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平成29年第352回定例会(第3号 6月21日)

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  1. 愛媛県議会 2017-06-21
    平成29年第352回定例会(第3号 6月21日)


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    平成29年第352回定例会(第3号 6月21日) 第352回愛媛県議会定例会会議録  第3号 平成29年6月21日(水曜日)   〇出席議員 44名   1番  高 橋 英 行   2番  渡 部 伸 二   3番  田 中 克 彦   4番  松 井 宏 治   5番  塩 出   崇   6番  松 下 行 吉   7番  帽 子 大 輔   8番  大 石   豪   9番  宇 高 英 治   10番  欠     番   11番  欠     番   12番  欠     番   13番  菊 池 伸 英   14番  福 田   剛   15番  中   政 勝   16番  逢 坂 節 子
      17番  古 川 拓 哉   18番  兵 頭   竜   19番  大 西   誠   20番  松 尾 和 久   21番  欠     番   22番  欠     番   23番  欠     番   24番  木 村   誉   25番  石 川   稔   26番  梶 谷 大 治   27番  西 田 洋 一   28番  中 田   廣   29番  大 西   渡   30番  福 羅 浩 一   31番  三 宅 浩 正   32番  欠     番   33番  欠     番   34番  欠     番   35番  欠     番   36番  笹 岡 博 之   37番  鈴 木 俊 広   38番  黒 川 洋 介   39番  徳 永 繁 樹   40番  高 山 康 人   41番  戒 能 潤之介   42番  渡 部   浩   43番  毛 利 修 三   44番  欠     番   45番  横 田 弘 之   46番  越 智   忍   47番  村 上   要   48番  赤 松 泰 伸   49番  本 宮   勇   50番  寺 井   修   51番  西 原 進 平   52番  中 畑 保 一   53番  明 比 昭 治   54番  岡 田 志 朗   55番  森 高 康 行   ―――――――――― 〇欠席議員 なし   ―――――――――― 〇欠  員 3名   ―――――――――― 〇出席理事者  知事        中 村 時 広  副知事       上 甲 俊 史  副知事       原   昌 史  公営企業管理者   俊 野 健 治  総務部長      門 田 泰 広  企画振興部長    西 本 牧 史  防災安全統括部長  高 橋 正 浩  県民環境部長    大 森 尚 子  保健福祉部長    山 口 真 司  営業本部長     八十島 一 幸  経済労働部長    菅   豊 正  農林水産部長    田 所 竜 二  土木部長      樋 口 志 朗  えひめ国体推進局長 土 居 忠 博  会計管理者出納局長 中久保 憲 彦  教育長       井 上   正  副教育長      大 島 修 一  人事委員会委員   池 田 公 英  公安委員会委員長  増 田 吉 利  警察本部長     林     学  監査委員      岡 田 清 隆  監査事務局長    藤 井 晃 一   ―――――――――― 〇出席事務局職員  事務局長      内 田 万 美  事務局次長     土 井 一 成  参事総務課長    北 川 謙 二  参事議事調査課長  松 本 賢 固  参事政務調査室長  八 塚   洋  議事調査課主幹   井 原 重 喜   ―――――――――― 〇本日の会議に付した事件  定第59号議案ないし定第75号議案      午前10時 開議 ○(渡部浩副議長) ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の会議録署名者黒川洋介議員、兵頭竜議員を指名いたします。   ――――――――――――――――― ○(渡部浩副議長) これから、定第59号議案平成29年度愛媛県一般会計補正予算ないし定第75号議案を一括議題とし、質疑を行います。 ○(松尾和久議員) 議長 ○(渡部浩副議長) 松尾和久議員   〔松尾和久議員登壇〕 ○(松尾和久議員) (拍手)皆さんおはようございます。  自由民主党の松尾和久でございます。  まず初めに、女性の活躍推進についてお伺いいたします。  少子高齢化・人口減少社会という構造的課題に直面する中、我が国が持続的に成長していくためには、女性や高齢者など、これまで就業希望を持ちながら、その機会が十分に提供されてこなかった方々にも就業していただき、労働参加率を向上させていくことが不可欠であります。とりわけ、約270万人にも上るとされる、育児や介護などの理由から働く上で制約があり、適当な就職先が見出せずにいる女性は、我が国最大の潜在力であります。  女性の活躍は、人手不足における労働力確保というだけではなく、企業を初め社会全体の成長に欠かせないものであり、女性にとって働きやすい環境を整備することは、喫緊の課題となっています。  特に本県では、高齢化が全国に先駆けて進行しており、人口増減率が全国39位と深刻な状況にあることは、御案内のとおりであります。  新聞社の調査によると、6割近い県内企業から従業員不足の声が上がっています。大手志向が強い昨今の就職状況を鑑みると、中小企業が大半を占める本県にとって厳しい状況ではありますが、その一方で、大企業よりもやりたいことができる中小企業を選ぶ優秀な学生も多くおり、就職に際してはワーク・ライフ・バランスを重視する意識も強まっています。  中小企業にとって、福利厚生面で大企業に勝つことは難しいことかもしれませんが、経営戦略として仕事のやりがいや人材育成、仕事と生活の両立支援制度を充実させることは可能であり、人材の確保にもつながる大きな武器ともなります。  大手調査会社の調査では、管理職に占める女性の割合は、企業規模が小さい企業ほど高くなっています。小回りがきき、トップの判断で職場環境を変革できる中小企業こそ、多様性を確保し、ピンチをチャンスに変えていくことができるのではないでしょうか。ぜひ女性が働きやすく、働きがいのある県ナンバーワンを目指していただきたいと考えております。  女性活躍を推進するには、制度改革、人材育成、意識改革の3つが重要であり、中でも意識改革の部分は、トップダウンでメッセージを発信することが大切であります。  昨年12月に、本県選出の塩崎恭久厚生労働大臣がイクボスを宣言いたしました。働き方改革の旗振り役である厚生労働大臣の宣言によって、その機運が高まっていくことを期待しております。  また、資生堂の魚谷社長は、トップが強く働きかけない限り組織に変化をもたらせないと主張しておられますが、私も同感であります。  女性が活躍する社会を実現するためには、職場環境のみならず、家庭における男性の夫として父親としての役割も重要であり、企業内での男性の育休取得や家事への参加に対する理解と、それを当たり前と受け入れる雰囲気づくりなど、男性の働き方改革も必要であります。そのためには、トップが理解を示し、旗振り役となって取り組んでいくことが不可欠であると考えます。
     このような中、県では、知事のリーダーシップのもと、愛媛県版イクボス、ひめボスの輪の拡大に取り組んでおられます。トップが組織を変えていく意思表明であるひめボス宣言は、組織変革の第一歩であり重要な取り組みだと思います。制度改革、人材育成、意識改革、どれをとっても時間も人も費用もかかり、多岐にわたる取り組みが必要となります。  今後も、女性活躍とひめボスを複合的に推進し、地域人材の確保、ひいては地域経済の活性化につなげていただきたいと思います。  そこで、お伺いいたします。  女性の活躍推進については、多角的に取り組むべき課題だと思いますが、県では、ひめボスを中心とするトップの意識改革を初め、女性の活躍推進についてどのように展開するのか、お聞かせください。  次に、民活運動部活動支援事業についてお伺いいたします。  さきにも述べましたように、働き方改革が叫ばれる中、小中学校教員の時間外労働の多さが指摘されています。本年4月に文部科学省が公表した公立校教員の勤務実態調査結果では、学校内勤務時間が週60時間以上の教諭が小学校で33.5%、中学校で57.7%に上っています。週40時間までとされている労働基準法に基づくと、週20時間以上の時間外労働をしていることとなり、月80時間超が目安の過労死ラインを上回る数字であることが新聞でも取り上げられていました。  先生方にお話を伺いますと、授業を充実したものにしようとすれば準備にやはり時間がかかる、部活動の顧問などをすれば授業と部活動との時間が必要で、どうしても勤務時間は長くなるなどの声がありました。  実際、学校現場の教員は、授業や部活動のみならず、保護者からの苦情対応や地域行事への参加、生徒指導など多岐にわたる役割を担っており、重責を果たしている教員の時間外勤務が増加するのは、いわば当然の結果であります。  先般、6月1日に出された国の教育再生実行会議第十次提言では、今日の日本の学校教育は、教師の長時間勤務に支えられている状況にあり、この状況が続けば、学校現場の持続可能性を維持することは困難であると言わざるを得ないと警鐘を鳴らすと同時に、教師の長時間勤務に支えられている状況は既に限界に来ており、教師の業務負担の軽減が喫緊の課題とされております。  これら教員の長時間勤務の原因の一つとして、10年前の調査と比較して中学校における部活動の時間が特に増加していることが挙げられており、学校による部活動から地域による部活動への持続可能な運営体制の整備を進めるよう提言されています。  実際、部活動の現場では、スポーツ経験のない教員が運動部の顧問になるケースや、スポーツ経験のある教員でも顧問となった部活動の競技経験がないことなどが多々あるようであります。このような場合、顧問となった教員は未経験の競技の研修などを受けなければならず、精神的負担も大きくならざるを得ません。  このような状況を踏まえ、国では、地域人材や民間事業者等を活用し、部活動指導員の配置を促進することとしており、厳しい環境に置かれている教員の負担軽減につながるものと期待しているところであります。  しかしながら、一方で、部活動はやはり教育の一環であり、思春期の子供たちの人間形成の大切な時期に友情や努力、忍耐、達成感など部活動で学ぶべきことは多くありますが、教育的側面から考えますと、教員資格を持たない外部指導員にどこまでの責任を負ってもらうのか、制度として確立していくには大変な試行錯誤が予想され、一抹の不安を拭えないのも事実であります。  山口県宇部市では、今年度、地域の外部人材を嘱託職員として採用し、公立中学校の部活動に派遣する部活動指導員制度を新設しました。指導員の勤務時間は1カ月20時間程度とし、報酬は月額2万4,000円とのことでありますが、指導員には年2回、体罰の禁止や安全管理の徹底、教育的意義などの研修を開催するとのことであり、教員の負担軽減に向けた新たな取り組みが始まっております。  本県においても、今回の補正予算案に民活運動部活動支援事業費を盛り込み、新たな運動部活動指導体制の構築に向けた実践研究に取り組まれるとのことでありますが、教員の負担軽減や子供たちの部活動の充実のためにも、大変意義あるものと考えます。  そこで、お伺いいたします。  教員の多忙化解消に向け、県として民活運動部活動支援事業にどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。  次に、私立幼稚園の人材確保策についてお伺いいたします。  子ども・子育て支援新制度の実施に伴う人材需要の増加を受け、とりわけ幼児教育の質を支える優秀な人材の確保が喫緊の課題となっております。  その背景として、保育の受け皿拡大を図るため、国、地方を挙げて施設整備や保育士の確保に向けた取り組みが積極的に行われていることが挙げられます。施設は整備したものの、それを支える人材の不足により、都市部での待機児童の解消はもくろみどおりに進んでいない自治体が多いようであり、ここに来て保育士確保の問題が大きくクローズアップされています。  保育士が不足している要因の一つとして、他の業種との賃金格差が挙げられますが、特に待機児童問題が深刻な東京、大阪など都市部では、保育士を確保するため、待遇面の改善のみならず、支度金や家賃全額補助を行い、地方から働き手を確保しようとする動きも年々顕著になってきています。  このような中、平成28年6月に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランにおいて、保育士と全産業の女性労働者との賃金格差の現状を踏まえ、保育士の処遇を改善する方針が示され、29年度の国予算に所要の経費が盛り込まれました。また、保育所に加え、子ども・子育て支援新制度に移行した私立幼稚園及び認定こども園についても、同様の措置が講じられることになっております。  幼稚園教員の確保や離職防止などが課題となる中、新制度に移行している園のみの処遇改善が進むこととなれば、私学助成を選択する私立幼稚園の人材難がさらに深刻化することにもなりかねません。  このため、文部科学省においては、新制度に移行せず私学助成を選択する私立幼稚園についても、今年度から、各園が通常のベースアップに上乗せする形で処遇改善を行う場合に国と県で補助する制度を打ち出したところであり、人材確保に大いに資するものと期待しております。  文科省が制度を打ち出す以前から、県単独で幼稚園の人材確保策を講じている埼玉県などの例もありますが、本県の未来を担う子供たちを育むためにも、幼児教育の質の維持向上が不可欠であり、優秀な幼稚園教員の確保を図る上で処遇改善は大きな課題であります。  人材不足にあえぐ私立幼稚園が優秀な人材を安定的に確保するためにも、処遇改善に積極的に取り組む園に対し、国・県の継続的な支援が必要と考えます。  そこで、お伺いいたします。  県では、私立幼稚園の人材確保支援についてどのようにお考えか、御所見をお聞かせください。  次に、がん対策の推進についてお伺いいたします。  がんになっても、お互いに支え合い、安心して暮らしていける地域社会を実現することを決意して制定された愛媛県がん対策推進条例の施行から、7年が経過しました。  