数について、どのぐらい頭数が移動しているかというところまでは把握はできていない状況でございます。
○(塩出崇委員) いわゆるわなでもって、具体的にどの程度捕獲されておるのか、もし把握されておれば教えていただきたいんですが。
○(
森林整備課長) 現在、国の事業を導入いたしまして、鹿被害が深刻な地域におきまして捕獲を行っておるところでございます。その中で、囲いわなに鹿2匹が1度に入る事例がありまして、その後は勉強してそこから逃げてしまうというようなこともございました。ですので、1カ所にずっと囲いわなを置いておくのではなくて、少しずつ移動をさせて、鹿の通り道といったところを把握しながら、効果的な設置をしていかなければいけないんですけれども、目に見えた効果というのは、今のところまだ把握しておりません。
○(
農産園芸課長) 猟のやり方による把握の状況でございますけれども、猟法別の捕獲頭数が判明している県内の8市町によりますと、平成29年度であればわな猟による捕獲が75%、それと銃猟による捕獲が25%という状況になっております。わな猟による捕獲が多いのは、いわゆる有害鳥獣の捕獲ということで実施期間が長いということも一因にあるかと思います。
○(塩出崇委員) 最後ですけれども、19ページで災害に強い森林づくりということなんですけれども、非常に気になるのが竹林の件で、これにつきましては、以前にも質問があったように記憶しておりますが、竹林の放置だけではないんでしょうけれども、本当に山が荒れておるような感じがしております。愛媛県における竹林の状況はどういうふうになっているのか、もし把握されておるんであれば教えてください。
○(
森林整備課長) 放置竹林と呼ばれておる竹林は、人の手で植えられてまいりました竹林で、河川護岸の土どめや里山と人家の間の山どめなどに使われておりまして、その旺盛な繁殖力を地域では生活に取り入れながら有効利用が図られていた時代がございます。現在、県下に約6,500haの竹林があると推定されておりまして、このまま放置しておきますと、2020年には8,000haにも拡大すると予測されてございます。
そのうち、人家に近い里山と言われるエリアには約2,100haの竹林があると推定されておりまして、これを放置し過密化すると、水路保全機能への障害が懸念され、加えて住民の生活環境への侵入も許してしまうということになります。
こういった状況を解消するために、県では、平成21年度から間伐などによりまして竹林整備に取り組んできたところでございますが、竹林は間伐をやめますとまたもとに戻ってしまうということがございますので、平成27年度からは皆伐を行いまして、広葉樹への転換を図ったりしながら抜本的な放置竹林の解消を目指しております。
○(塩出崇委員) 竹林というのは、地震には強いけれども豪雨災害には弱いというような話も聞くんですけれども、これに対しての御所見はどうでしょうか。
○(
森林整備課長) これまで、里山におけます山どめや河川護岸の土どめなどに使われてきたときには、人の手も入りながら、タケノコの収穫ですとか、竹材を利用して竹製品などをつくったりという、人と竹林がうまく関係していた時代がございまして、適正に管理された竹林には土砂の崩壊を防ぐ機能がございました。
現在も、放置竹林だからといって、竹林自体が山の崩壊をもたらしたという事例は見られておりませんが、こういった山も、先ほど申しました水路保全機能といったものにはどうしても影響を及ぼしますので、これから手を入れながら整備をしていきたいと考えてございます。
○(塩出崇委員) 利活用ということで、以前、メンマとして活用されておるというような話があったんですが、その後の状況についてはどうでしょうか。
○(
林業政策課長) 干しタケノコの生産につきましては、昨年は裏年であったことから、目標に対する生産量は落ちまして、約半分の8t程度でした。その結果を踏まえまして、県では関係団体と連携しまして、関係者の情報共有による生産意欲の喚起であるとか、生産竹林や作業道の整備、生産機材等の基盤整備など、増産に向けた体制整備に取り組んでおります。
今年度の生産見込みにつきましては、現在のところ、出荷を担う森林組合の集荷施設が7月の豪雨により被害に遭うなどの影響がありまして、生産者からの集荷がまだ終わっていないという状況となっております。ですので、まだ集計ができておりませんけれども、生産者の方からは、ことしは表年で、昨年よりはふえたとの声がある一方、大洲市などの主産地におきましては、冬場のたび重なる大雪による農作業のおくれなどによりまして、集荷が余りできなかったというような声も聞いております。
さらに、製品規格等が厳格化されまして、生ベースでの収穫量はふえたけれども、製品ベースでは若干落ちるというような状況となっているところで、申しわけないんですが、今年度の生産見込みについては、まだわかっておりません。
○(
松下行吉委員長) そのほか、質疑はありませんか。
○(
菊池伸英委員) まず、
外国人技能実習生の
受け入れ態勢の整備のことでお聞きします。
