17番 古 川 拓 哉
18番 兵 頭 竜
19番 大 西 誠
20番 松 尾 和 久
21番 欠 番
22番 欠 番
23番 欠 番
24番 木 村 誉
25番 石 川 稔
26番 梶 谷 大 治
27番 西 田 洋 一
28番 中 田 廣
29番 大 西 渡
30番 福 羅 浩 一
31番 三 宅 浩 正
32番 欠 番
33番 欠 番
34番 欠 番
35番 欠 番
36番 笹 岡 博 之
37番 鈴 木 俊 広
38番 黒 川 洋 介
39番 徳 永 繁 樹
40番 高 山 康 人
41番 戒 能 潤之介
42番 渡 部 浩
43番 毛 利 修 三
44番 欠 番
45番 横 田 弘 之
46番 越 智 忍
47番 村 上 要
48番 赤 松 泰 伸
49番 本 宮 勇
51番 西 原 進 平
52番 中 畑 保 一
53番 明 比 昭 治
54番 岡 田 志 朗
55番 森 高 康 行
――――――――――
〇欠席議員 1名
50番 寺 井 修
――――――――――
〇欠 員 2名
――――――――――
〇
出席理事者
知事 中 村 時 広
副知事 上 甲 俊 史
副知事 原 昌 史
公営企業管理者 俊 野 健 治
総務部長 門 田 泰 広
企画振興部長 西 本 牧 史
防災安全統括部長 高 橋 正 浩
県民環境部長 大 森 尚 子
保健福祉部長 山 口 真 司
経済労働部長 菅 豊 正
農林水産部長 田 所 竜 二
土木部長 樋 口 志 朗
えひめ国体推進局長 土 居 忠 博
会計管理者出納局長 中久保 憲 彦
教育長 井 上 正
副教育長 大 島 修 一
人事委員会委員長 宇都宮 嘉 忠
公安委員会委員 増 田 吉 利
警察本部長 林 学
監査委員 岡 田 清 隆
監査事務局長 藤 井 晃 一
――――――――――
〇
出席事務局職員
事務局長 内 田 万 美
事務局次長 土 井 一 成
参事総務課長 北 川 謙 二
参事議事調査課長 松 本 賢 固
参事政務調査室長 八 塚 洋
議事調査課主幹 井 原 重 喜
――――――――――
〇本日の会議に付した事件
定第6号議案ないし定第67号議案
午前10時 開議
○(
毛利修三議長) ただいまから、本日の会議を開きます。
本日の
会議録署名者に
大西誠議員、
兵頭竜議員を指名いたします。
―――――――――――――――――
○(
毛利修三議長) これから、定第6
号議案平成30年度愛媛県
一般会計予算ないし定第67号議案を一括議題とし、質疑を行います。
○(
石川稔議員) 議長
○(
毛利修三議長)
石川稔議員
〔
石川稔議員登壇〕
○(
石川稔議員) (拍手)皆さん、おはようございます。
社民党の石川稔でございます。
早速、質問に入らせていただきます。
まず、
食品ロスを削減するための3010運動を初めとする食べきり運動についてお尋ねをいたします。
私は、昨年の3月から
農林水産委員会に所属し、多くの貴重な経験をさせていただきました。その中で、特に、
農林水産業に携わる方々が過酷な環境や天候、気象に大きく左右される中、丹精込めて生産されたものがきちんと流通し、消費者のもとに届き、そしてそれがおのおのの胃と味覚を満たしているのかということに思いをはせ、質問をさせていただきます。
農林水産省によると、我が国では、2014年に621万tもの
食品ロスがあったと推定され、この量は、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた食糧援助を大きく上回り、国民1人が毎日お茶わん1杯分に相当する134gを捨てている計算になるそうであります。とりわけ年末年始で数多くの忘年会、新年会に出席した多くの方々が、無情にもテーブルの上に多くのごちそうが残った状況を目の当たりにされたと思うのであります。
この
食品ロスは、本来食べられるにもかかわらず、
賞味期限切れや食べ残しなどで捨てられる
食品廃棄物であり、生産者が精魂込めて生産したものが食されることなく廃棄されることは、もったいないことこの上なく、
環境負荷はもとより、社会全体から見ても大きな損失であり、とりわけ本県では、
農林水産業が重要な産業であるからこそ、より一層この問題に主体的、能動的に取り組む必要があると考えるのであります。
また、国連の持続可能な
開発目標SDGsでは、2030年までに、世界全体の1人当たりの
食品廃棄を小売や消費段階で半減させるとしており、各社が対応を急いでいるのであります。
さて、この
食品ロスを削減させるための方策は幾つか列挙できますが、例えばある外食企業では、御飯の
盛りつけ量を見直し、また、あるコンビニエンスストアでは、総菜のパックを一新するなどし、食品の酸化と雑菌の繁殖を抑え、
消費期限を延ばしており、その結果、売れ残りや廃棄を減らす効果はもとより、保存料も減らすことができたそうであります。
さらに、
マヨネーズメーカーでも、酸素を通しにくい多層構造のボトルの採用や工場内での
製造方法の見直しなどにより、2016年には10カ月だった
賞味期限を12カ月まで延ばしています。
また、
食品メーカーや小売では、食品の
賞味期限の表示を年月日から年月に変更する動きが広がり、現在では調味料などの
加工食品や飲料品が中心ではありますが、流通の効率化により無用な廃棄や安売りを減らす狙いがあるほか、トラックのドライバーや
倉庫作業者が不足する中、物流や在庫管理の効率化にもつながるそうであります。
例えばある
大手食品メーカーは、昨年の2月から
中華調味料3品を
年月表示に変更し、8月からは
即席スープや
鍋用調味料など73品目に対象を拡大し、さらに19年中に残る90品目も移行を目指すとのことであります。
また、ある流通大手は、ことし4月からプライベートブランド、いわゆるPBの
加工食品の表示変更に乗り出し、国内で小売業がPBの
賞味期限の表示を年月にするのは初めてで、19年秋までに
賞味期限が1年以上の
PB加工食品全てを
年月表示に変えるそうであります。
スーパーでは、賞味期間の3分の1を過ぎた食品は納品を受け付けない商慣習があり、また、このことがメーカーの収益の悪化要因となっており、原材料の農産物を適正価格で取引する観点からも対応が必要となってきているのであります。
このように
食品業界では、容器包装や
製造方法の改良により
消費期限などを延ばしたり、
賞味期限表示を見直し、廃棄や
環境負荷を減らしたりする意識が高まっているのであります。
さて、本県においては、昨年の5月、県と20市町、そして、
県食品衛生協会が
食品ロスを削減させる対策を普及、啓発させるべく、
県食品ロス削減推進協議会を設置したほか、県は外食産業62店舗をおいしい食べきり
運動推進店に登録するなどし、8月、9月には食べ残しゼロ
キャンペーンを実施するなど、この問題に取り組んでいるとのことであります。
このような中で、昨年末、全国おいしい食べきり
運動ネットワーク協議会の
全国キャンペーンとして、
県民環境部循環型社会推進課によるチラシが配布され、このチラシの中には、
食品ロスを減らすために乾杯後30分、お開き前10分しっかり食べようとあり、さらに、1、適量の注文、2、幹事さんからおいしく残さず食べ切ろうの一言で
宴会スタート、3、味わう時間をつくろう、4、食べ切れない料理は仲間でシェアしよう、5、食べ残しがないかをみんなでチェック、として宴会の5カ条が記され、まさに我が意を得たりの思いであります。
幾ら高級で幾らおいしく、そして生産者がどれほど丹精を込めた食材であっても、幾ら精魂を傾けて料理人が調理したものであっても、ごちそうさま、あるいはお開きとなった時点で残った料理は廃棄物、つまり
食品ロスとなってしまうのであります。
農林水産業が基幹産業である本県にあっては、
食品ロスを減らすことについて、しっかりと目的意識を持って取り組むべきと考えるのであります。
そこで、お尋ねをいたします。
食品ロスを削減するためにも、3010運動を初め食べきり運動をより一層普及啓発、実践すべきと考えますが、県の御所見と今後の取り組みについてお聞かせください。
次に、
主要農作物種子法についてお尋ねをいたします。
主要農作物種子法は1952年に制定され、戦後の日本で米や麦、大豆の種子の安定供給を支えてきた法律であり、戦中から戦後にかけて食料難の時代を経験した日本が、食料を確保するためには種子が大事、二度と国民を飢えさせない、国民に食料を供給する責任を負うという趣旨のもとに制定されました。
この種子法によって、米、麦、大豆の種子を対象として、
都道府県がみずから普及すべき優良品種を指定し、原種と原原種の生産、
種子生産圃場の指定、種子の審査制度などが規定され、
都道府県の役割が位置づけられたものであります。
種子法の意義としては、自治体などに対し、その地域に合った作物の種の生産と普及を義務づけていることであります。つまり、日本の
食糧安全保障の肝である種について、単純にビジネスと化すことはせず、農家に優良な種を提供することを種子法が各自治体に義務づけたもので、事実上、種子法は、
遺伝子組換え作物の普及を妨げる防壁となっていたのであります。
種子開発の変遷をたどると、開発の担い手は農家から県の
農業試験場など公的な研究所に移り、さらに民間企業に移り、そして、その企業が多
国籍企業へと変わってきており、種子法は、その時代の流れの中で施行、改正を経て、ことし4月に廃止されるのであります。
つまりは、
TPP環太平洋パートナーシップ協定や
RCEP東アジア地域包括的経済連携など
グローバル化を推し進める中で、企業の活動を阻害するような規制を緩和する措置の一環と考えるのであります。
さて、我が国でも多く消費されている大豆を例にとると、我が国にはサトウイラズ、シャッキンナシなどユニークな名前を持ち、かつ多様な品種があり、豆腐や納豆、みそやしょうゆになるなど、日本固有の食文化を幅のあるものにしてきました。
しかし、世界的に見ると
モンサント社の
除草剤耐性大豆が8割から9割を占めるという状況にあり、食の特許を支配することで世界の食料を支配するという状態が現実化しているのであります。それは、世界で栽培される
遺伝子組換え作物のほとんどが
モンサント社の技術によると言われ、この
遺伝子組換え食品の特徴として、
ラウンドアップという
モンサント社の除草剤に耐性を持たしたものであります。アメリカで生産されている大豆の85%は、
モンサント社の
除草剤ラウンドアップに耐えられるように
遺伝子操作を施し、
モンサント社がつくる除草剤にだけ効果があるため、農家は
モンサント社の除草剤を使う以外に選択肢はないのであります。
また、現在、
モンサント、バイエルなど多
国籍種子企業の間では、合併、統合、買収が相次ぎ、巨大な企業がさらに巨大になり、韓国では既に多
国籍企業による
種子企業の買収が進み、貴重な在来の品種が失われるなどの影響が出ていると聞き及んでいます。
種子ビジネスが一部の多
国籍企業に独占されている状況では、農家は企業が売りたい、つくらせたいと思う種子を購入せざるを得ず、その結果、消費者の食べたいものを選ぶ権利や選択肢も狭められ、種子の私有化が進み、
地域ブランドへ影響を及ぼすとともに、外国企業による種子の囲い込みにより食の安全が崩壊するように思えてなりません。加えて、本県においても、多くの時間と労力を割いて種子を開発してきたように、公的な制度や予算に依存する地域品種も少なくなく、地域振興の資源でもある小規模な品種は、
種子法廃止によって将来的に消滅してしまうのではないかと危惧するのであります。
そこで、お尋ねをいたします。
本県では、種子の開発や生産について、これまでどのように取り組み、今後、どう展開していくのか。また、種子法の廃止による本県への影響はどうか、お聞かせください。
次に、
B型肝炎に関する教育等についてお尋ねをいたします。
我が国における