条例施行後は、県民総ぐるみでがん対策を推進するため、県議会がん対策推進議員連盟はもとより、行政、がん患者団体保健医療関係者、経済団体など各界の幅広い委員から構成される愛媛県がん対策推進委員会において、本県のがんを取り巻く状況や必要な施策等についてさまざまな議論が重ねられてきました。  また、平成25年3月には第2期の愛媛県がん対策推進計画が策定され、従来の予防、検診、相談支援、医療、緩和ケアなどのほか、新たにがん教育、就労支援なども施策に追加されるなど、さらなる充実が図られてきたところであります。  このような中、国においては、昨年12月、10年ぶりにがん対策基本法が改正され、基本理念として、がん患者が尊厳を保持しつつ安心して暮らすことのできる社会の構築を目指し、適切ながん医療のみならず、福祉的支援、教育的支援など社会的な支援を受けられるようにすることが追加されたほか、事業主に対しがん患者の雇用の継続等に配慮を求めることや、希少がん、難治性がんの研究促進など、多くの項目が新たに盛り込まれました。  ことしの夏には、この改正がん対策基本法の理念を踏まえ、国の第3期となるがん対策推進基本計画が策定される見通しであります。  そこで、お伺いいたします。  現行の愛媛県がん対策推進計画は、本年度末をもって5年間の計画期間が満了しますが、これまでのがん対策の取り組みをどのように評価するのか。また、次期計画の検討をどのように進めていくのか、お聞かせください。  次に、グローバルGAP等認証取得支援の取り組みについてお伺いいたします。  御案内のとおり、本県では、果樹農業を筆頭に安全・安心かつ高品質な農産物が数多く生産されており、県では、知事みずからが先頭に立ったトップセールスを初め、営業本部による各方面への精力的な売り込みなど、広く国内外をターゲットとした販路開拓に御尽力されているところであります。  こうした中、2020年に開催される東京オリンピックパラリンピック大会組織委員会は、本年3月、選手村などで使われる食材の調達基準を決定し、農産物については、リオ五輪と同様に、国際的な生産工程管理の認証制度であるグローバルGAP等の認証取得が必須要件とされました。  具体的には、欧州でスタートして世界で最も普及しているグローバルGAP、国際水準に対応した高度な日本版GAPであるJGAPアドバンスのほか、国の定めるガイドラインに準拠した各県のGAP認証も含むとされたことから、国においては、2017年から2020年をGAP認証取得促進の集中期間と位置づけ、2019年度末までに取得農家などの数を現在の3倍以上とする目標を立てるなど、取り組みを強化することとしております。  また、このグローバルGAP等については、単に東京オリンピックパラリンピックへの対応にとどまらず、今後、国内外における食品の取引条件として位置づける動きが広がってくるのは避けられない状況にあると思うのであります。  GAP認証取得には、多額の経費負担や審査への対応など、クリアすべき課題もありますが、県産農産物の競争力を高め、海外輸出も含めた販路拡大を図っていくためには、この機会に広く県内の生産者を対象にGAP認証取得を積極的に推進していく必要があると考えます。  そこで、お伺いいたします。  県は、グローバルGAP等の認証取得について、どのように支援し推進していくのか、御所見をお聞かせください。  次に、JR松山駅付近連続立体交差事業についてお伺いいたします。  JR松山駅付近連続立体交差事業は、県都松山の陸の玄関口にふさわしい魅力あるまちづくりを目指し、松山市の施行する松山駅周辺土地区画整理事業と一体的な整備を進めているものであります。  本県の空の玄関口松山空港、海の玄関口松山観光港は、これまで順次整備が進められてまいりましたが、陸の玄関口であるJR松山駅の整備はおくれをとっていました。しかしながら、平成16年度にJR松山駅付近連続立体交差事業着工準備が採択され、19年度には都市計画決定、20年度には都市計画事業認可となり、長年の夢が実現に向け動き出したものであります。  御案内のとおり、現在のJR松山駅周辺地区は、JR予讃線と車両基地、貨物駅により市街地が東西に分断されており、踏切による交通渋滞が慢性化するとともに、駅周辺の均衡ある発展が著しく阻害されているほか、消防活動が困難な防災上危険な市街地が存在するなど、魅力あるまちづくりを進めていく上で大きな課題となっておりました。  このような課題を解決するため、連続立体交差事業土地区画整理事業とともに、路面電車の延伸や駅前広場の再整備が進められることとなり、四国最大の都市である松山市の交通拠点としての機能充実はもとより、周辺圏域の活性化にも大きな効果をもたらすものと期待されております。  駅周辺においては、更地や新築工事を見かけるなど、着実に事業は進んでおり、石手川付近の行き違い線区間の工事や伊予市、松前町に移転する新車両基地、貨物駅の造成工事も徐々に完成に向かっている様子がうかがえ、今後は、JR松山駅付近の高架工事が本格的に動き出すものと期待しております。一方で、先般、完成時期が4年延びるとの発表もあり、早期の完成を望む声や歩みを心配している声も聞こえてまいります。  そこで、お伺いいたします。  JR松山駅付近連続立体交差事業の現在の進捗状況と今後の見通しはどうか、お聞かせください。  最後に、松山外環状道路の整備状況についてお伺いいたします。  松山外環状道路は、慢性的な渋滞が起こる松山環状線の外側に位置し、松山港や松山空港、松山インターチェンジを結ぶとともに、国道196号や56号、33号、11号といった松山市内と郊外をつなぐ主要な国道を連絡する地域高規格道路で、市内の渋滞解消はもとより、松山市外からのアクセスを改善することが期待されており、現在、整備が進められております。  松山空港の利用促進という観点から見ても、以前は最寄りの松山インターチェンジから松山環状線を経由して空港に至る所要時間は30分かかっており、これは全国の拠点的な空港の中でワーストファイブに入るアクセスの悪さでありました。  松山外環状道路インター線と空港線が開通することによって、松山インターから松山空港までの所要時間は30分から10分に短縮されるなど、松山市民のみならず、市外から松山空港を利用する方にとっても大きな利便性の向上が見込まれるところであります。  平成28年12月に古川インターチェンジから市坪インターチェンジまでの1.8㎞が開通し、国道33号から国道56号までの4.8㎞の松山外環状道路インター線が全線開通いたしました。これにより、国道56号から松山インターまでの所要時間が20分から4分へと8割短縮されるなど、松山市西部、松前町方面から高速道路への利便性が向上いたしました。さらには、交通の分散により、主要渋滞箇所である天山交差点等の渋滞緩和も期待されています。  また、交通事故の減少にも大きく貢献しており、インター線全線開通前の井門インターから古川インターが開通した際には、国道33号における交通事故が約1割減少し、その中でも追突事故は約3割減少したとのことであり、インター線の全線開通によってさらに効果が出ているのではないかと思います。  他方、空港線は、余戸南から北吉田に至る約3.8㎞で現在工事が進んでいます。国体開催までの本線開通は難しいとのことですが、側道が空港まで開通する見込みであり、来県者の利便性に大きな効果を発揮するものと思います。  このように、松山インターから松山空港までの事業はおおむね順調に進んでおり、空港までの全線開通が待ち遠しいところであります。  この松山外環状道路がさらなる効果を発揮するためには、県の平成30年度の重要施策要望にも上げていただきましたが、国道33号から国道11号へ向けての整備が必要であると考えます。国道33号から東へ向かう利用者からは、国道11号線へつながる区間の早期実現を強く望む声が聞こえてまいります。  先般、松山市議会の自民党メンバーとともに国に対して要望活動を行ってまいりました。石井国土交通大臣、田中副大臣、そして国土交通事務次官にそれぞれ要望書を直接手渡すことができ、事業化へ向けての地域の思いを伝えることができました。  県としても力強く推し進めていただいていることは大変ありがたく、県も市も我々議員も、そして住民も、それぞれの立場で声を上げ、国に対してその必要性と地域の思いを伝えることが重要だと考えております。  そこで、お伺いいたします。  松山外環状道路の整備状況と国道33号から国道11号までの区間について、今後の取り組みをお聞かせください。  以上で私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) ○(渡部浩副議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(中村時広知事) 議長 ○(渡部浩副議長) 中村知事   〔中村時広知事登壇〕 ○(中村時広知事) 松尾議員に、まず、がん対策についての御質問にお答えをさせていただきます。  現行の愛媛県がん対策推進計画では、がん対策推進条例の趣旨を踏まえ、がんによる死亡者の減少、がん患者及び家族の苦痛の軽減と療養生活の維持向上、お互いに支え合い、安心して暮らせる地域社会の実現という3つの目標を掲げ、総合的ながん対策に取り組んできたところであります。  このうち、がんによる死亡者の減少については、75歳未満の年齢調整死亡率を20%削減するという数値目標には残念ながら達しておりませんが、女性は全国平均を上回って改善しているほか、緩和ケアに携わる医師等の人材育成、在宅緩和ケア提供体制の構築、がん相談支援体制の充実など、体制整備は着実に進展してきていると評価しております。  次期の県がん対策推進計画については、国のがん対策推進基本計画も踏まえながら、今年度中に策定することとしており、今後、がん医療の専門家や患者団体を含む幅広い関係者で構成する愛媛県がん対策推進委員会において御議論いただき、本県の実情に応じた効果的ながん対策の展開に向けて、次期計画の検討を進めていきたいと思っております。  次に、グローバルGAPについての御質問にお答えをさせていただきます。  グローバルGAP等の農産物の国際認証は、国際取引はもとより、近年は、国内でも大手食品事業者から取り組みを求める動きが見られるほか、今回、東京オリンピックパラリンピックの食材調達を契機とする国の対策強化の動きとも相まって、認証取得への関心は急速に高まってきておりますので、本県にとりましても、今後、喫緊の課題になってくるものと認識しております。  一方で、県内の取得状況は、生産者への周知不足や経費負担、手続の煩雑さ等がネックとなり、グローバルGAP取得は2件にとどまっておりますことから、県では、今年度新たに認証取得支援事業を創設し、国際水準GAPに対応できる指導者の県内育成、生産者啓発セミナーの開催、意欲的な生産者への個別コンサルティングなどを通じまして、県内生産者の認証取得を支援することとしています。  また、本年秋を目途に東京オリンピック等の食材調達基準を満たす県独自のGAPの認証制度もスタートさせることとしておりますので、今後、認証取得の拡大を図ってまいりたいと思います。  その他の質問につきましては、関係理事者の方からお答えさせていただきます。 ○(大森尚子県民環境部長) 議長 ○(渡部浩副議長) 大森県民環境部長   〔大森尚子県民環境部長登壇〕 ○(大森尚子県民環境部長) ひめボスを初め、女性の活躍推進の展開についての御質問にお答えをさせていただきます。  ひめボスは、イクボスに地域活性化の視点を加えた本県独自のものであり、組織トップが経営戦略として取り組むことで、男女ともに力を発揮できる働き方や生き方を実現し、働く人の幸せとともに地域の発展や魅力にもつながることを期待しており、市町及びえひめ女性活躍推進協議会と連携して普及に努めた結果、ひめボス宣言事業所は6月19日現在で304事業所に拡大し、民間の全国イクボス充実度ランキングでも4位になるなど、地域を巻き込んだ取り組みを進めております。  今後は、ひめボスの輪のさらなる拡大と、事業所における職場環境整備等の具体的な取り組みを推進するため、アドバイザー派遣のほか、今年度新たに県内の先進事例を発掘、啓発するひめボスグランプリや女性リーダーとの交流会の開催、ひめボス研修支援に加え、愛媛大学と連携して大学生に女性活躍推進等の講義を行うなど、トップの意識改革とともに事業所支援や人材育成を一体的に展開し、女性活躍の加速化を図ることとしております。  以上でございます。 ○(山口真司保健福祉部長) 議長 ○(渡部浩副議長) 山口保健福祉部長   〔山口真司保健福祉部長登壇〕 ○(山口真司保健福祉部長) 私立幼稚園の人材確保支援についてお答えをいたします。  幼児教育は、人間形成の基礎を築き、健全な発達を促す上で大きな役割を果たすものであり、その中核的な役割を担う私立幼稚園において、教育の質の維持向上に不可欠な優秀な人材を確保するために、処遇改善は重要な課題であると認識をしております。  このため、県では、保護者の負担を軽減するために従来から実施をしております私立幼稚園の運営費補助金への県独自の上乗せに加えまして、今年度新たに国の補助制度を活用し、当該補助金のさらなる充実を図ることで、幼稚園教員の給与水準の改善を支援することとしているところであります。  なお、幼児教育に関しましては、先般、閣議決定された骨太の方針において早期無償化が明記されたところでありますが、幼児教育の基盤となる人材確保を初め、教育の質の向上や施設整備等に関するさらなる支援についても、国において総合的な検討がなされるよう期待をしているところでございます。  以上でございます。 ○(樋口志朗土木部長) 議長 ○(渡部浩副議長) 樋口土木部長   〔樋口志朗土木部長登壇〕 ○(樋口志朗土木部長) まず、JR松山駅付近連続立体交差事業の進捗状況と見通しについてお答えをいたします。  JR松山駅付近連続立体交差事業につきましては、4つの区間で事業を実施しておりまして、このうち高架区間を除く3区間では、今年度から車両基地、貨物駅区間の上屋工事に着手するなど順調に進んでおりまして、従来の計画どおり平成31年度に供用を開始する予定でございます。
