このことについては、6月議会において、理事者からも改めてオープンな形で記者会見が開かれるものと考えており、対外的な説明責任をしっかりと果たすことが学園の信頼確保につながると確信している旨の答弁がありました。
しかし、その後、学園側は愛媛県庁を担当する
記者クラブに対して、記者会見は行わないことを表明しており、説明責任を果たす姿勢が見られません。こうしたことから、6月議会において
学校法人加計学園のコンプライアンスとガバナンスの確立等を求める決議を全会一致で採択したのであります。
県議会が一法人に対して全会一致でかかる決議を採択するのは異例であり、今後、
学校法人加計学園の誠実な対応がなされないまま県民の血税を投入することは、県民の理解を到底得られないと考えます。
そこで、お伺いいたします。
県は、加計学園が記者会見に応じないことについて、どのように受けとめているのでしょうか。また、今後の加計学園の対応次第では、補助金の支出について見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、核兵器問題と平和教育について、質問いたします。
終戦から73年がたちました。1945年8月6日の広島への原爆投下、8月9日の長崎への原爆投下の悲劇を私たちは決して忘れてはなりません。被爆者や平和を求める人々の声により、
核兵器廃絶に向けた運動や取り組みは世界各地に広がり、2017年7月7日に
核兵器禁止条約が
国連加盟国193カ国中122カ国の賛成多数により採択されました。
条約は、被爆者及び核兵器の実験により影響を受けた者にもたらされる容認しがたい苦しみに心を寄せること、核兵器のいかなる使用も人道の諸原則及び公共の良心に反することを再確認しています。人類史上初の
核爆弾投下から73年間、被爆者が長年にわたって求め続けている
核兵器廃絶への歴史的な一歩として極めて重要な条約です。
安倍政権は、オバマ前政権が掲げた核なき世界の方針を転換し、米国の核抑止力を強化するものとして、
トランプ政権による今後の新たな核政策の指針となるNPR2018を高く評価するとし、核兵器による米国の
抑止力維持は必要不可欠との姿勢を示しています。米国による新たな核政策を積極評価し、
核兵器禁止条約にも背を向ける安倍政権が唯一の
戦争被爆国を主張する姿勢は、全く説得力を欠くばかりか、核軍縮、核廃絶を願う世界の人々、とりわけ被爆者の希望を踏みにじるものであり、国際社会の幅広い信頼も得られません。
核兵器禁止条約に調印した国は2018年8月3日で60カ国となり、批准書を国連に提出した国は14カ国となっていますが、50カ国の批准書が国連に提出された後、90日で
核兵器禁止条約は発効することとなります。被爆の惨禍を繰り返してはならないという被爆者の思いを安倍政権はしっかりと受けとめ、日本が
非核保有国として、
戦争被爆国として、
核兵器禁止条約に調印し、そして、
核兵器廃絶への先頭に立つべきであると考えます。
また、将来に向けては戦争を知らない世代が社会の多くを占めるようになった今こそ、平和の大切さを改めて考え、子供たちに伝えていかなければならないと思います。
そこで、質問いたします。
国際的に
核兵器廃絶を求める機運が高まっている中、日本政府は
トランプ政権の核軍拡を支持し、その核の傘下で核抑止の強化を主張するなど、米国に追従する態度をとっていますが、このことに対する知事の御所見をお聞かせ願います。
また、戦争体験の語り部が減少する中、県は、将来を担う子供たちにどのように平和教育を進めていくのかお尋ねいたします。
次に、
エネルギー問題について質問いたします。
質問の1点目は、
使用済み核燃料の乾式貯蔵についてであります。
ことし5月25日、
伊方原発敷地内での
乾式貯蔵施設の設置について、四国電力から県に対し事前協議の申し入れがありました。県は
乾式貯蔵施設に関し、より安全な保管方法かつ一時的な保管であることを明確にするよう求めてきましたが、四国電力は、
使用済み燃料を再処理工場へ搬出するまでの間、一時的に貯蔵するために
使用済み燃料の冷却に水や電源を使用しない
乾式貯蔵施設を設置し、2023年度からの運用開始を予定すると述べています。
ことし6月
定例県議会で、県は乾式貯蔵の一時的保管の期間について、六ヶ所村の再
処理工場稼働について、四国電力のみでは対応できないため、安全協定には規定されていないが、最終的に搬出することは規定されているとの答弁にとどまり、肝心の保管期間については具体的に言及をしていません。
しかし、一時的保管という表記は抽象的であり、日本原燃は2021年度上期に竣工予定と公表しているものの、実質的には
半永久的貯蔵になり、最終処分場にもなるのではないかという不安の声もあります。
そこで、お尋ねいたします。
乾式貯蔵の
放射性物質や耐震性等の安全性に対する疑問の声があり、
使用済み核燃料の貯蔵期間についての見通しも不透明となっている中、県民への透明な情報公開と対話が重要となりますが、県は、今後、乾式貯蔵の安全性や
使用済み核燃料の保存期間の情報について、四国電力にどう働きかけ、県民に適時、適切に発信していくのか、お聞かせ願います。
質問の2点目は、
再生可能エネルギーについてであります。
福島第一原発事故により、原発や
エネルギー環境をめぐる情勢は大きく変わりました。当時の
民主党政権下では、2030年代原発ゼロの方針が打ち出されましたが、
安倍自公政権にかわり、
エネルギーの
ベストミックスや
原発輸出策などが掲げられ、既存の原発の再稼働が強行されるなど、もとの原発政策に逆戻りしています。
事故後、世界各国で原子力の
追加安全対策費が増加し、発電単価を下げられない中、太陽光や風力など
再生可能エネルギーコストの急激な低下などにより原発の
価格競争力が失われ、
原子力政策の見直しが相次いでいます。
また、
