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平成26年地域活性化対策特別委員会(10月24日)
平成26年環境・水資源対策特別委員会(10月24日)

  • 悪性中皮腫(/)
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  1. 愛媛県議会 2014-10-24
    平成26年環境・水資源対策特別委員会(10月24日)


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    平成26年環境・水資源対策特別委員会(10月24日) 環境・水資源対策特別委員会会議録   〇開催年月日  平成26年10月24日(金) 〇開会時刻   午後  0時58分 〇閉会時刻   午後  3時12分 〇場所     農林水産建設委員会室 〇審査・調査事項等  〇 最近の環境課題について 〇出席委員[12人]  委員長     森高  康行  副委員長    戒能 潤之介  委員      阿部  悦子  委員      逢坂  節子  委員      大西   誠  委員      河野  忠康  委員      竹田  祥一  委員      寺井   修
     委員         政勝  委員      西原  進平  委員      兵頭   竜  委員      福田   剛 〇欠席委員[0人] 〇その他の出席者[1人]  参考人         森田  昌敏 〇出席理事者[5人] (県民環境部)  環境局長        大久保  尚  環境技術専門監     水口  定臣  環境政策課長      松本   靖  循環型社会推進課長   竹内  耕三  自然保護課長      山本   司                 午後0時58分 開会 ○(森高康行委員長) ただいまから、環境・水資源対策特別委員会を開会いたします。  傍聴されている方に申し上げます。  委員会開会は、所定の席で静粛に傍聴願います。また、携帯電話は、委員の皆さんもそうですけれども、電源を切るかマナーモードにして、委員会の妨げにならないよう御協力をお願いします。  本日の出席理事者は、お手元に配付の理事者席のとおりであります。  これより議事に入ります。  本日の会議録署名者河野委員福田委員を指名いたします。  本日の議題は、最近の環境課題についてであります。  本日は、参考人として愛媛県環境創造センター森田昌敏所長に御出席いただいております。森田所長の御略歴につきましては、お手元に配付の資料のとおりであります。  それでは、森田所長、御説明をお願いいたします。 ○(森田参考人) 環境創造センターの森田でございます。  ここ何年間か、えひめ環境大学で話題になりましたそういうテーマも含めまして、持続可能な発展とは何なのかということをずっと考えてまいりましたが、その線上でお話をさせていただきたいと思います。  それでは、スライドをお願いいたします。 ○(森高康行委員長) 委員の皆さん、見やすい席に御移動いただいて結構ですから、こちらで上映しますので、どうぞ御自由に移動してください。 ○(森田参考人) 環境問題は相当複雑化しておりまして、かつて40年ぐらい前は公害の問題が…… ○(森高康行委員長) 先生、よろしかったらどうぞお座りいただいて。 ○(森田参考人) ありがとうございます。  40年ぐらい前は公害の問題というのが中心的な課題でありましたけれども、現在は、いろんなことが環境問題として意識され始めております。そして、きょうお話しいたしますのは、そのでも重要と思われることに若干焦点を当てながらお話をさせていただきたいと思います。  地球環境の課題といたしましては、地球温暖化が今最大の問題になってきていますが、このほかに生物多様性、その他に、例えば森林の減少がどんどん進んでいますけれども、それをどうするのかとか、海洋の汚染も着実に進んでいるということがありますし、また、ある場面では砂漠化も進行している。あるいは、ある場面では湖がなくなってしまう。例えばロシアのアラル海が消滅しかかっていますけれども、そういう問題も存在をしているということであります。  それから、地域の環境問題としまして、今も大気汚染の問題が、時々話題になるPM2.5を含めて存在しているということがありますし、水質汚濁は、かつてすごく悪かった状態からは回復していますが、しかし完全に昔のようなものに戻らないで、依然としてあるレベルの汚染が続いて、それが時々、例えば赤潮のような形で表面化するということが今も続いております。  あわせて、資源の循環をさせながらということが、どうしても持続可能な社会を構築する上で必要でありまして、この問題は、廃棄物の再利用化といったことを含めて大きな課題になっているかと思います。  それから、かつて公害問題と関係していると思われた有害物質の問題も、今も時々表面化しながら進んでくる。それから最近の大きな流れは、自然保護とエコツーリズムを一緒に組み合わせながら解決していこうという、そういうことも非常に重要になっている。これらのものが全体としてはあるのかなということであります。  では、最初に地球温暖化の問題を取り上げたいと思います。  この課題につきましては、ことしのえひめ環境大学で、IPCC、これはIntergovernmental Panelといっているんですが、国の政府を代表しているような科学者が行ってそこで議論するような、そういうパネルがありまして、そこには日本人で、ビューローというか事務局に入っていらっしゃる平石さんという方がいるんですけれども、その方を中心にしてお話をいただきましたが、その方の話なども含めましてお話をさせていただきたいと思います。  地球温暖化の問題というのは、そんなに単純ではありません。まだ、地球は本当に温暖化しているのかということについて疑問を持たれる方もいますが、でも大勢は、ほぼIPCCの考えた方向に今のところ向かっているという感じであります。  地球の温暖化というのは、一度温暖化が始まってしまうと、それがまた次の温暖化を引き寄せるということで、次々と加速していくというのが多くの見方であります。温暖化すると、例えばシベリアで凍土が解ける。凍土が解けると温暖化ガスがふえる。そしてますます温暖化する。こういうふうな加速度的なスパイラル、それが今のところ描かれているイメージであります。  これに対して、それに反対する意見が、ほとんど1つぐらいですけれども、ラブロックさんという方がガイア仮説というのを出して、彼の仮説は、温暖化が始まると、それを中和するように地球自身が変化して、そして温暖化はストップすると、そういう仮説であります。これは実証的にまだでき上がっていないんですが、例えばどんなことを考えればいいかということで彼が言っているのは、地球が温暖化すると白い花のデイジーがふえる。それがふえると、それが光を反射していくので、したがって温暖化はストップする。それを例示として出しておりますが、こういった意見も存在することは存在します。  ただ全体としては、温暖化の影響が顕在化する前に何とか対策をとろうと世界中で考えていて、そのために、例えば再生可能エネルギーを使いましょうといったことが一つのトレンドになっています。その一方で、二酸化炭素発生の最大国であるアメリカと中国が余り熱心でない。だから、二酸化炭素の発生を抑制しようとすると、その2つの国がやらなければいけないのに、なかなか思うように動かないということも起こっております。  そういったいろんな思惑もあると思うのですが、IPCCが第5次報告書、IPCCのこうした活動は1990年ぐらいからスタートしましたので、25年目に相当すると思いますが、今度第5次の報告書がことしの5月に正式に報告されております。  それをまとめますとどうなるかといいますと、まず大気ですが、世界の平均地上気温はずっと上昇し続けていると。最近の10年間で0.78℃の上昇が観察されて、そしてそれとあわせて1950年以降、極端な気象が観測されているということが1つです。  それから、海の方ですけれども、海洋の温暖化が進んでいる。最近の40年間の表層水温、表面の水の温度は10年当たりで0.11℃上昇していて、それとあわせて海面水位は上昇している。過去110年間に19㎝上昇していると、そういう観察であります。  それから雪氷圏、過去20年間にわたってグリーンランドと南極の氷床の質量というか重さですね、それは減少している。氷河は縮小し、北海域の海氷及び北半球の春期の積雪面積は減少している。雪とか氷の世界がどんどん小さくなってきていると、それが観察されているということであります。  それとあわせて、温暖化ガス、特に二酸化炭素の濃度というのは、過去80万年で前例のない水準に増加している。この二酸化炭素の増加というものが気候変動温暖化、それをもたらす最大の要因であるというのが、この第5次の報告であります。  これは、世界の平均気温の上昇のプロットですけれども、右側の方に上がってきているんですが、右側のスロープが、上がり方がかなり急速になり始めているという観察でありまして、この辺までは、1980年、1990年ぐらいまではまだゆっくりと上がっていたんですが、ここへ来て急速に上がり始めているというのが観察されている状況でありまして、このまま続くと相当ひどい温暖化が起こり、それに伴ういろんな被害が出るのではないかと、そういう予測であります。  これを考えるに当たって、地球上のエネルギー収支エネルギーのバランスを考えるとこんな格好になります。地球の表面に到達している、地球が受けているエネルギーは、太陽放射からほとんど受けていまして、それが99.996%、これを得ています。そのほかに得ているのは、地球内部マントルから伝わってくる熱が少しあります。これが地熱ですが0.025%。それから潮汐といっているのは、これは太陽とか月が回ると、それに従って潮汐が発生します。そのエネルギーが0.002%。地球上で人間が燃料を燃してつくり出しているエネルギーは0.007%ということになります。したがって化石燃料、例えば石油とか石炭を燃して得られているエネルギーも、ばかにはなりませんけれども、全体から見れば小さいと。  それから、地球が失っている、支出しているエネルギーの方は、太陽光が飛んでくるんですが、それを反射しています。反射率をアルベドという言葉で言っているんですが、それが大体30%ぐらい。残り70%、一旦地球の表面に蓄積された熱を再び赤外線として輻射しております。その部分が70%。赤外線は、特に夜中に太陽光が来ないときにもどんどん出していますので、これは24時間放出しているという感じで、輻射エネルギーの効率はそんなに高くないんですが、それでも量としては圧倒的になっている。  この収支ですけれども、プラスと考えられていて、現在のレベルでは太陽放射の0.07%、入射光の1,000分の1弱ですね、そのぐらいがたまってきているらしい。