     残る高架区間につきましては、先般、一部用地取得の長期化などのため4年延伸の見通しを公表したところでありますが、今年度から本格的に工事を実施することとしておりまして、工事の受託者でありますJR四国や土地区画整理事業等を一体的に進める松山市などの関係機関と連携を密にしながら、一日も早く完成するよう取り組むこととしております。  次に、松山外環状道路に関する御質問にお答えいたします。  本県では、松山外環状道路の整備を最重要施策の一つとして位置づけ、国、県、松山市の3者が連携して取り組んできたところでございます。  このうち空港線につきましては、整備を先行していた国道56号から空港までの側道部を予定どおりえひめ国体開催前に開通させるとともに、引き続き新空港通りまでの整備を進めるほか、自動車専用道路部の早期完成を国に強く求めることとしております。  また、国道33号付近から11号までの、仮称でございますが、インター東線につきましては、都市計画の変更手続など事業化に向けた準備を進めているほか、先月行った国への重要要望におきましても、知事みずから国土交通大臣に対し来年度の新規事業化を強く要望したところでありまして、今後、松山市などと連携しながら全力で事業採択を目指すこととしております。  以上でございます。 ○(井上正教育長) 議長 ○(渡部浩副議長) 井上教育長   〔井上正教育長登壇〕 ○(井上正教育長) 民活運動部活動支援事業の取り組みにつきましてお答えをさせていただきます。  運動部活動の指導が教員の長時間勤務の要因の一つとなっており、また、競技経験や専門的知識を持たない教員の中には心理的な負担を感じる者もおりますことから、国が新たに導入しました部活動指導員制度の本県での活用に向け、6月補正予算案に民活運動部活動支援事業を計上したところでございます。  同事業では、指導員の身分の取り扱いや人材の確保、経費の負担等の課題を検証するため、中学、高校のモデル校5校に民間競技団体等に所属するスポーツ指導者を部活動指導員として配置し、これまで顧問の教員が担ってきた実技指導や対外試合等の引率に当たらせるほか、プロスポーツ団体との連携によりモデル校に選手を派遣し、競技力強化の取り組みを支援するなどの実践研究を予定しております。  県教育委員会といたしましては、こうした取り組みで得られましたノウハウや成果等をもとに、スポーツ庁が本年度末を目途に策定いたしますガイドライン等も踏まえまして、部活動指導員による指導体制構築のあり方や具体的な推進方策等を検討し、教員の多忙化解消等につなげていくことにしております。  以上でございます。 ○(渡部浩副議長) 暫時休憩いたします。      午前10時40分 休憩   ―――――――――――――――――      午前11時1分 再開 ○(渡部浩副議長) 再開いたします。  質疑を続けます。 ○(西田洋一議員) 議長 ○(渡部浩副議長) 西田洋一議員   〔西田洋一議員登壇〕 ○(西田洋一議員) (拍手)おはようございます。  自民党志士の会、西田洋一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  先般、5月8日に我が自民党志士の会において歴史文化博物館の学芸員を講師に招き、過去の歴史に学ぶ防災・減災対策についての勉強会を行い、過去に県内で発生した災害に関して、個人や公的な博物館等からの資料を収集するなどして行った調査研究について講義をいただきました。  以下、講義の内容を参考にして防災・減災について考えてみたいと思います。  南海トラフ地震の発生確率が高いとされている今日、大規模災害に備えての対策が重要施策としての位置づけのもと、国、県を挙げて取り組まれているところであります。  近年、熊本地震、東日本大震災、阪神・淡路大震災など、大規模な地震災害が発生しております。また、平成13年以降の県内の震度5弱以上の地震は5回を数えており、巨大地震がいつ発生してもおかしくない状況にあると言っても過言ではないように思います。  また、風水害、土砂災害など自然災害は毎年のように被害が出ています。  災害に対して事実をしっかりと見詰め、今、何を考え、何をするべきかを見きわめて、備えの体制を整える必要があると考える次第であります。  自然災害への対策としては、さまざまな災害に対してそれぞれの対応が必要であると思いますが、科学的見地からの対策と経験的見地からの対策が両立することが重要なことであると思われます。  科学的見地からの対策とは、例えば、地震に耐えられるよう建築物の構造を強化する、また、土砂災害を防ぐ砂防ダムをつくる、津波を想定した避難道路を整備するなどハード面の対策を講じることが必要であり、科学的な調査に基づき整備することを意味しています。また、ハザードマップや危険地域の指定などの知見から、災害に備えるなどのソフト面も大事であります。  経験的見地からの対策とは、科学的見地からのソフト対策に加えて、今、私たちが生活している地域が災害に対して安全かどうか、過去にどのような災害に見舞われたのか、また、先人たちはそのときどのような行動をとったのかなどを歴史から学ぶことにより、万が一の災害に備えることを意味しています。  東日本大震災後の災害対策基本法の大改正においては、住民の責務としての災害から得られた教訓の伝承や、国や自治体による住民の伝承活動への支援が明記され、また、県防災対策基本条例や県地域防災計画においても同様の内容が規定されており、防災・減災対策においては、経験的見地から学ぶことの重要性が記されているのであります。  さて、愛媛は気候が温暖で災害が少ない、私も含め多くの県民がこのように思われているのではないでしょうか。最近、大きな台風も上陸せず比較的大きな災害が発生していないことから、そのようになるのも仕方がないことかもしれません。  しかし、歴史は、この認識は間違いであることを語っています。100年から150年で周期的に発生する地震、明治32年の水害では828人の犠牲者、昭和18年の水害では114人の犠牲者、平成16年の水害では26人の犠牲者などの甚大な被害をこうむっているのであります。昭和21年の昭和南海地震では、松山市、伊予市、松前町、西条市の死者、家屋の倒壊の被害が大きかったことが記録されています。  私たちは、もしかしたら、自分のところは被災しないだろうと楽観視しているのかもしれません。天災は忘れたころにやってくると先人は言葉を残しています。いま一度、先人が経験した災害から学ぶ必要性を強く感じているところであります。また、歴史文化博物館で行われている調査研究等は、災害教訓の伝承に大いに生かせるのではないかと考えます。  そこで、お伺いします。  過去の災害から得られた教訓の伝承や近年の熊本地震、東日本大震災の教訓を踏まえて、近い将来発生が危惧されている南海トラフ地震等の大規模災害に備えた県民への防災意識の啓発にどのように取り組んでいるのか、お聞かせください。  次に、本県の学芸員の役割と活用についてお伺いします。  山本地方創生大臣が、4月に開かれたセミナーの中で、文化財を活用した観光振興に関して学芸員について大変失礼な発言をして批判を浴びたことは、御承知のとおりであります。  学芸員は、博物館法に定められた資格で、歴史や芸術、民俗、産業、自然科学などの分野において、博物館や美術館で資料の収集、展示、研究、調査、保管を行うことが主な職務として挙げられます。  全国では、現在、約7,800人がその職に従事しており、本県でも、34人の県学芸員が美術館や歴史文化博物館、総合科学博物館、生涯学習センターなどで資料収集や調査研究を行い、研究成果を広く発信するためセミナーや講座を開催するなどしています。  また、展示会等のイベントの企画運営も学芸員が中心となって行っており、少しでも多くの方に興味を持ってもらい足を運んでもらえるよう、企画や展示に創意工夫を凝らしたり、来場者に少しでも多くの学びや気づきを得てもらえるようにわかりやすい説明を心がけたりするなど、日々熱心に取り組まれていると聞きます。  私は、先ほど申し上げましたとおり、歴史文化博物館の学芸員の研究、専門的知見によって過去の災害の状況を大変わかりやすく正確に学び直す大変有意義な機会を得ることができました。先般の大臣の発言は観光振興に関したものでありましたが、大きな勘違いをされた発言だと思います。  学芸員は、資料の収集保管だけでなく、それらから得られた知見をより多くの人に知ってもらうための普及活動も行っています。学芸員の専門性や知見を社会に活用することが大事なことであり、そこから得られることを未来に伝承し、その価値を残していくこと、そこに彼らの存在意義というものがあるのであります。  そこで、お伺いします。  本県における学芸員の役割をどう位置づけ、どのように活用していくのか、お聞かせください。  次に、再生可能エネルギーについてお伺いします。  国のエネルギー基本計画では、エネルギーは人間のあらゆる活動を支える基盤であるとし、安定的で社会の負担の少ないエネルギー供給を実現する需給構造の実現は、我が国がさらなる発展を遂げていくための前提であるとしています。  国においては、平成14年にエネルギー政策の着実な遂行を確保することを目的としてエネルギー政策基本法を制定し、同法では、エネルギー基本計画を3年に一度の頻度で内容について検討を行い、必要に応じて変更を行うことを定めています。既に策定された第四次計画では、福島第一原発事故に伴う大規模な調整を求められる事態となり、大幅に内容の変更がありました。  ここでは、安全神話に陥り十分な過酷事故への対応ができなかったことを踏まえ、震災前に描いてきたエネルギー戦略を白紙から見直し、原発依存度を可能な限り低減することを前提に、新たなエネルギー政策の方向性を示しています。  このことを踏まえて、平成27年に経済産業省は長期エネルギー需給見通しを発表しました。福島第一原発事故後の経験を踏まえ、新たな我が国のエネルギー政策が示されたことは、大変重要なことでありまして、目標に向かって着実な政策の実行が求められます。  国が発表した平成42年度のエネルギーミックスにおける電源構成は、原子力が20から22%程度、再生可能エネルギーが22から24%程度、火力が56%程度、火力の内訳はLNGが27%程度、石炭が26%程度、石油が3%程度となっています。  きょうは、再生可能エネルギー分野に目を向けて、現状と課題を考えてみたいと思います。  再生可能エネルギーとは、太陽光、太陽熱、水力、風力、バイオマスなど、通常エネルギー源として枯渇の心配がない自然エネルギーを指します。  エネルギー基本計画では、この再生可能エネルギーを安定供給面、コスト面で課題が存在するが、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で重要な低炭素国産エネルギー源であるとしており、積極的に導入を推進するため、規制の合理化、低コスト化等の研究開発を着実に進めるとしています。  こうしてスタートした再生可能エネルギー分野の電源開発は、既に私たちの目に見える形であらわれております。佐田岬半島の風力発電、空き地にパネルを敷き並べた太陽光発電、本県でも取り組んでいる小水力発電、大型施設の建設が予定されている木質バイオマス発電など、順調に実施されているように思います。しかし、最新のデータでは、我が国の再生可能エネルギーの比率は平成27年度で14.3%であり、これを22から24%まで押し上げていくのは並大抵のことではないように思います。  新たなるエネルギー政策が走り出している現況でありますが、再生可能エネルギーの利用拡大に向けては多くの課題が存在するように思います。  量的な問題に加えて安定的に供給できる体制をつくる必要があり、電力会社に求められるエネルギー基本計画に沿った電源建設対応など、電力事業者間の調整や各種特徴のある再生可能エネルギーの発電バランスの調整などの課題があるほか、4月には四国エリアの電力需要に占める太陽光発電の割合が過去最高に達したとの報道がありましたが、需給バランスの維持も困難になっています。また、送電線の容量増強や蓄電池の開発と活用などさらなる環境整備も必要であります。  さらには、再生可能エネルギーは民間主導での普及対策が中心となっておりますが、事業者の普及活動が活発になる一方で、国の設備認定を受けた発電事業者の信頼性も重要であります。  そのほか、この5月から電気料金に上乗せされる賦課金の割合が1割程度になるなど、国民への負担が求められる固定価格買取制度、いわゆるFITがいつまで続けられるのかといった継続性も課題に挙げられます。  そこで、お伺いします。  現在、国で進められているエネルギー政策において重要な役割を担う再生可能エネルギーについて、本県では現状と課題をどのように認識しておられるのか、お聞かせください。  また、再生可能エネルギーの利用拡大については、本県でも推進していかなければなりませんが、課題の解決に向けどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。  次に、企業の誘致及び留置対策についてお伺いします。  内閣府が今月8日に発表した、ことし1-3月期のGDP改定値は、物価変動を除く実質で前期比0.3%増、このペースが1年間続くと仮定した年率換算は1.0%増であり、約11年ぶりの5四半期連続のプラス成長となり、安定した景気拡大局面が続いていることを示しております。  この景気の動きは雇用情勢にもあらわれており、先般発表された4月の県内有効求人倍率は1.49倍で、過去最高値を記録しました。これは、バブル期を上回る水準であり、景気回復の動きが愛媛にも波及し、明るい兆しが見えてきたと感じているところでございます。  しかしながら、人口減少が急速に進む県内の現状を見ますと、有効求人倍率の上昇を手放しでは喜べないとの思いもあります。人口が減少するということは、労働力が減少することを意味し、その中で有効求人倍率が1倍を大きく超えているということは、企業が必要な人材を確保することが困難になるということでもあり、ひいては本県の優秀な人材が県外に流出してしまうのではないかということを私は大いに危惧しているのであります。  ことし1月に総務省が発表した住民基本台帳人口移動報告平成28年結果によると、転入超過は東京都、愛知県、神奈川県、大阪府など7都府県であり、大都市圏への人口集中が浮き彫りとなっております。  本県においては、転入者1万7,080人に対して転出者が2万727人で、実に3,647人の転出超過となっており、これは中四国では山口県に次いで多い数字であります。私たちはもっと危機感を持ってこの問題を受けとめるべきであると思うのであります。  こうした人口流出に歯どめをかけるためには、魅力ある働く場を地域に創出することが極めて重要であり、そのためには、地域経済に新風をもたらす企業の誘致に力を入れるとともに、県内企業の流出を防ぎ、事業活動を活発化させる対策にも力を入れていくべきだと考えるところであります。  近年、人口減少が進む南予地域において、岡山市の高級和菓子メーカー源吉兆庵や香川県の冷凍食品メーカーちぬやなどの企業誘致が相次いで実現したことは、まことに喜ばしく思うところであり、今後は、企業活動の円滑な推進はもとより、地域が一体となって雇用の促進や人材の確保・育成に取り組んでいくことを切に期待するところでございます。  そこで、お伺いします。  人口の県外流出が続く中、地域経済の活性化を図っていくためには、企業誘致や県内企業の留置による雇用の場の創出とともに、地域産業を支える人材の確保・育成が重要であると考えますが、県としてどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。  