パリ協定成立と発効によって、脱炭素、
再生可能エネルギー促進の方向に世界の流れが大きく切りかわっている中、日本でも福島第一原発事故により世論は大きく変化し、事故から7年以上たった今も、原発の再稼働に反対し、脱原発社会の実現を求める声は過半数を超えています。
そんな中、安倍政権は、第5次
エネルギー基本計画の策定を進め、7月3日に閣議決定をしました。
再生可能エネルギーを主力電源とする方針を打ち出す一方で、原発と石炭は相変わらず重要な
ベースロード電源と位置づけ、原子力は長期的な
エネルギー需給構造の安定性に寄与する電源とし、石炭は長期を展望した環境負荷の低減を見据えて活用する
エネルギー源と位置づけるなど、
経済産業省の意向を強く反映させたものとなっています。
その結果、2030年時点の
発電電力量に占める原発の比率は20から22%とされ、2014年の第4次基本計画の翌年に発表された
長期エネルギー需給見通しの中で示された比率と同水準に据え置かれました。
今回の基本計画で示された
原子力政策については、世論の動向や安全規制、
安全対策費用、再稼働の状況などから現実性が極めて乏しいものとなっていますが、安倍政権は原子力や
プルトニウム利用のスタンスを変えようとはしていません。
原子力政策を延命させるためだけの
継ぎはぎの基本計画では、将来的な実効性のある
エネルギー政策をつくり出すことは不可能であり、原発ありきの
基本政策自体が、
再生可能エネルギーを中心とした社会の構築を拒んでいます。
脱原発を進めていくためには、原発ありきの計画策定ではなく、
再生可能エネルギー比率を高めていくことが重要であり、原発を
ベースロード電源として重要視する第5次
エネルギー基本計画を抜本的に改め、
再生可能エネルギー中心の
エネルギー基本計画へ転換していくべきであります。
地方自治体では、
再生可能エネルギー推進条例の制定などを通じて、新
電力事業者等への優遇措置も行われるなど、
再生可能エネルギーの推進に取り組まれています。
そこで、お尋ねをいたします。
電力自由化により、日本の
エネルギーシステムが従来の
大手電力会社の
電力供給方式から地域や住民の不断の努力により、原発に依存しない
地域分散型エネルギーシステムへと変わってきています。福島第一原発による悲劇を繰り返さないためにも、
再生可能エネルギーの一層の普及に向けた施策や取り組みが重要となっていますが、県の今後の取り組みをお示しください。
次に、子供の貧困と虐待について質問いたします。
質問の1点目は、子供の貧困についてであります。
日本では、7人に1人の子供が貧困状態にあり、
相対的貧困状態にある17歳以下の子供の割合は、2015年時点で13.9%となっています。
相対的貧困は、生活の厳しさを周囲に伝えることをはばかる人も多くいるため、周りからは貧困家庭であるとわからないことも多く、見えづらいのが特徴であり、日本の貧困問題の大きな課題ともなっています。
背景の一つには、
ひとり親家庭の置かれている厳しい経済状況があり、大人が2人以上いる家庭の
相対的貧困率は10.7%となっているのに比べ、
ひとり親家庭の
相対的貧困率は50.8%となっており、約5倍もの数値となっています。
OECDの2008年の調査によると、日本の
ひとり親家庭の貧困率について、仕事をしていない家庭で60%、仕事をしている家庭で58%と、働いていても働いていなくても貧困率がほとんど変わらない状況となっています。これは一生懸命に働いているのに貧困から抜け出せない
ワーキングプアという状態に陥っていると考えられます。ほとんどの国では、仕事をしている
ひとり親家庭の貧困率が10から25%程度であることと比較しても、日本の
ひとり親家庭は厳しい状況に置かれていると言えます。
子供の貧困が近年、国内の最重要課題の一つと認識され、孤食の解決を初め、子供と大人たちのつながりや
地域コミュニティの連携の有効な手段として、全国で子ども食堂などの活動が広がっています。
そして、支援を必要としている人が情報や社会支援にアクセスできない、自分からは助けを求めにくいといった課題も浮かび上がっている中、東京都文京区では、経済的に困窮する子育て世帯に対し、NPOや企業と協働し、自分たちから食べ物を届けにドアをノックしに行くことを通じてつながりをつくっていくなど、企業、
フードバンク等からの提供を受けた食品などを宅配する
こども宅食をスタートさせています。
そこで、お尋ねいたします。
子供の貧困を地域全体の課題と受けとめ、行政や関係機関、近隣の住民の連携による取り組みが必要ですが、県は、今後、子供の
貧困問題解決に向けた支援にどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせ願います。
質問の2点目は、子供の虐待についてであります。
全国で210カ所ある
児童相談所で、2017年度に児童虐待の相談や通告を受けて対応した件数が13万3,778件と、過去最多となったことが
厚生労働省のまとめにより判明しましたが、統計開始から27年連続の増加となっています。
本県では、
児童相談所が対応した虐待件数に加え、市町が単独で対応した件数を含めた県全体の件数は1,306件と、前年度と比べて60件増加しており、過去最多を記録しています。
こうした中、
厚生労働省は、児童虐待の通報や相談を24時間受け付ける
児童相談所全国共通ダイヤル189「いちはやく」について、これまで
通話料発生を告げる音声案内の途中で電話が切られるといった多くのケースを受け、2019年度から通話料を無料にする方針を立て、2019年度予算の概算要求で、189の無料化を含め、
児童虐待防止対策関連として約1,650億円を計上しています。
また、
児童相談所の設置については、その任務、性格に基づき、都道府県及び指定都市に設置義務が課されてきましたが、
