お伺いします。
自転車安全利用のさらなる促進についても、今後、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
次に、
窯業技術センターにおける研究員の確保及び養成についてお伺いします。
愛媛県では、
行財政改革の一環として、公設の
試験研究機関のあり方を検討され、平成20年度に再編成したと伺っております。
振り返りますと、10年前の
三位一体改革に端を発した国と地方の
行財政改革の折に、地方は大変厳しい状況に追い込まれました。
当時、町の職員だった私も、国の地財計画の動向次第で台所事情が変わる市町の財政基盤の弱さを痛感させられました。県の場合、予算規模も大きく、産業界、市町村への助成、支援金など影響も大きく、私どもが想像する以上の厳しさではなかったかと思います。
そうした中にあって、
建設研究所など幾つかの機関は統廃合されましたが、
農林水産業、紙、繊維、そして窯業の各
産地立地型試験研究機関は、地域と密着したその特性を考慮し、地元に残す方針をとりました。私
ども試験研究機関のある地元といたしましては、その判断にまず感謝いたします。また、地方創生、地域の活性化といった今の課題に対処する点からも、当時の判断は正しかったと思います。
また、
中村知事は、愛媛の物産を売り出す愛の
くにえひめ営業本部を就任と同時に立ち上げ、県産品の実需の創出に力を注いでこられました。営業本部の関与する成約額も順調に伸びております。知事みずからの
トップセールスと県職員の皆さんの努力、そして県内企業や
農林水産業の技術力の3つがそろってこその成果と思いますが、私はもう一方に、愛媛県が持つ
試験研究機関の存在があると思うのです。
このことは、知事自身がマスコミのインタビューに対して、愛媛県には全国に誇ることのできる高品質の
農林水産品、世界と勝負のできる中小企業の技術力がある。これらに磨きをかけるため、
農林水産業、繊維産業、窯業など、各産業の
試験研究機関の役割を重視する政策を展開してきたと答えられております。紅まどんなやスマなど
農林水産物、タオルや紙など工業製品の成功事例は、県の研究機関、そして、そこで働く研究員と産地が協力して技術を磨いてきた結果であると言えます。このように、各産地に立地する
試験研究機関は、
中村知事の政策に見事に応えてきたのではないでしょうか。
ただこれら
試験研究機関も再編から10年がたとうとしており、研究員の入れかわりも進んでいると思います。
地元産業界にとっては、今後も県の研究員の方々の知識と技術力に期待するところは大でありますし、また、忌憚なく意見を言い合える風通しのよい関係も求められるところです。それぞれの産業界から自分たちの産地の研究員として骨を埋めてもらいたいと地元から熱望される研究員もいるのではないでしょうか。また、研究員が地元への定着を熱望する場合があるかもしれません。いずれの
試験研究機関においても、研究施設とそこで働く研究員が両輪となり、各産業界の伝統が継承されていると思うのであります。
砥部町にある
窯業技術センターにつきましては、昨年、知事の御決断により町内に移転建てかえをしていただけることが決定いたしました。今回上程された29年度当初予算案に設計費を計上していただきましたことは、大変厳しい財政状況の中にあって最大限の御配慮をいただいたものと
窯業関係者一同深く感謝しているところであり、今後は、新
センター整備に向け着実に進めていただきますことと、センターにおいて欠くことのできない研究員の素養の継承をお願いする次第です。
そこで、お伺いします。
窯業技術センターにおける研究員の確保、養成に、今後、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。
次に、仕事と家庭の両立支援についてお伺いします。
今、国では、
子育て世代や若者、そして女性や高齢者、難病や障がいのある方々の誰もが活躍できる社会、一億総活躍社会の実現に向けて働き方改革を進めようとしています。
この働き方改革という課題には、同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の処遇改善、賃金の引き上げ、長時間労働の是正、
男女共同参画社会の実現といったいろいろな切り口があり、いずれも大きな問題です。ただその目的とするところは、
労働生産性を高め、ゆとりのある生活ができるようにすることであり、ひいては少子化、人口減少といった問題に対処できることがポイントの一つであります。そういった面では、働き方改革の中でも仕事と家庭の両立、ワーク・ライフ・バランスといったことは、今までも言われてきたことですが、
地域活性化の鍵ともなるものであり、重点的に取り組まなければならない問題であろうと思います。
昨年、県が公表した
県内民間事業所の仕事と家庭の両立支援に関する
雇用環境調査結果によりますと、従業員の仕事と家庭の両立について重要性や必要性を感じている企業は9割を超えており、取り組んでいる及び今後取り組んでいきたいと回答した企業は、合わせて7割強でした。
育児休業制度は、制度を規定している事業所が64.7%で、前回平成25年より6.9ポイント下がっています。また、
介護休業制度についても、制度の規定ありと回答した事業所は56.4%で、11.2ポイント下がっています。
アンケート結果からは、仕事と家庭を両立できる雇用環境が重要なことは認識しているが、体制整備に踏み込めないでいる企業が多いことが見てとれます。
そこで、お伺いします。
働き方改革、特に仕事と家庭を両立できる
雇用環境づくりについて、県ではこの
アンケート結果をどのように評価し、今後の施策をどのように実施していくか、お伺いします。
次に、中
山間地域における
薬用作物の取り組みについてお伺いします。
中
山間地域は、日本の
農業産出額の約4割、国土面積の約7割を占めています。しかし、傾斜地であるがゆえに大規模化が難しく、また、生産条件が厳しいことなどから、
耕作放棄地や鳥獣被害が増加するなど問題が山積しています。言うまでもなく中
山間地域は、国民に食料を供給するだけではなく、国土保全や水源涵養、美しい農村景観や多様な文化の形成など
多面的機能を持ち、私たちの生活を支えています。
本県の場合も中
山間地域は県土の約7割を占め、県内農業の中で重要な位置を占めています。農業が地域の基幹産業であることは言うまでもありませんが、TPPで問題となったように、
輸入農産物との競合といった不安材料もあり、全国の例に漏れず
担い手不足、
後継者不足となっており、このことがそのまま過疎化、高齢化につながっています。
今日の課題である
ふるさと創生、
人口減少対策といったことは、イコール中
山間地域への対策であるとも言えます。地域に若者を呼び戻し、人口減少に歯どめをかけるには、まずその地域で家族が生活できる仕事が必要です。中
山間地域の場合は、農業が主であり、農業で十分生活できる収入を得られなければなりません。