ベトナム人の実習生の受け入れというのは、県の方が受け入れているんじゃなくて、森林組合がしているんですよね。まずそこの確認を。
○(
林業政策課長) 県の方で受け入れに対する事業を起こしまして、愛媛県森林組合連合会の方で受け入れに対する
取り組みを進めています。
○(
菊池伸英委員) 20日、21日と久万林業まつりに行ってきました。山の方も久しく見ていなかったんですけれども、皮剥ぎというんですか、木の周りの一部皮をむいて、それを置いて乾燥木にしてから伐採するという方向性で、県の方が一時取り組んでいたと思うんですが、ここ何年かずっと見当たらないんですけれども、あの事業はどうなったのか、もしよかったら教えてください。
○(
森林整備課長) 立ち木のままで木の皮を剥いで乾燥するという技術を、いろんな方面からの御指摘があって
林業研究センターで実施したことがございました。実際、皮を剥ぎ山で乾燥させていると、本当に枯れてしまったときに倒木するとか、見た目も悪いとか、立ったまま虫が入るとかということで、材的にはそう影響はないんですが、見た目や風評といったことが多々出まして、現在は、山で木を倒して乾燥するというやり方を進め始めたところでございます。
○(
菊池伸英委員) よくわかりました。
それと、林業まつりに行って感じたのは、県の
林業研究センターについて、林業に関係する人がもっと興味を持つように啓蒙・啓発を徹底して、たしか研修用の宿泊施設もあるんですけれども、研修生がばっと集まったときにはすごく使っているんですけれども、二、三日前に行ったときには2人ぐらいしか寝泊まりしていなかったような状況で、ここの活用をもう少し考えた方がいいんじゃないかなと思うんですけれども、よかったら御所見を聞かせていただければ。
○(
林業政策課長) 県の方で
新規就業者を確保するために、
林業研究センターの施設を使って、受講者の技術に応じた基礎から高度までの段階別研修というものを実施してございます。
その中で、どのような研修をしているかというと、林業の基礎知識や
林業機械操作を習得するフォレストワーカー養成コース、林業架線作業に必要な基本的知識や技術資格等を習得する林業架線作業技術コース、
高性能林業機械の活用に必要な知識・技術・資格等を習得する
高性能林業機械作業技術コースということで、年間約90日程度研修を実施しているところです。
この研修施設につきましては、平成8年度につくっておりまして、平成29年度までに基礎教育が302人、高度機械教育が173人、計475人が受講している状況となっています。そういうことで、実際に林業に就業する人ということで研修を行っております。
○(
菊池伸英委員) その研修をされた方が、職として今も働いている割合というのはどのぐらいなんですか。それがもしわかれば教えてください。
○(
林業政策課長) 研修は、会社に雇われた
新規就業者を対象に実施しております。済みませんが、数字は覚えておりませんけれども、
林業研究センターの研修施設が調べた結果でいいますと、研修を受けた方というのは資格や技術を習得しておりますので、定着率が高いと。反対に、そういう研修を受けていない人は、やはりほかの職業に流れていくというような話は聞いております。
○(
松下行吉委員長) 菊池委員、よろしいでしょうか。
○(
菊池伸英委員) はい。
○(
松下行吉委員長) そのほか、議題に関する質疑はございませんか。
○(村上要委員) 2ページで、本県の
県土面積と人工林
樹種別面積の説明をいただきました。特に、民有林の
人工林面積、
人工林率ということで全国10位、8位という状況の中で、本県は林業県であるということだったんですけれども、それともう一つは、1ページの県民の森林に期待する働きということの中で、これは林業関係者ではなく県民のということですからこういう統計になっておるのかなと思ったりもするんですが、思い返してみたら、多分平成17年ぐらいだったですか、森林そ生元年ということで、加戸知事の時代にうたわれて、水源林対策や放置林対策などの
取り組みをし、そして全国に先駆けて森林環境税を県民の皆さんにお願いしてきたと。こういう
取り組みが、森林に期待する働きの回答として得られておるのかなというふうに勝手に思っておるんですけれども、他県との比較をしてこなかったもんですからよくわからぬのですが、県の姿勢としてどういうふうに認識をされておるのか、基本的な部分としてちょっとお聞きしたいなと思います。
○(
森林整備課長) 本県は、平成13年を森林そ生元年といたしまして、平成17年には、委員おっしゃるとおり森林環境税を全国に先駆けて導入させていただきました。
そうした中で、こういった県民の皆さんにお尋ねするということをずっとやってきておりましたが、平成26年11月にもこのような世論調査を実施しておりまして、その際には、やはり
災害防止という部分が1位だったわけですが、2位、3位は野外教育や保健休養といった方向に県民の皆さんの期待が向いておったところでございます。これは平成17年から、何年かに一度世論調査を実施している中で、ほぼ同じような結果でございました。