ウイルス性肝炎患者は350万人以上いると推定され、特に、本県では肝がんによる死亡率が高いのは、御案内のとおりであります。
そのような中、県でもさまざまな取り組みを行っており、
厚生労働省肝炎総合対策推進国民運動の「知って、
肝炎プロジェクト」の集中的な広報を活用し、大使や
スペシャルサポーター等有名人による
肝炎ウイルス検査の啓発も推進しています。
中村知事もこの啓発に一役買い、愛媛県は肝
がん死亡率が全国の中でも高く、
肝炎検査の
受検者数は少ない状況です。肝炎は病気になっても気がつかないことが多いので、検査を受けることが重要ですと検査の必要性を呼びかけられました。
また、昨年は、
肝炎対策特別大使である
伍代夏子さんが知事を表敬訪問し、肝硬変、肝がんになってからでは遅い、肝
がん死亡率が高いのは
ウイルスを持っている人が多いということです、自発的に検査を受けてくださいと、知事とともに
肝炎検査の受検を呼びかけ、知事と一緒に
肝炎検査を受けましょうという青色の
メッセージボードを手にし、ツーショットの写真が新聞紙面を飾っていました。前回は、歌手で女優の
上原多香子さん、今回は
伍代夏子さんという
肝炎対策特別大使や
スペシャルサポーターの訪問を受けられ、
中村知事も、肝炎問題に対する認識がさらに高まったのではないかと私は大いに期待をするのであります。
さて、昨年の6月1日に、
厚生労働省研究班がある調査の結果を発表しました。それは、
集団予防接種などの注射器の
使い回しによる
B型肝炎感染被害をめぐり、看護師など
医療従事者の養成課程で、患者さんらへの偏見や差別を防ぐための講義を実施している教育機関が4割に満たないという調査結果であります。
この調査によると、昨年度、看護師の養成所など准看護師、
臨床検査技師、
歯科衛生士の4職種を教育する
都道府県指定の約1,100校を調査し、その約6割から回答があり、そのうち偏見防止の講義を実施したのは36.5%で、患者さんや家族の話を直接聞く機会を設けたのは9校だけだったとのことであります。
B型肝炎の被害については、注射器の
使い回しを放置したとして国の責任を問う集団訴訟があり、2011年に国が給付金を支払うことで、
全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団と合意したという
歴史的経緯があります。その合意書の中には、国は患者が不当な偏見、差別を受けることなく、安心して暮らせるよう啓発、広報に努めるということが盛り込まれ、この合意をもとに原告団・弁護団が一昨年7月に厚労省に
医療関係職種での教育充実を要望し、今回の調査につながったのであります。
今回の調査結果を受け、厚労省は昨年10月30日に、
B型肝炎患者や家族に体験を語ってもらう授業を取り入れたり、歴史的事実を教えたりするなど、偏見や
感染拡大を防止するための教育が推進されるよう
都道府県に通知し、看護師など4職種を含め、保健師や助産師、
あんまマッサージ指圧師など、計19職種の
養成機関に周知するよう求めたのであります。
既に
愛媛大学医学部では、全国に先駆けて患者さんに登壇していただく形での講義を実施しているとのことでありますが、この
B型肝炎については、未然に感染を防止すること、感染後は適切に治療すること、そして、感染したり発病したりした後は、その患者さんを取り巻く環境から不当な予断や偏見をなくすことが重要であります。
しかし、現実には、歯科医院での治療を後回しにされたり、
医療機関や介護施設の職場にいづらくなったり、退職したりするケースもあり、原告の方も、本人はもとより家族への影響を考慮して、残念ながら患者であることを隠し続ける方もあまたおられるのであります。
患者の方の就職について憂えた気持ちをあらわした、正職につけぬ体の憎き針などという言葉に接するにつけ、偏見や
感染拡大を防止するための教育は、
医療従事者養成機関や
医療機関は当然として、社会全体で必要であると強く思うのであります。
そこで、お尋ねをいたします。
B型肝炎に関して、不当な偏見や差別を防ぐため、本県の
医療従事者養成機関や
医療機関での教育の実施状況はどうか、お聞かせください。
加えて、病院職員を含む県職員について、
ウイルス感染者の採用や就労に関する考え方はどうか。また、感染の有無が採用や就労に影響している実態はないか、お聞かせください。
次に、
空き家対策についてお尋ねいたします。
今、我が国において空き家が急増し、このことへの対策は喫緊の課題であります。
誰も住まなくなった家は老朽化し、衛生上、保安上などの問題が生じるとして、2010年ごろから各自治体が条例の制定に乗り出し、国会においては2014年11月に
空家等対策の推進に関する
特別措置法が公布され、15年5月に全面施行されました。また、住宅に困っている人に空き家の提供が進むよう
住宅セーフティネット法の改正もされてきました。
現在、我が国には約820万戸の空き家がある一方で、新築住宅もつくられ続け、2013年度には
消費税増税前の
駆け込み需要で99万戸も住宅が新築され、13年には
空き家率が13.5%と過去最高を記録し、本県については山梨県に次いで全国で2位という状況にあります。
全国的には、65歳以上の方のみの世帯が住む
一戸建て住宅は約690万戸で、一戸建ての4戸に1戸は
空き家予備軍と言ってもいい状況にあります。通常、
空き家率は国の経済状況によって上下しますが、我が国の場合は戦後一貫して上がり続け、イギリスの3から4%、ドイツの1%前後、国土の広いアメリカでも8から10%であるということを考えると、我が国の空き家の多さが際立っています。
住む人がおらず、相続や売却などの手続もされずに管理されなくなった空き家は放火されたり、事件の現場となったり、地震などで倒壊し、救出、復旧に大きな支障が出るおそれがあり、近隣住民や自治体にとっては悩みの種となっています。
このような状況から、2010年には埼玉県所沢市で
空き家等の
適正管理に関する条例を制定したことを契機に、全国各地に条例制定の動きが広がり、今では、400を優に超す自治体で
空き家条例が制定されているようであります。
そもそも空き家には、売却用、賃貸用、別荘などの二次的住宅、その他の4つの類型があり、そのうち管理不全な状態にある空き家が問題となっています。国が施行した特措法は倒壊の危険があったり、衛生面で有害となったり、景観を著しく損なっている空き家を
特定空家等とし、市町村が助言や指導、勧告、命令、代執行の措置を講じることができると規定し、その判断基準は、国交省が定めたガイドラインに基づき自治体が判断するスキームになっています。
しかし、この特措法について、自治体の担当者からは必要性が余り感じられないという声が上がっているのも事実であります。
日本弁護士連合会が行った
空家等特措法施行1年を経ての
全国実態調査によると、
特措法制定について、必ずしも必要ではなかった、全く必要なかったと答えた自治体は約4割に上ったそうであります。調査を担当した
伊藤弁護士は、特措法は条例の単なるコピーであり、老朽化した家屋の
適正管理や撤去は実情に応じて条例で対応可能である。また、上智大学の北村教授も条例が先行している場合は
枠組み法にとどめ、自治体を縛る内容は全国一律対応が必要なものに限るべきだが、そういう配慮は一切ない法律と評しているのであります。
また、日弁連の調査によると、自治体が国に期待しているのは、第一に
財政的支援であり、第二に相続人のいない財産を国庫に帰属できるような法整備であるそうであります。
我が国は、人口減少、土地、建物余りの時代に入りました。しかし、不動産の所有権を放棄するルールがないほか、相続放棄をすれば国庫に帰属させることができますが、不要な物件だけを選んで手放すことはできません。相続のできない、所有者が不明な物件を国庫に帰属させる手続こそ法令で定める必要があるのではないかと考えるのであります。
そこで、お尋ねをいたします。
2015年5月に全面施行となり、間もなく3年を迎えようとしている
空家等対策の推進に関する
特別措置法によって、本県での
空き家対策がどのように進んできたのか。また、その実績などを踏まえ、今後
空き家対策にどのように取り組んでいくのか、御所見をお聞かせください。
次に、
山岳事故についてお尋ねをいたします。
本県は山岳の多い地形で、そのために特に石鎚山系、赤石山系への登山者も多く、その数に比例して死者も出るほどに遭難などの
山岳事故が少なからず発生しています。しかし、この
山岳事故に関して、本会議では約20年も前に質問がされたようであります。
さて、自然の中を歩き親しむ登山や
ハイキングは人気があり、2016年の
総務省社会生活基本調査によれば、15歳以上で過去1年間に登山、
ハイキングに行った人は1,073万人で、
行動者率は10%となっています。
行動者率を
年齢階級別に見ると、65から69歳が12.5%と最も高く、幅広い
年齢階級で
行動者率が高くなっているのが特徴であります。また、
行動者率を5年前と比較すると60から64歳以外の全ての
年齢階級で
行動者率が上昇しており、それほどに登山、
ハイキングの人気が高まっているのであります。
一方、この人気と比例するように
山岳遭難などの事故も急激にふえている状況にあり、警察庁が昨年の6月に発表した直近の
山岳遭難の概況によれば、2016年には、
山岳遭難の
発生件数は2,495件、遭難者は2,929人で、そのうち死者・
行方不明者が実に319人もいるのであります。過去10年間の
山岳遭難の発生状況を見ると、増減を繰り返してはいますが、2007年に比して
発生件数で1,011件、遭難者で1,121人、死者・
行方不明者で60人とそれぞれふえているのであります。
遭難者について目的別に見ると、
ハイキング、
スキー登山、沢登り、岩登りを含む登山が71.7%と最も高く、次いで山菜、
キノコとりが13.2%を占めているということであり、誰もが経験する日常的な風景の中で起こっているとも言えるのであります。
また、遭難者のうち40歳以上が77.5%、このうち60歳以上が1,482人と全体の50.6%を占め、死者・
行方不明者では40歳以上が90.6%、このうち60歳以上が215人と全体の67.4%を占めている状況にあるそうであります。
このような状況から、警察庁では、
山岳遭難の多くは天候に関する不適切な判断や不十分な装備で体力的に無理な計画を立てるなど、知識、経験、体力の不足等が原因で発生しているとして、登山計画を作成し家族などに知らせておくことや、危険箇所を事前に把握しておくこと、地図やコンパスの携帯や滑りにくい登山靴、ストックなどの装備を整え、慎重な行動を心がけるよう警告をしているのであります。
さて、本県に目を転じ、昨年の
山岳遭難の発生状況を見ると、
発生件数で33件、遭難者は41人、そのうち死者が3人、負傷者が13人、無事救出者が25人とのことであります。酷寒、酷暑など過酷な状況下で、救出、捜索等に当たられた関係者の皆様に深く敬意を表するものであります。
一昨年から8月11日が山の日と制定され祝日となったこともあり、本県でも今後、さらに登山者がふえることが予想されるのであります。
山岳事故や遭難ということを考えたとき、いかにして
山岳事故を起こさせないか、そして、事故後いかにして無事救出するかが問われるのであります。その中心的な役割を担うであろう県警機動隊も、昨年、東温市の新たな施設に移転をしたのは、御案内のとおりであります。
そこで、お尋ねをいたします。
県警として、
山岳事故を引き起こさないように、事前にどのような取り組みをされていくのか。また、発生した後の事態に対してどのような準備をされていくのか、お聞かせください。
以上で、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