県では、今までにも中
山間地域総合整備事業を初め、地域に適した農産物や施設園芸の導入などいろいろな事業を推進してきたことと思います。そのことによって、果樹や高原野菜の栽培など収益力を上げている地域も出てきております。
一方、漢方薬の原料となる
薬用作物の国内生産が全国的に注目されています。そのような中、県の
農林水産研究所では、需要拡大が見込まれる有望な作物として早くから
薬用作物の
栽培技術研究をしており、さらに、今後、新たな品目を拡大すると聞きます。
お伺いします。
県内の中
山間地域における
薬用作物のこれまでの
取り組み実績と今後の展開について、お考えをお聞かせください。
次に、森林の
治山事業における
木材利用についてお伺いします。
この10年ほど集中豪雨による
土砂災害が全国で多発しています。記憶に新しいものでは、平成23年
紀伊半島台風12号災害、24年
九州北部豪雨災害、25年
伊豆大島台風26号災害、そして、死者77人を出した26年
広島局地豪雨災害などが浮かび上がります。また、昨年は東北、北海道に台風が相次いで上陸し、大きな被害をもたらしました。愛媛県でも平成16年に一連の台風で県下一帯が被害に遭っており、26名のとうとい人命が亡くなっています。
防災、特に土砂災害への備えといった面では、砂防事業とあわせて森林の適正管理は欠かせません。
森林は、緑のダムとも言われるように、水源の涵養や
土砂災害の防止に大きな役割を果たしていますが、人工林は適正に管理して林内に草や低木がしっかり根を張ってこそ、その役割を果たします。近年は、木材価格の低迷が続き、荒廃した人工林が目立っておりましたが、ここに来て
木質バイオマス発電や
CLT製造に事業の見通しができ、B、C級材の
価格底上げの兆しがあらわれ、民有林の伐採も活発になっているように見受けられます。
林業躍進プロジェクトに沿って主伐も進んでいるようですが、当然、伐採とともに
林業生産活動の一環としての造林・保育、間伐等の森林施業、
森林整備事業が必須です。森林が緑のダムであるために、
森林整備事業と並行して水源の涵養、土砂の流出、崩壊の防備等を目的として国や県が
治山事業を展開し、森林の有する
多面的機能が総合的に発揮されるよう取り組んでいるところだと思います。
この
治山事業では、自然景観や
地球温暖化防止対策といった観点から、間伐材など自然素材を生かした工法の積極的な導入が求められております。林野庁の
森林整備保全事業計画でも、地域で生産される木材の積極的な利用及び土木工事における木材を利用した工法の
技術開発等に努めることとしており、工事における
木材利用が全国的に進んでいるようです。県でも、
えひめ森林・
林業振興プランにおいて、土石流の
発生源対策として森林整備や既存施設と木製ダムとの組み合わせによる流域保全のあり方を検討することが示されています。
そこで、お伺いします。
今後の
治山事業における
木材利用に向けた
取り組み方針をお聞かせください。
次に、
木造住宅の耐震化についてお尋ねします。
昨年は、4月に
熊本地震、10月に鳥取県中部地震と大きな地震が続き、
地震列島日本ということを改めて認識させられました。
特に、
熊本地震では、4月14日の
マグニチュード6.5の前震から始まり、16日に
マグニチュード7.3の本震が発生、3日間に震度6弱以上の地震が7回も発生するという経験したことのない事態となり、地震の恐ろしさを痛感したところです。この
熊本地震は、活断層による
直下型地震で揺れが大きく、
住宅被害が特に多くなっています。
熊本地震における建物被害の原因分析を行う委員会の報告書によりますと、一部損壊までを含めると19万棟を超える住宅に被害が出ております。その
住宅被害の状況を詳しく見ると、熊本県益城町中心部の
木造住宅のうち、新耐震基準が施行される昭和56年以前に建てられた住宅で被害がなかったのは5%だけ。昭和56年から木造の構造関係の基準が改正された平成12年で約20%、平成12年以降では約60%となっています。
なお、地震直後に亡くなる直接死の要因は、倒壊した住宅や家具の下敷きによる場合が多く、
阪神大震災の際の神戸市では、直接死の方の約8割が
住宅被害によるものだったと言われています。こういったことから、個人資産である
戸建て住宅の耐震改修に対しても補助金を交付することとされ、昭和56年5月以前の
戸建て住宅を対象に対策がとられています。
特に、平成17年度からは、
地域住宅交付金制度の活用により、全国のどの地域でも個人の
住宅耐震改修等に助成できるようになっております。愛媛県でもこれらの動きを受けて、平成18年度から
戸建て住宅を対象に耐震化に対する補助が全市町で始まっています。
愛媛県の地震による被害想定は、平成25年12月に公表されておりますが、最も大きな場合は、
南海トラフ巨大地震の
陸側ケースで、揺れによる
建物全壊棟数10万7,554棟、建物倒壊による死者6,210人、建物の経済被害11兆1,300億円と想定されています。
えひめ震災対策アクションプランでは、この想定される被害を10年間でおおむね8割以上減少させることを目標にしていますが、目標を達成するには、さまざまな施策を講じなければなりません。個人の
木造住宅については、毎年300戸以上の耐震改修を実施し、住宅の耐震化率を平成32年度末までに90%以上とする成果指標を達成することが前提となります。
そこで、お伺いします。
今後、30年以内に
南海トラフ地震が発生する確率が70%程度と想定されておりますが、県内の
木造住宅の耐震化の現状と目標達成に向けて、今後、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
最後に、
義務教育課程での
プログラミング教育についてお伺いします。
20世紀後半からの
情報通信技術の進歩と電子機器の発達は、社会を大きく変え、農業革命、産業革命に次ぐ第3の革命、第3の波に例えられました。
私の経験を申しますと、私のいた役場では、昭和50年代後半、やっとタイプ室に単漢字変換のワープロが1台置かれるといった状況でした。しかし、その後、10年足らずの間にワープロからパソコンに、そしてパソコンの低価格化と機能の充実により、ウインドウズ95が世に出るころには、職場に1人に1台のパソコンが当たり前のようになりました。通信環境も進化し続け、事務所内のパソコンが
インターネットにつながり、資料は電子化され、
電子メールでやりとりされるようになりました。大変便利になりましたが、その分仕事はタイトになり、県から来る調査ものの締め切りがどんどん短くなっていったのを思い出します。
21世紀の現在は、いろいろな品物が
インターネットとつながるIoTや人工知能が進化し、私たちの生活や仕事を変える第4の波の時代に入っていると言われています。
これからの世の中を考えれば、子供たちが、便利さの裏側でどのような仕組みが機能しているか思いをめぐらせ、