ですが、平成29年の世論調査になりますと、
災害防止、
地球温暖化防止、水資源の涵養と、頻発するさまざまな
自然災害に対して、何とかこれを軽減する森づくりをしてほしいという期待に変わってきたというところでございます。
これまでの森林環境税の事業でも、森と共生する文化の創造など、一般県民の皆さんに、一緒に森づくりをしましょうと働きかけるような内容が非常に多かったわけでございますが、今回の世論の期待というのも含めまして、やはり災害に強い森づくりというものも進めていく必要があるというふうに認識しているところでございます。
○(村上要委員) 県政に関する世論調査は2年に1回やられておるんですが、特にことしは豪雨災害があった、昨年も県の北部、広島に近い今治市の島嶼部や波方あたりで森林の崩落被害があったということで、今こういう調査をすればもっと森林に対する関心が高まっているんじゃないかなというふうに思っております。こういう時期だからこそ森林を預かる所管部局として、2年に1回を待つのではなく、県民の皆さんの意向を調査していくことが必要でないかなと。来年から国の森林環境税の導入が予定されていることも含めて、そういう思いをしております。
それで、県民の皆さんに高い関心を示していただいているというのは本当にありがたいことだと思うんですが、かといって、実際に山を守っていくのは林業関係者の方なので、その人たちの生計を立てることができないと、きょうの議題にあります
成長産業化も困難になるんだと思うんです。
国の方が、平成29年度から林業
成長産業化モデル地域を全国に幾つか指定をして、愛媛県では久万高原町が該当しておると思うんですが、全国の状況と久万高原町の事業の概略を御説明いただいたらと思うんですが。
○(
林業政策課長) 委員おっしゃるとおり、久万高原町が、昨年度、国の林業
成長産業化モデル地域の一つに指定されております。
久万高原町は
全国有数の林業地でありまして、昔から林業に積極的に取り組んできましたが、
木材価格が下がって、なかなか林業が推進できない。担い手も減ってくる。そういうような状況の中で、何とかしなければならないということで、久万の豊富な資源、特に久万は昔から枝打ちや優良材生産に取り組んできまして、そのような木が体系化しております。それを何とか高く売っていこうと。
そのために、川上から川下が連携してそれを流通させることによって高く売り、その収益を適正に山元に還元していこうという
取り組みを進めていこうという中で、メーンとなる地域総合商社、久万林業本部を立ち上げ、川上の資源の把握や担い手の確保、さらに、それらの資源を売っていくために川下の販売先といったところにまで営業をかけて、川上と川下をつなぐという
取り組みを進めている状況です。
昨年度の実績としましては、まずは川上の資源を把握するということで、先ほどお話のありましたICT等の技術やドローンなどを活用した
森林資源量の把握と、実際に資源を売っていく相手先である川下の製材業者などに営業をかけたというような話を聞いております。
○(
松下行吉委員長) それでは、ここで暫時休憩をしたいと思います。11時10分再開でお願いいたします。
午前11時2分 休憩
――――――――――――――
午前11時11分 再開
○(
松下行吉委員長) 再開いたします。
委員の皆さん、所管事項も含めて質疑はございませんか。
○(徳永繁樹委員) 大変わかりやすい説明をしていただきましてありがとうございます。
基本的なことをお聞かせいただきたいんですけれども、伐って、使って、植えて、育ててというような
サイクルの中で、商いの原則というのは、幾らかかって、それに幾らの付加価値をつけて売るかというところが勝負なんだろうと思うんですね。
資料の4ページに、
木材価格の推移というものが掲載されています。山から木材を出してくるということだけに限ってで結構でありますので、これに今、どれぐらいのお金がかかっておるのかというのをお聞かせいただきたいんですけれども。
○(
森林整備課長) 現在、例えば1m3当たり1万4,000円のヒノキだとしますと、山から木材を出すのに6,000円ほどかかりますし、市場への手数料等を入れますと9,000円近くにまでになります。4ページのグラフの上の段に、杉が1m3当たり1万731円とありますが、杉だともうとんとんというふうになってまいります。ヒノキだと若干手元に残るかなというところではございますが、これも月ごとに非常に上下いたしますので、大ざっぱな数字ですが、1万円ぐらいの杉ではもとをとれないという状況でございます。
○(徳永繁樹委員) ありがとうございます。よくわかりました。
きょうの説明にもありましたけれども、成熟期を迎える
森林資源の
循環利用と林業の