たまってくる場所は、海に海水温の上昇としてたまっている。これが現在想定されているエネルギー収支であります。  このようにしてたまってきますと、温暖化が起こってきます。もし地球の温暖化があったとして、一体何が困るのかということなんですが、1つは異常気象ですね。台風がふえるとか、大雨、そしてある場合には干ばつが起こって、その被害が出てくる。それから海水面が上昇します。この海水面の上昇のかなりの部分は、海水の温度が上昇するために水が膨張して、そして海水面が上がってくるということが1つ。そのほかに、例えば南極の氷が解けて海水量がふえるということも起こります。その結果として陸地が減少して、同時に高潮の被害が出やすくなる。  それから、こういった温暖化が起こりますと、生態系は若干適応が不十分になってくる。あるいは、いろんな産地の農業というのは、気温が一定であるということを前提にしてでき上がっていますので、あるところでとれていたものが不適な土地になってしまう、そういったことが起こり得る。そういう意味では、農林水産業あるいは観光産業に被害が出てくるということであります。  最後に、熱帯病が増加する、マラリアは沖縄の一部にまだ存在しますが、デング熱なども広がる可能性があると、そういうことであります。  しかし一方で、温暖化を歓迎する場所がないわけではなくて、シベリアあるいはカナダの北の方などは、温暖化が進むと住みやすくなるという意味では、ある意味では歓迎だろうと思われます。それから北海道の方にお話を聞くと、北海道も温暖化するとうれしいなどと言っていらっしゃる方がありますので、日本全体としてどうなのかということを考えなければいけないかもしれません。  世界の平均海面水位の変化なんですけれども、徐々に徐々に海面水位が上がってきています。先ほど110年間で19㎝ぐらいということでしたが、これが着実に上がってくる。温度の上昇が早くなりますと、これが一気に膨らみ始めるという状況になります。  それとあわせて、それに一番効果的にきいているのは二酸化炭素ではないかというふうに疑われているということです。二酸化炭素というのはどういう役割をしているかというと、地球表面から出る輻射熱で赤外線が出ていく、それをとめている役割をしているということでありまして、これがふえると地球から出ていく熱量が減ってしまうので、温暖化が進んでしまうと、そういうシナリオであります。  それに対していろんな意見があります。地球がそんなに大きく変わるわけはないのではないか、太陽光だって変化しているでしょうという意見がありまして、例えばこれは太陽の光の強さをプロットしているものですが、確かに太陽光も若干変動しています。強くなったり弱くなったりしています。今は黒点の発生がここ数年少なくなっていて、太陽光がひょっとしたら弱まっているかもしれないと、そういう意見が一方でありながら、そうしたら地球の温度は下がるはずだけれども上がっているのは、やはり地球温暖化ガスのせいではないかというふうに議論が進んでいるという状態です。  こういった形で、IPCC自分たちはこう考えている、そしてそれが正しい確率は大体90%ぐらいであると。昔はもっと低かったんですが今はそのように彼らも自信を深めている、そういう状況であります。  一方、IPCCに対する批判的な意見も存在しまして、地球は非常に大きくて、太陽活動の変化もある。人間活動は、これらと比較してそれほど大きくないのではないか。温暖化と言っているけれども、本当に人為的な温暖化なのか。自然の現象ではないかという意見があるということです。それから、大きな変動である間氷期や氷河期というものがあったんですけれども、そのことを十分に考えるべきではないか。  それから、これはまたちょっと違うベースの議論になるんですが、非常に大きな火山噴火があれば、より大きな地球冷却に直面するのではないか。そういった自然の大きな変化といったことも考慮して問題を判断すべきではないかという意見で、それと関連しまして、地球の科学的な理解が十分ではないのではないか。根拠が弱いまま対策を急いでするというのは、余り適当ではないのではないかという意見が存在するということであります。  これに対しましてIPCCは、ほぼ科学的にはわかってきたと。二酸化炭素を初めとする温暖化ガスのせいで気温が上昇しているというのは、ほぼ95%正しいんだというふうに判断し、そしてそういったIPCCの先駆的な活動に対しまして、アル・ゴアというアメリカの副大統領だった人が本を書いたりしたのですけれども、そういったことに対してノーベル平和賞が一昨年与えられたという状況にあります。  これは氷期、間氷期の訪れなんですが、横軸が100万年単位です。したがって、ここ5,000万年ぐらいの間は、どちらかというと寒い方向に向かうという流れにありますので、今温度が上がってきているというのは、やはり人為的な原因だろうというふうに考えるべきであるというのがIPCCの考え方であります。  いずれにしましても、こういった流れので政策をある程度動かしていかないと、手おくれになるのではないかという危惧を強く持っているということであります。  これは、火山爆発があればという一つの話題ですけれども、小さい火山爆発はいつも起こっておりますが、大きな爆発で火山灰が2万m、20キロぐらい、成層圏の下の方ですけれども、そこまで到達しますと、微粒子が大気圏を3年ぐらい漂って、日射を遮って寒冷化を引き起こすということになっています。これはかなり大きな出来事です。  ただこういう大爆発は、何年かに1回ぐらいしか起こっていませんので、それほどリスクはないのかもしれません。唯一のリスクがあるとすると、世界最大のマグマは、アメリカイエローストーン国立公園のところにありまして、これは非常に特殊なマグマなんですが、マントルから直接マグマが上に上がってきて、30キロ掛ける40キロぐらいの非常に大きな面積のマグマがそこにたまっているので、これが大噴火しますと破滅的な寒冷化、気温が10℃下がるのではないかというふうに心配している学者もいます。そうすると、多分人類や大型動物は絶滅の危機にさらされるだろうと。これは単に話題でありまして、しかしこんなことを考える前に、手元で起こっている温暖化に何とか対策をとらなければいけないというのが今のポジションであります。  もう一つ、既に温暖化対策は遅過ぎて、温暖化をとめるためには別の手だてを考える、あるいは温暖化が起こることを前提にして、社会の構築を考えるべきではないかという意見も強まってきております。その一つが、地球を白くしましょうと。白くしますと、太陽から来た光が反射します。それは宇宙に返っていきますので、結果的には地球を冷やす効果がある。  どういうふうに実際にやるかというと、家を、屋根を白くする、道路を白くする、車を白くする、船も白くして、白い花を植える。それから砂漠も白くしてしまえばいいと。そうすると、太陽光は反射していきますので、地球を冷やすことができる。このときに使う材料として今考えられるのは石灰岩であります。日本は石灰岩が非常にたくさんできる国でありますので、こういった白くするビジネスの世界的な中心に日本がなれるのではないかと、そういう意見もあります。  一つの例ですが、スペインを初めとする地中海の国々、ギリシャもそうですけれども、そういったところに白い村というのがあります。あるいは、アラビア人などは白い服を着ていまして、あれは暑いところに住む人は、太陽光などを反射して冷やすと、そういうことを実際やっていらっしゃって、これはスペインの白い村、非常にたくさんありますけれども、壁を全部白く塗ってしまうと。屋根も本当は塗った方がいいと思うんですが、これが一つの例としてあります。  それから、石灰岩あるいは大理石でつくられたいろんなモニュメントがありますけれども、これも大体白くて反射する効率がいいということです。ギリシャパルテノン神殿とかインドのタージマハル、行かれた方もあるかもしれませんが、そういったところはこういったものでできている。  それから、石灰岩の化石、これは日本にはすごくたくさんあります。フリズナ、紡錘虫という石灰岩を体につくるような、そういう生き物が大繁茂しまして、それが現在の石灰岩地帯を構成しているということです。日本はこれがすごくたくさんあったということです。  ほかに、石灰岩で織りなす風景というのは日本に見られますが、右側にありますのが四国カルストです。これは愛媛県から高知県にかけて石灰岩露出草原、それが非常に大きな面積を占めてあらわれている、そういう例であります。  それから、石灰岩をつくるもう一つの生き物はサンゴなんですけれども、サンゴ礁などもこういった石灰岩をつくっております。そして今サンゴ礁が、白化現象と言われる、サンゴ礁を構成している生き物が死んでどんどん白くなっていく現象がありますが、それも今起こっている現象の一つです。  最後に出ています沖ノ鳥島、これは中国に狙われているんですけれども、サンゴ礁の島です。日本政府は、これを守るために中心の島に胴巻きのようなコンクリートを置いて、何とか必死で守ろうとしていますが、中国の人に言わせると、あれは岩礁であり島ではないなどと、妙ちきりんな争いが続いております。  地球の温暖化の話にもう一回戻りますと、温暖化は加速度的に進む可能性が結構高そうである。そのために、地球の温暖化にかかわるような二酸化炭素、あるいはメタン、そういったものの排出をできるだけ抑えて、温暖化が加速するのをとめましょうという方向で動いているということであります。そういった出来事は、グローバルにはそうですが、地域、地域でそういった形の積み重ねが必要だということになります。  そのほかの話題に移りますが、オゾン層の破壊というものも、かつて30年余り前に話題になりました。成層圏のオゾン層が破壊されますと、地球の表面に届く紫外線量がふえます。概念的にはそうなんですが、それが非常にはっきりした形で見え始めたのは、南極のオゾンホールと呼ばれるものです。南極の中心部を中心にしてオゾンが全く消えてしまって、そこには太陽からの紫外線が直接降ってくると、そういうことでありまして、それが南極からさらに北の方まで延び始めて、例えばオーストラリアの南部、アフリカの南部、それから南アメリカの一部がそのホールのに入り始めます。  そうすると何が起こるかというと、紫外線によってそこに住む人の白内障が増加し、皮膚がんがふえてくる現象が起こってくる。それを防ぐために、フロンの使用を中止するという作業を国際条約のもとで実行してきました。その効果は、実はもう10年以上前に出ているはずだったんですが、なかなかオゾンホールの穴のサイズが小さくはなってきませんで、ここ10年ぐらい同じような穴があいています。ただことしのレポートでは、少し小さくなったといっておりますので、ひょっとしたらオゾンホールの問題は、徐々に収束に向かっているかもしれません。ただ、それが完全にとまったと言える状態まで見守る必要があるだろうと、そういう状況にあります。  