毛利修三議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
毛利修三議長)
中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 石川議員に、まず、
食品ロスの削減のための取り組みについての御質問にお答えをさせていただきます。
食品ロスの削減は、循環型社会や低炭素社会の実現のため、食品関連事業者はもとより、消費者、行政が一体となって取り組むべき重要な課題であります。3010運動を初め、食べきり運動は、愛媛が誇る豊かな海の幸、山の幸などの食材を無駄にせず、気軽に楽しく実践でき、効果が目に見えることから、県民への浸透、定着を目指しているところでございます。
県では、第四次えひめ循環型社会推進計画やえひめ農業振興基本方針2016におきまして、
食品ロスの削減を基本施策に掲げ、県民の意識啓発を図るためおいしい食べきり運動に取り組んでおり、今年度は食べ残しゼロ
キャンペーンや
食品ロス削減アイデアの募集、食材の無駄を出さない料理教室の開催、忘年会・新年会シーズンにおける街頭啓発や飲食店等への協力依頼を実施したところでございます。
来年度は、新たに3010運動に取り組む食べきり宣言事業所の登録制度を創設しまして、職場での普及拡大を図るとともに、家庭への食べきりレシピの周知を行うほか、引き続き外食産業への啓発や食育の推進、愛媛大学での消費生活講座の開催に取り組むなど、もったいないの精神を生かした県民総参加による運動を積極的に展開してまいりたいと思います。
次に、
空き家等の対策に関する御質問にお答えをさせていただきます。
本県では、近年、
空き家率が全国に比べて急増しており、管理不十分な空き家が防災面や衛生面等で県民の生活環境に深刻な影響を及ぼしてきておりますことから、
空き家対策は喫緊の課題となっています。
このため、県では特措法の施行を受けまして、
空家等対策計画の標準モデルを示すなど、市町に対し技術支援を行った結果、今年度中に14市町、来年度中には全市町で当該計画が策定される予定となっています。
また、27年度から市町に対し、老朽危険空き家の除却補助を実施しており、今年度は2月末時点で、昨年度実績の2倍を超えます177件となりますなど、着実に成果が上がっているところであります。
一方、これらの対策を進める中で、所有者不明で除却が困難な空き家が顕在化するなど課題が生じていることから、来年度からは、市町のほか司法書士会や弁護士会等と連携した
空き家対策ネットワークを構築し、この中で解決策を検討して除却を進めていくこととしています。
県としても、今後とも市町を積極的に支援するとともに、新たな老朽危険空き家の発生を抑制するため、空き家の利活用も検討するなど総合的な
空き家対策を進めて、県民の生活環境の保全に努めてまいりたいと思います。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えさせていただきます。
○(門田泰広
総務部長) 議長
○(
毛利修三議長) 門田
総務部長
〔門田泰広
総務部長登壇〕
○(門田泰広
総務部長)
B型肝炎に関する御質問のうち、
ウイルス感染者の県職員への採用や就労に対する考え方についてお答えをいたします。
病院職員を含む県職員に関する
ウイルス感染者の採用や就労については、厚生労働省通知にも示されているとおり、肝炎
ウイルスに感染していること自体は、不採用や就業禁止、解雇の理由とはならないと考えておりまして、本県職員の採用に当たりましては、
肝炎ウイルス検査は実施しておりません。
また、肝炎
ウイルスによる症状が見られる職員については、他の病気を有する者と同様に、その病状等に応じ適宜産業医等と相談の上、合理的な就業上の配慮を行うことといたしております。
したがいまして、
B型肝炎ウイルスへの感染の有無が採用や就労には影響しておらず、今後とも、全ての職員が健康で安心して職務に専念できるよう職場環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(山口真司
保健福祉部長) 議長
○(
毛利修三議長) 山口
保健福祉部長
〔山口真司
保健福祉部長登壇〕
○(山口真司
保健福祉部長)
B型肝炎に関する御質問のうち、
医療従事者養成機関等への教育の実施状況について、お答えをいたします。
B型肝炎に対する不当な偏見や差別の防止は重要と認識をしておりまして、県では、厚生労働省の通知を受け、平成29年11月1日付で、県内17の全ての看護師等の
医療従事者養成所及び施設に、
B型肝炎に関する教育の推進について通知をしたところでございまして、これまでに5カ所が啓発教育等を実施済み、7カ所が今後実施予定でございまして、残る5カ所へは引き続き対応を求めていきたいと考えております。
また、県内の各
医療機関では、
B型肝炎も含めた院内感染防止対策の指針を定め、その中で職員に対する教育に取り組んでおりまして、正しい知識の浸透が図られているものと考えているところでございます。
以上でございます。
○(田所竜二
農林水産部長) 議長
○(
毛利修三議長) 田所
農林水産部長
〔田所竜二
農林水産部長登壇〕
○(田所竜二
農林水産部長) 種子の開発や生産への取り組み及び
種子法廃止の影響についてお答えをいたします。
県では、水田作物の安全性や品質を確保するため、種子法に基づき、ヒノヒカリやにこまるなど主要県産米やマンネンボシなど日本一の生産量を誇ります裸麦の原種を生産いたしますとともに、コシヒカリなど他県で生産された種子の一括購入等も行いながら、県内で必要とされる種子量の9割程度を供給してきたところでございます。
また、酒米として評価の高い松山三井やしずく媛を開発いたしましたほか、現在は、新たな主食用米媛育73号など県オリジナル品種の開発にも取り組んできており、来年度は、水稲の新品種開発をスピードアップするための世代短縮温室等を整備するなど、新品種づくりに向けました研究体制の充実を図ることとしております。
今回の
種子法廃止は、種子の生産、供給体制への民間参入を促すためのものでございますが、従来の本県での供給体制が生産農家から高い信頼を得ております状況を踏まえますと、当面は、急速に民間企業の参入が進むとは考えがたく、県といたしましては、今後も、これまでどおり中心的役割をしっかりと果たすことで生産者の不安を払拭し、県内外の消費者に安全・安心な作物を安定的に供給できるよう努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(林学
警察本部長) 議長
○(
毛利修三議長) 林
警察本部長
〔林学
警察本部長登壇〕
○(林学
警察本部長)
山岳遭難対策についての御質問にお答えをいたします。
本県では、毎年
山岳遭難が発生しており、昨今の登山ブームにより、今後、さらに登山者の増加が予想されることから、
山岳遭難対策は重要であると認識しております。
県警察では、県内における発生状況の分析に基づき、登山口等での広報啓発チラシの配布、山岳パトロールを通じた登山者への注意喚起、県警ホームページを活用した広報啓発活動のほか、平成28年9月、日本山岳ガイド協会とインターネット登山届受理システム「コンパス」の活用に関する協定を締結して情報共有を図るとともに、同システムの活用広報を通じ、安全登山の意識の醸成を図るなどして防止対策に取り組んでおります。
また、発生に備えて、四国中央署、西条署及び久万高原署と機動隊で合計77人体制の山岳警備救助隊を編成し、夏山・冬山等の訓練を通じ、隊員の技能向上を図るとともに、県警航空隊、愛媛県消防防災航空隊、地元消防署との合同訓練も実施しているところであります。
今後とも、
山岳遭難発生時における迅速かつ安全な救助活動に向けた訓練等を実施するとともに、関係機関、団体等と連携し、各種防止対策に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(
毛利修三議長) 暫時休憩いたします。
午前10時44分 休憩
―――――――――――――――――
午前11時1分 再開
○(
毛利修三議長) 再開いたします。
質疑を続けます。
○(松下行吉議員) 議長
○(
毛利修三議長) 松下行吉議員
〔松下行吉議員登壇〕
○(松下行吉議員) (拍手)自民党志士の会の松下行吉です。
第2期中村県政総仕上げの平成30年度予算を審議する今議会で質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げ、質問に入らせていただきます。
まず初めに、県内農業の担い手の状況と育成についてお伺いします。
言うまでもなく、農山村は国民に食料を供給するだけでなく、国土の保全、水源の涵養、エネルギーや木材の供給などさまざまな機能を有し、多様な伝統と文化を育む大切な役割を担っております。農業は、国家の土台となる重要な産業です。
しかし、農林水産省が発表した平成29年の農業構造動態調査結果によると、我が国の基幹的農業従事者は150万7,000人で、前年より7万9,000人減少、およそ四半世紀ほどで6割程度に減ってしまっており、このまま減少に歯どめがかからないのではないかとさえ思えてきます。また、このうち65歳以上が約100万人で、全体の7割近くを占めています。農業従事者の減少、高齢化は、そのまま農村の過疎化、衰退につながっています。特に、本県のように中山間地域の多い地域では、少子化、高齢化と相まって、地域のコミュニティが維持できなくなってきているところも出ており、農業の担い手確保は、今、最も大きな課題です。
過去を振り返りますと、農村の活性化と農業の担い手の問題については、昭和の高度経済成長の時代からいろいろな手段が講じられてきました。
平成に入ってからは、認定農業者制度が創設され、市町村が認定した認定農業者に対して、国、県、市町村から各種の支援をしています。法人も含めた全国の認定農業者数は、平成28年度では24万2,304経営体となっています。また、平成28年度新規就農者調査結果では、我が国の新規就農者数は6万150人で、2年続けて6万人を超え、そのうち49歳以下の新規就農者は、平成19年以降では前年に次いで2番目に多い2万2,000人ということで、心強い結果ともなっています。
一方、県内を見てみますと、平成27年の基幹的農業従事者数は約3万5,000人で、5年前と比べると8,000人、平均すると1年に1,600人程度が離農しています。離農者に対して新規の就農者は、大体年間約140人程度、これは40歳未満の人たちに限定した数ですが、それにしても、その差が大きなものとなっています。さらに、県内の認定農業者は、平成21年度の4,985経営体が最高で、その後は徐々に減少し、平成28年度は4,564経営体となっております。
また、今の3万5,000人の基幹的農業従事者のうち69.5%が65歳以上で、この比率は、四半世紀で倍以上になっています。高齢者の定義を75歳以上にしようかという時代ですから、65歳から74歳の人たちを25年前と同じように考えるわけにはまいりませんが、農業の高齢化は行き着くところまで来たといった感があります。こうした中、県においても、農業、農村を支える担い手確保・育成のため、新規就農者の確保や認定農業者の育成に県単独で支援を行うなど力を注いでおられると聞いております。
そこで、お伺いします。
これらを踏まえて、県内農業の担い手確保と中核的な農業経営体である認定農業者の育成について、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いします。
次に、これからの林業の成長産業化と施業の効率化についてお伺いします。