児童福祉法の改正により、2006年からは中核市など個別に政令で指定する市、2017年からは政令で指定する特別区も
児童相談所の設置ができることとされました。
しかし、法制度の再編や改正といった形だけではなく、
児童相談所や関係機関、住民が児童虐待を地域的課題として真剣に受けとめ、連携して取り組むことが重要となります。
児童相談所を増設してもきめ細やかな対応が困難であり、ふえる児童虐待に対して体制が追いつかないのが現状となっています。
児童相談所を設置するには、事務所や一時保護施設といったハード面の整備のみでなく、
児童福祉司、
児童心理司、保健師、弁護士といった専門的な人材を確保する必要がありますが、人材が十分に確保されていなければ思わぬ事故や事態の悪化を招くことも想定されることから、設置権限が与えられても
児童相談所の設置が進んでいない状況となっています。
共通ダイヤル189の無料化により、今までにないくらい多くの虐待相談が
児童相談所に寄せられることは想像にかたくありませんが、果たしてそれだけの相談件数に応じた専門職を配置できるか、また、職員が真摯に対応できるかが大きな課題になると思われます。
そこで、質問いたします。
児童虐待の相談にきめ細やかに対応できるよう
児童相談所の機能を強化するためには、専門職の確保及び育成を初め、関係機関との連携強化や地域住民の意識啓発を図る必要があると思いますが、今後の取り組みについてお聞かせください。
次に、
会計年度任用職員制度についてお尋ねいたします。
これまで総務省は、
地方公共団体における行政改革の推進を目的として、
集中改革プランや
定員適正化計画、市町村合併、公共施設の
指定管理者制度や民間委託、賃金削減などを主導し、
地方公務員の
人件費削減を進めてきたという経緯があるのは御案内のとおりであります。
結果、各自治体では、
定員適正化という名のもとに正規職員が大幅に削減され、一方では、自治体に対する行政ニーズの多様化によって業務量は増大し、本来ならば正規職員が行うべき業務を臨時職員や
非常勤職員をふやすことによって対応してきたのであります。こうしたことから、自治体によっては、臨時・
非常勤職員数が全体の40%を超えるところも存在しているのであります。
さて、今日の
地方自治体では、臨時・
非常勤職員を雇用する場合、業務実態に応じて
地方公務員法第3条3項3号や17条あるいは22条を任用根拠として採用しなくてはなりませんが、22条を根拠として採用している臨時職員の中には、日々雇用職員として採用されているケースもあります。
この間、臨時・
非常勤職員の処遇改善については、
ワーキングプアの観点からも幾度となく指摘されてきたところであり、2017年5月17日に
改正地方公務員法、
地方自治法が公布され、3年間の周知期間を置いて2020年4月から臨時・
非常勤職員の適正な任用、勤務条件を確保するため、新たに
会計年度任用職員制度がスタートすることとなったのであります。
そこで、総務省は
会計年度任用職員制度の導入等に向けた
事務処理マニュアルを作成した上で、各都道府県に出向いて説明会を行い、愛媛においては2018年2月1日に松山市で開催されたのであります。
この会議の中で、総務省からは、1、職員団体と協議し、双方が理解、納得する中で制度をスタートさせること、2、何の業務をするために何条で雇用しているのか、どの職種に何人採用しているのかなど、現状の臨時・
非常勤職員の業務内容や職員数、任用根拠の厳格化を図ること、3、臨時・
非常勤職員の人件費等について調査することについての説明等がなされたとのことであります。
ちなみに、現在、臨時・
非常勤職員については、基本的に人件費ではなく物件費として予算執行されていますが、
会計年度任用職員制度に移行した場合は人件費として支出されることになると聞いております。本来、この
会計年度任用職員制度の施行は、低賃金や休暇制度が充実されていない臨時・
非常勤職員の処遇改善、そして、同一労働同一賃金による
ワーキングプアの解消などを目的とするものであって、正規職員の人員削減を前提としたものではないのであります。
また、現行制度では、臨時・
非常勤職員の雇用期間は、通常は2年から3年という短期間ですが、場合によっては自治体の判断によって長期的に雇用しているケースも見られるのが実態であります。業務の効率性から鑑みれば、経験者の方がスムーズな業務運営ができることから、長期的に雇用できるようにすることも肝要かとも考えますし、賃金にしても期末手当の支給等を明記されていることなどもあり、この制度の目的を達成していくためには、細部にわたって職員団体との合意が必要不可欠と考えるのであります。
そこで、お尋ねいたします。
この
会計年度任用職員制度の施行に際し、人件費の圧縮を目的とした正規職員の人員削減に係る考えはどうでしょうか。
また、総務省の松山市での説明会においても、担当者から、職員団体と協議を行い、労使が理解、納得した上で開始すべきであると明言したやに伺っていますが、職員団体との協議を今後どのように進めるのかお聞かせください。
最後に、知事の県政に対する評価と課題などについてお尋ねいたします。
中村知事の県政第2ステージも、いよいよ残すところあと2カ月余りとなりました。振り返れば、知事は就任以来、愛顔あふれる愛媛県の実現に向けて、軽いフットワークとバイタリティーでさまざまな政策課題に取り組んでこられました。
1期目、県民に約束した公約実現を図るため、職員の意識改革を徹底し、スピード感を持って成果を追求する組織づくりを進めるとともに、県政の指針となる長期計画を策定するなど、常に職員の先頭に立ち積極果敢に挑んでこられました。
そして、2期目は、挑戦、実行、現場主義、オール愛媛を基本姿勢に掲げ、南海トラフ巨大地震などの発生に備えるとともに、東日本大震災と原発事故という悲惨な出来事などを踏まえ、県民の安全・安心の確保に着実に取り組んでいただいております。