今度は、生物多様性の問題です。この生物の多様性という概念は、結構難しい概念です。何が難しいかというと、まず1つは、貴重な生物が消えてしまうのはよくないと、ここまでは比較的わかりやすいんですけれども、なぜ生物が多様でなきゃいけないのか、あるいは生物の種類が減るとどんなことがあって困るのかといった問題は、若干議論は残っているところであります。  生物の多様性というのは、なぜそんなことが必要なのかというと、生物はお互いに連携し合って地球上に存在しているので、その知識を我々は十分持っていないのに、生物の種類が消えていくのはよろしくないというのが、とりあえずのポジションであります。生態系というのは生き物の鎖でありまして、その鎖をよく知らないで、それを理解しないままさわると大きな失敗を招くと。その一番の例としてよく言われるのは、毛沢東の四害追放運動であります。  1958年に大躍進政策の一環として、ネズミ、ハエ、蚊、スズメを全国的に駆除するということをやりました。このときにはスズメの駆除が一番よくなかったんですけれども、それがイナゴとかウンカの大発生を招いて農業生産は大打撃を受けました。この政策のおかげで最も被害の大きかったのはチベットで、1,500万人から3,000万人の餓死者が出たといっております。これが、チベット中共政府に対して反抗する背景の一つになっております。  さらに、これが中国の政治ので大きな問題だったのは、毛沢東がこれに失敗をして、彼が権力を失ったんですが、その権力を取り戻すためにまた幾つかの運動を起こし、それに対して一種の内乱状態になって中国の政治が混乱したということがもう一つの背景にあります。  いずれにしても、ネズミ、ハエ、蚊、スズメというと害虫とか害鳥かと思っているけれども、それはそれなりに重要な意味を持っていたということになりまして、それを知らないで消してしまうというのはよくないということであります。  他にもいろんな出来事があります。小さい失敗例と言われていますのは沖縄のマングースで、これは毒蛇と闘わせるためにマングースを持ち込んだのですが、マングースも毒蛇と闘いたくないんですね、本当は。もっといい餌があったら、その方がいいということで、それで鳥を食べたりそっちの方に向かって、結局ハブは退治されないで、鳥がどんどんやられたと、そういう話であります。  生物多様性というのは、地球上にいるいろんな生物が危機にさらされているんですけれども、いろんな原因があります。例えば森林破壊が進んでいるということもありますし、生息地が分断されて雄と雌の会うチャンスが減ってくるといったこともありますし、それから外来種が入ってきて、それによって在来種が押されて消えていくといったこともあります。  そのほかに有害化学物質、例えば農薬といったものによって痛めつけられるケースもあると。それから、ある場合には廃棄物によって痛めつけられる。これは有害なものを含んでいる場合ですけれども、そういうこともある。それから、地球の温度が変化すると相当生息域が狭まって適応能力のない生物種が消えていく、そういうことが起こるということで、この生物多様性を脅かす要因を丁寧に見てあげて、余りひどいことが起こらないように見続ける必要があるという状況であります。  いろんな生物がいるんですけれども、こういった生物が、外来種とかそういったものを含めて少しずつ変わってくる。やはりできるだけ在来種をその地域ので持ち続けてやるということも必要だと、そういうことであります。マングースですけれども、これが沖縄に導入されて、わずか数十匹から今は1万匹に増加して、これが生態系のいろんな仕組みの上の方で悪さをし始めている、貴重な鳥などが痛めつけられている、そういう状況であります。  最後に、生物多様性を考えるで指摘されていることは、地球上にいるたった1種類の生物種、人類ですけれども、それが物すごい勢いで繁殖して、その数は70億人を超えて総重量4億tに達するような、こんな世界が果たして続くのだろうかということであります。アインシュタインは、彼の予言なんですが、蜂が地球上から消滅すると、その4年後に人類は消えるだろうというふうに言っているんです。このことは時々話題になるんですが、ミツバチが減ってきているということと関連して語られることが多いということであります。  それからレッドデータブック、これは絶滅危惧種を本にまとめたようなものでありますが、それが公表されて、そして市民レベルでいろいろ関心を持っていただいて、生物種の維持に役立てたいということです。愛媛県につきましても、昨日レッドデータブックを公表されまして、こういったことに力を入れてくださっているということになります。  最後は、ちょっとつけ足しになりますが、残留性有機汚染物質、これはPOPsという名前がついていますが、こういったものがよろしくないということで地球上から消滅させようとしております。それは、例えばPCBとかダイオキシンでありまして、日本ではPCBの消去をしたいと考えていたんですが、ずっとおくれておりました。それがやっと今軌道に乗ってきたと、そういう話であります。  それから、大気の濃度にはこういったPOPsが観察されるんですが、今や中国からそれが飛んできます。日本で使わなかった農薬がどんどんと検出されるようになって、もらい公害も予想されるという状況にあります。それは単なる大気を介してでなくて、海を介してそういったものが来る。それで、PCBの話です。PCBについては消去しなきゃいけない。これは世界的にある種のコンセンサスになっていまして、日本はこれを試みるんですが、試みるたびに住民の反対運動があったりして、これを処分する施設ができませんでした。やっと全国に5カ所、国策会社をつくってPCBの処理が軌道に乗り始めたということであります。  しかし、これももう一つの壁にぶつかりました。それは何かというと、その処理をしている過程で非常に低濃度のPCBが出てくるんですが、それはこういった国策会社でやっているような処理方法は向いていない。ですので、低濃度のものは燃やしてしまうのが一番いいということはわかっていたんですが、なかなかそれが実現しなかったということがあります。それに対して、非常に低濃度のPCBについては焼却でやりましょうということで、日本国内にいろんな施設がありますが、そこで焼却して、確かに環境に対する悪い影響はないことを調べながら進めてきております。  私も環境省のこのPCBのプログラムを手伝っているんですが、そので一番よかったのは、愛媛県の廃棄物処理センターが日本で最初のPCBの処理実証試験に参加しておられまして、それが軌道に乗ったということであります。これによって、高濃度のPCBはもちろん危険なものですけれども、それについてはJESCOでやって、低濃度のものについては各地でやれるようになったということであります。これが軌道に乗り始めて、全体としては、それでもあと10年ぐらいかかりそうですけれども、消すことができそうになってきております。  引き続きまして、今度は地域の環境課題の方に話題を移したいと思います。有害大気汚染物質の最近の話題、それから若干、瀬戸内の話、特に自然保護とエコツーリズムの話に移りたいと思います。  大気汚染物質の相互関係といっておりまして、実は何を問題にしているかというと、かつて大気汚染物質として重要であった硫黄酸化物、SOx、それと窒素酸化物、NOx、これはほぼ想定どおり減少する作戦はうまくいっています。それから揮発性有機化合物に関するものというのは、トータルで対策が打たれておりまして、ほぼよくなってきたんですが、1つだけ、従来からある大気汚染物質のでうまくいっていないのがあります。それはオゾンです。オゾンは、一時期少し減ったんですが、今また逆にふえ始めていて、その発生源は、二次汚染といっておりますが、大気に有機物が存在すると光化学反応でオゾンができる。その結果として、再びオゾンがふえ始めてきたということです。  これは一つの例で、大気環境の変化を示しておりますが、オゾンがこの赤線で、ずっと減ってきていたんですが、この辺に来て徐々にまた盛り返し始めている。これの対策は少し考えなきゃいけないかなという状況にありまして、光化学スモッグなども今、地域によっては起こってきているということに対応しております。  そのオゾンはどういう影響を及ぼすかなんですが、これは首都圏で起こっている出来事なんですが、そういったところで発生したオゾンによって森林の破壊が少しずつ発生する、あるいは農作物への影響が見られ始めていると、そういう話であります。
     それから、神奈川県の丹沢のブナ林、これは神奈川県の南の方にあります工業地帯からガスが出ていて、そこから二次的にオゾンが発生してブナ林が衰退していくという話であります。それで米の減収が観察され始めているということで、もう少しきちんとした統計が必要かもしれませんが、オゾンのせいではないかと考えられています。  もう一つの話題はPM2.5です。PM2.5の問題というのは、私もPM2.5の基準設定のとき、一番最初、立ち会っていたのですが、PM2.5というのは空気の微粒子ですけれども、その濃度が高いときに何が起こるかというと、心筋梗塞のようなものが起こりやすくなって、亡くなる方がふえるというので、もともとアメリカでこれを規制しようといった動機でありました。  日本で同じようなことをやろうとすると、日本人はもともと心筋梗塞で死ぬ人がそれほど多くなかったということもありまして、アメリカほど多くはないんですが、それでもリスクはありますので、このPM2.5を規制するということに頓着していったわけであります。これについては基準値が設定され、ある場合には警報が出されて、それが高いときは外で活動しないようにと、そういうふうなところまでいっております。  もう一つの問題は、これももらい公害の色彩が強くて、PM2.5が非常に中国で問題になったのは、北京にあるアメリカ大使館で、大使館員がこんな空気を吸っていてよいのだろうかといって問題を提起したということが、中国のPM2.5問題の発端になっております。どのぐらい高いかというと、平気で日本の基準の10倍ぐらいの濃度が出ることがありますので、それは汚染を出している自国民を、中国はもうちょっと対策を打てばいいんだろうと思います。日本に飛んできますけれども、中国本土よりはるかに濃度は下がってきています。それでもこのPM2.5問題は、やはり必要で、一番最初は自動車の排ガスのに多かったということで、いろんな形で対策を打とうとしておりましたけれども、徐々にその差も減ってきているという状況にあります。健康影響は、一般的な死亡率が少し高まるということであります。  これと関連して、黄砂が中国から飛んできます。黄土高原から飛んでくるものが多いんですけれども、そのほかにゴビ砂漠、タクラマカン砂漠といった奥の方の砂漠からも飛んでくるということで、実は放牧などをやりますと、ゴビ砂漠も完全に砂だけじゃなくて結構草が生えているんですけれども、そういった草を根こそぎ羊などが食べてしまいますので、草地が減少して飛びやすくなるということで、これも日本だけでは解決できなくて、中国にちゃんとやってもらわなければいけない例であります。