成長産業化を図る上からも、CLTというようなことについてもどうしてもやらないといけないというお話なんですが、先般の議会答弁でも、需要が大体国内で3万m3ほどある、全国8つの工場で6万m3の供給体制が整っているということなんだけれども、さまざまな課題があると。その課題の一つが、価格の高どまりというようなことも言われているんですけれども、今、山から木材を出してくるのに9,000円という御答弁をいただいて、そこから、加工して流通させていくことを考えると、需要と供給のバランスが整っているからいけるのかなと思うところもあるんですけれども、この単価の高どまりということについて、これからどういうふうに取り組んでいこうとされているのかというのをお聞かせいただきたいんですけれども。
○(
林業政策課長) 西条市のCLT工場ができる前の段階ですけれども、1m3当たりで、集成材が約8万円に対してCLTは約12万円程度で流通していました。
今回、株式会社サイプレス・スナダヤの工場ができたことによりまして、製材からCLTまでの一貫生産工場ということで
生産コストはかなり下がってきておりまして、CLTでも10万円を切るかなというような話を聞いております。そういうようなことで、
生産コスト、CLTの単価を下げてさらなる
需要拡大に取り組むというような方向で進めています。
それともう一つ、3m掛ける12mの大判サイズのCLTが生産できる工場は、愛媛県のサイプレス・スナダヤと岡山県の銘建工業の2社ということで、かなり競争力は高いと聞いておりますから、これらによりまして
販路拡大を図っていって、CLTのさらなる利用が進みますと、もっとコストも下がってくると認識しております。
○(徳永繁樹委員) ありがとうございます。
そんな中で、民間や森林組合がやっていることですから、さまざまなことについては自助の努力をしてもらわなければならないんですけれども、県として公の助け、政策の方向性として、CLTに対してどういうような考え方でバックアップしていくというあたりをお聞かせいただきたいんですけれども。
○(
林業政策課長) CLTの普及を図るためには、CLTを使用した建築物の建設促進ということが重要な課題となってきます。そういう中で、県としましては、これまで
CLT建築物の建設実証や展示、さらに今年度からは
CLT建築物等の建設を促進するため、CLTを使用しました市町による木造
公共施設建設への割り増し補助や民間事業者による非
住宅建築物の設計・建設への支援、CLTに係る設計・建築関係の実務者を育成するためのセミナーの開催やマニュアル作成による人材育成などに取り組んでいるところです。
加えまして、県外への
販路開拓に向けまして、関係団体とも連携しまして、大都市圏における大手建築業者や設計士の方を
ターゲットにプロモーション活動を積極的に実施して、さらなるCLTの
需要拡大に努めていきたいと考えております。
○(徳永繁樹委員) 資料の10ページにA材、B材、C材というふうにありますけれども、要は森林を生業になさっている方々にとって魅力があるのかどうか、生業としてうまくやっていけるのかどうかというあたりがやはりポイントになると思うんですね。きょうの説明を伺うまでは、例えばCLTでも、愛媛県は、先ほど成熟期を迎える
森林資源の有効活用のためというふうな話だったんですけれども、一方で、CLTを普及させるためだけだったら外材を買ってきてそれでやってというようなことも考えていました。農家でもそうですけれども、森林を生業としている方々の立場、どうしたら実入りができて将来的にも森林で食べていけるのかというあたりを忘れずに取り組んでいただければありがたいと思っております。
○(
松下行吉委員長) 答弁はよろしいですか。
○(徳永繁樹委員) はい。
○(
松下行吉委員長) では、ほかに。
○(
森高康行委員) 体系的、包括的な資料の提供があったんですけれども、よく議論される農家所得がこれぐらいを目標にやるんだというのが
成長産業化だと思うんですけれども、林家と呼ばれる方々の収入がどれぐらいで、それをどれぐらいにしようとしているみたいなデータは持っておられますか。
結局、先ほどの高校の学科の問題なんかも、食えるから人が行くんで、造船に何で人が行くかというと造船需要が大きくて、そういう人材育成が必要だから行くわけで、将来の夢がないと、幾ら学校に学科をつくったところで人は行かないと思うんです。
そこで、
成長産業化と言われるんなら、林家の収入が、現況はこれぐらいだけれども将来はこれぐらい持てるようにというようなことも必要だと思うんですけれども、そういうものは持たれていませんか。
○(
林業政策課長) 林家というのは、
森林所有者や実際に
林業経営を個人でやっておられる方です。先ほど
林業就業者数というのを示しておりましたけれども、
林業就業者というのは、
林業事業体とか森林組合に雇われて働いている人で、林業の担い手というのは、
林業事業体に雇われている林業従事者が主要なメンバーになります。
そのような中で、国税庁の民間給与実態統計調査というのがありまして、平成28年度の平均収入ということで、建設業の434万1,000円に対しまして農林水産・鉱業、これは農業も林業も入りますけれども、239万7,000円という数字が出ております。他産業に比べてかなり低い水準ということになっております。