コンピュータを動かす
プログラムについて最低限の知識を身につける、また、プログラミング的な思考を身につけていくことは、大変重要なことだと思います。そういった仕組みを知ることで、やがて
コンピュータに興味を持ち、多くの優秀なプログラマーが育っていくこともこれからの社会にとって必要なことであろうと思います。
今回、9年ぶりに改訂となる
学習指導要領は、小学校では2020年度から、中学校では2021年度から全面実施されますが、新
学習指導要領では、小中高全ての課程で
プログラミング教育が実施されると聞いております。
今回の改訂では、小学校で
プログラミング教育を行う単元が位置づけられますが、BASICとかCOBOLといった
プログラム言語を教えるのではなく、物事を分析して機械に手順を指示するなどのプログラミング的な考え方を身につけることを目的としていると聞いています。また、中学校では、技術・家庭科、技術分野で
プログラミング教育に関する内容が倍増することとなるとも聞いています。
プログラミング教育に関する主な意見を見ると、小学校の現場にいたが、ICTの活用が往々にして非常にドリル的に使われたり、ICTの活用自体を目的として使ったりしてきた。そういった中で、思考を深めるためのプログラミング的なことを行うことに賛成するといった評価とともに、新しいことをやるのであれば、それなりの人員と条件整備が必要である。
デジタル教科書の導入等、ICTの活用についても地域格差が懸念されている。このような段階で、次から次に新たなものが出てくると、小学校の先生の疲弊感は強くなるばかりなので、
実現可能性を考えてほしいといった声もあります。
プログラミング教育の実施に向けて、指導する教師の養成や
ICT環境の整備など幾つかの課題も取り上げられております。また、民間企業の参入なども言われておりますが、
県教育委員会として、
義務教育課程における
プログラミング教育の意義をどのように認識しているのか、今後の取り組みに関する基本的な考え方も含めてお伺いします。
以上で私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(戒能潤之介副議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(戒能潤之介副議長)
中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 松下議員に、まず、
自転車安全利用のさらなる促進に向けてどう取り組んでいくのかという御質問にお答えさせていただきます。
本県では、平成25年に全国に誇る先駆的な取り組みとして、
県自転車安全利用促進条例を制定させていただきました。オール愛媛の体制で自転車の安全利用をこれをもって促進しており、とりわけ条例の基本理念であるシェア・ザ・ロードの精神の普及、啓発に向けて、自動車等の運転者に自転車との安全間隔の保持を促す思いやり1.5m運動の浸透に努めるとともに、昨年11月からは、
自転車利用者に対しましても、歩行者との道路シェアや交通ルールの遵守を呼びかける「走ろう!車道運動」にも取り組んでおり、来年度から新たに県内各高校において講習会等も実施することとしています。
また、
ヘルメットの着用につきましては、県職員の率先着用や高校における着用義務化などに積極的に取り組んだ結果、通勤・通学時間帯における県民全体の着用率が約6割にまで向上してきたところでございます。
特に、県立高校の取り組みにつきましては、積極的に進めた結果、年に1件、2件は
ヘルメットを着用していなければ命を失っていた事故も発生しておりますが、今のところ、本当に
ヘルメットのおかげでその子供たちも元気に頑張っているということは、大変うれしい限りでございます。
その一方で、依然として高齢者や休日等における高校生等の着用率は低い状態でございますので、引き続き高齢者団体等に着用促進を働きかけるとともに、来年度から新たなアプローチとして、
ヘルメット姿のファッション性を競うベスト
ヘルメット着用者コンテストや自転車の安全利用をコンセプトにしたフェスティバルを開催するなど、さまざまな年齢層に
ヘルメットの着用を促していくほか、損害保険会社等とも連携し、自転車保険の加入促進にも努めることとしています。
県としては、今後とも関係機関と連携しながら、誰もが安全、快適に自転車を利用できる
サイクリングパラダイス愛媛の実現に向け、全力で取り組んでまいりたいと思います。
次に、
木造住宅の耐震化についての御質問にお答えをさせていただきます。
住宅の耐震化率は、国の最新の住宅・土地統計調査に基づき推計しておりまして、25年10月時点における本県の
木造住宅の耐震化率は63%、非木造を含めた住宅全体では75%となっています。
県では、耐震化がおくれている
木造住宅について、23年度から市町が行う耐震改修補助への支援を開始し、住宅全体の耐震化率90%を目標に定めまして26年度に補助限度額を引き上げるなど、これまでさまざまな施策に取り組んできたところでございます。
特に、今年度は、改修工事の前提となる耐震診断を促進するため、所有者負担が大幅に軽減される診断技術者派遣制度の枠組みを創設したところでございます。
さらに、
熊本地震後に県民の皆さんの耐震化への関心が高まって診断申し込みが急増したことに対応し、6月補正予算で市町負担分の一部を補助したことから、診断戸数は、現時点で昨年度実績の実に約6倍の1,090戸、改修補助戸数は、昨年度実績の約1.5倍の196戸と大幅に増加したところでございます。
来年度は、
木造住宅の耐震化を一層推進するため、診断派遣枠を1,500戸に、また、改修補助枠を600戸に大幅に拡大するとともに、建築業者向けの低コスト工法や耐震改修の普及に関する講習会の開催に加え、所有者に直接耐震化の必要性を働きかける個別訪問の拡充と普及啓発活動の強化にも取り組むこととしており、今後とも、県、市町、民間が一体となったオール愛媛体制で県民の安全・安心の確保に努めていきたいと思います。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えさせていただきます。
○(門田泰広
経済労働部長) 議長
○(戒能潤之介副議長) 門田
経済労働部長
〔門田泰広
経済労働部長登壇〕
○(門田泰広
経済労働部長) まず初めに、
窯業技術センターにおける研究員の養成等に向けた取り組みについてお答えをさせていただきます。
砥部焼や菊間瓦など本県のすぐれた伝統産業の持続的な発展、振興を図るためには、これまで培われた技術を生かした新たな市場への挑戦や現代性、先進性を取り入れた商品の創出が必要であり、それらをサポートする研究員の役割はますます大きくなっているものと認識をいたしております。