次に、農商工連携の取り組みについてお伺いします。  我が国の農林水産業及び農山漁村を取り巻く状況は、少子高齢化に伴う担い手不足や輸入品との価格競争などで一層厳しさを増しておりますが、生産者や産地に活力を取り戻すためには、生産額の低迷や基幹的従事者の高齢化、耕作放棄地の増加といったさまざまな負の要因を知恵と工夫で可能な限り克服し、産業としての魅力や収益性を高めることが重要な課題となっております。  このような中で、国は、昨年6月に閣議決定した日本再興戦略2016において、名目GDP600兆円に向けた官民戦略プロジェクト10の一つに攻めの農林水産業の展開を掲げ、農地集積・集約化を通じた生産規模の拡大を進め、産業界との連携やビッグデータの利活用などで売り上げを増しながら、生産コストや中間マージンの削減を徹底的に行い、国内外の新たなマーケットに挑戦していくという農林水産業の成長産業化を強力に推し進めているところであります。  いわゆる農商工連携は、農林水産業者と商工業者がそれぞれの経営資源を持ち寄り、相乗効果を発揮しながら新商品の開発に取り組むというもので、農林水産業者が生産のみならず加工や販売に取り組む六次産業化とともに、一次産品の生産拡大や新たな付加価値の創造、生産者の所得向上等につながるものであり、農林水産業の成長産業化及び中小企業支援の有効な手段として大きな期待が寄せられております。  幸い本県は、南予地域を中心として温暖な気候が生み出したミカンやキウイフルーツなどの果実類、瀬戸内海や宇和海の美しく豊かな海で育った魚や真珠、滋味あふれるバリエーション豊かな野菜類など、質の高い農林水産資源を数多く有しております。  また、一方では、食品や化粧品などの製造・販売に独自のノウハウを持ち、高い技術力を蓄積している商工業者がそれぞれの地域に多数存在しており、農商工連携を推し進めていく上で大きな成果が期待できる条件が整っているのではないかと考えております。  言うまでもなく、農林水産業は私たちの食に直接かかわる不可欠な産業であり、一次産品の販売を初め、食品加工産業や関連設備の製造業、卸・小売、サービス業に至るまで実に裾野が広く、波及効果が大きい基幹産業であります。  また、農商工連携の推進によって新たな実需が生まれ、収益や事業の拡大、新規雇用といった形で地場の商工業者も元気になることは地域経済の活性化に結びつくものであり、地域経済の好循環を生み出す農商工連携の推進は、本県にとっては非常に重要であると考えております。  このような中、県においては、公益財団法人えひめ産業振興財団で運用するえひめ農商工連携ファンドを活用して、これまでに200件を超す新商品開発の取り組みを支援し、営業本部を初め市町や商工会議所等の関係機関とも連携しながら、販路開拓にも意欲的に取り組まれ、成果も上がっていると聞いておりますが、農商工連携にはまだまだ伸び代があり、特に、首都圏での販路開拓に力点を置くことによって、さらに飛躍ができるのではないかと考えております。  そこで、お伺いします。  農林水産業県である愛媛の地域経済を活性化するため、農林水産業をもうかる産業へと転換し、商工業者も新商品の販売等により一層元気にできる農商工連携の促進に県はどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。  次に、肱川水系における治水対策についてお伺いします。  近年、地球温暖化に伴う気候変動の影響により、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化しており、全国各地で記録的豪雨が頻発し、毎年のように大規模な水害が発生しております。  記憶に新しいところでは、平成27年9月の関東・東北豪雨により一級河川の鬼怒川の堤防が決壊し、1万棟を超える家屋の浸水、さらに家屋の倒壊や流出、4,000人を超える孤立者の発生など甚大な被害が発生し、また、翌28年8月には、北海道・東北地方を襲った台風10号によって岩手県の小本川が氾濫し、高齢者施設の入所者9人のとうとい命が犠牲となっています。  一方、本県最大の河川である肱川に目を向けてみますと、中流部の大洲盆地に支川が集中し、河川勾配が非常に緩いなどの地形的特徴から、洪水による被害が頻発しており、近年においても平成7年、16年、17年、23年に甚大な浸水被害が発生しております。  幸いにして、ここ5年間は大きな被害は発生しておりませんが、全国の状況を踏まえると、豪雨の発生リスクが一層高まっているとも考えられ、出水期を控えた流域の住民は、また、大規模な浸水被害が起こるのではないかと不安な日々を過ごしております。  このような中、治水安全度の低い肱川流域において住民の不安を解消し、安全・安心を確保するためには、肱川水系河川整備計画に基づき、下流の洪水水量を低減し早期に治水安全度を向上させることができるダムの整備や機能強化とともに、河道の整備が必要不可欠であると考えております。  そこで、お伺いします。  肱川水系河川整備計画における治水対策のかなめの一つであり、国体の会場にもなっている鹿野川ダムの改造については、平成30年度の完成を目指していると聞いておりますが、その進捗状況はどうなっているのか。また、山鳥坂ダム建設の状況についても、あわせてお尋ねいたします。  次に、下流部の県管理区間の菅田地区や久米川、国管理区間の長浜や東大洲地区などにおいては、堤防の整備が進められておりますが、これら堤防整備の現状と今後の見通しについてお聞かせください。  終わりに、先般、自衛隊家族会総会に出席する機会を得まして、そのときの話を紹介します。  三好会長は、挨拶の中で、東日本大震災においては、自衛隊員は被災者の救援に多大な尽力をしました。自衛隊の中には家族が被災した隊員もいたにもかかわらず、その使命を立派に果たしたのであります。家族も含め大変な御苦労もあったと思いますが、崇高な使命に尽力されたことに隊員を持つ家族として誇りを感じますと述べられたのであります。  自衛隊のみならず、行政、警察、消防、医療関係者等に対して、私たちは心からの敬意と感謝の意を払わなければならないことを強く感じた次第であります。  今、国会においては憲法論議が活発化しておりますが、特に自衛隊及び隊員、さらにその家族に対して、彼らが負っているその使命に尊厳と名誉が持てるように、また、国民が素直に敬意を払えるように、憲法において明確に位置づけられることを強く望むものであります。
     以上で質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) ○(渡部浩副議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(中村時広知事) 議長 ○(渡部浩副議長) 中村知事   〔中村時広知事登壇〕 ○(中村時広知事) 西田議員に、まず、企業誘致に関する御質問についてお答えをさせていただきます。  人口の県外流出に歯どめをかけるためには、魅力ある雇用の場を確保することが重要であり、県では、豊富な農林水産物や高い技術力を持つ企業集積といった本県の強みや優遇制度等をアピールしながら、積極的な企業誘致活動を展開しており、近年、南予地域に誘致が相次いで実現したところでございます。  また、県内立地企業に対しては、定期訪問等を通じて実情や要望を把握し、きめ細かな支援を行うとともに、生産拠点化や機能強化を支援する制度を創設し、設備投資や事業拡大を働きかけてきたところ、東レ、帝人、住友化学といった大手企業の生産設備の増強につながるなど、着実に成果は上がっているものと認識しています。  また、県内企業において、雇用情勢の改善や若者の県外流出などにより働き手の不足感が強まっており、人材の確保・育成が喫緊の課題となっています。  このため、県では、ジョブカフェ愛workを核に、県内企業の魅力発信や合同会社説明会、インターンシップ等の実施による本県出身学生の地元就職支援などに努めるとともに、特に、南予地域では、地元高校や企業等と連携して企業見学会等を開催し、地元企業への人材確保に取り組んでいるほか、今回の補正予算に計上し、ものづくり企業における人材育成や職場定着のための取り組みを支援することといたしております。  今後とも、県内産業の振興と地域活性化を図るため、市町や関係機関と緊密に連携しながら、オール愛媛体制で、企業の誘致や留置対策による雇用の場の創出と県内企業におけるすぐれた人材の確保・育成に努めてまいりたいと思います。  次に、農商工連携についての御質問についてお答えをさせていただきます。  全国に誇る多彩で豊富な農林水産資源に恵まれ、高度な技術力を有する中小企業が多い本県にとりまして、農商工連携は、新たなビジネスチャンスを生み出し、地域経済を活性化させる有効な手段でありますことから、県では、えひめ産業振興財団と連携し、農林水産業者と商工業者のマッチング支援を初め、えひめ農商工連携ファンドを活用して、新商品開発から販路開拓まで事業化に向けた一連のプロセスを総合的に支援しているところでございます。  これまで、財団の専任プロデューサーによる現地への訪問相談等を通じて新規案件の掘り起こしや販路開拓のサポートなどを行ってきた結果、南予地域の柑橘、野菜を使ったスイーツや調味料、未利用小魚を活用した加工品など、62組のコラボによる242件の商品が開発され、県が把握しているだけでありますが、約4億7,000万円の売り上げにつながるなど、着実に成果が上がっているところであります。  今後とも、これら商品の大規模展示会への出展や百貨店と連携した愛媛フェアの開催等に努めるほか、今回の補正予算に計上し、新たに商品のブランド化やブラッシュアップを図る人材育成に取り組むとともに、首都圏でのテストマーケティングや柑橘等の機能性成分を生かしたオリジナル商品の開発を支援するなど、支援策を充実強化することとしており、市町や関係機関とも連携し、オール愛媛体制で農商工連携を促進し、地域経済の活性化につなげてまいりたいと思います。  その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えさせていただきます。 ○(高橋正浩防災安全統括部長) 議長 ○(渡部浩副議長) 高橋防災安全統括部長   〔高橋正浩防災安全統括部長登壇〕 ○(高橋正浩防災安全統括部長) 過去の災害の教訓を踏まえた防災意識の啓発にどのように取り組んでいるのかとのお尋ねにお答えをいたします。  過去の災害から得られた教訓の伝承例として、東日本大震災で津波てんでんこの言い伝えに沿って児童生徒が即座に避難し大多数が助かった、いわゆる釜石の奇跡が有名でありますが、昨年の熊本地震におきましても、過去の教訓等を踏まえ各世帯の寝室まで把握していた消防団によって、倒壊家屋に閉じ込められた住民全員を迅速に救出した事例が報告されるなど、過去の災害の教訓を生かした大規模災害時の自助・共助の大切さが各地で再確認されているところであります。  本県におきましても、地域住民や企業の要請に応じまして、自衛隊OBでもあります県危機管理監が過去の大災害の教訓も踏まえた防災意識啓発の講演を実施するとともに、県歴史文化博物館が県内に残る昭和南海地震に関する伝承などを掘り起こし、地域ごとに普及啓発活動を展開しております。  また、昨年度からは、さまざまな災害の教訓なども踏まえながら、えひめ自助・共助推進大会を開催しているほか、32万人もの県民の皆さんの御参加を得てシェイクアウトえひめに取り組むなど、防災意識の醸成に努めております。  今後とも、学芸員など専門家による災害伝承の調査研究や普及啓発等の取り組みとも密接に連携しながら、過去の災害からの教訓を踏まえた県民の防災意識の啓発や自助・共助意識のさらなる醸成に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(大森尚子県民環境部長) 議長 ○(渡部浩副議長) 大森県民環境部長   〔大森尚子県民環境部長登壇〕 ○(大森尚子県民環境部長) 再生可能エネルギーについて、まず、現状と課題の認識についてお答えをさせていただきます。  再生可能エネルギーは、パリ協定の実現に向けた温室効果ガスの削減や、資源の乏しい我が国におけるエネルギー自給率向上の観点等から、積極的に導入が進められており、特に、平成24年の固定価格買取制度の開始以降、全国の設備導入量は、平成28年末時点で5,426万kWと24年度末と比較して約2.4倍に伸びております。  また、本県においても、平成28年末時点で約72万9,000kWが導入されており、24年度末と比較して全国平均を上回る約4倍の伸びとなるなど、太陽光を中心に導入が進んでおり、平成28年度の四国全体の総発電量の中では、再生可能エネルギーは約19%を占めるに至っております。  一方、さらなる利用拡大を図る上では、買取費用の電気料金への上乗せによる国民負担の増大や、不安定な出力に対する調整力確保の必要性、送電網の容量不足等による接続制約など、コスト、安定供給、出力等の面で解決すべきさまざまな課題があるほか、風力発電における景観への影響や騒音の発生等への懸念などを踏まえて、地域と調和しながら進めていくことが求められていると認識しております。  次に、利用拡大への取り組みについてお答えをさせていただきます。  再生可能エネルギーの利用拡大に向けては、送電インフラ等の計画的な整備や安定供給のための技術開発など、国レベルでの中長期的視点に立った戦略的な取り組みが必要不可欠でありますことから、全国知事会等を通じて国に働きかけてきたところでございます。  県としても、地域レベルで可能なことから着実に取り組んでいく必要があると考えており、家庭や地域単位での導入に向けて、市町との連携による家庭用の燃料電池や蓄電池の設置支援を初め、市町等が実施する小水力や風力等の導入可能性調査への助成を行うとともに、今年度から、中小企業の太陽光発電等の導入を支援するため、低利融資制度を拡充したところでございます。  さらに、本県の特徴を生かし、農業用水を活用した新たな小水力発電の整備や、木質バイオマス発電への活用も見据えた未利用間伐材の搬出支援のほか、紙産業等の廃棄物系バイオマスから水素を取り出して利用するための調査研究にも着手したところであり、今後とも、環境アセスメントの適切な実施等を通じて地域との調和に配意しながら、国や市町等とも連携し、本県の特性や実情に応じた多様な再生可能エネルギーの導入促進に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(樋口志朗土木部長) 議長 ○(渡部浩副議長) 樋口土木部長   〔樋口志朗土木部長登壇〕 ○(樋口志朗土木部長) 肱川水系における治水対策に関する御質問のうち、鹿野川ダム及び山鳥坂ダムの進捗状況についてお答えをいたします。  