実際に林業で働く人というのは、公共工事などによりまして建設業に流れてみたりとか、また、建設業の方から林業に入ってみたりとかいうようなところがありますので、できれば林業従事者の賃金を建設業の年間収入ぐらいまでには持っていきたいなと考えております。
○(
森高康行委員) となれば、例えば林業従事者は所得税を緩和するよとか、補助金をいっぱい出すよとかいうのがないと、数字の底上げにはならないのではないかなとも思うし、本当に山を守るんなら公共のお金を入れてでも守るぞと、説明の後半で防災という視点が初めて大きく出てきたと思うんですけれども、南海トラフ地震も来るということを考えれば、防災にもっと予算をシフトしていくということもあると思いますし、今の報告を聞きながら、やはり収入が上がるという構造がない限り、正直
成長産業化にならないのではないかなと思いました。
それで、2ページに、本県の人工林
樹種別面積の提示がありますけれども、例えば四国の他県はどうなのか、本県と著しく違うのか、本県と似ているのかというような分析をされたことはありますか。
○(
森林局長) 高知県などはほとんど森林でございますので、愛媛県と変わらないと思います。
人工林率は、多分愛媛県の方が高いと思いますけれども、森林の状態というのは変わりませんし、森林の齢級構成も戦後植えられたもので、ほとんど変わりません。
また、杉の人工林の割合から申しますと、多分高知県の方が愛媛県よりも多いんですけれども、生産量としては愛媛県の方が多いというような状況でございます。
森高委員が言われているように、これをいかに
成長産業化に持っていくかということで、収入が建設業と比べますと随分差があるというようなことでございますので、いかに収入を上げていくかということが今後の課題になってくると考えておりまして、林業は息の長い産業でございますので、未来永劫続いていくようにということも考えますと、やはり伐って、使って、植えて、育ててというこの循環がうまく回っていくことが大事なことでございます。
いわゆる収入の上に、投資の部分も出てくるわけですけれども、そういう部分も稼ぎ出しながらということになると、なかなか大変なことでございますので、引き続き、行政の支援もいただきながら、徐々に収入をふやしていく努力をしていかなければいけないというふうに思っております。
木材の価格が最も高かったのは昭和55年でございまして、資料には載せていないんですけれども、ヒノキが7万2,500円、杉が3万6,800円だったと思うんですけれども、それから徐々に落ちてきたというような中で、今の
木材価格は海外へ輸出できるぐらいに外材との競争力をつけてきたというようなところで、多分、ほとんど底を打ったような状態かなというふうに思っております。
そういう中で、
木材価格を上げていくというのは大変なことなんですけれども、収入を稼ぎ出す方法としては、やはりコスト削減をいかにしていくかということにあるのと、川下の木材の販売をいかに進めて有利に高く売っていくかという、この2つじゃないかと思っております。
コスト削減につきましては、先ほども説明しましたけれども、
高性能林業機械や新しい技術革新なども有効に活用しながら、それぞれの部門ごとのコスト削減とトータルコストを下げていくというようなことを一生懸命やりながら、利益を稼いでいくということが大切だと思っておりますし、川下側の方の販売につきましては、海外輸出も進めておりますけれども、CLTも含めて新たな利用も伸ばしていくこともやっていかないといけないと思っております。
CLTでどれだけ利益が出てくるかということになりますけれども、先ほど言いましたように、まだ需要が少ないということもありまして少しコストが高い、もう少し需要あればコストも下がってくると思います。それから、スナダヤさんの方にCLTの一貫生産体制ができておりまして、
木材価格の方は通常の価格よりも高く買っていただいているという仕組みにもなってございますので、そういう意味では、山元に返せるお金は少し出ているんじゃないかと思っております。
森林には、いろんな公益的機能もあって、身近に守っていかないといけないというふうに思ってございますので、まずは林業で守るというのが一番いいんですけれども、何十年もかかって価格が下がってきて、外材と競争ができるようになってきた状況でございますので、今から急激にV字回復するというようなことはなかなか難しいというふうに考えておりますけれども、身近にあって、環境にも優しく、そして再生可能な資源でもございますので、委員の皆様の御支援もいただきながら、末永く、少しずつ前向きに進めてまいりたいと思っておりますので、今後とも御指導をよろしくお願い申し上げます。
○(
森林整備課長) 済みません、やっと数字を見つけましたので御報告申し上げます。
愛媛県が、
森林面積36万haで
人工林率61%という数字でございましたが、高知県が47万haで63%、徳島県が29万haで62%、徳島、愛媛、高知はほぼ似たような数字でございます。香川県に至っては21%でございます。