また、県内への移住、定住の促進や愛媛オリジナルの地域ぐるみの子育て支援、人口減少対策のほか、自転車新文化の発信を初め、えひめいやしの南予博の開催などを通して、県内の魅力を発信するなど観光振興による愛媛経済の活性化などにも積極的に取り組んでこられました。
中でも印象深いのは、昨年、本県では実に64年ぶりに、初めての単独開催となるえひめ国体が開催され、県民一丸となった取り組みにより大成功のうちに幕を閉じたことです。特にこの大会では、選手と県民が一体となって勝利をおさめる姿に大変大きな喜びと感動を覚え、スポーツの持つ力を実感したところであります。挙げればほかにもありますが、これまでの県政運営について、県民の高い評価を得ているものと確信するものであります。
そこで、お伺いいたします。
節目を迎え、知事はこれまで担ってこられた県政を振り返り、どのような評価をされ、県政の現状と課題をどのように認識しているのでしょうか。また、今後の県政の発展に向けた思いはどうか、お聞かせ願いたいのであります。
以上で質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
鈴木俊広議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
鈴木俊広議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 逢坂議員に、まず、
西日本豪雨災害への対応についての御質問にお答えをさせていただきます。
甚大な被害が発生しました今回の豪雨災害でありますが、自主防災組織や防災士の日ごろの活動が実り、早目の避難につながったり、平素から訓練等により連携を強化してきた警察、消防、自衛隊等が一致協力して多数の人々を救出したほか、災害時応援協定を結んでいる企業の協力や国のプッシュ型支援により、避難所に水、食料、エアコンなどの物資を迅速に配送するなど、大規模災害に備えたこれまでの取り組みが一定の効果を上げたものではないかと認識しています。
一方で、豪雨の中、避難情報等が伝わらなかった、伝わっていても避難しなかったなど、防災情報の伝達方法と住民の皆さんの受け取り方の問題や、被災当初、災害廃棄物の仮置き場が選定されていなかった、また、応急仮設住宅の建設予定地が被災し用地選定に時間を要したなど、災害応急対策上の課題も浮かび上がっているところであります。
このため、防災の専門家や県、市町、防災関係機関等で構成する検証委員会を設置し、効果を上げた取り組みや改善すべき点など初動・応急対応に係る課題等を整理、検証するための予算を今議会に提案させていただきました。
検証結果は、
地域防災計画の見直しや市町等との連携強化など、防災・減災体制の改善に反映をさせ、防災・減災施策のさらなる充実、強化につなげてまいりたいと思います。
次に、加計学園の記者会見についての御質問でございます。
加計学園理事長による6月の記者会見では、実施の連絡が会見の2時間前であり、さらに地元岡山の報道機関に限定して行われるなど、その対応を疑問視する声も多く、理事長からももう少しきちんとした形で会見等を行うことを検討したいとの発言があったところであります。
さらには、さきの6月
定例県議会で、対外的な説明責任をしっかり果たし、学園のコンプライアンスとガバナンスの確立を求める決議が全会一致でなされたにもかかわらず、現在まで会見が開かれていない状況が続いています。このことにつきましては、豪雨災害を踏まえタイミングを考えられているものと、現段階では善意に解釈をしているところであります。
岡山理科大学獣医学部の施設、設備の整備に対しては、県民の皆さん、今治市民の皆さんの貴重な税金が投入され、また、国が毎年私学助成などの運営支援を行うということからいえば、全国民の税金が投入されるということでありますから、高い公共性を踏まえるとともに、公的機関に対し虚偽の報告を行ったことの重みを、学園はいま一度しっかりと受けとめる必要があると考えます。
県としては、設置主体である加計学園が最優先でコンプライアンスを確立していただくことが、学園への信頼の確保や学生の皆さんが勉学に集中できるような環境の整備につながるものと確信しています。
本県の豪雨災害対応も第一段階の応急対策の見通しが立ち、復興対策に踏み出していく段階を迎えている状況にあるため、理事長が速やかに本県の報道機関も含めてオープンな形で改めて会見を行い、一連の問題について丁寧に説明をしていただきたいと思います。
次に、
再生可能エネルギーの普及についての御質問であります。
再生可能エネルギーは、温室効果ガスの削減や
エネルギー自給率の向上に加え、
エネルギーの地産地消を推進する観点からも、県として積極的に導入を促進したいと考えておりますが、依然、出力や安定供給、コスト面等で課題を抱えていることから、まずは、家庭や地域単位で取り組み可能な分野から着実に導入を図ることとしています。
このため県では、昨年度から家庭用燃料電池や蓄電池に加え、実質的な
エネルギー収支がゼロになるネット・ゼロ・
エネルギーハウスを助成対象とするとともに、中小事業者向け融資に地球温暖化対策枠を設け、再エネ等の設備整備の資金確保の円滑化を図るほか、本年度から市町等が行う導入可能性調査に水素
エネルギーやバイオマス熱利用も対象とするなど取り組みを強化しており、近年、県内の複数の地域でバイオマス発電や熱利用事業等の新たな取り組みも生まれているところであります。
また、国に対しても、さらなる普及の鍵となる送電網の空き容量の活用や蓄電技術の開発研究、設備導入に関する支援措置の拡充等を要望しているところであり、今後とも国による戦略的な取り組みを働きかけるとともに、県としても、市町や民間との連携のもと、地域特性や実情に応じた多様な
再生可能エネルギーの導入促進に努めてまいりたいと思います。