肱川における治水対策の主要な柱である鹿野川ダム及び山鳥坂ダムの整備につきましては、その完成により洪水調節能力が高まり、下流全域の水位を低下させ、洪水被害が大幅に軽減することから、事業主体である国と県、市が連携して推進しているところでございます。  鹿野川ダム改造につきましては、放流ゲートの改造や選択取水設備が完成し、昨年度末の進捗率は事業費ベースで約9割となっており、今年度はトンネル洪水吐き工事を引き続き実施するなど、予定どおり平成30年度の完成が見込まれております。  また、山鳥坂ダム建設につきましては、家屋の移転が必要な方の約9割と契約が完了するなど、順調に用地取得が図られており、今年度、つけかえ県道のうち見の越トンネルや橋梁に着工し、平成30年代前半のダム本体工事着手に向けて計画的に事業が進められております。  県としましては、引き続き両ダムの整備が促進されるよう国に対し強く働きかけてまいりたいと考えております。  次に、県管理区間と国管理区間の堤防整備の現状と見通しについてお答えをいたします。  肱川の堤防整備は、肱川水系河川整備計画に基づき、下流の洪水被害を助長しないよう上下流のバランスをとりながら進めております。  このうち、県管理区間の菅田地区につきましては、上流から事業を実施しており、これまでに阿部板野地区など2工区を概成させ、今年度は整備中の村島工区に加えて菅田工区に着手し、平成30年代半ばまでに浸水区域の約8割を占めるこれら4工区の概成を目指しております。  一方、国管理区間につきましては、堤防がない11地区のうち、長浜など6地区を完成させており、今年度は、整備中の惣瀬地区に加えて小長浜地区に着手する予定でございます。また、あわせて、来年度を目途に東大洲など7地区の堤防を段階的にかさ上げするとともに、県管理の久米川につきましても、その影響区間を整備し、甚大な被害が発生しました平成17年と同規模の洪水を安全に流下させることとしております。  今後とも、国や大洲市と連携しながら、一日でも早く流域住民の安全・安心が確保できるよう、肱川水系の治水対策を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(井上正教育長) 議長 ○(渡部浩副議長) 井上教育長   〔井上正教育長登壇〕 ○(井上正教育長) 学芸員の役割や活用についてお答えをさせていただきます。  歴史資料や美術品等の収集、保管、展示及び調査研究を通じて博物館や美術館等の運営を支える専門職員である学芸員には、資料等が持つ価値や意義を見出し、論文発表や一般の方々へのわかりやすい説明などにより、創造的かつ積極的に情報発信することが求められているほか、文化交流機会やイベント等を通じ、地域課題の解決や地域活性化に寄与する役割も担っていると考えております。  現在、本県では、34名の学芸員が自然科学、歴史、芸術等の各分野で専門性を生かした調査研究を行いますとともに、歴史文化博物館の学芸員による愛媛の災害の歴史に関する講演、総合科学博物館の学芸員による四国西予ジオパーク推進協議会などの各種委員会への委員としての参画など、成果を県民に普及する活動等にも積極的に取り組んでいるところでございます。  県教育委員会といたしましては、引き続き学芸員の調査研究の深化に努めますとともに、知事部局、市町、大学等の関係機関とも密接に連携しながら、生涯学習の支援や防災・減災対策、自然や文化を生かしたまちづくり、環境保全など、県民や地域のニーズに的確に対応した学芸員の取り組みを促進し、博物館が持つ知的ストックを地域の活性化等に生かしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(渡部浩副議長) 休憩いたします。  午後1時から再開いたします。      午前11時45分 休憩   ―――――――――――――――――      午後1時 再開 ○(毛利修三議長) 再開いたします。  質疑を続けます。 ○(中政勝議員) 議長 ○(毛利修三議長) 中政勝議員   〔中政勝議員登壇〕 ○(中政勝議員) (拍手)皆様こんにちは。  公明党の中政勝です。  ただいまより、一般質問に入らせていただきます。  まず初めに、空き家の活用について質問をします。  人が生活をしていく上で、衣食住が欠かすことができない要件であることは言うまでもありませんが、このうち住居について、高齢者や低所得者、障がい者といった方たちが民間の賃貸住宅への入居を断られることがあると聞きます。国土交通省の調査によりますと、家賃の支払いに対する不安が、家主の賃貸をためらわせる大きな理由となっています。  経済的な理由から思うように住居を確保できない方たちのために、安心して住める住居を確保できないものでしょうか。低所得層に対する住宅のセーフティネットとして公営住宅がありますが、応募倍率は高く、平成26年度全国平均が5.8倍、愛媛県では4.2倍となっております。一方、新たに公営住宅を建設することは、自治体のほとんどが財政難であることを考えれば、簡単ではありません。  単身の高齢者は、今後10年間に100万人ふえる見込みです。不安定な収入に悩む母子家庭や自立した生活を目指す障がい者も多いでしょう。こうした人たちが住居の確保に難渋する現状は、ハウジングプアとも指摘されています。決して看過することのできない問題と言えます。  そこで、住宅のセーフティネットをどう強化していくべきか。今着目したいのが空き家です。我が国では、人口減少などにより空き家がふえ、その数は平成25年時点で820万戸に上り、今後も引き続き増加が見込まれていることから、空き家の活用が課題となっています。  このため、4月に成立した改正住宅セーフティネット法には、増加する空き家を高齢者や低所得者、障がい者、子育て世帯などの住宅確保要配慮者向けの賃貸住宅として活用する新たな制度が盛り込まれています。  具体的には、空き家を所有する家主が、住宅確保要配慮者のための賃貸住宅として空き家を都道府県等に登録し、国などが家主に対して最大で月4万円の家賃補助を行うことができるとされています。これにより、家賃の支払いに対する家主の不安が軽減され、高齢者の方たちなどが入居しやすくなるに違いありません。  さらに、耐震改修、バリアフリー化を行う費用として、国などが1戸当たり最大200万円を家主に補助することができるとされており、住宅の質の確保も期待できます。  空き家を活用した住宅確保要配慮者向けの住宅対策について、これまで公明党は、福祉部門と住宅部門の連携が不可欠として、厚生労働省と国土交通省が一体となって取り組むよう訴えてきたところであり、今回、改正法が成立し、新たな制度が始まることに大きな期待を寄せています。  そこで、お伺いいたします。  今般の住宅セーフティネット法の改正を踏まえ、空き家を活用した住宅確保要配慮者向けの住宅対策に、今後、県はどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。  次に、中小企業の支援策について質問をします。  日本銀行が発表した3月の全国企業短期経済観測調査、いわゆる短観で、企業の景気に対する見方を示す業況判断指数が企業規模を問わず改善していることが明らかになりました。短観は、国内の約1万1,000社を対象に調査したもので、とりわけ注目されるのは、景気がよいとする回答が地域の雇用と産業を支える中小企業にもふえている点です。  自公政権の経済政策によって、景気が回復傾向にあるとの実感が中小企業にも広がり始めたことを示していると思います。  全国的には、企業が建物や機械など生産設備の新増設のために行う設備投資が上向いている産業もあり、これは、景気回復を背景として事業拡大に積極的な企業が増加しているあかしではないでしょうか。  設備投資は景気のエンジンとも呼ばれ、景気の動向を判断する上での重要な指標の一つとされています。景気を本格的な回復軌道に乗せるためには、この設備投資をどう拡大させていくかが鍵を握っています。  この点で、中小企業の現状にしっかりと目を向けることが大事だと思います。例えば、設備投資をしようにも、資金の手当てが難しいケースが少なくありません。従業員が製造業で20人以下、商業・サービス業で5人以下の零細企業であればなおさらです。  このため、国もさまざまな支援策を用意しています。2017年度から、対象となる設備が拡充された中小企業向けの設備投資促進税制もその一つです。これは、店舗の改装や空調設備の交換など、小規模な投資でも固定資産税の減免を認めるものです。制度に関する情報が正確に伝わり、制度理解が深まることで活用が広がるよう、積極的なPRに努めてほしいと強く願います。  また、中小企業の設備投資や商品開発を支援する中小企業庁のものづくり補助金も高評価を受けています。同補助金は、新事業の展開やサービス開発などの多岐にわたるニーズに応えるもので、企業の設備投資を促進する狙いもあり、使い勝手がよく多くの事業者に活用されているそうです。国には、一層の拡充について検討されることを期待します。  今回の短観では、バブル期並みと言われるほど深刻な人手不足も浮き彫りになりました。このため、生産性を高めようと設備投資に積極的な中小企業が今後もふえることが予想されます。それだけに、さらなる中小企業支援に知恵を絞ることが、経済再生の正念場を迎えた今こそ重要であると思います。  そこで、お伺いいたします。  中小企業の設備投資を促進させるため、県はどのように取り組んでいるのでしょうか。2017年度から拡充された中小企業向けの設備投資促進税制を周知するための取り組みも含めてお聞かせください。  次に、学校のトイレについて質問します。  今では、家庭に洋式トイレが普及、定着していることもあり、学校で使いなれていない和式トイレを使用することに対して苦痛を感じている子供がいると聞きます。  民間企業の調査によりますと、学校で大便をしない小学生は3割に上っています。恥ずかしいからなど周囲の目を気にする理由がある一方で、和式トイレが苦手だからというトイレ環境を気にする理由も多く、和式トイレが多い学校に通う子供ほど我慢する傾向が強い結果となったそうです。  自宅の洋式トイレで育った世代が、学校の和式トイレに戸惑い、抵抗を覚えることは容易に理解できますし、自宅に帰るまで耐える辛さも想像がつきます。また、学業への影響はもちろん、便秘などの健康面の心配も尽きません。このため、学校のトイレは早急に洋式化する必要があると考えます。とはいえ、現状は非常に厳しく、公立小中学校のトイレの洋式化率は、全国平均で43.3%にとどまります。最も進んでいる神奈川県でも58.4%です。何とか洋式化の流れを加速させる手だてはないものでしょうか。  自治体が公立小中学校のトイレを改修する場合は、費用の3分の1を国が補助する制度があります。しかし、多くの自治体は学校施設の耐震改修を優先しているために、トイレの洋式化は後回しになっているのが現状です。
     この点、東京都の取り組みに注目してみますと、公立小中学校のトイレの洋式化率を現在の54.2%から2020年度までに80%へ引き上げる目標を明示し、17年度当初予算には、市区町村への補助金を含め、学校や公共施設のトイレの洋式化に約38億円を計上しています。これは前年度予算の5倍に近い額で、都議会公明党の訴えが反映されたものでもあります。  直ちにトイレの改修を実施できる自治体は少ないかと思いますが、学校施設本体の耐震化率はほぼ100%に達し、天井板など非構造部材の耐震化も進みつつあります。学校トイレの洋式化に予算を振り向けられる自治体は、今後、ふえるのではないでしょうか。学校設置者が早期に改修目標を示すだけでも子供や保護者の不安解消に役立つと考えます。  また、学校のトイレは、子供たちだけの問題ではありません。学校は地域コミュニティの拠点であり、大規模災害時には避難所となるなど、老若男女を問わず多くの住民が利用します。実際、東日本大震災や昨年の熊本地震では、避難者の多くが和式トイレに悩まされたとの声を上げており、このことも忘れてはなりません。  そこで、お伺いいたします。  本県の公立小中学校のトイレの洋式化の現状はどのようになっているのでしょうか。また、洋式化にどう取り組んでいかれるのか、お聞かせください。  次に、教員の働き方改革について質問します。  文部科学省が公表した公立小中学校の教員の勤務実態調査によりますと、過労死の目安とされる週60時間以上の勤務をしている教諭は、小学校で33.5%、中学校で57.7%に上りました。平日の平均勤務時間は、小中学校ともに11時間を超えています。  経済協力開発機構が2012年から2013年に34カ国・地域を対象に実施した調査では、日本の教員の勤務時間は、各国平均より週15時間ほど長い状況です。  これは、授業だけではなく、課外活動や書類作成など、業務が多岐にわたるのが原因ではないでしょうか。これらの調査結果から、多くの教員が過重労働に陥っている実態が裏づけられており、もはや個人の善意と努力だけでカバーし切れるものではありません。国を挙げて進めている働き方改革は、学校でも急務ではないでしょうか。  また、練習試合や大会出場で土日を費やすことになる部活動の担当も、大きな負担ではないでしょうか。実際、中学校の教員の土日の部活動の指導時間は、10年前の約2倍に膨れ上がっており、夏休みなどの長期休暇中には、全国の中学校や高校の部活動で合宿や集中練習などが活発に行われています。  部活動は、生徒がスポーツや文化に親しみ、練習や研さんを重ねる中で礼儀や忍耐などを体得することができるため、健全育成に大きな効果があると認識しております。しかし、平日だけではなく、休日も練習や試合が組まれるケースが少なくない、このことから、過密な活動が生徒の睡眠や学習時間の不足、家族とのコミュニケーションの低下をもたらすのではないかといった懸念もあります。  現在、部活動への休養日の導入が進んでいることは承知しておりますが、教員、生徒双方にとって、休養日の設定が必要と考えます。部活動に対する生徒の情熱や、それに応えようとする教員の意欲を可能な限り尊重すべきであることは言うまでもありませんが、生徒の健全育成という部活動本来の目的が阻害されることもあってはなりません。各教育委員会は、教育現場の実情を十分に踏まえ、休養日の導入をさらに進めてもらいたいと思います。  教員の負担軽減に大切なのは、学校運営に地域や外部の人材がかかわるチーム学校の視点ではないでしょうか。我が党の推進でスクールカウンセラーの配置が広がったように、部活動にも外部の人材の活用が進むことを願います。さらに、部活動の休養日を明確に定めた年間計画をつくるなど、教員の負担を考慮した指導体制の構築も急務だと思います。  また、勤務実態と合った給与制度への変更も必要ではないでしょうか。