○(
森高康行委員) 将来を考えた議論で要望しておきたいんですけれども、夏に木材・合板博物館に行ったときに、県ごとにいろいろ
ブランド化されていますけれども、もう四国全体で1つのブランドぐらいの考え方をしないと、国際競争力がつかないんじゃないですかという提言が非常に頭に残っております。だから、媛すぎ・媛ひのきで頑張っているのはわかるんですけれども、現実に鳥獣が県境関係なしに動いているように、山も人口減少社会を考えた場合に、担い手等も含めて、やはり4県共同プロジェクトということも視野に入れて、知事会などでも議論せないかぬ問題になってくるのかなということを実感していますので、鳥獣害対策とともに、四国で林業を盛り上げようやみたいな機運の醸成も今後、1つの課題として要望しておきたいと思います。
○(
松下行吉委員長) 答弁はよろしいですか。
○(
森高康行委員) あればお願いしたいですけれども、難しいでしょう。
○(
農林水産部長) 森高委員のおっしゃられたことは、林業に限らず、農業や水産業にもかかわってくる問題でございまして、確かに愛媛で売り出すよりは四国で売り出す、あるいはオールジャパンで売り出す方が、海外輸出も含めまして、広い市場を相手にするときには有効であるというのが我々の頭の中にもございます。
ただ一方で、自分たちがこだわったもの、すごくいいものを、ほかの産地よりも売るんだというようなことが
ブランド化の一つの勢いにもつながっているところもございまして、結局、我々が今どうしているかというと、こだわりを持ってつくったものは愛媛ブランドとして売り出していくし、4県合同で売れるようなものについてはそういう売り方をしていくというような使い分けをしております。
林業に関しては、媛すぎ・媛ひのきというのがございまして、特にヒノキに関しましては、愛媛県が全国トップということもあって1つのブランドになっているし、久万材というさらにもう一つ上のブランドというふうな覚悟を持ってつくられている産地もあるということなので、ヒノキを中心に、愛媛の媛すぎ・媛ひのきで売るというやり方と、それからもう一つ、委員から御示唆のございましたとおり、確かに木材には県境は関係ございませんので、高知や徳島と組んで、四国材として売り出すみたいなこともこれからは考えていかなければいけないというふうに思います。今後、検討させていただきたいということで御理解いただいたらと思います。
○(
松下行吉委員長) ありがとうございました。
○(徳永繁樹委員) 格調高い話の後で大変言いにくいんですけれども、ブランドづくりというのは、やはり現場が起点なんだろうと思っています。どこを
ターゲットにするのかというようなことで、今、田所部長から御答弁をいただいたとおり、それを目指してどういう枠組みをつくっていくかというようなことがすごく大事なんだろうと思います。
さきの本会議で、松下委員長が登壇をされて、次年度から始まる
森林管理システムの運用に向けてということで質問なさっているんですけれども、その答弁の中で、市町の職員の中には専門職の人が非常に少ないと。きょうは大変いい議論をしていると思うんですけれども、きょう議論をしているような話というのは、20市町におりているのかどうかというふうに思うところもあるわけなんです。
チーム愛媛、あるいは市町連携の施策の中で、
林業躍進プロジェクトであったり、先ほどのCLTの話であったり、ところところでいろんな課題というのは違うんだろうなと思うんですけれども、大きな方向性はこうなんですよというような情報共有をしたり、それぞれの地域で施策を打っていく、そういう
取り組みというのは県がリードをしなければならないと思うんですけれども、そのあたり、市町との施策の方向性や課題の共有というのは、どういうふうにしておられるんでしょうか。
○(
林業政策課長)
林業躍進プロジェクトの推進につきましては、毎年、東・中・南予と八幡浜地域におきまして
林業躍進プロジェクト推進会議というものを開催しています。この中で、市町におきましては、副市長や副町長クラスの方に出ていただきまして、林業における課題や今後の
取り組みというものを検討をしているような状況です。
さらに、県の組織の中に林業普及指導員という者がおりまして、それぞれの地方局で各市町の担当者に対して、林業に対する要望や課題、事業への
取り組みなどについて、積極的に助言・指導等しているような状況でございます。
○(徳永繁樹委員) 愛媛県も大変広うございますので、それぞれの地域でそれぞれの資源に対する課題や思いというのはいろいろあるんだろうなと思っておりますので、このあたり、一方的ではなくて双方向の話の中で、林家の所得向上につながるんだということを共有しながら、県と市町が連携して、さまざまな施策を打っていただきますようにお願いしておきたいと思います。
○(
松下行吉委員長) 答弁はよろしいですか。
○(徳永繁樹委員) はい。
○(
松下行吉委員長) ほかに。