次に、県政の評価、現状、課題等についての御質問でございますが、知事に就任以降、加戸前知事が取り組んでこられました開かれた県政改革を継承し、えひめ国体・えひめ大会の開催や結婚支援事業の充実などの主要施策を進めるとともに、さらなる職員の意識改革を進め、住民に身近な市町との連携を強化しながら、愛顔あふれる愛媛県の実現に向けて、現場目線で政策課題に全力で取り組んできたつもりでございます。
また、厳しい時代に地方が生き残っていくために実需の創出にこだわりまして、営業本部を創設し、これを核とした国内外での販路開拓や県産品のブランド化を進めるとともに、いやしの南予博やサイクリングしまなみの開催を通じた新たな観光振興にも取り組むほか、2期目の公約に掲げました防災・減災対策、人口減少対策、地域経済の活性化の3本柱に基づく各種施策も着実に展開してきたところであり、オール愛媛体制のもとで公約の具現化を進めることができたのではないかと認識はしています。
一方、財政状況の先行きが不透明な中で、さきの豪雨災害を受け、限られた財源でいかに復興対策に取り組むべきかという新たな課題が生じたほか、人口減少問題も一朝一夕に解決できるものではなく、知事の職責を預かる以上は、中長期的な視点で諸課題に向き合う覚悟というものが必要と考えます。
今任期が残りわずかとなる中、こうした課題も踏まえた上で、県民の幸せと愛媛の発展のために、私がこれから何をなすべきなのか、何ができるのか、いま一度見詰め直し、自分なりの答えを導き出していきたいと思っております。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(菅豊正総務部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 菅総務部長
〔菅豊正総務部長登壇〕
○(菅豊正総務部長) まず、核兵器問題と平和教育についての御質問のうち、米国の核政策に対する政府の姿勢についての御質問にお答えいたします。
核兵器のない世界の実現は人類共通の願いであり、国際社会において、
核兵器禁止条約をめぐるさまざまな動きや、北朝鮮による核・ミサイル開発の進展等が見られる中で、ことし2月に米国が公表した新たな核政策の方針は、米国による抑止力の実効性の確保と我が国を含む同盟国に対する拡大抑止へのコミットメントを明確にしたものであるとされております。
政府においては、このような方針を高く評価しており、
核兵器廃絶を主導すべき立場として、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、現実的かつ具体的な核軍縮の推進に向けて取り組まれるものと考えております。
本県では、県議会及び全ての市町議会において非核平和宣言の議決等がなされており、政府には非核三原則を掲げる唯一の
戦争被爆国として、我が国の方針を世界に向けて発信するとともに、核兵器のない世界の実現に向けて努力を積み重ねていただくことを期待しております。
次に、
会計年度任用職員制度に関する御質問にお答えをいたします。
会計年度任用職員制度につきましては、臨時職員、
非常勤職員が地方行政の重要な担い手となっている現状を踏まえ、新たな制度を創設することにより、適正な任用や勤務条件を確保しようとするものであり、本県におきましても、平成32年度からの導入に向け、それぞれの職務内容、勤務形態等を踏まえながら任用根拠や給与水準などの検討を進めているところでございます。
一方、正規職員につきましては、これまでも
定員適正化計画に基づき厳格な定員管理を行ってきており、今回の豪雨災害対応による一時的な増員につきましても、後年度の退職者で吸収するなど、引き続き簡素で効率的な組織体制の構築を目指すことといたしております。
新たな制度の趣旨は、あくまでも臨時職員、
非常勤職員の適正な任用や勤務条件の確保であり、公務運営の中心を担うのは正規職員であることに変わりはないため、制度の導入が正規職員の削減につながるとは考えておりません。
また、制度導入に当たりましては、それぞれの職の必要性を十分に精査することや、給与に関しては職務給の原則、均衡の原則等に基づき適切に定めることなどが求められているため、慎重に制度設計を行うこととしておりまして、職員組合との交渉事項である勤務条件につきましては、労使相互の理解のもとで適正かつ円滑に制度が運用できるよう、職員組合と適宜協議を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(西本牧史
企画振興部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 西本
企画振興部長
〔西本牧史
企画振興部長登壇〕
○(西本牧史
企画振興部長) 獣医学部の新設問題に関する御質問のうち、補助金支出の見直しについてお答えをいたします。
県から今治市に対する財政支援につきましては、平成12年の今治新都市開発に関する覚書を踏まえ、昨年11月の今治市からの要請を受けて検討を開始したものでありまして、整備事業費について全庁挙げての専門的知見を生かして厳正な精査を行い、補助対象経費約6億円を減額するとともに、先行事例も参考にしながら、総合的に検討した結果、十分に公益性が認められることから、29年度分について予算措置を講じたところでございます。
また、文部科学省においても、県への虚偽報告は認可に影響はないとしているほか、この補助金は大学の開設に必要となる施設や設備の整備に要する経費を対象に今治市に交付するものでありまして、計画どおり本年4月に開学し、施設等が順次整備されるなど、事業は適正に実施されていることを確認しております。