県では、林業の成長産業化に向けて、平成25年度に林業躍進プロジェクトを立ち上げ、平成26年度から間伐に加えて、主伐を計画的、段階的に導入し推進しております。これによると、平成30年度には、主伐面積を600haふやし、素材生産量を65万立方メートルとする計画で、プロジェクトの立ち上げ当時と比べ、素材生産量を18万立方メートル増産する成果指標となっています。
今、県内の民有林における森林資源は年々成長し、毎年約100万立方メートルずつ増加しており、しかも収穫可能な51年生以上の杉やヒノキの人工林は5割を超え、供給能力は十分できてきております。
一方、地球規模に視野を広げてみますと、森林面積は1990年に41億2,800万haあったものが、2015年には39億9,900万haに、25年間で1億2,900万ha、南アフリカの国土面積に匹敵するほどの森林が地球上からなくなっています。このことは地球環境に大きな影響を及ぼすもので、環境意識の高まりもあって、海外では、違法伐採の撲滅や森林資源の枯渇を防止するため、持続可能な森林経営に力を入れる国が多くなっております。
また、人口増加や経済発展に伴い、木材需要が大きく増加するなど、世界の木材需給も大きく変化しております。市場関係者からは、輸入材が入りにくく国産材への期待が高まっていること、また、国産材の輸出にも勝機が出てきているなどの声が出てきております。
現在、愛媛県内の原木の流通量は年間約85万立方メートル、うち約4割は外材や県外からの木材です。県内の森林資源の状況からすれば、外材などの木材を県産材に置きかえて県内木材の使用比率を高めることは十分可能であると考えます。
加えて、本年1月からは、県内初の木質バイオマス発電所の営業運転が開始され、また、4月からは、西条市にCLT製造工場が稼働する予定とのことで、新たな需要も生まれてきております。県内の製材加工業も規模拡大をしております。
国内外において、このように木材が注目され、その活用への期待が高まっている今こそ、身近にある再生可能な森林資源を地域の活性化に役立てていくことが大切ではないかと思うのであります。このためには、林業躍進プロジェクトの素材生産量65万立方メートルの目標が試金石になるわけで、県産材の安定供給体制の整備が求められます。
安定供給体制の第一は、伐採現場の効率化であり、効率化には伐採現場を集約、拡大し、林道網を有効に使っていかなければなりません。隣接する複数の所有者の森林を取りまとめ、団地化し、意欲と能力のある林業事業体が路網作設や伐採、搬出等の森林施業を受託して一括して実施する施業の集約化を推進する必要があります。個人が持つ小規模な森林であっても、周囲の森林とまとまりをつくることでコストを抑えた効率的な森林整備が行えるようになるわけです。
そこで、お伺いします。
林業躍進プロジェクトの素材生産や主伐の進捗状況はどうか。また、目標の達成に向けて、今後どのように取り組んでいくのかお聞かせください。
次に、河川の水質保全についてお伺いします。
戦後の経済発展とともに私たちの生活は豊かになりましたが、豊かさの副産物として、公共用水域の水質汚濁が問題となりました。昭和40年代に水質汚濁防止法など産業公害に対する法体系が整備され、工場などの排水の水質改善は格段に進みましたが、私たちの家庭から排出される台所、風呂などの排水である生活雑排水の対策は、規制が難しいこともあって後手に回った感は否めません。
この生活雑排水処理は、当初、公共下水道や農業集落、漁業集落排水処理施設など、自治体が整備する集合型の処理施設が先行して整備されてきましたが、建設と維持に多額の費用がかかること、人家がある程度固まったところでなければ投資効果が低いことなどから、いま一つ普及しておりませんでした。そのすき間をつくように、家庭用の単独処理浄化槽が普及し始めますが、トイレだけを対象にしていたので、生活雑排水は公共用水域に垂れ流しになっていました。
そこで出てきたのが小型合併処理浄化槽です。家庭用の小型合併処理浄化槽は、平成に入って性能が格段に向上するとともに、下水道と同等の機能があると認められ、下水道などの計画区域外で生活排水対策を担う設備として認識され、自治体から補助金が出るようになっています。
そのような経緯の中で、
都道府県は、公共下水道など集合処理施設や個別合併処理浄化槽などを体系的に整備していくため、全県域下水道化基本構想の策定等により、生活排水処理を進めていく土俵をつくっています。
平成26年には、国土交通省、農林水産省、環境省の3省が合同で、各
都道府県が基本構想の策定に当たって参考とするマニュアルをまとめておりますが、それによると、10年程度をめどに汚水処理施設の整備がおおむね完了を目指すことや、20年から30年程度長期的なスパンでは既整備施設の改築や更新、また、運営管理の観点を盛り込むことなど放流水の水質保全の考え方が示されています。
平成28年度末の汚水処理人口普及率は、全国平均で90%を超えました。愛媛県は77.2%と全国平均に届いていないのは残念ですが、生活排水対策は新しい段階に入ったと言えます。これからは、汚水処理人口普及率の向上もさることながら、愛媛県の豊かで美しい自然環境を将来世代に残していくためにも、河川の水質保全に重点を置かなければならないと思います。このため、県では、従来から公共用水域の調査を実施し、定期的に水質状況の確認をされていると承知しております。
そこで、お伺いします。
河川の水質の現状はどうか。また、河川の水質保全に今後どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
次に、河川堤防の老朽化対策についてお伺いします。
この10年ほど記録的と呼べるような集中豪雨が多発しています。記憶に新しいものでは、平成23年紀伊半島を襲撃した台風12号、24年、九州北部豪雨、25年、伊豆大島に被害を与えた台風26号、そして、26年、死者74人を出した広島局地豪雨などが浮かび上がります。一昨年は東北、北海道に台風が相次いで上陸し大きな被害をもたらしました。
また、昨年9月の台風18号は、中予地域を中心に豪雨をもたらしています。17日の降り初めから18日未明まで、重信川流域の平均総降雨量は214ミリで、特に、午後2時からの1時間は42ミリ、3時からの1時間は43ミリとバケツをひっくり返したような激しい雨が降っています。
松前町西高柳の重信川出合水位観測所では、観測史上最高水位の5.65mを記録しました。もう30分この雨が降り続いていたら、激流が出合周辺の堤防を越えたのではないかと思えます。
その後の調査では、堤防内部に浸水があり、居住区域側へ湧き出る漏水が28カ所確認されました。重信川の堤防は、終戦直前から大規模な補強がなされておりますが、盤石ではないことが浮き上がってきました。河川堤防という大きな社会インフラが私たちの目に見えないところで傷んでいたということに、大きな衝撃を受けたのは私だけではないと思います。
国は、人命の保護、国民の財産や公共施設に係る被害の最小化、迅速な復旧・復興が図られるよう安全・安心な国土、地域、経済社会の構築に向けた国土の強靱化を推進しており、国土交通省四国地方整備局は、今回の国の補正予算で重信川堤防補強に関連する防災・減災への対応に重点を置いていると聞きます。国の補正予算に対応した県の2月補正予算でも、重信川堤防補強に関連する河川改修事業負担金の計上がありますが、今後、重信川堤防の漏水対策がどうなるのか気になるところです。
今回の漏水箇所は国直轄区間であり、国が責任を持って対応していくべきことではありますが、県としても、国に対して早急な堤防漏水の原因特定や安全性の確認、さらには調査結果を踏まえた漏水対策の実施を強く要望していただきたいと思います。
愛媛県が、防災・減災対策を重点施策として取り組んでいることは十分承知しております。県管理河川については、平成26年から改正河川法に沿って堤防や水門の定期点検に取り組んでいると聞いております。平成30年度の愛媛県当初予算でも土木施設の防災・減災対策事業に43億円の計上があり、多額の費用を要する堤防の老朽化対策ですが、徐々に進んでいくものと期待しております。
そこで、お伺いします。
県管理河川の堤防点検の状況と点検結果を受けた対策はどのように進んでいるのか。また、昨年の重信川堤防の漏水について国の対策の進捗状況はどうか、お聞かせください。
次に、オーストラリアへの販路開拓についてお伺いいたします。
県におかれては、愛のくにえひめ営業本部を中心に、本県が誇る県産品やものづくり技術等のビジネスチャンス獲得に向けた営業活動に積極的に取り組まれ、先月発表の4月から12月期の県関与成約額は、前年同期比15.7%増の84億6,366万円と、今年度の目標である110億円の達成も視野に入ってきており、そのうち海外分は18億3,242万円と既に前年度と同程度になっているなど順調に進捗されているとのことで、大変心強く感じております。
さて、私は、1月に自民党志士の会の同僚議員とともに、愛媛県議会の海外派遣研修として、オーストラリアの市場動向や食品事業等について視察をしてまいりました。
日本とオーストラリアは、活発な姉妹都市交流と地方自治体レベルでの交流といった地方主導の緊密な関係が進展しております。このことを示すように日本政府観光局の統計によりますと、オーストラリアからの訪日旅行客が2017年には前年比11.2%増の49万5,100人に上るなど、オーストラリアにおいて日本に対する関心が高まってきております。
さらに、オーストラリアの人口は2017年6月現在で2,460万人ではありますが、世界最長となる26年連続の経済成長を達成し、年間可処分所得が米ドルで3万5,000ドル以上の富裕層が1,400万人を超えております。日本食ブーム、健康ブームも相まって、県産品の新たな販路として、これから期待の持てる市場となっております。
そのような中、県におかれては、昨年度からオーストラリアへの販路開拓に取り組んでおられ、その成果もあり、メルボルンの地元マーケットで定期的に県産の日本酒がPRされていたり、日系小売店では、既に販売されている麦みそやポン酢などの県産品がコーナーに陳列されていたりと徐々に県産品がふえてきつつある状況を見てまいりました。今後、現地の消費者にしっかりと定着させることで、継続的な取引が拡大することを期待するところであります。
また、県人が経営するシドニーの日本食レストランやメルボルンの高級レストランでは、愛媛の柑橘加工品を使ったソースをラム肉に合わせたり、ひしおみそをつけてあぶったマグロを使用したりと、愛媛食材と現地食材とがコラボレーションしたメニューの試食をしまして、その際の意見交換を通じて、今後、県産品のさらなる販売拡大を図るには、多く所在する日本料理店はもちろんですが、日本料理以外のレストラン等にも幅広く展開することが重要であり、現地食材とのマッチングによる現地ニーズに合ったメニューの開発や積極的なプロモーション、情報発信が効果的であるとの印象を強く受けた次第であります。
そこで、お伺いします。
県では、オーストラリアへの県産品の販路開拓に、今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお聞かせください。
次に、マイナンバー制度についてお伺いします。
国民番号制度について紆余曲折があったことは御存じのとおりです。大きな動きとしては、昭和55年ごろに、少額貯蓄等利用者カード導入を盛り込んだ所得税法の改正が一旦なされましたが、各方面から反対意見や抗議が相次ぎ、議論紛糾の末に廃止されたことがありました。その後、平成19年の消えた国民年金の問題などもあり、国民の間で国民番号制度の必要性が認識され、平成25年5月にマイナンバー法が成立、28年1月から一部運用となり、
都道府県、市町村でも独自利用を始めています。