○(中政勝委員) 先ほど菊池委員も言われたんですけれども、外国人の技能実習生についてお伺いしたいと思います。
今は林業にかかわらず、非常に労働力が足らないという実態が進んでおります。その中で、新たな労働力の活用を求めたいと、そのためにはどうしても海外の労働力を入れないといけない。それに対して、今、愛媛県はどのようにされておるのかお聞きしたいんですけれども。
○(農地・
担い手対策室長) 地方におきましては、農業のみならず、関連した企業等においても労働力の確保が難しくなっておりまして、外国人材の活用について関心が高まっております。そういった中で、本県では、外国人の技能実習生が活用されておりまして、これは農業の分野になるんですけれども、平成27年は46の農業者等で130人、平成28年は47の農業者等で137人、平成29年は55の農業者等で161人ということで、技能実習生の活用がふえてきております。
外国人技能実習生の受け入れにつきましては、いろいろ制約もありますが、新たな受け入れについても各地域、JA等でも関心が高まっており、検討もされています。
そういった中で、国が、ことしの6月に経済財政運営と改革の基本方針2018、いわゆる骨太の方針の中で、新たな外国人材として、特に人手不足が深刻な農業や介護、建設、造船、宿泊の5分野などで、一定の専門性や技能を有する外国人が日本で働くことができる新たな在留資格の創設を盛り込んでおりまして、ことし秋の臨時国会あたりで出入国管理及び難民認定法の改正案等が審議されるという動きになっております。
国の方が、新たな外国人材の受け入れについて門戸を開くといったこともありますし、地方においては、本当に人材確保が難しい中で外国人材の活用ということをいろいろ関心を持って検討もされてきておりますので、県としましては、JA等の関係団体の意見を聞くとともに、国の動向を注視しながら、今後、技能実習生とあわせて、新しい外国人材の受け入れについても検討してまいりたいと思っております。
○(
林業政策課長) 外国人技能実習制度を活用した外国人の受け入れにつきましては、農林水産業のうち、林業のみ在留資格を2年以上に更新する制度が整備されていない状況で、全国的にも外国人の受け入れ実績がなく、制度改正が課題となっているところです。
このような中で、県が国の方に働きかけた際に、全国的な関係団体からの要望が強まれば制度改正を検討するというようなコメントをいただきましたので、本県が全国に先立って、昨年度から愛媛県森林組合連合会に委託して、
外国人技能実習生をトライアル的に受け入れて実績づくりに努めますとともに、関係者の合意形成に努めたところでございます。
具体的には、先ほど言いましたように、ベトナムからの実習生を招きまして、生活研修等の事前研修やチェーンソーの安全講習、現場での
OJT研修等の
取り組みを実施しまして、1年間のみ林業の現場で働いていただくということになっております。
県としましては、まずは実績をつくりまして、実習生の受け入れに向けた体制を整備するとともに、国に対して制度改正等の要望をしていきたいと考えております。
○(中政勝委員) これからは安い労働力というよりも高度な労働力というような捉え方をしないとやっていけないと思います。その点をよろしくお願いいたします。
○(
松下行吉委員長) 答弁はよろしいでしょうか。
○(中政勝委員) はい。
○(
松下行吉委員長) ほかに。
○(村上要委員) 人材育成のうちの安全・安心な職場ということで質問したいと思うんですが、農業と林業は同様に小規模零細事業者が多くて、たしか林業で50ha未満の林家が全国では74%ぐらいを占めておったと思うんですが、本県ではどれぐらいなのかなと。
来年から新たな
森林管理法ができて、林地の集約などが進んで
成長産業化になるんですが、そこで安全・安心の関係でいえば、山における労働災害がどの程度発生しておるのかなということと同時に、現場の人からは、災害が発生したときに山では携帯電話がなかなか通じなくて、衛星携帯電話を持たなければ連絡ができないというようなことを聞いておるんです。今、そういう声が林業者の中から出ておるのかどうかということも含めて、お聞かせいただきたいと思います。
○(
林業政策課長) 林業における労働災害ですけれども、昨年の正確な数字というのは持っていないんですけれども、死亡災害や休業4日以上というのを労働災害としてカウントしております。昨年は、死亡災害につきましては1名だったと思うんですが、休業4日以上の災害については、ちょっと把握していないところです。
ただ林業における労働災害につきましては、平成29年度の数字なんですけれども、他産業と比べまして15倍の発生率があるということになっておりまして、特にチェーンソーによる死亡災害が全体の約7割を占めているという状況となっております。
こういう状況の中で、安全研修が非常に重要な位置づけとなっておりまして、
林業研究センターの方に、チェーンソーを使った伐木作業について研修ができる施設を整備したところです。