こういったものが今は人工衛星からちゃんと観察できていますので、言い逃れができないということです。  それから、大気汚染と関係しまして、私が個人的に非常に心配していますのはアスベストです。アスベストは非常に身近な発がん物質でありまして、中皮腫という悪性腫瘍が年間1,000人ほど、去年は1,400人も出たということでびっくりしていますが、確実に出てきております。20年から40年前に吸い込んだアスベストが原因で、それは職場での吸い込みがすごく量が多いので、そこが原因ですけれども、環境から吸い込んだアスベストによっても被害を受ける例があるというふうに言われております。  アスベストは種類によって毒性が異なります。白石綿といっていますけれども、例えば小学校のとき、理科の実験でアスベストつきの金網の上でフラスコを焼いたりとかそういうことを経験された方もいるかもしれませんが、あれは白石綿で比較的発がん性の弱いものです。青石綿は非常に強いので要注意なんですが、とりあえず古いビルなどを壊すときにこれが発生しますので、そういうときになるべく吸わないように、周りの住民も吸わないように気をつけた方がいいということであります。  水の方の話題に移しますが、瀬戸内海環境保全特別措置法、これは40周年を迎えて、いろんなアプローチがとられています。瀬戸内海の新たな環境問題、しかも瀬戸内海はいろんな県にまたがっていますので、みんなで考えなきゃいけないということになりますが、そこで水質の目標をどうするのかとか、それぞれの排水規制をどうするのか、総量削減を含めてどうするのかといったことを絶えず新しくしておかなければいけないということであります。  これと関係しまして、それでは瀬戸内海の水の環境というのはどういうふうなものを目標にしてやったらいいのかというのは、いまだに議論がずっと続いている状況にあります。  藻場をふやしましょうというのが一つの例でありますが、これによって水のの汚染物質が減り、生物にとって優しい環境になっていくだろうと。これを目指していろいろ産業界も動いていまして、例えば鉄スラグなどを使って、産業廃棄物の有効利用を兼ねながら藻場をふやすことができないかという試みがされているということです。  もう一つは、リンです。し尿にはリンがすごく含まれておりまして、これが湖沼、河川、海の富栄養化の主な原因になっています。このリンを回収して、リン肥料として再利用できるようにした方がいいのではないかと、そういうことであります。岐阜県などは再資源化を開始しております。余り効率はよくないんですが、リンの資源はどんどんこれから枯渇する可能性がありますので、それに対応しようということです。愛媛県でも環境衛生研究所の方でバイオ技術を使った抽出方法を検討しています。環境省からお金をいただいて、これをやっている最中です。  最後に、ミツバチの話にちょっとだけ触れます。  蜂は、地球上の生物、植物25万種の90%の媒介になっています。花粉の媒介によって次の世代をつくっていくんですが、花粉を運ぶ蜂がいなくなると植物が絶滅し、ひいては人もいなくなっちゃう。養蜂被害がいろんなところで、日本国内でも出てきていまして、その原因として一番多いのは、多分ダニのせいだろうと。ミツバチヘギイタダニというダニがきいているのではないかと。  2番目が農薬であります。最近、ネオニコチノイド系農薬と呼ばれるものがよく使われております。この種の農薬は人に対する毒性が弱いが昆虫に対しては非常によく効くということで、したがってそちらの方へ進んでいるんですけれども、そのネオニコチノイド系の農薬を使うとミツバチがすごく痛めつけられるらしいということであります。  最後に、自然の環境を守るという話に移りたいと思います。  瀬戸内海は、かつては世界で最も美しい海と言われていまして、明治維新のときに日本を訪れたイギリス人とかがいろんな本に書いてあります。それが徐々に変わってきておりまして、自然環境を守るということはすごく大事なことなんですが、開発サイドとぶつかることも多くて、それなりに難しい仕事でもあります。しかし、これはやはりどうしても次の世代に残していかなきゃならない仕事ということでありまして、それの一環として、エコツーリズムのような産業と環境を両立させたような、そういうアプローチが重要になってきております。  エコツーリズムで重要なのは、環境を守るということをそこに参加する人みんなに持っていただいて進める。それを通じて、自然の保護あるいは地球温暖化にも役立てようというのが全体の流れです。  いろんな観光資源が愛媛県のにあります。例えば愛南町のサンゴというのは一つの大きな例ですが、それ以外にもいろんなところが、これは石鎚山ヒルクライムです。石鎚山は四国で最高の山でもありますが、国定公園に指定されてから60年になります。エコツーリズムのモデルになるような、そういう地域でありまして、ここに環境配慮型のトイレ、休憩所が完成間近になっています。そういう意味では、とても大事なイベントという気がいたします。ヒルクライムのような、こういうレースなども行われて、一種のエコツーリズムの表現形となっています。  それ以外にもいろんな重要な資源、重要というのは、日本全体から見てもかなりいい水準にある財産がありますので、それをうまく活用しながら観光資源としても利用するということで、重要ということです。  西予のジオパークというのは重要です。それから右側は久万高原町の観光と書いてありますが、これは先ほどの四国カルストの一つの形です。それから別子銅山を世界遺産にというのもあり得るのかなという感じがしますし、来島海峡大橋なども、あそこの海峡を流れる水のスピードというのは相当早いですから珍しいものだろうという感じがしますし、これは瀬戸内海国立公園ですけれども、同じく足摺宇和海国立公園というのは当然重要な観光資源ということになりますし、同時に、守らなければいけない自然遺産でもあるということであります。  というわけで、こういった幾つかの県立自然公園、国定公園、それからいろんな施設、そういったものを守りながら、そしてある程度の経済的な効果も見込んでいくというのが全体の流れかなという感じです。  どうもありがとうございました。これで私の話を終わりたいと思います。 ○(森高康行委員長) 以上で、説明が終わりました。  森田所長による豊かな御経験とすぐれた知見による問題提起をいただいたと思います。  暫時、休憩いたします。  午後2時から再開いたします。                 午後1時51分 休憩              ――――――――――――――                 午後2時1分 再開 ○(森高康行委員長) 再開いたします。  それでは、委員の皆さん、森田所長の御説明をもとに、この議題に関する質疑を受け付けたいと思いますが、挙手を願います。 ○(兵頭竜委員) 気温上昇について根本的なことを質問させてください。  IPCC第5次報告書などを見ると、最近10年間で0.78℃上昇ということで、その後のグラフを見ても、近年の気温上昇の伸び率、上昇率が高いというふうになっております。これが今後どのような形で上昇していくと言われているのかという予測が1点と、大きく起因するものの一つとして、先ほど御説明にもあったように、人間活動によってそれが上昇しているとも言われておりますが、そういったものを今後抑制するための対策、どういった形でマッチングできるのかというところをあわせてお伺いいたします。 ○(森田参考人) 非常に温暖化は加速しています。そして、2℃の上昇があると相当劇的な変化になるだろうと。したがって、2℃の上昇というのが、あと何十年かですが、その間にそこまで行っちゃうかどうかが一つの鍵になっています。したがって、2℃を超えないことをある種の目標に温暖化をとめないといけないというのが一つの全体的なことです。  それから、時々質問を受けるんですが、実はこの温度の上昇にきいているのは、いわゆる温暖化ガスというものの効果で、これは地球から出てくる赤外線をブロックするところなんですね。地球上でいろんな化石燃料を燃やしていて、その燃やしている熱が地球を暖めているのではないかと、そういう議論が結構あるんです。実はその効果は小さくて、輻射熱をとめるところの方が10倍ぐらい大きいんですね。したがって、温暖化をとめようとすると、燃料を燃やすということもあるんですが、とりあえず二酸化炭素をふやさないということにどうしても重心を置かざるを得ないというのがもう一つの答えであります。  そのためには、地球で化石燃料を燃やさないという方向に力が働くんですが、日本はちょっと特殊な状況がありまして、それは原発でクリアできるはずだったんですね。原発が動いていればそんなにあくせくしなくて、それは実現できる、京都議定書を含めてできるはずだったんですが、それがとまってしまったので、さあ、これは頭が痛いねという状況に今のところ落ち込んでいます。  それから、途中でちょっとお話ししましたが、言うことを聞かない国があるんですね。アメリカと中国。恐らくこの後、インドも言うことを聞かないし、ブラジルは、そこそこバイオエタノールなんかつくったりしていますが、これから人口が激増してくる東南アジアの経済発展、それからアフリカの経済発展とかそういうところで、経済の発展とエネルギー問題は同じぐらいの意味を持ってリンクしていますので、彼らがどんどんと化石燃料を使い始めるということはどうしても避けられないとすると、なかなか日本一国ではどうにもならないという要素がもう一つはある。  そんなことを含めて、そういう発展途上国から見ると、彼らのロジックはこういうことなんですね。いわゆる先進国というのは、エネルギーを勝手に使って二酸化炭素を出して、それを地球上にためたのはおまえたちだろうと、だから責任をとれと。私たちがこれから経済を発展させようというところを縛らないでほしいというのが彼らの主張ですね。中国なんか、はっきりそうおっしゃっている。  そうすると、日本も少なくとも今までそこそこ出してきましたので、CO2削減というのはある程度努力はしなければいけない。努力をしなければいけないんですが、予定した原発がとまった過程で努力にも限界がある。  もう一つの問題があります。それでは、代替エネルギーに行っちゃえばいいじゃないかという話がありますが、代替エネルギーといっても日本は使える代替エネルギーが余りないんですね、選択肢が。余りないというのは、ソーラー発電というのは、必ずしもそんなにいい選択肢ではないんですね。というのは、あの制度をつくるために物すごくエネルギーを使っているということがありますし、当初もくろんでいた、そういう太陽電池メーカーを育成するというのも、世界中で今中国に負けていますので、中国だけを肥やす、太らせるという、そのぐらいの意味になってくるので、一体どうしたらいいかと。