現在、センターには技術職のセンター長1名、研究員3名に加え、県職員OBの嘱託研究員1名が在籍し、原料の確保や品質の安定化、商品の高付加価値化等の試験研究に取り組んでいるほか、昨年度実績で、年間410件の技術相談、28件の依頼分析、試験等に対応をしております。さらに、高度で先進的な技術支援に向けて、定期的に国の研究機関や大学での長期技術研修を受けさせるなど、研究員の資質向上に努めているところでございます。
今後、新たなセンターの開設に向けては、昨年取りまとめた
窯業技術センターあり方検討報告書、これを踏まえまして、施設整備とあわせて産地から信頼される研究員の配置や提案力の高い研究員の育成のほか、技術ノウハウが継承できる仕組みづくり、市町との協働や大学研究者等を活用する新たな運営体制の構築などを進め、産地に密着した信頼される組織、人づくりに努めてまいりたいと考えております。
次に、仕事と家庭の両立支援についてお答えをさせていただきます。
仕事と家庭の両立支援に関する
雇用環境調査、これは2年に一度実施をしております。今回は、平成27年度に調査を行い、県内の729事業者から回答を得たもので、前回の25年度調査と比べ、仕事と家庭の両立に積極的に取り組んでいる企業の割合、これが6.6ポイント上昇するなど、企業の意識は高まりを見せておりますが、育児・
介護休業制度の整備率や男性の
育児休業制度の利用率は下回っており、無作為抽出に伴う回答事業所の業種等の変化はありますものの、マンパワーやノウハウが不足しがちな中小企業では、最近の人手不足も相まって、取り組みがおくれている状況が浮き彫りになったものと受けとめております。
このため、県では、27年度にこれまでのえひめ子育て応援企業認証制度に加えまして、
取り組み実績のあった企業をゴールド企業として評価する上位の認証制度を創設し、認証サポーターによる制度の普及拡大を図っております。
さらに、来年度の当初予算におきましては、社会保険労務士等による専門アドバイザーを新設いたしまして、企業への個別訪問により両立支援制度の整備や利用促進等を支援するなど取り組みを強化いたしますとともに、事業主への意識啓発セミナーの開催や支援制度の導入企業への助成などに努めることとしておりまして、今後とも、仕事と家庭の両立に向け、愛媛労働局とも連携しながら、企業の取り組みを積極的に後押ししてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(玉田光彦
農林水産部長) 議長
○(戒能潤之介副議長) 玉田
農林水産部長
〔玉田光彦
農林水産部長登壇〕
○(玉田光彦
農林水産部長) まず、
薬用作物の
取り組み実績などについてお答えをいたします。
薬用作物については、漢方製剤等の需要拡大が進む中、国内生産への期待が高まっていることから、県では、中
山間地域の葉たばこ等にかわる新たな戦略作物として、平成25年度から
農林水産研究所等での実証栽培や生産機械の導入助成、契約栽培の拡大など産地化を支援してきておりまして、現在、12市町約49haでミシマサイコやサンショウなど7品目が栽培され、栽培面積は5年前の3倍に拡大しているところでございます。
しかしながら、
薬用作物は海外からの輸入が大半で、国内に取引市場がないことから、生薬メーカーからの種苗提供による契約栽培が中心となっており、品目もミシマサイコに偏っておりまして、今後、さらなる生産拡大を図るためには、栽培品目の拡大、新たな出荷先や優良種苗の確保、収量や品質の安定化などの課題解決が求められているところでございます。
このため、今回の当初予算案で、市町や生産団体に加え、小規模生産でも取引が可能な生薬問屋との連携を強化しまして、種苗の安定供給や販路の開拓、
農林水産研究所等での需要に応じた有望品目の選定や種苗の増殖、栽培指導者の育成、さらには、本県ならではのチンピやキジツなど柑橘系の資源の有効活用にも取り組みたいと考えておりまして、生産、流通、販売を一体的に支援することで
薬用作物の産地化を加速させてまいりたいと考えております。
次に、
治山事業における
木材利用についてお尋ねがございました。
木材は、再生産可能な自然素材であり、利用促進を通じて森林の適切な整備や地域の活性化につながりますことから、県では、国に先んじて、平成13年度に公共施設等
木材利用推進方針を策定しているほか、平成21年度には、公共土木事業における県産材活用行動計画を定めまして、県発注工事において、先導的に県産材の使用に努めますとともに、市町や関係団体にも利用拡大を要請しているところでございます。
治山事業におきましては、強度や景観に十分配慮しながら、山腹の崩壊防止や緑化工事において、木製の柵や土どめ工等として活用しておりますほか、県独自で治山ダム工事に使用可能な木製の残存型枠を開発しておりまして、年平均で約2,000立方メートルの木材を使用しているところでございます。
また、平成27年度から上流域の土石流
発生源対策と
木材利用の促進を目的として、木製ダムの有効性実証事業にも着手しており、土砂流出抑制や早期の植生回復など、一定の効果が認められているところでございます。
引き続き、木製ダムの設置効果等について実証を進めますとともに、
治山事業への積極的な
木材利用を推進するなど、公共事業での県産材の利用拡大に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(頼木清隆土木部長) 議長
もちろん同じ瀬戸内海に臨むとはいえ、地域ブロックや経済圏が異なることから、政策の方向性もさまざまである7つの県を取りまとめ、目指す姿を一つにしていくことは今後もさまざまな困難がありましょうが、我が愛媛県も、地域の生き残りをかけて取り組んでいくべき課題として、行政も議会もこの事業を推進、注視していかなければなりません。
せとうちDMOでは、2020年に到達すべき具体的な目標として、7つの項目から成る指標を掲げています。1つ目は、外国人観光入り込み数を300万人にすること、2つ目は、外国人の延べ宿泊数を600万人泊にすること、3つ目は、外国人旅行消費額を2,400億円にし、4つ目と5つ目は、来訪者満足度と住民満足度をともに90%に引き上げ、6つ目と7つ目に、この地域を訪れたいという来訪意向度とリピート率を50%にするという目標を定めています。
現在までに富裕層向けのクルーズ船事業や水陸両用飛行機の導入などが報道されましたが、今後、その目標を達成するためには、地道に地域おこしに努力してきた県民の方たちとの連携はもちろんのこと、せとうちDMOのPR戦略や今後の取り組みについて、県としてもしっかりかかわっていくことが外国人観光客の誘致には重要であると考えます。
一方、外国人観光客を誘致するに当たり、本県にとって身近な手段となるのは、松山−上海便を活用した中国人観光客の誘致です。
昨年私は、個人的に中国の大連市に訪れる機会がありました。大連市は、かつての旧満州地域の南に位置する港湾都市でございます。日露戦争の激戦地の旅順があるところですが、現在では人口600万人以上を擁する大都市になっています。