そのほか、林業の労働安全衛生を実施するためには、受け皿となる
林業事業体の育成というのが重要になってきておりますため、
林業事業体におけます就労環境の改善や労働環境の整備という
取り組み等に対しての支援をしているような状況でございます。
○(
森林整備課長) 労働作業におきましては、委員御心配のとおり、現場で出血多量で亡くなったということもございました。そういったことも踏まえて、各森林組合での衛星携帯電話の取り扱いについては、今、検討しておるところもございますし、実際に携帯電話が全然通じない場所を職場としておる森林組合などもございますので、それについては、各事業体や労働安全講習等の中で衛星携帯電話の導入というものを検討してございます。
何件というような数字は、ちょっと持ち合わせておりません。
○(村上要委員) 要望したいんですけれども、加戸県政が誕生したときに、高度情報化元年ということで、携帯電話が通じない町村、市は届くんですけれども町村は届かないんで、少なくとも役場周辺は携帯電話が通じるようにしましょうということで携帯会社へ要望をしたんですよ。それで、県も助成金を出したんです。これは県民サービスです。だから、山だけしてくれではなくて、県はそういうサービスを県民の皆さんに事業として予算もつけてやっておるんです。
山も県民が働いているわけですから、山の皆さんの労働安全ということからすると、そこへ携帯電話のアンテナを立てろというのは難しいかもわかりませんが、衛星携帯電話が通じるんであればそれが普通に使えるような支援制度というものを考えていただきたいし、財政課に対しても要望していくとか、そういう形で安全・安心に働ける職場環境づくりをぜひ実現してほしいなと思っておりますので、要望しておきたいと思います。
○(
松下行吉委員長) では、要望ということで。
ほかに。
○(徳永繁樹委員) さきの委員会でも同じような質問をさせていただいたんですけれども、きのうの愛媛新聞に、樹園地の復旧に対して3つの分類がありますよという記事がありました。
先般、同僚の議員と自民党本部へ行って悲痛な声をお届けさせていただきました。項目は多岐にわたっているんですけれども、復旧に対しての考え方で、私がさきの委員会で質問し、答弁していただいたスケジュールを申し上げたんですけれども、視察に来ていただいた方々からは、段切りをして早急に対応した方がいいんではないかというような話がずっと出ている中で、将来的には再編復旧も当然視野に入れてということなんですけれども、原形復旧や改良復旧で段切りのような形で復旧するための予算を計上するんではなかろうかというような話を漏れ聞いています。
復旧・復興に向けてのフェーズも1から2というふうな形で進んでいる中で、当初はわからなかったことがだんだんわかってきて、考え方が若干変わってきたのかなというふうなことも私自身肌で感じているんですけれども、このあたり、国や、農家をまとめていただいているJAとの折衝であったりというのは、十分な協議を行った上で方針決定に至っておるのかどうか、このあたりをちょっと聞かせてもらいたいんですけれども。
○(
農地整備課長) 県では、樹園地の復旧方法といたしまして、原形復旧、改良復旧、再編復旧の3パターンを提案させていただいておりまして、パンフレットの方を、JAはもちろん関係農家の方にお配りいたしまして、それを示しながら、農家の意向を最大限に尊重しながら農地の復旧を進めるようにしておりまして、現在は、農家の意向を確認しながら、申請をされるといったところについては査定を受けていくというような状況になってございます。
先ほどおっしゃられた段切りの話なんですが、これは原形復旧や改良復旧におきましても、傾斜にもよりますけれども、そのままもとどおりの斜面の形にはなかなか復旧しづらいということもあって、土どめ工を施工しながら階段状に復旧していく工法となり、これはまさしく国の災害復旧事業でございますので、先ほど申しましたように、まず農家の意向を確認した上で査定を受けると。
再編復旧につきましては、農家負担のない農地中間管理機構関連農地整備事業で取り組めますので、そちらの方を要望するところについては、さきの委員会でも御説明しましたように整備構想図をお示ししながら合意形成を後押しさせていただいているところでありまして、農家の方はもちろんJAや関係市町と農地の復旧の方向について十分協議しながら災害の復旧・復興に当たらせていただいております。
○(徳永繁樹委員) わかりました。
○(
松下行吉委員長) よろしいですか。
○(徳永繁樹委員) はい。
○(
松下行吉委員長) それでは、以上で質疑を終了いたします。
なお、10月2日の当委員会で委員長に一任されておりました県外視察は、来年1月15日火曜日から17日木曜日にかけて静岡県へ行くことで準備を進めておりますので御了承願います。
視察先や行程等の詳細につきましては、改めてお知らせしますので、委員の皆さんの御参加をよろしくお願いいたします。
以上をもちまして、
農林水産委員会を閉会いたします。
午前11時55分 閉会...