昨年1月からは、国の機関で情報連携が始まり、7月にオンラインサービスサイトであるマイナポータルが開始されました。11月に、地方公共団体も含めた情報連携の本格運用となり、853の事務手続が情報連携可能となっています。本年7月には、約940の事務手続に拡大される予定と聞いております。また、効果が大きい公的年金に関する手続については、本年3月から順次本格運用に入るようです。
県では、当初、高校生の奨学給付金の支給に関する事務など8つの事務にマイナンバーを独自利用していましたが、29年の条例改正で、肝炎患者の医療費助成に関する事務と肝炎
ウイルス陽性者の検査費助成に関する事務を加えています。
マイナンバー制度は、社会保障・税制度の効率性、透明性を高め、国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現するための社会インフラです。また、今課題となっている働き方改革を達成する上でも重要なツールになると考えられます。劇的な変化はありませんが、マイナンバーの利用が進めば、いつの間にか前より行政手続が楽になったようだと感じるようになるのではないでしょうか。
これからマイナンバーの利用範囲は確実に広がっていくと思いますが、危惧されるのはマイナンバーカードの普及が進んでいないことです。昨年8月末時点の交付率は全国で9.6%でした。本県はそれより低い7.8%です。
普及しない理由は、当たり前のことですが、使える機会が少ないことです。私は、マイナンバーカードを持っておりますけれども、残念なことに、今まで使える機会がありませんでした。機会がなければカードも必要ないわけです。使える機会をふやして、カードが普及して初めて国民にとって利便性の高い社会の実現という制度の趣旨が実感できるのではないでしょうか。
そこで、お伺いします。
マイナンバーカードの普及に向け、今後どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
最後に、教育現場の長時間労働の是正についてお伺いします。
今、働き方改革は、一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジとして位置づけられています。中でも、長時間に及ぶ時間外勤務は、仕事と子育てなどの家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因や女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参画を阻む原因であり、是正は重要な課題として上げられています。
特に、公立学校の教員の場合は、その職務と勤務態様の特殊性から超過勤務手当を支給することがなじまず、いわゆる給特法により、給料月額の4%が教職調整額として一律に支給されております。そのため、残業代込みの給料が支払われているので、残業は当たり前だといった先入観ができ上がり、教員の勤務時間の管理を曖昧にしてきました。
平成28年の教員勤務実態調査によりますと、小学校教諭の34%、中学校教諭の58%で残業時間が過労死ラインとされる月80時間以上に膨らんでいることが問題となっています。しかも、同じ調査では、タイムカードなど退勤の時間を記録している学校は、小中学校ともに1割程度で、実際の勤務時間はもっと長いのではないかと想像されるとともに、学校現場の勤務時間に対する意識の低さがうかがわれます。
このような状況の中、文部科学省は、平成28年6月に、学校現場における業務の適正化に向けて通知を出して、統合型校務支援システムの整備など現場の環境改善や部活動指導負担の大幅な軽減など、長時間労働是正の方向性を示しました。
愛媛県教育委員会も、その年の10月には県版の業務改善方針を発表し、市町教育委員会とともにいち早くこの問題に取り組まれております。
さらに、29年には中央教育審議会が緊急提言を出しており、ここに来て教員の働き方改革は、我が国が一億総活躍社会の実現に向けて取り組んでいる長時間労働是正の象徴のようになっていると感じるのは、私だけではないと思います。
ただ教育現場の長時間労働を是正していくには、こういった通知もさることながら、学校に対する私たちの考え方、社会が期待する教員像を変えることが重要だと思いますが、それにはいま少し時間が必要かとも思います。
いずれにしましても、人の確保、予算の確保が改善の鍵になりますので、これから県教育委員会の役割はますます重要になってきます。
そこで、お伺いします。
教育現場の長時間労働の是正に向け、今後どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
以上で、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
毛利修三議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
毛利修三議長)
中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 松下議員に、まず、私の方からは、県内農業の担い手確保等と農業に関する御質問にお答えをさせていただきます。
農業従事者の減少が続く中、本県の基幹産業である農業を守り続けていくためには、次代を担う若者を中心とした新たな担い手の参入を促進するとともに、現に今、基幹的な農業者として産地を支えている認定農業者等の収益性を高めて規模拡大に導くことも重要であり、これら両面からのアプローチを並行して推進することが、これからの愛媛農業の維持・発展に不可欠な政策と考えています。
このため県では、担い手育成対策に意欲的なJAと連携し、農業を志向する若者を地域特性や産地目標にかなった農業者へと育成し定着させる養成システムの構築を進めており、今年度は5つのJAと2つの農業公社で取り組みが開始されているところであります。
今後も、こうした取り組みを県内に広げていくとともに、受け入れ体制の整備と並行して、全国の若者に情報発信しながら本県での就農を働きかけていくこととしています。
また、来年度は、規模拡大等に取り組む認定農業者を対象に、拡大面積に応じた上乗せ補助枠を設けた施設設備の支援制度を創設するほか、本年4月には、農業者の経営改善や法人化、集落営農の組織化等を幅広くサポートするえひめ農業経営相談所も開設することとしており、これからの愛媛農業を担う基幹的農業者の育成を農政の最重要課題に位置づけて重点的に支援してまいりたいと思います。
次に、林業関連の御質問についてお答えをさせていただきます。
県内の杉、ヒノキ人工林の約6割が主伐適齢期を迎える中で、県では、林業の成長産業化を目指して、主伐を計画的に拡大しながら県産材の増産を図る5カ年計画の林業躍進プロジェクトを推進しており、4年目となります29年度の進捗状況は、30年度の最終目標値に対して、素材生産量は90%程度を確保できるものの、毎年120haずつ伸ばして、最終目標を600haとしている主伐増加面積については、65%程度の進捗にとどまる見込みとなっています。
これは28年度に木材価格の低迷が続きまして、急傾斜地や遠隔地などで主伐が見送られるケースが相次いだことが大きな要因であり、県では、施業の集約化による効率的経営の推進を強く指導するとともに、今年度から、条件不利地域における主伐や林地残材のバイオマス燃料への利用促進を支援するなど、森林所有者の収益性確保に向けた取り組みを強化した結果、29年度単体の主伐面積は、目標の年間120ha増をほぼ達成できる見込みでございます。
最終年度となる来年度は、これまでのおくれを取り戻すため、新たに直径が大きい主伐材に対応できる高性能林業機械の導入や森林組合等が計画的に生産できる立ち木一括買い取り方式の普及を支援することとしており、プロジェクトの目標達成に全力で取り組んで、県産材の安定供給体制の確立を目指してまいりたいと思います。
その他の御質問については、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(門田泰広
総務部長) 議長
○(
毛利修三議長) 門田
総務部長
〔門田泰広
総務部長登壇〕
○(門田泰広
総務部長) マイナンバーカードの普及に向けた取り組みについてお答えをいたします。
昨年11月から自治体を含めた情報連携の本格運用が開始をされましたマイナンバー制度の効率的な実施を支えるマイナンバーカードは、マイナンバーの提示と本人確認を1枚で済ませることができ、公的個人認証機能を利用して、行政、民間の各種サービスに活用できますことから、県民の利便性の向上に資するものでございまして、県としても普及を進めているところでございます。
しかしながら、日常的に利用できる機会は限られており、現状では交付率は1割に達しておらず、こうした中、国においては、来年度以降、健康保険証を初め、各種カードのマイナンバーカードへの一元化を進めていくほか、インターネットバンキングなどの民間サービスへ活用範囲を広げるなど、多くの国民が利用できる機会をふやす検討が進められているところでございます。
県におきましても、マイナンバーカードを活用することで、コンビニで住民票の写しなどが取得可能となるコンビニ交付の説明会を昨年の夏に開催し、県内市町への参加を働きかけますとともに、昨年の秋には取得促進
キャンペーンを展開し、市町とともにポスター、チラシを配布いたしましたほか、税務署や警察本部に協力を要請し、確定申告や運転免許証返納の際のマイナンバーカード取得の啓発を行ったところでございます。
今後とも、交付率の高い団体の取り組みの横展開を図るなど、市町と一体となってカードの普及促進に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(大森尚子
県民環境部長) 議長
○(
毛利修三議長) 大森
県民環境部長
〔大森尚子
県民環境部長登壇〕
○(大森尚子
県民環境部長) 河川の水質の現状と水質保全の取り組みについての御質問にお答えをさせていただきます。
本県では、水質汚濁防止法に基づき、11河川の18水域を対象に水質監視を実施しており、河川水質の汚濁指標である生物化学的酸素要求量、いわゆるBODの環境基準達成率は、評価の始まった昭和50年代前半の約50%から、近年は約90%まで上昇している状況でございます。
県では、河川の水質保全を図るため、工場、事業場の排水規制を実施するとともに、生活排水対策として、全県域下水道化基本構想を策定して各種処理施設の整備を推進しており、引き続き、市町と連携して、下水道処理区域等における接続率の向上や単独浄化槽から合併処理浄化槽への転換等を促進するとともに、国に対し施設整備関係予算の確保を要望するなど、汚水処理人口普及率の向上に取り組むこととしております。
また、県内の大部分の河川が閉鎖性海域である瀬戸内海に流入していることから、河川の水質保全は、瀬戸内海の水質保全につながるなど、本県の豊かで美しい自然環境を守っていく上で重要であり、今後とも、生活排水対策の実施状況や水質測定結果などの情報を積極的に公開し、県民の皆様の理解と協力のもと、生活排水対策を推進し、河川の水質保全に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(菅豊正
経済労働部長) 議長
○(
毛利修三議長) 菅
経済労働部長
〔菅豊正
経済労働部長登壇〕
○(菅豊正
経済労働部長) オーストラリアへの県産品の販路開拓の取り組みについて、お答えをいたします。
オーストラリアとは、これまでクイーンズランド州及びニューサウスウェールズ州と経済交流協定を締結し、人材の派遣、受け入れなどを中心に交流を行ってきましたが、近年、同国は、長期の経済成長を背景に富裕層が増加し購買意欲が高まり、2015年に日豪EPAが発効したこともあって、今後、有望なマーケットとして期待されるところでございます。