ここを初めて訪れる日本人は、多分私のように大連の発展に目を奪われることと思います。先進的な高層ビルの密集、世界最新設備の地下鉄、しまなみ海道を思わせるような運河にかかる巨大なつり橋など大規模な都市開発、道路もよく整備され、高級車がびゅんびゅん行き交っています。景色の美しい海岸道路もつり橋も全線ほぼ無料で通行できます。観光地も繁華街もごみ一つ落ちていませんし、わずかに残る貧困地区も数年内には再開発、整備される予定のようです。
一般市民の生活水準も高く、彼らは、100平米以上のマンションに住み、マイカーを持って国内旅行、海外旅行に出かけています。子供を欧米や日本に留学させるのも大流行です。中国というと格差ばかりが強調されますが、全体の底上げも着実に進んでいます。いわゆる中流と言われる層が分厚く形成されているのです。
ともすると、私たちは、ぎくしゃくする日中関係や後ろ向きな報道に気をとられ、現実の中国の姿を見ようとしません。中国経済は安定成長期に入りつつ、今後の多少の波はあるでしょうが、あしたにもバブルがはじけてしまうというようなことは考えにくい状況です。
IMF、国際通貨基金による2016年10月時点の日本の経済成長率は0.5%で、中国の成長率は6.6%と報道されています。多少の誤差や誇張を差し引いても、人口も面積も巨大な中国はまだまだ拡大、成長し続けています。私たちは、おそれや嫉妬などの感情を抜きにして、冷静に現実を見るべきでしょう。なぜならば日本全体、そして私たちの愛媛県を豊かにするヒントの一つが中国の経済力だと思われるからです。直接的な言い方をすれば、お金持ちになりたければお金持ちとつき合いましょうということです。
では、愛媛と中国の人、物の交流を積極的に推進するにはどのような具体策があるでしょうか。まず、豊かになった中流層の関心がどこに向いているかと見てみますと、3つのキーワードがあります。健康と自然と子供の教育です。我が愛媛県には、まさに彼ら彼女らが求めるものが全てあります。
まず、愛媛が誇る安全・安心なお野菜、果物、お魚、その他の加工品を大いにPRして輸入してもらえること、そしてまた、日本の病院で人間ドックやがんPET−CTを受けることも大流行しています。松山市には、がんPET−CTを受けられる病院が2カ所あります。どちらの病院も外国人対応可能です。
例えば道後温泉に泊まって日本の温泉を楽しみながら、病院で検査を受け、さらにはしまなみ海道に移動して瀬戸内の観光を堪能するというようなツアーはすぐに考えられます。中国の人たちは人口が多過ぎるために、混雑している渋滞が大嫌いです。その点、愛媛では人が少ないことでさえ、中国の人たちにとってみれば魅力に感じられます。
そして、子供の教育ですが、小中学生を持つ家庭を対象に愛媛の自然に親しむ機会を提供するのはどうでしょうか。個人的におつき合いのある上海の親子をしまなみ海道の離島に御案内したことがあります。私たちが見なれている人影まばらな海岸やミカン山を大変貴重なものとして絶賛されました。この人たちを対象にサマースクールのような企画を立ち上げ、複数の親子で海水浴や海釣り、農家民宿で果物狩り、離島の人たちとの交流などを楽しめるようにしたらどうでしょうか。
既に今治市や上島町の離島では、子供たちが大好きな海賊をテーマにした冒険キャンプのような体験型観光事業がスタートしました。海外の子供たちにもこのキャンプをPRし、多くの人に瀬戸内海のすばらしさを実感してほしいと思っています。
このような愛媛県の魅力を生かし、中国人観光客を増加させるためには、松山−上海便の活用はもちろんのこと、特に、運航会社である中国東方航空との連携が重要であると考えます。上海空港から2時間飛べば我が松山市に着きます。さらに大連市と広島空港は直行便が飛んでいます。しまなみ海道にも、もちろんそれはつながっているのです。この条件を生かさない手はありません。美しい自然、温暖な気候、温かいおもてなし、おいしい食べ物、設備の整った医療機関、愛媛には何でもあります。足りないのは人だけです。
定住人口をふやしたいのはもちろんですが、まず観光客にもっと訪れていただく。観光産業が拡大すれば、それに派生した事業も膨らみ、ひいては定住人口の増加につながると考えています。そのためには、県には、これまで以上に海外からの集客インバウンド対策に力を入れてほしいと思うのであります。
さらに集客に当たっては、効果的に情報発信ができる
インターネットを活用することも重要です。観光物産協会が運営している、いよ観ネットは、愛媛の魅力を発信している重要なツールです。鹿児島県などは海外から有名なブロガーやメディア関係者などを招き、SNSや現地雑誌等を通じて観光情報を発信してもらうなど、少ない予算で効果を生んでいると聞いています。
本県においても、民間サイドの観光専門機関である観光物産協会と連携して、
インターネット等を活用した効果的な情報発信を行っていくことが、予算の選択と集中を図らなければならない時代において、特に必要だと考えます。
以上を踏まえて質問いたします。
1、県は海外からの観光客増加に向け、来年度どのような点に重点を置き、取り組んでいくのでしょうか、教えてください。
2、昨年創設されたせとうちDMOが掲げる7つの目標を達成するため、県はどのようにかかわっていくのでしょうか。
3、松山−上海便を活用した中国人観光客の増加を目指し、中国東方航空とどのような連携を図り、誘客に取り組んでいくのか教えてください。
4、
インターネット等を活用した効果的な集客を図るため、観光物産協会とどのように連携していくのか教えてください。
海外から日本に来る人たちは、医療ツーリズムという目的で日本に来る方も多いと聞いております。次は、健康に関する質問でございます。
日本人の死因第1位は、ここ数年、年間約37万人を死に追いやる悪性新生物、いわゆるがんです。しかし、血液のがんである白血病などは、骨髄の移植を受けることで治癒する可能性がある病気です。その骨髄の型を管理する公益財団法人日本骨髄バンクは、1991年12月18日に設立され、26周年を迎えました。
昨年10月19日には、日本骨髄バンクを介した2万例目の移植が行われ、ことし1月末現在、移植実施数は2万309例となるなど、1年間で1,300例前後で推移しています。骨髄を提供するドナー登録者総数は69万1,532人で、55歳以上の年齢超過の方や登録を辞退された方を除いたドナー登録有効者数46万9,348人に対し、移植の希望登録者数は1,470人となっています。
ちなみに1月末現在で、この愛媛県には5,437人のドナーの登録者がいまして、17人の移植待機者の方が希望されています。残念ながら、待機日数が長いために治療方法を変えた人もいます。待機日数は2003年の約半年、175日というのが全登録患者の中央値ですが、手続改善の試みにもかかわらず、2015年でも147日と約5カ月間もかかってしまいます。