風力発電はどうでしょうかということですが、風力発電も、適地、いいところには大体建っちゃっていますので、それほど伸びない。  唯一、日本が伸ばせるとすると地熱発電で、ワールドウォッチ研究所のレスター・R・ブラウンという人が書いた本ですが、彼が言っているのは、日本は地熱発電で生きていけと言うんですが、地熱発電も適地がどこにでもあるわけではありませんし、多分、四国はほとんどないと思うんですよね。  そういう意味でどうするかということになって、発想の転換をしますと、白くお化粧しましょうと。我々は、太陽光をこれだけ外に逃がしているから冷却する効果もあるので、それでキャンセルできませんかねとか、そういうのも一つあり得るかなというんですが、そういう産業が育たないかなと個人的には思っているんです。 ○(兵頭竜委員) ありがとうございました。非常に大きな問題を抱えながら、これから突き進んでいかなければならないし、みんなが認識していかなければならないなというのを改めて痛感したところでございますが、もう一つ、温暖化があるとして何が困るのかというところで、最近大きな問題となっている大雨があるんですが、広島のあの災害といい、最近でいうゲリラ豪雨、集中豪雨などは、やはりこれから確率的にふえるとも言われているで、愛媛県も急峻で脆弱な地形ですから、そういったものにも大きくケアをしていかなければなりませんが、先生の目から見られて、この愛媛のそういった大雨に対するケアとか、日本全体でもいいですけれども、そういったものの今の状況というか、足りないものとか、何が御指摘がありましたら最後に教えていただきたいのですが。 ○(森田参考人) 済みません、そのことは私、弱くてですね。まず、雨がふえる、これは間違いがないですね。というのはどういうことかといえば、水温が上がっていますので、その分、海面からどんどん蒸発する水がふえていって、それがやがて落ちてくるということであります。  問題は、それが落ちてきたときにどういう被害を及ぼすかということと関係するんですが、雨のたくさん降る地帯を見ていますと、例えば屋久島とか大台ヶ原というのは、それはそれで保っているんですね。したがって、脆弱なところではどこで起こってくるかという、崖崩れとか何かの要注意な場所を補強することが当面の課題かなと。申しわけないんですが、そこのところは私、よくわかりません。 ○(森高康行委員長) 兵頭委員、よろしいですか。(「はい、いいです」と呼ぶ者あり) ○(大西誠委員) 非常に幅広い御説明、ありがとうございました。  人間の努力によって、いい方向に向かって、例えばPCBとかフロン対策のオゾンホールとかで近年向上している項目と、PM2.5とか、先ほど兵頭委員がおっしゃっていた非常に広い意味での気温と海水上昇とか、悪化が進んでいる項目があると思うんですけれども、我々が子々孫々まで継承しなければいけないこの地球全体でいいますと、トータルではこの10年、20年でいい方向に向かって、これからもいい方向に向かうとお考えか、やはりもっともっと技術革新をして大きな努力をしなければ、地球はもっと悪い方向に進むとお考えでしょうか。 ○(森田参考人) 地球温暖化って、結構難しい話なんですよね。なぜ難しいかというと、人を支えているエネルギーの問題と裏腹の関係にあるんです。そこのバランスをどういうふうにとるかということがあって、絶対的にこうしろという答えになかなかならないということがまず1つあります。今も私たちは、基本的にはそれを改良しながら何となくうまく回しているというのが現状で、とりあえず今はその方向で多分いいんだろうと思うんです。  問題は、差し迫って起こる非常に高い危険というもので、予防的に対処するのが難しいものが幾つかあります。例えば地震は結構難しいんですよね。地震は予知できないので、とりあえず地震が起こってもサーバイブできるようにどうしておこうか、あるいは被害を最小にするにはどうしたらいいかと、そういうところに知恵を働かせなきゃいけない。  環境問題も、かつての公害の時代の問題はほぼ克服したと思うんです。まだ少しややこしい問題が、全然ゼロじゃないですけれども、問題のターゲットが絞られて、これをどうしたらいいかというのがわかっているものは答えが出ていきますので、比較的進むと思います。  もうちょっと、何というか、ぼんやりとした危険性に対してどうするかの答えがなくて、それは関係者の意見もなかなか一致しない。例えば火山が噴いたらどうするんだという話がしょっちゅうあります。IPCCの報告も、火山のことを考えるのは、考えてもわからぬからやめておきましょうといって、そういう報告書になっているんですね。でも、実際には火山は大きな影響を及ぼす可能性があります。例えば富士山が噴いたら首都圏も相当危険な状態になりそうですよね。そんなことがあるんですが、今はすごく困った問題に直面している可能性は多分なくて、徐々に徐々に対応して、そして個別的に潰していけばいいような状態がまだ続いていると思います。  だけれども、もっと長い時間的な流れのから見て、これでいいのかいなという問題はやはりずっとありまして、例えば瀬戸内海にしても、かつては非常にきれいな海だった。それが今の状態で本当に満足できるんですかという問題はありますし、そしてそれを、きれいにするんだといって大胆なことをやると、たちまちそれに付随して漁業が大ダメージを受けるとか、いろんなものが全部リンクしていて難しいですよね。そういう難しさをずっと抱えているので。  そんなことを言いながら、しかしみんなが賛成してくれて、そしていい方向に持っていけるという可能性が高いのは、最後の方に写真をお見せしましたようなエコツーリズムで、ここは比較的産業側と一緒にやれそうな要素が強くて、とりあえずはそこをもう少し拡充したらどうかなという感じがします。 ○(大西誠委員) ほっとする説明、ありがとうございました。  非常に幅広い問題なので、楽観、安心はできないのは当然ですが、将来に向けて我々の一層の努力で頑張れるということで。  もう一点だけ、済みません、雑学で教えていただきたいのが、前半の方に、南極上空のオゾンホールがどんどん大きくなっていたのが、最近小さくなっていると。これは、この30年ぐらい前からあった問題かと思うんですが、並行しまして後段の方で、二次物質として、地球上で有害オゾンが発生して影響が大きくなっていると。成層圏のオゾンはすごく必要で、地球表面上のオゾンは悪影響を及ぼすと。これは違うものなのか、同じものだけれども、上空では必要で地球上では悪さをするのかということを教えていただきたいんですが。 ○(森田参考人) 実は、オゾンは2つの役割を持っています。  1つは、太陽から飛んでくる紫外線をブロックする役割がありまして、それは地表にあっても成層圏にあっても変わらないんですが、オゾン全体の地球上の厚さが問題になるので、オゾン層にあればそれはそれでいい。  もう1つの問題は、オゾンは毒性が結構強いガスなんですね。したがって、オゾン層にあれば、成層圏にありますので余りまじってこないんですが、呼吸するところに入ってくるオゾンがふえると、オゾンの障害が出てきます。したがって、できれば成層圏にとどまっていてくれて、地表面はオゾンが余りないというのが好ましい姿です。 ○(大西誠委員) 私もうろ覚えで、オゾンは殺菌効果があって、以前は、家電製品でも空気清浄器の関係でもオゾン殺菌というのが、オゾンは人体にいいような殺菌効果があって、家庭でもあったのを記憶していたのですが、最近は全く聞かなくなってきているのですが、一定の量は人体にとっては殺菌で有用で、それ以上超すと悪影響ということで、そういうふうに思っておったのでいいのでしょうか。 ○(森田参考人) 殺菌というのは、生き物を殺すという作用ですので、したがって、ダニとか微生物とかを殺します。同時に、それをたくさん吸い込むと人間もやられてしまう。そうすると、人の場合、どこまでのオゾンなら耐えられるかと、そことのせめぎ合いになってきますね。  もう一つおっしゃっていた、室内でオゾンをたくさん発生させたときに本当に体によいのかという問題があって、体にはよくありません。だけれども、殺菌効果があるという、別の意味で役割を果たす、そういうことになります。ああいう電機メーカーは、やはり商品を売る上でいいことばかり言うんですね。最近は余り言わなくなった、いわゆるプラズマ何とかというああいう商品、あれで殺菌効果がある理由はオゾンです。あれなんか全部オゾンがきいているんですね。ただオゾンがきいていますというと、今度オゾンは体に悪くないかと言われるので、そこのところが少し隠れてきている。 ○(阿部悦子委員) 温暖化の問題ですけれども、IPCCの知見は、それに対しての懐疑派もあり反対派もあると。あるいは、火山の爆発によって温暖化は抑えられるというようなさまざまなことがあるというで、先生御自身はどちらのお立場に立っていらっしゃるのかということと、それから、日本の国がアメリカや中国よりもさらに、もうすぐCOP20が開かれますけれども、昨年のワルシャワのCOP19で、1990年比の3.1%上昇ということですね。05年度比3.8%減少といいつつ、90年比で上げていくというようなやり方に対して、世界は、そこにいた人たちが食べないデモをしたとか、一晩みんなで。そういう日本に対する風当たりがすごく強いと思うんですね。アメリカも中国も、最近になってここに入ってこようという意思を示していると思います。  このことに関して、日本の国がどういう政策を立て、それの政策を踏まえて県も計画を立てないといけないと思うんですけれども、そのあたりの実態ということについて、具体的なお話をいただければと思いますが。 ○(森田参考人) まず、私の地球温暖化あるいは温暖化ガスについてのポジションなんですが、IPCCと同じです。したがって、基本的にIPCCと同じように、地球の温暖化は進んでいるし、その原因は、CO2を初めとする温暖化ガスであるというところは同じ意見です。  第2は、それに対する政策的な対応をどうするのがよいかというところになります。それについても、日本も削減をするのにできるだけ協力した方がいいと、そこは変わりません。  問題があるのは、1つは、日本はもともと省エネとかいろんな形で努力を積み重ねてきていて、よく言われるのは、雑巾をよく絞った後でこれから削減するのは相当難しい、そういう国になっているんだけれども、それが本当にできる約束としてどこまでできるかという問題は、原発がとまったことのあおりを受けて少し難しくなっているかなと。そのでどうできるかを模索せざるを得なくて、余り理想的にこのぐらいということまでは約束はし切れないだろうという感じがします。  日本以外の国は、ドイツはそうでもないんですが、比較的いいかげんに約束しちゃうんですね。それで守らないということを平気でやる国が多いんですが、日本は一度約束すると何としてでも守ろうとするので、できる約束をするというのが日本の特徴だろうと思います。それはすごくいいんですが、そこが結構難しい部分が存在しているかなと、そういう感想があります。 ○(阿部悦子委員) 日本も、鳩山総理のときに25%削減という、結構、今にしてみたら大変な約束をしてしまっていると思うんです。  原発と二酸化炭素の関係をおっしゃいましたけれども、かつては原発は二酸化炭素を出さないという言い方をしていましたが、今は、運転時には出さないという言い方に改めていると思います。日本広告審査機構、JAROが、こういう言い方は、電力側が原発はCO2を出さないということは言ってはいけないということで審査をしまして、これは公表していると思います。ウランを採掘して運搬して、そのウランを濃縮して加工して、それから原発の建物を建ててというで、CO2は随分出しているわけですし、もし事故が起きましたら、たくさんのCO2を出して、その収束に当たらなければなりませんし、また廃棄物の問題もあります。  ですから、今、原発は1基も動いていないわけですけれども、原発はCO2を出さないんだから、もう一度原発に回帰するという御意見をもし持っておいでになるようでしたら、そのあたりはどうなのか伺いたいと思います。 ○(森田参考人) まず、私の個人的な意見なんですが、原発は新規に、新しく原発を建てるのは多分得策ではない。ドイツがそうしたように、今までつくった原発をとりあえず使ってエネルギーを出すというのは、経済的にも意味があるように見えるというのが私の意見です。今ある原発を、事故を起こさないように丁寧に使うということができれば、それは一つの解決かなと。ただし、新規に原発をもう一回新しくつくって、それをやるにはプラスは少ないかなというふうに思っています。  とりあえず原発に関しての私のポジションはそんな感じなんですが、世界中で原発をある程度使いながらCO2の発生量をある程度抑えるというのは、一つの知恵かもしれないという感じがしますけれども、それだけに頼らない方が多分いいだろうと思います。 ○(阿部悦子委員) ありがとうございます。今ある原発を使うというお話ですが、原発からは毎秒70t、7℃高い温排水が出ておりまして、これは海の温暖化につながっていると思います。これはCO2の排出量につながっていると思いますので、そこは先生の深い知見と私とはちょっと違うのかもしれませんけれども、原発にはCO2の削減効果ということを期待できないのではないかと思って1つ質問いたしますけれども、これは数日前、10月23日ですか、気候ネットワークという日本のNPOがございますけれども、ここが発表しましたのが、日本のでこれから火力発電所、特に石炭を使った火力発電所を25基、計1,300万kW、計画があると、日本が。これに対して、温暖化をますます進めるのではないかという声明を出しています。  現在は、ガスコンバインドサイクルの火力発電所もあります。CO2を出さない、高価になるわけですけれども、やはり地球温暖化をどうにか防いでいくと、そこのところにお金をかけても石炭火力をふやさないということが、私はこの国に求められるのではないかというふうに思います。四国電力も四国内で今後、石炭火力ではなくてガスコンバインドもつくっていますけれども、そういう大きなエネルギーに対するCO2排出が大きいわけですので、その辺の工夫というのは、大きなところでごらんになっている先生といたしましては、石炭でどんどんやっていく、そのことについて何かお考えがおありでしょうか。 ○(森田参考人) 電力というのは最終形のエネルギーですので、その電力をつくり出すために、もとのエネルギーが必要で、そのエネルギーを何にするかと、そういう問題ではあるんですね。  まず、御指摘のように、原子力発電といっても、全く化石燃料エネルギーなしでやっていくわけではなくて、おっしゃったように一部は少しそういうものを使いながらウランの濃縮等もやってきていると、それはそのとおりですが、ただ発生する電力から見ると、その部分は相当小さいので、したがって原発自身はCO2の発生量は相当低いという位置づけになっているのだろうと思うんです。これが第1ですね。  第2は、一次エネルギー源として、実は一番安いのは石炭なんです。間違いなくそれは起こっていまして、アメリカも原発依存度は20%のままずっと動かしていて、これはスリーマイル島の事故があったということが1つあるんですが、それ以外の理由がもう1つあって、原発でつくる電力は決して安くない。つまり経済的な側面からそこにブレーキがかかっているんですね。だから、アメリカも決して原発をふやそうとしていなくて、スリーマイル島のあの事故以来二十何年間、原発は一つもつくっていないというのが実際にはあるんですね。  そして、そのあげく何が起こったかというと、アメリカの原発のメーカーが不況になって、それが売り出されたんです。売り出されたのを買ったのが日本の原発のメーカー。したがって、日本の原発産業は、順調に行けば世界の原発を全部牛耳る、そういう存在になる予定だったんですが、そこに福島第一原発のあの事故が起こったために、そのもくろみが崩れてしまっていることが構造としてあります。  繰り返しになりますが、一次エネルギー源としては石炭が一番安い。それは、ずっとこれからも続く構造になります。石炭以外に、CO2の発生の少ないものとしては、例えば天然ガスみたいなもの、あれはエネルギーの半分以上が水素側にありますので、CO2の発生量は減らせるということは選択肢に入ると思いますし、それからもう一つは、電力の人たちが考えていらっしゃるのは、発生したCO2をどこかに隔離してしまって、一番簡単なのは深海に送り込んで、そこに置いておけば、大気のCO2濃度はふえないんじゃないかと。かなり怖い話なんですが、そういうことも考えていらっしゃる。  それは全く荒唐無稽の話でもなくて、何が起こったかというと、「しんかい6500」という深海調査船があって、彼らが深海の調査をやっているときに、海中に変なぶよぶよしたものを見つけたんですね。取り出してみたら、ぱっと消えてしまって、それは何だったんだと調べた結果、実は二酸化炭素だった。海の底から湧き上がってきている二酸化炭素は、高圧の海底で圧縮されて液体状になっていた。したがって、それと同じことができれば、深海を保管庫にしてCO2を保持できるのではないかと、そういう意見があります。ただちょっと私たち環境サイドの人間からすると、余り簡単に考えないでほしいなと。深海からCO2がぶくぶく上がってきたらどうするんだとかそんなことを考えるのですが、とりあえずそれが考えられていて、経済産業省はそこにお金をつけて研究費を出していますけれども、それがあります。  CO2は、結構いろんな話があります。今から十何年か前に、アフリカの湖の周辺で人がばたばたっと死んだ事件があったんです。人だけじゃなくて、その付近に飼われていた牛とかも次々と死んでいって、みんなびっくりしまして、こんなところで誰かがサリンをまく実験でもやったのかなと思ったらそうじゃなくて、実はチャド湖という湖があるんですが、深い湖です。底から大量のCO2が出て、そしてそれが、二酸化炭素は重いですから、わあっと地表面を走っているうちに、そこにいた生き物を全部殺していったという事件で、そのチャド湖の二酸化炭素の源は何かというと、火山性の二酸化炭素です。だから、二酸化炭素は絶えず火山からたくさん出ていますので、そことのバランスもどうしても考えなきゃいけないと。  結論だけ言うと、やはりCO2の抑制は大事で、それはやった方がいい。やるべきであると、そこは間違いがない。ただそのゴールに達する前に、バランスよくやろうとすると、いろんな国に参加してもらって、みんながある種の痛みを分かち合いながらやるというメカニズムも必要ですし、それからドイツが太陽電池で失敗した政策みたいなものは、やはり同じようにやらない方がいいという、そんなこともあるので相当いろんなことを勉強しながら、最適化する作業は要るかなと感じます。 ○(阿部悦子委員) 一次エネルギーとおっしゃいましたか、原発で出力100万kWといたしますと、あと200万kW分は海に捨てているわけですよね、エネルギーを。私は、非常に効率の悪いエネルギーだと思うんです。そして、瀬戸内海のような閉鎖性水域を温暖化させていて、赤潮がことしも発生して被害額もかなり出ています。だから、今はとまっているわけですけれども、やはり非常に海が温まっているということはあって、CO2との関係があると思います。  それで、最後にお聞きしたいのは、IPCCがもうすぐデンマークで総会を開かれますけれども、それに当たって、さっき2℃とおっしゃいましたけれども、今世紀末には4.8℃、このままなら上昇するという発表をしたわけです。そうしたら、私たちは何をしたらいいのか。つまり、県の行政も私たちも、この愛媛県で何をしたらいいのかというのが、多分この委員会の課題だと思うんです。一体何をしたらいいのか教えていただきたいと思います。 ○(森田参考人) 今世紀末まで今の上昇曲線をそのまま延長すると、4.8℃ぐらいに到達するんですが、4.8℃というのは相当悲惨な状態に多分なっていると思うんですね。問題は、その手前でどうコントロールできるかということがまず1つです。  それから、起こっている現象は何かというと、空気二酸化炭素がふえて、それが地球から出ていく赤外線をブロックしてしまっている、そういう構造ですので、これは1つの国ではどうにもならない。地球全体で排出している、それが拡散して広がってそれをつくっていますので、そこは協調してやらなきゃいけない。  日本だけでできること、あるいは日本の国内の地域だけでできることは、そんなに大きくないんだけれども、しかし模範となって、こういうことをやりましょうというところはできるかもしれない、それがもう一つです。  それから、この間、平石さんという方が日本の代表で行かれていますけれども、彼とも話をしたんですけれども、ひょっとしたらもう手おくれかもしれないと、そのときにどういうふうにしたらいいかを考える必要があるよねという話をしたんですね。  手おくれというのは、もう空気に出てしまった二酸化炭素を回収する方法はほとんどないので、したがって温暖化は避けられないということになったとき、温暖化によって副次的に起こる悪いイベントをどうやってとめるかというのも、発想の転換としてはあるかもしれないし、先ほど言いましたように、地球を白くするというのはどうだろうかなという話をして、IPCCでもその議論は出ているらしいんですけれども、おしろいを地球に塗って、それで冷やしましょうと。  それは、日本はすごくできそうな感じがするんです。というのは、原料になるのは石灰岩なんです。それが非常に豊かな国ですし、昔は日本の車も白い車が多かったので、やはり余りカラーの車は使わないで、白い車を使って、それで道路も白くしてというのも一つかなと。ただこれが、どのぐらいやるとどのぐらいの効果になるということを、きちんと計算をもう一度やる必要があると思うんですが、それも選択肢かなというのは、きょうちょっとお話しさせていただいたんです。みんな白い服を着ていたら、どこかの宗教団体みたいになっちゃいますけれども。 ○(西原進平委員) 7ページの生物多様性というところで、先生が書いておられる、地球上にたった一つの生物種だということで、これがいつまで続くのかと、これはすごく僕は感じるものがあるんですけれども、このままで行ったら、この地球、人口70億人、これが100億人になろうというふうに地球規模ではなっていっているはずですね。そして、それは先ほどもお話があったように、開発途上国に言わせてみれば、もっと我々がこれから経済発展するんだということは、やはり子供たちが死ななくなる。当然人口はふえてくる。  日本はどうかというと、今あるように少子高齢化ということで、高齢者はもう今存在しているんだからどうしようもないですけれども、少子化対策ということを一生懸命やっています。日本の人口が今1億人ですか、これが8,000万人になる、7,000万人になると日本社会が崩壊するから云々というお話もありますが、世界規模から見た場合、100億人に達しようとするときに、先進国の一つである日本が同じように人口の現状維持、もしくはふやしていくということは、これっていいのかなと思うし、現実問題、日本という国は、人口は幾らぐらいが適正なんだろう。そしてまた、世界をリードする先進国の一つとして、まず日本がやるべきことはどうなんだろうかというふうなことを、これを拝見しながら思っていて、先生はどんなお考えがあるのかなと思ったのですが、いかがでございましょうか。 ○(森田参考人) 日本の人口政策をどうするかというのが根本に出てくるんだろうと思うんですが、御存じのように、江戸時代の末期で大体3,000万人、それから太平洋戦争の直前ぐらいでざっと8,000万人ですね。その後ふえて、今1億2,000万人になっている。  一体、適正人口は何だという議論は、結構難しいのは、昔は飢饉とか何かで人口が大きく減るような要因があったんですが、それが余りなくなって、これは種の改良が進んで、食料生産が劇的に落ちないようになっているんですね。そんなことを考えると、ざくっと私の考える適正人口は8,000万人から1億人の間かなと思っているんですが、これは直感的な判断で、余り具体性はありません。  むしろ問題は、地球の人口が日本とは別にどんどんふえてしまったら何の意味もないということが起こります。かつて中国は、戦前で4億人強ぐらいだったのが、結果的にはどんどんふえていって、今13億人ぐらいになったんですね。だから、こういう国が人口を抑制してくれないと地球の定員を超えてしまうということが一方で起こります。中国もそれに少し気づいて、一人っ子政策を一部やったんですが、農村部は勝手にやっていたりするものだから、実際にはふえてしまったということがあります。  それから、もっとすごい勢いでふえているのはインドなんです。インドは、今10億人ちょっとなんですけれども、人口抑制政策を何もとっていませんから、そのうち中国を抜いて彼らが世界一の人口国になってくる。しかも、それがアジアの一角で起こってくるというで、インド人に、もう人口をふやすのはやめましょうと、人口を減らすために日本は一生懸命協力しますと、そういうことを言って彼らに若干の協力はできたとしても、やはり宗教というのは人口をふやす方向にしか働かないんですね。それでちょっと無力なので。  同じような生物種で壁にぶつかるのは、ヤギの類いですね。ヤギは、そこに草が生えている限り食べ続けるんです。子供をふやし、そしてあるところまで行くと、ふえ過ぎて草がなくなって死ぬんです。こうやって上がったり下がったりするようなスイングをして、それで数がある程度維持されていますが、ヤギの島なんかは、たちまち丸裸になって、それで餌がなくて死ぬ。  それと同じことをもし考えるとすると、人間もどこかの段階で餌がなくなって死ぬ、それが一つの壁だろうと。厄介なのは、人間はそのとき単純に死なないで、戦争を仕掛けたり人の物をとったりとか平気でやり始めるので、そので日本人はどう生きていくかというのは、なかなか答えが出にくくて、いろんな冗談を言ったことがあるんです。世界中、空から人が妊娠しにくいような薬をまいてはどうかとか、実現不可能なシナリオもあるんですけれども、世界中でどうやって人口をコントロールするかというのは、本当は一番真剣な課題で、環境問題も、実は人口問題だったりするんだとは思っています。
     繰り返しになりますが、日本の人口は、やはり1億人以下ぐらいで維持するのがいいかなと。それでもなおかつ、日本は資源問題を抱えていて、資源の乏しい国でそれをやろうとすると、資源の価格は上がってくるから、お金があるうちに資源を買い込んでためておくとか、昔の籠城作戦みたいなことをそろそろ考えた方がいいかなという感じですね。 ○(西原進平委員) まあ、結論は出ないでしょう。ただ地球規模でいうと本当にふえていく。そんなで、やはりこれだけ先進国として、また経済を謳歌してきた日本としては、これから考えていかなきゃいけないんだろうなというふうに思うし、では、今我々がやっている少子化対策って何なのと。今、少子化対策をやっているのは、要するにふやそうといっているんですから、これももう考えなきゃいけないのかなと。では、適正なものというと、本当にしっかりそこら辺を出していかなければ、日本という国が世界ので冠たるものにならぬのではないかなと思います。先生も言われるように、結論は出ぬのだけれども、僕も8,000万人ぐらいかなとは思いますけれども、それぐらいの方向にすると、少子化対策をやめなければいかぬから、どうしようかと悩んでいます。 ○(逢坂節子委員) まずもって、きょうの大きなテーマ、環境問題についてというのは、非常に私自身もお勉強させていただきました。そこので一、二点、森田先生じゃなくて、県の理事者の方にお答えいただきたいと思います。  森田先生の資料13ページ、私が主にきょうお聞きしたいのは、自然環境を守るという視点からお聞きしたいと思います。  瀬戸内海環境保全特別措置法というのは、1973年にできたということでございますが、それから今日まで40年の経過があるわけなんです。そので、ここのにも書いているように、瀬戸内海は本当に穏やかな、日本では一番美しい海だというふうに昔言われていたわけですよね。この措置法に倣って、一体どこまで保全的なものが進んでいるのかなというのが一番私、興味があるところなんです。  といいますのは、海岸が相当ありますよね。愛媛県のにも海岸があると思いますが、海岸保全という立場から、この措置法にも書いております、環境保全のための事業の促進等というのがあるんですが、そのでも、海岸保全というのは一体どこまでどのように、これは埋め立てしてきれいにするというんじゃなくて、さまざまな自然を残して、そして地元の協力をいただいて保全をしていくというふうなことが一番望ましいと思うんですけれども、この海岸保全に関して理事者の方は、どの程度海岸があり、そして保全はどのような形で今日に至っているかというのをお聞かせいただきたいと思います。 ○(環境政策課長) 瀬戸内海環境保全特別措置法の問題でございますけれども、まず、所長からも一部お話がありましたが、かつての公害問題が出たときから比べれば、水質に関しては劇的に改善しております。ただ一旦かなり下がっているんですけれども、それから横ばいという状況でございます。  それと、海岸保全の関係でございますが、ちょっと海岸の延長とか数値的なものを持っていないのでございますけれども、御承知のように、かつては、特に特別措置法ができる前までは、大規模な埋め立てが盛んに瀬戸内海で行われておりまして、かなりな海岸が消失したところでございます。また、この法律施行後も一定の埋め立て事業が行われまして、海浜が失われてきたところでございますが、県においては、平成14年に策定した瀬戸内海環境保全に係る県計画において、埋め立ての極力抑制ということを打ち出しまして、以降、1件10ヘク超えるような埋め立てはあったんですけれども、それ以降は、漁港内とか港湾内の小規模な埋め立てはございますけれども、大規模な埋め立ては行われず、海岸の保全に努めているところでございます。  また、ソフトの面からは、御承知のように、これは土木部等でやっておりますけれども、海岸の清掃活動ですとか、あるいは各種NPOが実施しております海浜の生物調査等もございまして、そういうところで海岸の保全意識を高めているところでございます。 ○(逢坂節子委員) 平成14年からは極力抑制ということで、埋め立ては横ばいだということなんですけれども、自然を残すと。私たちが子供時分には、本当に海岸というのは多様性植物なんかもいて、すごくきれいなところだったと思うんです。だけれども、今日このような状況になっているわけなんですが、瀬戸内海は、白砂青松と言われた本当にきれいな瀬戸内海沿いだったと思うんです。そこで、海岸の数はわからなくても、何百とあると思うんですが、そこので一番自然を取り戻すための保全をしなければならないという重点的な海岸というか、そういうところは何カ所かありますか。 ○(自然保護課長) 自然海浜についてでございますが、委員お話のように、白砂青松ということで瀬戸内海初め各地の海岸がございまして、そのうち、県内では23カ所に自然海浜保全地区という地区を設けているところでございます。それで、設けるだけではなくて、そこのところには看板等を設置いたしまして周知をしているというところでございます。  さらに、自然海浜保全指導員さんという方を23名、知事から委嘱をしておりまして、パトロール等をしていただき、そこのあたりで、大きなごみであるとか何か支障がございましたら連絡をいただくようなことにしておりまして、何かございましたときには関係部局とも連携して対応するようなことをしているところでございます。 ○(逢坂節子委員) 私、この問題に非常に関心を持っておりまして、今の御説明で、23カ所で指導員も23名いるというところで、さまざまな看板などを立てた対策というのをされているということを聞いて、ちょっと安堵したんですけれども、しかしこれは非常に、森田先生もお話ししていただいた、環境で全体的な大きな問題で、人間一人一人が取り組んで、保全なり環境を守っていくために取り組まなければならないというところで、行政の役割も大きなところがあると思うんです。そこので、極力地域住民にも協力いただけるような啓発的なことも今後、考えなければいけないと思います。  これは要望なんですけれども、細かいことではないと思うんです。こういうところから気をつけて、みんなで協力して改善に向けて努力していくということは、やはり行政だけではできないものであって、全体的な啓蒙、啓発的なことも今後必要だろうと思いますので、これは要望させていただきますので、お願いします。 ○(森高康行委員長) お答えあれば。 ○(循環型社会推進課長) 今、委員の方からお話がありました。実は私どもの課の方におきましても、海岸保全というような観点で、自然を守るというところの観点ではなくて、実は海岸というのは、非常にごみがたまりやすいところでございます。