このため、県では、昨年度同国を重点市場と位置づけ、県産品の販路開拓に取り組み始めたところであり、昨年8月には、シドニーで開催されました物産展に県の観光や物産の紹介ブースを出展し、県産品のPRやサイクリングしまなみ2018への参加を呼びかけたほか、現地での商談会等において、県内事業者とともにプロモーション活動を行い、柑橘果汁等の
加工食品や日本酒などの成約につなげたところでございます。
今後は、さらなる販路拡大に向け、シドニー、メルボルンにおいて、飲食店もターゲットにした営業活動に取り組むことといたしまして、来年度、現地にコーディネーターを設置し、複数の飲食店と連携して、地元ニーズに合った県産品メニューを開発し普及を図るほか、県産品販促のための代理店を設けて、地元メディアや食品関係者に対する情報発信、バイヤーの発掘による県内事業者との商談機会の創出などに取り組むこととしておりまして、さまざまな人脈、ルートも活用して、県産品のさらなる販路開拓に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(樋口志朗土木部長) 議長
○(
毛利修三議長) 樋口土木部長
〔樋口志朗土木部長登壇〕
○(樋口志朗土木部長) 河川堤防に関する御質問にお答えをさせていただきます。
県では、平成25年の河川法改正を受けまして、県管理河川のうち279河川、507kmの堤防について、年1回の頻度で点検を行っております。
昨年度の点検では、出水等の影響により新たに発生した箇所を含めまして75カ所で、堤防天端の陥没や護岸基礎部の洗掘などの異常が確認されており、これらの箇所につきましては、既に必要な対策を講じているところであります。
また、国直轄の重信川堤防の漏水対策につきましては、早急に対策が必要な14カ所で大型土のう積み等による応急復旧を完成させますとともに、漏水が確認された28カ所の抜本的な対策を検討するため、学識経験者から成る重信川堤防調査委員会を設立し、現在、漏水の原因や工法の検討を行っており、応急復旧を実施した14カ所は今年度中に対策工事を完成させる予定と聞いております。
県といたしましては、引き続き、点検や日常のパトロール等を通じて、河川堤防の適正な維持管理に努めていくとともに、重信川の漏水対策が早期に完成するよう流域市町と連携しながら、国に対し強く要望してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(井上正教育長) 議長
○(
毛利修三議長) 井上教育長
〔井上正教育長登壇〕
○(井上正教育長) 教育現場の長時間労働是正について、お答えをさせていただきます。
県教育委員会では、教員の長時間労働の是正は重要かつ喫緊の課題と認識しておりまして、国、県、市町、学校現場のそれぞれにおきまして、より実行性のある取り組みを展開する必要があると考えております。
このため、国に対して、全国
都道府県教育長協議会を通じまして、少人数学級の拡充や加配定数の充実等を要望する一方、平成28年10月に策定しました県教職員業務改善方針の取り組みを促進するため、来年度当初予算案に所要の経費を計上し、教員の採点業務や教材作成の補助等を行うスクール・サポート・スタッフを初め、運動部活動における教員の負担軽減や競技力の維持、向上を図る部活動指導員を配置するとともに、学校の抱える諸問題に対して弁護士が相談、助言に応じるスクールロイヤー制度を整備する予定でございます。
さらに、県立学校に校務支援システムを順次整備しまして、ICTを活用した事務処理の効率化や出退勤管理を行うほか、小中学校での業務改善を進めるため、今年度、新居浜市と西条市をモデルに実施しております実践研究に松前町を加えまして、体制強化を図りたいと考えております。
県教育委員会といたしましては、今後とも、国による各種提言や県内モデル事業の成果等を踏まえながら、市町教育委員会など関係機関と緊密に連携し、教育現場の業務改善を図り、愛媛教育の充実、強化につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(
毛利修三議長) 休憩いたします。
午後1時から再開いたします。
午前11時47分 休憩
―――――――――――――――――
午後1時 再開
○(
毛利修三議長) 再開いたします。
質疑を続けます。
○(田中克彦議員) 議長
○(
毛利修三議長) 田中克彦議員
〔田中克彦議員登壇〕
○(田中克彦議員) (拍手)日本共産党の田中克彦です。
学校法人森友学園との国有地取引で、財務省が作成し国会に提出されていた交渉記録が改ざんされた疑いが出ております。財務省は、していないと答弁もできません。また、厚生労働省は、裁量労働制の調査データを事実上捏造していたことが明らかとなり、撤回を余儀なくされました。霞が関というところは、国民の方に顔を向けず、どこまで首相官邸に縛られているのかと感じるのは私だけではないと思います。
まず、国家戦略特区による獣医学部新設にかかわり、改めてお尋ねいたします。
加計学園獣医学部は、4月開学へ準備が進んでいます。しかし、釈然としない思いを持つ県民も少なくありません。
整理しますと、2015年春ごろ、国家戦略特区への提案を内閣府から助言され、4月2日には、首相官邸を県職員も今治市とともに訪問されています。加計学園関係者も同行していたようですが、誰と面会したかは明らかにされておりません。
6月5日、国家戦略特区ワーキンググループ会合。加計学園関係者が同席していたにもかかわらず、議事要旨にはそれが隠され、速記録は破棄したとされ、加計学園関係者の発言についても明らかにされておりません。
この2カ月後の8月6日、当時の国家戦略特区担当の内閣府審議官が、岡山県の加計学園を訪問し、その足で今治市も訪問しています。
この年の6月30日、1、既存の獣医師養成でない構想が具体化、2、ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的需要が明らかになる、3、既存大学では対応が困難、4、近年の獣医師の需要動向を考慮する、いわゆる4条件が閣議決定されています。
翌2016年8月3日の内閣改造後、状況は急速に進み、9月から10月にかけて、前文部科学次官への首相補佐官の働きかけ、当時の内閣府審議官と文科省の担当課長とのやりとりなど、後に内部文書が明るみに出た、いわゆる総理の御意向等々のやりとりがあったわけであります。
同年11月9日、国家戦略特区諮問会議で、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り、獣医学部の新設を可能とする決定がされ、2017年1月4日の告示では、平成30年度開設が応募条件として示されたために、この条件から申請したのは加計学園だけとなり、1月20日に事業者決定されたわけです。
本年4月開学方針を認識した時期について、昨年9月県議会で県は、2016年3月ごろ、今治市からその意向が伝えられたと答弁されました。2016年10月ごろには、今治市から建設予定地でのボーリング調査を認める方針であるとの報告を受けたことも答弁されています。
認可に至る経過についても疑問が残ります。文部科学省の大学設置・学校法人審議会では、4条件は審査の対象ではないとされ、設置審の審査は、設置基準をクリアするかどうかのみの審査だったこと、同審議会の中で専門家が審議する専門委員会では、主査の委員から訴訟リスクがあると告げられ、圧力を感じたと複数の委員が証言をしたと報道がされました。
最終答申に至っても、不可を主張する委員もいたと証言した委員の、要するに設置基準を満たせばいいだけ、だから第3次答申では合格に至ったが、じくじたる思いとの証言も報道されています。
設置審の第1次意見では、不認可となる可能性もある警告が出され、3次に至っても不認可を主張する委員まであったというのに、文科省は専門委員会の議事録は公開しないとしています。結論にかかわる部分だけを公開されても釈然といたしません。行政がゆがめられたのではないかとの疑念は払拭できません。
事業者が決まっていない段階から、諮問会議決定で4条件は既にクリアしているから、加計学園獣医学部は設置基準の最低ラインさえ超えていれば新設できるようになっていた。これで果たして、一番大切な獣医師を志す若い学生の皆さんの未来に責任が負えるでしょうか。
こうしたことを踏まえ、お伺いいたします。
閣議決定された4条件が事業者決定前からクリアしていたとされていること、認可の過程での専門委員会のさまざまな議論も議事録としては公開されない。こうしたことについて、国に対し、情報開示と説明責任を尽くすよう求める考えはありませんか。
2つ目に、県と今治市が提案した国際水準の獣医学教育特区構想に対し、加計学園がコア・カリキュラムやアドバンスト教育、教員確保など、公募申請時に説明した学部構想が、大学設置・学校法人審議会では、内容が不十分として警告を受けるなど改善が強く求められ、辛うじて設置基準をクリアしましたが、余りにも乖離していると言わざるを得ず、私は違和感を感じています。国家戦略特区という仕組みにも問題があると考えますが、特区提案時の国際水準の獣医学部構想と認可された加計学園獣医学部の内容との乖離について、提案した県としてどう受けとめておられますか。
3点目、財政支援に至るからには、県自身が積極的に情報開示することが重要ではないかと考えます。首相官邸での面会相手と面談の内容、特区ワーキンググループでの加計学園関係者の発言について、当時の内閣府審議官の加計学園訪問後の今治市訪問の際には、県職員は同席されていたのか、そして、その協議内容はどういったものだったのか、ぜひお示しいただきたいと思います。
今治市のいわゆる大学設置事業専門委員は、国家戦略特区での申請を内閣府から助言されて以降の内閣府初め、国との協議、加計学園との協議がどういった経過で進んでいったのかなど、最も検証すべきことが対象になっておりません。
県は、これまで積極的に情報を開示するとの立場で対応してきたとするならば、財政支援を決める前に、国や加計学園、今治市といつ、どういった協議があり、その内容や経過はどうだったのか、議事録あるいはメモの所在なども含めて調査する真の意味での第三者機関を設置し、検証してもらい、県民に公開することを検討するべきだったと考えます。今からでも、県独自にこうした国との関係も含めた獣医学部新設までの経過を検証する第三者機関を設置するお考えはありませんか、お聞かせをいただきたいと思います。
財政支援は要請があった今治市へ、と強調されておりますが、獣医学部の建設費と導入機器への補助になるわけです。補助をすれば、開学すれば、後は大学任せでいいのかと危惧いたします。獣医学教育特区構想を示した県として、新設された獣医学部の教育の質を見届ける必要はないのでしょうか。それは、地域経済活性化にも直接かかわってくる問題ではないかと考えます。
文部科学省が認可したとはいえ、1次答申では警告まで示されたように、さまざまな課題で認可できない要素があり、答申の折にも、獣医学科では最も大規模定員となるため、学生の教育研究活動に支障を来さないよう、定員の厳格な管理に努めるとともに、実習における学生の実技経験の質的・量的拡充を図ること、総合参加型臨床実習については、外来患畜数を確実に確保するとともに、病院で一度に実習する学生数を分散するなど時間割りの組み方や1班当たりの学生数の工夫などにより、参加型としての実習効果を高められるように努力することなど、8点の意見が示されています。
先ほども申し上げましたが、獣医師を志す若者の未来をしっかりと保障することが何よりも大事なことだと考えます。
全国大学獣医学関係代表者協議会のもとに設置をされた獣医学教育国際化検討委員会は、獣医学教育にかかわる教員の研究は国際的にも評価が高いとした上で、個々の獣医学教育組織が持つ教育の個性、特徴をオールジャパンの観点から機能統合できれば、多様な専門分野を網羅する国際競争力の強い教育体制が可能と指摘し、国内・国際的な要請に応える取り組みをさらに進めていくとしています。