移植を待つ医療現場では、常に短縮を求める声があります。統計をとった2010年から2014年までの5年間で、移植待機者のうち1,655人が移植を受けられず、待機中に死亡されてしまっています。ほかの病状の悪化で286人が登録を取り消したことも判明し、バンクでは待機日数の短縮の検討を始めております。
骨髄バンクのドナー登録の推進には、血液を採取するという行為を伴うために、献血などの際に、あわせて骨髄バンクのドナー登録を促すことが非常に効果的であると考えられています。私自身も、松山の大街道の献血ルームで時々献血をしていますが、コンビニエンスストアやファストフードのレジ係さんのように、御一緒に骨髄バンクの登録はいかがでしょうかというようなお勧めを受けたことは、私は一度もございません。
献血という行為自体が善意のある方のお申し出ですので、骨髄バンクのドナー登録のお声がかかれば、もっと広がっていくと考えています。確かに骨髄バンクのドナー登録ができますというパンフレットや案内板はありますが、あえて一言つけ加えるだけで愛あるサポートを期待したいものでございます。
骨髄バンクは、善意のドナー登録者によって成り立つ事業です。実際に骨髄を提供した方で最も多いのが男女ともに30代で、全体の4割を占めています。登録年齢上限は55歳なので、今後も骨髄バンクの引退を迎える方たちがたくさんふえてきます。後に続く20代、30代の若い世代のドナー登録の増加が一刻も早く求められています。30代のドナーは、ふだんは忙しくお仕事をされていて、ある日突然、適合通知が届いてしまって、コーディネーターさんとの打ち合わせなどのためにわざわざ休暇をとって骨髄提供されている方が大半です。
愛媛県議会では、2016年12月に全会一致で骨髄等移植ドナーに対する支援の充実に関する意見書を採択しています。そこでも述べられていますが、患者と骨髄提供者、ドナーとの白血球型HLAの適合率は9割を超えているにもかかわらず、移植に至るのは6割未満にとどまっています。理由として、患者やドナーの健康上の問題のほか、提供に伴う通院や入院等のための休暇制度が会社や事業所により異なるなど、さまざまな要因があります。
骨髄バンク事業では、ドナーの負担軽減に関してさまざまな取り組みが行われており、骨髄等の提供に必要な検査や入院等の費用が不要であることなど、万一健康被害を生じた場合でも、日本骨髄バンクによる損害賠償保険が適用されます。
しかし、ドナーが検査や入院等で休業した場合の補償については、現在も制度化されていません。ドナーが安心して骨髄等を提供できるような仕組みづくりが急務の課題となっています。一人でも多くの命を救うため、健全な骨髄バンク制度の維持及び骨髄等移植ドナーに対する支援の充実を図ることが重要です。
そのために県議会においては、会社や事業所向けに策定した労働時間等見直しガイドラインの中でドナー休暇制度を明示するなど、企業等の取り組みを促進するための方策を講ずるとともに、ドナー休暇の制度化について検討すること及びドナーが骨髄等の提供に伴う入院・通院・打ち合わせ等のために休業する場合の補償制度の創設を検討することを意見書として国へ提言いたしました。
さらに、近年では、ドナー登録者の増加や確実な移植に結びつけることを目指し、骨髄バンクを介して骨髄または末梢血管細胞を提供したドナーを対象に助成制度を導入する自治体がふえてきており、2016年10月現在で全国192の自治体が導入していると聞いています。
制度導入に積極的に取り組んでいる瀬戸内の岡山県では、導入自治体が15市町にふえたそうです。また、県として助成制度を推進しているのは、山形県、茨城県、群馬県、埼玉県、東京都、岐阜県、京都府、岡山県の8都府県で、市町村の助成を半額負担しているところが多いようです。
埼玉県では県内全ての市町村、京都では府内の24市町村で助成が導入されているようです。ちなみに群馬県では、2016年度から助成している県下2市1村に半額、2分の1の助成をスタートし、前橋市では、骨髄等の提供に際して入院及び通院に要した日数1日につき2万円、上限は7日間の助成をしており、2016年度は2件の補助実績があったようです。また、県下自治体への助成拡大も啓蒙しているようです。
我が愛媛県では、県として助成制度はまだありませんが、4市で助成事業が実施されています。2012年10月から助成制度を設立した四国中央市では、提供者に10万円、事業所に5万円、これまでに提供者が3件、事業所が1件の助成実績があります。
そのほかに八幡浜市では、四国中央市と同様の助成を2013年4月から、東温市が提供者にだけ10万円が2014年4月から、大洲市では提供者の通院・入院日数につき2万円で上限は14万円という助成制度を2016年4月からスタートさせましたが、残念ながら四国中央市以外は助成実績がいまだゼロ件という状況です。
移植に付き添うコーディネーターの方たちは、助成制度を認知されているようですが、まだまだ実績が少ないのが現実です。ドナーの方たちは時間を割いて仕事を休んで移植に協力をされます。行政もこの貴重な善意を後押しすることができるのではないでしょうか。
本県においても、未実施の16市町での助成実施を促すとともに、県として市町に半額、いや全額の助成を検討してほしいと考えます。国や事業者によるドナーの休暇制度等の創設を待つのではなく、今の命を救うドナーの負担軽減の視点で実施されるべきと考えます。
以上を踏まえて質問をいたします。
1、毎年10月の骨髄バンク推進月間で、献血時にドナー登録を案内し登録を促すことがドナー登録者をふやす有効な手段の一つと考えますが、県では、ドナー登録を推進するため、どのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。
2、骨髄ドナーへの助成制度がない県内16市町に対し、制度の創設を促すとともに、県として助成制度を創設すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
命を守るという視点で、近年、働き方改革とか過労死問題など、命を脅かすおそれのある長時間労働が大きな大きな問題になっています。
次は、働く方の人権についてお聞きいたします。
日本の最大の課題である人口減少は、15歳以上65歳未満の生産年齢人口の労働力不足を意味しています。労働力不足を補う方法は、ロボットによる自動化やITによる生産性の向上などがありますが、製造業の現場では、外国人技能実習生を雇い入れることで補っているところも多く聞かれます。
つまり外国人技能実習制度は、途上国の人たちを迎え入れ、日本の技能を伝達する実習制度なのですが、現実には労働力として安い賃金で働かせても構わないといった誤った認識で超過重労働を強いられている実習生が多く存在いたします。彼らは、日本に来る前に悪質な仲介業者に多額の借金をしていることも多く、理不尽な待遇でも声を上げられない状況にもあります。また、言葉の壁もあり、実習先からも地域からも孤立しています。