何時間働いても基本的に給与が変わらないため、勤務管理がおろそかになり、無制限の時間外勤務を招いている側面も指摘されています。  長時間勤務を放置すれば、授業内容を工夫したり、いじめの兆候を見つけたりする心の余裕まで奪われかねません。教員の喜びは、子供たち一人一人と向き合い、成長を支えることにこそあるはずです。  そこで、お伺いします。  部活動の休養日設定を含め、深刻化する教員の長時間勤務の改善にどう取り組んでいるのか、お聞かせください。  最後に、女性警察職員の活躍促進に向けた取り組みについて質問をします。  人口減少社会を迎えた今日の日本では、労働力人口の減少も懸念されています。社会の活力維持や今後のグローバル化への対応等のためには、我が国最大の潜在力と称される女性の力が必要とされており、女性のさらなる社会進出が不可欠ですが、現実には、就業を希望しているものの、育児、介護等を理由に働いていない女性が約270万人存在、第1子の出産を機に約5割の女性が離職、管理職における女性の割合は約1割で、国際的にも低い水準といった課題があります。  このような中、働くことを希望する女性が職業生活においてその個性と能力を十分に発揮し活躍できるよう、国や地方公共団体が必要な施策を策定、実施することに加え、事業主が女性の活躍推進に向けた取り組みをみずから実施することを促すための枠組みについて定めた女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、いわゆる女性活躍推進法が制定され、平成28年4月から完全施行されました。  この法律に基づき、国、地方公共団体、常勤労働者が300人を超える企業等は、女性採用比率、管理職に占める女性の割合など、女性活躍にかかわるさまざまな項目について把握、分析を行い、その結果を勘案して、具体的な数値目標や取り組み内容を盛り込んだ行動計画を策定し公表することが求められております。  女性の活躍は、警察組織においても当然必要でありまして、県警では、同法に基づく特定事業主行動計画などを盛り込んだ愛媛県警察におけるワークライフバランス等推進のための取組計画を策定し、平成30年度当初までに全警察官に占める女性警察官の割合を10%前後にするなどの数値目標を掲げ、各種施策に取り組んでいると承知しております。  また、近年の犯罪情勢の変化に伴い、国民の警察に対する要請が多様化し、ストーカー事案や配偶者暴力事案などでは、女性被害者・相談者への的確な対応が求められており、これらのさまざまな課題に対処するためには、女性の視点を一層反映させることが必要であります。  こうした状況の中で、女性の個性と能力が十分に発揮されるためには、女性に対する採用・昇進等の機会の積極的な提供や、職業生活と家庭生活との両立を図るための環境整備が必要であると考えます。  そこで、警察本部長にお伺いします。  警察は、男性社会のイメージが強く、女性の活躍を推進する上で厳しい環境にあるのではないかと考えますが、女性警察官の募集、採用状況の推移はどうでしょうか。また、女性活躍推進法の制定を受け、県警において推進している取り組みについてお聞かせください。  以上をもちまして、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) ○(毛利修三議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(中村時広知事) 議長 ○(毛利修三議長) 中村知事   〔中村時広知事登壇〕 ○(中村時広知事) 中議員に、まず、空き家を活用した住宅対策についてお答えをさせていただきます。  今回の住宅セーフティネット法の改正は、住宅部門と福祉部門の連携を強化して、空き家を活用しつつ、住宅確保要配慮者の居住の安定の確保を図ることを目的としており、空き家が多く、増加する単身高齢者などへの対応が課題となっている本県でも、非常に有効であると認識をしています。  これまでも県では、平成27年に県・市町のほか不動産団体、居住支援団体で構成する愛媛県居住支援協議会を設立し、要配慮者の円滑な入居を促進するため、相談窓口を開設するとともに、家主の不安を払拭するためのセミナーを開催してきたところであり、現在は、さらなる相談体制の充実や入居支援の強化などを検討しているところでございます。  今後は、10月に予定されている改正法の施行に向け、要配慮者が入居できる空き家の登録準備を進めるほか、家主などへの補助制度を含めた具体的な支援策について、これから示される国の基本方針を踏まえ、対応を検討したいと考えています。  県としては、今後とも、市町や関係団体と連携し、公営住宅等とあわせ、空き家を活用した重層的な住宅セーフティネットの構築に取り組むことにより、全ての県民が笑顔で安心して暮らせるよう努めていきたいと思います。  次に、中小企業の設備投資を促進するための対策についての御質問でございますが、県内企業の大多数を占める中小企業の設備投資を促進することにより、経済効果と雇用創出が期待できますことから、県では、県単融資制度に新規融資枠729億円を確保し、企業のニーズに応じた設備投資等への円滑な資金調達に万全を期しているところでございます。  特に、従業員が20人以下の小規模企業や、食品や観光ビジネス等の成長産業分野で企業力向上に取り組む中小企業に対しましては、設備資金に係る利子補給を行うなどの手厚い支援に努めているところでございます。  また、県内で創業する個人や企業に対しても融資枠を確保し、今年度から設備資金等の保証料の全額を補助するとともに、えひめ産業振興財団の中小企業応援ファンドを活用して、設備投資につながる技術開発や製品開発等の取り組みを支援するほか、革新的なサービス開発等に取り組む中小企業の設備投資等を支援する国のものづくり補助金については、県としても案件の積極的な掘り起こしや適切なアドバイスに努めており、これまでに延べ697件に上る県内企業の取り組みが採択されているところでございます。  さらに、中小企業等経営強化法に基づく設備投資促進税制について、ことし4月に締結した中小企業庁等との連携協定に基づきまして、県や支援機関にパンフレットを設置してPRするとともに、今後開催予定の各種セミナー等も活用して、県や財団の支援策とあわせて広く周知することとしており、今後とも、国・財団・銀行等の支援機関と連携しながら、県内中小企業の設備投資促進を図ってまいりたいと思います。  その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。 ○(井上正教育長) 議長 ○(毛利修三議長) 井上教育長   〔井上正教育長登壇〕 ○(井上正教育長) 公立小中学校のトイレの洋式化についてお答えをさせていただきます。  学校のトイレにつきましては、家庭での洋式化が進み、和式を使用しにくい子供が増加する中、他人の座った便座に抵抗を感じる児童生徒の存在や、和式の使い方を学ばせるべきとの意見も考慮した上で、学校設置者が改修等における和式・洋式の設置比率を検討することが望ましいとの考え方が文部科学省から示されております。  これを受けまして、県内各市町では、財政状況や必要性等を勘案しながら、校舎の大規模改修に合わせた効率的な整備等が適宜進められておりまして、公立小中学校のトイレの洋式化率は、平成28年4月現在で38.1%と、全国平均の43.3%は若干下回るものの、県が独自調査をいたしました平成26年度と比べますと8.4ポイント上昇をしております。  県教育委員会では、毎年度、各市町の洋式化の状況や改修計画等を確認しまして、公立学校施設整備事業等説明会等で指導・助言を行うほか、全国都道府県教育長協議会を通じ、トイレ整備事業等の円滑な実施に必要な助成予算額の確保を国に要望しているところでありまして、今後とも、学習・生活の場である学校にふさわしい快適な環境が確保されるよう、計画的かつ適切なトイレの洋式化を促進してまいりたいと考えております。  次に、教員の長時間勤務の改善についてお答えさせていただきます。  教員の多忙化対策は、教員個人のワーク・ライフ・バランスの充実や教育の質の向上を図る上からも、重要かつ喫緊の課題と認識しており、昨年10月に県教職員業務改善方針を策定しまして、業務量に応じた弾力的な教員配置のほか、研究指定校や学校行事の厳選、ICTを活用した事務処理の効率化等に取り組んでいるところでございます。  さらに、運動部活動では、生徒の健康管理と教員の負担軽減を図るため、学校の決まりとして週1回以上の休養日を設定するよう県立学校や市町教育委員会を指導しており、大洲市が市内9つの中学校に統一的に休養日を設定するルールを定めるなど、本年5月1日現在で、65校全ての県立学校と公立中学校127校中104校、合わせて全体の88%が週1回以上の休養日を設けております。  県教育委員会では、こうした業務改善に向けた取り組みを加速させるため、新たな実践研究に着手することとしておりまして、新居浜市と西条市をモデル地域として、福祉分野の外部専門スタッフの学校配置や民間コンサルティングの実施等による効果を検証しますとともに、民間の人材5名を県内の中学・高校の部活動指導員に配置する経費を6月補正予算案に計上しており、教員が心身の健康を維持しながら意欲的に職務に取り組み、児童生徒一人一人と向き合う時間を確保できるよう、長時間勤務の改善に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(林学警察本部長) 議長 ○(毛利修三議長) 林警察本部長   〔林学警察本部長登壇〕 ○(林学警察本部長) 女性警察官の採用状況等についての御質問にお答えいたします。  県警では、平成6年度から女性警察官の採用を開始し、本年4月1日現在、全警察官に占める割合では約9.2%、229人の女性警察官を配置しております。  近年の本県警察官採用試験における女性警察官の募集、採用状況については、平成26年度は受験者207人で採用者16人、平成27年度は受験者124人で採用者24人、平成28年度は受験者146人で採用者13人であり、過去3年間の募集者数の合計は52人、採用者数の合計は53人であります。  また、ストーカー事案を主管する生活安全部門を初めとした全部門への女性警察官配置や女性幹部の登用も進めているところであり、女性活躍推進法の制定を受け、その職域拡大や幹部登用をさらに推進するほか、育児休業の取得促進や時差出勤制度の利用奨励、家族の状況に配慮した人事異動、女性専用仮眠室等の増設など、働きやすい環境づくりにも取り組んでいるところであります。  今後とも、女性職員がその能力や特性を十二分に発揮しながら、職場と家庭生活の両立が図られるよう、適切な人事管理や職場環境の整備に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○(毛利修三議長) 暫時休憩いたします。      午後1時33分 休憩   ―――――――――――――――――      午後1時50分 再開 ○(毛利修三議長) 再開いたします。  質疑を続けます。 ○(渡部伸二議員) 議長 ○(毛利修三議長) 渡部伸二議員   〔渡部伸二議員登壇〕 ○(渡部伸二議員) (拍手)環境市民の渡部伸二です。  一般質問を行います。  まず、県立学校の公費会計・私費会計の負担区分についてお尋ねします。  学校教育法第5条によれば「学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する」とされており、学校の教育活動に必要な経費は全て公費、公の費用で賄われるのが原則であります。  また、これらの経費については、地方財政法第27条の3では「都道府県は、当該都道府県立の高等学校の施設の建設事業費について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない」とされており、さらに、地方財政法第27条の4、地方財政法施行令第52条では、市町村立学校の建物の維持、修繕、職員の給与について、その負担を保護者に転嫁することが禁止されております。  県立学校においては、校舎の維持、修繕に関する定めはありませんが、その負担を保護者に積極的に転嫁することを認めているわけではなく、あくまで市町村の例に準じるべきものと考えますが、いかがでしょうか。  さて、都道府県教育長協議会の文書「学校教育にかかる公費負担の適正化について」では、公費負担とすべき経費について、次のように定めています。1、学級、学年、学校単位で共用または備えつけとするものの経費、2、その他管理、指導のために要する経費としており、また、私費負担、つまり保護者の個人負担とすべき経費としては、1、児童生徒個人の所有物にかかる経費で、第1に、学校、家庭いずれにおいても使用できるもの、第2に、学級、学年特定の集団の全員が個人用の教材・教具として使用するもの。例えば、教科書以外の個人用図書、ノート、文房具、補助教材、学習用具などです。2番目に、教育活動の結果として、その教材・教具そのもの、またはそれから生ずる直接的利益が児童生徒個人に還元されるものに係る経費、例えば学習教材、校外施設学習の食費、遠足・修学旅行費などです。  そこで、この定義に基づいて現在の各愛媛県立学校の備品購入や維持経費を見ると、本来は公費で支出すべき内容について、私費会計に負担させているものが散見されます。  例えば、県立高校の普通教室や特別教室の冷房は、PTA会計ないしは空調設備費として保護者の負担で設置、維持されているようです。そして、冷房の設置状況は、高校によってかなりのばらつきがあります。しかし、保護者の立場から言えば、同じ県立高校でありながら、空調という施設環境に格差が存在するのは納得できるものではありません。  そもそも公費負担を原則とするものの定義に従えば、冷房は学校に備えつけられるものであり、学校の管理運営費に相当するものであることは明らかと考えます。また、冷房の設置状況に高校間で格差がある現状は一刻も早く改善すべきであって、そのためにも、小規模校には不利な私費による設置の現状は、その意味でも改めるべきと考えますが、いかがでしょうか。  文部科学省は、学校の会計処理について、割り当てて強制的に徴収するのではなく、PTA等学校関係団体等が真に任意に経費の支援を行うことは禁止されていないとしていますが、県内の多くの高校では、冷房のコストは一様に私費から支出されており、文科省の言うように真に任意に経費の支援をしたものとは考えにくいものであって、本来、公費負担にすべきであったと考えますが、意思決定過程の妥当性を含めて見解をお聞きします。  そして、公費・私費の負担区分の問題は、これまで学校運営費として十分な予算が学校に配分されていないことや、学校運営に当たって公費予算の使い勝手がよくないため、私費で対応してきたという問題があるのではないでしょうか。