このため、現時点では29年度分の補助金の支出について見直す考えはありませんが、今後、見込まれる助成につきましては、事業の進捗状況や実績、理事長による記者会見の動向なども十分見きわめた上で適切に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(福井琴樹
防災安全統括部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 福井
防災安全統括部長
〔福井琴樹
防災安全統括部長登壇〕
○(福井琴樹
防災安全統括部長)
エネルギー問題のうち、伊方原発の
乾式貯蔵施設についてお答えをいたします。
乾式貯蔵施設につきましては、まず、事業者である四国電力が県民の理解促進に努める必要がありますことから、一時的な保管であることや施設の安全性等について丁寧に説明するよう知事から要請しております。
四国電力では、県内市町や地元自治会などへ説明するとともに、20キロ圏内の全戸訪問活動を行うほか、同社広報誌による情報提供も行っておりますが、今後ともこうした取り組みを継続し、理解促進に努めるよう働きかけてまいりたいと考えております。
県では、施設の安全性等について、専門家で構成する伊方原発環境安全管理委員会原子力安全専門部会において、国の審査と並行して公開の場で厳正に審査しておりまして、その審議結果や伊方発電所への対応に係る知事メッセージなどをホームページで公開し、広く県民の皆様に対し情報発信をしております。
使用済み燃料の保管につきましては、事前協議申し入れの際に、知事から一時的な保管であることを明確にするよう要請し、四国電力社長から、再処理工場に搬出するまでの一時的な貯蔵であるとの回答を得ておりますが、今後とも四国電力に対し、要請し確認してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(山口真司
保健福祉部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 山口
保健福祉部長
〔山口真司
保健福祉部長登壇〕
○(山口真司
保健福祉部長) 子供の貧困と虐待についての御質問のうち、まず、子供の貧困についてお答えをいたします。
県では、子供の貧困対策として、第2期えひめ・未来・子育てプランに基づき、
ひとり親家庭への経済的支援を初め、教育、生活、保護者の就労等、各分野における支援に取り組んでいるところでありますが、子供の貧困は実態が周囲から見えにくく、貧困の実情も多様でありますことから、支援が必要な子供や保護者に効果的な支援を届けるためには、行政や関係機関に加え、民間団体や地域住民等の連携、協力が必要であります。
このため県では、今年度新たに子ども食堂や学習支援など子供の貧困対策に取り組む県内の団体・企業等が一堂に会するセミナーや勉強会を開催いたしまして、関係者の交流、連携を促進することで、安定的な活動や新たな支援策の展開を図っておりますほか、モデル事業として、不要となった通学用自転車を整備し、必要な家庭に提供する自転車リレー事業を実施するなど、地域が一体となって子育てを支え合う活動の促進に努めているところでありまして、今後とも子供の貧困に対する県民の理解を促進し、民間団体や企業、地域住民等との連携強化を図りながら、子供の貧困問題の解決に向けた地域の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
次に、
児童相談所の機能強化についてお答えをいたします。
県では、
児童相談所に警察官や教員、福祉職など専門性を有する人材を配置、拡充いたしますとともに、弁護士の支援体制の整備や警察との情報共有を図る確認書の締結等により、児童虐待の増加に対応した機能強化に努めているところであります。
また、虐待防止のネットワークである市町の要保護児童対策地域協議会への児童支援コーディネーターの派遣や、専門研修の充実等により市町の体制整備を支援するとともに、毎年11月の児童虐待防止推進月間には、東・中・南予で全国
共通ダイヤル189の街頭啓発を行うなど、虐待を許さない、見逃さない県民意識の醸成を図っているところであります。
共通ダイヤルが無料化されれば、虐待相談のさらなる増加が見込まれますほか、先般決定された国の緊急総合対策も踏まえ、市町、学校等の情報共有の促進や立入調査時の警察への援助要請等、関係機関と連携した取り組みの強化を図っているところでありまして、県といたしましては、今後とも
児童相談所への専門職の計画的な配置や研修等による専門性の向上に努めるとともに、関係機関との緊密な連携のもと、住民理解を図りながら児童虐待の防止ときめ細やかな相談対応に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(三好伊佐夫教育長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 三好教育長
〔三好伊佐夫教育長登壇〕
○(三好伊佐夫教育長) 核兵器問題と平和教育に関する御質問のうち、子供たちへの平和教育の進め方についてお答えいたします。
学校での平和教育については、教育基本法や学習指導要領に基づき、社会や歴史、公民等の学習を通して、小学校では、日本が平和な国際社会の実現に大きな役割を果たしていることを認識させることはもとより、昨年度、県内の9割を超える小学校が修学旅行で広島や長崎を訪れ、被爆体験者の講話を聞くなどして戦争の悲惨さや生命のとうとさを学ぶ機会の確保に取り組んでいるところでございます。
また、中学校では、国相互の主権の尊重と協力の重要性を認識させるなど、平和をとうとぶ心や世界平和の発展に貢献する態度を養っており、高校では、戦争の歴史や国際平和を推進する上での国際的な組織の重要性、日本の役割などについて、主体的に考察させております。
さらに、小中高校の全ての校種において、広島と長崎の平和記念館が実施しております被爆者の体験を語り継ぐ伝承者の派遣事業等の活用も進めているところでございます。