厚生労働省の2015年の調査によると、全国の労働局や労働基準監督署が監督指導を行った実習生を受け入れている事業所のうち7割、約3,700カ所で賃金の不払いや長時間労働などの労働基準関係法違反があり、国内外から奴隷労働と非難されてもいます。アメリカの国務省が2014年の人身売買レポートを発表しましたが、その中で日本の外国人技能実習制度を問題視しています。日弁連やその他の国内団体も繰り返し批判と警告をしています。
昨年10月28日の臨時国会の参議院本会議で、岐阜アパレル産業の外国人技能実習生に対する違法な待遇、例えば月給は6万円、残業代は何時間働いても400円、毎日四、五時間の残業、土曜も日曜も休みなしという問題があることが取り上げられました。
犠牲を末端業者と実習生に押しつけ、人権侵害を続けている実態について、世耕経済産業大臣は、労働基準法違反はまことに遺憾とし、関係府省と連携して、岐阜県における実態を調査するとの答弁があり、それを受ける形で11月28日、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が公布され、ことしの1月25日には外国人技能実習機構が新設され、技能実習計画の認定、実習実施者や監理団体への報告を求めることができるほか、搾取されている技能実習生への相談や援助も行うとされています。
これはどう効果を発揮し、待遇改善につながっていくのか、まだ明らかに見えていませんが、現在、外国人技能実習生が不当に搾取されない適正な受け入れ企業がどの程度存在しているのかも、今後、明らかになっていくと思われます。
厚生労働省によると、昨年10月末現在、外国人労働者数は2015年よりも17万人もふえ、108万人と過去最高で、実に前年比2割増となっています。
政府が積極的に受け入れを進める高度で専門的な知識を持つ人材もふえてはいます。しかし、単純労働につく技能実習生や留学生アルバイトがそれぞれ25%増とし、全体を押し上げています。単純労働に従事する外国人人材は認めないとしながら、なし崩し的に受け入れを拡大する政府の姿勢は余りに身勝手と言えます。
そもそも外国人技能実習制度は、途上国に技能を伝えることを目的としています。現在、建設・農業など74職種で約21万人を受け入れていますが、実際には、人手不足を補う安い労働力として使われているのは公然の事実です。
岐阜県の鋳造会社で鉄を切断したり、金属を流し込む型に薬品を塗ったりする作業を担当していたフィリピン国籍の27歳の青年が2014年の4月に心疾患で死亡してしまいました。亡くなる前の3カ月間は、残業が月100時間前後の長時間労働をしており、それが原因の過労死として2016年夏に労災認定をされたことは、記憶に新しい事実です。
私の地元今治市においても、コンビニの店員さんに外国の方がふえています。コンビニはいわゆるきつい、汚い、危険といった3Kの職場ではありませんが、人手不足からそうなっているのでしょうか。多くの外国人技能実習生の状況が苛酷なことは、人権問題として看過できず、政治が解決すべき課題です。
また、非正規雇用がふえ続け賃金が上がらない日本の現状、アジア諸国の急速な経済発展を考えると、近い将来、私たちの子供、孫たち世代が職場を求めて、先進の東南アジア諸国へ出稼ぎに出る可能性も高いと私は確信をしています。日本人が外国人労働者としてアジア諸国で働く場面で、人権を無視した待遇で働かされてしまうことを懸念しています。ここ愛媛県でも全く同じような状況が存在していると推測しています。
私の住む今治市は、タオルと造船のまちでございます。機械化の進まない労働集約型かつ下請企業が連なる業態で、安い賃金で働く日本人及び外国人技能実習生を多く見聞きしています。そして、劣悪な労働環境から逃げ出し、失踪する実習生も少なくないと聞いています。また、失踪した外国人技能実習生は、本来の実習先とは別の場所で働く不法就労や、在留期間が切れて不法残留となるケースも多いようです。
また、不法残留の状態では働くことができないので、正規滞在者を装うために偽造の在留カードを手に入れるなどして逮捕される者もいるように聞いています。外国人の犯罪として、当然、警察は取り締まりをしてしまいますが、労働基準法定外の長時間労働が低賃金で、時間とお金を搾取されて、つまり盗まれている外国人技能実習生、こういう状況に彼らを追い込む雇い主は、犯罪者と言っても過言ではありません。
また、私の聞くところによると、繊維産業では、四国中央市に工場のある企業も多くの外国人技能実習生を受け入れているようです。その待遇が劣悪なことから、労働基準監督署に数名のベトナム人実習生が待遇改善を訴えていますが、実習先からの人権侵害、職場改善がすぐに実施されないために失踪してしまった実習生が、先月2月もいると聞いています。
本県においては、2016年10月末現在で4,820人の外国人技能実習生を受け入れています。国別では、中国が最多で2,494人、次にベトナム人が1,326人、フィリピン人が666人と続いています。また、業種別では、製造業が最多で4,012人と全体の8割以上を占めています。しかしながら、失踪者も多く、警察に届け出のあった行方不明者捜索願、家出人の捜索願だけでも、2015年には過去最多の95人が失踪、2016年でも66人が失踪している状況です。
こういうデータを見ても、この制度自体に重大な欠陥があることが明らかで、速やかな法改正が必要だと考えます。しかし、その前に、今この瞬間にも、長時間労働をさせられている、人権侵害のない適正な受け入れ先への変更を希望する外国人技能実習生に対し、速やかな実習先の変更が図られるよう、県が支援することを検討していただきたい。愛ある愛媛の対応を切に要望いたします。
一方で、実習生を受け入れる雇い主の側にもさまざまな状況があります。
昨年2月に公開された映画作家、想田和弘さんのドキュメンタリー観察映画「牡蠣工場」では、瀬戸内のまち岡山県牛窓で、2人の実習生を初めて中国から迎える工場経営者が登場します。工場も家族も総出で実習生のために住まいを整え迎え入れ、精いっぱい気を配りますが、彼らとは言葉も通じず、生活習慣も異なり、隣の工場では早くも途中で国に帰る脱落者も出るなど、現実が淡々と描かれています。
瀬戸内の小さなまちの日常生活とカキ工場の労働力不足の現実を切り取った興味深い作品です。この映画の中の雇用主は、戸惑いながらも外国人労働実習生、中国人実習生とともにカキの養殖という地味な地場産業を続けていこうとする実直な人たちです。このような雇用主も存在するのです。
外国人技能実習生の人権侵害や労働条件などの問題をなくするためには、受け入れる側の経営者の意識改革が最も重要です。これは外国人労働者だけの問題ではなく、ひいては全ての労働者の環境改善につながるものです。ブラック企業というキーワードが世の中にはびこる中、社員に優しく、社員を育てるという観点で、全ての労働者が安心して働ける職場づくり、いわゆるホワイト企業の職場づくりが求められているのです。