厳しい財政状況から予算を削減せざるを得ないケースがあることは理解できるとしても、教育予算は非常に重要なあすへの投資であって、デリケートな教育にしわ寄せすることがあってはならないと考えますが、いかがでしょうか。  また、本来は公費で購入すべきと現場の教員はわかっていますが、やむを得ず私費で購入しているものがあるようです。この背景として、平成28年度まで県教委によって毎年マイナスシーリングが示され、令達予算が毎年削減されてきたことが挙げられます。現場では、シーリングへの調整として消耗品費を減額して予算編成し、減額した消耗品費について私費会計に頼らざるを得ない状況があると考えますが、県教委の認識と今後の改善の見通しはあるのか、見解をお聞きします。  今から11年前の愛媛新聞のトップ記事に、県立高校52校において、学校の修繕費や教員の出張旅費、パソコンや事務用品などの消耗品や備品の購入などに1億9,000万円が、保護者が負担しているPTA会費や生徒会費などから支出されていたことが報じられています。公費・私費の負担原則からいえば、明らかに逸脱した支出と言わねばなりません。  このように、本来、公費で負担すべきものだが、PTA会計などの私費会計から支出されているケースはどの程度存在しているのか、調査を求めます。  さらに、支出の適正化を図るために、調査すると同時に、県教委としての公費・私費の負担区分の判断基準を明確にし、各学校及びPTAに通知していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  次に、全ての県立学校、高校、特別支援学校に冷房の完備を求めてお尋ねします。  お隣の高知県では、耐震工事に合わせて、平成26年度から県立学校の普通教室に公費負担で冷房を設置しています。  愛媛県においても、冷房未設置の高校の普通教室、特別教室について、公費による設置を急いでいただきたいと思いますが、現在の設置状況と今後の見通しをお聞きします。  一方、愛媛県立特別支援学校においては、冷房は公費で設置、維持されているものの、学校間で設置率に大きな開きがあるようです。例えば、みなら特別支援学校本校の普通教室では、中学部19学級のうち冷房があるのは2学級に過ぎず、また、小学部23学級のうち4学級しか冷房がついておりません。冷房の公費設置の大きな意味は、学校間で差が出ないようにできるということであるはずです。特に、障がいのある児童生徒にとって、空調は体調管理の面から非常に重要であることは言うまでもありません。  冷房が設置されていない教室は多数に上ることが想像されますが、全ての県立特別支援学校の冷房の設置状況は現在どうなのか。また、今後の設置計画についてもお尋ねします。  それから、宇和島水産高校寄宿舎の生徒の居室には冷房が設置されておらず、夏場は耐えがたい暑さに見舞われているため、公費による早急の対策を求めます。  また、寄宿舎を有するその他の愛媛県立学校における寄宿舎の空調の設置状況と今後の対策についてもお尋ねします。  また、宇和島水産高校の寄宿舎は耐震性に問題ないと県教委は判断しているようですが、築35年超えの建物はいかにも老朽化し、場所的にも目の前が海岸という立地にあるため、南海トラフ巨大地震に伴う津波は10mを超えることが予想されることから、生徒の安全を最優先に考えて、寄宿舎の移転を検討すべきと考えますが、見解をお聞きします。  ところで、文部科学省の平成26年4月の調査によると、西日本24府県のうち、高校の普通教室への冷房の設置率については愛媛県は下から6番目、小中学校と特別支援学校に至っては愛媛県は西日本で最下位であります。  この状況をどう評価し、どう改善する予定なのか、お聞きします。  次に、特別支援学校の教室不足、教諭不足、老朽化についてお尋ねします。  先月、5月19日の愛媛新聞によると、県内の知的障がい部門の特別支援学校に通う児童生徒数は、10年前の1.5倍にふえています。これは、近年、発達障がいが広く知られるようになり、医療機関で診断される子供がふえたことや、保護者が学習活動や就職への手厚い支援を求めて特別支援学校を選択するケースがふえていることが指摘されています。
     ところが児童生徒の増加に教室数が追いついていない現実があります。報道によれば、昨年10月時点で41教室が足りず、1つの教室を複数クラスで使ったり、実習室を普通教室として使用するなど、学校側は対応に苦慮しています。  そもそも特別支援学校には、小中高校のように校舎の広さや必要な施設などを定めた国の設置基準がないことが、現場の混乱や子供の学習権を奪うような環境悪化を招いている一つの要因であると考えられます。  例えば、小中高校では、児童生徒がふえたからといって美術室や家庭科室などの特別教室を普通教室に転用あるいは併用することは、特別教室の存在意義や教育の質の悪化に直結することから、あり得ないと思います。  しかし、特別支援学校では、特別教室を普通教室としても多数併用され、普通教室に作業学習用の多数の教材・教具が置かれている状況にあり、児童生徒が授業に集中しづらい教室環境になっている現実があります。およそ小中高校では考えられない、こんな事態を放置しているところに、文科省や県教委の特別支援教育に対する差別性があらわれていると私は考えざるを得ません。  現状に対する認識と今後の対策をお尋ねします。  さらに、特別支援学校の設置基準を文部科学省が策定しないのならば、愛媛県教育委員会は独自の設置基準を設け、小中高校と同様に基準に基づいて学校運営をしていただきたいと考えます。設置基準が特別支援学校にだけないのは、極めて差別的であります。見解をお聞きします。  例えば、みなら特別支援学校は、生徒数が400人を超えているため、現場の先生方はプレハブでもいいから建ててほしいと要望していますが、県教委は何も対応しようとはしていないようです。  そこで、県教委は、特別支援学校の生徒数の今後の推移と必要な施設の量について、どのような見通しを持っていらっしゃるのか、お聞きします。  また、現在のような深刻な教室不足の問題について、県教委特別支援教育課は、学校ごとの工夫で教育活動に支障がないよう取り組んでもらうしかないとマスコミ取材に答えていますが、保護者から見れば、このコメントは特別支援教育の切り捨てにしか聞こえません。もう既に特別支援教育に支障は出ているのであり、これ以上学校に工夫の余地はないと言えます。知的障がい部門の児童生徒の増加に対する教育の質を保障した具体的な対策と予算措置をお尋ねします。  特別支援学校では、他校との交流学習、特別支援教育コーディネーターの出張、頻繁に行われる初任者研修などにより教諭が抜けることが多く、さらに、児童生徒の障がいの多様化、重度化が教諭不足に拍車をかけているにもかかわらず、教諭の数はほとんどふやされず、教諭は多忙化する一方であり、片や非常勤講師の割合がふえている現実があります。例えば、今治特別支援学校やみなら特別支援学校では、小学部、中学部、高等部それぞれの教員のうち、およそ30%が講師の身分であり、残り70%が教諭です。  このような講師と教諭の割合は、小中高校では考えにくく、特別支援学校にだけ見られるものと言えますが、この現状は特別支援教育の質にかかわる重大な問題と私は考えます。この状況がもたらす弊害、問題をどのように認識しているのか、お尋ねします。  また、今後、非常勤講師の割合を減らす一方、教諭をふやすための取り組みを求めたいと思いますが、見解をお聞きします。  また、しげのぶ特別支援学校の本館は、築50年以上が経過しており、教室が狭く傷みが激しいため、建てかえを計画すべきと考えますが、見解をお聞きします。  さらに、しげのぶ特別支援学校は、火災や地震の際の避難に必要な非常用スロープが全くなく、教員が車椅子を抱えて階段をおりなければならない現実があります。次々と施設を増築したために、非常用スロープを設置するスペースがなくなってしまっているのではないかと考えますが、スロープの設置の障害となっていると考えられる教職員の自家用車駐車場の抜本的な確保とあわせて、スロープの設置を早急に検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。  ほかの愛媛県立特別支援学校では非常用スロープの設置状況は現在どうなっているのか、あわせてお尋ねします。  次に、特別支援学校における需用費、備品購入費の推移についてお尋ねします。  宇和特別支援学校、新居浜特別支援学校においては、過去4年間、顕著に児童生徒数がふえ続けているにもかかわらず、今年度、平成29年度予算の需用費、備品購入費が減額されています。  児童生徒がふえたにもかかわらず、需用費、備品購入費が減額されたことの理由、妥当性を示してください。  さて、次に、特別支援学校のスクールバスについてお尋ねします。  宇和特別支援学校では、昨年、老朽化したバスを修理に出す際に、代車として近隣の高校や大学校のバスを借りています。また、今治特別支援学校では、27名の児童生徒がスクールバス通学を希望していたにもかかわらず、学校側は通学バスが足りないためにこれを断り、結果として90名近くの児童生徒が毎日保護者の車による送迎を受けています。  この現実からも、愛媛県立特別支援学校のスクールバスは数が足りず、老朽化も進んでいるのがわかります。県教委は、待ったなしのこのスクールバスの現状をどう改善していくのか、お聞きします。  さらに、スクールバスの運転手、添乗員は、現在、正規職員として雇用されているのか。また、勤務条件が劣悪と聞いていますが、身分、勤務条件等、現状と今後の改善策をお尋ねします。  また、現在、特別支援学校の校外学習などにおいては、スクールバスを柔軟に利用できているのか、あわせてお尋ねします。  最後に、初任者教員の初年度における自家用車通勤についてお尋ねします。  驚いたことに、愛媛県立学校では、過去10年余りの間、初任者教員の初年度における自動車通勤が実質禁止されてきたと聞きます。数年前まで初任者研修などで、県教委の担当者は、初任者は自動車通勤をしてはいけないと明言していたようですが、ここ数年、県教委は、自動車の運転をしてはいけないとは言っていないと述べているようです。しかし、実態はどうかといえば、何人かの初任者教員に直接確認したところでは、私は1年間は自動車通勤はしないつもりだと異口同音に語っていました。  1年間の条件つき採用が終わるまでということなのでしょうが、1年間に何の法的な意味もなく、このような意味不明の慣例は愛媛県だけなのではないでしょうか。他県の状況をお尋ねします。  また、県教委は、初任者教員も交通手段の選択の自由が当然あり、自家用車通勤は何ら制限されていないと本当に認識しているのか、お尋ねします。  よろしくお願いします。(拍手) ○(毛利修三議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(井上正教育長) 議長 ○(毛利修三議長) 井上教育長   〔井上正教育長登壇〕 ○(井上正教育長) 渡部議員のお尋ねがございましたが、お答えをさせていただきます。  まず、県立学校の公費会計・私費会計の負担区分について、7点お尋ねがございました。  まず、県立学校における校舎の維持修繕費についてですが、地方財政法においては、県立学校における校舎の維持修繕費につきましては保護者負担を禁止しておらず、県教育委員会では、公費による予算措置のほか、各校の判断により必要に応じて私費を充当しているものでございます。  次に、冷房は学校の管理運営費に相当するものであるかどうかというお尋ねでございますが、県教育委員会では、生徒の体温調節等の健康に配慮するべき場合や静ひつな学習環境を確保する等のため、保健室や図書室、パソコン教室等には、学校の管理運営費に相当するものとして公費による冷房の設置を進めておりますが、普通教室につきましては、保護者から強い要望があった場合に、私費により設置をしているところでございます。  保護者からの要望の有無により学校間の整備状況は異なっておりますけれども、1学級の生徒数が極端に少なくない限りは、1人当たりの冷房の設置の負担が大きく変動することはないと考えております。  次に、冷房設置は公費負担にすべきであったと、その意思決定の妥当性ということでございますが、普通教室に冷房を設置している各校におきましては、保護者からの強い要望を受け、必要に応じて設置、運用されているものでございまして、問題はないというふうに考えております。  次に、公費・私費の負担区分の問題は、十分な予算が学校に配分されていないことなどによるのではないかというお尋ねでございますが、県立学校の運営費につきましては、例年、各校からの希望額に応じ、総予算の範囲内で必要額を配分し、また、年度途中に追加要望が生じた場合には、必要性を十分精査した上で追加配分を行い対応しておりまして、今後とも、真に必要な教育予算は確保することとしております。  次に、学校現場では、消耗品費を減額して予算編成し、私費会計に頼らざるを得ない状況にあるのではないかとのお尋ねですけれども、先ほどお答えしましたとおり、学校運営に必要な予算は措置されているものと考えております。  次に、公費で負担すべきものを私費で支出しているものの調査を求めたいというお尋ねでございますが、各校の私費会計につきましては、教育委員会が平成23年3月に策定をしました愛媛県県立学校私費会計等取扱マニュアルに基づき、各校ごとに適正に処理されていることから、調査等を行う考えはございません。  次に、支出の適正化を図るため、調査すると同時に、公費・私費の負担区分の判断基準を明確にして通知してほしいがどうかということでございますが、各校における私費会計の取り扱いにつきましては、愛媛県県立学校私費会計等取扱マニュアルを策定しまして、順次改定を加えながら各校へ通知しているところでありまして、必要に応じてPTAにも説明をしております。  次に、全ての県立学校における冷房の完備に関して、5点お尋ねがございました。  まず、冷房の設置状況と今後の見通しでございますが、県立高校の普通教室には公費による冷房設置は行っておらず、生徒が利用する特別教室等には47校に計219台を公費で整備をしております。  今後とも、特別教室等につきましては、生徒の状況や学校の特色などを考慮しながら整備を進めることとしております。  次に、特別支援学校の冷房の設置状況でございますが、県立特別支援学校の教室への冷房の設置率は、本年4月1日現在で48.0%でございまして、学校ごとの設置率にはばらつきがあるものの、肢体不自由を対象とする全ての学校では、全教室に設置済みでございます。  また、残りの特別支援学校におきましても、校舎の改修等に合わせ、体温調節の難しいお子さんの在籍状況等を勘案し、整備を検討することとしております。  