戦後七十数年が経過し、戦争体験の語り部が減少する中にありまして、県教育委員会としては、世代を超えた平和の大切さの継承がますます重要になっていると認識しており、今後とも戦争の惨禍が二度と起こることのないよう、教育活動全般を通じまして、国際社会に生きる平和で民主的な国家や社会の形成者として必要な資質の基礎を培ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(
鈴木俊広議長) 休憩いたします。
午後1時から再開いたします。
午前11時30分 休憩
―――――――――――――――――
午後1時 再開
○(
鈴木俊広議長) 再開いたします。
質疑を続けます。
○(木村誉議員) 議長
○(
鈴木俊広議長) 木村誉議員
〔木村誉議員登壇〕
○(木村誉議員) (拍手)公明党の木村誉でございます。
平成最後となります本年6月28日から7月8日にかけて発生した
西日本豪雨は、本県28人を含め犠牲者が200人を超える平成最悪の豪雨災害となりました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、本日出席されておられます兵頭県議を初め、被災された多くの皆様に心からお見舞いを申し上げます。
また、発災直後から中村知事の陣頭指揮のもと、不眠不休で救命救出、そして復興に向けた今日に至るまで懸命の御尽力をいただいた関係者の皆様に敬意を表しますとともに、県内はもとより全国から駆けつけてくださったボランティアの皆様、支援物資や義援金など有形無形の善意をお寄せいただいた全ての皆様にこの場をおかりし感謝申し上げます。
私ども公明党におきましても、発災直後に災害対策本部を立ち上げ、山口那津男代表を先頭に、国会議員、地方議員がそれぞれの被災地に張りついて、復旧・復興に取り組んでまいりました。
本県でも、7月16日に石井国交大臣が南予を、8月1日には谷合農水副大臣が東予・中予の被災現場を訪れ、地元愛媛、四国選出の山本博司参議院議員、石田祝稔党政務調査会長も幾度も被災地に入り視察を実施。そして、現地のニーズと被災された皆様の声を盛り込む形で、先般、政府による支援策、生活・生業再建支援パッケージが累次にわたり取りまとめられることとなりました。
私も笹岡議員や被災地の自治体議員とともに、何度も各地を訪れ切実なお声を伺いましたが、そうした皆様の思いや将来の災害発生に不安を抱く方々の気持ちに寄り添いながら、会派を代表し質問に入らせていただきます。
初めに、
西日本豪雨災害を踏まえた防災対策の見直し等についてお伺いします。
御案内のとおり、今夏の暑さはもはや災害と報じられましたが、埼玉県熊谷市の41.1℃を初め、全国10市以上で気温が40℃を超え、本県でも猛暑日や熱帯夜の日数が各地で最多を記録。7月の熱中症による救急搬送数は、全国で5万2,819人、死者数124人に上り、いずれも過去最多となりました。
実は、この暑さは、地球温暖化を伴う気候変動に起因すると言われており、近年頻発する豪雨災害の要因の一つと指摘されています。
国がまとめた気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018によりますと、日本では、世界平均より早いペースで気温が上昇中で、真夏日、猛暑日の日数、1時間に50ミリ以上の短時間強雨の発生回数がいずれも増加しており、その影響はさまざまな地域、分野で現出。今後さらに温暖化が進むと、広範囲にわたり深刻で不可逆な影響が生じる可能性が高まるとしています。
そうした気候変動の影響に対処するため、我が国では、政府全体として整合性のとれた取り組みを計画的かつ総合的に推進することを目的に、本年6月、気候変動適応法が公布されました。
西日本豪雨災害を振り返り、私は、気候変動への適応ということを国民の共通認識とし、過去の経験則やこれまでの対策が通用しないことを前提とした新たな発想と対策が今求められていると痛切に感じました。このことは各種の調査からも読み取ることができます。
内閣府が先月公表した国民生活に関する世論調査で、政府が力を入れるべき施策を複数回答で尋ねたところ、防災が前年比2.4ポイント増の28.3%と過去最高となり、国民の防災危機意識の高まりを示す結果となりました。
一方、公明党におきましても、この春4月から6月にかけまして全国100万人訪問調査運動を展開し、子育て、介護、中小企業、防災・減災の4つの分野でアンケート活動を実施。私自身も地元の300名を超える方々からお話を伺いましたが、こちらでも防災・減災に対する関心が高く、とりわけ洪水や浸水を含め、河川に関する県民の不安がいかに大きいかということを突きつけられる思いがいたしました。これまでややもすると、南海トラフ巨大地震を想定した地震対策に偏りがちになってはいなかったか、少なくとも平成23年以降、毎年のように発生している豪雨災害など風水害の危険性にもっと目を向け対策をさらに強化する必要があるのではないか、そう痛感させられたのであります。
そこで、お伺いします。
県は、今夏の災害級の暑さに象徴される異常気象と豪雨災害との関連性について、気候変動の観点からどのように認識するのか。気候変動適応法を踏まえ、私は、風水害対策の強化を含む県
地域防災計画の抜本的な見直しが必要であると考えますが、御所見をお示しください。
ここからは、地元要望を踏まえての質問となりますが、松山市には重信川など、国が管理する大規模な一級河川以外に、県が管理するその他の一級河川や二級河川、市が管理する準用河川など70の中小河川があります。
中小河川は総じて流下能力が小さく、一たび線状降水帯による局地的豪雨が発生すれば、氾濫、決壊し洪水が生じることが懸念され、実際これまでも幾度となく住民の生命や財産が危険にさらされてきました。