以上を踏まえ質問いたします。
1、外国人技能実習生の実態を含め、本県の労働環境についてどのように認識しているのかお聞かせください。
2、外国人技能実習生の監理団体と実習実施機関のチェックを労働基準監督署や外国人技能実習機構の松山地方事務所だけに任せるのではなく、県としてもこの問題に関して積極的に関与すべきだと思います。
そこで、人権侵害などの問題による実習先の変更や待遇改善など、外国人技能実習生が安心して本県で働けるよう、県としても調査、サポートするとともに、経営者の意識改革を促すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
最後に一言、今、私の地元、タオルと造船のまち今治がなぜだか国家戦略特区になりました。そして、今治新都市では、なぜだか動物のお医者さんの学校をつくろうとしています。そして、なぜだか四国なのに、ミカン県なのに岡山理科大獣医学部が、今治キャンパスという案件が、そしてどうしてか来年の4月にはオープンする計画で超スピード感を持って取り組まれています。
事業主体である加計学園さんに土地の無償提供と施設整備費として96億円の支出を先週の3月3日金曜日、今治市の市議会で可決されました。今治市の負担額は64億円と言われていて、残金の32億円は愛媛県が支払うと言われています。物すごく腑に落ちない話が、えひめ国体で盛り上がるのを進めるこの陰で粛々と進んでいることに、大きな大きな不安を感じている民進党の福田剛でございます。
ありがとうございます。(拍手)
○(赤松泰伸議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(赤松泰伸議長)
中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 福田議員に、まず、県外からの観光客増加に向けての御質問にお答えをさせていただきます。
本県の外国人延べ宿泊者数は、一昨年、初めて10万人を突破しまして、昨年の速報値では14万人を上回るなど、順調に増加しているものの、依然として全国シェアは低いことから、今後は愛媛版DMOとも連携し、これまで力を入れてきた国や地域はもとより、新たな有望市場に向けて誘客を加速させていくことが重要と認識しています。
このため来年度は、日台観光サミットの本県開催により、台湾との交流をさらに深めるとともに、松山−上海便による中国からの誘客拡大や韓国人旅行者の他空港からの誘客を図るほか、香港やタイ、マレーシアなどを新たなターゲットと位置づけ、
サイクリングや豊かな自然、安全・安心な食などを武器に徹底したセールス活動や魅力ある旅行商品の造成に取り組んでいきたいと思います。
また、近隣県等と連携し、国のビジット・ジャパン事業を活用したアジア、欧米からの誘客や東京オリンピックを見据えた首都圏からの誘客に取り組むとともに、外国人旅行者が安心して本県観光を満喫できるよう、観光従事者への外国語接遇研修やボランティアガイドの育成を行うほか、観光施設の多言語表記を進めるなど、総力を挙げてインバウンド誘客を拡大してまいりたいと思います。
次に、せとうちDMOに関する質問にお答えをさせていただきます。
県では、しまなみ海道
サイクリングや道後温泉、豊かな海の幸など、瀬戸内を象徴する観光資源を生かしつつ、急増する外国人観光客を誘致するため、せとうち観光推進機構の運営に参画し、目標の共有と連携を図りながら、瀬戸内ブランドの中核となる本県観光資源の魅力向上や情報発信等に取り組んでいるところでございます。
現在、瀬戸内7県と機構が推進する広域観光周遊ルート形成促進事業等を活用し、拠点地区の受け入れ
環境整備やウエブでの情報発信により誘客を促進するとともに、
サイクリング等主要テーマごとの観光ビジネスモデルの構築や海外大手旅行会社向け商談会による旅行商品の造成、ブランド産品の販路開拓など、実需の拡大につながる取り組みを進めているところでございます。
また、これらの事業効果を高めるため、1月には、県内でせとうちDMOの取り組みや観光事業者向け支援サービス等を紹介するセミナーを開催するなど、観光産業を支える多様な事業者の主体的な参画を促進しており、行政、民間が一体となって瀬戸内ブランドの確立による県域経済の活性化と本県観光産業の振興を図ってまいりたいと思います。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えさせていただきます。
○(兵頭昭洋
保健福祉部長) 議長
○(赤松泰伸議長) 兵頭
保健福祉部長
〔兵頭昭洋
保健福祉部長登壇〕
○(兵頭昭洋
保健福祉部長) 骨髄バンクドナーに関する御質問にお答え申し上げます。
ドナー登録推進への、まず取り組みについてのお尋ねでございます。
骨髄バンクドナー登録につきましては、県下全域を巡回する移動献血会場のほか、中予では大街道献血ルームに、東予・南予では4保健所に常設の登録窓口を設けておりまして、県では、県骨髄バンク推進協議会や県赤十字血液センターなどの関係機関と連携いたしまして、県民を対象とした普及啓発、講習会を開催するなど、積極的にドナー登録の推進を図っているところでございます。
また、ドナー登録の際、登録希望者へ制度内容を説明するボランティア説明員を養成するため、今年度から研修会を開催いたしまして、新たに20名の説明員を養成したところであり、今後も計画的に説明員の増員、充実を図ることといたしております。
さらに、献血時のドナー登録を推進するため、骨髄バンク推進月間における登録の呼びかけ拡大につきましても、今後、県赤十字血液センターと連携して取り組むことといたしておりまして、正しい知識の普及と幅広い骨髄等の提供の呼びかけに努めまして、一人でも多くの患者さんの命を救うため、さらなるドナーの確保に取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、助成制度に関するお尋ねでございます。
ドナーが骨髄等を提供するときには、7日から10日程度の入院や通院が必要となり、ドナーが仕事や収入上の理由から提供を断念するケースもございますことから、全国の一部の市区町村におきましては、移植を推進するための休業補償の観点から、ドナーやドナーが勤務する事業所に対する助成制度を導入しているところでございます。
県では、全国骨髄バンク推進連絡協議会からの協力要請を受け、平成27年6月に県骨髄バンク推進協議会長との連名で、県内市町に対し助成制度導入についての検討を依頼したところ、従来導入していた3市に加え、昨年から1市が導入したところであり、今後も継続して呼びかけを行うことといたしております。
県の助成制度の創設につきましては、今後の県内市町における検討状況のほか、先行県での活用実績などを注視する必要があると考えておりまして、有給のドナー休暇制度の普及に向けた取り組みも含めまして、骨髄等の提供しやすい環境づくりに努めてまいりたいと考えております。