次に、県立学校の寄宿舎における冷房設置状況についてですけれども、県立高校寄宿舎の談話スペースや食堂などには公費で冷房が設置されており、居室につきましては、プライベート空間であることも鑑みまして、保護者負担により設置することとしており、県有寄宿舎のある5校中、川之石高校では全ての居室に私費で整備されております。また、県立特別支援学校の寄宿舎につきましては、全居室に公費で冷房が設置されております。  次に、宇和島水産高校の寄宿舎の移転を検討すべきではとのお尋ねですが、宇和島水産高校寄宿舎につきましては、耐震診断の結果、耐震性を有しており、津波への対策につきましても、津波緊急避難場所に指定されております寄宿舎近隣の山道への避難で対応することとしておりまして、現在のところ、防災上の理由による寄宿舎の移転は考えておりません。  次に、公立学校への冷房設置率の評価と改善予定についてですが、県立学校の普通教室につきましては、高等学校が平成26年4月の65.9%から平成29年4月に72.4%に、特別支援学校は39.1%から49.1%に増加するなど、着実に整備が進んでおり、特に、特別支援学校におきましては、体温調節が難しいお子さんの在籍状況等を勘案しまして、公費による整備を検討することとしております。  小中学校につきましては、4.6%から5.9%に増加しており、松山市では平成29年度から30年度の2カ年で整備を行うなど、設置者であります市町が実情に応じて整備改善に取り組んでいるものと認識をしております。  次に、特別支援学校の教室不足、教諭不足、老朽化について、8点お尋ねがございました。  まず、県立特別支援学校の教室不足の現状、それから対策でございますが、特別支援学校のうち、特に知的障がい特別支援学校につきましては、全国的な傾向と同様、近年、児童生徒数が大幅に増加しておりますことから、教室不足の状況にありますが、将来的には、児童生徒数は少子化の影響等により減少に転じると考えております。  これまで松山聾学校の余裕教室を活用しまして、みなら特別支援学校松山城北分校を開設したほか、各学校では特別教室等を普通教室として共用するなど、教育活動に支障がないよう対応しており、引き続き、障がいの種別や地域別の動向等も踏まえながら、施設・設備の整備を検討することとしております。  次に、本県独自の設置基準を策定してはどうかということですが、障がいの種別や障がいの状態に応じて必要となる施設・設備等が異なり、児童生徒一人一人の状況に応じた適切かつ柔軟な対応が求められることから、県独自に一律の設置基準を設けることは考えておりません。  次に、特別支援学校の生徒数と必要な施設の量、それと見通しについてですけれども、特別支援学校に入学する児童生徒数は、今後しばらくは増加傾向が続くと考えられ、不確定要因はあるものの、県教育委員会独自の推計では、ピークとなる平成35年ごろには現在の1,475人から1,600人程度になると見込んでおりますが、その後は、少子化の影響等を受け減少に転じるのではないかと考えております。これらの児童生徒を受け入れる学校施設の整備については、障がいの種別や地域別の動向等も踏まえ検討することとしております。  次に、知的障がい部門の児童生徒の増加に対する具体的な対策と予算措置についてですが、これまで知的障がいのある児童生徒の増加に対しまして、平成23年度に新居浜特別支援学校、平成24年度にみなら特別支援学校松山城北分校を開設したほか、平成29年度からは、松山聾学校の余裕教室を活用し、松山城北分校の定員を増員したところでございます。引き続き、必要な予算の確保に努め、特別支援学校の教育環境の整備を検討することとしております。  次に、教員の約30%が講師であるということに対するその弊害、問題の認識、それから、教員不足への認識と対策ということですが、県立特別支援学校では、平成29年度、教員数の23.8%が講師となっておりますが、各学校では管理職や教諭との連携のもと円滑に教育活動が行われております。  また、県立特別支援学校の教員数は、国が定めた標準法による定数を充足しており、児童生徒数の急増に対応するため、過去5年間でそれまでの5年間の約2.6倍に当たる128名の教員を採用するなど、計画的な採用に努めております。  次に、しげのぶ特別支援学校の本館の建てかえについてでございますが、しげのぶ特別支援学校本館につきましては、平成24年度に耐震補強工事を実施したところでございまして、引き続き、施設の適切な維持管理に努めることとしております。  次に、しげのぶ特別支援学校における教職員の駐車場の抜本的確保、それから、スロープの設置についてですが、教職員の駐車スペースにつきましては、学校用地が限られておりますことから、抜本的な確保は難しいものというふうに考えております。  また、非常用スロープにつきましては、効果的な避難方法や設置費用等も踏まえ、今後検討することとしております。  他の県立特別支援学校における非常用スロープの設置状況ですが、非常用スロープにつきましては、松山聾学校、今治特別支援学校及び宇和特別支援学校の寄宿舎に、滑り台型式のものを設置しております。  次に、宇和特別支援学校及び新居浜特別支援学校における平成29年度予算の需用費・備品購入費が減額された理由と妥当性ですけれども、両校とも、需用費及び備品購入費の平成29年度学校要望額自体が減少したことに伴い、予算減となったものでございます。特に、備品購入費については、平成28年度に必要備品をまとめて購入したことの反動によるものでございます。  次に、特別支援学校のスクールバスについて、3点お尋ねがございました。  まず、スクールバスの現状をどう改善するのかとのお尋ねですが、特別支援学校のスクールバスにつきましては、児童生徒の通学負担の軽減を図るため、各校からの要望等も勘案し、増車や更新を計画的に進めており、5年前の平成24年度の13台乗車定員420名が、現在は22台乗車定員600名となっておりまして、希望者のうち9割以上の方がスクールバスを利用できております。  なお、今治特別支援学校では、平成28年度にスクールバスを1台増車したところでございます。  次に、スクールバスの運転手や添乗員の勤務条件等についてでございますが、スクールバスの運転手と添乗員は、非常勤職員として雇用しておりまして、1日の勤務は原則6時間、1日当たりの報酬は運転士1万1,500円、添乗員は4,350円でございます。  次に、校外学習等でスクールバスを柔軟に利用できているのかというお尋ねですが、スクールバスにつきましては、車椅子の固定や個別のチャイルドシートのセッティングの関係で利用が困難なしげのぶ特別支援学校を除き、各学校のバス運行規程により実情に応じて校外学習等で柔軟に利用をしております。  それから、新規採用者の自家用車通勤についてでございますが、他県の状況等については承知しておりませんけれども、新規採用者を含む教職員の通勤方法は、各個人が判断、決定するものでございまして、県教育委員会が制限するものではございません。  以上でございます。 ○(渡部伸二議員) 議長 ○(毛利修三議長) 渡部伸二議員   〔渡部伸二議員登壇〕 ○(毛利修三議長) 初めに、再質問の項目番号を誤りなく全部述べてください。  残りの質問時間は6分3秒ですが、再質問の時間は5分以内です。 ○(渡部伸二議員) まず、大問の1の(2)と(3)、それからその下(4)ですね。大問の2の(3)です。それから、大問3(1)と(2)、それから(5)と(6)、それから最後の(8)です。大問の5の(1)、大問の6。  以上です。  まず、大問1の(2)と(3)ですが、共通しておりますので、冷房設置の問題なんですけれども、保護者の要望があったから私費で設置をしたということですね。しかし、本来、例えば、紹介をしました都道府県教育長協議会の文書「学校教育にかかる公費負担の適正化について」の中で、公費負担とすべき経費として、次のような定義があります。学級、学年、学校単位で共用または備えつけとするものの経費、教室の冷房が、学級、学年、学校単位で設置をする、備えつけるものとは考えられないのかどうかですが、これはもう当然、生徒個人のものではなくて、学校として設置すべきものですね。  したがって、これは本来公費で負担をすべきものと考えますが、再度見解をお聞きします。  それから、4番目のところで、公費・私費の負担区分の問題は、それが本当に必要なものかどうか、真に必要かどうかというところで判断するとおっしゃいましたね。真に必要であるかどうかというところの判断の基準はどういったものですか。見解をお聞きします。  大問の2の(3)ですが、寄宿舎の問題です。  教育長は、宇和島水産高校の寄宿舎について、プライベートな空間であるから、保護者つまり私費での負担を求めたと、こうおっしゃいましたですよね。寄宿舎の所有権者は誰でしょうか。生徒個人ではありませんよね。少なくとも学校に附属した建物ですね。公的な建物ですよね。そこへ持ってきて、生徒が暮らしているから私費負担を求めるというのは合理性がないと私は考えます。  例えば、さきの教育長の協議会の文書の中で、再度読みますけれども、私費負担とすべきという定義の中には、児童生徒個人の所有物に係る経費というのがあります。  ここで言うクーラーというのは、児童生徒の個人の所有物でしょうか。少なくとも、次々と毎年変わっていく。それは学校が、寄宿舎側が所有しているものですから、当然皆さん使うわけですよね。決して個人のものではないです。プライベートなものではないです。ですから、本来は公費で負担すべきものですよね。再度認識をお聞きします、プライベート空間という意味で。冷房の問題と一緒にしていますけれども、再度認識をお聞きします。  3の(1)と(2)で、特別支援学校の教室不足に対する認識なんですけれども、現状は妥当だと考えていらっしゃるんでしょうか。将来的には子供の数が減少するから、今は構わないと、我慢しろと、こういうことなんでしょうか。再度、認識をお聞きします。  それから、今、特別支援学校に対する基準がないわけですけれども、最低限の環境というものは基準があった方がいいですよね。そういった意味でお尋ねしたんです。県教委として、各教室は最低限の基準を設けるべきではないでしょうか。再度お答え願います。  それから、5番、6番ですけれども、今現在、30%の先生方が講師の身分ですよね。これについて、円滑に連携している、つまり教諭と講師は円滑に連携しているとおっしゃいましたけれども、実態は本当にそうですか。私の聞く範囲では、お互いの意思疎通が難しいということを現場の先生から聞いていますよ。再度、お答え願えますか。  それから、しげのぶ特別支援学校の本館建てかえを検討しているかどうか。これ、いつごろ建てかえるというふうに検討していらっしゃいますか。今の検討状況をお聞きします。  それから、7番目ですが、スロープですけれども、今後、検討するとおっしゃいましたですよね。その検討結果はいつごろ出されますか。お答えください。  5番の(1)、スクールバスの問題ですけれども、現状、宇和特別支援学校では何台あるのかと。それだけではなくて、済みません、今のは今治特別支援学校のケースですけれども、冒頭で説明しましたが、27人の児童生徒がスクールバス通学を希望していました。しかし、学校側はバスがないからといって断りましたよね。こういうことが行われていいんでしょうか。この問題についてどのように評価しますか。  最後に、他県の状況をお聞きしましたけれども、これについては全く調べていないんでしょうか。答弁がありませんでしたよね。一応質問しているわけですから、最低限の調査はしてください。再度お聞きします。全く調べていないんですか。  それから、改めて初任者教員にこの自動車の通勤については周知徹底していただきたいと思いますけれども、その点についてもお答え願えますか。 ○(毛利修三議長) 理事者の答弁を求めます。 ○(井上正教育長) 議長 ○(毛利修三議長) 井上教育長   〔井上正教育長登壇〕 ○(井上正教育長) それでは、再質問にお答えさせていただきます。  まず、問1の(2)なんですけれども、やはり本来公費負担すべきではないかということでございますけれども、これは先ほども答弁しましたけれども、普通教室につきましては、保護者から強い要望があった場合に、私費によって設置をしているところでございます。  それから、問1の(4)でございますが、必要性の基準ということでございますけれども、これは必要性につきましては、十分精査をした上で、それぞれの経費によりましても違いますけれども、必要性というのを厳格に精査しましてやっておるということでございます。
     それから、問2の(3)でしょうか。寄宿舎というのはいわゆる公的なものではないかということですけれども、これにつきましても、居室につきましてはやはりプライベート空間であるということを考えまして、保護者の負担による設置をしているところでございます。  それから、特別支援学校の教室不足、問3の(1)で、現状が妥当なのかどうかということですけれども、現状につきましては、いろんな工夫をしながらやっておりますけれども、教室不足の状況にあるということは認識をしておりますけれども、いろいろな工夫をしながらやっておりますので、将来的なことを考えながら施設設備の整備を検討するということでございます。  それから、問3の(2)、最低限の基準は必要ではないかということでございますけれども、これも先ほど答弁させていただきましたけれども、障がいの種別、それから障がいの状態に応じて必要となる施設設備等が異なりまして、特に、児童生徒一人一人の状況に応じた適切かつ柔軟な対応が求められることから、県独自には一律の設置基準を設ける考えはございません。  それから、問3の(5)、30%を講師が占めているということで実態は違うのではないかということですけれども、各学校では、管理職、それから教諭等の連携のもと円滑に教育活動が行われるというふうに考えております。  それから、しげのぶ特別支援学校の建てかえについてですけれども、いつごろかということですけれども、施設の維持管理に努めておるところでございまして、いつごろかということにつきましては、今の段階ではお答えはできません。  それから、スロープにつきましても、いつごろまでにということはこの場では申し上げられません。検討を進めるということでございます。  それから、最後の新採職員の自家用車通勤でございますけれども、これにつきましても、県教育委員会の方からそういう制限をしたという事実はございませんし、そういうことについて当然新採職員についてもわかっているというふうに認識をしております。  以上でございます。   ――――――――――――――――― ○(毛利修三議長) 以上で本日の日程を終了いたしました。  明22日は、午前10時から本会議を開きます。  日程は、全議案に対する審議の続行であります。  本日は、これをもって散会いたします。      午後2時37分 散会...