私も、私立麻布大学獣医学部を視察させていただきましたが、1班3から5人の参加型臨床実習を重視しています。30班以上の班編成で学生を指導しています。規模が大きくなれば、教授陣にも若手や中堅層は欠かせないということも痛感いたしました。
各大学とも、教育の質の向上に努力されています。こうしたことを踏まえ、お伺いいたします。
文部科学省も、毎年、どう改善が図られているのか報告を求めることになっているようではありますが、獣医学教育特区構想を提案した側の県としても、公益性、今後の連携を強調されるのならば、教育の質も見届けることが必要ではないでしょうか。それが担保できているのかチェックする体制をつくる考えはないか、お聞かせいただきたいと思います。
また、各大学は、7年に1度、大学の認証評価機関である大学基準協会の評価を受けています。協会の評価を私も絶対視するものではありませんが、獣医学部も含め、各大学がその評価についても公開し、自己点検も含め取り組んでいます。新設される獣医学部についても、態勢が整えば、大学基準協会の評価をできるだけ早く受けるよう助言するお考えはありませんか、お聞かせください。
2月補正予算案として計上されている今治新都市中核施設整備費補助にかかわってお聞きします。
全国のほとんどの獣医学部には整備されていないバイオセーフティーレベル3の施設が建設されています。
バイオセーフティーレベルとは、細菌やウイルスなどの病原体を生物学的な危険度で分類した指標で、世界保健機関WHOが制定する指針に基づき、各国が独自に定めているものです。日本で、レベル3で扱える病原体としては、SARSコロナ
ウイルス、炭疽菌、コレラ菌、デング
ウイルスなども含まれています。
厚生労働省によると、感染症法上の規制があるとのことで、基準に適合しなければ研究許可はしないこと、立入調査で問題があれば対処することになっているようであります。施設が基準に適合しているかについては、事前のチェック体制が規定されていない、それ自体問題でないかと私は考えますが、いずれにしても最終的にチェックするのは専門委員ではなく、厚生労働省ではないでしょうか。
また、今治市民の間からも、どういった研究がされるのか十分な説明もなく、不安だという声も上がっております。
そこで、お伺いいたします。
バイオセーフティーレベル3の施設は、研究に活用するとのことですから、どういった動物のどういった症例をどれくらい扱うことになるのか。その研究はいつから実施予定なのでしょうか。住民への説明が尽くされているとも思えません。国のチェックも終わっていないのなら、少なくとも国のチェックが終了するまでは、バイオセーフティーレベル3が含まれる講義棟の建設費は補助対象外とすべきと考えますが、認識をお聞かせいただきたいと思います。
知事は、記者会見で公共工事単価などからの比較で説明されてはおりますが、残念ですが、今日に至るも大学施設の図面も示されない、現地調査もできない状況です。今からでも、大学施設の図面や県が精査された資料の開示と私ども県議会による現地調査の実施について、今治市、加計学園と協議をいただきたいと思います。情報の開示や調査が時間がかかっても可能であるならば、施設整備費補助に係る予算案の撤回などの手続を検討いただきたいと考えますが、県の御認識をお伺いいたします。
国家戦略特区の認定の過程で問題があったことが明らかになる場合や、文部科学省から指導があるなど教育の質の面で問題が発生した場合などには、今治市に対する支援も見直しが必要ではないかと私は考えます。
今後の状況によっては、約31億円の今治市への財政支援を見直す場合もあり得るとのお考えはお持ちでしょうか。仮に見直すとすれば、どういった場合に見直すことが考えられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
次に、教員の長時間労働をどう解消していくのかについてお伺いいたします。
松山市教育委員会の働き方改革推進プロジェクト会議の会合で、市立小中学校教職員の勤務時間に関する調査で、昨年6月に月80時間を超える時間外労働、いわゆる過労死ラインを超えて働いていた教職員が20%以上に上ると報告をされました。文科省調査でも過労死ラインを超える教員の割合は、小学校33.5%、中学校で57.7%です。
これまで県教育委員会も、業務改善、部活動指導員の導入など取り組まれてはきましたし、議会でもその努力方向は示されてきました。来年度予算案には、スクール・サポート・スタッフ配置事業などがありますが、教員の長時間労働を抜本的に解消するには、これまで以上の取り組みが求められると考えます。
中央教育審議会中間まとめでは、授業や部活動に従事する時間が増加したことが長時間化の要因の一つだと指摘しています。だとすると、国自身が抜本的な改革を進めることが必要となってきます。この間、改訂されてきた学習指導要領で、いわゆる授業のこま数はふえても、それに見合う教員の定数増は行ってきませんでした。
義務標準法が想定する小学校教員の1週間の授業の持ちこま数は26こまだそうですが、文科省調査では、1日当たり授業にかける時間は4時間25分、1こま45分としますと、単純計算で週約29.4こまとなります。ほぼ毎日6時間授業という計算です。
文科省初等中等教育局長も国会答弁で、学習指導要領改訂による授業時間の増加が長時間労働の主な要因となっていると認めざるを得ない実態となっています。であるにもかかわらず、小学校で英語が必修化されると、専門の教員ばかりで対応することは困難でしょうから、授業のこま数がさらにふえることになり、教員の負担は軽減できないのではないでしょうか。
愛媛県学校職員定数条例の改正案も提案されておりますが、中学校、高校、特別支援学校は定数が減り、小学校もわずか3人増にとどまっています。
こうしたことを踏まえて、お伺いいたします。
本格的に教員の長時間労働を解消していくためには、教員の定数を抜本的にふやすこと、講師を初め、非正規教員の正規化、30人以下など少人数学級化へと向かうことが不可欠だと考えますが、教育委員会の認識をお聞かせください。
また、愛媛県内の小学校第6学年、中学校、高校の教員の1週間の授業持ちこま数はどれほどになっているのかもあわせてお聞かせをください。
スポーツ庁が示した運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン骨子案では、スポーツ医・科学の観点からのジュニア期におけるスポーツ活動時間に関する研究も踏まえ、週当たり2日以上の休養日を設けることとされています。
また、
都道府県中学校体育連盟及び学校設置者は、学校の運動部が参加する大会・試合の全体像を把握し、生徒や運動部顧問の過度な負担とならないよう、大会等の統廃合等を主催者に要請するとともに、各学校の運動部が参加する大会数の上限の目安等を定めるなどの見直しが提起をされています。
高校段階でも本ガイドラインを可能な限り準用するよう示されています。神奈川県教育委員会では、県立学校で4月から部活動週休2日制へ進むことが決められたと報道されています。
今後、県教育委員会として提言された部活動週休2日制を直ちにどう具体化していくのか。また、参加する大会等の見直しについて、中高の体育連盟や各競技連盟とどのように見直しを図っていくのか、お聞かせをください。
広島県では、業務改善の一環として、県独自の学力調査を来年度休止することになったとお聞きします。
県内でも、学力向上推進主任の負担は大変重く、過去問プリントなどテスト対策に追われ、教員にも負担となっています。子供たちと向き合える時間をつくり、どの子にもわかる授業への探求こそ求められています。
教員の長時間労働改善策として、県独自の学力調査、いわゆる学力テストを当面休止することを検討してはと考えますが、県教育委員会のお考えをお聞かせください。
最後に、子供たちの通学路の安全点検の状況と今後の情報共有のあり方についてお聞きします。
全国的に登下校時の子供たちの集団に車が突っ込むなど痛ましい事故が後を絶ちません。子供たちへの注意喚起や安全教育は当然必要なことですが、子供たちの通学路の安全対策をさらに急いでほしいというのは、地域住民の強い願いでもあります。
昨年来、警察、学校、道路管理者、PTAや町内会、交通安全協会を含め、通学路の安全総点検がされ、危険箇所などの検証を行ってきたとお伺いします。来年度予算案でも、県単独交通安全施設設備事業費などが計上されています。
県警としては、何らかの対応が必要となる危険箇所を何カ所と把握しているのでしょうか。今後、通学路の安全対策をどう進めていくのか、お聞かせをいただきたいと思います。
松山市では、外環状線の供用が始まりますと、西部地域を初め、交通量がふえ、車の流れも変わるなど、1年ほど時間が経過をすれば、危険箇所がふえていると思えるような校区もできています。通学路のここが危ないと感じても、それをどこに言えば解決に向かうのか、多くの住民の方はわからないのではと思います。あるいは危険だと思って相談しても、点検した場所であるというケースも少なくありません。
県教育委員会として、警察等とさらに連携し、保護者や地域住民から寄せられる危険箇所の発見や点検の要望、対策後の周知なども含め、双方向で情報共有をさらに図ることを進めていただきたいと考えますが、教育委員会としての御所見をお聞かせいただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
毛利修三議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
毛利修三議長)
中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 田中議員に、私の方からは、獣医学部新設にかかわる国の会議の情報開示等についての御質問にお答えをさせていただきます。
獣医学部新設の検討に当たっての留意事項として閣議決定された4条件については、国家戦略特区のプロセスの中で、内閣府、文部科学省及び農林水産省の関係省庁の協議により、満たされていることが確認をされています。
また、大学設置・学校法人審議会での議論につきましては、文部科学省によりますと、委員の率直な意見交換や議論を妨げる可能性があるため、個別の議事録は作成していないとのことであります。
国の会議録の情報公開等につきましては、当然のことながら、国が対応すべきことであり、私からはこれまでも繰り返し申し上げてきたとおり、疑念がある点については国会においてしっかりと審議して、国民の理解が得られるよう、政府が丁寧な説明に努めるべきと考えております。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えさせていただきます。
○(西本牧史
企画振興部長) 議長
○(
毛利修三議長) 西本
企画振興部長
〔西本牧史
企画振興部長登壇〕
○(西本牧史
企画振興部長) 国家戦略特区による獣医学部の新設について、まず、特区提案時との内容の乖離をどう受けとめているのかとの御質問ですが、今回、新設される獣医学部は、食の安全やライフサイエンスなど社会ニーズに対応でき、国際的に活躍できる獣医師を育成することを目的としておりまして、県としては、県と今治市が提案し認定された国際水準の獣医学教育特区との乖離はないと受けとめております。
次に、首相官邸での面会相手などの情報公開に関する御質問にお答えをいたします。
首相官邸での面会相手と内容及び特区ワーキンググループでの学園関係者の発言内容については、県情報公開条例に基づき、国や他の自治体などとの率直な意見交換等に支障が生じるおそれがあるため、公開しないこととしております。