そういったにおきまして、国の制度を活用いたしまして、県下で12カ所重点区域を設けておりまして、その12カ所に対しまして昨年度と今年度で、例えば漂着物がかなり多い時期にそれを撤去するというような事業を行っておるところでございます。  また、啓発という話もございましたが、その一環で、その12カ所の特に投棄等が多いようなところですね、そういうところに看板を設置しているほか、ちょうど現在、そういったことへの周知のための啓発事業を行っておるところでございまして、先般も松前町の塩屋海岸でそういった一環の行事を行ったところでございます。御参考までに。 ○(自然保護課長) 関連いたしまして、委員の方からも、いろんな団体とか民間の方とも協力して進めるべきだと。まさにそういうことがございまして、きょうお話をいただきました森田所長には、愛媛県自然保護協会の会長を務めていただいております。愛媛県自然保護協会では、瀬戸内海あるいは石鎚とか、さまざまなところの清掃活動をされる市民団体とか、そういった方とも連携してそこに補助をしたりといったこと、今治の方でもクリーンアップの活動が行われたりして、支援をしているところでございます。そういったところともこれからも歩調を合わせて連携して、そういった活動等も支援してまいりたいというふうに思っておるところでございます。 ○(阿部悦子委員) 瀬戸内海の問題、森田先生お話しになったので、私も少し気になるところがありますので、これは部局の方に答えていただきたいと思いますが、今、自民・公明案で、瀬戸内海環境保全特別措置法の改正案が参議院の委員会に提出されています。今国会でこれが改正されるかどうかというところだと思いますが、おととい瀬戸内海環境保全小委員会、環境省で私も傍聴してきたんですけれども、この小委員会がこれから計画をつくり直すということと法改正と、何かリンクしているのかどうかというのは、そちらで御存じでいらっしゃいますか。その内容ですね、法改正と、今回の小委員会がおととしつくった環境省の答申に基づいた計画の改定ということに当たって、どういうところが焦点になっているのか伺いたいと思います。 ○(環境政策課長) まず、瀬戸内海環境保全特別措置法の改正案の件でございます。  お話のように、さきの国会に議員立法で改正法案が提出されまして、継続審議ということで次期国会で審議ということになっておるわけでございまして、それと先般、国の瀬戸内海環境保全基本計画、これはパブリックコメントを実施しておった、恐らくその結果等の報告があったと思うんですけれども、それとは直接にはリンクはしておりません。ただ理念的には、例えば議員立法の瀬戸内海環境保全特別措置法の改正については、水質は改善されたけれども漁業資源は減っていると、そういう視点で、きれいな海だけでなくて豊かな海にというふうな理念で改正案が策定されたものと聞いております。  また、一方で審議会答申を受けた国の瀬戸内海環境保全基本計画についても、やはり豊かな瀬戸内海の望ましいイメージとして、美しい海であるとか多様な生物が生息できる海であるとか、にぎわいのある海であるとか、そういった観点からの答申がございましたので、それに沿った形で計画を策定するものと承知しております。 ○(阿部悦子委員) ここにありますけれども、藻場をふやすという項目がありますけれども、ここに産業廃棄物の有効利用策として試験がなされていると。これは、海域を一定の汚泥で埋めていくということかと思いますが、1995年ごろに中島で藻場をつくるといって、これが失敗をしています。睦月に、もう一つをつくるというときに中島が挙げて反対をされ、その結果、次の年には県の管理条例ができたと思う、海の管理条例が。  この海の管理条例があるために、海の生態系をさわっていくということは、かなり歯どめがかかっていると思うんですけれども、鉄鋼スラグはpHの大変高いもので私は心配をしていますけれども、こういうことで廃棄物を海に持っていくというようなことが進むということは、大変私は危険なことだと思っていますが、その件に関しては、先生はどのようにお考えですか。 ○(森田参考人) 実は、生き物というのはいろんな元素を必要としまして、したがって海藻のようなものをふやしたいと思ったときに一番不足しているのは鉄のような元素なんです。ミネラルですね。そのほかに、セレンとかいろんな微量な元素が有効だということがわかってきています。  幾つかのプロジェクトが海で実験をされました。それはどういうことかといいますと、二酸化炭素を藻類に吸わせる、それを例えば太平洋のでやろうとすると、太平洋自身は鉄が足りないので、鉄を少しまいてやればそれが補充されて、それで藻類がふえる。それが酸素をつくり、それから炭酸ガスを固定して、それは沈んでいって、最後は炭素系の化合物ができ上がっていく。そういう流れの上で幾つか実験がされました。実は劇的な効果は余りなかったんですが、そういうこともある。  一方で、やはり鉄が足りないというのは構造的に起こっていまして、藻類が生育するためにはですね。それを補充する一つのメカニズムとして、鉄鋼スラグというのが考えられますよねと。ただし、たくさん使い過ぎるとたちまちよくないということがありますので、非常に限定的な使用の仕方で、そういった道はあるかもしれないというので、研究をやっていただくのがいいかなという答えですね。それを実際にやるかどうかは別問題で、よほど慎重にやらないと失敗をするという感じはしますので、それはいろんな研究結果を見ながら判断をしていくことになると思うんです。  廃棄物を持っていきたいという意図ではなくて、廃棄物のに含まれている元素をうまく利用して、それがつくれるかどうかというのが一つの課題だと、そういう認識であります。 ○(阿部悦子委員) 続けて申しわけありません。この藻場、干潟づくりというのは、瀬戸内でいろいろ失敗をしていると思います。中島だけではありません。広島の出島ですとか、岩国でも失敗をしていますし、藻場を植えかえるのに、20億円ぐらいかけて十数haの藻場を。これが全滅するとかいうことが各地で起こっているわけです。  こういう海の見えないところに、底質を埋めていくというのは、私は、環境の問題、微量な成分の問題も、有害なものもありますし、あとシルト状のものが、当時、中島ではタコつぼのに入ってタコ漁ができなくなって、それで反対が起こったというようなこともあるわけです。成分だけではなくて、自然のものに人が手を加えるということの危険というのはあると思うんです。それが今回の法改正でやりやすくなるとしたら、とても問題だと私は思っていますが、最後の質問にしますが、部局の方でそこの点、答えてください。 ○(環境政策課長) 今回の瀬戸内海環境保全特別措置法の改正によりまして、そういうものがやりやすくなるといったことは一切ないと承知しております。 ○(福田剛委員) 森田先生、丁寧な説明、どうもありがとうございます。  2ページのところに、もし地球の温暖化があるとして何が困るのかとありまして、例えば島の消失とか農林水産業の被害。これはよく読むと、人口が減ってしまう、人間が死んでしまうというふうに、広く読めば読めるんじゃないかなというふうに思っています。先ほど言われていた環境問題は人口問題であると、人口がふえているのを何とか対策するしかないんじゃないかというところで、地球温暖化というのは、実は人口をふやすことに対してはブレーキをかける、もしくは減らせる。つまり地球の自浄作用が働いているんじゃないのかなと勝手に思っています。  僕は、個人的にはすごい寒がりなので、暖かくなるのはとてもいいな、なんて思っておりまして、日本でも北極海の氷が解けると北極海ルートができて輸送にも便利とか、シベリアとかカナダは広い土地があって、たくさんの人が住めるようになるとかというのは、いわゆる神の見えざる手によって、自浄作用が働いて適正な人口になるいい策なんじゃないかなと勝手に思ったりしております。  けれども先生は、すぐCO2の削減をやった方がいいというふうにおっしゃっていたので、具体的に地球人の私に残された年数ですね、あと何℃上がって、結局、何℃上がるまでには何年間の猶予があるというふうな、私たちに残された、地球人の一人である私に残された時間は具体的には何年なんですかというのを教えてもらえれば。ざっくりでいいので、お願いします。 ○(森田参考人) かつて、今から50年ぐらい前に、「成長の限界」という本が書かれまして、それがある種の予測をしていて、大体その予測どおり地球上の人口もふえています。成長の限界というのは何かというと、人間は、例えば資源の制約を受けています、それから人口の制約、これは主に食料生産の制約ですが、そういったものがあって、無制限には人口はふえませんよというのが全体的な骨子なんですね。  それで、何年先に何が起こるだろうかということの私なりの予測では、大体50年先にエネルギー源の枯渇というか、完全に枯渇しないんですけれども、すごく高い値になっていくということが起こります。それが大体50年先にはそうなっていく。恐らくその前の30年後ぐらいに、既にとり合いの前哨戦が起こる。要するに買い占めが起こって、それでエネルギー価格が非常に高騰する。エネルギー価格が高騰すると、今度はそれを消費するところにブレーキがかかってきますので、温暖化のスピードは遅くなっていくということがあって、多分いろんなことが、22世紀を待たないで、あと50年後ぐらいに一気に問題が噴出してくるだろうと予測しています。  50年後というと、結局、子供が老齢に差しかかって、孫がまだちゃんとこれから生きていかなきゃいけないような、そういう時期なんだろうと思うんですが、そこにどういうふうにしておいてあげるのがいいかということなんですが、私の方が皆さんにお勧めしているのは、ある程度土地があれば、資源を自宅に用意しておいた方がいいよと言っている。こんな雑駁な話でよろしいでしょうか。 ○(森高康行委員長) ほかに、議題に関する質疑はありますか。               〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ○(森高康行委員長) そのほか、何か質問はありませんか。               〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ○(森高康行委員長) 質疑等もないようですので、以上で質疑を終了いたします。  きょうは森田参考人のおかげで非常にレベルの高い委員会審議ができたことを、委員長として森田参考人はもとより皆さんに感謝を申し上げたいと思います。  次に、次回の議題、出席理事者等については、私に一任願うことで御異議ございませんか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○(森高康行委員長) 御異議ないものと認め、そのとおり決定いたします。  以上をもちまして、環境・水資源対策特別委員会を閉会いたします。                 午後3時12分 閉会...