昭和54年6月には、大川、小野川、内川、宮前川が相次ぎ氾濫。今回の
西日本豪雨においても多くの市民から、気が気でなかったという不安や恐怖の声が寄せられました。圧倒的な延長を占める中小河川、これに対する対策の要望も一級河川に劣らぬほど多かったというのが私の実感であります。
一級河川の重信川におきましても、昭和18年7月の堤防7カ所決壊に続いて、昭和20年、29年、45年、平成に入ってからも7年、10年、11年、13年、25年と洪水が続き、昨年9月、台風18号がもたらした豪雨により水位が過去最高の5.65mを記録し、氾濫危険情報が出されたことはいまだ記憶に新しいところであります。
しかし、本県の河川関係の予算は、ピーク時のほぼ3分の1となる約89億円にとどまり、我が会派も毎年増額を申し入れておりますもののかなわず、対策が遅々として進まない現状に対しじくじたる思いを禁じ得ません。
そこで、お伺いします。
西日本豪雨災害を踏まえ、県が管理する1,157の河川のうち、多くを占める中小河川について、河道掘削や河川の拡幅といった流下能力の拡大や護岸強化など、洪水回避に向けて、県は流域整備及び治水対策の強化にどう取り組むのか。
また、重信川については、昨年、氾濫危険情報が出され、幸いにも決壊は免れたものの、台風シーズンを迎える今、多くの県民が危機の再来を不安に感じております。そうした不安の払拭に向けた、この間の取り組みや対策の進捗について御所見をお示しください。
西日本豪雨で住宅地が大規模冠水した岡山県倉敷市の真備町では、市が作成した洪水ハザードマップの浸水想定区域と実際の被害がおおむね一致し、その有用性が改めて確認されたとして大きく報道されました。
地元松山市における国の洪水浸水想定では、石手川が氾濫した場合の市内の浸水区域は、想定最大規模で面積約2,500ha、被災人口約13万2,000人に上るとされています。重信川の場合では、松山市を含む3市2町に範囲が広がり、面積約5,500ha、被災人口は約15万3,000人に上るとされています。
真備町で見られましたように、松山市におけるこうした想定が現実となれば、私は、県都機能に容易ならざる打撃を与えるものと危惧します。全ての河川で浸水区域を想定するのは困難としても、避難の際の道しるべとなるような水害リスク情報を行政が提供し、それを住民一人一人が主体的に活用しながら被害を最小限に抑えていくことが肝要と考えます。
そこで、お伺いします。
被害を軽減するため関係機関とどのように連携し、洪水時の避難体制を支援するのか、御所見をお示しください。
この項最後に、今回の豪雨では、避難情報の出し方と受け方、国と
地方自治体の連携のあり方、地域防災力の強弱、正常性バイアスによる避難回避やおくれといった個々人の防災意識などソフト面でも多くの課題が浮き彫りとなりました。
私は、県民への防災意識のさらなる啓発とともに、なるべく小さな単位、例えば自治会や御近所レベルといった単位で、避難や支援など具体的な行動を考える地区防災計画や、水害などから命を守るためみずからの行動計画を時系列で定めておくマイ・タイムラインの作成を着実に推進するなど、自助と共助の底上げによる地域防災力の強化に県民総ぐるみで取り組む必要があると考えています。
そこで、お伺いします。
県は、
西日本豪雨災害におけるソフト面での課題をどのように認識し、地域防災力の強化に向けて具体的にどう取り組んでいくのか、御所見をお示しください。
次に、災害廃棄物処理についてお伺いします。
先般の
西日本豪雨では、県内17市町で約53万tの災害廃棄物が発生し、処理に約140億円、来年6月までの期間を要することとなりました。
災害廃棄物は、衛生環境の悪化や復旧・復興、生活再建の妨げになるだけでなく、混入したライターなどにより火災を招くおそれもあり、可能な限り迅速な処理が求められることは言うまでもありません。
私は、平成27年12月定例会で、災害廃棄物処理計画について取り上げ、平時のうちに備えることが重要であり、計画策定の加速と速やかな県・市町間の連携体制の整備を求めました。
その後、県では、平成28年4月に県計画を策定、公表し、同年9月には市町の計画策定を促進するためフォーラムを、本年2月にはブロック別の災害廃棄物対策協議会をそれぞれ開催。着実に準備を整え、いよいよ今年度中に全市町で災害廃棄物処理計画を策定することが合意されましたが、そうしたやさきの
西日本豪雨発生でありました。発災に間に合わなかったことは残念ですが、今回の知見も加えて、さらに充実した市町計画を策定してほしいと思います。
一方、被災した岡山県倉敷市の真備町では、市による計画は策定されていたものの、災害廃棄物の具体的な仮置き場や、広域対応に関する定めがなかったため、結果的に市が想定した発生量を大きく上回り、自力で処理することができず、計画は十分に機能しませんでした。
また、被災各地で大変問題となったのが、災害廃棄物の分別を初めとした初動対応であります。仮置き場に持ち込まれた瓦れきには、可燃ごみと不燃ごみと危険物が混在しており、それらを分別するのに多くの人手と時間を要したこと、また、廃棄物と土砂の処理は、従来、各省の支援制度に基づき個別に実施されていたため、処理を開始した当初、混乱をきわめたことなど、初動対応の重要性が浮き彫りとなり、こうしたこともあらかじめ処理計画の中に位置づけておく必要があると強く感じました。
そうした中、今回上程された9月補正予算案には、新規事業として、災害廃棄物処理対策マニュアル作成支援事業が盛り込まれており、私は非常に時宜を得たものと期待を寄せています。
そこで、お伺いします。
今年度中に、全市町で災害廃棄物処理計画の策定を終えるとお聞きしますが、進捗状況はどうか。また、今回の被災で浮き彫りとなったさまざまな課題等を踏まえ、より実効性のあるものとするため、県として市町の計画策定をどのように支援していくのか、御所見をお示しください。