また、当時の内閣府審議官の今治市訪問については、建設予定地の視察が目的でありまして、今治市からの依頼で県職員2名が同席をしておりました。
続きまして、県独自に第三者機関を設置する考えはないかとの御質問ですが、県は、特区の認定プロセスや学部の設置認可を検証する立場にないことから、県独自の第三者機関を設置する考えはありません。
続きまして、獣医学部の教育の質について、まず、県がチェック体制をつくる考えはないかとの御質問ですが、私立大学の所轄は文部科学省でありまして、大学設置・学校法人審議会において、約8カ月にわたる専門的見地からの審査を経て認可されたものであることから、国が責任を持って教育の質をチェックするものと考えております。
次に、大学基準協会の評価を早く受けるよう助言する考えはないかとの御質問ですが、獣医学部の新設に当たり、県は、今治市の取り組みを支援する立場でありまして、加計学園に助言をする考えはありません。
続きまして、2月補正予算案に計上した補助金について、まず、バイオセーフティーレベル、いわゆるBSL3施設に関する御質問にお答えをいたします。
BSL3施設の運営については、大学側が実施するものでありまして、県では、取り扱い動物や症例、研究の実施時期等をお答えする立場にありませんが、今治市の第三者機関の検証により施設の安全性は確認されているところでございます。
また、国のチェックは、今後、実際に取り扱う病原体の種類や危険性に応じ、その都度行われるものでありまして、BSL3施設を含む講義棟を補助対象外とする考えはありません。
次に、図面や資料の開示、現地調査の実施などに関する御質問については、今治市に確認したところ、大学施設の図面や工事内訳書などの資料については、市情報公開条例にのっとり、公にすることにより、法人の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあるため開示はできない、現地調査については、年度内は開学前の最終準備に追われていることから、開学後、大学側と協議したいとのことでございました。
また、今治市に対する財政支援については、事業費を厳正に精査した上で2月補正予算案に計上しておりまして、撤回する考えはありません。
最後に、財政支援の見直しに関する御質問にお答えをいたします。
愛媛県補助金等交付規則によれば、補助金を他の用途へ使用した場合や法令等に違反した場合などには、補助金の全額、または一部を取り消すことができますが、現時点で具体的に見直しが必要なケースを想定することはできません。
以上でございます。
○(井上正教育長) 議長
○(
毛利修三議長) 井上教育長
〔井上正教育長登壇〕
○(井上正教育長) 教員の長時間労働の解消に関しましては、3点質問がございました。
まず、教員の定数増等についてお答えをさせていただきます。
少人数学級の拡充を含む教員の増員は、長時間労働の是正に寄与し、児童生徒に向き合う体制の整備に資すると考えておりまして、全国
都道府県教育長協議会を通じ、国へ少人数学級の拡充や加配定数の充実等を要望しますとともに、特に少人数学級につきましては、国が小学校2年生までの措置としているのに対しまして、本県では、小学校4年生まで35人以下学級を完全実施しており、小学校5・6年生及び中学校でも一定規模以上の学校で実施をしております。
また、非正規教員の正規化につきましては、正規教員の採用数確保に努めているところでございます。
なお、県内教員の1週間の平均授業持ちこま数は、小学校6年生学級担任が約23こま、中学校が約18こま、高校が約16こまとなっております。
次に、部活動についてお答えさせていただきます。
運動部活動の休養日設定につきましては、国のガイドラインが示された後、その科学的な根拠や市町教育委員会等の意見を踏まえた上で、本県の実態に即した具体的な取り組みや県の方針等を決定したいと考えております。
また、大会等の見直しにつきましては、生徒、教員の過度な負担に配慮する必要がある一方、できる限り多くの生徒が培ってきた競技力を発揮できる機会を確保することも重要でありますことから、その必要性も含め、市町教育委員会、県中学・高校体育連盟や競技団体等の意見を聞きながら検討することとしております。
次に、県独自の学力調査についてお答えさせていただきます。
県独自の学力調査では、教員が、児童生徒の学力や学習状況を把握し、指導方法の改善等に活用できるよう、学校現場において調査結果の分析や成果の検証が容易にできるシステムを導入しているほか、採点業務等を分担するなど、教員の負担軽減・分散化にも配慮しております。
同調査の実施により、基礎学力の定着、向上に成果があらわれており、学校現場からも継続実施の要望が強いことから、休止を検討する考えはございません。
最後に、通学路の安全対策のうち、関係者の情報共有についてお答えさせていただきます。
県教育委員会では、小学校の設置者である市町と密接に連携して通学路の安全対策に取り組んでおり、全市町に学校、保護者、警察、地域住民等で構成します通学路安全推進会議が設置され、合同点検等による危険箇所の把握や安全対策を行っているほか、対策の箇所、内容等をホームページで公表する体制が整備されております。
さらに毎年度、県内3市町を通学路安全対策推進市町に指定して、通学路安全対策アドバイザーによる指導、助言等を行うことにより取り組みの深化を図りますとともに、その成果を他市町に普及させており、引き続き保護者や地域住民等を含む関係者と情報共有を図りながら、通学路の安全確保に努めることとしております。
以上でございます。
○(林学
警察本部長) 議長
○(
毛利修三議長) 林
警察本部長
〔林学
警察本部長登壇〕
○(林学
警察本部長) 通学路の安全対策に関する質問のうち、通学路点検についてお答えします。
平成24年度に実施した緊急合同点検以降、警察、学校関係者及び道路管理者の連携による合同点検を毎年実施し、通学路の安全確保に努めております。
前回の緊急合同点検から5年を経過し、当時整備した規制標示に対する補修要望や道路新設等に伴う通学路変更もあったことから、関係部局と協議し、平成24年度以来2度目の大規模な通学路合同点検を今年度実施したところであります。
その結果、県警察が対策を必要と認めた危険箇所の総数は、平成29年9月末現在、859カ所を把握しており、所要の経費を平成30年度当初予算に計上し、対策可能なものから順次整備することとしております。
以上でございます。
○(田中克彦議員) 議長
○(
毛利修三議長) 田中克彦議員
〔田中克彦議員登壇〕
○(
毛利修三議長) 初めに、再質問の項目番号をゆっくり誤りなく全部述べてください。また、複数の項目について再質問を行う場合は、1問ごとに項目番号を述べてから質問を行ってください。
残りの質問時間は3分40秒です。
○(田中克彦議員) 1の(3)、それから大きな2、4の(1)、4の(2)、以上です。
まず、1の(3)についてです。
県職員の方お二人が現地視察にも同行されたということですが、この出張されてきた審議官というのは、国家戦略特区ワーキンググループ会合にも出席をされていらしたわけで、当時は、加計学園関係者も出席していることも御承知だった人物です。その方が加計学園に行って、今治市に来て現地を見たということであれば、それは国家戦略特区にかかわる議論があったというふうに認識してよろしいのでしょうか。そのことを改めて確認をさせていただきたいと思います。
それから、大きな2です。
知事も国会での議論がまだ十分であるとは思われていないということだと私は解釈をしております。国や国会の説明が不十分だとするならば、そこを県が積極的な役割を果たして、県民に対してしっかりと明らかにしていくということがやはり必要ではないでしょうか。国家戦略特区に係る獣医学部の新設まで、とりわけ国や加計学園との関係を議事録やメモ等々で議論する、検証していくということは欠かせない問題だと思います。その過程を見える化していくということが財政支援を県民にお願いする上では必要なことだと私は改めて考えておりますが、ぜひ再答弁をお願いしたいと思います。
4の(1)です。
余り具体的なことが説明はされませんでしたが、その都度国のチェックを受けるということでありますが、しかし、この研究施設はできているわけですから、どういうことに活用されていくのか、いつから研究は実施予定なのか、その点はさまざまセキュリティーの問題もあるでしょうが、もう少し県民に対して明らかにしていく必要があるのではないでしょうか。そのことがなければ、この講義棟の安全性を担保する専門委員がオーケーだからいい、それだけでは済まない問題だと思います。県民の安全性の点からも、改めて研究についての実施予定がいつなのか、あるいはどういうものを扱うのか、しっかりと御答弁をいただきたいと思います。
それから、4の(2)についてです。
開示できないということでありましたが、大学施設の図面ですとか、県の精査した資料も示されない。しかし、協議は開校後であれば可能だということでありますから、約31億円支出するわけですから、多少時間がかかっても、あるいは補助金がおくれたとしても、こうした施設の図面や、あるいは現地に入っての調査ということは必要なことだと思います。そういうことがなければ、県民に理解してくださいと私はとても言うことはできないと思います。
今治市との協議が可能であるならば、ぜひ予算案を一度撤回した上で協議を進めて、現地調査を行わせていただきたいと思います。再答弁を求めます。
○(
毛利修三議長) 理事者の答弁を求めます。
○(西本牧史
企画振興部長) 議長
○(
毛利修三議長) 西本
企画振興部長
〔西本牧史
企画振興部長登壇〕
○(西本牧史
企画振興部長) 再質問にお答えをいたします。
まず、問い1の(3)ですが、国が視察に行ったということは、国家戦略特区として提案したということを認識してよいのかというふうな御趣旨だったと思うんですが、内閣府の審議官は、6月30日、成長戦略に盛り込まれたことをもって、その約1カ月後の8月6日に今治市を訪問しております。これは、今治市が提案しているプロジェクトの状況、これについても今治市から聞きたいというふうな趣旨でございました。それとあわせて現地調査をするというふうなことですので、内閣府としては、国家戦略特区に提案されたという認識は持っておったというふうに思っております。
次に、問い2ですが、情報を明らかにして、メモとか検証する必要があるのではないかというふうなことですが、そうしたことで第三者機関を設置する考えはないかというふうな御質問であろうかと思いますが、先ほどお答えしたとおり、県としては、認定プロセスとかについては検証する立場にないことから、県独自の第三者機関を設置する考えはございません。
続きまして、問い4の(1)ですが、BSL3施設の件でございます。
このBSL3施設というのは、一つの機能としまして、獣医学教育病院に検体が持ち込まれた場合、汚染された可能性がある場合に、病原体を試験管内の実験で分離して診断するという機能が一つあります。
もう一つは、研究機能でございます。研究機能につきましては、今治市の第三者機関の検証によれば、BSL3以上の施設で研究した実績のある教員8名が着任する予定というふうになっておりますので、将来的に何らかの形で研究の用に供されるというふうに理解をしております。
続きまして、問い4の(2)ですが、現地調査をして精査しないと予算審議できないので、ぜひ撤回すべきであるがどうかというふうな趣旨だったかと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、今治市に確認したところ、現地調査につきましては、年度内は開学前の最終準備に追われていることから、開学後、大学側と協議したいということでありまして、県といたしまして、2月補正予算案を撤回する考えはございません。
以上でございます。